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  1. 岐阜県議会 2020-06-01
    07月03日-04号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 2年  6月 定例会(第3回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第四号)                   令和二年七月三日(金)午前十時開議 第一 議第八十四号から議第九十八号まで 第二 請願第十一号 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第八十四号から議第九十八号まで 一 日程第二 請願第十一号 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十五人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   小川祐輝君      六番   平野祐也君      七番   所 竜也君      八番   今井政嘉君      九番   藤本恵司君      十番   安井 忠君     十一番   中川裕子君     十二番   伊藤英生君     十三番   澄川寿之君     十四番   水野吉近君     十五番   恩田佳幸君     十六番   若井敦子君     十七番   広瀬 修君     十八番   布俣正也君     十九番   国枝慎太郎君     二十番   長屋光征君    二十一番   林 幸広君    二十二番   高木貴行君    二十三番   野村美穂君    二十四番   高殿 尚君    二十五番   田中勝士君    二十六番   加藤大博君    二十七番   山本勝敏君    二十八番   松岡正人君    二十九番   小原 尚君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   水野正敏君    三十三番   野島征夫君    三十四番   伊藤秀光君    三十五番   平岩正光君    三十六番   佐藤武彦君    三十七番   森 正弘君    三十八番   小川恒雄君    三十九番   渡辺嘉山君     四十番   伊藤正博君    四十一番   村下貴夫君    四十三番   尾藤義昭君    四十四番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         服部 敬 総務課長         高野朋治 議事調査課長       梅本雅史 議事調査課管理調整監   三宅誠樹 同    課長補佐    青木陽輔 同    課長補佐    蕨野 孝 同    係長      市川圭司 同    主査      上野由香 同    主査      早野ひとみ 同    主査      木村利典…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          平木 省君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        井川孝明君 総務部長         横山 玄君 清流の国推進部長     尾鼻 智君 危機管理部長       渡辺正信君 環境生活部県民文化局長  市橋貴仁君 健康福祉部子ども・女性局長              北川幹根君 商工労働部長       崎浦良典君 商工労働部観光国際局長  矢本哲也君 県土整備部長       船坂徳彦君 健康福祉部次長(医療担当)              堀 裕行君 教育長          安福正寿君 警察本部長        奥野省吾君…………………………………………………………………………………………… △七月三日午前十時開議 ○議長(森正弘君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。二十六番 加藤大博君。    〔二十六番 加藤大博君登壇〕(拍手) ◆二十六番(加藤大博君) おはようございます。 議長の許可を頂きましたので、通告に従い質問を進めさせていただきたいと思います。 今回の新型コロナウイルス感染症による学校の臨時休業などを受け、国の令和二年度補正予算では、一人一台端末の早期実現と家庭でもつながる通信環境の整備などを掲げたGIGAスクール構想の整備を加速するため、二千二百九十二億円が計上されました。 この構想は、教育のICT化を図ることで、災害や感染症の発生などによる学校の臨時休業等の緊急時においても、ICTの活用により全ての子供たちの学びを保障できる環境を早急に実現することを目的としています。 ただし、これまでも教育環境のICT化には多額の国費が長年にわたり投入されてきました。始まりは、平成二十一年度補正予算におけるスクール・ニューディールで約一千百五十億円、平成二十六年度から平成二十九年度には教育のIT化に向けた環境整備四か年計画として六千七百十二億円が投じられました。現在も平成三十年度から令和四年度にかけて、教育のICT化に向けた環境整備五か年計画が総額九千二十五億円で推進されています。 しかし、予算措置や地方財政措置などにより、現在までに多額の国費を投じたにもかかわらず、教育現場におけるICT化は十分に進んだとは言い難い状況でした。例えば平成二十一年度補正予算スクール・ニューディールが実施される前年度末、平成二十年三月における学習用端末の普及台数は、七人に対し一台という状況でしたが、十年以上が経過した平成三十一年三月末においても、五・四人に一台という状況です。 また、約七割の学校において、高速インターネット接続が可能な校内LANが整備されてきましたが、タブレット等を活用するために必要な無線LANの整備は約四割にとどまっています。こうした状況は、国が定めた水準に対し十分とは言えないものです。 また、自治体間における格差も大きく、国費を投じれば学校におけるICT化が進むという単純なものではないことが課題として浮き彫りになっていました。このことには、二つの側面があると考えられます。 一つは、ICT環境整備と学習効果、学力向上の直接的な関係を示す根拠が乏しいこと。加えて、そもそも実際の授業で効果的に活用するための方法や、教員の研究、育成が不足していることなど、効果への疑問。 もう一つは、整備・維持ともに負担すべき費用が膨大であり、地方財政措置では効果への疑問が残る中で、他事業との兼ね合いにより、ICT環境整備を優先させられないという財源の問題。 自治体が抱くこうした懸念や課題に対し理解を示し、整備を促進させるため、政府においては令和元年十一月の経済財政諮問会議にて、安倍首相から、パソコンが一人当たり一台となることが当然だということを、やはり国家意思として明確に示すことが重要との指示がなされました。その結果、その後閣議決定された総合経済対策の中で、学校における高速大容量ネットワーク環境の整備の推進と併せ、特に令和五年度までに小・中学校の全学年が一人一台の端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すGIGAスクール構想が考案され、令和元年度補正予算において二千三百十八億円の補助金が計上されるとともに、事業を実施する自治体に対し国として継続的に財源を確保し、必要な支援を講ずることとされました。 まさに、これから事業が本格的に推進されようとする中で、今回の新型コロナウイルス感染症による学校の臨時休業等の事態が発生し、ICT機器はその教育効果の是非は別としても、児童・生徒の学びを保障する手段として注目され、令和二年度補正予算にもさらに二千二百九十二億円が計上され、GIGAスクール構想はその実現を目指し、加速することとなりました。教育のICT化に向けた環境整備五か年計画で企図されていたICT環境整備の方向性は、GIGAスクール構想やコロナ禍を経て、急進的かつ不可逆的になったのではないかと感じます。 学校教育において数十年に一度の大きな転換との声も聞かれますが、ICTを社会基盤として先端技術の効果的な活用が求められる社会が訪れつつある中で、教育のICT化が進むことは必然であり必要とも言えます。 岐阜県においても、教育のICT化に向けた環境整備五か年計画の推進のため、二〇一八年度から今年度までの三か年で約十八・五億円が計上されてきました。加えて、今回の補正では県立学校の全生徒に学習用タブレットの配付を行うため約三十七億円が計上されています。小・中学校を所管する市町村も含めればその規模はさらに大きなものとなることは明らかで、新型コロナウイルス感染症が社会に与えた影響の一端を感じ取ることができます。 しかし、前述のとおり、そもそも国における学校のICT環境整備は、今回の補正予算においてGIGAスクール構想が掲げる学校の臨時休業等が必要となるような緊急時においても、全ての子供たちの学びを保障できる環境を整備することを当初からの目的としていたわけではありません。本来、遠隔教育はICT化の副次的な効果にすぎないと考えられていましたが、先般の長期にわたる学校の臨時休業が行われたことにより、にわかに注目を集め、現在は整備のための強力な動機へと変貌しました。 文部科学省は、これまでも様々な理由を掲げ教育のICT化の推進を図ってきました。しかし、その本来の目的は、授業の改善や教員の教務負担の軽減が図られることにより、子供たちの学習への理解を一層深めることにあったはずです。ところが、学校におけるICT機器の活用が学力向上や教務負担の軽減にはつながっておらず、むしろ負の影響を与えているという報告があります。多角的な調査の下で行われたこの報告の中では、残念なことに日本の学習様式に適し、明確に効果があると言えるものは現状ではプロジェクターのみであり、設置が進められている電子黒板や教育用端末などその他のICT機器は、学力の向上に効果がないばかりかむしろ引き下げており、投資コストに見合う教育効果がないと結論づけられています。 ただし、これは二〇一八年に行われた報告であり、その後の社会情勢の変化などを考慮すれば、学校のICT環境整備が急速に進められている現状は理解ができます。しかし、現在の状況が報告の中で指摘された教育効果や教務負担への効果が期待できないという結論を覆した結果でないことは明白であり、現状の教育現場でICT機器が活用されることについては多くの課題があると言えます。 変化が急進的かつ不可逆的に進行する中で課題を放置し続ければ、教育を受ける子供たちにとっても、また多額の投資を続けることになる自治体にとっても不幸なことであり、その要因が現在の日本の学習様式や教育体制に起因するものであるならば、ICT機器の活用の効果を最大限に発揮することのできる教育の在り方を模索していくことは当然のことではないでしょうか。 教育現場においては、今日までの整備状況を鑑みれば急速なICT化に対応していくための知見や人材が現在までに十分に確保・育成されているとは考えにくく、このような状況は当面の間解消されないものと推測されます。また、自治体においても、今後継続的に発生する維持費や更新の際の財源の課題など不安要素を抱えた中で事業が推進されていくことになります。 また、教育には言うまでもなく多くの関係者が存在します。そうした方々の理解を得、方向性を共有していくことも当然必要となります。様々な不確定要素があるにせよ、直接的な影響を受ける児童・生徒にとっては、この変化ができる限る肯定的なものにならなくてはなりません。 そのために、現在の急進的かつ不可逆的と思われる変化の先に、どのような教育の姿を想定し、道筋を示すかは非常に重要だと考えます。ICT化により教材や授業が一人一人に個別最適化され、場所や時間による制限が大きく緩和された教育環境が実現されれば、学校や教員の在り方や役割はもちろんのこと、今までの一斉学習を前提としたクラス制や担任制など、見直しが必要となる仕組みや制度も出てくるのではないでしょうか。変化を強要するわけではありませんが、教育のICT環境整備には現在まで、そして今後も多大な予算措置が必要と思われます。加えて社会が変革し、新たな教育に対する期待もある中で、何となく便利になったという程度では社会の要望に応えられているとは言えません。 現在、学校教育において数十年に一度と言われるような大転換が、ICTという今後の社会基盤をなす技術を軸として急速に進もうとしています。岐阜県教育委員会においては、この情報通信技術という手段が学校という枠組みや教育の在り方にどのような影響を与えるのか。また、情報通信技術や人工知能などのデジタル技術という新たな道具を活用する新しい時代にふさわしい学校や教育の姿とはどのようなものなのかを課題や効果も踏まえて想定しておくことは、教育環境のICT化が不可逆的に推進される中、その実効性を確保する上で極めて重要なことだと感じます。 そこで、教育長に次の二点についてお尋ねいたします。 一点目は、ICT環境整備による情報端末などの整備によって期待される効果と課題に対する取り組みについて。 二点目に、ICTやAIなどデジタル技術が活用される社会において、学校が果たすべき社会的役割と、学校組織や教職員の配置に与える影響について、それぞれお考えをお聞かせください。 以上で質問を終えますが、将来の教育の姿を見据えた答弁を期待しております。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(森正弘君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) GIGAスクール構想などのICT環境整備が学校教育に与える影響について二点御質問がありました。 初めに、ICT環境整備による情報端末などの整備によって期待される効果と課題に対する取り組みについてお答えします。 仕事や家庭でICTが日常的に活用される中、未来の社会を担う子供たちが学ぶ学校でも同様にICT環境を整え、情報活用能力を育むことが求められており、第三次岐阜県教育ビジョンでも、あらゆる学習の基盤となるICT環境の整備と利活用の推進を重点施策としております。 ICTの整備と利活用により、子供たちに知識や技術を効率よく伝えたり、子供たちが意見を伝え合い、考えを深めていく学習が実施しやすくなるといった効果があると考えております。あわせて、授業準備の省力化や教材の共有化など、教職員の働き方改革につながる効果も期待しているところです。 今後の学校教育においては、ICTを活用した主体的、対話的な学びを引き出す指導方法の充実が課題だと考えております。このため、これまで多くの教員がオンライン授業に取り組む中で培った経験を生かしつつ、習熟度に応じた個別教材による授業展開など、具体的な活用事例の研修を実施してまいります。 次に、ICTやAIなどデジタル技術が活用される社会において、学校が果たすべき社会的役割と、学校組織や教職員の配置に与える影響についてお答えします。 デジタル社会における学校の役割としては、子供たちが将来その社会の一員として生きていく上で必要な知識や技術の習得に加え、情報を適切に活用する能力や、教員、地域の人々など多様な他者との触れ合いを通じて、社会性やコミュニケーション能力などの資質、能力を身につける学びを提供することにあると考えております。 そして、学校ではデジタル技術の活用による教材や資料の共有などによる効率化や、オンラインでの外部人材の活用などが進む一方で、子供たちが対面で人々と直接触れ合う学習の必要性が一層高まることが考えられます。 こうした流れは、オンライン授業などの単位認定の在り方、基本的な学級規模や、教員免許を持たない社会人を含めた教員配置など、制度の見直しに影響する可能性も考えられます。現在、この点については、国において現行制度の一体的な見直しが検討されており、県教育委員会としてもその動向を注視してまいります。 ○議長(森正弘君) 十五番 恩田佳幸君。    〔十五番 恩田佳幸君登壇〕(拍手) ◆十五番(恩田佳幸君) 議長から発言のお許しを頂きましたので、通告に沿って大きく三項目、五点について質問をさせていただきます。 一点目は、史跡等の文化財の保存と活用についてお尋ねいたします。 大河ドラマ「麒麟がくる」や関ケ原古戦場記念館など岐阜県ゆかりの歴史や文化財等が大きく注目され、歴史好きのみならず、多くの県内外の方々が岐阜県の史跡等の文化財に注目をしております。 新聞などでも本県ゆかりの明智光秀や斎藤道三など関連する文献や史跡等について、民間の方々の調査も紹介されるなど、県内には注目されるべき多くの文化財等が存在しております。 県内の文化財の現状を簡単に紹介させていただきます。七つの国宝を含む国指定文化財が二百五十九件、県指定文化財が九百三十八件、合わせて千百九十七件もの数となります。ちなみに、この県指定文化財の九百三十八件は、全国で一番多い数と言われております。どれも歴史的な価値のある文化財であり、その価値を認識し後世に継承していくことは、今を生きる私たちの責務でもございます。 文化財の種別は、お手元の配付の図にように大きく八つに分類され、さらに十六の種目に分かれます。それぞれの文化財は国・県・市でそれぞれの指定を行い、その保存と活用が図られております。 一方、県内には未指定の文化財も数多くあり、そのうち、県では中世の城館跡に注目して、平成八年から平成十六年にかけて総合調査を実施されました。 その結果、それまでは岐阜県内には約四百か所の城館跡が知られていましたが、調査により八百九か所の城館跡が存在することが明らかになりました。その後、平成二十三年二月には岐阜城跡、平成二十五年十月には美濃金山城跡、平成二十六年十月には西高木家陣屋跡が、それぞれの自治体の御尽力により国の史跡となりました。それぞれの文化財が本来持ち合わせている歴史的な価値が認められることは大変すばらしいことであり、より多くの方々に歴史的価値のある本物のよさを感じていただく機会ともなります。 さきに紹介した国史跡に指定をされた文化財以外にも、例えば松尾山城跡菩提山城跡、松倉城跡や岩村城跡、大桑城跡等は、国の史跡の城館跡等と同様の価値があると評価をされております。これらの城館跡は、それぞれの地域で歴史的な価値が見いだされ、観光資源としての利活用等が行われておりますが、文化財として国の指定を受けることにより、さらにその魅力や効果は高まるのではないでしょうか。 歴史的な価値の高い多くの文化財や史跡等が各調査により確認ができるものの、市町村が文化財の国の指定を受けるためには、調査等に数年間程度を要するとともに、一定の専門的な知識や経験のある人員も必要となることから、市町村によっては限られた人員の中でその魅力を十分に生かすことができていない現状も見受けられます。 さきに紹介した国史跡と同様の価値がある城館跡の中には、私の地元山県市にあります大桑城跡があります。大桑城は、室町幕府の守護として権勢を誇り、十四世紀には美濃、尾張、伊勢の三か国を治めた土岐氏が最後の居城とした城館跡であり、大河ドラマ「麒麟がくる」にも登場しました。そして、大河ドラマでの紹介の後には、大変多くの観光客の皆様にお越しを頂いております。 現在、国の史跡の意見具申に向けた取り組みを進めているところでございますが、専門家の招聘や人員の配置、予算の確保等は苦慮する点も多々あるそうです。 県としては、国の指定に向けた市町村への支援に係る取り組みを進めていく必要があるとも考えます。また、文化財等の利活用の方法は様々あり、美濃加茂市や坂祝町、富加町では、歴史PR漫画の作成に取り組んでおられ、平成二十八年度には「夕雲の城」、平成三十年度には「夕雲の城 猿啄の春」を発行されました。このPR漫画は、一市二町に存在する加治田城跡や堂洞城跡、猿啄城跡などを取り上げ、その魅力を説明するとともに小学生歴史教室などを開催しております。 歴史的価値のある史跡等の文化財については、それが本来持っている価値を適切に見いだし、文化財としての国の指定を受け、観光資源として活用していくことが、地域に愛され次の世代に継承していく原動力ともなります。 岐阜県内には大変多くの文化財があり、その価値の位置づけを行った上で、後世に継承していく責務もあります。本年は大河ドラマ「麒麟がくる」の影響もあり、県内の多くの史跡や文献等の文化財も大変注目されておりますので、県内の機運の高い今だからこそ、軌を一にした取り組みを進めていく必要があるとも考えます。 そこで一点目に、県民文化局長にお尋ねをいたします。 文化財を守り、利活用をしていくことは大変重要であると考えますが、市町村によっては取り組みが思うように進まないケースも見受けられます。地域に埋もれている文化財に価値を持たせ、地域全体で保存と活用を図るため、市町村支援にどのように取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。 二点目に、文化財を活用した観光振興についてお尋ねをいたします。 白川郷の世界遺産の認定をはじめ、県独自の岐阜の宝もののような取り組みにより、文化財等の価値を向上させることによって観光振興につながっている成功事例があります。 世界遺産の認定が続いた岐阜県ですが、その認定前と認定後の観光入り込み客数の推移を比較してみました。まず、平成二十八年十二月にユネスコ無形文化遺産登録された日本の「山・鉾・屋台行事」のうち、高山祭では、平成二十八年は三十一万六千五百人であったところ、平成二十九年には四十三万二千人と、およそ一・三倍に観光客が増加しました。 また、平成二十九年九月には、岐阜の宝ものに選定された東美濃の山城の入り込み客数、ちなみに岩村城、苗木城、美濃金山城とそれに関連する資料館の入り込み客数となりますが、平成二十九年には十八万六千二十三人であったのが、令和元年には三十一万五千六百三十六人と、実に約一・七倍に増加をしております。 これらの数字が意味するところは、まさしく文化財として適切な評価をして価値の位置づけを行った結果、観光資源として成り立っている事例であるのではないかと感じます。 また、観光振興についてももろもろと模索をされていると思いますが、城跡のような文化財は野外にありますので、新しい生活様式や業界のガイドラインとの兼ね合いを考えても、有効な観光施設として活用できるのではないかと感じます。 そこで二点目に、歴史的価値のある史跡等の文化財を活用した観光振興の方策について観光国際局長にお尋ねをいたします。 