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  1. 岐阜県議会 2022-09-01
    09月28日-02号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 4年  9月 定例会(第4回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第二号)                 令和四年九月二十八日(水)午前十時開議 第一 議第九十一号から議第百二十三号まで 第二 議第百二十四号 第三 請願第三十八号及び請願第三十九号 第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第九十一号から議第百二十三号まで 一 日程第二 議第百二十四号 一 日程第三 請願第三十八号及び請願第三十九号 一 日程第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十六人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   森 益基君      六番   小川祐輝君      七番   平野祐也君      八番   所 竜也君      九番   今井政嘉君      十番   藤本恵司君     十一番   中川裕子君     十二番   伊藤英生君     十三番   澄川寿之君     十四番   水野吉近君     十五番   安井 忠君     十六番   恩田佳幸君     十七番   若井敦子君     十八番   広瀬 修君     十九番   布俣正也君     二十番   国枝慎太郎君    二十一番   林 幸広君    二十二番   高木貴行君    二十三番   野村美穂君    二十四番   長屋光征君    二十五番   高殿 尚君    二十六番   田中勝士君    二十七番   加藤大博君    二十八番   山本勝敏君    二十九番   松岡正人君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   小原 尚君    三十三番   水野正敏君    三十四番   野島征夫君    三十五番   伊藤秀光君    三十六番   平岩正光君    三十七番   佐藤武彦君    三十八番   森 正弘君    三十九番   渡辺嘉山君     四十番   伊藤正博君    四十一番   小川恒雄君    四十三番   村下貴夫君    四十四番   尾藤義昭君    四十五番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         山口義樹 総務課長         高野朋治 議事調査課長       古田幹雄 議事調査課管理調整監   桂川義彦 同    課長補佐    大野享子 同    課長補佐    槙田朝之 同    課長補佐    西 直人 同    係長      市橋ますみ 同    主査      水野 恵 同    主査      柘植健太…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          大森康宏君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        北川幹根君 秘書広報統括監      高橋洋子君 総務部長         尾鼻 智君 清流の国推進部長     長尾安博君 危機管理部長       内木 禎君 環境生活部長       渡辺正信君 商工労働部長       崎浦良典君 商工労働部観光国際局長  丸山 淳君 農政部長         雨宮功治君 林政部長         高井峰好君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        加藤伸宏君…………………………………………………………………………………………… △九月二十八日午前十時開議 ○議長(平岩正光君) ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。    (書記朗読) 議案の提出について 知事から、本日付をもって、お手元に配付のとおり、議第百二十四号 令和四年度岐阜県一般会計補正予算の提出がありました。 請願書の受理について 請願第三十八号 私立高等学校に対する県費補助金の増額等についての請願ほか一件の請願書を受理しました。 職員に関する条例に対する意見について 人事委員会委員長から令和四年九月二十二日付をもって議第百八号 岐阜県職員の定年等に関する条例等の一部を改正する等の条例については異議がない旨の回答がありました。 監査結果等の報告の提出について 監査委員から、お手元に配付のとおり、令和四年九月二十七日付をもって、地方自治法第百九十九条第九項の規定により定期監査の結果について、並びに令和四年九月二十七日付をもって、地方自治法第二百三十五条の二第三項の規定により例月出納検査の結果について報告の提出がありました。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 日程第一から日程第三までを一括して議題といたします。 追加提出議案に対する知事の説明を求めます。知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 本日追加提出いたしました議案につきまして、御説明申し上げます。 議第百二十四号は、令和四年度一般会計補正予算でございます。 本県では、さきの定例会で議決いただきました補正予算により、エネルギーや食料品価格等の高騰の影響を受けた県民や事業者の皆様に対する支援を着実に実施してまいりました。 しかしながら、全国消費者物価指数及び国内企業物価指数はともに高い水準で推移するなど、引き続き厳しい環境に置かれております。 現下の状況を踏まえ、先般、国が創設した新たな交付金を最大限に活用したさらなる支援策を早期かつ切れ目なく講じるため、総額五十八億円余を追加で計上するものであります。 その主な事業を申し上げます。 第一に、生活者への支援対策であります。 食料品などの物価高騰の影響を大きく受ける子育て世帯を支援するため、高校三年生までの子供を養育する世帯に対して給付金を支給いたします。また、緊急小口資金などの貸付金の償還を支援するほか、生活の自立に向けた就労準備金を支給するなど、生活に困窮する方を支援してまいります。 さらに、介護施設などで提供される食事の質が低下しないよう、食材費の高騰分を支援してまいります。 このほか、NPO法人や民生委員などによる孤独・孤立対策の活動を支援してまいります。 第二に、事業者への支援であります。 燃料価格の高騰に対応するため、鉄道や広域バスなどの地域公共交通事業者に対する価格上昇分への支援を引き続き実施するとともに、貨物自動車を使用する運送事業者に対しても新たに支援してまいります。 また、揚水機や排水機など多くの電力を使用する土地改良区に対して電気料金の高騰分を支援してまいります。 さらに、原材料価格の高騰に対応するため、化学肥料の使用低減に資する機械を導入する農業者や、代替材料を活用した製品や部品の試作を行う中小企業を支援してまいります。 このほか、県内事業者、医療機関及び福祉施設などにおける省エネルギー設備の導入や更新を支援してまいります。 以上をもちまして提出案件の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) 日程第四 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。三十五番 伊藤秀光君。    〔三十五番 伊藤秀光君登壇〕(拍手) ◆三十五番(伊藤秀光君) 皆さん、おはようございます。 初めてトップバッターをさせていただきますが、質問に先立ち、昨日は、安倍晋三元内閣総理大臣の国葬式が執り行われました。改めて心より御冥福をお祈り申し上げます。そして、長い間ありがとうございました。 それでは、議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、県政の諸課題について、県政自民クラブの代表として私自身初めての質問を五分割に分けて順次させていただきます。 初めに、今後の県政運営について五点お尋ねします。 まず「清流の国ぎふ」創生総合戦略の改訂についてお伺いします。 「清流の国ぎふ」創生総合戦略は、本県の中長期的な方向性を示す最上位の総合計画であり、まち・ひと・しごと創生法に基づく地方版総合戦略としても位置づけられています。 県は、この現行戦略において、平成二十年度の長期構想策定以来取り組む人口減少、少子高齢化を課題の基軸に据え、一人一人の幸せと確かな暮らしのあるふるさと岐阜県を目指し、「清流の国ぎふ」を支える人づくり、健やかで安らかな地域づくり、地域にあふれる魅力と活力づくりの三本の柱を軸に「清流の国ぎふ」づくりに向けた施策を推進してきました。 そして、知事は昨年九月定例会での我が県政自民クラブ山本議員の代表質問に対し、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、この現行戦略をウイズコロナからアフターコロナまでを展望した内容のものに改訂すべきと考え、令和四年度いっぱいをかけてしっかりと議論していく旨、答弁されています。その上、人口減少、少子高齢化への対応はもちろん、脱炭素社会の実現、SDGsの推進、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの推進など、県政を取り巻く課題が山積しています。 そこで、知事に質問します。 コロナ禍をはじめとした社会情勢の変化を踏まえ、どのような改訂の方向性が検討されているのか、御答弁をお願いします。 次に、来年度予算編成に向けた財政運営上の課題と対応についてお尋ねします。 地方自治体が担うコロナ対策や物価高騰対策については、足元の財源としては国からの地方創生臨時交付金財政調整基金の取崩しなどでやりくりしていますが、総務省の令和二年度都道府県決算状況調べによれば、四十七都道府県の貯金に当たる財政調整基金の令和二年度末の残高が、一年前に比べ二千九百三十四億円以上も減少しているとのことです。 国においては、コロナ対策や物価高騰対策に活用できる地方創生臨時交付金を自治体に配分し、財政支援をしていますが、多くの自治体では必要な額に追いついていない現状が明らかになったのではないでしょうか。 本県においては、財政調整基金の令和三年度末残高は三百七十七億円、前年度より百四十億円増加しているものの、令和二年度に県有施設整備基金の目的を変更し、感染症対策の財源にも充当できることとしたことから、名称を県有施設整備新型コロナウイルス感染症対策基金と変更しました。そのため、県庁舎建設工事の進捗及びコロナ対策の実施に伴い、県有施設整備新型コロナウイルス感染症対策基金は前年度より二十九億円減少し、令和三年度末残高は二百二十四億円まで減少してきています。 一方で、国の財政状況についても、コロナ対策等に伴う歳出拡大を背景に、国の借金が今年の六月末時点で一千二百五十五兆円となり、過去最高を更新しました。新型コロナウイルス感染症等への対応により巨額の財政出動が行われ、今後もさらに負担がかさむことが予想される中、今後の地方財源が十分に確保できるのか大きな不安を抱いています。 その上、地方自治体はコロナ対策や物価高騰対策など、時々の課題に即時の対応が求められていると同時に、医療・介護など社会保障への対応、子育て支援策の充実など、少子高齢化の進展とともに行政サービスに対する需要もこれまで以上に高まりつつあります。さらに、近年多発している大規模災害、デジタル化への対応なども迫られています。 持続可能で安定的な財政運営のためには、こうした課題なども踏まえながら来年度の予算の編成に取り組んでいく必要があります。 そこで、知事に質問します。 新型コロナや物価高騰など、先行き不透明な状況ではありますが、県の来年度予算編成に向けた課題認識と対応方針について、御答弁をお願いします。 次に、さらなる経済対策と生活支援について、二点お尋ねします。 まず、県内事業者の事業継続に向けた支援についてお尋ねします。 長引くコロナ禍や物価高の影響などは、地域経済に大きな打撃を与えており、依然として厳しい状況が続いています。 そのため、本県はさきの六月定例会で補正予算を成立させ、幅広く中小企業を対象とする県制度融資の新たな資金メニューの創設及び信用保証料の全額支給、地場産業事業者に対する県独自の支援金支給など、地域の実情に応じた支援を実施してきています。 こうした中、県中小企業団体中央会が今月発表した県内中小企業の七月末の景況動向調査によると、景況感を示す業況判断指数は前月比四ポイント改善のマイナス二〇で三か月ぶりに改善したものの、製造業では景況感がさらに悪化しているなど、なお逼迫した状況が続いています。 また、日銀が発表した八月の国内企業物価指数は、前年比九%上昇し一一五・一となり、一九六〇年の調査開始以降過去最高で十八か月連続で前年を上回り、今後も急速に進む円安を背景に、物価高の長期化が懸念されています。燃料、電気料金、原材料、物流コストの高騰を受け、コスト上昇分の価格転嫁が難しい中小企業や個人事業主を取り巻く事業環境の悪化に拍車がかかっており、その事業継続に向けた対策が喫緊の課題です。 九月九日、国は物価・賃金・生活総合対策本部を開催し、追加の物価高騰対策の一つとして、地方創生臨時交付金を六千億円増額することを決定、エネルギーや食料品などの価格高騰の影響を受けた事業者や生活者を支援するため、地方創生臨時交付金に電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が創設されました。先ほど物価高騰対策の補正予算案が追加上程されたところです。 国の新たな交付金を活用し、地域の実情を踏まえた対策を迅速かつ積極的に展開することは、地域経済の崩壊を食い止め、地域の雇用を守るだけでなく、地域の活力になると考えます。 そこで、知事に質問します。 物価高などの影響による本県経済の状況をどのように捉えておられるのか。また、国の追加の物価高騰対策を踏まえた県内事業者の事業継続に向けた県の支援について、御答弁をお願いいたします。 次に、生活に困窮している方への支援についてお尋ねします。 エネルギー価格や物価の上昇は、県民生活に大きな影響を与えています。 そのため、本県は、六月補正予算により、生活を維持するために必要な緊急小口資金住居確保給付金の期間延長に伴う財源措置や、低所得独り親世帯への給付金支援など、きめ細やかな支援を実施してきています。 しかし、総務省が今月発表した八月の全国消費者物価指数は前年比二・八%上昇の一〇二・五で、消費増税の影響を除くと、伸び率は一九九一年九月以来約三十一年ぶりの大きさとなりました。その中身を見ると、旅行や外食などの選択的支出項目は一・五%の上昇にとどまったのに対し、生活に欠かせない食料品や電気代などの基礎的支出項目全体の上昇率が四・八%に達しており、所得の低い家庭ほど負担感が大きくなっています。 さらに、今後も食料品、電気料金、ガス料金等の値上げが予定されており、賃金が十分に上がらない中、家計は一段と圧迫されることになります。 こうした危機的な状況の中、地域の実情を踏まえ、県民の生活を守り抜くことは、県民の安心感だけでなくやる気や希望をもたらす力となります。 そこで、知事に質問します。 物価高などの影響による県民生活の状況をどのように捉えておられるのか、また国の追加の物価高騰対策を踏まえた生活に困窮している方への県の支援について、御答弁をお願いします。 次に、県政の発展に向けた大森副知事の所信についてお尋ねします。 大森副知事におかれては、前副知事の平木 省氏の後任として、本年七月一日付をもって副知事に就任されました。 総務省の御出身で、これまでに大分、鹿児島、大阪、山形の四府県で約十四年の地方勤務を経験されており、また内閣官房で東京オリンピック・パラリンピックのホストタウン支援、総務省でワクチン接種の調整を担当されるなど、行政経験が大変豊富です。ぜひとも本県の発展のため、古田知事を補佐し、活躍されることを期待しております。 七月の就任時の記者会見では、県の印象について、「平地も山岳地帯もあり、農林水産業も工業もサービス業も充実。伝統産業のほか、スーパーカミオカンデのような最先端の施設もあり、非常に幅広い魅力を感じられる県」と評価されました。 そこで、七月の就任から約三か月が経過しましたが、改めて本県の魅力及び課題をどのように評価し、県政の発展に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、副知事としての所信をお尋ねいたします。 次に、マイナンバーカード取得率向上に向けた取組についてお尋ねします。 国は、新しい資本主義の重要な柱の一つとしてデジタル田園都市国家構想、略してデジ田構想を推進しています。 個人的な話となりますが、私は現在、一般社団法人デジタル田園都市国家構想応援団の会員となっています。この応援団は、デジ田構想を実施するため、全国自治体と民間企業が自主的に結集し、官民連携のプラットフォームとして設立された組織です。先月、八月二十六、二十七日にも佐賀県で応援団のイベントが開催され、私もオンラインで参加したところ、若い人たちが地元の具体的な課題について、デジタル技術を活用して解決していけないか活発に話し合っている姿を拝見し、非常に頼もしく感じました。 さて、デジ田構想は、デジタル技術の活用によって、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を構築することを目標とするものです。 そして、この構想を実現するための基盤として、マイナンバーカードの普及促進、利活用の拡大を図ることとしています。 県においても、本年三月に策定した岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画においてマイナンバーカードを活用してDXを推進することとしています。 例えば行政のデジタル化においては、厳格な本人確認が必要となる手続では、マイナンバーカードによる公的個人認証等を利用することにより、二〇二五年度までに対象となる行政手続のオンライン化を実現することとしています。 また、医療分野では、災害医療、救急医療におけるマイナンバーカードを活用した情報共有の推進や、マイナンバーカード健康保険証利用を促進し、これに基づく医療機関の情報共有を推進することとしています。 こうした施策を実行し、本県のDXを推進するに当たっては、広く県民にマイナンバーカードが普及していることが必要不可欠です。 しかし、本年八月末時点における総人口に対するカード交付枚数率を見ると、岐阜県は四五・四%であり、全国の四七・四%を下回っています。少しずつ交付枚数は増加しているようですが、まだ五割を下回っています。このままでは、デジ田構想や県DX推進計画の実現に支障を及ぼすため、さらに多くの県民の方にカードを取得していただくことが必要だと考えます。 そこで、清流の国推進部長に質問します。 マイナンバーカードの取得率向上に向け、今後、県はどのような取組を進めていくのか、御答弁をお願いします。 ここで一回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 私のほうに四点、御質問がございました。 まず、創生総合戦略の改訂についてでございます。 本県では、令和元年度から令和五年度を計画期間とする現行の「清流の国ぎふ」創生総合戦略の下、本格的な人口減少・少子高齢化社会の到来を見据えて、様々な施策を展開してまいりました。 これまでに、本県への移住者数は令和二年度に過去最多の千七百五十二人を達成したほか、令和三年の新規工場立地件数は五十件で全国第三位、全ての県立高等学校においてふるさと教育を実現するなど、着実に成果を収めてきております。 一方で、新型コロナとの闘いは二年半にわたり、この間、三密回避やソーシャルディスタンシングなどが求められる中、私たちの暮らし方は、あるいは働き方は大きく変化をいたしました。また、ロシアのウクライナ侵攻は、国際情勢はもとより、私たちの生活にも大きな影響を及ぼしております。 さらに、かねてから取り組んできている人口減少・少子高齢化につきましては、コロナ禍で結婚や妊娠が控えられた影響で昨年の婚姻件数、出生数が過去最少となるなど、一段と厳しい状況となっております。 このように、近年、様々な問題が発生し、それらが複合的に絡み合い世の中が大きく変化し、複雑化していることを実感しております。 一方、こうした難局におきましても、県政を停滞させることなく、多様化する諸課題に的確に対応しながら「清流の国ぎふ」づくりの歩みを揺るぎなく進める必要がございます。 そこで、新たな総合戦略においては、現行戦略に掲げる人づくり、地域づくり、魅力と活力づくりの三本柱について、大きく二つの課題意識の下で深化・発展させてまいりたいと考えております。 第一に、コロナ禍やウクライナ危機で顕在化した課題への対応であります。このため、感染症危機に備えた保健・医療体制の整備、深刻化した社会的弱者の孤独・孤立への対策、苦境に立たされることとなった県民や企業へのきめ細かな支援など、県民の生命や暮らしを守る取組を充実させてまいります。 第二に、アフターコロナを見据えた新たな潮流への対応であります。このため、デジタル社会に対応した教育やSDGsを推進する教育の展開、新次元の地方分散に向けた環境整備、脱炭素社会ぎふの実現、DXによる産業活性化などを新たに打ち出してまいります。 加えて、二〇二四年の国民文化祭の開催などを契機とした清流文化の創造・発信や、国の内外との交流にも積極的に取り組んでまいります。 