平成18年 12月 定例会(第5回)
△議事日程(第二号) 平成十八年十二月六日(水)午前十時開議第一 議第百五十四号から議第百七十四号まで第二 請願第五十一号から請願第五十三号まで第三 一般質問 ………………………………………………………………
△本日の会議に付した事件 一 日程第一 議第百五十四号から議第百七十四号まで一 日程第二 請願第五十一号から請願第五十三号まで一 日程第三 一般質問 ………………………………………………………………
△出席議員 四十七人 一番 林 幸広君 二番 伊藤秀光君 三番 松村多美夫君 五番 高橋昌夫君 六番 平岩正光君 七番 佐藤武彦君 八番 森 正弘君 九番 小川恒雄君 十番 村下貴夫君 十一番 大野泰正君 十二番 渡辺嘉山君 十三番 古川雅典君 十四番 伊藤正博君 十五番 矢島成剛君 十六番 西尾直躬君 十七番 矢口貢男君 十八番 足立勝利君 十九番 笠原多見子君 二十番 洞口 博君 二十一番 渡辺 真君 二十二番 大西啓勝君 二十三番 市川尚子君 二十四番 岩花正樹君 二十五番 野村保夫君 二十六番 渡辺猛之君 二十七番 戸部一秋君 二十八番 木股米夫君 二十九番 駒田 誠君 三十番 藤墳 守君 三十一番 松岡憲郎君 三十二番 不破照子君 三十四番 平野恭弘君 三十五番 安田謙三君 三十六番 尾藤義昭君 三十七番 早川捷也君 三十八番 玉田和浩君 三十九番 加藤一夫君 四十番 中村 慈君 四十一番 白橋国弘君 四十三番 岩井豊太郎君 四十四番 渡辺信行君 四十五番 山下運平君 四十六番 宮嶋和弘君 四十七番 田口淳二君 四十八番 加藤利徳君 五十番 坂 志郎君 五十一番 猫田 孝君
△欠席議員 一人 四十九番 殿地 昇君 ………………………………………………………………
△職務のため出席した事務局職員の職氏名 事務局長 武田裕治 参事兼総務課長 松村昌明 議事調査課長 佐々木信英
議事調査課総括管理監 村瀬昭彦 同 課長補佐 中島 守 同 課長補佐 宇津宮清和 同 課長補佐 石榑和成 同 課長補佐 山口幹夫 同 主査 河田 誠 同 主査 篭橋智基 同 主査 市橋 晃 同 主査 加代暢尊 ………………………………………………………………
△説明のため出席した者の職氏名 知事 古田 肇君 副知事 原 正之君 秘書広報統括監 島田 清君 危機管理統括監 市原一人君 総務部長 冨田成輝君 総合企画部長 丸山 進君 環境生活部長 横井 篤君 健康福祉部長 高田幸三君 産業労働部長 猿渡要司君 農政部長 山内清久君 林政部長 渡辺敬一君 県土整備部長 棚瀬直美君 都市建築部長 松浦 弘君
代表監査委員職務代理者 河合 洌君
人事委員会事務局長 國枝敏郎君
労働委員会事務局長 岡本博次君
教育委員会委員長 加藤智子君
教育長職務代理者 小山 徹君 警察本部長 大園猛志君 ………………………………………………………………………
△十二月六日午前十時四分開議
○議長(白橋国弘君) ただいまから本日の会議を開きます。 ………………………………………………………………………
○議長(白橋国弘君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。 (書記朗読) 請願書の受理について 請願第五十一号 すべての子どもたちにゆきとどいた教育をすすめるための請願署名についてほか二件の請願書を受理しました。 職員に関する条例に対する意見について
人事委員会委員長から、平成十八年十二月四日付をもって、議第百六十一号 岐阜県職員等旅費条例及び岐阜県行政財産の目的外使用に係る使用料徴収条例の一部を改正する条例について、議第百六十二号 知事、副知事及び出納長給料その他給与条例等の一部を改正する条例について、議第百六十三号 岐阜県職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例の一部を改正する条例について及び議第百六十四号 岐阜県職員退職手当条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例については、異議がない旨の回答がありました。 ………………………………………………………………………
○議長(白橋国弘君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。 ………………………………………………………………………
○議長(白橋国弘君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。三十五番 安田謙三君。 〔三十五番 安田謙三君登壇〕(拍手)
◆三十五番(安田謙三君) 皆さん、おはようございます。 発言のお許しをいただきましたので、私は県政自民クラブを代表し、当面する県政の諸問題について質問をいたします。 質問に先立ちまして、去る十一月十二日に御逝去されました故河野前総務部長に対して、心から哀悼の意を表するとともに、御冥福をお祈り申し上げます。 それでは、質問に入らせていただきます。 本年七月より岐阜県の重大な課題となっている不正資金問題への対応について、知事は、九月二十八日に
岐阜県政再生プログラムを発表されまして、再発防止策を順次検討・実施されてきておられます。インターネットによる公金支出の情報公開などは既に実施され、県民の関心も高く、アクセス件数も大変多いと聞いております。
県政再生プログラムに対しましては、県議会でも議長の諮問機関である
不正資金問題調査検討委員会の調査・検討を経て、議長から提言が知事に出されておりますが、その中で、再発防止策の一環であります監査委員による監査の強化・充実についてお尋ねいたします。 今回の不正資金問題においては、監査委員の監査が十分に機能を発揮できなかったことが指摘されており、私も大変残念なことだと思っております。監査委員の制度は、地方自治法で規定され、独立した機関として、知事の部局だけでなく、地方公共団体の全般の事務の執行を監査することができ、また、委員も専門的知識を有する者と県議会議員が選任されることになっております。私は、この制度を強化・充実し、チェック機能を高めることが不正行為の再発防止の最も重要な点であると考えております。 今議会に、監査業務の第三者への委託費が補正予算として上程されておりますが、
県政再生プログラムには、その他監査委員の増員や事務局体制の見直し等が掲げられております。監査委員による監査の強化・充実について知事のお考えをお尋ねいたします。 次に、新年度の予算編成についてお尋ねします。 国の平成十九年度予算につきましては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六」、いわゆる「骨太の方針二〇〇六」で示された今後五年間の新たな改革に向けた出発点となる重要な予算であるとの位置づけのもと、引き続き歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、歳出の抑制と所管を越えた予算配分の重点化・効率化を実施することとされております。こうした基本方針に従い、思い切った歳出削減を図りつつ、経済活性化と財政健全化を両立させることができるよう、今後、予算編成の作業が進められるものと聞いております。 また、地方財政につきましても、国の歳出の徹底した見直しと歩調を合わせ、地方団体の自助努力を促すとともに、地方単独事業等の徹底した見直しを行うことなどにより、地方財政計画の歳出規模を引き続き抑制することとされています。 こうした中で、県はどうかというと、先般の県の発表では、本県の財政状況は悪化の一途をたどってきており、十九年度当初予算における財源不足額は現在のところ約四百三十億円と見込まれており、ここ数年にも増して極めて厳しい状況になっています。さらに「骨太の方針二〇〇六」で安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税等の一般財源の総額を確保するとされていた地方交付税が、年内の地方財政対策でどうなるのかなど、まだまだ不確定要素があります。このような状況においては、効率的な行政を目指すことが大変重要なことでありますが、同時に、県政の重要課題に的確に対応するための予算配分が必要であります。そこで、新年度予算編成に向け、どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお尋ねいたします。 次に、重点的な公共事業の実施についてお尋ねいたします。 私は、道路整備を初めとした公共投資は、地域の活性化や産業の振興のために欠くことのできない大変重要な基盤づくりであり、その時々の経済や財政の情勢に左右されることなく、着実に実施すべきものと考えております。しかしながら、公共投資に関する予算は、厳しい県財政の状況を反映し、ピーク時の四割程度に落ち込んでおります。さらに、昨年度末に策定された「岐阜県行財政改革大綱」では、平成二十二年までの間、投資的経費を原則毎年度五%程度削減するとの基本的な方向が示されております。今後、この方針に基づき、公共投資の予算がさらに削減された場合には、本県の地域の活力は失われ、また雇用情勢も悪化するなどの深刻な事態を招くことがないかと危惧するところであります。 また、今月一日に決定された国の新年度の予算編成の基本方針においても、公共事業関係費の削減率は三%とする方針とのことであります。国を上回る岐阜県の五%削減の方針は、その見直しを図るべきであると考えます。こうした公共事業費の削減に関して、特に私は、今後の岐阜県、ひいては中部圏全体の発展に不可欠であると考えている
東海環状自動車道西回り区間の整備に対する影響を心配しております。
東海環状自動車道は、名古屋市を中心にして約四十キロ圏に位置する岐阜、愛知、三重の主要な都市を有機的に結ぶ環状自動車道であり、名神高速道路、中央自動車道、
東海北陸自動車道などと一体となって、中部圏経済の発展の基盤として重要な役割を担う路線であります。このうち、東回り区間につきましては、昨年三月に
豊田東ジャンクションから美濃・
関ジャンクションまでの七十三キロメートルが一挙に開通しました。この環状道路沿線に開発された工業団地は、現在までに相次いで完売し、製造業を中心とした大企業の進出が続くなど、地域に絶大な整備効果をもたらしました。今後、
東海環状自動車道西回りルートの整備により、東濃・中濃圏域にもたらされたもの以上の効果が、岐阜・西濃圏域においても得られるものと大いに期待しております。 現在、西回り区間の整備につきましては、東からは美濃・
関ジャンクションから
西関インターチェンジ間の工事が進められるとともに、西は名神高速道路と接続する
養老ジャンクションから
大垣西インターチェンジ周辺の用地買収が進められています。今後も、着実に整備が進められることを強く願っております。 一方、道路整備の原資となる道路特定財源をめぐる動きとしては、昨年十二月の政府・与党の基本的方針を踏まえ、今年五月に成立した行政改革推進法により、「道路特定財源の暫定税率を維持した上で、一般財源化を図ることを前提に、平成十九年度以降の歳出及び歳入のあり方に関する検討とあわせて、納税者の理解を得つつ、具体的な改正の案を作成する」とされております。私は、このような一般財源化を前提とした見直しの動きについては、大いに疑問を感じております。 そもそも道路特定財源は、道路の早期整備を目的として、自動車の利用者に負担を求めているものであり、これを一般財源化して国の財政再建に充てようとする動きは、制度の本来の目的をゆがめるものであり、納税者に対して全く理屈が通らないのではないかと考えます。加えて、地方における道路の整備状況を見れば、これからも
道路特定財源制度を堅持し、なお一層の道路整備の促進が必要ではないでしょうか。 また、この際、道路特定財源の国と地方との配分割合を見直し、道路を整備するための財源が不足している地方に対して手厚く配分すべきであります。私たちは、このことを強く国に対して主張していかなければなりません。 そこでお伺いいたします。 財政状況が厳しい中で、
東海環状自動車道西回り区間の整備促進に向けて、県として今後どのように取り組んでいかれるのか。また、
道路特定財源制度の見直しの動きに対し、県としてどのように対応していくのか、あわせて知事にお伺いいたします。 次に、産業振興のための人材養成、人材確保についてお伺いいたします。 現在、日本経済は、平成十三年一月を谷として、本年十一月時点で戦後最長と言われる「いざなぎ景気」をも超える景気の回復局面にあります。しかしながら、中小企業の景況感の回復は、大企業の回復に比べるとおくれると言われております。平成十八年の中小企業白書においても、大企業の景況感が改善する中で、中小企業、とりわけ小規模企業の景況感には回復におくれが見られていると指摘しております。 また、中小企業白書は、日本社会が置かれている根本的な構造変化として、日本と東アジアとの経済関係が深まるとともに、その一体化が進展し、一般に海外との接点を余り持たない国内の中小企業であっても、海外との市場競合を意識した経営をせざるを得ない環境に置かれつつあると指摘しております。 このように景気が回復する一方、国際競争が一層激化するなど、中小企業にとっては厳しい状況があり、本県産業の一層の振興のためにも、本県産業を支える中小企業の生産性を向上させ、競争力を高めることが必要であり、このためには、産業の最も重要なインフラと言える人材養成や人材確保が重要と考えます。 本年七月に経済産業省が取りまとめた新経済成長戦略においても、「我が国が人口減少社会に突入し、労働と資本の伸びに限界が見られる中で、中・長期的に新しい成長を実現するため、我が国の財であるヒトの質的向上が重要である」と述べていますが、景気の改善が続き、雇用状況が好転する中にあって、中小企業においては人材確保が深刻な課題となりつつあります。県内には、すぐれた技術を持つ実力のある企業がたくさんありますが、大手企業に比べて必ずしも知名度が高くない中小企業においては、人材の確保に苦労しておられると伺っております。また、企業のニーズに即応した人材の養成は、本県が地域経済活性化のために取り組んでいる企業誘致をさらに進める上でも極めて重要であると思います。県においては、ソフトピアジャパンなどでの人材養成研修や
人材チャレンジセンターなどでの人材確保に取り組んでいますが、こうした状況を踏まえ、今後の人材養成、人材確保にどのように取り組んでいくのか、産業労働部長にお伺いいたします。 次に、地域公共交通のあり方についてお伺いいたします。 バス、鉄道という公共交通機関は、通勤・通学を初め高齢者等の通院、買い物等、日常の生活を支える輸送機関として重要な役割を果たしております。 しかしながら、モータリゼーションの進展、少子化による生徒・学生の減少等により輸送需要は年々減少し、
地域公共交通機関の経営は大変厳しいものとなっております。御承知のとおり、昨年の四月には、多額の赤字等により経営の継続が困難として、名鉄市内線などの三線が廃止となりました。こうした鉄道廃止後の交通機関として、現在、バスが
地域公共交通機関の役割を果たしており、また、さきに述べたように、各地域における県民の足としても、バスはますます重要な公共交通機関となってきております。 バス輸送は、バス事業者のバス路線である幹線バスと、幹線バスを補完する
市町村自主運行バスなどがありますが、地域のバス交通の充実には、こうした運行形態が有機的に結合し、効果的・効率的な
バス交通ネットワークを形成することが必要ではないかと考えます。 ネットワークの形成の一つとして、都市・地域間を結ぶバス路線も地域住民のニーズにこたえた路線の設定等が必要ではないかと考えます。例えば、名鉄揖斐線の廃止に伴い、岐阜と本巣・揖斐間を結ぶバスについては、廃止となった鉄道に沿ったルートの長い路線とバイパス経由の速達性のある二ルートが設定され、地域住民の足として、そのニーズに対応した効果を上げています。こうした中、この十月には、改正道路運送法が施行され、バス運送については、地域のニーズに応じた多様な形態の運送サービスの普及、利便性の向上が図られることとなったと聞いております。この法改正を踏まえ、県民の身近な足としてのバス交通の充実・確保について、県はどのように考えているのか、都市建築部長にお伺いいたします。 次に、介護保険制度の改正に伴う諸問題についてお尋ねいたします。 介護保険制度は、平成十二年四月に全国民が注目する中で始まり、現在では国民生活に浸透し、定着してきていますが、その後五年間の実績を踏まえて昨年大幅な法改正が行われ、本年四月から全面施行されたところであります。その内容は、
予防重視型システムヘの転換や施設給付の見直し、
地域密着型サービスなど新たなサービス体系の確立などを柱としたものでありますが、現場ではさまざまな戸惑いや課題もあると聞いております。そこで、次の二点について、健康福祉部長にお伺いいたします。 まず、保険料負担の動向やサービスの給付状況についてであります。 三年ごとに改定される保険料は、本年四月にほとんどの市町村で増額改定されましたが、その他、昨年度の税制改正の影響として、高齢者の年金所得が前年並みであっても、老年者控除の廃止などにより個人住民税が非課税から課税に変わったため、結果として介護保険料が上がった人もお見えになると聞いております。さらに、
国民健康保険税等とあわせ、高齢者の負担は大幅に増加しているのではないかと懸念されます。現実に介護保険料に関する不服審査請求の申し立ては、昨年度は一件もなかったにもかかわらず、今年度は五件の請求が出されています。その一方で、新予防給付の創設により、従来「要介護」であった方々の一部が「要支援」として位置づけられたことなどにより、今まで受けていたサービスの回数や時間が減るとか、福祉用具が借りられなくなることで、逆に身体機能が悪化するのではないかと心配する声もあると聞いております。こうした状況に対し、県としてはどのように現状を認識し、どう対応しているのか、お尋ねいたします。 次に、介護予防事業の実施状況についてであります。 そのまま放置しておくと「要支援」や「要介護」の状態になるおそれの高い高齢者の方々への予防事業については、このたびの法改正の目玉として導入されたものであるにもかかわらず、現場では、対象者の把握が進まず、実施状況が低迷していると聞いております。今回の法改正は、介護予防により、高齢者の方々ができる限り地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援し、明るく活力ある超高齢社会を築く観点や、制度の持続可能性を高める観点でなされたわけですが、県では、予防事業のこうした現状をどう考え、今後どのように市町村を支援していくのか、お尋ねいたします。 次に、岐阜県総合医療センターについてお尋ねいたします。 その前身である県立岐阜病院は、戦後の復興期の昭和二十八年に国立岐阜病院が岐阜県に移管されて以来五十三年を経る中で、その時々に県民の切実な医療ニーズにこたえるため病棟などの増改築を行い、総合病院化を進め、救急医療や高度医療などの課題に積極的に取り組んでこられました。しかしながら、近年、病院建物の老朽化・狭隘化が問題視されていたほか、目覚ましい医療技術の進歩や患者の医療ニーズの多様化・高度化に対応するとともに、懸念される東海地震などの防災対策に万全を期するため、建物の免震化や高度医療機器の整備などの必要に迫られていました。 そこで、県においては、二十一世紀のモデルとなる病院を目指し、平成十五年十二月に、従来の病院敷地内において救命救急センター、外来診療、入院病棟などの役割を担う本館の新築工事に着工し、三年後の本年十一月六日に名称を「岐阜県総合医療センター」として開院されたところであります。 そこで、健康福祉部長にお伺いいたします。 県民の健康や生命を守る病院事業は、県政の最重要施策の一つであり、新しい病院が、その果たすべき役割を全うできるよう、また、ほかの県立病院の整備が促進されるよう、今後も一層の努力をお願いしたいと思います。こうした観点から、立派な建物になって開院した新しい病院がどのような役割と機能を担い、どのような方針によって運営されていくのか、お尋ねいたします。 次に、元気な農業・農村づくりに向けた今後の展開についてお尋ねいたします。 農業・農村は、私たちが健康で充実した生活を送る上で欠くことができない食料を生産する場であります。その営みや暮らしを通して、県土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、心安らぐ環境の形成、伝統文化の伝承などの多面的な機能を有しています。さらに、地域を支える産業としての側面からも、農業機械、食品加工、流通販売、観光などの第二次産業、第三次産業と広範囲に結びつき、それぞれの産業振興を支えながら雇用の場を提供するなど、私たちの日々の暮らしの中で重要な役割を担っています。 しかしながら、我が国の農業・農村では、経済のグローバル化が急速に進む中で、輸入農産物の増加による価格の低迷などから、農業産出額の減少、農業従事者の高齢化や担い手不足の進行、耕作放棄地の増加といった厳しい状況が続いております。また、本県においては平たん地域と中山間地域を抱えており、中山間地域が県土の約八割を占めておりますが、中山間地域は平たん地域と比べて傾斜地が多いなど営農条件が不利となっており、加えて農業就業人口の高齢化率や耕作放棄地率が高くなっております。このような意味で、本県の農業・農村を取り巻く情勢は、より厳しいものと考えられると思います。 こうした中で、国においては新たな食料・農業・農村基本計画を定め、品目横断的経営安定対策や農地・水・環境保全向上対策を打ち出すなど、戦後の農政は大きな転換期を迎えておりますが、本県においても、昨年度の政策総点検の結果を踏まえ、新たな「ぎふ農業・農村振興ビジョン」の策定が進められており、今議会に議案として上程されています。 この内容を見ますと、「県民の食と県土の環境を支える元気な農業・農村づくり」を基本理念に掲げ、十年後の将来像として、安全・安心な食料供給の増加、経営感覚にすぐれた農業経営体の育成、農村が持つ機能の維持・保全、生活環境の整備や、それらを踏まえた都市住民との交流による活力の向上などによる、目指すべき元気な農業・農村の姿が描かれております。また、将来像の実現に向けて当面五年間に取り組む各種施策の方向を、一、安全・安心な食の確保と提供、二、産地づくり・ブランドづくり、三、農業生産の担い手の育成・確保、四、魅力ある農村づくり、五、農村の環境保全機能の強化という五つの基本方針に基づいて取りまとめるとともに、目標数値についても、ぎふクリーン農業生産登録面積を平成十七年度比で六〇%拡大、昭和五十九年をピークに減少傾向にある農業産出額を増加の方向へ転換、耕作放棄地を毎年七十ヘクタール活用などの具体的な項目を上げて、達成を目指すこととされています。 我が国は、食料の約六割を海外に依存する食料輸入国でありますが、異常気象や開発途上国を中心とする人口増加などから、食料需給が今後地球規模で中・長期的に逼迫する可能性が指摘されております。また、高齢化や人口減少などから、農村の活力が低下することは、これまで農業・農村が支えてきた県土の保全、水源涵養などの多面的機能の崩壊につながっていきます。将来にわたり、県民の食を安定的に確保し、安全・安心な農産物を提供し続けるために、また災害防止などの多面的機能が今後とも発揮され、安全・安心な暮らしや県土の恵みをこれからも享受するためにも、本県農業・農村の今後の持続的発展に期待するものであります。 そこで、ぎふ農業・農村振興ビジョンが描く明るい将来像、すなわち元気な農業・農村の実現に向けて今後どのような施策を重点的に進めていこうとされるのか、知事にお尋ねいたしたいと存じます。 次に、森林・林業施策の展開についてお尋ねいたします。 本年五月二十一日に「第五十七回全国植樹祭」が開催され、これを契機として、岐阜県森林づくり基本条例が施行されたところであります。