• "林政部次長"(/)
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  1. 岐阜県議会 2017-02-01
    03月08日-02号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    平成29年  2月 定例会(第1回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第二号)                 平成二十九年三月八日(水)午前十時開議 第一 議第一号から議第五十八号まで 第二 請願第二十九号から請願第三十三号まで 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第一号から議第五十八号まで 一 日程第二 請願第二十九号から請願第三十三号まで 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十六人      一番   中川裕子君      二番   恩田佳幸君      三番   牧村範康君      五番   澄川寿之君      六番   山田実三君      七番   若井敦子君      八番   広瀬 修君      九番   布俣正也君      十番   伊藤英生君     十一番   水野吉近君     十二番   国枝慎太郎君     十三番   山田 優君     十四番   長屋光征君     十五番   高殿 尚君     十六番   田中勝士君     十七番   加藤大博君     十八番   酒向 薫君     十九番   高木貴行君     二十番   野村美穂君    二十一番   太田維久君    二十二番   山本勝敏君    二十三番   松岡正人君    二十四番   篠田 徹君    二十五番   小原 尚君    二十六番   水野正敏君    二十七番   脇坂洋二君    二十八番   野島征夫君    二十九番   伊藤秀光君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   平岩正光君    三十三番   佐藤武彦君    三十四番   森 正弘君    三十五番   小川恒雄君    三十六番   村下貴夫君    三十七番   矢島成剛君    三十八番   渡辺嘉山君    三十九番   伊藤正博君     四十番   足立勝利君    四十一番   尾藤義昭君    四十三番   駒田 誠君    四十四番   藤墳 守君    四十五番   早川捷也君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         宗宮正典 総務課長         松永吉平 議事調査課長       山田 恭 議事調査課管理調整監   福田勝司 同    課長補佐    浅井珠美 同    課長補佐    佐藤智紀 同    係長      豊田弘行 同    係長      田中由美子 同    主査      森嶋 宏 同    主査      桑山 保…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          岸 敬也君 副知事          上手繁雄君 会計管理者        宗宮康浩君 秘書政策審議監      工藤 均君 総務部長         坂口和家男君 清流の国推進部長     神門純一君 危機管理部長       市川篤丸君 環境生活部長       桂川 淳君 健康福祉部長       尾藤米宏君 商工労働部長       河合孝憲君 農政部長         高木敏彦君 林政部長         瀬上繁隆君 県土整備部長       高木善幸君 都市建築部長       酒向仁恒君 子ども・女性局長     鈴木裕子君 観光国際局長       小原寿光君 都市公園整備局長     足達正明君 教育長          松川禮子君 警察本部長        山本有一君 代表監査委員       山本 泉君 人事委員会事務局長    近田和彦君 労働委員会事務局長    福井康博君…………………………………………………………………………………………… △三月八日午前九時五十九分開議 ○議長(矢島成剛君) 皆さん、おはようございます。本日からの一般質問、どうぞよろしくお願いいたします。 では、ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(矢島成剛君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。    (書記朗読) 請願書の受理について 請願第二十九号 受動喫煙防止対策強化においてのサービス業等への配慮に関する意見書提出を求める請願ほか四件の請願書を受理しました。 職員に関する条例に対する意見について 人事委員会委員長から、平成二十九年二月二十四日付をもって、議第二十六号 岐阜県職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例の一部を改正する条例について、議第二十九号 岐阜県職員の配偶者同行休業に関する条例の一部を改正する条例について及び議第四十五号 岐阜県職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例及び岐阜県教育職員の給与その他の勤務条件の特例に関する条例の一部を改正する条例については、異議がない旨の回答がありました。 岐阜県事務処理の特例に関する条例に対する意見について 教育委員会教育長から、平成二十九年三月六日付をもって、議第三十四号 岐阜県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例については、異議がない旨の回答がありました。…………………………………………………………………………………………… ○議長(矢島成剛君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(矢島成剛君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。四十四番 藤墳 守君。    〔四十四番 藤墳 守君登壇〕(拍手) ◆四十四番(藤墳守君) 皆さん、おはようございます。 議長のお許しをいただきましたので、県政自民クラブを代表いたしまして、県政の諸課題について質問をさせていただきます。 初めに、「清流の国ぎふ」全開に向けた行財政の運営について四点お伺いをいたします。 古田知事におかれましては、さきの知事選挙で、我々自民党県連の推薦を受けて、十七日間の選挙戦を戦われ、得票数は四十九万票余り、得票率は八一%を超え、大変多くの県民の信任を得て見事四選を果たされました。心よりお祝い申し上げます。 告示日の二日後に鳥インフルエンザが発生し、選挙序盤はその対応に追われながらの選挙戦となりましたが、懸念された投票率も前回を上回りました。県民の高い支持は、これまでの三期十二年の実績に対する評価と、これからの取り組みに対する大きな期待のあらわれであろうと思います。知事も選挙を通じて県民の生の声を聞き、県政に求めていることを十二分に把握されたことと思います。これを真摯に受けとめ、県政運営に臨まれることを期待するものであります。 そこで、知事自身、選挙を通じて、県民は県政に対し何を望み、知事に対し何を期待しているのかと感じられたのか。知事選挙を通じて感じた県民の期待と、その対応について知事にお伺いをいたします。 次に、公約の実現に向けた今後の県政運営についてお伺いいたします。 知事は、昨年の九月定例会における我が県政自民クラブ早川議員の質問に対し、県民の負託に応え、ふるさとへの恩返しをしたいと述べられました。この初心を忘れることなく、先ほど申し上げましたように、県民と同じ目線に立ち、県民が真に何を求めているのかしっかりと見きわめ、さまざまな政策課題に立ち向かっていただきたいと思います。 任期中の二〇二〇年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。これを本県の飛躍の好機と捉え、四期目が古田県政の集大成となるよう、希望あふれる県政運営を望むものであります。 さて、知事は選挙において、「あなたとともに「清流の国ぎふ」全開」をスローガンに、「清流の国ぎふ」を支える人づくり、地域の魅力を活かした「清流の国ぎふ」づくり、安全・安心な「清流な国ぎふ」づくりの三つの柱で未来に大きく展開していくことを県民に約束されました。 具体的には、産業を支える人材の育成や成長・雇用戦略の実行、医療と福祉の充実、災害に強い県土づくり、ネットワーク・インフラの整備などが掲げられております。長期的に県が目指すべき姿を見据えながら、刻一刻と変わる社会情勢の変化に対応し、公約の実現に向けて強力に県政を推進されることを望みます。 そこで、今回の選挙で掲げた公約の実現に向けて、今後四年間の県政運営をどのように進めていかれるのか、知事にお伺いをいたします。 次に、平成二十九年度予算についてお伺いをいたします。 新年度は、古田県政四期目のスタートの年であります。何事も最初が肝心とよく言われますが、今後四年間の公約で掲げた「清流の国ぎふ」づくりを全開としていけるかどうかは、平成二十九年度当初予算にかかっていると言っても過言ではありません。 本定例会に上程されている平成二十九年度当初予算案は総額八千百十四億円、十三年ぶりに八千億円台となった前年度を若干上回り、五年連続の増額とのことであります。微増とはいえ、他の多くの都道府県は新年度予算の規模が前年度を下回る中での増額であり、四期目のスタートにかける知事の意気込みが感じられるところでもあります。当初予算編成に対する我が会派の百三項目の要望事項についても、知事から全て推進するとの回答をいただきました。 一方、国の平成二十九年度予算政府案に対しましても、地方の一般財源総額は前年度を四千億円上回る六十二兆一千億円が確保され、地方創生の実現に向けたまち・ひと・しごと創生事業費は一兆円、地方創生推進交付金は前年度と同額の一千億円が確保されるなど、地方の本格的な事業展開を後押しするものとなっております。これらも踏まえながら、「清流の国ぎふ」づくりを最大限に加速し、公約に掲げたとおり全開で進めていく必要があります。 そこで、新年度当初予算案について、どのようなお考えで、何に重点を置いて編成されたのか、予算案の編成方針と特色について、知事にお伺いをいたします。 また、当初予算における県税収入と地方交付税はどのように見込み、臨時財政対策債を含めた一般財源総額はどの程度確保できる見通しなのか、総務部長にお伺いをいたします。 次に、組織の見直しについてお伺いいたします。 平成二十九年度から、組織の見直しにより、環境生活部の部内局として県民文化局が設置されます。知事部局と教育委員会に分かれている文化行政を一元化するとのことであり、今後の文化行政の推進に寄与するのではないかと思いますが、一方で、長年、文化関係は教育委員会が所管してきた。そのため、市町村でも教育委員会が所管しているところがほとんどであります。特に、文化財や祭りの関係などは教育委員会が担っております。今回の県の文化行政の一元化に伴い、混乱が起きないよう市町村との連携・協力をしっかり進めていく必要があります。 また、部内局の設置については、これまで平成二十一年度に観光交流推進局、平成二十六年に子ども・女性局、平成二十七年度の途中に都市公園整備局などが順次設置されてまいりました。それぞれ組織の見直しを必要とする社会情勢や政策上の必要性があったと思いますが、今回の県民文化局の設置は、どのような背景で、何を狙い、県民にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。 そこで、県民文化局を設置する狙いと、具体的にどのような取り組みを担っていくのか、知事にお伺いをいたします。 ここで一回目の質問を終わらせていただきます。 ○議長(矢島成剛君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 四点お尋ねがございました。 まず、知事選挙の総括についてということでございます。 このたび多くの県民の皆様から御支持をいただき、四たび岐阜県知事としての重責を担わせていただくこととなりました。改めて多くの県民の皆様の県政に対する期待の大きさを実感し、身の引き締まる思いがいたしております。 今回の選挙戦で行く先々で多くの方々から伺った御懸念ないし危機感は、何といっても人口減少問題への対応ということでございました。本県では既にいち早くこの問題に着目し、平成二十一年三月に策定した岐阜県長期構想のサブタイトルには「人口減少時代への挑戦」を掲げ、積極的にこれに対応してまいりました。このところ本県の合計特殊出生率には反転の兆しが見えてきておりますが、人口減少に歯どめをかけるまでには至っておりません。また、県内の有効求人倍率が全国トップクラスの水準に高どまり、人材不足が深刻化しております。そのため、引き続き少子化対策、移住定住対策に力を入れるとともに、担い手の育成・確保を最優先課題として取り組んでまいりたいと思っております。 一方で、地域経済の活性化や地域の魅力づくりに対する熱い思いも多々お伺いいたしております。例えば、かかみがはら航空宇宙科学博物館のリニューアルを起爆剤として航空宇宙産業のさらなる発展はもちろんのこと、世界淡水魚園と連携し、交流人口の増加につなげていきたいという声を伺っております。 また、リニア中央新幹線の開通に向け、地歌舞伎、中山道、陶磁器産業などを生かした歴史街道観光を促進したい、あるいは東海環状自動車道西回りルートの全線開通に向け、関ケ原古戦場や養老公園を核とした広域周遊観光に取り組みたいといった声も伺っております。 その他、本県が誇る世界農業遺産「清流長良川の鮎」やユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」、あるいは飛騨牛や地酒など魅力的な農畜水産品を生かした海外誘客、海外販路開拓に本格的に取り組みたいといった声も多々お伺いしております。 このように、「清流の国ぎふ」をキーコンセプトとして、地域資源を掘り起こし、魅力を磨き上げ、国内外に発信してきたこれまでの県の取り組みが県民の皆様に着実に浸透してきていることを実感いたしました。こうしたことから、いよいよ「清流の国ぎふ」づくりを全面展開する時期が来たというふうに考えているところでございます。 そこで、今後の県政運営につきましては、以下の三つの方向で「清流の国ぎふ」づくりを全面展開してまいりたいというふうに考えております。 まず第一に、「清流の国ぎふ」を支える人づくりでございます。 先ほども申し上げましたとおり、人口減少社会が身近な現実となり、人材不足は深刻かつ喫緊の課題となっております。本県では、航空宇宙産業における産学官連携による人材育成や、研修から営農定着まで地域ぐるみによる一貫した新規就農支援など、岐阜県方式による担い手確保に取り組んできております。今後は、これを他の産業分野にも広げてまいりたいというふうに考えております。このため、先月には「清流の国ぎふ」づくり推進県民会議のもとに人づくり分科会を設けたところであり、各分野の実情に即した人材の育成・確保対策を進めてまいります。 また、地域おこし協力隊の定住促進を初め、移住定住の取り組みを推進するとともに、奨学金を活用した県出身大学生のUターン促進などに取り組んでまいります。 さらには、子供を産み育てやすい環境の整備や就労支援の充実など、女性、若者、障がいのある方から高齢者まで、あらゆる方々が活躍できる社会づくりを進めてまいりたいと考えております。 次に、地域の魅力を活かした「清流の国ぎふ」づくりでございます。 私の四期目は、くしくもトランプ大統領の任期とほぼ重なりますが、米国のTPP離脱や英国のEU離脱など国際情勢の不透明感が増す中、人口減少に伴う国内市場の縮小やグローバル競争の一層の激化が予想されます。こうした中、いかに国内外から人や消費を地域に呼び込み、所得を得ていくかがますます重要となっております。 幸いにして、本県は世界農業遺産「清流長良川の鮎」、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」などの世界に誇る遺産を初めとした豊かな地域資源や、飛騨牛、アユ、富有柿などの岐阜ブランドを擁するとともに、東西南北の交通の結節点であるという地の利を有しております。そこで、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックをチャンスと捉え、これを機に、ここにしかない、ここでしか味わえないオンリーワンの魅力を発信してまいります。 また、今年度改定する岐阜県成長・雇用戦略のもと、航空宇宙や医療機器、食品といった成長産業分野における企業支援や人材育成を強化するとともに、第四次産業革命とも言われるIoTの導入によるモノづくり企業のイノベーションにも取り組んでまいります。 最後に、安全・安心な「清流の国ぎふ」づくりでございます。 本県では、これまでも東日本大震災や熊本地震など他県で起きた災害も、あすは我が身として、みずから直ちに検証を行い、危機管理・防災体制の充実強化に取り組んでまいりました。引き続き市町村や大学と連携した地域防災力の強化や大規模災害に備えた事前防災対策に取り組むとともに、インフラの老朽化対策にも計画的に対応してまいります。 また、県民の皆様が健康に暮らし、万が一のときは安心して医療や福祉サービスを受けられる体制を整備することも重要な課題でございます。このため、医療・福祉人材の確保を図るとともに、在宅医療・在宅介護など地域における医療と福祉の一層の連携を進めてまいります。 さらに、ひとり親家庭への支援や障がいのある方に優しいまちづくりなど、県民の誰もが持てる力を存分に発揮できる社会づくりを進めてまいります。 加えて、こうした政策を進めるための基盤となる東海環状西回りルートリニア中央新幹線など、未来へつながるネットワーク・インフラ整備にも着実に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、新年度予算の特色ということでございます。 本県財政につきましては、持続可能な運営に道筋がつきつつありますが、老朽化し再整備の時期を迎える県有施設への対応、累増する社会保障関係経費などさまざまな課題を抱えております。このため、節度ある財政運営に意を用いつつ、さまざまな政策課題に目配りし、めり張りのきいた予算編成に努めたところでございます。 さて、これまでの三期十二年、本県の魅力、アイデンティティーである「清流」をキーワードにさまざまな取り組みを進めてまいりました。来年度はこれまでまいてきた種を大きく育て咲かせる、そうした政策の本格的実現と未来志向の予算となっているのが特色でございます。 具体例を申し上げますと、まず人づくりでは、中小企業総合人材確保センターの創設が挙げられます。これまで総合人材チャレンジセンターにおいて行ってきた就労支援に、企業の人材確保支援や県内外の人材獲得の機能を加え、総合的に人材確保に取り組んでまいります。 また、農業分野におきましても、就農支援をワンストップで行う岐阜アグリチャレンジ支援センターを立ち上げ、対策を強化してまいります。 次に、地域の魅力づくりという点では、例えば関ケ原古戦場の再整備でございます。世界三大古戦場としてゲティスバーグとの姉妹協定に続き、ワーテルローとの協定締結を進めるとともに、関ケ原古戦場ビジターセンター--これは仮称でございますが--については来年度中に設計を終え、平成三十二年春ごろにはオープンさせたいというふうに考えております。 また、地域の文化の振興につきましては、例えば東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムとして公式に認証された本県の地歌舞伎について、今年度から、ぎふ清流文化プラザにおいて地歌舞伎公演シリーズを開催しております。既に大変な人気を博しており、東京オリンピック・パラリンピックの二〇二〇年には、県内全ての地歌舞伎保存会が一堂に会する一大公演会を実現してまいりたいと考えております。 安全・安心づくりにつきましては、来年度、障がい者用体育館の建設に着手いたします。平成三十年度中にはこれを完成させ、岐阜市鷺山地区の清流福祉エリア全体の整備充実を図ることとしております。 また、本県の発展に不可欠な東海環状自動車道西回りルートの早期全線開通を目指すとともに、リニア岐阜県駅へのアクセス道路である濃飛横断自動車道中津川工区の整備を推進いたします。さらに、緊急輸送道路や県民生活に不可欠な道路の整備を着実に進めてまいります。 最後に、組織の見直しにおける県民文化局の設置についてでございます。 本県では、これまで文化財保護や伝統文化の伝承などに関しては主に教育委員会が所管し、文化芸術資源の国内外への発信や振興に関しては主に知事部局が所管をしてまいりました。こうした中、平成二十六年度には、県民文化の振興を一層図るとともに、美術館をより身近な施設として運営するため、美術館及び現代陶芸美術館を知事部局へ移管しております。 