• 小川(/)
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  1. 岐阜県議会 2020-09-01
    10月01日-03号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 2年  9月 定例会(第4回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第三号)                   令和二年十月一日(木)午前十時開議 第一 議第九十九号から議第百三十五号まで 第二 請願第十二号から請願第十八号まで 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第九十九号から議第百三十五号まで 一 日程第二 請願第十二号から請願第十八号まで 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十四人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   小川祐輝君      六番   平野祐也君      七番   所 竜也君      八番   今井政嘉君      十番   安井 忠君     十一番   中川裕子君     十二番   伊藤英生君     十三番   澄川寿之君     十四番   水野吉近君     十五番   恩田佳幸君     十六番   若井敦子君     十七番   広瀬 修君     十八番   布俣正也君     十九番   国枝慎太郎君     二十番   長屋光征君    二十一番   林 幸広君    二十二番   高木貴行君    二十三番   野村美穂君    二十四番   高殿 尚君    二十五番   田中勝士君    二十六番   加藤大博君    二十七番   山本勝敏君    二十八番   松岡正人君    二十九番   小原 尚君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   水野正敏君    三十三番   野島征夫君    三十四番   伊藤秀光君    三十五番   平岩正光君    三十六番   佐藤武彦君    三十七番   森 正弘君    三十八番   小川恒雄君    三十九番   渡辺嘉山君     四十番   伊藤正博君    四十一番   村下貴夫君    四十三番   尾藤義昭君    四十四番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君 △欠席議員 一人      九番   藤本恵司君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         服部 敬 総務課長         高野朋治 議事調査課長       梅本雅史 議事調査課管理調整監   三宅誠樹 同    課長補佐    青木陽輔 同    課長補佐    佐藤貴一 同    課長補佐    久富英材 同    係長      市川圭司 同    係長      横川真澄 同    主査      上野由香 同    主査      木村利典…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          平木 省君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        井川孝明君 総務部長         横山 玄君 清流の国推進部長     尾鼻 智君 危機管理部長       渡辺正信君 環境生活部長       西垣功朗君 環境生活部県民文化局長  市橋貴仁君 健康福祉部長       兼山鎮也君 健康福祉部子ども・女性局長              北川幹根君 商工労働部長       崎浦良典君 林政部長         荻巣雅俊君 県土整備部長       船坂徳彦君 都市建築部長       大野真義君 健康福祉部次長(医療担当)              堀 裕行君 教育長          安福正寿君 警察本部長        奥野省吾君 人事委員会事務局長    朝倉和仁君 労働委員会事務局長    桐山敏通君…………………………………………………………………………………………… △十月一日午前十時開議 ○議長(森正弘君) ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。十三番 澄川寿之君。    〔十三番 澄川寿之君登壇〕(拍手) ◆十三番(澄川寿之君) 皆さん、おはようございます。 議長より発言の許可をいただきましたので、岐阜県議会公明党の代表質問を行わせていただきます。 改めまして、令和二年七月豪雨をはじめとした風水害などにより、国内で多くの被害が発生しました。お亡くなりになりました皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。 本県におきましても、風水害と新型コロナウイルス感染拡大という状況の中で県民の皆様には多大な御苦労をおかけしております。まずは、新型コロナウイルス対策と災害対策につきまして、三項目四点について質問させていただきます。 初めに、本県における新型コロナウイルス感染症の感染拡大第二波への対応と今後の取り組みについてお尋ねいたします。 我が会派の水野吉近議員が、六月議会におきまして、本県における新型コロナウイルス感染拡大の教訓を踏まえた第二波への備えについて質問をされました。その中で、第二波の備えでは、長期戦に備え、危機管理の強化と迅速な対応が重要になる、第二波はさらに大きな波となることも想定され、これまで以上に増加する感染疑いの患者に対応できるだけの検査体制の強化や、いわゆるPPEや医療機器の医療・介護福祉施設への十分な備蓄や配備が今後の課題、また長期戦に備えた新しい生活様式への定着支援なども重要など、課題を示しました。 知事からは、第二波への備えとしては、第一に患者急増に備える体制の整備、第二に県民や事業者における感染防止対策の徹底、そして第三に福祉施設などにおける施設内感染への対応体制の確保が不可欠であり、それぞれの取り組みについて御回答をいただきました。 その後、七月から、四月の第一波を上回る感染拡大となったため、七月三十一日に県は第二波非常事態を宣言し、様々な施策を実施されました。一時期には、一日で二桁の陽性患者が確認されるなど厳しい状況となり、また、残念なことに七月以降三名の方がお亡くなりになられました。心より御冥福をお祈り申し上げます。 しかしながら、県民の皆様の御尽力もあり、八月中旬から新たな陽性者数も徐々に減少し、県では九月一日をもって第二波非常事態を解除いたしました。この間、積極的な検査体制の拡充、重症者に対する医療体制、また過度に医療機関に負担をかけないための宿泊療養施設の活用等については、順調に運用されたと認識しております。 一方で、経済との両立というところでは、県民の皆様から多くの御意見を頂戴しました。例えば、前回の緊急事態と今回の非常事態の差はどのような差があるのか。各事業者へ感染防止対策を徹底し、「新型コロナ対策実行中」ステッカーの掲示徹底と掲示店舗の利用推奨となっているが、外出への風当たりが感じられたなどです。また、六月にも質問させていただきましたが、結婚式を予定どおり開催するか否か、県民の皆様を悩ませてしまっているように感じています。 今後、県内消費の拡大や県内旅行の促進なども考えられているようですが、次に感染拡大期を迎えたときに県民の皆様にどのように発信をしていくのか、その内容が重要になってくると感じています。知事が八月二十六日の岐阜県新型コロナウイルス感染症対策に関する経済・雇用再生会議の終了後に、非常事態の解除について慎重に考える旨の発言をされたと報道された折には、県内の事業者の皆様から、どのような基準で延期をするのか、どうなったら終結するのかなどと御心配の声をいただきました。withコロナの時代にあって、一〇〇%リスクを回避することが困難な中で、今後経済との両立をどのように進めていくのか、県民の皆様にしっかり発信をしていく必要があると思います。 そこで、知事にお伺いをいたします。 六月議会以降、当時答弁された新型コロナウイルス対策について、その後、県としてどのように取り組まれたか。また、今回の第二波非常事態への対応と経験を生かし、今後どのように取り組まれるのか、お考えをお聞かせください。 続きまして、新型コロナウイルス感染拡大と令和二年七月豪雨災害の影響により厳しい状況に置かれている中小・小規模事業の皆様への支援について、二点お尋ねをいたします。 言うまでもなく、新型コロナウイルス感染拡大により多くの中小・小規模事業者の皆様が影響を受けています。そして、さらに令和二年七月豪雨の発災により、県内の事業所・店舗等にも被害が及びました。国・県におかれましては、こうした状況を鑑み、積極的な中小・小規模事業者への支援策を実施していただいています。例えば、新型コロナウイルス感染拡大への支援としては、持続化給付金雇用調整助成金家賃支援給付金など、七月豪雨の被災事業者支援として、なりわい再建事業補助金など多くの支援が行われています。 その中で、一つ課題となっていますのがIT格差の問題です。持続化給付金などは、素早く多くの方に給付できるようにインターネットによる申込みが前提となっています。インターネットに慣れた事業者さんからは迅速に対応してもらえたとの声があった一方で、慣れていない事業者さんは申請に手間取ってみえました。また、対面相談の場がなく、相談先に電話をかけてもなかなかつながらない。また、県内各地にも申請を補助する会場が設けられましたが、制度の概要や必要な書類の準備など相談には乗っていただけないとの声も伺いました。 また、県が実施している補助金につきましても、従来縁がなかった事業者さんからどのように進めたらよいのかとの相談もありました。そうした中で御活躍をいただいたのが、岐阜県産業経済振興センターや地域の商工会・商工会議所であります。中でも、地域の商工会・商工会議所の経営支援の方におかれましては、私も県内各地から様々な御相談をいただく中で、御相談窓口として御紹介させていただきました。若干応対について苦言をいただいたこともありましたが、ほとんどの事業者さんから相談してよかったとの声をいただきました。改めて、今回を機に今まで補助金や給付金などをはじめとする各種支援策と縁がなかった方が活用されるようになり、それに伴って事業者支援業務に携わる経営支援員の方々の重要性が認識されたと思います。今後、国の支援策等はインターネットを活用した形が定着するかもしれませんが、まだまだ対面での相談、アドバイスが欠かせません。引き続き、しっかりとした相談体制の構築が必要であると思います。 そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。 まだコロナ禍で厳しい経済状況を鑑みると、中小・小規模事業者の皆様をお支えする相談体制を充実し、より多くの方に御活用いただくことが重要と考えますが、お考えをお聞かせください。 今年、コロナ対策と令和二年七月豪雨への対応と、県内では困難な状況が続いています。そうした中で、令和二年七月豪雨をはじめ、各種被害が発生したときに御活躍をいただいておりますのが地元建設関連業の事業者の皆さんです。 特に、報道でも取り上げられましたが、国道四十一号の復旧につきましては、二十四時間体制で、まさに不眠不休での作業に当たっていただき、八月十七日仮復旧となりました。四十一号が再び開通したことは、地元をはじめ復旧への大きな力となりました。その他、報道にないところでも御活躍をいただいており、改めて感謝申し上げます。 しかしながら、こうした建設関連業界を取り巻く環境についても、コロナの影響が徐々に強まり、今後、民需が落ち込みを見せるとリーマンショックのときのようなことになりかねません。当時は公共工事が大幅に削減され、そこにリーマンショックが重なり、官公需・民需ともに失速し、多くの建設関連業の方が廃業されました。今、建設関連業界も人材不足など様々な課題があります。そうした中、受注機会も不安定となれば、多くの事業者の方が事業を継続することが難しくなるおそれがあります。近年、頻発する災害のことを考えれば、防災・減災対策も含め建設関連業の皆様の活躍は欠かせません。県としても、できる支援をしっかりとお願いしたいと思います。 そこで、県土整備部長にお尋ねいたします。 災害対応等も含めて、今後も地元の建設関連業の方々の活躍が欠かせません。今後、経済の見通しが立たない中で官公需の安定的な確保、地元建設業者への受注機会の確保など配慮が必要と考えますが、お考えをお聞かせください。 先ほども触れましたが、令和二年七月豪雨が本県に大きな被害をもたらしました。この令和二年七月豪雨では、全国で八十四名の方がお亡くなりになりました。改めまして、お亡くなりになった皆様の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。 県内でも被害は甚大となり、被害額は県土整備部所管分で約百八十七億円、農政部所管分約三十四億円、林政部所管分約四十億円、都市建築部所管分約一億円など、全体で二百六十億円を超える金額となりましたが、幸いにも人命に及ぶ被害が出ませんでした。 私自身、発災後、被害が大きかった下呂市萩原地域、小坂地域、白川町など、三度にわたり現地調査をさせていただきました。県が計画的に整備を進めていただいた治山ダム、砂防ダムなども大きな効果を発揮しておりましたが、それでも住家には土石流が流れ込み、大きな被害をもたらしていました。 こうした状況の中、県内で人命に被害が発生しなかった一番の要因は、そうした地域の方々がしっかり避難をしていたからだと認識しました。地域で声を掛け合い、高齢者をはじめ避難行動要支援者も確実に避難をしていただきました。御活躍いただきました皆様に感謝申し上げたいと思います。 今回の災害を受け、本県においては、令和二年七月豪雨災害検証報告書を策定されていますが、やはり災害を食い止めるためのハード対策は限界があります。確実に避難行動を取っていただくことが何より大切です。そのためには、特に地震などに比べれば比較的予測ができる風水害に対応するマイタイムライン、本県においては災害・避難カードと呼んでいますが、このカードの活用をより広げていくべきです。 本県の災害・避難カード普及の取り組みは、平成三十年七月豪雨を受け、岐阜大学との協力の下、開始されました。被災地となった関市上之保地域及び下呂市金山地域から試験的な活用を始められているとのことでしたが、より早く県内に浸透させることが重要です。避難行動は、地域だけでなく、世帯単位で状況が異なります。台風十号が九州地方に接近した際に、熊本県では七月豪雨により避難所の確保が困難であった人吉市などの住民を対象に初めて広域避難の取り組みが行われたことがニュースとなりましたが、御親族や御友人が移動が可能な範囲で安全な地域にいらっしゃれば、事前にそうした場所に避難していただくことも選択肢となります。住居の位置、住んでいる階数など、環境により避難行動は変わってきます。何より大切なことは、自身と大切な方を守るには、最後は自分の避難行動であるとの認識をより広げていかなければなりません。 そこで、危機管理部長にお尋ねいたします。 県民の皆様を守るためにも、災害・避難カードのさらなる普及に向けた取り組みが欠かせないと考えますが、お考えをお聞かせください。 以上で一回目の質問を終わります。 ○議長(森正弘君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 本県におけるコロナウイルス感染症の第二波への対応と今後の取り組みということでお尋ねがございました。 昨日の答弁と一部重なるところがございますが、第一波の収束を機に、県では六月二十二日に「新型コロナウイルス感染症総合対策~「新たな日常」対策~」と題する総合対策を策定いたしました。これに基づきまして、第一に、検査体制につきましては、当初の一日当たり四十件から現時点では八百件を超える水準にまで拡充し、第二に、感染拡大に備えた受入れ可能病床の上積みとそのための空床補償単価引上げ宿泊療養施設の全圏域での確保を行い、第三に、福祉施設における施設内感染発生時の総合支援に係る検討を開始したところでございます。さらに、第五次補正予算成立後、速やかに医療機関、福祉施設、宿泊施設、学校、理美容業、公共交通機関などへの感染防止対策支援金の交付手続に入りました。 そのような中、七月中旬以降、急速な感染拡大に見舞われました。これに対して、七月三十一日に第二波非常事態宣言及び緊急対策を発表させていただきました。以後、第一波の際のいわば一律の対策に加えまして、今回は「愛知県・名古屋」「酒類を伴う飲食」「若者」「学生」「外国人県民」など感染の実態に即応した重点対策の実施、積極的疫学調査によるほぼ全てのクラスターの終息、自宅療養者ゼロの徹底による陽性患者の隔離などを進めてまいりました。そして、九月一日には県独自の基準に照らして、かつ専門家会合でも十分議論した上で非常事態を解除することができたところでございます。 御質問の中で、私の八月下旬の非常事態の解除についての慎重な発言がいろいろと御心配をおかけしたということがございましたが、やはり振り返ってみますと、第一波については三月下旬の三連休の緩みが原因であったのではないかと言われておりますし、第二波につきましては、第二波は秋以降だというようなことでやや緩みがあったのではないかと。加えて七月下旬の四連休と、そして夏休みを控えてというようなことで、私としてはやはり慎重なスタンスで対応していくという思いで申し上げた次第であります。 それから、第一波と第二波はどう違うのかという話もございましたが、少し整理しますと、様々な点で発生状況に違いがございます。 まず、感染者数でございますが、第二波においては、感染者数が第一波と比較して約三倍となっております。発生したクラスターにつきましても、第一波は四つ、第二波では十五のクラスターが発生しております。次に、感染者の年代別で見ますと、第二波のほうが二十代以下の割合がはるかに多いという特徴がございます。 また、入院期間も大きく異なっておりまして、退院ルールの変更もありましたが、第一波の場合には平均二十二・八日隔離された方々が入院しておりました。第二波では九・二日に短縮されてきております。 かように、第一波と第二波は大きく異なりまして、県としては徹底した分析の上、注意喚起とともに総合対策を立ててやってきたと、こういう経緯でございます。 今後についてでございますが、この第二波非常事態解除と併せまして策定した新型コロナウイルス感染症総合対策、サブタイトルが新たな波に備えてということでございますが、これに沿って、さらなる感染症防止対策と経済再生の両立を図っていこうと、こういうことでございます。 今申し上げましたことからも分かりますように、岐阜県の場合には、非常事態宣言をする場合に単に宣言を発するとか、宣言を解除するとか、そういう出し入れではありませんで、そのたびにその時点での総合対策、あるいは緊急対策をパッケージとして出していくと、そういうパッケージそのもの非常事態宣言であり、あるいは非常事態解除宣言であると、こういうことでやっておるわけでございます。 そこで、現在求めております感染症防止対策と経済再生の両立ということでございますが、まず感染症防止対策でありますが、まず基本として、当然のことながら三密回避、酒類を伴う飲食など感染リスクの高い場所や行動の回避、「コロナ対策実行中」ステッカー掲示店舗の利用推奨、外国人県民に対する十四か国語での感染防止対策の徹底などを図ってまいります。さらに、ストップ「コロナ・ハラスメント」宣言を発出し、ネットパトロールを行うなど、人権侵害とも言うべきハラスメントの防止に努めておるところでございます。 次に、医療福祉対策でありますが、第一に検査体制は、PCR検査能力を秋頃、一日当たり約一千件、年度内には一日当たり千八百件まで拡充することにしております。また、医療機関における抗原定量検査体制も現在の一機関から六機関に拡充いたします。さらに、今後のインフルエンザと同時流行への対応ということで、十一月までに発熱患者の診療や新型コロナ検査を併せて行う診療・検査医療機関を県内全五圏域に偏りなく三百五十か所確保するという予定でございます。 第二に、医療提供体制でございますが、病床は空床補償により最大六百二十五床確保し、宿泊療養施設も五圏域四百六十六室の合わせて一千九十一床を年度末まで確保しておるところでございます。これらによりまして、自宅療養者ゼロを継続いたします。ちなみに、これまでの最大入院患者数は、第一波が百十七人、第二波が百三十四人であり、昨日現在では三十一人ということでございます。 第三に、高齢者及び障がい者施設における感染発生時の施設間の相互支援につきましては、八月十八日に関係五団体と県との間で覚書を締結しております。これに基づいて本議会に補正予算を計上しておりますが、高齢者施設における感染の未然防止に努めてまいるということでございます。 これに対して、経済再生のための雇用経済対策でございますが、まず経済再生を進めるについても、何といっても安全・安心が大前提であるということでございます。そういったことから、これまで各業界における、こうした安全・安心のための施設の改善など、感染防止対策の徹底にまず支援を重ねてきておるわけであります。 その上でwithコロナ、あるいはafterコロナ時代を見据えた経済支援を進めていくということでございます。具体的には、新型コロナで多大な影響を受けたサプライチェーンの見直し、高まる健康志向を受けて成長産業であるヘルスケア分野への支援、新しい生活様式に適応するための企業や県庁におけるデジタルトランスフォーメーションの推進、サテライトオフィス整備など事業変革への支援などを行ってまいります。また、企業の資金繰り支援新型コロナウイルスの影響により収入減があった世帯への支援も増額いたします。 さらに、最もダメージを受けた県内観光業への支援として、県民向けを基本に平日、閑散期に重点を置いた宿泊割引キャンペーンの継続的実施、家族で県内修学旅行プランの造成、日帰り修学旅行の支援を行ってまいります。以上のほか、全国知事会を通じて、今後の入国者の受入れ拡大に対する水際対策の抜本的強化、そして特措法をはじめとする法制度の検証と見直しなどを政府に対して要望しているところでございます。 ○議長(森正弘君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 中小・小規模事業者への相談体制の充実についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の経営相談につきましては、一月末に商工会や商工会議所等に窓口を開設し、これまで一万八千件を超える融資や補助金などの相談に対応しておりますが、引き続き事業者の皆様に国や県の支援策を積極的に活用いただけるよう、相談体制の充実に努めてまいります。このため、相談対応を担う経営支援員の体制維持とともに、今後の相談状況に応じた人員の充実についても国と連携し支援してまいります。 また、経営支援員のさらなる資質の向上に向けて、支援ノウハウを学ぶスキルアップ研修等の充実を図るとともに、機会あるごとに意見交換や情報共有を図りながら、新規支援事業の情報が不足しているとの声にも対応してまいります。 一方、事業者に向けては、支援制度説明会の開催やメールマガジンなどを通じて相談窓口を周知するなど、より多くの事業者に御活用いただけるよう取り組んでまいります。 ○議長(森正弘君) 県土整備部長 船坂徳彦君。    〔県土整備部長 船坂徳彦君登壇〕 ◎県土整備部長(船坂徳彦君) 地元建設業者に配慮した官公需と受注機会の確保についてお答え申し上げます。 まさに今回の七月豪雨災害で再認識されたように、建設業者は速やかに災害時の応急復旧や道路啓開を行うなど、地域防災の要として大変重要な存在です。 一方で公共事業は、建設業者の経営面に大きな影響を及ぼしていることから、安定的、持続的に事業を確保し、地域の防災力を維持していく必要があると考えております。本年七月に示された国の骨太方針二〇二〇においても、全国各地で頻発、激甚化する災害に対して、災害に屈しない国土づくりを中長期的な視点に立ち、数値目標を掲げ、計画的に取り組むため、必要十分な予算を確保していく方針が示されております。 県としましても、今回の災害復旧に百二十五億円の土木関連予算を計上しておりますが、今後とも国に対し安定的な予算の確保を強く働きかけてまいります。あわせて、県発注工事では、入札参加資格において各発注機関の管内に本店を有することを条件とするなど、地域の建設業者の受注機会の確保に努めているところであります。今後も受注機会の確保に努めながら、県土強靱化を推進してまいります。 ○議長(森正弘君) 危機管理部長 渡辺正信君。    〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕 ◎危機管理部長(渡辺正信君) 災害・避難カードのさらなる普及に向けた取り組みについてお答えをいたします。 県では、平成三十年七月豪雨の検証を踏まえ、住民一人一人が災害リスクに応じた避難のタイミングや避難経路を調べて作成する災害・避難カードの取り組みを進めており、これまでに二十五市町村で約五千人の方を対象に講習会などを実施しております。受講者からは、早めに避難行動することの重要性を感じた、家に持ち帰り話し合う機会になるのでよかったなどの声をいただいており、またさきの七月豪雨では、避難する際、避難所にカードを持参された方もあり、効果が現れ始めた認識しております。 現在はコロナ禍でありますが、災害・避難カードのさらなる普及に向けた取り組みを進めてまいります。具体的には、災害から命を守る岐阜県民運動の一環として開設したユーチューブ公式チャンネルにおいて、カードの意義を説明し、作成を促す動画を配信するとともに、感染防止対策を徹底した上でワークショップを開催してまいります。加えて、ウェブサイト上で容易にカードが作成できる作成支援ソフトの開発に向けて取り組んでまいります。
