• "制公立高校"(/)
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  1. 岐阜県議会 2011-06-01
    07月01日-04号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    平成23年  6月 定例会(第3回)            ……………………………………………………………… △議事日程(第四号)                     平成二十三年七月一日(金)午前十時開議第一 議第八十二号から議第九十三号まで第二 請願第一号から請願第三号まで第三 一般質問            ……………………………………………………………… △本日の会議に付した事件 一 日程第一 議第八十二号から議第九十三号まで一 日程第二 請願第一号から請願第三号まで一 日程第三 一般質問            ……………………………………………………………… △出席議員    四十六人   一番   道家康生君   二番   水野吉近君   三番   国枝慎太郎君   五番   高木貴行君   六番   野村美穂君   七番   郷 明夫君   八番   長屋光征君   九番   高殿 尚君   十番   加藤大博君  十一番   酒向 薫君  十二番   大須賀志津香君  十三番   太田維久君  十四番   村上孝志君  十五番   田中勝士君  十六番   山本勝敏君  十七番   松岡正人君  十八番   篠田 徹君  十九番   小原 尚君  二十番   水野正敏君 二十一番   川上哲也君 二十二番   林 幸広君 二十三番   伊藤秀光君 二十四番   脇坂洋二君 二十五番   野島征夫君 二十六番   松村多美夫君 二十七番   平岩正光君 二十八番   佐藤武彦君 二十九番   森 正弘君  三十番   渡辺嘉山君 三十一番   伊藤正博君 三十二番   小川恒雄君 三十三番   村下貴夫君 三十四番   大野泰正君 三十五番   矢島成剛君 三十六番   足立勝利君 三十七番   洞口 博君 三十八番   渡辺 真君 三十九番   岩花正樹君  四十番   平野恭弘君 四十一番   駒田 誠君 四十三番   藤墳 守君 四十四番   早川捷也君 四十五番   玉田和浩君 四十六番   岩井豊太郎君 四十七番   渡辺信行君 四十八番   猫田 孝君            ……………………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長          島田 清 総務課長          伊藤治美 議事調査課長        北川幹根 議事調査課総括管理監    笠原真実 同    課長補佐     篠田雄一朗 同    課長補佐     田中公治 同    課長補佐     松本隆則 同    課長補佐     古田幹雄 同    課長補佐     梅本雅史 同    主査       辻 洋介 同    主査       堀場一彦            ……………………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事            古田 肇君 副知事           渕上俊則君 副知事           上手繁雄君 会計管理者         渡辺 厚君 危機管理統括監       若宮克行君 総務部長兼秘書広報統括監  宗宮康浩君 総合企画部長        安福正寿君 環境生活部長        坂 正光君 健康福祉部長        近田和彦君 商工労働部長        江崎禎英君 農政部長          平工孝義君 林政部長          森  勝君 県土整備部長        金森吉信君 都市建築部長        山本 馨君 ぎふ清流国体推進局長    武藤鉄弘君 環境生活部次長(環境担当) 秦 康之君 教育長           松川禮子君 警察本部長         瀧澤裕昭君 代表監査委員        鵜飼 誠君 人事委員会事務局長     片桐卓朗君 労働委員会事務局長     洞田厚男君            ……………………………………………………………… △七月一日午前十時開議 ○議長(藤墳守君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。            ……………………………………………………………… ○議長(藤墳守君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。            ……………………………………………………………… ○議長(藤墳守君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。三十二番 小川恒雄君。   〔三十二番 小川恒雄君登壇〕(拍手) ◆三十二番(小川恒雄君) おはようございます。 議長のお許しを得ましたので、通告に従い順次質問をさせていただきます。 本議会では、自民クラブ三期の先生方、私以外は質問をされておりませんので、代表して質問をしたいというふうに思います。 本会議には、三月議会中に発災をいたしました東日本大震災の関連の質問も多く、私たちに多くの教訓と将来にわたる課題を残したと思います。今後、岐阜県議会に付されたものは大きいと思います。そこで、この教訓と課題を今後の県政に生かすため、関連した質問をさせていただきます。 震災から間もなく四カ月となろうとしておりますが、被災地の復旧・復興はまだまだであり、これからが問われていると思います。 その中で、先般、三期の議員五名、それから一年生の長屋君と宮城県多賀城市の方へ行ってまいりました。避難所では、岐阜県職員がボランティア活動に真剣に取り組む姿を見ることができました。感動をいたしました。便所掃除等、人の嫌がる仕事に率先して取り組むなど、避難所で大変感謝をされていますが、今後、彼らが職場に復帰したとき、この経験は役立つことは間違いないと思います。生きた経験というか、現場現地の中での活動であるわけで、公務員としてのみずからの考え方、災害での活動がいかに大変であるか、被災者と真正面に向き合うことの重要性、難しさを彼らなりに体得し、一回り大きくなって帰ってくると思います。今後、被災地では人材の不足は当分続くと思いますし、行政現場への人的支援は不可欠であります。 一方、我が県にとっては、高い経費を払って職員研修も必要ではありますが、机上の理論ではなく、先ほど述べたように、生きた教育を現場で体験する方がより効果があるのではないでしょうか。行財政改革アクションプランによる人員削減もあり、県も決して職員の数も余裕があるわけではございませんが、被災地支援と職員の研修、資質向上といった意味においても、職員の派遣を考える絶好の機会ではないかと思います。被災地への職員派遣についての知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。 現在派遣されている職員からは、何も待遇について語ってはくれませんが、どうせよとは申し上げませんけれども、現在の状況を調査した上、御一考を願いたいと思います。 次に、東日本大震災において福島県での原発事故は、国民生活や産業界にも大きな影響を残しました。今後いつ収束するか、どんな形で影響が出るのか、予測すら立ちません。特に電力不足は、企業活動に重大な影響を及ぼす可能性があり、ただでさえ円高や法人関係税負担の高さなど、企業の海外流出圧力が高い中で、今後の電力不足の状況いかんによっては、企業の海外流出が加速する懸念があります。自動車業界においては、工場の稼働日を土曜日、日曜日にシフトするなど、懸命な企業努力により電力不足対策に取り組まれていますが、今後、原発の稼働停止が増加すれば、いよいよ国内での企業活動は難しくなってくると思われます。国では、電力会社による企業向け節電割引の導入や、被災時などに代替生産をしやすくするための設備投資に対する補助金など、産業空洞化対策に取り組むとしておりますが、このような企業流出を抑えるための対策が急務であると考えます。 また、こうした電力不足もさることながら、今回の大震災では、東北地方の事業所が被災し、部品等の供給が滞ったことから、震災による直接的な被害はなかったわけでございますけれども、地域においても生産活動が停滞する等、影響が出ました。こうした教訓から、企業の中には、同一部品を複数工場で生産するなど、生産拠点を分散する動きも始まっています。企業のリスク分散という意味で、こうした動きは今後さらに加速化されるものと考えますが、生産拠点を移す際には、コスト面もさることながら、今回の震災のことを考えれば、やはり、より安全な土地へ移転を希望すると思われます。そんな中、本州の中央にあり、交通アクセスもよく、津波も原発もない岐阜県は移転適地ではないかと考えますが、実際に全国規模で工場を持っておられる経営者の方にお話を伺いますと、移転するなら岐阜県という声も結構聞かれます。企業リスク分散の動きは今後も広がると思いますが、こうした動きを先取りすることで、火事場泥棒と言われかねませんが、県内への企業誘致も可能ではないかと考えます。 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。生産拠点を分散しようとする企業をターゲットにした企業誘致について、このチャンスを生かし、どのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。 次に、エネルギー政策における水力発電の再認識と既存施設の有効活用の観点から質問をさせていただきます。 岐阜県、木の国・山の国、植樹祭、豊かな海づくり大会、来年の清流国体、これらの言葉と東日本大震災を絡めて連想いたしますと水力発電につながると思います。岐阜県には木曽川、長良川、揖斐川、庄川、神通川等の豊かな清流が流れております。折しも福島原発事故で、この震災の中で反原発・脱原発が言われ、自然エネルギークリーンエネルギーに代替しようとする声も日増しに高まっております。今後、この流れが加速されることは言をまちません。 太陽光、風力発電、地熱、水力等自然エネルギーに代替し、電力不足を補おうとしておりますが、水力発電でいえば岐阜県下の発電所は百十一カ所、発電量は常時五十九万キロワット、最大で五百三十七万キロワットの能力を持っております。ちなみに浜岡原発は三百五十万キロワットであります。岐阜県内で常時発電可能な五十九万キロワットを単純に一家庭三キロワットで計算をしますと、約十九万戸分の電力を賄っていることになり、岐阜県の世帯数の約四分の一を占める割合になっております。エネルギー政策の将来を考えるといかなる方向へ向くのか、まだまだ行方はわかりません。しかしながら、唯一確かなことは、統計から見ればわずかではありますが、岐阜県において水力発電によるクリーンエネルギーを生み出すことができるということであります。 当県は、飛山濃水と呼ばれるように、北アルプスから輪中地帯まで三千メーターの落差を有しております。また、六月二十八日の朝日新聞の記事によれば、小水力発電所に利用できる水資源量、包蔵水力と申しますけれども、これが日本一であると書かれており、水力発電を行うに当たっては大変な地の利を有しているのであります。水力発電所の設置を行おうとする場合、重要なファクターとして水利権あるいは河川占用といった問題が存在し、これらがなかなか進んでいかないということもあって、岐阜県の発電量というのは少なくなっております。こうした制度の改正も含め、水力発電についていま一度見直す機会が必要ではないかと思います。 一方で、県では次世代エネルギービジョンを策定し、持続可能なエネルギーの社会実現を目指しております。このビジョンでは、「省エネルギー対策の推進」、「複数のエネルギー、技術のベストミックス」、「コストメリットを重要視したエネルギー技術の導入」という三つの視点で、一定期間をかけ進めようとしておりますが、東京電力福島第一原発の事故は、このビジョンを待ったなしの状況へ追い込んでいるのではないかと思います。短期的な夏の電力需要のピーク時における電力不足の問題と、中・長期的な脱原発、CO2の環境負荷削減といったエネルギー政策の根本的な見直しが今後どのような形で推移していくかによっては、県のエネルギービジョンにも影を落としてくると思います。今後の状況を総合的に判断すれば、おのずと水力発電の持つ意味は大きなものになると思います。 岐阜県の財産である水力発電の実績は、原発にかわるエネルギーとして、その将来性を示しているのではないかと思います。本県の水力発電については、私はまだまだ開発の余地があり、あらゆる角度から検討をすべきでないかと考えております。また、他の代替エネルギーでは、太陽光発電も広く普及していますが、家庭用が中心で、発電量からいっても水力発電には遠く及びません。 岐阜県においては、さまざまな要因から水力発電所立地計画が中止されたり、取りやめになったところもあります。エネルギー政策の観点でいえば、大変もったいない話であります。また、小水力発電など実験的な取り組みも進められていますが、クリーンエネルギー、まちおこし、省エネといった象徴的な事項に終始しているのが現状であり、費用対効果を考えた真剣な取り組みとは言えない現状であると思います。 いつも、どなたかが決まって徳山ダムのことを無駄、不要と言われておりますが、水力発電の部分だけ切り取れば御批判には当たらないと思います。徳山ダムに設置が進められている発電施設は、当初は安価な深夜電力を利用し、下流ダムから水をくみ上げて再利用する、いわゆる揚水型発電が計画されておりました。最大出力四十万キロワットでありました。しかしながら、現在の計画では、発電に利用した水はそのまま河川に流す一般型発電となっており、最大出力が十五万キロワットになっています。揚水型でないため、最大出力で発電を続けた場合、膨大な貯水量を誇る徳山ダムにあっても、その水は八十日間で空っぽになるというふうに聞いております。これでは役に立たないと思われるかもしれませんが、物は考えようで、電力需要のピークである昼間の三時間だけでも発電できれば、電力不足を補うことができるのではないかと考えます。 また、建設途中で中止になった川浦ダム、これは揚水式発電所でございますけれども、浜岡原発の夜間電力を利用し、揚水をして、ピーク時の昼間に発電する方法で計画されたものであります。これについても、建設を再開してはどうかと考えます。浜岡原発が再稼働されなければ、そもそもこうした揚水型の発電はできないと言われております。確かにそのことには一理あります。しかし、浜岡原発が再稼働されなくても、日本全国にはまだ多くの原発が稼働をしております。脱原発という世論の流れはあるものの、日本の産業・経済を考えると、急速に脱原発が進むとは考えにくいわけであります。日本の総理大臣が、一千万戸に太陽光発電をつけると思いつきで国際約束をしましたが、あいた口がふさがりません。 私が何を言いたいか、揚水発電所の夜間電力は浜岡原発に頼るのではなく、もっと近い北陸にあるのではないかと勝手に思っております。実際は中部電力が考える話でありますが、クリーンエネルギーである水力発電を少しでも生かす方法を、県としても主体的に検討してもよいのではないかと思います。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 本県は、古くから「木の国・山の国」と呼ばれ、今では「清流の国ぎふ」づくりを県政の柱として掲げるなど、豊富な水資源を有するという点から考えて、他に類を見ない地の利を持っていると思います。これまで水力発電は、脱ダム宣言に象徴されるように、無駄な公共事業の典型とされてきましたが、原子力発電所の事故を目の当たりにした今、こうした考え方こそ見直される時期に来たのではないでしょうか。むしろ各電力会社に要請をして、水力発電の能力アップを図っていくことが必要で、そうして得られた電気エネルギーを売りとすれば、クリーンなイメージを企業コンセプトにしている企業誘致にも大変有利に働くのではないかと思います。この水力発電を改めて見直し、積極的に推進していくことについて、知事はどのようなお考えでしょうか。 これに対して、岐阜県次世代エネルギービジョンは、将来的に広く実用化に結びつくのか、はっきりわからないような新しい発想に基づく新エネルギーを中心に取り上げています。しかし、東日本大震災の影響及び今後のエネルギーの政策等を勘案すると、基幹エネルギーとしては早急に役に立つようなことを考えなければならないと思います。岐阜県次世代エネルギービジョンは作成されて間がないものですが、いま一度、見直しをすべきと思いますが、いかがでしょうか。知事にお伺いをいたします。 以上、東日本大震災の発生を受け、我々に新たに突きつけられた課題等について御質問をさせていただきました。御清聴を感謝します。ありがとうございました。   (拍手) ○議長(藤墳守君) 知事 古田 肇君。   〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) まず、被災地への職員派遣についてお答え申し上げます。 今回の震災に当たりまして、被災自治体の要請を受けまして、本県としてさまざまな支援を行うために職員を派遣してきております。例えば、震災直後の三月十五日からは岩手県陸前高田市へ保健師を、また宮城県多賀城市へは三月末より避難所運営支援員、四月末からは現地支援連絡員を派遣してきております。さらに、六月からは、土木、建築関係の職員を宮城県に長期派遣しております。現在も十四人の県職員が被災地で支援活動に従事しておるということでございます。このほか、捜索救助、医療活動、ライフライン等の支援の分野など、市町村や民間も含めました岐阜県全体の派遣総数は、延べで三千名を超しておるという状況でございます。 ただいま議員からも大変感動したという御評価をいただきましたけれども、派遣されました職員は、被災地あるいは被災者の皆様のお役に少しでも立ちたいという強い思いを持って、懸命に支援業務に当たっておるわけでございます。例えば避難所では、被災者がその時々に求めておられるものを把握し、必要な物資を供給する。あるいは、若手職員が子供の遊び相手になるなど、心のケアにも気を配った支援を行っております。特に女性職員は、女性ならではの気配りや、同性として相談しやすいということで、避難所でも親しみを持って接することができたというふうに聞いております。こうしたきめ細かな支援につきましては、避難所の皆さんや派遣先の自治体からも高く評価していただいております。 一方、派遣された職員本人にとりましても、少しでも被災地の皆さんのお役に立てたという充足感を得られ、有意義なものであったというふうに報告を受けております。さらには、派遣先から戻った職員が、災害支援対策本部あるいはそれぞれの職場などでその経験を報告してもらっております。こうしたことにより、現地の実情、被災者の思いやニーズあるいは的確な支援のあり方などの情報が本県にフィードバックされ、本県の今後の防災対策を進める上からも大変有益なものになっておるというふうに考えております。 被災地では、状況、ニーズなど刻々と変化してきております。職員の派遣につきましては、今後ともこうした被災地からの要請を踏まえながら、積極的に対応していきたいと考えております。 次に、エネルギー関係で二点御質問ございました。 まず、水力発電についてのお尋ねでございます。 御指摘にありましたように、岐阜県は包蔵水力が日本一ということでございまして、清流の国を標榜する岐阜県といたしましては、この豊富な資源を有効に使うことは大変重要なことだというふうに考えておりまして、水力発電をめぐる現状、そして課題を踏まえながら、可能な限り積極的に対応していきたいというのが基本的なスタンスでございます。 まず、本県の水力発電の現状でございますが、全部で約百十カ所の水力発電所がございます。現実的な形で発電を行った場合に得られる常時発電量は約五十九万キロワットということでございます。ちなみにこの数字は、標準的な原子力発電所一基の発電量百万キロワットの約六割に当たるわけでございます。この岐阜県の水力発電所のうち、白川村御母衣ダムのように三万キロワット以上の大規模水力発電所、これは県内に二カ所ございまして、合わせて八万キロワット、また飛騨川の上麻生ダムのような三万キロから一万キロの中水力発電所が十カ所、約二十万キロワット、さらに飛騨川の川辺ダムのような一万キロワット以下のいわゆる小水力の発電所が約百カ所ございまして、総発電量は全体の五割に当たる約三十万キロワットと、こういうことでございます。このように、本県は数多くの水力発電所を有しておるわけでございます。 政府の調査によりますと、岐阜県内において採算のとれる中小水力発電所開発可能発電量は約四十万キロワットということでございまして、現在の岐阜県内の総発電量約五十九万キロワットは既にこれを上回っておる数字になるわけでございます。これは、豊かな川と水に恵まれた清流の国である本県の先人の方々が水を生かして電力を生かすことにいち早く着目し、採算性の限界まで水力発電を開発してこられた結果ではないかというふうに思っております。 さらに、県といたしましても、平成十九年度に岐阜県東部広域水道事務所釜戸小水力発電所を設置しておりますし、また去る六月十九日でございますが、郡上市の石徹白地区での小水力発電プロジェクトにも参加をし、新たな施設が稼働を始めておるということでございます。加えて、中部電力などの電力会社でも、開発済みの水力発電所の能力を最大限に活用できるよう、老朽化した設備の更新、ピーク対策に対応するための調整運転といったようなことを実施しておりまして、県としても、さらに追加の対策を働きかけていきたいというふうに考えておるところでございます。 そこで、二番目の次世代エネルギービジョンの位置づけ、あるいは見直しということでございますが、今回の東日本大震災の影響を受けまして、現在、御案内のように各地の原子力発電所が再稼働できない状況にございます。その結果として、日本全体として電力需給が逼迫化しておるということでございます。 今後、我が国のエネルギー政策において、原子力発電をどのように位置づけるか、新エネルギーをどこまで導入するかが問われますが、まずは原発事故の早期収拾と原因の検証・究明を行うとともに、これを踏まえた万全の原発安全対策を実施することができるかどうかということが前提になってくるというふうに考えております。 他方、地方自治体といたしましては、電力エネルギー利用者の立場に立って、県内各主体における電力エネルギー消費量の削減を図るとともに、太陽光や小水力など、地域特性を踏まえた自然エネルギーを最大限活用して、みずからのエネルギー需要を賄うことにより電力需給の逼迫をできる限り軽減することも重要な役割ではないかというふうに思っておるわけでございます。 こうした観点から見ますと、岐阜県としては、今回の震災でこの次世代エネルギービジョンの有効性が改めて明らかになったというふうに認識しておりまして、今後もこのビジョンにのっとった取り組みを加速化させていきたいというふうに思っております。 具体的には、本ビジョンでは自然エネルギーの安定化を図りながら、その積極的な活用を図る次世代エネルギーインフラを導入するということにしております。しかも、その大前提として、省エネルギー対策の推進を掲げているところに大きな特徴がございます。これは、需要面からエネルギーの安定供給に貢献するという考えによるものでございます。さらに、この次世代エネルギーインフラは、自然エネルギーが持つ問題点を燃料電池やバッテリーなどで補うことで、系統電力に過度に依存しない半独立型エネルギー供給システムということになっておるわけでございます。このため、このシステムは、災害時にも電気及び熱を一定期間供給し続けることができるということでございまして、災害対策、孤立集落対策などの観点からも有効性が高いということで、二年前から開発、実証を進めているという状況でございます。 今回の震災では、大規模な停電、電力網の寸断が起こりましたが、そうした様子を見ましても、本ビジョンで提示した次世代エネルギーインフラのようなシステムの必要性が明らかになったものではないかというふうに思っております。加えて、このビジョンでは、小水力発電の普及に向けて導入適地の調査を施策として盛り込んでおります。多様なエネルギーの活用にいち早く対応していきたいというふうに考えております。 ○議長(藤墳守君) 商工労働部長 江崎禎英君。   〔商工労働部長 江崎禎英君登壇〕 ◎商工労働部長(江崎禎英君) 私からは、今回の大震災を受けまして、生産拠点を移転・分散しようとする企業に対する誘致活動についてお答えをいたします。 議員御指摘のとおり、大震災の直後から、東日本に拠点を有する企業、特に外資系企業を中心に、電力不足への対応やリスク分散の観点から生産拠点を移転・分散しようとする動きが始まっており、岐阜県にも多数の問い合わせをいただいておるところでございます。しかしながら、各企業とも何らかの形で罹災をし、財務的にも厳しい中での投資判断でありますので、これを決して単なる企業誘致のチャンスと見るのではなく、可能な限り先方のニーズにこたえるべく、条件緩和も含め丁寧な対応が必要であると考えております。ちなみに、岐阜県の工業用地は、議員御指摘のとおり、交通アクセスがよい点に加えまして、内陸のため津波の心配がないこと、地盤が強く、東海・東南海地震の影響も比較的少ないと考えられること、原子力発電所から離れた地域にあるといった地理的条件から、危機管理の観点からすぐれているといった評価をいただいているところでございます。 こうした状況を踏まえまして、岐阜県では、震災後事業活動に支障を来しておられる東北・関東地方の企業等の事業活動の維持・継続を支援するため、被災企業の岐阜県内立地に関する融資制度を拡充するとともに、企業立地相談窓口を設置し、県内への立地相談を受け付けているところでございます。本年四月四日の窓口開設以来、罹災企業やその取引銀行などから岐阜県内の工業用地に関する問い合わせは計十三件あり、各企業のニーズに応じて工業用地や支援制度の紹介を行っているところでございます。 なお、中部電力浜岡原子力発電所の運転停止に伴い、夏場の電力需給が逼迫することが明らかになるにつれ、残念でありますが本県への問い合わせは減りつつあります。しかしながら、震災によるサプライチェーンの寸断で部品などの調達ができなくなりました自動車メーカーなどでは、部品の調達を一定の地域ごとに完結させる地域完結型生産や分散生産、さらには相互補完等を目的とする生産体制再構築の動きも見られるところでございます。 いずれにしましても県としましては、企業の動向に迅速に対応するとともに、地震の強さをアピールしながら、日本経済の再生に役立つ取り組みとして、積極的に県内工業用地の提案を行ってまいりたいと考えております。以上です。 ○議長(藤墳守君) 二番 水野吉近君。   