次に、地域住民との協働による県管理道路・河川の維持管理の在り方について質問をいたします。 本質問では、県民の方々にも参画を頂いている道路や河川の除草や清掃などの維持管理の今後の在り方の観点から質問をさせていただきます。 岐阜県では、管理する道路の延長は約四千二百キロメートル、管理する河川の延長は約三千キロメートルのほか、橋やトンネル、排水機場や樋門など多くの社会インフラの維持管理がなされております。そのうち、維持管理の一環として除草も実施されていますが、除草とはいえども毎年多くの予算を必要としております。よって、各土木事務所が委託業務で実施する維持管理としての除草は一年に一回程度にとどまり、常に十分な管理ができているとは言い難い地域もございます。 岐阜県の道路や河川の維持管理費は、社会インフラの老朽化等による補修費や更新費等の増加によってここ数年は増加傾向にあるものの、建設労務費が十年間でほぼ一・五倍に高騰したこともあり、十分な除草が実施できないなど、必ずしも維持管理の水準が上がっているとは言い難い状況です。 例えば県管理道路であれば、基本的に路肩から一メートルのみ除草が実施されますが、バス停周辺では、バスを待つスペースが草で覆われスペースがない箇所があるほか、伸びた草や街路樹の繁茂により視認性が低下し、ガードレールや道路標識の確認が困難になっている箇所もあります。交差点においても、街路樹や伸びた草により歩行者が認識しづらい場所も見受けられます。各土木事務所には、地域住民や道路利用者から通報によりその都度対応は頂いているものの、本来は県が管理する道路や河川等は、県が責任を持って安全性や景観等を考慮して管理を行っていくべきではないでしょうか。 一方で、多くの地域では自治会単位での清掃活動やボランティア団体による除草作業など、団体や個人を問わず多くの県民の皆様にそれぞれの立場で御尽力を頂き、その活動を目にすると頭が下がる思いであります。 このような現状を踏まえ、今後効果的かつ持続的な道路や河川の維持管理を進めていくためには、地域住民との協働が必要不可欠であるとも考えます。 皆さんはアダプト・プログラムという言葉を御存じでしょうか。これは、地域住民の方々や企業の皆様にボランティアとして、道路や河川の美化清掃等に参加いただき、快適な道づくり、川づくりを進めるもので、我が子のように世話をしていただくことから、養子縁組という意味のアダプトという言葉を使われております。本県でも、このアダプトの概念を取り入れた事業がございます。 「ぎふ・ロード・プレーヤー」や「ぎふ・リバー・サポーター」という事業であります。ぎふ・ロード・プレーヤーは、地域住民の方々や団体、企業の皆さんに道路の清掃、除草や除雪などの維持管理を行っていただく事業で、平成十三年度から実施されています。その活動に対して、県や市町村はごみ袋や草刈り機の燃料、替え刃等の活動に使用する消耗品やボランティア保険の加入手続等の費用負担を行うほか、清掃等を行っていただいているエリアに活動していただいている団体の表示板の設置等の支援が行われております。 また、ぎふ・リバー・サポーターは平成二十五年度から実施されており、岐阜県が管理する河川の一定区間において地域の住民ボランティア団体等と岐阜県が協働し、除草や幼竹木の伐採、清掃、河川巡視等の河川の維持管理活動を行い、事業内容に応じて支援を実施しています。 これらのように、地域の皆様にも地域の役割として維持管理の一部を担っていただき、行政の責任と地域の役割の線引きや枠組みを見直し、持続可能な維持管理の体制を築いていくことは非常に重要であると考えます。本事業は、その先駆けになると期待しているところであります。これはあくまで私の私案でありますが、例えばこれまで行政が三千万円をかけて実施してきた管内の委託業務の一部を地域の皆様に実施をしていただき、三百万円分の事業費を削減することができたとします。その削減することが可能となった予算を地域住民の方々がボランティアでは実施できない、つまり事業者の方でなければできない維持管理や修繕に充てていただくなど、より地域住民の方々の参加を促すような事業の枠組みを構築してはいかがでしょうか。 県管理道路や河川における維持管理については、今後もその事業規模が増加していき、さらに予算が必要となります。限られた財源の中で十分な維持管理を実施していくことが、さらに困難になることが予想される中で、このように県民の皆様に参画を頂き、協働し、地域ぐるみで地域を守っていく取り組みが非常に大切で有効であるとも考えます。 そのため、まずはこれまで実施されてきた住民参加型の事業であります、ぎふ・ロード・プレーヤーやぎふ・リバー・サポーターの各事業を、よく県民の皆様にも知っていただく必要があるのではないかと考えます。また、これまで以上に地域住民の皆様が活動しやすい事業になるよう、支援の方法についても改善していく必要があるのではないかと考えます。 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。 効率的かつ持続可能な道路・河川の維持管理体制を整えるため、官民が連携して地域を支えているぎふ・ロード・プレーヤーやぎふ・リバー・サポーターの両事業について、現状と今後さらなる住民参画を促す方策についてお尋ねをいたします。 次に、特別支援学校就労支援オフィスについてお尋ねをいたします。 今年度より、一般就労に結びつかなかったり、一旦就労したが離職してしまったりした特別支援学校卒業生や、知的障がいのある高等学校卒業生をオフィススタッフとして雇用し、それぞれの希望に添った就労に結びつけていくための特別支援学校就労支援オフィスがスタートしました。これは、障がいのある方が就労支援オフィスで勤務をしながらトレーニングを受け、雇用の推進と就労の支援を行うことを目的としているものです。 本質問におきましては、障がいのある方を一般就労に結びつけていく支援という観点から質問をさせていただきます。 障がいのある方の就労支援については、平成二十五年度にかがやきオフィスぎふの開設、平成三十一年度からは岐阜総合教育センター内に障がい者就労支援オフィスの開設が続き、障がいのある方の就労機会も増えつつあると見受けられます。また、就労支援オフィスの定員を全て満たすことができれば、教育委員会が目標とされている障がい者雇用率二・四%を達成することにもなります。 ここで、簡単に就労支援オフィスについて説明をいたします。 先ほども申し上げましたが、就労支援オフィス事業は今年度からスタートした事業であります。 就労支援オフィスは、各圏域の特別支援学校または高等学校内に開設がされており、七月一日時点で支援員が不在となっている大垣就労支援オフィスを除く岐阜本巣就労支援オフィス、関就労支援オフィス、東濃就労支援オフィス、飛騨就労支援オフィスの四つのオフィスが既にオープンをしております。 定員は、岐阜本巣就労支援オフィスが十二人、ほかの四つのオフィスは八人がスタッフとして勤務できることとなっておりますが、今年度からスタートした制度である上、募集期間が限られていたこともあり、七月一日現在、スタッフの定員を満たしているオフィスはなく、岐阜本巣就労支援オフィスが三人、関就労支援オフィスが四人、東濃就労支援オフィスが三人、飛騨就労支援オフィスは一人という現状となっております。 オフィスにおける業務内容については、一般企業等への就労に必要なコミュニケーション能力及び意欲等を身につけるため、支援員の方からの指導により清掃、図書や物品の整理、資料印刷、封入作業、データ入力等の作業が行われております。それらの業務を指導する支援員ですが、特別支援学校での教員経験がある方が中心となっており、一定のスキルを有した支援員の方々が的確にスタッフの指導に当たられているとのことです。 この制度は、言うならば障がいのある方の後押しとでも言いましょうか、少しの支援を重ねていくことにより、それぞれ希望の働き方や希望の職場への道が開かれることが期待できるというものです。 大変すばらしい取り組みがスタートしたわけでありますので、ぜひ就労支援オフィスの制度の活用や周知を進めていただくとともに、より一層の就労を希望する方々の受皿となるよう御尽力を頂きたいとも思います。 そこで、特別支援学校就労支援オフィスの受入体制と就労支援についてお尋ねをいたします。 さきに述べたとおり、今年度から開始されたばかりの就労支援オフィスですので、今後の展開には大いに期待するところではございますが、現在各就労支援オフィスの現状はと言いますと、スタッフや支援員の定員を満たせてはおりません。そこで、就労支援オフィスのメリット、障がいのある方の雇用の受皿と一般就労を支援していくという両面からのメリットを広く伝えながら体制を整えていく必要があると思います。 岐阜県障がい者総合就労支援センター内では、一括して就労支援、職業訓練、職業紹介、定着支援に関する情報共有や所要の支援を行う体制は構築されているものの、現状では就労支援オフィスが取り扱う情報を知り得る方法は限られております。言うまでもなく、障がいのある方にとって就労支援オフィスは貴重な職場であり、また障がいのある方が自ら掲げる就労目標の実現に寄与できるすばらしいトレーニングの場でもあります。この事業をより実効あるものとするには、ニーズに沿った受入体制や支援体制の確立が必要不可欠であります。 そこで、一点目に教育長にお尋ねをいたします。 今後の就労支援オフィスの受入体制と支援体制において、どのように取り組み整えていくのかお尋ねをいたします。 次に、特別支援学校就労支援オフィスの出口対応についてお尋ねをいたします。 就労支援オフィスのスタッフは、一会計年度ごとに人事評価に基づく再度の採用を可能とする会計年度任用職員として雇用され、その期間は最長で三年とされております。就労のための訓練の視点からも一定の期間を目標として定め、希望の企業等への一般就労へのスキームはもちろん理解できます。 しかし、スタッフとして一定の期間の学びや技能を習得して期限を迎えたときに、様々な要因により、必ずしも自身が希望する就労とマッチングができないケースもあります。例えば社会情勢や経済状況により、就労そのものが不可能なことも想定されます。 実際に、つい数か月前までは人手不足が大きな課題となっており、就労継続支援A型の事業所や施設外就労等でも依頼される仕事は多い状況であったと伺います。しかし、皆様も御存じのとおり、新型コロナウイルスの感染症の影響は深刻であり、障がいのある方々の働く場にもその影響は及んでおります。 私が心配する、また危惧していることは、就労支援オフィススタッフの期限を迎えたとき、就職先や居場所がないまま障がいのある方を社会に送り出すような対応は絶対にやめてほしいということです。期限があるにせよ、あと少しの支援で就労が実現するのであれば、適切な対応をお願いするところであります。 そこで、二点目に教育長にお尋ねをいたします。 会計年度任用職員として採用期間は最長三年と定められております。しかし、採用終了時には一般就労がかなわなくとも、あと少しの支援をしていくことにより希望の一般就労に結びつく方が出てくることも想定されます。そのような場合、特別支援学校就労支援オフィスの出口対応について方針をお尋ねいたします。真面目に働き、努力を重ねてこられた方々の中で、あと少し支援をすることでその方々の将来が大きく変わる可能性があるのであれば、そこに手を差し伸べたいと思い、そんな思いから質問をさせていただきました。 障がいのある方々に希望が持てるような、また安心できるような御答弁を頂き、将来につながる一歩となれば幸いであります。 以上で、私からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(森正弘君) 県民文化局長 市橋貴仁君。    〔環境生活部県民文化局長 市橋貴仁君登壇〕 ◎環境生活部県民文化局長(市橋貴仁君) 文化財の保存と活用を図るための市町村への支援についてお答えいたします。 地域の貴重な文化財については、自治体が未指定のものも含めた域内の実態を把握し、適切な保存とまちづくり等への活用を図りながら、地域全体でその継承に取り組んでいく必要があります。 そこで県では、平成三十一年に施行されました改正文化財保護法に基づく文化財保存活用大綱を今年度中に策定し、本県の文化財を後世に守り伝えていくための中長期的な方針を示してまいります。 大綱には、市町村が地域の歴史的特徴を十分に生かし、文化財の確実な保存と活用を主体的に進めていけるよう、県が行う市町村への支援の方針を定めることとしております。 具体的には、広域的な調査研究の推進、市町村間の連携調整、歴史上、学術上価値が高い文化財の国指定に向けたサポート、専門的アドバイスを求める市町村への有識者派遣、研修などを通じた市町村職員の資質向上などを盛り込むことによりまして、文化財の価値が認められ、地域の重要な資源として、地域に愛され誇りとなっていくよう支援をしてまいります。 ○議長(森正弘君) 観光国際局長 矢本哲也君。    〔商工労働部観光国際局長 矢本哲也君登壇〕 ◎商工労働部観光国際局長(矢本哲也君) 文化財を活用した観光振興についてお答えいたします。 地域固有の文化、歴史資源は、観光資源となる可能性を大いに秘めていますが、そのためには地域の皆様の御理解と熱意が不可欠です。このため岐阜の宝ものプロジェクトでは、地域との協働で資源の掘り起こしと観光資源への磨き上げを進めてきました。また、関ケ原古戦場や大河ドラマの主人公明智光秀公ゆかりの地も、地元と共に観光資源の価値を高めてまいりました。 一方、コロナ社会においては、家族や親しい仲間による小グループの旅行が進み、ニーズの多様化も予想されています。史跡を含めた文化財を活用した観光振興は、コロナ社会における新しい岐阜の観光にもつながるものと考えます。 ついては、今後予定されている大河ドラマの放送再開や、岐阜関ケ原古戦場記念館のオープンなども再発進の好機と捉え、ゆかりの戦国武将やその史跡等を生かした本県ならではの戦国武将観光をより本格化させてまいります。あわせて、文化財を含めた地域資源を観光振興に生かす新たなプロジェクトの展開も検討してまいります。 ○議長(森正弘君) 県土整備部長 船坂徳彦君。    〔県土整備部長 船坂徳彦君登壇〕
    県土整備部長(船坂徳彦君) 住民協働による道路・河川の維持管理の在り方についてお答えします。 ぎふ・ロード・プレーヤー及びぎふ・リバー・サポーターの事業につきましては、地域の社会資本を身近に感じ、長く大切に御利用いただくため、住民や企業の方々にボランティアで道路・河川の清掃や除草などを実施いただくもので、昨年度はそれぞれ三百三十五団体、二百十二団体に活動していただいたところです。 しかしながら、県民の方の認知度はまだまだ低く、この数年、参加団体数は横ばいであることから、今後さらに参加を促すための取り組みや、継続的に活動していただくための環境づくりが必要であると考えております。 このため、今年度、事業の周知と参加の啓発をするリーフレットの作成や、ホームページやSNSで活動事例を紹介するなど、さらなる参加団体の確保に取り組んでまいります。 また、より活動しやすい環境づくりを進めるため、現在活動いただいている団体の御意見をお伺いしながら、持続可能な取り組みとなるよう支援の在り方についても検討してまいります。 ○議長(森正弘君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 特別支援学校就労支援オフィスについて二点御質問がありました。 初めに、特別支援学校就労支援オフィスの受入体制と就労支援についてお答えします。 就労支援オフィススタッフにつきましては、高等学校等への紹介やハローワークでの求人を行っておりますが、より多くの方々に働いていただけるような取り組みを充実する必要があると考えております。 そこで今後は、障がい者就業・生活支援センターや高等学校等と連携しながら、卒業後の離職者や再就職の相談状況を随時確認し、ニーズの把握に努めてまいります。加えて、ホームページに専用サイトを設けて、オフィスの取り組みを広くPRしてまいります。 また、一般企業等への就労につなげるため、一人一人の職業に関する適性を把握し、それに応じた業務を計画的に行うことにより、就労に必要な能力が備わるよう取り組んでいるところです。 今後は、オフィスを設置している地域の学校等に出向き事業を丁寧に説明するとともに、業務提供に協力していただける場を拡大していくなど、きめ細かな就労支援体制の構築に向けて取り組んでまいります。 次に、特別支援学校就労支援オフィスの出口対応についてお答えします。 就労支援オフィススタッフを新たな就労先につなげるためには、業務を遂行する上での具体的な課題を事前に把握し、配慮や工夫する点を明らかにしていく必要があります。とりわけ障がい者の就労については、企業等の業務内容やニーズと本人の特性及び能力等とのマッチングが重要となります。 このため、今後は支援員を中心にハローワークと連携しながらスタッフの業務の達成状況や適性、希望等を踏まえた就労先の開拓や、収集した求人情報等の提供を進めてまいります。加えて、企業等での実習やハローワークが主催する就職面接会への参加など、あらゆる機会を捉えて、可能な限り早い段階で新たな就労先につなげるよう支援に努めてまいります。 また、就労先が決まらないまま最長三年の任期を終える場合であっても、福祉事業所と連携してオフィスの取組内容や業務の達成状況を確実に引き継ぐなど、切れ目なく支援してまいります。 ○議長(森正弘君) 十一番 中川裕子君。    〔十一番 中川裕子君登壇〕 ◆十一番(中川裕子君) それでは、日本共産党の代表質問を行います。 今回は大きく四項目、全て新型コロナ対策に絞って質問をいたします。 東京都を中心に新規感染者は増加し、市中感染は続いており、第二波への備えを急ぐ必要がある事態です。今後の社会活動や経済活動は、感染拡大を抑止しながら進めていくことになり、そのためには医療や検査体制の抜本的強化と大打撃を受けている県民の暮らしや営業を支えるという両面での取り組みが期待されております。 特に私が感じますのは、非正規雇用の方々、介護や育児中など、ふだんから支援が必要な方たちに、よりこの打撃が大きく直撃しているということです。非正規雇用の方は、仕事のシフトがもう三月、四月に入ってから減ってしまい、収入が激減しております。いつ仕事を失うか、おびえながらの生活です。 飲食店の従業員は、四月の初めから店が閉まり、四月末で仕事を失った方もおられます。保育所が閉まっていた自粛期間は仕事を休まざるを得ない方、低い賃金でも残業代でこれまで補っていたため、残業がなくなり生活困窮に陥るなど、そもそもふだんから暮らしていける安定した収入と仕事が保障されていないという社会の矛盾が、こういう事態になって徐々に明らかになっております。 コロナと共に生きる新しい社会は、何を大切にする社会であるべきか、今最も問われているときです。今議会は、国の地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金などを活用した大型補正予算をなっております。この予算による支援策が、県民一人一人にしっかり行き渡ることが重要と考え、質問に入ります。 まず初めに、新型コロナ感染症対策に備える財源と国への意見についてです。 第一波では、検査・医療体制の不十分さによって全国的には、特に都市部において救えた命が救えないなどの課題も浮き彫りになりました。その背景には、国の財政支援の遅さと額の少なさがあり、政府の姿勢が問われました。 こうした政府に対しては、五月に広島県知事をはじめとする十八の道県知事が、積極的感染拡大防止戦略への転換、PCR検査体制の早急な整備などの緊急要請を実施しています。特に、医師不足や医師の偏在が課題となっている岩手県では、知事が、院内感染が地域医療の崩壊につながりかねないと、医療や福祉の現場での検査が必要と訴えられておりますが、これは岐阜県にも共通している問題です。本来、この提言にあるように、国の十分な財政支援が最重要ですが、一方で経済動向や雇用状況は、この数か月で深刻な状況になると言われており、国の第三次補正を待たず県でできることは今後も実施していく必要があります。 そこで一点目です。県の抱える課題を踏まえた国の意見提出と必要な財源の確保について、今後の取組姿勢について知事に伺います。 先ほどの十八道県知事の要請について述べましたが、これは政府の姿勢に対して全国的な世論をつくり改善させていくという必要があった中で重要な動きであったと考えております。知事が加わらなかったのはどういう理由だったのでしょうか。このように、感染拡大防止と検査の最前線にいる地方自治体が、今の現状や何が現場で問題になっているかを県民や社会全体に明らかにしていくということは、国の財政支援を加速化させるだけでなく、デマや誹謗中傷が飛び交う混乱状態の中で非常に有効であると感じております。 国への意見提出、そして必要な財源を県としてどう確保していくのか、知事のお考えをお聞きします。 二点目です。必要な財源の確保については、もう少し細かく総務部長に伺います。 県内の景況調査ではリーマンショックに次ぐ水準となっており、税収への深刻な影響が出るのではと思っております。しかし、今年度の当初予算では、税収は昨年度より増加するという見立てがされておりますが、一体幾らの税収が見込めるのか、早急に把握し見直しをすべきと思います。 また同時に、既決の予算の再度の見直し、そしてコロナ対策にも使うことができるようになった県有施設再整備・コロナ基金が今積み立てられておりますが、この基金はどれほど利用することが可能なのか、今後に備え具体的に検討すべきです。お考えをお聞きいたします。 続いて、PCRの検査体制についてです。 感染症と共存しながら経済を回し、人が動くのであれば、積極的な検査が可能な体制が必要不可欠です。さきに述べた十八道県知事の要請にもありました戦略的な積極検査に向けて体制をつくっていく必要があると考えます。特に、この要請では福祉分野や医療分野が強調されております。 また、先ほども答弁がありましたが、今議会には観光施策が多く盛り込まれております。しかし、クーポン券でPRしても、来訪者や従業員の感染が判明すると、どれだけ感染対策を徹底していても一気に客足が遠のいてしまうということは、既に私たちは第一波で経験をしております。本来、原因はウイルスであり、感染してしまった方も施設も責めを負うものではありません。感染症との共存が成功するかどうかの鍵は、安心して人が訪れることのできる県であり、同時に飲食店や宿泊施設の従業員も広く検査を受けられ、安心感を持って働くことのできること、これが求められていると思います。 