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  1. 岐阜県議会 2023-03-01
    03月08日-02号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    令和 5年  3月 定例会(第1回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第二号)                   令和五年三月八日(水)午前十時開議 第一 議第一号から議第五十号まで 第二 請願第四十二号及び請願第四十三号 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第一号から議第五十号まで 一 日程第二 請願第四十二号及び請願第四十三号 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十六人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   森 益基君      六番   小川祐輝君      七番   平野祐也君      八番   所 竜也君      九番   今井政嘉君      十番   藤本恵司君     十一番   安井 忠君     十二番   中川裕子君     十三番   伊藤英生君     十四番   澄川寿之君     十五番   水野吉近君     十六番   恩田佳幸君     十七番   若井敦子君     十八番   広瀬 修君     十九番   布俣正也君     二十番   国枝慎太郎君    二十一番   長屋光征君    二十二番   高殿 尚君    二十三番   田中勝士君    二十四番   加藤大博君    二十五番   林 幸広君    二十六番   高木貴行君    二十七番   野村美穂君    二十八番   川上哲也君    二十九番   山本勝敏君     三十番   松岡正人君    三十一番   小原 尚君    三十二番   水野正敏君    三十三番   野島征夫君    三十四番   伊藤秀光君    三十五番   平岩正光君    三十六番   佐藤武彦君    三十七番   松村多美夫君    三十八番   渡辺嘉山君    三十九番   伊藤正博君     四十番   森 正弘君    四十一番   小川恒雄君    四十三番   村下貴夫君    四十四番   尾藤義昭君    四十五番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         山口義樹 総務課長         高野朋治 議事調査課長       古田幹雄 議事調査課管理調整監   桂川義彦 同   課長補佐     大野享子 同   課長補佐     槙田朝之 同   課長補佐     西 直人 同   課長補佐     久富英材 同   係長       市橋ますみ 同   主査       水野 恵 同   主査       水谷昭之…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          大森康宏君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        北川幹根君 総務部長         尾鼻 智君 清流の国推進部長     長尾安博君 危機管理部長       内木 禎君 環境生活部長       渡辺正信君 健康福祉部長       堀 裕行君 商工労働部長       崎浦良典君 農政部長         雨宮功治君 林政部長         高井峰好君 県土整備部長       大野真義君 都市建築部長       野崎眞司君 都市公園整備局長     舟久保 敏君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        加藤伸宏君…………………………………………………………………………………………… △三月八日午前十時開議 ○議長(平岩正光君) ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。    (書記朗読) 請願書の受理について 請願第四十二号 長良川河口堰の運用見直しとゲートの試験的開放の議決を求める請願ほか一件の請願書を受理しました。 監査結果等の報告の提出について 監査委員から、お手元に配付のとおり、令和五年二月二十八日付をもって、地方自治法第百九十九条第九項の規定により、定期監査、随時監査及び財政援助団体等監査の結果について、並びに地方自治法第二百三十五条の二第三項の規定により、例月出納検査の結果に関する報告の提出がありました。以上であります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。三十三番 野島征夫君。    〔三十三番 野島征夫君登壇〕(拍手) ◆三十三番(野島征夫君) 皆様、おはようございます。 朝早く起きて、郡上のかいわいを静かに眺めてみると、長い冬のとばりから解かれて、ようやくうららかな暖かい春の日差しを感じます。 質問に入る前に、さきに発生したトルコ・シリア大地震により、甚大な被害を受けられた被災地・被災者の皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い復旧・復興を心から願うものであります。 また、新装なった議場で、本日から三日間、一般質問が行われるわけですが、私ごとき者が最初に登壇、質問できることを大変光栄に存じております。 それでは、議長より発言のお許しをいただきましたので、県政自民クラブを代表して大きく五分割、十三項目について、通告に従いまして順次質問させていただきますのでよろしくお願いをいたします。 初めに、今後の行財政運営として三点お伺いいたします。 まず、次期「清流の国ぎふ」創生総合戦略のスタートとなる新年度当初予算案の狙いと、その実現に向けた具体的な取組についてお伺いいたします。 本年一月四日に新県庁舎が開庁。県産のタイルや木材、石材、美濃和紙などの県産品や県産材がふんだんに使われ、「清流の国ぎふ」のショーウインドーと言われるにふさわしい庁舎だと思います。 庁舎一階には五百人を収容できるミナモホールを備え、二十階の展望フロアの清流ロビーからは岐阜県の景色を三百六十度見渡すことができます。このすばらしい新県庁舎を見学するため、連日多くの県民が訪れています。これは旧県庁舎では見られなかった光景であり、古田知事の基本姿勢である、「県民の皆様とともに進める県政」を体現しているとも言えるのではないでしょうか。 また、快適な環境の中で職員の方々が生き生きとして執務をされている姿も見受けられます。まさに、知事さんがおっしゃった「新しい酒は新しい革袋に盛れ」のとおりであります。革袋は新県庁舎、新しい酒は職員の皆様だと思います。心機一転、新しい気持ち、新しい考え方で県民の期待に応えていただきたいと思います。 新年度は新県庁舎を拠点とした県政の初年度であるとともに、「幸せと確かな暮らしのあるふるさと岐阜県をともに目指して」をテーマに掲げる次期「清流の国ぎふ」創生総合戦略の初年度でもあり、どのような新しい県政が展開されるのか、県民の期待は今まで以上に高まっています。 このような中、新年度当初予算案は、社会経済の回復・再生・転換と人口減少社会からの脱却という二つの政策課題に重点を置いて編成されています。 三年にわたる新型コロナウイルス感染症との闘いは、私たちの暮らしや働き方に大きな変化をもたらしました。また、ロシアによるウクライナ侵略は、エネルギーや食料の安定供給に関するリスクを顕在化させるなど様々な課題を浮き彫りにしました。長引くコロナ禍と物価高騰により県内経済は打撃を受け、県内企業の多くはいまだ再生の途上にあります。 待ったなしの課題である気候変動問題は深刻さを増しています。 こうした状況の中、令和三年の本県の出生数、婚姻件数は戦後最少となるとともに、近年は女性の転出超過が顕著となるなど、人口減少や少子高齢化についても一段と厳しい状況となっています。 新年度予算では、このように山積する課題の解決に道筋をつけ、県民の命や暮らしを守り抜くとともに、未来を切り開く取組を進めていただきたいと思います。 そこで、知事さんにお伺いいたします。 次期「清流の国ぎふ」創生総合戦略のスタートとなる新年度の当初予算案の狙いとその実現に向け、具体的にどのような取組を展開していかれるのかお伺いいたします。 次に、今後の財政運営についてお伺いいたします。 現在、通常国会に提出されている令和五年度の地方財政計画では、次のようになっています。 一般財源総額は、今年度を一兆二千億円上回る六十五兆一千億円が確保されています。その内訳は、企業業績の回復を背景に、地方税等が今年度と比べ一兆六千億円増額の四十五兆五千億円とされ、地方交付税も三千億円増額の十八兆四千億円が確保され、五年連続の増加となっています。また、赤字地方債である臨時財政対策債は、過去最低の一兆円に圧縮され、財政の健全化が図られました。 一方、本県の財政に目を向けると、経常収支比率、これは財政構造の弾力性を示す指標で、人件費や扶助費などの経常的な経費に地方税などの経常的な収入がどの程度充当されているのかの比率ですが、この指標は以前より改善してきているものの、現在見直しが進められている岐阜県行財政改革指針では、政府の成長実現ケースを前提としても、毎年度百億円程度の財源不足が生じる見通しとなっています。 また、昨年十二月に日銀が金融政策を一部修正し、長期金利が上がった影響で県債の表面利率が上昇しており、新規に発行する県債の利払い費が増加することになります。今後、金利の上昇が続けば、財政の悪化につながります。 そこで、総務部長さんにお伺いいたします。 県の予算編成の前提となる一般財源総額の歳入見通しに関して、新年度の県税収入と地方交付税の交付額をどのように見込み、臨時財政対策債を含めた一般財源総額はどの程度確保できる見通しでしょうか。また、令和六年度以降の本県の財政見通しについてどのようにお考えかお伺いをいたします。 次に、観光国際部設置の狙いと今後の施策展開についてお伺いいたします。 新年度の県組織の見直しにおいて、大きな目玉は観光国際局を昇格させ、実に九年ぶりの新たな部として観光国際部を設置することであると受け止めております。 本県の観光は、言うまでもなく、知事さんが旗振り役となり、飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクトをはじめとして、国内外で戦略的な誘客プロモーションを展開していただいた結果、全国的にも大きな成果を上げています。 しかし、令和二年以降は、新型コロナの影響により県内の観光産業は大打撃を受け、インバウンド需要も含め壊滅的な非常に厳しい状況が続いてきました。そうした中で、昨年十月には水際対策が大幅に緩和され、インバウンドが本格的に再開するとともに、全国旅行支援等の観光需要喚起策により、やっと回復の兆しが見えてきたところであります。 また、知事さんが平成二十七年に関ケ原古戦場グランドデザインを策定し、強力に推進してこられた関ケ原観光においては、令和二年十月にその拠点となる岐阜関ケ原古戦場記念館が完成し、コロナ禍にもかかわらず二年ほどで二十万人の来場を達成するなど、厳しい状況の中でも着実に成果を上げられておみえになります。 観光産業は裾野の広い産業であることから、傷んだ経済の再生に向けて、観光産業の復活が私も最重要施策であると考えており、まさに新年度は観光施策を強力に推し進める年となると思います。 また、本県の国際交流に目を向けると、これまで県では杉原千畝氏を縁とするリトアニアをはじめ、フランス、モロッコ、ベトナムなど、こちらも知事さんが旗振り役となり国際交流の輪を着実に広げてこられました。そして、昨年十月には、国内外の県人会が一つとなり、岐阜県人会インターナショナル、通称GKIによる第一回岐阜県人世界大会が開催されたところであります。こうした歩みを止めることなく、さらに国際交流の輪を広げていっていただきたいと思います。 折しも、今年は中国江西省友好提携三十五周年、ブラジル県人会など南米県人会創立記念を迎える節目の年であるなど、コロナ禍で思うように交流ができなかった国際交流の再出発元年にふさわしい年であります。 そこで、観光国際局を観光国際部に昇格した狙いと観光国際部において今後どのように取り組んでいかれるのか、知事さんにお伺いいたします。 ここで、一回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 二点お尋ねがございました。 まず、次期「清流の国ぎふ」創生総合戦略と新年度当初予算案の狙いという点でございます。 この次期「清流の国ぎふ」創生総合戦略につきましては、孤独・孤立などのコロナ禍で顕在化した課題や、DX、SDGs、脱炭素などのアフターコロナを見据えた新たな潮流への対応を主眼に改定してまいりました。また、かねてから県政の課題の基軸に据えている人口減少、少子高齢化についても、一段と対策を強化していくとしております。 この新たな戦略を踏まえて、新年度の当初予算案では、とりわけコロナ禍にあって大きな痛手を被った社会経済の回復・再生・転換を一つ目の重点課題としております。 具体的には、まず第一に、コロナ禍・物価高騰等からの本格回復・再生として、事業転換等に取り組む小規模事業者への支援や、商社と連携した農畜水産物の海外市場の開拓など、再生に取り組む事業者を支援してまいります。 また、インバウンドのV字回復に向け、サステーナブル・ツーリズムを牽引する観光プログラムを岐阜未来遺産として認定し、受入れ環境の改善を支援するほか、海外重点市場の現地旅行会社と連携した誘客プロモーションを徹底展開いたします。 第二に、社会経済構造の転換として、産学金官でスタートアップを支援するコンソーシアムを創設するとともに、新たな事業化支援の拡充などを進めます。また、新たに岐阜県DX推進コンソーシアム(仮称)を設置し、県内企業へのDX支援を強化するほか、脱炭素社会ぎふの実現に向けても、本県独自の森林吸収クレジット制度「G-クレジット(仮称)」を創設するなど取組を進めてまいります。 第三に、幸せと豊かさの実現ということで、特に来年秋の「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」、いわゆる国民文化祭でありますが、これに向けて清流文化の創造を目指して県民運動を進めてまいります。 また、新たに不登校等児童・生徒の学習・相談支援を行う校内教育支援センターの設置、障がい者への農業体験講座、社会人のデジタル知識の習得や学び直しへの支援など、様々な社会的支援を進めてまいります。 第四に、安全・安心・強靱な地域づくりとして、次なる感染症危機に備えて、法に基づく連携協議会の設置や医療機関用の衛生資材の備蓄を行うほか、女性の視点を踏まえたモデル的な避難所運営への支援にも取り組んでまいります。 二つ目の重点課題は、人口減少社会からの脱却であります。 初めに、自然増に向けた取組では、まず出会いから子育てまでライフステージに応じた支援の強化を図ってまいります。 具体的には、結婚を希望する男女の交流会の開催、不妊治療費の保険適用後の自己負担分の支援、第二子以降の出生児に対する十万円の祝い金支給を実施いたします。さらに、中学三年生に対する高校進学等の準備金を支給するほか、県外大学等に進学した学生に対するUターン奨学金を倍増いたします。加えて、女性の活躍と子育て環境の整備を一段と進めるため、スタートアップ支援制度における女性起業家への補助率引上げのほか、ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定拡大などを実施してまいります。 次に、社会増に向けた取組では、三大都市圏の移住交流拠点などでの本県の魅力発信を行うほか、サテライトオフィスで進出してきた企業の県内定着に向け、地元企業との連携支援などに取り組みます。 また、県内小・中学校の新規採用教員に対する奨学金返還支援制度を創設するほか、東京圏からの移住支援金の拡充など、県内就職と移住定住についても積極的に支援・促進してまいります。 こうした重点課題に積極的に対応する一方で、持続可能な財政運営に向けても十分に意を用いたところであります。特に、新県庁舎の建設終了などを踏まえて、適正規模の県債発行に努めたことにより、来年度予算における県債依存度を七・二%まで減少させることができました。また、事業見直しの徹底や国の交付金の積極的活用など、歳入歳出両面にわたって節度ある財政運営に取り組んだところであります。 他方で、向こう十年間の財政見通しでは、公債費が毎年度十億円から四十億円、社会保障関係経費が毎年度十億円から三十億円増加するなど、構造的・不可避的な歳出増が見込まれております。このため、今月末に策定する行財政改革指針二〇二三を踏まえて、引き続き財政の健全化に配慮した財政運営を行ってまいります。 次に、観光国際部設置の狙いと今後の施策展開でございます。 私自身、知事就任以来、観光国際政策には一貫して力を注ぎ、国の内外に向けて様々なプロジェクトを展開し、観光産業の基幹産業化を目指してまいりました。しかし、新型コロナウイルスの影響、特にインバウンドの消滅により観光産業は深刻な打撃を受けております。言うまでもなく、観光産業は裾野の広い産業であり、その早期回復と持続的な発展が急務であります。このためには、まず国内外からの安定的な観光需要を着実に確保していくこと、さらに今後の東海環状自動車道の全線開通、リニア中央新幹線の開業、大阪・関西万博の開催などを見据えたさらなる戦略が欠かせません。 こうした観点から、観光国際政策に全力を挙げるべく、観光国際局を部に格上げし、県政史上初となる観光を冠とする観光国際部を設置いたしたいと思います。そして、短期的には観光産業のV字回復、中長期的には世界に選ばれる持続可能な観光地域づくり、さらには未来につなぐ国際交流の実現に向け取組を加速してまいります。 まず第一に、観光産業のV字回復に向けましては、まずはインバウンドにおいて止まった時計を再始動させます。そして、本県の外国人延べ宿泊者数を五年後の令和九年には過去最高の百六十六万人、これは令和元年の数字でありますが、これを超える二百万人の達成を目指してまいりたいと思います。 このため、豊かな自然、伝統文化、たくみの技への関心が高い欧州、アメリカ、豪州を中心に、現地メディアと連携して本県のサステーナブル・ツーリズム、持続可能な観光の魅力を広く発信してまいります。 また、コロナ前から本県への観光客が多いアジア市場を中心に、リマインド・セールスとして、現地旅行会社と連携した旅行商品を集中造成するなど、着実な回復につなげてまいりたいと思います。 あわせて、国内向けには、全国旅行支援に続く平日誘客推進キャンペーン、電子観光クーポン「ぎふ旅コイン」を活用した県内周遊観光を推進し、その利用データを分析・活用することにより持続安定的な観光需要を創出してまいります。 第二に、世界に選ばれる持続可能な観光地域づくりとして、本県のサステーナブル・ツーリズムを牽引する岐阜未来遺産の初となる認定を行ってまいります。そして、認定地域のさらなる受入れ環境の改善とともに、認定を目指す県内各地の取組を積極的に支援してまいります。 また、関ケ原古戦場を核とした取組では、岐阜関ケ原古戦場記念館での企画展や関ケ原研究、県内市町や隣接県等との共同PRなど、戦国・武将観光を推進するとともに、世界三大古戦場と連携した国際平和の発信などにも進めてまいります。 第三に、未来につなぐ国際交流として、これまで関係を築いてきたフランス、リトアニア、モロッコ、ハンガリー、ベトナムなどとの交流を深化させるとともに、東京オリンピックを契機に交流が始まったポーランドのシロンスク県と新たな覚書を締結するなど、さらなる交流の拡大にも注力してまいります。 そして、来年開催する「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」において、例えばポーランドの国立民族合唱舞踊団に参加いただき、演舞を披露いただくなど、国際交流の成果を文化祭につなげていきたいと考えております。 ○議長(平岩正光君) 総務部長 尾鼻 智君。    〔総務部長 尾鼻 智君登壇〕 ◎総務部長(尾鼻智君) 新年度の一般財源総額の見通し、令和六年度以降の財政見通しについてお答えいたします。 まず、一般財源総額の見通しについてです。 税収については、雇用・所得環境の改善や全国の企業収益増などを考慮し、百八十三億円の増としております。 次に、地方交付税については、地方財政計画で増額される一方で、過去の税収増の精算による減少を見込む必要があり、七億円の減としております。また、臨時財政対策債は、地方財政計画などを踏まえて、六十九億円の減としております。 これらの結果、来年度の一般財源総額につきましては、今年度から百九億円増となる六千五十八億円を計上しております。 次に、令和六年度以降の財政見通しについてです。 これに関しては、行財政改革指針二〇二三に向こう十年間の財政見通しを示しておりますが、社会保障関係経費や公債費等の増額の影響により、成長実現ケースにおいても毎年度百億円程度の財源不足が生じる試算であり、ベースラインケースでは、十年後にはその額が二百五十億円程度に膨らむ見込みです。また、実質公債費比率については、現在の全国平均である一〇%程度の水準となる見込みです。 今後も、国に対し十分な地方一般財源の確保を求めつつ、県としても、財政の健全性の確保に向けて不断の努力を続けてまいります。 ○議長(平岩正光君) 三十三番 野島征夫君。    〔三十三番 野島征夫君登壇〕 ◆三十三番(野島征夫君) 次に、大きく二項目め、地域にあふれる魅力と活力づくりとして、三点お伺いいたします。 まず、ユネスコ無形文化遺産に登録された郡上踊と寒水の掛踊をはじめとした地域の伝統文化の継承・活用に向けた今後の展開についてお伺いいたします。 昨年十一月三十日、私の地元、郡上市の郡上踊と寒水の掛踊を含む全国二十四都府県、四十二市町村の風流踊四十一件がユネスコ無形文化遺産へ登録されました。 本県での関係では、本美濃紙を含む「和紙・日本の手漉和紙技術」、そして「高山祭の屋台行事」「古川祭の起し太鼓・屋台行事」「大垣祭の●〔車へんに山〕行事」をはじめとした「山・鉾・屋台行事」に続いて三件目の登録となります。 風流踊とは、盆踊りや太鼓踊りなど、各地の歴史や風土に応じて様々な形で伝承されてきた民俗芸能であります。郡上踊は四百年以上の歴史を誇り、毎年七月中旬から九月中旬にかけて、延べ三十夜にわたって郡上八幡市街地で開催される盆踊りです。特に八月十三日から十六日のうら盆会の徹夜踊りは人気が高く、郡上市内だけでなく全国から集まった踊り好きで盛況を極め、夜八時から翌朝四時、五時まで踊り明かします。 また、寒水の掛踊は、郡上市寒水に三百年以上伝承される太鼓踊りで、毎年九月第二土曜・日曜日の寒水白山神社例祭で奉納されます。シナイという花飾りを背負った拍子打ちをはじめ、悪魔払や露払など、総勢百二十人を超える役者を寒水の人々が総出で務めます。今回の登録の報を受け取り、地元は歓喜に包まれ、現在もその高揚が続いています。 一方で、少子高齢化に伴い、二つの踊りとも担い手不足が深刻化しています。言うまでもなく、本県は二つの踊りだけでなく、祭りや踊り、地芝居など地域に根差した有形・無形の文化にあふれていますが、多くの地域で担い手不足が進行しており、後継者の確保が重い課題となっています。 地域の伝統文化は、先人たちの暮らしの中で生まれ、育まれ、大切に受け継がれてきた郷土の宝です。そして住民同士の交流を深め、にぎわいを生む大切な役割を担っています。その宝を守り、育て、未来へ引き継いでいくことは今を生きる私たちの責務であり、その責務を果たすためにも、次世代の伝統文化を担う人づくりを進めていただきたいと思います。 また、郡上踊と寒水の掛踊のユネスコ無形文化遺産への登録を受けて、この夏には観光客が大幅に増加することが予想されており、地元では受入れ準備を進めています。 昨年十月の全国旅行支援の開始や水際対策の大幅緩和を受けて、現在、コロナ前の水準まで観光客が戻りつつあり、今後、観光需要のさらなる増加が見込まれています。 また、旅行スタイルの変化から、その地域ならではの文化体験等への関心が高まっています。 こうした状況の中、数多い本県の地域の伝統文化を将来に継承するためにも、地域の伝統文化を観光誘客に活用し、文化振興だけでなく、地域の観光振興にもつなげていただきたいと思います。 そこで、知事さんにお伺いいたします。 ユネスコ無形文化遺産に登録された郡上踊と寒水の掛踊をはじめとした地域の宝である伝統文化をどのように未来に継承していかれるのか。