    ○議長(森正弘君) 十三番 澄川寿之君。    〔十三番 澄川寿之君登壇〕 ◆十三番(澄川寿之君) 御答弁ありがとうございました。 以降、二分割目では、県政の諸課題について三点お尋ねいたします。 一点目に所有者不明土地の実態把握と今後の取組方針についてお伺いいたします。 人口減少、高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や、地方から都市への人口流出を背景とした土地の所有意識の希薄化により、所有者不明の土地が全国的に増えており、本県も含めて大きな問題となっています。こうした所有者不明土地の拡大は、所有者の特定等に多大なコストが必要となります。そのため、災害復旧をはじめ、道路整備や森林管理、用地取得、農地の集約化、地籍調査などの公共的事業を進める際に、事業の長期化や負担増のみならず、民間の土地取引を停滞させ、経済成長の阻害要因になる可能性があります。 増田元総務大臣が座長を務める所有者不明土地問題研究会は、二〇一六年時点の所有者不明土地面積は、九州地方の面積とほぼ同等の約四百十万ヘクタールに上ると推計しています。さらに、新たな取り組みが進まない場合、二〇四〇年には北海道本島の面積のおよそ九割に当たる約七百二十万ヘクタールまで増加すると見込み、その損失は少なくとも六兆円と試算しました。 このような中、平成三十年六月、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法が成立しました。この法律に基づき、昨年の六月には、所有者が分からない土地を地域に役立つ土地にするため、道路や学校、公園、病院、運動場等の整備といった地域住民等の福祉、利便の増進を図るための地域福利増進事業が創設されました。この事業は、所有者不明土地を使用したい関係者から申請があると、都道府県知事が関係市町村長の意見を聞いた上で上限十年間の利用権を設定でき、地方公共団体のみならず民間企業やNPO、自治会、町内会など、誰でも使うことのできる制度です。 しかし、これまでにこの地域福利増進事業の県内での利用実績はないとのことで、まだまだこれからの事業であることが分かります。また、所有者不明土地の適切な管理のために特に必要がある場合には、家庭裁判所に対し財産管理人の選任等を知事等が請求できるようになる民法の特例制度も創設されています。さらに、登記の表題部所有者欄の氏名、住所が正常に記録されていない土地について、登記官に所有者の探索に必要な調査権限が付与されたほか、農業経営基盤強化促進法等の改正や森林経営管理法の制定がされております。加えて、現在、相続登記の義務化や土地所有権の放棄制度の創設などを軸とする民事基本法制の見直しも検討されており、今年度中にも改正法案が国会に提出される見込みです。 これらの制度改正が所有者不明土地問題にとって大きな一助になることを期待はしていますが、もちろん特効薬ではありません。所有権の制限は憲法の財産権の保護の観点からもおのずと限界があるものであり、一歩一歩地道に対策を進めていかざるを得ない問題でもあります。 この問題に関しては、県民クラブの高木議員が平成二十九年十月の本会議においていち早く取り上げ、警鐘を鳴らしました。知事は、県においても所有者不明の土地により問題となってくる事案の包括的な、全般的な洗い出しのための調査を早急に行い、その結果を踏まえて、本県における所有者探索や利活用に向けた対応方策の検討を進めていく、本県の所有者不明土地についての今後の検討に当たっては、県と市町村とが連携した体制で臨みたいと答弁をされました。あれから三年が経過しました。答弁を踏まえて、県としてどのように体制を整備し、調査に取り組み、対策を講じておられるのか、一度状況をお聞きしたいと思います。 また、行政だけではなく、こうした問題に精通した司法書士、行政書士、土地家屋調査士など民間の知見を生かした体制も含め検討すべきと考えます。さらに、各市町村においては、司法書士、行政書士、土地家屋調査士などの団体等とのつながりも薄い地域もあり、県がコーディネーターとしての役割を発揮することが重要ではないでしょうか。 繰り返しになりますが、所有者不明土地問題に特効薬はありません。それゆえ、放置することは徐々に問題を深刻化させていくこととなり、将来世代に大きな負担を強いることにもなります。将来を見据えた取り組みを大いに期待したいと思います。 そこで、清流の国推進部長にお伺いいたします。 所有者不明土地について、問題となっている事案の調査結果はどのようなものであったのでしょうか。また、その結果を踏まえ、全庁的な組織体制、国・市町村との連携体制で取り組まれていると思いますが、司法書士、行政書士、土地家屋調査士等の民間団体も含めて、この問題に対応するべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 二点目に子ども相談センターについてお尋ねいたします。 児童虐待は、忘れてはならない課題の一つです。全国では、まだまだ痛ましい事件が後を絶ちません。そうした中、七月二十七日付の産経新聞において、「児相六割に警察官配置、設置自治体、虐待の対応強化で」とのタイトルで記事が掲載されました。中身を少し紹介しますと、児童相談所を設置している全国の七十二自治体の約六割が児童相談所に現役警察官を配置していることが二十六日産経新聞の調査で分かった。虐待疑いの通告が右肩上がりに増える中、児相では的確な危険度判断や警察との協力が重要になり、人事交流で連携を深めようとしている取り組みの実態が明らかになったとのことです。 本県におきましては、全ての案件を警察署と共有する全件通報と併せて、OB警察官を各子ども相談センターに配置することにより、子ども相談センターと県警察と協力関係を築いていただき、積極的に対処していただいております。 一方で、先ほど御紹介した産経新聞の記事の続きには、以下のように記述があります。虐待対策の国の検討会に長年関わった松原康雄明治学院大前学長は、組織間の連携を図るには、OBではなく現職警察官がいる意味は大きいと評価。その上で、児相が不慣れだった強制介入のノウハウを学べることは確かだか、ほかの有効な活用方法は試行錯誤の段階だ。経験を蓄積してマニュアルに残し、人が代わっても機能する仕組みをつくってほしいと示されています。 OB警察官の配置を否定するわけではありませんが、現役警察官の方が継続的に子ども相談センターと人事交流を図ることで、さらに深く連携し、綿密なセーフティーネットをつくることができるのではないでしょうか。現在でも、警察本部と業務関係が深い知事部局や教育委員会には現役警察官が出向し人事交流が図られています。具体的には、有事の際に対応する危機管理部、交通安全施策に取り組む県民生活課、青少年施策を担当する私学振興・青少年課、学校の安全を確保する教育委員会学校安全課などです。知事部局等には知事部局等、警察には警察が執行する法律があります。お互いの立場をより深く理解し、協力することでスムーズな対応が可能になるのではないでしょうか。 そこで、子ども・女性局長にお伺いいたします。 他自治体の例も参考にしながら、本県において、子ども相談センターへ現職警察官の受入れを検討されてはと考えますが、お考えをお聞かせください。 最後に、ぎふ清流おもいやり駐車場利用証についてお尋ねいたします。 ぎふ清流おもいやり駐車場利用証制度が始まって間もなく一年になります。この駐車場利用証制度は、従前の車椅子使用者用駐車区画等について、障がいのない方が駐車してしまったり、内部障がいなど外見では障がいと分からない方が利用しにくいなどの課題に対応するため、車椅子使用者用駐車区画や障がい者等用駐車区画(プラスワン区画)を対象に利用できる対象者の範囲を設定し、条件に該当する希望者に利用証を交付する制度です。 この制度は、パーキング・パーミット制度として本年四月一日時点で全国三十九府県において導入済みであり、制度を導入している府県間で相互利用が可能となります。県内での利用のみならず、制度を導入している自治体とも相互利用が可能ということで喜ばれており、今後さらに利用が進むことを期待しています。 一方で、制度の利用が進む中で県民の方から声をいただきました。それは、妊産婦の方に対する有効期間についてです。母子手帳の交付を受けた妊産婦の方については、現在の利用証の有効期限が妊娠七か月から産後三か月までの対象となっていますが、特に産後三か月が短いのではないかとのことでした。妊産婦さんの状況はかなり個人差があります。妊娠中にお腹が大きくなるのが早い方がいらっしゃったり、出産時期が早まることにより赤ちゃんが小さく生まれてきたり、多胎児で生まれてこられる方もあり、柔軟な対応を検討できないかとの声もありました。 本県におきましては、多胎児用の子育て支援手帳を配付するなど、多胎児に対する配慮・支援を進めていただいています。多胎児用のベビーカーはサイズも大きくなり、また比較的低体重で生まれてくるお子さんが多いため、移動に当たってはより配慮が必要です。 全国を見ますと、佐賀県では多胎児の妊産婦について、有効期間を妊娠六か月から産後十八か月まで延長するといった規定が設けられています。また、新潟県では、平成二十九年六月一日から、原則として妊娠七か月から産後一年半までの妊産婦の方で、なおかつ歩行が困難、または歩行に配慮が必要な方となっており、妊娠七か月より前であっても医師から安静の指示がある場合などは、歩行困難である旨が記載された診断書を添付いただければ申請ができるなど、柔軟な運用をしているようです。 本県においては、ぎふ清流おもいやり駐車場利用証制度のほか、子ども・女性局が進める妊婦・乳幼児連れ駐車場制度もあり、子育て世代への配慮がなされています。 先ほど申し上げましたとおり、この駐車場利用証は県内での活用のみならず、制度を導入している自治体とも相互利用が可能となります。岐阜県のみならず県外での利用も視野に入れて制度の弾力的な運用をお願いしたいと思います。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。 ぎふ清流おもいやり駐車場利用証制度について、他県の取り組みも参考にしながら、より配慮が必要な多胎児世帯等について利用証の有効期間を拡大すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(森正弘君) 清流の国推進部長 尾鼻 智君。    〔清流の国推進部長 尾鼻 智君登壇〕 ◎清流の国推進部長(尾鼻智君) 所有者不明土地問題の実態把握と今後の取組方針についてお答えいたします。 県では、平成二十九年度に部局横断的な研究会を立ち上げ、市町村の状況も含めて調査を行いましたが、その結果、所有者不明土地を増やさない予防と有効的活用が必要であるとの認識に至り、それらへの対応方針を取りまとめたところであります。以降、国制度の動向を踏まえつつ、対応方針に基づき研修会の開催、解消事例の共有や相談窓口の設置を通じて、県や市町村職員のスキルアップ、円滑な制度活用に努めております。継続実施している調査では、所有者不明土地と思われる案件は減っておらず、予防は容易ではないところであります。 一方で、活用に関しましては、御紹介の所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法により、所有者の探索に要する時間を削減できた事例や所有者不明の農地の活用に向けた取り組みなど、徐々にではありますが、よい事例が出てきております。今後は、議員御指摘の点も踏まえまして、研修会の講師を土地問題に精通した司法書士など有資格者にお願いするなど民間の力もお借りしまして、予防、活用の両面でさらなる効果的な対策を講じてまいります。 ○議長(森正弘君) 子ども・女性局長 北川幹根君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 北川幹根君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(北川幹根君) 子ども相談センターへの現役警察官の派遣についてお答えいたします。 本県は、平成二十九年三月に県警察本部と児童虐待事案に係る連携協定を締結し、現在、県内五か所全ての子ども相談センターに警察官OBを配置するとともに、平成三十年六月からは、子ども相談センターで受理した全ての児童虐待事案について警察に情報を提供する全件通報を開始するなど、年々連携を深めております。子ども相談センターからは、警察官OBが威圧的な保護者の対応や警察との連絡調整などに力を発揮し、また警察署からの虐待通告や家庭訪問への警察官の同行が増えるなど、警察と一体となった迅速かつ確実な対応ができるようになったと聞いております。 このように、警察官OBの配置は大きな効果を上げていると認識しておりますが、一方で相談件数が増加するとともに、家庭環境が複雑化する中で対応が困難な事例が多くなってきておりますので、今後、現職警察官の子ども相談センターへの配置について、県警察本部と協議してまいります。 ○議長(森正弘君) 健康福祉部長 兼山鎮也君。    〔健康福祉部長 兼山鎮也君登壇〕 ◎健康福祉部長(兼山鎮也君) ぎふ清流おもいやり駐車場利用証の有効期間拡大についてお答えいたします。 妊産婦の方々のぎふ清流おもいやり駐車場利用証の有効期間は、利用証を相互利用できる他府県の事例を参考に、障がい者、子育て支援などの関係者から成る岐阜県福祉のまちづくり推進会議での議論を踏まえて設定しております。 一方で、議員御指摘のように妊産婦の方の状況には個人差があること、多胎児の妊産婦についてはより配慮、支援が必要なこと、また制度開始後間もなく一年になることなどから、制度の運用の在り方について改めて検討していく必要がございます。 そのため、今後、他府県の取り組みも踏まえつつ、岐阜県福祉のまちづくり推進会議において議論していただき、多胎児世帯の有効期間の拡大をはじめ、制度の柔軟な運用を行う方向で取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(森正弘君) 三十五番 平岩正光君。    〔三十五番 平岩正光君登壇〕(拍手) ◆三十五番(平岩正光君) 議長からお許しをいただきましたので質問をさせていただきますが、まずもって新型コロナウイルス感染症に昼夜を分かたず御尽力をいただいております医療関係者の皆さん、そして執行部をはじめ、関係者の皆さんに改めて感謝を申し上げます。 また、今回の質問では、防災をテーマの一つとして取り上げさせていただきますが、さきの令和二年七月豪雨で被災されました県民の皆様にお見舞いを申し上げますとともに、現在も復旧工事などに御対応いただいております関係者の皆さんをはじめ、関係する皆さんに改めて感謝を申し上げる次第であります。 それでは、時間も限られておりますので、今回は大きく二項目について分割で質問に入らせていただきます。 まず第一項目は、激甚化する自然災害への対策について、順次お聞きしてまいります。 さて、今年の長梅雨による豪雨、梅雨明け後の猛暑、そして特別警報級の台風の来襲、私たちが異常気象という言葉を耳にするようになって久しくなりましたが、昨今の気象状況は異常気象どころではなく、激甚気象と呼んでもおかしくないぐらい年々深刻さを増しています。こうした異常を超えた気象によってもたらされる災害から身を守るためには、その災いから身も守る、つまり避難することが最良の策となりますが、今いる場所が危険なのかどうかを教えてくれる情報の一つにハザードマップがあります。まずは、このハザードマップについて二点質問をさせていただきます。 ハザードマップは、言わずもがな、一定の想定に基づき自然災害による洪水、土砂災害、火山などの危険度を色分けなどで示した地図ですが、そのうち洪水ハザードマップについて作成の前提となる基準がここ数年で大きく見直されたことを皆さんは御存じでしょうか。洪水ハザードマップは、もともと五十年から百五十年に一回程度の大雨を想定し、国や県が浸水想定区域の指定を行い、その指定を基に市町村がマップの作成を行ってきました。しかし、相次ぐ豪雨で甚大な被害が出るようになったことを受けて、二〇一五年に水防法が改正され、マップを作成する基準が五十年から百五十年に一回程度という想定から、千年に一回の想定し得る最大規模の降雨に厳しくなったのです。 国土交通省の発表によりますと、厳しくなった新基準でハザードマップの改訂作業を終え、公表済みの市区町村は全国で四二%にとどまるということで、基礎自治体の洪水ハザードマップの改訂作業が遅れており、本県でも令和元年度清流の国ぎふ創生総合戦略実施状況報告書によりますと、ハザードマップ改訂市町村数は目標値を大きく下回っており、まだ旧基準のハザードマップを使い続けている市町村が多い状況であります。 今年起きた令和二年七月豪雨で入所者十四名が犠牲となった熊本県球磨村の特別養護老人ホーム千寿園は、施設の脇を流れる川と球磨川の合流点から四百メートルほどに位置し、もともと八十年から百年に一度起こるような氾濫想定では、ぎりぎりで浸水しない位置にあるとされていましたが、その後、新基準に基づくハザードマップの改訂では、十から二十メートル浸水するとの想定が示されていたといいます。 改訂から日が浅く、周知が不十分だった可能性もあったとのことで、残念なことではありますが、結果として被害を防ぐことはできませんでした。こうした改訂後のハザードマップと実際の被害状況が一致する状況を目の当たりにしますと、ハザードマップの改訂の必要性を感じざるを得ません。言うまでもなく、ハザードマップの改訂は最終目標ではありません。住民の皆さんに周知し、台風や豪雨に備えて平時に住民の皆さんがハザードマップを確認し、住民の皆さん自らが災害時に取るべき行動を考えていただくことこそが最終目標であると思います。そうしたことを考えますと、一日も早い洪水ハザードマップの改訂を願うものであります。 そこで、一点目は危機管理部長に伺います。 市町村がハザードマップの改訂作業を進める上での課題を県としてどのように認識されているのでしょうか。また、今後、改訂作業を加速化させるために県としてどのように支援されていかれるのでしょうか。 さて、ここまで洪水ハザードマップの話をしてきましたが、皆さんは内水ハザードマップというものを御存じでしょうか。河川の堤防が決壊するなどして起こる氾濫とは異なり、支流や下水道の排水能力が限界に達し、堤防で守られた内側の居住域側で水があふれる現象を内水氾濫と呼び、内水氾濫による浸水想定区域を示した地図を内水ハザードマップと呼んでいます。 令和二年七月豪雨の被災地の一つ、福岡県久留米市では、筑後川の支流でポンプの排水能力が限界に達し、低地が浸水する内水氾濫が起き、久留米市では市の中心部など広域で浸水し、床上・床下浸水は約千九百五十棟に上りました。こうした内水氾濫は、コンクリートに覆われた都市部で特に起こりやすく、本県では主に河川の増水に起因する内水氾濫が多いということですが、水害統計によりますと、二〇一七年までの十年間で内水氾濫による浸水棟数は全国で二十二万棟に上り、洪水による浸水棟数約十万棟を上回るということであります。 こうした被害状況を踏まえ、国では各自治体に内水ハザードマップの作成を呼びかけており、令和元年度に引き続き、直近、今年七月に国土交通省から都道府県及び政令指定都市に出された通知では、内水氾濫の特徴を上げ、特に床上浸水など甚大な浸水被害が発生した地区などを有する内水ハザードマップの早期作成が必要な全国の五百市区町村のうち未作成の市区町村について、令和二年度末までに内水ハザードマップの作成、公表を完了するように求めているのです。 冒頭にも申し上げましたが、気象状況は異常気象を超えて激甚気象となりつつあります。気候変動に関する政府間パネルの第五次評価報告書では、気候システムの温暖化については疑う余地がなく、二十一世紀末までに世界の平均気温がさらに〇・三度Cから四・八度C上昇すると予測しており、気象庁はこのまま温室効果ガスの排出が続いた場合、短時間強雨の発生件数が現在の二倍以上に増加する可能性があるとの予測を示しています。現在、都市部を中心に豪雨時に雨水をためる貯留槽の整備など内水氾濫を防ぐ取り組みが進められていますが、そうしたハード面での整備と同時に、内水ハザードマップの作成にも注力していく必要があるのではないでしょうか。 そこで、二点目は都市建築部長に伺います。 本県の内水ハザードマップの作成状況はどのようになっているのでしょうか。また、昨今の国土交通省の通知を受けて、今後、作成に向けてどのように市町村を支援されていかれるのでしょうか。 次に、同じく防災対策として、要配慮者利用施設における避難確保計画の作成について、一点質問をさせていただきます。 平成二十九年六月に水防法と土砂災害防止法が改正され、高齢者など要配慮者が利用する施設のうち、河川の洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地する施設については、洪水や土砂災害を想定した防災体制や避難誘導、訓練の実施などの事項を定めた避難確保計画を作成し、各市町村長に届け出る義務が課されました。 先ほども御紹介しました熊本県球磨村の特別養護老人ホーム千寿園では、事前に避難確保計画が作成されており、計画では浸水のおそれがあるときは高台にある別の施設や住宅に避難をするか、二階に避難することにしていました。また、年に二回、避難訓練を行っており、法律で求められる対策は取られていたといいます。さらに、避難を手助けする近隣住民のボランティア組織もつくられていて、発災時も数人の住民が駆けつけ、職員と一緒に入所者三十人ほどを二階に避難させることができたといいます。 もし、この避難確保計画が作成されていなかったら、被害はどうなっていたでしょうか。計画も作成されておらず、避難訓練も行われていなかったら、もっと多くの人命が失われていたかと思われます。そうしますと、やはり避難確保計画についてもハザードマップ同様、その必要性を感じるところであります。全国の避難確保計画の作成状況は、昨年の三月時点で、対象となる約六万八千施設の三六%にとどまっていますが、本県では、洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域ともに、対象施設のおよそ六割を超える施設で作成が進んでいると伺っています。近年、こうした要配慮者が利用する施設が浸水するような災害が増えており、本県でもいつ何時起こるかもしれませんので、残りの四割弱の施設でも一日も早い避難確保計画の作成に向けて取り組んでいただきたいと思います。 そこで、三点目は危機管理部長に伺います。 本県の要配慮者利用施設における避難確保計画の作成状況をどのように分析されていらっしゃるのでしょうか。また、今後、作成作業を加速化させるために県としてどのように支援されていかれるのでしょうか。 以上、防災をテーマに三点質問をさせていただきました。冒頭でも申し上げたとおり、毎年のように豪雨災害、台風被害によりどこかで災害が起きており、気象状況が加速度的に激甚化していると感じます。それに伴い、災害復旧といったハード面はもちろんでありますが、ハザードマップの改訂や計画の作成などソフト面への対応も求められています。そうした対応は一朝一夕にできるものではありませんし、その作業に当たるマンパワーも限られています。そうした中で、危機管理部を中心に御対応いただいております関係職員の皆様の御労苦にはただただ頭が下がります。 しかし、災害対応は待ったなしでありますし、明日は我が身として当たらなければなりません。前向きな御答弁をお願いして、前半の質問を終わらせていただきます。 ○議長(森正弘君) 危機管理部長 渡辺正信君。    〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕 ◎危機管理部長(渡辺正信君) 激甚化する自然災害への対策について、二点の御質問をいただきました。 まず、洪水ハザードマップの改訂に係る課題と今後の市町村支援についてお答えをいたします。 昨年七月までに県において新基準による浸水想定区域図の改訂を行ったところ、県内三十五の市町で洪水ハザードマップの改訂が必要となりました。改訂に当たっては、流域面積が広く複数地域に分けて作成する必要がある、避難場所や経路の安全性の検討に時間を要するなどの課題がございますが、多発する豪雨災害への備えを早急に整えるため、改訂作業の加速化が必要でございます。そのため、県から市町を個別に訪問し、国交付金の積極的な活用を促すとともに、好事例の紹介や技術的な観点からの助言を丁寧に行ってまいります。 これまでの取り組みの結果、十九の市町で改訂は完了し、十四の市町は今年度中に、残る二つの市町は来年度中に完了する見通しとなっておりますが、引き続き市町への支援と働きかけを一層強化してまいります。 次に、要配慮者利用施設における避難確保計画の作成状況と今後の支援についてお答えをいたします。 避難確保計画の作成が義務づけられている要配慮者利用施設は、県内で約二千二百と把握しており、そのうちの六割に当たる約千四百施設で作成済みとなっております。避難確保計画は、施設の種別、立地場所、周辺の地形、建物の高さといった各施設の特性やリスクに応じた検討が必要となりますが、令和二年七月豪雨の検証を通じ、未作成の施設においては、施設職員に作成するスキルがない、業務多忙による人材不足といった課題があることが改めて浮き彫りとなりました。県では、これまで市町村と協力し、施設管理者向けの講習会の開催、施設の指導監査時における作成の働きかけなどを行ってまいりましたが、新たに危機管理部と県土整備部の職員による対策チームを設置し、関係部局との連携強化を図り、個別施設へのきめ細かな作成支援を通じて避難確保計画の作成を加速してまいります。 ○議長(森正弘君) 都市建築部長 大野真義君。    〔都市建築部長 大野真義君登壇〕 ◎都市建築部長(大野真義君) 内水ハザードマップの作成状況と今後の市町村支援についてお答えします。 内水氾濫は一般に被害区域が小さく、浸水の深さも浅いものの、発生頻度が高く、特に人口が集中し、地下空間の利用や都市機能の高度化が進む都市部において大きな被害が発生します。このため、内水氾濫の懸念される市町村では、ハード対策に加えて、より速やかな安全対策を講じるための内水ハザードマップの作成など、ソフト対策も重要となります。 国の通知では、床上浸水など甚大な内水被害が発生した地区などを有する市区町村において、早期に内水ハザードマップを作成する必要があるとされています。県内で該当する市町村は五団体ありますが、そのうち四団体は既に作成済みであり、残る一団体も今年度中に作成する予定となっております。現時点で作成が必要な県内市町村は全て作成のめどが立っていますが、今後、都市化の進展などに伴い、内水氾濫への備えが必要と考える市町村に対しては、地域の実情に見合った作成手法を助言するなど、効果的な内水ハザードマップの作成を支援してまいります。 ○議長(森正弘君) 三十五番 平岩正光君。    〔三十五番 平岩正光君登壇〕 ◆三十五番(平岩正光君) さて、後半は、二〇二七年の開業を目指しているリニア中央新幹線について質問をさせていただきます。 既に報道などでも御承知のとおり、リニア中央新幹線については、静岡工区の南アルプストンネル建設をめぐり、静岡県とJR東海の主張が対立し、当初目標としてきた二〇二七年の開業が厳しくなってきたと言われています。そもそもの対立は、リニア中央新幹線静岡工区の南アルプストンネル建設により減少する大井川水系の流量について、静岡県や利水団体等とJR東海の主張が対立したのがきっかけとなっています。二〇一八年十月には、JR東海がトンネル湧水の全量を大井川水系に回復させるとの方針を示し譲歩したわけですが、その後、JR東海側がトンネル工事期間中に大井川の源流、南アルプスの地下水が隣接する山梨県や長野県側に一時的に流れ出し、大井川水系の流量が減少する期間があることを説明したことで、再度紛糾したものであります。 その後、JR東海が静岡県に準備工事の再開を要請しましたが、静岡県と流域市町は、国の有識者会議の結論を待ち工事に着手すべきとして、準備工事の再開を認めず、今年七月十日に行われた静岡県の川勝知事と国土交通省の藤田事務次官との会談では、川勝知事から静岡県を迂回するルート変更が提案されるなど膠着状態が続き、二〇二七年の開業が厳しくなってきたと言われています。 こうした状況を受けて、本県を含む沿線九都府県でつくるリニア中央新幹線建設促進期成同盟会は、本年六月、国土交通省、JR東海などに対して、未着工区間について国・JR東海及び関係者による協議を迅速に進め、早期着手するよう要望書を提出し、さらに本年七月二十二日には、沿線自治体は二〇二七年に予定されている東京|名古屋間の開業、さらにはその後の大阪までの全線開業を前提に様々な計画を進めており、目標どおりの開業に対する思いは切なるものがある。