百年近い年月と多くの労力を要する森林づくりにおいては、条例の基本理念の「揺るぎない長期的展望と県民協働による持続可能な森林づくり」にもあるように、長期的な視点に立った、息の長い継続性のある森林・林業施策が望まれるところであります。 知事は、全国植樹祭において、これまでの「植えて育てる」から「伐って使う」までを視野に入れた資源循環型の生きた森林づくりを目指していくことを全国に向けて発信されましたが、森林の災害防止、水源涵養、生活環境の保全など、さまざまな公益的機能が十分に発揮されるためには、森林から生産される木材などの資源を十分に活用することが肝要であり、いわゆる川下のはけ口に当たる木材の利用の拡大が必要不可欠ではないかと思います。 聞くところによりますと、今、外材が高くなっているため、建設、土木工事に用いられる型枠合板が大変高くなっております。その価格は、この四月に一枚千円くらいだったものが、この十月には千六百円くらいになっており、たった半年で一・六倍にも上がっております。このため、建設業をやっている友人は、外材の型枠材が高いので鉄板を使っていると言っておりますし、別の知り合いの材木屋さんは、これからは外材が入ってこなくなるため、木材が高くなると言っておりました。 その一方で、国内に目を向けますと、十分に成長した森林資源が目の前に豊富にあるわけで、この森林資源を使わない手はないと思うのであります。外材が入りにくくなって国内産材との価格差が縮まっている今、国産材にとってはまさにチャンスととらえ、国産材利用のための積極的な対策を講じていただきたいと思います。県の新・緊急間伐推進五カ年計画では、平成十七年から平成二十一年の五カ年間に七万四千ヘクタールの間伐を実施する計画ですが、間伐材はまだ大部分が森林内に放置されている状態であり、この間伐材を少しでも出して合板などに利用する方策はないものかと思うのであります。また、広大な面積の森林整備を補助金だけで賄っていくのは到底無理であり、林道基盤の整備や伐採作業の効率化、低コスト化を図り、木材の流通改革、木材利用のPRなどをあわせて行い、木材が流れるようにすることで、森林所有者が少しでももうかるよう な仕組みをつくることによって、自発的、自律的な森林整備を促していくことが最も有効であると考えます。 そこで知事にお尋ねいたします。 知事は、今議会で、平成十九年度から二十三年度の具体的な施策や数値目標を盛り込んだ「岐阜県森林づくり基本計画」を提案されていますが、生きた森林づくりに向け、具体的にどのように森林・林業対策を行っていくのかお伺いいたします。 次に、教育基本法の改正についてお尋ねします。 本年九月、多くの国民の期待を受けて発足した安倍内閣は、「教育再生」を最重要課題に掲げ、今臨時国会での教育基本法改正の実現を目指していることは御承知のとおりと思います。 教育基本法は、教育の目標や理念を初め、教育の機会均等、義務教育の無償等について定めたものであり、言うまでもなく、学校教育法や社会教育法などのすべての教育法規の根本法となるものです。よって、総理が教育の抜本的な改革を掲げる中で、改正基本法案の成立を教育改革の第一歩と位置づけているのはよく理解できるわけであります。 教育基本法は、昭和二十二年に施行された法律でありますから、制定から既に半世紀以上がたっております。その間に、私たちの生活は大きく変化しました。教育においても、子供たちのほとんどが高校へ進学し、大学にも半数が進学するといった時代になりました。一方、ニート、フリーターの増加など、若者の雇用問題も深刻化してまいりました。都市化や少子・高齢化の進展などによって、教育を取り巻く環境に大きな変化が起こっております。こうした中、親が子をあやめ、子が親を殺すといった、私どもが若いころには考えられないような痛ましい事件が相次いで発生しております。県内においても、四月に高校生が中学生を殺害するという事件が起き、さらに十月には、中学二年生の女子生徒がいじめを苦にみずから命を絶つという悲惨な事件が起きました。こうした事件の例を挙げるまでもなく、子供たちの規範意識の低下は深刻な状況にあると思います。 法律は、私たちの暮らしを豊かにするためにあります。教育を取り巻く環境や状況が大きく変化している中、教育の根本にさかのぼり、新しい時代の教育の基本理念を明確にし、学校や家庭を初めとした教育現場にお いて取り組むべき内容を明示する新しい基本法が必要であり、私はその成立を切に願うところであります。 私は、教育基本法改正案においては、特に家庭教育の内容に注目しております。と申しますのは、先ほど申し上げました、例えば子供の社会規範の低下といった問題の根底には、親と子のきずな、家庭の教育力の低下があると思うからであります。改正案は、「保護者は、子供の教育について第一義的に責任があり、生活のために必要な生活習慣を身につけさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るように努める」ものと定めています。つまり、「子供の教育や人格の形成に対して最終的な責任を負うのは家庭であり、家庭は子供の教育に対する責任を自覚し、本来の役割をきちんと果たしなさい」と言っているのであります。現行の教育基本法において、ほとんど何も書かれていない家庭教育に関する記述が、改正案ではここまで踏み込んで書いているわけであります。 日本では、家庭の教育力の低下が指摘されることに伴い、学校教育でフォローしようとしてきた経緯があります。しかし、その荷が重過ぎ、学校教育そのものが本来の役割を果たしていないと指摘されているのが今日の状況であります。 そこで教育長職務代理者にお尋ねいたします。このたびの教育基本法改正案に家庭教育に関する規定が盛り込まれたことを踏まえ、学校と家庭の関係は本来どうあるべきか、また、今後、教育委員会としてどのように学校と家庭の連携を図っていかれるのか、お伺いいたします。 また、教育基本法の改正問題に絡んで、政府が国民の声を直接聞く機会として全国展開されたタウンミーティングにおいて、やらせ質問や動員があったことが発覚しました。そのうち、平成十五年十二月に本県で開催された第一回教育改革タウンミーティングにおいても同様なことがあったことが、内閣府のその後の調査で明らかになりました。そこで、その経緯と事実関係並びに県教育委員会としてのこの問題に対する考え方について、あわせて
教育長職務代理者にお尋ねいたします。 次に、いじめ問題についてお尋ねいたします。 先々月、県内の中学二年生女子生徒がいじめを苦に自宅でみずから命を絶った事件は、全国に大変な衝撃を与えました。遺書と見られるメモ用紙には、「今まで、私を愛し、育ててくれた家族、ありがとう。今まで、仲よくしてくれた友達、ありがとう」などと書かれてありました。 この遺書と見られるメモについて、保護者と学校側との話し合いの中で、学校側は、一たんはいじめの存在を認めましたが、後日、「広い意味でのいじめはあったと認められるが、死に至らしめるほどのいじめは確認されていない」と見解を示し、また、最終的にはいじめを認め、遺族に謝罪するなど、学校側の説明が二転三転したことが事態の混乱に拍車をかけました。この事件に前後して、全国では、北海道や福岡などにおいていじめを苦にした自殺により中学生の命が失われるという痛ましい事件が連続しました。今回の事件では、子供を守るべき学校・教職員の認識や対応に問題があったとされ、学校教育に携わる関係者に対する地域や家庭の信頼が著しく損なわれる結果となっています。 そこで、学校教育に携わるすべての関係者一人ひとりは、現にいじめに苦しんでいる児童・生徒のため、また、今回のような事件を二度と起こさないためにも、改めてこの問題を重く受けとめ、いじめの兆候をいち早く把握して、迅速に対応する必要があります。 そこで
教育長職務代理者にお尋ねいたします。今回の事件を受けて、いじめ問題に対し、教育委員会は今後どのような取り組みをされるのか、お伺いいたします。 次に、高等学校の必修科目の未履修問題についてお尋ねいたします。 十月末に富山県の県立高校で必修科目が未履修であったことが判明して以来、熊本県を除く四十六都道府県の、公立・私立合わせて六百六十三校を超える高等学校で約十万人の生徒が必修科目を履修していないことが判明いたしました。本県においても、公立高校十一校、私立高校八校で未履修がありました。該当する生徒が三年生で、卒業単位が修得できるのか、また進学や就職に影響はないのかなど、生徒や保護者に動揺が広がっています。高等学校の学習指導要領では、すべての生徒が卒業までに必ず履修すべき教科・科目が示されています。高等学校教育を受けた生徒が、将来、いずれの進路を選択しても、最低限必要となる知識や技能等について、ある程度幅広い分野について学べるようにするという趣旨から必修科目が設定されており、未履修のあった学校については、その科目の単位履修に必要な授業時間数を確保する必要があります。 文部科学省は、全国の高等学校における未履修の状況を把握し、その対応策を十一月初めに発表しました。進学や就職を間近に控えている三年生が多いことを考慮し、未履修科目の履修について、七十単位の科目は本来の標準授業時間数の三分の二程度の授業を実施し、レポートを提出することで履修を認めるなど、未履修生徒の負担を軽減し、なおかつ既に履修している生徒との公平性を確保する対応策を示しています。 今回の未履修問題では、その該当する学校に在籍する生徒には何の責任もありません。未履修があった学校は、生徒や保護者に配慮しながら、卒業に必要な単位が確実に修得できるよう、具体的な授業計画を立てることが必要であると思います。また、今後、こうした問題が再び起こることのないよう、県教育委員会初め各高等学校は、再発防止に向けた取り組みを行う必要があると思います。本県の公立高等学校における必修科目の未履修の状況と要因、さらに今後の教育委員会の具体的な取り組みについて、
教育長職務代理者にお伺いいたします。 最後に、
教育委員会委員長にお尋ねいたします。いじめ問題や県立高校の未履修問題など教育に関する事件や不祥事が相次いで起きておりますが、こうした現状について、県教育委員会としてどのように認識しておられるかお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(白橋国弘君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 多岐にわたって御質問がございました。逐一御答弁をさせていただきます。 まず、監査委員による監査の強化・充実についてのお尋ねでございます。 御案内のように、
県政再生プログラムにおきましては、徹底した情報公開を行う一方で、県民の皆様に県政をしっかりとチェックをしていただくということを大きな柱にしておるわけでございます。御指摘のありました監査委員による監査につきましては、県民から選ばれた県議会議員による議選委員、そして専門的知識を有し、いわば県民の代表として監査をしていただく識見委員によって行われているわけでございます。この強化・充実が再発防止の重要な点であるという御指摘につきましては、私も全く同感であるわけでございます。 このため、今回は三つの対策を織り込んでおりまして、一つは監査の体制強化、二つ目が透明性の向上、三つ目が独立性の確保ということでございます。 第一の監査の体制強化という観点からは、特に監査委員の増員を掲げております。現在、定期監査あるいは財政援助団体等の監査を行っておりますけれども、大変時間的な制約がありまして、一機関に当てることができる監査時間が不足しているというふうに承知しておりまして、そういった観点からも、監査委員の増員を図っていきたいというふうに思っております。 透明性の向上という観点でございますが、監査結果の全面公開ということを打ち出しておるわけでございます。従来の監査結果につきましては、もろもろの指摘されました是正・改善事項のうち、特に程度が重大な、いわゆる指摘事項と言っておりますが、これだけを公表しておったわけでございますが、この十一月二十八日から軽微な指導事項、あるいは本庁の所管課に対して是正・改善を求める本課検討事項と言われるものもすべて公表するということにさせていただいておるわけでございます。また、インターネットによる情報提供も、これまで以上にわかりやすい形でお出ししていきたいということで、検討しておるところでございます。 また、監査の独立性の確保という観点からは、今議会にも予算を提案させていただいておりますけれども、予備監査業務の第三者への委託ということを考えておる次第でございます。これは、従来から事務局職員がやっておりました監査の一部を監査法人等に委託しようということでございまして、外部の視点を導入することによって、より客観的で公平性の高い監査を実施していきたいということでございます。 また、事務局体制の見直しという観点から、監査に精通した専門職の確保でありますとか、あるいは国の会計検査院、あるいは他の都道府県等との人事交流といったことも視野に入れて検討を進めてまいりたいということでございます。 以上、三つの柱を中心に、この監査の強化・充実を図っていきたいというふうに考えております。 二番目が、新年度の予算編成についてのお尋ねでございました。 御指摘もございましたように、今年の三月に行財政改革大綱を示したわけでございますが、本県の財政状況はまさに悪化の一途をたどっておるわけでございまして、今後の見通しも、公債費あるいは社会保障関係経費などの義務的経費の増加が見込まれておりまして、大変厳しい状況にございます。こういう中で、現在の県民の皆様の欲しておられるところと、そして将来世代への負担と、この二つをどういうふうにバランスをとっていくかということが求められるわけでございます。 十九年度予算につきましては、現在いろんな角度から検討作業をしておるところでございますが、一定の過程を置いた現時点での見通しでいきますと、公債費は一割を超える増が見込まれておりますし、また社会保障関係経費も一割程度伸びることが見込まれておりまして、こういった義務的経費の増などから、財源不足額は四百三十億円というふうに試算されておりまして、ここ数年間で最も厳しい財政環境にあるということで、県庁挙げて危機意識を持ちながら、これを克服していきたいというふうに考えておるわけでございます。 具体的には、現時点におきましては三つのことを中心に編成作業に取りかかっておるということでございます。 まず第一でございますが、これは改めて申し上げるまでもない、ある意味では当然のことでございますが、県民本位の予算の編成ということでございます。
県政再生プログラムにも掲げておりますが、県民ニーズを的確に把握して、お預かりした貴重な税金を県民生活の向上のために、これまで以上に大切に有効に使っていくという原点に立ち返った予算編成ということを心がけていきたいということでございます。 二番目に、今議会にも農業・農村振興ビジョンでありますとか、あるいは森林基本計画を出させていただいておりますが、現在十七本の基本計画、ビジョンといったものを策定し、順次議会にもお諮りしていくわけでございますが、こうした昨年から今年にかけての総点検の結果を踏まえた各種ビジョン、計画をしっかりと実行に移していくというのも大事な来年度予算の役割であるわけでございます。そういった観点から、予算編成に先立ちまして、八つの重点政策群というものを設定いたしまして、今内部的にはそれらを中心に作業をしておるところでございます。この八つといいますのは、具体的には少子化対策の推進、多文化共生社会の実現、安全・安心な暮らしづくり、だれもが生き生きと暮らせる社会づくり、強みを生かした地域産業の振興、観光ブランドの総合的振興、木の国・山の国の森林づくり、誇りの持てるまちづくりということでございまして、これらを中心に今作業をしておるところでございます。 三番目のポイントは、将来の県民負担を考慮した長期的視点に立った予算編成ということでございます。 来年度の予算は、行財政改革大綱策定後初めてとなる通年予算の編成でございまして、行財政改革の着実な推進が求められるわけでございます。こういった観点から、事業の思い切った取捨選択を進めるということで、すべての事業について聖域なく、改めて丹念に見直しを進めているところでございます。 さらに、政策推進手法についても改革を進めていきたいと考えておりまして、特に力点を置いておりますのは、どうしても何か政策をやるといいますと、すぐ予算を使うというふうに頭が働くわけでございますが、予算を使う前に職員一人ひとりが創意工夫をして汗をかくということで、私どもこれをゼロ予算事業と言っておりますが、予算がなくても、あるいは最低限の予算で政策効果の発揮できるものがあるのではないかと、県民のニーズにこたえられることがあるのではないかといったことについて、いろいろと検討を進めております。また、限られた予算と制度改革、あるいは条例等による新しい仕組みづくりを組み合わせることによって政策効果を高めるということもできるのではないかということも考えておるわけでございます。 例えば、先般、大垣のHIRO学園の学校法人の認可をさせていただきましたが、ブラジル人学校としては全国七十五ある中で、学校法人認可をしましたのは今回岐阜が初めてであるわけでございますが、これは認可のあり方について弾力化をさせていただいたわけでございますけれども、これによりまして、事業費における消費税の免除でありますとか、それから学校に通うお子さんたちの学割でありますとか、そういったことも可能になるわけでございますし、また学校側も法人税の免除が受けられるということでございまして、制度を変えることによっていろんな効果が期待できるということでございまして、こういったことも、いわば私どもの言うところのゼロ予算事業の一つの考え方であるわけでございます。こういったことも、予算編成の一環として大いに知恵を出していきたいと、こんなふうに考えておるわけでございます。 御指摘ありましたように、財政の再建と県政の重要問題の対応と両立をどう図るかということでございます。特に、今回は不正資金問題によります県政に対する信頼の失墜という状況を踏まえた、いわばマイナスからの県政の出発ということでございます。信頼の回復、あるいは県政に明るい未来を見出していくためにも、全職員の知恵を結集して、新年度予算の編成に全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。 次に、公共事業について二点お尋ねがございました。 一つは、東海環状の西回りルートのお尋ねでございます。 御承知のように、
東海環状自動車道は七つの高速道路を連結することによって、高速道路網を形成する重要な路線であるというふうに考えておるわけでございまして、来年度中には
東海北陸自動車道が全面開通する予定でありますし、また第二名神高速道路の亀山東ジャンクションから大津ジャンクション間も平成二十年度を目標に、今整備されつつあるというふうに承知しておりまして、こうした中で西回り区間の整備促進はさらに重要なものになってきているというふうに考えているところでございます。 御案内のように、昨年三月に東回りが開通したわけでございますが、愛知県三河地域へのアクセスを飛躍的に向上させることによりまして、沿線工業団地への企業進出でありますとか、商業圏区域の拡大でありますとか、大変活性化に大きな効果をもたらしたわけでございます。今後、西回り区間が整備されることによって、環状道路としての機能が整うことに加えて、三重県を含めた関西圏へのアクセスが大きく向上するわけでございまして、東回り区間を上回る効果も期待し得るものというふうに考えておるわけでございます。また、西回りの沿線地域の関係者の方々、また関係議員の方々からも、早期整備について多くの要望をいただいておるところでございます。 御承知のように、現在、用地取得が進んでおります
大垣西インターチェンジ周辺では、工事着工に向けまして埋蔵文化財調査が進められておるわけでございます。また、大垣西インターチェンジ付近の買収済み区間におきましては、用地管理のために今年度側道や水路の一部を整備する予定であるわけでございます。また、養老インターチェンジから北勢インターチェンジ間につきましては、平成十九年度早期の都市計画決定に向けて手続を進めておるところでございます。 さらに、御望山周辺につきましては、本年三月に検討会が終了して、その報告を受けて、六月から国において再検討が行われておるというところでございますが、岐阜県といたしましては、早期に計画が確定されますよう、強く申し入れをしておるところでございます。 ということでございますが、一方で西回り区間の延長は五十三キロメートルというふうに長うございまして、莫大な事業費を要するわけでございます。本県の厳しい財政状況の中で、この財政再建とのバランスを考慮しながらどう進めていくかということが大きな課題であるわけでございます。こういったことを考えますと、効果の高い区間に重点的に投資をし、段階的に供用するなど、早期に効果があらわれるような方向で国にも働きかけていきたいというふうに考えております。 次に、