あわせて、今後、その魅力を国内はもとより世界に発信するなど、観光誘客のさらなる拡大に向けどのように活用していかれるのかお伺いいたします。 次に、「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」及び「清流の国ぎふ総文二〇二四」の開催に向けた準備状況と今後の取組についてお伺いいたします。 本県は、三千メートル級の山々が連なる北アルプスや、木曽川、長良川、揖斐川が流れる濃尾平野など、変化に富んだ地形や気候を有しています。また、古来より東西の文化が交わる場所です。その厳しくも豊かで美しい自然や長い歴史の中で、祭りや行事、伝統芸能、文学、町並み、食、産業など多彩な文化を育んできました。 こうした本県において、来年、令和六年十月から十一月にかけて約四十日間「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」が開催されます。「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」は、第三十九回国民文化祭と第二十四回全国障害者芸術・文化祭の統一名称で、各種の文化活動を全国規模で発表・共演・交流する祭典であります。 また、同じ年の七月三十一日から八月五日までの六日間、「清流の国ぎふ総文二〇二四」が開催されます。「清流の国ぎふ総文二〇二四」は、第四十八回全国高等学校総合文化祭の愛称で、全国の高校生による国内最大規模の芸術文化活動の発表の場、全国からは約二万人の高校生に加え、海外の高校生も参加するとのことであります。 大会基本方針では、「愛する」「つなげる」「伝える」の三つをキーワードに、好きなことに思い切り打ち込み、文化を通じてつながることに喜びを感じ、文化の魅力を次世代や世界に伝える大会を目指すとされています。 両大会は、多様な文化を有する本県の特色を生かし、世代の違い、地域の違い、国籍の違い、障がいの有無にかかわらず、多くの県民が文化活動に参加し、県内外の人々と交流し、楽しむことのできる県民総参加の大会にしていただきたいと思うわけであります。 そしてその中で、本県の魅力を県内外に発信するとともに、今後の文化活動の原動力となるような大会にしていただきたいと思います。 そこで、「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」及び「清流の国ぎふ総文二〇二四」をどのような大会にしていかれるのか。また、大会開催に向けたこれまでの準備状況と今後の取組について、知事さんの御所見をお伺いいたします。 次に、デジタルトランスフォーメーションに向けた取組状況と今後の展開についてお伺いいたします。 デジタルトランスフォーメーション、略してDXは、人口減少、少子高齢化、地域経済の活性化、教育の質の維持・向上、適切な医療水準の確保など、地方が抱える様々な課題を解決する鍵になることが期待されています。 国では、新しい資本主義の重要な柱の一つとしてデジタル田園都市国家構想を掲げ、テレワークや遠隔教育・遠隔医療など新たなデジタル技術の活用によって地域の個性を生かしながら地方の社会課題の解決や魅力向上を実現し、地方活性化の加速を図っています。 県では、昨年三月に岐阜県DX推進計画を策定。さらに、昨年四月にはDX推進の司令塔となるデジタル推進局を立ち上げ、「誰一人取り残されないデジタル社会である岐阜県」を基本理念に掲げ、「行政のデジタル化」「市町村行政のDX支援」「各分野のDX」の三本柱に沿って全庁横断的に各種施策を展開されているところであり、全ての県民がその恩恵を享受できる安全・安心なデジタル社会の早期の実現を期待しています。 そこで、知事さんにお伺いいたします。 誰一人取り残されないデジタル社会である岐阜県の実現に向けたデジタルトランスフォーメーションの推進について、これまでどのように取り組み、また今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。 ここで、二回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 三点お尋ねがございました。 まず、ユネスコ無形文化遺産に登録されました郡上踊と寒水の掛踊をはじめとした地域の伝統文化の継承・活用についてであります。 地元の皆様が長年にわたり大切に育んでこられました郡上踊と寒水の掛踊を含む風流踊がユネスコ無形文化遺産に登録されました。これは本県の伝統文化のすばらしさが世界に評価されたということであり、大変喜ばしいことであります。登録決定の連絡を受けたあの瞬間の感激は忘れることができません。 この郡上踊、寒水の掛踊はもちろん、白川郷の合掌造り、関の刀剣、東濃圏域の陶磁器など、県内には数多くの魅力豊かな伝統文化が育まれており、これらを後世に継承し、地域づくりにも活用することは極めて重要であると考えております。 これまでも、県では、本美濃紙の紙すき技術伝承のための担い手育成、高山祭・古川祭・大垣祭の屋台の維持、神社・仏閣など歴史的建造物や美術工芸品の修復など、幅広く支援を行ってまいりました。 また、地歌舞伎につきましても、ぎふ清流文化プラザにおける勢揃い公演などの発表機会の創出や子供たちの育成支援に取り組んでいるところでございます。 また、先日行われました郡上踊と寒水の掛踊の登録記念シンポジウムの場でも、ユネスコ無形文化遺産を有する県内六地域が抱える様々な課題について意見交換を行ったところでございます。 これらを踏まえて、新たに県内の保存会関係者や地元市町村による連絡会議を立ち上げてまいりたいというふうに考えております。さらに、地域で大切に守り、継承されてきた伝統文化を観光資源として活用することはサステーナブル・ツーリズムの観光誘客戦略としても大変有効でございます。 県としては、これまでも本美濃紙をはじめとするユネスコ無形文化遺産、地歌舞伎、中山道など、本県が世界に誇る観光資源の魅力を国内はもとより海外に向け積極的に発信してまいりました。今回の登録により、誘客効果が見込まれる郡上踊につきましても、郡上市と連携し、大都市圏へのPRキャラバン隊の派遣やメディアを活用した誘客プロモーションを展開してまいります。 加えて、国内外の旅行博においてPRするとともに、訪日旅行に影響力のある海外のインフルエンサーを招請してまいります。あわせて、開催期間以外にも郡上踊を楽しめるインバウンド向けの旅行商品を造成し、年間を通じた観光誘客の取組を進めてまいります。 次に、「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」及び「清流の国ぎふ総文二〇二四」の開催に向けた準備状況、今後の取組という点についてお尋ねがございました。 県民の文化・芸術活動は、長引くコロナ禍により様々な制約を受け、停滞を余儀なくされてきております。こうした困難な状況を経験したからこそ、人々に癒やしや安らぎ、そして明日への勇気を与える文化芸術のともしびを守り続けることが重要であると改めて認識したところでございます。 「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」及び「清流の国ぎふ総文二〇二四」は、アフターコロナ時代の新しい未来につながる大会を目指し、これまでの取組の積み重ねを基に、県民総参加による清流文化創造の集大成と言えるような大会にしてまいりたいと考えております。 まず、「「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四」でございますが、昨年七月に市町村のほか文化団体、観光、福祉、産業など様々な関係団体が参加の下、実行委員会を立ち上げ、オール岐阜による推進体制を整え、大会に向けての準備を開始いたしました。そして、日比野克彦県美術館長を委員長とした企画委員会を中心に、度重なる意見交換や検討を行い、三百を超える実施予定事業について整理・調整を図るとともに、開閉会式や県民運動についても議論を重ねてまいりました。 また、先月開催したPRイベントでは、県内公募作品千百三十点の中から決定したロゴマーク及び原画による公式ポスターをお披露目いたしました。 一方、高校生による「清流の国ぎふ総文二〇二四」におきましても、昨年六月に県実行委員会を立ち上げました。さらに、七月には公募による四十一名の高校生の生徒実行委員会が組織され、開会行事や広報活動の実施内容について議論してきております。 また、昨年十一月には来年度の開催県である鹿児島県で郡上踊を披露するなど、両県の交流を深めるとともに本県開催をPRいたしました。加えて、PRイベントにおける大会アピールや県高等学校総合文化祭及び県校長会での大会イメージソングの披露など、積極的な大会周知を図ってきたところでございます。 以上の準備状況に加えて、さらに来月からは県庁内に新たに文化祭推進事務局を設置いたします。そして、秋の一年前イベントを開催するとともに、来県者の輸送や宿泊などの大会運営面での準備も本格化させてまいります。 三番目に、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取組状況と今後の展開についてお尋ねがございました。 本県では、デジタル技術を活用して既存のルールや業務モデルを洗い直し、暮らし方、働き方、生き方を変革していくため、昨年度、誰一人取り残されないデジタル社会に向けた総合戦略となるDX推進計画を策定いたしました。そして、昨年四月にはデジタル推進局を設置し、七月には計画のアクションプランとなる百十三分野のプロジェクトを公表いたしました。 その後、今年一月の時点では、既にプロジェクトの九割を超える施策に着手しております。例えば、七月に設置した県内のDXのあらゆる取組をワンストップ支援するぎふDX支援センターでは、これまで六十件を支援してまいりました。その中で、新型コロナ患者の管理台帳システムの構築により逼迫する保健所の業務改善を実現するなど成果も出てきております。 また、生活に身近な分野においても、避難情報の発信、海洋ごみの削減に向けた意識醸成と行動喚起、スポーツ・健康づくりの促進などにデジタル技術を活用した新たなサービスを導入しております。 このように、県民の皆様に豊かで安心で便利なといったことを実感していただける取組を着実に進めていきたいと考えております。 続いて、来年度以降の取組の一端を御紹介しますと、企業の生産性向上や業務効率化を一段と促進するために、新たにDX推進コンソーシアムを設置いたします。その中で、共同研究や実証事業を支援するほか、十月から始まるインボイス制度にも対応した企業間取引のデジタル化を促進してまいります。 また、医師不足の僻地における診療機会の充実のため、僻地医療拠点病院等が行うオンライン診療を支援してまいります。さらには、公立高等学校の入学試験のウェブ出願をはじめ、行政と民間との契約に電子契約サービスを導入してまいります。 一方で、官民を問わず様々な場でデジタル人材の不足が喫緊の課題となっております。今後、一段とこれが深刻化することが指摘されております。 このため、これまでも専門分野ごとに研修等を行ってまいりましたが、さらに人材の裾野を広げていくため、ITの基礎的知識を証する国家資格であるITパスポートの取得を支援する講座を開設いたします。また、行政分野でも、オール県庁でのDX推進に向け、職位ごとに求められる知識・能力を明らかにした上で、それに対応したDX研修を大幅に充実するとともに、市町村職員も受講可能な研修を拡大してまいります。
    ○議長(平岩正光君) 三十三番 野島征夫君。    〔三十三番 野島征夫君登壇〕 ◆三十三番(野島征夫君) 次に、大きく三項目め、地域経済の活性化として五点お伺いいたします。 まず、次期「岐阜県成長・雇用戦略」の内容と具体的な取組についてお伺いいたします。 県は、平成二十六年に県経済の発展に向けて岐阜県成長・雇用戦略を策定し、これまで着実な取組を進めてこられました。その結果、令和元年の製造品出荷額等は五兆九千百四十三億円で、四年前に比べ一〇・一%増加、同じく令和元年の外国人の宿泊客数は過去最高の百六十六万人を記録するなど多大な成果を上げています。 しかし、その後、長引くコロナ禍により多くの県内企業は傷つき、そこへエネルギー価格や原材料価格の高騰が追い打ちをかけ、本県経済は大きな打撃を受けました。現在、社会経済活動の正常化が進んだことにより、県内経済は緩やかな持ち直しが続いていると言われていますが、中小企業が多い本県では、コスト上昇分を価格に転嫁できずに苦しんでいる企業がまだまだ多いと思われます。 また、製造業や観光業など、あらゆる業界で人手不足が深刻化しており、人材の確保・育成に向けた取組がますます求められています。さらに、デジタル化や脱炭素化、自動車の電動化、地方回帰の動きなど大きな社会・経済構造の変化に直面していますが、それらの変化を経済成長の好機に変える取組も重要であります。 こうした状況の中、今年度、県はコロナ禍で傷ついた県経済の再生から、時代や環境の変化に対応した持続可能な発展に向けて、今後五年間の本県経済振興の方向性を示した次期「岐阜県成長・雇用戦略」の策定に着手されました。 本年一月の企画経済委員会委員協議会では、新たな産業活力の創出やDX・GX推進加速化など六つの柱から成る次期戦略の骨子案が示されました。いずれも本県経済にとって重要な方向性だと思います。 全面的にアフターコロナの時代に突入する新年度、この六つの柱の下、積極的に施策を展開され、本県を本格的な経済回復に導き、そして新たな経済成長の軌道に乗せていただくことを期待しています。 そこで、知事さんにお伺いいたします。 次期「岐阜県成長・雇用戦略」の下、コロナ禍で傷ついた県経済の再生から持続的な発展を目指して、具体的にどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 次に、スタートアップ支援の強化についてお伺いいたします。 スタートアップとは、新しい技術や新しいアイデアを用いて新しい商品やサービスを提供することにより、短期間に急成長する新興企業のことです。そうした企業が地域に多数生まれ育つことは、地域経済に活力をもたらします。 国では、令和四年をスタートアップ創出元年と位置づけ、昨年末にスタートアップ育成五か年計画を策定。その計画の下、五年後にスタートアップへの投資額十倍増を目指し、優れたアイデア・技術を持つ若い人材に対する支援制度の拡大や研究開発型スタートアップへの支援策の拡大などに取り組み、戦後の創業期に次ぐ、日本の第二創業期の実現を目指しています。 今、世界は、社会のデジタル化、気候変動問題への対応や感染症対策など解決すべき多くの課題に直面しております。また、地方は過疎化や高齢化が進む中、農林水産業の後継者の育成・確保、医療や介護の確保・充実など様々な課題を抱えています。そうした社会的な課題を新しい技術やアイデアにより解決していくスタートアップを育成していくことは、本県経済の持続的な発展をしていくためには不可欠であります。 そのために、起業してみようとチャレンジされる方々を増やし、より多くのスタートアップが生まれるよう支援していくことや、そのスタートアップがより早く、より大きく成長していけるように意欲あるスタートアップを支援していくことが必要であります。 そこで、商工労働部長さんにお伺いいたします。 未来の岐阜県経済を牽引するような企業を生み出すため、スタートアップの支援に今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 次に、ぎふ農業・農村基本計画の中間見直しを踏まえた具体的な取組についてお伺いいたします。 今定例会に、本県の農業・農村振興に関する最上位計画であるぎふ農業・農村基本計画の変更について、県から議案が提出されています。 現行の計画は、令和三年度からの五か年計画で、基本理念に「「清流の国ぎふ」の未来を支える農業・農村づくり~安全・安心で魅力あふれる「食」と「ふるさと」を目指して」を掲げ、その実現に向けて、四つの基本方針として、ぎふ農業・農村を支える人材育成、安心で身近な「ぎふの食」づくり、岐阜農畜水産物のブランド展開及び地域資源を生かした農村づくり、そして重要テーマとして、中山間地域を守り育てる対策を設定し、各種施策を展開していただいています。中山間地域の住民の一人として、大変うれしく思います。 現行計画の中間見直しは、当初の予定より一年前倒しで行われており、見直し案では、新たな課題に対する取組の追加を中心に変更されています。 追加される取組の主なものは、第一に、国の食料安全保障対策の強化への対応、第二に、みどりの食料システム戦略を踏まえた対応、第三に、DX推進やライフスタイルの変化への対応などアフターコロナを踏まえた対応、第四に、農福連携の推進などの新たな課題・意見聴取を踏まえた対応とされています。 いずれも、食料の安定供給の確保、持続可能な農業の推進、農業分野のDXといった今後の農業・農村の振興にとって重要な方向性であり、着実に取組を進めていただきたいと考えています。 中でも、食料安全保障の強化とみどりの食料システムの取組推進については、国の食料・農業・農村基本法の見直しにおいても、食料の安定供給の確保、農業の持続的な発展の観点から主要なテーマとして議論されており、県としても令和五年度以降、重点的に取り組む必要があります。 また、本県の耕地面積の約半分を占める中山間地域では、人口減少や遊休農地の拡大が続いており、より一層力を入れていただきたいと思うわけであります。 そこで、農政部長さんにお伺いいたします。 ぎふ農業・農村基本計画の中間見直しを踏まえ、食料安全保障の強化や持続可能な農業への対応など、具体的な取組についてお伺いいたします。 次に、岐阜県木の国・山の国県産材利用促進条例に基づく非住宅建築物の木造化と低質木材の利用拡大に向けた取組についてお伺いいたします。 本県は県土の八割を森林が占め、森林率は全国二位であり、「岐阜は木の国 山の国」と岐阜県民の歌にも歌われている森林県であります。古来、その豊かな森林から生産される木材は県内外に供給され、地域経済の発展に重要な役割を果たしてまいりました。 さらに、木材は、建築物や木製品に利用することで長期にわたり炭素を貯蔵することが可能であるほか、森林から再生産が可能な資源であり、脱炭素社会の実現や循環型社会の形成に大きく寄与しております。 一方で、林業・農業の衰退等により山村地域は若者の流出が続いていることから、県産材の利用を一層促進し、山村地域の振興を図ることが急務であり、そのためには行政だけでなく、事業者に加え、県民一人一人の御理解と御協力が不可欠であります。 そのため、県では第四期岐阜県森林づくり基本計画に県産材利用を促進する条例の制定を位置づけ、岐阜県木の国・山の国県産材利用促進条例を昨年十二月二十日に制定されました。本年四月一日の条例施行に向け、県産材の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、現在、条例に基づき、県産材利用推進企画の策定が進められています。 パブリックコメント中の計画素案に目を通すと、県産材の利用について、建築物はもとより家具、木質バイオマス、土木工事の資材など多様な分野での利用拡大や、人材育成、県民、事業者の理解醸成などにオール岐阜体制で取り組んでいくものとされています。こうした施策をさらに前進させる事業の一つが非住宅建築物の木造化ではないでしょうか。 現在、私の地元、郡上市を鑑みると、一般住宅の多くは木造で建てられていますが、事務所や商業施設などの非住宅建築物の木造化の取組はあまり進んでいません。 また、大型製材工場の稼働により木材需要は増加しているものの、曲がり材や根株などの低質木材は森林内に放置され、利用が進んでいないのが現状であります。 そこで、林政部長さんにお伺いいたします。 本年四月一日から新たにスタートする岐阜県木の国・山の国県産材利用促進条例に基づき、県産材の利用を促進するため、特に非住宅建築物の木造化と低質木材の利用拡大に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 次に、森林空間を活用した森林サービス産業の育成についてお伺いいたします。 全国有数の森林県である本県は、山村地域の振興のため、県産材の利用促進とともに、その森林資源を活用して新たな価値を創造していくことが重要であります。新型コロナの感染拡大や人々の健康志向の高まりから、屋外活動への興味・関心が集まっており、私の地元、郡上市にも多くのキャンパーが押し寄せています。また、自然を生かした野外教育活動、サテライトオフィス、移住定住等も注目されています。 本県の森林は、都市部近郊の里山から飛騨地方の三千メートル級の山々まで多様で変化に富んでおり、その豊かな価値を有する森林空間を健康、観光、教育等の多様な分野で活用することで、山村地域に新たな雇用と収入を生み出す森林サービス産業の育成に取り組む必要があります。 そこで、県では、県内の森林サービス産業に関わろうとする民間事業者が中心となり、行政機関などと連携し、本県の大切な資源である森林空間を活用した産業の成立に向けた行動を起こすため、ぎふ森のある暮らし推進協議会を設立されました。本年一月二十七日に岐阜県庁舎ミナモホールで開催された設立総会には私も参加させていただきました。多くの関係者が出席されており、森林サービス産業への期待の高まりを実感いたしました。 そこで、林政部長さんにお伺いいたします。 本年一月二十七日のぎふ森のある暮らし推進協議会の設立などの動きを踏まえて、本県の資源である森林空間を活用した森林サービス産業育成に向け、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 ここで、三回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 次期「岐阜県成長・雇用戦略」の内容と取組についてお尋ねがございました。 この岐阜県成長・雇用戦略におきましては、新型コロナウイルス感染症の長期化、原油・原材料高による物価高騰等により疲弊した県経済の回復・再生に取り組むとともに、DXや脱炭素をはじめとする社会経済活動の変革に対応した持続可能な岐阜県経済の発展を目指しております。 そこで、タイトルを「岐阜県経済・雇用再生戦略」と改め、今後五年間、次の六つのプロジェクトを重点に取り組んでまいります。 まず、産業構造の変革に対応した新たな産業活力の創出でございます。 部品点数が従来のエンジン車から三分の二へと大きく減少し、大変革を迎える自動車産業の電動化に対応するため、EV市場への参入を目指す事業者向けの研究会やワークショップを実施いたします。 また、二〇四〇年に世界で約百二十兆円規模への拡大が見込まれる宇宙産業、国内市場規模が五年後には三倍の約八千億円と、大きな成長の可能性を秘めるドローン産業について調査研究、開発、海外市場への販路開拓を支援し、新規参入と事業拡大を図ります。 さらに、新たに、ぎふスタートアップ支援コンソーシアムを設立し、産学金官が一体となり支援する体制を構築してまいります。 二番目に、DX・GXの推進加速化でございます。 DX(デジタルトランスフォーメーション)につきましては、岐阜県DX推進コンソーシアムを設立し、AI技術や5Gなどを活用したより高度なDXへの挑戦を支援するなど取組を強化いたします。 また、GX(グリーントランスフォーメーション)につきましては、新たに自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入を支援するなど、再生可能エネルギーへの転換を一層加速化してまいります。 第三は、人材確保・雇用対策でございます。 昨年の有効求人倍率は、全国第三位の一・六四倍と高い水準が続いております。中でも、人材不足が深刻なデジタル人材の育成・確保に向けて、就業を控えた大学生や求職者へのIT研修や企業内のデジタル人材育成に向けたリスキリング研修を支援いたします。 また、アクティブG内の求職者相談窓口をUターン就転職支援拠点へとリニューアルし、県内への就転職に向けた取組を強化いたします。あわせて、スタートアップに関心のある中学生・高校生向けのワークショップを開催してまいります。 第四は、コロナ禍における地方回帰の流れを踏まえた新次元の地方分散への対応でございます。 令和三年の工場立地は件数・面積ともに全国第三位と、着実に企業誘致の成果を収めてきております。今後は、さらに東海環状自動車道の全線開通、リニア中央新幹線の開業を追い風に、物流関連産業、半導体関連産業、データセンターなどのデジタル関連産業の誘致を推進してまいります。また、同じく全国第三位となっておりますサテライトオフィス進出企業の県内定着に向けた支援を強化いたします。 第五は、県産品の世界展開でございます。 国内外二十六の岐阜県人会が加盟する岐阜県人会インターナショナル(GKI)のネットワークを活用し、海外での県産品のPRやグローバル・アンテナ・ショップの新規開拓を目指します。 また、二〇二五年に開催される大阪・関西万博を契機に、魅力ある県産品を国内外へと大いに発信してまいります。 