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  1. 岐阜県議会 2021-06-01
    07月01日-03号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 3年  6月 定例会(第4回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第三号)                   令和三年七月一日(木)午前十時開議 第一 議第七十三号から議第九十六号まで 第二 請願第二十五号から請願第二十七号まで 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第七十三号から議第九十六号まで 一 日程第二 請願第二十五号から請願第二十七号まで 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十六人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   森 益基君      六番   小川祐輝君      七番   平野祐也君      八番   所 竜也君      九番   今井政嘉君      十番   藤本恵司君     十一番   中川裕子君     十二番   伊藤英生君     十三番   澄川寿之君     十四番   水野吉近君     十五番   安井 忠君     十六番   恩田佳幸君     十七番   若井敦子君     十八番   広瀬 修君     十九番   布俣正也君     二十番   国枝慎太郎君    二十一番   林 幸広君    二十二番   高木貴行君    二十三番   野村美穂君    二十四番   長屋光征君    二十五番   高殿 尚君    二十六番   田中勝士君    二十七番   加藤大博君    二十八番   山本勝敏君    二十九番   松岡正人君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   小原 尚君    三十三番   水野正敏君    三十四番   野島征夫君    三十五番   伊藤秀光君    三十六番   平岩正光君    三十七番   佐藤武彦君    三十八番   森 正弘君    三十九番   渡辺嘉山君     四十番   伊藤正博君    四十一番   小川恒雄君    四十三番   村下貴夫君    四十四番   尾藤義昭君    四十五番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         服部 敬 総務課長         高野朋治 議事調査課長       梅本雅史 議事調査課管理調整監   桂川義彦 同    課長補佐    大野享子 同    課長補佐    槙田朝之 同    課長補佐    蕨野 孝 同    係長      市橋ますみ 同    主査      早野ひとみ 同    主任      山辺有紗…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          平木 省君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        西垣功朗君 秘書広報統括監兼デジタル政策統括監              尾鼻 智君 総務部長         横山 玄君 清流の国推進部長     丸山 淳君 危機管理部長       渡辺正信君 健康福祉部長       堀 裕行君 健康福祉部子ども・女性局長              安江真美君 商工労働部長       崎浦良典君 商工労働部観光国際局長  矢本哲也君 都市建築部都市公園整備局長              湯澤将憲君 教育長          堀 貴雄君 警察本部長        奥野省吾君…………………………………………………………………………………………… △七月一日午前十時開議 ○議長(佐藤武彦君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。十三番 澄川寿之君。    〔十三番 澄川寿之君登壇〕(拍手) ◆十三番(澄川寿之君) 皆さん、おはようございます。 議長より発言のお許しをいただきましたので、岐阜県議会公明党の代表質問を行わせていただきます。 本日は、大きく六項目八点についてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 初めに、新型コロナウイルスワクチン接種事業について、二点お伺いをいたします。 改めまして、本県におきましては、新型コロナウイルスに感染された方が昨日までに百八十七人お亡くなりになりました。心より御冥福をお祈りいたします。 また、現在も、病院施設等で御療養の皆様がおられます。早期の御回復をお祈り申し上げますとともに、最前線で御対応をいただいております医療従事者の皆様をはじめ、エッセンシャルワーカーの皆様に心より感謝申し上げます。 さて、本県におきましては、四月末からいわゆる新型コロナウイルスの感染拡大の第四波が本格化し、五月九日から国のまん延防止等重点措置地域の指定を受けました。本県としては、検査体制の強化、医療体制の確保等速やかに御対応をいただき、飲食店に対する時短営業、また酒類の提供を控えていただくなど、県内の事業者の皆様や県民の皆様に御協力をいただきました。 そのような中で、県民の皆様からも経済支援や早期のワクチン接種を望む声が上がり、私ども岐阜県議会公明党として五月十九日に、古田知事に対して緊急要望をさせていただきました。 経済支援につきましては、中小企業・小規模事業者への支援として、国の一時支援金・月次支援金の対象である事業収入減五〇%までは至りませんが、外出自粛や飲食店の時短営業等により影響を受ける事業者への支援、また飲食店等での酒類提供を禁止された影響を受ける酒類販売事業者に対する支援を要望させていただきました。県として独自の一時支援金や、今議会に提案されている補正予算案の中で事業収入が三〇%以上減少しながら国の支援の対象とならない事業者への支援を盛り込んでいただきうれしく思っております。 そこで、本日はワクチン接種事業に絞って質問をさせていただきます。 本年二月からスタートしたワクチン接種事業は、国が主導した国立系医療機関における先行接種、県が主導した県内医療従事者向け優先接種、そして現在、六十五歳以上の方を対象にした市町村主導の高齢者接種が進められ、これから基礎疾患をお持ちの方等を優先しながら一般接種が進められていきます。 県議会公明党として要望させていただきましたことは、今後の基礎疾患を有する方等へのワクチン接種に当たり、感染拡大が進む市町村を優先したワクチンの供給や必要な人材の確保に努めること、医療従事者の確保に当たり、県医師会、県看護協会、県歯科医師会、県薬剤師会と連携の上、市町村の医療従事者の確保を支援すること、アナフィラキシーショック等の副反応報道がなされている中、ワクチン接種に不安を抱える県民も多いことから、ワクチンの安全性等について、タイムリーで分かりやすい丁寧な情報発信に取り組むこと、国による大規模接種センターの開設が発表された後で、岐阜県の役割として特に高齢者人口が多い地域などを勘案し、大規模接種会場の設置を検討すること、以上でありました。 そこで、改めて県の取り組みにつきまして順次お尋ねいたします。 まず、県独自の大規模接種会場の取り組みについてお伺いいたします。 岐阜県では、現在、各圏域での県独自の大規模接種会場の設置を進めており、一か所目として岐阜産業会館に設置をされました。現在は、岐阜圏域の六十五歳以上の方の接種で利用をされています。 私も会場を視察させていただきましたが、民間の力を活用しながらしっかりとした準備ができている会場であると評価をしています。六十五歳以上の方の接種は七月いっぱいで終える予定とのことですが、引き続きこうした会場を最大限活用して、接種を希望する県民が早期に接種できるよう取り組みをお願いしたいと思います。 ワクチン接種の流れとしては、これからは市町村が進める一般接種をメインとしながら、県の大規模接種会場、そして職域接種と三つの取り組みをもって早期に接種完了を目指していくことになると理解をしております。 そうした中、現在、職域接種を進めていく上で課題となっていますのが、職域接種の規模に至らない中小企業・小規模事業者や団体の方々です。国の方針では、職域接種には千人以上の規模、かつ接種場所、ワクチンを接種する人材の確保などを準備できることが要件となっており、その対象は限られています。 知事は、今定例会冒頭の提案説明の中で、職域接種の推進について言及され、複数企業をまとめるなどの取り組みを行う中小企業団体などに対し支援を行うと発言をされましたが、さらに小規模の団体、例えば飲食店やエッセンシャルワーカーの方々の職域接種を大規模接種会場で受け入れることは検討できないでしょうか。飲食店の皆様はこの一年間、時短営業、酒類の提供を控えるなど御協力をいただいておりますし、エッセンシャルワーカーの方々も厳しい状況の中で業務を継続していただいています。ぜひこうした方々への支援も御検討いただきたいと思います。 そこで、知事にお伺いをいたします。 県が設置する大規模接種会場の今後の活用の在り方についてお考えをお聞かせください。 次に、ワクチン接種を行う人材の確保についてお伺いをいたします。 先ほど申し上げましたとおり、ワクチン接種はこれから市町村主導の一般接種、県の大規模接種会場、そして職域接種の大きく三つの流れで進んでいくと理解をしております。ワクチン接種には、ワクチンそのもの、そして接種会場、そしてワクチンを接種する人が必要となります。こうした中懸念されていますのは、ワクチンを接種する人材の確保です。本県におきましても、医師会や看護協会の方々に最大限の取り組みをしていただいておりますが、これから一般接種というさらに多くの接種を進めていくことになります。そして、職域接種が進められるとその分の人材を確保していかなければなりません。 国では、こうした接種をする人材の確保について大きく二点に分けて取り組みを進めています。 一つは、接種をしていただく医師、看護師等、また派遣をしていただく医療機関へ必要な費用を準備すること。そしてもう一つは、従来の医師、看護師だけではなく、ワクチンを接種できる人材として、歯科医師、救急救命士、臨床検査技師などの活用についても言及をしております。 そこで、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 本県としてワクチンの打ち手の確保はどのように進められているか、お聞かせください。 次に、新型コロナウイルス感染症陽性者の方の相談体制についてお伺いをいたします。 先日、県民の方から御相談をいただきました。新型コロナウイルス陽性となり、発症時の症状は軽症でありましたけれども、その後一か月以上体調不良が続き仕事に復帰することができていないというお話でした。いわゆるコロナ後遺症の疑いがあります。通院をしているものの、現在は対症療法しかなく周囲の無理解と相まって大変に苦しんでおられます。 六月十六日に公表された厚生労働省研究班の中間報告では、新型コロナウイルス感染症と診断されてから半年が経過しても心身の不調が続くケースがあることが判明しました。中間報告の内容は、昨年一月から今年二月に陽性が確認されて入院した男女五百二十二人を対象に実施した調査の結果をまとめたものであり、症状は疲労感、倦怠感が多く、頭痛や息苦しさ、味覚・嗅覚の障害、脱毛、思考力・集中力の低下など様々なようです。高齢者に限らず若い人にも見られ、感染時の症状の重さに関係しないといいます。 コロナ後遺症について今のところ確立した治療法はないとされており、原因不明の慢性疾患、筋痛性脳脊髄炎慢性疲労症候群との関連が指摘されています。患者の症状がコロナ後遺症と似ており、後遺症が疑われた患者の中でも筋痛性脳脊髄炎慢性疲労症候群と診断されたケースも出ているようです。 このため、公明党は、国会質疑の中で調査研究を急ぐよう政府に求めております。 医療面と同時に重要なのが相談体制の整備です。後遺症により仕事や学校を長期間休まざるを得なくなったり、周囲に理解されず孤立感を深めたりして症状が悪化する場合もあります。今回相談を受けているケースも同様であります。 国内では、コロナ後遺症に対する認知度がまだ低く、専門外来を設けている医療機関や、相談窓口を開設している自治体が少ない状況です。こうした中で東京都は、コロナ後遺症相談窓口を開設し、電話による相談を無料で受け付けています。相談窓口の利用者の中には、後遺症のつらさが周囲に理解してもらえない。相談を通し自分以外にも同じような症状の人がいると知って安心したと話す人もいるそうです。患者の悩みに寄り添うような支援が重要であります。 本県におきましても、第四波が拡大する中で、若年層への対策意識の向上として、後遺症に苦しむケースがあることを紹介しながら対策の必要性を訴えておられましたが、本県においても後遺症と思われる症状等により悩む県民が相談できる体制を整えるべきではないでしょうか。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。 いわゆる新型コロナウイルス後遺症についてどのように御認識をされているか、また他自治体において相談窓口を設置しているところもありますが、本県として対応をどのようにお考えか、お聞かせください。 ここで一回目の質問を終わります。 ○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 まず私のほうには、県が設置する大規模接種会場の今後の活用の在り方についてお尋ねがございました。 この新型コロナワクチンの接種に当たりましては、まずは市町村における集団接種及び個別接種がメインの柱となった上で、県が各圏域に大規模接種会場を設置して市町村接種を補完すると、さらには企業、団体等による職域接種により接種の加速化を図ると、こういう組立てになっております。 今後の一般接種の迅速かつ円滑な実施に向けて、これら三本柱の役割分担を明確にするため、先月八日、県、市町村、医療関係団体、経済団体などで構成する県の対策協議会において、今後のワクチン接種の優先順位及び供給方針を定めたところであります。 この方針で定めた大規模接種会場における接種の対象者は、医療従事者、社会福祉施設等の従事者のうち未接種の者、医療機関等で実習を必要とする医療系学生、県立高校、特別支援学校などの県立の学校教職員、県警察職員などということになっております。 また、多くの外国人県民クラスターが発生している状況を踏まえて、国からのモデルナ製ワクチンの供給状況を勘案しながら、市町村接種の補完として外国人県民への接種も実施してまいります。 次に、現在の運用状況でありますが、岐阜産業会館が大規模接種会場として六月十二日より運用を開始しております。これまでおおむね方針どおり進んできております。すなわち岐阜市及び各務原市在住の高齢者への接種を支援しているほか、県警察職員、東京オリンピックパラリンピック事前合宿受入れ関係者などへの接種を順次進めております。 また、今週月曜日からは、県内の医療系学部を有する大学の協力も得て、医療機関等における実習を控えた医療系学生約三千人に対する接種も開始したところであります。 さらに、今後の一般県民向け接種の加速化を見据えながら、七月中旬には、大垣市のソフトピアジャパン、可児市の岐阜医療科学大学の二か所で追加設置をするとともに、東濃及び飛騨圏域におきましても設置を調整しているところでございます。 御指摘の中小・小規模の事業者、例えば飲食店等につきましては、まずは市町村において、冒頭申し上げた方針にのっとり、人との接触が多い職業等の観点から優先的に接種していただくことが基本であります。その上で、大規模接種会場においても市町村接種の補完という観点から、ワクチンの供給状況も踏まえながら臨機応変に対応していくことも考えられるわけであります。 ○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 二点御質問をいただきました。 まず、ワクチン接種をする人材の確保についてお答えします。 ワクチンの打ち手確保については、四月以降、市町村や県医師会、病院協会、看護協会等と意見交換を重ねてまいりました。そして、医療従事者の標準的な報酬目安を設定し市町村に提示するとともに、休日及び時間外における接種費用について、国の加算分にさらに県独自のかさ上げを行うなど、医療従事者の待遇改善を図りました。あわせて潜在看護師のマッチングなどを講じた結果、現在のところ、医師及び看護師を中心におおむね確保できている状況です。 こうした中、国では医師や看護師の確保が困難といった一定条件の下、歯科医師等による接種を認めました。これを受け現在一部自治体において、実技研修等を経た歯科医師に接種に従事いただいているところです。 今後、県が設置する大規模接種会場でも市町村の接種体制に影響を及ぼすことなく接種を行うため、問診を行う医師について、県病院協会に派遣の御協力をいただくとともに、歯科医師にも接種に従事いただけるよう調整を進めてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症陽性者の相談体制についてお答えします。 先月公表された国の研究の中間報告では、新型コロナウイルス感染症の診断から六か月経過後においても、三割以上の方に疲労感、倦怠感などの後遺症が認められ、一つでも症状が残ると、不安や抑鬱、睡眠障害を自覚する傾向が強まるとの結果が示されたところです。 また、感染後の後遺症は、年齢や症状の重い軽いに関係なく発症することから、軽症者であっても油断することはできません。また、根本的な治療方法が確立されておらず、現在は対症療法しかないことからも、新型コロナウイルス感染後の後遺症は患者の生活に深刻な影響を与えるものと認識しております。 相談体制については、これまでも二十四時間三百六十五日看護師が対応する県の新型コロナウイルス健康相談窓口に、こうした後遺症に苦しみ不安を訴える方からの相談も寄せられており、一つ一つ丁寧に対応してまいりました。 引き続き県の健康相談窓口では、後遺症に苦しむ方に寄り添った支援に努めてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 十三番 澄川寿之君。    〔十三番 澄川寿之君登壇〕 ◆十三番(澄川寿之君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、災害対策につきまして一点お尋ねをいたします。 本県におきましては、平成三十年七月豪雨、令和二年七月豪雨と豪雨による災害が続いています。現在まさに出水期本番を迎えていますので、改めて県の災害対策として、本日は地域衛星通信ネットワークについて県の取り組みを確認させていただきます。 地域衛星通信ネットワークとは、全都道府県が通信衛星を共同利用して防災情報や行政情報の伝達を行う専用線のネットワークのことであり、電話、ファクスによる個別通信や、映像通信等に活用されており、一般財団法人自治体衛星通信機構が管理運営しています。 地域衛星通信ネットワークは、大規模災害により地上系の通信網が途絶した場合においても、都道府県と市町村を結ぶ都道府県防災行政無線の衛星系の機能を果たし、国・消防庁と都道府県を結ぶ消防防災無線の衛星系を通じて、消防庁と被災自治体との連絡調整等を行うこと等に寄与しています。具体的には、東日本大震災、平成三十年北海道胆振東部地震等において、地上系の通信網が途絶した状況においても被害情報等を迅速に把握することに寄与をしました。 国の防災基本計画においても、地域衛星通信ネットワーク等の耐災害性に優れている衛星系ネットワークについて、国(消防庁)、都道府県、市町村、消防本部等を通じた一体的な整備を図ることとされています。 しかしながら、平成十五年度から運用されている地域衛星通信ネットワークの第二世代システムは、整備費が高額なこと等を理由に、都道府県が第二世代システムを整備する際に市町村局を全廃する事例が相次ぎ、現在全国の約三割の市町村が接続していない状況にあります。 また、現行の第二世代システムは、システムを管理運営する一般財団法人自治体衛星通信機構の山口管制局、北海道美唄管制局の現行設備について、メーカーによる保守が確実な耐用年数が令和七年度とされており、機器類の更新を実施した上で一定期間延長運用することが見込まれておりますが、第三世代システムへの確実な移行について、今から検討しておくことが重要です。 さらに、国の当初予算に関連し、緊急防災・減災事業債が令和七年度まで延長され、第三世代システム地域衛星通信ネットワーク等について、都道府県が管内全市町村とを結ぶ一体的な整備を行う場合は、引き続き緊急防災・減災事業債の対象とされることになりました。 こうした経緯から、国から都道府県に対し、緊急防災・減災事業債の活用も見据え、地域衛星通信ネットワーク第三世代など、防災対応に資する衛星通信システムの整備が要請をされております。 そこで、危機管理部長にお尋ねいたします。 本県における地域衛星通信ネットワークの整備状況と、第三世代システムへの対応についてどのようにお考えかお聞かせください。 続きまして、奨学金返還支援制度についてお伺いをいたします。 私ども公明党の青年局は、ボイスアクション二〇二一を実施しております。本県の方にもアンケートに御協力をいただき、たくさんの声をいただきました。 その中から今回は、いわゆる奨学金の肩代わり制度について取り上げさせていただきます。 日本学生支援機構の平成二十八年三月に貸与終了した奨学生、これは大学生・学部の方になりますが、貸与型奨学金の利用者は約百二十九万人、学生の約三人に一人。卒業後返還する金額は無利子奨学金は一人当たり平均二百四十一万円、有利子奨学金は一人当たり平均三百四十三万円となっており、令和元年度末時点の滞納者は全体の約七%いるとのことです。 近年課題となっている少子化問題にもつながる非婚化・晩婚化も、二十代ではなかなか賃金が安定しない中で奨学金の返還もあり、機会があっても結婚に踏み切ることができないとの声もお聞きしたことがあります。 一方で、県内企業におきましては、言うまでもなく若年層人材が不足をしています。岐阜県では、求人が少なかった時期に、若年層の就職をサポートするためにジンチャレを設置し支援をしていました。しかしながら、現在は、岐阜県中小企業総合人材確保センターとして求人を出す企業への支援に力を入れています。 こうした背景も含め、本県においては清流の国ぎふ大学生等奨学金を実施しています。本県出身の方が大学等の進学のため本県を離れた場合に、卒業後、本県に戻っていただき、企業に就職し、一定期間働いていただければ返還を免除するというもので、多くの方に御利用をいただき、今後、本県での活躍が期待されています。 この奨学金制度は、Uターンを促進する効果はありますが、より多くの人材を確保するためにも、Iターン、Jターンにもさらに力を入れていく必要があると考えます。今回のボイスアクションにおいても、奨学金の返還について支援を求める声をお聞きしました。 そうした中で、公明党青年委員会の提案により、今年四月一日からは、企業が直接日本学生支援機構に送金、すなわち返還の肩代わりすることが可能となる制度に変更されました。これは、各企業が社員に対して実施している貸与奨学金の返還額の一部、または全額を支援する取り組みについて、これまでは各企業から社員の方に直接支援する方法のみでしたが、今年四月から、企業から日本学生支援機構に直接送金する方法が受け付けられることになりました。企業は給与として損金算入することができます。この制度を県内で利用する企業が増えれば、若者の負担軽減になり選ばれる岐阜県になるのではないでしょうか。特に人材不足に悩む中小企業・小規模事業者、農業、医療・介護、保育等の分野での活用を期待したいと思います。 そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。 県内企業に対し、奨学金返還支援制度について周知と活用を促すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 続きまして、生理の貧困についてお尋ねをいたします。 先日も野村議員からお話がございましたが、現在世界各国で女性の月経に関する生理の貧困が問題となっています。生理の貧困とは、生理用品を買うお金がない、また利用できない、利用しにくい環境にあることを指し、発展途上国のみならず格差が広がっている先進国においても問題になっております。 この生理の貧困のために、例えばイギリスでは、全国の小・中・高校で生理用品が無償で提供されているとの報道がされております。また、フランス、ニュージーランド、韓国なども同様の動きがあるようです。 この問題は日本でも無関係ではなく、二月中旬から任意団体である「#みんなの生理」が行ったオンラインアンケート調査によりますと、五人に一人の若者が金銭的な理由で生理用品を買うのに苦労した、ほかのもので代用している等との結果が出ています。 また、貧困で購入できないだけではなく、ネグレクトにより親等から生理用品を買ってもらえない子供たちがいるとの指摘もあります。 以上を踏まえ、私ども公明党岐阜県本部女性局から、五月十七日、知事に対して要望を提出させていただきました。 要望項目として、一つ、県内の生理の貧困で困っている方の実態調査、生理用品が必要な方に配付していただくとともに、相談支援につなげていただきたい。 二つ目、配付に関しては、利用しやすいようにネット申請や郵送も可能にしていただきたい。 三つ目、県立高校、短大・大学等において、学生に生理用品を無償で提供する環境整備、例えば個室トイレで生理用品を無償で提供していただくとともに、相談支援を検討していただきたい。 以上、三点であります。 同趣旨の要望を全国の自治体でも行わせていただいており、様々な支援の輪が広がっています。 群馬県では、全ての県立学校や県有施設で生理用品の配付ができる体制の準備を進めておられ、県立の大学、高校、特別支援学校の全八十一校においてトイレに配置するとともに、保健室でも配付をしています。今後、衛生面や管理方法を検討しながら、美術館や博物館などの県有施設にも順次拡充していく予定とのことです。 また、東京都においては、まず都立学校七校で五月から女子トイレに生理用品が配備され、九月からは全ての都立学校に拡大されます。さらに災害備蓄から生理用品を各市町村に配分し、必要とする人に配付する取り組みも実施しておられます。 また、愛媛県では、県内で生理用品などを製造する花王サニタリープロダクツ愛媛、大王製紙、ユニ・チャームの三社に生理用品の支援を要請し、各社から三十六万枚ずつの寄附を受け、県内の学校や県男女共同参画センターのほか、市町を通じ必要としている人に配付することにしています。 そこで、改めまして子ども・女性局長と教育長にお尋ねをいたします。 まず、子ども・女性局長にお伺いいたします。 生理の貧困についての御所見、そして困っている方の実態調査や支援について、どのようにお考えかお伺いをいたします。 そして、教育長にお尋ねをいたします。 県立高校等で、困っている生徒が対面することなく生理用品とともに支援先の紹介等を受け取ることができる取り組みができないかと考えますが、お考えをお聞かせください。 最後に、交流籍の活用についてお伺いをいたします。 岐阜県では、特別支援学校小・中学部に在籍する全ての児童・生徒に交流籍を設けています。これは、特別支援学校、小・中学部に在籍する児童・生徒が居住する地域の市町村の小・中・義務教育学校に副次的な籍(交流籍)を持ち、間接的・直接的な交流を通して、地域とのつながりを維持・継続する制度です。 小・中学校の児童・生徒においては、特別支援教育や障がいに対する理解と認識を深め、同じ社会に生きる仲間として、互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合っていくことの大切さを学ぶことができます。居住地校交流を通して豊かな心を育むことにつながっていくことが期待をされます。 特別支援学校の児童・生徒においては、居住地校の児童・生徒との関係ができ、地域の一員として自覚が芽生えます。また、自立や社会参加に対する意欲が高まることで、在籍校とは異なる教育効果が期待をされております。平成二十五年度は飛騨圏域をモデル地区とし、平成二十六年度からは岐阜県内の小・中学部の児童・生徒が在籍する全ての特別支援学校において実施をしています。 とてもよい制度でありますが、この制度も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け直接交流が難しくなり、昨年度はその前の年に比べ利用できた児童・生徒が減ってしまったとお伺いをしました。 そうした中で、新たな可能性として活用が期待されていますのが昨年度配付されたタブレットです。今までは直接交流が基本であったため、その分利用回数が確保できない場合もあったようですが、配付されたタブレットを活用し、オンラインと併用することで多くの交流の機会を確保することができるのではないでしょうか。 そこで、教育長にお尋ねをいたします。 ウイズコロナ・アフターコロナ時代にあって、交流籍制度がさらに活用されるようどのように取り組まれていくか、御所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終了させていただきます。御清聴大変にありがとうございました。    (拍手) ○議長(佐藤武彦君) 危機管理部長 渡辺正信君。    〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕 ◎危機管理部長(渡辺正信君) 地域衛星通信ネットワークの整備状況及び第三世代システムへの対応についてお答えいたします。 本県では、災害時の通信を確保するため、光ファイバーによる地上系、無線通信による移動系、衛星通信による衛星系の三層一体の防災情報通信システムを整備し、このうち衛星系は、地域衛星通信ネットワークの第二世代システムを使用し、平成二十九年四月に運用開始しております。これにより、大規模地震で地上系回線などが途絶した場合にも、地域衛星通信ネットワークによる国や県内市町村、消防本部との通信が可能となっております。 一方、自治体衛星通信機構では、降雨に強く小型化により整備コストを抑えた第三世代システムの整備を進めており、第二世代システムについて老朽化を踏まえ、令和九年度をめどに運用を停止することが検討されております。 県の防災情報通信システムの衛星系設備についても、令和九年度に法定耐用年数を迎えることから、これを見据え、今後、市町村が参加するシステム運用会議で協議を開始するなど、地域衛星通信ネットワーク第三世代システムへの移行について検討してまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕
    ◎商工労働部長(崎浦良典君) 県内企業への奨学金返還支援制度の周知と活用についてお答えします。 本年四月に創設された企業による奨学金の代理返還制度は、御紹介のとおり奨学金を受けた従業員の方々の負担軽減のみならず、企業にとっても人材確保や定着率の向上を図る上で有効な制度であると考えております。 他方で、日本学生支援機構によると、現在のところこの制度を導入している企業は、全国で八十五社と必ずしも十分な活用が進んでいるとは言えない状況です。 このため、県中小企業総合人材確保センターで開催する企業向けの採用や定着支援セミナーのほか、経済団体などを通じ、制度の周知を図ってまいりたいと考えております。 また、学生に対しては、オール岐阜・企業フェスなどにおいて、県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業など、国や県の認定を受けた企業を紹介しておりますが、本制度を導入した企業についてもこうした中で紹介することも検討してまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 子ども・女性局長 安江真美君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 安江真美君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(安江真美君) 生理の貧困に対する所見及び対応についてお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、特に女性に対して深刻な影響を及ぼしており、経済的困難から来る生理の貧困は、女性の健康と尊厳に関わる重要な課題として緊急的な支援が必要と考えております。このため、県では国の交付金を活用し生理用品を配付するとともに、相談支援を行うこととしております。 生理用品の配付に当たっては、ネットで申込みを受け付け、自宅に郵送でお届けするなど周りの目を気にすることなく受け取れるよう配慮いたします。また、親から生理用品を購入してもらえない子供たちに対しても、学習支援教室や子ども食堂を運営する団体を通じて配付する準備を進めてまいります。 一方、相談支援に当たっては、先ほど申し上げた生理用品のネット申込みの際にアンケートを行い、コロナ禍での生活状況やニーズを把握し、NPO法人の知見や能力を活用して、県内各地で訪問相談や居場所づくりを進めるなど、不安や困難を抱える女性に寄り添いながら必要な支援につなげてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 二点御質問がありました。 初めに、生理の貧困について、県立高校の対応をお答えします。 全ての県立学校では、生徒に配付するための生理用品を常備していますが、その配付場所は、現状としては保健室が八十三校、トイレが一校となっています。 このうちトイレに生理用品を備え置く学校では、生徒が教員に対面することなく受け取ることが可能となっており、こうした取り組みを参考にしながら、衛生面を配慮しつつ人目を気にせず受け取ることができるよう、各学校の状況に応じた対応を検討してまいります。 また、この学校では、生理用品の配付を端緒として、生徒が抱える悩みの解決を図るため、生理用品を入れた箱に性に関する相談窓口を記載したカードを添えて受け取る生徒に対して周知する取り組みも実施しています。 今後は、こうした先進的な取り組みの成果と課題を検証した上で、他の学校での実施の可能性や生理用品の配付を通じた相談しやすい体制の強化を検討してまいります。 次に、オンラインを活用した交流籍制度についてお答えをします。 交流籍制度を活用して居住地の学校の子供たちと交流することは、障がいの有無にかかわらず相互に人格と個性を尊重し認め合える共生社会の実現を目指した活動であります。 残念ながら、昨年度は感染症対策のため学校を直接訪問する交流は約七百名の希望者のうち七十六名にとどまりましたが、今まで実績のなかったオンラインでの交流を約百名が行っております。オンライン交流は、容易に学校間がつながり、短期間の交流や日常的な交流が可能となります。一方、子供同士が直接触れ合う交流は、知的障がいのある小学部の児童にとっては、肌でつながりを感じる点で意義が大きく、例年多くの保護者が希望をしています。 そこで、今後は一人一人の障がいの特性や交流の目的に合わせ、例えば直接交流による自己紹介や学校紹介を行った後、給食やホームルームなどの時間に定期的にオンラインを活用した交流を頻繁に行うなど、直接交流とオンライン交流を融合させた交流の在り方について検討をしてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 六番 小川祐輝君。    〔六番 小川祐輝君登壇〕(拍手) ◆六番(小川祐輝君) 議長の許可をいただきましたので、早速ですが質問に入りたいと思います。 今回の一般質問は、太陽光発電設備の適正な設置、維持管理に向けた取り組みについて、もう一つが不登校など学校に通うことができない児童・生徒への対応、取り組みについての二項目について四点質問させていただきます。 まず初めに、太陽光発電施設の適正な設置や維持管理に向けた取り組みについてお伺いします。 二〇一二年七月に再生可能エネルギーの固定価格買取り制度が導入されたのをきっかけに、太陽光発電の普及が進んでいます。第五次エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーは主力電力化していくものと位置づけられ、小規模な太陽光発電施設への支援については言及されており、進めていく必要があります。 一方で、中規模から大規模な事業用太陽光発電施設に関しては、土砂流出や濁水の発生など安全面や防災面に対する心配や、景観や環境への影響、将来の設備廃棄等に対する地域の不安が生じているのが現状です。 実際に私のところにも相談があり、雨が降ると山に設置された大規模太陽光発電施設から濁水が発生し、発電施設の近くの民家に水が入り込んでしまったという相談や、過去に災害が起きたレッドゾーンに指定されている区域の上流付近に、新たに木を伐採し太陽光発電施設を整備する計画があり、災害が起こらないか非常に心配であるという相談がありました。 このような地域で心配されている太陽光発設備の設置や維持管理に関して、県議会においては、平成三十年十二月議会にて、地域住民への説明、適切な管理を義務づけるなどの法整備や災害を防ぐための技術基準の見直しなどを求める太陽光発電事業の適切な推進を求める意見書が全会一致で可決し関係省庁に提出がされました。 また、令和元年六月の県議会の一般質問にて伊藤正博議員が、太陽光発電事業の適切な推進に向けた県のルールづくりについて質問され、自治体による自立的な制度整備が必要との考えが示された。国の動向を注視しつつ今後は県内市町村との検討会を設置するなどルールづくりに向けた具体的な検討を進めていくという答弁がなされました。 岐阜県では、太陽光発電の適正な導入に係る動きとして国の動向を注視し、市町村との連絡会議やサポートデスクを設置し、事業者への指導や市町村の支援をされていることと思います。しかし、この質問から約二年が経過した現在、検討されていることとは思いますが、岐阜県ではガイドラインや条例等の県独自のルールづくりはされていないのが現状です。 このように、岐阜県独自のルールづくりがなされていないことに対する岐阜県の課題として、次の三つが上げられます。 一つ目の課題は、全国に比べ中規模から大規模の太陽光発電設備の認定件数の年間増加率が高いということです。 お手元にある資料一を御覧ください。 この表は、固定買取り制度における十キロワット以上の太陽光発電設備の認定件数の年間増加率です。二〇一九年十二月時点と二〇二〇年十二月時点の直近の一年間の認定件数の増加率を基に計算されています。五百キロワット未満の太陽光発電設備に関して、全国と岐阜県の認定件数の増加率と比べると岐阜県は増加率が低いのが分かります。一方で、表の丸で囲ってある五百キロワット以上の中規模から大規模太陽光発電設備の認定件数の年間増加率では、全国と比べ岐阜県が高くなっていることが分かります。 二つ目の課題としましては、太陽光発電設備を把握することが困難であるということです。 現在、国ではガイドラインを定められてはいますが、これらがしっかり遵守されているかどうかを地方自治体が把握することは困難です。例えば、市町村が条例や要綱で定めている一千平米以上の土地開発の許可申請や、一ヘクタールを超える林地開発の県への許可申請があれば把握することは可能です。しかし、林地開発面積を一ヘクタール未満にし、土地開発を千平米未満にすれば地方自治体への許可申請は必要ありません。このように、地方自治体に申請しないで済むぎりぎりの規模の施設を設置するケースもあります。制度の網を抜けて太陽光発電施設が設置されるなど地方自治体が把握することが難しいケースが増えてきています。 三つ目は、行政指導の強制力がないという課題です。 国のガイドラインでは、条例を含む関係法令の規定を遵守することと規定されており、条例に強い効果があるということが分かります。また、自治体による自立的な制度整備が必要との考えが示されており、条例を作成することで岐阜県の実情に合った対応を取ることができます。しかし、現在の状況では、仮に施設の不備が把握でき行政指導をしたとしても、そこには強制力はありません。 以上の課題を考えた上で、条例制定も含め岐阜県独自のルールについて早急に方向性を示していく必要があると考えます。 条例制定に関する自治体の動きを見ると、一般社団法人地方自治研究機構の調査では、こうした太陽光発電設備の設置を規制する単独条例は平成二十六年頃から制定され始め、令和三年四月一日時点で確認できるものとして百四十九条例あるということです。また、この制定件数は近年増加傾向にあるということです。都道府県では、現在、兵庫県、和歌山県、岡山県の三県で既に条例が制定されており、山梨県においては、現在開会している議会で条例が上程され審議されているところです。 先日、山梨県の太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例(案)についてウェブ会議方式で視察をさせていただきました。条例作成の経緯については、平成二十七年に山梨県の独自のガイドラインをつくり対応していたが、行政指導に強制力がなく対応できなかったケースがあったこと、また知事が自ら現場視察をされたこともあり条例制定に向け検討が始まったということでした。 また、山梨県条例(案)の独自の内容としては三つのことが上げられます。 一つ目は、県内の約八割の面積を占める森林がほぼ規制対象である点。 二つ目は、維持管理について、既存の対象施設にも計画の提出等を求める点です。 三つ目は、違反等があった場合には、国に対し固定買取り制度の認定の取消しまで求める旨を記載した点が上げられます。 このような条例内容からも太陽光発電施設の適正な設置・管理について、山梨県では本気で取り組んでいくという姿勢が伝わりました。また、職員さんの話で印象的であったのが、山梨県は森林面積率が全国五位の県であり、森林を非常に大切にしているという話でした。 岐阜県も森林面積率は全国二位の森林県であり清流の国であります。岐阜県の自然資産を適切に守り将来につなげていく必要があるのではないでしょうか。 以上を踏まえ、商工労働部長にお尋ねします。 山梨県では、太陽光発電施設の設置に係るガイドラインを作成したが、強制力がないため条例制定を目指しています。そこで、当県でも太陽光発電施設の適正な設置や維持管理に向け条例制定も視野に入れ取り組んでいくべきであると考えますが、県の考えをお伺いいたします。 次に、不登校等の児童・生徒への対応、取り組みについて、二項目三点について質問します。 まずは起立性調節障害への理解及び周知、並びに医療との連携についてお伺いをいたします。 皆さん、起立性調節障害という病気を御存じでしょうか。起立性調節障害は、自律神経の働きの不調のために、起立時に身体や脳への血流が低下する病気です。朝起きたくても起きられないことや体がだるい、疲れが取れないなどの症状があります。午前中に調子が悪く午後に体調が回復するという傾向もあるそうです。 一般社団法人日本小児心身医学会によると、この病気は中学生に特に多く、軽症を含めると中学生の約一〇%に存在し、重症は約一%とされております。また、長期欠席状態の子供の約三割から四割が起立性調節障害を併発すると言われております。特に、現在は新型コロナウイルス感染症蔓延による外出自粛と運動不足によって、起立性調節障害が悪化していると指摘されています。 この小児心身医学会のガイドラインによると、子供の心理的ストレスを軽減することが重要であり、学校関係者、保護者が起立性調節障害の理解をするとともに、医療機関と学校との連携を深めることが大切です。 実際に私が起立性調節障害と診断された子供を持つ保護者から相談を受けたときには、初めは起立性調節障害という病気に対し知識もなく、保護者もなかなか起きない子供に対して叱っていたし、子供自身も自分は怠け者ではないかと思っていてつらい思いをしたということでありました。また、逆に診断されてほっとしたという話も聞きました。そのほかにも学習面でどのように対応していったらいいのか、高校受験を控えた中で内申点にもつながる成績評価についてどのように評価されるのか、そういったことも情報や参考にする事例がなく不安であったということであります。 このようなことからも、起立性調節障害について理解や周知をすることや、学校、家庭、医療が連携することが必要であると考えます。 保護者と子供の関係では、保護者の多くは子供の症状を怠け癖やゲームやスマホのやり過ぎ、夜更かし、学校嫌いなどが原因だと考えて、叱責したり、朝に無理やり起こそうとして関係が悪化することも少なくありません。本人や保護者が起立性調節障害は身体疾患であり、根性や気持ちの持ちようだけでは治らないと理解することが重要であります。 学校関係では、例えば先生が児童・生徒の病気の特性や午後から回復しやすいという傾向を理解することで、適切な学習指導やそれに伴う成績評価をすることができます。また、本人や保護者の了解を得た上で周囲の子供たちにも理解を促すなど、本人にとって学習しやすい環境づくりにつなげることができます。加えて医療機関と連携することで早期治療に向かうことができ、本人や保護者、学校関係者が症状や治療方針等の説明を受けることで支援がしやすくなります。 このような起立性調節障害の理解や周知、連携に関しての情報が岡山県ではガイドラインとしてまとめられております。お手元に資料二として参考に配付させていただきました。 起立性調節障害が見逃されないように、早期に把握し適切な対応や治療につなげることで症状が軽減したり回復したりするように、また正しく周知・理解がされるため、このガイドラインが作成されたということでございます。このような他県の事例も参考にしながら、起立性調節障害の理解や周知、連携につなげていくべきであると考えます。 そこで教育長にお尋ねいたします。 起立性調節障害の早期治療や児童・生徒への適切な指導・評価につなげるためにも、医療との連携や起立性調節障害への理解及び周知が必要であると考えますが、県の考えをお伺いいたします。 次に、不登校や病気で学校に通うことができない児童・生徒の成績評価について教育長に二点質問します。 岐阜県の調査によると不登校である県内小・中学生の児童・生徒は、平成二十七年の二千三百五十六人から毎年増加し、令和元年では三千四十四人と増加している状態です。 不登校となった要因は、文部科学省によると無気力・不安が約四割で、いじめを除く友人関係をめぐる問題が一七%といった結果が出るなど多岐にわたっております。また、不登校の児童・生徒に加え、先ほど質問した起立性調節障害等の病気の児童・生徒もいることから、学校に通うことのできない児童・生徒は増加してきていると考えられます。 こうした児童・生徒に対して学校に復帰するための行政支援が大切な論点の一つでありますが、今回の論点としては、学校に通うことができない児童・生徒の成績評価をどのようにしていくのかということに関して提案を含め質問をさせていただきたいというふうに思います。 まずは一点目に、不登校児童・生徒に対する学習支援や成績評価に係る家庭との連携について質問させていただきます。 成績評価の大前提として、集団の中での個人の能力の位置を見る相対評価ではなく、基準に照らし合わせて評価する絶対評価であります。評価方法としては、岐阜県では評価の手引きがあり、一つ目、知識・技能、二つ目は思考・判断・表現、三つ目は主体的に学習に取り組む姿勢、態度の三つの観点に整理して評価がされます。この手引きが基準となり、児童・生徒の学習改善につなげたり、教師の指導改善につなげるという目的で成績評価がなされます。 例えば中学校の社会で、先ほど紹介しました三つ目の観点である主体的に学習に取り組む態度の観点であれば、民主政治と政治参加について現代社会に見られる課題の解決を視野に主体的に社会に関わろうとしているということが単元の評価基準となっていますが、これは学校に通うことができない児童・生徒をこの評価基準で評価することはとても難しいことです。