道路特定財源制度の見直しについての対応という御質問がございました。 本県は、大変広い県土でございますし、鉄道などの公共交通機関も大変脆弱でありますので、どうしても自動車交通に依存せざるを得ないということでございまして、そういう意味で道路は産業・生活にとりまして最も重要な社会資本の一つであるというふうに考えておるわけでございます。 先般の知事会でもございました議論ですが、最近、安倍内閣において再チャレンジということが言われておるけれども、地方は道路が整備されて初めていろいろなことができると。せめて地方がチャレンジする機会を道路によって与えていただきたいという議論が交わされておりまして、私も全く同感であるわけでございます。 そこで、国における道路特定財源の一般財源化を前提とした見直しの動きでございますが、本県としては到底看過できるものではないということで、他県とも協調して、あるいは単独でいろいろと働きかけをやってまいりました。 この道路特定財源は、地方の道路整備に大変大きな役割を果たしておるわけでございますが、現実を見ますと、御案内のように、県としてはそれに加えて整備に必要な財源の多くを県の一般財源あるいは起債で補っておるわけでございます。例えば平成十六年度決算を見てみますと、県事業、県の道路事業におきまして占める比率でございますが、道路特定財源四七%、県独自の自主財源あるいは起債が五三%ということで、県事業の道路につきましては過半のものが自前の財源になっておるということでございますし、市町村事業になりますと、さらにこの比率は高くなりまして、道路特定財源はわずか三八%ということであるわけでございます。このほかに、国の直轄事業における県の負担割合でございますが、改築事業においては約三分の一を、国の直轄とはいいながら負担をしなければならない。あるいは、維持管理に至っては四五%が県の負担になるということでございまして、地方財政にとりまして大変大きな負担になっておるわけでございます。こうした地方の直轄事業負担金の軽減についても、これまで地方分権、三位一体の中でおよそ触れられてこなかった重大な問題として、県議会でもようやく議論が始まったところでございます。 いずれにいたしましても、こういった状況を踏まえますと、仮に道路特定財源に余剰が発生するのであれば、まずは財源が不足している地方の道路整備に充てるべきだというふうに考えるわけでございます。全国知事会でもそういった観点から提案をしておりますし、経団連、自動車連盟、全石連、石油連盟等々、各種団体もいろいろと働きかけをしておるわけでございます。 現在、政府・与党の最終的な調整段階にあるというふうに承知しておるわけでございますが、安倍総理は、自動的に税収が道路に回る仕組みを見直したいんだということを一方でおっしゃっておられますが、他方で、このところ一般財源化しても必要な道路は進めるんだと、安心してほしいんだと、こういうこともおっしゃっておられます。また、政府の中での調整として伝えられるところによりますと、揮発油税の一般財源化につきましては、平成十九年度は見送るという方向で、二十年度以降という流れになっておるようでございます。同時に、政府の考え方の中でも、真に必要な道路はつくるという考え方は織り込んでいかざるを得ないんではないかと、そんな議論もあるやに聞いておりますが、しかし、この全体の総理発言あるいは政府の議論に対しまして、与党の方では大変強く反発しておるところでございます。既に私どもとしては、いろいろと働きかけをしてきたところでございまして、この今週後半の最終調整について、注意深く見守っていきたいというふうに思っておるところでございます。 それから、次に元気な農業・農村づくりについてのお尋ねでございます。 総点検の中で、農業分野につきまして、川上から川下まで一体となった政策を早急に展開したいという気持ちから、昨年十月に農政部を設置させていただいたわけでございます。この県の新しい農政部の初仕事が、この農業・農村振興ビジョンということでございます。昨年十一月に農政審に諮問して以来、十回にわたって策定部会を開催しまして、約一年にわたって御議論いただいたところでございます。骨子案に対する県議会からの御意見もちょうだいいたしておりますし、またパブリックコメントを通じて県民の皆さんからもたくさんの御意見をいただいております。 そういう中で、このビジョンでは三つの視点を中心に農業・農村の振興を図っていきたいということでございます。 第一は、消費者の視点ということでございます。欲しい農産物が身近にないと。新鮮で安全・安心な農産物を買いたいというような御意見が寄せられております。消費者が求めている品目、品質、量といったような情報が産地づくりの中に生かされるような仕組みをこれからどうつくっていくかと、一つの課題でございます。また、量販店における県産農産物の販売コーナーの設置、さらにはぎふクリーン農業につきまして、従来の考え方を一歩進めまして、五〇%以上化学合成農薬、化学肥料の使用を削減したぎふクリーン農業五〇といったものの推進も考えておるわけでございます。 また、来年十月からぎふデスティネーションキャンペーンということで、岐阜の観光、あるいは岐阜のよさを全国的に発信していこうということでございますが、その中でも岐阜農業のブランド化、消費拡大という観点から、大いにこの機会をとらえて、既に評価の高い飛騨牛、富有柿を初めとする農産物のPRはもちろんでございますが、これを機会に新しいブランドづくりといったことも進めてまいりたいというふうに考えております。 二番目の柱が、担い手の確保ということでございまして、御案内のように、平成十七年の農家数、平成二年、十五年前と比べますとほぼ三分の二までに減少しておるということでございます。このため、新規就農者育成ということで、農業版のジョブカフェの設置によりまして、就農のために必要な情報を一元的に提供する仕組みを考えたり、あるいは農業大学校、国際園芸アカデミーの実習カリキュラムの拡充でありますとか、さらには一、二年間の農業実践を行う新規就農支援農場といいますか、いわば産業のインキュベーターの農業版でございますが、そういったものを設置しながら、新規就農者数を何とか年間八十人程度は確保できるようなところに持っていきたいというふうに考えております。 また、水田農業の担い手育成という観点からは、大区画圃場などの基盤整備、あるいは地域の担い手への農地の利用集積といったようなことも図っていきたいと思っておりますし、退職後、これから活躍が期待される団塊の世代をこの農業の世界にお招きする、これを支援するということで、定年帰農者支援センターというべきものを県内各地に設置をして、団塊の世代もこの農業の世界にお招きしていきたいと思っております。 三つ目の視点でございますが、県民協働ということでございます。 地産地消、食育、食糧自給率向上に県民が一体となって取り組むということで、特に食と農を考える県民会議の設置でありますとか、あるいは農地・農業用施設等を地域ぐるみで保全するための活動への支援といったようなことも考えておるわけでございます。 そのほか、このビジョンの中では作付面積、農業戸数、産出額について、各品目ごとの将来構造を明らかにしながら施策を展開しようということでございます。この計画期間五年間、平成十八年度から二十二年度までの五年間でございますが、二十二の基本施策を掲げ、具体的な目標値は全体で二百以上設けておるわけでございます。絵にかいたもちに終わらせないためにも、実行が大切でございまして、厳しい財政状況ではございますが、具体的な予算化に向けて努力してまいりたいと思っております。 また、毎年、これらの目標について、農政審議会で達成状況を審議し、公表すると同時に、しっかりと評価をしていきたいというふうに思っております。 以上、県としての考え方を申し上げた次第でございますけれども、議会におかれましても、このビジョンにつきまして、よろしく御審議をお願いしたいということでございます。 最後に、森林・林業政策の展開についてのお尋ねがございました。 全国植樹祭を契機に施行いたしました基本条例に基づいて、岐阜県森林づくり基本計画を策定し、今議会にお諮りをしておるところでございます。 御指摘もございましたけれども、現在の森林・林業を取り巻く情勢は大変大きく変化しております。地球温暖化防止のための違法伐採対策、あるいは中国における急速な木材輸入の増大によりまして、外国産材が急速に手に入りにくくなっておりまして、価格も高騰しております。その一方で、国内の森林資源が十分に育ってきたことから、国産材需要の復調の兆しが見え始めておるわけでございます。これまで専ら外国産材を利用していた大手の集成材メーカーや合板メーカーが国産材利用へ転換し始めるなど、まさに国産材利用の新しい風が吹こうとしておるわけでございます。この風をしっかりとつかまえるためには、従来の仕組みを変えて、川上から川下までが一体となって、よどみなく木材が流れていく新しいシステムをつくっていくことが必要ではないかということでございます。こういった状況を踏まえて、基本計画を今議会にお諮りしておるわけでございます。 この基本計画の最大の特徴は、特に総合的な取り組みが必要な政策を四つのプロジェクトということでお出ししておる点でございます。第一は、健全で豊かな森林づくりプロジェクトということでございまして、森林組合や林業会社が主体となって、五百ヘクタール程度の森林をモデル団地ということで設定をいたしまして、その団地を中心として高性能林業機械の導入、あるいは機械を使いこなす専門チームの養成、さらには機械化に不可欠なきめ細かい作業道の整備などを一体的に進めようということでございます。こうしたプロジェクトを進めることによって、低コストで安定した木材の生産・供給体制を整備し、森林所有者の自律的な林業経営による健全で豊かな森林づくりを目指していきたいということでございます。 二つ目は、県産材流通改革プロジェクトということでございます。これは、今年の四月に国の林野庁の新規事業として採択されました新生産システムモデル事業、岐阜県もこれに手を挙げて採択されたわけでございますが、これを核にいたしまして、一般材を製材工場へ直送するなど、流通の簡素化、効率化を進め、大手ハウスメーカーなどに対する安定供給体制を整備することによって、県産材の利用拡大を図っていくということでございます。 さらに、これに加えまして、これまで利用されずに山に置き去りにされておりました曲がり材、短小材などの、いわゆる低質木材でございますが、これについても集成材・合板を生産する大型工場で活用していくという道を開いていきたいと思っておりますし、またバイオマスの利用など、新たな県産材の利用の促進に取り組んでまいりたいと思っております。 三つ目は、ぎふの木で家づくりプロジェクトというものでございまして、県産材を使いたいと思う一般の消費者や建築関係者の支援を充実していくということでございまして、消費者に対する家づくりの事例、ポイントをわかりやすく説明したホームページの開設、あるいは木造部門の専門アドバイザーの設置といったことを考えておりますし、また建築関係者につきましては、これまで不思議となかったわけでございますが、木材製品の価格を表示したカタログを提供する、あるいは県産材住宅の建設促進にいろいろと支援策を講じてまいりたいということでございます。 最後に、四つ目の県民協働による森林づくりプロジェクトでございますが、木の国・山の国県民運動の推進、あるいは地域が主体となって進める市町村森林管理委員会の設置促進ということで、県内全体で運動、活動を展開していくという、県民全体で森林づくりを支える体制の構築を図っていきたいということを考えております。こうしたことを通じまして、まさに植樹祭で発信をいたしました植えて育てるから、伐って利用する循環型の生きた森林づくりの実現に取り組んでいきたいと考えております。この基本計画につきましても、本議会におきまして、よろしく御審議をお願いしたいとお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
○議長(白橋国弘君) 健康福祉部長 高田幸三君。 〔健康福祉部長 高田幸三君登壇〕
◎健康福祉部長(高田幸三君) まず、介護保険制度の諸問題についての二点の御質問にお答えいたします。 一点目の、保険料負担の動向やサービスの給付状況についてでございます。 制度発足時と比べ、平成二十年度の要介護認定者数は約二・二倍、介護給付費も約二・三倍になると見込まれることから、六十五歳以上の保険料は平均で二千六百七十五円から、約一・四倍の三千八百十九円と増加し、これに税制改正や食事、居住費の負担増も加わり、大変厳しいという声を聞いております。このため、低所得の方々には激変緩和のための負担軽減措置が適切に運用されるよう、市町村に対し徹底を図ってきたところでございます。また、新予防給付は、自立支援を徹底する観点から、軽度の方々が適切なサービスを利用することによって、状態の維持・改善を目指すものでありますが、今回、福祉用具の利用に関して実態調査を行ったところ、日常基本動作が困難な状態にもかかわらず、現行の判断方法では支給対象外となった事例が県下で百件程度あり、直ちに国に報告したところです。今後とも、利用料負担の実情やサービス受給の実態把握に努め、国に対して制度の検証を求めてまいります。 二点目の、介護予防事業の実施についてでございます。 介護予防事業の対象者である要支援、要介護になるおそれの高い、いわゆる特定高齢者は、高齢者人口のおおむね五%と想定されておりますが、現時点での把握状況は、全国平均が〇・二三%、本県平均はこれを下回る〇・一四%にとどまっております。主な原因としては、介護予防事業や権利擁護事業などを行う地域包括支援センターの組織体制が不十分であること、現行の基本健診では特定高齢者の捕捉が容易でないことなどによるものと考えられます。介護予防事業は、介護給付費の抑制の観点からも大変重要な事業と考えており、県としては岐阜県介護予防推進評価委員会の御意見を伺いながら、筋力向上、栄養改善などのマニュアル作成や、対象高齢者把握の優良事例の情報提供などにより、引き続き市町村を支援してまいります。 次に、岐阜県総合医療センターについてお答えいたします。 岐阜県総合医療センターは、救命救急医療、心臓血管疾患医療、周産期医療、がん医療、女性医療の五つを重点医療と位置づけ、県内完結型医療を行うため、全県を対象とした最高レベルの医療を提供する病院として整備いたしました。また、阪神・淡路大震災級の災害にも耐え得る免震構造や、ヘリポートも整備し、県下五圏域の地域災害医療センターを統括する基幹災害医療センターとしての機能を強化いたしました。あわせて、すべてのベッドサイドに窓を備えた個室的多床室の全面採用や、個室を大幅にふやすことで入院環境を向上させるとともに、家族控室や待合室等の配置にも工夫を凝らし、外来患者や御家族の皆さんのプライバシーにも配慮いたしました。また、電子カルテの導入により、患者情報の一元化や個人情報保護を徹底し、患者さん中心の病院として運営してまいります。 今後も、これまで以上に他の病院や診療所と効果的な連携を図るとともに、医師、看護師等マンパワーの拡充に努め、これらの機能の一層の充実を図ってまいります。
○議長(白橋国弘君) 産業労働部長 猿渡要司君。 〔産業労働部長 猿渡要司君登壇〕
◎産業労働部長(猿渡要司君) 産業振興のための人材養成、人材確保についてお答えをいたします。 現在、産業振興ビジョンを策定しておりますが、その中で、すぐれた人材を養成し、確保することが極めて重要な産業振興策の一つであると認識しております。特に人口減少社会が到来する中、中小企業における優秀な人材の確保は大きな課題であることから、次代を担う産業人材としての若年労働力の育成・確保と、産業の高付加価値化に向けた企業内人材の養成に重点を置きながら、産業人材の育成を進めてまいります。若年労働力の育成・確保につきましては、産・学・官連携によるインターンシップの推進により、今年度四百一人の学生の方々が百五十三社で就労実習を行いました。 また、
人材チャレンジセンターでは、平成十六年度の開設以来、この十月までに一万百二人が就職先を決定し、若年者の就業促進に実績を上げております。今後もこうした取り組みを進めるほか、雇用に直結するIT人材の養成、県内工業団地に進出する企業のニーズに対応した即戦力となる人材養成などにも取り組んでまいります。また、企業内人材の養成につきましては、国際たくみアカデミーなどにおけるものづくり現場のリーダー育成、製造現場を支える中核的な人材の育成や、高い技術や豊富な経験を持つ企業OBの活用促進のほか、産・学・官が連携して進めておられる岐阜大学金型創成技術研究センターによる高度な金型技術者の養成への支援などに取り組んでまいります。
○議長(白橋国弘君) 都市建築部長 松浦 弘君。 〔都市建築部長 松浦 弘君登壇〕
◎都市建築部長(松浦弘君) バス交通の充実・確保に関する御質問にお答えします。 バス交通は、鉄道廃止後の代替交通を担うなど、地域の基礎的な公共交通としての役割はますます重要になってきておりますが、地域ごとにさまざまな特性があり、地域ニーズに応じた形態を検討する必要があると考えます。 道路運送法改正に伴い、単独あるいは複数の市町村がバス事業者、地域住民、国等から成る地域公共交通会議を設置し、その中で地域の実情に合った路線や運賃について合意が得られれば、許認可手続の簡素化、迅速化等がなされ、多様な形態の運送サービスの導入が可能となりました。 県といたしましては、こうした制度改正を踏まえ、市町村等に対して、その改正内容の周知を図るとともに、この会議において先行事例の情報提供や助言を行うなどして、都市地域間を有機的に結合するなど、地域の実情に合った効果的、効率的な
バス交通ネットワークの形成が図られるよう努めてまいります。
○議長(白橋国弘君)
教育委員会委員長 加藤智子君。 〔
教育委員会委員長 加藤智子君登壇〕
◎
教育委員会委員長(加藤智子君) いじめ問題や県立高校の未履修問題といった教育の諸問題に対する認識についてお答えいたします。 いじめが要因となって女子中学生がみずからの命を絶ったことは、余りにも悲痛な事件であり、なぜ未然に防げなかったのかという思いを抱かずにはいられません。また、県立高校における未履修問題につきましては、極めて遺憾であり、こうしたことはあってはならないことでございます。 このような教育に関する事件や不祥事が県内で相次いで発生しており、児童・生徒や保護者を初めとする県民の皆様方の岐阜県の教育に対する信頼、とりわけ学校教育に対する信頼が根幹から揺るがされる、まさに緊急事態に至っていると言っても過言ではないと考えております。 教育委員会、学校関係者などの教育に携わるすべての者がこの事態をしっかりと受けとめ、改めて児童・生徒ときちんと向き合い、それぞれの立場で職務を全うすることが強く求められていると痛感いたしております。 このため、みずから襟を正し、職務に精励するよう、十一月二十日付、岐阜県
教育委員会委員長名のメッセージを県立高校を含む県教育委員会の全教職員並びに市町村教育委員会あてに通知をいたしたところでございます。
○議長(白橋国弘君)
教育長職務代理者 小山 徹君。 〔
教育長職務代理者 小山 徹君登壇〕
◎
教育長職務代理者(小山徹君) 教育基本法の改正に関連して、学校と家庭との関係についてお答えいたし ます。 学校と家庭との関係は、子供たちが心身ともに調和のとれた発達が図られるよう、両者がよく連携をし、同じ思いを持って一緒に進めていく、すなわち車の両輪のような関係であると考えております。これに地域社会からも支援をいただきながら進めていく、これが理想の姿であると思います。 こうした関係が十分に機能するためには、学校と家庭とがそれぞれの役割をきちんと果たすことが重要であります。例えば社会規範といったことも、家庭が幼児期から責任と自覚を持って身につけさせ、学校は道徳の時間を初め全教育活動を通して組織的、集団的にそれをさらに深める。そして、成長に応じて子供が実践できるよう両者で見届けていくことが大切であると考えております。家庭に求められる役割、学校に求められる役割があることを、両者はそれぞれ自覚をして、連携しなければならないと考えております。 次に、教育委員会としてどのように連携を図っていくのかという御質問に関してお答えいたします。 学校と家庭との具体的な連携につきまして、県教育委員会では独自の取り組みとして、一家庭一ボランティアのように学校を通じて家庭へ直接働きかけを行っております。今後は、さらに学校と家庭とのかけ橋となっておりますPTAに大きな期待をし、その活動をより活発にすることによって、学校と家庭との連携の充実を図ってまいりたいと考えております。例えば、早寝・早起き・朝ご飯国民運動がございます。これは、子供の生活リズムが学力、体力、気力に大きな影響がある、つまりかぎは家庭にあるということで、日本PTA全国協議会が中心になって、子供たちの健やかな成長のために望ましい生活習慣を各家庭で築こうと呼びかけている運動でございます。県PTA連合会も取り組んでおられるところでございます。PTAの呼びかけで、各家庭がこの運動に取り組み、学校はその状況を把握しつつ、その効果をまとめてPTAを通して家庭にフィードバックしていく。そうした中で、心身ともに健康な子供たちを育成してまいりたいと考えております。学校と家庭との連携の充実に向けまして、こうしたPTAが主体となった取り組みが確実に成果を上げられるよう、市町村の教育委員会とともに支援してまいりたいと考えております。 タウンミーティングに関する質問にお答えいたします。 平成十五年十二月十三日に岐阜市において、教育改革の推進と教育基本法の改正をテーマに、政府主催の第一回教育改革タウンミーティングが開催されました。これに先立ち、十二月上旬に文部科学省からの出向者である当時の学校政策課長に文部科学省から五項目の質問案が送られ、参加予定者に対して発言依頼をするようとの働きかけがございました。その後、この課長の指示により、二名の職員が参加予定者の中からそれぞれの質問案にふさわしいと思われる小・中学校の教員二名と県立学校の教員三名を選び、質問案の趣旨を電話で伝え、発言するようにとの依頼をいたしました。また、あわせて文部科学省から学校政策課長に対し、参加者の取りまとめと名簿の提出について依頼があり、学校関係者に対して参加を呼びかけ、名簿を取りまとめの上、文部科学省に提出しております。こうした一連の行為につきましては、文部科学省からの依頼があったとはいえ、やらせ質問や動員に加担したことになるものであり、大変申しわけなく思いますとともに、今後、公聴会等を開催する際の教訓にしたく考えております。 次に、いじめ問題について、教育委員会の今後の取り組みについてお答えいたします。 いじめが要因となって女子中学生がみずから命を絶ったことは、余りにも悲痛な事件であり、こうした事態が二度とあってはならないと、重く受けとめております。 このたびの事件については、「生命の大切さを繰り返し指導すること」、「いち早く発見し、迅速に対応する仕組みをつくること」、「正確に事実を確認し、保護者と協力して子供たちと向き合い、きちんと指導すること」の三つの課題が浮かび上がってまいりました。そのため、ふだんから子供のわずかな変化をキャッチするためのチェックシートの活用や、無記名のアンケートを定期的に実施するなど、具体的方策を掲載した県独自の手引き書を緊急に作成いたしました。それをすべての学校の学級担任に配布し、必ず活用するよう求めているところでございます。今後、学校は市町村教育委員会に情報を確実に伝えたり、市町村教育委員会が学校の適切な対応への支援をするなど、情報の共有や対応を含めたシステムの構築を働きかけてまいります。 また、総合教育センターにおいて、いじめの早期発見と迅速な対応に関する研修を拡充し、教職員の指導力向上にも努めてまいります。 高等学校における必履修科目の未履修の状況と要因についてお答えいたします。 本県の県立高校では、世界史を中心に必履修科目を履修していない、または履修時間、履修方法から見て履修しているとは言いがたい高校が八校、履修はしているものの改善が必要な高校が三校、計十一校、二千六百六十八人の生徒が必履修科目を履修しておりませんでした。こうした事態の要因としては、限られた授業時間の中で大学進学を志望する生徒の進路希望実現を優先する余り、学習指導要領を遵守するという意識に欠如があったものと考えております。 今後の教育委員会の具体的な取り組みについてお答えいたします。 現在、未履修のあった学校では、生徒の負担や保護者の不安に十分配慮して、文部科学省が示した運用指針に基づき補充授業を実施しております。県教育委員会といたしまして、それらが確実に履修できるよう報告を求めるなど、指導しているところでございます。今後は、各学校のカリキュラム表や教科書購入数、年間指導計画、時間割表などのチェック体制をさらに充実するとともに、学校訪問の際、カリキュラムの実施状況について確認するなど、各学校において学習指導要領を遵守し、知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな生徒の育成が行われるよう指導に努めてまいります。 ………………………………………………………………………
○議長(白橋国弘君) しばらく休憩いたします。
△午前十一時四十五分休憩 ………………………………………………………………………
△午後零時五十六分再開
○副議長(尾藤義昭君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ………………………………………………………………………
○副議長(尾藤義昭君) お諮りいたします。本日の会議時間を、あらかじめ延長いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾藤義昭君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議時間を延長することに決定いたしました。 ………………………………………………………………………
○副議長(尾藤義昭君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。三十二番 不破照子君。 〔三十二番 不破照子君登壇〕(拍手)
◆三十二番(不破照子君) 質問に入らせていただく前に、去る十一月十二日に急逝されました河野 定前総務部長の御冥福をお祈り申し上げます。この報に、私たちは大変なショックを受けました。胸が痛みます。なぜという思いでいっぱいです。しかし、今は静かに御冥福をお祈りするのみでございます。 それでは、お許しをいただいておりますので、私は県政民主党を代表いたしまして、以下大きく十項目について、知事さんを初め関係部長さんに質問をさせていただきます。 今年度に入って、岐阜県には余りにも大きな問題が起こり過ぎました。中津川市の中学生のこと、県庁の裏金のこと、瑞浪市の中学生のこと、高校の未履修、タウンミーティングのことなどなど、古田知事さんには心安らぐときがなかったのではないかと思います。 知事さんは、裏金問題を期に人心を一新し、県庁の再スタートを誓われました。十一月二十日付の人事異動からも、その意気込みがうかがえます。県職員の皆さんも、一日も早く、安心して思う存分仕事をしたいと願っておられます。 今、岐阜県庁は再スタートする。ゼロからの、いや知事さんがいつもおっしゃっておられるように、マイナスからの出発になろうかと思いますが、再出発に当たり、知事さんから職員の皆さんへ直接メッセージを送っていただきたいとお願いするものでございます。
