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  1. 岐阜県議会 2001-06-01
    07月03日-02号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成13年  6月 定例会(第3回) △議事日程(第二号)                    平成十三年七月三日(火)午前十時開議 第一   議第九十五号から議第百十二号まで 第二   請願第三十八号から請願第四十号まで 第三   一般質問          ……………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一  日程第一  議第九十五号から議第百十二号まで 一  日程第二  請願第三十八号から請願第四十号まで 一  日程第三  一般質問          ……………………………………………………… △出席議員      五十一人 一番   川上哲也君 二番   古川雅典君 三番   森  縋君 五番   伊藤正博君 六番   笠原多見子君 七番   洞口 博君 八番   白木義春君 九番   松永清彦君 十番   板垣和彦君 十一番   渡辺 真君 十二番   早川龍雄君 十三番   大西啓勝君 十四番   岩花正樹君 十五番   野村保夫君 十六番   渡辺猛之君 十七番   駒田 誠君 十八番   藤墳 守君 十九番   松岡憲郎君 二十番   戸部一秋君 二十一番   市川尚子君 二十二番   不破照子君 二十三番   原 保治郎君 二十四番   安田謙三君 二十五番   尾藤義昭君 二十六番   早川捷也君 二十七番   玉田和浩君 二十八番   加藤一夫君 二十九番   伊佐地金嗣君 三十番    中村 慈君 三十一番   近松武弘君 三十二番   白橋国弘君 三十三番   平野恭弘君 三十四番   岡田 脩君 三十五番   高井節夫君 三十六番   岩井豊太郎君 三十七番   渡辺信行君 三十八番   小川 豊君 三十九番   伊藤延秀君 四十番    山下運平君 四十一番   山田忠雄君 四十三番   宮嶋和弘君 四十四番   田口淳二君 四十五番   加藤利徳君 四十六番   殿地 昇君 四十七番   高田藤市君 四十八番   松野幸昭君 四十九番   坂 志郎君 五十番    古川利雄君 五十一番   猫田 孝君 五十二番   船戸行雄君 五十三番   木村 建君        ……………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長       種田昌史 参事兼総務課長    長屋 勝 議事調査課長     安藤 純 議事調査課管理監   井上 勇   同 課長補佐   原  斎   同 課長補佐   桂川二太郎   同 課長補佐   伊藤治美   同 課長補佐   市原清司   同 課長補佐   酒井 忠   同 課長補佐   小石明己   同 課長補佐   仙名幸樹   同 主査     堀江哲徳          ……………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事            梶原 拓君 副知事           大野慎一君 副知事           奥村和彦君 出納長           高橋新蔵君 理事兼知事公室長      棚橋 普君 理事兼経営管理部長     横山昭遵君 知事公室参与        奥村寛治君 知事公室参与兼科学技術 振興センター所長      小倉伸一郎君 経営管理部参事       広瀬利和君 地域計画局長        藤森祥弘君 県民生活局長        鬼頭善徳君 事業経営局長        薫田大二郎君 防災対策監         林 雅幸君 健康局長          金田修幸君 福祉局長          小野崎弘樹君 環境局長          田代一弘君 農林水産局長        坂 英臣君 商工局長          長屋 栄君 新産業労働局長       豊田良則君 建設管理局長        平田佳史君 都市整備局長        鈴木 治君 農山村整備局長       三島喜八郎君 人事委員会事務局長     渡辺忠雄君 代表監査委員        丹羽正治君 地方労働委員会事務局長   黒田孝史君 教育委員会委員長      山本善一郎君 教育長           日比治男君 教育次長          篠田昌利君 警察本部長         加地正人君 警察本部総務室長      杉岡 武君          ……………………………………………………… △七月三日午前十時九分開議 ○議長(宮嶋和弘君) ただいまから本日の会議を開きます。      ……………………………………………………………………… ○議長(宮嶋和弘君) 諸般の報告をいたします。 書記に朗読させます。   (書記朗読) 請願書の受理について 請願第三十八号 食品安全行政の強化・充実に関する意見書についての請願ほか二件の請願書を受理しました。 監査結果等の報告について 監査委員から、平成十三年六月二十八日付をもって、地方自治法第百九十九条第九項の規定により出資出捐団体等の監査の結果について、同日付をもって、同法第二百三十五条の二第三項の規定により出納検査の結果についての報告がありました。      ……………………………………………………………………… ○議長(宮嶋和弘君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。      ……………………………………………………………………… ○議長(宮嶋和弘君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。三十番 中村 慈君。   〔三十番 中村 慈君登壇〕(拍手) ◆三十番(中村慈君) 私は県政自民クラブを代表いたしまして、当面する県政の諸課題につきまして質問をせていただきます。 質問に先立ちまして一言申し上げます。 先月八日、大阪府池田市で起きました小学校児童殺傷事件で被害に遭われました児童、そしてその家族、学校の関係者の皆さんに、まずもって心から御冥福、お見舞いを申し上げたいと思います。また、最近になりまして、岐阜市内におきましても下校途中の児童が刃物で傷つけられるという事件も起きています。こうした事件には、大きな憤りとともに何ともしがたい深い悲しみとやりきれない気持ちでいっぱいでございます。今後、このような悲劇が繰り返されないよう、関係者だけでなく、地域、社会が一丸となって防止対策に取り組まなければならないと思います。 小泉総理のメールマガジン遠山文部科学大臣が特別寄稿されてみえました。「かつて日本は、世界で最も安全な国として知られていました。一九七〇年代初めにベストセラーになりましたイザヤ・ベンダサン著の「日本人とユダヤ人」でも、日本人は、安全と自由と水をただだと思っている世界でもまれな国民であると書かれていました。それが今や到底安全とは言えなくなったことを憂えます。今回の不幸な事件をむだにせず、正すべきは正し、また、多少のコストはかかっても、市民が心安らかに生活できるような社会をつくっていきたいものです」と寄稿されてみえます。 一方、暗いニュースが多い中で、この四月に宮内庁から発表されました皇太子妃殿下雅子様御懐妊は、全国民、全県民が待ち望んでいた朗報でございました。雅子様には、御成婚以来、皇太子殿下と御一緒に、みどりの愛護の集い、国民文化祭、二〇〇〇年岐阜総体へと岐阜県に三度お越しいただいており、県民へのあの明るい笑顔を手向けていただきました。お体を御自愛いただき、無事御出産されますことをお祈りしたいと思います。お子様誕生の折には、ちょうちんの一大産地であります本岐阜県では、ちょうちん行列などの祝賀の行事もよいのではないかと思っております。 それでは質問に入らせていただきます。 初めに、現下の国、地方を通じた経済、財政の構造改革について知事にお尋ねいたします。 国においては、聖域なき構造改革、改革の断行を掲げた小泉内閣が成立し、はや二カ月が経過しました。首相はその所信表明の中で、「構造改革なくして日本の再生と発展はあり得ない」「構造改革なくして景気回復なし」とし、経済、財政、行政、社会、政治の各分野における構造改革を進め、新世紀維新ともいうべき革新を断行したいと述べておられます。また、六月二十七日には、今後の経済財政運営や経済社会の構造改革に関する基本方針、いわゆる「骨太の方針」が閣議決定され、構造改革の基本的な考え方が明らかにされたところであります。その基本方針では、民営化・規制改革プログラムチャレンジャー支援プログラムなど七つの改革プログラムとともに、地方にとって大きな影響を及ぼすと考えられます「道路等の特定財源のあり方の見直し」「地方交付税の見直しと地方税の充実」などが盛り込まれています。こうした構造改革を進めようとする考えは、閉塞状況にある日本の経済、財政、政治を刷新し、二十一世紀の新しい日本を築いていこうとするもので、こうした改革志向は大いに評価でき、国民の期待も大きいものであると考えます。また、小泉内閣が手がけようとしている改革は、地方においても大きな影響を及ぼします。改革には痛みが伴い、その痛みは分かち合わなければならないと思います。しかし、痛みを分かち合うためには、何よりも地方やそこに暮らす住民の皆さんが納得できる姿で改革が行われることが必要です。 さらに、社会資本の整備状況や財政の構造、地域地域には、さまざまな状況、事情があり、改革は中央主導の全国一律の考え方で進められるべきではありません。地域のことは地域で自主的に考え、実行できる体制とすることがまさしく構造改革となるのではないでしょうか。総理も所信表明の中で、民間にできることは民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねるとうたっておられます。小手先の地方分権でなく、真に地方が自立し、自助努力し、それが地方自身に反映される構造へと変えていくことが必要です。こうした地域に根差した構造改革を実現するために、まず私たちがみずから地方のことを考え行動するとともに、国にも主張すべきことは主張していかなければなりません。地方が行動し、地方が支える構造改革であるべきです。小泉内閣は、地方の力によってできた内閣であります。地方の実情、地方の意見を十分踏まえた議論が必要と考えます。 そこで、まず、構造改革の一つの大きなテーマであります「経済の構造改革」についてでありますが、昨今の経済状況を見るに、六月の月例経済報告でも「景気は悪化しつつある」としている中、景気の動向による経済への影響は、中央よりもむしろ地方において厳しいものがあります。改革に伴う痛みを最小限にとどめるためにも、地域において独自に経済対策に取り組むことがぜひとも必要と考えます。このような観点から、知事は、本県の経済状況をどのように認識しておられるのか、また、現下の厳しい景気の状況に対処するため、あるいは地域経済の建て直しのために、どのような対策を講じていかれるおつもりなのか、お尋ねいたします。 次に、「財政構造改革」についてでありますが、さきに触れましたとおり、この改革は、地方財政に大きな影響を及ぼします。改革はもとより必要ですが、地方へのつけ回し的な見直しは真の意味での構造改革とはなりません。特に地方においては、立ちおくれている社会資本整備の状況等を十分に認識した上で、その状況、状況に的確に対応できるような財政の構造を持つことが必要であります。 そこで、大きな議論を呼んでいます道路特定財源制度について、政府はその見直しを行う方針であります。地方における道路整備はまだまだ不十分な状況にあり、地域住民の生活を守る観点からも、この問題については地方からも声を上げ、主張していかなければならないと考えます。道路特定財源制度に対する考え方について、知事の御見解をお聞かせいただきたいと思います。 さらに、財政構造改革を進めるに当たって、地方交付税を削減しようとする議論があります。地方交付税は、地方にとって不可欠な共有財源であり、これを国の財政の都合によって一方的に削減することは、地方に対する安易な負担転嫁にすぎず、筋が通りません。地方交付税を初めとする地方税財源に関する制度はどうあるべきか、こうした見直しの議論に今後どう対応していくのか、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 最後に、現在の日本において取り組まなければならない最大の構造改革は地方分権であり、国と地方の関係を構造的に改めることだと考えます。地方のことを中央で事細かく決めるのではなく、地域の住民と直結した地方自治体がみずからの権限で決定し、実行し、また自立的にこのための財源を確保する体制にすべきであります。構造改革は、我々の生活にも深くかかわってまいります。繰り返しになりますが、構造改革の検討、実施に当たっては、地域住民の生活を守る観点から、あるいは地方分権を進める観点から、地方からも積極的に提案していかなければならないと考えます。このことは構造改革に限りません。地方発の政策を情報発信し、国に積極的に提案するという取り組みが今ほど必要かつ重要なときはありません。岐阜県では、これまでも提案型の要望を重視し、国に制度化を働きかけ、現実に政策化されたものが多々あると思っております。こうした提案型要望に一層の力を入れ、地方の実力を示すことが地方分権への近道でもあります。国、地方を通じた構造改革を進めることにもなります。そこで、制度提案型要望のこれまでの実績と成果、そしてまた、今後どのような要望を行っていこうと考えておられるのか、知事にお尋ねをいたします。 続きまして、冒頭に申し上げました大阪教育大学附属池田小学校で起きた児童殺傷事件に関連いたしまして、学校等における幼児・児童・生徒の安全確保についてお尋ねいたします。 この池田小学校で起きた殺傷事件につきましては、あまりにも痛ましく、決して許されない出来事だと思っております。亡くなられた児童の皆さんには、将来の夢や希望があり、楽しい生活があったであろうに、それが無惨にも打ち崩されてしまいました。その保護者の方々の心中を察すると、何と申し上げてよいか、言葉が出てこない次第であります。また、先月二十日には、岐阜市においても下校中の児童が路上で刺されるという衝撃的な事件も起きてしまいました。私たちは、これらの事件を契機とし、二十一世紀の岐阜県を担う幼児・児童・生徒の安全を守るために、学校も家庭も地域も真剣に考え行動していかなければならないときであると考えます。 今回の一連の事件から考えてみますと、幼児・児童・生徒にとって、学校は安全な場所であると決して言い切れなくなったという認識に立つ必要があると思います。また、学校外においても、下校途中の児童・生徒に刃物を見せておどかしたり、暴力を振るうなどの大変危険な事件が多数発生しており、もはや、学校だけでは幼児・児童・生徒の安全を守ることはできない社会情勢になってきております。そこで、まず、学校が幼児・児童・生徒にとって安心できる場所となるよう緊急に安全確保の徹底を支援していくことが必要であると思うのであります。不審者の立ち入りなどの対応を含め、万が一の場合にも即座に対応できる体制をつくり上げることが重要であると思うのです。また、地域や家庭において、学校とも十分連携し、地域全体で幼児・児童・生徒の安全を守り、育てていくことの重要性をしっかり認識していただき、そのための体制づくりを行っていくことが必要であると考えます。このような体制づくりを進めていくことが開かれた学校づくりを一層推進するものであります。 そこで、教育委員会委員長にお尋ねいたします。このたびの事件を踏まえて、学校等における幼児・児童・生徒の安全確保について、これまでどのような対応をされたのか。また、今後どのような対策を講じていこうとされているのか、教育委員会の考えをお聞きしたいと思います。 次に、県税収入についてお尋ねいたします。 新聞報道などによりますと、二〇〇一年三月期の上場企業の連結決算は、IT市場の拡大による増収や各企業のコスト削減などの結果、五社に一社の割合に当たる二百三十八社が純利益で最高を更新したとされております。また、平成十二年度の国の税収については三年ぶりに五十兆円台を回復する見通しであり、都道府県の税収も四年ぶりに地方財政計画を上回る見通しとの報道がなされております。しかしながら、最近の我が国の経済は、製造業を中心に全体的に減速感が広がっており、内閣府が発表した六月の月例経済報告では、「個人消費はおおむね横ばいの状態が続いているものの、輸出・生産が減少し、企業収益の伸びも鈍化しており、景気は悪化しつつある」として、五カ月連続で景気判断を下方修正しております。一方、県内企業では、五月の倒産件数は二十八件、五月の倒産件数としては過去十年間で最多となっており、依然として厳しい状況が続いております。このような中で、県税収入は一般財源の柱として、本県の財政運営に重要な役割を担うものでありますが、現在の経済情勢を踏まえて、本県の平成十二年度の県税収入決算見込み及び十三年度の県税収入予算額の確保の見通しについて、経営管理部長にお尋ねいたします。 次に、中間機構等外郭団体行財政改革についてお尋ねいたします。 昨年十二月一日に閣議決定されました国の行政改革大綱において、今後の行政改革の重要課題として、新たな時代にふさわしい行政組織・制度への転換を目指す観点から、公務員制度改革行政評価システムの導入、公会計の見直し・改善等と並んで、特殊法人の改革や公益法人に対する行政関与のあり方の改革が盛り込まれています。とりわけ、行政と密接な関係を有する公益法人については、行政からの委託事業の見直しや補助金等の縮減・合理化等の積極的な改革を進めることとなっています。 さて、本県では先行して行財政改革に取り組んでおり、昭和六十年九月に岐阜県行政改革大綱を策定し、第一次行財政改革から平成十二年の第三次行財政改革までの間、徹底した事務事業の見直しや組織のスリム化、効率的な財政運営、職員の意識改革、人材育成などが行われ、それぞれ大きな成果を上げているところであります。こうした改革にあわせて、県が出資し、財政的援助が行われている中間機構等外郭団体についても、組織の統廃合、事務局の統合、事務事業の見直しによる経費削減などの取り組みが行われてきたところであります。 現在、県では、昨年十一月に策定されました岐阜県行財政改革行動指針により、市町村との連携、県民との協働を進めながら、県全体として引き続き行財政改革に取り組むこととされています。こういった取り組みを進めていくに当たっては、中間機構等外郭団体のさらなる行財政改革の必要性は大きく、効率的、効果的な運営を目指して法人としてのあり方を改めて検討するとともに、財政的支援による県関与の必要性、自立的な運営を確立するための経営改善など、これまでの取り組みをさらに強化・進展させていく必要があると考えます。このような背景の中で、県とのかかわり合いの深い中間機構等外郭団体に対して、今後、県としてどのような視点で行財政改革を進めていくのか、また、それに対する指導監督体制をどのように行っていくのか、経営管理部長にお尋ねいたします。 次に、飛騨御嶽高原高地トレーニングエリア構想についてお尋ねいたします。 五月二十六日に、岐阜メモリアルセンターサンサンデッキにおいて、昨年、シドニーオリンピック陸上女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子選手の偉業をたたえようと、県に寄贈されました高橋選手のモニュメント「風のように」の除幕式が、高橋尚子選手の御両親や梶原知事さん、県内のスポーツ関係者らが出席して行われました。両手を高々と挙げ、尚子スマイルでゴールインした瞬間をかたどったブロンズ像は、私たちに新たな感動と夢と希望を与えてくれます。昨年十二月七日には、金メダルを獲得した高橋選手を顕彰して、小坂町、朝日村、高根村にまたがる飛騨御嶽高原が、日本のボルダーとして高地トレーニングのメッカとなるようとの願いを込めて、飛騨御嶽の県道御岳山朝日線を「飛騨御嶽 尚子ボルダーロード」と愛称をつけて整備する旨、県から公表されました。今年度は、飛騨御嶽高原ナショナル高地トレーニングセンターを誘致する受け皿づくりのために、県により御嶽高原高地トレーニングエリア基本構想の策定が行われることになっております。標高約千八百メートルの「尚子ボルダーロード」の整備は、日本で最も高い高地トレーニングランニングコースとして、飛騨御嶽高原高地トレーニングエリア構想の一翼を担うものであります。 さらに、国においては、ナショナルレベル高地トレーニングセンターを整備するか否かはまだ決定されておりませんが、今年度はナショナルトレーニングセンターの設置等のあり方に関する調査研究が行われ、その中で高地トレーニング機能の要否についても検討されることになっております。 こうしたことから、国に対して高地トレーニングセンターの整備、誘致を地元としても県とともに積極的に働きかけていかなければならないと痛感しております。こうした中で、地元としてもナショナル高地トレーニングセンターを誘致するための受け皿づくり飛騨御嶽高原のPR、利用実績づくりのために実業団等の合宿を積極的に誘致するほか、受け入れ環境の整備として、ランニングコース、グラウンドの整備等、対応できることは積極的に取り組んでいるところであります。八月の世界陸上選手権に出場する日本のマラソン第一人者であります油谷選手を初めとして、今シーズンの利用者数は四千人を超えるまでになったところであります。