• "相談員等"(/)
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  1. 岐阜県議会 2022-12-01
    12月08日-03号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    令和 4年 12月 定例会(第5回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第三号)                  令和四年十二月八日(木)午前十時開議 第一 議第百二十六号から議第百五十号まで 第二 請願第四十号及び請願第四十一号 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第百二十六号から議第百五十号まで 一 日程第二 請願第四十号及び請願第四十一号 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十四人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   森 益基君      六番   小川祐輝君      七番   平野祐也君      八番   所 竜也君      九番   今井政嘉君      十番   藤本恵司君     十一番   中川裕子君     十二番   伊藤英生君     十三番   澄川寿之君     十四番   水野吉近君     十五番   安井 忠君     十六番   恩田佳幸君     十七番   若井敦子君     十八番   広瀬 修君     十九番   布俣正也君     二十番   国枝慎太郎君    二十二番   高木貴行君    二十三番   野村美穂君    二十四番   長屋光征君    二十五番   高殿 尚君    二十六番   田中勝士君    二十七番   加藤大博君    二十八番   山本勝敏君    二十九番   松岡正人君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   小原 尚君    三十三番   水野正敏君    三十四番   野島征夫君    三十五番   伊藤秀光君    三十六番   平岩正光君    三十七番   佐藤武彦君    三十八番   森 正弘君    三十九番   渡辺嘉山君     四十番   伊藤正博君    四十一番   小川恒雄君    四十三番   村下貴夫君    四十四番   尾藤義昭君    四十五番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君 △欠席議員 二人    二十一番   林 幸広君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         山口義樹 総務課長         高野朋治 議事調査課長       古田幹雄 議事調査課管理調整監   桂川義彦 同    課長補佐    大野享子 同    課長補佐    久富英材 同    課長補佐    市川達也 同    主査      水野 恵 同    主査      鷲見和良 同    主査      柘植健太…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          大森康宏君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        北川幹根君 総務部長         尾鼻 智君 清流の国推進部長     長尾安博君 清流の国推進部デジタル推進局長              市橋貴仁君 健康福祉部長       堀 裕行君 健康福祉部子ども・女性局長              村田嘉子君 商工労働部観光国際局長  丸山 淳君 林政部長         高井峰好君 県土整備部長       大野真義君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        加藤伸宏君…………………………………………………………………………………………… △十二月八日午前十時開議 ○議長(平岩正光君) ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。十四番 水野吉近君。    〔十四番 水野吉近君登壇〕(拍手) ◆十四番(水野吉近君) 皆さん、おはようございます。 議長より発言のお許しをいただきましたので、岐阜県議会公明党を代表し、五点についてお伺いいたします。 初めに、「清流の国ぎふ」創生総合戦略における施策の方向性について、知事に二点お伺いいたします。 現戦略である「清流の国ぎふ」創生総合戦略二〇一九は、終期を二〇二三年度までとしていましたが、コロナ禍やウクライナ情勢により県民の暮らしや働き方が大きく変化、複雑化し、二〇二一年の本県の出生数、婚姻件数は戦後最少となるなど、少子化が一段と進んでいます。 また、アフターコロナを見据えたDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、SDGs・脱炭素社会の実現など、新たな潮流への対応が求められていることから、終期を一年前倒しし、来年度からの五年間を計画期間とする「清流の国ぎふ」創生総合戦略の策定作業が進められています。テーマを「幸せと確かな暮らしのあるふるさと岐阜県をともに目指して」とし、これまでの取組を深化・発展させ、オール岐阜で取り組むこととしています。先ほどその素案が発表されましたが、私からは、新たに政策の方向性に追加された感染症に強い地域づくりと「脱炭素社会ぎふ」の実現の二点について知事にお伺いいたします。 初めに、二つ目の政策の柱である健やかで安らかな地域づくりに追加された感染症に強い地域づくりについてです。 本県は、今年の夏のコロナ感染拡大において、一日の陽性者数として過去最多である五千百十六人の新規陽性者が確認をされましたが、秋以降の感染拡大はこれを超えるのではと懸念されています。 政府は、保健医療への負荷が高まった場合に備え、感染レベルをこれまでの五段階から、想定を超える膨大な数の感染者が発生する段階である医療機能不全期などの四段階に見直すとともに、知事が対策強化宣言を発出し、大人数での会食や大規模イベントの参加などは見合わせることも含めて慎重に検討判断するよう要請できるようにすることを創設。営業時間短縮など行動制限はせず、高齢者などを守ることを重点に置くことを基本的な考え方として、感染対策と経済活動の両立を図ることとしています。 これを受け、本県では、病床使用率、一日当たりの新規陽性者数、重症者数の指標を見直し、保健医療の負荷の状況や社会経済活動の状況に着目した事象を勘案した四つのレベルを総合的に判断し、対策を打つこととしています。そして、十一月二十九日には岐阜県医療ひっ迫警戒宣言を発出し、県民、事業者、医療機関、市町村に対し、対策の強化を要請しました。 また、本県は、岐阜県感染症対策基本条例を令和二年七月九日に施行。感染症対策の基本的な考え方や推進体制に関する枠組みを明確にし、これらを県民挙げて共有するオール岐阜での対策実施に万全を期してきました。これに加え、徹底したPCR検査をはじめとする専門知の尊重・積極的活用、休業協力金など各種支援策の最速給付などのスピードと決断を対策の柱とする岐阜モデルとしてコロナ対策に当たってこられました。 さて、感染症に強い地域づくりを進めるに当たり、私は、今後も新型コロナの変異株を含めた新たな感染症に柔軟に対応できる医療提供体制の構築など、万全の体制を構築しておくことが重要だと考えます。具体的には、医療逼迫期や感染拡大期における患者受入れのルール化や空き病床と患者受入れの見える化など、医療機関同士の連携と役割分担、そして保健所機能の強化や医療人材を確保する仕組みづくりなど、平時から計画的な取組が必要です。 さらに、これからはコロナ禍にあっても、感染拡大防止社会経済活動の両立を図っていくことが重要です。ワクチン接種の促進や検査体制の拡充・強化など、社会全体として感染リスク重症化リスクを低減させる取組も重要となります。 また、感染症に対する正しい知識とコロナ・ハラスメントなどの人権侵害に対する教育の推進、さらには感染症の後遺症に対する取組も重要です。後遺症は経験した方しか分からない心身の苦痛を伴います。医療機関による治療だけでなく、治療と仕事の両立を図るための支援など、社会全体での対応とともに、コロナ後遺症への社会的認知度の向上が必要です。 新たな創生総合戦略の政策の方向性では、新型コロナウイルス感染症の教訓から学び、次なる感染症危機に備えた保健医療体制の構築を図る。感染症対策の基本的な考え方やオール岐阜による推進体制を明確にするとともに、専門人材の育成、県民への啓発・教育、福祉施設における対策の促進など、感染症対策の強化を推進するとありますが、今後、感染症に強い地域づくりにどのような方針で取り組むのか、知事にお伺いをいたします。 次に、三つ目の政策の柱である地域にあふれる魅力と活力づくりに追加された「脱炭素社会ぎふ」の実現についてです。 気候変動問題は、まさに世界を挙げて取り組むべき大きな問題となっています。本県では、近年頻繁に豪雨災害をもたらしているように、世界に目を向けると、記録的な干ばつや熱波、集中豪雨をもたらしています。その原因は、人類の活動に伴い排出される温室効果ガスであることが確実視されており、早急に世界全体で対策に取り組む必要があります。 県にあっては、令和三年三月に岐阜県温暖化防止及び気候変動適応基本条例を定めるとともに、岐阜県地球温暖化防止気候変動適応計画を策定し、温室効果ガスの排出の抑制を図る緩和策とともに、気候変動の影響を防止・軽減する適応策の両輪で「脱炭素社会ぎふ」の実現に向け、気候変動問題の取組を本格的に開始したところです。 この計画については、現在改定作業中と伺っておりますが、このたび県の最上位計画である「清流の国ぎふ」創生総合戦略が改定されるに当たって、この「脱炭素社会ぎふ」の実現という理念が盛り込まれることとなったことは、まさに時宜を得たものと評価します。これを機に、気候変動対策をさらに推進していただきたいと考えていますが、中でも緩和策は、産業分野だけでなく、商業や家庭、運輸など様々な分野で取り得る対策が幅広くあり、強化が必要ではないかと考えます。 そこで、我が会派として考え得る対策を御紹介させていただきます。 一点目は、意識変容です。 まず、国内の温室効果ガス排出量の六割を衣食住を中心とした家計関連が占めていることから、国民一人一人が脱炭素型のライフスタイルへ転換することが必要ではないでしょうか。政府は、省エネ機器への買換えなどを、消費者のエコな生活を見える化することで国民の行動変容につなげていく国民運動「クール・チョイス」を推進しており、去る十月には、新たな国民運動も開始をされたところです。本県にあっても、省エネ、節エネに対する県民の行動変容を促す取組が必要と考えます。 さらには、SDGsを踏まえ、誰もが取り組める脱炭素アクションとして、食品ロス発生抑制と未利用の安全な食品を寄附するフードバンクフードドライブ等の取組は重要です。もったいないとお裾分けの県民運動を一層推進する必要があります。 二点目は、クレジットの創出です。 本県の森林率は八一%で全国第二位、森林面積は八十六・二万ヘクタールで第五位であり、本県には二酸化炭素を吸収できるポテンシャル(潜在能力)があります。現在、県独自のクレジット制度である(仮称)G-クレジットの構築を進めておられるようですが、県有林や市町村有林などにおけるJ-クレジットの創出にも取り組む必要があると考えます。 三点目は、事業者の取組です。 物を作り、運び、販売する事業者においては、熱効率のよい設備の導入や燃料の転換、電気自動車や水素自動車など次世代自動車の導入、LEDなど省エネ機器の導入など、業態や規模に合った取組を進めていくことが今後社会的要請となってくると考えられます。国にあっては、二〇二五年度までに政策を総動員して事業者の取組を後押しすることとし、様々な支援制度を創設しています。しかしながら、県内の中小零細企業にあっては、折からのエネルギー価格や原材料の高騰を受け、脱炭素に取り組むには体力的にも精神的にもハードルがあるのではないかと推察します。 さきに公表された本県の二〇一九年度の温室効果ガス排出量を見てみますと、産業、業務、運輸の各部門で全体の六八%を占めていることからも、本県の脱炭素を実現するためには、事業者の取組を促していくことが必須と考えられます。 そこで、知事にお尋ねします。 今後、脱炭素に取り組む事業者への支援をどのように進めていくのか、御答弁をお願い申し上げます。 ここで第一回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 二点お尋ねがございました。 まず、感染症に強い地域づくりの取組についてでございます。 発生以来三年近くにわたる新型コロナへの対応では、専門知を対策の基礎とし、オール岐阜体制によりスピード感を持って取組を進めるという、いわゆる岐阜モデルを徹底してまいりました。 この新型コロナ対応はいまだ終わりが見えておりません。また、今後いずれかの時点で新型コロナ対応に一定のめどがついたとしても、感染症への危機対策そのものには終わりはないのではないかと思っております。このため、不断にこれまでの取組を振り返り、次なる感染症危機に備えることは、大変重要であるというふうに考えております。 こうした考えの下で、二〇二七年度までの県政の羅針盤となる「清流の国ぎふ」創生総合戦略に、新たな項目として感染症に強い地域づくりを位置づけておる次第でございます。 その具体的な取組について、以下四点申し上げます。 一点目は、保健・医療体制の構築についてであります。 これまで病床や発熱外来の確保、ワクチン接種の推進など、県病院協会、医師会及び各医療機関の全面的な協力の下に進めてまいりました。御協力いただいた医療関係者の皆様には改めて感謝申し上げる次第でございます。 今般、改正感染症法が可決・成立いたしました。これに基づいて、今後は医療機関との協定締結や予防計画の改定を通じて役割分担を明確にし、医療体制を一段と堅固なものとしてまいります。 こうした中で、議員御指摘の後遺症について申し上げますと、県が設置している新型コロナウイルス健康相談窓口において必要に応じて身近な医療機関への受診を案内するなど、丁寧に対応しているところでございます。加えて、各医療機関には、岐阜大学医学部附属病院に設置されている専門外来との連携により適切な医療が提供できるよう努めていただいております。 また、県庁及び保健所の対応につきましては、これまでコロナの波を経るごとに感染規模、スピードが著しく増大し、健康福祉部以外の部局や市町村の応援なくしては対応が困難な状況に陥りました。このため、電話相談や患者搬送などを極力外部委託する一方で、各保健所で行っていた自宅療養者支援を本庁に一本化するなど、業務の効率化を進めてきたところでございます。 今後も、感染症の規模や特性に応じて、岐阜県業務継続計画を踏まえながら、業務や組織を不断に見直し、速やかに対応できる機能を確保してまいります。 二点目は、専門人材の育成についてであります。 県内の感染症専門医は、本年四月時点で十八人、県内医師数の〇・四%程度と極めて少ない人数になっております。このため、県内医療従事者を対象とした感染症に関する勉強会を開催するとともに、令和三年八月より岐阜大学に感染症寄附講座を設置し、感染症専門医の育成に努めております。現在、四人の医師が専門医の認定に向けて取り組んでおり、うち二人が来年認定試験を受ける見込みとなっております。 また、県職員についても、国立感染症研究所へ派遣するなど、新たな感染症に対応できる専門知識の向上を図っているところでございます。 三点目は、県民への広報についてであります。 これまで基本的な感染防止対策ワクチン接種の呼びかけを、テレビや新聞広告のほか、駅前大型ビジョン、ツイッターやユーチューブなど、情報発信に努めてきたところでございます。 また、新型コロナ対応の初期段階においては、感染者や医療従事者、あるいはその家族に対するコロナ・ハラスメントが問題となりました。このため、差別的取扱いや誹謗中傷の禁止についていち早く県感染症対策基本条例に織り込み、私と県内全市町村長が署名したストップ「コロナ・ハラスメント」宣言を発出するなど、その周知徹底を図ってきたところであります。 今後も引き続き、正しい情報を県民の皆様へ継続的に発信してまいります。 四点目は、オール岐阜による推進体制についてであります。 これまで全市町村及び医療、経済、観光の各団体などが参加する対策協議会と県庁の本部員会議との合同開催によりオール岐阜の意思決定を行い、また岐阜市とのクラスター対策合同本部により、県・市切れ目のない保健所体制を構築してまいりました。このことにより、オール岐阜のワンボイスで、県、市町村、県民、事業者、医療機関がそれぞれ取り組むべき内容を適時的確に発信することができたほか、感染拡大が著しい地域の市町村が連携してその地域にふさわしいメッセージを発出するなど、効果的な対策につながったものと考えております。 今後、新たな感染症危機が生じた場合にも、こうした枠組みが本県における対応の基本であることに変わりはないと考えております。次期総合戦略にもオール岐阜による推進体制を明確に位置づけ、迅速なコンセンサスの形成により、先手先手で対策を決定・実行する岐阜モデルをしっかりと深化させてまいりたいと思っております。 次に、脱炭素に取り組む事業者への支援、「脱炭素社会ぎふ」の実現に向けた取組の中で、この点についてのお尋ねがございました。これにつきましては、省エネルギー対策の推進、そして再生可能エネルギーの導入拡大などの排出削減対策森林吸収源対策の両面から進めていくこととしております。 まず省エネルギー対策の推進につきましては、事業者に対する相談から診断、取り得る対策の選定、設備更新に至るまでの伴走支援の体制を関係機関と連携して強化し、必要な財政的支援も行ってまいります。 