第六の世界に選ばれる持続可能な観光地域づくりにつきましては、先ほど観光国際部の展開で申し上げた様々な取組により、観光消費額をコロナ禍前の二割増の三千六百億円を目標に、基幹産業化を目指してまいります。 ○議長(平岩正光君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) スタートアップ支援の強化についてお答えします。 現在、改定を進めている次期「岐阜県成長・雇用戦略」では、リノベーションを牽引するスタートアップの創出を重要政策に位置づけるとともに、来年度は新たにスタートアップ推進室を設置し、スタートアップ支援を強化してまいります。 具体的には、まず支援体制の強化です。現在、県内各所で支援の動きが活発になってまいりました。これら創業・起業支援を行っている民間事業者、公的支援機関、大学、金融機関などを結びつけるスタートアップ支援コンソーシアムを立ち上げ、ネットワークを強化し、オール岐阜でバックアップする体制を構築いたします。あわせて、新たな創業資金制度の創設、補助制度の拡充など、創業から事業展開までを支える資金調達の充実を図るとともに、女性や障がい者の起業に向けた支援を強化いたします。 また、新たに中高生対象の起業家精神を育む研修を実施し、次世代の人材育成にも取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 農政部長 雨宮功治君。    〔農政部長 雨宮功治君登壇〕 ◎農政部長(雨宮功治君) ぎふ農業・農村基本計画の中間見直しを踏まえた具体的な取組についてお答えいたします。 計画の見直しでは、新たに食料安全保障の強化及びみどりの食料システムの取組推進を重点施策に位置づけ、食料自給率の向上、環境負荷低減による持続可能な農業を推進することとしています。 まず、食料自給率向上に向けては、輸入に依存する麦・大豆の安定生産を図るための基盤整備や生産性を高めるスマート農業の導入を支援してまいります。あわせて、JA等と連携し、農業の実情や農産物の適正価格の形成に向けた理解の醸成を図るなど、生産と消費の両面から取組を強化してまいります。 次に、持続可能な農業に向けては、有機農業実践者によるアドバイザー制度の創設、各地域での相談窓口の設置、量販店におけるオーガニックマルシェの開催などにより、有機農業による生産及び消費の拡大を図ってまいります。 このほか、中山間地域については、農道やかんがい排水事業への支援を拡充するとともに、地域農業の在り方や農地利用の姿を明確化する市町村の地域計画策定を支援してまいります。 ○議長(平岩正光君) 林政部長 高井峰好君。    〔林政部長 高井峰好君登壇〕 ◎林政部長(高井峰好君) 二点御質問をいただきました。 まず、岐阜県木の国・山の国県産材利用促進条例に基づく非住宅建築物の木造化と低質木材の利用拡大に向けた取組についてお答えします。 四月一日の条例施行に合わせ、現在、多様な分野での利用拡大に向けた取組を実効性あるものとするため、推進方針と目標値を定めた県産材利用推進計画の策定を進めております。この計画では、まずは木造率の低い非住宅分野での県産材利用を重点的に進めることとし、県と継続的に県産材利用に取り組む協定を締結する事業者への支援を強化いたします。 具体的には、事務所や県外で建築する建築物も補助対象に加えるほか、木造率が低い五百平方メートル以上の建築物に対しては補助率を上乗せし、支援してまいります。一方、県有施設については、今後は法令等で耐火構造の必要のない低層の建築物は原則として木造化します。 次に、低質木材の利用拡大に向けては、今後数年間で木質バイオマス発電施設が多数稼働し、燃料となる低質木材の需要は約二倍に増えると見込まれることから、低質木材の搬出に対する新たな支援制度を設けるとともに、引き続き運搬車やチップ加工施設等の整備を支援してまいります。 次に、森林空間を活用した森林サービス産業の育成についてお答えします。 ぎふ森のある暮らし推進協議会には、林業関係者のほか、キャンプ場や自然体験活動など多様な分野の事業者、市村町などの行政機関を含め、現在百三十六者が加入しております。 一月に開催した設立総会では、協議会活動の情報発信や会員間の交流など協議会が取り組む事業の基本方針と、今後、改めて会員のニーズを調査した上で令和五年度の事業計画を策定し、本格的な活動を開始することが決定されました。 これまでに会員からは、個々の活動やイベント等の情報発信を行うポータルサイトの作成、都市部で開催されるアウトドアイベントへの出展、異業種との交流会や先進事例を紹介するセミナーの開催などの意見をいただいており、現在、五月の総会に向けて事業計画の策定を進めております。 また、県としては、野外活動に必要な基礎知識を習得する研修会や、各種の相談に対応する専門家の派遣などを実施し、会員の活動を支援してまいります。 ○議長(平岩正光君) 三十三番 野島征夫君。    〔三十三番 野島征夫君登壇〕 ◆三十三番(野島征夫君) 次に、大きく四項目め、健やかで安らかな地域づくりとして、四点お伺いいたします。 まず最初、新型コロナウイルス感染症の五類感染症への位置づけ変更に伴う対応についてお伺いいたします。 令和二年二月二十六日に県内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されてから三年が経過、県のまとめでは、これまで感染した方は累計で五十三万人に上り、亡くなった方は千人を超えているようであります。 一方で、この三年間の闘いの中で、ワクチン接種が進み、治療法も進歩しました。また、昨年初めから感染者が急増した第六波以降、感染の主流がオミクロン株に変わり、重症化する割合が低下したことなどにより感染者数に占める亡くなった方の割合、致死率は大幅に減少しました。 こうした状況の変化を受け、国は本年一月二十七日、新型コロナの感染症上の位置づけについて、特段の事情が生じない限り、五月八日から新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、五類感染症とする方針を決定しました。 それに伴う対応方針として、国からは、医療体制については幅広い医療機関でコロナ患者が受診できるよう段階的な移行を目指す。医療費の公費負担については、急激な負担増が生じないよう期限を区切って継続する。マスクについては、屋内では基本的に着用を推奨する現在の取扱いを改め、個人の判断に委ねることを基本とする。四月以降も必要なワクチン接種については引き続き自己負担なく受けられるようにするといった段階的な移行方針が示されています。 しかし、法律上の位置づけが変わったからといって、感染力が非常に強く、高齢者や基礎疾患のある方にとっては重症化リスクが高く、無症状の方でも後遺症に苦しむことがあるといった新型コロナの実態が変わるわけではありません。したがって、医療体制の万全な移行など、重症化リスクの高い方をはじめとした県民の生命・健康を最大限守りながら、家庭、学校、職場、地域、あらゆる場面で日常を取り戻すことができるよう対応していく必要があると考えられます。 そこで、知事さんにお伺いいたします。 県民の生命・健康を守るとともに、社会・経済活動の正常化を図るため、新型コロナの五類への円滑な移行に向けてどのように取り組んでいかれるのか。また、五類への移行後、どのように対応していかれるのかお伺いいたします。 次に、第二期岐阜県強靱化計画について、二点お伺いいたします。 まず、県土強靱化に資する広域道路ネットワークの整備についてお伺いいたします。 本県は、山岳地帯から水郷地帯まで変化に富んだ複雑な地形を有し、その自然から多くの恵みを受けてきましたが、一方で、その自然的特性ゆえに、あまたの災害に繰り返しさいなまれてきました。 県では、国土強靱化基本法に基づき、平成二十七年三月、全国に先駆けて岐阜県強靱化計画を策定。令和二年三月には、国の国土強靱化基本計画の見直し内容や本県での災害経験等も加味して、第二期岐阜県強靱化計画を策定し、どんな自然災害が起こっても機能不全に陥らず、いつまでも元気であり続ける強靱な岐阜県をつくり上げるため様々な取組が推進されてきました。 一方、国においては、おおむね五年ごとに見直しを行うとしている現行の国土強靱化基本計画が平成三十年十二月の策定から本年で五年を迎えることから、昨年十月の国土強靱化推進本部において、岸田首相から本年の夏をめどに計画を改定すべく取組を開始するよう指示があったところであります。 国の基本計画の見直しを踏まえて、県では次期計画の策定に向けた検討を進めていかれると思いますが、まずは現計画の施策についてしっかりと取り組み、あらゆる自然災害に備えた強靱な県土づくりを着実に進めていただきたいと思います。 さて、岐阜県強靱化計画の推進方針で十二の施策分野ごとに対策が定められていますが、その最初に交通・物流分野の取組方針として、交通ネットワークの強化が挙げられています。 本県は日本の真ん中に位置し、七つの県と接する交通の要衝の地です。よって、過去から本県の道路ネットワークは、経済発展、産業振興、観光交流はもとより、日本の安全・安心を確固たるものとするための重要なインフラとして重点投資されてきました。これまで名神高速道路、中央自動車道が完成し、現在は東海北陸自動車道、東海環状自動車道、中部縦貫自動車道や濃飛横断自動車道など、新たな広域道路ネットワークの整備やさらなる機能強化に向けた取組も進んでいます。 これらの広域道路ネットワークの果たす役割は非常に大きく、令和二年七月に本県を襲った豪雨災害時において、東海環状自動車道と東海北陸自動車道が広域的な迂回路として有効に機能いたしました。こうした安全・安心で災害に強く、命の道ともなる信頼性の高い広域道路ネットワークの整備は、本県の強靱化計画の各施策を進める上で根幹をなす重要な施策の一つと言っても過言ではありません。 また、今通常国会では、こうした広域的な道路ネットワークである高速道路の進化・更新に対応するため、料金徴収期間を最大五十年延長する法律改正案が審議されるなど、新たな財源の確保に向けた動きも見られます。 そこで、知事さんにお伺いいたします。 本県において重要な役割を担う東海北陸自動車道、東海環状自動車道、中部縦貫自動車道、そして濃飛横断自動車道といった広域的な道路ネットワークに対する期待や、事業の進捗状況及び今後の取組についてお伺いいたします。 次に、県が管理する橋梁の老朽化対策についてお伺いいたします。 我が国は、一九五〇年から一九七〇年代の高度成長期に集中的に社会インフラが整備されました。現在、これらの施設の老朽化が顕在化しています。 記憶に新しいのは、平成二十四年十二月、中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故です。この事故を受け、平成二十五年六月には道路法が改正、平成二十六年三月には道路法施行規則が改正され、トンネル、橋、その他道路を構成する施設もしくは工作物または道路の附属物については、五年に一度の点検が義務づけられました。 点検によって状況が把握されると、橋梁では、次回点検までに措置を講ずべきものが全国に何と約七万橋存在していることが判明しました。このため、国は令和二年度からインフラの老朽化対策を本格化させるため、個別補助制度として道路メンテナンス事業補助を新たに創設し、地方に対して計画的かつ集中的な財政支援を行っています。 岐阜県に目を向けると、県が管理する橋梁が四千七百橋を超えており、このうち十五メーター以上の橋梁は約千八百八十橋と全国でもトップクラスの数を誇っています。県民にとって、道路は日常生活から有事に至るまで欠かすことのできない重要なインフラであり、言うまでもなく、道路に架かる橋梁についても同様であります。よって、老朽化を原因として利用できなくなる事態に陥ることは許されず、橋梁の老朽化対策は県土の強靱化を進める上で重要なウエートを占めています。 こうしたことから、岐阜県強靱化計画では、平成二十六年度から平成三十年度に実施した一巡目の定期点検で早期に措置を講ずべき状態とされた橋梁の対策を実施した割合を、令和六年度までに一〇〇%とする指標が示されています。県としても、対策に抜け目がないよう一〇〇%という高い目標を掲げていることは一定の評価をいたしておりますが、これまでにどの程度の対策がなされ、令和元年度から五年間で行われている二巡目点検やその対策について、今後もしっかりと進めていただきたいと思うわけであります。 そこで、県土整備部長さんにお伺いいたします。 一巡目の定期点検で早期に措置を講ずべき状態とされた橋梁の対策の進捗や、二巡目の定期点検の状況及び今後の方針についてお伺いいたします。 次に、事件・事故の発生抑止をはじめとした今年の岐阜県警察の運営方針についてお伺いいたします。 本県の刑法犯認知件数は過去十年連続して減少していましたが、令和四年は増加に転じ、前年より百七十五件増加の九千六百五十四件となりました。さらに、交通事故による死者数は前年比二三%増加の七十五人と大幅に増加し、交通死亡事故多発県内警報が三回にわたり発令されたところであります。コロナ禍により停滞していた経済活動が元に戻り始めたことが大きな原因と思われます。 事件・事故の態様を見ると、事件では高齢者を狙った詐欺や、デジタル社会を象徴するサイバー犯罪、子供・女性が被害者となる人身安全関連事案などが目立って発生しており、事故については高齢者が被害者となる死亡事故が多く発生しています。 社会情勢の変化に伴い、事件・事故の内容は高度化・複雑化しているように思われます。事故や犯罪は一旦発生してしまうと、たとえ警察が犯人を逮捕して事件を解決したとしても、命や傷ついた体、財産、そして心の傷など、失われて戻らないものがたくさんあります。 そういった悲惨な被害を生まないためには、犯人の逮捕・事件の解決も非常に重要ではありますが、何よりもまず事件・事故を発生させないことが肝要だと思います。事件・事故抑止のための施策を警察が組織を挙げて取り組んでいただきたいと強く願うものであります。 また、我々自身も、見知らぬ人から電話がかかってきたときは、慌てず少し立ち止まって考えてみる、車を運転する際は心に余裕を持って常に安全運転を心がけるなど、事件や事故に巻き込まれないための心構えが必要だと感じております。 そこで、警察本部長さんにお伺いいたします。 令和五年の岐阜県警察の基本指針は、昨年に引き続き安全・安心な「清流の国ぎふ」づくりであると承知しております。変容する社会に対応し、安全・安心な「清流の国ぎふ」づくり実現のため、事件・事故の発生抑止をはじめとした今年の岐阜県警察の運営方針についてお伺いいたします。 ここで、四回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 二点お尋ねがございました。 まず、新型コロナウイルス感染症の五類感染症への位置づけ変更に伴う対応という点でございます。 この新型コロナウイルス感染症につきましては、国内初の感染者が確認されて間もない令和二年二月に指定感染症とされた後に、令和三年二月には現在の新型インフルエンザ等感染症に位置づけられております。こうした法的位置づけに基づいて、行政による入院の勧告や調整、陽性者の全数把握、陽性者や濃厚接触者に対する外出自粛要請、医療費の公費負担など幅広い対応が行われてまいりました。 本県におきましても、医療をはじめ経済、教育に至る幅広い分野においてオール岐阜による推進体制、専門知の尊重・積極的活用、スピードと決断と、この三つを基本姿勢とする岐阜モデルにより、三年余りにわたり最大限の取組を行ってきたところでございます。 このたび、原則として本年五月八日から、新型コロナの感染症法上の位置づけを五類感染症に変更するとともに、各種の措置を全面的に見直す方針が国において決定をされました。具体的な見直し内容が間もなく示される見込みでありますが、我が国の新型コロナ対策は大きなターニングポイントを迎えることになっております。 これは日常を取り戻す上での大きな一歩となりますが、御指摘のとおり、五月を境にウイルスの性質が変わるわけではありません。見直しに際しましては、引き続き県民の健康・生命を守っていくことができるよう、円滑な体制の移行を進めていく必要があると考えております。 本県では、国の方針表明を受けて、知事メッセージにおいて、論点を六つの項目に整理してお示しをしております。国の具体的な方針とのすり合わせが必要な段階ではありますが、現在の検討内容を御紹介いたします。 まず一点目は、患者等への対応でございます。急激な負担増が生じないよう、入院・外来の医療費の自己負担分に係る一定の公費支援について一定期間継続するほか、二十四時間相談対応窓口の継続など、患者等への丁寧な対応を行ってまいります。 二点目は、医療・検査提供体制でございます。外来・入院医療体制の維持・拡大に当たっては、より多くの医療機関に御協力を要請するとともに必要な設備整備への支援などを進めていきたいと考えております。また、高齢者施設における予防的検査の継続も検討してまいります。 三点目は、感染状況の把握でございます。国の定点把握の仕組みに報告頻度や医療機関数を本県独自で上乗せするなど、感染状況をより詳細に把握・分析できる体制を整備してまいります。 四点目は、基本的な感染防止対策であります。コロナウイルスの特性は、五類へ変更後も変わるものではないため、必要な感染対策の内容を県民の皆様に明確にお示しして、継続的な呼びかけを行ってまいります。 なお、マスクの着用につきましては、来週十三日から適用される国の方針が示されております。これを踏まえて、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる、マスクには自身の感染を防御し、自身のウイルスを他人にうつさない効果があることを踏まえ、着用が効果的な場面ではマスク着用を推奨するなど、様々な媒体でお伝えをしたところでございます。 五点目は、ワクチンであります。国においては、特例臨時接種を来年度まで延長し、高齢者等は年二回、その他は年一回の接種を行う方針であります。これに沿って、本県といたしましても、希望する方が確実に接種できる接種体制を確保していきたいと考えております。 そして六点目は、本県の推進体制でございます。本県では、これまでオール岐阜による県対策本部や対策協議会、専門家会議を運営してまいりました。県対策本部につきましては、今後、法律上の設置根拠こそ失われますが、県条例に基づく体制としてこれを継続し、これまでの推進体制を全体として維持してまいります。 こうした対応方針につきましては、全国知事会を経由して国との間でも議論が進んでおりますし、さらに詰めた議論を行ってまいります。その上で、本県の新たな新型コロナ対策の全体像を県民の皆様に丁寧にお示ししたいと考えております。 次に、県土強靱化に資する広域道路ネットワークの整備についてでございます。 県内の広域道路ネットワークは、災害時の救急搬送、救助活動、支援物資の輸送に加え、その後の迅速な復旧・復興を担うまさに「いのちの道」としての機能を有しております。 また、リニア中央新幹線の開業により、東京と中津川市が約三十分で結ばれ、さらに濃飛横断自動車道を通じて下呂や郡上方面へのアクセスが格段に増加することが見込まれております。加えて、東海北陸自動車道をはじめ県内の高速道路により、その先の富山、福井、三重、長野方面へのアクセスも容易になります。 このように、広域道路ネットワークは有事の際の救援の要となるとともに、リニアと相まって経済・産業の発展、広域観光など地域活性化に大いに寄与するものと期待しております。 こうした中、懸案でありました濃飛横断自動車道の堀越峠工区につきましては、先月末に国から、工事には高度な技術を要するとの直轄調査結果が示されました。これを受け、直ちに国に対して権限代行事業の要請を行ったところ、今月三日には、国のほうから新規事業の候補箇所として選定された旨の連絡がございました。この後、国において速やかに事業決定していただくことを期待しているところでございます。 また、東海北陸自動車につきましては、四車線化が白川郷インター以北の富山側でも進められており、県としては、残る飛騨トンネルを含む飛騨清見・白川郷インター間の早期四車線事業化を強く訴えているところでございます。 東海環状自動車道では、令和六年度の開通予定が示されている山県・大野神戸インター間で全ての橋梁工事が発注されるなど、急ピッチで工事が進んでおります。また、養老・北勢インター間では、令和八年度の全線開通に向けて県境部のトンネル工事が着実に進められております。 また、中部縦貫自動車道では、丹生川・高山インター間で昨年十二月に坊方トンネルが着工されるなど、工事が全面展開されております。さらに、事業化に向けて検討中の平湯・日面間では、先月、全線をバイパスで整備する案で検討を進めることが決定されております。 これらと併せて、県といたしましても、引き続き濃飛横断自動車道中津川工区の整備や和良工区の新規事業化に取り組むとともに、各自動車道のアクセス道路の整備を着実に進めてまいります。 また、高速道路の有料期間延長につきましては、東海北陸自動車道等の四車線化の進捗にも関わることから、その議論の動向を注視しつつ、各自動車道の早期整備に向け適時効果的な要望を行ってまいりたいと思います。 あわせて、国土強靱化のさらなる推進のため、五か年加速化対策が終了となる令和八年度以降におきましても、継続的かつ十分に予算を確保するよう国に働きかけてまいります。 ○議長(平岩正光君) 県土整備部長 大野真義君。    〔県土整備部長 大野真義君登壇〕 ◎県土整備部長(大野真義君) 県が管理する橋梁の老朽化対策についてお答えします。 まず、一巡目の点検では、早期に措置を講ずべき状態と判定した橋梁は、全体の約九%に当たる四百二十五橋でありました。現在、これらの橋梁の修繕を国の補助事業を活用しながら計画的かつ集中的に実施しているところであり、今年度内に三百六十四橋、約八六%が完了し、残る六十一橋についても、来年度中には工事に着手することとしております。 次に、二巡目の点検については、令和五年度に完了する予定であり、昨年度末時点において、早期に措置を講ずべき橋梁は新たに百十四橋で、一巡目の同時期に比べ半数程度に減少しております。 県としては引き続き、これらの早期に措置を講ずべき橋梁の修繕を優先的に実施するとともに、損傷が小さいうちに直す予防保全型の修繕にも計画的に取り組むことで、中長期的なトータルコストの縮減と平準化に努めてまいります。 ○議長(平岩正光君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 事件・事故の発生抑止をはじめとした今年の岐阜県警察の運営方針についてお答えいたします。 県警察が基本指針といたします安全・安心な「清流の国ぎふ」づくりのためには、議員御指摘のとおり、県民が犯罪や事故の被害に遭わないことが最重要になります。このため、県警察では、犯罪や事故の抑止対策を徹底いたします。 まず、犯罪抑止対策としては、パトロール等に努めることはもとより、県民の不安が大きいニセ電話詐欺、サイバー犯罪、組織的・広域的な強盗等をはじめ、時々の情勢に応じて県民の被害が危ぶまれる犯罪についての防犯情報をタイムリーに県民に提供し、防犯意識の高揚や鍵かけ等の防犯行動の促進を図ります。 また、コロナ禍にあって、やや活動が鈍った防犯ボランティア活動の再活性化や防犯カメラの普及についても働きかけてまいります。 次に、交通事故防止対策としては、緻密な交通事故分析に基づき、時間、場所、対象等を絞り込んだ重点的な取締りや交通環境整備を行うとともに、関係機関等と連携し、運転者・歩行者に対して交通事故の危険性の再認識及びそれを踏まえた安全な運転・通行の実践を呼びかけてまいります。 さらに、事件の検挙等を推進して犯罪や事故の再発防止に努め、県民の安全・安心の確保に万全を尽くしてまいります。 ○議長(平岩正光君) 三十三番 野島征夫君。    〔三十三番 野島征夫君登壇〕 ◆三十三番(野島征夫君) 最後に、「清流の国ぎふ」を支える人づくりとして、三点お伺いいたします。 まず、岐阜県少子化対策基本計画の中間見直し後の具体的な取組についてお伺いいたします。 コロナ禍の中、未婚化・晩婚化や少子化が急速に進展したことにより、外国人を含む我が国の昨年の出生数は八十万人を割り込む見通しで、日本に住む日本人だけに限れば、七十七万人前後になる可能性が報道されたところであります。 国立社会保障・人口問題研究所が二〇一七年に公表した将来推計では、日本人の出生数が七十七万人台になるのは二〇三三年と想定しており、実際に昨年の出生数が七十七万人台となれば十年以上早いペースで少子化が進行していることになります。このままでは、地域社会、社会保障、国力の維持等が困難になることが見込まれ、まさに我が国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際に立たされていると言えます。 