• "新規高校卒業者"(/)
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  1. 岐阜県議会 2017-02-01
    03月10日-04号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    平成29年  2月 定例会(第1回)…………………………………………………………………………………………… △議事日程(第四号)                 平成二十九年三月十日(金)午前十時開議 第一 議第一号から議第五十八号まで 第二 請願第二十九号から請願第三十三号まで 第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第一号から議第五十八号まで 一 日程第二 請願第二十九号から請願第三十三号まで 一 日程第三 一般質問…………………………………………………………………………………………… △出席議員 四十六人      一番   中川裕子君      二番   恩田佳幸君      三番   牧村範康君      五番   澄川寿之君      六番   山田実三君      七番   若井敦子君      八番   広瀬 修君      九番   布俣正也君      十番   伊藤英生君     十一番   水野吉近君     十二番   国枝慎太郎君     十三番   山田 優君     十四番   長屋光征君     十五番   高殿 尚君     十六番   田中勝士君     十七番   加藤大博君     十八番   酒向 薫君     十九番   高木貴行君     二十番   野村美穂君    二十一番   太田維久君    二十二番   山本勝敏君    二十三番   松岡正人君    二十四番   篠田 徹君    二十五番   小原 尚君    二十六番   水野正敏君    二十七番   脇坂洋二君    二十八番   野島征夫君    二十九番   伊藤秀光君     三十番   川上哲也君    三十一番   松村多美夫君    三十二番   平岩正光君    三十三番   佐藤武彦君    三十四番   森 正弘君    三十五番   小川恒雄君    三十六番   村下貴夫君    三十七番   矢島成剛君    三十八番   渡辺嘉山君    三十九番   伊藤正博君     四十番   足立勝利君    四十一番   尾藤義昭君    四十三番   駒田 誠君    四十四番   藤墳 守君    四十五番   早川捷也君    四十六番   玉田和浩君    四十七番   岩井豊太郎君    四十八番   猫田 孝君…………………………………………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長         宗宮正典 総務課長         松永吉平 議事調査課長       山田 恭 議事調査課管理調整監   福田勝司 同    係長      豊田弘行 同    係長      佐橋 誠 同    係長      堀 寛宜 同    主査      森嶋 宏 同    主査      桑山 保 同    主査      高田昌司…………………………………………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事           古田 肇君 副知事          岸 敬也君 副知事          上手繁雄君 会計管理者        宗宮康浩君 秘書政策審議監      工藤 均君 総務部長         坂口和家男君 清流の国推進部長     神門純一君 危機管理部長       市川篤丸君 環境生活部長       桂川 淳君 健康福祉部長       尾藤米宏君 商工労働部長       河合孝憲君 農政部長         高木敏彦君 林政部長         瀬上繁隆君 県土整備部長       高木善幸君 都市建築部長       酒向仁恒君 健康福祉部次長(医療・保健担当)              森岡久尚君 子ども・女性局長     鈴木裕子君 観光国際局長       小原寿光君 都市公園整備局長     足達正明君 教育長          松川禮子君 警察本部長        山本有一君 代表監査委員       山本 泉君 人事委員会事務局長    近田和彦君 労働委員会事務局長    福井康博君…………………………………………………………………………………………… △三月十日午前九時五十九分開議 ○議長(矢島成剛君) 皆さん、おはようございます。それでは、ただいまから本日の会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○議長(矢島成剛君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。…………………………………………………………………………………………… ○議長(矢島成剛君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。三十六番 村下貴夫君。    〔三十六番 村下貴夫君登壇〕(拍手) ◆三十六番(村下貴夫君) 皆さん、おはようございます。 議長のお許しをいただきましたので、通告により、大きく二項目について質問をいたします。 まず最初に、養老改元一三〇〇年祭の支援について質問いたします。 この一三〇〇年祭については過去にも質問をいたしましたが、今月二十日に開幕を告げるオープニングセレモニーが開催されます。地元の一大プロジェクトでありますので、この機会に改めて伺わせていただきます。 養老改元一三〇〇年祭について、再度、簡単に御案内させていただきます。 養老改元は、西暦七一七年にこの地を訪れ、当時の美泉が持つ若返りの効能に感心された奈良時代の女帝元正天皇が、元号を「霊亀」から「養老」に改元されたことに由来しています。この出来事は、滝の水がお酒になったという親孝行の孝子伝説の起源となり、これを受け、この地はまさに養老となったわけでありますが、養老改元一三〇〇年祭は、この改元から千三百年という記念の年を祝うとともに、養老町のさらなる飛躍への願いを込めて、町民、各種団体、事業者、行政等が一体となり開催する事業であり、開催期間は今月二十日から十二月二十三日までの約九カ月間となっています。 皆様のお手元に公式ガイドブックを配付させていただきましたので、(資料を示す)御参考にごらんいただければと思います。ちなみに、このモデルは多治見市出身であります。養老ではありません。 開催中は四季に合わせて三つのテーマに構成し、春は「養老自然回廊」、夏は「養老夢幻回廊」、秋は「養老歴史回廊」と銘打ち、年間を通して養老公園一帯を主会場に四季折々の自然や名所を舞台にしながら、町内各地で多彩かつ多様な催しが展開されます。 主なイベントを紹介しますと、春は、名水百選菊水泉での若水取りや養老公園内の歴史・文化をめぐる自然探訪げんちゃんウォーキング等、夏は、孝子伝説に由来した能の演目等を舞う養老薪能や全国のひょうたん愛好家が集う全日本愛瓢会等、メーンとなる秋には、養老改元一三〇〇年歴史絵巻や、まるごと肉まつり養老、養老の魅力を体験する宝物体験型博覧会、養老まるごと玉手箱などがあります。 今月二十日のオープニングセレモニーは養老公園内の養老の滝前広場で開催され、式典のほか、県の飛騨・美濃観光大使でもある女優・モデルの鈴木ちなみさんが元正天皇役に扮した寸劇も行われます。また、養老鉄道では、期間中一三〇〇年祭をラッピングした特別記念列車が運行されますが、同日は養老駅にて、その出発式も企画されています。 去る二月の下旬には、期間限定ではありますが、鈴木ちなみ元正天皇のポスターがJR名古屋駅改札内に登場しました。また、JR、養老鉄道の車両内には中づりポスターも掲示されています。議会棟や県庁舎内にもいろいろなデザインのポスターが張ってありますので、御存じの方も多いかと思います。今月二十日に向け、機運は高まってきています。ぜひ、さまざまなイベントにお越しいただき、養老の歴史・自然・伝統を体感し、特産品や食を堪能いただければと思います。 さて、この一三〇〇年祭の開催に向けては、行政はもちろんでありますが、その企画・準備段階から町民や関係団体、民間事業者などさまざまな方々に御参加いただき、意見交換や検討を重ねてまいりました。実際、祭りの中には、地域の日として、各地区の町民が主体となる事業も組み込まれています。 また、大垣養老高校の生徒にはフリーペーパーの作成や公園内のイルミネーション企画など、一役も二役も買っていただきました。昨年十一月十七日の養老の日には、町内の全小・中学校の給食で、栄養教諭考案の奈良時代を再現した食事が提供されたと聞いています。 そうした意味で、一三〇〇年祭はまさに町を挙げての一大プロジェクトであり、養老町の将来を占う非常に重要なイベントであります。かつて養老改元が養老町の起源となったように、一三〇〇年の時を経て、人口減少や少子・高齢化が顕著となった現在に行われるこのプロジェクトは、交流人口や観光誘客の拡大、地域資源の発掘など、さまざまな面で地域活性化につながるとともに、何より事業全体を通して、今後のまちづくり、そして将来を支える人づくりを進めるものであり、養老町の持続的発展に向けて大きな転機となり得るものであります。 そして同時に、養老改元一三〇〇年祭は県においても大きな意味を持つものであると考えます。主会場となる養老公園は開園前から観光地として親しまれており、また、多種多様な施設が設置されていることから、これまで公園としてのビジョンやストーリーが曖昧なままでありましたが、県が先般策定した岐阜県都市公園活性化基本戦略において、基本コンセプトが「健康長寿の願いと命への感謝が込められた自然と歴史をたどる」と設定されました。 今後は、来園者が減少傾向にある公園の活性化に取り組むことになりますが、その再スタートに開催される一三〇〇年祭のキーワードは「絆・歴史・自然・健康」であり、基本コンセプトと合致するものであります。二年前から開催されているプレイベント、プレフェスタにより来園者数も着実に増加してきています。今回の一三〇〇年祭は養老公園の新たなコンセプトを定着させ、公園の魅力を県内外や国外に発信し、新規来園者やリピーターを獲得する絶好の機会であると言えます。 また、新体制でスタートする養老鉄道の利用者の拡大、関ケ原古戦場や大垣祭の●〔車へんに山〕行事など、注目が集まる西美濃地域の広域周遊観光のさらなる促進など、ほかにも多くの課題を抱えておりますが、この一三〇〇年祭はそれぞれの課題解決につながる契機となり得るものであると考えます。 既に県には、養老改元一三〇〇年祭の企画や準備段階に際しても助言・提案をいただいているところであり、また、公園の施設整備や道路アクセスなど財政的な面でも御支援いただいております。しかしながら、本番はこれからであります。約九カ月間にわたる長丁場であり、夏場の暑さ対策や、台風、豪雨などの時期も含み、期間中にはさまざまな問題の発生が考えられることから、公園の施設運営や情報発信など、県としてもハード・ソフトの両面からさらに積極的に御支援や御助言をいただき、一三〇〇年祭の効果を県内に幅広く波及していただければと思います。 そこで、知事にお尋ねします。 間もなく開幕する養老改元一三〇〇年祭について、県として具体的にどのような支援を進めておられるのか、お伺いいたします。 次に、一宮西港道路の早期具体化に向けた愛知県への働きかけについて質問をいたします。 東海北陸自動車道を南伸し、日本海沿岸部や中部圏・内陸部から名古屋港を結ぶ地域高規格道路、一宮西港道路については、前回定例会において議会質問として約十年ぶりに取り上げ、本県との深いかかわりについて述べさせていただきました。具体的には、中部国際空港の候補地選定に至る最大の条件として、空港アクセスのメーンルートと想定されていること、また、本県はもちろん中部圏域全体の地域経済や観光誘客、日常生活や防災上の面から、実に幅広いストック効果をもたらすと考えられることから、本県にとってなくてはならない道路であるといった内容であります。 しかしながら、御存じのとおり、愛知県の調査開始から既に相当の年月が経過していますが、次の段階に移る気配が見られないのが現状であります。この膠着した状況から道路整備を具体化していくためには、何といっても愛知県内の道路でありますので、まずは愛知県において一宮西港道路の役割や重要性を十分に認識いただくことが不可欠となります。 そうした中、現在開催中の愛知県議会において、今月二日に一宮市選出の神戸健太郎議員が、尾張西部地域の広域道路ネットワークの一環として一宮西港道路の整備推進について質問されました。その内容を要約しますと、現在、名古屋港にアクセスする西尾張中央道は貨物需要が高く、慢性的な渋滞が発生していること、尾張西部地域は日本最大の海抜ゼロメートル地帯であり、かつかさ上げされた道路がないことから、津波や高潮等の浸水被害時に広域的な救援物資や人員の受け入れが困難であることなどから、同地域の産業振興や災害対策上、一宮西港道路の整備が不可欠であるといった内容であります。 これに対する愛知県建設部長の答弁を要約しますと、同道路は、名神・新名神との広域道路ネットワークの形成、岐阜方面から名古屋港や中部国際空港へのアクセス向上、現道の渋滞対策や被災時の物資輸送などの点で重要な道路であるため、産業面や防災面等の整備効果を検討しており、引き続き計画の具体化に向けた調査を進めるといった内容でありました。この答弁自体は継続調査を進めるという結論であり、現状から目立った進捗はなく、決して満足できるものではありませんが、産業振興や防災対策等の観点から、一宮西港道路は愛知県にとっても重要な道路であるとの認識を明確に示したものであり、また何より愛知県議会の中から一宮西港道路に問題意識を持ち、早期整備を促す質問がされたことは、これまでより一歩前進であります。 また、一昨日、中部地方整備局で開催された国や関係自治体、地元経済界から成る中部圏渋滞ボトルネック対策協議会においても、出席者から一宮西港道路の重要性について意見が出されたと聞いております。本県議会としても、こうした動きを踏まえながら、働きかけを強めていかなければならないと考えています。 そこで、十二月に設立した中部国際空港拡充岐阜県議会議員連盟の活動の中で、今月末に愛知県議会の同様の議員連盟に対して、一宮西港道路の早期事業化について愛知県当局に強く働きかけるよう要望を行わせていただく予定であります。 前回の質問に対して知事からは、今後もあらゆる機会を捉えて、本道路整備の重要性及び早期具体化を国、愛知県を初めとして各方面に訴えてまいりたいとの答弁をいただいたところであります。県としても、議会とともに積極的に働きかけを進めていただきたいと考えています。 そこで、都市公園整備局長にお尋ねします。 一宮西港道路の早期具体化に向け、愛知県に対してどのように働きかけを行っていくのか、お伺いいたします。 以上で、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○議長(矢島成剛君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) おはようございます。 いよいよ養老改元一三〇〇年祭の本祭の開催ということでございます。配付されました元正天皇に扮した大変すてきな鈴木ちなみさんを起用したパンフレットも拝見しましたけれども、ちなみに三月二十日のオープニングには私自身も出席させていただく予定になっておりまして、楽しみにしております。 養老公園をメーン会場とする町を挙げての、いわば清流一三〇〇年プロジェクトということで、県としても地元の熱意に応えるべく全面的に支援するとともに、この催事を契機として養老公園の活性化を強力に進めてまいりたいというふうに考えております。 先ほど、期間を通じて地元の皆さん主催の多くの催事が公園で展開されるとの御紹介がございました。こうした動きに呼応し、IAMASなどと連携し、養老公園に新たな魅力を創造する体験型のアートイベントも計画されております。 養老公園につきましては、御指摘にありましたように、昨年十月に策定した都市公園活性化基本戦略において、「健康長寿の願いと命への感謝が込められた自然と歴史をたどる」ということを基本コンセプトとしております。これを踏まえて、既に谷沿いの園路や植栽の整備、養老天命反転地の補修、園内の案内看板の更新、遊具の改修、さらには飲食物販施設やトイレの改修など、公園の再整備を重点的に進めてきたところでございます。 また、この機会により多くの方に来園いただけますよう、実験的な試みとして公園駐車場の無料化を実施いたします。本年四月から来年三月まで、平日は全て無料、休日は春のゴールデンウイークと秋の本祭メーン催事開催期間の土・日・祝日を無料とすることを考えております。なお、この実験結果を踏まえて、関係者の御意見も伺いながら、今後の駐車場料金のあり方も検討してまいります。 さらに先月、石井国土交通大臣に対しまして、平成二十九年度開通見通しとなっている東海環状自動車道養老ジャンクション-養老インターチェンジ(仮称)間の開通を、何としても十月に開催予定の養老改元一三〇〇年祭のメーン催事に間に合わせていただくよう強く要望したところでございます。 このように、養老改元一三〇〇年祭を成功させるとともに、これを契機に、その先の養老のまちづくりへとつなげていくことを期待しております。さらには、広域的な観点から、養老という歴史的な財産と関ケ原古戦場、ユネスコ無形文化遺産の大垣祭、養老鉄道、整備が進む東海環状自動車道西回り区間などの資源を連携させ、西濃地域全体の魅力づくりを進めていくことが重要だと考えております。 ○議長(矢島成剛君) 都市公園整備局長 足達正明君。    〔都市公園整備局長 足達正明君登壇〕 ◎都市公園整備局長(足達正明君) 一宮西港道路の具体化に向けた取り組みについてお答えいたします。 一宮西港道路は、中部国際空港へのアクセス道路としてはもとより、産業面や防災面からも重要な道路であるとの認識のもと、愛知県においては、現在ストック効果の検討や計画の具体化に向けた調査が進められていると伺っております。 本県においては、一宮西港道路の早期具体化に向け、国を初め関係機関に対して提言活動を行ってきたところであります。 愛知県に対しては、昨年六月の中部圏知事会議において、知事から、中部国際空港の機能強化には一宮西港道路の整備による利便性向上が不可欠である旨を申し上げたところであり、今月下旬には、中部国際空港拡充岐阜県議会議員連盟とも歩調を合わせ、県、市長会、町村会及び経済団体などで構成する岐阜県中部国際空港対策協議会としても要望活動を行うこととしております。 今後とも関係団体などとの連携を図りながら、国や愛知県を初め各方面に対して強く働きかけを行ってまいりたいと考えております。 ○議長(矢島成剛君) 十八番 酒向 薫君。    〔十八番 酒向 薫君登壇〕(拍手) ◆十八番(酒向薫君) 議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い、「清流の国ぎふ」を支える人材の確保について、建設業の担い手確保の取り組みについて、子ども食堂についての大きく三項目について質問させていただきます。 先般、県は、県内各産業の人材不足の解決策として、「清流の国ぎふ」づくり推進県民会議の専門分科会として設置されたとのことであります。少子・高齢化に伴い、製造、サービス、観光、医療、介護、農業など、あらゆる産業で深刻化する人材不足は地域経済の最大の課題となっています。さきの知事選でも、「清流の国ぎふ」を支える人づくりは古田知事の公約の大きな一つに上げられております。 今定例会に提出された来年度予算に目を通すと、岐阜県成長産業人材育成センターの活用やぎふアグリチャレンジ支援センターの新設など、さまざまな分野における人材確保・育成のための施策が予定されております。 これまで、「清流の国ぎふ」創生総合戦略にある人口減少そのものへの挑戦として、人口が減少すること自体の解消を目指すとともに、自然減対策、出生数の増加と社会減対策、人口の流入増加と流出防止が行われてきました。しかし、いまだ当県の社会減の大きな原因である若者の県外への流出、特に就職の時期の流出防止は重要な課題となっています。この状況を打破するため、本年度から、県内出身者の学生向けにUターン促進を目的とした、清流の国ぎふ大学生等奨学金が創設されています。 奨学金については、昨今、貸与型奨学金の返還について社会問題となっております。大学などの高等教育への進学率が八割近くに及ぶ中、卒業後の不安定な雇用状況により奨学金の返還が困難になり、滞納する者がふえております。このような状況下で、国においては低所得者のための給付型奨学金の創設が決まり、二〇一七年度から一部が先行実施されることとなりました。 しかし、公的な学生への経済的支援となる給付型奨学金は批判や反対論も根強いと感じております。日本では、まだ大学などの高等教育は親や家族の責任という考えが強く、家計で負担すべきという意見があります。現実には多くの家庭において、家計に余裕がなくても子供の教育費を最優先し、その他の費用をとことん切り詰めながら、親として当然のこととして子供の成長を楽しみとして生活されていることを認識すべきものであります。 さまざまな議論がある中、奨学金は単なるばらまきと批判されないよう、県の重要な課題を解決するための施策として活用を図るべきだと考えております。清流の国ぎふ大学生等奨学金は、大学卒業後、県内での五年間の居住と就業の条件を満たすことができれば、貸与した奨学金の返還が免除されることとなっております。新聞記事では、県担当者が、対象者の学生がふえれば県財政を圧迫すると話したように、限られた予算の中ではおのずと限界が見えてきております。 ここで、県内企業への人材誘導策として、一つ鳥取県の例を紹介させていただきます。 