• 廃校活用(/)
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  1. 岐阜県議会 2020-06-01
    07月02日-03号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 2年  6月 定例会(第3回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第三号)                   令和二年七月二日(木)午前十時開議 第一 議第八十四号から議第九十八号まで 第二 請願第十一号 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第八十四号から議第九十八号まで 一 日程第二 請願第十一号 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十五人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   小川祐輝君      六番   平野祐也君      七番   所 竜也君      八番   今井政嘉君      九番   藤本恵司君      十番   安井 忠君     十一番   中川裕子君     十二番   伊藤英生君     十三番   澄川寿之君     十四番   水野吉近君     十五番   恩田佳幸君     十六番   若井敦子君     十七番   広瀬 修君     十八番   布俣正也君     十九番   国枝慎太郎君     二十番   長屋光征君    二十一番   林 幸広君    二十二番   高木貴行君    二十三番   野村美穂君    二十四番   高殿 尚君    二十五番   田中勝士君    二十六番   加藤大博君    二十七番   山本勝敏君    二十八番   松岡正人君    二十九番   小原 尚君    三 十 番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   水野正敏君    三十三番   野島征夫君    三十四番   伊藤秀光君    三十五番   平岩正光君    三十六番   佐藤武彦君    三十七番   森 正弘君    三十八番   小川恒雄君    三十九番   渡辺嘉山君    四 十 番   伊藤正博君    四十一番   村下貴夫君    四十三番   尾藤義昭君    四十四番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         服部 敬 総務課長         高野朋治 議事調査課長       梅本雅史 議事調査課管理調整監   三宅誠樹 同    課長補佐    青木陽輔 同    課長補佐    柘植利伸 同    課長補佐    佐藤貴一 同    課長補佐    久富英材 同    課長補佐    蕨野 孝 同    係長      横川真澄 同    主査      上野由香…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          平木 省君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        井川孝明君 総務部長         横山 玄君 清流の国推進部長     尾鼻 智君 危機管理部長       渡辺正信君 環境生活部長       西垣功朗君 健康福祉部長       兼山鎮也君 健康福祉部子ども・女性局長              北川幹根君 商工労働部長       崎浦良典君 商工労働部観光国際局長  矢本哲也君 農政部長         長尾安博君 林政部長         荻巣雅俊君 都市建築部都市公園整備局長              湯澤将憲君 総務部次長(情報化推進担当)              阿部修二君 健康福祉部次長(医療担当)              堀 裕行君 教育長          安福正寿君 警察本部長        奥野省吾君…………………………………………………………………………………………… △七月二日午前十時開議 ○議長(森正弘君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。十四番 水野吉近君。    〔十四番 水野吉近君登壇〕(拍手) ◆十四番(水野吉近君) 皆さん、おはようございます。 では、議長より発言のお許しを頂きましたので、岐阜県議会公明党を代表し、大きく六項目についてお伺いします。 質問に入る前に、今般の新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。 初めに、本県における新型コロナウイルス感染拡大の教訓を踏まえた第二波への備えについて知事にお伺いします。 本県における新型コロナウイルス感染症への対応について振り返りますと、二月二十六日に県内で一例目の感染者を確認、二月二十八日には感染拡大防止に向け、スピード感を持ってオール岐阜で取り組むため総合アクションプランを策定、医療体制の整備、公立学校、私立学校、保育所・幼稚園等の対応、経済的な支援など具体的な行動計画が示されました。 その後、三月に入り、三月二十二日に一例目の患者を確認した可児市クラスターの患者急増と特措法に基づく政府対策本部の設置を受け、三月二十七日に特措法に基づく第一回岐阜県対策本部を開催。知事はメッセージを発出し、不要不急の外出自粛や三密の回避などを県民に強く呼びかけられました。 三月三十一日には岐阜市で一例目のクラスターが発生、感染拡大のスピードが増す中、知事は四月三日に「ストップ新型コロナ二週間作戦」を発信。社会福祉施設における感染症予防対策、県職員の計画的在宅勤務県直営施設等の完全休館などを発表されました。 四月七日に安倍総理が東京をはじめ七都府県に対し、五月六日までの一か月間を期間とする緊急事態宣言を発出、そして県内の感染者数が百名に迫る四月十日に知事は独自に非常事態宣言を発出、県民に対し、より強い外出自粛を呼びかけるとともに検査体制を一日百二十件から三百十件へと拡大、受入れ病床を三百九十一床から四百五十八床へ拡大、軽症者や無症状者を収容する民間ホテルを二百室確保など、蔓延期に耐え得る医療提供体制の充実などを掲げた非常事態総合対策を策定されました。 そして、四月十六日に政府は緊急事態宣言区域を全都道府県に拡大、中でも本県は愛知県と同様に特定警戒都道府県に指定され、特措法に基づく外出自粛及び休業要請となり、約九十一億円規模の補正予算を専決により執行、さらに国の第一次補正予算を受け、四月十八日から五月六日までを期間とする感染拡大防止協力金を含む約百一億円規模の五月補正予算が可決されました。 こうした経過の中で、本県は大型連休前の四月二十四日から新規感染者がゼロの日が続くようになり、五月十六日には緊急事態宣言が解除、その後も五つの基準指標は連続して基準を下回っています。県民の皆様の外出自粛をはじめとする御努力に、この場をお借りいたしまして改めて感謝申し上げます。 本県における今回の新型コロナウイルス感染拡大の渦中にあって幸いであったのは、医療・介護・障がい福祉施設での集団感染が発生しなかったこと、また岐阜県・岐阜市クラスター対策合同本部を設置し、クラスターの早期終息を図ったこと、PCR検査や病床の確保など医療提供体制に医療機関及び医療関係者の皆様の御協力を得て先手が打たれたことなどが上げられます。 国立国際医療研究センター国際感染症センター長である大曲貴夫先生は、日本で感染爆発が起きなかった理由について、感染症が広がる過程で、どこかに抑えが利かなくなるポイントがあり、そこに至る前に対策が取られたかどうかであり、日本はその限界点を超える直前に手が打たれたこと、また第二波に備える意味では、次の手をいつ打つのか、その見極めを迅速にしておくことが肝要と述べられています。 結果として、本県は全国に緊急事態宣言が出される前の四月十日に知事が非常事態宣言を発出し、県民に強く外出自粛、ソーシャルディスタンスの確保を呼びかけるという先手を打たれたことで、二週間後の四月二十四日から新規感染者がゼロになっており、まさに抑えが利かなくなる前に対策が取られた形となっています。 第二波の備えでは、長期戦に備え、こうした危機管理の強化と迅速な対応が今後も重要になると考えます。一方で、第二波は、さらに大きな波となることも想定され、これまで以上に増加する感染疑いの患者に対応できるだけの検査体制の強化や、いわゆるPPEや医療機器の医療・介護福祉施設への十分な備蓄や配備が今後の課題として想定されます。また、長期戦に備えた新しい生活様式への定着支援なども重要です。 また、今議会には岐阜県感染症対策基本条例が提案されています。この条例では感染症対策の基本理念及び県の責務を明らかにするとともに、感染症・救急医療・防災・経済等で構成される専門家会議の常設などを定めた全国初の条例となり、今後の感染拡大防止に十分な役割を果たすことを期待します。 そこで、特定警戒都道府県に指定された本県の感染拡大における教訓を踏まえ、第二波への備えとして、県民の生命及び健康を保護し、県民が安心できる生活を確保するため今後どのように取り組まれるのか知事にお伺いをします。 次に、今議会に提出された六月補正予算についてお伺いします。 県議会公明党では、感染が拡大し、県民の生活に大きな影響が出始めた三月から五月の間、先行きが見通せず、仕事や売上げが減ったなど多くの御不安の声や支援策へのお問合せ・御要望を連日頂き、県や国に届けてまいりました。また、こうした声を反映するため、三回にわたり古田知事に対し要望書をお届けしました。 二回目の要望では、国・県が行う支援策の県民・事業者への着実な周知徹底などを要望し、六月二十九日に県民・事業者が自身にとって必要な支援策にたどり着きやすい仕組みをホームページ上で公開していただき感謝申し上げます。 五月二十九日に提出した三回目の要望では、公明党の政府への第二次補正予算の提言内容を踏まえ、三つの柱立てによる五十四項目の要望をいたしました。今定例会には知事が各方面からの意見をまとめ編成した今年度三回目の補正予算が提出されていますが、我が会派の提案を踏まえ、知事がどのような方針で補正予算を編成されたのかをお伺いしたいと思います。 要望の一つ目の柱は、事業継続と雇用を守り抜くさらなる支援として、必要な資金の貸付けが十分かつ迅速に届く仕組み、売上げが五〇%減ではないなど国の支援制度の対象から外れた事業者への支援、新設された労働者が申請できる新型コロナ対応休業支援金の受給支援、オンラインによる県内企業等への就業を支援し優秀な人材を確保することや、観光・交通・イベント・理美容業・塾など感染防止の新たな日常への変革に向けた事業再開への支援など、多くの課題への対応を要望いたしました。 二つ目の柱は、暮らしを守り抜くさらなる支援です。学生・ひとり親家庭・生活困窮者等を支援するため授業料の軽減や中退の抑制・防止、児童扶養手当受給者等への支援の充実、住居確保給付金緊急小口資金貸付等の利用促進や手続の迅速化、コロナ禍における子供たちの学習支援として児童・生徒が安心して学べる学校の環境確保や、喫緊の課題である避難所における感染防止対策の強化等を上げております。 三つ目の柱は、医療及び介護・障がい福祉・保育サービスへのさらなる支援として、オンライン診療の促進支援や院内感染防止などへの財政支援、都道府県向け緊急包括支援交付金活用による医療・介護・障がい者福祉従事者への慰労金支給など、処遇の確保や感染防止のためのかかり増し経費支援、障がい福祉分野でのロボット技術等の導入、再開される高齢者・障がい者施設・保育サービスが事業者・利用者共に安心して受給できるための支援や住民サービスへのつなぎ直しなどの課題への対応です。 国の第二次補正予算では地方創生臨時交付金が二兆円盛り込まれ、これらにより今回の補正予算は千百四億円規模の大型なものとなっております。 そこで、今般のコロナ禍を通じ、県民や事業者等の皆様から寄せられた御不安や御要望の声に対し、どのような方針で六月補正予算案の編成に臨まれたのか知事にお伺いします。 ここで、第一回目の質問を終わります。 ○議長(森正弘君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 二点御質問ございました。 まず、今回の新型コロナウイルス感染拡大の教訓を踏まえた第二波への備えということでございます。 本県では、三月末から四月にかけてクラスターの複数発生により患者が急増し、医療提供体制は一時極めて厳しい状況に陥りました。これに対して、オール岐阜体制感染防止対策を徹底した結果、感染の拡大を何とか押しとどめることができた次第であります。その際、御指摘がありましたように、医療施設、福祉施設などで大規模な院内・施設内感染が発生しなかったことも幸いでありました。 これらの経験を踏まえた第二波への備えとしては、第一に患者急増に備える体制の整備、第二に県民や事業者における感染防止対策の徹底、そして、第三に福祉施設などにおける施設内感染への対応体制の確保が不可欠であります。 それぞれ簡単に御説明いたしますと、まず第一に、患者の急増に備える体制整備でございますが、PCR検査体制につきましては、行政検査の強化、地域外来・検査センターを県内全域、既に七か所設置しておりますが、これの設置・活用そして帰国者・接触者外来などの医療機関内における積極的な検査機器整備と、こういったことを進めて、トータルとして本県全体で当初の一日最大四十件という能力から一日最大六百件を超える水準にまで検査能力を拡大してまいります。 次に、受入れ可能病床の上積みに向けて現在の空床補償制度の単価を大幅に引き上げるとともに、ICUの陰圧化支援などによる院内感染防止策を進めます。また、軽症・無症状患者が利用する後方施設を全圏域において確保いたします。 このほか患者を受け入れていただいた病院への協力金、医療従事者への慰労金の給付も実施いたします。 また、医療用ガウン等の衛生資材につきましては、国や県が調達した衛生資材を配分することに加えて第二波に向けて備蓄を進めてまいります。加えて県が策定した基準指標を用いて県内の感染状況を把握評価し、早期に先手先手で対策を実施することで、医療提供体制への負荷を軽減するよう取り組んでまいります。 第二に、新たな日常に向けた感染防止対策の徹底でございます。 県は、緊急事態解除後における各店舗の営業再開に当たり、「コロナ社会を生き抜く行動指針」を発表し、これに沿った感染防止対策を求めてまいりました。その上で、各店舗がこれらの対策実施をアピールできるように「対策実行中」というふうに書いたステッカーを配布することといたしました。 また、新たな日常に対応した宿泊施設の改修、小規模事業者の設備導入、さらには医療機関・福祉施設・学校・理美容業・公共交通機関などにおけるもろもろの感染防止対策経費についても支援を行ってまいります。 加えて感染警戒QRシステムを公共施設のみならず民間施設にも開放したところであり、これへの登録を通じて県民の皆様の安全・安心の向上を図ってまいります。 第三に、福祉施設における施設内感染防止であります。 六月十六日に岐阜県高齢者・障がい者入所施設新型コロナウイルス感染症対策検討会議というものを立ち上げました。この会議におきまして各施設での事前準備、施設内感染発生時の人材確保、速やかな感染対策の遂行、医療提供体制などの強化について、感染症専門家や施設関係者などの間で早急に議論を深めていただきまして、提言をまとめていただくということにしております。 次に、六月の補正予算につきまして、県民・事業者等から寄せられた不安や要望の声にどのように対応してきたのかということでございます。 この六月補正予算につきましては、何といっても、この新型コロナウイルス感染症が県内の社会経済活動に広く影響していることをしっかりと認識をして編成作業を進めてまいりました。このため、感染拡大防止はもとより、生活や雇用の維持、経済の再生・早期回復など、県民・事業者が抱える様々な不安に対し、きめ細かに対応するよう多方面の御意見・御要望を徹底的に伺ってまいりました。 具体的には、第二波に向けた医療提供体制の整備について県専門家会議の御意見を伺うとともに、経済再生会議IoTコンソーシアム観光戦略意見交換会などにおきまして経済再生・雇用維持のための取り組み、新しい日常に対応した諸施策などについて議論を行ってまいりました。 また、学校再開に当たりましては教育推進協議会を開催し、コロナ禍の中で子供の安全を守り、教育機会を確保するための施策について御意見を頂きました。 さらに、業界団体、関係組合などからも幅広く御要望を頂き、一つ一つ吟味してまいりました。 また、県幹部が現場に赴き、直接御意見を伺い、各地の経済状況を確認する機会も設けさせていただきました。 さらには県議会各会派からも御要望を頂戴し、大いに御示唆を頂いたところであります。御紹介がありましたように、御党からも具体的かつ、きめ細かな五十四項目にわたる御要望を頂いておりまして誠にありがとうございました。 こうして頂いた御意見・御要望を踏まえて、今回の補正予算は、新たな感染拡大に備えた「守り」と、コロナ社会における新たな日常に対応した「攻め」の双方を兼ね備えたものといたしました。言わばコロナ社会を生き抜く予算であります。 昨日も御紹介申し上げましたが、具体的な予算の柱としては、第一に感染防止・医療、第二に経済の再生、第三に子供たちを守り育てる教育体制の再整備、及び第四に「新たな日常」・社会経済の変容と、この四つにまとめたところであります。これらの中で、ここで一つ一つ詳しく御説明することはいたしませんが、御党から御要望いただいたほとんどの施策について盛り込ませていただいたところでございます。 そこで、ざっとポイントを御紹介しますと、まず補正予算の第一の柱の感染防止・医療につきましては、第二波に備えた医療体制の整備に大胆に予算を計上いたしました。特に感染防止対策の徹底、安全・安心こそが経済再開の前提との御意見を踏まえ、病院・福祉施設・学校・公共交通機関・理美容業・宿泊施設などでの感染防止対策を広く支援してまいります。 また、避難所の段ボールベッド、パーティションなど資機材確保に係る補助を拡充するなど、これからの出水期に備えてまいります。 次に第二の柱、経済の再生では、当面の資金繰りへのニーズに応え、実質無利子・無担保の県制度融資資金を大幅に拡充するとともに、国の雇用調整助成金に関する社会保険労務士による無料相談会の実施など、きめ細かな対応を継続してまいります。 また、サプライチェーンの見直しに係る設備投資支援安心ステイ~ほっと一息、ぎふの旅」という割引クーポンキャンペーンによる大規模な観光需要の創出、学校給食での活用などを通じた農林畜水産物の需要喚起を図ってまいります。 続いて第三の柱、子供たちを守り育てる教育体制の再整備では、家計収入減少への不安、教育環境整備への期待などを踏まえて、家計が急変した生徒に対する授業料軽減制度の拡充のほか、ICTを活用したオンライン教育の徹底的な推進、学校再開後の補習や心のケアをはじめとするサポート体制の充実を図ってまいります。 最後に第四の柱、「新たな日常」・社会経済の変容では、生活に困窮されている方々への目配りとして緊急小口資金及び住居確保給付金の増額、児童扶養手当の受給世帯に対する臨時特別給付金の給付などを行ってまいります。 また、非接触への業態転換、生産性向上の観点から、あらゆる分野においてデジタル技術を活用すべきなどと御意見を頂きましたが、これらを踏まえて電子申請化、電子会議の徹底など、県庁のデジタルトランスフォーメーションの加速、介護・障がい福祉施設におけるICT・ロボットの導入などを支援してまいります。 ○議長(森正弘君) 十四番 水野吉近君。    〔十四番 水野吉近君登壇〕 ◆十四番(水野吉近君) ありがとうございました。 次に、大河ドラマ「麒麟がくる」の再開を契機とした県内観光産業の再生についてお伺いします。 大河ドラマ「麒麟がくる」は、予定より二週間遅れ、本年一月十九日に初回が放送され、五月十日放送の第十七話では、本木雅弘さんが演じる斎藤道三が息子・高政との長良川の戦いで壮絶な討ち死にとなり美濃編は終了、現在は第二十一話の「決戦!桶狭間」の放送をもって休止の状態が続いており、再開の時期は発表になっていません。久々の戦国大河ドラマとなった「麒麟がくる」の視聴率は、初回が一九・一%で二〇一六年放送の「真田丸」以来となる一九%台となり、第二十一話でも一六・三%と好評のまま推移しています。 一九七三年放送の「国盗り物語」以来、大河ドラマでの本格的な斎藤道三の登場に、稲葉山城や鷺山城址などが注目されました。「麟麟がくる」の放送は、本県の魅力をアピールするチャンスとして岐阜市をはじめ三つの大河ドラマ館の開設や県内周遊観光の企画、土産品の開発などの準備をしてきました。しかし、美濃編がクライマックスを迎える四月から五月に緊急事態宣言が発出され、国内のみならず海外においても外出自粛となり、本県への観光客は激減する事態となりました。 岐阜市では稲葉山城プロジェクトとして、光秀エリア、道三エリア、信長エリアを設け、岐阜公園や金華山周辺の観光誘客へ環境整備をしてきたところです。私は六月、コロナ禍における岐阜市内の観光への影響について関係者の方から直接お話を伺う機会があり、「四月から五月の観光客数が前年比で九割も減少した。ロープウェイやレストランの時短営業、周辺で予定されていたイベントの中止が相次ぎ、経営は苦しい状態だ」との声や「観光業に対する支援金の給付や収束後に観光客が安心して各地を訪ねられる施策を推進してほしい」などの声を伺ってまいりました。 こうした声を反映し、本県では「安心ステイ~ほっと一息、ぎふの旅」宿泊キャンペーンを六月十六日から開始、県内観光産業のリスタートとして、県内在住者を対象とした宿泊割引クーポンの発行が旅行サイトや県内中小旅行事業者で行われました。私にもこの件に関するお問合せを数件頂き、県民の関心の高さを実感したところですが、クーポンは即日配布完了となるなど大変好評であったとのことです。このキャンペーンの対象者は七月一日に東海三県に拡大され、今後、さらに全国へと広がることになりますが、多くの方に本県を旅行先に選んでもらえるよう取り組んでいただきたいと思います。 「麒麟がくる」の再開時期は明らかではありませんが、美濃編は終わったものの、明智光秀が信長に仕え、信長が稲葉山城を居城とするシーンなど、再開後のドラマ展開によっては岐阜城は再び注目され、戦国ファンを中心に本県が旅行先に選ばれやすくなるという好機は、まだ十分に残されていると思います。 