当然と言えば当然ですが、家庭学習ではなく対面の授業を受けることが前提となって基準が設けられていると考えます。 このような中で、学校に通えず家では学習できるという状態であることが前提であったときに、ここに課題が二つ生まれます。 一つは、成績評価の難しさです。さきの基準で絶対評価という数値ではかりづらい難しい評価をしなければいけない上に、不登校や病気等で学校に通うことができない児童・生徒をこの基準に沿って評価するのがどれだけ困難であるのかという点。また、教師の経験や指導、性格によって大きく評価が変化する可能性があるという点でも評価することがとても難しいと考えます。 もう一つは、どのような学習をすればどのように評価されるのかという学習指導が難しいということです。特に中学校や高等学校では教科担任制であり、各教科の先生が学校に通えない生徒に対してアプローチをして学習指導を適切に行うことができるのであろうかといった疑問が生まれます。この課題を解決するためには、県が基準としている対面の授業を前提とした評価の手引きを、家庭学習を前提にどのように読み替えるのかということを示すことが必要になってくると考えました。 そんな中、本年四月に東海三県初となる公立の不登校特例校である岐阜市立草潤中学校が開講しました。この中学校では、個別に学習の指導や相談をする通級支援と、週一、二回オンラインで学習指導や相談をするオンライン支援の二コースがあり、個別に相談しながら学習教科や授業時間数を決めることができるということ。また、タブレット端末を貸し出し、在宅で学習することができることが特徴であります。 新聞で見ましたが、この中学校の井上校長は入学式で、「ここは公立学校の在り方に一石を投じる未来の学校です」と発言されたり、また初日に教員に向け、「一人の生徒を粗末にするな。一人の生徒を粗末にすると教育は光を失う」という言葉を送られたということでした。こういったことからも学校に通えない児童・生徒への新たな取り組みであると同時に、一人一人と真剣に向き合っていくのだという意思を感じました。 この草潤中学校の事例を見て、基準を統一的にどのように読み替えるのかということも必要ではあると思いましたが、もし児童・生徒に合った丁寧な学習指導や相談を行い、一人一人に合った学習ができ、評価されることができたらすばらしいのではないかなあと考えます。草潤中学校は岐阜市限定でありますが、不登校で学校に通えない児童・生徒に対して、このような取り組みを岐阜県の各学校で対応できるようになることが、これからの岐阜県には必要になってくるのではないでしょうか。 そこで一点目の質問です。 不登校や病気で中長期的に学校に通えないと思われる児童・生徒やその保護者に対し、学習の支援や評価の方法について学校が丁寧に説明するなど、家庭との連携が必要であると考えますが、県の考えをお伺いいたします。 二点目として、ICT等を活用した学習の導入及び成績評価についてお伺いをいたします。 平成三十一年四月に文部科学大臣から中央教育審議会へ新しい時代の初等中等教育の在り方について諮問がなされました。令和三年一月に答申として、「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~が取りまとめられました。その答申の中に、病気療養や不登校で学校で学びたくても学べない児童・生徒に対し、遠隔・オンライン教育を活用した学習を出席扱いとする制度や、成績評価ができる制度の活用促進に向けた好事例の周知、制度の活用状況の分析、より適切な方策の検討という文言が入っていました。 遠隔・オンライン教育を活用した学習を出席扱いとする制度については、令和元年十月二十五日の文科省の「不登校児童生徒への支援の在り方について」通知されました。この通知では、義務教育段階の不登校児童・生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行うとき、保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること、またICTや郵送、ファクスなどを活用して提供される学習活動であること、当該児童・生徒の学習の理解の程度を踏まえた計画的なプログラムであることなどの要件を満たせば、校長は指導要録上出席扱いすることができるというような内容でした。 このような制度を積極的に活用していくと同時に、ICTを活用した学習が得意とする学習履歴などのデータを活用した個別最適化された学習、デジタル教科書、デジタル教材を活用することで今まで見えなかった家庭学習やオンラインなどの相談を通じて学習の見える化が可能になり、学習の評価基準に即した評価が可能になってくると考えます。 そこで最後の質問に入ります。 不登校や病気等で学校に通うことができない児童・生徒に対し、ICT等を活用した学習を導入し、適正な成績評価につなげるべきであると考えますが、県のお考えをお伺いします。 以上、二項目四点について質問させていただきました。 一つ目の太陽光発電施設の適正な設備の配置、維持管理につきましては、早急に県の方向性を条例も含めて示していただきたいというふうに思います。 また、起立性調節障害につきましては、本当に知られていない病気でございます。にもかかわらずやはり中学生の一〇%であったりとか、学校に通えない子の三割から四割がなっている可能性があるということで、適切な治療につなげたりとか、また周知、理解につなげていけるような取り組みを期待しております。 そして、最後の成績評価につきましては、やはり児童・生徒の個性、潜在能力を引き出すような教育、学校に通えようが通えまいがそういった教育を目指していただきたいと思いますが、特に学校に通えない子供たちに対して、県はコロナ禍で動画を作成したりとか、またICT、タブレットが行き渡ったりとか、こういった現状があるので、そういったものを活用しながら進めていっていただきたいというふうに思います。 明確な答弁をお願いいたしまして私の一般質問を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 太陽光発電施設の適正な設置や維持管理に向けた取り組みについてお答えします。 県では、これまで事業者へのガイドライン遵守の要請や市町村が不適切案件を把握した際の国や県への通報体制を整備するとともに、市町村との検討会などで意見聴取を行いながら本県のルールづくりに向け検討を進めてまいりました。 こうした中、国では課題となっておりました太陽光パネル等の廃棄に必要な費用の積立ての義務化に加え、本年四月には斜面設置などに関する技術基準を定めた省令を施行するなど、安全面の対策を強化してまいりました。 こうした国による安全対策や全国的な条例化の状況、さらに県内で増加傾向にある大規模施設の状況などを踏まえ、今後条例化を視野に、規制する区域、対象とする施設の規模などについて、市町村や事業者の意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。 一方で、脱炭素社会の実現に向けて期待される太陽光発電の普及とのバランスが重要となることから、次期エネルギービジョンの策定と並行して議論を進めてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 不登校等の児童・生徒への対応、取り組みについて、三点御質問がありました。 初めに、起立性調節障害への理解、周知、医療との連携についてお答えをします。 不登校や遅刻・欠席が多い児童・生徒は、生活のリズムの乱れや無気力・不安などが原因と思われがちですが、議員御紹介の起立性調節障害のような病気が原因となることも多くあります。このため、全ての教員が様々な病気の症状や特性、対処の仕方などの知識を身につけるとともに、児童・生徒の状態によっては、より適切な支援を行うために、医療につなぎ、適切な治療が遅れることなく開始されるよう対応していくことが必要であると考えています。 各学校では、年度当初に病気等で支援や配慮を要する児童・生徒について、全ての教員が情報を共有する場を設けていますが、今後も教員や養護教諭等を対象として病気についての理解を深める研修を実施し、適切な対応につなげるよう努めてまいります。 また、病気が原因で通常の授業が受けられない児童・生徒には、保護者との共通理解の下、個別に学習支援をするとともに、その成果に応じた適切な評価をしていくことが重要であると考えています。 次に、不登校児童・生徒に対する学習支援や成績評価に係る家庭との連携についてお答えをします。 学校に通えない児童・生徒の学習状況を把握し、適切に評価を行うことは、進路指導を行う上で重要であり、児童・生徒の学習意欲に応え、自立を支援する上でも意義が大きいと捉えています。そのため、教員等による家庭訪問など対面指導の機会を設け、学習状況を十分に把握することや、家庭で学習したことを学校の教育課程に照らして適切に判断し評価に反映させるといった留意事項を、今般策定したガイドラインに明記し各学校に周知したところです。 特に、学習評価を行う場合には、あらかじめ学校としての評価の方針や方法について児童・生徒や保護者に十分な説明をして理解を得るとともに、必要に応じて家庭の様子を学校に伝えていただくなど、保護者と十分な連携・協力関係を築くことが重要となります。 今後、専門家から成る協議会において、学校と保護者との情報交換の在り方等について検討した上で、不登校児童・生徒の保護者を対象に、学習支援の方策や進路指導を提供する機会を設けるなど、家庭との連携による支援が一層充実するよう努めてまいります。 次に、ICT等を活用した学習の導入及び成績評価についてお答えをします。 不登校児童・生徒の多様な学習の機会を確保するという観点から、今般、ICTを活用した学習の実施日を出席扱いとする上での要件や、学習を成績評価に反映させるための留意事項について各学校に周知をしたところです。 例えばICT等の活用に当たっては、児童・生徒の理解の程度を踏まえた学校の指導計画に即したものが望ましく、インターネット上の学習システムを活用する場合は、学習履歴や学習時間、テストの結果に基づいて評価を行うものもできるとしています。一方で、使用する教材や児童・生徒の取組状況が様々であることから、評価の妥当性や信頼性を高めていくことに課題があると捉えています。 そこで、県内五校の中学校をモデルに、不登校生徒を対象とした学習内容の定着を図るウェブ教材を提供し、効果的な学習や成果を生かした評価について実証研究を行っています。 今後も市町村と連携し、有効なICT活用の事例を各学校に提供するなど、不登校児童・生徒の学習支援に努めてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 二十番 国枝慎太郎君。    〔二十番 国枝慎太郎君登壇〕(拍手) ◆二十番(国枝慎太郎君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、今回は大きく四項目について質問をさせていただきます。 まず最初に、今年の十月三十日より開催が予定をされております第三十三回全国健康福祉祭ぎふ大会、愛称ねんりんピックぎふ二〇二一について知事にお伺いをいたします。 さて、このねんりんピックは昨年開催を予定しておりましたが、皆さんも御存じのように、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い本年に延期をされました。 私の個人的な思いとしては、新型コロナウイルス感染症との闘いから脱却し、まさにアフターコロナ社会の幕開けの象徴となる健康と福祉の総合的な祭典として岐阜県で開催されることを願っていることを前置きして質問をさせていただきます。 このねんりんピックは、岐阜県内全四十二市町村において六十三種目の開催が予定され、参加予定人数は、公式ホームページによれば観客を含め延べ約六十万人とされております。これが平時の開催であれば、岐阜県に対し観光、宿泊等も含め大きな経済効果をもたらす大会となることは私も理解をしております。 しかし、岐阜県は今、新型コロナウイルス感染症との闘いのさなかであり、このコロナウイルスとの闘いから県民の命と感染拡大により経済的なダメージを負っている関連産業を守るためにも、唯一の手段であるワクチン接種を岐阜県とともに全県下各自治体の事業として実施していただいているところであります。 県職員の皆さんにおかれましても、保健所をはじめとする感染者の入院・入所調整やワクチン接種に向けた段取り、そして飲食店をはじめとする時短に御協力をいただいている皆様に一日でも早く協力金を支払いしていただくよう、大変多くの職員さんが休みなく働いていただいております。心から感謝と敬意を表するところであります。 このことは、県内市町村においても同じであり、職員さんたちには現在もワクチンを早く広く打つために懸命に部局横断的に働いていただいております。まずはこのワクチン接種を促進していただくことに傾注していただきたく思っております。 そのような現状の中で開催が予定されているのがねんりんピックであります。個人競技か団体競技かによって会場数や参加チーム数、参加者数は当然異なりますが、規模にかかわらず開催中の感染症対策は考えなければなりません。私が想像するだけでも平時の大会に比べ市町村職員に相当な負担を強いることになるのではないかと思います。 そこで、ねんりんピックの開催について古田知事にお聞きいたします。 私たちが今、オール岐阜で取り組むべきことは、新型コロナウイルス感染症から県民の命と生活を守ることであり、そのためにもワクチン接種を一日も早く希望する県民の皆様に行っていただくことに尽きると考えます。しかし、その主体である市町村職員のマンパワーにも限界がございます。限られた人的資源の中でワクチン接種と感染症対策を同時に進めながら開催することになるねんりんピック岐阜二〇二一をどのような大会にしていきたいか、コロナ禍における開催の意義についてどうお考えか、お聞かせください。 ここで一回目の質問を終わります。 ○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) コロナ禍におけるねんりんピックの開催の意義ということでお尋ねでございます。 このねんりんピック岐阜二〇二一につきましては、もちろんコロナ対策を徹底し、安全・安心を確保した上で実施していくことが主催者としてのまずは努めであるというふうに考えておるわけであります。 議員が言及されましたワクチン接種につきましては、ねんりんピックの開催時期、十月三十日から十一月二日でありますが、この時期において、まずは参加者である高齢者のワクチン接種は完了しているのではないかと。また一般接種につきましても、ここに来てワクチン供給の問題が出てきてはおりますけれども、総理は今年の十月から十一月にかけて希望する方全てを終えることを実現したいということを望んでおられるわけでありまして、全国的に見ても相当程度進捗はしているのだろうというふうに見込まれております。 こうした見通しの中で、もちろん御指摘がありましたように相当な御負担をおかけしますけれども、市町村のマンパワーの配分につきましても、コロナ対策とのバランスを取りながら対応していただけるのではないかというふうに考えております。 さて、ねんりんピックは、高齢者を中心とする国民の健康の保持・増進、社会参加、生きがいの高揚等を図り、ふれあいと活力のある長寿社会の形成と、これを目的としておるわけであります。 この秋に予定しておりますねんりんピック岐阜二〇二一は、まさにコロナ禍を乗り越えて県民が健康長寿のすばらしさを体感し、生涯健康で活躍でき活力あふれる長寿社会の実現につなげる大会にしたいという思いで考えているところでございます。そのためにも、御指摘のとおりワクチン接種を速やかに一定のめどをつけるとともに、感染防止対策を徹底しなければいけないというふうに考えております。 そこで、大会における感染防止対策でありますが、まず不可欠な対策として、参加する選手及び役員等の関係者に対しワクチン接種をまず推奨し、大会前十四日間の健康観察、マスク着用、手指消毒、入場時の検温などを要請してまいります。また、運営スタッフ及び来場される方々にも基本的には選手と同様の対応をお願いし参加していただくことを考えております。 その上で、本県における東京二〇二〇大会海外代表チームの事前合宿の取り組み、この七月に行われるわけでありますが、これを参考にしながら、移動、宿泊、食事などの各場面に応じた詳細な感染防止対策マニュアルを感染症専門家の指導を踏まえて作成し、その遵守を徹底していくという方式を取ってまいりたいと思っております。 さらに、夏から秋にかけて開催される東京二〇二〇大会・パラリンピック、そして三重のとこわか国体などの大型スポーツイベントにおける感染防止対策の実施状況も参考にしてまいりたいと思っております。 なお、もちろん今後の感染状況次第によっては、改めて総合開会式の実施方法等について共同主催者である厚生労働省等と協議しながら、見直しも含めて再検討することももちろんあり得るというふうに思っております。 ○議長(佐藤武彦君) 二十番 国枝慎太郎君。    〔二十番 国枝慎太郎君登壇〕 ◆二十番(国枝慎太郎君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、医療逼迫時における新型コロナウイルス感染者への対応についてお伺いをいたします。 岐阜県においては、古田知事のリーダーシップにより新型コロナ感染症の感染拡大を阻止すべく、自宅療養ゼロを掲げ、今議会の議案にもあるように、医療病床や宿泊療養施設の確保に努めていただいております。改めて感謝を申し上げます。 しかしながら、この第四波のさなか、五月の大型連休明けには連日百名を超える新規陽性者が確認され、岐阜県における病床使用率は最大の七三・五%、岐阜圏域においてはほぼ満床に近い状況となりました。 そのような中、岐阜市保健所管内在住で陽性となった御本人や御家族の方から私にも相談がございました。それは、このように医療体制が逼迫したときには、医療病床にも宿泊療養施設にも入れず調整待ちと言われる自宅待機をしなければならない場合があるということです。その方は、五月の中旬に三十八度を超える発熱があったため、発熱外来にて検査を受け新型コロナ陽性という結果が出ました。以降四日間を自宅で待機し、陽性が分かって五日目の朝、ようやく宿泊療養施設へ入所、施設では以降三日間療養し、翌日退所となりました。 岐阜市保健所も含め、保健所の皆様が本当に大変厳しい労働環境の中で懸命に陽性者の入院・入所調整やケアに努めていただいていることには感謝と敬意しかありません。しかしながら、この事例のように、三十八度を超える熱がありながら四日間も医療機関や宿泊療養施設への調整に時間がかかると患者さんや御家族は不安でしかありませんし、結局は一番苦しいときを自宅で過ごすという結果にもなってしまっております。御家族も同居していますので、当然ながら家庭内感染の広がりも大変懸念される事態であります。 医療機関の逼迫状況は分かりますが、この方は宿泊療養施設にも入所することができませんでした。その理由は三十八度を超える熱があったからだとお聞きしました。岐阜市保健所の指導は、病院には入れないから解熱剤を飲んで何とか熱を下げてくださいという内容であったともお聞きをしました。家族がいる御家庭であれば、食事や解熱剤の確保はしていただけるでしょうが、独り暮らしの御家庭や要介護者や在宅医療を受けている患者と同居している御家族ならば、どのような対応をしてよいか本人も含めて不安しかないと私は思います。 そこで、健康福祉部長にお聞きします。 一点目、今回のケースは岐阜市保健所管内の事例ですが、今回の第四波のように圏域によっては医療病床が特に逼迫した場合には、病院にも宿泊療養施設にも入れない、言わば自宅待機の時間が長引く陽性者が発生してしまいます。このような医療逼迫状況においても、自宅療養者ゼロを堅持するためには、病院にも入院できず、また三十八度以上の熱があるため宿泊療養施設にも入所できない方を隔離できる専用の療養施設の確保整備が必要と考えますが、いかがでしょうか。 二点目、お聞きします。 自宅待機は家庭内感染のリスクも高まります。入院や入所の調整期間中の自宅待機において、少しでも安全に安心して待機できるための環境整備も同時に必要と考えますが、いかがでしょうか。 続きまして、コロナ禍における学校生活について、堀教育長にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症がしょうけつを極め、百年に一度と言われる災禍として社会の各方面に大きな影響を及ぼしております。特に学校に通う子供たちにとっては、今までの学校生活は一変し、突然の休校や楽しみにしていた学校行事の中止、縮小、延期、毎日の楽しみである給食の時間は黙食、またふだんの生活においては、飛沫感染を防ぐためのマスク着用等、私たちが過ごしていた学校生活は大きく変わってしまいました。終わりの見えない新型コロナウイルスとの闘いに子供たちのストレスも大きなものがあると推察いたします。 コロナ禍における生活において、マスクの着用は当たり前の日常となりました。しかしながら、私のような大人でもマスクを着用しての生活にはストレスがございます。私もこう見えて肌が弱い一人でございます。久々に肌が荒れて、現在も吹き出物とも闘っております。特に運動時におけるマスク着用は、心肺に大きな負担となり、ふだん走れる距離も走れないのが現状であります。大人の我々でさえ苦しいのに、大人に比べ基礎体力のない子供がどれだけ苦しいか、実際に体験はできませんが、マスクを着用しての運動がさらに苛酷なことは誰でも想像がつくかと思います。 そのような心配がある中、学校生活での悲しいニュースがありました。それは、大阪府高槻市において、当時小学五年生の男児が今年の二月十八日午前九時頃、体育の授業においてグラウンドを五分間走っているときに倒れ救急搬送されましたが、昼過ぎに心不全で死亡が確認されたニュースであります。新聞記事によれば、男児はマスクをつけて授業に挑んでいたと見られ、保健室に運ばれた際には顎にマスクがかかっており、走っていたさなかにつけていたかは不明とされております。市教育委員会は、マスクの影響を含め原因は特定されていないとしております。記事の中で男児の父親は、男児には基礎疾患がなく当日の朝もふだんと変わらない様子であった。活発で明るく勉強を頑張り、友達とサッカーを楽しんでいた。突然亡くなり悲しみがずっと続いていると語ったそうです。いつもと変わらぬ元気な姿で登校した我が子を亡くすことは、親として言葉にできない悲しみと悔しさは計り知れないものがあると思います。御冥福を心からお祈り申し上げます。 また、六月一日の新聞には、福岡県の篠栗町内の中学校において、一から三年生の男女八人が熱中症のような症状で病院に搬送されたという記事がありました。その中学校によると、全校生徒が午前中、運動場で運動会の練習に参加し、終了後に体調不良を訴える生徒が相次いだといいます。この中学校では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、原則マスクを着用するよう指導していたが、競技中と競技直後は人との距離を取ってマスクを外してよいと呼びかけていたそうです。 また、六月三日の新聞記事では、大阪府枚方市で体育祭に参加していた中学生七名が気分不良や頭痛を訴え、熱中症の疑いで救急搬送。競技中はマスクを外していたというが、市教育委員会は、今後、運動会や体育祭は午前中のみにするなど、学校に対策を呼びかけると掲載されておりました。 そこで、夏本番を迎え、コロナ禍におけるマスクの着用による学校生活によって熱中症のリスクが高まると懸念されているため、学校生活におけるマスクの着用ルールとその周知について質問をさせていただきます。 私は、飛沫感染のおそれがある場所でマスク着用の必要性は当然理解しておりますが、そのような状況以外では、熱中症のリスクも含めマスクを外すことも許されることを県民全体で理解しなければコロナ禍における熱中症リスクの軽減をすることができないと思います。 