県政再生プログラムにおける再発防止策を見ても、再発防止に力点を置く余りのこととは思いますけれども、「監察」「監査」「監視」という言葉が並んでおります。もちろん、再発防止にはこうした機能が必要であることは私も賛同するところでありますが、その面ばかりに偏ると、職員の皆さんを萎縮させてしまうのではないでしょうか。 県政を再生させるためのもう一つの重要なパワーは、職員の皆さんの仕事に対するモチベーションです。職員一人ひとりが萎縮することなく、与えられた仕事に邁進することが県政を再生させる重要な要素だと思います。しかし、職員さんの中から、何かまだ一つになって頑張ろうという意気込みがわいてこないということなど、話が漏れ聞こえてきます。 自由闊達な議論のできる県庁内の雰囲気、職員間の風通しをよくする風潮など、強く望まれているやのように思います。そんな状況を私は感じておりますので、古田知事さんから職員の皆さんへ、「知事からのメッセージ」として熱く語っていただきたいと思います。そして、すがすがしい気分で新年を迎えていただき、新年からはばりばりと仕事をしていただく岐阜県庁をと願っております。若い職員さんが、上を向いて仕事をしたいなあとふと漏らされた姿が、私には忘れられません。知事さん、どうぞよろしくお願いいたします。 午前中の自民クラブの代表質問でもありましたけれども、平成十九年度予算編成の基本方針についてお尋ねいたします。 県におかれましては、そろそろ平成十九年度の当初予算編成に取りかかられていることと存じます。最近の新聞紙上等では、景気は好調であると報じています。九月期決算では、◯◯企業は過去最高の利益を上げているとか、大手銀行グループは九月中間決算で過去最高の当期利益を計上しております。また、大企業の本社が集中している首都東京では税収バブルの状況と言われているようでございますが、私たち一般庶民にはとても好景気などとは受けとめられません。現在の大企業の好調は、従業員の大量リストラなどによる犠牲の上のものであります。景気回復を理由に、定率減税も平成十九年には全廃となり、私たちにとりましてはますます厳 しいものがあります。東京の好景気を遠くで眺めながら、本県の景気はどのようなものかと思うところです。 本年三月に策定されました岐阜県行財政改革大綱の中で、県財政は悪化の一途をたどってきており、公債費については、多くの都道府県で十八年度当初予算において前年度と比較して減少している一方で、本県では平成二十二年度に向けてさらに増加すると見込まれております。そんな厳しい財政の中での新年度予算編成であるとは思いますが、県民生活を十分考慮した予算編成に取り組んでいただきたいと思います。また、一律何% の縮減率というようなことのないよう、めり張りのあるものにしていただきたいと願うものであります。 行財政改革大綱策定後初めてとなる
本格予算編成であります。古田知事さんに改めて、平成十九年度予算編成に対する基本方針をお尋ねしておきたいと思います。 次に、裏金問題とその返還金の取り扱いについて、お尋ねいたします。 本年七月五日、岐阜県庁に激震が走りました。裏金問題です。あれから五カ月、いまだすっきりと解決いたしておりません。余りにも問題が大き過ぎたのでしょうか。県庁に対する県民の目は本当に厳しいものがあります。私たちが「委員会視察に行ってきました」と言えば、「裏金で行ったのか」という言葉が返ってくるような状況でございます。裏金については、返還計画を立て、現職・組合分は全額返還されました。しかし、OBの方の返還についてははっきりいたしておりません。既にOBの皆さんには、岐阜県退職者資金返還推進協議会より返還への協力依頼と、返還に対する納付書が送付されているようです。年内の納付をお願いいたしております。私は、県職OBの皆様を信じております。それぞれ大変であろうかとは思いますが、必ず納めていただけるものと確信いたしております。 裏金問題に関する質問は、後ほど私たち県政民主党の伊藤議員、渡辺議員がさせていただきます。私は、この議場のマイクをおかりして、テレビをごらんになっている県職OBの皆様にお願いをしたいと思います。 県職OBの皆さん、寒くなってまいりましたが、御元気でいらっしゃいますでしょうか。このたびの県庁の裏金問題の件につきましては、皆様も御心痛いただいていることと存じます。この大きな過去からの問題に、現職の皆さんは、県民の冷たい目に耐え、厳しい処分を受けながらも、信頼回復へと歯を食いしばって職務に専念いただいております。この裏金とは全く関係のない世代の若手職員さんも、失った県民への信頼を取り戻そうと、研修交流会を立ち上げたりして頑張っておられる姿を新聞などでごらんになっていらっしゃると思います。OBの皆様には、それぞれの生活があろうかとは存じますが、もし、これがもっと早く勇気あるあなたたちの一声でとめることができていれば、こんなことにはならなかったと思います。また、この事件の発覚がもしあなたの在職中であったならばとお考えください。決して皆さんに責任がないなどとは言えないと思います。どうか返還金に御協力いただき、皆さんの後輩に範を示していただきたいと思います。そして、現職の皆さんに激励をも送ってあげてください。新しい年を晴れ晴れとした気持ちで迎えられることをお祈りいたします。私たち県政民主党一同、OBの皆さんへ返還金の年内納付への御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。寒くなりますが、御自愛いただきたいと思います。そして、よき新年をお迎えください。 以上、OBの皆さんにお願い申し上げましたこの返還金ですが、今度は、この返還金総額約十九億二千万円の取り扱いについても、県民が注目するところです。各方面から返還金の活用についても提言があるようですが、県としてどのようにお考えなのか、古田知事さんにお伺いいたします。また、知事さんも、この議場からOBの皆様へ呼びかけをされてはいかがでしょうか。 続きまして、教育委員の任命について、知事さんにお尋ねいたします。 教育関係について、幾つかの質問をしたいと思います。しかし、現在、岐阜県教育委員会の中に教育長職の方はいらっしゃいません。小山教育次長さんが職務代理者ということですが、問題が多発しているこの大切なときに、この状態でいいのかと心配するところです。今定例会でも、教育関係の質問者は大勢いらっしゃると思います。教育委員会の最高責任者として、教育委員長さんがいらっしゃることは重々認識いたしておりますが、現場の中で常勤の責任者はだれなのか。もし何かあったとき、だれが指示を出すのでしょう。知事さんは、人選考慮中とのことですが、いつまでこの状態が続くのでしょうか。まず知事さんに、教育長になられるであろう教育委員さんの早期任命についてお尋ねしておきたいと思います。 以下、教育関係問題について質問してまいりたいと思います。 まず、高等学校における世界史などの未履修についてでございます。 十月二十六日の新聞の、「高校の必修漏れ十道県六十三校」との見出しに、ええっと思いました。しかし、「東海地方の教育委員会は該当なしと報告している」とあり、私はほっといたしました。しかし、一方では、「そんなことはないだろう。きっと岐阜県でも」と思ってしまいました。案の定、翌日の新聞には、岐阜県で四校と発表されていました。 未履修は全国的に行われており、十一月十一日現在、全国で熊本県を除く四十六都道府県六百二十八校にもなり、本県では公立十一校、私立八校の計十九校にもなりました。なぜ神聖な学校という場でこんな不正なことが起きたのでしょうか。「受験勉強のため、やむを得ない手段だった」「受験を考え、生徒のためと思ったが」「違反を承知でやったが、違反したのは駄目だった」、これは新聞紙上で見る岐阜県内各校長先生のコメントです。それほど大学入試にウエートを置くならば、特色化選抜の案内の中に「大学入試に力点を置いています」と明記してもよいのではないかと、へそ曲がりの私は思ってしまいます。大学受験のためなら不正もいたし方ないという考えに、高校教育とは一体何なのかと私は考えてしまいました。 文部科学省の見解として、「指導要領は高等学校の生徒が学ぶべき内容を十分考慮してつくってあり、受験に合わせて教える内容を変えるというのは本末転倒」「必修化の指定は「やっておきなさい」という文部科学省からのメッセージ。世界史の必修化は、国際化の進展に合わせたものである」としています。 そもそも必修科目とは、すべての生徒が履修しなければならない科目であり、今回は、世界史が必修になっていたにもかかわらず、他の受験に有利な日本史や地理に充てていたものです。世界史は、暗記する分量が多いことから生徒たちから敬遠されていて、受験の際に選択する生徒が少ないということが背景にあったようでございます。それは、国際化の進展の中で世界の流れを知り、世界の国々を理解する上で、日本はどうあるかを考えていく基本を身につけさせるものだと思います。そうしたことを、教育委員会を初め教師は理解していなかったということであり、この未履修は教育の根本を揺るがす大きな問題であると思います。 問題が発覚してもすぐに報告されない、隠すという風潮が学校にあったのではないでしょうか。発覚すると、今度は補習で対応し、未履修分は補えるから大して問題ではないというのは、万引きして見つかったら返せばいいんでしょうというのと同じ感覚ではないかとさえ思えてなりません。ちょっと言葉がきつかったかもしれませんが、教育という現場で起きた不正に対する生徒たちや世間の不信感を心配する余りのことと御理解いただきたいと思います。 まず初めに、教育委員長さんに、今回の未履修について、県教育委員会としてどのように認識されているのか、お尋ねいたします。
教育長職務代理者さんには、以下五点についてお尋ねします。 一つ、世界史の必修についてどうとらえているのか。一つ、未履修は本当に教育委員会で把握できなかったのか。一つ、報告がおくれたのはなぜか。一つ、こうした事態をどう考えているのか。生徒の反応と未履修分の対応はどうするのか。そして、責任の所在はどうするのか。一つ、義務教育の中で未履修ということはないのか。今回の未履修については、週五日制になったこと、大学受験との関係などで実態と合っていないということが指摘されていますが、そうであれば、教育委員会や文部科学省へ現場の声として、学校から上げていくべきであったと思います。生徒たちには、何かあったら何でも言って来るようにと言っている学校。しかし、現場の先生が実践しない限り、生徒たちには何でも言える雰囲気とは感じないのではないでしょうか。 次に、いじめの実態とその対応について、取り上げてみたいと思います。 去る十月二十三日、瑞浪市で中学二年の生徒さんがみずからの命を絶ちました。こんな悲しい出来事は、余り議場で取り上げたくありません。しかし、この背景に何があったのか、とめることはできなかったのかと思うとき、一人の大人として、二度とこうしたことが起きないようにするために、今ここできちんとしていくべきと考え、取り上げさせていただきます。 まず、生徒さんの御冥福を心よりお祈り申し上げます。 いじめが原因であったということですが、それがはっきりするまでに時間もかかり、二転三転といたしております。事件があった後、瑞浪市教育委員会は、無記名によるアンケートを実施いたしました。その結果によると、「これまでにいじめを受けたことがある」と回答したのは小学生四百二十三人、中学生百二十四人の計五百四十七人で、全体の一二・四%の子供たちが「いじめられたことがある」としております。このうち、「弱い者に対し一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、深刻な苦痛を感じさせる」とした文部科学省規定-文部科学省が決めているいじめの定義のようですが-に該当するいじめは、小学校で二十件、中学校で十八件の計三十八件あったとし、三十件は解決済みで、八件は指導後観察を続けている状態ということでございます。 この結果を見て、瑞浪市の教育長さんは思っていた以上に多いと驚いておられるそうですが、これが実態だったのです。県内のいじめ件数として県教育委員会が報告を受けているのは、平成十七年度には小学校百二十五件、中学校百四十五件、高等学校八十七件の計三百五十七件です。十六年度と比較してプラス七・九%と、いじめは大きな問題となって広がっています。私は、この県教育委員会が把握している件数も、実数なのかと少々疑問視するところです。県教育委員会としても、北海道滝川市の女子小学生のいじめによる自殺を重く受けとめ、十月三日に県下全学校に対し、いじめ問題への対応を徹底するよう通知を出されております。しかし、十月二十三日にいじめが原因とされる瑞浪での事件が起きてしまいました。この通知は何だったのでしょう。むなしい思いでいっぱいです。瑞浪市にもマニュアルはあったものの、生かされていませんでした。 今回、県教育委員会では、「ほほえみと感動のある学校を目指して」-改訂版ですが-を学級担任に配布されました。平成七年に生徒指導の手引として配布されていたものを時代に即した改訂版とされました。文部科学省も、早期発見・早期対応をするよう通知を出し、その中には四十四の点検項目が盛り込まれているようです。文部科学大臣も、「未来のある君たちへ」として、お願いの形で広く呼びかけをされました。私も、生徒さんに配布されたものを見せていただきました。十一月二十九日には教育再生会議が「いじめ問題への緊急提言」を公表、翌十一月三十日には安倍総理大臣が、「子供を守るのは大人の責任」と広く呼びかけておられます。しかし、全国各地でいじめは発生し、痛ましい事件も多発いたしております。 いじめのない学校はあり得ないとさえ言われております。昔もいじめは確かにありました。しかし、今とは質が違うように思われます。 私たちは小さいとき、遊びの中からルールを学び友達をつくってまいりました。「遊びをせんとや生まれけむ」と「梁塵秘抄」にもうたわれています。その遊びが現代の子供たちにはなくなってしまったのではないでしょうか。遊びって本当に大切だと思います。 いろいろ言ってもいじめがあるならば、少しでも早くやめさせ、悩んでいる子を救う手だてを考えなければなりません。学校という現場の中で、先生たちは今、右往左往されているのではないでしょうか。それなのに、現場の先生の声が聞こえてこないのです。だから、隠ぺい体質があるとも言われてしまうのではないでしょうか。子供たちは、先生の「どうしたの」という一声を待っています。その一声で救われた子がいます。でも、先生にはそれだけの時間的余裕がないと言われております。「いじめの発見には、教員が授業以外でも子供と話したり遊んだりして信頼関係を築くしかない。しかし、その時間がない。」「役に立たない調査や教育改革の名のもとでの膨大な事務作業のせいで、本来、子供に目を行き届かせる担任をカバーする役目の教頭や指導主事が機能不全に陥っている」と、文部科学省のいじめ問題有識者会議で現場の実情を突きつけた校長先生がいらっしゃいます。岐阜県でも、同じようなことがあるのではないでしょうか。あちらこちらからの通達、調査で大変だと思います。でも、現場の先生のお力なしでは何もできないでしょう。先生たちも声を出してください。教育委員会も現場の声を聞いてあげてください。 そこで、お願いとお尋ねをいたします。 まず、教育委員長さんにお願いです。文部科学大臣もされました。教育委員長さんからも、この議場から岐阜県の子供たちに呼びかけていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
教育長職務代理者さんには、一つ、県下のいじめの実態をどのように把握されているのか。一つ、今後のいじめに対する対応策はどうなっているのか。一つ、現場の先生たちに時間と心のゆとりがないと思われるが、現状をどう把握されているのか。一つ、学校の先生同士、教育委員会と学校、学校と地域社会の風通しは良好であるのか、以上四点についてお尋ねいたします。 ここで、私も一声、呼びかけてみたいと思います。 悩み、迷っている皆さんへ。悩みには、それぞれいろんな理由がありますよね。でも、それをわかってもらえないから苦しんでいるのだと思います。だから、しなくてもいい、いや本当はしてはいけないこともしてしまうのですね。そうしたことって、この私にだっていっぱいあります。何度もありました。でもね、ちょっと友達に愚痴ったらすっきりとし、また違う道が開けたんです。満点な人間なんていませんよ。あなたと友達になりたい人が、あなたの周りにいっぱいいます。ちょっとSOSを出してみませんか。ほんのちょっとでいい、だれかに話をしてみませんか。あなたに笑顔が戻ることを私は信じております。一人のおばさんからのメッセージです。 こんな私の呼びかけなんか、何の力にもならないでしょう。だけど、周りの人が子供たちに呼びかけ、声をかけてあげてください。向き合ってあげてください。だれかではないのです。私たち一人ひとりなんです。迷える子供たちに笑顔を戻してあげることができるのは、私たち一人ひとりです。ぜひ皆さんも声をかけてあげてください。 次に、タウンミーティングについてお尋ねいたします。 毎日のように新聞に出ておりましたタウンミーティング。小泉前首相が、国民との対話を目的に、首相就任直後の二〇〇一年-平成十三年ですが-六月にスタートいたしております。週末などを利用して、構造改革、財政改革、情報技術革命、教育改革など、それぞれ設定したテーマの担当閣僚らが出席し、参加者との質疑応答を行うというものです。これまでに延べ百七十四回開催され、約六万八千人が参加したということですが、今は「やらせ質問」などの問題で中止されております。 岐阜県内では、平成十三年七月に大垣市で、十五年十二月には岐阜市で、十六年十二月に大垣市、十八年三月に大垣市、そして十八年八月に飛騨市と、計五回開催されてきました。 私も、このタウンミーティングには当初大変興味を持ちました。閣僚が地方に出向き、直接話を聞くことができる機会が余りありませんので、早速事前登録をしておきました。この事前登録とは、希望するテーマとか、希望する地域とかを登録しておけば、それに該当するときに連絡が来るという仕組みになっています。私は、これまでに東京、金沢、大垣などで計六回ほど、このタウンミーティングに参加しました。しかし、今回発覚したようなやらせ質問がその場のときにあったと知り、愕然といたしました。事前登録者に送られてくる申込書には、「もし質問等があればお書きください。当日、質問者が多く質問ができないような場合は、話の中に織り込んでいただく場合があります」と書かれていたように思います。私も、大勢の中での質問はなかなかできませんので、少し書いたようにも覚えています。各会場では、ある程度の人が手を挙げました。しかし、その中にもやらせがあったのかなと思ってしまいました。 平成十五年十二月に岐阜市で開催された教育改革タウンミーティングがやらせ質問の発端であったということには、言葉がありません。そのときのテーマは、「教育改革の推進と教育基本法の改革」です。河村文部科学大臣、鳥居中央教育審議会会長、そしてノーベル賞受賞者の小柴先生など著名な方々が出席されております。ぜひ出席したかったのですが、どうしても日程が合わず、この回、私は参加いたしておりません。 今回の岐阜市でのやらせ質問は、子供の教育を担う文部科学省と県の教育委員会がかかわったということに大きな問題があると思います。子供は大人社会を映す鏡であり、子供は未来からの留学生とも言われます。今回のことが子供たちにどう映ったのか心配するところです。教育改革をテーマに開催された八回のタウンミーティングのうち、五回がやらせであったこと、その発端が岐阜市であり、岐阜でまあまあ成功したから、次から次へと行ったのであれば、責任も重大であると思います。何のためのタウンミーティングであったのか、疑問視するところです。これでは、本当の国民の声は聞こえてきません。政府の巨額を使ったコマーシャル会場だったのでしょうか。 以前、梶原前知事さんがガヤガヤ会議を開催されました。広く県民の声を聞くためでした。私が傍聴したある会場では、新聞を見て当日参加された方が手を挙げ質問しようとされましたら、メンバーではないということで発言を取り上げてもらえなかったことがありました。メンバーの人は、事前に練習までしていました。古田知事さんも、県民の生の声を広く聞いて、行政に取り入れたいとよく話されています。どうかつくられた声でなく、本当の声を聞いていただくようお願いしておきます。 話がそれてしまいましたが、今回のタウンミーティングに関しましてお尋ねしたいと思います。 一つ、やらせ質問に至った経緯。一つ、どのような形で質問者を選択し依頼したのか。一つ、文部科学省が作成した質問とはどのような内容だったのか。一つ、文部科学省からの依頼であったので受け入れざるを得なかったのか。一つ、当日の会場への動員要請はどのような形で行われたのか。一つ、一連のやらせ質問に関してどう思われるのか。以上六点について、