以上、申し上げた方向性の下で、人口減少・少子高齢化の克服を目指して活力ある「清流の国ぎふ」を築き上げていくためには、あらゆる主体がお互いを尊重して支え合い連携する、あるいはオール岐阜で取り組むことが必要でございます。 このため、次期戦略のテーマは「幸せと確かな暮らしのあるふるさと岐阜県をともに目指して」というふうにしております。また、計画期間は来年度からの五年間といたします。 今後、県議会をはじめ県民、有識者、市町村などから広く御意見を伺いながら、具体的な施策を盛り込んでまいりたいと考えております。 次に、来年度予算編成に向けた財政運営上の課題ということでございます。 まず、本日追加上程いたしましたさらなる物価高騰対策なども含めますと、新型コロナ対策関連として年度当初予算に加え、これまでに三十一次にわたる補正により、総額四千四百七十億円に上る予算を編成し、対応してきたところでございます。 これらの財源につきましては、国の交付金を最大限活用しつつ、御紹介のとおり、県有施設整備新型コロナウイルス感染症対策基金からも繰入れを行っております。 しかしながら、既にコロナ対策に活用可能な百十八億円のうち八十二億円を取り崩すこととしており、残高が底を尽きつつあります。 また、税収の見通しも長引くコロナ禍や物価高騰などの影響、不透明な国際情勢、さらには加速化する円安の影響などもあり、楽観視できない状況でございます。 このように先行き不透明な中でありますが、現時点における来年度予算に向けた課題認識を申し上げたいと思います。 まず長期化するコロナ禍において、第七波の爆発的な感染拡大の下でも、全体としては感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指す段階へと移ってきております。 このため、感染防止対策や、引き続き厳しい状況にある県民生活・地域経済へのきめ細かな対応を最優先としながら、今ほど御答弁申し上げましたとおり、現在見直しを進めている「清流の国ぎふ」創生総合戦略に沿って未来を見据えた政策を積極的に取り組むことが肝要でございます。 加えて、団塊世代の後期高齢者への到達などにより、社会保障関係経費は一層の増加が見込まれております。さらには、社会資本の老朽化対策、そして激甚化、頻発化する災害への備えも必要でございます。 さらには、過去を振り返れば、本県ではバブル崩壊後の長期にわたって大規模な公共投資を続けた結果、危機的な財政状況に陥りました。同じ轍を踏まないよう、実質公債費比率などの財政指標の先行きを見通しながら、毎年度の予算編成を行っていかなければなりません。 このため、厳しい財政状況の中にあっても、必要な政策課題に対応しつつ財政の持続可能性を確保するよう、最少限の経費で最大限の政策を実現するべく、知恵を絞った予算編成を行っていかなければならないと考えております。 また、国に対しては、全国知事会とも連携しながら、新型コロナに対応するための予算の確保や地方交付税をはじめとする地方一般財源の充実などを強く働きかけてまいりたいと思っております。 次に、県内事業者の事業継続に向けた支援についてでございます。 本県経済をめぐる状況につきましては、ウクライナ情勢の長期化により、ガソリン価格は高止まり、電気料金は大手電力会社十社全てが燃料費上昇分を上乗せできる燃料費調整制度の上限に達しております。ガスについても、国において需給逼迫の度合いに応じた家庭や企業への節ガス要請を検討するなど、厳しい経営環境にございます。 また、円相場は今月二十二日に一時百四十五円台を記録し、二十四年ぶりとなる円安水準を更新するなど、円安は収まる気配がなく、これによる物価高騰は続いております。その結果、コロナ禍のダメージから回復しつつある本県経済にも影響が及んできております。 御指摘のとおり、昨年来、改善が進んできた景況感を示す指数、景況DIが、七月から九月期は対前期比で七・二ポイント低下しております。 また、価格転嫁の状況につきましては、販売価格DIと仕入価格DIとの差が対前期比で〇・四ポイント上昇し、一定の価格転嫁は進んできておりますが、業種によってばらつきもあり、まだ十分でないとの声を聞いております。 こうした中で、県ではさきの六月補正予算において、コスト高による収益圧迫を直に受けている業種への支援金をはじめ、事業継続に向けた幅広い支援策を講じてまいりました。 そして、その後も物価高騰が長期化していることを踏まえて、県内事業者へのヒアリング調査や各分野代表者による経済・雇用再生会議などで幅広く御意見・御提案を伺ってまいりました。 その上で、国の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を最大限活用したさらなる追加支援策を取りまとめ、本日追加上程させていただいた次第でございます。 具体的には、まず広域バスやタクシーなどの公共交通事業、あるいは一般公衆浴場事業者への燃料価格上昇分への支援を来年三月まで延長するとともに、新たに貨物自動車運送業者を支援対象に追加いたします。 次に、農業者へは飼料価格上昇分に対する支援の対象として、新たに養殖業者を追加するとともに、化学肥料の低減に向けた機械設備等の導入を支援してまいります。 また、価格転嫁に苦しむ小規模事業者向けの地場産業支援金につきましては、地場産業界からの強い要望を受け、申請期間を今月末から十二月までに延長いたします。 一方で、今後さらなる影響が長期化することに備えていくことも重要でございます。このため、県内中小事業者、医療機関、福祉施設などに対しては、エネルギー利用の高効率化に向けた設備導入や省エネ設備への更新を支援いたします。また、石油由来のプラスチックに代わる代替材料や、陶磁器などの新たな製造プロセスによる部品製品の開発に取り組む中小事業者を支援してまいります。 加えて、物価高騰に伴うサプライチェーンの混乱に対応するため、部品等の国内生産回帰に対応した生産設備の導入について支援を行ってまいります。 引き続き、事業者の方々の御意見を丁寧に伺いつつ、県下の経済動向を注視してまいります。 次に、生活に困窮している方への支援でございます。 まず本県の物価状況について申し上げますと、県内の基準地である岐阜市の消費者物価指数が令和四年八月時点で前年同月比二・七%上昇と、十二か月連続で上昇しております。 中でも、電気料金につきましては前年同月比で三〇・七%、ガス料金は一九・九%上昇するなど、特に高い上昇率となっております。 さらに、食料品につきましても、十月には本年で最も値上げ数の多かった八月の二千五百品目の二・六倍である約六千五百品目が値上げされる予定となっております。生活必需品をはじめ、物価上昇傾向がさらに続くことが懸念されるわけであります。 このような状況にあって、今年度の生活困窮者自立相談の件数は、コロナ禍前の令和元年度と比較して約一・五倍になっております。また、収入に占めるエネルギーや食料品の支出割合は、世帯収入が上位一割の世帯では一〇%を占め、下位一割の世帯では四九%を占めております。低所得の家庭ほど物価高による影響を強く受けておるわけであります。 本県では、生活にお困りの方を支援するため、六月の補正予算におきまして、緊急小口資金住居確保給付金の受付期間の延長による財政措置、就労相談体制強化などの対策を講じてまいりました。また、子育て世帯に対しましては、低所得のひとり親世帯への給付金の支給や給食費の上昇抑制のための財政措置に取り組んでまいりました。 先般、国においては、住民税非課税世帯を対象とした五万円給付などが決定されたところでありますが、県としても、独自の支援を緊急優先的に実施すべきと考えてまいりました。 このため、九月十六日に子ども・家庭支援に関する意見交換会を開催し、生活支援や教育・保育に関わる団体から幅広く意見を伺った上で支援策を取りまとめ、本日補正予算を追加上程させていただいた次第であります。 具体的には、物価高騰の影響が大きい子育て世帯を支援するため、高校生以下の子供を持つ一定所得未満の子育て世帯に対し、県独自の給付金として一世帯当たり一万五千円を支給してまいります。 また、物価上昇に直面する低所得の方を支えるため、緊急小口資金を借りた方で家計が急変した方への償還費用の支援、社会福祉協議会を通じた食料品等の提供、自立相談支援機関の支援を受けて就職に至った方に対する十万円の就労準備支援金の支給を行ってまいります。 加えて、介護・障がいサービス事業所などが提供する食事の材料費高騰分への支援、生活にお困りの方を支援しているNPO法人などの民間団体に対する活動資金の助成などの支援団体対策も講じてまいります。 ○議長(平岩正光君) 副知事 大森康宏君。    〔副知事 大森康宏君登壇〕 ◎副知事(大森康宏君) 私には、県政の発展に向けた所信についてお尋ねをいただきました。 七月に副知事を拝命して以来、様々な機会に県内各地をお伺いし、多くの県民の皆様とお話をさせていただいております。そうした中で、清流と緑深き山々、白川郷や美濃の和紙といった世界に誇る遺産、関ケ原の古戦場や地歌舞伎、鵜飼などの地域資源、幅広い産業、真面目で実直な県民性など、「清流の国ぎふ」の魅力を実感させていただいているところであります。 この地は古くから東西南北の往来の結節点であり、豊かな自然環境に加えて、全国各地との交流の積み重ねが多様な魅力を創造したものと理解をさせていただいております。 一方、県が抱える課題のうち最大のものは、他の自治体でも同様ではありますが、人口減少・少子高齢化であると考えております。本県では、全国に先駆けて、「清流の国ぎふ」創生総合戦略の下、対策に取り組んでおります。現在、この改訂作業を進めておりますが、この課題を克服するために、引き続きこの戦略を着実に推し進めることが重要と考えております。 以下、担任分野を中心に数点申し上げます。 まずデジタル社会の構築については、今年三月に岐阜県DX推進計画を策定しております。誰一人取り残されないデジタル社会を目指して、デジタル人材の育成、年齢・地域等による情報格差の是正、行政・県内企業のデジタル化など、計画に掲げた施策を着実に進めてまいります。 また、冒頭に申し上げました本県の多様な魅力を磨き上げ、活用していくことも重要であります。中部山岳国立公園の活性化や県立都市公園の魅力発信などに取り組んでおりますほか、近く「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四、全国都市緑化フェア、さらにはねんりんピックの開催を予定しており、その先にはリニアの開業も控えております。様々な機会を捉えて、本県の魅力を内外に広く発信してまいります。 さらに、近年、全国各地で風水害が頻発をしておりますほか、大規模な地震ですとか、火山噴火も想定をされるところであります。今月四日には総合防災訓練を実施いたしましたが、実際の災害対策本部員会議もこの三か月で三回開催をしております。日頃から市町村や関係機関と連携を密にし、来るべき災害に抜かりなく備えてまいります。 そして、これらを下支えする県財政の健全運営も必要であります。 本県はかつて起債許可団体となり、県民の皆様の御協力の下で財政状況を改善させてきた経緯があります。社会保障関係費の増大や物価高騰など課題も多くございますが、これまでの歩みも踏まえて取り組んでまいります。 最後に、新型コロナ対策にも触れなければなりません。 岐阜県は、高齢者へのワクチン接種を全国最速で進められるなど、古田知事の指揮の下、オール岐阜で迅速かつ的確に対策を講じてこられたとの認識を持っております。 コロナ禍で貧困に陥ったり、孤独、孤立を深める方々などへのきめ細かな支援を行いますとともに、アフターコロナに向けた様々な施策を展開していく上でも、まずはこの第七波を終息させますとともに、秋冬の流行を抑えるべく、引き続きオール岐阜で感染防止対策に取り組んでまいります。 以上、るる申し上げましたけれども、議会の皆様から御指導を賜り、古田知事を補佐して足元をしっかり固めつつ、「清流の国ぎふ」をさらに飛躍させるべく、諸般の課題解決に誠心誠意取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 清流の国推進部長 長尾安博君。    〔清流の国推進部長 長尾安博君登壇〕 ◎清流の国推進部長(長尾安博君) マイナンバーカード取得率向上に向けた取組についてお答えいたします。 県では、市町村と連携し、取得のメリットの周知と県民の取得機会の拡大、強化に努めているところであります。 具体的には、カードが本人確認書類や健康保険証、確定申告などのオンライン申請、新型コロナワクチン接種証明などで幅広く利用できること、また令和六年度末には運転免許証との一体化も予定されていることなどを、各種広報媒体を活用し周知しております。 取得機会の拡大に向けては、市町村に休日・夜間窓口の設置や商業施設等での出張申請受付の積極的な実施を促すとともに、県自らも、企業、大学等を訪問し、職域申請の実施を呼びかけております。 こうした中、マイナポイント第二弾の対象となるカードの申請期限が十二月末まで延長され、今後、未申請者にQRコード付申請書が改めて郵送されることとなっております。これを機に、これまでの取組を継続強化しつつ、県民の皆様がメリットを実感することで一層の取得促進が図られるよう、カードを利用した行政手続の拡大や子育て支援、地域振興など多様なポイント給付施策の実施を市町村に働きかけるなど、さらなる利用機会の拡大にも努めてまいります。 ○議長(平岩正光君) 三十五番 伊藤秀光君。    〔三十五番 伊藤秀光君登壇〕
    ◆三十五番(伊藤秀光君) 御答弁ありがとうございました。 次に、地域経済の活性化について、五点お尋ねします。 最初に、県産品の海外展開に向けた取組についてお尋ねします。 新型コロナの影響が長引く中、社会経済活動の再開に向け、段階的な入国者制限の緩和が実施されていますが、現在においても、人の往来はコロナ前までの水準に達していません。しかし、こうした状況においても、県産品などの物については動かすことが可能です。 例えば最近の報道では、新型コロナウイルスの感染拡大で国内の飲食需要が落ち込む中、日本酒の今年上半期の輸出総額は大幅に伸びています。例えば県内の酒造業者では米国からの引き合いが増え、輸出に手応えを感じているとの声もお聞きしています。 県では、コロナ禍以降、海外ECサイトを活用した県産品の販売など、オンラインを活用した海外展開事業に取り組まれていますが、欧米をはじめとした海外では展示会など様々なイベントが再開され、コロナ前の状況に戻りつつあります。この機を逃さず、これまでにトップセールスや各国との交流・連携を通じて構築してきた県のネットワークを最大限活用することで、日本酒のほか、陶磁器、刃物等、県産品の販路開拓やプロモーションを効果的に行うことができるのではないでしょうか。 そこで、知事に質問します。 コロナの終息が見通しにくく、インバウンドの回復には時間を要する中、動かすことができる物については、コロナ前に戻りつつある海外市場に向けて早期にさらなる販路開拓・拡大を実施すべきだと考えますが、具体的な県産品の海外展開に向けた取組について、御答弁をお願いします。 次に、戦国・武将観光の推進についてお尋ねします。 コロナ禍で開催が見送られてきた関ケ原古戦場での武将イベントが、来月八日から三日間、実に三年ぶりに「大関ケ原祭二〇二二」と題して開催されます。 県の武将イベントは平成二十七年から始まり、町の合戦祭りと併せて秋の定番行事となっていましたが、令和二年から開催されず寂しく思っていました。 一方、令和二年十月には新たな拠点である岐阜関ケ原古戦場記念館がオープンし、人数制限を行いながらも好評で、先月末には来館者数が二十万人を超えました。関ケ原町内の古戦場史跡においても、記念館への来館に引っ張られるように多くの戦国・歴史ファンが訪れるようになり、平日でも他県ナンバーの自家用車が笹尾山の三成陣跡や大谷吉継の墓などに足しげく訪れているのを多く見かけるようになったと地元関係者からお聞きしております。関ケ原観光の起爆剤となっています。 折しも、来年の大河ドラマは、徳川家康公を主人公とした「どうする家康」です。戦国・武将観光は根強いファンがおり、全国各地で取組が見られますが、関ケ原はその中心となってほしいところです。 報道によれば、主人公家康役の松本 潤さんは、撮影開始前に家康公ゆかりの場所を巡り、関ケ原の地も訪れたそうですが、そのほかにも本県には、関ケ原の戦いに先立って家康公の命により遠山氏が奪還した苗木城、関ケ原の戦いに東軍として参加した遠藤氏が治めた郡上八幡城、家康公が使用した采配にも使われたと言われる美濃和紙など、家康公ゆかりの場所や文化が数多くあり、戦国・武将観光でいえば、ちょうど来月二十二、二十三日には、恵那市において第二十九回全国山城サミットが開催されます。 我が大垣市上石津町では、戦国時代後半の山城と考えられる城ケ平城跡と樫原城跡が発見されました。この二つの城址は、明智光秀公生誕地説がある多羅城跡の候補地でもあり、地元では城跡につながる山道を整備するとともに、関ケ原の戦いでの敵中突破で有名な島津の退き口など、町内に多数点在する歴史スポットとともにPRに力を入れています。 これら資源のさらなる活用には、関ケ原古戦場の果たす役割が重要であり、大関ケ原祭二〇二二から始まる戦国・武将観光の新たな展開に期待を寄せています。 そこで、知事に質問します。 関ケ原古戦場を中心とした今後の戦国・武将観光をどのように進められるのか、御答弁をお願いします。 次に、西濃地域の広域周遊観光の促進に向けた取組への支援についてお尋ねします。 先月末に開催された滋賀県との知事懇談会において、両県をめぐる周遊観光について協議されましたが、西濃地域は滋賀県からの周遊の玄関口として重要な位置づけにあると考えており、地元地域によるさらなる取組にも期待したいところです。 西濃地域には関ケ原古戦場以外にも、例えば養老の滝や養老天命反転地を有する養老公園、日本三大稲荷の一つとも言われる千代保稲荷神社、日本遺産の西国三十三所観音巡礼の第三十三番札所谷汲山華厳寺、ユネスコ無形文化遺産に登録されている大垣祭の●〔車へんに山〕行事、約千年の歴史を持つ神戸山王まつり、六百六十年も以上も続く垂井の曳●〔車へんに山〕まつりなど、数えれば切りがないほど豊かな自然や歴史、文化に育まれた地域資源が多数存在しています。 地元大垣市を中心に、それら資源を活用し広域観光の推進につなげるよう、西濃地域十二市町等と県で組織する西美濃広域観光推進協議会や、揖斐郡三町を中心とした西美濃夢源回廊協議会など、広域連携組織により旅行会社と協働した旅行商品の造成や都市圏で開催される観光物産展への出展など、様々な誘客プロモーションの取組を従来から展開しているところです。 こういった取組の一方で、西濃地域の観光にはまだまだ大きな課題があると認識しており、令和二年の県観光入込客統計調査結果を見ると、一人当たりの観光消費額は令和二年ベースで三千五十三円と、県内五圏域で最低です。県内で最も観光消費額が多い飛騨地域と比較すると一万一千八百九十九円もの開きがあり、これは西濃地域ではその九割以上が日帰り観光客であることに加え、観光消費につながる場がまだ少ないのではないかと考えています。 来年度には冠山峠道路の開通、令和六年度には東海環状自動車道山県インター、大野神戸インターが開通予定であり、令和八年度には待望の全線開通が控えるなど、西濃地域における道路網が整備され、県内及び隣県へのアクセス性が飛躍的に向上することにより、さらなる観光誘客への期待が膨らんでいます。 こうしたインフラ整備により西濃地域を通過型の観光地ではなく、地域内を周遊いただき観光消費を喚起させ、地域の観光産業発展へとつなげるためには、新たな魅力の掘り起こしや磨き上げの取組に加えて、隣県と協力し、西濃地域に興味を持って足を延ばしてもらえるような広域連携による取組も重要だと考えます。 そこで、観光国際局長に質問します。 西濃地域のさらなる広域周遊観光の促進に向けた取組について今後どのように支援していくのか、御答弁をお願いします。 次に、ぎふ農業・農村基本計画の中間見直しについてお尋ねします。 今定例会中、県からぎふ農業・農村基本計画の中間見直しの骨子案の説明がありました。この計画は、来年の二月定例会に議案として提出される見込みです。 現行の計画は令和三年度から令和七年度までの五年間の計画で、「「清流の国ぎふ」の未来を支える農業・農村づくり~安全・安心で魅力あふれる「食」と「ふるさと」を目指して」を基本理念に掲げ、その実現に向け、県は各種施策に取り組んできました。 一方、県は本年三月、岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画を策定し、その計画に基づき、スマート農畜産業の全県展開など農業DXの強化に取り組み始めました。 また、本年七月には、環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律が施行され、この法律に基づき、例えば家畜の排せつ物を利用した良質な堆肥の生産や、その堆肥を利用した土壌改良や化学肥料の使用量削減など、環境負荷低減に取り組む生産者の計画を都道府県知事が認定し、その認定に基づく生産者の設備投資などを税制や金融措置により支援していくことになります。 さらに、ロシアによるウクライナ侵略を機に、飼料、肥料、原油などの価格が高騰し、本県においては農業、畜産業、アユをはじめとする内水面漁業など、幅広い分野で農家の経営を直撃、加えて輸入穀物の供給安定不足等の問題が顕在化したこともあり、食料安全保障が注目をされています。 こうしたことを受け、国では、食料・農業・農村基本法の検証作業を今後本格化させ、食料安全保障の強化に向けた対応を進めることとしています。本県においても、こうした動向を踏まえつつ、ぎふ農業・農村基本計画に位置づけた県民に安全・安心な食料を提供するという本県の大きな役割を果たす必要があります。 