現在、岐阜県では、令和二年五月二十一日付のスポーツ庁政策課学校体育室による学校の体育におけるマスク着用の必要性という事務連絡を基に、県教育長から各教育事務所長、市町村教育委員長、市町村立学校長、県立校長宛てに通知を出されており、学校教育活動における熱中症予防対策等についても令和二年六月一日に各教育事務所長宛てに出しておられます。岐阜県では、運動時のマスク着用による体へのリスクを考慮して、学校の体育の授業におけるマスクの着用は必要ありませんが、授業中の新型コロナウイルス感染症の感染リスクを避けるために、児童・生徒の間隔を十分に確保するなど対策を講じることが必要とされております。また、これらの通知には、体育の授業において軽度な運動をする場合は、児童・生徒がマスクの着用を希望すれば否定するものではないことも明記をされております。 大阪府高槻市の男児の父親は、子供にマスク着用の判断を委ねるべきではない。運動中のマスクの危険性を広く知ってもらいたいと語り、呼気が激しくなる運動を控えるについても線引きが曖昧であることを指摘されております。 そこで、教育長にお尋ねいたします。 私は、コロナ禍における学校生活において、特に暑い夏が予想され、マスク着用による熱中症のリスクが高まる中、子供たちがマスク着用について自主的に判断をすることが難しいという声がある中で、再度マスク着用のルールについて県として明確にお伝えすべきと考えますが、今後の学校生活や部活動、体育の授業におけるマスク着用のルールとその周知についてどうお考えか、お聞かせをください。 また、体育の授業に関連してですが、六月十七日の新聞報道によると、まん延防止等重点措置が解除された場合の指針として、水泳の授業においては更衣時などでの対策を要請するとの報道がありました。 そこで二点目、教育長にお尋ねします。 体育における水泳の授業については、この夏より更衣時等においてどのような感染防止対策を取り再開をしていくのか、お聞かせください。 最後に、修学旅行の実施についてお聞きいたします。 先日、私にこんなお手紙をいただきました。岐阜県内に住む小学六年生の児童からのお手紙で、タイトルは「修学旅行に行きたいです。先生お願いがあります」という作文であります。その内容には、オリンピックができてなぜ僕たちの修学旅行ができないのかという問いかけや、マスク生活による息苦しさなども書かれており、最後にはお願いですから修学旅行に行かせてくださいと締めくくってありました。児童の修学旅行へ行きたいという気持ちが素直に伝わるお手紙でした。 感染症から子供たちを守るという観点から、安全対策を徹底していただいていることは理解をしております。しかし、このような状況の中、何がどうなったら学校生活は日常に戻るのかと疑問と矛盾を感じている子供も多くいると思います。 堀教育長、長引くコロナ禍において腐心しているのは子供たちも一緒です。このような子供たちのためにも、ウイズコロナ社会における学校生活について、岐阜県の考え方を子供たちに理解してもらうために、引き続き努力していただくようよろしくお願いいたします。 昨日の平岩県議からの質問に対する堀教育長による所信表明には、私は大変感動し、また大いに期待をしております。いかなる時代も子供たちの命を守り、夢を育てたいという堀教育長の信念の下、この難局時においても子供たちが夢を持てるよう頑張っていただきたいと思います。 さて、私は昨年の九月議会において、宿泊を伴う修学旅行の再開に向けた基準についてお尋ねをいたしました。その際、当時の安福教育長からは、修学旅行については、できる限り本来の宿泊を伴う形で実施したいと考えておりますが、新型コロナウイルス感染症は、人類が史上初めて経験する感染症で、いまだ不明な点も多い中で、宿泊を伴う修学旅行を実施するか否かの明確な基準を設定することは現在のところ難しく、今後、協議会において専門家の御意見を十分お聞きしながら慎重に判断をしてまいりますという答弁でありました。 今年度に入り、まん延防止等重点措置が適用された際に、原則中止としていた修学旅行や校外学習についても、先ほど述べた六月十七日の新聞報道によると、措置が解除された場合の指針として、感染防止対策を徹底した上で実施することを求めたとの報道がありました。 また、今議会の提出議案において、V字回復に向けた岐阜の観光リスタート事業として、「安心ステイ~ほっと一息、ぎふの旅」キャンペーンの展開として二十億円が計上をされております。この事業については、県内小・中学校、高等学校が実施する教育旅行の促進も目的とされております。県外への旅行を予定している学校が県内へ変更するという誘導効果も含め、保護者の皆様にとっても経済的負担の軽減につながる大変ありがたい事業であると思います。 しかしながら、この事業は、新型コロナウイルス感染症の感染状況を見極めながらのキャンペーン実施となっているために、どのような状況において利用ができるのか、またどのような状況になったら利用ができないのかが分かりません。私も子供のPTA役員の時代に修学旅行について学校と連携し計画させていただいた記憶がありますが、旅先の選定にも時間を要します。 そこで、観光国際局長にお聞きいたします。 この事業は、県内小・中学校、高等学校が実施する教育旅行の促進についても目的とされております。具体的に、いつからこの教育旅行への支援について詳細が公開され知ることができるか、お聞かせください。 続いて、教育長にお伺いいたします。 今年度における宿泊を伴う修学旅行の実施についてどうお考えか、お聞かせください。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 医療逼迫時における新型コロナウイルス感染症感染者への対応について二点御質問をいただきました。 まず、入院調整中の感染者の専用療養施設の確保についてお答えします。 第四波においては、一時、新規感染者数が急増及び高止まりしたことから、病床使用率が極めて高水準となり、圏域によってはほぼ満床の状態になった時期がございました。このような中、深夜に及ぶ懸命の入院、転院調整を行うと同時に、宿泊療養施設の入所要件緩和、受入れ体制強化及び施設の追加確保を図ってまいりました。 具体的には、発熱のある方も入所できるよう宿泊療養施設の入所要件の緩和を行うとともに、症状悪化リスクが一定程度ある患者を基幹施設であるホテルKOYO本館に集約し、酸素吸入装置を設置するとともに、定期的な医師の訪問体制を整えるなど、症状がある方を宿泊療養施設で受け入れる体制を強化しました。加えて、基幹施設の近傍に宿泊療養施設二か所を追加確保いたしたところです。 このように、議員が言及された発熱があるが入院できない方の療養施設としての宿泊療養施設の拡充強化も含め、何とか自宅療養者ゼロを維持することができましたが、今後の感染拡大にも備え、さらなる体制強化を検討してまいります。 次に、自宅待機のための環境整備についてお答えします。 検査の結果、陽性と判明した方に対しては、保健所の職員がこれまでの体調や既往歴を丁寧に聞き取り、医療機関への入院や宿泊療養施設への入所の調整を行っております。その際、基礎疾患のある方や高齢者など重症化リスクがある方については、特に速やかな入院・入所に努めておりますが、入院等調整の間に容体が急変することも想定し、パルスオキシメーターを貸し出し、定期的な健康確認の際に、体温だけでなく血液中の酸素飽和度の報告もいただくことで、本人が気づきにくい体調変化の兆候を捉え、急変を招くことのないよう対応しております。 また、二十四時間体制の相談窓口を設置し、患者からの容体の変化や不安に関する問合せにすぐに対応できる体制を整備しております。 引き続き入院等調整中の方々をきめ細かくケアするとともに、医療機関の御協力を得ながら少しでも早く入院または入所していただけるよう取り組んでまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 三点御質問がありました。 初めに、学校生活におけるマスク着用ルールとその周知についてお答えをします。 いわゆる第四波により、今年度、児童・生徒の感染者は既に三百人を超えており、小・中学校でのクラスターも複数発生しています。 こうした中、飛沫感染を防ぐマスクの着用は、学校における大切な感染防止対策であると考えています。一方で、学校生活におけるマスクの着用については、教育活動の態様や子供たちの様子をよく観察して臨機応変に対応することが必要です。 文部科学省からは、熱中症も命に関わる危険があることから、気温や湿度が高い日には熱中症への対応を優先させマスクを外すことが通知されています。さらに、体育の授業においては、原則としてマスクの着用は必要ないことも併せて通知されているところです。 県教育委員会としましても、この点を教職員が十分に理解し、夏休みを前にした保護者懇談等の機会を利用し、児童・生徒や保護者と確認し合うことを通じて周知を図ってまいりたいと考えております。 次に、体育における水泳授業再開に係る感染予防対策についてお答えをします。 水泳の授業については、本年四月の文部科学省通知において、児童・生徒の健康と安全を第一に、密集・密接を避けるなどの対策を十分に講じた上で実施を検討することとされています。 本県においても、六月に開催した教育推進協議会での議論を踏まえ、更衣中のマスクの着用や更衣室の換気を適切に行うこと、更衣室の密を避けるため、交代制、あるいは別室利用などの必要な対策を講ずるよう各学校に通知をしたところです。 実際に水泳の授業を実施している学校では、更衣室の利用について時間差を設けたり、体育館や空き教室を利用して分散させるなどの工夫をしています。さらに複数学級による合同授業を学級単位の授業に変更して参加人数を少なくしたり、密になりがちなシャワーは数名ずつ順番に利用する、プールサイドにマーキングして間隔を確保するといった対策にも取り組んでいます。今後、こうした取り組みを各学校と共有し、水泳の授業における感染防止対策に万全を期すよう指導をしてまいります。 次に、宿泊を伴う修学旅行の実施についてお答えをします。 本年度の修学旅行は、三月末に開催した教育推進協議会での議論を踏まえ、宿泊を伴うものも含め感染予防対策を徹底した上で慎重に実施するよう各学校へ通知しています。しかし、いわゆる第四波の中で、本県がまん延防止等重点措置区域の指定を受けたことから、五月以降の修学旅行は中止、または延期としたところです。今般、重点措置区域の指定が解除されたことから、改めて感染防止対策を徹底した上で修学旅行を実施することとなります。多くの学校は九月以降、県内外で宿泊を伴う計画と承知をしております。 県教育委員会では、こうした修学旅行が安全に実施できるよう専門家の指導の下、修学旅行実施マニュアルを現在作成しているところです。この中では、緊急事態宣言等の指定区域を訪問しないといった基本的な考えに加え、食事では他の団体と会場を分ける、入浴では時間管理を行い人数制限するなど場面に応じた具体的対策を示す予定です。 今後も引き続き県内外の感染者の動向を注意し、その状況に応じて県の助成制度の活用も含め訪問先の見直し等必要な措置を講じてまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 商工労働部観光国際局長 矢本哲也君。    〔商工労働部観光国際局長 矢本哲也君登壇〕 ◎商工労働部観光国際局長(矢本哲也君) 教育旅行の支援についてお答えします。 教育旅行は、あらかじめまとまった集客が確保でき、子供たちがリピーターとなることが期待できるなど、観光事業者にとってもメリットが大きいものであります。 また、本県には、世界的に注目を集めるサステーナブル・ツーリズムにつながる資源が豊富にあり、これらを訪問し体験することは教育の観点からも意義あるものと考えております。このため、教育旅行の誘致を観光需要回復策の柱の一つとして本格的に展開してまいります。 そこで今回、県民向け割引キャンペーンの一環として、県内の小・中学校等の教育旅行において、一人当たり五千円を上限に代金の半額を支援することとしております。感染状況を見極めつつぜひ活用いただければと考えております。 教育旅行は準備に時間を要することから、今議会での補正予算成立後、速やかに制度の詳細をお示しできるよう現在準備を進めております。 なお、その周知に当たっては、教育委員会とも連携してまいります。 ○議長(佐藤武彦君) 二十番 国枝慎太郎君。    〔二十番 国枝慎太郎君登壇〕 ◆二十番(国枝慎太郎君) 御答弁ありがとうございました。 教育長に再度確認なんですが、マスク着用のルールを臨機応変に徹底、また保護者等ともしっかりと御連絡、協議をしていただくという話なんですが、この高槻市の事案でもそうなんですけれども、高校生と小学生とでは自主性というのは大きく判断が分かれると思います。特に小学校低学年の子において言えば、やっぱり苦しくても親からマスクつけなさいよと言われれば当然つけてしまったりということもあると思いますので、そういったところもしっかりと加味された上で、これからも着用ルールについて徹底いただきたいと思うんですが、再度そのことも含めて御答弁をいただきたいと思います。以上です。 ○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) ただいまの質問は、小学生も高学年となればどんな場面でマスクを取ってもいいのかという判断ができるものの、低学年においてはなかなかそうした判断ができないといった問題を今おっしゃったというふうに私は理解をいたしました。 それはおっしゃるとおりで、そうした中どうするかということについては、やはりまずは体育の授業などにおいて、原則はマスクをしなくてもいいんですよね、ですがその競技が非常に密接するとか、人と人の距離が近いといった場合については、やはりマスクをするとか、そういった競技をまずはしないという工夫も必要だというふうに考えております。 さらに、もう一つ一番大事なのは、子供たちの健康状況を朝からずうっと見ているのはやはり担任の先生なんです。ですからその担任がその日の子供たちの状況を見て、子供たちのマスクを外してもいいかどうか、そうした判断をし、適切に子供たちのマスクの着用について指導をしていくことが大事だというふうに考えております。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) しばらく休憩いたします。 △午後零時休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(松岡正人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(松岡正人君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。十七番 若井敦子君。    〔十七番 若井敦子君登壇〕(拍手) ◆十七番(若井敦子君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、今回は三項目について、二分割で質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 初めに、「脱炭素社会ぎふ」の実現を見据えた次世代エネルギービジョンにおける次世代自動車の普及促進についてお尋ねいたします。 地球温暖化による気候変動は、世界規模で人間の生活や自然の生態系に様々な影響を与えており、世界共通の課題として脱炭素が世界的な潮流となる中、国内においてもこの問題に対する動きはここ数年でさらに活発化し、二〇二〇年十月に政府は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量と吸収量をプラス・マイナス・ゼロとする脱炭素社会、いわゆるカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言いたしました。 これを踏まえ、同年十二月、経済産業省は、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定し、地球温暖化への対応を経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも成長の機会と捉える時代に突入していると述べています。 また、二〇一八年七月に閣議決定された第五次エネルギー計画の中で、変化するエネルギー情勢を受け、二〇五〇年を目標とした長期的なエネルギーに関する主な施策の方向性を示し、再生可能エネルギーの主力電源化を目指すとしています。 本県においても、再生可能エネルギーの創出を岐阜県次世代エネルギービジョンの重点施策の一つとして取り組みを進めていただいているところであります。このビジョンは、県のエネルギー施策の方向性を示すものとして二〇一一年に策定され、二〇一六年の見直しを経て、現行のビジョンが示されました。そのほかの重点施策には、エネルギーの地産地消、次世代エネルギーの使用定着、これらが上げられています。 その重点施策の一つ、次世代エネルギー使用定着プロジェクトでは、環境やエネルギー性能に優れた次世代自動車、これはEVと言われている電気自動車、HVと言われているハイブリッド自動車、PHVと呼ばれているプラグインハイブリッド自動車、FCVと呼ばれている燃料電池自動車、これらを指すわけなんですが、これらの普及促進を図るために具体的な事業目標が掲げられています。 脱炭素社会の実現には、二酸化炭素を排出しない次世代自動車などの普及がその一翼を担うことは言うまでもありませんが、私がこの次世代自動車に初めて関心を持ったのは防災的視点からでした。 昨今、気象災害の激甚化、頻発化に伴い、大規模停電が発生するなど、ライフラインに大きな被害が生じている中、電源の喪失が生死に関わる重大な問題となる人工呼吸器などの医療機器を使用している方の実情をお聞きしたことがきっかけでした。遅まきながら、電動車には車に蓄えた電気を住居や家電へ供給できる仕組みがあることを知りました。これらは、災害時における機動性の高い移動式電源として停電時の備えとなり、自助・共助にもつながるインフラ整備であるとも言えます。 本県にとって、自動車は重要な交通手段であり、世帯当たりの自動車の保有台数は全国的にも八番目に多く、二〇一七年の県内の二酸化炭素排出量を部門別で見ますと、産業部門の三五・二%に次いで、運輸部門が一九・三%と高い割合を占めていることから、「脱炭素社会ぎふ」の実現に大きな役割を担うことは容易に想像ができます。 一方、現在の次世代自動車の普及状況はといいますと、現行ビジョンの目標では、今年度までにEV・PHVの導入台数は五万四千五百台のところ、令和元年度末で六千六百六十四台にとどまっており、FCVでは一千五十九台のところ、五十九台となっております。また、FCVの燃料となる水素を供給するための水素ステーションの普及数では、県内十か所の設置が目標のところ、需要がないためか六か所となっております。これらの導入は、全国比では進んでいるとのことですが、現行ビジョンの目標数とは大きく乖離していることが読み取れます。 EV・PHVについては、自動車メーカーの開発や販売が進んでいることもあり、今後もさらに普及が進むと思われますが、FCVについては現状では大変厳しいものがあり、県では中部経済産業局、自動車メーカー、そして水素ステーション運営事業者を招き、市町村向けにFCVの普及を図るための会議を開催しているとのことですが、普及台数を見ると効果が現れているとは言い難い現状であります。 前回、この次世代エネルギービジョンが見直しをされたのは二〇一六年のことで、その後、エネルギーを取り巻く状況は大きく変化をしています。そのため、エネルギー分野における技術革新やエネルギーを取り巻く社会情勢の変化に適応した実効性と遂行力のあるビジョンへの移行が必要であると考えます。 そこで、初めの質問です。 次世代エネルギービジョンの目標達成に大きく関わる次世代自動車の中でも、普及が遅れているFCVの普及促進に向けた現状課題と今後の進め方について、商工労働部長に御所見をお伺いいたします。 ここで分割質問の前半の質問を終わります。 ○副議長(松岡正人君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) FCVの普及促進についてお答えします。 二酸化炭素を排出しない究極のエコカーである燃料電池自動車、いわゆるFCVの普及促進に向けては、これまで県が保有するFCVを活用し、イベント等で普及啓発を図るとともに、水素ステーションの整備を支援してまいりました。 しかしながら、FCVの普及状況は、エネルギービジョンの目標値を大きく下回っているのが現状です。 その一方で、国を挙げて脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進む中、県内のFCV販売事業者によると、今年に入り受注が増加傾向にあるほか、水素ステーションについても新たな整備計画を検討する事業者もございます。 このため、次期エネルギービジョンの策定に向けては、こうした動きをさらに加速化させるため、例えば公用車へのさらなる導入拡大、各圏域二か所の水素ステーションの増設、あるいは車両価格の引下げに向けた国の購入支援の拡充を要請することなども含め、広く関係の皆様と議論を進めてまいります。 ○副議長(松岡正人君) 十七番 若井敦子君。    〔十七番 若井敦子君登壇〕 ◆十七番(若井敦子君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、中学生・高校生の競技力向上に向けた今後の取り組みについてお尋ねをいたします。 ここに至るまで多事多難の道であった東京オリンピック・パラリンピックがいよいよ開幕することとなりました。コロナ禍においての東京オリ・パラの開催には賛否両論があり、時にはその批判の矛先がアスリートに向かいました。 世界中がコロナにおびえる中で、私も元アスリートとして、今回はつくづくスポーツの無力さを思い知らされるときもありましたが、当たり前の日常を奪われたからこそ、気がついたことがあります。それは、今は許されない不要不急のもの、二の次とされたものをいかに充実させられるかが人生や生活を豊かにするということ。そして、私たちがコロナに打ち勝つために、一人一人が大切な戦士であるということです。 コロナに打ち勝つために、最前線で闘っていただいている医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの方々、また感染を拡大させないために大変な苦境を強いられながらも御協力をいただいている飲食産業の方々や観光産業の方々など、あらゆる立場の方々が今もそれぞれの場所から闘い続けておられることに心から感謝を申し上げます。 こうして一人一人が果敢にコロナに応戦していただいている中で、アスリートたちにでき得る戦いのすべがあるとするならば、それはどのような戦いなのかを考えました。 昨年から、コロナによって数々の大会の延期や中止を強いられてきましたが、彼らはこれまでの競技経験から、諦めたときが本当のゲームオーバーである、ジ・エンドであるということを知っています。だからこそ、過去にとらわれ嘆くのではなく、たとえ可能性が一%であったとしても、いつか開催される日を信じて、試行錯誤しながら努力を続けていくこと、試練に屈することなく困難に立ち向かう姿勢を自ら示すことが、自分たちにできるせめてもの戦いのすべであると、この瞬間も諦めることなく戦いに挑み続けています。困難を乗り越えた先には、明るい光が輝いていることを証明する東京オリ・パラであってほしいと心から願っています。 現時点で、オリンピックに出場を決めている本県ゆかりの選手は二十八名、パラリンピックでは八名とのことですが、エネルギッシュなプレーで私たち県民にコロナに打ち勝つ勇気を与えていただけるものと心から御期待を申し上げます。そして、本県ゆかりの選手だけでなく、出場される全てのアスリートの方々が今日まで耐え忍んで乗り越えてきた練習の成果を遺憾なく発揮されることを、また大会に関わる全ての方々の安全と御健康を心よりお祈りを申し上げます。 