令和 5年 6月 定例会(第3回)……………………………………………………………………………………………
△議事日程(第二号) 令和五年六月二十八日(水)午前十時開議 第一 議第五十八号から議第六十九号まで 第二 請願第一号から請願第四号まで 第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△本日の会議に付した事件 一 日程第一 議第五十八号から議第六十九号まで 一 日程第二 請願第一号から請願第四号まで 一 日程第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△出席議員 四十六人 一番 木村千秋君 二番 判治康信君 三番 平野恭子君 五番 今井瑠々君 六番 牧田秀憲君 七番 黒田芳弘君 八番 森 治久君 九番 山内房壽君 十番 森 益基君 十一番 小川祐輝君 十二番 中川裕子君 十三番 伊藤英生君 十四番 澄川寿之君 十五番 平野祐也君 十六番 所 竜也君 十七番 今井政嘉君 十八番 藤本恵司君 十九番 安井 忠君 二十番 恩田佳幸君 二十一番 若井敦子君 二十二番 広瀬 修君 二十三番 布俣正也君 二十四番 酒向 薫君 二十五番 野村美穂君 二十六番 水野吉近君 二十七番 国枝慎太郎君 二十八番 長屋光征君 二十九番 高殿 尚君 三十番 田中勝士君 三十一番 加藤大博君 三十二番 松岡正人君 三十三番 小原 尚君 三十四番 水野正敏君 三十五番 野島征夫君 三十六番 川上哲也君 三十七番 渡辺嘉山君 三十八番 伊藤正博君 三十九番 伊藤秀光君 四十番 平岩正光君 四十一番 佐藤武彦君 四十三番 森 正弘君 四十四番 村下貴夫君 四十五番 尾藤義昭君 四十六番 玉田和浩君 四十七番 岩井豊太郎君 四十八番 猫田 孝君……………………………………………………………………………………………
△職務のため出席した事務局職員の職氏名 事務局長 山田 恭 総務課長 桂川義彦
議事調査課長 若野 明
議事調査課管理調整監 森 信輔 同 課長補佐 西 直人 同 課長補佐 中川雅洋 同 課長補佐 市川達也 同 係長 佐藤由子 同 主査 水野 恵 同 主査 横田直道……………………………………………………………………………………………
△説明のため出席した者の職氏名 知事 古田 肇君 副知事 大森康宏君 副知事 河合孝憲君 会計管理者 矢本哲也君 総務部長 尾鼻 智君 清流の国推進部長 長尾安博君
危機管理部長 内木 禎君
環境生活部長 渡辺正信君
健康福祉部長 堀 裕行君
健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君
商工労働部長 三木文平君
観光国際部長 丸山 淳君 農政部長 足立葉子君 林政部長 久松一男君
県土整備部長 野崎眞司君 教育長 堀 貴雄君 警察本部長 大濱健志君
人事委員会事務局長 青木一也君
選挙管理委員会委員長 大松利幸君……………………………………………………………………………………………
△六月二十八日午前十時開議
○議長(野島征夫君) ただいまから本日の会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。 (書記朗読) 請願書の受理について 請願第一号
森林環境譲与税の譲与基準の見直しに関する請願ほか三件の請願書を受理しました。 職員に関する条例に対する意見について
人事委員会委員長から、令和五年六月二十三日付をもって、議第五十九号 岐阜県職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例の一部を改正する条例については、異議がない旨の回答がありました。
例月出納検査の結果に関する報告の提出について 監査委員から、お手元に配付のとおり、令和五年六月二十六日付をもって、地方自治法第二百三十五条の二第三項の規定により、
例月出納検査の結果に関する報告の提出がありました。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。四十一番 佐藤武彦君。 〔四十一番 佐藤武彦君登壇〕(拍手)
◆四十一番(佐藤武彦君) 皆さん、おはようございます。 質問に入る前に、全国各地で大きな被害をもたらした今月初めの大雨により、亡くなられた方々と御遺族に対し謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復興を心より願うものであります。 それでは、議長よりお許しをいただきましたので、
県政自民クラブを代表し、通告に従い、県政の諸課題について、大きく五点質問をさせていただきます。 初めに、
新型コロナウイルス感染症の五類移行後の対応として、二点お伺いいたします。 まず、三年間の
新型コロナウイルス感染症対策の総括及びそれを踏まえた今後起こり得る
新興感染症への対応についてお伺いいたします。 先月、五月八日に
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが
季節性インフルエンザと同じ五類に変更され、三年以上にわたる
新型コロナとの闘いも大きな節目を迎えました。 この間の対応を振り返りますと、当初は
社会経済活動を制限する施策も講じながら、感染拡大の抑え込みに懸命に取り組みましたが、一昨年末からの第六波以降は、それまでにない速さと規模で感染が広がる一方で、重症化率や死亡率が低下したことから、徐々に
社会経済活動とのバランスを図る方向に転換していきました。刻々と変わる状況の変化を見極め、三年間
オール岐阜体制で新たな感染症に対応してきた経験は、本県にとって大きな財産だと考えます。 だからこそ、五類に移行したこのタイミングで、三年間の
新型コロナへの対応を検証し、それを踏まえて今後起こり得る新たな感染症に備えていくことが極めて重要であります。 そこで、三年間の
新型コロナ対策の総括と、それを踏まえて今後起こり得る
新興感染症にどのように対応していかれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、
新型コロナウイルス感染症対策の見直し後の現状認識と今後の対応についてお伺いいたします。
新型コロナの感染症法上の位置づけが五類に移行したことに伴い、国の対応方針を踏まえ、
位置づけ変更後も
新型コロナから県民の生命と健康を守るという基本的な考え方の下、本県の
新型コロナ対策の見直しが行われています。 例えば、医療・
検査提供体制については、限られた医療機関による対応から、幅広い医療機関で発熱患者が受診できる体制に移行しております。 また、発生動向の把握については、患者数や死亡者数の総数を毎日把握・公表する体制から、国では、週一回の定点観測に移行しましたが、本県では、これに加え、県医師会が運用しているシステムを活用し、独自で毎日定点観測し、毎日公表し、より迅速に実態に即した丁寧な情報収集・公表を行っています。 一方で、
院内感染対策が難しいクリニックなどで、外来患者の受入れが本当に進むのか、入院調整における行政の関与が薄くなることで、感染拡大時において病院間での入院患者の受入れに支障が出ないかといった、対策が見直されたことに対する心配の声も聞かれます。 現在、全国的に
新規感染者数は緩やかな増加傾向にあり、夏に一定の感染拡大が生じる可能性も指摘をされております。四月二十八日に出されました
知事メッセージにもあるように、五類への
位置づけ変更後も、感染力が非常に強く、高齢者や基礎疾患のある方の
重症化リスクが高いことなど、ウイルスの実態が何ら変わるものではなく、
新型コロナとの闘いが終わったわけではありません。 また、令和五年度当初予算については、十一年連続のプラス予算となっており、前年に引き続き二年連続で過去最大の規模となっております。しかし、その中身を見ますと、
新型コロナ関連の国の交付金などが増加していることもその要因の一つであるようです。 執行部からは、
新型コロナ対策について、五類移行後の具体的な対応が明確に見通せなかったため、令和四年度と同程度の対応と想定して今年度の当初予算に計上しているとの説明を受けていますが、先般、
新型コロナの五類移行により対応が見直しされたことに伴い、現在計上されている
新型コロナ関連予算についてどのように対処されるのでしょうか。 そこで、知事にお伺いをいたします。
新型コロナの感染症法上の位置づけが五類に移行してから二か月弱が経過した現在、
新型コロナ対策を見直した後の現状に対する認識と県民の生命と健康を守るための今後の対応につきまして、予算対応も含めてお伺いをいたします。 ここで、一回目の質問を終わります。
○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) おはようございます。
新型コロナウイルス感染症の五類移行後の対応について、二点お尋ねがございました。 まずこれまでの総括、そして今後起こり得る
新興感染症への対応ということでございます。 今般の
新型コロナ感染症は、まさに国家的、さらには人類的な危機事案であり、かつ危機管理の在り方が問われた事案でありました。 対応に当たりましては、県民の命と暮らしを守り抜くことを第一に取り組んでまいりました。その道のりは、未知のウイルスに立ち向かっていくという困難なものではありましたが、今後につながる様々な知見や教訓を得ることができました。 具体的には、まず、
オール岐阜体制であります。これまで常に心がけてきましたのは、現場情報や専門家の御意見、いわゆる専門知の活用、それらをしっかり踏まえた上でのスピード感ある決断、そして
オール岐阜一丸となった対応でありました。 振り返れば、専門家会議を六十八回、警戒本部・
対策本部員会議を八十二回、
対策協議会を五十六回これまでに開催しております。それぞれの時点で起こり得る最悪の事態を想定しながら、先手先手で最大限の対策を決定・実行してまいりました。これにより、県と県内各界の幅広い関係者の皆様が情報を共有し、共に対策を協議し決定するとともに、各分野において、責任を持って対応いただいたことにより、まさに県全体で一丸となって対策を推進することができました。 また、こうした体制があったからこそ、行動制限を余儀なくされた際にも、県民、事業者、医療機関、市町村、教育機関の皆様の御理解と御協力により、困難を乗り越えていくことができました。例えば、事業者の皆様に時短要請をお願いした際には、九九%以上の事業者の方々に応諾いただき、
感染拡大防止に大いに貢献していただきました。この場を借りて、改めて深く感謝を申し上げる次第であります。 御指摘のとおり、こうした
オール岐阜体制は、今回の
コロナ対応によって生み出された貴重な財産であるというふうに認識しております。 次に、市町村との連携であります。
対策協議会には、常に県内全ての市町村に参画いただき、一体感を持って対策に取り組んでまいりました。例えば、コロナ・
ハラスメントの懸念が生じた際には、時を置かずして、私と四十二市町村長が連名で署名をしたストップ「コロナ・
ハラスメント」宣言を発出いたしました。 とりわけ、保健所設置市である岐阜市とは、まさに県・市一体となった対応を行ってまいりました。具体的には、患者の行動歴を確認する疫学調査等は保健所の業務でありますが、県の保健所に加え、保健所設置市である岐阜市においては、市自らが行うため、市内外にまたがる
感染者同士のつながりは直ちには把握できない状況でありました。このため、県と岐阜市で合同本部を設置して、対応を一体的に行うこととし、岐阜市保健所内で県職員と市職員が机を並べて業務に当たりました。これにより、情報を常に共有し、県・市が同じ基準で検査、調査、分析を行うようになったため、県・市をまたぐ
クラスター事案にも迅速かつ適切に対応できるようになりました。 一方で、困難であった点を申し上げますと、特に初期段階において、検査を必要とする方への十分な検査体制の確保、入院患者を受け入れていただける医療機関の確保など、医療・検査体制の迅速な立ち上げに大変苦労いたしました。また、当初、
個人用防護具などの医療用物資が不足しておりました。医療機関では、ガウンやマスクが十分にはない中で診療を行わなければならないなど、現場対応が困難を極めました。こうした事態に対し、医療機関、県医師会、県病院協会、さらには県内の製造事業者など多くの方々の献身的な御協力を得て何とか対応してきたところであります。 加えて、
ワクチン接種を行う
医療従事者の確保にも苦労いたしました。このため、令和三年にはゴールデンウイーク中にも市町村、県医師会、県看護協会などとの意見交換会を相次いで開催するなど、徹底協議を行いました。この結果、広く全県的な医療関係者の休日を返上しての御協力、御尽力により、しっかりとした接種体制を確保し、全国的にもトップクラスの接種率を維持することができました。 今後は、こうした教訓を生かし、
感染症危機に即応できる連携体制を平時から準備・構築しておく必要があると考えております。このため、感染症法に基づく予防計画を今年度中に改定し、医療・検査体制の整備目標を設定するとともに、医療機関との協定の締結を通じて、平時から
医療提供体制の確保を図ってまいります。 この予防計画の改定に当たりましては、県・岐阜市に加え、医療・福祉・消防等の関係機関や、有識者などから成る岐阜県
感染症対策連携協議会を新たに立ち上げ、議論を進めてまいります。 また、これまでの対応において得られた知見や教訓について、いま一度振り返り、これからの感染危機にどう立ち向かうかを議論するシンポジウムを来月十日に、この建物のミナモホールで開催する予定であります。本県の
コロナ対策の最前線で闘ってこられた方々の生の声を、ぜひ多くの県民の方々にお聞きいただき、今後の
感染症対策の在り方を共に考える機会にしたいと考えております。 次に、
新型コロナウイルス感染症対策の見直し後の現状認識と今後の対応ということでお尋ねがございました。 我が国の
新型コロナウイルス対策につきましては、先月の五類移行に伴い、国民や医療機関の自主的・自律的な対応を基本とする取組へと大きく転換されました。 本県においては、こうした国の方針を踏まえながらも、必要な取組については継続しつつ、円滑に体制の移行を進めることを旨とした対策を決定したところです。 まず、患者等への対応につきましては、引き続き療養生活をサポートできるよう、二十四時間体制の
総合健康相談窓口の設置を継続しております。五月八日以降、保健所への相談も含めて約三千件の相談を受けており、体調に関する相談をはじめとして、丁寧に対応しております。 次に、
医療提供体制につきましては、幅広い医療機関で対応することといたしました。昨日時点で、外来では移行前に比して約三十機関の増となる八百七十二機関、入院では確保病床を有する三十八の医療機関以外にも、約二十機関に新たに対応いただいております。また、
医療機関同士での入院調整についても、円滑に実施されております。 また、感染状況の把握については、県医師会の
リアルタイム感染症サーベイランスシステムを活用し、外来対応いただいている医療機関の五割以上に当たる四百八十五機関に日次で御協力をいただいております。これにより、約一割に当たる八十七医療機関の週次報告である国の定点把握に比べ、より正確かつ迅速な感染動向の把握・分析を行っているところであります。 また、本県の
対策推進体制につきましては、県の条例に基づく対策本部、
対策協議会及び専門家会議の設置を継続し、従来同様の
オール岐阜体制を取ることが可能となっております。 こうした体制に移行して二か月弱が経過いたしましたが、特段の混乱は生じておらず、円滑な移行を果たせたのではないかと考えております。 一方で、移行後の感染状況につきましては、日常の戻り、観光の回復などで、緩やかではあるものの、確実に増加傾向にあります。不肖私も先週、感染したところでございます。ここ数年、夏には感染増が見られていることからも、県民及び事業者の皆様には、御自身や大切な方を守るため、効果的な換気や手洗い、高リスクの方々を感染させないための配慮など、引き続き慎重な対応をお願いいたします。 今後は、感染がさらに大きく拡大した際に、これに即応した適時適切な対応を行うことができるかが重要となります。引き続き、日々の感染動向を注視し、必要が生じた際には、予算措置も含め、
オール岐阜体制で速やかに対応してまいります。 なお、五類移行により、
宿泊療養施設の運用や
自宅療養者支援などの措置が終了した部分については、金額を精査した上で、九月を目途に予算の減額補正を行う予定でございます。
○議長(野島征夫君) 四十一番 佐藤武彦君。 〔四十一番 佐藤武彦君登壇〕
◆四十一番(佐藤武彦君) 答弁ありがとうございました。知事の回復を喜びます。 次に、大きく二項目め、社会経済の回復・再生・転換として、六点お伺いいたします。 まず、本格的な
アフターコロナにおける今後の海外戦略の展開についてお伺いいたします。 三年以上にわたるコロナ禍に加え、
ウクライナ情勢や急激な円安による物価高騰を受け、本県経済は大きく疲弊しました。本格的な
アフターコロナの時代を迎え、社会経済を回復・再生させることが引き続き最も重要な課題であるとともに、持続的に発展できる地域社会をつくるため、
社会経済構造の転換が必要です。 コロナ禍で大きく影響を受けたものの一つが海外戦略であります。 本県の海外戦略については、御存じのとおり、平成二十一年から飛騨・
美濃じまん海外戦略プロジェクトとして、知事が先頭に立って、観光・食・モノを三位一体で売り込む
海外プロモーションを展開され、大きな成果を上げてきましたが、
新型コロナの世界的な感染拡大により
インバウンド需要が消滅するなど、深刻な影響を受けました。しかし、その中でも、県では
アフターコロナも見据えながら、世界に選ばれる持続可能な
観光地づくりなど様々な取組を着実に進めてこられました。
人口減少社会が到来し、国内市場が縮小していく中、海外戦略の重要性は増しております。本格的な
アフターコロナの時代に突入した今、本県の海外戦略も本格的に再始動し、取組をさらに加速させていくべき時期だと考えます。 そこで、本格的な
アフターコロナの時代を迎え、今後どのように海外戦略を展開していかれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、観光客一人当たりの
消費額拡大に向けた取組についてお伺いをいたします。 コロナ禍で大打撃を受けた観光需要がようやくコロナ前の水準に戻りつつある中で、観光産業が今後持続的に成長していくためには、観光客の数だけでなく質にも焦点を当て、観光客一人当たりの消費額を増やしていくことが重要であります。 国では、観光を地域活性化の切り札として位置づけ、本年三月末に閣議決定した令和七年までの
観光立国推進計画では、訪日客一人当たりの消費額の目標を十五・九万円から二十万円まで引き上げる目標を掲げました。その目標達成のために重視しているものの一つが、高
付加価値旅行者、いわゆる
海外富裕層の誘致促進であります。
海外富裕層は、コロナ禍前の
令和元年時点においては、訪日客の全体の約一%である二十九万人にすぎませんでしたが、消費額は約一一・五%となる五千五百億円を占めていました。 一方で、我が国による世界の
海外富裕層の獲得シェアは決して高くなく、その上、訪日した
海外富裕層の訪問先は大都市圏に集中しており、地方を訪れる旅行者は極めて少ないのが実情であります。 今後、インバウンドの回復・再拡大を目指す中、多様な客層を獲得する観点からも、今まで取り込めていない
海外富裕層の誘致にも力を入れていくことが必要だと考えます。 もちろん、
海外富裕層だけに特化するのではなく、こうした取組と併せ、国内・国外からお越しの多くのお客様に価値の高いサービスを提供して旅の満足度を高め、観光客一人一人の消費額を拡大していくことが重要であります。 そこで、観光客一人当たりの
消費額拡大に向けてどのように取り組んでいかれるのか、
観光国際部長にお伺いいたします。 次に、もうかる農業の実現に向けた取組について、三点お伺いいたします。 まず、農家の所得向上に向けた取組についてお伺いいたします。 人口減少・少子高齢化が進行し、あらゆる分野で労働力不足が深刻化していますが、農業においても、農業従事者の高齢化と担い手の減少に歯止めがかかりません。 二〇二〇年
農林業センサスによると、令和二年の本県の
農業経営体数は約二万一千経営体であり、五年間で三割近く減少しています。また、個人経営体の
基幹的農業従事者のうち、六十五歳以上が占める割合は八〇・二%となり、五年前に比べ二・六ポイント上昇しています。 農業産出額を見ても、令和三年は一千百四億円で、五年前に比べ十九億円減少、ピークであった昭和五十九年の千七百五十二億円と比べると三七%の減少となっています。 県では、農業の担い手の育成・確保に向けて様々な取組を進めていますが、農業の担い手を確保するために最も重要なことは、農家の所得を向上させ、農業の魅力を増すことではないかと考えます。そうすれば、意欲のある多くの若者が希望を持って就農することができます。好奇心旺盛な若者の就農が増えれば、ロボットや
情報通信技術の導入などにより、生産性や作業効率が向上し、農業の魅力がさらに増していくという好循環も期待できるのではないでしょうか。 現在、ロシアによる
ウクライナ侵略などの影響で肥料や飼料等の資材価格の高騰が続いており、生産コストが上昇し、農家の経営は厳しさを増しています。 そこで、持続可能な農業の実現のため、農家の所得向上に向けてどのように取り組んでいかれるか、知事にお伺いいたします。 次に、農畜水産物の輸出促進に向けた取組についてお伺いいたします。 県では、飛騨・
美濃じまん海外戦略プロジェクトの一環として、飛騨牛・アユ・柿を中心に県産農畜水産物の輸出促進に積極的に取り組まれています。その結果、飛騨牛の輸出量は平成二十一年の〇・五トンから令和三年に八十九・五トンへ、アユは平成二十五年の十五キロから令和三年に一千七百五十キロへ、柿は平成二十一年の九トンから令和三年に二十一・七トンへと着実に増加するとともに、
飛騨牛海外推奨店も本年三月現在、十二か国六十四店舗にまで拡大をしております。 我が国全体の状況を見ても、昨年の農林水産物・食品の輸出額は、前年比一四・三%増の一兆四千百四十八億円に上り、十年連続で過去最高を更新しました。国は、この時流を捉え、令和七年に二兆円としている目標の前倒しを目指し、都道府県との連携を強化するなど、農林水産物・食品の輸出拡大に向けた取組を加速させています。 現在、輸出額が生産額に占める割合は二%程度であり、他国と比較しても低くなっているのが実態であります。だからこそ、拡大を続ける海外市場において、これから大きく伸びる余地が十分にあると言え、県としても、さらに農畜水産物の輸出促進に向けた取組を強化すべき時期だと考えております。 そこで、農畜水産物の輸出促進に向け、どのように取り組まれるのかを知事にお伺いいたします。 次に、全国和牛能力共進会を県内で開催する狙いと今後の取組についてお伺いいたします。 飛騨牛は、言わずと知れた本県が誇る和牛のトップブランドですが、農家の後継者不足や飼料価格の高騰などを受け、畜産経営を取り巻く環境は厳しさを増しております。 そうした中、今月七日に、二〇三二年の第十四回全国和牛能力共進会が本県で開催されることが決定されました。全国和牛能力共進会は、全国の優秀な和牛を一堂に集めて、改良の成果やその優秀性を競う大会で、五年に一度開催されるものであります。 平成十四年に本県で初めて開催された第八回大会においては、本県の代表牛が生体と肉質の両方を総合評価する部門で内閣総理大臣賞を受賞、肉牛の部で最優秀枝肉賞を受賞し、飛騨牛の名が全国で一躍有名になりました。その五年後に行われた第九回大会においても飛騨牛が最優秀枝肉賞を受賞。昨年行われました第十二回鹿児島大会では、惜しくも最優秀枝肉賞奪還はならなかったものの、優秀枝肉賞を受賞するなど、各部門で輝かしい成績を収められました。 現在、県では、鹿児島大会の検証を踏まえ、肉量改善につながる子牛の飼養管理マニュアルの改定を進めるなど、四年後の第十三回北海道大会での和牛日本一奪還を目指し、