そこで、放送休止となっている大河ドラマ「麒麟がくる」の放送再開をどのように捉え、今後、県内の観光産業の再生にどのように取り組むのか観光国際局長にお伺いします。 次に、避難所での発熱や体調不良のある方が発生した場合における対応についてお伺いします。 本県も梅雨入りし、梅雨前線の活動が活発になるなど本格的な出水期を迎えました。記憶に新しい昨年の風水害、さらには飛騨地域で発生している群発地震など、県民の自然災害への危機意識は高まっています。それに加えて今般の新型コロナウイルス感染拡大により、避難所における感染防止対策は喫緊の課題です。 本県では、五月に避難所運営ガイドライン・新型コロナウイルス感染症対策編が示されました。そのポイントは、二メートル間隔の確保等による三密の回避、事前受付の設置による体調不良者等の完全分離、体調不良者等を医療機関の受診につなげるための手順をマニュアル化など六項目です。具体的には住民への広報として、避難所での三密を避けるため、親戚や友人宅など避難所以外への避難の検討や、避難者カードと併せ健康状態チェックカードの記入と持参、発災後二十四時間の初動期の対応として、体調不良者等を分離するための事前受付や専用スペースの設置などです。 これを受け、各市町村では指定避難所等における具体的な対応方法を定めた避難所運営マニュアルが策定され、事前受付での手順、専用スペースや居住スペースのレイアウト、それに至る動線などの確認訓練が実施されています。私も感染防止対策を踏まえた避難所運営について、地元の自主防災組織の担当者と意見交換を行いました。そこで不安の声が上がったのが避難所で発熱や体調不良がある方が発生した場合の対応方法です。 避難所には看護師などの医療関係者が常駐することは困難であり、避難所を運営する自主防災組織の方、つまり、地域住民及び市町村の避難所派遣職員は専門家ではなく、専用スペースの準備や誘導はできても、発熱や体調不良等がある方への適切な対応を取ることはできません。この場合の対応について、県の避難所運営ガイドラインには、事前に検討した手順により保健師等と連携し、医療機関を受診、医療機関等の受診ができない場合は専用スペースで待機などの記述に留まっています。しかし、体調不良者発生後の次のステップを誰がどうするのかを具体的に示し、迅速に対応しなければ、避難所での感染拡大を防止することはできませんし、不確かな情報が避難所に流れ、混乱を来し、住民は安心して避難所を利用することができなくなります。県には、この点について積極的に市町村の防災部局に働きかけていただくことを要望します。そして、その具体的な手順を避難所の運営主体である自主防災組織にも市町村を通じて周知していただきたいと思います。 そこで、県の助言の下、市町村防災部局があらかじめ避難所で発熱や体調不良等のある方が発生した場合の具体的な対応方法を決定するとともに、それを自主防災組織とも共有する必要があると思いますが、どのようにお考えか危機管理部長にお伺いします。 次に、県民の生活に不可欠なサービスを提供する事業者における感染防止対策など、事業の継続・再開に必要な取り組みへの支援について二点お伺いします。 まずは、地域公共交通における事業継続及び感染防止対策の支援についてです。 県民の移動を支える地方鉄道・バス・タクシー・自動車運転代行などの公共交通は、外出自粛や三密の回避など県民の行動変容が求められたことから経営に大きな影響が生じています。私は、全国に緊急事態宣言が発令されていた四月に自動車運転代行業の経営者の方から厳しい現状をお伺いしました。運転代行業の主な収入源は夜間の飲食店等や利用客からの依頼であり、飲酒だけでなく不慮の事故によるけがや病気などで自ら運転できなくなってしまった利用者にも重宝されている。また、この業界は、その半数以上が夫婦や家族で営んでおり、経営基盤が特に脆弱である。運転代行の営業は飲食店と一体であり、県による休業要請期間中は飲食店の営業は二十時までだが、運転代行は少なくとも二十一時までの営業が必要であり、利用者が減ると車両の維持費や人件費などの固定費が短期間で経営を圧迫する。そして、休業協力金五十万円は、営業実態が一体なのに、飲食店は対象であるのに対し、運転代行は対象外となっている。何らかの支援がないと飲酒運転抑止のために必要不可欠な交通サービスであるこの業界は、滅亡してしまうなどの切実な声を伺いました。 折しも国の持続化給付金の申請が五月一日から始まる時期ではありましたが、営業車両の届出台数に応じた事業継続支援金や感染防止対策のかかり増し経費への県の支援等の要望を頂きました。運転代行業に限らず、地方鉄道や観光バス・路線バス・タクシーなどの公共交通の役割は、地域の生活や経済を支えることはもとより少子高齢化が加速する社会にとって重要です。事業の継続支援とともに、今後は手で触れる機会を減らすことや三密の回避など、新たな日常への変革に向けた支援をしていくことが重要となります。 そこで、地域の生活や経済活動を支える自動車運転代行をはじめとする地域公共交通の維持確保及び感染防止対策に県はどのような支援をしていくのか、都市公園整備局長にお伺いします。 次に、理容所・美容所及び施術所への支援についてお伺いします。 これらのサービスに共通しているのは、利用者と近距離で長時間接する仕事であり、感染リスクが高いにもかかわらず、生活を営む上で必要な事業として休業要請の対象外であったことです。県が四月十六日に公表した緊急事態措置において、四月十八日から五月六日までの間、対象施設への休業要請と協力金の支給を発表した際、最も多く問合せや御要望を頂いたのが理美容業の方々でした。その主なものは、職場は三密でお客様もマスクができず、感染リスクが高いのに休業要請の対象ではないので、休みたくても休めない、外出自粛でお客さんが激減しているのに、協力金の対象外となれば経営がますます苦しくなる、感染拡大防止からすれば、ペットの美容院は休業要請の対象なのに理美容院が対象外なのは理解できない、従業員は不安を抱えて仕事をしているなど、御説明が難しく、何らかの支援が必要であるとの思いから、四月二十八日に提出した二回目の知事への緊急要望で、こうした声をお届けいたしました。 また、理美容業以上に患者の体に直接触れる機会の多い接骨院や整体などの施術所についても同様に、生活を営む上で必要な事業として休業要請の対象外でありました。電話でお話を伺うと、「特に四月から五月の患者が大幅に減った。けがを早く治すには継続して施術をする必要があるが、感染を心配して通院を控える方が多い。密にならないよう完全予約制にし、手や体が触れる部分の消毒を徹底。患者さんに安心して施術を受けてもらえるよう努めている、初めて資金貸付けの相談に行ったとの声を頂きました。持続化給付金など国の支援策をお伝えしましたが、換気設備の追加やマスク・消毒液・フェイスシールドなど衛生用品の購入により施設の衛生水準を高め、利用者の安全を確保することで事業の継続を図る支援は今後も必要であると考えます。 そこで、利用者と近距離で長時間接するなど高い感染リスクを負う理美容所や施術所への事業継続支援にどのように取り組むのか、健康福祉部長にお伺いします。 最後に、オンラインを活用した県内企業・施設等への人材確保や就業支援についてお伺いします。 新型コロナウイルスの影響で大学生の就職活動がさま変わりしています。対面での合同企業説明会は相次ぎ中止・延期となり、多くの企業は採用方法の見直しを迫られています。慣れないオンラインでの選考が広がる中、学生も企業も手探りの対応となっています。 リクルートキャリア社の調査によると、今年の就職内定率は、四月以降、対面での面接や説明会が激減し、選考プロセスが滞った影響で、五月一日時点で四五・七%と前年同月を五・七ポイント下回り、二〇一七年以降初めての前年割れとなりました。六月一日時点でも五六・九%と一三・四ポイントのマイナスとなっています。 こうした中、企業は学生とネットでつないだオンライン面接や説明会を三月から本格化させています。採用コンサルタント会社が大企業から中小企業二百五十六社から回答を得た調査では、六四%の企業がオンライン選考を行っており、説明会から最終面接まで全ての選考をオンライン化した企業は、実施予定も含め四割に上っています。学生からは、交通費や宿泊費がかからず、全国の企業へエントリーしやすくなったとの声も聞かれます。コロナ禍で経営は悪化しているが、新卒採用自体を抑える企業は少なく堅調とのことです。昨年、採用予定数に達した企業は四五・七%と半数を下回るなど企業の人材難は続いており、過去の就職氷河期に新卒採用を絞った結果が企業の成長を鈍らせた経験もあって、採用数の一定数の維持につながっているとの指摘があります。 コロナ禍で進んだオンライン就活は、今後も定着・拡大していく可能性があります。二〇二二年春の新卒採用では、新型コロナの終息いかんにかかわらず六七%の企業がオンライン説明会を、五六%の企業が個別面接などを行う計画があると答えています。一方、中小企業はオンラインのノウハウに乏しい点で劣勢であるが、オンラインにすることで、これまで出会うことのなかった人材の接点を持てるケースも生まれており、応募が増加しているところもあるとのことです。 こうした中、県では四月専決補正や五月補正予算で学生向けのウェブ合同企業説明会の開催など、県内企業・施設等への就業を支援しています。また、今後はオンラインを活用し、県内企業等への有能な人材確保を中小企業総合人材確保センターが積極的に支援していくことが重要であると考えます。 そこで、今後オンラインによる選考や就活が定着・拡大していくと思われますが、こうした変化をチャンスと捉え、県内企業・施設等への人材確保、あるいは学生等の就業支援について今後どのように取り組むのか、商工労働部長にお伺いします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(森正弘君) 観光国際局長 矢本哲也君。    〔商工労働部観光国際局長 矢本哲也君登壇〕 ◎商工労働部観光国際局長(矢本哲也君) 大河ドラマの放送再開を契機とした県内観光産業の再生についてお答えいたします。 大河ドラマ「麒麟がくる」は、本県の戦国武将観光の確立に向けた貴重なコンテンツであり、その再開に備えた取り組みは重要であります。先月下旬には地元新聞紙と協働して美濃編振り返り特集を行い、出演者や知事の大河に対する思いをいま一度県民の皆様と共有したところですが、今後も今月発行予定の県観光季刊誌での出演者インタビューを盛り込んだ情報発信、ドラマ館リニューアル等に合わせた出演者の来県など、「麒麟がくる」再開に向けた盛り上げを予定しております。 並行して、これまで開発した大河ドラマ関係の土産物を総合的に販売するウェブサイトも構築してまいります。 八月からは順次、可児ドラマ館や岐阜市歴史博物館においてドラマに関する特別展が始まりますので、ドラマ後半の舞台となる滋賀県や京都府における広域的なPRにも力を入れてまいります。 「安心ステイ~ほっと一息、ぎふの旅」についても、今月一日、東海三県向けに拡大をしており、東海地域でのプロモーションを順次展開するなど、近隣県からの誘客に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(森正弘君) 危機管理部長 渡辺正信君。    〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕 ◎危機管理部長(渡辺正信君) 避難所での発熱等の体調不良者が発生した場合の対応についてお答えいたします。 新型コロナウイルスについては、避難所の事前受付での体調把握の徹底により感染を防止することが基本となります。その上で、体調不良者が発生した場合には、まず避難所の運営者が発熱などの体調不良者を確認した後、運営者が市町村災害対策本部に連絡し、対策本部が受診する医療機関と移動手段を運営者に知らせ、体調不良者を医療機関に移動させることとなります。 受診する医療機関や移動手段は、避難所に応じて市町村が医療機関との事前協議によりあらかじめ決定することが必要です。このため県では、この事前協議に参画し、情報収集と助言を行うとともに、こうした手順について県避難所運営ガイドラインに記載し、市町村が作成するマニュアルに反映させてまいります。 加えて、マニュアルを避難所に備え付けるとともに、避難所の管理運営を担っていただく自主防災組織や自治会など多種多様な主体にも事前に共有するよう、市町村に対し、あらゆる機会を通じ周知徹底してまいります。 ○議長(森正弘君) 都市公園整備局長 湯澤将憲君。    〔都市建築部都市公園整備局長 湯澤将憲君登壇〕
    都市建築部都市公園整備局長(湯澤将憲君) 地域公共交通における事業継続及び感染防止対策への支援についてお答えいたします。 六月補正における公共交通に対する支援でありますが、県内の公共交通関係団体の御要望を伺った上で計上いたしております。 まず資金繰り支援ですが、実質無利子・無担保の新型コロナウイルス感染症対応資金の活用に加え、当面の資金需要に充てられるよう、バス運行対策費補助金を六月補正後に概算交付いたします。 次に、県内における公共交通事業者が所有する全車両で感染防止対策を行うことができるよう、一台当たり地方鉄道及びバスは八万円、タクシー及び自動車運転代行は一万円を支援いたします。 また、タクシーにつきましては、非接触型ICカード決済端末の設置によるキャッシュレス化、道路運送法の特例として認められた宅配サービスの実施を後押しするため必要となる備品の導入について、一台当たり最大一万五千円を補助いたします。 ○議長(森正弘君) 健康福祉部長 兼山鎮也君。    〔健康福祉部長 兼山鎮也君登壇〕 ◎健康福祉部長(兼山鎮也君) 理容所・美容所及び施術所への支援についてお答えいたします。 理容所・美容所及び施術所は、国の基本的対処方針を踏まえ、緊急事態措置下においても事業継続が求められていた業種ですが、一方で利用者との身体距離が近く、器具の消毒の徹底、飛沫感染防止などに特に留意する必要がございます。このため、コロナ社会を生き抜く行動指針に沿った感染防止対策を行うこれらの事業所に対し、対策経費を支援することといたしました。支援額は関係団体からも聞き取った上で、マスク・消毒液・フェイスシールドなどの購入、パーティションの設置などに要する経費として、一事業所当たり十万円といたします。 また、交付に当たりましては、保健所に開設届が提出されている全ての事業所に対して県から案内文書と申請書類を郵送し、基準日である七月九日に開設されていることの確認、感染防止対策の誓約などの簡素な審査といたします。県としましては、手続に係る人員を十分に確保し、申請を頂いた後、速やかに支援金をお届けできるよう取り組んでまいります。 ○議長(森正弘君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) オンラインによる県内企業等への人材確保と就業支援についてお答えします。 これまで開催したウェブ合同企業説明会では、五十社の県内企業、延べ二千人を超える学生などに参加いただきました。また、企業の採用広報活動を支援するため企業の魅力をPRする専用の動画サイトを開設し、現在、二十四社を掲載しております。こうしたオンラインの活用は、企業には広範囲から求職者を集められること、学生には交通費や移動にかかる時間が不要といったメリットがあり、今後も有効な採用手段になると認識しております。 そこで、今後は中小企業総合人材確保センターにおいて、企業向けにオンライン採用のポイントやプレゼン力の強化に向けたセミナーを実施するとともに、求職者向けにはオンラインでの面接トレーニングなどを実施してまいります。 また、県下最大規模のプレ就活イベントとして多くの企業・大学生等に認知されている「オール岐阜・企業フェス」についても、オンラインの活用を含めた開催方法の見直しを進めてまいります。 ○議長(森正弘君) 二十番 長屋光征君。    〔二十番 長屋光征君登壇〕(拍手) ◆二十番(長屋光征君) おはようございます。 議長から発言のお許しを頂きましたので、通告に従い順次発言をさせていただきたいと思いますが、先ほど公明党の代表質問で水野県議が大河ドラマの進行の話をしていただきましたが、今日、私がつけているマスクも岐阜市の大河ドラマ館の販売店で売っている家紋入りのマスクであります。知事のほうから見えないですよね、こういう家紋入りですね。 今日は、私自身は事務所が斎藤道三ゆかりの道三町にありますので斎藤家の家紋がついたマスクをしておりますが、少しマスクがずれてくるので、質問自体はマスクを取って質問をさせていただきたいと思います。 それでは、今回は通告に従い大きく三項目、五点について順次質問をさせていただきたいと思います。 一点目の質問は、高等学校定員の公私比率の見直しについて教育長に御質問をさせていただきたいと思います。 県内の私立学校、とりわけ全日制の私立高等学校が抱える喫緊の課題である募集定員の考え方についてでありますが、県内の全日制の私立高等学校は、現在十五校、約一万一千人の生徒が学び、それぞれの学校が伝統ある建学の精神と教育にかける情熱を礎に、健全で特色ある教育を実践され、進学実績やスポーツ・文化など様々な分野で輝く実績を上げられております。 我が県政自民クラブも三十一名の議員から成る私学振興議員連盟を組織し、私立学校経常補助金の確保や就学支援金制度に係る県独自の補助制度の創設など、必要な予算の確保に努め、私立学校全般の発展を支援してまいりました。 私学の理事長さん方と私学振興議員連盟の役員が懇談する機会が年に一回ありますが、その折に理事長さん方は、いつも同じ悩みを訴えられるわけであります。その一つが公私間格差の問題であります。 私立学校は公教育の大変重要な部分を担っている反面、例えば高校生一人当たりの公費支出額は、公立が百七万円に対して私立が三十六万円弱と極めて大きな公私間格差が生じています。同じ教育というサービスを提供しながら、こうした格差があることは望ましいことではなく、こうした格差を是正しながら私学と公立が公正な競争の中で切磋琢磨していくことが大切であると私は考えます。 二つ目は、私学経営上、最大の課題であります生徒の確保の問題です。三月議会では教師の確保のお話をさせていただきましたが、今回は生徒の確保の問題をお話しさせていただきます。 岐阜県の場合、全日制の公立高校と私立高校の募集定員は、毎年九月に開催される岐阜県公私立高等学校協議会の場で議論を経て、十月中には次の年の募集定員が決定されるとのことであります。こうした過程で決められる募集定員は、高校進学者に対して、おおむね公立高校八〇%、私立高校が二〇%という比率が長い間維持されてきていましたが、中学の卒業生徒が増加する時代なら毎年の公私比率が同じであっても大きな問題は生じません。ところが、中学校の卒業者数は平成元年三月の三万六千三百三十人をピークとして、その後は減少する一方で、令和二年三月の卒業者数は約一万八千六百人と平成元年の約半分まで減少しております。こうした中で、令和二年の募集定員は公立高校一万三千四百六十六人であるのに対し私立高校は四千人と、ピーク時の六千七百人から六割の水準まで激減をしております。 中学卒業生徒数は来年の三月にもさらに五百人程度減少する見込みでありますが、この傾向はもう止まることはなく、私学経営の危機が一歩一歩近づいてきているということであります。生徒減少期の真っただ中にある今、公立と私立の募集定員が従来からの八対二で固定されてよいのかという問題意識を私学経営者の誰もが持ってみえるということであります。 また、学校別の募集定員に対する入学者、つまり充足率を学校ごとに見ますと、一〇〇%を超える学校もあれば七〇%台の学校もあり、中には廃校や撤退も現実味を帯びてくる学校もあるというのが現状であります。 さて、学校の適正配置や教職員の定数を定める公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律というものがあります。その第四条で、都道府県は、高等学校の教育の普及及び機会均等を図るため、その区域内の公立の高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければならないとあります。この場合において、都道府県は、その区域内の私立の高等学校並びに公立及び私立の中等教育学校の配置状況を十分に考慮しなければならないと規定をされております。 本県では、この規定も勘案して、さきに申し上げた岐阜県公私立高等学校協議会において公立高校及び私立高校の募集定員の議論がなされております。その後、公立高校では各地区の生徒数の増減、中学三年生の進路希望状況、過去の入試の出願状況などを踏まえて各学校の定員を決めているとのことであります。私立学校においては募集定員総数が決定をした後、各地区別の中学校卒業者の動向や、学校ごとの過去三年間の充足率、つまり募集定員に対する入学者数の割合などを勘案して調整を行い、学校ごとの定員を決めているそうであります。 このような状況の中、先般、県私学協会が各学校法人理事長に対して学校経営についてのアンケートを実施されたそうであります。これによりますと、安定的に経営ができるために必要な生徒数は県全体で一学年当たり四千二百人、学校存続の危機に直面する、いわゆる損益分岐点となる生徒数は一学年当たり三千七百五十人であり、既に今年の募集定員がぎりぎりのラインまで下がってきているということになります。少子化による生徒数の減少は社会現象であり、学校法人の努力では何とも難しい課題であります。公教育の中で重要な位置を占める私立高等学校がこのまま衰退していっていいのか、教育界に投げかけられた難題であると私は思っております。 募集定員の公私比率が結果として八対二となっており、これが数十年間引き継がれていますが、急速に生徒数が減少する中で、この比率による定員の決め方は現実的であろうかと私は疑問に思うところであります。岐阜県の高等教育全般の発展を考えるとき、生徒急減期にふさわしい決め方があってもいいのではないでしょうか。今後、八対二の原則については、私立高校の比率を安定的な学校経営が成り立つだけの生徒数が確保できるように私立の比率を増やすなど、柔軟な考えがあってもいいのではないでしょうか。 また現在、公立高校において定員割れをしている学校も多く見られるため、現実的な定員をしっかり計算した上で募集定員の比率を考えていただくことも重ねてお願いをさせていただきたいと思います。 