本県では、この東京オリ・パラをスポーツ振興の追い風としたターゲットイヤーと位置づけ、本県のスポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進するための清流の国ぎふスポーツ推進計画に基づき、今日まで競技スポーツの推進を図ってこられましたが、計画期間は今年度で終了となり、東京オリ・パラ後の次なる目標が必要とされるところです。 振り返れば、本県の競技力は二〇一二年に開催された「ぎふ清流国体・ぎふ清流大会」によって大きく飛躍をいたしました。 「ぎふ清流国体」では、天皇杯・皇后杯を獲得、「ぎふ清流大会」においては、過去最高となる百八十四個のメダルを獲得し、ジュニアから成年までの一貫した育成や強化策が功を奏し、大きな成果を遂げられました。 ちなみに、複数の企業で一つのクラブを支える岐阜方式は、この大会を契機として生まれ、ソフトボールの大垣ミナモやバスケットボールの岐阜スゥープス、ハンドボールのブラックブルズなど、今でも本県のスポーツ界を盛り上げています。 その後、国体においては、高い水準を維持していたものの順位は年々低下し、直近の二〇一九年に開催された茨城国体では、天皇杯では目標八位のところ十九位まで順位を下げています。その競技力の内訳は、「ぎふ清流国体・清流大会」で活躍した選手たちが依然として頑張りを見せ、成年種目においては辛うじて競技力が保たれているものの、両大会の開催から約十年が経過しようとする中において、その競技力に今後も頼ることには限界が見えています。 現在、本県が抱える競技力の抜本的な問題は少年種目の強化であり、いま一度ジュニアから成年までの総合的な競技力向上を図ることは、「ぎふ清流国体・清流大会」のレガシーのように本県全体のスポーツ界の未来を創出するものと考えます。 そこで、次の質問です。 少年種目は本県において将来の競技力の要であり、その中心となり得る中学生・高校生に焦点を絞り、今後の競技力向上に向けた対策を講ずることが重要であると考えますが、清流の国推進部長に御所見をお伺いいたします。 最後に、障がい者による文化芸術活動のさらなる推進に向けた今後の取り組みについて、お尋ねをいたします。 実は、オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であるとともに、文化の祭典でもあります。オリンピック憲章には、スポーツを文化や教育と融合させ、よりよい生き方を創造することとあり、複数の文化イベントのプログラムを計画しなければならないことが明記されています。これらを踏まえて実施される文化イベントの総称を「文化プログラム」と呼んでいます。 東京オリ・パラを契機とした、この文化プログラムが全国的に展開される中、障がい者の文化芸術活動についても、近年障がい福祉分野と文化芸術分野の双方から機運が高まり、二〇一八年六月に障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が施行されました。 本県においても、同年七月、ぎふ清流文化プラザにある公益財団法人岐阜県教育文化財団内に岐阜県障がい者芸術文化支援センターTASCぎふ(たすくぎふ)を立ち上げ、障がい者の文化芸術活動の拠点としてスタートされました。 本日は、資料といたしまして皆様のお手元に、このTASCぎふのパンフレットを御用意させていただきましたので、お目通しをいただければと思います。 こちらでは、美術や舞台芸術などアートの力を利用して、障がいのある人の表現と社会参画の可能性を広げていくことを目的として、様々な活動をされていらっしゃいます。その活動の一つがセンター発足当時から開催されている企画展「いろんなみんなの展覧会」です。 私も毎年楽しみにお伺いをさせていただいておりますが、昨年度の展覧会では、会場に作品を展示するだけでなく、作品発表の新たな可能性として、作品を民間企業とコラボし、二次利用するという新しい取り組みが紹介されておりました。 その一つが、建設会社等に御協力をいただき、工事現場を囲う養生シートにその作品を転写し、掲示するというプロジェクトです。このプロジェクトは、障がいのあるアーティストの作品が日常のまちを彩る、その名も「このまちの展覧会」と呼ばれています。 私も、実際に工事現場に足を運んでみたところ、見慣れた風景の中にアートが自然に溶け込み、まちを行き交う人々も思わずふと足を止め、養生シートを鑑賞されていらっしゃる姿がありました。また、作者の御友人や御家族の方が御本人とともに現場を訪れ、養生シートに描かれたアートを眺める姿もあり、作者のとても誇らしそうな笑顔が忘れられません。まさに、その工事現場は、そのまちの展覧会場へと姿を変えていました。 ちなみに、採用された作品には、建設会社等から使用料として一点につき二万円が直接作者に支払われるとのことです。 このような障がい者によるアートは、アール・ブリュットと呼ばれ、フランス語で加工されていない芸術を意味します。これは、美術の専門教育を受けていない人が独自の発想と方法で創る生のままの芸術、「生(き)の芸術」とも言われています。このアール・ブリュットは、近年世界的にも再評価されているとのことですが、どの作品も流行に左右されず、自身の内側から沸き上がる思いが表現されており、これらの作品が繰り広げる豊かな創造性と多様な価値観は、独自の世界観を醸し出しています。 現在も、岐阜県下数か所で「このまちの展覧会」が開催されておりますので、足を運んでいただきたいと思います。 また、私が大変驚いたことは、これらの作品は初めからキャンバスに描かれたものばかりではなく、例えば日常生活の中でレシートの裏や段ボールにメモされたものが結果的にアート作品に変身を遂げるということです。初めはただのメモ書きでも、価値観を共有する方々との出会いを経て、アートへとパラダイムシフトしていく過程は、私たちから偏見や固定観念を拭い去り、アートとは決して特別な人のものだけではなく、誰にでも身近にあるものであり、人と人がつながることによって新しい価値観が生み出されることを体現しています。 本県では、三年後に国民文化祭とともに全国障害者芸術・文化祭が開催される予定ですが、これを契機に県民の誰もが身近に文化芸術を創造し、そして享受できる社会へと一層の理解が深まることを期待いたします。 そのためには、障がい者による文化芸術活動を一過性のもので終わらせるのではなく、県民に根づくような中長期的な計画に基づいて、継続性のある推進を図っていくことが大切であると考えます。 そこで、最後の質問です。 互いに尊重し合える豊かな共生社会へ向けて、障がい者による文化芸術活動のさらなる推進に向けた今後の取り組みについて、健康福祉部長に御所見をお伺いいたします。 文化、芸術、スポーツなど、娯楽とされるものは、このコロナ禍においては二の次のものではありますが、どれも人生や生活を豊かにしてくれる、そんな力を持っています。コロナは私たちから日常を奪いましたが、諦めたときがジ・エンド、たとえコロナであっても、私たちから夢や希望までは奪えないことをオール県民の、オール岐阜での取り組みで一日も早い証明ができるよう、心からそう願い、私の質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 清流の国推進部長 丸山 淳君。    〔清流の国推進部長 丸山 淳君登壇〕 ◎清流の国推進部長(丸山淳君) 中学生・高校生の競技力向上に向けた今後の取り組みについてお答えいたします。 中高生世代の強化については、少年段階での競技力向上はもちろん、成年段階になっても本県へ定着してもらうことで中期的に本県の総合的な競技力向上に資する重要な施策であると考えております。 このため、学校単位の部活動や地区も超えて、中学・高校と切れ目なく一貫して競技力を強化することと、そのために必要な長期的な視点を持つ指導者を育成することが必要であると考えております。 まず競技力強化に関しては、競技団体と連携し、県下全域で中高生世代の有望選手を強化指定し、練習会や遠征を実施する取り組みを進めてまいります。 次に、指導者育成に関しては、全国トップレベルの実績を持つ指導者から指導方法を学ぶ機会を年間を通して定期的に提供するとともに、新たに上級指導者資格の取得支援も検討してまいります。 そして、中高生世代が将来的にも県内で競技活動が継続できるよう、その受皿となる県内クラブやチームへの支援も継続・強化し、ジュニアから成年まで一貫した競技力向上につなげてまいります。 ○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 障がい者による文化芸術活動のさらなる推進に向けた今後の取り組みについてお答えします。 県では、県教育文化財団が設置した障がい者芸術文化支援センターと連携し、芸術文化活動を通じた障がい者の個性を能力の発揮や社会参加の促進に努めているところです。 これまで、延べ千三百人の参加があった創作の場であるオープンアトリエの開催のほか、アートサポーターの育成、創作活動や権利保護の相談対応等、障がい者の芸術文化活動を後押ししています。 また、毎年開催される全国障害者芸術・文化祭と連携した展覧会やその巡回展の開催、ウェブによるアート作品展等を通じ、障がい者の芸術文化活動に対する理解促進に努め、来場者からは、独特な色使いや無限の可能性に感動した等の感想が寄せられています。 これらに加え、今後は音楽やダンスなどの舞台芸術の発表の場を設けてまいります。また、障がい者団体や市町村に対し、地元作家の紹介、展示方法の助言等を行い、展覧会の開催に向けた取り組みを支援するなど、障がい者の芸術文化活動の視野拡大に努め、本県開催となる令和六年度全国障害者芸術・文化祭につなげてまいります。 ○副議長(松岡正人君) 四十番 伊藤正博君。    〔四十番 伊藤正博君登壇〕(拍手) ◆四十番(伊藤正博君) ただいま議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に基づきまして、本日は大きく二項目にわたって、順次お聞きしてまいりたいと思います。 最初は、介護人材の不足対策及び介護職員のモチベーションを高める施策について、健康福祉部長にお伺いいたします。 これらの課題については、私自身が昨年十二月議会においてもお尋ねしたところでありますが、現在のコロナ禍における介護現場が抱える問題として、昨年以上に人手不足に拍車がかかっており、早急に対策を講じる必要性があり、今回も取り上げさせていただきました。 この五月三十一日の新聞報道によれば、高齢者が入所する介護施設で新型コロナウイルスに感染した入所者が全国で少なくとも累計九千四百九十人おられ、このうち四百八十六人の方が亡くなったということであります。また、四十六自治体が入院が必要にもかかわらず施設にとどまった高齢者がいたという回答もされております。 昨年五月に実施した同様の調査では、感染した入所者は四百七十四人、亡くなった方が七十九人、感染者は一年で約二十倍になったとの内容であります。非公表とする自治体もありますので、実際の数はさらに多いと思われます。介護現場では、本来の業務に加え、感染防止策、コロナ療養も担うので負担が激増しており、感染弱者の高齢者に病床逼迫のしわ寄せが及んでいるおそれがあるというものであります。都道府県、政令市、中核市、東京二十三区の計百五十二自治体に昨年一月から今年五月三十日までの累計を尋ね、百四十九の自治体から回答を得た結果であります。 岐阜市を除く岐阜県内では、十八施設の少なくとも六十人が感染され、十一人がお亡くなりになったとのことであり、岐阜市では九施設の少なくとも三十六人が感染され、お亡くなりになった方はいなかったということであります。また、陽性となり入院が必要にもかかわらず施設にとどまったという例はなかったとの報道であります。 しかし、介護施設では新型コロナウイルス感染拡大は止まりません。六月九日現在において、県内の入所施設に限って介護施設における感染者は大きく増えており、三十四施設で百三十七人が感染し、亡くなられた方は二十二人と伺っております。地域の医療も逼迫している現状から、今後入院できずに施設での療養を余儀なくされる高齢者が増えると、さらなる人材、人手不足は深刻化してまいります。全ての負担が現場に重くのしかかっております。 公的支援は乏しく、一年以上に及ぶコロナとの闘いに職員の疲労は極限に達しているというふうに思われます。一方で、二〇二五年問題と言われるように、一九四七年から一九四九年に生まれた、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上となり、後期高齢者人口の割合が国民のおよそ二〇%を占めるのが二〇二五年頃とされております。いつまでも健康に過ごすための施策が重要でありますけれども、万が一、介護が必要となった場合は、やはり新たな介護人材の確保が急務の課題であります。 本県においては、二〇二五年には約四万人の介護人材が必要とされておりますが、現時点では毎年千五百人ずつ増加させなければ必要数に達しない状況であります。令和元年十月一日現在における介護職員数は総数で三万千五百八人で、このうち居宅系の職員は約六割、入所・居住系の職員は約四割とお聞きしました。居宅系が多くなっていますけれども、今後の介護体制を考えるとき、居住系の介護人材がより必要となってくると考えるところであります。 県は、人材不足を補うため、介護ロボットの導入に対し、補助金により支援をしております。令和二年度実績では、補助施設が九十四施設、補助台数は千四百七十三台、補助金額は二億一千五百万円余となっており、今後この介護ロボットの活用も一層求められるところであります。 また、介護労働安定センターによる令和元年度の介護労働実態調査では、八割以上の事業所が介護職員等の不足を感じているとの結果も出ております。県などが処遇以外で職員が不足している原因を調査したところ、上位三つの要因は、介護の仕事のイメージが悪い、介護職員の社会的地位が低く見られている、職員の人材育成ができていないとの結果でありました。 こうした要因が介護分野における高い離職率につながっているものと考えられます。特に、要因の一位であるイメージの悪さは早急に払拭していかなければならない課題であります。私は、県独自に何か就労期間に応じるインセンティブ、特典を与えることも、このコロナ禍においては検討すべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。 世界的なコロナの感染拡大により、各国間の渡航が制限されている現在、外国人の介護人材の確保も極めて困難な状況になっております。コロナ禍における様々な状況により、人材確保には非常に厳しい環境下にあるというふうに思います。しかし、早急に様々な課題解決に向けた努力は待ったなしであり、県として各市町村や各事業者との連携はこれまで以上に重要となってきております。 そこで、本日は、担当の健康福祉部長に大きく次の二点についてお聞きいたします。 一点目は、現在のコロナ禍における介護人材の各個人の負担軽減や人材不足への対応をどのように考えておられるのか。 二点目は、介護職員の就労期間に着目して、何かインセンティブを与える考え方に対する御所見をお伺いしたいというふうに思います。 次に、航空宇宙関連製造企業への支援の充実について、商工労働部長にお尋ねをいたします。 一つ目はアフターコロナにおける経済・雇用の再生に向けて、航空宇宙製造産業(企業)の位置づけについてどのように考えられているのかという点。 二つ目は、この四月に開所された航空宇宙生産技術開発センターでの学習成果の就職先での活用についてどのように考えられているのか、以上二点について、順次お尋ねをいたします。 六月二十三日に、令和二年度「清流の国ぎふ」創生総合戦略実施状況を説明いただきました。この戦略で様々なテーマがある中、「次世代を見据えた産業の振興」の中で、成長分野の一つである航空宇宙産業については、これまで様々な施策を展開して、県内各企業のサポートに積極的に取り組んで来た状況が記されております。また、成長・雇用戦略においても同様に、航空宇宙産業を成長産業の一つとして競争力強化を進めてまいりました。 しかし、これまでもこの議場にて私は何度も申し上げてきましたけれども、昨年からの新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、航空宇宙産業(企業)は大変厳しい状況が続いております。 県内の主要な関連企業における航空機事業の売上げは、令和二年度は平成二十八年頃のピーク時の三五%ダウン、そしてこの令和三年度は同じく五五%ダウンになると見込まれております。これは、平成八年の状態と同じ水準となっており、令和四年度以降は緩やかな回復をしていくというものも想定されておりますが、厳しい状況はしばらく続くと予想されます。 ただし、航空輸送需要はこれまでの幾度の落ち込みに対しても回復していることを踏まえ、今回も将来的には再び成長軌道に乗るものと想定されており、航空機産業はこの足元の数年をいかに耐えるかが喫緊の課題であり、需要回復までのこの四、五年間、どのようにして企業経営を継続していくかが問われております。 こうした状況を受けて、私は昨年十二月議会にて、関係者が一体となって今後の諸課題を協議していただく場として航空宇宙産業に特化した対策協議会を立ち上げていただきたい旨、強く要望を申し上げたところ、早速、今年二月に第一回岐阜県航空宇宙産業支援関係者連携会議を立ち上げていただきました。関係者の皆さんに心から感謝を申し上げたく存じます。 この会議メンバー、構成は、産業界から県内航空宇宙関連企業を、国からは経済産業省中部経済産業局、厚生労働省岐阜労働局、産業雇用安定センター岐阜事務所、そして岐阜県からは商工労働部関係各課及び各務原市、岐阜県産業経済振興センターなどによるものとなっております。関係する各社からの現状や取り巻く状況などの報告を受けて、行政等関係する支援機関の施策状況を説明いただき、それぞれ意見交換されたと伺っております。 それらの結果として、今定例会に上程されています航空宇宙産業基盤確保支援事業費補助金、三億五千五百四十九万円余にもつながったというふうに思っておりまして、早急な対応に感謝申し上げますとともに、引き続きこの連携会議の場の積極的な活用を大いに期待するところであります。 そこで、商工労働部長への第一点目のお尋ねです。 アフターコロナを見据え、今後さらなる経済・雇用の再生に向けた議論が進むものと考えております。これに向けて、岐阜県航空宇宙産業支援関係者連携会議などでしっかり意見を伺いながら、引き続き航空宇宙産業を成長産業の一つと位置づけ、産業の再生を加速化していくべきであると考えますが、商工労働部長のお考えをお伺いいたします。 次に、航空宇宙生産技術開発センターについてお聞きをいたします。 今から約二年前の平成三十一年の四月に、国費と県費を合わせて約五年間で約二十六億円を投じる航空宇宙生産技術開発センターが岐阜大学内に発足し、昨年四月には岐阜大学と名古屋大学が法人統合し、両大学を運営する東海国立大学機構直轄の研究教育拠点となり、生産技術に関する学生教育・社会人教育や情報通信技術、加工組み付けロボット、自立搬送、そして先端加工技術の四分野に関する研究で両大学が取り組んでおられます。 このセンターは、国内初となる生産技術に焦点を当てた教育研究機関としてスタートしました。今さら私が申し上げるまでもなく、航空宇宙製造業は高品質・多品種少量生産の労働集約産業であり、激しさが増す国際競争の中で生き残るには、徹底した自動化や、全体としてどう製品のコストを下げるのかなど抜本的な生産性向上が求められているところであります。 本年四月に本格運用を開始した同センターは、鉄骨造り地上三階建てで、面積は延べ千五百二十平米、工事費五・九億円で、企業との共同実験研究室や学生や社会人教育のための実験スペースを数多くそろえるものとなっています。岐阜大学では、高度なロボット工学や情報工学を学ぶコースが工学部に設けられており、そのうち約八十名が名古屋大学との共通開講科目として学んでおられるとも伺っております。また、社会人向けの教育プログラム(リカレント教育プログラム)として、生産技術者として企業で活躍する方を対象とした様々なニーズに応じた講座を提供するプログラムなども行っているというふうにお聞きをいたしております。 一方で、コロナ禍の影響により、先ほど来から申し上げておりますように、航空宇宙産業は今後四、五年間は非常に厳しい状況が続くものと思われます。 そこで、次の内容について商工労働部長にお伺いをいたします。 こうした厳しい状況の中、航空宇宙生産技術開発センターで学んだ技術や知識が就職先で十分生かしていけるかが心配もされるところですあります。この点についてどう認識されておられるのか、お答えをいただきたく思います。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 二点御質問をいただきました。 まず、コロナ禍における介護人材の負担軽減及び人材不足への対応についてお答えします。 コロナ禍において、県では介護施設の感染リスク軽減策及びICT活用により、施設職員の負担軽減を図り、それを人材の確保につなげられるよう取り組んでいるところです。 まず介護施設の感染リスク軽減策として、ワクチンの高齢者向け接種に当たり、施設職員に同時に接種する方針を示すとともに、予防的検査の徹底及び拡充を図っております。そして、感染が発生した場合は感染症専門家による指導に加え、緊急的な職員雇用に要する経費、対応職員の割増し賃金、衛生用品の購入経費などを助成し、感染発生時でも追加的な体制を取ることで職員の負担増をできるだけ抑えた形でサービス提供が継続できるよう支援を行っております。 次に、ICTの積極活用による介護職員の負担軽減でありますが、介護事業所などに対し、介護ソフト導入による介護記録の作成、報酬の請求などの効率化、介護ロボットの導入による利用者への身体介助の負担軽減などを図っております。こうした取り組みにより、コロナ禍での人材不足に対応してまいります。 次に、介護職員の就労期間に着目したインセンティブ付与についてお答えします。 県では独自の取り組みとして、介護職員が長くやりがいを持って働き続けられる職場づくりのため、人材育成や処遇改善などの取り組みを積極的に行う県内百二十九の事業者をぎふ・いきいき介護事業者として認定しております。 認定に当たっては、職員の離職防止の取り組みや職員を適正に育成し、処遇を行う取り組みを評価するとともに、認定事業者の取り組みを介護職員ポータルサイトや就職フェア等のイベントで積極的にPRすることで、他の事業者への普及促進を図り、県内全体で介護現場の職場環境向上に取り組んでいます。 また、事業所への介護報酬の制度では、勤続年数の長い職員が多い事業所を評価して加算する仕組みや、経験・技能のある職員の処遇改善を図るための加算の仕組みが設けられています。県では、より多くの事業所において、こうした国の制度を活用した職員の処遇改善が図られるよう、加算取得のための研修会を開催することにより、県内の介護の職場が長く働きやすく、やりがいのある職場となるよう、引き続き取り組んでまいります。 ○副議長(松岡正人君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 二点質問いただきました。 まず、アフターコロナに向けた経済・雇用の再生における航空機産業の位置づけについてお答えします。 航空関連産業は、回復にも時間を要し、非常に厳しい状況にありますが、その後はコロナ前と同様の高い成長が見込まれており、アフターコロナを見据えた経済・雇用の再生を図る上で、引き続き重要な成長産業として位置づけていく必要があると考えております。 このため、これまでも航空宇宙産業支援関係者連携会議などにおいて、時々の課題や必要な対策について、業界の方々から御意見を伺い、認証制度の維持に加え、今回の補正予算では生産設備の維持に向けた支援など影響の長期化を見据えた事業展開を支援しているところです。 今後は、こうした事業継続対策のみならず、航空機製造以外のビジネスへの展開も促し、経営基盤の強化を図ることも重要です。 