鳥取県では、産業界と協力して鳥取県未来人材育成基金を設立し、県内に就職する大学生と卒業生の方の奨学金返還に係る助成制度を設け、U・I・Jターン及び県産業界を担う人材確保を推進しています。平成二十八年度は、県が一億九千五百万円を出資、民間から五百万円の寄附を目標に二億円の基金造成を行い、百八十人分の奨学金返還助成のために積み立てをしていると聞いております。県内の製造業、IT企業、薬剤師の職域、建設業、建設コンサルタント業、旅館・ホテル業に就職する大学生等が貸与された奨学金返還額の一部を助成するものであります。これは、奨学金そのものではなく、他制度で貸与された奨学金の返還に対し、県内企業に就職した際に助成を行うという制度であります。奨学金の返還を考え、賃金水準が高い愛知県に若者が流出している当県の実態を考えれば、賃金格差を縮めるというとてもよい方法ではないかと思います。 人材の不足は一定の業種に限った話ではなく、産業界全体の課題ですが、人口減少下であっても、イノベーションによる労働生産性の向上により経済が成長し、県民所得がふえ、県が豊かになっていくという前提に立てば、限られた予算の中でもめり張りをつけて今後の岐阜県の成長を担う産業に特に力を入れるべきだと考えております。 岐阜県成長・雇用戦略では、航空宇宙、医療福祉機器、医薬品、食料品、次世代エネルギーの五分野を成長分野と位置づけ、重点的に企業の集積、規模拡大を図っています。成長産業の人材確保を最重要課題として対策を強力に進めなければなりません。 そこで、商工労働部長にお伺いをいたします。 「清流の国ぎふ」を支える人材として、特に岐阜県成長・雇用戦略に掲げる成長五分野を支える人材確保を強力に進めるために、奨学金等を活用するなど、今後どのように取り組んでいかれるのか。 次に、岐阜県医学生修学資金についてお伺いをいたします。 県の人材確保における諸政策において、この修学資金制度は早くから実施されており、その実績もあることから、今回代表して取り上げさせていただきます。 この岐阜県医学生修学資金は、県内の医師が不足する地域の地域医療の確保を図ることを目的に、将来県内の医療機関において勤務し、地域医療に貢献する意思のある医学生に対して修学資金の貸し付けを行っています。この修学資金を医師免許取得後、県内の臨床研修病院で初期臨床研修を実施し、その後一定期間、岐阜県内の医療機関において勤務するなどの一定の条件を満たした場合には、修学資金の返還が免除されることとなっております。 医師の確保は重要な課題であるとともに、多くの議員が質問されるように、医師の地域偏在の課題も挙げられています。これらは決して当県のみではなく、他県、他の地域にもある課題です。さきの十二月定例会の平岩議員の質問に対する健康福祉部医療・保健担当次長の答弁では、課題解決のため、修学資金制度の返還免除要件を見直すとの発言もありました。 修学資金制度による県内勤務期間後、どのぐらいの医師がどの地域に残っているのか。修学資金制度の内容については、他県などとの比較、研究が十分行われているのか。単なる給付金額のみの競争とならないように、仕組みが検討をされているのか。また、岐阜大学の地域枠、自治医科大学卒業医師などとの制度間での位置づけはどうなっているのかなど、他県、市町村、民間病院など同じような目的で制度が設けられている中、現在の制度内容で成果が得られているのか、課題はどこか、よく精査する必要があると考えております。 そこで、健康福祉部医療・保健担当次長にお伺いをいたします。 岐阜県医学生修学資金の制度について、政策目的への最大効果が生まれるよう、これまでの成果と課題の検証及び制度の見直しについてどのように進めていかれるのか。 次に、建設業の担い手確保の取り組みについてお伺いをいたします。 先月二十四日に初めてプレミアムフライデーが実施をされました。これは、毎月末の金曜日午後三時に仕事を終え、特別な時間にというものであります。これにより経済効果が最大一日当たり一千二百三十六億円と試算されております。顧客への対応や製造ラインの維持が必要なことや、金融、流通業界、それに中小企業は勤務時間の短縮が容易でないことなどの課題が多く見られております。しかし、経済界からは、消費の喚起策に、また古くからの働き方の見直し、そして家族との食事や旅行など、有効に時間を使って豊かな時間を過ごすことをテーマにするなど、さまざまな現代に合った働き方の改革を提案するものであります。 さて、長期にわたる建設投資の減少による市場規模の急縮により、建設業界は現従業員の雇用確保のために新卒等の採用を抑制して今まで来ました。また、建設資材の高騰、企業間の競争が激化したことによる労働者の就労環境が悪化したことにより、建設業就労者の減少が続いてきています。 そんな中、近年の復興需要、東京オリンピック・パラリンピックの開催等による建設投資の増加に伴い、建設業の人材は、今後、深刻な技術者・建設技能労働者不足になることが危惧されております。特に大都市圏の建設現場に働き盛りの中堅層が労働者として集中することなど、地方においては深刻な問題となることは明らかであります。 建設業界の本来の役割は、その時代や地域に必要な社会基盤、社会資本というものをしっかりとつくり、適切な維持管理を行い、現在から百年後も社会を支えていくことに意味があります。社会資本を整備することで、地方に新たな産業をもたらし、農林水産業の生産性や付加価値を高め、地方の自立や活性化を促すことになっております。 また、災害が発生した場合、地域の建設業者は、地域の土地の位置や形状、気候を熟知し、また、建設機材と資材等を持っているため、迅速かつ適切に応急・復旧作業などを行っていただいております。地域の住民の安全・安心を守るために欠かすことのできないのが建設業であります。地域社会にとって頼りにされている存在にあるのも建設業であります。 厚生労働省の資料では、建設業における新規高校卒業者の求人に対する未充足率は七二・五%であり、製造業の三七・二%を大きく上回っております。また一方では、高校卒業者の三年目までの離職率は四八%であり、これも製造業の二八・七%を大きく上回っております。その結果、建設業就業者は五十五歳以上の方が約三四%、二十九歳以下が約一一%と高齢化がますます進行しております。 若年者の建設業離れは、仕事の魅力を感じていても、他業種に比べて労働時間が長く、休日が少ない、仕事はきつい、危険な労働環境など劣悪な条件にもかかわらず賃金は他の産業と比べて低いことや、建設投資が下げどまっている中で、将来安定した就職先として見られていないという考えもあるわけでございます。その上、地方の建設業における若手の人材確保は、大都市との賃金格差、会社の安定性への不安などから大変困難な状況となっています。地方にとって不可欠な産業であり、建設企業の安定した経営と優秀な人材の確保が重要な課題となっております。 地方の建設企業の大半は中小企業であり、公共工事への依存も高いことから、建設業の担い手確保のためには、発注者である県が果たす役割も重要だと考えております。適切な予定価格の設定、適切な利益が確保できる環境づくり、若手人材を確保する企業が優遇される仕組みなどを積極的に進めるべきものだと考えております。 若手人材の確保に向けた取り組みは、他県でも積極的に進められております。例えば石川県では、平成二十七年八月より、土木部が発注する建設工事において「いしかわ土日おやすみモデル工事」を実施しております。この内容のモデル工事としては、一、土・日を休日とした工程計画を立てる。二、工事現場に土・日を休日とすることを記載した工事看板を設置する。三、モデル工事による効果・課題についてアンケートを実施するといった内容であります。そのほかの県でも、高校、専門学校からの安定的な入職を確保するために、学校との連携事業を強化したり、建設業のイメージアップ、若年層の賃金水準の引き上げを図る施策などが実施をされております。 そこで、県土整備部長にお伺いをいたします。 建設業の若手人材の確保のためには、若年層の処遇を改善していく必要があると考えております。就労環境の向上や適切な賃金水準の確保に県はどのように取り組んでいくおつもりでありますか。 もう一つ、建設業の担い手確保に欠かせないのが女性であります。 ドボジョという言葉を聞かれた方も多いと思います。これは、土木系の仕事や学問に携わっている土木系女子のことです。建設会社に勤める女性を主人公に描いた漫画「ドボジョ!」が注目を集めたこともありました。ほかに、理系女子をリケジョ、農業系女子をノウジョ、広島カープを応援する人をカープ女子、私の地元の関の刃物を応援する人を刀剣女子と呼んでおります。皆さん、御承知でしょうか。 女性の活躍なくして、これからの日本の活性化はありません。県では今年度、清流の国ぎふ女性の活躍推進計画が策定されることが予定されております。また、国においては、一億総活躍社会の実現ということで、女性の活躍をしっかりと応援していくという施策が組まれております。今月八日には、女性が働きやすい工事現場の実施を目指して、揖斐川町の国土交通省越美山系砂防事務所では、女性十一名で「けんせつ小町隊」を結成されたとのことであります。 建設業での女性の活躍には、女性のライフサイクルに応じ、女性の建設業への入職、定着・就労継続、家庭と現場の両立の三つの障害があると言われております。建設現場において、女性を生かせる職種の掘り起こしや、トイレ・更衣室・託児所等の職場環境の整備、女性の活躍の発信など、女性がもっと活躍できる環境づくりを進めていく必要があると考えております。 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。 建設業においても、新たな担い手としての女性の活躍の場として期待がかかっております。女性が活躍できる環境づくりにどのように取り組んでいかれるのか。 最後に、子ども食堂についてお伺いをいたします。 子供の貧困問題への国民の関心が高まり、新聞報道では、子ども食堂の言葉をよく見聞きするようになりました。全国で子ども食堂の取り組みが急速にふえているとのことでありますが、子ども食堂とは一体何なのか。誰のために、何のためにこの子ども食堂をやっているのかとの疑問とか戸惑いの声もよく聞くわけであります。 厚労省が発表した二〇一二年の国民生活基礎調査の概要では、国民の平均的所得の半分を下回る世帯で暮らす十八歳未満の子供の割合は一六・三%、子供の六人に一人が相対的貧困と呼ばれる状態になっております。ひとり親家庭の貧困率に限っては五四・六%と突出しており、OECD加盟国三十四カ国の中、最下位となっております。このような状況で、困窮家庭や孤食の子供に食事を提供し、安心して過ごせる場所として民間主体の取り組みとして広がってきたという経過があります。こうした活動は古くからあったと思われますが、子ども食堂という名前が使われ始めたのは二〇一二年、東京都の八百屋さんの活動からではないかと言われております。 子供の困窮の問題に対しては、議員立法により二〇一三年、平成二十五年、子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立をいたしております。この法律は、第一条で、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることないように、貧困の状況にある子供たちが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るとうたっております。その目的を達成するために、子供等に対する教育の支援、生活支援、就労の支援、経済的支援等の施策を国の責務とするとともに、実際に国民とつながる地方公共団体にその達成の責務を負わせています。県でも各部局を横断する支援が求められ、これを達成するために積極的な取り組みが進められています。 しかし、この子ども食堂は国の施策の一環として進められておるわけではございません。先ほど申し上げましたように、民間団体、NPO法人などが主体となって取り組みが広がってきているというのが現状でございます。そのために、子ども食堂に明確な定義があるわけではございません。 新聞報道等による全国の取り組みを見ると、地域の全ての子供や親、地域の大人など、対象を限定しない食堂、貧困家庭の子を対象とした食堂、食堂という形をとらず、子供が放課後に自宅以外で過ごす居場所で食堂を出しているところもあります。開催頻度は月一回が四割くらいとなり、月二、三回、週一回と続き、週五回以上取り組んでいるところもあると聞いております。時間帯については平日の夜が多いようですが、登校前の朝食のほか、給食のない土・日の昼食や長期休暇中心に取り組むところもあると聞いております。また、子供の料金は、お手伝いなどの条件をつけることを含め、無料が五割強、有料の場合でも百円から三百円くらいの設定が多いとのことであります。 私なりに説明をさせていただきますと、特に対象を限定とせず、地域の交流、居場所を目的とした取り組みとする形式と、貧困家庭の子を対象にして、子供の生活課題への対応を目指す取り組み形式に大きく分けることができるのではないかと思います。対象を限定しないことで、多様な大人・子供との交流を通じ、多様な価値観が提供できること、また貧困家庭の子が来にくくなるのではないかといった懸念も払拭することができます。また、貧困家庭の子を対象とすることで、子供一人一人の深い関係を築けることで、家庭の課題解決へとつながりやすいなどのメリットがあります。 また、その一方では、この取り組みの形式によりまして、メリットはもう一方のデメリットとなることも考えられるわけでございます。地域のつながりの希薄化や離婚、核家族等による支え合いの減少が貧困に強く結びついていることを考えれば、さまざまな取り組みがあってしかるべきであります。しかし、単にさまざまな形式の子ども食堂が入り乱れれば、疑問の声のとおり、これからの子ども食堂の取り組みに混乱を生じかねないと考えられます。 県内では、昨年の十一月時点で岐阜市や大垣市など六市二町の十八カ所に設置されており、主にNPO法人が運営されていると聞いております。県内でも子ども食堂の普及が急速に進んでいるように思います。息を長くして取り組んでいくことが求められる取り組みだからこそ、県民の疑問が生じないよう、ここで、県として何を応援したいのか、目指すところは何なのかをしっかり整理すべきだと思います。明確にする必要があると思います。 そこで、子ども・女性局長に二点お伺いをいたします。 一点目として、子ども食堂の運営に対して、どのような意図を持って、どのような支援を行っていくのか。 二点目として、子ども食堂の運営における課題をどのように捉え、対策をどのように講じていくのか、以上についてお尋ねをしたいと思います。 以上で私の質問を終わりますが、いずれも県民ファーストの立場で御答弁いただきますようよろしくお願いをいたします。御清聴どうもありがとうございました。    (拍手) ○議長(矢島成剛君) 商工労働部長 河合孝憲君。    〔商工労働部長 河合孝憲君登壇〕 ◎商工労働部長(河合孝憲君) 成長分野における人材確保に向けた取り組みについてお答えをいたします。 岐阜県成長・雇用戦略の着実な推進には、成長五分野を支える人材の確保が大変重要であり、県内中小企業の人材確保へのさまざまな取り組みの中でも、意を配し進めているところでございます。 例えば昨年のオール岐阜・企業フェスには四十一社、産学金官連携プロジェクトの推進協議会には三十八社と、参加企業の二、三割を成長分野の企業が占めておりますし、また先月には、都内において航空宇宙産業への転職希望者向けセミナーも開催したところでございます。今後も、こうした県内外での取り組みとともに、成長産業人材育成センターでの専門人材の育成とあわせ、必要な人材を確保・支援してまいります。 また、成長分野への奨学金の活用につきましては、清流の国ぎふ大学生等奨学金がスタートしたばかりでもあり、また、他県の取り組みもまだ実績が出ていない状況であることから、これらの動向も見きわめながら検討してまいりたいと考えております。そして、まずは清流の国奨学金の対象学生に対し、成長分野企業の情報提供も含め、アプローチを強化してまいります。 ○議長(矢島成剛君) 健康福祉部次長医療・保健担当 森岡久尚君。    〔健康福祉部次長医療・保健担当 森岡久尚君登壇〕
    健康福祉部次長医療・保健担当(森岡久尚君) 岐阜県医学生修学資金の成果と課題の検証及び見直しの進め方についてお答えいたします。 大学医学部在学中に修学資金の貸与を受け、返還免除要件を満たすために県内医療機関に勤務している医師は現在九十二名となるなど、本制度は県の医師の総数確保に寄与しているものと考えております。しかし、依然として医師不足が深刻な地域や医療機関が見られ、地域などによる偏在の課題があると承知しております。このため、修学資金制度の貸付金額や返還免除要件等について、他県の事例も参考にしつつ、医療審議会で御意見を伺うなど見直しを検討してきたところです。現在のところ、まずは僻地や特定の診療科で勤務した場合、返還免除要件の業務従事期間を短縮するなどの方向で見直しができないか検討しております。今後は、さらに地域医療対策協議会などで地域医療関係者の御意見も伺い、見直しを進めてまいります。 あわせて、修学資金貸与制度を効果的に運用するため、医療機関側の研修受け入れ環境の充実が必要であると考えており、来年度から新たに専門医研修の指導医を確保するための事業に取り組む予定です。 ○議長(矢島成剛君) 県土整備部長 高木善幸君。    〔県土整備部長 高木善幸君登壇〕 ◎県土整備部長(高木善幸君) 建設業の担い手確保の取り組みについて二点御質問がありました。 最初に、若手人材の確保に向けた取り組みについてお答えします。 建設業の担い手確保には若手人材の確保が重要であり、適切な賃金水準の確保や週休二日制の導入、社会保険への加入など、就労環境の向上が必要であると考えています。このため県では、公共事業の発注に当たって、市場における取引価格を的確に反映した労務単価等の設定に努めるとともに、年間を通じて仕事量の変動を少なくするための工事発注時期の平準化や工事書類の簡素化、社会保険未加入業者の排除などにより企業が適切な賃金水準を確保し、従業員の就労環境を改善できるよう取り組んでいます。 また、若い世代の建設業への理解も重要であることから、工業高校生や小・中学校の親子を対象とした現場見学会も実施しているところです。 こうした取り組みに加え、来年度から工事現場を週休二日とするモデル工事を試行し、週休二日制の導入を促進するとともに、導入に向けた課題を検証することとしています。今後ともこうした取り組みを進め、建設業を担う若手人材の確保に努めてまいります。 次に、女性が活躍できる環境づくりについてお答えします。 県では、昨年度から、女性技術者の配置を優先した入札制度の試行や、女性を対象とした現場見学会や意見交換会の実施など、女性が活躍できる環境づくりに取り組んでいるところです。今年度実施した意見交換会では、現場で働く女性からは、女性は要らないと言われたことがあるという意見や、ものづくりに興味がある、現場を管理することは楽しい、女性用のトイレや休憩所があるとよいなどの意見や、学校の先生からは、職場環境が気になり、就職を勧めてよいか迷うことがあるなどの意見をいただきました。 県としましては、こうした意見を踏まえ、現在行っている取り組みを継続するとともに、来年度新たに洋式トイレや女性に配慮した休憩所の設置を経費の対象とできるモデル工事を実施することとしています。また、女性の業務範囲の拡大にもつながるドローンや自動制御の重機等を活用したICT技術の導入についても推進したいと考えています。 今後とも、現場で働く女性や建設関係団体など関係者の意見を十分踏まえ、女性が活躍できる環境づくりに取り組んでまいります。 ○議長(矢島成剛君) 子ども・女性局長 鈴木裕子君。    〔子ども・女性局長 鈴木裕子君登壇〕 ◎子ども・女性局長(鈴木裕子君) 子ども食堂につきまして二点御質問いただきました。 まず、運営に対する支援の考え方についてお答えします。 貧困の状態にある子供たちの中には、経済的な理由や複雑な家庭環境により十分な学習機会が得られていない子供がいるとの認識から、県では平成二十七年度以降、教員OBや学生のボランティアなどによる学習支援の取り組みを行ってきました。しかしながら、子供と接する中で、孤食や基本的な生活習慣が十分身についていないなど、生活面での支援も必要であることがわかってまいりました。 このため県では、こうした子供が気楽に参加できる居場所づくりとして、市町村が行う子ども食堂の取り組みを来年度から支援することといたしました。具体的には、生活困窮世帯やひとり親世帯の子供などを対象に、無料または低価格で食事を提供する取り組みに対し、食器や食材の購入費など必要経費の二分の一を補助いたします。このように、子供に安心できる居場所を提供し、生活面・学習面の両面から支援することで、貧困の状態にある子供の健やかな育成と自立につなげてまいります。 次に、運営における課題と対策についてお答えします。 現在、県内に設置されている子ども食堂は、実施地域が限定されているほか、いずれも民間支援団体などの自主運営であり、財政基盤に課題があると考えております。このため、先ほど申し上げましたとおり、子ども食堂の取り組みに対し補助制度を新たに設けたところです。 また、現時点においては、県内市町村の子ども食堂に対する意義や必要性についての認識に温度差があるのが実情です。こうしたことから、来年度実施する市町村の成果を未実施市町村へ情報提供する機会を設けることで、より多くの地域で子ども食堂が実施されるよう取り組んでまいります。また、子ども食堂に参加することで、子供たちが差別やいじめの対象にならないかという懸念については、対象者を限定せず、広く呼びかけを行うなど、事業の実施方法に配慮するよう市町村に対し助言してまいります。 ○議長(矢島成剛君) 一番 中川裕子君。    〔一番 中川裕子君登壇〕 ◆一番(中川裕子君) それでは、発言通告に基づきまして、日本共産党の代表質問を行います。 まず初めに、平成二十九年度当初予算と組織改編についてお聞きします。 