このように農業・農村をめぐる情勢が刻一刻と変化する中、中間年である令和五年度に見直す予定を一年前倒しして、今年度、ぎふ農業・農村基本計画の中間見直しを行うこととされています。 そこで、知事に質問します。 現状の農業・農村に関する課題認識を踏まえた見直しの方向性について、御答弁をお願いします。 次に、第十二回全国和牛能力共進会鹿児島大会へ向けた取組状況と意気込み、飛騨牛の生産基盤強化に向けた今後の取組についてお尋ねします。 いよいよ来月六日から第十二回全国和牛能力共進会が鹿児島県で開催されます。 ここで改めて御説明すると、全国和牛能力共進会は、全国の優秀な和牛を五年に一度一堂に集めて、改良の成果やその優秀性を競う大会です。審査は、雄牛・雌牛の姿形のよさなどを審査する種牛の部、肉質を審査する肉牛の部、そして高校及び農業大学校の部があります。全国の和牛関係者にとって、この大会で優秀な成績を収めることは和牛ブランド力の向上につながることから、最も重要な大会となっています。 岐阜県の代表牛は、過去二回最優秀枝肉賞を受賞。前回大会では、高校の部で県立飛騨高山高校が最優秀賞を受賞するなど、輝かしい成績を収めています。 今回の大会は飛騨牛の魅力を広くアピールする絶好の機会であり、県勢が好成績を収めることを大いに期待をしています。 一方で、飛騨牛生産者の高齢化や後継者不足などの要因により農家戸数が減少しつつあり、飛騨牛の認定頭数は何とか維持している状況でありますが、また飼料の多くを輸入に頼っているため、新興国の穀物需要の増大やウクライナ情勢等の複合的な要因により飼料価格が高騰し、生産コストが大幅に増加しています。 さらに、近隣諸国で発生している口蹄疫などの海外からの悪性伝染病への対応など、畜産経営を取り巻く状況は厳しさを増しています。 このような情勢の中、未来の飛騨牛生産を担う新たな担い手の育成と、安定的に子牛を生産・供給する体制整備など、生産基盤強化への支援が必要です。 そこで、知事に質問します。 鹿児島大会に向けた取組状況と意気込み、また飛騨牛の生産基盤強化に向けた今後の取組方針について、御答弁をお願いします。 ここで、二回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 地域経済の活性化に関連して、四点御質問がございました。 まず、県産品の海外展開に向けた取組であります。 新型コロナの世界的な感染拡大により、県産品海外展開の取組は大変大きな影響を受けておることは事実であります。しかしながら、人は動かなくても物は動くという考えの下で、大手のECサイトを通じた欧米や中国への販売、オンラインでの商談会、台湾の要人とのオンライントップ会談の開催など、デジタルを活用した販路開拓・拡大を着実に推進してきております。 加えて、社会経済活動がコロナ前の状況に戻りつつある欧米においては、本県としてこれまでに培ってきた現地とのネットワークを活用して販路拡大の取組を進めております。 まず明日からは、ジャパン・ハウス・ロンドンで開催される「飛騨の匠・伝統は未来を拓く」展に併せて、同施設内のショップで飛騨春慶や美濃和紙等の販売・プロモーションを展開いたします。 また、フランス・パリを欧州における県産品の販路拡大拠点と位置づけ、人気の日本酒を中心としたプロモーションを展開するため、この秋にはパリにグローバル・アンテナ・ショップ--頭文字を取ってGASといっておりますが--を新設いたします。あわせて、岐阜県の地酒の特徴や酒造の歴史などを紹介する海外向けカタログを作成し、レストランなどを対象とした商談会、国際見本市への出展などにより販路を拡大してまいります。 さらに、今後、入国制限の解除により海外との人の往来がいよいよ活発化してまいります。我々も実際に海外現地へ赴き、様々な機会を捉えてリアルでの取組を強化してまいりたいと考えております。 例えば来年には、昨年九月に覚書を締結したハンガリーのヘレンド社の協力の下、ヘレンド博物館での美濃焼展示会を開催するための協議を進めております。また、ロンドンの商業施設から岐阜県フェアの開催の提案もいただいておりまして、現在、県内事業者と連携したプロモーションの実施に向けて検討しているところでございます。 あわせて、コロナ前から米国西海岸を対象に計画していた飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクトの再開に向けた準備も進めてまいります。 こうした中、昨年五月に設立された岐阜県人会インターナショナル--これも頭文字を取ってGKIといっておりますが--の皆様からは、郷土岐阜県のPRに一役買いたいと御提案をいただいております。これを受けて、来月、岐阜市内において開催される岐阜県人世界大会を機に、GKIとの間で県産品の海外展開に関する覚書を締結したいと考えております。 今後、GKIのネットワークを活用して現地のイベントで県産品PRを進めるとともに、ブラジル、カナダ、台湾などの国・地域において、グローバル・アンテナ・ショップ(GAS)の候補店の開拓をお願いしたいと考えております。 次に、関ケ原古戦場を中心とした今後の戦国・武将観光についてでございます。 誰もが知っている関ケ原古戦場を誰もが訪れる場所にすることを目指して、これまで古戦場の整備を進めてまいりました。その拠点として、令和二年十月に開館した岐阜関ケ原古戦場記念館は、コロナ禍の人数制限にもかかわらず、二年足らずで来館者数二十万人を超えるなど、県内外から御好評をいただいております。 七月に開催した関ケ原古戦場グランドデザイン事業評価会議では、関ケ原古戦場が日本最大のフィールドミュージアムであることについてPRをさらに強化することなど、御助言をいただきました。 引き続き、本県の戦国・武将観光の核として、ここ関ケ原が一層大きな役割を担えるよう魅力向上を図ってまいりたいと思っております。 このため、まず来月には三年ぶりに、また記念館開館以来初めてとなる大規模イベント「大関ケ原祭二〇二二」を開催いたします。このイベントにおいては、記念館のプロジェクションマッピング、あるいはナイトミュージアムの開館といった初めての試みも行います。また、記念館アンバサダーであります竹下景子さんを迎えて行う野外朗読音楽劇「関ケ原ナイト」、小和田哲男館長による歴史トーク、人間将棋などを定番コンテンツとして御披露してまいります。 また、これに先駆けて、九月十五日の関ケ原合戦の日には、関ケ原町とタイアップし、のろしと鉄砲隊の発砲を間近で鑑賞する特別ガイドツアーを新たに開始したところであります。 次に、戦国・武将観光の推進に当たりましては、関ケ原を中心に点から面への展開が不可欠であります。既に県内二十の市町による岐阜戦国・武将観光推進連絡会を設置しておりまして、城郭・史跡等を巡るスタンプラリーや、「大阪・お城フェス」など、県内外のイベントでのPR活動を展開しております。この連携をさらに密にし、県内外の周遊観光の確立を図ってまいります。 また、昨年十月には福井県知事と、先月には滋賀県知事と懇談会を開催し、三県による広域観光ルートの形成や相互誘客について合意いたしました。福井県とは、この九月一日からスマートフォンを活用した周遊ラリー「福井・岐阜戦国史跡探訪」を開始しております。また、福井・滋賀両県では、関ケ原古戦場をルートに加えたバスツアーの造成に着手しております。 さらには、来年一月からは大河ドラマ「どうする家康」がスタートいたします。 これを機に、愛知・静岡両県の大河ドラマ館と、岐阜関ケ原古戦場記念館や岐阜県内の家康ゆかりの地を周遊する取組について、両県との調整を進めているところでございます。また、先日開催されました東海三県二市知事市長会議でも、私から大河ドラマを契機とした連携について提案をさせていただきました。 一方で、コロナ禍で中断していた海外との交流再開の一環として、来年にはゲティスバーグやワーテルローとの世界三大古戦場交流を再始動したいというふうに考えております。そして、これにより相互のネットワークを活用した国際的誘客プロモーションにも取り組んでまいりたいと思います。 次に、ぎふ農業・農村基本計画の中間見直しについてでございます。 現在、農業をめぐっては、ロシアによるウクライナ侵攻や急激な円安などの影響により、家畜飼料が二年前に比べて一・三倍、肥料が半年前に比べて約一・五倍と価格が高騰しておりますし、また輸入穀物の流通も大変不安定な状況に置かれております。 また、二年半に及ぶ新型コロナウイルス感染症の影響により、外食・イベント等の減少による農産物の需要減退や、都市農村間交流が停滞するなど、農業を取り巻く社会情勢も大きく変化しております。 加えて、持続可能な食料システムの構築を目指して昨年五月に国が策定したみどりの食料システム戦略では、有機農業の推進や化学肥料、化学合成農薬の削減目標が示されるなど、環境負荷の少ない栽培への転換が強く求められております。 以上、申し上げた様々な新たな課題に対応するため、ぎふ農業・農村基本計画の中間見直しにつきましては、当初令和五年度に予定しておりましたけれども、一年前倒しをすることとし、これまでに市町村、あるいは農業関係団体、生産者・消費者の代表者などから御意見を伺ってきているところでございます。 見直しの方向性としては、大きく三点を考えております。 まず第一に、食料の安定供給の確保に向けて、海外に依存している配合飼料の自給飼料への切替え、燃料を使用する農業設備の省エネ化などの対策に取り組んでおります。加えて、地産地消フェアなどの機会を通じて、農業や生産者の実情をよく御説明をし、県産農産物の積極的な活用に向けて、消費者の理解を促進してまいります。 第二に、アフターコロナを見据えた農業分野のDXの推進であります。具体的には、ソーシャルディスタンシングなどの新たなライフスタイルに合わせたオンライン販売の拡大、農産物の生産力向上を図るデータ活用型農業の導入、農村ワーケーションなどの農村滞在型プランの予約システムの構築などを促進してまいります。 そして第三には、脱炭素社会の実現につながる持続可能な農業の推進であります。このため、新たに環境負荷低減の取組を重点施策に加え、県試験研究機関を中心とした技術開発などにより有機農業を推進するとともに、堆肥利用による化学肥料の低減などに取り組んでまいります。 このほかにも、本年四月にアクションプランを策定した農福連携の取組強化なども計画に位置づけてまいります。そして、目標指標につきましても、例えば有機農業の取組面積、農福連携に取り組む主体数などを新たに設けるなど、必要な見直しを行ってまいりたいと思っております。 最後に、第十二回全国和牛能力共進会鹿児島大会に向けた取組と飛騨牛の生産基盤強化に向けた取組ということについてのお尋ねでございます。 平成三十年二月に、全国和牛能力共進会岐阜県戦略推進会議が設立されました。 そこでは、前回の宮城大会での敗因を分析するとともに、鹿児島大会に向けた和牛日本一奪還戦略が策定されました。そして、これまで関係者一丸となり、最優秀枝肉賞奪還に向け計画的に取り組んでまいりました。 本戦略では、従来の血統や体型による選抜技術に加え、新たに三つの取組を柱に優良な牛づくりと選抜技術の向上に努めてまいりました。 具体的には、第一には、ゲノム育種価を活用したトップレベルの母牛の選抜であります。このゲノム育種価と申しますのは、遺伝子レベルで肉質や肉量の優れた牛を見つけることのできる技術でありまして、この技術を鹿児島大会に向けて新たに活用してまいります。 第二に、受精卵移植技術を活用したエリート子牛の生産であります。ゲノム育種価を活用し選抜した母牛から採取した受精卵を、他の複数の母牛に移植します。これにより、多くのエリート子牛の生産が可能となるため、牛の飼養頭数が決して多くない本県の弱点を補うことが可能となります。 第三に、エコー診断技術の向上であります。エコー診断により生きている牛の肉質を確認できますが、その診断には高度な知識と経験が求められます。このため、これまで延べ約一千頭のエコー撮影を行い、診断精度の向上に努めてまいりました。 これらの取組により、種牛を含め出品牛全二十一頭が選抜されました。五年という長きにわたり、出品牛の育成に尽力された関係者の皆様に改めて敬意を表する次第でございます。私自身も鹿児島に応援に駆けつける予定でありますが、本県の誇る飛騨牛が再度、全国の和牛の頂点に立つことを大いに期待しております。 同時に、こうした取組を飛騨牛の高いブランド力の維持発展につなげていかなければなりません。そのためには、飛騨牛の生産基盤を一層強化していく必要がございます。 まず第一に、これまでに蓄積したゲノム育種価による繁殖雌牛の選抜技術を雄子牛の選抜にも活用して、飛騨牛の将来を担う優秀な種雄牛、「たねおうし」づくりを進めてまいります。 第二に、次世代の人づくりに向けて、担い手の育成・確保を強化してまいります。このため、飛騨牛繁殖研修センターの研修カリキュラムを充実するとともに、県内共進会や勉強会に参加する農業高校生への支援を行ってまいります。あわせて、先輩農家による出前授業やインターンシップにより、飼養管理技術の継承を促進してまいります。 このほか、規模拡大や新規就農のための畜舎整備への支援、昨今の飼料価格高騰への緊急支援などを行ってまいります。 ○議長(平岩正光君) 観光国際局長 丸山 淳君。    〔商工労働部観光国際局長 丸山 淳君登壇〕 ◎商工労働部観光国際局長(丸山淳君) 西濃地域の広域周遊観光の促進に向けた取組への支援についてお答えいたします。 県では、県観光連盟と連携し、県下各地域の新たな体験プログラムの造成を支援しております。 西濃地域においては、関ケ原合戦史跡めぐりツアー、大垣の自噴水で作るワサビ田見学、ひょうたんランプ制作体験など、現在、三十三のプログラムが商品化されております。こうした西濃ならではの体験プログラムの定番化とともに、これらを組み合わせた周遊観光の確立を図ってまいります。 また、現在、西濃地域と隣接する滋賀県と戦国・武将観光を切り口とした連携を進めておりますが、岐阜・滋賀両県には湧き水や薬草、サイクリング等、共通する地域資源が数多くあります。 今後はこうした共通点を活用し、例えば西美濃夢源回廊と琵琶湖周遊コースをつないだサイクルツーリズムなど、県をまたぐ広域周遊観光にもつなげていきたいと考えております。 引き続き、地元の意向をお伺いしながら、西濃地域ならではの広域周遊観光を促進してまいります。 ○議長(平岩正光君) 三十五番 伊藤秀光君。    〔三十五番 伊藤秀光君登壇〕 ◆三十五番(伊藤秀光君) 御答弁ありがとうございました。 次に、大きく三項目めとして、安全・安心な暮らしの確保について、四点お尋ねします。 最初に、社会経済活動との両立を実現する感染症対策に向けた考えについてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症については、県内では感染力が強いオミクロン株の派生型BA・5系統への置き換わりなどにより、六月後半には第七波に突入、七月に入り感染が急拡大し、八月下旬にはピークを迎えました。 こうした感染急拡大により各地で医療逼迫が相次ぎ、コロナ医療だけでなく一般医療にも多大な影響を及ぼすとともに、保健所対応も限界を来しました。 そのため、県はオミクロン株の特性を踏まえ対策を強化し、八月五日には特措法に基づく「岐阜県BA・5対策強化宣言」を発令。オンラインで陽性を登録する岐阜県陽性者登録センターの開設、ワクチン接種の加速化などに取り組む一方、社会経済活動を維持するため、新たな行動制限等の要請は行っていません。 国は、感染が広がりやすいオミクロン株に対応するため、コロナ対策を見直し、今月二十六日からは感染者の全数把握について、重症化リスクの高い感染者に限定した届出に簡略化されました。また、オミクロン株対応型のワクチン接種の供給が始まり、今後、接種の本格化が期待されます。 現在、飲食店や観光地の客も少しずつ戻りつつあり、今後のインバウンドの増加にも備えて医療提供体制の充実も図っていく必要があります。そのような中、高山市では外国人向けワンストップ医療相談窓口を開設するなど、市民と観光客、両方の安全・安心を確保する体制整備を進めています。 現在の新規陽性者数は減少傾向にありますが、今後も新たな変異株の出現により感染が再拡大することが懸念されており、その際には県民の生命と健康を守るため、ウイルスの特性に応じた効果的な感染対策を早期に行うとともに、社会経済活動との両立を図っていくことが必要だと考えます。 そこで、知事に質問します。 第七波までの現場での経験を踏まえ、社会経済活動との両立が実現する社会づくりに向け、より実効性の高い感染症対策とするためのお考えをお尋ねします。 次に、宅地造成及び特定盛土等規制法の今後の法施行に向けた準備状況についてお尋ねします。 今月、台風十四号、十五号が相次いで日本列島を直撃し、各地に被害をもたらしたところです。近年、気候変動の影響により、毎年のように大雨による被害が発生しています。 昨年七月には静岡県熱海市で大雨に伴って盛土が崩壊し、大規模な土石流災害が発生し、二十八人の死者・行方不明者が出るなど、甚大な人的・物的被害をもたらしました。犠牲になられた方々に、改めて追悼の誠をささげます。 全国各地の盛土の安全性については、昨年度、国の要請に基づく総点検が実施され、岐阜県では昨年十月に設置された盛土規制連携会議の下、六百四十九か所の現地点検を行い、いずれも直ちに崩落等の危険のある箇所ではなかったものと承知をしています。 他方、盛土の法規制に関しては様々な法令も数多く存在し、個別法では規制対象とならない盛土を一律に規制する法律がなかったことから、本県議会は昨年十二月、盛土の流出や崩落による災害を防止するための法整備を速やかに行い、全国統一の安全基準を定めることなどを求める意見書を国に提出しました。 こうした意見などを踏まえ、国は、本年五月に宅地造成等規制法の名称・内容を改正し、「宅地造成及び特定盛土等規制法」が公布され、現在、今後の法施行に向けた準備が進められているところです。 この法改正により、宅地や森林、農地といった土地の用途にかかわらず、指定された区域内で行われる盛土等が全国一律の基準による都道府県知事等の許可制となり、違反者への罰則なども強化されます。また、改正法の下、今後、都道府県等は、地形等に関する基礎調査の実施、基礎調査の結果を踏まえた規制区域の指定、規制区域内で行われる盛土等の許可、許可を受けた盛土等の中間検査及び完了検査などの役割を担うこととなっています。 そこで、環境生活部長に質問します。 今回の改正法は来年五月に施行が予定されていますが、今後の法施行に向けた国及び県の準備作業は現在どのように進められているのか、御答弁をお願いします。 次に、岐阜県避難所運営ガイドラインの改訂についてお尋ねします。 大雨や台風、そして地震などの災害発生時、特に初動期においては避難所や友人・親戚宅への避難など、自分の身は自分で守る自助と、自治会による避難の呼びかけなど、自分たちのまちは自分たちで守る共助が大切であります。そして、その後、行政が行う公助の一つとして、各市町村による避難所の設置・運営があります。 現在、避難所の利便性という点では、例えば自家発電機が避難所に設置されたことにより携帯電話の充電が可能となったり、Wi-Fiの整備・普及によって家族の安否確認や防災情報の収集ができるようになるなど、徐々に改善されてきてはいますが、しかし、まだまだ避難所の生活は過ごしやすいものとは言えず、女性や子育て家庭など、多様なニーズに応えていく必要があると感じています。 そういった中、本年四月、国が避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針の改定を行いました。その改定内容は、新型コロナウイルス感染症への対策や防災機能設備の確保だけでなく、例えば女性や子供への配慮としてプライバシーの確保はもちろん、女性用のトイレや休養室、キッズスペースといった、昼夜を問わず安心して利用できる場所の確保など、避難所における生活環境等の改善が盛り込まれています。 これらの内容は、本県の避難所においても当然早期に実現すべきものであり、本県の避難所運営ガイドラインを早急に見直し、市町村に示す必要があると考えます。 そこで、危機管理部長に質問します。 今般の国の指針の改定に伴い岐阜県避難所運営ガイドラインの見直しをどのように進めていくのか、御答弁をお願いします。 次に、交通事故の防止についてお尋ねします。 本年五月十一日、県内の交通事故による死亡者数が四月十二日から一か月で十人に達したため、県内では十年ぶりに交通死亡事故多発県内警報が発令されました。 今年一月から八月までの累計で見ても、死亡事故は四十一件、四十四人発生し、死者数が前年より二人増加しています。その中身を見てみると、年齢層別では高齢者の死者が二十七人で全死者の六割強を占め、このうち七十五歳以上の高齢者が二十一人と目立っています。他方、事故の状態別では、自動車乗車中の死者が全死者の五割強を占めるほか、歩行中や自転車乗用中の死者も多く、四割を占めています。 また、飲酒関係の事故が六件と、昨年一年間での発生件数を既に二件上回っています。 県警の担当者に話を伺ったところ、高齢歩行者の交通死亡事故は夜間に多く発生していることから、反射シールを配布するだけでなく、警察官がその場で高齢者の靴に直接反射シールを貼り付けるといった活動も地道に行っているとのことです。 昨年一年間の県内の交通事故による死者数は六十一人で、十年前から半減はしていますが、朝、元気に出かけた家族が突然交通事故により帰らぬ人になるというニュースを見ると心が痛みます。しかし、いつ何時私たちも事故を起こす立場になるか分かりません。改めて交通ルールを遵守して安全運転に心がけたいものです。 そこで、警察本部長に質問します。 本年の交通死亡事故の特徴を踏まえ、交通事故防止に向けてどのように取り組むのか、御答弁をお願いいたします。 ここで、三回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 社会経済活動と感染症対策、その両立についてのお尋ねがございました。 