このように、各産業分野において経済を回していくのであれば、広くPCR検査が実施されることが大前提です。 一点目として、PCR検査体制の強化について質問です。安心した日常生活、経済活動を行う上で、幅広く検査を実施していくことは重要と考えますが、検査に当たっての県の基本的な考え方、これを知事にお聞きします。 さらに、健康福祉部次長には、感染警戒QRシステムなどの運用についても伺います。これは、施設やイベント会場において携帯でQRコードを読み取り登録することで、後日その会場に感染者が発生した場合に各個人に通知がされるという県独自のシステムです。また、岐阜市など各自治体でも同様のシステムがありますし、国の感染者接触確認アプリも運用が始まっておりますが、これらのツールから通知を受けた場合は検査対象になるのかどうか、この辺りは明確になっておりません。通知を受け取った方への積極的な検査実施など、PCR検査の拡大に向けた運用についてお聞きします。 次に二点目です。岐阜県保険医協会のアンケート結果を踏まえた課題の把握について健康福祉部次長にお聞きします。 これまでPCR検査までの流れは、保健所に設置された帰国者・接触者相談センターが、本人またはかかりつけ医からの相談を受け付け、保健所を通じて検査機関に橋渡しをされ、検査が実施されるというものでした。 このように、当初から新型コロナ対策の要になっていた保健所ですが、岐阜県においても一九九〇年代に保健所数が十一か所あったのが減らされ続けてきました。政府諮問委員会の尾身茂会長も、保健所が大規模な検査をすることを大前提にした仕組みになっておらず、人員もこれまで削減されてきた。しっかり議論をすべきだと参考人質疑で述べられております。 これは岐阜県のみならず、全国的な問題でありました。こうした厳しい状況下での新型ウイルスへの対応は様々な御苦労があったのではと思っております。人員を増やし対応されてきましたが、やはりこれを契機に体制を抜本的に見直すべきだと思います。そして、削減前と比べ少ない人員の中、連続して起きたクラスターへの対応など、きめ細かく対応されたことに感謝と敬意を表します。 しかし、岐阜県保険医協会の調査では、回答した医師の七割が医学的見地から検査が必要と判断したのに検査してもらえなかったと回答されていることは、今後に生かすためにしっかりと考える必要があります。三月の時点で、岐阜県は国の基準よりも幅広く検査を実施し、少なくとも医師が必要と判断した場合は検査を行っているという説明がされておりましたが、全く違う実態がこのアンケートでは報告されていることに驚いております。 保険医協会の皆さんは、今後に生かしてほしいとの思いで公表されたとのことです。次長に伺いますが、一体何が課題なのか検証し、体制全体を改善していく必要があると思いますがいかがでしょうか。 また、ぜひ実情を医療関係者から聞き取ってほしいと感じますが、その点についてもお考えをお聞きします。 三点目です。診療所への支援とPCR検査センター、地域外来・検査センターのことですが、この円滑な運営について、これも健康福祉部次長にお聞きします。 検査数を拡大するために、新たにPCR検査機能センターを地域の医師会に委託するPCR検査センターが現在県内七か所に設置され、重要な役割を担っていただけると期待しております。 しかし、この運営は地域によって異なっているようです。一定の指針が必要ではないかと感じております。また、このPCR検査センターにかかるには診療所での診察が必要ですが、そもそも診療所では発熱した場合、診察が受けられないという事案が出ていることも見逃せません。その理由は、診療所のスペースや資材不足のため受入体制が十分でないこと、また医療従事者自身は一律には検査対象にならないなどの不安も尽きません。体制が十分でない中診察をし、検査で陽性だったとき、二週間診療所の診察を休むというリスクも大きいようです。大変気になるのは、さきに御紹介した保険医協会の調査では、県内多くの診療所で受診控えにより大幅減収となっていることです。 そこでお聞きします。 PCR検査センターで検査を受ける入り口はこうした地域診療所が担っており、検査体制の中では重要な入り口部分です。発熱患者の受入体制がどうなっているか、また減収の実態把握とそれに対する支援を検討すべきではないかと考えます。 また、検査センターの一日当たりのキャパシティーはそれぞれ二十件とのことですが、四月のピーク時には岐阜市だけで一日百件近くの検査を行っておられます。第二波やインフルエンザの流行期に備え、検査数をさらに拡大する必要があると思いますが、どれほどの検査数を確保していく必要があると考えていらっしゃるか、その点についても伺います。 以上、PCR検査については知事と健康福祉部次長に伺います。 三点目です。雇用を守る取り組みについてです。 厚労省が発表した雇用調整見込みでは、岐阜県は昨日の質問にもありましたが、六月二十六日時点で四百九十一人と出ております。今後、失業者が一気に増加するおそれが出ています。 また、見過ごせないのは、休業や解雇で住宅を失うおそれのある方に原則三か月間支給される住居確保給付金の岐阜県全体の利用実績です。昨年は一年間で三十九件でしたが、今年度は四月、五月の二か月で既に二百六十八件と爆発的に急増しています。明らかに休業による収入減や解雇が原因です。 こうした数字からも、夏から秋にかけて生活困窮者が県内で急増するおそれがあり、雇用対策は待ったなしの状況です。リーマンショックの教訓から学び、様々な企業支援策が補正予算に盛り込まれておりますが、これらが直接労働者の収入や生活の安定に資する制度設計になっているか、ここも重要ではないかと考えます。 そこで質問いたします。 一点目です。県内の雇用を維持するための県の取組姿勢について知事に伺います。 減らされるシフト数を見ながら、いつ仕事を失うか不安な日々を送っているのは、多くが不安定雇用の方々です。しかし、今回の事態は感染症が原因であり、企業の経営努力や労働者個人の問題ではありません。厚生労働大臣は、国内の経済団体に対して雇用の継続、解雇や雇い止めを避けること。また、万が一、雇い止めの場合でも就業先の確保や社員寮など住居の確保など、細かく要請を行ってみえます。 失業につながる雇用調整見込みの数を受けて、知事としてどう取り組むお考えでしょうか。 ぜひ、雇用を守るために県としてできることを全てやる姿勢を示していただき、失業ゼロ施策というのを思い切って立ち上げていただきたいと。一人も路頭に迷わせないために、企業が労働者にセーフティーネットをしっかり知らせることも要請する必要があります。知事のお考えをお聞きします。 二点目です。県内企業の雇用状況の実態把握について、こちらは商工労働部長に質問をいたします。 今後の経済動向や雇用情勢が見通せない状況において、早めに実態を把握して、効果的な対策を実施することが今は重要だと思います。今のうちに傾向や実態をつかんでおかないと、次の一手が打てません。特に、不安定雇用や生活保護基準ぎりぎりのところで働いている方の雇用を維持することは、これらの方が生活困窮に陥ってしまうかどうか、ここを防ぐ上でも非常に重要です。これらの方の支援につなげる上でも、県内の雇用状況の把握は必要不可欠です。各企業が、今後どうやって従業員の雇用を維持していくのか、県内企業へ従業員の雇用についてどう考えているか聞き取りを行うなど、県内の雇用状況の実態把握をしていただきたい。その必要性についてお聞きします。 三点目です。雇用を維持する企業、そして就業者への支援について、こちらも商工労働部長に伺います。 リーマンショック時の教訓として、雇用対策というのが最も重要ではなかったのかと私は考えております。当時、主に就職氷河期世代の不安定雇用の方々が厳しい状況に立たされましたが、今回、真っ先にターゲットになるのはこうした氷河期世代と、そしてこれから社会に出る若い世代です。県がさきの補正予算で創設した解雇された方を新たに正規雇用するという企業に対して給付金を支給するという事業は好評で、安定雇用を生み出すためにもとてもよい取り組みだと私は思っております。 一方で、仕事は減っても解雇せずに休業などで雇用をつなぐ企業に対して、国の持続化給付金の給付は難航しており、支給の遅れによりその前に解雇せざるを得なかったケースもあると聞きます。 また、一人当たりの労働時間を減らすワークシェアに取り組む企業へは補填はないとのことです。 解雇や失業による生活不安や自己肯定感の損失は深刻であり、社会にとっても、本人にとっても、社会復帰までには余分なコストがかかります。これは当事者はもとより、これまで就労支援を行っている支援者の中でも痛感されていると思います。 全国の地方自治体では、一つも倒産や失業を生み出さない決意で取り組んでいる自治体もあります。ぜひ、解雇された方の救済とともに、解雇を生み出さない取り組みにも強化していただきたいと思います。 そこで伺います。 失業者を出さないために離職者を新たに雇用した企業だけでなく、雇用を継続させたいと頑張る企業や就業者へも支援ができないでしょうか。商工労働部長に伺います。 最後に、学校再開後の学校運営の在り方について伺います。 昨年の今日、七月三日、岐阜市で一人の中学生がマンションから飛び降り、尊い命が失われました。改めて御冥福をお祈りするとともに、この一年間、学校関係者、子供や保護者だけでなく、岐阜市や地域など様々な場で学校の在り方と教員の多忙化をどう解消するかが問われ続けた一年でもありました。 いじめの事案にとどまらず、子供たちの気持ちを受け止める余裕のある教育環境というのは、新型コロナの影響下でさらに重要性を増しております。 かつてない三か月もの休校というは、子供たちにも保護者にも計り知れない影響を与えることになりました。私は今、二つの面で配慮すべきと考えております。 まず小学校、中学校では、プリントによる自宅学習やオンライン学習も限界があり、家庭のサポート力にも差がありました。三か月間の長期にわたる休校は、学力の格差をさらに広げております。 もう一つの面は、子供たちの心に不安とストレスがため込まれてしまっているということです。 国立成育医療研究センターのアンケートでは、コロナのことを考えると嫌だ、最近集中できない、眠れない、いらいらしてしまう、自分を傷つけてしまう、死にたいといった回答が続きます。こうした子供の実態をしっかり受け止める手厚い教育こそ今求められております。 そこで二点、教育長に質問いたします。 一点目です。学校再開後の児童・生徒に対する対応方針についてです。 土曜授業や夏休みの短縮、七限授業、学校行事の中止や大幅な削減、これらを行って、この長期の休みの遅れを取り戻すというのが今の方針です。そのため、夏休みは県内多くの市町村で十六日程度になりました。さらに、多治見市など東濃を中心に、短いところは九日間の夏休みとなっております。 しかし、大人たちの過度の焦りは、逆に新たなストレスをもたらし、結果として成長をゆがめ、学力格差をさらに広げることになりかねません。直接子供たちに向き合っている学校現場の積極的な取り組みや創意工夫を、教育委員会としてしっかり保障するということが重要だと思います。これまでの遅れを取り戻すために過度に詰め込むのではなく、今から新たにスタートするという気持ちで、子供の実態から出発した柔軟な対応が必要と考えますが、教育長のお考えを伺います。 二点目は、少人数学級の拡充です。 これは以前も議会で要望してきたことですが、二つの面において今重要だと考えております。 まず感染防止の観点です。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、新しい生活様式として身体的距離の確保を呼びかけています。人との間隔はできるだけ二メートル空ける、最低でも一メートルは離れましょうというのが基本です。 しかし、四十人学級ではそれが不可能です。教室では、机を縦横一列でなく前後にずらして、少しでも間隔を空ける。また、配膳台、先生の机、ロッカー、教材は全部廊下に出すなど様々な工夫をされていますが、それでも物理的にはもう限界です。実際に見てきましたが、四十人学級の場合、机と机の間は前後左右五十センチほど。前後は子供が座りますのでほぼ隙間はありません。雨が降れば休み時間は全員、狭い教室の中で休憩しますが、余白がほとんどないというのが実情です。 さらにもう一つの面は、さきにお話ししたように、心理的負担を多く受けている子供たちに手厚い教育が必要だということ。この間のコロナ対策を通じ、新たな経験が学校現場で生まれているということです。四十人学級である岐阜市立長森南小学校にお邪魔をいたしましたが、分散登校が当初行われましたのでその期間は実質二十人学級になり、改めてしっかり子供と向き合えること、温かく丁寧な教育ができることが実感できたと語ってくださいました。子供の様子が落ち着いていたり、学校をお休みする子供が少ないなど学校現場で実際に子供たちに接している立場で変化を感じ、いかに少人数学級がよいか実感できたそうです。 今議会には、小六と中三の少人数学級を進めるための教員加配が行われることになり、大変よい取り組みだと思っております。しかし、今回加配が行われるのは学級数が二十五以上の学校のみであり、そうなりますと、例えば六学年全て四クラスであっても、また六年生のクラスが全て四十人学級であっても対象にはならず、過密状態は多く残っております。ぜひ、さらに少人数学級を進めてほしいと考えております。 そこで伺います。 今回の補正予算では対象外となった学校への対応を含め、順次少人数学級を進めていくという考えについて、教育長に改めて質問いたします。 以上、大きく四項目よろしくお願いします。 ○議長(森正弘君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 三点御質問ございました。 まず、コロナウイルスについて県の抱える課題を踏まえた国への意見提出と必要な財源の確保ということでございます。 まず、議員の御指摘がありました十八道県知事の提言についてでありますけれども、これは五月十二日に開催されました全国知事会第八回新型コロナウイルス緊急対策本部の中で有志知事配付資料ということで広島県知事から御紹介がありました。そして、本県にも参加の意思についてお尋ねがありました。 その際、私から申し上げましたのは、内容的には賛成するけれども、せっかくの先をにらんだしっかりとした提言であるので、全国知事会として真正面から取り上げて議論をし、全国知事会としてまとめていただいたらいいんではないかというふうに申し上げた次第であります。 これは、全国知事会を開催している最中にわざわざ有志提言を発出するよりは、全国知事会の総意として組織的に提言することのほうがはるかに有効であり望ましいという考えから、あえて申し上げた次第であります。 私のほかにも、さらに端的に次のような発言をした知事もおられました。「個性的な知事さんが一つのことで勉強しようとすることで、任意に勉強会をやるのは大いに結構なことだが、有志の会でいきなりぽんと知事会に持ってこられると、これは混乱する可能性があるんじゃないか」と、「特に役員の方が会に入っているとコンプライアンスの問題に発展してしまうので、その辺についての取扱いはぜひ慎重にお願いしたい」と、こういう発言もございました。そして、最終的に名を連ねた知事は十八人であったと、こういうことでございます。 さて、御指摘にありましたとおり、新型コロナ感染症対策として様々な課題をしっかりと把握をし、適時適切に国に対して意見を述べていく。そして、必要な財源を確保するということは極めて重要であり、これまでもそのように努めてきているつもりでございます。 そうした例として、例えば今回の補正の財源確保の関連で申し上げますと、全国知事会は五月に地方創生臨時交付金の飛躍的増額に向けた緊急提言というものを発出しております。その際には、単に増額を主張するだけではなく、緊急に必要な交付金の使途を具体的に明らかにすべきではないかということで、当県からの四十七項目にわたる提案を含めて列挙をいたしました。その結果として、国の第二次補正予算における交付金の二兆円増額に至ったということでございます。 さらに、今後の来るべき第二波、第三波への対応に必要な財源としては、これまでも申し上げてきておりますが、一つは国予算における予備費十一・五兆円ございます。今後、その早期かつ積極的な活用を求めて、同様に具体的提言をしていかなければならないというふうに考えているところであります。 次に、PCR検査に対する基本的な考え方ということでございますが、本県では、これまで新型コロナウイルス感染者の早期発見と感染拡大防止と、この両面から国の基準に厳格にとらわれることなく、柔軟かつ積極的にPCR検査を実施する方針を明らかにしてまいりました。特に、濃厚接触者に対するPCR検査は、五月二十九日に国が基準を改定する前から、症状の有無にかかわらず実施してきております。これによって三月下旬から四月にかけてのクラスター事案では、複数の無症状病原体保有者を確認し、感染拡大を早期に終息させることができたわけであります。こうした取り組みについては、県の専門家会議でも御評価を頂いております。 これまでの検査体制の強化を振り返ってみますと、県及び市が行う行政検査につきましては、当初一日四十件ということでございました。機器の購入、人員の増強といったことで検査能力の増強を行いまして、一日百二十件まで増やしてまいりました。今後、さらに検査時間の短い試薬の導入により、一日百六十件まで強化してまいります。また、県としてのクラスター対策合同本部、これは初めての試みでありますが、これを設置して後は、県・市いずれかの検査数が過大となった場合には、調整の上、お互いの検査を補い合うということで、効果的、効率的に検査を実施する体制ができてきております。 また、病院内で検査を実施していただくための設備整備の支援を行ってまいりました。現在、九病院で検査が可能となっておりますが、今後さらに加えて八病院でも院内検査体制を整備してまいります。 さらには、地域でPCR検査を必要とする患者に適切に検査を実施する体制を整えるという観点から、地域医師会等が運営する地域外来・検査センターの設置を進めてきております。東濃圏域でのセンター運用開始を皮切りに、現在、県内五圏域で七つのセンターを運用していただいておるということでございます。 こうした取り組みによりまして、一日の検査能力を六百件を超えるところまで拡大するめどが立ったところでございます。これまでの一日の最大検査実績、岐阜県としては百六十一件でございました。こうしたことも勘案しながら、感染の拡大期においても十分な検査を実施できる体制の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。 次に、県内の雇用問題、これへの県の取り組みということでございます。 四月に有効求人倍率が一・五一倍、対前月比マイナス〇・一三ポイントでございましたが、これは平成以降二番目に大きい落ち込みでございました。さらにそこから五月もマイナス〇・一一ポイントの一・四〇倍ということで急激に落ち込んできているわけであります。 また、御指摘もされましたが、岐阜労働局が把握している解雇等の見込みの労働者数は、六月二十六日時点で四百九十一名と、五月末に比べますと百十五名増加をしております。 事業者の方々ともいろいろヒアリングをやっておりますが、そうした声の中でも多くは新規の求人は抑えつつも、雇用調整助成金やつなぎ融資、休業、ワークシェアといった工夫を重ねて、現在の雇用を何とか維持しているという状況だというふうに聞いておりますが、さらに雇用を守っていくためには、何といっても早期の経済回復が望まれるわけであります。 このため、今回の六月補正予算では経済再生対策ということで、業態転換に取り組む小規模事業への応援補助金の大幅な増加、これは二十五倍増額いたしました。県産品フェアや商店街のにぎわい回復への支援などによる販売促進や消費喚起、県内宿泊クーポン券の発行などによる観光の再スタートを強力に後押しするといったようなことを進めてきております。 一方、当面の雇用を守っていただくために市町村と連携した雇用調整助成金の上乗せ助成、助成金の速やかな申請をサポートするための社会保険労務士による休日の個別相談会の開催に加えて、支給までの間のつなぎ資金としても活用していただける実質無利子・無担保の新型コロナウイルス感染症対応資金の融資限度額あるいは融資枠を大幅に増額してきております。融資枠で申し上げますと、二百八十億から二千三百億に拡大をしておるわけであります。 離職者に対しましても、総合人材チャレンジセンターの相談員増員によりまして、就労相談体制を強化したことに加えまして、離職者を正社員として雇用した事業主への六十万円の給付金、これは先ほど大変いい制度だといって御評価いただきましたが、これも今回の予算で四倍に拡充をいたしました。今回のそういったことで、県の五次補正予算でありますが、私どもとしては現時点で可能な限りの施策を盛り込んでいるというつもりでございます。 今後、さらにスピード感を持ってこれらの施策を進めるとともに、引き続き経済や雇用状況について丁寧に把握をし、必要な対策についてはちゅうちょなく追加実施をしてまいりたいというふうに思っております。 こうした中で、例えば国でも検討が始まっておりますが、人手に余剰がある企業と不足している企業とのマッチングによって、一時的な労働者の出向といったことを促して、雇用の継続を図る仕組み、いわゆる企業間でのワークシェアを支援すると、その際の給与の差額も補填をするということでありますが、そういった対策も有効ではないかと、本県としてもやってみる価値があるのではないかということを考えております。こうしたことも含めて、さらなる雇用対策の強化について、引き続き検討していきたいと思っております。 また、労働者の方々への新たなセーフティーネットとしては、先般の国の二次補正予算で休業期間中の賃金の支払いを受けることができなかった方が、直接、自ら国に申請し、休業支援金を受けるという制度が創設されております。 また、本県でも、収入減があった世帯を対象とした緊急小口資金貸付、あるいは住居を失うおそれが生じている方への住居確保給付金の大幅な拡充など、セーフティーネットの強化も図っております。 そうして、こうした国や県、さらには市町村でもいろいろとやっておられますが、そうしたセーフティーネット制度を盛り込んだガイドブックを早急に取りまとめ、労働者団体などを通じて周知をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。 