また、事業者の意欲をより高めていくことも必要であり、業種ごとの特性に応じた具体的な省エネ対策などを紹介するセミナーや省エネ専門家の派遣を充実させてまいります。加えて、様々な業種においてICT、IoTなどの新技術の導入を普及させることや建築物の省エネルギー化を促進することなどを通じ、社会全体で省エネ対策の強化を図ってまいります。 次に、再生可能エネルギーの導入拡大につきましては、太陽光発電設備について今年度から事業所への導入支援を開始したところでありますが、支援策のさらなる充実を図ってまいります。加えて、木質バイオマス、小水力、地熱など再生可能エネルギーの導入拡大に向けたワークショップや調査を支援するとともに、木質バイオマス発電や小水力発電については、設備の導入を支援し、エネルギーの地産地消を推進してまいります。 このほか、農業分野では、化学肥料を減らし、有機農業への転換に取り組む農業者などに対する機械の導入支援や家畜排せつ物の堆肥化施設の整備に対する支援などを通じ、農業の脱炭素化の取組を推進してまいります。 また、林業分野では、建築物に木材を利用することにより排出量の削減が期待されることから、県産材住宅の建設や非住宅建築物の木質化を支援し、県産材の利用拡大を図ってまいります。そして、森林の再造林の取組に対する支援などを通じて森林の若返りを進め、二酸化炭素吸収源としての機能を高めるとともに、本県独自のクレジット認証制度である、仮称でありますが、G-クレジット制度の構築も進めてまいります。 このような支援策について、今回の計画改定に併せて、新たに具体的な施策編を取りまとめる予定であります。今後、これを広く発信し、事業者への支援に取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 十四番 水野吉近君。    〔十四番 水野吉近君登壇〕 ◆十四番(水野吉近君) ありがとうございました。 次に、妊娠時から出産・子育てまでの伴走型相談支援経済的支援の一体的な実施に向けた取組についてお伺いします。 本年十月二十八日に閣議決定された政府の総合経済対策において、支援が手薄なゼロ歳から二歳の低年齢期に焦点を当て、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援の充実を図るとともに、地方自治体の創意工夫により、妊娠・出産時の関連用品の購入費助成や産前・産後ケア、一時預かり、家事支援サービス等利用負担軽減を図る経済的支援を一体として実施する事業を創設し、継続的に実施することが盛り込まれました。これを踏まえ、国の令和四年度第二次補正予算において、出産・子育て応援交付金が計上されたところです。 配付した資料を御覧ください。 核家族化が進み、地域のつながりも希薄となる中で、孤立感や不安感を抱く妊婦・子育て家庭も少なくありません。内閣官房の資料によれば、二〇一九年のゼロ歳から二歳児二百九十万三千人のうち、未就園で育児休業給付も受けていないのは四八・三%であること、また生後六か月時点で親に子育てで負担に思っていることを聞いたところ、身体的、時間的、精神的負担が大きいと答える親が四五%程度いること、児童虐待で命を落とす子供の半数以上がゼロ歳から二歳児であることが明らかとなっていることから、この時期の伴走型相談支援は重要であり、支援の内容は、必要性や子供の年齢に応じたサービスの利用が大切であると思います。 これまで市町村は、子育て世代包括支援センター等において、妊婦やゼロ歳から二歳の低年齢期の子育て家庭に寄り添い、出産・育児等の見通しを立てるための面談や継続的な情報発信等を通じて、必要な支援につなぐ伴走型相談支援を行ってきました。創設された本事業は、これに紙おむつなど必要な出産・育児関連用品購入費助成や有料である産後ケアなどの子育て支援サービスの利用料に使える十万円相当の経済的支援を加え、一体的に実施するものです。 この新たな事業を推進するに当たり、政府は出産・子育て応援交付金を創設し、令和四年度第二次補正予算を計上。実施主体は市町村で民間等への委託も可能とし、補助率は国が三分の二、県六分の一、市町村が六分の一となります。さらに、この事業は一過性に終わらせることなく、今後も継続して行い、令和五年度の当初予算にも盛り込む方針です。また、経済的支援の実施方法は、電子クーポンの活用や都道府県による広域連携など、効率的な実施方法を検討することになっています。 岐阜市では、市内三か所に母子健康包括支援センターがあり、私は先日、岐阜市中心部にある岐阜市中母子健康包括支援センターを訪問し、取組内容を伺ってまいりました。当センターでは、妊娠の届出時の面談、家庭訪問等による妊産婦、乳幼児及びその家族の実情の把握、保健師または助産師による妊娠、出産及び子育てに関する相談及び情報提供を行っています。また、支援が必要な妊産婦や乳幼児に対し、支援プランの作成を行い、個々に応じた必要な支援につなげています。担当職員のお話によると、妊娠の届出時の面談は一〇〇%実施できているが、乳幼児の家庭訪問は出産前後の里帰りなどがあり、約九〇%となっているとのことでした。このような伴走型相談支援は既に実施されていますが、経済的支援の方法については、岐阜市以外でも利用するサービスがあることから、利用者が使い勝手のよい仕組みとしてほしいなどの意見がありました。 独自に本事業と同様の取組をしている東京都では、市町村によって実施体制にばらつきが出ないよう、東京都が一定の基準を示しています。また、一歳から二歳は行政と関わる機会が少ないことや、ベビーシッターやファミリーサポートなど子育て家庭を支える人材が不足していることが課題として挙がっているようです。 私は、本事業における経済的支援の実施方法については、広域連携による電子クーポンを活用することが効率的な方法であると考えます。具体的には、本県にはアプリ化された電子ぎふっこカードがあり、それを活用した経済的支援の方法が有効なのではないかと考えます。 ぎふっこカードは、岐阜県子育て家庭応援キャンペーン事業の参加店舗が県に登録する仕組みとなっています。県内全域で利用でき、このうち出産・育児関連用品の店舗で無料クーポンを利用できる仕組みとすることや、参加店舗に市町村が委託する子育て支援サービスを行っている医療機関等を追加登録し、無料クーポンを利用できるようにすることも可能と思われます。各市町村が個別の紙によるクーポン券を発行すれば、市町村間でサービスにばらつきが発生したり、事務費がかかったりしますが、県内で利用可能なぎふっこカードを活用した仕組みにすれば、そのような課題も軽減されます。さらに、出産・子育て応援交付金ではシステム構築等導入経費は国の全額負担となり、県や市町村の財政負担はなくなります。県には、実施主体である県内市町村の事務負担の軽減や実施体制にばらつきが出ないよう支援していただきたいと強く願うものであります。 そこで、恒久化される妊娠時から出産・子育てまでの新たな伴走型相談支援経済的支援の一体的な実施に向け、県はどのように取り組む方針なのか、子ども・女性局長にお伺いをします。 次に、高齢者のデジタルディバイド(情報格差)対策についてお伺いします。 この件については、昨年十二月の定例会で岐阜県議会公明党の代表質問で取り上げたところ、県としては、住民に身近な地域におけるサポートの充実を図るため、中山間地域を含め支援が届きにくい地域の公民館等において市町村やNPO等が開催するスマホ教室に講師を派遣することや、高齢者向けに県立高校と連携し、生徒がスマホの使い方を教える中で世代間の交流を図る取組や、また健康づくり、コミュニティーづくりとつなげ、楽しみながらスマホを活用できる仕掛けづくりも進めたいとの答弁があり、県DX推進計画にも盛り込まれたところです。 これを受け、今年度は、高齢者を対象とした活用サポートとして、歩数計測アプリを利用したイベント等を月一回程度、スマホの基本操作やキャッシュレス決済及びSNSの利用方法等の教室を月四回程度、スマホを通じた世代間の交流の場として、県立高校からモデル校二校を選定し、生徒が講師となって地元の高齢者にスマホの活用法を教える教室の開催と二校合同によるスマホ教室の開催、またスマホ教室等への講師派遣事業として、県内市町村や自治会等が主催する高齢者等を対象としたスマホを活用するための会合等にテーマに応じて県が選定した講師を行う事業を実施しています。 今後もデジタルに不慣れな方が基本的な知識や技能等を身につけ、スマホ等を適切に利用できる能力を向上することは、全ての県民が行政サービスを享受するために重要です。 また、国はマイナンバーカードの普及率を向上させ、健康保険証として利用できるようにする取組を本格化させており、市町村では窓口や出張によりデジタルに不慣れな方へのマイナンバーカードの申請手続を積極的に支援しており、高齢者からのスマホのことを知りたい、使いたいという需要は今後ますます高まるものと思われます。その受皿となるスマホ教室等の参加者を増やしていくためには、市町村等が開催するスマホ教室の充実が必要だと考えます。県はこれに講師を派遣していますが、今後より多くの方に講師となってもらうことも必要だと考えます。例えば六十五歳以上の高齢者に指定の講習を受けてもらい、認定した上で派遣すれば、受講者である高齢者が気軽に分からないことを聞きやすくなったり、認定され講師となった高齢者のやりがいにもつながり、裾野が広がります。また、地域の高齢者を対象とするサロンや高齢者福祉施設等にも派遣し講座を行えば、使い方が分からない方にもスマホを使いこなしたいという機運が高まるのではないでしょうか。 そこで、今年度の高齢者向けデジタルディバイド対策における受講者の評価と今後の取組方針について、デジタル推進局長にお伺いをします。 次に、ぎふ旅コインを活用した観光振興についてお伺いします。 観光庁は、先月二十五日、国内観光の需要喚起策、全国旅行支援について、割引率などを縮小した上で年明け以降も実施すると発表しました。飲食店やお土産店で使えるクーポンも含めた一人一泊当たりの最大の支援額は、従来の一万一千円から七千円となります。この年明け以降の旅行支援では、割引率を現在の四〇%から二〇%に縮小。上限額も、鉄道などの公共交通と宿泊がセットの旅行商品は一人一泊当たり最大八千円から五千円に、宿泊のみや日帰りの上限額は五千円から三千円に引下げとなります。クーポンの仕組みも見直しとなり、スマートフォンなど電子クーポンを原則とし、平日は三千円から二千円分に引き下げ、休日は従来どおり千円分となります。 なお、年明け以降も引き続き、新型コロナワクチン三回以上の接種か陰性証明が必要になります。 これまでの全国旅行支援は、全国的に観光需要喚起の効果が現れており、感染状況を見極めながらではありますが、今回の発表は本県にとっても冬の閑散期の観光需要喚起につながるものと期待したいと思います。 旅先での消費喚起につながるクーポンについては、割引率は下がりますが、平日二千円、休日千円と引き続きお得であり、特に本県のぎふ旅コインは、電子クーポンということでキャッシュレスの普及にもつながるよい仕掛けと考えます。 ぎふ旅コインについては、今年度は旅行割引とのセット配付以外にも、市町と連携した地域限定での特典付与なども実施されており、今後も様々な活用が期待されます。例えば岐阜市では、岐阜市の観光施設、土産物店、飲食店等観光関連産業の利用促進を図るため、岐阜市限定ぎふ旅コイン宿泊キャンペーンが実施されました。全国民が対象で、全国旅行支援との併用が可能です。具体的には、岐阜市内でキャンペーン対象プランで宿泊する客に対し、岐阜県が配付している電子クーポン、ぎふ旅コインに岐阜市限定ぎふ旅コイン二千円分を付与するものです。 政府は可能な限り長期的な支援を実施するとしていますが、仮に支援が終了しても、電子クーポンである本県のぎふ旅コインの活用次第では、本県独自の観光需要喚起策として全国からの観光誘客に効果が期待できると考えます。 そこで、ぎふ旅コインを活用した観光振興について、これまでの取組と今後どうされるのか、観光国際局長にお伺いをいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 妊娠時から出産・子育てまでの伴走型相談支援経済的支援の一体的な実施に向けた取組についてお答えいたします。 出産・子育て応援交付金については、これまで実施されてきた妊婦や子育て家庭に対する伴走型の相談支援と一体として経済的な支援を行うものであり、国が示すスキームに基づき、県も六分の一の財源を負担するため、本定例会において補正予算案を計上したところです。 伴走型相談支援については、県と市町村の連携の下、産後ケア事業や多胎児家庭への支援等の取組がなされてきたところです。市町村の取組状況を把握するとともに、定期的な検討会を開催し、課題の検討や好事例を共有することなどにより、引き続き支援の充実を図ってまいります。 また、経済的支援については、今般の国の総合経済対策を踏まえて新たに実施するものであり、県内の市町村のほとんどが、まずは現金給付により実施する見込みとなっています。来年度以降の実施方法については、今後、各市町村が検討を行うこととなりますが、県としては、他の都道府県の状況も参考に、御指摘のぎふっこカードの仕組みを活用することも選択肢として持ちながら、助言や調整をしてまいります。 ○議長(平岩正光君) デジタル推進局長 市橋貴仁君。    〔清流の国推進部デジタル推進局長 市橋貴仁君登壇〕 ◎清流の国推進部デジタル推進局長(市橋貴仁君) 高齢者のデジタルディバイド対策についてお答えいたします。 県では、本年三月に策定したDX推進計画に基づき、年齢等にかかわらず、全ての県民がDXの恩恵を享受できる誰一人取り残されないデジタル社会の実現に向けて取組を進めています。例えば今年度から新たに開催している高齢者向けスマホ教室については、先月末までに県内各地で計五十九回開催し、五百二十一名の方に参加いただいたところです。 受講者アンケートを見ると、九割以上の方が満足され、「スマホの便利さが分かった」「自宅近くでの開催で参加しやすかった」といった意見があり、八割以上の方から「今後の生活に生かせる」との回答をいただいたところです。 今後も引き続き、市町村や受講者のニーズを十分把握しつつ、高齢者がまずは第一歩を踏み出し、簡単、便利、面白さを実際に体験し、日常的にデジタルに親しんでいただけるよう取組を進めてまいります。
    ○議長(平岩正光君) 観光国際局長 丸山 淳君。    〔商工労働部観光国際局長 丸山 淳君登壇〕 ◎商工労働部観光国際局長(丸山淳君) ぎふ旅コインを活用した観光振興についてお答えいたします。 ぎふ旅コインは、デジタルによる観光クーポンとして、全国に先駆け昨年十月に運用を開始いたしました。これまでにアプリダウンロード数が約四十六万件、今年度の利用額は二十四億円を超えるなど、旅先での観光消費拡大につながっております。当初は、県内旅行の割引事業として活用を始めましたが、現在は岐阜市内や木曽川中流域内といった地域限定クーポンのほか、JR東海と連携した新型車両運行開始に併せたクーポン、また戦国観光拠点や道の駅を巡るスタンプラリーの特典など、活用の幅を広げております。 今後もこうした活用を促進していくとともに、さらなる利便性向上のため、現在約二千五百件ある登録店舗の拡大に力を入れてまいります。加えて、これまでに蓄積してきた利用者の発着地や移動地点等のアプリ利用データを活用し、全国のアプリ利用者に旬の情報をプッシュ型で提供するなど、リピーター確保に向けたプロモーションを展開してまいります。 ○議長(平岩正光君) 一番 平野恭子君。    〔一番 平野恭子君登壇〕(拍手) ◆一番(平野恭子君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、今回は三項目について質問させていただきます。 まず初めに、近年、激甚化・頻発化する自然災害への対応として、地元を流れる伊自良川における河川整備について取り上げさせていただきます。 今年も日本各地で自然災害が発生し、八月には北陸地方や東北地方で大雨となり、九月には九州地方に台風十四号、静岡県に台風十五号が上陸・接近するなどし、各地で浸水被害も多発しました。幸い、今年に関しては本県で甚大な災害は発生しませんでしたが、皆様の記憶にも新しい平成三十年七月豪雨、令和二年七月豪雨及び令和三年八月の大雨と本県でも続けざまに災害が起きており、県内各地で浸水被害も発生しました。 ふだんは穏やかに流れている伊自良川についても、過去には幾度も豪雨に見舞われており、これまで昭和三十六年六月、梅雨前線による豪雨、昭和四十九年七月の豪雨、そして昭和五十一年九月の台風十七号とそれに伴う豪雨において浸水被害が発生しております。昭和五十一年九月の台風は、私も生まれたばかりの頃でしたが、自宅の周囲が水につかる中、父もボートで患者さんたちを診察しに行ったことを聞いております。この台風で伊自良川沿川地域において、床上、床下合わせて二万二千戸以上の浸水家屋があったとされており、当時、被害総額も約百六十億円に及んだとされています。こうした記憶は薄れることなく今でも根強く地域に残っており、昨今の激甚化・頻発化する自然災害を目の当たりにするたびに、自分たちの地域がまた浸水被害を受けるかもしれないと、住民の皆さんは今でも不安を抱えながら生活していらっしゃいます。 一方で、豪雨による被害を未然に防ぐため、当時から河川改修などが行われるとともに、内水対策としても支川に排水機場が設置されるなど、その時代を生きた先人の方々のたゆまぬ努力により鋭意治水事業が進められてきた歴史の上に、今私たちは暮らさせていただいていることを忘れてはなりません。特に昭和五十一年の豪雨を受けて国の河川激甚災害対策特別緊急事業に採択され、重点的に対策が進められたことは、現在の地域の治水安全度の向上に大きく寄与しています。 こうした歴史的な背景も踏まえ、平成十八年に岐阜県では伊自良川圏域河川整備計画が策定されております。その後、国においても平成二十年に伊自良川の下流域を含む木曽川水系河川整備計画が策定され、それぞれにおいて対策が進められています。これら河川整備計画の計画期間はおおむね三十年とされていますが、計画の策定からおおむね半分が経過したところです。 また、これらの計画では、東海環状自動車道の整備などにより、沿線地域での開発や市街化が進むことが想定されております。