教育長職務代理者さんにお尋ねいたします。 以上、教育関係の質問は終わりまして、次は介護サービスのあり方について触れていきたいと思います。 今年の敬老の日、「引き算の介護もいいね」という新聞の見出しを見つけました。山口市にある「夢のみずうみ村 山口デイサービスセンター」の記事でした。老人福祉には、「もっとサービスを、もっともっとサービスを」と言われる中で、引き算の介護って何だろうと思い、訪問してまいりました。 山陽新幹線新山口駅から車で約三十分。田園風景の山手に「夢のみずうみ村」はありました。訪問者には、水先案内人といって、施設の利用者が施設内を案内していただけるようでしたが、私は連絡の手違いで職員さんに案内をしていただきました。 まず玄関に入ると、幾つものパネルがありました。利用者自身がその日をどう過ごすか、自分で決めるのです。ちょこっとヘルプ、足の体操、あんま、パソコン、プール、ちぎり絵、パンづくり、食べる、手・腕の体操、ほぐし、ポパイ-何であるか、ちょっと分かりませんけれども-、健脚教室、宇宙、スーパーヘルプ、入浴、陶芸、カラオケ、そしてカジノもあるではありませんか。ある方には、見学案内も午後二時から入っていました。これはその日、埼玉からの見学者案内の予約でした。そのほか、七宝焼、木工、俳句、片手でできる料理教室、ガラス工芸、書道、デジカメなどと、活動メニューが百種類以上あるそうです。それぞれの思いで一日を過ごす、この施設ではデイサービスセンターという感じがいたしませんでした。普通の施設だと、皆が集まって歌ったり、体操したり、ゲームをしたりという風景ですが、ここでは本当にそれぞれの人が生き生きと好きなことをしているように見受けられました。七宝焼をしていた方は、食事の時間が来たけれど切りをつけたいと一生懸命。パソコンに向かっていらっしゃった方は、私たちの声など耳に入らない様子。リハビリのためでしょう、廊下をゆっくりタンスなどにつかまりながら歩く人、テレビで映画を見ている人、プールでリハビリに専念する人、ベランダでのんびりする方、外に出てたばこを楽しむグループ。 昼食はバイキングです。それぞれ好きなものを好きなだけ取り分ける。左半身が不自由な男性も、ワゴンにお皿を乗せて、自分で選んでいらっしゃいました。職員さんは見て回るだけ。できない方には、ほんの少しのお手伝いをするだけです。上げぜん据えぜんよりもきっとおいしくいただけると思いました。 この施設では、できることはすべて自分でする。体が不自由になっても、残っている能力を生かし、それを少しでも回復させ、生きる楽しみに持っていくことが方針とされています。だから、普通の家庭で感じる不自由とリスクを克服できれば自宅で長く暮らせる。また、自信をもって外出もできるとし、車いすはできるだけ使わない。建物の中は今はやりのバリアフリーではなく、「バリアアリーにしているんです」と職員さんは明るくおっしゃっていました。廊下に手すりがありませんでした。しかし、片側にタンスが並んでいる自宅のように、タンスにつかまりながらそろそろと歩く。階段は、寄りかかり移動やもたれかかり移動をして歩く練習。自宅の階段だって、上りおりできるようになるようです。 「夢のみずうみ村」のデイサービスは「宅配ビリテーション」といい、ここで体験したこと、できたことは自宅で必ず実行していただきますというのです。また、自分で血圧測定ができたら、食器を片づけることができたら、見学者を案内したらなどには、それぞれ施設内だけで通用する通貨「ユーメ」、ここは夢ということを大変大きくとらえておりますので、それをもじって「ユーメ」がもらえます。だから、もっとやろうとする、そうすれば元気になるのです。 私の知人で、脳梗塞で左半身麻痺の人がデイサービスを利用しての感想です。「みんな黙ってじいっと下向いている。歌だっておもしろうない。体操だってゲームだって、職員さんにあやされているようでおもしろうない。独りで本を読んでいた方がよっぽどいい。おふろだって、流れ作業みたいや」と言われたのを思い出していました。「夢のみずうみ村」のような施設だったら、だれもが利用したくなるのではないかと思いました。つけ足し、つけ足しでだんだん広くなっていった施設でしたが、見学を終えて見学料五百円を払いましたが、とても安い見学料と思いました。 新しい介護施設が次々とできますが、あっちの施設よりも、こっちはもっとサービスがいいよというような話をよく聞きます。本当に利用者にとってのサービスなのでしょうか。ここで、私は一度立ちどまって、本当のサービスとは何なのか、考えてみる必要があると思いました。「あれもこれもとお世話を重ねる足し算の介護よりも、残っている力や意欲を生かす引き算の介護に目を向けたい。高齢者の自立と尊厳を支える介護とはどのようなものなのか、そこに立ち返ってみるのも悪くはない」と新聞記事は結ばれていましたが、まさにそのとおりです。 県としても、現在各所で取り組まれている介護のあり方を見直し、少々酷と思われようと、本人のためであると説得できる介護サービスにすべきです。そうすれば、元気になる人がふえ、本人もお金がかからなくて済みます。介護保険も限界に来ています。 県が直接運営している福祉施設は少ないようですが、介護サービス全般にわたって視点を変えてみるときと思います。そして、各自治体及び各施設の設置者に対しても指導していただくことが必要かと思いますが、どうお考えなのか、健康福祉部長さんにお伺いいたします。 続きまして、母子家庭就業自立支援事業についてお尋ねいたします。 本県の婚姻・離婚の推移を見てみたいと思います。 昭和四十五年、婚姻件数が一万六千百五十五件ありました。しかし、昨年の平成十七年は、この婚姻件数一万五百十二件になっております。四十五年から十七年の差を引きますと、五千六百四十三件も少なくなってきております。また、一方、離婚件数を見てみますと、昭和四十五年千二百八十八件であったのが、平成十七年には三千五百六十四件、二千二百七十六件多くなっているというものです。こうしたものを見る限り、母子家庭は急増しています。離婚だけではありません。交通事故、病死、過労死などでの死別もふえてきております。そうした母子家庭の母親に少しでも自立していただくため、就労の手助けをしようということで、母子家庭の母親の就業の支援に関する特別措置法が、五カ年の時限立法として平成十五年に制定されました。 母親の就労に当たっては、職業選択の幅を持たせる技能習得が十分でないなどでパート労働者が多く、生活が安定しておりません。そうしたことによる精神的自立意欲・就労意欲への不安が高まってきております。このような母親に相談機能や情報を提供したり、就業支援の促進を図るための講習会を開いたりするのが母子家庭等就業・自立支援センター事業で、国の補助が二分の一、県が二分の一負担するというものです。そのほかに、母子家庭自立支援給付金という制度もあり、これは国が四分の三、県が四分の一負担するという制度です。 しかし、県の母子家庭等就業・自立支援センター事業を見てみますと、十分実施されているとは思えません。研修事業の実施状況は、ホームヘルパー二級研修を平成十六年には二十六人受講し、そのうち十四人が就職されております。十七年には五十二人の受講で、そのうち二十五人が就職に結びついております。本年、十八年は三十人受講されております。また、もう一方でパソコン研修を平成十六年には四十人受講しておられますが、そのときちょっと追跡調査をしていなかったので、就労にどれだけが結びついたかわかっておりません。十七年には二人の受講者がありましたけれども、これは二人の方が既に就職されておりましたので、就労という形では出てきておりません。十八年、十四人受講中です。また、今年度より医療事務を始めまして、十人、ただいま受講中でございます。受講者は五十人を見込んでの計画であったようですが、実態は先ほどのとおりです。今、ヘルパー二級を取っても、自立への就労はあるのでしょうか。あっても週二、三日などという話も聞いています。もう少し実態に即応した研修メニューはないのでしょうか。それとも、受講したい人はたくさんいらっしゃるけれども、こうした制度を知らないのかもしれません。 母子家庭自立支援給付金事業は、県においては町村在住者を対象に事業を行っておりますが、市においては 完全実施しているのは各務原市のみとなっています。もっと広く活用されてもいいのではないかと思います。 そこで、一つ、母子家庭就業支援施策のPRについて、各自治体、母子家庭へどのようにされているのか。一つ、今後の利用拡大についてどのようにお考えか。以上二点を健康福祉部長さんにお尋ねいたします。 最後に、間伐材の利用についてお尋ねいたします。 先般、私は中欧方面へ視察に行ってまいりました。自然を大切にし、緑豊かな街々に感心すると同時に、とてもいやされる感じで、ゆっくりと回ることができました。オーストリアからチェコへ向かうとき、広々とした牧草地やコーン畑、採種畑が続いていました。赤い屋根の住宅がところどころにあり、まさに中欧にいるという感じに満喫し、車中から楽しんでおりました。住宅地域に来ると、日本と同じように防音壁がありました。よく見ると、それはコンクリートづくりではなく、木材の壁です。木材をただ並べるというのではなく、縦、横、斜めにとデザイン性が取り入れられており、緑が多い周りにとても溶け込んでいるのです。延々と続いていても苦になりません。日本には見られない風景に、私は岐阜県でも防音壁として間伐材を利用できないかと考えました。 担当課の方に話しましたところ、防音用として既に利用されているということを教えていただき、すごいと思いました。クリスタルパーク恵那スケート場の機械運転室周りを木材で囲み、機械の音を防いでいるということでした。木材壁でも防音効果があると既に認められているのであれば、広く活用すべきと思う次第です。間伐材防音壁普及協会という団体が県内にあることもこの機会に知りました。 県では、平成十四年から十五年にかけて、間伐材を利用する目的で、間伐材を道路の壁面に張りめぐらした「もくもくウォール」を整備し、また、十三年から十五年にかけて間伐材ベンチを各所に設置されました。間伐材の用途を拡大することは大変よいことだとは思いますが、私は平成十七年の六月議会において、この事業に関しては、デザイン性や施工方法、設置場所に問題があったのではと指摘いたしました。現在では、施工後年数も経過し、木材の一部が腐食した箇所も見られますので、撤去する必要があるのではないかとも思います。 さて、現在、岐阜県では、岐阜県森林づくり基本計画をまとめておられます。その中で、県産材の利用拡大の項で、公共施設・土木工事での県産材の利用拡大を上げ、森林資源の有効利用の促進面では、新製品・新用途の開発促進を掲げておられます。岐阜県には、自然を求め、いやしを求めて訪れる観光客も多いと思います。山間部には、冷たいコンクリート壁をつくるより、近くの山から間伐材を切り出して、それを利用しての防音壁であれば、環境にも優しく、一石二鳥だと思います。「岐阜は木の国、山の国」です。担当課では、費用が高くつくようなことをおっしゃいましたが、高い・安いは基準の持ち方で違います。ぜひ間伐材を利用した防音壁への取り組みを試みてください。林政部長さんに防音壁などの間伐材利用についての御所見をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(尾藤義昭君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 議員の御質問の中で、多くの呼びかけをしておられまして、一つ一つ感銘を持って聞かせていただいた次第であります。 最初の御質問というよりも御要請は、私からも職員にメッセージをということでございます。晴れ晴れとした気分で新年を迎えられるようにということでございます。まだまだとても新年を迎える気分にはなれないわけでありますけれども、こういう機会を用意していただきましたお心遣いについては感謝申し上げたいと思います。 御案内のように不正資金問題でございますが、七月以降、いろいろな議論の中で浮き彫りとなりました県職員の公金意識の欠如、そして隠ぺい体質というものをできるだけ早急にしっかりと払拭するべく、県の職員からいろいろと提案をいただきながら作成したのがこの
岐阜県政再生プログラムでございまして、目下職員一丸となってその実現に取り組ませていただいているということでございます。 また、私自身、先般の人事異動が終わりましてからでございますが、このところ、時間の許す限り職員との昼食会の機会をあちらこちらで設けまして、職員に私なりの思いをお伝えすると同時に、職員からの率直な意見もちょうだいしておるということで、いろんな意味で風通しのいい意見交流に努めるべく努力しているところでございます。 御指摘ございましたように、私は県政の再出発に当たりましては、まず第一に自由闊達に議論ができる組織・風土づくり、風通しのよい伸び伸びとした組織・風土づくりが重要であるというふうに考えておりまして、その基本は、職場においてどんな意見であれ、とにかく発言ができると。そしてまた、その発言に耳を傾けるということでございます。とりわけ、日ごろの業務の中でこれはおかしいと、これは変だと、これはルール違反ではないかというような感想を持った場合に、そういう意見がある場合には遠慮なく発言をする。そして、都合の悪いことほど隠さずオープンに議論すると。そうした言挙げできる環境づくりを職員の皆さんと一緒に作り上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。 また、政策立案につきましても、単に上司からの指示を待っているのではなく、県職員となった初心に立ち返りながら、自分自身で考え、課内・部内で積極的に発言すると。その上で、上司や同僚と自由闊達に議論をして結論を出し、実行に移していくということが大変重要でございますし、またそれが最大の自己研さんにもつながっていくというふうに考えておるわけでございます。また同時に、管理・監督の立場にいる者につきましては、絶えず目配りをしながら、職員が意見を言いやすい、議論しやすい環境づくりに努めてもらうことが必要ではないかと、こんなふうに思っております。以上のことを改めて職員の皆さんに、この場をおかりして申し上げたいと思う次第でございます。 一方、県政に停滞は許されないわけでございます。私どもは、当面の難局を乗り越えながら、県民のために尽くしていくという県政の本来の使命をしっかりと果たしていく必要があるわけでございます。これからは、政策を前に掲げて、反転攻勢に出ていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。そういう中で、うつむきかげんではなく、萎縮することなく、またひるむことなく、職員の皆さんと一緒にしっかりと前を向いて進んでいきたいと、こんなふうに思っておる次第でございます。よろしく御理解をお願いしたいと思います。 二番目に、予算編成の基本方針のお尋ねがございました。ほぼ同質の質問が午前中にございましたので、若干重複するところもあろうかと思いますが、御容赦をいただきたいと思います。 まず、新年度予算の編成に向けまして、本県の最近の経済動向について一言申し上げたいと思います。 我が国の経済情勢全般につきましては、十一月の政府経済月例報告では、景気は消費に弱さが見られるものの回復しているということで、基調判断を一年十一カ月ぶりに下方修正しておるということでございます。また、本県につきましては、景気の現状を示す九月の一致指数でございますが、二カ月ぶりに五〇%を割っております。また、先行指数も三カ月連続で五〇%を下回っておるということで、全体として先行きの不透明感が増しておるというのが現状ではないかというふうに考えております。来年度予算の編成過程におきましては、さらにこうした景気の動向を十分注視していく必要があるのではないかというふうに考えております。 本県の財政の見通しにつきましては、御指摘ございましたように大変厳しい状況であるということで、午前中にも申し上げましたけれども、公債費が一割を超える、あるいは社会保障関係経費が一割程度の伸びということでございまして、財源不足は現時点では約四百三十億円程度という状況でございまして、この財源不足をどのようにこれから精査をし、解消していくかというところが課題であるわけでございます。 また、今申し上げましたように、今後の景気の動向、あるいは交付税の状況次第では、さらに深刻な状況に陥ることも想定されるわけでございまして、大変な困難を抱えながらの来年度予算編成作業になろうかと、こんなふうに思っております。 そうした中にありまして、御指摘のように県民生活に資するめり張りのきいた予算を編成するということが必要でございまして、これまでにも増して事業の厳格な取捨選択をしていきたいと、徹底的な事務事業の見直しをしていきたいと、こんなふうに思っておるわけでございます。 重点政策事項として、少子化対策の推進を初め八つのテーマを掲げておるわけでございますが、県民生活への影響を十分考慮しながら、そうした重点政策を中心に予算を重点的に配分していくというのが今の作業の基本方針でございます。 大変厳しい状況ではございますけれども、ある意味ではこうした厳しい財政状況は、私も含めまして、県庁職員の意識改革と行政改革を進めるチャンスでもあるというふうにも考えられるわけでございまして、全職員で知恵と工夫を尽くして、県政再生の方向が見えるような予算をつくり上げていきたいと、そんなふうに努力をしていきたいと思っております。 次に、裏金問題返還金の活用についての御質問でございます。 既に
県政再生プログラムにおきまして、基金をつくって活用すると。その使い道については、広く多くの方々から御意見を聴取したいと、こんなふうに申し上げておるところでございますが、まずこの不正資金の返還状況でございますが、現時点で十九億一千七百七十五万円の返還されるべき総額のうち、十一億三千七百六十三万円、全体の約六割が返還されております。残りは退職された幹部・管理職分の七億八千十二万円でございますが、これにつきましても、十一月二十四日に開催されました岐阜県退職者資金返還推進協議会におきまして、具体的な返還額が決められておりまして、十一月三十日には各退職者に対し、十二月二十八日までに返還されるよう依頼する文書が発送されております。これには、私からの要請書も添えさせていただいておるわけでございます。 返還金の使い道でございますが、県民の皆様の関心も高く、既に経済団体でありますとか、NPOからいろいろと御提言をいただいておりますし、これまでに九千件を超える県民の皆様からのこの問題に対する御意見の中でも御提案があるわけでございます。そういった御提案を参考にしながら作業をしておるところでございますが、今の時点での基本的な考え方を申し上げますと、そもそも返還金は過去において県民の皆様に使われるべきであったお金であると。本来なら行政サービスを受けることができたはずの県民の皆様からの御意見を伺って、使い道を考えるのが適切ではないかと。また、今回の問題を契機に、職員の意識改革、あるいは内なる総点検を進めておりますけれども、そうした改革の意識や意気込みを長く続けていくこと、風化させないといったことを念頭に置いて、活用方策を考えるべきものではないかというふうに考えております。 過去、同様な返還金が生じた都道府県では、単に一般会計のどんぶりの中に受け入れるということだけで処理をしておりますけれども、私どもとしては、今申し上げました考え方に立って、新たに基金を設置して個別に管理をしていきたい、そして使い道を考えていきたいということでございます。具体的には、例えば向こう十年間程度を目安に事業をすることとしてはどうか、あるいは使い道について、あすの岐阜県のための地域づくりや人づくりのためにどんな事業を行ったらよいか公募しながら、例えば政策総点検フォローアップ委員会で選定をしていただいて使っていく仕組みはどうか。あるいは、今回、一部提案させていただいておりますが、返還金の一部を予備監査の外部委託に要する費用にも使わせていただいてはどうかと、そんなようなことを今検討しているところでございます。こうした考え方につきましては、今後、来年二月に開催される県議会定例会への基金設置条例案、関連補正予算案の上程に向けて、県議会の皆様とも連携しながら、また政策総点検フォローアップ委員会にもお諮りしながら、わかりやすい形で具体化を進めてまいりたいと思っております。 次に、この議場から退職者の方に対しても返還の呼びかけをしてはどうかということでございます。先ほど申し上げましたように、退職者の方々には十一月三十日付で文書が送られておるわけでございますが、またそこに私からも添え書きを添付させていただいたところでございますが、先ほど不破議員からも大変熱のこもった呼びかけをいただいたところでございます。私からも改めて一言申し上げますと、今回、退職の幹部・管理職の方々に資金の返還を求めておりますことは、これまで長きにわたって県政を支えてこられた県職員としての皆様の御功績そのものをいささかも否定するものではないということでございます。しかしながら、本県、この不正資金問題が長年にわたって組織ぐるみで行われてきたこと、公金を適正な方法で執行しなかったこと自体、許されるものではないこと。そして、その資金が今日まで隠され続けてきたことなどによって失った県民や国民の信頼を一刻も早く取り戻し、県職員の名誉を回復するためには、現職及び退職幹部・管理職挙げての不正資金の早期全額返還が必要不可欠でございます。退職者の方々におかれましては、今般の不正資金問題の経緯を十分御理解いただきまして、早期の資金の返還をお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。時候のあいさつは省略いたしますが、私からのメッセージでございます。 最後に、教育長となるべき教育委員の任命についてのお尋ねがございました。 御指摘のとおり、この人事は大変緊急かつ極めて重要な案件であるというふうに思っております。御指摘ありましたように、学校教育におけるいじめ、自殺の問題でありますとか、未履修問題でありますとか、教育をめぐるさまざまな事件、不祥事、全国的に今注目されておるところでございますし、また国会でも教育基本法の改正が審議されておりますとか、あるいは安倍内閣のもとで、教育再生会議で広範にわたる教育問題も議論されておるわけでございまして、こういう極めて重大な時期に教育長候補となる教育委員の人事につきましては、これまで以上に増して熟慮が必要であるということで、このところ、正直申し上げまして大いに悩んでおる次第でございます。とはいえ、いつまでもこの重要な席をあけておくわけにいきませんし、毎回、大変発言しにくい
教育長職務代理者という形で答弁を続けていくわけにはいかないということも十分承知しております。できるだけ早い機会に成案を得て、御提案を申し上げたいというふうに思っておりまして、その際には、議会の御同意も必要でございますので、よろしくお願いしたいということでございます。
○副議長(尾藤義昭君) 健康福祉部長 高田幸三君。 〔健康福祉部長 高田幸三君登壇〕
◎健康福祉部長(高田幸三君) 大きく二点の御質問がございました。 一点目の、介護サービスのあり方についてお答えをいたします。 介護保険制度は、高齢者の方々が残された能力を生かしつつ、自助努力を基本とした生活を営む中で、真に必要なサービスの提供を行い、高齢者の自立を支援するものでございます。 今回創設されました新予防給付は、従来の与えられるサービスから、軽度者本人の意欲を引き出す目標志向型へと転換を図ることをねらいとしております。御紹介のありました山口市のデイサービスセンターの事例は、利用者の立場に立った介護のあり方を示唆する、今回の法改正を先取りした取り組みであり、県内の介護現場においても大いに参考にすべき事例であると考えております。県といたしましては、県立寿楽苑にございます「介護実習・普及センター」と連携し、御紹介のような県内外の先進的な介護の取り組みについて広く事例を収集し、有効な手法と思われる事例については、県内の事業所へ情報提供することにより、その普及に努めてまいります。 二点目の、母子家庭就業自立支援事業についてお答えいたします。 まず、施策のPRについてでございます。 県では、母子家庭の就業自立を支援するため、各振興局に母子自立支援員を設置し、きめ細やかな指導を行うとともに、財団法人岐阜県母子寡婦福祉連合会に委託して、御質問にございました資格取得のための講習会事業のほか、就業相談員や就業支援員による就業相談、求人先とのマッチング、あるいは弁護士、税理士による特別相談等を実施しております。これらの事業につきましては、引き続き児童扶養手当受給者に対するチラシの配布、ホームページによる事業紹介、連合会会報による周知等、多様な媒体を用い、より効果的なPRに努めてまいります。 次に、今後の利用拡大についてでございます。 資格取得のための講習会事業については、資格を取得する時間的余裕がない等の母子家庭の母親に対し、受講しやすい土曜日、日曜日、夜間の講座を設け、利用促進を図っているところです。今後も、母子家庭からの御要望や就業実績を勘案しながら、生活に制約のある母子家庭においても受講しやすく、就労やステップアップに結びつきやすい講座の充実に努めてまいります。 また、母子家庭自立支援給付金事業につきましては、未実施の市に対し、引き続き制度の周知に努めてまいります。
○副議長(尾藤義昭君) 林政部長 渡辺敬一君。 〔林政部長 渡辺敬一君登壇〕
◎林政部長(渡辺敬一君) 間伐材の利用についてお答えいたします。 木材の防音壁は、議員の御発言にもありましたように、自然環境にも優しいことから、ヨーロッパでは多くの国で設置されております。県の施設におきましては、クリスタルパーク恵那スケート場において、高さ五メートル、長さ約八十メートルの木材の壁を設置しております。非常に景観に適合した防音壁としての機能を発揮しております。 現在、本県では、景観の保全や美しいまちづくりの観点から、県、市町村の関係者による研修会を既に開催しているなど、公共施設での木材の防音壁の活用について検討を進めているところでございます。また、既設の防音壁の大半は現在高速道路や国道で設置されております。例えば
東海環状自動車道の一宮から各務原の区間に設置されておりますが、このように国道、高速道路等に着目いたしまして、国の機関に木材の防音壁について採用を働きかけております。 県産材の利用につきましては、来年度から公共施設等における県産材利用推進方針に基づきまして、五カ年間の利用計画と目標数値を定め、県産材の利用に取り組むこととしております。例えば治山工事におきましては、型枠を鋼鉄製から木材の板に変更したり、また河川工事におきましては、川底の土砂を安定させる枠をコンクリートから木材に変更するなど、自然に優しい工法を取り入れ、多様な利用に取り組んでまいります。このように、地についた方法で県における間伐材の利用を、五年後には三〇%増加させていくこととしております。
○副議長(尾藤義昭君)