そこで、今後の高等学校における公立と私立の入学定員の在り方について、例えば公私比率の見直しなど、どのように考えているのか教育長にお尋ねをしたいと思います。 次に、オンライン診療の推進について、健康福祉部次長医療担当にお尋ねをしたいと思います。 私がオンライン診療について質問させていただくのは今回で三回目となります。現在、コロナ禍にあって様々な業界でオンライン化が進んでおります。先般、私ども岐阜県議会企画経済委員会でも試験的にオンライン会議システムを使った面談に取り組んでみましたが、対面が難しい状況の場合においてはオンライン会議は有効な手段だと感じましたし、教育機関でもオンライン授業に取り組まれているなど、新しい生活様式や社会に向けて世の中が少しずつ変化をしているんだと感じるようになりました。 オンライン診療の有効性や課題は過去二回の質問でも取り上げさせていただき、これ以降、本県においてオンライン診療の課題や先進的取組について調査や医師会と協力し、医療従事者等に向けた講習などが実施をされてこられました。今回のコロナ禍において、改めてオンライン診療の必要性を国としても認識し始めたのと同時に、地方でも医師不足や医師の偏在化の課題に対して有効な手段の一つであることが再認識をされ始めたように思います。 これまでオンライン診療の実施をする場合は、患者の状態について医師が得られる情報が対面診療に比べて限定的であるため、主に診断等の判断が必要となる初診は対面診療とする初診対面原則が導入されており、対面診断の必要性があることは私自身もそのとおりだと思っております。一方で、難病や基礎疾患があったり介護が必要な方が容易に医療機関に行けない場合など、医療を必要とする患者の負担軽減の側面において今後もオンラインの診療の整備を少しずつでも前に進めていくことは大変重要なことであると私は思っております。 では、現在国の動きはどうかというと、国は四月、新型コロナウイルス感染症防止に向けた機運の高まりから、コロナウイルスの感染収束までの時限措置との前提で、従来は先ほど述べたように、初診は必ず対面で行う必要がある診療を初診から特例的に解禁いたしました。今回の時限的な取扱いに伴い、県内で電話を用いた診療や情報通信機器によるオンライン診療等に対応している医療機関は、再診のみに対応する医療機関も含めれば三百十二か所となっているそうであります。今後の見通しとしては、まだ第二波、第三波がいつ発生するか分からない状況ですし、また初診対面原則の時限的緩和の特例がコロナウイルス感染症の収束後も継続されるのか先行きは見通せない状況でありますが、オンライン診療は、コロナウイルス感染症対応だけではなく地方の医師不足への対応など、その有効性が発揮できる場面が期待されることから、今回の特例解禁を契機に、今後もオンライン診療に関する規制緩和は進むのではないかと期待をしています。 そこで、オンライン診療に対応する医療機関の拡大に向けて、県としてどのように取り組んでいくのか健康福祉部次長にお伺いをします。 これで一回目の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○議長(森正弘君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 高等学校定員の公私比率の見直しについてお答えします。 県立高校の入学定員は、中学校卒業予定者数の増減、中学三年生の進路希望状況や高校入試の出願実績、私立高校の状況などを勘案して毎年決定しております。こうした中、県立高校においては産業教育や学びのセーフティーネットとしての役割も含め、県内のどの地域においても生徒の多様なニーズに応えることができる教育環境を提供する必要があり、生徒数の少ない地区にある高校でも一定の定員の維持に努めております。他方で、都市部では県立の普通科高校に出願者が集中しており、生徒減少期の入学定員は、これらの点も踏まえ慎重に決定する必要があります。 近年、私立高校の入学定員の割合は徐々に増加している状況にありますが、できる限り多くの生徒の進学希望をかなえるという視点に立ち、公立・私立双方が現状と課題を互いに共有しながら、それぞれにとって適した定員となるよう私学関係者とも協議を重ねながら検討してまいります。 ○議長(森正弘君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) オンライン診療の推進についてお答えいたします。 県は、平成三十年度から県医師会と連携してオンライン診療の有用性や課題について調査・研究を行っており、昨年度、県内全医療機関を対象に調査したところ、約三割の医療機関から機器購入などの初期投資に対する補助制度の創設を望む意見が出されました。議員も言及されたように、このたび新型コロナウイルス感染症の収束までの時限措置ではありますが、国が特例的に初診からのオンライン診療を認めたことも踏まえ、本県としてもオンライン診療の試行を支援すべく、パソコン・カメラ・マイク・ルーターなどオンライン診療に必要な機器の購入補助を創設することとし、六月補正予算に盛り込んだところです。 補助制度の運用に当たっては、県内医療機関の規模に応じたオンライン診療の実施状況を検証するとともに、今後も国の動向に注視しながら、引き続きオンライン診療活用した医療提供体制について検討を進めてまいります。 ○議長(森正弘君) 二十番 長屋光征君。    〔二十番 長屋光征君登壇〕 ◆二十番(長屋光征君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 次に、SNS等インターネット上での誹謗中傷対策について御質問させていただきたいと思います。 「ありがとう」「よかったよ」「また会いましょう」、言葉には、話しても書いてもうれしくなるような言葉や勇気づけられるような言葉がたくさんあります。一方で、言葉には人一人の命を奪ってしまう恐ろしい力もあります。「お前が早くいなくなればみんな幸せなのにな。まじで早く消えてくれよ」というSNS上の中傷に「いいね」を返した後、「愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね。さようなら」という言葉を残して、五月二十三日、女子プロレスラーの木村 花さん(当時二十二歳)が命を絶たれました。 木村さんは、自身が出演していたテレビ番組「テラスハウス」の放送内容がネットで炎上し、そこからアンチによる悪質な言いがかりや暴言が始まり、その誹謗中傷が原因となり、自ら命を絶ったと言われております。そのほかにも番組の構成上の問題もあったように、今日、その木村 花さんのお母様が週刊誌にお話しをされているという情報もあるわけでありますが、この件は、連日ワイドショーや報道番組でも取り上げられ、木村さんの死からネットリンチが改めて取り上げられるようになりました。 ネットによる誹謗中傷は以前からも社会問題として起きていましたが、例えば昨年大きな社会問題となった茨城県でのあおり運転事件では、事件と全く関係ない女性がSNS上に加害者として拡散され、それによって誹謗中傷を受けるとともに、その誤った情報をSNS上で拡散した地方自治体議員が被害者から訴えられるなど、関係のない人間を証拠や根拠を調べることもなく加害者扱いする問題も起きています。 直近でも岐阜市で三月に発生したホームレス襲撃事件で、加害者と同じ部活に所属をしていた無関係の大学生などが同様の被害に遭っており、訴訟を視野に警察署に相談しているとのことであります。この件もあり、今回は警察本部長にもこの御答弁をお願いしているわけでありますが、SNSの書き込みの問題は、現在のコロナ禍において私自身の身内にもありました。 私の義理の兄は、岐阜市の柳ヶ瀬で飲食店を営んでおりますが、三月にナイトクラブで発生したクラスターにおいて感染された方がお店を利用していたとの情報がSNS上で拡散をされ、そこから「従業員が感染した」「大将自身--私の義理の兄ですね--が感染した」「保健所が消毒を散布しに来ていた」などデマが広がったことにより、県が休業要請をする前に、お客様の安全や従業員の安全、道義的な責任を基に自主休業をすることとしました。 全く事実でないことや、自身で調べたことでないことを平気で書き込んだり拡散をしたり、さらには感情のみで誹謗中傷をするためにSNSを利用する人が増えたことは大変残念でなりません。木村 花さんのケースも亡くなってから誹謗中傷を書き込んだアカウントは次々と削除されるなど、誹謗中傷などで人を傷つけても、異名だからばれない、削除すればばれないと考える心ない人たちが増え、現在では法改正まで早期に検討されるなど、SNSでの誹謗中傷問題は大きな問題となっております。 現状、SNSなどの利用に関係する法律は、二〇〇二年五月に施行されたプロバイダー責任制限法があり、SNSなどで被害者が誹謗中傷や、その他の危害を加えられた場合、プロバイダーやサーバーの管理者に対して投稿者の氏名や住所、ネット上の住所と言われるIPアドレスなどの発信者の情報開示を請求する権利が与えられています。これらの開示が認められると、損害賠償の請求や刑事責任の追及がしやすくなります。 しかし、二〇〇二年に施行されてから社会状況が変わった現代において、SNS運営会社の多くが氏名や住所を保有しておらず、投稿者を特定できないケースが増えているなど、この法律では課題が多いため、先日、自民党内で発信者の特定手続の簡素化や厳罰化に向けての提言を取りまとめ、六月十六日に菅官房長官へ提言書を提出されました。 また、政府も現行法の改正に乗り出しており、六月十九日には高市総務大臣が今夏にも、まずは国会手続が不要な省令改正を先行して行い、現状は開示できる項目に電話番号を加え、発信者を見つけやすくすることが明らかになりました。 では、現状の課題はどこにあるのかというと、SNS等で誹謗中傷の対象になった被害者が現状を解決しようとしても、酷なほど高いハードルがあることであります。それは、SNS等で誹謗中傷をした加害者側を特定しようにも、プロバイダーへの発信者の特定をお願いしても時間がかかる。その期間は、約半年から一年と言われております。それ以上かかることもあるわけであります。 また、弁護士に依頼してから訴訟を起こすまでに百万から百五十万、裁判に勝っても損害賠償の相場は百万円程度と言われており、認められなければ全額自腹になってしまい、泣き寝入りをするしかないということであります。 そもそも論として、投稿者自身の表現の自由と名誉毀損やプライバシーの侵害などについての理解の欠如が大きな課題になっているわけでありますが、SNSをそもそもやらなければいい、見なければいいという人もいますが、ネット社会の現代において、誰しもが被害者になると同時に誰しもが加害者になり得るということを理解することが大切であります。分かりやすく言えば、私の義理の兄は、そもそもSNSをあまりしないわけでありますし、見ることもないわけであります。その義理の兄がほかの人から、おたくのお店、こういうことを書かれていますよと言われていると、自分が知らない間にその問題が大きく大きくなっていって、いわれない誹謗中傷であったり、いわれない事実を、ほかのお客さんとかほかの方から見られてしまったり言われてしまったりするわけであります。いわゆるSNSを利用しようがしまいが、自身がネットでいわれなき誹謗中傷を受ける可能性があること、また、自分はそんなつもりで書いていなくても後に訴えられる可能性があることを認識しなければいけないということです。 では、本県においてネット上の人権侵害についてどのように対応しているかというと、インターネットによる人権侵害に関する県の相談窓口は、県庁七階にある岐阜県人権啓発センターのことであります。また、県のホームページに人権侵害の問題としてインターネットの正しい利用に関してのページを作っており、インターネット上の人権侵害の特徴や、被害に遭った場合の相談窓口である法務省や県警に関するリンクも張りつけてあります。担当課である人権施策推進課によると、それ以外にも啓発活動をしているとのことであります。 しかしながら、いわれなき誹謗中傷を受け、精神的に傷つき弱ってしまっている被害者の方が、このページにたどり着くことができるかは疑問が残ります。インターネット上の人権侵害に対する相談窓口があることを知っている方も少ないのではないでしょうか。そもそも一人一人が人を傷つける言葉を発しないようにすれば全く問題はないことを重ねて言いますが、自分とは分からない状況や集団心理において、自分が言っていることが正しいと錯覚することによって起きる問題を、先ほど述べたように、自分が被害者にも加害者にもなり得るんだということを啓発する必要もあり、相談をすることができる状況をつくり、適切な対処を教えることによって、木村さんのように自ら死を選ぶことがない状況をつくってあげることも大切だと考えます。 そこで、環境生活部長、教育長、警察本部長にお尋ねいたします。 一点目は環境生活部長です。 インターネット上での人権侵害を受けた場合の県の相談窓口である岐阜県人権啓発センターによる相談体制の強化と強い啓発活動を実施していくべきだと考えますが、環境生活部長に、どうお考えなのかをお尋ねさせていただきます。 二点目は教育長にお尋ねをさせていただきます。 子供たちは今後、様々なSNSの媒体を利用するケースが増えたり、社会に出ることによって触れることが増えることから、そもそも学校教育においてインターネット上の書き込みに対しての問題点を、より強く公教育の場で教えることが必要だと考えますが、どうお考えでしょうか、お尋ねをいたします。 三点目として、先ほど述べたような事案がありますが、本県警察においてSNS上の名誉毀損事案や誹謗中傷に対してどのように対応をなされているのか、警察本部長にお尋ねをさせていただきたいと思います。 以上で私の質問を終わりたいと思いますが、明快な御答弁をお願いしたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(森正弘君) 環境生活部長 西垣功朗君。    〔環境生活部長 西垣功朗君登壇〕 ◎環境生活部長(西垣功朗君) 私からは、人権侵害防止に対する相談体制の強化と啓発活動の実施についてお答えいたします。 インターネットによる人権侵害が大きな社会問題となっている現状を踏まえ、県といたしましては今年度から相談窓口となる人権啓発センターの周知及び啓発活動を積極的に進めてまいります。 第一に、インターネットの検索ワードに連動して人権啓発センターが検索結果画面に表示される、いわゆる検索連動型広告の導入に取り組み、センターの認知度向上を図ってまいります。 第二に、ネットモラルの理解を促進するためのチラシを新たに作成するとともに、若年層の携帯によるSNS投稿が多いことなども考慮し、携帯電話販売店などの協力を得て配布をしてまいります。 第三に、今後、国の人権啓発に係る委託事業の内容を変更し、「加害者にも被害者にもならない」をテーマとしたSNS等に係る人権侵害に関するセミナーを開催することを検討してまいります。 これらの取り組みに加え、センター職員にインターネットによる人権侵害に関する研修を受講させ、具体的な事案に即した対処方法について助言が行えるよう相談体制の強化も図ってまいります。 ○議長(森正弘君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 児童・生徒に対するSNS教育の取り組みについてお答えします。 県教育委員会では、啓発資料や教材を活用しながら児童・生徒に対する情報モラル教育を実施しております。一方、昨年度、児童・生徒を対象に実施した調査では、「SNS等で被害を受けたり嫌な思いをした」との回答が全体の約六%ありました。また、「自分が他人の悪口や個人情報を公開する書き込み」をしたとの回答が約三%あり、こうした書き込みは軽い気持ちで行ってしまったとしています。 調査結果を踏まえ、児童・生徒が加害者になることを防ぐため、今年度配付する資料には、SNS等で他人を傷つける乱暴な書き込みを繰り返し行うことは禁止されていることや、児童・生徒が行った場合でも罰則が適用されることなど、この四月に施行された県迷惑行為防止条例の内容を盛り込み、啓発・指導に活用してまいります。 また、被害者にならないという観点からも個人が特定されやすい情報を発信しないなど、自分のプライバシーを守ることの大切さやSNS等の正しい使い方を学ぶ機会を充実させてまいります。 ○議長(森正弘君) 警察本部長 奥野省吾君。    〔警察本部長 奥野省吾君登壇〕 ◎警察本部長(奥野省吾君) 誹謗中傷事案に対する県警の対応について申し上げます。 本年六月末現在、SNS等を利用した名誉毀損、誹謗中傷、脅迫に関する相談を七十五件受理しており、また名誉毀損事件の被害届二件を受理し、検挙をしております。 SNS等を利用した名誉毀損などは、投稿者が匿名であることやSNS等の管理者が海外企業であるなど被疑者の特定に時間を要するといった課題がありますが、県警察では違法行為に対しては捜査を徹底して検挙し、直ちに検挙できない場合であっても必要に応じて行為者に指導・警告を実施しております。 また、早期に不安を払拭できるよう投稿の削除に関する助言を行うなど、相談者に寄り添った対応に努めております。 今後もSNS等の利用が拡大し、こうした事案の増加が懸念されることから、引き続き、刑法のみならず各種法令の適用を多角的に検討して被疑者の検挙に努めてまいります。 ○議長(森正弘君) 二十番 長屋光征君。    〔二十番 長屋光征君登壇〕 ◆二十番(長屋光征君) 二点目の質問について、それぞれ前向きな御答弁ありがとうございました。 教育長に一点だけ、公私比率の見直しについて再度御質問をさせていただきたいと思います。 教育長のほうからは、募集定員の形もここ何年か少しずつ改善をしてきているというようなお話も出ておったわけでありますが、一方で、その比率も限りなく変わっているのか変わっていないのか分からないぐらいの少ない比率で変わっているのと同時に、募集定員の比率だけじゃなくて、最終的に入ったところを見ると結局八対二なんですね。教育長が言われる公立高校として県下様々な地域にしっかり配備をしなければいけないというのは私自身も分かっているわけでありますが、一方で、例えば毎年九月に開催をされている協議会を含めて、その協議会をもっとしっかり増やしていって、現実に今年はこうなんだ、こうなんだというのを、大体生徒数の減のほうは分かっているわけですから、どのように本当に見直していこうというおつもりなのか、再度教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(森正弘君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 先生の御質問に対してお答えいたします。 公立高校の定員でございますけれども、現実、充足状況は岐阜地区・西濃地区では充足をしている高校が多く、その他の地区では未充足の高校が多いという状況、他方、私立高校の場合はその反対の傾向、特に岐阜地区では未充足の高校が多いという状況にございます。 私立高校で未充足校の多い岐阜地区、特に県立の普通科高校に出願者が今現在集中しているということで、できるだけ多くの生徒の進学希望をかなえるということから、こうした高校の定員等についても慎重な検討が必要だろうというふうに考えております。 入学定員の見直しについては先ほど御答弁申し上げましたが、公私の協議会で議論をした上で、公立高校については教育委員会で決定をするというふうになっておりますし、私学については私立高校で決定していただくということでございます。 したがいまして、この公私協議会自体、教育委員会で所管して開催しているわけではございませんので、知事部局のほうで開催されておるわけですけれども、私どもとしては、そこの協議会にお出しする資料の在り方などについては、こういったこと、今御説明申し上げたことがよく分かる資料など工夫をしてしっかり議論をしていただいて、そこで大枠というんですか、基本的なお考えをいろいろお聞きするというふうにしていったらどうかというふうに考えております。 ○議長(森正弘君) 九番 藤本恵司君。    〔九番 藤本恵司君登壇〕(拍手) ◆九番(藤本恵司君) 議長より発言のお許しを頂きましたので、通告に従い、大きく二項目三点についてお聞きいたします。 初めに、消防職団員の災害対応能力の向上について、二点質問いたします。 一点目として、岐阜県消防学校での教育訓練施設の現状と今後の方向性についてお伺いいたします。 今年も六月十日に、平年より二日遅れで岐阜県を含む東海地方が梅雨入りしたところでございます。梅雨入りに伴う降水により水田にも水が満たされ、本格的な稲作シーズンとなったところでございます。しかし、近年の雨の降り方は気候変動の影響によるところなのか、かつてのような恵みの雨という表現では表し切れない部分、つまり、昨日も郡上市で避難勧告の発令や下呂市で土砂災害警戒情報が発表されました。このように大規模災害のリスクをはらんでいるのではないかと危惧しております。 実際、大規模災害が近年頻発していることは、平成三十年七月豪雨災害により甚大な被害を受けた岐阜県民のみならず、日本国民全体の共通認識であろうと思われます。 さらに、災害の大規模化に伴って同時に複数の地域で被害が発生したり、過去にはそれほど強い風や雨が観測されなかった地域で猛烈な風や雨が観測され、思いもよらない被害が発生したりと、災害自体が複雑化しているのではないかと考えております。 そこで、近年の幾つかの災害について振り返ってみたいと思います。 初めに、風水害については昨年だけでも台風十五号、十九号、二十一号と、日本列島は立て続けに台風被害に見舞われました。まず九月の台風十五号については、統計開始以降、最も強い勢力で関東地方に上陸したと見られており、千葉市で最大瞬間風速五十七・五メートルという猛烈な風を観測するなど、多くの地点で観測史上一位の記録的な暴風を観測いたしました。この暴風により鉄塔二基が倒壊したほか、電柱・電線の損傷が広範囲で発生し、最大停電件数が約九十三万四千九百軒となる大規模な停電に至りました。 さらに、停電の復旧作業を進めようにも道路への倒木がその支障となる状況が発生し、停電軒数が一万軒を切るまでに十二日間、土砂崩れ等による復旧困難箇所を除いたおおむね復旧完了までには十五日間を要する事態となりました。 停電のほか、この台風十五号では暴風による家屋屋根の損傷被害が広範囲にわたって多数発生し、ブルーシートによる屋根の応急・復旧作業に携わる人材が不足するという課題も明らかとなりました。 