一方、国の動きを見ますと、平成二十七年には、諸情勢の変化を踏まえて社会を挙げての文化芸術振興が必要であるとの認識のもと、文化芸術の振興に関する基本的な方針が閣議決定されました。その重点戦略としては、文化芸術活動に対する効果的な支援、文化芸術振興の充実に加えて、文化芸術の次世代への継承、地域振興、観光・産業振興への活用などが挙げられております。 以上を背景に、本県としては、もろもろの文化施設をさらに一体的に運営するとともに、文化と地域振興、観光振興との効果的な連携を図るため、文化の保存から伝承、発信、そして振興に至る一貫した取り組みを知事部局で一元的に推進することとした次第でございます。 新たに設置する県民文化局におきましては、各施設間の連携を図る観点から、例えば博物館では関ケ原の合戦や信長公をテーマとした企画展を実施するとともに、図書館や高山陣屋内にサテライトの展示スペースを設けるなど、博物館の収蔵物を県内各地で展示することとしております。また、今後、関ケ原に整備を予定しているビジターセンターにおいても、博物館が所有する戦国時代の歴史的資料などを展示していく予定でございます。さらに、図書館、美術館、そして現在整備を進めております、これも仮称でございますが、森の恵みのおもちゃ美術館が同一エリアにあることから、それぞれの施設の特徴を生かしたイベントやワークショップを一体的に開催することを予定しております。 また、文化芸術活動の拠点として再スタートしたぎふ清流文化プラザの企画及び管理を県民文化局が一体的に行うことにより、子供、若者、障がい者による参加型の企画展に加え、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムとされた地歌舞伎公演や一流アーティストによる公演を行うなど、総合的な文化振興に取り組んでまいります。 なお、市町村においては、文化行政をいまだ教育委員会で所管するところが多いことから、より一層、県民文化局と市町村教育委員会との連携を進めてまいりたいと思っております。 ○議長(矢島成剛君) 総務部長 坂口和家男君。    〔総務部長 坂口和家男君登壇〕 ◎総務部長(坂口和家男君) 先生から、県税収入、地方交付税及び一般財源総額について御質問をいただきました。 まず県税収入につきましてですが、国内の景気は緩やかな回復基調である一方、海外経済が不確実であることなどを踏まえまして、個人県民税の配当割と株式等譲渡所得割で減少を見込んでいることなどから、前年度当初予算から四十三億円の減となる二千三百四十三億円を計上いたしております。 次に、地方交付税でございますけれども、平成二十八年度の実績をもとに県税収入の見通しなどを勘案いたしまして、今年度並みとなる千七百二十五億円を見込んでいるところでございます。 また、臨時財政対策債につきましては、地方財政計画において増額するとされたことから、本県においても十四億円増の四百四十四億円を計上しており、これらを踏まえた一般財源総額につきましては、対前年度三十億円の減となる五千五百六十六億円を見込んでいるところでございます。 ○議長(矢島成剛君) 四十四番 藤墳 守君。    〔四十四番 藤墳 守君登壇〕 ◆四十四番(藤墳守君) どうもありがとうございました。 次に、活力ある「清流の国ぎふ」づくりについて八点お伺いをいたします。 初めに、今年度改訂作業が進められてきた岐阜県成長・雇用戦略についてお伺いをいたします。 知事選挙の際に報道機関が行った有権者アンケートを見ますと、重視する政策として景気・雇用を挙げる方が医療・福祉に次いで二番目に多かったことからもわかりますように、県民の成長・雇用戦略に対する期待は高いものがあります。改訂後の成長・雇用戦略の目標年次となる二〇二〇年は、先ほども申し上げましたが、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、本県にとっても飛躍する大きなチャンスでもあります。トランプ大統領の就任によりアメリカが保護主義的な傾向を強めていく中、世界経済に不透明感はありますが、本県としては二〇二〇年をチャンスと捉え、これを最大限に生かして産業経済を発展させていく必要があります。 そこで、改訂後の成長・雇用戦略における目標と、それを達成するための取り組みの具体的な内容、進め方について知事にお伺いをいたします。 次に、製造業や観光産業における産業人材不足への対応についてお伺いをいたします。 現在、本県の有効求人倍率や新規求人数は高どまりの状況にあり、そのこと自体は大変喜ばしいものでありますが、一方で、これらの産業を担う中小企業においては、逆に人手不足の状況にあります。この傾向は本県のみならず、東海地方全体で見受けられますが、人口減少が進む中、一過性のものではなく、中・長期的な傾向になると考えられます。 公益財団法人中部圏社会経済研究所が昨年十二月に発表したレポートによりますと、当面は女性や高齢者が活躍することで人手不足を補うことができるが、中・長期的にはそれだけで人手不足を補うことは困難であり、二〇四〇年には東海三県で二十一万人の労働力が不足すると予測をされております。 さきの定例会で、知事は、この問題の大きな要因は若者人口の東京一極集中であり、その対策を進めていくと答弁されております。確かに、県や県内市町村は、子供が生まれてから、子育て支援や、小学校、中学校、高校での教育など人材育成に対し力を注いでおりますが、ようやく一人前の若者が育ったと思ったら、東京圏あるいはお隣の愛知県などに吸収されてしまっているのが現状であります。まさにこうした現状を打破するための対策が重要であり、日本全体で若者人口が減っていく中、短期的な対応はもちろんのこと、中・長期的な観点からもさらなる対策が必要ではないでしょうか。 そこで、製造業や観光産業における産業人材不足への対応について、中・長期的な観点によるものも含め、どのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、少子化対策についてお伺いをいたします。 本県の二〇一五年の合計特殊出生率は一・五六と、過去最低であった二〇〇四年の一・三一と比べると改善傾向にあると言えます。人口が維持できるとされている二・〇七にはほど遠い状況でありますが、この出生率が低い要因は、嫡出子が多い我が国においては有配偶出生率の低下と未婚率の上昇が考えられますが、しばしば指摘されておりますように、有配偶出生率についてはさほど低下はしておらず、むしろ二十年前と比較すると上昇しております。 しかしながら、未婚率の上昇は深刻な状況にあります。二十五歳から三十九歳の女性の未婚率は、二十年前には二割程度、三十年前にさかのぼれば一割程度であったものが、今では三割を超えており、出生率が低い原因は、まずは未婚率の上昇によるものと考えられます。有識者の中には、少子化の要因の九割は未婚率の上昇によるものと指摘される方もあり、結婚対策に力を注ぐ必要があります。 一方で、本県の少子化対策は、毎年策定されている少子化対策総合プログラムを見ても、結婚対策を少子化対策の三本柱の一つに位置づけているものの、未婚率の低下に直結する取り組みは少なく感じております。もちろん結婚は個人の自由であり、政策的になかなかよい手だてがないということは理解しておりますが、手をこまねいていては出生率の向上は望めません。 そこで、少子化対策として、私は重視すべきは結婚対策と考えますが、現状の認識と今後の対策について、子ども・女性局長にお伺いをいたします。 次に、女性の活躍推進について二点お伺いをいたします。 今後、ますます生産年齢人口が減少していくことが見込まれます。社会を維持していくためには女性の活躍が必須でありますが、一方で、本県においては、二〇一〇年の時点でありますが、県内企業の女性管理職比率が一一・四%と全国最低の状況にあります。そのため、昨年十二月に示されました女性の活躍推進計画の骨子案において、二〇二〇年に全国中位である一八・二%を目指すとの数値目標が盛り込まれたところであります。一八・二%といえば、管理職五人に対し女性は一人以下の水準であり、この目標が現実離れした高いものとは思いません。実際、こうした目標を課せられる民間企業はどのように受けとめておられるでしょうか。 本県の産業は、女性の就労が少ない傾向にある製造業が多く、仮に数値目標に沿った女性登用が大変難しい状況であるならば、それを強いることになり、企業活動に支障を来し、その結果、雇用の確保が困難となるような事態が起きれば本末転倒であります。また、県職員の女性管理職比率なら自分たちで何とかなるかもしれません。そもそも民間企業に対し、女性登用を強いることができるかという問題もございます。民間を含めた女性管理職比率を上げていこうとするのであれば、企業等の理解が不可欠であります。 そこで、今回の計画で掲げた目標に対する民間企業等の受け取り方をどのように認識し、目標達成に向けて取り組みをどのように進めていかれるのか、子ども・女性局長にお伺いをいたします。 一方、県職員の女性登用については、岐阜県職員子育て支援と女性活躍の推進のための行動計画において、二〇二〇年までに女性管理職を二〇%、課長補佐・係長級は二五%という目標を掲げられております。一億総活躍社会の実現といった観点のみならず、県民のほぼ半数は女性であるということから考えますと、県民ニーズに応じた県政の実現といった観点からも、女性の登用が必要であります。 しかしながら、目標を達成しようとする余り、例えば昇進を望んでいないにもかかわらず登用する、あるいは適性がないのに女性だから登用するといったことになれば、本人にとってももちろんのこと、組織のモチベーション維持の観点からも望ましくありません。本人の適性をしっかり見きわめ、登用を進めていくことは当然のことでありますが、それを前提に、まずは責任ある仕事への意欲があり、登用するにふさわしい能力のある女性職員を育成していくことが大切であります。これについては、数年前からそのための研修を実施しているとのことであります。評価できるものでありますが、一方で、男女を問わずワーク・ライフ・バランスが求められ、国においても、第三次安倍内閣が最大のチャレンジと位置づける働き方改革が進められる中、女性職員のみ無理に研修を行い、過度に負担がかかることがあってはならないとも思われます。男性も女性もワーク・ライフ・バランスを維持し、県職員としての意欲を保ちながら能力を高めていくことができる環境整備が求められるところであります。 そこで、女性職員登用の現状に対する認識と今後の取り組みについて、総務部長にお伺いをいたします。 次に、高齢者の活躍推進について二点お伺いをいたします。 人口減少社会において社会を維持していくためには、女性の活躍と並び高齢者の活躍も不可欠であります。現在の高齢者は大変元気であり、現役世代と変わりなく活躍できる方も多くなってきております。 では、そもそも高齢者とは何歳からなのでしょうか。例えば年金制度では六十五歳、生産年齢人口といった場合も十五歳以上六十五歳未満としており、六十五歳が高齢者の基準になっているように思われます。一方で、定年は依然六十歳のところが多く、映画などのシニア割引なども六十歳からであります。老人クラブの入会資格も六十歳からと伺っており、いろいろな基準がありますが、個人差もありますけれども、若くして老け込む人もいれば、幾つになっても元気な人もいます。 古田知事さんも、今年九月で満七十歳を迎えられます。現在の自分を高齢者とは思ってみえないのではないでしょうか。大変元気であります。スーパーマンであります。少なくとも、六十歳のときには自分が高齢者とは思っておられなかったはずであります。そうでなければ、知事という激務は務まりません。 県民の皆さんも同じであり、例えば老人クラブに六十歳の人を勧誘に行っても、まずは断られます。早くから年寄り扱いするなと怒る人もおられるようであります。 こうした中、今年一月、日本老年学会などは、高齢者の定義を従来の六十五歳以上から七十五歳以上とすべきだとの提言を発表いたしました。同学会によれば、現在、高齢者とされている六十五歳以上のうち、七十四歳までについては、心身の健康が保たれ、活発な社会活動が可能とされており、十年前と比べると五歳から十歳は若返っているとのことであります。もちろん個人差もあるので、こうした提言が安易に年金支給年齢の引き上げなどにつながっていかないよう留意すべきでありますが、このあたりの年齢層の方々は現役世代としての活躍が十分に可能であります。老人扱いすると、かえってよくありません。 今回の知事の公約でも、元気な高齢の方が活躍できる機会づくりが掲げられておりますが、経験豊富で健康な人が、定年退職後も現役世代として活躍できる機会づくりを進めていただきたいと考えております。 また、二〇二〇年秋には本県で全国健康福祉祭、いわゆるねんりんピックの開催が予定されております。全国から選手・役員が一万人以上集まる国体以来の大規模イベントであり、加えて書道や絵画、俳句など文化芸術に関する展示も開催される予定であります。県としてもねんりんピックに向けて、高齢者の健康、スポーツ、文化芸術面での振興を進めていく必要があります。 さて、知事は、これから四年間の任期を全うされると、七十三歳まで知事として激務も担われることになります。まさに、さきに紹介した日本老年学会の提言どおり、心身ともに健康で活発な活動が可能なことを身をもって体現されることを願うものであります。 そこで、お伺いをいたします。 私は、高齢者という定義は六十五歳からではなく七十五歳からとすべきだという提言に賛成であります。知事はどのようにお考えでしょうか。 また、公約に掲げる高齢の方々が活躍できる機会づくりをどのように進めていかれるのか、知事にお伺いをいたします。 あわせて、ねんりんピックをどのような大会としていかれるのか、開催に向けた考え方と今後のスケジュールについて、知事にお伺いをいたします。 次に、本県の強い農業づくりについてお伺いをいたします。 担い手の高齢化や耕作放棄地の増加など、農業を取り巻く環境は依然厳しい状況にあります。本県では、今年度から新たに策定したぎふ農業・農村基本計画に基づく取り組みがスタートしており、昨年十一月には「第十九回全国農業担い手サミットinぎふ」が開催され、全国各地から大変多くの農業者が集い、成功をおさめるなど新たな動きが見られるところでもあります。 折しも政府は、「農政新時代」とのスローガンを掲げて農政改革に取り組んでおり、昨年十一月二十九日には、農業者の所得向上と農業の成長産業化を図るための施策をまとめた農業競争力強化プログラムを決定し、現在、関連法案が国会に提出されているところでもあります。こうした動きを踏まえながら、本県の若い農業者たちの十年、二十年後も希望を持って取り組むことができる岐阜県農業としていくことが必要であります。 そこで、今後、本県の強い農業づくりをどのように進めていかれるのか、農政部長にお伺いをいたします。 次に、林業振興による森林の保全についてお伺いをいたします。 本県の森林のうち、民有林については全部で六十六万ヘクタール余り、そのうちの約三十万ヘクタールはスギ、ヒノキなどが植林された人工林でありますが、木材需要の低迷や採算性の問題で放置される森林は少なくありません。これは全国的な傾向でもありますが、戦後の拡大造林で、山の傾斜や標高、土壌など考慮せず、木材の生産にふさわしくない山林まで植林したことが原因であります。 こうしたことを踏まえ、本議会に上程されている第三期岐阜県森林づくり基本計画では、百年後の森林のイメージを、木材生産林、環境保全林、観光景観林、生活保全林の四つの区分にし、それぞれ取り組みを進めていることとされております。このうち木材生産林は、百年後には約二十万ヘクタールに絞り込むものとなっております。木材生産林では、基本的には林業で得られる収益で管理費を捻出するわけでありますが、搬出コストを抑え、本当に収益を上げることができる森林に絞らないと難しいのではないでしょうか。 そもそも現時点で県内に林業で生計を立てておられる方がどの程度おられ、生産性が高く、モデル的な林業ができる森林はどの程度あるのでしょうか。現実的に県内に二十万ヘクタールも林業に適した森林が果たしてあるのか、個人的には楽観視できないと考えております。 現状を見ますと、森林の持ち主の多くは、ただ森林を持っているだけで、管理に苦慮しており、将来は維持できそうもないので、行政に森林を寄附したいと思っておられる方もたくさんおられます。しかしながら、全てを公有林化して公費で管理するのも財政的にも現実的ではありません。結局、森林を管理するための費用を稼ぐことができる強い林業を構築していくことが必要であると思われます。 そこで、林業を取り巻く現状と今後の展望、さらに生産性向上に向けた県としての支援策をどのように展開していくのか、林政部長にお伺いをいたします。 次に、主要観光地再生プロジェクトについて二点お伺いをいたします。 まず、関ケ原古戦場グランドデザインについてお伺いをいたします。 現行の成長・雇用戦略に位置づけられた主要観光地再生プロジェクトにおいては、関ケ原古戦場が対象となっており、平成二十七年三月に策定した関ケ原古戦場グランドデザインに基づき、近年さまざまな取り組みが進められております。昨年は、大河ドラマとの連携プログラムなど多くの観光客が訪れております。 関ケ原古戦場については、以前にも質問させていただきましたが、もともとブランド力はあるものの、それを観光振興に結びつけることができず、地元が模索していたところ、古田知事が積極的に関与していただき、牽引していただいたことで初めて動き始めたところでもあります。取り組みがスタートしてまだ二年でありますが、これだけ多くの人を集めることができるようなことについて、県の企画力や情報の発信力を評価するとともに、地元の県議会議員としても感謝申し上げるところであります。 この関ケ原古戦場の再生、いわば新たな観光地の創生ともいうべき取り組みでありますが、今後予定されているビジターセンターの整備や魅力の発信、イベントの企画、誘客に大いに期待いたしておるところでもあります。 一方で、地元も県と連携しながら取り組みを進め、いずれは自立的な取り組みにより、多くの観光客を継続的に集めることができるよう努力していく必要もあります。そのために、県がさまざまなプロジェクトを進める中で、役場のほか、商工会や、あるいはボランティア団体などが活躍できる場面も徐々にふやしていくことも大切ではないかと思われます。 そこで、今後、関ケ原古戦場グランドデザインの推進について、具体的にどのように進め、その中でいかに地元との連携を進めていかれるのか、知事にお伺いをいたします。 次に、主要観光地再生プロジェクトに関連して、もう一点、県営都市公園の活性化についてお伺いをいたします。 県内には観光客を多く集める四つの県営公園がありますが、養老公園、花フェスタ記念公園、平成記念公園といった三つの公園は集客量がやや低下してきており、本県の観光振興を図る上で大きな課題となっております。 こうした中、平成二十七年に開催した「花フェスタ二〇一五ぎふ」の成功を契機に、昨年十月に岐阜県都市公園活性化基本戦略が策定されております。都市公園の活性化に向けた基本戦略とのことであり、三つの戦略テーマに基づき、各公園の魅力を高めながら、周辺の地域資源との連携を進めるものとされております。一部の公園では、戦略の策定作業と並行して、できるものから取り組みが進められてきたとのことでありますが、今後、戦略が着実に展開され、県営都市公園が本県の観光振興を担う重要な資源になることを期待するものであります。 そこで、これまでの取り組みの成果と今後の基本的な戦略の展開について、都市公園整備局長にお伺いをいたします。 これで二回目の質問を終わります。 ○議長(矢島成剛君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 第二ラウンドは五点御質問がございました。 各論に入りますので、先ほどの総論答弁と一部重複もあろうかと思いますが、そこは御容赦いただきたいと思っております。 まず、改訂後の岐阜県成長・雇用戦略についてでございますが、この戦略は、外的要因の変化や経済変動に強いバランスのとれた産業構造の構築を目指して、本県の産業政策の基本的な方針として平成二十六年三月に策定した次第でございます。以来、本戦略に掲げたプロジェクトを着実に推進してまいりましたが、この三年の間には新たな課題も生じてきております。 こうした状況の変化を踏まえて、改訂戦略案においては、二〇二〇年に向けて、直面する三つの課題であります、産業人材の確保、第四次産業革命の推進、グローバリゼーションへの対応、この三つの課題に優先的に取り組むとともに、成長五分野の振興と観光の基幹産業化を一段と強力に推進するなど八つのプロジェクトを掲げております。 この取り組みの具体的な内容として、まず産業人材の確保についてでございますが、新たに中小企業総合人材確保センターを設置し、産学金官連携人材育成定着プロジェクトや県内外の就職協定締結大学とのタイアップ事業などを推進するとともに、女性や高齢者、外国人留学生など多様な人材の活用促進策を推し進めてまいります。 二点目の第四次産業革命の推進につきましては、県内中小企業のIoT等の導入を促進するため、ソフトピアジャパンを中心とした県内企業への普及啓発や指導者派遣から、県試験研究機関での研究開発及び実証、そしてIoT機器の導入への助成まで一貫した支援を行い、生産性向上や付加価値向上につなげてまいりたいと思っております。 