〔二番 水野吉近君登壇〕(拍手) ◆二番(水野吉近君) 初めて質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 議長より発言のお許しをいただきましたので、本県の防災対策の強化・見直しについて、並びに介護サービスの拡充について質問をさせていただきます。 一点目に、東日本大震災を受けて、本県では県地域防災計画を初めとする防災関連計画を点検・検証する震災対策検証委員会が開催されているところですが、震災後の被災者支援の対策として、総務省が全国に活用を促している被災者支援システムについて質問をさせていただきます。 一九九五年の阪神・淡路大震災で壊滅的な被害を受けた兵庫県西宮市が独自に開発した被災者支援システムは、災害発生時の住民基本台帳のデータをベースに被災者台帳を作成し、被災状況を入力することで、罹災証明書の発行から支援金や義援金の交付、救援物資の管理、仮設住宅の入退居など、一元的に管理できるシステムです。現在、総務省所管の財団法人 地方自治情報センターが同システムを管理し、導入希望の地方自治体に無償で提供しており、被災自治体においては、一刻も早い導入が望まれています。このシステムは、同センターが二〇〇五年に地方公共団体が活用できるよう公開し、二〇〇九年には総務省が同システムをおさめたCD‐ROMを全国の自治体へ無償配布しています。 しかし、このたびの東日本大震災前までに同システム導入の申請があったのは全国で約二百二十の自治体にとどまり、被災した東北地方では導入する自治体はほとんどありませんでした。しかし、今回の震災後は、被災者の情報を一元的に管理する被災者台帳の必要性への認識が高まり、同システムの導入の申請をする自治体がふえ、五月二十六日現在で三百に達したと伺っています。 災害発生時は、何よりも人命救助が最優先です。しかし、その後はきめの細かい被災者支援が求められます。中でも、家を失った住民が、生活再建に向けて、なくてはならないのが市町村が発行する罹災証明書です。罹災証明を発行するためには、住民基本台帳と家屋台帳、そして被災状況を確認して新たに作成した調査結果、この三つのデータベースを突き合わせる必要があります。仮に、今回のような大きな震災が起きた場合、大量の罹災証明書の発行が必要になると思われます。今のままでは確認作業に手間取り、被災者を長時間待たせる等、負担を強いることになりかねません。 震災後に同システムを導入した宮城県山元町では、システム導入により、この三つのデータベースが統合され、ここに住家の被災状況を追加すると罹災証明書がスムーズに発行でき、罹災証明の申請件数に対する発行件数は約九割に上っています。同町によると、一度情報登録をしてしまえば、一元管理により義援金の支給などについても再度申請の手続は要らない。行政にとっても住民にとっても助かると、罹災証明書だけでなく、義援金、支援金の支給、固定資産税の減免等においても同システムが効果を発揮していると語っています。厳しい財政状況の中、「なかなか情報システム経費まで手が回らない」、「いつ起こるかわからないことにお金も労力もかけられない」、「コンピューターに精通した職員がいない」といった声もありますが、同システムは兵庫県西宮市の職員が、災害の最中、まさに被災した住民のために必要に応じて開発したもので、高いIT能力がある職員がいなければできないわけではありません。また、職員が立ち上げ、運用すればコストもかかりませんし、仮に民間企業に委託した場合でも二十万円から約五十万円弱程度です。新たな設備は特に必要なく、既存のパソコンがあれば十分対応できます。今回の震災で、改めて平時から災害時に住民本位の行政サービスが提供される体制づくりを進める必要性が高まっています。そのために、阪神・淡路大震災の教訓と実践に裏打ちされた同システムを、平時に導入・運用していくことが極めて有益だと考えます。 そこで、危機管理統括監に伺います。この被災者支援システムについて、本県市町村の導入状況はどうなっているのか。また、今後、県から各市町村に対し、導入の積極的な推進を図るべきだと考えますが、御所見をお聞かせください。 二点目に、震災の予防対策の観点から、本県が進める支え合いの体制づくり事業についてお尋ねします。 本事業は、今年度から交付される国の介護基盤緊急整備等臨時特例基金を活用し、市町村社会福祉協議会や活動実践団体が取り組む、ひとり暮らし高齢者などの要支援者に対する地域での見守り活動を、支援、強化する取り組みです。この取り組みは、今年度に始まったものではなく、これまでに県が継続的に推進してきたものですが、この取り組みが震災の予防対策の観点から大変重要であることを痛感しております。 私は、去る六月十五日に東日本大震災の被災地である宮城県多賀城市と七ケ浜町を訪問いたしました。そこで、地震と津波の甚大な被害を受け、避難所や仮設住宅で不自由な生活を強いられている被災者の皆様にひざ詰めで直接お話を伺う機会を得ることができました。その中で、大変印象的だったのは、ふだんから自治会や隣近所で交流があり、自然な形で見守り活動などの支え合いの体制ができている地域は、震災後の住民の安否確認や被災状況の確認がスムーズにできていること。また、被災後の避難所生活においても、特に高齢者や障がい者、妊産婦、乳幼児などの災害時要援護者が孤立したり、不安を抱いたりすることが少なかったという体験談でした。これは、平常時の地域コミュニティーの構築が災害時には大きな力を発揮することを意味しています。 私は、本県が進めている支え合いの体制づくりの支援事業は、災害時要援護者支援対策の観点からも重要であり、甚大な震災があった今だからこそ、その必要性を訴え、県下の各活動実践団体に大きく推進の輪を広げるときであると思います。本事業を進めるに当たり、県が国と連携し、東日本大震災での経験を情報収集し、例えば、現在各活動実践団体が進めている要援護者支援マップづくりが、実際の災害現場でいかに重要であったかを検証し、その成果を訴えるなどして取り組みへの意識の高揚を図り、より一層の推進を図っていただきたいと思いますが、健康福祉部長の御所見をお伺いします。 次に、介護サービスの拡充に関連して、三点にわたり質問を行います。 初めに、今国会で成立した改正介護保険法についてお伺いします。 去る六月十五日の参議院本会議で、二十四時間対応の巡回型訪問サービスの創設を柱とする改正介護保険関連法が与野党の賛成多数で成立いたしました。二十四時間訪問サービスの対象は在宅で生活をしているひとり暮らしや重度の要介護者で、施行は来年四月の予定となっています。しかし、この二十四時間対応の巡回型訪問サービスは、都市部では効率的に巡回できますが、利用者が点在している地方の過疎地では、移動時間がかかり過ぎ、対応は難しいとの指摘もあります。また、改正法では、医師・看護師にしか認めていなかったたん吸引などの医療行為を介護職員にも認めることを明記、さらに病院と介護施設の中間的施設である介護療養病床の廃止を二〇一七年度末まで六年間延長することも盛り込まれました。特別養護老人ホームの入所待ちが全国で四十二万人に上っているように、今現在、多くの方は在宅で介護を受けざるを得ない状況になっています。これらの方々の在宅介護生活を支える上で、今回の法改正が功を奏するよう、その対応を期待したいと思います。 そこで、今回成立した改正介護保険法を受けて、二十四時間対応の巡回型訪問サービスの創設などの新しい制度が始まることに対する本県の対応について、健康福祉部長の御所見をお伺いします。 次に、介護施設の待機者解消と介護職員の待遇改善への取り組みについてお伺いします。 本県が平成二十一年三月に策定した岐阜県高齢者安心計画は、本年度が計画期間の終了年度に当たり、平成二十四年度からの計画策定に向けて、今後見直し作業が行われることになると思います。今期計画における重点施策としては、一、介護人材確保のための取り組み、二、特別養護老人ホームへの入所待機者への対応、三、療養病床再編への対応の三点が掲げられております。このうち、三点目の療養病床再編への対応については、先ほど触れました改正介護保険法で、介護療養病床の廃止期限が六年間延長されることになり、今後の介護療養病床を有する医療機関の介護保険施設等への転換は、鈍化することが考えられます。 一方、一点目の介護人材確保のための取り組みや、二点目の特別養護老人ホームへの入所待機者への対応については、岐阜県福祉人材総合対策センターの設置や、利用ニーズに対応した介護保険施設の定員数の確保に向けた適正な施設整備を促進することなどが掲げられていますが、本計画期間には、国の介護基盤緊急整備等臨時特例基金事業や介護職員処遇改善等臨時特例基金事業の活用など、本計画の取り組みを加速させる環境も整ってきています。特に本県の本年度予算に組み込まれた特別養護老人ホーム等の整備促進事業では、介護基盤緊急整備等臨時特例基金を活用して、昨年の二倍に当たる千四百八十一床の整備が行われる計画であると伺っております。特別養護老人ホーム等への入所待ちをされている方が年々増加する中、本事業の前倒し実施が期待されるところです。 そこで、まず介護施設の入所待機者への対応についてお伺いします。 特別養護老人ホーム等の整備促進事業により、県内の施設入所待機者がどれだけいて、それがどの程度解消される予定なのか。また、待機者が入所するに当たり、その優先順位についてどのように考えておられるのか。また、今後は施設の整備コストをできるだけ抑え、少しでも多くの床数を確保することが望まれますが、今後の課題として、公的住宅や空き学校校舎の活用などを考えてもよいと思われますが、これらに対する見解を健康福祉部長にお伺いいたします。 また、こうした施設の整備が進むに従って、看護師や介護職員の人材確保は不可欠です。二〇二五年には、現在の二倍の介護人材が必要というデータも出ています。このうち介護職員は、心身の負担の重さに比べ、給与水準が低いと長年指摘されています。また、他業種に比べ、早期の離職率も極めて高くなっています。こうしたことから、二〇〇九年には介護報酬改定で三%アップ、さらに介護職員の処遇改善に取り組む事業者へ、二〇〇九年十月から二〇一二年三月までの介護サービス提供分に対し厚生労働省から介護職員処遇改善交付金の交付を行い、介護職員一人当たり一万五千円以上の処遇改善を進めているところです。 そこで、介護人材確保の観点からお伺いします。 現時点で、介護職員処遇改善交付金は、県内の介護事業者からどの程度申請があり、その結果、県内の介護職員の賃金はどの程度向上したのか。それは、全職種の平均賃金と比べてどの程度なのか。また、介護事業者が介護職員処遇改善交付金を申請されない原因はどういった点にあるのかについて、同じく健康福祉部長にお尋ねいたします。 要介護者の方が安心して利用できる介護サービスを目指し、一刻も早い基盤整備が推進されることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○議長(藤墳守君) 危機管理統括監 若宮克行君。   〔危機管理統括監 若宮克行君登壇〕 ◎危機管理統括監(若宮克行君) 被災者支援システムについてお答えいたします。 このシステムは、市町村が災害発生時の住民基本台帳のデータを利用して被災者台帳をつくり、家屋被害や避難先などの被災関連情報をコンピューターで一元的に管理するもので、迅速な罹災証明の発行、義援金の支給などが可能になり、議員御指摘のとおり被災者支援に大変役立つものであります。現在、このシステムのソフトウエアは財団法人 地方自治情報センターから無償で提供されておりますが、全国的に普及が余り進んでおらず、県内におきましても利用登録をしている市町村は六市という状況でございます。 そうした中、今回の東日本大震災を受け、財団法人 岐阜県市町村行政情報センターにより、本年五月、県内五圏域でこのシステムの仕組みの説明とデモンストレーションが行われたところでございます。県といたしましても、今後このシステムの導入の説明会を開催するなど、市町村に対し、早期導入に向け積極的に働きかけを行ってまいります。 ○議長(藤墳守君) 健康福祉部長 近田和彦君。   〔健康福祉部長 近田和彦君登壇〕
    ◎健康福祉部長(近田和彦君) まず、地域支え合い体制づくり事業についてお答えをいたします。 平常時からの地域での支え合い活動は、災害時においても大きな力を発揮するものであり、県単独の補助制度を設け、市町村や各種の団体とともに体制づくりを進めてまいりました。今年度は、国の補助事業である地域支え合い体制づくり事業を活用することとしており、現在三十七の市町村で七十の事業が見込まれております。 議員御指摘の要援護者支援マップについては、この三月時点で六割を超える市町村で作成されており、災害時の避難支援や安否確認に効果が見込まれる上、このマップづくりを通じて地域における要援護者を支える機運が高まる効果が期待できると考えております。引き続き、地域支え合い体制づくり事業を活用しながら一層の促進を図ってまいりたいと考えております。 また、御提案のマップづくりの効果があった事例等につきましては、可能な限り情報を集め、研修会等を通じて市町村と共有し、地域における支え合いの向上につなげてまいります。 次に、介護関係の御質問でございますが、介護保険法の改正を踏まえた県の取り組みについてお答えをいたします。 議員御指摘のとおり、今回の法改正で新たなサービスとして特に注目されているのは、定期的に利用者を巡回訪問して短時間訪問介護を行うサービスであり、昨年度から短時間の訪問介護を一日に複数回、定期的に提供するモデル事業を岐阜・西濃・東濃圏域において行ってきたところでございます。今年度は、都市部向きのサービスであると言われていることもあり、山間部等を含む県内全域での実施に向け、中濃・飛騨圏域においても実施されるよう準備を進めているところです。 また、介護職員によるたん吸引につきましても、昨年度は講師となる人材を育成するため、特別養護老人ホームの看護師を対象とした研修会を二回開催しておりますが、今年度は国から研修の実施内容が示され次第、本格的な研修を行う予定でございます。こうした在宅介護サービスの強化の取り組みを通じて、法改正への対応に万全を期したいと考えております。 次に、施設への入所申込者及び施設の整備状況についてお答えをいたします。 まず、特別養護老人ホーム入所申込者の状況は、平成二十二年六月時点では一万五千五百二十人となり、そのうち要介護二以上で独居または家族介護が困難な入所申込者は三千九百五十八人となっております。県では、三年ごとに介護保険事業支援計画を策定し、施設及び在宅双方のサービスの充実など、介護施策のあり方を決めており、現在、平成二十一年度から二十三年度までの第四期計画に基づいて施設整備を推進しているところです。特に平成二十二、二十三年度は、平成二十四年度からの次期計画を前倒して整備を進めており、今年度はこの前倒し分を含めて千四百八十一床を整備する予定であり、この整備により入所待機者の減少が図れるものと考えております。 なお、今年度は、平成二十四年度からの第五期計画を策定する予定ですが、入所申込者の実態についてのきめ細かい把握・分析などを行い、適切な施設整備の推進とともに、在宅サービスの充実についても計画に盛り込んでまいります。 次に、施設への入所に当たっての優先順位についてお答えをいたします。 まず、特別養護老人ホームへの入所要件は、「六十五歳以上であり、身体または精神において著しい障害があるため、常時の介護が必要とされ、在宅において介護を受けることが困難である者」と老人福祉法に定められており、各施設はこの要件に該当する方を原則として申し込み順で順位を定め、入所を決定しております。この要件に加えまして、国の基準では、さらに必要性が高いと認められる入所申込者については、優先的に入所させるよう努めなければならないと定めており、こうした申し込みがあった場合には、各施設において、その都度検討を行うことになっております。さらに、介護を行う家族の入院等によって緊急に入所が必要な場合については、定員を超えた緊急入所の取り扱いができることとなっております。これらの入所に当たっての優先順位の取り扱いが透明かつ公平に運用されるよう、実地指導等において、入所に関する指針が適切か、その指針に沿って運用がされているかなどについて指導してまいります。 既存施設を活用した介護施設の整備については、耐震等防災上の問題やバリアフリー、プライバシーの確保等、環境上の問題があり、施設利用者の安全・安心や適正な処遇の確保という観点から考えますと、適切な建物は少ないのが現状と考えております。特に、特別養護老人ホームへの転用については、老人福祉法等で定められた居室の面積、廊下幅等の建物基準や、便所、浴室等の設備基準を満たすため大がかりな改修が必要になり、多大な経費を要することになります。したがって、既存建物を大規模な入所施設として活用することは難しいのが現状ですが、小規模な入所施設やデイサービスセンター等、通所施設への転用については可能性が高いと考えられますので、設置者の意向を踏まえまして、補助制度を通して支援をしてまいります。 最後に、介護職員処遇改善交付金についてお答えをいたします。 この交付金は、介護職員の処遇改善を主な目的に、月額一万五千円程度の賃金引き上げが可能となるよう、平成二十一年度から実施をしております。この事業により、平成二十一年度実績では平均で月額一万五千九百円の増額となりましたが、県内全労働者の平均月収二十七万四千円に対しまして介護職員の平均月収は十九万五千円と、他職種と比較して依然として低く、これが介護職員の確保を困難としている大きな原因と考えております。 また、平成二十一年度末の申請率は七六%となっており、申請されない理由は、「申請に係る事務作業が煩雑である」、「施設には看護職など多種の職員がいる」が対象が介護職員に限定されているなどが多くなっております。このため、昨年度、簡易に書類が作成できるよう具体的な記入例やひな形を作成し、申請を促す説明会を三回開催したところでございます。さらには、国に対して対象とする職種の拡大と、さらなる賃金水準の向上を図ること、加えて事業が終了する平成二十四年度以降についても、財源措置を含めた恒久的な措置を講ずるよう要望したところであり、今後も引き続き働きかけてまいります。 ○議長(藤墳守君) 五番 高木貴行君。   〔五番 高木貴行君登壇〕(拍手) ◆五番(高木貴行君) 議長の発言のお許しをいただきましたので、発言に移る前に、まずもって今議会で登壇をさせていただき、二期目の新たな決意をここでさせていただきたい。気持ちが新たに引き締まっております。今期は三十代前半の県議、加藤先生、国枝先生、そして長屋先生、私を含めて四人の三十代前半の議員が在籍しております。若い世代としてしっかりと一緒になって議論をしていくとともに、若い世代の意見を県政に反映できるように頑張っていきたい、そう思っております。 それでは質問に移らせていただきます。 今回の東日本大震災、これについては多くの先生方から質問があります。震災によって、我々の生活だけではなく、日本国土の形さえ変えてしまう大きな被害を受けました。私からも、今回の東日本大震災でお亡くなりになりました皆様方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、すべての被災者の皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。 今回は、そんな震災の中、大きな人的被害を今後こうむらないように、私は子供たちの学校における防災・震災マニュアルを中心として、まずは質問をさせていただきます。 ニュースや新聞でも取り上げられておりますが、今回問題になっている一つに、学校での授業中に起こった震災での対応とその被害内容が上がってきております。大変胸が痛いことではありますが、今回の大震災で本当に多くの子供たちが犠牲になっております。昨日の大須賀議員の質問の中でもありましたが、宮城県石巻市立大川小学校では全校生徒百八人中七十四人、そして教職員十三人中十人、学校全体の約七割の生徒・先生が犠牲となりました。保護者からは、当時の状況を知りたいということから、学校側は説明会を開催する運びとなりましたが、助かる方法はほかになかったのかなどと、学校側の対応を批判する発言が相次いだそうです。現場にいた教職員で唯一生還した四十代の男性教諭によると、当時の状況の説明では、三月十一日の大地震発生直後、同校教諭は児童に校庭への避難を指示し、誘導点呼を行った後、迎えに来た保護者に児童を引き渡している途中、津波の危険性があると判断。地域住民と教頭らが相談の上、高台となっている新北上大橋傍らの三角地帯に避難をすることを決めましたが、津波は三角地帯への移動中に児童や教職員を襲いました。学校のすぐ裏には山がありますが、地震による倒木の危険性があったため、避難場所に適さないと判断されたということでございます。 片や、今回の大震災で千二百人以上を超す死者と行方不明者を出した岩手県釜石市では、三千人近い小・中学生のほとんどが無事に避難をしております。これも昨日、岩花県議の質問の中での釜石の奇跡のお話でございます。背景には、古くから津波に苦しめられてきた三陸地方の言い伝え「津波てんでんこ」--自分の責任で早く高台に逃げろとの意味らしいんですが--に基づいた防災教育があったと言われております。釜石市北部の大槌湾を望む釜石東中学校(生徒二百二十二人)は、同湾に流れる鵜住居川から数十メートルしか離れていないにもかかわらず、当時の登校していた児童全員が無事でありました。津波は、地震発生後、いつ来るかわかりません。教員の指示がおくれると逃げおくれることになります。釜石市内の小・中学校では、とにかく早く、自分の判断でできるだけ高いところに逃げるように指示をしてきました。 釜石市は、昭和三陸地震やチリ地震など津波で大きな被害を受けたこともあり、市内の各小・中学校は、津波を経験した高齢者の講演会などを開いたり、当時の映像を見せたりして津波の恐ろしさを教えてきました。釜石東中学校の場合、平均して週一時間を防災教育に充て、年三回避難訓練を行ってきております。市教委によると、今回の震災で釜石市内の小・中学生二千九百二十三人のうち死者と行方不明者は五人、ほとんどが学校を休んでいた子供で、学校からの避難がほぼうまくいったことを裏づける結果となっております。 今回の大震災は、言わずと知れた想定以上の大地震、想定外の震災であり、結果的に今までどおりのマニュアルでは対応できず、明暗を分けたケースもありましたが、日ごろの訓練や防災意識によって救われた命も多くあったと感じられます。 私は、大きな犠牲が出た学校のニュースを聞いていて特に不思議に感じたのは、沿岸部で地震発生後、高台にすぐ逃げるマニュアルではなく、グラウンドに一度集合して点呼を行ってから保護者に引き渡し、下校するというマニュアルであります。岐阜県内では津波の心配はほぼないに等しいと言われておりますが、河川近辺では水害の危険性が高く、山間部では崩落や土砂災害などの危険があり、地域が同じでも学校ごとに危険箇所が違うため、マニュアルも変わってくると感じられます。 そこで、まず教育長にお尋ねをいたします。 現在、各学校では、災害マニュアルというものは策定されているのでしょうか。また、策定されているのならば、しっかりとその地域の実情に合ったマニュアルなのでしょうか。ぜひ各学校独自の震災マニュアルを策定し、日ごろの訓練を行うべきと考えます。 また、小・中学校のような地元から徒歩で通学している生徒と、バスや電車で通学している高校生では、災害マニュアルを含めた震災後の生徒の帰宅、避難、さらには親への連絡方法等々も変わってきます。学校での災害マニュアルはどうなっているのでしょうか。 そして、先ほど述べたケースでもそうですが、基本的には学校での避難は教員の指示であります。教員の指示一つで多くの生徒の命が左右されると言っても過言ではありません。そこで各学校、特にトップである校長先生、教頭先生の防災、災害に対する対応は重要であると考えます。例えば、私の地元の小学校では、昨年、校長、教頭のトップ二が一気にかわりましたが、いきなり来た先生がその地元のことを理解しているかは心配なところです。新人校長、新人教頭への対応などを含め、各学校の責任者への指導はどうなっているのでしょうか。さらに子供たちを安全な場所に避難させることも重要ですが、学校は地域の避難場所ともなっております。各市町村の防災計画、災害マニュアルにも学校が避難場所となっているところが多数あると思いますが、その内容を学校の先生方がふだんから理解を深めているのでしょうか。各地域の防災計画について、学校と先生方が理解する必要があると思いますが、いかがでしょうか。 最後に、昨年十二月議会で太田県議からも質問がありましたDIG--災害図上訓練も早急に開始していくべきであります。昨年の答弁でも、効果について「県としても十分理解をしており、各市町村とも連携して普及を推進してまいります」とあります。私としても、ぜひとも本年からすべての学校、企業等で開始をしていっていただきたいと考えておりますが、現在のDIGの普及の状況はいかがでしょうか。危機管理統括監にお伺いをいたします。 次の質問でございます。 災害後、テレビをつけると、家屋や車、船や道路や壊れた瓦れきの山ばかりが目につきました。今回の震災で、岩手、宮城、福島の三県で推計約二千五百万トンという膨大な災害廃棄物の処理を行っていかなければならないそうです。この二千五百万トンという量は、例えば岐阜県での年間一般廃棄物が約七十四万トンでございますので、三十年分以上の廃棄物が今回の震災で発生してしまったことになります。 そこで、まず今回の大震災で発生した瓦れきの山ですが、岐阜県として何かしらの支援を考えているのか、環境生活次長にお尋ねいたします。 先ほども申し上げたとおり、今回の震災で我々の生活はすべてにおいて見直しを進める必要があります。経済合理性や利便性ばかりを求めるのではなく、安全性や人間としての道徳観をしっかりと持って社会活動をしていかなければなりません。そして、自分のことばかりを優先するのではなく、いろいろな事象を自分の立場に置きかえて考えて行動していかなければなりません。 原発について、確かに今のままの日本人の生活水準を保つためには、エネルギー確保の観点からは切り離すことは難しいかもしれません。しかし、エネルギーは使いたいが、もし自分の家の近所に原発が来るとなれば本気で反対すると思います。廃棄物やし尿処理の問題もそうです。我々の生活では必ずごみが出ます。物を食べ、飲めばトイレにも行きます。ふだん気にしていないかもしれませんが、それらのものを必ずだれかがどこかで処理をしているのです。ごみの処理を含めて、自分の立場だけで物事を考えるのではなく、しっかりと相手の立場で物事を考えるようにならなければなりません。 そこで我々の足元を見てみますと、近年、県内では新聞報道で散見できるように、産業廃棄物や一般廃棄物の不法投棄がふえてきているように感じられます。先ほども申し上げましたが、今回の震災で、何度も言いますが、我々の生活を見直さなければなりません。