特に令和六年度に開通を控える東海環状自動車道(仮称)岐阜インターチェンジ付近では、岐阜都市計画区域マスタープランにおいても、ものづくり産業等の誘致を促進することとされております。このうち岐阜インターチェンジ付近の岐阜市黒野地域においては、優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされており、その優れた立地特性を生かしながら、ものづくり産業拠点や学術・研究拠点といった拠点的な工業系土地利用を検討することとされております。 こうした歴史的な変容を控え、地域の方々の期待も非常に大きいことは言うまでもなく、今後ますますの発展に期待を寄せ、機運も高まっております。この地域の重要性や資産価値が増していく中で、特に伊自良川における治水安全度の向上は待ったなしの状況であると言えます。 他方、計画策定からこれまでの間、河川整備に対する思想も変化を遂げており、昨今では気候変動による水害の激甚化・頻発化の懸念から、あらゆる関係者が協働で取り組む流域治水が進められています。当然流域治水においても河川整備というハード対策は住民の命と暮らしを守るための基本的な対策となっています。過去の歴史や背景、地域の変容も踏まえ、私も含め当時の浸水被害を経験している地域の住民の皆様にとって、伊自良川の河川整備がどのような状況となっているのか非常に関心は高く、この地域における重要なテーマの一つとなっています。 そこで、県土整備部長にお伺いします。 伊自良川における河川整備の進捗状況と今後の整備方針について御答弁をお願いします。 次に、医療機関におけるサイバーセキュリティー対策についてお尋ねします。 サイバー犯罪対策については、昨日、藤墳議員も取り上げていただいており、重要な課題であります。私は、医療機関におけるサイバーセキュリティー対策について、健康福祉部長にお伺いします。 ここ数年の世界的な新型コロナウイルス感染症の流行は、私たちの生活を大きく変えてきました。その一つに社会の様々なシステムのオンライン化の推進があります。今やビジネスの世界だけでなく、教育の分野、そして様々なイベントまでオンラインで行われるようになりました。皆さんや皆さんのお子さん、御家族の中にもオンライン授業やオンライン会議などの経験がある方が多いと思います。これは、新型コロナウイルス感染症だけが原因ではなく、生き方の多様化、働き方の多様化などが進む中で、ICT化やDX化と呼ばれるように、デジタル技術の活用により私たちの生活様式がこれからもどんどん変わっていくことが予想されます。 そのような社会状況の中で、医療分野において、遠隔地でのオンライン診断や電子カルテなど、ICT化は確実に進んでいます。その中で、昨年十月に徳島県のある町立病院が国際的なハッカー集団から身の代金要求型ウイルス、いわゆるランサムウエアによるサーバー攻撃を受けました。病院側の発表によると、バックアップ用も含めて院内のサーバーのデータはほぼ暗号化されていたため、受付から診察、会計まで全ての電子システムが使用不可能となり、病院は大混乱となりました。電子カルテをはじめとする病院の全てのシステムが止まってしまったため、患者さんの予約状況や通院・治療履歴などの個人情報が分からないために、受付でスタッフが一人一人に聞き取りを行うことになり、何時間も受付で待つ患者さんが出たそうです。 この病院では、カルテなどのデータが失われないようバックアップ用のサーバーを設置していましたが、バックアップサーバーはあくまで地震や水害などでメインのサーバーが壊れた場合の予備を想定しており、バックアップサーバーもこのサイバー攻撃によってウイルスに感染してしまったため、完全にシステムが使用できなくなってしまったとのことです。電子カルテも使えなくなったため、これまでの検査結果やエックス線などの画像、処方した薬の記録も見ることができません。病院は、患者さんへの直接の聞き取りだけでなく、これまで患者さんがかかっていた別の病院や調剤薬局、介護施設などからデータをかき集めて、何とか診療を続けたとのことでした。 また、犯罪集団からは身の代金を支払えば全てを解除すると金銭の要求があったそうです。もちろん代金を支払ってもデータが戻ってくる保証もないこと、警察庁などからも身の代金は払うべきではないとの見解もあり、町立病院であるこの病院も身の代金を払わないと決定をし、年が明けた一月に、二億円ほどの費用をかけてカルテなどのデータを業者などの協力で独自に復元したと報じられています。これは、一度身の代金を払ってしまうと同様の犯罪が繰り返されるとの懸念もあること、公立病院であったために、いわゆる公金が犯罪者集団に渡ることを避けるためにもやむを得ない処置だったと考えます。その結果、実に二か月以上にわたってこの病院は機能が麻痺して、通常どおりの診療ができない事態となってしまいました。 また、今年十月三十一日には、大阪市内の総合医療センターが同様にランサムウエアによるサイバー攻撃を受けました。同病院は、大阪府の基幹災害医療センターに指定されていて、災害時の救急医療などに二十四時間対応することとなっており、また新型コロナウイルスの患者さん対応もしていることから、多くの患者さんへの影響が懸念されています。被害を受けて三週間で一部外来診療や手術を再開したそうですが、新規患者さんの受入れなどの診療は中止しており、来年の一月には完全復旧ができるように作業を進めているそうです。 こうした医療機関へのサイバー攻撃は、紹介した事例に限らず、国内のほかの病院でも散見されています。海外では、ドイツの大学病院が攻撃により救急患者さんの受入れができず、別の病院に搬送されることとなってしまった患者さんが死亡するという事例が発生したという報道もあります。 医療機関におけるサイバー攻撃は、入院機能、外来機能が麻痺することとなり、多くの治療を必要としている患者さんに長期間影響を与えることとなります。こうしたサイバー攻撃は、何も大きな会社や大病院などの大きな組織を狙ってくるものではありません。むしろ、この町立病院の例のように、サイバー対策に関心も薄く、予算も少ないような小さな組織が被害に遭うこともあります。 こうした事案が増える背景には、サイバー攻撃が年々巧妙化しているにもかかわらず、医療機関側の対策が追いついていない現状があるとの指摘もあります。その背景には、こうしたサイバー攻撃対策は短期的に見ても直接利益を生み出すものではない保険的な意味合いが強く、病院側がそこにかける費用が限られてしまう点や、そもそも病院内にサイバーセキュリティーに強い人材が不足している点などが挙げられます。前者においては、目の前の患者さんを救うことを考えると、どうしても新しい医療機器の購入などに優先的に費用をかけざるを得ない現状もあります。後者においては、特に小さな病院になればなるほど、金銭的にもノウハウ的にもそういった人材の確保や教育について難しくなります。そういった意味では、国や県による補助金や支援なども有効な対策の一つと言えます。 また、実際に病院の機能が停止してしまったとき、システムが全く使えなくなった場合の事業継続計画や、近隣の病院と連携して患者さんへの対応をするなど、対処法をしっかりと構築していかなければならないとも思います。 十月以降、全国的に新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加し、本県でも、十一月に入り新規陽性者数が全国平均を上回る勢いで増加し、先週には一週間平均で二千人を超えました。病床使用率も高い水準となっており、一時は落ち着きを見せていたコロナ以外の一般病棟の入退院や救急医療の制限も増加するなど、医療機関への負荷が高まっております。このような状況の中、医療機関がサイバー攻撃を受け、医療体制が麻痺することがあったら、県民の皆様への影響は計り知れません。 そこで、健康福祉部長にお伺いいたします。 医療機関がサイバー攻撃を受ければ、情報の漏えいや診療の停止など、患者さんはもちろん県民生活にも大きな影響があると考えます。県として、医療機関に対してサイバーセキュリティー対策の実施をどのように促していくのかをお尋ねいたします。 私自身も、患者さんを治療するに当たり、電子システムが使用できなくなった場合、エックス線などの画像やカルテを見ることができないことにより、診断、治療が非常に困難になると実感しております。県におきましても、しっかりとした対応を希望いたします。 最後に、教育の現場における女性教員の活躍に向けた県の取組について、教育長にお伺いいたします。 二〇一八年のOECD(経済開発機構)の調査によると、日本は、小学校と中学校の校長の女性の割合が加盟中最下位クラスとの報告があります。また、二〇二〇年の調査では、大学などの高等教育機関で働く教員に占める女性の割合は、三十二か国中最も低い三〇%との調査結果が発表されています。 日本では、いまだに男女別の役割意識が根強く、特に家事や子育ては女性の役割と考える傾向にあります。これは、今挙げた教育現場に限ったことではなく、これまでも女性の社会進出が進まない理由の一つとして仕事と家庭の両立が難しいことが指摘され、国でも様々な改善案が検討されています。私自身も子供を育てながら仕事をしていますので、子育てと仕事の両立において様々な葛藤があり、どの分野においても早急な対策を進めていくべきだと実感しております。その中で、日本の教育の現場では学校管理職に女性の割合が低いことが浮き彫りになっており、改革の必要性がある分野とも言えます。 令和二年度学校基本統計によると、教員全体に占める女性の割合に比して、管理職に占める女性の割合は低く、公立小学校・中学校、全日制高校、特別支援学校とも、校長の割合は最も低くなります。 小学校では、女性の教員の割合は六二・五%に対して、校長に占める女性の割合は二一・八%であります。中学校では、女性教員の割合四四・二%に対して、校長の占める割合は七・五%となります。高校も女性教員の割合は三四%に対して、校長の占める割合は七・七%となります。主管教諭、指導教諭に占める女性の割合は管理職のそれらと比べると高く、職位が上がるほど女性の占める割合は低くなります。 逆に、小学校は、男性教員三七・五%に対して、校長に占める男性の割合は七八・二%、中学校では、男性教員五五・八%に対して、校長は九二・五%と、校長が男性で占められています。 確かに、私の記憶でも学校の校長先生や教頭先生はほとんど男性教員でした。もちろん公平な機会や平等な環境での結果であれば問題ありませんが、女性管理職が少ない背景として、現状の管理職育成制度は家事・育児などの家庭責任を考慮していないことが指摘されていて、日本社会での問題になっている女性が働きにくい社会、職場である結果であれば、改善が必要です。 子供のうちから管理職である校長や副校長などが当たり前のように男性である環境は、現代社会の価値観とは必ずしも一致するものではなく、成長過程の子供たちがそのような環境を当たり前のように捉えてしまうことも教育上好ましいものではありません。また、男性と女性が共に協力して生きていく社会の中で、教育現場での管理職を圧倒的に男性が占めている状態は、子供たちの成長にも影響を与えてしまうとも言われております。 学校での校長や副校長などの女性管理職が少ない原因として言われているのが、やはり仕事と家庭の両立の難しさにあることが指摘されています。教員の仕事は、ふだんから授業の準備や児童・生徒の相談に加えて、保護者の対応や部活動の受持ちなど、残業が日常化していると聞きます。ですが、昔に比べて現在は子供の数も少なくなっており、また趣味や学校外でのクラブ活動などの選択肢も増えることで、学校の部活動に参加する子供の数も減少しているとお聞きしております。 また、いわゆるコロナ禍を経験したことで、学校教育にもオンライン化、デジタル化が多く取り入れられるようになってきています。もちろん新型コロナウイルス感染症により、消毒などの感染対策など新たに増えた業務もあるとは思いますが、これまでの学校の在り方、教員の働き方を変えるよい契機になるとも思えます。 子供たちにとって、学校はジェンダー平等の意識を育む重要な場所であります。しかし、学校教育の場でお手本となるべき教員に女性管理職が少ないとの男女格差があることは、子供たちのキャリア形成に大きく影響を与えることになります。子供たちのためにも、女性教員一人一人が自身の生活時間をしっかりと確保し、仕事と家庭生活との両立を図り、女性が管理職として活躍できる職場づくりを行う必要があると考えます。 そこで、教育長にお尋ねします。 公立学校における女性管理職の現状と女性教員の活躍に向けた取組についてお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございます。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 県土整備部長 大野真義君。    〔県土整備部長 大野真義君登壇〕 ◎県土整備部長(大野真義君) 伊自良川における河川整備の進捗状況と今後の整備方針についてお答えします。 伊自良川は、県道岐阜・大野線に架かる繰舟橋を境として、それよりも上流を県が、下流を国がそれぞれ管理しており、双方が連携して流域全体の整備を進めております。 県管理区間では、これまでに河川整備計画の目標に対して延長で約七割の護岸整備などが終わり、平成二十九年度には、区間内で最も水の流れを阻害していた岐阜市安食地内の安食取水堰の改築が完了しております。一方、同地内及びその上流には未改修区間が残っていることから、引き続き早期整備に努めてまいります。 また、国管理区間では、河川整備計画に位置づけられている護岸整備が令和三年度までに完了するなど、着実に整備が進められており、今後は岐阜市の一日市場地内や旦島地内での改修が必要と伺っております。 今後も国や関係市などとも連携しながら、残る未改修区間の整備を着実に進めるとともに、伊自良川の総合的な治水対策に取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 医療機関におけるサイバーセキュリティー対策についてお答えします。 サイバーセキュリティー対策は、一義的には各医療機関において講じていただくべきものですが、医療分野におけるデジタル化が進む中、仮に医療機関がサイバー攻撃を受け、長期間にわたり診療ができなくなるような事態が生じれば、県民の生命・身体に関わる問題にもなりかねません。 このため、県ではこれまでも医療機関に対して、院内のネットワークにおける脆弱性対策やデータのバックアップ作成等を実施するように注意喚起を行ってきたほか、サイバー攻撃を受けた際の対応を示した国のガイドラインの周知に努めてまいりました。 加えて、県内の医療機関がサイバー攻撃を受けた本年五月には、デジタル推進局及び警察本部の協力を得て、県内医療機関を対象とした研修用動画の作成・配信を行い、改めてサイバーセキュリティー対策の重要性をお伝えし、その実施を働きかけたところです。 今後も機を捉えた注意喚起に加え、事例の共有や勉強会の開催等により、サイバーセキュリティー対策を促してまいります。 ○議長(平岩正光君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 公立学校における女性管理職の現状と女性教員の活躍に向けた取組についてお答えします。 県教育委員会では、性別を問わず全ての教員が活躍できる、とりわけ働きながら子育てしやすい職場を目指し、女性も男性も安心して特別休暇や育児休業を取得できる環境づくりを進めております。 また、育児休業からの復帰に向けた研修においては、子供を抱える育児休業中であっても、最新の教育や学校に関する情報のほか、多様な働き方の制度など必要な情報についていつでも触れることができるよう、ホームページをさらに充実してまいります。 他方、育児休業復帰後の計画的な育成に向けては、そうした職員の多くが短時間勤務や部分休業を取得しているため、制限があっても自身のキャリアステージや意欲に沿って活躍できるよう、子育てに配慮した人事配置や職場全体での理解、取組をさらに進めていく必要があります。 現在、県教育委員会における女性管理職の割合は、令和四年四月時点で三〇%となっておりますが、今後も働き方改革を着実に進めながら、性別に関わりなく活躍できる職場環境づくりに努めてまいります。 ○議長(平岩正光君) 七番 平野祐也君。    〔七番 平野祐也君登壇〕(拍手) ◆七番(平野祐也君) 皆さん、こんにちは。 議長のお許しを得ましたので、これより一般質問を始めさせていただきたいと思います。 今回は、空飛ぶクルマとドローンについてという非常に夢のある話と思いきや、もう実は目の前に来ているというような現実も踏まえて、ぜひとも岐阜県として積極的に推進すべきという趣旨で一般質問を行いたいと思います。よろしくお願いします。 まず初めに、皆さん、十二月五日にドローンの世界で大幅な規制改革が行われたことは御存じでしょうか。今回はこうした世の中の動きを踏まえて、岐阜県として取り組む内容を提言したいと思っておりますけれども、実は令和三年六月に改正航空法により、令和四年十二月五日より無人航空機の、これがいわゆるドローンなんですけれども、有人地帯上空における補助者なし目視外飛行が可能となりました。これはいわゆるドローンのレベルフォー運航と言われているんですけれども、これまでいわゆるレベルスリーという世界では、無人地帯であればドローンを目視外、要は視野から離れて遠隔で、ということなんですけれども、飛行ができましたが、今後は人がいる上空を遠隔操作で飛ばすことができるようになりました。こうした法律が十二月五日に施行をされております。 これが施行されるとどのようなことが可能になるかといいますと、ドローンを使って、例えば飲食店からのテークアウトをお店から家に届けたり、災害時の緊急物資輸送で災害を受けていない地域から現地に物資を届けたり、また医療用物資を病院間で配送したり、こうしたことができるようになります。 ただ、それに伴って新しい規制も入ります。具体的には、ドローンの機体というのを自動車のように登録制にしたり、ドローンにも車検を導入したり、また操縦者の免許も高度な知識を要するようになったりしております。 