よって、国、静岡県、JR東海が水資源、自然環境への影響の回避、軽減とリニア中央新幹線の早期実現を両立させる観点から、積極的に協議を進めることで、早期に静岡工区の課題解決が図られることを強く期待するとして、静岡工区に特化して声明を出されているところであります。 自由民主党としても、国家的プロジェクトであるリニア中央新幹線をしっかり推進していく必要があり、本県選出の古屋圭司衆議院議員を委員長とする超電導リニア鉄道に関する特別委員会において、今年七月十四日には国土交通省と、七月二十二日には古田知事をはじめ沿線都県知事から意見聴取を、七月三十日はJR東海と意見交換を行っています。今後、大井川流域の市町の意見を聞く意向もあり、委員会として精力的に問題の解決、さらには事業推進に向けて御尽力されています。 私は、リニア岐阜県駅が設置される地元の代表として、これまでリニア中央新幹線をライフワークとして、機会を捉えて質問に立たせていただきました。その背景には、リニア岐阜県駅と東京のリニア品川駅の間が三十分余りで結ばれるように、都市と地方との移動距離が飛躍的に短くなることにより対流が起こり、観光、産業、働き方、さらには暮らし方に大きな波及効果が生じ、東濃はもとより岐阜県全体が発展してほしいという願いと期待があるからであります。 リニア岐阜県駅の予定地は、平成二十九年度から中津川市が土地区画整理事業を始めており、リニア中央新幹線を他市にはない優位性として、その波及効果をまちづくりに生かす戦略を本格化するため、令和元年七月に中津川市リニアを活用したまちづくり構想を策定し、地域を挙げて開業に向けた取り組みを進めています。また、令和元年八月には、中津川市リニア岐阜県駅周辺デザイン会議を立ち上げ、駅周辺整備のデザイン設計に向けた検討が熱心に行われています。 昨年の十二月議会では、開業まで残り八年となったことから、リニア中央新幹線活用戦略のこれまでの進捗状況と開業に向けた今後の課題と取組方針について、知事にお伺いいたしました。知事からは、本県にとって、東京オリンピック・パラリンピックが開催される年は観光ビッグイヤーという意味でのターゲットイヤーであるが、次なる本県にとってのターゲットイヤーはリニア開業の二〇二七年であり、リニア開業をどのように活用するかがその先の将来の本県発展の要である。そうした長期展望の下、リニア開業に向け、リニア中央新幹線活用戦略の展開の取り組みをさらに加速させていきたいとの力強い答弁をいただきました。 今、静岡県で起きていることは、関係者の方にとっては死活問題であり、決しておろそかにできない課題であります。その一方で、私たちにとってもリニア中央新幹線開業は長年夢見てきた一大プロジェクトであり、この千載一遇のチャンスを生かさなければなりません。仮に、二〇二七年のリニア中央新幹線開業が実現されなかった場合、予定どおりの開業を目指して取り組みを進めてきた関係者にとって、その影響は非常に大きいものであると考えます。 中津川市においても、仮に開業が延期になった場合、開業に向け盛り上がってきた機運が一気に冷めることとなり、また取り組みが進みつつある基盤整備、企業誘致、雇用、観光振興、移住施策などに大きな影響が出ることは必至であります。今は、ただただ、国、静岡県、JR東海など関係者の協議が前進し、二〇二七年の開業を目指してプロジェクトが一丸となって進み出すことを願わざるを得ません。 そこで、知事に伺います。 今回の静岡工区の工事の遅れにより二〇二七年のリニア中央新幹線の開業が厳しくなってきたと言われていますが、その影響力の大きさから、国や本県を含む沿線自治体、関係機関が連携・協力して早期整備に向けて働きかけを行ってみえます。私としても、開業は長年夢見てきた一大プロジェクトであり、この千載一遇のチャンスを皆が協力して何とか生かさなければならないと考えておりますが、リニア中央新幹線開業に向けた本県の取り組みについて、どのように考えていらっしゃるのか、所見をお聞かせいただきたいと思います。 私の住む中津川市周辺地域は、これまで中山道の宿場町、国鉄中央本線の開通、中央自動車道インター開設など、その時代を代表する交通革命の要衝として周辺地域と共に発展を続けてきた歴史があります。今から三十年以上前、リニア計画を知り、先人に学び、次世代の交通革命を地域活性化に生かしていきたいと、停車駅誘致活動と共に自然や歴史、文化、食など豊富な地域資源を磨き、魅力ある地域づくりを皆さんと力を合わせて取り組んでまいりました。 本日は、郷土発展はもとより、岐阜県発展のため強い思いと願いを込めて質問をさせていただきました。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(森正弘君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) リニア中央新幹線開業に向けた本県の取り組みにつきまして、まさに議員の強い思いの御質問というふうに受け止めさせていただいております。 申すまでもありませんが、リニア開業により岐阜県の東エリアが時間距離として首都圏に入ることとなるわけであります。濃飛横断自動車道、瑞浪恵那道路といった東美濃の南北軸、東西軸の確立と相まって、本県の魅力が高まり、観光振興や企業誘致のさらなる進展が大いに期待されます。 このため、本県ではいち早く、県、全市町村、県内経済、観光団体等のオール岐阜体制に加えて、隣接県、JR東海、中部地方整備局を加えたリニア中央新幹線活用戦略研究会を核として、平成二十六年三月にリニア中央新幹線活用戦略をまとめ、それを基にリニア岐阜県駅周辺整備基本計画、同概略設計、さらには中津川市のリニアを活用したまちづくり構想と、順次進めてきておるわけであります。 平成二十九年度からは、駅周辺の土地区画整理事業が開始されたところであり、これに併せて清流の国ぎふを感じさせる駅周辺のデザインも含め、様々なアイデアや構想が今、動き始めているところであります。 工事の進捗について申し上げますと、県内計画区間の八二%が契約済みであります。また、昨年四月に発生した山口工区での斜坑トンネル陥没事案につきまして、言わば急がば回れということで、JR東海に七か月間をかけて工事中断と徹底的な検証を求めたわけでありますが、その上で県内計画区間としては、それでも工期の遅れは全く生じていないと、こういうことでございます。 七月二十二日の自由民主党超電導リニア鉄道に関する特別委員会では、私から、このような本県の取り組みを御説明したところであります。その際、御懸念の静岡工区の問題についてコメントを求められました。私からは、「スピード」と、それから「連携・信頼」ということがキーワードであるというふうに申し上げました。具体的には、国土交通省の有識者会議での客観的、科学的な分析と早急な結論、国、静岡県、JR東海の間での迅速かつ円滑な調整を要請しました。私としては、環境かスケジュールか、どちらが優先するかといった平行線の議論が続くことを大変懸念しております。本県としては引き続き、あくまでも二〇二七年開業に向けた早期整備を訴えていくこととしております。七月二十九日には、県の期成同盟会としてその旨の決議を行っております。加えて、近日中に沿線市町の首長さんと共に直接JR東海幹部に対して要望を行う予定にしております。 先ほど申し上げましたとおり、リニア中央新幹線の活用につきましては、他県に先駆けて平成二十六年三月に策定したリニア中央新幹線活用戦略に基づいて進んできておるわけであります。しかしながら、既に発表から六年半を経過しておりまして、今後リニア開業効果をより多く、かつ具体的に実現できるよう、この活用戦略を改めてブラッシュアップ、さらにはグレードアップしていく必要があるのではないかというふうに感じております。特に、広域的な観光プロモーション、企業誘致や移住促進に向けた地域力の向上、リニア駅を基点とした二次交通の在り方のほかに、テレワークやサテライトオフィスといったコロナ社会への対応の観点からも検討を進めていってはどうかというふうに考えております。そのため、現在のオール岐阜体制をベースとして、県民の皆様の御意見を幅広く伺いながら、来年度中にリニア開業を見据えた(仮称)活用戦略アクションプランといったものを策定してまいりたいというふうに思っております。 ○議長(森正弘君) 二十八番 松岡正人君。    〔二十八番 松岡正人君登壇〕(拍手) ◆二十八番(松岡正人君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、大きく三項目、五点について質問をさせていただきます。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、私たちの社会生活に大きな影響を及ぼしています。withコロナの時代を迎えてアクセルとブレーキ、感染防止対策と社会経済活動の両立は最も喫緊で重要な課題であると思います。 そこで、一項目めとして、コロナ禍で大きな打撃を受けた経済活動に関して、特に企業の設備投資支援という観点から質問をさせていただきます。 新型コロナウイルスの感染防止のために、人の動きや経済活動が停止し、企業活動においても資金繰りや雇用維持が厳しい状況となるなど、大きな影響が生じています。こうした中、国による持続化給付金雇用調整助成金、また県による感染症拡大防止協力金などの活用によって急場をしのいだ事業者が多かったと承知しております。 コロナ社会の到来によって経営環境は大きく変わり、多くの企業が経営方針や経営形態の転換を迫られています。先ほど澄川議員の御答弁の中で知事が御紹介をされましたが、私はその中のサプライチェーンの問題について御質問をしたいと思います。 サプライチェーンとは、原材料や部品の調達から製造、生産管理、販売、搬送までを一連の流れとして捉える考え方や、こうした考えを基にしてつくられた一連の工程、システムを意味します。今や多くの企業において、サプライチェーン・マネジメントが取り入れられています。ところが、グローバルな形での調達や供給が加速した今、世界的なコロナ感染症拡大により、主に海外に依存していた製造工場や部品の供給元の稼働が止まり、日本の製造業はサプライチェーンが寸断されるという事態が発生しました。こうした事態を受け、経済産業省では、緊急経済対策の一環としてサプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金を設け、海外で構築した生産体制を国内へ移管する支援も始めました。 この補助金については、予算枠の八倍以上の申込みが殺到したそうで、我が国の企業活動にとって時宜を得た対応策の一つだと思います。こうした国内回帰の流れも含めて、モノづくりが盛んな本県において企業に対する設備投資支援の重要性は高まっていると考えます。また、設備投資に関する積極的な支援は、景気対策としても大変有効です。設備投資が充実すれば、企業は効率的に付加価値を生み出し、生産性を向上させることができます。また、企業経営の視点では、設備投資により投資キャッシュ・フローはマイナスになりますが、企業会計上は減価償却を行うため、実質的に赤字経営とはなりません。一方、設備や機械を納入する側にとっては売上増となり、会社利益や従業員給与の増加につながるなど、プラス面の効果が出ます。こうした好循環によって景気回復や消費拡大など、社会全体で経済が活性化することが期待されます。本県においても、六月補正予算で創設された設備投資を支援する補助金についての申し込みが多いことを踏まえ、今定例会でも補正予算が議案として上程されていますが、コロナ禍の厳しい経済状況を乗り切るために今後とも様々な設備投資刺激策を講じていただきたいと思います。 今般、国が取り組むサプライチェーン対策補助金では、もう一つ注目すべき点があります。それは、リース会社と共同申請し、リースによる設備導入方式が認められたことです。この仕組みは岐阜県では行われていない仕組みであり、ぜひともこれを機に同様の制度導入を検討していただければと思います。 この方式には様々なメリットがあります。具体的には、設備投資に関して補助金充当以外の自己負担投資分を自己資金による購入ではなく、リース料として経費計上した上で長期的に分割払いすることが可能となり、企業の資金繰りに余裕ができます。コロナ禍で経営の先行きが不透明な事業者にとって多額の初期費用が不要になることが最大のメリットであり、手持ちの資金をほかに有効に活用することができます。また、金融機関からの借入枠も温存でき、資金調達力には余裕が生まれます。さらに、煩雑な補助金申請業務についてリース会社の力を借りることが可能となり、企業は事務負担を大幅に軽減できます。また、そもそも情報収集力が脆弱な中小企業にとっては、リース会社を通して補助金に関する様々な情報が得られるという大きなメリットがあります。これまで補助金活用に至らなかった中小・中堅企業にもチャンスが広がり、ひいては県経済の活性化につながるのではないでしょうか。 こうしたことを踏まえて、ぜひとも岐阜県として設備投資の補助金に関して、リース会社との共同申請、リースの活用という新たな仕組みを導入してほしいと思います。 そこで、商工労働部長に二点お尋ねいたします。 一点目は、設備投資に対する補助金の申込みが多い状況を鑑みて、県として今後どのように対応していくお考えでしょうか。 二点目は、国も行っている設備投資費用を支援する補助金におけるリースの導入について、県として新たな仕組みをつくることに対してのお考えをお聞かせください。 次に、大きく二項目めとして、コロナ禍における社会活動の支援について、二点お尋ねいたします。 私は、平成三十年六月定例会の一般質問において、高齢化社会が進む中、自助・共助・公助は不可欠であり、特に共助においては地域の絆が重要であることから、その支援についてお尋ねしました。新型コロナウイルスの感染防止の観点から、行事の中止等が相次ぎ、自治会活動やシニアクラブ活動、ボランティア活動など、地域の絆を育む活動もほぼ停止状態となっています。重症化リスクの高い高齢者が対象となる活動は、特にその傾向が顕著で、結果、高齢者の外出や社会参加の機会が減少しています。 県老人クラブ連合会の調べによると、老人クラブの活動は、屋外で行う軽スポーツ等の活動については一部実施しているクラブもあるようですが、屋内での活動は実施していないクラブが多いと報告されています。また、県高齢福祉課の調査によると、体操教室やサロンなど、通いの場として市町村や住民が主催しているもの約二千百か所中、八月一日時点で活動の継続再開が確認できたのは九百十か所にとどまり、少なくとも千三十七か所が活動休止状態となっています。 ここで、七月に筑波大学が大阪府高石市など四つの自治体と共同で実施した調査の結果が公表されているので、御紹介させていただきます。六十代から九十代の高齢者約百七十人を対象に調査したところ、外出を控えるようになってから物忘れが気になるようになったと答えた人がおよそ五四%に上り、調査を担当した筑波大学の教授は、会話など他者と交流する機会の減少が主な原因と分析して、地方自治体は感染防止策を取った上でサークルなど高齢者が交流する機会を提供してほしいと呼びかけています。 さらに、国立長寿医療研究センターと筑波大学との共同調査によれば、感染症が拡大する中で運動を意識的に実施できた高齢者は約五一%にとどまっており、運動を継続できず、身体活動量が減少している方が非常に多く、コロナ終息後には要介護高齢者が増加する可能性があると指摘しています。 こうした状況を踏まえて、本年五月二十九日付で厚生労働省老健局から都道府県の介護保険担当主幹部局に対して、ちょっと長い名称ですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に配慮して、通いの場等の取り組みを実施するための留意事項という通知が発出されています。ここでは、緊急事態宣言の解除を踏まえて改定された基本的対処方針において、新しい生活様式の定着等を前提として一定の移行期間を設け、外出の自粛や施設の使用制限の要請等を緩和しつつ、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げることとされていることに触れつつ、移行期間における対応については、各都道府県の方針に従うことを前提とした上で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に配慮して、通いの場や認知症カフェ等の取り組みを実施するため、参考となる留意事項が示されました。 具体的には、地域における感染症の流行状況を確認し、開催の可否や実施方法について市町村の保健師や感染症に詳しい専門家の助言を得ながら検討することなど基本的な考え方から、三密の回避、マスクの着用など運営者、リーダー、参加者における留意事項、運営者やリーダーからの相談への適切な対応など市町村における留意事項まで細かく指摘されています。 介護現場での人材不足は、新型コロナウイルス感染症発生以前から深刻な課題となっています。コロナ社会における社会活動の停止によるシニア世代の認知や介護度の進行は、さらに厳しい状況を招きかねません。コロナ禍で高齢者の方々の活動自粛が長期化することによって、社会とのつながりが薄れ、生きがいを失ったり健康を損なったりすることが大変懸念されます。県としても、市町村としっかりと連携して対応していただくことを要望します。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染防止対策を講じつつ、高齢者の社会参加の機会を取り戻していくために国の通知内容も踏まえ、市町村等とも連携し、県としてどのように地域活動の場の再開を支援していくのか、御答弁願います。 次に、環境生活部長にお尋ねをいたします。 シニア世代の通いの場等の取り組みと同様に自治会や消防団などの地域の社会活動は、役員会や総会、行事の中止が続いて危機的状況にあると感じています。結婚式の中止や延期を余儀なくされたり、お葬式の参列者に対する制限など冠婚葬祭にも多大な影響が出始めています。正しく恐れて、正しく防ぐ、withコロナ社会においては、新しい生活様式を踏まえて感染防止対策と社会活動を両立していかなければなりません。住民同士をつなぐ自治会活動の停滞は、支援を必要とする住民の孤立や地域の防災力低下につながりかねません。自治会など参加者が特定される社会活動については、一定のルールやマニュアルに沿って早く再開し運営していくことが必要です。従来の開催方法にこだわらず、行事を再点検してコロナ禍でも住民同士が交流できるような仕組みづくりが必要だと思います。 そこで、自治会などに向けて感染対策と住民活動を両立させるポイントや事例紹介を新しい地域活動スタイルというようにまとめて、住民に分かりやすくマニュアル化してはいかがでしょうか。集会や総会の開催方法、夏祭りや敬老会などの催しについての対策事例をマニュアルとして具体的に示すことによって、安心して地域活動をしやすくなるのではないかと思います。 コロナ禍で停滞した自治会活動ですが、これを契機としてコロナ終息後も見据えた新たな自治会活動も生まれ始めています。その一例を紹介すると、京都府長岡京市のマンション自治会は、無料通信アプリLINEを使った回覧板を作成して、行政の告知や催物の案内だけではなく、マスクや消毒液配布などの情報を伝えるなど、ディスタンスを保った地域活動を意識しながら組織の活性化につなげているそうです。 こうした自治会の先進活動事例を行政が積極的に発信して、住民の活動をしっかり支援してほしいと思います。コロナ禍で住民の交流を閉ざしてしまうのではなく、ピンチはチャンスと捉えて新たな地域社会の活動方式を見いだして、住民の相互の交流をより深めていく契機にしてほしいと思います。 そこで、環境生活部長にお尋ねいたします。 新型コロナウイルスによる自治会活動への影響と今後の再開に向けて、どのような取り組みを行い、市町村への支援をしていくのか、お答え願います。 ここで、分割前半の質問を終わります。 ○議長(森正弘君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) コロナ禍における経済活動支援策について、二点御質問をいただきました。まず、設備投資費用を支援する補助金の今後の対応についてお答えします。 設備投資の支援に向け創設した補助金については、サプライチェーン対策等生産設備導入事業費補助金は、当初予定した予算の三・六倍、ヘルスケア産業関連施設導入支援事業費補助金は二・七倍、デジタル変革推進事業費補助金は二倍と、多くの申請をいただいているところです。こうした事業者のニーズを踏まえ、経済再生に向けてより多くの事業者に御活用いただけるよう、本議会にそれぞれの補助金を増額する予算案を提出しております。また、新たに企業立地促進事業補助金の要件を緩和したサプライチェーン対策枠を創設し、サプライチェーンの見直しに伴う工場誘致を促進してまいりたいと考えております。今後も、新型コロナウイルス感染症による社会・経済への影響や事業者の動向を注視しつつ、必要な支援策を講じてまいります。 次に、設備投資費用を支援する補助金におけるリースの導入についてお答えします。 御紹介のとおり、国の補助金ではリース契約による設備導入も補助対象としており、事業者とリース会社が共同申請し、リース会社の設備購入費用を国が補助することで、事業者が支払う毎年のリース料から補助金相当分が減額される仕組みとなっております。リース契約により事業者は多額の初期費用が不要となるメリットがあり、とりわけ国の補助金のように補助上限額が百五十億円といった大規模な設備投資のケースでは効果があると考えられます。 一方で、リース事業協会の統計では、昨年度の民間設備投資額に占めるリースの比率は五・七%と、必ずしも利用率が高くない中、県の補助金は上限額一億円の単年度補助制度であり、どの程度、事業者のメリットやニーズがあるのか精査する必要があります。このため、まずはリースを活用するメリットが高い国の補助金を最大限活用できるよう、先日開催された全国知事会議において、国補助制度の予算を目いっぱい確保するよう知事から提案したところでありますが、県といたしましてもリースによる設備導入につきましては、事業者のニーズや動向を把握しながら検討してまいります。 ○議長(森正弘君) 健康福祉部長 兼山鎮也君。    〔健康福祉部長 兼山鎮也君登壇〕 ◎健康福祉部長(兼山鎮也君) コロナ禍における社会活動支援策について、感染防止に配慮した高齢者の地域活動の在り方についてお答えいたします。 県では、高齢者の地域活動再開のため、国からの通知を踏まえて、県ホームページや市町村担当者会議で活動を再開するための留意点を周知しているところでございます。具体的には、三つの密を避け、人と人との距離の確保、マスクの着用や検温の実施、手洗いの徹底を基本事項として、開催中には一時間に二回以上換気を行う、会話をする際は正面に立たない、大きな声を出さない、飲食を伴う場合は横並びで座るといったことなど、きめ細やかな対応をお願いしております。 加えて、今月には、県において高齢者の生きがいづくりに関する相談窓口を新たに設置し、活動再開に向けた不安や疑問点について、必要に応じて専門家の御意見もお聞きしながら助言を行うとともに、活動を再開した好事例の紹介等を行ってまいります。あわせて、市町村老人クラブ連合会等の会合の場へ出向き、直接関係者へ留意点を御説明することで正しい理解を深め、より安心して地域活動を再開していただけるよう支援してまいります。 ○議長(森正弘君) 環境生活部長 西垣功朗君。    〔環境生活部長 西垣功朗君登壇〕 ◎環境生活部長(西垣功朗君) コロナ禍における社会活動支援策のうち、自治会活動への影響と活動再開に当たっての市町村支援についてお答えをいたします。 まず、コロナ禍の自治会活動への影響ですが、市町村に調査を行った結果、総会、清掃活動、防災訓練、敬老会、祭りなど多くの行事が中止・延期となるほか、役員会合や回覧板などの回数も減少していること、またこうした活動の停滞により、地域のつながりの希薄化、高齢者の心身両面での機能低下、地域に根差した伝統文化・芸能の継承などに懸念が生じていることが明らかとなりました。一方で、多くの自治会では、感染防止対策の難しさや感染者発生への不安などにより活動再開に踏み切れない状況がございます。 そこで、県としては、自治会活動の今後の再開に向け、各種会合や行事など代表的な自治会活動ごとに感染防止対策上の注意すべきポイントを簡潔にまとめたチェックリストを新たに作成し、市町村を支援してまいります。あわせて、議員からも御紹介のありましたインターネットやSNSなどを活用した新たな取り組みについても事例を収集し、コロナ禍における活動の参考にしていただけるよう情報提供してまいります。 ○議長(森正弘君) 二十八番 松岡正人君。    〔二十八番 松岡正人君登壇〕 ◆二十八番(松岡正人君) 御答弁ありがとうございました。 分割後半の質問として、SDGsの目標の一つに掲げられています住み続けられるまちづくりをという観点から、大型住宅団地の高齢化や空き家等の諸問題について、都市建築部長にお尋ねいたします。 平成二十三年十二月の定例会の一般質問において、私は大型住宅団地の自治会活動の課題、公共交通機関の衰退、急速な少子高齢化、防災や学校教育などの課題について、環境生活部長にお尋ねしました。あれから十年近くが経過しましたが、大型住宅団地ではさらに高齢化が進んでおり、そのスピードはほかの地域と比べてかなり急速です。 例えば、令和二年四月一日現在の岐阜市の大洞緑団地を有する芥見東地区の高齢化率は四二・六%、岐阜市全体の平均の二八・六%に比べてかなり高く、市内五十地区で見ると二番目の高齢化率となっています。また、私の地元、各務原市緑苑団地を有する緑苑校区の高齢化率は四一・六%、やはり各務原市全体平均の二八・一%に比べて同じように高く、小学校十七校区中で、こちらも二番目の高齢化率となっています。 さらに懸念される点は、大型住宅団地への流入人口が少ないということです。大型住宅団地は、高度経済成長期に住宅不足に伴って郊外の丘陵地に造成され、比較的短期間に団塊の世代が一斉に入居したこともあって、同年代の住民で構成されている傾向があります。そして、核家族化が急速に進展する時代であったことから、子供が親と同居しているケースは少ないようです。住民構成が後期高齢者に偏っていることや公共交通機関の衰退が若い人の大型住宅団地における住宅購入意欲の低下につながっていることも問題です。 こうした状況は、岐阜県地価調査結果にも表れています。折しも、昨日の新聞で大きく取り上げられていたので御覧になった方も多いと思いますが、住宅地点におけるワーストワンは大型住宅団地の地点でした。私は、この地価調査については、経済状況や人口動向など客観的に把握するために長年にわたって注視しています。近年、岐阜市や各務原市、可児市、多治見市の大型住宅団地における地価調査結果の下落率は、ほとんどが同一市内の平均地価下落率を大きく上回っている状況です。流入人口が少なく、住民の多くが団塊の世代である大型住宅団地は、この先の十年間でさらに高齢化率が上がり、その課題は一層多様化、深刻化すると考えられます。住環境の向上を目的とした住宅施策の面から、県として市町村と連携しながらしっかりと対策に取り組む必要があるのではないでしょうか。 こうした状況を踏まえて、国においては、住宅団地の実態把握や流通促進に取り組むため、国土交通省が中心となって住宅団地型既存住宅流通促進モデル事業が展開され、平成二十六年度に愛知県の高蔵寺ニュータウン住宅流通促進協議会や、三重県名張市桔梗が丘住宅団地と桔梗が丘南住宅団地の名張中古住宅流通促進協議会などが採択されています。 