こうした状況を受け、国では出生率を反転させるため、本年四月のこども家庭庁の発足に先駆けて子供・子育て施策の強化に向けた具体策の検討を進めています。 岸田首相は年頭の記者会見で、異次元の少子化対策に挑戦し、若い世代から、ようやく政府が本気になったと思っていただける構造を実現するべく大胆に検討を進めていくと述べられました。 県では、平成十九年三月に少子化の問題に地域で主体的に取り組む必要があるとの認識に立ち、安心して子どもを生み育てることができる岐阜県づくり条例を制定し、同年十二月には岐阜県少子化対策基本計画を定め、少子化問題に積極的に取り組んでいただいているところであります。 その結果、本県の合計特殊出生率は、平成二十七年には一・五六まで回復いたしましたが、それ以降再び減少に転じ、令和三年には、新型コロナの影響もあり、一・四〇まで低下いたしております。 こうした状況の中、今年度、県では第四次岐阜県少子化対策基本計画の中間見直しを行っています。 少子化対策に即効性のある特効薬はないと言われています。引き続き着実に取組を進めていただくのと同時に、新型コロナの影響、働き方改革、地方への移住など、近年の社会情勢の変化などを踏まえ、新たな取組を展開していただきたいと思います。 そこで、知事さんにお伺いいたします。 見直し後の県少子化対策基本計画の下で進められることとなるコロナ後の状況も踏まえた少子化対策の新たな具体的な取組についてお伺いいたします。 次に、特別支援教育の充実と環境整備についてお伺いいたします。 ここまでるる申し上げてきたように、社会は急速に変化しており、将来の予測が困難な時代となっています。そのようなこれからの新しい時代を切り開き、岐阜県が持続的に発展していくためには、何といっても人づくりが根幹であります。 県では、子どもかがやきプランを平成十八年に策定し、児童・生徒の居住地域で特別支援学校に通えるよう順次整備を進められた結果、プラン策定前の十二校から現在では二十一校になっています。 また、近年では、知的障がいの軽度の生徒が企業への就職に向けて学ぶ高等特別支援学校も開校しており、それぞれの障がいに応じた教育環境が整いつつあります。 一方で、特別支援教育のニーズは高まっており、特別支援学校の児童・生徒数も年々増加し続けています。そのため、これまでに整備した校舎では増加する児童・生徒数に対応し切れず、教室不足が生じているようであります。加えて、二十一校中八校が、令和三年九月に文部科学省が定めた特別支援学校設置基準の校舎面積基準を満たしていません。 また、児童・生徒一人一人の障がいの状態や教育的ニーズに応じた適切な支援を行うためには、特別支援教育に関わる教員の専門性向上も必要であります。特に卒業後、企業への就職を目指す生徒が増えていることから、企業の雇用ニーズに対応した職業教育の充実が求められております。日々学ぶ子供たちのためにも、様々な工夫も重ねながら、環境整備と指導及び支援の充実を着実に進めていただきたいと願うものであります。 そこで、教育長さんにお伺いいたします。 特別支援学校の設置基準を満たしていない学校について、今後どのように対応していかれるのか。また、特別支援教育、特に職業教育の充実に向けてどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 最後に、公立中学校の部活動の地域移行の推進についてお伺いいたします。 学校における部活動は、子供たちがスポーツや文化・芸術に親しむ機会を提供するとともに、学級・学年単位とは異なる集団での活動を通じ多様な子供が活躍できる場であります。しかし、急速な少子化の進行により、部活動の小規模化、希望する部活動が設置できないなど、学校や地域によっては存続が厳しい状況にあります。 一方、これまで部活動は教員による献身的な指導の下で成り立っており、休日を含め、長時間勤務の要因でした。また、指導経験のない教員にとっては大きな負担であり、学校の働き方改革が進む中、これまでの指導体制を継続することはより一層厳しくなっていくようであります。 そのため、子供たちの豊かなスポーツや文化・芸術活動を実現するためには、学校と地域が連携・協力し、学校部活動の在り方を速やかに改革し、子供や保護者の負担に十分配慮しながら、持続可能な活動環境を整えていく必要があります。 このような状況の中、国はスポーツ庁及び文化庁にそれぞれ設置された部活動の地域移行に関する検討会議からの提言を受け、公立中学校の部活動に関し、ひとまず休日の部活動について令和五年度からの三年間で集中的に地域への移行を進めるという方針を示してきました。しかし、自治体から、三年間での移行は困難という指摘が相次いだため、昨年十二月に公表した学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインでは、その方針を改め、地域移行の達成目標を地域の実情に応じて可能な限り早期の実現を目指すとして、移行時期を明記しませんでした。 一方、県教育委員会は、本年一月末に部活動や移行先での活動の在り方などに関するガイドラインの素案をまとめ、国が設定を見送った地域移行の達成目標時期については令和七年度末を目指すこととし、市町村や関係団体と意見を交わしていくとお聞きいたしております。 部活動の地域移行に当たっては、その受皿となる運営主体の整備、活動場所の確保、専門性や教育者としての資質を有する指導者の確保・育成、これまでどおり休日の指導を希望する教員の兼職兼業の在り方、会費や使用料の費用負担の在り方等多くの課題があります。 そこで、教育長さんにお伺いいたします。 持続可能な部活動と教員の負担軽減の両方を実現するため、休日の中学校部活動の地域移行に向けた課題に対し、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 さて、結びに、昔から地方自治体運営において、執行部と議会は車の両輪だと言われています。そして、ひとえに県民の深い理解と協力が必要不可欠だとも言われております。三年ほど続いたコロナ対策は、オール岐阜体制でしっかりと対応していただきました。また、それ以外の県事業も、コロナ禍にあってもおおむね順調に推進していただいていると感じています。左右の車輪は、互いに調和しながら着実に前進してきたと思います。 そのような中、古田県政は五期目の後半を迎えています。この新しい議場においても、県民の幸せと県政発展のため、今まで以上に真剣で厳しい議論を重ね、そして県民の御理解と御協力を得ながら、共に私たちの愛するふるさと岐阜県を前へ前へと進めていきたいと考えております。知事さん、どうかどうかよろしくお願いいたします。 以上で、私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 岐阜県少子化対策基本計画の中間見直しについてお尋ねがございました。 この基本計画、令和二年度から六年度までを計画期間とする第四次のものでございます。今年度はちょうど中間年に当たるわけでありますが、新型コロナの感染拡大、DXの進展や地方移住の増加といった計画策定後に生じた社会情勢の大きな変化を踏まえて改めて計画を見直し、計画の四つの柱ごとに施策の再構築を進めてまいったところでございます。 まず第一に、若者の結婚の希望がかなえられる環境づくりでございますが、コロナ禍による対面での出会いの減少等もあり、岐阜県の婚姻件数はコロナ前の平成三十年の七千九百十二件から、令和三年には六千五百八十九件と減少しております。そのため、出会いの場の創出に向け、ぎふマリッジサポートセンターの取組の充実を図るとともに、県主体の婚活イベントを開催するなどにより婚姻件数の増加を図ってまいります。 また、本県の若者は進学や就職を機に県外に転出する傾向にあります。このため、県出身大学生等に対する県内での就職を条件とするUターン奨学金の貸与額を倍増いたします。 第二に、地域で子育てを支え合う仕組みづくりとして、妊娠から出産・子育てまで、ライフステージに応じた切れ目のない支援を強化してまいります。 具体的には、まず妊娠におきましては、不妊治療費の三割の自己負担分に対する助成を行ってまいります。 また、出産においては、国民生活基礎調査で県内の一人っ子家庭の割合が平成二十五年の三七・七%から令和元年の四一・七%に増えております。このため、多子世帯の経済的負担の軽減を図り、夫婦一組当たりの出生数の増加を期待して、第二子以降の出生児に対する十万円の祝い金を支給してまいります。 子育てにおいては、高校進学等に伴う経費がかかる中学三年生に対し、三万円の準備金を支給してまいります。 第三に、働きながら子育てしやすい環境づくりとして、ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定拡大に向けて、新たに市町村と連携をして企業訪問を行い、仕事と家庭の両立支援を推進してまいります。また、県内中小企業で働く女性のキャリア形成に向けたアドバイザー等の派遣を実施し、全国低位にとどまっている女性管理職の登用を促進してまいります。 第四に、子育てを社会全体で支える意識を高めるための環境づくりでございます。 ぎふっこカード利用店舗数の増加を求める声が多く寄せられております。これを踏まえて、妊娠・出産時に支給する応援ギフトの利用対象店舗に対し、ぎふっこカードへ参加していただくよう働きかけるなど、利用店舗のさらなる拡大に努めてまいります。 低下が続く出生率の反転に向けては、あらゆる施策を総動員し、長期的かつ継続的に取り組むことが重要でございます。引き続き、国、市町村とも連携しながら、様々な視点で切れ目のない支援に取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 二点御質問がありました。 初めに、特別支援教育の充実と環境整備についてお答えします。 まず、設置基準への対応については、児童・生徒が急増し、校舎の狭さが課題となっていた可茂特別支援学校において、昨年十二月に増築工事が完了し、基準を満たすこととなりました。さらに、来年度からは、岐阜本巣特別支援学校、飛騨特別支援学校で基本計画策定に着手するとともに、大垣特別支援学校では寄宿舎を改修し、教室不足を一部解消するなど、設置基準への対応について取り組んでまいります。 職業教育については、例えば可茂特別支援学校では、今般の増築により、ビルクリーニングや喫茶サービス等の学習環境も整い、来年度からは新たなカリキュラムを開始いたします。また、障がい者雇用の経験のある企業のOB等が担うコーディネーターを新たに配置し、一人一人の適正に合った就労につなげてまいります。 あわせて、これまで作成した専門教科についてのテキストを企業等と連携して見直し、動画を取り入れたデジタル版を順次作成してタブレット等で利用するなど、より効果的に学習できる環境をつくってまいります。 次に、公立中学校の部活動の地域移行の推進についてお答えします。 これまで市町村や関係団体等と議論を重ねる中で寄せられた各課題に対し、今後着実に取組を進めてまいります。 まず、受皿となる運営主体の整備に向けては、新たに持続可能な運営に向けた体制整備として人件費や事務経費に対して支援するとともに、活動場所の確保に向けて、学校施設や地域の体育館等で活動できるよう県教育委員会から各市町村に向けて要請してまいります。 また、地域指導者の確保・育成に向けては、今年度、三百二十五人に対して実施した研修を継続して開催し、県内中学校の総部活動数に当たる千八百人の指導者育成を目指すとともに、人材バンクを設置いたします。さらに、クラブで指導する教員への対応については、先月、学校へ必要な手続、留意点、そして具体例を周知したところです。 最後に、クラブ会費については、低く設定できるよう、来年度は国の実証事業を活用して指導者謝金や困窮世帯を支援し、保護者負担の軽減を図ることとしております。今後は、費用負担について国に対し、令和六年度以降の支援内容を提言、そして要望をしてまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) しばらく休憩いたします。 △午前十一時五十七分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(加藤大博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(加藤大博君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。十三番 伊藤英生君。    〔十三番 伊藤英生君登壇〕(拍手) ◆十三番(伊藤英生君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、会派県民クラブを代表して、今回は大きく六項目、十八点について、今回は裏テーマとして当たり前を見直すという切り口でお尋ねをいたします。 議場が新しくなりました。知事は、今議会の冒頭、この新県庁舎について、時代にふさわしく、岐阜県らしい価値を体現する随所にこだわりの詰まった庁舎となっておりますとコメントをされました。ぜひ今回の質問につきましても、時代にふさわしい、岐阜県らしい価値を体現するような答弁を期待して質問に入りたいと思います。 最初は、「清流の国ぎふ」創生総合戦略における子どもを産み育てやすい地域づくりに関する指標の現状認識と目標達成に向けた取組について、知事にお尋ねいたします。 本県の人口減少が進行しています。本県の人口は、二〇〇〇年の二百十万人強をピークに減少を続け、二〇二二年六月現在では百九十五万人を割り込み、二〇五〇年には百三十七万人、二〇七〇年には九十七万人になると推計されております。もちろん本県も手をこまねいているわけではなく、むしろ全国に先駆けて二〇〇八年度に岐阜県長期構想を策定し、十年計画で様々な対策を打ち出し、その長期構想の計画期間が満了後は、現行計画となる「清流の国ぎふ」創生総合戦略を計画期間二〇一九年度から二〇二三年度で策定し、人づくり、地域づくり、魅力と活力づくりを政策の柱に据え、対策を打ってきました。 そして、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵略等の影響により世の中が大きく変化、複雑化したことを背景に、現行計画の終期を一年前倒しし、今後五年間の政策の方向性を示す次期計画が本会議に示されており、県民の皆様にも素案をインターネット上に公開し、昨年十二月五日から本年一月六日まで広く御意見をお寄せいただいていたところです。 ここで、現行計画に対する振り返りをしたいと思いますが、掲げられている成果指標、すなわち目標値のことになると思いますが、県内高校生及び県出身大学生の県内就職率であるとか、新たな農業の担い手育成数であるとか、十個の成果指標が掲げられておりますが、あまりにも幅広な議論をしていても論点がぼやけると思いますので、今回は合計特殊出生率の一点に絞って考察をしたいと思います。 現行計画で掲げられた合計特殊出生率は、二〇一七年の一・五一を二〇三〇年に一・八に引き上げるというものです。厚生労働省人口動態統計調査によれば、二〇二〇年時点で一・四二です。もちろん頑張りますが、簡単ではないというのも率直なところです。 そして、この成果指標の達成に向けて、政策の柱ごとに具体的な施策がぶら下がっており、その施策ごとにKPIが設定されております。KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標と訳されます。目標を達成する過程での達成度合いを計測したり、監視したりするために置く定量的な指標を意味します。 それで、この合計特殊出生率を引き上げることに関連するであろう施策として、子どもを産み育てやすい地域づくりに関するKPIを直近の令和三年度の現行戦略の実施状況報告書から拾ってみたいと思います。 おみサポ、コンサポによる成婚報告数は、目標値四百五十組に対して三百四十三組、妊産婦の鬱病の傾向を図るための質問表を導入している市町村数は四十二市町村に対して三十六市町村、利用者支援事業を実施している市町村数は、三十二市町村に対して二十九市町村、岐阜県子育て家庭応援キャンペーン事業参加店舗数は、目標値七千四百店舗に対して六千四百七十八店舗、放課後児童クラブ待機児童数は、目標値ゼロ人に対して六十九人となっております。 私は、ここで一つ一つにどうだったかと細かいけちをつけようとしているわけではございません。これはどれもとても大切な取組であるとは思いますが、仮にこれらを全て達成したとして、果たして掲げられた成果指標の達成につながるんだろうかという素朴な疑問が浮かんでくるわけでございます。相関関係はあるんでしょうけれども、因果関係はあるのかということでございます。KPIの設定は適正であったのかについて、知事の受け止めをお聞きしたいところです。 それで、現行計画の振り返りを踏まえた上で、次期計画に目を移しますと、やはりここでも合計特殊出生率が二〇二一年に一・四〇であったものを二〇三〇年に一・八に引き上げると掲げているわけでございます。この成果指標を設定した根拠は何でしょうか。 私は何も、岐阜県が何もやっていないと言いたいわけではございません。今議会に上程されております令和五年度予算案には、人口減少社会の脱却に向けた知事の本気を感じる様々な施策が盛り込まれております。例えば、第二子以降の出生児へ祝い金十万円などでございます。こうした取組については高く評価した上で、やはり目標を掲げた以上、それを必ず実現するんだという決意と具体的な取組が欠かせないと存じます。 そこで、知事にお尋ねいたします。現行計画における子どもを産み育てやすい地域づくりに関するKPIの現状に対する認識と、次期計画における成果指標としての合計特殊出生率の設定根拠と目標達成に向けた取組についてお聞かせください。 続きまして、教育の充実に向けた今後の取組について、教育長にお尋ねいたします。 先ほどの質問でも取り上げた「清流の国ぎふ」創生総合戦略二〇二三でございますが、その中に未来を支える人づくりとして教育の充実が掲げられており、ふるさと教育や産業教育の推進、ICT環境の整備等の取組がつづられております。政府が示した骨太の方針二〇二二においても、人への投資と分配が新しい資本主義に向けた重点投資分野として示され、それを推進する方針の一つとして質の高い教育の実現が示されております。 教育の充実の大切さは議論の余地がないところですが、何をもってして質の高い教育というかは論点が多岐にわたってしまいますので、ここでは大きく、本県が教育にどれだけ公的支出をしているかという切り口で質問をしていきたいと思います。 まず、本県の教育費が近隣県と比べてどのようになっているかを見てみたいと思います。お手元に配付の資料①を御覧ください。(資料を示す)お手元の資料を確認しながら見ていただきたいと思います。 これは、総務省が公表している各自治体の決算額、決算カードといいますが、そこから教育費が全体予算の何%を占めているか、その構成比を抜き出して私が表にしてみたものです。 この令和二年度から平成二十八年度を見ると、悪くないんではないかと思いがちですが、小・中学校の教職員の人件費は県が所管しているのですが、平成二十七年度からはその権限が県から政令市に移管されておりますので、単純な比較が難しい状況になっておりますが、それ以前の平成二十七年から平成二十三年を見てみますと、ずっと東海四県の中では一番少ない状況が続いているわけでございます。 続きまして、資料②を御覧ください。(資料を示す) さらに文字が細くなって申し訳ありませんが、さらにここ二十年の教育費の推移を見てみますと、ずっと構成比が二〇%、千九百億円ほどで固定化しております。例えば質の高い教育を施すには、質の高い教員の確保が欠かせないわけでございますが、そこに関しても、総務省が令和四年地方公務員給与実態調査等を基に公表しているデータによりますと、岐阜県の教育公務員の平均給与月額は四十万一千十二円であり、各都道府県における平均年齢の違いなどの影響はありますが、四十七都道府県中四十三位となっております。ちなみに、静岡県は四十二万三千二百三十八円で七位、愛知県は四十二万一千八百八十五円で十位、三重県は四十一万八千九百八十五円で十四位となっております。 本県の小学校教員の採用倍率が二年連続で二倍割れとニュースになっておりましたが、働き方改革であるとか様々な手を打っていることは承知しておりますが、それも大切なことでありますが、やはり根本的には教職員の給与を近隣県と比べて同程度以上に引き上げなければ、人材の流出は止められないということでございます。また、限りある財源の中で教育費を増やしていくには、中長期的な視点に基づいた計画的な施策の展開が必要と考えます。 そこで、教育長にお尋ねいたします。人口減少社会脱却には、教育への投資が欠かせないものと考えますが、本県の教育の充実に向けてどのように取り組んでいくのか、御所見をお願いいたします。 続きまして、清流の国ぎふ大学生等奨学金の拡充の狙いについて、清流の国推進部長にお尋ねいたします。 二年ほど前、ある高校生と知り合う機会をいただきました。彼女は独り親家庭で育ち、それなりに苦労もあったとは思いますが、明るく頑張り屋で、昨春高校を卒業して県外の大学に進学しました。将来は岐阜県に戻って救急救命の仕事に就き、人のお役に立ちたいとの夢を語ってくれました。 私は、岐阜県にUターン奨学金事業、清流の国ぎふ大学生等奨学金があることを紹介しました。彼女は自分で慣れない書類をそろえ、無事奨学金は貸与決定を受けて、現在元気に大学生活を送っていると聞いております。実は本日、その本人が議場で傍聴をしてくれています。 ここで改めて、清流の国ぎふ大学生等奨学金とは何かと説明しますと、県内へのUターン促進と優秀な人材の確保を目的に、県外大学等に進学し、県外在住の方で、将来的に岐阜県に戻り、岐阜県で活躍する意思のある方に奨学金を貸与(月額三万円)するとともに、卒業後に県内に居住し、かつ県内で就業すること等を条件に返還を免除する事業のことでございます。 本県では、進学時に県外流出する若者が多く、大学進学者の八割近くが県外の大学に進学する一方、県外へ進学した者の県内就職率、Uターン率は三割程度にとどまっており、この事業にかかる期待は大きなものがあります。そうした中、今議会には、この条例の改正案が上程されております。月額三万円の貸与額が六万円に倍増されるというものです。 そこで、清流の国推進部長にお尋ねいたします。清流の国ぎふ大学生等奨学金について、今回の貸与額倍増による狙いについてお聞かせください。 ここで、一回目の質問を終わります。 ○副議長(加藤大博君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 「清流の国ぎふ」創生総合戦略における子どもを産み育てやすい地域づくりに関する指標、目標達成等々についてのお尋ねがございました。 この総合戦略におきましては、政策分野ごとの目標とその達成度合いをはかる成果指標を定めておるわけであります。さらに、その目標の達成に向けた具体的な施策を整理した上で、施策に対応した定量的指標としてKPIを設定しておるわけで、御指摘のとおりであります。 具体的には、創生総合戦略に掲げる目標の一つである健やかで安らかな地域づくりの実現を目指す上では、二〇三〇年までに合計特殊出生率一・八の達成という成果目標を含め、四つの指標を設定しております。 また、それらの達成に向け、五十一のKPIを設定し、様々な施策に取り組んできているところでございます。 御質問のありました合計特殊出生率の成果指標の達成に向けては、現行の創生総合戦略においては、お見合いサポート、婚活サポートによる成婚報告数を二〇二四年度までに計四百五十組にする、放課後児童クラブの待機児童数を二〇二四年度までにゼロにするといった具体的かつ努力可能なKPIを五項目設定しておるわけであります。 しかしながら、成果指標として設定した合計特殊出生率は、これら五項目のKPIのみによって変動するものではなく、例えばコロナ禍により婚姻数や出生数の減少に拍車がかかったように、その時々の社会情勢をはじめ様々な要因にも大きく左右されるわけであります。結果的に、合計特殊出生率はこのところ低下が続き、二〇二一年には一・四〇となっております。こうした事態にあって、一段と厳しい危機感を持って、あらゆる施策を総動員し、その効果も見極めつつ、長期的、継続的に取り組むことが重要であるというふうに考えております。 こうしたことから、次期創生総合戦略におきましても、二〇三〇年までに合計特殊出生率一・八の達成という成果指標について、この時点で旗を下ろすべきではないという判断で、これを引き続き掲げた上で、第四次岐阜県少子化対策基本計画を見直し、施策を再構築し、KPIも一層充実してまいりたいというふうに考えております。 そして、新年度予算におきましては、午前にも御答弁申し上げましたけれども、人口減少社会からの脱却を重点課題の一つとして掲げ、結婚を希望する独身者の交流会の開催、保険適用後の不妊治療費の自己負担分の補助、第二子以降の出生児への祝い金の支給、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業の拡大などの施策に取り組むこととしております。 