次に、十月の台風十九号については静岡県や関東甲信越地方、東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨となり、神奈川県箱根町の総雨量が千ミリに達したのを筆頭に、東日本を中心に十七地点のアメダスで総雨量が五百ミリを超え、大雨特別警報が一都十二県に発表されました。 こうした地域において、国が管理する大河川で十四か所の決壊、県が管理する河川では百二十八か所の決壊が発生し、広範囲にわたる浸水被害をもたらすとともに、山間部における土砂災害も合計で九百五十二件発生し、百七名の死者・行方不明者が出たほか、重傷者は四十三名、全壊家屋は三千三百八棟、半壊家屋は三万棟という甚大な被害となりました。 被害の土砂災害が同時多発的に発生した地域もあれば、例えば、お隣の長野県の大河川である千曲川では、決壊地点から約六キロ下流にある中野市の観測所において、降水量と河川水位のピークに十二時間のずれが生じるなど、時間軸で見る災害発生状況も様々となりました。この千曲川の決壊・氾濫については、北陸新幹線の車両基地も浸水するなど広範囲にわたる浸水被害の様子がテレビで連日報道され、とても他人事とは思えない災害となりました。 次に、地震災害についてですが、平成二十八年には熊本地震、平成三十年には大阪府北部地震、北海道胆振東部地震が発生しております。熊本地震においてはマグニチュード六・五、最大震度七の激震に見舞われた後、たった二十八時間後にもう一度、マグニチュード七・三、最大震度七の激震に見舞われました。 内陸型地震でマグニチュード六以上の地震の後に、さらに大きな地震が発生したのは観測開始以降初めてのことであり、同じ地点で震度七が二回観測されたのも初めてのことでした。その人的・物的被害の状況については、死者二百七十三名、重傷者は千二百三名、全壊家屋は八千六百六十七棟、半壊家屋は三万四千棟を超える甚大な被害となり、多くの尊い人命が失われたことが記憶に新しいところでございます。 平成三十年の北海道胆振東部地震ではマグニチュード六・七、最大震度七の激震に襲われ、死者四十二名、重傷者三十一名、全壊家屋四百六十二棟、半壊家屋千五百七十棟の被害が発生しました。 この地震では、震度七を観測した北海道厚真町を中心に二百二十七件の土砂災害が発生しました。国土交通省によると、その崩壊面積は十三・四平方キロであり、平成十六年の新潟県中越地震における十一・二平方キロを超え、明治以降の主要な地震災害の中で最大の面積となりました。 次に、火災については、何といっても平成二十八年の新潟県糸魚川市での大規模火災が頭に浮かびます。この火災では木造住宅や店舗の密集する市街地で発生しました。出火当日の強風により、火元及び延焼先からの大量の火の粉が広く飛散し、風下側への飛び火により同時多発的に延焼拡大し、全焼百二十棟を含む百四十七棟が焼損し、焼損面積は三万平方メートルを超える大火災となり、災害救助法や被災者生活再建支援法の適用を受けています。 このように大規模化・複雑化する災害、さらに時間軸で見ても同時、あるいは時間差をもって襲ってくる災害に対し、我々全ての県民が自助の意識、つまり自分の命は自分で守るという意識を持ち、災害に備える必要があることは申すまでもないところでありますが、いざというときには消防・警察・自衛隊に頼ることが必要となってまいります。 これらの中でも消防本部、消防署といった常備消防や消防団については、それぞれの地域において日頃起こり得る火災や災害について住民の安全・安心な暮らしを支えていただいている存在でありますが、先ほど申し上げたような大規模災害においても住民の避難誘導や救出・救助活動、道路上の倒木や瓦礫の撤去など、実に様々な場面で活躍され、まさに地域防災力の要であると考えております。そのため、大規模化・複雑化する災害に対する消防職員・消防団員の災害対応能力をさらに高めていく必要があると考えます。 県では、消防組織法に基づき各務原市川島地内に岐阜県消防学校を設置し、消防職員・消防団員に対する教育訓練を行っています。この県消防学校では、消防職員・消防団員に対する教育訓練機関として県内唯一の存在であります。教育訓練のためには座学を行う教室のほか、実技能力を高めるための訓練施設が必要であるのは当然のことであり、火災への対応能力を高めるための濃煙熱気実火災体験型訓練施設、通称ホットトレーニング施設を平成二十九年度に県消防学校に新設したと聞いております。 このホットトレーニング施設では、木製パレットを燃焼させ高温にしたコンテナに消防隊員を進入させ、火災の性状変化、つまり火災現場と同様の熱・煙、また注水による熱気環境の変化を体験させることができるとのことです。先ほど大規模化・複雑化する災害に対する消防職員・消防団員の災害対応能力をさらに高めていく必要があると申し上げたところですが、火災に対するホットトレーニング施設のように災害対応能力向上のための実践的な訓練施設を整備するとともに、そういった訓練施設を十分に活用した教育訓練を実施することが肝要であると考えます。 そこで、一点目の質問として危機管理部長にお尋ねいたします。 岐阜県消防学校における訓練施設の現状と今後の方向性についてお聞かせください。 先ほど一点目の質問では施設整備面について、すなわちハード面を中心にお尋ねしたところですが、ハード面だけでなくソフト面での工夫、取り組みがなければ、消防職団員の災害対応能力向上という目的を十分に達成できないものと考えます。 近年の災害の大規模化・複雑化につきましては先ほどから申し上げているとおりでありますが、この大規模化・複雑化に伴い、危険な場所での応急対策や特殊な技能を要する応急対策が必要となる状況が多く発生しております。消防職員には多様な災害対応能力が求められております。 また、災害の規模が大きくなれば、消防職員のみならず、即時対応力、要員動員力、地域密着力を特徴とする消防団員が救助活動に従事することが想定されますので、消防団においても救助用資機材の配備が進められているところであります。しかし、救助用資機材を配備すればいいというものではございません。消防団員が、その救助用資機材の取扱いに習熟し、災害対応することが期待されているのではないでしょうか。 そこで、二点目の質問として危機管理部長にお尋ねします。 大規模災害における消防職員・消防団員の対応能力向上に向けた県の取り組みと今後の対応についてお聞かせください。 次に、消防本部における外国語対応についてお伺いいたします。 これまで大規模災害における消防職員・消防団員の活動に関する質問をさせていただきましたが、災害時において災害弱者がいらっしゃるように、日常の火災や救急事案に対しても通報や現場対応に支障の生じる方々がいらっしゃいます。その典型例の一つは、日本語でのコミュニケーションが難しい在住外国人の方々であろうと考えます。 平成三十年十二月に出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律が成立し、昨年四月に新たな在留資格である特定技能の制度が創設され、今後ますます在住外国人の増加が見込まれるところでございます。この新たな在留資格制度の創設前後の統計になりますが、県内の外国人の数は、平成二十年の約五万七千人をピークに一度は減少傾向となり、平成二十六年には約四万三千人まで減少いたしました。しかしながら、平成二十七年から県内の在住外国人数は増加に転じており、昨年十二月には過去最高の五万八千四百七十人となりました。 在住外国人が現在ほどの数に至っていなかった一昔は、救急現場で外国人傷病者とコミュニケーションを取ろうとしたときには身ぶり手ぶりで何とか意思疎通を図ったり、現場近くに住む日本語を話せる同じ外国籍の方を探して通訳をお願いし、対応したとのことです。しかしながら、先ほど申し上げたように、在住外国人の増加という今日の状況を踏まえ、またIT技術の進展なども踏まえ、消防本部における外国語対応も県内それぞれの消防本部で様々な取り組みがなされたようです。 そうした中、昨年度、県内全ての消防本部において、日本語を話すことができない外国人からの一一九番通報に対し多言語での通訳対応ができる仕組みが導入され、その際には、県が一括して導入する方式を採用することにより早期の実現につながったと聞いております。こうした対応が県内在住の外国人の方々の安全・安心な暮らしにつながるものと期待しているところであります。 そこで最後の質問です。 消防本部における外国語対応について、これまでの取り組みはどのようなものであって、昨年度導入された一一九番通報に対する多言語での通訳対応とはどのような仕組みなのでしょうか。 また、その導入から一年が経過しておりますが、その利用状況と今後の対応についてどのようにお考えでしょうか、以上三点、危機管理部長にお尋ねいたします。 日頃から訓練に精進し、災害発生時にはいち早く対応し、県民の安全・安心のために御尽力いただいている消防職員・消防団員、そして昨日もお話がありました水防団員の皆様に感謝を申し上げながら私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(森正弘君) 危機管理部長 渡辺正信君。    〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕 ◎危機管理部長(渡辺正信君) 三点の御質問を頂きました。まず消防職団員の災害対応能力の向上に関し、消防学校の教育訓練施設の現状と今後の方向性についてお答えをいたします。 消防学校では近年の災害の大規模化・複雑化に対応するため、平成二十七年度から三十年度にかけ、倒壊家屋や土砂災害の現場、さらには複雑に密集する住宅街を再現した施設などを整備し、実践的な教育訓練施設の充実を図ってまいりました。現在、これらの施設を使用し、消防職員の初任教育において、倒壊家屋からの救助活動や住宅密集地での火災を想定した消火活動などの基礎的な訓練を実施しております。さらには、現場での一定の経験を積んだ職員を対象とした救助科、特殊災害科などにおいて、より専門的な訓練を実施し、個人の災害対応能力の向上を図っているところでございます。 しかしながら、大規模災害時においては、これら多岐にわたる消防活動を組織的に行うことが求められております。このため、今後は複数の訓練施設を組み合わせ、各種部隊の連携を図る総合的な訓練について消防学校の教育訓練計画に盛り込み、実施してまいります。 次に、消防職団員の災害対応能力の向上のための取り組みについてお答えをいたします。 大規模災害が頻発する中、消防機関の活動は、消火や救助のほか、土砂や瓦礫の撤去、被災家屋の応急対策などの活動にも広がっており、消防職員・消防団員には多様な能力が求められております。このため、消防職員については大規模災害時における個人の対応能力の向上を図る訓練に加え、昨年の台風十五号を教訓に、被災家屋の屋根を応急的にブルーシートで覆う訓練を新たに実施してまいります。 消防団員については大規模災害時における救助活動が行えるよう、市町村において整備が進められているチェーンソーやエンジンカッターについて操作習熟のための訓練を実施し、安全かつ適正な取扱いについて指導ができる消防団員を養成してまいります。 さらに、消防団が救助用資機材を用いて組織的に救助活動が行えるよう、指揮能力を有する消防団員を養成する訓練を実施してまいります。 最後に、本部における外国語対応についてお答えをいたします。 消防本部における外国語対応については、救急活動において傷病者が話す外国語を日本語の音声と文字に翻訳するタブレット端末を平成二十九年度から県内全ての消防本部で使用しております。また、一一九番入電時の多言語同時通訳については、平成二十九年度から一部の消防本部が導入を始め、昨年六月からは県が消防本部の要望を取りまとめ、一括して契約する方式により県内全ての消防本部で運用を行っております。その仕組みは、通報者と消防本部との会話を通訳者が仲立し、同時に通訳するもので、二十四時間体制で十八か国語に対応するものとなっております。 この一年間の利用は五十七件ですが、他県の先行事例では二百件前後の利用状況であり、外国人への周知がまだ十分でないものと考えております。現在、各消防本部において広報紙やホームページでの広報などを行っておりますが、今後は火災予防の啓発活動などの機会を捉えて、外国人が集う商業施設や集会場へチラシを配布するなど、地域の実情を踏まえた取り組みを進めてまいります。 ○議長(森正弘君) 六番 平野祐也君。    〔六番 平野祐也君登壇〕(拍手) ◆六番(平野祐也君) 皆様、こんにちは。 議長よりお許しを得ましたので、事前の通告に従い質問を進めさせていただきます。 まず最初に皆さんにお伺いしたいと思いますけれども、「こども宅食」という言葉を御存じでしょうか。このこども宅食ですけれども、この宅食というのは、宅配の「宅」に食事の「食」と書いて「こども宅食」と読みますけれども、皆さんにとっては子ども食堂のほうが大分なじみのある言葉かと思います。ただ、その一方で、今全国各地で、このこども宅食というのが拡大しています。 このこども宅食について御説明をしますと、二〇一七年十月から東京の認定NPO法人のフローレンスさんが東京都文京区と連携して始めた事業であり、子供を抱える生活が厳しい御家庭に向けて定期的に食品を届ける仕組みとなっております。この食料品の宅配をきっかけにして生活困窮やDVに悩む家庭やひとり親世帯とつながりをつくり、見守りながら行政や地域の支援にもつなげていく、そんな仕組みとなっております。 支援対象として、文京区の場合には児童扶養手当受給世帯及び就学援助受給世帯に対して二か月に一回配送を行っています。当初、この文京区内の百五十世帯の応募を想定しておりましたけれども、申込みが増加し、現在は約五百七十五世帯が利用をしています。 この事業の運営は、寄附やふるさと納税を原資としています。この取り組みに対して、文京区は二〇一八年に事業評価レポートをまとめており、その中で利用者を対象としたアンケートの分析結果から、こども宅食事業の成果として、保護者・家庭の心理的ストレスの減少と可処分所得の向上、つまり食費負担の軽減、食事内容の改善を上げております。 既に認定NPO法人フローレンスさんが関わっているこども宅食事業は、東京都文京区、長崎県長崎市、宮崎県三股町、佐賀県佐賀市などを含む全国九地域で実施されており、立ち上げ中の地域も含めると十五地域となり、全国各地で取り組みが拡大しております。これに加えて今回のコロナウイルス感染症の拡大を受けて、各地の子ども食堂やフードバンク等でお弁当や食料配達の取り組みが始まっています。こうした動きを含めると、さらに全国各地で今現在、取り組みが拡大しているのが、このこども宅食となります。 こうしたこども宅食事業の成果が全国的に認知されてきた中で、岐阜県においてもこども宅食事業を岐阜県子どもの貧困対策アクションプランに追加し、支援できないかという観点で質問をさせていただきます。 先日成立しました国の第二次補正予算において、子供の見守り強化アクションプランを踏まえた見守り体制の強化に対して三十一億円の予算が計上されました。その中で、子ども食堂と同列に、子供に対する宅食等の支援を行う民間団体がこの支援対象児童の見守り体制の強化に資するとして、こども宅食事業への国としての理解や後押しが示されております。実際に岐阜市においても国のこの指針を受けて、今回の六月補正予算において岐阜市とNPO法人が連携して要対象児童の見守りを行うために、家庭にお弁当や食材を配付するこども宅食事業を予算化し、岐阜市として取り組みを進めていく見込みとなっております。 また、岐阜県においては令和二年三月に策定した岐阜県子どもの貧困対策アクションプランにおいて、子ども食堂や学習支援についての支援策を打ち出しております。子ども食堂については平成二十九年度、子供の学習支援については平成二十八年度より運営支援を行っており、子ども食堂においては県と市町村が新規開設や拡充・運営に対して補助対象経費の二分の一ずつを補助しているのが現状です。 現在、県の岐阜県子どもの貧困対策アクションプランの取組一覧として掲載されているのは、子ども食堂が十九件、学習支援施設は五十一件となり、支援の輪の拡大を県としても支えているのが現状です。既に子ども食堂が制度として始まってから今年で約八年が経過しております。貧困や孤食、子供が一人で食事をすることを防ぐことを目的として発足した子ども食堂や学習支援ですが、現在、本当に支援を必要としている御家庭の子供が来ているのかという状況に悩んでいる子ども食堂の運営者が全国的に数多くおります。実際に二〇一八年になりますが、九州の子ども食堂に行ったアンケートでは、その七割が「来てほしい子は来ない」という結果も出ております。 こうした状況下、本当に支援を必要としている家庭がこうした支援策を知らないことが多いこと、利用するのが恥ずかしいという観点から利用者が固定化され、かつ生活困窮層が本当に利用しているのかが分からないという課題が全国的にも浮き彫りになっております。 子ども食堂や学習支援は子供の居場所づくりをうたっており、施設を利用するに当たって、何か審査や制限を行う性質ではないことも利用者の実態が見えてこない一因となっております。現在は新型コロナウイルスの影響もあり、子ども食堂や学習支援が思うように取り組めていない中で、ひとり親世帯や生活困窮世帯において収入減少が直撃して子供の生活にも大きな影響が出てきております。 今年の四月にNPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ、こども食堂ネットワークがまとめたアンケートからも、回答した全国二百三十一か所の九割に当たる二百八か所が子ども食堂を休止しており、うち約半数の百七か所がお弁当や食材の配付、宅配に切り替えているのが現状です。 この新型コロナウイルスの感染拡大により子ども食堂や居場所づくり事業ができなくなり、既存の子ども食堂等の運営事業者も、お弁当や食料の宅配や販売に移行しており、支援の形が図らずともこども宅食に近づいているのが現状です。 岐阜県としても岐阜県子ども食堂運営支援事業費等補助金のQ&Aを改正し、令和二年四月一日から適用しています。その内容は、既存の子ども食堂事業者が生活困窮世帯やひとり親家庭を含む高校生以下の子供がいる世帯に対して、お弁当や食材料の配達について条件を満たせば、子ども食堂の開催と読み替えて補助対象とする旨をいち早く打ち出しております。 また、今年の五月にこども宅食応援団が支援対象の千十五世帯にアンケートを取ったところ、コロナ禍以前の生活と比較すると、その約八割の七九・五%が「生活が苦しくなった」と回答し、その回答の中で「支出が増えた」との回答が八割を超える八四・三%、給食がなくなったことによる食費の増加が大きな要因となっております。 こども宅食が既存の子ども食堂や居場所づくり支援と異なるのが、開催場所に行かなくても直接困っている御家庭に物資を届けられる点にあります。従来の行政支援、子ども食堂や学習支援も含めて、申請型・来所型といった形態で、どちらかというと申込者が直接行うものが普通でした。一方で、このこども宅食というのはアウトリーチ型と呼ばれ、支援をする側が直接伺う、配送を通じて直接困っている家庭と接点が持てることが大きな特徴となっております。 本当に支援が必要な生活困窮世帯は各種制度や支援策への人的・情報ネットワークが少なく、必要な支援策が行き渡っていないことも課題に上げられます。どうして困っているのに役所に相談に行かないのかという声もあります。ただ、目の前の生活で手いっぱいであることや、社会の目を気にして相談に行かないため、状況が重篤化しても行政からはその実態が見えない、そんな御家庭が全国的に増えてきています。 こうした課題解決のため、申請型・来所型の既存支援策と直接出向くアウトリーチ型のこども宅食事業を連動させることによって、さらに効果的な支援が実行できると考えております。図らずも新型コロナウイルスにより民間主導によるこども宅食事業が拡大してきております。政治行政としてもこども宅食という事業をしっかりと支援していくという姿勢を打ち出すためにも、岐阜県子どもの貧困対策アクションプランにこども宅食を明示すべきと考えております。 既存の子ども食堂などの居場所にも来られないような家庭に対して、支援策や相談相手になるというのもこども宅食の大きな趣旨になります。こども宅食事業は、現在のところ民間団体や篤志家、企業の寄附、ふるさと納税により成り立っております。こども宅食の運営には、もちろん人手もお金もかかり、継続的な実施に向けて行政の理解や支援は、子ども食堂や学習支援と同じように必須だと考えております。 また、本当の自立支援につなげるためには行政へのアクセスを太くしていくことが肝要であり、こども宅食を通じて孤立した家庭を行政につなぎ、自立に導くためにもしっかりと行政と連携していくべきと考えております。 現在、岐阜県においても複数の自治体でこども宅食を進めようとする動きが出てきております。こうした支援の輪を広げていくためにも、岐阜県として既存の子ども食堂や学習支援に加えて岐阜県子どもの貧困対策アクションプランにこども宅食支援を盛り込むべきと考えております。 そこで、子ども・女性局長にお伺いします。 岐阜県として子ども食堂や子供の居場所づくり事業と同様に、岐阜県子どもの貧困対策アクションプランにおいてこども宅食事業を明示化し、県としての取組一覧に追加できないか、お考えをお伺いします。 実際に現場の声を聞きますと、このゴールデンウイーク以降、若い世代を中心にコロナ対策、コロナ感染症も受けて収入が減少した、雇用が不安定化している、そういった声が多く聞こえてきているようになりました。ただ、その一方で、本当にそうした声を政治行政として受け止めて支援できるか、これが今後、政治行政として求められる姿勢かと思っております。前向きな答弁をよろしくお願いします。ありがとうございました。    (拍手) ○議長(森正弘君) 子ども・女性局長 北川幹根君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 北川幹根君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(北川幹根君) 岐阜県子どもの貧困対策アクションプランにおけるこども宅食事業の追加についてお答えいたします。 県では、子ども食堂を子供が安心して過ごせる居場所づくりとして子どもの貧困対策アクションプランに位置づけ、支援してきたところです。こうした中、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で多くの子ども食堂が休止する状況になりましたが、一部の運営団体では弁当の配付や宅配に切り替え、活動いただいているところです。 