地方自治体としても、大型住宅団地の抱える様々な課題を捉えて、SDGsの施策として新たな取り組みが始まっています。SDGsにおいては、十一番目の目標として住み続けられるまちづくりが掲げられています。大型住宅団地の取り組みに対して、産学金官が連携して地域住民と共に課題を正確に分析しながら、具体的に対応している先進事例を二件紹介させていただきます。 横浜市では、持続可能な住宅地推進プロジェクトとして、郊外住宅地におけるリビングラボという取り組みを始めています。リビングラボとは、リビング(生活空間)にあるラボ(実験室)という取り組みです。具体的には、地域住民をサービスを共につくるパートナーと捉えて、住民の実生活環境の中で本質的な課題の探索や発見、解決策の検討や検証を行う仕組みであり、地域の情報収集、発信拠点を活用したエリア・マネジメントの試行的実施とまちづくりアンケートの結果等を活用した大規模住宅団地再生に向けた取り組みです。 もう一例、鎌倉市のリビングラボでは、高度経済成長期に開発・分譲された大規模郊外型住宅地は、居住者の新陳代謝が進まず、高齢化が著しく、地域コミュニティーの低下、移動や買物困難などを課題として取り組みが進められています。同市内の今泉台という大規模住宅地における鎌倉リビングラボの仕組みを全市に展開し、地域住民が中心となって、エリア・マネジメント手法によって地域課題や社会的課題を解決する仕組みを整えようとしています。横浜市や鎌倉市の事例は先進的な取り組みであり、岐阜県でもそうした取り組みが起きることを期待します。 現在、大型住宅団地では、高齢者世帯、特に高齢者単身世帯の割合が高くなりつつあり、その傾向は想像を上回るスピードで進んでいきます。高齢者単身世帯の増加に伴い、在宅介護、孤独死、防犯・防災等の課題も増加してきます。今後、高齢者世帯をどのように支えていくかについて検討を重ねる必要があります。地域住民が中心となって地域課題や社会課題を解決するために、エリア・マネジメントの手法や仕組みが整うように行政の支援が必要だと思います。 また、空き地・空き家が増大する郊外住宅地では、隣地の買い増しや住宅地内での移転などの促進により、ゆとりある敷地面積への拡大や豊かな住環境の実現をすることや、空き地・空き家を集約して積極的に自然環境を回復する事業の推進など、今後の時代に即した施策が必要となってくると思います。空き地、空き家、空き店舗、遊休化した公共施設、公園などの既存ストックを居住者のニーズに即して柔軟に活用し、住みやすい、住み続けられる地域にする必要があると考えます。住み続けられるまちづくりをという観点に立って、大型団地の将来を見据えた再開発や都市計画が住民参加型の産学金官連携による具体的な取り組みとして県内でも早く発足するよう、行政の支援を期待します。 そこで、都市建築部長にお尋ねいたします。 大型住宅団地への対策は、一義的には市町村が担うものであると考えますが、住宅施策として国の動向を踏まえて、県として今後どのように対応していくのか、御答弁お願いいたします。 以上で私の質問は終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(森正弘君) 都市建築部長 大野真義君。    〔都市建築部長 大野真義君登壇〕 ◎都市建築部長(大野真義君) 住み続けられるまちづくりをという観点での大型住宅団地に対する施策についてお答えします。 高齢化や空き家の増加など、一斉入居を要因とした特有の課題を有する大型住宅団地において、SDGsが掲げる住み続けられるまちづくりを実現するには、周辺環境や開発の事業主体、自治組織の体制など、団地の実情に合った対策を検討する必要があります。このため、国では、住宅団地の実態調査などを踏まえ、令和元年六月に地域再生法の一部を改正し、地域の特性に応じた団地再生に係る各種行政手続を弾力化する地域住宅団地再生事業を創設したところです。 また、県では、国や地方公共団体、民間事業者から成る住宅団地再生連絡会議に参加し、全国の先進的な取組事例を収集しており、今後はこうした先進事例や国の支援制度を市町村に紹介してまいります。さらに、来年度の県住生活基本計画の見直しの中で県内における大型住宅団地の実態把握を行い、団地が有する複合的な課題を整理した上で関係部局と連携して市町村の団地再生の取り組みを支援してまいります。 ○議長(森正弘君) 二十八番 松岡正人君。    〔二十八番 松岡正人君登壇〕 ◆二十八番(松岡正人君) 御答弁ありがとうございました。 商工労働部長に再度御質問をさせていただきます。 御答弁の中で、国の補助金に対する事業は百五十億という大きな金額の中でリースの活用はメリットがあるというお話がございました。私は質問内容の中で、県内、特に中小企業・中堅企業に対する資金繰りの緩和だとか、またリース会社からの補助金の情報提供だとかいうことのメリットも御紹介を差し上げたところですが、その点に関して商工労働部としての検討をするという御返答ではありましたけれども、お考えについていま一度、もうちょっと詳しく教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○議長(森正弘君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) リース料の検討について再質問をいただきました。 もちろん初期費用が少なくなること、これについては十分承知しております。ただ、長いスパンでリースが終わってからの費用も含めて、長いスパンを見て、短期的に効果があるということだけで検討するのではなくて、長いスパンを見てトータルで事業者にとってメリットがあるかどうかという点も考慮して検討してまいりたいと思いますし、もちろん、手続につきましてもリース会社を使うことで便利になるということは十分承知しております。それにつきましても、県としても申請手続がより簡便になるようなことも併せて検討してまいりたいと思います。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) しばらく休憩いたします。 △午後零時四分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後零時五十九分再開 ○副議長(小原尚君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(小原尚君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十五番 田中勝士君。    〔二十五番 田中勝士君登壇〕(拍手) ◆二十五番(田中勝士君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。 まず初めは、コロナ禍で見えてきた緊急時における課題について質問いたします。 今回の新型コロナウイルスの大流行は、以前から指摘されてきた我が国の緊急時における法体系の限界を白日の下にさらしました。本年一月二十九日、政府のチャーター機で中国武漢から帰国した二人が帰国者全員に求められていた検査を拒否して帰宅するという出来事がありました。当時がウイルスの国内侵入を防ぐ水際対策にとって非常に重要な時期だったことは皆さんも御承知のとおりです。この二人の検査拒否について、当時の安倍首相は国会答弁の中で、長時間説得したが法的拘束力がなく、残念ながらこういう結果になったと苦渋の表情で述べられました。幸いなことにこの二人は後日検査に応じ、陰性が確認されたわけですが、現行法の限界を目の当たりにした出来事でした。 最大の問題は、憲法に緊急事態条項がないことにあります。これまで東日本大震災や福島の原発事故など国民の生命に関わる緊急事態発生時に首相に強い権限を与える法律は、その大災害や事故の後に後づけで整備されてきました。このため、今回のような感染症の流行など想定外の事態については未整備でした。こうした問題に対し、憲法を改正し、緊急事態条項を新設すべきだという議論があることは皆さんも御承知のとおりです。当然、自由民主党の憲法改正案にはこれがきちんと盛り込まれています。しかし、残念ながら憲法改正についての議論は遅々として進まず、事実上放置されているのが現状です。 世界を見回してみると、共産党政権下の中国などは別として、日本より人権意識が高いとされる欧米各国でさえ都市のロックダウンなどの強制措置を取っていますが、我が国ではそうしたことを命じることはできません。法的強制力が伴わないにもかかわらず、我が国で外出自粛要請などがうまく機能するのは、ひとえに日本人の公共性を重んじる性質によるものだと思います。これは日本人の美徳とも言え、私たちは誇りに思ってよいのかもしれませんが、そうした国民性に寄りかかることを前提とした法体系は脆弱と言わざるを得ません。 また、自粛警察という言葉が示すとおり、我が国の社会には相互監視によって同一行動を促す同調圧的な空気が存在するのも事実であり、例えば緊急事態宣言の発令時などに知事の休業要請に従わない事業者等に対しては厳しい批判の声が上がりました。法律に背いているわけではないのに厳しく批判される、これも法が強制力を持たないため生じる問題点だと言えます。 話を新型コロナの問題に戻します。三月十三日、新型コロナウイルスを新型インフルエンザ等対策特別措置法、以降、特措法と呼ばせていただきます。この特措法の対象に加える改正法が国会で成立、四月に入ると安倍首相は緊急事態宣言を発令しました。特措法によると、外出自粛などの要請については都道府県知事の権限とされています。この緊急事態宣言の発令により、ようやく全国の都道府県知事は、法律に基づく外出自粛や休業要請・指示などの措置ができるようになったわけです。 しかし、こうした措置のほとんどは強制力を伴わない要請レベルのものであったため、その実効性には疑問が残りました。加えて、国と地方の役割分担については曖昧な部分があり、例えば休業要請を求める範囲や経済活動の出口戦略をめぐり対立が表面化するなど課題も残りました。そうした経験を踏まえ、全国知事会は七月に新型コロナウイルス感染症に関する緊急提言をまとめ、国への要望を行いました。 また、古田知事もさきの定例会における県政自民クラブの代表質問に対し、国の緊急事態宣言の発令や解除の基準の在り方、緊急事態措置に係る国と県の役割分担やその財源確保などについて、国に対しても再検証を促したいと答弁されています。 以上を踏まえた上で知事に質問いたします。 知事は、岐阜県のコロナ対策の責任者として、これまで半年以上にわたり指揮を執ってこられました。そうした立場から見て、国と地方が抱える課題についてどのように捉えているか、知事の考えをお聞かせください。 全国知事会の緊急提言では多くの課題が指摘されています。この中の法的措置等に関する項目には、保健所による積極的疫学調査や健康観察、都道府県知事による事業者への休業要請、個別施設への協力要請、これらの実効性を担保するための罰則規定などの法的措置を講じること、国による補償金的な協力金の制度化について早急に議論を進めること、臨時国会での審議も含め、知事・保健所の権限強化のため、速やかに必要な特措法や感染症法、風営法等の弾力化や法改正を行うことなどが盛り込まれています。また、地方のこうした動きを受け、当時官房長官だった菅首相も法改正に前向きな姿勢を示されています。 そこで、知事に二点目の質問です。 特措法の改正についてどう考えるか、お聞かせください。また、今回の経験を生かすためにも恒久的な基本法を定めるべきではという意見もあるようですが、これについての御所見も併せてお聞かせください。 報道等にもあるとおり、今、政府内では新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけ見直しの議論が進められているようです。そこで、次はこの見直しの問題について質問したいと思います。 エボラ出血熱やSARSなどの感染症は、その危険度によって一類から五類と新型インフルエンザ等に分類され、それぞれ入院勧告や就業制限など、取るべき措置が決められています。新型コロナは今年一月の閣議決定で暫定的に指定感染症に位置づけられ、SARSなどと同じ二類相当とされました。これにより感染者に対する入院勧告などができるようになったわけです。この後の感染拡大を受け、無症状者にも入院勧告ができるよう一部の措置を一類相当に変更、これに加え、新型インフルエンザ相当の感染症に対する措置である濃厚接触者への外出自粛要請も行うこととされました。つまり現在、新型コロナは平均致死率が五〇%とされるエボラ出血熱より厳しい対策が取られていることになります。 日本における新型コロナの致死率は約二%、これは今日までトータルの数字であり、皆さんも御承知のとおり、第二波では無症状や軽症の感染者が増え、致死率も下がっています。こうした現状が医療機関や保健所の業務を圧迫する現在の一類相当の措置は不要ではないか、季節性インフルエンザと同じ五類相当でよいのではないかという議論を呼んでいるようです。 そこで、知事に質問です。 現在は、コロナ対策と経済活動の両立が模索されています。その一方で、この冬に向けてインフルエンザの同時流行も懸念されています。こうした環境の中、この新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを見直すという動きについてどう考えるか、知事の考えをお聞かせください。 前半の質問は以上です。答弁よろしくお願いいたします。 ○副議長(小原尚君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) まず、国と地方が抱えるコロナ感染症絡みの諸問題についての御質問でございました。 そもそも御案内のように新型コロナウイルス感染症は、人類が史上初めて経験する感染症であるということで、まさにパンデミックとして地球規模の事案になっているわけであります。このような広がりを持つ危機事案については、まずは国が責任を持って統一的な基準や方向性を示し、これにのっとって自治体が個別の事情に応じ具体策を講じていくということが一般論として基本であろうというふうに考えております。そこで、我が国の場合には、国は新型インフルエンザ特別措置法及び感染症法といった既存法令を対策の枠組みとして活用し、対処してきているということであります。 県においては国と歩調を合わせながら、次に申し上げる三点を基本にこれまで各種施策を展開してまいりました。 すなわち第一に、新型コロナウイルスが未知のウイルスであることを踏まえた国内外の情報収集の徹底と専門知識の活用、第二に、その影響が広く社会生活に及ぶことから、あらゆる関係者によるオール岐阜体制での対応、第三に、その感染拡大のスピードに対応した迅速な決断ということであります。 さらに、国も地方も手探りの中で国と地方の協議の場という場もありますし、また随時、政府と知事会との意見交換の場といったものを通じて積極的に連携、意思疎通を図ってきております。そうした中で徐々に課題も明らかになってきておるということかと思います。 まず第一に、休業協力要請に伴う何らかの経済的手当てなど二つの法律の枠を超えた対応、二つという意味は特措法と感染症法ですが、第二に、国と地方の役割分担と責任の明確化、これがお尋ねの点だと思います。第三に、財源の確保ということかと思います。特に、国と地方の役割分担につきましては、例えば特措法上、休業協力要請は知事の権限でありますが、同じく特措法に定める国の基本的対処方針の中では、国との事前協議が求められているということでございまして、まさに国と地方の責任の分担関係が必ずしも明確になっておらないわけであります。 その結果、御記憶かと思いますが、例えば四月に国が緊急事態宣言を発動いたしたわけでありますが、その直後、数日間、国と東京都の間で協議をしたわけですね。この協議に必要以上の時間がかかって、緊急事態宣言を発動したにもかかわらず迅速な感染防止対策の具体的実施に時間をかけたということで大変影響を及ぼしたというふうに思っております。 また特措法上、緊急事態宣言の発出は国の権限であります。しかしながら、各都道府県の実情がかなり異なることもあって、国の権限発動を待つことなく、例えば北海道、愛知県などで独自の法に基づかない緊急事態宣言が相次いで発出されております。この場合、本県は非常事態宣言と言っておるわけでありますが、特措法上の法に基づく宣言とは異なるということを明らかにするためにあえてこういう言葉を使ったわけでありますが、この非常事態宣言ということを発動すると同時に、具体的な対応策については随時国に報告をし連携を取ってきているというやり方を取っているわけであります。この点でも国と中央との権限の整理といいますか、分かりにくさが残っているんではないかというふうに思っております。 なお、行政の役割分担の問題として御参考までにつけ加えますと、県と市町村との連携も不可欠なものであります。しかしながら、感染症法上は、保健所設置市の権限は都道府県と同等の位置づけになっているわけであります。したがって、同じ都道府県の中でも患者情報の共有、公表の在り方、積極的疫学調査などの方針について必ずしも足並みがそろわない事例が見られるところであります。こうしたことについて本県では、早い時期から岐阜市との間にクラスター対策合同本部を設置し、統一方針により一体となって対処していくということであります。また、全市町村長もメンバーになっている岐阜県新型コロナウイルス感染症対策協議会において、オール岐阜でのコンセンサスないし意思決定を確保しながら対策を講じてきているということで、こういった点については、我々としては意を用いているということであります。 次に、特措法の改正と恒久法の制定についてであります。 国と地方が抱える課題については今ほど申し上げたとおりでありますが、そのうち、その中には特措法そのものに関するものも含まれているわけであります。このため、特措法の改正については各都道府県の意見を集約し、全国知事会としてこれまで複数回にわたって国に対して提言を行ってまいりました。その内容については御質問の中でも言及がありましたのでここでは触れませんが、国に対しては、感染が落ち着いてからではなく、速やかに、かつ将来の新たな感染症を見据えた特措法の再検討に取り組んでいただくよう要請をしてきているところであります。 次に、恒久的な基本法を定めるべきではないかという御議論でありますが、まず感染症の分類、予防、感染症が発生した場合の検査、入院、医療と、こういったことに係る個別の措置については、現在、恒久法たる感染症法の体系において規定されているわけであります。そして、新型コロナウイルス感染症も含めて新たな感染症が発生した場合には、必要に応じてこれを指定感染症として指定をし、そしてこれに関する知見の蓄積に応じて必要となる措置を定めていると、こういうことでございます。 一方、外出の自粛、あるいは休業協力要請といった社会経済活動に対する制限による感染症拡大防止については、二〇〇九年の新型インフルエンザ感染症の発生において初めて求められることになったわけであります。その結果、特別措置法が制定されて今日に至っておるということでございます。したがって、今回新型ウイルス感染症についても時限的に、具体的には令和三年、来年の一月三十一日までということで特措法が適用されていると、こういうことであります。 このような現行の法体系を踏まえますと、法の恒久化を図るとすれば、恐らく御質問の趣旨は、より安定的な法体系を築くべきではないかということかと思いますが、法の恒久化を図るとしますと、論理的には、例えば恒久法たる感染症法の中に特措法で規定する事項を加えていくやり方もあるでしょうし、あるいは特措法そのものを恒久法として、新型インフルエンザ等のみならず様々な感染症を幅広く対象として再整理するようなやり方もあろうかと思っております。様々いろんなやり方があろうかと思っております。 そして、恒久的な基本法ということをお尋ねでありましたが、そもそも国の基本法は、本来相当な時間をかけてじっくり議論するべきものである等の一般論がございますが、それに加えて、今申し上げましたような感染症法なり特措法なり、あるいは風営法も入れてもいいかもしれませんが、既存の法体系との関係を含めて新たに制定する基本法をどのように位置づけるか、そしてどこまで基本法でカバーするかといったことについて、かなり根本的なところから幅広い議論を積み重ねていく必要があるんではないかというふうに思っております。 なお、これまた御参考までにつけ加えますと、御案内のように本県では感染症対策の基本的な考え方、推進体制に関する枠組みといった観点から恒久的な岐阜県感染症対策基本条例を制定しているわけでございます。これによって新型コロナウイルスに限らず、今後起こり得る新たな感染症に備えていると、こういうことになっているわけでございます。 次に、新型コロナウイルスの感染症の位置づけの見直しの動きについてどう考えるかということであります。 御指摘いただきましたとおり、二月に感染症に基づいて指定感染症に指定されました今回の新型コロナウイルス感染症につきましては、これまでに得られた知見を踏まえながら、次の季節性インフルエンザとの同時流行期も見据えて、国において次の二点について必要な措置の見直しの方針が示されておると。つまり、指定された感染症についてどういう措置を取るかというのを規定してきたわけでありますが、その規定の見直しをしているということで、類別の見直しをしているわけではないわけでありますが、結果として、どの類のどの辺かなということで相当ということが言われているわけですね。 主な論点は二つありまして、既に方針が示されておりますが、第一に入院措置について、これまで原則として無症状の方を含めた全ての患者等を一律に入院措置の対象としてまいりました。これを高齢者や基礎疾患を有するなどの重症化リスクのある方、あるいは現に重症である方などに対象の重点をシフトするという方針を示しながら、同時に、具体的にどのような方に入院していただくかについては知事に一定の裁量を与えると、こういう方針が出されているわけであります。 二番目に患者等の届出というものがあるわけでありますが、これについて、新型コロナウイルスの感染が疑われる症状を有する患者を診断した医師は、陽性かどうかに関わらず、まずは速やかに知事等に届け出るということになっているわけでありますが、これを陽性と確定した方に限定をするというふうに方針として改めようとしているわけであります。今後、政府としては今回示された方針に基づいて、今月中に政省令の改正を行うというふうに聞いております。 この政府の方針に対する本県の考え方を申し上げますと、まず第一の入院措置につきましては、これまでも答弁してきておりますが、本県は自宅療養者ゼロを掲げてまいりました。すなわち感染症の蔓延防止には患者の隔離が不可欠であるということから、陽性患者は全て入院させ、一定期間の病状観察により、無症状あるいは症状が軽快したと判断した方は宿泊療養施設に入所することにしてまいりました。このような対応は、これまで徹底的な疫学調査の実施と相まって、本県での感染拡大防止に寄与してきたというふうに御評価もいただいているところでございます。そのために今後、特に都市部における病床や宿泊療養施設の逼迫を背景に入院対象の重点を一定の方々にシフトしていくということは、全国的に見て、地域によってはあり得るとしても、家庭内感染の懸念が拭えない自宅療養は、やはり避けるべきであるというふうに私どもは考えております。 したがって、本県としては、自宅療養者ゼロの方針の下で宿泊療養施設をより積極的に活用するということで、無症状者または軽症の患者については県内の感染拡大状況に応じて医療機関の診察を受けた上で、一旦入院していたものを直接、宿泊療養施設に入所いただくというようなルールに今回定めたところでございます。 また、全国知事会からも、地域によって感染状況や医療提供体制の負荷が異なるということを踏まえて、知事の裁量により地域ごとに異なる運用を可能にするよう要望してきているということでございます。この方針の中に知事の裁量ということが入っておりますので、これがどういうふうに政省令に書き込まれるか、そこは注目したいと思っております。 二番目の届出についてでありますが、陰性例を含めた全ての疑い事例の報告は、医療機関、保健所の現場にとって実は大変負担になっているということは事実であります。そうしたことから、今回陽性事例等に限定した届出になるというこの方針は、適切なものというふうに評価しております。 ○副議長(小原尚君) 二十五番 田中勝士君。    〔二十五番 田中勝士君登壇〕 ◆二十五番(田中勝士君) 丁寧な御答弁をいただき、ありがとうございました。 それでは、後半の質問に入らせていただきます。 今から百年前、スペイン風邪と呼ばれる感染症が世界的に大流行しました。これは、いわゆる新型インフルエンザの一種で第一次世界大戦中の一九一七年から一九二〇年にかけて、第一波から第三波まで三つの波に分かれてパンデミックを引き起こしました。特に、一九一八年秋から冬にかけての第二波では、ウイルスが強毒性に変異し、重篤な肺炎に苦しみながら多くの人が亡くなりました。人口統計が未整備だった国もあり、その数に曖昧な部分はありますが、世界人口の約三割に当たる五億人が感染し、死亡者の数は五千万人から二千万人とも言われています。新型コロナウイルスの世界全体における今日までの感染者数が約三千万人、亡くなった方が約百万人ですから、感染力の強さや致死率の高さなど、その恐ろしさが御理解いただけると思います。当然日本にも上陸しており、約二千四百万人が感染し、三十八万人もの方々が亡くなりました。 今回のコロナ禍によりマスク着用の効果が改めて見直されていますが、マスクが日本で普及するきっかけとなったのは、このスペイン風邪の大流行だったと言われています。当時、国が国民に対しマスクの着用を呼びかけたポスターには、混み合った電車の中でウイルスを吸い込む人の絵が描かれ、「恐るべし「ハヤリカゼ」の「バイキン」!マスクをかけぬ命知らず!」と、かなり刺激的なキャッチコピーが並んでいます。風邪を引いたら人にうつさないようにマスクをつけるといった行為は、今回のコロナ禍以前から生活の中に定着し、私たちはこれをごく当たり前のように行ってきました。しかし、過去に遡ってみると、かつてスペイン風邪の大流行という国民の命と健康に関わる危機的な状況があり、これを契機として啓発が行われ、普及し、生活習慣の中に定着してきたという歴史的経緯があったわけです。 改めて言うまでもなく、日本は島国です。急峻な地形が多く平野が少ない。その少ない平野部に都市を形成し、多くの人々が密集して生活しています。このような特徴を持つ国や地域では、一旦感染症が発症すると深刻な事態をもたらします。 特に明治維新以前、感染症に対する知識がほとんどなく、医療も十分に発達していなかった時代、私たちの祖先は幾たびもの疫病に苦しめられてきました。握手やハグをしないおじぎという非接触型の挨拶、家の中では靴を脱ぐ生活様式、食べ物を直接手で触ることは極力しない箸を使った食事、風呂文化に代表される清潔好き、そして風邪を引いたらマスクをつける、こうした習慣や生活様式は、実は日本人が次々に襲いかかる感染症に対抗し、それを克服するため日常生活の中に定着させてきたものかもしれません。 そこで、この後半の質問では、今回のコロナ禍の中で得た経験を基に、将来にわたって感染症に備えるといった観点から、新しい生活習慣や生活様式について質問したいと思います。 