これまでドローンというのは、基本的には趣味とか娯楽の延長線といった使われ方が多かったと思います。しかし、今後は自動車のように日常で使われる移動手段、また物流の手段として規制が変わっていくことになります。国でも、ドローンや空飛ぶクルマを含む次世代空モビリティーは、新しい移動手段として、また物流やインフラ点検分野での効率化をする新しい手段として注目をされております。 国土交通省は、令和三年四月一日付でドローンや空飛ぶクルマなどの事務を行う次世代航空モビリティ企画室を航空局の安全部に設置をしました。その実現に向けては、福島ロボットテストフィールドや愛知県の県営名古屋空港にある航空機技術審査センターとの連携を図っております。福島県には航空局の職員を派遣しており、飛行試験の規制面でのサポートや技術開発の促進を行い、製造事業者などへの助言を行っております。 こうした流れの中で、二〇二二年三月に改定された空の移動革命に向けたロードマップ、こちらの配付資料の一を御覧ください。(資料を示す)こちらにおいて、ドローンのレベルフォー飛行に向けた取組と今後のさらなる社会実装に向けた取組が示されております。 こちらの資料を御覧いただいて、この二〇二五年度のところに大阪・関西万博とありますけれども、こちらの二〇二五年の大阪・関西万博においては、ここで空飛ぶクルマの商用運航の実現というのを、もう既にこれは決まった目標として定められております。ですので、この二〇二五年の大阪万博を過ぎますと、その後は、この日本中どこでもということにはすぐにはならないと思いますけれども、この万博後の世界は空飛ぶクルマが社会に実装された世の中になってくるという前提で今まさに技術開発を進めているところです。今後、経済産業省とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、国土交通省と連携をして、新規に五年間で次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクトを実施する予定です。 さきに紹介しました福島ロボットテストフィールドについても少し御説明します。 こちらは福島県にありまして、福島イノベーション・コースト構想に基づき整備をされました。陸・海・空のフィールドロボットの一大開発実証拠点であり、世界にも類を見ない規模の開発実証拠点となっております。こちらは、インフラや災害現場など実際の使用環境を再現しており、ロボットの性能評価や操縦訓練などができる施設となります。 ただ、一方で、こちらで空飛ぶクルマですとかドローンの実証実験を行っているんですけれども、こちらの施設は予約が三か月待ちといった状況で、こうした新しい技術を実証実験したい方の業界としての需要が吸収し切れずにいるというのが現状です。 また、岐阜県も含むこの東海地方にはドローン開発メーカーが多く存在しております。そうすると、この福島ロボットテストフィールドまでの距離の問題、また先ほど紹介した愛知県の航空機技術審査センターから物理的に離れた福島県までみんなが行っている、そんな現状であります。 こうした今の現状を踏まえて、日本中の各自治体の取組を紹介します。 まず東京都においては、二〇二三年、来年ですが、都内の公共空間で初めて空飛ぶクルマの有人飛行テストが行われることが決まっております。また、東京都は、この空飛ぶクルマ、ドローン、空モビリティーに関してですが、二〇二二年度で総額四百億円もの予算をつけておりまして、来年以降も、これから決まると思いますけれども、こうした規模で東京都では取り組んでいるのが現状です。 また、大阪府においては、二〇二五年大阪・関西万博で実現を目指している空飛ぶクルマについて、全国初となる人を乗せた実証実験が、年が明けた来年、二〇二三年二月頃に行われることが発表されております。 ここで、配付資料二を御覧ください。(資料を示す) こちらが空飛ぶクルマですとか、大阪府内で目指すイメージが記載されておりますけれども、吉村知事は、「今回の実証実験で使われるのはシンガポールで既に飛んでいる機体である。日本の場合、新規の事業は様々に規制があって取り組みにくいが、万博は新たなことにチャレンジする実験場。万博で商業運用する意味においては、世界のスピードに離されていない。世界目線で空飛ぶクルマをやりたい」と語っております。 既に大阪府の補助金制度に採用された空飛ぶクルマに関する各事業は、まず万博で商業利用をスタートし、終了後は、関西エリアでの離着陸場を複数設置し、運航、商業化などの実現に向けて事業に取り組むこととなっております。 一方、岐阜県においても、国土交通省が令和四年七月に募集した河川空間を活用したドローン物流の実証実験に応募しており、採択を受けております。河川上空におけるドローン物流のさらなる活性化に向けて、現地実証や意見交換会をこれから実施していく予定となります。 また、先月十一月二十四日には、テクノプラザにおいて、県内・県外を含むドローン関連企業や自治体による第一回ドローン活用ワーキンググループが開催されました。先進事例の紹介や今後ドローン産業を岐阜県でどのように盛り上げていくかについて、各社連携していく枠組みができました。 この産業用ドローンや空飛ぶクルマの実証実験については、岐阜県内の民間企業においても取組を進めております。例えば物流の世界では、西濃運輸さんが過疎地におけるラストワンマイル配送を維持するために、ドローンを活用した新スマート物流の実証実験を全国各地で既に行っております。また、先日工場設立百周年を迎えた各務原市にある川崎重工業岐阜工場においても、K-RACERという、こちらは配付資料二の一番下段に載っていますけれども(資料を示す)、K-RACERという小型無人ヘリコプターを開発しており、産業用ドローンよりさらに馬力が必要である分野での活用を進めるべく、長野県伊那市と組んで山小屋への山岳輸送の実証実験を行っております。 ここで不思議に思うことがあります。こうした過疎地や山岳地帯を抱える岐阜県、またこうした同様の社会課題の解決に向けて日本中の企業や岐阜県を代表する企業が実証実験に取り組んでいるのにもかかわらず、こうした実証実験を遠く離れた他県でやっているということは、これは岐阜県にとって非常にもったいない事例であると考えています。 また、岐阜県には、恵那市にも拠点を置くドローン運航会社としては日本の中でも非常に老舗のROBOZさんという企業もありまして、この企業は既に美濃市や恵那市、海津市等の自治体と連携して測量や空撮、ドローンを使ったショーや、大人や子供向けのスクールなど、ドローンの社会的な受容性向上に取り組む企業も所在しております。 こうした開発、育成の環境が整っているのにもかかわらず行政として広域的に自治体と連携した実証実験の場を提供できていないのは、この競争優位性を生かしていないと考えます。 愛知県の豊田市に本拠地を置く日本を代表する空飛ぶクルマのメーカーであるスカイドライブ社は、豊田市と実証実験場を提供するという連携協定を結んでおり、こうした実証実験をする場所があれば、こうした空飛ぶ企業が集まってくる可能性があると思います。 また、二〇二二年三月、経済産業省とNEDOは、空飛ぶクルマの社会実装に向けた自治体プレゼンテーションというものを開催しました。そこでは、石川県の加賀市、新潟県新潟市、長野県飯田市、東京都、三重県、愛媛県新居浜市、大分県大分市、長崎県、福島県が自治体として空の移動革命や産業集積を目指してプレゼンテーションを行いました。特に長野県飯田市というのは、今回の議会でもリニアに関する話がたくさん出ましたが、飯田市はリニア長野県駅と空飛ぶクルマという連携を考えています。ですので、岐阜県としても、リニア駅ができる中津川市と、例えば温泉街の下呂市なんかを空飛ぶクルマで結んだりすると、新たな魅力が生まれると考えております。 こうした他県の自治体が空の産業集積を目指して積極的に取り組んでいる中では、岐阜県というのは出遅れていると言えます。 一方で、十二月五日から施行されていますドローンのレベルフォーに関する法律は、まだ詳細設計が決まっていません。実際の運用開始まで時間的な猶予があるとすれば、今から岐阜県として調査・検討することで、時代の流れを先取ることができると考えます。なぜなら、岐阜県には日本に誇る航空宇宙産業の集積が既にあるからです。 今回、ドローンに関して新しい規制が様々入りましたけれども、ドローンにも自動車のような車検や整備を行う必要があり、型式証明という航空機のような厳格なルールが適用され、そうしたものが部品に必要となってきますと、これまで航空宇宙産業で培った技術が活用できる可能性があります。 また、現在、ドローンはその七割以上が中国製となっておりますが、今、国として国産ドローンの開発に大きく注力しております。こうした開発や製造についてもビジネスチャンスになる可能性があると思います。 そもそも今のドローンの原型は一九八九年に日本のキーエンス社が開発したジャイロソーサーと言われており、メード・イン・ジャパンとしても取り組む理由があると思います。こうした高度な型式認証の要求に応えることができる岐阜県の企業においては、今後、国産ドローンの普及に当たって力を発揮できる可能性は当然生まれてくると思います。 また、県営名古屋空港内にある航空局から岐阜県が地理的に近いということもメリットに挙げられます。既に福島県に航空局から職員を派遣しておりますが、そもそもこの航空局から近い場所に試験場があれば、東海地方に多いドローン機体メーカーにも大きなメリットがあり、関西圏の企業も含めて、大阪万博に向けても試験場を利用する需要が出てくると思います。こうした福島のような一足飛びに試験場の設立とまではいかなくても、例えば木曽川の河川敷を活用して、各務原市から海津市までの自治体が連携をすれば、ドローンを木曽川の河川上で飛ばす一大実証実験の大規模な拠点となり得ると思います。 また、皆さん御記憶にあるような東京オリンピックの開会式のように、例えば夏の河川上とかで花火に見立ててドローンでライトアップしたイベントを県や自治体と連携して開催するとか、こうした社会受容性を上げるイベントというのもほかにないイベントとして目玉になるのではないかなと思います。 さらに、岐阜県の山岳地帯でローカル5Gアンテナを整備し、山岳地帯でのドローン配送や山小屋輸送の実証実験の場を提供したり、飛騨エアパークの一角を実証実験の場としたり、テクノプラザにドローンの機体認証企業を誘致したり、国産ドローン製造企業と岐阜県の航空宇宙産業とのマッチングを行ったりと、思いつくだけで、既にある岐阜県の山と川、既存の施設や企業と連携して、様々な環境で空飛ぶクルマやドローン企業が集まってくる可能性が秘められていると思います。 今回、十二月五日から大幅な規制変更・強化が行われました。それと同時に新たな需要が生まれています。このタイミングをつかんで、行政として先取りして取り組んでいくことは、日本のドローン産業や空飛ぶクルマ、ひいては既存の航空宇宙産業にとっても大きなメリットがあると思います。 一九〇三年、ライト兄弟の初飛行から実はまだ百二十年しかたっていませんが、岐阜県の航空宇宙産業は既に百年以上の歴史を誇る、日本の航空宇宙産業の夜明けとも言える地域です。今後のドローンや空飛ぶクルマの開発においても岐阜県が日本の夜明けに携わっていけるように、岐阜県として積極的に取り組むべきだと考えております。 そこで、知事にお伺いします。 空飛ぶクルマやドローンについて、岐阜県として市町村や企業と連携して山や川を活用した広域的な実証実験環境を整備し、将来的な既存の航空宇宙産業との連携も踏まえて、今後積極的に取り組むべきだと考えていますが、どのようにお考えでしょうか。ぜひとも前向きな御答弁をよろしくお願いします。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 航空宇宙産業との連携も踏まえた空飛ぶクルマやドローンへの取組推進ということで、大変積極的な御提案をいただきました。 御指摘のとおり、無人マルチコプター、いわゆるドローンにつきましては、世界的にも関心が高く、法整備とともにその活用が進んできております。我が国においても、新たな産業を育成し、世界の市場に参入するべく、経済産業省、国土交通省、農林水産省などにおいて、ドローンの利活用のための官民協議会を設置するなど、官民のいずれにおいても大きく動き始めております。県としても、ドローンは今後、空飛ぶクルマにもつながる大きな可能性を秘めた技術であると認識しております。その意味でも、このたびの航空法改正により有人地帯における目視外飛行が可能となったことは、劇的な変化と捉えております。 民間調査機関によると、その市場規模は、昨年度の二千三百八億円に対し、五年後には七千九百三十三億円と、年間成長率にして二二・八%増加するとの予測もございます。運輸部門をはじめ、様々な分野での実用化が進み、ドローンビジネスが一層拡大していくものと考えております。 一方、今回の法改正により、今後は人の上を飛ぶドローンに対してより徹底した安全性が求められることは必至であります。 いわゆるドローンには、小型ドローンから空飛ぶクルマまで様々なレベルのものがありますが、特に物流の効率化から期待されている総重量百五十キログラム以上の機体は、より強靱な機体構造と強力な飛行能力が求められることから、航空機製造技術の活用が期待されておるわけであります。 その点、本県には法に基づく型式証明を取得するなど、航空機の高い安全性を支えてきた航空宇宙産業が集積しており、その多くの企業ではドローンの製造について十分な関心と能力があるというふうに承知をしております。県としても、これまで航空宇宙産業を支援してきたように、同じ人の上を飛ぶドローンの開発・製造やその活用にチャレンジする企業に対して積極的に支援してまいりたいと考えております。 このため、県では、昨年から県内の航空宇宙関連企業を対象に、ドローンの開発・製造、活用に関するセミナーや国内ドローン製造企業とのマッチングを実施してまいりました。 また、国土交通省に採択された河川空間を活用したドローン物流の実証実験を行うことに加えて、テクノプラザにおいて5G環境下でのドローン活用の実証を開始しております。 さらに、先月にはDX推進に係るドローン活用ワーキンググループをスタートし、DXの視点でドローンサービス関連企業と市町村との意見交換を始めたところであります。 また、幾つかの県内市町でもドローン関連企業との間で活用連携協定を結ぶ動きが出てきております。 同時に、御紹介のように、民間でも県内企業において山岳輸送を想定した小型無人ヘリの開発やドローンによる買物代行サービスなどの新たなスマート物流の取組が進められております。いずれも実証実験の段階でありますが、そのための小型ヘリの開発について、今後、県内を実証フィールドとしていこうとする動きもございます。県としても、これら企業の具体的なニーズを把握し、市町村とも連携して県内実証フィールドの実現可能性を追求してまいりたいと考えております。 他方、課題もあります。ドローンの製造においては、現在のところ、国産シェアは直近(二〇一八年)のデータでは三・八%と、コストや機能面で優位性を持っている海外製が大半を占めております。我が国においても、国の機関を中心に安全保障の面から国産ドローンを採用する動きもありますが、新規参入は必ずしも容易ではないとされております。 また、ドローンの活用においては、今後、有人地帯の上空を飛行する実証実験を実施する場合、地域住民の理解が必要でありますが、少なからぬ県内市町村において、現在のところ慎重な姿勢も見られるところであります。 しかしながら、ドローンの開発や製造、その活用は本県にとって将来有望な分野であり、このような課題を乗り越えて取り組んでいかなければならない喫緊のテーマであります。このため、年明けにもドローンに関心の高い県内企業と共に岐阜県ドローン等推進研究会、仮称でありますけれども、を立ち上げてまいります。この研究会においては、急速に変化するドローン情勢の情報を共有するとともに、県内の様々な動きとの連携を整理しつつ、本県としての開発実証・製造・活用にわたる一貫した政策方針を明確にし、その実現に取り組んでいきたいと考えております。 そして、これに併せて、スタートアップ企業も含め、ドローンにチャレンジする県内企業への支援策についても、来年度予算も視野に入れて検討し、展開してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) しばらく休憩いたします。 △午前十一時四十分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(加藤大博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(加藤大博君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。十六番 恩田佳幸君。    〔十六番 恩田佳幸君登壇〕(拍手) ◆十六番(恩田佳幸君) 皆さん、こんにちは。 議長からお許しをいただきましたので、通告に沿って大きく二項目、三点について質問をさせていただきます。 一点目は、脱炭素社会ぎふの実現に向けた安定的な再生可能エネルギーの確保の観点から、今後想定される木質バイオマス発電燃料の不足を見据えた燃料の安定確保のための未利用材のさらなる活用促進について質問をさせていただきます。 二〇一五年に合意をされたパリ協定では、平均気温上昇の幅を二度未満とする目標が国際的に広く共有されるとともに、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が二〇一八年に発表した一・五度特別報告書においては、気温上昇を二度よりリスクの低い一・五度に抑えるためには、二〇五〇年前後に二酸化炭素の実質排出量をゼロにする必要があるとされました。 国は、二〇二〇年十月に、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと宣言をいたしました。仮に現在のまま二酸化炭素の排出を続けていけば、二十一世紀中に地球温暖化は一・五度及び二度を超えることが想定されており、豪雨や洪水、海面水位の上昇、生態系の喪失といった自然界における影響だけでなく、インフラの機能停止や食料不足、水不足など人間社会を含めた深刻な課題に直面することとなります。