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  1. 岐阜県議会 2020-02-01
    03月05日-04号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 2年  2月 定例会(第1回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第四号)                   令和二年三月五日(木)午前十時開議 第一 議第一号から議第六十九号まで 第二 県議第一号 第三 請願第七号から請願第十号まで 第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第一号から議第六十九号まで 一 日程第二 県議第一号 一 日程第三 請願第七号から請願第十号まで 一 日程第四 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十五人      一番   平野恭子君      二番   森 治久君      三番   山内房壽君      五番   小川祐輝君      六番   平野祐也君      七番   所 竜也君      八番   今井政嘉君      九番   藤本恵司君      十番   安井 忠君     十一番   中川裕子君     十二番   伊藤英生君     十三番   澄川寿之君     十四番   水野吉近君     十五番   恩田佳幸君     十六番   若井敦子君     十七番   広瀬 修君     十八番   布俣正也君     十九番   国枝慎太郎君     二十番   長屋光征君    二十一番   林 幸広君    二十二番   高木貴行君    二十三番   野村美穂君    二十四番   高殿 尚君    二十五番   田中勝士君    二十六番   加藤大博君    二十七番   山本勝敏君    二十八番   松岡正人君    二十九番   小原 尚君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   水野正敏君    三十三番   野島征夫君    三十四番   伊藤秀光君    三十五番   平岩正光君    三十六番   佐藤武彦君    三十七番   森 正弘君    三十八番   小川恒雄君    三十九番   渡辺嘉山君     四十番   伊藤正博君    四十一番   村下貴夫君    四十三番   尾藤義昭君    四十四番   藤墳 守君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         市川篤丸 総務課長         森 浩一 議事調査課長       篭橋智基 議事調査課管理調整監   三宅誠樹 同    課長補佐    青木陽輔 同    課長補佐    田口智記 同    係長      佐藤貴一 同    係長      横川真澄 同    主査      上野由香 同    主査      岩田昌也…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          平木 省君 副知事          河合孝憲君 会計管理者        石原佳洋君 総務部長         横山 玄君 清流の国推進部長     尾鼻 智君 危機管理部長       西垣功朗君 環境生活部長       服部 敬君 環境生活部県民文化局長  矢本哲也君 健康福祉部長       兼山鎮也君 健康福祉部子ども・女性局長              北川幹根君 商工労働部長       井川孝明君 商工労働部観光国際局長  崎浦良典君 農政部長         渡辺正信君 林政部長         荻巣雅俊君 県土整備部長       宗宮裕雄君 都市建築部長       船坂徳彦君 都市建築部都市公園整備局長              湯澤将憲君 秘書政策審議監      大脇哲也君 健康福祉部次長(医療担当)              堀 裕行君 教育長          安福正寿君 警察本部長        今林寛幸君 代表監査委員       鈴土 靖君 人事委員会事務局長    藤田春美君 労働委員会事務局長    桐山敏通君…………………………………………………………………………………………… △三月五日午前十時開議 ○議長(小川恒雄君) ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(小川恒雄君) 日程第一から日程第三までを一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(小川恒雄君) 日程第四 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。十三番 澄川寿之君。    〔十三番 澄川寿之君登壇〕(拍手) ◆十三番(澄川寿之君) 質問に入らせていただく前に、新型コロナウイルスの影響により、県民の皆様から多くの御不安の声を頂いております。私ども岐阜県議会公明党として、二月二十八日に県民の皆様の声を緊急要望という形で古田知事にお届けさせていただきました。 昨日、知事から補正予算案が提出され、議会も承認させていただきました。また、質問でも様々な角度からお話がありましたが、事態の早期終息に向け、国・市町村と連携いただきながら最大限の取組をお願いしたいと思います。 それでは、以降、岐阜県議会公明党の代表質問を行わせていただきます。 新年度予算について協議するに当たり、冒頭、岐阜県財政の状況について確認をさせていただきたいと思います。 昨年十月、新潟県で行財政改革の基本方針と具体的な対策を取りまとめた新潟県行財政改革行動計画を策定されたとの報道記事を拝見しました。報道によれば、二〇一九年度から二〇二三年度まで歳出を最大六百四十億円削減。部局予算の削減や県有施設の見直しのほか、県職員の給与削減にも踏み込む。県の基金残高は現状のままでは二〇二二年度末にも枯渇する見通しであり、行動計画に沿って収支改革を進め、財政の立て直しを急ぐとのことです。 この記事を読み、本県の財政状況についても予断なく吟味をしていくことが必要ではないかと感じました。 ちょうど今から十年前の平成二十二年三月、本県では向こう三年間における構造的な財源不足を解消するための具体的な取組を定めた行財政改革アクションプランを策定しました。当時、総額にして約九百二十億円もの巨額な財源不足が見込まれ、財政再生団体への転落も危惧されていました。多くの県民の方にも痛みを伴う改革が行われたことは今でも記憶に新しいところです。 本県で行財政改革アクションプランが策定されてから十年が経過しました。借金の返済負担の程度を見る実質公債費比率は、平成二十一年度には一八%を上回り、起債許可団体となりましたが、直近の平成三十年度決算では八・二%と着実に改善し、全国順位も健全のほうから四番目となっています。 一方、少し気になる試算があります。昨年三月、県は持続可能な健全財政を引き続き確保するため、十年ぶりに岐阜県行財政改革指針二〇一九を策定しました。その中の今後の財政見通しでは、高い経済成長が実現した場合である成長実現ケースでは令和八年度以降に、経済成長を慎重に見積もった場合であるベースラインケースでは令和六年度以降に、歳出・歳入の収支不足が百億円を超えると試算しています。それから僅か一年後、令和二年度予算編成時に示された同様の今後の財政見通しでは、成長実現ケースでは昨年の試算より二年前倒しの令和六年度に、ベースラインケースでも一年前倒しの令和五年度には百億円を超す収支不足になると試算しています。 また、地方自治体の借金や、将来支払っていく可能性のある負担等の現時点での残高を指標化し、将来財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標である将来負担比率は平成二十八年度から悪化し始めており、平成三十年度決算では都道府県平均の一七三・六%を上回る二〇六・一%。全国順位でも三十二位となっています。 国が定める将来負担比率の早期健全化基準は四〇〇%であることや、平成二十一年度には二五一・八%であったことを考慮すれば、もちろん以前ほど深刻な数値にはなっていませんが、年々悪化し始めたのは事実であり、さらに令和三年度以降、公債費が増加に転じる見込みなど、新たな課題が生じてきていることを併せてみれば、懸念材料ともなります。 財政の収支見通しは、景気動向はもとより、国の税制や予算の状況、地方財政対策などに大きく左右されることから、あくまで試算であります。しかし、県の財政見通しにおける懸念事項や憂慮すべき指標などについても、現時点から県民に丁寧な説明が必要ではないでしょうか。 来年度から職員の給与カットに踏み込む新潟県では、大規模災害があっても対応できる財政調整基金残高を見据えた収支改革額の目標額も設定しています。 想定外の常態化と言われる災害が頻発している昨今、県民の生命と財産を守るための緊急的な財政出動も必要となってくる時代であり、災害時などの不測の事態には地方交付税が追加される減収補填制度や、有利な補助率の災害復旧事業が用意されているとはいえ、安定的な財政運営を行うためにも、一定水準の基金残高を確保していくことが必要だと考えます。 引き続き節度ある財政運営の継続、歳入確保対策、県財政の見える化等を着実に進め、中長期的な視野に立った健全で持続可能な財政運営に努めていただきたいと思います。 そこで、知事にお尋ねいたします。将来負担比率の悪化や公債費の増加も見込まれている中、健全で持続可能な財政運営に向け、どのように取り組んでいかれるか、御所見をお聞かせください。 続きまして、防災・減災対策について三点質問をさせていただきます。 まず、令和二年度予算の関係からお伺いします。令和二年度地方財政対策の概要が昨年末に示され、現在国で議論が進んでいます。先ほど申し上げたとおり、県財政については慎重に進めながらも必要な事業にはしっかりと予算を確保していただきたいと思います。そして、国のほうでも、着実に取り組むべき事業については財源を厚く手当てされているものもありますので、本県として積極的に活用をお願いしたいと思います。 そこで、二つの事業について、本県の取組を確認させていただきます。 一点目として、河川やダム等の堆積土砂の撤去の取り組みについてです。国の予算案では、昨年の台風十九号、以下、気象庁が定める名称である令和元年東日本台風とさせていただきますが、この台風による河川氾濫等の大規模な浸水被害等が相次ぐ中、被災後の復旧費用を考慮しても、維持管理のための河川等の堆積土砂の撤去等を意味するしゅんせつが重要であるとのことで、地方団体が単独事業として実施する河川等のしゅんせつを推進するため、新たに緊急浚渫事業推進事業費を計上しています。 各分野での個別計画に緊急的に実施する必要がある箇所として位置づけた河川、ダム、砂防及び治山に係るしゅんせつについて、これまでは地方自治体が多くの事業費を負担していましたが、今回の事業が創設されれば、令和二年度から六年度まで地方債の特例措置が講じられ、充当率一〇〇%、元利償還分の七割は国から地方交付税措置をしてもらえるという大変有利なものであります。 本県は多くの大小河川を抱え、近年の大雨等により河川等の底に堆積が増えているとのお話もお聞きします。堆積が増せば、その分、流水できる流量が減少し、河川氾濫等の被害が発生することが懸念されます。事実、令和元年東日本台風では、河川の氾濫により大規模水害が各地で発生し、多くの農地や住宅が浸水しました。 防災・減災対策は、河川整備や河川改修といった大規模改修も必要でありますが、日常的な維持管理である土砂撤去なども着実に県として取り組んでいけば、災害時の被害を軽減できます。そのため、本県においても事業を進捗させる必要があると考えます。 そこで、県土整備部長にお尋ねいたします。防災対策に有効な河川等のしゅんせつ事業について、着実に取り組んでいく必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。 二点目は、技術職員の充実による市町村支援中長期派遣体制の強化についてです。近年多発する自然災害への対応や、公共施設の老朽化を踏まえた適正管理が求められる中で、小規模市町村を中心に技術職員の不足が深刻化しています。要因として、大量採用世代の退職、公共事業の減少に伴う減、景気拡大に伴う採用難等が上げられておりますが、小規模市町村を中心に土木職など技術職員の不足が深刻化していると言われており、さらに大規模災害時において技術職員の中長期派遣を求める声が強いものの、恒常的に不足している状況であると伺います。このため、国のほうでは都道府県等が技術職員を増員し、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、大規模災害時の中長期派遣要員を確保する場合に、増員された職員人件費に対して地方財政措置を講ずる仕組みを考えているようです。本県においても積極的に活用し、技術職員を確保するべきではないかと考えます。 そこで、総務部長にお伺いします。災害が多発する中で、本県における技術職員の確保が必要と考えますが、お考えをお聞かせください。 防災・減災対策の三点目として、家屋被害認定士制度の取り組みについてお伺いします。近年、災害が頻発する中で、発生後の支援の取り組みの重要性が指摘されています。昨年、私の地元、岐阜市内でも竜巻被害が発生し、家屋被害に遭われた市民の方からお話を伺いました。被災状況の調査に市職員の方が来てくれたのですが、福祉担当職員の方が調査されたことに不安を感じたとのことで、建築分野等、家屋の構造等に明るい方に見てもらいたかったとのことでした。家屋の被害調査が早く確実に行われることが被災者支援の第一歩となります。 そうした中、幾つかの自治体で家屋被害認定士制度の運用が始まっており、兵庫県と和歌山県に伺いその内容を調査させていただきました。最初に取り組まれた兵庫県では、平成十六年台風第二十三号災害や、新潟県中越地震災害における住家の被害調査において、調査手順が複雑で時間を要することや、隣接市町の間で認定結果に差が出るなど、課題が顕著となったことを受け、被害調査の迅速化と統一化を担保し、被災者支援制度の円滑な実施に資するため、十分な知識と技術を備え、即時に被害調査に従事できる兵庫県家屋被害認定士制度を平成十八年一月に創設し、同年二月から認定士の養成研修を実施しています。養成対象者は市町職員、県職員、関係団体会員等で、主な研修内容としては、被災者支援制度、被害調査及び罹災証明書発行に係る業務、被害の調査方法・判定方法、内閣府が策定した災害に係る住家の被害認定基準運用指針などです。こうした研修を修了した方に兵庫県知事名家屋被害認定士之証が交付され、令和元年度までに二千五百八十八名養成されました。そして、認定を受けられた方々が近年でも大阪北部地震や平成三十年七月豪雨、令和元年東日本台風など、各災害の被災地に派遣され、活躍されたと伺いました。 和歌山県においては、平成二十四年度から住家被害認定士制度として、愛知県でも平成二十八年から家屋被害認定士として始まっております。 そこで、危機管理部長にお尋ねいたします。近年の災害の頻発化もあり、他自治体も参考にしながら認定制度を設け、早期の被災者支援につなげてはどうかと考えますが、お考えをお聞かせください。 ここで一回目の質問を終わります。 ○議長(小川恒雄君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 昨日も申し上げたところでございますが、本県財政は、一時期は大変危機的な状況にあり、行財政改革を徹底的に進めてまいりました。その結果、御案内のとおり、公債費などのフローの状況を指標化した実質公債費比率で見れば、平成三十年度では八・二%と全国的に見て健全なほうから四番目、令和元年度見込みでは六・七%、さらに新年度では六・〇%と、ここ三年で見ても健全性がさらに高まるという見込みでございます。 ただ、社会保障関係経費の増加のほか、公共施設の長寿命化対策経費の増嵩、近年頻発する災害への対応などに伴い、県債残高が累増し、近い将来、公債費及び実質公債比費率も増加に転ずることが見通されております。このため、向こう十年間の中長期的な財政見通しを踏まえつつ、各年度において、起債額の調整や執行段階での節減努力を行うなどの取り組みも継続しております。 来年度予算編成におきましても、例えば昨年度策定いたしました新たな行財政改革指針に基づいて、終期が到来する全ての事業について廃止を含めた見直しを検討し、九億五千万円の削減効果を得たところであります。 また、節度を持った県債の発行ということで、令和二年度の発行額は指針策定時の試算値よりも五十八億円抑制しております。 なお、今後の収支不足や財政調整基金残高に関する御指摘がございました。昨年度について申し上げますと、当初予算では財政調整基金を百十億取り崩すこととしておりました。しかしながら、執行段階での節減努力、歳入確保策の実施によって取崩しを不要とし、逆に決算段階では六億円を積み増しして、二百十七億円の財政調整基金残高を確保したということでございます。今年度も同様に節減努力を行い、現在上程しております補正予算におきましては、取崩し額は当初予算の百十億円から三十一億円にまで縮減させているところでございます。 また、公債費について申し上げますと、令和三年度以降、仮に県庁舎再整備以外の投資的経費を令和二年度横ばいというふうに試算をいたしますと、公債費は増加に転ずる見込みでございます。これは、県固有の公債費も徐々に増えてはまいりますが、それ以上に地方交付税の代替財源として、いわば国に強いられた借金である臨時財政対策債の累増に起因するものであり、これまでどおり国にしっかりと補填していただけるよう、強く求めてまいりたいと思っております。 次に、議員が言及されました県債残高などのストックの状況を指標で示した将来負担比率でございますが、平成二十一年度の二五一・八%をピークに、平成二十七年度の一八九・七%まで六年連続で低下してきております。しかしながら、近年頻発する災害への対応や公共施設の長寿命化対策経費の増嵩などにより県債発行額が増加しております。この増加のペースが公債費として返還していくペースを上回ることで県債残高が徐々に増加し、直近の平成三十年度には二〇六・一%まで上昇しているということでございます。 また、さっき申し上げました試算におきましては、令和九年度以降二四〇%台になることが見込まれております。これは、国が定める早期健全化基準の四〇〇%を大きく下回ってはおりますけれども、今後、投資的経費の水準を含めて注意深く見ていかなければならないというふうに考えております。 以上、御指摘の幾つかの点について御答弁申し上げましたが、引き続き中期的な見通しを明らかにしながら政策課題に的確に対応していくという、透明で節度ある持続可能な財政運営に努めてまいります。 ○議長(小川恒雄君) 県土整備部長 宗宮裕雄君。    〔県土整備部長 宗宮裕雄君登壇〕 ◎県土整備部長(宗宮裕雄君) 防災対策に有効な河川等のしゅんせつ事業の着実な取り組みについて、お答えします。 平時より、河川等に堆積した土砂を撤去し、水が流れる空間を確保しておくことは、治水安全上有効であり、本県は幾多の災害を経験する中において、その重要性を認識し、対策を実施しておりました。これらの土砂撤去は、これまで主に維持管理として県単独事業で実施しており、限られた予算の中で優先順位をつけながら進めております。こうした中、平成三十年七月豪雨を受け、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策として、樹木伐採、掘削を行うことで近年の洪水等に対して氾濫を防止することとなり、本県においても重点的に実施しているところです。さらに、来年度からは維持管理として、地方公共団体が実施する河川等の堆積土砂の撤去に対し、大幅に財政的負担が軽減される緊急浚渫推進事業が新たに創設されることが示されました。県としても、この新たな事業を積極的に活用し、安心・安全で災害に強い県土の構築に向け、着実に取り組みを進めてまいります。 ○議長(小川恒雄君) 総務部長 横山 玄君。    〔総務部長 横山 玄君登壇〕 ◎総務部長(横山玄君) 市町村支援のための技術職員の確保について、お答えを申し上げます。 技術職員の継続的な確保については、県のみならず、市町村においても大変重要な課題と認識としております。そのため、これまでも県内市町村からの要請に応じ、土木や森林科学などの技術職員を派遣し、道路整備や林業振興といった各地域の抱えるプロジェクトへの支援を行っております。 また、令和元年東日本台風のような大規模な災害が発生した際には、国や全国知事会などからの要請に応じ、被災自治体に技術職員を派遣しているところです。 こうした中で、本県としましても今回創設される制度を積極的に活用し、令和二年度中に十名程度の技術職員を追加で採用したいと考えております。 今後も引き続き計画的に技術職員の確保に努め、平時には県内市町村への職員派遣や業務の支援を行うとともに、災害発生時には県内外の被災自治体へ技術職員を派遣できるよう、必要な体制を整えてまいります。 ○議長(小川恒雄君) 危機管理部長 西垣功朗君。    〔危機管理部長 西垣功朗君登壇〕 ◎危機管理部長(西垣功朗君) 家屋被害認定士制度の取り組みについて、お答えをいたします。 県では、災害時の家屋被害調査を円滑に進めるため、平成二十六年度より、主に市町村の防災や税務担当職員を対象に研修会を開催し、これまで三百五十五名の人材を養成してまいりました。この研修会では、被害認定士制度の概要や被害程度の判定基準など、基礎的な知識の習得を中心としておりますが、実際の調査に従事する際には、被災家屋の傾斜や屋根、壁等の損傷状況を測定する技術的手法など、専門的な知識も必要となります。このため、今後は実践的な演習を取り入れるなど研修内容を充実させ、調査の迅速化と被害認定の統一化を図ってまいります。 その上で、御質問の認定士制度は、大規模災害時に備え、市町村の枠を超えた相互応援体制の強化にもつながるものであり、有効なものと考えております。今後、その円滑な導入に向けて、市町村の意見をお聞きしながら取り組んでまいります。 ○議長(小川恒雄君) 十三番 澄川寿之君。    〔十三番 澄川寿之君登壇〕