このこども宅食事業は、支援が必要な子供に弁当やレトルト食品などを直接届けるもので、訪問の際に自宅での過ごし方など、子ども食堂に行くことができない子供の見守りを併せて行うことができるなど、子ども食堂にはない利点があります。県といたしましては、こども宅食事業はコロナと共にある新しい日常における新しい支援の形として有効なものと考えており、子どもの貧困対策アクションプランに追加してまいります。 また、併せて子ども食堂と同様に支援できるよう、関係団体や市町村の意見を伺いながら具体的な内容を検討してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) しばらく休憩いたします。 △午後零時五分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(小原尚君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(小原尚君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。十番 安井 忠君。    〔十番 安井 忠君登壇〕(拍手) ◆十番(安井忠君) では、議長からお許しを頂きましたので、今回、私からは建設残土の放置について質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。 皆さんは、建設工事などで出る土、いわゆる建設残土が都市部から地方に運ばれ、捨てられ、あちらこちらの空き地に建設残土の山ができ、問題になっていることを御存じでしょうか。隣県、愛知県の事案になりますが、愛知県弥富市の事案を御紹介いたします。 弥富市は、金魚の産地として有名なところですが、金魚の養殖池の跡地を所有していたAさんのところに、ある日、不動産屋を名のる男性が訪ねてきて、リニア新幹線の工事で出る残土を金魚池の跡地に運び入れたい、池の横を通る道路より三十センチ下まで土を入れ、水田にしたいと話を持ちかけられたということです。Aさんは、道路より三十センチ下の高さまで土を運び入れるという約束で了承し、搬入作業はスタートしましたが、その後、建設残土は道路より三十センチどころか、間もなく高さ十メートルもの山になってしまったということです。その後、Aさんは、再三にわたって工事の中止と土の撤去を求めましたが、二年以上も残土の土は放置され、最後には土の撤去を求める裁判に至ったといいます。 報道によりますと、弥富市に残土を運び入れた業者は、弥富市だけでなく、三重県など少なくとも六か所で同じような残土の山を造り、住民トラブルを起こしているといいます。 今、御紹介いたしましたのは愛知県の事例ですが、一方で本県に目を向けてみますと、我々の身近な場所でもこうした問題が起きています。私の地元、輪之内町に海松地区というところがございます。こちらでも建設残土の山が問題となっております。 建設残土と見られる土砂が運び込まれた土地は、元は広さ六千平米、深さ三メートルの池でした。また後で説明をさせていただきますが、本県には規制条例があります。そのため、土地の所有者、二〇一五年二月に道路面から高さ一メートルまで埋め立てる許可を県から受け、三重県の建設業者が建設残土と見られる土砂を運び込みましたが、結果として許可を受けた以上、残土が持ち込まれてしまいました。高いところでは五メートルの高さまで積み上がり、その後、三年近くも放置され、地域住民の方々からは、土砂の崩落が心配などと怒りの声が上がっています。 土地の所有者は、改善したいが、運び出すのに数千万円かかる、すぐに運び出せないと話し、土砂を持ち込んだ建設業者は許可を受けた一メートルの高さに戻すために、土砂の撤去を土地の所有者と約束したが、土の持っていき場がなくなってしまったと話しているようです。 こうした事態を受け、県では二〇一七年から複数回にわたって是正指導を繰り返し、こうした取り組みのかいもあって、現在、土砂の撤去を進めていますが、一度残土がうず高く積み上がってしまうと、それを撤去することは容易ではありません。 このように問題になっている建設残土ですが、実は建設残土を管理する法律がありません。公害が問題視されていた一九七〇年には廃棄物処理法が成立しましたが、残土は廃棄物ではないという線引きがなされ、資源という位置づけがなされたことから、土砂の埋立てに関する法律が制定されることはなく、現在に至っております。 しかし、先頃紹介いたしましたように、建設残土の不適正な処理はいろいろな場所で起きています。こうした問題を政策課題として捉え、都道府県レベルでは土砂の埋立て等規制に関する条例が制定されてきました。本県では、県内十七か所の埋立てなど、六価クロムやフッ素を含んだフェロシルトという埋戻し材が使われた事案を受け、埋立てによる土壌汚染や災害発生を防止するため、平成十八年、岐阜県埋立て等の規制に関する条例が制定されました。条例では、埋立てをする事業者、埋立てを行う土地の所有者、県の責務、また埋立てに使われる土砂等の環境基準や一定規模以上の埋立てを行う際の構造基準を定めるとともに、三千平方メートル以上の埋立て等については、土の量も多く、土壌の汚染や災害の発生による被害も大きいことから許可制度とし、事業の開始から終了までの一連の事業活動を規制すると定めています。 先ほど紹介しました輪之内町の案件も三千平方メートル以上埋立てとなりますので、条例に基づき県の許可を受けていましたが、結果として許可を受けていた以上の土砂が建設業者によって運び込まれてしまったというものです。 本県で過去の教訓を踏まえ、いち早く規制条例が設けられていたわけですが、なぜ条例に反して建設残土が運び込まれ、放置されるような事案が発生するのでしょうか。もちろん許可を受けた以上に持ち込んだ業者に責任はあるわけですが、私は処分業者などから話を持ちかけられ、安易に土地を提供してしまう土地所有者の意識の低さにも多少なりの原因があるのでないかと思います。悪質な処分業者などは、一時的に資材置場に貸してほしい、良い土で土地を埋めてあげます。それに対し、土地所有者は、特に使う予定もないし、遊ばせておくのはもったいないなどといった理由から口車に乗ってしまうことが多いと思います。一旦持ち込まれてしまった残土を処理するには、時間と費用が必要となります。残土を持ち込んだ関係者が行方不明になってしまうこともよくあります。その責任は土地所有者に及ぶこともあります。こうしたことを考えますと、廃棄物の不法投棄や残土の無許可や許可の範囲を超えた埋立ての標的として県民の土地が狙われていることをもう少し具体的、丁寧に周知していただくべきではないでしょうか。 また、条例に反した状態で残土を運び入れさせないためには初動対応が重要であることから、地域住民に一番近い市町村との連携を強化し、不適切な残土の運び込みを水際で防ぐ取り組みが必要ではないでしょうか。 そこで、規制条例を所管する環境生活部長にお伺いします。条例が対象としているのは三千平方メートル以上の埋立てで、それに満たない埋立てでは、県は把握できないとのことですが、条例が対象とする三千平方メートル以上の埋立てについて、不適切な残土の埋立てとして是正指導を受けている事案は県下にどれぐらいあるのでしょうか。また、不適切な運び入れを防止するには、土地所有者への注意喚起に加え、市町村との連携強化が必要と考えますが、今後、どのように取り組んでいくのかお尋ねします。 ここまで建設残土が運ばれ、捨てられ、空き地に建設残土の山ができる事案を御紹介してきましたが、遊休農地が狙われるケースも例外ではございません。むしろ遊休農地が標的となることのほうが多いかもしれません。 農地を農地以外のものにする場合、農地転用の手続が必要となり、通常、申請者から申請がなされ、後、市町村の農業委員会が意見を付して、許可権者に送付し、許可権者である県知事または権限の移譲を受けた自治体の長で許可され、初めて転用が認められることになります。しかし、この手続を意図的にしなかったり、手続が必要であることを知らないまま農地を農地以外のものに替える、いわゆる違反転用が増えているとお聞きします。 こうした違反転用が増えている原因には、農家の後継者不足や高齢化により農地がお荷物となり手放したい、または先祖代々の田畑なので売ることはできないけど、貸して少しでも利益を得ようとする農家が増えていることにあります。そうした農家の思いに付け込み、言葉巧みにだまし、残土を運び入れる悪質業者が増えているのです。無料でやってあげる、謝礼を払う、木の伐採、伐根もしてあげる、手続は全て任せてくれなどと言い寄り、蓋を開けてみると、必要な農地転用の手続は取られておらず、勝手にもともとあった農地の雄大な土地を売却したり、産業廃棄物、建設残土やごみなどを埋めたり運び入れた残土を山のように積み上げ、そのまま放置するといった事例が起きております。 もちろん、全ての業者が悪質ではありません。正規の手続を取って事業を行っていらっしゃる業者の方もいらっしゃいます。しかし、業者の中には悪質な業者が存在するのも事実でございます。こうした悪質業者に農地の使用を了承してしまうと、その後、違反だと分かり、農地を貸すことを断ろうとすると恫喝されたり、話を持ちかけてきたブローカーと残土の搬入業者が異なり、自分は残土の搬入を依頼されただけだと言い放ち、ある日突然、残土の搬入が始まったという事例もあります。 運び入れられた残土は、一日二日で大きな山となってしまいます。こうなってしまうと、農地としての利用もできなくなることはもちろんですが、隣接地や周辺地域に被害が及ぶことなど、予想もつかなかったトラブルが発生することとなります。 運び入れた業者に連絡しても、一時的なものだ、すぐに移動する予定だと言い訳をし、その場を逃れて行方をくらますといった常套手段であり、残された土地の所有者は多額の撤去費を捻出することもできず、放置せざるを得ない。残土の山は緑に生い茂り、美しい田園風景に不自然な形で残っていくのです。 こうした違反転用は、遊休農地が標的となることが多いことから、市町村農業委員会では市町村広報紙を活用した注意喚起や年数回の農地パトロールを行い、手つかずの農地所有者などに自作再開や中間管理機構への委託を促し、遊休農地にならないよう活動を行っていますが、それでも悪質業者はこうした活動の僅かな隙を狙っていると思います。 このような事案を未然に防ぐには、先ほど環境生活部長に対する質問の中でも申し上げましたが、まず具体的にかつ丁寧に周知し、その迅速な初動対応が必要だと思います。最近では、農地を相続したけれど、農業はやっていないという比較的若い世代や、世代が代わり、農地の所有者が地元から離れ、都市部に移住しているケースもあり、これら遊休農地の所有者の中には、一時的であっても農地を農地以外のものにする場合、農地転用の手続が必要であることすら知らない方もいらっしゃいます。再度申し上げますが、一度残土がうず高く積み上がってしまうと、それを撤去するには容易ではありません。農地の管理については農地法という法律と市町村農業委員会という組織があります。県が中心となり、今以上に建設残土の運び入れも含めた違反転用の是正に力を入れていただきたいと思います。 そこで、農地転用を所管される農政部長に伺います。 農業の担い手が年々減少する状況の中で、正規の手続を経ずに転用を行う、いわゆる違反転用の状況はどのようになっているでしょうか。また、違反転用による不適切な建設残土の運び入れについては、土地所有者への注意喚起に加え、市町村農業委員会や環境生活部など関係機関との連携が不可欠であると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございます。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 環境生活部長 西垣功朗君。    〔環境生活部長 西垣功朗君登壇〕 ◎環境生活部長(西垣功朗君) 条例に基づく指導状況と不適切な残土埋立ての防止に向けた取り組みについてお答えをいたします。 現在、埋立て等の規制に関する条例に基づき是正指導を行っている事案は、議員御指摘の事案のみとなっております。一方、条例では、土地所有者に対しても不適正な埋立てが行われることのないよう努めなければならない旨の規定を設けており、不適正事案を未然に防止する上では、その責務を十分に認識していただく必要があります。そのため、改めて土地所有者としての責務とともに、不適正事案の具体例や相談窓口を分かりやすく記載したリーフレットを作成し、市町村の協力を得ながら、税務、農務、建築、開発など土地利用に関わる部署での周知を徹底してまいります。 加えて、一たび不適正事案が発生すると、その是正には相応の期間を要することから、初期段階での迅速かつ効果的な対応を行うことも重要であります。現在、二十四市町村において条例による立入検査権を県職員との併任辞令により付与する取り組みを行っておりますが、今後、当該取組に加わる市町村を拡充することにより、連携を強化してまいります。 ○副議長(小原尚君) 農政部長 長尾安博君。    〔農政部長 長尾安博君登壇〕 ◎農政部長(長尾安博君) 農地の違反転用の状況と不適切な残土搬入の防止に向けた取り組みについてお答えいたします。 県内の農地の違反転用の状況については、新規発生件数はここ数年減少傾向にあるものの、長期にわたり違反が是正されない事案は増加傾向にあり、昨年度末現在の未解決事案は四十九件、そのうち残土搬入事案は五件となっております。 違反転用の防止に向けては、市町村農業委員会を中心に平素から広報紙などによる啓発活動、現地パトロールなどを行っておりますが、事案が発生した場合には、県が中心となり、これらと連携して是正指導を行っています。 また、不適切な残土搬入に対しては、県環境部局とも連携し、共同で現地調査、指導などを行っています。 今後は、こうした事案により適切に対応できるよう、県環境部局とともに市町村農業委員会への研修会を開催し、関係者の問題解決能力の向上に努めるとともに、若い世代や地元を離れた方々向けのリーフレットを新たに作成し、農地法の制度概要や安易に農地を第三者に提供することのリスクについて周知してまいります。 ○副議長(小原尚君) 二十三番 野村美穂君。    〔二十三番 野村美穂君登壇〕(拍手) ◆二十三番(野村美穂君) ただいま議長より発言のお許しを頂きましたので、通告に従い、大きく四点質問いたします。 まず初めに、シビックプライドを向上させるための提案募集方式の活用について、清流の国推進部長にお尋ねします。 今回の質問をするきっかけとなったのは、今年の二月十三日に「あなたの声で日本の法律・制度が変わる」、大垣の課題を提案募集方式で解決してみようというワークショップに参加したことです。講師には、内閣府から参事官と調査員の二人がいらっしゃいました。大垣市近郊から様々な立場でまちづくりの活動に熱心なおよそ五十名が参加され、私を含め自治体議員も何名か参加していました。お恥ずかしい話ですが、地域の声でこういうことができるのかと驚いたと同時に、認知度が低いため、内閣府の職員が地方行脚をしながら提案募集方式の活用を促しているのだろうと感じました。 御存じの方も多いと思いますが、提案募集方式とは何かについて御説明いたします。これは、国の地方分権改革の第二次分権改革として、平成二十六年から始まった取り組みで、個々の地方公共団体から地方分権改革に関する提案を広く募集し、実現、対応するものです。戦後復興期、高度成長期を経て、経済成熟期となっている現在では、人口減少、超少子高齢化による地域間格差があり、国が行う一律の行政が合わない地域もあり、個性ある地域づくりや地方創生が課題となっています。 そこで、過去につくられた制度が今の時代環境に合っているか、地方分権改革で調整をする必要があります。提案募集方式を活用すれば、国の制度に関して、地域の実情に合わなくなった部分を地域自らのアイデアで変えることが可能となります。国の制度の重要な骨組みを生かしつつ、地域の実情に応じて使いやすいものとする行政制度のリフォームイノベーションが実現しますというのが、内閣府の説明でした。 この制度が始まってから六年が経過し、全国の市区町村、都道府県から様々な提案があり、実現しています。過去六年間の提案件数は二千五百二十一件あり、現行規定で対応可能としたものを含めると千五百三十二件で、実現対応割合は七六・四%となっています。このことから、これまでの制度がいかに地域の実情に合っていなかったかが分かります。 ただ、提案件数は平成二十六年に九百五十三件ありましたが、その後は年間およそ三百件で推移しています。また、提案した市区町村は地域的に温度差が見られ、大分県と愛媛県は県内の市町村全てが提案しており、提案割合は一〇〇%となっている一方で、都道府県内で提案した市町村が一件というのは群馬県、石川県、佐賀県、宮崎県となっています。では、岐阜県の状況を見てみると、岐阜市、高山市、多治見市、中津川市、羽島市、各務原市、瑞穂市、本巣市の八市が提案をしています。 ここで、私が申し上げたいのは、単に提案件数が多いからよくて、少ないから悪いということではありません。制度がその地域の実情に合っているため変える必要がないこともあります。ただ、地域の実情に合っていないにもかかわらず、この制度を知らずに提案できない状況があるとすれば、それは課題があるのではないかと思います。 そこで、内閣府で実施している地方自治体職員向け研修の受講者アンケート調査について、平成三十一年、令和元年分を取りまとめたところ、受講前の提案募集方式の認知度は二五%で、「知っており、提案をしたことがある」二%、「知っており、活用を検討したことがある」二%、「知っていた」二一%となっています。「知らなかった」は四五%、「聞いたことがあるが、内容は知らなかった」三〇%となっています。 このことからすると、提案募集方式の認知度を上げることと、知っていたが活用を検討する、あるいは提案に至らなかった理由は何かを分析する必要があると考えます。もちろん先ほども申し上げたとおり、地域の実情に合っていて、提案する必要がない場合もあるでしょうから、何が何でも提案しなければならないということを言いたいわけではありません。 令和元年の提案における特徴として三点上げられています。一、都道府県から管内市区町村に働きかけることで、新規市区町村からの提案が増加したこと、二、提案を行った市区町村の累計は四百九十八あり、全市町村のおよそ三〇%となったこと、三、県内全市町村から提案実績のある大分県と愛媛県は今年も継続的に県内市町村から提案があることです。 このことから、県が管内市町村への働きかけをすることで、地域の課題解決、すなわち地域の実情に合った暮らしやすさにつながっていくことを意味しています。さらに、過去に提案した経験は新たな課題発見へ取り組む意欲へと変化していくことを表していると思います。 さて、最近、地域コミュニティーの活性化策として、シビックプライドが注目されています。十九世紀、イギリスの都市で扱われていた都市に対する誇りや愛着が原点です。郷土愛だけでなく、よりよい場所にする当事者意識が特徴です。 六月二十四日の新聞報道によると、三重県は新型コロナウイルス対策に県民の意見を反映するため、実施してほしい事業を公募すると発表しました。一つの事業費は一千万円までで、六つのテーマで募集し、提案内容を県職員らで審査し、県民から意見募集して投票を実施、得票数も加味しながら、知事が決定するとのことです。地元愛からまちづくりの当事者へとなり、地域の価値を高めるシビックプライドにつながるすばらしい取り組みであると思います。 県民がその地域で暮らすための提案ができること、またそれが実際の事業につながれば、声が届いたという実感につながり、誇りになります。そして、県民の柔軟な発想からヒントを得られることもあるでしょう。シビックプライドは、県民一人一人だけでなく、自治体で働く職員の皆さんにも当てはまるのではないかと考えます。 持続可能な岐阜県をつくるためには、私が言うまでもなく、岐阜県だけではできません。県内の全ての市町村とのパートナーシップが必要です。県は、県内自治体の課題となっていることを的確に把握し、県の事業を展開する必要があると考えます。それが「清流の国ぎふ」らしさにつながっていくのではないでしょうか。 そこで、清流の国推進部長にお尋ねします。 これまでの岐阜県からの提案募集方式で提案された成功事例を踏まえて、市町村と情報共有しながら地域の実情に応じた提案募集で課題解決を図るため、県として今後どのように取り組んでいくのでしょうか。 二点目に、岐阜県の男女共同参画と女性のエンパワーメントの推進について、子ども・女性局長にお尋ねします。 五月一日、弁護士やジャーナリスト、研究者、女性のための社会活動家など十六名が呼びかけ人となり、全国の七十二団体が賛同する政府の新型コロナウイルス対策に対する女性たちからの要請が提出されました。その後、各政党に対しても同様の要請が行われたようです。この要請は、これまで私が岐阜県議会で取り組んできたことも含まれており、賛同したいことばかりです。 新型コロナウイルス禍の中で、生活に困っているのは女性だけではありません。しかし、女性が置かれている理不尽な状況を踏まえてほしいという要請は、国だけでなく、県としてできることもあり、さらにこの後の二つの質問の基盤となる考え方にもなります。しっかりと受け止めてほしいとの思いで質問いたします。 その要請文は、新型コロナウイルス感染拡大に対する政府の対策は、根本的にジェンダー平等や女性の現実への配慮に欠けたものとなっていることを私たちは深く憂慮します。パンデミックが既存の性差別や経済格差をさらに広げるものであるだけでなく、政府が打ち出す感染対策や経済対策がさらに悪化させないものであることを指摘し、速やかな対策の修正を求めますということから始まっています。その要望項目は七つあります。 一、全ての対策をジェンダー平等の視点から再検証すること。 二、支援の単位を世帯から個人に切り替えること。 三、接客・風俗関係は非正規労働者などへの職業差別及び行政が自ら行わないことはもとより、民間におけるこれらの人々への差別を撤廃すること。 四、一般的には労働者は育児、介護などのケアを抱えた存在であることの前提に立ち、実態としては無償ケア労働が女性に押しつけられがちであることが女性差別を助長することを認識しつつ、ケアを担わない労働者を標準とする雇用対策を転換し、家事やケアに当たる家庭内労働者等の感染防止策を含めた感染対策を策定すること。 五、家庭が全ての人にとって安全とは限らないことを認識し、DV・虐待被害者や少女、妊産婦を含め、家庭以外の安全な場所を整備・拡充し、相談事業や支援団体を助成すること。 