こうした中で、例えば助成制度を活用した特定不妊治療件数、あるいは第二子以降の出生数などに着目して、さらにKPIを追加・拡充し、より丁寧に検証してまいりたいと思います。 ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 教育の充実に向けた今後の取組についてお答えします。 本県の教育環境は、この二十年間で児童・生徒数が約二割減少しておりますが、教員数は維持することで、県内各地に特別支援学校を設置し、また少人数学級を進め、一人一人に寄り添いながら、将来を担う子供たちの育成に向け日々取り組んでおります。 一方、刻々と変化する社会環境の中、本県では、例えばSociety五・〇の到来を見据え、ICT環境の整備については重点予算化し、短期間で一人一台端末を配備した結果、コロナ禍での学びの継続、探究的な学びの深化につながったところです。 また、来年度は、小・中学校の少人数学級の全学年実施、DXによる教育現場の業務効率化、部活動の地域移行、不登校支援体制の強化など、きめ細かな指導ができる学校づくりを進めてまいります。 加えて、生徒が減少する中での教育の在り方、教育を担う人材の確保、育成等について、次期教育ビジョンにおいてその方向性を定めつつ、今後も誰一人取り残さず子供たちの夢を育てることができるよう、国事業も活用しながら教育の充実を図ってまいります。 ○副議長(加藤大博君) 清流の国推進部長 長尾安博君。    〔清流の国推進部長 長尾安博君登壇〕 ◎清流の国推進部長(長尾安博君) 清流の国ぎふ大学生等奨学金の拡充の狙いについてお答えいたします。 本県出身者が県外に進学した場合のUターン就職の状況について一部の大学に行った調査では、Uターン就職率が三割程度である一方、本奨学金利用者における昨年度のUターン就職率は六割を超えており、本事業は一定の成果を収めていると認識しております。 一方で、全国大学生活協同組合連合会の調査によれば、下宿生の一か月の支出平均額は約十二万円とされており、現行の貸与月額三万円では生活費を賄うには十分でない状況と言えます。また、本奨学金貸与者のうち三割以上の方が県外に就職されていることや、新規申請者がここ数年定員に対して八割程度にとどまっていることも課題であると考えております。 このため、奨学金貸与月額を三万円から六万円に倍増し、全国トップクラスの支援額とすることで、学生の生活の支援や学生の親の子育てに係る経済的負担の軽減につなげるほか、奨学金利用者のUターン就職率の向上や新規申請者の増加を図り、さらなるUターン就職者の増加を目指してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 十三番 伊藤英生君。    〔十三番 伊藤英生君登壇〕 ◆十三番(伊藤英生君) 続きまして、中小事業者へのデジタル変革支援について、知事にお尋ねいたします。 本県は、二〇一八年、産学官連携の下、県内企業が主体的にIoT、ビッグデータ、AI、ロボット等を導入、活用できるように促進し、生産性の向上、新商品、新サービス創出を実現するため、岐阜県IoTコンソーシアムを設立しました。以来、IoT等を活用した生産性の向上、新製品・新サービス開発に関するテーマで講演会・セミナー、研修会や、IoT導入・活用事例紹介等を開催したり、コンソーシアム会員による複数企業等で構成されるワーキンググループのIoT導入の実証、研究、開発経費等に対して助成したりするなど、様々な取組を行ってきたところでございます。 ここで、改めてIoTとは何かを簡単に説明しますと、モノがインターネットにつながること、またはその技術と定義することができます。 一方、今の潮流であり、本県の施策の柱ともなっておりますデジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術による改革を意味しており、デジタル技術やデータ活用を通して、人々の生活、ビジネスモデルをよりよいものに変革することを指します。そういう意味では、IoTはDXに包摂されると言えるでしょう。 さて、昨年二〇二二年は、AIの世界で節目となる年となりました。新しいタイプの生成モデルが登場し、自然言語に近い文章を作成したり、テキストからイラストや音楽を作成したりしてくれるAIを我々一般市民でも気軽に使える環境が構築されました。 これまで専門的な知識の必要であったソフト本体の修正やプログラムの一部を改良したりするパッチファイルとコードの生成や、アプリそのものについても生成することが可能となり、これは経営資源が限られている中小企業にとっては新しい戦い方ができるチャンスになると考えています。 そのようなタイミングで、本県は本年四月からIoTコンソーシアムをDX推進コンソーシアムに改編する方針を定めました。その意図するところが気になるところです。 そこで、知事にお尋ねいたします。県内の中小企業は、様々なコンテンツをAIにより自動生成することが可能な時代に突入したことにより、市場において新たな戦い方ができるチャンスだと考えますが、このような変革の時代の中、岐阜県はIoTコンソーシアムをDX推進コンソーシアムに改編する方針を定めましたが、その狙いについてお聞かせください。 続きまして、情報技術の発展に伴う情報教育の取組について、教育長にお尋ねいたします。 二〇二二年末に某米国企業が公開したAIチャットボットは、大学の学部学生のレポートぐらいは書けてしまう能力を持っており、実際レポート作成に使ったと思われる事例が続出し、フランスの名門大学、パリ政治学院は、一月二十七日、人工知能を使った自動応答システムの利用を禁止すると発表、その動きはニューヨークやオーストラリアの大学にも広がっております。某米国の起業家も「さらば宿題」とツイートするなど、学校関係者に与える衝撃は軽くないものと推察します。 最初に申し上げておきますが、私はこうした技術の使用を禁止するべきではないという立場で質問を続けます。 「さらば宿題」とはどういう意味か。例えば、二〇二二年夏休み中学生のある課題図書を題材に、私がこのAIチャットボットにその粗筋と、そして次のオーダーを投げてみました。 この本の読書感想文を中学二年生の男子が書いている体裁で作文してください。なお、文章の後半には、本を読んだ中学二年生の男子がこの本に書かれている内容を彼の人生にどう生かしていくかという視点を盛り込んだ文章構成にしてください。また、文章はですます調にしてください。 そして、三分ほどで生成された文章が議場の皆様にお配りしております左上に③と振ってあります資料でございます。テレビで御視聴の方にもパネルでお見せしたいところではございますが、こうしたAIで生成された文章や画像については、著作権や肖像権などの権利関係がまだ定められていない現状でございますので、お見せするのは残念ながら控えさせていただきますが、いかがでしょうか。 全く違和感のない文章に驚きますし、パターンを変えた文章を複数生成したり、三百字に要約したり、である調に変えたり、オーダーを繰り返せばカスタマイズが自由自在で、丸写しを疑う段階とは一線を画します。 また、画像生成AIを使ってポスター作品を仕上げることができます。例えば、架空のこんなポスターコンクールがあると設定してみましょう。想像上の未来の照明器具を作ってくださいというオーダーです。小学三年生の女の子がクレヨンで描いたタッチで、楽しく夢のあるようなポスターを作画してほしいと、私この画像生成AIのほうにオーダーを投げてみました。 これもまたテレビで御視聴の皆様にお見せできないのが残念でございますけれども、資料④を御覧ください。生成された画像、ここに三種類披露させていただきますが、左から、AIさん、クレヨンというオーダーが解釈に影響したのでしょうか、色鉛筆を照明にしたような絵や、あと雲にスイッチがついたような絵、雲がランタンになったような絵、なかなか夢のある絵が仕上がったのではないでしょうか。さすがにこれをそのまま印刷してポスターコンクールに応募というわけにはいかないでしょうが、作画の参考にはなるのかなというふうに思っています。 繰り返しますが、私はこうしたAIチャットボットの使用を禁止することは意味のないことだと思っています。こうした流れは止められませんし、今後さらに加速化していくものと思われます。 情報教育の本質は、こうした新しい技術をどう使いこなし、どう学習に結びつけていくのかという点について指導していくことだというふうに考えます。 そこで、教育長にお尋ねいたします。AIをはじめとする情報技術が著しい進歩を遂げる中で、今後こうした進歩にどのように向き合い、どのような情報教育を展開していくのか、所見をお聞かせください。 次に、公共交通のDXにつきまして、都市公園整備局長にお尋ねいたします。 地方の公共交通は、少子高齢化や人口減少、モータリゼーションの進展、さらにこの三年間は新型コロナウイルスの蔓延により利用者が減少しており、運転手不足等も相まって、サービスを維持、確保していくことが大変厳しい状況にございます。運行経費を削減するために運行本数を減らすとさらに不便となり、また利用者が減る。こうした流れで公共交通サービスが徐々に縮小しております。 一方で、東京、大阪、名古屋といった都市部においては、公共交通が大変充実しており、運行本数も極めて多く、加えて新たなデジタル技術の活用により利便性が高まっており、多くの方に利用されています。 例えば名古屋では、御存じのとおり、JR東海や名古屋鉄道の路線あるいは地下鉄が数分に一本運行され、これらに接続する路線バスも高い頻度で運行されていますが、これら鉄道、地下鉄、バス、全ての公共交通をJR東海のICカードTOICA、あるいは名古屋鉄道のICカードmanaka一枚で乗車することが可能となっています。 数年前から公共交通の利便性を飛躍的に高めるものとして世界的に注目されている手法としてMaaSがございます。これを世界で初めて実践したフィンランドのヘルシンキでは、スマートフォンアプリの活用により、複数の交通機関のサービスを一つのサービスとして提供することにより、大きな成果を収めたとのことですが、我が国の都市部における公共交通も、時刻表を気にせず、一枚のカードで複数の交通機関をシームレスに乗り継いで移動することが可能であり、MaaSそのものではないかもしれませんが、それに匹敵する仕組みが社会実装されたと言えるのではないでしょうか。 都市部では、こうした公共交通で日常生活の移動が十分に可能であるといった背景もあり、若年層を中心に自家用車離れさえも起きているというふうに伺っております。 翻って、本県においても、都市部のような路線数や運行頻度は難しいとしても、デジタル技術を活用することで、利用に合わせた公共交通の運行やシームレスな乗り継ぎを実現し、公共交通の利便性を向上させていくことは可能ではないでしょうか。そのことが利用促進や運行の効率化を進め、厳しい環境にある県内の公共交通の維持、確保につながるものと考えます。 そこで、以上を踏まえて二点、都市公園整備局長にお尋ねいたします。一点目、公共交通のDXについて、現在県内ではどのような取組がなされているのか、その現状についてお答えください。二点目、公共交通の利便性を高めていくため、DXをどのように推進していくのか、今後の取組についてお答えください。 ここで二回目の質問を終わります。 ○副議長(加藤大博君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 中小事業者へのデジタル変革支援というコンテクストの中で、IoTコンソーシアムからDX推進コンソーシアムへの改編の狙いについてのお尋ねがございました。 岐阜県IoTコンソーシアムでありますが、平成三十年六月に設立しておりまして、これまで約五年間にわたって、産学官連携の下でIoT技術を活用し、生産性向上などを目指す県内企業の取組を支援してまいりました。具体的には、会員向けの講演会、先進企業の視察、複数企業によるワーキンググループの実証事業への支援などを実施してきたわけであります。こうした活動により、当初百八十三であった会員数は二百七十七に増加し、また会員企業のIoT導入率は、当初の九%から五二%へと大きく向上しております。 こうした中で、これまではセンサーを効果的に活用することにより、機械設備の稼働率や生産工程の見える化を図り、業務の効率化を進めていくことを中心に支援してまいりました。 昨今では、御指摘もありましたように、競争環境や産業構造の変化に対応していくため、ビジネスモデルや組織そのものも変革させ、新たな価値を顧客に提供するデジタルトランスフォーメーションへの機運が高まってきております。このため、DX推進コンソーシアムへと改組し、支援の内容を拡充してまいります。 DX推進コンソーシアムの狙いは、大きく三点ございます。まず一点目は、新たなビジネスモデルの創出支援であります。例えば県内では、コロナ禍への対応として、海外工場での製品検査をリモートで行うシステムを構築し、これを機に駐在社員を本社に集約し、新たな事業に充てた事業者がおられます。こうした高度な新しい事業に取り組む企業への資金面での支援を強化するため、研究・実証事業への補助金を一件当たり一千万円と倍増したDX枠を新設いたします。 二点目は、デジタル技術活用の裾野拡大であります。これまでのIoTに限らず、ドローン、AI、高精細カメラなどの高い技術をテーマとした活動により、製造分野の裾野を拡大いたします。また、卸・小売業や宿泊業など幅広い業種を巻き込んだ活動を展開し、会員数の拡大を図ります。加えて、企業と大学が連携し、DX成功事例を調査・分析する研究会を新設し、他の企業への成功要因の横展開を図ります。 さらに、インボイス制度への対応を機に、紙や電話でのやり取りをデータ化し、受発注から請求、決済までを自動化するモデル事業に取り組み、その中小企業への普及を図ります。 三点目は、デジタル社会に対応した人材の育成でございます。研究会で分析したDX成功要因などを基に、問題解決型のワークショップを新設し、企業内のDX人材の育成を図ってまいります。 ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 情報技術発展に伴う情報教育の取組についてお答えします。 情報技術の進展は日進月歩であり、生活を豊かにすることが期待される反面、誤った情報が含まれる可能性や、宿題や課題等をAI任せにすることへの懸念が指摘されていることも承知しております。 現在、既に子供たちは日常的にICT機器を活用して学習しており、今後も情報技術の進展とともに学習が変化すると見込まれております。そうした中、AI等新しい情報技術と適切に向き合う方法を学ぶことは、将来に生きる情報活用能力の育成に資するものと考えられます。 このため、従来より取り組んでいる情報モラル教育に加え、社会的諸問題に向き合いながら、次々に登場する新しい情報技術を積極的に活用して主体的に課題解決を図ることを目指すデジタル・シティズンシップ教育を推進することが必要です。 そこで、子供たちがテクノロジーのよき使い手となるよう、来年度から外部有識者を講師として、デジタルネーティブ世代への理解や、オンラインコミュニケーションで必要となるスキル、SNSの実践的な活用等を学ぶ教員研修を新たに設けてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 都市公園整備局長 舟久保 敏君。    〔都市公園整備局長 舟久保 敏君登壇〕 ◎都市公園整備局長(舟久保敏君) 公共交通のDX推進についての御質問にお答えいたします。 まず県内における取組状況でございますが、公共交通におけるデジタル技術の活用は、利便性の向上と運行効率の改善に有効な手段であり、県内でも様々な取組が進められております。具体的な事例として、予約制バスなどの配車や経路選択に人工知能を活用するAIオンデマンド交通が三市一町で導入されており、例えば各務原市では、AIの導入二年目で利用者数が導入前の約二倍に増加するといった効果も出ているところです。 また、キャッシュレス決済は、JR東海と名鉄、地方鉄道四社、路線バス四社で導入されているほか、バスの位置情報を利用者にリアルタイムで提供するバスロケーションシステムの整備は、路線バス二社と九市一町で進められております。 さらに、MaaSの実現に向けては、まずは時刻表や停車位置などの情報をGTFSというデータ形式で整備することが必要となりますが、鉄道と路線バスではほぼ全ての事業者、市町村自主運行バスでは約七割の市町村において整備がなされております。 次に、公共交通の利便性向上に向けた今後の取組でございますが、まずは先ほどお答えしましたAIオンデマンド交通やキャッシュレス決済など、バスや鉄道といったそれぞれの交通機関における取組を進めながら、個々の交通機関で提供されている複数の交通サービスをデジタル技術の活用によりつなぎ合わせ、一つのサービスとして利用できるよう、MaaSの構築を進めていくことが必要と考えております。 そこで、AIオンデマンド交通については、引き続き市町村に対し、アドバイザー派遣や実証実験などへの支援を通じてこれを促進するとともに、キャッシュレス決済については、今後MaaSの決済基盤として活用できるよう、全国交通系ICカードなど、異なる交通機関で相互利用が可能なシステムの導入を支援してまいります。 さらに、県内全ての交通機関でGTFSデータの整備がなされるよう、未整備の市町村や事業者に対し、勉強会などを開催し取組を促すとともに、専門家の意見や先進事例を基に検討を行い、本県の実情を踏まえたMaaSの構築を進めてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 十三番 伊藤英生君。    〔十三番 伊藤英生君登壇〕 ◆十三番(伊藤英生君) 続きまして、ウイズコロナ対策及びアフターコロナ対策について質問をしていきたいと思います。 五類への位置づけ変更に伴うサーベイランス体制について、知事にお聞きしたいと思います。 サーベイランスは注意深く監視するという意味で、感染症の発生動向を把握したり、対策の効果を評価したりすることでございます。 さて、政府は、二〇二三年五月八日から新型コロナを五類に位置づける方針を示しました。これにより、入院や外来の取扱いは、原則としてインフルエンザなど他疾病と同様になることから、幅広い医療機関で患者が受診できる医療体制に向けて必要な感染対策や準備を講じ、県民の安心を確保しながら、段階的な移行を目指すことになります。 また、外来は、幅広い医療機関が患者の診療に対応する体制へ段階的に移行し、入院は入院措置、勧告が適用外になり、幅広い医療機関が入院患者を受け入れ、個々の医療機関の間で入院調整を行う体制へと段階的に移行することになります。 五類の扱いに沿えば、新型コロナの患者を全ての医療機関で受け入れることが可能となり、そのことで感染対策の面で問題が生じる可能性も指摘されているところでございます。 国は、広く一般的な医療機関による対応への移行、診療報酬上の特例措置や病床確保料の取扱い、重症者等の入院調整の在り方、高齢者施設への検査・医療支援などの段階的見直しについて内容を検討・調整しており、近々具体的な方針が示される見込みです。 こうした医療提供体制などに係る県としての方針や具体的な対応については、現在検討が行われていると承知しておりますが、五類への位置づけ変更後の新型コロナ対応をどのように行っていくにせよ、感染動向の把握や分析、変異株の解析といったサーベイランスは引き続き重要でありますし、しっかりと感染動向を把握し、分析するからこそ、また国頼りでなく、県保健環境研究所で独自に変異株の解析を行い、変異株の県内流行の兆しを敏感につかめるからこそ、その時々において県としての適切な対策を立案、実行し、感染の波に対応することが可能なのではないかと思っております。 今回の国の見直し方針では、感染症法に基づく発生届は終了し、定点医療機関による感染動向把握に移行することとされました。この定点把握は、現在季節性インフルエンザなどのサーベイランスで用いられる手法ですが、季節性インフルエンザでは、県が指定した県内八十七か所の定点医療機関から週一回、年代別の感染者数の報告を受け、発表しているとのことです。 現在、新型コロナでは、八百を超える数の診療・検査医療機関から、全ての感染者について、しかも毎日報告があり、県から発表されております。単純計算で約十分の一近くまで減少する把握数や、週一回となってしまう報告・発表頻度で、果たして今後も正確かつ詳細な分析ができ、適切な対策を立案、実行することができるのか不安に思うところでございます。 国が示した方針において定点把握に移行するとされた中で、今後これまでの仕組みに代わる詳細な感染動向の把握方法と分析手法をどの程度まで確保するかが大きな課題なのではないでしょうか。 そこで、知事にお尋ねいたします。新型コロナウイルス感染症の五類感染症への位置づけ変更後、どのように県内の感染状況を把握していくのか、お考えをお聞かせください。 続きまして、介護サービスを継続するための支援について、健康福祉部長にお尋ねいたします。 三年以上にわたり世間を騒がせ続けてきた新型コロナウイルス感染症ですが、先ほどの質問でもあったように、この五月に五類に位置づけられることにより新しい段階に入ったとも言えます。しかしながら、新型コロナウイルス自体は消滅したわけでもなく、依然として存在を続け、我々はしばし共存の道を歩むことになります。特に、コロナの影響を受けやすい高齢者等を多く抱える介護サービス事業所にとっては、対策を緩めることができない状況が続くことになります。 では、新型コロナウイルス感染症が介護サービス事業所で発生した場合、どのような影響があるのでしょうか。 一つ目は、スタッフ不足です。スタッフが感染した場合、スタッフが出動停止となることにより、サービス提供に支障が生じる可能性があります。 二つ目は、サービス提供時間の短縮です。感染予防対策を実施するため、サービス提供時間を短縮せざるを得ない場合があります。 三つ目は、サービス提供内容の変更です。感染予防対策のため、サービス提供内容を変更しなくてはならない可能性があります。 四つ目は、サービス利用者の減少です。感染が発生すると、サービス利用者が不安に感じてサービスの利用を控える可能性があります。また、感染が拡大すると、行政からの指導によりサービス提供を停止する場合があります。 五つ目に信頼失墜です。感染が発生すると、サービス利用者やその家族、地域住民からの信頼が失墜する可能性があります。このような状況に陥ると、事業所の存続にも影響が出る可能性があります。 これらの影響を最小限に抑えるためには、事業所が感染予防対策を徹底することが大切なのはもちろんのこと、その御家族が生活を支えるために必要不可欠な介護サービスを継続していけるよう、県がしっかりと支援していくことが大切だと考えます。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。介護サービスの継続支援に向け、県としてどのように取り組んでいくお考えかお聞かせください。 続きまして、県の観光施策として重点的に取り組まれておりますサステーナブル・ツーリズムについて、知事にお尋ねいたします。 サステーナブル・ツーリズムは持続可能な観光と訳され、国連世界観光機構では、訪問客、業界、環境及び訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在及び将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光と定義づけられております。 地域の自然や歴史、文化などを守りつつ、そうした地域資源の活用により経済的便益を供給し、持続可能な形にしていくというもので、併せて旅行者増加による過度な混雑やマナー違反の回避といった住民目線での取組も求められているものでございます。 もともと欧州を中心に関心が高かったスタイルでございましたが、コロナ禍を経た現在では、世界の旅行者の約七割がサステーナブルな旅行に関心があるとのデータもあり、今やサステーナブル・ツーリズムは世界の観光の潮流と言えます。 国におきましても、現在策定中の次期観光立国推進基本計画の中で、その柱として持続可能な観光を掲げられる予定であり、今後は全国各地でもこの取組が進められるものと思われます。 一方、本県では、これまでも地域で受け継がれてきた自然や歴史、文化などを活用した観光を全面に進めてこられ、様々な体験コンテンツを提供するなど、欧米豪を中心に人気を博し、コロナ禍前には外国人延べ宿泊客が百六十六万人を数えたのは周知のところでございます。来年度からは、コロナからの反転攻勢として観光のV字回復を目指され、その中でも新たにサステイナブル・ツーリズム推進室を設置し、より一層サステーナブル・ツーリズムの推進に力を入れて取り組まれるものと認識しております。 