オール岐阜体制で取組を進められています。そのような中、九年後の第十四回大会が三十年ぶりに本県で開催されることが決定されました。 そこで、全国和牛能力共進会を県内で開催する狙いと開催に向けた今後の取組について、農政部長にお尋ねいたします。 次に、インボイス制度導入を踏まえた中小企業・小規模事業者に対する支援についてお伺いいたします。 現在、地域の経済が冷え込み、中小企業や小規模事業者は厳しい経営環境に直面しています。中小企業・小規模事業者が支えてきた本県の経済を復活させるためには、中小企業・小規模事業者が元気になるための施策を積極的に講じていくことが必要であります。 そのような中、本年十月一日から、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度がスタートいたします。この制度は、個人事業主やフリーランス、一人親方、軽輸送ドライバーも含めて、広範囲な事業者が対象となる制度であります。 これまで基準期間における課税売上高が一千万円以下であれば消費税の納税は免除されていましたが、インボイス制度の登録業者となることを選択した場合には、売上高に関わらず納税義務が発生し、税負担が増加することになります。また、請求書の様式変更やシステム改修など、多くの事務負担や経費負担も生じます。事業者の判断により、引き続き免税事業者を選択することもできますが、免税事業者はインボイスを発行できないため、発注元から値下げを要求されたり、取引を打ち切られたりすることも懸念されています。 このように、課税事業者と免税事業者のいずれを選択したとしても、コロナ禍等によって疲弊している多くの中小企業や小規模事業者に追い打ちをかけることにつながり、地域経済の再生が阻害されかねません。 国では、中小企業・小規模事業者への影響を緩和するために、様々な経過措置や支援策を講じていますが、県においても中小企業・小規模事業者に対するきめ細かな支援が必要だと思います。いまだ課税業者を選択した業者は一〇%強という、こんなような状態であります。 そこで、インボイス制度導入が県内の中小企業・小規模事業者に与える影響と、それを踏まえた中小企業・小規模事業者に対する県の支援策について、
商工労働部長にお伺いいたします。 次に、物流の二〇二四年問題に対する課題認識及び物流業に対する支援策についてお伺いをいたします。 トラック輸送は国内物流の大部分を占めていますが、その業務に従事するトラックドライバーは、労働時間が長い割には年収が低いことに加え、重い荷物の積卸しの負担を強いられるなど、その厳しい労働環境が敬遠され、その数は減少を続けています。ピークの一九九五年には百万人近くいたと言われるドライバーの数が、二〇三〇年にはその半分の五十万人程度まで減少するとの予測もあります。 また、来年度、二〇二四年度からは、働き方改革の一環として、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されます。 ドライバーの健康を確保するためには必要な改革ですが、ドライバーの労働時間が大幅に減少し、その分、さらに輸送能力が低下することにより、物が運べない、届かないといった物流への影響が懸念されています。これがいわゆる物流の二〇二四年問題であります。 特に大きな問題となっているのは、長時間運行の規制の影響によって、長距離輸送を担うトラックドライバーの確保が難しくなることです。 一方、物流需要につきましては、企業間取引の多頻度小口化や、オンラインショッピングの普及による宅配の増加により、今後も増加していくことが見込まれており、その結果、二〇三〇年頃には、運んでほしい荷物の三割以上を運んでもらうことができなくなるのではないかと見られております。 物流は、豊かな県民生活や産業競争力、地方創生を支える重要な社会インフラであり、人口の減少や
新型コロナの流行など社会環境の大きな変化の中にあっても、経済の持続的な発展と安定的な県民生活を維持するため、決して途切れさせてはならず、その機能を十分に発揮させていく必要があります。 国は、総合物流施策大綱を策定し、各種取組を進めていますが、県においても、持続可能な物流の実現のため、積極的な対応が求められます。 そこで、物流の二〇二四年問題に対する課題認識及び物流業に対する支援策について、
商工労働部長にお伺いをいたします。 次に、「脱炭素社会ぎふ」の実現に向けた岐阜県独自の森林吸収クレジット制度の検討状況についてお伺いをいたします。 近年、産業活動が活発になり社会経済が発展し、我々の暮らしを豊かにしてきましたが、その一方で、温室効果ガスが大量に排出されたことにより、地球温暖化が進み、地球全体の気候に大きな変動をもたらしています。今後も持続的に発展可能な社会を実現するためには、脱炭素社会への転換が必要であります。 県では、「脱炭素社会ぎふ」の実現に向けて、
オール岐阜体制で各種施策に取り組まれていますが、今回は、そのうち森林吸収源対策についてお伺いをいたします。 県では、森林吸収源対策の一環として、国のJ-クレジット制度と同様に森林の二酸化炭素吸収量を事業者間で売買可能なクレジットとして認証する本県独自の、仮称ではありますけれども、G-クレジット制度の構築を進められ、本年十月以降に運用を開始する予定とされています。 森林県である本県において、林業以外の新たな収入として、クレジットの取引により得られた収益を森林の所有者や管理者へ配分し、さらなる森林整備につなげていくことは、非常に重要なことであります。 また、クレジットの購入者には、事業活動で排出される温室効果ガスの削減努力をした上で、どうしても削減し切れない部分の相殺にクレジットを活用することで、「脱炭素社会ぎふ」の実現につながるものであります。 私としても、新たな制度が、クレジットを創る側と使う側、双方にとって真に利用しやすいものになり、大いに活用されることを期待するものであります。 そこで、「脱炭素社会ぎふ」の実現に向け、新たに始まる本県独自の森林吸収クレジット制度について、国のJ-クレジット制度との違いや制度の検討状況を林政部長にお伺いします。 ここで、二回目の質問を終わります。
○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 三点お尋ねがございました。 まず、今後の海外戦略の展開についてでありますが、本県では御案内のように、二〇〇九年から観光・食・モノを三位一体とする海外戦略を展開し、二〇一九年には外国人延べ宿泊客数が過去最高の百六十六万人に達するなどの成果を上げてまいりました。 しかしながら、コロナ禍において、インバウンドはほぼ消滅した状況となりました。こうした中でも、外国人旅行客のニーズに即した旬の情報を効果的に届けるデジタルプロモーションを強化し、海外関係者との数々のオンライン会議により関係の維持・構築を入念に進めてまいりました。この間には、県内三か所が世界の持続可能な観光地として国際的な評価もいただいたところであります。 昨年十月の水際対策緩和後は、インバウンドも徐々に回復が見られますが、いまだ十分ではない状況にあります。コロナ前には本県の宿泊者数のうち外国人が約四分の一を占めておりまして、これは全国第六位の割合であり、その回復が当面の即効性を期待できる鍵になると考えております。 そこで、まずはインバウンドのV字回復に向けて、これまで成果を上げてきたアジア、欧州、北米などの国と地域で、もう一度ねじをまき直し、海外戦略の第二ラウンドとしてリスタートいたしたいと思っております。そして、四年ぶりのトップセールスを来月から順次再開し、観光・食・モノ一体のプロモーションを精力的に展開してまいります。 第一に、観光誘客では、先日認定しました岐阜未来遺産や世界の持続可能な観光地百選に選ばれた観光地など、本県のサステーナブル・ツーリズムの魅力を広く発信してまいります。 このため、これまで関係を築いてきた現地旅行会社には、本県への旅行商品造成などを丁寧に働きかけるとともに、今年度は、海外十二の国と地域で開催される海外旅行博や商談会に計十六回出展をいたします。加えて、デジタルマーケティングの手法を活用し、各国の嗜好や特性を分析の上、それぞれに応じた旬の情報や旅の提案を届けるなど、効果的なプロモーションを展開してまいります。 そして、二〇二七年には、外国人宿泊者数二百万人を達成することを目標に、反転攻勢を進めてまいります。 第二に、コロナ禍でも順調であったモノと食につきましては、既にグローバル・アンテナ・ショップを世界八つの国と地域に十四店舗、
飛騨牛海外推奨店を世界十二の国と地域に六十四店舗を設置しております。これらをさらに開拓するとともに、アユの本格的な輸出を見据え、マレーシアへの試験的輸出や、初のアユの海外推奨店認定を進めることとしております。また、岐阜県人会インターナショナル、GKIといっておりますが、これと連携したブラジル・サンパウロの日本祭での県産品PRなど、モノや食の魅力、そしてその背景のストーリーを含め丁寧に発信してまいります。 第三に、新たな国際交流に取り組みます。まず九月には、ハンガリーの高級磁器メーカーのヘレンド社との覚書に基づき、ヘレンド博物館において美濃焼展示会を開催いたします。また、東京オリ・パラ二〇二〇大会を契機に交流が始まったポーランドのシロンスク県や、フランスのアルザス欧州自治体と協定を締結し、スポーツや文化を通じた青少年交流、観光及び物産の相互PRなど、さらなる交流の拡大にも注力してまいります。 さらに、来年の「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」では、海外と結んでの郡上踊、海外のフォークダンスグループを招いた交流大会などを計画しており、国際交流の幅をより一層広げてまいります。 次に、農家の所得向上に向けた取組でございます。 農家の方が、所得を向上させ、モチベーションを持って農業に従事されることは、持続可能な農業を実現していく上での根幹であります。 しかしながら、国際情勢の不安定化による生産資材の価格高騰、コロナ禍における消費低迷、少子高齢化の進行に伴う農業の担い手不足、さらには高病原性鳥インフルエンザや豚熱などの家畜伝染病の脅威など、農業を取り巻く環境は厳しさを増しております。 このため、農家の所得向上には、まずはこうした課題に一つ一つ的確に対応していくことが重要と考えております。 第一に、資材の価格高騰への対応としましては、特に生産コストを押し上げている肥料や飼料について、輸入に頼ってきた現状を転換していくことが重要であります。 このため、化学肥料の削減につながる堆肥の保管倉庫や散布機、また自給飼料生産の拡大に向けた収穫機械などの施設整備への支援を行ってきたところであり、今後も必要な対策を機動的に講じてまいります。 第二に、担い手不足では、新規就農者の育成に向け、就農支援センターなどでの技術・知識の習得、早期の経営安定に向け、引き続き支援を行ってまいります。 あわせて、ICTやAIといった先端技術を活用したスマート農業の普及を加速化し、省力化と生産性・収益性向上を図るとともに、生産基盤となる農地の集積・集約化を進めてまいります。 また、施設園芸において、ハウス内の温度、二酸化炭素濃度など、データ活用型農業に取り組む産地の基盤づくりを支援し、新規就農者などでも取り組みやすい農業を推進してまいります。 第三に、消費の拡大に向けては、朝市・直売所や量販店と連携した県産農産物フェアなど地産地消県民運動を展開してまいります。また、首都圏のホテルやレストランと連携した魅力ある県産食材のメニューフェアの開催や、二〇二五年大阪・関西万博を契機として、関西圏でのプロモーションを強化してまいります。 あわせて、販売力の強化に向け、柿の「天下富舞」やイチゴの「華かがり」に続く新品種の開発を進め、高級農畜水産物として差別化、ブランド化をさらに進めてまいります。 第四に、家畜伝染病の発生は、畜産の経営基盤に大きな影響を及ぼすため、事前の予防策が何よりも重要となります。このため、飼養衛生管理のさらなる強化を図るとともに、災害などへのリスクにも備えるため、セーフティネット制度への加入を推進してまいります。 こうした施策の全県展開に向けては、農家それぞれの実情に応じて、普及指導員による技術と経営両面の伴走型支援を一層強化してまいります。 三番目に、農畜水産物の輸出促進に向けた取組についてのお尋ねがございました。 国では、農林水産物・食品の輸出額を二〇三〇年までに五兆円とする目標を掲げ、その実行戦略として、日本の強みを最大限に発揮、農林水産事業者への後押し、輸出障害の克服、この三つを基本に取組が進められております。 加えて、オールジャパンで一体的に推進するため、輸出促進団体や都道府県などとの連携を強化することとされております。 こうした国の動きに呼応して、今年二月、全国知事会に農林水産物輸出拡大プロジェクトチームが設置されました。輸出に関し、都道府県が連携して取り組む体制は初めてのことであります。期せずして、私がリーダーを仰せつかり、当面は、輸出障害の除去と広域連携の推進の二つの観点から検討を進めたいと考えております。 まず、輸出障害については、輸出先国での輸入規制や手続などの現状と課題を国ごとに、あるいは産品ごとに丁寧に分析し、必要となる対策を国へ働きかけてまいります。また、広域連携につきましては、例えば、大阪・関西万博の活用も視野に、国内外で共同プロモーションを展開するなど、新たな都道府県連携の方策について検討してまいります。 これらの課題への取組につきましては、近く農林水産大臣との協議の場がスタートする予定であり、国ともしっかり連携していきたいと考えております。 こうした中、本県の農畜水産物の輸出は、オンラインも活用した継続的なプロモーションにより、一昨年度の飛騨牛、アユの輸出量は過去最高を記録しております。この流れをさらに加速させるべく、また将来の国内需要の縮小も視野に、生産者、関係団体、流通業者と一体となって、攻めの姿勢で輸出拡大に取り組んでまいります。このため、先ほど答弁申し上げました海外戦略と連動して
海外プロモーションを強化し、販売の拡大に注力してまいります。 来月には、飛騨牛の主要輸出先である台湾で、てこ入れのためのPRイベントを開催するとともに、需要拡大が見込まれるマレーシアでは、飛騨牛とアユの新たな海外推奨店の認定を進めます。 さらに、欧州や北米へのプロモーションとともに、輸出先国の開拓を進め、併せてメロンや桃など新たな輸出品目の拡大にもチャレンジしてまいります。 一方で、県内の輸出産地を育成し、輸出能力を拡大していくことも重要であります。このため、生産対策として、例えば、タイ向けの柿や豪州向けのイチゴでは、検疫条件に対応した防除技術を徹底するとともに、輸出向け登録農場の拡大に取り組みます。また、流通対策として、高級柿「天下富舞」の輸出に適した品質保持技術の開発や、輸出向け選果梱包施設の拡大に取り組んでまいります。
○議長(野島征夫君)
観光国際部長 丸山 淳君。 〔
観光国際部長 丸山 淳君登壇〕
◎
観光国際部長(丸山淳君) 観光客一人当たり
消費額拡大に向けた取組についてお答えいたします。 観光庁の消費動向調査によると、二〇一九年の本県の訪日外国人の消費額は二百二十億円で全国十四位ですが、一人当たりでは全国平均を下回る状況にあります。一人当たり消費額の拡大は喫緊の課題であり、まずは国内旅行者も含めコロナ前の一割増を目指し、取り組んでまいります。 具体的には、今年三月、観光庁の高付加価値な
観光地づくりのモデル観光地に選定された高山市や白川村と連携し、両地域の
消費額拡大を図るとともに、県内宿泊施設の客単価の向上に向け、各施設の高付加価値化の取組を支援してまいります。 また、ユネスコ無形文化遺産の郡上踊等の伝統文化や刀鍛冶、陶磁器等の匠の技体験プログラムを高価格帯で充実させ、富裕者層に向けて販売を促進してまいります。加えて、訪日客に最も利用されるグーグルマップの県内観光地・施設情報を多言語化し、ネット検索での表示力を高め、県内周遊・滞在時間延長を促すなど、あらゆる手段を講じて
消費額拡大につなげてまいります。
○議長(野島征夫君) 農政部長 足立葉子君。 〔農政部長 足立葉子君登壇〕
◎農政部長(足立葉子君) 全国和牛能力共進会を県内で開催する狙いと今後の取組についてお答えいたします。 飛騨牛は、今や本県を代表するリーディングブランドであり、ひいては岐阜県全体のブランド力、魅力向上につながるものと考えております。 全国和牛能力共進会は、この飛騨牛のさらなるブランド力向上に絶好の機会となります。岐阜県で開催することで、関係者が一丸となり、将来に向けて、牛づくり、人づくりに取り組む機運が一層高まり、次世代を担う若い後継者の育成や飼養管理技術の向上につながるものと期待しております。 また、長距離輸送による牛へのストレスが軽減されることで、飛騨牛の能力を最大限に発揮できると考えております。 今後は、まずは四年後の次期北海道大会に向け、ゲノム育種価を活用した能力の高い雌牛の造成、子牛の飼料の改良による肉量の改善、新たな技術者の養成や出品者へのサポート体制を充実するなど、日本一奪還を目指し取組を加速してまいります。 そして、九年後の岐阜開催に向け、魅力ある大会となるようオール岐阜で準備を進めてまいります。
○議長(野島征夫君)
商工労働部長 三木文平君。 〔
商工労働部長 三木文平君登壇〕
◎
商工労働部長(三木文平君) 二点御質問いただきました。 まず、インボイス制度導入を踏まえた中小企業・小規模事業者に対する支援についてお答えいたします。 本制度の円滑な導入に向け、国では税負担の軽減措置等を講じており、五月末時点で、全国で課税事業者の約八割を超える二百五十万件、免税事業者の約六十六万件が登録済みとなっております。 県としても、業界団体や国税当局と連携し、制度の周知と影響把握に努め、また商工会、商工会議所をはじめ関係機関から県内事業者の動向をうかがっているところです。特に中小事業者からは、開始後の事務負担を心配する声などがありますが、現時点で特段の混乱はございません。引き続き、事業者の声を丁寧に伺い、運用の中で見いだされた課題など現場の声を国に届けてまいります。 また、今年度から、インボイス情報をデジタル化するモデル事業に着手しました。経理の現場では、いまだ紙を使う作業が多く残っておりますが、この事業成果を中小企業・小規模事業者に展開し、業務効率化を支援してまいります。 今回の制度導入が、事業者にとって生産性向上の契機となるよう、デジタルインボイスの普及を進めてまいります。 次に、物流の二〇二四年問題に対する課題認識及び物流業に対する支援策についてお答えいたします。 二〇二四年問題は、生活や経済を支える物流の停滞が懸念される全国的な課題です。そのため国は、物流革新に向けた政策パッケージを今月二日に発表し、今後、法制化も含め対策が本格的に進められる予定です。 県としても、ドライバーの時間外労働の改善に伴う輸送能力の大幅な低下を防ぐため、特に荷待ち時間の削減等の物流業務の効率化が必要と考えています。そのため、県トラック協会を通じ、労務管理ツールや運行管理システム等の導入に向けた支援を行い、物流業務のデジタル化を図っているところです。 加えて、昨年度から、荷物の発送情報とトラックの空き状況をマッチすることで効率的な輸送を行う共同輸送配送サービスと、トラックの待機時間を削減する荷物積卸し場所の予約システムの構築を進めております。現在、運送事業者百三社、荷主企業百九社に参加いただいており、今後も関係事業者の声に耳を傾け、持続可能な地域物流の構築支援に取り組んでまいります。
○議長(野島征夫君) 林政部長 久松一男君。 〔林政部長 久松一男君登壇〕
◎林政部長(久松一男君) 「脱炭素社会ぎふ」の実現に向けた岐阜県独自の森林吸収クレジット制度の検討状況についてお答えをいたします。 国のJ-クレジット制度では、森林経営計画が立てられた森林を対象としており、本県では森林面積の二割にも満たない状況です。このため本県では、国制度の対象外ではあるものの、適切に間伐が実施され、二酸化炭素を吸収している森林を対象としてまいります。 現在は、今年三月までに実施した試行結果の検証を進めており、この中で、クレジットを創る側の申請に係る負担を軽減するため、可能な限り書類を簡素化し、審査経費を無償とする方向で検討しております。 一方、クレジットを使う側の皆様に安心して購入していただけるよう、二酸化炭素吸収量の算定根拠などについては、国制度に準拠することで、信頼性と透明性の確保に努めたいと考えております。 引き続き、学識経験者などによる有識者会議や、森林・林業関係団体、商工関係団体などの御意見も丁寧に伺いながら、十月以降の運用開始に向け、制度の仕組みと運用体制について、詳細を詰めてまいります。
○議長(野島征夫君) 四十一番 佐藤武彦君。 〔四十一番 佐藤武彦君登壇〕
◆四十一番(佐藤武彦君) それぞれ答弁ありがとうございました。 次に、大きく三項目め、誰もが活躍できる地域づくりとして、四点お伺いいたします。 まず、男女共同参画に関する県民意識調査から見えてきた課題及び、それを踏まえた第五次岐阜県男女共同参画計画の方向性についてお伺いいたします。 人口減少・少子高齢化が進む中、性別や年齢、障がいのあるなしや国籍、生まれた環境などの違いに関わらず、誰もが生き生きと輝き、それぞれの個性や能力を最大限発揮できる社会を実現していくことがますます重要になっております。 このような状況の中、男女共同参画については、あらゆる分野への女性の参画を進めると同時に、男女ともにワーク・ライフ・バランスの実現を推進し、仕事だけでなく様々な分野へ参画できる環境を整えることが重要であります。 県では、平成十五年に岐阜県男女が平等に人として尊重される男女共同参画社会づくり条例を制定し、この条例に基づき策定した岐阜県男女共同参画計画の下、男女共同参画社会の実現を目指し様々な施策を実施されてきました。 その結果、男性の育児休業取得率は、平成三十年の六・二%から令和四年には二三・五%に上昇するなど、着実に男女共同参画が進んでいる部分がある一方で、管理的職業従事者に占める女性の割合は、平成二十七年に一四・四%だったものが、令和二年には一三・〇%に低下するなど、まだまだ十分とは言えない部分もあります。 そうした中、昨年度県では、女性を取り巻く現状及び男女の意識やその違いを探り、今後の男女共同参画施策推進に活用するため、男女共同参画に関する県民意識調査を実施されました。 また、今年度、令和六年度からの五年間を計画期間とする第五次岐阜県男女共同参画計画を策定する予定とされています。 そこで、男女共同参画に関する県民意識調査の結果から見えてきた課題と、それを踏まえた第五次岐阜県男女共同参画計画の方向性について、知事にお伺いいたします。 次に、岐阜県ヤングケアラー実態調査から見えてきた課題及びヤングケアラーに対する支援の充実についてお伺いをいたします。 ヤングケアラーの問題については、過去の一般質問でも我が