本県では当初からこの新たな感染症は国家的危機事案であり、全県民的危機事案であるという認識の下で、県、市町村、関係団体、県民のオール岐阜体制で対策を講じてまいりました。その際、専門知による感染症の分析・提言を基礎としつつ、先手先手で総合的な対策の実施を決断する、いわゆる「岐阜モデル」の徹底を心がけてまいりました。 そして、昨年の第五波までは、時には社会経済活動を制限する施策も講じ、特に飲食店等の営業時間短縮につきましては九九%以上の店舗に御協力いただくなど、県民の皆様の御理解、御協力をいただきながら感染拡大を懸命に抑え込んでまいりました。 こうした中、昨年末から感染拡大したオミクロン株による第六波では、半年にわたりこれまでにない高い水準で増加と減少を繰り返し、医療現場や保健所の業務は熾烈を極めました。その一方で、重症化リスク、死亡リスクはこれまでの波と比較して有意に低い水準となりました。 このような推移を踏まえて、社会経済活動を制限する方向から徐々に社会経済活動とのバランスを図る方向に転換してまいりました。そして、感染症対策としては、重症化リスクの高い高齢者などへの対応に重点化するとともに、県民の皆様の命を守る観点から、救急医療をはじめ、通常の医療の維持にもしっかりと対応してまいりました。 そして迎えた第七波では、第六波をはるかに上回る未曽有の規模、スピードで感染が拡大いたしました。その一方で、重症化リスク、死亡リスクはさらに低下しております。これに対して、本県としては外来・入院医療、自宅療養支援、保健所対応の広範な分野において、限られた人的資源、医療資源を重症化リスクの高い方への対応に重点化したわけであります。 また、重症化リスクの低い自宅療養者につきましては、国が示す全数届出の見直しを踏まえ、必要最小限の情報を把握した上で、その後の速やかな健康相談への対応や療養支援を行う岐阜県陽性者健康フォローアップセンターの運用を今週二十六日から開始したところでございます。これらに併せて、保健所の対応についても業務の縮小、再整理を行ってきております。 このように、第七波では、本県において十八万人を超える、かつてない突出した多くの陽性者が確認されましたが、社会経済活動を大きく制限することなく、県民の皆様の命を守る体制を何とか維持できたのではないかというふうに考えております。 そして、令和四年度当初予算及び六月補正予算では、社会経済活動の再活性化にも取り組んできております。さらに、今回の九月補正予算においても同様の取組を継続しております。 このところ、第七波もようやく減少傾向が確かなものとなってきたことから、今月末をもってBA・5対策強化宣言を解除することとしております。 今後とも、県民の皆様の命と暮らしを守り抜くことを基本に、状況の変化を見据えながら、緩むことのない感染症対策と確かな社会経済活動の再生の両立に向けて全力で取り組んでまいります。 ○議長(平岩正光君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) 宅地造成及び特定盛土等規制法の今後の法施行に向けた準備状況についてお答えをいたします。 本年五月二十七日に公布された盛土規制法は、危険な盛土等を土地の用途に関わらず全国一律の基準で包括的に規制するものです。 現在、国においては法の施行に向け有識者検討会を設置し、盛土等の安全基準の在り方や規制区域の指定に必要な基礎調査の実施方法等の検討が進められています。これらの基本方針は本年九月に具体案が示され、来年の三月には政省令が公布される予定です。 今後、県においては、国の基本方針に基づき県全域を対象に基礎調査を実施した上で、盛土の崩落等によって人家等に災害発生のおそれのある区域を宅地造成等工事規制区域、または特定盛土等規制区域として指定し、規制していくこととなります。 このため、盛土規制連携会議の下、関係部局の土地利用規制に関する既存データの収集など、基礎調査に向けた準備を進めております。 また、法施行後の区域指定に関しましては、国が示す基準や基礎調査の結果を基に、専門家や市町村の意見なども踏まえて検討してまいります。 ○議長(平岩正光君) 危機管理部長 内木 禎君。    〔危機管理部長 内木 禎君登壇〕 ◎危機管理部長(内木禎君) 岐阜県避難所運営ガイドラインの改訂についてお答えします。 県では、各市町村が災害時に避難所を円滑に運営するために作成する避難所運営マニュアルの指針として岐阜県避難所運営ガイドラインを策定し、随時改訂を行っているところです。 具体的には、トイレや休養室などの女性専用スペースの確保や、運営責任者に女性と男性の両方を配置するといった女性の視点を踏まえた避難所運営などを追加するほか、従前より広い居住スペースの確保や宿泊施設等への分散避難の実施など、新型コロナウイルス感染症対策として既に実行している内容も反映してまいります。 現在、三つの市町村に参画をいただき、市町村の避難所運営マニュアルと並行して県ガイドラインの改訂作業を進めており、年内をめどに両者の改訂版を併せてお示しする予定としております。 こうした取組を通じ、全ての市町村において新ガイドラインに則したマニュアルが早期に作成され、避難所運営が適切に行われるよう、引き続き支援してまいります。 ○議長(平岩正光君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 交通死亡事故抑止のための取組についてお答えします。 議員御指摘の交通情勢の下、当面の交通死亡事故抑止のための重点は、高齢者の事故防止と飲酒運転の防止であります。 まず高齢者の交通死亡事故を防止するには、高齢者を対象とした客体指向型の予防策を推進することが重要になります。その上で、自動車運転者、自転車利用者、歩行者という状態ごとに、本人の意識・行動及び本人の意識・行動を補う物的要因という各側面から取組を進める必要があります。 具体的には、安全運転や安全通行の意識を高めていただくために、広報媒体や家庭訪問を通じた交通安全情報の発信に努めております。また、安全運転や安全通行を実践していただくために、シミュレーター等を活用した参加・体験・実践型の交通安全教育の実施に努めております。そして、物的要因としては、反射シールの配布・貼付、安全運転サポート車の普及啓発等に努めております。 次に、飲酒運転に係る交通死亡事故を防止するには、安易に飲酒運転をする気の緩みを戒める啓発的・警告的な予防策や、飲酒運転を回避するための助言的な予防策を推進することが重要になります。 具体的には、飲酒運転の危険性や飲酒運転事故の実態を伝える広報、県警察ホームページに設けた飲酒運転根絶情報コーナーへの情報提供の呼びかけ、飲酒運転に重点化した交通指導取締り、ハンドルキーパー運動への参加呼びかけ、公共交通機関の利用促進等に努めております。 ○議長(平岩正光君) 三十五番 伊藤秀光君。    〔三十五番 伊藤秀光君登壇〕 ◆三十五番(伊藤秀光君) 御答弁ありがとうございました。 次に、魅力あふれる地域づくりについて、二点お尋ねします。 最初に、「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四に向けた県民の文化・芸術活動に対する意識高揚の取組についてお尋ねします。 令和六年度に岐阜県で開催される「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四は、第三十九回国民文化祭と第二十四回全国障害者芸術・文化祭を合わせた統一名称です。 国民文化祭は、天皇皇后両陛下がお出ましになられる文化の祭典で、全国植樹祭、全国豊かな海づくり大会、国民体育大会と並んで四大行幸啓の一つであり、岐阜県では、平成十一年以来二十五年ぶり二回目の開催となります。 また、全国障害者芸術・文化祭は平成二十九年から国民文化祭と一体的に開催されており、岐阜県では平成十四年以来二十二年ぶりの二回目の開催となります。 本年四月に公表された「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四の基本構想では、「ともに・つなぐ・みらいへ~清流文化の創造~」をキャッチフレーズとして、開催に当たっては、「清流の国ぎふ」の文化力を結集・発信、次世代を見据えた文化芸術の創造、文化芸術で人が輝く共生社会の実現、国民文化の大交流の実現の四つの柱を基本として取り組むこととされています。 二年後の開催ではありますが、県民の文化・芸術活動を継続・発展させ、本県の魅力を改めて知り、学び、そして国内外に発信する大会にするためには県民が総参加することが必要であり、そのため今から県民の文化・芸術活動への意識を高めていく必要があると考えます。 そこで、知事に質問します。 令和六年秋に開催される「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四に向け、県民の文化・芸術活動に対する意識高揚にどのように取り組むのか、御答弁をお願いします。 次に、二〇二四年パリオリンピック・パラリンピックに向けた競技力向上の取組についてお尋ねします。 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが昨年開催され、コロナ禍で中止・延期を求める声も大きい中、ほとんどの競技が無観客で行われましたが、感動的な大会となり、大会関係者やアスリートからは、日本という国、そして日本人に対する絶賛の声が上がりました。本県は、オリンピック出場三十人、パラリンピック出場十人という高い目標を掲げ、本県ゆかりの選手の競技力向上に取り組んだところ、オリンピックには三十二人、パラリンピックには九人出場し、四人がメダルを獲得するなど、それぞれが輝かしい活躍をされたことは皆さんの記憶に新しいところです。 また、二〇二二年北京冬季オリンピックが本年二月に開催され、本県ゆかりの選手が三人出場し、三選手ともメダルを獲得し大きな感動と勇気をいただきました。 次の二〇二四年パリオリンピック・パラリンピックは二年後に迫っており、本年三月に策定された第二期清流の国ぎふスポーツ推進計画においては、パリ大会への出場選手数の目標としてオリンピック二十五人、パラリンピック十人を掲げています。 東京大会に向けては、平成二十六年度以降、本県は百四十九人の強化選手を指定し、遠征、合宿などの活動に係る財政支援を行うほか、飛騨御嶽高原高地トレーニングエリアや川崎重工ホッケースタジアムなど、世界でもトップレベルのトレーニング施設を整備しました。また、特にパラアスリートに対しては、動作解析など個々の特性に応じた医・科学サポート体制の充実を図るなど、競技力向上に取り組み、成果を上げました。 本県ゆかりの選手の活躍は、郷土の誇りと県民のスポーツに対する関心を高めます。その結果、スポーツを楽しむ県民が増え、県民の心と体を元気にし、活気あふれる魅力的な地域づくりにつながると考えます。 そこで、清流の国推進部長に質問します。 パリ大会に向けて本県ゆかりの選手に対する強化支援にどのように取り組むのか、御答弁をお願いします。 ここで、四回目の質問を終わります。 ○議長(平岩正光君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四に向けた対応ということでのお尋ねでございます。 新型コロナウイルス感染症は、確かに人と人との触れ合いの機会を奪い、人間関係の希薄化を招いております。令和二年三月のテレビ演説で、ドイツのメルケル前首相が「今は、人と距離を置くことが唯一、思いやりです」と語ったことが大変印象深く思い起こされるわけであります。 文化・芸術分野におきましても例外ではなく、長引くコロナ禍にあって様々な活動が制限を余儀なくされてまいりました。そうした中にあっても、県民の文化・芸術活動が少しでも着実に展開されていくように、県としてもできる限りの支援を進めてまいりました。 例えば本県が誇る地歌舞伎勢揃い公演でありますが、しばしば延期を余儀なくされつつも、令和二年一月から二年をかけて予定の十三公演を全て実施することができました。また、本年四月からは二巡目の十二公演をぎふ清流座にて開始をしたところであります。 また、円空大賞展、ぎふ美術展、Art Award IN THE CUBEといった定期の大規模な展覧会も継続開催しているほか、今月に入り、現代陶芸美術館の「開館二十周年記念ロマンティック・プログレス」展、県美術館の開館四十周年記念「前田青邨展」と続いておるわけであります。 また、来月には先ほども話題になりました大関ケ原祭、さらに全国将棋サミット二〇二二、そして百人を超える文化人が集まり、様々な文化行事を行い発信するエンジン〇一in岐阜などを予定しております。 加えて、障がい者の文化・芸術の分野では、県障がい者芸術文化支援センターを中心に、市町村や地域の団体等と連携した作品展を五圏域でそれぞれ開催しております。 一方で、コロナ禍での経験を踏まえて、デジタル技術を活用した時間や場所にとらわれない文化・芸術の新たな鑑賞機会もスタートしております。具体的には、例えばぎふ美術展を遠隔で体験できる3Dバーチャル美術展を公開したほか、県博物館の収蔵品をオンライン配信するデジタルミュージアムも大変好評をいただいております。 このような積み重ねと実績を基に、言わばその集大成として、令和六年秋に「清流の国ぎふ」文化祭二〇二四を開催いたします。 本年四月には「清流文化の創造」をキャッチフレーズとした基本構想を策定し、七月には市町村のほか、文化団体、観光、福祉、産業などの様々な関係団体の参加の下、実行委員会を立ち上げ、オール岐阜による推進体制を整えたところでございます。 現在は、企画委員会において、市町村、文化団体、県の各部局などから提案のあった三百六の事業について、有識者の方々にブラッシュアップを進めていただいております。 また、高等学校文化部のインターハイと言われております全国高等学校総合文化祭も同じ令和六年度に開催されることから、これとの相乗効果も期待されております。 今後、着実に「清流の国ぎふ」文化祭の準備を進め、まさに県民総参加による清流文化創造の集大成と言えるような文化・芸術活動の高揚を目指してまいりたいと思います。 ○議長(平岩正光君) 清流の国推進部長 長尾安博君。    〔清流の国推進部長 長尾安博君登壇〕 ◎清流の国推進部長(長尾安博君) 二〇二四年パリオリンピック・パラリンピックに向けた競技力向上の取組についてお答えをいたします。 県では、過去最高の四十一選手が県ゆかりの選手として出場した東京大会の後、選手や競技団体から意見を聴取し、パリ大会に向けた県の支援の在り方を検証いたしました。 その検証結果を踏まえ、新たな取組として、オリンピックについて選手層が比較的薄いBMX等のアーバンスポーツにおいて、全国大会等の成績から将来有望な選手を積極的に強化選手に指定をしてまいります。 また、パラリンピックについて、有能な選手に複数の競技を体験させることやデータに基づいた丁寧な相談等を実施し、活躍が期待できる競技を選手が選択できるよう支援をしてまいります。 加えて、これまでの取組をさらに充実させるため、県の強化指定選手を引退後に指導者として積極的に登用するほか、スポーツ科学センター及び御嶽濁河高地トレーニングセンターの利用促進、最新フィジカル機器の導入による医科学サポートの充実、福祉友愛アリーナ及び福祉友愛プールにおけるパラ選手への強化練習の機会の拡充支援など、強力に選手をサポートしてまいります。 ○議長(平岩正光君) 三十五番 伊藤秀光君。    〔三十五番 伊藤秀光君登壇〕 ◆三十五番(伊藤秀光君) 御答弁ありがとうございました。 最後の五分割目は、未来を担う人づくりについて、三点お尋ねします。 最初に、「ぎふ木育」地域拠点施設整備構想の策定についてお尋ねします。 岐阜県は日本を代表する森林県で、岐阜県民は古くから豊かな森林の恵みを受けながら、木に親しみ、木と共に暮らしてきました。 「ぎふ木育」は、そのような木と共生する文化を受け継ぎ、ぎふの豊かな自然が育む伝統文化に誇りを持ち、地域の将来を担う人を育てる取組です。 県では、そのぎふ木育の総合拠点として、令和二年七月、岐阜市に「ぎふ木遊館」、美濃市に森林総合教育センター「morinos」を開設しました。 ここで、それぞれの施設の概要を改めて御紹介しますと、ぎふ木遊館は建物や備品等のほぼ全ての木質部に県産材を使用するとともに、バリアフリーにも配慮し、県産材で造った十種類の大型遊具や百種類以上のおもちゃを備えた居心地のよい空間となっており、赤ちゃんから大人まで幅広い年齢層の方が一緒に木と触れ合える場所となっています。新型コロナ感染防止対策のため入館者数制限等を行う中、本年八月には累計入館者数が六万人を達成しました。 また、morinosは、自然に囲まれた環境を生かした多彩な体験プログラムが用意されており、全ての人が森とつながり、森と暮らす楽しさや森林文化の豊かさを感じることができる場所です。リピーターも多く、本年八月には累計利用者数が三万人を達成しました。 しかし、その来館者は、ぎふ木遊館は約八割が岐阜圏域から、morinosは約五割が中濃圏域からとなっており、広く県民の方に御利用いただいているとは言えない状況です。両館とも、森や木への理解を深めるとともに、子育てにとってもとてもよい施設であるため、県内五圏域、全ての県民の方が気軽に利用できる身近な場所にぎふ木育の拠点となる施設が必要だと考えます。 そこで、林政部長に質問をします。 県では今年度、ぎふ木育の全県展開のため、地域拠点施設の整備に向けた調査を実施し、構想を策定中ですが、その方向性について御答弁をお願いします。 次に、教員の資質向上に向けた取組についてお尋ねします。 教員免許に十年の期限を設けて更新時に講習受講を義務づける教員免許更新制は、平成二十一年四月から導入され、教員の学びの機会の拡大、教員の資質能力の向上に対する大学の関与の拡大、良質な学習コンテンツの形成など、一定の成果を上げてきました。 一方で、近年、グローバル化や情報化の進展により、教育をめぐる状況の変化も速度を増すとともに、オンライン研修の拡大や研修の体系化の進展など、教員の研修を取り巻く環境も大きく変化してきました。 こうした変化を前向きに受け止め、教員や学校のニーズや課題に応じた個別最適で協働的な学びを主体的に行う教員の新たな学びの姿を実現するため、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律が本年五月に成立しました。この法律に基づいて、教員免許更新制が七月に発展的に解消され、来年四月からは新たな研修制度が始まります。 国が本年八月に通知した新研修制度の指針では、校長等が教員の研修履歴を活用し、面談で受講すべき研修を指導・助言することができる柱となっており、理由なく受講しないなど、問題のある教員への対応策も盛り込まれていました。 都道府県教育委員会等は、この大まかな指針の下、地域の実情に応じて教員としての資質に関する指標を設定し、指標を踏まえた教育研修計画を今年度中に策定することとされています。 岐阜県の未来を担う人づくりのためには、直接の教育の担い手である教員の研修を充実させ、その資質を向上させることが最も重要だと考えます。また、教員が健康でやる気を持ってその能力を発揮するため、新たな研修制度により多忙な先生方の残業がさらに増えることがないような配慮も同時にしていただきたいと思います。 そこで、教育長に質問します。 新しい研修制度の下、教員の資質向上に向けて今後どのような取組を行っていくのか、御答弁をお願いします。 最後に、未来を創る学びを実現するための取組についてお尋ねします。 私は、今年五月、東京で開催された教育総合展で、日本マイクロソフト株式会社の中井陽子様、慶應義塾大学の鈴木 寛教授の講演を拝聴する機会があり、講演終了後の名刺交換の際に、お二人から岐阜県教育委員会と一緒にICT教育についていろいろと先進的な取組をしていますとのお話をお聞きしました。そこで、岐阜に戻り、早速、県教育委員会に具体的な話を伺いました。 担当者の説明によると、県教育委員会は昨年六月、日本マイクロソフト株式会社及び慶應義塾大学SFC研究所と産学官連携協定を締結し、ICTを活用しながら、未来を創る学び共同研究事業や校務のデジタル化による働き方改革推進事業に取り組んでいるとのことです。 共同研究においては、未来を創る学びを、急速な情報化の進展等により複雑性、不確実性、多様性が増大しつつある社会において求められる「正解のない課題に対して、他者とともに答えを見いだしていく力を身につけること」と定義し、岐阜県の未来の教育の在り方を研究してみえます。指導に当たっている鈴木教授からは、挑戦的な取組として高い評価をいただいていると伺いました。 本県においては、令和二年度に全ての県立高校及び特別支援学校の児童・生徒に対するタブレット端末の配付も完了し、ICT環境は整っていますが、今後はその環境を活用しながら新しい時代を創る力を身につける岐阜県の新しい学びを実現していくことが重要であると考えます。 そこで、教育長に質問します。 協定に基づくこれまでの取組の成果、また今後の取組の方向性について、御答弁をお願いいたします。 今回の質問は以上です。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(平岩正光君) 林政部長 高井峰好君。    〔林政部長 高井峰好君登壇〕 ◎林政部長(高井峰好君) 「ぎふ木育」地域拠点施設整備構想の策定についてお答えします。 ぎふ木遊館とmorinosは多くの利用があるものの、利用者に地域的な隔たりも見られるため、今後はぎふ木育の全県展開に向け、木遊館のサテライト施設の整備を進めてまいります。 六月に有識者による検討委員会を設置して整備方針の検討を進めており、委員からは、サテライト施設は両施設から遠い地域を優先すべき、熱意のある市町村等による施設整備を支援する手法が望ましい、また木育人材の発掘や育成、指導者間の連携など、ソフト面の強化が必要との御意見をいただいております。 