そこで、知事にお尋ねいたします。今後サステーナブル・ツーリズムの推進にどのように取り組まれるお考えかお聞かせください。 ここで三回目の質問を終わります。 ○副議長(加藤大博君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) まず五類への位置づけ変更に伴うサーベイランスの体制についてでございますが、五類変更後における新型コロナの感染状況の把握につきましては、先般、国から示されました見直し方針におきまして、感染症法に基づく発生届出を終了し、季節性インフルエンザと同様の定点把握に移行することになっております。 具体的には、現在、新型コロナと診断した患者数を全ての診療検査医療機関から毎日報告を受けておりますが、五月以降は、都道府県が指定する定点医療機関からのみ週一回報告を受けるという方式とすることが検討されています。 振り返ってみますと、この三年間、日々の新規陽性者数や変異株等の情報を分析し、その時々の感染状況を見極め、本県の新型コロナ対策の方向性を判断してまいりました。五類に位置づけられた後も、その時々の感染状況を適時適切に把握することは、的確な対応を行う上で引き続き重要であると考えております。 そのため、本県としては、定点把握の仕組みづくりは確実に行いつつも、本県独自の取組として、感染状況をより正確かつ迅速に把握することができる体制を構築してまいりたいと考えております。 具体的には、県医師会が現在運用している岐阜県リアルタイム感染症サーベイランスシステムを新型コロナでも活用してまいりたいと考えております。このシステムでは、季節性インフルエンザについて、定点医療機関に加え、協力医療機関にも情報を提供いただいており、かつ国の定点把握が週に一度の報告であるのに対し、毎日の陽性者数を把握しております。これを新型コロナにも活用し、またより多くの医療機関に参加いただくことにより、鋭敏な感染状況の分析が可能となります。 また、変異株の発生状況を把握するための遺伝子解析、いわゆるゲノムサーベイランスにつきましては、国としても継続する方針を示しております。 本県では、変異株の発生が新たな感染拡大の予兆となるという観点から、令和三年七月、県保健環境研究所に次世代シークエンサーを導入し、県独自の解析により、早期に変異株の流行状況が把握できる体制を既に構築しております。今後も早期に変異株流行の予兆を捉えるため、引き続き積極的にゲノムサーベイランスを実施してまいります。 次に、サステーナブル・ツーリズムの推進についてでございます。 既に御指摘もありましたが、サステーナブル・ツーリズムは、地域の自然、歴史、文化やたくみの技などの地域資源を守り伝えつつ観光活用することで、経済・社会・環境に好循環を生み出す持続可能な観光を目指すものであります。近年は、このサステーナブル・ツーリズムへの関心が世界的に高まっており、今や観光のグローバルスタンダードになりつつあるというふうに認識しております。 本県では、従来からまさにその理念にのっとり、地域で脈々と受け継がれる生活文化を守りながら活用する、地域住民が住んでよし、観光客が訪れてよしの観光を進めてまいりました。その取組は国際的にも評価され、サステーナブル・ツーリズムの国際認証機関であるグリーン・デスティネーションズによる世界の持続可能な観光地百選には、二〇二〇年の白川村を皮切りに、長良川流域、下呂市・下呂温泉と県内から三年連続で選出されております。 例えば、長良川流域は、川と共に生きる流域の人々の知恵と努力が清流を保ち、その清流が世界農業遺産、清流長良川の鮎をはじめとする豊かな自然、食、文化を育み、さらには産業や観光へと発展させる循環型の取組が評価されたわけであります。 こうした世界に通じる持続可能な観光地域づくりを県下全域に浸透させてまいりたいと考えております。このため、本県のサステーナブル・ツーリズムを牽引する地域資源を「NEXT GIFU HERITAGE ~岐阜未来遺産~」として認定し、重点的に支援してまいります。 この岐阜未来遺産は、これまで進めてきた岐阜の宝もの制度を発展させ、世界に認められる持続可能な観光プログラムを育てるべく創設した制度であります。このため、認定基準には、オーバーツーリズムなど観光が与える地域へのマイナスの影響への対策、一定の滞在時間や観光消費を見込めるコンテンツ提供など、観光による地域経済への効果をはじめとした国際指標を盛り込んでおります。さらに、自然や文化など、岐阜県らしい魅力的特徴や周辺観光地との連携による魅力拡充などの独自項目を加え、本県ならではの認定制度としたところでございます。 今年夏前には初となる認定を行い、まずは認定地域の受入れ環境の改善を強力に支援いたします。また、認定に向けてチャレンジしようという県内各地の取組を積極的に後押しし、県下にくまなく持続可能な観光地域づくりの取組を広げてまいります。同時に、これらを国内外に積極的に発信し、誘客拡大につなげてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 介護サービスを継続するための支援についてお答えします。 介護サービス事業所における平時の新型コロナウイルス感染予防対策については、県で事業所における基本的な感染予防や感染発生時の初動対応などを説明する動画を作成し配信するとともに、実施すべき対策をまとめたチェックリストを配布しております。これらを事業所内で広く活用していただくことにより、感染予防の徹底を図っていただいております。 また、感染発生時の対応としては、必要となる衛生資材などの購入費用や従事職員の割増手当、追加で人材を確保する際の人件費など、通常の介護サービス提供時には想定できない掛かり増し経費を支援しております。 さらに、感染の拡大防止に向け、必要に応じて医師や看護師などの感染症対策の専門家による指導を実施し、事業所の実情を踏まえた対策を促進しております。 介護サービスは、介護を要する高齢者やその家族にとって必要不可欠であり、感染発生時もその継続が求められることから、引き続きこうした支援を実施してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 十三番 伊藤英生君。    〔十三番 伊藤英生君登壇〕 ◆十三番(伊藤英生君) 続きまして、孤独・孤立対策官民連携事業について、健康福祉部長にお尋ねいたします。 自殺者の増加が止まりません。警察庁が令和五年一月十二日に集計した令和四年の月別自殺者数についてによりますと、全国の令和四年の自殺者総数は二万千五百八十四人で、前年比で五百七十七人増加、ここ数年は増え続けております。 総数以上に気になりますのが、十代、二十代の自殺が目立つことです。令和元年で六百五十九人だった十代の自殺は、令和二年が七百七十七人、令和三年は七百四十九人、令和四年は七百八十九人と高止まりしています。二十代も令和元年の二千百十七人から令和二年には二千五百二十一人に、令和三年には二千六百十一人、令和四年は二千四百五十二人となりました。しかも、令和三年には、平成二十九年からゼロ人だった十歳未満で一人の自殺が報告されています。 学生・生徒の自殺も令和元年は八百八十八人でしたが、令和二年には千三十九人に増えており、令和三年も千三十一人、令和四年は千五十八人、うち小学生十七人となっております。 その背景は様々でしょうが、長引くコロナ禍もあり、孤独・孤立を感じる方が増えていることがその原因として指摘する声もあります。 私がこの孤独・孤立対策について質問するのは三度目です。 一回目は、令和三年二月定例会で、望まない孤独対策について速やかに課題を洗い出すとともに、各部署にまたがる施策の総合調整を行う仕組みを構築していく必要性をただし、健康福祉部長から「庁内連携会議の設置や相談支援機関、市町村、支援団体による意見交換会により、まずは社会的に孤立し不安を感じている方々への包括的な相談支援体制の在り方について検討していく。また、国においても社会福祉法に基づく包括的な支援体制を整備する市町村向け事業が創設されるため、国の動向も注視しつつ市町村とも連携し、重層的な支援体制を整えていく」と答弁をいただきました。 そして、二回目は令和三年九月定例会で、その後庁内でどのような検討が行われたのかということについてただしたところ、健康福祉部長からは、「関係課による庁内連携会議を設置し、二回開催するとともに、市町村や相談支援を行うNPO法人等との意見交換を実施した。その結果、相談先が分からない、相談窓口の利用日が限定的、支援が必要な方の把握が困難などの課題が明らかになった。これらの課題に対して、まずは九月に支援策や相談窓口の一覧を県公式ホームページに掲載し、関係機関に周知した。また、若年層や女性などが相談しやすいSNSを活用した相談窓口こころのサポート相談「ほっと・ぎふ」の利用日を現状の第二、第四日曜日から毎週日曜日に拡充した。さらには、民生委員を対象に、支援が必要な方を適切な窓口へつなげるための研修を実施し、アウトリーチ型支援の強化を図る」と答弁をいただきました。 そうしたことを踏まえ、そこで健康福祉部長にお尋ねいたします。一点目は、孤独・孤立対策官民連携事業費補助金が三月補正予算で計上されておりますが、補助金の活用でどのような活動と効果を期待しているのでしょうか。二つ目は、過日開催した官民連携プラットフォーム会議では、どのような議論が行われたのか。以上二点についてお聞かせください。 続きまして、女性等の視点を踏まえた避難所運営のための市町村支援について、危機管理部長にお尋ねいたします。 東日本大震災や熊本地震といった過去の災害では、女性と男性によるニーズの違いや子育て家庭等のニーズが十分に把握されず、必要な生活物資や支援が提供されなかったなど、避難所生活における様々な課題が生じました。 この避難所生活は、コロナ禍において、ある程度のスペースを確保しながら運営していくことになったとはいえ、それでも多くの方々から安心して避難所生活を送ることができないという声をお聞きするところでございます。 多くの避難所は、体育館や公民館の広いスペースで大勢の人が寝泊まりするといった運用がなされており、実際寝泊まりしてみると、隣の物音が気になったり、お子さんの泣き声がしたり、介助が必要な人がいたりと、子供から高齢者まで一つのスペースで大勢の人が生活するという内容でした。そういった実情を踏まえ、国も避難所の生活改善を打ち出し、個別スペースを確保するためのテントやパーティションといった資機材の導入などを進めて、一定の成果があったのではないかと感じているところでございます。 また、限られた空間で多くの人が集団生活を送る避難所の運営にあっては、女性や高齢者など多様な方の意見を聞きながら生活環境を整備することや生活ルールを決定する必要がありますが、それには災害対応や防災活動の場に女性等の要配慮者が参画できる環境づくりが必要です。 女性をはじめとする多様な立場の人々が避難所の設営から運営に至るまで様々な分野に参画し、プライバシーを確保するといった避難所の生活の向上について、市町村の避難所運営に反映していくことが重要であると考えます。県では、次年度予算において、女性の視点等を踏まえた避難所運営推進事業費補助金を事業化し、女性ニーズ等を踏まえた避難所運営に取り組む市町村を支援することとしています。 そこで、危機管理部長にお尋ねいたします。避難所の環境整備に対する市町村支援について、今後どのように女性等の視点を踏まえた市町村の避難所の運営につなげていくお考えかお聞かせください。 続きまして、上下水道政策について三つほどお聞きしたいと思います。 一つ目、水道事業の広域化の取組について、健康福祉部長にお尋ねいたします。 急速な人口減少や施設、管路の老朽化等に伴い、水道事業の経営環境は厳しさを増しております。持続的な経営確保のためには、中長期の経営見通しに基づく経営基盤の強化が必要であると考えます。 県では、二〇一七年十一月に設置した県と市町村で構成する岐阜県水道事業広域連携研究会等において、広域化に向け検討を重ねてきたところです。 ここで、本県の水道事業の状況を見てみたいと思います。 資料⑤を御覧ください。(資料を示す) 本県は、二〇〇六年一月に策定した岐阜県水道整備基本構想において、地形・水系の自然条件、核となる都市の配置や生活圏、水道用水供給事業の給水区域等を勘案して、県内市町村を四つの広域水道圏に区分してきました。 こうして比べてみると、私の地元、可児市御嵩町を含む岐阜東部の七市七町一村は、全体の八割を県営水道から受水しており、他圏域と比較しても割高感を感じてしまいますが、この辺りも広域化で何とかならないかなと期待を寄せるところではございますが、全体的な将来見通しはなかなか厳しいようで、水道により給水を受けている人口である給水人口と料金徴収の対象となった水量である有収水人口、両者とも今後四十年間で約三〇%減少する見通しとなっております 加えて、二十から三十年後には、設備の更新需要のピークが到来する見込みとなっており、資料⑥を御覧ください。(資料を示す)仮に料金改定なしのままで突っ込んだとしたら、全圏域で五年後から十七年後にかけて、順次赤字に転落する見通しとなっております。 県民の暮らしを守るため、水道料金の上昇は何としても抑えていかなくてはなりません。水道料金の上昇を抑制しつつ適切に施設の更新を行うためには、市町村を超えた水道事業の広域化を進めていく必要があると考えます。 さて、二〇一九年一月には、国から、広域化を進めていくための計画として、水道広域化推進プランを二〇二二年度末までに策定するよう県に要請がありました。今月がその年度末です。県として、どのような方針を取りまとめられたのかが気になるところです。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。水道事業の広域化に向け、どのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。 続きまして、個人宅を含む水道の鉛管(えんかん)、分かりやすく鉛管(なまりかん)と以降表現させていただきますが、鉛管解消に向けた取組について、健康福祉部長にお尋ねいたします。 鉛製給水管(鉛管)は、さびを発生させず、加工も容易なため、水道管として全国的に広く使用されてきましたが、鉛の溶出による人体への害や漏水の多発が懸念され、厚労省が一九八九年に通知を出し、各地で順次新規使用が禁止になりました。さらに、二〇〇七年の通知では、鉛管の総延長を五年後に半減し、できるだけ早期にゼロにするよう方針を伝えました。各地では、鉛管解消事業を実施して、公道部分はゼロとなるように努めてきたところです。 神奈川県では、二〇〇三年度から鉛管解消事業を立ち上げ、計画的に取替工事を進め、二〇一五年度には公道内の鉛管はほぼ解消されました。しかしながら、私道を含めた宅地内の給水管は個人の財産であり、強制はできず残存しているのが現状です。 福岡県北九州市は、鉛管に関して人体への影響、水質基準、鉛管の使用経過など、市民向けのQ&Aを発表しました。長時間使わなかった水は水質基準を超える可能性があるので、朝の使い始めに注意するよう呼びかけています。 各自治体では、ウェブサイトやチラシで鉛管が使用されているかどうかの調べ方について示すなど、周知活動に力を入れております。 個人の取替工事は、配水管分岐部から水道メーターまでと、水道メーターから各宅地への配管の二種類があります。各自治体では、水道メーターまでの取替工事を水道局の負担としている例が多数であり、鹿児島市では、水道メーターの直後約七十センチまでを水道局負担の対象とし、鉛管の解消を図ってきたところ、二〇一五年度までにおおむね解消することができたとのことでございます。 本県の鉛管の状況が気になるところです。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。本県における鉛管の使用状況をお示しください。また、その解消に向けた計画や目標はお持ちであればお示しください。あわせて、鉛管解消に向けた取組や県民への啓発活動についての所見をお聞かせください。 続きまして、下水道事業における脱炭素化の取組状況と今後の方針について、都市建築部長にお尋ねいたします。 二〇二一年十月に閣議決定されました地球温暖化対策計画では、下水道分野におきまして、二〇三〇年度における温室効果ガスを二〇一三年度比で二百八万トン削減することを掲げています。それを踏まえ、国交省では、脱炭素社会実現に貢献し、地域の生活の安定、向上につなげることを目的に、二〇二一年十月に下水道政策研究委員会、脱炭素社会への貢献のあり方検討小委員会を設置し、二〇二二年三月に報告書を取りまとめました。報告書の中で、地球温暖化対策計画で示した下水道分野の削減目標について、省エネ化による二酸化炭素削減、下水汚泥の高温焼却による一酸化二窒素削減、下水汚泥のエネルギー化、再生可能エネルギーの導入の四つの取組を示しました。 こうした取組は全国でも行われており、例えば秋田県では、分流式で三市四町一村が対象となる秋田臨海処理センターの敷地を利用して、風力発電、太陽光発電などの再エネ施設として活用しております。また、大量のバイオマス(汚水)を消化ガス、汚泥燃料として活用し、下水道終末処理場は再生可能エネルギー源として打ち出しております。 そこで、都市建築部長にお尋ねいたします。本県の下水道事業の脱炭素化について、取組状況と今後の方針についてお聞かせください。 ここで四回目の質問を終わります。 ○副議長(加藤大博君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 四点御質問をいただきました。 まず孤独・孤立対策官民連携事業費補助金の効果についてお答えします。 孤独・孤立対策の推進に当たっては、行政だけでなく、NPO法人等の民間団体も含めた社会全体で対応していくことが重要であると考えております。議員お尋ねの補助事業は、こうした考えの下、NPO法人等が孤独・孤立対策として新たな活動を行う場合や既存の取組を拡充する場合に必要となる活動経費を助成するものです。 具体的な内容としては、例えば誰もが気軽に参加できる居場所づくりや、お困りの家庭への訪問支援、SNSを活用した相談窓口、生活困窮者やひきこもりの方への就労機会の提供など、NPO法人等におのおのの得意分野を生かした活動を一層推進していただくことを期待しております。こうした取組が県内各地で広がっていくことで、行政の支援策と併せて、悩みや不安を抱えて困っておられる方にきめ細かな支援を届けてまいりたいと考えております。 次に、岐阜県孤独・孤立対策官民連携プラットフォームでの議論についてお答えします。 人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得る孤独・孤立の問題は、行政と民間の支援団体同士が情報共有しながら連携した支援を行うことが必要です。このため、先月二十七日に岐阜県孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを設置いたしました。構成員としては、県に加え、ひきこもりや困窮者の生活支援、子育て支援などのNPO法人や社会福祉協議会、県内全ての市町村など、計百五十四の様々な分野や地域の団体に加入していただいております。 先月二十七日のプラットフォームの初会合には、県も含め、プラットフォーム活動の企画・検証を行う十二団体が出席し、多数のNPO法人が参加しており、県内全域の団体とつながり合えることを期待している、加入団体の連携により要支援者へ切れ目のない支援を届けることが大切といった御意見をいただいたところです。今後も、加入団体から丁寧に御意見を伺いつつ、悩みや不安を抱えて困っておられる方への効果的な支援につなげてまいります。 次に、水道事業の広域化に向けた取組についてお答えします。 本県水道事業の将来見通しは、人口減少に伴い、水需要が今後四十年間で三〇%減少し、料金収入が減少することに加え、老朽化した施設の更新時期が二十から三十年後にピークを迎えるなど、経営環境が一層厳しくなると見込まれます。また、市町村ごとの小規模事業者が多いため、若手技術職員の育成や技術継承も課題となっています。 このため、料金の上昇を抑えつつ、適切な施設の更新等による安定した経営を行うには、水道事業の広域化を進め、経営基盤を強化していく必要があり、県水道広域化推進プランをまとめたところです。 プランでは、資材の共同購入や水質検査等の共同委託を進めつつ、県のシミュレーション結果に基づく浄水施設等の共同化について個別ケースごとに検討し、その上で経営の一体化についても検討を行うこととしており、共同委託等は令和六年度、施設の共同化は七年度、経営の一体化は八年度をめどにその方向性を示すこととしています。今後の検討に当たっては、事業内容や効果等の精査と事業者間の調整が重要であり、市町村の意向に配慮し丁寧に進めてまいります。 最後に、個人宅を含む水道の鉛管解消に向けた取組についてお答えします。 鉛製の水道管については、国からはできるだけ早期に全廃するよう求められており、本県においては、公道に布設されている市町村管理の配水管では全廃されていますが、配水管から個人宅等へ引き込む給水管では、一部市町において鉛管が使用されている状況です。 具体的には、令和二年度末時点で三十市町村では全廃されている一方、七市町で少なくとも約三千か所の残存が把握され、また五市町では状況を把握できていない状態となっています。 このため、県としては、全廃に至っていない市町に対して一層の取組を促す必要があると考えており、給水台帳の確認等による対象住宅の特定や布設替え計画の早期策定を求めてまいります。また、メーター交換時に業者が残存状況の確認を行うことや、個人への資金面での支援策などの優良事例も示し、市町に対応を促してまいります。 加えて、御自宅等の水道管に鉛が使用されているかの確認方法や、市町の相談窓口等を分かりやすくまとめ、市町と連携してホームページ等を活用し、県民に周知してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 危機管理部長 内木 禎君。    〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕 ◎危機管理部長(内木禎君) 女性等の視点を踏まえた避難所運営のための市町村支援についてお答えします。 県では、昨年十二月に県避難所運営ガイドラインを改定し、女性など多様な立場の方に配慮した避難所運営や生活環境の改善について盛り込んだところです。これを踏まえ、本ガイドラインに即した避難所運営を行おうとする市町村に対し、着替えを行う簡易テントや防犯ライトといった資機材の購入経費を支援する予定としております。 市町村においては、まずモデルとなる避難所を定め、女性や配慮が必要な方々の参画の下、具体的な資機材の配置を検討いただきます。次に、避難所における居住スペースの割り振りや更衣室などの専用スペースの確保に加え、安全確認や危険箇所の把握、さらには夜間の見回りといった避難所運営の内容についても具体的に検討いただき、併せて提出いただく予定です。 今後取り組みいただく市町村でのこれらの検討内容や、避難所運営訓練の結果をモデルケースとして取りまとめ、他の市町村へ紹介するなど、県内各地域で女性や配慮が必要な方々の視点を踏まえた避難所運営が行われるよう、市町村の取組を促してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 都市建築部長 野崎眞司君。    〔都市建築部長 野崎眞司君登壇〕 ◎都市建築部長(野崎眞司君) 本県の下水道事業における脱炭素化の取組状況と今後の方針についてお答えいたします。 県内の下水道事業では、現在、脱炭素化に向け、議員言及の四つの取組を進めております。 まず一つ目の省エネ化では、各処理場の設備の更新時に省エネ機器を順次導入し、消費電力の削減に努めております。 二つ目の下水汚泥の高温焼却では、岐阜市など三市で既存の焼却炉を改築し、温室効果の高い一酸化二窒素を削減しております。 三つ目の下水汚泥のエネルギー化では、県の流域下水道や二市一町で固形燃料化、大垣市で消化ガス発電を行っております。 そして、四つ目の再生可能エネルギーの導入では、多治見市や北方町の施設内で太陽光や小水力発電を行っております。 今後もこうした脱炭素化の取組を進めつつ、今議会に上程の岐阜県汚水処理施設整備構想に重要施策として位置づけ、県では率先して太陽光発電やLED化を盛り込んだ温室効果ガス削減計画を策定するとともに、市町村に対しても策定を促し、県内全域の下水道事業で計画的に脱炭素化に取り組んでまいります。 ○副議長(加藤大博君) 十三番 伊藤英生君。    〔十三番 伊藤英生君登壇〕 ◆十三番(伊藤英生君) 続きまして、飛騨牛繁殖研修センターにおける研修生の確保の取組について、農政部長にお尋ねいたします。 本県では、飛騨牛生産の担い手育成と繁殖雌牛の増頭を目的に、県内二か所で飛騨牛繁殖研修施設の整備を行い、研修事業を行っております。 