新年度予算案は、「清流の国ぎふ」を支える人づくり、地域の魅力を活かした「清流の国ぎふ」づくり、安心・安全な「清流の国ぎふ」づくりという三本の柱で構成されています。その中には、後で関連の質問をしますが、中小企業総合人材確保センターの開設や、Uターン就職促進のための清流の国ぎふ大学生等奨学金の拡充、子ども食堂に対する支援、西濃地域における高等特別支援学校の整備など、県民が要求してきた重要な予算も含まれています。一方、歳入面では、県税収入の減少が見込まれています。すなわち、県民所得が減少したということであり、こうした予算案からも県民生活の厳しさがあらわれていると思います。 それを踏まえ、今回の当初予算案について問題点を三つ述べます。 一つ目は、依然として箱物中心の施策が多いということです。県内の豊富な観光資源を一層魅力あるものとして観光産業の基幹産業化を図ることは否定をしませんが、その内容が箱物中心となっていることが問題です。これについても後で質問をいたしますが、関ケ原古戦場では関ケ原古戦場ビジターセンターの建設、かかみがはら航空宇宙科学博物館は、成長産業支援と観光誘客の拠点との位置づけですが、当初、総事業費約三十億円でリニューアルする説明でしたが、四十九億円に増額されました。どちらも今後の維持管理費が幾らになるのか、管理運営をどのように行っていくのか、地元の市町と十分な合意ができた上でスタートしたわけではありません。 過去の岐阜県は、大型公共施設を建設した後の維持補修費、維持管理費が莫大になり、行政改革アクションプランでは、七施設が休廃止、八施設が機能見直し、七施設が県以外の事業主体へ移管をされてきました。さらに、県公共施設等総合管理基本方針にあるように、大規模な県の公有施設のうち、二十年後には約六割が築五十年を超え、老朽化するとの見通しもあります。新たな大型施設の建設について、維持管理費など将来の負担も含め、慎重になるべきと思います。 二つ目は、県債残高がふえ続けているという点です。県債、いわゆる借金は、今年度新たに一千百五十七億円の発行が予定され、県債残高も増額しています。一九八九年と二〇一七年、この二十八年間の県債残額を比べますと、その額は四・七四倍にまで膨れ上がっております。平成二十七年度の監査委員による歳入歳出決算審査意見書でも、県債残高全体の増加が指摘され、県財政は依然として厳しい状況にあるとコメントされています。 新年度に発行予定の県債の主なものを申し上げます。多いものは、直轄道路事業負担金約二百十七億円、道路新設改良費約七十億円、防災行政無線整備費約二十四億円。具体的には、東海環状自動車道西回り区間及びインターチェンジアクセス道路の整備促進事業が、事業費約二百三十億八千万円のうち県債が約二百十億八千万円、濃飛横断自動車道中津川工区、事業費約九億円のうち県債が約三億六千万円などが挙げられます。これらの事業は、国の直轄や国にかわって県が進める事業ですが、今述べたように、国からの支出金は少なく、県債の発行が強いられています。県債残高がふえ続けているのは、こうしたことが要因です。知事がこうした事業を優先していく限り、県財政の健全化は不可能です。 以上を踏まえ、知事にお聞きします。 厳しい財政状況を生み出したのは、こうした大型公共施設が原因にありますが、依然として大型公共事業中心の予算編成となっております。同時に、こうした巨額の投資をしてきた箱物や道路の老朽化対策が緊急課題となっており、今後も県の財政を圧迫する可能性があります。大型公共事業を見直し、施設の老朽化対策へ予算配分の重点を移すべきではないでしょうか。 新年度予算の三つ目の問題点は、基幹道路建設などの道路建設費が目立ち、依然として車中心のまちづくりが前提となっている予算ということです。さらに、高齢者の免許更新が厳しくなり、安心して車を手放せるまちづくりが求められており、今は、次の一手として、公共交通をどう充実させるかという視点がどうしても必要です。市町村が自主運行するバスに対する県の補助は、平成十七年度と二十七年度で比較しますと、この十年間で対象路線は四百三十二路線から五百三十路線にふえましたが、県の補助金総額は約五億一千万円から約二億七千万円に半減しています。新年度予算では約三億三千万円にまで増額されましたが、それでも以前の水準からはほど遠い状況です。以前の質問では、県内の公共交通空白地区に住む人口は七・二%とのことでした。およそ、県民の十四万人から十五万人です。 そこで、都市公園整備局長にお聞きしますが、県として、公共交通空白地区の解消などを含む県全体を見据えた公共交通整備計画の策定に着手すべきではないでしょうか。 続いて、組織改編についてお聞きします。 今回発表された新年度の県の組織体制によりますと、教育委員会の社会教育文化課がなくなり、知事部局に新しい部署がつくられます。また、博物館・図書館も教育委員会を離れ、知事部局になるとのことです。社会教育は、学校教育以外全般の教育であり、全県民にかかわる重要な教育行政です。今回の組織改編で県庁内の組織から社会教育という文字が消えてしまったことは非常に不安であり、県の教育行政が果たす大切な役割を手放すことにならないだろうかと不安を感じております。 また、博物館・図書館が教育委員会から知事部局に移るとのことですが、それについて懸念される点を幾つか申し上げます。 博物館は、博物館法で明確に教育委員会所管とされています。図書館は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十二条で教育委員会が所管することになっています。地方自治法上、事務の委任等は認められてはいますが、これは例外的な規定であり、今回の組織改編は博物館法などの法の趣旨に反しており、本来のあり方から逸脱するのではないかと懸念しています。 特に、県の図書館や博物館が担っている役割というのは、目立つイベントを開催したり、観光目的の施設とは違います。県民の文化水準を上げ、生涯教育を充実させるため、流行やブームに左右されず、きちんと学術的な研究を蓄積し、県民や市町村へ情報提供していくのが役割です。当然すぐには数字にあらわれませんが、非常に大きな役割を担っております。 また、文科省が示した教育委員会のあり方では、教育行政には知事部局からの自主独立性が求められているとされています。特に博物館や図書館は、図書や展示資料の選択について政治的中立性が要請されています。 要するに、たとえ知事がかわっても、その時々の政治的な政策に左右されずに一貫して研究をしていく非常に専門性の高い部門だということです。もちろん、知事や県政を批判する資料を収集する場合もありますが、独立性の高い教育委員会から知事部局に移ることで、資料収集、資料展示において、博物館や図書館の政治的・思想的中立性がしっかり担保されるのか心配される声もあります。 これら懸念が尽きませんので、知事にお聞きします。 今回の組織改編により、文化に関する事務を知事部局へ移管する狙いは何でしょうか。 続いての質問に移ります。 給付型奨学金の創設についてです。 日本の四年制大学の学費は、この数十年で急激に増加しています。文科省によりますと、一九八五年と二〇一三年で比較した場合、私立大学では約九十一万円から百三十一万円、国立大学では約三十七万円から八十二万円と二倍以上です。しかし、児童のいる世帯の平均所得はそこまで上がっておらず、足りない学費や生活費を賄うために、今や学生の二・六人に一人が奨学金を利用しています。学費は親や家庭が負担するものという声もあるそうですが、経済的理由で進学を諦める高校生、中退せざるを得ない大学生は後を絶たないのが実情です。 二〇一二年高校生保護者調査では、経済的理由から四年制大学への進学を断念する高校生は年間二万人に上るとされています。大学進学と学費負担構造に関する研究によると、経済的理由で断念した中には、給付型奨学金があれば進学してほしかったという方も一定数おられることが明らかになっております。国では給付型の奨学金が実施されますが、対象者は住民税非課税世帯とわずかであり、進学者全体の約二%にしか行き渡りません。今の実態から見て、不十分です。 世界では、高等教育を重視し学費の無償を維持、学費をたとえ徴収しても、給付型の奨学金とセットで学生を支援し、大学への進学率が上昇している傾向があります。高い学費にもかかわらず、給付の奨学金がないのは先進国のうち日本のみで、大学進学率も先進国で平均以下となっているのが現状です。 県では、昨年の春にUターン就職の学生を対象にした清流の国ぎふ大学生等奨学金が創設されました。この奨学金には返済免除の規定があり、多くの方に喜ばれ、来年度は枠も拡大されるとのことです。 一方で、この奨学金は県外で下宿することが条件となっています。ひとり親家庭や経済的に厳しい世帯の場合、下宿すら厳しく、日々のバイト代を家の家計に入れているような事例もあります。実際に、日本学生支援機構の調査でも、自宅通学の平均の生活費は年間約三十七万円なのに対し、下宿は約百七万円、下宿する経済的余裕のない世帯に対しては、貸付金や従来の返済が必要な奨学金しかなく、最も支援が必要な家庭に対する支援のあり方として矛盾が生じています。 そこで、教育長にお聞きします。 返済免除規定がある清流の国ぎふ大学生等奨学金が大変好評です。本来は、どこで学ぼうと、どこに就職先を選ぼうと差があってはならないものです。本来の奨学金の趣旨に基づき、岐阜県内の皆が安心して学べるような支援を行うべきだと思いますが、給付型奨学金の創設の必要性についてどうお考えでしょうか。 三点目の質問に移ります。 関ケ原古戦場のビジターセンター建設についてです。 関ケ原古戦場については、その整備と活用の指針となるグランドデザインが平成二十七年三月に策定され、史跡等の案内板やサイン整備、古戦場への観光客受け入れ環境整備が推進されています。歴史上、二度も戦いの地となった関ケ原で、県民が本物の史跡に学ぶということは重要でもありますし、何より本物の史跡を身近にできることはわくわくするものでもあります。岐阜県がこれを観光資源に、観光産業の基幹産業化へ取り組むこと自体は否定するものではありません。しかし、先ほど申し上げたように、大規模な箱物中心の取り組みにはすべきでないと思います。 そこで、ビジターセンターの建設について、これまでの経緯を踏まえお聞きします。 ビジターセンターは、関ケ原町の歴史民俗資料館を増床し、古戦場を一望できる展望機能を伴った施設となる予定です。現在は、約二十億円の事業費が見込まれる基本計画に基づいて設計に取り組まれているものだと認識していました。しかし、敷地南側の関ケ原町老人福祉センターを取り壊し、その部分まで敷地を拡大することを前提に計画の変更中であることが、先日の当局とのヒアリングで明らかになりました。これによって敷地は倍となり、まだ具体的な数字はわかりませんが、敷地面積から単純に計算すると、総事業費は約四十億円から五十億円に上るのではないかとのことです。 地元の関ケ原町議が行政側から入手した資料によると、歴史民俗資料館の北側空き地を予定地としていた平成二十六年度前後に、建物と展示合わせて当初は六億六千万円の事業費が見積もられていたようです。仮に事業費が四十億から五十億円になるとすると、この数年で建物の規模、事業費が全く異なってきているということです。敷地拡大の必要性について、計画変更の前に議論をすべきです。 まず、この場所にここまで大規模な建物が本当にふさわしいのかという問題があります。そもそも関ケ原古戦場グランドデザインでは、できる限り合戦当時の眺望に近づける眺望の確保や、景観の復元を具体的事業として上げています。ビジターセンターすぐ近くの徳川家康最後の陣地では、史跡の景観にふさわしくない建物や設備を撤去するほど徹底したものです。眺望施設であるビジターセンターが合戦当時のこの場所の雰囲気とかけ離れた大規模な建物になってしまっては、せっかくの景観を損なうことになりかねません。 そもそも、このビジターセンターの敷地拡大の発端は、ビジターセンターの敷地が足りないという課題からスタートしたわけでなく、関ケ原町から老朽化した老人福祉センターを閉鎖するとの申し出がきっかけであったとのことです。関ケ原町から申し出があったからといって、敷地が広くなったら、その分建物を大きくするというのでなく、この場所に何がふさわしいのかという議論が必要だと考えます。 老人福祉センターの取り壊しに伴って、その中の高齢者用のお風呂施設が廃止になるとの見通しも明らかになりました。以前は無料で毎日利用できたそうですが、現在は週三回の開設、一回二百円の利用料がかかるにもかかわらず、年間約一千七百人の方が利用されている施設です。地元の方は、お風呂に入るだけでなく、上がってから休憩所で近所の方と話し込むのも楽しみだそうで、地元の住民の皆さんからは存続を要望する声が上がっております。地元住民が日常的に利用でき、出入りする施設こそ観光地としても成功します。このビジターセンターの計画の変更が、地元の高齢者の日々のお風呂の楽しみを奪った上でつくられるものでよいのか疑問を感じます。 観光国際局長に二点お聞きします。 一点目です。今申し上げたように、全体として関ケ原の観光施策が大型な箱物中心の計画になりつつあります。歴史的魅力を感じられるのは、大型施設ではなく、そこにある本物の史跡です。県民や町民がこの地の歴史とどう向き合うかという視点や、歴史を学んで後世に伝えていく人材の育成が必要ではないでしょうか。 今述べたように、ビジターセンターの敷地拡大を前提とした計画変更には必要性が感じられません。この計画の変更は中止すべきではないでしょうか。 二点目です。議会や県民の合意なしに計画の変更が進められ、事業規模が大きくなっていく可能性があります。建物が大きくなれば、当然この先の維持管理費の負担は大きくなりますが、その議論をする材料や情報すら説明がありません。これまでにこの議場でも委員会でも計画の変更が検討されていることの説明はありませんでした。本来であれば、将来の維持管理費まで含め明らかにすべきです。最初に示された事業計画に重みがなく、簡単に事業規模が拡大されていくことに疑問を感じます。部署は違いますが、かかみがはら航空宇宙科学博物館のリニューアル、森の恵みのおもちゃ美術館の駐車場の計画変更でも同様でした。県民や議会の意思からはかけ離れた事業の進め方は改めるべきと思います。計画変更や事業費の増額をする場合は、議会や県民の合意に基づいて行うべきではないでしょうか、お聞きをいたします。 最後の質問です。「清流の国ぎふ」を支える人づくりについてです。 新年度予算の三本柱の最初に掲げられているのが、この「清流の国ぎふ」を支える人づくりです。中小企業や観光、建設業など県内各産業での人材育成、人材確保に取り組むとの説明がありました。これに関しては全く同感であり、その前提となる働きやすい雇用の場づくりこそ県民の多くが望むことだと考えております。 介護職員の待遇改善についてお聞きします。 総務省の労働力調査によると、平成十二年と十六年で比較した場合、建設、製造、小売などで軒並み正規従業員が減る中、医療・福祉分野は雇用がふえており成長産業です。有効求人倍率を見ても、新規の求人数で最もふえているのがやはり医療・福祉分野です。離職率が高い産業分野であり、繰り返し求人が出されることで求人倍率を引き上げているとも考えられます。強い志を持って、やりがいを持って働いているという声の一方、離職率の高さは低賃金や労働条件が悪いという問題があることも示唆しています。 他の業種に比べ、介護職は賃金水準が低く、さらに同じ介護職の中でも岐阜県は周辺の県に比べ賃金水準が低くなっています。どの調査でも、隣の愛知県、石川県、滋賀県、長野県などに比べ、平均の収入は年間数十万円の開きがあるようです。そのため、岐阜県内に住む介護職員の中には、地元の岐阜で働きたいけど、少しでも給与の高い隣の県で働いているという声も耳にします。県では、介護人材の育成・確保と定着の促進のため、新年度約一億五千三百万円を計上してさまざまな取り組みをされていますが、他県との賃金格差の解消や、低賃金そのものにメスを入れる予算ではありません。 健康福祉部長にお聞きします。 十年以内に県内で約七千人の介護人材が不足すると見込まれています。地元での雇用が生まれ、今後も求人が伸びる分野です。介護職員の待遇改善や離職防止に幾つかの新規事業が提案されていますが、人材不足の根本的な原因は低賃金であり、賃金を引き上げる施策が必要ではないでしょうか。 続いて、中小企業総合人材確保センターの開設と人材チャレンジセンターのあり方についてお聞きをします。 先ほどの労働力調査ですが、二〇一六年平均の非正規雇用の割合は、調査以来最も高い三七・五%、この十年間で正規雇用が八十五万人減少する一方で、非正規雇用は二百八十一万人も増加しました。非正規雇用は不安定な雇用形態であると同時に、正規雇用と非正規雇用では生涯の賃金格差は一億円とも言われており、本人の人生設計や社会全体に及ぼす影響は大きいものがあります。 新年度の国の予算でも、同一労働、同一賃金に関する相談に応じる非正規雇用労働者待遇改善センターを各都道府県に設置する予算や、非正規雇用労働者の待遇改善の予算が計上されています。ジンチャレは、こうした非正規雇用が大半を占める中、求職者の生活の安定確保及び就職の促進を図るために平成十六年度に国事業としてスタートし、その後、県事業に移りました。非常に大切な事業だと思いますが、問題は、日々相談に当たる職員が正規雇用でなく、一年間の契約ということです。 この事業は、先ほど申し上げましたが、国事業として立ち上げられた後、平成十九年度に県事業になり、委託事業として毎年事業者はプロポーザルにて選定されています。お聞きしたところ、名称の変更があったそうですが、平成十九年度から今年度まで人材派遣会社が業務を担っているとのことです。一年間の委託事業のため、働く職員も不安定雇用となります。実際に何年も同じ業務についているのに、給与アップや正社員化は難しいと思われます。このように、求職者の生活の安定確保のため、就職支援を行う事業でありながら、現場では矛盾した実態があります。 新年度、人材不足に悩む中小企業の支援として中小企業総合人材確保センターが創設され、ジンチャレと一体で業務を委託することが明らかになりました。業務の幅は広がりますが、委託内容を見ますと、必要人員が十六名から十四名に減ります。二名については、別事業として別途委託されますので、同じ会社に委託されなかった場合、新たな失業を生み出す可能性があります。 商工労働部長に質問いたします。 人材を育てていく、人を育てることを積極的に進めると言いつつ、現場の最前線の職員の雇用が不安定雇用では親身な相談はできません。新たな体制となるに当たって、現場職員の雇用の安定化に向けてどのように取り組まれるでしょうか、お聞きをいたします。 以上、大きく四点について質問しました。よろしくお願いします。 ○議長(矢島成剛君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 私に対しては二点御質問がございました。 まず、大型公共事業の見直しと施設の老朽化対策に対する重点的な予算配分ということでございます。 申し上げるまでもなく、県有施設の老朽化対策は大変重要な課題になっております。このため、まず県有建築物につきましては、現在、個別施設ごとの長寿命化計画を策定中であり、今後これに基づいて計画的に維持補修や再整備を行うこととしております。また、こうした計画と連動して、効率的な予算管理という観点から、来年度から管財課で維持補修費を一元的に管理してまいりたいというふうに考えております。 なお、新年度予算では、県有建築物の老朽化対策予算を約百六億円から約百三十四億円に増額することとしております。具体的には、供用開始から三十年近く経過した本県のスポーツの拠点である岐阜メモリアルセンターでは約十三億円増額し、空調設備などを改修するほか、一般の方が多く利用する県民ふれあい会館では一億六千万円増額して館内設備の改修を行うこととしております。 一方、県管理道路につきましても、平成二十六年度以降、岐阜県道路維持管理指針に基づきまして計画的な老朽化対策を進めてきております。この老朽化対策予算でありますが、平成二十七年度には約百三十億円から百五十億円に二十億円増額しておりまして、その後、二十八年度、二十九年度ともにほぼ同水準を確保してきております。 他方で、県民生活の向上、産業・観光振興、強靱な県土づくりなどを進める上で重要な公共事業につきましては、めり張りをつけて推進してきております。例えばミッシングリンクとなっております東海環状西回り区間の整備は、東回り区間と一体となって、沿線地域の活性化はもとより、新たな地域連携が見込まれ、中京圏の産業・観光発展を加速させる絶大な効果が見込まれます。さらに、大規模災害時の緊急輸送道路ないし迂回路としての機能や、高度救急救命センターである岐阜大学医学部附属病院へのアクセス道路としての機能など大変多くのストック効果が期待されております。こうしたことから、早期全線開通を目指しているところでございます。 以上、申し上げましたように、限られた財源を効率的・効果的に活用し、維持補修など老朽化対策に係る予算を確保するとともに、優先度を踏まえながら重点的に必要な整備を推進してまいりたいと考えているところでございます。 次に、組織再編についてでございます。 本県では、これまで文化財保護や伝統文化の伝承などは主として教育委員会が行い、文化芸術資源の国内外への発信や振興は主として知事部局が行ってまいりました。こうした中で、平成七年度には、教育の観点のみならず、県民文化の普及振興を図るため、文化の普及振興や文化団体との交流施策を知事部局に新設した総合文化振興室に移管しております。 その後、平成二十六年度には、県民文化の振興を一層図るとともに、美術館をより身近な施設として運営するため、美術館及び現代陶芸美術館を知事部局へ移管しております。美術館では、平成二十七年度に就任した日比野館長のもと、より県民の皆様に親しんでいただける企画として、美術館の庭を舞台としたアートまるケットなど開催した結果、平成二十七年度の来館者は移管前と比べ約五万五千人増加してきております。 