その多くの課題は、現代社会だけでなく、次の世代の方々に大きな負担を残し、その課題を解決していくためにはさらなる努力が必要となります。 一方、本県においても、令和二年第五回定例会における岩井先生からの質問に対し、古田知事から二〇五〇年までに温室効果ガスの排出の実質ゼロを目標とするとの答弁があり、その後、令和三年三月には岐阜県温暖化防止及び気候変動適応基本条例が制定され、また第六次岐阜県環境基本計画、岐阜県地球温暖化防止気候変動適応計画が策定され、それぞれの取組が本格的にスタートしたところであります。 温室効果ガスの排出削減目標については、二〇三〇年度において二〇一三年度比マイナス三三%が掲げられていますが、十一月二十九日に開催された「脱炭素社会ぎふ」推進協議会において、マイナス四八%、さらにマイナス五〇%の高みに向けて挑戦を続けていく方針が定められたと伺っております。その会議において示された資料によれば、温室効果ガスの排出の実質ゼロに向けた取組として、省エネ・エネルギー転換の推進、再生可能エネルギーの推進などが掲げられております。 今回の質問では、こうした温室効果ガスの排出削減に向けた取組の中から、再生可能エネルギーの推進に関し、今後の課題が想定される木質バイオマスを活用した発電に絞り、質問をさせていただきます。 第四期岐阜県森林づくり基本計画では、令和八年度における木質バイオマス発電の発電量を五万四百三十キロワット、県産未利用材使用計画量を二十五万立方メートルと示されています。木質バイオマス発電を含めた再生可能エネルギーの必要性は、共通の理解が得られると思います。国は、平成二十四年に固定価格買取制度、いわゆるFIT制度を導入し、木質バイオマス発電燃料などの再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束することで、再生可能エネルギーの普及を進めてきました。 先般、公益社団法人岐阜県森林公社の現地視察にて、株式会社バイオマスエナジー東海を視察させていただき、木質バイオマス発電の燃料の確保における今後の課題についてお伺いをいたしました。株式会社バイオマスエナジー東海では、間伐材等由来の木質バイオマス燃料だけでなく、建設資材廃棄物や幹、根株等も燃料として使用をしています。 FITによる調達価格は、燃料の区分によって異なり、間伐材等由来の木質バイオマスの場合は一キロワットアワー当たり四十円となる一方で、建設資材廃棄物を使用する場合は十三円と大きく減少します。また、幹や根株を使用する場合も、森林経営計画内や保安林内等の幹や根株等を使用する場合は一キロワットアワー当たり四十円ですが、同じ幹や根株を使用しても、森林経営計画外の場合であれば二十四円と大きく差が生じてしまいます。加えて、建設資材廃棄物や根株等をバイオマス発電燃料として使用する際には、プラントへの負荷が大きくなるとともに、発電後に土や砂等の一般廃棄物が残るため、処分料を支払い、処分しなければなりません。 なぜ、このように負担を背負いながらも調達価格の安価な燃料も使用していくのかを伺うと、そのような燃料を使用することこそが再生可能エネルギーの本来の目的であると考えているとの回答でした。分かりやすく言いますと、燃料として使用しにくく一般廃棄物等として処分するしかない木材を、負担を背負ってでも使用することこそが環境への負荷を改善していく再生可能エネルギーの本来の趣旨に当たっているという考えであります。 同時に、今後は令和八年度までに増設されていくバイオマス発電所の燃料需要に対応するため、そのような条件的に不利な燃料も使用しながら木質バイオマス発電燃料の安定的な確保を図っていく必要があるとのことです。このことは県産材の需要拡大、さらには県内林業の振興にもつながることと考えられます。そして、当然のことながら、木質バイオマス発電燃料の安定的な確保が実施できなければ、脱炭素等の各種目標も達成することはできず、ひいては地球温暖化の課題を解決することもできません。 そこで、安定的な木質バイオマス発電燃料を確保するとともに、本来の木質バイオマス及び再生可能エネルギーの趣旨に沿った使用燃料の活用へのさらなる支援が必要と考えます。 また、十一月二十九日に開催されました政府のGX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議では、現状のエネルギー危機克服と持続的なGX推進を両立していく上で、再生可能エネルギーや省エネなどの脱炭素エネルギーのフル活用が必要と岸田総理が表明されております。今後十年間において、官民が百五十兆円以上のGX投資が必要との見通しであり、うち二十兆円規模を新たな国債、GX経済移行債、仮称ではありますが、こちらの発行で調達し、来年度より先行して企業の投資支援に回すことを目指しております。年内にも示されるGX十年ロードマップでは、分野別の支援制度一体型の投資促進策を明確に示し、民間企業の投資意欲を最大限高めることを重視されることとされてもいます。 今後、木質バイオマス発電をはじめカーボンニュートラルや脱炭素に寄与する取組については、民間からの投資を活用していくことも必要と考えます。そのためには、ESG投資や融資の受皿として体制支援を行うことも必要と考えます。ESG投資とは、環境(Environment)や社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮した企業を重視して行う投資のことであります。ただ、民間の投資を醸成することが目的ではなく、脱炭素、カーボンニュートラルといった社会課題を解決していくために、誰かがやってくれる、国や県といった行政がやってくれると他人事ではなく、企業の皆様にも共に携わっていただき、社会課題を解決していく一環からも、ESG投資や融資の手法の将来的な導入を見据えた支援も必要と考えます。安定的な木質バイオマス発電の燃料確保と民間活力の醸成、その先にある県内林業の振興の観点から、一点目に林政部長にお尋ねをいたします。 木質バイオマス発電の普及により燃料の不足が想定される中、今後も安定的なバイオマス発電を運営していくため、未利用材のさらなる活用促進に対する支援とともに、民間活力の醸成のためESG投資や融資の普及が必要と考えますが、御所見をお尋ねいたします。 次に、木の駅プロジェクトへの支援についてお伺いをいたします。 本質問では、持続可能な森林環境を多くの県民の皆様の参画の下で実現し、同時に搬出される未利用木材の消費先として、今後不足が想定される木質バイオマス発電燃料へ活用する観点から、木の駅プロジェクトの支援について質問をさせていただきます。 御存じの方も多いと思いますが、木の駅プロジェクトとは、市町村と地域住民の協働による未利用材の搬出を支援する仕組みであります。森林所有者や地域住民が林地残材を収集し、木の駅と呼ばれる集積場所に出荷をします。木の駅の運営主体は、材積に応じて地域通貨を発行して費用を支払います。集積された材は買取業者へ売買され、チップやまきボイラー、まきストーブの燃料として利用されます。山林所有者や関係者は、地域通貨を地域内の登録商店等で利用することができるといった仕組みとなっております。 岐阜県では、森林内の未利用材を木質バイオマス発電の資源として利活用促進を図り、木質バイオマスによる環境に優しい低炭素循環型社会の構築を目指すため、県民協働による未利用材の搬出を促進しており、市町村が活動団体へ助成する額の二分の一を県が補助しています。 未利用材の搬出支援や効率的な利用システムの構築、県民協働での取組については、岐阜県地球温暖化防止気候変動適応計画や第四期岐阜県森林づくり基本計画等でも示されております。木の駅プロジェクトを通じてそれぞれの目標が具現化され、その先にある木質バイオマスの安定的な運用、さらにその先にある再生可能エネルギーのさらなる普及、脱炭素社会の実現につながっていきます。 岐阜県における木の駅プロジェクトは、平成二十四年から清流の国ぎふ森林環境基金事業を活用し開始され、現在では二十三団体が活動をしております。四千四百十一トンの切捨て間伐材の林地残材を森林から搬出して利活用を行っています。 例えば、岐阜県内で実施されている間伐は六千七百二十一ヘクタールありますが、約三九%に当たる二千五百九十四ヘクタールにおいて、間伐した木材が切捨て間伐として山林内に残されていることから、木の駅プロジェクトのさらなる普及は木質バイオマス発電の燃料確保に、若干ではありますが、寄与することとなります。木質バイオマス発電燃料の確保の観点から、限られた量しか確保はできませんが、木の駅プロジェクトの大きな意義は県民の皆様との協働にあります。 そこで、林政部長にお尋ねをいたします。 木質バイオマス発電燃料の確保に寄与するとともに県民の皆様の再生可能エネルギーへの意識の醸成と主体的参画を促す目的から、市町村と地域住民等が一体となり、県民協働での未利用材の搬出促進を実施する木の駅プロジェクトのさらなる普及や支援について御所見をお尋ねいたします。 今回の質問は、木質バイオマスの燃料確保の観点から二点の質問をさせていただきました。脱炭素社会ぎふの実現の一翼を担う再生可能エネルギーの増量、その中の一つであります木質バイオマス発電、そしてその中でもさらにその燃料の確保といったごく限られた取組ではありますが、行政はもちろん、企業や県民の皆様と協働で社会課題を解決していく一歩としていただきたく、今回の質問をさせていただきました。県民の皆様や企業の皆さんが、自発的かつ積極的に参画していただけるような前向きな御答弁をお願いして、次の質問に入らせていただきます。 次に、県立山県高校の活性化についてお尋ねをさせていただきます。 この質問は、五回にわたりこれまで行ってまいりました。その都度、学校現場や、また学校運営協議会の方々が検討してまいりました活性化策の取組に御理解をいただき、御支援をいただいておりますことをまずもって心から感謝を申し上げます。 今回の質問では、単位制普通科への移行により新たに設置されました福祉類型における活性化の取組についてお伺いをいたします。 平成二十八年三月に、岐阜県立高等学校の活性化に関する検討まとめが発表されました。多くの県立学校で、その地域が期待する県立学校の在り方や期待すべき将来像に向けて、地域と連携しながら活性化の取組が進められてきました。第三次教育ビジョンでは、基本方針「ぎふへの愛着をもち、世界に視野を広げ活躍する人材の育成」があります。その中には、「未来を創り出す人材を育成する学校づくりと地域との連携推進」を目標として掲げられています。この目標の下、生徒数の動向や地域との結びつきの状況を踏まえ、県立学校については地域社会と結びつける学習支援策を検討、実施することで、学校の活力向上を図るとしています。 地域とのつながりについては、地元山県市や山県市商工会、そして地元企業や地域住民の皆様の御協力やお力添えをいただきながら、工業類型においては、全国シェア四割を占める水栓バルブ関連の地元企業での企業実習を行うデュアルシステムが平成三十年度より本格的に展開をされました。また、校内には工業系の教育機材がなく、専門的な実習ができないことから、国際たくみアカデミーや東海職業能力開発大学等の国や県の施設を活用した授業も開始しました。単位制普通科ではありながら工業系の学びができるのは、地域とのつながりや地域企業の皆様の御協力と御支援のおかげであります。現在では、水栓バルブの関連企業以外にも多くの企業からデュアルシステムの受入れの希望があり、地域とのつながりがより深まりつつあるところでもあります。 また、今年度からはデジタル技術、データを使いながら社会を創造するSociety五・〇の実現に向けて、ICT教育の重要性がますます高まる中で、IAMAS等の専門的な外部機関との連携により、県立学校に通いながら最先端の施設で、情報分野での最先端の教育を受けることができる環境も整いつつあり、確かな学びが形になりつつあります。また、山県市からの支援により、平成二十九年度及び平成三十年度に整備した3Dプリンターや、県内の他校に先駆けて整備をしたタブレット端末により、情報分野や工業類型での学びの充実に大きく寄与をしています。 このように、地域との連携の推進や、国や県の施設の利活用とともに基礎自治体からの支援により、学校内での施設や教育機材の整備を行うことなく、単位制普通科ではありながら幅広い分野の学びが受けられるとともに、それぞれの活性化の取組が進みつつあります。 そして、当時、3Dプリンターやタブレット端末などと同時に、福祉類型で使用する福祉関連機材として介護実習用ベッドと白内障体験ゴーグルの整備もしていただきました。この当時の整備により、単位制普通科での福祉類型ではありながら、学校内での学びは大変充実した内容となり、令和三年度の福祉類型の卒業生の約三割が福祉関係の法人等に就職をしています。 現在、福祉類型においても、社会福祉協議会等の地域と連携したインターンシップ等を行っています。インターンシップやデュアルシステムに参加した生徒からは、何をなぜ学ぶのかといった自分自身の考えを深める経験となり、実習を通じて就労への意識が高まったとの成果が上げられていることから、今後、より現場での学びの機会を充実させ、実践的な学びの機会を創出するために、これまでの社会福祉協議会に加え、幅広く社会福祉法人等での企業実習の充実を図るべきと考えます。 例えば、単位制普通科の福祉類型で六日間の実習を設定すると、最大で三十六時間程度行うことができ、単位に換算すれば、一単位程度の学びの機会を創出することも可能となります。実社会での厳しさも学びつつ、学校内だけでは学ぶことができない学びの機会が今後の福祉類型の活性化には必要と考えます。さらに、福祉類型の卒業生が就職した法人等での実習を行うことができれば、実践的な実習で学ぶことができるとともに、在学中にどのような学びが必要か、卒業生から直接伺うことも可能となります。 また、実習先の学習内容の質を一定の基準に保つ観点や、福祉類型を希望して進学する生徒が実際に実習を行う学年に進級したときにも、確実にその実習先が選択できる体制を整える観点からも、社会福祉協議会や社会福祉法人等と包括連携協定などを締結してはいかがでしょうか。入学予定者やその保護者から、福祉類型ではどのようなことが学べるのか分かりにくいとの御意見もありましたが、包括連携協定を結ぶことにより、学校内での学びのほかに、実習を通じてどのような法人でどのような学びができるのかが確定することから、入学説明会等の際にも明確な三年間の学びと将来像を御案内することが可能となります。 令和四年十月現在、岐阜県内の福祉分野における有効求人倍率は四・四二倍です。今後も福祉分野における人手不足が続くことから、将来福祉の分野で活躍を希望する生徒の皆さんに、より実践的で充実した学びの機会を創出する観点から、教育長にお尋ねをいたします。 山県高校福祉類型の活性化に向け、社会福祉法人等との連携した実践的な学びを進めていく必要があると考えますが、今後の取組について御所見をお尋ねいたします。 限られた財源の中で、各学校の教育機材等を整備することには限界があると考えております。だからこそ、国や県の外部機関との連携や、地域企業や社会福祉法人等との連携を深めていき、充実した学びの機会、そして個別最適な学びの機会を創出していく必要があると考えます。多様な進路先のある普通科高校でも、今から頑張れば希望する未来が自らの努力で実現できると実感していただき、生徒の皆さんがあしたからこれまで以上に頑張ろうと思っていただける、希望が持てる御答弁をお願いして、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 林政部長 高井峰好君。    〔林政部長 高井峰好君登壇〕 ◎林政部長(高井峰好君) 木質バイオマス発電燃料の安定確保における未利用材のさらなる活用促進について、二点御質問をいただきました。 まず、木質バイオマス発電燃料の安定確保についてお答えします。 昨年度には、県内の木質バイオマス発電施設などで十九万三千立方メートルの木材が利用されておりますが、今後三年間で四つの木質バイオマス発電所が稼働予定であり、新たに十二万三千立方メートルの需要が見込まれています。一方で、間伐などにより百八万立方メートルの木材が伐採され、このうち五十万立方メートルは、道から遠いなどの理由により搬出されていないものと推計されます。このため、引き続き森林経営計画の作成と路網整備を進め、搬出間伐を促進してまいります。 また、施業地がまとまらず、森林経営計画が作成できない事業地では、FIT制度による買取り価格が下がるため、その支援の在り方について検討してまいります。 なお、森林へのESG投資については、日本では植栽から伐採までに長期を要すること、急峻な地形が多く採算が合わない森林が多いことなどから、現在、国において森林等への投資の在り方に関する検討が進められており、その動向を注視してまいります。 次に、木の駅プロジェクトへの支援についてお答えします。 木の駅プロジェクトは、資源の有効活用、地域住民の環境保全への意識醸成に加え、生きがいづくりや収入機会の増大など地域の活性化にも役立つものと考えております。このため、平成二十四年度から清流の国ぎふ森林・環境税を活用し、未利用材の搬出経費とともに、地域での活用促進に向けたまきストーブ等の導入を支援してまいりました。 この結果、未利用材の搬出量は、平成二十四年度の五団体、六百五十二立方メートルから、令和三年度には二十三団体で五千六百十九立方メートルへと大幅に増加しましたが、今後も引き続き新たな団体の育成と参画者の拡大が必要と考えております。このため、取組を推進するマニュアルの作成や普及に向けた研修会を開催するとともに、地域内でのさらなる活用に向け、受入れ事業者と団体との燃料調達に係るマッチングを行うなど、未利用材の活用を促進してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 県立山県高校福祉類型の活性化についてお答えします。 山県高校では、令和元年度入学生より単位制とし、二・三年生時には、生徒の興味・関心や進路希望に応じて、福祉や工業など四つの類型から学習内容を選択できるようにしております。 