    ◆十三番(澄川寿之君) ありがとうございました。 引き続き、質問を行わせていただきます。 本県では、第二期地方創生総合戦略の中で人づくりを重点政策と位置づけ、取り組みを行っています。言うまでもなく、次世代を支える担い手の確保は大きな課題であります。その中で、青少年の育成の取り組みについて、改めて確認させていただきたいと思います。 平成三十年六月議会において、古田知事に質問をさせていただきました。少し抜粋しますと、IoTやAIの発展に伴い、将来人が行っている仕事が代替されるかもしれないと言われる時代にあって、改めて人間力をどうつけていくのかが問われています。どのような時代であっても、全ての青少年が社会で力を発揮できるような青少年育成の取り組みが重要ではないか。そして、ひきこもり等の青少年の課題に対応するだけでなく、未然防止や乗り越える力の養成などにも力を入れるとともに、その推進体制の強化を図るべきと訴えさせていただきました。質問に対し、知事から、青少年育成に関わる関係者に幅広く参画していただいて、青少年健全育成計画に掲げる基本方針に沿って、育成支援策を全般にわたってリードしていく体制を整えていくべきではないかというふうに考えると御答弁を頂き、その後に岐阜県青少年育成支援協議会が設置されました。安全・安心な社会環境の整備、困難を有する子供・若者の支援、青少年の自立支援、家庭・地域社会での青少年健全育成の四分野から三十団体で協議会が設置され、スタートしたということを非常にうれしく思います。 しかし大切なことは、協議会を設置することではなく、設置された協議会を生かして県の施策を充実させていくことであります。残念ながら、昨年一年を見ても、十代の自死案件、ひきこもりを起因とした傷害致死事件など、青少年育成は待ったなしの取り組みが必要です。そうした中で、現行の「第三次岐阜県青少年健全育成計画~ぎふ子ども・若者プラン~」も令和二年度に最終年度を迎えます。次期育成計画策定に向け、協議会がよい形で関わりを持っていただき、よりよい計画が策定され、実行されることを願います。 そこで、知事にお伺いいたします。岐阜県青少年育成支援協議会での議論を踏まえ、次期青少年健全育成計画をどのような方針で策定されるおつもりでしょうか、お考えをお聞かせください。 続きまして、誰一人として取り残さない岐阜県に向けて、二点お伺いいたします。 一点目に、フリースクール等との連携についてお尋ねいたします。今回の令和二年度予算案の事業内容でも示されていますが、不登校生徒に対する柔軟な対応ができる環境整備が大切です。資料によりますと、平成三十年度の小・中学校における不登校児童・生徒は約二千九百五十人で、前年より増加しています。本県に限らず、課題は深刻であり、平成二十八年には義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布に基づき、不登校児童・生徒に対して多様で適切な教育機会を確保する施策を進めています。 今回は、その中でもフリースクールの活用について質問させていただきます。フリースクールとは、一般に不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設であり、その規模や活動内容は多種多様であり、民間の自主性、主体性の下に設置・運営されています。 令和元年十月二十五日に文部科学省より不登校児童・生徒への支援の在り方についてとの通知が発出されました。通知の不登校児童・生徒への支援に対する基本的な考え方、(二)学校の教育の意義・役割の中で、児童・生徒の才能や能力に応じてそれぞれの可能性を伸ばせるよう、本人の希望を尊重した上で、場合によっては教育支援センターや不登校特例校、ICTを活用した学習支援、フリースクール、中学校夜間学級での受入れなど、様々な関係機関等を活用し、社会的自立への支援を行うこと。その際、フリースクールなどの民間施設やNPO等と積極的に連携し、相互に協力・補完することの意義は大きいと示されています。 令和二年度予算案の中で、本県においては新たに不登校児童・生徒の学習支援体制整備事業費が計上され、令和三年度を目途に岐阜県学校フリースクール等連携協議会を設立し、岐阜県フリースクール等ガイドラインを策定していくとあり、この点については着実に進めていっていただきたいと思います。 一方で、文部科学省からの通知は既に発出されていますので、各学校において相談があった場合は、適切に運用されていくべきであると考えます。私が相談を受けた案件では、岐阜市にある教育関係のNPO団体がこの通知にのっとり、個別指導計画書を活用し、支援を進める中で、学校によって対応に温度差があったと伺いました。義務教育九年間の中で、一年間の差というのは大変に大きいと思います。協議会やガイドラインが策定されるまでフリースクール等の活用が進まないとなると、児童・生徒が適切な支援を受けることができなくなるのではないでしょうか。特に、出席扱いの部分については、認められることで児童・生徒や家族にとって精神的負担の緩和につながります。 そこで、教育長にお伺いします。文部科学省の通知等を踏まえ、フリースクール等との連携・活用を進め、児童・生徒が適切な支援を受けられる体制を整備すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 続きまして、二点目として、障害者手帳のカード化についてお伺いいたします。 身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の様式などを定めた厚生労働省の省令が改正され、昨年四月から交付主体の都道府県や政令指定都市、中核市の判断でカード型の手帳が発行できることになりました。従来の障害者手帳は、自治体によって多少の違いはありますが、縦十一・四センチ、横七・五センチ程度の大きさで紙が使われています。以前から、携行の不便さや劣化による使いにくさが指摘されていましたが、補装具の支給状況などを後から加筆していく仕様になっていたため、これまではカード化が困難とされてきました。しかし、今回、自治体による情報のシステム管理など、環境が整いつつあることを踏まえ、省令が見直されました。 カード型の手帳は、プラスチックなど耐久性のある素材で、運転免許証などと同じ大きさになります。また、自治体がカード型を導入する場合でも、従来の手帳と併せ、希望によって選ぶことができることとなっています。 山口県では、二〇一五年度からプラスチック製カードの療育手帳を希望者に交付しています。住所や障がいの状態が変わった場合、追記できる紙の手帳と違って再発行が必要になりますが、それでも約四割の方がカード型を選ぶといいます。 カード化の議論の中で、マイナンバーカードに連動する方法も検討されているようでありますが、障害者手帳の性質上、外見で分かる専用のカードのほうがよいとの意見もあります。大阪や兵庫、徳島など二府八県は合同会議を開き、カード型発行の検討を決めたとのことで、本県にお住まいの障がい者の方々からも、ぜひ岐阜県でも導入してほしいとのお声を頂いております。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。本県においても各種障害者手帳のカード化の導入に向けて取り組むべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 最後の項目として、次世代を担う人材確保の取り組みとして二点お伺いいたします。 初めに、介護職員の方へのハラスメント対策についてです。 昨年、県民の方から御相談を頂きました。介護士として働いている家族の体にあざを見つけ、話を聞くと、職場で利用者に対応する中でけがをしてしまったとのことでありました。認知症等、様々な利用者の方がおられ、時に暴力を振るってしまう方、暴れてしまう方がいると聞きますが、必要以上の拘束をしてしまうと人権問題ともなってしまいます。 私自身も、父が一昨年に他界いたしましたが、入院中には点滴を勝手に外してしまったり、帰ろうと動いてしまう中で、家族の了解の上、ベッドに拘束することがありましたが、家族も、医療従事者、介護従事者の方もいろいろな思いがある中で、バランスが重要であることを痛感いたしました。しかしながら、介護士は成り手不足と言われる中で、安心して継続して働ける環境をしっかりと確保していかなければいけないと感じます。 兵庫県では、マニュアルを策定し、取組を進めており、私も勉強させていただきましたが、策定に当たっての御苦労や、職場にどのように広げていくのか課題もあると伺いました。 そうした中、厚生労働省は昨年三月に介護現場におけるハラスメントに関する調査研究事業報告書を示し、併せて介護現場におけるハラスメント対策マニュアルを発表しました。しかしながら、残念なことに、私が今回の相談を受けたのは昨年の夏頃です。せっかくマニュアルができていても、事業者の方が内容を理解し、現場で働く方を守れなければ意味がないのではないでしょうか。ただでさえ人手不足の現場であり、こうした課題が続けば担い手は増えていかないと考えます。本県においても、改めてこの課題について徹底すべきではないでしょうか。 そこで、健康福祉部長にお尋ねいたします。介護現場で働く方を守るため、ハラスメント対策の徹底が重要と考えますが、お考えをお聞かせください。 最後に、女性のための起業講座についてお伺いいたします。 本県では、仕事と家庭の両立、再就職への不安など、女性の様々な悩みの解決を支援し、女性の活躍を応援する事業「Dearぎふジョ!プロジェクト」を展開しており、その一環として、女性のための起業講座を開催されています。 この講座について、先日岐阜市の女性からお声をかけていただきました。講座に申し込んだところ、定員超となり受講できなかったということで、講座の回数や定員の増加、また家庭の事情で外の講座に出られない方に向けて、ICTを活用した講座を検討できないかというものでした。 そこで、担当課に今年度の開催状況や申込み状況をお伺いいたしました。講座は初級編と中級編が岐阜市内で行われ、定員は各三十名、毎回十名の託児を行うなど工夫も見られ、申込み多数となったため、定員を各四十五名に増やされた上で、両講座に申し込まれた方三十四名、それぞれ片方だけの方が十一名、計五十六名の申込みを受け付けられたようです。それ以上の申込みについてはお断りをされたとのことでした。 事業が盛況なのは大変によいことですが、お話を伺う中で気になる点が二点ありました。 まず一点目として、受講生に県外の方及び住所未回答の方が若干名いらっしゃったとのことです。 二点目として、県内の申込者も岐阜圏域が七割超、東濃・飛騨はゼロ、中濃も若干名と、地域によって偏りがあったことです。講座は外部委託とのことでありますが、岐阜県の予算、すなわち県税で行われる事業であり、県民が優先して受講できる体制や、地域に偏りない開催方法も検討するべきではないでしょうか。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねいたします。本年度が初開催とのことではありましたが、女性のための起業講座について、本年度の実施内容を踏まえ、今後どのように取り組まれるか、お考えをお聞かせください。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(小川恒雄君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 青少年健全育成計画の策定について、お尋ねがございました。 本県では、これまで平成二十七年度に策定しました現行の育成計画に基づき、若年層のインターネットの適切利用のための啓発、携帯電話のフィルタリング促進など、安全・安心な社会環境の整備に努めてまいりました。 また、澄川議員の御提案を踏まえて、青少年育成支援協議会を設置し、これを通じて育成支援団体相互のネットワークを強化し、困難を有する青少年の支援体制の充実を図ってきております。 さらには、豊かな人間性を育むため「ぎふ木育」「ふるさと教育」などの多様な体験活動を実施するとともに「話そう!語ろう!わが家の約束」運動を展開し、家庭内コミュニケーションの深化も図ってきておるところでございます。 こうした取組により、六歳から十九歳までの人口千人当たりの非行少年の検挙・補導人数でございますが、平成二十六年の二・九人から平成三十年には一・五人にほぼ半減しております。 また、自己肯定感についての指標である「自分にはよいところがあると答えた中学生の割合」は、平成二十六年度の六六・三%から令和元年度には七五・九%に上昇するなど、望ましい方向に向かいつつあります。 一方、有害なサイトの閲覧を制限するフィルタリングにつきましては、高校生の利用率は平成二十六年度の六二・二%から、平成三十年度には七二・五%と上昇しておりますが、一方で中学生につきましては、六六・八%から、逆に六五・七%と、若干ではありますが下降しておりまして、引き続き取り組むべき課題であると認識しております。 特に最近、ネット依存やゲーム依存が疑われる生徒が増加傾向にあること、SNS等をきっかけとして自画撮り被害などの性犯罪に巻き込まれるケースがあることなど、青少年を取り巻く環境は複雑なものとなっております。 また、青少年育成支援協議会におきましても、実態調査や現地視察を通じて育成団体と支援団体の双方の活動についての情報不足、子供の変化の兆候の早期発見などの課題が提起されております。 以上を踏まえて、来年度策定する次期計画につきましては、引き続き青少年の健全育成のための環境整備や支援体制の充実を図ってまいりますが、併せて青少年を取り巻く新たな課題への対応を盛り込んでまいります。例えば、フィルタリングの促進など有害サイトから青少年を守る環境づくりにつきましては、保護者のネットリテラシー、つまりネットについての理解力・利用力の向上が重要でございます。そのため、引き続きネットの安全・安心利用に関する研修の充実と保護者への啓発を図ってまいります。 さらに、ネットやゲームへの依存対策として、ネット依存予防教室、あるいは対策プログラムの実施といったこと、また性被害から青少年を守る取り組みとして、青少年健全育成条例の改正によるJKビジネスや自画撮り要求の規制と啓発活動の実施をそれぞれ盛り込んでまいりたいと思っております。 さらに、育成団体、支援団体の相互理解を深めるため、各地域においてこれら団体の交流会を実施するとともに、早い段階で子供たちの「困難な兆し」を発見するためのケーススタディーなどにも取り組んでまいります。 以上について、今後青少年育成審議会で御審議いただきつつ、また青少年育成団体、あるいは支援団体から成る協議会も含めて、広く県民の皆様の御意見をお聞きしながら、次期計画の策定を進めてまいります。 ○議長(小川恒雄君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) フリースクール等との連携について、お答えします。 国の通知によれば、フリースクール等に通う不登校児童・生徒については、当該施設における相談・指導が社会的な自立を目指すもので、適切な支援を実施していると評価できる場合に出席扱いできるとされています。 県では、全ての公立小・中学校が本通知の趣旨を十分に理解し、不登校児童・生徒の出席扱いについて適切に判断するよう、今般、再度の徹底を図ったところです。 また、フリースクールは施設の形態や活動内容が様々であることから、県内の施設を訪問し、実施状況などの現状把握にも取り組んでおります。 さらに、来年度は不登校児童・生徒支援に実績にある専門家や関係団体等で構成する連絡協議会を立ち上げ、フリースクール等との連携の在り方や学校外での活動の出席扱い、さらには学習評価に関する参考事例等を示したガイドラインの作成に着手します。加えて、ICTを活用した学習支援や保護者への進路情報の提供等についても検討し、関係者間の連携協力体制が築かれるよう努めてまいります。 ○議長(小川恒雄君) 健康福祉部長 兼山鎮也君。    〔健康福祉部長 兼山鎮也君登壇〕 ◎健康福祉部長(兼山鎮也君) 二点御質問いただきました。 まず最初に、障害者手帳のカード化についてお答えいたします。 現在、本県の障害者手帳は紙方式でありますが、御指摘のような厚生労働省令の改正により、プラスチック製等のカード化が可能になったこともあり、県内の障がい者団体などから意見を伺ったところです。そこでは、カード化は耐久性向上や携行のしやすさなどメリットはあるが、小さいため紛失しやすいのではないか。また、他の自治体と足並みをそろえるべきではないか。マイナンバーカードとの一体化など付加価値をつけるべきではないかといった様々な観点から御意見があったところです。 そうした中、昨年十二月の国のデジタル・ガバメント閣僚会議において、障害者手帳とマイナンバーカードとの一体化等を令和四年度末までに推進する旨の方針が示されました。 本県といたしましては、頂いた御意見を踏まえつつ、マイナンバーカードとの一体化等との国の方針を踏まえ、その取組状況や他の自治体の対応を注視しながら、カード化について検討してまいります。 次に、介護職員のハラスメント対策についてお答えいたします。 介護職員へのハラスメントについては、介護事業者自身が対策を理解し、組織として対応する必要がございます。しかしながら、議員御指摘のように、厚生労働省のマニュアルが作成されたにもかかわらず、現場で徹底されていないのは課題であると認識しております。 そのため、今夏、管理者に向けて、岐阜、東濃、飛騨の三か所、介護職員に対しては全五圏域でそれぞれ研修を実施いたします。研修におきましては、利用者や家族に対し、ハラスメントに当たる行為やハラスメントが行われた場合の契約解除について適切に伝えること、職員が相談しやすい窓口を設けること、医師、弁護士、警察等に相談できる体制の整備を行うことなどを確認してまいります。 その上で、介護事業者において、ハラスメントに対する基本方針に加え、未然防止方策や発生した場合の対応をまとめたマニュアルを作成することを徹底してまいります。 なお、県では介護職員に対する相談窓口を設置しておりますが、ハラスメントに関する相談にも対応できるよう強化してまいります。 ○議長(小川恒雄君) 子ども・女性局長 北川幹根君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 北川幹根君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(北川幹根君) 女性のための起業講座の実施結果を踏まえた今後の取り組みについて、お答えいたします。 女性のための起業講座は、当初の予想を上回る多くのお申込みを頂き、また受講者からは、自分の考えを整理できた、具体的に行動する気持ちになったという声もあり、効果を実感しているところです。 一方で、今年度初めて開催した講座であったことから、議員御指摘のとおり、運営面における課題も見つかったところでございます。 このことから、来年度は開催数について、今年度の二講座六回から四講座九回に増やし、岐阜圏域に加えて、東濃圏域や飛騨圏域でも開催することにより、受講していただける機会を充実させてまいります。 また、受講者については、今回の講座では県外からの受講者がいらっしゃった一方で、受講できなかった県民の方がいらっしゃったという状況を踏まえ、今年度の先着順による募集方法から、来年度は住所地の確認をしっかり行った上で、県内の方を優先して受講していただけるような募集方法に見直し、より多くの県民の方々に受講していただけるよう工夫してまいります。 ○議長(小川恒雄君) 三十四番 伊藤秀光君。    〔三十四番 伊藤秀光君登壇〕(拍手) ◆三十四番(伊藤秀光君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きく二点三項目についてお伺いをします。 一つ目は、外国人材を含めた観光人材確保の取り組みについてです。