また、平成二十七年九月には、環境生活部文化振興課の所管のもとで、ぎふ清流文化プラザを再オープンさせ、文化芸術の担い手育成、そして障がい者の文化芸術活動の拠点として取り組みを始めてきております。 一方、国においては、平成二十七年度に閣議決定された文化芸術の振興に関する基本的な方針におきまして、社会を挙げて芸術文化振興が必要であるとの認識のもと、文化芸術の次世代への継承、地域振興、観光・産業振興等への活用などが重点戦略として取り組まれております。 以上を背景に、新年度から、本県としては、文化行政を知事部局が一貫して総合的に取り組むことによって、伝統文化の保護、継承、文化芸術の振興、発信、さらには地域振興や観光・産業振興などの幅広い施策につなげていくため、県民文化局を新設することとした次第でございます。県民文化局の設置によりまして、各施設間の連携を図る観点から、例えば博物館では、博物館機能の全県展開を目指し、図書館や高山陣屋内にサテライト展示を行うなど、その収蔵物を県内各地で展示することしております。また、今後、関ケ原に整備を予定しておりますビジターセンターにおきましても、博物館が所有する戦国時代の歴史的資料などを展示し、観光振興施策との連携も図っていく予定でございます。 さらに、図書館、美術館、そして現在整備を進めております森の恵みのおもちゃ美術館の立地するエリアでは、各施設の特徴を生かしたイベントやワークショップを一体的に開催することを考えております。また、再スタートしたぎふ清流文化プラザでは、県民文化局が企画及び管理を一体的に行うことにより、総合的な文化振興に取り組んでまいります。 なお、当然のことながら、今回の組織再編につきましては、教育委員会とも十分に協議してまいりました。今後、施策の推進に当たりましては、県教育委員と知事で構成する総合教育会議などにおいて幅広く議論をしてまいりたいと思っております。 また、市町村におきましては、文化行政をいまだ教育委員会で所管するところが多いことから、市町村との連絡会議等の開催回数をふやすなど、より一層市町村教育委員会との連携を進めてまいりたいと思っております。 ○議長(矢島成剛君) 都市公園整備局長 足達正明君。    〔都市公園整備局長 足達正明君登壇〕 ◎都市公園整備局長(足達正明君) 公共交通に係る計画の策定についてお答えいたします。 公共交通は、自動車を運転できない方々などの生活を支えるものであり、県としても、その確保・維持が重要であると考えています。現在、県においては、県、市町村、交通事業者などから成る岐阜県地域公共交通協議会を設置し、広域的な公共交通の調整を行うとともに、行政、地域住民、交通事業者などが一体となって公共交通を確保・維持するための具体的な方策を定める地域公共交通網形成計画の策定を各交通圏ごとに推進しているところであります。その結果、現在までのところ策定済みの計画は十市九計画、策定中の計画は十六市町村十計画となっております。 なお、交通圏が複数の市町村にまたがる場合には、明知鉄道沿線の二市、養老鉄道沿線の七市町や、白川町・東白川村の二町村など複数の市町村で連携した計画策定も進んでいるところであります。 県といたしましては、今後とも広域的な連携を確保する観点などから、必要な助言や情報提供を行い、まずは各交通圏ごとの地域公共交通網形成計画が全県にわたって策定されるよう支援してまいります。 ○議長(矢島成剛君) 教育長 松川禮子君。    〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 給付型奨学金の創設についてお答えします。 大学には全国から学生が集まることから、奨学金制度については、全国組織である日本学生支援機構が実施しており、県教育委員会の奨学金は、これを補完するものとなっております。また、本県の奨学金は貸与型であることから、県民の負担は最小限の制度となっていますが、仮に給付型奨学金を実施するのであれば、県民負担が増大するため、政策目的をより明確にする必要があります。教育的見地から考えますと、基本的には全国統一された制度とすべきではないかと思います。 国においては、来年度予算で、日本学生支援機構が行う奨学金に低所得者に対する給付型奨学金制度の一部先行実施が盛り込まれており、さらに制度の充実が図られる見込みです。県教育委員会といたしましては、国における今後の施策展開を注視してまいりたいと考えております。 ○議長(矢島成剛君) 観光国際局長 小原寿光君。    〔観光国際局長 小原寿光君登壇〕 ◎観光国際局長(小原寿光君) まず、計画の変更についてお答えいたします。 関ケ原古戦場のグランドデザインを踏まえ、一旦は昨年三月に、本県及び関ケ原町で関ケ原古戦場ビジターセンター基本構想、基本計画を策定いたしました。そうした中、関ケ原町から、ビジターセンター建設予定地の南に隣接する町老人福祉センターの跡地について、ビジターセンターと一体的に活用してほしいとの要望がありました。これにより、活用できるスペースが倍以上になるなど、計画の前提が大きく変わるため、現在、関ケ原町と連携をとりながら、抜本的な見直しを進めているところでございます。 見直しに当たっては、一般の有識者に加え、町の観光協会や商工会の代表の方、地元の有識者から成るグランドデザイン・フォローアップ懇談会、ビジターセンター検討分科会や地元ボランティア団体の皆様からも御意見を伺っております。その中で、展示・教育機能の拡充はもちろん、ボランティア活動の場の拡充、ショップやカフェといった憩いの場の充実など多様な御意見をいただいております。これらも参考にしつつ、ビジターセンターにどのような機能を付与するのか、また関ケ原らしいダイナミックな感動を与えるような施設のあり方など、さまざまな角度から現在見直しを行っているところです。 次に、議会や県民への説明につきましては、新たな基本計画について、今後ある程度の見直しの方向性が見えてきたところで、速やかに議会、地域住民の皆様、グランドデザイン・フォローアップ懇談会などに御説明し、御意見を伺い、その上で基本計画案をまとめ、本年の五月議会または六月議会で御説明をし、そこでさらに意見をいただいた後に基本計画を決定したいと考えております。そして、九月議会をめどに必要な事業予算を審議いただきたいと考えております。 ○議長(矢島成剛君) 健康福祉部長 尾藤米宏君。    〔健康福祉部長 尾藤米宏君登壇〕 ◎健康福祉部長(尾藤米宏君) 介護職員の賃金引き上げ策についてお答えいたします。 介護職員の賃金は介護報酬の中で算定されており、その引き上げは介護保険料や介護保険サービスの利用者負担、国や地方自治体の負担などにも影響を及ぼすことから、賃金の引き上げについては介護保険制度全体の中で検討すべきものであると考えております。このため、昨年八月に、全国知事会として、介護従事者全体の賃金の底上げを図るよう国に対して要請したところです。この要請なども踏まえ、国においては、来年度から一定の要件を満たす事業所について、月額一万円相当の処遇改善を行うことを内容とした介護報酬の改定が予定されています。 県としましては、今回の介護報酬改定を受けて、各事業所に必要な対応を促すことを含め、介護職員の処遇改善に向けて取り組んでまいります。 ○議長(矢島成剛君) 商工労働部長 河合孝憲君。    〔商工労働部長 河合孝憲君登壇〕 ◎商工労働部長(河合孝憲君) 中小企業総合人材確保センター職員の雇用の安定化についてお答えをいたします。 今回新設する当センターの運営に当たっては、企業や求職者の現場ニーズや人材市場の動向に精通した民間のノウハウと実践力を最大限活用すべく、公募型プロポーザル方式により委託することとしております。 これまでの人材チャレンジセンターにおいては、毎年委託内容の見直しを加えつつ、単年度の契約として公募してまいりました。一方、現在公募中の当センターにつきましては、立ち上げ二年目から複数年契約としている障がい者雇用企業支援センターの先行事例も参考に、今後、事業が軌道に乗ると考えられる二年目以降につきましては、初年度の成果も見きわめつつ、複数年契約とすることを検討してまいります。 また、スタッフの正規雇用などの労働条件につきましては、通常、受託企業の裁量に委ねられており、ジンチャレと類似の他県の機関においても、公募要件として定めている例はないものと承知しておりますが、今後、複数年契約とした場合には、この点についても何らかの働きかけができないか、あわせて検討してまいりたいと考えております。 ○議長(矢島成剛君) 一番 中川裕子君。    〔一番 中川裕子君登壇〕 ◆一番(中川裕子君) ただいま御答弁いただきました内容で少しお聞きしたいことがあります。 まず初めに、組織改編について知事からいただいたんですが、確かに国が文化芸術は社会を挙げて振興が必要ということで重点政策に上げていて、それで県も長年にわたって文化行政を知事部局に移されたという経緯がありますが、図書館、博物館に関して、知事部局にという方針は国ではありません。先ほど質問で申し上げたように、文科省として自主独立性をしっかり担保すべきという方針が明確に出されており、法の根拠からいっても、私は今回の改編というのは大きく外れていると思います。 博物館の全県展開という内容や、いろいろ今御説明がありましたが、知事が打ち出した提案に対しては、私は異論がありませんが、なぜそれが教育委員会にあるとできないのかという点が理解ができません。逆に、図書館、博物館の自主独立性に基づいて充実させることが本来は必要ではないかと思います。 また、今回の改編に伴って、一貫した研究や資料集めの役割というのは、時の政策的な流れにのみ込まれてしまう危険性もあると思います。狙いについてお聞きしましたが、この点についてもう一度お答えをください。 それから、続きまして、給付型奨学金の創設について教育長からお答えをいただきました。 必要性については否定をされなかったということだと思います。ただ、国の動向を注視するということですが、今、教育委員会が行っている返済する要件がある奨学金ですが、実際に奨学金の返済については、経済的に困窮している場合は返済猶予というものを設けております。そして、これは期限をつけないという国がやっている奨学金とも違う思い切った決断をされております。苦しんでいる方にとっても非常に重要なことですし、今起こっている問題を正面から受けとめた取り組みではないかと思いますが、その一方で、これは事実上、将来的に返済がされなかったら返済免除となるんではないでしょうか。給付型奨学金の必要性を一定認めたことになるんだと私は思います。 必要性について伺いましたが、いよいよ検討段階に県としても入るべきだと思いますが、もう一度お考えをお聞かせください。 それから、関ケ原古戦場のビジターセンターの建設について御答弁をいただきました。 御答弁の中に、計画の前提がこれで大きく変わるので計画変更をするという答弁がありましたが、前提が変わるのであれば、計画変更の案をつくる、その着手する前に県民や議会に対して情報をまずは広く公開するべきだと思います。 今、検討されている計画の変更内容というのは、少しの修正ではなく、非常に大がかりなものです。もう既にこの関ケ原ではグランドデザインに基づいた各事業が進んでしまっております。計画案がまとまった段階で明らかにする前でなく、まずは計画変更に取りかかる前にその必要性、費用、見通しなどを明らかにし、本当にあいたスペースを建物にしていいのかという点も踏まえて進めていくべきだと思います。 二点目で伺いましたが、もう一度その進め方について、観光国際局長にお答えをいただきます。 最後に、人材チャレンジセンターと中小企業総合人材確保センターの開設に伴って、職員の雇用の安定化について商工労働部長に答弁をいただきました。 答弁で、今後、二年目以降、複数年契約にして、何らか雇用の安定化についても委託業務の中で提案していきたいということですが、そもそも私は、この委託というあり方自体を検討するときに来ているのではないかと思います。複数年契約にした場合でも、一年間の契約、委託契約であっても、不安定雇用を生み出すという点では変わりはありません。この事業はもう十年間続いた事業で、一定の事業評価もできますし、継続的な取り組みが必要なことは明らかです。 雇用の安定化という点で、委託のあり方そのものも私は検討すべきではないかと思いますが、お考えをお聞きします。以上です。 ○議長(矢島成剛君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) お答え申し上げます。 先ほどもるる御説明いたしましたが、今回の組織変更のポイントは、文化行政というものを一貫して、総合的にかつさまざまな政策との連携の中で展開していきたいということを基本に、県民文化局に一元的に統一していこうという判断をした次第であります。この図書館・博物館の位置づけにつきましては、地方自治法上、委任という規定もございますし、平成二十六年度に美術館、現代陶芸美術館を知事部局に移行しました際にも、これを援用してやらせていただいておるわけであります。また、全国的に見ますと、他県におきましても、既に十五の県で博物館ないし図書館の知事部局への移管が行われておるということで、政策の判断ということでございます。 それから、御懸念のお話がございましたが、もちろんその学術的な図書、収蔵物の蓄積保存、そういったことにつきましては、このことによって大きく変更があるということではありませんし、博物館も図書館もそれぞれ条例に基づいて外部の有識者から成る協議会が設けられておりますので、その中で施設運営の基本方針、あるいは図書や収蔵物の収集方針も協議されておりまして、これについてはしっかりと尊重してまいりたいというふうに思っております。 ○議長(矢島成剛君) 教育長 松川禮子君。    〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 再質問にお答えいたします。 繰り返しになりますが、大学生に対する給付型奨学金につきましては、教育的見地から考えますと、基本的には全国統一された制度とすべきではないかと考えております。 本県教育委員会の奨学金につきましては、広く大勢の方に、大学生だけではなく高校生にも利用していただくということで考えております。 議員も御指摘になりましたように、大学生に対する奨学金を利用しやすくするための工夫というのは何点かしております。議員の御説明にもありましたように、平成二十四年度から、困難な経済状況の方へは返済を猶予しておりますし、平成二十七年度からは、通常は大学進学後、七月に貸与決定していたものを、高校在学中に内定するというようなことも行っております。また、来年度からは、二名必要だった連帯保証人を一名とするように改善を加えて利用していただくような工夫をしておるところでございます。 ○議長(矢島成剛君) 観光国際局長 小原寿光君。    〔観光国際局長 小原寿光君登壇〕 ◎観光国際局長(小原寿光君) 計画につきましては、昨年三月の関ケ原町からの老人福祉センター跡地を活用してほしいという要望があったその後、抜本的な基本計画の見直しが必要になるため、新たな基本計画について鋭意作業を進め、概要が見えてきた時点で議会の皆さんにお示しして意見をいただくのがよいのではないかと考えておりました。本プロジェクトは重要な大型プロジェクトでもあり、もう少し早い段階で検討経過などを皆様にお知らせするやり方もあったのではないかと思っておりますが、プロジェクトは皆様の御意見を十分反映できる段階であり、今後、県議会を初め関係皆様の御意見を伺い、事業を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(矢島成剛君) 商工労働部長 河合孝憲君。    〔商工労働部長 河合孝憲君登壇〕 ◎商工労働部長(河合孝憲君) 中小企業総合人材確保センターでございますが、このセンターにつきましては、これまでの総合人材チャレンジセンターで行ってきた就労支援のみならず、企業の人材確保支援や県内外の人材獲得の機能に加え、総合的に人材確保に取り組む拠点として整備をするものでございます。したがいまして、この新たなセンターにおきましては、まずは民間のノウハウや実践力、これを最大限にまずは活用することを考えてまいりたいというふうに考えております。 また、御指摘のございました点につきましては、複数年契約とすることの検討の中で、あわせて検討してまいりたいと考えております。 ○議長(矢島成剛君) 一番 中川裕子君。    〔一番 中川裕子君登壇〕 ◆一番(中川裕子君) 一点だけ、ただいまの御答弁でもう一度伺いたいと思います。 最後にお答えいただいた中小企業総合人材確保センターの開設と人材チャレンジセンターの職員の雇用の安定化ですけれども、今お答えいただいたのは、二年目からの複数年契約になった場合に今後考えていきたいということですが、それは委託を前提としたものであるという御答弁だったと思います。 ただ、今の御答弁にあったように、この施設というのは、一つは県民の安定雇用を図るための就労支援、そして新たに中小企業への支援などを総合的に取り組んでいくという、今の答弁はそういう答弁でした。そういったところの職員であれば、本来は県で職員を育成すべきです。人材不足の中小企業支援を行うのであれば、地域の中小企業に足を運んで、中小企業とつながって、どういうニーズがあるかリサーチする必要も出てきます。雇用のミスマッチを解消するには、単に来た相談を事務的にさばいていくという役割ではありません。ただいまの答弁や現在のあり方というのは、そういった点で矛盾があると思います。 もう一度伺いますが、委託というあり方そのものを検討すべきだと思いますが、最後に一度、お考えをお聞きいたします。 ○議長(矢島成剛君) 商工労働部長 河合孝憲君。    〔商工労働部長 河合孝憲君登壇〕 ◎商工労働部長(河合孝憲君) この中小企業総合人材確保センターの運営につきましては、先ほどもお話し申し上げましたが、まずは来年度新たに立ち上げる施設でございます。この一年間の成果・実績、そのあたりを十分に検証した上で、先ほど申し上げた複数年契約、そういった契約のあり方も含めて、御指摘の点につきましては広く検討をしてまいりたいと考えております。…………………………………………………………………………………………… ○議長(矢島成剛君) しばらく休憩いたします。 △午前十一時五十八分休憩 …………………………………………………………………………………………… △午後零時五十九分再開 ○副議長(佐藤武彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(佐藤武彦君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十九番 伊藤秀光君。    〔二十九番 伊藤秀光君登壇〕(拍手) ◆二十九番(伊藤秀光君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きく三点についてお伺いいたします。 まず初めに、世界に誇る遺産に係るこれまでの成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。 本県には、一九九五年にユネスコ世界文化遺産に登録されました白川郷合掌造り集落以降、昨年ユネスコ無形文化遺産として登録されました高山祭の屋台行事、古川祭の起し太鼓・屋台行事、大垣祭の●〔車へんに山〕行事の三つを入れると、七つの世界に誇る遺産があります。 我がまち、大垣市が誇る大垣祭の●〔車へんに山〕行事がユネスコ世界無形文化遺産に登録されるまでの経緯については、平成二十二年、大垣市と大垣市文化遺産活用推進事業実行委員会が、文化庁の補助を受けて、三年間大垣祭を調査し、その結果、総合調査報告書が二十六年三月文化庁に提出されました。翌二十七年三月十二日に国の重要無形民俗文化財に指定されました。同年三月には文化庁がユネスコ無形文化遺産への登録を提案され、昨年十二月一日に登録が決定されました。とんとん拍子の異例の早さです。議場には大垣祭のユネスコ登録のパンフレットを配付させていただきました。大垣市民にとって身近な祭りが世界に認められ、新聞報道で大きく取り上げられることにより、多くの方に大垣祭を知っていただけることは、市民の地元に対する誇りや愛着につながるため、大変ありがたいことです。 今、まさに知事の言われる世界遺産のラッシュです。私は、昨年二月十五日に、「清流長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されたことを契機に開催されました世界が認めた岐阜の遺産を語る会に出席しました。そのトークショーのコーディネーターを務められた岐阜県森林文化アカデミーの涌井学長は、話の中で、岐阜県は遺産過多ではと話され、会場がどっと沸いたのを覚えています。 ことしは、いよいよ八つ目の世界遺産となることが期待されています。世界の記憶の候補、「杉原リスト」の登録審査が行われる年です。これだけ続きますと、四選を果たされ、その上、十二年間多くの国家的イベントを成功されてこられた知事に期待する県民がいても不思議ではないと思います。 ただ、先日知事から直接お聞きしましたが、ユネスコ無形文化遺産の登録を待っている多くの団体があること、毎年、各国一件という申請件数の制限があり、また、登録のない国の審査が優先されることなど、登録までのハードルは極めて高いとのことです。 私は、一九八五年に発会しました、大垣にあります現在は不破照子元県議が会長の杉原千畝をたたえる会に二十五年前に入会し、杉原千畝を訪ねるイスラエルの旅に平成二十年二月に参加し、先日訪れたワシントンDCのホロコースト記念館と同様に、エルサレムにあるホロコースト記念館を訪問、そこにも多くのユダヤ人を救った世界の人々の中に、日本人でただ一人、杉原千畝氏の名前が刻まれていました。 エルサレムの訪問の際には、杉原千畝氏のほかに、ナチスの迫害からユダヤ人を救った日本人が二人いることを初めて知りました。エルサレムのユダヤ協会総本山にある金本、ゴールデンブックという大きな書物に、ユダヤ民族に貢献した人々として記載されていました。