県におきましては、こうした地元の熱意、取り組みについて理解をしていただき、さらなる支援をお願いするものであり、選手強化のみではなく、シティーランナー、中・高齢者の心肺機能強化のためにも高地トレーニングセンターの充実が望まれます。 そこで、地域計画局長飛騨御嶽高原高地トレーニングエリア基本構想の策定状況と、現在の時点においての骨子についてお尋ねします。あわせて建設管理局長に「飛騨御嶽 尚子ボルダーロード」整備の今後の見通しについてお尋ねいたします。 次に、首都機能移転対策についてお尋ねいたします。 平成十一年十二月二十日に国会等移転審議会から提出された答申において、岐阜・愛知地域を含む三カ所が移転先候補地として選定されて以来、移転先決定に向けた審議の舞台は国会に移っております。そして、昨年五月に衆議院の国会等移転特別委員会で二年を目途にその結論を得る旨の決議がなされ、その目標期限である平成十四年五月まであと一年を切りました。昨日も、衆議院国会等移転特別委員会が岐阜・愛知地域を視察されました。この決議を受けて、精力的に活動されているところであります。こうした中で、移転先候補地に選定された我が岐阜・愛知地域を初め栃木・福島地域、三重・畿央地域では、候補地各府県の共同組織がそれぞれの地域の優位性をアピールする新首都構想を策定するとともに、シンポジウムを初めとした啓発事業を実施するなど、熱心な取り組みが続けられております。その一方で、首都機能移転を所管する扇国土交通大臣は非常に消極的な姿勢であり、石原東京都知事も移転には猛反対をしておられます。また、国民的な合意が必要なこの問題に対して、国民世論が盛り上がっているとは言いがたい状況にあると思います。このような状況の中で、岐阜・愛知地域への移転実現を目指すために国会に強力に訴えかけ、また、国民世論の盛り上げにつながるようなさらなる取り組みが必要であると考えます。 そこで、知事さんにお尋ねします。大詰めを迎えている首都機能移転でありますが、今後の見通しと、岐阜・愛知地域への移転実現に向けた取り組みについてお尋ねいたします。 次に、市町村合併についてお尋ねいたします。 これからの我が町、我が村の将来を考える上で、市町村合併の検討は避けて通れない課題であります。現在、市町村を取り巻く環境は、地方分権の推進、住民の日常社会生活圏の拡大、介護保険などの新たな行政課題の増加、少子・高齢社会の進展、厳しい財政状況など大きく変化しております。とりわけ財政状況は、国・地方を通じて極めて厳しいものがあり、国において抜本的な構造改革が検討されているところであります。また、少子・高齢化の急激な進展は、日本がいまだかつて経験したことのない人口減少による社会活力の低下を招きます。ちなみに、岐阜県の二十五年後の推計人口は約百七十六万人余りとなります。現在よりも三十四、五万人減少し、そのときの生産年齢人口であります十五歳から六十四歳の人口が大幅に減少し、財政力の低下と財政需要の増大を招くことが懸念されます。特に注視する必要があると思います。 こうした中で、住民に最も身近な行政主体である市町村が住民のニーズにこたえながら、行政サービスや施策を積極的に展開していくためには、行財政基盤の充実強化を図るとともに、効率的な行財政運営を実現し、さらには、既存の行政区域にとらわれない広域的なまちづくりを進める必要があります。こうした課題への対応策として、市町村合併は極めて有効な手段であると私は考えるものであります。 市町村の合併の特例に関する法律、いわゆる合併特例法の期限は平成十七年三月三十一日であります。仮に合併特例法による財政支援を受けて市町村合併を行うとすれば、その期間はあと四年、わずか四年しかありません。財政支援を受けるために市町村合併を行うわけではありませんけれども、新世紀を迎え、我が町、我が村の将来を考える上で、本年度はまことに重要な年と言えるのではないでしょうか。県においては、去る三月二十七日に市町村合併支援要綱を発表し、自主的な市町村合併への支援を明らかにされたところであります。 そこで、県として本年度自主的な市町村合併に対してどのような支援を行っていかれるのか。また、県内市町村の合併に関する取り組み状況はどのようになっているのか。以上二点につきまして、地域計画局長にお尋ねいたします。 次に、第八回全国和牛能力共進会の開催についてお尋ねいたします。 全国和牛能力共進会は、五年に一度に行われる和牛の品評会、通称和牛のオリンピックとも言われております。開催県にとりましては大変名誉のある一大イベントでありまして、この第八回大会が、平成十四年九月二十六日から三十日にかけての五日間、飛騨地域において開催されることとなっております。皆様御存じのとおり、本県には、飛騨牛というブランド和牛がおります。昨年の十二月、岐阜市食肉地方卸売市場におきまして、飛騨牛の枝肉が史上最高値の一キロ当たり三万一千九百八十円、牛一頭当たりにしますと約千三百万円で取引されております。非常にこの飛騨牛の評価が高まっているところであります。この共進会は、こうした飛騨牛の評価をさらに高め、全国ブランドとして定着させるための絶好の機会でありますので、まずもって、本県から出品いたします飛騨牛が優秀な成績をおさめることを期待するものであります。また、全国三十九道府県から約五百頭もの和牛が出品されるわけであります。関係者だけ見ましても、数多くの方が来場されます。これは、本県の農業はもとより、歴史・文化・観光などの本県の魅力を全国に発信する絶好の機会であると思うわけであります。県におきましては、来場者数を約二十五万人と見込まれているところでありますが、関係者以外の方につきましても、県内はもとより、県外からの来場を積極的に呼びかけ、二十五万人という目標を大きく上回るようにぜひ努めていただきたいと思います。あわせて、共進会の開催会場へは道路によるアクセスしかありません。道路整備など、交通アクセス対策を十分に講ずるなど、数多くの来場者に対しまして、その受け入れ体制に万全を期していただきたいと思います。私は、第八回全国和牛能力共進会は、飛騨地域はもとより、本県全体の活性化につなげる大変重要なイベントであり、ぜひとも成功させねばならないと考えております。 現在、県及び市町村、関係機関が一体となりまして、会場整備など共進会開催に向けての準備が順次進められているところでありますが、開催準備として実質的にあと一年ほどしかなく、準備の大詰めを行う極めて重要な時期を迎えております。つきましては、共進会の開催成功に向けて、県を挙げて万全を期して臨んでいく必要があると思いますが、推進体制はどうなっているのか。また、開催準備としてとりわけ重要であります出品牛、交通アクセス、PRの各対策につきまして、その準備状況及び今後の取り組みを農林水産局長にお尋ねいたします。 次に、住民との協働による川づくりについてお尋ねいたします。 平成九年六月の河川法改正に伴い河川整備計画を策定するに当たって、関係住民の意見を反映させることが義務づけられたところであります。これを受けて、岐阜県においては、県の河川整備について審議し、助言を行う目的で有識者などから成る河川整備計画検討委員会が設置され、さらに、地域の状況を踏まえ、具体的かつ地域的な助言・提言をいただく地域検討会が設置されました。また、県独自の取り組みとして、昨年から事業の企画・立案から計画・調査、施行、維持管理の各段階において、地域住民の方々と県との協働作業で進めていく、いわゆる県民協働を基本とした事業展開が進められております。川づくりにおいても、個別の川づくり委員会などにより、地域住民の方々が主体となって川づくりの構想立案を進められていると伺っております。現在、県内の河川の流域を十四の圏域に分けて河川整備計画の策定作業が進められておりますが、昨年度、十四圏域のうち宮川圏域などで、こうした地域の住民の方々との協働で整備計画が策定されたと聞いております。今年度も引き続き、その他の圏域で同様の取り組みが進められると思いますが、何分にも新しい取り組みということで、現場の方々も試行錯誤しながら苦労しているものと推察しております。 また、河川の場合、整備計画の対象となる範囲が広く、何万、何十万という住民の方々が関係者としてかかわっています。こうした流域住民の方々の意見や考え方は、河川整備事業によって直接土地を提供し、影響をこうむる沿川の住民の方々と単に流域住民の方々とでは、やはり違ってくるのではないかと考えます。例えば、私の地元であります高山の苔川で河川改修が約二十五年前から行われておりますけれども、ここにあります桜の木一つをとりましても、沿川の住民の皆さん方は病害虫等に悩まされまして、桜の木の移植だとか、あるいは切ってほしいという意見が大勢を占めておりますし、それに対しまして、少し離れた地域の方々は、苔川のシンボルとして、あの桜は切ってはだめだという意見が多く出ておりました。なかなか合意するということは難しいという事例がありました。しかし、今日の県民のニーズの多様化、社会環境の変化などを考えるとき、住民協働の取り組みは今後の行政を進めていく上で極めて重要な取り組みであり、地域住民が地域づくりに直接参画することにより、真に地域が望む社会資本が着実に整備されるものと大いに期待を寄せております。 そこで、川づくりにおける住民参画の状況と今後の進め方について、建設管理局長にお尋ねいたします。 次に、農山村の総合的な整備についてお尋ねいたします。 農山村地域は、県民の食糧生産の場であるとともに、豊かな自然や美しい景観を通じて心にゆとりとやすらぎを提供する場、洪水防止等の県土の保全、水資源の涵養等の多面的な機能を有しています。しかし、この地域の多くは、若者を中心とした都市への人口流出がもたらす過疎化・高齢化などにより地域の活力低下が大きな問題となっております。 さらに、近年の高度情報化、国際化、少子化など農山村地域を取り巻く環境は大きく変化をしており、これらの時代の変化、社会的要請に的確に対応した地域の活性化が求められています。こうした中で、国では、平成十一年七月に食料・農業・農村基本法が制定され、農村の総合的な振興に関する施策を計画的に推進することとなっております。また、今年一月に、国の省庁再編に伴い、農林水産省の構造改善局が農村振興局に改組され、農山漁村及び中山間地域等の振興が新たな任務として加えられました。さらに、最近の新聞報道によれば、「食料の安定供給と美しい国づくりに向けて」と題した農林水産大臣の私案が発表されたところであります。このような国の対応に対して具体的な方向性が見えてこないため、県内の多くの方々が今後の農山村地域はどのようになっていくのか、都市に対する農山村の整備の立ちおくれがますます広がっていくのではないかというような不安げな言葉をよく耳にします。この三月には、農山村と都市の共生・連携の手法を取り入れた農山村整備の羅針盤とも言うべき岐阜県農山村整備指針が策定され、全国でも初めての取り組みであると伺っております。この指針では、二〇二〇年のあるべき農山村の姿として、「職・住・遊の機能を備えた日本一の農山村」を基本目標として掲げ、都市と農山村の連携手法や地域の特色を生かした農山村整備に関する施策、事業などの方向性が示されております。 そこで農山村整備局長にお尋ねいたします。県土の大部分を占める農山村地域の活性化のため、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。 次に、学校評議員制度についてお尋ねいたします。 新世紀を迎え、創造的で活力あふれる二十一世紀の岐阜県を築くためには、それを支える人づくりが大変重要であります。人なくして未来はありません。そのためには、教育の仕組みや教育の内容など、今までの教育のよい面、悪い面を分析し、岐阜県らしさを出した教育改革を推進し、日本一の教育環境を実現するとの意気込みが大切です。 本県では、平成十一年六月議会において、「開かれた学校づくり」「活力ある学校づくり」「規律ある学校づくり」を推進するとの方針が示されました。そして、開かれた学校づくりの大きな柱として、学校運営の仕組みを見直すため、学校評議員制度が県内のすべての小・中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校に導入されたところであります。特に閉鎖的であると指摘されております学校が、この学校評議員制度により、学校外のさまざまな立場の方から意見を聞くということは画期的なことであったと思います。教育改革の先進県として、国の制度化に先駆けてこの制度を導入いたしました本県は、他県からの視察も多く、全国的に注目を集めているようであります。学校では、この制度を始める前には不安を感じていたようでありますけれども、実際に始めてみますと、地域や民間の方々から学校に対する意見を伺うことは大変有意義であったようであります。学校評議員になられた方々から、学校運営に関すること、授業や教育活動に関すること、学校と地域や家庭とのかかわりに関することなど、いろいろな意見や助言をいただいていると聞いています。しかし、これからが大切です。せっかくの熱意ある学校評議員の方々の意見も、今後の学校教育に生かさなければ絵にかいたもちになってしまいます。岐阜県の教育改革を実現するためにも、この貴重な意見を参考にし、特色ある学校づくりが一層推進されることを願っています。 昨日もテレビでやっておりましたが、県内の高山の私立高等学校が、先生を生徒が評価するという制度が行われて、この秋までにその問題を取り上げるということをやっておりましたけれども、既に生徒がその先生方の授業の態度、そして内容、そういうことをやろうというようなことを取り組んでみえる学校もあります。そういう意味で、学校長が非常に努力をしておる姿が見えるわけでありますけれども、教育長にそこでお尋ねいたします。学校評議員の意見は、学校教育にどのように取り入れられているのか、導入の成果は得られているのか、お尋ねいたします。 次に、平成二十四年に岐阜県で開催予定の国民体育大会についてお尋ねいたします。 本県では、平成八年のぎふスズラン国体、平成十年のスポレクぎふ98、そして昨年の二〇〇〇年岐阜総体と、多くの全国的スポーツイベントを開催しました。そして、そのいずれの大会も大成功のうちに終了したことは記憶に新しいところであります。特に、昨年の二〇〇〇年岐阜総体では、全国各地から集まった高校生のはつらつとしたプレーや地元勢の大活躍、そして勝っても負けても涙する、その真摯な姿勢に多くの県民に感動を与えてくれました。また高校生の一人一役運動や、県民によるボランティア活動も県内外から高い評価を受けました。全国的スポーツイベントの開催は、スポーツの振興はもとより、地域の活性化、さらには多大な経済効果までももたらします。 このような中、先般、本県での二巡目の国体の開催が内内定しましたが、御存じのように、国体は、都道府県対抗で順位を競う日本最大のスポーツの祭典であります。今後、県内全部を対象とした会場地の選定、施設の整備、そしてもちろん地元選手の強化等、なすべき課題は多々あります。開催の前年までは各競技でリハーサル大会が行われるために、それまでに施設を整備する必要があります。高校総体でも若干問題になりました、選手の宿泊が県内全域に宿泊ができずに、他の県にお願いをしなきゃならなかったというようなことがありますけれども、それらも踏まえて施設の整備等、そしてまた会場の選定が非常に重要になってくるというふうに思います。当然、まだ十一年先の話ということでたかをくくっているわけにはまいりません。一日でも早い準備こそが大会成功のかぎだと思われます。そこで教育長にお尋ねいたします。十一年後に向けて鋭意準備を進めておられることと思いますが、大会成功に向けての選手の強化及び各種準備計画についてどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。 最後に、岐阜県警察署協議会の設置について警察本部長にお尋ねいたします。 昨年七月、国家公安委員会の求めにより構成されました警察刷新会議の中において、「警察刷新に関する緊急提言」が提出され、その中に、「警察は犯罪の予防、関係機関との連携、犯罪被害者の支援方策等に関して住民の生の声を十分理解し、その活動は住民の支持、協力が必要である。そのため、おおむね警察署ごとに地域の有識者から成る警察署協議会を設置し、警察と住民との間で共通の問題意識を持ち、警察が住民の声に基づいて行動するような仕組みを確立していかなければならない」との提言がありました。この提言に基づき、昨年十二月六日に警察法の一部が改正され、警察署長が警察署の業務運営に民意を反映させるため、そのあり方について意見を聞く機関として、地域住民等の代表者で構成される警察署協議会の設置に関する規定が設けられました。これを受けて岐阜県警察署協議会条例が本年三月の定例県議会で可決成立し、六月一日から施行となったところであります。そこで、本県における警察署協議会の設置状況とその期待される効果について警察本部長にお尋ねいたします。 最後に、部局長さん方に一言申し上げさせていただきます。 二十一世紀のリーダーのタイプとして、梶原知事さんは二百十万のリーダーとして県民福祉向上のために全力で突っ走っていただいております。小泉内閣所信表明演説の中にもありました、米百俵の話が出てまいりました。長岡藩が設立いたしました学校を卒業されました山本五十六氏がリーダー語録の中に「やって見せ、言って聞かせてさせてみて、褒めてやらねば人は動かじ」という名文句がうたわれております。これは戦前の言葉でありますけれども、既にその時代から山本五十六氏はこれを語録の中にうたわれております。私は、リーダーにはいろんなタイプがあると思います。例えば、新幹線と在来線、新幹線が速いのは、これはレールの幅が広いとかあるいは直線だからということだけではなしに、あの十六両編成すべてに動力がついておるということ、そして、在来線はどんなに頑張っても先頭の車両のみが引っ張って後がついてくる。そういうことになるわけでありますので、やはりリーダーは、この十六両編成のように、全員がリーダーとしてやっていくのも一つのリーダーのあり方でありますし、あるいは在来線のように、D51が先頭を切って、後、貨車がついてこさせるだけというリーダーもあると思います。あるいは孫悟空と桃太郎というように、孫悟空は一吹き吹くことによって千人の分身をばらまくというふうに言われておりました。そして、それがそれぞれの活躍をして孫悟空を守っていくと。そしてまた、桃太郎のリーダーというのは、役割を分担して、キジにはキジ、犬には犬、猿には猿、そして桃太郎が中心となって鬼退治をやったという、これは童話の中にもうたわれておるわけでありますけれども、そういうリーダーもあってもいいんではないかというふうに思います。部局長さんたちのリーダーが個性を発揮していただくことによって、そのリーダー論をいろいろ学んでいただく中で、知事さん一人にリーダーとして任せるということではなしに、この部局長が一体となって岐阜県、県民の福祉向上のための施策を一つずつ打っていただくことが、やはりより県政が前進するものだというふうに確信いたしております。 以上をもちまして質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○議長(宮嶋和弘君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) 県政各般につきまして御質問、御提言がございましたが、まず地域経済対策についてお答え申し上げたいと思います。 県内の景気はどうかということでございますが、極めて警戒すべき深刻な状況ではないかと、かように思います。例えば倒産件数が増加いたしておりまして、ことしの五月の倒産件数が二十八件、これは五月の倒産件数としてはこの十年間で最も多い数でございます。去年の四月からことしの三月までの一年間の倒産件数が二百五十七件で、前の年に比べまして八・八%、一割近くふえておるということでございます。そのほか、設備投資もよくない、個人消費もよくないということで、大変深刻な状況になりつつあるのではないかという心配をしております。国全体も、きのう発表されました日銀短期観測でもはっきり景気の悪化が指摘されておるということで、岐阜県はもとより全国的に憂慮すべき状況ではないかと、こんなふうに思います。岐阜県の場合、いろんな地場産業がございますが、中国を初めとする東アジアからの輸入がどんどんふえてきております。繊維製品、刃物製品、陶磁器製品、木製品、家具、これが年々輸入がふえまして、安かろう悪かろうではなくて、安いし品物も結構いいということで県内の商品というものが圧迫されておると、これも大きな問題点でございます。 こういう状況を打破するにはどうしたらいいかということでございますが、日本は中央集権の非常に強いところでございまして、少なくとも現況では国の政策に大きく期待せざるを得ないという状況でございます。しっかり国で頑張ってもらいたいということでございます。でございますけれども、地域は地域なりに自己防衛策も講じていかなきゃいけないと。企業は企業でみずから工夫をし努力をしなきゃいけないと、このことも同時に大切なことではないかと、こんなふうに思います。県としては、当初予算以降いろいろ配慮しておりますが、まずは短期即効的な下支えの対策をやらなきゃいけない。それから中期的・長期的な産業構造の改革とか、そういうことを進めなきゃいけませんが、一番の問題点は雇用不安、失業者の増大を抑えていくということでございまして、それによって社会不安を起こさせないということではないかと、こんなふうに思います。 そこで、県といたしましては近々雇用対策本部を開催いたしまして、短期的あるいは中期的、長期的な雇用対策というものにいよいよ本格的に取り組んでまいりたいと思っております。