県政自民クラブの尾藤議員、安井議員が取り上げてこられましたが、社会的に一層大きな問題となってきていることから、今回改めてお尋ねするものであります。 ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子供のことです。子供たちが、食事の準備や掃除、家族の通院の付添いなど様々なケアに日々追われることで、本来なら享受できたはずの勉強や部活に打ち込む時間、友達と交わる時間など、子供としての時間が大きく制限されることにより、教育や社会経験の機会を十分に得ることができず、子供たち自身の人生に大きな影響を及ぼす可能性が指摘されています。 もちろん家族で支え合うこと自体はすばらしいことではありますが、家族の世話をすることは当然と考えるような、いわゆるよい子ほど過度な負担を抱え込み、周りに相談することもできず苦しんでいることもあるようです。 団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者となる令和七年以降、要介護者等が増えることに伴い、こうしたヤングケアラーにも影響が及ぶことが懸念されています。そのため、一人で我慢して踏ん張っているようなヤングケアラーたちを早期に発見し、切れ目のない支援につなげる取組が強く求められています。 県では、昨年度、県内の子供が置かれている状況や抱えている課題等を詳細に把握した上で、具体的な施策を検討するため、県内全域を対象としたヤングケアラーの実態調査を実施されたと聞いております。 そこで、実態調査の結果から見えてきた課題と、それを踏まえたヤングケアラーに対する支援の充実について、子ども・女性局長にお伺いいたします。 次に、外国人労働者が活躍できるための取組についてお伺いいたします。 人口減少・少子高齢化による深刻な労働力不足を背景に、我が国の外国人労働者が増加をしております。 本県においても、岐阜労働局がまとめた昨年十月末時点の外国人雇用状況によると、県内で働く外国人労働者数は三万六千百九十二人となり、三年ぶりに過去最多を更新しました。外国人を雇用する県内の事業所数も四千九百九十九か所で、八年連続で過去最高を更新しております。 また、労働者以外も含めた県内に住む外国人の数は、昨年末時点で六万二千七百十人と過去最多となり、既に多くの外国人の方が本県で暮らし、社会経済の担い手になっています。 今月九日には、熟練外国人労働者として家族と共に永住可能な特定技能二号の対象分野を拡大することが閣議決定され、さらに現行の技能実習制度を廃止して人材確保を主眼に置いた新たな制度を創設することが国において検討されており、今後も外国人労働者が増加することが見込まれます。 こうした状況の中、外国人労働者が地域の一員として日本人と共に安心して暮らし、その能力を遺憾なく発揮しながら働くことができる環境を整えることは、本県の産業や経済の発展につながるものであると考えております。 これまで我が国は、国際的に見て比較的賃金水準が高かったこともあり、魅力的な働き先でしたが、現在は、労働者を送り出す国における賃金も向上してきているとともに、国際的な人材獲得競争も激化しております。 また、既存の技能実習制度においては、転籍が原則不可でしたが、新たな制度においては、転籍制限を緩和することが検討されていることから、今まで以上に賃金が高い都市部に人材が集中することが懸念されます。 こうした中、各国の優秀な人材に本県の企業等で働きたい、働き続けたいと思っていただくためには、外国人労働者や雇用企業等に対する支援、家族も含めた外国人労働者の生活面に対する支援など、総合的な取組が一層必要となります。 そこで、外国人労働者が活躍できる環境を整備するため、どのように取組を進めていかれるのか、知事にお伺いいたします。 次に、教員不足解消に向けた岐阜県型・教職魅力化モデルに基づく取組の推進について、二点お伺いいたします。 過重労働を背景として全国的に教員の志願者が減少し、教員不足の問題が叫ばれている昨今ですが、それでも、今年の四月に、多くの新規採用教員が期待と不安の両方を抱きながら、県内各地の学校に着任をしてみえます。 そして、その初任者の多くが、一年目から学級担任を担っています。県教育委員会によると、県内の小・中学校において、初任者が学級担任を担う割合は、小学校ではほぼ一〇〇%、一方、中学では二年前には四〇%でしたが、現在は七五%となっており、その割合が急上昇しているところであります。 なお、中学校における割合が上昇している原因をお尋ねしたところ、県独自の取組として、令和四年度から中学校の少人数学級を拡充しており、その分学級数が増え、必然的に担任を担う教員数が増えたためだそうであります。 初めから学級担任を担うことは、教員として、社会人としても一年目の初任者にとっては大きな負担ではないでしょうか。もちろん初任者は、教育実習を行った上で採用されているわけですが、初めて着任した学校で、着任した数日後から、初めて会う子供たちを相手にし、通常の授業や生徒指導に加え、保護者対応、大量の書類作成など、覚えることや任される仕事量が実習時とは比べものにならないと思っております。 さらに、貧困家庭、不登校、発達障がいなど、個別の対応が必要な児童・生徒の増加により、教員の役割は拡大をしております。そのため、こうした厳しい状況の中で頑張ろうとされている新人の先生たちに対し、きめ細やかなサポートを行っていくことがますます重要になっていると思います。 昨年、県教育委員会では、岐阜県型・教職魅力化モデルとして、養成、採用、採用後の各段階での一体的な教職環境の改善を目指す取組方針をまとめられました。その中にも、副担任の配置やベテラン教員による指導、教職員との積極的な対話など、初任者を支援するための項目が幾つも挙げられています。 そうした取組により、周りからしっかりと支えられた初任者が、自信とゆとりを持って子供たちと向き合える環境を整えることが、子供たちへのケアや授業の質を高めるとともに、岐阜県の教職の魅力を向上させ、教員を目指す若者の増加にもつながっていくと考えます。 また、教員不足解消のためには、そうした初任者を含めた若手教員へのサポートの強化や学校の働き方改革の促進、早い時期からの人材育成などに加え、教員という職業の魅力を一人でも多くの若者に知ってもらうことが重要であります。 岐阜県型・教職魅力化モデルにおいても、教職の魅力のPRとして、岐阜県や岐阜県教育のよさ等本県の教育の先進性を積極的にアピールしていくことと記載をされています。 そこで、教育長にお伺いいたします。 学級担任を担うことになった初任者に対し、岐阜県型・教職魅力化モデルに沿って、どのように支援をしていかれるのでしょうか。 また、岐阜県教育のよさや本県の教育の先進性にはどのようなものがあり、それをどのように積極的にアピールをしていかれるのか、併せてお伺いをいたします。 ここで、三回目の質問を終わります。
○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 二点お尋ねがございました。 まず、男女共同参画に関する県民意識調査から見えてきた課題、そしてそれを踏まえた第五次男女共同参画計画の方向性ということでございます。 御指摘にもありましたけれども、本県が昨年度実施しました県民意識調査などから見えてきた課題の一つ目は、性別による固定的役割分担意識が大変根強いということであります。 例えば、夫婦間の家事と育児の分担は主に妻であるという答えの割合が、本県ではそれぞれ七二・六%、五二・一%と著しく高い状況であります。また、女性が職業に就くことについて、子供ができてもずっと職業を続けるほうがよいと考える人の割合は四六・二%と、全国の五九・五%を大きく下回っております。 二つ目は、働く場における男女共同参画の遅れであります。 令和二年国勢調査によりますと、出産を契機に非正規雇用化する、いわゆるL字カーブは、本県の場合、全国よりも落ち込みが著しくなっております。また、管理職に占める女性の割合も、ほとんどの業種で全国を下回っております。 また、家庭・地域活動より仕事を優先している人は、女性が四〇・四%、一方男性が六五・八%と高くなっております。平成二十九年就業構造基本調査でも、週間就業時間六十時間以上の男性の雇用者が一二・六%と、女性の四倍近い状況にあります。 さらに、男性の育児休業取得率は上昇傾向にはありますが、令和四年度の県調査では二三・五%と依然として低い状況であります。これらのデータから見て、固定的役割分担意識が男女の働き方に大きな影響を与えると思われます。 このことは、ひいては若年女性の県外流出の要因にもつながっているのではないかというふうに考えられます。 三つ目に、「セクハラを受けた経験がある」は、女性が一七・三%と男性の五倍以上になっております。また、令和四年度に県配偶者暴力相談支援センターが受けた相談では、女性からの件数が九七・六%、ぎふ性暴力被害者支援センターが受けた相談でも、女性からの件数が八二・三%となっております。さらに、平成三十年度の県ひとり親家庭実態調査では、母子世帯の年間平均就労収入は父子世帯の約六割になっております。 以上を踏まえ、第五次岐阜県男女共同参画計画を策定してまいりますが、その方向性としては、第一に、性別による固定的役割分担意識の解消に向けての取組であります。これは、諸課題の背景にあるテーマとして、一朝一夕に変わるものではありませんが、持続的に様々な機会を捉えて徹底していく必要があります。 具体的には、学校における男女共同参画の視点を踏まえたキャリア教育のほか、家庭や地域における男女平等教育を進めてまいります。また、女性・子供に対する人権侵害防止のため、様々な機会や媒体を活用した広報・啓発などに積極的に取り組んでまいります。 第二に、職場における男女共同参画につきましては、男性の育児休業取得の一層の促進などによる働き方改革や、子育て・介護支援サービスの充実など、女性が仕事を続けられる環境整備を図るとともに、女性の管理職割合の引下げ、女性の起業支援など、女性の活躍を推進してまいります。そして、このためには、企業経営者のリーダーシップが不可欠であります。そこで、ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業制度の活用拡大や、経済団体との連携により企業経営者への働きかけを進めてまいります。 第三に、誰もが安全・安心に暮らせる社会づくりに向けて、セクハラ、DV、性暴力を防止するための意識啓発はもとより、独り親、貧困、孤独・孤立など困難な状況にある女性への支援、男女共同参画の視点に立った防災対策、女性のライフステージに応じた健康支援などに取り組んでまいりたいと考えております。 次に、外国人労働者が活躍できるための取組についてということでございます。 県内に在留する外国人労働者は、
新型コロナ感染症による渡航制限等により、令和二年に一旦減少いたしました。その後再び増加に転じておりまして、御指摘がありましたように、令和四年では過去最高の三万六千百九十二人となっております。 現在国で議論されております技能実習制度の見直しが行われた場合、技能実習生の転籍制限が緩和され、県をまたいだ移動が活発になると考えられます。このことは、外国人労働者の県外流出の可能性がある反面、県外の外国人労働者を呼び込み、外国人雇用を加速させるチャンスでもあります。 また、家族と共に暮らすことが認められている特定技能二号について、現行の建設と造船・舶用工業の二分野から宿泊業など九分野の拡大が閣議決定されました。 以上を踏まえ、本県としては、さらなる外国人の労働環境整備に向けて、受入れ体制の強化と家族の帯同を想定した生活面のサポートの二点に重点的に取り組んでまいります。 一つ目の受入れ体制の強化に当たりましては、まずは今回の大幅な制度見直しの内容とその影響について、企業側の理解を得るためのセミナーを速やかに実施してまいります。特に、観光業など人材不足が顕著であり、受入れニーズが高い飛騨・東濃地域を重点に、対面によるセミナーを展開いたします。 また、今年度から、出入国管理に詳しい行政書士による出張相談をスタートし、外国人の在留資格の早期取得に向け、受入れ企業への実務面での支援強化を図ってまいります。 あわせて、人材紹介事業者と、外国人雇用に意欲を持つ企業とのマッチングにも引き続き力を入れてまいります。 二つ目の生活面のサポートとしては、日常生活での様々な疑問や問題について、ワンストップで相談できる岐阜県在住外国人相談センターを設置し、既に十五言語で対応しております。コロナ禍では、いち早く多言語での注意喚起や相談対応とともに、外国人コミュニティーのキーパーソンを通じて情報発信を行ったところであります。今後、制度見直しによる外国人県民人口の増加・多様化に対応して、よりきめ細かなサポートにつなげてまいりたいと思っております。 加えて、日本での生活に必要な日本語を学ぶことができるよう、県内二十一市町村に四十六か所の地域日本語教室が設置されております。今後、さらなる拡充に向け、市町村や企業に対する支援を行ってまいります。 一方、受入れ側の地域や企業に対しては、意思疎通をしやすくするやさしい日本語の普及啓発にも努めておりまして、市町村などの行政職員向けの研修に加えて、警察職員向けなど対象を広げてまいりたいと思っております。 また、そもそも多くの外国人に本県を生活の場として選んでいただくためには、国際的な友好交流がベースにあってこそと考えております。各国の文化を体験するイベント、各国の留学生を対象とした企業訪問を含むバスツアー、地域住民との交流会など、友好を深める取組を進めてまいります。
○議長(野島征夫君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。 〔
健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕
◎
健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 岐阜県ヤングケアラー実態調査から見えてきた課題及びそれを踏まえたヤングケアラーに対する支援の充実についてお答えいたします。 実態調査では、中高生の約六十人に一人がヤングケアラーと自覚していることが分かりました。また、学校などふだんの生活の場では相談しにくいこと、支援者が家に入ってくることに対し抵抗感があるため問題が顕在化しにくいことも分かりました。 一方で、本人が家族のケアを特別なことと感じておらず、自覚しないうちに徐々に深刻化する例も多いという課題が明らかになりました。 そこで今年度は、まず子供が自らヤングケアラーであることに気づけるよう、事例をイラストで紹介したチラシを小学校から高校まで全ての児童・生徒に配布します。また、気軽に相談できる場として、元当事者と当事者が交流するオンラインサロンを開設します。 あわせて、県のコーディネーターが子ども食堂など子供の居場所を運営する方々を訪問し、ヤングケアラーについての実態や課題を伝え、理解していただくことで、身近な見守り役を増やし、早期支援につなげる取組も進めてまいります。
○議長(野島征夫君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 二点御質問がありました。 初めに、学級担任を担う初任者に対する支援についてお答えします。 県内の公立小・中学校では、三十五人学級の進展もあり、多くの初任者がクラス担任を受け持っておりますが、個々の状況を踏まえた勤務地の配慮や、担当する授業時間を通常より少なくするなど、負担ができるだけ軽減されるようにしております。また、仕事や生活面を含めた様々なことを相談できる体制を取り、初任者が適切な指導や支援を受けて成長していけるよう、学校全体で支える体制を整えております。 さらに、初任者研修では、理論だけではなく、明日から実践に生かせる内容を多く取り入れるとともに、県教育委員会などによる定期的な学校訪問により状況を把握し、初任者との面談で悩みや困り事を聞き取るなど、丁寧にフォローをしております。 初任者を含めた若手教員を支え、その成長を促すことは、個々の教員の成長だけでなく学校教育を安定させ、ひいては岐阜県の教員の魅力向上につながるものと考えており、今後も、若手からベテランまで全ての教員が力を発揮できる体制を整えてまいります。 次に、岐阜県の教職の魅力とその積極的なアピールについてお答えします。 県教育委員会では、県内の教員養成大学や市町村教育委員会と連携し、養成から採用、そして採用後も含め、教職の魅力を高めるための一体的な環境づくりに取り組んでおります。例えば、先ほど触れました個々の教職員の状況に配慮した人事配置をはじめ、小学校、中学校の両方の勤務経験、さらに僻地小規模校や特別支援学校への勤務経験などを通じた教員としてのキャリアアップの道も確保しております。 また、東海三県では岐阜県のみでありますが、育児や看護のためにやむを得ず退職した教員が復職する場合には、筆記試験を免除し、面接等の簡易な試験のみで復職できる制度も導入するなど、安心して子育てや介護がしやすい環境づくりも進めております。 こうした岐阜県で教員として働くことの魅力を高校生への教職説明会で伝えたところ「子供と共に成長でき、日々発見があるやりがいのある仕事だと分かった」「現役教員の話を聞くことで実感が湧いてきた」といった前向きな感想が寄せられております。今後もこうした機会を通じ、岐阜県教育のよさを積極的に発信し、教員の確保に努めてまいります。
○議長(野島征夫君) 四十一番 佐藤武彦君。 〔四十一番 佐藤武彦君登壇〕
◆四十一番(佐藤武彦君) それぞれ丁寧な答弁ありがとうございました。 続きまして、大きく四項目め、安全・安心で暮らしやすい地域づくりとして、三点お伺いをいたします。 まず、医師の働き方改革推進に向けた取組への支援についてお伺いをいたします。 本県の医師偏在指標は二百六・六人と、四十七都道府県中三十六位で医師少数県に該当しており、医師の不足が大きな問題となっております。 このため、県では、岐阜県医師確保計画を策定し、岐阜大学医学部の医学生に対する修学資金の貸与など、医師確保に向けて地道な取組を展開されてきました。 そうした中、時間外労働時間の上限規制がいよいよ来年四月から医師にも適用をされます。 医師の過重労働は大きな問題であり、医師の健康確保に加え、医師の過労による医療事故の予防のためにも、医師の働き方改革は喫緊の課題であります。 一方、労働時間の制限によって、大学病院から地域の病院への医師派遣に影響が出ることが危惧されております。その中で地域の医療体制を維持していけるのかということが懸念されています。 再来年には、いわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上の後期高齢者になることから、医療需要のさらなる増加も見込まれています。 こうした状況において、県には、地域の医療を守りながら、医師の働き方改革を進めるという難しいかじ取りが求められることになります。 そこで、県民の安全・安心のため、地域の医療を守りながら、医療機関が行う医師の働き方改革推進に向けた取組をどのように支援していかれるのか、
健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、安全・安心で持続可能な住環境の実現に向けた取組についてお伺いをいたします。 住宅は、県民の日々の暮らしを支える基盤であるとともに、社会の礎でもあり、
人口減少社会にあっても、県民が健やかに安心して暮らすことができるよう、持続可能な住環境を実現していくことが必要であります。 住環境を取り巻く状況を見ると、五月以降、全国各地で地震が頻発しており、本県においても、南海トラフ地震や内陸型地震など今後起こり得る巨大地震に備えて、住宅の耐震性の向上が引き続き重要であります。 また、人口が減少し空き家数が増加を続けている中、周りに悪影響を及ぼす管理不十分な空き家も増加していることが大きな問題となっております。 深刻化する気候変動問題への対応も待ったなしの課題であります。家庭部門においても、二酸化炭素排出量を削減するため、省エネ性能が高く、長寿命で二酸化炭素排出量の少ない住宅や県産材住宅の普及、既存住宅の活用が必要であります。 こうした住環境をめぐる課題が山積する中、安全・安心で持続可能な住環境を実現するためには、行政や事業者の取組を進めるとともに、県民一人一人の意識を高めていくため、目指すべき姿の共有が重要であると考えております。 そこで、安全・安心で暮らしやすく、持続可能な住環境の実現に向けどのように取り組まれていくか、知事にお伺いいたします。 次に、在留外国人も安全・安心に暮らせる共生社会の実現に向けた取組についてお伺いいたします。 先ほども御紹介したとおり、県内で生活される外国人の方の数が増えており、今後もその数が増加していくことが見込まれています。 それに伴い、我が国の言語や制度に不慣れな外国人が、事件・事故の当事者となったり、何らかのトラブルに巻き込まれたりするケースが増加することや、外国人コミュニティーへ犯罪組織等が浸透することも懸念されています。 県警は、本年三月、刑事部国際捜査課に新たに在留外国人総合対策係を設置されました。 警察は、基本的には取締機関でありますので、当然、悪いことをした人を捕まえるということに主眼が置かれていますが、今後は、在留外国人も社会を構成する一員として受け入れていくとの視点に立ち、増加する在留外国人の安全・安心の確保に向けた各種施策を積極的に推進していく必要があると思います。 そこで、在留外国人の方が安全・安心に暮らすことができる共生社会の実現に向け、県警としてどのような取組を進めていかれるのか、警察本部長にお伺いをいたします。 ここで、四回目の質問を終わります。
○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 安全・安心で持続可能な住環境の実現に向けた取組についてのお尋ねであります。 その前に、先ほどの私の答弁で、女性管理職の比率を上げるというべきところを下げると何か言ったそうでありまして、当然上げるということでありますので、訂正させていただきます。 本問でありますが、住宅は生活の基盤であるとともに、都市や町並みの重要な構成要素でございます。一方、近年頻発化、激甚化する自然災害や本格的な
人口減少社会の到来による空き家の増加、また地球温暖化など、住まいを取り巻く問題は複雑化しております。 こうした課題への具体的な取組について、三点申し上げます。 一点目は、住宅の耐震化についてであります。これまで一万八千件以上の無料耐震診断や、全国でもトップクラスの耐震改修補助を行ってきたことにより、平成十七年度に六五%であった本県の耐震化率は、平成三十年度時点で八三%まで伸びてきております。加えて、令和二年度からは、木造住宅の除却に対する補助も行っております。令和七年度までの目標である九五%に向け、引き続き支援を行ってまいります。 二点目は、空き家対策であります。県では市町村と連携し、平成二十九年度から空き家の利活用や除却のための補助を行っております。これまでに千三百件を超える空き家の解消が進んでおります。また、空家等対策特別措置法が今月改正され、対策が強化されたことから、その内容を市町村や県民に広く周知してまいります。 三点目は、脱炭素化に向けた対応であります。本年三月に改定しました岐阜県地球温暖化防止・気候変動適応計画を踏まえて、住宅で消費するエネルギー量を実質的にゼロ以下にしたZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)をはじめとした省エネ住宅の取得や、再生可能エネルギーの導入を支援しております。加えて、四月には、岐阜県木の国・山の国県産材利用促進条例を施行し、炭素貯蔵や循環型社会の形成などが期待される県産材住宅の一層の普及を図っております。 一方、こうした取組を進めるに当たっては、県民・事業者の皆様と目指すべき住宅や住生活の将来像を共有することが重要であります。 このため、本年十月七日、八日には、関係団体や岐阜市と共に、ぎふ住宅フェア二〇二三を開催いたします。会場となるOKBぎふアリーナや県庁周辺では、パネル展示をはじめ、空き家や省エネ住宅など住まいに関するセミナーや相談会、また家族で参加いただける木工体験や地震体験などを計画しております。さらに、国が開催する住生活月間の中央イベントとして住まいフェスin岐阜が同時開催されることになっております。なお、メインとなる記念式典は、ヒノキや杉などの県産材、タイル、美濃和紙などの県産品をふんだんに活用し、「清流の国ぎふ」のショーウインドーとなっているこの県庁舎で開催をいたします。 これらの取組を通じ、安全・安心で暮らしやすい、持続可能な住環境の実現に向け、オール岐阜で足並みをそろえて進めてまいります。
