令和 3年 9月 定例会(第5回)……………………………………………………………………………………………
△議事日程(第二号) 令和三年九月二十九日(水)午前十時開議 第一 議第九十九号から議第百三十七号まで 第二 請願第二十八号及び請願第二十九号 第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△本日の会議に付した事件 一 日程第一 議第九十九号から議第百三十七号まで 一 日程第二 請願第二十八号及び請願第二十九号 一 日程第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△出席議員 四十六人 一番 平野恭子君 二番 森 治久君 三番 山内房壽君 五番 森 益基君 六番 小川祐輝君 七番 平野祐也君 八番 所 竜也君 九番 今井政嘉君 十番 藤本恵司君 十一番 中川裕子君 十二番 伊藤英生君 十三番 澄川寿之君 十四番 水野吉近君 十五番 安井 忠君 十六番 恩田佳幸君 十七番 若井敦子君 十八番 広瀬 修君 十九番 布俣正也君 二十番 国枝慎太郎君 二十一番 林 幸広君 二十二番 高木貴行君 二十三番 野村美穂君 二十四番 長屋光征君 二十五番 高殿 尚君 二十六番 田中勝士君 二十七番 加藤大博君 二十八番 山本勝敏君 二十九番 松岡正人君 三十番 川上哲也君 三十一番 松村多美夫君 三十二番 小原 尚君 三十三番 水野正敏君 三十四番 野島征夫君 三十五番 伊藤秀光君 三十六番 平岩正光君 三十七番 佐藤武彦君 三十八番 森 正弘君 三十九番 渡辺嘉山君 四十番 伊藤正博君 四十一番 小川恒雄君 四十三番 村下貴夫君 四十四番 尾藤義昭君 四十五番 藤墳 守君 四十六番 玉田和浩君 四十七番 岩井豊太郎君 四十八番 猫田 孝君……………………………………………………………………………………………
△職務のため出席した事務局職員の職氏名 事務局長 服部 敬 総務課長 高野朋治 議事調査課長 梅本雅史
議事調査課管理調整監 桂川義彦 同 課長補佐 大野享子 同 課長補佐 棚橋典広 同 係長 市橋ますみ 同 主査 早野ひとみ 同 主査 柘植健太 同 主任 山辺有紗……………………………………………………………………………………………
△説明のため出席した者の職氏名 知事 古田 肇君 副知事 平木 省君 副知事 河合孝憲君 会計管理者 西垣功朗君
秘書広報統括監兼デジタル政策統括監 尾鼻 智君 総務部長 横山 玄君 清流の国推進部長 丸山 淳君 危機管理部長 渡辺正信君 環境生活部長 内木 禎君 健康福祉部長 堀 裕行君
健康福祉部子ども・女性局長 安江真美君 商工労働部長 崎浦良典君 農政部長 長尾安博君 県土整備部長 船坂徳彦君 都市建築部長 大野真義君
都市建築部都市公園整備局長 湯澤将憲君 教育長 堀 貴雄君 警察本部長 加藤伸宏君……………………………………………………………………………………………
△九月二十九日午前十時開議
○議長(佐藤武彦君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。 (書記朗読) 請願書の受理について 請願第二十八号 私立高等学校に対する県費補助金の増額等についての請願ほか一件の請願書を受理しました。 監査結果等の報告の提出について 監査委員から、お手元に配付のとおり、令和三年九月二十七日付をもって、地方自治法第百九十九条第九項の規定により定期監査の結果について、並びに令和三年九月二十七日付をもって、地方自治法第二百三十五条の二第三項の規定により例月出納検査の結果について報告の提出がありました。以上であります。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。二十八番 山本勝敏君。 〔二十八番 山本勝敏君登壇〕(拍手)
◆二十八番(山本勝敏君) おはようございます。 初めに、
新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に、心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。そして、療養中の皆様にお見舞いを申し上げ、一日も早い御回復をお祈り申し上げます。加えて、日夜大変御尽力いただいている医療従事者の皆様、御関係者の皆様には、それぞれに心から感謝を申し上げます。 それでは、
県政自民クラブを代表し、県政の諸課題について、十九項目を五分割で質問をさせていただきます。 一分割目は、コロナ禍における県政運営について、これを大きなテーマとしまして三項目お尋ねします。 一項目め、
新型コロナウイルス感染症対策について、二点お尋ねします。 本県に適用されています緊急事態宣言は、あしたをもって解除されることになりました。引き続き県独自の対策が取られます。コロナは、まだこの先長い目で見ますと、収束の見通しが立ちません。県民の皆さんは、不便で窮屈な生活を強いられています。中には、仕事を続けることが困難になってしまった方や、あるいは後遺症、ハラスメントで苦しんでいらっしゃる方もあります。 県では、第四波以降、現在の第五波を見据えて、七月中に夏に向けた
リバウンド阻止対策など二回の対策を決定し、感染の再拡大を防ぐ取り組みを行ってきました。その後、八月に三回、九月には二回、昨日決定しました第五波終息を目指して、これを含めて二回と矢継ぎ早に対策を決定し、取り組んできました。 しかし、振り返りますと、八月十七日、新規感染者が三百二十四人、それまでの過去最多の二倍を超えました。以後、連日三百人以上の新規発生者が発生して、一時的に自宅療養者ゼロの堅持が困難になりました。その対応として、自宅療養者の支援チームを発足するなど、
感染拡大状況に応じた
医療提供体制を構築しています。また、臨時の医療施設もあした整備するなど、第六波への備えも進められています。今後も安全・安心な
医療提供体制の構築を期待しています。 一方、
ワクチン接種についても、接種会場の確保が難しい市町村の要請を受けて、県下各地に大
規模接種会場を設置しました。また、企業や大学などでの職域接種の支援を行い、地域の負担を軽減しました。このように、希望する県民が早期に
ワクチン接種を受けられるよう取り組んできました。 今月九日、国は
緊急事態措置区域等であっても、一定の条件の下で行動制限を緩和することや、民間が提供するサービス等において、
ワクチン接種証明書や
PCR検査証明書等を利用することに向けた考え方を発表しております。県レベルでも、愛知県や福岡県などが行動制限緩和の実証実験に参加する意向です。また、群馬県が
ワクチン接種証明書を独自に利用することを発表しています。本県においても、国の動きに対応した経済再生に向けた取り組みを検討する必要があります。 一方、第六波への懸念もあります。現状では、
ワクチン接種対象年齢でない十二歳未満のお子様も含め、様々な事情でワクチンを接種できない方もいらっしゃいます。また、ワクチンを接種した方であっても、新たな変異株やワクチンの効果が逓減する懸念があります。引き続き感染防止の取り組みも期待されています。 そこで、知事に二点お尋ねします。 一点目、第五波における県の
新型コロナウイルス感染症対策に対する評価と、今後の
医療提供体制の構築、国の動きへの対応、感染防止の取り組みについて、どのようにお考えでしょうか。 二点目、国は
ワクチン接種について、希望する全ての対象者への接種を本年十月から十一月にかけて終えることを目指すとしていますが、本県はどのように取り組んでいくのでしょうか。また、国が進めようとしている三回目接種について、課題などがあればお聞かせください。 二項目め、「清流の国ぎふ」
創生総合戦略改訂の今後の進め方について。 岐阜県は、平成二十一年に「岐阜県
長期構想~人口減少時代への挑戦~」を策定し、人口減少社会を見据えた政策の方向性を全国に先駆けて打ち出して、人口減少問題を念頭に置いた取り組みを始めました。岐阜県に遅れること五年、国では、平成二十六年にまち・ひと・し
ごと創生本部を設置し、人口減少を克服し、地方創生を成し遂げる取り組みを開始しました。民主党政権から自民党政権に替わって、取り組みが始まったというわけです。 国の取り組みとしては、まち・ひと・しごと創生法を制定し、都道府県及び市町村が
地方版総合戦略を策定することを努力義務としました。そのため岐阜県では、平成二十七年に岐阜県人口ビジョンを取りまとめました。同時に、五か年の政策目標や具体的な施策等をまとめた「清流の国ぎふ」
創生総合戦略、以下これを総合戦略といいますが、この総合戦略を策定しました。そして、岐阜県長期構想の計画期間の終了に伴い、平成三十一年に現行の総合戦略が策定されています。 総合戦略については、これまでも実施状況が毎年議会に報告されて、おおむね計画どおりに進められていると理解しています。しかし、昨年来のコロナ禍により、世界は大きく変化しました。感染症の拡大により、営業の自粛や休業を余儀なくされる事業所が出るなど、地域経済は大きな打撃を受けました。また、地方への移住やテレワークが広がるなど、県民の意識・行動にも大きな影響が及んでいます。 こうした状況を踏まえ、県では
アフターコロナを見据えた総合戦略の見直し作業に着手されました。見直しに当たっては、現行の総合戦略の策定に当たって立ち上げられた「清流の国ぎふ」
づくり推進県民会議企画分科会を再始動されました。委員会からは、現状や課題について様々な御意見が出たと承知しています。また、今回の
見直しスケジュールについては、当初、今年度末の議決をめどに作業が進められていました。しかしながら、八月三十一日に開催された第三回の企画分科会において、複数の委員から、今年度中の改正は困難である旨の意見があったと承知しています。 そこで、知事にお尋ねします。
新型コロナウイルス感染症の終息の見通しが立たない中、企画分科会における議論を踏まえ、
総合戦略改訂の今後の進め方について、どのようにお考えでしょうか。 三項目め、来年度予算編成に向けた財政運営上の課題と対応について。 七月、財務省が、令和二年度の国の
一般会計決算見込みの概要を発表しました。コロナ禍に関わらず、意外にも税収が大きく上振れし、これまでの見込みよりも五・七兆円増え、過去最高ということでした。次いで地方交付税の法定率分も、約二兆円増加したということも明らかになりました。 およそ一か月後、県が令和二年度の
一般会計決算見込みを発表しました。コロナ対策で事業費が増加した結果、歳入歳出とも前年度を大きく上回り、初めて一兆円を超えました。しかし、国とは異なり、税収は前年度を下回りました。 今年の二月定例会での
県政自民クラブ松岡議員の代表質問に対して、次のような答弁がありました。財政の健全化にも配慮しつつ、重要課題に財源を振り向け、未来志向・課題解決型の予算となるよう努めてきたと。そして、今議会には、今年度十一回目の補正となる九月補正予算案が提出されています。内容としては、コロナ対策のほか観光事業の喚起を図る事業や、文化施設や都市公園のデジタル化を進める事業などが計上されており、累計予算額は昨年度に次ぐ県政史上二番目の規模となっています。 そこで、知事にお尋ねします。
新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない中、県財政の見通しも立ちにくい状況であると思いますが、県の来年度予算編成に向けた課題認識と対応方針について、どのようにお考えでしょうか。 ここで一分割目を終わります。
○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) おはようございます。 まず初めに、私からも
新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた方と、その御家族に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、現在も闘病されている方々の一日も早い回復を心からお祈り申し上げます。また、今この時においても、最前線で御尽力いただいております医療従事者の皆様には、改めて敬意を表し、感謝申し上げる次第でございます。 まず、第五波の特徴について申し上げます。 第一に、感染力の極めて強いデルタ株であります。
新規感染者数が僅か六日間でステージ二から四となり、過去の最大値の二倍を超える三百人規模で連日新たに感染が確認されるなど、スピード、規模ともにこれまでに経験したことのないものでありました。 第二に、感染経路であります。家庭や職場での感染が非常に多く、感染者の実に約六割を占めております。夏休み期間における帰省、旅行、出張など県境を越える移動に端を発し、家庭、職場に広がった事例が全体の三分の一を占めております。 第三に、感染者に占める若年層の割合の急伸であります。高齢者への
ワクチン接種の効果もあり、六十歳代以上の感染者数は全体の八%程度まで減少した一方、行動範囲の広い二十歳代以下が半数を占めるようになりました。結果として、軽症者、無症状者が多く、死者数は第四波の約三割、最も多かった第三波の約二割と減少いたしております。 こうした第五波の特徴に対応して、感染予防、
医療提供体制及び
ワクチン接種の三本柱で対策を進めてまいりました。 まず、第一の感染予防でありますが、極めて深刻かつ広範な市中感染の状況を踏まえて、我が身を守る対策が、全ての県民に求められるというふうに考えた次第であります。このため、八月十四日には全市町村長、経済界、医療界など各種団体の長、そして私も自ら署名をして、オール岐阜「生命の防衛」宣言を発出いたしました。自らの命は自ら守る、いわゆるセルフ・ロックダウンということを訴えたわけであります。その上で、国に対し、八月二十一日に
緊急事態措置の適用を要請しましたところ、二十五日には東海三県同時にこれに追加をするということで、スピーディーな対応をしていただいたわけであります。 次に、二つ目の医療体制でありますが、軽症者、無症状者が大変多く、
宿泊療養施設が一挙に逼迫いたしました。一定期間後の重症化のリスクを見据えますと、確保病床を軽症者で埋めるということは避けたいというふうに判断をいたしまして、やむなく本県では初となる自宅療養に踏み切った次第であります。しかしながら、自宅療養はあくまでも緊急避難であることから、早期に自宅療養者ゼロに復帰すべく、九月中に病床及び
宿泊療養施設を計四百六十九床増加するなど、思い切って拡充し、感染者の減少傾向も相まって、今月十九日に一月ぶりに自宅療養者ゼロに戻したところでございます。 自宅療養に当たっては、県、岐阜市、看護協会が連携した
自宅療養者支援チームが、きめ細かく療養者を支援いたしました。結果、大きなトラブルもなく、改めて支援チーム、保健所、医師会はじめ、
医療関係団体の皆様に厚く御礼を申し上げる次第でございます。 しかしながら、やはり自宅療養には、早期の重症化把握の点でリスクがございます。県民の命を守り抜くためにも、
医療提供体制を一段と充実・強化し、岐阜モデルの根幹である自宅療養者ゼロを堅持してまいりたいと思っております。 三つ目の
ワクチン接種でありますが、全国一位のスピードで高齢者接種が完了いたしました。このことから、高齢者の感染拡大、重症化を最小限に食い止めることができたのではないかと思っております。 次いで、一般接種におきましては、このところ国からの供給が滞る中、毎日二万回程度の
接種スピードを維持しながら進めてきております。県内では、基礎疾患を有する者や、
エッセンシャルワーカーへの優先接種はほぼ完了しておりまして、目下大学の運動部や受験生など、若年層への接種を加速させているところであります。これらの対策の結果、昨日の政府対策本部において、今月末日をもって、本県の
緊急事態措置は解除されることが決定されました。しかしながら、いまだ第五波は終息しておらず、次なる第六波の発生の可能性も否定できない中で、警戒を緩める段階にはありません。 こうした認識の下、昨日、十月十四日までの対策を決定させていただきました。第一に、感染予防の取り組みとしては、引き続き緩まず基本的な感染対策を徹底するとともに、人流抑制策として県内八つの市町の飲食店等において、営業時間の短縮を要請いたします。また、
感染防止対策を徹底した上で、全ての学校で対面授業を再開いたします。 第二に、
医療提供体制としては、軽症者、無症状者が急増した第五波の経験を踏まえ、
宿泊療養施設の確保と機能強化をさらに進めてまいります。また、患者を一時的に受け入れ、酸素投与や
抗体カクテル療法などの必要な措置を行う臨時医療施設を県の武道館に設置してまいります。さらに、本来入院すべき患者が入院できない状況となった場合に、救急医療を専門とする医師が患者の入院調整を行う
非常時入院調整システムを構築してまいります。 第三の
ワクチン接種につきましては、次の答弁で詳細に申し上げますが、十一月の早い段階までに、全ての希望者に接種完了という目標までの最終段階に入っておりますので、引き続きしっかりと取り組んでまいります。 なお、いわゆる出口戦略についてでございます。
ワクチン接種が進む中で、日常生活回復に向けた考え方が示されたことは十分理解できるわけでありますが、さらに慎重に十分に検討し、解決すべき課題が幾つかございます。 第一に、我が国では、これまで自粛、あるいは要請といった強制力のない手法で感染対策を行ってきました。そうした中で、飲食店などでの飲食、県外をまたいだ移動などについて、ワクチン・
検査パッケージにより制度を緩和するといったような仕組みを誰がどのように運用するのか、実効性の担保も含めて議論する必要があります。 第二に、
ワクチン接種が行き渡った後も、
ブレークスルー感染、ワクチン効果の減退といったような諸問題も指摘されております。これと、ワクチン・
検査パッケージとの関係をよくよく検討していく必要があろうかというふうに思っております。 第三に、いまだに全国的に第五波は終息しておらず、しかも二回目の
ワクチン接種率も全国平均で六割弱ということであります。そうした中で、出口戦略の詳細公表や開始のタイミング次第では、ブレーキとアクセルを同時に踏むことになりかねず、これも慎重に考えるべきではないかという議論もございます。こうした論点を一つ一つ丁寧に検討し、
感染拡大防止と経済活性化の両面から、よりよい効果的な制度となるよう国の動向を注視しつつ、私どもとしても検討を進めてまいりたいと思っております。 次に、
ワクチン接種の見通しでありますが、本県としては、このワクチンの問題につきましては、いち早くゴールデンウイークの段階から、各市町村、それから各地の医師会、病院協会、看護協会など、関係機関と徹底的に意見交換を重ねてまいりました。そして、
接種費用補助の独自のかさ上げ、潜在看護師の活用といった医療従事者の確保対策を充実させるとともに、市町村における接種計画を丁寧に県がフォローするなど、
オール岐阜体制で接種を進めてまいりました。その成果として、
高齢者向け優先接種は全国第一位のスピードで完了し、現時点で約九四%の方が接種を終えておるということでございます。改めて、関係の皆様の御尽力に深く感謝申し上げる次第であります。 一般接種につきましては、県下の統一的な接種方針として、六月八日に今後の
ワクチン接種の優先順位及び供給方針を定めました。そして、市町村、県の大
規模接種会場、職域接種と、この三つの取り組みのバランスを取りながら接種を進めてきた次第であります。 九月二十七日時点の数字でありますが、接種対象者の七五・二%が一回目の接種を終えておりますし、六四・二%が二回目の接種を終えておるということでございまして、接種予約も含めますと、現時点で対象者の八五・八%に接種の見込みが立っていると、こういう状況でございます。 現在、十月から十一月の早い段階までには、希望する全ての方に確実に接種いただくという最終局面ということで、以下の取り組みを丁寧に進めていっております。 まず第一に、必要なワクチンの確保であります。県内市町村における
想定最終接種率は、八月上旬においては八〇・九%でございましたが、その後、ワクチンに対する理解が進むと同時に第五波の感染拡大、それからワクチン・
検査パッケージという制度の公表など、接種需要が急速に伸びてきておりまして、九月二十七日時点では、本県八八・〇%の方が接種をしたいということでございます。この数字は、まだ伸びるんではないかというふうに思っております。 一方で、国から本県への当初の供給内示は、本県の接種需要に必ずしも追いついていない水準でありました。このため、上方修正を強く訴えたところ、
モデルナ社製ワクチンを追加確保するなど、現時点では、接種対象者の八九・八%相当分までは確保の見通しが立っております。今後、接種需要がさらに高まることも、先ほど申し上げましたように十分予想されますので、引き続き速やかなワクチンの追加供給を働きかけてまいりたいということでございます。 第二に、若年層に対する接種促進であります。県内市町村では、一般接種を進めるに当たりまして、基礎疾患を有する方、社会福祉施設の従事者、
エッセンシャルワーカーなどへの優先接種を実施し、その上で、重症化リスクが高いとされる高年齢層から順に接種を進めてまいりました。このため、若年層の接種率は、高年者層に比べて相対的に低くなっております。ただ、このところ速度が加速しておりまして、全国的には遜色のない水準まで上がってきております。 しかしながら、第五波では、感染者の六割以上が三十代以下ということでございますので、若年層の接種促進は、喫緊の課題であるというふうに認識しております。特に受験、あるいは就職を控える学生、感染リスクの高い運動部員などへの速やかな接種促進が必要だというふうに考えておりまして、これらについては優先的な接種を今進めておるところでございます。 なお、三回目の接種につきましては、現在、国において様々検討が進められております。県といたしましては、まずは十月から十一月の早い段階までに、希望する全ての方に確実に二回の接種を終えていただくことと、これを最優先に取り組んでまいりますが、併せて三回目接種につきましても、国の動きを見ながら専門家の助言もいただき、市町村、医療機関と共に次なる準備を進めてまいりたいと思っております。 次に、「清流の国ぎふ」
創生総合戦略の改訂についてでございます。 この「清流の国ぎふ」
創生総合戦略は、本格的な人口減少・少子高齢社会の到来を見据えて、県政全体を俯瞰して、今後の方向性を見定める本県にとっては最重要の総合計画でございます。 現計画は、二〇二三年度末を終期としておりまして、その中間見直しということで、このところの新型コロナ感染症の影響を踏まえて、ウイズコロナから
アフターコロナまでを展望した内容のものに改訂すべきではないかということで、昨年十二月議会において御答弁を申し上げたところでございます。 るる議論を進めてまいりましたが、今年度に入りまして、企画分科会におきまして、新型コロナへの対応が既に一年半継続し、なおその帰趨を見定めることが困難な状況にあると、そして県が対応すべき課題も次第に変化をしてきている、さらに広範囲にわたってきておるということが強く指摘されました。 そういったことから、第一に新型コロナ感染症対策については、感染者数の激増、それから高齢世代の感染者数、重症化割合の減少に対して若年層の割合が高くなってきておること、そういったことから
医療提供体制のさらなる強化といった問題、さらには今後の県民生活、経済活動の在り方について、いま一度議論を深める必要があるんではないかという議論でございます。 それから、コロナ禍における社会的弱者への対応としても、孤独・孤立を深めることになった方々へのきめ細かな対応、貧困に陥った方々への生活支援、出産・子育て支援のさらなる充実など、一人一人の幸せと、確かな暮らしに向けた取り組みがより重要になってきております。 第三に、地域経済につきましても、コロナ禍において苦境に陥る産業がある一方、大きな伸びを見せる産業もあります。次世代を見据えた産業振興として、どのような取り組みを行っていくべきか見定めていく必要があります。 第四に、今議会に岐阜県DX推進計画の骨子を示しておりますが、デジタル・トランスフォーメーション、グリーン化、SDGs、新次元の地方分散といった
アフターコロナにおいて、私たちの生活や、働き方の大きな変容につながる大転換についての検討も重要でございます。 このような多岐にわたる課題と対応について、しっかりと議論していくためには、やはりさらに一定の時間をかけるべきではないかというのが大多数の意見でございました。こうしたことを踏まえて、当初予定の今年度末までにということではなくて、二〇二四年度からの次期戦略との接続も考慮に入れながら、来年度いっぱいをかけて議論していきたいということでございます。 次に、来年度予算についてであります。 まず、このところの県財政でございますが、これまで新型コロナ対策として、当初予算三百三十二億円、そして加えて今議会までに十一次にわたって合計八百八十六億円による補正予算を編成しておるわけであります。まさに、総額千二百十八億円の非常時モードの予算対応ということが続いておるわけであります。 今回の補正予算では、病床及び