物をつくるにもエネルギーが必要であり、物を処理するにもエネルギーが必要です。 先日、ある処理業者からこんな話を聞きました。景気が低迷する中、廃棄物処理にかけるコストは削られ、デフレの傾向は廃棄物処理でもあらわれていると。処理費用負担ができなく、直接不法投棄してしまう企業や、処理業者によっては、単価を安くたたくことにより薄利多売になり、本来の処理能力以上の量を受け入れることによって最終的に適切な処理ができなくなる、不法投棄となってしまう場合があるそうです。私は、廃棄物の処理について、処理業者への監視体制などはしっかりと行政として行っていくことは必要不可欠でありますが、そもそもの廃棄物を排出する責任も、今まで以上にしっかりと注意をしていくべきだと感じております。産業廃棄物を排出する企業は、本当に適切に処理を行ってもらえる処理業者なのか、事前に見きわめることが必要であり、排出する側が細心の注意を行っていれば、廃棄物問題は減少し、かなりの不法投棄は防げるようにも感じられます。 そこで、まず近年の産業廃棄物、一般廃棄物の不法投棄の現状をお尋ねいたします。 また、排出責任の強化をしていく観点から、処理業者の処理状況が不適切である場合は、排出事業者に対しても、情報提供を含めて何らかの措置を行っていくべきではないかと考えておりますが、環境生活部次長にお尋ねをいたします。 次の質問です。首都機能移転について知事にお尋ねをいたします。 まず、今回の大震災で教訓になっていることの一つに、リスクの分散が上げられるのではないでしょうか。震災への対応で、国や行政の対応にかなりの批判が連日報道されておりますが、裏を返すと、国の役割は余りにも大きく、何物にもかえがたい機能であることともとらえることができます。 「新首都 東京から東濃へ」、このキャッチフレーズは、私が大学のころ、地元 多治見に帰ってくるとよく目についていた看板の文言です。平成二年、国では、国会等の移転に関する決議を採決した後、岐阜県議会でも平成四年に首都機能移転に関する意見書採択を行い、じわりじわりと岐阜県内、特に東濃地域にはこの言葉が浸透してきましたが、平成十八年ごろより国会では進展はなくなり、岐阜県としても平成二十一年度には特別委員会の重点調査項目からも首都機能移転についてはなくなってしまっております。ちょうど昨日、六月三十日付で、国では国土交通省所管の首都機能移転企画課が組織変更のために廃止されたばかりであります。しかし、今回の震災を契機に首都機能議論は再燃してきており、特に関西方面では既に何度も国に対して提言をしてきております。 私は、先ほども申し上げましたが、危機管理の面から考えてもリスク分散は必要であり、また機能分散をして持ってくることに経済効果も期待できると考えられます。さらに、現在は、東海・東南海・南海地震に対しても警戒が強くなってきておりますが、先日の岐阜県議会震災総合対策議員連盟総会で執行部から説明がありましたが、本県は活断層が多い県であり、内陸地震による被害も警戒しなければなりません。しかし、説明後、私見ではありますが、東濃西部地域は比較的大きな活断層から外れており、津波被害のおそれも少なく、地盤の液状化のおそれも低いので、首都機能の移転に適したところであるのではないかと思っております。 また、今回の東日本大震災で私自身も少し現地で支援をしてまいりましたが、もし東海・東南海地震等が発生する、そういう予測が出ているのであれば、この震災地を中心とした震災支援、復興ができるのであれば、そこに拠点を持ってくる、機能を集中させる、それもベストではないかとも感じております。また、交通アクセスの面でも、今後のリニア中央新幹線の開通も期待できるとともに、これも私見ではありますが、土岐市などは、日本の中心を走っている中央自動車道と南北を横断できる、北陸に行くことができる東海環状自動車道・東海北陸自動車道にも続いており、さらに中部国際空港へのアクセスも悪くありません。 今議会、リニアについて多くの先生方から質問が出ております。また、昨日、山本県議からもリニア中央新幹線のダイヤについてもお話がありました。駅ができるから、その地域を今後どうしていくかという考え、またダイヤをふやしていけばこうなるんじゃないかという視点も必要ではありますが、逆にリニア中央新幹線の開通はまだまだ十年以上先です。首都機能を東濃に持ってくる、このようなビジョンがあれば、リニアの駅の有効性、また逆に言えばリニアのダイヤ、これもJR側からふやしてきてくれるのではないかと、私は考えております。 そこで知事にお尋ねをいたします。ぜひ日本の真ん中である岐阜県、この地に危機管理の面からも、また地域発展のためにも、岐阜県としてもビジョンを策定し、首都機能移転に前向きな活動を行っていく時期であると思いますが、岐阜県としてどう考えているのでしょうか。 さて、最後の質問です。 近年、情報社会の発達で、違法な薬物・ドラッグが身近になってきているのではないかと感じているのは、私だけではないと思います。実際、警察で検挙されている実数は減ってきているようですが、マスコミを通じて我々が目にする違法薬物使用者のニュースは大変多くなってきております。 先日、ある保護者の方々との話の中で、違法薬物を使用してしまった方々が普通にマスコミを通じて世間でクローズアップされてしまっており、子供たちの目には、違法薬物を使用しても余り悪いことではないとのイメージがついてしまわないか心配であるとの御意見をいただきました。確かに近年、芸能人や有名人が違法薬物によって逮捕され、有罪判決を受けておりますが、結果として執行猶予となり、一部制限がかかる生活を送りながらもマスコミを通じて登場することによって、何も知らない子供たちには違法薬物使用の罪の重さが伝わらないのも理解ができます。 例えば、とある芸能人は、麻薬及び向精神薬取締法違反によって、執行猶予つきとはいえ有罪判決を受けておりますが、薬物以外の余罪の追及のために違法薬物の使用に関する有罪判決の印象が薄くなってきております。また、ほかの芸能人が、たび重なる覚せい剤使用により何度も逮捕されている例もあり、違法薬物の入手は容易であり、その使用がありきたりの犯罪であるかのような感覚に陥ってしまいそうになるところに危機感を感じます。 年々岐阜県内での薬物使用での逮捕者等々は減ってきているような話も聞きますが、薬物自体が巧妙になってきており、皆さんも聞いたことがあると思いますが、合法ドラッグなどとうたわれており、また健康ブームの時代で、ダイエット薬や健康サプリメントと称して広まっていくこともあるそうです。さらに、県内での事犯は確かに減少してきているかもしれませんが、進学や就職を契機に都心に出ていき、少し失礼な言い方かもしれませんが、何も知らない田舎者の若者が、いろんな誘惑や興味本位で手を出してしまうケースもあるのではないでしょうか。 そこでお尋ねをいたします。麻薬及び向精神薬取締法や覚せい剤取締法の刑罰はありますが、私は罰が余りにも軽いのではないかと感じております。岐阜県として、無理かもしれませんが、岐阜県が独自にでも罰則を強化していくべきではないかとも思いますが、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 また、昨今の社会情勢から違法薬物乱用の拡大を阻止するためには、少年時代からの教育・指導が重要と考えます。また、薬物事犯は再犯率が高いとも聞いております。岐阜県下において、薬物事犯の検挙状況と薬物乱用防止策について警察本部長にお尋ねをいたします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○議長(藤墳守君) 知事 古田 肇君。   〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 首都機能移転についてお尋ねがございました。 御案内のように、平成二年の衆参両院における国会等移転に関する決議に始まりまして、平成四年の国会等移転に関する法律の制定、さらに平成十一年には、岐阜・愛知地域が候補地の一つに選定されるなど、国の施策として進めてまいりましたが、その後、最近までの間、議論に具体的な進展が見られなかったところでございます。 そうした中にありまして、この震災後、再び首都機能移転の議論が起こってきております。ただ、この内容は、従来のような恒久的に首都機能の大部分を移転するというものとはかなり異なっておるんではないかというふうに見ております。今行われております議論は、大震災など有事や緊急時に備えて、一極集中の弱点を克服するべく、首都機能の分散化、あるいは国の中枢機能のバックアップ拠点、さらには非常時の緊急避難地といったものが必要ではないかというような議論でございます。そして、そうした機能の受け皿として、基本的に東京から離れた地域にある既存の施設等を活用できるんではないかといったような提言もなされておるわけでございます。ただ、これらの議論も、それぞれ具体的な内容を詰めてまいりますと、いろんな関係者の思いが異なった形で織りまじっておるというふうに思っております。 いずれにいたしましても、これからは東京に一極集中している機能を、地理的、経済的条件を踏まえながら地方にも担ってもらうという方向で議論が進むのではないかというふうに思っております。その際には、さきに公表されましたように、中津川市西部がリニア中央新幹線の中間駅の候補になりましたことは、本県、とりわけ東濃地域にとって強みであるというふうに思っております。 既に、リニアを動脈として、駅の予定地に首都機能を分散させることも可能ではないかというような議論も出てきておるわけでございます。今後、岐阜県としてリニア中央新幹線開通に伴う産業振興、観光誘客などの地域振興策を盛り込んだリニア活用戦略を練っていくわけでございますが、その中で当県が首都機能の分散化やバックアップの受け皿となる可能性についても幅広く議論をし、何らかの方向が出てくれば、これを積極的にアピールしていくことも検討してまいりたいと思っております。 ○議長(藤墳守君) 危機管理統括監 若宮克行君。   〔危機管理統括監 若宮克行君登壇〕 ◎危機管理統括監(若宮克行君) 災害図上訓練--DIGの普及状況についてお答えいたします。 DIGは、住民が避難経路や地域における防災上のリスクを学ぶ上で大変有効な手段であります。県では、平成十六年度から訓練指導者の養成を行い、現在までに千百二十五名の養成をしております。さらに、本年五月と六月、昨年の七・一五豪雨災害の教訓から、風水害に関する知識や地域の特徴を踏まえたハザードマップの作成方法を習得するため、過去に養成研修に参加された方を対象に県内三会場でスキルアップ研修を開催し、二百二十五名の参加をいただいたところであります。 また、市町村におけるDIGの実施状況は、昨年度までに三十六市町村において実施されているところであります。さらに、防災教育の必要性が高まる中、昨年度から小・中学校に対し、指導者養成研修への参加を呼びかけ、昨年度は五名の教員に参加いただきました。また、昨年十一月には、山県市高富小学校において四年生の児童と保護者百四十七名によるDIGが行われるなど、学校での主体的な取り組みも始まっているところです。 県といたしましては、未実施の市町村に実施を働きかけるとともに、学校に加えて、企業に対しましても指導者養成研修への参加を幅広く御案内するなど、普及促進に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(藤墳守君) 健康福祉部長 近田和彦君。   〔健康福祉部長 近田和彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(近田和彦君) 青少年の違法薬物使用等に対する御質問のうち、岐阜県独自の罰則強化についてお答えをいたします。 麻薬及び向精神薬取締法では、麻薬の不法所持、使用に関する罰則は、最高で十年以下の懲役となっており、営利目的での違反には、それを上回る懲役等の罰則が規定をされております。県独自の罰則を設定するためには条例を制定する必要がありますが、地方自治法では、条例で規定できる罰則は、懲役については二年までとされていることから、県独自の罰則強化はできないと考えております。 言うまでもなく、薬物乱用は、みずからの心身の健康を害するばかりではなく、家族や周囲の人々を不幸にするなど、その影響は大きく、絶対に許されるものではありません。引き続き、薬物乱用防止のため監視指導を厳正に実施するとともに、各種啓発活動を行ってまいります。 ○議長(藤墳守君) 環境生活部次長環境担当 秦 康之君。   〔環境生活部次長環境担当 秦 康之君登壇〕 ◎環境生活部次長環境担当(秦康之君) 廃棄物の処理につきまして、三点御質問をいただきました。 まず一点目、東日本大震災で発生した災害廃棄物の処理に関する県の支援についてお答えいたします。 今回発生した災害廃棄物については、現在、国において、被災地以外の市町村の処理施設を活用した全国規模の広域処理体制の構築に向けた検討がなされているところであります。県では、環境省の要請に基づいて、県内市町村に対して広域処理への協力を依頼いたしましたところ、十二市六一部事務組合から放射性物質で汚染されていないとの条件におきまして、年間最大で約五万トンの受け入れが可能との回答をいただいております。 現時点では、国あるいは被災自治体から本県に対する具体的な協力要請はございませんが、今後、要請があった場合には、廃棄物の種類、性状等に応じた受け入れ先、搬入時期、搬入方法等を勘案しながら、災害廃棄物の受け入れ処理が円滑に進むよう対応してまいります。 二点目に、産業廃棄物、一般廃棄物の不法投棄の現状についてお答えいたします。 産業廃棄物、一般廃棄物、双方をあわせました廃棄物の不法投棄などの不適正処理につきまして、県や市町村に寄せられる通報件数は、ここ数年、毎年三千件以上で推移をしております。平成二十二年度の通報件数は三千二百三十六件にも上っております。また、中核市である岐阜市分を除いた十トン以上の産業廃棄物の不法投棄等で、平成二十二年度末時点で未処理となっている事案が三十件ございます。通報すべてが不法投棄というわけではございませんが、廃棄物の不法投棄は後を絶たず、大規模な不法投棄事案の処理には長い時間が必要となります。また、廃棄物を不法投棄した直後にコンクリートで覆いかぶせるといった悪質・巧妙な事案も見受けられます。県としては、廃棄物の不法投棄については、早期発見、早期措置が極めて重要であると考えており、今後とも市町村、地域住民と連携した監視・通報体制の強化、悪質・巧妙な事案に対する警察的手法を活用した立入検査の実施などに努めてまいりたいと思います。 三点目に、産業廃棄物の排出者責任の強化についてお答えいたします。 廃棄物処理法では、排出事業者は、事業活動に伴って発生した産業廃棄物をみずからの責任において適正に処理することとされております。また、不当に安い料金で処理委託し、不法投棄などに至った場合、排出事業者に撤去責任が発生することも定められているところであります。今年の四月には、排出事業者責任の強化を図るための改正法が施行され、産業廃棄物の処理を委託した場合に、その処理状況を確認すること、また委託した処理業者から適正処理を行うことが困難である旨の通知を受けた場合には、排出事業者が適正な措置を講ずることなどの義務が新たに加わっております。県といたしましても、こうした法改正を着実に実施していくため、排出事業者に新たに課せられた義務につきまして、講習会の開催や関係団体への通知により周知徹底を図るとともに、排出事業者への立入検査時に産業廃棄物の処理状況について現地確認を行っているのかどうか、確認をしておるところでございます。さらに、行政処分等により処理業者における処理が滞る場合には、これ以上処理委託を行わないよう排出事業者に指導するなど、産業廃棄物の適正処理の推進に一層努めてまいります。 ○議長(藤墳守君) 教育長 松川禮子君。   〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 学校における災害対応マニュアルについてお答えいたします。 災害対応マニュアルについては、各学校に対して、災害の種別、災害の発生時間帯別に作成するよう求めており、これまでにすべての学校において作成されています。しかしながら、県教育委員会としましては、議員御指摘のように、今回の大震災を教訓に、そのマニュアルが本当に実効性のあるものかどうか再点検する必要性があると考え、現在、教育事務所ごとに小学校・中学校・高等学校及び特別支援学校の管理職を集め、学校安全対策会議を実施しているところです。会議では、災害時における登下校を含めた児童・生徒の動きや、教職員の対応等を細かく見直すなど改善の視点を示し、学校ごとのマニュアルを再点検させ、速やかに改善作業を進めるよう指導しています。 さらに、改善したマニュアルを、市町村の地域防災計画との関連を踏まえ、警察、消防、自治会代表者、市町村の防災担当職員等にも点検していただき、その精度を高めていくよう指導しているところです。 なお、管理職への指導につきましては、新任管理職研修において今年度より研修日を一日追加し、危機管理に特化した内容を組み込むなど、管理職としての危機管理意識の高揚に努めているところです。また、異動の際の引き継ぎにつきましては、これまで以上に徹底していきたいと考えております。 次に、地域防災計画における学校の役割についてお答えいたします。 県立学校も含めて多くの学校が市町村の地域防災計画において避難所に指定されており、県教育委員会では、各学校に対して市町村が作成する避難所運営マニュアルに沿って対応するよう求めてきたところです。しかし、このたびの東日本大震災の実情からもわかるように、大災害発生後の初期段階では、市町村の担当者が学校に向かうことができず、教職員だけで避難所の運営を担うことも予想されます。したがって、各学校に対して、平素から地元関係部署と連携を密にするとともに、市町村の地域防災計画の内容を十分理解した上で、いざというときに的確に対応できるよう働きかけてまいります。 ○議長(藤墳守君) 警察本部長 瀧澤裕昭君。   〔警察本部長 瀧澤裕昭君登壇〕 ◎警察本部長(瀧澤裕昭君) 薬物事犯の検挙状況と薬物乱用防止対策についてお答えいたします。 県下における昨年の薬物事犯検挙人員は百三十八人でありまして、ここ数年減少傾向にありましたが、本年は六月末現在の検挙人員が既に少年八人を含む九十二人と、昨年同時期に比べまして約三五%増加しておりまして、憂慮すべき状況にあります。また、昨年の薬物事犯検挙人員のうち、再犯率が高いと言われる覚せい剤事犯での検挙人員は百十六人と全体の約八四%を占め、うち再犯者は六十七人で、再犯率は約五八%となっております。 次に、乱用防止対策といたしましては、密売組織や末端乱用者の取り締まりを徹底するほか、警察職員が地域、職域の行事等において、薬物を拒絶する機運の醸成を図るための広報を実施しております。さらに、検挙された乱用者に対しては、薬物再乱用防止対策用資料を配布するなど、薬物乱用防止に関する情報提供を実施しているところであります。 加えて、議員御指摘のとおり少年時代からの教育、指導が重要であることから、警察職員が中学・高校などに赴き、薬物乱用防止教室等を開催し、薬物の危険性、有害性について正しく理解させるなど、規範意識の向上にも努めているところでございます。県警察といたしましては、今後とも取り締まりの強化と関係機関との連携による薬物乱用防止対策に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(藤墳守君) 十五番 田中勝士君。   〔十五番 田中勝士君登壇〕(拍手) ◆十五番(田中勝士君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に従い質問をさせていただきます。 初めは、エネルギー問題についてお尋ねしますが、今回の一般質問でも、エネルギー問題については、原発再稼働における国の責任の問題、さらにはその安全の問題、そして新エネルギーの導入の問題など、さまざまな形で取り上げられていますが、それらを踏まえた上で、ここでは我が国のエネルギー政策の今後について知事がどのように考えているのか、そして、それに地方はどうかかわっていくべきなのか、お尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。 まずは、原発問題をめぐる昨今の動き等について整理してみたいと思います。 今、全国に五十四基ある商業用原発のうち三十五基が定期検査などで停止しています。今月十八日、海江田経済産業大臣は、みずから安全性に合格点を出し、停止中の原発の運転再開を地元知事らに働きかける方針を示しました。背景には、電力使用量が上昇する夏場を目前に電力需給の逼迫が懸念されていることなどがあるのは、皆さんも御承知のとおりです。これを契機として、各県の知事がそれぞれの考えを表明し、議論が活発化していますので、少し御紹介したいと思います。 まず、直接の当事者である原発立地県--これは全国に十三あります--の知事ですが、一昨日、佐賀県知事が、「安全性の確認ができた」と運転再開を容認する姿勢を示したのを初め、鹿児島県知事も、「物事には積み上げが必要。運転再開に向けての必然的ステップだった」と前向きな受けとめ方をしています。その一方で、新潟県知事などは、「県の技術委員会の質問に国は回答していない。原発の安全性について論評に値する内容を何も含んでいない」と非常に厳しく受けとめており、全体としては、北海道、「過酷事故対策が適切と評価した根拠も含め、国は責任ある説明が必要だ」。青森県、「県の検証委員会の検証結果や県議会の議論などを踏まえ、慎重にかつ厳しく対処していく」。島根県、「国の指示内容が今回の原発事故の原因を踏まえた安全対策として十分かチェックする必要がある」などと、国の安全宣言に対する説明不足を指摘した慎重意見が多いようです。 岐阜県に隣接し、全国最多の商業用原発十三基を抱える福井県は、福島第一原発の事故を受けて、地震の影響がなかったのか、原子炉の老朽化の影響はないか、浜岡だけをとめた理由などを国に明らかにするように求めていますが、今回の国からの要請に対し、県が求めたことの答えになっていない、状況は何も変わっていないと、現段階で運転再開を認めない考えを示しています。さらに、福島県知事は、二十七日の県議会で、「原子力に依存しない社会を目指すべきである」と述べ、原発立地県の知事で初めて脱原発の姿勢を示しました。 立地県以外の知事の意見としては、福井県などの姿勢に一定の評価を示しながら、国は地方に対して理解を求める努力をすること、安全対策についてもっと丁寧なプロセスを得ることなどを求める、やはり慎重な意見が多いようです。古田知事も同様の立場をとられていると理解しています。 そんな中、脱原発を表明しているのは、今御紹介した福島県のほかに滋賀県、山形県、神奈川県、そして大阪府の知事などです。ただ、その発言内容を見てみると、脱原発という言葉の定義があいまいなこともあり、それぞれの考えは若干違っているようです。一方、産業界からは、電力不足で不安を抱える企業には朗報だと、おおむね歓迎の声が上がっています。 このように、今回の原発事故を契機に、原発の是非についての議論が活発になっているわけですが、こうした中、たまたまきょうの中日新聞の記事にも載っていましたが、直木賞作家の高村 薫氏の論評が目に入り、非常に的を射た考えだと感じましたので、ここで紹介させていただきます。 「世の原子力工学の専門家たちを見よ。原発の設計や原理に最も精通しているはずの彼らが安全を唱える人と危険を唱える人の二種類に分かれてしまう現実を見ても、原子力において安全か否かの議論がいかに不毛であるかわかろうというものである。どだい、原発において、安全な放射能漏れ、安全な水素爆発、安全な炉心融解などというものはないのであって、直ちに健康被害があるか否かが問題なのではない。そもそも、そうした事故を起こさないことを大前提にして設計され、運転されているのが商業用原発である以上、事故を起こした時点で不適なのである。それでも万一事故を起こした場合、処理を安全に行うのは当たり前であり、それがいま一つ心もとない福島の現状は、ますます不適というだけである。原発の是非をめぐる議論は、安全か危険かを問う限り、永遠に水かけ論になる。また、エネルギー資源や温室効果ガス削減といった単一の論点だけで是非を論じるのも適切ではないだろう。なぜなら、殊、原発に関しては、万一事故が起きたときの被害の大きさという面で、ほかのエネルギーと比較ができないからである。私たちは、今、原発が安全か危険かではなく、メリットもデメリットもあるこの原発という技術を未来にわたって使い続けるのか否かについて、主体的な是非を決するように迫られているのだと思う」ということです。 私たちは、福島第一原発の事故によって、絶対の安全などないことを目の当たりにしました。よって、国や電力会社が幾ら安全宣言をしようと、それは安全への努力を怠らないという意味でしかないわけです。それを承知の上で、この技術を使い続けるのか否か、選択するのは私たちなのです。 このことを議論するに当たっては、エネルギー全体の問題について、もっと深く考える必要があります。 そこで、次は、知事も先日の答弁で触れておられましたが、我が国のエネルギー事情について整理したいと思います。 日本は資源の乏しい島国で、エネルギー自給率はわずか四%でしかありません。つまり、ほとんどのすべてを輸入に頼っているわけです。そのエネルギー供給量を比較してみると、原油、石炭、天然ガスなどの化石燃料の合計が八三%、原子力一一%、水力三%となっており、今話題になっている太陽光や風力は、それぞれわずか〇・一%程度にすぎません。また、この中で電力の部分だけを取り出してみると、原子力の比率が三割程度になるというわけです。 このように、我が国のエネルギーの八割以上を賄っている化石燃料ですが、問題としては、一点目、温室効果ガスを排出し、地球温暖化など環境に深刻な影響を及ぼす。二点目、世界のエネルギー消費量の増加に伴い、激しい争奪戦が繰り広げられている。特に人口増大と経済成長著しいアジア地域において、その消費量は大幅に伸びています。三点目、埋蔵量に限りがあり、このまま使い続けると、いずれ枯渇してしまうなど、大きく三点が挙げられます。 資源量の問題について、これは二〇〇八年度末のデータですが、それぞれの確認埋蔵量は、原油四十二年、天然ガス六十年、石炭百二十二年となっています。つまり、このまま使い続けると、将来いずれかの時点でなくなってしまうわけです。また、期待がかかっている太陽光や風力などの再生可能エネルギーですが、現在の技術や規模では新エネルギーとして使えるには至っておらず、先ほど紹介したように、エネルギー比率がそれぞれ〇・一%にとどまっている実情を見ると、我が国のエネルギーを支える柱の一つに至るには、めどが立っていないというのが実情です。仮に可能だとしても、かなりの時間がかかると思われます。 以上を踏まえて考えてみると、エネルギー問題は、今日まで築き上げてきたこの文明社会そのもののあり方の問題だと気づかされます。 