○議長(野島征夫君)
健康福祉部長 堀 裕行君。 〔
健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎
健康福祉部長(堀裕行君) 医師の働き方改革推進に向けた取組への支援についてお答えします。 県内の医療機関における医師の働き方改革を推進するため、県から医療機関に労務管理等の専門アドバイザーを派遣し、宿日直体制の見直しや主治医制からチーム制への転換など、労働時間の短縮に向けた取組を支援してきました。また、今年度から新たに、医師の業務の一部を他職種に移管するタスクシフトの導入など、労働時間短縮の体制整備に要する経費への補助制度を設けたところです。 その一方で、長時間勤務になることが多い救急医療をはじめ、地域医療がしっかりと確保されることが重要です。このため昨年度、県では、救命救急センターを中心とした十病院にヒアリングを行い、働き方改革への準備状況の確認や必要な助言を行うとともに、さらなる取組を促しました。その際、多くの病院から地域医療維持の前提として、大学病院からの医師派遣の継続が挙げられたことから、県から岐阜大学に対し医師派遣の継続を要望したところです。 今後も必要に応じて、各病院の取組を支援するとともに、大学に対し医師派遣の継続に向けた働きかけを行ってまいります。
○議長(野島征夫君) 警察本部長 大濱健志君。 〔警察本部長 大濱健志君登壇〕
◎警察本部長(大濱健志君) 在留外国人の方も安全・安心に暮らせる共生社会実現に向けた取組についてお答えいたします。 県警察では、在留外国人の方を犯罪の被害者にも加害者にもさせないという強い理念の下、県内に在留する外国人の方が文化、言語、生活習慣の違いにより孤立化することで、様々なトラブルに巻き込まれたり、事件・事故の当事者となったりしないよう、在留外国人等総合対策を策定いたしまして、各種施策を取り組んでおります。 具体的な取組といたしましては、県内の在留外国人の方に対しまして、防犯や交通安全に関する講習会、一一〇番通報要領の説明会、関係行政機関や団体と連携した日本のルールや法制度を周知する広報啓発イベントを開催しているほか、外国の方がメンバーとなっております防犯ボランティア団体と警察との合同パトロールや見守り活動などを幅広く行っております。 また、外国の方から届出や相談を受けた際、適切に対応できるよう、日本語が母国語ではない方にも分かりやすい、やさしい日本語を使用した資料を活用した対応を行っているほか、警察の広報紙を複数の言語に翻訳することなどを通じ、コミュニケーションの円滑化を進めております。 議員御指摘のとおり、今後も県内で生活される外国人の方の数の増加が見込まれるところ、県警察といたしましても、これらの取組をより一層強化いたしまして、在留外国人の方が安全・安心に暮らせる岐阜県の実現に向けた各種施策を強力に推進してまいります。
○議長(野島征夫君) 四十一番 佐藤武彦君。 〔四十一番 佐藤武彦君登壇〕
◆四十一番(佐藤武彦君) それぞれの答弁ありがとうございました。 最後になります。 最後に、県政を支える人材の確保と職場環境の整備として、三点お伺いをいたします。 まず、新規学卒者の人材を確保するための具体的な取組について、二点お尋ねいたします。 私の地元である美濃市、関市は、美濃和紙や関の刃物をはじめ、確かな技術に裏打ちされた高い品質を誇るものづくりが盛んであります。関市には、こうしたすばらしい本県のものづくり技術に関して、総合的な研究開発・技術支援などを実施している県産業技術総合センターがあり、本県の産業振興に大きく貢献をしています。 その県産業技術総合センターなどに勤務する工業系の研究職員の年齢構成を見ると、四十代以上の職員が八割以上を占めていますが、この年代の方々の半数以上は、十五年以内に順次定年を迎えるなどして退職をされます。 一方、二十代、三十代の職員数が二割以下となっており、こうした極端な年齢構成の偏りのため、近い将来、業務の中核を担う職員が少なくなることが予想されます。 このままの状況では、業務に支障を来すレベルであり、本県のものづくり技術を支える人材の確保が急務となっています。 この年齢構成の偏りは、工業系研究職員に限らず、他の職種においても見られるところであり、将来にわたる持続可能な行政運営について、見通しを立てることが難しく、危機的状況と言えるのではないでしょうか。 この問題に対応するために、まずは二十代後半から三十代を中心とした社会人経験者の職員採用を積極的に実施するなどの人材確保対策を強化するとともに、現職の方々が生き生きと長く働くことができる環境を整備していくことが重要であります。 また、それと併せて、中長期的な観点からは、単なる退職者補充ではなく、一定の採用者数を継続的に確保していくことが必要だと考えます。そのため、職員採用の募集方法や試験実施方法に関して工夫を凝らすとともに、多くの若者に、岐阜県職員になり、県の発展のために寄与したいとの思いを抱いていただくための取組をすぐにでも展開していくことが重要であります。 地方公務員の採用をめぐっては、少子化や民間の採用意欲の高まりなどの影響で、自治体間や国との競争だけでなく、民間との人材確保競争が激化しております。民間では初任給を引き上げる企業も増えてきており、こうした採用競争の中で、県職員についても、人材確保に待ったなしで取り組まなければなりません。 そこで、採用競争が激化している中、新規学卒者の人材を確保するためにどのように人材を募集し試験を実施されるのか、
人事委員会事務局長にお伺いいたします。 また、多くの新規学卒者に岐阜県職員として働くことを選択していただくため、具体的にどのように取り組まれるのか、総務部長にお伺いいたします。 次に、新県庁舎の執務環境についてお伺いをいたします。 本年一月四日に開庁した新県庁舎において、県職員の皆さんには決意も新たに、県政発展のため、懸命に仕事を進めていただいていると思いますが、私の元には、心から休める休憩スペースがなく、マイカーの中で昼食を食べているといった声が複数寄せられています。 それはどのようなことか詳しく尋ねてみると、職員食堂は多くの県民の皆様にも利用いただいて大盛況とのことで、大変喜ばしいことではありますが、一方で、いつも混雑しているため、利用を控えている職員もいるようであります。 また、この職員食堂には、売店で購入した昼食や家から持参した弁当を持ち込むことができないため、執務室の自分の席で昼食を取る方が多いそうですが、スライド勤務により昼の休憩時間に仕事をされている職員もいる中で、落ち着いて昼食を取ることができないということもあるようであります。 本来は、十九階のコミュニケーションルームを休憩時間に昼食利用できるようにする予定があったそうなんですが、開庁時から
新型コロナ感染症対策チームの執務室とされ、また二十階の展望フロアでの飲食についても、職員は禁止とされているようであります。 一方、執務室エリアにおける多目的スペースやフロア会議室については、飲食休憩ができるよう一定の配慮がなされているようですが、昼休みにも業務を続行している課もあり、会議があるから休憩利用できないということもあるなど、常に落ち着いた環境が確保されているとは言えないと考えます。 新県庁舎で懸命に働く職員の皆さんが、昼の休憩時間において、周りに気兼ねすることなく昼食を取ることや、リフレッシュができるスペースが十分ではないのではないかと憂慮しております。 職員の皆さんが与えられた休憩時間に十分な休憩を取ることは、職員の疲労回復はもちろん、業務効率向上という観点からも重要なことであります。この課題を解消し、執務環境を改善することは、職員のモチベーション対策となるとともに、人材確保対策にもつながると思います。 そこで、職員の皆さんがリフレッシュできる執務環境の確保につきまして、総務部長のお考えをお伺いします。 最後に、
新型コロナウイルス感染症の五類移行後の職員の配置についてお伺いをいたします。
新型コロナ対策においては、これまで応援職員の配置など
コロナ対応に特化した職員配置がされてきました。
コロナ対応業務が増加した昨年の四月から八月までのコロナ関連部署における時間外勤務の状況を見ると、三人に一人が月四十五時間を超える長時間労働を行っていた時期もあったようです。 また、コロナ関連部署へ応援職員を送り出した部署においても、通常業務を回すために、一人が二人前の業務量を担うなど、大変苦しい状況が続いたとお聞きしております。 全国的に見ても、本県は人口当たりの職員数が少ないほうであり、職員に余裕がないのではと思われますが、職員の皆さんの奮闘により
コロナ対応や通常の業務が進められてきました。 また一方、来年には「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」及び「清流の国ぎふ総文二〇二四」の二つの大型イベントが、また再来年には、ねんりんピック岐阜二〇二五が本県で開催されます。イベントの開催は大変重要であると認識していますが、通常業務とのバランスの中で、人員配置が非常に難しいのではないかと考えるところであります。 また、大規模災害などの発生により、危機的状況下に置かれたとしても、少ない職員で県の機能をしっかりと維持し、さらに危機対応が長期化しても、危機対応を担う職員、通常業務を行う職員と共に、疲弊したモチベーションが崩壊したりしないよう、適切な職員配置が重要と考えております。 そこで、
新型コロナに特化した職員配置を事務量に応じながら適切に配置し正常化すること、またイベント関連部署の職員配置も組織全体の業務量と均衡した配置とすることについて、知事のお考えをお伺いいたします。 今回の質問は以上でございます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(野島征夫君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君)
新型コロナウイルス感染症五類移行後の職員配置についてのお尋ねがございました。 急速に変化する時代にありまして、新たな政策課題に積極的に対応していくためには、県の組織や職員配置についても、不断の見直しを図ることが当然必要でございます。これまでも、国体のような大規模プロジェクトや、高病原性鳥インフルエンザ、豚熱など危機管理事案に対しては、事案の推移に応じて必要な人員を配置し、終了時には速やかに組織を戻すことも含めて、柔軟に対応してきたところでございます。 直近の
新型コロナウイルス感染症のケースについて申し上げますと、まさにその時々の状況に迅速かつ適切に対応するよう取り組んでまいりました。 まず、感染拡大の初期には、健康福祉部内外の職員から成るタスクフォースを編成し対応したわけであります。そして、対策の長期化が見込まれるようになった令和二年七月には、
感染症対策の総合調整を行う担当次長のほか、
感染症対策推進課及び
感染症対策調整課を設置するなど組織体制を強化いたしました。 その後も、刻々と変化する感染状況に応じ、自宅療養支援など新たな課題に対応するチームの設置、外部委託の積極的な活用、現場業務の逼迫に応じた保健所への人員の配置など、効率的、機動的な対応を行うよう努力してまいりました。また、応援職員につきましては、今年度当初約六十名を配置しておりましたが、五類移行に伴い、宿泊療養や自宅療養支援などの業務が終了したことから、五月末には全て応援職員は解消しております。一方で、今月初めには、観光や子育てなどの分野に追加配置をしたということでございます。 他方、健康福祉部の
感染症対策推進課などでは、予防計画の見直しなど新たな感染症に備えた業務も担うことから、今後の感染状況等を見定めつつ、段階的な見直しを進めていくことになります。 五類移行後の
アフターコロナに向けては、今年度予算のテーマである社会経済の回復・再生・転換や
人口減少社会からの脱却への取組のほか、物価高騰の緊急対策なども着実に進めていかなければなりません。 さらに、感染症の再拡大や大規模な自然災害など、様々な危機管理事案の発生も想定しておくことも欠かせません。このため、職員配置につきましては、全庁的な業務量のバランスを勘案しつつ、状況の変化に対応した適材適所の配置となるよう、組織体制も含めて不断の見直しを行ってまいります。 来年秋に開催する「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」などイベントの実施につきましても、事業の進捗に応じて必要な人員を配置し、終了後は速やかに戻すということを基本とし、これまでの経験で得られたノウハウを最大限に生かしていくことが重要であると考えております。
○議長(野島征夫君)
人事委員会事務局長 青木一也君。 〔
人事委員会事務局長 青木一也君登壇〕
◎
人事委員会事務局長(青木一也君) 新規学卒者の人材を確保するための具体的な取組についてのうち、職員採用試験における受験者確保のための取組についてお答えいたします。 優秀な人材を確保するためには、新規学卒者をはじめ、より多くの方に県職員の仕事の魅力を広く知っていただき、職員採用試験を受験していただくことが重要であります。 このため、職員ガイダンスや技術系職種の現場見学ツアーの開催、大学等での就職説明会や合同企業展への積極的な参加に加え、SNSで試験広告や若手職員が仕事内容を紹介する動画を配信するなど、幅広い学生に向けたPR活動を強化しております。 また、国や他の自治体、民間企業の採用試験の早期化に対応するため、今年度から、春の大学卒程度採用試験では、行政職に加え技術職の試験区分を新たに設けるとともに、従来の教養試験に代えて、民間企業で広く活用され様々な学部の学生が受験しやすいSPIを導入したところです。この結果、受験者数は昨年度に比べ行政職で一・六倍、技術職で二・六倍に増加しました。今後も見直しの効果を検証しつつ、より多くの受験者を確保できるよう、引き続き職員募集のPRや採用試験の方法を工夫してまいります。
○議長(野島征夫君) 総務部長 尾鼻 智君。 〔総務部長 尾鼻 智君登壇〕
◎総務部長(尾鼻智君) 新規学卒者の人材確保に関して、私からは、岐阜県職員を選んでいただくための取組についてお答えいたします。 幅広い職業の中から岐阜県職員を選んでいただくためには、県で働くことのやりがいや魅力を積極的に伝えることが重要です。 毎年、大学生を対象に五日間程度のインターンシップを実施しておりますが、より具体的に県の仕事を理解してもらえるよう、今年度新たに、四週間にわたる長期インターンシップも行うことといたしました。さらに、高校生の段階から県職員の仕事に興味を持ってもらうため、人事委員会と連携し、若手職員が出身高校を訪問し、高校生に仕事の内容や魅力等を紹介する取組を行ってまいります。 そして、これらの機会も含め、新庁舎の充実した執務環境、男性職員の育児休業取得率が全国一位であること、女性職員の登用を積極的に進めていることなども大いにアピールしてまいります。 一方、職員が組織や仕事に誇りを持ち、生き生きと活躍すること自体が何よりの宣伝になるものと考えております。このため、長時間労働の是正、育児と仕事の両立支援、DXによる業務の効率化など、働きやすい職場環境づくりにも引き続き取り組んでまいります。 次に、新県庁舎の執務環境についてお答えいたします。 休憩時間に十分な休息や気分転換ができる執務環境の確保は、職員の疲労回復や業務効率化を図る観点から重要と認識しております。 そのため、御紹介のとおり、休憩時間のスライドにより食堂や売店の混雑緩和と利便性向上を図るとともに、執務室外の休憩場所として各フロアにある会議室を最大八室まで利用を可能としております。 実際に各フロアに出向いて、直接職員の声を聞かせていただきましたが、昼食にいろいろな場所が利用できてありがたい、個室で友人と気兼ねなく食事が取れるといった好意的な評価を聞いております。 また、セキュリティーが高まったこともあり、外部の方々の目を気にすることなく、ゆっくり食事ができるという声もあります。 こうした昼食時の配慮に加え、職員からの要望を踏まえて、シャワー室を二室から八室、休養室を三室から六室へと拡大したところであります。県庁舎の運用に当たっては、職員からの提案などに対し、各部局主管課で構成する連絡調整会議で常時対応できる体制を整えており、今後も引き続き執務環境の向上に取り組んでまいります。……………………………………………………………………………………………
○議長(野島征夫君) しばらく休憩いたします。
△午後零時五分休憩 ……………………………………………………………………………………………
△午後一時再開
○副議長(田中勝士君) 休憩前に引き続き会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○副議長(田中勝士君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。三十八番 伊藤正博君。 〔三十八番 伊藤正博君登壇〕(拍手)
◆三十八番(伊藤正博君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、県民クラブを代表して十一項目、四分割で県政全般にわたって質問をさせていただきます。 今回の私の代表質問の大きなテーマは人への投資であります。特に、人口減少に歯止めがかからない現状において、私は働き手が減少していることに対して非常に危機感を抱いており、
新型コロナ禍の三年間を経て、県内における様々な産業、分野において人手不足が続いております。 したがって、本日は特にこの人手不足に対する様々な対策、考え方について、知事をはじめ関係部局長にお尋ねしてまいりたいと存じます。 最初に、日本の人口について触れますが、厚生労働省に属する国立の研究機関である国立社会保障・人口問題研究所が五十年後の日本の将来推計人口を発表しております。 総人口は、三十三年後の二〇五六年に一億人を下回り、四十七年後の二〇七〇年には八千七百万人までに減少するとしております。また、二〇七〇年には六十五歳以上の高齢者は三千三百六十七万人で、人口の四割を占める見通しであると発表をいたしました。 特に注目すべきは、働き手の人口が大幅に減っていくということであります。十五歳から六十五歳までの働き手の中核となる生産年齢人口は、二〇二〇年の七千五百九万人から二〇七〇年には四千五百三十五万人となり、今後五十年間で三千万人、約四割減る見通しであるとしております。 民間企業の調査によると、岐阜県においては、十七年後の二〇四〇年には約二十九万人分の労働力が不足する見込みであるとしています。不足率は二五・四%、東海三県で比較をすると愛知県の二六・九%に次ぐ高い数字であり、三番目が三重県の二一・五%であります。 職種別では、介護サービスで二〇四〇年に必要な労働力の二五・三%が不足をし、このほか医師や看護師、薬剤師などの保健医療専門職やドライバー、建設なども人手不足に陥り、高齢者がデイサービスに行ける日数が減少したり、希望する日に荷物が届かない、災害で壊れた道路などが放置されたりするおそれがあるのではないかとの指摘もあります。 そこで私から一項目の質問として、岐阜県経済・雇用再生戦略における人材確保・雇用対策について知事にお尋ねをいたします。 まずは、この戦略について過去を振り返りますと、もともとは岐阜県成長・雇用戦略という名称で、二〇一六年から二〇二〇年の五年間を計画期間として、産業人材確保対策など、大きく八つのプロジェクトを戦略的に展開していくために策定されたものでした。 二〇二〇年の令和二年度に改定時期を迎えていたものの、
新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界を取り巻く状況が一変し、成長産業である宇宙産業等の次世代産業の創出に向けた対応や、地球規模の変革となるDXや脱炭素社会の推進、SDGsの達成に向けた対応など、本県の経済を取り巻く様々な環境の変化への対応が求められるようになりました。 こうした状況を踏まえて、県経済の再生から、
社会経済活動の変革に対応した持続的な発展を目指すべく、名称を岐阜県経済・雇用再生戦略に改め、令和九年度末の五年先を展望し、県経済の再生から持続的発展に向けてと、このように銘打ってまとめていただいております。 具体的には、一つ目の柱として新たな産業活力創出、二つ目としてDX、GX推進加速化、三つ目として人材確保・雇用対策、そして四つ目として新次元の地方分散への対応、五つ目として県産品の世界展開、最後に六つ目として世界に選ばれる持続可能な観光地域づくりであります。 それぞれの柱ごとに今後の方向性を定め、毎年の進捗状況を確認しながら翌年の展開を考えるという仕組みにより、具体的な事業が展開されていきます。しっかりと部局間で連携を取り、幅広い考え方、視野を持って施策を進めていただき、着実な成果を期待しているところであります。 今回の一般質問では、これまで私が度々取り上げさせていただいた分野になりますが、三つ目の柱である人材確保・雇用対策に絞って質問させていただきます。 少子高齢化、人口減少、そして若年層の県外流出という要因により、県内の企業は人手不足に悩まされております。 特に注目すべきなのは、県内高校を卒業し、大学・大学院へ進学する者のうち、約八割が県外の大学へ進学をし、卒業後も県内に戻ってこないことが多いという事実であります。この若年層の県外流出は、本県にとっては大変な問題となっております。 さらに、急速なデジタル社会の進展により、デジタル技術に詳しい人材の確保や成長分野へのスムーズな労働移動を実現するためには、再教育やスキルアップが必要不可欠であります。 また、障がい者雇用についても重要な課題です。民間企業における令和四年六月一日現在の実雇用率は二・三五%であり、法定雇用率である二・三%を超えてはいるものの、まだまだ法定雇用率を満たしていない企業が多数存在しています。 したがいまして、若者や女性が県内で働き、起業することを支援する取組や、デジタル人材の育成と確保に力を入れるだけでなく、障がい者や外国人、就職氷河期世代など、多様な人材の活躍を促進する必要があります。 また、これまでもこの本会議場などで取り上げていますけれども、私の地元、各務原市の産業の柱の一つである航空宇宙産業においても、現状人材不足が続いています。
新型コロナの三年間で、航空宇宙産業を支える中小企業では、雇用調整助成金等を活用し、雇用維持に努めるものの、多くの人材が他産業への転出を選択されました。しかし、ここに来て航空宇宙産業の仕事が増えつつあり、仕事はあるが人がいない、経験者が戻ってこないという状況が続いていると多くの会社から指摘を受けております。 以上のとおり、航空宇宙産業分野の生の声を聞いていただきましたけれども、人材確保・雇用対策については、様々な業界の方々から深刻な悩み、御意見が私のところに届いており、この問題を克服しなければ産業の衰退につながりかねないと危惧しているところであります。 コロナ禍を乗り越え、経済の回復、再生を目指す本県にとって、人材の確保・雇用対策は待ったなしであります。 そこで、三月末に策定された岐阜県経済・雇用再生戦略における人材確保・雇用対策について、五年後を見据え今年一年、具体的にどのように取り組まれるのか知事にお伺いをいたします。 次に、海外との交流を踏まえた岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の今後の取組と建設予定の新企画棟の狙いについて、