訪問した際、ユダヤ協会の御配慮で、ちょうどそのページが開かれておりました。ゴールデンブックに登録されると、その功績を永遠に顕彰し、全ユダヤから感謝と敬意を受け、神聖な神の記録として取り扱われます。 その二人とは、一九三七年、ハルピン満州国特務機関長で後の陸軍中将となる樋口季一郎氏と、参謀本部付で後の陸軍大佐となる安江仙弘氏です。ともに陸軍士官学校同期生です。二人は、一九三八年三月から一九四〇年の二年半に約二万人のユダヤ人難民を、満州国の国境と接するソ連領の最終駅、オトポール駅にハルピン駅から特別救済列車を出し、ユダヤ難民を救済しました。ハルピンから大連、上海、そしてアメリカへ脱出したわけです。通称オトポール事件と言われています。零下数十度の原野でテントを張って露営、原野では凍死者も続出、人道的見地から、ドイツとの協定を無視して救出に当たったわけです。 この樋口季一郎氏は、明治二十一年に淡路島に生まれましたが、十八歳のときに大垣市歩行町の樋口家の養子となり、三十年後の昭和十二年、東京の田園調布に籍を移すまで大垣市民だったわけです。こうした事実により、大垣市には今、イスラエル大使館から贈られた四本のオリーブの木が市役所の東の公園に植えられています。看板のある二本が杉原千畝氏、あとの二本が樋口季一郎氏で、植樹の際には野村議員ともども私も参加させていただきました。議場にその写真を配付させていただきました。一部説明書きにミスがあります。 ただ、樋口季一郎氏に関する多くの書を読みますと、満州に逃れてきたユダヤ難民救済の偉業よりも、一九四二年八月に北部軍司令官となり、札幌に赴任した後の軍人としての活躍のほうがよりすばらしいものがあります。アメリカ領土のキスカ島で、アメリカ軍に包囲された五千六百名の守備兵を濃霧に乗じて奇跡的に全員救出した作戦。終戦後のソ連参戦時には最前線の占守島を死守し、八千名のソ連軍を水際で撃退し、北海道領有を阻止した人でもあります。この結果、ソ連が樋口季一郎を戦犯に指名しましたが、米国ユダヤ人協会は国防総省を動かし、戦犯は免れました。 杉原千畝氏の命のビザの二年半前に既に約二万人のユダヤ人を救ったこの事件は、杉原千畝氏にも少なからず影響を与えたものと思います。軍人ではありますが、人道主義を貫いた二人の働きも世界の記憶に匹敵するものだと思い、御紹介をさせていただきました。「杉原リスト」が世界の記憶として登録されれば、本県の世界遺産ラッシュは、知事の構想の中ではひとまず終わりかと思います。 そこで、まず初めに、世界に誇る遺産に係るこれまでの成果と今後の取り組みについて、知事にお伺いをします。 さて、もう一つ本県には、特に西濃地域と関係のある世界の記憶に申請中のものがあります。それは、日韓共同提出の朝鮮通信使です。豊臣秀吉の時代、一五九一年と一五九七年の二度にわたり、延べ約三十万人もの兵を朝鮮に侵攻させました。朝鮮の義勇兵や中国の明軍の反撃と秀吉の死も重なり、大敗に終わりました。江戸幕府が誕生後、朝鮮との友好を願う徳川家康よりスタートしたのが、朝鮮通信使です。一六〇七年から一八一一年まで計十二回、将軍がかわるごとに、信義を通わすという意味から通信使が続けられました。岐阜県では十二回のうち十回、関ケ原、垂井を通り、大垣の全昌寺に泊まって、美濃路、東海道を通って江戸に行きました。通信使の行列は約五百人にも及び、異国人の行列は珍しく、多くの見物人が街道を埋め尽くしました。この二百年に及ぶ隣国との善隣友好の歴史は世界に類を見ません。 議場には、朝鮮通信使関連の三つの資料を配付しました。一つは、第六次二十一世紀の朝鮮通信使友好のウオークの資料、私も二年前に初めて参加しましたが、とても盛大な日韓共同の運動になっていることに驚きました。ことしも日韓合わせて六十名ほどが参加します。私も参加しようと思っています。ぜひ、古田知事にも五月六日、垂井駅にお越しいただき、激励していただくとありがたいです。我が家では前夜、二年前と同様に二名の韓国の方がホームステイすることになっています。 二つ目は、世界の記憶に申請している日韓の平和遺産、朝鮮通信使に関連する資料です。表紙には、日韓友好の象徴である雨森芳洲が載っています。 三つ目は、大垣の朝鮮通信使のパンフレットです。大垣市との関係の深さが御理解いただけると思います。 さて、平和遺産として、日本のNPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会と財団法人釜山文化財団の両民間団体は、日韓共同申請書を作成し、二〇一六年三月三十日にユネスコ本部に提出されました。先日、縁地連の事務局の長崎県対馬市にお電話をさせていただきましたところ、既に昨年十一月にパリのユネスコ本部でプレゼンをされたと伺いました。ことしの秋ごろに登録されれば、「杉原リスト」と同時ということになり、喜ばしい限りです。 この朝鮮通信使と大垣は極めて縁が深く、大垣市竹島町で、さきにユネスコ無形文化遺産に登録されました「大垣祭の●〔車へんに山〕」が朝鮮●〔車へんに山〕として長く親しまれていました。明治初期には榊●〔車へんに山〕に変わりました。その後、遺品は郷土館に展示され、後世にその歴史を伝えています。ただ、大垣は縁地連のメンバーですが、この運動を進めているユネスコ部会には入っていないということで、残念でなりません。 次に、先日、自動車を運転中にラジオから入ってきた情報ですが、富山県は、県内の市町村の自然で構成されるジオパークの二〇二〇年の世界ジオパーク認定を目指していると放送されていました。インターネットで調べてみますと、ジオパークとは、地質や地形の見どころを土地の公園として保全し、教育や観光資源に活用する取り組みです。二〇一四年に日本ジオパークに認定され、ユネスコによる世界認定に向けた、四月に日本ジオパーク委員会の国内推薦を申請する予定だそうです。 我が岐阜県発行の岐阜の宝ものの冊子の冒頭に、日本屈指の滝の数を誇る小坂の滝めぐりは、千二百四十件もの自慢の中から選ばれた岐阜の宝もの認定第一号で、霊峰御嶽山の噴火によってつくられた、この地でしか見られない圧倒的な大自然は、岐阜県だけでなく、日本の宝物として大切に守りたいと書かれてあります。この地域もジオパーク、土地の公園と等しいのではないかと感じます。新たなユネスコの遺産登録の形ではないかと思います。 ただし、ユネスコの無形文化遺産の登録を受けるには、前に述べましたが、かなりハードルが高いです。まず、国の重要無形民俗文化財の指定を受けなければなりません。そのためには、やはり順序として県の重要無形民俗文化財の指定を受けなければなりません。今、岐阜県には、六十もの県の重要無形民俗文化財があると聞いてます。この六十もの県の重要無形民俗文化財をぜひ一度関係者の目でしっかりと見て、文化財としての価値や魅力を確認していただけないでしょうか。 私自身が特に関心のあるのが、無毒の大麻草をたいまつに活用している約千年の歴史を誇る神戸町の山王まつり、通称火祭りです。県の重要無形民俗文化財にもなっています。その勇壮さは、他に類を見ないと確信しています。素人ながら、既にユネスコ無形文化遺産の登録を受けた「山・鉾・屋台行事」と、神事にかかわる点では表裏一体と思えるみこし行事です。毎年五月三日の深夜に行われます。ぜひ、古田知事にも御自身の目で見ていただきたいと思います。 また、昨年、全国農業担い手サミットinぎふのオープニングを飾った谷汲踊りは、清流国体、育樹祭でも披露され、県の重要無形民俗文化財に指定されています。約八百年の歴史を誇ります。当日は小学生も踊られ、皇太子・皇太子妃両殿下のお帰りの際に子供たちが一列に並んでお見送りをしました。そこへ両殿下とも優しくお声をかけられてみえ、感動いたしました。その場に出席できたことに感謝にたえません。 本県には、何百年と続く伝統文化を守り続けているさまざまなお祭りがまだまだあります。もっと広く県民にこうしたお祭りを周知徹底することにより、我がふるさと岐阜県への郷土愛も醸成されると思います。そのためには、県の重要無形民俗文化財の内容、その価値や魅力を改めて県の職員が確認した上で、県民にも広く周知し、その価値や魅力を知っていただきたく思います。 そこで、教育長にお伺いします。 県重要無形民俗文化財に対する県民の認知度向上に向けてどのように取り組まれるのか、お考えをお聞かせください。 こうした祭りは、まず一歩として、県から国の重要無形民俗文化財として進めていかなければと願うばかりです。ただ、そのためには、先ほど大垣市についてお話しましたように、市町村は、その文化財に対して総合報告調査書を作成する必要があります。市町村の本気度も問われます。やはり県の支援や協力も大切かと思います。国の重要無形民俗文化財として指定されれば、岐阜県全体のイメージアップにもつながり、長い目で見るとインバウンドの効果も期待できるのではないでしょうか。 そこで、教育長にお伺いします。 国の重要無形民俗文化財の指定促進に向けた市町村への働きかけについて、どのようにお考えでしょうか。 さて、今まで述べてきました文化財の世界的な登録は明るいニュースですが、その反面、市町村の悩みは、最近の人口減少に伴い、こうした伝統文化の継承が全国各地で危機的状況にあることです。県の重要無形民俗文化財の指定を受けながら、その存続が危ぶまれている行事もあると思います。今後、仮に国の重要無形民俗文化財としての指定、さらにユネスコ世界無形文化遺産としての登録を受けることができれば、インバウンドもふえ、次世代を担う若者が文化財保護の大切さを知り、未来への継承に大きく弾みがつくと思います。 そこで、教育長にお伺いします。 次世代への県重要無形民俗文化財の継承に向けて、今後どのように取り組まれるでしょうか、お伺いいたします。 次に、飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクトについてお伺いいたします。 平成二十一年度よりスタートしました飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクトも八年目を終えようとしています。毎年、飛騨牛を初めとする県農産物のASEAN諸国への輸出拡大に向けた戦略が練られています。 私自身も、スタートの年でもある平成二十一年十一月十六日から十九日の香港・タイと、平成二十四年二月二十日から二十四日のシンガポール・タイと参加させていただきました。香港やタイなどのスーパーでの飛騨牛を焼く実演や、イチゴ・柿などの販売拡大や、現地旅行社とインバウンドに向けた懇談もトップセールスならではの規模だと思いました。そのかいあって、農産物の輸出については、飛騨牛では五年間で二十二倍、富有柿は五倍と着実に増加しています。また、外国人延べ宿泊者数については、平成二十七年には約九十三万人に至っています。まさにトップセールスの成果だと思います。私が参加した香港、タイ、シンガポール以外にも、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンにも知事は訪問され、同様のトップセールスが行われました。 私は、ことし二月七日から十日にかけてマレーシアを訪問する機会を得ました。マレーシアの訪問に同行していただいたメンバーは、マレーシアのクアラルンプールにある語学学校、ICLSという名前ですが、そこの日本支部の支部長の橋富さん、それにマレーシアの物産品を長年取り扱っている有限会社南洋元の春日井社長さんです。訪問先としては、ジェトロマレーシア、旅行会社のJ-ホライズン、ICLSの日本語を学ぶ学生のインターンシップ説明会、伊勢丹・イオンなどの食料品売り場の現状視察と超ハードスケジュールで視察してきました。この視察には、ジェトロマレーシアで五年間所長を務められたジェトロ岐阜の手嶋所長様に出発前にきめ細かいアドバイスをいただき、感謝申し上げます。 ジェトロマレーシアでは、輸入業者A社の、日本からどんな農産物をここ数年輸入しているかをまとめたパンフレットを見せていただきながら、わかりやすくお話をいただきました。二〇一四年から二〇一五年にかけて日本産農産物の輸入が急増していること、それにマレーシアでは日本産農産物の認知が進むとともに、急速に一般消費者からも需要が増加しているようです。それは、非日本系のスーパーでさえ、以前は日本産の野菜・果物は高くて売れないという考え方だったが、今では多少高くても、品質がよく、おいしく安全であれば消費者は選ぶようになってきているようです。日本食レストランもクアラルンプールだけで六百軒、全土で千軒を超えるそうです。 イチゴの空輸は、二〇一三年の千三百六パックから、三年後の二〇一六年一月から四月の四カ月だけで何と七千九百三十パックです。昨年の二月二十五日から三月六日に実施された日本産イチゴフェアには、福岡県産の「あまおう」、香川県産の「さぬきひめ」、静岡県産「紅ほっぺ」などが出品されたそうです。岐阜県産イチゴはタイを中心に「美濃娘」が輸出されているそうです。 ここ最近の三年間の輸入量は、長野県が一番のリンゴは全体で二・五倍、愛媛県産を初めとするミカンが約二十倍、和歌山県産柿も人気がとても高いそうです。野菜では、千葉県などのサツマイモが二十倍、タマネギが三倍、カボチャが五倍など、こちらも人気が高まっています。また、水産物の輸入については、回転ずしチェーンの人気が高いため、二〇一一年から二〇一六年までに約四倍の取り扱い金額となっています。また、ラーメン店も出店が増加して、やや飽和状態とのことです。 本県では、平成二十二年と二十六年に知事がマレーシアを訪問されましたが、飛騨牛は輸入禁止であるため輸出できず、柿が輸出されているようです。岐阜県の名産である富有柿は、中国系は漢字の国でもあり、とても人気が高くおいしいと評判です。ただし、和歌山県産の柿が輸入量のトップのようです。今回インターンシップ会場で試食用に干し柿、柿ようかんを持っていきました。ジェトロマレーシアの説明では、マレーシアに根を張るには少なくとも三年は続けてほしいということ、そして成功している県は三年は続けているとも話されました。 山梨県に至っては、ASEAN諸国を一年かけて調査し、拠点とする国のメーンをマレーシア、サブをシンガポールにされたようです。山梨県庁の販売輸出室の大久保室長さんのお話では、シンガポールは日本食レストラン「タンポポ」の一部に山梨県コーナーを設けておられるそうです。タンポポのオーナーは、岐阜県の奥飛騨酒造の高木社長と言われました。マレーシアには中東からのお金持ちがいっぱい夏の避暑に来られて、高価なものをたくさん買っていかれるとか、今後はドバイにも拠点を置きたいとのことでした。 町の中心にあるパビリオンというショッピングモールの中心にある東京ストリートの一角に、やまなし館まで出店しています。その他、刃物や爪切りのショーケースもあり、関の刃物かなと思い見せていただきましたら、新潟県三条市のものであり、少し残念でした。ただ、伊勢丹のジャパンフードコーナーに我が大垣の三輪酒造の「白川郷」というお酒が並んでおり、着実に努力されていることにうれしく思いました。また、マレーシアのジェトロでいただいた美濃白川茶のパンフレットには、ただお茶の葉を売るだけでなく、お茶の入れ方もレクチャーされるなど努力が実り、マレーシアに定着しつつあるとのことです。 今後も、トップセールスにより売り込んできた農産物について、他県に負けないよう輸出定着を図るためには、その後のプロモーションや産地招聘などのフォローアップを継続的に行っていく必要があると思います。 そこで、農政部長にお伺いいたします。 昨年度はイギリス、本年度はタイ・ベトナム・アメリカとトップセールスを行われましたが、その後の農産物の品目定着に向けて、今後どのように取り組まれるのかをお伺いをいたします。 さて、次に、県内外国人留学生のインターンシップについてお伺いします。 インターンシップとは、学生が在学中に、みずからの専攻もしくは将来のキャリアに関連した就業体験を行う制度のことです。国際性、独創性、高い専門性を持った人材を育成するための手段として、また産学連携における人の交流の一つの手段としてインターンシップの普及が国によって推進されています。 今回、私どもがこの二月にマレーシアで実施したインターンシップ受け入れのセミナーは、養老の滝元館様などの御了解をいただき、ICLS一階ロビーにて、まず初めに岐阜県からいただいた岐阜県観光案内のDVDを流し、その後、二社のプレゼンをしてインターンシップの申し込みを受けたもので、会場には前もって大垣市・垂井町・関ケ原町・神戸町・揖斐川町・池田町・大野町などからいただいたポスターを張り、パンフレットを並べて、また、大垣市の枡、つちやさんの柿ようかん、三輪酒造さんのお酒、揖斐茶等を展示しました。議場にお配りをいたしました、わかるかと思いますけれども、ぜひ御確認をいただきたいと思います。(資料を示す) 二月十日に帰国しましたが、明くる日の十一日も同様のセミナーが開催され、二日間で六十名の申し込みがありました。こうした取り組みは、既に同じICLSによって長野県白馬スキー場において五名のマレーシア人が受けています。雪のないところだけに、大変好評のようです。新たな観光誘客のインバウンドの手段として意義深いものだと思います。民間と民間のつながり、連携により、若い世代に日本を知っていただくことも大切だと思います。新しい試みとして、支援していただきたいと思います。 昨年九月十三日の新聞報道によりますと、本県でも外国人留学生と県内企業との交流を深めようと県が動き出したと記載されていました。これまでほとんどつながりのなかった両社を、将来的なビジネスパートナーとして、関係構築や二カ国語を使える貴重な人材確保につながる狙いです。この外国人留学生向けインターンシップは、県が企業に呼びかけ、昨年八月から九月にかけて十二社で初めて実施しています。留学生と企業が互いにその特性を知り、人口減社会で求められる留学生雇用の素地をつくることが目的です。日本での就職を希望する優秀な留学生を県内にとどめる狙いもあり、県内四大学から五カ国十五人が参加しました。 そこで、商工労働部長にお伺いします。 今年度の県内外国人留学生のインターンシップは既に終了しておると思いますが、その成果と今後の取り組みについてお伺いをします。 クアラルンプールでは、そのほかに日本人が経営する旅行会社J-ホライズンを訪問、日本への誘客についていろいろとお話を伺いました。二日間という短いクアラルンプールの視察でしたが、県間競争、国家間競争の激しさの中、トップリーダーの果たす役割は大切だと実感いたしました。多民族、多宗教という多文化共生の社会の中、人口もふえ続けて安定して発展を続けるマレーシアは大変魅力的でした。岐阜県とのさらなるつながり、きずなが深まることを願っています。 以上、世界に誇る岐阜県の遺産と海外戦略について質問いたしました。少し早口でしたけれども、知事を初め関係部長、教育長の誠意ある答弁を期待して、質問を終わります。 御清聴ありがとうございます。    (拍手) ○副議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) まず、世界に誇る遺産に関するこれまでの成果と今後の取り組みということでお尋ねがございました。 御案内のように、本県における世界遺産は、平成七年の「白川郷合掌造り集落」の登録以来、約二十年にわたって一件のみでございました。その後、清流をキーコンセプトとした地域資源の発掘、魅力の磨き上げ、発信を積極的に行ってきた結果、ここ数年、本県の誇る遺産が次々と世界に認められ、昨年十二月には高山祭、古川祭、大垣祭を含む「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録され、本県としては七件になりました。そして、ことしの秋には「杉原リスト」の世界の記憶登録の可否が決定される予定でございます。こうした近年の、いわば遺産ラッシュを好機として、昨年二月に、県と世界遺産の関係九の市町村で構成する世界に誇る遺産連合を立ち上げ、世界遺産を軸に広域的な連携を図ることといたしました。 また、それぞれの遺産を中核に、地域の魅力づくりや商品づくりとその発信、人材育成、観光誘客などに取り組んでまいりました。例えば本美濃紙につきましては、平成二十七年八月に策定した美濃和紙活性化のためのアクションプランに基づき、美濃市や事業者等と連携して後継者の育成や原材料確保、新商品の国際見本市でのアピール、あるいは新たな市場開拓などに取り組んでおります。 また、「清流長良川の鮎」の世界農業遺産認定を契機として、昨年七月に内水面漁業研修センターを開所し、国際交流、国際貢献を進めるとともに、GIAHS鮎の日やロゴマークを定めました。加えて、清流長良川の恵みの逸品の認定や、岐阜県魚笛センターの拡張整備にも着手しております。 このほか、遺産同士の連携としましては、世界遺産登録二十周年を記念した白川郷と美濃和紙とのコラボによるあかりアートの開催や、県内の遺産と主要観光地をつなぐ周遊観光ルートづくりなどを進めております。 今後は、まずは「杉原リスト」の世界の記憶登録に向け全力で取り組むとともに、大手旅行社と連携し、八百津町や敦賀市など千畝ゆかりの地をつなぐ人道ツアーを造成するなど、大いに盛り上げてまいります。 また、今年度に引き続き、里山・里海の石川県と里川の本県が連携した国際シンポジウムを開催し、国の内外に世界農業遺産における山・川・海のつながりをPRしてまいります。 さらに、新たに補助制度を創設し、遺産の伝承・保存や人材の育成、広域連携による国内外への魅力発信などに取り組む市町村を支援してまいります。 最後に、本県として新たな世界遺産登録へのチャレンジにつきましては、若干触れておられましたが、候補案件の状況、国内外の動向、世界遺産制度の運用制度など広く目配りしながら、あらかじめ戦略を十分にめぐらしていく必要があるのではないかと思っております。 ○副議長(佐藤武彦君) 教育長 松川禮子君。    〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 県重要無形民俗文化財の認知度向上と継承について三点御質問がありました。 初めに、認知度向上に関する取り組みについてお答えします。 