教育委員会委員長 加藤智子君。 〔
教育委員会委員長 加藤智子君登壇〕
◎
教育委員会委員長(加藤智子君) 未履修問題についてお答えさせていただきます。 このたび、全国の高等学校において、学習指導要領に定められた必須科目を履修させていなかったという問題が起こり、本県におきましても十一校の県立高等学校で未履修があることがわかりました。これらの学校では、大学進学を希望する生徒が多く、限られた授業時間数の中で生徒の進路希望を実現することを優先する余り、必須科目を履修させていませんでした。しかし、生徒のあるべき姿やルールを教える学校において、学習指導要領に反することが行われていたことは極めて遺憾であり、学校教育に対する県民の皆様方からの信頼を損なう事態となりましたことを、深く反省いたしております。県教育委員会といたしましては、この現状をしっかり受けとめ、学習指導要領にのっとり、高校生として必要とされる知識・能力・人間性といったものをしっかり身につけさせるよう、誠心誠意努めてまいります。 また、この問題が新聞に載りましたとき、私、全く個人的でございますけれども、本当に驚きました。私の地域にも該当する学校がございました。一市民として、地域の一人の住民として、校長先生にお会いする機会を得たわけでございます。そして、「カリキュラムは偽りでございましたんでしょうか」ということをお尋ねさせていただきました。しばらく間を置かれまして、「申しわけございませんでした」というお言葉が返ってまいりました。私は、これから受験をしようと思っている子供たちのためにどうするのが一番いいのかということを最優先に考えていただきたいということをお願いして、帰ってまいりました。 次に、教育委員長からのメッセージということでございます。それにつきましてお答えさせていただくといいますより、私からのメッセージをお送りさせていただきたいと存じます。 十一月十七日に、文部科学大臣がいじめに苦しんでいる子供たちに向かって、「未来のある君たちへ」というメッセージを出されました。ただいま不破先生は、すばらしいメッセージをお出しになっていただいたわけでございますけれども、私も全く同じ思いでいるおばさんの一人でございます。私は、歴史小説家の司馬遼太郎さんが若者へのメッセージとして書かれた「二十一世紀に生きる君たちへ」を読み、深く感銘を受けました。その内容の一部を皆さんに御紹介することで、温かい人間関係の中で未来あるふるさと岐阜県を担っていく子供たちへの私からのメッセージとさせていただきたいと存じます。 人間は、決して孤立して生きられるようにはつくられていない。このため、助け合うということが人間にとって大きな道徳になっている。助け合うという気持ちや行動のもとのもとはいたわりという感情である。他人の痛みを感ずることと言ってもいい。優しさと言いかえてもいい。「いたわり」「他人の痛みを感ずること」「優しさ」、皆似たような言葉である。この三つの言葉は、もともと一つの根から出ているのである。根といっても、本能ではない。だから、私たちは訓練をしてそれを身につけなければならないのである。その訓練とは、簡単なことである。例えば友達が転ぶ。ああ痛かっただろうなあと感ずる気持ちを、その都度、自分の中でつくり上げていきさえすればそれでよい。
○副議長(尾藤義昭君) 教育長職務代理者 小山 徹君。 〔教育長職務代理者 小山 徹君登壇〕
◎教育長職務代理者(小山徹君) 高等学校における世界史の必履修についてお答えいたします。 高等学校では、平成六年度から実施されております学習指導要領で世界史が必履修となりました。小・中学校の社会科では、我が国の歴史を中心に学習しておりますが、国際化の進展を初めとする社会の変化に対応し、高校生に必要とされる資質を養う観点から世界史が必履修とされたものと認識いたしております。 次に、未履修の実態把握についてお答えいたします。 県教育委員会では、年度ごとにカリキュラム表や教科書の購入数、年間指導計画により、各高等学校において適正にカリキュラムが実施されているかどうかというチェックをしてまいりました。今回、未履修があった学校では、提出されたカリキュラム表とは異なる授業が実際に行われていたため、未履修の実態を把握することはできませんでした。 また、未履修の報告がおくれたのではないかという御質問にお答えします。 十月二十四日に富山県で世界史の未履修が発覚した後、直ちに県内の全公立高等学校に対して文書で実態調査を行いました。その結果、十月二十六日に履修の実態がないと判断した四校を公表してまいりました。その後、学校からの履修方法についての相談や、メールや手紙による情報提供があったことから、十一月六日に改めて全公立高等学校の校長から聞き取り調査、それと時間割の確認を行うとともに、該当校を訪問するなどして慎重に調査を行いました。その結果、十一月十日に、最初に発表した四校に加え、履修状況から新たに未履修と判断した七校、計十一校を発表いたしました。 未履修のあった学校における生徒の反応と対応策についてお答えします。 問題が明らかになった当初、生徒に動揺が見られましたが、学年集会や全校集会を開き、経緯を説明し、謝罪を行ったことで、次第に落ちつきを取り戻しました。その後、文部科学省が示した運用指針を踏まえ、可能な限り生徒の負担にならない補充計画を立て、生徒及び保護者に説明した上で補充授業を実施しているところでございます。なお、生徒は現在では冷静に補充授業を受けていると報告を受けております。 今回の問題に関する責任の所在についてお答えします。 学習指導要領に基づいて適正にカリキュラムを編成し、実施する責任は校長にございます。また、県立学校の管理者として、県教育委員会にも責任があると考えております。なお、処分については、未履修が行われた経緯をきちんと調査し、生徒に対する補充等の対応のめどが立った時点で対処してまいりたいと考えております。 次に、義務教育の中での未履修についてお答えします。 小・中学校における授業実施状況につきましては、他県において未履修の実態が明らかになったことを踏まえ、現在、全教科等について教育事務所を通じて実態調査を行っております。 次に、いじめについてお答えいたします。 県下のいじめの実態をどのように把握しているかという御質問に対してお答えいたします。 いじめの実態については、毎年度、文部科学省による児童・生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査を実施して、前年度の発生件数を把握しております。しかし、この調査は自分より弱い者に対して一方的に、身体的、心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものという、これまでの文部科学省のいじめの定義に基づいて行われたものであるため、実態を十分に反映していないという懸念がございます。このため、今回の事件を受け、県下の全小・中学校を対象として無記名のアンケート調査や個別の面談を取り入れながら、実態をより適切に把握できるような県独自の調査を実施しているところでございます。 今後のいじめに対する対応策といたしましては、学校では管理職や学年主任、生徒指導主事を中心として、いじめに組織的に対応するよう指導してまいっているところでございます。また、学校が市町村教育委員会に情報を確実に伝えたり、市町村教育委員会が学校の適切な対応への支援を行うなど、情報の共有や対応を含めたシステムの構築に向けて指導してまいりたいと考えております。あわせて、総合教育センターにおきましては、いじめの早期発見と迅速な対応に関する研修を拡充して、教職員の指導力の向上に努めてまいります。 教員に時間と心のゆとりがないと思われるがという御質問でございますが、授業以外の時間に子供たちと話したり、一緒に遊んだりすることにより子供を理解し、信頼関係を築くことが教員にとって非常に重要なことであり、各学校においてはそのための努力をしております。また、そうすることが教員の心のゆとりを生み出すものと考えております。しかし、地域や保護者の期待にこたえるべく、また多様化する社会のニーズや保護者への対応等に学校においてさまざまな試行を繰り返しており、結果として勤務時間が長くなったり、時間にゆとりがなくなったりしていることも事実であります。現在、全公立学校の教員の勤務実態を調査しておりますので、今後、その分析結果をもとに改善策を検討してまいりたいと考えております。 学校の先生同士、教育委員会と学校、学校と地域社会の風通しについてでございますが、学校では全教職員が情報を共有し、いじめを発見した場合には、一部の教職員だけで抱え込まないで、互いに相談できる関係を築くとともに、各教職員から管理職へ速やかに報告がなされるよう、報告・連絡・相談、そしてその確認、こういったことの強化を図るよう指導してまいります。市町村教育委員会に対しましては、学校との密接な連携に努め、各学校が把握したいじめの状況を正確につかみ、いじめを早期に発見するとともに、その解決を確実に見届け、迅速かつ適切な対応がなされるよう働きかけてまいります。また、保護者や地域から子供たちの情報が適切に伝わるよう、平素から関心や注意を喚起し、いじめのサインを見逃さないよう協力体制を整備するよう要請してまいります。 タウンミーティングに関する質問にお答えいたします。 まず、経緯についてでございますが、平成十五年十二月上旬に文部科学省からの出向者である当時の学校政策課長に文部科学省から五項目の質問案が送られ、参加予定者に対し、発言依頼をするようとの働きかけがあったことがきっかけとなっております。その後、この課長の指示により、二名の職員が参加予定者の中からそれぞれの質問案にふさわしいと思われる小・中学校の教員二名と県立高校の教員三名を選び、質問案の趣旨を電話で伝え、発言するようにと依頼したものでございます。 次に、質問案の内容でございますが、要約いたしますと、義務教育に関する国の役割、国立大学の法人化に関するメリット・デメリット、教育基本法の改正、最近の若者像、創造力ある学生を育てるための対策の五項目について、パネリストに意見を求めるというものでございました。県教育委員会がこうしたやらせ質問に関与するに至ったのは、議員御指摘のとおり、文部科学省からの依頼であり受けざるを得なかったものと考えております。 また、動員につきましては、やらせ質問と同様に、文部科学省から当時の学校政策課長に対し、参加者の取りまとめと名簿の提出について依頼があり、学校関係者に対して参加を呼びかけ、名簿を取りまとめの上、文部科学省に提出しております。 一連のやらせ質問に関してでございますが、タウンミーティングに関するこうした一連の行為につきましては、文部科学省からの依頼があったとはいえ、やらせ質問に加担したことになるものであり、大変申しわけなく思いますとともに、今後の教訓にしたいと考えております。
○副議長(尾藤義昭君) 三十四番 平野恭弘君。 〔三十四番 平野恭弘君登壇〕(拍手)
◆三十四番(平野恭弘君) 発言のお許しを得ましたので、通告に従い、質問させていただきます。 その前に、十一月十二日、前総務部長であられる河野総務部長が亡くなられました。心から御冥福をお祈り申し上げます。 それでは、質問に入らせていただきます。 旧市街地の活性化について。 私は、かつて平成十一年七月議会で、岐阜大学医学部跡地の利用については、役所と住居の複合する高層ランドマークビルディングの建設を提案いたしました。また、平成十六年十二月議会では、岐阜大学医学部跡地と総合庁舎、駐車場を含め、県・市一体となり、将来構想を検討すべきことを訴えました。高層ランドマークビルは、場所を変え、岐阜駅前に岐阜シティータワー43として間もなく完成を迎えることになります。また、跡地の利用については、専門家や各分野の代表、市民からの公募の委員で委員会を設け、利用の方向性についての答申も報告されております。これらのことについては、三月の定例会において安田議員からの質問、七月の笠原議員の質問に対して、知事の御答弁がございました。 私は、この資料を見ていただくとあれなんですが、(資料を示す)岐阜大学医学部跡地周辺には裁判所とか、市役所本庁舎とか、市役所南庁舎、明徳小学校、京町小学校、盲学校跡地などたくさんの公的、あるいは半公的な施設がたくさんございます。 昔、私らが子供のころ、「十五ならべ」という遊びが、遊びといってもたくさんなかったので、こんな遊びで弟たちと遊びました。(資料を示す)数字をアトランダムに並べて、それをきれいに並べかえるという遊びでございました。 今、この地区の公共施設の建てかえを考えますと、盲学校の跡地の空き地をうまく使って、ここに老朽化した建物、大変この周辺の建物は時代がたって老朽化しておりますが、その建物を新設し、そこに移転した建物を取り壊して、空き地となったところに次の老朽化した建物を建て直せば、効率よく建設を進めることができるのではないかと思ってこんな資料をつくってみました。 そして、こうした整備を進めるためには、県と市だけではなくて、法務局とか、あるいは労働基準監督署とか、職業安定所などを所轄する国とも連携しながら施設の集約化を図るなど、点での整備でなく、広い面的なまちづくりに対して県が積極的にイニシアチブをとることが必要であります。 また、最近では、東京に本社がある多くの会社では、本社屋の中に支社をつくることが一般的になっております。総合庁舎の移転を検討する場合には、近隣に移転・新築するほかに、現地機能を県庁舎内に置くことも考えられるのではないかと思います。そして、歴史的建造物である総合庁舎の正面建物はそのまま残して、後を県民広場などとし、先ほどの十五ならべの空きスペースとして、次の施策のための財産として後世に取っておくことも可能だろうと思っております。そして、この空き地の利用については、市民や観光客向けの農産物を中心にした日用雑貨なども扱う青空市場を設置してはどうかと思います。 御承知のように、旧市街地から個人で営んでみえました八百屋さんとか魚屋さん、そして日用品を扱う雑貨屋さんなどが消え、買い物は郊外のショッピングセンターへといった逆転現象が起きております。特に中心市街地は高齢化が非常に進んでおります。こういった人たちが身近な場所で必要なものが購入でき、地域も潤い、一石二鳥ではないかと考え、提案させていただきます。 聞くところによりますと、JA、いわゆる岐阜市農協は、岐阜、各務原、岐阜南、岐阜北、羽島、本巣の六農協が近日大合併をされるようです。大合併された農業協同組合が中心となって、中心市街地に住まれる人のために地産地消といった考えで、農産品の朝市などでにぎわいをつくるという案を出させていただきたいと思います。 私は、今年、後援会旅行を輪島へ一泊二日を十回行いました。約二千人の人に参加していただきました。輪島の朝市がコースの中に入っていましたが、大変好評でございます。私も何度か朝市に行きましたが、観光客は非常に多くて、大変にぎわっております。輪島の人々に聞きますと、朝市の持つ経済効果ははかり知れないほど大きいと口々に言っておられました。岐阜県では高山の朝市が有名で、その経済効果も大変であろうと思います。先日、農林委員会で高知へ行きましたが、そこでも朝市が開かれておりました。私の住んでおります黒野では、JAフレッシュマートがあり、黒野周辺でつくられた農産物が地産地消のもと、つくり手の見える安心野菜として、またいろいろな花とか野菜等の苗などもあり、私も時々苗や種を買いに行っておりますが、開店が九時なんですけれども、九時には既に行列ができ、また昼過ぎに行くと売り切れてしまっているほどの人気があります。 私も百五十坪ほど、小さくはありますが、農業のまねごとをしております。そこで、生産者の欄に私の名前を書き入れて、農産物をそこで売りたいなと夢見ております。小遣い稼ぎにもなり、一石二鳥ではないかなと思っております。最近決定したようですが、鷺山に黒野にあるJAフレッシュマートを大きくしたようなものができるとのことでございます。 市場にうまいものあり、私は常々そう思っております。それで、私は時々、朝早く起きて中央卸売市場へ行って、新鮮な魚とか野菜など買ってきて、家でつくってもらっておいしく食べております。海外旅行の折でも、多くの都市で町の中心といったところに市場があることをよく見受けます。そして、暇があれば海外旅行でも市場をのぞき、珍しいものを買うのが一つの楽しみでございます。 この資料は、フィレンツェの市場の光景です。(資料を示す)何といっても、イタリアの市場には新鮮な野菜も、色鮮やかな果物も、しゅんのポルチーニも、あらゆる食肉もワインもオイルも何でもあります。特に印象に残っているのは、シチリア島のカターニアのペスケリア市場で、それこそありとあらゆる食材や調味料、そして加工品で広場は満艦飾といった状態です。その一隅では、厨房が市場に直結していて、新鮮な食べ物を最大限生かした即席料理でシチリアの山海の恵みといったものが堪能できます。 十月二十八、二十九日に行われた岐阜県農業フェスティバルも、多くの県民の方が訪れて、交通渋滞を起こすほどの大盛況でございました。 いずれにいたしましても、柳ケ瀬を中心とした商業地域の活性化のみでなく、今お話ししたエリアも含めた一体的なまちづくりを進めることが、岐阜県にとっても大切なことではないかと考えております。その活性化方策について、知事さんの御所見をお伺いいたします。 次に、平成二十四年に行われる国体を盛り上げるための「岐阜国体応援歌」の公募についてお伺いいたします。 今年の全国植樹祭のテーマソングにもなった「岐阜県民の歌」は、平成二十四年の岐阜国体にも、県民の心を一つにするテーマソングにもなるものと思います。しかし、つくられて数十年が経過しており、二十一世紀の現代には少しマッチしてないかとも感じられます。 そこで、二十四年国体を盛り上げるために、県民からの国体の愛称やマスコットキャラクターの募集など予定されていると思いますが、私はそれに加えて、岐阜県選手への応援歌も公募すべきと思っております。 今年のプロ野球でセリーグ優勝の中日ドラゴンズの応援歌である「燃えよドラゴンズ」は、昭和四十九年の与那嶺監督での二十年ぶりの優勝のときには、「一番高木が塁に出て」と歌われ、以来、曲は同じでも歌詞を変えながら歌い継がれております。「岐阜県民の歌」もこれに倣い、新しい歌詞を四番、五番と続けるか、新しく二十一世紀版の「岐阜国体応援歌」とすることも考えてはいかがでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、岐阜への定住促進に向けたイメージ戦略についてお伺いいたします。 戦後のベビーブームに誕生した世代が定年退職を迎える時代になって、二〇〇七年問題などとも言われております。すばらしい技術を持った人が退職するため、一朝一夕には習得できないものを、いかに若い世代に引き継ぐかという点では、確かに問題と言えるかもしれません。しかし、すばらしい技術、豊富な知識・経験を持った人たちに時間的余裕が生まれます。それを新たな場所で活用できるようにという点では、大きなチャンスとも言えるのではないでしょうか。 昔ながらの地域のつき合いが失われて、地域コミュニティー再生の必要性が叫ばれている中、県では、これまで仕事のために近所づき合いもままならなかった人たちで、定年を迎える人たちも対象にした「これから始める地域デビュー講座」などを開催しておられますが、こうした事業を積極的に展開し、新しい力を活用しながらすばらしい地域をつくれば、多くの人がそこに住みたいと思うようになるのではないでしょうか。また、すばらしい技術やノウハウを、それを必要とする企業などに提供しながら、生き生きと暮らせるようにすることも重要であると考えます。このような施策を展開し、一定の収入を得ながら、温かみのある地域の中で暮らせる環境を整えるということは、それは次の世代のつながり、すばらしいことだと思います。 また、現在岐阜に住んでいる人だけではなく、すばらしい技術やノウハウを持った人たちに定年を迎える前に岐阜に住んでもらい、人材の確保に努めるのも重要ではないでしょうか。 ここに資料を持ってきましたが、東海道線が十月一日から新しいダイヤになって、非常に岐阜には便利になっております。JRを利用すると、十七分で名古屋へ行くことができるわけです。本当に便利だと思っております。 昨年の六月議会で、私は岐阜と名古屋の所要時間など、居住地としての岐阜沿線の優位性をアピールいたしました。その折に知事さんから、岐阜と名古屋の間には木曽川という大きな障害物があり、心理的な障害があると述べられました。あれから一年たちますが、とても木曽川の流れを変えることは無理でございます。心理的な障害を取り除く方法を考えてみました。それは、戦国武将の名前を使ったイメージ戦略でございます。日本人が一番心を躍らす時代は、戦国時代と明治維新の時代であるということは、NHKの大河ドラマなどを見ればよくわかります。戦国時代の三大英傑といえば、もちろん信長、秀吉、家康の三人で、日本人の好みも三派に分かれます。三人の生い立ちとか活躍の場を見ますと、私は岐阜は働き盛りの信長がぴったりではないかと思います。そこで、名古屋を中心に、「信長」をキーワードとした岐阜のイメージアップ戦略を展開して、定住促進に向けた取り組みを進めてみてはどうかと思います。知事さんの御所見をお伺いいたします。 次いで、メンタルヘルスについてお伺いいたします。 まず初めに、職員へのメンタルヘルスについてお伺いいたします。 私は、平成十五年十月議会において、坂田副知事が亡くなられた折に、メンタルヘルスについて、当時、経営管理部長にお尋ねいたしました。資料を見ていただくとおわかりいただけると思いますが、(資料を示す)日本の自殺死亡者なんですが、これは二〇〇五年、六年、ちょっとデータが入っていないんですが、これで見ても、七年連続で三万人を超えております。私も医療の現場におりますが、医療の現場で働く人は、自殺に直面することがしばしばでございます。そして、精神科のお医者さんとか心療内科のお医者さんによりますと、心の健康に対する専門家でさえ、自殺の予防は大変難しいものだと話されておりました。自殺未遂の患者さんに対するアフターケアは、大変重要な課題でございます。 心の健康づくりには、メンタルヘルスケアが必要です。メンタルヘルスケアには、いろいろな指導書がたくさんありますが、私は労働衛生コンサルタントの資格を五年前に取りました。会員にとって活動の羅針盤というべき「労働安全衛生コンサルタント必携」とか「労働衛生のしおり」の「心の健康づくり」を引用し、メンタル ヘルスケアの具体的な進め方として、メンタルヘルスケアを四つのケアに分類して質問を当時いたしました。 まず一番目、セルフケア、次にラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアの四つのケアを説明して、先ほど申しました職員の心の健康づくりについて、経営管理部長に質問をさせていただきました。その折の答弁と、こういった岐阜県精神保健福祉センターから出されているパンフレットで、(資料を示す)岐阜県への対応はもう十分と思っておりました。しかし、七月五日に発覚した岐阜県の裏金問題は、県として県民に対して大変申し訳ないことで、申し開きできないような、恥ずべきことであると思っております。そのため、県は、資金調査チーム、弁護士三名から成るプール資金問題検討委員会をつくり、四千三百人以上が処分を受け、そのうち七人の方が懲戒免職となっております。今回の裏金問題は、職員にとって大変なストレスになっております。職員が県民の信頼を取り戻し、生き生きと職務に専念できるように、心の健康づくり対策に取り組む必要があるのではないかと考えております。この点について、総務部長にお尋ねいたします。 二番目に、小・中・高校生へのメンタルヘルスについてお伺いいたします。 小学生、中学生、高校生の自殺が多発していることから、政府も補正予算を組み、早期に再調査のあり方を検討することになりました。若者の自殺の原因として、いじめ問題を大きく取り上げておりますが、そのほか にも、成績を苦に悩んでいるとか、家庭内での親の不和とか、子供たちが受けるストレスは数多くあります。 