現代の文明社会は、生産と消費の維持・成長による経済成長によって発展してきました。しかし、先ほど紹介した地球の資源量と環境問題という二つの条件を前提としたとき、本当は、もはや現在の消費は維持できないという前提に立たなければならないのではないか。私たちは、薄々このことに気づいています。これは非常に深刻な問題です。なぜなら、我が国における消費生活の縮小は、経済の縮小や便利な生活との決別を意味するからです。今日までつくり上げてきた生活スタイルを変えるというのは、すぐには想像のつかない話です。しかし、エネルギーの節約とは、物にあふれた生活を縮小する以外にあり得ません。二台あるマイカーを一台に減らし、必ずしも必要のない生活用品や電化製品を捨て、それでも回るような経済構造をつくることができるのか、まさにそのことが問われているのです。 エネルギーの将来ビジョンについては、国が根本的な政策見直しを行い、具体的で実現可能な道筋を国民に示す必要があります。そして、その過程において、原発の是非や国民、県民の暮らしにかかわる議論が避けられない以上、地方はこれに積極的にかかわっていかなくてはなりません。 ここで、また各県の知事の発言を紹介します。滋賀県、「エネルギー政策は国にお任せという「以前」に決別し、自治体として骨太に本気で取り組むべき時が来た」。大分県、「再生可能エネルギーの導入は必要だが、短期的には困難だ」。山梨県、「地球温暖化を考慮すると原発は不可欠で、安全性を確保した上で、今後も依存せざるを得ない」。静岡県、「福島の事故は原発の安全性を揺るがしたばかりではなく、我が国のエネルギー政策の根本的な見直しを迫っている」。 以上を踏まえて、二点質問いたします。 一点目、我が国のエネルギー政策の今後についてどのように考えているのか、知事の考えをお聞かせください。二点目、その見直し過程において、地方はどのようにかかわっていくべきとお考えでしょうか。古田知事の答弁をお願いいたします。 さらに、この問題について、教育上の観点から、二点お尋ねします。 一点目、先ほどからエネルギー問題についていろいろ申し上げましたが、この問題の当事者となるのは今の子供たちです。学校では、小・中・高それぞれの段階において、エネルギー問題についてどのような教育が行われているのでしょうか。二点目、特に原発の問題については、どのように取り上げられているのでしょうか。教育長の答弁をお願いいたします。 次は、県政運営についてお尋ねしますが、正確に言うと三・一一後の県政運営に対する知事の考えをお聞きするものです。 今、私は「三・一一」という言葉を使わせていただきました。本来ならば、「東日本大震災後の」というのが正しいのかもしれません。しかし、今回の震災は、私たちの価値観や政治のあり方などに対し、大きな変化をもたらしました。私は、それを我が国の歴史における大きな転換点ととらえており、そうした意味を込めて「三・一一」という言葉を使わせていただきます。御理解いただきますようお願いいたします。 今回の巨大地震と津波は人々の生活を一瞬にして壊滅させましたが、その社会が抱えていた問題も一緒に消え去ったわけではありません。少子・高齢化や人口減少、産業の空洞化などがそれです。そして、余りの被害の大きさや原発事故が、その不安を増大させています。こうした危機に陥ったとき、リーダーにとって最も大事なことは、人々に安心と希望を与え、進むべき方向の旗を明快に示すことですが、国政の混乱と停滞がこの不安をさらに増大させています。非常に腹立たしい限りです。 幸いにも、今回、岐阜県は被災しませんでした。被災しなかった人間には、生きることに精いっぱいの被災者にかわって、この社会が抱える諸問題を見詰め続ける義務がある、私はこのように考えています。今、求められているのは、これまで積み上げてきたものを大切にしながら、決めた目標に向かって着実に歩んでいく堅実な県政運営です。復興の関係で財政的なしわ寄せはあると思いますが、長期構想で掲げた将来像や行革の推進、「清流の国ぎふ」づくりや国体の成功に向かって、力を合わせて進んでいかなくてはなりません。 そんな中、岐阜新聞、中日新聞の両社が自粛・中止した長良川の花火大会にかえて、県が音頭を取って花火大会を開催するという話を伺いました。正直申し上げて少々驚きましたし、ちまたからは若干批判めいた話も聞こえてきます。しかし、長良川の花火大会は、夏の風物詩として多くの人々が楽しみにしています。震災や原発事故によってしぼみがちになる県民に元気を与えるという意味において、私は非常によい決断をされたと思っています。「悲観は感情の産物であり、楽観は意思から生まれる」、以前、知事が答弁の中で引用された言葉ですが、今回は知事の強い意思を感じた次第です。規模が例年の十分の一程度というのが寂しい気もします。ぜひとも、できる限り盛大に開催していただきたいとお願いいたします。 また、六月七日に開催された国体の決起大会のとき、知事は「この大会を震災からの復興、日本再生のシンボルになるような大会にしたい」、このように宣言されました。スポーツは、人々に勇気と感動を与えます。また、スポーツ振興が戦後日本の復興に大きな役割を果たしたことは、だれもが認めるところです。加えて、国体は、全国の選手が一堂に会する貴重な機会でもあります。この思いを県民全体で共有できれば、必ずすばらしい大会になる、このように確信しております。 三・一一後の政治に求められるもの、それは、震災以前からある問題を見失うことなく、掲げた目標に向かって着実に歩み続ける堅実さ、そして困難に果敢に挑む姿勢、さらには県民を鼓舞し、元気を与え続ける姿、こうしたものではないでしょうか。くしくも、震災発生時、この議場では引退された中村議員が今後の県政運営についての質問をされていました。しかし、その瞬間、日本のみならず、世界は衝撃を受け、これを境にいろいろなものが大きく変化しました。 そこで、知事にお尋ねします。こうした現状を踏まえながら、三・一一後の県政運営にかける知事の思いをお聞かせください。 最後に、震災に関連して教育の問題についてお伺いします。 先日、笠松少年の主張大会に出席してまいりました。やはり何人かの子供が震災の問題に触れました。 ある小学生は、被災者支援について語ってくれました。自分たちにできることは何かを考え、子供による子供への支援であると気づき、リュックサック作戦を行ったそうです。つまり、自分と同年代の子供たちが何を必要としているのかみずから考え、それを一人一個ずつのリュックサックに詰めて現地へ送るというもので、いわゆる支援物資だけでなく、学用品や漫画の本など、子供ならではのアイデアが詰まっています。ある中学生は、被災地で活動するボランティアの姿に触発され、みずからがボランティア意識に目覚めたと語ってくれました。しかし、現地に行くことはできない。それでは地元で頑張ろう、地元から元気を発信しようということで、あいさつ運動に取り組んでいるということでした。また、別の中学生は、「今回の震災が自分が目指す職業の理想像を明快にしてくれた」と語ってくれました。この生徒は、将来医師になることを目指しているのですが、被災地ではどんな医療が求められているのかということを考え、困っている人の気持ちがわかる心ある医師になりたいという結論に達したようです。このように、今回の震災は子供たちにさまざまな影響を与えています。 その一方で、先生方もいろいろ考えているようです。今週月曜日の岐阜新聞に、山県市立伊自良北小学校の先生の記事が載っていました。授業の中で、水産業や環境のことを学ぶ際、震災のことも触れて学ぶと生きた学習になるのではないか。なぜ節電しなければならないのか、東北地方の産物を買うことがどんな役に立つのか、身近なことから原発問題や風評被害まで、夏休みの親子学習で取り組んではどうか、教科書以外にも、震災のことは、教師みずからが教材化していく必要があるのではないかなど、さまざまなことが提案してありました。 そこで、教育長に二点お尋ねします。 一点目、今回の大震災から子供たちに何を学んでほしいと考えていますか、率直な考えをお聞かせください。二点目、これらのことについて、先生方にはどのように取り組んでほしいとお考えでしょうか。 以上、今回は三月十一日の震災を契機に持ち上がったさまざまな課題であるエネルギー政策について、県政運営について、教育問題について質問させていただきました。知事並びに教育長の明快な答弁をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○議長(藤墳守君) 知事 古田 肇君。   〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 私に対しましては、エネルギー政策、それから三・一一後の県政運営ということで、大変骨太な御質問をいただきました。明快さが単純さにつながってもいけませんので、その辺も含めて御答弁申し上げたいと思っております。 まずエネルギー政策でありますが、議員はまさに御質問の中でこの問題の難しさを大変明快に、明確にお示しになったわけでありますけれども、まさに御指摘のとおり、我が国のエネルギー政策を見直すに当たりまして、まず安全性に対する信頼が大きく損なわれた原子力発電所の存廃についての議論がしっかりと行われることが不可避であります。同時に、御指摘にもありましたように、直ちにこれに代替できるエネルギーが容易には確保できないこと、あるいはそれぞれに課題を抱えていること、エネルギーの不足は国民生活、経済活動に大きな制約を与えかねないこと、こういったことを抱えておりまして、このエネルギー政策の見直しというのは一義的には解決しがたい、極めて難しい多元連立方程式になっているというふうに認識をしておるわけでございます。「現実は可能性の束である」というのは丸山眞男の名言でありますが、どういう条件のもとで、どういう現実可能なシナリオが書けるか、ぎりぎりのところで詰めていかなければならないということでございます。 現在、国では新成長戦略実現会議におきまして我が国のエネルギー政策の見直しを行っておりますけれども、今後、原子力発電への依存度、再生エネルギーの導入比率、そしてコスト面や環境面も含めてあらゆる角度から検討が加えられ、トータルなシナリオとして新たなエネルギー基本計画が閣議決定、そして国会報告ということになっておるわけでございます。かつて私も、また商工労働部の江崎部長もこうした作業に直接加わった経験があるわけでございますが、今般この作業が、国において早急に進むことを期待しておるわけでございます。こうした一連のエネルギー政策の見直しプロセスにおきましては、何と言ってもまずは福島の事故の早期収拾と原因の検証・究明、さらには、これらを踏まえた万全の安全対策を果たして示すことができるかどうかということが大きな前提になるというふうに考えておりまして、こうした議論の動向について大いに注視しておる次第でございます。 次に、こうした中で地方はどのようにかかわっていくかということでございますが、大きく二つの観点から考えております。 一つ目は、住民生活の安全・安心を預かる立場から、原子力発電所の安全確保に万全を期していくという方向で、国に対してしっかりと政策を求めていくということでございまして、この点については、私としても随時意見を申し上げていきたいと思っておるわけでございますが、例えば、今般の事故を踏まえまして、先月十六日に経済産業大臣とお目にかかりまして、岐阜県も含めて原発から三十キロ圏内に含まれる立地県以外の県を周辺県として位置づけ、異常事態発生時の通報など法に基づいた対応が行われるよう、原子力災害対策特別措置法の改正を強く要請したところでございます。大臣からは、その実現の方向で検討を進めたいという前向きな返事をいただいております。 二つ目は、エネルギー利用者の立場に立って、県内各主体における電力・エネルギー消費量をできる限り削減し、需要サイドからエネルギーの安定供給に寄与する役割を果たすということでございます。既に昨日、一昨日も御答弁申し上げておりますが、それに加えまして、太陽光、小水力など、地域特性を踏まえた自然エネルギーを最大限活用して、みずからのエネルギー需要を可能な限りみずから賄うということにより、電力需給の逼迫を軽減することも重要な役割であるというふうに考えております。このため、県としては、まずはこの夏の電力不足に対応するために、省エネルギー啓発を積極的に進めております。同時に、中・長期的には、先般取りまとめました次世代エネルギービジョンをもとに、徹底した省エネルギーの推進と太陽光発電や燃料電池、蓄電池などを組み合わせた半独立型のエネルギー供給システムの導入に積極的に取り組むことにより、自治体レベルで取り組むことのできる災害にも強いエネルギー供給システムの確立に全力を挙げていく考えでございます。このビジョンにつきましては、今後、岐阜県省エネ・新エネ推進会議において議論を行いまして、具体的な事業として早急な実用化へと展開していきたいと思っておりますが、こうした取り組みを他の地方自治体や国に対して広く発信することで、日本国全体のエネルギー政策の見直しにいささかでも寄与できればというふうに思っておるところでございます。 次に、三・一一後の県政運営についてお尋ねがございました。 戦後有数の大災害であります今般の東日本大震災は、日本人の価値観の大きな転換につながるのではないかというふうに思っております。実際に被災地の方々が助け合い、分かち合う姿を通じ、人と人とのつながり、家族や地域のきずなが再評価されております。また、全国あるいは海外各国から被災地に対する支援も相次いでおりまして、地域と地域の助け合い、さらには国境を越えた助け合いといった動きにも注目が集まっております。 これは、私どものある職員から私も教えてもらったわけでありますが、「PRAY FOR JAPAN」という日本に対するメッセージを集めた本があるそうでございますが、その中にアフガニスタンの人からのメッセージが入っております。例の爆破されましたバーミヤンの壁を背景にした、このメッセージでございますが、「We are poor」、私たちは貧しいと。「but are rich in our willingness to offerassistance to the people of Japan during your time of need」、私たちは貧しいけれども、必要なときに日本の人々に私たちの支援を惜しまない。この気持ちにおいてはリッチである、豊かであると、こういうことを言っておるわけでございまして、私どもの職員が、まさにプアであるということを認めざるを得ないつらさと、そして支援をする気持ちにおいてリッチであるという言葉に込められた彼らの誇りと強さを感じるということでくれたわけでございますが、自分たちが貧しいことを認めながらも被災した日本を助けようとするアフガンの人たちに対して、日本が国家として、人間として、もしかしたら負けているのではないかと、こういうコメントつきで私の方にメモが回ってきましたけれども、こういったことにも思いをいたしながら取り組んでいるわけでございます。 さて、議員からは三・一一後の政治あるいは県政運営に求められるものとして三つ御指摘がありました。掲げた目標に向かって着実に歩み続ける堅実さ、困難に果敢に挑む姿、県民を鼓舞し、元気を与え続ける姿勢の三点でございます。いずれも全く同感でございます。議員の質問中に既に答えが入っておるわけでありまして、私も同感ということで答弁を終わりたいところでありますが、あえてこの震災後の状況を踏まえて、さらに二つの点について加えさせていただきたいと思っております。 その一つは、安心を与え続けるということでございます。地域全体が大きな不安に陥った際に、住民が頼ることのできる政治や行政でありたいということでございます。それだけに、災害時に備えて、住民に安心を与えられるだけの準備を平時からしっかりと行っていくことはもちろんでありますが、災害時においても住民に対して「大丈夫ですよ」という親身なメッセージを出し、心の不安を解消できる仕組み、体制づくりを強化しておく必要がございます。今回を教訓にしながら、現在、震災対策検証委員会を設置しまして、幅広く検証、分析、そして防災関連計画の見直しを行っておりますのも、そういう趣旨でございます。 もう一点は、地域と地域の助け合いの強化という観点から、被災者の生活支援、復興に対する支援を継続して実施していく、支えぬくということでございます。隣に寄り添い「一緒に頑張りましょう」というメッセージを出し、心の届く応援をすることは、被災者、被災地に大きな勇気を与え、復興・再生への力になるというふうに考えております。 このため、県では職員の派遣、被災者の受け入れ、あるいは先ほどお触れになっておられましたが、花火打ち上げも含めた被災地応援キャンペーン等々、用意しておるわけでございます。また、来年開催を予定しております「ぎふ清流国体・ぎふ清流大会」につきましても、まさにお触れになっておられましたが、日本再生のシンボルとなる、あるいは日本再生を誓い合う舞台となる国体として開催をしたいというふうに思っております。そして、岐阜の元気が日本の元気につながるような、国体を通じて岐阜が変わった、日本が変わったと言えるような力強いメッセージを発信していきたいと、こんなふうに考えております。こうした取り組みを進めていくことで、県民の皆さん、あるいは県の職員の中に、あらゆる危機において人と人、地域と地域との助け合いに貢献するというマインドが定着することも期待しておるところでございます。 以上、今回のような危機に当たりまして、人と人とのつながりの中で、心揺れる住民に対し、「大丈夫ですよ」「一緒に頑張りましょう」と語りかけ、徹底した支援と安心を与え続けることが重要だと、こういった今考えておりますことを申し上げた次第であります。 最後に、内向きの日本、うつむきかげんの日本人という批判も聞こえてくるわけでございますが、多くの方々が犠牲になったこの大震災の惨事を目の当たりにして、将来の国づくり、地域づくりのために、岐阜県に何ができるか、岐阜県が何をなさねばならないか、じっくり問い続けていきたいというふうに考えております。来るべき長期構想の見直しにおきましても、こうした視点を盛り込んでいきたいというふうに考えております。 ○議長(藤墳守君) 教育長 松川禮子君。   〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 四点の御質問をいただきました。 最初に、エネルギー問題に関する教育についてお答えいたします。 エネルギー問題に関しては、小・中学校及び高等学校を通して、資源の少ない我が国にとって有限であるエネルギー資源の確保及び省エネルギーの取り組みが国の将来にかかわる重要な課題であることを、児童・生徒に理解させるよう指導しております。小学校では、水や電気、ガスが家庭に届くまでの人々の取り組みなどを学習します。中学校では、我が国の資源とエネルギー消費の現状を学習します。高等学校では、国際的な情勢や地域の実情について理解を深め、より広い視野から資源・エネルギー問題を考察する学習を進めています。実際の授業では、エネルギー問題をみずからの問題として考えられるよう、節水や節電を呼びかけるポスターづくりに取り組んだり、我が国のエネルギー消費量の変化や資源の自給率を示したグラフなどを活用して、将来のエネルギーのあり方について議論したりする学習が進められております。 次に、原子力発電に関する教育ですが、原子力発電については、社会科、理科を中心にエネルギー問題の一つとして取り上げています。中学校では、原子力発電について、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出することがないなどという利点がある反面、安全性の向上や放射性廃棄物の処分などにかかわる課題があることを学習します。また、高等学校では、原子力発電の仕組みや放射性物質の性質について理解を深めるとともに、エネルギーの安定供給や事故等の危険性などの観点から、原子力発電の推進については多角的な検討が必要であることを学習します。実際の授業ではディベートを取り入れるなどして、原子力発電について、インターネットや新聞などを活用して必要な情報を収集し、その意味を解釈するとともに、肯定側、否定側、それぞれの立場から議論するような取り組みを行っている学校もあります。 いずれにしましても、原子力発電も含め、エネルギー問題については、科学的な理解を図った上で、生徒が将来持続可能な社会の担い手としてみずからの問題としてとらえ、より広い視野から主体的に考え、判断できるような力の育成が大切であると考えております。 次に、東日本大震災を受けての学校教育について、子供たちに学んでほしいことという御質問をいただきました。 今回の大震災は、子供たちにさまざまな影響を与えております。先日、ある学校で子供たちと話す機会がありましたが、学校でも家庭でも大震災が話題になり、一人ひとりが震災被害の深刻さを重く受けとめ、被災地の方々に何かをしたいと訴えるなど、自分に何ができるのか真剣に考えている姿に感銘を受けました。 本日付発令の四名を加え、現在、岐阜県から合計八名の教員を被災地に派遣しております。派遣教員からは、被災した子供たちの「普通に毎日学校で学習できることがこんなに幸せだったんだと感じた」という言葉が派遣元の学校の子供たちに届けられています。本県の子供たちにも、この大震災から命の大切さや、どんな状況でも希望を持って強く生きていくことの大切さを学んでほしいと思っています。そして、何よりも被災地の同年代の子供たちの状況に思いをいたし、自分は何のために学ぶのか、改めて学ぶことの意味を問い直し、自分に何ができるかを考えて、地域、社会に貢献できるような社会人になってほしいと願っています。 最後に、教員に期待することについてお答えします。 指導に当たる教員には、今後の日本を支える人材を育成する重要な役割を担っているという自覚を持ち、さまざまな教育活動を通じて、子供たちが大震災から学ぶ機会をつくっていただきたいと考えております。これまでに、岐阜市内の小学校では、四年生の授業で被災地に給水車で水を届けた市の水道局の方の体験を聞き、水の大切さとともに、支え合うことの大切さを学びました。白川町の小学校では、防災無線の担当をしていた若い女性が津波に襲われるときまで避難を呼びかけ、大勢の命を救った事例を授業で取り上げ、人としてのあり方、生き方のとうとさやかけがえのない命のとうとさを学びました。また、大垣市内のある中学校では、多くの仲間を亡くした被災地の中学校の卒業式のビデオを見ました。この中で、「天を恨まず、助け合って生きていく」という答辞に、被災地の人の強さを学び、今後の自分の生き方を見詰め直し、力強く生きていこうという感想文が書かれております。 このように、大震災から学ぶさまざまな教育活動が行われておりますが、今後も県内のすべての教員に、この大震災を通して、目の前の子供たちに何を学んでほしいのか、どのような力を身につけてほしいのかを十分に考え、取り組んでいただきたいと考えております。            ……………………………………………………………… ○議長(藤墳守君) しばらく休憩いたします。 △午後零時十四分休憩             ……………………………………………………………… △午後一時十分再開 ○副議長(足立勝利君) 休憩前に引き続き会議を開きます。            ……………………………………………………………… ○副議長(足立勝利君) お諮りいたします。本日の会議時間をあらかじめ延長したいと思います。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(足立勝利君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議時間を延長することに決定いたしました。            ……………………………………………………………… ○副議長(足立勝利君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十一番 川上哲也君。   〔二十一番 川上哲也君登壇〕(拍手) ◆二十一番(川上哲也君) 通告に従い、質問をさせていただきます。 まず最初に、東日本大震災で亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げ、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げるものでございます。 私も、震災発生からこれまで、出入りを含めて約九十日間、現地で被災された方と寝食をともにし、活動し、被災された方の涙を減らし、笑顔をふやすため頑張ってまいりましたが、自分自身も何度涙を流したかわからないほどであります。 三月十一日、震災が発生した夜に高山を出発し、南相馬市には炊き出し用の資機材、そして南三陸町には燃料や衣類などの物資提供を行いましたが、震災直後の現地の様子は、新聞やテレビ等では伝えられないほどの、そして言葉では言いあらわせないほどの厳しい光景が広がり、怖いとさえ感じさせる。今思えば、カメラでその場の写真を自分でも撮っておけばよかったのかもしれませんが、そのときはとても目の前の現実を撮影する気持ちにはなれないほどの厳しいものがありました。涙を流しながらしゃがんでいる人、残った全財産をリュック一つに入れ、力なく歩いている人、本当に地獄絵図を見ているようでありました。震災直後は、星空も信じられないくらいのきれいさで、この世にこれほど多くの星があったかと思うほどでしたが、星がきれいに見えたのは地上の光がなくなっていたからであり、星の数以上の涙が流されたかと思うと、私自身も涙を流さずにはいられませんでした。このときも、被災された方の涙を減らし、笑顔をふやすためにはどうしたらいいのか、深く考えさせられました。 また、このころは、車を走らせていると遺体発見現場にも遭遇し、涙を流しながら手を合わせたこともありました。被災現場では、瓦れきの山の中で、あるいは津波を受けて壊れた家の中で三時半前後を指してとまっている時計が幾つも見られ、震災で時がとまってしまったと感じられる地域も少なくありませんでした。 また、燃料不足も厳しく、三月十五日、南三陸町長から燃料を何とか調達できないか、遺体を捜索する重機を動かすこともできないんだと依頼され、太平洋側の南三陸町から、国道沿いに西へ西へと向かって行ったのですが、初めてガソリンスタンドであいているところを見つけたのは、もう既に日本海側のところへ着いておりました。しかしながら、給油制限によって南三陸町へ戻ることはあきらめざるを得なく、一たん高山へ戻り、燃料を調達して現地へ向かうしかありませんでした。 その後、しばらくして、南三陸町のお隣、登米市では、ガソリンスタンドが営業を始めたものの、燃料不足は相変わらず続き、ガソリンスタンドがあったら、そこのガソリンスタンドに並ぶ車がずうっと長くつながり、数キロつながって、その一角を一周して、またそのガソリンスタンドの後ろへ二重に並ぶという光景も少なくありませんでした。 