このうち、福祉類型では、福祉と保育について幅広く学習できる教育課程とし、例えば地元の社会福祉協議会が主催する介護予防事業や子供ボランティア活動への参加など、地域と連携して高齢者や子供との交流を通した実践的な学びも進めております。 また、山県高校の生徒の多くは、卒業後、地元の企業等への就職を希望しており、地域社会の即戦力となるよう学びの充実を目指し、今後、福祉類型を含む二・三年生の全員が参加する地元企業・法人との連携による実践的な職場実習を新たに実施する予定です。福祉類型においても、この実習で、地元の企業や社会福祉法人と福祉や保育などの現場で実践的な学びの充実を図ることで地域の魅力を知り、地域社会で活躍する人材の育成に努めてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 二番 森 治久君。    〔二番 森 治久君登壇〕(拍手) ◆二番(森治久君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、三項目について質問をさせていただきます。 まず初めに、県民の方から御相談がありました子ども相談センター職員の負担軽減についてお伺いいたします。 二〇二一年度、厚生労働省によると、全国の児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は二十万七千六百五十九件で、前年度より二千件以上増え、過去最多を更新しました。厚生労働省は、子供の面前での夫婦間のドメスティックバイオレンス(DV)も児童虐待と捉えるようになったことや、虐待への認識が高まり通報が増えたことが背景にあり、二〇〇四年の児童虐待防止法改正で、子供の面前での夫婦間DVが心理的虐待に当たると定義され、どなり声を聞いた近隣住民が警察に通報するなどして明らかになったDVが児童虐待としてカウントされ、児童相談所にも通告が行くということです。 虐待の相談件数の急増は、父から母への暴力、その逆もしかりですが、夫婦げんかも児童虐待になったことが大きいようです。また、この十年ほどで相談の内容も大きく変わったようで、二〇二一年度の虐待の相談件数の六割は、主に言葉による脅しや罵声を浴びせたり、無視したりする心理的虐待が占めており、殴る・蹴るといった身体的虐待の二三・七%をはるかにしのいでいます。ちなみに、十年前の二〇一〇年度は心理的虐待が二六・七%、身体的虐待が三八・二%で、直接的な暴力による虐待が多かったそうです。 二〇二一年に警察が通告した児童虐待の七四%は心理的虐待で、八万三百四件に上り、このうちDVは四万五千九百七十二件と六割に近く、十年近くで八倍以上に増え、厚生労働省も心理的虐待の相談件数の多くは面前DVだと認めています。 数字を見ると、深刻な児童虐待が劇的に増えているように見えますが、専門家からは、あくまで相談件数が増えているということで、本当に深刻なケースが増えているかどうかは不明だとの声もあり、警察庁の統計では、二〇二一年に虐待で死亡した児童は五十四人と前年より七人少なく、十五年前の半分以下だということです。警察の規則で、児童虐待が疑われるケースは、原則全て児童相談所に通告するようになっており、夫婦げんかは夜に多いことなどもあり、児童相談所の夜間業務は多忙となっているのではないかと考えられます。 児童相談所は、虐待の確認や判断、立入調査、子供の一時保護といった専門的な役割を担うため、現状では虐待案件として緊急性の乏しい夫婦げんかについても全て対応しなければならず、虐待対応の継続案件がほとんどない面前DVに人手を割かなくてはならない状況です。しかし、面前DV案件に深刻な虐待が潜んでいないとは限らないため、今後はさらに児童相談所、警察、市町村の連携強化と役割分担を進めることにより、深刻な事案については児童相談所が集中的に対応するといったような効率的な対処ができるのではないかと思います。 そして、今強く懸念されるのは、長期化している新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、収入減や失業などへの不安・ストレスが弱い人に向かってしまい、児童虐待やDVが増えかねない状況にあり、中核をなす児童相談所の体制強化は急務であります。 国は、虐待に対処する児童相談所の相談体制を強化するため、計画的に児童福祉司を増員しており、二〇二二年度中に五千七百八十三人になる見通しですが、せっかく採用した職員も離職してしまっては増員の努力も水の泡です。 二〇二〇年四月時点で、児童福祉司のうち勤務年数が一年未満の人が二三%、一年から三年未満が二八%を占め、三年未満の職員が五割を超えており、難しいケースにしっかりと対応できるよう、研修や指導体制を充実させることが必要です。 また、二〇二一年二月時点で児童相談所を持つ都道府県と政令市、中核市、特別区の七十三自治体を対象に、二〇一八年から二〇二〇年度に精神疾患を理由に休職した児童福祉司の状況を尋ねたところ、個人の特定につながる、公表していないとして答えなかった東京都や兵庫県など十九自治体を除く五十四自治体から回答があり、全国の児童相談所で虐待などの対応に当たる児童福祉司のうち、鬱病など精神疾患を理由に休職した職員が二〇一八年から二〇二〇年度、少なくとも延べ二百五人に上ることが読売新聞の調査で分かったそうです。 調査によると、全児童福祉司に対する休職者の割合(休職率)は各年度二・三%から二・九%で、民間事業者の平均〇・四%の五倍から七倍に上り、虐待が急増する中、業務負担の重さが影響しているのではないかと見られています。五十四自治体のうち、三年間に休職者が「いる」と回答した自治体は、半数超の三十八自治体で延べ二百五人、年度別では二〇一八年度が二十五自治体で五十三人、二〇一九年度が二十七自治体で七十四人、二〇二〇年度二月調査時点が二十八自治体で七十八人で、年々増加しています。 また、回答した自治体の休職率は、二〇一八年度二・三%、二〇一九年度二・九%、二〇二〇年度二・六%で、厚生労働省の労働安全衛生調査(二〇一八年)によると、全産業で精神疾患を理由に一か月以上休職した従業員の割合は〇・四%で、その五倍から七倍に当たり、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会の調査(二〇一九年度)による地方公務員の平均休職率一・六%も上回っていました。 また、自治体別の三年間の休職者数(延べ人数)は、千葉県が三十人で最多、次いで大阪府が二十八人、埼玉県と大阪市が十二人で、休職期間は七割が半年未満でしたが、一年以上が一割を占め、二年以上が三人いたそうです。休職などを経て退職したのは二十九人で、虐待対応件数が多い関東や関西の自治体に集中していたとのことです。 今年の七月二十二日には、児童相談所での長時間労働で鬱病が再発し退職を余儀なくされたとして、元児童相談所職員が千葉県を相手取り、未払賃金や慰謝料など約一千二百万円を求める訴訟を千葉地裁に起こしたとの報道もあるなど、苛酷な労働環境は、正義感や子供を助けたいという気持ちを持ち、真摯に仕事に向き合う児童相談所の職員の精神を傷つけ、結果として子供たちを守る最後のとりでの児童相談所の仕事自体の価値を下げてしまう可能性があり、そのしわ寄せを受けるのは子供たちではないでしょうか。 令和元年六月議会において、長屋議員の相談対応や一時保護などに対応する子ども相談センターの職員のストレスケアをどのように行っていくのかとの質問を受け、子ども・女性局長は、全職員がストレスチェックを行い、自らのメンタル状態を把握できる仕組みも整えておりますとの答弁をされておられます。 御答弁をいただいてから約三年半になりますが、それ以降、国により児童福祉司の増員計画をはじめとする児童相談所の体制強化などの対策が打ち出されております。さらには、新型コロナウイルス感染症の拡大により、子供たちを取り巻く環境は大きく一変し、二〇二一年度に県内の子ども相談センターが対応した児童虐待の相談件数は二千三百九十件、前年比百二十二件増で過去最多となり、四十二市町村の相談窓口で対応した件数も一千四百八十七件、前年比九十三件増と同じく過去最多となる中、県内の子ども相談センターでは、職員の皆さんが心身ともに疲弊し、精神的ストレスを抱え、医療機関へ受診されるなど、その労働環境は悪化しているのではないかと心配されます。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねいたします。 全国的にも離職率が高く、慢性的な人手不足が解消されていないと言われておりますが、子供たちを守る最後のとりでである子ども相談センター職員の負担軽減についての御所見をお尋ねいたします。 次に、園児置き去り死事案を受けた保育所などにおける安全性の確保についてお伺いいたします。 今年の九月五日、静岡県の認定こども園に通う女児が、降車時の車内確認が不十分だったことにより通園バスに取り残されて死亡した事件で、子供が通う施設の安全性が確保できていない実態が改めて浮き彫りになりました。バスに園児が置き去りにされる事件は、約一年半前にも起きたばかりです。送迎は保護者との私的契約との位置づけで、国の統一的な基準がなく、幾重にも対策を講じる必要性があったと考えます。 昨年七月、福岡県の保育園で五歳の男児が熱中症で死亡し、当時の園長らが在宅起訴された事件を受けて、厚生労働省及び文部科学省、内閣府は、連名で同年八月二十五日通達「保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部における安全管理の徹底について」を出していました。福岡県の事件後、国が自治体に対して通知した事項は以下のとおりです。 出欠状況の保護者への確認と職員間の情報共有。登園時や園外活動前後のダブルチェックでの人数確認。送迎バスへの運転手以外の職員の同乗と乗降時の人数確認。危機管理マニュアルなどの見直しなどの四項目です。 ところが、静岡県の事件の記者会見では、園が過去にも乗せ忘れ、誤乗車などのヒューマンエラー、いわゆる災害の原因となる人的ミスを繰り返していたことが判明いたしました。 報道によると、これに対して静岡県は昨年十一月の監査で、年度途中での通知だったため新たなチェックを導入しておらず、通知部分について口頭での注意喚起を行っただけで実施状況を調べていなかったことや、静岡県の園関係者により、職員不足で一年以上前から園長が一人でバスを運行していたことなども判明しました。 静岡県の事件後に行った国の緊急点検の結果、送迎バスは全国の認定こども園、幼稚園、保育所、特別支援学校の幼稚園など一万七百八十七施設で二万二千八百四十二台使われており、このうち特別支援学校の幼稚園を除く一割が、登園の際、バスの乗降時に園児の人数や名前を確認していなかったことや、バス通園時の園児の見落とし防止につながる研修の実施も五割前後にとどまり、適切な取組を行っていない園が一定数ある実態が判明し、通知だけで再発防止策を徹底することの難しさが浮き彫りになったことなどを受け、国は今年の十月十二日、来年四月から子供をバスから降ろす際の点呼での確認や、バスへの安全装置の設置を義務づける緊急対策を取りまとめました。 緊急対策の検討では、いかに人為的ミスを防ぐかが焦点となり、ミスが起きることを想定し、安全装置の設置のほか、送迎バス運行の安全マニュアルを初めて作成し、送迎時に使えるチェックシートを添付したほか、事故につながりかねないヒヤリ・ハットの事例を共有し、未然に防ぐ取組を進めることも確認し、多重的に安全を確保することを目指すとしています。義務化の対象は、幼稚園や保育所、認定こども園と特別支援学校などで、安全装置の設置は一年間の経過措置を設けるとし、違反した場合は業務停止命令などの対象となり、命令違反には罰則も設けられるようです。点呼の義務化は、小・中学校の送迎バスも対象とし、安全装置に対しては、早期導入を促すため費用の一部を公費で負担するとしています。 今回の対策は、通知にとどめた昨年の対応から、より踏み込んだ内容となっていますが、あくまでも緊急措置との位置づけで、人手不足にあえぐ保育現場でいかに安全を確保するのか、抜本的な対策には踏み込めていないとの意見もあるようです。 少子化が進む中、利用者を確保しようと保護者ニーズが高い送迎バスに力を入れる園は少なくないようで、添乗する職員を増やせればよいのですが、予算や人手の問題で難しいのが現状ではないでしょうか。 また、保育所や幼稚園など子供の施設で起きている事故は、置き去りだけではありません。 内閣府が今年の七月に発表した資料によると、二〇二一年には、子供の施設(保育所、幼稚園、認定こども園など)で起きた重大事故(死亡、意識不明、治療期間が三十日以上の負傷など)は、一千八百七十二件、うち死亡が五件で、前年より二百八十六件増えており、二〇一六年の五百八十七件から三倍以上に増えています。 新しい保育施設や経験の少ない職員の増加などが背景にあると言われ、国は二〇一六年以降、事故を防ぐためのガイドラインを作成するなど自治体に注意喚起をしていますが、自治体ごとの取組には濃淡があるようです。バス置き去りだけでなく、昼寝中の窒息や誤飲、散歩中の置き去りなど多岐にわたる事故について施設側の安全対策の強化は欠かせません。園自身の安全管理が問われるのは当然ですが、監視機能や情報公開の不足といった構造的な問題もあるのではないでしょうか。 英国やニュージーランドでは、国の教育評価機関が全ての園を定期的に調査し、詳細な結果をインターネットで公開しています。日本でも施設の巡回を強化している自治体はあり、大阪市は二〇一八年から、食事や昼寝、水遊びなどの時間帯に事前連絡なしで職員が施設を訪問しており、市内に約千二百か所ある保育所や認定こども園など、全てに年一回は訪れているそうです。通知や規制も、実際にそれが実行されなければ意味がありません。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねいたします。 園児置き去り死事案などの未然防止をはじめ、子供が通う施設における安全性の確保に向けた指導など、県として保育所や認定こども園に対してどのような対応を取っておられるのか、また今後取っていかれるのかをお尋ねいたします。 最後に、高齢者が集う機会を活用したニセ電話詐欺の被害防止対策についてお伺いいたします。 岐阜県警では、特殊詐欺という手口の名称について、岐阜県民の皆さんがより分かりやすく、受け止めやすいよう「ニセ電話詐欺」という名称を用いています。 県内におけるニセ電話詐欺の被害金額は、二〇一二年から昨年までの十年間で総額が約六十三億円にも上っています。また、今年十月末時点では、過去五年間で最悪となる約三億七千二百六十九万円に上っており、前年同期比で一億円以上も増え、既に昨年一年間の被害金額を大きく上回るなど、ニセ電話詐欺の被害は岐阜県内でも後を絶たない状況が続いています。 さらに、ニセ電話詐欺被害の認知件数は、今年十月末時点で百八十五件と、前年同期比で二件減った一方で、県警によると、一人の被害者が高額の被害に遭うケースが目立ち、可児市では高齢の女性が約四千万円を、大垣市でも同じく高齢の女性が約一千七百万円をだまし取られた事例もあったそうです。 特にニセ電話詐欺の一つの種別とされる架空料金請求詐欺の被害が増えており、昨年一年間で発生したニセ電話詐欺全体の認知件数二百十八件のうち七十件と最多で、今年十月末時点では全体の認知件数百八十五件のうち八十五件で、前年同期比二十八件増と突出しております。また、その被害金額は約一億七千九百二十六万円に上り、前年同期比で一億円以上増加、昨年の被害金額の二倍以上にも上るとともに、ニセ電話詐欺全体の被害総額の半分近くを占めています。この架空料金請求詐欺は若い世代の被害も多く、被害者のほぼ半数は高齢者以外の方が占めているそうです。 他方、犯人から自宅の固定電話にかかってきた電話を受けたことを発端として被害につながっているのが、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、還付金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗などであり、この四つの種別による被害は六十五歳以上の高齢者が全体の約九割を占めています。ニセ電話詐欺は、だましの文句や現金などの交付方法など、年々そのやり口が巧妙になっており、新たな形態のものが突如として現れたり、一旦被害が収まった種別の詐欺が再び増加するなど変遷を繰り返しています。 加えて、犯人は高齢者をターゲットとして息子や孫などの近親者の情愛に付け込み、あるいは自治体の職員や医師、警察官などを装うなど、社会の信頼を逆手に取り、巧みな話術を用いて犯行を繰り広げており、今後ますます高齢者人口の割合が増えていく中、ニセ電話詐欺の被害防止を徹底することは重要な課題と言えます。 このような現状の中、県警ではこれまでもニセ電話詐欺の被害防止対策として街頭啓発活動やイベント、各種会合における防犯講話に加え、ユーチューブの県警公式チャンネルで詐欺犯からの電話の音声データを公開しているほか、防犯機能付電話機の設置を呼びかけるなどの実施をいただいております。とりわけ高齢者への対策として、「ニセ電話詐欺防犯指導済。キャッシュカードは渡しません。」と記載されたステッカーを活用した戸別の防犯指導や、市民劇団による寸劇を取り入れた実演型の防犯講話など、創意工夫を凝らした活動が行われています。 それでも、今年六月三日、警察庁の特別防犯対策監を務める俳優の杉 良太郎さんが来県し、JR岐阜駅北口前で、高齢者を狙ったニセ電話詐欺への注意を呼びかけられた力強い言葉「被害ゼロ」の達成のためには、より踏み込んだ注意喚起を徹底していくための取組が必要かと考えます。 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。 ニセ電話詐欺による被害は、依然として高齢者を中心に深刻な情勢が続いており、社会の不安感は一層増大しています。とりわけ高齢者の被害を防止するためには、喫茶店などの高齢者が集う機会を活用した広報啓発活動などが効果的であると考えますが、警察における被害防止対策についてのお考えをお尋ねいたします。 