商工労働部長にお伺いをいたします。 各務原市の岐阜かかみがはら航空宇宙博物館、愛称空宙博でございますけれども、二〇一八年三月のリニューアルオープンから五周年を迎え、三月二十五日に節目を記念し、各種の催しが開催されました。 この日の式典には、古田知事、浅野各務原市長のほか、空宙博のアンバサダーで宇宙飛行士の山崎直子さんの出席があり、岐阜基地所属の大型輸送機等による記念の編隊飛行が行われ、大変な盛り上がりとなりました。 この五年間、様々な企画展の開催があり、来場者数だけでこうした施設を評価するのはどうかと思う部分もありますけれども、令和二年以降、世界的なコロナ禍での施設運営でありながら、リニューアルオープンから四年少々で累計入館者数が百万人を突破したことは十分な成功と言えますし、この勢いのまま十周年に向けて走り続けてほしいと思います。 令和五年度の目玉企画としましては、何といっても空宙博とパートナーシップに合意しているフランスのル・ブルジェ航空宇宙博物館と連携した企画展の開催であります。二〇一九年九月に特別企画展「日仏航空交流展」を一度開催していますので、前回以上に知恵と工夫をこらした魅力あふれる企画展にしていただきたいと思います。 さらに今年度は、既存の建物に隣接する場所に、新たに企画棟の建設が予定されています。完成予定である令和六年九月末までたっぷりと時間がございます。新しい施設で何をどのように発信していくのか、未来を担う子供たちに夢を抱いてもらえるように、また時代のニーズやトレンドを踏まえ全国の航空宇宙ファン、地域の市民、航空宇宙産業関係者や産業観光ファンに広く楽しんでいただけるよう、しっかりと準備を進めていただきたいと思います。 また、空宙博の大きな意義の一つは、先ほど申し上げましたが、今の子供たちに航空機や宇宙への関心を高めてもらうことにあり、日本宇宙少年団各務原分団では、この空宙博で毎月一回定例的にイベントを開催しています。そこでは航空宇宙産業に従事する方々やOBの人たちがリーダーとなり、日本宇宙少年団各務原分団員に様々なものづくりなどを経験してもらっています。 私自身、何度も空宙博に足を運んでおりますけれども、小学生が熱心にメモを取ったり、手を挙げて質問し一生懸命理解しようとする姿が印象的で、本県の宇宙には無限の可能性が広がっていると感じます。こうした子供たちの体験の積み重ねが未来の優れた人材の育成・確保につながり、航空宇宙産業の礎になっていくのだと思います。 引き続き本格的な航空と宇宙の展示を兼ね備えた国内唯一の専門博物館として、持続的成長が見込まれる航空宇宙分野の人材育成の拠点として、リニューアルから五周年がたちましたけれども、これからも新たな取組に挑戦し続けていくことが必要であると思います。 そこで
商工労働部長にお伺いをいたします。 海外との交流を踏まえ、空宙博の今後の取組と建設予定の新企画棟の狙いについて御答弁をお願いいたします。 ここで一回目の質問を終わります。
○副議長(田中勝士君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 岐阜県経済・雇用再生戦略における人材確保・雇用対策についてのお尋ねでございます。 御案内のように、
新型コロナウイルスの感染拡大や、原油高や物価高騰など県経済を取り巻く環境が大きく変化する中で、県内の人手不足の状況は年々深刻化してきております。 このため、コロナで大きく傷んだ経済を再生するとともに、人材の育成・確保の支援に重点的に取り組むこととし、この三月に新たに岐阜県経済・雇用再生戦略を策定したところでございます。その柱の一つが人材確保・雇用対策であり、以下、戦略初年度の取組についてお答え申し上げます。 第一に、次世代産業創出やDX推進を担う産業人材の育成・確保についてであります。具体的には、スタートアップの裾野拡大に向けて、中・高生を対象に起業家精神を育む研修を新たに実施してまいります。また、デジタル人材の育成については、テクノプラザにおいて、座学と企業内実習を組み合わせた実践的訓練を新たに行うほか、ソフトピアジャパンにおいて、デジタル経営戦略などのリスキリング研修を実施いたします。 このほか産業人材の育成確保に向けて、企業との個別相談会や企業の採用力向上及び求職者とのマッチングを推進いたします。特に、航空宇宙産業の分野では、岐阜大学内に設置した航空宇宙生産技術開発センターで、大学生や社会人技術者に向けた生産技術を学ぶカリキュラムを実施し、専門人材の育成を支援してまいります。 第二に、幅広い人材の就労促進であります。 まず、若者の就労につきましては、先月、通勤通学者が多く利用する岐阜駅の拠点を大幅にリニューアルし、ジンチャレ!ぎふjobステーションとして、Uターン就職・転職支援を充実いたしました。また、就活フェアの対象を転職希望者にまで拡大するなど、より多くの若者に就労機会を提供いたします。 次に、女性の就労につきましては、建築分野で活躍する女性エンジニアと学生との交流会や、女性リーダーを育成するモノづくり女子塾を開催いたします。あわせて、スタートアップ支援補助金の女性に対する補助率をかさ上げし、女性の起業化促進支援を強化してまいります。 また、障がい者の就労につきましては、県障がい者総合就労支援センターにおいて、就労相談から職業訓練、マッチング、職場定着までの一体的な支援を行っております。特に今年度からは、センターにアドバイザーを設置し、障がい者雇用を行う企業のさらなる開拓を図っているところです。また、業種別のアプローチとして、導入が進んできている農福連携の充実も重要であります。 さらに外国人の就労につきましては、国において技能実習制度に代わる新たな制度が創設されることなどを踏まえ、制度の周知や外国人労働者の雇用に関するセミナーを実施するほか、雇用に向けたマッチングイベントを企画する予定でございます。 最後に、いわゆる就職氷河期世代の就労につきましては、昨年度大変好評でありましたIT資格取得支援オンライン講座を今年度は定員を大幅に拡充して実施してまいります。
○副議長(田中勝士君)
商工労働部長 三木文平君。 〔
商工労働部長 三木文平君登壇〕
◎
商工労働部長(三木文平君) 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館、いわゆる空宙博の今後の取組と新企画棟の狙いについてお答えいたします。 空宙博では、人類の空・宇宙への夢と挑戦の歴史を伝えるため、世界の名立たる航空宇宙博物館と連携協定を締結し、空宙博ならではの展示やイベントを数多く実施してまいりました。 この夏には、フランスのル・ブルジェ航空宇宙博物館の協力により、航空史における日本とフランスの関わりを紹介する企画展を開催します。さらにアメリカのスミソニアン航空宇宙博物館とは、これまで国産航空機や宇宙開発に関する貴重な資料をお借りしてきましたが、さらなる資料提供について調整を進めております。 こうした企画展は、これまで館内の空きスペースで開催してまいりましたが、来年秋をめどに新たに企画棟の建設を進めています。そのこけら落としとして、最新の宇宙開発を紹介する特別企画展を開催するなど、広いスペースでより本格的な企画展を開催してまいります。新たな企画棟に加え、海外連携をさらに進め、子供を含め多くの方々に対して、航空宇宙への興味を一層高める魅力的な取組を展開してまいります。
○副議長(田中勝士君) 三十八番 伊藤正博君。 〔三十八番 伊藤正博君登壇〕
◆三十八番(伊藤正博君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 それでは次に、県が設立団体として責任を持つ県立三病院の公立病院経営強化プランの策定に向けた支援についてお尋ねをいたします。 令和二年一月以降、県内の医療機関は、前例のない
新型コロナ対応に迫られ、患者の受入れをはじめ病床の確保や看護師の派遣、
ワクチン接種など全力を尽くしてきました。 五月八日に、
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが二類相当から五類に移行をしましたが、五類感染症移行後も、
新型コロナ患者を受け入れる医療機関の
医療従事者にとっては危険性がなくなったわけではなく、現場では依然として身体的、精神的な負担が続いているのが現状であります。さらに、ウクライナ危機を背景に光熱費などのコストが上昇し、診療材料、給食関連費用の値上がりなど、病院経営の収支悪化が懸念されているところであります。 こうした中、厚生労働省は、五類感染症移行に伴い、病床確保料の補助上限をおおむね半額に減額をしました。
新型コロナウイルス感染症と最前線で闘ってきた医療機関にとっては、病床確保料の見直しは病院経営に大きな影響を与えると思われます。また、コロナ病床における休床についても、病床確保料での補助上限数を半数に縮減することになりました。 この見直しは当面、今年九月末まで継続されますけれども、それ以降の取扱いについては、今年の夏の感染拡大状況、医療提供の状況を見て改めて検討することとされております。これについては、
季節性インフルエンザなど、他の五類感染症の治療との公平性を進めることから取り組まれるものであります。 ここで岐阜県立三病院の収支を御紹介しますと、令和三年度の収支報告では、総合医療センターはおよそ七億二千百万円の黒字でしたが、多治見病院はおよそ一億一千五百万円の赤字、下呂温泉病院がおよそ五千七百万円の赤字となっております。 この先も、例えば多治見病院では新棟建設と、それに伴う新たな医療機器の導入などに伴う投資が必要となる一方で、今年度の病床確保料の補助は、昨年度の四分の一ほどに減ると予想されています。三病院ともに、この先の経営見通しは厳しくなると予測されており、何らかの支援が必要だと思われます。 こうした中、病院経営に密接に関わることとして、公立病院経営強化プランが今年度中に策定される予定であります。 公立病院経営強化プランは、国が今年度中に策定を求めているもので、公立病院の経営力の強化、機能強化を目指すものとなっております。 ちょうど一年前の県議会で、私はこのテーマを取り上げ、
医療従事者の確保と勤務環境の改善、今後の
新興感染症への対策を訴え、県立三病院について設立者の岐阜県として、この経営強化プランで何が課題と考えるか質問をいたしました。それから一年が経過をし、県立三病院への支援についても検討が進んだことと思います。 また、
新型コロナウイルス感染症の五類移行を機に、三病院それぞれの役割に応じて、政策的医療に対する県からの運営費負担金の在り方も再検討するべきとも考えます。 地域医療を守り続けてきた県立三病院は、
新型コロナ感染症への対応に関し、
オール岐阜体制の一翼を担い、多くのコロナ病床を確保するなど、果たしてきた役割は大きく、今後も重要な役割を果たすものと考えております。 そこで知事にお伺いをいたします。 今年度中に、経営強化プランの策定が予定されていますけれども、県立三病院が経営強化プランを策定するに当たって、各県立病院がそれぞれの地域で果たしてきた役割を踏まえ、県としてどのように支援をしていくのか御答弁をお願いいたします。 次に、介護人材の確保に向けた支援策について、
健康福祉部長にお尋ねをいたします。 超高齢化社会の到来による、いわゆる二〇二五年問題は、雇用、医療、福祉など様々な分野に大きな影響を与えることが予測されています。 二〇二五年には、団塊の世代と呼ばれる約八百万人の人々が、七十五歳以上の後期高齢者になります。この世代が七十五歳を迎えると、後期高齢者の人口は、総人口の一七・五%に当たる二千百五十五万人に達すると言われています。 とりわけ、こうした問題の中核にあるのが介護と言われています。被介護者の増加により、二〇二五年度に必要とされる介護人材の数は二百四十三万人と推計されています。しかし、供給見込みは二百十一万人と、差にして三十二万人もの介護人材が不足する見通しです。 それでは、なぜ介護職員が足りないのでしょうか。あらゆる業界で人材不足と騒がれておりますけれども、中でも介護業界の人手不足は大きな問題となっております。 一点目に、給与面が挙げられます。新卒にしろ、再就職にしろ、仕事を探す際に誰しもはまずは給与を気にされると思います。しかし、介護業界は業界全体として、平均年収が他業種と比較して低い傾向にあります。 厚生労働省の令和三年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護業界で働く職員の平均給料は、職種によってばらつきがありますけれども、平均給料はおおむね三十から三十五万円程度となっており、年収に換算すると三百六十から四百二十万円程度が相場と言えます。近年、介護者の処遇改善が図られており、平均給料額は年々増加してはいますけれども、社会貢献度が高い仕事であるにもかかわらず、収入面では多くの課題が残されていると思います。 二点目は、労働環境です。高齢者を支える仕事であるため体力が必要です。若い頃であれば問題なく業務をこなせていますけれども、いずれは体力が落ちてくるので、年齢を重ねても介護職を続けられるのか不安を感じている方は多いのではないでしょうか。このほか勤務時間が不規則であったり、有給休暇が取りにくいなど、厳しい労働条件であることは否定できません。 二〇二五年問題をクリアすると、次に待ち受けるのが二〇五〇年問題です。団塊世代の子供たち、第二次ベビーブームの子供たちが七十五歳を迎えたときに生ずる問題です。また、老後の団塊ジュニア世代を支えるはずの現役労働世代は、少子化の影響で著しく減少しており、二〇二五年問題よりも深刻な時代が訪れると多くの識者が予測しております。 本県の不足状況を見ると、二〇二一年三月公表の第八期岐阜県高齢者安心計画において、団塊の世代全てが七十五歳の後期高齢者になる二〇二五年には、岐阜県で四千四百人の介護人材が不足されると推計されており、二〇二五年問題はもはや目の前に迫っております。早急に、直ちに対策を取る時期が近づいています。 さらに団塊ジュニアが六十五歳以上となる二〇四〇年には、県内の介護職員が約五千五百人不足すると見込みが示されております。 そこで
健康福祉部長にお尋ねをいたします。 生産年齢人口が減少していく中で、介護職員の業務の効率化という観点も踏まえた介護人材の確保に向けた支援策について、御答弁をお願いいたします。 ここで二回目の質問を終わります。
○副議長(田中勝士君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 県立三病院の経営強化プランの策定に向けた支援についてお尋ねがございました。 本県では、県立三病院を救急医療、周産期医療、高度医療などを担う地域の拠点病院として位置づけた上で、県総合医療センター及び県立多治見病院には地域での高度な医療の提供、県立下呂温泉病院には予防から治療、在宅復帰支援までの一貫した医療の提供などを求めております。 これを踏まえ、県総合医療センターは県内でも数少ない重症心身障がい児の医療的ケア、県立多治見病院では東濃圏域で唯一の感染症指定医療機関、県立下呂温泉病院は僻地医療拠点病院として、それぞれの特徴を生かして政策医療を行うとともに、地域の拠点病院としての役割を果たしております。なお、
新型コロナ感染症につきましても、五類移行までに、この三病院で計二千五百人以上の患者を受け入れていただいております。 現在、医療機関は、人口減少・少子高齢化の進展に伴う医療需要の変化、
医療従事者の不足や偏在、医師の働き方改革など、多くの課題に直面しております。このため国のほうでは、令和九年度までを計画期間とする公立病院経営強化プランを今年度中に定めることを求めてきております。 このプランには、持続可能な地域
医療提供体制を確保することを目的に、地域の事情を踏まえつつ、必要な経営強化の取組として、地域における各公立病院の役割・機能の最適化と連携の強化、あるいは医師・看護師等の確保に係る事項などを定めることとされております。このため県立三病院におきましても、経営強化プラン策定のため、地域の医療機関との協議を始めているところでございます。 例えば、県立多治見病院におきましては、県を交えた近隣の多治見市民病院との協議を行っております。その中では、多治見市民病院が二次救急の受入れ先として、肺炎等の高齢者救急医療を担当する一方で、県立多治見病院は救命救急センターとして、より重度の患者を受け入れるというすみ分けを行うこととし、両病院の間に専用電話回線を設置するなど、連携の強化を図ろうとしております。 県といたしましては、こうした連携強化につながる協議の場の立ち上げから積極的に関与するとともに、プランの実行に際してもしっかりとフォローアップを行い、政策医療や不採算医療に係る経費を負担するなど、県立三病院が引き続き各地域で求められる役割を担っていけるよう支援してまいります。
○副議長(田中勝士君)
健康福祉部長 堀 裕行君。 〔
健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎
健康福祉部長(堀裕行君) 介護人材の確保に向けた支援策についてお答えします。 県では、第八期岐阜県高齢者安心計画に基づき、今後も想定される介護人材不足に対し、継続的に取組を進めております。 まず新規就業促進の観点から、介護資格取得に係る研修費用への助成、介護福祉士養成施設に就学する学生への修学資金の貸付けなどを行っております。 次に、離職防止・定着促進の観点から、人材育成や職場環境改善に取り組む百六十四の介護事業所を認定・公表し、優良事例を県内事業者へ展開するとともに、令和四年度からは介護事業所内保育施設の運営費に対する支援なども進めております。 さらには、生産年齢人口の減少を見据え、限られた人材でも介護ニーズに対応できるよう、介護ロボットや介護記録等の業務を効率化するICTの導入支援、介護助手の活用促進などの取組を通じて、介護業務の効率化と質の向上にも力を入れております。 これらに加え、国に対し、介護報酬などによる介護職員の処遇改善を引き続き働きかけるなど、介護人材の確保に努めてまいります。
○副議長(田中勝士君) 三十八番 伊藤正博君。 〔三十八番 伊藤正博君登壇〕
◆三十八番(伊藤正博君) それぞれ御回答いただきまして、ありがとうございました。 それでは次に、デジタル技術を活用した災害現場のリアルタイムな情報収集について、
危機管理部長にお尋ねをいたします。 このところ、毎年のように全国各地で様々な災害に見舞われております。 岐阜県においても、平成三十年七月豪雨、令和二年七月豪雨、令和三年八月の大雨と、五年間で三度大雨による住家の損傷や浸水被害などが発生しております。県内のどの場所でも、いつ災害が発生してもおかしくはない状況にあるだけでなく、今後発生が危惧される南海トラフ地震等の大規模災害に備えることも必要であると思います。 さらに、今年に入ってからは、石川県で震度六強、千葉県でも震度五強の地震が観測されたほか、全国において梅雨前線の影響による線状降水帯が発生し、多くの被害が発生し、生活に支障を受けている人も多くおられます。被災された方々には、心からお見舞いを申し上げたいと存じます。 私が日頃から考えていることになりますが、災害発生時には、被害状況が刻一刻と災害対策本部に報告されます。報告を受け、優先的に対応する事案や復旧箇所の選定などを行うためには、現場の状況をいかにして把握するのかが重要ではないかと感じています。 そういった中、先日総務委員会の視察において、災害時におけるドローンの活用事例を学ぶ機会があり、災害現場のリアルタイムな情報収集や土砂災害現場の三次元測量、山岳地帯での遭難者の捜索活動など、大変興味深いものでありました。 視察先の担当者の方からは、人の目では確認できない危険な場所、範囲をドローンであれば瞬時に確認を行うことができ、救える命や救う時間の短縮につながるとの説明を受け、飛躍的に進化するドローンをはじめとするデジタル機器や技術に、災害対応の未来を感じました。 全国での活用事例としましては、例えば、令和三年七月に静岡県熱海市で起きた土石流災害では、発生当日から現場を上空から撮影し、被害状況の確認や行方不明者の捜索活動に役立ちました。昨年八月の東北地方などの豪雨災害でも、山形、青森両県で河川や道路の被害状況の確認に用いられました。 国においても、デジタル技術を活用した災害現場の情報収集は重要なことであるとし、例えば消防庁では、平成二十九年度から、災害時に速やかに被災状況を把握し消防活動を行うため、ドローンを都道府県の消防学校に無償で貸し付け、教育訓練を実施しています。 現在、
新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、あらゆる分野でデジタル化が図られています。日進月歩で進むテクノロジーを本県の災害対応の現場に取り入れていくべきだと思います。 災害現場におけるデジタル技術の活用事例として、ドローンを取り上げましたけれども、デジタル技術を活用した、さらにその一歩先の取組として、令和五年度から消防庁は、地方公共団体と現場の映像を共有する消防庁映像共有システムを構築しています。 内閣府においても、次期総合防災システムを構築し、全国の地方自治体が管理している災害の状況を把握するシステムとの連携を令和六年度以降、進めていくと伺っております。 災害時に、ドローンや各種災害システムの活用を含め、デジタル技術や機器を用いてリアルタイムに情報を収集し、災害対策本部や他の関係機関で共有することは、迅速な災害対応を可能とするのではないでしょうか。 そこで
危機管理部長にお尋ねをいたします。 県の被害情報集約システムと内閣府システムとの連携も含め、災害現場のリアルタイムな情報収集に向けた取組をどのように進めていくのか、御答弁をお願いいたします。 次に、脱炭素社会の実現に向けた県民への普及啓発について、