即効的に効果が出るという対策も今検討しておりますが、なるべくたくさん人手を使って、福祉とか、環境とか、交通安全、そういった対策にも結びつくような仕事はないか。例えばエコ河川だとかエコ街道、エコタウンというようなことも考えております。自然に優しいといいますか、人に優しい川とか道とか町をつくろうと。例えば、間伐材をどんどん切り出してきて、川とか道からコンクリートが見えないようにしてしまうと、間伐材の丸太等で囲ってしまうということも、美濃市の森林文化アカデミーでその試みが成功しております。そういうことを全県的に応用できないかと。それから、この間、中部地方整備局ともお話ししましたけれども、コンクリートブロックがつるつるでいつまでもコケが生えないと。これはいかにもおかしいので、すぐコケが生えるような工夫ができないか岐阜県と国土交通省と一緒になってやろうとか、蛍とかメダカが育つようなビオトープ、これは難しい言葉ですが、小川づくりというようなものをやると。今、コンクリートの三面張りで、てかてかで、蛍もメダカも育たない。これに凹凸をつけまして、草も生えるようにして生態系が復活するようにすると、そういう事業とか、側溝も、今、あそこにカエルが落ちたらまず助からないですね。こういう細かいことのようですけれども、もっと自然に優しい側溝づくりがあってもいいんじゃないかと。細かいようですけれども、いろんなきめ細かな配慮をして、人手をなるべく使う、機械力を要しない仕事をふやして、福祉とか、環境とか、交通安全とか、そういう課題の解決にも役立つようにしたらどうかと。例えばそんなお話をしております。イベントも非常に雇用効果が高いということでございます。 中期的・長期的には産業おこしをやらなきゃいけないということで、新たに企業立地推進本部を設けまして、私が本部長として陣頭指揮で産業おこしをやってまいりたいと思っております。これから、六月補正をお願いしておりますし、また九月の補正もあり得るんじゃないかと思いますが、そういうものを通じて中期的・長期的な課題にも取り組んで、二十一世紀型の成長産業を育てると、あるいはベンチャーを起こすと、あるいは地場産業もITなんかを入れまして、若い人たちが安心してふるさとで暮らしていけるという条件づくりをやってまいりたいと思っております。 それから、道路特定財源制度のことについてお尋ねがございましたが、私どもはガソリンスタンドでガソリンを買うと。仮に簡単に数字を出すことにいたしまして一リッター百円といたしますと、半分の五十円が税金でございます。そのうちのさらに半分の二十五円は、道路整備を早くやらなきゃいけないということで特別に税率加算がしてあると。総体として百円中の五十円が税金ということでございます。これは、昭和二十八年以降、立ちおくれた日本の道路をよくしようということで、これを全部道路整備に回そうということで今日までやってまいりまして、おかげさまで随分と道路整備も進んだということでございます。これをどうするかということが今議論になっておりまして、この五十円分を道路だけに使うのはおかしいんじゃないかというお話もございます。改革をしなきゃいけないということで、私は改革は賛成でございます。賛成ですけれど、東京の一部の人が机の上で議論をして決めてもらっちゃあ困ると。道路族の意見を聞いてもらわないかん。道路族というのは国会議員の一部ではなくて、全国的には七千六百万人の自動車のユーザーが道路族なんです。岐阜県では百六十万台の自動車のユーザーが道路族です。その道路族の意見を聞いて改革をすべきだというのが私たちの立場でございます。どう使うかということは、地域によって道路事情が違いますから、全国一律というのもおかしいのではないかと、こんなふうに思っております。地域の意見を聞いて改革をすべきであるというのが、大きな改革の方針でとるべき方針として二つあるということでございます。 岐阜県の場合、道路の改良率は全国で四十七都道府県中三十七番目です。山あり谷あり川ありという地形でございまして、道路にお金がかかる。やってもやってもまだ道路が必要だというのが岐阜県でございます。一方、東京都は改良率を見ますと全国で三番目といういい位置にあります。そういうところと岐阜県と同じにしてもらっちゃあ困るということでございます。 それから、岐阜県で道路財源がどう使われているかということでございます。まず、どれだけ道路特定財源が入っているかというと、国税として六百億円入っております。県の税金として、その半分の三百億円入っております。市町村の税金として、約その半分の百六十億円入っております。国は丸々その道路財源を使っておりまして、今、百億円余分に岐阜県に入れてくれております。東海環状自動車道路とか、そういう事業がありますので、今、百億円ぐらい超過しております。県はどうかといいますと、県の事業は約千五百億円ぐらい支出をしております。ということは、三百億円しか道路特定財源がございませんが、その四倍の千二百億円の一般財源、皆さんの税金あるいは起債で、借金で賄っている。市町村におきましては、百六十億円しか道路特定財源が入りません。したがって、その五倍の約八百億円の一般財源あるいは借金をされて、非常に要望の強い市町村道事業なんかを進めておられると、これが実態でございまして、国は全部道路特定財源で賄っておると。県とか市町村はそれに四倍、五倍のお金を積んで道路事業をやっておる。どこで道路特定財源が余っているかと言いたいわけでございまして、国が余っておるならこっちに回せということでございます。それで、我々としてはほぼ今ととんとんでございますので、つまり入っているお金と使っているお金がとんとんですから、もう国税はやめてもらって、地方税、県税か市町村税にしてくれと。そして、百六十万台の自動車ユーザーの皆さんの意見を聞いて、どう使うか、最も岐阜県らしい妥当な使い方をしたらどうか、これが私たちの立場でございます。 なお、地方でえらいむだな道をつくっとらへんかということを東京の人がよく言われますが、東京都の一般国道、地方道、それから岐阜県の一般国道、地方道を比較しますと、交通量は確かに東京都は二倍あります。二倍ありますけれども、建設のコストは四倍なんです。交通量は二倍ですけれどもコストが四倍ですから、投資効果は東京都の道路事業は岐阜県の半分しかない。投資効果は岐阜県の方が倍あるということでございまして、何か東京の人は、わしらの道路は非常に投資効果が高いというふうに錯覚しておられますけれども、決してそうではない。そのことを県民の皆様にもここで御紹介をさせていただきたいと、こんなふうに思います。 それから地方の財源の問題でございます。地方交付税のお話がございましたが、現在、岐阜県は二千二百億円の交付税をもらっております。これが県の予算の約四割ぐらいに相当しまして、これは大きな財源なんです。東京の人は地方に自分らの金をくれてやっているという錯覚をされておりますが、計算いたしますと、この二千二百億円のうちの約八割は、本来、岐阜県の皆さんが働いて稼ぎ出したそのうちからの税金なんですね。これが千七百五十億円というお金になります。たまたま本社が東京にあって、日本橋税務署なんかで所得税、法人税あるいは消費税、そういうものを払われるので、何か東京で稼いだようになっておりますが、たまたま本社で税金を納めるのでそうなっておるだけでございまして、八割の分はもともとこっちのものなんです。そこのところが誤解を生んでおると思います。あとの二割はどうかというと、岐阜県は大都市に、飛騨なんかは特にそうですけれども、緑豊かで、そこからきれいな水とか空気とか、環境を大都市圏に輸出しているわけです。それから人材をせっせと育てて、そして送り出して、大都市でそういう人たちが稼いでいると、人材の輸出をしておるわけなんです。人材の輸出部分だけでも年々三百五十億円相当なんです。三百五十億円かけて人材養成して、そして東京なんかで働く人材を送り出しているということで、決してこの二千二百億円という金はもらい過ぎではない。当然の権利であると私は思っております。 そんなことで、今後どうするかということですが、岐阜県の場合は地方交付税はもらわなくてもいいように、国税、地方税の案分を変えてもらいたい。わざわざ頭を下げてもらわんでもいいように、実力がもともとあるわけですから、税金でいただけるようにしていただきたいということでございます。確かに弱小県がございますが、それは大都市圏とうまく調整をすると。まずはブロック別に、東海道なら東海道地域でお互いに助け合うと。四国はどうするか。四国は東海道で余裕があれば四国を助けるとか、まず国の手をかりないで、地方相互で助け合うような仕組みをつくるべきだと私は思います。 それから、提案型のいろんな要望についてでございますが、中央集権で何でも東京に行かなきゃいかんと。これは是正しなきゃいけませんが、いつまでも東京が悪い悪いと言っておるだけではいけないのでございまして、まずやれることは岐阜県からやると。岐阜県から日本を変えようと提唱いたしておりまして、まずモデル的にやれることは岐阜モデルとして実施しております。そして、必要なものは国に要望いたしております。六月にも県議会の委員長さん、あるいは市町村長さんと御一緒に東京に行きました。そして、公務員制度を変えるとか、あるいは合併をしようというところのITのネットを優先的に応援するとか、ITのモデル都市をつくろうだとか、それから地方の中小企業用のロボットですね、名人ロボットを開発しましょうということでお願いをしておりまして、これもどうやら具体化されるような見込みでございます。いろいろ数え上げればたくさんございますが、そういうように岐阜県でできることはどんどんやって、そのモデルを全国に波及させる。そして、国に対してどんどん要請をして制度を変えてもらう、予算を変えてもらうということをしてまいりたい。そして、そういう実績も上がっておりまして、岐阜県の提案というものを毎年、中央官庁の方で心待ちにされておられるというようなところまで参りました。こういう勢いで、全国のリーダーとしてさらに頑張ってまいりたいと思います。 それから首都機能移転対策につきましてでございますが、昨日、衆議院の特別委員会の先生方がおいでになりまして、私も御一緒しましたが、岐阜・愛知地域をヘリコプターで空の上からもごらんいただきました。こんないいところが日本の真ん中でよう残っておったなあとおっしゃっておられました。改めて岐阜・愛知地域のすばらしさというものを評価していただいたんじゃないかと思います。問題は、東京に首都機能を残すかどうかということでございますが、小泉総理が五、六年前にお書きになった著書がございます。その中で触れておられますが、「首都移転は現在の重要課題で、国政全般の改革を加速し、定着させる上でも必要。国の災害対応力を強化する上でも緊急に進める必要がある。首都移転によって、東京中心主義に染まった国民の意識も変化し、自分たちの住んでいる土地を大切にしようという気持ちも高まっていく。すべてが東京中心にと考えた結果、壮大なむだを生んでしまった。東京に阪神大震災並みの地震が襲った場合、東京・首都圏という一地域に限らず日本全体が危機に瀕する。以上の東京が抱えている問題を効果的に解決するには、首都機能移転しかない」と、こう断言をされておられます。ただし、行政改革とは別にやった方がいいんじゃないかということも書いておられまして、いずれこの改革のその次に遷都論というものが小泉総理みずからのお口から力強く発せられるものと、こんなふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたように、東京はもう社会資本の限界でございます。道路一つでもそうですし、下水道も、この間、新聞に出ていましたけれども、大雨が降ったら下水道の生の水が東京湾にどーんと流れ出てしまうんです。大環境破壊なんです。それを直そうと思ったら、物すごいお金がかかって手がつかないという報道がございまして、道路、下水路、いずれも社会資本が限界に来ていると。これを直そうと思っても、とても勘定の合う話じゃないというところまで来ております。外国の大使館は、家賃が高い、生活費が高いということで大変お困りでございまして、そのために大使館を東京に置かない国がたくさんございます。いろんな弊害が出ておりまして、やはり首都機能移転は時間の問題であると。日本のためにも岐阜県としてこれからも頑張っていかなきゃいけないと、こんなふうに考えております。 ○議長(宮嶋和弘君) 経営管理部長 横山昭遵君。   〔経営管理部長 横山昭遵君登壇〕 ◎経営管理部長(横山昭遵君) 県税収入についてお答えします。 平成十二年度の県税収入決算見込みにつきましては、景気の低迷により個人県民税などが前年度を下回ったものの、高金利時の郵便貯金の満期到来によります利子割県民税の増収や大型小売店の開設などによる不動産取得税の増収等によりまして、平成十一年度に比べ約百六十四億円上回る二千三百八十億円余となる見込みでございます。 次に、平成十三年度の県税収入の見通しにつきまして、五月末時点の収入済額は昨年同期と比べ若干伸びておりますが、六月の政府の月例経済報告などに見られますように、個人消費の低迷や設備投資の頭打ちなどにより景気は悪化しつつあるとされ、法人事業税等への影響が懸念されるところでございます。今後とも景気の動向に留意しつつ、税収の確保、経費節減などに一層努めてまいりたいと考えております。 次に、中間機構等外郭団体行財政改革についてお答えいたします。 中間機構等外郭団体につきましては、継続性、専門性等の特性を生かしまして、これと連携して、より効率的、効果的な県政の推進を目指すこととしています。こうした観点から、今年度、団体の経営状況や課題等を客観的に把握する自己評価と外部専門家による外部診断等を組み合わせました経営評価を実施し、この結果をもとに、事業意義の低下、民間事業者や他団体との類似事業の競合など事務事業の再評価による整理・合理化と県関与の見直しなどを行いまして、団体の基本的なあり方を明らかにしてまいります。これとあわせまして、団体が抱える当面の懸案事項等を企業経営的な視点と県政運営の総合的な視点に立って助言・指導等を強力に行うため、専任組織としまして、去る六月二十日に経営管理部に中間機構経営指導室を設置したところでございます。今後とも関係機関と連携し、中間機構等の改革を進めてまいります。 ○議長(宮嶋和弘君) 地域計画局長 藤森祥弘君。   〔地域計画局長 藤森祥弘君登壇〕 ◎地域計画局長(藤森祥弘君) 議員からお尋ねのございました三点につきましてお答えいたします。 まず一点目の、飛騨御獄高原高地トレーニングエリアの基本構想についてでございます。 この基本構想につきましては、今年度作成する予定にしておりまして、二つの機能を備えた高地トレーニングエリアの姿を描きたいと考えております。一つは、トップ選手が高地トレーニングをすることができること。二つ目は、シティーランナーなど、スポーツ愛好家や一般の方々が心身をリフレッシュすることができることでございます。 トップ選手向けの機能につきまして、専門的なアドバイスをいただくために、本年の一月に日本陸上連盟など競技関係者や大学教授などで構成する検討会を発足させ、現在、各委員に現地の視察をしていただいているところでございます。また、シティーランナーなど一般の方々の楽しんでいただける機能につきましては、地元の御意見などをいただきながら構想に反映していきたいと考えております。今後は、標高千三百メートルから二千二百メートルに及ぶ標高差を生かした機能面、施設配置や運営面の提案を盛り込んだ具体的な構想を早期にまとめてまいりたいと考えております。 二点目は、市町村合併に関します県の支援についてでございます。 市町村合併は、住民の皆様が自主的な検討と判断によって決定されるものでございます。県といたしましては、三月に公表いたしました市町村合併支援要綱に基づきまして四月に市町村合併支援本部を設置し、「合併何でも相談コーナー」の開設やパンフレットの作成、出前説明会などにより、積極的な情報提供を行っているところでございます。また、具体的な地域における合併後の姿を住民の皆様にお示しすることも重要でございますので、関係市町村が想定された合併パターンにつきまして、県も協働いたしまして検討しているところでございます。 三点目の市町村合併に関する取り組み状況についてでございます。 現在、山県郡の二町一村におきまして、町村長、議員の皆様方、それから住民の方々から構成される合併検討協議会が本年二月二十一日に設置されております。そのほかにも、飛騨圏域広域合併研究会を初め八つの合併に関する研究会が市町村で設置されております。民間団体につきましては、「西濃青年のつどい協議会」が六月三十日の谷汲村を皮切りに西濃圏域の各市町村で合併シンポジウムを開催するほか、飛騨圏域広域合併経済団体等研究会が五団体で活動を行われております。 ○議長(宮嶋和弘君) 農林水産局長 坂 英臣君。   〔農林水産局長 坂 英臣君登壇〕 ◎農林水産局長(坂英臣君) 第八回全国和牛能力共進会の開催について、御質問のありました四点についてお答えいたします。 まず、推進体制についてでございます。 本年四月から実行委員会事務局を地元に移すとともに、関係機関の協力を得まして職員を十五名とするなど、その充実を図っております。また、知事を本部長とする県の推進本部を設置し、全庁体制を整えたところでございます。 次に、出品対策についてでございます。 共進会への出品は、肉牛の部、種牛の部、合わせまして十部門ございます。本県では、すべての部門へ二十八頭の出品を予定しております。肉牛の部の三部門につきましては、本年五月に「飛騨白清」を父親といたします子牛など九十五頭の候補牛を選定し、育成に努めております。来年七月には出品牛九頭を決定してまいります。種牛の部につきましては、現在、候補牛の選定を進めており、本年九月には約百六十頭の候補牛を選定し、来年七月には十九頭の出品牛を決定してまいります。今後は、出品牛が優秀な成績をおさめるよう、肥育技術の研究会や育成技術コンテストの開催等、関係者が一丸となった取り組みを進めてまいります。 御質問第三点の、交通対策についてでございます。 共進会の開催中、二十五万人の来場者が見込まれますことから、著しい交通渋滞と駐車場不足が懸念されます。したがいまして、交通渋滞緩和のためには国道四十一号と百五十八号の複々ルートの確保が不可欠でございます。中でも、重要な路線となっておりますふるさと農道高山清見線は一部既設区間の利用となりますが、来年九月の供用を目指し、全力を挙げて取り組んでまいります。また、ふるさと林道畦畑彦谷線は来年七月末の開通に向けました整備を、主要地方道高山清見線につきましては来年九月の工事完了を目指し、その道路改良が進められております。なお、交差点対策といたしまして、信号の問題もございますので、関係機関の協力を得ながら対策を進めてまいります。また、駐車場対策につきましては、ピーク時に約一万台の収容が必要となりますので、地元市町村や国の機関の協力を得まして約八千台分を確保したところでございますが、不足分につきましては早急に関係機関と協力してまいります。 御質問第四点の、広報宣伝活動についてでございます。 現在、広告塔の設置や大阪食博覧会等イベントにおきます宣伝活動等を進めておるところでございますが、今後は各種マスメディアによる広報や、旅行代理店と連携をいたしました宿泊ツアーの企画等、県内外へ向けました広報を積極的に展開をしてまいります。 第八回全国和牛能力共進会が本県におきます二十一世紀初頭のビッグイベントであることから、県といたしましても、関係機関と一丸となった取り組みを行ってまいります。