三月二十日過ぎ、南三陸町にも物資が大量に届き始めたため、この町から気仙沼市本吉町まで一軒一軒避難所を訪問し、最も厳しいと思われた気仙沼市南端の浜区避難所の支援を始めることにしたのですが、そこからそれほど離れていない中核的避難所の配食エリアでは、使い捨てどんぶりに温かい御飯が盛られ、「おかわりはいかがですか」という声が飛んでいました。直線距離でわずか一・五キロの小さな避難所では冷たいおにぎりが一個のみで、しかも朝・夕二食、また、この時期、さらに厳しい一日一食の避難所もありました。わずかな距離が、食料が届く届かないの差を生じさせていました。 災害地は、ラストワンマイルが課題と言われ続けています。しかし今回も、主要避難所には食料が大量に届き、末端避難所に届きにくいという状態は、過去と何ら変わっていないと感じられました。 避難所による格差は、食事だけではありません。三月下旬の時点で医師が多数見えた避難所もあれば、巡回医療すらない避難所もありました。巡回医療のない避難所では、高齢者が体調不良を我慢してしまい、どうしようもなくなって救急車で運ばれるということも少なくありませんでした。浜区の避難所でも、インフルエンザ、ノロウイルス、腹痛、下痢、嘔吐、そして最近わかったのは、結核にかかっていた方も見えたなど、生活環境としては非常に厳しいものがありました。医療のほかにも、わずかな距離で「通信手段」、これは衛星携帯や携帯電話など、「情報」、これはテレビやインターネット、そして「おふろ」など、さまざまな面で大きな差が生じていました。食事の際のお皿も、浜区避難所ではこんな小さな豆腐のパック、その透明フィルムをはがした残りの容器をおかずの皿として使った期間が三週間続いておりました。このころ、お金はあっても、現地で食事用のプレートを買うことはできませんでした。 時がたつにつれ、次第に格差は縮小されましたが、震災から二カ月たった五月であっても、消費期限が前日、つまり消費期限切れとなっているおにぎりが救援物資として届く日もありました。被災地全体としては十分な支援が届いていても、偏在、そして配布おくれによって不足地域が生じておりました。 現在、支援の受け入れ体制は整っているものの、迅速に各避難所へ届けられるシステムは整えていない、あるいは迅速に各避難所へ届けられるシステムが整っていないことに気づいていない自治体が多いのも事実となっており、むしろ後者の方が多いと考えております。というより、災害が起こり、支援を各避難所へ迅速に届けられなかった自治体は、マニュアルを整備していなかったのではなく、それが実践的でないことに気づいていなかったところばかりであると言っても過言ではないと思います。岐阜県ではどうでしょうか。 そこで危機管理統括監にお尋ねしますが、今回の震災でも、ラストワンマイルの物資配布ができず、また医療面、おふろなどの衛生面、情報通信面など避難所により大きな格差が見られました。これは、県が整備すべき部分と各市町村が整備すべき部分がありますが、その手法に一貫性がなければ、結果的に支援の濃淡が生じてしまいます。避難所による格差を縮小するためにも、トータル的に県が県用と市町村向けのモデルマニュアルを整備し、発信及び支援の受け入れについて市町村と一貫性のある内容で行い、各避難所の支援を行うべきであると考えておりますが、今後の方向についてお答えを願います。 そして二点目として、これが重要でありますが、できたマニュアルが実践的であるかをどのように判断するのか。今回行われている検証では、新たなマニュアルをつくることが重要なのではなくというか、マニュアルをつくることも重要ではありますが、それ以上に重要なのは、そのマニュアルが実践的なのかどうかをどう判断するか、これが最も重要ですので、この点についてもお答えを願います。 震災から十二日後、この小さな避難所に避難している方の一人が、夜、「この地域は本当にもとに戻るのか、わしらの生活はもとに戻るのか」と泣きながら尋ねてみえました。そのときは、「大丈夫ですよ、大丈夫ですよ」と言うしかありませんでしたが、自分の言った言葉に疑問符をつけざるを得なかったのも事実であります。 その方は、サンマ漁船と自宅を津波でなくし、それらを取り戻すためには一億五千万円以上の借金をしなければならず、後ほど御家族からいただいた手紙では、その当時、御夫婦ともに生きていてもしようがないと思っていたとも書かれていました。また、当時取材した新聞記者からは、本当に沈んでいて漁業を再開する気力は感じられず、どうなるかわからない様子だったとも伺っております。翌日のお昼、その方にまた、たまたま会ったため、「徳雄さん、僕ね、サンマが大好きだから、また漁に出て、徳雄さんのサンマを食べさせてよ」と声をかけたところ、その方はしばらくうつむいて黙っていましたが、「おれのとるサンマは日本一だべ、うまいっちゃ、川上さんにも送ってやっぺ」と話してくれましたので、「約束ですよ」といって握手を交わしました。このときのやりとりが後で大きな意味を持とうとは、このときは想像できませんでした。 その後、「はまセン」という愛称で気仙沼市小泉浜災害ボランティアセンターを立ち上げることとなり、約七十日間で延べ一万人以上のボランティアが駆けつけてくださり、汗を流してくれ、はまセンへ見えた方の中には、岐阜県議会の早川捷也県議、矢島成剛県議、伊藤秀光県議、山本勝敏県議の姿もありました。 数週間後、以前に取材した記者が避難所で再びその徳雄さんに取材した際、目の前でこんなやりとりがありました。「おれは借金してでも漁船を買って漁に出るっぺ。国会が被災者のことを全く考えてくれないから無利子融資が決まんないけど、でもさ、やんなきゃなんねえっぺ」、その言葉を聞いた記者は、以前の様子と全く違うため驚き、「どうしてそんな気持ちになったんですか。以前とは全く違う気持ちにさせたのは何だったんですか」と尋ねたところ、また涙を流しながら、「はまセンに集まったボランティアさんの汗さ。どうしてあんなに働くことができるのかわかんねえけど、生きる勇気をもらったさ。川上さんにサンマを送るって約束を果たすためにもおれは頑張るっぺ」と力強く語ってくださり、また、御家族からいただいた手紙にも「生きる勇気をもらいました」という言葉がありました。もし仮に、たったこの方一人、そしてこの一家族だけでも、全財産を失った方に生きる勇気を与えることができたのであれば、一ボランティアとして今回の活動は意味のあるものだったのではないかと思っております。 また、ボランティアの活動現場では、ボランティアが瓦れきの中から見つけた位牌を抱き締め、「おばあちゃん」と言いながら泣き崩れる女性の姿もありました。そして、ボランティアを積極的に受け入れた小泉浜では笑顔が随分ふえ、そこが最も厳しい避難所だったということは今は想像できない状態となっております。 これらはほんの一例でありますが、ボランティアをうまく活用できた自治体、あるいは地域と、活用できなかった自治体・地域では、明白に復旧作業にも違いが出ており、被災された方々の復興に対する意欲にも大きな影響を与えていると感じております。 さてということで視点を岐阜県に戻してみますと、県のボランティア対応は今回はどうだったのでしょうか。今回も、行政とボランティアがしっかり連携できたかについては、残念な点が少なくありませんでした。 また、ボランティアに関する検証を行うメンバーに、ボランティアセンターの中枢を経験した方がいないまま検証を行うのもどうかと感じております。せっかく検証を行うのであれば、まずは情報を受けられる体制を整えた上で進めるべきでありますが、今後の大災害に備え、いざというときにボランティアを十分生かすためには今後どのようなことが必要だとお考えか、危機管理統括監、お答え願います。 また、二点目として、行政とボランティアだけではなく、今回の大災害では、復興作業を迅速に進めるためには建設業者とボランティアの力合わせも非常に重要であると感じており、その仕組みづくりも進めるべきと考えておりますが、この点についてはどのようにお考えか、お答え願います。 「役場の印鑑は、津波で流されてしまってありません。個人の判こもありません」、これは震災から数日後の三月中旬、南三陸町長が衛星携帯電話の相手にこう話してみえました。書類への押印を求められたようでした。南三陸町の役場が流され、防災庁舎さえやられてしまったことは、テレビや新聞等でも相当流されていたのにであります。当時は、町長の名刺さえも手書きでしたから、町の印鑑があるはずはありません。私も、災害ボランティアセンターを運営する側でしたので、ボランティアに対し、支援要請のメールを送っておりましたが、「被災地から支援要請のファクスを送ってもらわないと手続はできません」という言葉をさまざまな自治体の危機管理担当者から耳にしました。津波で電柱が倒され、停電が続いている被災地でファクスができないという基本的なことを理解されておられない自治体が多くありました。 また、東日本大震災では、多くの方が物を取りに行って命を失ったこと、これは現地の方もよく話をされてみえました。昭和、平成の災害では、非常持ち出し袋を持って出られずに餓死された方は見えませんが、非常持ち出し袋を取りに行って、あるいはその他の物を取りに行って命を失った方は多く見えます。この津波や川のはんらんなど水の災害では、非常持ち出し袋よりいち早く逃げることが重要という基本的なことを知らない危機管理担当者も見え、毎年、年度初めにはこの話をすることもよくあります。 今回の災害では、海岸線に近いところの方は避難が重要だということを十分知っていたため、いち早く避難し、助かった方が多く見えました。しかしながら、海岸線から少し離れていた地域では、物を取りに行ったりして、つまり時間的に余裕がある、あるいはこの地域までは津波は来ないだろうということから、物を取りに行ったりして津波に巻き込まれた方も多く見えたというのが現実であります。そう考えても、やはり避難が重要。しかし、これすらなかなか認識されていないというのも現実であります。 多くの自治体では、危機管理担当者もほかの部署と同様の期間で異動してしまいます。しかし、しっかりとした理解と知識、加えて経験が必要な危機管理分野だけは、ある程度長期で考えるべきであります。災害時、初めてだったからうまくいかなかった、うまく対応できなかったという言いわけは一切通用しません。 さて、岐阜県でも、今回の東日本大震災を契機に岐阜県としてのさまざまな検証を行っておられ、防災力の向上が図られると期待をしております。しかし、防災分野は、知事も感じておられると思いますが、マニュアルの整備だけでは対応できない部分も多くあり、担当職員さんの経験、スキルが大きく左右する場面も少なくありません。 そこで、知事にお尋ねしますが、初めてだから対応できなかったという言いわけが通用しない防災分野の職員については、他の部署とは違う、知識の継続を重視した異動を考えていただきたいと思っておりますが、これについてどうお考えか、お答え願います。 また、先ほど述べましたように、防災分野では知識・経験の継続を重視しなければならず、異動直後に大震災となっても対応できるような手法を考えておかなければなりません。しかしながら、現在は課ごとに災害時はこの担当を担うとなっていますが、これですと、異動直後の対応は無理。異動後一カ月は前の担当もサポートするということも伺っておりますが、果たして一カ月だけで対応できるようになっているのか、これも非常に不安であります。危機管理担当に初めてなられた職員さんに対し、先ほどの非常持ち出し袋の話をいつもしているということをお話しさせていただいたように、一カ月やそこらで十分対応できるようになるとは到底考えられないというのが現実であります。そこで、たとえ異動があっても非常時の対応は変わらず、その分野について掘り下げて学んでいただき、災害時にはいつも同じ担当となる、例えば物資担当の方は平常時の異動があっても非常時には物資担当となる、このようなシステムが必要であると考えております。これならば、継続して知識をふやしていただくことができ、異動直後でも対応は可能となります。今回のように、よその大震災の検証についても、それまでの知識の蓄積の上に現地を視察することも可能となり、勉強したての方が現地へ入るのとは雲泥の差の効果が得られるとも考えております。 そこで、知事にお尋ねしますが、異動があっても災害時の対応は変わらない災害時シフトを構築すべきであると考えておりますが、これについてどのようにお考えでしょうか、お答えを願います。 次に、東日本大震災は津波災害でしたが、岐阜県も河川のはんらんにより被害が出やすい地域があるということで、河川の水害防止策、特に高山市内を流れる江名子川のはんらん防止について質問させていただきます。 この課題につきましては、前回三月の県議会一般質問でも質問させていただき、県も前向きに御検討いただいているとは思っておりますが、今年も梅雨となり、秋の台風シーズンまでも悠長なことを言っていられる時期ではなくなっております。最近では、平成十一年六月三十日の豪雨災害、平成十六年十月二十日の台風二十三号災害、そして二十一年七月二十日と三回もはんらんし、今後は、地球温暖化等により世界的にも水害がふえるだろうとの予測もある中、今年ははんらんしないだろうと断言することはできません。これまで、河川の掘り下げなども行われてきましたが、川幅を広げることが難しく、今後の対応に苦慮している河川に対して、長期的な対策、つまり調整池などをつくって流下する水量を少なくするなど大規模な工事も検討されておりますが、まずは今年の水害をなくすためにも緊急的な対応を早急に進めていただきたい。ここ十年ほどは毎年一回以上、時間降雨三十ミリを超える降雨が観測されておりますので、今年もあり得ると言っても過言ではありません。まずは、はんらんしやすい部分に壁をつくるなど早急な対策をお願いしたいと思っております。 そこで、県土整備部長に河川管理者である県の対応をお尋ねしますが、はんらんが予測される江名子川による被害をこれ以上出さないための緊急的な対策について、壁をつくるなど早急に進めていただきたいと思っておりますが、これについてどのように進める予定か。二点目として、抜本的な江名子川の水量を減らす調整池等の建設についてどのように進める予定か、県土整備部長、お答え願います。 以上二点について、防災に関する質問をさせていただきましたが、前向きな回答をお願いし、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○副議長(足立勝利君) 知事 古田 肇君。   〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 防災力向上という観点から、人事政策について二点御質問がございました。 まず、継続性を重視した人事異動ということでございます。 こういった防災のように専門性、継続性が求められる分野におきましては、人事異動によって極力組織力が低下しないように配慮する必要があるというふうに一般的に考えておるわけでございます。この防災分野につきましては、これまでも過去に在籍した職員を可能な限り再配置するということ、あるいは警察職員、自衛隊出身者を配置するなど、そういう意味で適材適所の配置に努めてきているところでございます。 ただ、そうはいいましても、危機管理部門を全部経験者のみでというわけにはまいりませんし、新しい戦力を育成するという面もあるわけでありまして、部分的には、ちょっと御指摘のあったような未経験の職員もある程度配置はやむを得ないところはあるわけでございます。ただ、そうした場合にありましても、新しい職員に対しましては十分な指導を行い、危機管理に関する知識の習得、経験の継承を図っていかなければいけないというふうに思っております。 それから、災害などの危機管理事案が発生した場合に、その時々において臨機応変の人事異動で対応するということもやらせていただいております。ちなみに、今回の大震災におきましても、発災直後から、防災業務の経験者など延べ三十名程度の職員を臨時に危機管理部門に充てておりまして、そういう意味で体制を強化させていただいております。また、この震災が春の定期異動時期に重なったこともありまして、支援物資の手配など必要な業務につきましては、異動により転出した職員がそのまま当分の間、引き続き当該業務に従事するということも指示をしたところでございます。 それと、やはり組織の防災力、危機管理力を高めるためには、職員一人ひとりの意識、対応力を向上させるということも必要でございまして、これまでのところ、新規採用職員研修での消防学校入校体験でありますとか、主査級、課長補佐級といった階層別研修での危機管理全般にわたる研修もやってきておるわけでございますが、今後は、さらにより高い専門性を持った職員を育成するという観点から、今回の大震災の事例でありますとか、あるいは被災地に派遣した職員が持ち帰った知見も踏まえたハイレベルな防災研修の導入ということを考えたいと思っております。 次に、災害時においてあらかじめ業務ごとに指定された職員がチームをつくって対応する災害時シフトを考えるべきではないかという御提案がございました。 今申し上げましたように、突発的な緊急事案が発生したときに、精鋭の職員を臨時に招集して対応するということはこれまでも何度もやってきておりまして、こういう非常事態に即応可能な職員を臨機応変に業務に充てるのも災害時シフトの一つでございますが、そもそも、あらかじめ緊急時対応のために必要な組織・体制をつくっておいて、そこに知識が蓄積された職員を指定しておいて、いざ災害が発生した際には、その職員がどこにおろうが、その指定された仕事を直ちにやってもらうという意味での災害時シフトということも一つのやり方だと思っておりまして、いろんな組み合わせもあろうかと思いますけれども、他県での取り組みも含めて、あるいは運用上の課題についてもよく検討させていただいて、こうした災害時シフトについて、より効果的な体制づくりを進めてまいりたいと思っております。 ○副議長(足立勝利君) 危機管理統括監 若宮克行君。   〔危機管理統括監 若宮克行君登壇〕 ◎危機管理統括監(若宮克行君) 防災力の向上に関しまして、三点御質問がございました。 まず、避難所への支援のあり方についてお答えいたします。 今回の東日本大震災では、避難所によっては情報の発信ができなかったこと、道路の状況や燃料の事情により物資の運搬が困難であったこと、役場が被災し、その機能が低下したことなどから、避難所支援の中で問題が生じたものと考えております。例えば物資については、全国の都道府県から被災県、被災県から被災市町村、被災市町村から各避難所に至る流れの中で、そのような障害により、結果として、地域間や避難所間に格差が生じたものと考えております。 避難所支援における県の役割は、市町村間で支援の格差が生じないように、また市町村の役割は、避難所間で格差が生じないように調整を行うことと考えております。県及び市町村において、それぞれが役割を十分に果たして支援を行うことが、先ほど申し上げましたような格差を生じさせないために重要であります。そのため、県において、県及び市町村が活用する避難所マニュアル等を作成してまいりたいと考えております。また、その作成に当たっては、議員御指摘のとおり、マニュアルは実践的であるべきでございます。被災市町村、避難所の運営責任者、被災地で活動されたボランティアの方などの御意見を十分聞きながら、実践的なものとなるよう努めてまいります。 次に、大規模災害時におけるボランティアの活用についてお答えいたします。 災害ボランティアの活動は、被災者に対するきめ細かい生活支援を初め、災害時において大変重要な役割を担っていただいていると認識しております。現在、震災対策検証委員会においても、ボランティアのネットワークが弱いため強化すべき、ボランティアセンターの運用マニュアルの整備と訓練による検証が必要など、ボランティアの連携や強化に関する議論がなされているところです。県といたしましては、県内で大規模災害が発生した場合には、全国からのボランティアを円滑に受け入れるためのボランティアセンターを早期に立ち上げる必要があるため、その運営を行うボランティアコーディネーターの育成を強化してまいります。また、今回のような超広域災害が発生した場合には、各地のボランティアセンターの状況を掌握し、その活動を支援する、いわば統括ボランティアセンターの設置が有効と考えられます。そのため、今後こうした統括センターの仕組みや、それを支える県内の災害ボランティア団体のネットワーク化について、関係団体の御意見をお聞きし、検討を行ってまいります。 最後に、建設業者と災害ボランティアの連携についてお答えいたします。 今回の大震災では、大きな揺れとともに津波が発生し、多くの家屋に倒壊や流出、浸水の被害が発生しました。そのため、災害ボランティア活動においては、敷地内の瓦れき処理など各種の大型重機を必要とする活動が生じたとお聞きしております。また、検証委員会においては、瓦れき処理の課題の中で、ショベルカー、ホイールローダーなど建設重機の活用について、あらかじめ重機の情報を集約し、迅速な連携を図るべきとの御意見をいただいているところです。こうしたことから、県といたしましては、災害時に重機やオペレーターなどを提供することができる企業のボランティア登録の呼びかけに力を入れてまいりたいと考えております。また、保有する重機の台数や種類などに関するデータを県及び市町村で共有する仕組みができないか、関係団体と調整し、検討してまいります。 ○副議長(足立勝利君) 県土整備部長 金森吉信君。   〔県土整備部長 金森吉信君登壇〕 ◎県土整備部長(金森吉信君) 江名子川の緊急的な対策と抜本的な対策についてお答えします。 江名子川は、高山市の中心街を流れる一級河川ですが、近年、頻繁に浸水被害が発生しており、特に平成十六年十月の台風二十三号豪雨では、江名子川全域にわたり床上浸水四戸、床下浸水二十四戸の甚大な被害が発生しました。 江名子川の治水対策としましては、緊急的には、昨年度までに被災した堤防の復旧工事や堆積土砂の除去、流水の支障となる階段工の撤去を実施しました。また、今年度は、国道百五十八号の寶橋上流の人家連檐部において、コンクリート擁壁を三十メートル、さらに上流部で河川が屈曲し、土砂が堆積している区間の河道掘削を実施する予定です。 一方、抜本的な対策としましては、江名子川の流域全体で治水の安全性を高める必要があります。そのためには、下流域で狭窄部における河道の拡幅を行うとともに、上流域で洪水調節池を設置するなど、総合的な治水対策を進める必要があると考えています。 県としましては、昨年三月に、高山市及び地元自治会等から成る江名子川流域治水対策協議会を設置し、これまでに現地調査を含めて八回の会議を開催し、その中で、上下流の治水対策に対する地元の理解を得るように進めてまいりました。今後、この協議会に河道改修計画や洪水調節池の位置、規模等についてお示しし、御意見をお伺いしながら総合的な治水計画を今年度中に取りまとめたいと考えております。 ○副議長(足立勝利君) 十一番 酒向 薫君。   〔十一番 酒向 薫君登壇〕(拍手) ◆十一番(酒向薫君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、大きく二点について質問させていただきます。 最初に、本県の学校教育の総点検について、まず初めに県立高校入試における特色化選抜の見直しについてです。 幕末から明治初期における長岡藩の話です。当時、長岡藩は北越戦争に敗れ、六割の石高を没収され、日々の生活にも藩士たちは困窮をしておりました。そんな中、三根山藩より百俵の米が贈られることになり、これで少しは生活が楽になると皆が喜びました。がしかし、藩士 小林虎三郎は、贈られた米を藩士に分け与えず、学校設立のため米を売却しました。他の藩士は猛反対しましたが、小林は、「百俵の米も食えばたちまちなくなるが、教育に充てれば、あすの一万、百万俵となる」と諭し、みずからの政策を押し切ったと言われております。このことにより、士族によって学校が設立され、また、一定の学力に達した庶民の入学も許可をされ、ここに近代教育の礎が築かれました。現在も長岡市に新潟県立長岡高校として存続しています。この話は、「米百俵の精神」として、小泉純一郎元総理大臣の所信表明演説で引用されたことは有名でございます。二〇〇一年には、流行語にもなりました。また、福沢諭吉は、「学問のすゝめ」で、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」「人は生まれながらにして貴賎貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり」と唱えており、いずれも「国を興すは教育にあり」と申しております。現在も、この考えは脈々と生きています。そんな観点からお伺いをいたします。 岐阜県立高校入試は、二〇〇二年春から市立二校を含む全日制公立高校六十三校で、二月の特色化選抜入試、三月の一般入試の二回に分けて試験を行ってきました。特色化選抜は、幅広い生徒を集めるために面接や小論文、三教科のみのテストなどを課す方法で、各高校が独自に入試方法を選べることになりました。一般選抜は、五教科テストの点数と中学校の調査書を半分ずつ評価して合否を決め、一一年度の入試では、特色化選抜に一万五千五百六十一人が出願し、七千四百二十一人、約四七・七%が合格。後半の一般入試では八千百五十人が出願し、七千二百九十二人、約八九・五%が合格となりました。〇二年春の岐阜県の学校特色化選抜方式は、全国でも早い導入であったことから「岐阜方式」と名づけられ、全国の教育界からその成果が注目をされました。 その内容は、従来の推薦入試をなくして入試のやり方を高校に任せ、さらに隣接学区間ごとに限って普通科越境受験を認めることで高校間の競争原理を働かせて特色化に拍車をかけ、受験生に複数の機会を与え、選択肢を広げる効果があるとされていました。県教育委員会は、特別なものを求めるのではなく、教科の枠にとらわれない総合評価をと長所の理論を強調されていましたが、現場の教師からは、それが難しいと戸惑いの声も多数ありました。愛知県教育委員会では、「特色化は世の中の流れでしょうが、岐阜県ほどの改革はとても」と口ごもる意見もありました。有識者である大学教授は、本来は高校が特色を確立して、入試にも自然とそれがにじみ出るのが望ましいと指摘をしていました。当時の状況を考えますと、この岐阜方式には幾つもの整理しなければならない課題があったと思われます。 この制度は、あたかも選択の幅を拡大し、入試の安全弁のように考えられていますが、それが幻想であるように感じられます。結局、選べるのは一部の学力の高い生徒だけであり、多くの生徒たちは、行きたい高校より入れる高校を選ばざるを得ない、少ない受験生に不要な不合格体験を味わわせる、競争と自己責任の制度となったわけであります。それが十年継続した現在、この方法がよくないから改善しようという動きになったと考えられます。 特色化選抜は、一体何が特色なのか、いまだに不明確であります。教育は、国づくり、将来を担う人づくりであります。その点から、慎重には慎重を期して、導入について検討すべきであったと思います。 