環境生活部長にお尋ねをいたします。 脱炭素社会は、私たちの未来において大変重要なテーマであります。 産業革命以降、世界の平均気温は上昇を続け、地球温暖化問題は避けて通ることのできない世界共通の喫緊の課題となっています。国内においても、地球温暖化に起因する気候変動により、全国で災害の頻発化や激甚化が問題となっています。本県においても、平成三十年、令和二年、三年と毎年のように大雨による被害が発生しており、甚大な被害をもたらしました。 こうした中、日本政府は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標を掲げ、脱炭素社会の実現に向けて積極的な施策を展開しております。今を生きる私たちの世代が地球環境を守り、次世代に持続可能な社会を残すために脱炭素社会の実現を目指し、解決に向けた具体的な行動が求められております。 本県においては、令和四年第五回岐阜県議会定例会における藤墳 守議員の一般質問、脱炭素社会の実現に向けた取組についてに対し、知事からは、徹底的な省エネルギー対策の推進、再生可能エネルギーの導入拡大、森林吸収源対策の大きく三つの観点で施策を強化し、さらには情報発信や普及啓発を充実させることにより、オール岐阜で「脱炭素社会ぎふ」の実現に取り組んでいく考えを示されました。 また、令和五年三月末には、県民、企業、行政など社会全体が連携をし、脱炭素社会の実現に向けた取組を行うための、岐阜県地球温暖化防止・気候変動適応計画を改定され、この中で中期目標として、二〇三〇年度における温室効果ガスの排出量を二〇一三年度比で四八%の削減を目指すとしています。 これを達成するためには、徹底した省エネ対策と再生可能エネルギーを増加させる策を講じる必要があり、コロナ禍で生活様式が変容したように、脱炭素社会の実現には、ライフスタイルの見直しが必要であると思います。 個人の意識調査として、国土交通省では、二〇二二年二月に脱炭素に関する国民意識調査を実施しており、この調査では、日常生活において「脱炭素に向けた取組は暮らしを豊かにする」との考え方に賛同する人は四〇%、賛同しない人は四〇%となっています。さらに、「脱炭素に向けた取組は暮らしを不便にする」との考え方に賛同する人は三七%、賛同しない人は四五%でありました。この調査結果でも読み取れるように、脱炭素に向けた取組が個人の暮らしや生活の質に与える影響については、人々の意識が分かれていると考えられます。 近年、脱炭素社会という言葉をよく耳にするようになり、社会的機運が高まっているようにも感じますが、先ほど申し上げた調査結果も踏まえて、県民一人一人には、まだまだ根づいているとは言い難い状況だと思います。 さきの臨時会において、ぎふ省エネ家電購入応援キャンペーンに関する予算が可決されましたが、単なる買換えキャンペーンで終わることのないよう、脱炭素社会の実現に向けた県民の意識改革につながる取組の一つであることをしっかりPRした上で、実施していってほしいと思います。 脱炭素社会の実現は、私たちが日常的に様々な取組を実践することで現実のものとなります。県民の皆様に主役となっていただくため、まずは脱炭素社会への理解と参加意識を高めることが重要です。県民の意識改革なくして脱炭素社会の実現はあり得ないと思います。 そこで
環境生活部長にお伺いをいたします。 県民一人一人が脱炭素社会への理解を深めていくことが重要であると考えますが、今後どのように普及啓発を進めていくのか御答弁をお願いいたします。 次に、地域と連携した道路の維持管理の取組について、
県土整備部長にお伺いをいたします。 道路は、経済発展や観光振興のほか、地域の安全・安心に欠かせない重要な公共施設であります。 本県は、地理的特性上トンネルや橋梁が多くならざるを得ず、県が管理する道路延長は四千百五十三キロ、橋梁は四千七百十四橋、トンネルは百七十六か所と全国トップレベルであり、老朽化対策は大変重要な課題となっています。 老朽化対策の重要性が問われた事故として、平成二十四年十二月に発生した中央自動車道の笹子トンネルの天井板落下事故が有名ですが、この事故を契機に、国はトンネルや橋などについて、五年に一度の定期点検を管理者に義務づけました。 県においても、五年に一度の定期点検に加え、職員による定期的なパトロールや、市町村・地域住民などからの情報提供により異常箇所の把握をし、修繕等の対応をしております。 特に岐阜県では、地域の方々から道路インフラの維持管理に関する情報を提供していただける道路モニター制度として、平成二十一年に社会基盤メンテナンスサポーター制度が創設され、県民の皆様の力を借りて日々の維持管理業務に役立てています。報告内容の大半は、道路の舗装や側溝の損傷など緊急対応を要するもので、大変有効な情報をいただけるサポーターの方々の活動には感謝するばかりです。 また、令和三年第四回定例会において、我が県民クラブの野村議員の一般質問、サポーターからの報告のデジタル化についてに対し、
県土整備部長からは、スマートフォンなどを活用した報告システムの構築を進めているとの答弁がありました。現在は、報告システムの運用により、効率的に情報を収集できていると聞いております。 住民の情報提供の重要性を改めて認識した事例として、令和三年五月に見つかった橋脚の傾きによる川島大橋の損傷が皆さんの記憶に新しいかと思います。地域住民が異常を発見・通報したことで、通行車両などへの被害が起きる前に、通行止め等の措置を取ることができた事例でございます。こうした事例は、今後も起こり得る可能性があり、メンテナンスサポーター制度のような地域と連携した取組は非常に重要だと考えます。 そこで
県土整備部長にお伺いいたします。 県民が安心して道路を使うための住民など地域と連携した道路の維持管理について、現状と今後の取組についてお答えをいただきたいと思います。 これで三回目の質問を終わります。
○副議長(田中勝士君)
危機管理部長 内木 禎君。 〔
危機管理部長 内木 禎君登壇〕
◎
危機管理部長(内木禎君) 災害現場のリアルタイムな情報収集についてお答えします。 県では、災害時に、圏域ごとに配備したドローンやタブレット等を活用して速やかに現場の情報を収集し、県被害情報集約システムにより災害対策本部と共有していますが、送信するデータ容量に限りがあるなど課題がございました。 このため本年度から、消防庁のシステムを活用し、大容量の映像共有を可能としております。また、県だけでなく、国や電力・通信事業者からのドローン映像も含め、現場の状況をリアルタイムで収集し、関係機関が連携して災害対応に生かす取組を始めたところです。 さらに、県被害情報集約システムは、県民の方がSNSに投稿した災害情報をAIが解析・収集する仕組みとしており、例えば新たな土砂災害の情報についても直ちに市町村等と共有し、現地確認や通行規制を行うなど、二次被害の防止につなげております。 加えて、こうした県のシステムと国の次期総合防災情報システムとの連携により、被害の発生場所や規模、避難状況等の情報が地図上で自動共有され、より迅速な災害対応が期待できることから、来年度中の運用開始に向け、国と具体的な検討を進めてまいります。
○副議長(田中勝士君)
環境生活部長 渡辺正信君。 〔
環境生活部長 渡辺正信君登壇〕
◎
環境生活部長(渡辺正信君) 脱炭素社会の実現に向けた県民への普及啓発についてお答えいたします。 県民への普及啓発は重要であると認識しており、県民向けのセミナーの開催、ユーチューブやインスタグラムによる情報発信などを引き続き実施していくこととしております。今後にあっては、特に、日々の暮らしの中で実践できる取組と、その効果を目に見える形で提供してまいりたいと考えております。 具体的には、太陽光発電設備や省エネ家電の普及に当たっては、導入することによる二酸化炭素の削減効果と費用の節減効果を導入された方の実例も併せて紹介してまいります。 また、日常的に取り組める省エネ行動を紹介するとともに、実際に取り組んだことによる二酸化炭素の削減量を自ら計算できるウェブサイトを新たに構築いたします。 加えて、ぎふ住宅フェア二〇二三の開催を契機としたZEHなど省エネ住宅の普及、岐阜県木の国・山の国県産材利用促進条例の施行を契機とした県産材住宅の一層の普及にも取り組み、脱炭素社会の実現に向けた県民の理解と行動変容を促進してまいります。
○副議長(田中勝士君)
県土整備部長 野崎眞司君。 〔
県土整備部長 野崎眞司君登壇〕
◎
県土整備部長(野崎眞司君) 地域と連携した道路の維持管理についてお答えいたします。 従来の道路パトロールや定期点検などに加え、県民と一体となった施設の点検体制を確立するため、平成二十一年度に、社会基盤メンテナンスサポーター制度を創設いたしました。 この取組を広げるため、地域住民をはじめ学校や企業などに呼びかけを行ってきており、サポーター数は創設時の二百二十五名から、現在は一千四百七十八名と多くの方に御協力をいただいております。 サポーターからは舗装の劣化や側溝の破損など、これまでに二千五百を超える報告がなされ、事故防止などにつながっております。また、令和三年度から郵送などに加え、スマートフォンなどでの報告を可能としたところ、令和四年度の全報告二百五十三件のうち約六割の百五十六件で活用され、迅速化が図られております。 今後は、サポーターの皆様への制度の改善に向けたアンケート調査を実施するとともに、サポーターの増加に向けた広報活動を行うなど、さらに実効性を高め、県民協働による迅速かつ適切な道路管理に努めてまいります。
○副議長(田中勝士君) 三十八番 伊藤正博君。 〔三十八番 伊藤正博君登壇〕
◆三十八番(伊藤正博君) それぞれ御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 それでは次に、教員の確保と教育現場の充実に向けた取組について、二点、教育長にお尋ねをいたします。 一点目は、教員の確保とサポート体制の強化についてお尋ねをいたします。 文部科学省では、全国の都道府県・政令指定都市教育委員会を対象に教員不足に関する実態調査を行い、二〇二二年四月一日にその結果を公表しています。 この調査によると、二〇二一年五月一日現在、全国の公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校など約三万三千校のうち、一千五百九十一校で教員不足が発生していることが明らかになりました。実際に必要な教員が配置されず、不足している教員の数は全国で二千六十五人にも上り、本県では六百二十八校のうち二十七校で二十七名が不足している状況であります。 この調査では、教員不足の原因の一つとして、臨時的任用教員の不足が指摘されています。臨時的任用教員として働いていた人の正規採用が進んだり、既に他の学校や民間企業に就職してしまったために、講師名簿に登録している人数が減っていることが明らかになりました。 この臨時的任用教員に依存する割合を段階的にでも下げ、正規教員の割合を上げていかなければ、教員の配置を安定させることはできません。こうした状況下では、子供たちが日々落ち着いて学ぶ環境が整わないことは容易に想像できます。 県教育委員会としては、こうした様々な原因で教員不足が深刻化している中で、教員の養成、採用、採用後の段階ごとに計十九項目の取組を整理し、教職の魅力を高める取組方針を取りまとめております。この方針については、昨年県内七大学や市町村教育長会、校長会のトップと意見が交わされ、可能な施策から速やかに実行に移していくことになりました。 こうした中、令和五年度当初の新規事業として実現されたものが、東海三県では初めてとなる奨学金返還の補助制度の創設であります。 これは、来年度から小・中学校の教諭として働く人を対象に、日本学生支援機構の奨学金の返済を支援する制度で、条件は県内の高校を卒業し、採用試験の合格が初めてであること、採用後七年以上県内で教諭として勤務することなどで、総額百四十四万円を上限に毎月一万七千円程度の補助を受けられるものであります。担当課に聞き取ったところ、大変反響が大きく問合せが相当あったようです。 こうした教員の確保に向けた新しい取組以外にも、教員の多忙化を解消するために様々な取組を行っています。 例えば、スクール・サポート・スタッフという事業は、これまで教員が行っていた資料作成、印刷、仕分け、データ入力、授業の準備、校内の掲示板の管理、登校時の安全指導など、学校の多岐にわたる業務を教員に代わって行うことで教員の多忙化を解消し、教員が子供たちと向き合う時間を増やすことを目的としています。実際に現場からは、「予想以上に多くの業務を行ってもらえる」「精神的な余裕が生まれた」などの声が教育委員会に届いており、大変好評を得ているそうです。 その一方で、ICT教育の普及により、それらの対応が得意な先生、不得意な先生に分かれてしまい、学校現場では、どうしても得意な先生の負担が増えて、長時間勤務が続いているともお聞きしています。後にも述べますが、体調を崩す先生もあるやにお聞きしています。不得意な先生たちにもしっかり研修を積み重ねていただき、バランスよく教員としての役割を果たしていただくことを心がけていただきたいと思います。 未来の岐阜を担う子供たちと日々向き合っている教員のために、教員の確保、様々なサポートによる多忙化の解消を進めることにより、生き生きと仕事に集中できる環境を整えることが教育の質を向上させるためにとても大切であると思います。 そこで一点目の質問は、教育現場の充実に向け、教員の確保と教員をサポートする体制の強化について、どのように取り組んでいくのか教育長にお伺いをいたします。 二点目は、病気休職から現場復帰する教員への支援の在り方について伺います。 文部科学省の人事行政状況調査によれば、二〇二一年度に、公立小・中・高校と特別支援学校で精神疾患を理由に休職した教員は五千八百九十七人、一か月以上の病気休暇を取得した人を合わせると、計一万九百四十四人で、初めて一万人を超える結果となりました。 精神疾患の休職者は、この十五年ほど五千人前後で高止まりしていましたが、二〇二一年度は、年代別で二十代が一千百六十四人、三十代が一千六百十七人、四十代が一千四百七十八人、五十代以上が一千六百三十八人で、六千人に迫る結果となりました。 この調査によれば、病気休職者は八千三百十四人であり、そのうち精神疾患が約六千人ですから、病気休職の主な原因は精神疾患と言ってもいいかと思います。 一点目の質問で申し上げたように、現場は人手不足です。適正な人的配置がなされておらず、学校はぎりぎりの人数で現場を回しています。そこへ来て近年は
新型コロナウイルスが猛威を振るい、常に誰かが感染症で休んでいるような状況が常態化していました。 以前に比べ、学校を取り巻く環境は大きく変化しております。現場からは、かつては子供と向き合っていればよかったが、現在は保護者への対応や、いわゆる調査ものに多くの時間が取られ、心身ともに疲労こんぱいする教員が多いと聞いています。少子化により子供への施策はいろいろとなされてきましたが、教える立場の教員は置き去りにされてきたようにも感じます。 先ほど少し申し上げましたが、ICT教育が大きく進むことにより、その対応に追われる教員をはじめ、忙し過ぎる教員の負担は増すばかりで、健康・体調を崩す方もお見えになるとお聞きをしています。 情熱を持ち、子供たちのために親身になって指導しようとする高い志のある教員が短期間のうちに心の病で休職してしまう。そしてその後、退職してしまうという事例もあるやにお聞きすることは大きな問題であると思います。 一点目の質問の中でも取り上げたスクール・サポート・スタッフのような教職員の負担を減らす取組など、教職員が休職しないよう多忙化を解消する取組も重要ですが、病気を患い休職された方をしっかりとフォローして、安心して復職できる体制づくりも必要と考えます。 教員の成り手が減少し、今後一層の教員不足が危惧される中、教員としての経験がある方をしっかりと復職することは、教員不足解消にもなります。 そこで二点目の質問は、教員不足が深刻化する中、病気休職から現場に復帰する教員への支援の在り方について、どのようにお考えなのか教育長にお伺いいたします。 次に、警察官の安全確保に向けた取組について、警察本部長にお尋ねをいたします。 岐阜県内には、令和五年四月現在で二十二の警察署、九十七の交番、百二十九の駐在所が存在し、多くの警察官が昼夜を問わず県民の安全を守っています。 日本の交番制度は、地域のコミュニティーと強い結びつきを持っており、日々のパトロールや防犯活動、地域の情報収集と分析、緊急事態への即座な対応など、世界的にも高く評価されております。シンガポール、ブラジル、ニューヨークのマンハッタンなどでは、交番をまねた制度が導入され、K・O・B・A・N、コーバンとして、世界的にも知られております。 しかし、地域密着とはいえ、住民との距離が近い反面、危険性も高まります。警察官は一一〇番通報を受けて迅速に現場に駆けつけたり、不審者に職務質問したりする役割を担っていますが、彼らの身の安全は最優先されるべきです。 一方で、交番や駐在所は市民や県民に対して親しみやすい警察の窓口として存在しており、堅苦しい雰囲気を出すことはできません。したがって、交番や駐在所で働く警察官の安全をどのように確保するかは非常に重要な問題です。 今回、このテーマを質問しようと思ったきっかけは、皆さんも御承知のとおり、五月二十五日に長野県中野市で起きた警察官二名と散歩中の女性二名が殺された最悪の事件であります。 事件の概要を改めて申し上げますと、五月二十五日十六時三十分頃、長野県中野市江部で畑作業をしていた住民から「男に女性が刺された」と消防に通報があり、その数分後に上下とも迷彩柄の服を着用し、帽子とサングラスをつけたマスク姿の男が付近で猟銃を乱射、刺された女性二人と現場に駆けつけて撃たれた男性警察官二名が病院に搬送されたが、死亡が確認されました。この場で述べるのも忌まわしい犯罪行為でありますが、これが岐阜県で起こっていたらと想像すると恐怖が全身を駆け抜けます。 県民を守る警察官が脅威にさらされる事案は後を絶たず、最近では、特に銃器を使った犯罪が多発していると感じますし、ほかにも刃物を持った犯罪も続発しています。早期に現場に向かわなければいけない警察官、特に交番の警察官は常に危険と隣り合わせの状況と言えます。 犯人を安全に逮捕できる、自らが負傷しないため、警察官は日々柔道・剣道をはじめ様々な訓練を行っております。当然、長野県警も岐阜県警と同様に訓練などはしておられたと思いますけれども、しかし今回の事件が発生してしまいました。 大きな犠牲を払った今回の事件を教訓として、私たちは学ばなければなりません。警察官が負傷または殉職するような事件が発生すれば、交番が守るべき地域にも不安と恐怖が広がることは言うまでもありません。 今後定年引上げにより、本来なら退職する予定であった警察官が、再度制服を着て交番に立つことになると思います。このような年配の警察官も含め、警察組織として現場の警察官の命を守っていただきたいと思います。 明日は我が身の心構えで、現場の警察官の皆様には日々の業務に当たってほしいと心から願っております。 そこで警察本部長にお尋ねします。 岐阜県民の安全・安心のため、地域の治安を守る警察官の皆様の安全確保について、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。 最後に、投票率の向上に向けた取組について、県
選挙管理委員会委員長にお伺いをいたします。 この四月は、私ども県議会議員選挙をはじめ、第二十回統一地方選挙が行われました。統一地方選挙は私たちの地域の未来を決める重要な行事でありますが、選挙に参加する市民の数は依然として低い状況にあり、選挙への関心を高める取組が求められております。 そこで本日は、県議会議員選挙における投票率について触れてみたいと思います。 県下二十六選挙区のうち無投票の選挙区は十七に上り、投票が行われたのは私の各務原市や岐阜市、大垣市など九選挙区となりました。県全体の投票率は四一・六〇%、前回比〇・〇五ポイントの微増となりました。 投票が行われた九選挙区のうち、投票率が最も高かったのは新人三人による三つどもえの戦いとなった不破郡で、五五・〇四%でした。一方で、高い関心を集めた多治見市では四九・六二%となり、五〇%を割り込む結果となりました。 最も低かったのが九議席を十一人で争った岐阜市で、三五・二七%であります。前回の三六・二%から〇・九三ポイント下がり、二回連続の三〇%台となりました。 投票率が高まらなかった原因は、報道などでもありますように、無投票選挙区の割合が全国最高の六五・四%に達したことで盛り上がりに欠いたことなど、選挙の機運が高まらず、投票率が伸びなかったようにも思います。 次に、後半戦の市町の首長選挙の結果ですが、安八町の五九・一八%、多治見市の五七・八一%と、残念ながら後半戦も高い投票率であったとは言い難い結果に終わりました。 地域の代表を選ぶ身近な選挙でありますが、有権者の関心の低さが気になります。もちろん県議である私たち自身も日々の議員活動の中で有権者の方々と対話を重ね、魅力的な政策を描き、政治に関心を持ってもらい、選挙の重要性を伝えていかなければならないことは言うまでもありません。私たち議員が積極的な姿勢で有権者と接し、選挙への関心を喚起することが重要であります。 そこで、岐阜県選挙管理委員会事務局が公表している岐阜県議会議員選挙の年齢別投票者調の中から、年齢階層別の投票率を紹介します。 この調査は、各市町村一投票区の抽出であるため実際の投票率とは異なりますが、十八歳から十九歳が二七・一九%、二十歳から二十四歳が二三・八七%、二十五歳から二十九歳が二五・九三%と大変低い投票率となっております。政治に対して若者の関心が薄いことや情報不足が要因として考えられますが、こうした問題に対しては、教育現場での選挙啓発やメディアの積極的な情報発信などが重要で、選挙の重要性と影響力をしっかり理解してもらう取組が求められております。 また、投票率を上げるためには、若者への主権者教育はとても重要だと考えます。 二〇二二年度に、文部科学省が実施した主権者教育に関する実施状況調査では、高校三年間で主権者教育を実施した高校の割合は九四・九%となっております。 私は、必ずしも新しいことを始めなくても、部活動の予算分配や校則の見直しといった校内の課題でいいので、児童・生徒の発達や学校の特性に応じて話し合って決める過程は政治参加の第一歩であると考えます。 このほか全国では様々な取組が実施されており、各自治体の選挙管理委員会が子連れ投票を呼びかけています。子供の頃から選挙に関心を持ってもらうことは、将来の投票率向上につながる大変いい試みだと思います。 投票率が低い要因の一つとして、若者の投票率に対する私なりの考えや全国の取組を御紹介しましたけれども、投票率の向上には全世代の方に政治に関心を持ってもらい、投票所に足を運んでもらう必要があります。これまでなかなか変わらなかったことを変えていくことは決して簡単なことではありませんけれども、投票への意欲を高める取組を時間をかけて進めていくことが必要だと思います。 そこで、本日は
選挙管理委員会委員長に、投票率の向上を図るため、これまでどのような対策を取り、今後今回の統一地方選挙の結果を踏まえて、どのように取り組んでいかれるのかをお尋ねいたしたいと思います。 以上で今回の私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 二点御質問がありました。 初めに、教員の確保とサポート体制の強化についてお答えします。 県教育委員会では、今年度実施の教員採用試験から新たに小・中学校教員志願者を対象に、議員より紹介のあった奨学金返還の補助制度を設けたところですが、利用希望者は四十人の枠に対して約二百人と反響は予想以上に大きく、小学校の志願者倍率も昨年度一・九五倍が今年度は二・四六倍となり、教員の確保に向け一定の効果があったものと考えております。 また、県教育委員会では、毎年度教職員の働き方改革プランを定め、出退勤管理システムなどによる適切な労務管理、スライド勤務、入試デジタル採点システムや入学者選抜出願手続のオンライン化などのデジタル技術の活用等により、教員の長時間勤務や多忙化の解消に向けた取組を進めております。 教員不足は全国的な課題でもあり、国では教員の処遇改善の議論がされたり、現在七月に行われている教員採用試験を前倒しして、六月中旬頃に実施する方針などが示されたりしております。こうした国の動向も注視しつつ、優秀な教員の確保と誰もが働きやすい学校となる取組を今後も進めてまいります。 次に、病気休職から現場復帰する教員への支援の在り方についてお答えします。 昨年度、県内の教員の病気休職者のうち、約七五%は精神性疾患によるものとなっております。 精神性疾患による病気休職者の復帰には、本人の希望を基に、医師の指導を仰ぎながら勤務校で実施する職場復帰支援プログラムと、保健審査会による勤務校への復帰是非の判断を経ることになります。そうした中、本人の事情によっては、別の学校でプログラムを行うことで復帰につなげたり、復帰時に勤務校を変え、校種の異なる学校へ配置したりすることで復職がスムーズに進んだ事例もあります。また、復職後は、医師からの助言と本人の状態に合わせて校務の内容や勤務時間に配慮するなど、本人が復帰後も無理なく勤務できる環境や体制を整え、サポートしております。 教員の精神的負担を和らげるためには、学校が管理職を中心にチームとして運営されることが必要であり、その結果休職者が減り、学校が安定することにつながると考えております。今後も教員が安心して働ける環境づくりを進めてまいります。