執行部の皆様には、前向きな答弁をいただきますようよろしくお願い申し上げ、以上で全ての一般質問を終わらせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 子ども・女性局長 村田嘉子君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 村田嘉子君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(村田嘉子君) 二点御質問をいただきました。 まず、子ども相談センター職員の負担軽減についてお答えいたします。 子ども相談センターでは、虐待など複雑な家庭事情に専門的かつ丁寧な対応が求められる中、近年の相談件数の増加に伴い、職員の負担が増加していると認識しております。 本県では、児童福祉司や児童心理司を令和元年度から計画的に増員してきたほか、出張先で過去の相談記録を確認できるよう業務支援システムをモバイル化するなど、業務の効率化も図ってきました。また、法的手続の代行などを弁護士に委託したほか、県内全市町村の児童福祉業務運営に対する支援業務を中央子ども相談センターに一元化するなど、業務量縮減も進めてまいりました。さらに、経験の浅い職員に対してはスーパーバイザーによる丁寧な指導・助言を行うとともに、対応困難な事案の面談や訪問に際しては必ず二人以上で対応するように配慮しております。 今後も、子供の安全を最優先にしながら、子ども・女性局幹部がセンター職員の声を直接聞くことなどを通じて業務改善を図り、職員の負担軽減に努めてまいります。 次に、園児置き去り死事案を受けた保育所等における安全性の確保についてお答えいたします。 今回のバス置き去り事案を受け、送迎バスを運行する全ての保育所や認定こども園に対して実地調査を行い、安全な運行管理体制を確認するとともに、国が作成した「こどものバス送迎・安全徹底マニュアル」を遵守するよう徹底しているところです。あわせて、安全装置についても、来年六月末までに設置するよう呼びかけております。 また、保育所等には送迎バス以外にも様々なリスクが潜んでいることから、県では毎年度、全ての保育所等に対して実地監査を行い、遊具の点検状況、危険箇所の有無、午睡時の見守り体制等が適切な保育や事故防止に配慮されているかなどの観点から点検しています。さらに、基準を満たしていない場合は、指導した上、必要な改善がなされているかを確認し、安全性の確保に努めております。 加えて、児童が安全に過ごせるよう、障がい児を受け入れる際に必要に応じて保育士を配置する場合や、散歩中の見守りなど保育士の補助者を配置する場合の経費を補助しているところです。 ○副議長(加藤大博君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 高齢者が集う機会を活用したニセ電話詐欺の被害防止対策についてお答えいたします。 高齢者がニセ電話詐欺の被害を防ぐために最も有効な手だては、犯人側と接触しないことです。犯人側は電話で接触を図りますので、その電話を取らなければ被害は防げます。そうはいっても、かかってきた電話を取らないことは難しいので、自分で対応する代わりに防犯機能付電話機に任せることが賢明です。このため、県警察では防犯機能付電話機の設置を広く呼びかけております。 次に、犯人側と通話してしまった場合、それがニセ電話詐欺であると自分で見抜かなければなりません。犯人側は時々の社会情勢も踏まえて、あの手この手でだまそうとしますので、だまされないためには犯人側の手口を一つ知るだけでは足りず、その知識をアップデートする必要があります。このため県警察では、犯人側が使う各種手口を県警ホームページ等で発信するとともに、新たな手口や被害の多い手口については、高齢者が集まるイベント等を利用し、あるいは高齢者宅を戸別に訪問し、実演を交えて紹介するなどしております。 高齢者がお互いにニセ電話詐欺の手口について話し合い、注意し合うことは、だまされないための意識喚起として大変有効であると考えられますので、議員御指摘の喫茶店も含め、高齢者が集う場を持つ各方面の御協力を仰ぎつつ、引き続きニセ電話詐欺の被害防止に努めてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 三番 山内房壽君。    〔三番 山内房壽君登壇〕(拍手) ◆三番(山内房壽君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問させていただきます。 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、第八波への対応に懸念がなされております。 岐阜県は、十一月二十九日に第五十一回新型コロナウイルス感染症対策協議会を開催され、一週間平均の新規陽性者数が二千人を超え、全国平均を上回る勢いで増加していることから、岐阜県医療ひっ迫警戒宣言を発出し、様々な対策を強化され、感染防止に努められています。新型コロナウイルス感染症にかかられた方、そして感染症により亡くなられた方々にお見舞いとお悔やみを申し上げます。また、新型コロナウイルス感染症対策に当たられている関係者の皆様に感謝を申し上げますとともに、一日も早い終息を願っております。 さて、今回の質問は大きく三項目についてお伺いします。 まず、第一項目めとして、ぎふ清流おもいやり駐車場利用証制度の周知について質問します。 近年、公共施設や商業施設などの民間施設の駐車場においては、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、通称バリアフリー法により整備の促進が図られたため、車椅子のマークがついた車椅子使用者用駐車区画を見かけることが大変多くなっております。私は五年前に足首の手術をし、一年間ほど車椅子と松葉づえの生活をしていた経験があります。また、私の母が今年の一月、病気により歩けなくなり、外出の際には車椅子での生活となりました。母を乗せて出かけた際には、車椅子使用者用駐車区画を利用させていただいており、大変感謝をしております。やはり施設の入り口までが近く、乗り降りの際、車椅子の展開や車椅子を畳むスペースなども確保されているため、身をもってそのありがたさを実感しております。しかし、車椅子使用者用駐車区画に障がいのない方など利用対象とならない方が車を止めていたため、必要としている方がとても不便な思いをしたということも聞くこともあり、そういった話を耳にすると、ありがたさを実感した身からするととても残念な思いになります。 このように、車椅子使用者用駐車区画に障がいのない人などが駐車するなどして、障がいのある人が駐車できないという問題に対応するため、多くの地方公共団体で導入されているのがパーキング・パーミット制度です。パーキング・パーミット制度とは、平成十八年に佐賀県で導入されて以降、各地域に広がっていきましたが、公共施設や商業施設をはじめとする様々な施設に設置されている車椅子使用者用駐車区画や障がい者等用駐車区画の利用対象者を障がい者、介護が必要な高齢者、妊産婦、けが人など歩行が困難と認められる人など範囲を限定し、対象者には利用証を交付することで適正利用を図る制度です。障がいのある人の中には、内部障がいなどにより歩行が困難なものの、外見からは分かりにくい障がいのある人も見えますが、パーキング・パーミット制度は、このような人たちが利用対象者であることを明確にするためにも役立っています。 また、パーキング・パーミット制度に協力する施設であれば、施設ごとに利用証を取得することなく障がい者等用駐車区画を利用することができ、また制度を導入している多くの地方公共団体間で相互利用協定が締結されているため、自分の居住地域で発行される利用証を持っているだけで、旅行先でも障がい者等用駐車区画を利用することができるなど、制度の利用者にとっては利便性の高いものとなっています。 岐阜県でも、このパーキング・パーミット制度を実施しており、ぎふ清流おもいやり駐車場利用証制度という名称で令和元年十一月から制度がスタートしております。本県の制度では、障がい者、要介護高齢者、難病患者、妊産婦、けが人などの方々が利用証の交付対象者となっておりますが、利用証を持っていなくても、これから利用証を取得する方や一時的なけがの方など、必要な場合には対象駐車区画を利用できるとのことです。 また、利用証は県庁担当課をはじめ、岐阜地域福祉事務所または県事務所福祉課で申請することができます。さらに、この制度に賛同いただき、駐車区画を設置していただける協力施設も非常に多く、令和四年十一月八日現在で、車椅子使用者用駐車区画は二千六百区画、本県ではプラスワン区画と呼んでいる障がい者等用駐車区画は千五百七区画も登録をいただいております。また、同様の制度を導入している全国四十一府県一市の自治体間で相互利用も可能とのことです。 このように、ぎふ清流おもいやり利用証制度は大変よい制度であり、今後も利用証の交付や協力施設が増えていくことを期待しておりますが、この制度の前提としては、利用対象者だけでなく、対象とならない人々にもこの制度について理解していただくことが何よりも重要です。県民全体に制度の周知を図ることで、これらの駐車区画の正しい利用が成り立っていくものと考えます。 最後に、施設を利用する者の立場から気がついたことですが、障がい者の方と運転手の方の二人だけの場合、車椅子を両手で押しますので、雨の日の場合は誰も傘を差すことができません。雨にぬれることを覚悟で乗り降りをすることになります。高速道路のサービスエリアの障がい者等用駐車スペースには、おおむね屋根つきのスペースがあります。県内施設での屋根のついた障がい者等用駐車スペースは少ないように思いますが、今後は設置について推進されることを願っております。 そこで、健康福祉部長にお伺いします。 ぎふ清流おもいやり駐車場利用証の制度について、制度の周知に努めていく必要があると思いますが、同制度の今後の県民への周知の取組についてどのように対応していかれるのでしょうか。この制度は、県民の皆さんの思いやりがあってこそ成り立つ制度であります。制度の周知を通じて、県民の皆さんに思いやりの気持ちが広がることを願っております。 次に、二項目めの建設業の担い手の確保・育成について伺います。 本年七月に、地元建設業界の方々と面談する機会がありました。建設業界の緊急な課題は人材不足であり、工期が遅れる要因の一つに挙げられるなど、建設労働者不足が進み、まさに深刻な状況にあるとのお話でした。建設業の人材不足の問題については、過去にも多くの議員が質問されておりますが、今回は改めて県全体の取組について質問をさせていただきます。 さて、建設業については、一般的に道路や橋梁、ダムなどの社会資本の整備や維持を担っている産業であるという印象をお持ちの方がほとんどかと思います。しかし、それ以外にも風水害や地震などの災害発生時の応急復旧の対応や除排雪、そして、近年では鳥インフルエンザや豚熱などの家畜伝染病が発生した際の防疫措置への対応など、地域の安全・安心を確保するという重要な役割も担っています。 特に令和二年七月豪雨災害では、飛騨川を中心とする河川の氾濫のほか、国道四十一号の崩落や線路への土砂流出、また令和三年八月の飛騨南部や東濃を中心に記録的な大雨となり、国道四十一号や国道十九号の崩落など多くの災害が発生し、早期の災害復旧に当たっていただいたことは記憶に新しいところです。さらには、建設業は地域のと経済を支えるという役割も担っており、このように私たちの生活を支える重要な産業であると言えます。 しかし、御存じのとおり、建設業はここ十数年間、慢性的な人材不足の状況にあります。国勢調査のデータから岐阜県内の建設業の就業者数の推移を見てみますと、ピーク時の平成十二年の就業者数は十一万五千九百五十七人であったのが、令和二年では七万六千百八十四人と、人数は三万九千七百七十三人の減少、約三四%も減少しており、特に二十九歳以下の若年層の就業者数について見ると一万六千九百二十八人の減少、約六八%も減少しております。 また、県内の有効求人倍率を見ても、令和四年十月分の県内全体の有効求人倍率は一・六八倍となっていますが、建設などの職業の倍率を見ると七・四九倍と突出しております。しかも、コロナ禍になり、全体の有効求人倍率が下がっていた中でも、建設などの職業の倍率は七倍から八倍と高い倍率で推移しており、建設業界は慢性的な人材不足の状態であると言えます。 このような状態が続けば、建設業の従事者の高齢化が進み、特に現場では深刻な人材不足となるほか、建設技術の継承にも支障が出てしまいます。ひいては、地域の発展や安全・安心にも影響を与えることとなるため、早急な対策が求められます。建設業界では、労働時間の削減や休日の増加などの労働環境改善を図るため、業務の効率化による生産性向上やICT建設機械による施工など、様々な対策を取られています。 また、国においては、建設業の就業者数の減少に歯止めをかけるため、令和元年六月に新・担い手三法改正を実施し、対策を行っているところであります。岐阜県においても、早急な対策を行うことが求められています。 そこで、県土整備部長にお伺いします。 建設業は地域にとって大変重要な役割を担っているということは言うまでもなく、人材不足への対応は喫緊の課題であると考えておりますが、建設業における担い手の確保・育成に向けた県の取組についてお伺いします。 次に、三項目めの県内の不登校の現状と要因及び今後の相談支援策について質問します。 今年十月に文部科学省が公表した「令和三年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の調査結果によると、全国の不登校の児童・生徒の数は、小・中学校で二十四万四千九百四十人、高校で五万九百八十五人となっており、小・中学校、高等学校とも昨年度の調査より増加しております。特に小・中学校の不登校児童・生徒数は九年連続で増加しており、過去最多となっております。これは令和二年の春、新型コロナウイルスによる全国一斉臨時休業やオンライン授業により学校に行く機会が減少したことの影響もあると考えられます。 さらに、全国の調査結果を見ていくと、不登校児童の人数は、中学生の人数が特に多い傾向にあります。また、不登校の要因については、最も多かったのが無気力・不安とのことでした。不登校の要因としては、ほかにも友人関係、学業の不振など幾つかの理由が挙げられておりましたが、調査上では主たる要因を一つ選択して統計を取っているため、実際に不登校となった児童・生徒たちは、幾つかの複数の悩みを抱えているのではないかと思います。 私の推察ではありますが、不登校の要因で最も多かった無気力・不安というものも、様々な悩みが絡み合った結果、無気力・不安な状態になり、不登校となってしまったのではないかと思っております。もちろん、不登校の児童・生徒を無理に登校させることがよいとは考えておりませんが、不登校となった児童・生徒の悩みを少しでも取り除いてあげることが不登校の児童・生徒を減らすことにつながるのではないかと思います。中には、不登校の状態が長引き、成人してからひきこもりとなってしまったケースもあり、ひきこもりの減少にもつながるのではないでしょうか。 私は以前、知人の子供さんが突然学校に行けなくなるという話を伺う機会がありました。その子供さんは、学校へ出かけていきますが、通学路の途中いつも同じ場所へ来ると気持ちが悪くなり、Uターンをして自宅へ帰ってしまう毎日だったそうです。ある日、地域活動されている方が声をかけ、毎日その子と共に通学路を通ってくださり、一か月ぐらいたつと先生がその地域まで迎えに行かれるようになり、その子は学校へ行けるようになりました。また、「なぜ不登校の子は再び学校へ通い出したのか」との学校の先生の記事の中で、不登校状態の児童が再び登校した三つの事例を挙げられています。 一つ目は、仲間の励ましで登校できた。二つ目は、親の愛情と機転で登校できるようになった。三つ目は、クラスが変わって自然と登校するようになった。これらの事例から見ると、友達、家族そして環境を変えることにより、学校に通えることになったとのことです。このほかにも様々な対応があると思いますが、不登校の児童・生徒の中には、学校に行かないのではなく、学校に行きたくても行けないというお子さんも見えます。学校に戻すというより、学校に行けるように後押ししてあげること、また地域の方々の力も大切だと思います。先ほどの事例でもあるように、地域の活動、例えばスポーツ関係や芸術・文化活動への参加などで子供たち同士の交流や指導者との関係などの観点からの対応も必要かと思います。 また、悩みを抱えているのは、不登校の児童・生徒本人だけでなく、その保護者も自分の子供が不登校であることに対してどうしたらいいのか、同様に悩みを抱えておられます。そのため、児童・生徒本人とその保護者の両方に対して相談支援をしていく必要があると思います。しかし、新型コロナウイルスへの対応などをはじめ、教員の多忙化が問題となっている現状では、複数の児童・生徒を受け持つ担任の先生が一人で児童・生徒や保護者からの相談を受けることは難しいと思います。そのためには、専門家や関係機関などの外部の力も活用しながら、児童・生徒やその保護者が気軽に相談できる相談支援体制が必要と考えます。 これらを踏まえ、教育長にお伺いいたします。 岐阜県内の不登校の現状と要因はどのようになっているのでしょうか。また、学校においては、専門家や関係機関の力も生かしながら対応が必要と考えますが、今後の相談支援策についてどのように行っていかれるのでしょうか、お聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) ぎふ清流おもいやり駐車場利用証制度の周知についてお答えします。 この制度は、令和元年度の創設以来三年が経過したところですが、本年十月末現在、七千八十二名の方々に利用証を交付しており、公共施設や商業施設など千二百四十四施設で利用いただいております。 制度概要や利用マナーの周知については、これまでも県のホームページや新聞広告に加え、市町村や民間の協力施設でのポスター掲示、チラシの設置などによって広く御案内してきたところです。また、車内に利用証が表示されていない車両を駐車場の管理者が発見した場合には、制度の趣旨を記載したチラシをワイパーに挟み込んで利用証の取得をお願いするなど、利用マナーの向上を促す運用としています。 