そんな中、教育長の諮問機関として、十五名の委員による岐阜県立高等学校入学者選抜に関する諮問会が設立されました。平成二十三年二月二十四日に第一回、五月三十一日には第二回の諮問会が開催されました。以前の経験を踏まえて、今回はしっかりとした基軸を持ち、長期計画性を持って臨むべきだと考えております。それには、岐阜県の教育のしっかりとした方向性、受験生、保護者、学校の理解がしっかり反映されていることが最重要ではないでしょうか。審議中ではありますが、総点検するのが必要だと思っています。 以上の観点から、教育長に二点お伺いをいたします。 まず一つは、主な審議内容、現行制度のあり方において、制度導入による入学する生徒や高校の状況にどのような変化があったのか。また、この制度の本来の意義や目的が十分反映されていないのではないかとの検証は、どのように行われて、どのような意見が出ているのか。 二つ目です。受験生の心理的負担において、特色化選抜の募集人員の上限が平成二十二年度から五〇%に拡大した中で、不合格者のショックは非常に大きい。二回の入試により日常の教育活動への影響が大きく、入試における明瞭性・公平性の担保がわかりにくいなど多くの問題点がありますが、これをどのように次の制度に反映しようとするのか、どんな意見が出ているのか。受験生、保護者、学校はいつも不安感が続いている状況にあります。これに考慮されて、どのように行っていかれるのか、お伺いをいたします。 次の二点目でございますが、子供の教育格差についてであります。 かつて我が国は、ほとんどの国民が中流階層に属する一億総中流社会であると信じられてきました。しかし、バブル経済が崩壊し、失われた十年という長い停滞期の中で、年功序列型賃金や終身雇用制といった日本特有の制度が疑われ始めました。これまでの平等は、結果の平等を重視し過ぎる悪平等であったとされ、かわって機会の平等が必要であるというふうになってきました。そして、自己責任をスローガンとして、雇用の流動化や成果主義が導入をされました。現在では、平等の追求より、むしろ至るところで格差の存在が議論されています。格差は、所得を初め、勝ち組・負け組、正社員・非正社員、都市と地方というように二極化として論じられており、ワーキングプア、下流階層、ニートといった格差をイメージする事象が社会問題となっております。 高度成長期から一九八〇年代ごろまでは、子供に高い教育を受けさせることに熱心だった背景には、学歴下降回避説があります。親の学歴よりも子供の学歴が下になることを回避したい、あるいは親よりも高くしたいと親も子も望んだわけであります。そして、一方、重要であったことは、戦後から高度成長期を終了するころまでは、高校、大学の授業料とそれに付随する教育費はかなり安く、家計の絶対的な所得が低かった時代でもありまして、親が子供の教育費を負担できる余裕は、むしろ現代よりもあったと言われております。現在においては、授業料の値上げにより教育にはお金がかかる、そういった時代に移ってきた経緯もございます。 また、親世代の格差の広がりが指摘される中、子供を取り巻く環境もこれまでと大きく変化しています。そのキーワードは、格差の連鎖であります。大人の間で広がった格差がその子供たちに引き継がれているのではないかという疑念が生じているわけでございます。もし、人生のスタート地点に立つ子供たちの間に、既に何らかの有利・不利があるとすれば、機会の平等が達成されているとは言いがたいと思います。 我が国では、どのような子供でも高品質な公的教育をひとしく受けることができ、その意思と能力に応じてどのような職業にもつくことができると言われてきました。しかし、だれにもひとしく与えられ、平等を保障していた教育が価格に基づくサービスに転じてしまい、親の所得の違いから子供の格差を助長するものになりつつあります。また、所得のみならず、親の階層が子供の学習態度に及ぼす影響もあります。近年、親の階層化に対応して、教育に熱心な親とそうでない親という親の教育姿勢の二極化が進んでいます。親から子供への格差の連鎖が懸念されるのは、こういった背景もあるからであります。 私は、子供の能力、学力だけで人生の幸せを得るとは考えておりませんが、できるだけ平等な機会、だれしもが恵まれた教育環境で能力のある個人の努力が報われる社会、これが確かで健全な社会と考えております。格差を生み出すのも教育ならば、格差を埋めるのも教育だと確信をいたしております。 以上の点から、三点教育長にお伺いをいたします。 我が国の教育は、私的財産とみなす考えが支配的であり、教育の費用は自己負担原則という思想が強く、低い公費負担、ふえる家計負担となっています。子育て支援を国を挙げて社会全体で考えることは賛成ではございますが、現行の民主党政権における子ども手当、高校授業料の無料化は、所得制限もせず、財源確保も困難であり、本来の目的とは乖離をしているということで問題があると申し上げていきたいと思います。 また、教育費の公的支出はアメリカの半分の九・五%で、世界で最低であります。予算編成においても、残余的決定の感じがしてやみません。本県としても、国に対して絶えず要望をすることが重要であると考えます。 都道府県の例を一つ申し上げます。東京都は、低所得者世帯を対象に、中学校・高校の受験生の学習塾代や大学などの受験料を無利子で貸し付ける制度、チャレンジ支援貸付事業を実施しています。さらに、高校や大学などへ入学した場合、返済が免除されるとなっており、この制度は、親の経済力が理由で子供の教育機会に格差が生じるのを防ぐことがねらいであると言われております。そこで、県として、低所得者世帯援助制度の新設などを検討すべきではないかと思いますが、その御所見をお伺いいたします。 二つ目でございます。多くの場合、大学に進学してから授業料免除や奨学金支給の申請や決定がなされるために、低所得家庭の子供が大学進学を希望しても、入学前段階で経済的な安心を保障をしてくれるものではなく、早い段階で進学をあきらめざるを得ないという場合が多く見られます。そんな中、奨学金制度自体の現状についてお尋ねして、この制度の見直しを図っていただきたいというふうに考えております。 三つ目でございます。文部科学省がこれまで実施してきた全国学力・学習状況調査の結果によりますと、都会でもなく、また経済力が豊かでもない秋田県や福井県が高い学力となっております。その中、秋田県のある町では、図書館も塾もないのにその県のトップだという話も聞いております。この両県の取り組みなどを研究して、岐阜県の子供たちの学力を高める取り組みを考えてみてはどうか、またその必要があるのではないかと思いますので、そのお考えについてお伺いをいたします。 二つ目の大きなものでございます。 東日本大震災を踏まえた医療救護対策の問題点から、災害拠点病院の整備についてお聞きいたします。 現在、国においては、東日本大震災の検証が行われる中、災害医療の中心的役割を果たすことが期待される災害拠点病院についても、想定外の被害が生じ、実際には、この役割を果たせなかったということを聞いております。五月十六日の読売新聞によりますと、今回の東日本大震災で被害が甚大であった岩手、宮城、福島三県にある災害拠点病院のうち、耐震化が不十分であったためにこの病院が大変な被害を受けたと。そのために、その役割を果たせなかったという記事が載っておりました。また、この建物被害によりまして、岩手県立釜石病院では入院患者二百人を別の病院へ移したり、宮城県の大崎市民病院では新たな入院患者の受け入れを断らざるを得なかったとか、災害拠点病院としての役割が果たされなかったという例が紹介をされておりました。さらに、岩手医科大学附属病院では、停電時に病院の自家発電装置の発電能力だけではCT---コンピュータ断層撮影装置やMRI---磁気共鳴画像装置などの大型の診断装置が稼働せず、複雑な手術ができなかったということも紹介をされております。その他、食料、医薬品等の備蓄については、東北三県の七割の病院で不足したことが報告をされています。 災害拠点病院は、平成七年の阪神・淡路大震災を教訓として全国的な整備が図られてきたものであり、被災地域における災害医療の中心的存在として活動すべきものであります。 現在、県では、震災対策検証委員会を設置し、東日本大震災により明らかになった課題を洗い出すとともに、将来発生が懸念される東海・東南海・南海連動型地震など、大規模地震に対する計画や対応を総点検しているところでございます。 そこで、健康福祉部長にお伺いをいたします。 岐阜県の災害拠点病院は、県下五圏域において各一施設と基幹センター一施設の合計六施設が指定されています。また、一方では、お隣の愛知県においては既に三十三の施設が指定をされ、本年度、新たに三施設が指定をされ、全部で三十六施設が指定となります。いわゆる緊急時においては、医療は時間との勝負であります。ましてや本県は山間部が多く、災害時の移動距離はできるだけ短くすることが重要であります。しかしながら、本県の災害拠点病院は、人口が集中する都市部の病院を中心に指定されており、都市部から離れた農山村部が置き去りになっているように感じてなりません。 こうした中、一つの例ではありますが、立地条件のよくない農山村部において地域医療を担い、県内はもとより全国、近隣県と相互の連携ネットワークもしっかりしているJA厚生連病院は、災害拠点病院として適しておるのではないかと思います。また、JA厚生連病院は、県下全域に七つの総合病院がありまして、地域医療をしっかりと支えております。また、圏内で唯一の救命救急センターに指定されているにもかかわらず、今回、災害拠点病院に指定されていないというミスマッチも現実にあるわけでございます。 以上のことから、災害拠点病院は、圏内に一つというように画一的に考えるのではなく、東日本大震災の教訓を生かし、地理的なバランス等を考慮した指定が必要と考えますが、今後の整備方針についてお尋ねをいたします。 最後になりますが、このたびの東日本大震災で被害に遭われました皆様方に対しまして心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。御清聴、まことにありがとうございました。   (拍手) ○副議長(足立勝利君) 健康福祉部長 近田和彦君。   〔健康福祉部長 近田和彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(近田和彦君) 災害拠点病院の今後の整備方針についてお答えをいたします。 県では、平成八年度に国の整備基準に従い、災害時の医療支援機能の評価を行った上で、県下で一カ所の基幹災害医療センターと五医療圏に一カ所ずつの地域災害医療センターの合計六カ所を災害拠点病院に指定をいたしました。現在、震災対策検証委員会において本県の災害医療対策の再点検が行われており、災害拠点病院のあり方も主要な論点となっております。今後は、この委員会の提言を踏まえて、他の医療機関への支援や自己完結型医療チームの迅速な派遣、さらには広域医療搬送への対応といった災害拠点病院に求められる機能を再検討いたします。その上で、県内病院の再評価を行い、人口分布や地理的バランスを考慮した上で、必要な整備に努めてまいります。 ○副議長(足立勝利君) 教育長 松川禮子君。   〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 初めに、公立高校の入学者選抜の見直しについてお答えします。 導入後十年を経過した現在の入試制度については、諮問会を設置し、制度の検証及び改善のあり方について御審議いただいているところです。 制度導入による生徒や高校の状況の変化については、目的意識が高く、意欲的な生徒が増加し、学校が活性化したという御意見があった一方で、導入のねらいの一つであった特色ある学校づくりを一層推進するという点については、十分に達成されていないのではないかといった御意見もいただきました。 また、検証内容を踏まえた改善のあり方については、入試期間の長期化による生徒の心理的負担や中学校の教育活動への影響などを解消するため、特色化選抜と一般選抜の二回に分けて実施している入試を一本化し、期間の短縮を図るとともに、受験生を多面的に評価するという現行制度の利点については、新しい制度にも引き続き取り入れてはどうかといった改善に向けた一定の方向性を示していただいたところです。 県教育委員会としましては、今後も諮問会等においてさらに御意見をいただきながら、新しい入試制度の内容について検討してまいります。 次に、大学進学時における経済的支援制度についてお答えします。 保護者の経済力を理由に、子供の教育機会に格差を生じさせない低所得者世帯向けの経済的支援制度については、議員から御紹介のありました東京都など他県の事例も参考にしながら検討してまいりたいと考えております。 また、大学進学者に対する経済的支援策としての奨学金貸付制度については、現在、日本学生支援機構が実施している予約採用制度が、入学前段階に貸し付けが決定され、保護者の経済的な安心が得られる制度として活用されています。本県におきましても同様に、大学進学者を対象に無利子での奨学金貸付事業を実施しておりますが、本県の事業は入学後に貸し付けを決定する制度となっております。したがいまして、今後、入学前段階で保護者の経済的な安心が得られるよう、予約採用制度の導入についても検討を進めてまいります。 最後に、学力を高めるための取り組みについてお答えします。 経済状況など子供を取り巻く環境がどうあろうとも、すべての子供に確かな学力を身につけさせることが、教育に携わる者の大きな使命であると考えております。 県教育委員会では、昨年度、学力向上にかかわる成果を上げている福井県を訪問し、中学校の授業を参観したり、両県の教育委員で意見交換を行ったりしました。また、秋田県については、取り組みの状況を電話による聞き取りなどを通して把握してまいりました。こうした調査の結果、ともに家庭学習によって成果を上げていることから、学校での授業の充実を図るだけではなく、家庭学習にかかわる内容も盛り込んだ基礎学力定着サポートプランを今年二月に策定したところです。具体的には、家庭学習においても活用できる学習プリントなど一人ひとりに力をつける教材等を作成して、各小・中学校に提供しております。また、授業ではこれらの教材等を活用した指導や習熟度別少人数指導にも取り組んでいるところです。今後も、他県の効果的な取り組みも参考にしながら、児童・生徒の学力向上に一層取り組んでまいります。 ○副議長(足立勝利君) 十四番 村上孝志君。   〔十四番 村上孝志君登壇〕(拍手) ◆十四番(村上孝志君) 発言の許可をいただきましたので、大きく三点にわたって質問してまいりたいと思います。 日本経済は、一時景気回復傾向にありましたが、三月十一日に発生いたしました東日本大震災により、大打撃を受けております。 就職活動を強いられている学生さんでしょうか、今年もリクルートスーツを身につけた若者の姿が目につきます。若者の就職は、氷河期ならぬ超氷河期の様相を呈しており、非常に厳しい状況が続いているとお聞きしております。まずは、そのような厳しい中で、将来に向かってひたむきに頑張ってみえる皆さん方にエールを送りたいと思います。 今春卒業した大学生の就職率は、昨年十二月時点では六八・八%でしたが、三月末現在では九一・一%と、九一%を超えました。しかしながら、二〇〇〇年春に並ぶ過去最低の水準となっており、就職を希望しながら職を得られなかった大学生も過去最多の約三万三千人に上ると言われております。 県内の十三大学と十一短大の就職率は、前年とほぼ横ばいの九一・五%を確保しております。特に短大の就職内定率は九四・二%と、前年比二・〇ポイント伸び、全国平均の八四・一%を大きく上回っております。その理由を岐阜労働局では、県内の短大は、看護・医療系など専門分野が多いためと分析しております。また、職業科を卒業した高校生の内定・就職率も、厳しい就職戦線の中でも非常に好調だったと聞いております。地元への就職支援という点からも、私は高校における専門課程の充実を図るべきだと確信しております。一方では、少子化等により募集定員に満たない公立高校もあり、抜本的な対策が必要であると考えます。 これまでの議会一般質問において、県教育委員会では、公立高校の入学定員は、まず県内六つの学区単位で、中学校卒業予定者数の増減をもとに、私立高校の設置状況も勘案しながら決めている。市町村単位や中学校単位で生徒数の増減や生徒の進路志望を反映させ、学科のバランスを考慮し、希望者が地域の高校に進学できるよう、高校ごとの定員を定めている。進学先を選択するに当たって、学科を優先するのか、具体的な学校を優先するのか、また、どの学科への進学を希望するかなどといったことを調査している。さらに、地元企業等の産業界のニーズや社会情勢の変化を総合的に勘案していく必要がある。一部の高校に志願者が集まる一方で、大きく定員を満たしていない高校もあると答弁されております。 そこで、二〇一〇年度の公立高校の出願者、入学受験者、合格者を調べてみました。一般選抜の出願者は、全日制六十三校で七千五百九十二人の募集に対し、出願者が八千百五十人、倍率は一・〇七倍、前年度は一・〇九倍でした。そのうち一番倍率が高かったのは、普通科では郡上北の情報コースで一・三七倍であり、職業科などでは、岐阜農林の食品科学科一・八五倍でありました。その一方で、出願の時点で三十五校六十三学科・コースで定員に達しておりません。合格者では、出願者数八千百五十人に対し八千八十八人が受験し、七千二百九十二人が合格し、出願者に対する合格率は八九・四七%、受験者に対する合格率は九〇・一六%でした。 さて、皆さん、今テレビをごらんいただいていますでしょうか。最近ですが、実存する三重県相可高校の特色ある取り組みとして、「高校生レストラン」という番組がテレビで放映されております。私は非常に興味がありまして、毎週見ております。ここから、特色と魅力のある高校づくり、その高校への入学者の増加や選択性の多様化により活性化し、地域の発展、反映や地域の誇りづくりになると思います。 以上のことを踏まえて、教育長にお尋ねいたします。 一点目として、このように、県内では定員割れの学科があることについて、県教育委員会はどのようにお考えか。また、少子化が進展する中、今後、特色と魅力ある高校づくりについてどのようにお考えか、お尋ねいたします。 二点目といたしまして、平成二十三年三月における高校卒業生の就職状況及び今年度卒業を予定している高校生への就職支援策についてどのようにお考えか、お尋ねいたします。 二点目です。高齢者の福祉と医療についてお伺いいたします。 さて、皆さんも日ごろの活動の中で、地域におけるさまざまな悩みや相談など数多く聞かれていると思います。私のところへは、急性期医療機関と言われる第二次、三次病院では、二、三週間にわたる治療の後に胃ろう、いわゆる食道流動食のために胃に穴をあけて流動食をいただくということですね、胃ろうや気管切開を受けた患者さんが、中心静脈栄養の点滴をつけたまま退院させられたが、退院前に案内された施設には空きベッドがない、あるいは個室代が高くて年金生活での入所は難しいなどの理由から、次の入所先が決まらないなど、高齢者の方々から本当に深刻な悩みが数多く寄せられております。 これまで、入院治療から在宅療養、介護へ移行する際の医療を伴う施設として介護療養病床がその役割を担ってまいりました。その介護療養病床も、財源問題から平成二十三年度末までには廃止するとの国の方針が示されました。それにより、病床を廃止した後の受け皿について十分な支援が受けられないまま無理やり退院せざるを得ない、いわゆる介護難民が生まれております。このような状況に対処するため、国において介護療養病床について新規の指定は行わないものの、廃止を六年間延長し、二十九年度末まで存続するとの方針が示されましたが、私は受け皿となる施設の整備が早急に必要であると考えております。 一方、二〇〇一年に内閣府が高齢者対策基本法に基づいて行った調査によりますと、半数以上の高齢者が、人生の最期を自宅で迎えたいと望んでいるということでございます。特に七十歳から七十四歳までの高齢者について、その割合が六二・一%であります。この調査からもわかるように、病後療養や介護の充実を図るため、県として在宅介護を積極的に推進する必要があると考えます。そのためには、地域密着型サービスの充実が求められているというふうに私は考えております。 地域密着型サービスとは、平成十八年四月の介護保険制度改正に伴って導入されたサービスで、都道府県知事の指定、許可を受ける介護保険施設とは違い、市町村ごとにサービス提供事業者が指定されております。可能な限り住みなれた自宅や地域で生活できるよう柔軟なサービスが提供されるものであり、地域に必要なサービスを整備しやすく、また利用対象者は市町村に介護保険料を納める被保険者でありますから、自分で直接納めたお金でサービスが受けられるという明解さが利点でございます。現在、県内には地域密着型サービスとして、小規模多機能型居宅介護など六種類があり、県内には三百七十事業所があると伺っております。これらの充実が重要であると考えております。 そこで、健康福祉部長にお伺いいたします。 一点目として、県内における特別養護老人ホームの待機者は年々増加しております。平成十六年度は八千七百六名であったものが、二十年度には一万二千百二十名、二十二年六月時点では一万五千五百二十名となっております。さらに、介護療養病床については、先ほども述べましたが、廃止期限が六年間延期されたものの、平成二十九年度末には廃止されることとされております。そのようなことから、介護難民をなくすためにも、介護施設の整備は喫緊の課題であると思います。そこで、現在の施設整備の状況と今後における整備の方針についてお尋ねいたします。 二点目といたしまして、県内における六十五歳以上の高齢者人口は、平成三十二年---二〇二〇年ごろをピークに、それ以降は高どまり、あるいは減少すると想定いたします。そうした中、地域密着型に加え、広域型介護施設の整備をあわせて行う上で、現在、小・中学校の空き教室に見られるような状況を考慮する必要があると考えますが、このことについて県としてどのようにお考えか、お尋ねいたします。 三点目といたしまして、在宅介護の推進によって介護給付費は抑制されます。しかし、その分、家族の負担が伴うため、家族負担について評価するとともに、その対価の算出をすることが必要であると考えます。県内においても、在宅介護支援として介護者に対する慰労金や介護用品を支給しているという事例もあるとお聞きしておりますが、県内における取り組み状況と今後の方針についてお尋ねいたします。 四点目として、介護難民をなくすためには、また人生の最期を自宅で迎えるためにも、昼間のデイサービスに加え、短期のお泊まり介護、定期巡回訪問介護サービスを含めた生活支援や、利用者が援助を必要とする状態となったときにすぐに対応できる体制づくりなど、施設のみならず、在宅医療、在宅介護を支援する施策の推進が必要であると考えます。このようなことについてどのようにお考えか、お尋ねいたします。 三点目でございます。地域公共交通の維持についてお伺いいたします。 今議会でも、何回も各議員さんが発言してみえました、三月十一日十四時四十六分に発生した東日本大震災、最大震度七、マグニチュード九・〇と観測史上国内最大の巨大地震でした。けさの新聞報道によりますと、死者は一万五千五百十二人、行方不明者七千百八十九人、また避難所、転居での生活を余儀なくされている方も十一万二千人余りお見えになります。犠牲者を悼み、一刻も早い、一日も早い復興を祈念いたしております。 原発事故を除いても、東日本大震災は、人的被害はもちろんのこと、道路・建物、さらに電気・ガス・水道などのライフラインに多大な影響を与えました。地震直後には想定を超える高さの大津波が発生し、東北地方だけではなく、北海道・関東から沖縄にまで押し寄せ、その被害は甚大なものであったことがわかります。 公共交通関連の状況は、旅客鉄道関係では、一部を除きいまだ復旧の見通しが立っておりません。バス関係では、岩手、宮城、福島の三県で、日本バス協会の調べによりますと、五月十二日現在、車両の水没、大破、不明が百三十七両、加えて宮城交通では気仙沼営業所が焼失したほか、岩手県交通では大船渡営業所、高田バスターミナルが全壊いたしました。タクシー関係でも、岩手、宮城、福島の三県だけでも、関係施設の流失・倒壊などの被害が百社を超えております。また、五百両の車両を失い、六十人を超える乗務員が死亡、または行方不明となっております。 また、大震災当日には、これまでも懸念されてきた「帰宅難民」という言葉が現実となり、特に東京都内の道路渋滞は翌日まで続き、バスやタクシーの運行に支障を来すとともに、運転を再開した一部の鉄道線でも利用者が殺到し、混雑するなど異常時の対応に課題を残したようです。さらに、交通網の寸断により被災地への緊急支援物資が届かないばかりか、生活物資や燃料の不足などの影響が出ました。 先日、上京の際感じたことでございますが、震災以降、都内では自転車の通勤手段としての利便性が認識されたのか、それとも健康のためか、通勤・通学時の自転車利用者が非常にふえたように感じました。 このように、大震災においても、ライフラインとして公共交通の重要性が認識されている一方、鉄道やバス路線の維持・確保は地域にとって大きな課題であり、各自治体はその対応に迫られているところであります。 例えば鉄道では、他県において自治体が赤字を前提とした路線存続を決断し、第三セクター化したケースとして、富山市の富山ライトレール、富山県高岡から射水間を運行する万葉線、福井県のえちぜん鉄道などがあります。これらの路線では、上下分離方式---鉄道・道路・空港などの経営において、線路などのインフラと運行・運営を分離して行う---を導入して、都道府県、市町村、事業者の責任を明確化した上で、市民に情報を公開して補助金を投入しております。また、皆さんよく御存じの和歌山の和歌山電鉄貴志川線のように、自治体の財政事情から第三セクター会社は設立せずに、民間事業者を公募して補助金を交付する方式をとるなど、公共交通のあり方については各地で協議され、それぞれに存続策を展開されているところです。 また、県内のバス交通についても、公共交通が不便な地域の最後の交通手段として、市町村によりますところの自主運行バスについては、数年前と比べ、市町村によっては県の補助が引き下げられている傾向もあると伺っております。こうした市町村では、今後さらに負担がふえれば路線の維持が困難になることも生じるのではないかと懸念されているところです。 県では、六月十五日、十年前に比べ県内の第三セクター鉄道三社の輸送人員が九十万人減少、路線バスも八百六十万人減少するなど、公共交通の維持・確保が重要になっていることから、鉄道やバスのあり方を検討する岐阜県地域公共交通協議会を設立いたしました。その中で、県内の公共交通について、将来予測や利用者の調査を行うとともに、通勤や通学などの生活交通圏ごとに四つの分科会を置き、調査結果をもとに、交通機関の相互の接続や連携、市町村が運行するバスとの連携、機能分担、路線の再編、利用促進などの活性化策を協議していくこととなりました。