さらに、市町村への調査では、十七市町村からサテライト施設設置の意向がありました。 このため、県としては、設置を希望する市町村や民間団体による施設整備を支援するとともに、木育人材発掘のための認定制度や指導者のネットワーク組織を設ける方向で検討を重ねてまいります。 今後、十月末までに整備構想を取りまとめ、市町村等に対するサテライト施設設置の公募を開始したいと考えております。 ○議長(平岩正光君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 二点、御質問がありました。 初めに、教員の資質向上に向けた取組についてお答えいたします。 教員免許更新制が廃止され、各教員はおのおのの研修履歴に基づき、校長との面談を経て、真に必要な研修をそれぞれのキャリアに応じて受けることができる研修制度が始まることとなりました。 県教育委員会では、国のこうした改革の方向性を先取りし、昨年度中に大学教授、弁護士等から成る協議会において、従来の学習指導と生徒指導等の観点に、特別な配慮や支援の観点と、これらを効果的に行うためのICTの利活用の観点を加え、新しい教員育成指標を策定いたしました。 今年度からはこの新しい指標に基づいた研修を開始しており、実施に当たっては、集合型とオンライン型を適正に組み合わせるとともに、出張を伴う研修の際には教員が気兼ねなく研修に参加できるよう、各学校に応じた配慮を求めております。 また、校内においては既存の会議を研修の場に活用したり、職員室内の配置を工夫したりするなど、日々互いに学び合うことができるような環境づくりを進めてまいります。 次に、未来を創る学びを実現するための取組についてお答えいたします。 本県では、令和元年度からICT環境整備とこれを活用した授業改善に取り組む中、探究的な学びの深化に向けて新しい価値を創造する力を身につける学びの模索が課題となりました。このため、昨年、日本マイクロソフト社や慶應義塾大学と協定を締結し、二か年にわたって共同研究を進め、指導教員の育成に努めているところです。 研究では、自ら志望した教員が学校種、教科の垣根を超えてグループを編成し、生徒の主体性・自己肯定感の育み方や知的好奇心をかき立てられるわくわくする授業など、八つのテーマについて取り組みました。その結果、グループ探究を通した分析・考察の深化や、主体的・行動的な学びの有用性を認識できる人材が育成されており、指導を受けた鈴木 寛教授からも、学校現場に軸足を置いた実証的で質の高い研究と高評価をいただいております。 協定は今年度末で完了の予定ですが、来年度以降は、この共同研究を行った六十一名の教員が中心となり、各学校において自ら得た知見を実践することで教員全体の資質向上に努めてまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(平岩正光君) しばらく休憩いたします。 △午後零時五分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(加藤大博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(加藤大博君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。三十九番 渡辺嘉山君。    〔三十九番 渡辺嘉山君登壇〕(拍手) ◆三十九番(渡辺嘉山君) ただいま本会議デビューの加藤副議長より発言のお許しをいただきました。通告に従い、県民クラブを代表して、大きく十三項目十四点について、四分割で質問させていただきます。 まず初めに、止まらない円安について簡単に申し上げます。 先週一時一ドル百四十五円を超え、二十四年前の水準となりました。 政府は、二〇一三年日本再興戦略で大胆な金融政策として大規模な金融緩和を行い、株価は値上がりましたが、同時に円安を起こし、輸入業者等これに関連する人々に大きな打撃を与えることになりました。 そして現在、物価上昇により一般生活者の暮らしを圧迫しています。 アメリカFRB(連邦準備制度理事会)は、継続的に引き上げるのが適切だとして、先週三回連続で〇・七五%の利上げを行いました。そして、円安がさらに加速しましたが、日本政府は断固たる措置といって、二十四年ぶりの為替介入を行いました。 日銀黒田総裁は、当面金利を引き上げるようなことはない、この先二、三年は続ける必要があると言っています。なぜかといえば、国の公的債務千二百五十五兆円で利率を一%上げると、利払いは十二・五兆円必要となり、年間予算の一〇%以上を占めることになり、上げたくても上げられない状況になっていて、このままの施策を続けなきゃいけない状態にあることは皆さんも御承知のとおりです。 この物価高は結局弱者、国民に重くのしかかってきます。金融じゃぶじゃぶのマネーゲームではなく、本当の意味の人のための施策、日本経済を底上げしていく施策等が必要であると思います。企業が競争力をつけ、賃金が上がる社会をつくるべきなのに、二、三年はこのままの状態だと日銀が代弁している状況は、残念を通り越し、国力の低下、日本の危機さえ感じます。 こういった状況の中、国ではなく、地方からも改革していかなければならないと思います。古田知事は県行政のトップとして、県民サービスを低下させない県行政を行っていただきたいと期待していますし、一緒に汗をかいていきたいと思います。 まず初めに、今後の財政見通しについて、知事にお伺いします。 国において、令和五年度予算編成に向けて各省庁が何に幾ら使うのかを示す概算要求が出そろい、要求総額は百十兆円に上り、過去最大だった令和四年度に次ぐ規模となりました。 概算要求とともに公表された地方財政収支の仮試算によれば、地方の一般財源総額は前年度を〇・八兆円上回る六十四・七兆円で、その内訳である地方交付税は〇・一兆円増の十八・二兆円、臨時財政対策債は〇・五兆円減の一・三兆円となっています。 地方の安定的な財政運営にとって必要不可欠であり、地方固有の財源である地方交付税や交付税の代替措置として強いられている臨時財政対策債に係る公債費など、国の責任においてしっかりと財源を確保すべきものは国に対して強力な働きかけが必要です。 先般、本県の令和三年度一般会計決算見込みが公表され、歳入歳出総額ともにそれまで最大であった令和二年度を超え、過去最大となりました。 歳入面では、企業収益が回復基調にあること等を背景に、県税収入が前年度に比べ増収となりました。県の自主財源のうち最も大きなウエートを占めるのは県税であり、規律ある財政運営のためには、税収増へとつなげる地域や産業の振興の施策はもちろんのこと、税収確保対策に全力で取り組んでいくことが必要です。 また、歳出面も、新型コロナウイルス感染症対策や県庁舎建設事業などの影響により増加となりました。公債費も令和二年度までの減少傾向から増加に転じるとともに、県債発行残高が増加しており、今後の歳出増への影響が懸念されるところであります。 さらに、依然として終息に至っていないコロナ禍や昨今の物価高などの影響により、歳入歳出面への影響が不透明となっており、引き続き、節度ある財政運営が必要だと思われます。 そこで、公債費の増加など構造的な課題に加え、物価高や円安の影響が見込まれる中、今後の中期的な財政見通しについて、知事にお伺いします。 次に、二十年先を見据えた今後の職員定数の在り方についてお伺いします。 地方公務員法の改正により、地方公務員の定年は国家公務員に準じ、令和五年四月一日から二年に一歳ずつ六十五歳まで段階的に引き上げられることとなります。 これに伴い、職員の定年引上げに関し、必要な事項を定めるため、今定例会に関係条例の一部を改正する条例案が上程されました。可決されれば、一般職員の定年は令和十三年度から六十五歳になります。 さて、お手元に配付しております資料一を見ていただきたいと思います。(資料を示す) これは、令和三年四月一日現在の行政職員の年齢別、性別職員構成を表しています。この中には、教育委員会や警察に在籍する職員も一部含まれておりますが、右側の大きな全職員数のグラフを見ますと、令和五年度以降に定年を迎えると見込まれる五十八歳以下の職員のうち、特に四十五歳以上の職員がほかの年代の職員と比べると突出して多くなっています。また、かつて当県の財政再建期間に採用抑制が行われた三十代後半の職員が極端に少なくなっています。 ベテラン世代が定年引上げにより在籍し続ければ、当面職員は潤沢に確保できます。しかし、だからといって新規採用者数を抑制すると、組織として先細りとなると思われます。そして、このままいくと、二十年先には急激に職員が減って、大量採用が必要となり、現在のようないびつな職員構成になってしまいます。 (資料を示す)さらに、資料二は、令和四年三月末現在の工業系研究職の年齢構成を表していますが、二十代、三十代は僅か十九人しかおらず、二十年後には業務継続が困難になる可能性が高くなると思われます。今から中長期的視点で採用計画を考えるべきではないでしょうか。 ピーク時には一年に三百人くらいを採用されていましたが、現在は百九十人ほどということです。しかも一年間に中途退職者が四十人から五十人も出れば、百九十人採用しても百五十人しか残らないことになります。特に入庁してから間もない若い世代では、やりがいや待遇などが入庁前に聞いていた話と違う、ほかにもっといい職場があるのではと退職してしまうという危険性もあります。 採用枠は常に一定である必要はなく、安易に減らすべきではありません。人口当たりの職員数で見ると、岐阜県は全国でも下位であり、職員の負担軽減や県政の安定運営のために増やしてもよいのではないかと考えます。 また、仮に不足する職員を非正規職員で補おうとすれば、より多くの人手が必要となり、既に学校において非正規職員による補充によって正規の教職員にしわ寄せが行き、疲弊されているように、職員の負担が増えることも懸念されます。何より県民に対して責任を持った仕事を行うためにも安定運営が可能な職員数の確保を望みます。 組織として新陳代謝が図られないと、職員一人一人の健全な成長や後進の育成が阻まれ、ひいては組織の硬直化や弱体化が進むことが懸念されるため、定年引上げの影響で実質的な職員定数を減らすことなく採用を計画的に行っていく必要があります。 県民サービスの充実のために、職員をきちんと確保するべきであり、人員体制の不備によりサービスの低下や停滞は許されるものではありません。県行政がこの先も適正かつ安定的に続けられるようにすることが知事の責務であり、組織のトップとして行政のことを考え、職員の人員体制を整えるべきであります。 そこで、将来の安定的な行政運営に向けて、定年引上げやその先の大量退職を見据えた積極的な採用を行い、職員の増員を図るべきと考えますが、二十年先を見据えた今後の職員定数の在り方について、知事にお伺いします。 次に、県職員のモチベーション低下に対する現状認識と向上に向けた取組方針についてお伺いします。 岐阜県職員組合が行ったアンケートによれば、県職員のモチベーションは過去五年間で最低となっています。平成三十年度は、モチベーションが「かなり高い」「まあまあ高い」という回答が三五%であったのに対し、今年度は三〇%に低下しています。また、モチベーションが「低い」「やや低い」という回答についても平成三十年度の三一%から三九%に上昇し、職員のモチベーションの低下が顕著となっています。特にコロナ関連部署は、モチベーションが「かなり高い」「まあまあ高い」が一二・四%で、全部署で見た場合の半分以下、そして「低い」「やや低い」が四六%となっており、大変憂慮すべき事態であります。 モチベーションの低い理由は、職員数の不足、業務量の増加、やりがいの欠如などであるとされています。特にコロナ関連部署では、残業、休日出勤などの時間外勤務の多さ、不慣れや困難などによる業務内容、いつまで続くのか分からないという先行きの不透明感が挙げられ、今年四月から八月までの時間外勤務については、月四十五時間を超える職員が四割弱おり、長期化していることも問題であります。いずれも人員と業務量のアンバランスが根底にあると思われます。 さて、少し話は変わりますが、愛知県では行政経験者向けの採用制度を今年度創設されました。 具体的には行政経験者を即戦力として採用しようというもので、国家公務員一般職の大卒程度や、都道府県、政令指定都市の地方公務員の大卒程度であれば、十年以上の職務経験のある人を経歴などの書類審査と面接のみで選考されます。既に四月募集分として、事務職、技術職の計四名が合格されています。さらに六月にも募集が行われ、八月から十月にかけて選考されることとなっています。 岐阜県庁で培った経験が生かせ、なおかつ愛知県へのアクセスが容易な岐阜県から、給料が高く、遠距離通勤や引っ越しを伴う遠隔地勤務の負担が少ないと思われる愛知県庁への転職は魅力的に映るのではないでしょうか。十年以上の職務経験を積んだ人材は、将来の岐阜県庁を担う貴重な戦力であり、万一流出されたら大きな損失です。大変危惧しています。 さて、既に新型コロナ感染症が流行して約三年が経過しました。これまで発生初期のえたいの知れないウイルスへの対応の模索から始まり、医療機関・宿泊療養施設の体制整備、自宅療養の支援、ワクチン接種体制の推進など、職員の必死の対応のおかげで今に至っています。 しかし、各部署のマネジメントや職員の頑張りと忍耐でしのぐには、精神的にも肉体的にも限界を迎えている、いや、超えていると言っても過言ではありません。県行政の担い手である職員のモチベーションが低いままでは、いつか行政サービスの提供に支障が出るのではないかと心配しています。県民のために、組織として職員のモチベーションを低いままにしてはならず、向上させなくてはいけません。 そこで、組織のトップとして、職員のモチベーション低下をどう捉えているのでしょうか。また、モチベーションの向上に向けてどのように取り組まれる方針か、知事にお伺いします。 次に、参与ポストの意義についてお伺いします。 今年度の春の人事異動により、四月一日から新たに参与ポストが設置されました。 知事は、三月二十四日の記者会見において、「参与は特命的な職務をやっていただくということで、特に来年の一月から庁舎が変わりますので、「新しい酒は新しい革袋に盛れ」ということで、どういう酒を盛るか、中長期的な構想も含めてブレーンワークとしていただこう」などと述べておられます。 しかし、その後、財務省から出向されていた前総務部長が六月末に退職して財務省に復帰されました。その後任として当時の参与が総務部長に就任され、僅か三か月で参与ポストは不在となりました。 そこで、四月の人事異動でせっかく重要なポストとして参与を置かれたのであれば、七月の総務部長の人事異動の際も、参与の後任者を置くべきであったと考えますが、参与ポストを設置した意義について知事にお伺いし、一回目の質問を終わります。 ○副議長(加藤大博君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 県の財政、組織、基本となるところについて、四点お尋ねがございました。 まず今後の財政見通しでございますが、本県の財政状況から申し上げますと、先月取りまとめました令和三年度の決算見込みにおきましては、企業収益の回復基調などを背景に、税収や地方交付税が前年度より増加しております。その結果として、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は九二・四%から八四・七%とかなりの改善が見られたわけであります。 一方で、国土強靱化対策、あるいは社会資本の老朽化対策などに係る県債の発行額の増加に伴い、実質公債費比率は五・九%から六・一%へと若干ながら増加に転じております。 こうした中、今年度もコロナ対策に加え、物価高や円安の影響で厳しい状況にある県民生活や地域経済への対策を図らなければならないわけであります。このため、本日の追加上程も含めて、今年度だけでも既に四次にわたる補正を行い、総額一千百二十一億円に上る予算を編成するなど緊急的な対応が続いているわけであります。 また、税収の見通しにつきましても、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動への影響の長期化、急激な物価高、円安などにより一段と不透明さが増しております。したがって、楽観視は到底できないという状況にございます。 こうした中で、本県の今後の財政見通しでありますが、まず実質公債費比率につきましては、今年度当初予算額と同水準の県債発行額を維持しようとすれば、今後七、八年間は増嵩傾向になるという見通しでございます。特に近年は、激甚化・頻発化する災害への備えや公共施設の老朽化対策などにより、通常債の発行額が増加傾向となっていることから、今後は各年度の投資規模には細心の注意を払っていく必要があるというふうに考えております。 加えて、団塊の世代の後期高齢者への到達などにより、一層の増加が見込まれる社会保障関係経費などにも対応していく必要がございます。 このように、一般財源総額の増加を上回る公債費や社会保障関係経費の増加が見込まれることなどから、昨年度末に公表させていただいておりますが、この試算によりますれば、引き続き毎年度百億円程度の財源不足が生ずるという見通しでございます。 こうしたことから、国に対しては十分な地方一般財源の確保を図るよう求めつつ、本県としても事業見直しの徹底による歳出削減など不断の行財政改革に取り組むとともに、めり張りの利いた予算編成を行うことにより、引き続き持続可能な財政運営を確保してまいりたいと考えております。 次に、今後の職員定数の在り方でございます。 本県の職員定数につきましては、現在の職員規模を基本としながら、効率的な行政運営と行政サービスの向上を図ることを旨として決定しております。ただ、その際、退職者の推移、毎年の社会情勢の変化、法や制度の改正や運用の変化などにも丁寧に目配りをしながら、めり張りをつけた対応を行うこととしております。 こうした考えの下で、例えば近年では、新型コロナ対策、DXの推進や児童虐待防止への体制強化のため、保健師、情報分野の職員、児童福祉司などを増員しているところでございます。 御質問の趣旨に沿って、今後二十年間の退職者の推移を見てみますと、まず今議会で御審議いただきます定年引上げの影響がございます。定年が二年に一歳ずつ段階的に引き上げられますと、令和五年度から令和十四年度までは、定年退職者が二年に一度しか生じないということになります。したがって各年度の退職者数は大幅に増減をするということになるわけであります。そして、その後数年間は職員数が最も多い世代が定年退職を迎えるということから、退職者数が高止まりする期間が続くと見込まれるわけであります。その後、令和二十年度以降は徐々に退職者が減少していくと、こういう見通しでございます。 その上で、今後の職員定数について考えてみますと、将来にわたり行政サービスを安定的に継続するためには、大きく三つの課題があると考えております。 一点目は、現在の職員定数に不足はないかということ、二点目は、過去の採用者数の影響で五十代以上の割合が多く、三十代、四十代前半が少ないなど、職員の年齢構成が全体的に不均衡になっているのではないかということ、さらに三点目として、職員構成の偏りが職種ごとに異なっているということでございます。 一点目の職員定数につきましては、これまで、先ほども申し上げましたが、現在の職員規模を基本としてまいりましたが、昨今かつてないペースで危機管理事案が連続していることから、これを踏まえた職員定数の在り方も検討してまいりたいというふうに考えております。 二点目の年齢構成につきましては、現在の不均衡な年齢構成を将来にそのまま持ち越すことがないよう、退職者の長期的な動向を見据えながら、単なる退職補充ではなく、一定の採用者数を継続的に確保してまいりたいと考えております。さらに、全般的に少ない三十代、四十代の職員を確保するため、社会人経験者の採用も引き続き積極的に実施してまいりたいと考えております。 三点目の職種ごとの職員構成の偏りでございますが、研究職をはじめ職種ごとの年齢構成のいびつさを十分に踏まえ、これを解消することができるよう職種ごとに採用の平準化を進めてまいりたいと考えております。 以上、申し上げました考え方を踏まえて、職員定数についてはあくまで持続可能な行政運営を行っていけるよう、総合的に検討してまいります。 三番目の御質問は、県職員のモチベーション低下に対する現状認識と向上に向けた取組方針ということでございます。 議員が御紹介されました職員組合のアンケート結果でありますが、現時点では私どもとしてはまだ承知しておりませんので、そのことを前提に御答弁させていただきます。 ここ五年余にわたって、鳥インフルエンザに始まりまして、豚熱、新型コロナウイルス感染症、さらには想定外の風水害など、重大な危機事案が連続しております。そうした中で、職員の皆さんには大変な負担をかけております。 事案の関連部署の職員や応援職員は言うに及ばず、本務所属に残り、不在となった応援職員の分もカバーしながら業務に取り組む職員も含めて、全ての職員の皆さんにはまさにオール県庁で様々な工夫と努力を重ね、日々献身的に対応してもらっております。改めて感謝を申し上げる次第であります。 職員の皆さんのモチベーションは様々であると思いますが、低下していることについての議員の御指摘については、今申し上げましたような、かつてないペースでの危機管理事案の連続が影響しているのではないかというふうに考えております。 特に新型コロナウイルス感染症について、検査医療体制の確保、ワクチン接種の加速をはじめとする感染拡大への対応に加えて、三十一次にわたる補正予算にも見られるように、事業者支援や生活者支援などの対策で全庁的に業務量が急激に増大し、しかもその先行きがなかなか見えないまま長期化しているといったことが職員の皆さんの心身に大きく影響しているのではないかというふうに考えております。 他方、コロナ対応への応援に加えて、職員自身の感染、あるいは濃厚接触による自宅待機などによりまして、第七波の八月には全職員の約一割の職員が本来の職場から不在となる状況にありました。