三点目のグローバリゼーションへの対応につきましては、県内中小企業の競争力を高めるため、例えば海外の著名デザイナーとの連携による商品開発や世界最大級の見本市への出展、越境EC、電子商取引の活用拡大などにより、魅力あるすぐれた県産品を国内外へ大いに発信してまいりたいと思っております。 こうした一方で、今後の大幅な需要拡大が見込まれる航空宇宙産業、少子・高齢化の進展により需要の増加が確実である医療福祉機器、経済変動の影響を比較的受けにくく安定している医薬品及び食料品、将来の普及拡大が見込まれる次世代エネルギー、この五つがいわゆる成長五分野といっておるものでございますが、この五分野、そして幅広い経済波及効果が見込まれる観光に力を入れてまいりたいというふうに思っております。 具体的には、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の来年三月のリニューアルオープン、岐阜工業高校内に来月にオープンしますモノづくり教育プラザの実習施設の拡充、昨年十一月に開設した成長産業人材育成センターの充実などに取り組んでまいります。 また、引き続き戦略的な企業誘致に取り組むとともに、県の工業試験研究機関を集約・再編したモノづくり拠点と、岐阜大学と連携した岐阜県食品科学研究所、これは仮称でございますが、これらを平成三十一年度に開設し、企業の技術力強化を支援してまいります。 さらに、関ケ原古戦場やリニア岐阜県駅周辺のひがしみの歴史街道を核とした広域周遊観光の推進、岐阜の宝もの等の観光資源の商品化と発信、世界に誇る遺産を核とした国内、海外誘客などにより、観光消費のさらなる拡大を目指してまいります。 今回の戦略の改訂に当たりましては、各プロジェクトごとに主要な数値目標を設定しており、その実現に向けて着実に実績を積み上げていきたいと考えております。とりわけ、県内中小企業に影響が大きい人材の確保やIoT導入の促進につきましては、近く具体的なフォローアップを行う分科会を新たに設置し、迅速かつきめ細かに対応してまいりたいと思っております。 次に、産業人材の人手不足への対応ということでございます。 岐阜県内の昨年平均の有効求人倍率でございますが、一・七一倍ということで、七年連続で上昇しております。これは、一・七一というのは二十四年ぶりの高水準ということでございます。もちろん業種、職種により差はございますが、中小企業を中心に深刻な人手不足であるとの声を、さきの知事選挙中、私自身も大変多く耳にいたしております。 岐阜県産業経済振興センターが昨年実施いたしました人材確保に関する特別調査におきましても、県内企業の五九%、製造業では六一%が人材不足を回答してきております。このため、人づくりを県政の大きな柱として、第一に企業分野別の取り組み、第二に多様な人材の活躍、第三にIoT活用による生産性向上といった多面的な見地から人材の確保、育成に取り組んでまいります。 まず航空宇宙を初め成長産業分野では、成長産業人材育成センターにおいて、非破壊検査技術など国際規格に基づく研修体制を整備するとともに、新たにヘルスケア産業や次世代エネルギーなどの専門人材の育成にも取り組んでまいります。 また、新たに中小企業総合人材確保センターを開設し、例えば産学金官連携人材育成定着プロジェクトなど、県内外から人材を呼び込む多様な取り組みに加えて、求職者に選ばれる職場づくりや採用活動へのノウハウ等の採用力向上セミナー、専門スタッフによる個別相談まで県内中小企業を強力にサポートしてまいります。 また、観光産業につきましては、県内外の大学の観光学部等と連携した学生と観光事業者のマッチングやインバウンド対応など、従業員のおもてなし力向上に向けたスキルアップ研修などを実施してまいります。 次に、若者を初め、女性、高齢者、障がい者など、県民一人一人が活躍できる環境についてでございます。 まず若者につきましては、先ほど申し上げた人材確保センターの取り組みのほか、県出身大学生等のUターンを促進する奨学金制度の拡充など、若者の県内就職を促進してまいります。 女性につきましては、女性の活躍支援センターの相談員を増員し、再就職を希望する女性への支援を強化するとともに、仕事と家庭の両立支援に取り組む子育て支援エクセレント企業の認定拡大を図ってまいります。 高齢者につきましては、求職者への就労支援に加え、高齢者の活用を啓発する企業セミナーや企業とのマッチングを促進する合同企業説明会の開催など、高齢者の就労促進に取り組んでまいります。 障がい者につきましては、目下整備を進めております障がい者総合就労支援センター、仮称でございますが、ここにおいて、障がい者を雇用する企業への支援を初め、障がい者の就労相談から職業能力開発、マッチング、定着支援までを一体的に一般就労に向けた支援に取り組んでまいりたいと思っております。 また、外国人につきましては、高度人材として期待されております外国人留学生の県内就職を促進するため、海外展開を進める企業向けの留学生受け入れセミナーや留学生向けの就職セミナーの開催、インターンシップ等を通じた学生と企業の交流機会の拡大に取り組んでまいります。 さらに、労働力の量的確保が困難さを増す中で、IoT技術の活用による企業の生産性向上も必要となってきております。このため、先ほども申し上げましたが、県内中小企業のIoT導入促進に向け、ソフトピアジャパンを中心に支援してまいります。 次に、高齢者が活躍できる機会づくりということでございます。 私自身は全くスーパーマンではございませんけれども、丈夫に産み育ててくれた両親に感謝しながら、任務に取り組んでおるということでございます。 現在の高齢者の考え方は、例えば定年では六十歳以上、年金の支給開始は六十五歳以上、医療保険の二割負担は七十歳以上など、さまざまな制度において、その趣旨や目的に照らして定められておりますが、一般的には一九五六年の国連の報告書で用いられた考え方、六十五歳以上を高齢者とすることが多いというのが現状でございます。 今回の日本老年学会などの提言におきましては、医学的・生物学的な見地から近年の高齢者を見ると、加齢に伴う身体的機能変化の出現が五年から十年遅延しており、若返り現象が見られているということなどから、高齢者の定義を従来の六十五歳以上から七十五歳以上にすることが示されております。 岐阜県の平均寿命を見てみますと、一九六五年から二〇一〇年の四十五年間で、男性で約十一歳、女性で約十三歳平均寿命が延びております。こうしたことから、一般的な高齢者の定義を約十歳引き上げるということは、私たちの実感に沿うものであるというふうに受けとめております。 県ではこれまで、高齢者の方に活躍していただくための施策として、主に高齢期に生きがいを持って過ごしていただくことを目的とした事業に取り組んでまいりました。例えば高齢者の地域活動への参加として、地域のひとり暮らし高齢者の訪問などの相互支援活動、子供たちの登下校時の見守りなどの地域見守り活動などを推進してきております。また、文化芸術活動につきましては、県内老人クラブによる文芸・美術作品コンクールや芸能大会の開催などを支援してきております。 しかしながら、現在では、高齢になっても元気で御活躍される方々が大変多くなってきております。一方で、県内のさまざまな産業分野で人手不足が深刻化してきております。高齢者の方々には、これまで培われた知識や経験を生かして後継者を育成していただくことはもちろんでありますが、みずからも産業の担い手として引き続き活躍していただくことも期待されるわけでございます。こうした観点から、県では来年度から新たに、例えば高齢者の方を対象にした介護研修プログラムを設けて、人材不足が深刻な介護分野での就労支援の取り組みを始めてまいります。 また、県の高齢者福祉に関する施策をまとめる岐阜県高齢者安心計画の改定作業を予定しておりますが、その中でも、多様な生きがいづくりに向けた取り組みに加えて、高齢者をめぐる環境の変化を踏まえて、高齢者の皆さんが現役時代の延長線上で産業の担い手として活躍いただけるような環境づくりについても、一つのテーマとして議論してまいります。 次に、ねんりんピックの開催の考え方ということでございます。 全国健康福祉祭、いわゆるねんりんピックでございますが、スポーツ・文化種目を初めとして、健康や福祉に関する多彩なイベントを通じて、高齢者を中心とした国民の健康保持・増進、社会参加、生きがいの高揚を図ることを目的に毎年開催されてきております。例年、全国からの出場選手・役員が約一万人、関連イベントを含め、大会期間中延べ五十万人が参加される大変大規模な祭典でございます。これが二〇二〇年、第三十三回大会ということで、本県で初めて開催されるわけでございます。二〇二〇年はまさに東京オリンピック・パラリンピック開催年でございます。国民のスポーツ・文化への関心が高まる中、両大会終了後の秋に開催されるねんりんピック岐阜県大会は、その熱気を引き継ぐ記念すべき大会になるものと大いに期待しております。 本県としては、高齢者を初めとする多くの県民の皆さんがスポーツや文化芸術活動に触れ、その楽しさ、すばらしさを実感していただくことのできる大会として、地域に元気があふれる健康長寿の「清流の国ぎふ」づくりに向けての節目としてまいりたいというふうに考えております。 また、過去最多の参加国数を目指して開設される東京パラリンピックの理念を共有して、障がい者の参加を積極的に促すなど、障がいの有無にかかわらず、あらゆる人々の交流と触れ合いを広げる大会としたいというふうにも考えております。そして、誰もがともに支え合い、高め合うことのできる地域共生社会の実現につないでまいります。 今後のスケジュールでございますが、まず来年度中に大会のコンセプトづくりを進め、実施種目・会場地などとともに大会基本構想をまとめてまいります。その上で実行委員会を設立し、開閉会式など式典の実施内容やスポーツ・文化種目の運営方法を初め、大会機運醸成に向けた県民運動等について協議を重ね、本番に向け準備を進めてまいります。 最後に、五点目でございますが、関ケ原古戦場グランドデザインの実現に向けた取り組みということでございます。 御案内のように、平成二十七年三月にこのグランドデザインを策定いたしました。関ケ原の戦いから四百二十年の節目となる二〇二〇年に向けて、関ケ原町とともに関ケ原の多彩な魅力の発信や史跡の再整備などに着実に取り組んできておるわけでございます。昨年の関ケ原古戦場への来場者は三十四万人と初めて三十万人を突破し、取り組みへの手応えと関ケ原古戦場の観光資源としての価値の高さ、魅力の高さを実感しております。 そこで、グランドデザインのテーマに則して今後の取り組みについて申し上げますと、まず、「「このまち、まるごと、古戦場」に生まれ変わる」というプロジェクトとして、今年度末を目途として、関ケ原町を中心に史跡解説や誘導サイン百十七基の整備を進めてまいりました。 第二に、「歴史ファンも納得の関ケ原」を実現するため、昨年度、徳川家康の陣地、今年度は石田三成の陣地である笹尾山などの環境整備を進めております。来年度以降は、大谷吉継を初め、他の史跡整備を順次進めてまいります。 第三に、「物語、ストーリーをめぐる古戦場」として、七人の武将をテーマとしたイベントシリーズを春と秋に開催してきております。既に徳川家康、石田三成を主題とするイベント、ウオーキング、ガイドツアーなどを行っております。来年度は、六月に大谷吉継、十月には島津義弘をテーマに、敦賀市や鹿児島県などとともに連携を図ってまいります。このほか、天下分け目の地、関ケ原にふさわしい東西対決の花いけバトルなど定番化するほか、司馬遼太郎原作の映画「関ケ原」の公開と連携するタイアッププロモーション、夜に古戦場の物語を楽しむナイトビューについても検討を進めてまいります。 第四に、「誰もが楽しめる古戦場」といたしましては、平成二十七年十月に関ケ原町が駅前観光交流館を開設し、土産物の販売などを開始いたしました。今後は、関ケ原古戦場ビジターセンターを設けて、合戦をリアルに再現した疑似体験型シアター、古戦場を一望できる展望やぐらなどを整備してまいります。 第五に、「住民でもてなす関ケ原」といたしましては、既に十のボランティア団体が活動されており、史跡周辺の清掃やイベント参加、ガイド案内などに御協力をいただいてまいりました。御指摘のとおり、地域住民の皆さんと一層の協働が不可欠であり、来年度早々には地域の皆さんとの関ケ原古戦場魅力向上連絡会議を立ち上げる予定でございます。 第六に、「交流と文化を育む関ケ原」として、歴史学者によるシンポジウムのほか、大河ドラマ「真田丸」との連携イベント、東西文化の結節点の地を体感する東西味比べなど、多彩な魅力を生かしたイベントを展開してまいりました。折しも、ことしは養老改元一三〇〇年祭や信長公四五〇プロジェクトが行われます。相互にPRブースの出展や武将隊パフォーマンスを行うなど、これらのイベントとの連携を図り、広域的な周遊観光の拡大にもつなげてまいります。 第七に、「外国人観光客にも楽しんでいただける関ケ原」としては、関ケ原を全世界に発信するため、昨年三月、米国のゲティスバーグ古戦場やベルギーのワーテルロー古戦場の関係者をお招きし、世界古戦場サミットを開催いたしました。さらに九月には米国へ赴き、ゲティスバーグとの姉妹協定の締結を実現いたしました。来年度は、ワーテルロー古戦場との姉妹協定締結に向けた取り組みを進めてまいります。 以上、申し上げました多彩な取り組みを進めていく上では、関ケ原町、そして地元地域の皆さんの御意見をしっかりとお聞きしていくことが不可欠でございます。このため、地元の観光協会や商工会、街角案内ボランティア協会などの皆さんに参加いただいておりますグランドデザインフォローアップ懇談会を中心に、緊密に連携を図りながら進めてまいります。
    ○議長(矢島成剛君) 子ども・女性局長 鈴木裕子君。    〔子ども・女性局長 鈴木裕子君登壇〕 ◎子ども・女性局長(鈴木裕子君) 二点御質問いただきました。 初めに、少子化対策における結婚対策についてお答えします。 国の調査によると、我が国では出生する子供の約九八%が嫡出子であることから、結婚対策は少子化対策の重要な施策の一つであると認識しております。そこで、県では、結婚を希望する独身者を支援するため、昨年度ぎふマリッジサポートセンターを開設し、市町村結婚相談所の会員へのお見合い支援、婚活に関するセミナーの開催、出会いの場の情報提供など独身者への支援の充実を図ってきたところです。 一方、センターには子供の結婚に関する悩みや不安を抱えた親からの相談が寄せられていることから、来年度は子供の婚活を応援するセミナーの開催や親向けハンドブックの作成を行います。また、従業員のライフスタイルに応じた支援の一つとして、結婚支援に取り組みたいという企業からの声に応え、企業における結婚支援のあり方を考えるセミナーを開催してまいります。 次に、女性の活躍推進計画についてお答えします。 女性の活躍推進計画(案)については、今年度設置した清流の国ぎふ女性の活躍推進会議において、女性管理職登用率の目標数値を含め御意見を伺いました。メンバーである経済団体のトップの皆様は、人材確保が困難になる中、女性登用は意を用いていかなければならない経営課題との認識で一致しており、県の取り組む方向性と軌を一にしていると考えております。 一方で、経営者の意識がまだ低い、管理職登用の段階で女性は辞退する、小規模事業所では女性管理職登用は困難などさまざまな課題の指摘があり、オール岐阜での粘り強い取り組みなしには簡単には達成できないと認識しています。 こうしたことから、女性の活躍推進サミットの開催などにより経営者の意識改革を促すとともに、経営者の右腕養成研修を引き続き実施し、女性の意識改革、管理職養成を促進いたします。あわせて、各企業それぞれの取り組みの一助となるよう、女性管理職登用のすぐれた実践事例の情報提供を行うなど、各企業の実情も踏まえつつも、目標達成に向けしっかりフォローアップしてまいります。 ○議長(矢島成剛君) 総務部長 坂口和家男君。    〔総務部長 坂口和家男君登壇〕 ◎総務部長(坂口和家男君) 県における女性職員の登用に関する現状認識と今後の取り組みについて御質問をいただきました。 人口が減少していく中にあって、社会全体の持続的な発展のためには女性の活躍が必要不可欠であり、県の組織においても女性職員を積極的に登用し、その能力を十分に発揮できるようにしていく必要があると考えております。 しかしながら、女性職員の登用に当たっては、御指摘いただきましたように、職員の能力、積み上げてきた実績、業務への適性などを見きわめ、適材適所で行うべきことはもちろん、女性職員みずからが責任ある仕事への意欲を持っていただくということが必要であるというふうに考えております。 このため、女性が働きやすい職場環境の整備を行うとともに、女性職員の職域拡大、それから研修などを実施してきた結果、今年度、二十八年度でございますけれども、女性職員が占める割合に関しましては、管理職では一二・一%、課長補佐・係長級職員では一八・二%、そして新規採用者では三七・〇%と増加傾向にございます。女性職員の活躍の場が着実に広がってきているものと認識をいたしております。 今後につきましても、職場全体で女性が活躍できる環境整備を行っていくとともに、計画的に女性職員の育成に努めてまいりたいというふうに考えております。 ○議長(矢島成剛君) 農政部長 高木敏彦君。    〔農政部長 高木敏彦君登壇〕 ◎農政部長(高木敏彦君) 本県の強い農業づくりについてお答えをします。 現在、国が進める農業競争力強化プログラムは、農業経営の自由度を高め、農業の構造改革を図る目的であり、県が取り組む強い農業づくりと軌を一にするものと認識しております。強い岐阜県農業の実現に向けましては、次世代を支える担い手の育成を最重点課題とするとともに、産地間競争に打ち勝つブランド力の強化を一層推進することとしております。 まず担い手の育成についてでございますが、独立就農や雇用就農、企業参入など多様化する就農ニーズへの一元的な対応に向け、新たに県農畜産公社にぎふアグリチャレンジ支援センターを開設いたします。このセンターではJAや金融機関の職員も配置するなど、資金調達や農地取得の支援を充実し、就農相談から営農定着までを一貫して支援する岐阜県方式の取り組みを一層強化してまいります。 また、ブランド力強化に向けましては、東京オリンピック選手村への県産食材の供給を見据え、GAPの取得に向けた指導者の育成を図るほか、関係団体との協議会を設け、PR活動を展開してまいります。 ○議長(矢島成剛君) 林政部長 瀬上繁隆君。    〔林政部長 瀬上繁隆君登壇〕 ◎林政部長(瀬上繁隆君) 林業振興による森林の保全についてお答えをいたします。 これまで県では、森林づくり基本計画に基づき、施業地の集約化、路網整備や高性能林業機械の導入支援を行い、低コスト林業を普及してまいりました。その結果、この五年間で林業労働者一人の一日当たりの生産性は約三割向上し、四・二四立方メートルとなっております。 しかし、本県の林業は小規模で分散型の木材生産形態が多くを占め、国産材価格の低迷により収益性が悪く、依然として森林所有者の経営意欲の低下をもたらしております。 このため、今後、百年先の森林づくりで新たに設定する木材生産林においては、森林所有者に少しでも多くの利益が還元できるよう重点的・集中的に低コスト林業を推進してまいります。 具体的には、これまでの取り組みに加え、十トン級トラックや大型林業機械の進入が可能となる林業専用道を整備し、輸送コストの低減を図ってまいります。また、効率的な施業を実現する次世代型林業架線集材技術の普及にも努めてまいります。 ○議長(矢島成剛君) 都市公園整備局長 足達正明君。    〔都市公園整備局長 足達正明君登壇〕 ◎都市公園整備局長(足達正明君) 県営都市公園の活性化についてお答えいたします。 現在、都市公園活性化基本戦略に基づき、花フェスタ記念公園では、入場ゲートを初め、園内各所においてバラやネモフィラ、スイセンなど多様な花による修景整備に着手しております。 また、養老公園では、景観に配慮して、養老の滝に至る橋や園路を整備しているほか、養老改元一三〇〇年祭の期間中には、公園に新たな魅力を加えるアートイベントの展開を計画しております。 平成記念公園では、一月に地元関係者から成る平成記念公園活性化協議会を立ち上げ、地域特性を踏まえた新たな運営方法等について御意見を伺いながら活性化基本計画の策定を進めております。 さらに、世界淡水魚園においては、公園の魅力向上のための連携・協力の推進のため、関係機関から成る協議会の設立準備を進めております。こうした協議会については、他の公園についても順次設立してまいります。 今後とも、さまざまな主体の参画をいただき、公園周辺の地域資源との連携を図りながら公園の活性化を進めてまいります。 ○議長(矢島成剛君) 四十四番 藤墳 守君。    〔四十四番 藤墳 守君登壇〕 ◆四十四番(藤墳守君) 大変ありがとうございました。 最後に、安心して暮らせる「清流の国ぎふ」づくりについて五点お伺いをいたします。 まず、高病原性鳥インフルエンザへの対応について二点お伺いをいたします。 本年一月十四日に山県市の養鶏場で感染が確認された鳥インフルエンザについては、迅速な対応により、国の指針の七十二時間以内に防疫措置を完了されました。