そこで、近々開催する連携会議では、宇宙産業に進出している先進企業を招き、新事業展開の可能性のある事例も紹介しながら、進出に必要な論点や目指す方向性などについて検討を進めたいと考えております。 次に、航空宇宙生産技術開発センターでの学習成果の就職先での活用についてお答えします。 航空関連企業の成長の要である人材の育成や確保は、将来の需要回復を見据える上でも重要な課題であり、厳しい経営環境の中にあっても、生産技術に関する知識や技術を身につけた学生を採用したいという声を聞いております。 航空宇宙生産技術開発センターは、こうした生産技術に関する体系的な教育プログラムを提供しており、ロボットによる工場内の自動化やIoT、AIの活用といったDXにもつながる重要な科目を中心に構成されているため、製造業の幅広い分野での活躍も期待できます。 例えば昨年開講した社会人向けの講座では、航空関連企業のみならず、自動車部品製造や化学工業など幅広い業種の技術者の方々、約四百名が受講されております。 今後も、最新の技術動向や企業ニーズを踏まえた教育プログラムの充実を図るなど、航空関連企業をはじめ、幅広い分野で活躍できる人材を育成してまいりたいと考えております。 ○副議長(松岡正人君) 二十六番 田中勝士君。    〔二十六番 田中勝士君登壇〕(拍手) ◆二十六番(田中勝士君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問させていただきます。 今回は、現在も開催自粛が続いている笠松競馬についてお尋ねいたします。 御記憶の方もいると思いますが、笠松競馬が存続問題に揺れていた頃、私は毎回のように競馬に関する質問をさせていただいていました。今回、久しぶりに質問するに当たり、議事録を調べてみましたが、一般質問でこの問題を最後に取り上げたのは平成二十七年のことでした。実に六年ぶりということになります。逆に言えば、この六年間、笠松競馬は順調だったとも言えるわけで、このような形で不正事案に関わる質問をしなくてはならないことは正直残念でなりません。 この間、県民の皆さんの記憶も薄れていると思われますので、これまでの経緯を少しだけ説明させていただきます。 笠松競馬は、岐阜県と笠松町、岐南町が構成団体となっています。そして、岐阜県地方競馬組合が競馬を主催、つまりレースを実施しながら競馬場の施設を管理しています。昭和五十五年のピーク時には、約四百四十五億円を売り上げていましたが、娯楽の多様化や景気の低迷など、様々な要因が重なり、年々売上げは減少、バブルの崩壊を経て、平成十年代になると経営は危機的状況に陥りました。 梶原前知事時代の平成十六年十二月、検討委員会から、競馬事業は速やかに廃止すべきとの提言が出され、一旦は廃止に傾きましたが、競馬事業は裾野が広く、地元への影響は計り知れないものがあります。笠松町をはじめとする地元自治体や競馬関係者の強い要望もあり、当時就任したばかりの古田知事は当面の存続を決断されました。ただし、それは税金の投入はしない、赤字になったら即廃止という厳しい条件つきのものでした。 こうした流れの中、地元が先頭に立って競馬再生に取り組むという強い決意の下、それまで知事や副知事が務めていた管理者、これは競馬組合のトップのポストですが、この管理者に笠松町長が就きました。 ちなみに、全国に地方競馬を主催する団体は全部で十四ありますが、管理者のポストは一般的には知事や副知事が務めており、この管理者を地元の町長が務めるというのは極めて異例のことでした。 賞金・手当や組合職員の給与カット、地代の引下げなど、全ての競馬関係者が痛みを分かち合い、多くの努力を積み重ねながら何とか事業は継続されました。しかし、その後も地方競馬に厳しい環境は続き、売上げは一貫して下がり続けました。税金の投入はしない、赤字になったら即廃止ということは、基金残高がゼロになったときが廃止のときです。当時行った事業シミュレーションが今でも手元にありますが、それは平成二十六年度に基金がマイナスになることを示していました。まさにこの時期、笠松競馬は存続の瀬戸際にあったわけです。 こうした中、平成二十四年度を底に笠松競馬の売上げは突然回復しました。この最大の要因は、ネットによる売上げの増加です。地方競馬の最大のネックは、平日の昼間開催という点にあります。この弱点を克服したのがスマートフォンでした。スマホの爆発的な普及により、いつでもどこでも気軽に馬券を買える環境が整ったことが売上げ回復の最大の要因です。以降、笠松競馬の売上げはスマホの普及と並行して毎年伸び続けました。 コロナ前、令和元年度の売上げは約二百七十一億円、先ほど底と申し上げた平成二十四年度の売上げが約百七億円ですから、この七年間で約二・五倍にも跳ね上がったことになります。ちなみに、昨年度はコロナ禍の嵐が吹き荒れる中、逆にネット販売の強みを生かし、今年一月末の開催自粛前までに、既に前年度を二十億円超える、約二百九十一億円を売り上げていました。 将来への備えも順調に進み、老朽化した施設の再整備や分散している厩舎移転を目的として積み立てた環境整備基金は約三十七億円にも達していました。まさに、今回の問題は経営危機を脱した笠松競馬が新たなステップへ踏み出そうとする、その矢先の出来事だったわけです。 皆さんも御存じのとおり、今回の馬券購入事案は昨年の六月に発覚しています。このとき、組合は警察の家宅捜索を受けた被疑者四名を除く厩舎関係者全員から聞き取り調査を実施し、その結果、この四名以外に馬券購入等の事実はないとの結論に至り、全員から法令遵守の誓約書を徴取しています。これと並行して、金属探知機の導入や監視カメラの増設などハード面での対策強化も図られています。 しかし、本年一月、国税庁の税務調査により発覚した所得隠しは総額三億円以上、対象者は二十人以上、しかも隠された所得の中には不正に購入した馬券による利益が含まれていることなど、新たな事実が次々と浮かび上がり、即座にレースは中止、開催を自粛、第三者委員会による徹底的な調査へと事は運んだわけです。 組合の調査が甘かったと言えばそうかもしれませんが、厩舎関係者はそれぞれが個人事業主であり、組合が金の動きなどをチェックすることはそもそも不可能です。強い調査権限があるわけでもなく、対象者の話を聴取する以外に方法がない組合の調査に限界があったことも事実です。 このような状況を受け、県議会第二回定例会における県政自民クラブの代表質問において、松岡議員は、「今回の不適切事案の発生を契機に、これまでの競馬組合の運営及び管理の体制が十分であったのか、この際、点検すべきだ」と指摘した上で、「笠松競馬が抱える困難な課題に毅然として対応するためには、今まで以上に県がリーダーシップを発揮する体制にすべき」と質問、要はガバナンス強化のために県の関与を強めるべきという提案がなされたわけです。 このとき古田知事は、現在の体制そのものについて何か問題があるとは思っていない。今後も、地主との交渉などを進めることになり、地元を起点とする体制でこれに対応していくことが望ましいと答弁されています。つまり、この時点では笠松町長を管理者とする現体制のままでいくとお答えになったわけです。 そこで、古田知事に質問いたします。 今回の不正事案を受け、県地方競馬組合のトップである管理者は、笠松町長から河合副知事へと交代されましたが、この交代に至った経緯について御説明願います。また、これに伴い、組合の組織体制も見直されましたが、この見直しにより何がどのように変更、強化されたのか、併せて御説明をお願いいたします。 先日、公表された第三者委員会からの報告書によると、今回発覚した不正行為は平成二十四年以前に始まり、昨年六月まで継続的に行われてきたとのことです。先ほども申し上げましたが、この平成二十四年という時期は、まさに笠松競馬が存続の瀬戸際に立たされていた時期であり、仮にこのとき、今回の不正が発覚していたら、間違いなく笠松競馬は廃止になっていたでしょう。 競馬を愛し、オグリキャップのような馬を世に出すことを夢見ながら一生懸命働いている人たちを私は大勢知っています。そして、彼らは笠松競馬が存続の瀬戸際に立っていたとき、歯を食いしばって懸命に頑張っておられました。その一方で、自己の利益のみを求め、不正に手を染め、多くの人の生活を危機にさらす行為を繰り返していた人間がいたことは残念でなりません。 今回の問題については、さきの定例会で議論されていますし、それ以外に県議会や組合議会にも報告されていますので、皆さん方にはよく御理解いただいていると思います。ただ、今回はセクハラや所得隠しなど、いろいろな事案が交ざり合って報告されているため、問題の核心部分が見えにくくなっています。 そうしたことを踏まえた上で、あえて簡潔に申し上げますが、競馬事業は賭博行為が禁止されている我が国において、法律で特別に認められている公営ギャンブルです。つまり、それは不正がなく、公平・公正が確保されて初めて成り立つものです。 今回、合計三十人以上の厩舎関係者が処分を受けましたが、調教師や騎手などが馬券を購入すること、不正な利益を上げるために馬の調子などの情報を漏らしたり、収集したりすること、こうした行為は競馬事業の存在そのものを脅かすことをこの機会を肝に銘じなくてはなりません。全ての関係者が法令を厳正に守ることの重要さを改めて認識する必要があります。また、組合側も平素からの管理責任が厳しく問われることを忘れてはなりません。 ここから先は、新たに管理者に就任された河合副知事に質問したいと思います。 河合副知事には、全部で五点お尋ねします。 一点目の質問です。 今回の不正事案を受け、組合では関係者全体の意識改革、組合による管理・監視の強化を柱に、不正防止、公正確保の取り組みを進められていますが、その内容について河合副知事の答弁をお願いいたします。 今回、私は管理者が笠松町長から副知事に交代されたことは、結果的によかったと思っています。 理由は二つあります。 一つは、先ほども申し上げましたが、以前から競馬組合のガバナンス強化のためには、県の強い関与が必要と考えていたからです。この点については、在任中ずっと管理者を務めていた廣江前笠松町長も強く希望され、何度もお話を伺っていました。 もう一つは、副知事の管理者就任は、笠松競馬再生に向けての強いメッセージになるということです。 競馬の再開に向けては、国をはじめ、各方面との折衝が必要です。こうした中で副知事がトップに立つことは、外部に対し、競馬の再開と継続に本気で取り組むという強い意思表示になります。河合副知事には大変期待しておりますので、どうかよろしくお願いいたします。 そこで、二点目の質問です。 競馬の再開に向けては、公営競技施行団体指定の権限を持つ総務省や競馬の監督官庁である農林水産省との調整が必要です。今回、県が競馬組合の運営に大きく関与することとした中、早期の競馬再開に向け、県はどのようにリーダーシップを発揮していくのでしょうか。河合副知事の答弁をお願いいたします。 続いて、三点目の質問です。 現在は、多くの厩舎関係者に申告漏れの疑い、これは例えば調教の際、騎手に支払われる手当など競馬界独特の所得が大部分のようです。こうした申告漏れがあるとして、組合の指導の下、税務署への修正申告の手続などが取られていると聞いています。 こうした問題の解決を含め、今後どのような環境が整ったら再開できるのか、河合副知事の考えをお聞かせください。 四点目の質問です。 コロナ禍以前、令和元年度の馬券の売上げ割合は、本場やシアター恵那の発売は全体の僅か五%ほどでしかなく、ネット発売が約八〇%、他場での発売が約一五%となっていました。つまり、仮に競馬を再開したとしても、ネットや他場での発売がされないと経営は立ち行かなくなってしまいます。 再開後に笠松競馬の馬券をインターネット販売事業者や他場で販売してもらえるよう、どのような対策を取るのか、河合副知事の答弁をお願いいたします。 現在、レースは中止され、組合の収入はゼロの状態ですが、厩舎関係者や馬主に対しては自粛補償金が支払われています。 これは、厩舎関係者の生活を守るのと併せて、笠松に所属する約四百頭の在厩馬がほかの競馬場へ流出するのを防ぐためであり、再開に向けての必要な措置です。こうした措置により、笠松競馬の日常は取りあえず保たれていますが、この財源は環境整備基金、これは先ほども少し触れましたが、老朽化した施設の再整備や分散している厩舎移転を目的として積み立てられたものです。この環境整備基金を取り崩すことによって賄われています。 現在、その額は月額で約二億円にも上っており、開催自粛が長引くほど経営状況はより厳しくなっていきます。また、仮に再開できたとしても、競馬ファンが以前のように笠松の馬券を買ってくれるかどうか、先行きは全く不透明です。 そこで、最後の質問です。 再開後も見据える中で、今後笠松競馬が抱える経営課題についてどう考えているか、河合副知事の答弁をお願いいたします。 手綱を引かれる競走馬が町なかを歩き、ゆっくりと道路を横断していく姿は、この町の日常風景となっています。また、冬の早朝、全身から水蒸気を発しながら朝焼けの中を走る馬の姿は美しく、幻想的でさえあります。こうした情景を思い起こすと、競馬というのは公営ギャンブルである一方、人と馬との共存という文化的側面も持っているとも思えるわけです。 現在、ここに残った厩舎関係者と組合は、一丸となって笠松競馬の信頼回復と早期の再開を目指し、懸命に頑張っておられます。県民の皆さんには、こうしたことも御理解いただきながら、今後も笠松競馬に温かい目を注いでいただきますようお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 笠松競馬につきまして、管理者の交代と組織体制の見直しについてお尋ねがございました。 御指摘がありましたように、この笠松競馬でございますが、昭和四十五年の組合設立以来、笠松町、岐南町、そして県が連携して取り組んできたわけであります。平成十七年度からは、廃止も視野に入るほどの深刻な経営危機の中で、地域の意向をしっかり踏まえながら運営再建に取り組む体制がよいという考えの下、笠松町長を管理者とする体制で進めてきたわけであります。 こうした中で、昨年六月に、御指摘がありましたように、騎手等が競馬法違反の疑いで家宅捜索及び任意の事情聴取を受け、また本年一月には勝ち馬投票券を購入し、その払戻金について税務申告をしなかったとして所得税申告漏れを指摘されたことが発覚したわけであります。 私としては、この事態を大変深刻に受け止めておりまして、直ちに弁護士及び税理士で構成する第三者委員会「笠松競馬不適切事案検討委員会」、名前からしてこういうあからさまな名前にしたわけでありますが、を設置したわけであります。そして、まずは人事から手をつけるのではなく、迅速に事実関係を究明し、競馬の公正確保を図るとともに、再発防止策を打ち出すことが先決であるという考えをさきの三月議会で申し上げさせていただいたわけであります。 その結果、三月三十一日に第三者委員会から提出された報告書では、厩舎関係者全体にまたがる法令遵守に対する意識・自覚の欠如が指摘されるとともに、組合に対しては、検査・監視不足ということで、その怠慢が強く指摘されたわけであります。また、所管省庁である農林水産省、総務省などからは、地方競馬全体の信頼を揺るがしかねない事件であり、構成団体のガバナンスを徹底、強化すべしと厳しい意見をいただきました。 これらを受けて、四月二十一日に発表しました笠松競馬の信頼回復に向けての再発防止策において、公正確保のための体制を強化し、組合内部・外部からのガバナンスを確立することとしたわけであります。 具体的には、組合の体制として、まず県自らが管理者を担うこととし、管理者を副知事に交代するとともに、副管理者となる両町長とともに最高運営会議を新設し、運営に関する重要事項を決定することとしたわけであります。 また、組合の内部体制強化を図るために、新たに県から運営監察監として次長級職員を派遣し、その下に公正確保推進課を設けて、既存組織とは独立して公正確保対策に専任する体制を取りました。加えて、これまでなかった外部からの常設監視機関として、弁護士、税理士、有識者、地域代表者から成る運営監視委員会を新たに設置し、既にこれまでに六回、精力的に組合や関係団体の指導・監視に当たっていただいておるわけでございます。 この三つの改革の仕組みが十全に機能し、何とか再開にこぎ着けられたらという思いで、私も一挙手一投足、いろいろと意見を言わせていただいておるということであります。 ○副議長(松岡正人君) 副知事 河合孝憲君。    〔副知事 河合孝憲君登壇〕 ◎副知事(河合孝憲君) 久しぶりの答弁でございます。管理者としての私にも、幾つかお尋ねがございました。順にお答えさせていただきます。 まず公正確保の取り組みでございますが、四月に発表した再発防止策のポイントは、第一に競馬関係者全体の意識改革、第二に組合の管理・監視の強化、そして第三が組織体制の強化であり、これら三つの観点から対策を進めております。 第一の競馬関係者全体の意識改革に向けては、五月以降新たに、厩舎関係者及び同居親族を対象に、税務職員による納税等に関する研修会や地方競馬全国協会職員による公正確保に関する研修会、そして専門家によるセクハラに関する研修会を開催し、また組合職員には競馬関係法令に関する研修会を開催してまいりました。これらの研修は、今後も定期的に実施をしてまいりたいと考えております。 第二の組合の管理・監視の強化に向けては、騎手がレース開催前日から入室をします調整ルーム、そして業務エリア内の騎手控室、調教師控室の監視カメラを大幅に増設いたしました。そして、競馬開催期間中には、監視員による常駐監視を行ってまいります。 また、携帯電話などの通信抑止装置を新設するとともに、親族も含めたネット会員の加入状況を定期的に確認し、ネットによる馬券購入を排除してまいります。 なお、五月に入ってからも不適切な事案を発表することとなりましたが、いずれも三月以前の事象であります。このため、今申し上げた対策を引き続き徹底するとともに、例えばSNS上の不適切な投稿を専門業者に委託して監視したり、あるいは組合独自の税務相談を対策に追加するなど、不断の見直しを行ってまいります。 第三の組織体制の強化については、先ほど知事が答弁申し上げたとおりですが、何よりも公正確保対策の実効性を確かなものにしなければなりません。管理者として、現場を預かる管理者代行や運営監察監との定例会議に出向くなど、併せて常時の連絡体制を密にするホットラインを設けておりまして、こうしたことで県がヘッドクオーターとしての役割を果たす、そういう思いで取り組んでまいりたいと考えております。 次に、競馬の再開に向けましては、先ほど申し上げました納税等に関する研修会を機に、修正申告が必要な者が複数いる可能性があることが分かったことから、まずは確実に必要な修正申告をしてもらい、その上で競馬を再開することとしました。 このため、運営監視委員会の御指導の下で、関係者への税務相談、修正申告内容の確認と聞き取り調査を鋭意進め、おおむね一連の作業に目途がついたところでございます。 今後、速やかに最終的な検証結果、講じるべき対策を取りまとめ、関係機関と協議した上で、公営競技団体の指定申請など必要な手続を進めてまいります。 なお、所管官庁であります農林水産省や総務省、地方競馬全国協会には、進捗状況等について、その都度報告して進めてきておりまして、六月十四日には、私が直接出向いて再開に向けた現状を御報告し、御理解をいただいたところでございます。 また、再出発を図る上では、従来のようにネットや他場で笠松競馬の馬券販売をお願いしていくことが欠かせません。このため、引き続きネット販売事業者や他場への丁寧な説明を尽くしてまいりたいと考えております。 最後に、今後の経営課題についてお尋ねがございました。 笠松競馬の経営には、様々な課題があると承知しております。とりわけ老朽化した施設の計画的な建て替え、厩舎関係者の手当の改善といった笠松競馬運営の土台となる環境整備は大きな課題と考えております。 また、今回の不適切な事案の発生により、その信頼は大きく揺らぎ、マイナスからのスタートとなることから、新たな魅力づくりにも挑戦していく必要がございます。一方で、足元ではレースの自粛により、まさに経営危機の状態にあります。昨年度は一月から三月までレース中止となったものの、何とか単年度黒字の見通しとなりましたが、今年度は四月以降開催されておらず、この状態が続けば大幅な単年度赤字は避けられないものと考えております。 したがって、目下の最優先の課題は、でき得る限り早期に競馬を再開し、経営を軌道に乗せることであり、そのためにもるる申し上げました対策をスピード感を持って確実に実行していくことと考えております。 ○副議長(松岡正人君) 九番 今井政嘉君。    〔九番 今井政嘉君登壇〕(拍手) ◆九番(今井政嘉君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、今回は福祉人材の確保と定着支援の取り組みについてと下呂市と連携した南飛騨健康保養地増進センターの活性化について、二点質問させていただきます。 少し前のことになりますが、障がい児の保護者より、夜間など急用により、下呂市内で障がい児を預ける施設がなくて困っているとのお悩みをお聞きする機会がございました。 御存じの方も多いと思いますが、障がい者福祉の制度の中には、短期的に施設に入所して介護・支援を受けることができる短期入所とかショートステイと呼ばれるサービスがあります。これは、例えば自宅で暮らす障がい者の介護をしている家族が病気になって介護ができない場合などに、一時的に障がい者の方を施設に預かっていただき、必要な介護等を受けるものですが、けがや病気に限らず、例えば冠婚葬祭への出席など、介護に当たる家族の方がお休みが必要な場合にも利用できるものです。 しかし、中山間地の下呂市には、障がい児の短期入所施設がありません。その方も、入所が必要な場合には、片道一時間以上離れた高山市もしくは可児市まで赴く必要があり、時間的に余裕がないときや突発的に家族で面倒を見ることができないような状況になったときは、大変な御苦労が伴うとのことでした。 このお悩みを今でも解決することはできておりませんが、このお話を伺ったときに思い出したことがありました。それは、私が下呂市議会議員時代に視察した富山型デイサービスのことです。 富山型デイサービスとは、一言では言い表せませんが、年齢や障がいの有無にかかわらず、誰もが一緒に身近な地域でデイサービスを受けられるサービスのことであります。一般的にデイサービスとは、高齢者施設であれば、高齢者のみがその対象となるわけですが、富山型デイサービスはそうではありません。赤ちゃんから高齢者の方まで、誰もが利用できるデイサービスです。そこでは、実に自然体のまま、高齢者と障がい者が同じ建物の中で一緒に生活しているかのごとく過ごされていました。また、高齢者と障がい者が一緒に買物に行ったりすることで、高齢者は障がい者を、障がい者は高齢者をお互いに見守り、助け合うことにつながっているほか、例えば朝方の急な発熱により保育園に行けない子供がいる仕事を休めない親御さんに対応したような、短時間の病児保育にも取り組まれておられました。 近い将来、福祉の質と量の両面において、さらに一層の充実が求められる時代がやってくることは確実だと思っています。富山型デイサービスは、実に理想的な取り組み・運営であり、下呂市のような中山間地における福祉事業の目指すべき形の一つではないかと素直に思うところでありました。 さて、福祉制度と福祉サービスということを考えるとき、目が行きがちなのがハード面、いわゆる福祉施設であります。そこで、冒頭の件をきっかけに、岐阜県の障がい児施設の数を調べてみました。そうしたところ、全部で四百七十の障がい児施設があり、飛騨圏域ではそのうち三十七の施設が設置されていることが分かりました。これは割合に対しますと約七・九%という数字になります。ここだけ捉えると飛騨圏域には福祉施設が少ないという結論に達してしまうのですが、実はそうではありません。というのも、県内の十七歳未満の人口比率を調べてみたところ、飛騨圏域の数字は七・一四%であり、むしろ適切な施設配置がなされているからです。確かにあり余るほどの施設があれば誰も困ることはありませんが、現実的ではありません。 では、何が主たる課題がと考えたとき、それはやはりソフト面、つまりは福祉分野における人材不足や職員の離職にあると思うのです。 