こうした状況にあっても、職員の皆さんには互いに協力し合い、着実に業務を進めてもらっております。私はつとに危機管理に強い県政を目指そうというふうに申し上げておりますが、この間の県職員の皆さんの対応力を大変心強く感じている次第であります。 そうした中で業務負担を何とか軽減するため、所属内での事業見直し、応援職員の迅速な投入に加えて、外部委託の積極的な活用を図り、さらには市町村から保健所支援のために職員を派遣していただくといったことを含めて、オール岐阜でこの難局に対応してきているところでございます。 また、毎月開催する副知事をトップとする人事管理対策会議におきましては、時間外勤務の状況を検証し、業務配分や人事配置の見直し、健康管理医による健康相談など必要な対策を講じております。 さらに、先ほど申し上げましたとおり、危機管理事案が常態化する中、職員定数の在り方についても検討していかなければならない課題であるというふうに認識をしております。 これらに加えて、モチベーションの向上には働きやすい職場環境の整備が重要となります。 本県では、毎年幹部職員と一般職員との意見交換で、事務事業見直しの職員提案を実施しております。その際寄せられた意見を丁寧に検討し、前例にとらわれず、必要な改善を実施することで見直しの効果を実感するとともに、改善への参加意識を高めてもらえるものと考えております。 私自身、今年五月の意見交換に参加しましたが、若手職員の皆さんからはウェブ会議による時間の有効活用、あるいは妊娠の時期の在宅勤務、ペーパーレスの積極的推進など、総じてワーク・ライフ・バランスの実現やDXによる業務効率化への期待の大きさを感じたところでございます。 こうしたことを踏まえて、ウェブ会議や在宅勤務の活用を進めるとともに、行政手続のオンライン化、電子決裁の導入などによる業務のペーパーレス化など、職員の働き方改革を着実に進めてまいりたいと考えております。 また、働きやすさという点では、新しい庁舎も大きく寄与するのではないかというふうに思っております。 例えば新庁舎のレイアウトは、職員の皆さんの意見を反映するよう検討を重ねてまいりました。その結果として、所属を仕切る壁をなくしたワンフロアということになっておりまして、これが風通しのよい職場にしたいと、そのためには所属を超えた連携が必要だといった若手の職員の皆さんの要望をかなえることになるのではないかというふうに期待をしておるところでございます。 今後とも不断に業務改善や職場環境の整備を図り、職員が持てる力を最大限に発揮し、やりがいを実感できるよう風通しのよい組織運営に努めてまいりたいというふうに考えております。 最後に、参与ポストの意義についてでございます。 この参与というポストは、県の行政組織規則に定める部長級のポストでございます。その時々の県政の課題に応じて特命的な業務を担わせるため設置することとしておるわけであります。 直近では、平成二十八年度から一年間、図書館・博物館の在り方について検討するため、教育委員会に参与を設置いたしました。また、翌二十九年度から三年間は、岐阜清流高等特別支援学校の開校に合わせて、企業と特別支援学校との連携を推進するため、同じく教育委員会に参与を設置しております。 さて、新型コロナ感染の広がりを機に人々の生活や価値観が大きく変容する中で、県政につきましても時代の変化をチャンスと捉えて先を見据えた積極的な県政運営を行っていかなければならないというふうに考えております。こうした観点から、今年度はアフターコロナに向けて、DXの推進、脱炭素社会ぎふの実現、SDGsの推進といった施策をオール県庁で展開しているところでございます。 さらに、来年一月からは新庁舎での業務がスタートいたします。 こうした転換点にあって、未来志向の県政、コロナ後の県政の新たな展開について、中長期的な構想も含めて全庁横断的な視点で検討を進めてもらおうということで、今年四月の人事異動では、知事部局の知事直轄部門に新たに参与を設置した次第でございます。 その後、六月末をもって前総務部長が国に復帰するということになりました。これに伴う七月の人事異動で、参与の職にある職員を総務部長の後任といたしました。 総務部長は、財政、人事など全庁を俯瞰して県政を進める立場にあります。そこで、現総務部長には、四月以来参与として自ら全庁横断的な視点で取り組んできた任務をそのまま引き続き担ってもらうということで対応しているところでございます。 ○副議長(加藤大博君) 三十九番 渡辺嘉山君。    〔三十九番 渡辺嘉山君登壇〕 ◆三十九番(渡辺嘉山君) 次に、県職員の印象と風通しのよい組織づくりに向けた大森副知事の決意についてお伺いします。 七月一日に総務省出身の大森副知事が岐阜県に着任されました。本日午前中の県政自民クラブの代表質問では、県政発展に向けた所信を答弁されました。 私からは少し角度を変えて決意を伺いたいと思います。 私は、今回もそうですが、これまでの一般質問で県民サービスの維持・向上に向け、県職員の皆さんを応援する立場から、県における職場環境の改善に関して何度も質問してきました。 大森副知事は、山形県で総務部長を経験されておられますし、就任会見で「まずはコロナ対策をしっかり取りつつ、生活、産業の面で新しい日常をつくっていくことを県庁職員、議会、県民の皆さんと議論、相談しながら取り組みたい」と抱負を語られています。 ぜひとも県職員と緊密で円滑なコミュニケーションを取りながら信頼関係を築き、岐阜県民の幸せのために尽力していただきたいと思います。 また、外部出身者として客観的に岐阜県の課題を捉えたり、解決策や改善策を見いだすこともできるのではないかとも思っています。刺激を職員に与え、県庁に新しい風を吹き込んでいただきたいと思います。そうした中で、職員おのおののアイデア創出力やモチベーションの向上に加え、組織の活性化、業務の効率化、諸課題の解決など、着実に成果を上げていただくことを期待しています。 そこで、県職員の印象と風通しのよい組織づくりに向けた副知事の決意について、大森副知事にお伺いします。 次に、県職員の働き方改革について、総務部長に二点お伺いします。 まず、長時間労働の是正に向けた取組についてお尋ねします。 新型コロナ対策が長期化し、特に第七波においては感染者数の高止まりが継続する状況となっています。 岐阜県によれば、コロナ関連部署における今年四月から八月までの時間外勤務が月四十五時間を超える職員の割合は四割弱(三七・六%)、つまり三人に一人は長時間労働を行っていることとなります。月百時間以上の過労死ラインを超えて働いている職員も多数いるといいます。コロナ関連部署の実態として、週に一日休むのが限界で、さらに定時退庁は週に一日のみ、ほかの日は時間外勤務が当然とされている部署もあるとのことです。 先ほどの質問でも触れましたが、コロナ関連部署の職員のモチベーションは「低い」と「やや低い」を合わせて四六%、約半数となっており、この要因の一つとして時間外勤務の多さが挙げられているところです。コロナ関連部署に限らず、全部署で見ても令和三年度に法令等により原則的な上限とされている三百六十時間を超えて働いている職員が二割弱(一八・九%)おられます。 コロナ関連部署へ応援職員を出している部署では、残った職員が応援職員の代わりにその業務を担うこととなり、一人で二人分を抱えさせられ、自身が体調を崩していても出勤し、上司に増員を求めても救ってもらえないという絶望的な状況で仕事をしているケースもあるそうです。もし、そうした職員の頑張りがなければ、応援職員が戻ってくるまで業務がたまっていく一方で事務に遅れが生じます。さらに、コロナ関連部署に派遣され、応援業務をこなしながら本務業務も行っている職員もおられるとお聞きしています。そもそも全国的に見て、岐阜県は人口当たりの職員数が下位であり、職員に余裕はないとされています。 こうしたことから、コロナ関連部署と応援職員を出した部署の双方で職員が疲弊しています。さらに、職員の家庭生活でも、家事や育児、家族とのコミュニケーションなどにおいて少なからず支障が出ていると思います。 こうした中、職員から、業務方法や内容を考慮せず、応援職員を出せば何とかなるという考えで安易に応援職員を出させていないか、事務の効率化や外部委託の導入、臨時職員の雇用によって負担軽減できるのではないかという意見が出ています。負担軽減がかなわないのであれば、人員に合わせて事業の縮小・延期等の見直しが必要となってきます。もし新しい業務が追加されるのであれば、それも考慮しなければなりません。 そこで一点目、特にコロナ関連部署の時間外勤務が非常に多い点を踏まえ、長時間労働の是正に向けてどのように取り組まれるのか、総務部長にお伺いします。 次に、男女が共に働きやすい職場環境の整備についてお尋ねします。 近年、県職員の女性の割合が増加し、二十代では男女比がほぼ六対四となっており、年齢によっては女性職員が上回るケースもあるなど、今後もこの傾向が続くと見込まれています。 こうした中、最近行われた岐阜県職員組合女性部のアンケートから、特に育児、不妊、生理にまつわる課題が浮き彫りになりました。例えば育児休業明けで育児部分休業制度を利用しているにもかかわらず、職場に人的余裕がないことから一人分の業務量が割り当てられているそうです。せっかく制度があっても意味がありません。 また、住んでいる地域の放課後児童クラブの利用が難しいことから、現行制度の小学校就学前までから子供の対象年齢の拡大を望む声が多くあるということです。育児のための短時間勤務は、先進県では独自の制度として、子供が小学校三年生まで認められています。 さらに、不妊治療を受ける場合の休暇が最大十日とされましたが、不妊の原因が不明の場合があり、さらなる拡大が必要です。 加えて女性特有の事情として、生理や生理前に数日間続く心や体の不調を指す月経前症候群(PMS)がありますが、女性健康休暇、いわゆる生理休暇は取得しづらく、PMSは生理休暇の対象外で困っている女性職員がおられます。 県では、次世代育成支援対策推進法と女性活躍推進法の特定事業主行動計画を一体的に取り扱うこととし、岐阜県職員子育て支援と女性活躍の推進のための行動計画として定められています。これによれば、子育てを県庁全体で支える意識を高めるための環境づくり、働きながら子育てしやすい職場づくり、職場で子育てを支え合う仕組みづくりなど、五つの柱によって取組が進められることになっています。 この計画は、県内自治体や企業の模範となる県庁の姿勢を示した大変意義深いものですが、実態として適切に運用できているのでしょうか。また、育児・介護休業法が改正され、男性の育児休業取得の促進にも取り組まなければいけません。職員の働きやすい職場環境を確保することはもちろんのこと、人材の維持確保の視点からも、国や他県より先行して取り組む必要があると思います。 そこで、育児部分休業制度が希望どおり取得できるような業務配分、独自措置による育児短時間勤務の対象拡大、不妊治療のための休暇期間の拡大、女性特有の事情への配慮をはじめ、男女が共に働きやすい職場環境を整備するためにどのように取り組まれるのか、総務部長にお伺いし、二回目の質問を終わります。 ○副議長(加藤大博君) 副知事 大森康宏君。    〔副知事 大森康宏君登壇〕 ◎副知事(大森康宏君) 私からは、県職員の印象と風通しのよい組織づくりに向けた決意についてお答えを申し上げます。 まず、県職員の皆さんについての印象でございます。 ふるさと岐阜をよくしたいとの思いを抱き、丁寧に政策課題に向き合い、誠心誠意業務に取り組んでおられると日々感じております。 また、かつて鹿児島県庁ですとか国の内閣官房において、岐阜からお見えになった方々と一緒に仕事をさせていただいた経験もございますが、それぞれ慣れない環境にあっても前向きに創意工夫を重ねておられた、頑張っておられた姿が印象に残っております。 本県においては、古田知事のリーダーシップの下、こういった職員の皆さんの活躍により、県政における数々の成果が生み出されてきたと認識をしております。 岐阜に着任する前に私自身が業務で関わりを持った範囲で申し上げますと、台風災害の被災地の支援でありますとか豚熱、当初は豚コレラと言っておりましたけれども、こういったものとか、新型コロナウイルス感染症に対する機敏かつ献身的な対応は大変心強く、敬服をしながら拝見をしていたところであります。 ここ岐阜県で業務に携わるに当たりまして、私といたしましては、まず御指摘のとおり、職員の皆さんとの緊密で円滑なコミュニケーションを図ることにより、風通しのよい職場づくりに努めてまいりたいと思います。また、私自身の他府県ですとか国の省庁などでの勤務の経験を基に、外部からの視点ですとか異なる考え方といったものをあえて積極的に提示することによって、議論を活性化するということを心がけているところでございます。 加えて、最近は新たな政策課題ですとか、未経験の危機事象に直面をするといったこともあります。また、SDGsですとかDX、脱炭素といった従来なかった概念を基にした発想も必要とされます。そこで、管理職はもとより、特に若手の職員の皆さんの考えや柔軟な発想を積極的に酌んでまいりたいと、このようにも考えております。 本県におきましては、風通しのよい組織づくりの一環として、若手職員からのアイデアを事業化する取組を行っておりますが、昨年度寄せられた百二十一件のアイデアのうち九十件が事業化に至ったと伺っております。また、平成十九年度から、知事をはじめ幹部と現地機関の若手・中堅職員の意見交換会が実施をされているところであり、私も近く現地機関を訪問させていただいて、職員の皆さんから率直な御意見をお伺いする予定としております。 この岐阜県政をさらに前に進めていくためには、活力ある県組織が必要であり、それを形づくるのは職員お一人お一人であります。私もその一員として、共に語り、共に汗をかきながら「清流の国ぎふ」づくりに取り組んでまいる所存でございます。 ○副議長(加藤大博君) 総務部長 尾鼻 智君。    〔総務部長 尾鼻 智君登壇〕 ◎総務部長(尾鼻智君) 県職員の働き方改革について、二つの質問をいただきました。 まず、長時間労働の是正に向けた取組についてお答えいたします。 コロナ禍で業務量が増大する中、長時間労働の是正に向けては、所属における適切な労務管理の徹底がかつてないほどに重要性を増していると、このように認識しております。 これまでも所属長や管理調整監に対しては、特定の個人に過度に負担が集中しないよう、必要に応じて中止や延期も含めた事業の見直し、事務の効率化や事務分掌の変更を行うよう、繰り返し徹底してまいりました。 また、保健所などコロナ対策を担う所属に業務が集中する場合には、応援職員を配置し、外部委託の活用を促すとともに、応援職員を多く配置する所属には、職員の労務管理や業務マネジメントを専任で担当する管理職員の配置、増員も行ってきたところです。 今後は、引き続き、事業の見直しなどの取組により事務量の軽減や効率化にまずは努めてまいります。また、コロナに関しては、その感染状況に応じた応援職員の配置に意を用いてまいります。あわせて、所属長等が職員とのコミュニケーションを密にし、個々の職員の業務状況、負担感や体調について正確に把握した上で適時適切な労務管理を行うよう、重ねて徹底してまいります。 次に、男女が共に働きやすい職場環境の整備についてお答えいたします。 本県では令和二年三月に策定した行動計画の下、男女を問わず、全ての職員が仕事で活躍しながら安心して子供を産み育てることができる環境の実現に向けて積極的な取組を進めております。その一つとして、出産・子育て関係の休暇制度については、国に準拠した改正に加え、職員のニーズを踏まえた県独自の改正を重ねてきております。 例を挙げますと、今年度も家族看護休暇について、子供が二人以上いる場合に休暇期間が加算される子供の対象範囲を、「小学生まで」から「中学生まで」に拡大しております。また、妊娠障害休暇については、休暇期間の上限を七日から十四日に拡充しております。 一方で、育児部分休業を利用する職員の中には、必ずしも希望どおりの取得ができないケースがあることも承知しております。今後も本人の意向及び職場の状況を十分に確認した上で、必要なフォローを行ってまいります。 御指摘の不妊治療休暇や女性健康休暇の拡充、育児短時間勤務に係る独自制度の導入も含め、引き続き職員の意見をよく聞きながら、国や他県の事例も参考に必要な見直しを進めてまいりたいと思います。 ○副議長(加藤大博君) 三十九番 渡辺嘉山君。    〔三十九番 渡辺嘉山君登壇〕 ◆三十九番(渡辺嘉山君) 次に、後援名義申請の審査についてお伺いします。 岐阜県のホームページに掲載されている後援名義申請手続の案内を見ますと、対象事業は岐阜県の経済、文化、スポーツ等の振興に寄与するもので、特定の政党、または宗教・宗派を支持・支援するものではない等とされています。 県として、旧統一教会の関連団体が関与するイベント二件に対し後援していたことが判明し、知事は、行事そのものに特に問題はなかった、今後は慎重に対応していく必要があると述べられています。県と同じイベントに後援していた岐阜市では、後援の基準を定めた市の要綱の見直しに加え、社会的に問題がある団体や公序良俗に反する団体からの申請は認めない方向で検討が進められているということです。 全国的に同様の事例が多発していることから、本来は国が統一的な基準等を示す通知を出し、県と連携して行うべきであると考えます。主催団体からすれば、後援を得ることで行政からきちんとした団体であると認められることとなりますし、参加者からすれば安心して参加できることから、様々な活動の活性化のためにもどんどん認めてほしいとも思います。 しかしながら、行政が後援すれば団体の宣伝や加入の勧誘に使われることもあり、宗教をはじめ政治や特定の主義・主張の浸透を図ることに関係がありそうな場合には、やはり慎重な判断が必要だと思います。 そこで、県の後援により、主催団体がやりがいと誇りを持って行事を開催し、参加者が主催団体や行事を信用し、安心して参加できることが望まれますが、今後、後援名義申請の審査をどのように行っていくのか、秘書広報統括監にお伺いします。 次に、部落差別解消推進条例の制定についてお伺いします。 部落差別は、日本の歴史の中で形づくられた身分的差別によって、今もなお生まれ育った地域によって不当に差別され、基本的人権が侵害されることがあるという人権問題です。 この問題の解決に向け、昭和四十四年に同和対策特別措置法が制定され、その後も二度にわたって施行されてきた立法措置や法改正により、生活環境の改善や啓発活動等が国・県・市町村が一体となって実施されてきました。 平成二十八年には、部落差別解消推進法が制定され、相談体制の充実、教育及び啓発を国の責務として定め、地方公共団体は国との適切な役割分担を踏まえ、地域の実情に応じて施策を講じるよう努力することとされました。 本県では、昭和三十七年に設置した岐阜県地方改善促進審議会等の意見を受け、対策が推進されてきました。特に昭和四十五年に岐阜県同和対策事業長期基本計画の策定から積極的な取組が進められた結果、生活環境の整備が進み、実態的差別の改善はほぼ終了したとされていました。 しかしながら、採用や結婚における身元調査のための戸籍謄本、住民票の不正取得やインターネット上に同和地区やその関係者を忌避、嫌って避けることですが、排除する書き込み、動画の投稿など、部落差別の被害はなくなるどころか後を絶ちません。 和歌山県では、令和二年三月に行政、県民、事業者、関係機関等が一体となって部落差別の解消を推進するため、和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例を制定されました。特に市町村と連携して部落差別を行った人に対し、インターネット上に投稿した情報を削除することを指導することとし、これに従わない場合は勧告を行うとしています。また、特定電気通信役務提供者、いわゆるプロバイダーの責務として、プロバイダー自身がインターネット上に投稿された情報により部落差別が行われていることを確認した場合は、当該情報を削除することを求めており、インターネット上の書き込みを許さないという意気込みが感じられるものになっています。 今年七月には、埼玉県でも埼玉県部落差別の解消の推進に関する条例を制定されるなど、全国二十二都道府県及び四百七十六市町村において条例が制定されています。 法律ができて国民に周知し、県の条例ができてさらに県民に周知する意義は大きく、市町村の取組を後押しするメッセージにもなります。県が条例を制定することで、市町村における条例制定の動きも期待できると思います。何もしなくても問題が解決されていくならそれにこしたことはありませんが、長い歴史を経てもいまだに部落差別が見られる中、条例制定は有効な手段の一つと考えます。 そこで、現在もなお部落差別が存在することを踏まえ、部落差別の解消に向けて条例の制定が必要と考えますが、環境生活部長にお考えを伺います。 次に、キャッシュレス決済キャンペーンによる中小事業者支援についてお伺いします。 東海財務局岐阜財務事務所が本年七月に発表した岐阜県内経済情勢によりますと、個人消費は一部(乗用車販売)に弱さが見られるものの、緩やかに持ち直しているとされています。 先行きについては「感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が緩やかに持ち直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制の影響などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に加え、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある」とされています。 県では、新型コロナウイルス感染症の拡大や長期化に伴う影響により売上げが減少した事業者に対し、岐阜県オミクロン株対策特別支援金を支給されました。 