宿泊療養施設の拡充、ワクチン早期接種の推進、コロナ禍の影響を受ける事業者への財政支援など、総額二百二十億円をお願いしておりますが、今後もその時々の状況に応じた機動的な対応が必要になってまいります。 また、財源につきましては、国の交付金、昨年度使途を拡大した県有施設整備・
新型コロナウイルス感染症対策基金を最大限活用し、一般財源の投入を可能な限り抑制してきております。ただ、当該基金は、活用可能な百九億円のうち、この上半期だけで既に七十一億円を繰り入れておりまして、さほど余裕が残っているというわけではございません。また、税収の見通しにつきましては、足元では回復の兆しが見え始めておりますけれども、例えば法人関係では、製造業全体としてはほぼ好調であると言っていいわけでありますが、特に航空産業、観光業、運輸業などはコロナ禍の影響が色濃いなど、業種によって状況が大きく異なっておりまして、全体として必ずしも楽観できない状況でございます。 このように、財政見通しは大変不透明な中にはありますが、現時点で考えられる来年度予算についての課題として幾つかあるわけであります。 まず新型コロナ対策でありますが、引き続き丁寧に取り組んでいくことはもちろんでありますが、一年半にわたるコロナ禍によって病んでいる県民生活、地域経済へのきめ細かな目配り、支援が非常に重要になってくるであろうと考えております。 また、コロナ禍において大きく変化していく社会の在り方に対応するべく、DX、脱炭素社会の実現、新次元の中央分散などの新たな政策課題に対する大胆な取り組みも盛り込んでいく必要があろうかと思っております。 さらには、八月の大雨災害で、昨年同様の箇所で被害が生じたことも踏まえて、災害の頻発化・激甚化に対応した防災・減災対策も着実に進めていかなければならないということでございます。加えて、構造的な課題として社会保障関係経費の自然増、社会資本老朽化対策といったような問題もございます。さらには、今年度から、当分の間増加傾向となる公債費の問題、また近間では、新庁舎の完成及び移転と多くの財政にまつわる課題がございます。したがって、これら施策の自主財源をしっかり確保していくことも極めて重要になってまいります。 地方創生臨時交付金をはじめとする国のコロナ対策予算の確実かつ十分な確保について、全国知事会のコンセンサスも生かしながら、国へ強く働きかけてまいりたいと思っておりますし、国の今年度予算におきましても、いまだ二・六兆円に上る残余のある予備費の機動的な活用ということもあろうかと思いますし、加えて、近く発足する新内閣による補正予算といったものも大いに期待しておるわけでございます。いずれにせよ、来年度予算に向けての基本的なスタンスは二月定例会で御答弁申し上げたとおりでございます。以上でございます。
○議長(佐藤武彦君) 二十八番 山本勝敏君。 〔二十八番 山本勝敏君登壇〕
◆二十八番(山本勝敏君) 二分割目の大きなテーマは、地域の活性化についてです。 三項目お尋ねします。通算でいいますと、四項目めになります。 東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みの成果について。 コロナ禍で開催が一年延期され、様々な制約の下での大会となりましたが、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックは無事終了しました。 一方、本県は、平成二十四年にぎふ清流国体・ぎふ清流大会を開催しました。ぎふ清流国体では天皇杯・皇后杯を獲得、ぎふ清流大会では、過去最高となる百八十四個のメダルを獲得しました。 この成果を次代に継承、発展させるため、平成二十五年、議員提案によって岐阜県清流の国スポーツ推進条例を制定しました。そして、平成二十七年には、清流の国ぎふスポーツ推進計画が策定されました。 この計画は、東京オリンピックの開催年がターゲットイヤーとなっていまして、目標がオリンピック出場三十人、パラリンピック出場十人という目標を掲げられました。それまでの最高人数がオリンピック十九人、パラリンピックは三人ということから考えますと、この目標は大変高い目標だったわけです。 その高い目標に向かって、本県ゆかりの選手への強化支援に取り組んできました。その結果、ほぼ目標どおりのオリンピック三十二人と、パラリンピック九人の代表が選ばれたと。 本県ゆかりの選手の中でも、ボクシング男子フライ級の田中亮明選手の銅メダル獲得は、出身地や勤務地のある多治見市や瑞浪市をはじめ、県民の皆さんに大きな感動を与えました。また、パラリンピックにおいても、車椅子テニス混合上下肢障害ダブルスで、五十四歳の諸石光照選手が銅メダルを獲得したことは大きな話題となりました。そのほか金メダルを取った野球、銀メダルを取った車椅子バスケットでも、県ゆかりの選手が活躍されました。 また、事前の取り組みとして、飛騨御嶽高原高地トレーニングエリアでは、御嶽濁河高地トレーニングセンターを整備して、国内のトップアスリート、ナショナルチームの合宿を誘致して、このエリアのブランド価値を高めました。加えて、市町村と共にホストタウン交流も進められました。コロナの影響で交流が制限されたのは残念でしたが、恵那市で事前キャンプを行ったポーランドのカヌーチームが二つのメダルを獲得したときは、恵那市が歓喜に包まれました。 そこで、知事にお尋ねします。 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催に向けた取り組みによる成果と、この成果を次代に継承、発展させるための取り組みについて、どのようにお考えでしょうか。 五項目め、コロナ禍における地場産業への支援について。 まず、私の地元、多治見市にあるセラミックパークMINOをメイン会場に、あしたから開催されます国際陶磁器フェスティバル美濃21について、少し御紹介します。 多治見市、瑞浪市、土岐市、可児市は、全国有数の陶磁器産地です。当フェスティバルは、この地域で生産される美濃焼のすばらしさを世界に発信し、陶磁器産業と文化をさらに発展させるために開催されます。コロナの影響で今回は縮小しての開催ですが、こうした中で開催される今回のフェスティバルが、現在の厳しい状況を打破する契機となり、陶磁器産業のさらなる発展につながることを期待しています。 さて、コロナ禍は陶磁器をはじめ、本県のアイデンティティーとも言えるアパレル、刃物、紙、木工など、岐阜県の地場産業にも大きな影響があったと考えています。そして、このコロナの影響による景気の動向はK字型と言われ、昨年春頃のコロナ不況から急速に回復している分野と、回復が極めて遅い分野に分かれています。 岐阜県産業経済振興センターが地場産業等調査ということで、アパレル、木工、紙、プラスチック、陶磁器、刃物、機械、観光の八業種について、毎年レポートを作成しています。令和二年度のレポートを見ますと、一部の業種について、コロナの影響についても書かれています。例えば、木工は大型・高級家具の売行きは低下と、手頃な価格の家具は売上げが好調と。陶磁器は飲食店等への販売が不調と、一般家庭向けは堅調と、そういうふうにされています。このように地場産業といっても、同じ業種の中でも好不調があることから、一般的な統計資料などではコロナの影響は見えにくくなっていると考えられます。こうしたことから、県では、積極的に企業や団体などに対して、コロナの影響について、きめ細かくヒアリングされているとお聞きしています。 そこで、商工労働部長にお尋ねします。
新型コロナウイルス感染症が県の地場産業に与えた影響をどのように捉え、どのような支援を行っていかれるのでしょうか。 六項目め、中小企業の組合に対する支援について。 コロナによる景気の悪影響は、中小企業ほど大きく表れています。そして、中小企業が経営相談などを行う場合、地元の商工会議所、商工会と並んで頼りになるのが、同じような立場にある同業者が集まった中小企業の組合です。例えば商店街の組合、アパレルの組合、陶磁器の組合等々です。 中小企業の組合には、次のような機能があります。 まず、取引条件の改善、販売促進、資金調達の円滑化、経営ノウハウの充実、生産性の向上などの援助を受けることができます。また、業界ルールの確立などにより、会員企業の経営安定と業界全体の改善発展を図ることができます。さらに、会員企業の意見や要望を組合でまとめることによって、国や県の施策に反映させやすくなります。 県内には、このような中小企業の組合が七百五十三存在します。環境変化に対応して、共同事業などに先進的に取り組んでいる組合もあります。しかし、業界の業績悪化、会員企業の減少などにより、組合の存続が難しくなり、解散してしまったところもあります。現在も、会員企業の減少などにより、存続が難しくなっている組合が多々あると聞いています。 そこで、商工労働部長にお尋ねします。 このように厳しい環境にある中小企業の組合の運営や存続を維持していくため、どのような支援を行っていかれるのでしょうか。 ここで二分割目を終わります。
○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みについてのお尋ねでございました。 本県では、平成二十四年に開催いたしましたぎふ清流国体・ぎふ清流大会のレガシーを受け継いで、その後多くの全国的な、あるいは国際的な大会の開催を重ねながら、東京二〇二〇大会の開催年をターゲットに、競技力向上、合宿誘致による地域活性化と国際交流、本県の魅力発信に取り組んでまいりしました。 第一に、競技力向上の観点では、平成二十六年度以降、百四十九名の強化選手を指定いたしまして、遠征、合宿などの活動に係る財政支援を行うほか、飛騨御嶽高原高地トレーニングエリアや川崎重工ホッケースタジアムなど、世界でもトップレベルの施設の整備、さらには特にパラアスリートに対しまして、動作解析など、個々の特性に応じた医科学サポート体制の充実を図ってまいりました。 この結果、オリンピックには目標を上回る三十二名が出場、パラリンピックにも、前回リオ大会の一名から大幅増となる九名が出場いたしました。そして、四人のメダリストをはじめ、大変すばらしい活躍を見せていただいた次第であります。このほか、飛騨御嶽高原高地トレーニングエリアで合宿を行った陸上、あるいは自転車競技などで目覚ましい成績を上げられるなど、日本全体の競技力向上にも貢献したところであります。 第二に、合宿誘致による地域活性化と国際交流という点では、コロナの影響により、イギリス、フランス等の事前合宿は中止されましたが、最終的には四か国から二百五十名の方々が本県で事前合宿を行いました。合宿期間中は、徹底した対策により、新型コロナ感染者の発生もなく、無事終了することができたわけでありますが、そして、各務原市でキャンプを張ったオランダ女子ホッケーチームが金メダル、恵那市で合宿を行ったポーランドカヌーチームが銀及び銅メダルとそれぞれ獲得されるなど、好成績を収められました。また、ホストタウン交流としてスポーツ教室の開催、小・中学校や特別支援学校訪問により交流を深めたほか、オンライン交流会の開催、SNSを活用したメッセージの交換等、相互理解を深めてまいりました。 第三に、本県の魅力発信の観点では、オリ・パラ全競技の入賞者表彰状が一万五千枚あるそうでありますが、これへの美濃手すき和紙の一括採用、一位一刀彫など本県の伝統工芸品の大会関係者への贈呈、選手村ビレッジプラザや国立競技場での県産の杉、ヒノキの活用、選手村食堂における多くの県産食材の使用など、県産品の魅力を世界にお届けいたしました。また、東京二〇二〇大会を契機に、日本文化を世界に発信する国の事業beyond二〇二〇プログラムにおいて、認証を受けました地歌舞伎公演など、本県の文化芸術についても、その魅力を存分に発信したところでございます。 こうした成果を次代に継承・発展させるため、まず競技力に関しましては、二〇二四年のパリ大会を目指される選手の皆さんには、本県の強力な支援を引き続き行ってまいります。また、次世代を担うジュニア世代の強化や、若手指導者の育成にも力を入れてまいりたいと思っております。 また、パラスポーツの競技力向上のため、その拠点として高く評価をいただいております福祉友愛アリーナ、福祉友愛プールの利用を促進するとともに、先ほども申し上げましたが、アスリートからの評価も高く、科学的にも有用性が認められた県の医科学サポートを充実・強化してまいります。 次に、合宿誘致による地域活性化と国際交流につきましては、来年、神戸市で開催される世界パラ陸上競技選手権大会に向けて、カナダ代表チームの事前合宿誘致に取り組んでおります。また、今回の事前合宿を契機に、ポーランドから提案がありましたスポーツ、文化、観光等の岐阜・ポーランド間の自治体間交流を積極的に進めてまいりたいと思っております。 さらに、本県の魅力発信でありますが、東京二〇二〇大会において、食、物、文化などあらゆる分野で発信してきた本県の魅力をさらに磨き上げ、機会を捉えて海外の見本市への出展、オンラインなどでの販促などを積極的に行うことにしております。 以上について、令和四年度を始期とする次期スポーツ推進計画にしっかりと位置づけ、東京二〇二〇大会のレガシーとして継承させてまいります。
○議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 崎浦良典君。 〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕
◎商工労働部長(崎浦良典君) 二点御質問いただきました。 まず、コロナ禍における地場産業への支援についてお答えします。 本県経済は、全体的には回復傾向にあるものの、地場産業の皆様それぞれに話をお伺いする中では、巣籠もり需要や在宅勤務の拡大などで、家具や室内インテリア、刃物などの関連の商品が好調の一方で、度重なる緊急事態宣言等で人流の影響を受ける飲食店、観光業と、それらに提供する業務用食器や土産物などを取り扱う業界を中心に、依然として厳しい状況にあります。 このため、まずは需要の回復に向け、大手ECサイトを活用した陶磁器などの販売支援や、県内旅行の割引キャンペーン等に取り組んでまいりましたが、今後はさらに感染状況を見極めつつ、県産品フェアや見本市への出展を支援する補助金の追加募集、県内旅行キャンペーンに合わせたお土産物店や観光施設等で利用できるクーポンの配付などにも取り組んでまいります。さらに、
アフターコロナ社会に対応できるよう新商品開発に向けた設備導入補助金について、より多くの事業者に御活用いただけるよう増額するなど、支援を強化してまいりたいと考えております。 次に、中小企業の組合に対する支援についてお答えします。 コロナ禍で経営環境が厳しい中、個々の企業では不足する人材や情報等の経営資源を補い、企業活動を支える中小企業の組合の存在は一層重要になっております。このため、組合支援を担う県中小企業団体中央会と連携し、これまでの組合への巡回指導や相談対応に加え、新型コロナウイルスの影響が本格化した昨年度からは、組合の新たな事業・体制の構築や、経営課題の解決に向けた弁護士・中小企業診断士など、専門家の派遣を開始したほか、需要回復に向けた地場産業の産地組合が行うフェアに対する補助など、組合活動への支援を強化したところです。 今後は、中小企業においても、
アフターコロナ社会に向けて、DXや脱炭素化などへの対応が重要となり、それぞれの組合には、こうした取り組みを先導する役割が期待されています。そこで、各組合の御意見も伺いつつ、例えばDX推進に向けたファーストステップとして、クラウドサービスを活用した業務の効率化などを組合単位で進められる事業の検討なども進めてまいります。
○議長(佐藤武彦君) 二十八番 山本勝敏君。 〔二十八番 山本勝敏君登壇〕
◆二十八番(山本勝敏君) 三分割目の大きなテーマは、誰一人取り残さない岐阜県づくりについてです。 四項目お尋ねします。通算でいいますと、七項目めになります。 条例の検証結果を踏まえた家庭教育支援について。 子供の教育については、その保護者が第一義的責任を有しており、家庭教育は、子供の成長過程において大変重要な役割を果たしていることは明らかです。 保護者が子供に基本的な生活習慣や社会のルールなどを自主的に教え、育むことができるように、社会の全ての構成員が相互に協力しながら一体的に取り組むことが必要です。そのため岐阜県では、この家庭教育を積極的に推進するため、平成二十六年に議員提案で岐阜県家庭教育支援条例を制定しました。 条例では、家庭教育の定義として、保護者がその子供に対して基本的な生活習慣、自立心、自制心などの九つの事項等を教え、育むことであるとしています。そして、県は保護者、地域住民、学校等その他の関係者と連携して、家庭教育支援施策を取り組むものとしています。さらには、三世代同居や近居の割合が高いという本県の特徴を生かし、祖父母にも家庭教育への協力を求めています。また、既に実施されていた「家庭の日」や「早く家庭に帰る日」を新たに「家庭教育を実践する日」として位置づけています。このように、家庭教育支援に関する幅広い取り組みを進めていくこととしています。 また、毎年議会に対して、家庭教育支援に関して講じた施策に関する報告がされています。 こうした報告を踏まえて、昨年度実施された議員提案条例検証特別委員会では、この岐阜県家庭教育支援条例について運用の改善を求める、条例の見直しの必要はないとされました。具体的には、次の三点が指摘されています。 一つ目、「家庭の日」の認知度向上と、機運醸成のための普及・啓発活動を推進すること、二つ目、家庭教育学級への不参加家庭に対する取り組みを推進すること、三つ目、市町村の取り組みの把握と情報共有により、市町村への支援の充実に努めること、この三点です。 そこで、知事にお尋ねします。 昨年度の議員提案条例検証特別委員会の検証結果を踏まえて、家庭教育支援について、どのような取り組みを行っていかれるのでしょうか。 八項目め、犯罪被害者等へ支援について。 犯罪等により被害を受けられた方や、その御家族または御遺族の方、以下犯罪被害者等といいます。この犯罪被害者等は、生命・身体・財産などに対する直接の被害だけでなく、その後に発生する二次的被害に苦しめられることが少なくありません。 例えば警察での事情聴取のとき、医療機関での受診のときなど、被害の様子を何度も説明させられて、嫌な気分になることがあります。また、近所や職場などで他人の目が気になったり、場合によってはマスコミの取材を受けたり、インターネットで誹謗中傷を受けたりして、精神的に追い込まれることもあります。さらには、被害に遭ったことによるストレスなどから、以前のように仕事ができなくなったり、家族や親戚、御近所関係がぎくしゃくしたりすることもあります。 犯罪は、今まで経験したことのない強いショックと数々の苦痛を与えます。傷ついた人は、周りの人から励ますつもりで発せられた言葉にも、深く傷つくということさえよくあります。 県では、これまでも岐阜県犯罪のない安全・安心まちづくり条例の中に、犯罪被害者等への支援等を位置づけて、各種の支援策を実施してきました。その後、支援施策の一層の充実を図るため、独立した条例として岐阜県犯罪被害者等支援条例が制定され、今年四月に施行されました。 この条例では、県の責務として、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進すること、また市町村への情報提供、助言を行うことについて定めています。そして、犯罪被害者等支援計画を策定し、基本方針、具体的な施策などを定めることとしています。 そこで、環境生活部長にお尋ねします。 犯罪被害者等支援計画の策定に向けた方向性と具体的な支援策について、どのようにお考えでしょうか。 九項目め、高校生の通級指導教室ついて。 障がいのある子供への理解の広がりもあり、特別支援教育へのニーズは増える一方です。 これまで県教育委員会では、特別支援学校を各地域に建設したり、特別支援学級を増設したりするなど体制整備に努めてきました。この特別支援学校、特別支援学級と並ぶ特別支援教育の柱として、通級による指導があります。 通級による指導とは、文部科学省の資料によりますと、大部分の授業を在籍する通級の授業で受けながら、一部障がいの特性に応じた特別な指導を実施することとされています。 県内の公立小・中学校では、現在、二百九十六校に通級指導教室が設置されています。ここに五千七百五十九人の児童・生徒が指導を受けています。十年前、平成二十三年度と比較しますと、当時は七十九校、児童・生徒数が千七百九十人でしたので、通級指導の児童・生徒は大幅に増えています。 一方、今年三月、文部科学省は、高校生を対象とした通級による指導の実施状況を公表しています。この調査によりますと、公立高校について、この指導体制が整わないことを理由に、通級による指導を受けなかった生徒が多かった都道府県は、多い順に、一位が大阪府二百二十四人、二番目が東京都が百六十二人、そして三番目に岐阜県が百六十一人となっています。 報道記事によりますと、人口比からすると、自治体ごとに捉え方に差があるというふうに書かれています。どういうことかといいますと、ある生徒に通級による指導が必要だ、そう判断するには、複数の教員の目でじっくりその生徒を見て、保護者とも相談する必要があります。そう考えますと、通級による指導が必要と判断した生徒の数が多いのは、岐阜県の公立高校が、生徒一人一人を丁寧に見て対応をしようとしている表れではないかと思います。しかし、残念ながら、指導する体制が整っていないということが明らかになったとも言えます。高校生を対象とした通級による指導は、まだ日が浅く、平成三十年度に制度化されたばかりで、今後の展開が期待されます。 そこで、教育長にお尋ねします。 高校生の通級指導教室について、今回の調査結果をどのように受け止められて、今後どのような方針で支援体制を構築していかれるのでしょうか。 十項目め、演劇等ワークショップの今後の展望について。 堀教育長は、非常にアイデア豊富と伺っています。例えば、不破高校の校長でいらっしゃったときは、最寄り駅であるJR垂井駅に到着する電車の時間に合わせて、始業時間を遅らせたそうです。また、当時は投票開始年齢の十八歳への引下げが行われる直前で、各高校で様々な取り組みが行われた頃でした。不破高校が行った模擬選挙では、地元の垂井町、関ケ原町職員のほか、県庁観光国際局の職員にも協力を仰いで、徳川家康、石田三成の武者姿の職員を登場させて、生徒の興味を引いたと伺っております。 また、平成二十四年度に東濃高校で、当時教頭を務めていらっしゃった教育長が、主導で始めた演劇等ワークショップ事業が、県内外から高く評価されていると聞いています。この事業は、プロの演出家や俳優などを講師として招いて、高校生に演劇表現などを体験させることによって、コミュニケーション能力や自己表現力の向上を図ろうとするものです。 昨年、授業を見学されました恩田議員によりますと、「何とも説明が難しいけれども、確実に言えるのは、授業の前後で生徒の目が大きく変わり、生き生きとしていた」ということでした。私も実際に見てみようと計画しましたが、残念ながらこのコロナ禍で実現できませんでした。そのため、録画した動画を見ながら説明をしてもらいました。 私ごとで恐縮なんですが、私は、議員になる前に経営コンサルタント会社に勤めておりまして、その会社は企業に対して、そこの社員のコミュニケーション能力を高めるための支援なども行っていました。ということで、この手の取り組みには多少心得があるつもりであります。そして、そういう目でこの動画を見ますと、私が知っているものとは異なるアプローチでしたが、理にかなっていました。言葉で説明するのは難しいんですが、なるほどなあと思わせるものでした。 そして、実際にこの事業を実施している学校では、遅刻など生徒の問題行動が減って、中退する生徒の数も減少するなどの効果が現れているそうです。すばらしい取り組みですので、今後も続けていただきたいと思います。 そこで、教育長にお尋ねします。 演劇等ワークショップについて、財源となっている国の補助金が今年度で終了ということですが、今後の展望についてどのようにお考えでしょうか。 ここで、三分割目を終わります。