県内の養鶏場での発生はこれが初めてであり、県職員のほか、自衛隊など大変多くの方が対応に当たられましたが、雪が降る中でのなれない作業で大変御苦労されたことと思います。 対応マニュアル等は整備されているところでありますが、実際に発生し対応してみると、想定外のことが多く発生したのではないでしょうか。迅速な対応に感謝するものでありますが、さて、この鳥インフルエンザは、毎年冬になると全国各地で発生しており、ことしも幾つかの県で発生しております。どれだけ予防措置を講じたとしても、本県で今後も発生する可能性は否定できません。今回で得られた教訓を今後の対策に生かしていく必要があるのではないでしょうか。 そこで、今回の鳥インフルエンザの発生への対応で明らかになった課題と今後の対応について、知事にお伺いをいたします。 また、関連して、産業動物獣医師の確保についてお尋ねいたします。 今回の鳥インフルエンザのような家畜伝染病の発生予防、防疫作業、蔓延予防等においては産業動物獣医師が中心的な役割を担うこととなっております。今回も大変な激務であったとのことでありますが、一方で、現在、新卒の獣医学生の多くは小動物臨床、いわゆる動物病院の獣医師を志望する傾向が強まっておるようであります。県職員の獣医師を含め、産業動物獣医師は不足していると聞いております。先ほども申し上げましたように、鳥インフルエンザが本県で今後発生する可能性は否定できず、ほかにも口蹄疫など家畜伝染病にかかる緊急時に対応できる体制を整えていくためには、産業動物獣医師の育成・確保が極めて重要であると考えております。 そこで、今後、県職員の獣医師を含め、産業動物獣医師を確保するため、どのような取り組みを進めていかれるのか、農政部長にお伺いをいたします。 次に、大規模水害に対する取り組みについてお伺いをいたします。 昨年十二月、国土交通省は、木曽川、長良川、揖斐川の木曽三川を含む国管理の木曽川水系九河川について、千年に一度に相当するような規模の降雨に対する洪水浸水想定区域図を公表されました。これによりますと、浸水区域は従来の約一・五倍、浸水世帯数は一・九倍となると想定されております。 本県では、木曽川については、可児市、坂祝町での浸水がひどいところで深さが二十メートル以上になると想定され、岐南町、笠松町、羽島市はほぼ全域が浸水すると想定されております。さらに、長良川、揖斐川では、安八町、輪之内町は全域が浸水すると想定され、輪之内町の一部では浸水が約二十二日間に及ぶとされております。深さ二十メートルというと想像を絶するところでありますが、あくまで千年に一度の確率、我が国の歴史に置きかえると、平安時代から現在までの間に一回発生する程度の大規模水害を想定したものであります。そうした水害に遭うことはほとんどないとも言えますが、その千年に一回が今年起こるかもわからない。自然災害の恐ろしいところでもあります。防災対策は最悪を見据えて取り組むことが肝要であります。 一方、今回の想定は国が管理する河川を対象としたものでありますが、県管理河川についてはどのような状況にあるのでしょうか。私の地元、垂井町の周辺で言えば、相川や大谷川、泥川など、河川が千年に一回と言わず、数年に一回氾濫しております。国管理河川だけでなく、県管理河川についても同じように浸水想定を行い、備えを進めていく必要があるのではないでしょうか。 そこで、国管理河川の千年に一度程度の降雨を想定した洪水浸水想定区域図の公表を踏まえ、県管理河川については今後どのように取り組みを進めていかれるのか、県土整備部長にお伺いをいたします。 次に、災害発生に関連して、災害発生直後における聴覚障がい者を初めとする避難行動要支援者への情報伝達、避難誘導についてお伺いをいたします。 昨年は、四月に熊本、十月に鳥取と相次いで大きな地震が発生し、八月には岩手県で集中豪雨、十二月には新潟県で大規模火災が発生するなど全国各地で大規模な災害が発生し、大変な年でありました。本県では幸いにも大きな災害は発生しませんでしたが、常日ごろから対策を講じていく必要があると思われます。 災害対策としては、被災直後に災害から身を守る対策から、避難誘導、避難生活、復興などさまざまな段階での対策が必要でありますが、被災直後の段階、あるいは災害が迫り来る段階で最も重要なのは、住民に対して情報を正確に伝達し避難誘導することであります。まずはどのような災害が発生したのか、家から逃げたほうがよいのかどうか、どこへ逃げたらよいかなど、早く正確に伝え、的確に避難誘導する必要があります。 ここで課題となりますのは、障がいのある方、例えば聴覚障がいのある方などへの情報伝達、避難誘導の確保であります。聴覚障がいの方を含め、避難行動に支援が必要な方がどこに住んでおられるのかについては、災害対策基本法で市町村に名簿の作成を義務づけており、本県では全ての市町村で作成されているとのことでありますが、具体的にそうした方々に誰がどのように状況を伝え、避難を誘導していくかを定める個別計画については、まだ策定されていない市町村が多いとのことであります。こうした避難行動要支援者の避難誘導については、確かに住民に最も近い市町村が担うものでありますが、被災直後の混乱の中、市町村も手いっぱいであり、計画も十分でない中、うまく避難誘導ができるのか危惧されるところでもあります。 避難所での避難生活の段階では、聴覚障がいがあれば、本県では、認定NPO法人障害者放送通信機構と連携協定を締結し、字幕・手話つきの緊急災害放送を受信する機器を福祉避難所等に優先的に設置いただくこととなっておりますが、問題は被災直後の段階であります。日ごろから手話通訳などの普及に努め、多くの方が聴覚障がいのある方とコミュニケーションが可能な社会としていくことがベストであります。現時点ではそうした状況にはないのではないでしょうか。市町村任せではなく、個別具体的な計画の策定に対し、県も支援すべきではないかと思われます。 そこで、災害発生直後の聴覚障がい者など避難行動に支援が必要な方へ、情報の伝達、避難誘導に係る個別計画の策定に対して県としてどのように支援を進めていかれるのか、危機管理部長にお伺いをいたします。 次に、障がい者の虐待被害についてお伺いをいたします。 厚生労働省が昨年十二月に公表した統計結果によれば、昨年度の障がい者に対する虐待は、全国で通報受け付け件数が七千四百五十八件、そのうち虐待と認められたものは二千四百三十九件と、いずれも過去最高を記録したとのことであります。内訳を見ると、家族による虐待件数は横ばい状態でありますが、施設の従事者や雇い主などによる虐待が増加傾向にあるとのことであります。 本県においても同様の傾向にあるようでありますが、特に施設従事者による虐待の通報受け付け件数が大幅に増加をしております。これについて、本当に虐待が疑われる事案が増加しているのか、それともこれまで通報されていなかっただけなのか判断が分かれますが、昨年発生した相模原市のやまゆり園のような事件を未然に防ぐ意味でも、虐待を早期に発見する認知力の強化は不可欠であります。 本県では、本年度から議員提案により制定した「岐阜県障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくり条例」を施行し、安心して暮らせる共生社会の実現を目標に取り組みを進めておりますが、障がい者への虐待は条例の趣旨に真っ向から反するものであり、虐待事案の根絶に向け強力に取り組みを進めていく必要があります。 そこで、本県において障がい者に対する施設従事者などによる虐待の通報件数が増加していることをどのように捉え、今後どのような対策を進めていかれるのか、健康福祉部長にお伺いをいたします。 最後に、県立高等学校の活性化についてお伺いをいたします。 昨年三月に、岐阜県立高等学校活性化計画策定委員会の審議がまとめられました。教育委員会では、今年度中にこれを踏まえて、岐阜県立高等学校活性化計画を策定することとなっております。 昨年の審議まとめでは、魅力ある高校づくりと高校の枠組みの見直しの二本の柱により活性化を進めていくこととしておりますが、高校の統廃合については、グループ一の十校、グループ二の九校について具体的に校名が記されました。これまでこの問題については多くの議員が質問されておりましたが、それだけ高等学校は地域にとって重要な存在であるということであります。確かに毎年志願者は都市部の進学校に集中しており、今年の入試でも、例えば岐阜高校や大垣北高校では定員を大幅に超える志願者を集める一方、統廃合の対象として提示された高校の志願者数は多いとは言えない状況にあります。しかし、一定の志願者数はあり、中には一倍を超える高校もあります。 高校に対するニーズもさまざまであり、全ての生徒が東京大学などへ進学することを目指しているわけではありません。多様な選択肢が必要であります。地域から高校がなくなると、進学のために地域から子供たちが出ていき、若年層の人口はさらに減少します。地方創生どころではございません。中心部の高校を含めた高校全体での定数の調整をしていくことが必要ではないでしょうか。 そこで、今年度中に取りまとめることとしておる高校活性化計画について、最終的にどのような内容としていくおつもりなのか。高校の枠組みの見直しを含め、活性化計画の内容について教育長にお伺いをいたします。 以上、県政各般にわたり質問をさせていただきました。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(矢島成剛君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) まず、私のほうには鳥インフルエンザへの対応ということでお尋ねがございました。 一月十四日に本県で初めて山県市で高病原性鳥インフルエンザが発症いたしましたが、大変厳しい条件の中で、国の防疫指針で定められた殺処分、埋却、消毒等の防疫措置について所定時間内に完了することができました。その後、二月八日には移動制限区域の解除を行い、終息させることができました。この間、県の職員はもとより、国、山県市や警察、自衛隊、地元農協、建設業者など延べ四千六百六十人に御協力をいただきました。その献身的な御尽力に改めて深く感謝を申し上げる次第でございます。 一方で、今回の対応を検証した結果、幾つかの課題も明らかになっております。まず防疫措置の拠点が県庁、農林事務所、家畜保健衛生所、集合場所及び発生農場の五カ所に分散し、指揮命令系統が必ずしも十分に機能しませんでした。また、防疫措置に必要な炭酸ガスや台車等の資機材の不足を来したり、あらかじめ確保していた埋却地で掘削作業中に湧水が発生し、さらなる埋却地を確保せざるを得ない事態となりました。さらに、現場で具体的な作業の指揮をとる職員が不足したことや、動員職員の作業分担が不明確であったことなどの課題もございました。 県としては、これらの課題を踏まえ、大きく次の四点について速やかに対応することとしております。 まず指揮命令系統を見直し、県庁の対策本部と現地対策本部の二カ所に集約することといたしました。このうち、現地対策本部は、農林事務所長を本部長とし、市町村、県事務所、家畜保健衛生所等を構成員に、発生農場に近い市町村庁舎等に設置いたします。また、現場職員等のための作業内容や手順を明確にするとともに、発生農場に防疫作業工程管理責任者を配置し、作業の進捗状況の把握・情報共有を徹底したいと思っております。さらに、殺処分・消毒チームと運搬・埋却チームのそれぞれの責任者が現場作業の指揮に当たることといたします。 二点目の防疫措置に必要な資機材の確保につきましては、県の備蓄を従来の三万羽規模を想定したものから十万羽規模の農場に対応できるよう拡大し、さらに、近隣県との連携による資機材調達体制の強化を図ってまいります。 三点目の埋却地につきましては、事前に候補地のボーリング調査を実施して土質や地下水位を把握し、改めて適切な場所であるかどうかを確認するとともに、予備地の確保にも取り組んでまいります。また、速やかに埋却作業に取りかかれるよう、建設業界との協定の締結なども目指してまいります。 最後に四点目といたしまして、現場での円滑な作業を進めるため、訓練を受けた農政部職員を防疫作業の班長として配置してまいります。 こうした取り組みを進めるとともに、今後とも他県の事例等も参考に不断の見直しを行い、万全な防疫体制を整えてまいります。 ○議長(矢島成剛君) 農政部長 高木敏彦君。    〔農政部長 高木敏彦君登壇〕 ◎農政部長(高木敏彦君) 産業動物獣医師の確保に向けた取り組みについてお答えをします。 獣医師の確保につきましては、これまで獣医学生のインターンシップの受け入れ、修学資金の給付、経験豊富な公務員OB獣医師の再任用などに取り組んでまいりました。しかしながら、御指摘のとおり、全国的に産業動物分野への就業希望が少ない傾向にあるため、本県でも採用が計画どおりに進んでいないのが現状であります。 こうした中、本年六月には中央家畜保健衛生所が岐阜大学構内に移転することから、これを契機に獣医師の確保についてもさらに強化してまいりたいと考えております。具体的には、来年度から都道府県の家畜保健衛生所などでのインターンシップ実習が必須科目となることから、受け入れ人数をふやすとともに、農家指導への同行、家畜の採血など、より実践的な研修となるよう大学との連携を強化してまいります。 また、本年一月に獣医師人材バンクを開設した県獣医師会と連携を強化し、本県への就業を希望する獣医師の掘り起こしにも努めてまいります。 ○議長(矢島成剛君) 県土整備部長 高木善幸君。    〔県土整備部長 高木善幸君登壇〕 ◎県土整備部長(高木善幸君) 大規模水害に対する取り組みについてお答えします。 平成二十七年の水防法改正では、想定し得る最大規模の降雨を前提とした洪水に対する避難体制等の充実強化を図ることとなり、昨年三月に、県が管理する中小河川について、浸水想定区域図の見直しに向けたガイドラインが国から示されたところです。これを受け、現在、県では、国と同様に、千年に一度発生する頻度の降雨を前提とした浸水想定区域図の作成作業を進めており、順次公表することとしています。 また、避難体制等の充実強化に向け、住民の皆さんが迅速に避難行動に移れるよう、現在進めている量水標や水位計、河川監視カメラの設置を加速させるなど、河川情報をより細かく、速やかに提供できるよう取り組んでまいります。 さらに、ハード対策についても、河川改修などを効率的に進めるため、近年の災害等を踏まえ、重点化を図るとともに、国に対して予算総額の確保を強く働きかけてまいります。 ○議長(矢島成剛君) 危機管理部長 市川篤丸君。    〔危機管理部長 市川篤丸君登壇〕 ◎危機管理部長(市川篤丸君) 避難行動要支援者の避難に係る個別計画の策定支援についてお答えをいたします。 聴覚障がい者など避難行動要支援者一人一人の個別計画については、国が定めた避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組み指針におきまして、実効性のある避難支援を行うため、市町村が民生委員や社会福祉協議会などと連携し、要支援者やその家族と打ち合わせを行いながら計画策定することが望まれるとされています。 このことを踏まえ、県では、個別計画の早期策定が図られるよう、市町村防災アドバイザーチームを未策定の市町村に派遣し、個別計画を策定する際のノウハウや手順を具体的に示しながら計画づくりを支援しております。 さらに、先月には一般財団法人消防防災科学センターと連携をしまして、市町村向けに要支援者の避難等に関する実務研修を開催し、後押しを強化したところでもあります。 今後も市町村への個別の助言や実務研修などを積極的に実施し、市町村の速やかな計画づくりを支援してまいります。 ○議長(矢島成剛君) 健康福祉部長 尾藤米宏君。    〔健康福祉部長 尾藤米宏君登壇〕 ◎健康福祉部長(尾藤米宏君) 障がい者の虐待被害に対する認識と今後の対策についてお答えいたします。 施設従事者等による虐待の通報件数が増加した要因としては、平成二十四年十月の障害者虐待防止法の施行から四年がたち、通報制度が浸透したことや事業所の増加に伴い利用者がふえたことなどが考えられます。 県では、法の施行と同時に県障害者権利擁護センターを設置し、夜間、休日も社会福祉士の資格を持つ専門の相談員が通報を受け付け、迅速に対応する体制を整備しています。また、今年度からは、困難な事例に対応する市町村を支援するため、弁護士、社会福祉士などの専門職から成る支援チームを派遣する取り組みを始めたところです。 さらに、施設職員の資質向上策として、虐待防止に向けた研修を毎年実施しているほか、今年度から新たに、施設のサービス管理責任者を対象に、組織的な虐待防止に関する研修を実施し、施設内での職員指導の徹底を図っております。今後もこうした取り組みを進め、障がい者虐待の根絶を目指してまいります。 ○議長(矢島成剛君) 教育長 松川禮子君。    〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 県立高等学校の活性化についてお答えします。 県立高校の活性化に関する計画は、今年度の取り組みの成果と来年度以降の取り組み、今後検討すべき課題を内容とする予定です。今後の急激な生徒減少期において、教育水準の確保と教育機会の保障をしていくためには、全ての県立高校でそれぞれの特性に応じた活性化を図っていく必要があると考えております。このため、グループ一の十校については、これまでの地域と一体となった取り組みが志願者の増加などの成果としてあらわれていることから、単独校としての活性化の方向性を示してまいります。さらに来年度から、グループ二の高校でも活性化の議論を本格的に始めます。 また、普通科高校における進学指導体制の充実や、県内五圏域でのスーパーグローバルハイスクールの実施、専門高校における航空宇宙分野の教育内容の充実などにも取り組みます。あわせて、さらなる少子化の進行を見据え、中心部と周辺部の高校、普通科と専門学科、それぞれの入学定員の割合や学科構成のあり方などの課題について検討してまいります。…………………………………………………………………………………………… ○議長(矢島成剛君) しばらく休憩いたします。 △午前十一時五十四分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後零時五十九分再開 ○副議長(佐藤武彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(佐藤武彦君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。三十八番 渡辺嘉山君。    〔三十八番 渡辺嘉山君登壇〕(拍手) ◆三十八番(渡辺嘉山君) ただいま議長より発言のお許しをいただきました。 通告に従い、県民クラブを代表して、大きく八項目、五分割にて質問させていただきたいと思います。 午前中の県政自民クラブの藤墳議員の代表質問と多々重なるところが、重複するところがございますが、誠意ある御答弁をいただきたいと思います。 それでは初めに、平成二十九年度当初予算についてお尋ねします。 さきの定例会で平成二十九年度当初予算の編成方針に係る質問に対し、知事は、本県を支える人づくり、地域の魅力づくり、暮らしの安全・安心の大きく三つの柱で推進していきたいと答弁されました。また、一月の知事選挙においては、「清流の国ぎふ」を支える人づくり、地域の魅力を活かした「清流の国ぎふ」づくり、安全・安心な「清流の国ぎふ」づくりと、さきの定例会で述べられた三つの柱から成る「あなたとともに「清流の国ぎふ」全開」を公約に掲げて選挙を戦われ、四選を果たされました。 そして、本定例会には、公約と同じ三つの柱から成る総額八千百十四億円に上る平成二十九年度当初予算案が上程されています。前年とほぼ同規模で、五年連続の増額予算とのことであり、同じ東海地方の愛知県や三重県の予算が前年と比べ数年ぶりに減額に転じたことを考えると、公約の実現に向けて知事の積極性が感じられる予算と感じているところです。 知事は今回の選挙戦を通して、県民と触れ合い、県民から県政の現状への評価や今後期待する取り組み等についてさまざまな意見を聞かれたと思います。公約では、県政の基本姿勢として「あなたの声を実現する県政」を打ち出しておられますが、四期目のスタートとなる来年度予算は、まさにこうした県民の声を酌み取り、一生懸命地道に働き、暮らしておられる皆さんの期待に対し忠実に応えるものとすべきです。 そこで、平成二十九年度当初予算について、どのような思いで予算編成に当たられ、どのような予算になったとお考えか、知事にお伺いします。 次に、県財政の現状と今後の見通しについてお伺いします。 午前中の総務部長の答弁でも、県税収入が減額する見通しの中、臨時財政対策債を含めた県債残高は右肩上がりでふえており、十七年度の見込みは過去最高の一兆五千四百九十七億円となる見込みです。当初予算額の二倍には及ばないものの、それに匹敵する巨額な借金残高であり、大変危惧されるものであります。 本県においては、平成二十二年度から三年間にわたり、巨額な財政不足を解消するため、行財政改革アクションプランに基づき、市町村・団体向けの補助金カット、職員の給与カットなど、県民の皆さんに痛みを強いた結果、何とか構造的な財源不足から脱却できたわけでありますが、このまま県債残高が増加していくことで、再びアクションプランのときのような財源不足に陥らないとも限りません。