今回の新型コロナウイルス感染症が拡大している問題は、本県ばかりか、日本全国の観光産業にも大きな影響を及ぼしています。今回、観光人材について質問させていただきますが、早期の事態の収束を願いつつ、今まで同様に観光客が訪れることを願い、質問に入らせていただきます。 岐阜県では、平成二十一年から令和元年までの十一年間で、十七か国、延べにして三十五か国にわたり、官民協働による観光・食・モノを一体化した岐阜県のPRを展開し、海外誘客と県産品の輸出向上につながる飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクトを推進してきました。私自身も、最初の年の平成二十一年の香港とタイを皮切りに、この十一年間にシンガポール、英国、フランス、アメリカ、リトアニア、そして昨年のオーストラリアと六度にわたって古田知事、議長、または副議長、そして民間関係者の皆様とともに現地を訪問し、海外誘客と県産品のPRの現場に同行させていただきました。現地では、大使館もしくは総領事館、JETRO、日本政府観光局、通称JNTO、自治体国際化協会、通称CLAIR等を訪問するとともに、トップセールスの大切さを感じる有意義な時間となりました。 こうした海外誘客のPRのかいもあって、本県への観光入込客数は平成二十三年から三十年の七年間で約一千万人も増加をしています。 また、経済波及効果も七年間でおよそ五百五十五億円、観光消費額もおよそ四百五十億円伸びています。外国人宿泊者数も平成三十年には百四十八万人と過去最高の水準に達し、全国順位も十三位、対前年度比に関しては五二%と、全国一位の伸び率となりました。 また、外国別では中国、台湾、香港と続き、国別の全国ランキングでもベストテンに入る国は、スペインが四位、タイ、イギリス、フランス、イタリアが八位、そしてオーストラリア、マレーシア、ドイツが九位と、欧州からの観光客が他県と比べると多い傾向にあり、アジア、欧州と幅広い国々からの訪問は大変喜ばしい限りです。 この結果は、さきに述べましたように、トップセールスと併せて、これまで本県が取り組んできた三つの海外誘客プロモーションの成果だと思います。その一つ目は、スポーツや食による誘客強化、二つ目は、世界に誇る遺産を活用した欧州、豪州、アジアからの誘客促進、三つ目は、オンライン旅行会社等と連携した海外個人旅行客への誘客プロモーションの三つです。 さらに、外国人観光客の受入れ環境整備の促進策としては二つあり、その一つは地域による受入れ環境整備への支援強化です。特に、県内事業者による消費税免税店登録と接客の多言語化、Wi-Fi環境整備、トイレ洋式化、観光案内の多言語化対応などです。 もう一つは、質の高い外国語観光ガイドの育成です。これからは質の高い外国人による観光ガイドの育成が急務となります。政府は、昨年四月一日に新しい在留資格制度をスタートさせました。そのうちの特定技能一号には、宿泊業も入っており、フロント、企画、広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供となっています。そして、来年度予算案にもこの国の方針に沿って施策が予算計上されています。 外国人材を巡る最近の動きとしては、お隣の長野県では、既にこの特定技能の人材確保のため、八月にベトナム政府との観光介護分野における人材育成に関する覚書を締結、九月には観光事業者向けに外国人材活用セミナーを開催しています。長野県の観光業に関わる主な有効求人倍率は、令和元年七月現在、長野県労働局の発表によりますと、調理人が四・〇四倍、飲食物給仕係が八・一九倍、旅館等接客員が六・九五倍と、いずれも全職業総計の一・六倍に対して高倍率となっています。そして、県内宿泊、飲食サービス業で働く外国人の推移が五年間で約二・五倍増加したことなども受け、観光業外国人材採用支援事業をスタートさせたとのことです。具体的な施策として、観光事業者向け外国人材活用セミナーの開催や、海外現地採用面接会がミャンマー、ベトナムで開催されました。 このように、県がリーダーシップを執るところも徐々に出始めています。また、留学生が多く住む県では、留学生をアルバイトなどで活用するため、他県に人材が流出しないような施策も実施しています。 今年は、古田知事も特に観光ビッグイヤーと銘打ってみえます。一月十九日からスタートした大河ドラマ「麒麟がくる」をはじめ、エンジン〇一文化戦略会議in岐阜、岐阜関ケ原古戦場記念館のオープン、オリンピック・パラリンピック、ねんりんピック岐阜二〇二〇等が続きます。一刻も早い新型コロナウイルスの収束を願うばかりです。そうすれば、今後観光客も増えてくることと思います。 半面、人口減少はますます進むことを考えれば、外国人材に頼らざるを得ないのが実情ではないでしょうか。国内の高度人材として留学生数は、独立行政法人日本学生支援機構の調査結果によりますと、平成三十年五月一日現在で、大学院、大学、短期大学で十三万七千四百四十人、各種学校等日本語学校で十六万一千五百人となっております。数に限りがあります。海外に目を向けますと、この事業の関係者のお話では、高度人材はインドに一千万人、インドネシアに八百万人、フィリピンに三百五十万人、タイに三百万人、ベトナムに二百四十万人となっているそうです。外国人観光客が今後ますます増え、日本の人口が減少していく現状を考慮すれば、外国人の人材登用は必至の状態となります。 それと同時に、外国人材のみならず、本県観光産業を支える旅館、ホテルなど、県内の観光業に従事する人材の絶対数を増やす取り組みも確実に進めていかなければなりません。旅館、ホテルなど、宿泊業は従来から従業員の離職率が高く、観光サービスの安定的な提供のためには人材確保が大きな課題となっています。 昨年の十月、企画経済委員会の県外視察で北海道ニセコ町を訪問いたしました。今や多くの外国人観光客が訪れ、一大観光地となったニセコ地域でも、観光人材不足は深刻な問題となっています。改めて、観光人材の不足は今やどこの観光地でも共通する課題であると感じたところです。他県の先進的な取り組みも参考にしながら、本県として観光人材の確保に向け、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 そこで、観光国際局長にお伺いします。観光の基幹産業化を目指す本県において、特定技能を持つ外国人を含めた観光人材の確保の取り組みは今後ますます重要となってくると思いますが、どのように取り組まれていくおつもりでしょうか、お伺いをいたします。 次に、大きく二点目の県民の健康づくりについての一つ目、統合医療の推進についてお伺いします。 今回の質問に際し、私の背中を押してくれたのが先日放送されたNHKの「東洋医学のホントのチカラ」という番組です。イギリスで鬱病患者に効果のあった針治療、アメリカのパーキンソン病の患者に転倒防止に効果のあった太極拳など、まさに「東洋医学のホントのチカラ」が理解できた番組でした。 私は、平成二十九年六月定例議会で初めて統合医療の推進と併せて健康をキーワードとした医療観光としての南飛騨健康増進センターの活用、薬草の活用、音楽療法の活用についてもお伺いしました。 振り返ってみますと、私がこの質問をするきっかけとなったのは、以前、県政自民クラブの統合医療推進議員連盟の設立総会においてお招きしたウィスコンシン医科大学教授でクリニック徳の医院長である高橋徳先生のお話を聞き、感銘を受けたからです。現在、徳先生は鬱病回復センターの構想に情熱を燃やしてみえます。先生の著書「あなたが選ぶ統合医療 古今東西の叡智が命を守る」も読みましたが、この本では、冒頭で西洋医学から見捨てられた医療難民を救うために、コンプリメンタリー、オルタナティブ、メディスン、通称補完・代替医療の必要性を訴えられております。通称、この頭文字のC、A、Mを取って「CAM(カム)」と言います。CAMは現代医学以外の全ての療法の総称ですが、非科学的として正式医療とはみなされていないのが実情です。 しかしながら、最近の医学研究の進歩はCAMの科学性を証明しつつあります。東洋には何千年という歴史の中で連綿と生き残ってきたヨガ、太極拳、瞑想、気功、鍼灸、漢方、音楽療法などの伝統医学がこのCAMに当たります。高橋徳先生は著書の中で、CAMによりオピオイドやオキシトシンといったホルモンが脳内から分泌され、ストレス反応や痛みが抑えられ、自律神経が活性化し、胃腸や心臓などの内臓機能の改善が見られると言ってみえます。このことは、さきに述べましたNHKの番組でも科学的に立証されたと感じました。そうした有効性が確認されたCAMと西洋医学とを組み合わせた医療を統合医療と言います。 少し古い情報ですが、二〇一〇年の九月号のドラッグマガジンの見出しに「アメリカ医療NOW 補完・代替医療の現状」と題して記事が掲載され、アメリカ国民の実に四〇%が利用しており、その支出も年間約三百四十億ドルで、日本円にして三兆四千億円にも上ります。 また、全米医学部の半数以上が補完・代替医療の講義・教育を行っていること、さらにハーバード大学、コロンビア大学、スタンフォード大学においては独自に補完・代替医療の研究所を設置して、研究と教育に積極的に取り組んでいることが書かれてありました。 このように、アメリカで進んでいることを示す一冊の本を最近手にしました。タイトルは「統合医療とは何かがわかる本」です。この本は、アリゾナ大学統合医療センター特別研究員の日本人卒業生九名による共著です。その本の冒頭で、九名の師でもあるアリゾナ大学統合医療センターのアンドルー・ワイル所長は、「日本へ統合医療を」と題して、近年アメリカでは統合医療は盛んな運動になっていて、まさに医療の大きな流れになろうとしています。統合医療が医療の主流となれば、日常の診療では高額な医薬品や治療法の代わりに、ハイテクノロジー技術に依存しない低コストの医療を行えると述べています。 私は、この著書の執筆者の一人でもある、名古屋で統合医療希望クリニックを開業してみえる堀田由浩先生に、統合医療の視察先として、長野県飯綱高原に「いのちの森水輪」という施設があると教えていただき、先日、友人と一緒に見学と体験を兼ねて一泊二日の視察をしてきました。食事は酵素玄米と無農薬の野菜でいっぱいでした。食にもとてもこだわってみえました。いのちの森水輪は、長野市街から北西へ車で二十五分ほどの白樺をはじめとする広葉樹が美しい高原に位置しています。経営されている塩沢御夫妻は、生まれながらにして脳に重い障がいのある早穂理ちゃんの子育てのため、よりよい環境を求めて長野市内から家族三人、飯綱高原で暮らし始めたとのことです。いのちの森水輪は三万八千坪の広大な敷地を有し、いのちの森クリニックがあり、自然治癒力を高め、増強することを治療の基本方針とするホリスティックな医療を目指しています。こちらのクリニックでは、主に統合失調症、神経症、薬物依存、アルコール依存症、躁鬱病などの精神科治療の方が大半だそうです。信州飯綱高原の大自然の中で医療・食・住環境から新しいライフスタイルを求める気づきと癒やしのクリニックとして、多くの方が訪れています。現在も心にいろいろな病気を抱える三十人の青年がこちらで共同生活を送っており、命輝く人生をサポートしています。これまで二十五年間に約六百人の方を社会に送り出されました。 帰りにロビーで一冊の本を買いました。「早穂理ひとしずくの愛」です。表紙のカバーの初めに、重度の脳障がいを持つ娘と母の苦悩と癒やしの物語とあり、母みどりさんの壮絶な子育ての四十五年が語られています。また、表紙カバーの最後には心に残る言葉として「四つ葉のクローバーはクローバーの社会では“障がいクローバー”だから、早穂理は四つ葉のクローバーとおんなじ。皆に幸せを運んでくれる天使だった」とあります。度々生死をさまよう早穂理ちゃんへの母の祈りと、西洋医学と東洋医学の選択と決断の英知と御苦労が赤裸々につづられており、まさに統合医療だと感じました。 私は、これまでにも現地視察も含めて様々なセミナーを通してきて感じたことは、統合医療の共通点としては、人間の持つ免疫力、自然治癒力の向上の大切さ、そして、そのためにも東洋医学の必要性、どんなときにも感謝する心、そして医食同源、食の重要性も感じています。 私が初めて統合医療の質問をしてから、はや二年九か月が経過しました。その際、当時の健康福祉部長からは、統合医療の可能性について十分見極めてまいりたいとの御答弁がありました。あれから間もなく三年がたちます。これまでに国においても平成二十五年、自民党内に鴨下一郎衆議院議員を会長とする統合医療推進議員連盟が発足、平成二十八年二月には厚生労働省内に統合医療企画調整室が設置されました。また、統合医療に関するいろいろな書物も出ています。統合医療を推進する医師も施設も多くなってまいりました。 県におかれましては、国のように担当課や室の設置、専門家を交えた協議会、審議会をつくっていただくなど、調査・研究の段階から一歩進んでいただきたいと思います。 また、岐阜県は山紫水明の大自然が豊かな土地柄です。南飛騨健康増進センターも有力な候補地ですが、統合医療の拠点となるような整備も併せて検討していただければと思います。 現在、新型コロナウイルス感染症が世界中で大きな問題となっています。これも健康というものが世界共通の人々の願いであり、行政が重点的に取り組むべき政策が健康づくりであると思います。そのためには、統合医療は必要だと思います。ぜひとも統合医療といえば岐阜県と言われるように、先取りしていただきたいと思います。 そこで、健康福祉部医療担当次長にお尋ねいたします。統合医療の情報収集や実態把握の状況と、健康増進や介護予防の観点での活用を含めて、今後どのように取り組まれるおつもりでしょうか、お伺いをいたします。 次に、二つ目の認知症予防についてお伺いします。 この質問は、昨日、我が会派の代表質問で玉田議員からも質問がありましたが、私なりの観点で質問させていただきます。 私が今回、初めてこの認知症予防について質問しようと思い立ったきっかけが二つあります。一つ目は、昨年九月に亡くなった母が少し認知症にかかっており、いつも笑顔で人にも親切で元気がよかった母から、ある日突然、被害妄想のような話を聞いたり、また妻からは、食事をしたばかりなのに、また食事をしたいという話、トイレに行ってもまたすぐにトイレに行きたいという話、今食べたよ、今行ったよと否定すると怒り出したりと、大変な状況を見たり聞いたりと驚いたことがあります。こうした認知症にかかる人をどうしたら少しでも予防でき、安心して暮らせる家庭が増えるのかと考えたからであります。 二つ目は、私の友人がレクリエーションを取り入れながら行っている認知症予防の教室を見学し、勉強したからです。この教室は、本巣市から委託を受け、医学博士、看護師、歯科衛生士、音楽療法士、管理栄養士、健康運動指導士、レクリエーションコーディネーターなど多くの専門家を交えてグループをつくり、認知機能の改善に取り組んでおられ、その結果、参加者の中には一年間で認知機能が二〇%近く向上している人も見えます。 先日、私も真正町のすこやかセンターに二回お伺いし、現場を見てきました。週二回、四十人ほどの人が笑顔で明るくレクリエーションに楽しまれている姿を拝見し、こうした運動がもっと広がれば、認知症予防につながると感じました。高齢者になっても、いつまでも元気で生き生きと暮らすため、認知症予防には従来から三つの方法があると言われています。 その一つがコグニサイズです。コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した、運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称を表した造語です。英語のコグニション(認知)とエクササイズ(運動)を組み合わせてコグニサイズと言います。 二つ目は回想法です。回想法とは、公益財団法人長寿科学振興財団の説明によりますと、昔の懐かしい写真や音楽、昔使っていたなじみ深い家庭用品などを見たり触れたりしながら昔の経験や思い出を語り合うもので、認知症の方へのアプローチとして注目されています。 三つ目がレクリエーションです。レクリエーションについては、先ほどお話ししました平成二十九年度から、本巣市から委託されたグループが既に三年にわたって認知症予防に取り組んでおられ、大きな成果を上げてみえます。議場に配付させていただきましたように、認知機能の四つの評価尺度、百七十五点満点の点数が徐々によくなっており、ほぼ正常値になっています。このデータを基に、昨年十一月には兵庫医大で開催された日本健康医学会において成果発表されたそうです。こうした実績から、お隣の大野町、北方町でも委託されています。 こうした本巣市の先進的な取り組みの成果を見てみますと、県内市町村によって認知症予防活動に格差があるのではないかと心配になりました。そこで、私は地元の大垣市の保健センターを訪問し、お聞きしたところ、週一回のペースで介護予防として「笑話歯道場」、笑う、話す、歯、動く場所を意味している道場を開催していることや、認知症カフェ、大垣市認知症初期集中支援推進事業など、いろいろと取り組まれていました。 同じ県民でありながら、地域によって格差が出ることは避けなければなりません。先進事例を集約して、岐阜県版として予防プログラムの作成も考えてはどうかと思います。 国においては、認知症を含む介護の予防に積極的な自治体を財政的に優遇する制度を導入しています。二〇一八年に自治体の介護予防などの取り組みを得点化し、その得点に応じて交付金の配分を決める制度である保険者機能強化推進交付金、別名インセンティブ交付金が創設されました。 ここでお手元に配付しました資料を御覧ください。この資料は、厚生労働省が公表した平成三十年度のインセンティブ交付金の都道府県別市町村分の得点となります。これによりますと、岐阜県は六百十二点満点中四百三十一・三点、得点率は七〇・五%で全国二十位となっています。全国平均を上回っており、これは県内の市町村で認知症予防を含む介護予防の取り組みが着実に浸透している結果であると思います。 昨年に決定した二〇二〇年度の政府予算案では、介護予防促進の取り組みに応じた財政支援をさらに強化する姿勢を鮮明に打ち出しています。具体的には、高齢者の健康維持などに積極的な自治体を支援する国の交付金が大幅に拡充される予定です。要介護や認知症を防ぐ効果があるとされる高齢者の交流の場を拡大した自治体などに対し、交付金が重点的に配分されることになります。県におかれましては、ぜひとも次年度拡充されることとなるインセンティブ交付金をさらに活用できるよう、市町村と連携しながら着実な取り組みをお願いしたいと思います。 そこで、健康福祉部長にお願いをします。県内各地ではレクリエーションなどを活用した予防教室などが開催されておりますが、市町村における取り組みの充実を図るため、市町村に対し、どのように支援していかれるおつもりか、お伺いをいたします。 最後に、私はこの県民の健康づくりについて質問原稿を書くうちに、大自然に囲まれたいのちの森水輪を立ち上げられた塩沢御夫妻と早穂理さんとの御縁、いのちの森の水輪に集まる精神的に悩むお子さんやその方を支える人の御縁、人生の終末を迎えた認知症予防に取り組む方々の御縁がありました。そんな御縁を通じて、目に見えないものへの畏敬の心、弱者に寄り添う豊かな人間力、そして今まさに新型コロナウイルスに国・県挙げて立ち向かっていることを考えますと、改めて政治家を含めた公に関わる全ての人の責任の重大さを学んだ貴重な時間となりました。一刻も早い収束を願うばかりであります。 関係部長の誠意ある御答弁をお願いして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(小川恒雄君) 観光国際局長 崎浦良典君。    〔商工労働部観光国際局長 崎浦良典君登壇〕 ◎商工労働部観光国際局長(崎浦良典君) 外国人材を含めた観光人材確保の取り組みについて、お答えします。 現在、宿泊業の従業員の多くを占める接客、給仕の有効求人倍率は約四倍と極めて高く、観光人材の確保が課題です。 このため、県では観光分野を専門的に学ぶ県内外の学生に対し、県内の旅館のおかみなどが直接旅館での働きがいや地域の魅力を伝える出前講座や県内宿泊施設に特化した合同企業説明会を開催しています。 また、学生や留学生、転職希望者を対象に一泊二日のシゴト体験ツアーを開催し、この二年間でおよそ百七十名の方に参加いただきました。 さらに、今年度は外国人材に着目し、国際観光専門学校名古屋校で学ぶ留学生を対象とした合同企業説明会を開催したところ、多くの留学生が採用試験を受験し、二十四名に内定が出たと伺っております。 なお、外国人については、かねてから宿泊業界の要望が強かった外国人技能実習制度二号移行対象職種への追加が先日決定されたこともあり、今後、外国人技能実習制度及び在留資格特定技能の活用状況も注視しながら、必要に応じて対応してまいります。 ○議長(小川恒雄君) 健康福祉部次長 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 統合医療の現状と今後の取り組みについて、お答えをいたします。 