実例として、現在は既に解消されていますが、下呂市内で新しく老人介護施設が整備されたのはよかったのですが、働く人、支える人が不足になってしまったため、幾つかのサービスが受けられない事態が生じたことがありました。本末転倒と言われるかもしれませんが、これが現実です。しかし、中山間地では人材を確保しようにもままなりません。今後の情勢も極めて厳しいものがあります。 一番の原因は、少子高齢化に伴う人口減少です。 下呂市の話ですので、下呂市の数字を例に挙げますが、令和二年度の下呂市の生産年齢人口は一万五千五十一人ですが、十年度の令和十二年には一万千五百九十一人に、令和十七年度には令和二年のおよそ三分の二となる一万四十七人にまで減少することが予想されていますし、その先も生産年齢人口が増加に転じることは、残念ながら見込まれておりません。 一方で、第一号被保険者数(六十五歳以上)の増減に目を向けますと、令和二年度では一万二千七百三十八人、令和十二年度には一万一千九百五十八人と微減、令和十七年度も一万一千三百十九人と緩やかな減少は見られるものの、ほぼ横ばい状態の数字となっております。総じて申し上げますと、高齢者人口は横ばい、生産年齢人口は大きく減少、どの産業分野でも人手不足が叫ばれていますが、福祉分野における人材確保はより一層厳しくなることが予想されます。放置すれば地域社会と地域の生活は崩壊してしまう、そんな危機感を常に持っているわけであります。 なお、皆様も御存じのように、この問題は下呂市に限った問題ではありません。岐阜県全体、日本国全体の問題でもあります。また、よく言われていることの一つに、福祉業界に対する、昔でいう三Kのようなイメージが漂っている感も否めず、せっかく人材を確保したとしても、定着しなければ何の意味もありません。イメージアップや離職防止につながる取り組みと不断の検証を重ねていく必要もあります。 下呂で私がお伺いした悩み事は、全体から見れば小さなことの一つにすぎないのかもしれません。しかし、その小さな一つのことの原因を考えたとき、それは下呂市だけの問題にとどまらず、県全体で早急かつ適切に手を打っていく必要があるほどの問題であるのです。 そして、その裏を返せば、県が主導的に課題や問題に取り組み、解決することが県民全体の幸せにつながり、ひいては今日も下呂や中山間地で困っている誰か、必要な福祉サービスを受けたい誰かを助け、よりよい福祉サービスにつながると強く思っております。 幾分抽象的、感覚的なお話をしたかもしれませんが、福祉人材の確保や定着の支援は、中山間地のみならず、岐阜県全体の福祉のためにも、先送りできない喫緊の課題であることを強く申し上げた上で、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 よりよい福祉サービスを継続して提供していくためには、福祉の支え手の充実が不可欠であると考えますが、県では福祉を支える人材の確保と定着に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。 次に、私の地元下呂市にあります南飛騨健康増進センターの活性化について、質問をさせていただきます。 私が南飛騨健康増進センターに関する質問をするのは、これで二回目となります。一回目は、コロナの影が忍び寄る令和二年の第一回定例会のことでありました。 そのときは、地元の意見を反映した南飛騨健康増進センターの運営と今後の利活用について質問をさせていただき、当時健康福祉部次長でありました現在の堀健康福祉部長から、下呂市と連携した弾力的な対応や地元の意見を踏まえた施設の活用について検討していただく旨の答弁をいただき、本当にありがとうございました。私としても、さあこれからという感じでしたのが、その後のことは皆様も御存じのとおりです。新型コロナウイルス感染症の広がりにより、国民生活は根本から変容を余儀なくされ、その影響は多方面にわたっております。そして、このコロナの余波は、南飛騨健康増進センターにも及びました。 ところがです。コロナ禍の三密を避け、県内各地でテントを張って楽しむ人たちの姿を多く見かけるようになったのです。ピンチはチャンスという言葉がありますが、なるほどコロナ禍である今だからこそ、センターの活性化につなげることができるのではないでしょうか。そんなきっかけと観点から、今回この質問に行き着いたわけであります。 新型コロナウイルス感染症の拡大が日常生活を劇的に変えてしまったことは、さきにも申し上げているところですが、コロナ禍により注目されたことが幾つかあります。皆さんは何が思い当たりますでしょうか。 とりわけ注目を集め、ブームになっているのは、アウトドアではないでしょうか。 確かに、コロナ禍にあっても、テレビ番組や雑誌で頻繁に取り上げられておりますし、芸能人がキャンプをするために山を購入したことなど、大きな話題になるくらいです。また、アウトドアメーカーの業績も好調であるとのニュースもあり、今は空前のアウトドアブームが起こっているといっても過言ではありません。もちろん、屋外の活動だから感染対策をしなくてもというわけではなく、当然にして適切な感染対策を取る必要はあるのですが、それでも感染リスクが低いレジャーとしてアウトドアが注目を浴びています。 そして、もう一つ、アウトドアに関連して、森林を活用した森林浴や森林セラピーも大きな注目を浴びています。 森林浴には、主に人間の三つの感覚である嗅覚、視覚、触覚を刺激して、リラックスを生む効果があると言われています。なるほど、確かにコロナ禍で外出制限やテレワークなどの環境変化により、生活の中でのストレスを抱えやすくなっている中、森林浴は確かに効果的であると思いますし、コロナ禍で注目を集める理由が分かります。森林セラピーは、森の持つ癒やし効果を心身の健康に生かす取り組みです。 翻って、岐阜は「木の国・山の国」と県民の歌にもうたわれているように、岐阜県は森林が県土の約八割を占める全国でも有数の森林県であり、まして下呂市は言わずもがなであります。これに加えて、流れる川はとてもきれいな水が流れ、四季折々に美しく違った表情があって、地域住民であっても感動を覚えるものです。 そして、この魅力に加え、下呂市が擁する地域資源があるわけですから、今こそその資源とアウトドアや森林浴、森林セラピーを融合させて南飛騨健康増進センターの活性化を進めるチャンスではないでしょうか。 そもそも、南飛騨健康増進センターは、屋外、工芸、体操、キャンプを通じ、自分に合った健康法を見つけるための県の健康施設であります。また、施設も大変充実しており、健康器具が無料で体験できるスペースや健康図書コーナーを備えた健康学習センターをはじめ、食に関わる健康法が体験できる施設や宿泊施設も併設されております。近くには、市が管理する温泉もあります。そして、森の中を通じる散策道を利用したトレッキングが可能であり、今年秋に開催が予定されております全国福祉祭ぎふ大会(ねんりんピック岐阜二〇二一)におけるオリエンテーリングの種目会場にもなっているほどです。 ピンチはチャンス。下呂市が持つ魅力には、まだまだ可能性が秘められていると信じてやみません。図らずも、憎きコロナがチャンスを与えてくれたと思います。 そこで、健康福祉部長にお伺いいたします。 近年、新型コロナウイルス感染症の影響で、人混みを避け、自然の中で楽しむアウトドアが増えてきており、特に森林を活用した森林浴や森林セラピーなどが注目を浴びています。 岐阜県は、県土の八割を森林が占め、また多くの温泉施設も県内にはございます。森林の持つ癒やしの効果を利用した健康づくりなどにより、下呂市と連携して南飛騨健康増進センターの活性化を図るべきだと考えますが、県としてのお考えをお聞きします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。    〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部長(堀裕行君) 二点御質問いただきました。 まず、福祉人材の確保と定着支援の取り組みについてお答えします。 まず人材確保に向けては、これまで福祉の仕事に興味を持ってもらうため、無料職業紹介やハローワーク、ショッピングモールなどでの相談会を実施するほか、福祉職のやりがいや魅力を紹介する動画を作成し、施設職員が高校等に出向いて行う啓発講座で活用してきました。さらに、七月からはツイッターを活用し、就職活動中の若い世代をターゲットに、現場の職員から福祉の魅力を発信する取り組みを開始したところです。 また、財政的な支援として、一定期間介護現場で勤務した場合に返済を免除する資金の貸付け対象者を今年度から他業種からの転職者及び福祉職を目指す高校生に拡大したところです。 次に、定着に向けては、若手職員を対象としたキャリアアップ研修、福祉への思いや悩みを共有できる仲間づくりを進める交流会などの開催に加え、福祉の職場での困り事を相談できるサポートダイヤル事業を実施しております。また、先ほど伊藤議員にお答えした加算取得支援など、処遇改善に向けた取り組みも行ってまいります。 次に、下呂市と連携した南飛騨健康増進センターの活性化についてお答えします。 南飛騨健康増進センターは、県民の健康づくりを推進する施設として、森林浴やそば打ちなど、豊かな森と地元の食を組み合わせた体験講座や、広大な山林を利用して開設したオリエンテーリングコースを活用した健康づくり事業を実施しております。 さらに、昨年度からは親子で楽しめるよう、新たに自然観察やキャンプ体験などの講座も加え、様々な年齢の方々に利用いただけるよう取り組んでいるところです。 また、定期的に地元の方々や下呂市と意見交換を開催し、講座の見直しや散策道の維持管理などの運用改善を図ってまいりました。 一方、昨年からの度重なる新型コロナの感染拡大により、県内外から誘客を図ることができない期間が続き、今後についても不透明な状況が続いています。そのため、まずは地元のニーズや特性を把握している下呂市と協働で、センターが持つ自然の魅力を生かした企画事業を展開し、下呂市内住民の利用促進を図り、コロナ終息後には県内外に情報発信し、センターの活性化を図ってまいります。 ○副議長(松岡正人君) 三番 山内房壽君。    〔三番 山内房壽君登壇〕(拍手) ◆三番(山内房壽君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問を行います。 今回は、大きく一項目、コロナ禍の影響について三点質問をさせていただきます。 初めに、新型コロナウイルスに感染された方、そして闘病後にお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、お見舞いを申し上げます。 古田知事におかれましては、一月に再選を果たされ、引き続き県政を担っていただいております。一昨年の豚コレラ後の豚熱の対策、昨年からは一年四か月にわたり、新型コロナウイルス感染症対策で、連日予断を許さない状況の中、県民の命を守っていただいております。古田知事をはじめとする職員の皆様、医療従事者の皆様、関係者の皆様には敬意と感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。 それでは一点目、教育現場における影響と今後の取り組みについて伺います。 堀新教育長におかれましては、四月より着任され、岐阜県の教育行政のトップとしてコロナ禍の厳しい状況の現在、将来を担う子供たちを育成していただく重要な役割を担っていただきます。よろしくお願いします。 就任時の報道によりますと、堀教育長は東濃高校教頭、不破高校校長などを経られて、二〇一八年四月から教育次長に、そして本年教育長に就任されました。現場の教員出身の教育長は二十五年ぶりとのことです。 私が県議会議員となって一年目は、教育警察委員会所属となり、二年目も同じ委員会で、堀教育長とは次長さんとして委員会で大変お世話になりました。委員会の視察に同行いただいた際には、視察の説明や教育方針などを丁寧にお話ししていただきました。学校や生徒さんの話になると熱く語られ、昨年の新型コロナウイルス感染症対策による学校休業の際には、学校との調整に大変御苦労されたとお聞きしております。現場の状況を把握してみえる方が教育長となられ、大変期待をしております。 さて、新型コロナウイルスは、教育現場において大きな影響を及ぼしました。県内で初めて新型コロナウイルスの感染者が発生した令和二年二月末に県教育委員会は、教育長名で小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校に対し、三月二日から春休みの前日まで、新型コロナウイルス感染症対策のため、一斉に臨時休業の通達を発出しました。その後、休業は四月十九日まで延長となり、五月六日まで再延長、最終的に学校再開となったのは六月一日からでした。 学校では、休業の間、課題一覧やプリントを配付し、家庭学習やオンライン学習支援の実施、メールを活用した質問などへの回答や連絡、電話やSNSを活用した心のケアなど様々な対応をされてきました。六月に順次学校は再開されたものの、教室は以前のような状態ではありませんでした。健康の確認や手洗い、マスクの着用など、感染症対策の徹底や人との距離を十分に保つソーシャルディスタンスなどで、密閉・密集・密接の回避、教師と生徒、生徒間同士の会話も控える状態となりました。 このような状況では、直接顔を合わせたコミュニケーションも図れず、学業の習得にも影響があると思われます。 このほかにも、教育現場での様々な影響が報道などで取り上げられております。 例えば授業中のマスクの着用により、子供たちの顔と名前が一致しない。声が聞きづらく、何度も話を聞き返すことが増えた。唇の血色や表情を確認できず、子供の様子が分かりづらい。周りの雰囲気を敏感に感じ取り、マスクを外せない子や知覚過敏だが我慢してマスクをしている生徒もいる。教員はそのような子供たちの様子を見守るアンテナを張り巡らせているが、緊張がいつまで持つのか分からない。三密を避けるために学習の中での話合いが困難になっている。体力や精神の変化としては、以前は定期的に体育の授業があり、放課後にはスポーツ活動をしてきたときに比べると、不注意によるけがが増え、危険を避ける力が落ちたように感じる。体力の低下や運動不足などから、体調不良を訴える子が増えた。 保健室登校や不登校について、小学校では、昨年は新年度から休校が続いたため、母親など家族離れがスムーズにできず、登校を渋る新入生が多かった。学校行事については、児童・生徒の成長の場ではあるが、実施に強い不安を持つ保護者も見え、規模を縮小したり分散したりする工夫が必要である。昨年は遠足や球技大会が中止となった。行事がない中、クラスになじめるか不安の声も聞かれた。行事はクラスが団結するために重要な役割を果たすと実感しているなどといった声が聞かれているそうです。 以上、幾つかの事例を紹介しましたが、学校現場ではこういった様々な影響や課題が発生しており、コロナ禍の現在とコロナ終息後の教育環境に対して、私自身も危惧をしております。 そこで、教育長にお尋ねします。 教育現場におけるコロナ禍の影響と、それを踏まえた今後の取り組みについてお聞かせください。 次に、二点目のタブレット端末を活用した教育における生徒と教員の対話の重要性について伺います。 二〇一九年十二月、文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想、一言で言うと児童・生徒向けの一人一台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を全国の学校現場で持続的に実現させる構想が出されましたが、岐阜県ではそれに先んじて、二〇一九年三月に策定した岐阜県教育振興基本計画(第三次岐阜県教育ビジョン)により、地域への貢献を目指した探究型のふるさと教育に力を入れるべく、先進的なICT機器の環境を整備してきました。 二〇一九年度中には、全県立高校の全ての普通教室と一部の特別教室に固定式の、全県立特別支援学校に可動式のプロジェクター、無線LAN、ホワイトボード、実物投影機(書画カメラ)、そして約四千台のタブレット端末サーフェス・ゴーを導入され、岐阜県が目指すICTを活用した主体的・対話的で深い学びを加速させました。 こうした整備は、昨年、誰もが予想していなかったコロナ禍による臨時休校の際に大きな役割を果たしました。岐阜県は、昨年の四月中旬から県立高校でのオンライン学習支援の準備に取りかかり、僅か十日間あまりで順次実現し、全県立高校六十三校と特別支援学校二十校を含めた八十三校での実施は、当時全国でも珍しく、その画期的な施策が注目を集めました。 令和二年度後半には、一人一台のタブレット端末環境の整備が行われました。タブレット端末を活用した授業は、教育警察委員会でも視察させていただきました。最初はeラーニングや先生が作成した画像を配信して生徒が視聴する片方向型でしたが、その後は先生と生徒の同時双方向型となりました。学校が再開している現在は、動画や画像などを活用した分かりやすく効果的な授業、調べる・作成する・共有するなど、生徒が主体的・対話的に学ぶ授業などタブレット端末を活用した授業の取り組みがなされています。 ICT教育には多くのメリットがあります。 例えばビデオ会議機能を使って、海外の学校の生徒や教員の顔を見ながら英語でやり取りを行うことができるなど、授業内容の幅が広がります。ICT教育で使用するITツールによって、画像や動画を活用した分かりやすい授業を行うことができ、生徒の興味・関心を高め、学習に対するモチベーションが高まります。また、教員から生徒への一方通行の授業ではなく、タブレットを使っての主体的・協働的な授業ができることも生徒の学習に対するモチベーションを高めます。 生徒にとっては、タブレットを使えること自体が楽しいものです。そして、生徒も教員もテキストによる文字情報だけでは伝えづらいことを画像や動画などを使って視覚や聴覚に訴えかける情報によって伝えることができるので、楽しみながら効率的な学習を進めることができます。挙手をして発言をしたらがない生徒でも、PCを使った共同編集などでは授業に積極的に参加しやすくなります。 また、PCやタブレットを使うことで、教員も効率的に授業を行うことができ、板書時間やプリントを用意する時間などを削減することができます。教員にとっては、紙ではなく電子データを扱うことになるので、情報の利活用が楽にできるようになり、かつインターネットを使うことで情報を早く仕入れることができ、作業の時間短縮につながります。 一方で、デメリットもあります。 ICT機器は便利ですが、管理や故障対応も行う必要があります。また、情報漏えい防止などに気を配る必要があります。これらが教員の負担を増やすことにつながることが危惧されています。また、ICT機器に苦手意識を持つ教員もいます。そのような教員にとっては、機器の操作面などで負担となることが予測されています。 ICT機器は、あくまでツールであることを理解しておらず、ICT機器を使うことが目的になってしまうと授業効率が悪くなることがあります。また、生徒はICT機器を使うことでインターネットを使って何でもすぐに調べてしまうことができるようになるので、生徒の想像力の低下につながると懸念されています。 ICTタブレット端末を活用した教育は、多くの可能性を含んでおり、これからの教育には欠かせないものであることは間違いないと思いますが、私自身も非常に懸念していることがあります。 それは、先生と生徒が対面する時間の減少です。先ほどもコロナによる教育現場への影響を述べましたが、コロナ対策のために距離を取り、近づかず、マスクをしてできるだけ話さず、タブレット端末に意見を入力しての授業は、先生と生徒の心の距離が離れていってしまうような気がします。顔の表情を見て話をする、その返事をしたときの声の強弱で生徒の気持ちが分かるのだと思います。昨年度の教育警察委員会の中でも、コロナの影響による先生と生徒の対話不足、心のつながりができにくい環境に危惧をする声がありました。 堀教育長は、就任の記者会見で、ICT教育推進室を設置し、タブレット端末が子供たちに行き渡り、今までより時間を短くして取り組める部分はある。一方で、対面での授業も重要、ICTの技術をいかに盛り込むか考えていく旨、述べられています。私は、コロナの対策を図りながら、生徒と先生が心のつながりが持てる環境づくりについても推進していってほしいと思っております。 そこで、教育長に伺います。 タブレット端末を活用した教育における生徒と教員の対話の重要性について、どのように認識しておられるか、お聞かせください。 次に三点目、県内産業への影響に対する支援についてお尋ねします。 新型コロナの世界的大流行から一年以上が過ぎ、ワクチン接種が進んでいるものの、いまだ世界的に人・物の動きや経済活動は制限され、国内の経済もまだまだ厳しい状態が続いています。 実際に、幾つかの最新のデータから、本県の経済状況について御紹介させていただきたいと思います。 日本銀行が発表した東海三県の六月の金融経済動向を見てみますと、全体としては厳しい状態が続く中でも持ち直している。輸出と生産は増加基調にあり、個人消費も全体としては持ち直し傾向にあるが、飲食・宿泊サービス等で下押し圧力の強い状態。雇用・所得情勢は弱い動き。 金融環境については、東海三県の金融機関(国内銀行・信用金庫)の貸出しは、運転資金需要を背景に前年を大幅に上回っており、平均金利は引き続き低下傾向。景気の先行きについては、持ち直しの動きが続くと期待されるが、そのペースは緩やかなものにとどまると見られるとあります。 また、岐阜県商工労働部が取りまとめています「ぎふ経済レポート」の令和三年五月分の景気動向を見てみますと、四-六月期の景況DI(企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したもの)は、製造業で二四・四ポイント、非製造業で一三・三ポイント上昇。同売上高DI見通しは、製造業で五二・一ポイント、非製造業で三六・八ポイント上昇しています。 産業別ごとの状況を見てみますと、製造業においては三月の地場産業(刃物を除く)の鉱工業生産指数は、前月と比較して、パルプ・紙、繊維工業、家具、木材・木製品で上昇しているが、食料品と窯業・土石はマイナスとなっています。 参考に、窯業、すなわち陶磁器関係の現場から聞かれた声を一部紹介しますと、ホテル・レストラン向けに商品を販売していたが、コロナの影響で売上げは四〇%近く減少した、緊急事態宣言が明け、四月の売上げは比較的好調であったが、五月には受注が急減した。インターネット販売や雑貨売場の商品は堅調であるものの、レストランやホテル向けの食器が不調であるといった意見があったそうです。 観光業については、県内主要観光地における四月の観光客数は、前年同月比一七五・五%と十五か月ぶりの増加となりましたが、コロナ前の前々年と比較するとマイナス四四・二%となっています。また、主要宿泊施設における宿泊者数も二七二・五%と増加した一方、前々年同月比ではマイナス六八・五%となっており、宿泊施設からは、地域観光産業の支援のため、県内GoToを早く始めてほしい、先行きが不透明で、全社員が出勤できるだけの売上げがない、雇用調整助成金の特例措置が終われば、リストラをしなければならない可能性が高いといった声も寄せられているそうです。 資金繰りについては、四月の岐阜県貸出金残高は三兆三千六百二億円で、前年同月比二・三増とプラス基調が続き、県制度融資実績は、金額が四百一億一千百万円で、前年同月比の約二・二倍、件数は千八百二十九件で前年同月比の約二倍となっています。 なお、従業員規模別では、五人以下の小規模事業所が全体の五八・三%を占めています。 また、東京商工リサーチの調査によると、一月から四月までの累計倒産件数は三十一件と、前年同期の六十二件から三十一件減少。累計負債総額は八十二億五千二百万円となり、前年同期の六十億三千万円から二十二億二千二百万円増加で推移しています。 これらの分析結果を見ると、現在の本県の景気動向は緩やかな上向き傾向が見られるものの、産業によってはまだまだ景気回復の見通しは立っていない状況にあると言えるのではないでしょうか。 