まずは、正しい手洗いの普及について質問いたします。 初めに、興味深い数字を紹介したいと思います。毎年冬から春先にかけてインフルエンザが流行します。御存じの方も多いと思いますが、今シーズン、ここで言う今シーズンとは二〇一九年から二〇二〇年にかけてのシーズンのことです。この今シーズンのインフルエンザの患者数は、例年に比べると激減しています。厚生労働省がこの三月に発表した今年第十二週までの累計患者数は七百二十七万人、前年同期の患者数が約一千百六十四万人ですから、これは前年比約四割の減少ということになります。ちなみに、この数は比較可能な二〇一一年から二〇一二年シーズンから今日までの中で最も少ない数字になっています。 この報告をもう少し詳しく見てみると興味深い現象に気がつきます。今シーズンの患者数は、昨年の十二月までは例年を上回るペースで増加していました。御存じのように、インフルエンザの患者数は一月下旬から二月上旬にピークになります。このため、今シーズンはひょっとしたら大流行になるのではと懸念されていました。ところが、年が明けて一月下旬から二月上旬にかけての時期、不思議なことに患者の数はほとんど増えませんでした。 御記憶にある方もいるかもしれませんが、国内で最初の新型コロナの感染者が確認されたのは一月十五日、ダイヤモンドプリンセス号が横浜港に入港し、乗客への健康チェックが開始されたのが二月三日です。この頃から新型コロナについての報道などが増え、国民の関心は急速に高まりました。こうした一連の流れの中で新型コロナに対する危機意識が国民全体に広がった。そのため、例年以上に手洗いをしたり、マスクをつけたり、人混みを避けたりして感染予防を心がける人が増えた。人々は新型コロナの対策をしたのだが、結果としてインフルエンザの患者が減少した。専門家の間ではこのように見られているようです。 インフルエンザや新型コロナに感染した人がせきやくしゃみをすると、ウイルスを含んだ飛沫が飛び散りますが、飛沫はその重さで落下するため、拡散される範囲は約二メートルと言われています。よって、至近距離からくしゃみを浴びるような場合を除き、空気中を浮遊する飛沫を直接吸い込むことによる感染リスクはさほどでもないようです。むしろ拡散した飛沫により汚染されたテーブルなど、身の回りのものを手で触り、さらにその手で鼻や口を触ることによって感染する接触感染への対策がより重要であると言われています。今回のコロナ禍において、この接触感染の仕組みについては広く国民の知るところとなり、これに合わせて、特に手指消毒と手洗いの重要性が認識されるようになりました。 御手元に配付した水色の資料を御覧ください。今回、私が取り上げる正しい手洗いとは、ここに記載されている手順と方法によって行われる手洗いのことです。念のため申し上げておきますが、一般的によく見かける石けんを使わずに水で洗い流すだけの手洗いは、感染症対策としてはほとんど効果がないようです。 今、県民の感染症や衛生管理に対する関心は高まっています。私はこうした機会を捉え、県民が日常生活の中で正しい手洗いを生活習慣として行えるようになれば、コロナ対策として有効なだけでなく、将来、私たちを襲うかもしれない、より危険な感染症に備えることにもつながるのではないかと考えています。そして、この正しい手洗いをオール岐阜の県民運動として広めてはどうかというのが今回の質問の趣旨です。 別に自慢して言うわけではありませんが、私はかなりしっかりと手を洗います。これはコロナが流行する以前からの習慣なのですが、実はきっかけがあります。皆さんは、手洗いマイスターという制度について聞いたことがあるでしょうか。一般に普及している制度ではないため御存じない方が多いと思いますが、これは食品関係事業者の団体である食品衛生協会が平成二十七年度から食中毒対策として実施している事業で、その目的には次のように書かれています。「食品衛生の基本は手洗い。手洗いに始まり手洗いに終わる」、このことは食品取扱い事業者にはよく認識されている。しかし、その一方で、近年の食中毒は人の手を介した二次汚染によるものが増加している。こうした状況の中、食中毒を未然に防ぐためには、事業者による自主衛生管理の徹底が急務であり、効果的な手洗いを維持継続し、習慣化することが重要である。食品取扱い事業者に手洗いの意義や根拠に基づく手洗い手順、環境整備の必要性について普及・啓発することを目的とし、所定のプログラムを修了した食品衛生指導員を地域における手洗い指導の中核をなす手洗いマイスターとして認定するという、こういった事業なんですけれども、私は数年前、この手洗いマイスターの資格を持った食品衛生指導員の方から手洗いの重要性についての話を聞く機会がありました。そして、正しい手洗いの方法が収められたDVDを頂き、その動画を見させていただきました。内容は、先ほど御覧いただいたチラシとほぼ同じ内容となっています。それ以来、トイレで用を足した後や外出から帰宅したときなどは、できるだけこの手順に沿って手を洗うようにしています。そして、それを続けているうちに習慣として定着してきたわけです。 食中毒の防止も感染症の防止も、その対象はウイルスや細菌であり、目指す目的はほぼ同じです。その効果かどうかは分かりませんが、私はここ数年、風邪を引くことはほとんどありませんし、もちろんインフルエンザにもかかっていません。感染症対策で重要なのは、一人一人による自主管理の徹底と対策の習慣化です。その中でも私が実践している正しい手洗いは、手軽に行える非常に有効な対策です。 現在、県では、このチラシを配布したり、ポスターとして掲示したりして、その普及・啓発に努めていただいています。また、動画を配信する取り組みも進めていただいています。しかし、これを習慣として定着させるには、単に広報するだけではなく、手洗いの意義や正しい手順、環境整備の必要性などについて広く県民に理解してもらうことが重要です。 そこで、「正しい手洗い」の普及について質問いたします。 まず、古田知事に二点伺います。 一点目、正しい手洗いを広く県民の間に定着させるため、これをオール岐阜の県民運動として取り組んではどうかと思いますが、知事の考えはいかがでしょうか。また、先ほど紹介した手洗いマイスターのような担い手育成の取り組みについてどう考えるか、併せてお聞かせください。 二点目、現在、県内の学校等では、コロナ対策のため手洗い場の増設を行っているところもあると聞いています。正しい手洗いの普及には環境の整備も重要です。職場や学校、公共施設などに対し十分な手洗いスペース確保をはじめ、適切な手洗い場の設置を促す取り組みも併せて進める必要があると思いますが、いかがでしょうか。 次に、教育長に二点伺います。 一点目、現在、教育現場では、コロナ対策として手洗いに非常に熱心に取り組んでいただいていると聞いています。その取り組みについて、具体的な事例と併せてお聞かせください。 二点目、学校関係者の皆さんには、こうした取り組みによって身につけた手洗いが児童・生徒にとって生涯を通じての習慣となるような指導をお願いしたいと思いますが、教育長の考えはいかがでしょうか。 次は、最後の質問です。 先ほど、私たちの祖先が新しい生活習慣を取り入れることによって感染症に対抗してきたという話をさせていただきましたが、それ以外にも私たちは、インフラを整備したり、新しい技術を導入するなどして感染症の拡大を防いできました。withコロナの時代、これから私たちは身の回りに常にウイルスや細菌が潜んでいることを意識しながら生活していかなくてはなりません。そうした中、現在、新県庁舎の建設が進められています。私は、この新しい県庁舎は感染症対策に十分留意したもの、そして、今後建設される公共施設のモデルになるものでなくてはならない。そのためにも、身の回りのちょっとした設備や構造などにも目を配る必要があると考えています。 そこで、最後は新県庁舎における感染症対策について質問いたします。 現在の県庁舎は昭和四十一年に建築されたものです。古い建物なので仕方がないのですが、私はかねてから、ここのトイレの構造は少し問題があると思っていました。県庁舎のトイレの入り口は扉を押して入る構造になっています。手洗い場はトイレの中にあり、用を足した後、手を洗い、今度は扉の取っ手を引いて出なくてはなりません。ただでさえ、トイレは衛生管理に気を遣わなくてはならない場所です。こうした構造の出入口を少し不潔だなと感じていた人は、恐らく私だけではないと思います。さらに、今回のように感染症が広がっているときに接触感染を防ぐということを考えると、不特定多数の人が直接手で触れる場所はできるだけ少ないにこしたことはありません。こうしたものは、この機会に見直すべきだと思います。 そこで、総務部長に質問です。 新県庁舎のトイレの出入口は、直接手で触れることのない非接触型のものであるべきと考えますが、現在の計画ではどのような構造になっているのでしょうか。また、先ほど申し上げた正しい手洗いができるスペースは十分に確保されているのでしょうか。さらに、それ以外に新県庁舎において感染症対策として何か工夫をされている点があれば御紹介いただきたいと思います。 今回の質問は以上です。明快な答弁をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 正しい手洗いについて、県民運動の推進、担い手育成、そして手洗い環境の整備とお尋ねがございました。これを併せてお答えを申し上げたいと思います。 私もこのところ手洗いは励行しておりまして、手のひらのしわが随分増えてきたような気がしております。それはさておきまして、まず正しい手洗いの定着についてお答え申し上げます。 議員御指摘の手洗いに加えてマスクの着用、ソーシャルディスタンシング、この三つが最も基本的かつ効果的な感染症対策というふうに考えております。新型コロナウイルスのみならず、秋冬に流行する季節性インフルエンザ、ノロウイルスなど感染症一般に非常に有効な対策であり、県民に定着を図ることは大変重要だというふうに思います。 県の専門家会議の御意見を踏まえて作成いたしましたコロナ社会を生き抜く行動指針におきましても、この三つを「新しい生活様式」として位置づけております。これまで新聞広告、ウェブ、ラジオによる啓発のほか、ミナモによる手洗い動画、専門家を交えた感染防止対策の動画を作成し、テレビ、ユーチューブでの配信、県営公園におけるイベントなどでも活用してきております。 また、県では既に県食品衛生協会の手洗いマイスターと連携をいたしまして、保育園・幼稚園・小学校において手洗い教室を開催し、子供たちに正しい手洗い方法を普及・啓発する取り組みを進めてきております。 以上のように、多様な取り組みを通じて様々な世代に手洗いのほか基本的な感染症対策の徹底を呼びかけているところでありますが、この新型ウイルスの闘いは長期戦であります。そのため、例えば学校、職場、家庭において感染症防止対策の普及・点検を行う手洗いマイスターのような担い手育成、あるいは重症化するリスクの高い高齢者の関連施設に対する重点的な啓発の実施といったことなど、さらに取り組みを進めてまいりたいと思っております。 次に、適切な手洗い場の設置についてでありますが、御指摘の環境整備というハード面での取り組みも大変重要だというふうに思います。従来の手洗いスペースは、扉の開閉が必要であったり、石けん未設置、直接手でひねる蛇口など、感染防止の観点からは必ずしも適切でない状況も見受けられます。今後は十分な手洗いスペースの確保、石けんの設置、自動水洗の設置、ペーパータオルの設置など、感染防止のための適切な手洗い場の整備についても、これを促す取り組みを進めてまいります。 以上、コロナ社会を生き抜く行動指針の啓発、職場等における感染防止対策の担い手の育成、適切な手洗い場の設置促進など、様々な取り組みを進めるに当たっては、コロナ社会を生き抜く県民運動という形で体系的にこれらをまとめ上げて整理をし、オール岐阜体制で進めていきたいと思っております。 ○副議長(小原尚君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 正しい手洗いの普及について、二点御質問がありました。 初めに、教育現場での取り組みについてお答えします。 学校における手洗いについては、学校再開ガイドラインに基本的な感染症対策として位置づけ、登校時や給食の前後などに徹底するよう示しているところです。これに基づき、小・中学校では正しい手洗いの方法が身につくよう、児童・生徒の発達段階に応じた様々な取り組みが行われております。 例えば、小学校では、指の付け根などの洗いづらい部分にスタンプを押してからインクを洗い落とす練習を行った上で校内放送で手洗いの歌を流すといった、決まった時間に決まった場所で手洗いを習慣化するための工夫がなされております。また、中学校では、ウイルスが手や指のどの部分にどのぐらいの時間付着したままになっているのかなど、手洗いの必要性について学び、実践につなげる授業や生徒自らが保健委員や給食委員として正しい手洗いのモデルを示すなど、手洗いの大切さや効果を実感できるような取り組みも行われております。 次に、生涯を通じての習慣となるような指導についてお答えします。 行動科学の視点では、行動を習慣づけるためには行動を分かりやすく具体化し、目標を立てて実践すること、そして行動したことを記録しておくことが有効とされています。また、文部科学省は、児童・生徒に早寝早起きや歯磨きなどの生活習慣を身につけさせるには、学校と家庭が連携し、周囲の大人による継続的な見届けと評価を繰り返し行うことが大切としています。児童・生徒の手洗いの習慣化に向けても同様に毎日決めた時間に正しい方法で実践し、その結果を記録する。そして、これらの取り組みを学校と家庭で継続し、教員や家族が褒めたり励ましたりしながら児童・生徒が率先して取り組めるよう支援することが重要になります。このため、先ほど申し上げた学校における様々な取り組みについて、家庭でも継続して実践していただくよう働きかけるとともに、知事部局とも連携しながら、正しい手洗いの普及と習慣化に取り組んでまいります。 ○副議長(小原尚君) 総務部長 横山 玄君。    〔総務部長 横山 玄君登壇〕 ◎総務部長(横山玄君) 新県庁舎における感染症対策についてお答え申し上げます。 新県庁舎のトイレにつきましては、原則、全ての出入口をクランクさせた構造とし、ドアそのものをなくすことで、現在とは異なり、非接触型の出入口とする予定であります。 また、手洗い場においては、自動センサー付手洗い用水洗及びソープディスペンサー、人感センサー対応型照明器具など、非接触型の機器類を導入しますとともに、十分な手洗いスペースを確保し、洗面器の数も増やしてまいります。加えて、自動洗浄機能を備えた便器も採用いたします。こういった取り組みによりまして、新県庁舎のトイレについては衛生面にきめ細かく配慮した構造といたします。あわせて、一般の執務室においても出入口を自動ドアとするなど接触リスクの低減を図ってまいります。新県庁舎における感染症対策については、今後も知恵を出しつつ工夫をしてまいりたいと考えております。 ○副議長(小原尚君) 十六番 若井敦子君。    〔十六番 若井敦子君登壇〕(拍手) ◆十六番(若井敦子君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、今回は三項目について二分割にて質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 初めに、電源を要する重度障がい児者の災害対策についてお尋ねいたします。 近年、気候変動の影響などにより気象災害が激甚化、頻発化し、それに伴い大規模停電が発生するなど、ライフラインにも大きな被害が生じています。今年九月に発生した台風十号でも、停電は暴風域に巻き込まれた九州全県に及び、九州電力によると最大四十七万六千戸が停電したとのことです。本県では停電時における迅速な復旧を目指し様々な対策を講じていただいておりますが、停電が復旧するまでの間をどうしのぐのか、命や暮らしを守るために一人一人が危機感を持ち、緊急電源の確保など、エネルギーインフラに備える必要があります。 そのような防災的観点から、現在、自治体において動力源に電気を使う自動車、いわゆる電動車、これは電気自動車、またハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、これらを指しますけれども、これらの普及促進に関する取り組みが全国で始まっています。例えば、電動車に搭載する蓄電池・燃料電池を住居や家電に電力を供給できることから、平常時だけでなく、災害時にも非常用電源として活用することが可能となり、災害時の移動式電源としても機動性が高く環境にも優しいことから、経済産業省や国土交通省なども電動車の活用を推進しています。これらの取り組みは、災害時における地域エネルギーの自立を可能とし、本県のエネルギーインフラ整備にも有用であることから、ぜひとも環境整備を進めていただきたいと考えますが、災害は環境が整うまで発生しないとは限らず、公助につながるまでの停電対策をまずは自助・共助の下で備えることが大切であると考えます。 中でも電源の喪失が命の危機に直面するような人工呼吸器などの医療機器を使用している方にとって、停電への備えは不可欠となります。そのため、有事の際に有効な支援につなげるため、医療機関などの関係機関による支援体制の構築を目指して、平成二十九年に要電源重度障がい児者災害時等支援ネットワークの構築事業を開始し、同年に県内の状況を把握するための調査を実施されています。在宅生活を送る重度障がい児者の家族向けに実施された災害時等要電源調査によると、回答者十九名のうち約八割が二十四時間人工呼吸器を使用しており、内臓バッテリーは全員が所持をしていましたが、予備バッテリーは三名が所持をしていないとのことでした。 また、作動時間に関する調査では、内臓・予備バッテリーを合わせて六時間程度という回答が最も多く、平均では十時間程度とのことで、もし停電復旧に十時間以上を要した場合は生死に関わる問題となります。 また、病院向けに実施された災害時の重度障がい児者の受入れ対応の有無についての調査では、回答のあった八十三施設中六十七施設、何と約八割が対策を取っていないとのことで、平成二十九年の時点では、県内のほとんどの医療機関で受入れ体制が整っていないということが浮き彫りとなりました。現在、事業開始から約三年が経過しようとしていますが、待ったなしの災害対策事業としては、スピード感に欠けるように感じます。重度障がい児者の御家族や関係者にお話をお伺いすると、今もなお災害時に病院や福祉避難所が受け入れてくれる確約がない。病院の非常用電源も限りがあるため、バッテリーの充電を受けられる確約がない。どこの避難所に発電機があるのか分からないなど、三年前とほぼ同様の不安を抱えておられます。調査結果を踏まえて早急に具体的な方策を立てる必要があるのではないでしょうか。 また、コロナ禍において感染防止策を踏まえた避難先の確保が求められる中で、県政自民クラブが七月に提出した新型コロナウイルス感染症に係る緊急要望第三弾の中で、人工呼吸器使用患者及び気管切開患者の把握や非常用電源の確保の要望についても、古田知事からは推進するとの前向きな御回答をいただいたところであります。平成二十九年の開始から既に三年が経過しようとしている要電源重度障がい児者災害時等支援ネットワークの構築事業について、スピード感が必要であるということは言うまでもなく、早急に具体化していくことが必要であり、その災害への備えが自助・共助の強化と促進につながるものと考えます。 そこで、初めの質問です。 電源を要する重度障がい児者の災害対策について、今後どのように取り組んでいかれるのか、健康福祉部次長に御所見をお伺いいたします。 ここで、前半の質問を終わります。 ○副議長(小原尚君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 電源を要する重度障がい児者の災害対策についてお答えします。 議員御指摘のとおり平成二十九年度に県が行った調査では、重度障がい児者の御家庭においては十分なバッテリーの稼働時間が確保されておらず、また病院においても約八割で受入れ体制が整っていない状況でした。県としては、災害時、医療機関や避難所へ避難するまでの間、まずは各御家庭で電源を確保いただき、その後、医療機関や避難所で受入れ、電源を提供いただくことが重要であると考えております。このため、電源を要する重度障がい児者の御家族や支援者向けに予備バッテリーの準備及び日頃からの充電、自動車からの電源取得、発電機等外部電源の確保等について紹介する災害時対応マニュアルを年度内に作成するよう検討を進めてまいります。 また、有事の際に電源を要する重度障がい児者を受入れ、電源を提供する体制を整備いただけるよう、医療機関、市町村、電力会社等の関係者をメンバーとするネットワーク会議において具体的な対応策の検討を早急に行ってまいります。 ○副議長(小原尚君) 十六番 若井敦子君。    〔十六番 若井敦子君登壇〕 ◆十六番(若井敦子君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、コロナ禍における文化芸術活動への支援についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルスのパンデミックによって世界中で多くの命が失われ、感染拡大の恐怖が広がり、これまで当たり前としてあった日常、私たちの日常を奪いました。行動の優先順位は命を守ることが第一となり、文化・芸術・スポーツなど全てのものが二の次とされ、自粛を余儀なくされました。そして、スポーツ界においては、インターハイや甲子園、また国体など、様々な大会が中止・延期となり、待望の東京オリ・パラまでもが延期となってしまう事態になりました。 実は、私も過去に同様の経験をしております。私が空手競技の日本代表選手であった二〇〇三年、SARSが感染拡大いたしました。それによって、私が出場するはずであった国際大会の全てが延期・中止となり、なすすべもなく涙を飲みました。誰を恨むこともできず、あのときの喪失感は言葉になりません。 今回の東京オリ・パラの延期もやむを得ないこととは重々承知をしております。今回、私は選手という立場ではありませんが、オリンピックを目指す選手を預かる指導者の一人として、今この瞬間もでき得る限りの努力をしている選手たちの気持ちが痛いほど理解できるだけに、私も未来を信じて可能性に挑戦していきたいと思います。 今年七月に延期となった東京オリ・パラの開幕一年前イベントが国立競技場で開催されました。本来ならば世界中から集結したアスリートと六万人を超える大観衆が燃え盛る聖火を見上げているはずだった競技場に競泳女子の池江璃花子選手が一人立ち、世界に向けてメッセージを発信されました。池江選手は東京オリンピックで金メダル最有力候補に上げられていましたが、二〇一九年、十八歳のときに白血病を発症し、十か月間の療養、そして壮絶な治療を経て、ようやく今現在、徐々に選手としての時間を取り戻しつつあります。そのメッセージを抜粋して一部紹介させていただきます。 私も白血病という大きな病気をしたからよく分かります。思っていた未来が一夜にして別世界のように変わる。それはとてもきつい経験でした。二〇二〇年という特別な年を経験したことで、スポーツが決してアスリートだけでできるものではないということを学びました。様々な人の上にスポーツは存在する。本当にそう思います。もちろん世の中がこんな大変な時期にスポーツの話をすること自体否定的な声があることもよく分かります。ただ、一方で思うのは、逆境からはい上がっていくときには、どうしても希望の力が必要だということです。希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても前を向いて頑張れる。私の場合、もう一度プールに戻りたい、その一心でつらい治療を乗り越えることができました。世界中のアスリートと、そのアスリートから勇気をもらっている全ての人のために、一年後の今日、この場所で希望の炎が輝いていてほしいと思います。池江選手のメッセージです。 コロナによって今まで当たり前だと思っていた未来が、まるで別世界のように変わってしまった社会では、スポーツ・文化芸術はあえなく停滞し、無力さを知らされた時期もありました。しかし、これらがともす光は希望の炎であり、それはコロナ禍においても不変であると考えます。県では県民の文化芸術活動を支えるために、コロナ感染防止対策を講じた上でコロナからの再始動プロジェクトを開催され、私も幾つかのイベントに出席をさせていただきました。そこには音楽家や芸術家、障がいをお持ちの方々のコロナに屈せず創意工夫を凝らして活動を継続するひたむきな姿がありました。舞台やアート作品からはエネルギーが満ちあふれ、その文化芸術活動は、コロナの先の未来を信じる思いが込められていました。とても感動的な創作活動でした。コロナ禍で人と人とのつながりが希薄になっていたものが、つくり手と受け手とが時間と空間を共有することにより共存の意識を呼び覚まし、一瞬にして絆を深めることができることを、私はそのとき体感することができました。 文化芸術は希望の明かりであります。しかし、コロナ感染拡大防止を最優先しなければならない現状では、しばらくはその明かりが細くなることはやむを得ないことかもしれませんが、決して絶やしてはならないと考えます。文化芸術活動から生まれる力や人とのつながりは、かけがえのないものであり、心に豊かさを与えてくれます。コロナ禍で心や社会が疲弊しているときだからこそ、文化芸術活動には一層の意義があると考えます。 そこで質問です。 コロナ禍における文化芸術活動への支援について、県民文化局長に御所見をお伺いいたします。 続いての質問です。 続いては、岐阜和傘産業の発展に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。 文化芸術の明かりは、一度絶やすと再びともすことは極めて困難となります。それは伝統文化も同様であり、明かりを絶やせば次世代への伝統の継承は困難になるということは言うまでもありません。しかし、今にも消えようとしている明かりが岐阜市にはあります。それが四百年の歴史を誇る岐阜和傘です。岐阜和傘の歴史は江戸時代に遡り、最盛期の昭和二十年代には六百件もの和傘屋が岐阜市内に存在し、年間生産量は一千万本を超え、岐阜は日本一の和傘の産地として隆盛を誇っていました。その隆盛を支えた背景には長良川の存在がありました。 長良川流域では、和傘の原料となる美濃和紙や竹、柿渋、エゴマ油などが豊富に入手でき、これらが水運と陸運で加納地区へと運ばれ、地場産業として栄えました。まさに岐阜和傘は長良川流域の資源を結集して作られた全国に誇る伝統工芸品であり、神社仏閣の祭礼をはじめ、歌舞伎、日本舞踊など伝統文化にとっても欠かせないものとなりました。しかし、生活様式の近代化や洋傘が普及したこともあり、和傘産業は衰退を見せ、かつては六百件あった和傘屋が、今では和傘問屋三件と個人の職人のみとなり、年間生産量は数千本まで激減をしています。 私は、この和傘産業の実情を知るため、八月に岐阜市湊町にある全国唯一の岐阜和傘専門小売店である「長良川てしごと町家CASA」にお伺いし、ここを運営するNPO法人ORGAN理事長の蒲 勇介さんにお話をお伺いすることができました。 蒲さんによると、和傘産業衰退の流れがある中で、一番の課題は後継者問題とのことで、高齢化などによって職人は減少の一途をたどり、現在では危機的状況とのことでした。