折しも減額予算となった三重県では、職員の給与カットがなされるとのことでありますが、本県において、再び給与カットや市町村・団体向けの補助金の削減など、県民の皆さんに痛みを強いるようなことがあってはならないと考えます。 そこで、本県の財政の現状と今後の見通しについて、総務部長にお伺いいたします。 次に、県における行財政改革の取り組みについてお伺いします。 平成二十八年二月議会で私からもアンケート調査結果を申し上げましたが、その年の九月議会で我が会派の伊藤正博議員も、昨年七月に行われた新しい県職員組合のアンケートについて触れたところであります。その結果でも、現在の職員のモチベーションについて、「かなり高い」「まあまあ高い」が三五%、「やや低い」「非常に低い」と答えている職員が約五六%との結果が出ています。モチベーションが上がらない理由の一位、二位が業務量の増と職員数の不足となっており、約三六%の同数となっています。 平成二十八年二月の職員定数、プロジェクト・事業の見直しについての私からの質問に対し、知事は、職員数は現状を維持しながら、定数外で非常勤専門職や再任用職員を活用し、事業に対応した迅速で弾力的な職員配置を行うことにより、新たなプロジェクトや喫緊の課題に迅速・柔軟に対応していくと答弁されております。 しかしながら、さきの組合のアンケートを見ると、給与以外でモチベーションが上がる要素は何かという問いに、一番多かった答えが「職員数・定数の増」、約四六%となっています。これは、職員が行政の複雑かつ多岐にわたる業務に対応する必要に迫られ、さらに業務量がふえていると実感しており、職員数もふえない中で、時間外労働もふやさざるを得ない環境にあるということではないでしょうか。 平成二十八年九月議会で、我が会派の伊藤正博議員から、平成二十八年から平成三十年の行財政改革の取り組みに関し、スクラップ・アンド・ビルドの徹底など事務事業の確実な見直しと、来年度に向けた事務事業の具体的な取り組みについて質問がありました。知事からは、財政、人事、行革といった組織から成るチームを編成し、財政的な見地や組織、人員配置、仕事の進め方といった観点から見直しをしていきたいとの答弁があり、来年度から事務事業の棚卸しプロジェクトに着手、総務部内に専任チームを設置し、組織定員や予算編成、会計制度の見直しに関する調査を行うとのことです。 この調査自体が職員のさらなる負担にならないこと願いつつ、ぜひとも職員の負担を減らす観点からも、事務事業の見直しの効果を出していただきたいと思いますが、事務事業の棚卸しプロジェクトにどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いします。 次に、県の組織の再編についてお伺いします。 知事の四期目のスタートとして、インパクトのある組織再編やポストの新設がなされました。とりわけ商工労働部と林政部において担当次長や課長級職の新設、課・室の再編など、今後四年間の知事の意気込みや興味のありようがわかる組織案であると思います。恐らく四月の人事異動では、これら再編に伴って係の再編も行われるのであろうと思います。先ほども事務事業の見直しについて質問いたしましたが、県庁内はどの部局も手いっぱい感があります。知事の意気込みに伴う過重な業務とならないよう、適切なマネジメントと臨機応変な人事対応をお願いしたいと思います。 さて、今回の組織再編の目玉は、やはり県民文化局の新設であろうかと思いますので、午前中の藤墳議員の質問にもありましたが、全国でも例を見ない教育施設である文化施設の知事部局への移管に伴う、その意図と課題について私もお尋ねしたいと思います。 午前中の知事答弁にもありましたが、平成二十六年から岐阜県美術館と現代陶芸美術館が教育委員会から分離され、知事部局である文化振興課の所管となりました。美術館は、観光誘客の目玉として地元作家の作品を展示したり、金沢二十一世紀美術館のように、美術館そのものが観光施設であるかのような打ち出し方がなされています。そうした意味においても、観光やイベントと連携させるために全国的にも首長部局に移管する例はありますし、本県出身のアーティスト、日比野克彦氏を館長に迎えることができたのも、知事部局にあったればこそ、知事からのラブコールが届いたのであろうと思います。 しかし、今回の組織再編は、図書館や博物館といった施設をピンポイントで移管するのではなく、教育施設としての図書館や博物館の運営、ユネスコ世界遺産のみならず、県の文化財保護関係、教育委員会社会教育文化課の解体であります。言うまでもなく、図書館は決して観光施設ではありません。しかも、県図書館は郷土資料や全国的に名高い地図の収集、各種調査研究、市町村立図書館への支援など、県の中核図書館としての役割があります。また、博物館も、ふるさとの自然や歴史などの貴重な資料が収集・展示され、小・中学生の理科・社会の教育施設として夏休みを中心ににぎわっています。 県図書館は昨年、紺野美沙子さんを名誉館長に迎えたり、美術館などとの連携イベントを始めたり、既に知事の意向が十分に反映された運営が行われていると思いますが、教育機関である図書館や博物館を知事部局に移管し、どのような施設にしていくお考えなのかを知事にお伺いします。 次に、文化財関連の行政は、国は文化庁、市町村は教育委員会でなされています。地歌舞伎や「山・鉾・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産登録も、もともと地域で長年継承されてきた催し物、すなわち祭りであり、国や県の文化財指定にされているものであります。 また、文化財は、高山祭りのような大きなものばかりではなく、ほとんどが地域で細々と守り伝えられているものが多く、地歌舞伎も、ある意味、地元の熱意と理解で成り立っているものであります。知事はこれも国外・国内誘客の観光資源としてお考えのようですが、国や市町村とのねじれをどのように払拭していくのか、どのような形で市町村に説明していくのでしょうか。また、そうした地域で長年培われた文化財をどのように守り、伝えるため、どのような方策を用いるのか、環境生活部長にお伺いします。 ここで一回目の分割をいたします。 ○副議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 三点お尋ねがございました。 まず当初予算の編成についてでございますが、この新年度予算につきましては、知事選挙もございましたので、当初、一つの可能性として骨格予算の編成ということも視野に入れておりましたが、選挙期間中、皆様からさまざまな県政に対する御意見・御要望を聞かせていただきました。速やかに政策を実行していかなければいけないという思いに至ったわけでございます。そして、限られた時間の中で連日精力的に議論を重ねた結果、本格的な予算ということで編成をさせていただきました。 そうしたことから、新年度予算は、選挙中にお伺いした県民の皆様の声などをできる限り反映させ、「清流の国ぎふ」づくりの全開として、三つの柱で構成しております。 一つ目の柱であります「清流の国ぎふ」を支える人づくりでは、選挙期間中、各方面から人手不足、人材不足を何とかしてほしいという声を多数お聞きいたしました。その結果、農林業や航空宇宙産業などへの担い手の育成・確保の取り組みを充実するとともに、中小企業、観光業、建設業などへそうした施策を拡充していくということでございます。また、若者の県外流出を防止するため、Uターン大学生奨学金を拡充するほか、若者、女性、高齢者、障がい者なども含めた全ての県民が持てる力を発揮し、活躍できる環境づくりに取り組んでまいります。 二つ目の柱であります地域の魅力を活かした「清流の国ぎふ」づくりにおきましても、飛騨牛やアユ、ヒノキといった本県自慢のブランドの海外販路拡大を望む声や、世界に誇る遺産を初めとするすぐれた地域資源を活用した地域活性化策など、それぞれの地域の特色や個性を生かしていこうという熱い思いをお聞きいたしました。このため、世界に誇る遺産を活用した観光交流プロモーションを強化するとともに、東京オリンピック・パラリンピックに向け、ホストタウンとしてのおもてなし、農林畜水産物のオリンピック・パラリンピック用の食材としての売り込み、地歌舞伎などによる文化プログラムへの参加などを進めてまいりたいと思っております。 三つ目の柱であります安全・安心な「清流の国ぎふ」づくりでも、選挙期間中に発生した鳥インフルエンザに対する対策の徹底を求める多くの声をお聞きした結果、防疫対策用資機材導入に対する支援など、発生防止策の強化に取り組むことといたしております。 また、熊本地震の発生を受けた大規模地震や豪雨災害による災害への不安や医療・介護への不安を訴える声も多くお聞きいたしました。このため、内陸直下型地震の震度分布解析や広域受援体制の確立など、大規模災害に備える取り組みに加え、地域医療・福祉のさらなる充実と連携を進めるなど、安全・安心な環境づくりを進めてまいります。 次に、来年度の事務事業の見直しについてのお尋ねでございます。 このためには、まず庁内に推進本部を立ち上げまして、全庁体制で見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。あわせて、財政課、人事課、行政管理課などの職員によるプロジェクトチームを設置し、具体的な事業の棚卸しを行うことにしております。 具体的な作業としては、事務の改善と事業の見直しと、二つの観点から行うこととしております。事務の改善につきましては、予算要求や決裁事務といった職員の共通事務を中心に見直しを行い、業務の効率化や職員の負担軽減につなげてまいりたいと思っております。また、事業の見直しにつきましては、事業の必要性や効率性などについて検証を行い、より一層の県民サービスの向上や予算の効率的配分を図ってまいります。 こうした作業は、三つの段階を踏んで進めてまいりたいと思っております。 第一段階は、意見交換ということでございます。年度当初の二カ月程度、職員や関係者の皆さんと十分な意見交換を行ってまいりたいというふうに思っております。職員との意見交換につきましては、一般職員、係長、管理職といった階層別に行うほか、女性職員、現地機関、職員組合などからも幅広く行ってまいりたいと思っております。また、県議会、「清流の国ぎふ」づくり推進県民会議の皆様方からも御意見を伺ってまいりたいと考えております。 第二段階では、意見交換の結果や各部局から報告された見直し案を集約し、効果分析を行った上で、事務事業見直しの素案をつくってまいりたいと思っております。 第三段階では、九月末を目途に、作成した素案について、庁内の各部局の意見、議会、県民会議の皆様方からのさらなる意見を伺った上で、事務事業見直し方針ということで取りまとめたいと考えております。そして、この見直し方針をベースに、可能なものについては迅速に見直し、実施を行い、本格的な見直しについては、十月以降に作業に入る予算、人事、組織、規則等に順次反映してまいりたいというふうに考えております。 次に、図書館、博物館の知事部局への移管についてでございます。 午前中にも御答弁申し上げましたが、今回の移管によりまして関連施設を一体的に運営するとともに、文化の保護・伝承から発信・振興まで一貫して取り組み、さらには知事部局の地域振興や観光・産業振興などさまざまな施策とも連携し、幅広く多彩な企画を展開してまいりたいというふうに考えております。 御質問のありました県図書館と県博物館につきましては、学びの場を提供するといった教育機能に加え、文化行政を担う機関として、これまで以上に県民に親しまれる施設としてまいりたいと考えております。 県図書館におきましては、例えばふるさと岐阜に関する多彩な企画を実施してまいります。具体的には、関ケ原、杉原千畝、航空宇宙などをテーマにしたぎふ清流の国文庫の充実、急増する世界遺産の紹介、各種文学賞を受賞した郷土作家を迎えたトークショーなど、地域の魅力を一層アピールするために知事部局の施策と効果的に連携してまいります。また、本県の文化を広く知っていただくために、司書の方々が子育て世代に向けて、あるいは福祉施設などで、ふるさとの文化や昔話の読み聞かせを行うサービスを新たに始める予定でございます。このほか、昨今のアニメブームを受けて、「君の名は。」の舞台をテーマにした企画展を現在行っておりますが、今後、こうしたことを踏まえて、さらに多彩な企画を検討してまいります。 県博物館につきましては、その収蔵品を広く親しんでいただくため、博物館機能の全県展開を目指します。具体的には、県図書館二階の一部を大幅に改修するほか、高山陣屋においても展示内容の一部を見直すなどして「清流の国ぎふ」を展示・展開する場を整備いたします。さらに、今後、整備を予定している関ケ原ビジターセンターにおいても、県博物館が所有する歴史的資料を展示していく予定でございます。 また、博物館においては、本年四月から観光振興と連携を図りつつ、「関ケ原と美濃」をテーマとした企画展を実施いたします。加えて、県図書館や県美術館、そして、仮称でございますが、森の恵みのおもちゃ美術館を含めたエリア一帯において、それぞれの施設のよさを一体的に組み合わせたイベントやワークショップを開催してまいりたいと思っております。 また、ぎふ清流文化プラザなどの文化施設におきましても、県図書館や県博物館と連携したワークショップや講演会など、教育と文化・芸術、さらには地域の活性化や産業振興にもつながっていく取り組みを県民とともに展開してまいります。 以上、申し上げましたように、知事部局の県民文化局において、伝統文化の保護から継承、文化芸術の振興・発信まで一貫した総合的な文化行政に取り組むとともに、地域振興や観光・産業振興などといった幅広い施策とも効果的に連携していきたいと考えております。 また、施策を行うに当たりましては、教育委員と知事で構成する総合教育会議におきまして幅広くこれらについて議論をしたり、あるいは市町村担当者との連携会議を開催するなど、引き続き教育委員会とは緊密な連携を図ってまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 総務部長 坂口和家男君。    〔総務部長 坂口和家男君登壇〕 ◎総務部長(坂口和家男君) 本県の財政状況と今後の見通しについて御質問をいただきました。 まず財政状況につきましては、これまでの行財政改革の取り組みによりまして、借金の返済に充てます公債費は平成二十一年度の千三百四十二億円をピークに八年連続で減少を続けており、平成二十九年度予算案では千百三十一億円となっております。 また、御指摘いただきましたように、平成二十九年度末の県債残高は一兆五千四百九十七億円と見込んでございますけれども、元利償還金相当額が地方交付税措置される臨時財政対策債を除けば九千四百九十三億円となっておりまして、おおむね横ばいで推移しているところでございます。 今後の見通しにつきましては、このような財政状況を踏まえますと、一般財源総額をこれまでと同水準を確保するという地方財政制度の考え方が維持されれば、社会保障関係経費の増加や社会資本の老朽化などに対応しつつも、めり張りのきいた節度ある財政運営を行うことで持続可能な財政運営を行っていくことができるものと考えております。 ○副議長(佐藤武彦君) 環境生活部長 桂川 淳君。    〔環境生活部長 桂川 淳君登壇〕 ◎環境生活部長(桂川淳君) 移管後の国や市町村との連携についてですが、引き続き業務を円滑に進めるために、国との連携についてはカウンターパートとなる文化庁に、市町村については各教育委員会などに対し、組織変更に伴う趣旨と窓口となる部署について伝えていくとともに、必要に応じて市町村担当者との意見交換を行いながら密接な連携をとってまいります。 次に、文化財関連行政の方策についてですが、県民文化局は文化創造課と文化伝承課の二課で構成し、新しい美術展を初めとする積極的な未来志向の文化施策を文化創造課が担い、県の今ある文化の保存・伝承を文化伝承課が担うこととしております。このうち、文化財の保護・伝承については文化伝承課が行うこととなりますが、これまで以上に施策の充実を図ってまいります。 例えば、ユネスコの無形文化遺産に登録されている本美濃紙に係る手漉技術については、現在、美濃市と一緒になり美濃和紙活性化会議を立ち上げて取り組みを進めておりますが、今後、後継者の育成や定着、さらに後継者の技術研さんなどを強化するとともに、原料となるコウゾの栽培に関する研究開発などの支援を拡充していきます。 また、地歌舞伎については、本県が重要有形民俗文化財に指定している、かしも明治座の芝居小屋の改修に当たり、文化財という観点から調査研究を行い、創建当時と同じ手法のくれぶき屋根に復元、改修いたしました。なお、改修予算については知事部局において予算を手当てしておりますが、今後とも文化財の保護について目配りをしてまいります。さらに、ぎふ清流文化プラザにおいて地歌舞伎推進プログラムを積極的に進め、広く県民の皆さんに伝えていくことは、文化財の保護や伝承にもつながるものと考えます。 ○副議長(佐藤武彦君) 三十八番 渡辺嘉山君。    〔三十八番 渡辺嘉山君登壇〕 ◆三十八番(渡辺嘉山君) 高病原性鳥インフルエンザ、以下鳥インフルエンザといいますが、発生時の職員等の安全・衛生管理対策について伺います。 平成二十九年一月十四日に山県市で発生した鳥インフルエンザでは、発生農場での鳥の殺処分や埋却作業、餌タンクの清掃、堆肥の消毒などの防疫作業に延べ千九百五十人の県職員が従事しました。特に殺処分と埋却は、国の防疫指針により発生確定後七十二時間以内に完了しなければならず、十四日土曜日の午後十一時五十分から十七日火曜日の午後十一時までの昼夜を通しての苛酷な作業でした。関係者の皆さんの懸命の努力の結果、防疫措置完了後二十一日が経過した二月八日に家禽についての移動制限が解除されました。 今回の事案は、県内で初めて発生した鳥インフルエンザということで、その対応においてさまざまな課題が明らかになったということで、農政部でも検証チームを設置し、県庁各部局へ意見照会し、検討もされ、その結果が今回の当初予算にも反映されています。 同じように、県職員組合でも職員から意見集約を行ったということですので、ここで一部御紹介したいと思います。 職員の安全対策として、「全く知識のない職員が危険物を取り扱った」「埋却穴が崩落した事態があったが、掘り直した穴での作業において、崩落のおそれがあることに対する注意喚起、対策等が知らされないまま職員が作業を行った」。崩落に巻き込まれず、事故にならなかったことは幸いですが、危険な作業であったことを改めて感じました。さらに、「感染予防のため、目を保護するゴーグルをつけるよう言われたが、作業中、曇って凍結するため、多くの職員が外したまま作業を行っていた」「現場が暗く、また、ゴーグルの曇りによる視界不良で重機にひかれそうになった」「防護服を着用した後、汚染されないよう粘着テープで防護服の上から手首・足首のすき間を塞ぐのだが、その資材が足りず、十分な措置をしないまま作業を行った」「厳冬期の夜間の作業であったにもかかわらず、最初はトイレの準備もなく、疲れと寒さと空腹で倒れそうになる職員もいた」などの意見がありました。 鳥インフルエンザ発生時の安全管理対策としては、平成二十三年一月に、総括安全管理者である総務部長から鳥インフルエンザ対応マニュアルが各所属長宛てに通知をされておりますが、そのマニュアルでは、平常時及び発生から終息までにおいて、適切で安全な業務従事ができるよう、また発生終息後においても職員の健康管理に留意するとの趣旨が書かれています。また、農場防疫措置従事中における安全管理及び健康管理状況の把握を随時行い、必要に応じて安全管理及び健康管理に関する助言を行うとの記載もあります。 防疫措置が最優先となるものの、職員の安全・健康管理にも十分留意するべきであり、今回は行き届かない部分があったのではないかと思われますが、どのように対応されたのか。また、今後どのように取り組まれるのか、総務部長に伺います。 続いて、県職員獣医師の管理職化への対応についてお伺いします。 今回の鳥インフルエンザの防疫作業で、県職員獣医師は鳥インフルエンザに感染しているかの検査を専門的に行うなど、大変重要な業務を担いました。先ほども御紹介した県職員組合によるアンケートでは、防疫作業終了までの三日間で数時間しか睡眠がとれなかったという意見もありました。食の安心・安全や鳥インフルエンザ、口蹄疫などへの対応により、獣医師の仕事量は年々増加、肉体・精神ともに苛酷な業務が多く、先ほども藤墳議員からも獣医師確保についての質問がございましたが、私もこれまでも数度取り上げてきましたが、全く同感です。鳥インフルエンザや口蹄疫など、家畜の伝染予防を強化する体制は不可欠であります。獣医師の不足が今後の防疫業務に影響することのないよう、県職員獣医師の確保にもしっかり取り組んでいただきたいと思います。 さて、その県職員の獣医師ですが、屠畜場で食肉の検査を行い、食用の家畜が病気でないかの確認を行ったり、BSEや口蹄疫などの家畜の感染症など生産性に悪影響を及ぼす各種疾病の検査、診断及び予防対策などの業務を行う私たちの食の安全・安心を守る重要な業務を担っています。