あわせて、企業に対しましても、商工会議所、商工会、経営者協会などの経済団体を通じて、あるいは直接事業者のトップの方々に改めて雇用の維持をしっかりと要請するとともに、雇用している従業員に対するセーフティーネット制度の周知といったことについても要請してまいりたいというふうに考えております。 ○議長(森正弘君) 総務部長 横山 玄君。    〔総務部長 横山 玄君登壇〕 ◎総務部長(横山玄君) 今後必要となる財源の確保についてお答えを申し上げます。 まず県税収入につきましては、消費の減退、企業業績の悪化などに伴い、今後大幅な減収が想定されるものの、現時点ではその影響を精緻に見込むことは困難であり、引き続き税収の推移を注視してまいります。 次に、既定予算の見直しについては、既に五月補正予算において中止・延期したイベントや不急の事業等、総額約十六億円を減額しておりますが、今後も不要不急となった事業を見直し、財源を確保してまいります。 また、県有施設整備・新型コロナウイルス感染症対策基金は、現時点の残高は二百三十五億円となっております。このうち、来年度以降の新県庁舎の建設費の四分の一以上を拠出する必要があることから、基金の新型コロナウイルス対策への活用可能額は、最大百億円程度と考えております。 いずれにせよ、国には予備費の早期かつ積極的な使用を求めつつ、県としても必要な財源確保に努めてまいります。 ○議長(森正弘君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) PCR検査体制について三点御質問を頂きました。 まず、感染警戒QRシステム等の運用についてお答えします。 県の感染警戒QRシステムは、施設に掲示したQRコードを来訪者がスマートフォン等で読み取り、メールアドレスを登録いただくことで、施設利用者に患者が発生した場合、同じ日に施設を訪ねていた方に対し、注意喚起のメールを送信する仕組みです。一方、国の接触確認アプリは、スマートフォンにアプリをインストールすることにより、患者と半径一メートル、十五分以上接触した可能性のある利用者にアラートを発する仕組みです。 場所に着目した県のQRシステムと人に着目した国のアプリの双方の特徴を生かすことで、幅広く濃厚接触の可能性のある方を把握することが可能になると考えております。 県としましては、いずれのシステムについても、情報の通知を受けた方から保健所が御本人の行動歴やマスクの着用状況、体調等を丁寧に聞き取らせていただき、必要な方に対しては柔軟かつ積極的に検査を実施することで、感染拡大の防止につなげてまいります。 次に、岐阜県保険医協会のアンケート結果を踏まえた課題の把握についてお答えします。 県保険医協会が五月上旬に実施したアンケートは、無記名で実施されたとお聞きしており、具体的事例がどこの保健所で断られたものなのか、回答者に地理的な偏りがあるのか、また個々の意見がどの時点を指しているか等が分からず、現時点ではこれを基に課題を把握することは困難です。 一方、日本医師会が二月二十六日から三月十三日まで実施した不適切事例の調査においては、医師がPCR検査を必要と判断したにもかかわらず保健所が断るなどの理由により検査に結びつかなかった問題となるような事例は、当県からは報告されておりません。 新型コロナウイルス感染症は、これまでに経験のない新たな感染症であるため、特に初期の段階では現場で混乱もあったと思われますので、今後に生かすためにも関係者から御意見を伺いたいと考えております。また、県では当初から、医師が必要と判断した事例については、柔軟かつ積極的に検査を実施しておりますが、引き続き現場での適切な取扱いについて徹底をしてまいります。 最後に、診療所への支援と地域外来・検査センターの円滑な運営についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症による診療所の経営への影響については、日本医師会が実施した経営状況アンケートなどから保険診療収入が減少していることを把握しております。また、県の専門家会議でも、診療所の経営状況が厳しいとの御意見を伺っております。 そのため今回の補正予算では、診療所への支援として、院内での感染拡大を防止し、地域に必要な医療を提供いただくために診療所が行う感染拡大防止対策に係る経費を支援するほか、感染リスクに立ち向かい、強い使命感を持って業務に従事される診療所の医療従事者や職員への慰労金の給付も実施をいたします。 また、地域外来・検査センターの検査能力については、今後の感染拡大に備え、検査件数を増強できる体制を整えるよう、運営主体である地域医師会等に働きかけるとともに、県としては必要な支援に努めてまいります。 なお、県全体の一日の検査能力については、専門家会議での御意見を頂いた上で、第二波に備えて計六百件を超えるところまで拡大することとしております。 ○議長(森正弘君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 二点質問いただきました。 まず、県内企業の雇用状況の実態把握についてお答えします。 県内事業者に対しては、これまで毎月、経済情勢のヒアリングを実施しておりますが、新型コロナによる経済への影響が危惧された三月からは、随時、業界団体へのヒアリングや意見交換を行うとともに、六月下旬には特に雇用状況を中心に調査を実施しております。 今後も経済への影響が長引くなど、雇用問題が顕著化すると見込まれるため、経済対策を速やかに進めるとともに、刻々の雇用状況の推移を丁寧に把握していく必要があります。 このため、引き続き事業者等へのヒアリング調査をさらに対象を拡大して実施するとともに、新型コロナの影響による雇用の実態についてのアンケート調査を実施してまいります。 あわせて、国に対しては、雇用調整助成金の申請や解雇等が見込まれる労働者数についての県内の業種別状況など、国が把握する詳細情報の提供も求めてまいりたいと考えております。 次に、雇用を維持する企業や就業者への支援についてお答えします。 雇用の維持に向けては、国の雇用調整助成金が有効な制度であり、六月二十六日時点で県内約二千六百件の支給が行われております。 県としても社会保険労務士による助成金の申請サポートや、支給までのつなぎ資金として活用できる実質無利子・無担保の融資制度を創設するとともに、本県独自の市町村と連携した上乗せ助成制度についても全ての市町村で実施することとなりました。 今回、国において申請手続の簡素化とともに、日額上限額が大幅に引き上げられ、また時間短縮などのワークシェアの場合も対象となることから、これらをしっかり周知し、引き続きより多くの事業者に活用いただけるよう促してまいります。 今後は、一時的な企業間でのワークシェアを支援する制度なども含め、さらなる雇用維持に向けた対策の検討を進めてまいります。 あわせて、国の新たな労働者が直接、休業支援金を申請できる制度について、国に対して制度の周知や速やかな支給を求め、労働者のセーフティーネットの確保に努めてまいります。 ○議長(森正弘君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 学校再開後の学校運営の在り方について二点御質問がありました。 初めに、学校再開後の児童・生徒に対する対応方針についてお答えします。 県教育委員会では、授業が詰め込みにならず、例年と同様のペースで進められるよう夏休みの短縮等により授業時数を確保し、来年三月末までに終えることができる見通しを示しております。 また、小・中学校に対し、年間を見据えて無理なく指導できるよう、学校再開後の授業実践ガイドを作成・配付し、仲間とともに学ぶ協働学習の進め方や、知識等の定着を図る時間を確保するための指導計画例を示すなど、学校再開後の児童・生徒の人間関係づくりや、個々の学習状況に応じた授業を実践するよう働きかけております。 さらに、児童・生徒の心のケアを行うため、学校再開を控えた五月下旬には、担任が全ての児童・生徒と面談を実施したところですが、一層きめ細かなケアを行うために、学校に派遣する臨床心理士等の専門家を増員することとしております。 これらの取り組みに加え、教育事務所による学校訪問の機会には、指導計画の工夫や改善に向けた取り組みについて提案や助言を行うなど、児童・生徒の学校生活の充実が図られるよう支援してまいります。 次に、少人数学級の拡充についてお答えします。 学校再開後の感染予防と学習保障の両立を図るため、児童・生徒へのきめ細かな学習支援を行う学習指導員と、校内の消毒、清掃等を行うスクールサポートスタッフを全ての学校にそれぞれ一名から二名配置するとともに、最終学年における少人数指導の必要性が特に高い大規模な小・中学校に教員を追加配置してまいります。 これまで本県では、国の基準である小学校一年生に加え、小学校二・三年生及び中学校一年生についても三十五人学級とするとともに、小学校の算数、中学校の数学、英語について原則二十五人以下の少人数指導を実施してきました。今後、さらなる少人数学級の実施に向けては、教員の大幅な増加が必要となります。 御案内のとおり、毎年度の教員定数は国の法律、予算に基づいて配分されるものであり、国に対し、引き続き教員定数の改善等を求めてまいります。 ○議長(森正弘君) 十一番 中川裕子君。    〔十一番 中川裕子君登壇〕 ◆十一番(中川裕子君) ありがとうございました。 五点、再度伺います。 まず初めに、財源の確保について伺います。 知事に御答弁いただいたんですけれども、確かにこの間、知事会も要望され、そして二兆円増額したということで、これ自身は国民皆さん、本当に安心しましたし、助かった思いを持ってみえる事業者の皆さんも本当に多いんです。 ただ、そうは言っても、この交付金が出ても医療機関の赤字というのが非常に深刻で、もう焼け石に水だということや、検査体制というのはまだこれでも先進国に比べて圧倒的に少ないという、国の予算のまだまだ少ないという問題が根本にあると思うんです。 そこで伺いますけれども、知事は十一兆円の予備費がこれから焦点になるということなんですが、一方で夏から秋にかけて生活に困窮する方というのの増加するおそれが非常に高い。三か月間限定の住居確保の給付金を受けている方が非常に今増えているというところから見ても、すぐに手を打つ必要があると思います。 先ほど総務部長は、県有施設整備基金と新型コロナ対策基金について百億円の活用が可能だというふうにおっしゃいましたけれども、国の予備費を待つことなく、まずはこうした基金を取り崩してコロナ対策の財源として使っていくべきでないかというふうに思います。 今回の交付金も、これまで県が取り崩した基金に戻すことも可能でしたわけですので、国の補正予算を待たずに対応してもらいたい、そのお考えについて伺います。 続いて検査体制について、岐阜県保険医協会の調査について、健康福祉部次長にお答えいただきました。 医師会の調査ではゼロと出ているというふうにおっしゃったんですが、これ全国的な傾向なんです。医師会の調査ではゼロであっても、保険医協会の調査ではたくさんの方が断られたという経験が出ているんです。なぜかといいますと、一つ実際にアンケートに答えた方がおっしゃいましたが、医師会さんのほうの調査というのは、会報にまず調査のお知らせが掲載され、それを見てホームページを検索してパスワードを入力するなど本当に様々な手順を踏まないと回答ができない。一方で、保険医協会のアンケートというのは、直接ファクスを送って、直接ファクスが返ってくるという大変シンプルな仕組みなんです。 詳しくは私も把握しておりませんが、少なくとも調査方法も、そして回答手順も全く異なる二つの調査を引き合いに出してお答えになるというのは、私は合理性に欠けるのではないかと、そのように思います。まして、無記名や時点が分からない、地域が分からないといった一方の調査の信憑性に言及するような発言というのも不適切な評価ではないかと思うんです。無記名であったり、いつの時点か分からない、地域が分からないということですが、これ明らかにしますと結局、一生懸命対応に当たっていた現場の職員を責めることにもなるんです。そういった考えではなく、まずはこのアンケートをされた方々に実態をしっかりと丁寧に聞き取って、課題が何で、それが今は解消されたのかどうか、ここを検証していただきたいと思います。そのお考えについて伺います。 次に、知事に雇用を守る取り組みについて伺いました。 先ほどの発言で、早期の経済回復が望まれる、そのために様々な経済対策をされたということなんですが、私は格差がこれほど広がっている中で、経済の回復というのを望むなら、まずは不安定雇用であったり、労働者の方々一人一人の生活が安定することというのがまず真っ先に重要ではないかと考え、雇用の維持というのが大きな鍵になるんじゃないかというふうに思っております。 これからも丁寧に把握し、必要なことをやっていきたいということでしたので、雇用問題、雇用維持をテーマにした会議というのをぜひ持っていただきたい。これは、経済を回復する上でも、そして県民の暮らしを守る上でも重要な鍵になってくると思いますので、お考えをお聞かせください。 二点目として、雇用の維持をされている企業への支援について、商工労働部長にお答えいただきました。 この間、知事会でも手続の簡素化であったり、上限の引上げ、これは国民も含めてたくさんの方が声を上げ、様々なことが実現しております。加えて、県では早い段階で上乗せの助成制度をつくって市町村に呼びかける。休日の相談会などをやって、雇用調整助成金をもっと充実させるために頑張ってこられたと、これは私も認識しております。大事なのは、この助成を受けられる可能性がある企業というのを一つも取り残さず助成が受けられるようサポートするのが、今重要だと思います。 先ほど質問で申し上げましたが、幕別町という北海道の町では、独自の支援制度について一件も倒産、失業者を出さない決意で、全ての事業者に漏れなく申請ができるよう連絡をして手だてを取っているということなんです。 今回の事態というのは、一人も失業者を出さない、そして倒産を許さないという、この一点が私はとても重要だと思います。雇用調整助成金の特徴は、対象が変わったり、手続が簡素化されたり等いろいろと変わり、トラブルや変更も相次いでおります。最初の時点で、助成が受けられないと諦めた事業所も受けられる可能性が出てきたと。丁寧なサポートをする必要があると思いますが、その考えについて伺います。 最後に、教育長に少人数学級についてお答えを頂きました。 消毒とか清掃、それからサポートというのに支援員の方やサポートスタッフの方、つけていただいたんですけれども、そうは言っても過密状態というのはそのままなんです。 大規模なところにだけ今回加配を頂いて少人数学級が進められますが、これはいいことなんですが、学校運営の立場からの観点ではないかと。子供にとったら大規模であろうが、小さい学校であろうが、四十人学級というのは過密状態であって、国が言っている一メートルの身体的距離を取ることもできない。感染症から子供を守るという観点でも、順次進めていく必要がある。 これは国の支援を待たずに県独自でやっていただきたいと思います。この点についてはいかがお考えでしょうか。以上です。 ○議長(森正弘君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 私には二点御質問があったというふうに理解しておりますが、一つは予算の話でありますが、国の予備費を待つことなくという話でありましたけれども、私も予備費を待っているわけではなしに、なかなか出てこないもんですから急がせなきゃいけないということを申し上げておるわけであります。 例えば国の第一次補正で、企業に対して持続化給付金ということで二百万ないし百万、規模に応じてですけどありますが、これも例の手続の点で止まっております。それからGoToキャンペーン一・六兆円、これも止まっております。まだ今、制度設計の途中ですね、これも第一次補正予算ですよ。それから第二次補正で家賃が入りました。この家賃もどのようにどう配られるか、まだ全くめどが立っておりません。 つまり、兆のオーダーで、ずらりとお金が並んでおりますけれども、私どもとしては待つというのではなしに、とにかく予算というのは使ってこそだということでありますから、そのためにも積極的にどういうふうに使えばいいのかと、どういう制度設計がいいのかということをこちらからどんどん言っていかないとお金が流れないということであります。 一方で、岐阜県の場合に五十万円の協力金を出しましたが、おそらく全国でトップで一番最初に配り終えております。それから十万円の給付金も非常に速いスピードで、市町村に努力していただいて配っておりますが、私自身はまさにスピード感といいますか、予算というのは単に予算編成をして並べておくだけではなしに、どう使うかということが大事なので、特にこういった今回のような緊急対策のところでは大事ではないかというふうに思っております。 その上で、基金を取り崩せ、取り崩せという話がございましたが、私どもとしては今回の一千百億という規模の予算で当面必要なところ、第二波に備えて、それから経済の再生、あるいは日常への回帰ということについて、必要なものはしっかりと用意をして、しかも使おうということで言っておるわけでありますから、万が一不足があれば、万が一危急の事態が起これば、当然次の手はちゅうちょなく打っていくわけでありますが、まずは今回の私どもがお出しをした、岐阜県としてはかつてない規模のこの予算を早く通していただいて、早く使わせていただくと。そして、その効果を見て、必要があればさらに考えていくと。 ただ、財源も無限にあるわけではありませんので、注意深く、いろんな事態を想定しながら、丁寧に丁寧に使っていくというか、考えていくということが大事かなというふうには思っております。 それから、雇用については先ほども答弁申し上げましたが、雇用の維持でありますとか、それから離職者への対応でありますとか、これはまた現時点で考えることは一生懸命やらせていただいておるつもりでありますので、ただ絶えず実態の変化を見ながら、それから絶えず現場の御要望とか御提案を受けながらということで、御指摘の何らかの会議をという話については、既に経済再生会議というところで雇用も含めて議論をさせていただいておりますので、また必要なタイミングでこの経済再生会議を回しながらその辺の議論もさらに深めていきたいというふうに思っております。 ○議長(森正弘君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 岐阜県保険医協会の実施した調査について御質問を頂きました。 先ほどお答えさせていただきましたとおり、新型コロナウイルス感染症はこれまでに経験のない新たな感染症であったため、特に初期の段階では現場に混乱もあったものと考えております。しかし、その中でも保健所に七割が断られたとの数字については、県も、また県の保健所関係者も驚きを持って受け止めたところでございます。 今後に生かすためにも、関係者から御意見を伺うことが重要でございますので、調査を実施された県保険医協会からも近日中にお話を直接伺って今後に生かしていきたいというふうに考えております。 また、感染状況は日々刻々と変化をしていきますので、一度状況を把握して終わりということにはまいりません。コロナウイルスに関連する県の専門家会議には、感染症の専門家に加えまして県医師会や県病院協会の代表にも御参加を頂いているところであります。引き続きこうした関係者から、継続的に県内の検査実施状況についての状況も聞きながら、今後の対応に生かしてまいりたいと、このように考えてございます。 ○議長(森正弘君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) ちょっと一点答弁漏れがありましたので。 御質問で、医療機関が大変であると、経営も含めて大変であるというお話がございました。 今回の予算などを御覧いただきますと分かりますように、感染症防止対策及び診療体制確保ということで、できるだけの手当てを私どもも考えたつもりでありますし、この過程で多くの医療機関の関係者の方々から御意見を伺って、御理解いただいたというふうに思っておりますが、例えばこの感染症防止対策プラス診療体制確保ということで、全ての医療機関、薬局に対して四十億円、それから救急・周産期・小児科については二十八・七億円ということで、その病院のスケール、病床数に応じてお配りしておりますし、それから慰労金ということで五五・七億、それから特殊勤務手当・代替職員費用ということで一・二億、それから宿泊支援が六千万ですか、それからコロナの患者の受入れ協力金ということで六億四千万ということで、いろんなこのコロナ対策の切り口に即応して丁寧に支援策をしていくということで、トータルとしてそれらの病院がそれなりのものを受け取っていただいて、それがコロナ対策にももちろん寄与しますし、診療体制確保といいますか、そういうことにも寄与するようにということで、いろいろ御相談をしながら組み立ててきたわけでありまして、そこのところは御理解いただきたいと思いますし、さらにまた問題があれば、当然御意見を伺いながら、また組み立てていくということになろうかと思います。 ○議長(森正弘君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 雇用調整助成金の丁寧なサポートについてお尋ねがありました。 県内の中小企業の方々にとっては、雇用調整助成金の制度は申請が難しい、あるいは時間がかかるといったことで諦めている方もお見えになるかと思います。 これまで県が取り組んできました分かりやすい制度とか、休日相談について、分かりやすい資料をつくりまして、中小企業を管轄しております商工会議所や商工会の力を借りまして、できるだけ多くの企業に周知してまいりたいと考えております。 ○議長(森正弘君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 御質問のありました点についてでございますが、感染症対策自体につきましては、国の衛生管理マニュアルでは各地域の感染レベルに合わせた対応を取るということとされておりまして、岐阜県が該当するレベル一の地域では、一メートルを目安に学級内で最大限の間隔を取ることとされております。ただ、それはこのマニュアルのほうには、現場の状況に応じて柔軟に対応をしてくださいというふうに書かれております。