○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 条例の検証結果を踏まえた家庭教育の取り組みについて、お尋ねがございました。 申し上げるまでもなく、家庭教育の主眼は、親子が共に学び、育ち合うことであります。その家庭教育を巡っては、核家族化や共働き世帯の増加、地域とのつながりの希薄化など、本県条例制定時の社会環境が様々に変化してきております。加えて長引くコロナの影響もあり、保護者同士の交流機会の減少で、不安が膨らんでいるという事実もございます。こうしたことを踏まえて、御指摘の特別委員会の検証結果については、家庭、学校、企業、市町村とも連携をし、オール岐阜で取り組んでいく必要があると考えております。 まず、第一の「家庭の日」の認知度向上と、機運醸成のための普及・啓発活動の推進についてであります。 「家庭の日」は、毎月第三日曜日に家庭を大切にするとともに、家庭教育の実践に努める日とされております。このため現在小学校では、一年生と四年生の保護者を対象に、親子で約束事を決めて実践する「話そう!語ろう!わが家の約束」運動を実施しております。これを教育委員会とも連携をいたしまして、全ての小・中学校の全ての学年で実施してまいりたいというふうに考えております。 また、家族で災害時の備えについて話し合うなどの具体的な実践事例を毎月「家庭の日」の前に、保護者宛てにメール送信をする取り組みを始めたところでございます。 第二の家庭教育学級への不参加家庭に対する取り組みの推進についてでございますが、夫婦共働きなどで、家庭教育学級に足を運びにくい保護者にも参加していただけるよう親子のよりよいコミュニケーションを学ぶ教材などを充実し、これをユーチューブで配信いたします。また、家庭教育学級をオンラインで運営する際の要点をまとめたマニュアルを提供してまいります。加えて乳幼児健診などの場所へ出向いたり、企業内の職場研修にも参加するなど、アウトリーチ型の相談や情報提供にも取り組んでまいります。 第三の市町村への支援の充実でございますが、新たに市町村連携会議を立ち上げ、先進事例のノウハウや課題を共有し、支援してまいります。また、相談スキル、あるいは講座の企画運営などの研修を開催し、身近な地域で家庭教育を支える人材の育成を支援してまいります。 今後も、これらの取り組みを有識者から成る家庭教育推進委員会で改めて検証していただくとともに、県議会にもお示しをして御意見を伺ってまいりたいと思います。そして、これらを通じて、全ての家庭が主体的に家庭教育に取り組むことができるようさらなる支援の充実に努めてまいります。
○議長(佐藤武彦君) 環境生活部長 内木 禎君。 〔環境生活部長 内木 禎君登壇〕
◎環境生活部長(内木禎君) 犯罪被害者等への支援についてお答えします。 計画策定の方向性については、現在、法学者や弁護士、臨床心理士、犯罪被害の当事者と、その支援に当たる専門職員から成る有識者会議で議論を進めており、併せて被害者や、その御遺族の方々から、直接お話を伺う機会をできる限り多く持つよう取り組んでおります。こうした取り組みを重ねることで、犯罪被害に遭われた方々に寄り添った実効性のある計画を年度末までに策定してまいります。 次に、具体的な支援策ですが、当事者の方からは「悲しい気持ちがなくならない」「身近な市町村が、突然被害者となった立場を理解した支援をしてほしい」「様々な手続が進む中、早い段階から被害者支援に精通した弁護士の支援を受けたい」といった御意見を伺っております。こうした声を受けて、臨床心理士による心のケアや、弁護士による被害者支援の充実、県と市町村、県警、ぎふ犯罪被害者支援センターなどが早期に連携し、一人一人に応じた支援を調整する会議の設置など、新たな支援の仕組みを具体化してまいります。
○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 二点御質問がありました。 初めに、高校生の通級指導教室についてお答えします。 御指摘の調査は、全ての公立高校の生徒のうち、通級指導が必要な生徒の割合は全国平均の四倍となりました。これは、議員がおっしゃったとおり、本県の調査に当たって、通級指導の必要性を丁寧に把握した結果であると考えております。 県教育委員会では、発達障がい、またはその疑いのある高校生を対象とした通級指導教室を平成三十年度から順次開設しており、当初、二校九名から毎年拡大し、現在では七校三十八名の指導を行っているところです。しかしながら、中学校で通級指導を受けている生徒の数は、この五年間で百五十八名から七百五十二名に急増していることを鑑みると、今後さらに高校での支援体制を整えていく必要があると考えております。 このため、ニーズのある生徒がどの高校に進学しても支援が行き渡るよう、各圏域の通級指導の拠点となる学校を定め、その学校の教員が複数の高校に出向いて指導するという巡回型の通級指導の実施について検討してまいります。 次に、演劇等ワークショップの今後の展望についてお答えします。 演劇等ワークショップは、現在十三の高校一年生、約千三百人を対象にして実施しております。日本演劇界を代表する文学座の演出家、脚本家、俳優が、生徒一人一人の表情、しぐさをプロの目で見て、それに対応しながらワークショップを進めることで、目の前で生徒たちが変化するその様子は、心を開いていく過程そのものです。その中で、学校に居場所を見つけることができ、卒業後も社会の中に居場所を持ち、生き続けてくれることを願っております。 平成二十四年度に東濃高校で始めた独自の取り組みは、文化庁の文化部長が二代にわたって見学の後、社会共生を目的とした事業として、文化庁の補助を受けながら今年度まで五年間実施してまいりました。文化庁では、岐阜モデルとして高い評価を受けているということです。来年度も新たな助成制度や、主講師である演出家が会長を務める日本劇団協議会との連携も視野に入れ、県教育委員会と連携協定を結んでいる文学座との間で取り組みを継続したいと考えております。
○議長(佐藤武彦君) 二十八番 山本勝敏君。 〔二十八番 山本勝敏君登壇〕
◆二十八番(山本勝敏君) 四分割目の大きなテーマは、持続可能な岐阜県づくりについてです。 五項目お尋ねします。通算で十一項目めになります。 次期岐阜県森林づくり基本計画について。 岐阜県は、県土の八割以上を豊かな森林が占め、森林率は高知県に次いで全国二位の木の国・山の国です。そして、この豊かな森林が清流を蓄え、太平洋や日本海に注ぐ大小四百以上もの河川の源となっています。 本県を流れる一級河川の延長は、三千二百六十二・七キロメートル、全国五位となっています。そして、郡上市の宗祇水、養老町の養老の滝、長良川が環境省の名水百選に選定されるなど、本県の森林は大きな恵みをもたらしています。岐阜県は、こうした森林がもたらす数々の恵みを受けながら、森の文化・木の文化を育み、発展を遂げてきました。 そして、平成十八年に開催された全国植樹祭に合わせて、岐阜県森林づくり基本条例を施行しました。この条例に基づいて、岐阜県森林づくり基本計画の第一期計画が平成十九年に策定されました。現在は、第三期計画です。三本柱です。百年先の森林づくり、生きた森林づくり、恵みの森林づくり、この三つを基に各種施策に取り組まれています。この第三期計画は、今年度で終期を迎えます。よって、今議会に新たな基本計画の骨子案が提出されたところです。 第三期計画の中で、将来の望ましい森林の姿を定めた森林配置計画が全ての民有林で策定されました。今後は、この森林配置計画で定めた配置区分に沿った森林管理が望まれます。また、近年の異常気象により激甚化・頻発化が進む自然災害から県民の命・財産を守るためには、適正な森林の保全・管理が欠かせません。さらに、SDGsの達成や、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、森林・林業・木材産業の果たす役割への期待が高まっています。 一方で、林業・木材産業を取り巻く状況は、依然厳しいものがあります。担い手不足や人口減少による木材需要の減少、ウッドショックなど、様々な課題に面しています。 そこで、知事にお尋ねします。 森林づくり基本計画について、現行計画の評価や新たな課題などを踏まえ、次期基本計画ではどのような方針で取り組まれるのでしょうか。 十二項目め、清流の国ぎふ森林・環境税について。 平成二十四年度の清流の国ぎふ森林・環境税導入の前には、様々な問題が顕在化していました。例えば、適切に管理されず荒廃した森林、野生鳥獣による農作物被害の増加、外来生物の侵入による生態系への影響、水環境の悪化などの問題です。こうした状況の下、全国植樹祭、全国豊かな海づくり大会などを通じてアピールされた森・川・海のつながりの中で、環境保全に取り組んで「清流の国ぎふ」づくりを進めていくために、清流の国ぎふ森林・環境税が導入されました。 県の森林・環境税は、県内の個人や、法人の県民税に上乗せする形で徴収されています。その収入は、毎年約十二億円余りです。この収入を財源として、こういったことが行われています。奥山林や里山林の整備、危険木の除去、鳥獣害対策としてのニホンジカやイノシシの捕獲、NPO団体などが行う自然環境保全活動への支援等が行われています。そして、これらの事業については、毎年度、第三者機関である清流の国ぎふ森林・環境基金事業評価審議会において評価・検証されています。その評価・検証に基づいて、効果的な事業が実施できるよう見直しを重ねながら取り組んできました。 この県の森林・環境税は、主に森林所有者自らが管理する森林整備の財源になっています。一方、平成三十一年に導入された国の森林環境譲与税は、森林所有者自らが管理できない森林を市町村が主体となって整備するための財源となっています。県の森林・環境税と国の森林環境譲与税、この二つによって安定的に財源が確保されて、それぞれの目的に応じて森林整備が一層進むことが期待されます。 森林や河川は、県土の保全、地球温暖化の防止といった公益的機能を有しています。その恩恵を全ての県民が享受しています。こうした公益的機能の維持増進を県民全体で支え、緑豊かな「清流の国ぎふ」を守り育てていくために、県の森林・環境税は必要不可欠な財源となっています。しかし、今年度末で第二期の終期を迎えます。 そこで、知事にお尋ねします。 県の森林・環境税について、第二期の成果を踏まえた上で、今後の税の継続の是非についてはどのようにお考えでしょうか。 十三項目め、食料自給率の引上げについて、二点お尋ねします。 今年三月、今後五年間の県の農業・農村振興施策のよりどころとなる新たなぎふ農業・農村基本計画が策定されました。この計画は、「清流の国ぎふ」の未来を支える農業・農村づくりを基本理念としまして、四つの基本方針を設け、それを達成するための重点施策が掲げられています。加えて、その効果を見るための観測指標として、農業産出額や耕地面積など五項目設定されています。 一方、国は、昨年三月に新たな食料・農業・農村基本計画を策定しています。この国の計画では、食料自給率の目標という項目に大きなページを割いています。このことから、国は、食料自給率向上が計画最大の課題と認識していると思われます。そして、平成三十年度にカロリーベース三七%であった食料自給率を十二年後の令和十二年度には四五%と、八%引き上げようという目標になっています。 県の計画に戻ります。先ほど申し上げた観測指標五項目の中に、食料自給率が上げられています。本県の食料自給率は、国の計画の基準となっている平成三十年度では、カロリーベースで二四%と残念ながら全国平均の三分の二程度にとどまっています。食料自給率が低い大きな要因、原因は、本県は中山間地域が多く、耕地面積の割合が全国的に見ても低いこと、また海に面していないため魚介類の供給量が少ないことなど、県の立地条件によるものと考えられます。しかしながら、世界的な食料安全保障の観点からも、国内で消費するものは国内で賄う、そして、そのためにも地域で消費するものはその地域で賄うべきだと思います。食料自給率の引上げに取り組むことは極めて重要です。 ぎふ農業・農村基本計画では、観測指標の食料自給率を平成三十年度の先ほど言いました二四%から、令和七年度には二九%に引き上げることを目指しています。いい目標と思います。一方、別の観測指標の農業産出額は、現状値と目標値がいずれも千百四億円と同額になっています。これで食料自給率が向上するのか、やや疑問に思われます。 そこで、農政部長に二点お尋ねします。 一点目、県では食料自給率を引き上げるために、具体的にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。 二点目、観測指標の食料自給率のほかに、目標指標として地産地消率を設定していますが、地産地消率の考え方と、これを引き上げるために具体的にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。 十四項目め、県営水道における水道料金の見通しについて。 水道事業は、市町村が行うのが原則です。東濃地域・可茂地域の七市四町は、岐阜東部上水道用水供給事業という県営水道で水を賄っています。 少し経緯を申し上げますと、この地域は、地形・地質的に地下水源が乏しく、また既得水利権の関係から、目の前を流れる木曽川の水を使えないなどの事情を抱え、水不足が深刻化していました。このような状況で、各市町が単独で対応することが困難なことから、昭和五十一年度から県営水道として事業化されています。事業化後は、各市町に設置されていた浄水場の統廃合が進められました。それぞれの市町が、単独で水源開発や浄水場などの施設整備を行った場合に比べて、給水のためのコストを低く抑えることができています。 その結果、昭和六十一年度に、現在の二部料金制に改正されてから、三回の料金値下げが行われています。昭和六十一年度には、一立方メートル当たり百四十四円だった供給単価は、現在はその約三分の二、九十六・四円に抑えられています。地域住民の一人として、大変ありがたいと思っています。 現在、国は水道の広域化を推進していますが、この県営水道事業は、実に四十年以上も先取りして広域化したまさに先進事例です。しかしながら、まだまだこの地域の料金は高い状態です。 県内には、上水道事業を行っている市町が三十八あります。この三十八市町において、水を例えば十立方メートル使用したときの料金を高い順から並べていきますと、上位十市町の中で九市町が、この県営水道を利用している市町となっています。もう少し説明しますと、同じように十立方メートルの使用時の料金を単純に平均しますと、この県営水道利用の十一市町の料金は平均千九百九十七円、それ以外の市町の平均は千百七十二円、約一・七倍となっています。 そこで、都市建築部長にお尋ねします。 県営水道では、五十年後の将来を見据えて策定した新岐阜県営水道ビジョンに基づいて事業を推進していますが、現状の長期的な収支計画を踏まえた当面の水道料金の見通しはどのようになっているのでしょうか。 十五項目め、木曽川水系連絡導水路の今後の見通しについて。 木曽川水系連絡導水路は、徳山ダムに蓄えた水を主に木曽川に流すために建設を予定されています。事業の目的は、次の二つです。 一つ目、徳山ダムの水を愛知県や名古屋市に都市用水として供給すること、二つ目、異常渇水時に長良川や木曽川に流し、河川環境を改善することです。このほか本県では、平成六年の異常渇水時に、東濃・可茂地域の県営水道で出水不良が発生するなど、幾度となく渇水被害に悩まされています。本件は、こうした渇水被害の軽減に効果があります。 この導水路の建設は、平成十八年度から始まって、平成二十七年度までの工期で進められる予定でした。しかし、民主党政権下の平成二十一年度にダム事業の検証対象となりまして、この検証が十年以上経過した現在も続いています。そして、工事がストップしています。 この問題は、これまで
県政自民クラブの議員が何度も取り上げてきました。直近では、令和元年十二月議会で、地元に徳山ダムを有する所議員が、県議会での初めての一般質問で旧徳山村の皆さんに思いをはせながら県土整備部長に尋ねられています。 そのときの答弁では、前年の平成三十年十二月に幹事会が開催され、対策案の絞り込みが行われた。速やかに検証作業を終え、事業が推進されるよう国及び水資源機構に対し、引き続き強く働きかけていくとのことでした。そして、今年六月、国、水資源機構、岐阜県、愛知県、三重県の関係自治体が参加して、約二年半ぶりに幹事会が開催されました。 そこで、県土整備部長にお尋ねします。 現時点での木曽川水系連絡導水路事業の検証の進捗状況と、今後の見通しについてどのような状況でしょうか。 ここで四分割目を終わります。
○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) まず、現行の森林づくり基本計画の評価、そして次期森林づくり計画についてであります。 現行の第三期森林づくり基本計画におきましては、平成二十七年の全国育樹祭を契機に、百年先の森林づくりに取り組むとともに、全ての民有林について森林配置計画を策定いたしました。そして、そのために必要な対策を講じてまいりました。その結果、令和二年度実績では、例えば木材生産量は高性能林業機械の導入、路網整備を進めた結果、平成二十七年と比べて、約一・三倍の五十七万六千立方メートルに増加しております。また、木質バイオマス利用料は、約一・四倍に増加をし、計画目標を上回っているということでございます。また、昨年七月には、ぎふ木育の総合拠点ということで、ぎふ木遊館、さらには森林総合教育センターmorinosを開館いたしまして、多くの方々に御好評いただいております。 一方で、皆伐後の再造林面積につきましては、計画目標の四割に当たる百八十五ヘクタール、林業の担い手である森林技術者数は、目標の約七割に当たる九百三十九人にとどまるなど、様々な課題も残されております。さらには近年の異常気象により、激甚化あるいは頻発化が進む山地災害への防災対策、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた二酸化炭素吸収源としての森林の貢献、SDGsの達成などなど、森林あるいは林業に期待される役割はますます大きくなっております。 以上を踏まえて、第四期となる次期計画は、三つの方向を基本に組み立ててまいりたいというふうに考えております。 第一は、防災面、環境面とのバランスを重視した森林づくりということでございます。防災面では、原形復旧にとらわれない適応復興、あるいは自然が持つ多様な機能を活用するグリーンインフラの発想を取り入れながら、治山施設と間伐を組み合わせた防災対策を全県下に展開してまいります。 環境面では、高齢化した森林を伐採し、再造林することで森林の若返りを図り、二酸化炭素の吸収機能を高めてまいります。また、これら森林づくりを担う森林技術者のさらなる確保・育成・定着に向けて、今年で創立二十周年を迎えた森林文化アカデミーとも連携をいたしまして、重点的に取り組んでまいりたいと思っております。 二つ目は、県産材の需要拡大と供給体制の強化ということでございます。都市部での中高層建築物の木造化などを進めるとともに、DX、デジタル・トランスフォーメーションを進めることで木材の生産性向上を図り、今般のウッドショックにも柔軟に対応できる供給体制を構築していきたいと思っております。 三つ目は、森林の新たな価値の創造と山村地域の活性化でございます。新型コロナの影響もありまして、自然体験活動への関心が高まっております。このため、森林空間を最大限活用する言わば森林サービス産業といったものを育成し、山林地域での新たな雇用と収入機会を創出してまいりたいと思っております。 また、キノコなどの特用林産物の振興も図ってまいります。あわせて、ぎふ木育館、morinosを拠点に、将来の森林づくりを担う人づくりを積極的に進めてまいりたいと思っております。こうした基本的な方向性の下で、広く御意見を伺いながら議論を重ね、来年三月には第四期基本計画を策定してまいります。 続きまして、清流の国ぎふ森林・環境税についてでございます。 平成二十九年度からの第二期事業におきましては、百年先の森林づくり、環境にやさしい社会づくりといったことを中心に取り組んでまいりました。 昨年度までの四年間の主な実績を申し上げますと、管理が行き届かない奥山林等において、約七千ヘクタールの間伐を進めました。加えて里山林では、地域からの要望が多い危険木の除去を計画の二倍を超える三百五十か所以上で実施しております。また、鳥獣害対策として、ニホンジカやイノシシ約二万四千頭の捕獲を行い、その結果、農作物被害額は減少傾向になってきております。さらに温室効果ガス排出削減に資するボイラーやまきストーブなどの木質バイオマス利用施設の設置が進み、環境に優しい社会への意識の醸成が進んできております。 そして、昨年度には、ぎふ木育の拠点となるぎふ木遊館を整備し、開館以来約三万人の方に御利用いただくとともに、県下約四百七十施設において、子供たちを対象とした森と木と水の環境教育を実施し、約二万七千人に参加をいただきました。加えて延べ二百二十のNPO団体、八万人を超える県民の方々の自然環境保全活動を支援してきております。こうした広範な取り組みには、年間十二億円余り、昨年度までで約五十億円の森林・環境税が活用されておりまして、有識者による事業評価審議会からも高い御評価をいただいております。 本年七月に五圏域で開催いたしました事業成果報告・県民意見交換会におきましては、地域住民による地道な活動に対する援助を引き続き期待する声が多数寄せられております。また、市町村や関係団体からも、税への継続への要望をいただいております。 県にとりましても、清流の国ぎふ森林・環境税は、次期森林づくり基本計画とともに、昨年度策定しました環境基本計画を着実に推進するための必要かつ重要な財源でございます。引き続き県民の皆様の御理解を賜り、向こう五年間、令和八年度末まで延長してまいりたいと考えております。 現在、次期森林づくり基本計画の策定と併せて税活用した基金事業、あるいは施策の検討を進めているところでございます。こうしたことを踏まえて、十二月議会には、条例の一部改正案を提出してまいります。
○議長(佐藤武彦君) 農政部長 長尾安博君。 〔農政部長 長尾安博君登壇〕
◎農政部長(長尾安博君) 食料自給率等について、二点御質問いただきました。 まず、食料自給率の引上げに向けた具体的な取り組みについてお答えいたします。 農業・農村基本計画の指標については、本県農業の現状や農政審議会等における意見を踏まえ、一部の指標では右肩上がりとせず、現状維持を目標として設定をしております。このため、近年、減少傾向にある農業産出額については現状維持とする一方で、食料自給率については、供給熱量の八割以上を占める米、麦、大豆の生産量を確保しつつ、高齢化等よる一人当たりの供給熱量の八%程度の減少、これは全国共通の値でありますけれども、これを加味し、五%の引上げ目標としたところです。 このため、これら主要品目の生産量の確保に向けて、まず米については、人口減少等により国内需要が減少する中でも生産量を維持できるよう、購入者のニーズを捉えたオーダーメード型生産や、収穫量の多い品種の導入を進めてまいります。次に、麦、大豆については、国交付金を活用した作付拡大や、収量安定に向けた機械導入等の支援を行ってまいります。加えて、大区画化のための圃場整備や、水田の乾田化のための暗渠排水等の基盤整備にも取り組み、生産性の向上を図ってまいります。 次に、地産地消率の考え方と、引上げの具体的な取り組みについてお答えをいたします。 地域で生産される農産物を地域で消費する地産地消は、農業の活性化や食農教育、さらには持続可能な社会づくりにつながることから、今回の基本計画で積極的に取り組むこととしました。その取組指標である地産地消率は、県民の購買行動が反映される販売店の農産物売上額に占める県産農産物の比率とし、令和元年度の二〇%から、五年間で二五%まで引き上げる目標としました。 その実現に向けては、地産地消を県民運動としてオール岐阜で展開することが重要であると考えております。このため八月には、その推進母体として、生産者、流通業者及び消費者で構成する清流の国ぎふ地産地消推進会議を立ち上げたところです。今後は、誰もが参加できる地産地消ぎふ応援団を新たに設置し、情報発信のためのプラットフォームを構築し、交流活動を推進するとともに、年間を通じた販売店での地産地消フェアを開催する中で、安全・安心な県産農産物を認証するぎふ清流GAPの普及にも取り組んでまいります。
○議長(佐藤武彦君) 都市建築部長 大野真義君。 〔都市建築部長 大野真義君登壇〕
◎都市建築部長(大野真義君) 県営水道における水道料金の見通しについてお答えいたします。 現在の令和二年度を起点とした長期収支計画においては、老朽化施設の更新、頻発・激甚化する災害に備えた施設の強靱化、安定供給体制を強化する大容量送水管整備などへの多額の投資及び人口減少に伴う給水収益の減少が見込まれる中でも、様々な経営効率化の取り組みにより、向こう十年間は赤字に陥らず、何とか健全経営が維持できる見通しとなっています。 この中で、東濃・可茂地域は、地形的に多くの送水施設が必要であり、水源をダムに頼らなければならないことから、構造的に比較的高めの料金水準とならざるを得ない面もございます。一方で、県は、国庫補助金など有利な財源の確保、施設の長寿命化などによるさらなる収支改善に継続的に取り組んでいるところです。 来年度改定する次期長期収支計画においては、これら収支改善の経過を勘案しながら、水道料金の見通しを検討してまいりたいと考えており、より安価で適正な水道料金の設定につなげることができるよう今後も取り組みを継続してまいります。