しかしながら、今回の鳥インフルエンザのような防疫対応の中心的役割を担う家畜保健衛生所の保健衛生課長は、現在、中央家畜保健衛生所を除く、中濃、東濃、飛騨家畜保健衛生所では、中央とは規模が違うとはいえ、課長補佐級です。今回の防疫作業に当たって、管理職でないため、現場での指示がうまく回らず混乱があったとも聞き及んでいます。 そこで、総務部長にお伺いします。 重要な働きを求められる獣医師には、業務の内容や職責に応じた役職を与えるべきだと思いますが、家畜保健衛生所の保健衛生課長の管理職化についてはどのようにお考えでしょうか。 次に、県におけるパワーハラスメント対策、メンタル対策及び時間外労働縮減対策についてお伺いします。 昨年、上司からの厳しい指導を受けた管理職員の精神的疾患事案が発生したことを受け、昨年の二月議会でその再発防止策について質問をしたところ、管理職を含めた職員の悩み事をいち早くキャッチし対処できる仕組みづくりや、全庁的な情報共有の場の新設など、早期発見、早期対処に努めると答弁がありました。 これを踏まえ、六月議会においても、県政自民クラブの小川議員からの、部長級職員のメンタルヘルスを含めた健康管理に加え、職場のパワハラ対策やモチベーションを高める対策など、組織を円滑に運営していくためのサポート体制の強化が必要ではないかとの質問に対し、知事は、既に昨年四月から、仕事や上司による指導についての悩みに対応するため、副知事に直接相談できる仕組みを構築したこと、また幅広く職員の情報を共有する人事管理連携会議を設置し、ストレスやハラスメント事案を早期に発見する取り組みを進めているとの答弁があったところです。さらに、全職員に対して早急にストレスチェックを行い、必要に応じて医師による個別指導や就業上の配慮を行うとのことでありました。 一昨年の年末、広告大手、電通の入社一年目の女性社員が過労自殺した事案を受け、苛酷な長時間労働の問題が全国的に大きくクローズアップされ、政府も働き方改革の一環として、この問題の解決に向けた関連法制の見直しの検討など、いろいろ課題はありますが、取り組んでいるところです。人口減少、少子化時代にあっては、かつてのいわゆるモーレツ社員型の働き方から、ワーク・ライフ・バランスに配慮した多様な働き方へ転換し、生産性を高めていくことが、企業のみならず、行政においても重要なテーマであると考えます。 先日、県民クラブからの予算要望の回答の際、県として時間外勤務手当の予算は一〇〇%確保しているとの話がありましたが、時間外勤務を行ったら、その分の手当を支払うことは当然のことで、その働き方そのものに問題があるのだと考えますが、管理職はもとより職員自身の意識改革を含め、長年培われた組織風土や労働慣行を改めていくことはなかなか容易なことではないとも感じます。だからこそ職場環境の改善に向けた取り組みについては常に点検を行い、職員一人一人が高いモチベーションを持ち、ストレスなく働ける環境づくりや風通しのよい組織づくりにたゆまず努力していかなければならないと考えます。 そこで、知事にお伺いします。 これまで県が取り組んでこられた、管理職を含め、職場のパワハラ対策やメンタル対策、時間外労働縮減対策について、その取り組みの結果と今後の方針についてお伺いし、二回目の分割といたします。 ○副議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 私のほうには、県におけるパワハラ・メンタル・時間外勤務縮減対策についてお尋ねがございました。 本県では、今年度当初より、副知事をトップとして設置した人事管理対策会議を中心に、人事や組織にかかわる課題について、次の三つの観点から早期の情報収集と対策に取り組んできたところでございます。 まずハラスメント対策といたしましては、対策会議において、各所属や各職員から寄せられるハラスメントにつながりかねない言動や公務に支障の生ずるおそれのある情報について、事実関係を一件一件丁寧に確認をし、随時、私とも情報共有しながら対応してまいりました。この二月末までの間に四十二件の情報があり、ハラスメントを疑われる事実が確認できなかった六件を除き、本人への指導や人事異動を迅速に行うなど、きめ細かな対策に努めてきたところでございます。 次に、メンタルヘルス対策につきましては、今年度開始したストレスチェックでは、職場全体としては全国平均よりも健康リスクが低いという結果でございました。しかしながら、個々には高ストレスの職員もおられることから、医師との面談を実施し、その結果を踏まえ、時間外勤務の制限等の配慮や、必要に応じ所属職員の増員により、メンタルヘルスの改善や悪化防止に努めてまいりました。 また、時間外勤務の縮減対策につきましては、毎月、対策会議で時間外勤務時間が多い所属の原因を分析し、必要に応じて分掌の見直しや職員の増員を行ってまいりました。今年度は、特に月八十時間を超える時間外勤務を減少させることに主眼を置いて取り組んでまいりました。その結果、直近のことしの一月では、月八十時間を超える職員は、鳥インフルエンザ対策や知事選挙業務といった特殊要因を除くと、昨年の三十六人に対して四人と大きく減少してきております。かつて不夜城ともやゆされた県庁も、こうした取り組みにより状況は改善されつつあります。私自身も、例えば議会答弁に関する打ち合わせを可能な限り簡素化するように努めております。 これらに加え、来年度の事務事業の見直しによって、さらに事務の効率化や職員の負担軽減を図り、職場環境の一段の改善に努めてまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 総務部長 坂口和家男君。    〔総務部長 坂口和家男君登壇〕 ◎総務部長(坂口和家男君) 二点御質問を頂戴しました。 まず、高病原性鳥インフルエンザ発生時の職員等の安全・健康管理対策についてお答えをいたします。 今回の事案では、平成二十三年に策定いたしました鳥インフルエンザ対応マニュアルに基づきまして、防疫作業に従事する職員の派遣前の所属長による健康確認、現場での作業従事前に保健師等による健康調査、派遣終了後の所属長による健康状況の観察のほか、作業後のメンタルヘルス不調の予防や過重労働に対する医師、臨床心理士による健康相談を実施しているところでございます。 一方で、反省点といたしまして、個々の職員への作業時の留意事項の周知や、現場の作業環境を含めた実際の労働状況の把握が十分ではなかったというところがあると思っております。作業に従事した職員に対するアンケート調査によりますと、ゴーグルを未装着のまま作業を行った、防護服のすき間を粘着テープで塞がない状態で作業を行った職員がいたなどの声がございました。こうした今回の事案を踏まえまして、農政部と連携いたしながら、情報共有体制の整備などに関しまして、鳥インフルエンザ対応マニュアルを見直してまいりたいというふうに考えております。その上で、作業時の留意事項に関しまして、研修等の機会を捉えて、あらかじめ職員に十分周知するなど、職員の安全対策の強化に努めてまいりたいと考えておるところでございます。 次に、県職員獣医師の管理職化につきまして御答弁申し上げます。 家畜保健衛生所の管理職の配置に当たっては、他の所属と同様、管理すべき職員の数、業務の困難性、果たすべき責任等を総合的に勘案して行っております。そうした中で、中央家畜保健衛生所の保健衛生課長にあっては、事務所の移転に伴う岐阜大学との連携強化や、防疫・検査における県内の基幹事務所として重要な職責を担っていることから、今年度から管理職を配置したところでございます。他の家畜保健衛生所につきましても、引き続き業務の困難性、果たすべき責任等を勘案して、保健衛生課長に管理職を配置すべきかどうかについて検討してまいります。 なお、家畜防疫体制の整備といたしましては、先般の鳥インフルエンザの防疫対策の検証結果を踏まえまして、来年度、畜産課に、有事の際に現場に常駐し、防疫措置の状況把握や現場指揮をとることができる管理職として家畜防疫対策監を新たに配置することとしているところでございます。 ○副議長(佐藤武彦君) 三十八番 渡辺嘉山君。    〔三十八番 渡辺嘉山君登壇〕 ◆三十八番(渡辺嘉山君) 障がい児保育を行う保育士の資質向上策についてお伺いします。 発達障がいとは、発達障害者支援法において、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害のあるものと定義をしています。発達障がいにおいても、疾病と同様、早期発見・早期療育が重要と言われ、三歳程度の早い時期にその症状を見つけ、早期に専門家による療育、すなわち治療と教育を行えば、年長になるほど発達障がいの症状が緩和し、社会性が身についていくと言われています。 最近、発達障がいではと思慮される子供の数がふえてきており、文部科学省が平成二十四年に実施した通常の学級に在籍する発達障がいの可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童・生徒に関する調査の結果では、約六・五%程度の割合で通常の学級に発達障害の可能性のある児童・生徒が在籍している可能性を示しています。この中には、特別支援学校もしくは特別支援学級に通う児童・生徒は含まれていないことから、それらを含めた総数は約一〇%程度に上るのではないかとも言われています。 そういった現状の中、学齢期ともなれば、その症状に応じた学習の場があり、障がい福祉サービス利用なども可能となりますが、小学校入学前では、保護者が働いている場合などでは保育所などに預けなければなりません。平成二十八年度の厚生労働省の調査によると、平成二十七年度、県内では二百五十五カ所の保育所で障がい児保育が行われており、受け入れ数は年々増加しています。三歳くらいから障がいのあるなしの判別が可能とされる発達障がい、あるいは言葉や身体などの発育のおくれにおいては、早期発見・早期療育という点から言うと、日常的に集団の中で保育所等で子供とかかわる保育士の役割は大変重要です。 しかし、どのくらいの保育士が、この子には障がいがあるのではないかとの疑問を持ち、専門療育機関につなぐとともに、保護者と連携し日常の療育ができる専門的知識が蓄えられているか、かつ保育所としてその体制を整えているかというと疑問です。保育士が障がい児保育についてしっかりと研修を受け、保育所としても万全の体制にあるかといえばそうではなく、ある大学の調査では、障がいのある子供を担当するときに不安になったことはあるかという問いに対し、約七〇%が「ある」と答え、障がい児本人とのかかわりやクラス運営に不安があると回答されています。中には保護者からの過度な要求や、保育所自体からの適切なバックアップ体制のないまま休職や退職に追い込まれる保育士もいると聞きます。 保育士個人が悪いのではないと思います。本県は都会ほどの待機児童があるわけではありませんが、保育の需要も伸び、慢性的な人手不足の中で大勢の児童を見なければならない保育士の苦労は並大抵ではありません。また、女性活躍推進のかけ声に押されてというわけではなく、生活のために朝から夜遅くまで働かなくてはいけない母親も多くなるなど、多様かつ複雑な家庭がふえた現在においては、我が子の変化に気づきにくく、保育士等の指摘がなければ専門機関での受診も遅くなることもあります。障がい児や発達障がいと思慮される子供がふえ、また、さまざまな家庭事情により、障がいのある子供の発育を見守り、社会生活に適応できるよう教育する障がい児保育はますます需要が高まり、早期発見につながる保育士への期待は大きくなります。 その一方で、適切な保育を行えるよう保育士の資質やモチベーションを高め、保育士を支援する体制を整えなければ、人材不足が続き、質の高い障がい児保育ができない悪循環は募るばかりです。 そこで、障がい児保育を行う保育士の資質向上に向けてどのように取り組んでいるのか。また、障がい児保育を行う保育士や保育所に対し、どのような支援を行っているのか、子ども・女性局長に伺います。 次に、県立高校における退学防止に向けた取り組みについてお尋ねします。 文部科学省が行った児童・生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、平成二十七年度の我が県における公立高校の中途退学者は四百十四人、在籍者数に占める中途退学者の割合、すなわち中途退学率は〇・九%という結果でした。近年、退学者数、退学率ともに減少傾向にありますが、およそ百人に一人が学業を途中で断念しているということであり、依然として高い数字であると思います。 退学の理由を多い順に見ますと、「進路変更」が二百五人で約五割、次いで「学校生活・学業不適応」が百八人で約二五%、以下、「家庭の事情」「学業不振」などとなっています。この「進路変更」ということについては、みずから進路を変えたいという場合はよいのですが、現実は、出席日数が足りず進級ができない等いろいろな理由でやめざるを得ず、退学して別の学校に進むことになったという後づけの理由が多く含まれていると思います。理由はともかく、高校を中退するということは、生徒のその後の人生に大きな影響をもたらすものであり、退学という決定は、本人も家族も学校も慎重に判断する必要があります。 中途退学者を減らすには、その予兆を早期に把握し、生徒の事情に応じたきめ細やかな対応をすることが理想であります。しかし、授業の準備に加え、部活動の指導、保護者への対応、事務処理などで教員は多忙であり、退学問題の対応にじっくりと取り組むのは難しいのが現状です。また、前述しましたように、進路変更や学校生活・学業不適応など、調査によって退学の理由が明らかになっていますが、退学に至った根本的な理由は、経済的困窮や学校での人間関係など生徒によってさまざまであり、これらに適切に対応するためには、奨学金制度の案内やカウンセリングを受けるよう勧めるなどの専門的な知識が必要になってきます。 このように、限られた人員や知識のもと、教員や学校が個別に退学問題に対応しているわけですが、豊富な事例や知識を持つ県教育委員会が積極的に関与することで、中途退学者をさらに減らすことができるのではないかと考えます。特に、退学者が多い学校に対しては早急な支援が必要です。 そこで、教育長にお伺いします。 県立高校における退学防止について、教育委員会としてどのような考えを持って対応しているのか。また、学校での対応だけでなく、教育委員会が積極的にかかわるべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。 次に、平成二十八年中の特殊詐欺被害状況と今後の対策についてお伺いします。 全国の刑法犯認知件数は二〇〇二年の二百八十五万三千七百三十九件をピークとして、昨年は九十九万六千二百四件、前年より約十万件の減少で、戦後初めて百万件を割り込みました。これは、窃盗犯の認知件数の減少が大きな要因となっていますが、依然として振り込め詐欺などの特殊詐欺が高い水準で推移しており、厳しい状況にあります。 また、この中でも、東海三県のほか、長野県、滋賀県などにおいて、役所や年金事務所の職員を装って、医療費や保険金の還付を名目に、ATMから現金を振り込ませる還付金詐欺の被害が増加し、被害額は昨年比で二・八倍の六億三千万円を超え、当県においても被害額は前年比で千四十三万円増の五千四百十万円、認知件数は八件増の五十六件となっています。 さらに、近年では電子マネーを利用した架空請求詐欺被害も増加しており、これは、アダルトサイトなどの架空請求や出会い系サイト、副業案内サイトなどのポイント購入などと称してコンビニ等で電子マネーを購入させるもので、県内の電子マネー被害は、平成二十六年が五件、二十七年が十五件、二十八年には三十九件と、この三年間で約八倍となっており、被害額も約二千六百万円に及び、その被害のターゲットは高齢者ばかりでなく十代の若者や女性までもがその対象になっています。 このように、増加傾向にある還付金詐欺や、電子マネーといった新たな通貨媒体を利用した手口への対策が必要であろうと思います。県警察では、全件通報制度など特殊詐欺被害防止のための各施策を推進しておられますが、現状を踏まえ、今後どのような対策を推進していくのか、警察本部長に伺います。 ここで三回目の分割をいたします。 ○副議長(佐藤武彦君) 子ども・女性局長 鈴木裕子君。    〔子ども・女性局長 鈴木裕子君登壇〕 ◎子ども・女性局長(鈴木裕子君) 障がい児保育を行う保育士の資質向上策についてお答えします。 保育士の資質向上につきましては、初任保育士を対象に、障がいの特性や支援策などを広く学ぶための基礎研修を実施するとともに、現に障がい児を担当している保育士に対しては、よりレベルの高い知識・技術が習得できる専門研修を行っております。また、保育士、保育所への支援としましては、平成二十六年度から、保育士・保育所支援センターに専門相談員を配置し、保育所を巡回して助言・指導を行っているところです。来年度は、保育士が主体となり、障がいの種別、程度に応じた具体的な支援策を考える実践的なカリキュラムをふやすことで、さらなる資質向上を図ってまいりたいと考えております。 巡回指導におきましても、継続してより専門的な指導を受ける必要があると判断した場合には、圏域発達障がい支援センターなどの専門機関の利用を積極的に促し、保育士や保育所だけで悩みや不安を抱え込むことのないよう支援してまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 教育長 松川禮子君。    〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 県立高校における退学防止に向けた取り組みについてお答えします。 問題行動調査の結果では、退学者の多くが一年生であることから、県教育委員会においては、入学直後の教育相談などを通して初期指導を充実するよう高校を指導しています。また、入学したばかりの生徒の中には、中学校と違い、高校は授業に出席して単位を取得していく仕組みであることを十分に理解していない生徒もいるため、単位取得のガイダンスを行うとともに、欠席がふえた場合には状況を正しく理解してもらうため、本人や保護者と面談するよう高校に指導しています。 さらに、高校生活で不適応になる一番の原因は、高校の学習内容を理解できないことであるため、中学校の学習内容に戻って基礎学力の定着を図ることも高校に指導しています。 このように、高校で学び続けることができるようさまざまな取り組みをしておりますが、一番大切なことは、子供にとって何が適切な進路であるかを選択することです。今後も、生徒や保護者の思いをよく聞いて、丁寧に対応するよう高校に指導してまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 警察本部長 山本有一君。    〔警察本部長 山本有一君登壇〕 ◎警察本部長(山本有一君) 特殊詐欺被害の現状と今後の対策についてお答えいたします。 平成二十八年中における県下の特殊詐欺の被害額は約四億二千万円で、前年に比べ約五億八千万円減少しております。被害件数は二百十一件と前年に比べ二十二件減少しておりますが、四年連続で二百件を超える高水準で発生しており、厳しい情勢にあると認識しております。 中でも、議員御指摘のとおり、役所などの職員をかたり、高齢者をATMに誘導して現金を振り込ませる還付金詐欺は五十六件と、前年に比べて八件増加しております。また、電子マネーを利用した架空請求詐欺事件につきましても三十九件と、前年比で二十四件の増加となっております。 こうした現状を踏まえまして、県内の金融機関へ高齢者のATM利用限度額の引き下げを申し入れ、一部において振り込み制限がなされたところでありますが、引き続きその拡充を求めてまいります。また、従来の金融機関による全件通報に加えまして、昨年十二月一日から、県内の全てのコンビニエンスストアにおきまして、年齢を問わず電子マネー購入者への声かけと、警察への通報を行う電子マネー通報制度の運用を開始したところでございます。 さらに、高齢者宅に直接架電して注意を促すコールセンター事業のほか、無人ATM機に警告機能のついた警察官の等身大パネルの設置や高齢者宅への電話録音警告機の貸し出し、また手口などをわかりやすく解説したDVDの作成を予定しておりまして、こうしたさまざまな方法を活用した広報啓発活動も推進してまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 三十八番 渡辺嘉山君。    〔三十八番 渡辺嘉山君登壇〕 ◆三十八番(渡辺嘉山君) 次に、産業・雇用問題についてお尋ねします。 午前中に、中・長期的な人手不足への対応については知事の答弁がありましたので、私からはまず、我々の住む地域を支える産業の事業承継、後継者確保への対応についてお尋ねします。 昨年、議員提案条例として、岐阜県中小企業・小規模企業振興条例が制定され、県による必要な施策が総合的に推進されることを期待して注視しているところです。 さて、県内の総企業数のほとんどを占める中小企業、そのうち大部分を占める小規模企業は、特色ある事業活動を行い、多様な就業の機会を提供することで、これまで長きにわたって地域の発展に貢献し、県経済と雇用を支える重要な役割を果たしてきました。しかしながら、大企業の景況感が二・四半期連続でプラスを示す一方で、中小企業を取り巻く経済や社会の状況は相変わらず厳しく、人手不足や資金不足に苦しんでいます。 