大きく一歩前進し、本当にありがたいことだと考えております。 この協議会は、県や県内全市町村、鉄道やバスの事業者、国の機関、学識経験者等で構成し、本年度は公共交通に関する国の補助制度が拡充されたことにあわせ、鉄道・バスの利用者や住民へのアンケートやヒアリングを実施し、公共交通の抱える課題や住民のニーズを把握し、県全体で公共交通のあり方を見直す場とされるとのことでございます。 そこで、都市建築部長にお尋ねいたします。今回設立した岐阜県公共交通協議会では、赤字で存続が危ぶまれている路線や市町村の自主運行バスについて、今後どのような協議を行い、いつまでをめどにまとめられるのでしょうか。 以上、大きく三点にわたって質問してまいりました。前向きな回答を期待いたし、質問を終わります。ありがとうございました。   (拍手) ○副議長(足立勝利君) 健康福祉部長 近田和彦君。   〔健康福祉部長 近田和彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(近田和彦君) 高齢者福祉、医療について、四点御質問をいただきました。 初めに、施設整備の状況と今後の方針についてお答えをいたします。 まず、施設整備の状況ですが、現在、平成二十一年度から二十三年度までの第四期介護保険事業支援計画に沿って着実に施設整備を進めているところです。特に平成二十二、二十三年度は、二十四年度からの次期計画分を前倒しして整備しており、今年度はその前倒し分を含めて、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホームを合計千四百八十一床整備する予定です。 次に、今後の方針でございますが、施設整備計画を含めた県における高齢者福祉のあり方は、三年ごとに策定する介護保険事業支援計画において決定しており、今年度は二十四年度からの次の計画を策定する予定であり、この計画には、議員が御指摘の二十九年度末までに廃止となる介護療養病床の再編に対応した施設サービスの確保についても盛り込んでいく必要があると考えております。今年度中に行われるこうした介護保険制度の改正を十分反映するとともに、市町村と連携し、要介護高齢者の実態や県民が望む介護サービスの内容をきめ細かく把握した上で、施設整備を含めた次期介護保険事業支援計画を策定し、県民に適切な介護サービスが提供されるよう努めてまいります。 次に、高齢者人口の将来推計と施設整備についてお答えをいたします。 議員御指摘のとおり、県人口・少子化問題研究会の推計によりますと、六十五歳以上の高齢者は、平成三十二年にピークとなると予測されておりますが、介護を必要とする割合が高い七十五歳以上の高齢者のピークは平成四十二年になると考えられています。さらに、高齢者世帯の動向を見ますと、子供と同居している割合が大幅に減少し、高齢者のひとり暮らし、あるいは夫婦のみの世帯が増加しており、今後、在宅での介護が困難なため、施設での介護を希望する方がふえることも予測されます。こうしたことから、施設の耐用年数が三十年以上であることを考慮しても、現状では、今後も施設整備を進めていく必要があると考えております。 次に、家族介護に対する慰労制度についてお答えをいたします。 介護保険制度においては、保険者が行う事業として、在宅で介護をしている家族を対象とした家族介護支援事業が設けられております。この事業は、介護を行う方の心身や経済的な負担などの軽減を目的に、介護用品や金品の支給、家族介護教室や介護者交流会の開催などの事業項目の中から、保険者の判断で任意に実施されているところです。県内三十六の保険者ごとに昨年度の事業実施状況を見ますと、介護用品を支給する事業は二十、慰労金を支給する事業は十五、介護技術の習得や対応を学ぶ事業は十三保険者で実施されているなど、三十の保険者が何らかの慰労制度を設けて事業を実施しているところです。在宅介護を進めていく上で、家族介護の負担軽減は必要な施策であると認識しており、保険者に対して説明会等を通じて家族介護支援事業の普及に努めてまいります。 最後に、在宅医療・介護を支援する施策についてお答えをいたします。 現在、十八年度より創設された地域密着型で在宅医療・介護を支えるものは、県内では百十二事業所ございます。こうしたサービスは、在宅医療・介護をきめ細かく支えるものとして、その体制を強化していく必要があると認識し、二十一年度から二十三年度にかけまして、基金を活用し、補助単価の増額や開設経費に対する支援等で整備を促しているところです。 さらに、御指摘の定期巡回訪問介護サービスは、先月成立した改正介護保険法において正式に位置づけられ、昨年度から、法改正を踏まえたモデル事業を行っているところです。昨年度の事業報告において、生活リズムが整い、利用者の大きな安心感につながっているとの報告も受けており、来年度は、県内全域での実施に向けて準備を進めているところです。こうした取り組みを通じて、在宅医療・介護を支えるサービスの推進を図ってまいります。 ○副議長(足立勝利君) 都市建築部長 山本 馨君。   〔都市建築部長 山本 馨君登壇〕 ◎都市建築部長(山本馨君) 地域公共交通の維持についてお答えいたします。 地域公共交通につきましては、利用者の減少により収支が悪化しており、特に地方の鉄道は、施設の改良や修繕に係る負担も大きく、公的な補助が行われているにもかかわらず厳しい経営状況となっております。また、市町村バスは、その多くが交通空白地を運行しているため採算の確保は困難であり、市町村にとって大きな財政負担となっております。 こうした中にあっても、地域公共交通を維持し、地域住民の足を確保することは重要な課題であり、先般、県内の市町村や交通事業者、学識経験者などのほか、オブザーバーとしてJR東海や名古屋鉄道にも参加していただき、こうした課題への対応を検討するため、岐阜県地域公共交通協議会を立ち上げたところです。協議会では、住民が利用しやすい公共交通や交通機関相互の連携、国庫補助の活用も含めた支援のあり方、利用促進などの活性化策などについて検討してまいりたいと考えております。 今後、地域ごとに分科会を設置し、この中で、地域の現状や問題点を分析した上で、平成二十四年度を目途に、地域公共交通の課題と方向性について取りまとめてまいりたいと考えております。 ○副議長(足立勝利君) 教育長 松川禮子君。   〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 初めに、特色と魅力ある高校づくりについてお答えします。 県立高校の入学定員は、中学校卒業予定者の増減をもとに、生徒の進路希望や産業界、地域の事情といった社会的ニーズにできる限りこたえるよう設定しております。しかしながら、そもそも入学定員は、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律により一クラス四十人単位で設定することになっているため、生徒数の少ない地域の特に専門科では、その学科を希望する生徒が四十人未満であれば、結果的に定員割れを生じる場合があります。また、通学事情や交通の利便性なども考慮し、一部の高校のみに集中しないよう入学定員を設定しておりますが、生徒の志望動向によって定員割れとなる学校もあります。 こうした現状を踏まえ、魅力ある高校づくりを進めるためには、従来の枠にとらわれない工夫が必要であると考えます。例えば、変化する時代のニーズに対応できる学科を新設することや、大学や企業との連携を強化したり、体験型授業を増加させたり、学校独自の科目を設定するなど、より魅力ある授業にするための工夫も考えられます。また、地域に密着した行事等への参画や、特定の部活動のさらなる活性化を目指すなどの方法も考えられます。今後、各高校の状況に応じた方策について検討し、高校教育の一層の活性化に努めてまいります。 次に、高等学校卒業者の就職状況についてお答えします。 昨年度の高校生の就職状況は、求人数が前年度をさらに下回るなど大変に厳しい状況でした。しかしながら、各学校の努力や関係機関の御協力により、最終的には、三月末時点での就職内定率は九九・六%と、前年度同期を一・〇ポイント上回りました。今年度は、議員御指摘のとおり東日本大震災の影響もあり、経済の先行きが不透明なことから、より手厚い就職支援を行っているところです。具体的には、県の緊急雇用創出事業を活用し、企業訪問による求人開拓や、生徒の面接指導を行う就職指導員を昨年度の五名から十四名に増員し、就職希望者の多い県立高校に配置しております。また、五月には、商工労働部や岐阜県労働局等と連携して県内経済五団体を直接訪れ、県内企業への求人要請を行ったところです。さらに、今後関係諸機関と緊密に連携し、就職希望者に対してプロの講師によるマナー指導や就職面接指導を行ったり、県内企業約百社が参加する合同企業説明会を開催したりするなど、さまざまな支援策を実施してまいります。このような取り組みを通して、就職を希望する高校生が一人でも多くの進路実現ができるよう、今後も積極的な支援に努めてまいります。 ○副議長(足立勝利君) 二十三番 伊藤秀光君。   〔二十三番 伊藤秀光君登壇〕(拍手) ◆二十三番(伊藤秀光君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きく二点についてお伺いをいたします。 まず初めに、防災教育についてお伺いをいたします。昨日の岩花議員、大須賀議員、そして本日の高木議員とも一部重なるところもありますが、私なりに質問をさせていただきます。 質問に先立ち、多くの議員も話されていますように、去る三月十一日午後二時四十六分に発生した東日本大震災のとき、私たちは、きょうのように議場で一般質問の最終日を迎えていました。私の一般質問が終わってわずか十一分後であり、中村議員が二十四年間の議員生活の締めくくりの質問をされている最中で、忘れることはできません。議長席から一時中断を告げられるまで質問を続けられたことは立派だと思います。その後のテレビの報道に、津波で流される家々、巨大なタンク、大小の船や自動車、家と家とがぶつかり合って砕ける様子、とてもこの世の今の出来事とは思えないほどでした。その結果、六月三十日現在の死者一万五千五百十一人、行方不明者七千百八十九人、避難生活者約十一万二千人です。お亡くなりになられた方々への心からの御冥福と、今なお避難生活を余儀なくされておられる方々へのお見舞い、そして一日も早い復興をお祈り申し上げます。 今回の地震は、マグニチュード九・〇という世界的に見ても史上四番目の大きさであると同時に、巨大津波、そして福島原発事故という三重苦となりました。この三陸海岸では、これまでにも明治二十九年六月十五日に発生したマグニチュード八・二の明治三陸地震では、死者・行方不明者約二万二千人を出し、また、昭和八年三月三日に発生したマグニチュード八・一の昭和三陸地震では、死者・行方不明者三千六十四人。地震は、同じ地域に同じような大きさで繰り返し起きる特徴があります。 明治三陸地震から百年を超えたこともあり、平成十七年、政府の中央防災会議では、北海道から東北地方の太平洋側で起きるおそれのある大地震の揺れと津波の高さを発表しました。それによりますと、津波では十五メートルから二十メートルに達するおそれがあると言っています。実際は、それ以上の事態となりました。こうした警告を受け、日ごろから防災教育に力を入れていた学校と、そうでない学校との運命が分かれる結果になってしまいました。 そこで、私はいろいろと新聞報道を検証させてもらいました。特筆すべきは、何回も話が出ておりますけれども、河口から五キロ離れていた石巻市立大川小学校と、河口からわずか一キロに満たない釜石市立東中学校と鵜住居小学校がまさに明暗を分けました。児童の七割が死亡・行方不明になった大川小学校に対し、東中と鵜住居小学校を初め釜石市内では、約千三百人の死者・行方不明者が出たにもかかわらず、市内の小・中学校のほぼ全員の約三千人が津波の難から逃れたということです。多くの人たちは、これを「釜石の奇跡」と呼んでいます。 ただ、平成十七年度から釜石市内の防災教育に携わった岐阜県出身の群馬大学大学院の片田教授は、子供たちに避難三原則を徹底して教育し、その結果、子供たちが身につけた対応力が想定外を乗り越えたと話しされています。その三原則とは、原則一が想定を信じない、原則二が状況ごとにベストを尽くす、原則三がみずからが率先避難者になるです。特に、自分の命を守る行動を最優先しろ、それが周囲を救うと片田教授は繰り返し言われたそうです。この教えは、長年津波の被害に苦しんできた三陸地方に伝わる先人の知恵「津波てんでんこ」、つまり、津波が来たら、てんでんばらばらに逃げろということにもつながります。その結果、東中は、平成二十一年と二十二年に毎日新聞社主催の「ぼうさい甲子園」で優秀賞を連続受賞しています。週一時間を防災教育に割いてきた結果、生徒たちの行動は、頭で考えるものではなく、体が覚えていたものであったということが言えます。悲しい報道ばかりの中での心温まるうれしい話です。このほかにも、東松島市立浜市小学校を初め日ごろの防災教育が功を奏し、間一髪、難を逃れた学校が幾つかあります。 先ごろの新聞報道によりますと、和歌山県の仁坂知事は、今回の教訓を生かし、小・中学校の防災教育に使う県独自の教材をつくると発表。さきに述べました、子供たちの生死を分けた事例も盛り込む予定だそうです。いち早い対応に感銘をいたしました。近い将来、和歌山県も含め私たちの住む岐阜県も、マグニチュード八という巨大な東海・東南海地震が発生すると考えられています。そうなれば、私の地元 西南濃地方は木曽三川が合流する地域でもあり、かつて薩摩義士の宝暦治水の偉業からもおわかりのように、水に苦しめられてきた歴史があります。そこに巨大地震が起これば、堤防の決壊、家屋の倒壊、津波、液状化等により被害は甚大になることも予測されます。被害をより少なくするためにも、幼いときからの防災教育が大切なことは、今回の地震で実証されました。 そこで、教育長にお尋ねします。東日本大震災を踏まえて、本県では今後どのように防災教育に当たっていかれるのか、とりわけ避難訓練のあり方についてどのようにお考えかをお伺いします。 次に、犯罪被害者の支援についてお伺いいたします。 私は、去る六月四日に開催されました第三十一回大垣市少年の主張大会に出席してきました。この大会は、現代の子供たちの考えていることを知ることができることから、できるだけ出席することにしています。特に子ども会のお役をいただいていることもあり、いいチャンスだと思っています。どの発表もしっかりしていて感動いたしました。 今回、特に感動させられたのが、私の出身中学の二年生の小川のぞみさんの発表で、題名は「見つけたい答え」という内容を推測しかねるものでした。その発表は、中一のときに読んだ好きな作家の小説に「とてもショックを受け、私の犯罪に対する見方は大きく変わりました」で始まります。私も同じ本を買い、先日読み終えましたが、彼女の言う「見えない答え」の意味がしっかりつかめ、彼女と同じ思いに駆られました。 その小説というのは、東野圭吾氏の著書「さまよう刃」です。映画化もされており、御存じの方も多いかと思います。そのときの彼女の文章を少し紹介したいと思います。 「内容は、一人娘を殺された父親が、少年法に守られた二人組の少年に復讐を果たそうとするものです。それを読み終えた私の心には、犯罪と法律の理不尽さに対する疑問だけが残りました。私には、警察官になりたいという小学生のころからの夢があります。ただのあこがれだったその夢も、犯罪や法律の抱える問題について少しずつ関心を持つようになったので、今はかなえたいと強く思っています」。「自分の欲望や思いのままに行き過ぎた行動に走り、平気で人を傷つけたり、いさめたりしてしまうなんて許せません。そして、それが未成年だからという理由で、法律によって結果的に許されてしまっていることが、私には理解できません。こんな理不尽なことがあってよいのでしょうか。被害に遭った人やその周りの人たちの気持ちはどうなるのでしょうか。更生の余地がある、本当にそうでしょうか。また、再び罪を犯すことはないのでしょうか。少年犯罪でなくても、たくさんの人が死ななければ、犯行が残忍でなければ、人を傷つけても、殺しても、極刑は下されません。加害者の命は、被害者の命より重いものなのでしょうか」、このところでは少し涙ぐんで訴えられ、思わず私も目頭が熱くなりました。 「それでも、私には、実際に被害に遭った人たちの気持ちなどわかりません。もちろん、罪を犯す人の気持ちもわかりません。専門的な知識のある人たちの考え方もわかりません。もしかしたら、何もわかっていない私がこういった思いを抱くことはおかしいことかもしれません。しかし、はっきりわからなくても、疑問や矛盾や不安を感じます」と訴える彼女の素直な気持ちに心打たれました。 そして最後に、「専門的な知識を身につけることや、報道だけではわからない被害に遭った人、罪を犯してしまう人の本当の気持ちを知ることは、警察官のようなじかに事件に携わる人たちでないと難しいように感じます。だから、私は警察官になりたいという夢を実現させ、罪や法のもとで犯罪と法律の理不尽さという疑問に向き合い、それに苦しむ人たちを少しでも救っていけるような答えを見出したいです」と締めくくっています。 会場でこの話を聞きながら私の脳裏をかすめたのは、平成十一年に山口県光市で、会社員本村 洋さんの愛する妻子が殺害された事件です。この事件は、平成二十年四月には、殺人や強姦致死などの罪に問われた元少年の差し戻し控訴審で、広島高裁が一審の求刑どおり死刑の判決を言い渡しました。今でも、当時のテレビ・新聞で被害者が極刑を訴える様子が目に浮かびます。ちなみに、平成二十年六月一日、本村 洋さんの講演会が、後で紹介しますぎふ犯罪被害者支援センターの主催で、十六プラザで行われました。会場には、九百人を超える参加者があり、関係者に感動を与えたそうです。 さらに、今からちょうど十年前、平成十三年六月八日に、大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校で起きた小学生無差別殺傷事件では、八名の幼い命が奪われました。このほかにも、思いがけず殺人や交通事故、性犯罪などに遭い、深い悲しみと苦しみの中でもがいている被害者や遺族が多くいます。事件・事故の後も長期間にわたって精神的障害に悩まされ、二次被害をも受けています。そのために、犯罪被害者の視点に立った施策を講じ、その権利・権益の保護が図られる社会の実現に向けた新しい取り組みとして、国において、平成十六年年二月に犯罪被害者等基本法が制定されました。そして、翌年には、犯罪被害者等支援基本計画が策定されました。 特に、この基本法に定められた地方公共団体の責務として、第五条に「地方公共団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の支援等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と記されてありますが、この責務に従って、犯罪被害者支援に特化した条例を制定している都道府県は宮城、山形、神奈川、岡山の四県にすぎず、市町村でも八十市町村と少ないのが現状であります。私としては、本県でも、犯罪被害者支援を強化するという意味において、犯罪被害者支援に特化した条例の制定、これに基づく基本計画の策定が望ましいのではないかと思いますが、本県においては、平成二十年三月に、「岐阜県犯罪のない安全・安心まちづくり条例」が制定され、その中に、被害者支援に関することが盛り込まれ、この条例に基づいて、「岐阜県犯罪のない安全・安心まちづくり行動計画」を策定しているところであります。そこで、現在、県において策定している行動計画により、どのように犯罪被害者支援に取り組まれているのか、環境生活部長にお伺いをいたします。 また、こうした犯罪被害者の実態を他人事とせず、広く県民に広報していくことも大切です。 全国的な広報活動の一つに「生命のメッセージ展」があります。「生命のメッセージ展」とは、犯罪、事故、いじめなどによって理不尽に命を奪われた犠牲者が主役のアート展です。犠牲者一人ひとりの等身大の人形パネルはメッセンジャーと呼ばれ、その胸元には、本人の写真や家族の言葉を張り、足元には、生きたあかしである靴を置いて、命の大切さを訴える催し物です。この「生命のメッセージ展」については言葉だけでは伝えづらいところもありますが、議場に配布をさせていただきました資料に掲載されている写真や絵のようなイメージであります。 京都市では、昨年三月五日、六日、「被害者の悲痛な気持ちに時効なし」のスローガンで開催されました。また、栃木県では、昨年一月二十六日から二十八日の三日間、「生命のメッセージinとちぎ」が県議会議事堂にて開催されました。岐阜県では、配布資料のとおりJR岐阜駅のハートフルスクエアーGで八月二日から開かれる予定です。被害者や、その家族が置かれた立場への理解を深めていただく一つの機会となればと思います。 そこで、広く県民に犯罪被害者のことをよりよく知っていただけるような広報についてどのように取り組んでいかれるのか、環境生活部長にお伺いをいたします。 また、住民の一番身近な窓口としての市町村についても、犯罪被害者への支援が求められるところであります。本年三月に国が策定した第二次犯罪被害者等基本計画の中でも、相談窓口の設置の促進が上げられていますが、県内市町村の相談窓口の設置状況及び県としての市町村への働きかけについて、同じく環境生活部長にお伺いをいたします。 さて、我が国での犯罪被害者の支援に関する民間団体の活動は、平成になってから全国的な展開が進んできました。それが、現在、全国四十七都道府県にある犯罪被害者支援センターです。私は、先日、ぎふ犯罪被害者支援センターを訪問し、活動内容をお聞きしてきました。 このセンターは、平成二十一年十二月一日に公益認定法に基づく公益社団法人として岐阜県知事の認定を受けていますし、平成二十二年十一月十二日には、犯罪被害者等支援法に基づく岐阜県公安委員会の犯罪被害者等早期援助団体の指定も受けていることを初めて知りました。ボランティアの相談員三十四名がローテーションを組み、犯罪被害者や家族・遺族の方と電話や面接相談を通じて、精神的ケア、法律的なアドバイス、警察、検察庁、裁判所、病院等への付き添い支援など、事件・事故の被害回復と支援に当たられているとのこと、頭が下がる思いであります。こうした民間団体の存在は、犯罪被害者等にとって、いつでも支援が受けられる心のよりどころとして不可欠な存在になっているとも感じました。ただ、財政面での脆弱さや、他の機関・団体等の連携不足などの問題も抱えており、運営面での支援を訴えてみえました。基本法でも、こうした状況を踏まえ、国・地方公共団体が講ずべき基本的な施策の一つとして、民間団体に対する援助を掲げています。 ぎふ犯罪被害者支援センターの年間予算の約九割は、県内の民間企業、個人、団体の会費、民間団体からの助成金で賄われていますが、このうち、日本財団からの助成は本年度で打ち切られるとのことであります。財政基盤が安定しているとは言いがたい状況であります。民間被害者支援団体の活動に要する経費、例えば相談・支援活動の業務委託費、講演会の開催等の広報啓発活動の業務委託費など、地方公共団体からの公的助成、財政支援が必要ではないかと思います。今後、犯罪被害者がふえることはあっても、減ることはないように思います。犯罪被害者の一人でも多くの方の心の支えとしても、同センターの存続を願うものです。そのためにも、基本法、基本計画にも地方公共団体の責務としてうたわれておりますので、財政的な支援もお願いしたいと思います。 さて、先ほど触れましたが、犯罪被害者支援センターが早期援助団体として公安委員会に指定され、支援センターの活動の信頼性、社会公共性が高まったものと思います。早期援助団体は、被害者の同意が得られれば、犯罪発生後の早い段階で警察から早期に被害者に関する情報が提供されるとのことです。支援センターも能動的な活動ができるようになったと聞いています。 そこで、被害者支援に関する情報提供など、支援センターとの連携についてどのように考えておられるか、警察本部長にお伺いをします。 最後に、急増する凶悪犯罪がテレビで報じられるたびに、被害者の命より加害者の命や名誉が優先される報道にいら立ちすら覚えるのは私ばかりではないと思います。改めて、「見えない答え」という題で発表した彼女の将来の夢は、「警察官になって犯罪と法律の理不尽さという疑問に向き合い、それに苦しむ人たちを少しでも救っていけるような答えを見出すことです」と訴えました。すばらしい考え方だと思います。すばらしい警察官になられることと期待いたします。だが、彼女が警察官になるころまでに、私たち大人が少しでも彼女の疑問に答えを出しておかなければならないという責任もあると思います。 以上、大きく二項目について五つの質問をいたしました。関係部長の誠意ある答弁を期待し、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○副議長(足立勝利君) 環境生活部長 坂 正光君。   〔環境生活部長 坂 正光君登壇〕 ◎環境生活部長(坂正光君) 御質問を三点いただきました。 まず、犯罪被害者支援に関する取り組みについてお答えいたします。 犯罪被害者への支援といたしましては、岐阜県犯罪のない安全・安心まちづくり条例に基づき行動計画を毎年策定し、県庁各部局と横断的に、また、県警本部初め関係機関と連携し、取り組んでいるところであります。 具体的には、県警本部、その他の関係機関、ぎふ犯罪被害者支援センターなど関係団体で構成します協議会を設置いたしまして情報共有を行うとともに、各種取り組みを推進しているところであります。例えば、犯罪被害者の相談につきましては、犯罪被害者支援センター等において、心のケアなどについての相談体制を整えており、また生活支援につきましては、犯罪被害者等給付金の給付のほか、都道府県としては初となる犯罪被害遺児激励金を創設しまして、県民の皆様からの御寄附により、条例制定の平成二十年以来、延べ十二人の方に支給しているところであります。また、住宅確保につきましても、被害直後の一時避難場所の確保及び県営住宅の優先入居を実施するなど、犯罪被害者支援に取り組んでいるところでございます。 次に、広報に関する取り組みについてお答えいたします。 広報に関する取り組みといたしましては、犯罪被害者が置かれている状況や命の大切さについて、県民の皆様の理解を深めることを目的に、毎年十一月二十五日からの犯罪被害者週間におきまして、県警本部及びぎふ犯罪被害者支援センターと連携し、MSリーダーズの高校生なども参加した街頭啓発活動やメディアを活用しましたPRなどを行ってきております。さらに、一般県民を対象とした犯罪被害者遺族等による講演会や県などが主催する人権フェスティバルにおきましても、犯罪被害者遺族の手記の朗読とかパネル展示を行うなど、啓発に努めているところでございます。