○議長(佐藤武彦君) 県土整備部長 船坂徳彦君。 〔県土整備部長 船坂徳彦君登壇〕
◎県土整備部長(船坂徳彦君) 木曽川水系連絡導水路の今後の見通しについてお答えします。 この事業は、本県において、渇水時における河川環境の保全や、可茂・東濃地域の渇水被害を軽減する効果がある大変重要な事業です。 平成二十一年度にダム事業の検証の対象となったことから、国や水資源機構、関係県や市町で構成される検討の場が設置され、これまでに現行計画を含めた複数の対策案が抽出されたところです。 今年六月には、検討の場の下部組織である幹事会が開催され、国から木曽川水系の水供給のリスク検討に着手していることが報告されました。 その具体的な検討内容として、渇水による水不足や、施設の老朽化などにより発生するリスクを詳細に分析していくとの説明があったところです。県としましては、長らく検証対象となっている本事業について、速やかに検証作業を終え、着実に事業が推進されるよう、今後も引き続き国及び水資源機構に対し強く働きかけてまいります。
○議長(佐藤武彦君) 二十八番 山本勝敏君。 〔二十八番 山本勝敏君登壇〕
◆二十八番(山本勝敏君) 五分割目の大きなテーマは、安心・安全な岐阜県づくりについてです。 四項目お尋ねします。通算でいいますと、十六項目めになります。 静岡県熱海市の土石流災害を踏まえた県の盛土への対応について。 近年は、次から次へと災害が起こっています。これまでも県では、大きな災害が起こるたびに検証を行い、防災・減災対策、避難対策、復旧・復興に向けた取り組みなどの改善を図ってきました。 例えば、昨年七月の下呂市内で、国道四十一号が崩落するなどした豪雨災害における検証では、コロナ禍における避難所運営や孤立集落対策などが課題となり、それぞれ対策が取られました。 今年もまた、他県で大きな災害がありました。七月三日、静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で大規模な土石流が発生し、死者・行方不明者二十七人、百二十八棟の家屋が全壊または半壊となりました。この土石流災害の原因と言われているのが盛土です。 盛土工事は、いろいろな場面で行われることから、管轄する法令も数多く存在します。本県においては、六つの部が関係することになります。 本県では、この熱海の土石流災害の直後から、県内の法令による許可を行った箇所において、危険な盛土がないか所管するそれぞれの部で盛土の緊急点検が行われました。また、七月二十日、危機管理部を中心とした検証チームを立ち上げ、この盛土の安全対策をはじめ、避難対策、被災者支援など多岐にわたり検証されました。県は素早く対応され、何としても県民の安全・安心を守るという意気込みが感じられます。 一方、国は八月中旬に各都道府県に盛土の総点検を要請し、年内にも結果を取りまとめることになっています。 さて、先日県がまとめた検証報告では、四十三件の盛土の緊急調査について、不備・不具合は確認されなかったとしています。国による総点検を実施中ではありますが、まずは一安心と感じています。ただ、県民からも、地域に危険な盛土がないか多くの心配の声を聞いています。今後も危険な盛土が発生しないことが求められます。 そこで、知事にお尋ねします。 熱海市の土石流災害の起因となったと思われる盛土の問題について、県は検証を踏まえ、どのように対応されるのでしょうか。 十七項目め、警察本部長の所信について。 今月十三日付で着任された加藤伸宏本部長は、これまでに山形県警本部長、皇宮警察本部副本部長などを歴任されたと伺っています。着任時の会見では、大切なものは笑顔であると話されたと報道されています。かく言う私も、笑顔をキーワードに政治活動を行っています。気が合うかもしれません。加藤本部長には、「清流の国ぎふ」の安心・安全のため、岐阜県民の笑顔のために、強いリーダーシップを発揮していただくことを期待しています。 そこで、警察本部長にお尋ねします。 本県の治安上の課題と、その解決に向けた取り組みについてなど、所信をお伺いします。 十八項目め、通学路の点検について、三点お尋ねします。 六月に千葉県で大変痛ましい事故がありました。下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、二人が死亡、一人が重体、二人が重傷という事故でした。この事故を受けて、国は九月末までに通学路の点検を実施し、危険箇所があった場合には、十月末までに対策案を作成することを決めました。 このような痛ましい事故は、過去にもありました。例えば平成二十四年に京都府で発生した事故、これは登校中の小学生と引率の保護者の列に軽自動車が突っ込み、三人が死亡、七人が重軽傷を負ったものでした。そして、この事故をきっかけに、国土交通省、文部科学省、警察庁の三省の副大臣会議において、通学路の緊急合同点検を行うことが決定されました。この点検は、全国約二万校の公立小学校等の通学路を対象に、学校、教育委員会、道路管理者、警察が連携し、保護者や地域住民等の協力を得て実施されました。対策が必要な箇所は、全国で七万四千四百八十三か所、県内には二千六十八か所ありました。その後、必要な箇所には対策が施されました。加えて、各市町村で通学路交通安全プログラムが策定されて、通学路の安全確保について取り組まれています。 そこで、教育長に二点お尋ねします。 一点目、平成二十四年度に実施した緊急合同点検以降、各市町村では通学路交通安全プログラムに基づいて継続的に点検を実施していますが、直近では危険箇所としたところは何か所あり、そのうち何か所の対策が済んでいるのでしょうか。 二点目、千葉県の事故を受けた今回の通学路の点検では、どのような観点で実施され、危険箇所はあったのでしょうか。 三点目は、警察本部長にお尋ねします。 これまでの通学路点検や、今回の千葉県の事故を踏まえ、警察本部では子供の安全のためにどのような取り組みをされているのでしょうか。 十九項目め、これが最後になります。クロバネキノコバエの実態調査等について。 クロバネキノコバエ、通称コバエにつきましては、私の個人質問で昨年九月議会で取り上げました。 簡単にもう一度説明させていただきます。 体長は一ミリから二ミリ、非常に小さくて黒っぽい色をしています。これが梅雨どきになりますと大量に発生します。困っています。多治見、土岐、瑞浪、可児、美濃加茂、下呂、各務原、岐阜など、大変広域に現在は発生をしています。とても小さいので、網戸の網どころか、窓を閉めてもサッシの隙間をくぐり抜けて家の中に大量に入ってきます。家の中に入るのも、何百とか何千という単位と思われます。お昼頃には家中がコバエの死骸だらけになって、毎日掃除が大変です。その程度のことかと、これは体験したことのない人は思われるかもしれませんが、実際に遭遇しますと非常に大変な状況です。 例えば、朝体がもぞもぞすると思って目を覚ましますと、コバエが体をはっています。服の中もマスクの中も、構わず入ってきます。学校や事業所でも困っています。アレルギーなどの健康被害も報告されています。さらには、製造業の生産工程に入り込んだり、飲食業の食品に入り込んだりするため、経済活動にも支障を来しています。 そこで、県では、今年度岐阜大学に委託してコバエの実態調査を行うとともに、製薬会社などに対して調査への協力を要請することとしています。そろそろ中間報告をいただける時期と思い、質問いたします。 健康福祉部長にお尋ねします。 クロバネキノコバエの実態調査及び製薬会社等への要請の結果、駆除、防除等の対策について、どのような進展が見られたのでしょうか。また、状況によっては、今後も引き続き調査が必要と考えますが、いかがでしょうか。 以上、県政全般にわたり十九項目、五分割で質問をさせていただきました。御清聴いただき、誠にありがとうございました。 (拍手)
○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 静岡県熱海市の土石流災害を踏まえた県の盛土への対応についてということでございます。 本県は、これまでも県外における大規模災害につきまして、明日は我が身ということで自ら検証し、これを防災対策強化につなげてまいりました。この七月に発生しました静岡県熱海市の土石流災害につきましても、清流の国ぎふ防災・減災センターと共同で検証を実施したところでございます。 その結果、まず岐阜県埋立て等の規制に関する条例、森林法、砂防法など、関係法令による規制の対象となる盛土のうち、過去五年間に施工された盛土高五メートル以上のもので、直下に人家が存在するなど、緊急点検の必要があると考えられる四十三件の現地調査を実施いたしました。結果、御指摘のように、不適正案件は確認されなかったところです。 次に、本県の埋立て規制条例と静岡県の条例を比較検討いたしました。本県条例は、許可制を採用した上で、盛土の構造基準、完了時の構造検査、施工中の原則月一回の現場確認、違反があった場合の命令及び罰則などを定めていることから、必要な規定が整備されているとの評価でございました。さらに、今般の熱海市事案のタイムラインを岐阜県のマニュアルに置き換え、警戒体制の立ち上げ、市町村への避難情報発令の助言、被災者支援体制、広域応援の受援体制などについて、再確認を行いました。 そうした作業をした上で、熱海市事案との関連において浮かび上がった本県としての課題を教訓として、以下の対策強化を図ってまいります。 第一に、建設発生土の処分に関する規制強化であります。県公共工事で発生した建設発生土の処分は、法令規制の対象外でありまして、県の要綱によって規制を行っております。ただ、搬出量百立方メートル未満の小規模なものについては、自由処分を認めておるわけであります。しかしながら、建設発生土の処分先について徹底管理する必要があるとの認識の下、この際、自由処分を廃止し、全ての県公共工事に関わる建設発生土を原則指定地処分とするよう規制強化を行います。 第二に、所管部局の連携と総合調整を担う組織の明確化であります。盛土規制は様々な法令に規定されていることから、一つの事案が複数部署にまたがることで責任の所在が不明確となり、結果として事案への対応が遅れ、被害を拡大させる可能性がございます。そのため、盛土規制について総合調整や包括的な取りまとめを行う組織を直ちに環境生活部に設置し、その下に関係部局を集約した連携会議を設けることといたしました。これにより今後、盛土に関する許可状況、不適正事案への対応などの情報共有を図るとともに、初動段階から合同での立入検査、警察や市町村との連携、事案の迅速な公表などに至るまで、効果的な対応を図ってまいります。 さらに当面の対応といたしましては、国からの依頼に応じて、人家等に影響のある盛土につき総点検に着手し、年度内を目途に完了いたします。そして、その過程で不適正案件が確認されるような場合には、関係部局の緊密な連携により、速やかに是正を図ってまいります。また、是正に至るまでの間の対応といたしまして、雨量計や土石流センサーの設置による盛土箇所の徹底監視、基準を下回る段階での前広な避難情報の発令などにより、周辺の県民の皆様の安全確保に万全を期してまいります。
○議長(佐藤武彦君) 警察本部長 加藤伸宏君。 〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕
◎警察本部長(加藤伸宏君) 私から、二点お答えいたします。 まず一点目、本県の治安上の課題と、解決に向けた取り組みを進めるための所信について申し上げます。 岐阜県は、飛騨山脈、木曽三川、濃尾平野などの豊かな自然に恵まれた山紫水明の地と承知しております。こうした豊かな環境は、豊かな人間を育てます。それを妨げる事件や事故を防ぐことが、当県本部長を拝命した私の使命と心得ております。 県内の治安情勢を見ると、ニセ電話詐欺が前年より大幅に増加しているほか、ストーカー・DVなどの人身安全関連事案や、サイバー空間における脅威も予断を許さない情勢にあります。また、交通事故も高齢者を中心に死者が増加しております。総じて厳しい治安情勢であると認識いたします。 これらを課題として、その解決を図るに当たっては、事件・事故を未然に防止する取り組みを進め、それでもやむなく発生した事件・事故は確実に処理して、再発防止を図ることが重要と考えます。限りある警察力を最大限有効に活用し、県民の皆様が笑顔でいられる安全・安心な「清流の国ぎふ」づくりに全力を尽くしてまいります。 二点目、これまでの通学路の点検等を踏まえた子供の安全のための取り組みについて申し上げます。 県警察では、従来より、子供が安心して通学できるよう教育委員会や学校、道路管理者などと連携し、合同点検等通学路における交通安全対策に取り組んでまいりました。こうした中、御指摘の千葉県内で発生した交通事故を受け、改めて通学路等における交通安全の確保と、飲酒運転の根絶を二つの柱とした緊急対策に取り組んでおります。 具体的に申しますと、まず通学路等における交通安全の確保については、子供の視点に配慮しつつ、車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入の多い箇所等、新たな観点も踏まえた合同点検を実施しております。また、点検結果を踏まえ、車両通行止めなどの交通規制の見直しや、可搬式速度違反自動取締装置を活用した速度違反取締りを実施するとともに、学校等と連携した登下校時の見守り活動や、子供に対する交通安全教育を実施しております。 次に、飲酒運転の根絶については、飲酒運転の危険性についての広報・啓発や、飲酒体験ゴーグルを活用した交通安全教育の実施、違反や事故の実態に即した取締り、さらには安全運転管理者や、業務用自動車の使用者に対する対策強化の要請等を実施しております。今後も子供を交通事故の被害から守るべく、関係機関と連携して着実に取り組みを進めてまいります。
○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 通学路の点検について、二点御質問がありました。 初めに、直近の危険箇所数と、その対策についてお答えします。 昨年度までに各市町村が実施した通学路点検では、交差点の隅に雑草が生い茂って見通しが悪い、路側帯や横断歩道の塗装が消えかけているなどといった対策が必要である箇所が九百九十四か所確認され、先月末時点で、その六割に当たる五百九十七か所で対策が講じられております。残る三百九十七か所については、土地所有者との調整が必要であったり、道路の形状が複雑であるなどの理由から、対策完了までいましばらく時間を要する箇所となっておりますが、そうした箇所については、保護者や地域の方々の見守り活動等より、児童・生徒が安心して通学できるよう日々の通学時の安全確保が図られているところです。 次に、千葉県の事故を受けた今回の通学路の点検についてお答えします。 千葉県での事故を受けた点検については、文部科学省からの依頼に沿って、七月から今月末までの間で実施されております。 具体的な着眼点は三つあります。 一つ目は、見通しのよい道路や、幹線道路の抜け道になっている道路など、車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所、二つ目は、過去に事故に至らなくてもヒヤリハット事例が多い箇所、そして三つ目は、保護者、見守り活動者、地域住民などから市町村への改善要請があった箇所となっております。 今回の結果は、明日をめどに各市町村教育委員会で取りまとめられているところですが、現時点で幾つかの市町村教委に確認したところ、見通しがよいことで車がスピードを出してしまう交差点、歩道と車道が明確に区別されていない道路など、対策が必要な危険箇所があったということです。県教育委員会としましては、来月中には全ての危険箇所が明らかになりますので、早期に対策が講じられるよう警察などの関係機関に引き続き協力を働きかけてまいります。
○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。 〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部長(堀裕行君) クロバネキノコバエの実態調査等についてお答えします。 今年度行っている実態調査等によるクロバネキノコバエ対策の進展でありますが、まず岐阜大学の実態調査によっては、森林土壌が発生源の一つであること、発生しやすい時間帯や温度、そしてどのような色に集まりやすいのかといった生態が判明いたしました。 次に、製薬会社三社から提供された薬剤に係る調査によっては、家庭用殺虫剤にクロバネキノコバエに対する十分な殺虫効果があることが確認されました。さらに県独自の調査では、発生地域は東濃、可茂及び中濃を中心とした地域に限られ、拡大は見られないことが分かりました。これらの成果を踏まえ、さらに来年度以降も忌避剤の現地試験や森林土壌以外での発生源調査を継続し、効果的な駆除、防除対策につなげてまいりたいと考えております。 なお、製薬会社一社が、来年度忌避剤の効果に関する検討を実施する見通しとなっており、建物への侵入の防止につながる結果を期待しているところです。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) しばらく休憩いたします。
△午後零時七分休憩 ……………………………………………………………………………………………
△午後一時再開
○副議長(松岡正人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○副議長(松岡正人君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十一番 林 幸広君。 〔二十一番 林 幸広君登壇〕(拍手)
◆二十一番(林幸広君) 質問に入る前に、
新型コロナウイルス感染症が蔓延している中、感染された方々の一刻も早い回復を願うとともに、不幸にもお亡くなりになられた皆さんの御冥福をお祈り申し上げます。また、医療従事者をはじめ関係者の皆さん、緊急事態宣言下における県民の皆さんにおかれましても、御協力いただいていますことに心から感謝申し上げます。 それでは、議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、県民クラブを代表して、県政諸課題について四分割で順次質問したいと思います。 最初に、
新型コロナウイルス感染症への対策についてお尋ねします。 昨年から続く
新型コロナウイルス感染症は、いまだに収束の気配が見えません。感染が広がり始めた頃には、主に高齢者で重篤化するケースが多く、高齢者へのワクチン優先接種や高齢者施設などの従事者に対する予防的PCR検査など、高齢者に対する感染対策が進められてきました。 しかし、最近では変異したデルタ株が広がり、二十代から五十代の世代の感染割合が増えてきております。また、最近では、十代や十歳未満の若年層の方が感染するケースも増えつつあります。今月頭には、大阪府において全国で初めて十代の感染者の方がお亡くなりになっています。ただし、基礎疾患のある方とのことですので、このケースだけをもって十代の感染が直ちに危険というわけではないでしょうが、やはり不安な気持ちを持った保護者の方も少なくないのではないでしょうか。 若年層への
ワクチン接種については、日本では十二歳未満のお子さんに対しては認められていませんが、世界レベルでは、例えばペルーにおいては二歳以上、中国においては三歳以上を接種対象とするなど、接種対象の拡大を行っている国もあります。もしかしたら、
ワクチン接種対象の年齢の見直しの検討も今後行われる必要が出てくるかもしれません。 十二歳以上の子供に対して
ワクチン接種が認められているとはいえ、接種に不安を感じている保護者の方も当然いると思います。また、二十代以上の世代においても、
ワクチン接種率が伸び悩んでいる状況において、十代、そしてワクチンを接種できない十歳未満の子供に対する感染対策については、
ワクチン接種に頼らない大人とは違った感染対策が重要になってきます。 そこで、初めに知事にお伺いいたします。 十代及び十歳未満の若年層に対する感染対策について、どのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせください。 当初は高齢者を優先して行われたワクチンの接種ですが、今では多くの市町村で十二歳以上の方の接種が可能となり、
ワクチン接種の推進は
感染拡大防止のための重要な取り組みとして、さらなる接種率の向上のための取り組みが求められるものと考えます。特に現在感染が広がっている二十代から五十代は、子育て世代、働き盛り世代です。家庭においても社会においても、感染した際に周囲に与える影響も大きいのではないでしょうか。 今の
ワクチン接種は、どの自治体もこの世代の方に対する対策を最優先に進めていると思いますが、一方で接種の申込みができない、予約が取れないといった声を聞きます。副反応の影響も含め、仕事や家庭の都合で時間が取れないケースも当然あるでしょうが、実際に自治体のホームページを見てみますと、予約受付が止まっているものも見受けられます。ワクチン自体は、国が都道府県への配分量を決めていることから、必要量が市町村に十分に行き届いていないかもしれません。早めに接種したいと思っている現役世代の方たちは、自分たちはいつになったら接種が可能になるのか、接種の見込みが分からないことを不安に感じる方もいるのではないでしょうか。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 現在のワクチンの確保状況と今後の接種計画についてお聞かせください。 一方で、
ワクチン接種が進む中、ワクチンを二回接種しながらも感染してしまう、いわゆる
ブレークスルー感染の報告例も増えています。これは高齢者においても同様であり、新型コロナウイルスワクチンは時間がたつと効果が低下することが国内外で報道されており、国立病院機構の研究チームも、高齢者は半年置きにワクチンの再接種が必要という研究結果を発表しています。 そこで、厚生労働省は先日、追加で三回目の接種を行う方針を決定しました。高齢者の
ワクチン接種は今年の四月から始まっているため、早い方だとそろそろ接種から半年を迎えることになります。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 高齢者の感染者の再増加の傾向があると報道がありますが、高齢者の感染状況の現状と今後の対策についてお聞かせください。 八月二十七日から明日九月三十日まで、岐阜県にとっては三回目の緊急事態宣言が発令されていますが、今回の緊急事態宣言時には本県も過去最大の感染者数を記録しました。感染者数の増加により、八月のピーク時には病床使用率は六〇%を超え、今年八月二十七日時点の入院、
宿泊療養施設入所中、自宅療養などをしている患者数は二千七百六十三人で、実際に入院できているのは五百十五人となっていました。感染者数の累計も現時点で一万八千人を超えており、ピークを過ぎたようではあるものの、今なお増え続けている現状です。 また、これまで自宅療養ゼロを維持してきた本県でも、
宿泊療養施設の対応能力を上回る感染者が発生したため、ピーク時には九百三十二人の自宅療養者が発生したそうです。幸いにも自宅療養は九月半ばに解消されましたが、関東などの都市部では自宅療養中の方が亡くなるケースも相次いでおり、無症状や軽症の方でも突然容体が急変するケースもあり得ることから、県内の自宅療養となった方にも不安があるのではないかと思います。 また、病床確保についても、当然医療機関はコロナ患者だけを診ているわけではないので、他の病気やけがの治療にも影響を及ぼすことでありますから軽々に発言することはできませんが、これからまた冬を迎えるに際して、今回と同じような感染爆発が起こった場合に備え、落ち着いている今の時期に病床数を確保していくことは大変重要に思います。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 自宅療養者に対する支援体制についてどのように取り組まれていたのか、お聞かせください。また、病床数の現状と今後の確保計画についてもお聞かせください。 次に、新型コロナウイルスワクチンの接種を証明するワクチンパスポートに関してお尋ねします。 本年七月からワクチンパスポートの発行が始まり、現在、海外渡航者の入国手続で利用するという利用目的に限定して活用されているとのことです。 このワクチンパスポートですが、今月上旬に政府は、コロナ禍での日常生活や経済回復に向けた行動制限の緩和に活用する方針を打ち出しました。