統合医療は、近代西洋医学を前提としながら、これに相補・代替療法や伝統医学等を組み合わせて生活の質を向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うものと認識しております。 県においては、前回の御質問以降も県内の医療関係者から御意見を伺ってまいりました。この中では、統合医療に関心を示される方がいらっしゃる一方、安全性や有効性が確保されていない治療の提供に慎重な意見もあり、必ずしも評価は固まっていないものと認識をしております。 国におきましては、統合医療の科学的知見の集積を図るため、各種療法に関する研究を支援するとともに、患者、国民及び医師が統合医療に関する適切な選択ができるよう、安全性・有効性に関する科学的知見を収集しているところであり、県としては、こうした国の動向をしっかりフォローし、引き続き情報収集や実態把握に取り組んでまいります。 ○議長(小川恒雄君) 健康福祉部長 兼山鎮也君。    〔健康福祉部長 兼山鎮也君登壇〕 ◎健康福祉部長(兼山鎮也君) レクリエーションを活用した認知症予防の取組支援について、お答えいたします。 認知症予防については、運動や人との交流等が予防につながる可能性があることから、市町村が設置を進めてきた体操やレクリエーション教室などの交流の場の機会をさらに広げることが重要です。 県では、これまで市町村の取り組みを支援するため、優良事例の提供、体操等の教室の講師となる介護予防従事者の育成などを行ってきており、現在、全ての市町村に交流の場が設置されております。 また、県においては、保険者機能強化推進交付金の市町村の評価結果を比較し、住民の介護予防への積極的な参加に取り組む評価の高い市町村の実施方法などについて、五圏域ごとに情報交換を実施したところ、他の市町村の取り組みを参考に自ら交流の場の運営を行う住民ボランティアの育成や、地域住民がお互い支え合う意識の醸成を図るフォーラムを新たに始めた市町村がございます。 今後は、こうした取り組みに加え、本巣市等のデータを活用した事例発表や、国が作成予定の認知症予防の手引を活用した研修などにより、市町村の取り組みがさらに充実するよう支援してまいります。 ○議長(小川恒雄君) 十五番 恩田佳幸君。    〔十五番 恩田佳幸君登壇〕(拍手) ◆十五番(恩田佳幸君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、大きく四点五項目について質問をさせていただきます。 一点目は、若年層における歯周病予防対策についてです。岐阜県では、岐阜県民の歯・口腔の健康づくり条例や岐阜県歯・口腔の健康づくり計画の取り組みにより、全国的にも歯と口腔の健康づくりの取り組みが積極的に実施されてきました。 これまでも、歯と口腔の健康づくりについては、議会でも多くの提案がなされるとともに、昨年七月には岐阜県民の歯と口腔の健康づくり条例が改正され、市町村や学校現場、家庭等での役割や責任がさらに明確になり、具体的に効果的な取り組みが県内全域でさらに進み、確かな成果を上げられることを期待するところでもございます。 大切な歯を失う原因は大きく二種類あり、虫歯と歯周病であります。虫歯の対策は、岐阜県歯科医師会や各市町村の歯科医師会、市町村、学校関係者や保護者の方々の努力による歯科保健教育をはじめとするフッ化物洗口や歯磨き指導の取り組みにより、十二歳の一人当たりの永久歯の虫歯の数を示すDMFT指数は、令和元年の〇・四四本と、岐阜県は全国的にも虫歯の少ない県となっております。DMFT指数を下げる大きな要因であるフッ化物洗口の取り組みは、平成二十七年には県内の市町村の三十五の自治体で実施されるなど、着実に取り組みが進み、成果が上がりつつあるところでございます。 その一方で、歯周病対策についてはさらなる取り組みが必要と考えます。我が国では、成人の八割近くが歯周病と診断されていると言われております。欧米では三割から四割が歯周病と診断されていることから、欧米に比べ、非常に高い現状であります。 また、歯周病は口腔疾患のみにとどまることなく、全身の病気との関連性もあるとともに、具体的に治療方法がない点も大きな問題であります。 改めて申し上げるまでもございませんが、歯周病は細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患であり、歯と歯肉の境目、歯肉溝の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌、歯垢の蓄積により、歯肉の辺縁が炎症を帯びて赤くなったり腫れたりします。そして、進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台、歯槽骨が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯しなければならなくなってしまいます。具体的に歯周病と診断されたとしても、治療方法はなく、歯周病にならないためには学齢期前からの適切な歯磨き指導が大切と言われております。 一言で歯磨きといいましても、人によって磨く時間も磨き方も異なります。一人で歯磨きぐらいはできる年齢でも、磨き残しはあり、小学校の高学年頃までは保護者等による仕上げ磨きを行う必要があるとの見解もございます。 第三期岐阜県歯・口腔の健康づくり計画の中でも明記されておりますが、歯磨きは歯ブラシだけではなく、デンタルフロス、補助的清掃用具を併用することが、歯周病の前段階であります歯肉炎予防に効果的でありますが、デンタルフロスの利用率の低さも歯周病が多い要因とされております。 二〇一六年の国の歯科疾患実態調査によると、歯間部の清掃をしている男性は三一%、女性は四六%であり、実際に歯ブラシで落とせない部分の歯垢は全体の四割を占め、歯垢が歯石になると歯科治療でしか除去できません。 また、成人であっても磨き残しは一定数あり、四か月に一回程度の周期で定期的に歯石取りや歯垢落とし等の歯科治療を行うことが望ましいともされております。磨き残しを減らす正しい歯磨き指導とともに、歯周病になりにくい強い歯茎をつくるためにも、学齢期から定期的な歯石取り、歯垢落とし等も必要となります。 北欧の多くの国では、成人になるまで定期的に歯石除去の歯科治療を無料で行い、国民の多くは定期的に治療を行う習慣がございます。岐阜県においても多くの市町村は十八歳まで医療費が無料のことから、実質的な負担はありません。定期的な歯石取り等の歯科治療を実施し、歯周病対策への意識の向上を進めていく必要があると考えます。 実際に、県内の小学校の中には給食後に歯磨きを実施する時間を取っていない学校もあるほか、中学校においても強化月間のみ実施している学校もあるなど、改善の余地はまだまだあると見受けられます。 さきに述べたとおり、歯周病と診断された場合は、具体的な治療方法はなく、同時に歯周病は口の中だけの病気ではありません。歯周病は炎症を通じて体全体に悪影響を与えます。歯周病による炎症は炎症性サイトカインの発生原因となり、血糖値を下げるただ一つのホルモンでありますインスリンの働きを阻害する要因ともなり、糖尿病が悪化する要因ともなります。フッ化物洗口等の取り組みにより、虫歯予防は一定の成果が上がりつつある中で、今後はより一層歯周病対策にも力を入れていく必要があると考えます。 具体的な取り組みを進めていく現在の第三期岐阜県歯・口腔の健康づくり計画の中にも、歯周病の対策となる各取組目標はあるものの、具体的に歯周病の危険性、対策の必要性の明記は弱く感じます。学齢期からの取り組みの必要性を明確に定めて、家庭や学校、歯科医等のそれぞれの役割と必要性、特に磨き残しによる歯垢が歯石へと移行した後には歯科治療が必要であり、定期的な歯科検診が歯と口腔の健康づくりの大きな役割を担う認識を周知していく必要があると考えます。 そこで、健康福祉部次長にお尋ねをいたします。より一層の歯と口腔の健康づくりの推進のため、若年層における歯周病予防対策について、どのように取り組まれるのかお尋ねをいたします。 次に、ゲーム障害についてお尋ねをいたします。 ゲーム障害の予防については、平成三十年九月の議会にて質問をさせていただきました。あれから一年半が経過し、オンラインゲームは我々の生活、特に子供たちの生活の中に深く浸透し、遊びとして欠かせないものになりつつあります。昨年五月には、WHOが新たな疾病としてゲーム障害をICD-11に正式に認定もしたこともあり、今回この病気への警告を鳴らすべく、再び質問をさせていただきたいと思います。 近年、ゲームはeスポーツと称されクローズアップされております。昨年秋の茨城国体では文化プログラムの一環としてeスポーツが競技として開催され、大変話題ともなりました。eスポーツと関連イベント自体は地域振興や活性化につながり、大いに期待するところでありますが、ゲームにはこういった華やかな面がある一方、危険な病気に陥る可能性があることも忘れてはなりません。 特にオンラインゲームは仲間と協力しながら進めていき、課金することでゲームに有利なアイテムが手に入るなど、ギャンブル的要素もあり、その中毒性が問題視されております。今後、5Gが整備されれば、現実と見まがうようなリアルなゲームが登場し、さらにのめり込んでいく可能性が高くなることが予想され、私も非常に危機感を持っております。ゲームに夢中になるあまり、これが引き金となって昼夜逆転の生活となり、体調を崩したとか、ひきこもりになったりする事例は皆さん御承知のとおりであり、御紹介するまでもございません。 日本のゲーム障害治療の第一人者であります久里浜医療センター樋口進医師によりますと、ゲーム障害で治療をしている患者の多くは未成年の男性で、ネット接続型のオンラインゲームが原因の場合がほとんどであるそうです。また、子供のほうがはまる傾向があるので、ゲームも始めるのはなるべく遅い時期がいい。また、ペアレンタルコントロール等を活用して遊ぶ時間を決めることが重要であるとも述べられております。 ペアレンタルコントロールとは、子供によるパソコンや携帯電話などの情報通信機器の利用を親が監視して制限する取り組みのことです。ゲーム機のニンテンドースイッチというゲームでは、見守りスイッチという携帯用のアプリがあり、保護者の携帯にダウンロードすると、十五分刻みで曜日ごとに遊べる時間の設定や、遊べるソフト、課金の有無などを制限することができます。時間になればゲーム機にアラームが鳴り、使用できなくなるという仕組みです。こういった便利な機能があり、保護者による監視も可能なソフトが各ゲーム機メーカーから出されております。 しかしながら、手軽に管理できるアプリなのでありますが、あまり利用されていない現状もあるようです。国内約二百のゲーム会社が所属するコンピュータエンターテインメント協会は、ペアレンタルコントロール機能の普及に取り組んでおられます。同協会の二〇一八年の調査によると、ペアレンタルコントロール機能の利用は四・八%にとどまっているとのことです。とても利用が進んでいるとは言い難い状況です。こういった便利な管理アプリの有効性についても、もっと普及を図れば、予防への有効な対策となるはずです。 また、ゲーム業界だけではなく、ゲーム障害対策に対し、他の自治体も動き出しております。静岡県では、ゲーム障害対策として、健康福祉担当部局がお手元にお配りをしておりますパンフレットを配布しております。こちらになります。(資料を示す)非常に分かりやすく、チェックしやすいものとなっております。このほかにも、重症の希望者向けに治療プログラムも実施されており、回復に向けた道筋が準備されております。 一方、岐阜県はどうかと申しますと、県の依存症相談窓口といえば県精神保健福祉センターでありますので、ホームページを検索してみました。依存症の相談窓口の表示はあるものの、アルコールや薬物のみの表示となっており、ゲーム障害については一目では分かりませんでした。悩んで相談窓口を求めて検索している方にとっては、やはり画面上に何らかの表示があったり、ゲーム障害、ゲーム依存といったキーワードとリンクする必要があるのではないでしょうか。 そして、大切なのは分かりやすい窓口の表示とともに、相談に乗っていただく職員の方々の資質の向上です。新しい疾病でありますので、相談に乗る保健師さんなどの職員の方々の研修も必要であると考えます。平成三十年九月定例会の質問で、私は県内中高生のゲーム障害に関する実態を調査し、現状を正しく把握することが不可欠であることから、教育委員会に実態調査をお願いいたしました。それを受け、三十年度中に実態調査を実施していただき、啓発チラシの作成も実施していただいたとお聞きしております。早々に御対応いただいたことを大変感謝しております。 この結果を受け、どのような啓発に取り組まれるのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。 以上、いろいろ申し述べてまいりましたが、もちろん私もインターネットやオンラインゲームを全否定するわけではございません。しかしながら、大人ですらのめり込み、体や心をむしばむほど時間を費やしてしまうことになりかねない危険な側面もあるわけですから、特に子供たちは我々大人が十分に注意を払う必要があります。 先般、関東地方で実施されているゲーム障害を克服する全寮制フリースクールが報道で紹介されておりました。ゲーム障害にて昼夜は逆転し、不登校となる児童・生徒が多く入所する中で、ゲーム障害を克服する場でありますが、決まった時間帯はゲームを行うことも可能なカリキュラムとなっており、早い方では三か月程度で家庭に戻り、学校に通常どおり通うこともできておりました。そこでは、ゲームに主導権を握られるのではなく、自分自身が主導権を握りながらゲームをするという意識のインプット教育も必要との考えから、ゲームやインターネットとの付き合い方や、適切な使用の仕方を教えて社会復帰につなげていました。 このようなプログラムを利用するに至る前に、重症化を防ぐためにも相談窓口の体制を充実させ、早期に医療につなげていくことを考えていかなければなりません。 そこで、二点お尋ねをいたします。 まず一点目に、教育長にお尋ねをいたします。中高校生のゲーム障害予防に向け、調査を実施していただきました。その結果を受け、今後保護者へのペアレンタルコントロール等を含め、ゲーム障害予防に向け、普及啓発について教育委員会としてどのように取り組まれるのでしょうか、お尋ねをいたします。 二点目に、健康福祉部次長にお尋ねをいたします。家庭や学校での予防に向けた普及啓発も功を奏せず、ゲーム障害になってしまう場合もあります。特に重篤な場合は、各家庭で努力して改善されるものではありません。新しい疾病でありますので、相談対応をする職員の資質の向上を図り、早期医療につなげていただきたいと考えますが、どのように取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。 ここで一回目の質問を終わらせていただきます。 ○議長(小川恒雄君) 健康福祉次長 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 二点御質問を頂きました。 まず、若年層における歯周病予防対策についてお答えします。 若年層における歯・口腔の健康づくりのため、虫歯予防についてはフッ化物洗口を推進しており、平成二十九年度から新たに一市が取り組みを始め、県内三十六市町村で実施をされているところです。引き続き、フッ化物洗口に取り組む市町村や学校の増加を図るため、研修会の開催やフッ化物洗口剤の提供等の支援を行ってまいります。 また、歯周病予防対策については、昨年七月には岐阜県民の歯・口腔の健康づくり条例が改正され、新たに県の基本的施策として、乳幼児期及び学齢期において歯肉炎の予防対策の施策等を推進することが規定されたところです。このため、今年度は養護教諭を対象とした講習会において、学校での歯科保健教育、歯科保健管理の重要性について説明するとともに、県から市町村に出向く出前講座において、学校における歯磨き指導等の重要性に関する啓発を行い、理解の促進に努めました。 引き続き、これらの取り組みを通じて、若年層を含む幅広い年代に対する歯周病予防対策を推進してまいります。 次に、ゲーム障害を医療につなげるための取り組みについてお答えします。 県では、来年度、新たに精神保健福祉センターを依存症相談拠点と位置づけ、依存症相談員を配置して相談支援体制の充実を図ってまいります。センターでは、相談拠点としてアルコールや薬物依存に加え、新たにゲーム障害についても理解を深めていただくため、ホームページで情報発信を行うとともに、相談窓口の周知を行うことにより、ゲーム障害の方やその御家族からの相談に応じてまいります。 また、国が実施するゲーム障害に関する研修に職員を参加させるなど、相談対応する職員の資質向上に努めるとともに、医療や福祉などの関係機関と連携会議を開催し、依存症の方を早期に医療につなげる取り組みについても検討してまいります。 ○議長(小川恒雄君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 小・中・高校生に対するゲーム障害予防に向けた普及啓発についてお答えします。 昨年度実施した情報モラル調査では、県内中学生の七・四%、高校生の九・八%がインターネットへの依存傾向が高い状態にありました。そのため、まず子供たちに向けては情報の授業や学級活動の中で、ネットやゲームの使い方を自身で確認させ、長時間の使用が心身の不調や学力の低下を引き起こす危険性を伝えております。 また、教員の指導力向上に向けては、情報モラル教育に関する教員研修を年四回開催しているほか、子供の発達段階に応じた指導教材を作成し、学校で活用してきております。 御指摘の保護者に向けては、学校の保護者会などの場で、ペアレンタルコントロール等、家庭内でのルールづくりの大切さを伝えており、また、青少年団体、PTA、行政機関などから成るネット安全・安心ぎふコンソーシアムの活動として、ネットの安全・安心利用に関するPTAの研修会へ民間企業の専門家を講師として派遣しております。今後は、この活動を通じた普及啓発も行うなど、関係者と連携した取り組みをさらに強化してまいります。 ○議長(小川恒雄君) 十五番 恩田佳幸君。    〔十五番 恩田佳幸君登壇〕 ◆十五番(恩田佳幸君) 次に、豪雨や降水量の増加に伴う県管理道路における冠水対策についてお尋ねをいたします。 この三十年間で、時間雨量五十ミリを上回る大雨の発生件数は約一・四倍、時間雨量八十ミリから百ミリの発生件数は約一・七倍に増加しています。雨量の増加や頻発する豪雨等により、県管理道路において冠水が原因で発生する通行止めの件数は平成三十年度は四十七件、平成二十九年度は九件となっております。これらの通行止めは主に車の通行に支障が出るほどの冠水が発生した場合に実施されるため、さきに述べた件数は一部であり、実際には数字以上の被害が発生していると考えられます。 ここで、このたびの質問に際し、冠水の観点から三つの問題意識を示させていただきます。 一つ目は、昨今の豪雨の増加により、処理能力を超える降水量に対する県管理道路の対応の在り方です。近年は、雨の降り方が局地化、激甚化しており、毎年のように想定を上回る豪雨が発生しております。県は約四千二百キロメートルの道路をそれぞれの土木事務所で管理しておりますが、全ての道路側溝を常時適切な状態であるかを把握することは困難な状況であります。しかしながら、このような状況であっても、側溝から水があふれ、道路が冠水する等の被害が発生した場合には、適切な対応をする必要があると考えます。 二つ目の問題意識として、道路を整備する際に想定した降水量や処理能力を大きく下回る雨量にもかかわらず冠水が発生している事例がある点であります。一般的には、道路を整備する際に、道路側溝の設計に用いる時間当たりの降水量の基準があり、周辺から流入する水の量を計算し、必要な側溝の大きさが決定されているため、基準値以内の降水量では冠水が発生することはありません。 ですが、周辺地域の開発等により道路に流入する雨量が変化していることにより、冠水の発生が確認されています。具体的に申し上げますと、周辺の田畑が住宅地等に変わることにより、これまで田畑が遊水地の役割を果たしていましたが、この機能が失われ、道路内へ短い時間で水が流入することで、降水量としては処理可能な値にもかかわらず、処理し切れず、道路側溝等からあふれ、冠水する事案が見受けられます。 私の地元山県市でも、短時間の豪雨時であっても、県管理道路が冠水し、周辺の住宅や工場等へ水が流入する事案が発生しております。実際に冠水の状況を確認させていただきましたが、ふだんの光景からは想像ができない状況でありました。後日、県の方々に現地を確認していただいたところ、道路の整備済箇所と未整備箇所の境において側溝の接続が悪く、水があふれたとのことでした。また、別の箇所においても道路工事中に仮に設置した排水管が小さかったことにより、その上流において側溝があふれたケースもございました。 このように、雨の降り方の集中化、激甚化や豪雨の回数の増加、周辺地域の開発等により側溝があふれ、道路が冠水する事案は今後も発生していくと想像されます。 三つ目の問題意識として、本県における平成三十年七月豪雨の被害状況を見てみますと、道路と隣接する河川の増水により、河川からあふれた水の一部が道路に流入し、道路が冠水する事案が発生している点です。 