県では、さまざまな行事やイベントに県指定の伝統芸能の公演を行ってきました。例えば全国育樹祭や飛騨美濃合併百四十周年記念の芸能大会では谷汲踊りが、また、郡上市で開催の近畿・東海・北陸ブロック民俗芸能大会では地元の寒水の掛踊などが披露されました。そして、文楽や獅子芝居の保存団体が毎年開催する県大会には財政的な支援も行ってきたところです。今後とも、県指定の伝統芸能を県の行事やイベントに積極的に取り上げるなど、県民の認知度向上に努めてまいります。さらに、県指定の伝統芸能を含む文化財を一覧できる図録の作成などについても検討してまいります。 次に、市町村への働きかけについてお答えします。 国の文化財に指定されるためには、祭りなどの文化財の価値の評価が重要なポイントとなります。そのため、市町村がその文化財が全国的にも貴重で、際立つ特徴を持つことなどを専門家による調査を踏まえて、学術的に検証することが必要と考えます。県では、市町村から国指定に向けた調査などの相談があれば、必要に応じて文化庁へ情報を提供して指導を求めたり、文化庁の調査官を招聘し、実際の祭りを視察していただいたりするなどの支援を行ってまいります。 最後に、次世代への継承に向けた取り組みについてお答えします。 現在、県内各学校が取り組んでいるふるさと教育においては、地域の文化に関係する体験学習を通して伝承に取り組んでいるものがあります。例えば本美濃紙のふるさとである美濃市牧谷地区にある牧谷小学校では、学年の発達段階に合わせた紙すきにかかわる作業の体験活動とともに、美濃和紙の歴史や知恵を学んでいます。また、高山市で行われた「山・鉾・屋台行事」の遺産登録記念行事において、西小学校の児童が伝統と文化を引き継ぐ決意表明を行いましたが、同校ではクラブ活動で祭り笛の練習が行われ、祭り文化の継承が進められています。 県では、文化財の地元地域において、こうしたふるさと教育を推進することにより、将来の担い手となる児童・生徒らの関心を高め、文化の継承に結びつくよう取り組んでまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 農政部長 高木敏彦君。    〔農政部長 高木敏彦君登壇〕 ◎農政部長(高木敏彦君) 県産農産物における輸出品目の定着についてお答えをします。 農産物の輸出につきましては、食・モノ・観光をパッケージとしたトップセールスを行い、その後も県輸出促進協議会を初め関係機関と連携し、品目の定着に向け取り組んでおります。 昨年度トップセールスを行ったイギリスにつきましては、国内で最大の発行部数を誇る業界誌に飛騨牛のPR記事を掲載するなど、知名度の向上に努め、飛騨牛海外推奨店として新たに三店舗を指定することができました。今後は、これらの推奨店において、飛騨牛と一体的に農産物のPRも行ってまいります。 また、今年度トップセールスを行いましたタイにつきましては、老舗高級百貨店と締結した覚書に基づきまして、先月、農産物や加工品のバイヤーを招聘して商談会を行いましたが、その結果、新たにリンゴや米粉麺などの取引につなげることができました。今後は、この百貨店で生産者がみずから販売するコーナーを設置し、取引の拡大を目指してまいります。 なお、ベトナムやアメリカにおきましても、来年度商談会を開催するなど、さらに輸出品目の定着を図ってまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 河合孝憲君。    〔商工労働部長 河合孝憲君登壇〕 ◎商工労働部長(河合孝憲君) 外国人留学生のインターンシップについてお答えをいたします。 海外での事業展開を目指す企業を中心に、グローバル人材の卵として外国人留学生の確保が新たな課題となっており、一方で、留学生の多くは将来日本国内での就職を希望しております。今回のインターンシップは、こうしたニーズを受け、留学生雇用の拡大に向けた相互理解の場として実施したものでございます。学生、受け入れ企業ともに大変に好評で、参加した大学院二年の留学生一名が県内企業に就職が決定したとの報告も受けております。このため、今後も継続して実施するとともに、あわせて留学生向けの就活セミナーや企業向けセミナーをそれぞれに開催し、外国人留学生の県内就職の促進を支援してまいります。 また、近年、県内企業の進出ニーズが高く、留学生も多いベトナムについては、卒業生も含めた県内留学生と県内企業との継続的な交流の促進に向けて、今年度新たにベトナム岐阜留学生ネットワークを発足したところであり、これを一つのモデルとして今後につなげてまいりたいと考えております。 ○副議長(佐藤武彦君) 二十四番 篠田 徹君。    〔二十四番 篠田 徹君登壇〕(拍手) ◆二十四番(篠田徹君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、今回は一項目二点について質問をさせていただきます。 まず最初に、県内の事業所内保育所の整備状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。 「保育園落ちた。日本死ね」。これは昨年の流行語大賞に選ばれた言葉ですので、皆さんもよく御存じだと思います。この言葉を発した人は、子供を保育園に預けることができなくなったことで、仕事につけなくなり、生活に必要なお金を稼げないことや、あるいは御自身のキャリア形成に支障が生じかねないことなどを悲嘆し、やり場のない気持ちを国に対してぶつけたのでしょう。私は、「日本死ね」という強烈なインパクトのある言葉から、何とか子供を預かってほしいという発言者の切実な悲痛な気持ちを感じ取ると同時に、この言葉が流行語大賞に選ばれたことから、これに共感できる人たちがたくさんいるということで、別の言い方をすれば、保育園に子供を預けられず苦しんでいる人や過去に同じ経験をされた人がたくさんいることを、待機児童の深刻さを改めて実感いたしました。 ここで、私ごとで恐縮ですが、瑞穂市内に現在二歳の子と先月第二子を出産した娘夫婦が住んでおります。昨年秋ごろ、娘に、「長女は保育園に入園させるのかい、資料等はもらってきたの、手続は進めているの」と尋ねたところ、「瑞穂市内の友達が申し込んだけれども、二年連続でだめだったとか、兄弟が同じ園には入れないけど、それでもいいですかと聞かれて断ったと聞いているよ。もし私が申し込んで運よく入園できたら、やっぱりおじいちゃんがついていると違うよねとか、いろいろ言われることはないとは思うけれど、少し心配かな。それに、どうせ赤ちゃんの面倒を見るのにあとしばらくは休職しているので、申し込みはしないよ。そのかわりに協力をよろしく」と言われ、妻からは、「私の友達も、孫の面倒を見させてもらえるって初めは喜んでいたけれども、毎日となると結構大変で、肩や腰が痛いし、しゅうと、しゅうとめさんも高齢になってお世話しなくてはならない。まさしくダブルケアで大変、何とか御主人のつてでどこかの園に入れないと言われることもあるのよ」と話してくれました。このままでは、冒頭に紹介した「保育園落ちた。日本死ね」ではないですが、家庭内から、「保育園落ちた。あなた責任とれ」と言われるといけないと思い、全国の待機児童数について調べてみたところ、厚生労働省の発表では、平成二十八年四月時点で約二万三千人となっています。ただし、自治体によっては認可保育所に入所できないために、やむを得ず育児休暇を延長した場合や認可外保育施設に入所した場合には、これを待機児童数に含めていないことから、こうした隠れ待機児童を含めると、その数はさらにふえるとも言われております。 また、待機児童については、これまで都市部の問題として見られてきましたが、最近では都市部だけではなく地方にも広がってきていると言われております。本県の待機児童数は、二月二十四日の県の発表によりますと本年一月一日現在で五十八名であり、前年同期と比べると三十二人の増、今年度当初、二十八年四月一日と比べると三十五人の増となっております。これらの待機児童はいずれも三歳未満児であり、最近の傾向として、年度途中での入所の申し込みが増加しているとのことであります。また、市町村別内訳は、瑞穂市が二十九人、可児市が十三人、美濃加茂市が十一人、多治見市が五人となっております。 国は、平成二十五年四月に待機児童解消加速化プランを策定し、平成二十五年度から二十九年度末までの五年間で新たに五十万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童の解消を図ることとしています。この間、国や自治体は、保育所の新設、保育士の配置や施設の基準緩和、企業主導型保育所の整備などに取り組み、受け入れる児童の定員をふやしてきたものの、入所希望者がそれを上回る勢いで増加していることから、今国会で安倍首相は、平成二十九年度末までに待機児童を解消するという目標の達成が厳しいとの答弁をされております。 待機児童に関するさまざまな課題や問題があるため、待機児童の解消に向けた取り組みを計画どおりに進めることは容易なことではありません。新聞等のマスコミでも報道されていますが、ある自治体が保育所整備を計画したところ、子供の騒音等を理由に建設候補地周辺の住民の理解が得られないため、整備を断念したケースや、新たな土地の確保が困難なことから、自治体が所有する公園に保育所を整備しようと計画したら、公園を利用する子供の親や地域住民から遊ぶ場がなくなることを理由に反対され、整備がおくれているケースなどがあります。待機児童問題は子育て世代の問題として見られがちですが、日本の将来を担う子供たちにかかわるものであることから、日本全体で取り組むべき問題であります。行政、地域住民、民間事業などが連携・協力して問題解消に向けて取り組まなければなりません。 待機児童解消の加速化に向けた取り組みの一つに、企業主導型保育事業があります。本事業の主軸は事業所内保育事業でありますが、この事業の特徴は、一つ、働き方に応じた多様で柔軟な保育サービスの提供が可能、二つ、複数企業の共同設置が可能、三つ、他企業との共同利用や地域住民の子供の受け入れが可能、四つ、施設の運営費・整備費について認可施設並みの助成が受けられるなどのことです。本事業については、私の地元である瑞穂市でも取り組まれている企業があり、本年六月に運営を開始されると聞いております。先ほども述べましたように、待機児童がある自治体は、人口流入が多く、比較的若い世帯の核家族化が進んでおり、自分の親に孫の面倒を簡単に見てもらうことができにくい環境にある家庭がふえていることに一因があるかもしれないと個人的には推察をいたしております。 県では、今年度末までに、清流の国ぎふ女性の活躍推進計画を策定される予定であり、本計画において、保育環境の整備の一つとして、事業所内保育所の整備を促進することに取り組むこととされています。事業所内保育所の整備に当たっては、事業所内保育事業の内容はもとより、保育所を整備することで従業員の子育て環境が改善され、従業員の確保や定着率の向上にもつながることを事業者に知ってもらい、理解してもらうことが何よりも重要です。ぜひ、県には事業所内保育所の整備に取り組まれる事業者がふえるよう、本事業の周知を図るとともに、整備が促進されるよう事業者への支援に取り組んでいただきたいと思います。 そこで、子ども・女性局長にお伺いいたします。 県内における民間事業者による事業所内保育所の整備状況はどのようになっているのでしょうか。また、今後、事業所内保育所の整備にどのように取り組まれるのでしょうか。 次に、新岐阜県庁舎における事業所内保育所の整備についてお伺いいたします。 先日、私を含む五人の県会議員と東京都の都議会庁舎に設置された「とちょう保育園」を視察してきましたので、ここで少し御紹介をさせていただきます。議場内の皆様には、配付しましたこちらの資料をごらんください。(資料を示す) 設置日は昨年十月一日、設置場所は東京都議会議事堂一階南側、広さは約五百平米、もともとは飲食店があった場所だそうです。設置主体は一般財団法人東京都人材支援事業団体であり、この団体は、都の外郭団体になります。運営業者は、平成二十七年度に公募に応募された八法人から選定された鳥取県米子市にある社会福祉法人尚徳福祉会です。主な運営施設として、認可保育所八カ所、認定こども園一カ所、病児看護センター一カ所などを運営しているそうであります。運営委託期間といたしましては、平成二十八年十月一日から平成三十八年三月三十一日までの九年六カ月間ですが、事業者が決定してから園内設計にも御協力をいただいたと聞いております。 とちょう保育園の設置趣旨については、民間事業者等における地域に開放した事業所内保育所の設置を促進し、待機児童解消を進めるためのシンボル的な取り組みとして設置するもので、児童福祉法に定める事業所内保育事業を行う施設であること、本保育園を育児期にある職員が仕事に専念できる職場環境づくりも役立てていくこと、都内最大級の事業所でもある都庁において、都みずからが実験的に地域や近隣企業に対して開かれた事業所内保育所の運営に取り組み、そのノウハウや課題等も含めたモデルケースを提示していくことにあります。 事業の概要については、対象年齢が生後五十七日目から二歳までで、定員は四十八名です。内訳としまして、ゼロ歳児クラスが地域枠・従業員枠ともに六名ずつ、一歳児クラスが地域枠・従業員枠ともに九名ずつ、二歳児クラスも地域枠・従業員枠ともに九名ずつです。保育時間につきましては、基本保育は七時から十八時まで、延長保育は十八時から二十二時までとなっております。 視察をさせていただき、お話を聞かせていただく中で、感心したことが数点ありますので御紹介をさせていただきます。 一つ目は、モーニングカフェです。皆さんが利用される喫茶店等の、まさしくモーニングサービスと同じく有料の朝食サービスであり、希望制です。ちなみに子供一食三百円、大人四百円で、親子一緒にとっていただくことが決まりらしいです。これは、遠隔地にある自宅から職場まで一時間以上かかる方もお見えになるそうで、そうした方が朝早くに食事の支度をして、子供に食べさせてから出勤となると、朝五時台から活動しなくてはならないことに配慮したサービスです。 また、私も経験がありますが、週明け、週末のお昼寝用布団の持ち込み・お持ち帰りには苦労をさせられます。幼児のことですから衣服を汚すこともあり、着がえの準備などを忘れないように注意することも必要です。そうしたことにも配慮した有料のサービスでもありますが、手ぶらで登園、荷物軽減サービスとして、紙おむつの提供や処分、衣服の準備や洗濯、寝具の貸し出しで、持ち込み不要の取り組みなどを行っております。 そして、保育園では看護師さんが常駐してみえます。登園後の体調不良などに対して、保護者の方が勤務を終えて迎えに来るまで対応をしてくださるそうであります。また、必要に応じてライブカメラ等を用いて遠隔地にいる医師が看護師に助言をし、子供の体調管理に配慮してくれているそうであります。 保育園の施設については、扉のすき間などに幼児が手などを挟まれないように予防措置を随所に施していることなど、目の行き届きにくいところまでにも細心の注意が払われていました。余談ですが、私も帰宅してから早速自宅をチェックし、孫が指などを挟まれないように、見てきて覚えた予防器具を早速日曜大工で取りつけさせていただきました。 そして、施設内には地元東京都の木材が使用されており、腰壁などには東京都多摩地方の木材などが使用され、木のぬくもりや香りがあふれるすてきな保育園でありました。昨年の第一回定例会においても、私ども会派の代表者質問で岩井先生が御質問させていただき、御答弁もいただきましたように、新県庁舎の整備の折には、ぜひとも県産材や県産品を多く活用していただきたいと思っております。 さて、今も申し上げましたが、現在、本県では、最短で平成三十四年度に供用を開始することをめどに、県庁舎の整備を進められています。既存の施設内に保育所を整備するよりも、新たな施設の建設にあわせて整備するほうが容易かつ安価でありますので、東京都の取り組みを参考にして、新県庁舎内に事業所内保育所を整備してはどうでしょうか。 古田知事は、四期目に向けて、三つの観点から「清流の国ぎふ」づくりに取り組まれるとおっしゃっております。その一つ目の観点である「清流の国ぎふ」を支える人づくりの中で、子育てしやすく、女性が働きやすい環境の整備がうたわれています。これは、県庁で働く女性職員に対しても言えることであり、県庁内に事業所内保育所を整備することは、子育てがしやすく、働きやすい環境の整備になります。事業所内保育所は、従業員の子供を対象とする保育所でありますので、県庁舎に整備する場合、当然ですが県職員の子供が対象になります。このため、これに異議を唱えられる県民も少なからずいらっしゃると思いますが、東京都のように県庁周辺の住民や民間事業者の従業員にも開放すること、また県が女性の活躍推進や子育て支援の拡充を目指していることを丁寧に説明すれば、御理解をいただけるのではないでしょうか。 ここで、県の子育てにかかわる事業を紹介させていただきます。 皆さんは、岐阜県子育て支援エクセレント企業という言葉を聞かれたことはありますか。最近ではワーク・ライフ・バランスとも言いますが、従業員の仕事と家庭の両立や女性の活躍推進等について、優良な取り組みや、他社の模範となる独自の取り組みを実施されているとの認定を受けた企業や団体をエクセレント企業といいます。 二月二十三日に行われました岐阜県子育て支援エクセレント企業認定式に、私も参加させていただきました。平成二十三年度から昨年度までに五十五社が認定され、今回は新たに十四社が認定され、計六十九社となり、古田知事は挨拶の中で、人材不足が差し迫った課題となる中、子育て支援エクセレント企業に認定後、採用が有利になったなどの声もあり、認定制度の意義を感じています。働きやすい岐阜県をつくるパイオニアとしてさらに活躍してほしいと皆さんに話してくださいましたよね。まさしく県が子育てを支援する県内の優良な企業・団体を認定する制度であります。 事業所内保育所の整備は、率先垂範で岐阜県自身がエクセレント企業を目指す、すなわちエクセレント行政と名実ともになっていくきっかけになる事業だと私は思いますが、知事、いかがでしょうか。 県庁の建設には多額の費用が必要となることから、事業所内保育所を整備することについては、その必要性を慎重に検討した上で決定することが必要であることは十分承知しておりますが、県庁で働く女性職員の、ひいては県内で働く女性の活躍推進や子育て支援の拡充を積極的に図っていくためには、大変意義のあることだと思っております。 そこで、知事にお尋ねいたします。 女性の活躍推進、子育て支援の拡充を図るため、建てかえる新しい岐阜県庁舎内に事業所内保育所を整備することについての御所見をお伺いいたします。 私からの質問は以上です。前向きな答弁を期待いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 新しい県庁舎における事業所内保育所の整備についてお尋ねがございました。 社会における女性の多様な活躍を促進するとともに、人手不足が深刻化する中で優秀な人材を雇用し、定着を図るためには、仕事と子育てが両立できるような職場環境の整備が不可欠でございます。とりわけ、職場に近接した場所に子供を預けながら安心して働ける事業所内保育所の設置は、企業の人材確保のためにも有効な手段の一つであるとともに、待機児童の解消にも資するものでございます。 このため、国においては昨年四月から、民間企業について事業所内に保育所を設置する場合に、新たな助成制度を開始しております。県内では、本年度、国からの助成を受けた三カ所を含む九カ所の事業所内保育所が新たに設置され、一月末現在では合計百三十八カ所となっております。事業所内保育所の設置に取り組む民間企業が増加しておるというのが現状でございます。 一方、都道府県庁舎内に事業所内保育所を設置しているところは、全国で五つの都県にとどまっております。一般的に、県庁舎内に事業所内保育所を設置することは、育児休業からの早期復帰を希望したり、職場に近接した場所に子供を預けながら安心して働くことを希望したりする職員の支援となり、県が女性職員の一層の活用・登用を進めていく上で有効な手段となるというふうに考えております。このため、本県におきましても、平成二十二年度以降、実は二度ほど現在のこの県庁舎内での保育所設置について検討を行った経緯がございますが、当時は運営のあり方以前の問題として、そもそも一定の規模の施設をつくるまでの十分な職員の利用希望が得られなかったという事情もございます。そこで、今回新しい県庁舎建設を一つの機会として捉え、改めて職員のニーズについてきめ細かく調査してまいりたいと思っております。 ○副議長(佐藤武彦君) 子ども・女性局長 鈴木裕子君。    〔子ども・女性局長 鈴木裕子君登壇〕 ◎子ども・女性局長(鈴木裕子君) 事業所内保育所の整備状況と今後の取り組みについてお答えします。 県内では、本年一月末時点で百三十八カ所の事業所内保育所が設置されております。過去五年間では、年間平均で三カ所程度増加しておりましたが、昨年四月以降は九カ所の保育所が新たに設置され、今年度に入って整備する事業所がふえているところです。県では今年度から、事業所内保育所を実施している子育て支援エクセレント企業の保育内容や設置の効果などを掲載した事例集を子育て支援に取り組んでいる企業に配付し、周知に努めているところです。 一方で、事業所内保育所の設置を検討している企業関係者からは、設置や運営に要する費用や保育士の確保策、実際に運営した際の課題なども具体的に教えてほしいという声を伺っております。 こうしたことから、来年度は、より一層細やかな情報を提供できるよう、既に設置している企業から講師を招いた企業説明会や現地見学会を開催するなど、引き続き事業所内保育所の整備促進に取り組んでまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 十九番 高木貴行君。    〔十九番 高木貴行君登壇〕(拍手) ◆十九番(高木貴行君) 議長の発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。 