国のマニュアルを踏まえまして、学級内で最大限の間隔を取るとともに、校内の消毒や換気、あるいは児童・生徒の健康管理等も適切に行うことで、各学校における感染防止のほうには努めてまいりたいと思っております。 いずれにしましても、少人数学級を進めることにつきましては、やはり教員の大幅な増加ということになります。教員定数や加配、国の法令ですとか予算に基づき決定されておりますので、国の検討状況を注視するとともに、教員数の増加、継続して要望をしてまいりたいというふうに考えております。 ○議長(森正弘君) 十一番 中川裕子君。    〔十一番 中川裕子君登壇〕 ◆十一番(中川裕子君) 一点、教育長、少人数学級ですけれども、先ほどから知事は様々な予算を入れて新しい生活様式、そして感染拡大防止のために力を尽くしておられるということなんですが、一方で、学校だけは今までのまま、新しい生活様式をなかなか取り入れられないというのは、どういったことなのかなあと思いました。 今議会には、コロナをはじめ感染症対策の条例が出ております。例えばこの条例だと、第四条の県の責務に、教育分野にも十分に配慮するということが書かれておりますし、そしてその三項では、感染症対策を県政の最重要課題として捉え位置づけて、予算も人員も重点的に配分し取り組むというふうにあるんです。 教員の定数、また予算、これについての決意が、私はこの条例から読み取ったんですけれども、条例を今提出して提案をしている一方で、今の教育長の考えというのは少し離れているんではないかなあと。例えば、順次引き上げていくような、そういう計画やロードマップを示すことはできないでしょうか。一点伺います。 ○議長(森正弘君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 県といたしましては、本当に国の補正予算を踏まえまして臨時交付金も活用しながら、まさに先ほど御説明いたしました大規模校への教員の加配ですとか、学習指導員の全校配置に必要な費用を計上していただいており、非常に手厚く教育分野について臨時交付金を使って支援をしていただいているんではないかと思っております。 ただ、やはり教員定数そのものに入ってまいりますと、国の法律予算に基づいて配分をされるものでございますので、少人数学級そのものの推進は国の責任において進められるべきものであるというふうに考えておりますので、国の検討状況を注視し、国への改善要望を継続して実施してまいりたいと考えております。…………………………………………………………………………………………… ○議長(森正弘君) しばらく休憩いたします。 △午後零時一分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(小原尚君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(小原尚君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。五番 小川祐輝君。    〔五番 小川祐輝君登壇〕(拍手) ◆五番(小川祐輝君) 皆さん、こんにちは。 議長から発言の許可を頂きましたので、今回はGIGAスクール構想を契機としたICT教育環境の整備について、四点御質問をさせていただきたいというふうに思います。 新型コロナウイルス感染症の影響で、学校が約三か月臨時休業となったりと、それに伴う市町村間の対応の違いや、また学校、家庭学習、そういったことで改めて教育というのはどういうものかというものを見直させていただきました。 また、GIGAスクール構想の前倒しによりICT環境が整うという中で、これからの教育というのは大きく変わっていくと思っております。また、変わらなければいけないというふうに思っておりますので、今日も気合いを入れて質問をさせていただきたいと思います。 まずは、GIGAスクール構想とは何かといったことを説明させていただきます。 主に次の二つのことを実現する構想であります。 一つ目はハード面の話で、児童・生徒向けの一人一台の端末の整備、そして速くたくさんのやり取りができる通信ネットワークを一緒になって整備をすることであります。 二つ目はソフト面の話で、様々な子供たちを取り残すことなく、個別最適化された創造性を育む教育を行うといったことでございます。 このハード面、ソフト面の整備を全国の学校現場で実現させるという構想が、GIGAスクール構想となります。このGIGAスクール構想の背景にあるのは、Society五・〇時代に求められる能力の変化や、世界における日本のICT教育の遅れが上げられると思います。 Society五・〇時代に求められる能力というのは、いわゆる二十一世紀型スキルと呼ばれるものです。二十一世紀型スキルというのは、今から約十年前に欧米を中心に今後のIT化やグローバル化がさらに進むことを前提に定義がされました。二十一世紀型スキルは、思考の方法、仕事の方法、仕事のツール、社会生活の四つの領域で十スキルに分かれており、例えば思考の方法であれば、クリティカルシンキング、問題の解決、意思決定のスキル。仕事の方法であれば、コミュニケーションやコラボレーション、チームワーク、そういったスキル。仕事のツールであれば、情報リテラシーであったり、ITリテラシー、そういったスキルがあります。この二十一世紀型スキルの中でも、特になぜ一人一台の端末を整備するかの理由の一つとして上げられるのは、当たり前のように生活の中でテクノロジーを使いこなすITリテラシーを身につけるためだというふうに考えております。 また、日本のICT教育の状況については、OECD経済協力開発機構が昨年十二月に発表した生徒の学習到達度調査によると、学校の授業におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国の中最下位という結果が出ており、日本のICT教育が世界水準から大きく遅れているということが分かります。 このようなICTの遅れの原因の一つに、ICT環境の整備が進められていないことが上げられています。加藤先生も紹介されましたが、平成三十年度の学校における教育の情報化の実態調査の結果によると、教育用コンピューター一台当たりの児童・生徒数は五・四人、タブレット活用に必要になる普通教室の無線LANの整備率は四一%ということで、毎年少しずつ良くはなっていますが、それでもまだまだICT環境の整備は進んでいないのが課題となっております。 こういった課題を克服し、児童・生徒がSociety五・〇時代に求められるITリテラシーを身につけるために、また遅れている日本のICT教育を世界水準にするために、国はGIGAスクール構想を進めてきたというのが現状となっております。 そんな中、コロナウイルス感染症の影響もあり、GIGAスクール構想は三年の前倒しが決定され、当初令和五年度を整備目標にしていた児童・生徒一人一台の端末の整備を今年度中に行うことというふうになりました。これは言い換えれば、あと三年以上あったはずの準備期間がなくなるということ、そして今年度中にICT環境のハード面の整備が完了するということは、今年度中にソフト面も含めた新たなICT教育体制を構築していかなければいけないということだと考えています。 このような課題について、本県としてどのように対応していくかを順次伺っていきたいと思います。 まず初めに、ICT環境の整備による教育体制の変化について二点質問させていただきます。 児童・生徒一人一台の端末や無線LAN等、ICT環境のハード面が整備されることにより、ソフト面として今までの教育体制から大きく変化することが二つあります。一つは、学習の個別最適化が進んでいくこと。もう一つは、教師の役割の重点が変化するということです。この二点の教育体制の変化について、県の方針を伺いたいと思います。 一点目は、学習の個別最適化に向けた取り組みについて伺います。 学習の最適化とは、アダプティブラーニングとも呼ばれますが、要するに学習者一人一人の学習頻度や習熟度に合わせて学習コンテンツや学習方法を提供するということです。 従来は、先生がクラス全員に同じ計算問題や漢字の練習を与え、得意な子もそうでない子も個々の習熟度に関係なく同じ内容の学習を行っておりました。この方法は、得意な子にとっては簡単過ぎる一方で、そうでない子にとっては苦手な部分を残したままどんどん先に進んでいってしまうといったことがあります。 ところが、タブレット等の端末を使ってアダプティブラーニングに対応した学習教材を使った場合、その子のレベルに合わせた学習が可能になります。例えば分数が苦手な子には分数を集中的に学ばせ、応用問題でつまずいたときは関連する基礎問題に戻って教材を提示するなど、学習者の履歴や正誤率などのデータを基に、最適な教材の提供が個別に可能になるのです。 実際に、クラッシーという学習支援クラウドサービスがあります。これは、生徒のテスト結果から苦手分野や理解度を測定し、その弱点を補う教材として練習問題や解説動画を提供することで、生徒に合った教育ができます。このような教育の個別最適化は、今年度中にICT環境が整備され、環境が整ったことから、岐阜県でも個別最適化に向けた教育体制の構築を進めていく必要があると考えています。 そこで、一点目の質問です。 個別最適化された教育の推進に向けて、今後どのように取り組むのか教育長にお伺いします。 次に、二点目の教師の役割の変化とそれに伴うスキルの習得について伺います。 ICT環境が整備され、テクノロジーが教育に入っていくことで、教師は、ICTを活用して指導していく力と、教師の役割の重点が変化することにより児童・生徒を導いていく力が必要になると考えています。ICTを活用して指導していく力については、平成三十年度学校における教育の情報化の実態調査によると、岐阜県の教師はICT活用指導力に係る様々な能力が都道府県の平均以上であることが分かります。また、平成三十年度中にICT活用指導力の向上のための研修を受講した教師の割合は八三・五%で、全国四位という結果が出ております。この結果を見ると大変すばらしいと感じますし、本県はICTを活用して指導していく研修に非常に力を入れていることが分かります。これからもぜひ続けていっていただきたいというふうに思います。 一方、児童・生徒を導く力についても非常に大切であると考えています。ICT環境が整備されることで、これまでの教育とテクノロジーのベストミックスを図っていかなければなりません。つまり、テクノロジーが得意とするところと、人が得意とするところをうまく組み合わせていくことが必要になってきます。 この教師とテクノロジーの役割のベストミックスを考えたとき、教師が現在担っている教えるということはテクノロジーが得意としている部分であることから、教師の役割は教えるということから導くということに重点が変化していくと考えられます。例えば教えるという点で、先ほどの学習の個別最適化の例を引用すると、先生の学習の進め方にちょうど合っている子はいいですが、得意な子や苦手な子にとってみれば、自分に合った学習ができるので圧倒的に個別最適化されたテクノロジーを使うほうがいいこととなり、教師の役割の重点が教えるということから変化していきます。 一方で、テクノロジーが発達し、家でも学校でもどこでも学べるという環境が整った中で、学校でしかできないことや教える以外の教師の重要な役割について整理しなくてはいけないと思います。学校でしかできないことについては、生徒同士で学んだり、また議論したりすることや、一人では維持しづらい学習のモチベーションを維持することにあると考えます。また、教える以外の教師の重要な役割というのは、個人が生まれ持った才能を見いだして育むコーチの役割や、児童・生徒から考えとか、また学ぶ意欲を引き出すファシリテーターの役割であると考えています。 このように、これからの学校での教師の役割として重要になってくるのが、コーチやファシリテーターとして生徒を導いていくことではないでしょうか。しかし、このコーチングやファシリテーションといったスキルは非常に高度だと思っています。個人に任せるのではなく、県としてこれからサポートしていくことが必要ではないかと考えています。 そこで、お尋ねします。 教師の役割の重点が教えることから導くことに変化し、コーチングやファシリテーションといったスキルが必要となってくると考えますが、教師の役割の変化とそれに伴うスキルの習得についてどのようにお考えか教育長にお伺いします。 次に、小・中学校におけるデジタル教材の活用に向けた支援について伺います。 今年度中にICT環境のハード面が整備されることで、本年度中にデジタル教材等の選定などICT環境のソフト面も構築していかなければならないのが現状だと思います。こうして新たに教育体制を構築する場合、自治体の規模やICT教育に詳しい人がいるかいないかなどにより、自治体間に大きな差が生まれてしまう可能性があると考えています。例えば、今回の約三か月の学校の臨時休業については、自治体の規模が大きい岐阜市は、ユーチューブなどを使った独自の非接触型コンテンツ教材を素早く準備し、生徒に届けることができておりました。しかし、我々の住む瑞浪市では、相当に苦労され準備はされていましたが、デジタル教材については独自で準備することが難しく、岐阜市のユーチューブ等の教材を使わせていただいたということがありました。やはり、規模の小さな自治体での独自のICT教育体制の構築というのは難しい状況であり、これによって自治体間の教育の差につながってしまうのではないかと危惧をしております。 各市町村の教育委員会が知恵を絞り対応しているとは思いますが、このような差をなくすためにも、やはり岐阜県が中心となり県内の各小・中学校で使えるデジタル教材を作り、市町村を支援していただけないかと考えております。また、県で対応できない科目等に関しては、民間のデジタル教材を利用する必要があります。しかし、準備期間もあまりない中で、授業でどのように使うのか等を考えながら新たなデジタル教材を選定するのには非常に負担が大きく、県の支援が必要ではないかと考えております。 そこで、お尋ねをします。 県内の小・中学校で活用できるデジタル教材等を県が作成したり、また民間のデジタル教材の選定を行うなど市町村に対する支援が必要と考えますが、今後どのように取り組むか教育長にお伺いします。 最後に、ICT教育に関する知見・ノウハウの県内での共有について質問させていただきます。 今年度、一人一台の端末や無線LANの整備など、県内ほとんどの学校においてすばらしい環境が整います。私は、こういった環境でICTを活用して、考え得る効果的なことや効率化できるものは全てやるべきだと考えています。また、県内の全域の教育を考える岐阜県だからこそ、できることがあるとも思います。 そのうちの一つが、県内全体での知見やノウハウの共有であると考えます。例えば、今まで先生方は、紙媒体の教材や資料を使って授業で活用していました。しかし、ICT環境の整備により今後パワーポイント等のデジタル資料やデジタル教材が増加することで流動性が高くなり、ノウハウの共有がしやすくなります。また、今までの知見やノウハウは、同じ職場の先生たちから学ぶか、また研究や研修のためにほかの先生の授業を見に行くことで共有をしておりましたが、わざわざ現場に行かなくても、これからは先進授業について動画等を撮ることで、県内で多くの知見やノウハウを共有することができるようになると考えています。 このように、デジタル化による共有の可能性が広がっていく中で、知見やノウハウを共有していくメリットというのは三つあると考えています。 一つ目は、ICT教育や双方向のアクティブラーニングの導入等により大きく変化する教育に対し、素早くキャッチアップできるということ。 二つ目は、共有された教材を活用することで、授業の準備時間の削減ができたりと。また、研修等で現地に行く必要がないため時間を有効に使えるなど、働き方改革につながるということ。 三つ目は、県内で共有された多くの授業動画をいつでもどこでも何回でも見て参考にすることで、県全体の教育の質が上がることが挙げられます。 こうしたICT化によるメリットを享受するためにも、県がリーダーシップを取り県内の知見やノウハウを共有する仕組みを作るべきであると考えます。 そこで、お尋ねします。 教材や先進授業などの知見やノウハウ等を県内で共有する仕組みが必要と考えますが、今後どのように取り組むのか教育長にお伺いをいたします。 最後になりますが、先日、県政自民クラブの代表質問で小川恒雄先生が、常識を疑い非常識を見詰めるといったことを言われておりました。まさにこれは教育の場でも必要であるというふうに思います。やはり、今までの教育をしっかりと見詰め直し、常識を疑い、これから新たな岐阜の教育というものを作っていただきたいというふうに思います。 明確な答弁をお願いしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) GIGAスクール構想を契機としたICT教育環境の整備について、四点御質問がありました。 初めに、学習の個別最適化に向けた取り組みについてお答えします。 GIGAスクール構想による一人一台端末とネットワーク環境の一体的な整備は、子供たち一人一人に個別最適化された学びの実現に不可欠で、県と市町村が連携して取り組む必要があります。このため、市町村に対しては学校規模に応じた適切なネットワーク規格、端末のスペックやソフトウエアの選択などについて、市町村の要望を踏まえ情報提供を行ってまいりました。また、この構想の対象外であるオンライン授業について、必要経費を支援する枠組みを検討しております。 今後は、こうしたハード面での整備に加え、教員研修の充実やデジタル教材の整備、ICT教育に関する知見やノウハウの共有など、ソフト面での支援を進めてまいります。 次に、教員の役割の変化とそれに伴うスキルの習得についてお答えします。 教員は、一斉学習だけでなく、個別学習や協働学習などを通して児童・生徒の主体的で対話的な学びを引き出す必要があります。このため、総合教育センターの一人一台端末環境のモデル教室で、初任者や若手教員を対象に適切な学習テーマや素材選定の在り方、効果的な質問や助言の手法などについて研修を実施しております。 今後は、市町村の要請に応じ、各学校のICT教育の中心となる教員を対象に、デジタル教材の活用事例や端末を活用した協働学習のノウハウなど、それぞれの環境に応じた研修を実施するとともに、総合教育センターに設ける相談窓口において、市町村のICT教育に関する取り組みが円滑に進むよう、助言・支援してまいります。 次に、小・中学校におけるデジタル教材の活用に向けた支援についてお答えします。 小・中学校における学習動画・ドリルなどのデジタル教材の活用状況は、学校によって差異があるため、県では、臨時休業中にウェブで提供した小学校の算数教材の積極的な活用を促すとともに、全ての教科で学習動画を作成し、差異の解消に努めてまいりました。今月中には、新たに県の専用サイトを設け、児童・生徒が予習・復習に使用できる動画を順次、作成・掲載するとともに、国や市町村等が提供するデジタル教材も併せて掲載し、活用を促してまいります。 また、デジタル教材の選定に当たり、専門的な助言が必要な場合には、今年度より配置したICT活用推進アドバイザーを市町村の求めに応じて派遣することで、支援の充実に努めてまいります。 最後に、ICT教育に関する知見・ノウハウの県内での共有についてお答えします。 デジタル教材は容易にカスタマイズできることから、教材の共有化は教員の働き方改革において有効であり、また、教員が授業展開のノウハウを共有することは、授業の質の向上にもつながるものと考えております。 そこで、新設する県の専用サイトは、教員向けにタブレットや電子黒板、デジタル教材などを効果的に活用した授業の動画を作成・掲載し、教員が勤務する学校からも繰り返し視聴・活用できるようにしてまいります。さらに、各学校から寄せられた、ICTを活用した学習についての様々な問合せや回答をFAQの形式に整理し、総合教育センターのホームページに掲載することで、ICT教育の知見やノウハウの共有に努めてまいります。 ○副議長(小原尚君) 四十番 伊藤正博君。    〔四十番 伊藤正博君登壇〕(拍手) ◆四十番(伊藤正博君) 議長より発言のお許しを頂きましたので、本日は大きく三点についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 最初は、アフターコロナの岐阜県成長・雇用戦略についてであります。 今般のコロナ禍の中で、既に対応されている様々な施策に加え、急激に落ち込んだ県経済や雇用環境について、再生や回復を図るための施策を展開する必要があることは誰もが異議あるはずもなく、早急に進めるべきだと考えているところであります。 一方で、こうした短期的な議論だけではなく、アフターコロナと言われる次の時代、社会を考えて、新型コロナウイルス感染拡大という経験を踏まえた新たな社会像、特に中・長期的な視点に立った岐阜県の経済、雇用戦略の在り方、考え方について議論も大変重要であることから、本日は担当の商工労働部長にお尋ねをいたします。 岐阜県においては、これまで二〇一六年(平成二十八年)から今年二〇二〇年(令和二年)までの五年間を計画期間とする岐阜県成長・雇用戦略を策定し、大きく八つのプロジェクトを立ち上げられました。 一つは産業人材確保対策、二つ目は第四次産業革命推進、三つ目は海外展開・販路拡大支援、そして四つ目は航空宇宙産業の製造品出荷額倍増、五つ目は成長産業分野振興、六つ目は観光産業の基幹産業化、七つ目は企業誘致・設備投資促進、そして八つ目は企業技術力強化支援であります。それぞれの内容の方向性を定め、毎年の進捗状況を確認しながら翌年の展開を考えるという仕組みにより、具体的な事業が展開されてきました。 昨年までは順調に進んでいたこれらのプロジェクトも、最終年度を迎えた令和二年は、コロナという今年度当初には全く想定されなかった社会の中で計画どおり進まず、各プロジェクトの数値目標の達成も難しい状況にあるのではないかと推察をしております。私も、今はこの県の成長・雇用戦略の数値目標達成よりも、まずは今のコロナ社会の中で本当に困っている人、社会に対する救済措置に全力を挙げるべきであるというふうに思っております。 したがって、当初計画であれば来年度から新たな岐阜県成長・雇用戦略がスタートする予定であったと思います。