    ○議長(宮嶋和弘君) 建設管理局長 平田佳史君。   〔建設管理局長 平田佳史君登壇〕 ◎建設管理局長(平田佳史君) 「尚子ボルダーロード」の整備についてお答えいたします。 この道路は、高地トレーニングのためのランニングコースとして位置づけられていまして、御嶽山周辺の交流産業の振興に大きく寄与するものであると思っております。 この事業は、県道の整備とあわせまして、ランニングコースとして利用する歩道を併設するものでございまして、昨年度より自然環境の調査や設計を実施してまいりました。道路が県立自然公園内を通ることから、設計に際しましては極力現道を利用し、樹木への影響が少なくなるなど、地形の改変が最小限になるように配慮して考えております。今後は、当該地域が豪雪地帯であり、また、自然環境に配慮した施工も必要なことから、早期に効果が発揮できるよう歩道部分を先行するなど、計画的・効率的な施工を行い、平成十五年春にはランニングコースとして一部が利用できるよう整備に努めてまいります。 二点目の住民との協働によります川づくりでございますけれども、現在、県下では流域全体を考える地域検討会あるいは個々の川を考える川づくり委員会など、合わせて三十六の会が設置されております。さまざまな川づくりの提案をいただいております。地域検討会で得られました流域の方々の意見は河川整備計画に反映させていただくとともに、また、個々の川づくり委員会では現地での検討会や自然共生工法展示場の見学、各分野の講師を招いた勉強会などを行いまして、治水・利水・環境の観点から工法の決定や工事の進め方などにつきまして具体的な提案をいただき、これに基づき事業を進めてまいります。 このような取り組みを通じまして、川はみんなで守り育てるものという意識をさらに深めていただく中で、維持管理にも協力していただける川づくりを目指し、今後も引き続き住民の皆様との協働を進めてまいります。 ○議長(宮嶋和弘君) 農山村整備局長 三島喜八郎君。   〔農山村整備局長 三島喜八郎君登壇〕 ◎農山村整備局長(三島喜八郎君) 農山村の総合的な整備についてお答えをいたします。 県では、農林業の振興だけでなく、農山村の総合的な振興に視点を置いた岐阜県農山村総合整備指針を全国に先駆けて策定いたしました。これまでは、県の指導を受けて、各市町村がおおむね五年先を見通して策定した農業農村整備事業管理計画に基づいて農業生産基盤や生活環境基盤の整備を推進してまいりました。しかし、今後は農山村総合整備指針に基づき、高度情報化、資源循環、農山村と都市との交流など多様な施策を広域的かつ総合的に推進する必要があります。このため、今年度から県が広域連携等の施策を取り入れた、おおむね十年先を見通した農村振興基本計画を広域行政圏を基本として地域ごとに順次策定することとしております。この計画でそれぞれの地域の振興テーマを設定し、このテーマに沿った整備を関係部局との連携を図りつつ総合的に推進してまいります。 ○議長(宮嶋和弘君) 教育委員会委員長 山本善一郎君。   〔教育委員会委員長 山本善一郎君登壇〕 ◎教育委員会委員長(山本善一郎君) 学校等における幼児・児童・生徒の安全確保についてお答えいたします。 今回の大阪府における児童殺傷事件や岐阜市における事件は衝撃的なことであり、県教育委員会としても極めて重大なことと受けとめております。各学校においては、日ごろから子供たちの安全確保に努力していますが、県教育委員会では緊急に県内すべての学校に対して、幼児・児童・生徒の安全確保及び学校の安全管理についての通知を発し、総点検を行うとともに、不十分な点があれば直ちに措置を講ずるようお願いしたところです。今後とも、学校内外における子供たちの安全を守るために、開かれた学校づくりを一層進めつつ、地域全体で学校を支える体制づくりを推進してまいります。また、警察等の連携を一層密にし、各学校における安全管理の徹底を図れるよう支援してまいります。 ○議長(宮嶋和弘君) 教育長 日比治男君。   〔教育長 日比治男君登壇〕 ◎教育長(日比治男君) まず、学校評議員についてお答えいたします。 平成十一年度に、開かれた学校づくりを目的として、全国に先駆けてすべての県立学校に設置した学校評議員は、現在では県内すべての市町村立の小・中学校にも設置をされております。学校評議員の方々の率直な意見や提言は、着実に学校の活性化につながってきていると考えております。一例を挙げますと、高山市内のある小学校では、校区の長寿会の協力による親子一緒の家庭料理や陶芸教室をこの七月に開催されます。また、ある高校では、生徒が先生になって、保護者やお年寄りを対象にパソコン教室を実施しております。このように、学校評議員の皆さんの御意見、御助言を参考として、各学校の特色づくりをより一層進めてまいります。 次に、平成二十四年開催予定の国民体育大会についてでございますが、県体育協会、そして県は、平成八年から当大会の誘致活動を展開し、本年一月に日本体育協会から内内定の通知をいただきました。教育委員会では、本年度から平成二十四年を見越した強化策として、指導者養成事業や小学校低学年までを対象とするジュニア育成事業を展開しております。また、開催に向けた基本的な方向や準備計画についても検討を始めたところであります。特に、施設については、日本体育協会の「国体の簡素化に関する通知」を受け、既存の施設の活用をベースに進めていきたいと考えております。また、競技会場や宿泊については、新高速三道等を活用することにより、県下全域を対象とした選定が目指せるものと考えております。今後とも県民の英知と力を結集し、魅力ある大会となるよう努力をしてまいります。 ○議長(宮嶋和弘君) 警察本部長 加地正人君。   〔警察本部長 加地正人君登壇〕 ◎警察本部長(加地正人君) 警察署協議会につきましてお答えを申し上げます。 本県におきましては、昨年春以降、警察本部と警察署におきまして、全国に先駆けまして運営評議員会を設けまして、県民の皆様方の御意見を伺ってきたところでございます。法改正を受けまして、本年六月一日に警察署運営評議員会につきましては警察署協議会に発展的に改組をいたしました。公安委員会から百八十三名の方々が協議会委員に委嘱をされまして、これは警察署の規模によりまして四人から十三人の委員の方がいらっしゃいますが、県下二十五の全警察署に設置されたところでございます。六月中に、すべての協議会で第一回目の会議が開催されております。委員の構成につきましては、幅広い方々から御意見をいただくために、地域や職域等が偏らないように配意いたしまして、さまざまな職域の方にお願いをいたしております。女性の方の御意見も伺えるようにということで、全体の三割に当たります五十五人の女性の委員もいらっしゃいます。 この協議会は、警察署長が警察署の業務運営につきまして地域住民の皆様に対しまして説明を行いまして、その御理解と御協力を求めるとともに、身近な問題で警察の対応に期待いただきます事柄を聞かせていただくと。それから、地域住民の皆様の声を警察運営に生かせるものというふうに考えております。今後とも運営に努めてまいりたいと思います。      ……………………………………………………………………… ○議長(宮嶋和弘君) しばらく休憩をいたします。 △午前十一時四十九分休憩       ……………………………………………………………………… △午後零時五十八分再開 ○副議長(小川豊君) 休憩前に引き続き会議を開きます。      ……………………………………………………………………… ○副議長(小川豊君) お諮りいたします。本日の会議時間をあらかじめ延長したいと思います。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(小川豊君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議時間を延長することに決定いたしました。      ……………………………………………………………………… ○副議長(小川豊君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十二番 不破照子君。   〔二十二番 不破照子君登壇〕(拍手) ◆二十二番(不破照子君) お許しをいただきましたので、私は県政民主党を代表いたしまして、通告いたしました七項目について順次質問させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。 まず最初に、景気対策と雇用の確保について、知事さんにお伺いいたします。 国民にとりましても、長引くこの不景気は一体いつまで続くのかと懸念される中、六月の政府月例経済報告で「景気は悪化しつつある」と、過去最悪の言葉を使って基調判断をいたしました。国民は、さらに不安を抱かざるを得ません。悪化の判断材料として、一つ、「個人消費はおおむね横ばい状態が続いているものの、足元で弱い動きが見られる。失業率は高水準で推移している」、一つ、「輸出・生産が引き続き減少している」、一つ、「企業収益の伸びは鈍化、設備投資は頭打ちとなっている」、一つ、「先行きについては、在庫の増加や設備投資の弱含みの兆しなど、懸念すべき点が見られる」とした上で「悪化しつつある」と判断されているのですが、「しつつある」ということは、まだこの先ももっと悪くなりますよということでもあり、ますます先行きが案じられるところであります。 本県としましても、直接大きな影響を受ける輸入攻勢による価格競争の激化など、より厳しい経済状況に置かれているものと思われます。そんな含みもあってでしょう、例年には余り見られない六月補正で、地域経済特別対策事業関連として六億九千三百万円余を計上されました。経済特別対策事業というと、いつもは公共事業で下支えをするからというような形をとられてきましたが、今回は「供給力の強化」「需要の拡大」「雇用の確保」の三本を柱として取り組まれたことは評価したいと思います。しかし、九月補正をも視野に入れながら今回の補正を組まれたということは、この先もさらに悪くなるという予測をされていることなのです。だったら、今の県内の景気状況の中です。九月まで待つのではなく、思い切って早く手を打つ必要があるのではないかと思います。財源の厳しさは十分理解できますが、本当に今回の補正で地域の経済を支える活力の水を注いだことになるのか、よしやろうという気を起こさせるビタミン剤になったのか、心配するところです。本県の景気の認識と今後の対策について、知事さんにお伺いします。 続いて、景気の動向と同時に、働く人々にとりまして雇用の確保と雇用の安定は最も大切なことであります。この厳しい経済情勢の中、リストラ、倒産等により失業者はふえる一方です。全国の完全失業率四・九%と先日発表され、最悪となっております。岐阜を含む東海地域の完全失業率は全国平均よりややよいものの三・八%です。その中で、特に十五歳から二十四歳の男性の失業率は一〇・六%、一割強でございます。そして五十五歳から六十四歳の同じく男性の失業率は六・五%となっており、十五歳から二十四歳の働きたい若者、そして働いてもらわなければならない若者たち、それからまだ家計のために働かなければならない中・高齢者の男性にはとても厳しい状況です。平成十一年度から、国は緊急雇用特別対策事業としてかなりのお金をつぎ込んでまいりました。この事業は、雇用への一時的なつなぎとしての事業ですが、本県においてどの程度の効果があったのでしょうか。また、そのときの雇用で、その事業が終わっても継続されたり、新しい職域として定着したものなどがあったのかどうかをお伺いしたいと思います。 以前から、知事さんは、雇用の拡大と確保については、IT関連、ベンチャーの拡大、優良企業の誘致などで確保すると言っておられましたが、この不況の中、そうした見込みは本当にあるのか。少々甘い考えと私は思います。華々しく出発しましたソフトピアジャパンも、当初三千人の雇用の場として大きな期待を寄せておりましたが、現在約千七百人、VRテクノジャパンも現在四百五十人にとどまっております。雇用拡大につながる人材の育成に本県は特に力を入れておられます。IT関連を中心にベンチャーを育てるということですが、その人たちが即ビジネスとしてひとり立ちしていけるかというと、ちょっと疑問が持たれるわけです。特に芸術とか技術にたけた方は、どちらかというと経営感覚に弱いようです。そうした部分をフォローしていく必要があるのではないかと思います。こうしたことも含めて、かなり厳しい雇用の確保と雇用の拡大をどのように進めていかれるおつもりかも知事さんにお伺いいたします。 続きまして、愛知万博についてお伺いいたします。 昨年十二月十五日、BIE--博覧会国際事務局--通常総会で、二〇〇五年日本国際博覧会、いわゆる愛知万博ですが、満場一致で登録承認されました。すぐお隣の愛知県で万博が開催されるということは、岐阜県にとりましても大きな影響がある明るい話題の一つでした。「自然の叡智」をテーマに計画されているようですが、その自然をめぐって大いにもめてきたのも事実です。当初の会場の構想は、海上の森で五百四十ヘクタール、想定入場者二千五百万人となっておりましたが、オオタカの出現で会場の変更、海上地区及び愛知青少年公園ということで七百六十ヘクタール、入場予定者は二千五百万人。そして、再び自然保護団体による反対運動や新住宅開発事業の中止などで百七十三ヘクタールで、想定入場者千五百万人と縮小されてきました。いろいろなことがあってまだはっきりとした形が見えてきていない愛知万博です。最近、最高顧問の堺屋太一氏が計画策定の指針ともなる構想案を提示されて顧問職をおやめになるなど、波乱含みの出発のようですが、隣県といたしましては、ぜひすばらしい博覧会となり、多くの人が訪れられるようにお祈りします。 岐阜県におきましても、すぐお隣へ千五百万人もの人が集まるということはめったにありません。その人々をいかに岐阜へも招き入れるかは、本県の力の見せどころです。本県といたしましても、以前から花フェスタ公園、平成記念公園、セラミックパークなど、そして今回の補正にも組まれておりますけれども、養老公園の整備など、愛知万博を視野に入れての事業を着々と進められてきております。しかし、当初よりかなり規模が縮小されてきたりしておりますので、これらの影響もかなりあるのではないかと心配するものであります。入場見込み者数も七百五十万人くらいではないかと言われたり、現構想の展示会場スペースでは本県などの出展もできないのではないかとさえ言われております。 知事さんは、これからの地方のあり方として、道州制を含め、広域連合を推進されようとしております。万博は、中部圏におきましても一大イベントです。このときこそ、もっと積極的に愛知県に対して応援し、すばらしい博覧会として成功させ、岐阜県にもその効果をいただくべきと思います。不景気で暗い話題の多い中、希望の持てる明るい愛知万博の話題です。ぱーっと盛り上げ、中部圏の景気上昇の呼び水としたいものです。しかし、岐阜県ではこの愛知万博に関して少し静か過ぎるように感じます。盛り上がりに欠けているということは、PRが行き届いていないようにも思います。投資した分に見合うだけの効果は、ぜひ得なければなりません。そこで、愛知万博による本県への経済的波及効果をどう見込まれているのか。そして、PRの現状と愛知万博への協力・応援などについて、地域計画局長さんにお伺いいたします。 次に、ハンセン病元患者さんの里帰り事業などについて質問させていただきます。 ことし五月十一日、熊本地裁は、約九十年にわたって強制隔離されてきたハンセン病の元患者さんたちが人権侵害への賠償などを求めたハンセン病国家賠償訴訟で、国のハンセン病対策は違憲であるとして、原告勝訴の判決を下しました。国は、この判決に対して控訴を見送ったことは大変喜ばしいことであると同時に、当たり前の判断であったと私は思います。この判決は、国の過ちだけでなく、ハンセン病元患者さんたちに対して社会全体の責任をも問われたものであります。もしこの裁判がなかったら、大きな過ちの歴史は知られることなく忘れ去られていったであろうと思います。皆さんは、この裁判を、そしてあの判決をどう受けとめられましたでしょうか。そして、ハンセン病をどの程度御理解いただいているでしょうか。 私が小さかったころ、多分小学校に上がる前ごろと思いますが、大垣祭りや平尾御坊さんの報恩講に連れていってもらうと、むしろの上で手などを包帯でぐるぐる巻きにし、物ごいをしている人を見かけました。「あの人に近づいたらあかん、うつるで」と言われ、息を殺して遠回りをして通り過ぎたのを思い出します。私には、なぜなのかはわかりませんでしたが、子供心にも恐ろしいものなのだと思いました。そんな経験をお持ちの皆さんもいらっしゃるのではないかと思います。その人たちがハンセン病患者さんだったのです。その後、余り見かけなくなり、そんな人たちがいたことさえも忘れ、私は今日に至ったように思います。しかし、見かけなくなった裏に強制隔離が行われていたのです。 ここで、ハンセン病、昔はらい病と言っておりましたが、その歴史を少しばかりたどりたいと思います。 明治六年、アルマウエル・ハンセン氏によってらい菌が発見されました。大昔かららい病は遺伝病と言われておりましたが、これによって遺伝病説は否定されたわけです。明治三十三年、内務省ハンセン病患者調査で患者総数三万三百五十九人と確認されております。明治四十年、らい予防に関する法律が公布されました。この予防法に基づき、国内五カ所に府県連合立療養所を設立いたしております。大正四年、断種手術を前提に、患者さん同士の結婚を認め出しております。大正八年、らい一斉調査で患者数一万六千二百六十一人と確認されております。昭和六年、予防法が改正されました。この改正は、全患者を強制隔離の対象とするという内容のものでございます。国立療養所第一号、長島愛生園が開設されております。このときから本籍、氏名を申請しなくても入所可能となってきております。昭和十一年、無らい県運動。この無らい県運動ということは、患者狩りとも言われたものでございます。これが始まっております。昭和十八年、アメリカでらい病治療にプロミンがすぐれた効果があるということが公表されました。昭和二十三年、患者らによるプロミン獲得運動が日本でも始まっております。そして昭和二十六年、山梨県で、らい家族九人心中事件が発生いたしております。昭和二十八年、らい予防法の改正が行われております。そして平成三年、らい予防法の改正を求める患者さんたちの要求が国会に出されております。そして平成八年、らい予防法がやっと廃止されました。これを機会に、今まで「らい」と言っていましたものを「ハンセン病」と呼ぶようになってきております。以上、長い歴史の中で、ほんの一部を挙げてみました。 私は、ことし五月、新聞で岐阜市の東別院で、邑久光明園の元自治会長であり、元患者さんの望月さんの講演があるということを知り、出かけてみました。生々しいお話に、何とも言えない思いでした。翌日の新聞にも実施記事が載っておりましたが、県の担当者は元患者による講演会は過去に例がないと言っておられましたが、実は、私は平成六年七月に大垣別院で愛生園の藤井さんという方のお話を聞いておりましたので、県も状況は余り把握していないのではないかなあと思いました。そのときの藤井さんのお話は、お母さんが藤井さんを施設に入れてしまったことを何度も何度も涙してわびられたこととか、その裏で家族は周りの人の仕打ちとの闘いであったなど、本当にじーんと来た話でした。 あれから七年余り、私は今回の裁判を機に、とても反省いたしております。なぜあの藤井さんの話を聞いて涙したとき、すぐ療養所を訪ねなかったのかと。そんな思いと、岐阜県がことし実施予定の元患者さんの里帰り事業を中止したとの新聞記事などのこともあって、私は岐阜県出身者が三十九名と一番多い療養所、岡山県の国立療養所邑久光明園を訪ねました。岡山から赤穂線で邑久まで、邑久からタクシーで約二十五分、瀬戸内海に浮かぶ長島に光明園はありました。途中、昭和六十三年に長島と邑久を結ぶ、患者さん達が待ちこがれた「人間回復の橋」と呼ばれる邑久長島大橋を渡りました。到着した私を、岐阜県人会の人たちは温かく迎えてくださいました。名刺を渡しますと、「ここへ来られた県会議員さんはあんたが二人目や。一番初めに来てくださったのは吉田三郎さんです」「そうですか。吉田先生は私と一緒の大垣の方ですよ。あの人が里帰りをするようにしてくださったのです」。そんな話で急接近となり、とても初めてお目にかかる人たちとは思えないような様子で話が弾みました。「十九歳でここへ来て、今になってしまいました」「私がこんな病気になったので家じゅうがいじめに遭いましたよ。おやじの苦しみを見るのがつらかったので自分からここへ来ました」「結婚したけど、即断種手術をさせられました」「ことしは岐阜県へ行けると思って楽しみにしていたけど、それが中止で残念です。ところで、岐阜県はそんなに財政難ですか。お隣の滋賀県は毎年やってみえるんやけどね」、私はただただ聞くだけでした。私は思い切って尋ねました、「岐阜県のどんなところへ行きたいですか」。すると、「どこでもいいんです。岐阜の空気を吸いたいだけです。もう一生行けんかもしれないしね」。私には返す言葉がありませんでした。「あんた昼飯に住んでみえるかね、うちも昼飯に親戚があったなあ」と言われると同時に、目が赤くなったのを私は見過ごすことができませんでした。この姿を見たとき、たとえ一人になられても、里帰り事業は実施しなければならないと強く思いました。光明園は瀬戸内海に浮かぶ小島にあり、美しい海、そして花いっぱいの園内、スーパーあり、郵便局あり、床屋さん、パーマ屋さんあり、医療施設も充実していて、静かないい町でした。しかし、子供の姿や声がないということと、せめて死後は日の当たる場所で眠りたいという患者さんの願いのもとにつくられた納骨堂まである風景は、余りにも寂し過ぎます。 現在、岐阜県出身の元患者さん--全員完治されております--は、七療養施設に六十五人いらっしゃいます。最高齢者百歳、平均年齢七十四歳、この人々の望郷の念ははかり知れないものがあると思います。五十年以上たっても生まれたところが恋しい、これは人間本来の姿です。岐阜県の里帰り事業も、吉田先生のおかげで行われるようになりました。昭和五十八年までは毎年行われていたようですが、それ以降、三年に一度となり、ことしは中止なんて、元患者さんたちの気持ちがわからない行政をする岐阜県になってしまっていたのでしょうか。絶対隔離の法のもと、治癒しても何十年と療養所生活を送らざるを得なかった人は、社会復帰しようとしても、座る場所も、雨露をしのぐねぐらさえもないという現実の中で、遠くで思うふるさと岐阜は、唯一の元患者さんたちの自由な時代の世界なのです。 法が廃止されたとき、約五千名の入所者のうち、社会復帰した人はわずか十四名、やはり世間の厳しさがあったのでしょう。しかし、中には実名で本を出された人もありますが、「実名では困る」と、一番支えてほしかった身内の中から言われてしまったということもあるようです。本当の社会復帰をし、正しくハンセン病を理解してもらいたいとして、参議院議員選挙に出馬しようとされている人もあるようです。予防法が廃止されて五年たっているのに、最近になって、金沢のホテルで元患者さんの宿泊を断っていたという話も聞きました。岐阜県が今回里帰り事業を中止したということも同一と批判されるべきです。伺うところによりますと、事業の見直しの中で、課内では相当議論した結果、中止したということですが、元患者さんたちの人権以上の大切な事業が岐阜県の事業の中に本当にあったのか、それはどんなことなのか、大きな疑問です。全く納得できません。社会的に弱い立場の方に心を配る気くばりの県政を進め、最重要施策は「総合福祉」を掲げている岐阜県です。この言葉を十分かみしめていただきたかったと思います。