そのうち、美濃加茂市の施設では、岐阜大学と全農岐阜、岐阜県の産官学が連携する全国初の肉用牛繁殖研修施設として、令和二年四月から研修を開始しているところでございます。 予算要求段階の計画では、毎年二名の研修生を受け入れ、事業を展開することになっておりましたが、実績は一期目となる令和二年度に三名、二期目となる令和三年度に二名の研修生を受け入れたものの、令和四年度はゼロ名、そしてこの四月からの令和五年度の研修生も、その確保のめどが立っていないのが現状でございます。 研修の期間は二年間であるため、この四月からは研修生がいない状況になってしまい、事業の継続が非常に厳しい状況となっております。 岐阜大学と全農岐阜、岐阜県の産官学連携事業ではありますが、研修生の募集は主に県が実施しており、今後の取組が気になるところでございます。 この分野での担い手の確保は大変に難しい課題であり、担当の皆様におかれましては並々ならぬ苦労があるとは重々承知した上で、この事業は全国的に見ても非常に先進的で大切な取組であるとの思いから、ぜひこの事業を継続してほしい、そういった応援の気持ちを込めて質問いたします。 農政部長にお尋ねいたします。飛騨牛繁殖研修センターにおける研修生の確保の見通しがつかない中、事業の継続に向け、県としてどのように研修生の確保に取り組んでいくお考えかお聞かせください。 続きまして、環境保全型スマート農業の今後の取組について、農政部長にお尋ねいたします。 SDGsとスマート農業を掛け合わせたような取組とでも言うべきでしょうか。農水省では、スマート農業技術等の実証事業の中で、環境負荷低減効果、資材低減効果及び外的要因による食料安定供給への影響低減効果が期待される先進的なスマート農業技術について、生産現場において実践的な経営の中で実証することで、生産力向上と持続性確保の両立を図るとともに、海外依存度の高い我が国の食料供給の安定化を図るとしており、令和七年までには、農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践するとの政策目標を掲げております。 具体的には、例えば従来ICT型自動給水栓を使い水管理システムを導入したことにより、労働時間の削減を実現し、スマート農業の恩恵を感じていたところに、さらに環境という視点を加えて、水管理システムの導入による精密な水位管理を実施することで、収穫・品質を維持しつつ、メタンガスの排出量や除草剤使用量の削減までも実現してしまおうというものでございます。 もう一例を挙げますと、これまでは収量コンバインという収穫と同時に収量・食味、これはたんぱく値でございますけれども、そして水分量等を測定し、圃場ごとの収量・食味等のばらつきを把握できるという高性能なコンバインを導入し、収量コンバインのデータに基づき、窒素を中心とした施肥量の見直しにより収量・品質の向上を図ることで、これもスマート農業の恩恵を感じていたというところに、またさらに環境という視点を加えて、土壌診断と作物センシングのデータを組み合わせ、肥料成分ごとの必要量を正確に計算することで、施肥量をさらに低減化しつつ、高収量・品質を実現するといった取組のことでございます。生産力向上と持続性確保の両立と環境負荷低減効果及び資材低減効果が期待される取組でございます。 そこで、農政部長にお尋ねいたします。本県において、環境保全型スマート農業についてどのように取り組まれるお考えかお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 農政部長 雨宮功治君。    〔農政部長 雨宮功治君登壇〕 ◎農政部長(雨宮功治君) 二点御質問をいただきました。 まず、飛騨牛繁殖研修センターにおける研修生の確保に向けた取組についてお答えいたします。 令和四年度以降の研修募集に当たっては、研修や就農に関する二十五件の相談があったものの、研修生の確保には至りませんでした。相談の中では、研修内容のイメージが湧かない、研修中の住まいや資金の確保のほか、社会情勢の急激な変化により就農後の経営に対する不安があるといった声もあり、今後はこうした不安にも応えられるきめ細かな募集活動を行っていく必要があると考えております。 このため、研修開始から就農までの流れや住居対策、支援制度などをまとめた研修ガイドを作成し、丁寧に御案内するとともに、新たに体験研修を実施してまいります。 また、研修生の募集に当たっては、これまで行ってきた県ホームページへの掲載、SNSの活用、コンビニでのチラシ配布に加え、今後は就農フェアへの参加を拡大するとともに、新たにフリーペーパーを活用するなど積極的にPRし、研修生の確保を図ってまいります。 次に、環境保全型スマート農業の今後の取組についてお答えいたします。 ぎふ農業・農村基本計画中間見直しでは、環境負荷を低減した持続可能な農業を推進することとしており、今後は、化学肥料や農薬の使用量削減等につながる環境保全型のスマート農業についても導入を促進いたします。 来年度は、紹介のありました米の収穫量や食味を測定できるコンバインで、土壌中の肥料養分のむらを予測し、次期作において人工衛星の位置情報を受信した堆肥ペレット散布機により精密に散布することで、肥料を必要最小限に抑える技術の実証を進めます。 また、ドローンのカメラ画像により米の生育状況を分析し、必要な箇所にピンポイントで化学肥料や農薬を散布する技術などについても実証を行うこととしております。 これらの実証は、県内二地域で計画していますが、実証期間中の研修会や、実証後の成果発表会の開催などにより、他地域への普及についても併せて取り組んでまいります。 ○副議長(加藤大博君) 十九番 布俣正也君。    〔十九番 布俣正也君登壇〕(拍手) ◆十九番(布俣正也君) 発言のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、今回は交通安全対策について二項目質問をさせていただきます。 一項目め、自転車運転の安全対策についてお伺いをします。 自転車は、生活に密着した身近な乗り物として多くの県民に利用されております。しかしながら、岐阜県警察のまとめによると、令和四年に発生した交通事故のうち、人身事故は二千八百九十五件でしたが、そのうち自転車が関係する交通事故は四百三十件と数多く発生をしております。また、四百十五人が負傷、十一人が亡くなっています。 以前より、全国的に自転車利用者が加害者となる高額賠償事例が発生していることから、いわゆる自転車の安全利用促進に関する条例が制定され始めました。この条例は、平成二十七年四月一日に兵庫県で最初に施行されております。 岐阜県では、令和四年四月一日に岐阜県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例、通称岐阜県自転車条例が施行されました。公益財団法人日本交通管理技術協会によると、令和四年四月一日現在で百二十一の自治体で条例が施行されており、そのうち都道府県は三十八団体とのことです。自転車条例は、その名のとおり、県内での自転車運転時においての安全で適正な利用の促進に関する条例であり、道路網が混雑する現代社会においては、とても重要かつデリケートな条例だと受け止めております。 本条例の目的は、自転車の利用に係る交通事故の防止と交通事故による被害の軽減及び被害者の保護を図り、県民が安全に安心して暮らすことができる地域社会の実現とされております。 岐阜県の責務は、自転車の安全で適正な利用に関する総合的な施策の策定、道路交通環境の整備です。 自転車利用者の責務は、自転車の安全で適正な利用に必要な知識・技術の習得、関係法令の遵守、歩行者などの通行への配慮です。 保護者、学校の責務は、児童・生徒などに対する自転車の安全で適正な利用に必要な知識・技術の習得に係る教育です。 条例の主な内容としては、一、昨年十月一日から自転車損害賠償責任保険などへの加入が義務化、二、同じく昨年十月一日から乗車時のヘルメットの着用が努力義務化、三、定期的な点検整備の努力義務化、四、タイヤへの反射器材の装着など交通事故防止対策の実施が努力義務化、五、県や学校などによる自転車の安全で適正な利用に関する教育・啓発の推進の五項目です。 なお、参考までに、この中の乗車時のヘルメット着用については、本年四月一日施行の改正道路交通法においても、着用が努力義務となることが決定をしております。 どの責務や条例内容を取っても、ごくごく当たり前のことのように感じられますが、その意識が希薄であるのが現状ではないかと思います。 いま一度、自転車の安全利用について、その約束事を整理してみますと、一、歩道は歩行者優先、歩道を走る場合は、すぐに止まれるスピードで、かつ車道側の走行厳守、二、交差点では必ず安全確認、信号や一時停止ラインに従って運転、三、暗くなったらライトと反射材、運転者自身の存在アピールのための目立つ衣類の着用、四、二人乗り、並行乗りなど、交通事故につながる危険な行為の禁止、五、スマホの操作や音楽などのイヤホン使用、雨天時の傘差し運転など、ながら運転の禁止です。 条例の施行後、岐阜県と警察本部が連携をして、条例に規定された項目の実施状況についての統計・分析調査が行われました。時間は午前七時半から八時半の間、自転車の通行が多く見込まれる県内三十二地点においての調査です。 今回は目視ではっきりと確認できるヘルメットの着用状況調査でしたが、興味のある調査結果でしたので、その一部を紹介したいと思います。言うまでもなく、自転車運転においてのヘルメット着用は、頭部損傷を防ぐ最も大事なツールです。 第一回目の調査は、周知期間中の昨年九月に実施されました。県内三十二地点、四千四百四十二名の自転車運転手を調査した結果、ヘルメット着用者は七百八十四名、一七・六%の着用率でした。着用率の低かった地域では〇から四%であったのに対し、高かった地域は岐阜南、養老、下呂警察署管内で六七から七八%でした。 努力義務施行後の昨年十一月に実施された第二回目の調査では、五千百七十九名中千二十七名、一九・八%の着用率で、第一回目の調査に比べて二・二ポイントの上昇でした。着用率の低かった地域では〇から二%であったのに対し、高かった地域は養老、大垣、下呂警察署管内で六五から八八%でした。 調査の場所の特色を見ますと、学校へ通う通学生と通勤者がほとんどでしたが、小・中学生が着用者の大半を占めている傾向があります。また、いずれの調査も、調査地点での交通量や人数など、同一条件下でのものではないため単純な比較はできませんが、二回とも着用率が高かった養老と下呂地域では、まずまずの高い意識であることがうかがえます。 県職員に対しても、朝の出勤時に県民生活課の職員によるチラシ配布などの啓発活動が行われておりますが、努力義務となるとなかなか徹底するのは困難な気がしてなりません。 中津川市に拠点を構える美濃工業さんでは、同社で働く外国人従業員に自転車用ヘルメットを贈呈したとの新聞記事がございました。同社で働く百六十人の外国人従業員の通勤手段はバスでの送迎とのことですが、休日に利用できるように宿舎に共同利用の自転車が配備されており、このたびのヘルメット贈呈に至ったとのことです。この事例は、中津川警察署と同社の意識の高さがうかがえるすばらしい事例ではないでしょうか。また、一部の従業員は、自ら市内の商業施設で啓発活動を行ったとのことです。中津川地域での着用率はますます高まっていくものと期待をされます。 ヘルメットの着用は、自動車のシートベルト着用義務と同様に、命を守る上では欠かすことのできないアイテムではないかと思います。シートベルト着用も義務化された後に着用率が大幅にアップしたと認識をしております。 全国的に見ても、ヘルメットの着用を全面的に義務化している自治体は今のところないと聞いていますが、岐阜県においては、着用率の向上へ向け、県内各地において様々な取組があります。例えば、高校生ヘルメット着用推進リーダーを育てて、高校生の着用率を高めていく活動です。これには当然教育委員会との連携が不可欠で、スマホ操作やイヤホン使用というながら運転の割合が最も高い高校生の意識改革も同時に行う必要があるのではないかと思います。また、育成会やPTAの協力も必要とされます。保護者を含め、事故率の最も高い高校生の意識改革が今後ますます問われていくと思います。 また、高齢者のヘルメット着用モニター制度を設けて、高齢者にヘルメットの重要性を促す活動も行われております。岐阜県の各警察署管内では、高齢者交通安全大学校制度が設けられており、ヘルメット着用の重要性や道路交通法の講習が行われております。また、高齢者に対する交通安全教育は、高齢者の集まる各種会合や大型店舗におけるイベントなど、あらゆる機会において行われていると把握しておりますが、事故死亡率の最も高い高齢者の教育等の機会を広げていくことが喫緊の課題であります。 次に、自転車保険についてです。 自転車運転中に歩行者などと接触、衝突をして相手方にけがをさせるなど、加害者となる事故を起こした場合、刑事責任のほか賠償責任が生じ、多額の賠償命令が下される場合があります。そのため、岐阜県では、先ほど紹介したとおり、条例を制定して、昨年十月一日からは、自転車を利用する方、自転車を業務で利用する事業者、自転車貸付業者の皆様に対して、自転車損害賠償責任保険などへの加入を義務化しました。いわゆる保険というものは、備えて安心ということでしょう。自転車運転中は、乗用車に追突されるという被害者にもなり得ますし、歩行者をはね飛ばすという加害者にもなり得ます。 議場に配付させていただきました岐阜県のチラシにも記載されておりますが、坂道を下ってきた小学五年生の自転車が歩行中の女性と正面衝突をして、歩行者の女性は意識が戻らない重傷を負い、監督責任を問われた保護者に約九千五百万円の支払い命令が下されたという事案がありました。よく高校生のながら運転を見かけますけど、よそ見をしたり、不注意だったり、一旦停止などの交通ルールを守らないときに特に起こり得る事故なんだと思います。自転車運転者自身が気をつけていても、相手があることですから、なかなか防ぎ切れないことも想定されます。 PTAや学校が窓口となっています保険や自動車の任意保険、建物共済保険などはかなりの確率で加入の認識があるものと思われますが、自転車の保険加入となると相当意識が低いのでしょうか。一昨年五月に県が県高校PTA連合会と県交通安全協会、老人クラブ連合会の計千四百八十五人を対象に加入の有無を問うアンケートを行った結果、「加入している」が四一・二%、「恐らく加入している」が一〇・二%、「加入していない」が三六・一%、「分からない」が一二・五%でした。数値から見ても意識の低さが見てとれます。加入義務となった昨年十月一日以降、どれくらい数値が伸びているのでしょうか。 以上のことからも、ヘルメット着用の努力義務と同様に、保険加入義務を含めた岐阜県自転車条例について、今後もっと理解を促進し、周知徹底していく必要があるのではないでしょうか。 条例の内容とは少し異なりますが、我々が道路を利用する上で危険を伴う事例として、自動車運転手なら誰もが経験をしている自転車との危険遭遇があります。高齢者の自転車運転手に特に多く見かけるのが、一般道路の左側を走行中に後方確認をしないままいきなり道路中央に寄ってきて、そして右折しようとする、そういった行動です。幾ら自動車運転手が前方を気にしていても、いきなり目の前に出てこられたら防ぎようがない接触もあると思います。仮に接触は免れても、クラクションなどの音声で相手方がびっくりして転倒するというケースもあるでしょう。現時点で、高齢者の自転車運転手のヘルメット着用率が極めて低い中、このような事例により、自動車運転手が過失を問われることを余儀なくされることが県内各地で発生していると思われます。 雪道での自転車運転は特に危険を伴います。わだちになっているアスファルト路面上を走行中の自転車がバランスを失って、目の前で転倒するケースも雪国では珍しくありません。また、傘差し運転や、高校生に特に多いスマホのながら運転対自動車の接触事故の危険性に関しても、同じく県内各地で多く起こり得る事案ではないかと思います。 このように、自動車対自転車の交通事故は、必ずしも自動車側の過失が大きいものばかりではないように感じます。自動車側の過失配分が多くなるケースに納得いかない事例も少なくないのではと感じます。こうした事例をどれだけでも少なくする対策としては、各警察署管内で地元住民を巻き込んだ地域ぐるみによる講習会を頻繁に行ったり、取締りの強化を図るなどの対策を進める必要があると思います。 ヘルメットを着用していれば助かる命があります。令和二年の致死率比較でも、着用と未着用では約三倍の開きがあります。岐阜県としても、着用率の向上に向けて取り組むべきではないでしょうか。また、保険加入義務については、自転車運転者一人一人に加入促進を促しても、恐らく限界があると思います。一昨年アンケートを取られた組織の方々のお力を再度お借りして講習会の徹底を促すなど、加入の徹底に向けた施策に早急に取り組むべきと考えます。 ここで、環境生活部長にお伺いをします。ヘルメットの着用率の向上と自転車保険への加入促進に向けた今後の取組について、直近の保険加入率の現状と併せて御所見をお聞かせください。 次に、教育長にお伺いをします。 小・中学生については、おおむねヘルメット着用や保険加入、ながら運転は問題ないかと思うのですが、高校生については、いざというときの反射神経はよいにせよ、特にスマホ操作とイヤホン使用のながら運転は非常に危険です。県教育委員会から各高等学校に対し、自転車の安全運転徹底に向けた取組を今後どのように行っていかれるのか御所見をお聞かせください。 次に、警察本部長にお伺いをします。 自動車運転手の立場からしても、高齢者のヘルメット未着用の運転、周りを意識しない我が道運転は非常に危険ですし、巻き込まれたくありません。未然防止のためには、自転車を利用する高齢者に対する交通安全教育や、安全利用のための広報啓発活動が必要かと考えます。改正道路交通法の施行というタイミングを逃さずに、自転車事故防止に向けた活動に今まで以上に力を注ぐべきではないでしょうか。 県警察における高齢者の自転車事故防止に向けた対策強化についてどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。 続いて二項目め、電動キックボードの制度改正に伴う交通安全対策についてお伺いします。 電動キックボードとは、キックボードと呼ばれる車輪のついた板に電動式のモーターが取り付けられたものです。見た目からは、手軽な乗り物というイメージがある反面、様々な事故が発生をしております。令和三年四月から十月まで行われた実証実験の結果、大方の予想どおり、交差点での出会い頭の事故が目立ったとのことです。 電動キックボードが普及してきている背景には、インターネットなどで格安の商品が手に入るという実態があるようです。原動機付自転車、いわゆる原付と比べても、価格の面でかなりリーズナブルなことが人気を呼んだ理由とも言えます。 手軽に乗れるアイテムではあるのですが、走行には原付免許が必要なことはあまり知られていないようでした。原付とのサイズや運転時のフォルムの違いなどから、電動キックボードが法律上は原付に分類されるというのがなかなかイメージしにくいところだったようです。そのことが電動キックボードに原付免許が必要なんて知らなかったということの一因になっておりました。 同時に、原付対応なので当然ヘルメット着用が必須となります。本来は、電動キックボードの運転には、原付免許もヘルメット着用も必要なのに、そうとは知らずに未熟な運転技術で乗り回してしまうことが事故増加の原因になっていたのかもしれません。 当然ですが、電動キックボードによる交通事故は、原付の事故に準じて処分がされます。例えば、ヘルメット未着用は違反点数一点、赤信号無視は違反点数二点と反則金六千円、免許不携帯は反則金三千円になります。無免許運転となると事が重大となり、違反点数二十五点と三年以下の懲役、または五十万円以下の罰金という罪状・罪則になります。 現在の道路交通法において、電動キックボードは原付の一種に位置づけられていますが、このたび警察庁は、国による規制緩和の動きを示しました。 国は、電動キックボードを次世代の交通手段として、観光地などに特例措置の対象地域を設け、自転車と同程度の法規制にすることを目指し、実証実験を重ねてきました。改正道路交通法において、本年七月一日から施行される新制度では、道路交通法上の分類として、原動機付自転車から特定小型原動機付自転車に変更。これは、最高時速二十キロ以下の基準を満たすものです。運転免許は必要から不要に、ただし十六歳未満は運転禁止です。走行場所は車道から原則車道、ただし最高速度六キロ以下に設定すれば歩道走行も可能です。現時点でも、交通規制上の変更点が数多くあるようです。 昨年秋、岐阜県警は、高山警察署において、飛騨地域の警察署や電動キックボードレンタル業者などに向けた安全確保についての勉強会を開催しました。これは、交通規制上の変更点が利用者に混乱を招きかねないとの懸念からの開催でもあり、乗車や交通ルールの注意点を利用者に伝えることも目的とされております。 実際、全国では、電動キックボードに関して数多くの事故が発生しており、道交法違反容疑などでの摘発件数は、統計を取り始めた令和三年九月から昨年十一月までに実に千六百三十九件に達しております。 また、昨年九月に東京都において、方向転換をする際に車止めに衝突して、頭部を強打しての国内初の死亡事故も発生しました。 このような混乱の中の規制緩和となると、ますます事故発生の頻度が高くなるような気がしてなりません。ましてや新制度では、条件を満たせば歩道も走行でき、歩行者との接触事故には特に注意が必要になります。さきの質問でも述べたように、自動車運転者からの目線からしても、自転車同様の、またはそれ以上の注意喚起が必要になってくるのではないでしょうか。歩道の歩行者も安心して歩いていられない状況も想定されます。 また、この規制緩和に伴い、その他の様々な問題の発生が懸念をされております。より安全性の高い電動三輪キックボードの販売も増加することが見込まれて、これを運転する高齢者が増えることで、自転車と同様に高齢者の危険運転が増える可能性があります。自賠責保険加入は変わらず必須ですが、ヘルメット着用が必須から努力義務となることで、着用率が低下する可能性も考えられます。 道路上の安全対策、特にくぼみや亀裂は、県土整備部との連携により速やかな対策を行い、転倒防止の強化に努めなければならないでしょう。関係自治体や交通安全協会との連携も不可欠になってきます。 さらに課題が山積なのは、高校での対応ではないでしょうか。十六歳以上であれば運転できるため、通学手段として電動キックボードを使用できる生徒も発生しますが、これを校則で規制するのか。認めた場合、十五歳の運転できない生徒との区分はどうするのかなど、七月以降の対応については頭が痛い問題だと推察いたします。ただ、各高校とも、まだこれから具体的方針を検討していく段階と伺っており、今後PTAや理事会の場において議論が進められるものと期待をしております。 以上、様々な問題を抱えて七月の新制度を迎えることになります。警察職員の法令の習得や各種シミュレーションも大変な作業になりますが、想定される事故を未然に防ぐことが最も重要になってきます。警察職員の方々には多くの御苦労をおかけしますが、どうかよろしくお願いいたします。 そこで、警察本部長にお伺いします。原付自転車や通常自転車が行き通う中、電動キックボードの普及、そして七月以降の新制度措置後の状態を想像しますと、新制度について理解していない電動キックボード、原付自転車、通常自転車の各運転者の混乱により、自動車運転者や歩行者の安全までもが脅かされるのではないかと危惧をしております。それぞれの運転者が安心して通行するために、今後どのような交通安全対策を講じていかれるのか、御所見をお聞かせください。 以上、全ての道路利用者が配慮された、明確な、そして前向きな答弁を御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) ヘルメットの着用率向上と自転車保険への加入促進に向けた今後の取組についてお答えいたします。 昨年八月に実施した県政モニター調査において、自転車保険加入率は五八・五%にとどまっております。また、ヘルメットの着用率については、街頭で調査した結果、九月の一七・六%から、二月には二三・八%に上昇したものの、依然として低い状況にございます。 保険への加入に関しましては、自転車店や保険取扱事業者と連携した啓発を継続するほか、量販店との共同キャンペーンを強化するなど、加入促進の取組を拡充してまいります。 また、ヘルメットの着用に関しては、命を守る行動であることは理解していても、恥ずかしさや煩わしさから着用をためらう人が多いのが課題です。特に、中学生はほぼ全員が着用している一方、高校生以上の着用率は低い状況です。 