○副議長(田中勝士君) 警察本部長 大濱健志君。 〔警察本部長 大濱健志君登壇〕
◎警察本部長(大濱健志君) 警察官の安全確保についてお答えいたします。 警察官は、事件、事故、災害が発生した際には、直ちに現場に急行し、犯罪捜査などの初動措置を執ることを任務としております。御指摘の長野県の事案のように命の危険が伴う現場においても、住民の安全を最優先に、警察官自身の安全をも守りながら活動を行わなければなりません。議員御指摘のとおり、警察官の安全確保につきましては、極めて重要な課題であると認識しております。 このような現状を踏まえまして、県警察では、現場の警察官が負傷することなく適切に事案対処できるよう防弾チョッキや防弾盾などの装備資機材を整備するとともに、事件発生時には警察本部において迅速に情報を集約し、適切かつ具体的な指示を徹底することにより、安全対策を図っているところでございます。 また、平素から現場警察官を中心に実戦的な訓練や、定年延長などを踏まえました年齢や性別、経験などにより警察官一人一人に合わせた訓練を行いまして、現場執行力のさらなる強化に取り組んでおります。 今後も現状に満足することなく、継続的に教育や訓練の充実・強化を図るとともに、装備資機材の不断の見直しを行うことなどを通じまして、危険な現場に立ち向かう警察官の安全対策には万全を期しまして、県民の安全・安心の確保を図ってまいります。
○副議長(田中勝士君)
選挙管理委員会委員長 大松利幸君。 〔
選挙管理委員会委員長 大松利幸君登壇〕
◎
選挙管理委員会委員長(大松利幸君) 投票率の向上に向けた取組についてお答えします。 選挙は民主主義の根幹であり、有権者の政治や選挙への関心を高め、投票を促進することは極めて重要です。この認識の下、さきの県議会議員選挙においても選挙公報を全世帯に配布したほか、新聞広告やツイッターなど、様々な媒体での啓発を展開いたしました。 その結果、投票率は前回から微増したものの、個々の選挙区を見ると、引き続き選挙となった五選挙区のうち四選挙区で低下しました。年代別では、若い世代の投票率が依然低い状況です。若者の関心を高め投票を促すため、今後もさらなる対策を進めてまいります。 具体的には、中学や高校での主権者教育をさらに充実させるため、選挙管理委員会職員による専門的で実践的な出前授業を拡大実施いたします。議員の御紹介の子連れ投票につきましても、地域の親子イベントなどで、小学生やその保護者に向けて啓発してまいります。加えて、若い有権者にも届く投票の呼びかけを展開することとし、大学の選挙サークルと連携した駅前や商業施設での啓発活動や、SNSのターゲティング広告などによる周知を進めてまいります。
○副議長(田中勝士君) 二十七番 国枝慎太郎君。 〔二十七番 国枝慎太郎君登壇〕(拍手)
◆二十七番(国枝慎太郎君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、今回は大きく四項目、二分割にて質問をさせていただきます。 私にとっては一年ぶりの一般質問であり、この新議会棟になって初めての一般質問ですので大変緊張しておりますが、執行部の皆さんには前向きな答弁をお願い申し上げ、質問に入らせていただきます。 初めに、野菜の施設栽培における新規就農者支援の現状と今後の戦略についてお伺いをいたします。 ロシアによる
ウクライナ侵略による世界的な物価高騰により、私たちがふだん当たり前に享受していた食材が大きな打撃を受け、いかに我が国の食の安全保障が脆弱であったのかと改めて思い知らされ、危機感を募らせたのは私だけではないと思います。 このような不安定な国際状況の中、肥料・飼料価格の高騰に加え、資源の乏しい日本では燃料費・農業生産資材価格も高騰するなど、農業経営を取り巻く環境は三重苦、四重苦の状況にございます。さらに農業経営者を苦しめているのは、これらの価格高騰分を販売価格に転嫁できない市場であり、このままでは農業経営の持続性が危ぶまれる状況に陥ってしまいます。 こうした状況を受け、我が岐阜県議会においても、令和四年六月三十日に、将来にわたる食料の安定確保と国内農畜水産業の生産基盤の維持に向け、肥料等の価格高騰への緊急対策を求める意見書を国に提出したところでございます。 そこで今回の質問は、本県の野菜の施設栽培の現状、施設農業者に対する支援、今後の戦略についてお聞きいたします。 現在県では、海津市にある岐阜県就農支援センターにおいて、県が開発したトマト独立ポット耕栽培システムを活用し、冬春トマトに関する研修と実習を行い、新規就農者の育成を行っています。また、JA全農岐阜では、イチゴ栽培への新規就農に向けた研修や、JAひだでは、夏秋トマト等新規就農に向けた研修を実施し、今後の担い手支援として施設栽培を推進しております。 しかしながら、冒頭で述べたように、世界的な物価高騰を受けて、ビニールハウスの建設のための農業資材や、養液栽培システム等の施設整備のための費用も高騰しております。 一例を申し上げますと、イチゴのハウス栽培では、農業資材高騰前と比較して建設費は三割程度値上がりをしているということでございます。 現在県では、野菜の施設栽培に係る負担軽減策として、ビニールハウス建設に係る借入れの利子補給、伴走型の栽培・経営支援、さらには岐阜県方式と呼ばれるパイプ等の部材使用量を三割減らすイチゴ栽培ベンチの導入支援など、農業生産者に対する物価高騰対策を実施しております。 しかしながら、世界的な物価高騰の影響による肥料、燃料、施設建設コストの増加は、今後野菜の施設栽培で新規就農を目指す方々や、施設栽培に就農して間もない生産者の方々にとっては、大変厳しい状況にございます。 そこで農政部長にお聞きいたします。 近年の物価高騰の影響により、本県の食料生産を支える施設野菜栽培におけるハウス建設費用なども高騰しており、特に多額の初期投資が必要となる新規就農者の負担も増していると感じますが、野菜の施設栽培における本県の新規就農者支援の現状と今後の戦略についてお聞かせください。 次に、岐阜県における有機農業の推進についてお尋ねをいたします。 さて、皆さんは有機と聞くと何を連想するでしょうか。 私は、有機という言葉から、オーガニック、自然、ナチュラルといった言葉を連想いたします。また、有機農産物と聞くと自然環境に優しく化学肥料等を使わない、より安全で安心な農産物を連想いたします。 現在、国においては、有機食品の検査認証制度として有機JAS制度を運用し、有機JASに適合した生産が行われていることを登録認証機関が検査をし、その結果、認証された事業者のみが有機JASマークを貼ることができるとされております。 この有機JASマークがない農産物、畜産物及び加工食品に、有機、オーガニックなどの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは日本農林規格等に関する法律、いわゆる有機JAS法で禁止をされております。 この有機JAS制度は、有機農産物、有機加工食品、有機畜産物、有機飼料、有機藻類の五種類が挙げられておりますが、岐阜県において有機JAS認証を受け、公表を同意した有機農産物事業者は本年四月時点で十六事業者しかありません。 こうした中、県では、有機農業の生産・流通・販売から消費拡大までの好循環を形成するため、令和五年度から令和十二年度までの八年間を計画期間とする岐阜県有機農業推進計画を本年三月に策定いたしました。 簡単に計画の概要を申し上げますと、本計画において有機農業とは、有機農業推進法に規定する化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業とされており、令和十二年度、二〇三〇年度までに有機農業の取組面積を百九十ヘクタールに、有機農業の経営体数を百七十の個人と団体に、有機農業指導員を累計五十人にすることを県は目標としております。 有機農業を推進する制度には、先ほどお話しした国の有機JAS検査認証制度のほか、岐阜県独自の制度であるぎふ清流GAP評価制度の化学肥料・化学農薬不使用区分がありますが、農業者に対してこれらの制度を十分に周知し、活用を図りながら有機農業を推進していく必要があると思います。 他方、消費者の皆さんにとっても、このような環境と社会に配慮した農産物であることを知っていただかなければなりません。 有機農業は、通常の栽培と比較すると多くの労力を要し、その分かかるコストが重くなるため、当然これらに係るコストを農産物価格に転嫁することになりますが、消費者の皆様に高付加価値化・差別化された農産物であることを十分理解していただくとともに、有機農業に関するロゴマークについても認知していただかなければ、なかなか購入していただけません。 そのロゴマークが、いわゆるサステナブル・ラベルと呼ばれる国際認証ラベル、マークでございます。 県議会の皆さんは、先ほどお話しした国の有機JAS認証のロゴマークは御存じでしょうか。岐阜県が独自に認証しているぎふ清流GAPのロゴマークは御存じだとは思いますが、ぎふ清流GAPの化学肥料・化学合成農薬不使用区分を表すぎふグリーンハーベストというロゴマークについては御存じでしょうか。正直、私もこの一般質問をするまで知りませんでした。 ここで議場配付資料三を御参照ください。(資料を示す) 皆さんから見て左側が有機JASのロゴマークで、真ん中が岐阜県清流GAPのロゴマーク、そして一番右側がぎふ清流GAP化学肥料・化学合成農薬不使用区分のロゴマーク、ぎふグリーンハーベストのロゴマークとなっております。ぜひこういった認証マーク、ロゴマークを皆さんも知っていただきたいと思います。 そのような中、私が住んでいる揖斐郡内において、例えば揖斐川町大和地区においては、今年四月にワンオーガニックマルシェを開催し、オーガニックな地域づくりを目標に協議会を立ち上げるなど、歩みを始めた地域もございます。 こうした状況について、有機農業を生業としている揖斐川町のコービーファームの粟野さんに有機農業の促進の課題をお聞きしたところ、行政において有機農業の継続に対する補助であったり、また、オーガニックマルシェ等への出店であったり、いろいろ取組がされておりますが、まだまだ有機農業自体の認知度が低いということを課題として挙げられておりました。 県では、オーガニックマルシェの展開によって、有機農業で生産された農産物を消費者の皆様に知っていただくイベント等を実施していくと伺っておりますが、有機農産物のみならず、県内のオーガニック製品等とコラボしたマルシェでなければ、なかなか集客はできないのではないでしょうか。さらに今後は部局横断的にオーガニックマルシェを企画し、環境負荷やSDGsの取組を岐阜県として推奨すべきではないかと考えます。 そこで農政部長にお聞きいたします。 岐阜県有機農業推進計画を推進していく中で、県はどのように有機農業を拡大していかれるのか。また、有機農業で生産された農産物の販路拡大に向け、どのような支援を行っていくのかお聞かせください。 続きまして、揖斐地域の観光資源であり、岐阜県を代表する伊吹山麓が育む薬草の一大産地、伝統野菜の宝庫である揖斐川町春日川合地区、中でも笹又地区と言われるエリアにおける治山対策について質問をさせていただきます。 この笹又地区は、伊吹山の岐阜県側麓に位置をしております。日本百名山の一つとしても名高い伊吹山は、昔から植物の宝庫として知られ、織田信長が宣教師に命じて植物園を開かせたとも言われております。 さらに、現在放映されているNHK朝の連続テレビ小説「らんまん」は、日本の植物学の父と言われる牧野富太郎さんの生涯をモデルとしたドラマであり、牧野富太郎さんは何度も伊吹山を訪れ、植物採取を行っております。また、岐阜薬科大学名誉教授元学長であり、薬学者でもある水野瑞夫先生が「漢方薬のきぐすり.com」のホームページに寄稿されたコラムの中で、「伊吹山麓には薬草も多く、岐阜県側の揖斐川町春日地域の調査では二百八十種類の薬草が知られていて、全植物の二割強になり、薬草の占有率の高いことに驚きます」と書かれており、このことからもここ笹又エリアは、日本を代表する薬草の産地の一つと言えると思います。 このエリアには伊吹山の登山者のほか、伊吹山ドライブウェイが滋賀県側と岐阜県側をまたいで走っていることから、非常に多くの方々が訪れます。私も今年の四月、笹又エリアの活性化に取り組む皆さんと、この山の荒廃状況や、また被災した状況を視察するために、笹又エリアから伊吹山のドライブウェイまで登山をさせていただきました。本当に珍しい薬草があったり、またドライブウェイ周辺からは本当にすばらしい眺望が広がっているエリアでもございます。 また、このエリアにはさざれ石公園がございます。公園内には東京藝術大学の学長であり、岐阜県立美術館館長でもある日比野克彦さんが、一九八八年に砂防堰堤壁面に描いた五人の女神という壁画の作品もございます。 さらに最近、笹又エリアの農場では、五十人ほどの農業従事者の方々が春日キュウリ・春日豆、ヨモギ、サワアザミ、コンブリ、在来茶など、この地域に伝わる伝統野菜や薬草を栽培しているほか、かすがモリモリ村リフレッシュ館という施設では薬草風呂にも入浴できます。また、春日美束地域には、ぎふの棚田二十一選の一つでもある貝原棚田や、春日上ケ流地区には、在来茶園が広がる岐阜県のマチュピチュと言われている絶景ポイントもございます。こうした豊富な地域資源を生かし、県が推進するサステーナブル・ツーリズムの取組につなげていきたいと私は考えております。 ここで皆様には、資料一を御覧ください。(資料を示す) すみません、この資料は、私が月曜日にコピーを貼り合わせて作ったので、ちょっとテープで反射しているかもしれませんが、この令和三年九月に、先ほどから御説明しました笹又エリアが豪雨によって土砂崩れが発災いたしました。この上の赤丸にあるように農地のほうに土砂が流入したり、この下の赤丸にあるように農道のほうにも土砂が流出したり、またそれに伴って鹿の防獣ネットも倒壊をしたというような状況になっております。 このことに関しまして、現在県の迅速な対応もあり、二基の谷止工も着工していただいております。さらに現在揖斐川町、地元の農業従事者の皆さん、そして地元建設業の皆さんによる防獣ネットの復旧等、農地としての復興が進められております。 続きまして、議場配付の資料二を見ていただきたいと思います。(資料を示す) こちらは、この笹又エリアを含めた上層部、伊吹山ドライブウェイが走っているのが分かると思いますが、こちらを衛星画像で撮った写真でございます。この画像から見て分かるように、この赤丸の白くなった部分、ちょうど伊吹山ドライブウェイのすぐ下流なんですが、これは相当な急斜面でございます。この白くなった部分には、現在草も生えていなければ木も生えていなくて、石灰性の土がむき出しになった状況になっております。そして、この赤丸のぐねぐねしたエリア、こちらが先ほど言った笹又の農園があるエリアですが、この上の部分、ちょっとずつ白くなっている部分があると思うんですが、木は生えているんですけれども、この木は鹿の食害によって腐りつつありまして、だんだん草も生えていない状況が見て取れる、そんな画像となっております。 このようなこともありまして、先日、国土交通省中部地方整備局越美山系砂防事務所の調査に私も参加させていただきました。この地域の地質は石灰質の層であることから、一度山肌がむき出しになると植樹や緑地化は難しく、また豪雨に見舞われると崩れやすいとも言われており、谷止工より上層部には広大な荒れ地が広がっており、危険な状況であることは火を見るより明らかでございます。 先ほど御紹介した岐阜薬科大学名誉教授水野瑞夫先生のコラムでも、「石灰岩性の立地が高木層の発達を悪くし、低木層と草本植物層の発達を促し、植物の多様性が促進された」との記述があります。石灰岩性だからこそ薬草の宝庫となった一方で高木が育ちにくい地質、さらには鹿の食害によって貴重な森林が荒廃してしまったために起きてしまった土砂崩れ、本当に自然の微妙かつ繊細な生態系の上に、このエリアが成り立っているとも言えます。だからこそ英知を結集し、このエリアの生態系を復元していくことが私たちに課せられた使命でもあると思います。 そこで林政部長にお聞きいたします。 岐阜県を代表する伊吹山麓が育む薬草の一大産地、伝統野菜の宝庫でもある揖斐川町春日川合地内の治山対策について、今後どのように進めていくかお聞かせください。 以上で一回目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(田中勝士君) 農政部長 足立葉子君。 〔農政部長 足立葉子君登壇〕
◎農政部長(足立葉子君) 二点御質問いただきました。 まず、野菜の施設栽培における新規就農者支援の現状と今後の戦略についてお答えいたします。 現在、県内十九の就農研修拠点で新規就農者の育成を進めており、このうち冬春トマトでは、修了生が全生産者の三割を占めるまでになっています。 一方、世界的な物価高騰により、ハウス建設に係る初期投資額がかさみ、就農希望者に大きな負担となっております。そのため、冬春トマトのハウス環境制御システムを見直し、二割以上のコスト削減を図ったほか、イチゴでは資材コストを約一割削減した栽培システムを開発し、普及を図ってまいりました。 また、普及指導員、農協、市町村職員等で構成するサポートチームにより、新規就農者に寄り添った技術と経営両面での伴走支援を進め、収穫量や販売額が二割以上増加する成果が出ております。 今後は、中古のハウスや資材の利活用等、新規就農者の負担がさらに軽減できる支援策を検討するとともに、ハウス内の温度や二酸化炭素濃度等のデータを収集し、活用を進めることで収量と収益性の向上につなげてまいります。 次に、有機農業の推進についてお答えいたします。 有機農業は、環境負荷低減に効果的な生産手段であり、岐阜県有機農業推進計画では、多くの農業者に取り組んでいただけるよう、有機JASに限定せず有機農業推進法に規定する農業として、広く生産と販売の拡大に取り組んでいるところでございます。 まず、生産拡大では、高度な技術や経営力を必要とする有機農業に参入しやすくするため、新たに豊富な経験や知識を有する有機農業者をアドバイザーとして認定し、技術指導や相談体制を強化してまいります。 また、有機農業の面的拡大に向け、県内十地域に普及指導員を中心とするプロジェクトチームを設置し、営農モデルづくりや産地化に取り組んでまいります。 次に、販路拡大では、子育て世代への有機農業に関するセミナーや、生産者が直接説明し販売できるオーガニックマルシェを開催し、地球温暖化の防止等に寄与する有機農業の意義や価値の理解醸成を図るとともに、ぎふ清流GAPパートナーと連携した販売フェアを開催してまいります。
○副議長(田中勝士君) 林政部長 久松一男君。 〔林政部長 久松一男君登壇〕
◎林政部長(久松一男君) 揖斐川町春日川合地内における治山対策についてお答えします。 令和三年九月の豪雨で発生した揖斐川町春日川合地内の土砂流出では、直下に農道や畑があるため、県民の生命、財産を守ることを最優先に治山ダム等の整備に着手し、来年度完成の予定です。今後はさらなる土砂流出を抑制するため、上流部の荒廃地を植林などによって森林に復元する対策が必要と考えております。 しかしながら、一帯は五ヘクタールと広大で、標高一千メートル、傾斜三十度ほどの急峻な山岳地域であります。加えて鹿による採食で植生が衰退し、裸地の状態が続いた上、降雨や融雪によって表面侵食が徐々に進行していることから、対策の検討に時間を要し、技術的にも高度かつ長期にわたる難工事が想定されます。 このため、まずは地質や野生動物分野の学識経験者、地元関係者から成る
対策協議会を立ち上げ、工法はもとより植栽の樹種選定、獣害対策などの検討を重ね、国の事業採択に必要な実施計画を策定してまいります。あわせて、事業実施の条件となる保安林の指定に向けて、地権者との協議を進めてまいります。
○副議長(田中勝士君) 二十七番 国枝慎太郎君。 〔二十七番 国枝慎太郎登壇〕
◆二十七番(国枝慎太郎君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、県内における闇バイト対策について、まずは闇バイトの対策の現状と今後の取組についてお伺いをいたします。 ツイッターをはじめとするSNSに、高額報酬、簡単、短時間、即払いなどの誘い文句を並べた投稿をし、強盗や特殊詐欺の実行犯を募集して犯行に及ぶ、いわゆる闇バイトに関連する犯罪が全国で多発しており、連日のように犯罪被害の報道がされております。警視庁によると、昨年一年間に特殊詐欺に関わったとして検挙された七百九十三人のうち、六三%余りが十代から二十代の若者であり、大学生や高校生が犯罪に加担したケースもあったとのことです。 また、今年5月には、岐阜県大垣市において、住宅に押し入り住人男性に重症を負わせ、金庫などを奪って逃げたとして十六から十八歳の実行犯の少年ら四人、共犯者の会社員の男が強盗致傷などの疑いで逮捕されたという報道もありました。報道によると、闇バイトの募集をきっかけに事件に加担したと供述している容疑者がいるとのことでした。 報道ベースではございますが、闇バイトをきっかけとした強盗は、貴金属店や住宅などに人がいても構わず押し入り、拘束して暴行を加えるなど凶悪化しており、中には殺人に至った事件もあるそうです。 こうした中、今年三月十七日、政府はSNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プランを決定いたしました。 簡単にプランの概要を紹介しますと、闇バイトを利用した犯罪から国民を守るために、一、実行犯を生まないための対策、二、実行を容易にするツールを根絶するための対策、三、被害に遭わない環境を構築するための対策、四、首謀者を含む被疑者を早期に検挙するための対策を行うとされております。 また、一部報道によれば、警察がインターネット接続事業者に働きかけ、SNSの闇バイト投稿の確実な削除を進めるとのことであり、AIを活用して闇バイト投稿で用いられる言葉などを自動で検索し、投稿を素早く効率的に発見する措置を講じるとのことです。 そこで県警本部長にお聞きいたします。 闇バイトに関連する犯罪が凶悪化・広域化している現状がある中で、県民の皆さんが被害者、加害者にならないために、県警における闇バイト対策の現状と、今後どのように対策を行っていくのかお聞かせください。 続いて、県立学校における情報モラル教育についてお伺いいたします。 三月十八日の産経新聞朝刊の記事で、立正大学の小宮信夫教授は、闇バイトに応募する若者は、道徳や善悪ではなく近視眼的な経済合理性で動いていると分析し、若者らはグループに引き込まれると、脱退防止目的で運転免許証などの画像送信を求められ個人情報を握られる。その上で、実行役は逮捕リスクが高い犯行を次々と強いられて、使い捨てにされると指摘されております。また、若者が犯罪に加担しないための教育が重要。義務教育の段階で科学的、論理的な教育が必要で、そこに切り込まないと使い捨ての若者は減らないとも語っておられます。 教育委員会においても、情報モラルに関する啓発リーフレットを作成し、保護者、生徒向けに配布していると伺っておりますが、複雑化・巧妙化する犯罪から児童・生徒を守るために、従前どおり普及啓発だけでは不十分であり、さらに踏み込んだ取組が必要ではないかと感じます。 そこで教育長にお聞きいたします。 闇バイトに関連し、複雑化・巧妙化する犯罪に対して、県立学校において現状どのような情報モラル教育が行われており、今後どのような取組を行っていくかお聞かせください。 最後に、ネット安全・安心ぎふコンソーシアムにおける今後の取組についてお聞きいたします。 県では、平成二十一年二月に、ネット安全・安心ぎふコンソーシアムを設立し、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の岐阜県内における整備の取組として、インターネットの安全・安心のための講師派遣のほか、紙ベースの啓発リーフレットの配布等の事業を実施しております。 コンソーシアムのメンバーは、学識経験者、保護者団体、青少年関係団体、関係事業者及び行政機関が構成員となっており、具体的には、総務省、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった携帯キャリア会社、LINE株式会社のほか、県の関係機関としては環境生活部、教育委員会、県警本部も構成員となっております。 現在でも、SNSによるいじめの問題や、先ほどお話しした闇バイトに関する犯罪もある中、使い方によっては犯罪に悪用されかねない技術が普及する中、行政、学校、保護者、青少年団体、携帯電話事業者等が連携するネット安全・安心ぎふコンソーシアムに求められる役割は大きく、このコンソーシアムを中心に部局横断的に対応していくべきと考えます。 そこで