私は、小・中・高校生へのメンタルヘルスについて、縦横の連絡を密にして対応することが大切だと認識しております。それには、先ほど述べました厚生労働省の出した「心の健康づくり四つの分類」を引用して質問させていただきます。 まずセルフケアについてでございますが、日常生活で子供の異常に最も早く気づくのは家庭です。親です。しかし、子供の成績ばかり気にして、本当の子供の気持ちを理解しない親が多々あると思います。また、家庭が複雑で、まともな日常生活を送れない場合もあります。こうした中で、自分の気持ちを理解されない子供は、極端な場合には、放火に走るなど異常行動に出ることがございます。新聞でもにぎわせております。 二番目、ラインによるケアについて、家庭と学校の連携が必要でございます。さきに申しましたように家庭が複雑な場合、学校、特に担任の先生が子供の家庭状況を把握する必要があります。また、家庭が学校に相談をした場合、早期に対応することも必要です。これまでの例では、家庭が学校に相談に行っても放置され、自殺に至った例がございます。これまでの事例を見ますと、連携が不十分であると思われます。私は、子供の心をケアするためには、まず家庭が子供の異常に気づくこと、そして、家庭と学校が車の両輪のように連携していくことが大切と考えておりますが、教育委員会としてどのように考えておられるのか、教育長職務代理者にお尋ねいたします。 三番目に、学校内保健スタッフ等によるケアについてお伺いいたします。 スクールカウンセラー等、相談体制を整えるため、補正予算も組まれていますが、学校内でのスクールカウンセラーを含めたスタッフが子供の心の健康状態を把握することが最も大切だと思います。スクールカウンセラーは、いじめられた子、いじめた子、両方に対して話を聞き、心の安定を築いていく必要がございます。一方、新聞報道によりますと、教育再生会議が「いじめ問題への緊急提言」として八項目の提言を行っており、その中で、いじめ対策の一つの柱として、加害者への指導を徹底するとしています。しかし、加害者も、いじめたことで被害者に心の痛手を負わせた罪悪感や、周りの目の厳しさのため登校できなくなることもあります。よほど慎重にしないと、ストレスから、いじめていた子がいじめられる立場になることも考えられます。被害者となった子供のケアは当然ですが、加害者となった子供の心のケアも必要だと思います。教育長職務代理者はどうお考えですか、お伺いいたします。 最後に、学校外資源によるケアについてお伺いいたします。 メンタルヘルスの面で問題がある場合、心の健康に対する専門家である精神科、心療内科医師がいる医療機関、地域保健機関に照会するためのネットワークを日ごろから形成していくため、家庭、学校、スクールカウンセラー、子ども相談センターとか精神健康福祉センター、専門家といった連携が必要だと考えます。学校内だけでケアできない場合もありますが、どのように対応すべきと考えておられますか、教育長職務代理者にお伺いいたします。 さきにも述べましたが、心の健康に対する専門家でさえ自殺を予防することは大変難しいことでございます。大人、いわゆる成人に対するメンタルヘルスの指導書はたくさんございます。しかし、子供に対する指導書はほとんどございません。県として、子供の心の診療医の養成について、今後どのように対応されるのか、健康福祉部長にお伺いいたします。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(尾藤義昭君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 三点御質問がございました。 まず、岐阜大学医学部等の跡地エリアの活性化ということでございますが、前にも御質問ございましたけれども、この地域は明治以来、多くの行政機関、公共公益機関が集積しました中心地でございますので、ここをどうするかということは、駅前、柳ケ瀬と並んで県都岐阜市の活性化にとって大変重要な課題であるというふうに思っておりますし、県としても積極的に取り組んでいかなきゃいけない課題だというふうに思っております。 岐阜市の方では、御案内のように、この二月に一体的な活用についての基本的な考え方を公表されておりますけれども、非常に漠とした総論的なものでございまして、これだけではとても前に進んでいけないということで、私ども副知事と市の助役をメンバーとした県・市連携推進会議、あるいは担当者レベルで、県・市の間でさらにどう前に進んでいくかということについて意見交換を行ってきているところでございます。 私ども県としましては、跡地を含めてこのエリアの活性化につきましては、駅前地区と柳ケ瀬地区とのバランス、あるいはそれぞれの特色を考えながら、このエリアならではの特色を生かした人の交流あるいはにぎわいの場をつくっていく必要があるんではないかと、こんなふうに考えておりまして、そういう基本的な考え方を市の方には伝えておるところでございます。 一方、市との意見交換の中で出てきております議論は、市の方は、先ほど議員が地図を御紹介になりましたけれども、この地域にたくさん行政機関あるいは公共施設がありますので、市役所も含めて、その再整備が必要ではないかという問題提起がございまして、ずっと眺めてみますと、もちろん岐阜県の総合庁舎もございますけれども、このエリア全体の中で多くの施設が岐阜市の関連施設でございますので、岐阜市として何を残し、何をどこへ持ってくるのかと。先ほどの十五ゲームになるのかどうか、そういったことも含めまして、まず市としておっしゃるところの行政機関、公共施設の再整備ということについてどうお考えなのかということについて、まず市のお考えを出していただきたいと。それをベースにしながら、私どもの岐阜県総合庁舎も含めたいろんな議論を広げていったらどうかと、こんな話をしておるところでございます。 一方、県庁内には関係課、あるいは現地関係機関の担当者によるワーキンググループを設置しまして、県有地のみならず全体のですね、県庁関係者の中でのアイデアをいろいろと議論いたしております。まさにアイデア段階でございますので、こだわるものではありませんけど、例えば子育てに優しいまちというコンセプトで、この地域に若い子育て世帯のための住宅整備を行う。さらに、子育てサポートセンターなどの支援施設、子育て支援NPOなどの入居施設、保育園・幼稚園・病院・図書館といったような子育て機能に注目した地域づくりというのもあるかもしれないと。あるいは別の観点から、住居施設をベースに岐阜市の歴史や伝統・文化を紹介する観光施設、あるいは市民の文化活動を支援する文化・教養施設ということで、歴史・文化、そして居住に着目した複合的な地域というようなことも、アイデアとしてはあるわけでありまして、こういったことも市には伝えております。 そしてまた、議員から御提案のありました青空市場の設置と。これも、私も海外でいろいろなところを見ておりますけれども、にぎわいの場づくりにとりましては大変重要なアイデアの一つではないかと思っております。そんなような議論を今しておるところでございますので、引き続き前向きに、私どもなりのアイデアを投げながら、また議員の御提案も御紹介させていただきながら、市の考え方とすり合わせをしながら前に進んでいきたいと思っております。 私どもとしては、庁内のワーキンググループも軌道に乗ってきましたので、これをベースに市との協議の場を、この地域をどうするかということについての協議の枠組みについても提案をしていく時期に来たのかなと、こんな感じでおります。 それから、国体を盛り上げるための岐阜国体応援歌の公募というのがございました。実は、昭和四十年の岐阜国体では「岐阜国体賛歌」というのがあるんですが、御存じでございましょうか。これは作詩は公募で、作曲は中田喜直ということで、「黄金色に太陽は燃え 青空に聖き旗樹つ その日 若人はとび魚となり かもしかとなり 泳ぎ走り跳び その技を競い その秘めたる力を試し 未来へ挑む この夢 この希望 岐阜 岐阜 我らが国体」という一番だけの歌なんですね。こういう賛歌がございまして、大変スローな歌でございまして、これもおっしゃるような応援歌としてふさわしいかどうか、今ちょっと中でもいろいろ議論しておるところでございます。 いよいよ国体も六年後に迫っておりまして、来年七月には岐阜国体が内定をすると。表現はちょっと変な表現ですが、正式に内定をするということになるわけでございまして、ここで一つ節目を迎えるということでございます。いよいよ幅広く県民の皆様に周知を図りながら、国体で何を実現するのか、あるいは国体を通じて岐阜県に何を残していくのかと、こんなことを大いに議論して盛り上げていきたいと思っておりますし、そのためにも、来年七月の開催内定を契機とした何か記念の行事的なもの、運動的なもの、そんなことを考えられないかということも考えております。 そういう中で、国体の愛称、スローガン、マスコットキャラクター、テーマソングと、こういったものも当然話題になるわけでございまして、先般、兵庫国体に行ってきましたら、兵庫国体のテーマは「のじぎく兵庫国体」、スローガンは「“ありがとう”心から・ひょうごから」、キャラクターは「はばタン」というんですね。羽ばたくというイメージですかね。それから歌は「はばタンカーニバル」という歌を専門の歌手に歌わせておるということでございまして、いろいろとお知恵をおかりしながら盛り上げていけたらと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 それから最後でございますが、岐阜への定住促進に向けたイメージ戦略、例えば織田信長を活用したらどうかと、こんな話がございます。やはり人口減少社会の中で、どうやって活力を維持しながら地域が生き残っていくかということでございますので、そのためにはやはり独自の地域資源を活用しながら、そのまちならではの魅力あるまちづくり、地域づくりが不可欠であるわけでございます。快適な住居エリアでございますとか、商業施設誘致でありますとか、さまざまなブランド力を向上しながら、結果として定住人口の向上確保につながっていくということも大事だと思っております。 御指摘の団塊の世代、私もそこに属するわけでございますが、ぜひ大量に岐阜に戻っていただいて、例えば子育て支援、子供の見守り、企業の人材育成支援など、大いに活躍をしていただきたいと思っておりますし、それを促すための政策も考えていきたいと思っております。 御指摘のとおり、JRで十七分で行くことができる名古屋に隣接しているという地の利と、それから自然に囲まれた良質な住環境が整っているというのは、岐阜市の大変大きな強みでございまして、これを生かしていくことは大変必要だと思っております。 確かに昨年の六月の議会で、私は木曽川を越えることに、愛知県の方は大変な心理的なバリアがあるということを申し上げたんですが、なかなか難しいという話も議員おっしゃいましたけれども、その後、私もずうっと見ておりますと、最近の状況を見ますと、結構愛知県の方々が木曽川を乗り越えてきておいでになっていると。例えばカラフルタウン、河川環境楽園、昭和村、花フェスタ記念公園、土岐アウトレットモール、多治見のセラパーク、さらには先般開催しました県立美術館での前田青邨展、こういった入り込み客を分析してみますと、県外、とりわけ愛知県からのお客様の割合あるいは数が急増しておりまして、やはり魅力的な施設、エリアには多くの方がおいでになるということが現に生じておるのではないかということでございます。 具体的な数字を若干御紹介しますと、例えば河川環境楽園でございますが、今年度に入りまして四月から十一月で三百九万人お客さんが入っておりますが、そのうちの百四十九万人、約半分が愛知県からの来場者でございます。それから平成記念公園、昭和村でございますが、これも今年の四月から十一月までで五十二万人、うち七〇%の三十六万人が愛知県でございます。花フェスタ記念公園、同じ時期で四十四万人のお客様でございますが、うちちょうど半分の二十二万人が愛知県の方がおいでになっておられます。また、岐阜県美術館、前田青邨展でございますが、一カ月近くの間に約四万人の方が入場されたわけでございますが、そのうちの六三%、二万四千六百人が愛知県からの方であるということでございまして、かなりの程度でこの木曽川が乗り越えられつつあると、そんなような印象があるわけでございます。そういう中で、御指摘の信長のイメージでございますけれども、やはり改革とか創造、自由といったような都市の魅力に結びつきやすいイメージでございますので、これをブランド戦略として活用するのも大変興味深いアイデアではないかと思うわけでございます。 また、そのほかにも岐阜の魅力として、例えば人口当たりの病院や診療所、医師の数が、名古屋市に比べて一割から三割高いということもございますし、人口当たりの図書館の数、蔵書数は二倍になっておりまして、いろいろとすぐれている点、住みやすい点があるわけでございまして、そうした歴史・文化、あるいは子育て環境、医療環境、住環境、魅力を発信しながら総合的なまちづくりを進めていくということについて、これからも意を用いていきたいと思っております。
○副議長(尾藤義昭君) 総務部長 冨田成輝君。 〔総務部長 冨田成輝君登壇〕
◎総務部長(冨田成輝君) 県職員のメンタルヘルスケアについてお答えいたします。 今回の不正資金問題は、職員に動揺を与え、大きな重圧になっております。 職員のメンタルヘルスケアにつきましては、従来から職員の健康管理の重要課題としまして、議員御指摘の四つのケアの視点から各種事業を実施してきております。中でも、相談窓口といたしまして、昨年度から新たに非常勤の健康管理医を配置するとともに、職場外におきましても、精神科医による心の健康相談、臨床心理士によるカウンセリング等を民間機関に委託しております。当局に対してなかなか相談しにくいということも聞いておりますので、民間に委託することによりまして、少しでも相談しやすい体制の充実を図っております。 また、困ったことがあれば何でも言える風通しのよい職場づくりにつきまして、特に管理的立場にある職員に配慮をお願いしており、また管理職による相談窓口に加えて、課長補佐級、主査級、主任級の職員による職位別の相談窓口を置いて、仕事上の悩みを持つ職員が一人で悩みを抱えることのないように、ぜひ気軽に相談してほしいと思っております。 今回の事態を深刻に受けとめまして、職員が自信を取り戻し、職務に打ち込むことができるよう、心の健康づくりに一層努めてまいりたいと考えております。
○副議長(尾藤義昭君) 健康福祉部長 高田幸三君。 〔健康福祉部長 高田幸三君登壇〕
◎健康福祉部長(高田幸三君) 子供の心の健康医、診療医の養成についての御質問にお答えいたします。 いじめや虐待による心の問題を持つ子供や、発達障害児に対し、専門的な診療を行う子供の心の診療医の養成が急務となっておりますが、この分野に対応できる小児科医、精神科医は不足しており、厚生労働省でも昨年から有識者による検討が行われております。県といたしましても、精神保健福祉センターにおいて、医療・教育関係者を対象とした各種講座を開催し、児童、思春期の精神保健の専門家としての知識の向上を図るとともに、発達障害児等の早期発見、早期療育を図るため、本年度から希望が丘学園の小児科医師を一名増員したところでございます。今後とも、引き続き子供の心の診療医の養成・確保の取り組みを進めてまいります。
○副議長(尾藤義昭君) 教育長職務代理者 小山 徹君。 〔教育長職務代理者 小山 徹君登壇〕
◎
教育長職務代理者(小山徹君) 小・中・高校生のメンタルヘルスについて御質問いただきました。 まず最初に、家庭と学校との連携についてお答えいたします。 子供たちの心のケアを行っていくためには、一番身近な存在である家庭と学校の果たす役割が大きいと考えております。家庭と学校が、ふだんから子供たちの小さな変化を見逃さないように、声をかけたり、気になる場合は電話や連絡帳を用いて互いに連絡をとり合ったりして、日常的な情報の共有を行い、両者が一緒になって子供たちを見守っていくことが大切であると考えております。 次に、学校内保健スタッフ等によるケアについてお答えいたします。 学校内保健スタッフ等が子供の心の健康状態を把握し、いじめがあった場合には、被害者はもとより、加害者の心の安定を図るようケアしていくことが大切であると考えております。被害者には、保護者や学校が最後まで守ってくれるという安心感を与え、加害者には、いじめの背景にあるものを受けとめた上で、いじめは許されないということをきちんと理解させていく必要があります。そのため、管理職の指導のもと、教育相談担当者が中心となって、学級担任、養護教諭、スクールカウンセラーとの連携を図る体制を整備したり、教育相談の日や教育相談週間を設置したりするなど、教育相談体制のさらなる拡充に努めてまいります。 次に、学校外資源によるケアについてお答えいたします。 現在の子供たちの心の問題は複雑化しており、専門的な対応が求められるケースもございます。そのため、県においては従前から専門医や専門機関の力もかり、子供たちに対して専門的、具体的な援助ができる体制づくりに努めてまいりました。今後は、この体制がさらに機能するよう、学校が外部機関等についてより理解を深め、より有効に活用できるよう働きかけてまいります。また、今年度から学校が抱えるいじめや非行などの問題を解決するために、専門スタッフを学校に派遣する生徒指導緊急サポートチーム派遣事業を立ち上げたところであり、今後も積極的な活用を図ってまいります。 ………………………………………………………………………
○副議長(尾藤義昭君) しばらく休憩いたします。
△午後三時十二分休憩 ………………………………………………………………………
△午後三時三十五分再開
○議長(白橋国弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ………………………………………………………………………
○議長(白橋国弘君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。三番 松村多美夫君。 〔三番 松村多美夫君登壇〕(拍手)
◆三番(松村多美夫君) ただいま議長さんから発言の許可をいただきましたので、今回、通告に従いまして、五点の問題について一般質問をさせていただきます。 まず初めに、第三セクター鉄道の存続支援についてお尋ねをいたします。 第三セクター鉄道は、皆さん御存じのように、地域の生活を守る鉄道として、昭和五十九年に第一号が営業を開始して以来、厳しい経営環境の中、二十二年間、旅客及び貨物の輸送に携わってまいりました。私は、第三セクター鉄道の存続支援につきまして、平成十五年九月定例会と平成十六年三月定例会の二回にわたりまして、存続支援について一般質問させていただきました。そのかいあってか、県当局の御理解をいただき、岐阜県が県単独補助制度である鉄道基盤整備維持事業費補助金制度の創設をしていただきました。この鉄道基盤整備維持事業費補助金制度は、沿線地域が第三セクター鉄道を高齢者や交通弱者等の日常生活に必要不可欠な公共交通基盤として位置づけ、市民みずからが主体になり、市民みずからの努力により、市民みずからのために維持・発展させる市民鉄道へ転換する場合は、転換に当たっての将来計画を策定いたしまして、県に提示した鉄道事業者に限り、当面、平成十六年度から三年間、線路、電路及び車両の修繕事業に対しまして、県費、補助率二分の一で対応していただけるという画期的な補助制度でありました。第三セクター鉄道にとっては大変ありがたい補助金制度でありましたが、三年間限定ということで、今年で事業年度が終わろうといたしております。そこで、鉄道事業者を初め沿線市町村からも、この補助制度の継続を望む声をお聞きいたしております。 ここで、地元の樽見鉄道の市民鉄道転換への取り組みにつきまして、少し御紹介させていただきます。 NPO法人樽見鉄道を守る会が中心になってファンクラブの創設をし、自治会、子ども会が中心になって、線路沿いの草刈りや駅舎周辺の清掃活動がなされるなど、沿線地域が一体となったマイレール運動に取り組んでおります。また、老人クラブと市当局の御協力で、シルバー割引切符の販売や列車とコミュニティーバスの連携を図り、市民の日常生活の利便性の向上を図っております。また、最近オープンいたしました大型商業施設の御協力によりまして、「モレラ岐阜駅」を新設し旅客の拡大を図ったり、旅客輸送体制の見直しによる経費の節減、イベント列車の運行等々、鉄道事業者の自助努力や質の高いサービスの提供を目指しております。自治体からも、鉄道軌道近代化補助金や鉄道基盤整備維持事業費補助金、経常損失に対する補てん等の助成をしていただいております。しかし、こうした市民鉄道としての必死の取り組みにもかかわらず、近年、道路網の整備やモータリゼーションの進展、そして過疎化と少子化、さらには今年の三月に地元住友大阪セメントの貨物輸送の廃止で、なお一層経営は厳しくなってきております。「モレラ岐阜駅」の開設で利用客の拡大に努め、今年度おおよそ三千五百万円程度の増収は見込めますが、貨物輸送収入の穴を埋めるには至っていないようであります。 第三セクター鉄道は、全国的に見ても、昨年には、のと鉄道が能登線を廃止し、今年に入っても、北海道ちほく高原鉄道及び神岡鉄道が鉄道事業を廃止し、高千穂鉄道は台風・豪雨により壊滅的打撃を受けて、第三セクター方式による経営を断念するに至っております。平成十七年度の輸送実績を見てみましても、第三セクター鉄道の三十九社中二十六社で輸送人員が減少いたしております。また、経営成績についても、実に三十九社中三十四社が赤字経営となっております。これは先ほども述べましたが、少子化による通学客の減少や昨年の燃料の高騰、例年にない台風・豪雨・豪雪などによる輸送人員の減少、施設の破損などが原因に上げられます。しかし、鉄道会社は厳しい経営状況下にあっても、高齢化で車を運転できない人がふえる将来に向けて、あのJR福知山線の脱線事故を踏まえ、安全輸送の確保は最重要課題であり、ATS等安全対策設備の整備や老朽化した設備の取りかえについては必要不可欠であります。そこで、私は各事業者の自助努力による経営維持は限界に達しており、今後ともやはり国・県・沿線市町村の御理解と支援が必要であると考えます。 そこで、国・県・沿線市町村との協調補助である鉄道軌道近代化設備整備費補助金、また県と沿線市町村との協調補助である鉄道基盤整備維持事業費補助金制度の継続は必要であると考えますが、第三セクター鉄道に対する基本的な考え方と、今後の支援策について、どのように考えておられるのか、古田知事にお尋ねをいたします。 続きまして、地方分権と権限移譲についてお尋ねをいたします。 本定例会の初日に、古田知事から、地方分権をめぐる最近の動向について少し触れておられましたが、私からも地方分権と権限移譲についてお尋ねいたします。 国は、来年度の政府予算の編成作業が進む中で、新型交付税の導入や頑張る地方応援プログラムなど交付税制度の改革、また、公営企業金融公庫廃止後の新たなる組織制度設計など、地方分権にかかわるさまざまな動きが見られております。第百六十五回国会において安倍総理は、「地方の活力なくして国の活力はありません。やる気のある地方が自由に独自の施策を展開し、魅力ある地方に生まれ変われるよう、必要となる体制の整備を含め地方分権を進めます」と力強く述べられました。 現在、国・県・市町村ともに財政状況は極めて厳しく、人口減少、少子・高齢化が進む中、地方の市町村ではさまざまな住民のニーズに積極的に対応しながら、行政サービスや施策を展開していかねばならず、高度な行政運営が求められております。より一層、簡素で効率的な行財政運営を実現し、さらには既存の行政区域にとらわれない広域的なまちづくりを進めるために、あの平成の大合併が進められ、行財政基盤の充実・強化を図ることが求められました。現在、地方は大変厳しい財政状況を踏まえ、必死になって行財政改革に取り組んでおります。近接補完の原理から、住民に一番身近な市町村が総合行政主体として自立性を高め、一層効率的な行政運営を進めるとともに、財政基盤の強化が必要であります。 