県としては、今後も様々な広報媒体や機会を活用し、制度の一層の周知に努め、正しい利用方法の普及を図るとともに、県内施設に屋根付駐車区画の設置を検討いただくようお願いしてまいります。加えて、収容台数の多い駐車場を備えた量販店に届出を依頼するなど、駐車区画のさらなる確保にも取り組んでまいります。 ○副議長(加藤大博君) 県土整備部長 大野真義君。    〔県土整備部長 大野真義君登壇〕 ◎県土整備部長(大野真義君) 建設業における担い手の確保・育成に向けた取組についてお答えします。 現在、産学官から成るぎふ建設人材育成・確保連携協議会において、現状と課題を共有しながら対策を進めております。人材の確保に向けては、高校生と企業との意見交換会や中学生への出前授業を開催し、ICT技術を活用した工事や快適な現場環境等を紹介するなど建設業の魅力発信に努めています。 また、労働環境への取組が優れた事業者をぎふ建設人材育成リーディング企業に認定し、SNSも活用して広くPRしています。現在、三百十五社を認定していますが、これら企業では求人数に対する就職者数の割合が高くなる効果が確認されており、引き続き認定企業の拡大を図ってまいります。さらに、将来を担う人材の育成に向けては、建設ICT人材育成センターにおいて、毎年一千人以上にICT技術などの研修を行うとともに、増加傾向にある普通科高校からの就職者に向けた研修を実施してまいります。 今後も、建設業の魅力の向上と発信をはじめ、現場のニーズに応じた人材の確保・育成に取り組んでまいります。 ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 県内の不登校の現状と要因及び今後の相談支援策についてお答えします。 令和三年度の国の調査では、県内の小・中・高を合わせた不登校児童・生徒数は六年連続で増加し、今回初めて五千人を超えております。その要因は、全国と同様、小・中・高ともに学習や進路等に対する無気力・不安、昼夜逆転等による生活の乱れといった本人に関する状況が最も多く、コロナ禍で生活のリズムが崩れたり、交友関係を築きにくい状況であったことも背景にあると考えております。 このように、小・中・高全てにおいて相談支援体制の充実が求められる中、現在、コロナ禍前の平成三十年度比で三割増となる百四十人のスクールカウンセラーを配置し、悩みを抱える児童・生徒のみならず、保護者も含め、専門家に相談しやすい体制を整えております。 また、県や市町村教育委員会が設置する各教育支援センターでは、学習支援や専門家の教育相談をはじめ、施設によってはワークショップや体験活動、保護者の集う会などを実施しているところです。 今後も、これらに加え、スクール相談員等の力も活用しながら、不登校児童・生徒やその保護者への相談支援の充実を図ってまいります。 ○副議長(加藤大博君) 九番 今井政嘉君。    〔九番 今井政嘉君登壇〕(拍手) ◆九番(今井政嘉君) 議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして、今回は二項目について質問させていただきます。 まず初めに、デジタル技術を活用した観光マーケティングの促進について質問させていただきます。 令和二年一月に、我が国で新型コロナウイルス感染症の症例が初めて確認されてから、もうすぐ三年が経過いたします。この間、国をはじめ地方自治体、民間レベルにおいて、感染症の拡大防止のための行動制限やイベントの自粛などの取組を行ってきましたが、それにより社会経済活動に大きな影響が及び、様々な産業に対して大きな打撃を与えることとなりました。とりわけ新型コロナウイルス感染症の影響で、かつてない大きな打撃を受けた産業の一つが観光産業であります。 国土交通省観光庁の公表している宿泊旅行統計調査を見てみますと、全国の延べ宿泊者数については、令和二年一月以降、一番落ち込みが大きかったのは第一波の真っただ中でありました令和二年五月で、約八百九十三万人泊、令和元年同月比のマイナス八二・六%、特に外国人延べ宿泊者数については令和元年同月比のマイナス九八・三%という状況でした。 最新の全国の延べ宿泊者数の状況は、第一次速報でありますが、令和四年十月は四千四百二十六万人泊、令和元年同月比のマイナス一一・六%、令和三年同月比プラス三八・〇%となっております。岐阜県の状況については、令和四年九月は五十万六千六百十人泊、令和元年同月比マイナス一六・六%、令和三年同月比プラス一一〇・三%となっております。このように、コロナ前の状況に回復するまでには至っておりませんが、旅行需要は回復傾向にあり、観光産業もここへ来て、ようやく再生への道を歩み出したというところです。 最近では、新型コロナウイルスの新規感染者が増加傾向にあり、感染拡大の第八波に入ったという報道もある中、いささか心配な面もありますが、このように旅行需要の回復に伴い、今後特にアフターコロナの世の中において、観光誘客競争は日本全国各地だけでなく、世界を相手にますます激化していくことが想定されます。 岐阜県においても、県内観光産業の早期回復、国内や世界との誘客競争に生き残っていくためにも、本県への着実な誘客拡大を成し遂げていかなければなりません。 そのための一つの方策として、県内の観光産業に対するデジタル技術を活用したデジタルマーケティングについて促進していくべきであると考えます。従来、観光誘客については勘と経験と思い込みに頼った取組が主流とされてきました。頭文字からKKOとも呼ばれていますが、近年では、このような人間が陥りがちな勘・経験・思い込みによる意思決定ではなく、客観的なデータに基づいて現状の把握や課題の発見を行うマーケティングが重要視されてきております。 私の地元の下呂市は、皆さん御存じのように、下呂温泉をはじめとした観光資源を生かした観光産業が基幹産業の一つであります。下呂市におきましては、他の自治体に先駆け、昔から下呂温泉観光協会などの民間と市役所が連携して、客観的なデータに基づく観光マーケティングの取組を実施しております。 ここで、下呂温泉の取組について少し触れさせていただきます。昭和の時代より、各旅館と当時の下呂町が協力し、宿泊データを収集しています。データの内容は、どこから来たのか、男性・女性・子供、交通手段、予約方法など、時代とともに変化をしていますが、様々なデータを活用し、キャラバンやキャンペーンなど誘客活動を行っています。 東日本大震災に見舞われた二〇一一年、全国各地では宿泊者が激減しましたが、下呂温泉は五月には宿泊のお客様を前年比まで戻しました。そこで、下呂温泉観光協会と下呂市では、震災を機に下呂市観光客特別誘客対策協議会を立ち上げ、その誘致宣伝委員会(下呂市、旅館組合、商工会、観光施設、市内観光協会など)では、各組織が管理するデータを集約し、定期的に会議を行い、年間プロモーション計画を策定しています。 また、観光庁が二〇一五年より日本版DMO、DMOとは地域と協働して観光地域づくりを行う観光地域づくり法人のことを言いますが、この候補法人の登録制度を定め、その必須要件として、観光地域づくりを行うことへの多様な関係者との合意形成、各種データ等の継続的な収集・分析、明確なコンセプトに基づいた戦略の策定、KPIの策定、PDCAサイクルの確立、関連事業と戦略の整合性に関する調整・仕組みづくり、プロモーションなどが挙げられております。 下呂温泉観光協会では、まずKGI(経営目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)、PDCAサイクルを明確化する組織を構成しました。そして、二〇一六年六月には、DMO機能構築支援事業を立ち上げました。十一月からは、支援事業の一つである下呂温泉魅力発見・ブランド発信業務の食べ歩きができるスイーツ開発事業がスタートしました。これは、下呂温泉らしい新スイーツの開発とプロモーションで、観光客の滞在時間延長と消費行動の喚起、満足度向上を目的としております。現在では新規にスイーツ店が七軒オープンしています。その後は、デジタル事業にも力を入れ、オンラインアプリ「ご当地なび」を活用して、町なかの飲食店や宿泊施設情報のほかにクーポン発行やスタンプラリーなどの観光案内も行っています。 また、電動アシスト自転車を活用し、自転車から位置情報を取得することにより、訪れたお客様がどのようなルートで観光しているのかを把握できるようになっています。最近では、携帯キャリアの位置情報を活用し、市内での人の動きが分かることにより、今までの思いと違う行動を取られていることが分かりました。今後はこのようなデータを基に、さらにお客様に満足いただけるようなプランの開発に力が注がれていきます。 このように、下呂市における観光マーケティングの取組について紹介させていただきましたが、こうした取組を岐阜県下全域で進められたらよいのではないかと思います。しかしながら、デジタル技術の進歩により、従来のアナログ統計と比べ、データ収集の手間やコストは軽減されているというものの、観光財源の薄い地域にとっては、まだまだその負担は大きいのではないかと思います。また、データを収集することだけでは不十分であり、これを分析し、プロモーションなどにどう生かしていくかということも今後の課題となっております。 現在、岐阜県及び岐阜県観光連盟において、デジタルマーケティングの普及に向け、観光関連事業者に対してデジタル技術の導入支援やデジタルマーケティングに関連するスキルを身につけていくための研修などの取組が進められておりますが、岐阜県下全域で観光マーケティングが確立されるよう、さらなる助言や支援が必要であると考えます。 そこで、これらのことを踏まえ、観光国際局長に伺います。 このように、岐阜県下全域においてデジタル技術を活用した観光マーケティングを促進していく必要があると考えますが、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 次に、熊などの野生動物が住宅街に出没した場合の対応について質問させていただきます。 今年九月に、下呂市内のある地域で熊の目撃情報があり、市役所、警察、猟友会などの関係者が出動する事態が発生しました。熊が出没した場所は、周辺に民家や老人介護施設などがある地域で、熊がいた場所の後方には公道もあったため、関係者は現場で熊の動向を見守ることしかできませんでした。幸い今回の事案では、熊は山に逃げていったため事なきを得ましたが、最悪の場合、人的な被害が発生する危険性も想定される事案でありました。 先日、この現場に立ち会われました猟友会の方にお話をお聞きする機会がありました。基本的には住宅街などでは猟銃を使用することはできないが、人に被害が及ぶ危険性がある場合は使用できるとのようなことでしたが、しかし、実際に発砲するかどうかは、どのような場合なら可能なのか、誰が発砲の判断をするのかということについて現場ではかなり迷ったとのことでした。また、仮に猟銃を使用して民家などを破損してしまった場合、損害賠償責任は誰にあるのか、補償はあるのかなどの心配事もあるということです。 余談ですが、殺処分を行うのではなく、麻酔銃などを使用することは可能かと猟友会に尋ねたところ、狩猟免許とは違う免許が必要で、使用する銃も全く違うので、猟友会メンバーでは使用できる人がいないと思うとのお話でしたので、関係機関に確認したところ、そもそも県内で麻酔銃を所有できる方は三名ほどと非常に少ないことも確認できました。 猟友会がこのようなことを心配する背景には、他の団体の事例でありますが、北海道砂川市で起きた事案のことがあるとおっしゃっていました。この事案は、二〇一八年八月に北海道砂川市で、猟友会の男性が、市の要請を受けてヒグマを駆除した際に住宅の方向に発砲したとして、道の公安委員会から銃を所持する許可を取り消され、それを不当として裁判となったものです。この裁判の争点の一つとして、現場に立ち会った警察官が発砲を認めていたかということについて双方の主張が食い違っており、この点について第一審では、現場にいた警察官は発砲を制止しておらず、むしろ駆除することを前提に周辺の住民の避難誘導に当たっていたとしており、許可取消しは不当として、男性の主張を認める判決が出ております。 この裁判については、現在第二審の審理中でありますが、私が思ったこととして、ふだんから警察と猟友会等の関係機関との連携がうまく取れていれば、このような裁判に発展することがなく、適切な対応が取れていたのではないかと思います。さらに、熊等の出没事案の発生に備え、警察官と猟友会などの関係機関が集まり、事案が発生した際のシミュレーションを行うことも重要でないかと考えます。 そこで、熊等の野生動物が市街地に出没した際の対応についてどうなっているかを調べてみたところ、令和二年十月に、警察庁生活安全局保安課から「熊等が住宅街に出没した場合における警察官職務執行法第四条第一項を適用した対応について」という通知が出ておりました。警察官職務執行法、略して警職法第四条第一項では、警察官は、人の生命もしくは身体に危険を及ぼし、または財産に重大な損害を及ぼすおそれのある狂犬、奔馬の類い等の出現等、危険な事態がある場合において特に急を要する場合、その場に居合わせた者、その事物の管理者その他関係者に対し、危害防止のための通常必要と認められる措置を取ることを命ずることができると規定されております。 当該通知によりますと、通常は鳥獣保護管理法第三十八条により、住宅集合地域における銃猟は禁止されておりますが、熊等の住宅街への出没により現実・具体的に危険が生じ、特に急を要する場合には、警職法第四条第一項を根拠に、人の生命・身体の安全等を確保するための措置として、警察官がハンターに対して猟銃を使用して住宅街に現れた熊等を駆除するよう命ずることができるとのことです。さらに、ハンターが警職法第四条第一項に基づく警察官による命令に忠実に従い、危害防止のため通常必要と認められる措置として猟銃により当該熊を駆除することについては、当該ハンターは刑事責任を問われないと解釈するともされています。 また、通知には、事案の発生が予想されている都道府県警察においては、関係機関との連携した体制整備や想定訓練の実施など平時の備えや、熊等の出没の対応としての対策を取ることが必要であるとも言及されております。そのほかにも適用事例について紹介がされておりましたが、やはり熊が住宅街に出没した際に重要なのは、この通知の内容のとおり、警察官と猟友会など関係機関との連携や想定訓練を実施するなど、ふだんからの備えが重要でないかと思います。 また、近年では、熊だけでなくイノシシなどが都市部に出没し、先月も名古屋市内でイノシシが出没し、警察が対応する事態との報道もありました。今後は、山間部だけでなく、都市部でも対策を取っていく必要があると考えます。 これらのことを踏まえ、警察本部長にお伺いします。 熊等の野生動物が住宅地に出没した場合に、警察官職務執行法第四条第一項を適用した対応を前提として、迅速かつ適切な対応を行うためには、自治体と警察、猟友会などの関係機関・団体との連携や事案が発生した場合の想定訓練の実施など、ふだんからの備えが重要であると考えますが、警察における現在の取組状況と今後の対応についてお聞きします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 観光国際局長 丸山 淳君。    〔商工労働部観光国際局長 丸山 淳君登壇〕 ◎商工労働部観光国際局長(丸山淳君) デジタル技術を活用した観光マーケティングの促進についてお答えします。 県では、二〇二〇年から観光デジタルマーケティングを本格導入し、情報検索データやサイト閲覧データを基にした広告配信など、官民連携によるオール岐阜県で取組を進めております。また、地域単位でのデジタルマーケティングの導入も促進しておりますが、多くの地域では人材・財源不足を背景に、活発な取組が難しい状況にあります。他方で、全国的に観光入り込み客が回復傾向にある中、効果的なプロモーションを行うためには、さらに人の動きが分かるデータの収集・分析の必要性が高まっております。 このため、今後はグーグルマップ等から得られる県下の観光客の移動データ、宿泊施設から提供される宿泊データ等を一括して収集し、地域ごとに傾向分析できる仕組みを構築し、これを宿泊施設や市町村、地域DMOなどと共有していきたいと考えております。あわせて、分析データの活用手法を学ぶ研修会を開催するなど、県内各地にデジタルマーケティングを浸透させ、さらなる誘客拡大につなげてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 熊等の野生動物が住宅街に出没した場合の対応についてお答えします。 県警察では、熊等が住宅街等に出没した場合、自治体、猟友会等の関係機関・団体と連携し、広報活動、交通規制、周辺住民の避難誘導、学校への連絡等を行うなどして被害の防止に努めるとともに、これら関係機関・団体と連携して事態の収拾を図っております。 その中で、特に急を要する場合においては、警察官職務執行法第四条の危害防止のため通常認められる措置として、ハンターに対し、猟銃を使用して当該熊等を駆除するよう命じております。最近では、令和元年十二月に高山市内においてこうした措置を取っております。 議員御指摘のとおり、こうした措置を効果的に取るためには、事態が生じてからの急場しのぎではなく、事態が生じていない平素から関係機関・団体と連携して事態発生に備えておくことが重要であります。県警察においても、各警察署にて関係機関・団体の連絡窓口を確認し、事態発生時に適切な措置を取ることができるよう配意しております。 直近の発生から約三年が経過し、いわゆるコロナ禍を経て、熊等の動向に変化が生じていることも考えられることから、今後は関係機関・団体との連携を強め、過去の事例にとらわれることなく、熊等の出没時における地域住民の安全確保に万全を期してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(加藤大博君) 以上をもって本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後二時五十分散会 ……………………………………………………………………………………………...