六、医療やケア労働など、感染リスクの高い業務に従事する正規・非正規労働者に対して、リスクに見合う処遇を確保するとともに、宿泊場所、交通手段の提供など支援を強化し、差別を防ぐための周知啓発を強化すること。 七、意思決定機関への女性の参加度を格段に高めること。同時に、女性団体、NPOなどの提案・要請の受入れ窓口を明示し、その窓口部署に対して、他部署への総合調整権限を付与すること。また、救済の申立てには、責任を持って応答することとなっています。 この要請文は、国に対してコロナ対策を求めていますが、私は国だけでなく、岐阜県もこの要請をしっかりと受け止めて、これからの事業にしっかり反映させていく必要があるのではないかと考えます。 特に、一、全ての対策をジェンダー平等の視点で再検証すること、四、ケアを担わない労働者を標準とする雇用対策を転換すること、五、家庭外の安全な場所の整備・拡充と相談事業や支援団体の助成、七、意思決定機関への女性の参加度を格段に高めることについては、県としても十分対応可能であると考えます。 コロナ対策という目の前の課題解決だけでなく、持続可能な岐阜県をつくり上げるためには、SDGs、ゴール五、ジェンダー平等を実現しようが必要です。そういう意味では、子ども・女性局は大変重要な役割を担っていると考えます。男女共同参画社会をつくり上げるためには、社会全体の意識を変えていく必要があり、今後より一層の啓発も必要となってきます。 そこで今回は、男女共同参画に代わるキーワードに「#ぎふ女のエンパワーメント」と「岐阜県版三〇%Club」の展開を提案します。 まず、「ぎふ女のエンパワーメント」の「ぎふ女」は、皆さんも御存じの「ぎふ女のすぐれもの」で使われている言葉ですが、施策に統一性を持たせることと、男女共同参画という言葉に代わる女性のエンパワーメントを組み合わせてみました。 エンパワーメントとは、力をつけるという意味ですが、女性が力をつけ、連帯して行動することによって、自分たちが置かれた不利な状況を変えていこうとする考え方でもあります。また、組織の構成員一人一人が力をつけるという意味で、企業経営においては組織としてのパフォーマンスを最大化するために自主的・自律的な行動を引き出す支援活動を指します。私は、どちらかというと後者の意味合いで使いたいと考えています。岐阜県で暮らす女性一人一人の持つ力を最大限に発揮できる環境を整えることが必要だからです。 次に、「岐阜県版三〇%Club」です。三〇%で「サーティーパーセント」というふうに呼ぶんですけれども、これは昨年五月に日本でも発足した三〇%ClubJapanの取り組みを岐阜県版にアレンジしてはどうかというものです。三〇%Clubとは、取締役会やマネジメントチームなど、企業の意思決定機関における健全なジェンダーバランスの実現を目的としたビジネスが主体的にリードする世界的なキャンペーンです。企業の意思決定機関の多様性は、コーポレートガバナンスの強化、財務パフォーマンスの向上、インクルーシブな職場環境と相関関係があると報告されており、企業の持続的成長や中期的な企業価値向上に寄与することが報告されています。 三〇%Clubは、ジェンダーの課題を重要なビジネスの課題として捉え、企業のトップがコミットし、主体的にリードする取り組みです。メンバーになれる条件は、上場企業、特にTOPIX一〇〇、TOPIXMid四〇〇となっています。 なぜ三〇%なのか。それは、クリティカルマスと言われる量で、意思決定に影響を及ぼすために必要な最低限の人数だからです。現在、世界でも日本でもこのような動きがあります。今回の質問で、岐阜県の男女共同参画施策がたとえ一歩でも二歩でも前に進むことを願っています。人口の半分を占める女性の視点が不可欠であることを、こうして議会の中で取り上げて共有することが必要であると考えます。また、近い将来、岐阜県のトップである古田知事にもコミットしていただきたいと思います。 ちょっと不本意ですけれども、そこで、子ども・女性局長に三点お尋ねします。 まず一点目、今回の要請を踏まえて、岐阜県として今後どのように男女共同参画社会の実現に向けて取り組んでいくのでしょうか。 二点目、現在「ぎふ女のすぐれもの」を展開していらっしゃるところですが、共通のキーワードとして「ぎふ女のエンパワーメント」など、「ぎふ女」を冠にした女性の活躍を推進するための施策展開を試みてはいかがでしょうか。 三点目、三〇%ClubJapanの取り組みを参考に岐阜県版三〇%Clubを展開してはいかがでしょうか。 続いて三点目に、災害対応力を強化する女性の視点について、危機管理部長にお尋ねします。 本年五月に内閣府男女共同参画局から災害対応力を強化する女性の視点、サブタイトル、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインが出されました。 東日本大震災をはじめとするこれまでの災害においては、様々な意思決定過程への女性の参画が十分に確保されず、女性と男性のニーズの違いなどが配慮されないといった課題が生じました。 こうした観点から、国の防災基本計画、男女共同参画基本計画、避難所運営ガイドライン等において、以下の事項が定められています。 一、地域防災力向上を図るため、地方防災会議の委員への任命など、防災に関する政策、方針決定過程と防災の現場における女性の参画を拡大する。 二、都道府県は、自主防災組織の育成、強化や防災リーダーの育成を図るものとし、その際は女性の参画の促進に努めるものとする。 三、都道府県は、応急仮設住宅の適切な運営管理を行うものとし、その際、女性の参画を推進し、女性の意見を反映できるよう配慮するものとする。 四、被災地の復旧・復興に当たっては、あらゆる場、組織に女性の参画を推進するものとする。地域防災計画の見直し、危機管理部局と男女共同参画担当部局との連携、地域の防災リーダーの育成において、女性の視点からの取り組みを進めることが必要としています。 また、七つの基本方針では、一、平常時からの男女共同参画の推進が防災・復興の基盤となる。 二、女性は防災復興の主体的な担い手である。 三、災害から受ける影響やニーズの男女の違いに配慮する。 四、男女の人権を尊重して、安全・安心を確保する。 五、女性の視点を入れて、必要な民間との連携、共同体制を構築する。 六、男女共同参画担当部局、男女共同参画センターの役割を位置づける。 七、要配慮者への対応においても、女性のニーズに配慮するとしています。 ここで注目したいのは、基本方針一の平常時からの男女共同参画の推進が防災・復興の基盤となるという点です。ですから、先ほどの質問で岐阜県の男女共同参画を推進するためにどのように取り組んでいくのかというお尋ねをしたのはこのためでもあります。防災を語る上でも男女共同参画のさらなる推進が必要であると考えます。 そこで、危機管理部長に三点お尋ねします。 国は、地域防災計画の見直し、危機管理部局と男女共同参画担当部局との連携、地域の防災リーダーの育成において、女性の視点からの取り組みを進めることが必要としています。 まず一点目、今回のガイドラインが出されたことによって、岐阜県の地域防災計画や避難所運営ガイドラインを見直す必要があると考えますが、いかがでしょうか。 二点目、市町村における女性の視点からの取り組みへの支援について、どのように進めようとお考えでしょうか。 三点目、地域の女性防災リーダーの育成にどのように取り組まれるのでしょうか。 最後に、岐阜県の性犯罪・性暴力対策の強化の方針について、子ども・女性局長、教育長、警察本部長にお尋ねします。 六月十日に二〇一九年度岐阜性暴力被害者支援センターに寄せられた相談の件数や内容の概要が発表されました。強制性交等の被害を訴える相談は百五十一件と、全体の一八%を占めています。被害に遭い、センターに連絡するまでに六か月以上を要した新規の相談者が全体の二三・三%に上ります。相談件数は八百三十七件で、二〇一八年度比二〇・一%減となっていますが、減ったからよいということでは全くありません。相談があること自体が問題であると認識する必要があります。同じ相談者でも、センターに連絡のあるたびに相談件数などに計上しているためで、相談件数の大幅な減少は、同じ人による複数回にわたった相談が終わり、被害全体が減ったわけではないとしています。 被害者の性別は、女性が六百八十六件で八二%を占め、男性は百三十四件で一六%、未成年者は百六十九件で二〇・二%でした。ここで、注目すべき点は、男性や未成年者の被害です。強制わいせつの相談は二一・九%の百八十三件、セクハラなどその他の性暴力は二三・九%の二百件、加害者と面識のあった相談は五二・一%の四百三十六件と半数を超え、面識のないケースは一九・四%の百六十二件でした。 センターの支援員が相談に付き添い、医療機関や警察、行政などの窓口を訪ねる同行支援は三十五件、そのうち産婦人科や泌尿器科に付き添う医療的支援は七件、弁護士に相談する法的支援は九件、臨床心理士のカウンセリングなどを受ける精神的支援は三件でした。 性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を踏みにじる行為であり、心身に長期にわたる深刻な影響を及ぼします。性犯罪・性暴力の根絶に向けた取り組みや被害者支援を強化していく必要があります。ここ最近は、MeToo運動やフラワーデモなどによる性犯罪・性暴力の根絶を求める社会的機運が高まっています。性犯罪・性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための取り組みが必要です。また、子供の発達段階や被害者の多様性に配慮したきめ細やかな対応も求められます。 本年六月十一日に国から性犯罪・性暴力対策の強化の方針が出されました。平成二十九年、改正刑法附則に基づく事案の実態に即した対処を行うための施策の検討を行うとして、令和二年度から四年度までの三年間を性犯罪・性暴力対策の集中強化期間とする方針です。 その方針は、大きく四つあります。 刑事法に関する検討と、その結果を踏まえた適切な対処。 二、性犯罪者に対する再犯防止施策のさらなる充実。 三、被害申告、相談をしやすい環境の整備。 四、切れ目ない手厚い被害者支援の確立。 五、教育・啓発活動を通じた社会の意識改革と暴力予防です。 以前から何度も申し上げているように、被害者支援はさらに手厚くする必要がありますが、被害者支援だけの対策では、性暴力や性犯罪はなくなりません。これをなくすために重要なことは、加害者をつくらないことに尽きます。国が示した集中強化期間とする三年間を岐阜県も一緒になって取り組みを強化する必要があると考えます。 そうは言っても、県としてできることとそうでないことがあるのも十分に承知しています。けれども、三年間の集中強化期間には、岐阜県としても同様に強化をしていく必要があると考えます。 岐阜性暴力被害者支援センターの担う役割は非常に大きく、被害者支援はより手厚くすべきですが、根本的な解決のためには、特に加害者対策と教育、啓発が重要です。 そこで、子ども・女性局長、教育長、県警本部長それぞれにお尋ねします。 まず一点目、子ども・女性局長にお尋ねします。 内閣府がまとめた性犯罪・性暴力対策の強化の方針において、三年間の集中強化期間の取り組みが示されていますが、この方針に沿って性暴力被害者支援センターの活動を強化するために不足しているものは何でしょうか。 続いて、二点目は、教育長にお尋ねします。 加害者対策として、加害者をつくらないための教育と啓発が必要です。教育委員会として、性暴力をなくすためにどのような取り組みを進めていこうとお考えでしょうか。 三点目は、警察本部長にお尋ねします。 県警として、性暴力をなくすためにどのような取り組みを進めていこうとされているのでしょうか。 以上で、私の質問を終わります。 昨日から「ぎふ女のすぐれもの二〇二〇」の募集が始まりました。今年度は、商品だけでなく、取り組みも認定の対象となります。意思決定機関にいるぎふ女の一人として、このような事業をしっかりと応援していきたいというふうに思っておりますし、ぎふ女が輝く岐阜県となるような御答弁を期待いたしまして終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 清流の国推進部長 尾鼻 智君。    〔清流の国推進部長 尾鼻 智君登壇〕 ◎清流の国推進部長(尾鼻智君) シビックプライドを向上させるための提案募集方式の活用についてお答えします。 本県は、議員が紹介された制度に毎年欠かさず提案しており、昨年度までの提案総数は二十三件、そのうち十三件が規制緩和や権限移譲につながっております。 二十九年度の本巣市との共同提案は、地域における放課後児童クラブの入所児童の多寡に即して職員配置要件を緩和すること、これを実現しており、提案が地域の課題解決につながったよい例となっております。 こうした提案に当たっては、毎年県が行っている国への提案・要望の中から項目を掘り起こした上で、県内市町村と情報を共有し、意見を求めることで説得力を高めております。 このプロセスにのっとって、先月新たに提案した二項目が重点事項と位置づけられ、国の有識者会議で集中的に調査・審議されることになったと一昨日連絡を受けました。重点項目になると実現される可能性が高い傾向がありますので、よい手応えを感じております。 今後も市町村への説明会を開催するなど、市町村への働きかけを継続的に行いつつ、より地域に密着した市町村と課題を共有し、県を挙げてこの制度の積極的な活用に努め、地域の声を課題解決につなげてまいります。 ○副議長(小原尚君) 子ども・女性局長 北川幹根君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 北川幹根君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(北川幹根君) 四点御質問を頂きました。 まず、男女共同参画の実現に向けた今後の県の取り組みについてお答えいたします。 県では、平成三十年度に第四次岐阜県男女共同参画計画を策定し、各部局の連携の下、オール岐阜県で男女共同参画社会の実現に向け、各種施策に取り組んでおります。 こうした中、新型コロナウイルス感染症が拡大し、育児・介護の負担、非正規労働の不安定さ、家庭内でのDVといった女性を取り巻く問題が浮き彫りとなりました。 また、在宅勤務の導入、学校の臨時休校等により増加した家事・育児など女性が担うことが多く、性別による固定的な役割分担が依然として残っているといった意見が多く聞かれるところです。 来年度は、第四次計画の中間年に当たります。ついては、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により浮き彫りとなった課題や、在宅勤務、テレワークといった新しい働き方を踏まえた男女共同参画が推進できるよう計画の見直しを図ってまいりたいと考えております。 また、今年度においても、例えば研修会のテーマを男女の役割分担に切り替えるなどの工夫をして事業を実施してまいります。 次に、「ぎふ女」を冠にした女性の活躍を推進するための施策展開についてお答えいたします。 県では、平成二十六年度から女性の活躍を応援するポータルサイト「ぎふジョ!」を開設し、これまで三百二十人の岐阜で活躍する女性を「ぎふジョ」として紹介しています。また、平成二十九年度には、県内の女性が企画開発した優れたもの、サービスを「ぎふジョのアイデアで生まれたすぐれもの」としてイベントにおいて展示、さらにこれを発展させ、平成三十年度からは「ぎふ女のすぐれもの」認定制度を創設するなど、「ぎふ女」をキーワードに女性活躍推進事業に取り組んでまいりました。 議員御指摘のとおり、共通のキーワードを用いて事業を展開していくことは、そのキーワードだけで事業の趣旨を理解していただけたり、SNSにおけるハッシュタグのように周知・宣伝においても効果があるものと考えております。 今後も女性を対象とした講座にできる限り「ぎふ女」という言葉を用いるなど、統一性を持った事業展開に努めてまいります。 次に、岐阜県版三〇%Clubの展開についてお答えいたします。 男女共同参画社会の実現において、組織の意思決定における女性の参画の推進は大変重要であると考えております。県といたしましては、平成二十七、並びに二十八年度に女性の活躍推進トップセミナーを開催し、延べ四百七十名の企業のトップに女性の活躍のメリットや女性登用のポイントなどについて学んでいただきました。また、平成二十八年度からは、県経営者協会が始められた女性管理職育成研修に対して助成を行っているところです。 一方、県内では、平成二十八年度に損害保険ジャパン株式会社が中心となり、業種を超えたネットワーク、「地域ダイバーシティin岐阜」が立ち上がり、県内の主要企業二十七社が参加され、女性管理職登用に関する役職者交流会など、女性活躍推進に関する民間主導の取り組みが進められております。 今後も企業の意思決定への女性の参画が拡大するよう、引き続き民間企業や関係団体における活動を促進してまいります。 最後に、性暴力被害者支援センターの活動強化に向けた課題についてお答えいたします。 岐阜性暴力被害者支援センターでは、平成二十七年十月の開設当初から二十四時間、三百六十五日ワンストップの被害者支援を行っています。また、コロナウイルス感染症の拡大に伴い、DV被害者や性犯罪被害者の増加の懸念もあることから、こうしたことに気を配りながら相談に対応しているところです。 加えて、メールによる相談や男性相談員が対応する相談日を設定したほか、先月六月には、SNS相談を試行するなど、既に国が示した集中強化期間の取り組みを先行して実施しているところです。 一方、医療支援の拡充、外国人など多様な相談者への対応など、取り組むべき課題もあるところです。 今後は、医療支援の拡充に向け、御協力を頂く産婦人科医と協力医のさらなる確保に努めるとともに、医療支援の技術向上のための研修会を実施してまいります。 また、外国語のリーフレットを作成し、国際交流センターなど関係機関と連携し、性暴力被害者支援センターの周知に努めるなど、多様な相談者への対応に取り組んでまいります。 ○副議長(小原尚君) 危機管理部長 渡辺正信君。    〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕 ◎危機管理部長(渡辺正信君) 災害対応力を強化する女性の視点について三点の御質問を頂きました。 まず、国のガイドラインを踏まえた県地域防災計画や避難所運営ガイドラインの見直しについてお答えします。 県では、東日本大震災をはじめとした被災地支援の経験もあり、早い段階から女性の視点による災害対応力の強化に取り組んできており、地域防災計画の基本方針には、既に男女共同参画の視点による防災体制の確立を掲げており、女性参画拡大や男女のニーズの違いへの配慮などを位置づけております。 また、避難所運営ガイドラインにおける女性の配慮についても、熊本地震で派遣した女性職員の意見を反映し、避難所運営への女性の参画や専用相談窓口の設置などを追加し、充実を図っております。 今般、国から平常時、初動時、復旧・復興時等それぞれで取り組むべきガイドラインが示されたことから、改めて女性の視点から地域防災計画等を点検し、必要な見直しを行ってまいります。 次に、市町村における女性の視点からの取り組みへの支援についてお答えします。 市町村は、避難所運営や被災者支援など、住民に対する災害対策全般を担うため、年齢、障がいの有無といった住民の属性への配慮、とりわけ人口の半数を占める女性の視点からの取り組みが求められます。 そのため、平常時から復旧・復興時までの各段階の防災対策における女性の視点への理解を深めるよう、県男女共同参画女性の活躍支援センターと共催で市町村向け研修会を実施してまいります。 その上で、この研修会を契機に、市町村には地域防災計画や避難所運営マニュアルにおける女性の視点について点検を促すとともに、必要な見直しが行われるよう子ども・女性局との合同による個別訪問など、市町村の状況に応じた支援を行ってまいります。 最後に、地域の女性防災リーダーの育成についてお答えをいたします。 県では、平成二十七年度から清流の国ぎふ防災・減災センターにおいて、防災リーダー養成講座を実施し、これまでに二百二十人の女性防災リーダーを育成しておりますが、女性の受講割合は増加傾向にあり、一昨年度からは三〇%を超えております。これは、育成した女性防災リーダーが研修会の講師や訓練のサポート役を務めたり、SNS等での情報発信やグループの立ち上げなど、積極的に活動していることがほかの女性の注目を集め、養成講座の受講を促す契機となっていると考えられます。 こうした状況を捉え、今後は県男女共同参画女性の活躍支援センター等とも連携し、女性防災リーダーの活動を広く情報発信するとともに、地域の女性が女性防災リーダーと交流できる場を設定することにより、地域の女性の関心を高め、女性防災リーダーのさらなる育成につなげてまいりたいと考えております。 以上、申し上げた女性の視点を踏まえた取り組みを通じ、本県における災害対応力の強化を図ってまいります。 ○副議長(小原尚君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 性暴力をなくすための教育委員会としての取り組みについてお答えします。 国は、性犯罪・性暴力対策の強化の方針について、今月をめどに具体的な工程を作成することとしていますが、県教育委員会では、速やかに可能な取り組みを進めてまいりたいと考えております。 例えば小・中学校では、道徳などにおいて生命の尊さや一人一人を尊重する態度を育てる教育を実施しておりますが、今後は考え方が異なる様々な仲間との対話や議論を取り入れ、仲のよい間柄でも相手が嫌と言うことをしないという認識を児童・生徒が正しく持てるよう指導してまいります。 また、高校では、デートDVを題材に話し合い、交際に伴う双方の責任について理解を深めるといった学習も行われています。 さらに今後は、県警など関係機関との連携を強化し、授業で生徒の質問に専門家が直接答えたり、グループ討議を通して、性衝動に任せて行動することの危険性について考えるなど、生徒一人一人が性暴力は許されるものではないという認識を持ち、性犯罪がもたらす問題の大きさを理解できるよう指導してまいります。 ○副議長(小原尚君) 警察本部長 奥野省吾君。    〔警察本部長 奥野省吾君登壇〕 ◎警察本部長(奥野省吾君) 性暴力をなくすための警察本部としての取り組みについて申し上げます。 