里帰り事業を毎年行っている県は滋賀県など四県、隔年は愛知など七府県あります。ぜひ岐阜県も早急に実施すべきと考えます。 先般の県主催のハンセン病を考える講演のときの講師、光明園の園長さんが、「うちの園は岐阜の人が一番たくさんおられますが、岐阜県はほったらかしという感じがします」と皆さんの前で言われました。会場の皆さんはどう受けとめられたでしょう。私はとても恥ずかしく思いました。と同時に、あのときいつまでも手を振ってお別れした光明園の県人会の人たちの顔が浮かんできました。 そこで知事さんにお伺いいたします。ハンセン病、そして元患者さんに対する知事さんのお考えと、施設訪問などの御意思はおありでしょうか、お伺いいたします。健康局長さんには、中止した里帰り事業に対してどのような対応を行うのか。一つ、社会復帰で帰郷を望む人の受け入れ対策は考えているのか。一つ、六月二十四日から六月三十日の「ハンセン病を正しく理解する週間」でどのような事業をしたのか。また、今後どのように啓発活動を進めるのか。一つ、元患者さんに対してこれからどのような対応をしていくのか。以上、四点をお伺いいたします。答弁は私にではなく、元患者さんに向かってお願いしたいと思います。 ここで私は、広く県民の皆様にもハンセン病を正しく理解していただきたく、以下のことを申し上げたいと思います。きょうはたくさんの傍聴の方も来ていただいておりますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。 ハンセン病についての正しい常識七カ条です。一つ、ハンセン病は遺伝病ではありません。一つ、伝染力の極めて弱い病原菌による慢性の感染症です。一つ、乳幼児のときの感染以外は、ほとんど発病の危険性はありません。一つ、菌は治療により数日で伝染性を失い、軽快した患者と接触しても感染することはありません。一つ、ハンセン病は不治の病気ではなく、結核と同じように治癒する病気です。一つ、治癒した後に残る変化、手などがちょっとおかしくなっておりましたり、顔がゆがんだりということがありますけど、単なる後遺症にすぎません。一つ、早期発見と適切な治療が、患者にとっても公衆衛生上からも重要です。以上七点、ぜひ御理解いただきたく、少々長くなりましたが申し上げました。どうか皆さん、よろしくお願いいたします。 続きまして、ぎふクリーン農業の現状と対策についてお尋ねいたします。 二十一世紀は、健康の時代とも言われています。このことは、県政世論調査で、今後の暮らしの中での力点は健康であることを望む人が八〇%以上いることにも裏づけられています。健康であるということは、健康な食生活をするということが大きな要素と思います。新鮮で安心な食品をバランスよく食べることであります。そのためには、農薬や化学肥料を減らして栽培した農産物が手軽に県民に提供されることが望まれます。一方、生産者にとりましても、最近は輸入農産物の増加により農産物の価格は下落の一途をたどっており、県内生産者の方の経営にも大きな影響を与えております。国では、緊急対策としてセーフガードを暫定的に発動しましたが、一時的な対応であり、抜本的な対策が求められております。 このような状況の中で、安全・安心・健康な農業を進めることこそが今求められている重要な対策ではないかと思います。生産者の顔が見える農産物が身近で生産され、県民だれしも購入できるとなれば、きっと岐阜県農産物のファンとなり、地場消費の拡大が図られ、さらには県が進めている自給率の向上にもつながってまいります。県では、県民へ安全・安心・健康な農産物の提供を図るために、平成七年度から農薬と化学肥料を三〇%以上削減したぎふクリーン農業を推進されてきております。そろそろその成果も出てきており、取り組まれる農家もふえてきているようにも聞いております。私の地元、大垣市でもレンゲやアイガモを利用した稲作への取り組みが約三分の一にも広がり、そのお米は地元農協で購入できます。そのほか、野菜は飛騨のトマトやホウレンソウ、果物では飛騨の桃とリンゴ、そして西濃のミカン、お茶は中濃、その他、小麦、大豆、ソバなども県下各地で取り組まれているようです。お米は農協でということもありますが、野菜類などはなかなか県民の目に触れるところがないようにも思われます。私自身、スーパーなどでそうしたものを見たことがありません。県民の健康が保障されるクリーン農業で栽培される米やお茶、野菜、果物などは、手ごろに購入できるようにするのが望まれます。現在の取り組み状況の生産量は、米で全体の約六%、お茶で三〇%、野菜と果樹はそれぞれ各二〇%ぐらいということです。これでは十分に行き渡らないかもしれませんね。これからの消費拡大に向け、生産体制の拡充とともに、消費者や流通業者へのPRを積極的にしなければならないのではないでしょうか。そこで、このぎふクリーン農業の農産物の生産や販売に対して県がどのような取り組み、または支援対策をされているのか。さらには、今後どのように進められようとされているのか、農林水産局長さんにお尋ねいたします。 次に移らせていただきます。 私には、県庁内で一カ所、とても気になるところがあります。それは、二階正面ロビーです。正面から入る機会やロビーを通る回数も少ない私ですが、通るとき、どうしても気になってしまうのです。それは、岐阜県の地場産業製品が陳列してあります棚周辺です。中を見てみますと、所狭しと並べられており、とても興味を持って見たり、購買意欲を持てるようには感じません。ごらんになった方もおありかと思いますが、いかがでしたでしょうか。本当にあれで県を代表する地場製品をより多くの人にPRし、販路へとつなげることができるのかなと思いました。刃物、陶磁器、プラスチック、和紙、布など、多くを展示したいという気持ちはわかりますが、県製品のすばらしいものを展示方法によってよりよく見てもらうような工夫が必要なのではないでしょうか。アパレルの岐阜として売り出しているにしては、年じゅう同じ布が並べられているようでは、流行を走っているようにはとても思えません。陳列物をいつ入れかえされたのかと尋ねましたところ、今、陳列されている分については昨年九月に新しくされたようです。県産品の利用への働きかけやPRをも含めて、展示方法を考えるべきと思います。 ところで、六月中旬、新聞の一面を使って静岡県が出された広告ですが、ごらんになられた方も多いことと思います。「茶生産量・鹿児島県」、えっ、鹿児島。「温州ミカン生産量・愛媛県」、あれっ、静岡のはそうじゃないのかなあ。「沢ワサビ生産量・長野県」、そうか、長野県になってしまったのか。「ピアノ出荷量・一〇〇%静岡県なので存在しません」、えっ。「カツオ漁獲量・三重県」、えっ、沼津はじゃあ何なんだろうなあといろいろと思いながら見ていくと、下の方に小さく「もし静岡県がなかったらナンバーワンでした」。これには全く参りました。その下に、さらに小さく書いてありました。「日本経済発展のために、これからも一緒に競い合っていきましょう」と書いてあるではありませんか。憎らしいほど自信のある宣伝文句ではありませんか。岐阜県は何でも日本一、日本一をというのとは違う感じをしました。あの何の飾りもない字だけのデザインにも、これ何のことだろうと引きつけられて見てしまいました。ちなみに静岡県の広報室にちょっと電話で聞いてみましたところ、この広告は、中日新聞、日経新聞の全国版、朝日新聞の東京版、サンケイ新聞の大阪版、そして静岡新聞、スポニチと報知新聞の東京版と大阪版に出されたということでした。この新聞広告は、発想の転換が必要であるということを思い知らされたものでありました。岐阜県も、供給力の強化を図るためには、商品企画力、デザイン力の強化が必要であるとして、今議会での六月補正予算まで組んで力を入れております。岐阜県の地場製品はすばらしいものばかりであると私自身も思います。そのすばらしい岐阜の地場製品をよりすばらしく見せるようにして、来庁者などに興味を持って見てもらい、そして販路へとつなげるようにすべきではないでしょうか。展示場所をも含め、県地場製品の陳列には一考を要するものと思います。商工局長さんにお伺いして、次の質問に移らせていただきます。 六月二十三日の県職員による不適切支出処理があったという新聞報道に、「えーっ」と驚きの声が出てしまいました。県民の皆さんも、「何やまたか」とあきれて新聞を読まれたことと思います。可茂農山村整備事務所--旧の可茂土地改良事業所でございますが--の用地担当職員が、平成九年から十一年度にかけて予算を消化するのを目的で、支払い対象でない人や団体に支払ったり、支払い相手を間違って振り込むなど、考えられない会計処理をしていたということです。三月末ごろにある地権者から用地代が支払われていないという問い合わせがあり、県が請求書とコンピューターの支払い記録を照合して、初めて一連の不適切支出処理が発覚いたしました。ショックです。まだ二月に中山間農業技術研究所の不正会計が発覚、知事、副知事、出納長初め関係した職員二十九名に対しても厳しい処分をされ、再発防止を誓われたばかりです。 県の財務管理コンピューターを使って会計処理をするには二種類のIDカードが必要となっており、一枚は支出内訳などを入力して決裁資料をつくるときに、もう一枚は振り込みに使う仕組みになっているようです。そして、その二枚のカードは別々の職員が保管し、暗証番号も本人しかわからないようになっているはずでした。しかし、振り込みに使うカードは総務課長が持ってはいたけれども、いつでも使える状態であり、暗証番号もわかっていたということです。この職員は上司の決裁も受けていなかったわけですが、上司も一年も決裁が回ってこないことを黙認していたというから、これまた驚きです。支払い相手を間違って二件、百十三万円を別の地権者に振り込んだり、請求額より少ない金額を支払うミス三件、あげくの果てに、予算が余ったので使ってしまわなければと、二組合と地権者リストから無作為に選んだ十人に合わせて百八十七万円を振り込んだというこの行為は言語道断です。公金というものの重さが全くわかっていない職員がいるということに、県民の皆さんの怒りはおさまりません。 そこで経営管理部長さんにお伺いいたします。この職員は、用地取得に関する事務一切を一人でやっていたということですが、一つ、職員の公金に対する意識が低いように思います。研修は十分に行われていたのか。また、適材適所の人事配置がなされていたのか。一つ、総務係長を総務課長が兼務するというような体制で、チェックしたり、指導・助言したりというような機能が十分に果たせるのか。一つ、いつも二度とこうしたことが起こらないようにと言われますが、今後の対応策はできているのか。以上、三点について御答弁を求めます。 このような不正事件が続きますと、機構改革や事務事業の厳しい見直しで大変な職場環境になっているにもかかわらず、真剣に仕事をされている県職員の皆さんに動揺を与え、働く意欲を欠いたり、萎縮させてしまわなければよいがと心配いたしております。職員の皆さんにはぜひ信念を持って、県民のため、そして県政発展のために頑張ってお仕事をしていただきますようにお願い申し上げます。 最後に、ことし第一回定例会で川上議員が通学路等に除雪アドプトをと提案されました。今回、全国的に広まりつつあるこのアドプト制度は、一九八五年にアメリカ・テキサス州運輸局がアドプト・ア・ハイウエーを導入したのに始まりますが、たちまち全米に広がり、やがて日本にも採用されるようになりました。道の維持・管理などを場所を決めて地域の方々にボランティアとして協力していただこうという制度ですが、道だけではなく、もっと幅広く活用していこうという機運も出てきております。川上議員の提案を受け、道路維持課などで今年度より実施予定と伺っておりますが、私は、この制度を道路だけではなく、もっと広い範囲で活用されるよう提案するものであります。例えば公園、河川--河川敷を含みますけれども、駅周辺、繁華街、そして学校の周辺や公共建物の周辺などもその制度の範囲内で考えられないかと思うわけでございます。このアドプトを新しく取り組もうということは、この制度がいいことであるという考えで行われるものであると思います。だったら道だけにこだわらず、全庁を網羅し、取り組んでいただきたいと思います。なじみの少ない新しい制度ですので、PRをして地域の方々にも深い理解をいただくことが大切です。 ある県では、こんなことも行われております。それぞれが果たすべき役割、相互の連携・協力のあり方を検討し、県民に理解と参加を広めることを目的としてアドプトシンポジウムを開催したり、ある自治体ではアドプトのキャラクターを募集するなど、取り組みも本格的です。実施されているところへ、電話ではありましたが、ちょっとお聞きしましたところ、ぽい捨てが少なくなった、地域の団結が強まったなど、それぞれ実施成果があり、喜んでおられました。ぜひ本県にもこの制度が広まり、知事さんが目指されます日本一住みよい岐阜県を協働で築き上げていきたいものです。アドプトに対するお考えと取り組み状況を建設管理局長さんにお伺いいたします。 関連しまして、このアドプト制度を学校などのところにも活用はできないものかと考えるわけです。最近、学校での痛ましい事件が続発し、子供さんも親御さんも大変な不安を抱えています。教育委員会としてもいろいろな対応策は考えておられますが、PTAなどで学校周辺などを毎日巡回するなどということは、両親が働いていたりで難しいと考えます。そこで、割と時間的余裕をお持ちの地域のお年寄りに御理解をいただくとともに、パワーをおかりして、学校周辺や通学路などの巡回をお願いするということはいかがなものでしょうか。子供たちは、地域のお年寄りが自分たちを守っていてくださる姿に感謝し、お年寄りは、その感謝に生きがいを感じていただけるのではないかと思います。教育的・社会的効果も大きいものがあります。教育長さんのお考えをお伺いいたし、質問を終わらせていただきたいと思います。 途中、多少感情的になりましたことをおわび申し上げながら、終わらせていただきます。ありがとうございました。   (拍手) ○副議長(小川豊君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) まず、景気対策についてお答えしたいと思います。 本県の経済情勢は大変厳しいものがございます。倒産件数も増加しております。そして、この先よくなるかというような明るい展望も、目下のところ残念ながらございません。国の政策に期待するところが大変大きなものがございます。日本の場合、先進諸国の中で極度の中央集権体制になっておりまして、国の政策に大きく期待をしたいと思いますが、地域は地域なりに、企業は企業なりに、個人は個人なりに、自己防衛策も同時に進めなきゃいけないと、こんなふうに思います。県におきましては、当初予算以来、昨年度からもそうですけれども、景気対策に重点を置いてきておるわけでございまして、さらにこうした事態を迎えまして、心を引き締めて対策に当たりたいと、こんなふうに思っております。 短期的な問題と中期的あるいは長期的な問題がございますが、まずは短期的に雇用不安をなくしていく、なるべく失業者をふやさないというところに重点を置いていく必要があろうかと、こんなふうに考えております。そのために、環境対策あるいは福祉対策あるいは教育、そういったものにつながっていくような、なるべく人手を要する、そして短期即効的にできるような、例えばエコ河川事業、エコ街道事業、そういった河川あるいは道路から目ざわりなコンクリートを隠していくとか、そのために間伐材を使うとか、あるいはリサイクル対策にも寄与するような仕事の進め方をするとか、いろんな工夫がございます。きめ細かなエコ事業というようなものを現在検討を進めておりまして、雇用対策本部というものも近々開きたいと思います。そして、私が本部長として陣頭指揮をとりたいと考えております。 それから、中期的・長期的には、御質問の中にもございましたように、地場産業、中国等の輸出攻勢もございまして、大変深刻な状況でございます。やはりそうした輸出攻勢に耐え得るような新しい商品サービスづくりと、そのための構造改革というようなことを同時並行して進めなきゃいけないと思いますし、県外からの企業誘致、そして二十一世紀型の成長企業の育成、ベンチャーの育成、これも同時に進めなきゃいけない。そのために企業立地推進本部というものを新たに設けまして、これも私が本部長として陣頭指揮をとりたいと、かように思っております。 雇用特別対策事業の効果はどうかということですが、十一年度から国の交付金というものを活用いたしまして、なるべく雇用効果の高い事業を実施してまいりました。これまでに、それによる新規雇用者数は約四千九百人、延べ日数にいたしまして十四万七千人日ということになっております。一定の効果を上げたのではないかと思います。そして、この事業に参画していただいた方が、その後、廃棄物の不適正処理監視パトロールに従事していただいた方が警備会社に正規職員として採用される、あるいは学校ホームページ作成事業をされた方がITのSEデザイナーとして情報処理会社が正規に採用された、あるいは出土遺物の保存処理事業に参画された方が保存処理専門会社で正規採用された、あるいは科学技術データベース化事業をおやりになった方が情報処理会社に正規に採用された、あるいは緊急の間伐事業をやっていただいた方が森林作業員・技術員として森林組合等に正規採用されたとか、いろんな事例が出ておりまして、私たちは大変喜んでおります。今後ともこの事業を継続していかなきゃいけませんが、国の事業が本年度で終わるわけでございまして、六月にも東京に参った際にお願いいたしましたが、引き続きこうした深刻な状況でございますので、国が事業を継続するようにお願いをいたしております。ぜひ御協力をお願い申し上げたいと思います。それから、成長分野を育てるということで十一の分野を位置づけまして、戦略的にその育成策を図っていきたい。バイオとか、ナノテクノロジー、ロボットとか、マテリアルだとか、情報だとか、そういった新しい分野にこれからも力を入れてまいりたいと、こんなふうに考えております。 なお、ソフトピアジャパンのお話が出ましたが、これはあくまでも県内の情報化、あるいは情報産業の育成の拠点ということでございます。なるべく早く五千人規模の町にしたいと思っておりますが、仮に五千人になったところで全体の中でのウエートは小さいものでございまして、今申し上げましたように、これが拠点となって全県下でIT関係の人材育成がされると、あるいは情報産業が育成されるということがねらいでございます。そういうようなことを進めてまいりまして、平成元年から十一年までの推移を見ますと、IT関係の事業所数は四・三倍になっております。全国平均が一・四倍でございまして、伸び率は全国一番でございます。それから、従業者の数は二・四倍で全国で三番目、それから売上高につきましては全国七番目というように、これまでの政策の効果を上げつつあるということを御理解いただきたい。ただし、これからが正念場でございまして、いよいよビジネスをこれから大いに活性化しなきゃいけないということで、いろんな対策をこれから打っていかなきゃいけないと思っております。 これからは、これまでの道路と同じように、情報通信の道路とも言うべき高速度・大容量の、いわゆるブロードバンドのネットワークを敷設していかなきゃいけない。これに当面重点を置いていくとか、あるいはベンチャー育成のためのいろんな仕組みをつくっております。これがいよいよこれから稼働していくという段階でございまして、第二段階の施策をこれから強力に進めてまいりたい。ただ、県行政だけではうまくいきません。企業誘致につきましても市町村と合同会議を開催して協力し合うということになっておりますし、地元銀行におきましても、例えば十六銀行におかれましては地域振興部というものを新しく設けられました。県の地域振興局を参考にしたとおっしゃっておられますが、そしてベンチャーの育成の会社もつくられました。投資実績が六社、八千万円、これは二月から五月までの数字でございます。早々と成果を出しておられます。大垣共立銀行は、ワークショップ24というソフトピア内にできる施設でベンチャー支援を積極的に展開する予定であると。共立ベンチャーサポートというものもことし四月に開設されまして、多くの相談があると承っておりまして、ようやく民間レベルでも地元銀行が中心にそうした対策に乗り出されたということは大変喜ばしいことでございまして、大いに我々も協力してまいりたいと思っております。 それから、ハンセン病元患者についてのお尋ねがございました。ことしが三年ごとのハンセン病元患者の岐阜県への里帰りの三年目だということでございますが、そのための予算が担当課から予算要求も出されなかったということを私も最近知りまして愕然としたわけでございますが、これも私自身の指導・監督が行き届かなかったということで、猛烈に反省しなきゃいけないと思っております。そして、ハンセン病に対する理解も私自身十分でなかったこともおわびしなきゃいけないと、こんなふうに思っております。 そこで、こうした事業は行政側がやるとかやらないとかいうことを一方的に決めることではなくて、今、議員がおっしゃいましたように、お一人でも里帰りをしたいとおっしゃる方がおられれば継続してやらなきゃいけないんです。元患者の皆さんの方々の御意向を最優先しなきゃいけない、こういう性格の事業であると思います。そこで、なるべく早くまた予算も議会に御相談しまして、早目に計上して復活をしたいと思っております。ただ、今、議員の御質問の中にもありました邑久光明園の岐阜県人代表の方と連絡をとりましたが、高齢化が進んでおると、これが一番大きな問題だというようなこともおっしゃっておられます。