ワクチン接種済みであることを証明することで、飲食やイベントにおける人数制限の緩和や、観光など都道府県をまたぐ旅行が容認されるようです。また、このワクチンパスポートは、現状では紙や電子手続で発行・申請し、紙ベースの証明書が発行される仕組みとなっていますが、政府は年内に電子交付を開始する予定で、交付されたQRコードを提示すれば、飲食店などから特典を受けられたり、食事や旅行の予約サイトでの受付時に接種歴を確認できる仕組みも検討されているそうです。 群馬県や石垣市など、独自に接種済み証明書を発行し、経済振興策の準備を進める動きも出始めています。国のワクチンパスポートの実際の運用に際しては、来月から始まる実証実験を踏まえながら、自治体や事業者の方々と議論を進めていくそうですが、経済活動の回復に向けた動きには期待をしているところです。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 政府は、現在ワクチンパスポートの導入を検討していますが、このパスポートが具体化した場合の飲食店やイベント参加など、民間サービスへの活用に対して県としてどのような対応が考えられるのかについてお聞かせください。 何度も続く行動自粛要請により、経営状況に大変影響を受けている事業者にとっては、ワクチンパスポートの導入により、経済活動の再開に対する期待は大きいのではないかと思います。これまでの状況を振り返ると、昨年四月七日に東京・神奈川など七都府県に緊急事態宣言が発令された後、四月十六日には対象を全国に拡大。その後、大きく分けて三度にわたり緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域が決定されました。その間、飲食店をはじめ各業種に対して時短営業、入場制限などを求め、県民・国民には外出抑制を求めるなどして感染拡大の防止を図ってきましたが、感染状況が完全に終息することはなく、繰り返される宣言等の発令で自粛疲れという言葉さえささやかれるほどになっています。この繰り返しが経済活動に与えた影響が大きいことは御案内のとおりです。度重なる要請で、飲食業や観光業など経営状況は悪化しております。こうした業界や企業への支援はまだ当分必要なことは明らかです。 今回、八月二十日からまん延防止等重点措置の発令に合わせて、県においては、事業者向けの協力金や自宅療養支援の準備などのために、およそ六十九億円の補正予算を組んでおります。また、八月二十七日からの緊急事態宣言に伴い、さらに三十二億円の対策費が補正予算として確保されています。 事業の継続、療養支援の充実は、県民が安心して日々の生活を営むために大変重要な意味を持ちます。特に時短・休業要請に対する協力金、岐阜県
新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金については、家賃などの固定費をはじめ光熱水費など店を閉めていても発生する経費があり、事業者にとっては事業資金のショートを防ぐための重要な財源となっており、迅速な給付が求められるところです。 そこで、商工労働部長にお尋ねします。 協力金の申請から支給までに要する時間は、どの程度を見込んでいるのか。なるべく早く支給が行われることを求めるものです。支給完了の見込みについてお聞かせください。 次に、コロナ禍における教員の業務負担に関してお尋ねします。 昨年の春休みには一斉休校が行われました。このことについて、文部科学省は今年五月に、この一斉休校について児童・生徒や教員への影響に関する調査を行いました。それによると、岐阜県では、勉強について不安を感じた児童・生徒は全国平均を上回り、小学生では五六・五%、中学生では六三・四%で、そして、この不安を感じた児童・生徒については、全国学力・学習状況調査の正答率が低い傾向が見られたとのことです。計画的な学習ができていなかったことに加え、在宅時間の増加が勉強より遊びに消費された傾向も見られます。 また、外出自粛は、子供の体力やコミュニケーション能力へも影響を及ぼすのではないかと危惧します。一斉休校を経て、子供たちの学習環境は大きく変化しました。実際に登校して授業を受ける代わりに、オンラインによる授業を行う取り組みが進められ、小・中学校では児童や生徒にタブレットを貸し出して授業を行う。そして、教師の側も配信による授業を行ったり、配信に耐え得る授業の在り方を模索したりと様々な取り組みをしていただいているようです。 県立高校において、生徒一人一人にタブレット一台が貸与され、昨年度は対面授業の場においても、タブレット端末を活用した授業を積極的に取り入れる取り組みが進められたようです。今年の夏休み明けにも、再び約一か月間の対面授業を自粛し、オンライン授業を行っています。オンライン授業の取組自体は、感染拡大時における子供の安全を守ると同時に、コロナ収束時においても、事情があって登校ができないケースや、社会活動においてもオンラインが当たり前のようになりつつある社会に出ていく学生にとって意味のあるものだと思いますが、オンライン授業の取り組みは昨年度から急に始まったものであり、その準備、対応について、教員にはどの程度負担が発生したのか懸念されます。もちろんオンライン授業以外にも、学校内での感染を防ぐための取り組みも増え、教育現場は大変苦労しているのではないかと思われます。 さきの文部科学省の調査によれば、現にコロナ禍によって小学校の七七・二%、中学校の八〇・五%で教員の業務量が増えたと回答しています。 そこで、教育長にお尋ねします。 コロナを契機に、この二年の間、オンライン授業の取り組みが一気に進みましたが、県立高等学校におけるオンライン授業の導入に伴う教員の業務負担の増加について、現状と今後の再流行に備えた取り組みについてお考えをお聞かせください。 ここで分割一を終わります。
○副議長(松岡正人君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 若年層に対する
新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねがございました。 今回の第五波におきましては、感染者全体に占める十代の割合が一四・五%、十歳未満は八・四%、これに二十代の二六・七%を加えますと、全体のほぼ半数を若年層が占めておるということでございます。この要因として、
ワクチン接種の年齢ギャップ、そして若者を中心とした夏の活発な行動と、この二点が上げられております。 まず
ワクチン接種でありますが、本県では、六月に決定した今後の
ワクチン接種の優先順位及び供給方針に基づきまして、基礎疾患を有する方のほか、医療従事者、教職員、警察官、消防職員などへの優先接種を行い、その上で、重症化リスクを踏まえて高い年代から順に接種を行ってきております。その結果として、若年層への
ワクチン接種率は他世代と比べて比較的低い水準にあるということは事実でございます。 現時点で、本県の十代の方々の一回目の
ワクチン接種率は、四四・六%とほぼ全国並みでございますが、一カ月前と比較しますと一気に四倍近くになってきておりまして、このところ接種が急速に加速しておるという状況でございます。 既に九月十四日には、市町村に対しまして、受験生をはじめ若年層への優先的な接種について配慮をしていただくよう通知を出したところであります。これに対して各市町村におきましては、若年層に対して集団接種の機会を設けるなど、地域の実情に応じた取り組みを進めていただいております。 また、県の大
規模接種会場では、八月二十一日より大学の運動部員などへの接種を開始し、さらに十月二日からは高校三年生をはじめとする若年層枠を設置し、接種を進めてまいります。 なお、十二歳未満の児童・生徒は、現時点では接種対象外であります。このため、教育現場における感染症予防対策を徹底するということはもちろんでありますが、児童・生徒が接する頻度の高い教職員、幼稚園の教諭、保育士などに対して優先接種を進めてまいりました。その結果、これら教職員等の方々への接種はおおむね完了したところでございます。 次に、第五波におきましては、夏休み期間において、活動範囲の広い若年層が友人と飲食、旅行、感染拡大地域から本県への帰省、これに伴う同窓会といったふだん会わない人との会合、飲食による感染が非常に多く見られております。 このため、行政の取り組みとしましては少々異例ではございますが、県公式ツイッター、ユーチューブといったSNSにおきまして、大人数で河川敷でバーベキュー、送別会で五次会まではしごといった具体的な若者感染者の行動歴をあえて御紹介いたしました。これらの投稿はかなり話題となり、リツイートなども多く、効果的な啓発となったのではないかというふうに思っております。 そして、若者に影響力があると考えられる、例えばバドミントン女子ダブルスのフクヒロさんをはじめとする本県ゆかりのオリンピアンにも御協力をいただき、啓発動画を作成し、岐阜駅前の大型スクリーン、大規模商業施設などで感染予防に向けた適切な行動を呼びかけているところであります。 また、部活動をはじめとする学校活動での感染拡大に対応するため、教育推進協議会あるいは大学等高等教育機関との意見交換会などを定期的に開催し、教育現場と丁寧に意見交換を行ってまいりました。この取り組みにより、オンラインを基本とした授業の実施、次につながる全国大会等がない場合の部活動休止、課外活動の中止または延期などの対策について、小・中学校、高校、特別支援学校から大学に至るまで、県下統一的に対応してきたところであります。 このほか、いつでも誰でも携帯できる感染予防ガイドブックとして「新型コロナウイルスから生命(いのち)を守ろう!」を作成いたしまして、幼稚園、保育園、小・中学校、高校、特別支援学校及び大学といった教育機関をはじめ、幅広く関係団体に周知し、活用を促しました。 特に小学校の生徒さん向けには、ガイドブックを再編集した「コロナに負けない六つの約束」を作成し、学級活動で取り上げるとともに、家庭に持ち帰り、両親と話し合うことで家庭内感染を予防する取り組みを全ての市町村で進めてきております。 若者対策につきましてるる申し上げましたが、今後、学校再開に伴う若年層の感染動向も注意深く見据えながら、引き続き効果的な対策を見定め、取り組んでまいります。
○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。 〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部長(堀裕行君)
新型コロナウイルス感染症への対応について、五点質問をいただきました。 まず、ワクチンの確保状況についてお答えします。 知事が午前中に答弁したとおり、本県においては、接種または予約済みの方が、接種対象である十二歳以上人口の八五%を超え、県内市町村における接種計画率は八八・〇%となっております。 このような状況を踏まえ、ワクチン供給については国と随時調整してまいりましたが、現時点で、ファイザー社及びモデルナ社合わせて対象者の八九・八%相当分を確保できる見通しであり、現時点での接種計画率は賄えると考えておりますが、今後接種需要がさらに高まることも想定し、引き続き国と調整してまいります。 次に、今後の接種計画でありますが、十月から十一月の早い段階までに希望する全ての方へ確実に接種が行われるよう、市町村、県、職域ごとに接種計画の再確認と必要な見直しを行ったところであり、受験生をはじめとする中高生への優先接種の取り組みや、県大
規模接種会場における若年層枠や外国人留学生枠の設定など若年層への接種促進を含め、市町村、県大
規模接種会場及び職域接種でバランスを取りながら着実に進めてまいります。 次に、高齢者の感染状況の現状と今後の対策についてお答えします。 まず高齢者の感染状況ですが、第五波の感染者に占める六十代以上の割合は八%と第四波の半分以下、死亡者もピークであった第三波の五分の一の二十一人となっており、また高齢者福祉施設においても、第五波の感染者数は第四波の六割、クラスター発生件数は四割に減少しております。これは、高齢者及び福祉施設職員に対するワクチンの優先接種及び高い接種率の効果と考えられます。 次に、今後の対策ですが、ワクチンを二回接種された方が感染する、いわゆる
ブレークスルー感染が一定発生していることから、
ワクチン接種後もマスク着用、手指衛生、三密の回避及び体調管理など基本的な
感染防止対策を徹底するよう、高齢者も含めた県民の皆様に、様々な広報媒体を通じて積極的に働きかけてまいります。また、高齢者福祉施設においても、予防的検査、専門家の指導、防護具の提供などによる施設内感染防止策を継続してまいります。 なお、高齢者へのワクチンの三回目接種については、今後示される見込みの国の方針を踏まえ、適切に対応してまいります。 次に、自宅療養者への支援体制及び病床数の確保計画についてお答えします。 まず自宅療養者への支援体制でありますが、県、岐阜市、県看護協会から成る
自宅療養者支援チームを県庁内に設置し、医療及び生活の両面から健康フォローアップ班、現地対策班、食料支援班、総括班の四班、最大七十一名で対応したところです。 具体的には、定期的な体調確認、電話相談への対応、パルスオキシメーター及び体温計の貸与、連絡が取れない場合の安否確認、食料品及び生活用品の配付などを行い、自宅療養者の症状悪化を把握した場合には医師会、薬剤師会など関係機関と連携し、遠隔診療、往診、投薬などのほか、必要に応じて入院調整を行いました。この間、二十四人の入院移行及び八件の救急搬送があったものの、大きなトラブルはなく、支援を終えることができました。 次に、病床数でありますが、第五波開始時の七百八十三床から七十六床増床し、昨日より八百五十九床を運用しておりますが、引き続き一般診療との関係、医療スタッフの確保などを考慮しつつ、取り組みを進めてまいります。 次に、ワクチンパスポートに対する県の考え方についてお答えします。
ワクチン接種証明書、いわゆるワクチンパスポートにつきましては、九月九日、政府よりその利用の基本的考え方が示されており、今後具体的な検討が進められるものと承知しております。 一方で、
ワクチン接種証明書を活用した行動制限緩和は、接種は個人の任意である中、ワクチン未接種者へのハラスメントにつながる懸念が指摘されています。また、ワクチン・
検査パッケージの具体化についても、強制的な手段を持たない我が国における具体的な運用方法及び実効性の担保策、
ブレークスルー感染やワクチン効果減退への懸念、必要以上に国民の行動が緩まないような開始時期など検討すべき課題が多々あり、全国知事会でも議論が進められているものと承知しております。
ワクチン接種証明書の民間サービスへの活用については、まずはこれらの課題についての全国的な議論をよく見定めた上で、他団体の取り組みも参考にしながら検討してまいります。
○副議長(松岡正人君) 商工労働部長 崎浦良典君。 〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕
◎商工労働部長(崎浦良典君) 協力金の支給完了見込みについてお答えします。 まず、本年四月二十六日から六月二十日までの時短要請に対する協力金第五弾については、支給の迅速化に向け、受付業務の外部委託や職員の動員により審査体制を強化するとともに、第四弾から変更がない場合の添付書類の省略化、これまで特段の問題のなかった申請者への審査手続の簡素化を図りました。この結果、おおむね受付から約一か月で協力金が支払われており、内容の確認や書類の修正などのやり取りが残る一部を除き、九月末をもって支給手続が完了する見込みです。 また、今月十五日まで申請を受け付けておりました第六弾についても同様に、おおむね受付から約一か月で支給することで十月末の完了を見込んでおります。 なお、第七弾については、今月十日まで受付した早期支給分はその大半で支給手続が完了しており、通常分については時短要請終了後、速やかに受付を開始いたします。
○副議長(松岡正人君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) オンライン授業に伴う教員の業務負担の現状と対策についてお答えします。
新型コロナウイルス感染症の第五波の中、夏休み明けから始めた県立高校におけるオンライン学習支援は、感染を広げないため、また学びを中断させないために実施したものです。 現在、オンライン実施のためのウェブ回線を一定数用意しておりますが、県立高校が対面で一斉に授業を行う場合の一時間当たりの授業の数は、それを大きく上回っております。このため、オンライン学習支援を行うためには、一時間当たりの受講人数を増やした特別時間割を作る必要があります。さらに、画面越しでのより効果的な提示資料の作成など通常とは異なる業務も生じております。また、九月には、休み明けの精神面でのケアや就職試験に向けた指導などについて、オンラインに加えて対面でも個別に行う必要もありました。 県教育委員会では、今年度から学校訪問を主な業務とするICT担当指導主事等を配置し、オンライン授業を含めた学校運営などの支援を行ってまいりましたが、各学校では、新たにICT活用における技術的な支援が求められているため、その対応について今後も検討してまいります。
○副議長(松岡正人君) 二十一番 林 幸広君。 〔二十一番 林 幸広君登壇〕
◆二十一番(林幸広君) それぞれ答弁ありがとうございました。 次に、人口減少を踏まえた社会減対策についてお尋ねします。 二〇二〇年の国勢調査の速報値が発表され、人口減少の進行が鮮明になりました。国内の総人口は、前回二〇一五年の調査から八十六万人の減少で、一億二千六百二十二万人となりました。国内総人口が減少する一方で、東京都をはじめとする一都三県、いわゆる東京圏や愛知、滋賀、大阪、福岡、沖縄では人口が増えております。東京都では約五十五万人の四・〇七%増、神奈川県では約十一万人、一・二五%増となる一方、三十八道県では人口が減少しており、このうち三十三道府県では二〇一五年調査時よりも減少率が上がり、人口減少の傾向が強まっているなど二極化が改めて鮮明になっています。 この状況について、加藤官房長官は、我が国が人口減少社会であることは今回の国勢調査でも明らかになった。結果を踏まえて各種施策に取り組んでいく必要があるとし、人口減少の要因として少子化の進展を上げ、少子化対策に最優先で取り組む考えを強調しました。 また、上智大学の鬼頭 宏名誉教授は、OECD諸国の中で、日本は男女間の賃金格差が極めて大きく、出生率が高い国ほど格差が少ない傾向にある。女性が働きつつ結婚や子育てができるような体制整備が急務だと指摘しています。また、二極化はさらに進むとした上で、新型コロナウイルスの感染拡大が流れを変える一つの契機になる可能性もある。在宅勤務が広がり、人が少ない地方に移住するケースもあり、地方圏の自治体はこうした動きを好機と捉えるべきだと強調しています。 岐阜県の人口は、前回の調査より五万人余り減少し、およそ百九十八万人と四十年ぶりに二百万人を切りました。二〇〇〇年調査の二百十万七千七百人をピークに減少が続いており、二百万人を下回るのは一九八〇年調査以来で、減少幅も拡大しており、人口減少が進む実態が一段と鮮明になりました。 その人口減少の原因ですが、令和二年岐阜県人口動態統計調査の結果、これは令和元年十月一日から令和二年九月三十日までの一年間の人口異動の状況をまとめたものですが、自然動態はマイナス一万二十八人で十五年連続で減少しており、社会動態もマイナス四千七百六十一人で十六年連続の減少となっています。自然動態は、まさに少子高齢化の影響によりマイナスの傾向は拡大し続けていますが、一方で社会動態、すなわち本県への転入数から転出数を引いた人数については、十六年連続のマイナスにはなっているものの、その振れ幅は大きく、まさに社会状況に左右される面があるのではないかと考えております。 人口減少問題を考える場合、自然動態、すなわち少子高齢化の問題と、社会動態、すなわち就職・進学の問題の両面を考える必要がありますが、少子化対策については、六月定例議会の我がクラブの代表質問において野村議員から質問させていただいておりますので、今回は社会減対策についてお聞きしたいと思います。 先ほどの人口動態統計調査について、社会動態の事由別の転入転出の状況が示されており、転出超過となっているのは、職業上、結婚、学業上という事由となっております。やはり働く場、学ぶ場を求めて本県を出ていく状況が現れています。 県では、これまで働く場所を確保するため、企業誘致やふるさと教育をはじめとした本県出身の学生が再び故郷に戻り、働き、定着するための取り組みを行ってきましたが、東京への一極集中、そして岐阜県・三重県から愛知県へ人が移動する東海地域の二極化というべき流れには逆らうことができない状況にあります。 しかしながら、先ほど紹介した鬼頭教授の話にもあったとおり、昨年来のコロナ蔓延により、私たちの暮らしや仕事のやり方など大きく変わってきております。 これを裏づけるように、本年五月の日本経済新聞の記事には、同社の独自調査により二〇二〇年度に東京都心から本社を移転した企業は、二〇一九年度から二割以上増えたことが紹介されておりました。 また、学生の就職情報を扱う株式会社マイナビが行った二〇二〇年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査では、地元就職希望率が二〇一七年卒以来五年ぶりに増加し、約六割の学生が地元(Uターン含む)就職を希望しているとの結果も出ているところです。 そこで、知事にお尋ねします。 二〇二〇年国勢調査によると、県の人口は五年で五万人減少し、二百万人を切りました。県内において三十七市町村で人口が減少しており、県外への流出が顕著であることも明らかになりました。こうした事実を踏まえて、本県の人口減少に歯止めをかけるため、特に就職や進学などを理由とする対策を中心とした社会減対策についてどのように取り組まれていくのか、お考えをお聞かせください。 次に、デジタル技術を活用した公共土木施設の点検や維持管理についてお尋ねします。 岐阜県では、道路では橋梁の長寿命化計画やトンネルなどの各施設の個別修繕計画、河川や砂防でも各施設の長寿命化計画を策定しています。いかに施設の機能を長くもたせるのか。経済的に安価で、効率よく点検を進めて維持管理していくのか、大変な長期スパンをもって緻密に計画を立てて進めています。 本県は、管理する道路の総延長がおよそ四千百キロ、トンネル延長はおよそ百十四キロで全国一位、十五メートル以上の橋梁は千六百橋を超え全国三位、管理する河川の延長はおよそ二千九百キロで全国八位、堤防の延長はおよそ五百二十キロ、砂防指定地の面積も全国一位、砂防施設もおよそ三千か所整備するなど、多数の施設や延長を管理しています。こうした施設の一つ一つが、その機能をしっかりと発揮することで安全・安心な県土の基礎となり、県民の暮らしを守っていると言っても過言ではありません。 一方で、毎年のように全国各地で災害が頻発しており、特に近年では、平成二十七年九月の関東・東北豪雨による鬼怒川や、令和元年の台風十九号の豪雨による千曲川、昨年七月豪雨による球磨川など、国が管理している河川の堤防が決壊し、広範囲の浸水被害や死者が発生する事態が相次いでいます。 岐阜県においても、平成三十年七月豪雨、令和二年七月豪雨に続いて、今年八月の大雨と、四年間で三回も災害に見舞われており、県内のどの場所でも、いつ災害が発生してもおかしくありません。 こうしたゲリラ的な災害に備える上で、何といっても日頃からの維持管理が重要であることは言うまでもありませんが、岐阜県においては管理する施設が膨大であること、またそれに見合った数の人材の確保が必要となります。しかしながら、人口減少が進む時代において、建設業界においても担い手不足が顕在化しており、今後も人材が確保できるとは言い難い状況にあります。 そこで、今後は限られたマンパワーの中で、公共土木施設をいかに効率よく維持管理していくか、そしていかに早く異常を発見し、未然に被害を防止するかということが、県民の生命と暮らしを守り抜く上で大きなテーマだと考えます。 昨年来、
新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、あらゆる分野でデジタルトランスフォーメーションの推進が図られています。AIやIoTの活用など、民間企業の技術開発が日進月歩で進んでおり、また様々な分野において新しい技術が導入されており、岐阜県においても今年度末にデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画をまとめていくと伺っております。 そこで、県土整備部長にお尋ねします。 建設業界においても担い手不足が進む中、公共土木施設においてもデジタル技術を活用した点検や維持管理を進めていかなければならないと考えますが、現状や今後の取り組みについてお答えください。 ここで分割二を終わります。