県警察では、性犯罪の加害者や被害者を生まない取り組みとして、サイバーパトロールを実施し、子供の性被害につながるおそれのある不適切な書き込みに対する注意喚起を行ったり、あるいは児童・生徒に対してSNSの適正利用等を内容とした情報モラル教育等を行っているところであります。 今後は、さらなる取り組みとして関係機関、団体、高校や大学等と連携を図り、レイプドラッグの危険性や相手の酩酊状態に乗じた性的行為に関する問題、セクシュアルハラスメント等を周知するほか、県警察の安全・安心メール、防犯アプリ、ホームページ等、あらゆる広報媒体を活用し、性暴力はあってはならないという社会の意識を醸成するための広報啓発活動を積極的に推進してまいります。 ○副議長(小原尚君) 七番 所 竜也君。    〔七番 所 竜也君登壇〕(拍手) ◆七番(所竜也君) 議長よりお許しを頂きましたので、今回は林業の活性化について質問をさせていただきます。 林業の活性化については、昨年の十二月議会において県産材を用いた高付加価値木材製品の海外輸出をテーマに質問をさせていただきました。また、これまでも諸先輩の先生方が林業の活性化について様々な観点から質問をされていらっしゃいますが、県土の八割を豊かな森林が占める本県にとって、林業の活性化は重要な政策課題の一つでありますので、今回も林業の活性化、その中でも今後の担い手対策と森林技術者の所得水準向上に向けた取り組みと、林業・木材産業の景況と木材需要の喚起を含めた今後の支援の二項目について質問をさせていただきます。 一つ目は、今後の担い手対策と森林技術者の所得水準向上に向けた取り組みについてであります。 本県では、林業の担い手の確保のため、近年特に人づくりに力を入れていただいています。平成三十年には、林業版ハローワークとして就業希望者と林業事業者とのマッチングを図り、就業相談から技術習得、定着までを一貫して支援する森のジョブステーションぎふを美濃市の中濃総合庁舎内に開設していただきました。 さらに、今年度は幅広い年齢層に森林の大切さ、森林に関わる仕事への興味・関心を持っていただくということで、美濃市曽代の森林文化アカデミー内には森林総合教育センターmorinosが、岐阜市学園町にはぎふ木遊館が今まさに誕生しようとしています。 新型コロナウイルスの感染拡大によりオープンが延期となっていましたが、森林総合教育センターmorinosが今月二十二日に、ぎふ木遊館が今月十七日にそれぞれオープンする運びとなったことから、先日五月二十八日に一足早く両施設を視察させていただきました。 まず最初に訪れた森林総合教育センターmorinosは、平成二十五年に本県が林業先進国ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州と締結した森林・林業分野での連携覚書に基づく交流の成果を生かして整備された森林教育の総合拠点です。 施設に行って、真っ先に目に留まったのが、ヒノキ丸太材のV字柱です。これは日本を代表する建築家 隈 研吾氏の指導・助言により取り入れられたデザインで、森林文化アカデミーの学生が近くの演習林から伐採、運搬した百年生ヒノキが使われており、訪れた誰もが印象に残る象徴的なデザインとなっています。施設の外観だけを見ても、森林のクリエーティブなイメージを感じることができるわけですが、施設内の木製の椅子やテーブルも室内との調和が取れており、大人から小さな子供までゆっくりとくつろぎ、楽しめるスペースとなっています。 また、壁にはアカデミーの客員教授で岐阜県出身の左官技能士 挟土秀平氏によるシンボル壁が制作されており、こだわり抜いた左官仕上げの壁には思わず見とれてしまいます。 これまで森林文化アカデミーでは、教育機関、指導者、県民を対象に様々な森林教育プログラムが開発、提供されてきましたが、今回森林総合教育センターmorinosができたことにより、例えば小学生を対象とした体験キャンプを通じて、自然の接し方、楽しみ方を学ぶ「森のこけこっ子キャンプ」と呼ばれるような森林教育プログラムや成人グループや家族を対象に地図上のチェックポイントをチームで協力しながら制限時間内に探し出し合う得点を競う「ロゲイニングinみの」と呼ばれるような森林教育プログラムなど、より本格的な森林教育プログラム提供がスタートします。この施設が、全ての人が森の豊かさや楽しさを学ぶことのできる森の入り口となり、森林と林業をクリエイティブに感じることのできる革新的な場になるのではないかと感じました。 そして、続いて訪れたぎふ木遊館は、岐阜県の豊かな森林の恵みを体感し、森林に誇りと愛着を持ち、守り育てる人材を育むぎふ木育を推奨するため、誰でもいつでも岐阜の木を核とした遊び、学び、交流、連携、創造、発信のサービスを享受できる総合的な拠点として整備された施設です。 施設は、本県の豊かな自然を背景とした森と木からの学びであるぎふ木育を推奨、進化させていく総合拠点とするために、岐阜県産の木材をふんだんに使用し、木に触れ、森を感じ、その森の恵みである木のおもちゃでの遊びを通して次代を担っていく子供たちを育て、幅広い世代の交流を促進していく館として、この木・遊び・館の三つの言葉を用いて「ぎふ木遊館」という名称になったそうです。 施設の中に入ると、迫力のある桁とはりの天井やシンボル的に配置された県内各地から刈り出されたトチ、ヒノキなどの大木に目を奪われます。館内には、「飛山濃水」をテーマに山・川・里をイメージした三つのエリアに分かれて遊び場があり、エリアには九つの大型の木製遊具が設置されています。 このうち、建物と一体に施工された遊具も斬新で、広場が見渡せる展望台や、特に私が気に入ったのは、木の玉が壁伝いに転がりながら木製の木琴で音が鳴る仕掛けがある壁面遊具、このほかにも四百年生の大きな杉の木の丸太をくりぬいた丸太トンネルや、ヒノキや広葉樹の小玉が入った清流木玉プールは、小さなお子さんが大変喜びそうなものでした。 館内で遊ぶことができる県内の各地域で制作された木のおもちゃはとても優れたものばかりで、赤ちゃんが安心して遊ぶ広場も設置されており、子供たちには木に接し、楽しく遊んでもらえると感じました。 また、クラフトや木のおもちゃ等を作る木育プログラムを体験できる木工室があり、子供から大人まで木に触れ合うことができます。 私は、ここに遊びに来た子供たちは、必ず木に愛着を持ち、大きくなっても自然と森林、そして木を大切にする大人になってくれるのではないかと思いました。私の子供は、高校生と中学生ですが、小さな子供なら絶対に連れて遊ばせたいと感じました。ぜひ皆様の御家族、お子さん、お孫さんを連れ、ぎふ木遊館に行ってみてください。 さて、ここまであらゆる世代の県民の方に岐阜の森や木に触れ合っていただき、そして親しんでいただくぎふ木育推進施設を御紹介してきましたが、どうしてここまで未来に投資をしなければならないのでしょうか。私は、それは裏を返せば、林業の担い手の問題に対する危機感の表れではないかと思います。皆様のお手元に配付をさせていただきました資料を御覧ください。 これは、岐阜県の山で働く森林技術者の推移です。森林技術者とは、森林組合、林業を事業としている企業などに所属し、森を守り、木を育てる人材で、苗木の植付けや下刈り、枝打ち、間伐、伐採などを計画的に行います。また、高性能林業機械も操縦して作業もします。こういった作業を行う、言わば森づくりの担い手が減少しているのです。平成元年度は二千五百二十四人いた森林技術者は平成三十年度には九百四十人まで減少しています。森林率全国二位の本県の森林をたった九百四十人の森林技術者だけで担い、森を守っていけるのか、私はとても危惧をしています。 そして、こうした担い手の減少は、森林の適切な管理を図ろうと昨年、平成三十一年四月にスタートした森林経営管理制度にも影響してくると思います。広い森林を有する本県は、戦後、植栽された杉、ヒノキなどの森林資源が充実しており、森林を適切に管理しつつ、林業の成長産業化を図っていくことがこれからの森林・林業政策の大きな課題です。 しかし、現在は森林所有者の経営意欲の低下や所有者不明の森林の増加により、適切な経営管理が行われていない森林が増加しています。 そのため、昨年四月に森林経営管理法を施行され、経営管理が適切に行われていない森林を整備するための新たな制度、森林経営管理制度がスタートしました。森林経営管理制度は、森林所有者には適切な経営管理を行う責務があることを法律で明確化し、そのことをもって森林所有者が森林の経営管理を実行できない場合には、市町村がその森林の経営や管理を行うという制度です。さらにそのための財源として、森林環境譲与税が導入され、昨年には本県と市町村に約六億八千万円が配付されております。 ところが、実務を担う市町村の林務行政職員は平均二・三人と脆弱なところが多く、人材不足が大きな課題でもあります。 そこで、市町村では人員を増強したり、新たな組織をつくったり近隣の各市町村が連携するなどして、新たな制度に対応をしています。県としても、市町村の嘱託職員等として業務に当たる地域森林監理士の養成、認定や市町村職員の研修など、支援を進めていると聞いています。 しかし、実際には各市町村が行うのは、森林所有者への意向調査や森林整備を進めるための計画等を策定することであり、その後の間伐などの森林整備作業は地元の林業事業体が担うことになります。現在、岐阜県内の林業事業体は森林組合が二十、民間事業体が百三十八という状況であり、森林技術者は資料にもありますように、十年前の平成二十年度の千百五十六人から平成三十年度九百四十人と、八一・三%に減少しています。 また、県下には二百四十台の高性能林業機械があり、機械化等で伐採作業などの木材生産は効率的に行ってはきましたが、森林組合を含めた事業体の七五%は技術者が五人以下の小規模事業体という状況であります。今後も継続して林業の成長産業化を進めるには、林業事業体の人材確保や経営強化に向けた施策が今まで以上に望まれます。 私の地元の揖斐郡は、森林の面積が約七万五千ヘクタールと非常に大きく、そのうち民有林は九三%を占めています。しかし、森林整備を行うことができる林業事業体は三事業者しかありません。最も規模が大きい揖斐郡森林組合は、十年前と比較すると森林技術者は四十名から十六名に、職員も十八名から十五名へ減少しています。木材の生産量こそ二千四百八十八立米から四千二百五十七立米と一・七倍に増加していますが、間伐は七百十五ヘクタールから三百九十五ヘクタールへと半分にまで減っています。幸いにも現在は健全な経営を行っていますが、現在の組織体制で今後増大するであろう間伐などの森林整備を請け負えるのか心配であります。 また、森林技術者の賃金も気になるところであります。林業の仕事は造林、保育、伐木、集材、または森林作業道などの作設・補修などの一連の作業を行い、各種の高性能機械の操作も行うなど、高い技術も求められます。また、山での仕事は常に危険が伴い、森林技術者には熟練した高い技術力が求められます。しかし、森林技術者の日当は約一万五千円程度であり、年収を推計してみると、約三百七十万円となり、比較的単価の高い森林組合でも四百四十万円となります。全産業の県平均よりも高い水準となっていますが、労働条件などが類似している建設業と比較すると低い賃金環境にあります。 岐阜県の森林技術者の平均年齢は四十七歳です。これは、平成三十年岐阜県林業労働力調査によるものですが、働き盛りの方の所得が仕事の内容に対して私は見合っていないと思います。 私の地元、揖斐郡森林組合の幹部の方からは、新規の林業現場就労について、森づくりをやりたいと志を持ってせっかく就労しても、生活苦から離職を余儀なくされ、定着しない実情があると現場の声を頂いています。 こうした担い手不足などの現状を踏まえ、県としてこれまでも林業の担い手対策に取り組んでいただいていますが、県森林公社が運営する森のジョブステーションぎふでは、県と連携して林業の就業希望者に対するイメージアップや就業相談、連携して就業支援などに手厚く取り組んでいただいていると聞いています。 しかし、これからも若者が林業を職業として選択し、希望を持って働いてもらえるような職種にしていくためには、やりがいや志も大切ですが、それ以上に賃金水準の向上に注力していただくことが重要であると考えます。 そこで一点目、林政部長に伺います。 新たに始まった森林経営管理制度にも対応し、地域の森林管理を着実に進めていくためには、森林組合等の林業事業体の育成強化の基礎となる担い手対策と森林技術者の所得水準の向上が重要と考えます。今後、どのように取り組んでいくのか伺います。 二つ目は、林業・木材産業の景況と木材需要の喚起を含めた今後の支援についてです。 林業とは、木を育て、森をつくり、育った木を切って売ることをなりわいとする産業です。出口で木材が使われなければ収入を得ることはできません。 次にお尋ねするのは、そういった出口の部分、木材需要の喚起を含めた今後の支援についてお尋ねします。 本年一月に国土交通省が発表した建築着工統計調査によると、昨年二〇一九年の新設住宅着工戸数は前年比四%減の九十万五千百二十三戸で、三年連続で減少といいます。 また、野村総合研究所が発表した新設住宅着工戸数の予測では、人口減少などに加え、新型コロナウイルスの影響による景気の冷え込みで住宅購入意欲が減退することから、今年度の新設住宅着工戸数は七十三万戸に減少すると見込まれており、リーマンショックの影響を受けた二〇〇九年度の七十八万戸を下回ると予測されています。 また、野村総合研究所の予測では、もう少し長いスパンの新設住宅着工戸数も示されており、今後、人口減少や品質向上により住宅の寿命が長くなることで、二〇三〇年度には六十三万戸、二〇四〇年度には四十一万戸と減少すると予測されています。このように、新設住宅着工戸数は今後も中・長期的に見て縮小していくとの予測が示されています。 また、足元では、新型コロナウイルスの感染拡大により消費者が住宅の購入を控えると、住宅会社がモデルルームの閉鎖を余儀なくされ、十分に販売ができなかったこと、建設業者が工事を中断したことなどが要因となり、減少が予測されます。住宅建築は、基礎工事に始まり、大工、設備、電気、外溝など幅広い業種が関係しており、裾野の広い産業と言われており、住宅需要の減少が地域経済に与える影響は極めて大きいですし、仮に経済が少しずつ回復しても、木材の需要が回復するには、かなりのタイムラグがあると考えます。 そうした木材需要の減少は、木材の供給側である林業事業体、流通業者、製材加工業者に影響を与え、特に小規模・零細な企業が多い林業事業体の経営に著しい影響が出るのではないかと危惧をしています。 私の地元の揖斐地域でも林業事業体の方から出荷する市場の木材価格が下落し、製材工場によっては受入れ制限がかかり始め、生産しにくい状況になっているとお聞きしており、既に山の仕事にまでも影響が出始めています。 中・長期的には、人口減少などの要因により、新設住宅着工戸数の減少が予測され、それに加えて新型コロナウイルスの影響が出ている状況から、今後、林業不振の長期化、深刻化が懸念されます。私は、そうした環境であっても、林業事業体が経営を継続できるよう、経営支援はもちろん、縮小する需要が少しでも拡大するような施策を打っていくことが重要ではないかと考えます。 そこで、二点目も林政部長に伺います。 現在の林業・木材産業の景況をどのように捉え、今後、県として木材需要の喚起を含め、林業・木材産業に対する支援にどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。 以上、私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 林政部長 荻巣雅俊君。    〔林政部長 荻巣雅俊君登壇〕 ◎林政部長(荻巣雅俊君) 林業の活性化について、二点御質問を頂きました。 まず、今後の担い手対策と森林技術者の所得水準向上に向けた取り組みについてお答えします。 まず担い手対策としましては、森のジョブステーションぎふの活動などにより、森林技術者の減少に一定の歯止めがかかったと考えておりますが、今後さらに新規就業者を増やすためには、県外からも人材を確保していく必要があります。このため、今年度から移住支援金制度を創設し、新たな担い手の確保に取り組んでおります。また、安心して林業に就業していただくため、木材の伐倒訓練用の練習機を森林文化アカデミーに導入するとともに、安全講習会を開催するなど、労働災害の未然防止に努めてまいります。 次に、森林技術者の所得向上の取り組みにつきましては、林業事業体が経営改善を図り、収益を増加させることが重要と考えております。このため、県において効率的な木材生産が可能な高性能林業機械を確保し、これを小規模な事業体に安価に貸し出す制度を新たに開始するとともに、低コスト化のためのICT技術の活用や効率的な作業工程管理の導入に向けた研修会等を開催してまいります。 次に、林業・木材産業の景況と木材需要の喚起を含めた今後の支援についてお答えします。 県内の林業・木材産業関係者には、三月以降定期的にヒアリングを実施しておりますが、工務店では夏以降の住宅の受注が確保できていないとの意見が多く、住宅部材を加工する製材工場では、平均すると二割程度の減産を行っているとのことでした。こうした需要の減少により、木材価格も二割程度下落している状況にあります。このため、まずは木材の供給量を調整し、価格の下落に歯止めをかけるため、林業事業体に対し当面は補助事業による保育間伐など木材の生産を伴わない作業への転換を促すとともに、滞留する木材を一時的に保管するストックヤードの設置を支援してまいります。 また、木材需要の回復に向けて、バーチャル技術を活用したウェブ上の住宅展示場の構築や、商品サンプルを海外の展示会へ送り、商談はオンラインで行う非対面型の販売方法の取り組みを支援してまいります。 加えて、一定量の県産材を使った住宅を建築する施主への支援を拡充するなど、木材需要の喚起を図ってまいります。 ○副議長(小原尚君) 三十一番 松村多美夫君。    〔三十一番 松村多美夫君登壇〕(拍手) ◆三十一番(松村多美夫君) ただいま議長より発言の許可を頂きましたので、通告に従い、今回は大きく分けて四項目について質問をさせていただきます。 振り返ってみますと、年度当初、県では今年はターゲットイヤー二〇二〇を掲げ、八千四百二十億円余の予算を計上いたしました。東京オリンピック・パラリンピックに加え、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放映で各地にドラマ館の新設や県独自のお土産品を考案し、観光振興につなげていく予定でありました。 また、東京オリンピック関連事業での聖火リレーや広域観光の目玉となる岐阜関ケ原古戦場記念館のオープンや、十月末から高齢者のスポーツの祭典ねんりんピック岐阜二〇二〇の開催で二重にも三重にも岐阜県の観光振興を図り、地域の活性化につなげていく予定でありました。 しかし、四月に入って、突然の新型コロナウイルスの蔓延で多く行事やイベントが中止になり、その上、県民の生活もステイホームや手洗い、マスクの着用、三密を避ける、ソーシャルディスタンスの確保など、生活が制限をされました。 一方、経済活動も感染拡大による事業者への休業要請や営業自粛により消費が減少し、倒産企業も現れ、経営は大変厳しいものになってきております。 五月末から多くの都道府県でようやく緊急事態宣言が解除され、現在、少しずつではありますが、日常生活が戻りつつあります。まだまだ先行きは不透明であり、当分の間、アクセルを踏みながらブレーキをかける、そんな悩ましい生活が続くのではないかと考えております。 それでは、新型コロナウイルスの影響による様々な問題につきまして質問をさせていただきます。 まず最初に、臨時交付金等を活用した第三セクター鉄道への支援についてお伺いをいたします。 第三セクター鉄道への支援につきましては、過去に何度も一般質問をさせていただき、厳しい現状をお話ししながら、県の支援をお願いしてまいりました。おかげさまで、今年も第三セクター鉄道等、地域鉄道の安全運行に必要な施設整備の更新や改修など、国や県、市町とで支援をする鉄道安全輸送設備等整備事業費補助金や第三セクター鉄道等地域鉄道の施設整備の維持修繕を沿線市町と連携して支援をする鉄道施設維持修繕事業費補助金、また利用促進を図るための地方鉄道利用促進対策事業費補助金など御支援を頂いております。 皆さん御存じのように、第三セクター鉄道は、地域の基幹的公共交通機関であり、地域の活性化に大きく寄与してきたのは言うまでもありません。しかし、最近では少子化や沿線人口の減少に伴う利用者の減少、モータリゼーションの発達で県内の地方鉄道業者は厳しい経営が続いております。国・県、沿線市町の支援で何とか存続をしておるというのが現状であります。 しかし、ここに来て突然の新型コロナウイルス感染症感染拡大により、地元第三セクター鉄道である樽見鉄道株式会社では、淡墨桜の開花時期や五月のゴールデンウイークの観光シーズンに輸送が大きく減少し、その上、学校の休業による通学定期の利用者の減少や大型商業施設、モレラ岐阜の臨時休業などにより、運賃収入が大幅に減少し、経営は壊滅的状況に陥っております。 先般、樽見鉄道株式会社の社長と懇談をし、最近三か月の経営状況につきまして御説明を頂きました。その中で、四月は実績で旅客輸送人員は二万四千六百三十八人、昨年度同月の三四・六%、昨年に比べますと、四万六千五百四十二人も大きく旅客は減少いたしております。 一方、収入面では、四月は僅か四百五十六万五千円で、昨年度対比八〇・三%の減収となっております。五月は予想でありますが、収入見込みは前年度対比三四・四%、六月も前年度対比五六・二%になるのではないかとデータを頂きました。 このままコロナ禍が続けば、今年度の決算で一億円を超える赤字になるのではないかと。また、経営の存続すら危うくなるのではないかと大変心配をされておられました。 現在、国・県・市町から支援を頂いており、特に沿線市町三市二町から赤字経営の補填に九千五百万円を限度に手厚い支援も頂いております。しかしながら、これ以上沿線市町の支援を求めることは大変厳しいものがございます。長良川鉄道、明知鉄道の第三セクター鉄道や養老鉄道でも同じような落ち込みがあるのではないかと推察をいたします。 そこで知事にお伺いをいたします。 国の臨時交付金などを活用した新型コロナウイルス感染症に伴う真水の減収補填や安全対策の実施に係る経営持続のための支援の拡充をお願いしたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。 