里帰りのことも含めまして県として何ができるか、その御意向を確認したいと思っておりまして、なるべく早く私も邑久光明園に直接出向いて、元患者の皆さんとお話し合いをさせていただきたいと思っております。それまでに、他の施設においでの方もおられますので、御意見をなるべくまとめておいていただくようにというお願いをしたところでございまして、おわびかたがた、なるべく早く訪問させていただいて、皆様方の御意見を直接伺って、県としてできるだけのことを精いっぱい取り組んでまいりたいと、こんなふうに思っております。 ○副議長(小川豊君) 経営管理部長 横山昭遵君。   〔経営管理部長 横山昭遵君登壇〕 ◎経営管理部長(横山昭遵君) 旧可茂土地改良事業所の不適切な会計処理についてお答えいたします。 まず、人事配置についてでございますけれども、適材適所を基本に行い、また新任出納員や会計員には公金意識の喚起や適切な事務処理について毎年度当初に研修を実施しております。今回の事案は職員個人の資質によるところが大きいこと、つまり適格性を著しく欠いた職員がその任に当たっていたことにかんがみまして、今後、出納員、会計員の適格性を十分に検討いたします。また、必要があれば補正人事を行ってまいります。 次に組織のあり方についてでございますけれども、当時の可茂土地改良事業所の総務課は、総務係一係だけで係員は二名でございます。チェックや指導は十分に行き届く体制であったと理解しております。今後は、再発防止に向けまして、総合庁舎内の現地機関におきます支出の事務を審査し、確認し、入力する業務を当該現地機関とは別の機関で行わせるために、この九月から地域振興局に移すということを考えるなど、適正な会計事務処理に向けてチェック機能を強化してまいります。さらに、用地担当職員の初任者研修におきましては会計事務もリンクさせるなど、研修内容の充実を図ってまいります。 ○副議長(小川豊君) 地域計画局長 藤森祥弘君。   〔地域計画局長 藤森祥弘君登壇〕 ◎地域計画局長(藤森祥弘君) 二〇〇五年日本国際博覧会に対しまして、県の取り組みにつきましてお答え申し上げます。 二〇〇五年日本国際博覧会は中部圏の今世紀最初のビッグプロジェクトでございまして、その成功に向けて、本県といたしましても全面的に協力してまいります。本県は、全県パビリオン構想のもと、県内に魅力ある場を準備することにより当地域全体の魅力を高め、近隣県からの訪問者に加え、近隣県以外からの訪問者をより増加させ、博覧会を盛り上げていきたいと考えております。現在、圏域ごとに官民共同でイベントなどの計画づくりを進めていただいているところでございますが、こうした全県的な取り組みを通して県民の皆様方の博覧会に対する認識、機運を高めてまいりたいと存じます。 議員お尋ねの経済的波及効果につきましては、会場計画も含めまして博覧会本体の不確定要素が多いわけでございますが、こういった状況と、また圏域での計画づくりを現在進めているところでございますので、今後、これらの進捗状況を見ながら検討してまいりたいと存じます。 ○副議長(小川豊君) 健康局長 金田修幸君。   〔健康局長 金田修幸君登壇〕 ◎健康局長(金田修幸君) ハンセン病元患者等への対応について四点お尋ねがありましたので、お答えいたします。 まず、里帰り事業についてお答えします。 里帰り事業につきまして、元患者の方々の望郷への気持ちを酌み取ることなく今年度の事業を中止したことにつきましては、元患者様に深くおわび申し上げます。所管の責任者としまして、責任を感じております。謙虚に反省し、新たな気持ちでハンセン病の元患者さんへのいろんな取り組みに進んでまいりたいと思いますので、お許し願いたいと思います。 里帰り事業につきましては、知事がただいまお答えしましたとおり、今年度も行うこととしまして、今後とも元患者の方々の御要望も聞きながら継続してまいりたいと考えております。なお、健康上の理由から参加できない方に対しましても、療養所近くの日帰り交流事業等も考えております。 続いて、社会復帰対策についてお答えします。 社会復帰のための受け入れ対策に当たっては、住宅の確保や医療、福祉を初めとしまして、生活支援体制の整備など、十分な検討が必要であると考えております。このため、県庁関係各課によりましてハンセン病元患者社会復帰支援連絡調整会議を設置したところでありまして、どんな支援が必要か、可能か、しなきゃならないか、こういう点につきましても、元患者の方々の御意向も聞きながら検討を進めてまいります。それから、一人でも多くの方々がふるさと岐阜県に戻っていただけるようなことに努めるとともに、元患者の方々に対しまして可能な限りの支援を行ってまいりたいと考えております。 次に、啓発活動についてのお尋ねにお答えします。 「ハンセン病を正しく知る週間」の一環としまして、六月十六日に邑久光明園の牧野園長による講演会を開催したわけでございますが、従来の啓発ポスターの掲示にとどまらず、今後、元患者の方々の社会復帰を進めるため、帰郷を望む方を温かく迎える地域づくりを目指しまして、「くらしと県政」等、県の広報媒体や地域の核となる民生委員の研修会等各種の機会を活用しまして、また人権フェスティバルでのキャンペーンや、療養所の慰問をされたボランティアの方々による報告活動、幅広く啓発活動を進めてまいりたいと考えております。県民の皆様にも、さらなる御理解をお願いしたいと思っております。 最後に、元患者への対応についてお答えします。 元患者の方々への対応としましては、里帰り事業や社会復帰への支援、さらに啓発活動等の事業を今後一層充実させ、県民一人ひとりにハンセン病を正しく理解していただくとともに、ハンセン病元患者の方々が失われた過去や人権の回復、故郷とのきずなを少しでも取り戻していただけるよう努めてまいりたいと考えております。 ○副議長(小川豊君) 農林水産局長 坂 英臣君。   〔農林水産局長 坂 英臣君登壇〕 ◎農林水産局長(坂英臣君) ぎふクリーン農業の現状と今後の対策についてお答えいたします。 ぎふクリーン農業によります農産物の生産は、平成七年度の九百八ヘクタールから昨年度は二千九百九十五ヘクタールと、平成十五年度の目標面積四千五百ヘクタールに向け着実に進展しておりますが、一層促進するため、本年度でございますが、既存の制度の拡充を図ったところでございます。また、一昨年から県民の皆さんにぎふクリーン農業のPRを進めたところでございますが、現在のところ、一部のJAの直販施設や青空市場を除き、その表示が消費者の皆さんの目に十分とまらない状況にございます。二十一世紀は健康の時代でございます。生産者の顔が見え、かつ安全・安心・健康な農産物を県民の皆さんに提供することが岐阜県農業の生き残りにつながるものと考えております。したがいまして、今後はクリーン農業で生産された農産物が消費者の皆さんの目にとまるよう、生産者が積極的に取り組みますシールや看板等の表示への支援にあわせまして、クリーン農業による農産物を一堂に集めました「ぎふクリーン農業フェア」をこの秋に開催するなど、ぎふクリーン農業で生産されました農産物を県民の皆さんにPRするとともに、その消費拡大に努めさせていただきます。 ○副議長(小川豊君) 商工局長 長屋 栄君。   〔商工局長 長屋 栄君登壇〕 ◎商工局長(長屋栄君) 地場産業製品のPRの方法等についてのお答えを申し上げます。 地場産業製品のPRにつきましては、国内外の見本市の開催支援を初め、アクティブGでの展示、県庁舎並びに各総合庁舎、東京・名古屋・大阪事務所等の県有施設において取り組んでいるところでございます。お尋ねの県庁二階のロビーの地場産業製品の展示につきましては、議員の御指摘のとおり、展示物をよりすばらしく見せるように、また興味を持って見てもらえるように展示する必要があると認識しております。したがいまして、展示のあり方につきましては、新製品、ファッションなどの変化に合わせて随時見直すとともに、展示物、展示場所、展示物の説明表示の方法等について工夫をしてまいりたいと思います。また、国内外にPRするため、これ以外に県のホームページを充実するなど、ITの活用についても積極的に取り組んでまいりたいと思います。 ○副議長(小川豊君) 建設管理局長 平田佳史君。   〔建設管理局長 平田佳史君登壇〕 ◎建設管理局長(平田佳史君) アドプト制度につきましてお答えいたします。 道路、河川などの草刈りとか清掃につきましては、既に地域の自治会あるいは各種団体の皆様にボランティアによる御協力をいただいております。道路では、従来からのボランティアに加えまして歩道の除雪、安全施設の清掃などの維持作業も取り入れまして、地域の団体や企業で管理していただけるような、いわゆるアドプト制度を市町村と連携しながら、その仕組みづくりを今進めております。一例といたしまして、県道岐阜関ケ原線の真正町におきましては、地元の団体と企業が共同して道路の維持作業を実施していただくということになっております。この制度は、地域の道路などに愛着を深めていただくともに、崩壊しつつあるコミュニティーの再生、あるいは地域の活性化につながる効果も非常にあると思っております。そういうことから、今後とも河川や公園などのほかの公共施設の管理にもこの制度の活用を検討してまいります。 ○副議長(小川豊君) 教育長 日比治男君。   〔教育長 日比治男君登壇〕 ◎教育長(日比治男君) アドプト制度についてお答えいたします。 学校内外における子供たちの安全を守るためには、地域のお年寄りの方々も積極的に参加していただき、地域全体で支えることが大切であると考えております。県内の多くの小学校、中学校においては、地域のお年寄りの方々に生活科や総合的な学習の時間等、さまざまな教育活動において日ごろからかかわっていただいておりますが、今後ますますふえていくことと思います。各学校においてこのような取り組みを一層進めることにより、アドプト制度の趣旨が普及していくものと考えております。 ○副議長(小川豊君) 二十二番 不破照子君。   〔二十二番 不破照子君登壇〕 ◆二十二番(不破照子君) ハンセン病元患者さんに対しまして、本当に温かい御理解をいただけたものと、心から、私の方から感謝したいと思います。知事さんも率直に、そして健康局長さんも率直に現在行われてきたことを認めていただきましたこと、本当にうれしく思っております。どうか皆さんの心をお忘れなく、これからもぜひ取り組んでいただくよう、お礼を申し上げまして、お願いを申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。   (拍手) ○副議長(小川豊君) 十六番 渡辺猛之君。   〔十六番 渡辺猛之君登壇〕(拍手) ◆十六番(渡辺猛之君) お許しをいただきましたので、以下数点にわたり質問をさせていただきます。 通告では、学校教育におけるパソコンの活用についてという項目も上げさせていただきましたけれども、この問題につきましては、機会を改めましてまた教育長さんにお尋ねをさせていただくということで、きょうは岐阜情報スーパーハイウェイの今後の整備計画、また地場産業の振興、交流産業の振興、この三点について質問をさせていただきます。 まず最初に、岐阜情報スーパーハイウェイの今後の整備計画についてお尋ねをいたします。 御存じのとおり、本年二月、岐阜県IT戦略が策定をされました。すべての県民がITにより豊かな生活を実感できる社会の実現を目指して、生活者の視点に立った政策として、「人材育成」「情報社会インフラ」「五つのネット」という三つの重点政策分野を掲げられ、IT講習を初めとした各種事業に鋭意取り組んでおられるところであります。 一方で、インターネットの普及に代表されますように、我が国のIT革命への取り組みのおくれは主にネットワークインフラの整備のおくれに起因していると言われ、とりわけ過疎・山村地域を多く抱える本県におきましては、都市部と比べ、官民を問わず、その整備が進んでいない状況にございます。例えば、民間事業者が展開するISDNの常時接続によるインターネット定額サービスを見ましても、県内の都市部ではようやく定着してきたものの、山間地域の町村部ではまだまだ定額サービスを受けられないという地域が存在をしております。ADSL--非対称デジタル加入者線--といった高速インターネットサービスは大都市圏から中核都市にかけて順次展開中、光ファイバーによる超高速インターネットサービスにおいてはまだまだ大都市圏エリアにとどまっているというのが現状であります。また、同じように高速インターネットサービスを可能にするCATVの県内普及状況は一部地域に限られたまま、これが現在の岐阜県の姿でございます。 このため、県のIT戦略の中でも述べられておりますように、本県のような地域では、国のe-Japan戦略に掲げられているような民間主導のみに頼っていては、採算性の問題などから早期のネットワークインフラ整備は期待できない状況にあります。すべての県民が早期に、またひとしく高速かつ大容量のネットワークサービスを享受できる環境を整えるためには、ネットワークインフラ整備における県や市町村など公共分野の主導的な取り組みや、また、民間事業者への強力な支援が必要不可欠であると私も考えています。 少し話は変わりますが、私には最近一つ心配していることがあります。つい先日のことでした。愛知県の稲沢市に長年お住まいというある方とお話をする機会がありました。この方は、岐阜県内のある町の、どちらかというと山間僻地のお生まれでいらっしゃいました。故郷を離れ、名古屋市に本社を置く一部上場企業のエリート社員として活躍され、数年前に退職をされたそうであります。さて、その方が久しぶりに里帰りをしたとき、新しく立派な道路が建設されている現場を見て大変驚かれたそうであります。ああ、自分が出ていったふるさとが遅まきながらも一歩一歩発展する姿を見て、さぞ喜んでいただけただろう、私はそう思いました。ところが、その人の口から発せられた次の言葉に、私は自分の耳を疑いました。「あんな立派な道路をつくるのは、税金のむだ遣い以外の何物でもない。効率を考えたら、あんな田舎にあんな立派な道路をつくるより、よっぽど都市の道路整備に回した方がいいに決まっている」。驚きを超えて、私の中では怒りと悲しみが同時にわいてまいりました。自分が生まれ育った土地が今までどれだけ不便だったか知っているはずの人の口からこんな言葉が出てくるなんて、私には到底理解できませんでした。一本の道路ができるまでに、どれだけたくさんの人の時間と労力と熱意が注がれているか、恐らく御存じないのでしょう。もう少し通勤に便利ならば、息子夫婦は帰ってきてくれたかもしれない、この子たちが大きくなったときに生まれ育ったこのふるさとに残ってくれるように、せめて道路ぐらいは二車線であってほしい。その地域で暮らし、その地域を守り、そしてその地域をよくしていこうとする人々の思いから一本の道路も、またそのほかの行政の仕事も生まれてくるのではないでしょうか。 かつて梶原知事は、東京に住み、東京からの物の見方しかできない一部の人たちを「東京タコつぼ族」と命名されました。そして今、私は、最近急速に増加している新しい存在に危惧を感じています。この新しい種族は、次のような特徴を持っています。例えば、東京タコから発信された情報は常に一〇〇%真実であると信じ込み、自分の頭で判断するということはしません。権利の主張だけは声高に叫びますが、責任は果たしません。当事者の立場になって考えるという思いやりの精神は持たず、自分さえよければそれで満足。このような特徴を持っています。そして、私はこの新しい種族を「都市型うのみ族」と名づけました。長良川の鵜飼のウは季節の風情を感じさせてくれる大変すばらしいものでありますし、またくわえたアユも飲み込みません。ところが、都市型うのみ族は、一部マスコミや、またマスコミに注目されている一部の人の意見を丸のみしてしまい、またそれがすべてであると信じてしまう大変厄介な存在であります。まだまだその絶対数は少ないのですが、東京地方を初め、大都市を中心に着実にふえているような気がします。もちろん、うのみ族は山紫水明の国とうたわれたこの日本の山が今どれだけ荒れているかも知りませんし、豊かで美しい水も、守る努力をしなければ永遠のものではないということに気づいてもおりません。そして叫んでいるのです。「地方の道路はむだ遣い、地方への投資はむだ遣い」と叫んでいるのです。コノハズクという鳥は「ブッポウソウ、ブッポウソウ」と鳴くそうでありますが、この都市型うのみ族の鳴き声は「コウリツワルーイ、コウリツワルーイ」であります。私は、IT社会の進展にも、この都市型うのみ族の偏った声が影響しないかということを心配しています。 デジタル・デバイドというのが問題にされますが、それはあくまでも機会は均等に与えられた上でパソコン等の情報機器を使いこなせる人と使いこなせない人の間に生じる格差が問題とされているのであり、ネットワークインフラ整備のおくれが必然的に地域間のデジタル・デバイドを招くような事態は極力避けるべきだと思うのです。その意味において、現在、県で整備が進められている岐阜情報スーパーハイウェイに私は大きな期待を抱いています。 県のIT戦略によりますと、岐阜情報スーパーハイウェイは国土交通省、市町村等の公共既設光ファイバーの活用とあわせて、県独自の整備により光ファイバー網の構築を進められ、岐阜、大垣、各務原などの情報拠点地域を初め、全県域をエリアとする情報通信ネットワークを整備中であり、平成十四年度までには県内の主要公共施設及び県下十カ所の総合庁舎への接続を完了する計画となっています。こうした中で、知事は去る五月初旬の定例記者会見において、「理屈抜きで県内全域に早く光ファイバーを敷設したい。県の情報計画を前倒しする」と発言されているわけですが、具体的には岐阜情報スーパーハイウェイを今後どう構築され、どのように活用されるのか、知事のお考えをお尋ねいたします。 さて、次に、本県の産業振興について、交流産業と地場産業という二つの観点からお尋ねをいたします。 岐阜県では、西暦二〇〇〇年を節目の年といたしまして、歴史や文化などをテーマにした多種多様なイベントと、また豊かな観光資源を結びつけた「ウエルカム21・飛騨美濃体験博」を開催してまいりました。この飛騨美濃体験博は、観光入込客数四千百万人、対前年比九・五%増という数字が示しますように、県内の相互交流と国内外からの誘客拡大を促し、また観光消費額二千六百億円、対前年比三・八%増というデータから見られるように、地域経済の活性化を促し、地域の自主・自立の精神を育てるといった大きな成果を上げてきたところであります。また、この七月二十六日には、飛騨地域におきまして新たにイベント・コンベンション施設飛騨・世界生活文化センターがオープンし、飛騨地域の活性化の中核拠点施設としてさらなる交流人口の増大が期待をされています。 消費不況と言われる昨今の景気の低迷、拍車がかかる少子・高齢化の流れ、また、我が党の代表質問の中で、午前中、中村先生からも御指摘がされましたように、二〇〇七年をピークに我が国の人口は減少傾向に転じるといった人口動態予測などさまざまな要素を考慮いたしますと、交流産業は二十一世紀にも大きく伸びる可能性を有する産業の一つと考えられます。交流産業の振興は、地域経済の活性化にも即効性が期待でき、また若い人たちに魅力的な職場としても有望であると言われています。 先ほど不破先生の御質問にもありましたように、二〇〇五年には愛知万博の開催が予定されております。隣県の岐阜県といたしましても、県内各地域が誇る岐阜県の魅力を国内外にアピールする絶好の機会であります。愛知万博に訪れたお客さんが、そのころには一部開通が予定されている東海環状自動車道を通り、より近く、より便利になった岐阜県までこぞって足を延ばしてもらえるようにするためには、本県の交流産業をさらに発展させることが大変重要であり、より魅力あふれる岐阜県づくりに取り組んでいくことは早急な課題であります。そこで、県として交流産業の振興のための方策をどのようにお考えか、商工局長にお尋ねをいたします。 岐阜県の魅力の一つとして、長い年月をかけて培われてきた物づくりの高度な技術が挙げられるのではないかと思います。高い技術に裏打ちされた飛騨の木工家具、東濃の美濃焼、関の刃物、岐阜のアパレルなどは岐阜県を代表する伝統的な地場産業であります。しかしながら、今挙げましたいずれの産業も長引く景気の低迷に加え、海外、特に中国を初めとするアジアとの厳しい価格競争による受注減、収益減といったように、その現状は大変深刻な状況に置かれております。 二〇〇一年の通商白書によりますと、我が国におけるアジア地域からの輸入額は、平成十二年で約十七兆六百億円と、対前年比二二%増の大きな伸びを示しており、輸入の増加傾向は顕著に続いております。一方、県内産業の出荷額を平成十一年の県の工業統計調査で見てみますと、製造業における製造品出荷額等は四兆九千七百二十三億円余り、対前年比六・二%の減であり、二年連続の減少となっております。各産地からは、「競合する輸入品との価格競争が進み、人件費の安い中国などの製品とは価格面での開きがある。その影響を受けて単価は下落している。このような状況で利益を確保するというのはとても容易なことではない」といった悲痛の声が数多く聞こえてまいります。こうした厳しい環境の中で、県内の地場産業が競争力を取り戻すためには、これまでに培われてきた物づくりの技術というのを最大限に生かしながら、地場産業の振興を図っていく必要があると思うのです。そこで、今後、県は県内地場産業をどのように支援し、どのように振興を図っていこうとお考えなのか、同じく商工局長にお尋ねをいたします。 産業振興というのは、基本的には民間に任せるというのが本来の姿だと私は考えます。行政が主導的な役割を果たして成功した例というのは決して多くありません。