○副議長(松岡正人君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 社会減対策についてのお尋ねがございました。 これまでの県の人口動態統計調査を分析いたしますと、転出理由につきましては、理由不詳を除けば、県外転出者の約六割が職業上の理由を挙げております。そして、その約七割が二十ないし三十代の若者でございます。また、進学等の学業上の理由で転出する方も六%あるということで、この二つの理由で大きな割合を占めております。 一方、転入のほうの理由を見てみますと、約五割が職業上の理由を挙げ、その六割がやはり二十代ないし三十代の若者ということでございます。学業上の理由での岐阜県への転入も四%程度あるということで、例えば県内大学へ通学する学生のうち県外の出身者は約五割という状況でございます。 こうした転出・転入を合わせて本県の社会減の全体を見てみますと、コロナやリーマンショック等の社会経済状況によって大変大きく影響を受けます外国人を除いて見てみますと、二十五年連続で本県としては社会減が続いておるということでございます。特に、愛知県との関係での社会減が顕著となっておるということでございます。 こうした状況を改善するべく、特に若年層に対する働きかけを強め、転出・転入両面にわたって対策を強めてきております。 第一に、県内就職促進の取り組みであります。県内大学に通う学生に対し、在学中から県内で働く具体的なイメージを持てるような対策を講じてきております。例えば大学のカリキュラムに、県内企業の従業員が講師を務める講座や企業現場での実習を含めるほか、産官学が連携したインターンシップなどにも取り組んでおります。 また、就職活動時には、県内企業が一堂に会した「オール岐阜・企業フェス」を開催し、幅広く県内企業の魅力を発信しております。なお、昨年度からは「オール岐阜・企業フェス」をオンライン開催するということで、県内の学生に加えて、これまで会場に来ることができなかった県外の学生にも広く情報発信を行っております。さらに、今後は年間を通じてオンデマンドで情報発信ができるよう、企業紹介のウェブサイトを構築するなど取り組みの強化を図ってまいります。 第二に、Uターン促進といたしましては、一旦県外に進学した後、将来的に岐阜県に戻って就業する意欲がある方々を支援する清流の国ぎふ大学生等奨学金制度がございます。これは、最終的に県内に就職し、五年間働いていただいた場合には奨学金の返還を免除すると、こういうものであります。これまでの貸与者で、一昨年度末までに卒業し就職した百二十九名のうち八十八名を県内へのUターン就職につなげることができております。 第三に、企業誘致による県内雇用の拡大に向けて、市町村と連携しながら積極的に取り組んでおります。例えばこの五年間の工場立地件数、全国平均が年間百七・五件ということでございますが、本県はその約二倍となる二百十四件ということでございます。 また、具体的な企業といたしましても、東海環状自動車道の東回りエリアでは、愛知県に本社を置く二社、従業員規模約二百人の日本ガイシの工場、そして約五百人のアイシン・エィ・ダブリュの工場などの誘致が実現いたしました。一方、西回りエリアにおきましても、今月十日には、半導体パッケージの世界最大手でありますイビデンが、新工場整備に向けて大野町と基本協定を締結したところでありまして、さらなる雇用の創出が期待されるところでございます。 今後、世界的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展の中で、戦略物資となっている半導体をはじめとするデジタル関連産業をターゲットとした企業誘致を強化してまいります。 第四に、移住対策でございます。 コロナ禍におきましては、新次元の地方分散とも言える地方回帰の機運が高まっておりまして、本県の魅力を都市部に積極的に発信してまいります。具体的には、東京、名古屋、大阪に設置しました清流の国ぎふ移住・交流センターにおける相談からあっせんまでのワンストップサービス、愛知県をはじめ全国からの移住希望者に対する移住経費の支援、コロナ禍におけるデジタル化の流れに対応したオンラインセミナーや移住フェアの開催などに取り組んでおります。これらの成果として、昨年度の移住者数は千七百五十二人と、調査開始以来過去最高となっております。 こうした人の流れを一段と確かなものとするため、今回の九月補正により、ぎふへの地方回帰キャンペーンということで、三大都市圏での大規模広告、オンライン移住体験ツアー、県外企業によるサテライトオフィスお試し体験事業などを推進してまいります。これまでの対策の成果もあり、昨年の調査では、社会減は五千五十九人、愛知県との関連では二千六百五十一人と、それぞれピークでありました平成二十七年の五千九百九十五人、そして三千八百五十六人からそれぞれ改善が見られたところであります。 今後とも、転出・転入両面にわたる対策を充実・強化し、社会減改善のトレンドを加速してまいりたいと考えております。
○副議長(松岡正人君) 県土整備部長 船坂徳彦君。 〔県土整備部長 船坂徳彦君登壇〕
◎県土整備部長(船坂徳彦君) デジタル技術を活用した公共土木施設の点検、維持管理についてお答えします。 建設業界の担い手不足の中、高齢化が進む多くの公共土木施設の適正な維持管理の継続が重要な課題となっています。このため、例えば橋梁や砂防施設の点検においてドローンの活用を図るとともに、特殊なレーザー技術を活用して河川内に堆積した土砂の状況を把握するなど、維持管理の効率化・高度化を図っております。 また、本年五月に河川の異常洗掘により橋脚が傾いた川島大橋の事案を踏まえ、目視では確認できない川底の状況を超音波や水中ドローンを活用して洗掘状況の把握を行うなど、新たな取り組みにも着手したところです。今後は、さらに河川構造物などその他の施設点検にもこうした技術を活用するとともに、道路舗装の損傷状況を確認するためのAI技術の導入を検討してまいります。 今後も、国や民間における技術開発の動向を注視しながら、有効なデジタル技術の活用を積極的に進めてまいります。
○副議長(松岡正人君) 二十一番 林 幸広君。 〔二十一番 林 幸広君登壇〕
◆二十一番(林幸広君) それぞれ御答弁ありがとうございます。 次に、コロナ禍における青少年のインターネット依存対策についてお尋ねします。 大人に比べて行動範囲が狭い子供は、このコロナ禍で登校の自粛や外出の抑制など、その居場所を確保することが難しい状態にあると思います。このことは、子供たちに孤独や孤立といった影響を与えているのではないでしょうか。 政府は、今年の六月に二〇二一年版「子供・若者白書」を公表しました。この中で、家庭や学校、インターネット空間など、ほっとできる居場所が多い人ほど、自分が好きだと感じやすいとの分析結果を紹介しています。子供の自殺が増えるなど、
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う孤独や孤立が深刻な中、居場所の重要さが示されました。 これは、「自分の部屋」「家庭」「学校」「地域」「職場」「インターネット空間」の六項目を示し、本人が居場所と感じられる数を基にデータを分析したものです。 居場所がなしで「今の自分が好き」と答えた人は一〇・三%。居場所の数が増えるほど「好き」が増え、六項目全てを居場所と答えた人で「今の自分が好き」と答えた人は七二%に及びました。反対に、居場所が少ない人ほど困難な状態が改善した経験が少なく、支援希望や支援機関の認知度なども低い傾向であるとのことです。 さて、「子供・若者白書」によれば、「インターネット空間」が居場所となっていると答えた割合は五六・六%で、「家庭」の七五・六%よりも低いものの、「学校」の四八・一%や「地域」の五三・三%よりも高くなっています。現実空間よりも、子供たちにとっては居心地のよい空間だということを示しているのでしょうか。 この白書では、インターネットの利用状況の調査結果も示されております。それによれば、令和二年度のインターネット利用率は、小学生で九〇・五%、中学生で九七・四%、高校生で九八・九%とのことです。また、スマホ利用も小学生で五三・一%、中学生で七九・三%、高校生に至っては九八%に達しています。一日に三時間以上利用する割合も、小学生で三三・六%、中学生で五二%、高校生で六九・五%と過去最多を示しています。 これらから考えると、長引くコロナ禍で不要不急の外出自粛が求められる中、青少年のネット依存の傾向はこれまで以上に増加していると言えるのではないでしょうか。ネット依存の影響については、一般的に生活習慣の乱れ、運動不足による体力の低下や、ネット環境がない場合にいらいらしたり無気力になるといった心身の健康の問題のほか、成績の低下や欠席の増加など学業上の問題が起こる可能性も指摘されています。 そこで、環境生活部長にお尋ねします。 コロナ禍において青少年のインターネット依存傾向が強まっており、生活習慣の乱れなど、青少年の健全育成への悪影響が懸念されますが、青少年のインターネット依存に対してどのように対応していかれるのか、お考えをお聞かせください。 次に、不登校児童・生徒の支援についてお尋ねします。 昨年十月に文部科学省が公表した「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、本県の不登校の児童・生徒の人数は、小学生は前年度比一〇・一%増の九百二十九人、中学生では同じく〇・八%増の二千百十五人でした。 この調査では、平成二十七年度以降、毎年不登校の児童・生徒の数が増加していることが分かります。不登校になるきっかけには、無気力・不安、学校での人間関係の問題、親子の関わり方などの原因があると言われています。そして共通して言えることは、子供に学びたいという意欲がありながら、その学校にはその意欲をそぐ、学ぶことを阻害する原因があるということです。こうして不登校となった児童・生徒が学ぶ主な場所として、フリースクールや特例校があります。 ところで、フリースクールで学ぶ場合の課題として、学校との連携をどうするかが上げられています。フリースクールで学ぶ児童・生徒の情報共有、出席の扱い、そもそもフリースクールでの成績をどう扱うかなどです。不登校支援の充実のため、岐阜県教育委員会は二月に岐阜県学校・フリースクール等連携協議会を設立しました。県内の不登校児童・生徒の増加を受け、多様な学びの機会を保障するために民間施設と公的機関の連携を深めることを目的として、フリースクールなどの民間施設と学校、不登校特例校、教育関係機関などの公的機関の連携協力の在り方を議論する協議会です。 ここでは、六月二十二日、オンライン会議を開き、不登校支援を充実させるため、官民でどう連携するかを定めるガイドラインの策定について話し合ったとのことでした。こうした話合いは非常に重要で、地域の社会経済的な状況を見据えて、通常の公立学校の取り組みを同時に見直さないと、ついてこられないのだったらあの学校に行ったらいいと短絡的な判断が起こりかねません。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携し、安易に押しつける形にしないことが重要という意見もあるからです。 全国において、不登校特例校は八都道府県十七校あり、小学校・中学校十四校、高等学校三校とのことで、高等学校が非常に少ない状況です。 岐阜県においては、不登校特例校として既に設置済みの西濃学園小中学校に加え、今年四月に岐阜市において市立草潤中学校が開校し、来春には西濃高等学校が開校を予定しております。 市立草潤中学校は、全校生徒およそ四十人で運営されており、カリキュラムは一般的な中学校とほぼ同じで、授業数は一般的な中学校に比べて三割少なく、また主要五教科以外についても、生徒が柔軟に対応できるように工夫されております。また、学び方も通常の学校のように通学して学ぶか、家庭学習を基本にするかを選択することができ、この点でも生徒の状況に合わせた対応ができております。 また、教員も一般的な中学校に比べて多めに配置され、いわゆる加配の状況で運営されております。それだけ生徒へのきめ細かい対応ができるということになります。保護者からの注目度は非常に高く、昨年度二回行われた学校説明会では、入学対象となる岐阜市内の在住者だけでなく、市外からの参加者も多く、合計で三百三十三人、保護者も合わせると五百七十一人が参加したとのことです。今年も二回開催が予定されていますが、昨年度と同様の参加があるのではないかというのが岐阜市教育委員会担当者のお話でした。言い換えれば、それだけ学校に通いたくても通えない生徒が多く、草潤中学校のような学校が求められているということではないでしょうか。 また、揖斐川町に来春中部六県で初めて開校する不登校特例高等学校「西濃学園高等学校」は、一学年二十五人とのことで、全校生徒は七十五人です。寮から通学するシステムで、中学までの復習やコミュニケーションの授業を設け、地域活動への参加も取り入れる予定とのことです。通信課程での履修も可能という対応や県外からも生徒を受け入れるとのことで、柔軟さを持った対応をしていただけるようです。 草潤中学校のように、中学時代に不登校状況にあった生徒が、その後の進路においてどのような選択肢を選ぶのか、その中でこういった進路の選択肢が増えることは歓迎できる流れではないかと思います。不登校の児童・生徒も学びたいのであって、学びの環境が整っていない、提供されないことが現在の課題なのだと思います。学びたい生徒に学びの場を提供する取り組みは、今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。子供の居場所と同様、子供の学びの場をいかに確保・提供するか、環境を整えられるかは、県として積極的に取り組むべき課題ではないかと思います。 そこで、教育長にお尋ねします。 県内の児童・生徒の不登校の現状と、不登校児童・生徒に対する取り組み、特に高校進学を望む不登校の児童・生徒への支援についてどのように取り組まれていかれるのか、お聞かせください。 ここで分割三を終わります。
○副議長(松岡正人君) 環境生活部長 内木 禎君。 〔環境生活部長 内木 禎登壇〕
◎環境生活部長(内木禎君) 青少年のインターネット依存対策についてお答えします。 対策を進める上では、まずは青少年一人一人にネット依存について正しく理解いただくことが不可欠です。このため県では、体や心などへの影響を理解して自分のネット依存度をチェックすること、そして家庭で話し合ってインターネットのルールづくりを行い、家族ぐるみで予防に取り組んでいただくこと、さらに気になることがあれば県青少年SOSセンターなどに相談することについて、広く周知を図っております。 加えて、今年度から健康福祉部と連携し、ネットとの付き合い方を見直したいと望んでいる児童・生徒を対象に、スマートフォンなどを手放して自然体験活動やカウンセリングを行うネット依存対策キャンプを始めたところであり、ネット依存を克服した人の具体的事例を親子で学び、早期回復を支援する講座も実施いたします。 今後は、参加者の方の御意見を十分にお聞きし、事業検討委員会の場で専門家の評価をいただきながら、これらの取り組みの改善、充実を図ってまいります。
○副議長(松岡正人君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 不登校児童・生徒の支援についてお答えします。 議員紹介の調査では、県内小・中学校の不登校が平成二十九年度以降、二年間で大きく増加しておりますが、これは学校復帰を一律に目指すものではなく、心身の状態に応じて休養させる対応をしたことによるものだと捉えております。そのため、フリースクールや市町村の教育支援センターなどと協議を重ね、六月に策定した不登校児童・生徒のための連携ガイドラインに基づいて、きめ細やかな支援について理解を図っております。 また、県立高校進学を希望する生徒にはリーフレットを配付し、受検の際に欠席理由を自己申告でき、そのことが不利益にならないことや、高校にも気軽に相談できるスクール相談員が配置されている学校があることなどを周知し、進学への不安解消に取り組んでいるところです。 さらに、十一月には保護者等を対象にセミナーを開き、高校の合格発表時には全ての合格者と保護者との面談を個別に行い、高校生活への不安を和らげる高校もあることなどの取り組みを周知し、中高切れ目のない支援が継続するよう努めてまいります。
○副議長(松岡正人君) 二十一番 林 幸広君。 〔二十一番 林 幸広君登壇〕
◆二十一番(林幸広君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 次に、六つの都市公園全体の利活用推進についてお尋ねします。 岐阜県は、今年度から令和七年までの間、新・岐阜県都市公園活性化基本戦略をまとめ、実施しております。この基本戦略のテーマは、「地域経済の活性化や
アフターコロナ社会への対応を図る取り組みを通じ、岐阜県におけるこれからのライフスタイルを実現」となっています。 この対象となる都市公園は、花フェスタ記念公園から名称が変わり、ぎふワールド・ローズガーデンと、ぎふ清流里山公園、養老公園、岐阜県百年公園、世界淡水魚園、各務原公園の六公園となります。これら都市公園を県民の憩いの場としてだけでなく、観光振興の拠点として交流人口の拡大、経済活動の活性化・県民活動の充実、本県ブランド力の向上に貢献させるという視点に立って、この戦略がまとめられています。 これら都市公園が果たすべき役割として上げられているのが、多様な観光スタイルの提供、アウトドアライフの場の提供を通じて地域経済の発展、労働環境や住まい方の変化に対応した家族・コミュニケーションの場としての提供、健康増進や子育てなど健康に関するものです。 また、新戦略のテーマの実現に向けた基本方針として、岐阜県のゲートウエーとしての機能強化、安全・安心な空間・サービスの提供、成功体験の横展開による自走型運営の確立、プロモーションの強化、SDGsの推進、災害時の避難・復旧拠点としてなど社会貢献の推進が上げられています。 各公園ごとに重点的な展開も期待されており、私の地元の関市にある百年公園では、ジョギングなど健康づくりやリラクゼーションのための環境整備や、自然の中でのアウトドア体験や遊具の充実を期待されていることから、「緑豊かな空間で心身の健康を育む」をコンセプトに掲げています。 新戦略による公園の活性化については、さきの六月議会において、知事が、令和七年度は都市公園の祭典の実施年に当たり、おのおの公園が連携しながら本県都市公園の魅力を県内外に幅広く発信する企画の検討を進めると答弁されています。令和七年に向けて、六公園が一緒になって連携した企画やSDGsとのコラボレーション企画、世界農業遺産である「清流長良川の鮎」とのコラボレーション企画など県内外に岐阜県のアピール、六公園のすばらしさをアピールしていくことも必要ではないでしょうか。 そこで、都市公園整備局長にお尋ねします。 これら県営六都市公園全体の利活用推進と魅力向上を図るための今後の取り組みについて、お考えをお聞かせください。 次に、より利便性の高い場所へのAED設置促進に向けた対応についてお尋ねします。 AEDは、心臓がけいれんを起こしポンプ機能を失った状態、心室細動になった心臓に電気ショックを与え、正常に戻すための医療機器です。使用するのに特別な資格を必要とせず、誰でも必要なときに使うことができるものです。AEDの設置の上で、五分以内に電気ショックが可能な場所であること、分かりやすい場所であること、誰でも利用できる場所であることが必要と言われております。 これまでに、県では県有施設や県立高等学校などに設置を行ってきました。しかしながら、これら施設には休業日があり、必要なときに利用できないという課題があります。これらの課題解決のために、かねてより身近な存在であるコンビニエンスストアやガソリンスタンドなどへの設置を進めてはいかがかという意見が度々この議会でも出されておりますが、なかなか進展がありません。これらの場所は営業時間も長く、必要なときにいつでも使える状況を実現できるはずです。 実際に市内にあるコンビニエンスストア全てにAEDを設置した愛知県尾張旭市では、市内に住む六十代の男性が自宅で意識を失ったため、家族が一一九番通報をした上で心臓マッサージを行うとともに、近くのコンビニにAEDを取りに行き、男性が意識を失ってから六分後にAEDを使って電気ショックを与えたところ、男性の心臓が再び動き出し、その後は以前と変わらない生活を送っているとのことです。より身近な場所にAEDを設置することの有効事例と思います。 一方で、コンビニやガソリンスタンドへの設置が進まない理由に、設置や維持管理に係る費用の問題があります。コンビニにしろガソリンスタンドにしろ、場所を提供することに抵抗はないものの、購入費用などの負担に抵抗があるということです。人の命を救うための機器です。こうした声を踏まえ、先ほどの尾張旭市のように、県内市町村においてもコンビニやガソリンスタンドへの設置の取り組みを拡大することが必要ではないでしょうか。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 AEDの設置をコンビニやガソリンスタンドといった、より利便性の高い場へ広げるための県としてのお考えをお聞かせください。 最後に、街頭防犯カメラ設置促進補助金交付事業の状況についてお尋ねします。 お手元に、このようなパンフレットがございますので、ぜひ御参照ください。 防犯カメラは、地域の治安の向上に大きな役割を果たしています。犯罪の解決につながる証拠を記録する役割だけでなく、設置するだけで監視の目となり、犯行を思いとどまらせるという犯罪抑止力も持っています。 例えば北海道札幌市厚別区では、二〇一五年に不審者が頻出したため、大谷地団地町内会では通学路に防犯カメラを設置しました。その結果、一年間に約十件あった痴漢や声かけなどの報告が、二〇一八年には一件にまで減少したとのことです。 また、愛知県刈谷市では、犯罪抑止効果を目的に交差点や公園などあらゆる場所に防犯カメラを設置し、計九百を超える防犯カメラを設置したとのことで、二〇〇三年には四千三百だった犯罪件数が、二〇一七年には千二百件と三分の一以下までに減少したそうです。 行政以外が設置する防犯カメラに関しては、資機材の提供などの設置協力を行っている民間事業者もありますが、今年度は県としてもカメラ設置促進のための補助金を出していただいております。しかし、防犯カメラの設置の求めが多く、県がその求めに対応できない状況にあります。現在、この補助金事業は当初予算の上限に達する見込みであり、補助金の申請をしても新たな申請を受理できない状況にあるとのことです。住民の安全な暮らしを守るための防犯カメラの設置に、県としてももう一歩協力を求めるものです。 そこで、県警本部長にお尋ねします。 現在、設置を求めているものや補助金交付決定したものは何件あり、今年度県補助金を支出したものは何件あるのか。また、設置補助金の事業策定に至った経緯と、来年度も継続する予定があるのか。また、あるとすれば、本年の実績を考慮した対応ができているのかについてもお聞かせをいただきたいと思います。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(松岡正人君) 都市公園整備局長 湯澤将憲君。 〔
都市建築部都市公園整備局長 湯澤将憲君登壇〕
◎
都市建築部都市公園整備局長(湯澤将憲君) 六つの県営都市公園全体の利活用推進についてお答えします。 県営都市公園の利活用については、岐阜のゲートウエー、岐阜の玄関口としての機能強化など戦略で定めた基本方針に基づき、六公園のさらなる魅力向上とともに、次の観点から施策の横展開や連携を積極的に進めてまいります。 第一に、六公園共通した運営の質を高める施策の展開です。一例として、実績を積み重ねてきたキッチンカーやオープンカフェの設置とそれらを活用した食の充実のほか、岐阜県百年公園での森林文化アカデミーとの連携による里山林整備講座や、水族館アクア・トトぎふでの世界農業遺産「清流長良川の鮎」の企画展といったSDGs推進の取り組みが上げられます。 第二に、情報発信力の強化を通じた公園を拠点とする周遊性の向上です。本定例会で補正予算を計上しておりますとおり、園内にデジタルサイネージを整備し、来園者にタイムリーかつビジュアルな情報を発信することで、公園周辺にある魅力的な観光資源との連携強化につなげてまいります。