さらに、本年六月の補正予算を経て、原油価格や物価の高騰等により影響を受けた中小企業者が収益力の改善や経営の安定を図るための金融支援として、新たに原油価格・物価高騰等対策資金が創設されています。 こうした中、県内では岐阜市をはじめとする多くの市町村でキャッシュレス決済にポイントを付与するキャンペーンが行われていますが、財政力の弱い市町村などでは行われていません。キャンペーンを実施していない市町村の住民がキャンペーンを実施している市町村に買いに出かける実態があります。キャンペーンを実施していない市町村の事業者は取り残されてしまうため、県が県内全体に目配りをしていただきたいと思います。 ある酒屋では、岐阜市のキャンペーン中はキャッシュレス決済ができますが、キャンペーンが終わると使えなくなります。また、小さい店では手数料の負担感が大きく、キャッシュレス決済を採用していないところが多くあります。 宮城県では、新型コロナウイルス感染拡大による売上げ減少などに苦しむ県内事業者を支援するとともに、コロナ後の新しい生活様式に対応したキャッシュレス決済サービスの普及のため、今月一日から三十日まで、キャッシュレス決済で最大二〇%のポイントを還元するキャンペーンを実施しています。 この期間中に、県内の中小事業者や個人商店などの対象店で商品購入やサービス利用をすると、キャッシュレス決済一回ごとに最大二千円相当のポイントが付与されます。対象は飲食店、小売業、理美容、エステ、クリーニング、ペットサロン、写真店、ホテル、旅館などです。コンビニエンスストアや大手チェーン店などは対象外です。PayPay、d払い、auPAY、楽天ペイの四種類のキャッシュレス決済が利用でき、四種類全てを使えば合計で最大二万円相当となり、大変魅力的です。ちなみにポイント付与総額は十億円とされています。 新型コロナウイルスの影響や物価高で経営に打撃を受けている中小事業者が多いため、キャッシュレス決済キャンペーンにより、消費者の購買意欲を刺激し、中小事業者の売上げにつながることが必要です。キャッシュレスの普及にもなり、現金の扱いが減ることで防犯の一助にもなります。単にお金を配るだけでなく、物を動かし経済を回すことで税収も期待できると思います。 そこで、キャッシュレス決済キャンペーンによる中小事業者支援について、商工労働部長に見解をお伺いします。 三回目の質問を終わります。 ○副議長(加藤大博君) 秘書広報統括監 高橋洋子君。    〔秘書広報統括監 高橋洋子君登壇〕 ◎秘書広報統括監(高橋洋子君) 後援名義の使用承認につきましては、これまで各部局等で整備する基準により、主催者について確認をし、また後援の対象となる事業として、その目的や内容が基準に合致しているかを精査し、問題がなければ承認をしてきたところでございます。 昨今の旧統一教会及びその関連団体に関する一連の報道等を受け、県が後援する行事二件について、旧統一教会の関連団体が関与していたことを公表しておりますが、主催者の適格性については今後より慎重な審査が求められると認識しております。 今後につきましては、旧統一教会のどのような問題点を規制の対象と整理するのかなど、国における議論の動向も注視してまいります。 その上で、これまでの各部局がそれぞれに判断するだけではなく、県として統一的な対応ができるようチェック体制も含めて承認手続の在り方を見直してまいります。 ○副議長(加藤大博君) 環境生活部長 渡辺正信君。    〔環境生活部長 渡辺正信君登壇〕 ◎環境生活部長(渡辺正信君) 部落差別解消推進条例の制定についてお答えをいたします。 五年ごとに実施している人権に関する県民意識調査によりますと、部落差別につきましては、着実に県民の理解が進んできております一方で、結婚や交際、就職等において差別意識が残っている状況が見られます。また、近年は、インターネットの匿名性を悪用した差別を助長する情報の書き込みなどの問題も起きております。 県では、特別対策としての同和対策事業が終了後、平成十二年制定の人権教育・啓発推進法に基づき、岐阜県人権施策推進指針を策定し、部落差別への取組を含む人権施策を推進してまいりました。平成二十八年には、部落差別解消推進法が制定され、引き続き人権教育及び啓発、相談体制の充実に努めているところです。 条例に関しましては、今年度末に改定する岐阜県人権施策推進指針の策定作業に併せ、岐阜県地方改善促進審議会や有識者等の御意見を伺いながら検討をしてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) キャッシュレス決済キャンペーンによる中小事業者支援についてお答えします。 キャッシュレス決済キャンペーンは、需要を喚起する一つの方策と考えております。一方で、今後複数の県内市町村で国の交付金を活用し実施されること、これを県下全域に広げ、中小事業者に対象を限定するためには、システム上の手続から早期の事業開始は困難であること、また付与されるポイントが県内対象店舗での利用には限定されないことなどが懸念されます。 このため、全国的に県レベルでの実施は一部にとどまっており、本県としては、まずはコスト高による収益圧迫を直に受けている業種への緊急支援に取り組んでまいりたいと考えております。 一方、キャッシュレス決済は、DXの推進による経営の効率化が期待され、そのキャンペーンでは事業者の売上増とともに生活者への支援にもつながります。そこで、現在本県において初期投資や決済手数料を無料で運用している電子観光クーポン「ぎふ旅コイン」の仕組みを活用し、今後は旅行以外でもポイントが付与できるようシステムの拡充に向け検討を進めてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 三十九番 渡辺嘉山君。    〔三十九番 渡辺嘉山君登壇〕 ◆三十九番(渡辺嘉山君) 次に、県立高校の定員割れへの対応についてお伺いします。 最近、岐阜市内の普通科を中心に高校入試で百人もの不合格者が出るほどの高校がある一方、それ以外の地域や学科では定員の半分にも満たない高校もあり、二極化が進んでいます。 そうした原因は、大学進学の希望により普通科の人気が高いことや、コロナ禍のために多くの学校でコロナ前のように学校説明会が開催できなかったことが影響しているものと思われます。 しかしながら、このまま地域や学科によって定員割れが続いてよいのでしょうか。無論単に定員を減らせばよいというものではありません。学校の衰退は地域の衰退につながりかねず、危機感を抱きます。 各地域の学校には、将来的にその地域に根づき活躍してもらえるように、地域産業を担う人材など、その地域で求められる人材を育成することが期待されています。また、地域によっては高校の存在そのものが大切です。生徒が行き交ったり、学校を開放することなどにより地域が活性化します。転出防止や移住・定住促進の観点からも、地域の子供が地域で学べるというのは意義深いと思います。 定員割れを防ぐには、地域産業を担う人材育成のほか、地域の産業構造の変化等による新たなニーズへの対応や大学進学から就職までを含めた多様な進路希望への対応、魅力発信などが必要と考えます。 そこで、岐阜市内に所在する高校の普通科に入学志望者が集中する一方で、他地域や普通科以外では定員割れが生じていますが、今後どのように対応されるのか、教育長にお伺いします。 次に、県立高校の特別教室へのエアコン設置についてお伺いします。 昨今の夏は災害級の暑さです。今年も例外ではなく、連日猛暑が続き、夏休みが明けた八月末以降も三十度を超え、湿度も高い日が続きました。 さて、県立高校の特別教室へのエアコン設置について、令和元年度及び令和二年度の二年間で、未設置の五十六校の整備を行う方針とされていました。 令和元年六月議会において澄川議員が一般質問において尋ねられた際にも、教育長は「県立学校の暑さ対策につきましては、生徒の日常的な使用が必要となる普通教室、特別教室にできる限り早期にエアコンを設置するよう、優先的に取り組んでいるところです。特別教室には二か年計画で順次設置を進めているところです」と答弁されています。 なお、二か年計画の途中の数字ではありますが、文部科学省の調査によれば、令和二年九月一日現在、本県の県立高校の特別教室の設置率は五二・五%となっています。学校現場では本来特別教室で行うべき実習や実験を普通教室で行っているということです。そのようなことでカリキュラムの十分な理解が図られるのでしょうか。 また、生徒の関心を高めたり、知的好奇心を刺激することができず、学習の満足度などにも影響を及ぼすのではないでしょうか。 そこで、県立高校において、エアコンを設置されていない特別教室の代わりに普通教室を使用して実習や実験が行われているという学校現場の状況を改善するためにも、特別教室へのエアコン設置が必要であると思いますがどのような見解か、教育長に伺います。 次に、PTAとの連携・協働による学校運営の推進についてお伺いします。 PTAとは、保護者と教職員で自主的に構成され、両者が対等な立場で活動する団体です。青少年団体や女性団体などとともに社会教育関係団体の一つとして位置づけられ、その中でも最も多くの会員を持つ団体です。 子供の健やかな成長を図ることを目的としており、学校の教育活動を理解し、教育に関わる活動に取り組むことで家庭、地域、学校を結ぶ役割も期待されています。 しかしながら、保護者にとってPTAは今も昔も様々な感情を持つものであります。毎年新年度を迎えると役員の選出が行われますが、子育て家庭を取り巻く環境が目まぐるしく変わる中、時代錯誤の前例踏襲で、半ば強制的でやらされ感が積もり、PTA不要論さえ出ているところです。 過去にはPTAに加入しなければ卒業記念品のコサージュや紅白まんじゅうが子供に配られないといった事例があり、保護者の立場からすれば子供が不利益を被るのではないかとの思いから、なかなか入会を拒否できないと騒がれた時期もありました。 県議会においても、度々PTA問題は取り上げられていますが、教育委員会からはあくまでも任意組織であり、保護者と学校とで話し合って進めるものという回答です。 話は変わりますが、私は自分の子供の小学校でPTA会長を務めました。学校の先生と協力して給食費を払えない保護者の力になろうと取り組み、中には気難しい保護者の方もおられましたが、そういう方とも協力して活動を進めることができました。 学校によってPTAの温度差があるものの、先生とPTAとでうまく連携・協働しているところはあります。 私はPTAを通じて学校での子供の様子を知ることができ、家庭での会話が増えるきっかけを得ました。さらにほかの子供たちとも交流できましたし、先生との会話の機会が増え、学校への心理的な距離が縮まり、いろいろな問題にも取り組むことができました。 もちろん、県議会でもいろいろな質問や提案もさせていただきました。 そしてもう一つ、保護者同士のつながりができ、子供が学校を卒業した後も当時一緒に活動していた校長先生、教頭先生を含め、仲間たちと付き合い続けているのが宝となっています。 PTAは単なる学校の任意組織ではなく、教育現場とその管理監督する教育委員会と一緒になって、子供たちの教育等を考えていただく重要な組織と考えています。 最近は、少子化が進むにつれ児童・生徒が減り、PTA会員が少なくなっていることに加え、仕事と家庭の両立の難しさや価値観の変化から、PTA活動に消極的な人が増えているという課題もあります。 さらに、コロナ禍の影響で、今まで当たり前と思っていたことができなくなり、感染予防対策のために新しい生活様式を日常生活に取り入れることになり、教育の現場もオンライン授業の導入をはじめ、大きな影響を受けています。 こうした中、私が期待するのは、平成二十九年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、保護者や地域住民等が学校運営に参画する仕組みとして設置が各教育委員会の努力義務とされた学校運営協議会制度、通称コミュニティ・スクールでありますが、各学校が教育活動や学校運営の状況について、保護者や地域住民等の感想・意見を得ながら改善を図っていくものです。教育課程や教員の働き方改革を含めて、学校運営に大きな効果があるとされています。 本県では、昨年度までに県立学校八十三校の全てにおいて設置されています。先生、保護者、地域住民等の関係者全員が当事者意識を持ち、子供たちが抱えている課題の実態を共有し、地域でどのような子供を育てていくのかを考えていく場として、コミュニティ・スクールの充実が必要と考えます。 そこで、PTAや地域住民等の連携・協働による学校運営の推進のために、今後どのように取り組まれるのか、教育長にお伺いします。 最後に、安倍元総理の銃撃事件を受けた要人警護体制の強化についてお伺いします。 本年七月八日午前十一時半頃、安倍晋三元総理は参院選の街頭応援演説中に奈良市の近鉄大和西大寺駅で男に銃撃されました。ドクターヘリで奈良県立医科大学附属病院に搬送されましたが、夕方に死亡が発表されました。安倍元総理には、心から御冥福をお祈り申し上げます。 さて、テロ行為等から要人の身辺の安全を確保するために警護の基本をまとめた警護要則によりますと、警護対象は、内閣総理大臣、国賓、その他その生命及び身体に危害が及ぶことが国の公安に係ることとなるおそれがある者とされており、閣僚なども該当するということです。 県内では、総理大臣や国務大臣が選挙の応援のために駆けつける場合や、岐阜県出身の国務大臣が在任期間中に岐阜に戻る場合が想定されます。 これまで日本の警察は国民に安心と安全を与え、国民は安全神話を信じ、誇りにさえしていたと思います。 しかしながら、この銃撃事件は、銃の所持が認められない日本において、白昼堂々と衆目の中で、しかも単独犯が放ったたった二発の銃弾により、元総理が命を落とすこととなりました。テレビやインターネット上で映し出される光景に、誰もがこの国でこんなことが起こるなんてという信じられない思いと大きな不安を抱えたのではないでしょうか。 この事件を受け、警察庁は要人警護の検証を行い、警護計画の作成・決裁と現場における警護の各段階、各場面で問題があり、これらが複合的に作用した結果事件が起きたとしています。 そして、都道府県警任せにしてきた警護の運用を根本的に見直し、警護要則が約三十年ぶりに新たに制定されました。 これによって、警護の計画や実施体制の改善、加えて指揮官・警護員の能力向上のために警察庁の関与の抜本的強化を図るとともに、警察庁、警視庁、道府県警における警護体制等の強化、警護現場での意思疎通や情報共有等のための装備資機材の充実を図るとされています。 そこで、安倍元総理の銃撃事件を受けて、県内で同様の事件を生じさせないようにするため、県警として要人警護体制をどのように強化されるのか、警察本部長にお伺いし、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 三点質問がありました。 初めに、県立高校の定員割れへの対応についてお答えいたします。 昨年度末に実施した県立高校入試の第一次選抜試験において、倍率が一倍以上であった全日制高校は岐阜地区にある普通科単独校七校を含め全県で二十九校、逆に一倍未満の高校は三十二校でした。また、近年は専門高校の定員割れが若干増加傾向にあります。 これまでもこうした状況に対応するため、例えば小規模化が進む高校では、地域の県議会議員の先生方や市町村長、さらには産業界の代表者等が参画する協議会を設置して、地域の特性を学校の活性化に生かす様々な方策について議論、取り組むことで魅力ある高校づくりを進めてきたところです。 県教育委員会としましては、中学校卒業予定者の減少や中学生の進路希望、さらには地域の人材育成要望、高校卒業後の進路動向など、様々な要素をきめ細かに分析、検討した上で、入学定員を今後も設定するとともに、各学校が開催する高校見学会や紹介動画、パンフレットなどを通じ、各学校の特色を中学生に伝える努力を継続してまいります。 次に、県立高校の特別教室へのエアコン設置についてお答えいたします。 県立高校のエアコンについては、平成三十年度以前はPTAにより設置され、電気代も負担されていましたが、平成三十一年四月以降、全てのエアコンを電気代も含め県費で維持管理しております。 また、令和元年度から二か年をかけて、エアコン未設置の全ての普通教室と他に代わりの教室がなく、夏場の使用が必須となる特別教室にエアコンを設置いたしました。加えて、令和三年度以降は老朽化したエアコンの更新も計画的に進めているところです。 この結果、現在の設置率は、普通教室においては一〇〇%、特別教室は約六〇%となっております。 県教育委員会としましては、夏場の未設置特別教室の稼働率や設置済みの教室で代替して授業を行うことで生じる制約、さらには問題を整理しつつ、現在ほぼ全ての教室に設置してある老朽化が進む石油ファンヒーター等の暖房機器の更新の視点も含め、冷暖房設備のエアコンへの一元化についても今後検討してまいります。 次に、PTA等との連携・協働による学校運営の推進についてお答えします。 議員御指摘の学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクールの本県における設置状況は、県立学校では一〇〇%、小・中学校では七九・三%となっており、全国的に見てもかなり進んでおります。 また、全ての協議会においては、保護者の方が必ず参画しており、その代表としてPTA会長などがメンバーに入っております。PTAの方々には、学校と地域、家庭を結ぶ重要な委員として自治会役員など地域の方々とともに、よりよい学校運営について意見をいただいているところです。 設置済みの学校では、例えば小・中学校合同の災害発生時の保護者への引渡し訓練について、学校はもとよりPTAや地域の交通安全協会等が組織を挙げて連携し実現させた学校もあります。 県教育委員会としましては、まず未設置市町村に対し、国支援策も活用した設置を働きかけるとともに、PTAと地域、学校が協力して学校の運営を進める好事例を集め、市町村と情報共有を図り、取組が今後も一層充実したものになるよう進めてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 警察本部長 加藤伸宏君。    〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕 ◎警察本部長(加藤伸宏君) 安倍元総理の銃撃事件を受けた要人警護体制の強化についてお答えいたします。 このたびの銃撃事件につきましては、全国警察として要人警護の責任を果たせなかったことを重く受け止め、国民からの信頼を取り戻すべく、警護の抜本的な強化を図ろうと努めております。 これを前提としてお答えいたします。 このたびの事件に鑑みて、当該事件に係る警護の検証と見直しがなされた結果、警護要則が改正されて、警察庁の関与が抜本的に強化されたほか、警察庁及び都道府県警察の警護体制を強化することとされました。 都道府県警察における警護体制の強化とは、警護に従事する警察官の質的・量的増強を行うことであります。具体的には、警護の現場における対処要領から現場全体を俯瞰しての指揮方法まで、警護員の能力向上を図る必要があります。 そこで、県警察としましては、警護員たり得る警察官の数を増やすとともに、警護員としての能力を備えた警察官のレベルを高めることを目標として、これら警護員となるべき警察官に対し、平素からその職務、経験及び技能の別に応じ、警護に関して必要な実践的教養訓練を計画的に行うことにより、警護体制の強化を図ってまいります。 ○副議長(加藤大博君) 三十九番 渡辺嘉山君。    〔三十九番 渡辺嘉山君登壇〕 ◆三十九番(渡辺嘉山君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 私の理解が悪いのかちょっと分かりませんので、再確認のためにもちょっと質問させていただきたいと思います。 冒頭、まず知事のほうに定員のことをお話しさせていただきました。 持続可能な定数という御答弁であったかと思います。当然それはもう必要不可欠であろうかというふうに思いますが、この現状を踏まえた中では、これから先、数年かけて、徐々にではありますが増やしていくべきではないかという思いがありますので、その点だけちょっとお伺いをしたいというふうに思っています。アンケートについてもおっつけ届くと思いますので、それを十分踏まえていただいて、モチベーションのことについてもお考えをいただければありがたいというふうに思います。 あと総務部長、これまでも各部局ともいろいろ連携をしながらそれぞれの対応をされていたというふうに思っております。ただし、いまだにそういう声が出てきているということはどうなのか、要は休暇を増やしたとしても、さっき子供の人数が増えて休暇を増やすという話もありましたが、本当に休暇が取れているのかどうか、そういうのも含めて、本当にもう少しきちっとお答えをいただければありがたいと思いますが……、この件はぜひ職員の方ときちっと連携を取って、この先進めていただければありがたいというふうに思います。質問ではありませんでした。 あと、エアコンについてですが、六〇%まで特別教室ができた。できる限り取り組んでいくということを澄川議員のときも答弁をされて、今後は僕がお聞きしたのは、冷暖房つきのエアコンに取り替えていくというようなこともありますが、やはり六〇%台でいいのかどうか、やはりこれをできる限り高い数字にして、やはり化学室であったり物理室であったりというところでも、そういうエアコンの効いた環境の中できちっと授業を受けられる体制が必要だというふうに思いますが、期限とかは難しいかもしれませんが、今後どの程度まで増やしていかれるのかお伺いしたいと思います。以上です。 ○副議長(加藤大博君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 先ほどの私の答弁の中で申し上げたのは、これまでの職員規模を基本としながら考えていくというやり方から、危機管理事案が連続しているという事態に合わせて職員定数そのものの数についても再検討するというふうに申し上げました。 