まず最初に、魅力ある教員の確保・育成について質問をさせていただきます。 少し前になりますが、平成二十四年六月議会において、教員の採用と資質向上について質問をさせていただきました。今回もそれに関連しながら、意見と御提案を申し上げます。 質問当時、子供の教育は十人十色であり、百人百様の考えがあるとともに、家庭、地域、学校によっても子供にとって何が正解か永遠のテーマであること。しかし、子供の教育は国家の根底をつくる大切なプロセスであり、教育の方向性によって今後の国のあり方が変わることにもなるため、正解がないからといって責任の所在を曖昧にせず、家庭、学校、地域がしっかりと責任を持ち、子供たちとともに成長していくことが必要であると述べさせていただきました。この思いは今現在も変わっておりません。 そうした中、学校の教育力を高めるためには、教育は人なりと言われるように、まず優秀な教員の確保が入り口として重要になってきます。当時の質問の中で、教員の資質や適性を見きわめるために採用試験の抜本的な見直しを行い、試験だけではなく、講師等々の経験を条件に追加してはどうかと御提言をさせていただきましたが、残念ながら、法的な制約もあり困難であるとのことでしたが、一方で、採用試験のあり方については、絶えず検討を行い、一人でも多くの優秀な人材を確保できるように努めてまいりますとの教育長からの答弁をいただきました。絶えずとの言葉も入っておりましたので、毎年の採用試験に対して検証や改善が行われているものと思っておりましたが、現地・現場の意見を聞いてみると、少し期待外れの状況にあるように感じております。 地域で生活する中で、学校の課題や問題など、いろいろと耳に入り、また同世代の教職員の皆様と交流を持ち、現場に足を運ぶと、さまざまな出来事を目の当たりにします。その中で、教員のミスや不注意による出来事もあるのですが、もちろん人間ですので仕方がない部分もあります。 先日も若手の先生の不注意によりトラブルが発生し、新卒だからしようがないと思っていましたが、実は常勤講師から正採用となった先生でありました。よくよく聞いてみると、講師のころから同じミスをしており、確かに学問の知識は高いようなのですがとのことでした。なぜ同じミスを繰り返しているのに合格するのか不思議に思っていたのですが、さらに状況確認をしてみると、現在の教員採用試験において、一定の要件を満たした常勤講師については、学校長の推薦に基づき一部試験の免除等を受けることができるとのことです。 具体的には、小・中学校の採用試験においては、第一次選考試験の筆記試験を論文試験に変えることができ、高校の試験においては、筆記試験の教職教養分野の問題が免除されます。そして、その推薦を、言葉本来のイメージとは違い、ほぼ大半の方がもらっていることに驚きました。先日の教育委員会とのヒアリングでも認めておりましたが、あわせて推薦状況の詳細な把握や分析が行われていないことにも驚きました。 実際、退職されました校長経験者の方に聞いてみても、確かに要件を満たした常勤講師の方から推薦依頼があれば、基本的には全員に出しており、それこそ本人に向かって出さないとは言えないとおっしゃっていました。結果として、免除等のある試験に合格すれば教員になれてしまうわけであります。ちょうど昨日、広瀬県議の管理職への昇任基準でも推薦と出てきましたが、教育長、学校や教育委員会の推薦とはそんなに軽いものなのでしょうか。 私自身は、講師として実践経験を積んでいただき、先生としての資質を見きわめて、よい方は積極的に採用していただきたいと思っておりますが、逆に、幾ら学力が高くても不適格と感じているならば、それをしっかりと採用試験に反映をしていく仕組みをつくっていくべきであると考えていますし、少なくとも推薦するべきではないと思います。 昔のことであります。私ごとではありますが、新入社員として金融機関に入社した際、身元保証人が必要であることに少し驚き、身が引き締まりました。これは、雇用主は、業務上の不誠実な行動等により身元保証人に保証を求める可能性があり、監督が困難になるときは身元保証人に通知する義務があるとのことです。 例えば、御提案ですが、校長先生が推薦するというのであれば、推薦した先生が何か問題を起こしたときなどは一緒に責任をとるなどの制度にすることによって、校長自身も機械的に推薦を出すこともなく、また推薦されたほうとしても、裏切ることができない思いから、責任ある行動になるのではないかと考えます。これは我々政治家としても、政党から推薦・公認を受けますが、やはり何か問題があれば、その政党自身も謝罪会見、問題行動のあったことに対して謝罪をされる、こういうような責任を負っていると思います。 また後ほど述べますが、さまざまな意味で子供たちへの教育環境が変化しているにもかかわらず、教員の採用方法や求める人材が変わらないことのほうがそもそも違和感を感じます。かつて答弁で、絶えず検討を行うと言われておりましたので、いま一度しっかりと状況を把握していただき、絶えず改善していただきたいと思います。 そこで、教育長に二点お尋ねをいたします。 一点目としては、近年において教員採用試験をどのように改善をされたのか。 二点目としては、現在の教員採用試験における常勤講師の推薦については、推薦自体が形骸化し、適正に機能しているとは言えない状況も見受けられますが、この推薦の意義と今後の見直しについてどのようにお考えか、お尋ねをいたします。 次に、先ほどの採用の話にも関係しますが、岐阜県が求める教員像についてお伺いをいたします。 端的に求める教員像を多分教育長に答えてもらうと、高い志とグローバルな視野を持ち、豊かな人間関係を築き、考え行動できる人みたいな大きな枠組みでのもっともらしい漠然とした答えが返ってくると思いますが、しかし、今回は具体的に、現松川教育長として教員に何を求めているのか、どのような教員となってもらいたいのか具体的にお尋ねをしたいと思います。 先月、多治見市において、箱根駅伝三連覇の偉業をなし遂げました青山学院大学の原晋監督を招きし、講演を行っていただきました。 余談ではありますが、私も主催者の一員でありましたが、原監督の講演依頼は一年以上前でありまして、三連覇後にお越しいただけたことはラッキーではあるものの、我々としては前々から興味関心を持っており、先見があったことに喜んでおります。 講演は大変有意義なものであり、ステージを四段階に分類し、選手・組織のマネジメントを行った結果、現在の状況をつくり出すことができたそうです。この理論は組織運営や会社経営にも大いに役立つ内容であり、約三百人の聴衆も満足しておりました。 その原監督ですが、子供の教育に対しても持論を持っておられました。私は、たまたまですが、監督のアテンド役として控室などで一緒にいる時間が多く、二人で話す機会をいただけたのですが、スマートフォン等の普及により、やはり情報は誰でもどこでも手に入れることができ、残念ながら学問や知識だけの先生では子供たちの育成には十分ではなく、今後、学校運営は難しくなっていく。求められるものは地域や特性によって違うが、柱をしっかりと決めてやっていくことが重要であり、それがトップとしての役割だとおっしゃられていました。 近年、多様な社会構造の中で、教員の求められる資質や能力は多岐にわたり、学校を取り巻く課題も複雑化してきております。また、今後は大学入試制度改革や学習指導要領の改訂を控え、アクティブ・ラーニングなど新たな学習方法も導入されます。先生方に求められる要素は多くあると思いますが、しかし、全てを取得し実践できる先生はまれではないでしょうか。もちろん、それぞれの教員の理想の姿があり、各学校においても目指すべき教員像はあると思いますが、教員採用試験や研修を通じて、魅力ある教員の確保・育成を進める県教育委員会として、その教育委員会を束ねる松川教育長として、漠然としたものではなく、柱となるべき具体的な教員像を掲げるべきではないでしょうか。私は、その柱を掲げることによって、先生方の進む方向が明確になり、結果として子供たちへの迷いがなくなり、教育環境の充実につながっていくと思います。 そこで、お伺いをいたします。 これからの時代に県が求める教員像について、教育長の所見をお聞かせください。 次に、今定例会に提出されております第三期岐阜県森林づくり基本計画の柱となる百年先の森林づくりに関してお尋ねをいたします。 このテーマについては、既に県民クラブ代表質問の中で、渡辺県議が、人口と同様、少子・高齢化が顕著な本県の森林の再造林について問われたところですが、私としては、この中で新たに提示されている観光景観林の考え方について質問をさせていただきたいと思います。 まず今回の百年先の森林づくりについて、百年という数字に具体性を感じることは難しい部分がありますし、また、実際百年後には今この議場にいらっしゃる方は誰も生きていないと思いますが、森林環境の整備など一朝一夕では解決できない課題について長期的な視点を持ち、持続可能な体制をつくることで、他県にはない発想で政策を実行していく姿勢に対して、大いに賛同しております。 この新たな森林づくりの中心的な施策に、本県の民有林約六十六万ヘクタールを四つに分類し、それぞれの方向性に応じた森林整備を進めていく森林配置計画という考えがあります。 四つの区分とは、木材生産林、環境保全林、生活保全林、観光景観林であり、このうち木材生産林は造林に適した地域で林業経営を進めるエリア、環境保全林は主に造林に適さない地域で環境保全を図るエリアとなります。この二つの区分は、木材の生産・販売・活用等の経営支援や環境保全といった従来の林業施策を踏襲するものであると考えますが、残りの生活保全林と観光景観林の区分には新たな可能性を感じます。 まず生活保全林は、人家や道路等の県民生活に密接した森林について、鳥獣害や異常気象に伴う倒木等から住民の生活環境を守るため、保全・整備を進めるエリアとなっております。 私自身、過去において、道路沿いの危険樹木に対する安全管理について質問をさせていただきましたが、当時は局所的な集中豪雨が頻発し、そのたびに必ず道路に木々が散乱し、大木が倒れて道を塞ぐような状況がありました。民有地の樹木の管理は、本来所有者が行うべきでありますが、今後の人口減少、少子・高齢化の進展や近年の異常気象を踏まえると、行政としても何らかの対応が必要との思いから、県の取り組みを促したものであります。結果として、民有地の危険樹木の調査や所有者に対する伐採経費の一部助成の制度を創設していただくことができました。この質問自体は道路の関係となりますが、御存じのとおり、飛騨地域では、大雪に伴う倒木により、道路や電力などライフラインに大きな被害が及ぶことが想定されています。森林整備においても、こうした地域の課題、自然災害を踏まえた危険除去に、あらかじめ制度を設けて取り組まれることの意義は大きいと感じます。 そして、観光景観林は、道路沿いなど、地域の観光資源として期待できる森林の保全・整備を進めるエリアとなります。この観光景観林という言葉は耳なれない表現ですが、森林と観光を結びつける試みは非常におもしろい発想であると思いました。人口減少や地方からの若者流出の危機感から地方創生と叫ばれる昨今ではありますが、どこでも同じような予算で似たようなことを行い、気がつけば地域間競争の果てに体力を消耗し、結局のところ状況は変わらないのではないかと思います。地方創生の本来の狙いは、地域の強みや、既にある資源を創意工夫の中で磨きながら地域を活性化することであったはずです。その意味で、県土の約八一%を森林が占める本県において、既にある森林資源を磨き、観光として新たな切り口から整備しようという観光景観林は、地方創生らしい取り組みでもあります。今後は地域ごとに森林配置計画を策定するとお聞きしておりますが、観光景観林の趣旨を十分に説明していただき、整備促進を図っていただきたいと思います。 そこで、質問をさせていただきます。 今回の百年先の森林づくりにおける観光景観林の整備の狙いと今後の取り組みについて、林政部長にお尋ねをいたします。 最後に、スポーツ立県・ぎふに向けて質問をさせていただきます。 私自身も、若井先生ほどの華麗なキャリアではありませんが、スポーツをこよなく愛し、活動してきた一人でもあります。そして、スポーツの力、スポーツの可能性を誰よりも感じ、信じております。 スポーツは大きく生涯スポーツと競技スポーツに分けられますが、誰もがいつでもどこでも気軽に参加できる生涯スポーツは、体力の向上、ストレスの発散、生活習慣病の予防などとともに、爽快感、達成感、他者との連帯感等、精神的な充足も図られることから、心身両面にわたる健康の保持・増進に大きな効果が期待できます。また、競技スポーツには人間の可能性の極限を追求するという意義もあり、競技に打ち込む選手のひたむきな姿や高い技術は、人々のスポーツへの関心を高め、夢や感動を与えてくれます。スポーツの振興は活力ある健全な社会の形成、さらには地域振興・交流の手段としても大きく貢献するものだと思います。 さらに、スポーツの可能性については、スポーツの持つ社会的意義という観点から整理すると、青少年の健全育成や地域コミュニティーの醸成、経済発展等への寄与や国際友好・親善の促進も期待できます。もちろん、スポーツをすることで現代社会が抱えるさまざまな問題を全て解決するわけではありませんが、例えば人間関係が希薄になりつつある中で、地域の人々が交流を促し、相互の連携感を深め、地域活性化につなげるための糸口としてスポーツ振興は極めて有効的な手段ではないかと思います。その意味では、ぎふ清流国体・清流大会の後もスポーツ関連予算を維持してきたこと、本県にとっては非常に意義あることであり、また、知事の記者会見で、かねてからスポーツ立県の戦略を進めているが、これを一つの節目として全面展開するとの発言をされており、私自身も大いに賛同しております。 来年度予算編成を見てみても、三本柱の一つ、地域の魅力を活かした「清流の国ぎふ」づくりの中に、スポーツ立県戦略の推進が挙げられています。また、今後は、県内の大規模スポーツイベントとして、国体のシニア版と言われる日本スポーツマスターズ二〇一九や、高齢者を中心とするスポーツ・文化等の祭典、ねんりんピックの開催も決定しておりますが、私としては、来年六月に開催が決定をしました第十八回アジアジュニア陸上競技選手権大会に特に注目をしております。 一九八六年から始まった十九歳以下のアジア最高峰の陸上競技大会であるものの、今まで日本での開催が一度もない大会を岐阜県で開催できる意義は多大であり、また二〇二〇年の東京オリンピックに向けて、若い世代にとって大きなチャンスの場でもあり、きっと県内の子供たちにとってもよい刺激になるはずです。スポーツの力、可能性を生かしながら、ぜひとも県内スポーツの振興、そして地域活性化につなげていっていただきたいと思います。 さて、スポーツの可能性を示す一例でありますが、また少し地元自慢といいますか、PRになりますが、御存じの方も多いと思いますが、県立多治見高等学校が選抜高校野球で県内初めて二十一世紀枠での甲子園出場の切符を獲得いたしました。多治見高校の皆様には、心からお祝いと、甲子園での活躍を期待しております。 ただ、二十一世紀枠といっても、昨年秋の県大会を優勝しており、夏の大会であれば堂々の甲子園出場でありますが、今回は、「進取・努力・創造」の校訓のもと、文武両立の精神が評価されたともお聞きしております。 多治見高校は、六年後には創立百周年を迎える歴史のある学校でありますが、これまでの歩みは一辺倒ではありませんでした。一九二三年に創立、全日制普通科と普通科自然科学コースを有する高校でありましたが、一九六〇年から一九八〇年までの一時期は県立多治見女子高校という女子校であり、一九八〇年に現高校に改称し、再び共学化されました。という紆余曲折の経緯もあり、強豪校のように古くから野球部のOBがいるわけではない状況であります。 これは私の感覚かもしれませんが、日本で盛り上がるスポーツイベントと言えば、オリンピックの次に高校野球の甲子園だと思っております。野球経験者もそうでない方でも、自分も県の代表を応援し、また地元の高校であれば地域が盛り上がり、自分の母校であれば熱狂するという状況になります。 大会は三月十九日に開幕でありますが、実は、きょうの午前中にちょうどその選抜高校野球の抽せん・組み合わせが行われ、三月二十日月曜日、第二試合、十一時半から、ちょうど甲子園のある地元の兵庫県代表の報徳学園との対戦が決定をいたしました。ちょうど養老改元一三〇〇年祭オープニングの日ですね、その日と同じでございます。 試合までまだ少し時間があるものの、多治見市内では甲子園出場の看板が至るところに設置してあり、地域として盛り上がり始めておりますが、優勝を目指していくことはもちろんですが、まず初勝利に全力を注いでいただき、新たな一ページをつくり上げていっていただきたいと思います。ぜひ、知事からも多治見高校にエールを送っていただければ、一多治見市民としてもうれしく感じております。 そこで、知事にお伺いをいたします。 スポーツ立県・ぎふを推進するに当たり、来年六月に県内で開催される国際大会、第十八回アジアジュニア陸上競技選手権大会の狙いをどのように捉えているのか、知事の思いをお尋ねいたします。 以上で私の質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。    (拍手) ○副議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。    〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 第十八回アジアジュニア陸上競技選手権大会の開催の狙いということでございます。 本県では、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みの一環として、スポーツイベントの誘致を積極的に進めてまいりました。その結果、二〇一九年の日本スポーツマスターズ、二〇二〇年のねんりんピックといった大会を誘致してきた次第でございます。 御指摘のありましたアジアジュニア陸上競技選手権大会につきましては、本県の思いと日本陸上競技連盟の思いとが一致し、アジア陸上競技連盟へ働きかけところ、本県での二〇一八年大会開催決定に至ったものでございます。本大会は我が国としては初めての開催となるわけであります。これまでジャカルタ・シンガポール・北京といった各国の首都などの大都市で開催されていた、十九歳以下のカテゴリーにおけるアジア最高峰の陸上競技大会であります。このような若い選手たちが世界に羽ばたくための重要なステップとなる大会が本県で開催されることを大変喜ばしく思っておる次第でございます。 例えば後に北京オリンピック四百メートルリレーで銀メダルを獲得した朝原宣治さん、末續慎吾さん、アテネからリオデジャネイロまで四大会連続でオリンピックに出場している福士加代子さんといったそうそうたる方々がこの大会に出場し、これをステップとして活躍しておられます。このように、若手の登竜門とも言える本大会が東京オリンピックの二年前という時期に本県で開催されるわけで、オリンピック出場を目指す若い選手たちの絶好のアピールの機会の場となると考えております。私は、この岐阜大会から東京オリンピックに向けた新しいスターが多数誕生することを期待しております。また、子供たちを初め県民の皆さんが世界レベルの競技に間近に触れることで、スポーツへの意欲が高まり、競技力向上やスポーツの裾野の拡大に大いにつながるものと考えております。 あわせて、交流行事などを通じて参加国、参加選手との相互理解を深めるとともに、本県ならではのおもてなしを充実させ、「清流の国ぎふ」をしっかりとアピールしてまいりたいと思っております。 それから、選抜に出場する多治見高校へのエールをということでございました。多治見高校の皆さんにおかれましては、創意工夫を凝らした練習を積み重ねて、見事二十一世紀枠での出場をかち取られたこと、心からお祝いを申し上げる次第であります。昨年秋の県大会を制した粘り強い野球で、初出場の甲子園にフレッシュな多治見旋風を巻き起こされるよう大いに期待しております。 ちょうど先ほどもお話がありましたが、きょうの午前中、私がここで村下先生の質問に答弁している同じ時期であったのではないかと思いますが、三月二十日の第二試合、十一時半から兵庫県の報徳学園高校との対戦が決定したわけでございます。地元の強豪校とのまたとない一戦となりますので、堂々と力いっぱい戦ってきていただきたいと思います。 高木議員からは、養老か多治見かというようなお尋ねがありましたが、午前中、私は答弁をしてしまいましたので、大変悩ましくなってきた次第でございます。 ○副議長(佐藤武彦君) 教育長 松川禮子君。    〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 魅力ある教員の確保・育成について三点御質問がありました。 初めに、近年の教員採用試験の改善状況についてお答えします。 出願資格につきましては、平成二十七年度採用試験から、多様な経験やすぐれた資質を持つ者を採用することを目的として、年齢制限の撤廃を実施しました。選考方法につきましては、平成二十六年度採用試験から二次試験にグループワークを実施し、コミュニケーション能力やチームで対応する力、実践的指導力を評価できるように改善しました。 今日的な教育課題につきましては、今年度実施の採用試験において、小学校教諭英語の志願区分の新設や、英検準一級以上の有資格者に対する教科専門試験の免除を導入するなど改善に努めております。 次に、常勤講師の推薦の意義と今後の見直しについてお答えします。 常勤講師は、教員の採用試験においては、基本的には他の受験生と同様の採用試験を受験しております。しかし、平成二十三年度採用試験から、常勤講師の受験意欲を高めるため、前年度から勤務していた者については試験の一部についての選択や免除を開始しました。この制度の開始と同時に、校長による推薦書の提出を求め、その対象者であるかどうかを確認することとしました。したがって、この推薦書は、常勤講師の職歴を客観的に証明するための書類であり、教師として優秀な人材である旨を主観的に薦めるものではありません。