このような事案については、通行する車が立ち往生する等、道路利用者の人命に関する事態になりかねず、事案が発生してから対応していては手後れになってしまうこともあります。このため、事前に河川の影響により冠水しやすい箇所を把握し、増水の際の対応をあらかじめ決めておく必要があると考えます。 さきにも述べましたが、全ての道路を限られた予算や人員で常時適切に管理していくことは容易なことではありません。しかしながら、実際に県民の皆様に影響するような事案が発生していることを踏まえて、冠水が発生した箇所については速やかに対応を実施していただくとともに、全ての道路利用者の安全・安心をしっかりと確保していくため、大雨の際に河川からあふれた水が原因で発生する冠水についても対応を実施していく必要があると考えます。 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。近年の降水量増加に伴う状況を鑑み、県管理道路における冠水についてどのような対策をお考えでしょうか、お尋ねいたします。 次に、災害復旧工事中の市町村によるバス代替輸送に関する取組支援についてお尋ねをいたします。 昨今頻発する災害により、甚大な被害が発生する中、迅速な災害対応や災害復旧についても多くの県民の皆様が注視している現状であります。そうした中で、岐阜県では岐阜県強靱化計画の改定を行うとともに、令和二年度には施策の大きな柱として、教訓を踏まえた危機管理対策が掲げられ、より一層災害対策、危機管理対策を進めていただくことに期待するところでもございます。 また、豪雨災害等に対する事前のハード対策とともに、災害後の長期的な視点から原状復旧工事を着実に進めていただきたいところですが、今回は災害復旧工事等に伴う道路が通行止めになった場合の、代替輸送の確保のための取り組みに対する支援についてお尋ねをいたします。 岐阜県におきましては、県管理道路において平成三十年度九十二件、令和元年度二月末時点で十一件の災害後の復旧作業を行っております。ここで申し上げました県管理道路の災害復旧工事は、災害直後、一刻を争う応急的な復旧工事ではなく、応急的な復旧の後、災害から一定の期間が過ぎ、災害の際に被害が発生した箇所を災害発生前と同様の安全な状況に復旧する工事を指します。また、これらの工事箇所は、仮設道路が必ずしも建設できる条件のところばかりではございませんので、周辺の状況や交通量を勘案し、各土木事務所の判断により仮設道路の建設が決まることとなります。 そうした中で、事業の過程で仮設道路が建設されないことにより、一定期間公共交通が遮断されるケースや、公共交通の代替交通を実施するため、市町村の負担が発生するケースが見受けられます。 私の地元山県市では、道路の防災工事区間において、工事期間中、公共交通で利用しているバスの運行ができなくなった事案がございました。この事案は、仮設道路の建設が難しい地形であったため、仮設道路は建設されませんでした。ですので、公共交通機関、バスは迂回路を通る以外ないわけですが、迂回路は非常に狭く、大型バスは通行できないほどの道幅でございました。結局、工事期間中は、市が工事区間よりも北部に関しては民間のタクシー会社に依頼し、予約制でタクシーを利用することで市民の皆様の交通手段を確保しました。 しかし、こうした借り上げ方式での代替輸送は、現行の県の補助制度の対象とはなっておらず、補助対象とするためには既存の公共交通を担うバス会社が迂回路を通れる車両を用意する、または迂回路を通れる車両を用意できる新たな交通事業者を手配し、所要の手続を取るなどの場合に限られるとのことでした。 道路管理者には、災害復旧工事等の期間中における公共交通の補填を行う義務はありません。また、地元との調整期間を特別多く設ける必要もないかもしれませんが、事前の調整期間が十分に確保されていれば、補助対象となり得る代替輸送を検討でき、公共交通を利用されている県民の皆様へのさらなる配慮した体制を整えることができたのではないかとも考えます。 しかし、実際には、防災工事に伴う交通規制によるバス運行の調整については、県土木事務所と市が協議を開始したのは十月に入ってからで、十二月からは交通規制が開始するなど、現実的に代替公共交通を補助対象として実施するのはスケジュール上困難でありました。また、そもそも代替公共交通を担っていただける企業は限られており、既存のバス会社ではバスや運転手の手配が行えないなど、地域によっては代替公共交通の手配自体が非常に困難であることが現状であります。 そこで、地域の実情や交通手段が限られた県民の皆様に寄り添った観点から、都市公園整備局長にお尋ねをいたします。災害復旧工事等に当たり、市町村が行うバス代替輸送に関する取り組みへの支援についてどのようにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(小川恒雄君) 県土整備部長 宗宮裕雄君。    〔県土整備部長 宗宮裕雄君登壇〕 ◎県土整備部長(宗宮裕雄君) 県管理道路における冠水対策についてお答えします。 県では、安全で円滑な交通の確保を図るため、管理する全路線を週に一回以上パトロールし、側溝等の道路施設の監視を行っております。一方、異常気象に伴う降雨の局地化、激甚化や周辺の土地利用状況の変化に伴い、側溝から水があふれて道路が冠水する事案が見られるようになっております。 こうしたことから、梅雨時期までに側溝を重点的に点検し、不具合の早期把握と改善に努めることはもとより、市町村等から冠水情報が寄せられた場合には速やかに現地調査を行い、側溝の清掃や改修などの必要な対策を実施してまいります。 また、平成三十年七月豪雨災害などの経験を踏まえ、河川の増水により県管理道路が冠水するおそれのある箇所を選定し、新たに水位計を設置することで、一定の水位に達した際に、事前の道路の通行規制を実施できる体制の整備も進めてまいります。 今後も、誰もが安心して道路を利用できるよう、ハード・ソフト両面から総合的な冠水対策を実施してまいります。 ○議長(小川恒雄君) 都市公園整備局長 湯澤将憲君。    〔都市建築部都市公園整備局長 湯澤将憲君登壇〕 ◎都市建築部都市公園整備局長(湯澤将憲君) 市町村によるバス代替運送に関する取り組みへの支援についてお答えいたします。 県では、市町村が設置する地域公共交通会議で協議・合意され、国土交通大臣の許可等を受けた自主運行バスを対象に補助を行っており、災害や工事などにより路線の一部が通行止めとなり、必要な範囲で迂回運行する場合の運行経費も補助対象としております。 また、迂回路の幅員などの制約により、タクシーなど自主運行バス以外での輸送手段を検討せざるを得ない場合も、地域公共交通会議での合意など、所要の手続を経ていただければ補助対象となります。 しかしながら、議員御指摘のように手続に時間を要することや、関係機関の連携の不十分さから補助制度をうまく使うことができない事例があることは認識をしております。このため、今後市町村から地域の実情や交通手段に配慮する観点からの提案を伺う機会を設け、緊急事案に対応できる代替輸送に係る支援の在り方や、関係機関の緊密な連携による情報共有など、手続の円滑化について早期に検討をしてまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(小川恒雄君) しばらく休憩いたします。 △午後零時休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後一時再開 ○副議長(水野正敏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(水野正敏君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。十六番 若井敦子君。    〔十六番 若井敦子君登壇〕(拍手) ◆十六番(若井敦子君) 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い今回は大きく二項目について御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 初めに、障がい者スポーツの振興についてお尋ねいたします。 いよいよ今年は東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが開催されます。今大会では、追加競技として空手道が初めて開催される運びとなりました。私は、かつて空手競技の日本代表選手として活動していたこともあり、後輩たちの活躍を元先輩アスリートとして、そして岐阜県議会空手道振興議員連盟の一人として、議連の会長、尾藤県議とともに大いに期待するところでございます。 私は、現役選手時代、残念ながらオリンピックの種目に空手が入っておらず、オリンピアンではありませんが、かつて国際大会等に挑んでいたそのときを振り返ると、改めて思うことがございます。それは、国も人種も文化も違う選手たちが集い、フェアプレーの下で真剣勝負を展開していく中で、目標に向かうことのすばらしさや大切さ、また試練を乗り越え、限界に挑戦することの苦しさやつらさを分かち合える仲間として、本来敵であるはずの相手がいつしか仲間になる。敵であるはずの相手の努力やプレーを素直に称賛することができたり、また自分自身の至らなさを知ることができたり、いつしか国や人種など互いを区別する偏見が取り除かれ、同じ人であり、仲間であるということを教えてくれる場所であるということです。 実は、現役選手時代の私は、大会会場で国家である君が代を歌うこと、そして一番高いポールに日の丸を上げることだけしか考えられない人間でした。しかし、今では国際交流イベントなどに参加する際、それぞれの国旗が同じ高さで横並びされている光景を見て、素直に喜べるようになりました。これは、以前の私では考えられないようなことですが、これもスポーツマンシップの下、正々堂々とプレーをしてきたからこそ、多様性を認め合う気持ちが醸成されたのだと思います。これこそスポーツ特有の力の一つであり、健全なるスポーツにはまだまだ多くの可能性が秘められていることを、私自身実体験から学ぶことができました。 それは、障がい者スポーツにも同様に言えることであり、国において平成二十三年に施行されたスポーツ基本法の中にも、障がい者スポーツの推進が明文化され、今後さらなる発展を大いに期待するところであります。なぜなら、障がい者スポーツは多様性を認め合う機会を創出してくれるだけでなく、共生社会を具現化するための重要なヒントを持ち合わせているものであるからです。 パラリンピックでは、様々な障がいのあるアスリートたちが創意工夫を凝らして限界に挑み、個性や能力を発揮し、活躍することができる公正な機会が与えられている場所であり、その姿から社会の中にあるバリアを減らしていくことの必要性を、プレーする人だけでなく、見る人や支える人に考える機会や気づきを与えてくれます。まさにインクルーシブな社会の創出につながる機会であるとともに、自国開催となる今大会は、障がい者スポーツを身近に感じる絶好の機会でもあり、社会へのさらなる理解と普及にもつながることから、パラリンピックの成功を願ってやみません。 本県では、東京二〇二〇パラリンピックに向けて、他県に先駆け平成二十七年度に十五名の選手を強化指定、その後年々選手を増やし、令和元年度には二十七名の選手を強化指定するとともに、競技力向上のための様々な取り組みを実施していただいております。いよいよ本大会まで半年を切りました。もちろん、出場する全ての選手にエールを送りますが、それが本県代表選手となれば、その思いもひとしおです。 そこで、初めの質問です。 東京二〇二〇パラリンピックに向けた現在までの進捗状況とこれからの取り組みについて、清流の国推進部長にお尋ねいたします。 続いての質問です。 皆様は、タンデム自転車を御存じでしょうか。タンデム自転車とは、一般的にはサドルとペダルがそれぞれ二つついている二人乗り自転車のことで、パラリンピックでは視覚障がい者競技の一つとなっています。視覚に障がいのある方は一人で自転車に乗ることができないため、前席にパイロットと言われる健常の選手が乗り、後ろに視覚障がい者が乗り、競技を行います。ハンドルは後部にもありますが、進行方向やブレーキはパイロットが操縦し、二人の高度なコンビネーションが必要となる競技です。 パラリンピック自転車競技は、障がいのクラスに応じて使用する自転車が異なり、通常の二輪自転車、三輪自転車、手でペダルをこぐハンドサイクル、視覚障がいの二人乗りタンデムの四種類があります。東京パラ大会では、男女とチーム戦の混合合わせて五十種目が行われるとのことで、日本パラサイクリング連盟は、本県が合宿を誘致している飛騨御嶽高原高地トレーニングエリアにて競技力向上を行っており、平成二十八年度以降の四年間で八度の合宿を実施し、国内外の主要大会で成果を上げておられるとのことです。 しかし、タンデム自転車に限っては、本県では一般公道での走行が認められていないことから、選手が合宿のため当施設を利用しても練習することができず、走行が認められている長野県まで移動し、トレーニングを行っているとのことです。道路交通法上は、二人以上の乗車設備のあるタンデム自転車は一般公道を走ることができることになっていますが、都道府県の公安委員会が定める規則によって走行できる道路が限定されており、長野県では一九七八年に道路交通法の施行細則を改正し、タンデム自転車の一般公道での走行を許可したとのことです。 このタンデム自転車は、競技としての側面だけではなく、視覚障がい者の行動範囲が広がるということで全国的にも公道走行解禁の動きが活発化しており、中部地区では愛知県、長野県、富山県、滋賀県が解禁となっており、現在全国では既に過半数の府県で走行が認められているとのことです。 また、サイクリングツーリズムとして、広域観光として連携している例もあり、既に道路交通法施行規則を改正していた愛媛県知事から広島県知事への提案により、二〇一〇年十月より広島県でもタンデム自転車の走行が認められ、これにより両県を結ぶしまなみ海道サイクリングロード全線で走行が可能となり、にぎわいを見せているということです。 そのほか、平成二十九年に施行された自転車活用推進法では、二酸化炭素を発生せず、環境に優しく、健康を増進させ、交通渋滞も起こさず、災害時には機動的であるとし、国においても自転車の活用を総合的、計画的に推進しています。 これらのことを踏まえ、タンデム自転車の走行を可能にすることは、本県のスポーツ・観光の振興や環境への配慮、また障がいのある方にとってさらなる社会参加を可能とし、生活の質の向上にもつながるものと考えます。 そこで二つ目の質問です。 一般公道におけるタンデム自転車の走行の現状と、県内の一般公道におけるタンデム自転車の走行解禁についてどのようにお考えか、警察本部長にお尋ねいたします。 これで、一回目の質問を終わります。 ○副議長(水野正敏君) 清流の国推進部長 尾鼻 智君。    〔清流の国推進部長 尾鼻 智君登壇〕 ◎清流の国推進部長(尾鼻智君) 東京二〇二〇パラリンピックに向けた取り組みについてお答えいたします。 県は、障がい者アスリートの競技力向上に向け、全国に先駆けて平成三十年度から県スポーツ科学センターに障がい者アスリート専任の研究員を配置し、選手おのおのの障がいの程度を考慮したフィジカルトレーニングの指導、フォーム改善を目的とした動作分析など、選手に寄り添い、マンツーマンでサポートしてまいりました。 そして、東京二〇二〇パラリンピックへの本県ゆかりの選手十名の輩出を目標に、強化指定選手に対し国内外の大会への参加費用、介助者の帯同旅費、競技用具の改良費用などを支援してまいりました。こうした中、先日、本県ゆかりの選手第一号として、パラテコンドーの工藤俊介選手が代表に内定したところです。第二、第三と内定選手が続くことを大いに期待しております。来年度はいよいよ本番ですから、代表選考レースを勝ち切ることのできる選手に特化して、重点的に支援してまいります。 また、これらの取り組みを一過性のものとすることなく、東京大会後も選手の発掘による裾野の拡大から育成強化まで、障がい者アスリートの競技力向上に向け、引き続き取り組んでまいります。 ○副議長(水野正敏君) 警察本部長 今林寛幸君。    〔警察本部長 今林寛幸君登壇〕 ◎警察本部長(今林寛幸君) 県内の一般公道におけるタンデム自転車の走行解禁についてお答えいたします。 岐阜県内における複数人員乗車によるタンデム自転車の公道走行につきましては、岐阜県道路交通法施行規則により自転車専用道路においてのみ認められておりますが、現在県内には自転車専用道路はないため、実際には走行することができない状況にございます。 議員御指摘のとおり、本年二月末現在、既に二十八府県において路線を問わず全ての公道において走行することが可能となるなど、全国的にタンデム自転車の公道走行の機運が高まっているところであります。 タンデム自転車につきましては、普通自転車に比べ車体が長く、低速走行や小回りは不安定であるなどの指摘がある一方、一人では自転車に乗ることが困難な視覚障がい者の方もサイクリングを楽しむことができるほか、観光・スポーツ振興にも有用性が見込まれるといった利点もあります。 県警察といたしましては、道路利用者の安全確保を念頭に置きつつ、タンデム自転車の特性や事故防止対策等について検討し、今後他府県での事故実態や運用状況、県民、関係団体等の要望も見極めながら、タンデム自転車での公道走行の可能性について適切に判断してまいります。 ○副議長(水野正敏君) 十六番 若井敦子君。    〔十六番 若井敦子君登壇〕 ◆十六番(若井敦子君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、ひきこもり支援の取り組みについて二点お尋ねいたします。 ひきこもりが一つの社会問題となり久しくなりますが、現在では若年層から中高年層までとその背景や状況は様々で、問題は深刻化しております。内閣府が二〇一八年に四十から六十四歳を対象に実施した生活状況に関する調査の報告書の中で、家からほとんど出ない状態に加え、趣味の用事や近所のコンビニ以外に外出しない状態が六か月以上続いている人が、全国で推計六十一万三千人いると発表いたしました。 そのきっかけは、退職が一番多く、次いで人間関係、病気、職場になじめない、就職活動がうまくいかないと続いています。また、ひきこもり期間は、三から五年が二一%と最多で、七年以上となる人は合計で約五割を占め、三十年以上は六%となり、ここからひきこもりの長期化と高齢化が読み取れます。 また、内閣府は、十五から三十九歳を対象とした若者の生活に関する調査を二〇一五年に実施しており、推計五十四万一千人がひきこもり状態にあると発表をしています。調査時期の違いはあるものの、若年層と中高年層合わせたひきこもりの総数は、約百十五万人を超えることが明らかとなりました。 状況は深刻化する一方で、どこに相談すればいいのか分からず、悩みを打ち明けにくい、勇気を出して相談しても、組織が縦割りで必要な支援につながりにくい、相談窓口が対応を把握していないという声も多く、残念ながら支援が当事者や家族につながっておらず、解決の糸口すら見つけられないケースも少なくないようです。実際に、岐阜県ひきこもり地域支援センターが二〇一六年に発表したひきこもりの現状と支援に関する調査結果の中でも、住民への相談窓口の周知や普及啓発を積極的に行う必要があるとの意見があり、相談窓口の周知とひきこもりに関する普及啓発を図っていく必要があるとまとめています。 現在、県ではひきこもり地域支援センター以外にも、県内五圏域での相談会やひきこもり家族教室など、様々な形で相談できる機会を設けていただいております。参加者を募集する際、その対象者の欄にはひきこもりがちな方や御家族、またはひきこもりに悩む御家族と記されているのも当然ではありますが、周囲に該当者であることを知られたくない方にとっては、決して参加しやすい身近な相談窓口とは言い難きものであります。周囲に知られたくない背景として、子供が引き籠もるのは家族の恥であると考えてしまったり、親戚や近隣の人が親の育て方の問題と家族を責め、親が追い詰められ、誰にも相談できず悩みを抱え込み、隠し続けてしまったり、また自己責任や、社会に迷惑をかけてはいけないといった社会的な風潮や価値観に苦しめられ声を上げられないなど、これからの支援の在り方を考えていく際には、こういった声を上げにくい社会構造が背景にあることも考慮していく必要があるのではないでしょうか。 ひきこもり支援は、社会の理解を深めつつ、生きづらさを抱えている方々をしっかりと社会全体で受け止める環境を同時につくっていくことも大切ですが、まずは当事者や御家族の方を支援の入り口となる相談窓口に確実につなげていくことが問題解決の糸口となり、重要であると考えます。 そこで質問です。 ひきこもり支援の入り口となる相談窓口のさらなる周知が必要と考えられますが、県の御所見を健康福祉部医療担当次長にお尋ねいたします。 続きまして、アウトリーチ型の支援についてお尋ねをいたします。 