先日の岐阜新聞サンデーコラムの記事に、個人消費が伸びず、企業の設備投資も進まない中、デフレ脱却にはほど遠い。その根底には、国の借金がますます膨らむ状況に国民が大きな不安を抱いている。こうした情勢のもと、中小企業は、人口減少、超少子・高齢化が進む中で、労働力確保、人手不足に大変困っているとありましたが、全く同感です。 昨年の県産業経済振興センターの県内企業の人材確保に関する特別調査によると、県内企業の約六割が人材不足の状況であり、業種別でも全業種で過半数の企業は人材不足と回答しています。中でも建設業が最も深刻で、七一・七%が人材不足と回答しており、従業員数規模別では、従業員五十から二百九十九人の企業が最も人材が不足しています。今後、人口減少が進む中、地域を支える小規模企業、中小企業の人手不足が長期にわたってより深刻な状況に陥るのではないかと危惧しているところです。 人材の確保といえば、後継者の確保も大きな問題です。同じく県産業経済振興センターの昨年末の後継者問題に関する特別調査によると、県内企業の経営者の五〇・六%が六十歳以上であり、九割近くの企業が「事業を継続させたい」と望む一方で、事業承継を希望する企業の二二・四%が「後継者不在(候補者を含む)」と回答しています。候補者を含む後継者がいないと回答した企業の五三・八%が後継者対策として人材育成を考えており、二一・二%が「事業譲渡」、八・七%が「外部から招聘」と回答し、残念なことに四・八%が「廃業を検討」しています。 昨年の二月定例会において、早川議員が、林業経営の後継者の継承等への意向に関する質問に際して、五六%が「継がせる意向はない」、または「まだ決めていない」との回答であり、今後もこのような状況が続けば、中山間地域は例外なく疲弊し、森林を保全するのに必要不可欠な間伐も進まず、森林が荒れ果ててしまうのではないか非常に心配されるところでありますと発言されましたが、私の地元においても、中心市街地の小売業が廃業、既存商店街などが衰退し、地場産業の経営者は高齢化し、後継者の確保に苦慮しています。 このように、後継者確保の問題は、地場産業、農林水産業など、我々の住む「清流の国ぎふ」をこれまで支え、これからも支え続けていくあらゆる産業が共通で抱えている非常に大きな問題だと捉えています。将来的な事業承継の展望もなく、目下の産業振興を行っても、中・長期的に対策していかなければならないと考えます。 そこで、商工労働部長にお尋ねします。 地域を支える中小企業の事業承継、後継者の確保問題についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。 次に、観光産業人材の確保・育成についてお尋ねします。 報道によりますと、このほど下呂温泉観光協会は、儒城温泉がある韓国の儒城観光振興協会、谷関温泉がある台湾の台中市温泉観光協会とともに、アジア三名泉と呼ばれる温泉を目指して、三温泉で連携していくとのことであります。下呂が大好きな私としても、大いに期待するところです。 県の新年度当初予算を見ましても、世界に誇る遺産等を活用した海外誘客の強化として、アジアを重点ターゲット国とした誘客促進に取り組まれるとのことであり、中国人による爆買いブームが終えんした後の新たな定石として、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた本県の観光資源を生かした海外誘客の展開に期待しています。 近年、本県の外国人宿泊者数が急増する中、旅館やホテルなどの宿泊施設や観光案内所や土産物店などの観光関係施設において多国籍の方へのサービスが求められています。「旅の恥はかき捨て」などということわざがありますが、観光客の非日常の体験を提供するため、宿泊施設などの観光産業人材には、これまでの深い懐のおもてなしの心が求められてきました。加えて、現在は外国人観光客の急増に伴い、異なる言語や文化に対応する高度なスキルも求められるようになってきました。 一方、厚生労働省の平成二十七年度雇用動向調査によると、全産業の離職率が一五・〇%であるのに対し、宿泊業・飲食サービス業の離職率は二八・六%と最も高くなっているように、旅館やホテルなど宿泊施設は従来から従業員の離職率の高さに悩まされており、人材の確保も重要です。今後、観光を基幹産業化し、厳しい都市間競争に勝ち抜いて、国内外からの観光客をこれまで以上に誘客していくためには、観光産業の人材確保やスキルアップなどの受け入れ環境の整備が喫緊の課題だと思います。 そこで、観光国際局長にお尋ねします。 国内外からの観光客の受け入れ拡大に向け、観光産業人材の確保やスキルアップについて今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、農業の担い手育成についてお伺いします。 昨年開催された「第十九回全国農業担い手サミットinぎふ」の全体会では、県内外から過去最大規模となる約二千六百名の農業関係者が参加し、盛大のうちに幕を閉じたところです。その中では、次世代の農業の担い手として期待される県内の農業高校生が多数参加し、司会やアテンド、さらにはアトラクションなど多方面で活躍していただきました。将来を担う若い世代の彼らにとっても、このような大きなイベントへの参加を通じて、本県の農業の担い手育成に取り組む姿勢をじかに感じ取るとともに、未来の農業への期待というものも抱くことができたのではないでしょうか。これらの取り組みが一過性のイベントとして終わるのではなく、引き続き発展させていくための礎となることを願い、質問をさせていただきます。 農林水産省の統計によれば、農業就業人口はここ十五年で四割減少し、農業従事者の平均年齢は六十六・八歳となっています。さらに、農業を主とする者の割合は六十五歳以上が六割、四十歳代以下は一割ほどと非常にアンバランスな年齢構成になっています。一方、将来の担い手として期待される三十九歳以下の新規就農者数は、近年一万三千人から一万五千人程度で推移しているものの、そのうちの約三割は生計が安定しないことから五年以内に離農しており、実際に定着するのは一万人程度ということです。 新規就農者が抱える課題として、ほとんどの者が技術の習得を挙げているほか、非農家出身を中心とする新規参入者にとっては、資金の確保、農地の確保も大きな課題となっています。持続的かつ安定的な農業を実現するためには、こうした問題を解決しつつ、新規就農者を確保していくのはもちろんのことですが、担い手サミットで活躍された農業高校生など若い世代へのアプローチが今後重要になってくるのではないでしょうか。 そこで、県では農業の担い手対策を重点施策と位置づけており、来年度から向こう五年間で、新たな担い手二千人を育成・確保する担い手育成プロジェクト二〇〇〇に着手すると聞いていますが、将来を見据えた次世代の担い手を育成していくためにどのように取り組んでいかれるつもりか、農政部長に伺います。 次に、都市農村交流についてお伺いします。 国勢調査によりますと、本県の人口は平成十二年、二〇〇〇年の約二百十万八千人をピークに減少傾向にあり、平成二十七年、二〇一五年の人口は約二百三万一千九百人と、平成十二年に比べ七万六千人の減少となっています。特に農村部における人口減少は深刻なものとなっています。今後、農村部における地域社会の担い手であった高齢者の人口も減少に転じることが見込まれていることから、より農村部の過疎化が進み、地域コミュニティーの維持が困難となることが懸念されています。 このような時代背景を受け、おのおのの地域がみずから特性を生かした新たな地域づくりの進展が求められていますが、こうした中、都市部に住む若者を中心に、農村への関心を示し、農山漁村に移住しようとする動き、いわゆる田園回帰の動きや、定年退職を契機とした農村への定住志向が見られるようになってきています。 総務省がこの一月に都市住民三千人を対象に行った調査によれば、「農山漁村に移住してみたい」と回答した割合は三割を超え、特に二十代、三十代といった若い世代でその割合が高い結果となっています。また、移住したい理由としては、「気候や自然環境に恵まれたところで暮らしたい」、「環境に優しい暮らしやゆっくりとした暮らし、自給自足の生活を送りたい」というものでした。 一方、ことし二月十四日の日本農業新聞が実施した全国の市町村へのアンケートによりますと、何らかの形で農業にかかわりたいと考えている移住者が多いと回答した市町村が全体の九割に達しており、移住希望者の農業志向の高いことがうかがえます。特に、農業を主な仕事として移住を考えている人が多いとした市町村の割合が約三割であったことに加え、兼業や家庭菜園をも含め、農業に何らかの関心を持っているとした割合は約六割にも達しました。 そこで、本県における県外からの移住者の状況を見てみますと、昨年の五月に県がまとめた資料では、平成二十七年度の県外からの移住者は前年比四四・四%増の千百二十九人と年々増加傾向にあり、集計を始めてからの六年間で最高を記録しています。また、本県への移住者の年齢構成を見ても、子育て・若年層世代が約七割を占めており、特に若い世代の農村への移住に対する関心の高さが浮き彫りになっています。こうした田園回帰の動きを後押しするためには、いかに都市と農村との交流機会を提供するのか、また農のある田舎暮らしを求める都市住民に対し、いかに農の魅力を発信するのかが課題であろうと思います。 そこで、農政部長にお伺いします。 過疎化、高齢化が進む農村地域においては、こうした田園回帰の流れを後押し、支援する必要があると考えますが、県では今後どのように取り組んでいこうとされているのか、お聞かせください。 ここで四回目の分割をいたします。 ○副議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 河合孝憲君。    〔商工労働部長 河合孝憲君登壇〕 ◎商工労働部長(河合孝憲君) 中小企業の事業承継、後継者の確保問題についてお答えをいたします。 県内企業の大半を占める中小企業の事業承継については、経営者の高齢化や後継者の不在など喫緊の課題と認識いたしております。このため、岐阜商工会議所への事業引継ぎ支援センターの設置にあわせまして、昨年度から県商工会連合会に事業承継に特化した相談窓口を開設するとともに、さらに県産業経済振興センターのよろず支援拠点に新たに専門コーディネーターを配置するなど、相談体制を拡充したところでございます。今年度は、二月末までに、これら三機関で延べ百九十八件の相談に対応をいたしております。 また、円滑な事業承継には早期・計画的な準備が重要であり、このため、商工会議所や商工会に対し、経営者向け啓発セミナーや後継者の有無など企業の実態調査を行うよう促し、県としてこれを支援しております。 一方、現在、国においても、県や地域の商工団体、金融機関等による事業承継ネットワークの構築などに向けた検討が進められており、これら取り組みも含めて、引き続き円滑な事業承継に向け支援をしてまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 観光国際局長 小原寿光君。    〔観光国際局長 小原寿光君登壇〕 ◎観光国際局長(小原寿光君) 観光産業人材の確保と育成についてお答えいたします。 まず人材の確保につきましては、来年度、県内外の大学の観光学部などと連携し、就活を控える学生を対象に県内観光産業の魅力を直接PRするなど、就職に向けたマッチングの支援を行ってまいります。具体的には、大学内において、県内旅館のおかみなど観光事業者による講義の実施や就職説明会などの開催のほか、個別事業者では実施が難しい観光産業におけるインターンシップの拡大にも積極的に取り組んでまいります。 また、スキルアップにつきましては、宿泊施設などの従業員の方々が急激に増加する外国人観光客に的確に対応できるよう、国別のマナーや慣習を学ぶインバウンド対応研修を開催するとともに、今や海外からの宿泊予約や問い合わせにおいて必須となっております宿泊予約サイトやSNSなどの活用方法を学ぶ実践研修も実施してまいります。今後とも、さらなる誘客拡大に向け、観光客はもとより、働き手からも選ばれる観光地づくりを進めてまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 農政部長 高木敏彦君。    〔農政部長 高木敏彦君登壇〕 ◎農政部長(高木敏彦君) 農政について二点御質問をいただきました。 まず、次世代の担い手育成に向けた取り組みについてお答えをします。 次世代農業の有望な担い手として農業高校生や農学系の大学生に就農していただくことは大変重要なことであります。しかしながら、例えば県内農業高校生におきましては、農家の出身ではない生徒が八割以上を占めていることから、今後、農業の現場を十分知っていただける機会を設けることで、就農に向けた具体的な夢や計画を描いてもらえるのではないかと考えております。 このため、この四月に設置しますぎふアグリチャレンジ支援センターと連携して学校訪問を行い、農業高校生に対し、就農に向けた支援策や農業の魅力を紹介してまいります。さらに、県下指導農業士との情報交換会や県内産地を見学するバスツアーを実施してまいります。 また、大学生に対しましては、県内各地に設立されました就農応援隊とも連携し、農作業体験に加え、例えば農産物直売所での店頭販売や地元自治会との交流会など、幅広く地域の魅力も体感できるインターンシップを計画してまいります。 次に、田園回帰の促進に向けた取り組みについてお答えをします。 田園回帰を進めるためには、都市住民の方に農村へ来ていただき、豊かな自然や農業、郷土食など、本県が持つ魅力を知っていただくことが重要であると考えております。県ではこれまで、県が主体となり、都市農村交流にかかわる実践者の育成や農業体験施設などの情報発信を行ってまいりました。今後は、民間の方々が主体となった新たな協議会を設立し、飛騨・美濃伝統野菜を使った郷土食を味わう体験ツアーの開催やウエブサイトによる体験イベントの情報発信など、地域の特色を生かせる活動を支援してまいります。 さらに、この四月から、田舎に関心のある都市住民の方々にぎふの田舎応援隊として登録いただく取り組みを進めてまいります。それとともに、将来の移住定住につながるよう清流の国推進部と連携し、首都圏で行う移住セミナーなどにおいて農業に触れ合いながら、充実した生活をされている方の事例を紹介するなど、田舎暮らしの魅力の発信に努めてまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 三十八番 渡辺嘉山君。    〔三十八番 渡辺嘉山君登壇〕 ◆三十八番(渡辺嘉山君) 次に、百年先の森林づくりについてお伺いします。 戦後の拡大造林等により、本県の人工林面積は本格的な利用期を迎え、木材として利用しやすい十齢級以上、四十六年生以上の割合が全体の六割を占めています。人工林の蓄積はふえ続け、九千三百万立米に達しており、人工林資源の成長量は年間百四十万立米と、平成二十七年の年間の伐採量九十七・八万立米を上回っている状況です。また、人工林は十一齢級、五十一年生をピークとする面積分布であり、二十五年生以下の若齢林、幼齢林が全体の五%と、少子・高齢化が進行したいびつな齢級構成となっています。齢級構成の偏りをこのまま放置しておけば、持続可能な木材生産が困難な状況になるとともに、森林の持つ公益的機能の維持が困難となることが危惧されます。 本県の人工林は、これまでの造林、保育の段階から本格的な利用が可能な段階に入っており、このため、伐採等により資源の平準化を進め、将来の木材資源の造成をしなければならないと思います。利用適期を迎えている人工林については、切って、使って、植えて、育てることが必要であり、森林の循環利用と公益的機能の維持という観点から、主伐・再造林を着実に進めることが重要です。 岐阜県では、平成十八年に岐阜県森林づくり基本条例を制定し、この条例に基づき、平成十九年に岐阜県森林づくり基本計画を策定、林業経営を重視した生きた森林づくりに取り組んできました。その後、平成二十四年に第二期岐阜県森林づくり基本計画を策定し、それまでの生きた森林づくりに加え、環境保全を重視した恵みの森林づくりとともに森林づくりに取り組んでいます。そのような中、平成二十九年度から、新しい森林づくり基本計画では、これまでの生きた森林づくり、恵みの森林づくりに加えて、百年先の森林づくりを掲げてみえます。 そこで、林政部長にお伺いします。 森林の循環利用と公益的機能の維持の両立を目指した百年先の森林づくりを着実に進めるため、平成二十九年度からの五年間を計画期間とした第三期森林づくり基本計画において、再造林をどのように進めていかれるのでしょうか、お聞かせください。 次に、東京オリンピック・パラリンピック関連施設への岐阜県産木材の活用についてお伺いします。 東京オリンピック・パラリンピックは世界最大規模のスポーツイベントであり、その開催はスポーツの分野だけでなく、社会経済等、多岐にわたり影響を及ぼす一大事業です。この東京オリンピック・パラリンピックで使用する施設の整備については、東京都が整備する計画のものだけでも、水泳競技が行われるオリンピックアクアティクスセンターや、ボート・カヌー競技が行われる海の森水上競技場など、新設が七施設、既存施設を活用した改修が一施設と公表されており、これ以外にも多くの関連施設が建設される予定です。 東京オリンピック・パラリンピックへの木材利用については、政府において平成二十七年度より関係機関を構成員としたワーキングチーム会議が三回開催され、新国立競技場における木材利用や関連施設に使用する木材の調達基準等について検討がなされているところですが、こうしたところに岐阜産の木材を売り込んでいくためには、民間事業者と行政が一丸となって取り組んでいく必要があると思います。また、関連施設に使用する木材の調達基準として定められている森林認証材の安定供給体制もしっかり整備していく必要もあると考えます。 この東京オリンピック・パラリンピックの関連施設の整備に際し、岐阜県の県産材が活用されることは、本県の林業・木材産業を国内外にPRする絶好の機会であると思いますが、これまでの東京オリンピック・パラリンピック関連施設へ岐阜県産木材の活用を推進するための取り組み状況と、今後の取り組み方針について知事にお伺いします。 最後に、東京オリンピック後も見据えた競技力向上対策についてお伺いします。 ぎふ清流国体・ぎふ清流大会の感動からことしで早くも五年が経過いたしますが、国体以降も、昨年秋には全国レクリエーション大会が開催され、今後は日本スポーツマスターズ二〇一九や第十八回アジアジュニア陸上競技選手権大会といった大規模な全国大会、国際大会が控えるなど、「スポーツ立県・ぎふ」の印象が徐々にでも県内、そして全国に浸透しつつあるのではないかと大いに期待しているところです。 その原点となったぎふ清流国体では、圧倒的大差で天皇杯、皇后杯をかち取ったわけですが、昨年の岩手国体における順位は、天皇杯十位、皇后杯十三位と引き続き上位に踏みとどまっています。人材豊富な都市部を除き、国体開催県は翌年度以降大きく順位を落とすのが通例であり、実際、平成二十年度以降の開催県について四年後の天皇杯の順位を見てみますと、大分県十九位、新潟県二十五位、千葉県十位、山口県二十八位となっています。 こうした状況から、本県は十分に健闘していると評価できますが、国体後も高い競技力を堅持している要因としては、国体で培った岐阜方式の強化システムの定着や県を含めたさまざまな団体による支援の充実などとともに、国体を一過性のイベントとせず、その成果を次に継承しようとする強い理念があったからではないかと思います。 さて、二〇二〇年には、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。県としても、県ゆかりの選手をオリンピックに三十名輩出などの目標を定め、県内アスリートの強化やジュニア世代の発掘・育成に取り組んでいるところです。私としても、県ゆかりの選手が各競技で活躍し表彰台に上がる姿を期待するところです。 しかしながら、やはり大切なのは、ぎふ清流国体と同様、オリンピックを当面の目標としつつも、オリンピック後も見据えながら、県内アスリートの競技力向上につながる継続的な仕組みを構築していくことにあると考えます。国体で活躍した選手が岐阜にとどまり、指導者となって県内のジュニア世代を育成する。世代交代を伴うこうした好循環を通じて、岐阜県全体の競技力の向上の底上げを図っていく。そうした長期的な視点から戦略的に競技力向上を進めることで、「岐阜、スポーツ県」としての地位を確立できるのではないでしょうか。 そこで、清流の国推進部長にお伺いします。 東京オリンピックはもちろん、その後も見据えた長期的な視点に立って、県内アスリートの競技力向上対策を講じる必要があると考えますが、この点についてどのように取り組まれているのか最後にお尋ねし、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 東京オリンピック・パラリンピックでの県産材活用についてのお尋ねがございました。 この東京オリンピック・パラリンピック競技大会の施設に岐阜県産木材が利用されることは、本県のすぐれた木材製品の品質と加工技術を国内のみならず海外に向けてもPRする絶好の機会でございます。