また、教育委員会とも連携し、中高生など若い世代を対象とした命の大切さを学ぶ教室を、昨年度は二十校、約五千百人の参加を得て、実施してきたところでございます。 最後に、市町村の相談窓口の設置状況と市町村への働きかけについてお答えいたします。 現在、市町村の相談窓口は十五市町に設置されておりますが、県としましては、住民に身近な市町村において、犯罪被害者が抱える生活、住居などのさまざまな問題に総合的に対応できる窓口の設置が必要と考えております。 そこで、県におきましては、市町村職員が適切に犯罪被害者の相談に応じることができるよう、犯罪被害者の置かれた状況や支援に携わる関係機関の内容等を記載しましたハンドブックを作成するとともに、先進事例の紹介や実際に犯罪被害者の声を聞く研修会の開催などを通じまして、市町村の体制整備を促進しているところであります。 今後とも、こうした取り組みにより、市町村における相談窓口の設置を働きかけるとともに、犯罪被害者のニーズに応じました取り組みがなされますよう、相談窓口の充実・強化を支援してまいりたいと考えております。 ○副議長(足立勝利君) 教育長 松川禮子君。   〔教育長 松川禮子君登壇〕 ◎教育長(松川禮子君) 防災教育、とりわけ避難訓練のあり方についてお答えします。 県内では、すべての学校が災害時を想定した避難訓練を実施しています。しかしながら、今回の東日本大震災における現地の学校での避難状況を見ますと、本県で多く行われている校舎内から運動場へ避難するという訓練のあり方を、いま一度見直す必要があると考えております。 具体的には、堤防の決壊を想定した高台や校舎上層階への避難や、土砂崩れによる校舎への被害を想定した学校外への避難、さらには、停電のため校内放送が使えない状況下での訓練等、さまざまな状況を想定した訓練のほか、小学校低学年など災害弱者に配慮した近隣の小・中学校合同の訓練などにも取り組むよう、各学校に指導しているところです。今後とも、子供の命を守ることを最優先にした避難訓練の充実に努めてまいります。 ○副議長(足立勝利君) 警察本部長 瀧澤裕昭君。   〔警察本部長 瀧澤裕昭君登壇〕 ◎警察本部長(瀧澤裕昭君) ぎふ犯罪被害者支援センターと警察の連携についてお答えをいたします。 この支援センターは、警察のほか、検察庁、弁護士会、医師会など被害者の支援に携わる官民の機関・団体が参加する岐阜県犯罪被害者支援活動推進協議会が中心となりまして、平成十六年に創設をされております。平成二十一年十一月には公益社団法人となっております。 県警察では、この支援センターとの間で、先ほど申しました被害者支援活動推進協議会を交えた情報交換を行っているほか、支援センターが行うボランティア相談員の養成講座やスキルアップ研修に警察から講師を派遣するなどの支援を行っているところでございます。 また、議員御指摘のとおり、支援センターは、昨年十一月、県公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体の指定を受けておりまして、被害者等の同意が得られれば、警察からの情報提供に基づき、被害直後から支援を行うことが可能になったところでございます。県警察といたしましては、支援センターは、被害者等が再び平穏な生活を営むことができるようになるまで、途切れのない支援を実現するために不可欠な存在だと考えておりまして、被害者あるいは御家族に支援センターの活動内容を積極的に教示するなどして、今後とも支援センターとの連携の充実強化を図ってまいりたいと考えております。以上です。            ……………………………………………………………… ○副議長(足立勝利君) しばらく休憩いたします。 △午後三時十六分休憩             ……………………………………………………………… △午後三時三十九分再開 ○議長(藤墳守君) 休憩前に引き続き会議を開きます。            ……………………………………………………………… ○議長(藤墳守君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。四十七番 渡辺信行君。   〔四十七番 渡辺信行君登壇〕(拍手) ◆四十七番(渡辺信行君) きょうは大変長くなってしまいましたが、やっぱり年寄りも元気で、議会人が頑張っておるという証左をしなきゃならん、こういうことで、私が高齢者を代表して質問に立たせていただきます。よろしくお願いいたします。 まず、質問に先立つ前に、改めてこのたびの東日本大震災によってお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたします。立っていただかなくても結構でございます。心の中でしっかりとよろしくお願いします。 この震災に伴う福島第一原子力発電所の事故により、原子力エネルギーのあり方が問われております。特に、知事はこの問題に対して大変熱心に取り組んでいただいております。私ども岐阜県においては、原子力発電所は一カ所もないわけでございますが、隣接にあるということで大変危機感を持ちながら、こういった問題をどうしていくんだということに御尽力をいただいております。 そういう状況の中で、特に電力需要の問題については、やはりこれは岐阜県を挙げて対応していかなきゃならん問題でございますので、これまで幾たびも関西電力あるいはまた中部電力等々、いろんな方とお会いいただいて、今後の対応を検討していただいておるところでもございます。 しかしながら、これまでの民主党政権、菅政権の震災対応を見ますと、権限と責任が不明確なまま、二十を超える対策本部や会議などを乱立させることでいたずらに指揮命令系統を混乱させ、また、いまだに復興の全体ビジョンを示すこともなく、政策決定も極めて場当たり的であります。このような対策の結果、現場は混乱し、有効な具体策が講じられることもなく、すべて後追いの対策に終始し、政府の対応にスピード感や力強さが全く感じられず、三カ月余を経ておりましても復興は遅々として進んでおりません。 さらに五月六日、菅総理は、突然の記者会見で中部電力に対して浜岡原子力発電所の操業中止要請をしました。法的根拠が何もないんです。しかも、発電を停止した場合の電力需給や国民生活・経済への影響を事前に十分に検討することもなく、いきなり行ったことは御承知のとおりでございます。 浜岡原発については、それ自体に何らの状況の変化もないのにもかかわらず、これまでの東海地震並みの揺れが起きても安全性に問題はないとして操業を容認してきた国の方針を、明確な根拠もなく突然変更をいたしました。また、停止した場合の代替手段を考慮することなく、国民の省電力・省エネルギーの工夫により必ず乗り越えられるなどという何の根拠もない精神論のような話をよりどころに、国民の安心・安全を考え、操業停止をみずから決断したとのパフォーマンスを行ったのであります。全く稚拙で、思慮に欠けた大衆迎合政治のきわみであります。 さらに、自分たちが決めた要請にもかかわらず、停止した場合の影響、損害に対する補償について政府は知ったことではないとの対応であります。その一例として申し上げますと、今回の中部電力への中止要請に伴う支援策については、つい先日、ようやく中部電力に対して、日本政策投資銀行が一千億円を融資することが発表されたところであります。これに関して、報道によると、五月三十一日に実施された古田知事を初めとする中部電力管内の五県の知事と民主党 岡田幹事長との会談で、代替電源のための火力電力にかえることに伴う経費増加分について、国の枠組みでの対応を求める知事側の要望に対して岡田幹事長は、「中部電力のリストラでやってほしい」と突っぱねました。さらに、知事側の、「法律に基づかない停止要請による費用負担を中部圏の産業界、県民が持つことはいかがか」との主張に対して、岡田氏は「党としては認められない」と述べた経緯があったようでございます。今回の支援策の決定に至るまでの場当たり的な無責任きわまりない対応にあきれるどころか、怒りを覚えるところでございます。 このように、震災被害は収束するどころか、政府の不手際による二次災害とも言うべき悪影響が広がり、もはや民主党 菅政権による人災と言っても過言ではないと思っております。 一方、今回の福島第一原発事故での事業者である東京電力の対応は、余りにも当事者意識が希薄で、原子力に対する技術・専門知識を十分に備えているとは言いがたく、さらに事故に関する情報開示が十分になされておらず、このため、国民の不信感を増幅させるばかりであり、極めて不適切であります。 これまで、原子力エネルギーは安全で安価なエネルギーとして、政府・電力業界ともに積極的に推進したところであります。自由民主党政権時代に原子力政策が決定・推進されたために、自民党に責任があるがごとく一部世論がありますが、現民主党政権のマニフェストにおいて、総理、閣僚のトップセールスによる海外へのインフラ輸出の一環として原子力発電を掲げており、さらに一層強力に推し進めております。いずれにせよ、これを機会に、エネルギー政策について一から見直しを行うことが求められるのではないかと思います。 原発事故から三カ月が過ぎた現時点において、いまだ政府から今回の事故を踏まえたエネルギー政策の新たな方針が示されておりません。例えば、鳩山政権が宣言したCO2の二五%削減について、政府として原子力政策を撤回すると、その代替手段として、CO2を大量に排出する火力エネルギーの割合をふやさざるを得ませんが、これについてどのように対応していくのか。 また、菅総理は五月二十五日、フランスのパリで開催されましたOECDの五十周年記念行事において、自然エネルギーを二〇二〇年代のできるだけ早い時期に少なくとも二〇%を超える水準となるようにし、その第一歩として太陽光パネルを一千万戸に設置すると宣言しております。これについては、所管省庁の海江田経済産業大臣は事前に聞いておらず、菅総理の思いつきとの報道もありますが、海外の公式行事での発言であることから、今後、政府として詳細な見解を示さなければなりません。 これらのことも含めて、エネルギー政策について政府としての考え方を早急に示すことが必要であります。さらに、この国の方針において、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの割合を高めていくことは、当然必要と考えます。 自然エネルギーは、ランニングコストが極めて小さいエネルギーと言われてはいます。しかしながら、特に太陽光発電や風力発電は、設備規模に対する発電電力量が極めて少なく、また日本において年間を通じて安定した日射量や風力の確保が難しいことから、極めて不安定な発電電力となります。この不安定な電力を調整するために、電力会社側では、安定化するための費用が全国で五兆円程度必要となると試算されているなど、高コストになることが予想されます。この高コストとなることが懸念される自然エネルギーを、我が国のエネルギー政策全体の中でどのように位置づけていくのか。具体的には、当面の産業に対してどのように位置づけていくのか、あるいは将来的な日本の経済にどのように位置づけていくのかといった全体像を示す必要があると考えます。 県では、浜岡原発の全面停止が決定されて間もなく、岐阜県省エネ・新エネ推進会議を設置して、省エネルギーの推進や新エネルギー導入について検討を行っていると伺っております。また、全面停止を受けたこの三月末に取りまとめた岐阜県次世代エネルギービジョンに記された施策を前倒しして実施するとのことであります。これらの対応により、本県における当面の電力不足や将来的な電力を初めとするエネルギー需要に備えるとのことであります。 原子力政策を初めエネルギー政策全般について国にゆだねざるを得ないというところでありますが、原子力発電所については県内にはないものの、隣接する福井県や石川県には多数あります。福島第一原発事故の放射能汚染の状況をかんがみますと、本県も、その運用状況については、危機感を持って対応しなければなりません。今回の事故を踏まえて、原発の事業者である関西電力や北陸電力、日本原子力研究開発機構と本県との間でこれまで行われてこなかった平常時の連絡体制を構築するなど、体制を強化することとしております。県において、これらの体制をフルに活用し、県民の生命・生活を守る観点から、連携を密にして原発の運転が安全になされるよう、体制の整備、運用に万全を期すことを強く望むものであります。 本県が取り組むべき自然エネルギーなどの新エネルギー施策の今後のあり方について、先ほど申し上げました岐阜県次世代エネルギービジョンに示されておりますが、このビジョンにおいて、新エネルギーの一つとして小水力発電が掲げられております。 また、県は、二〇一五年度までの五年間に、農業用水に小水力発電施設を三カ所設置する方針を示したとの報道がありました。本県は、古くから木の国・山の国と言われるとおり、県土の約八〇%が森林で構成されており、そこからわき出す豊かな水は渓流となり、大河木曽三川を構築しております。そしてまた、この三川は、人々の生活はもちろんのこと、中部圏経済の発展に大きく寄与してきたことは事実であります。これを明確にすべく、木曽川水系水資源開発基本計画、いわゆるフルプランや木曽川水系河川整備計画などをひもといてみますと、木曽三川における年間の総流出量は約百六十億トンと膨大な水量であります。また、この水は、利水として最大で毎秒約四百六十立方メートルが活用されており、その内訳を見ますと、一〇%が上水、五%が工業用水、残る八五%が農業用水として利用されております。 このように、恵まれた自然環境の結果、本県は、技術的・経済的に開発可能な発電水力資源の量である包蔵水力量が全国一位となっております。小水力発電を初めとして水力発電を行うのに、全国で最も適した地域であると言われております。 また、小水力発電については、その仕組みが単純であることから技術的にも確立されており、最近では、技術開発により低落差、小流量でも発電可能な水車、発電機が実用化され、小水力発電の効率化、低コスト化が進み、従来は難しかった地点での経済性のある計画が可能となってきております。さらに、規模が小さいために、発電設備を設置する際の地形の改変が小さくて、使用する水量も少ないことから、河川水質や水生生物等の周辺生態系に及ぼす影響が小さく、環境への負担が少ないエネルギーであり、将来的に大きな可能性を秘めた次世代エネルギーであります。 現在は、全国民挙げてこの電力需給の逼迫状況を解決すべく、あらゆる手段を講じていくことが求められる時期にあります。 そのような状況にかかわらず、国の各省庁は、いまだに自分たちの省益にこだわっております。小水力発電における状況で申し上げますと、経済産業省は、電力会社の小水力発電の売電単価について、太陽光発電より非常に安価なままで改善していないため、事業投資効果が見込めない状況となっております。国土交通省は、小水力発電事業を実施する際に不可欠な慣行水利権の水利使用の許可を簡略化しないために、手続に多くの時間と経費を要しております。農林水産省は、補助制度における農業用水の小水力発電の規模制限を撤廃しないために、大規模な発電施設を整備することができない状況にあります。さらに、県内には発電機能を持たないダムが複数あり、これらのダムに新たな発電施設を設置することで、大水力・中水力規模の電力を供給することも可能となりますが、これについても、ダムの所有権や水利権の問題を解決しないと、実現は困難であります。このように、既存の法規制等が水力発電の事業を進める上で大きな支障となっており、国においても早急に対応することが求められております。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 知事は、今議会において、原子力発電のあり方について、それにかわる再生可能エネルギーを見出すにはなお相当の時間を要することから、原子力発電の万全の安全対策と、バランスのとれた持続可能なエネルギー政策の二つをどのように速やかに両立させて推進させていくかを、国において、エネルギー政策の全体像を見直す中で検討していくことが必要であると答弁しておられます。しかしながら、原発立地県を初め複数の知事が脱原発を唱え始めており、このままでいくと、安全協定を結ぶ県知事の同意が得られないことから、全国各地の原発が再稼働できなくなり、安定した電力供給が危ぶまれます。本県の電力の安定供給を図り、県民生活の安心・安全を確保する観点から、今後の原子力エネルギーや新エネルギーのあり方について、県民を初めとして、国や他の都道府県知事に対して、本県の考え方を明確に表明することで問題提起をし、真剣に議論を重ねていくことが必要と考えますが、原子力エネルギーや新エネルギーについて、知事御自身の所見を改めてお伺いしたいと思います。 また、この新エネルギーのあり方について検討していく中で、本県の地理的優位性を生かすことができる小水力発電を初めとする水力発電について、本県として積極的に推進することで、我が国の電力の安定供給に貢献することができると考えております。 しかしながら、県は、水力発電に関し、特に既存のダムを活用した新たな発電については、所有権や水利権等の権限が国や電力会社を初めとする利水事業者にあることを理由に、これまで踏み込んだ検討を行わず、消極的な姿勢で臨んできておられるのではないかなという思いもいたします。この国難と言うべき電力逼迫の状況を解決するためには、本県の豊かなエネルギー資源である包蔵水力を最大限に活用することが必要不可欠であります。このため、県は、従来の規制の枠を超えて、国や電力会社に対してイニシアチブを持ってあらゆる提案を行っていくことが必要と考えますが、既存のダムを活用した新たな発電の可能性について、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。 また、先ほど申し上げましたとおり、水力発電の事業を推進するに当たってさまざまな問題があります。これらの課題について、県としてどのように認識し、今後どのように対応しようとしておられるのか、あわせてお尋ねをいたします。 なお、県議会議員の我々も、個々の対応の中で、当然のこととして原子力を使わずに安全な、いわゆる発電能力の開発に全力を挙げなきゃならんという思いでございますので、一体となってこれからも努力をさせていただきたいと、こういう思いでございますので、どうかよろしくお願いいたしまして、以上、私からの質問を終わります。ありがとうございました。   (拍手) ○議長(藤墳守君) 知事 古田 肇君。   〔知事 古田 肇君登壇〕 ◎知事(古田肇君) 今議会最後の答弁をさせていただきます。 これまでの議論と重なる部分も若干あろうかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。 まず、今後の原子力エネルギー、あるいは新エネルギーのあり方についてお尋ねがございました。 エネルギーの安定供給は、国の安全保障にかかわる問題であり、原発の存廃、化石燃料への依存度、自然エネルギーの普及目標といった問題も、国のエネルギー政策の中でしっかりと判断されるべきものであるというふうに考えております。 他方、私ども地方自治体においては、電力・エネルギー利用者の立場に立って、県内各主体における電力・エネルギー消費量の削減を図り、需要サイドから安定供給に寄与することが必要であるというふうに考えております。さらに、太陽光や小水力など地域特性を踏まえた自然エネルギーを最大限活用して、みずからのエネルギー需要を賄うということにより、電力需給の逼迫を少しでも軽減していくということも重要な役割であるというふうに考えております。 そこで、今後の原子力発電の存廃や依存度を議論するためには、今回の福島第一原子力発電所の事故により、原発の安全性に対する信頼が大きく損なわれていることを踏まえ、何と言っても、まずは国において早急に事故の早期収拾とその原因の検証・究明を行うこと、そして、これを踏まえた万全の安全対策をお示しいただくことが不可欠の前提であるというふうに考えております。 一方、太陽光発電を初めとする新エネルギーにつきましては、CO2を排出しないという長所があるものの、天候に大きく左右されるため、供給される電力の質が悪く、供給量も不安定であるという短所もございます。本県としても、新エネルギーの導入を積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますが、長期的に導入していくためには、このエネルギーの持つ不安定さを克服しつつ推進する必要があります。このため、太陽光発電や燃料電池、蓄電池など新エネルギーと関連技術を最適に組み合わせた半独立型の次世代エネルギーインフラの導入を提唱し、五つのモデルを構築し、実証試験を県内で実施しているところでございます。この取り組みは、経済産業省の評価を受けておりまして、次世代エネルギーパークに認定されております。また、環境省におきましても、JR岐阜駅のアクティブG、あるいは中山間部の古民家における次世代エネルギーインフラの整備につきまして、チャレンジ25地域づくり事業に採択していただいているところでございます。 加えて、このシステムは、ある程度自立してエネルギーを供給することが可能であることから、防災という観点からも有効性が期待されていることに加え、過度に補助金に依存せず、コストメリットを重視しており、長期的な取り組みに適したものと考えております。こうした考えにつきましては、国とのさまざまな意見交換の場や知事会などにおいて、全国に向けて問題提起を行い、議論を深めていきたいと考えております。とりわけ、次世代エネルギーインフラのようなベストミックス型のインフラ整備を提唱している県は、他に今のところ見られない状況でありまして、岐阜県ならではの考え方として普及を図っていきたいと思っております。 次に、水力発電の課題と今後の対応についてお尋ねがございました。 御指摘もありましたように、岐阜県には山間部に急流が多く、その包蔵水力は全国一と言われておりまして、水力発電について、課題を乗り越えながら積極的に推進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。 まず、政府の調査によりますと、採算がとれる県内の中小水力発電所の発電量は約四十万キロワットと見込まれております。これに対し、既にこれを上回る五十万キロワットの発電がなされておるわけでございまして、その上に、大幅な小水力発電所の拡大はなかなか簡単ではないというふうに思われるわけでございます。また、新たな水力発電所を建設しようとした場合には、議員御指摘のように、発電所としての採算性と水利権等に関する調整コストの大きさが課題となっております。このため、採算面の課題につきましては、初期投資を下げる観点から農業用水の利用などを進めるほか、地域活性化の視点、評価を加えつつ、積極的に支援していく仕組みを工夫してまいりたいというふうに考えております。 また、中小水力の水利権に関しましては、地域力の向上を図る提案を、全国展開することを目的とした地域活性化総合特区という制度がございますが、これにつきまして、昨年九月に、環境対応型産業・新エネルギー振興特区ということで提案を行ったところでございます。この中で、小水力発電を設置する際に必要となる水利権の許可申請の簡素化、敷地外へ送電する場合に必要となる各種専門技術者設置義務の緩和などの提案を行っております。今後は、岐阜県全体が特区としての地域指定を受けられるように、正式に総合特別区域指定申請を行ってまいりたいというふうに考えております。 また、お尋ねのありました既存のダムを活用した新たな発電の可能性という点につきましては、採算性の問題を何と言ってもクリアする必要がございます。発電用以外のダムを活用する場合、導水路や発電機などを設置するための大規模な改修を行うための投資が十分に回収できない可能性があるということは、既存ダムの活用を妨げる原因になっております。このため、こうしたコストを軽減するための支援策の導入を国に対して働きかけてまいりたいというふうに考えております。 他方で、中部電力などの電力会社は、既に開発済みの水力発電所の能力を最大限に活用できるよう、老朽化した設備の更新、ピーク時に対応するための調整運転といったことを実施してきております。私ども岐阜県としては、電力会社に対して、さらに積極的な、こうした方向での取り組みの実施を働きかけるとともに、発電を行っていない治水ダム等の活用についても、電力会社の今後の電力需給計画の中で積極的な検討を行うよう促していきたいというふうに考えております。 ○議長(藤墳守君) これをもって一般質問並びに議案に対する質疑を終結いたします。            ……………………………………………………………… ○議長(藤墳守君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、お手元に配布の議案及び請願付託表のとおり、それぞれの所管の常任委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(藤墳守君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております各案件は、お手元に配布の議案及び請願付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。 なお、審査は七月六日までに終了し、議長に報告願います。 △平成二十三年第三回岐阜県議会定例会議案及び請願付託表 委員会名付託案件総務委員会◯ 議第八十二号のうち歳入予算補正、歳出予算補正中総務委員会関係及び地方債補正 ◯ 議第八十三号及び議第八十四号 ◯ 請願第一号 ◯ 請願第三号企画経済委員会◯ 議第八十二号のうち歳出予算補正中企画経済委員会関係 ◯ 議第八十八号 ◯ 議第九十号 ◯ 議第九十二号 ◯ 請願第二号厚生環境委員会◯ 議第八十二号のうち歳出予算補正中厚生環境委員会関係 ◯ 議第八十五号から議第八十七号まで ◯ 議第九十三号農林委員会◯ 議第八十二号のうち歳出予算補正中農林委員会関係土木委員会◯ 議第八十二号のうち歳出予算補正中土木委員会関係 ◯ 議第八十九号 ◯ 議第九十一号教育警察委員会◯ 議第八十二号のうち歳出予算補正中教育警察委員会関係            ……………………………………………………………… ○議長(藤墳守君) お諮りいたします。委員会開催等のため、明日から七月六日までの五日間、休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(藤墳守君) 御異議なしと認めます。よって、明日から七月六日までの五日間、休会とすることに決定いたしました。            ……………………………………………………………… ○議長(藤墳守君) 以上をもって、本日の日程はすべて終了いたしました。 七月七日は午前十時までに御参集願います。 七月七日の日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後四時九分散会            ………………………………………………………………...