ひきこもりのケースにおいては、当事者が相談や治療の場面に出向くことが難しい場合や、相談や受診に踏み切れない場合は、当事者に対する一歩踏み込んだ介入が必要となることから、家庭訪問を中心とするアウトリーチ型の支援が有効な支援法の一つとして期待をされているところであります。 このアウトリーチとは、支援を必要とする人が窓口に来るのを待つ従来型とは異なり、自発的に相談に来られない人を戸別訪問し、その人に合ったサポートを提供する手法で、当事者の生活空間に入っていくことで問題の背景にある家族や健康、また経済といった複雑な事情を把握しやすいという特徴があり、精神疾患やひきこもりの支援の現場で十年ほど前から広がりを見せました。 厚生労働省が作成したひきこもりの評価、支援に関するガイドラインの中にも、アウトリーチの具体的な手法が明記されており、国では来年度よりアウトリーチなどの充実による自立相談支援の機能強化を図るため、自立相談支援機関へアウトリーチ支援員、これは仮称ですが、このアウトリーチ支援員を新たに配置し、ひきこもり状態にある人などの社会的孤立に対するアウトリーチの充実を進めるとともに、当事者や家族への情報のアウトリーチのさらなる強化として、ひきこもり支援施策や相談窓口の案内に加えて支援施策を活用する意欲を喚起するため、支援機関などを通じて社会とつながりを回復することができた成功体験について、当事者やその家族への周知を図っていくとの方向性を示しています。 しかし、このアウトリーチ型支援に期待が寄せられる一方で、気をつけなければならないことがあります。それは、訪問という行為は当事者にとって負担感や抵抗感が非常に強く、不用意な訪問がかえって逆効果となり、ひきこもりを悪化させてしまうケースや、訪問者が帰った後で家族に激しい怒りを向けたりするケースもあり、介入手段や方法を誤ればさらなる弊害や危険を伴う行為であるということです。また、一度アプローチに失敗すると拒否されて、再アプローチが難しくなります。このようなことから、アウトリーチの現場では、高いスキルとノウハウが求められていることは言うまでもありません。 これまで、岐阜県ひきこもり地域支援センターが行った訪問支援は三件とのことで、いずれもその支援内容は生活困窮窓口への同行など、付添い的なものであったと伺っております。確かにそのような支援も必要ではありますが、本来アウトリーチに求められている支援とは残念ながら程遠く、本県においてはアウトリーチ支援の取り組みや整備が進んでいるとは言い難き実情であります。アウトリーチ型支援は本県においても有益であり、今後進めていく必要があると考えますが、先ほども申し上げましたように、アウトリーチの現場では高い専門性やスキルが求められます。だからこそ、しっかりとした人材育成を行うことが必要であることは言うまでもなく、そのためには時間を要することから、今からアウトリーチの充実を図り、備えていく必要があると考えます。 そこで、最後の質問です。 アウトリーチ型支援についてどのようにお考えなのか、県の御所見を健康福祉部医療担当次長にお伺いいたします。 SOSを出すことが苦手な方もいらっしゃいますが、SOSが出しにくい社会であることも事実であります。生きにくさを抱えておられる方々が社会から孤立することなく生きていくためには、社会全体で向かい合い、一人一人が正しい理解を深めていく、そして偏見を取り除いていくことが共生社会の実現への道です。その道がいばらであっても待ったなし、歩みを止めることはできません。当事者、そして御家族、社会に希望の光をともしていただけるような御答弁であることを願い、私の質問を終わらせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(水野正敏君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) ひきこもり支援の取り組みについて、二点御質問をいただきました。 まず、県民への相談窓口の周知についてお答えいたします。 県は、ひきこもり地域支援センターにおいて平成二十八年六月より相談窓口を設置しており、今年度はこの二月末までに五百十八件の相談がありました。 その連絡先番号はホームページに掲載をし、他の方に知られず連絡できるようにするとともに、リーフレットや啓発カードを市町村やコンビニに配布をし、周知を図っております。 また、民生委員や地域包括支援センターの職員などが、ひきこもりの方やその御家族への接し方などを学ぶ研修会において、センターの相談窓口についてもあわせて情報提供し、支援の入り口である相談窓口に確実につなげてまいりたいと考えております。さらに、身近な市町村における相談窓口の設置及び周知についても、市町村に働きかけてまいります。 また、センターでは、各圏域での巡回相談会を来年度は二十四回に増やすこととしており、引き続き市町村と協力して広報活動に努めてまいります。 次に、アウトリーチ型の支援についてお答えいたします。 ひきこもり当事者の自宅に出向いて個別支援を行うアウトリーチ支援は、当事者を取り巻く状況を理解した上で、長期間にわたり継続的に実施する必要があるため、市町村や地域で活動する民間支援団体など、住民に身近な方が実施することが肝要であると考えています。そのため、センターでは市町村や民間支援団体を対象に、アウトリーチ支援を含む相談技術に関する研修を実施し、人材の育成を行っております。 今後は、圏域ごとの会議において、市町村に加え、新たに民間支援団体にも参加をいただき、地域で利用可能な制度やサービス、またアウトリーチ支援を含む具体的な支援事例について情報共有し、関係者が連携してひきこもり支援に取り組んでまいります。 また、来年度から、センターの医師やひきこもり支援コーディネーターなどの専門職を市町村でひきこもり支援を行っている自立相談支援機関に派遣し、専門的なアドバイスを行うなど、支援体制の強化をしてまいります。 ○副議長(水野正敏君) 八番 今井政嘉君。    〔八番 今井政嘉君登壇〕(拍手) ◆八番(今井政嘉君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に従い二項目質問をさせていただきます。 最初に、自伐型林業の推進に対する成果と今後の普及についてをお聞きします。 昨年、関東を直撃した台風十五号は、千葉県を中心に大規模停電を引き起こしました。停電の解消には二週間以上の期間を要し、県民生活や地域経済に深刻な打撃を与えました。電力会社の復旧見通しの甘さも加わり、混乱が拡大したことが思い出されます。 このような停電の原因は大量の倒木にあったということで、倒木により損傷した電柱や電線の復旧作業が大幅に遅れ、長期化を招いたということです。 倒木は、千葉市で最大瞬間風速五十七・五メートルを観測するなど記録的暴風が最大の理由ということですが、林業関係者からは、林業の衰退で、放置された杉に病気が広がり、折れやすかったことが大量の倒木の一因だと指摘する声も聞かれたということです。 国勢調査によりますと、全国に平成七年に八万二千人いた林業従事者は、二十年を経た平成二十七年には四万五千人まで減少しており、六十五歳以上の占める林業の高齢化率は、平成二十七年では二五%で、全産業平均の一三%に比べ高い水準にあります。 また、県土の八割を豊かな森林が占める本県に目を向けますと、森林面積の割合を示す森林率は、高知県に次いで全国第二位を誇っておりますが、県林業労働力調査によりますと、平成七年に千九百二十一人いた森林技術者は、二十年を経過した平成二十七には九百四十七人と減少しており、代々守り継がれてきた森林を子や孫の世代に引き継げるのか、まさに大きな課題に直面している現状があります。 「岐阜は木の国、山の国」と歌われる岐阜県民の歌は、六十五年前の昭和三十年に制定されました。戦争で疲弊した山林は、戦後の住宅建設需要を受けて植林事業が盛んとなり、競って苗木を植えた時代だったといいます。建築に利用されることを目的にされ、植林された人工林は、半世紀を経て現在に実を結ぶはずでしたが、その後、杉やヒノキの国産材は輸入材に押され、需要が低迷してきました。 そうした需要の変化が就業人口を激減させ、働き手の高齢化を招き、本格的な利用期を迎えているにもかかわらず、下草刈りやつる植物の除去、間伐などが行われないまま放置され、そうして放置された山林での仕事は危険、汚い、きついという三K職場の代名詞と言われるようになり、さらに働き手不足を招くという負のスパイラルに陥ってきたのです。 また、林業従事者だけでなく、森林所有者の高齢化や、相続など所有者が地元にいない不在村化も進行しており、境界が不明なまま放置される人工林が増え、現在に至っているのが現状です。 冒頭、台風による倒木が大規模停電の長期化を招いた事例を御紹介しましたが、平成二十四年に海なし県である本県で初めて開催されました水のシンポジウムでは、杉、ヒノキの人工林放置が樹木の根元の土壌環境を悪化させ、下流域に微細な土砂を流出させ、保水力が弱まるメカニズムが報告されました。そして、人工林の放置は河川氾濫の被害の増大をもたらす大きな要因ともなっており、健全な河川環境の保安には健全な山林環境の保全が不可欠であることが提起され、治山治水の連携の必要性を本県から全国に発信する重要な機会となったのです。 こうした人工林の放置といった課題は、単なる林業という産業の衰退だけではなく、防災の面からも重要な課題となっており、本県だけでなく日本全体の課題ともなっております。 こうした課題に直面する林業界ですが、今自伐型林業というものが注目を集めており、都会から山村に移住して林業を始める二十代から三十代の若者が増えているのを皆さんは御存じでしょうか。 現在の林業では、森林組合などが中心となり、大型のトラックが通れる大きな道を切り開き、大規模化が進んでいますが、自伐型とは、住民自らがチェーンソーや小型のパワーショベルを使って伐採、運搬、出荷を行う小規模林業です。 大規模林業では、大型で高価な機械が必要となり、新規で参入することがなかなか困難であります。一方、小規模林業である自伐型は、軽トラックが通れるぐらいの小道を造り、雨で土砂崩れが起きないように踏み固めながら作業を行っていきます。また、一部の木は優良材として伐採されずに次の世代に残すことから、山への負担は小さく、また高価な機械を使わないため経費が抑えられることができます。そのために参入しやすく、最近では移住してきた若者や女性が自伐型林業を始める事例が多く、ほかの仕事と林業を組み合わせる若者移住者が増えているといいます。 このような状況を踏まえ、自伐型林業について地元の森林組合の方からお話を伺ったところ、森林組合では、現在作業員として実際に山で作業している若者が大規模林業家として独立するにはハードルが高いが、個人事業主のような形で自伐型林業者として林業に携わり、森林組合から仕事を受注してもらえれば林業のよい担い手になるのではないかと希望が持てるようなお話でした。それが実現すれば、森林組合だけでは整備ができない山も、こういった担い手により守ることができるのでないかと思います。 最近では働き方も多様になり、林業と組み合わされる職業は、農家やアウトドアスポーツのインストラクター、飲食店経営者など様々で、例えばカヌーのインストラクターであれば、客の少ない冬の閑散期に林業は堅実な収入源となり、両者を組み合わせることで生活を安定させることができます。 また、山林を持っていない若者移住者であっても、家族や仲間と一緒に山林の所有者から管理や施業を請け負う形で始められるという手軽さも自伐型林業の特徴で、三K職場と忌み嫌われた林業への若者の就業が増えてきていると言えます。 島根県津和野町では、町の面積の九割を森林が占め、三割が人工林となっていますが、木材価格の低迷などで山林の荒廃が進み、災害の危険性が増したことから、平成二十三年、自伐型林業における間伐材を町内業者に売ると、一トン当たり三千円の地域通貨を上乗せする事業を始めました。 さらに、平成二十五年七月の豪雨災害をきっかけに、平成二十六年度からは総務省の地域おこし協力隊制度を活用した自伐型林業者の育成に取り組み、これまで島根県外の十六人が隊員となり、最長三年間の任期で研修や現場研修を積んだ後も四人が町内で独立し、林業などで生計を立てているといいます。 町では、小規模では安定供給や労働安全の面で難があるとして、法人化や森林組合との連携を求める島根県を尻目に、大きな林業だけでは町は守れない。自伐型林業は中山間地域の再生を目指す新しいまちづくりの提案であるとして、簡易作業道の開設に補助金を出すなど、小規模林業への支援の拡充、さらには森林環境譲与税を財源とした自伐型への補助増額など、小規模林業への支援に取り組んでいるということです。 また、こうした小規模林業への支援に都道府県レベルで乗り出しているところもあります。森林率トップの高知県では、平成三十一年度、県の単独事業として小規模事業者を対象とした機械のレンタルに五百万円余り、間伐や作業道の開設支援などに五千二百万円余り、副業で自伐を行う林家に対する研修など技術力向上に百八十万円余り、アドバイザーの派遣や安全装具の導入、さらには傷害保険の加入に至る支援として六百万円余りを計上され、充実されています。 本県でも、こうした小規模事業者への支援については、平成二十九年に自伐林家型地域森林整備事業費補助金が創設され、国の補助事業などの対象とならない中規模・小規模の森林に対して、保育間伐や搬出伐採、さらには作業道整備などへの助成メニューが設けられております。先ほど紹介しました高知県のメニューと比べますと、まだまだ充実の余地はあるのではないかと思います。 このように、森林の再生に向けて自伐型林業という新しい風が吹き始めているわけですが、その風を生かすにはどうしたらよいでしょうか。 私は、大きく二つの問題があると思います。 一つは、自伐型林業を志す人を受け入れられる環境づくりです。 山の仕事は保守的で、新規参入者が参入するにはハードルが高いと聞きます。山林所有者や森林組合などとのコミュニケーションがとれず、自伐型で参入しようとしても、森林組合のほうで森林経営計画を立ててしまい、行政からストップがかかったり、自伐型林業への理解が得られず、山林の所有者から管理や施業を請け負うことができず、自伐型林業を始めるための山林が確保できないという課題があると聞きます。 自伐型林業の裾野を広げるためには、まず地域や同業者、さらに市町村に自伐型林業を十分理解してもらい、共生できる環境づくりが重要ではないでしょうか。 さらにもう一つは、身近なアドバイザー(指導者)の存在です。さきに御紹介しましたように、今増えつつあるのは専業ではなく、ほかの仕事と林業を組み合わせた副業タイプの自伐型林業です。つまり、林業の知識に乏しく、木を切る技術はもちろん、どのような木に需要があり、売れるのかといった知識などを教えてくれる身近な指導者の存在が大きなポイントだと思います。自伐型林業で継続的に利益を得るためには、伴走型の指導者が不可欠であり、そうして得た知識を新規参入者に水平展開していけるような体制づくりも重要ではないでしょうか。 そこで、林政部長にお尋ねします。 県では、森林整備の担い手の確保の一環として、平成二十九年度より自伐林家の支援を行ってこられましたが、その成果についてお聞かせください。 また、これまでの成果を踏まえ、今後自伐型林業をさらに普及させるためにはどのような支援を行っていくのか、あわせてお願いいたします。 次に、二項目めとして、地元の意見を反映した南飛騨健康増進センターの運営と今後の利活用についてお聞きします。 南飛騨健康増進センターについては、これまでも駒田先生や伊藤秀光先生を中心に、機会を捉えて県議会でも取り上げられていますが、改めてお尋ねをしたいと思います。 私が県議会議員に当選してすぐに、地元下呂市萩原町四美地域の方々とお会いし、南飛騨健康増進センターについていろいろとお話を伺う機会がありました。現在は、健康増進センターという単体の組織となっていますが、もともとは南飛騨国際健康保養地構想という壮大な構想があり、その中核拠点が健康増進センターでありました。 お話の中では、このセンターを中心とした地域一帯が整備されることにより、これから四美の地域が県民の健康づくりのメッカとなり、大きな注目を浴びるという期待を胸に先祖代々の土地を手放したこと、またその後、県の厳しい財政状況を受け、行財政改革アクションプランにより運営費が大幅に削減される中で、健康体験講座や施設の景観管理が地元主体となったこと、さらには、最近ではオリエンテーリングのコースが整備され、今年十月三十一日から開催されるねんりんピック岐阜二〇二〇のふれあいスポーツ交流大会では、健康増進センターと下呂市皇樹の杜一帯がオリエンテーリングの会場となることなど、話は尽きませんでした。 でも、そのようなお話の中で、四美の地域の皆さんが一番心配されていたことは、この健康増進センターを中心とした膨大な敷地の将来のことです。 この地域も少子高齢化が進み、現在草刈りなどの維持管理を率先してやっていただいている地域住民の方々も徐々に年齢を重ね、あと何年できるかなあ、自分たちが作業できなくなったらこの施設はどうなってしまうんだろうと不安の気持ちを漏らしていらっしゃいました。 残念ながら、当初の南飛騨国際健康保養地構想の実現には至っておりませんが、その中核拠点として整備されました健康増進センターについては、現在県、下呂市、地元住民がメンバーとなる意見交換会において、その活性化策について議論がなされています。交換会で出された、例えば柵の修繕や遊歩道の整備などの要望については、その都度県で対応していただいていると聞きます。 また、活性化策として、今、主にシニア層をターゲットにした森林浴やウオーキング、さらにそば打ちなどの食体験を組み込んだバスツアーや、山林を利用したオリエンテーリングコースの開設など、健康増進センターの豊かな自然を活用した健康づくり事業にも力を入れていただいています。こうした努力により、一時的には利用者は増えますが、イベントのない時期は人もまばらで、利用者の数も横ばい状況が続いています。こうした健康増進センターを支える地域住民の高齢化、利用者の減少が、地域住民の皆さんが感じておられる将来への不安につながっているのではないでしょうか。 そこで、地元を代表し、南飛騨健康増進センターの活用方法について、本日は二点御提案させていただきます。 まず一つ目の提案は、分野を超えた連携です。 御存じのとおり、健康増進センターは県民の健康づくりの中核拠点として整備された施設であります。しかし、一言に健康と言っても、心で感じる健康、食事で感じる健康、運動で感じる健康など、いろいろな捉え方があると思います。こうした捉え方は、既に健康増進センターで行われている体験講座にも取り入れられている部分がありますが、私は健康だけでなく、健康に結びつくような様々な分野との連携をもっと考えていくべきではないかと思います。 例えば、健康と森林。新しい森のアクティビティーとして最近注目されているツリーイングというロープを使った新感覚の木登りができるような環境の整備や、トレイルランニングができるコースを整備してみてはどうでしょうか。 また、さきの自伐型林業の質問にも関係しますが、林業に興味がある人を対象に林業実習の体験ができるようなワークショップを提案してみてはどうでしょうか。 例えば、健康と音楽。豊かな自然の中で歌ったり、楽器を奏でるなどできるような野外ステージを造り、全国の音大や高校の吹奏楽部の合宿を誘致してみてはどうでしょうか。 私は、別に県が先頭に立ってやる必要はないと思いますし、やるべきではないと思います。最近では、社会資本の整備に民間資金を活用するPFIという方式が多く取られています。いろいろな方に提案してもらい、一番南飛騨健康増進センターにとってよいものを選べばいいと思います。 もう一つの提案は、施設の弾力的な運用です。 最近、下呂市では若い世代を中心にマルシェが市内各地で行われるようになりました。マルシェの内容や形態は主催者によって様々です。市外のマルシェに積極的に主催者自らが参加し、そこで築いた人脈により出店者を市外から呼び込み、多くのお客様を集めて行うようなマルシェもありますし、最近では副業で趣味のアクセサリーや小物など、ベビー服、手作りのかばんなどを作り販売するようなマルシェも市内各地で行われています。どちらかというとこちらは子育て世代の方々の交流や憩いの場となっております。多くのお子さん連れのお客様でにぎわいます。 健康増進センターは大きな駐車場もあり、近くには芝生の公園もあり、子供たちも自由に散策できるコースも豊富にあり、雨天時でも使用できる健康増進センターはうってつけの施設だと思います。 しかし、住民の方々は、マルシェで使いたいけど営利目的ということで通常の利用料金よりさらに高額な使用料となるため、なかなか手が出ない、地元のサークルや趣味のイベントで使いたいけど、同じような施設より使用料が高いからほかの施設を使っているというような声をよく耳にします。健康づくりを目的とした県有施設ですので、使用には制限があるのは理解できますが、もう少し地元住民が気軽に使えるような仕組みがあってもよいのではないかと思います。 そこで、健康福祉部次長にお尋ねします。 南飛騨健康増進センターの運用に関して、地元の意見をどのように反映されているんでしょうか。また、今後はどうセンターの活性化に取り組んでいかれるのかお聞きいたします。 以上、今回は二項目について質問させていただきました。