特にそれが顕著なのは、和傘の開閉には欠かせない重要な部品、ろくろを作る職人であり、この部品を作ることができるのは全国で見ても岐阜の職人ただ一人で、最後のろくろ職人とも言われています。また、傘骨を作る職人も同様に切迫した状況で、全国で見ても岐阜に三人しかいないとのことでした。加えて、傘骨を作る機械が老朽化により更新をする必要があるものの、機械の図面自体がなく、追加導入が困難な状況であるとのことでした。 私は、なぜその図面がないのか、その理由をお尋ねすると、和傘産業は昭和三十年代から衰退の陰りを見せていましたので、それ以降、産業用機械として製造されてこなかったことなどが背景にあるとのことでした。このように、岐阜は和傘の基幹部品の産地であり、もしこの技術が途絶えれば、四百年の歴史を誇る岐阜和傘はおろか、全国の和傘作りも途絶えることとなってしまいます。県では、危機的状況にある岐阜和傘の振興に向け、ろくろや傘骨職人の後継者育成に対する支援や、傘骨を製造する機械の設計図製作といった取り組みを今年度より始められました。こうした県の取り組みは、岐阜和傘のすばらしい伝統文化を未来に向け、伝承していく上で非常に重要な取り組みであり、風前のともしびである岐阜和傘の明かりを守るために、引き続き推し進めていただきたいと思います。そして、持続可能な産業として発展させるために、さらに未来に向けて発展、飛躍させていく視点も必要になってくるのではないでしょうか。 先日お伺いしました「長良川てしごと町家CASA」では、SNSで反響を呼んだ桜和傘や大河ドラマで注目が集まる岐阜の武将をイメージした和傘など、従来の和傘のイメージを変えるカラフルな柄物や斬新的な和傘が並べられていました。ちなみに、桜和傘は一本二十万円と高額ながら、一時は納品まで一年待ちの人気だったとのことです。このように、現代の新しい感性による付加価値の高い商品がネット上で大きな反響を呼び、経済が停滞しているこのコロナ禍であっても予想を上回る販売実績を上げているとのことでした。伝統美を兼ね備えた世界で唯一無二の岐阜和傘は、国内だけでなく世界が認める岐阜ブランドとして、世界に戦える岐阜ブランドになり得るものとして大きな可能性を秘めています。岐阜和傘が再び本県が誇る地場産業へと発展することができれば、日本の伝統文化を守るだけでなく、地域経済を支える上で大きな役割を果たすものであると考えます。 そこで、最後の質問です。 岐阜和傘産業が未来に向けて飛躍していくためには、今あるものを確実に残す守りの視点だけではなく、発展させていくための挑戦、攻めの視点も必要であると考えますが、今後、県としてはどのような取り組みを進めていかれるのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 文明は挑戦に対する応戦によって成長するという言葉がありますが、災害やコロナという困難、これらの挑戦に対して、私たちは希望の明かりをともし、それぞれの立場から応戦しています。必ずこの戦いに打ち勝って希望の明かりが社会を明るく照らしてくれることを信じて、私の質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 県民文化局長 市橋貴仁君。    〔環境生活部県民文化局長 市橋貴仁君登壇〕 ◎環境生活部県民文化局長(市橋貴仁君) コロナ禍における文化芸術活動への支援についてお答えいたします。 県は緊急事態宣言の解除後、六月二日から開催の「Art Award IN THE CUBE 二〇二〇」を皮切りに、六月六日からぎふ清流文化プラザ等で「再始動プロジェクト~tomoni~」を、七月十七日からサラマンカホールで「百人de名演」を順次実施するなど、芸術文化鑑賞の機会を設けてきました。これらについては入場制限を行いつつも公演映像をネットで配信し、多くの方々に鑑賞いただいております。今後、障がい者の方々の発表の場として「tomoniアートのフェスティバル」の開催、小・中、高校生によるジュニア文化祭の実施、県内各地での「アートラボぎふ」の展開なども行ってまいります。 また、六月補正で創設しました文化芸術活動応援助成金を活用いただき、九月末までに二十二件の舞台公演などが開催されました。関係者からは、厳しい状況だからこそ、文化芸術で心の豊かさや生きる活力を育むことは大変意義があるとの声をいただいております。コロナ禍での文化芸術活動が様々な方に力を与えているという認識の下、引き続き文化芸術の振興に力を注いでまいります。 ○副議長(小原尚君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 岐阜和傘産業の発展に向けた取り組みについてお答えします。 岐阜和傘につきましては、まずは伝統ある産業の生産体制を維持していくことが第一との認識から、現在、喫緊の課題であるろくろと傘骨職人の育成に向け支援を行っておりますが、今後は、部品を組み立て、傘に仕上げる職人の育成へと支援を広げてまいります。 また、傘骨製造機械につきましては、今年度製作する設計図を基に、来年度には試作機を作り、専門家の意見を取り入れながら改良を加え、生産体制の強化を図ってまいりたいと考えております。その上で岐阜和傘というブランドを確立し、国内外への情報発信を強化していくため、国の伝統的工芸品の指定に向けた準備を進めてまいります。 さらに、こうした取り組みと併せて首都圏でのプロモーション、展示・販売機会を創出し、新たな個人向け市場や高価格帯商品のさらなる市場開拓を積極的に推進するなど、岐阜和傘産業の持続的な発展に向け、攻めの取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ○副議長(小原尚君) 三十九番 渡辺嘉山君。    〔三十九番 渡辺嘉山君登壇〕(拍手) ◆三十九番(渡辺嘉山君) ただいま議長より発言のお許しをいただきました。通告に従い、大きく三項目、五点についてお伺いしたいと思います。 初めに、アクティブGとザ・ギフツショップの今後の取り組みについて、商工労働部長に二点お尋ねします。 アクティブGは、JR岐阜駅の高架下の商業施設として二〇〇〇年七月にオープンして、今年でちょうど二十周年を迎えました。岐阜県の玄関口にふさわしい魅力・活力・にぎわいを生み出すことを目的として、「おしゃれ」「健康」「楽市楽座」の三つをコンセプトとしています。主な館内施設には、県産品販売、情報発信拠点であるザ・ギフツショップのほか、県内の什器や食材などを使用するなどメイド・イン・岐阜を体感できる飲食・物販施設の楽市楽座、生鮮食品を販売する「駅市場DODA-GIFU」など様々な施設があります。また、県内各地の観光PRや特産品販売を行う市町村フェアなどのイベントも定期的に開催して、県産品の情報発信に取り組み、にぎわいを創出しているところです。このコロナ禍でありますので、安全・安心に配慮しながら、それでも県と岐阜市の表玄関、これまで以上に大勢の方に訪れていただき、にぎわいを創出するとともに県産品を買っていただく、食事をしていただける場所を提供したいと考えます。 先ほど申し上げました「駅市場DODA-GIFU」には、もともとアスティ岐阜一階にあったカネ井青果さんの青果販売がこの八月から移動し、お客さんの評判も上々、私も客の一人ですが、大変にぎわっています。そして、二階のJR改札口も北側に三列移設し、人の流れも変わり、令和五年度末にはエレベーターもつく予定と聞いています。 このアクティブGの反対側、東側にはアスティ岐阜があり、若い人たちも含め多くの方が訪れています。もちろん入っている店舗は違いますから単純に比較はできませんが、JR改札口から二階、三階と一望できる空間の使い方、そして一階から三階までエスカレーターで上り下りできる利便性等、アクティブGとは大きく違うところです。構造上大きく改装することは難しいかもしれませんが、人の流れと空間、照明の使い方等、まだまだ工夫するところがあると考えます。 そこで一点目、アクティブGは今年二十周年を迎えましたが、今後どのような方針で運営し、県と岐阜市の玄関口として新たなにぎわいを創出していくのか、商工労働部長にお尋ねします。 次に、アクティブGの二階にある県産品のアンテナショップ「ザ・ギフツショップ」についてお尋ねします。 ザ・ギフツショップは、飛騨の木工製品、美濃和紙、関の刃物、東濃の陶磁器など常時千五百点以上の県産品を販売しています。ここでのターゲットは、まずは県民であり、県民の皆さんに地元が誇る県産品を知り、愛用して、その魅力を知り合いや県外の方にPRしてもらうことを目指していると聞いています。ここもよく利用させていただいているところですが、県内の食品を含め、岐阜のお土産が手軽に購入することができる全く便利なお店だと思っています。 コロナ禍の現在、「岐阜県産品応援フェア」と銘打って、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けている県産品を製造販売する県内事業者を支援するために、五千円の買物をするごとに千円の割引が受けられるという販売促進のキャンペーンを行っていると聞いています。ザ・ギフツショップは、二〇一四年九月にオープンして今年で七年目となります。これまでの運営はリアル・スタイル株式会社に運営を委託しているようですが、現在は新たな委託先を決めるプロポーザル募集の手続中であると聞いており、アクティブG、ザ・ギフツショップ、いずれも節目の年を迎えています。 そこで二点目、運営事業者が替わる予定だと聞いていますが、ザ・ギフツショップのリニューアルを機にどういったコンセプトで取り組まれるおつもりなのか、併せて商工労働部長にお尋ねします。 次に、今年度の人事委員会勧告の考え方について、人事委員会事務局長にお伺いいたします。 民間企業の労働者と異なり、県職員などの公務員は、労働法上の団体交渉等による給与など勤務条件の決定が認められていないため、その代償措置の一つとして人事委員会の勧告制度が設けられており、公務員の給与水準を民間企業の従業員の給与水準と均衡させることを基本に勧告がなされています。毎年四月時点での公務員と民間従業員の給与を比較するため、民間給与実態調査が実施されています。この調査は、例年四月から六月にかけて行うのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で調査が延期され、今年度は八月中旬から九月末までの期間で行われていると聞いています。この調査の結果を受けて、人事委員会勧告は例年十月中旬頃に行われているのですが、今年度は大幅にずれ込むことが予想されます。ただ、ボーナスについては、六月末から七月中に先行して調査が行われており、人事院においては国家公務員のボーナスを引き下げる公算が大きいという報道があり、国家公務員のボーナスが引下げの勧告となれば、二〇一〇年以来十年ぶりのことだそうです。 公務員のボーナスは、民間の前年の冬と今年の夏のボーナスを比較して、官民格差を埋めるよう勧告されます。連合が発表した春闘の最終集計では、二〇一九年冬分の平均回答月数は、前年実績から〇・〇五か月プラスの二・四五か月分であったものが、二〇二〇年夏分は、前年実績から〇・二三か月マイナスの二・二二か月分と大きく落ち込んだとのことです。新型コロナウイルス感染症の影響による経営環境の悪化が主な原因と考えられています。県内の企業においてもコロナ禍で経営環境が厳しい状況であることには変わりなく、国家公務員のボーナスも下がる可能性があるとなれば、人事委員会勧告の内容に注目が集まるところです。 また、人事委員会勧告においては、給与勧告と同時に公務運営の改善等に関する報告が行われます。昨年度の報告の中では、人材の確保と活用、勤務環境の整備、公務員倫理の確立等についてかけられています。職員が働く上で、どれも大切な項目だと思います。新型コロナウイルス感染症の影響で、県庁などでも昨年度末から在宅勤務や分散勤務などが開始され、働き方などが変わってきています。質問初日、我が会派の伊藤県議の代表質問でも職員のモチベーション対策についてただしたところですが、コロナ対策や災害対応、昨年度までは豚熱(CSF)の防疫作業など職員の負担が増しており、職員の心と体の健康管理も重要となり、人事委員会勧告が大変重要になってくると思います。 そこで、コロナ対策等による長時間労働や職員の感染拡大防止に対する対応など、人事委員会として任命権者に伝えていく必要があると考えますが、こうした状況を踏まえてコロナ禍における今年度の人事委員会勧告の考え方について、人事委員会事務局長にお尋ねします。 次に、労働委員会制度の認知度・理解度を深めるための取り組みについて、労働委員会事務局長に二点お伺いいたします。 この問題については、ちょうど一年前の令和元年九月定例会においても県民クラブを代表して質問させていただきました。パートタイマーや派遣労働者、契約社員の方々のように労働組合に加入していない個々の労働者と使用者、事業者との紛争である個別的労使紛争は、雇用や勤務形態の多様化や働く環境への意識の高まりなどから増加が予想され、より的確な対応が求められます。現在も連合岐阜に加盟の労働組合や、中小企業で勤める方や個人を対象とした労働組合などにより賃金や労働条件などの相談が丁寧に行われているところではありますが、それに加え労使紛争の調整を図る労働委員会の役割は、今後ますます重要になると考えます。 労働委員会が発行している年報の「ぎふ労働委員会だより」によりますと、県労働委員会が取り扱った平成三十年の個別的労使紛争事件は五件で、そのうち四件は、使用者側が応諾せず不開始となったということです。これは、労働者個人が紛争のあっせんを依頼したにもかかわらず、使用者側が話合いに応じず、あっせんそのものが開始されなかった事例です。また、令和元年に新たに労働委員会で取り扱った個別的労使紛争事件は三件で、そのうち不開始となったのは一件、残りの二件は解決されたということです。直近の二年間を見れば不開始の件数は減っていますが、不開始になること自体は労働委員会制度の認知度や理解度が低く、特に使用者側の誤解や認識不足が一因にあるのではないでしょうか。労働委員会は、学識経験者等の公益委員、労働組合役員等の労働者委員、会社経営者等の使用者委員の三者で構成され、労働問題の専門家で経験も豊富なあっせん員により丁寧なあっせんが行われています。 労働委員会が行うあっせんの利点は、それぞれの立場に立ちつつも、三者による柔軟な調整、簡易で迅速な手続であるとともに費用が一切かからないことなどが上げられます。このようなメリットを積極的に周知し、労働委員会制度の一層の利用拡大を図り、労使紛争の円満な解決の支援に努めていただくことが重要だと考えます。前回の質問では、令和元年度から県経営者協会と連携して、企業等の人事労務担当者が参加するセミナーで制度を周知する新たな取り組みなどを始めているとの答弁がありました。 そこで一点目、労働委員会制度の認知度を向上させるために、今後、労働委員会ならではのメリットをどのように個々の労働者に周知していくのか、労働委員会事務局長にお尋ねします。 次に二点目、外国人労働者に関してお尋ねします。 少子高齢化に伴う労働力人口の減少が深刻となって人手不足が問題となり、女性や高齢者、外国人など多様な人材を活用する必要が生じています。そのために、近年は働き方改革の推進により勤務時間や勤務条件など労働者を取り巻く環境が大きく変化しています。外国人についても平成三十年十二月に出入国管理及び難民認定法などの法律が改正され、平成三十一年四月に新たな在留資格である特定技能の制度が創設され、今後ますます外国人の増加が見込まれます。岐阜労働局の発表によれば、令和元年十月末時点の調査で県内の外国人労働者数は約三万五千人で、前年同期比約四千人、約一三%の増加となっています。六年連続で過去最高を更新しているようです。ただし、これは新型コロナウイルス感染症の影響が出る前の数値であるため、今年度の調査結果が待たれるところでありますが、コロナ禍で出入国に制限があり、大きな増減はないと思っています。 一方、県で受け付けた労働相談の件数を見ますと、令和元年度は全体で百十二件、そのうち外国人からの相談が二十八件、二五%を占めていました。令和二年度は四月から八月までの五か月間だけの途中経過ですが、百九件、そのうち外国人からの相談が二十一件、約一九%となっています。外国人からの相談が四分の一程度を占めています。新型コロナウイルス感染症の影響か、相談件数が大幅に増加しています。 労働委員会は相談機関ではなく、労働争議の調整、あっせん、調停、仲裁が役割であることは重々承知しておりますが、中・長期的に見ると外国人就労の拡大が見込まれる中で、外国人労働者による申立てが増える可能性があることは、労働委員会においても既に認識されているところです。外国人労働者への対応については、言葉や慣習の違いにより実際に手続を進める上で御苦労もあるでしょうが、その進め方を工夫するなどして労使紛争の円満な解決を支援していただきたいと思います。 そこで二点目、外国人労働者が当事者となる労使紛争が増加し、労働委員会に対して紛争解決の支援を求めるケースも増えると見込まれますが、今後どのように対応していくのか、労働委員会事務局長にお尋ねし、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 商工労働部長 崎浦義良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) アクティブGとザ・ギフツショップの今後の取り組みについて、二点御質問をいただきました。 まず、二十周年を迎えたアクティブGの今後の展開についてお答えします。 アクティブGの昨年度の来館者数は五百四万人、売上げは二十億円を超えるなど、本県の玄関口であるJR岐阜駅周辺のにぎわいを生み出してまいりました。今後も清流の国ぎふの情報発信拠点として、さらなる魅力向上を目指してまいります。 ちょうど本日から二十周年記念イベントがスタートしましたが、この期間中に大須で人気の漢方茶を提供する専門店や、各務原市内で人気の野菜やフルーツを使ったスイーツを扱う飲食店が新たにオープンすることから、女性客の一層の集客を図ってまいります。 また、さきに青果店が移転オープンした一階の駅市場DODAは大変御好評をいただいており、ここから二階、三階へ誘導する仕掛けや、駅からの導線の改善に向けた二階東口のバリアフリー化を検討しているところです。 さらに、周辺のマンション建設により居住人口が増加していることから、例えば子育て世代をターゲットにしたワークショップやキッズ向けサービスの充実を図るなど、新たな顧客の発掘を行いながら、さらなるにぎわいの創出を図ってまいります。 次に、ザ・ギフツショップにおける県産品販路拡大の取り組みについてお答えします。 ザ・ギフツショップは平成二十六年のオープン以来、来店者数、月平均一・二万人、売上げは当初見込みを大きく上回る月平均約九百万円となるなど県産品の販路拡大に寄与してまいりました。しかしながら、本県へ観光やビジネスで訪れた方をはじめ、県内外に広く十分に認知されるには至っていないのが現状であります。 そこで、来年二月のリニューアルオープンを機に、ここへ行けば、ほぼ全ての県産品、あるいは県産品に関する情報、さらには観光やイベント情報を入手できる「オール岐阜のすぐれものセンター」を目指したいと考えております。このため、取扱い商品を増やすことはもちろん、若者、女性、高齢者、外国人などの来店者の属性や季節に合わせた県産品を提案する展示や観光イベント情報の案内を行うとともに、SNSで広く県内外へ情報発信してまいります。 さらに、これまで取り組みが十分でなかったECサイトを充実することにより、店舗とEC両面で販売力を強化してまいりたいと考えております。 ○副議長(小原尚君) 人事委員会事務局長 朝倉和仁君。    〔人事委員会事務局長 朝倉和仁君登壇〕 ◎人事委員会事務局長(朝倉和仁君) 本年度の人事委員会勧告の考え方についてお答えいたします。 今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で民間事業所の給与調査の開始が遅くなり、現時点で調査結果が取りまとまっておりません。そのため、議員御指摘のとおり勧告は例年より遅れる見込みですが、給与改定が必要な場合には適切な勧告を速やかに行うこととしております。 一方、公務運営の改善等に関する報告におきましては、特に職員の時間外勤務について、月四十五時間、年三百六十時間の上限時間を超えた場合には、今年度より各任命権者において、その要因の整理、検証を行い、本委員会へ報告するよう求めておりますので、各任命権者による時間外勤務縮減の取組状況を踏まえて対応してまいりたいと考えております。 また、今後多くの部署において新型コロナウイルス感染症への対応の長期化が予想される中、テレワークの拡充など多様な働き方を進めることや、職員の感染防止も含めた心と体の健康管理について十分な対策と配慮を求めることなどについても検討してまいります。 ○副議長(小原尚君) 労働委員会事務局長 桐山敏通君。    〔労働委員会事務局長 桐山敏通君登壇〕 ◎労働委員会事務局長(桐山敏通君) 労働委員会には二点御質問いただきました。 まず、労働委員会制度の認知度向上と理解促進についてお答えいたします。 個別的労使紛争あっせん制度は個々の労働者が対象であるため、労働委員会では制度の特徴が一目で分かるポスターを作成し、県の労働相談窓口である県事務所や市町村、県内各地の金融機関の店舗、ホームセンターなどに掲示するほか、テレビのデータ放送や関係機関の情報誌、メールマガジンなども活用しながら県民に幅広く周知を行っているところです。 また、実際に労使トラブルを抱えてお困りの労働者に労働委員会のあっせん制度を利用していただけるよう、岐阜労働局やハローワークなどの関係機関、連合岐阜などの労働者団体に対して、労働問題で相談に来られた方に制度を御案内いただくよう御協力をお願いしているところです。 特に解雇や雇い止めをめぐる労使トラブルの場合は、生活基盤となる職場を失い、生活困窮に陥るおそれがあることから、生活困窮者の相談支援を行っている県及び市町村社会福祉協議会にも御協力をお願いし、あっせん制度の周知に努めているところでございます。 次に、外国人労働者が当事者となる労使紛争への対応についてお答えいたします。 労働委員会で取り扱いました外国人労働者に係る事案は、昨年度までの五年間で延べ十件あり、今年度新たに二件の不当労働行為事件の救済申立てがあり、現在、審査手続を進めているところです。労使紛争の解決に当たっては、労働者自身が何を訴え、どういった解決を望んでいるかを的確に確認することが何よりも重要です。このため、外国人労働者が労働委員会に支援を求めて来られた場合には、岐阜県在住外国人相談センターの相談員の支援なども得ながら、労働者本人から事情や意向を丁寧に聞き取り、あっせん等を行うに当たり、必要な場合には通訳を手配し、対応してまいります。 また、昨年度、労働委員会であっせんを行い、解決した事案は、外国人労働者への労働条件の説明や労働者本人の意思確認など、外国人労働者との意思疎通において会社の対応が不十分であったケースでした。労働委員会では今後、外国人労働者を雇用する使用者の参考となるよう、労使間の言葉の壁を背景として発生した紛争事例をホームページで紹介し、労使紛争の未然防止にも努めてまいります。 ○副議長(小原尚君) 十八番 布俣正也君。    〔十八番 布俣正也君登壇〕(拍手) ◆十八番(布俣正也君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、今回は三項目、五点について質問をさせていただきます。 私の質問の途中で午後三時を回ってしまいますので、テレビを御覧の皆様方は、このたびリニューアルしました県ホームページからネット配信を御準備いただき、継続していただきますようによろしくお願いいたします。 まず初めに、令和二年七月豪雨を踏まえました森林整備について質問をさせていただきます。 七月七日から八日にかけまして中濃から飛騨地域を中心に断続的に激しい雨となり、県内六つの市に大雨特別警報が発令され、降り始めからの降水量が県内十一地点で千ミリを超える記録的な大雨となりました。私自身も平成十一年九月十五日、我が家の隣を流れる河川の氾濫による床上浸水、そして裏山からの土石流による集落の崩壊を実体験しておりますので、大雨による災害の恐ろしさを身をもって知っている一人であります。 今回の災害は、飛騨地域の特に下呂市萩原地区では千八百十ミリ、高山市船山地区では千四百九ミリと想像を絶する降水量となり、河川の氾濫や山の崩壊が相次ぎました。後日、各災害現場を見させていただきまして、線状降水帯による被害の大きさを目の当たりにして、改めて自然災害の恐ろしさを再認識しました。 今回の災害で山林に着目しますと、山地四十四か所、林道二百十八路線が被災しており、視察させていただいた高山市丹生川地区の土砂流出現場や高山市滝町の土石流現場、さらには下呂市高天ケ原谷地区の土石流現場では、山奥からの大量の土砂が抜けて麓の民家へと流入し、河川の隣にある民家はもちろんですが、背後に山がある民家も常に危険と隣り合わせであることを再認識しました。 岐阜県の森林率は実に八一・二%、飛騨市においては九三・五%を占めており、常日頃から森林整備をしていただいておりますが、やはり限界があり、今回のような想像を絶するような降水量には到底対応し切れないのも事実です。しかし、最近では航空レーザー測量といった最新技術を使用して、より正確に地形を把握することもできるようになっています。異常気象は、もはや異常ではなくなり、毎年起こり得るものとなっております。今回のような豪雨災害、特に土砂流出、土石流災害を踏まえて、いま一度、山と向き合って、地域の要望を踏まえて流域的な対策を講じていく必要があり、下流の河川整備に加えて上流である山の整備にもより一層力を入れ、災害に強い山づくりを進めていく必要があると思います。 さて近年、林業では機械の導入による低コスト化を図るため、森林作業道、以下、作業道と言います。作業道の開設が積極的に進められており、間伐及び主伐・再造林を進めていくには作業道の有無が重要な鍵になっています。しかし、作業道を造る上で場所・設置の仕方が適切でないと、その作業道ののり面が崩れるなどして土砂が流出しまして山の崩壊につながる可能性もあり、岐阜県では作業道の設置研修などを通じて人材のスキルアップを図り、施工管理の徹底をされておられます。つまり、過去の災害の経験を作業道造りに生かしてみえるということです。 現在、県内の作業道の年間開設延長は百五十から二百キロメートルとなっておりまして、強靱な作業道設置のおかげで県内人工林の約四割が整備されているとお聞きをしました。森林率が非常に高い岐阜県においてこの数字は大変すばらしく、他県にも誇れる実績と評価をします。ですが、未整備となっている残りの人工林の作業道と過去に施工された作業道の改良事業を進めることによって、より災害に強い森林が造られ、川下の住民の安心・安全が担保されることにつながりますので、ぜひ今後も作業道の強化に取り組んでいただきたいと思います。 そこで、林政部長に二点伺います。 一点目、今回の災害で産地の脆弱性が浮き彫りになりました。里で起こっている様々な災害の根源は山にあると考えられます。河川整備はもちろん重要ではありますが、その上流部である治山整備に一層力を入れるべきではないでしょうか。今回の災害を受けて、治山ダムの整備を含め、今後どのように治山事業に取り組んでいかれるのでしょうか。 二点目、森林整備を推進するに当たり最も重要な鍵となるのが作業道の有無とその強靱性です。