○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。 〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部長(堀裕行君) 利便性の高い場所へのAEDの設置促進に向けた対応についてお答えします。 本県においては、平成二十九年度に全四百七十九の県有施設へのAEDの設置を完了し、このうち二百四十四施設は、AEDが二十四時間、三百六十五日使用可能となる警察署、交番及び駐在所です。このような取り組みは全国的にもまれであり、本県における休日、時間外を含めた利便性の高いAEDの設置体制はかなり進んでいると考えております。 さて、議員御指摘のコンビニエンスストア、ガソリンスタンドなどへの設置でありますが、AEDの設置は、市町村が行う消防救急業務にも資するものと考えられます。そのため、県は市町村負担でAEDを購入し維持管理を行う場合に、コンビニ各社やガソリンスタンド事業団体と協議し、設置の意向を確認するなど、市町村の設置促進に対する支援を行っており、神戸町では町内全てのコンビニに設置されているところです。 現時点では、県として事業者に対し直接補助する仕組みは検討していませんが、県内市町村の御意見も伺いつつ、全国の都道府県レベルでの取り組みや国の動向などを研究してまいります。
○副議長(松岡正人君) 警察本部長 加藤伸宏君。 〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕
◎警察本部長(加藤伸宏君) 本年度から実施しております岐阜県警察街頭防犯カメラ設置促進補助金交付事業の現状及び今後の展望について御説明いたします。 まず現状ですが、本年八月末現在、三十六団体からカメラ百十二台分の交付申請を受理しております。そのうち十八団体の五十八台分、金額にして約五百万円の交付決定を行い、これまでに一団体の四台分を執行しております。 本事業は、地域住民の身近で起こる犯罪及び地域住民が不安に感じる事案の発生を抑止する目的で、本年度当初カメラ八十四台分の計画を策定いたしました。しかしながら、県民の皆様からの御要望が大きかったため、現在補正予算を要求している状況にあります。 次に、今後の展望ですが、本事業によって防犯カメラの設置が進めば、犯罪機会を減少させることはもとより、地域住民の防犯に対する意識も高まり、ひいては県民の皆様の安全・安心を強化することになります。このため、県警察としては、本年度の状況を考慮しつつ、来年度も本事業を継続してまいりたいと考えております。あわせまして、独自の補助金事業を持たない市町村に対し、補助金事業を創設していただくよう働きかけてまいります。
○副議長(松岡正人君) 三十五番 伊藤秀光君。 〔三十五番 伊藤秀光君登壇〕(拍手)
◆三十五番(伊藤秀光君) 質問に先立ち、新型コロナウイルスでお亡くなりになられました皆様の御冥福をお祈りし、御遺族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げます。そして、今なお療養されております皆様に一日も早い回復をお祈り申し上げます。なお、献身的に治療に当たられておられます医療従事者の皆様にも心より感謝を申し上げる次第です。 それでは、通告に従いまして、議長のお許しをいただきましたので、大きく三項目、四点についてお伺いいたします。 スポーツ立県を目指す本県では、平成二十七年三月に、清流の国ぎふスポーツ推進計画を策定し、本県ゆかりの選手の出場目標数を東京オリンピックについては三十名、東京パラリンピックについては十名とし、選手の育成、強化を進めてこられました。その結果、東京オリンピックについては三十二名、東京パラリンピックについては九名の選手が出場し、ほぼ目標が達成できました。これは、選手個人個人の努力ももちろんですが、県をはじめ、関係者の皆様方の育成強化の取り組みが功を奏し、スポーツ立県ぎふと呼ぶにふさわしい結果になったのではと思います。 ただ、今回のオリンピックは、大会史上初めて一年延期となりました。その上、一年たってもコロナは収まるところを知らず、賛否両論というより、圧倒的にマスコミも世論も開催反対の状況の中でしたし、緊急事態宣言が発令される中、無観客での試合、選手は選手村から外出禁止という異常事態での開催となりました。結果的には、皆様御承知のとおり、日本のメダル獲得数は金銀銅合わせて五十八個と史上最多となりました。パラリンピックでは、金銀銅合わせて五十一個と、アテネパラリンピックに次ぐ二番目の記録となりました。日本選手の連日の活躍にも感動をいただきました。 私が今大会の成功を確信したフレーズが三つあります。 その一つ目が、閉会式のIOCのバッハ会長の挨拶で、「日本の皆様が成し遂げたことをどうか誇りに思ってください。全てのアスリートを代表して申し上げます」と話され、最後に「全てのボランティアの皆様、誠にありがとうございました」と日本語で締めくくられたこと。 二つ目は、IPCのパーソンズ会長が、パラリンピックの閉会式の総括記者会見で述べられた「新型コロナウイルス禍を考えると、日本の行ったような大会は諸外国ではできなかったと確信している。世界は、日本が果たした役割を決して忘れない」と。 三つ目は、帰国前のアスリートや関係者の空港での言葉で、「一生の思い出です。もう一度日本に来たい」の三つです。さらに成功の陰には、あの猛暑の中、マスクと帽子だけで笑顔とおもてなしで接客し、懸命に感染対策に御努力されたボランティアの皆さんを忘れてはなりません。彼らへの訪日関係者からの高い評価はうれしい限りです。 思い出すことは、八年前のブエノスアイレスでの開催地決定前日のプレゼンテーションです。フリーアナウンサーの滝川クリステルさんが、日本人のきめ細かなおもてなしの心をジェスチャーでアピールされたことが、当時想像だにしなかったパンデミックの中においても証明されたことです。こうした逆境の中、信念を貫き開催していただいた日本政府、大会関係者はもちろん、アスリート、ボランティアの皆様に心よりありがとうと申し上げたいです。 さて、もう一つ、さらにスポーツ立県ぎふを目指す中で忘れてならないのは、二〇一二年に開催しましたぎふ清流国体とぎふ清流大会です。 ぎふ清流国体では天皇杯・皇后杯を獲得し、ぎふ清流大会においては、過去最高の百八十四個のメダルを獲得することができました。これは、本県が国体と大会に向けてハード・ソフト両面でジュニアから成人まで一貫した育成と強化策が功を奏したものと思います。そして、その強化策として、複数の企業が選手を雇用し、一つのクラブチームとして活動する岐阜方式があり、そうしたクラブの中には、国体後もその成果を継承し、日本のトップリーグに参戦するなど高いレベルで活動を継続しているクラブもあります。国体開催から来年で十年を迎え、そしてコロナ禍の現在、これらのクラブがどのような状況で活動しているのか、私は大変気になりました。 そこで、今回私は、岐阜方式として代表的な四つのクラブに電話や直接訪問してお話を伺ってきました。 その四つのクラブとは、ハンドボール女子の飛騨高山ブラックブルズ岐阜、バスケットボール男子の岐阜スゥープス、ホッケー男子の岐阜朝日クラブ、ソフトボール女子の大垣ミナモソフトボールクラブの四つです。そこで気づいたことは、私自身、地元大垣ミナモソフトボールクラブ以外は、ほとんどその活躍ぶりを何も知らなかったということです。 少し御紹介しますと、ハンドボール女子チームの飛騨高山ブラックブルズ岐阜ですが、そのルーツは五十六年前の一九六五年の岐阜国体まで遡ります。そのとき、高山市はハンドボール競技の開催地であったことが御縁となりました。以来、ハンドボールが小学校、中学校、高校へ普及し、高山市に根づいたそうです。高山市には、小学校のチームから日本リーグに参戦するようなチームまで一本の道があり、日本ハンドボールリーグにも多くの選手を送り出しています。まさにハンドボールのまち高山となっています。 しかし、お話をお伺いすると、コロナ禍の現状において高山市では観光業に大きな影響が出ており、チームを支援する地元企業の中には、厳しい状況ではあるがチームのために支援をしてくださっているとのことでした。また、試合の遠征先が遠いために費用がかかる悩みもあるようです。しかし、資金面では県からいろいろと御支援もいただいており、感謝しているとも話されました。現在の戦績は一勝三敗、十チーム中八位ですが、得点数は第一位なだけに、ぜひさらに頑張ってほしいと思っております。 次に、バスケットボールの岐阜スゥープスは、二〇〇二年に社会人クラブとして結成され、二〇一二年ぎふ清流国体ではスゥープスの選手が中心で、成年男子で優勝、二〇一七年一月には岐阜バスケットボール株式会社を設立、二〇一八年には社会人クラブとして十五年間で五回目の日本一を達成。同じ年、岐阜県初のプロバスケットボールチームとしてB3リーグに参戦しました。岐阜スゥープスはALL FOR GIFU、全ては岐阜のためにをスローガンに頑張ってみえます。ぜひともB2、B1へと昇格を祈っております。 また、岐阜朝日クラブのホッケー男子は、朝日大学の施設を拠点とする総合型地域スポーツクラブで、ぎふ瑞穂スポーツガーデン所属のチームです。このチームは、昨年全日本ホッケー社会人大会、全日本選手権大会で優勝、さらに岐阜朝日クラブのメンバーと朝日大学の学生でチームを構成する岐阜朝日クラブBLUE DEVILSが、高円宮牌二〇二〇ホッケー日本リーグを制し、二〇二〇年度のシーズンは見事三冠を達成することができたと力強く話されました。 最後に、我が地元の大垣ミナモソフトボールクラブですが、ミナモは市内の一部上場企業をはじめとした十一社の企業に選手は所属しています。そして、大垣ミナモを育てる会があり、支援する法人会員は約百五十社、個人会員が二千名います。また、市民の認知度は七〇%と上がってきています。今年は再び一部リーグに上がり、前期五勝六敗とまずまずの成績かと思っていましたが、後期は二連敗のスタートとなり、奮起を期待しております。そして、ぜひ一部リーグに定着してもらいたいと願っています。悩みの一つは、一部リーグでは応援団が増えて、球場の駐車場が少ないことと話されました。 なお、チームのアクションプランとして、これまでの十年を振り返り、さらなる十年を目指した「Vision二〇三〇」を発行されました。ここに持ってまいりました。主な内容は、ホームグラウンド大垣ミナモフィールドの建設、育てる会会員の増強計画、大垣ミナモジュニアの充実と将来展望などがきめ細かく記載されており、チームの今後の発展に大いに夢は膨らみます。 私の個人的な思いですが、三十年前の市議時代に、全天候型スポーツ・レクリエーション施設である島根県の出雲ドームを視察してきました。そこで感じたのは、雨で試合や行事が中止となることがなく、予定どおり開催できること、多目的であり、青少年の健全育成、高齢者の健康増進も期待できることから、当時、全天候型多目的ドーム広場の建設を議会で提案しました。今年のように雨が続くと、企業に勤めながら活動している選手が中心のチームなだけに、順延が続くと仕事にも影響するのではと考えています。 実は今年五月八日、大垣ミナモの試合もここで行われました。ドーム広場は多目的でもありますが、私が大垣ミナモにかける夢の一つです。 このように、ぎふ清流国体を契機に誕生した岐阜方式のクラブチームがさらに活躍し、上位で定着すれば、地域に活力が生まれ、その上、スポーツ立県ぎふの牽引者としても役割を果たしてもらえるものです。さらに、岐阜方式として活動しているクラブの活躍ぶりをもっと広く県民に知ってもらい、声援を送っていただけるよう、県としてもより一層広報をしていくべきだと考えます。 そこで、清流の国推進部長にお伺いします。 ぎふ清流国体開催から来年で十年を迎えますが、県として岐阜方式により強化してきたクラブの現状について、どのように認識されているか。また、これらのクラブに対して、広報も含め今後どのような支援をしていくのか、併せてお伺いをします。 次に、子供の健全育成に向けた取り組みについて二点お伺いします。 二〇一一年、大津市の中学校二年の男子生徒が複数の同級生から繰り返し脅迫、暴行を受け、自殺をした事件がありました。政府は、この問題の二年後の二〇一三年、いじめ防止対策推進法を制定しました。しかし、幾ら法整備をしてもいじめは増え続けています。 昨年十月の新聞報道によりますと、全国の小・中学校、高校などが二〇一九年度に認知したいじめは、前年度比の約六万八千件増で六十一万件を超え、五年連続で過去最多を更新し、県内の件数も一万九百六十二件で、いじめが現在の基準となった十三年以降、初めて一万件を超えました。 特に最近の新聞・テレビの報道から、今年の三月二十三日には、旭川市の公園で中学二年の女子生徒、廣瀬爽彩さんが凍死で発見されました。二年前に入学した前の中学校で、数人の中学生男女による脅迫、強制わいせつや殺人未遂などによるいじめが原因です。この事件に対して、被害者の中学校の教頭先生は、十人の加害者の未来と一人の被害者の未来とどちらが大切ですか。十人ですよ。一人のために十人の未来を潰していいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度冷静に考えてみてくださいと被害者の母親に発言していることは驚きです。信じられないことです。ここまで来れば学内のいじめではなく、通常の犯罪です。母親は度々学校に伝えていたようですが、なぜ救えなかったのでしょうか。 さて、昨年自殺した小中高生は過去最多の四百九十九人、二〇一九年には三百九十九人、二〇一八年には三百六十九人、二〇一七年には三百十五人と増加傾向が横ばいで推移していましたが、コロナ禍となった昨年は前年の百人増と急増しています。全てがいじめによるとは限りませんが、輝く未来を夢見た少年の自殺には心が痛みます。 次に、児童虐待についても、政府は二〇〇〇年五月に児童虐待防止法を制定しました。しかし、その後二〇一八年、目黒区で「もうおねがい ゆるしてください」とノートに書いた五歳の女児、船戸結愛ちゃん、担任に虐待を知らせた手紙がコピーされ父に渡った、二〇一九年、野田市小学四年の女子児童、栗原心愛さんが、それぞれしつけという親の虐待によって死亡する事件があり、政府は二〇一九年に体罰の禁止を明文化した法改正を行いました。 しかし、法改正をしても一向に虐待は減りません。新聞報道によると、全国の児童相談所が二〇二〇年度に児童虐待として対応した件数が二十万五千二十九件に上ったことが厚生労働省のまとめで分かりました。一九九〇年度の統計開始以来、三十年連続で最多を更新し、初めて二十万件を超えました。県でも、二〇二〇年度の相談対応件数は二千二百六十八件で、過去最多だった前年度比〇・五%減ですが、高止まり傾向です。 問題は、いじめであれば教育委員会、虐待であれば児童相談所、そして事件性を帯びると警察という流れかと思いますが、これでは縦割り行政の最たるもので、その結果、救える命が救えなかった事例も数多く報道されています。私は、いつもそんなときに、被害に遭われた御家族への思いと同時に、加害者も結果的に同じように犠牲者になることを感じています。つまり、被害者はもちろん加害者を生まないために、法律ではなく、全ての関係者が子供たち一人一人に寄り添う人間力が問われているのだと思います。そして、子供たちにとっても、出会う人によって更生の第一歩となることは事実です。 私自身も、そんなすばらしい人間力を持った方の感動的なお話を聞く機会がありました。それは、今年五月二十四日、大垣市文教協会の総会と講演会です。毎年市民会館で開催されてきましたが、今年はオンラインで開催されました。今年の講師は、福岡県警生活安全部少年課課長補佐少年育成指導官、通称サポレンジャー、さらに子供たちからはレッド隊長とも言われています安永智美さんです。 お話の内容が、あまりにもいじめや少年非行の実態が強烈過ぎて、議場ではとても詳しくお話しできません。信じられないほどひどい現状に驚かされました。県警も、講師として呼ばれたと新聞報道がありました。ぜひ一度皆様にもいじめの現実を聞いてほしいものです。 安永サポレンジャーは、髪を染めピアスをし、タトゥーをしたたばこを吸う少年少女や、暴行、レイプ、薬物乱用などの罪を犯した少年少女と二十五年間向き合ってこられました。初めて会う中学生からは「てめえ、うぜえんじゃ、殺すぞ、こら」とすごまれても一歩踏み込む勇気、支援から降りない覚悟、この子を何とかしたいの熱意があったからこそ続けてこられたと話され、これまで千人以上の子供たちに寄り添ってこられました。講演後は、感動のあまり涙が止まりませんでした。そして、すぐに著書「言葉ひとつで子どもは変わる」を購入し読みました。そこには、この問題に二十五年間関わられた苦しむ少年が更生していく感動的な実話ばかりが掲載され、巻頭言の中には、人は生まれながらのワルは誰一人いないと書かれています。本当にそうだと思います。 講演のキーワードを一部紹介します。立ち直りを支援する必要な三つの苦行、許して、信じて、待つです。まさに実体験の中で、加害者で三回少年院に入った子を九年かけて更生に導かれたお話もされました。被害者が相談できない心理は三つあるんですよと。心配かけたくない、仕返しが怖い、大人を信じられないからですと。そして、親は我が子がいじめられていないか心配します。それより加害者になっていないか、こちらをもっと気遣ってほしいと強く訴えてみえます。 安永先生は、このような子供たちを少しでも救うために、特に関係機関の隙間を埋め、多機関連携によるワンフロアで対応することの必要性を訴え、実際に福岡県では、警察、教育委員会、児童相談所を同一フロアに集め、ワンフロアで連携が取れる仕組みを整備されました。通称福岡方式と言われています。ワンフロアとなれば、同一フロアで実務者レベルの行動連携が立ち話でもでき、情報共有が即行動連携につながり、問題解決が迅速化されること、情報共有だけでは手遅れになってしまいますと力強く話されました。 そこで、警察本部長に二点お伺いします。 一点目として、これまで話してきましたとおり、いじめ、虐待等の被害に遭う子供たちを救い、加害者をつくらない、また更生させるためにも、通称福岡方式のような警察と関係機関の緊密な連携が欠かせませんが、本県では、警察と教育委員会、子ども相談センターとの連携の必要性についてどのように考え、今後どう取り組んでいくお考えでしょうか。 次に、二点目として、岐阜県警察本部にも安永さんと同じように少年をサポートされる少年補導職員という方がお見えだと思いますが、非行少年少女を更生させていく道筋は、これまでもお話ししてきたように並大抵ではないと思います。彼らに自尊感情、自分は大切な人間で生きている価値があるという気持ちを醸成していくためには、よほどの寄り添い力、人間力が求められます。一朝一夕でそうした人材が育つものではないと思います。そこで、本県の少年補導職員の現状と今後の人材育成についてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。 講演の最後に流れる字幕に、一人の少年が小学校五年生のときに出会った担任の先生によって生まれ変わり、成長して医者になり、結婚するときに、その先生に亡き母の席に座ってほしいという招待状を送られました。人は出会う人によって人生が大きく変わります。そういうメッセージも流れました。岐阜県においても、ぜひすばらしいサポレンジャーの育成を切にお願いする次第です。 次に、家庭教育支援の一環となるライフデザイン啓発冊子の活用状況と今後の活用方針についてお伺いします。 今まで述べてきましたように、法整備だけでは虐待をなくすことは本当に難しいと思います。子供たちにとって、親が人生の最初の教師です。その教師としての親と日々共に過ごす家庭が教育の原点であり、全ての教育の出発点です。しかし、現実はその家庭が崩壊しつつあります。 私は、昨年十一月、児童虐待を絶つというテーマのシンポジウムに参加しました。家庭を取り巻く環境の変化が虐待につながっているのではという三つの原因を話されました。 まず一つ目が、核家族化の進行。一九八〇年の十万五千世帯が二〇一六年には五百万七千世帯と、実に核家族五十倍です。 二つ目は、家庭と地域社会の関係の希薄化です。先日も、周りは気づいているのに行政と危機感が共有できず、熱湯により幼い命が絶たれました。 三つ目は、子供をめぐる社会問題の深刻化です。子育てができず虐待してしまう親、いじめに気がつかない親、不登校の子供と向き合えない親。 本県では、
県政自民クラブの発案で、平成二十六年、家庭教育支援条例が制定されました。全国で四番目と早い時期です。その具体的な取り組みを紹介するものとして議場にお配りしました。「子どもたちの健やかな成長のために 話そう!語ろう!わが家の約束」運動のリーフレットです。 運動の四つの取組方法の中に「取り組みを実践カードに記録します」があり、我が家の約束宣言をして、約束を守ったかを記入するようになっています。子供から家族へ、家族から子供へのメッセージも書けるようになっています。小学校の実践事例も紹介されています。 また、こちらの冊子は、初版平成二十六年十二月発行の「未来の生き方を考える」をバージョンアップした最新版です。中学生用と高校生用の二つがあります。ともにテーマは「「やりたい」「なりたい」から始めよう」、サブテーマは「ライフデザインを知る・考える」です。中学生向けは、四つのライフステージとして、仕事、結婚・家庭、妊娠・出産、子育てで、これまで体験された先輩方の生き方の紹介や、その時々に関係する岐阜県のデータが載っています。とても参考になります。 そして、ワークシート一では、身近な大人にインタビューして今自分たちが学ぶ理由を考えよう。ワークシート二では、十年、二十年後の自分を想像してみようという取り組みがあります。 こちらは高校生版ですが、初めに将来を考える上で大切なことはと質問し、働くこととは、結婚とは、どんな家庭を、家庭と仕事のバランス、妊娠・出産の適齢期は、子供を持つとは、中高年期をどう生きるのかといった人生の節目節目をそれぞれ子供たちに考えさせ、併せて岐阜県のその折々の政策、支援などが詳しく紹介されております。 最後に、十五歳からの人生八十年の将来設計を記入するページがあります。とても意義あるものだと思います。今、親になる学び「親学」が問われているときだけに、将来の夢を描く準備をしていくことはとてもすばらしい冊子です。この冊子に着目した団体より、この本の紹介を兼ねて、岐阜県の家庭教育支援条例の支援の取り組みを紹介してほしいという依頼があり、先日、第四回全国地方議員研修会で発表をしてきました。オンラインで自宅から参加をいたしました。テーマは「少子化問題と家庭教育支援について」、副題は「家族の絆を守るために今できること」です。 開会に先立ち、河村建夫元文部科学大臣の家庭教育支援の法整備を含めての取組状況などの講演をいただき、その後、静岡県の藤曲県議が代表して家庭教育支援法制定を願う要望書が渡されました。その後、家庭教育支援条例の制定に取り組まれた福井県、茨城県、徳島県からそれぞれ発表がありました。そして、最後に私の出番となり、お配りしたリーフレットと、中学・高校生版のこの冊子をオンラインで共有して、七十名の参加者に紹介させていただきました。この冊子には高い評価をいただいており、私自身も、子供たちが自分の将来の人生設計を考える上で大変役に立つものだと考えています。ただ、この冊子を扱う現場は学校であり、ただでさえ忙しい先生方にお願いするわけです。思ったほどの成果が期待できるのかどうか、疑問に思っています。教育委員会の協力なくしては、宝の持ち腐れになってしまわないか、気になるところであります。 そこで、子ども・女性局長にお伺いをします。 このライフデザイン啓発冊子の活用状況と、学校などからの評価はどのようであり、またそれを踏まえ、今後の活用方針についてどのようにお考えか、お聞かせください。 これまで大きく三項目、四点について御質問いたしました。関係部長の誠意ある答弁を期待いたします。長時間御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(松岡正人君) 清流の国推進部長 丸山 淳君。 〔清流の国推進部長 丸山 淳君登壇〕
◎清流の国推進部長(丸山淳君) 岐阜方式により支援してきたチームの現状と今後の支援についてお答えいたします。 県では、ぎふ清流国体終了後も、岐阜方式のチームに対して競技力向上と運営の両面から財政支援を継続してきており、今や各チームはトップリーグで活躍するとともに、地元でのスポーツ教室の開催など地域に根差した活動にも積極的に取り組んでおります。 一方で、岐阜方式のチームは全県的な認知度向上、さらなるファンの獲得といった課題を抱えていると認識しております。このため、認知度向上などのトップチームが抱える課題を解決するために、県、県スポーツ協会、各トップチームとで新たに立ち上げる組織において、岐阜方式のチームが抱える課題についても連携して取り組んでいきたいと考えております。 具体的には、認知度向上に向け、各チームのホームページやSNS等での相互の情報発信によるPR強化に加え、県のスポーツ専用ウェブサイト「ぎふスポ」でもPRをしてまいります。また、ファン獲得に向け、複数のチームによる参加型イベントの開催や公式戦の合同開催のほか、コラボグッズの開発等にも取り組んでまいります。