御清聴に感謝し、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(水野正敏君) 林政部長 荻巣雅俊君。    〔林政部長 荻巣雅俊君登壇〕 ◎林政部長(荻巣雅俊君) 自伐型林業の推進に対する成果と今後の普及についてお答えします。 県では、利用期を迎えた豊富な森林資源を最大限に生かした産業振興を図るため、平成二十九年度より自伐林家に対して、国の補助事業の対象とならない小規模な森林の整備を支援しております。初年度は、森林所有者二十六人、間伐面積約四十一ヘクタールでしたが、三年目の本年度は六十八人、約八十八ヘクタールと倍増いたしました。 さらに、労働安全衛生規則の一部改正に伴い、昨年八月よりチェーンソーを使って木を切る全ての作業員に防護ズボンの着用が義務づけられたことから、来年度にはこうした安全装備品の購入経費も助成の対象といたします。 一方で、本巣市や恵那市では、若者が林業に魅力を感じ、自伐型林業を生活の糧として地域に定着する新たな動きが見られます。こうした事例を参考に、地域との関わり、指導や研修の在り方などの課題を整理するとともに、安全に木を切る技術の習得に向けた研修会を開催するなど支援を拡充し、自伐型林業のさらなる普及を図ってまいります。 ○副議長(水野正敏君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。    〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕 ◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 地元意見を反映した南飛騨健康増進センターの運営と今後の利活用についてお答えいたします。 まず、センターの運営については、毎年二から四回、地元四美地区の方々や下呂市と意見交換会を行い、地元からの御意見を受けて、散策道の維持管理や点検の地元委託、繁忙期のキャンプ場の営業日の拡大など、運用改善を図っております。 次に、センターの活性化につきましては、御指摘いただきましたように、この秋開催のねんりんピック岐阜二〇二〇において、センターの散策道等を会場にオリエンテーリング競技が行われますので、これを契機に県オリエンテーリング協会と連携し、大会等を誘致していくことも考えられます。 また、毎年十月の四美の里けんこう収穫祭では、地元の皆様に施設を活用いただいておりますが、今後施設利用料に関する御相談があれば、下呂市とも連携して弾力的な対応を検討してまいります。 いずれにしましても、地元の御意見も伺いながら、施設の活用について検討してまいります。 ○副議長(水野正敏君) 三十九番 渡辺嘉山君。    〔三十九番 渡辺嘉山君登壇〕(拍手) ◆三十九番(渡辺嘉山君) ただいま議長より発言のお許しをいただきました。通告に従い大きく四項目、五点について質問をさせていただきます。 初めに、スタートアップ支援についてお尋ねいたします。 リチウムイオン電池の実用化に大きく貢献したとして、吉野 彰先生が昨年ノーベル化学賞を受賞されました。その吉野先生が、報道機関のインタビューで日本の製造業に共通する弱みとして、素材や部品など川上分野のものづくりに強みを持ちながら、より消費者に近い川下ビジネスは非常に下手くそと指摘され、さらに川下部分はGAFAと呼ばれる巨大IT企業に全部持っていかれており、日本にも匹敵するようなベンチャーが一つ、二つあればよいのだがと憂慮された発言をされていました。 GAFAとは、皆さん御承知のとおり、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの四社のことで、その頭文字を取って称されるアメリカを代表するIT企業であり、世界時価総額ランキングの上位を占めています。いずれもベンチャー企業としてスタートし、今では世界中の人々の生活に根差したサービスを提供、世界経済を動かす大企業に成長しています。 最近は、従来の和製英語のベンチャー企業ではなく、新しい発想の下、変化のスピードを先取りし、急激な成長、これまでにない価値を生み出すことを目指す企業はスタートアップ企業と言われています。 平成三十年六月、国の成長戦略の一環として、経済産業省は世界で戦い勝てるスタートアップ企業を生み出し、革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供するため、スタートアップ企業の育成支援プログラムであるJ-Startupを目玉事業として開始しました。昨年度は九十二社、本年度は四十九社が新たにJ-Startup企業として選定されています。選定された企業は、海外展示会出展支援や、経団連、経済同友会トップとの懇親会、大手企業から事業スペースの提供など、様々な官民による集中支援を受けることができます。経済動向や技術が非常に速いスピードで、しかもグローバルに進展する現代において、新しいニーズに対応した事業を創出する重要性はますます高まっています。 生産年齢人口が減少し続ける岐阜県において、本県経済の活力を今後とも維持していくためには、産業の新陳代謝を促し、新たな企業の誕生に結びつけることが不可欠であり、新しい発想や技術をもとに短期間で高い成長を目指す企業、いわゆるスタートアップ企業は、イノベーション、技術革新の担い手として貴重な存在だと思います。 昨年の十二月、産業競争力強化対策特別委員会の参考人として、走行性とデザイン性を両立させたベビーカーや、軽量折り畳み電動車椅子の開発、販売をするスタートアップ企業の株式会社キュリオの高橋社長のお話をお聞きしました。高橋さんが、商品開発は自社だけでは不可能であり、大学と共同研究をしたことが大変役になったとお話しになられたのが印象的でした。 従来のベンチャー企業支援は、どちらかというと起業家の力量のみに任せがちで、行政による支援も補助金や創業の場の提供などの後方支援がほとんどでありました。しかし、スタートアップ支援では、大学や金融機関、経済団体などの産学金官が新たなビジネスを一丸となって戦略的にバックアップすることが重要です。 そのような中、岐阜県では昨年七月、金融機関、大学、経済団体の関係機関が参加する岐阜県スタートアップ支援ネットワーク会議を立ち上げ、スタートアップ支援を開始したことは、時宜を得たタイムリーな取り組みであると思います。スタートアップ支援については、我が会派の二〇二〇年度予算編成に対する要望においても新規項目として提案させていただきました。ぜひとも岐阜県初の世界に通用するスタートアップ企業を誕生させ、本県産業により一層の厚みを加えられるよう、オール岐阜県で取り組んでいただきたいと思います。 そこで、商工労働部長にお尋ねします。 本県においても、スタートアップ支援をより強化していくべきであると考えますが、県としてどのように取り組まれるおつもりか、お聞かせください。 次に、県の公式ホームページのリニューアル方針についてお尋ねします。 情報化社会の進展に伴い、情報入手手段として、ホームページやSNSなどインターネットを利用するのが当たり前の世の中となっています。こうした中、県の公式ホームページは、内外に岐阜県の魅力発信を行うとともに、県の施策や事業を直接県民に届けることができる重要なツールと言えます。加えて、近年、地震や大雨等の自然災害や新型コロナウイルスによる感染症等の危機事案が多発しており、災害時などに信用度の高い情報を即座に入手することができるホームページの必要性は、ますます高まっています。 こうしたことから、県の公式ホームページは、誰でも等しく情報にアクセスできるユニバーサルなホームページでなくてはなりません。情報を提供する側がこの点に配慮し、適切に対応しなければ、必要なときに必要な情報が届かず、最悪の場合、命の危険に直面する可能性すら懸念されます。そのため、今後は高齢者や障がい者など心身の機能に制約のある人でも、年齢や身体的条件に関わらず、誰もがホームページで提供される情報や機能を支障なく利用できることが求められています。例えば、誰にとっても見やすく読みやすい文字であるユニバーサルデザインフォントの導入や、視覚障がい者の方向けの音声読み上げ、文字の拡大などの機能が上げられます。 そしてもう一点、改善を求めたいのが動画による情報発信です。最近、NHKや民放各局がテレビ放送と同時に、自ら制作した番組をインターネットでも配信していく予定と報道されました。これは、スマートフォンやタブレット端末の急速な普及により、どこでも気軽に動画や画像を楽しむことができるようになったことが影響しています。実際、町なかや電車の中で、スマートフォンで動画を視聴する人をよく見かけます。 一方、現在の県のホームページを見てみますと、残念ながら動画による情報発信は少ないように見受けられます。既に県議会のホームページでは、本会議の状況を動画配信しています。通信環境の向上や通信機器の高性能化により、動画が気軽に見られる状況であることや、時代に見合った手法で県政情報を分かりやすく届けることを考えれば、県のホームページにおいても動画による情報発信をもっと取り入れてほしいと思います。 中でも古田知事の記者会見は、動画配信をお願いしたい項目の一つです。現在でも、知事の会見録は速やかにホームページで公開され、閲覧可能となっており、それを音声の読み上げ機能で聞くこともできます。しかし、文字では知事の気持ちが伝わりづらいのではないかと感じています。緊急性や重要度など、話し方や身ぶり、表情、声のトーンなどで伝わるメッセージもあるのではないでしょうか。 また、その際には、聴覚障がい者の方々に配慮し、ぜひとも手話通訳をつけていただきたいと思います。平成三十年四月には、議員提案により全会一致で可決成立した岐阜県手話言語の普及及び障害の特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関する条例が施行されました。県議会の本会議においても、手話言語条例の趣旨を踏まえ、昨年度から手話通訳を導入しています。聴覚障がい者の方々にとっては、言語である手話で知事の言葉を理解したいというのが本心であり、行政トップの会見に手話を導入すること自体が大きな意味を持ちます。あわせて御検討をいただきたいと思います。 本県にとって重要な政策の一つが広報です。多様な広報の役割を果たすためにも本年九月の現行のホームページの保守管理契約が終了することを契機として、発信力があり、年齢や国籍、障がいの有無を問わず、誰もが利用しやすいユニバーサルなホームページを目指していただきたいと思います。 そこで、秘書政策審議監にお尋ねします。 今年の秋の現行契約終了に合わせ、岐阜県の公式ホームページをリニューアルする必要があると思いますが、どのような方針で取り組まれるおつもりかお聞かせください。 次に、部落差別解消に向けた取り組みについてお尋ねします。 部落差別を解決するための取り組みは、昭和四十四年に同和対策事業特別措置法が時限立法として制定され、以後三十三年間にわたり、法律の名称変更や期限の延長などはあったものの、各種対策事業が実施され、平成十四年三月をもって期限が終了しました。それから十五年近く経過した平成二十八年十二月、与野党を超えた議員立法により、部落差別解消を推進するための部落差別の解消の推進に関する法律が制定されました。おおよそ十五年後に部落差別解消のための法律が、時限立法としてではなく恒久法として復活した最大の理由は、現在もなお部落差別が存在するからであります。このことは、法律の条文の中にもしっかりと明記されています。 時限立法が失効後、部落差別があるという現実に対する軽視、認識不足が広がっていました。特に、就職や結婚相手に対しての身元調査がいまだに行われているという事実が、この問題の根深さを表しています。平成二十三年には、一部の司法書士らが請求書を偽造して一万件に及ぶ戸籍や住民票を不正取得し、それを結婚相手の身辺調査等に使用していた、いわゆるプライム事件が発生しました。また、一部のジャーナリストが全国部落調査復刻版を出版しようとするなど、にわかには信じられないような事件が発生しています。そして、今でも、インターネット上には全国の被差別部落であったとされる地域の一覧が掲載される事案や、部落に対する虚偽情報や偏見、差別的情報が発信され、差別の拡大、悪質化は大きな社会問題となっています。これらはインターネット上の匿名性を利用した非常に悪質な行為であり、決して許されるものではありません。 このような中、平成二十八年に同和問題解決のために法律、それも部落差別解消という問題を直接表現した法律が恒久法としてできたことは、問題解決にとって極めて大きな意義を有することであると思います。 この法律では、地方公共団体に対して、地域の実情に応じた施策や相談体制の充実、必要な教育及び啓発を求めているほか、国が実施する実態調査に協力することとなっています。なお、この調査は、国において既に実施されたと聞いておりますが、その詳細や結果はいまだに公表されていません。そうした中、奈良県や福岡県などでは、法の意義を踏まえ、地域の実情に応じた施策を展開するため、独自の条例を制定しています。福岡県の条例は、部落差別の県独自の実態調査や、居住歴調査の規制拡大などを盛り込んでいます。 昨年、岐阜県に対して、関係団体の皆様とともに条例制定の要望を実施いたしましたが、県からは全く必要ないと結論づけたものではないが、国の実態調査の結果等を踏まえ、条例の必要性について検討すべきであり、現在は条例の制定は考えていないと消極的な回答でありました。今なお、インターネット上をはじめ、部落に対する根強い差別情報が発信されている現状を踏まえれば、国の実態調査結果を待つのではなく、県としても独自の実態調査を市町村と連携しながら早急に実施し、部落差別解消に向けた条例制定をはじめ、具体的な取り組みの強化を望みたいと思います。 繰り返しますが、部落差別は令和になった現代でも依然として残っている問題です。改めて、部落差別解消推進法の意義を踏まえ、岐阜県の実情に応じた部落差別解消に向けた取り組みを行っていただきたいと思います。 そこで、環境生活部長にお尋ねいたします。 新たに発生しているインターネット上の問題をはじめ、本県における部落差別の現状をどのように認識しているのでしょうか。そして、条例制定に対する考えを含め、部落差別解消に向け、具体的にどのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか、お答えください。 最後に、笠松競馬について二点お尋ねいたします。 私は、平成三十年十二月議会において、笠松競馬の収益の活用方策、とりわけ施設整備への活用の方向性について知事にお伺いしました。知事は、走路の改修、馬場管理施設の設備更新、事務棟の電気設備、防水工事などの緊急改修工事、スタンドの耐震改修、厩舎改築など課題はたくさんあるとの認識を示す一方、馬券の売上げに連動している借地料が売上げの伸び率以上に増加し、施設整備に充てる積立てが難しくなるだけではなく、経営を大きく圧迫していく事態になりかねないことを危惧していると答弁されました。 ここで、改めて笠松競馬の借地料算定の問題について説明させていただきます。 笠松競馬の敷地の九八%は借地であり、約二百六十人の地権者の方がいらっしゃいます。九十年代以降の笠松競馬の売上げの低迷期に借地料が下がり過ぎたため、一部の地権者から土地の明渡しを求められたことを受け、平成二十一年に馬券の売上げに応じた現在の変動制の借地料が設定されました。 平成二十四年からJRAのホームページを通じた馬券購入が可能になったのを機に、売上げが増加に転じ、平成二十五年度から六年連続で馬券発売額も増加しています。平成二十六年度には債務超過の状況から脱却し、その後は競馬場の施設設備等を活用目的とした環境整備基金にも順調に積み増しできていると伺っています。 しかし、借地料は平成二十八年度には収益額の七・二%であったものが、平成三十年度には約二〇%にまで膨らむ見込みになっていました。そのため、岐阜県地方競馬組合は、平成三十年三月から改めて地権者と協議し、平成三十年度から三年間の借地料の上限を設定し、総額を四億円弱に抑えることで大半の同意は得たものの、地権者のお二人が同意されず、昨年の四月には組合が訴訟で借地料の減額を求める事態となっています。 知事は、平成三十年十二月議会の私の質問に対し、借地料算定の見直し協議の結果を踏まえ、まずは今後の財源見通しをしっかり立てた上で、できれば来年度中をめどに、これは今年度のことですが、競馬場施設の改修等の進め方について具体的な検討を行ってまいりたいと答弁されました。今後の安全かつ安定的な競馬運営のためには、老朽化の著しい施設の改修は最重要課題の一つであります。 また、存続に向け、調教師、騎手、厩務員、組合職員など、ここで働く全ての人が賞金、手当、給与の大幅なカットなど、血のにじむような努力をされたことも忘れてはいけません。平成二十三年度から続いていた賞金手当の抑制は平成二十八年度には解消されたものの、ほかの地方競馬における賞金手当の引上げにより再び格差は広がっています。収益の改善は競馬関係者に還元すべきものであり、とりわけ賞金手当の引上げは関係者のモチベーションのみならず、他場からの馬の確保、流出防止など、競馬運営にもメリットが期待されます。関係者の努力の結果、経営についても黒字化してきている状況の中で、賞金手当の改善も収益の活用方策の重要な使い道になります。 そこで、知事に二点お尋ねいたします。 まず、借地料算定の見直し協議を踏まえ、笠松競馬の今年度の収支見通しと来年度の経営見通しについて、どのように見ておられるのでしょうか。 続いて、笠松競馬の収益は、今後の施設改修や賞金手当など関係者への処遇改善などに当てていくべきと思いますが、収益の活用方針について知事のお考えをお尋ねいたします。 現在、新型コロナウイルス感染症対策として、昨日三月四日から開催されている笠松競馬は無観客による開催となっています。インターネットを通じた馬券販売には影響はないかもしれませんが、笠松競馬の経営自体には少なからず影響があります。この新型コロナウイルス感染の問題は笠松競馬に限ったことではなく、県民の生活そのものに大きな影響を与えています。一日も早い事態の収束を期待し、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(水野正敏君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 笠松競馬につきまして二点御質問ございました。 まず、笠松競馬の経営状況でございますが、御指摘にもありましたように、かつての深刻な経営危機に陥った時期以降、賞金や手当の見直し、馬券払戻率の改定、大幅な運営経費の削減など、様々な経営努力を重ねてまいりました。これにより、平成二十五年度から平成三十年度まで六年連続の黒字決算ということになっております。 今年度の収支見通しについて申し上げますと、直近の二月末現在で第二十回開催までの馬券発売額は、前年度と比較して本場とシアター恵那は六・一%減少しておりますものの、他県の競馬場など広域場外が三・七%の増、インターネットが二二・二%の増ということで、それぞれ増加しております。したがって、全体としては対前年度比一七・二%増の二百五十五億八千万円と、引き続き好調な売上げを維持しております。 一方で、本年一月には昨年度に引き続き、他の地方競馬との格差を解消し、競走馬の流出や新たな入厩馬の減少を防止するため、賞金手当を増額改定いたしました。これにより、昨年度の賞金手当に比べまして一億九千万円の歳出増加ということになっております。 また、今月には、新型コロナウイルス感染拡大防止策ということで、当面笠松本場を無観客開催としておりますし、中央競馬や他の地方競馬の場外発売も中止しております。これらの影響もこれから見極めていく必要があるわけであります。ただ、今年度も残すところあと一か月を切ったところでありまして、以上の点から見て、ほぼ確実に黒字を確保できるという見通しでございます。 なお、馬券の売上げに連動して急激に高騰した借地料につきましては、平成三十年三月から地権者の方々と何度も協議の機会を持ち、二百名の地権者からは平成三十年度分から上限額設定の合意をいただきました。その後、合意いただけない三名のうち、相続により遅れている一名を除く二名について、賃料減額請求訴訟を当方から提起し、現在も係争中であるわけであります。 次に、来年度の経営について申し上げます。 まず、歳入の大半である馬券発売額につきましては、収益率が劣るインターネットの売上げが今や全体の約八割を占めるに至っておりまして、これが今後も伸び続けるのかどうか、どこまで行けるのかといったところをよく見極めていかなければならないわけであります。一方で、収益率の高い本場及びシアター恵那での売上げが着実に減少していること、訴訟における借地料の行方がまだ明確でないこと、さらには老朽化施設の改修も控えていることなど、様々な課題がございます。 したがいまして、来年度予算編成に当たりましては、馬券発売の向上に努めることはもちろん、今申し上げました直面する課題にも的確に対処しつつ、引き続き黒字経営を維持していけるように、関係者一丸となって努めてまいりたいと思っております。 