続きまして、コロナ社会における岐阜県の観光産業の再生に向けた取り組みにつきましてお伺いをいたします。 新型コロナウイルスの影響で世界から観光客が消えてしまいました。日本もインバウンドで急成長してきましたが、ここに来て、日本の観光産業は大きな転換期を迎えております。 以前から団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年には、国内の旅行需要が急激に減少し、観光産業も危機に陥ると言われておりました。しかし、新型コロナウイルスの影響でその危機が五年早まり、インバウンドを増やしながら団塊の世代の旅行減少分を穴埋めするという方程式がもろくも崩れてしまったのであります。 県内観光産業への影響は大きく、今年の一月二十四日から五月三十一日までのキャンセル人数は約十五万三千人であります。宿泊関係者からは、今までに経験したことがない営業休止であり、死活問題であるとか、この状態が半年以上続けば、旅館の経営は非常に厳しいなどと悲鳴とも聞こえる御意見を頂いております。 また、宿泊業、旅行業、観光施設はもとより、バス・タクシー業、飲食業、土産物などの小売販売業など、影響が広範囲に及んでいることから、まさに県経済にとりましては最重要課題であり、現在の苦境からいち早く脱却をしなければなりません。 こうした中、全国民が一致団結して外出自粛するなど、感染症の拡大防止に取り組んだこともあり、岐阜県では五月十四日、全国では五月二十五日に国の緊急事態宣言が解除され、現在はコロナと共に暮らす新たな日常生活のステージに入ったのであります。また、六月十九日には、都道府県境をまたぐ移動が全面解除になり、週末には観光地の人出が急増したとの報道もありました。 国では、一兆三千五百億円に上る前例のない補正予算で、八月の早い時期にGoToトラベルキャンペーンを組み、旅行者一人に一泊当たり最大二万円を補助する、そんな取り組みを掲げ、観光振興による経済対策が展開をされようといたしております。 多大な経費の問題で、進捗が少し遅れておりますけれども、このキャンペーンで一時的に旅行業界は大いに盛り上がると思っております。しかし、期間は来年の三月までとのことでありますので、補助金がなくなれば、その反動で需要はまた数か月間冷え込むのではないかと危惧をいたしております。 確かにステイホームが長く続きましたので、高齢者をはじめ多くの方々が旅行を楽しみにしておみえになります。手軽な国内旅行は年内に少しずつ回復の兆しは見えてくると思いますが、インバウンドの戻りは、コロナがある程度収束しない限り、国内への受入れ体制は厳しいものがございます。 私は、インバウンドの本格的な受入れはオリンピックの頃までずれ込むのではないかと心配をいたしております。来年の東京オリンピック・パラリンピックが実施されるかどうか、まだ定かではありませんが、インバウンドの回復に向けては今から対策を立て、特に今まで誘致をしてきた国や地方の旅行者に日本の安全性と地域の魅力を情報発信していく必要があるのではないかと考えます。 国内では、GoToトラベルキャンペーン事業を展開し、一時的に戻った観光客にまた来てもらうにはどうしたらいいか、今から対策を立てていく必要があるのではないかと考えます。 特に、人口減少が進む地方では、観光の役割は大変大きいものがございます。今までの観光は、安さとサービスを競い合い、集客数の増加を目指してまいりました。しかし、これからの観光は、情報通信ツールを巧みに使い、従来の手法ではなく、その地域の魅力を再発見し、少しラグジュアリー感やブランド価値のある質を重視した観光に移行するのではないかと考えております。リゾート地でテレワークをしながら余暇を楽しむワーケーションや、近場の観光を楽しむマイクロツーリズムなどが提唱されております。 一方、県では、観光の基幹産業化を掲げ、関ケ原古戦場、「麒麟がくる」を核に、広域での周遊を促進する戦国武将観光や命のビザで杉原千畝にスポットを当てた人道観光など、新たな切り口による仕掛けを次々と施してこられました。こうしたこれまでの施策の積み重ねが今回のコロナウイルスによって水泡に帰することがあってはなりません。 今回、六月補正予算で十二億一千万円余を計上し、withコロナにおける岐阜の観光再発信を掲げ、段階的かつ大規模な国内誘客キャンペーン等を展開し、本県の観光需要を喚起し、感染拡大防止と観光の再出発を図るとお聞きいたしております。 感染症の第二波、第三波にも警戒をしつつ、観光産業のV字回復を目指すという大変難しいかじ取りを迫られていると思います。誰もがコロナと共に生きる新たな社会となった今、大変困難な課題ではありますが、ピンチをチャンスと捉え、本県の魅力ある観光コンテンツを磨き上げ、観光客を呼び戻す様々な仕掛けを講じて観光産業の再生を果たしていただきたいと考えております。 そこで知事にお伺いいたします。 コロナ社会における岐阜県の観光産業の再生に向け、どのようなお考えなのか。また、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 続きまして、コロナ禍による雇用対策についてお伺いをいたします。 中国から始まった新型コロナウイルスの感染拡大は経済にも大きな影響を与えました。一月後半から中国、韓国からの入国制限でインバウンドを頼りにしていた観光業界、ホテルや旅館、飲食店や小売店に打撃が走りました。続いて、中国での生産停止で中国に工場を持つアパレルや、それらの物流を担っておる運輸業界に影響が及びました。さらに、ヨーロッパで新型コロナウイルスが蔓延することで都市封鎖が起こり、ヨーロッパを主戦場としていた自動車産業や電機産業の市場が消えてしまいました。そして、日本に蔓延をし、イベントや展覧会、スポーツの試合などの自粛でエンターテインメント業界やスポーツ業界までも仕事がなくなってしまいました。こうして様々な業種において取引が停滞をし、あらゆる業種で売上げの大幅な減少といった影響が生じてまいりました。 雇用情勢を見ても分かるように、岐阜県の有効求人倍率はここ五か月連続して減少し、五月の統計では一・四〇倍と以前の二・〇八倍から比べますと、大きく下がってきております。これでも全国七位ということでありますので、他県ではかなり厳しい数字が見受けられます。 就業者数は、対前年同月比七十六万人の減少、完全失業者数は対前年同月比三十三万人増加をいたしております。ここ四か月連続して増加をし、勤務先の事業所の都合による離職者が十二万人増加をいたしております。会社の急速な財務状況の悪化に伴い、コロナ禍を原因とする解雇がますます増加をいたしております。 先般、厚生労働省が発表いたしました六月二十六日現在の新型コロナウイルス感染拡大に関連した解雇、雇い止めの数は、見込みも含めまして二万八千百七十三人に上っております。五月二十一日には一万人でありましたので、僅か一か月の間に一万八千人ほど増えたことになります。原因の一つには、六月末に本年度最初の雇用契約が満了するのに先駆け、五月末に解雇通告が集中しているのではないかと考えられます。コロナウイルスの関係で雇用情勢が相当悪化していることが鮮明となってまいりました。 解雇、雇い止めを業種別に見てみますと、やはりホテルや旅館などの宿泊業が一番多くて五千六百十三人、次に飲食業で四千百九十四人、製造業は四千百三十三人、タクシーやバスなどの道路旅客運送業が二千四百六十二人となっております。都道府県別では、東京都が四千五百七十一人と最も多く、続いて大阪府が三千二百四十八人、北海道千三百四十八人、兵庫県九百八十七人、福岡県九百四十九人、ちなみに岐阜県は四百九十一人であります。雇用形態別では、非正規労働者が五五%、正規社員が四五%となっております。 経営者の中には、コロナが原因で仕事が減って、明日の資金繰りにも困っておる、従業員の給料も支払い切れないと頭を抱えておられる方がたくさんおられます。 国では、補正予算で雇用調整助成金を用意いたしましたが、当初、日額上限八千三百三十円と活用しにくい助成金でありましたが、今回の国の二次補正で一万五千円まで引き上げられましたし、解雇を伴わない中小企業の助成率を十分の九から十分の十まで引き上げられました。 雇用調整助成金のコロナウイルス特例では、特例期間を九月末まで延長されたほか、小規模事業者向けに申請手続を大幅に簡略化するなど、改善が図られております。 しかしながら、人的にも時間的にも余裕のない小規模事業者には、引き続き申請に向けたハードルが高いものと考えます。また、窓口となるハローワークが混乱するほど度重なる制度の改正により、小規模事業者には改善されたことが広く周知されず、雇用の継続を諦めてしまう事業者がいるのではないかと懸念をいたしております。 さらに特例期間は九月末まで延長されましたが、製造業など、今後経済的な影響を受けると見込まれたり、回復に時間がかかったりする業種があることから、さらなる延長も必要ではないかと考えます。 雇用調整助成金は国の制度ではありますが、県として上乗せ補助も講じていることもあり、こうした制度をしっかりと活用して、雇用の維持を図っていただくことが、まずは第一の雇用対策であると考えております。 そこで、商工労働部長にお伺いをいたします。 小規模事業者をはじめ、県内事業者に対する雇用調整助成金活用促進や制度のさらなる延長に向けて、どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。 最後に、迅速な行政サービスのためのデジタル化推進についてお伺いをいたします。 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う一律十万円の現金給付に関心が集まる中、マイナンバーカードを利用したオンライン申請の注目度が高まっております。しかし、マイナンバーカードは、個人の銀行口座と連動していないことや、個人情報流出への根強い不安による低い普及率など、活用にはいまだ多くの壁がございます。また、せっかくオンライン申請を受け付けたにもかかわらず、自治体によっては住民基本台帳との突き合わせを手作業で行うなど、行政のデジタル化は道半ばであるという印象を受けました。 しかし、これからはデジタル時代にふさわしい仕組みづくりを考え、有効活用する必要があるのではないかと考えます。 新聞報道によりますと、英国や米国では、日本の国税庁に当たる組織が、国民番号を基に管理をする納税情報を使って給付対象を割り出し、要望を待たずに連絡ができるプッシュ型支援を実行し、決定の二週間後から支給金の給付を始めたと報じられておりました。 一方、日本はどうでしょうか。マイナンバーと口座情報が結びついておらず、プッシュ型支援は不可能な上に、申請書の郵送準備に手間取り、支給の遅れにつながりました。新型コロナウイルス対策として全国民に十万円を配る特別定額給付金の支給遅れが目立ったことを踏まえ、オンライン申請をはじめとしたあらゆる行政サービスのデジタル化が実現されれば、スピーディーな手続が可能になると思います。 今回の新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、世界各国から始まった現金給付で日本の出遅れが鮮明になりました。先ほど述べたように、米国では社会保障番号を使い、二週間で個人口座に直接現金が振り込まれました。片や日本の十万円の給付の現状はといいますと、六月二十六日現在では、岐阜県内の給付率は九七・二%ですが、全国平均は七一・六%にとどまっております。 一方、欧州ではデジタル技術を活用した電子行政サービスが大変進んでおります。例えばスウェーデンでは、個人番号を利用した電子行政サービスが普及しており、確定申告や運転免許証の申請・更新、児童手当、補助金の申請など、ほとんどの市民、法人向けの手続がオンライン化をされております。また、エストニアでは、九九%以上の行政サービスがオンライン化をされているとのことであります。 そこで、総務部情報化推進担当次長にお伺いをいたします。 今後、ポストコロナ社会における生活や働き方を考えた場合、役所に出向くことなくスピーディーに手続が完了することが求められます。これからの時代、迅速な行政サービスを提供するためにも、岐阜県において各種手続をオンライン申請化するなど、様々な行政サービスのデジタル化を推進する必要があるのではないかと考えます。御所見をお伺いいたします。 以上、今回は新型コロナウイルス関連で大変困っておる諸課題につきまして、大きく分けて四項目質問をさせていただきました。現在、大好評の大河ドラマ「麒麟がくる」で描かれている戦国の世は、それまでの体制が崩壊し、本当に戦の絶えない混迷の時代の中で、新しい価値観が芽吹き始めた、まさに時代の過渡期でありました。今の私たちも戦後の混乱期からはい上がり、昭和、平成、令和と続く流れの中で、現在、経済的にも社会的にも大変悩ましいコロナの問題を抱え、日本のみならず世界が大きな時代の転換期を迎えようといたしております。多くの皆様が生きにくさを感じておられますし、五年先、十年先の未来が見えないという意味では、戦国時代に相通じるものがあるのではないかと感じております。 こうした苦しい時代を乗り越えた先には、必ずや平和で平穏な時代が訪れます。時は今、コロナとともにある新たな日常の中で、必ず「麒麟がくる」ことを信じ、一般質問を終わらせていただきます。長時間にわたりまして、御清聴誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 今日の午後、部屋を出まして、こちらに来る直前に、今日は東京で感染者が百人を超えたという報道がございましたし、本県でも昨日感染された方の御家族がさらにお二人感染しておったということでありまして、なかなか油断できない状態が続いておるということを感じております。 二点、御質問がございました。 一つは、第三セクター鉄道への支援についてでございます。 これにつきましては、平成二十四年に、この問題について県・国・沿線市町村、学識経験者、交通事業者等々集まりまして協議会をつくったわけでありますが、その中で第一に鉄道事業者による自助努力が必要であると、そして、地域と鉄道事業者が一体となった取り組みが重要であるという認識を示した上で、県の役割としては地方鉄道が負担する安全対策事業への補助を通して、その運行を支援するということが盛り込まれております。 これに基づいて、県としては、地方鉄道に対して毎年、安全対策に係る施設整備、維持修繕への補助を実施してきておるわけでありますが、さらに平成二十八年度からは、鉄道の利用促進に向けての広報やイベントへの支援、平成二十九年度からは、国庫補助対象外になっております小規模な災害復旧事業への補助も実施してきております。 今年度の当初予算におきましても、地方鉄道に対し、鉄道施設の設備投資、維持修繕に係る経費及び利用促進策に係る経費に対する補助として三億五千万円程度を確保しているところでございます。 議員が言及されました追加的な財政支援につきましては、まずは地方鉄道の沿線市町において、当面の経営状況や将来展望などを御議論いただいて、これを踏まえて沿線市町に今回配分される国の臨時交付金をどう活用するかといったことも含めて検討されるべきものであるというふうに考えております。 そのように申し上げました上で、県といたしましても、既に今回の六月補正におきまして、多額というわけではありませんが、車両の感染症対策のための支援金ということで、予算を計上させていただいております。 さらに、沿線市町の意見を今後お聞きしながら、一方で国に対して支援要請を行うとともに、他方で地方鉄道がその特色を生かして実施する企画列車、あるいは沿線でのイベントの開催などへの支援を考えてまいりたいというふうに思っております。 続きまして、観光産業の再生にについてお尋ねがございました。 まず県内観光業の現状につきましては、この四月の県内主要観光地点六十三か所の入り込み状況は、前年同月比で八〇・〇%減、主要二十一宿泊施設の宿泊者数も九一・八%減と大きく減少しておりまして、新型コロナウイルス感染症の甚大な影響を被っております。 この新型コロナウイルスが潜む新たな日常において、観光はいかにあるべきかという点につきましては、五月以来、コロナ社会における岐阜県観光戦略意見交換会で様々な議論を展開しております。これまでに感染防止対策の徹底による観光客の安心感の確保、小規模化、少人数化など観光スタイルの変化への対応、VRなど新たな技術と観光の融合など、様々な御提言を頂いております。 今回の補正予算では、これらを踏まえつつ、観光分野におきましても感染防止策という守りを固めつつ、新しい岐阜の観光の創出という攻めの施策を講じていくこととしております。 具体的には、まず観光における感染防止対策の徹底でありますが、本県がお示ししたコロナ社会を生き抜く行動指針に沿った施設改修を行う宿泊施設への補助制度の創設、そして新型コロナウイルス感染症対応事業者応援補助金による小規模事業者への支援を行ってまいります。また、こうした対策の確実な実施、それ自体をアピールポイントとできるよう、対策実行中ステッカーを配付し、事業者の取り組みを後押ししてまいります。さらに感染警戒QRシステムも民間施設に開放いたしました。 次に、観光の再開ですが、まず「安心ステイ~ほっと一息、ぎふの旅」と銘打ち、御指摘もありましたが、段階的に本県への観光誘客を行ってまいります。 具体的には、先月十六日から県民向け、今月一日からは東海三県の県民向け宿泊割引クーポンを発行しておりますが、大変に好評でございます。さらに今後、全国向けに拡大し、計十六万五千人の本県内宿泊需要を創出したいと思っております。あわせて東海三県で連携して、戦国武将観光や航空産業などの産業観光を絡めたスタンプラリーも実施してまいります。 また、安全や癒やしを求める小規模な旅行スタイルへの変化を見据え、小規模家族向けの旅行商品の開発、持続可能な開発目標SDGsと言っておりますが、これに即した持続可能な観光、サステーナブルツーリズムの開発などを行ってまいります。さらに非接触型の観光として、関ケ原古戦場VR体験システムの開発、世界に向けた岐阜のたくみの技や自然のバーチャル体験の発信などを行ってまいります。このほか、清流木曽川再発見プロジェクト、「新岐阜の宝もの認定プロジェクト」などにより、全国の観光地との競争に勝ち抜ける新たな地域観光資源の掘り起こしなど、本県観光の自力をいま一度蓄える努力が必要でございます。 また、インバウンドでありますが、今のところ全く低迷しております。しかしながら、一昨日の観光庁発表によれば、昨年の本県インバウンドは全国第十二位の百六十六万人に達しました。いずれも過去最高であります。二〇〇九年の十五万人レベルからスタートした飛騨・美濃じまん海外戦略において、野心的と見られていた二〇二〇年百五十万人目標を一年前倒しで達成したわけであります。これは、県職員も含めて、県内関係者の大変な努力のたまものと感謝しております。 今後は、アジア、オセアニアなどでは再開・回復の動きが早いという見方もございまして、これまでのキャンペーンによって築いてきた海外ネットワークを着実に再構築・活用してまいりたいと思っております。また、リトアニアからは杉原千畝、命のビザ発給八十周年を何らかの形で今年行いたいという意向も伝えられてきておりまして、これにも応えていければと思っております。 なお、政府のGoToトラベルキャンペーンにつきましては、本県からの意見も含めて、全国知事会として早急に実効性あるスキームを明確にするよう緊急提言を行ったところでございます。特に地方の取り組みとの相乗効果を発揮できるように、全国に効果が偏ることなく波及するように、地方の中小旅行業者も十分利用されるように、そして申請手続を可能な限り簡素化するように強く申し入れております。 ○副議長(小原尚君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) コロナ禍における雇用対策についてお答えします。 国の雇用調整助成金は、厳しい経済状況の中、雇用の維持に向けた有効な制度であり、県内事業者に積極的な活用を促しております。このため、県としても社会保険労務士による休日の相談会を実施し、国への申請手続をサポートするとともに、市町村と連携した上乗せ助成や助成金が支給されるまでのつなぎ資金として活用いただける実質無利子無担保の融資制度を創設してまいりました。 あわせて、国に対しては、申請手続、助成上限額、コロナ対応の特例期間等の見直しを要請し、手続の簡素化、日額上限の大幅な引上げ、特例期間の九月末までの延長が実現されたところであります。 今後は、より一層多くの事業者に御活用いただけるよう、こうした国の見直しや県の支援策などを分かりやすくまとめ、商工会議所や商工会、労働局等の関係団体の協力を得ながら事業者に周知徹底してまいります。 また、今後の経済雇用状況を丁寧に把握しながら、特例期間のさらなる延長について、国に働きかけてまいりたいと考えております。 ○副議長(小原尚君) 総務部次長情報化推進担当 阿部修二君。    〔総務部次長情報化推進担当 阿部修二君登壇〕 ◎総務部次長情報化推進担当(阿部修二君) 御質問いただきました行政サービスのデジタル化推進についてお答えいたします。 本県は、昨年、閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画に踏まえて改訂された総務省の地方公共団体におけるオンライン利用促進指針において、県としてオンライン化を推進すべきとされた十八手続のうち、建設工事の入札、図書貸出予約など十手続のオンライン化は既に完了しております。残る職員採用試験申込み、自動車税住所変更届など八手続について、今回の補正予算で事業費を計上し、今年度のオンライン化完了を目指しております。 本県としては、行政サービスのデジタル化推進は緊迫の課題と考えており、特にオンライン申請は、自宅や職場から外出することなく迅速な手続が可能で、また入力チェック機能により、記入漏れや書類の添付漏れ等の防止が期待できるなど、申請者と行政の双方にとってメリットが大きく、コロナ社会に不可欠と考えております。そのため、引き続きオンライン申請化をはじめとする行政サービスのデジタル化を進めてまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(小原尚君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は、午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時十分散会 ……………………………………………………………………………………………...