先ほども申し上げたように、優先すべきは、まずは現在のコロナ社会での県経済、雇用対策をここ一、二年でどうしていくのかという点であるというふうには考えますが、とはいえ、同時に県経済の将来を見据えての議論も開始されなければいけないと考えております。 私は、今回の新型コロナウイルス感染拡大という経験を踏まえた新たな社会像を示すと同時に、県経済の回復や雇用環境の改善に道筋をつけ、またその後の展開も視野に入れた中・長期的な戦略を立てていく必要があるというふうに思います。 今回のコロナ社会の中で、私が特に刮目すべきと感じたことは、それぞれの産業、企業、人が、今後、加速度的に進むであろうデジタルシフトに対応できるようにしなければならないということであります。昨今、社会の基礎的インフラとして、ビッグデータや人工知能(AI)など、デジタル技術の普及とその活用が極めて重要になっております。 ところが、コロナ禍で突きつけられた実情はどうであったか。例えば政府の現金十万円の一律給付手続では、オンライン上で円滑にできていればもっと確実に、かつ早期に必要な人に届いたわけであります。実態は、オンラインサービスを提供する側も利用する側も慣れておらず、トラブルが発生してしまい、結局、書類をベースとした従来どおりの手続が中心となりました。 また、その一方で、テレワークやリモートワークの取り組みが加速をいたしました。オンラインによる遠隔診療も進みました。学校現場では、オンライン学習に積極的に取り組んだ学校で成果を生み出しつつあります。 こうした経験を踏まえ、これからの社会の新たな目標を見いだしながら、基礎的なデジタルインフラを整備し、効率的で利便性に富んだ社会にしていく必要があります。さらに、コロナ禍で浮き彫りとなった課題はデジタル化にとどまらず、財政や社会保障、教育制度、そして国際社会にまで及び、日本の、さらには岐阜県の新しい競争力、人材育成の在り方が問われていると思います。 そこで、商工労働部長にお伺いをいたします。 コロナ禍の次の時代、アフターコロナにおける新しい社会像の中で、岐阜県として次なる経済成長への取り組み、雇用環境整備などをどのように進めていくのかといった議論について、速やかに開始する必要があると思いますが、これらに関する次期の戦略策定に関わる今後の展望やスケジュール、また実際にどのような考え方の下で取り組みを進めようとされるのかをお聞きいたします。 二点目は、災害時の避難所における感染症拡大防止対策について、危機管理部長にお伺いをいたします。 今年は六月に梅雨に入った途端、全国各地で大雨が続いたり、飛騨地域を中心に群発地震が続いたりと、いつどこで何が起こっても決しておかしくない状況が続いております。 本県においては、この五月に全国に先駆けて岐阜県避難所運営ガイドライン・新型コロナウイルス感染症対策編が策定されました。いち早くこのようなガイドラインを策定されたことは、高く評価したいと思います。しかし、本当に必要なことは、言うまでもなく、このガイドラインを参考に各市町村がマニュアル等を作成し、万が一の災害時には市町村と住民が協力をして、円滑な避難所運営が行えるよう備えることであります。 そこで、去る六月八日には、県と県内全四十二市町村、インフラ事業者などによる出水期の豪雨災害に備えた防災訓練が行われました。梅雨前線が停滞して激しい雨が降り、十七市町村に土砂災害警戒情報が発令されたとの想定で訓練を実施したとの報道であります。 県は、先ほど申し上げた新型コロナに備えた避難所の運営ガイドラインを市町村に通知し、市町村はマニュアルを作成し、これまで訓練を行ってきたとのことであります。県のガイドラインには、事前対策として主に三つの内容が上げられております。 第一に、住民への広報です。私の住んでおります各務原市では、六月十五日付の市広報「かかみがはら」にて「今こそ考えよう、避難の在り方を」と題して特集ページが組まれ、市民一人一人が考えるきっかけづくりをしております。 第二は、資機材の備蓄です。避難者の体温を測る非接触型の体温計やサーモグラフィー、パーティションや間仕切り、簡易テント、段ボールベッド等、またマスクやアルコール消毒液などの準備や拡充といったこと。 第三は、避難所不足への対応であります。学校を避難所としている場合は、体育館のほか教室等の活用を検討、さらには指定避難所以外の施設として、高校、大学、専門学校、宿泊施設等の活用を検討するとしております。また、要配慮者の避難先として、旅館、ホテルといった宿泊施設等の活用を検討するとあります。ここで言う要配慮者とは、高齢者、障がい者、妊産婦、子供、外国人等を挙げておりますが、本日私は特に障がい者、中でも自閉症と言われる発達障がいのある方々への配慮をお願いしたいというふうに思います。 県では、来年令和三年度から令和五年度までの三年間を計画年度とする第三期岐阜県障がい者総合支援プランの作成に向け、策定が進められているとお聞きをいたしております。これらに関連し、岐阜県自閉症協会からの要望に、会話の不自由な自閉症児・者への支援・配慮をお願いしたい旨の要望も含まれております。ぜひ、これらを含めての今後の対応を検討していただきたいと存じます。 そこで、本日は危機管理部長に大きく以下の二点についてお尋ねをいたします。 第一は、県が作成をした避難所運営ガイドライン、新型コロナウイルス感染症対策編をベースとして、各市町村との連携を深めつつ、避難所の感染症防止対策には住民の広報や資機材の備蓄、避難所不足への対応などの事前対策を進めていくことが重要でありますけれども、さきの防災訓練や市町村の訓練の課題を踏まえ、具体的にどのように推進していこうと考えておられるのかお尋ねをいたします。 第二は、自閉症など発達障害のある方を含め、一般避難所における要配慮者への対応をどのように考えておられるのか。 以上、二点についてお尋ねをいたします。 三点目は、高校生や大学・専門学校等の学生の就職に対する支援策について、担当の商工労働部長、教育長にそれぞれお伺いをいたします。 この四月の景気動向指数と消費支出がともに過去最大の落ち込みを記録し、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出や営業活動の自粛が日本・県経済に及ぼした傷は非常に大きなものになっております。緊急事態宣言は解除されたものの、企業の動きは手探りで、雇用環境は大幅に悪化をいたしております。 一部報道によれば、この四月から六月が景気の底で、その後は緩やかに回復するとの予想が多く、日本経済研究センターによれば、五月中旬に集計した実質国内総生産(GDP)の民間予測では、四から六月期に年率換算で前期比二一・三%減と落ち込むものの、七から九月期以降はプラス成長で推移する姿を見込んでおります。 一方、感染第二波が危惧される中で、消費がコロナ流行前の水準に戻るにはかなりの時間が必要だとの見方も強く、エコノミストによれば、重症化リスクの大きい高齢者を中心にコロナへの警戒感がまだまだ強く、消費の戻りは弱いと予測されております。実質GDPが直近ピークの二〇一九年七月から九月の水準に戻るまで、日本経済は全治二年半と指摘をされております。 また、解雇や雇い止めが、この七月一日現在、全国で見込みも含めて三万千七百十人になったと厚生労働省が昨日発表をしたところであります。六月四日に二万人を超えてから約一月で一万人増加しております。こうした社会環境の中で、来春の高校・大学等の就職状況が非常に厳しくなることが見込まれ、該当する学生や生徒の皆さんのみならず、大いに気になるところであります。 報道によれば、六月一日時点の二〇二一年度春卒業予定者の大学生の就職内定率が五六・九%だったと発表しております。これは、前年同期に比べ一三・四ポイント低下したとのことであります。主な要因は、接触を避けるためウェブ面接が進む一方、オンライン対応できなかったり、対面での面接を希望したりする企業の選考が停滞しているとのことであります。大手企業の多くが筆記試験や面接をスタートさせ、就職活動は大詰めを迎えていると思います。 昨年までは、人手不足を背景に学生優位の売手市場が続いてきましたが、今年は業績悪化に採用手控えも見られ、内定率が今後どれだけ持ち直すのか、不透明さが残っているというふうに思います。五月にウェブ上で面接を受けたのは五二・五%、前年の四・七%から激増し、一方で、面接など対面での選考を受けたのは二一・四%で、前年七一・五%から大幅に落ち込んだと報じております。 一方、高校卒業予定者の就職は、この七月一日から各学校に対し、各企業からの求人がスタートいたしました。従来ですと、各企業による採用試験は九月十六日から可能となるわけですが、今年は学校休業の影響もあり一か月遅く十月十六日からとなるようであります。 これまでの県内における就職状況は、この春の県内高校生の就職内定率は九九・九%で、七年連続で九九%を超え、高い水準を維持しております。調査結果によれば、この三月末現在での求人数は一万千二百五十六人で、昨年同期比一・〇%減、求職者数が四千七十二人、前年同期比三・四%減であり、求人倍率は二・七六倍と、昨年度から二年連続で二・五倍を超えたところであります。 こうした状況ではありますが、以上のような状況から、生徒・学生の就職希望者の動向が非常に気になる昨今であります。いずれにいたしましても、就職支援はコロナ禍のような想定外の事態があろうとなかろうと、企業とのパイプづくりや生徒・学生に対する進路指導、就職相談など、長期的かつ継続的に地道な取り組みの積み重ねが必要であることは変わりがないものと考えております。 そこで、本日は大きく二点について、商工労働部長、教育長にお尋ねをいたします。 まず商工労働部長には、大学生等に対する就職支援について、現在のコロナ禍にあってどのように取り組んでこられたのか。また、今後どのような就職支援を行っていかれるのかをお聞きいたします。 そして、教育長には、高校生で就職希望をする生徒に対して、県教育委員会としてこれまで企業にどのような働きかけを行ってこられたのか。また、今後、各学校における就職(進路)指導はどのように行っていかれるのか。以上についてお聞きをいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 私には、二点質問を頂きました。 まず、アフターコロナ時代の岐阜県成長・雇用戦略についてお答えします。 本来であれば、次期戦略の策定に向けた議論を本格的に開始すべき時期ではありますが、現在は疲弊した県経済の再生を最優先課題とし、今回の補正予算では、現時点で可能な限りの施策を盛り込み、まずはこれら広範な対策をスピード感を持って進めてまいります。その上で、刻々と変化する経済情勢を的確に把握し、経済再生に一定の道筋をつけつつ、次期戦略の議論を進めてまいりたいと考えております。 その際には、補正予算の柱の一つである新たな日常、社会経済の変容に対応した企業のデジタル化やテレワーク等のデジタルトランスフォーメーション、地方回帰に向けたサテライトオフィス誘致等による企業と人の移転、需要の拡大が見込まれるヘルスケア分野の産業などは、アフターコロナ社会における重要なポイントになるものと考えております。これら対策について、その効果をしっかりと検証し、次期戦略につなげてまいります。 次に、大学生等に対する就職支援についてお答えします。 現在は、合同企業説明会の延期や中止により、大学生等の就職活動が大きく制限されております。このため、ウェブを活用した合同企業説明会を開催したところ、県内企業五十社、延べ二千人を超える学生などに参加いただき、加えて、企業の採用広報活動を支援するPR動画サイトを開設し、現在二十四社を紹介しております。今後も、合同企業説明会を八月に開催するほか、PR動画掲載企業も拡充してまいります。 また、来年度に向けて活動を行う大学三年生等には、これまでの企業を紹介するバスツアーに代わりまして、夏休み期間中に地元企業の紹介を行う就活準備イベント等を県内五か所で開催してまいります。さらに、県下最大規模のプレ就活イベントであるオール岐阜・企業フェスにつきましても、オンラインの活用を含め、開催を計画してまいりたいと考えております。 ○副議長(小原尚君) 危機管理部長 渡辺正信君。    〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕 ◎危機管理部長(渡辺正信君) 災害時の避難所における感染症拡大防止対策について、二点の御質問を頂きました。 まず、防災訓練等の課題を踏まえた避難所の事前対策についてお答えをいたします。 避難所の運営は市町村の責務となりますが、県としましては、避難所運営ガイドラインで示した事前対策の着実な実施に向けて、市町村にアドバイザーチームを派遣し、助言を行ってまいります。その上で、まず、住民に対する広報ですが、市町村の広報紙で避難所に持参するものや避難所以外への避難の検討など、具体例を挙げて事前準備を周知・確認するとともに、県におきましても動画やSNSなど活用し、啓発を行ってまいります。 次に、資機材の確保ですが、市町村において備蓄するパーティションや段ボールベッド等に対する県の助成をさらに拡充するとともに、市町村における不足に備え、県において同様の備蓄を行うほか、市町村では備蓄の負担が大きいサーモグラフィー等を確保いたします。さらに、避難所不足の対応として、市町村が旅館やホテル等を避難所として借り上げる経費について支援をしてまいります。 これらの事項、特に資機材の確保については、さきの防災訓練でも確認された課題であり、その対策に万全を期してまいります。 次に、一般避難所における要配慮者への対応についてお答えいたします。 県の避難所運営ガイドラインでは、要配慮者を含む避難者全員がお互いに配慮し合い、協力して避難所運営を行うことを前提に、周囲からストレスを受けにくい壁や出入口付近などに要配慮者のスペースを配置することとしております。 食料や物資の配付については、事前に要配慮者のニーズを聞き取ることとし、さらには、健康や避難所生活上の悩みへの相談窓口を設けることとしております。その上で、避難所における新型コロナウイルス感染症対策としては、事前受付や毎日の体調管理が重要となります。このため、発達障害により聞き取りが極めて困難な方などについては、付添いの方と連携を図り、平成二十九年度の厚生労働省の通知を参考に、要配慮者の実情に合わせ体調管理を行うよう、改めて市町村に周知してまいります。 また、新型コロナウイルス対策として、市町村が要配慮者やその家族を優先的に避難させるため、旅館やホテルを借り上げる場合の助成制度を新設し、要配慮者支援を充実してまいります。 ○副議長(小原尚君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 高校生に対する就職支援についてお答えします。 来春の公立高校卒業予定者における就職希望者の割合は、直近の調査では二五%程度と、昨年度とほぼ同水準となっており、新型コロナウイルス感染症による経済への影響を鑑みますと、就職に向けた支援の強化が重要であると認識しています。 このため、臨時休業期間中、各高校では企業やハローワークから求人情報を収集し、就職希望者に提供したほか、オンライン授業に採用試験対策を組み込むなどの支援を行いました。また、県教育委員会では、県内の経済団体や企業に求人要請を実施したところです。 今月からは、ハローワークと連携した就職ガイダンスをオンラインで実施するとともに、県内十九校に配置しているキャリアプランナーを活用し、地元企業の求人を開拓した上で、その情報を学校間で直ちに共有し、就職相談などに活用してまいります。加えて、生徒がウェブ面接を受ける際の指導を行うなど、就職を目指す生徒へのきめ細かな支援に取り組んでまいります。 ○副議長(小原尚君) 十三番 澄川寿之君。    〔十三番 澄川寿之君登壇〕(拍手) ◆十三番(澄川寿之君) それでは、議長より発言の許可を頂きましたので、通告に従いまして本日は六項目を二分割で質問させていただきます。 初めに、コロナ禍で苦しむ県民や事業者への支援として、本県における自殺対策についてお尋ねをいたします。 私は、この自殺対策について、これまでに何度も議会で取り上げてまいりました。人の命は何にも代え難いものです。また、自殺は本人にとってもこの上のない悲劇であるだけでなく、家族や周りの人々に大きな悲しみと生活上の困難をもたらし、社会全体にとっても大きな損失であり、その対策の重要性は言うまでもありません。 私が初めてこの問題を取り上げさせていただいたのが、平成二十八年三月議会、以降四回、今回で六回目となります。この間、県におかれましては、第三期岐阜県自殺総合対策行動計画の策定、地域自殺対策推進センターの設置、SOSの出し方教育の実施、インターネットを活用した啓発などの展開をしていただいております。このような対策により、近年の本県における自殺者数は減少傾向が続いており、うれしく思っております。 しかしながら、現在、新型コロナウイルスの影響による自殺者数の増加を危惧する声が上がっています。 NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表の清水康之氏は、厚生労働省自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課が本年三月十七日に発表した令和元年中における自殺の状況のデータを基に、日本では、平成九年までは二万人台の前半であった自殺者数が、北海道拓殖銀行や山一証券の経営破綻等に追いやられるなどして倒産件数が急増し、失業率が悪化する中で、平成十年に年間八千人以上、主に中高年男性が急増し、年間三万人を超えた。自殺は、平均四つの悩みや課題が連鎖する中で起きることが、自殺者五百二十三名を対象とした聞き取り調査から明らかとなっている。失業や倒産、収入の低下や生活苦、離婚などの家族問題や健康や将来への不安、アルコール依存症や鬱状態など複数の悩みや課題が連鎖する中で、もう生きられない、死ぬしかないという状況に陥り、その末に亡くなっている人が多い。そして今、刻一刻と感染症の影響により、悩みや課題が連鎖する中で、社会的な自殺リスクが急速に高まっているのを感じる。自殺対策に取り組む民間団体に日々寄せられる自殺相談においても、感染症関連のものが目に見えて増えてきている。このように現状を懸念されています。 改めて数字を御紹介させていただきますと、厚生労働省の発表による国内の新型コロナウイルス感染症による死者数は、七月一日現在で九百七十四人。一方、警察庁が発表している速報による自殺者数は千四百三十一人となっており、引き続き自殺対策を続けていくことが重要であることが分かります。 古田知事が、コロナ社会を生き抜くとおっしゃっていただいているように、苦境に陥っている県民を一人も漏らすことなく支える必要があるのではないでしょうか。 先ほど御紹介したとおり、自殺される方の理由は一つではありません。生活の中で複数の要因が重なってしまうケースがほとんどです。相談窓口においては関係各所と連絡を取り、総合的に支援をしていただくことが欠かせないと考えます。 そこで、健康福祉部医療担当次長にお尋ねいたします。 過去のデータを鑑みながら、今しっかりと本県における自殺対策の取り組みを強化することが重要と考えますが、お考えをお聞かせください。 続きまして、中小企業支援についてお伺いします。 今般の新型コロナウイルスの感染拡大においては、人命被害はもとより、需要・供給の両面が停滞し、リーマンショックを超える世界規模での経済の減速が深刻化しています。こうした状況下、政府系金融機関や民間金融機関等による資金繰り支援が喫緊の課題となっております。また、自助努力のみでは売上げが回復しない場合や、債務の増加等により事業性はあるものの経営改善に支障を来している事業者が既に多数発生していることが懸念されております。 こうした状況を鑑み、緊急的な支援として国が行われている持続化給付金の創設、雇用調整助成金の拡充、あるいは県が行っている制度融資の充実が図られており、既に県内の多くの事業者の皆様に御活用していただいていると聞いております。県の制度融資につきましては、今回の補正予算案において、限度額の拡充、また貸付枠の拡大が図られておりますが、今後も県内事業者のニーズに最大限対応できるよう取り組みをお願いしたいと思います。 そうした中、日本商工会議所・東京商工会議所は、本年三月三十日付で新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策に関する緊急要望を政府に提出いたしました。この緊急要望では、資金繰り関連、雇用維持関連などに言及しておりますが、その中で、新型コロナウイルス感染症の影響でやむを得ず自社の事業継続を断念し、事業再生や廃業を選択する中小・小規模事業者の増加が想定される。事業再生や円滑な廃業のためには、金融機関との調整をはじめ、取引先との関係整理や事業譲渡の検討など専門的な支援が必要となる。事業継続断念後に中小・小規模事業者等の経営者が再チャレンジを果たし、次なる挑戦へ向かえるよう、中小企業再生支援協議会の機能強化を含め、事業再生やソフトランディングに向けた支援を強化されたいと要望されております。 中小企業再生支援協議会は、中小企業庁が各都道府県に設置するもので、中小企業の事業再生を支援するため、窓口相談や債権者調整等を含む再生計画の策定支援を行っております。これに対し、中小企業庁は今般、新たに新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業に対して、窓口相談や金融機関との調整を含めた特例リスケジュール計画策定支援を行うため、新型コロナウイルス感染症特例リスケジュールの実施要項を令和二年四月一日に制定されるなど、財務上の問題を抱えているものの、事業再生意欲を持つ事業者の皆様を支援する体制は整いつつあります。 一方、新型コロナウイルスの影響は当面続くと考えられており、今後は事業者の皆様も業種によっては新たな日常への対応も含めた事業の見直しや、新たなビジネスチャンスを模索することも必要であると考えます。 先ほど、健康福祉部医療担当次長に自殺対策のお尋ねをいたしましたが、過去には不況のあおりを受け、倒産、事業縮小、解雇等により失業率が増加してしまうと自殺者数も増えてしまったというデータもあり、こうした経済支援の必要性は言うまでもありません。 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。 中小企業支援の中でも、今後withコロナと呼ばれる新しい時代に向けた再生支援が必要となってくると考えますが、県としてどのように取り組まれるかお考えをお聞かせください。 