ともすると、せっかくその業界のことを考えて行ったつもりの施策でも、当事者であるはずの人たちからは「しょせんお役所のやることなんて」と、距離を置いた傍観者や評論家の立場でとらえられることだってあるかもしれません。特に地場産業などでは、どの分野でも高い技術を有しているのですから、いわゆる職人かたぎが残っていると思うんです。職人かたぎのよい点は、自分たちの仕事には絶対の誇りと責任を持っていること、これは職人かたぎのすばらしい点だと思います。しかしながら、自分の腕一本でおれはこれまでやってきたんだからという他者と群れない性質は、外部からの意見をなかなか取り入れにくいという体質にもつながりかねません。 県内産業を取り巻く環境は、先ほども申し上げましたとおり、大変厳しい状況にございます。この難局を乗り越えていくためには、行政と民間がともに協力し合い、汗をかき、知恵を出していくことが必要不可欠です。民間業者は、今の時代に何が求められているかを的確に把握し、企業努力でやらねばならないこと、また、行政に期待することの区別を明確にしていく。行政は、自分たちが行う施策が本当に民間の期待にこたえているのか、本当に民間の期待に沿っているのかということを常に注意しながら現場の声に耳を傾けていく。このような姿勢が、官と民という二つの力を足したときに、それを三にも四にも増していくことになるのではないでしょうか。 本年四月から、県の経営指導課は経営支援課と名称が変更されました。これまで民間の事業者からすれば、こちらは商売の最先端で頑張っているいわば商売のプロなんだから、商売の素人であるお役人に指導なんてされたくないという意見があったかもしれません。しかし、おくればせながらといっては失礼かもしれませんが、行政の中に、自分たちは上から指導するんじゃなくて、あくまでも商売・経営・産業の現場で頑張る人たちのサポート役なのだという感覚が行政に生まれてきたのならば、名称の変更は小さな改革かもしれません。しかし、この発想の転換は、新しい時代にふさわしい新しい官と民の協力関係を構築する大変革につながると思うのです。そのような期待を込めながら、私の今回の質問を終わらせていただきます。 御清聴どうもありがとうございました。   (拍手) ○副議長(小川豊君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) 岐阜情報スーパーハイウェイについてお答えしたいと思います。 情報通信のネットワークは、これまでの工業社会の言うなれば道路ネットワークに相当するものでございまして、情報産業社会においては光通信網が道路の役割を果たすということでございます。したがって、道路には有料道路もあれば国道、県道、市町村道もあると。有料道路は産業用、ビジネス用。民間の力で敷設できるというものでございますが、生活道路に相当する光ファイバーというものは、一種の公共事業的な感覚で補っていかなきゃいけないということでございます。言うなれば、競争原理とともに生きていく共生原理が相伴わないと、国民・県民のビジネスあるいは生活が維持できないと、こういう時代が到来しつつあるということでございます。こういう考え方で、私も自治体の結果代表者のような形でIT推進本部で発言いたしておりますが、常に機会の均等化、弱い人にも力を与えられるような光ファイバーネットワークをつくるべきだということを主張してきております。岐阜県におきましてもそのような考え方で、情報スーパーハイウェイ、情報ハイウェイというものを構築してまいりたいと、こんなふうに考えております。 現在、幹線の情報ハイウェイは着々と道路事業の一環として整備を進めておりますが、当面、急ぐネットは何かといいますと、一つには、先ほど来お話が出ております経済の活性化ということでございまして、このためのビジネスネットを急いで敷設していこうというふうに思います。ソフトピアあるいはテクノプラザあるいは関のテクノハイランド等々、産業拠点になるべく早く光ファイバーの高速大容量の、いわゆるブロードバンドネットをつないでいこうと。そして、企業の皆様が一般水準の三割ぐらい安く使えるというような環境にしたいと思っております。 先般、アメリカ・ワシントン州のタコマ市で調査してまいりましたが、タコマ市は隣のシアトル市よりも三割安いブロードバンドの環境整備をしまして、急速に企業立地が進んでおります。これは大いに参考になることだと思っておりまして、平成十四年度末までにこのビジネスネットを主要な産業拠点につないでいきたいと思っております。 それから、次に急ぎますのが防災ネットでございまして、二〇〇四年の春--平成十五年の春--に東海地震が起こるという予測が東京大学の先生、数学の理論によって予測されております。それが当たるかどうかは知りませんけれども、そうなるかもしれないという前提で災害対策をただいま講じております。そういうことと相まって、防災、あるいは災害復旧用のネットを早く敷設したいということで、平成十四年度末までに各総合庁舎、県の総合庁舎でございますが、それと全市町村を光ファイバーで敷設をしたいと思っております。それから、地上系無線で行っておりますRENTAIを平成十五年度から情報スーパーハイウェイに移行することによりまして、いわゆるブロードバンド化、高速大容量化ができると、こういうことを目途に整備を急いでまいりたいと思っております。 次に学校ネットでございますが、言うならば教育改革のインフラに相当するものでございまして、この学校ネットというものを早急に整備して、岐阜県学園構想--幼稚園、保育所、小・中・高、県下全部の学校があたかも一つの学校のように、どこの学校とも光ファイバーでつながって、どこの学校の授業も受けられると。こういう縦横の垣根を取っ払うと、そのインフラが学校ネットでございまして、これによって教育改革が大きく進むと思います。平成十三年度中に私立高校を含む高校を四メガビットの衛星回線と一・五メガビットのNTT専用線でまず接続すると。それから、平成十四年度末までに私立高校を含む県立高校に加えまして、地域のネットの整備された市町村の小学校、中学校まで光ファイバーで接続したいと思っております。それから、平成十五年度末までにはそうしたネットがない市町村におきましても一・五メガビットのNTT専用線で接続してしまいたいと、こんなふうに思っております。 それから電子県庁、電子自治体という課題がございまして、これは県と市町村、両方ございます。県におきましては、平成十三年度から文書管理、電子申請、電子調達等の試みを始めております。平成十六年度から、国のいろんな制度改正にあわせまして電子県庁を本格的に運用したいと思っております。市町村におきましては、平成十四年度末までに民間光ファイバーを借用したりいたしまして、県と市町村間を接続したいと思っております。それから、平成十五年度末までに総合行政ネットワークへ全部九十九の市町村が参加できるようにしたいと。そういうような目標を立てまして、お尋ねの情報スーパーハイウェイを中核幹線にいたしまして、急ぐネットから緊急に整備をしたいと、かように考えております。 ○副議長(小川豊君) 商工局長 長屋 栄君。   〔商工局長 長屋 栄君登壇〕 ◎商工局長(長屋栄君) まず、交流産業の振興についてお答えいたします。 交流産業の振興につきましては、議員御指摘のとおり、極めて重要と考えております。そこで県といたしましては、第一に、家族や趣味等のグループ旅行が主流を占めてきている、そしてまた、アジアを中心に訪日旅行者が増加している。こういったことを踏まえまして、地域や対象者など、ターゲットを絞った戦略的な誘客対策を講じてまいりたいと。 第二に、歴史・文化・地場産業など、県内のすぐれた観光資源を総点検、再評価して、例えば俳句あるいは花といったようなテーマをもとに、物語性のある街道・回廊づくりを五圏域ごとに行って、「日本まんなか楽園ぎふ-飛騨・美濃構想」として、他県にはない岐阜県独自の観光商品づくりを進めてまいりたいと考えております。また、県内二十八カ所の道の駅を「ひだ・みの道の駅連合」としてネットワーク化し、例えばスタンプラリーなどの取り組みにより、道の駅を交流産業拠点として活用してまいりたいと考えております。 三つ目に、世界イベント村を初めイベント・コンベンションに利用できる施設を総点検するとともに、既にございます岐阜、高山、下呂に続くコンベンション・ビューローを今後計画的に立ち上げ、イベント・コンベンションの誘致を積極的に進めてまいりたいと考えております。 そして四つ目に、ホームページやiモードを活用してコンベンション施設、県産品、イベントなどの情報提供を行うほか、県内の観光PRをインターネット上で募集するなどして、ITを最大限に活用した効果的なPRを行ってまいります。こうした取り組みを、旅行エージェントなどと連携しながら、二〇〇五年の愛知万博に向けて交流産業を積極的に振興してまいります。 次に地場産業の振興についてでございますが、本県の地場産業が厳しい市場競争に勝ち抜き、そして発展するためには、何と申しても「売れるものづくり」、そして「上手な商い」、こういったことに取り組んでいくことが大変重要と考えております。本県の地場産業のすぐれた技術力を活用しつつ、プロダクトデザイン力を強化し、商品の個性化、差別化を図り、付加価値を高める必要があります。このため、人材養成や新たな物づくりを支援するワールドデザインアカデミーを整備するとともに、プロダクトデザインセミナーや研修会の開催支援、飛騨美濃デザインコンペの開催、海外デザイン拠点と連携しながら個々の企業のデザイン指導などに取り組んでまいります。また、市場調査や情報の受発信など、商品開発、商品販売の手段としてのITの活用は必須でございます。そのほか、物づくりや技術開発に対する金融面などの支援策の充実、さらには国内外で見本市の開催支援など、GIFUブランドの確立とPRを積極的に図ってまいります。 ○副議長(小川豊君) 十一番 渡辺 真君。   〔十一番 渡辺 真君登壇〕(拍手) ◆十一番(渡辺真君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、今回作成をされました財務諸表と、今後、導入が必要と思われますPFIについて質問をさせていただきます。 現在、本県では、県民とともに考え行動する県民が主役の県政が進められております。県民とともに考え行動する県政では情報の共有が必要であり、アカウンタビリティーの機能を高めていくことが求められます。今回作成、開示をされました財務諸表は県と県民が共有すべき大切な会計情報でありまして、今後、これを有効に活用して、合理的な県政の意思決定に役立てていかなければならないというふうに思います。 さて、国と地方自治体が大変厳しい財政状況の中で、社会資本と借金の関係がさまざまな次元で議論をされております。その一つに、世代間における資産と借金という問題があります。現在、県はその関係がどうなっているかを今回のバランスシートで見てみたいと思います。 平成十一年度末の有形固定資産は二兆三千七百九十九億円、そこに占める借入金は一兆二百九十七億円です。すなわち有形固定資産形成に占める借入金の率は四三・三%で、残り五六・七%が正味財産で賄っているということが言えます。これを世代間負担という観点で見ますと、有形固定資産の六割弱は現役世代が賄っているが、残り四割強は将来世代からの借金という見方ができます。将来残る借金は、将来の世代の人たちのためになる資産づくりだから必要だ、やむを得ないんだという意見があります。問題は、その資産が将来の人たちに本当に役に立つか否か、あるいはそのための借金の大きさが適当であるかどうかであります。最近のように、社会の変化が早く、激しく、人々のニーズが多様化しているとき、その判断には十二分な慎重さが必要であります。また、将来の人たちが将来という時点で自分たちに必要だと思う資産を選ぼうとするとき、余り大きな借金は、その人たちの選択肢を狭めるのではないかという懸念も生じてきます。大変難しい問題ですが、質問をさせていただきます。有形固定資産の四割強が将来世代の借金であるという状況を踏まえて、今回のバランスシートにあらわれた岐阜県の財政状況をどのように評価されるのか、経営管理部長にお尋ねをいたします。 続きまして、ちょっと事務的な話になって申しわけないんですが、財務諸表の公表の意義、今後改善すべき事項、県民への開示方法について、私の意見を申し上げながら質問をさせていただきたいと思います。 財務諸表の作成の目的は、財務報告利用者による公的部門のアカウンタビリティーの遂行状況の評価に資すること。また、財務報告利用者がその財務報告を利用することによって、より合理的な県政の意思決定に資することであります。ここで言う財務報告利用者は県民であり、県自体と解すべきであると思いますが、その目的に照らして今回の財務諸表の評価できる点をまず見てみたいと思います。一、県民に資産・負債等の状況を明らかにするという目的はおおむね達成されていること。二、総務省方式は単なる決算統計の数値の積み上げであるため資産の内容がわからないが、岐阜県版は建物など可能な限り台帳を作成し、実在する資産と一致させる努力をしたことにより、政策区分ごとに行政コスト計算書が作成されていること。三、他県ではまだ余り作成されていない行政コスト計算書に取り組み、行政区分が款レベルではなく項レベルで作成されていること。四、一時点の財政状態ではなく、二事業年度にわたる開示で利用者の有用性を高めていること。五、全体的にビジュアルな仕上げとなっており、概括化した表から細部の数値を開示する流れは適正で、形式的に見やすい財務諸表になっていること等が挙げられます。 一方、今後改善が望まれる事項については次のような点が指摘できると思います。一、水道事業会計、工業用水事業会計、病院事業会計及び流域下水道事業会計を含めた連結バランスシートの作成が必要だと思います。二、債務償還の財源として流動資産と投資等が示されていますが、有形固定資産が償還財源となり得ない理由の開示が必要ではないでしょうか。特に、有形固定資産の中の土地や美術品が財源となり得ないことは民間人には理解しにくいことだと思われます。三、資産の評価基準の説明についてですが、資産の評価基準として取得原価主義がとられており、評価金額の客観性が確保されていますが、投資等に含まれる投資・出資の有価証券は時価評価が望ましいのではないでしょうか。また、時価評価まで踏み込めなくても、時価情報の開示はすべきであると思います。なぜなら、これらの資産は財務諸表の将来必要となる財政負担の債務償還財源として位置づけられていますが、これらの資産を取得原価で開示し続けると、債務償還財源としての役割を果たそうとする価値とかけ離れるおそれがあるからです。債務を償還するには、これらの資産を利用する場合、市場で換金する際のいわゆる処分価格が重要な情報となり、取得価格は財源の表示として余り意味のある情報ではなくなってきます。一般的には、時間の経過とともに取得原価と時価は乖離する傾向にあります。その処分価格を無視して取得価格で債務償還財源の開示をし続けるのは有用な会計情報とは言えず、結果的に、将来必要財政負担の金額を読み誤るおそれがあると思われます。以上のような考えから、主な投資・出資の一覧表は取得原価にあわせて時価情報も開示すべきと考えます。また、非上場株式のように、時価の客観性のない物件は投資先の決算書から計算した適正な価格を表示すべきであり、特に市場に売却できないような投資先があれば債務償還財源としての位置づけ自体を見直して検討すべきだと思います。四、主な建物一覧表については、建物の所在地、利用目的、料金収入等を、また貸付金の一覧表では貸し付け理由、回収期限、貸し倒れ懸念の有無を含めた滞留債権の有無、事業年度中の貸し倒れの有無とその金額を開示することが利用者にとってより有用な情報開示となるのではないでしょうか。五、最後ですが、財務諸表が示す各数値が行政責任を評価する上でどのように利用すべきであるかが不明瞭なものとなっています。報告の相手を一般の県民とするならば、現状の財務内容が合法的であり、行政側が行政責任を全うした結果であるか否かを利用者によりわかりやすく開示することが必要だと思います。特に財務諸表は専門用語も多く、一般の県民にはわかりにくく、わかりやすい何らかの工夫が必要だと思います。以上、いろいろ述べてきたとおり改善すべき点はあると思いますが、まずは県がこのたびの財務諸表を作成、公表されたことは高く評価されるべきだと思います。 さて、質問ですが、経営管理部長は財務諸表を公表した意義と、今後の改善すべき事項についてどのように考えておられるのかお尋ねします。また、先ほど申し上げたとおり、この財務諸表は専門用語も多く、一般の県民にはわかりにくいと思いますが、今後、県民に対しどのように開示し、説明されていくのか、あわせて経営管理部長にお尋ねをします。 次に、PFIについて質問をさせていただきます。プライベート・ファイナンス・イニシアチブの略でありますが、社会資本整備の新たな手法であります。 公共施設の建築、維持管理、経営等を民間の資金、民間の経営能力、技術的能力を活用して行おうとするものです。そこに込められる期待--メリットにもなるわけですけど--は、安くて良質な公共サービスを提供できること、公共サービスの提供において行政のかかわり方の改革が進む、すなわち官と民の役割分担とか責任の明確化を含めて、新しいパートナーシップの形成が進むことが期待できること。三番目としまして、民間の事業機会を創出することを通じて経済の活性化に資することができること等が挙げられております。私にはもう一つ、民間との協働において、事業の効果とともにその可能性を積極的に検討し、事業の実施が困難とされる事業については、税金を主体とした予算編成の中で事業実施を再検討するか、あるいは事業をしないことにするかを決める評価システムとしてのメリットもあるというふうに考えております。 PFIは以上のようなメリットを持っていますが、なぜ今その導入が必要か。その理由は、社会資本整備に当たりまして、国も地方自治体も大変厳しい財政状況であること。したがって、これから社会資本の整備を進めるに当たっては、これまで以上にバリュー・フォー・マネー、すなわち一定の支払いに対して最大の価値を提供することが求められており、したがって民間の経営の能力や感覚が必要とされていること。民間の活用の手法である第三セクター等の手法が十分に機能しなくなってきていること、あるいは公共事業の二次的な目的とされる景気浮揚効果が低下をしていること。そして、これもまた大変大きな問題と思うんですが、これまで進められてきた社会資本の維持費、補修費、いわゆるランニングコスト、リニューアルコストが今後大幅に拡大することが容易に予測されること等が挙げられると思います。 このPFIは、御案内のとおり、イギリスで提案をされて発達してきたものです。イギリスにおいても、導入当初は官民ともに戸惑いがありまして、なかなかいい形で進まなかったわけですが、現在では、道路、鉄道、病院、学校、刑務所、庁舎、情報通信システム等、国民生活に密着した公共事業に幅広く適用されております。その形態は三つほど挙げられておりますが、一、民間の下で有料の道路や橋を建設、建設費用は利用者の負担で回収する。二、官が所有する施設などの社会資本を通じて民間が行政サービスを提供する。三、行政サービス提供のコストについては財政資金とサービス供給から得られる収益を組み合わせることで維持し、社会資本全体の経営管理は民間が行うということでありますが、事業の性格あるいは規模によっていろいろな形が考えられると思います。 我が国においても、一九九七年以降、その制度が模索されてきました。一九九八年一月の通常国会にPFI推進に関する法案が議員立法によって提出され、PFIを進めるための税法上の優遇措置、低利融資等の措置が翌年度予算から本格的に導入されました。最近の動きとしては、小泉内閣が公務員宿舎の建てかえや情報技術開発の整備を対象に、十四年度から導入することを明らかにしております。また、先日の新聞では、文部科学省と会計検査院は霞が関の本庁の建てかえをPFIの手法で実施することを発表しております。 地方自治体でのPFI導入も進んでおります。どういう事業で導入されているかということで、簡単に報告をさせていただきますが、東京都の浄水場整備事業、大阪府の立体駐車場整備事業、高知県の高知市民病院整備運営事業、秋田県の広域市町村圏組合ごみ処理事業、茨城県の埠頭公共コンテナターミナル施設の整備、管理運営事業、三重県の交流拠点事業、大分県の消費生活会館整備事業、神奈川県の県立保健医療福祉大学整備事業、神奈川県衛生研究所等施設整備事業などが実例として挙げられます。 PFIの手法は規制緩和や構造改革と一体で実施する必要があり、各種補助金制度、交付税制度あるいは官と民の契約と議会の議決との関係等々、見直す課題が多数あると思われます。また、リースバック方式、賃貸借方式、割賦方式、土地信託方式との比較、あるいは地元の中小業者の参加方法を検討することも必要であります。PFI導入にはそうした解決すべき課題はたくさんありますが、国の方針である公共事業の削減、あるいは地方交付税の削減等が進められようとしているとき、本県においてもその導入に向けての具体的な検討を早急に進めるべきではないでしょうか。 そこで質問ですが、本県ではPFIの導入の必要性についてどのように考えておられるのか、また導入に際しての課題と今後の取り組みについてどう考えておられるのか、以上二点について経営管理部長にお尋ねをいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○副議長(小川豊君) 経営管理部長 横山昭遵君。   