そこで県は、全庁体制で自主的な合併市町村を支援していく体制づくりや道路等の基盤整備、合併後のまちづくりに対する財政的支援など、積極的に取り組んでいく必要があります。 しかしながら、各市町村は合併後、きめ細やかな行政運営は大変難しく、例えば私の町では、合併前のイベントを統合したり、各種団体への補助金の大幅カットや身近な生活道路網の整備も一部行われなくなってきたり、人件費の削減等々を進めており、地方分権との板挟みになっている気がいたします。県民からは、市役所が非常に遠くなったとか、行政サービスが低下した、昔ほど市役所との一体感がなくなった等々、不満の声が聞こえてきます。市の職員からも、合併した市町村へ県からいただける合併市町村支援交付金で公用地を購入しようとしたら、土地の利用計画が明確になっておらんというような理由で活用ができなかったとか、建設を予定していた中学校整備に合併特例債を充てようと計画したら、国の取り扱いが変わって、一部について認められなかったというようなこともあり、合併特例債の利用条件が厳しすぎるのではないかとの御意見をいただいております。合併特例債、合併市町村支援交付金が果たしてうまく回っているのか危惧をいたしております。 合併した市町村の合併特例債を見てみますと、地元本巣市では百八十五億円程度、隣の瑞穂市では百二十二億円程度、県下合わせますと、総額三千九百億円程度の発行限度額がありますが、現在、主にどのような事業目的に使われ、そうしたトラブルはないのか、まず一点目として総合企画部長にお尋ねをいたします。 続きまして、権限移譲についてお尋ねをいたします。 県は、平成十年度から市町村への権限移譲を進め、平成十八年六月までには八百七十二項目の権限事務が移譲されているとお聞きいたしております。権限移譲を受けた市町村が円滑に事務を処理していくためには、その事務処理に必要な財源の措置が十分になされ、人的支援、技術的支援が必要であると考えますが、現在の権限移譲についてどのような考えで取り組まれ、その進捗状況がどのようになっているのか、総合企画部長にあわせてお尋ねをいたします。 また、一方、合併をしなかった町村では、逆に権限移譲が財政面を圧迫したり、人的に負担になったりしていないのか、権限移譲で県民サービスの提供が不均衡になっていないのか、これらの点についても総合企画部長に御答弁をよろしくお願いいたします。 次に、認定子ども園制度についてお尋ねをいたします。 近年、幼稚園と保育園については、保護者の就労の有無で利用する施設が限定されておりました。少子化が進む中、地方では幼稚園と保育園が別々では、子供の成長に必要な規模の集団が確保しにくいということや、子育ての不安や負担を感じている保護者のために、各市町村では幼保一元教育を実施したりして対応してきました。今回、国はこのような環境の変化を受けて、幼稚園と保育園がそれぞれよいところを生かしながら、その両方の役割を果たすことができるような新しい仕組みをつくろうという観点から、平成十八年十月一日に、認定こども園制度がスタートいたしました。 認定こども園制度について少し御説明をさせていただきますが、これは就学前の保育・教育は現在、児童福祉法により保育所が運営をされており、学校教育法により幼稚園が運営されております。今度の法律では、これまでの幼稚園や保育所等が、その法的な位置づけを保持したままで、就学前の子供に幼児教育・保育を提供する機能や地域における子育て支援を提供する機能を備えました。そのため、ゼロ歳から就学前の児童すべてを対象とすることができるようになりましたし、保育に欠ける子供も欠けない子供も受け入れることができるようになりました。また、すべての子育て家庭を対象に、子育て相談や親子の集いの場を提供できるようになりました。これにより、就学前の保育・教育のニーズに対応する制度として、新たな選択肢が提供されることになったのであります。 こうした法律ができた背景には、少子化の影響と働く保護者の子育て支援にありました。ここ十年間で、幼稚園児数は約十万人減少いたしました。しかし、一方、働く母親の増加などで、待機児童数は都市部を中心に保育所で二万三千人以上とふえております。すなわち幼稚園児数は減ったにもかかわらず、保育所の待機児童数はふえておるということでございます。そこで政府は、既存の幼稚園などを活用して待機児童を解消することにいたしました。また、保護者が働いている、いないにかかわらず、継続して同じ施設が利用できることや、主に専業主婦への子育て支援が拡充できることをメリットに上げております。 しかし、前回の九月の定例議会で大西県議も質問されましたが、保育・教育関係者からは、国と自治体の責任を後退させて、財政削減や保育水準の切り下げにつながるのではないかという御批判や、この認定こども園制度と国と自治体が責任を持つべき公的保育制度とのさまざまな矛盾が指摘をされております。例えば、現状の保育環境や保育水準の低下や地方との格差を招かないか、施設ごとに保育料が自由に設定される点など、多くの問題点が指摘されております。 以上のような課題がある中、県が十月に制定した条例の認定基準において、認定こども園の施設設備や職員配置、資格等は、現在の幼稚園と保育所の現行水準を堅持できるか、再度確認のためお尋ねをいたします。 また、現在の認定こども園制度の県民への周知及び保育所や幼稚園の設置者から、申請状況はどのようになっておるのか、以上二点について、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 続きまして、未履修問題とその背景にあるゆとり教育についてお尋ねをいたします。 文部科学省の集計を見ますと、高校の必修科目の未履修問題で履修時間が不足している三年生は、全国で十万四千二百二人に上り、全国の高校三年生の九%に当たっております。 全国で公立三百七十一校、私立二百九十二校の計六百六十三校で判明をし、全国の国・公・私立高校計五千四百八校の一二・三%に上っております。岐阜県では、未履修高校は、先ほど来お話がありましたように、公立高校六十九校中十一校、私立高校十六校中八校の、県下全部で十九校が未履修であったとお聞きをいたしております。 各県の教育委員会の説明によりますと、未履修の理由として学校側は、生徒の進路希望実現のためとか、大学受験対策のためなどと説明をいたしております。要するに、受験対策を優先して学習指導要領を逸脱したという背景には、やはり大学への合格実績を意識した進学校の苦悩が浮かび上がっております。 必修科目を無視してでも受験科目を教えなければならなくなった根本的な原因の一つには、平成八年度から実施のゆとり教育の導入であり、平成十四年度から実施の週五日制の導入で、教える時間がなくなってしまったのだと考えます。ゆとり教育で、小・中学校の内容は三割程度削減されておりますけれども、大学受験の内容はほとんど削減されておりません。小・中学校で勉強しなかった分、しわ寄せが、高校でより多くの勉強をしなければならなくなったと言われております。当然、時間の制約を受けますので、倫理とか世界史みたいに理解のしにくいものは、やる暇はないんだということであります。さらに、少子化により子供が減ってきた分、学校間での生徒の取り合い競争も激しくなってきております。これらのことが、受験がすべてという現状になってしまった主な原因ではなかろうかと考えます。 未履修生徒に対する補習は七十時間。ただし、これは学校長の判断で五十時間程度までの削減は認めるというおかしな話でございますけれども、中には学習指導要領が悪いとの声や、教育制度と現状のずれを指摘する意見が上げられておりますが、いずれにしてもきちんと履修している生徒さんからすると、そんなばかなという言いわけにしか聞こえてきません。週五日制になり、学習指導要領に従うのは厳しいかもしれませんけれども、きちっと学校、教育委員会は生徒一人ひとりのことを考えて、正しい教育をしてもらいたいと考えます。 また、一方、ゆとり教育の弊害で学力低下の問題が浮かび上がっております。 近年、国際調査で子供の読解力や数学の能力の低下が相次いで問題化しており、非常に残念な思いをいたしております。一九七〇年代、詰め込み教育の批判から、一九九〇年代、ゆとり教育が叫ばれ、現行の学習指導要領ができたようでありますが、無理があるのではないでしょうか。教育委員会として、未履修問題については、この問題が発覚するまで本当に知らなかったのか。今後、この未履修問題をとらえ、どのように対処していかれるのか。先ほど安田県議、不破県議の御質問にもございましたが、未履修問題の現状と今後の県の対応について、関係者の処分も含め、
教育長職務代理者にお尋ねをいたします。 また、これは岐阜県だけの問題ではありませんけれども、ゆとり教育や週五日制の導入に対する弊害で未履修問題が起きてきたとの御指摘がありますが、この点について、どのような認識を持っておられるのか、
教育長職務代理者にあわせてお尋ねいたします。 最後に、市町村の自主運行バスの現状と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。 自主運行バスは、道路運送法の許可に基づいて市町村が有償で運行するバスのことでありますが、地方によってはワンコインバスとかコミュニティーバスと、各地で呼び方はさまざまであります。交通弱者や高齢者の足として、各地で自主運行バスが運行されております。私たちの住む郊外では、市町村の自主運行バスは、高齢者が買い物や病院、市役所へ行くための単なる輸送手段でありますけれども、岐阜市など市街地では、幹線バスと結節した公共バス中心の交通体系を築き、市街地の活性化を図っておるようでございます。 岐阜県下の運行状況を見てみますと、平成七年度に二十六市町村で九十七系統で運行されておりましたが、年々自主運行バスもふえてまいりまして、昨年度には三十一市町村、四百三十二系統で運行されるようになりました。しかしながら、県下の利用状況を見てみますと、高齢者の足として便利なはずの自主運行バスも、利用客が少ないのが現状であります。平成七年度当初は平均収支率も四〇%でありましたが、年々悪化してきまして、昨年は平均収支率も二八・三%と大きく下がってきております。利用客の少ない系統では、地域住民のニーズを調べて、本当に必要な高齢者、交通弱者に対して、例えば有償運送サービスが利用できるような交通体系への移行も必要ではないかと考えます。 わが町本巣市でも、「もとバス」と名づけられて百円で運行されておりますが、昨年度の実績は一日平均二十三・七人、一便当たりわずか二・二人の乗車率でありました。今年から一部コースを見直して運行を続けておりますが、現状は大変厳しくて、一日平均二十一・二人、一便当たり一・五人と、昨年の平均実績を下回っており、業績はなかなか上がってきません。昨年度は三千五百万円ほどの赤字を計上し、市民からは改善を望む声が上がっております。 ほかの市町村の昨年度の収支状況を見てみても、関市、山県市、下呂市が一億円以上の赤字を出しておりますし、三千万円以上の赤字の市町村は十九市町村にも上っております。平成十七年度の県下の年間収支状況を見てみますと、県下の
市町村自主運行バスの年間運行経費というのが二十億八千万円ほどかかりますが、運行収入の方は五億八千九百万円と、実にこの事業で十五億円もの赤字を計上いたしております。そんな状況ですので、県の運行費補助金、これは三分の一補助をいただいておりますが、これも年々ふえてまいりまして、平成七年度一億四千万円であったものが、昨年、平成十七年度には五億一千二百万円と、実に十年間で三・六倍にも補助金がふえております。年々県財政に及ぼす影響は厳しいものがあると考えます。当然、各市町村の財政負担も県の補助金の二倍程度ありますので、昨年は約十億円の持ち出しということになっておりまして、これもまた市町村の厳しい財政を現在圧迫しておるという状況でございます。 じゃあなぜ乗らないのかと調べてみましたら、目的地まで時間がかかり過ぎるということやら、逆に便が少ない、公共交通機関との連携が悪い、さまざまな御意見をお聞きをいたしております。しかし、私は市町村の単独運行にはもう限界があるのではないかと考えております。そこで隣接市町村との連携を図ったりして、もう少し地域のニーズに合った効率のよい運行ができないものかと考えます。 そこで、県として自主運行バスの現状の認識と今後の方針についてどのように考えておられるのか、都市建築部長にお尋ねいたします。 以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。 (拍手)
○議長(白橋国弘君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 私の方には一問、第三セクター鉄道の存続支援についてお尋ねがございました。 御指摘のとおり、全国的に過疎化、少子化、あるいはモータリゼーション、あるいは貨物輸送のトラック輸送化ということで、大変輸送需要が減少して経営状況が厳しくなっておるわけでございます。県下の樽見鉄道、明知鉄道、長良川鉄道、いずれも利用者数は年々減少を見ておりますけれども、この三つ合わせまして年間二百二十万人余の皆さんが利用しておられるというのも現実でございます。また、その約六割が通学生徒であるということでございまして、多くの方々の生活を支える重要な路線であるということも認識しておかなければならないと思っております。 また、議員からも御紹介ございましたけれども、各鉄道においていろいろと御苦労しておられるということでございまして、例えば鉄道事業者による企画列車の運行でありますとか、費用削減でありますとか、あるいは高齢者向けの優遇切符でありますとか、通学生・市民による駅舎の清掃などのボランティア活動でありますとか、いろいろと第三セクター鉄道の維持・活性化に向けた取り組みがあるわけでございまして、今後ともこうした取り組みを継続していただきたいと思っておるところでございます。 一方、そういう努力にもかかわりませず赤字が続いておるわけでございまして、その中で老朽化した設備の改良など安全対策を講じていくには大変厳しい状況になっておるということでございますけれども、やはり大量輸送機関であるだけに、安全な輸送サービスの提供は欠かせないということであるわけでして、御指摘のあった補助金につきましてもそういった観点から、県としても支援を行っておるところでございます。 こうした中で、昨年の四月に福知山線の列車事故がございました。また、十二月に羽越線の列車事故もございまして、安全確保に対する社会的要請はますます強くなっておるということでございまして、県としても、この第三セクター鉄道について引き続き安全運行を強く要請しているところでございます。 そこで、御指摘の補助制度でございますが、私どもとしては安全運行ということと、存続支援という、この二つの目的を兼ね合わせてこれまで実行させていただいておったというふうに考えておるわけでございます。今後、この存続支援をどうしていくかにつきましては、国や市町村との役割分担、それからこれまでの支援の成果、それから鉄道事業者の自助努力、また沿線市町村などの利用促進活動の状況等、いろんな要素を踏まえながら検討していくことが必要ではないかということでございます。具体的な予算そのものにつきましては、現在、作業中の平成十九年度予算編成過程の中で、以上のようなことを踏まえながら十分検討を行ってまいりたいと思っております。
○議長(白橋国弘君) 総合企画部長 丸山 進君。 〔総合企画部長 丸山 進君登壇〕
◎総合企画部長(丸山進君) 地方分権と権限移譲につきまして三点の御質問をいただきました。 まず初めに合併特例債、それから合併市町村支援交付金の利用状況についてお答えいたします。 合併特例債及び合併市町村支援交付金は、合併市町村の一体性の速やかな確立、あるいは均衡ある発展ということに資するような公共的な施設の整備などに活用できる資金だということにいたしておりまして、県内ではこの目的に該当するようなものといたしまして、例えば道路、あるいは防災行政無線、あるいは小・中学校の校舎、その他さまざまな施設の整備の事業などに活用されております。これらの資金は、地方債あるいは交付金ということで、当然その取り扱いについて一定の要件がございます。他方で、これまでの事例を見ますと、議員からも御指摘がございましたけれども、国の判断によって合併特例債についての取り扱いが変わったといったことで、その利用が一部認められなかったような事例もございました。県といたしましては、これらの資金が最大限に活用され、十分な効果が得られますよう、当然適切な助言や情報提供はさせていただきますが、こうしたことに加えまして、例えば合併特例債につきまして適切あるいは柔軟な運用が行われるように、必要に応じて国との調整も図ってまいりたいというふうに考えております。 それから第二点といたしまして、市町村への権限移譲に関する考え方、あるいは進捗状況についてのお尋ねがございました。 地方分権が進展をする中で、県が有しております権限のうち、例えば住民に一番身近な市町村で処理されることによって住民の利便性が向上する、あるいは処理期間が短縮をされる、さらには地域の実情を踏まえた施策がより実証されるといったような効果が期待できるものにつきましては、市町村の御意向も踏まえながら移譲を進めることが必要であるというふうに考えております。これまで、三次にわたりまして権限移譲を進めてまいりましたが、この結果、県から移譲可能ということで示した約三千五百項目がございますが、このうち市町村が希望されておられます八百七十五項目については、移譲が進められております。 こうした権限移譲を進めるに当たりましては、市町村の側において適切あるいは円滑に移譲事務を執行することができるような支援が必要だと考えておりまして、例えば人事の交流、あるいは実務研修生の県への受け入れなどの人的な支援、あるいは移譲事務に係ります人件費や事務費について、事務移譲交付金を措置すると いうこと、さらには説明会ですとか、あるいはマニュアルの作成等の支援も行っているところでございます。 なお、今後の権限移譲の進め方につきましても、これは国と地方との関係についての見直しが進む中で、公共サービスの民間開放の動きなどもございますので、こうしたことも踏まえながら、さらに市町村と相談をしてまいりたいと考えております。 それから第三点といたしまして、市町村への権限移譲に絡みまして、市町村の財政的・人的な負担、あるいは県民サービスの不均衡ということについてお尋ねがございました。 現在進めております第三次の権限移譲では、県が選定をいたしました権限を一律に移譲するというやり方ではなく、市町村が希望されるものを移譲するということを基本として対応しておりますので、これは合併市町村かどうかということにかかわらず、市町村がそれぞれの実情に応じて取り組んでいただいているものというふうに考えております。 一方で、そうした取り組みを進めていきます中で、すべての市町村には移譲がなされていない、いわゆるまだら状態となっている項目も数多くございます。議員から御指摘がございました権限移譲によって県民サービスに不均衡が生ずるといったことが起こらないように、市町村の御意向も踏まえながら、こうしたまだら状態の解消に向けて、さらに引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○議長(白橋国弘君) 健康福祉部長 高田幸三君。 〔健康福祉部長 高田幸三君登壇〕
◎健康福祉部長(高田幸三君) 認定こども園制度についてお答えをいたします。 まず、保育及び教育水準の確保についてでございます。 県条例につきましては、国の指針に沿って、原則現行の保育所及び幼稚園双方の基準を満たし、保育の質の確保、教育水準の維持を基本といたしております。条例の制定に当たり、関係者からの意見聴取やパブリックコメントでいただいた御意見の多くも、現在の保育所及び幼稚園の保育、教育水準の確保を望むものでございました。認定基準は、既存施設からの移行が困難とならないよう、職員資格、調理室、運動場等、一部について一定の特例を設けておりますが、この場合においても、保育及び教育水準の低下、あるいは施設機能の低下にはつながらないよう、あくまで子供の処遇に悪影響を与えない合理的な範囲内での措置としているところでございます。 認定こども園制度につきましては、県条例制定前から制度の周知を図ってまいりましたが、制定後においても、保護者を初め市町村、保育所、幼稚園関係者の方々に対し、具体的な制度運用についての説明会を県内三カ所で開催いたしました。今後も引き続き、制度をわかりやすく説明したチラシの配布や、ホームページを通じて広く県民に対する制度の周知に努めてまいります。 なお、現在のところ、認定申請はいただいておりませんが、申請を前提とした御相談は数件寄せられている状況でございます。
○議長(白橋国弘君) 都市建築部長 松浦 弘君。 〔都市建築部長 松浦 弘君登壇〕
◎都市建築部長(松浦弘君)
市町村自主運行バスに関する御質問にお答えします。
市町村自主運行バスの現状は、議員御指摘のとおり運行系統数が増加する中、収支率は悪化しており、バス運行に要する財政負担も増大しております。この財政負担を軽減するためには、地域ニーズに応じた運行内容の見直しによりバス利用者の増加を図るとともに、効率的な運行を行うことが必要と考えます。 本年十月の改正道路運送法の施行に伴い、市町村、地域住民、バス事業者、国等で構成する地域公共交通会議での合意に基づき、多様な形態の運送サービスの導入が可能となりました。この会議を複数の市町村が共同で設置することにより、市町村の区域を越えるニーズについても対応を検討することができます。県といたしましては、市町村等に対して制度改正の周知を図るとともに、この会議において広域的な自主運行バスの先行事例の情報提供や助言を行うなどして、より利用しやすく、効率的なバス運行が図られるよう努めてまいります。
○議長(白橋国弘君)
教育長職務代理者 小山 徹君。 〔
教育長職務代理者 小山 徹君登壇〕
◎
教育長職務代理者(小山徹君) 未履修問題とゆとり教育について、まず高等学校における未履修問題の現状と今後の対応についてお答えいたします。 本県では、県立高校十一校で未履修が明らかになりました。現在、これらの学校では、文部科学省が示した運用指針に基づき、生徒の負担や保護者の不安に十分配慮して、必履修科目が確実に履修できるよう、補充授業を実施しております。 県教育委員会では、年度ごとにカリキュラム表や教科書の購入数、年間指導計画を突き合わせて、その整合性をチェックして、適正にカリキュラムが実施されているかどうかを確認してまいりました。しかし、今回未履修があった学校では、提出されたカリキュラム表と異なる授業が実際には行われていたため、未履修の実態を把握することはできませんでした。今後は、新たに教員の時間割表の提出を求め、従来のチェック体制とあわせて二重にチェックするとともに、学校訪問の際、カリキュラムの実施状況について確認してまいりたいと思っております。 なお、処分につきましては、未履修となった経緯をきちんと調査し、生徒に対する補充等の対応のめどが立った時点で対処してまいりたいと考えております。 次に、未履修問題の認識についてお答えいたします。 平成八年の中央教育審議会の答申で提言されたゆとり教育は、従来の知識偏重の詰め込み教育に対する反省から、生徒がゆとりの中でみずから学び、みずから考える力など、生きる力の育成をねらいとしております。ゆとり教育や、平成十四年度から始まった学校週五日制による授業時数の減少は、今回の問題の要因の一つであると言われておりますが、本県公立高校六十九校中五十八校が学習指導要領を遵守しており、ゆとり教育や週五日制が未履修問題の直接の要因とは認識いたしておりません。 ………………………………………………………………………
○議長(白橋国弘君) 以上をもって本日の日程はすべて終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配布いたします。 本日はこれをもって散会いたします。御苦労さまでした。
△午後四時十八分散会 ………………………………………………………………………...