そのような趣旨で検討していきたいと思っております。 ○副議長(加藤大博君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 特別教室のエアコンについての再質問にお答えいたします。 まず特別教室のエアコン設置につきましては、各学校の特別教室の使用状況を丁寧に学校のほうに聴取して、そこで優先すべき特別教室に設置した結果、現在、六〇%というふうになっているところです。普通教室に比べ特別教室の稼働率は非常に低いために、現在こうした状況になっております。 では、今後どうするかということですが、答弁の後半で申し上げたように、今ほぼ全ての教室に、石油ファンヒーターが主なんですけれども、暖房施設が入っております。これがおおよそ三十年経過しております。脱炭素の問題もございますので、今後これらの更新も総合的に考えていく必要があるというふうに教育委員会としては考えております。 ですから、そういうことを考えますと、今入っているファンヒーターの代替としてこのエアコンを冷暖房完備のものとして取り替えていくことを今後じっくりと考えていきたいと思います。 議員がおっしゃったように、今後いつまでということはちょっとここではお約束することはできませんが、検討を進めてまいります。 ○副議長(加藤大博君) 十九番 布俣正也君。    〔十九番 布俣正也君登壇〕(拍手) ◆十九番(布俣正也君) 発言の許可をいただきましたので、通告に従い、今回は岐阜県の農業振興に関わる四項目を質問させていただきます。 一項目め、農業における脱プラスチック肥料の推進についてお伺いをします。 本日午前の伊藤秀光議員による我が県政自民クラブ代表質問の中において、ぎふ農業・農村基本計画に関する方向性の質問がされまして、古田知事からも明確な答弁をいただいておりますが、私からは少し視点を変えまして、提案も含め質問をさせていただきます。 昨年九月の一般質問において、みどりの食料システム戦略について触れさせていただきました。 いま一度どのようなコンセプトなのかを簡単に説明しますと、持続可能な食料システムの構築に向け、中長期的な観点から調達・生産・加工・流通・消費の各段階の取組とカーボンニュートラルなどの環境負荷軽減の技術革新を推進するものです。 この戦略では、二〇五〇年までに化学農薬の使用量半減、化学肥料の使用量三割減、有機農業を耕地面積の二五%(約百万ヘクタール)に拡大、化学燃料を使わない園芸施設への移行、二〇四〇年までに農業機械の電化技術の確立と、大変意欲的な目標が上げられております。 その後、今年四月に環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律、みどりの食料システム法が成立、五月に公布、七月に施行されました。 この法律は、環境と調和の取れた食料システムの確立に関する基本理念を定めるとともに、農林漁業に由来する環境への負荷低減を図るために行う事業活動などに関する計画の認定制度を設けることにより、農林漁業及び食品産業の持続的発展、環境負荷の少ない健全な経済発展などを図るものです。 このたび、新制度で支援する農家の活動と支援内容が明らかにされました。 前に述べました目標に沿った実践計画を農家自身が作成し、県に認定をされると、計画実現に必要な農業機械や施設、資材の導入の際、税制や融資で支援が受けられます。 そして、農林水産省は、農家が実践計画に盛り込む活動を次の三点に絞りました。 一、土作りと併せて行う化学肥料・農薬の低減、二、温室効果ガスの排出削減、三、農林水産大臣が定める活動というものです。 あわせて、現場の要望が多い次の五つの活動についても支援する旨、方針を示されました。 一、温室効果ガスを貯留するバイオ炭の農地施用、二、プラスチックごみを減らす生分解性マルチの利用、三、家畜排せつ物から河川への窒素・リンの流出を防ぐ低たんぱく飼料の給与、四、化学肥料・農薬の低減と併せた冬期湛水などによる生物多様性の保全、五、水耕栽培で排水汚濁防止に向けた化学肥料・農薬の低減です。 全体的に環境配慮の方針案であることは間違いございませんけど、あまりにも抽象的過ぎて実際に現場ではどこまでが可能なのか、岐阜県の実情とうまくすり合わせができるのか、四十二市町村との歩調が合わせられるのかが心配をされます。 そこでですが、環境配慮の分野において、岐阜県農業としては特に脱プラスチックに注視すべきではないかと考えます。 現在、水田での米生産において欠かすことのできない肥料・農薬散布の部門で肥料に着目してみますと、その六割以上でプラスチック被覆肥料が使用されております。実際、私も水田において一発肥料なる被覆肥料を使用している一人であります。プラスチックを使用した被覆肥料は、徐々に肥料成分が溶け出すことから、例えば春先に投入することで夏場の暑い時期の追肥の手間が省けて省力化できるとともに、稲の生育に応じて肥料成分が溶け出すため無駄が少なく、肥料の投入量も抑えられて環境負荷も低減できると言われておりますが、実際は使用後の被膜殻が圃場から用水を経て河川に流出して、やがて海に流出することによる環境影響が懸念をされております。 農業生産分野や農林水産省では、使用済プラスチックの適正処理、排出量の抑制、海への流出防止などの観点から、資材の製造、流通や利用に関係する団体等による自主的な取組の宣言・周知も行われております。肥料の関係団体である全国農業協同組合連合会、全国複合肥料工業会、日本肥料アンモニア協会は、二〇三〇年にはプラスチックを使用した被覆肥料に頼らない農業を理想に掲げ、令和四年一月二十一日に緩効性肥料におけるプラスチック被膜殻の海洋流出防止に向けた取組方針を公表しました。 もとより岐阜県は海なし県でありますので、海の環境汚染や生態系についてはなかなか認識不足のところがあるかもしれませんけど、皆さんの家の近くの田んぼから流出する被覆肥料の被膜殻が用水を経由して河川に流出、宮川とか飛騨川、長良川、木曽川、揖斐川などを経て日本海、太平洋に流出していきます。プラスチックごみは光や熱で劣化をし、波の作用で砕けても自然には分解をされず、数ミリよりも小さなマイクロプラスチックとなって海を漂流し続けます。マイクロプラスチックには生き物の害になる物質がつきやすいとも言われております。魚が餌と間違えて食べてしまうことで、さらにその魚を人間が食べて人体に害が出ることも心配をされております。 河川の上流部で農業を営んでいる岐阜県民としては、下流部の皆さんの健康を悪化させることに加担することはできないので、早急に脱プラ肥料に切り替えるなどの施策が必要ではないかと思います。このことは、ある日のテレビニュースで伊勢湾のごみが何と田んぼから出ていましたという報道から一気に反響が広がりました。 SDGsの十四番目の項目「海の豊かさを守ろう」という観点からも、川上の岐阜県が見本を見せるべきではないでしょうか。また、岐阜県が特に力を注いでいる、ぎふ清流GAPもSDGsに即していますので、なおさら注目すべきだと思います。SDGsの目標年度は二〇三〇年、実に八年後であります。それに向けて岐阜県も自主的に行動を起こすべきではないかと考えます。 農薬に関しては、作物によってかなりの使用格差がありますが、肥料に関しては脱プラ肥料で統一が図れるような気がします。割高の脱プラ肥料ではありますが、みんなが使えば安くなるでしょうし、価格差補填の仕組みをつくるなどして、岐阜県下の農家の意識をまずは肥料から統一していくのも、いわゆる岐阜県方式、脱プラ一〇〇%宣言の第一歩ではないでしょうか。 被膜殻による海洋汚染なんて、ペットボトルやプラ袋と比べれば大した量ではないかもしれませんが、農業分野でもできることをこつこつやらないと全体目標に追いつかないと思います。 そこで、農政部長にお伺いをします。 SDGs推進計画、みどり戦略、人々の健康を守るという観点からの農業部門においての脱プラスチック肥料の推進について、今年度を脱プラ肥料元年としての段階的な推進と農業者の意識改革も同時に推進すべきではと考えますが、御所見をお聞かせください。 続いて二項目め、食料自給率の向上に向けた取組についてお伺いをします。 こちらも県政自民クラブ代表質問にて、食料安全保障の部分がクローズアップされていましたが、食料自給率の向上とは切り離せない部分でありますので、あえて質問をさせていただきます。 日本の食料自給率は四割未満、先進国で最低水準、この言葉を毎年のように耳にするようになりました。同時によく耳にするようになったのが、食料安全保障という言葉です。 世界中で食料が不足したり、価格が高くなっていることが今問題になっております。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻はこの状況を大きく悪化させております。日本でも小麦を使った食品や食用油など、食べ物の価格が上がっており、決して他人事ではありません。食料安全保障とは全ての国民が将来にわたって最低限必要な食料を合理的な価格で手に入れることができるようにすることです。世界の人口が爆発的に増加し、食料の需要が伸びている一方で、異常気象による農作物の不作などで価格高騰や食料不足が度々問題になっております。新型コロナウイルス感染拡大が本格化をしますと、食料の輸出入が世界的に混乱をしました。さらに、ロシアがウクライナに軍事侵攻をすると、小麦の主要産地であるウクライナからの穀物の輸入が滞ったため、世界の穀物価格が高くなり、アフリカなどで食料危機が深刻になっております。このため、食料安全保障が改めて注目されているのです。 もし食料が足りなくなったら、世界中の国がまず自国の食料を確保しようとするでしょう。国際食料政策研究所(IFPRI)によりますと、食料不足や価格高騰などを受けて、今年六月時点で二十か国以上が自国で食料が不足しないように輸出を規制しているそうです。世界中に規制の動きが広がり、それが世界的な食料価格の上昇に拍車をかけております。 ところで、日本は自国でどれくらい食料を生産しているのでしょうか。日本で消費される食料のうちどれくらいが国内で生産されているかを示す指標が食料自給率です。食料に含まれる熱量で換算するカロリーベースと食料を金額で換算をする生産額ベースがありますが、消費者が自らの食料消費に当てはめてイメージしやすいカロリーベースの表示が一般的に使われております。 一昨年は、カロリーベースで三七%と過去最低の数値でありました。つまり、私たちの食卓に並ぶ食べ物の実に六割以上を海外からの輸入に頼っているということです。食料自給率は私の生まれた昭和四十年頃にはカロリーベースで七〇%を超えていたようですが、長期的に低下をして、現在は先進国の中で最低水準になってしまいました。長期的に低下をした背景には、食生活の変化が原因だとされております。米中心であった食生活から肉や油を使った西洋食やパン食の普及がその原因となります。 もし食料の輸入がストップしたらのシミュレーションが農林水産省から出ていましたので紹介をします。 国内で生産をされた食料のみで国民全員に必要なカロリーを賄おうとすると、夕食の献立は白米茶わん一杯、野菜いため二皿、焼き魚一切れだそうです。さらには、牛乳は四日間でコップ一杯、卵は十三日間で一個、焼き肉は十四日間で一皿だけだそうです。異常気象や災害、紛争で輸入がストップしたら、それこそ大変なことになってしまいます。 安定的に食料を調達するには、輸入先の多様化や全国各地の特性に合った国内生産の増強が重要になってきます。国全体で食料自給率の向上が求められる中、本県における食料自給率は何と二四%、岐阜県は米や野菜、果樹や川魚が豊富にあるように感じますが、自給率という数値だけで見ると、岐阜県こそかなり深刻化しているように思えます。しかし、気にしなければいけないのは、国の食料自給率の三八%です。輸入食品に頼らなくてもいい食生活の確立にどれだけでも近づけるように県としても我が国の食料自給率の向上に資する対策が急務かと思います。 そこで、農政部長にお伺いをします。 食料安全保障という観点から、食料自給率の向上を図り、岐阜県民の食生活を守るために、また岐阜県民の思考を変えていくために、今後どのような対策を講じられていかれるのかお聞かせください。 続いて三項目め、農業DXプラットフォームの構築についてお伺いをします。 岐阜県は、農業分野におけるデジタルトランスフォーメーションを推進するためのクラウド型データ連携基盤となる農業DXプラットフォームを構築するため、岐阜大学や県、農業関係機関などで構成する構築検討会を発足させました。 農業DXプラットフォームは農業所得向上に向け、農業者、農協、普及指導員や営農指導員などが一元管理された様々なデータを有益なデータとして活用するための基盤となります。栽培環境や経営、出荷量、気象などばらばらに存在するデータを集約して、農業者だけでなく様々な人が活用できるようにするのが目的です。 さきに行われた第一回構築検討会において、県内の現状と課題が提出されてプラットフォーム構築の進め方が話し合われました。 課題として、データは蓄積されているが、その活用法が確立されておらず、指導できる人材も不足しているといった点が挙げられ、プラットフォーム構築と並行して栽培指導に当たる普及指導員などの意識を変えていく必要性が指摘をされました。また、消費者の意見も取り込むべきという意見も出されました。さらには、普及指導員や試験研究員を対象とした勉強会を開いて、十月に開催をされる第二回構築委員会で提案をするプラットフォームの仕様に反映させるとのことでした。 ロボット技術やAI、IoTを活用して超省力・高品質生産を実現するスマート農業が県内各地に普及をし始め、人材不足を補っている様子はようやく身近に感じてはきましたが、その普及率はまだまだこれからといった感じがしています。そこに農業DXプラットフォームの構築となると、農業者、そして指導員の精神的負担やモチベーションといった部分に影響が出ないかと心配をするところです。具体的には、まずモニタリング装置が全施設野菜農家に普及・活用されるようになるように、より使いやすいデータになることが重要です。そして、行く行くは施設野菜にとどまらず、落葉果実、土地利用型、畜産業に至るまで普及することを期待してやみません。 そこで、農政部長にお伺いをします。 構築検討会では、二〇二六年度の農業DXプラットフォームの完成を目指すとのことですが、今後四年間でどのように農家の作業環境が変化をして、具体的にどのように農業者に浸透していく見込みなのかお聞かせください。 最後、四項目め、経営規模に関わらない多様な農業者の振興方策についてお伺いをします。 農業従事者の高齢化に伴う後継者不足、担い手不足、耕作放棄地の増加などの問題を解決しようと、昨今では農業の大規模化や企業参入がスマート農業の活用の下、推進をされております。 農地を借りたい法人・企業などに貸付けをする農地中間管理機構(農地バンク)の認知が高まったこともあり、農地の大区画化が進んでいる地域もありますが、爆発的に進んでいるわけではありません。そんな中、大規模な担い手の育成だけでなく、小規模農業も含む多様な農業を後押しする必要性を強調する声が上がってきております。 つまり、農業の大規模化に方向転換をしたわけではなく、農地集積や法人化などを進めながらも、規模拡大だけでは存続が困難な地域農業や農村の存続も図ろうという動きになっております。 北海道は別として、日本の耕地面積や農業生産額の約四割を中山間地が占めております。大規模化を図ることで農業生産の効率化や生産性が高められると期待はされておりますが、中山間地ではその効率化が大変難しいと言われております。農地集積を進めるにしても、全国一律ではない地域事情を考慮すべきなんだとも思います。 農業以外の事業を主たる収入源にしている兼業農家や家族経営規模の専業農家、いわゆる法人化をされていない農家、白色申告農家などが小規模な農家に当てはまるのではないかと思います。 では、岐阜県内の中山間地、平野問わず小規模に当てはまる農家は全体の何割に当たるのでしょうか。 岐阜県全体で約四万八千の農家が存在している中で、約六割に当たる二万九千の農家が規模の小さい自給的農家だそうです。これらの小規模農家が再評価されているとはいえ、今後ますます後継者・担い手不足、耕作放棄地の増加が続く限り、農地の集約をはじめとする農業の大規模化は進んでいくんだろうと思います。 そのような状況の中、大規模農業のスケールメリットを生かしつつ、小規模農業ならではの強みを生かすことができれば、岐阜県農業の衰退を食い止めることができるかもしれません。 それには、小規模農家を支援することにより、小規模農業を維持することが必要であります。補助金政策ではなかなか補えない部分ですが、小規模農家のモチベーションを高めていくため、行政及び農家の意識改革についても期待をしたいところです。 そこで、農政部長にお伺いをします。 経営規模の大小にかかわらず、多様な農業者が今後安心をして営農活動を継続できるための方策について、お考えをお聞かせください。 以上、四項目質問させていただきましたが、いずれも岐阜県農政について最も重要な事案かと思いますので、農政部長には明確かつ前向きな答弁をお願いしたいと思います。 最後に、いよいよ十月六日に開催をされます鹿児島全共が開催まで残り一週間となりました。既に候補牛や関係者の現地入りも始まっていると伺っております。どうか、牛もハンドラーも体調万全によって大会に臨まれ、すばらしい成績が収められますことを御祈念、御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(加藤大博君) 農政部長 雨宮功治君。    〔農政部長 雨宮功治君登壇〕 ◎農政部長(雨宮功治君) 四件の質問をいただきました。 まず、農業における脱プラスチック肥料の推進についてお答えいたします。 県内の一部の地域では、プラスチック被覆肥料の代替として、自然界で完全に分解される肥料が既に導入され始めており、食味の向上効果も認められています。 一方で、収量や品質低下を不安視する農業者もあり、代替肥料の推進には、地域の土壌条件に合った肥料の選定や農業者の意識改革など段階的に取り組む必要があります。 このため、代替肥料による影響を明らかにし、安心して切り替えられるよう、今年度から農協など関係機関と連携し、県内十四か所で栽培実証を始めております。 今後は、地域ごとに適切な肥料の種類や量などを選択できるよう実証地域を拡大するとともに、県農業技術センターにおいて肥料成分の溶出パターンなどの特性を明らかにしてまいります。 加えて、研修会などの機会を捉えて、プラスチック殻の環境への影響や農地からの流出防止対策を周知し、農業者の意識改革を促してまいります。 次に、食料自給率の向上に向けた取組についてお答えいたします。 食料自給率の向上に向けては、農業生産の維持・増産を図る生産面の取組と、県産農産物が優先購入されるよう、消費者意識の変革を図る消費面での取組が必要であります。 このため、まず生産面については、供給熱量の八割以上を占める米・麦・大豆の生産量の確保に向けて、卸売業者と生産者が連携したオーダーメード型の米生産や、麦・大豆の収量安定に向けた基盤整備などを進めてまいります。また、野菜や畜産などについても、スマート農業や担い手育成などにより生産力の向上を図ってまいります。 次に、消費面については、県産農産物フェアや地産地消ウェブサイトで県産農産物の魅力とともに、安定した食料確保に向けて、県産農産物を購入することの大切さを発信してまいります。 こうした食料自給率の向上への対策は、先ほどの脱プラスチック肥料も含め、ぎふ農業・農村基本計画の見直しの中で検討を重ねてまいります。 続きまして、農業DXプラットフォームの構築についてお答えいたします。 県では、温度や日射量、二酸化炭素濃度、収量などのデータを農業生産に活用するデータ活用型農業を推進するため、今年度からその基盤となるプラットフォーム構築に向けて検討を開始したところであります。 来年度は、トマトなど施設園芸作物を対象にモデル地区を定め、クラウド上でハウス内のデータ蓄積を始めることとしております。これにより農業者がスマートフォンでリアルタイムに栽培環境を確認し、日々の管理に活用することが可能となります。 また、令和六年度以降は対象品目を拡大しつつ、気象データと連携した最適な温度や日射量などを導く分析ソフトの開発などシステム構築を進め、令和八年度には収量増加につながるデータ活用を実現し、数品目での実用化に結びつけたいと考えております。 あわせて、こうした専門的な知識を有する農業DX指導者を育成し、県内各産地への横展開を図ってまいります。 最後に、経営規模に関わらない多様な農業者の振興方策についてお答えいたします。 本年五月の農業経営基盤強化促進法の改正により、将来の農地利用者を明確にする地域計画に、経営規模にかかわらず多様な農業者を位置づけることが可能となり、小規模農家も農業機械等の導入支援を受けつつ、地域で活躍できることとなりました。 まずは計画を策定する市町村において、地域の中心的な農業者や小規模農家など、関係者との協議の場が設けられます。県としても積極的に参画し、話合いが円滑に進むよう助言を行うとともに、コーディネーターとなる農協職員、農業委員などに対し必要な育成研修を実施してまいります。 また、農地中間管理機構、農業会議など、関係機関で構成する県レベルの協議会を設置し、策定の進捗管理や巡回指導など、市町村の計画策定を支援してまいります。 これにより、各地域において多様な農業者が協働して営農活動を継続できる体制づくりを促進してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(加藤大博君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時三分散会 ……………………………………………………………………………………………...