こうしたことから、この推薦書については、本来の趣旨に沿った名称変更や書類提出の必要性も含め検討してまいります。 最後に、これからの時代に県が求める教員像についてお答えします。 これまでに、私自身も教育長として多くの学校を訪問させていただいておりますが、どの教員も子供の成長を願い、子供たちと真剣に向き合って授業を行っております。今日、社会のさまざまな課題の解決を学校教育に対して求めるようになってきており、教員に対する期待も大きくなっていると感じております。 このような中、学校を取り巻くさまざまな課題を理解し、それを解決するため多くの知識を身につけていくことも必要ではありますが、それは技術論であり、知識の豊富さだけを競うのであれば機械のほうが優秀です。元来、教育というものは、教員と子供の、人でなければできない対話によって成り立つものであり、魅力ある教員像は、子供と向き合う中で確立していくものだと考えております。 したがって、子供と真摯に向き合い、子供たちとともに学び続ける姿こそが求められる教員像であり、岐阜県の教員の皆さんにはそうあってほしいと願っております。 ○副議長(佐藤武彦君) 林政部長 瀬上繁隆君。    〔林政部長 瀬上繁隆君登壇〕 ◎林政部長(瀬上繁隆君) 百年先の森林づくりにおける観光景観林の整備の狙いと今後の取り組みについてお答えをいたします。 地域の観光振興に寄与できる森林を観光景観林に指定し、それぞれの地域にふさわしい森林整備を促進することで、将来にわたり観光資源としての魅力を高めてまいりたいと考えております。 具体的な例として、四季折々の変化が楽しめるせせらぎ街道や、東濃ヒノキの美しい人工林が眺望できる裏木曽街道沿いの森林を想定しております。今後、各市町村で十分に検討をしていただき、五年間で約二万七千ヘクタールの指定を目指しております。 整備内容については、新緑や紅葉が楽しめる広葉樹の植栽や、林内の見通しをよくするための間伐などを推進し、沿道の景観価値を高めてまいります。また、整備方針に、眺望が損なわれることのないよう皆伐を行う場合は一ヘクタール以下にすることや、残された立木の配置に留意することなど一定の条件を盛り込んでまいります。こうした整備のため、来年度から森林・環境税を活用し、市町村に対する新たな助成制度を設け、重点整備区域として年間七十ヘクタール程度を支援してまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 九番 布俣正也君。    〔九番 布俣正也君登壇〕(拍手) ◆九番(布俣正也君) 本日最後の質問となりました。大変お疲れとは思いますが、もうしばらくおつき合いをください。 本日三月十日は、農林水産省が定める農山漁村女性の日だそうです。なぜ農山漁村の女性だけが特別枠で定められているのか、これは疑問に残るところではありますが、私は全ての女性の活躍に対しまして心より敬意を表したいと思っております。 それでは、通告に従いまして、私からは本日二項目二点について質問をさせていただきます。 まず一項目め、大都市圏における農産物の販路拡大に向けた取り組みでございます。 我が岐阜県は、昨年十一月に、「広げよう!つなげよう!未来の農業へ」と題し、全国農業担い手サミットinぎふが開催され、情報交換会については県内十地域、十一会場で、現地研修会については、県内十地域、三十三コースで盛大に開催をされました。 その中で、一、新規就農者育成フォーラム、二、農家がつくるこだわり商品フェスティバル、三、鳥獣害対策サミット、四、ぎふフラワーフェスティバル、五、世界農業遺産体感コース、六、畜産サミットなど、まさに岐阜県方式の農業政策を全国に訴え、高く評価をされました。これは、県農政部、各農林事務所、JA、そして農林高校、その他関連する事業者が一致団結をして、開催までの一年間周到に準備を進め、県内外の農業者を最高のおもてなしで迎え入れられたことによるものであると確信をしております。特に二日目の現地研修会では、各地域の特徴を生かし、プロの農業者にいかに満足していただくかを考えた新たな方式の研修であり、県外の方から高く評価されたプロジェクトでありました。 また、これらの取り組みは、平成二十三年から二十七年のぎふ農業・農村基本計画の評価と今後取り組むべき課題を挙げて、新たな基本計画に盛り込むといった施策が成果につながった形だと思います。 前回の基本計画では、「県民の食と県土の環境を支える元気な農業・農村づくり」を基本理念に掲げ、その実現に向け、売れる農畜産物づくり、戦略的な流通・販売、多様な担い手の育成・確保、魅力ある農村づくり、県民みんなで育む農業・農村の五つの基本方針を掲げておりましたが、今回の基本計画は、「未来につながる農業・農村づくり」を基本理念に掲げ、その実現に向け、多様な担い手づくり、売れるブランドづくり、住みよい農村づくりの三つを基本方針とされました。非常にシンプルでわかりやすくまとめられておりますし、重点施策も明確にされていると感じました。しかし一方で、平成三十三年までの担い手育成プロジェクト二〇〇〇のように、担い手を二千人までふやす手段、小規模・中規模農家の所得安定につなげる手段、新たな鳥獣害対策などの課題が山積していることも事実であります。 昨年十二月に、飛騨市内の若手農業者と意見交換をする機会をいただきました。この意見交換の場では、一、全国農業担い手サミットinぎふの評価について、二、産消交流事業・販売促進事業などの助成について、三、若い後継者がふえる環境づくりについて、四、岐阜県が今後注力する農業分野について、五、耕作放棄地の解消について、六、五年先、十年先の農業ビジョンについて、七、営農組合の高齢化解消についてなどさまざまな問題を御提示いただき、一つ一つの問題をあらゆる角度から解決に向けて話し合いを行いました。 その結果、さまざまな意見が参加者から出され、私は若手農業者の農業に対する真剣な思いや農業への真摯な取り組みを改めて感じ、飛騨市の農業は捨てたもんじゃないという手応えを感じると同時に、今後、近年のうちに起こり得る担い手不足、農地の崩壊・集約化などの現実的な問題にどう対応していくべきなのか、話し合いでは到底解決できそうもない深刻な事態に陥ることが明らかになったのも事実であります。 この意見交換の場で、多くの若手農業者から出された意見として、我々がせっかく安心・安全・高品質な農産物をつくっても、納得がいく値段がつかず、安心・安全・高品質という付加価値を価格に反映させることが困難である。このため、飛騨で生産した農産品や農産加工品が安心・安全・高品質であることを多くの人に理解をしてもらう必要があることから、首都圏にアンテナショップをぜひ設置していただきたいという要望がありました。 最近では、各農家が自分自身で販路を開拓して、地道にこつこつと売り上げを伸ばしている方も少なくはありません。例えば県内では、秋の農業フェスティバルなどで農業者みずから自慢の農産物をPRして、お客様と商談をされて直接販売を行う生産者の顔が見える商売をされております。しかしながら、こうしたみずから商売をされている方は、農家全体の割合から見ればほんの数%にすぎません。 こうした県内のあらゆる農家の生産意欲と販売意識を高め、また県行政などのアドバイスをいただきながら、県内の消費者へ、さらには全国の消費者へ純岐阜県産の安心・安全な野菜、果物、飛騨牛、米、農産加工品などをもっと提供できればと考えております。 現在、県では、名古屋市栄のオアシス21に岐阜県のアンテナショップ「ジ・フーズ」を展開して、岐阜県の農産加工品などを販売され、「清流の国ぎふ」の食の魅力を広く発信されております。このジ・フーズは、県産農産物を使用した六次産業化商品の販路拡大や商品のブラッシュアップを図るため、生産者による対面販売などを行うテストマーケティング拠点として平成二十六年八月に開設をされ、平成二十八年に一旦閉店後、同年五月にリニューアルオープンされ、現在に至ります。 先日、私はジ・フーズを視察させていただきまして、最近の経営状況、アイテム数、人気商品などをお聞きしてきました。仕入れ先は百十事業者、取扱商品は千アイテム以上、六次産業商品に加え、飛騨牛やアユの関連商品が充実しており、新たに地酒の販売を開始して、今後、野菜販売を充実させるとのことです。視察当日も、岐阜市内や西南濃地域の生産者が、とれたての野菜をみずからジ・フーズに運んでおられました。そうした野菜が店頭に並ぶや否や、訪れたお客が熱心にした品定めをしてみえました。 生産者の方に話を伺ったところ、「私たちは、自分が生産した野菜を購入していただいた都会の消費者の笑顔が見たくて、みずからここまで運んでおるんですよ。名古屋市内にこのようなマーケットを開設していただいて、本当に感謝をしています。健康寿命を延ばすためにも、こういった新鮮野菜、特に有機農法でつくった岐阜県の野菜を食べてもらいたいんです」と熱弁をされました。健康寿命のことも言っておられましたが、がんになり得る原因の実に七割が食生活であるとも言われております。近年、健康に対する意識の高まりに伴い、食に対する関心も高まっており、生産者の顔が見える、新鮮で安心・安全な農産物の需要は高まっておりますので、ジ・フーズのような施設を都市部に整備することは、消費者にとっても生産者にとっても大変ありがたいことです。 他の大都市圏での取り組みを見てみますと、関西圏では、大阪市中央卸売市場内に大阪農産物情報センターが設置されております。当該センターは、農産物の主要出荷地域における消費動向、卸売市場における流通動向の把握と販売促進を図るため昭和三十一年から設置されており、県職員が一名駐在しております。ジ・フーズとは性質の異なるものではありますが、県内の農産物の出荷量や出荷品目の拡大を図る上で重要な役割を担っております。 首都圏では、岐阜県の農産物や地場産品などの販売を行う常設のアンテナショップなどはありません。過去には、東京都内にラピロス六本木が設置され、加工品、民芸品を中心に六百品目程度の商品を取りそろえ販売をされておりました。関係者にお聞きしたところ、当時、食品関係の商品は酒類を含め百品目程度であり、新鮮な農産物は販売されていなかったとのことです。残念ながら、ラピロス六本木は、県の緊急財政再建の中で、構造的な財源不足の解消を目指す施策の一つとして平成二十年度に廃止をされております。 昨年十二月に、飛騨蔬菜出荷組合の東京研修に私と高殿県議も同行させていただき、その中で飛騨牛の流通状況も聞かせていただきました。昔も今も飛騨牛は高ねの花でなかなか手に入らず、一部の高級レストランでのみ食することができるとのことです。飛騨牛に限らず、野菜、果物、米などもなかなか店頭で見かけることがないようで、大都市東京都の消費者の腹を満たしているのは、他県の農産物または海外流通品のようです。 県の調査によりますと、平成二十七年の県内青果物などの市場群別共販額及び全体割合は、中京地域が九十三億四千三百万円で約五〇%、京阪神地域が五十七億五千六百万円で約三〇%、京浜地域が九億二千万円で約五%、その他地域が三十七億六千二百万円で約二〇%となっており、首都圏である京浜地域の共販額割合は大変小さくなっております。中京地域や京阪神地域と比べますと、輸送距離が長く、輸送コストや農産物の鮮度保持などのさまざまな問題があるとは思いますが、首都圏での共販額増加に向けた取り組みを行うことは必要であると考えます。 一般社団法人地域活性化センターの自治体アンテナショップ実態調査によりますと、平成二十八年四月一日時点で東京都内には三十八都道府県、六十五店舗のアンテナショップがあり、近年増加傾向にあるとのことです。また、全体の八割強のアンテナショップが、自治体の知名度アップ、特産品の知名度アップ、特産品の販路拡大、地域情報発信の項目においてアンテナショップの運営効果があると回答されているとのことです。 県内の農産物生産者からは、年々関東の消費者からの安心・安全、美味、安価の声は高まる一方で、岐阜県産の農産物がなかなか手に入らないとの声も数多く聞いております。現在、ほぼ通年で農産物がそろい、しかも、六次産業化の発展により、県内の農産加工品のアイテム数も平成二十七年度には百四十八点となっていることから、仮に首都圏でアンテナショップなどの施設を設置した場合でも、需要に応えることができる商品をそろえることは可能であると確信をしております。首都圏を初めとする大都市圏での県産農産物の販路が拡大をされ、出荷量や出荷品目が拡大されれば、農産物生産者のやる気を喚起し、担い手の育成・確保にもつながります。 そこで、農政部長にお伺いをします。 全国農業担い手サミットinぎふの成功を契機に、今こそ県内農産物及び県産加工品の魅力を全国に向けて積極的にアピールして、さらなる販路拡大に取り組むべきと考えます。名古屋市内で展開されているジ・フーズの成功事例を参考に、関西や関東の大都市圏においても岐阜県産農産物の販路拡大に向けた取り組みを行うべきと思いますが、御所見をお聞かせください。 次に二項目め、アニメを活用した海外からの観光誘客についてお伺いをします。 昨年九月に定例会において、「山・鉾・屋台行事」による観光振興について質問をさせていただいた際に、アニメ映画「君の名は。」のことを少し述べさせていただきましたが、もはや私が御説明するまでもなく、本映画は空前の大ヒットとなり、国内のみならず、アジアや欧米など多くの国々でも上映をされ、さらに今後も新たに上映を予定されている国や地域もあるとのことで、まだまだこのブームは続くのではないかと思っております。 また「君の名は。」のほかにも、岐阜県を舞台とした「ルドルフとイッパイアッテナ」「聲の形」などのアニメ映画があり、多くのファンが岐阜県を訪れ、関連する地域や施設を聖地として巡礼をされております。さらに飛騨市では、「君の名は。」が海外でも上映されていることから、海外からも多くのファンが訪れております。 こうした状況を踏まえ、関係する自治体では、これを一時的なブームで終わらせず、持続的な地域経済の活性化につなげるために、巡礼地以外の地域資源の魅力も知っていただき、リピーターの増加につなげ、そして、地域住民に誇りを持っていただき、各自治体の観光振興や魅力ある地域づくりに取り組むことを目的として、岐阜市・大垣市・飛騨市の発起により、ぎふアニメ聖地おもてなし連合がことしの二月三日に設立をされました。この連合には、岐阜県や岐阜県観光連盟もオブザーバーとして参加されているとのことでありますので、関係自治体と連携をして、新たな形態のアニメツーリズムが推進されることを岐阜県に期待をしたいと思います。 最近になって、自治体や観光関係者などがアニメや漫画を観光資源として着目するようになったのは、アニメ映画の上映を契機とするファンによる聖地巡礼の増加であることは間違いありませんが、岐阜県では、過去にアニメ・漫画に関する取り組みが行われておりました。その昔、一九九五年から二〇〇〇年ごろにかけて、岐阜県は、岐阜県マンガ文化研究会というサークルがありまして、岐阜県が主催となって、主に県民文化ホール未来会館、現在の清流文化プラザを中心拠点としてさまざまな催し物を開催して、漫画やアニメ文化の輪を岐阜県から全国に発信をしておりました。 また、飛騨世界生活文化センターでは、二〇〇三年から二〇一〇年までの間に飛騨国際メルヘンアニメ映像祭が九回開催をされ、特に二〇〇六年には三十一の国と地域から百八十作品がエントリーをされて、盛大な映像祭となりました。二〇〇八年の映像祭でグランプリに輝いた手描きアニメ「つみきのいえ」が、第八十一回米国アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞した作品として有名になったことを御存じの方も多いと思います。 現在でも、飛騨市北部の宮川町には飛騨まんが王国という施設がありまして、施設内では数万冊の漫画本が読み放題、入浴・宿泊施設も兼ね備えており、特に富山市方面から愛好者が訪れております。 このように、岐阜県はアニメなどとの関連が深く、今や岐阜県はアニメの聖地とまで言われているほど、全国のアニメファンにとってここ岐阜県は特別の場所となっております。 昨年十一月には、十六総合研究所から岐阜県ゆかりのアニメ映画三作品の聖地巡礼による経済波及効果が二百五十三億円とも発表されております。観光産業の基幹化を目指している岐阜県にとって、アニメのテーマとなったスポットを活用して、本県ならではのアニメツーリズムを、外国人観光客もターゲットとして広く展開をして推進することは大変有効であると考えます。 そこで、観光国際局長にお伺いをします。 アニメ映画「君の名は。」の上映を機に、本県の聖地への注目が高まっていることから、この機を捉えて、アニメを切り口とした海外からの観光拡大を図ってはどうかと考えますが、御所見をお伺いします。 以上、私からは二項二点についてお伺いをしました。前向きな答弁をよろしくお願いいたします。御清聴まことにありがとうございました。    (拍手) ○副議長(佐藤武彦君) 農政部長 高木敏彦君。    〔農政部長 高木敏彦君登壇〕 ◎農政部長(高木敏彦君) 大都市圏における農産物の販売促進についてお答えをします。 首都圏など大都市圏においては、県のトップブランドである飛騨牛と一体的に県産農産物を売り込むことが販路の拡大に当たり重要であると考えております。このため、飛騨牛の販売プロモーションを行う際に、ホテルやレストランに対して、県産の野菜や果物などを取り扱っていただくようあわせて働きかけを行っており、その結果、トマト、シイタケなどに加えまして、ナメコ、山椒といった新しい品目の取引もできるようになってまいりました。今後は、ジ・フーズの事例を参考に、首都圏の拠点となるレストランにおいて、消費者が手軽に購入できるよう、農産物のほか、人気商品である飛騨牛カレーやアユの甘露煮などの六次産業化商品を販売するコーナーを店内に設置して、情報発信を行ってまいります。 また、一定の販売実績のある中京圏や関西圏では、出荷が多い八月に大手量販店のバイヤーを対象にした商談会を行うほか、若い主婦層をターゲットに料理教室を開催するなど、大都市圏での一層の販売促進を図ってまいります。 ○副議長(佐藤武彦君) 観光国際局長 小原寿光君。    〔観光国際局長 小原寿光君登壇〕 ◎観光国際局長(小原寿光君) アニメを活用した海外からの観光誘客についてお答えいたします。 映画「君の名は。」につきましては、タイや台湾などアジアで大ヒットにより、飛騨市には多い日で一日百人の外国人観光客が来訪しており、また、高山市が舞台となったアニメ「氷菓」も台湾・香港などで根強い人気があります。そこで、この一月から、アニメを通じた海外誘客を専門とするアニメツーリズム協会や、飛騨地域三市一村と連携し、タイなどの五つの国と地域から著名なブロガーなど二十名を招き、「君の名は。」などの巡礼スポットと周辺観光地の魅力を五百万人以上のフォロワーに発信したところです。 また、台湾、香港などから現地のメディアと旅行会社十七社を飛騨地域に招き、さらにタイとシンガポールの訪日旅行会社九社を訪問し働きかけを行ったところ、早速、香港の最大手の旅行会社が飛騨地域への聖地巡礼ツアーの販売を開始するなど、具体的な成果も出始めております。今後とも人気アニメを最大限活用し、海外からのさらなる誘客につなげてまいりたいと考えております。 ○副議長(佐藤武彦君) これをもって議第十四号から議第二十三号までの議案に対する質疑を終結いたします。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(佐藤武彦君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件のうち、議第十四号から議第二十三号までの各案件は、お手元に配付の議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(佐藤武彦君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております各案件のうち、議第十四号から議第二十三号までの各案件は、お手元に配付の議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。 なお、審査は三月十四日までに終了し、議長に報告願います。 △平成二十九年第一回岐阜県議会定例会議案付託表 委員会名付託案件総務委員会◯ 議第十四号のうち歳入予算補正、歳出予算補正中総務委員会関係及び地方債補正 ◯ 議第十五号企画経済委員会◯ 議第十四号のうち歳出予算補正中企画経済委員会関係及び繰越明許費補正中企画経済委員会関係 ◯ 議第十六号厚生環境委員会◯ 議第十四号のうち歳出予算補正中厚生環境委員会関係及び繰越明許費補正中厚生環境委員会関係 ◯ 議第十七号農林委員会◯ 議第十四号のうち歳出予算補正中農林委員会関係、繰越明許費補正中農林委員会関係及び債務負担行為補正中農林委員会関係 ◯ 議第十八号土木委員会◯ 議第十四号のうち歳出予算補正中土木委員会関係、繰越明許費補正中土木委員会関係及び債務負担行為補正中土木委員会関係 ◯ 議第十九号から議第二十三号まで教育警察委員会◯ 議第十四号のうち歳出予算補正中教育警察委員会関係及び債務負担行為補正中教育警察委員会関係…………………………………………………………………………………………… ○副議長(佐藤武彦君) お諮りいたします。委員会開催等のため、明日から三月十四日までの四日間、休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(佐藤武彦君) 御異議なしと認めます。よって、明日から三月十四日までの四日間、休会とすることに決定いたしました。…………………………………………………………………………………………… ○副議長(佐藤武彦君) 以上をもって、本日の日程は全て終了いたしました。 三月十五日は午前十時までに御参集願います。 三月十五日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後三時三分散会 ……………………………………………………………………………………………...