続きまして、新型コロナウイルス感染拡大を受け、いわゆる三密となるイベントについては、民間の事業者の皆様が開催するものも含めて自粛をお願いしてきたところであります。県では、特に感染拡大が懸念されたことから、感染拡大防止のための緊急事態措置等として、多くの事業者の皆様に施設の休業や営業時間の短縮の協力を要請されました。 一方で、県民の皆様の生活に欠かせない施設については、感染症対策を行っていただいた上で事業を継続することが求められましたが、その中の一つに結婚式場がありました。結婚式の開催については中止の要請は行われない一方で、主催者の方々の中には、感染拡大の懸念から延期や中止を決断された方もおられると伺いました。御存じの方も多いと思いますが、結婚式の延期や中止についてキャンセル料が高額になったケースもあるとの報道もありました。 国民生活センターによりますと、二月以降、千六百件を超える相談が寄せられ、そのほとんどが延期やキャンセル料を巡る費用負担に関するものということです。業界側からも新たな動きが出てきており、同じ式場を利用すればキャンセル料を実質ゼロにするなどの取り組みも始まっております。結婚式を楽しみにしながらも中止せざるを得なくなり、悲しい思いをしている方もいらっしゃいますでしょうし、また延期して開催するにしても、このような状況下で結婚式を行ってよいのかと悩んでいるとの声もあると伺いました。 そうした中、佐賀県と千葉県四街道市がこうした方々への支援を進めていると伺いました。 佐賀県では、新型コロナウイルス感染拡大により結婚式が延期や中止になったカップルのために、式を改めて開催できるように支援する「さがウエディング祝福事業」を検討されています。三月から六月の間に県内で招待客を呼んだ結婚式を予定していた人たちを対象に、一組当たり十万円の支援金と五千円分の花のギフトカードを送られるとのことです。 千葉県四街道市では、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中で、新規に婚姻した世帯への経済的な支援を行うため、市内在住の三十四歳以下の新婚世帯を対象に五万円を給付、さらに対象世帯のうち、令和二年三月一日から六月三十日に予定していた結婚式を中止または延期した夫婦には、さらに五万円を給付するとのことです。 私は、少子化対策の中で結婚支援が欠かせない支援であると考え、過去に質問で取り上げさせていただき、県におかれましてもこれまでに様々な支援を実施していただいております。本来であれば、多くの方に祝福され行われる予定であったものであり、こうした方々に対して本県においても何らかの支援が検討できないでしょうか。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねいたします。 他自治体の支援策も参考にしながら、本県においても結婚式を迎える予定であった方々への支援が検討できないかと考えますが、お考えをお聞かせください。 ここで一度目の質問を終わります。 ○副議長(小原尚君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 本県における自殺対策の取り組みの強化についてお答えします。 まず、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける県民生活を支えるべく、緊急小口資金及び住居確保給付金の増額、私立学校に対する授業料軽減補助制度の拡充など、様々な家計支援について六月補正予算に盛り込んでいるところであります。 その上で、本県の自殺者数は、警察庁統計の暫定値で令和二年二月から五月までに八十七人と、前年同期間の九十二人と比べ減少しておりますが、先生御指摘のとおり今後増加に転じるおそれがあります。そのため、県は、インターネットなどで自殺に関する語句を検索すると連動して県の相談窓口を広告する取り組みを七月中旬以降は通年実施するとともに、民間相談機関への経費支援により相談対応時間を延長し、悩みを抱える方への早期支援につなげてまいります。 さらに、岐阜県自殺総合対策協議会の場などを通じて、関係団体に対し、経済的な困窮や心の不調などの様々な相談内容に対応する県の支援制度について改めて包括的に情報提供し、各相談窓口が適切に対応できるよう働きかけてまいります。 ○副議長(小原尚君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 中小企業に対する再生支援の取り組みについてお答えします。 新型コロナウイルスの影響により厳しい経営環境にある県内中小企業に対しては、例えば店頭販売からネット販売、テイクアウトへの業態転換や、感染防止対策に取り組む小規模事業者を支援する応援補助金を五月に創設したところ、一月余りで五百を超える事業者から応募を頂きました。このため、今回予算を大幅に増額するとともに、補助率を三分の二から四分の三に引き上げ、事業再生に向けた支援を拡充してまいります。 また、withコロナ社会に向けて進みつつあるテレワークなどのデジタルトランスフォーメーション、今後とも需要の拡大が見込まれるヘルスケア分野など、新たな需要に対応する事業者ネットワークや資金面をサポートする補助制度を創設してまいります。 加えて、産地組合や中小企業が取り組む新商品や新サービスの開発、ECサイトへの新規出店による販路の拡大など、事業者の新たなビジネス展開への挑戦についても積極的に支援してまいります。 ○副議長(小原尚君) 子ども・女性局長 北川幹根君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 北川幹根君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(北川幹根君) 結婚式を延期・中止された方々への支援についてお答えいたします。 今般、新型コロナウイルス感染症の拡大による、今年三月以降の結婚式への影響について、県内の主な結婚式場から聞き取りを行ったところ、約八割が中止または延期となったことが分かりました。また、キャンセルに係る費用に関しては実費程度に抑えるなど、できる限り新郎新婦に配慮した対応をされているとのことでした。 議員から御紹介がありました佐賀県等の取り組みについては、結婚を応援する機運を高め、また経済的に余裕のない若い新郎新婦の新生活の費用負担を少しでも軽くすることで、出産・子育ての段階へと向かうことができ、少子化対策の効果も期待されるものと考えております。 一方、これらの取り組みは緒についたばかりであり、先進自治体の実績や効果がまだ把握できないこと、また支援を必要とする若い世代がどの程度いらっしゃるのかが明らかになっていないことなどから、まずは情報収集を行い、結婚式を取りやめた新郎新婦に対する支援の必要性並びに方法について検討してまいります。 ○副議長(小原尚君) 十三番 澄川寿之君。    〔十三番 澄川寿之君登壇〕 ◆十三番(澄川寿之君) 続きまして、大きな二項目めとして、新たな日常に対応するための支援について三点お伺いいたします。 五月十五日に古田知事は、「オール岐阜でコロナ社会を生き抜きましょう!」と題し、県民の皆様に向けてメッセージを発信しました。その中で、新型コロナウイルスは私たちの目の前から消え去ったわけではありません。私たちは常にその危険性を忘れることなく、身の回りに潜むウイルスを意識しながら、新しい日常を生き抜いていく必要がありますと述べられ、県民の皆様に新たな日常として、一つ目、人との距離の確保、マスク着用、手洗いの習慣を。二つ目として、感染リスクが高まる三密(密閉空間・密集場所・密接場面)がそろう場を避け、感染リスクの回避をと訴えられました。また、事業者の皆様の新たな日常として、新型コロナウイルス感染症防止対策として、業種業態ごとにコロナ社会を生き抜く行動指針を策定されました。 新型コロナウイルス感染の拡大を防ぐためには、これらの取り組みは大変に重要なことであり、県民や事業者の皆様に御理解を頂きながら進めていかなければなりません。 そうした中にあって、民間を含め対面サービスにおける対応が進められております。つい立てを設置したり、透明な素材のカーテンが設置されたりと、様々な感染防止の工夫が見られます。また、レジにおける支払い方法などについても変化が見られるようです。 家計簿アプリを手がけるマネーフォワードが、本年五月、利用者を対象に実施したアンケートでは、回答を寄せたおよそ七千八百人のうち、四〇%が新型コロナウイルスの影響で以前よりキャッシュレス決済を利用するようになったと答えたということです。その理由を尋ねたところ、レジでの支払いを素早く済ませて接触時間を短縮させるという回答が四四%と最も多く、現金に触れることによる感染を防ぐためという回答が二七%であったとのことです。キャッシュレス決済は、新型コロナウイルスの感染予防のために新しい生活様式の実践例として、厚生労働省も推奨しております。 さて、本県の県有施設等におけるキャッシュレス決済の取り組みについては、以前に質問で取り上げさせていただきましたが、本年より岐阜県美術館、高山陣屋から取り組みを進めるとともに、他の施設への導入に向けた検討を進めていきたいとの御答弁を頂きました。その後、岐阜県美術館、高山陣屋への導入については、本年七月一日から開始ということをお聞きしておりますので、現時点でのキャッシュレス決済の導入実績を確認することが難しいと思いますが、公金収納の観点から新たな日常に向けた取り組みとして、他の県有施設における導入についてもさらなる取り組みをお願いしたいと考えます。 そこで、会計管理者にお尋ねをいたします。 新たな日常を進めていくためにも、県有施設でのキャッシュレス決済の拡大をさらに図っていくべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 続きまして、学習塾・音楽教室等へのリモート化支援についてお伺いいたします。 先ほども申し上げましたとおり、新たな日常に向けて、県内の事業者の皆様方には様々な感染防止対策の対応を頂いております。新型コロナウイルスの影響は多くの業種の方々に影を落としています。私も多くの事業者の皆様から御相談を頂きました。どの御相談も切実なものであり、御相談ごとに行政の窓口を御紹介しながら、状況の改善に向けて取り組みを進めております。 そうした中でも、音楽教室の講師の方々が大変な状況にあることが分かりました。御相談を頂いた例では、講師の方が音楽教室の正社員としてではなく、契約社員という雇用形態になっていたため、教室の休業によりお仕事がなくなったにも関わらず、会社のほうで雇用調整助成金を申請していただけない。一方で、持続化給付金の申請をしようとしても所得が給与所得となっているため申請ができないという状況でした。また、個人として、音楽家としての活動と個人経営の音楽教室を行っている方も、所得が雑所得になっているため持続化給付金の受給ができないとの声もありました。 こうした点につきましては、国の令和二年度補正予算の中で雇用調整助成金の拡充、労働者が直接請求することができる新型コロナ対応休業支援金、また持続化給付金の対象拡大も図られましたので、状況が改善することを願うところです。 今回は、新たな日常に向けての個人経営の学習塾や音楽教室等への支援について確認させていただきたいと思います。 先ほど申し上げましたとおり、県では、業種ごとにコロナ社会を生き抜く行動指針を示されています。個人経営の音楽教室は防音のため密室となっていることも多く、対応に特に留意が必要となります。そうした中、大手ではインターネットを活用したリモート教室がスタートしています。特に音楽教室や学習塾においてリモート化が活用され始めているわけですが、個人経営の方々には対応が難しいとのお話も伺い、支援が必要ではないかと考えます。県として、ぜひ応援をお願いしたいと思います。 そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。 個人経営等の小規模の学習塾や音楽教室などへのリモート化支援を行っていただきたいと考えますが、お考えをお聞かせください。 最後に、県民の健康づくりの取り組みの推進についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症対策の中で最も大切な取り組みの一つが、県民個人の健康づくり支援です。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、人々の身体活動量の減少が指摘されています。筑波大学名誉教授の田中喜代次氏は、テレワーク・自宅待機による運動不足で生活習慣病のリスクと題したコラムの中で、筑波大学大学院人間総合科学研究科久野研究室が行った研究データを紹介しています。 筑波大学大学院が、健康機器メーカーのタニタが東京都内にオフィスがある大手企業のおよそ百人、平均年齢四十八歳を対象に行った調査を分析したところ、新型コロナウイルスの影響が現れる前は、一日の歩数は平均約一万千五百歩だったものが、テレワークに切り替えた社員は、その歩数が二九%減り、座っている時間も長くなっていたことが分かりました。中には一日の歩数が七〇%減少し、一日二千七百歩程度と、厚生労働省が推奨している一日八千歩を大幅に下回るケースもあったとしているとデータを引用した上で、田中氏は、身体活動量の減少が多くの疾患リスクの増加につながることはよく知られています。例えば肥満、肥満症、メタボリックシンドロームやフレイル、あるいは糖尿病、脂質異常症、高血圧、骨粗鬆症、サルコペニアなどの生活習慣病は、いずれも身体活動量が少ないことがそれらの発症及び発症後の進行に関わります。COVID-19による重症化のリスクとしても、肥満や一部の生活習慣病が指摘されています。しかし、外出の自粛が要請され、多くの企業が可能な限りのテレワーク体制を取っている現在、ふだんどおりに身体活動を継続することは容易ではなく、工夫が求められます。このようにつづっておられます。 また、本県においては、大変残念なことにスポーツジムでクラスターが発生したと思われる事案もあり、スポーツ施設の利用自粛をお願いいたしました。こうした面からも、県民の運動不足が懸念されます。新しい指針の中で感染対策を徹底的に行いながら、今後スポーツ施設等も利用されていくことと思いますが、県民の健康づくりについても一層必要性を感じております。新型コロナウイルス対策だけでなく、県が従来進めてこられた生活習慣病の予防、健康寿命延伸への取り組みについても、今こそ力を入れるべきではないでしょうか。 現在、県におかれましては、清流の国ぎふ健康ポイント事業を展開されています。これは、健康診断や各種検診の受診、健康講座やスポーツ教室など市町村が指定する健康づくりメニューに取り組むと、その取り組みに応じてポイントが付与され、所定ポイント数を獲得すると特典が得られるものです。この健康ポイント事業について、さらに三密に十分配慮した上でのウオーキングやランニング等の活動に対しても、インセンティブを与えられるような工夫を行うなど、取り組みを充実するべきと考えます。 そこで、健康福祉部医療担当次長にお尋ねいたします。 清流の国ぎふ健康ポイント事業を活用し、県民の健康づくりをさらに進めるべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 会計管理者 井川孝明君。    〔会計管理者 井川孝明君登壇〕 ◎会計管理者(井川孝明君) キャッシュレス決済の県有施設等への導入拡大についてお答えします。 キャッシュレス決済は、施設利用者の利便性の向上や新たな日常での施設運営の一環として、導入を進めていきたいと考えております。 まず、県が直接管理する施設につきましては、この七月一日から県美術館、高山陣屋で運用を開始しました。残る博物館と現代陶芸美術館、今後開館するぎふ木遊館、岐阜関ケ原古戦場記念館については、今年の秋頃の導入に向けて準備を進めてまいります。 次に、指定管理者が運営する二十七施設につきましては、現在導入されているのは世界淡水魚水族館など七施設であり、このため、施設所管部局による導入推進チーム会議を設置し、先月にも県美術館、高山陣屋での先行導入事例とともに、総務省が進めているQRコード決済の統一規格の仕組みについて紹介し、議論したところです。 引き続き、キャッシュレス決済導入に向けて指定管理者と調整を進めてまいります。 ○副議長(小原尚君) 商工労働部長 崎浦良典君。    〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部長(崎浦良典君) 小規模の学習塾・音楽教室等へのリモート化支援についてお答えします。 音楽教室や学習塾など県内の教育関係の小規模事業者の方が、オンライン授業や講義の動画配信などのリモート化に取り組まれる場合は、技術面についてはソフトピアジャパンにおいてITツールの活用などの相談を、また産業経済振興センターのよろず支援拠点においては、IT活用を含めた経営上のあらゆる課題に対する総合的なアドバイスを行っております。 また、授業のリモート化による業態転換に取り組まれる場合には、ウェブ配信用の高性能カメラや音響増幅機器など必要な整備について、先ほど申し上げました小規模事業者に対する応援補助金などで支援してまいりたいと考えております。 今後も、小規模事業者の新たな日常に対応した事業継続、ビジネス転換を支援してまいります。 ○副議長(小原尚君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 健康ポイント事業を活用したさらなる県民の健康づくりの推進についてお答えします。 新型コロナウイルスの影響により、多くの市町村が健康ポイント事業のメニューとして設定している運動教室、健康講座などの開催が困難となる一方で、ソーシャルディスタンスを確保した新たな日常に対応した健康づくりを進める観点からは、個人での運動を促進していくことが重要と考えております。 しかしながら、議員からも御指摘のあったウオーキングやランニングなど個人の運動を健康ポイントのメニューに設定しているのは、現時点では約半数の二十二市町村にとどまっております。 このため、県としては、県内全ての市町村で個人の活動についてメニュー化されるよう、先行事例の紹介など積極的に情報提供するとともに、十一月に予定しているチャレンジ月間においては、県から市町村に対し個人の活動を促進するメニューを設定するよう働きかけるなど、市町村と連携して新たな日常に対応した健康づくりを進めてまいります。 ○副議長(小原尚君) 二十七番 山本勝敏君。    〔二十七番 山本勝敏君登壇〕(拍手) ◆二十七番(山本勝敏君) 皆様、お疲れさまです。 最初に、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになりました方々に、心から御冥福をお祈りいたします。その家族の皆様方には、心からお悔やみを申し上げます。そして、いまだ闘病中の皆様には、一日も早い御回復とお見舞いを申し上げます。さらに、医療従事者の皆様におかれましては、本当に献身的な御尽力を頂いていますことに敬意と感謝を表したいと思います。 さらに加えまして、古田知事をはじめ執行部の皆様、関係者の皆様の精力的なコロナ対策への御尽力に、敬意と感謝を表したいと思います。 このコロナ関連につきましては、県政自民クラブの代表質問で多方面にわたって質問いただきましたので、私は地元の声を踏まえたテーマを選ばせていただきました。大きく二項目質問させていただきます。 一項目め、横断歩道での交通安全について、細かく三点質問いたします。 まず一点目は、信号機のない横断歩道における車の一時停止率の向上について。 横断歩道で歩行者が犠牲となる交通事故が後を絶ちません。二〇一五年から二〇一九年までの五年間で、車と歩行者が衝突した交通死亡事故、全国で五千九百三十一件発生しています。そのうち横断歩道での事故が千三百五十五件、約二三%が横断歩道で発生をしています。横断歩道は歩行者優先と言われながら、横断歩道で事故が多く発生しています。 道路交通法第三十八条第一項、ここに横断歩道等における歩行者等の優先が規定されています。これを要約しますと、運転者のルールは次のようになります。横断歩道や自転車横断帯に近づいたときは、横断する歩行者や自転車がいないことが明らかな場合のほかは、その手前で停止できるように速度を落として進まなければならない。また、歩行者や自転車が横断しているときや横断しようとしているときは、横断歩道や自転車横断帯の手前で一時停止をして歩行者や自転車に道を譲らなければならないとなっています。つまり、横断歩道の待機場に人が立っていたら、車は止まらなければならないというふうに解釈できます。この横断しようとしているという判断が難しいんですが、人が立っていたら車は止まる、これが基本と言えます。ただ、問題は、この一時停止ルールがあまり守られていないということです。 一般社団法人日本自動車連盟(JAF)がこういう調査をしています。信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査、つまり一時停止ルールが守られているかどうかを調査しています。 調査方法を簡単に言いますと、各都道府県二か所ずつ、信号機が設置されていない横断歩道です。横断歩行者はJAFの職員で、横断歩道の立ち位置や横断しようとするタイミングを統一しています。調査回数は、一か所五十回の横断。 調査の結果、一時停止率の全国平均は、二〇一七年が八・五%、二〇一八年が八・六%、昨年二〇一九年が一七・一%、一時停止率は年々向上しているんですが、依然として八割以上の車が止まらないという結果でした。やはり、一時停止ルールは守られていない。道路交通法違反が常態化していると言えます。 この二〇一九年を都道府県別に見ますと、一時停止率が最も高いところ、長野県です。六八・六%、大変驚異的な数字に感じます。最も低いところ、三重県、三・四%。岐阜県は一六・〇%、全国平均一七・一でしたので、ちょっと下回りました。ちなみに、お隣愛知県は二八・八%。 こうした中、岐阜県警ではシマシマ作戦として、横断歩道での交通事故の抑止活動を行っています。県内各地の横断歩道で、警察官が交通安全協会等の民間ボランティアや市町村と協力して、交通安全グッズやチラシ等を配布するなどの広報啓発活動を行っています。 また、岐阜県では、横断歩行者等妨害等違反の取り締まりも最近強化されているようです。