二十四時間雨量が四百十四ミリという過去最大となった今回の降雨により、二百十八の林道及び作業道が被災をしました。作業道が要因となり、山抜け、山崩れが発生したという事例もあることから、作業道のさらなる強化が必要となります。災害の軽減に向けて、これから造られる作業道の整備や既設作業道の改良など、今後の作業道の強化をどのように推進していかれるのでしょうか。 次に、野生鳥獣被害軽減に向けた里山林整備について質問をさせていただきます。 健全で多様な森林整備を通じて生物の多様性や野生鳥獣との共生が図られることは、これまでの数々の一般質問や県の森林整備及び保全方針でも明確になっております。間伐を進めることにより木の根元まで光が入り、地面の植物が育ち、さらには野生動物の餌となる実をつける広葉樹林が茂り、そして結果的には動植物が定着する昔ながらの森林に戻るといった効果が生まれます。山から里へ野生鳥獣が出てくる原因の一つには、人々が山に入らなくなったからだという説も多く、やはり間伐を進め、人工林を管理し、健全で多様な森林環境に改善をすることが野生鳥獣を元の住処に戻し、里の農作物や人的被害の軽減につながると考えます。加えて、山から里へ出にくくするよう山林の伐採や下草の刈り払いを行い、里山にバッファーゾーンと呼ばれる緩衝帯の整備や拡大をすることも環境改善の一つだと思います。 我々県民の豊かな暮らしと安全をお守りいただいているのは紛れもなく山であります。山は我々人間を含む全ての動植物の生活の根源であり、山の恵みをいただいている以上、山に恩返しをしなければ生活は成り立っていきません。 そこで、林政部長に伺います。 昨今、対策として電気柵やフェンスなどの措置を講じても、野生動物による農作物をはじめとした被害が頻発をしております。二〇一九年度には、市町村における森林整備及びその促進に関する費用に充てることを目的に森林環境譲与税が導入されたところですが、県としても関連予算を投入して野生鳥獣が元の住処に戻り、また山から里に出にくくするような里山林の整備や環境改善を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いします。 次に、コロナと共に生きる学校生活の実現に向けた取り組みについて質問をします。 教育現場では、いまだかつてない厳しい課題に直面をしています。一つ目の課題は、感染症対策を取りながら授業の遅れも取り戻さなければならず、児童・生徒はもちろんのこと、教員や保護者もかなりのストレスを抱えていることです。 国立成育医療研究センターが今年六月から七月に実施した全国七歳から十七歳の子供を対象に実施をしましたインターネット調査の結果によりますと、コロナのことを考えると嫌な気持ちになるなどといったストレス反応や症状が全体の七二%に見られたということです。学校再開に伴い、「楽しい」と答えた児童がいた一方で、「先生が怖い」「友達と遊ぶと怒られます」「コロナにかかるのは怖い」「学校に行きたくないと思ってしまう」「課題が多過ぎて終わらない」と答えた児童・生徒もおり、遅れた学習を取り戻すため授業時間数や宿題が増えた一方、感染対策として部活や行事が中止・縮小となり、大切な学びの機会や楽しみが失われたことが影響しているように思われると分析がされております。 こうしたストレスに子供自身も周りの大人も気がついていない可能性があるとの指摘がなされておりますが、教員も感染症対策に気を遣いながら限られた時間内で所定のカリキュラムをこなさなければなりませんし、保護者も例年とは違った環境で子供たちに接することとなり、かなりのストレスを抱えているのが現状です。 また、調査結果では、子供の三二%が「自分や家族がコロナになったら秘密にしたい」、二二%が「コロナになった人とはコロナが治っても付き合うのをためらう」「あまり一緒には遊びたくない」と回答をしており、差別やいじめの温床になりかねない状況を示しています。 このような状況の中で、私は地域社会との関わりが重要でないかと思います。感染がいまだ広がっている状況で、社会に開かれた学校運営を目指す流れは後退をしてしまうかもしれませんが、私は学校を孤立させてはいけないと思います。地域ができることを地域社会が考えて、地域社会が学校を支えていかなければならないと思います。 今までの学校運営は教職員とPTA組織で成り立っていましたが、現在は学校運営協議会の設置が努力義務となり、教職員、PTA、そして学校運営協議会の三者がタッグを組んで学校経営をしていく時代になりました。学校運営協議会とは、地域の方々の知恵や各職種のノウハウを学校運営に生かして、一緒に学校をつくっていくのが目的だと考えます。コロナ社会において人権モラルを高める上で、地域へ様々な情報を発信していくのも学校運営協議会の役割だと思います。 一方、PTAは、校内や校区の環境整備であったり家庭教育の面において、その能力が生かされるのだと思います。私の地元にある飛騨市立古川西小学校、神岡小学校では、学校運営協議会とPTA、そしてスポーツ少年団育成会や同級会、さらにはシニアクラブの方々に御協力をいただき、児童も参加しましてグラウンドの草むしりが行われました。作業としては単なる草むしりですが、こうして地域住民の方にも参加していただき、子供たちの様子を見ていただきながら一緒の時間を過ごしていただくことに私は意義があると感じました。 また、飛騨市立古川小学校では、人としての優しさや温かさを持ち、目的に向かって夢中で取り組み、力強さと繊細さを持ち合わせた子供たちを育てるために学校運営協議会が関わっております。このたび当学校では、新学習指導要領に沿ったふるさと教育が動き始めまして、いわゆるふるさとアドバイザーという仕組みが新たに発足しました。以後、略してFAと呼びます。 このFAというのは、社会に開かれた教育課程の実現のため、地域住民の方に学校と地域をつないでいただく役割を担ってもらうもので、小学一年生から六年生の各学年にキーワードを設定して、それぞれのキーワードについて地域の専門家の方々が講師となって授業を受け持ちます。キーワードの一例を挙げますと、歴史、観光、政治、防災、食、自然といった我々の生活の一部になっている部門を題材にしております。今までは担任の先生が講師等派遣の段取りをしていた部分をFAが受け持つことにより、教職員の業務負担軽減と教育水準の維持につながるようになると思います。 さらに、FAの授業は専門分野の教育だけではなく、FA自身の人となりにも及ぶことから、こうした経験豊富な地域住民の方々のお話を聞くことは、子供たちの心の成長にもつながることから、すばらしい授業であると思います。 そして、こうして地域住民の方とコミュニケーションを図る中で、例えばコロナいじめやコロナ差別といった問題についても、なぜこうしたことが問題なのかということを一緒に考え、正しい知識を身につける機会になるのではないかと考えます。 そこで、教育長に伺います。 コロナ禍において児童・生徒、教員、保護者のストレスが懸念されるわけですが、そうした中で地域社会の果たす役割は大きいと考えます。現在、学校運営協議会やふるさとアドバイザーといった地域が学校運営に参画する取り組みがありますが、コロナ禍において地域社会が果たす役割をどのように捉え、今後どのように地域社会と連携をされていかれるのでしょうか。 さて、教育現場が直面している二つ目の課題は、コロナ禍のコミュニケーションの取り方ということです。文部科学省の発表によりますと、学校が本格的に再開をした六月一日から八月三十一日までに全国の小・中、高校や特別支援学校の児童・生徒千百六十六人が新型コロナウイルスに感染をしております。岐阜県でも児童・生徒が感染する事例は確認されており、学校においては手洗いやマスク着用などの基本的な感染症対策の徹底などの措置が講じられているところですが、終息は依然として見通せないことから、これから先、マスクを全面的に外しての学校生活というのは、しばらくは考えられないと思います。 マスクをした学校生活を送る中で、教員がマスクをしているせいで表情が見えず、低学年の児童が先生が怖いと母親に訴えたという記事が全国紙の新聞に載っておりました。記事では、子供は年齢が低いほど、言葉より表情や声といった非言語メッセージを強く受け止めやすく、小学校では教員の表情がいかに子供にとって大切かも再認識されたということで、マスクで顔が半分隠れている状態で笑っていることを何とか目で表そうと、家で鏡を見て練習した教員もいたということが紹介されていました。 加えて、子供は友達と会えばくっつきたくなる。自然と手をつないだり肩を組んだりする。それを「くっつかないでね」「もう少し離れようか」と注意をしなくてはならない生活が続いており、本来三密になってしまう学校活動と三密を避ける集団感染の予防と矛盾する二つのことが折り合う地点を目指して学校の模索が続いており、「ソーシャルディスタンス(社会的距離)が子供との心の距離(ハートディスタンス)にならないようにしたい。だからこそ、今日もマスクの中で精いっぱいの笑顔を子供に向ける」と記事は締めくくられておりました。 今や社会には、通常、マスク以外に口元が見えるクリアプロテクションマスクやフェースガードといったツールもあります。文部科学省はこのたび、学校内でフェースシールドのみで過ごす場合、身体的距離一メートルを取って活動するといった感染症対策マニュアルの改訂を行いました。それぞれのツールは使う人のためを思って開発された非常によいものではありますが、感染防止という医学的な見地では、学校内では通常マスク着用に勝るものはないとのことです。そうすると、マスクをしていても、いかにコミュニケーションを取ればよいか、またどうしたらマスクをしていても行動ができるか、そのために先生と子供たちが対話を通じてコミュニケーションスキルを高めていくことが大事です。 先ほど御紹介した新聞記事のように、マスクはしていても心はつながっているんだよ、距離は取るけど心は切れていないんだよといったハートディスタンスにならないようなスキルを、例えばDVDなどの媒体を使って県教委として児童・生徒に周知してはどうかと思います。 そこで、教育長に伺います。 これ以上新型コロナウイルスの感染を拡大させないために、また今後のインフルエンザなどの感染症予防も見据えて、引き続きマスクの着用やソーシャルディスタンスの確保などの感染予防対策は必要となりますが、一方でそうした環境下でも人と人とのコミュニケーションを取っていくことは大切です。コロナ禍におけるコミュニケーションスキルやハートディスタンスにならないようなスキルの向上に向けて、注意点や取組事例を例えばDVDなどの媒体を用いて県教委として児童・生徒に周知をしていくべきだと考えますが、御所見を伺います。 以上、三項目、五点について質問させていただきました。明確な答弁をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 林政部長 荻巣雅俊君。    〔林政部長 荻巣雅俊君登壇〕 ◎林政部長(荻巣雅俊君) 令和二年七月豪雨を踏まえた森林整備について、二点御質問をいただきました。 まず、これからの治山事業の在り方についてお答えします。 今回の七月豪雨災害で発生した四十四か所の山地災害では、荒廃した谷から土砂流出が十九件、山腹の崩壊が同じく十九件、山腹崩壊と谷からの複合被害が六件となっております。平成三十年の七月豪雨災害と比較しますと、谷からの土砂流出による災害が増加しているものの、これらの被災箇所では既設の治山ダムが土石流や流木災害を抑制したばかりでなく、しっかり根を張った周囲の杉やヒノキによって流木や土石が多数捕捉され、被害を軽減している事例が複数確認されました。こうした点を踏まえ、今後は治山ダムの土砂流出の抑制効果をより発揮させるため、ダム上流の土石を堆積させるスペースの確保や流木災害を食い止めるスリットダムの設置を進めてまいります。さらに、市町村や森林組合などと連携し、治山ダム周辺の樹木の手入れを行い、森林の持つ土砂災害防止機能と治山施設を組み合わせた効果的な治山事業に取り組んでまいります。 次に、今後の森林作業道の強化策についてお答えします。 県では災害に強い作業道を普及するため、平成二十一年度から危険な地域を避けて開設することや、崩れやすい盛土をしっかり転圧することなどを実地で学んでいただく作業道等開設研修を開催してまいりました。この研修会は、作業道を開設する全ての技術者に受講を義務づけており、延べ千三百五十人が参加しています。しかし近年、過去に例を見ない記録的な豪雨が頻発していることから、作業道の管理者に対し安全点検を改めて促すとともに、県補助事業により排水機能の強化や路肩の補強など、作業道の改修を支援するなど強化を図っているところです。 また、県森林研究所において近年の作業道被災事例の調査分析を行っており、その結果を踏まえ、今年度、作業道開設指針を見直したところですが、今回の豪雨災害についても調査を進め、必要な見直しを行い、さらに災害に強い施工技術を取り入れるなど、より安全な作業道の普及に努めてまいります。 続いて、野生鳥獣被害軽減に向けた里山林整備についてお答えします。 野生鳥獣被害軽減のため、県では平成二十六年度から県の森林・環境税を活用した里山林整備の一環として、野生鳥獣と人との生活圏を分ける緩衝帯、いわゆるバッファーゾーンの整備を支援しています。この事業は、市町村や地域の団体などが里山と人々の生活圏との間で三十メートル程度の幅で樹木の伐採や下草の刈り払いを行い、見通しのよい空間をつくることで野生動物が警戒して出てこないようにするものです。その効果をより高めるために、近接の田畑に鳥獣侵入防止柵が設置された箇所を優先して進めております。 その結果、これまで六年間で三百七十二ヘクタールのバッファーゾーンが整備され、被害の軽減が確認されていますが、整備から数年経過した地域からは維持管理に関する相談も寄せられています。今後は、整備後の状況を定期的にモニタリングして、バッファーゾーンに機能低下が認められる場合は、機能回復に要する経費への支援を検討するなど、野生鳥獣被害の軽減に資する里山林の整備を進めてまいります。 ○副議長(小原尚君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) コロナと共に生きる学校生活の実現に向けた取り組みについて二点御質問がありました。 初めに、コロナ禍で地域社会が果たす役割とこれからの連携についてお答えします。 学校再開後の地域と連携した取り組みとしては、小・中学校では教員が担っていた給食用食器等の運搬や校内消毒を地域の方々が行ったケースがあり、こうした取り組みが教員の負担軽減や子供と関わる時間の確保にもつながったと捉えています。 また、県立高校でも各分野で活躍する地域の方々をオンライン授業の講師に招き、地域の魅力化について共に考えることで、住み慣れた地域への理解や地元で働くことへの関心を深め、進路の実現にもつながっています。 コロナ禍での学校の活動については感染症対策にも意を用いながら展開していく必要がありますが、学校運営や子供の将来の自己実現に向けた取り組みへの支援など、地域社会が果たす役割は一層大きくなっていると考えております。このため、学校運営協議会の設置を拡大し、地域からの提案を学校運営や学習内容に反映するとともに、オンラインを活用した地域と連携した取り組みをより幅広く実施するなど、コロナ禍においても立ち止まることなく、地域と共にある学校づくりを進めてまいります。 次に、コロナ禍のコミュニケーションスキル等の向上に向けた周知についてお答えします。 コロナ禍では、マスクの着用により顔の表情が隠され感情が伝わりにくくなるため、児童・生徒が教員や仲間とのコミュニケーションを取ることが困難となる場合があると承知しております。そのため、各学校では、ふだん以上に身ぶりや手ぶりを交えて気持ちが伝わるように話すことや、自分の思いや考えを書いたノートやホワイトボードを示して説明するなど、コミュニケーションを円滑に行うための工夫をしながら指導をしています。 また、デスクシールドを装着して話し手の表情を見やすくしたり、相手と距離が離れている場合でもタブレット等を活用して意見交換するなど、学校現場では新たな機器を取り入れた様々な取り組みが行われております。 今後は、こうした取組事例について実際の取り組みの様子を動画にまとめ、県ホームページの専用サイトに順次掲載し、各学校においてその活用を促すことにより、児童・生徒のコミュニケーションスキル等の向上につなげてまいります。 ○副議長(小原尚君) 十八番 布俣正也君。    〔十八番 布俣正也君登壇〕 ◆十八番(布俣正也君) それぞれに御答弁ありがとうございました。 再質問ではございませんが、教育長に一点だけ要望させていただきます。 県内各圏域、各教育事務所それぞれに、環境であったり空気感であったり取り組みが様々異なります。ぜひ教育長自らの目で、そして耳で、足でもって現場を確認いただき、それを県教委として最善の対策に講じていただきますようによろしくお願いします。これは要望でございます。ありがとうございます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(小原尚君) しばらく休憩いたします。 △午後三時十六分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後三時四十分再開 ○議長(森正弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) お諮りいたします。本日の会議時間をあらかじめ延長したいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(森正弘君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議時間を延長することに決定いたしました。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。三番 山内房壽君。    〔三番 山内房壽君登壇〕(拍手) ◆三番(山内房壽君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、今回は二点、四項目について順次質問させていただきたいと思います。 私は、昨年の四月三十日、平成最後の日に県議会議員となり、翌日の五月一日には新しい年号の令和へと変わりました。県議となった直後は豚コレラ、後のCSFが蔓延し、県では古田知事を筆頭に官民一体となって対策に当たられ、十月下旬から投与されたCSFワクチン接種の効果により、現在では小康状態となっております。 さて、年が替わり令和も二年となった一月十六日、中国武漢市に滞在し、日本に帰国された三十代の男性から新型コロナウイルスが検出されたのを皮切りに感染症が日本各地に広がり、二月二十六日には県内最初の新型コロナウイルス感染症患者が確認され、その後、感染は県内に広がりました。現在の岐阜県の感染症患者は六百名を超える状況となっており、今も県を挙げての新型コロナウイルス感染症対策が行われている状況であります。 新型コロナウイルスに感染された方へのお見舞い、そして闘病後にお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げます。また、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れて治療していただいている医療関係者の皆様や、対策に当たられてみえる行政関係者などの全ての皆様に感謝と御礼を申し上げます。ありがとうございます。 それでは最初に、新型コロナウイルス感染症に関する質問として、PCR等の検査体制の強化についてお尋ねします。 八月末に知人からSNSでとある連絡をいただきました。一部を省略してありますが、内容は次のとおりです。 火曜日の夕方に妻から、ひどい倦怠感と微熱で動けないとの連絡がありました。帰宅すると横になっていて反応も鈍く、トイレにもはいつくばって行く状況で、具合はかなり悪そうでした。家族全員が就寝した深夜一時頃、私はひどい倦怠感と熱で目が覚めました。新型コロナウイルスの感染を疑い保健所に電話をして症状を伝え、非常に重い既往症もあって不安なのでPCR検査をしてほしいと伝えましたが、今は対応できないので、命に関わりそうなら救急病院へ行くか朝九時以降に再度電話してくださいとのことでした。 そして、朝九時に保健所へ電話し検査してほしいと伝えると、病院からの依頼でないと検査できないので病院へ行ってくださいとの返事でした。かかりつけの医院へ電話すると、風邪の症状の人は駐車場へ来てそこで電話をしてくださいとの話でしたので、駐車場で受付をして診察の順番を待ちました。この時点で、私は三十七度六分で倦怠感と鼻水、喉の焼けるような痛みがあり、妻は三十七度七分で私と同じ症状でした。診察でPCR検査の希望を伝えましたが、濃厚接触者ではなさそうなので保健所へお願いしてほしいと医者からの回答でしたので、保健所から病院へ行くように言われましたと伝えると、肺炎症状はないので今は検査の必要がない、熱が下がらなければ連絡くださいと言われました。 その後の金曜日には平熱となったので、結果的には新型コロナウイルス感染症ではなかったのですが、この一件でPCR検査が簡単に受けられないことが分かりましたというメッセージでした。 もう一方のお話を紹介します。時期は遡りますが、五月末に既往症のある方から、同じくSNSで連絡が来たものです。 高熱は出ないものの三十七度の微熱が続き、だるさ、倦怠感、胸の痛み、喉の痛み、頭痛で保健所に相談をしましたが、医療機関を受診してくださいとの話でした。クリニックは電話での診察、診療のみで、既往症があるのでPCR検査のお願いをしましたが、検査はしてもらえませんでした。その後、二次病院で受診することができ、幸いにも新型コロナウイルスに感染していないとの結果が出ましたが、診察結果が出るまで不安でたまらなかったとのお話でした。 お二方とも既往症があり、発熱、倦怠感の症状があるのに、なぜPCR検査が受けられないのかと言われていました。限られた検査体制の中においてクラスターの発生を封じるには、濃厚接触者などの優先度の高い方からPCR等の検査を行う必要があるのかもしれません。また、医療機関の医師の判断でPCR等の検査が必要ないとされることもあるかと思います。しかしながら、コロナ禍の社会においては、発熱を伴う風邪症状を抱える患者さんの立場とすれば、誰でも新型コロナウイルス感染症にかかっているのではないかと心配をされるのはやむを得ないのではないでしょうか。 県は、この九月にPCR等検査を必要とする患者に適切な検査を実施するため、帰国者・接触者外来に加え地域外来・検査センターを設置することで、新たな感染の波に備えた検査体制の充実を図ります。県内で九か所目、岐阜圏域としては四か所目となる地域外来・検査センターを地元医師会の協力を得て本巣市に開設しますと、検査体制の強化を発表されました。こうした検査体制の強化によって、発熱症状がありPCR等の検査を望む全ての患者さんが必要なタイミングで早急に検査を受けられるようにはならないのでしょうか。 また、新型コロナウイルス感染者の初期症状と似ているインフルエンザの流行が例年秋から冬にかけて到来いたします。新型コロナウイルスとインフルエンザの症状は、ともに発熱、頭痛、喉の痛み、関節痛、筋肉痛、倦怠感など同じ症状であり、医療関係者でも検査をしなければ病名は判別がつきません。このため、新型コロナウイルス感染症でないのかと懸念する患者さんからPCR等の検査の依頼が多数寄せられ、医療現場にも混乱を招くのではないでしょうか。 そこで、健康福祉部次長医療担当にお尋ねします。 今後インフルエンザの流行も見込まれる中、医療機関ですぐにPCR検査等を受けられないといった県民の声が寄せられていますが、検査体制をどのように強化し対策をされるのかお答えください。 次に、コロナ・ハラスメント対策についてお尋ねします。 県では、さきの六月定例会で岐阜県感染症対策基本条例を成立させ、その中で感染症の罹患、そのおそれなどを理由とした不当な差別的取扱い、誹謗中傷の禁止を掲げ、いち早く新型コロナウイルス感染症に係る人権侵害の芽を摘む対策に乗り出しました。また、九月一日には、古田知事と県内四十二市町村長の署名つきでストップ「コロナ・ハラスメント」宣言をされました。その中には、思いやりと感謝を、新型コロナは誰でも感染する可能性があり、私たちが闘っている相手は人ではなくウイルスです。感染した方を思いやり、その立場を守りますとの文言があります。私も、感染症にかかられた患者さんやその御家族、また現場で必死に感染症と闘ってみえる医療従事者の方々などに対する思いやりや感謝の気持ちを持つことは非常に大事であると考えます。こうした方々に対するコロナ・ハラスメントは絶対にあってはならないことと思います。一方、新型コロナウイルス感染症患者となられた方の体の痛みや心の悩みは、当事者でなければ分からないこともあります。 これは、直接誰かからハラスメントを受けたという事例には当たらないのですが、患者さんなど当事者の方々にはこのような悩みもあるのだということで、一例として紹介したいと思います。 私の地元、土岐市で九月初めにクラスターが発生しました。そのクラスターの記事に関して九月十二日に知人から連絡があり、今日の新聞報道に県は新たな土岐市のクラスター(感染者集団)を認定しましたとありますが、クラスターを日本語に訳して感染者集団と表記するのは分かります。でも、感染者集団と聞くとかなりの悪者みたいに聞こえてしまうのですがどうなんでしょうかとの御指摘がありました。 私はこの話を聞いたとき、感染者集団という文言は連日の報道で見聞きしており、その表記について深く考えたことはありませんでした。患者さんなどの当事者の方々の捉え方によっては嫌な思いをされてしまうことがあり得るのだと深く感じるところとなりました。新型コロナウイルスに感染された方や関係者の方々は、当事者にしか分からない様々なつらい思いや御苦労をされていることと思います。県では、ハラスメントに関する相談窓口として人権啓発センターを設けていますが、そうした方々が気軽に相談でき、しっかりと親身になってケアをしていただける相談窓口とする必要があるのではないでしょうか。 県は今議会の補正予算で、感染症に関する人権侵害対策として七百九十八万円を上程され、新型コロナウイルス感染症に関する人権侵害事案から県民を守るための対策を強化するとされております。コロナ・ハラスメントは人権侵害そのものの問題だけでなく、心に受けた被害も含めハラスメントにまつわる様々な問題を含んでいると思います。幅広く幅広くケアをしていただけるような相談体制の強化を望みます。 そこで、環境生活部長にお尋ねします。 実際にハラスメントを受けてしまった方の心のケアも含め、県としてコロナ・ハラスメントに係る相談体制をどのように強化していくのかお聞かせください。 次に、中小企業の支援策についてお聞きします。 県では、令和二年六月の補正予算で実施することとなった地場産業に係る各種支援事業について、七月二十九日から八月六日までの間に県内各圏域の四か所で計五回の説明会を開催され、私は東濃西部総合庁舎の説明会に参加をいたしました。説明会では、中小企業及び組合等向けの補助事業である地域消費喚起事業費補助金や中小企業販路開拓等緊急支援事業費補助金などの説明がありました。当日の会場では、地場産業である陶磁器産業の関係者の方々で座る席がないほどの盛況で、説明の後には多くの質問がありました。 