私自身、次の三つの産業の状況について、特に懸念をしております。 一つ目は観光産業です。 県は、平成二十九年度から、観光産業の基幹産業化プロジェクトを岐阜県成長・雇用戦略二〇一七の重要プロジェクトの一つに位置づけ、観光消費拡大につながる質の高い観光資源づくりや主要観光地の魅力を生かした観光誘客プロモーション、世界に選ばれる観光地域づくりに取り組み、岐阜県ならではの周遊・滞在型観光の定着を図る政策を進めてこられました。その結果、令和元年の観光入込客数(実人数)は四千七百九十九万五千人となり、戦略策定時に設定していた目標値を早期に達成するなど、県内の観光産業は順調に推移してまいりました。 しかし、コロナの流行により、県内の観光産業は大打撃を受け、詳細は説明するまでもありませんが、昨年三月には新平湯温泉で最大規模の旅館が事業停止する状況となりました。コロナ発生以降、長期間にわたる人の移動制限が続いており、観光関連の企業は経営存続の危機にあります。 二つ目は、飲食店産業です。 昨年四月十八日から五月三十一日に県として初めて飲食店等に対し、営業時間短縮の要請が出されました。その後、第三波発生時の十二月十八日から三月十一日までの約三か月間、第四波発生時の本年四月二十六日から七月四日までの約二か月半にわたり、時短営業をお願いしてきました。特に、先月二十日まで発令されていたまん延防止等重点措置では、時短営業とともに酒類の提供は終日行わないことを要請しており、やむを得ず休業を選択する店も多くありました。 三つ目は、一つ目の観光産業と二つ目の飲食店産業と大きな関わりを持っている多治見市、瑞浪市、土岐市が主産業とする美濃焼の陶磁器産業です。 ホテルや旅館、飲食店などで使用される器の多くは美濃焼です。時短要請や休業で飲食店や宿泊施設の売上げが減少する状況では、器も使用されることがなく、陶磁器の売上げも減少となります。先ほど、陶磁器関連で売上げが四〇%近く減少したとの現場の声を御紹介しましたが、それは一般食器も含めた卸販売をされる商社であり、業務用食器やお土産品を生産される陶磁器メーカーでは、売上高は一昨年から七割から八割程度減少しているとの声も聞かれます。 県は、今議会の補正予算でも様々な支援を予定されていますが、予断を許さない今のコロナ禍の状況では、景気回復はまだまだ厳しい状況が続くように思われます。時短要請が解除されても、お客さんが以前のようにすぐには戻ってきません。ホテルや旅館、飲食店等はお店が回転し、利益が出たときでないと新しい食器を購入することはありません。陶磁器産業の景気回復の見通しは見えてきません。 既に、五月の専決予算により、宿泊業者や酒類提供事業者等へは、県独自の一時支援金、営業時間短縮に協力いただいた飲食店に対しては協力金などの支援策を実施していただいておりますが、経営再建までには時間がかかると思います。 もちろん、これら三つの産業のほかにも、県内にはまだまだ多くの企業が景気回復の見通しができない状況であります。 そこで、商工労働部長に伺います。 こうした県内産業への影響に対する支援について、今後どのように取り組まれるのか、お聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(松岡正人君) 教育長 堀 貴雄君。    〔教育長 堀 貴雄君登壇〕 ◎教育長(堀貴雄君) 二点御質問がありました。 初めに、教育現場への影響と今後の取り組みについてお答えします。 新型コロナウイルス感染症は、様々な形で学校に影響を与えています。特に、修学旅行や部活動の大会等、一度きりの機会が奪われた子供たちにとっては本当につらい経験でした。また、本県においては不登校やいじめの増加等の傾向は現れていないものの、子供たちが心身ともに影響を受けていることは間違いなく、変化を見落とすことがないよう、いつも以上に声かけや教員間での情報共有の機会を多くしています。さらに、必要な学校行事や修学旅行についても、感染状況を踏まえつつ、これまでの知見で得た感染防止対策を十分に講じた上で実施してまいりたいと考えております。 一方で、感染防止対策のため、全校集会や学校行事等、これまで当たり前に行っていたことについて、その実施方法を含めて見直さざるを得なかったことにより、真に必要なものの整理が進んだことも事実であります。感染が終息した際にも、そのまま元の形ではなく、今回の経験で得つつある知見を生かし、今までの形にはとらわれない柔軟な学校運営を行うことが重要であると考えております。 次に、タブレット端末を活用した教育における生徒と教員の対話の重要性についてお答えをします。 ICT環境の整備は、第三次岐阜県教育ビジョンにおいて、主体的・対話的で深い学びを実現するための基盤として位置づけられている中、生徒と教員との対話やコミュニケーションを重視した対面による授業の重要性はこれまでと変わるものではありません。 現在、ICT機器や学習支援ソフトを使用することにより、効果的・効率的に授業を進め、子供たちとの対話やコミュニケーションの場面を確保しようとする取り組みや校務のデジタル化により教員の業務を簡素化・効率化する働き方改革を推進し、教員が子供たちと向き合うための時間を創出しようとする取り組みを各学校で始めているところです。 一方で、教員が長年培ってきた指導力やコミュニケーション能力も授業を進める上で大変重要であると考えております。引き続き、その充実を図るとともに、ICTを活用する能力も高めることにより、子供たち一人一人の小さな声も受け止め、それぞれの個性を伸ばす学びの実現に取り組んでまいりたいと思っております。 ○副議長(松岡正人君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 新型コロナの国内産業への影響に対する支援についてお答えします。 厳しい経営状況にある事業者支援に向けては、まずは直面するまん延防止等重点措置などの影響への対策として、売上げが一定以上減少した事業者を幅広く支援するため、国の月次支援金の対象要件を緩和した独自の支援金を支給してまいりたいと考えております。 また、深刻な状況が続く観光業に対しても、安全・安心な旅行を提供できるよう、宿泊施設の非接触チェックインシステムやCO2測定機器の導入支援などにも取り組んでまいります。 今後は、需要の回復に向けて、七月から大手ECサイトで陶磁器をはじめとする県産品のWEB物産展を開催するほか、感染状況を見極めながら、県民を対象とした県内旅行の割引キャンペーンの実施、GoToイートの食事券の販売再開に向けた国への要請、さらには愛知県などの近隣県や首都圏における県産品フェアなども開催してまいります。 今後も、引き続き経済情勢や業種ごとの状況を丁寧に把握し、必要な対策をちゅうちょなく実行してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(松岡正人君) しばらく休憩いたします。 △午後三時十八分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後三時四十五分再開 ○議長(佐藤武彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) お諮りいたします。本日の会議時間をあらかじめ延長いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(佐藤武彦君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議時間を延長することに決定いたしました。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。四十三番 村下貴夫君。    〔四十三番 村下貴夫君登壇〕(拍手) ◆四十三番(村下貴夫君) 議長のお許しをいただきましたので、通告により二項目について質問をいたします。 まず最初に、食肉基幹市場の建設促進について質問をいたします。 家畜は、英語では生きた備蓄を意味する「ライブストック」といいます。これは元来人間が生きる糧として、いざというときに飼育していた牛、豚などを天からの贈物として自らの手で屠殺、すなわち命を奪い、肉として神に感謝し頂いてきたことを如実に示しています。もちろん現在では、個人が屠殺することは認められておらず、日本では屠畜場法により、食用に供する目的で家畜を屠殺し、または解体するために設置された施設を屠畜場と定義し、法の対象となる牛、馬、豚、綿羊及びヤギは屠畜場以外の場所での屠殺、解体は規制されております。この規制は明治三十九年の屠場法の規定に端を発し、当時、民営によっていた屠畜場の衛生管理を徹底するため、一定の衛生管理基準を具備した公営屠畜場を優先する制度が確立されました。戦後になって、食肉需要の増加に応え、昭和二十八年に現在の屠畜場法に改められた際に、私設屠畜場の開設を推進すべく、公営優先の規定は削除されましたが、地域の実情により公営による適正な衛生管理が期待されたため、幾つかの屠畜場が公設として現在も存続している状況であります。 なお、屠畜場は施設の呼称として、食肉処理場や食肉センターなどと称しています。 現在、一定の衛生基準の下で家畜を屠殺し、公的な検査を受け、食肉を流通させる食肉処理場は、県内には岐阜市、関市、高山市、養老町の四か所にあります。このうち高山市に平成十四年から設置されている飛騨食肉センターは、飛騨ミート農業協同組合連合会が設置主体となり牛、特に飛騨牛となる黒毛和牛の屠殺に特化し、競りを行う卸売市場機能を備え、輸出対応も可能な施設であります。 また、岐阜市の施設は、卸売市場法に基づく牛と豚の両方の競り機能を有する食肉処理場であることから岐阜市食肉地方卸売市場と称し、特に豚において県内唯一の卸売市場となっています。 関市食肉センターは、地域の食肉事業者の組合が構成員の購入した家畜を屠殺する施設ですが、豚に特化した屠殺及び牛肉を含めた店舗販売用の精肉としての加工を担い、中でも県が開発した種雄豚ボーノブラウンから生産される銘柄豚肉ボーノポークの格付を担う唯一の施設となっています。 養老町立食肉事業センターは、関市と同じく地域の食肉事業者の組合が利用する施設ですが、牛と豚の両方を取り扱い、養老町の食肉産業を支える拠点となっています。 このように県内の食肉処理施設はそれぞれに特徴を持っていますが、飛騨食肉センターを除く岐阜市食肉地方卸売市場、関市食肉センター、養老町立食肉事業センターは、いずれも設置者が市町であり、設置から現在まで、岐阜市は五十四年、関市は四十四年、養老町は四十一年とかなりの年月が経過しており、老朽化していることは否めません。しかし、多額な資金を必要とする施設整備費を市町単体で負担することは困難であり、国の支援制度を活用するため、これら三つの施設の統廃合を前提とした再整備が不可欠な状況にあると言えます。 ここで、これまでの県内の三つの食肉処理施設の再整備に関する検討の経緯を振り返りたいと思います。 平成十九年は、二月に愛知県名古屋市中央卸売市場南部市場、滋賀県近江八幡市の滋賀食肉センターと、近隣県で新たな食肉施設の竣工、運用が相次いだこともあり、県内施設に対する問題意識は、食肉流通業者の間に急速に高まりました。 こうした状況を踏まえ、平成二十年一月に岐阜県の食肉流通事業を担う業界団体である岐阜県食肉事業協同組合連合会は、卸売市場機能を有した食肉処理場、いわゆる食肉基幹市場の再編整備を検討するため、食肉流通研究会を設置されました。 しかし、再編整備の具体化には流通事業者だけではなく、行政、農業関係団体などの関係者の連携が必要であることから、研究会を発展的に解消し、平成二十一年五月二十日に連合会会長が発起人となり、岐阜市、関市、養老町などの関係七市町、畜産物の産地である五農協、生産者や流通業者などの十団体の計二十二組織により、岐阜県食肉基幹市場建設促進協議会が設立されました。県はこの協議会のオブザーバーとなっており、これまで議論を進める上で重要な役割を担っていただいたと聞いておりますし認識をしております。協議会では、設立後数年にわたり県外の視察、農林水産省への相談などを行ってきましたが、統廃合、再整備の事業計画の具体化はなかなか進捗しませんでした。 そこで、県が議論の場を別に主催し、平成二十五年度に、市場機能を有した食肉処理施設を一か所に統合設置すること、設置場所は養老郡養老町地内とすること、平成二十六年度には、事業主体の構成を公社方式とすること及び作業を行う組織の編成をすることを関係者が確認した上で、協議会がこの内容を総会で決定されました。 これを受けて、平成二十七年度には協議会の下に、岐阜県、関市、養老町、全農岐阜県本部、岐阜県食肉事業協同組合連合会、岐阜県の職員から成る作業部会を設置し、基礎的な事業計画となる作業部会報告書が完成しました。この報告書の策定に当たっては、神奈川県、三重県、長崎県、大分県などの公社方式の食肉処理場の県や市町村、団体の出資状況や飛騨食肉センターの事業費負担割合などが参考にされたと伺っております。 さらに、平成二十八年度には、県内全市町村に事業主体の構成員として協力を求めるべく、農政部幹部職員が協議会職員とともに町村長会、副市長会に出向き、作業部会報告書の説明を行っていただいており、この結果、現在、協議会の構成員数は六十二組織と拡大しております。 平成二十九年に入り、県が深く関与する形で、市町村の負担分を協議する市町村部会の設置などが図られる一方、事業主体の具体化に向けて検討などが進められました。 しかし、平成三十年度当初に現施設の設置市町の思惑の食い違いが表面化し、さらにその年の九月に発生した豚熱により、食肉基幹施設の再編整備の進捗は一旦足踏みを余儀なくされている状況にあります。 そもそも、現在市町が保有している屠畜場は、市町の条例に基づく地方公営企業に位置づけられます。地方公営企業は、地方財政健全化の観点から抜本的な改革の対象となっておりますが、令和二年三月三十一日時点の市町村の改革の取組状況を県が調査しており、その結果は県ホームページ上で公表されています。それによれば、岐阜市は岐阜市食肉地方卸売市場について、現行の経営体制、手法を継続とし、その理由を食肉地方卸売市場、関市食肉センター、養老町立食肉事業センターの三施設を再編統合する協議を進めている途中であり、新施設が完成し稼働するまでは可能な限り現行の体制で維持管理を行うとし、養老町も町立食肉事業センターについて岐阜市と同様の回答をしております。 しかし、関市は関市食肉センターについて、民営化、民間譲渡条件について精査中とし、食い違いを見せています。 一方、豚熱の災禍は岐阜県内で令和元年九月まで続き、十八農家二十農場に及びました。防疫措置、すなわち殺処分された豚は七万頭弱に及び、農林水産省の屠畜場統計調査によれば、平成三十年までは年間約十一万八千頭であった県内産豚の屠殺頭数は、令和元年には六万六千頭と四四%減少しています。現在、豚熱発生農場のうち十一農家十三農場が経営再開となっていますが、豚の出荷が通常ベースに回復するのは十一月頃になると見込まれると伺っています。食肉基幹市場の建設構想において、豚は牛より価格的には安いものの、その入荷頭数の総量が多いと想定でき、運営経費の見込みを立てる際に重要な指標となります。現在の構想において豚の入荷は約十二万頭とされており、一日も早い豚の出荷の平常化が求められています。 以上のように、食肉基幹市場の整備は、紆余曲折を経て一応の進展を見ながらも、現在足踏み状態にあるわけですが、今後のさらなる進捗のためには、引き続き県の積極的な関与が不可欠と考えています。 そこで、知事にお尋ねします。 これまで県は、国の支援制度や様々な他県の事例などを研究分析し、必要に応じて協議会の運営、議論の方向などに積極的に指導をされてきましたが、今後、食肉基幹市場建設実現に向け、協議会を通じてどのように関与されるお考えなのか、お伺いいたします。 次に、二項目めとして、養老公園の県営公園開園百周年に向けた取り組みについて質問をいたします。 我が国における近代的都市公共施設としての公園設置については、最初に政府が定めた太政官布達第十六号が示された明治六年一月十五日まで遡ります。これを受け、公園地選定に関する手続が命じられ、東京府において浅草公園、上野公園等の社寺境内地が公園として指定されたのが始まりであります。本県でも同年、高山市の高山城跡を一体とした城山公園と大垣市の大垣城を中心とした大垣公園が初めて公園として開園したと言われています。その後、明治十三年、私の地元養老町にある養老公園が地元の有力者から成る組織の働きかけにより開園し、管理されてきました。明治二十五年には多芸郡、さらに明治三十年には養老郡の管理となり、大正十二年に県営公園として県の管理となりました。 その頃、養老公園の公園改良に尽力したのが、日比谷公園や明治神宮の森の設計を行い、日本の公園の父と言われる本多静六氏です。当時の資料を見ると、実際に養老公園を訪れ、観光拠点にふさわしい園内道路の整備や土産物をはじめとした名物をつくることなどを進めていくよう提言したとされています。このように、養老公園は数多くの先人のたゆまぬ努力により現在に受け継がれており、我々は次の時代に向けて公園の活性化に取り組まなければなりません。 昨今の養老公園の状況を見ますと、入園者数は一時期八十万人に満たない水準まで落ち込んでいましたが、特に平成二十八年十月に策定された都市公園活性化基本戦略に基づく活性化の取り組み以降、平成三十年の駐車場の無料化や養老インターチェンジの開通効果もあって、百万人を超え、令和元年度では百四十万人に届く勢いとなりました。令和二年はコロナ禍となり、養老公園も一時閉園されるなど厳しい状況下に置かれましたが、県、養老町、地域の皆さん、指定管理者等の尽力や連携もあり、屋外で余暇を楽しむ受皿として多くの方々に利用されました。この結果、六月十日に公表されました三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる東海三県主要集客施設・集客実態調査では、養老公園が二〇二〇年の集客数でトップテンに入り、そのポテンシャルが極めて高いことが示されたところであります。 また、令和三年三月に策定された新・岐阜県都市公園活性化基本戦略では、戦略の最終年度である令和七年度末までに、県営六公園合計の入園者数を、令和元年度の七百七十四万人から一千万人とすることとしており、その六公園の一つである養老公園においても、今後さらなる入園者数増加の取り組みが必要であります。このように、アフターコロナを見据え、県内屈指の集客力を誇り、優れた観光資源である養老公園の魅力をもっと県内外へ広めるため、県と地元が連携しながら、さらに盛り上げていくべきであります。 養老公園の長い歴史の節目には、盛り上げるためのイベントが展開されてまいりました。平成二十九年は、元号が養老に改元された西暦七百十七年から千三百年を迎え、それを契機に養老改元一三〇〇年祭が開催されました。また、昨年は明治十三年の開園から百四十年を迎え、コロナ禍ではありましたが、園内にある芝生を広く活用した水遊びイベントの開催、夜間利用としてプロジェクションマッピングやドライブインシアターの実施、キッチンカーによる飲食の提供などの新たな工夫によって、多くの人々にひとときの癒やしが提供されたところであります。 そして、次に訪れる節目が二年後、令和五年には養老公園が県営公園となって百年の節目を迎えます。養老公園の長い歴史にふさわしい、養老公園だけにとどまらない、そのレガシーを他の県営都市公園や周辺地域にも波及させていけるような積極的な取り組みを期待しております。例えば周辺に目を向けますと、関ケ原古戦場の広がりとして、島津勢が敵中突破を敢行した「島津の退き口」がありますが、そのルートの途中に養老公園や養老町の特産である食肉を生かした通称「焼肉街道」があります。また、公園にとって重要な公共交通となっている養老鉄道も巻き込み、これまで継続して実施している桜や紅葉の観光景観林も生かしたエリア一帯としての周遊観光プロモーションなどが展開できるのではないかと考えております。さらに、地元にある様々な魅力ある地場産業などの事業者とも密に連携し、公園を核とした波及効果を最大限に生み出していただきたく、地元としても大いに期待しております。 そこで、都市公園整備局長にお尋ねいたします。 養老公園が県営公園となって百年の節目となる令和五年を迎えますが、これを契機として、県の取り組みについてお考えをお伺いいたします。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 食肉基幹市場の建設促進についてのお尋ねでございました。 御紹介もありましたけれども、県内の屠畜場は本県を代表する食肉ブランド飛騨牛やボーノポークをはじめとする食肉の生産拠点として、県民の食生活を支える重要な施設でございます。しかしながら、岐阜市、関市、養老町が設置する三か所の屠畜場は、いずれも老朽化が進み、再整備が必要となっております。そこで、これらを統合した新たな施設の整備に向けて、平成二十一年に岐阜県食肉基幹市場建設促進協議会が設けられ、協議、検討が重ねられてきたわけであります。 この協議会には、県も当初よりオブザーバーという立場で参加をさせていただきまして、市場機能を有した食肉処理施設を一か所に統合設置する、設置場所は養老郡養老町地内とする、事業主体の構成を公社方式とするなどの基本事項の決定に際し、必要な助言を行わせていただいておりました。また、協議会の中に設置されました作業部会にも参加させていただきまして、建設事業計画案の策定をサポートしてまいりました。 こうした中、平成三十年度に豚熱の県内発生により、屠畜場の経営状況が一変したことなどから、協議会の取り組みが足踏み状態となりました。その後、豚熱がある程度落ち着いた令和元年十二月には、協議会の構成員の見直しとともに、施設整備部会をはじめ四つの部会が設置されるなど新たな推進体制が整えられたところでございます。これには、県としてはアドバイザーとして参加することになりまして、最初の役員会には私自身も出席させていただきまして、国の補助事業の手続促進などについて応援させていただくというふうに申し上げたところでございます。 その後も、昨年度はコロナ禍で十分な検討が進んでいないようでありますが、県としては今年度からスタートした新たなぎふ農業・農村基本計画において、協議会の活動を支援していくことを盛り込んでおります。 そして現在は、御紹介もありましたように、豚熱のワクチン接種、農場の飼養衛生管理の強化等により出荷再開が進み、出荷頭数も順調に回復してきており、今後この協議会の議論も本格化するのではないかというふうに思われます。これに対して県といたしましては、引き続き諸課題への助言、国補助事業活用に向けた農林水産省との調整など、協議会の取り組みを支援してまいりたいと考えております。 ○議長(佐藤武彦君) 都市公園整備局長 湯澤将憲君。    〔都市建築部都市公園整備局長 湯澤将憲君登壇〕 ◎都市建築部都市公園整備局長(湯澤将憲君) 養老公園の県営公園開園百周年に向けた取り組みについてお答えいたします。 養老公園につきましては、都市公園活性化基本戦略に基づき、ここ数年、児童用遊具の導入・充実、屋外トイレの新設、養老天命反転地のリニューアルなど様々な投資を行ってまいりました。 昨年度の百四十周年では、コロナ禍にもかかわらず、分散型イベント、夜間利用など新たな工夫も相まって、年間百二十四万人もの方々に楽しんでいただくなど公園のポテンシャルは高まってきております。 令和五年の養老公園県営化百周年においても記念イベントを予定するとともに、これを一過性にすることがないよう、県、養老町、地域住民、養老鉄道などとで連携しながら、公園の活性化を継続的に図ってまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(佐藤武彦君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は、午前十時までに御参集願います。 明日の日程は、追って配付いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 △午後四時九分散会 ……………………………………………………………………………………………...