環境生活部長にお聞きいたします。 昨今の社会情勢を踏まえると、ネット安全・安心ぎふコンソーシアムの機能強化が必要と考えますが、今後、関係機関の連携による啓発活動などの取組をどのように進めていかれるかお聞かせください。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 警察本部長 大濱健志君。 〔警察本部長 大濱健志君登壇〕
◎警察本部長(大濱健志君) いわゆる闇バイト対策の現状と、今後の取組についてお答えいたします。 近年、インターネットやSNS上におきまして、仕事の内容を明らかにせず、著しく高額な報酬をほのめかすことにより犯罪の実行者を募集する、いわゆる闇バイトに応募した若者らによる強盗やニセ電話詐欺等の犯罪が全国的に発生し、県民の不安を増大させる要因になっているものと認識しております。 県警察におきましては、まずはこのような犯罪の実行者を募集する者に対しまして、サイバーパトロールや県民からの通報・相談によりまして広く情報収集をいたしまして、厳正な取締りを推進しております。 あわせて、有害な投稿に対しましては、インターネットプロバイダー事業者に対しまして削除の依頼をするとともに、投稿者や閲覧者に対しましては、警告メッセージを発出いたしまして、直ちにこれらの投稿を削除させております。 また、この種事案の応募者となりやすい若者や、その保護者世代を対象といたしまして、アルバイト感覚で犯罪に加担させないための非行防止教室の開催、関係機関・団体と連携した広報啓発活動を積極的に行っております。 県警察といたしましては、いわゆる闇バイトの募集に応じた者が様々な犯罪に加担している実態を踏まえまして、各種対策をさらに強化いたしまして、犯行グループへの人材供給を遮断し、若者が知らぬ間に犯罪に手を染めてしまうことが決してないように、犯罪の取締りの徹底を図ってまいります。
○副議長(田中勝士君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 県立学校における情報モラル教育についてお答えします。 高校生は学校の情報の授業の中で、情報社会を生きるための必要な法規や情報が社会に与える影響、情報を適切に利用する心得などを学習しておりますが、県立高校では、通信業者や警察官等の外部講師を招き、
ネット社会の危険性についての学習をする機会を現在設けております。 さらに県教育委員会では、作成した啓発資料を県立学校へ配布するだけでなく、今月から学校緊急連絡メールを利用して生徒、保護者宛てに直接配付することで、各家庭で情報モラルについて話を進めていただくようしてまいります。 また、この六月には、県警察本部が作成されました闇バイトに特化したチラシを各学校で三者懇談の場などを通じ、高校生に加え中学生にも配布することで、闇バイトの危険性について、さらに周知を図ってまいります。今後も中学生、さらに高校生がこうした犯罪に巻き込まれないために、防犯や非行防止の観点から情報モラル教育をさらに進めてまいります。
○副議長(田中勝士君)
環境生活部長 渡辺正信君。 〔
環境生活部長 渡辺正信君登壇〕
◎
環境生活部長(渡辺正信君) ネット安全・安心ぎふコンソーシアムにおける今後の取組についてお答えいたします。 ネット安全・安心ぎふコンソーシアムでは、保護者向けリーフレットの作成や、携帯電話会社による学校等での情報モラル出前講座の実施など、青少年の適切なインターネット利用の促進に取り組んでまいりました。こうした中、近年はSNSによるいじめや誹謗中傷、闇バイトなどが大きな問題となっており、青少年を被害者にも加害者にもさせない取組が一層重要となっております。 こうした現状を踏まえ、今年からコンソーシアムにおいて啓発強化月間を定め、闇バイトなど、その年に重点的に取り組む課題について、関係機関と連携して広報・啓発を集中的に実施してまいります。また、その際に活用できる啓発動画を新たに作成し、SNSや動画配信サイトを通じて注意喚起するなど、青少年に行き届く啓発を行ってまいります。 さらに保護者や教職員、関係機関等を対象としたフォーラムを年内に開催し、重点課題に関する講演や事例発表などを通じて認識を深め、県民が一体となった取組を進めてまいります。
○副議長(田中勝士君) 二十七番 国枝慎太郎君。 〔二十七番 国枝慎太郎登壇〕
◆二十七番(国枝慎太郎君) 御答弁ありがとうございました。 農政部長の答弁について再質問をさせていただきます。 私は、岐阜県有機農業のこの推進計画を県下どのように拡大をしていくかという中で、先ほど質問の中でも御紹介させていただきました国で言えば有機JAS、岐阜県で言うと清流GAPと、さらに化学肥料を使わないぎふグリーンハーベストというような認証があるんですが、岐阜県が進める有機農業者というのは、こういったGAPや、こういった認証を受けた方のみを推進していくのか。岐阜県が推奨するこの有機農業の農業者の定義を再度お聞かせください。終わります。
○副議長(田中勝士君) 農政部長 足立葉子君。 〔農政部長 足立葉子君登壇〕
◎農政部長(足立葉子君) 岐阜県が進める有機農業について、再度御質問いただきましたのでお答えさせていただきます。 有機JASにつきましては、非常に厳しい枠がございまして、そことは違う有機農業推進法、そして岐阜県の有機農業はそれに基づいてやるということで、何が違うかといいますと、有機JASでは、播種、植え付け前の二年以上も化学合成の肥料、農薬は使ってはいけないよというところでございます。非常にこれは農家にとっては、そこで収入がないということですので厳しいということでございます。 一方で、国がこれから環境に配慮した有機農業を進めていくということでは、最初からこれだけ厳しい条件では、なかなか農家の方はついてこられないだろうということを思っておりますので、先ほど議員も御指摘がございましたけれども、化学肥料・化学合成農薬は不使用、そして遺伝子組換え技術は不使用だと、まずここから進めていきたいと考えております。
○副議長(田中勝士君) 十七番 今井政嘉君。 〔十七番 今井政嘉君登壇〕(拍手)
◆十七番(今井政嘉君) 議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして、今回は二つの項目について質問させていただきます。 まず初めに、脱炭素社会実現に向けた森林整備の推進について質問させていただきます。 先月五月七日から八日にかけての大雨は、県内では連続雨量が二百ミリを超えた地域もあり、私の地元下呂市でも飛騨川が氾濫危険水位を超えました。今回は幸いに大きな被害はなかったものの、五月上旬にあれだけの降雨があったことに強い危機感を感じました。 こうした異常気象の原因は、言うまでもなく地球温暖化にあり、温暖化を促進する温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けての取組の強化は、喫緊の課題となっています。 県では、令和三年三月に策定した岐阜県地球温暖化防止・気候変動適応計画を本年三月に改定し、「脱炭素社会ぎふ」の実現を目指し、温室効果ガスの排出削減対策と、既に起こりつつある気候変動への適応を車の両輪とした対策を推進することとしています。 この計画においては、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を減らすとともに、排出された二酸化炭素の吸収が見込まれる森林吸収源対策に取り組むこととしていますが、八一%の森林率を誇る我が県においても、計画に定める森林吸収源対策を進めることは、決して容易なことではありません。 というのは一つ目に、県内の森林の約五割は広葉樹などの天然林ですが、広葉樹は成長が遅く、つまり二酸化炭素の吸収量も少ないこと、二つ目に、残りの約五割は杉やヒノキなどの人工林ですが、これらの木は本来成長が早いものの、県内の民有人工林の約六割は植えてから五十年を超えており、大きく育った杉やヒノキは成長のスピードが遅くなるため、二酸化炭素の吸収量が下がるという二点が主な理由として挙げられます。 つまり、こうした現状をそのまま放置すると、本来は有効な森林吸収源対策となり得る県内の森林資源が、想定する二酸化炭素吸収量に及ばないといった事態も考えられ、その結果、計画に掲げる森林吸収源対策の実効性に支障が生じることにもなりかねません。 これを解決するためには、大きく育った木は伐採して利用し、伐採した後は再び苗木を植えて育て、二酸化炭素を吸収させていく必要があります。特に、杉、ヒノキなどの人工林を伐採した後の植栽、これを再造林といいますが、再造林をしていかないと森林としての確実な更新が難しいと言われています。 これに関連し、県では、令和四年三月に第四期岐阜県森林づくり基本計画を策定し、「清流の国ぎふ」の未来を支える森林づくりを基本方針として、森林づくりの推進、林業・木材産業の振興、森林の新たな価値の創造と山村地域の振興といった施策を進めていくこととされておりますが、持続可能な森林づくりや二酸化炭素吸収源としての重要な課題である再造林・保育対策を進めることとしております。 しかしながら、再造林には苗木の植栽に加え、鹿やウサギから苗木を守る獣害防止柵の設置なども必要となり、その防除のために多額な費用が必要となるため、林業が低迷している現状では、森林所有者において費用を持ち出してまで再造林を行うメリットが少なく、なかなか再造林が進んでいないという実情もあります。 このため県では、令和四年度から国の補助金を独自にかさ上げし、市町村の補助金と合わせて再造林費用の一〇〇%補助を行っています。また、国の補助対象となっていない環境保全林についても、県独自で同程度の補助を行っているということです。 そこで林政部長にお聞きします。 脱炭素社会実現に向けた森林整備を推進するため、森林吸収源対策としての再造林が必要と考えますが、県におけるこれまでの再造林の取組の成果と、今後再造林を推進していくため県としてどういった課題があり、どう対策を進めていくのかをお聞かせください。 次に、強度行動障がいのある方への支援について質問させていただきます。 皆さんは、強度行動障がいという言葉をお聞きしたことがあるでしょうか。 強度行動障がいというのは、自傷、他害、こだわり、もの壊し、睡眠の乱れ、異食、多動など、本人や周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態をいいます。 人によって強度行動障がいを起こす年齢は異なっています。しかし、思春期以降に強いこだわりや自傷行為、他傷、破壊行動などの行動が激しくなると言われています。 この強度行動障がいの支援に関しては、厚生労働省において、昨年十月から本年三月にかけて、計八回にわたり強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会が開催され、強度行動障がいのある方やその家族が地域で安心して暮らしていけるようにするための支援体制についての議論がされたところです。 この検討会の議論を踏まえ、本年三月には、強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会報告書が取りまとめられておりますので、簡単に概要を御紹介します。 強度行動障がいを有する者の状況として、障がい福祉サービス・障がい児支援において、強度行動障がいの関連の支援や加算の対象となっている人数は、全国で令和三年十月時点でのべ六万八千九百六人となっています。 強度行動障がいに係る支援人材、支援ニーズの把握と相談・調整機能、日常的な支援体制、状態が悪化した場合の集中的支援、子供期からの予防的支援、医療との連携体制といった各論についての整理をするとともに、地域における支援体制の在り方の全体像を示し、その構築に向けた今後の道筋が示されました。 強度行動障がいがある方と、その家族への支援の体制づくりについては、支援人材の育成や報酬上の評価などは講じられてきたものの、各地域、各支援者の個別の取組に委ねられた部分が大きかったが、本報告書を踏まえて全国の自治体において、地域の実情に応じて行政、様々な事業者、関係機関、支援者が同じ方向性を持って個別の支援や地域の支援体制の構築を進め、困難を抱える当事者やその家族に適切な支援が確実に届くようにすることが期待されています。 この報告を受けて、今後国において、強度行動障がいのある方への支援体制の整備が進められていくものと思われますが、障がい福祉の観点からの支援は言うまでもなく、教育や医療との連携といった観点からの支援も必要不可欠であり、強度行動障がい支援の難しさがかいま見られる内容となっております。 ここで私の知っているお子さん、A君のお話をさせていただきます。 私がA君と出会ったのは今から九年前、彼が小学校四年生のときでした。A君は出生後すぐに脳性麻痺と診断され、右半身に麻痺が残っているためうまく歩くことができません。飛びはねて移動しています。歩くことがままならないため、なかなか皆さんと一緒の行動をすることはできませんが、お手製のハンモックなどに乗せてあげると、屈託のない笑顔を見せてくれるとても素敵なお子さんです。また、右手も不自由なため食事の介助が必要であり、言葉も発することができませんが表情が豊かで、顔を見れば今機嫌がいいのか悪いのかが分かります。 A君は地元の小学校、中学校に通学しながら、放課後等デイサービスを利用しています。A君以外にも多くの子供たちが放課後等デイサービスを利用していますが、A君に関してはルールなどを決めることなく、普通に活動や生活を行っています。 A君の利用している放課後等デイサービスでは、様々な課外活動や作品制作を行っており、こうした作品を壁にも飾っています。しかし、歩行が困難で手の動きも悪いA君は、作品に興味を持ち手に取ろうとしても、力加減が分からないせいか、時にほかの利用者さんの子の作品を破いてしまうこともあります。 作品を作った子にとっては、自分の大切な作品が目の前で破られてしまったことは相当ショックなことであり、A君とけんかになってしまわないかと私ははらはらとして見ていましたが、その子もA君に悪意がないことは承知しているので事なきを得ました。このように子供たちは子供たちの中でのルールがあり、子供たちの社会が成り立っているのだなあと改めて感じました。 さて、そんなA君も現在は特別支援学校の高校三年生となり、不自由に歩きながら今では活発に動くため、放課後等デイサービスの支援員の方もついていくのがやっとの状況となっております。感情もますます豊かになり多くのことに興味を示す反面、言葉でうまく表現することができないせいか動く左手で自分をたたいたり、支援員への意思表示をするため、時には壁をたたいたりするほか、機嫌が悪いときには壁や家具をかじり、支援員の方の腕や体にかみついたりしてしまうこともあるようです。彼にとって、こうした行為は意思表示であり、全く悪意はありませんが、一般的にこういった症状は、先ほど説明しました強度行動障がいと捉えられるものと思われます。 先日、このA君のお母さんとお話をする機会がありました。お母さんもふだんからとても明るい方なのですが、次のようなお話をされておりました。今まで、子供が強度行動障がいと判定されたことはないが、親の目から見て我が子は強度行動障がいであると思っている。今は、昼間は特別支援学校の高等部に通い、夕方は放課後等デイサービスでサービスが受けられるが、十八歳になると放課後等デイサービスには行けなくなってしまう。弟や妹もいるので、この先の生活が不安である。また、今は日中は特別支援学校でA君を見てくれるが、学校卒業後、在宅で見てくれる人がいないとなると、自分自身も仕事が続けられるか不安である。いろいろな施設に入所や短期入所の利用の相談に行くが、現在は利用者がいっぱいで空きがないと言われて断られている。 何より、今まで学校生活を送っていた十二年間は、家族にとっても本人にとってもよい時間で、本人のことをよく知っている先生に見守られていたが、卒業後施設への入所や短期入所という話になると、本人も施設の人もこれからの関係性を築いていく必要があり、現段階では不安である。そんな中でも、現在、一番相談に乗ってくれ親身になって相談できるのが特別支援学校の先生であり、大変助かっているという感謝の言葉をいただきました。 一方、障がいのある方を受け入れる施設の方からは、強度行動障がいの方を受け入れるには人材が不足している。ここでいう人材とは、単純に支援を行う人が足りていないだけではなく、支援を行うスキルを持った人材がいない状況である。現在、目の前の利用者さんの支援を行うことで手いっぱいである状況であり、強度行動障がいの研修を受けるのがやっとな状況である。 強度行動障がいは、本人が受ける過度なストレスやトラウマが引き金となって生じる二次障がいであるという考え方もあり、その原因となる問題を取り除くには、研修ではなく、困ったときにいつでも的確なアドバイスがいただける伴走型の支援がいただきたい。 令和四年度に、ひまわりの丘「いきいき・すまいるフロア」が開設されたところであり、強度行動障がいのある利用者が安心して生活できるように配慮された施設となっており、また強度行動障がいに対応できる専門性の高い人材が配置されており、こうしたすばらしい施設や専門人材を各圏域に配置してもらい、各施設に定期的に巡回指導を行っていただくことで支援員のスキルアップにもつながり、支援員が気軽に相談できる環境を県に整備をしてほしいと意見を伺っております。 支援する側、支援される側でそれぞれのお立場、御意見があると思いますが、国・県・市町村といった行政機関において、強度行動障がいのある方御本人とその家族が安心して暮らせることができる社会づくりを推進していただきたいと考えます。 県では、強度行動障がい支援人材育成のため、強度行動障がい支援者養成研修などを実施していると伺っていますが、座学の研修の受講だけでは、なかなか強度行動障がいのある方を支援するためのスキルまで身につけることは困難だと思われます。 先ほど御紹介したひまわりの丘のような拠点となる施設がありますが、各圏域において、そのような専門性の高い人材の配置を希望しても、障がい福祉施設や、そこで働く障がい福祉人材の地域バランスにも偏りがあることから、県全体での人材確保・人材育成のほか、地域における支援体制の整備のための取組が必要と考えます。 さらに、強度行動障がいのある方や、その御家族が安心して施設を御利用いただくために施設整備が必要であり、これに対する補助制度の拡充も必要と考えられます。 そこで
健康福祉部長にお尋ねします。 現在、国において、強度行動障がいのある方や、その家族が安心して暮らしていけるようにするための地域の支援体制について検討されているところですが、県における強度行動障がいの支援の現状と、今後県としてどのような支援体制の構築に取り組んでいくお考えかお聞きします。 今回は、脱炭素社会実現に向けた森林整備の推進についてと、強度行動障がいのある方への支援についての二点について質問させていただきました。それぞれ森林整備と障がい福祉という全く別の分野の質問ではございますが、いずれの質問も持続可能な地域づくりに資するものであり、将来世代を見据えた質問となっておりますので、前向きな答弁を期待し、私からの質問は終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田中勝士君) 林政部長 久松一男君。 〔林政部長 久松一男君登壇〕
◎林政部長(久松一男君) 脱炭素社会の実現に向けた森林整備の推進についてお答えします。 昨年六月に、森林所有者や伐採事業者、造林事業者が守るべき主伐・再造林に関するガイドラインを作成しました。これに基づいて、三者が協定を結び実施する主伐後の再造林に対し、市町村と連携して補助率のかさ上げを行うなど、再造林に対する指導と支援を強化いたしました。 この結果、令和四年度の再造林実績は、前年度から四割増の百六十七ヘクタールに拡大をしております。 今後は、森林経営計画を認定している二十八市町村のうち、かさ上げ支援を実施していない十市町村について、同様の取組が実施できるよう働きかけてまいります。 一方で造林事業者が確保できず、再造林が進まない地域が見られます。こうした地域では、造林事業者と伐採事業者の連携を進める事業調整会議を市町村と共に設置し、再造林の実施を促してまいります。 また、新たに造林事業に取り組む事業者の起業を支援し、造林事業の担い手の確保に取り組んでまいります。
○副議長(田中勝士君)
健康福祉部長 堀 裕行君。 〔
健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎
健康福祉部長(堀裕行君) 強度行動障がいのある方への支援についてお答えします。 強度行動障がいのある方への支援については、適切な支援が行える人材の育成と、地域での生活を支える体制の整備が必要です。 県では、平成二十六年度以降、約一千五百名の施設職員等に研修を実施したほか、この分野の支援に重点的に取り組む関市に所在するひまわりの丘の職員を国の先進施設へ研修派遣し、行動障がいを軽減できる高度な支援を行う人材の育成を進めています。 また、地域での生活を支えるため、ひまわりの丘に緊急時の短期入所用の空床一床を確保しているほか、病院と福祉施設が連携し、入院時と退院後の在宅生活を一体的に支援する体制を平成二十七年度に中濃圏域に、今年度、西濃圏域に整備しました。 このほか福祉、医療、行政の関係機関が連携した支援体制の構築に向け、昨年度から西濃圏域をモデルに多職種による支援の在り方を検討する会議を開催し、議論を重ねております。今後も国の動向を注視しながら、強度行動障がいのある方に対する支援を進めてまいります。……………………………………………………………………………………………
○副議長(田中勝士君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は、午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。
△午後三時三十分散会 ……………………………………………………………………………………………...