事業の概要を御紹介いたしますと、地域消費喚起事業費補助金は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により停滞している地場産業の事業意欲を喚起するため、県内地場産業の組合等が県内やウェブ上で開催する県産品フェアの経費を補助し、地域のにぎわい回復を図るとともに、地場産業の再起動を後押しするものです。 また、中小企業販路開拓等緊急支援事業費補助金は、県内地場産業の中小企業や組合等が取り組む国内、国外における見本市等への出展、開催や新商品開発、改良、自社のウェブ上で開催するフェアの開催の経費を補助するものです。東濃西部の地場産業である陶磁器産業は、新型コロナウイルス感染症の拡大により大口顧客であるホテルや飲食店などの器の入替えが大幅に減少したこと、外出自粛による路面店などが低迷したことなどにより、売上げに大きな打撃を受けており、こうした既存の販路だけに頼らない販路の複線化に向け、様々な手段を模索しているところです。 こういう状況下にあって、この中小企業及び組合等向けの補助事業は、事業者にとって大きな助けになるものであり、非常に活用しやすく、そして評判がよく、多くの事業者や団体が企画を検討いたしました。一方で、地域消費喚起事業費補助金と中小企業販路開拓等緊急支援事業費補助金の交付申請書の受付開始は八月六日でしたが、七月一日から七月三十日までの三十日間で新型コロナウイルス感染症の新規感染者が百五十六人と感染の増加が四月を上回るスピードで推移し、七月三十一日には古田知事が第二波非常事態宣言を発表されるなど、まさに新型コロナウイルスの感染が拡大中のタイミングでした。 全国的に見ても同様の状況下にある中で、両補助事業の補助対象である県産品フェアの開催に二の足を踏まざるを得ない状況にあったこと、出展を計画する国内外の見本市等の開催そのものが危惧されている状況であったことなどの理由から申請を断念したとの業界関係者の声が多く聞かれました。中には、約一か月間の期間では申請書類作成などの時間が取れず、申込みに間に合わなかったとの声も聞かれました。こうした事情や新型コロナウイルス感染症により、引き続き多くの地場産業の事業者が影響を受けていることを踏まえると、補助金の追加募集などによるフォローも必要でないかと考えます。 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。 様々な事情により中小企業販路開拓等緊急支援事業費補助金や地域消費喚起事業費補助金を申請できなかった事業者や団体に対し、県は今後どのような対応を考えられているのかお聞かせください。 最後に、ワーク・ライフ・バランス、仕事と生活の調和の推進についてお尋ねします。 ワーク・ライフ・バランスについては、それを望んで実践をしたいと考える方はたくさんいらっしゃると思いますが、仕事の多忙や育児、介護といった問題を抱えて両立ができないなどの様々な理由により実現できていない方が多いのが実情ではないでしょうか。 しかし、現在のコロナ禍の新しい日常において、働き方が多様化してきております。三密を避けるための在宅勤務の推進により、各企業においてテレワークの仕組みが導入され、オフィスに勤務するといった以前の勤務形態だけではなくなりました。また、こうしたテレワークの実施が通勤時間の短縮につながり、活用可能な時間を例えば育児や家事など生活に必要な活動に振り分けることも可能となってきました。ワーク・ライフ・バランスの考え方はそれほど新しいものではありませんが、こうしたコロナ社会における働き方の変化に伴って、現在はワーク・ライフ・バランス推進の新たなチャンスと捉えることもできるのではないでしょうか。 県では、平成十九年度から、ワーク・ライフ・バランスを推進するため、仕事と家庭の両立に取り組む企業を岐阜県子育て支援企業として登録する制度を創設し、平成二十九年七月一日以降の登録、更新から、岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進企業と名称変更をされました。また、誰もが働きやすく魅力的な職場環境づくりを進めるため、この推進企業の中から、従業員の仕事と家庭の両立支援や女性の活躍推進などの取り組みが特に優れている企業を岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業として認定をされています。 認定のメリットとしては、認定証の授与、交付されたのぼり、シンボルマークを活用した企業のイメージアップ、県内のハローワークなどの求人票に岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業として表示ができる、岐阜県中小企業資金融資制度の活用や金利優遇措置が受けられる、県の建設工事、物品調達における優遇、県やマスコミによるPR紹介、学習会・相談会への参加ができることなどが上げられており、認定審査の評価項目は、職場環境、労務管理、育児・介護支援や女性の活躍推進となっています。ワーク・ライフ・バランスの推進は、優秀な人材の流出防止や社員のモチベーションアップによる生産性の向上など、企業側にとっても大きなメリットがあります。県には既にエクセレント企業の認定制度があることから、こうした制度を活用し、県民、企業それぞれのためにコロナ禍を契機としたワーク・ライフ・バランスのより一層の推進をしてほしいと考えております。 そこで、子ども女性局長にお尋ねします。 今後認定していく企業はもちろん、今までに認定した企業についてもwithコロナに対応した多様な働き方を取り入れるなど、県内企業の模範となってもらいたいと考えていますが、今後、県としてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(森正弘君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) PCR等の検査体制の強化についてお答えします。 県は従来から、症状があり医師が検査を要すると判断した患者を迅速かつ積極的に検査するとともに、感染拡大のおそれがある施設では、濃厚接触者以外の方も幅広く検査を実施してまいりました。こうした徹底検査のため、行政検査を大幅に拡充するとともに、二十七か所の帰国者・接触者外来と九か所の地域外来・検査センターにおける検査能力を拡大し体制強化を図ってまいりました。今後、インフルエンザの流行期を迎え、新型コロナウイルスとの見分けが困難な発熱患者の多発が予想されます。そのため、先月、県及び岐阜市は、県医師会、県病院協会とそれぞれ行政検査の実施に係る集合契約を締結したところであり、今後、地域の診療所等の中から、発熱患者を直接診察し、迅速に検査する診療・検査医療機関を約三百五十か所確保し、同時流行に備えてまいります。こうした新たな検査体制に移行することについて、今月中にも県民の方々への周知を予定していますが、仮に検査がすぐに受けられないという案件があれば、県のコロナウイルス相談窓口にお知らせください。 ○議長(森正弘君) 環境生活部長 西垣功朗君。    〔環境生活部長 西垣功朗君登壇〕 ◎環境生活部長(西垣功朗君) コロナ・ハラスメントを受けた方への心のケアを含めた相談体制の強化についてお答えをいたします。 県人権啓発センターにおいては、コロナ・ハラスメントについて相談者個々の状況に応じたきめ細かな支援を行うため、今月には新たに専任の相談員一名を配置し、体制を強化してまいります。また、議員御指摘のとおり、コロナ・ハラスメントによる被害には、直接的な人権侵害だけでなく、精神的な苦痛、ストレス、不安等を伴うことがあると考えられます。そのため、相談員が丁寧にお話を伺った上で県精神保健福祉センターにおける公認心理師などによる専門相談窓口や最寄りの保健所による相談窓口へ適切につなぐなど、コロナ・ハラスメントを受けた方への心のケアについても相談者に寄り添った支援を行うよう努めてまいります。 なお、相談者がインターネットやSNS上の書き込みなどについて、プロバイダー等への削除要請や投稿者への損害賠償請求を希望される場合には、この分野に精通した弁護士による無料相談を行い、支援してまいります。 ○議長(森正弘君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 中小企業の支援策についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症による影響を受ける中、これまでに地域消費喚起事業費補助金は十七件、中小企業販路開拓等緊急支援事業費補助金には五十八件の申請があり、消費の喚起や新たな販路の開拓に取り組む地場産業の皆様に御活用いただくこととしております。事業の内容も、例えば組合が感染症対策を行った上でリアルなフェアとオンラインでのフェアを同時開催するもの、複数の事業者が連携してオンラインフェアを開催するもの、また、抗菌作用の付加や巣籠もり需要を見越した新商品開発を行うものなど、新たな日常に対応した意欲的な取り組みが多く見受けられます。 一方で、申請時期が第二波非常事態の感染拡大期と重なったため、フェア開催や見本市出展をちゅうちょし、申請を見合わせているとの声も伺っております。このため、今後これから補助事業の追加募集を行うとともに、今申し上げた先進事例もお示ししながら、活用を促してまいりたいと考えております。 ○議長(森正弘君) 子ども・女性局長 北川幹根君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 北川幹根君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(北川幹根君) ワーク・ライフ・バランスの推進についてお答えをいたします。 岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定に当たっては、女性の活躍推進などといった新たな課題を評価項目に加えるなど、社会情勢の変化に応じ逐次見直しを行ってまいりました。テレワークや在宅勤務については、これまでは育児・介護の支援に関する取り組みとして評価対象としてまいりましたが、withコロナ時代においては一般的な働き方となりますので、全面的に評価対象といたします。また、認定に当たっての評価項目に組み込み、促進していくべき働き方の工夫がないか、さらに検討してまいります。そして、既に認定した企業に対しましても、今年度から実施している取組状況の現況確認の際に新たな評価項目についても取り組みを促し、多様な働き方の普及促進を図ってまいります。加えて、エクセレント企業が行う模範となる優良な取組事例を他の企業へ紹介し横展開を図るなど、新しい日常における家庭と仕事の両立を推進してまいります。 ○議長(森正弘君) 一番 平野恭子君。    〔一番 平野恭子君登壇〕(拍手) ◆一番(平野恭子君) 質問に入る前に、このたび新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、罹患された方々及びその御家族、関係者の皆様に御見舞い申し上げます。 それでは、議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問させていただきます。 今回は、今後の新型コロナウイルス感染症への対応について質問させていただきます。 今年一月に国内初の感染者が確認されて以来、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は続き、一旦は落ち着きを見せていた感染状況ですが、六月中旬頃から八月には第二波が全国に広がり、最近は若干落ち着きを取り戻しつつありますが、いまだ感染防止と経済再生の両立に苦闘する日々が続いています。国内の累計感染者数は八万人超えとなり、残念なことではありますが、千五百人を超える尊い命が失われてしまいました。 いまだ終息が見通せない新型コロナウイルス感染症ですが、最近では二〇〇三年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や二〇〇九年から翌年にかけて流行した新型インフルエンザなど、私たち人類はこれまでも様々な感染症と闘い教訓を得てきました。新型インフルエンザの第一波が終息した二〇一〇年六月には、死亡率が低い水準にとどまったことに満足することなく、これまで講じてきた対策を評価し、今後の再流行や将来到来することが懸念されている未知の感染症の対策に役立てたいという思いから、厚生労働省では新型インフルエンザ対策総括会議報告書が取りまとめられました。報告書では、例えば議論の過程をオープンにするなど、国の意思決定プロセスの明確化、国立感染症研究所や保健所など組織や人員体制の強化、PCRを含めた検査体制の強化、さらには臨時休校の在り方の検討など、非常に重要な提言がされています。 今申し上げた提言は、十年前の新型インフルエンザの第一波が終息した際の提言ですが、結局のところ、今回の新型コロナウイルスへの対応でも課題として浮き彫りとなっています。つまり十年前の感染症との闘いから得られた貴重な経験がその後の国の感染症対策に生かし切れていなかったとも言えます。 今回、本県では早い段階からオール岐阜の体制で新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでまいりました。そうした取り組みが功を奏して、クラスター、濃厚接触者などのPCR検査にしっかり対応できていない県がある中で、県の保健環境研究所、岐阜市の衛生試験所、保健所、医師会等が連携し、本県ではPCR検査が的確に行われ、クラスターの早期終息につなげていることができていると評価されています。また、県独自の二度にわたる非常事態宣言についても、感染状況を捉えた分かりやすいものだったと思います。 しかし、そこに至る医療現場は混乱を極めました。現場全体でガウン、手袋、マスクといった個人用防護具が不足し、大学病院でさえマスクを何日も使い続けたり、受付や事務の方たちは手作りのマスクを着用して現場に出る状況でした。また、新型コロナウイルスに感染した患者さんの治療をしていることから、家族と別の生活を余儀なくされ、精神的負担を抱えながら生活しているにもかかわらず、医療従事者の家族ということだけで出勤や登園の自粛を求められることなど、医療従事者の精神的負担は今まで経験したことのないものでした。 私たちは、今、感染第二波を乗り越えようとしています。しかし、その先には第三波が必ずやってきます。これから季節が秋から冬となり、感染症シーズンを迎えます。次に私たちが直面する第三波は、感染症シーズンと重なって、第一波、第二波より深刻なものになる可能性があるとの指摘もあります。そうした中で、新型コロナウイルスかインフルエンザか区別がつかない発熱などの症状のある方の相談や受診の流れを整理しておく必要があります。また、高齢者の死亡率が高いことから、高齢者施設、介護施設に入所している高齢者や、職員スタッフなどが定期的にPCR検査を受けられるよう検査能力の拡大を図ることなども大切です。 そうした課題を洗い出し、第二波の峠が過ぎたと言われている今のうちに、第一波、第二波の新型コロナウイルスとの闘いから得られた貴重な経験を生かし、県として第三波以降の流行に備える体制を整える必要があるのではないでしょうか。 以上、申し上げたような課題が幾つかあるわけですが、本県の新型コロナウイルス感染症への今後の対応について、今回は三点質問させていただきます。 まず初めに一点目は、感染第三波到来に備えた医療機関との連携による病床の確保について伺います。 新型コロナウイルス患者を受け入れるためには、病床を空けた状態で確保することが必要となります。そのため、さきの専決予算では、県独自の制度として、当時十分でなかった国の基準を超える形で空床補償制度が創設されました。これは、岐阜県病院協会からも県に対して要望されていたものであり、県のこうした真摯な対応に改めて感謝を申し上げたいと思います。 現在、本県では、医療機関と調整を行い、ピーク時に新型コロナウイルス感染症患者が利用する病床として六百二十五床の病床が確保されています。また、感染が拡大し病床数が逼迫する事態に備えて、軽症者や無症状者を受け入れる宿泊療養施設が県下五圏域全てで確保されているところです。現在は落ち着きを見せていますが、今回の感染第二波では、感染者の増加により、一時、病床使用率は二五%を超える状態となり、羽島市と恵那市の宿泊療養施設が開設され、軽症者や無症状者の受入れが行われました。 先ほど申し上げたとおり、これから季節は秋から冬となり感染症シーズンを迎えます。再び感染が急拡大し、今回他県のような大規模なクラスターが発生したら、病床はあっという間に埋まり、医療崩壊につながりかねません。感染第一波が襲った四月上旬から中旬は、特に行政も医療機関も混乱し、病床数は確保されていたにもかかわらず、入院患者を受け入れる病院の調整もままならない状態でした。今後やってくる感染第三波に備えて、引き続き空床補償制度を継続するとともに、医療機関との連携を密にし、重症者向けも含めた病床の確保だけでなく、スムーズに入院できるような対応を確認しておく必要があるのではないでしょうか。 そこで一点目、健康福祉部次長にお伺いします。 感染第三波の到来に加えてインフルエンザの流行も予想されるこれからの季節に備え、医療機関との連携を密にし、重症者向けの病床も含め病床の確保に取り組む必要があると考えますが、今後の方針について答弁をお願いいたします。 続いて二点目は、医療従事者の二次感染防止に向けた取り組みについて伺います。 医療従事者は、常に感染リスクと隣り合わせで治療に当たっています。全国で日々公表される感染事例を見ても医療従事者の二次感染と思われる事例が見られます。入院・退院患者百七人、医療従事者ら七十三人、計百八十人の陽性者が確認された東京都永寿総合病院について、感染対策の支援に入った厚生労働省のクラスター班の調査結果報告書では、入院患者二名の発症が起点となり、病棟内でほかの患者や医療従事者を介する形で集団発生につながった可能性があるとしています。こうした医療機関におけるクラスター発生は、外来診療の休診にも波及し、地域医療提供体制に大きな影響を与えることにもなり、医療従事者の二次感染予防は重要な課題の一つであると思います。 医療従事者の二次感染を防ぐには、医療機関では手袋、胴体用エプロンやガウン、マスク、フェースシールド、シールド付マスクなど個人防護具が用いられています。しかし、デロイトトーマツグループが本年六月八日から二十二日にかけて、病院・診療所の医師を対象に医療物資の過不足の状況について調査した結果によると、フェースシールドやガウンなど個人用防護具に関しては六六%、マスクは六一%、消毒液は五二%がそれぞれ不足していると回答しているとのことです。 また、医療従事者の二次感染を防ぐものにウイルスなどが外に漏れないよう気圧を低くした陰圧室というものがあります。結核やSARS、水痘、麻疹など空気感染力が高い疾患を治療する際には、室内の気圧が外部より低くされている陰圧室において治療が行われます。よって、新型コロナウイルスについても感染者を陰圧室に移すことにより、他の患者や医療従事者などへの感染リスクを抑えることができますが、県内の感染症病床、結核病床、ICUのうち、陰圧化できる病床は、県で把握できるだけで約百五十床、県の補助金を受けて整備された簡易陰圧装置は五十基余りとなっています。今回、提出されています予算案では、高齢者施設における感染拡大防止対策のため、簡易陰圧装置などの設置に係る支援経費が盛り込まれていますが、日々感染と隣り合わせの不安に駆られながらも使命感を持って対応されています医療従事者の二次感染防止についても、引き続き積極的な取り組みをお願いしたいと思います。 そこで二点目、健康福祉部次長にお伺いします。 今後、秋から冬場にかけて地域医療を担う医療機関での新型コロナウイルスの院内感染が懸念されるところですが、県として個人防護具の安定的供給や県内医療機関における陰圧室の整備など、医療従事者の二次感染防止にどのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。 最後の三点目は、今、国で見直されようとしている感染症法に基づく措置の運用の見直しについて伺います。 まず最初に、今、どのような見直しがされようとしているのか御紹介したいと思います。 感染症法では、感染症を危険度に応じて一から五類に分類し、分類ごとに入院勧告や就業制限など取ることができる措置を定めています。新型コロナウイルス感染症は、本年二月に指定感染症として指定されました。その後、政令改正で無症状病原体保有者への入院勧告等の措置の適用や濃厚接触者などへの外出自粛要請など次々と措置が追加され、現在は一類感染症かそれ以上の措置が取られる指定感染症に位置づけられています。 こうした経緯を経て、都道府県知事は無症状者にも入院勧告ができるようになったわけですが、厚生労働省は四月に病床が逼迫するおそれがあるため、無症状の場合は宿泊施設での療養を原則としました。しかし、一部の自治体が政令を厳格に適用して入院をさせる例が続き、医療現場の負担になっているとの指摘が出ました。 そうしたことから、今回の見直しでは、指定感染症という位置づけは引き続き維持しつつ、その中で取ることができる措置についてきめ細かく規定する必要があるということで、法律上の運用見直しが検討されています。仮に、季節性インフルエンザと同じ五類扱いの措置となると入院勧告はできなくなりますし、五類では医師の届出が原則七日以内となり、感染状況のリアルタイムでの把握も難しくなります。 こうした見直しの動きに医療体制整備を担う地方自治体からは疑問視する声が上がっているといいます。埼玉県の大野知事は、こうした見直しの動きについて八月二十六日の定例記者会見で、無症状者や軽症者が宿泊施設での滞在を拒否した場合、感染症法に基づく入院勧告を行う方針を示している。このため、指定が外れてしまうと都道府県知事は対応するための法的な権限がなくなるということになると指摘し、その上で保健所などの業務の負担軽減という意図があるなら、併せて知事にしっかりとした権限を与えるよう法改正を強くお願いしたいと述べられています。 また、大阪や京都など十二の府県や政令市が参加する関西広域連合も八月二十七日の会合で、各都道府県で感染拡大防止と医療提供体制の確保に全力で取り組んでいる中、ダウングレードは時期尚早との意見をまとめ、連合長の兵庫県の井戸知事は、ウイルスを封じ込めて県民の安心を確保することが重要と指摘されていますし、鳥取県の平井知事は、冬場に大きな波が来ようとする中、引下げは暴挙に等しい。我々に職場放棄をしろというのかとコメントされていることが報道されていました。 今、御紹介しましたように、病気の実態が分かってきて現状に合わない措置も多くなり、見直しは妥当と見直しを評価する一方で、感染者への行動制限や療養、入院の強制力が全くなくなると感染拡大の防止が難しくなると見直しに慎重な意見がありますが、私は終息まで時間がかかり限られた医療資源を考えると、これまで取ってきた対応は長続きしないことから、将来的に様々な措置を緩めることも必要かとは思いますが、先ほど御紹介したように、最前線で昼夜、感染拡大防止に取り組んでいる地方自治体から慎重な意見が出ていますので、国はもう少し丁寧に説明し、地方自治体の意見も聞きながら見直しを進めるべきではないかと思います。 そこで三点目、健康福祉部次長にお伺いします。 新型コロナウイルス感染症をめぐり、感染症法に基づく措置の運用が見直されようとしておりますが、こうした状況について、本県としてどのような所見をお持ちでしょうか。 以上、三点質問をさせていただきました。これで私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございます。 ○議長(森正弘君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 今後の新型コロナウイルス感染症への対応について、三点御質問をいただきました。 まず、感染第三波到来に備えた医療機関との連携による病床の確保についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症患者が増加した四月には、県内の医療提供体制も逼迫し、患者受入れ可能病床数を各病院間で情報共有するとともに、国の空床補償制度に県独自の上乗せ補助を行うなど、病床確保に努め、何とか乗り切ることができました。第二波におきましては、県内の感染状況に応じて必要な病床を三段階のフェーズに分け、段階的に病床を確保した結果、病床使用率が上昇した地域もあったものの、各病院の御協力により大きな混乱もなく対応できたものと考えております。 そして、第三波に向けてでありますが、インフルエンザとの同時流行を見据えつつ、第二波と同様、県内の最大患者数は四百六十六人、うち重症者数四十五人と推計しており、引き続き最大六百二十五床、うち重症者用五十一床を確保することを基本に県内病院間での情報共有や空床補償制度の活用を行いつつ、県内の感染状況に応じた必要な病床数を確保してまいります。 次に、医療従事者の二次感染防止に向けた取り組みについてお答えします。 院内感染防止のためには、衛生資材の確保や病床の陰圧化などの医療機関の設備整備が重要であると認識しております。このため、院内感染防止を目的とした医療機関の設備整備として、入院患者を受け入れる病院のうち五病院のICU等の陰圧化に対して県独自の支援を行い、さらに全ての医療機関に院内感染防止対策を講じながら診療体制を確保するための費用を支援しております。 また、感染第一波の際には、県内医療機関においてマスクやガウンなどの衛生資材が不足した時期もあったことから、県としては患者の受入れを行う医療機関のニーズに応じた衛生資材の配付や備蓄を行ってきたところです。今後、感染第三波に備え、県における備蓄目標をこれからの医療機関の使用量一か月分から三か月分へと拡大し、例えばサージカルマスク三百八十万枚、アイソレーションガウン四十五万着、フェースシールド二十二万個といった数量を目標に調達を進めてまいります。これらの取り組みを通じ、医療従事者の二次感染防止を徹底してまいります。 最後に、感染症法に基づく措置の運用の見直しについてお答えします。 議員御指摘のとおり、現在政府は感染症法に基づく新型コロナウイルス感染症に係る入院措置の運用見直しを検討しております。具体的には、入院対象者を高齢者や基礎疾患を有する方など、医学的に入院治療が必要な方とする方針が示されております。その上で、実際の入院対象者の決定に際しては、地域の医療提供体制や感染状況等に応じ、知事に一定の裁量を与えるものと承知しています。 本県では、県専門家会議等の議論を踏まえ、十分な病床と宿泊療養施設を確保した上で自宅療養者ゼロを実施してまいりました。こうした対応は、第一波、第二波の感染拡大防止に寄与したものであり、患者の隔離による感染症の蔓延防止の観点から、宿泊療養施設のより積極的な活用を含め、引き続き取り組んでいく必要があると考えております。見直しは今月中にも行われる予定と伺っておりますが、知事の裁量により地域ごとに異なる運用を可能とする規定が整備されるよう、知事会等を通じて求めてまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集ください。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後四時三十六分散会 ……………………………………………………………………………………………...