○副議長(松岡正人君) 警察本部長 加藤伸宏君。 〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕
◎警察本部長(加藤伸宏君) 私からは二点についてお答えします。 まず、一点目の教育委員会、子ども相談センターとの連携についてお答えします。 いじめや児童虐待から子供たちを守るためには、御指摘のとおり、関係機関の縦割りを排し、それぞれの専門性を生かしつつ相互に連携し、補完し合って取り組むことが重要であると認識しております。 このため、県警察では、従来より県教育委員会や岐阜市教育委員会との間で人事交流を実施しつつ、児童の被害や問題行動に関する情報共有を図っております。また、子ども相談センターとの間で県内五地区の子ども相談センター全てに警察官OBを配置し、児童虐待に関する連携協定を締結して全件情報共有を図っております。 また、御指摘のワンフロアでの多機関連携につきましては、連携のさらなる強化と対応の迅速化に資する有効策と捉え、福岡県警察から講師を招いて研修会を催し、関係機関とも勉強会を設けております。今後、関係機関の御理解を得ながら前向きに検討してまいりたいと考えております。 次に、二点目の少年補導職員の現状と今後の人材育成についてお答えします。 まず現状ですが、県警察では、男性一人、女性十四人の計十五人の少年補導職員が勤務しております。これら少年補導職員は、心理学、教育学及び社会福祉学に関する専門的知識を有していることを条件として採用しております。また、採用後も少年補導業務に従事する傍ら、各人が公認心理師資格の取得、各種講習会の受講等、児童心理に関する専門的な知識や技能の習得、向上に努めております。 従来は、比較的事案の多い九つの警察署に配置しておりましたが、本年度より警察本部少年課で集中管理することとし、経験豊富な管理監を中心に現場における伝承教養等、個々人のさらなるレベルアップを図りつつ、非行少年の立ち直り支援、児童虐待事案における初動対応、被害者支援、少年相談、非行防止教室の開催など幅広い業務を担当しております。 次に、今後の人材育成ですが、増加する児童虐待や性犯罪への迅速かつ適切な対応が求められる中、事案認知直後から専門的知識を生かしてきめ細かな対応を行う少年補導職員の必要性・重要性はますます高まっておりますので、今後も引き続き少年補導職員にふさわしい人材を採用し、業務の内外を通じ適切に育成してまいりたいと考えております。
○副議長(松岡正人君) 子ども・女性局長 安江真美君。 〔
健康福祉部子ども・女性局長 安江真美君登壇〕
◎
健康福祉部子ども・女性局長(安江真美君) ライフデザイン啓発冊子の活用状況と今後の活用方針についてお答えします。 県では、早い時期からライフプランを考える機会を提供するとともに、中学生や高校生が将来親になることについて学び、家庭を持つ意味や子育ての意義について理解を深めることができるよう、授業での活用に向けて県内全ての中学・高校二年生を対象に啓発冊子を配付しています。 昨年度に冊子を配付した学校へのアンケートによると、岐阜県の最新データやインタビューが身近に感じる、図表が見やすくて分かりやすい、ライフデザインシートが書きやすいなど、八割を超える学校から高評価をいただいております。また、来年度以降も授業で冊子を活用する意向のある学校は七割を超えております。 一方で、教員用解説書があると活用しやすいとの意見もいただいていることから、今年度は教育委員会と連携して、用語やデータの解説のほか、授業の進め方の例示を記載した学校教諭向けの学習指導用資料を作成し、授業での活用を促してまいります。……………………………………………………………………………………………
○副議長(松岡正人君) しばらく休憩いたします。
△午後三時十二分休憩 ……………………………………………………………………………………………
△午後三時四十分再開
○議長(佐藤武彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) お諮りいたします。本日の会議時間をあらかじめ延長いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(佐藤武彦君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議時間を延長することに決定いたしました。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。一番 平野恭子君。 〔一番 平野恭子君登壇〕(拍手)
◆一番(平野恭子君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きく四項目、五点について質問させていただきます。 まず初めに、災害時小児周産期リエゾンに係る県の取り組みの強化について御質問します。 この新型コロナウイルス感染拡大による医療危機のさなか、千葉県で新型コロナウイルスに感染した妊婦の受入先が決まらないまま自宅で出産し、二十九週台で出生した赤ちゃんが亡くなるという痛ましい事案が発生しました。亡くなられた赤ちゃんと御家族に対しまして、謹んでお悔やみ申し上げます。 今回の事案は、
新型コロナウイルス感染症や大震災、台風災害など多くの災害が発生している昨今、新生児や妊産婦は災害時要配慮者、すなわち災害弱者であるということを再認識させられました。 日本の災害医療体制における新生児・妊産婦支援について振り返ってみます。 一九九五年の阪神・淡路大震災が大きなきっかけとなり、DMAT(災害派遣医療チーム)、EMIS(広域災害救急医療情報システム)、搬送体制などの整備が進みました。しかし、その後、小児や周産期医療と災害医療の連携は順調だったわけではなく、二〇一一年の東日本大震災を経験し、改めてその必要性が指摘されました。特に東日本大震災の様々な総括の中で、小児医療とDMATや救護班との連携体制が課題、災害時の小児周産期医療システムが行政と乖離しているのが問題、災害対策本部の下で小児周産期医療に関する適切な助言を行うコーディネーターの配置が必要、医療・保健・行政が連動できるような災害対策ネットワークが必要などの指摘がなされました。 このような反省を基に、災害医療コーディネーターらと連携して小児周産期医療に関する情報収集、関係機関との調整等を担当する者として、平成二十八年度から、災害時小児周産期リエゾン育成が厚生労働省で開始されました。 災害時小児周産期リエゾンの役割は大きく三つあります。 一つ目は、被災地域内の情報収集です。DMATやEMIS、日本産科婦人科学会が整備しているPEACE(大規模災害対策情報システム)などを活用し、小児や周産期医療施設の被災状況を把握したり、被災施設のニーズを収集したりすることです。 二つ目は、集めた情報に基づいてどのような支援が必要なのかをまとめて発信することです。これは、被災県やその周辺地域のリエゾンが、小児周産期医療の専門家集団である日本小児科学会、日本産科婦人科学会、日本新生児成育医学会などと情報共有を行い、必要な人員、医療資機材、情報提供ツールなどを広域に依頼することにつながります。 三つ目は、災害時の保健活動のサポートです。災害時の保健活動チームとして、保健師を中心としたDHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)が活動を開始します。その際、小児周産期医療の専門家の立場から母子保健についての助言を行う役割を担います。例えば避難所での母子サポート、これは母乳育児支援なども含まれます。そして、遊び場提供の支援、深部静脈血栓予防の啓発支援など、その役割は医療支援だけでなく福祉や子供の心の健康への支援など広範囲に及びます。 本県では、平成三十年度から実施されている第七期岐阜県保健医療計画において、災害時小児周産期リエゾンを活用した体制の構築が進んでいないため、その養成と活用の仕組みづくりが必要と指摘されています。令和二年度に発表された進捗状況では、令和元年度時点で認定者が十二人に増え、年次目標を上回っているとの評価になっております。しかし、これらの認定者数は、平成二十八年度からの厚生労働省主催の研修会を受講修了した数ということだけであり、現場のリエゾンからは、県としてのリエゾンの活動を支援するような主体的な取り組みはこれまでのところ行われていないと伺いました。 現場のリエゾンからの直接の要請も行われているようですが、県からリエゾンに対しての任命委託やリエゾンが所属する医療機関との調整も実施されておらず、小児・妊産婦などの災害弱者への支援をどのように考えているのか、県の姿勢が強く問われている状況であると考えます。 災害は待ったなしです。いつやってくるか分からないからこそ、平時からの準備が非常に重要になることは皆様周知のとおりです。災害時に小児・新生児・妊産婦の支援が適切にできるようにするためには平時からの準備が不可欠です。行政、災害医療関係者、地域の小児周産期医療機関との連携体制を構築するために、県が実施する防災訓練や関係者会議などに災害時小児周産期リエゾンの参加を求めたり、岐阜県の実情に合わせた災害時小児周産期リエゾンの活動方法を検討する場を提供したりすることが必要であると考えます。何よりリエゾンの方々への県の姿勢を明確に示すことが求められます。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 災害時小児周産期リエゾンに関して、これまでの県の取組状況と今後災害時小児周産期リエゾンの強化に向け、どのように取り組んでいかれるのかをお考えをお聞かせください。 次に、災害時の安否不明者の氏名等の情報の公表について御質問します。 今年は、例年に比べ異常な降水量を記録している地点が多数あり、特に西日本を中心に実際に水害や土砂崩れなどの被害も各地で起きています。八月中旬には岐阜県でも大雨が続き、県全体で住宅の一部損壊が四十棟、床上浸水が二十四棟、床下浸水が五十四棟などの被害が発生しました。各地で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。 中でも今年七月三日、静岡県熱海市で発生した伊豆山土砂災害では、二十名以上の方が犠牲になる大変痛ましい災害であり、現在も復旧活動、行方不明者の捜索が行われています。そんな中、七月五日には、自治体(静岡県)が住民基本台帳に基づき、被害を受けた地域に住んでいたと見られる方で住所が分からない方について、氏名や性別などの名簿を公表しました。 しかし、災害が発生したとき、安否が不明な方のお名前などを公表するかどうかは、自治体にとっては判断が非常に難しい問題です。多くの自治体には個人情報保護条例があり、命などを守るためにやむを得ないときは、例外的に当事者の同意なく公表・利用ができるとの規定があるため、今回の災害のような場合には不明者の氏名等を公表することはできるとされていますが、自治体としては、プライバシーの侵害ということで後に訴訟を起こされるかもしれないとか、たまたま公表した名簿の中にDV被害者がいて、加害者に居場所が分かってしまうかもしれないのではないかという懸念から、氏名等の公表に慎重になっている現状があります。 安否不明者の公表について、自治体は国に対して、国として指針を作成するよう要望を出してきましたが、国は、これまで災害にも様々なケースがあり、公表の仕方もそれぞれであるとの理由から、指針づくりにはあまり前向きでなかったのが現状です。 一方、本年六月に、全国知事会が氏名等の公表の判断の参考となる考え方等を取りまとめた「災害時の死者・行方不明者の氏名等公表に係るガイドライン」を作成したところです。 また、災害情報学と自然災害科学を専門とする静岡大学の牛山素行教授は、氏名は原則公表するべきで、安否不明者の場合はなおさら必要。公表しなければ捜索に無駄な時間がかかり、助かる人が助からないことにもなりかねないと指摘しています。これは、自治体の記録上はその地域にお住まいであって、災害後連絡が取れない方でも災害発生時に不在で被災を免れている可能性などもあり、ある意味、被災されていない可能性のある安否不明者を現場で探し続けるということにもなりかねないためです。 さらに、個人情報保護やメディア法などが御専門の立教大学の服部孝章名誉教授は、国や自治体、メディアがどのように安否不明者情報を集約し公表するか、一定の指針を早急につくるべきだとも訴えています。 近年、毎年のように豪雨災害をはじめ様々な自然災害が起きています。本県も、県内には山間部も多く、また木曽川、長良川、揖斐川に代表される大きな河川も多くあり、自然災害に備えなければなりません。安否不明者が出ないことが一番ですが、いつ起こるか分からない災害に備えて、自治体はあらかじめ関係行政機関、警察等々とも公表の在り方について連携等を図っておく必要があると思います。 災害対策の基本として、一刻を争う事態に備えてふだんから議論し準備をしておくことが、万が一の際に大きな備えになることは言うまでもありません。 そこで、災害時の安否不明者の氏名等の情報の公表について、本県の方針と今後どのように取り組んでいかれるのか、危機管理部長にお伺いします。 次に、公立学校施設の浸水・土砂災害対策について御質問します。 文部科学省が今年六月八日に公表した浸水や土砂災害のリスクに関する全国調査で、浸水想定区域にある学校の約一五%で避難計画ができていないことが分かりました。その調査によると、全国約三万七千の公立小中高や幼稚園のうち、浸水想定区域にあり、自治体が要配慮者利用施設に指定するのは、二〇二〇年十月時点で約二割に上ります。こうした学校は、二〇一七年の改正水防法の施行で避難計画をつくるように義務づけられています。 本県で、浸水想定区域に立地し要配慮者利用施設として位置づけられた公立学校は百十四校あり、そのうち避難確保計画の作成が完了しているのは八十七校、七六・三%、また避難確保計画に基づき避難訓練が実施できているのは七十校、六一・四%という状況になっており、残念ながら全国平均を下回っています。 また、土砂災害警戒区域に立地し、要配慮者利用施設として位置づけられた公立学校は百三十四校あり、そのうち避難確保計画の作成が完了しているのは百十校、八二・一%、また避難確保計画に基づき避難訓練が実施できているのは八十八校、六五・七%とのことです。こちらに関しては、避難確保計画の作成が完了している学校の割合は全国平均を少し上回っています。 学校に通う児童・生徒の安全確保はもちろんのこと、学校などの施設は、災害発生時において避難所として活用されることが想定されるため、施設内の浸水対策や構造強化、電源の確保などのハード面での対策も必要なのは言うまでもありませんが、これら避難確保計画のようなソフト面での対策も重要です。 今回の調査を受け、文部科学省は六月八日、計画が遅れている学校に対し、今年度中に避難計画をまとめるよう通知を出しています。実際に県内の浸水想定区域に立地し、要配慮者利用施設として位置づけられた学校において、避難確保計画の作成が一〇〇%完了している徳島県では、これまでに県主導で計画案をまとめるなど、各学校で円滑に進むよう後押ししたということです。 確かに、各学校の児童・生徒の年齢、規模、立地条件などにより実情が異なり、それぞれ地域性を加味して避難確保計画を作成する必要があるとは思いますが、ある程度の計画案などを県が主体となって積極的に作成、情報共有することにより、各学校も計画の作成や改善などをする材料になることは間違いありません。 先ほども触れましたが、岐阜県は山や川など豊かな自然が魅力の一つです。しかし、それは同時に土砂崩れや河川の氾濫などの危険性を含んでいることを意味します。近年、豪雨などによる水害が相次ぎ、全国の多くの学校で浸水被害を受けており、文部科学省からの通達がなくても、児童・生徒の安全を守るには計画づくりが急務であることは明らかです。そのためにも、学校任せでなく、県をはじめ行政のサポートが欠かせないと思います。 そこで、県内で避難確保計画が未作成の公立学校の状況についての把握は、県としてされているのでしょうか。また、未作成の公立学校に対し、計画の作成に向けて、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長に併せてお伺いします。 最後に、今後必要となる介護職員の人材確保と働きやすい環境の整備について二点御質問します。 本県だけでなく、日本全体が高齢化社会に進んでいることは改めて指摘する必要もありません。高齢化社会において、労働力不足、地域の過疎化、買物難民、社会保障費・医療費の増加など様々な課題が生じてきます。介護職員の人材不足もその一つです。 今年七月九日、厚生労働省が今後必要となる介護職員の推計「第八期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」を発表しました。推計によると、介護職員の必要数は、二〇一九年度の約二百十一万人から増え続け、団塊世代が七十五歳以上になる二〇二五年度には約二百四十三万人、高齢人口がピークに近づく二〇四〇年度には約二百八十万人に膨らむと推計されています。 ちなみに、この二〇四〇年には、岐阜県の高齢化率も三七・一%になると推計されており、実に人口の三分の一以上が高齢者となる計算です。その結果、現在の介護職員の入職や離職のペースを前提に試算すると、二〇二五年度には全国で約二十二万人、二〇四〇年度には約六十五万人の介護職員が不足する可能性があることになります。 県では、令和三年三月に策定した第八期岐阜県高齢者安心計画において、県内の介護職員が、二〇二五年には約四千四百人がさらに不足する見込みであると示しています。この見込みの下、新規の資格取得に係る研修費用の助成、有資格者の復職支援のための再就職準備資金の貸付けなどといった人材確保策、また若年層への情報発信、育児休業を取得する施設職員を支援するための助成を行うなど定着支援を行っています。さらには、国への処遇改善に向けた要望、人材育成や職場環境改善に積極的に取り組む事業者の認定公表など様々な取り組みを行っていますが、不足する介護人材の確保に十分に結びついていないのが現状ではないかと思います。 そこで、健康福祉部長に二点お伺いします。 一点目として、県では、二〇二五年には約四千四百人の介護職員が不足するとの見込みで、その改善に向けて取り組んでいるわけですが、現在までの取り組みによってどのような変化、改善があったのかなど、取り組みの評価と介護人材の確保についての今後の対応についてお伺いします。 二点目として、介護人材の確保・定着には、労働環境の改善、職員の負担の軽減や業務効率化といった働きやすい環境整備に力を入れていく必要があると思いますが、その点について、県としての今後の取り組みの方向性について伺います。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。 〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部長(堀裕行君) 三点御質問をいただきました。 まず、災害時小児周産期リエゾンに係る県の取り組みの強化についてお答えします。 県は、平成二十八年度から国が実施する災害時小児周産期リエゾン養成研修について、これまで十九名の医師等に受講いただき人材を確保するとともに、昨年度は、研修修了者に意見聴取し、災害規模や小児周産期医師の現状を踏まえた現実的な運用、産科・小児科など科ごとのリーダーの設置などの検討項目を把握いたしました。そして、災害時小児周産期リエゾンは、これまで本県の災害時医療の総合調整を担う災害医療コーディネーター制度に位置づけがなく、具体的な活動につながらなかったとの認識から、現在その役割や活動内容を改めて検討し、位置づけの明確化を進めております。 その上で、今後県の各種防災訓練への参加をはじめとする平時の研修や訓練体系とともに、圏域ごとに医師が偏在する本県の特性も踏まえた活動の在り方を検討するなど、国の研修受講者の意見も幅広く伺いながら、災害医療に関する県全体の枠組みの中で災害時小児周産期リエゾンが機能する体制を整えてまいります。 次に、介護職員の人材確保のこれまでの取り組みの評価と今後の対応についてお答えします。 県では、新たな介護人材の確保のため、介護福祉士を目指す学生への修学資金の貸与や、小・中学生を対象とした介護の職場体験事業などに取り組んでまいりました。また、若手介護職員の交流会や離職防止のための相談窓口の設置などによる職員の定着支援、職員のスキルアップのための研修などによる人材育成を図っております。これらの取り組みなどの結果、本県の介護職員の離職率は、平成二十六年度に一八・二%だったものが令和二年度には一一・九%と大きく改善したこともあり、介護職員の数は、平成二十六年度から令和元年度までの五年間で約三千四百人増加したところです。 今後は、ICTの導入支援などにより、働きやすい職場環境づくりを積極的に進めるとともに、今年度から新たに創設した福祉系高校に就学する生徒への修学資金及び他業種から転職される方への就職支援金の貸付制度の活用により、幅広い介護人材の確保を進めてまいります。 次に、介護現場の働きやすい環境整備に係る今後の取り組みについてお答えします。 県では、平成二十七年度から、介護施設における見守りセンサーなど介護ロボット導入に係る費用の助成を行っており、昨年度末までに百五十六施設への導入支援を行ってまいりました。 また、介護記録の作成から情報共有、介護報酬の請求までを一連で行うことのできる
介護ソフトなどのICT導入に係る費用の助成を昨年度から開始し、二百六十の事業所に支援を行うなど、介護現場における業務の効率化と職員の負担軽減を支援してきたところです。 さらに、今年度から新たにベッドメーキングや食事の配膳、清掃など、介護の専門性がなくても従事できる介護周辺業務を中高年齢者などに担っていただく、ぎふケアパートナー育成推進事業を実施することとしており、介護現場の業務の分業化による介護職員の負担軽減を図ってまいります。こうした取り組みを進めることにより、介護現場の業務効率化、働きやすい職場づくりのための職場環境改善を支援し、介護人材の確保、定着につなげてまいります。
○議長(佐藤武彦君) 危機管理部長 渡辺正信君。 〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕
◎危機管理部長(渡辺正信君) 災害時の安否不明者の氏名等の情報の公表についてお答えいたします。 本県では、安否不明者の公表については、個別の事案ごとに関係者と協議し、御家族の同意を条件に公表することとしておりますが、救助・捜索活動の円滑化に資する場合には、同意の有無に関わらず、公表することも検討することとしているところです。 一方、救助・捜索活動の円滑化に関わらず、DVやストーカーの被害により住民基本台帳の閲覧制限措置を受けている場合、御家族の同意がないときは公表しないこととしております。 現在、公表に際して、市町村から県への氏名等情報の提供、御家族の同意や住民基本台帳の閲覧制限の確認などを迅速に行うことができるよう、市町村と具体的手順の調整や担当部署の確認を行っております。あわせて、性別、住所等、公表する情報の範囲やホームページ掲載など具体的な公表媒体についても整理しているところです。これらについて、今後市町村等関係機関と調整し、年度内にマニュアルを整備してまいります。
○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 公立学校施設の浸水・土砂災害対策についてお答えします。 昨年十月の調査では、本県で避難確保計画作成義務のある公立学校は延べ二百四十八校あり、そのうち高校と特別支援学校は全て作成済みで、小・中学校百七十六校のうち百三十四校が作成済みという状況でした。このため県教育委員会では、市町村教育委員会を通じて作成を働きかけるとともに、県関係部局と調査結果を共有し、各市町村で開催される計画作成講習会が効率的に効果的に行われるよう連携を図ってまいりました。 こうした結果、本年八月のフォローアップ調査では、新たに計画作成義務となった学校を加えた計二百二十九校のうち百九十校が作成済みで、残り三十九校も今年度中に作成予定であるという回答に至っております。 小・中学校を含む各市町村の要配慮者利用施設における計画作成は、市町村防災部局の指導の下で行われるものと認識しておりますが、県教育委員会としましても、新たに地域防災計画で要配慮者利用施設に位置づけられた学校の把握や、その計画作成状況について定期的に確認し、確実な計画作成に向けて指導をしてまいります。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は、午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。
△午後四時十三分散会 ……………………………………………………………………………………………...