〔経営管理部長 横山昭遵君登壇〕 ◎経営管理部長(横山昭遵君) まず、岐阜県版財務諸表につきまして三点にわたりお答えいたします。 本県の財務諸表の評価についてでございますが、議員御指摘のとおり、今回公表いたしました財務諸表によりまして、現在有する県の固定資産の約四割は将来世代からの借金であることが明らかになりましたが、同時に固定資産は将来世代の利用も想定したものでございます。これを他県で公表されました財務諸表と比較いたしますと、本県の借金の割合はむしろ小さい方でございまして、総体的には健全財政が維持されていると考えております。今回公表いたしました財務諸表につきましては、第三者の方々に客観的な評価をしていただき、さらにその結果を公表し、今後の財政運営に生かしていきたいと考えております。 二点目でございますが、この財務諸表につきましては、県の財政状況を明らかにするために、県が保有するすべての資産、負債などのストックの状況を総括的に表示し、さらに人的サービスや給付サービスなど、資産形成につながらない当該年度の行政サービスのコストを説明したものでございますが、この目的はおおむね達成できたと考えております。しかしながら、まだまだ議員御指摘のような改善すべき事項もありますので、今後とも「地方自治体の発生主義会計方式に関する研究会」などの検討内容を参考にしながら、改善すべき点は順次改善していきたいと考えております。 この御質問最後でございますが、今回、公表いたしました財務諸表につきましては、今後、インターネットなどを活用して県民の方々に開示していきたいと考えております。その際でございますが、絵を利用したり、あるいは専門用語をできるだけ避けるとともに、例えば「有形固定資産」という言葉につきましては「個人住宅」、また「借金」を「住宅ローン」など身近な家計収支に置きかえるなどの工夫をしまして、できる限りわかりやすい財務諸表にしていきたいと考えております。 次に、PFIの導入につきまして二点にわたりお答え申し上げます。 必要性でございますけれども、近年の厳しい財政環境の中で県民の皆様に引き続き質の高い行政サービスを提供するためには、民間の資金とノウハウを活用したPFIはぜひとも導入すべき手法の一つであると考えております。このため、本県では既にPFI法の施行前から法で定める基本的事業手法を先取りした事業スキームによりまして、アクティブGとかワークショップ24などの整備を行ってきたところでございます。また、こうした方針は平成十二年度に策定しました岐阜県行財政改革行動指針においても民間との連携強化を図るための具体的取り組みとして位置づけているところでもございます。 それから、導入に際しての課題と今後の取り組みでございますけれども、議員のおっしゃったようにVFM、つまり、いただいた税金に対しまして最も高い価値のサービスを提供しようとする考え方、このVFMを定量的な評価方法とか、あるいは官民の適切なリスク分担など、従来の手法とは異なる技術的な課題のほかに、民間事業者の参加がなかなか見込みがたいというような地域性を原因とした課題も想定されます。このため、岐阜県PFI活用研究会におきましては、市町村職員の参加を得まして幾つかの具体的な事例について検討を行い、こうした点を明らかにしながら、今年度中にPFIに対する基本方針及び導入マニュアルを策定することとしております。これに基づきまして、新規事業の実施に当たりましてはPFI導入の可能性について検討するなど、全庁的な体制で取り組んでいきたいと考えております。     ……………………………………………………………………… ○副議長(小川豊君) しばらく休憩いたします。 △午後三時十三分休憩      ……………………………………………………………………… △午後三時四十分再開 ○議長(宮嶋和弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。     ……………………………………………………………………… ○議長(宮嶋和弘君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。十八番 藤墳 守君。   〔十八番 藤墳 守君登壇〕(拍手) ◆十八番(藤墳守君) 議長のお許しをいただきましたので、私は三点について質問させていただきます。朝から連続で大変お疲れでございますので、手短に一時間ほど質問させていただきます。 まず第一点は、麦・大豆の振興のための基盤整備の進め方についてお伺いをいたします。 我が国の稲作の歴史を考えますとき、近年の研究では三千年以上も前にさかのぼると言われておりまして、まさに日本はこの稲作、すなわち水田を基本とした農耕文化が現在の日本民族の礎を形づくったものと言われております。このことが瑞穂の国と言われるゆえんであろうかと思います。 一方、麦に目を移してみますと、今では米の生産調整の対象作物としての位置づけが主体となっておりますが、これも二千年前の弥生時代中期には既にその栽培が始まっていたとされております。同じ時期に栽培が始まったとされる大豆とともに、日本人の主要な食糧として、また日本文化をはぐくんできた農村生活の精神的よりどころとして重要な作物であったことがうかがわれます。 この美濃平たん地域におきましても、昭和三十年ごろまで水田では二毛作が行われておりました。春には、今では比べものにならないほど多くの麦が風になびき、一面に咲き誇るレンゲの空高く、ヒバリがさえずる姿がございました。そして、その麦の収穫が終わりますと、今の機械によります田植えよりはるかに大きな苗で田植えを行っていたものでございますが、夏場の田の草取り、あるいはのこぎりがまでの稲刈り、共同で行うもみすり作業など、どこの地域でも見られる農村風景であったと記憶をいたしております。統計資料を見ますと、昭和三十年には岐阜県全体で麦が三万五千ヘクタール、大豆が四千七百ヘクタールの栽培面積を誇っておりました。しかし、日本の高度経済成長とともに労働力が都会へ流出し、輸入作物が増大するなど、社会経済状況の変化により麦・大豆の栽培面積が大きく減少し、麦が昭和五十二年には約三百ヘクタールに、大豆が平成六年には約七百ヘクタールにと、このような状況まで減少をいたしておるところであります。 日本の農村文化、農村社会を累々とはぐくんできた水田を中心とした農業を持続させ、未来の子供たちに伝える責任を我々が負っていることを考えますとき、米の需要と供給に大きな開きがある現状において、麦・大豆を含めた水田農業の振興は大変重要であると考えております。また、同時に、その担い手である農業者の所得確保、自立経営に結びつく取り組みが不可欠であると考えております。 岐阜県においては、一昨年三月に県民の生命・健康を守る岐阜県民食料確保計画が策定され、平成十五年には県内の食料自給率を五〇%程度にすべく各種施策を展開し、県内農産物の生産量の確保と安定的な供給に努め、多様な水田農業の展開がされていると伺っております。 県下でも有数な穀倉地帯を形成している西濃地域では、近年、大規模な基盤整備が行われ、大区画の機械化営農が進展し、高い栽培技術のもと、高品質で収量の安定した麦・大豆づくりが行われているところであります。しかし、一方では機械・施設等の整備が不十分であったり、病害虫や生育管理が適正でなかったり、あるいはまた排水条件が十分でないなど、これらの要因で麦・大豆の振興が図れない地域も県内にはたくさんあると考えられます。 私ども地元の垂井町では、二十年ほど前に町全域におきまして圃場整備事業が行われ、用水と排水が分離され、区画も約三十アール以上の整備がなされました。当時の営農体系としては十分な整備であったわけでありますが、二十一世紀に入り、貿易の自由化など国際化の進展に伴う競争の激化や世界の人口増大に伴う食料危機の到来など、日本農業の食料自給率の向上が今日的課題となっております。このような時代背景の中で、麦・大豆の生産拡大のためには大型機械による低コスト化が求められており、暗渠排水などのよりきめの細かい排水対策が必要であるという声を各農家から耳にする現状でございます。このように、農業・農村の振興を図り、県民食料確保計画の着実な達成の上でも麦・大豆の振興は重要な課題であると認識していますが、そのための基盤整備について県は今後どのように取り組んでいかれるのか、農山村整備局長にお尋ねをいたします。 続いて、大阪の児童殺傷事件に関連しての質問でございますが、この件に関しましては我が党の中村議員の代表質問で教育委員会としての対応はお伺いをいたしました。そこで私は、この児童殺傷事件の犯人が精神障害者の犯行との報道もあります。このことから、県の精神障害者施策への取り組みという観点から質問をさせていただきます。 大阪府池田市で発生しました児童殺傷事件は余りにも痛ましい事件であり、多くの幼い命が犠牲となったことに大変大きな衝撃を受けております。この事件で亡くなられました方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、今回被害に遭われた方々が一日も早く全快されることをお祈りいたします。また、被害者、御家族並びに同級生を初めとする学校関係者の皆さんが負われました心の傷の深さはいかばかりかとお察し申し上げる次第であります。 今回の事件では、昼間の小学校で事件が発生し、幼い児童の皆さんが被害者となったこと、加害者が過去にも刑事事件を起こしたことのある精神障害者であったことが大きな問題となり、学校での安全対策や触法精神障害者に対する処遇のあり方に早急な対応が望まれると思います。事件当日、この加害者の精神状態がどうであったのか、責任能力を持ち合わせていたかは、今後、司直の手により明らかにされることと思います。重大な刑事事件を引き起こした精神障害者の処遇につきましては、関心を持たずにはおられません。今後、法務省、厚生労働省等において新たな制度の創設を含め検討されているものと伺っておりますが、二度とこのような悲惨な事件が起きないよう国民全体が十分納得のできる制度、対策が必要と考えます。 また、この事件が精神障害者によるものとの報道によりまして、多くの精神障害者の方々や家族の方々も非常に心を痛めておられることと思います。この事件により、精神障害者は危険な人物という印象を与え、精神障害者の方々に対する偏見を助長し、社会復帰の障害となることは避けなければならないものと思います。大多数の精神障害者の方々は、一日も早く社会復帰できるよう治療を続けられ、また、社会の中で精いっぱい努力しておられるものと思います。今回の事件が精神障害者の方々の社会復帰の道を閉ざすようなことになることはぜひとも避けなければならないと思います。そのためには、精神障害者を正しく理解してもらうことがまず必要であり、一人でも多くの精神障害者の方が社会参加し、地域の皆さんと交流を図ることがお互いを理解し合う第一歩と考えます。 そこで健康局長にお尋ねをいたします。今回のような事件を精神障害者が起こした場合、現状では強制的に精神病院に入院となり、病状に改善が見られればいずれは退院することとなると思います。退院後の地域住民の再犯に対する不安等は非常に大きいものがあると思います。そこで、退院後のケア体制についてどのように考えておられるのかお尋ねをいたします。また、精神障害者の方々と地域住民との交流を促進し、相互理解を深めるための施策をどのように進めていかれるかについてもあわせてお尋ねいたします。 なお、学校側の安全管理の一つとして、教育用資器材の安全確認ということにつきまして一言申し上げておきたいと思います。これは私どもの地元のある学校で、グラウンドのライン引きの最中に間違って子供の目にライン引き用の消石灰が入って、この児童がかなりひどいけがを負ったとのことでございました。後遺症も多少残るのではないかと言われております。聞くところによりますと、消石灰には農業用の消石灰とライン引き用に使われる消石灰と二種類があるそうでございます。農業用に比べて、ライン引き用の消石灰は安全なものであると言われているそうであります。こうしたことが分別できずに、農業用の消石灰が使用されていたようでございます。ぜひとも児童・生徒の安全を第一に、こうした教育用資器材につきましても事故につながらないよう細心の注意を払っていただきながら、ぜひ御配慮をいただきますように御要望申し上げておきます。 最後に、林道の落石事故対策についてお尋ねをいたします。 平成十一年に、国において「森林と生活に関する世論調査」が実施をされました。この中に、「森林に対し、どのような働きを期待するか」という設問に対し、その回答結果は、第一位が災害防止、第二位が水資源の涵養、そして飛びまして第六位に野外教育の場、第七位に保健休養の場となっておりました。野外教育や保健休養という森林レクリエーションへの期待は、森林の経済活動に関する林産物の生産が第八位、第九位が木材生産というもので、野外教育とか保健休養というのが上回っておりました。岐阜県は八十六万八千ヘクタールというたくさんの森林面積を有する全国で第五位の森林県であり、この豊富な森林の中には野外活動のためのたくさんの施設があります。例えばキャンプ場を例にとりますと、岐阜県が発行している「岐阜県キャンプ場ガイド」によりますれば、県内には民間のキャンプ場が百六十五カ所、公営の教育目的のキャンプ場が五カ所あり、計百七十カ所が開設されております。これらの施設は訪れる人々に憩いを与えるばかりでなく、山村地域の経済振興にも大きく寄与しているところであります。私どもの地元西濃地域におきましても数多くのキャンプ場がございます。中京圏に近いということもあり、夏休みを中心に毎年多くの方々が訪れており、こうした時期には、森の中、山の中は活気にあふれております。 しかし、年ごとに盛んな森林レクリエーションの活動に衝撃となるような事故が先刻発生をいたしました。すなわち、六月六日に武儀郡板取村で起きた林道における落石事故であります。板取村の海溝洞林道で、愛知県春日井市立西部中学校の二年生の生徒が野外学習のハイキング中に林道ののり面最上部からの落石に当たり、一名が死亡、二名が頭部に軽傷、三名がすり傷を負う痛ましい事故が発生をいたしたところであります。板取村は豊かな森林資源を生かした観光立村を掲げておられまして、年間約四十万人もの観光客が訪れておられると伺っております。株杉への散策や滝めぐりなど、林道は欠かせないものとなっております。しかし、村の観光協会によりますと、当事故の発生後、林道を利用する野外活動に危険なイメージが持たれ、不安なままでは楽しい思い出はつくれないなどの理由で一般利用客からの宿泊キャンセルが相次いでおりました。中には、夏休みの予約を取り消されたグループも数多くあったそうであります。 この事故を受け、板取村では村内の林道二十八路線を緊急に総点検した結果、二十六カ所の危険箇所が判明し、うち三カ所について緊急に改良することになったそうであります。また、当面、危険と判断される林道には、「林業関係者以外立入禁止」及び「落石注意」の看板を設置したとのことでありました。さらに、天候不順など、野外活動に危険がある場合には、利用者への安全指導を徹底することをキャンプ場等の管理者と申し合わせをしたそうであります。このように板取村ではさまざまな対策が講じられておりますが、岐阜県内には二千余路線もの林道があり、板取村以外の市町村においても観光資源へのアクセスとして利用されている林道が数多くあります。私どもの地元垂井町におきましては不破の滝という有名な滝がございまして、ここでも林道が観光用道路として利用されております。今回の落石事故によって生じた林道を利用した観光に対するイメージダウンを払拭し、林道を利用しての山村振興をさらに促進するため、県内林道の落石事故対策について今後どのように対応していかれますのか、農山村整備局長にお伺いをいたします。 以上三点の質問をさせていただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。   (拍手) ○議長(宮嶋和弘君) 健康局長 金田修幸君。   〔健康局長 金田修幸君登壇〕 ◎健康局長(金田修幸君) 精神障害者施策への取り組みについてのお尋ねにお答えします。 まず、触法精神障害者の県の対応のお尋ねがありました。これは非常に困難な点がたくさんあるわけですけれども、まず、犯罪を犯した精神障害者が措置入院、これは強制入院ですけれども、精神病院に入ってくるケース、これは一般には検挙されて簡易鑑定、精神障害者であるかというよりも、心身喪失であったかとか、そういう簡易鑑定で八割方の方が起訴されずに、そこで措置入院というような形で入院になる。そういうことで、それがいいかどうかも問題になっているわけですけれども、問題は、措置入院させる理由が自傷他害--自分を傷つける、他人を傷つけるおそれがあるかないかだけで、そのことのみが入院の根拠になるわけでありまして、したがいまして、精神病院での治療におきまして、自傷他害のおそれがなくなった場合には、精神保健福祉法の精神によりますと速やかに退院させる旨規定されておりまして、医療機関から比較的早く退院しているのが現状でございます。退院した患者さんにつきましては、医療機関の主治医が強制権を持ってその後をフォローするということができない。もちろん、かなりの患者さんがデイケアも含めまして通院治療を受けているわけですけれども、医療機関の手を離れてしまった患者さんにつきまして、行政、保健所でありますけれども、これまた自傷他害のおそれがない者に関しまして、人権の問題がありまして、なかなかフォローしにくいと。そういう困難さがありますけれども、現在の精神障害者の退院後のケアというのは、国で検討しておりますいろんな問題がどうであれ、最後はここに来ますので、地域で面倒見る体制を何とか今よりいい形でできないかということを取り組んでみたいと思っております。市町村も含めまして、行政と保健所、それから医療機関の精神科医、また、一番この問題で第三者が被害を受けるというようなことで困っているというお話が、そうなんですけれども、実際は殺傷事件の被害者の七、八割は患者家族でございまして、この問題は、もちろん第三者もそうですけれども、障害者の家族も非常に困っているわけでございますので、家族会等も含めまして、何とか地域での退院後のケアの体制を検討を重ねて、少しでも実効あるものにしていきたいと考えております。 それから二点目の、地域住民と精神障害者の交流、これは精神障害者対策で、先ほどのハンセンではございませんけれども、同様に、精神障害者に対する偏見、差別が第一の障害でございますので、精神保健福祉法の理念に社会復帰を目指す、こういうことでも偏見、差別が障害になりますので、大事なことであります。保健所は精神保健センターと一緒になりまして、各保健所で精神障害者に対する処遇の仕方とか家族会も含めまして、一般住民も含めまして啓発講習会を続けております。また、県・市町村、精神医療機関で資金を出し合って運営しております県の精神保健協会、これは各地域で最寄りの精神医療機関が中心になりまして、家族への支援とか、当面課題になっているいろんな問題、かなりきめ細かな活動をしております。そういうことも通じまして、また精神医療機関では多くの地域住民を招きまして交流会、スポーツ大会等もやっております。こういうものを県も支援してまいりたいと思っておりますし、いずれにしましても、県民の精神障害者を正しく理解していただくような努力と、また社会復帰へ向けて努力してまいりたいと思っております。 ○議長(宮嶋和弘君) 農山村整備局長 三島喜八郎君。   〔農山村整備局長 三島喜八郎君登壇〕 ◎農山村整備局長(三島喜八郎君) 議員からお尋ねのあった二点についてお答えをいたします。 まず第一点の、麦・大豆の振興のための基盤整備の進め方についてお答えをいたします。 麦・大豆の生産振興には、営農の機械化・集団化によるより一層の低コスト化、品質の向上が重要であり、そのためには排水条件の整備が最も重要であります。従来から圃場整備を中心に排水対策として用水と排水の分離を積極的に行ってきたところでありますが、今後、さらに用排分離を進めると同時に、既に圃場整備が完了した地域におきましても地域の実態に合わせた暗渠排水等のきめ細かな排水対策を行っていくこととしております。また、これらの整備に当たりましては、農家、営農組織などの意見を十分聞くとともに、営農部門との横の連携をとりながら、麦・大豆の生産拡大等、品質の向上のための排水対策に努めてまいります。 次に、林道の落石事故対策についてお答えいたします。 板取村における落石事故後、すぐに県内林道の落石危険箇所について総点検をした結果、自然公園や滝などの観光資源へのアクセスとして利用されている林道は百三十九路線あり、このうち、現在、落石等の危険箇所のある林道は二十三市町村、三十六路線ありました。県では、観光的なイメージダウンを払拭するため、緊急に落石対策が必要な板取村を含む八町村、十一路線の林道について、交流基盤林道緊急対策事業により六月補正で対応することとしております。その他の林道につきましては、国庫補助事業等により、安全に通行できるよう改良事業に対して支援してまいります。また、悪天候時の通行規制を徹底し、安全に利用できるよう林道標識の設置や林道管理条例等を改正するよう市町村を指導してまいります。     ……………………………………………………………………… ○議長(宮嶋和弘君) 以上をもって本日の日程はすべて終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配布をいたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後四時十分散会      ………………………………………………………………………...