四月には、道路交通法でもヘルメットの着用が努力義務となることから、街頭啓発やイベント、各種広報媒体などにより広く県民向けに周知を徹底するほか、県警察や各高等学校とも連携し、校門付近での呼びかけなど直接的な指導を強化してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 高校生に対する自転車の安全運転徹底に向けた取組についてお答えします。 高校生の通学時の自転車利用率は、地域差があるものの、県全体で約六割となっており、ヘルメット着用の必要性やイヤホン・スマートフォンを使用してのながら運転の防止等、安全運転の意識向上への取組を日頃から着実に進めることが重要です。 こうした中、今年度高校生に実施した調査によると、ヘルメットの努力義務については広く認知されておりましたが、一方で、その着用率は約一五%にとどまり、さらなる取組が必要だと考えております。 現在、県内十一高校、二百五十名の生徒をヘルメット着用推進リーダーに任命し、警察署や地域の方々と一緒になって商業施設や街頭での啓発や、学校内で交通安全キャンペーンに取り組んでおります。 今後は、これらに加え、新入生に対して、今月末の合格者説明会でヘルメットの販売ブース等を設け、保護者も含めて周知するとともに、ながら運転については、チェックシートを用いて自身の運転を振り返る機会を設けるなど、より安全な運転につながるよう、警察やPTAなどとも連携し、粘り強く取り組むよう、県教育委員会としましては各高等学校に指導をしてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 御質問を二点お伺いしました。 まず一点目、高齢者の自転車事故防止に向けた対策強化についてお答えいたします。 自転車乗車中の高齢者の交通事故は、自動車乗車中の事故よりも被害が重大化しやすく、歩行中よりもスピードが出ている分、事故の危険が高いと言えますが、自動車乗車中の事故や歩行中の事故よりも絶対数が少ないためなのか、安全への配慮がおろそかになりやすいのではないかと危惧されます。 このため、県警察では、自転車を利用する高齢者の交通安全意識を高めるため、高齢者交通安全大学校を設けるなどして、自転車シミュレーター等の各種教育機材を積極的に活用した参加・体験・実践型の交通安全教育を通じ、高齢者が加齢に伴う身体機能の変化による影響等を理解した上、安全な交通行動を実践していただくよう努めております。 また、こうした交通安全教育を受ける機会の少ない方に対しては、交通ボランティア等と連携した家庭訪問を行い、言わば出前型の交通安全指導を行っております。 ここ三年のコロナ禍において、一般に重症化リスクが高いと言われる高齢者のお宅を訪問する活動は抑制ぎみにしておりましたが、自転車運転の安全対策に重点を置いた改正道路交通法が施行される折でもあり、今後は高齢者に対する情報発信を積極化して、高齢者の自転車事故抑止に万全を期してまいります。 次に、二点目、電動キックボードの制度改正に伴う交通安全対策についてお答えします。 議員御指摘のとおり、電動キックボードに係る道路交通法の改正は、電動キックボード利用者にとっての利便性を向上する一方、歩行者との接触事故等、新たな形態の危険をも惹起することが懸念されます。 このため、県警察では、改正法の成立以来、自治体、道路管理者、販売事業者、レンタル事業者等の関係方面と勉強会を開催するなどして密に連携を図り、改正法の内容や電動キックボードを安全に利用するための注意事項等について広く周知に努めてまいりました。例えば、電動キックボードに関心を持っている層に対してはもとより、自らは電動キックボードを利用する当てのない高齢者等に対しても、電動キックボードが混在する交通環境に関する理解と備えを促してまいりました。 今後は、改正法の施行が迫るにつれ、これまで電動キックボードに関心のなかった人々が関心を持ち始め、改正法の規制内容や電動キックボード使用上の留意事項の理解が不十分なまま使用を始めることも懸念されますので、従来に増して関係方面と連携した広報啓発活動を積極化いたします。また、改正法の施行後は、電動キックボードに係る悪質・危険な違反行為に対する指導取締りを徹底し、交通安全の確保に努めてまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(加藤大博君) しばらく休憩いたします。 △午後三時十三分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後三時四十分再開 ○議長(平岩正光君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) お諮りいたします。本日の会議時間をあらかじめ延長いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(平岩正光君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議時間を延長することに決定いたしました。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十三番 田中勝士君。    〔二十三番 田中勝士君登壇〕(拍手) ◆二十三番(田中勝士君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。 今回は、笠松競馬について質問いたします。 まず、お手元に配付した資料一を御覧ください。 この新聞記事にあるとおり、昨年十一月十五日、笠松競馬で競走馬が馬道から脱走し、一般道に侵入する放馬事故が発生し、厩務員二人が負傷しました。騎乗していた一人は、落馬の際、背中を強く打ち打撲、馬を引いていた一人はそのまま引きずられ、腕の骨を折る重傷とのことです。 こうした人的被害が発生した脱走事故については、二〇一三年十月以来、約九年ぶりのことで、このときには脱走した競走馬と堤防道路を走行していた軽自動車が衝突、車を運転していた男性が死亡するという重大事故になってしまいました。 こうした放馬事故は昨年六月以降相次いでおり、本年度だけで五件も発生しています。組合、ここでの組合とは、笠松競馬を運営管理する岐阜県地方競馬管理組合のことです。この組合でもその都度対策を講じていたのですが、重傷者の出たこの五回目の事故を防げませんでした。 次に、お手元の資料二を御覧ください。 上の写真は、競走馬を厩舎から本場へ移動させるための馬道の写真です。下の写真は、今回の事故現場のものです。 この写真からも分かるように、五回目の事故が発生した現場は、競走馬専用の馬道と公道が交わる場所で、馬が道路を横断する際には、このように警備員が車を停車させます。ここは、私が議会に登庁する際に必ず通る場所で、特に朝晩の通勤・通学の時間帯は車の往来が非常に激しくなります。今回の放馬が発生したのは朝の八時五十分、二〇一三年のような重大事故にならなかったのは、ある意味不幸中の幸いだったとも言えます。 笠松競馬では、令和三年度の年度途中より、それまで笠松町長が務めていた組合管理者を河合副知事に交代。その後も、現場の責任者である管理者代行に部長級の現役県職員が就くなど、県主導の下、体制強化が図られています。今回の事故はこうした中で発生したものであり、さらには一昨年に発生した調教師らによる馬券の不正購入や所得の申告漏れなど、一連の不祥事からの信頼回復途上での出来事です。 古田知事も、放馬事故は繰り返していい話ではない、どこに隙があったのか徹底的に洗い出し、厳しく見直す必要があると発言されており、こうした事故を二度と起こさない強い決意を示されています。 次に、お手元の資料三を御覧ください。 笠松競馬場には、円城寺と薬師寺二か所の厩舎があります。約四百頭の在厩馬、在厩馬とは、笠松競馬に所属する競走馬のことです。この大部分は、この二か所に分かれて飼育されています。 今年度発生した五件の事故は、いずれも円城寺厩舎の馬が起こしています。円城寺厩舎から本場までの距離は約一・五キロあり、厩務員はレースが開催される際はもちろん、毎日の調教、これは実際のレース用コースを使い、夜中の二時頃から朝の九時までの間に行われます。この調教の際も本場まで馬を引いていかなくてはなりません。これだけの距離を、しかも何度も公道を横断しながら移動する競馬場は全国でもここだけです。 改めて言うまでもなく、この円城寺厩舎から本場への長距離移動が放馬事故の根本的原因であることは明白であり、国や地方競馬全国協会からは、組合に対し、こうした環境を一日も早く改善するよう厳しい指導がされたと聞いています。 こうした状況を受け、昨年十二月の組合議会の際、組合からは、放馬対策として、本場に隣接する薬師寺厩舎に厩舎を増設し、競走馬を集約する方針が示されました。 また、先行して整備する新厩舎の設計委託費を盛り込んだ補正予算案が提案され、可決されています。さらに、来年度から、今回の事態を受け設置された外部有識者など第三者による放馬対策検討会の意見を踏まえ、円城寺厩舎の移転を含む、競馬場施設の再整備にも本格的に着手すると伺っています。そこで、今回は、再整備計画や放馬対策を中心にしながら、笠松競馬の当面の課題と今後の運営方針などについて質問したいと思います。よろしくお願いいたします。 まず前半の質問では、施設再整備の全体計画と今後の運営についてお尋ねしたいと思います。 今申し上げたとおり、今回の厩舎集約が進むきっかけとなったのは、相次ぐ放馬事故だったわけですが、実は組合では、数年前から施設再整備についての検討が進められていました。主な理由は三点あります。 一点目は、先ほどから触れさせていただいている放馬に対する安全対策です。厩舎が薬師寺に集約されれば、約一・五キロにも及ぶ長距離移動は不要になり、公道を横断することもなく、堤防道路を越えることもなく、隣接する本場に安全に馬を入れることができます。 また、厩務員は、往復三キロにも及ぶ引き馬を一日に何度も繰り返しており、この距離が短くなれば労働負荷の低減にもつながります。 二点目は施設の老朽化です。笠松競馬の各施設は老朽化が進んでおり、本場内のスタンドなどの建物の中には、耐震強度を十分に満たしていないものや、古過ぎて設備の更新ができないものもあります。 資料四を御覧ください。 これは円城寺厩舎の建物ですが、大多数の厩務員は馬と一緒にここで生活しています。昭和四十年代に建てられたもので、最近では見かけることも少ないトタン張りの木造家屋で、冬はとても寒いと聞いています。また、耐震強度が不足しているため、地震が発生した際には倒壊の危険があり、その場合、市街地へ馬が逃げ出す危険性も指摘されています。こうした厩舎を最新のものに更新できれば、人と馬、両方の生活環境が飛躍的に向上するわけです。 三点目は、運営に係る経常経費の圧縮です。先ほど資料二で御覧いただいたように、レース開催日や毎日の調教の際など、馬を本場へ移動させなくてはならない時間帯には、放馬の危険がある各ポイントに警備員が配置されます。こうした馬道や円城寺厩舎に係る警備には年間約三億円かかっており、厩舎を薬師寺に集約すれば、こうした費用は不要になります。 加えて、全て借地である円城寺厩舎の地代負担などもなくなれば、経常経費はかなり圧縮されます。将来に向けて持続可能な競馬運営ということを考えると、厩舎の集約は結果としてプラスに働くと考えられるわけです。 こうしたことを踏まえた上で、今年一月に開催された笠松競馬の最高運営会議、これは組合の管理者である副知事、副管理者である笠松町長と岐南町長で構成される会議で、知事も構成団体の長として出席されており、ここで笠松競馬の運営方針の大枠が決定されます。この最高運営会議では、今後の施設再整備に向けた議論がなされたと伺っています。 そこで、施設再整備の全体計画と今後の運営について、古田知事に三点質問します。 一点目、第三者による放馬対策検討会については、先日、第三回目の会議が開催され、放馬対策についての総括がなされたと伺っています。その中で、厩舎の集約について、検討会からはどのような意見が出されたのでしょうか。 二点目、競馬場には厩舎だけではなく、本場のスタンドや管理棟、装鞍所などの施設もあり、そのいずれもが老朽化しています。笠松競馬の施設再整備をどのように進めるのか、全体計画とスケジュール、手順などを含め、できるだけ具体的に御答弁願います。 また、再整備に係る事業費については現時点でどのように見込まれているのか、財源についても併せて御答弁願います。 三点目、幸いなことに、この数年、全国の地方競馬の売上げは順調に伸びています。今年度の笠松競馬の売上げも好調なようです。今回の再整備が競馬場の今後の運営に与える影響について、どのように見込まれているのか、御答弁願います。 以上で前半の質問を終わります。御答弁よろしくお願いいたします。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 笠松競馬の施設再整備計画についてお答え申し上げます。 御指摘にありましたように、昨年来、五回もの放馬事故があったわけでありまして、いずれも競馬場から離れた円城寺エリアで発生しているわけであります。 放馬対策検討会での議論でございますが、まず第一に、円城寺から薬師寺エリアへの厩舎集約が放馬リスクの根本的解決策であるということの確認、第二に、最短でその実現、すなわち薬師寺エリアへの厩舎の集約ですね、その実現を図るように取り組むべきであるということ、第三に、かつその進捗をしっかり管理していくことが重要であるということと、これらについての総括をしていただいたということでございます。 今後の施設再整備につきましては、まずは厩舎エリアの整備を最優先とするということで、円城寺厩舎の薬師寺エリアへの移転を三年後の令和七年度末の完了を目指して計画的に進めていくと、こういう方針でございます。 装鞍所エリア、本場エリアの整備につきましては、その後の対応ということになるわけでありますが、この厩舎集約のめどが立つ頃までに、改めて具体的な計画を詰めていきたいということでございます。それから、こうした再整備を進める上では、地権者をはじめ地域の住民の皆様の御理解が不可欠でありますし、地元である笠松町、岐南町の協力の下で連携して進めていく必要があるというふうに認識しております。 次に、事業費の問題でありますが、先行する厩舎エリアの整備につきましては、現時点でざっと七十億円程度の経費が必要になるというふうに見込んでおります。その財源につきましては、これからの相談事ではありますが、地方競馬全国協会の補助金をできる限り活用しながら、施設整備のために積み立てている笠松競馬の環境整備基金を活用していこうということになるわけであります。 ただ、この環境整備基金、このところ笠松競馬も好調だということではありますが、昨年度末の時点での残高が三十二億円でありますので、今後はさらに馬券発売収入を伸ばして黒字を確保し、毎年度の収益を着実に基金に繰り入れながら整備を進めていく必要があるということでございます。 この厩舎が集約された暁には、御指摘にもありましたように、円城寺厩舎、あるいは馬道の警備費等が不要となるわけでありまして、三億円という御指摘もありましたが、一定程度の経常経費の削減が見込まれるわけでありますが、今後の本場エリア等の整備、これは先ほど申し上げましたように、これから再度もう一回きちんと詰めようということではありますけれども、この間の資材の高騰等も相まって、厩舎エリアの整備七十億円を超える大規模な投資になるという見通しでございます。したがいまして、笠松競馬全体の経営状況を見極めながら、施設再整備と安定経営ということに努めていく必要があるということでありますが、いずれにせよこの問題は待ったなしの課題であるという認識の下に、今申し上げましたような手順で進めていきたいというふうに思っております。 ○議長(平岩正光君) 二十三番 田中勝士君。    〔二十三番 田中勝士君登壇〕 ◆二十三番(田中勝士君) 御答弁ありがとうございました。 引き続き笠松競馬について、後半の質問に入らせていただきます。 御存じの方も多いと思いますが、笠松競馬の敷地のほとんどは借地であり、先ほども申し上げたとおり、今回移転が検討されている円城寺厩舎については、その全てが借地となっています。今後厩舎が集約されれば、今まで円城寺厩舎として使用していた約三万坪にも及ぶ広大な土地は、協議の上、地主に返還されることとなります。 ここに大きな課題があります。 既に私のところには、地主の皆さんから様々な声をいただいています。少し御紹介したいと思います。 笠松競馬が存続する間は借り上げてもらう約束だったはず。その前提で地代交渉にも応じてきた。今さら返されても困る。ここの土地は何筆にも細かく分かれており、しかも測量が行われていないため、境界も不明確。今は地主組合により管理されているからよいが、各個人に返還されても混乱が生じる。返還後、地主がそれぞれの都合で勝手に処分などして虫食い状態になってしまったら、使うに使えない状態になってしまう。行政主導で一体的に開発を進めてほしいと、このようなものになっています。 さらに、ここの都市計画法上の線引きについては、第一種住居地域、準工業地域、市街化調整区域が混在しており、活用するに当たっては都市計画の変更が必要です。 改めて言うまでもなく、今回の再整備を進めるに当たっては、地主の皆さんの同意と協力が必要であり、そのためには、土地返還後の跡地活用計画を策定し、提示することが必要だと思われます。例えば、土地区画整理事業を実施する、ディベロッパーに一括して開発を請け負ってもらう、企業に事業用地として買い取ってもらうなど手法は様々だと思いますが、ぜひとも県でリーダーシップを取っていただき、地元の笠松町、岐南町、そして地主組合とも連携して、今後の道筋をつけていただけたらと思います。 ここで、お手元の資料五を御覧ください。 幸いなことに、この円城寺厩舎がある場所は非常に好立地で、岐阜南部地域の交通の要所である岐南インターのすぐ近くに位置しています。北には県で整備が進められている都市計画道路新所平島線、西には高架化事業が本格的に動き始めた名鉄名古屋本線、そして敷地に隣接してJR東海道本線が走っています。こうした場所に約三万坪にも及ぶ手つかずの土地が出現することは恐らく今後あり得ないことで、これはある意味岐阜の南の玄関口の風景を変える大きなチャンスと捉えることもできます。 ちなみに、今から三十年以上前の話になりますが、ここにJRの新駅を設置する構想が持ち上がったことがあります。そのときは、厩舎の存在がネックになり実現には至りませんでしたが、仮にここに在来線の新駅ができれば、岐阜市南西部や各務原市も含めたこの地域の鉄道アクセスの利便性は飛躍的に高まります。JR名古屋駅へ乗り入れるリニア中央新幹線も利用しやすくなり、岐阜の地にありながら首都圏や関西圏がより身近なものになります。 そこで、円城寺厩舎跡地の活用計画について、古田知事に質問です。 廃止する円城寺厩舎の地主の同意と協力を得るためには、地域の発展につながるような夢のある跡地計画を示すことが必要です。その策定と実施に向けては、県と地元の二町、そして組合が連携協力しながら進めることが重要と考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか御答弁願います。 ここからは、当面の放馬対策と組合運営について、組合管理者である河合副知事に質問したいと思います。 まずは放馬対策についてです。 先ほどの知事の答弁にもあったとおり、厩舎の移転までには最低でも三年かかることが見込まれています。 改めて言うまでもなく、この間、組合は新たな放馬事故が起こらないよう徹底した対策を講じなくてはなりません。放馬発生時に馬の逃走経路を確実に防ぐハード対策、緊急時における厩務員や警備員など、関係者の対応力の強化や人員の増強、子供の登下校時間の対応をどうするのかなど、課題と対策は多岐にわたります。 そこで、河合副知事に質問です。組合として、当面の放馬対策にどのように取り組んでいかれるのか御答弁願います。 続いて、今年度の開催成績と来年度の組合運営についてお尋ねします。 先ほどの知事の答弁にもあったとおり、施設の再整備には、厩舎の移転だけでも約七十億円もの多額の予算が必要になりますし、当面の放馬対策にも予算が必要です。 また、競馬事業本来の目的は、畜産振興と地方財政への貢献であり、特に経営上の都合から長年ストップされていた構成団体への収益配分については、今後実施していく必要があると思われます。 これに加え、他の地方競馬より低く抑えられている賞金や各種手当の見直し、そして多額の費用を費やしている馬ふん処理にも道筋をつける必要があります。 組合はこうした課題に向き合いながら、かつてのような放漫経営に陥ることがないように留意し、堅実な経営に努めていかなくてはなりません。 そこで、最後に河合副知事に二点質問です。 一点目、先ほども申し上げたとおり、ここのところ全国の地方競馬の売上げは全体的に好調のようです。地方競馬全体の売上げの動向と今年度の笠松競馬の開催成績について御答弁願います。 二点目、今御指摘させていただいたように、笠松競馬には数多くの課題がありますが、これらを踏まえた上で、来年度どのように組合を運営していかれるのか御答弁願います。 今回の質問は以上です。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 円城寺厩舎跡地の活用計画についてお尋ねがございました。 厩舎移転に伴いまして、円城寺厩舎の跡地につきましては、競馬組合から各地主に返還されることになるわけでありますが、これらは全て民有地であります。したがって、一義的にはその土地の所有者がその後の利用を考えるということになる性格のものであります。 一方で、跡地を全体として捉えると、三万坪といいますか十ヘクタールほどの広大なまとまった土地でありまして、活用の仕方によっては大変可能性を秘めた魅力あるエリアにもなり得るというふうに考えておるわけであります。したがって、今後のまちづくりに大きく影響し得る土地であるということでございます。 このため、まずは地元である笠松町と岐南町の両町がそのエリアをどう活用し、どのようなまちづくりの構想を描くのかといった地元の意向、そして地主も含めた地元のコンセンサスづくりが何よりも重要ではないかというふうに考えております。 こうした中で、来年度、両町が共同で跡地利用に向けた調査研究をスタートされるというふうに伺っております。県としても、地元の活性化に向けて情報を共有しながら、これに連携してまいりたいというふうに考えております。 ○議長(平岩正光君) 副知事 河合孝憲君。    〔副知事 河合孝憲君登壇〕 ◎副知事(河合孝憲君) 管理者の私にも三点お尋ねがございました。 最初に、放馬対策についてでありますが、これまで組合では、放馬事故が発生した際には、その都度改善を講じてまいりましたが、今回改めて放馬対策検討会での御意見を踏まえ、さらなる対策の強化を進めております。 まず、厩舎地区の出入口や馬道に設置されております放馬対策用の伸縮扉を、より高さがあり、強固で操作性に優れたタイプに更新するなど、設備を全面的に強化いたします。あわせて、新たに競馬開催時には、馬運車、馬を運ぶ車でございますが、それによりまして馬の輸送を行ってまいります。 また、地域の小学生が集団登校する時間帯には馬の移動を一時中断して、子供たちの安全に配慮する一方で、緊急時における地元教育委員会、学校との連絡体制を確立いたします。 加えて、警備員・厩務員等の実践訓練の拡充、人員配置の見直しなど、運用面の強化を図ってまいります。 こうした取組を速やかに、着実に実行し、厩舎の移転が完了するまでの放馬リスクを可能な限り軽減すべく努めてまいります。 次に、全国の地方競馬の全体の売上げにつきましては、令和三年度は九千九百三十三億円と三十年ぶりに過去最高を記録し、今年度も一月末時点の売上げは前年同期に比べ九・一%増加と好調に推移をいたしております。これは、笠松競馬におきましても同様の傾向でございます。ただ、笠松の場合、令和三年一月から八月まで開催を自粛しておりましたので、年間での比較ができません。一日当たりの平均売上額で申し上げますと、昨年度は四億二百四十二万円で過去最高、今年度も直近二月末時点で四億三千八百八十五万円と対前年九・一%の増加となっております。 最後に、来年度の組合運営についてでございますが、馬券売上げについては、引き続き好調な現状の維持に努めてまいりますが、一方、歳出面では、円城寺厩舎の移転などの施設整備や放馬対策などに多額の経費を見込んでおります。 こうした中で、笠松競馬のさらなる魅力向上策、賞金や出走手当などの改善、また馬ふん処理の見直しなどに向けて、収支のバランス、経営状況を丁寧に見極めながら進めてまいります。 なお、地方財政への寄与といった競馬本来の目的であります構成団体の配分金につきましては、本年度三十年ぶりに実施をいたしました。来年度についても、引き続き対応してまいりたいと考えております。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後四時十一分散会 ……………………………………………………………………………………………...