県産木材のブランド向上にとっては、またとないチャンスというふうに考えております。 これまで、県が行った日本スポーツ振興センターや東京都等の関係機関からの聞き取りでは、木材が活用される施設は、新国立競技場のほか、レスリング会場の幕張メッセ、選手村など十四施設が見込まれております。 こうした中、これらの施設への県産材の活用を促進するため、本年一月、岐阜県東京オリ・パラ県産木材利用促進戦略を策定し、民間事業体等と連携した取り組みに着手したところでございます。二月には、県内の民間事業体、県等で構成する岐阜県東京オリ・パラ県産木材利用促進協議会を立ち上げ、本県の競技団体関係者にオブザーバーとして就任いただくなど、オール岐阜県で強力に活動を行う体制を整えてきたところでございます。また、県産木材を売り込むための製品カタログなどの準備も進めております。 つい先日、私みずから競技大会組織委員会の森会長を初め、役員の方に要望活動を行ってまいりました。例えばレスリング競技用のマットの土台にヒノキを使う提案、貴賓室に設置するテーブル、椅子等の調度品などのPRを行ってきたところでございます。 今後は、各施設の施工業者に対し、より個別かつ具体的に県産木材の活用を提案してまいりたいと考えております。また、本県が誇る良質な木材の安定供給体制を強化するとともに、競技大会にふさわしい製品やデザインを開発する民間事業体等に対し、その経費の助成も検討してまいります。 さらに、四月からは林政部次長を東京オリ・パラ県産木材利用促進総括監とするとともに、県産材流通課と県東京事務所に対策監を配置して体制を強化してまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 林政部長 瀬上繁隆君。    〔林政部長 瀬上繁隆君登壇〕 ◎林政部長(瀬上繁隆君) 百年先の森林づくりについてお答えをいたします。 大半の人工林が収穫期を迎える中、将来にわたり森林資源を循環利用するためには、伐採後の確実な再造林が必要です。しかし、伐採跡地への植栽や下草刈りに要する経費がかさみ、森林所有者の伐採後の再造林意欲の低下が懸念されております。 このため、再造林対策として三点について取り組んでまいります。 一点目は、植栽や獣害対策への支援です。植栽については、現行の国庫補助事業の補助率六八%を八五%まで引き上げる県のかさ上げ制度を新たに創設するとともに、獣害対策では防護柵等の設置について引き続き全額補助をしてまいります。 二点目は、苗木の安定供給対策です。今後、再造林で必要となる苗木の確保のため、住友林業株式会社による岐阜樹木育苗センターとの連携や、既存生産者への生産施設の導入を支援してまいります。 三点目は、造林コストの低減です。植栽が簡単で省力化が期待できるコンテナ苗や、鹿などによる食害を防止する苗木の保護カバーの導入を促進してまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 清流の国推進部長 神門純一君。    〔清流の国推進部長 神門純一君登壇〕 ◎清流の国推進部長(神門純一君) 東京オリンピック後も見据えた競技力向上対策についてお答えをいたします。 県では、ぎふ清流国体後も岐阜方式により獲得した優秀選手への支援を継続し、引き続き選手として、また県内選手の指導者として御活躍をいただいております。昨年のリオオリンピック競泳競技で金メダルを獲得された金藤理絵選手もその一人であります。 今後は、東京オリンピックを節目として、トップレベルの選手と企業や拠点クラブとのマッチングをより一層進め、東京オリンピック後も見据えた中・長期的な視点を持って、競技力向上の核となる岐阜方式による選手育成に引き続き取り組んでまいります。 また、ポスト二〇二〇を視野に、来年度から新たに小・中学生を中心に未来を担う選手を強化指定し、早い時期からトレーニング方法等の研修や科学サポートを実施するとともに、優秀選手からの指導を受ける機会を積極的に提供してまいります。そして、こうした子供たちが将来選手として活躍し、さらに指導者となって次世代の岐阜県選手を育成するといった継続的な好循環システムを構築していきたいと考えております。 ○副議長(佐藤武彦君) 二番 恩田佳幸君。    〔二番 恩田佳幸君登壇〕(拍手) ◆二番(恩田佳幸君) 議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして、二項目三点について質問をさせていただきます。 一点目は、高病原性鳥インフルエンザ終結後の支援についてお尋ねをいたします。 本年一月十四日に、岐阜県では初となる高病原性鳥インフルエンザが私の地元山県市にて発生しました。大雪の中、発生直後から、県職員の皆様を初め市職員、警察、自衛隊、国や民間団体の方々、延べ四千六百六十人の方々の御尽力により迅速に終結することができました。ここに、御尽力をいただきました関係各位の皆様に私からも心から感謝を申し上げます。 さて、鳥インフルエンザ発生からの経過を振り返ってみると、十四日八時三十分ごろ養鶏農場から通報があり、同日十五時には中央家畜保健衛生所高度病性鑑定センターでの遺伝子検査が開始され、その結果、同日二十三時五分に高病原性鳥インフルエンザ発生が確定されました。そのわずか四十五分後の二十三時五十分からは速やかに殺処分の作業が開始され、昼夜を問わず実施していただきました。 発生直後から多くの関係者の皆様の昼夜を問わず献身的な対応により、家畜伝染病予防法第三条の二に基づく高病原性鳥インフルエンザの防疫対策についての指針に定められている二十四時間以内の殺処分も、十六日零時五十分に完了し、汚染物品の処理が開始されました。二十四時間以内の殺処分の完了には、自衛隊への速やかな要請と、要請から六時間後には作業を開始していただいた自衛隊の方々の迅速な対応があったからとも伺いました。 その後の十七日二十三時には、目標とされていた七十二時間以内の埋却などの防疫措置も完了し、継続的な関係各位の御尽力により、二月一日には搬出制限区域の解除、八日には移動制限区域の解除も整いました。 このたびの鳥インフルエンザの発生を踏まえた今後の対応等については、午前からの代表質問に対して、新たな対策を講じるとの知事の御答弁もお聞きし、より安全・安心が担保されるのではないかと感じるところでもございますので、私からは、発生農場と周辺農場の現状における県による支援等についてお尋ねをさせていただきます。 県内では初めて鳥インフルエンザが発生しましたが、発生農場はこれまでも先進的な施設整備を行い、野鳥や他の動物等も施設内に入ることができない鳥インフルエンザ対策も十分に整え、企業努力もしっかり行ってこられました。でき得る限りの努力をしてきたにもかかわらず、鳥インフルエンザが発生した現状は、農林水産省の疫学調査チームによる発生農場への現地調査からも明らかになっています。発生農場を初め、周辺農場も先行きの不安定な現状だと感じます。 そのような中、山県市や農業関係者の方々は、このピンチをチャンスに変えていこうと頑張っています。市内の農産物直売所等に安全性を告知するビラを配布するとともに、三月十一日、十二日にはJR岐阜駅にて山県市の観光物産フェアの開催が予定されております。その会場において、お手元に配付をさせていただきました「ご心配おかけしました。山県市の鶏卵、鶏肉は清浄性確認検査で異常なく、移動制限解除されましたので、販売を再開しております」との販売再開を告知するこちらのビラの配布など、(資料を示す)安全性が確認されることを広く知っていただく広報活動も行っています。また、市内外の各種イベントでも、有志の方々が養鶏卵応援企画として、山県市の卵を使用したオムライス等のメニューを提供し、それぞれの立場でできることを実施している状況です。 現在、山県市内では、養鶏はもちろん、多くの畜産全般、農業全般で若い経営者の方々が力を合わせて活躍をしています。農業関係者はもちろんのこと、市役所職員の皆さんや県の職員の皆様にも御指導をいただきながら、持続可能な経営や魅力ある付加価値の高い商品開発、新たな販路拡大に向けての取り組み等は着実に成果も上がりつつあるところでございます。 地域柄もあり、鳥インフルエンザの発生当日は大雪の中ではありましたが、地元自治会の皆様からは、懸命に作業に従事していただく関係者の皆様へ炊き出しなどを行いたいとの善意の申し出もありました。また、埋却処分中には、五メートル掘り下げたこともあり、水が出たことから、予定地に埋却し切れなくなったときも、隣接する地権者の方の御厚意と御協力により迅速な用地の確保ができ、埋却処分も無事完了ができました。本当に地域を挙げて現状の課題の解決に取り組まれていらっしゃいました。 また、移動制限区域の中にある農場の中には小売を行う農場もございます。営業再開後は、予約をしなければ店頭で購入することができないほどの状況でもありました。また、若い担い手の経営者も見えることから、ネット販売等も行っており、全国からも応援する意味も込めて多くの注文があったそうです。 私も各農場を回らせていただき、それぞれの御意見や現状を伺いつつ、全国からの温かい応援や、発生農場はもちろんのこと周辺農場の皆さん、地元自治体や関係者の方々も一生懸命に頑張っている姿を目の当たりにし、この現状をしっかりと伝え、責任を持って支援を行っていかなければならないと痛感しているところでもございます。 発生農場の営業再開への支援や周辺農場への支援、今後の風評被害を起こさせないための取り組みについて、県として強力な支援をいただきたいと思います。ここで各種支援を行うことにより、農場の方々は必ずやより一層活躍ができ、地域を支える産業の一翼を担っていただけるはずです。 そこで、このたびの鳥インフルエンザの終結後の支援について、農政部長に二点お尋ねをいたします。 一点目に、発生農場及び周辺農場に対しての支援についてです。 これまで述べましたように、発生農場は先進的な施設整備を実施し、鳥インフルエンザ対策も十分に実施してきました。企業努力でできる限りの努力をしてきた発生農場が一刻も早い営業再開を迎えることができるよう、発生農場への支援と制限区域内の周辺農場への支援について、農政部長にお尋ねをいたします。 二点目に、今後、風評被害を生じさせない取り組みについてお尋ねをいたします。 制限区域内の周辺農場は、営業が再開され一カ月余りが過ぎてまいりました。現在は、市内はもちろんのこと、県内、全国から応援していこうという機運を感じておりますが、今後を考えると心配もございます。そこで、県を挙げての広報活動やイベント等での卵の消費拡大など、風評被害を生じさせないための県の取り組みについて、農政部長にお尋ねをいたします。 次の質問に入らせていただきます。 次に、工場用地開発による企業誘致を実施する市町村との連携及び支援並びに県の工業団地開発の考え方についてお尋ねをいたします。 これまでも企業誘致や企業立地に対して議会でも多くの提案がなされておりますが、私からは、東海環状自動車道西回り区間の開通を見据えた工場用地開発、そして、現在県内で活躍する既存の企業の流出を防止する工場用地開発との観点から御質問をさせていただきます。 岐阜県では、東海環状自動車道の完成を見据え、県はもちろんのことでございますが、沿線自治体においても企業誘致・立地の各種事業が進みつつあります。東海環状自動車道の全線開通に向けて、今年度も二百億円の負担金とインターチェンジへの接続道路の建設のため多額の予算が計上される中、インターチェンジの完成目前の自治体では、この機を逃すことのないように、企業誘致や既存の企業の拡充等に力を注いでいるところだと見受けられます。 そして、岐阜県では、平成二十六年度工場用地需要調査結果から、平成三十二年度までに三百ヘクタールの工場用地を市町村と連携して開発する新たな企業誘致戦略が計画され、毎年企業誘致のために約三十億円の予算も計上されています。企業立地促進事業補助金等の支援もあり、平成二十八年上期の工場立地件数は二十一件で全国四位、立地面積では十九ヘクタールで全国九位と、これまでの県の取り組みにより、常に企業誘致、企業立地は全国的にも高水準を記録してきました。 東海環状自動車道西回り区間本体工事でも具体的な完成年度が示され、目に見える大規模な事業が実施される中、沿線自治体にも企業の進出の動きが具体的になりつつあります。東海環状自動車道西回り沿線では、約七十ヘクタールの(仮称)池尻・笠神工業団地の開発の検討が進められ、企業進出も期待されるところと見受けられます。今後、県には沿線自治体とこれまで以上の連携を強めていき、これまでの開発可能性調査の継続や拡充、企業誘致や企業立地に適した場所の情報発信、開発に関する手続等の支援など、引き続き積極的に行っていただき、東海環状自動車道の開通を見据えて、最短で最大の効果を上げることができる取り組みを実施していく必要があると考えます。 東海環状自動車道東回りにて一例を挙げさせていただけば、関テクノハイランドでは、東海環状自動車道の開通後おおむね一年で、十六区画に企業が進出を決定されました。景気の動向や社会情勢に違いはあるものの、東海環状自動車道東回りの区間の完成後の企業の動向を考えると、西回りの沿線自治体では、まさに今、企業誘致のための工場用地開発に取りかからなければなりません。 改めて申し上げるまでもなく、開発には適地調査、構想調査、基本調査、基本設計、環境調査、協定締結、実施設計、用地買収、造成工事、附帯工事などの段階があり、開発には非常に長い期間が必要となります。工業団地造成であれば四十ヘクタール以上から環境アセスメントも必要となり、山間部での大規模な開発であれば、七年から八年程度の期間が必要ともなります。西回りに多い農地を活用して造成を行った場合でも、好条件であったとしても三年から四年の期間が必要となります。適地調査から造成工事まで長い年月が必要となる開発ですので、平成三十一年度に開通予定の地域では、現在計画が進んでいる開発でなければ開通と軌を一にすることが難しい現状でもございます。これまでの動向と開発に必要な期間を勘案し、東海環状自動車道のインターチェンジが開通する際に機を逃すことのないように、迅速に企業誘致、企業立地を進めるためには、県が主導的に開発に乗り出すことも必要ではないかと考えます。 県では、岐阜県土地開発公社が中心となって、行政施策を円滑かつ効率的に推進するため、公共用地・公用地等の先行取得及び工業団地等の造成工事等を行い、地域の秩序ある整備や効率的な企業誘致のための事業が進められております。その土地開発公社が行う開発では、市町村では実施が困難な大規模な開発を中心に行われています。小規模な開発に関しては市町村が事業主体となり、その開発に対する手続等の支援や適地調査など支援を行っていただいています。 しかし、まとまった土地がない、土地があったとしても接続道路が狭い、農地転用ができない、急傾斜の山が多く採算がとれないなど、このようなケースはたびたびあります。県内の自治体の中では、そもそも県が行う大規模な開発の対象とならない自治体もございます。 その一方で、工場立地動向調査の平成二十二年から平成二十七年までの製造業における敷地面積規模別立地件数を確認すると、九一%の企業が三ヘクタール未満で用地を取得している現状でもございます。偶然にも大規模な開発に適していない地域だったがために、県の土地開発公社が行う開発が実施されない現状は残念なことですし、東海環状自動車道のインターチェンジの開通は、恐らく今後二度と経験することのない大規模な変化でもありますので、開通により魅力が高まる自治体への県による直接的な開発を期待するところです。もちろん、それぞれの自治体でもこれまで以上の努力を行っていくものの、一度くらいは開発の機会がめぐってきてもいいのではないかとも感じます。 また、県内企業が用地を課題として県外に流出した例はないと伺っていますが、開発が行いやすい地域とそうでない地域によって県内の基礎自治体間での企業の流出はあり、開発が困難な自治体では大きな課題の一つでもございます。企業が拡張する際に適した土地がなく、他市に本社機能ごと移転するようなケースを拝見すると、企業立地に不利な自治体は企業が転出し、働くところがなくなる、働くところがないから人がいなくなるといった悪循環にも陥ってしまいます。 東海環状自動車道の沿線自治体の中には、工業用団地として好適な候補地に乏しく、県が実施するための開発条件を満たさない地域では企業誘致が迅速に進まない地域もございます。また、規模の小さい基礎自治体では、これまでの企業誘致や工業団地開発に対して、限られた経験の中、限られた人員で工業団地開発や企業誘致に懸命に取り組んでいただいているのが現状です。 このようなことからも、これまで大規模な開発に適した候補地に乏しく、基礎自治体の独自の努力だけでは開発が進みにくい地域で、今後、東海環状自動車道のインターチェンジが開通する自治体には機を逃すことのないように、採算性が見込まれる候補地においては、これまで以上の支援と、これまでの開発規模にとらわれることのない、県が主体となった開発を実施していただきたいと思います。 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。 東海環状自動車道西回り区間の開通を見据え、工場用地開発を計画する沿線市町も多くあります。一方で、企業誘致や工場用地開発についてのノウハウ、経験を持つ職員が不足しているという現状もあります。今後、西回り沿線市町とどのように連携及び支援をしていかれるのでしょうか。あわせて、市場のニーズを捉え、インターチェンジ開通の機を逃すことなく効果を最大限発揮していくためにも、県としても、これまでの開発規模にとらわれることなく工業団地開発を検討していく必要があると考えますが、商工労働部長の御所見をお尋ねいたします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(佐藤武彦君) 農政部長 高木敏彦君。    〔農政部長 高木敏彦君登壇〕 ◎農政部長(高木敏彦君) 鳥インフルエンザについて二点御質問がございました。 まず、発生農場及び周辺農場への支援についてお答えをします。 二月八日の移動制限区域解除後、速やかに知事から農林水産大臣政務官に対し、原因の究明と発生農家に対する十分な財政支援などを要望したところでございます。その結果、発生農場に対し、殺処分したニワトリや埋却した卵、餌などに国から交付される手当金につきましては、今年度中に交付される見込みであります。 なお、今後の農場再開に向けて、引き続き農場内の衛生管理などを指導してまいります。 また、周辺農場につきましても、現在、制限区域設定に伴う出荷自粛等による損失についての調査を行っているところであり、今年度中に補償できるよう進めてまいります。 今後、国における原因究明を見きわめながら、再び県内で鳥インフルエンザが発生しないよう、養鶏農家に対し、動力噴霧器や車両消毒器などの防疫資材への助成や、県内全養鶏農家への消毒用消石灰の配布などの予防措置を徹底してまいります。 次に、風評被害を生じさせないための取り組みについてお答えをします。 先ほどお示しいただきました山県市のように、さまざまなところで安全性のPRに御努力をいただいておるわけでございますが、県におきましても、発生後速やかに、県ホームページで鶏卵や鶏肉の安全性などを改めて周知するとともに、県民の皆様からの不安にお応えするための相談を保健所で受け付けております。また、県養鶏協会が発行するパンフレットにおきましても、鳥インフルエンザウイルスに汚染された鶏卵や鶏肉は市場に流通することがないこと、鶏卵や鶏肉を食べたことにより人に感染した事例はないことなどの安全性をPRしてまいります。今後とも、JAや畜産関係団体などとも連携をしまして、アンテナショップ、ジ・フーズや農業フェスティバルなどでのイベントを活用して、正確な情報提供と安全性について周知してまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 河合孝憲君。    〔商工労働部長 河合孝憲君登壇〕 ◎商工労働部長(河合孝憲君) 工場用地開発に関連しましてお答えをいたします。 県では、昨年度より、市町村にかわって県が直接候補地の開発可能性調査を行うなど、市町村の迅速な工場用地開発を後押ししておりますが、これまで十一カ所のうち六カ所を東海環状自動車道西回りエリアで実施をしております。来年度はさらに西回りエリアで工場用地開発を推進する市町との推進連絡会を発足し、土地開発規制の厳しいこの地域固有の課題の解決に向け、連携して取り組むとともに、工場用地開発に関する勉強会や、開発手順や関係法規制手続等をまとめたハンドブックの作成などを通じて、市町担当職員のスキルアップ支援を行ってまいります。 また、現在、二〇二〇年度までに新たに三百ヘクタールの工場用地開発を目標に進めているところですが、今後の工業団地開発につきましては、市町村の開発計画並びに企業の立地需要などを総合的に勘案しつつ検討してまいりたいと考えてございます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(佐藤武彦君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後二時五十九分散会 ……………………………………………………………………………………………...