次に、お尋ねの収益の活用でございますが、今も申し上げたとおり繰り返しになりますが、好調なインターネット発売に支えられている馬券発売の伸びをこのまま維持できるかどうかなど、将来の財源見通しを十分に勘案しながら、他の競馬場の動向も踏まえた笠松競馬の魅力向上、関係者のモチベーション向上などを図るべく、適切に対処してまいりたいと思っております。 これまでも、賞金手当の改定につきましては、競馬関係者からの御要望、他の地方競馬の状況も踏まえながら、直近では昨年一月、そして今年一月と二年連続して増額してまいりました。 また、今後の安全かつ安定的な競馬運営のため、老朽化した施設の改修についての重要性は、私どもとしても十分認識しております。来年度には、競馬開催上、そしてレース運営上、最も大事な施設である走路の改修工事を優先して進めたいというふうに考えております。その後については、今後の財源見通しに照らして、必要な施設改善の優先度を踏まえて、計画的かつ着実に進めてまいりたいと思っております。 ○副議長(水野正敏君) 商工労働部長 井川孝明君。    〔商工労働部長 井川孝明君登壇〕 ◎商工労働部長(井川孝明君) スタートアップ支援の今後の取り組みについてお答えします。 現在、産学官金の各支援機関により、起業を志す方のセミナーの開催や企業資金相談など準備時期における支援、インキュベートルームの貸出しやビジネスマッチングの開催など起業時期における支援、事業拡大のための資金融資など成長期における支援と、段階に応じ様々な支援を実施しております。 また、昨年七月には、県内経済団体、大学、金融機関によるスタートアップ支援ネットワーク会議を設置し、連携強化と支援の充実を図ったところです。これにより、例えば、先月には県内学生の起業家マインドの醸成に向けたビジネスアイデアの発表コンテストを開催したところです。来年度は、起業を志す方の合宿形式のワークショップや、先輩経営者からのアドバイスや、新たなビジネスチャンス創出の機会となる交流会の開催も予定しております。 こうしたネットワークの連携を図りながら、今後も引き続き支援の強化に取り組んでまいります。 ○副議長(水野正敏君) 秘書政策審議監 大脇哲也君。    〔秘書政策審議監 大脇哲也君登壇〕 ◎秘書政策審議監(大脇哲也君) 県の公式ホームページのリニューアル方針についてお答えいたします。 県ホームページのリニューアルに向けては、これまでに各世代の県民が参加する県政モニター、県内の高校生、有識者や各種専門機関などから広く意見を伺い、その結果を踏まえて、誰に対してもより見やすく、使いやすく、伝わりやすいホームページを目指してまいりたいと考えております。 具体的には、スマートフォンにも適したデザインを採用するとともに、従来からの音声読み上げや文字拡大機能、ユニバーサルデザインフォントに加え、色の識別が難しい方に配慮したカラーユニバーサルデザインを新たに取り入れて、ユニバーサル対応の充実を図ってまいります。また、災害時には通常ページから災害専用ページに切り替わる機能を新たに設けるとともに、多言語対応を拡充するなど、発信力を高めてまいります。 あわせて、動画コンテンツやSNSについても積極的に活用したいと考えており、御提案の知事定例記者会見につきましても、手話通訳つき動画を配信する方向で検討を進めてまいります。 ○副議長(水野正敏君) 環境生活部長 服部 敬君。    〔環境生活部長 服部 敬君登壇〕 ◎環境生活部長(服部敬君) 部落差別の現状認識と差別解消に向けた取り組みについてお答えします。 部落差別に関しましては、インターネット上で同和地区であったとされる地名が掲載される等の問題が生じているほか、平成三十年の県政モニターアンケート結果からは、結婚時の偏見、差別等、心理的な差別意識がいまだに残っているものと認識しております。 このため県では、行政職員や教職員等への研修、就職差別撤廃に向けた企業向け研修、また県民を対象とした人権啓発展の開催など幅広く啓発を行うとともに、相談窓口を設置しているところです。 今年度からは、県独自でインターネット上のモニタリングを行い、岐阜地方法務局と連携し、悪質な差別助長的な書き込みの削除に向けた取り組みを始めたところです。今後も引き続き各界各層への啓発を行うなど、部落差別解消に向けた取り組みを進めてまいります。 なお、県条例の制定に関しましては、現時点では、国が実施した実態調査の結果を検証した上で、県独自の実態調査の実施も含め、その必要性について有識者等の御意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。 ○副議長(水野正敏君) 二番 森 治久君。    〔二番 森 治久君登壇〕(拍手) ◆二番(森治久君) それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に基づきまして大きく三項目について質問をさせていただきます。 まず初めに、公立小・中・高等学校における防犯カメラの設置についてお伺いをいたします。 映像技術は日進月歩で非常に鮮明に録画され、事故、事件の映像を鮮明に映し出し、犯人の検挙や不審者の特定など、地域の安全を図る有効な手だてとして活用されており、さらに、防犯カメラには人の目を補完して犯罪の発生を抑止する効果もあります。しかし、その一方では、録画された映像の個人情報管理、プライバシーの侵害など、マイナスのイメージもあります。取扱いには慎重になるべきでありますが、適正に使われれば非常に有効な道具となります。 今回は、日々進化しつつある防犯カメラを安全・安心のために学校現場で活用すべく、質問をさせていただきたいと思います。 今から十九年前、二〇〇一年六月に起きた大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校児童連続殺傷事件は、小学校を襲撃するという前代未聞の衝撃的な事件でした。この事件をきっかけに、学校に監視カメラを設置したり、部外者の立入りを原則禁止したりする傾向が強まりました。あれから二十年近くが経過し、各学校が様々な安全対策を講じているにもかかわらず、学校の用品の盗難などの事件は後を絶ちません。つい先日も、県内の高等学校において、生徒の個人情報が記載された先生の手帳が紛失したとの報道がございました。 また、私の地元瑞穂市においても、平成三十年に市内中学校において空き巣被害が発生しました。市では、この事件を機に市内の全ての小・中学校に防犯カメラが設置され、現在では、保育所、幼稚園等施設に防犯カメラが設置されておりますが、他近隣自治体のお話を聞く限り、まだ県内の全ての学校に防犯カメラ設置という状況には至っていないようです。もちろん、プライバシーの問題や学校生活の監視につながるからと、設置に対して批判的な御意見等もあることは事実です。しかしながら、子供たちの安全には代え難いのではないでしょうか。 近年では、技術の進歩により、高性能の画像を記録することもできるようになった上、価格もかなり手頃になってきておりますし、AIをはじめとするICTが進む世の中でありますので、活用できる技術は積極的に使用していただきたいと考えます。無論、適当な場所での使用、撮影データの管理などの適切な運用については十分な注意も必要ですが、教員の方々の業務負担軽減にもつながるはずです。 平成二十八年六月の議会において教育長は、特別支援学校は障がいのある児童・生徒が学んでいる学校であることから、不審者の侵入対策や児童・生徒の出入りの把握を適切に行うことが必要であり、そのため全ての学校にカメラを設置している。学校において、児童・生徒の安全・安心を確保していく上で、カメラを活用することは有効な手法の一つであると考えており、設置目的やその必要性が明確なカメラについては、今後も設置してまいりたいと考えておりますと答弁しておられますが、その後どのように取り組まれたのでしょうか。 そこで、教育長に二点お尋ねいたします。 一点目に、県立高等学校の防犯カメラの設置状況をお聞かせください。 二点目には、設置に向けた県内市町村教育委員会に対し、どう働きかけを行っていくのかをお聞かせください。 次に、空き家利活用補助制度が未整備の市町村がある理由と、整備に向けた働きについてお伺いいたします。 ある書籍の空き家対策のページには、これは環境問題か、福祉問題か、それとも都市整備の問題なのかで、全国の自治体で業務の押しつけ合いが起きることで有名な行政課題と書かれておりました。高齢化、人口減少が進む社会において、決定的な打開策のない難しい問題であります。これまでも多くの先生方が議場において御質問されておりますこの問題について、今回は私の地元瑞穂市も高齢化の高い地域において空き家率が高いことから、御質問をさせていただきたいと思います。 私の地元瑞穂市では、昭和三十二年の牛牧団地の造成に始まり、昭和四十四年には本田団地と、この二つの大きな団地の造成をきっかけにして、瑞穂市は岐阜市、大垣市のベッドタウンとして大きく変わり、今に至っております。しかし、団地造成から約五十年が経過し、以前は若い世帯でにぎわっていた団地も着実に高齢化が進み、高齢化率が両団地とも四〇%を超え、それに伴い空き家も年々増えてきております。もちろん、空き家率の増加傾向は、高度経済成長期に造成された団地だけのものではありません。 総務省の住宅・土地統計調査の調査結果によりますと、全国の空き家の総数はこの二十五年間で四百四十八万戸から八百四十九万戸と、約一・九倍に増加しております。また、本県の空き家の状況は、平成五年に六万二千戸であったものがその後増え続け、平成三十年には十三万九千八百戸となり、この二十五年間で約二・三倍に増加しております。 今後、人口減少が深刻化すると空き家の数はさらに増え、空き家による防災、防犯、衛生、景観などの問題が今後さらに深刻化することは言うまでもありません。増加する一方の空き家に係る対策は、住民に最も身近であり、空き家等の状況を把握することができる市町村が実施主体として位置づけられております。 県では、県内市町村や関係団体から成る岐阜県空き家等対策協議会を設置し、空き家の適正な管理や利活用、除去などの取り組みを推進するため、情報共有や課題解決に向けた協議、検討がなされております。また、市町村が実施する空き家の利活用や除去の経費の一部助成、移住世帯や子育て世帯などを対象とした空き家改修補助として、空き家総合整備事業費補助金も創設され、空き家対策の強化が図られてきたところであります。 この制度は、前提条件として、市町村が空き家の利活用や空き家の状況調査の補助制度を設けた場合に、市町村が実施した補助額の一部を県が負担するものであります。例えば、岐阜市では空き家改修補助事業、山県市ではぎふ山県市田舎暮らし空家活用支援事業、大垣市では子育て世代等中古住宅取得リフォーム支援事業補助金など、各市町村が地域の事情に応じた独自の支援制度を充実しております。 また、令和元年十二月二日に養老町では、移住・定住の促進及び地域活性化等に寄与することを目的に、空き家等及び古民家の活用に関する連携協定を一般社団法人古民家再生協会岐阜西濃と締結し、先進的に取り組んでおられます。 これらの市町村の事業を支援するものとして整備されたわけでございますが、平成三十一年四月現在、二十九市町村が活用し、事業を展開するにとどまっております。せっかくの制度でありますので、もっと広く利用していただき、空き家の利活用に役立てていただきたいと考えます。 そこで、都市建築部長にお尋ねいたします。 先ほど申し上げましたとおり、空き家の利活用を目的とした県の空き家総合整備事業補助金がありますが、これにはまず、市町村の補助制度があることが前提となっております。現在、県内市町村のうち二十九市町村が補助制度を有しておりますが、残りの市町村については補助制度を有しておらず、地域住民が県の補助を受けられない状況となっております。 このことについて、補助制度の整備に至っていない理由をどのようにお考えでしょうか。また、補助制度未整備の市町村への働きかけをどのように今後行っていくのでしょうか、お聞かせください。 最後に、多胎児家庭に対する支援についてお伺いいたします。 愛知県豊田市で平成三十年一月、生後十一か月だった三つ子の次男を床にたたきつけ死亡させてとして、傷害致死罪に問われた母親の実刑が昨年九月に確定いたしました。大変痛ましい事件であり、母親の置かれていた精神状態や多胎児育児の苛酷さの報道を見るにつけ、何とか手だてがなかったものか、SOSを酌み取ることができなかったのかと大変心が痛みます。 この事件に関しては、NPO法人ぎふ多胎ネット代表で、自身も三つ子の母である多治見市の糸井川代表らの尽力により、署名活動もなされました。また、インターネットでは、判決はひど過ぎる、双子を持つ母親の気持ちに寄り添っていない、他人事とは思えないなど、多胎児を抱える家族から多くの意見が寄せられ、非常に反響が大きいものでありました。 先ほど御紹介いたしましたが、ぎふ多胎ネット代表の糸井川さんは、昨年十月の岐阜新聞のインタビューで御自身の育児を振り返り、育児はまるで作業のようだったと語っておられます。さらに、自分の生命の維持のために本能が出て、牙がむき出しになっていたと思う。当事者は追い詰められ、人格が変わってしまう。子供をかわいいと思う余裕すらなかった。二十四時間のうち十六分しか睡眠が取れなかった日もあるともおっしゃってみえます。 そんな糸井川さんを救ってくれたのは、旦那さんとの絆に加え、社会とのつながりだったそうです。御両親、声をかけてくれた近所の人、家庭訪問してくれた保健師の方などとの関わりがあったから乗り越えられたと振り返ってもおられます。知り合いの双子のお母さんのお話では、母乳を一人ずつあげていたが、一人寝ると次の子に起こされるので、最初の二か月はほとんど眠れなかった。自分でも、夢を見ているのか、考え事をしているのか分からない状態だった。片手で一人を抱いて母乳を、もう一人には空いている手で哺乳瓶を持ち、寝かせてミルクを、これを交互に繰り返し同時授乳したという、悲痛で苛酷な状態をお聞きいたしました。 多胎児ではありませんが、私の娘には三歳と一歳の子がおり、娘からは幼児を育てる日々の苦労を聞きます。他県に住んでいますが、夫は出張のため家を空けることが頻繁であり、身近な知り合いの方も少ない環境で子育てをしております。娘からは、もっと身近な場所で、乳幼児の親子が気軽に集まって相談できるような場所があればいいのにと、子育てが孤独であるとの思いを聞かされます。こういった話を聞くにつれ、外出がままならない双子、三つ子のお母さんであればなおのことであると感じます。 少し前までは、配偶者もしくは自分の両親と一緒に同居して、夫婦だけではなく家族全体で子育てをするのが当たり前でした。地域でも近所付き合いが盛んで、子供は地域で育てるものとして、自分の子供でなくても悪いことをしたら大人が子供を叱ることも当たり前でした。核家族化が進み、共働き世帯が増え、男女の働き方やライフスタイルも様々になりました。いろいろな原因が重なり、誰にも頼れない中で子育てするお母さんが多くなっています。 一人で子育てをすることは、周りを気にせず、気ままに子供と一緒に過ごせるといったメリットもありますが、気軽に出かけることも難しく、たわいのない会話をする機会も少なくなり、孤独を感じる悪循環に陥ってしまいます。それが多胎児の子育てであればなおのこと強くなり、近くに相談できる場所を探す気力さえない状態であろうと思います。 現在、不妊治療の増加などにより、双子以上の多胎児の出産は増えていると言われております。厚生労働省の人口動態統計によると、出生数に占める多胎児の割合は一九八〇年に一・二%から、二〇一八年には二・〇%と増えております。また、出産時の母親の年齢区分別に見ても、各区分の出生数に占める多胎児の割合は四十歳から四十四歳で二・五%、四十五歳以上では六・二%に跳ね上がっております。晩婚化が進む中、この傾向は今後も続くと思われます。 身近な窓口である各市町村とも保健師等による相談業務など実施されていることと思いますが、核家族化が進み、地域のつながりが弱くなってきた今日では、孤立を防ぐために、多胎児家庭への支援については特に行政が手厚く積極的に行っていかなければならないと考えます。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねいたします。 子育て支援の中でも妊娠・育児期ともに特に負担が大きい多胎児家庭に対する支援において、県としてどのように取り組まれるのかお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。    (拍手) ○副議長(水野正敏君) 教育長 安福正寿君。    〔教育長 安福正寿君登壇〕 ◎教育長(安福正寿君) 公立小・中・高等学校における防犯カメラの設置について、二点御質問がありました。 初めに、県立高等学校における防犯カメラの設置状況についてお答えします。 県立高校における防犯対策は、費用対効果の観点から警備会社への警備委託で対応してきており、防犯カメラの多くはそれぞれの学校の実情に応じて、これまでPTAなどによる経費で設置されてきたところです。 しかしながら、防犯カメラも安価になり、機能が向上してきたことから、県教育委員会では、防犯対策の強化のため公費での設置を順次進めてきており、現在全ての県立高校に設置しております。 今後も、学校における安全管理を徹底するため、随時設置箇所や運用方法を点検するとともに、必要に応じ保護者、所管の警察署、委託している警備会社の意見も活用し、適宜追加設置を検討してまいります。 次に、防犯カメラ設置に向けた市町村教育委員会への働きかけについてお答えします。 県内小・中学校における防犯カメラの設置については、これまでも市町村教育委員会に対し、安全管理の面で学校においても取り組むべき事項の一つとして、地域や学校の実情に応じ、防犯カメラなどの防犯設備の整備について点検し、必要に応じ改善するよう指導しているところです。 県立学校においては、先ほど申し上げましたように、防犯上の観点から、防犯カメラについて学校ごとに随時点検し、改善することとしております。市町村教育委員会に対しては、こうした県の取組状況のほか、個人情報保護の観点から県が定めた防犯カメラの管理運用ルールに係る情報を提供し、防犯カメラの設置による学校の安全管理の強化について働きかけてまいります。 ○副議長(水野正敏君) 都市建築部長 船坂徳彦君。    〔都市建築部長 船坂徳彦君登壇〕 ◎都市建築部長(船坂徳彦君) 空き家の利活用補助制度についてお答えします。 空き家の管理は所有者の責任でありますが、空家等対策特別措置法においては、空き家等への対策に係る市町村の責務が定められており、市町村における積極的な事業展開が求められます。 これまで県としましては、市町村に対し、空き家の利活用の必要性と法律上の責務について繰り返し説明し、また県単独の補助制度により財政的にも支援してきたところであります。これを受けて、空き家所有者に対する補助制度を設ける市町村は増加してきておりますが、いまだ十三市町では整備されておりません。その理由としては、空き家の適正管理は本来所有者の責務であり、公費の投入により個人財産の価値を高めることに抵抗感があること、ニーズの把握ができていないことなどを伺っております。 県としましては、今後も空家等対策協議会などの機会を捉え、引き続き補助制度の創設を含め、市町村による効果的な対策の実施を求めるとともに、優良事例の紹介などを通じて、市町村が行う空き家の利活用を支援するよう努めてまいります。 ○副議長(水野正敏君) 子ども・女性局長 北川幹根君。    〔健康福祉部子ども・女性局長 北川幹根君登壇〕 ◎健康福祉部子ども・女性局長(北川幹根君) 多胎児家庭に対する支援についてお答えいたします。 多胎児家庭については、多胎児の育児経験者が身近におらず悩みを相談することができないなど、孤立しやすく、不安が大きい傾向があることから、妊娠期から育児期までの継続した支援が必要です。 県では、妊娠期において多胎児プレママパパ教室を各圏域で開催し、多胎児の出産や育児の基礎知識を学んでいただくとともに、多胎児育児を経験された方や支援団体との出会い、交流を図るなど、育児の負担感や孤立感の軽減を図っております。加えて、来年度からは、管理入院や自宅療養のため外出が困難な多胎妊婦に対し、多胎児育児の経験者がピアサポーターとして直接出向き、相談や助言を行う訪問事業を開始し、この教室に参加できない家庭への支援にも取り組んでまいります。 さらに、多胎児の成長発達の特性、先輩ママのメッセージ、育児のアドバイスなどを記載したふたご手帳を配付するとともに、手帳を効果的に活用するための研修と保健師による訪問を行うなど、多胎児家庭の不安軽減に向けてきめ細かく支援してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(水野正敏君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は、午前十時までに御参集願います。 明日の日程は、追って配付いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 △午後二時五十四分散会 ……………………………………………………………………………………………...