全国的にも、この取り締まり件数は年々増加していまして、二〇一九年は二〇一五年の約二・三倍、約二十三万件取り締まっています。 先ほどのJAFによる一時停止率調査では、岐阜県、二〇一九年、去年が一六・〇%と言いましたけど、実はその前の年の二〇一八年は二・二%しかなかったんですね。これは岐阜県警の取り組みが功を奏して、二・二が一六・〇に上がったというふうに思われます。 他県の例を二つ紹介しておきます。 JAF調査で全国トップの長野県、六八・六と言いましたが、ここは二〇一六年からの調査開始以来四年連続トップです。これに着目しましたNHKが、特集番組でこのことを取り上げました。番組では、一時停止率トップの理由として、ある教育関係者のコメントが紹介されていました。ちょっと読み上げます。長野の人たちが、挨拶を大切にしてきた成果ではないかと。長年の学校、地域、家庭で挨拶とか会釈というものを大事にしてきたことが顕在化しているのではないか。ドライバーはかつての子供たちだし、今の子供たちも車が止まってくれるというその安心感みたいなものを持ちながら大人になっていく。ドライバーも子供もある意味では世代を超えながら、皆同じ体験を共有している。そのことが大きいのではないかとおっしゃっていました。 長野県に問い合わせて調べてみますと、横断歩道での挨拶運動のような取り組みを、実は特別にしているわけではないということが分かりましたが、この話は参考になると思います。 二つ目は、栃木県です。 JAF調査で二〇一八年に全国最下位の〇・九%だった栃木県、県警がユニークな動画を作りました。題名が「脱!止まってくれない栃木県」。車が横断歩道で止まらないために、恋人同士が会うことができないという面白く切ないストーリーでして、県内のテレビCMですとか、スポーツ会場などで繰り返し放映されたそうです。ポスターも作って街頭啓発も行ったとのことです。その結果、二〇一九年は、先ほどの〇・九%から一三・二%と大幅に伸びました。 ここで、もう一つ、一時停止しない理由を私なりに考察しておきたいと思います。 やはり、JAFがこういうアンケート調査をしています。ドライバーが一時停止しないと考えられる理由、二〇一七年調査です。その上位四つ紹介します。自車が停止しても、対向車が停止せずに危ないからと、ごもっともです。後続から車が来ておらず、自車が通り過ぎれば歩行者が渡れると思うからと、そういうときもあります。横断歩道に歩行者がいても、渡るかどうか分からないから。一時停止した際に、後続車から追突されそうになるからと。どれもそのとおりだと思います。 しかし、これに加えて、そもそも大半のドライバーが一時停止ルールを知らないからだと私は感じます。一時停止は親切なドライバーがするもので、別に停止しなくてもいいんじゃないか。あるいは、一時停止が義務であって、一時停止しないと違反になるということを知らないのではないか。一時停止しない最大の理由は、知らないからだと感じております。 私が免許を取った当時は、自動車学校でこのルールについてしっかり習わなかった記憶があります。同世代の方に聞いても、やはり習っていないというふうに言います。ちなみに、今はしっかり教えているようです。一時停止違反で捕まった方に聞いてみても、知らなかったというふうに言っていました。改めて一時停止ルールの周知が必要だと思います。 そこで、一点目の質問、警察本部長にお伺いします。 信号機のない横断歩道における車の一時停止率の向上について、これまでも取り組んでこられましたが、さらに向上させるために他県の取り組みなども参考にする。また、ルールの周知を徹底するなどが考えられますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。 二点目は、交通安全協会など民間ボランティアによる歩行者誘導活動のガイドラインの作成について。 交通安全協会や自治会、地域の民間ボランティアの方々が、児童の登下校時等に児童等歩行者の誘導活動を行っていらっしゃいます。大変ありがたいことで、この場をお借りして感謝申し上げます。 二点目の質問は、こうした民間ボランティアの方が横断歩道でどのような誘導活動を行えばいいのかというのがポイントです。 道路交通法によって、警察官は手信号等によって交通整理を行う権限が与えられています。つまり、横断歩道でしたら車を停止させる権限があります。しかし、民間人には車を制止させる権限がありません。よって、横断歩道で民間ボランティアの方が走ってくる車を制止させて、歩行者を渡らせるということはできないわけです。 でも、現実は、場合によっては車道に出て、あの黄色の旗を水平に差し出して、走ってくる車を制止させる、そんなこともあるというふうに聞いています。歩行者を渡らせようという親切心のあまり、そして歩行者の安全を確保しようという使命感のあまり、権限がないんですが車を制止させる。さらに、車道に出て行われれば、当然大変危険を伴います。 あくまでこうした場合もあるということですが、法令にのっとった、しかも安全な方法で誘導活動が行われなければなりません。もちろん、一時停止しない車が悪いということは言うまでもありません。先ほど説明したとおりです。 では、どうやって誘導活動を行えばいいのか。法令にのっとって安全な方法とは。どこかに模範的な誘導活動のマニュアルやガイドラインはないのかなと。 交通安全活動に取り組んでいらっしゃる一般財団法人岐阜県交通安全協会に確認をしてみました。マニュアルのようなものはないようです。岐阜県警にもありませんでした。このマニュアルがありませんので、実際、交通安全協会に限らず民間ボランティアの方々は、見よう見まねであったり、自分なりの方法で誘導活動をしているとも聞きます。 しかし、その方法が、場合によっては危険な方法であったりするかもしれません。何かマニュアルのような、ガイドラインのようなものが必要ではないでしょうか。 実は、こうした課題に問題意識を持っていらっしゃる交通安全協会多治見支部の脇之島分会で、歩行者誘導マニュアルが作られました。 お手元の資料一を御覧ください。 ここのは、車道には出ないこと。警察官のような法的権限がないこと。そして、立ち位置とか動作。そして、ドライバーへのお礼などが記載されています。よく考えられています。 もう一つ、裏面、資料二です。 これは山口県防府市、ここでは、歩行者誘導ポイントというマニュアルを作っています。 このようなマニュアルを岐阜県警で作ったらどうかと思います。ただ、全ての道路状況等を想定した詳しいマニュアル作りは難しいと思います。つまり、二車線なのかとか、四車線なのかとか、交差点なのか丁字路なのかとか、そういうことは難しいので、一般的で模範的なガイドラインを作ったらどうかと考えます。 そこで、二点目の質問。警察本部長にお伺いします。 交通安全協会など民間ボランティアによる横断歩道での歩行者誘導活動について、法令にのっとり、かつ歩行者と誘導者の安全を確保するための一般的で模範的な方法を示したガイドラインを作成して、交通安全協会など関係団体にそのガイドラインに沿った誘導活動を依頼してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 三点目は、小学校の通学班における班長と児童による歩行者誘導活動のガイドラインの作成について。 二点目の質問と本質的には同じです。小学校の通学班では、その班長など児童自身が誘導活動をしています。そして、横断歩道を渡るときに、先ほどの民間ボランティアがいらっしゃらない場合などに、班長等はどのように誘導すればいいのか。例えば皆が横断歩道を渡るときに、ほかの児童が渡り切るまで横断歩道の中間位置なんかに立ってこうやって見届けるのが、いいのかどうか。そういうことを考えていくと、難しい点がございます。子供たちの安全を願って、これもガイドラインを作ったらどうかと思います。 そこで、三点目の質問。小学校の通学班における通学班長等児童自身による横断歩道での歩行者誘導活動について、二点目の質問と同様に模範的な方法を示したガイドラインを作成して、県教委から市町村教委を通じて各小学校に、そのガイドラインに沿った誘導活動を行うよう通学班長等に対する指導を依頼してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。 このうち、ガイドラインの作成は警察本部で行うのが妥当だと思いますので、警察本部長にガイドラインの作成について御所見をお伺いします。 また、そのガイドラインの浸透・活用については教育委員会で行うのが妥当だと思いますので、教育長にガイドラインの浸透・活用について御所見をお伺いします。 大きい二項目め、県立高校における進学校の学力維持・向上に向けた取り組みについて。 県下の県立高校は六十三校、そのうち岐阜高校、大垣北高校、多治見北高校など、いわゆる進学校と呼ばれる高校が幾つかあります。進学校は高い進学率を誇り、難関大学、有名大学の合格者、進学者を多く輩出しています。難関大学等への進学を望む小・中学生にとっては、憧れの高校と思われます。 ところが、仮にこの進学校の学力が落ちたら、どういうことが起こるか。難関大学の合格者が減ったら、どういうことが起こるか。先ほどのような小・中学生にとっては憧れではなくなり、目指すべき高校ではなくなってくる。その小・中学生は、別のもっとレベルの高い高校を目指すようになるのではないでしょうか。 実際、私の地元では、難関大学を目指す小・中学生、あるいは非常に頭のいい小・中学生は、愛知県の中学校や高校に入学する傾向にあります。地元の高校以上のものを求めているように思います。つまり、県内の進学校の学力が落ちれば、さらに中高生の県外流出が進むというふうに思われます。中高生の県外流出が進むと、最終的に就職段階での県内定着率も低下するのではないかと懸念されます。県教委で取り組んでいます県内定着を狙ったふるさと教育も、県外校では何ともなりません。 何が言いたいかといいますと、県内の進学校の学力は落としてはいけない。それなりの学力を維持すべきと、さらに向上させるべきということです。理由は、今述べた県外流出の抑制だけではなく、当然ですけど、大学進学したい生徒がちゃんと希望の大学に行けるような力を身につけてもらうためにも、進学校の学力維持・向上が重要です。 そこで、進学校は高い学力を維持すべき、さらに向上させるべきという大前提に立って話を進めます。 誤解がないように言っておきますが、幾つかの進学校についての話であって、全ての高校を対象にした話ではありません。進学校は進学校なりの役割を果たしてほしいということです。 さて、高校においては、学年全体の平均学力を把握するデータとしては、大学入試センター試験の結果が最も相対的・客観的データだと言えます。そこで、そのデータを教育委員会にまとめていただきました。 お手元の資料三を御覧ください。パネルでも作ってまいりました。(資料を示す) 県内進学校のうち、六校のみを記載しています。横軸が年です、二〇一二年から二〇二〇年まであります。縦軸が点数で、各学校の平均点です。黒色のラインが全国平均になっています。 最初のグラフでは、五教科六科目、九百点満点が載っています。この黒色の全国平均、当然上下しますので、それと比較しながら各校の動きを見てください。 青色のA校、非常に安定した動きをしています。しかも二〇一六年とか二〇一七年あたりを見ますと、全国平均との差をさらに広げているというふうに見えます。 黄色のD校、緑色のF校、これは上下が激しく安定していない感じがします。 グレーのC校、二〇二〇年だけ見ると落ち込みが大きくなっています。六校中二位だったのが三位と、順位も下げています。 あくまで一例ですが、このC校の二〇二〇年をちょっと詳しく見てみたいと思います。 次のグラフ、国語です。国語も全国平均が上下しています。それに沿って各学校の平均も上下しています。そのC校だけちょっと一例として見てみますと、C校は国語については全国平均と同じ動きをしていて、あまり問題を感じません。 次、数学ⅠA・ⅡB、C校だけ見てみますと、全国平均も落ちていますが、それ以上にC校は落ちています。順位も二位から四位に下がっています。 英語筆記、これもC校は全国平均以上に落ちています。 世界史B、これも全国平均は落ちていますが、C校は大分落ちていまして、順位が一位から三位になっています。 日本史B、これは全国平均の動きと一致しています。 地理B、これは全国平均が上がっているんですが、C校は横ばいと、これも順位を下げています。 物理は全国平均が上がっているんですが、C校は下がっていると、これも順位を下げています。 化学、これは全国平均横ばいですが、C校は下がってしまっています。順位も下げていると。 生物は、見た感じ問題ないと思います。 こういうふうに見ていきますと、どの科目が良くなかったか、また良かったかというのが把握できます。あくまでC校一例なんですが、ほかの高校も同様に把握ができます。学校としての学力維持・向上のため、まずこうした把握が必要ではないでしょうか。 もちろん、このデータだけでは分からなくて、点数分布がどういうふうになっているのか。例えば平均点あたりに集中しているのか、高得点から低得点まで広がっているのか、そういったことも把握する必要があります。 その上で、なぜこうなったか要因を分析すべきと考えます。例えば授業の在り方の問題なのか、教科書・教材の問題なのか、学校運営の問題なのか。もちろん、良かった場合の要因分析も必要と思います。ちなみに、こうした各校をまとめた資料はこれまでありませんでした。今後は、来年から始まります大学入学共通テストの結果をまとめていくと良いと思います。 そこで、一点目の質問、教育長にお伺いします。 県立高校の中で進学校に位置づけられる高校について、大学入学共通テスト等の結果を用いて、学年全体の相対的な平均学力等を把握して、良かった場合、悪かった場合、それぞれについて要因分析を行っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。そして、その要因分析に基づいた改善活動や維持活動が必要だと思います。 二点目の質問、教育長にお伺いします。 学力維持、または学力向上に向けて、一点目の質問の要因分析に基づいて、例えば授業の在り方、教科書・教材、学校運営など改善または維持していく取り組みが必要と思いますが、いかがでしょうか。 初めての大トリを務めさせていただきました。感謝申し上げながら質問を終わります。ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(小原尚君) 警察本部長 奥野省吾君。    〔警察本部長 奥野省吾君登壇〕 ◎警察本部長(奥野省吾君) 横断歩道での交通安全について、三点御質問がありました。 まず、一点目の信号機のない横断歩道における車の一時停止率の向上についてお答えいたします。 県警察では、一昨年からシマシマ作戦と銘打って、横断歩道における歩行者保護のための総合対策を、関係機関・団体と連携し、鋭意推進してきたところでございます。その結果、昨年、県内の横断歩道における交通事故は、死傷者数全体では前年の百二十八人から百三十五人と微増となりましたが、死者数では前年の九人から五人に減少し、一定の成果が見られたところであります。 県警察としましては、本年度は、横断歩道における歩行者の交通事故を一層減少させるため、新たなシマシマ作戦として、毎月各警察署において総合的な対策を推進するための取組週間を設定するとともに、毎月一回、県下一斉の横断歩行者妨害の取締り強化日を指定するなど、取り組みを強化しているところであります。 なお、これらの施策を推進するに当たっては、議員お示しのとおり、他県の取り組みについて良いものがあれば参考にし、またドライバーに横断歩道を通過する際の交通ルールを周知・再認識させることにも留意してまいります。 次に、交通安全協会など民間ボランティアによる歩行者誘導活動のガイドラインの作成についてお答えをいたします。 これまで、登下校時における子供の安全を確保するため、交通安全協会など民間ボランティアの方々により、横断歩道上の通学児童の誘導活動が行われているところであります。誘導活動に際しては、道路交通環境等様々な事情に即した適切な方法で行うことが必要であり、こうした自主的な活動をしていただく方々の安全を確保するため、警察では、自らが事故の当事者にならないように十分注意していただくよう、それぞれの現場で指導を行っているところであります。 県警としましては、引き続き現場における指導・助言を行うとともに、関係機関・団体と連携して歩行者誘導時の基本的な配意事項等を記したガイドラインの作成について、その在り方も含め調査や研究を行ってまいります。 最後に、三点目の小学校の通学班における班長等児童による歩行者誘導活動のガイドラインの作成についてお答えいたします。 先ほど答弁させていただいたのと同様に、県警としましては、児童自身が行う歩行者の誘導活動につきましても安全に行えるよう、教育委員会や学校等関係機関・団体と連携して、基本的な配意事項等を記したガイドラインの作成について、その在り方も含め調査・研究を行ってまいります。 ○副議長(小原尚君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) ガイドラインの浸透・活用についてお答えします。 小学校では、毎年、各学校の安全計画に基づいて交通安全教室を開催し、県警や交通安全協会の方々から児童が直接指導を受けて、交通ルールやマナー、道路の歩行の仕方、自転車の乗り方や点検方法など、交通安全に必要な知識と技能の習得につなげております。 今後、通学班による集団登校や歩行者誘導の方法などに関するガイドラインが作成されれば、各学校や地区の実態に応じて、交通安全教室などでガイドラインに基づいた指導を実施し、その浸透と活用を図ってまいります。 次に、県立高校における進学校の学力維持・向上に向けた取り組みについて、二点御質問がありました。 初めに、大学入学共通テスト等による平均学力の把握と要因分析についてお答えします。 各高校では、生徒及び保護者の同意を得て情報提供を受けた大学入試センター試験の自己採点結果を、受験生本人の出願先の決定や在校生の翌年度の学習計画作成などに活用しております。 また、センター試験の自己採点の科目別平均点を複数の学校間で共有し、自校の状況把握に努めている学校もありますが、共有した情報の分析はそれぞれの学校ごとに教員同士で実施することが多く、学校間で科目ごとに統一的・組織的に行うという面では十分とは言えません。 県教育委員会といたしましても、特に議員から御紹介のあった、いわゆる進学校とされる高校においては、多くの生徒がセンター試験を受験することから、自己採点結果を相対的に比較可能な客観的データとして活用し、自校の強みや弱みを把握した上で、その要因分析をより戦略的に行う意義は十分にあると考えております。 最後に、要因分析に基づく学力向上に向けた取り組みについてお答えします。 大学入試センター試験の自己採点結果等を客観的に分析し、これを授業内容や学校運営等の改善に生かしていくことは、基礎的・基本的な学力の定着に加え、推薦入試や二次試験などでも必要とされる課題を発見・探求し、解決する力の育成にもつながるものと考えております。 このため、今後は県教育委員会が中心となって、進路状況が似通った高校との間で、大学入学共通テストの自己採点結果等の情報を相互に共有・分析する場を設けるなど、より組織的かつ戦略的に取り組んでまいります。 また、ICTを効果的に活用し、志望分野ごとにオンラインで進学補習や個別指導などを、これらの学校と共同で企画・実施するとともに、指導教材や指導のノウハウも共同で研究するなど、生徒たちが希望する進路の実現に向けた取り組みの充実を図ってまいります。 ○副議長(小原尚君) これをもって一般質問並びに議案に対する質疑を終結いたします。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(小原尚君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、お手元に配布の議案及び請願付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託の上、審査することといたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(小原尚君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております各案件は、お手元に配布の議案及び請願付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。 なお、審査は七月八日までに終了し、議長に報告願います。     令和二年第三回岐阜県議会定例会議案及び請願付託表委員会名付託案件総務委員会◯ 議第八十四号から議第八十六号まで ◯ 議第九十五号 ◯ 議第九十七号のうち歳入予算補正、歳出予算補正中総務委員会関係及び債務負担行為補正中総務委員会関係企画経済委員会◯ 議第八十九号 ◯ 議第九十六号 ◯ 議第九十七号のうち歳出予算補正中企画経済委員会関係及び債務負担行為補正中企画経済委員会関係厚生環境委員会◯ 議第八十七号及び議第八十八号 ◯ 議第九十七号のうち歳出予算補正中厚生環境委員会関係 ◯ 議第九十八号農林委員会◯ 議第九十号及び議第九十一号 ◯ 議第九十七号のうち歳出予算補正中農林委員会関係土木委員会◯ 議第九十二号 ◯ 議第九十七号のうち歳出予算補正中土木委員会関係教育警察委員会◯ 議第九十三号及び議第九十四号 ◯ 議第九十七号のうち歳出予算補正中教育警察委員会関係 ◯ 請願第十一号…………………………………………………………………………………………… ○副議長(小原尚君) お諮りいたします。委員会開催等のため、明日から七月八日までの五日間、休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(小原尚君) 御異議なしと認めます。よって、明日から七月八日までの五日間、休会とすることにいたしました。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(小原尚君) 以上をもって本日の日程は全て終了いたしました。 七月九日は午前十時までに御参集願います。 七月九日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時三分散会 ……………………………………………………………………………………………...