• "林政部次長"(/)
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  1. 岐阜県議会 1997-09-01
    10月03日-04号


    取得元: 岐阜県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    平成 9年  9月 定例会(第4回) △議事日程(第四号)                    平成九年十月三日(金)午前十時開議 第一 議第九十五号から議第百二十二号まで 第二 平成八年度岐阜県公営企業会計決算の認定について 第二 請願第三十五号から請願第三十七号まで 第三 一般質問          ……………………………………………………… △本日の会議に付した事件  一 日程第一 議第九十五号から議第百二十二号まで 一 日程第二 平成八年度岐阜県公営企業会計決算の認定について 一 日程第三 請願第三十五号から請願第三十七号まで 一 日程第四 一般質問          ……………………………………………………… △出席議員    五十一人 一番   大西啓勝君 二番   岩花正樹君 三番   野村保夫君 五番   渡辺猛之君 六番   駒田 誠君 七番   足立勝利君 八番   藤墳 守君 九番   酒向憲造君 十番   松岡憲郎君 十一番  西戸正三君 十二番  中尾一明君 十三番  市川尚子君 十四番  不破照子君 十五番  戸部一秋君 十六番  木股米夫君 十七番  原 保治郎君 十八番  早田 純君 十九番  安田謙三君 二十番  尾藤義昭君 十一番  早川捷也君 二十二番 近松武弘君 二十三番 渡辺儀造君 二十四番 玉田和浩君 二十五番 加藤一夫君 二十六番 伊佐地 金嗣君 二十七番 中村 慈君 二十八番 菅沼 武君 二十九番 平野恭弘君 三十番  岡田 脩君 三十一番 高井節夫君 三十二番 白橋国弘君 三十四番 岩井豊太郎君 三十五番 渡辺信行君 三十六番 小川 豊君 三十七番 伊藤延秀君 三十八番 山下運平君 三十九番 山田忠雄君 四十番  宮嶋和弘君 四十一番 田口淳二君 四十三番 加藤利徳君 四十四番 殿地 昇君 四十五番 中本貞実君 四十六番 高田藤市君 四十七番 松野幸昭君 四十八番 坂 志郎君 四十九番 新藤秀逸君 五十番  古川利雄君 五十一番 今井田 清君 五十二番 猫田 孝君 五十三番 船戸行雄君 五十四番 木村 建君 △欠席議員    一人 五十五番   松永清蔵君          ……………………………………………………… △職務のため出席した事務局職員の職氏名  事務局長        酒向紀輝 事務局次長       宮脇俊次 議事調査課長      長屋 勝 議事調査課総括課長補佐 小川博俊   同    課長補佐 高橋伸治   同    課長補佐 久保田善男   同    課長補佐 河村就也   同    課長補佐 高橋良夫   同    主査   富田武司   同    主査   長屋光三郎   同    主査   尾藤啓二   同    主査   伊藤博文          ……………………………………………………… △説明のため出席した者の職氏名  知事              梶原 拓君 副知事             森元恒雄君 副知事             桑田宜典君 出納長             藤田幸也君 総務部長            高橋新蔵君 知事室長            原  敏君 総合政策局長          棚橋 普君 科学技術振興センター所長    丹羽吉夫君 総務部次長           富田 潔君 企画部長            奥村和彦君 企画部次長           高木正弘君 民生部長            山田正孝君 民生部次長           篠田和美君 衛生環境部長          本間 泉君 環境局長            川瀬雅信君 衛生環境部次長         沼波 豊君 商工労働部長          大下政司君 商工労働部次長         奥村寛治君 農政部長            森井季雄君 農政部次長           岩崎幸宏君 林政部長            宮地省一君 林政部次長           服部利弘君 土木部長            齋藤 博君 都市住宅局長          小島秀俊君 土木部次長           藤吉邦男君 開発企業局長          船坂勝美君 開発企業局次長         渡辺忠雄君 副出納長            棚瀬文晴君 選挙管理委員会委員長職務代理者 河村成勝君 人事委員会事務局長       岡安賢二君 代表監査委員          川添正幸君 監査委員事務局長        藤浪秀憲君 地方労働委員会事務局長     井戸武正君 教育委員会委員長        森 省三君 教育長             日比治男君 教育次長            各務 斉君 教育委員会管理部長       芝田政之君 警察本部長           中村正則君 警察本部総務室長        石田裕康君          ……………………………………………………… △十月三日午前十時五分開議 ○議長(中本貞実君) ただいまから本日の会議を開きます。          …………………………………………………… ○議長(中本貞実君) 日程第一から日程第三までを一括して議題といたします。          …………………………………………………… ○議長(中本貞実君) 日程第四 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。五番 渡辺猛之君。   〔五番 渡辺猛之君登壇〕(拍手) ◆五番(渡辺猛之君) おはようございます。お許しをいただきまして、以下三点にわたり質問をさせていただきます。 まず第一点目は、子供たちとお年寄りの世代間交流についてお尋ねをいたします。 さきの国勢調査によりますと、平成七年十月一日現在、岐阜県の一般世帯に占める核家族世帯の割合は五五・八%となっております。すなわち、半分以上の家庭がおじいちゃん、おばあちゃんとお孫さんは別々に住んでいるということになります。中には、おじいちゃん、おばあちゃんに会えるのは夏休みと冬休み、年二回の帰省のときだけという子供たちも多いかもしれません。また、かわいいかわいい孫に会えるお盆とお正月を心待ちに過ごしていらっしゃるお年寄りも少なくないでしょう。 核家族世代に対応していくために、現在、岐阜県の保育園、幼稚園では、季節の行事などを通じて世代間交流の推進が図られております。また、学校教育においても、小学校、中学校では、体験的活動の重視に力点を置きまして、老人施設等への訪問を積極的に取り入れているということですし、高等学校では、クラブ活動や生徒会活動の一環として、平成七年度には県下七十七校中四十一校で老人ホーム独居老人宅への訪問が行われ、年齢の違う世代との触れ合いが図られていると伺いました。しかしながら、このような子供たちとお年寄りとの交流活動の取り組みは、各学校や施設によってまちまちであり、中には何の活動もしていないというところもあるということです。また、仮に交流があったとしても、敬老の日にちなんだ行事だけとか、年に一度のわら草履づくり体験などで終わってしまっているというところも少なくないのではないでしょうか。 今からちょうど十年前、日本人で七人目のノーベル賞受賞者が誕生しました。マサチューセッツ工科大学教授の利根川 進博士です。博士の研究は、免疫システムにおける遺伝子の再構成を証明したことに多大の功績が認められまして、医学生理学賞では日本人初という栄誉に浴されたものでした。かつては、遺伝子というのは親から受け継いでそのまま変わることはないと広く信じられておりました。しかし、人間は、外から侵入してくるさまざまな病原菌やウイルスに対して、それぞれの病原体に対する抗体というものをみずからの体内でつくり出してさまざまな病気を防いでいます。この免疫学上の現実は、それまでの遺伝子の考え方では説明がつきませんでした。この矛盾する命題に、利根川博士は遺伝子工学の技術を駆使し、免疫システムにおいては遺伝子は進化しているという証明に成功されました。人間は、体内に侵入してくる病原体に対し、みずからの遺伝子が性質を変えて、常にその病原体に合った新しい抗体をつくり出していることがわかったのです。すなわち、免疫の分野では、遺伝子は動いているということが証明されました。そして、その後の研究では、この遺伝子の再構成が脳の中でも行われている可能性が指摘されています。つまり人間の遺伝子は、その人の一生の中でどんどんどんどん優秀な遺伝子に生まれ変わっていることが証明されようとしているのです。年をとるに従って遺伝子は進化している。すなわち、これは、お年寄りは同じ人間の中で最も優秀な遺伝子の持ち主であるということです。そして、その優秀な遺伝子を後世、すなわちお孫さんたちの世代である子供たちに伝えていく方法がお年寄りと子供たちの交流なのです。 おじいちゃん、おばあちゃんが、昔の苦労話や、みずから培った人生の知恵を子供たちに話して聞かせる。また、時には誤った方向に進もうとする子供たちを優しく諭す。そうすることによって、自分ではまだ直接経験をしていない子供たちの体の中でも、遺伝子がどんどん優秀な遺伝子に生まれ変わっていく、そんな可能性が近年の遺伝子研究の分野では発見されつつあるとのことです。難しい遺伝子レベルの話は別にしましても、人間の性格とか考え方などは生まれつきのものがあると同時に、育った環境によって大きく違ってくることは周知のとおりであります。親から全く同じ遺伝子を受け継いだ一卵性双生児でさえ、育った環境が違えば、おのずと性格や能力に差が生じてくることは既に世界各地で研究報告がなされています。 例えば、短距離走やマラソンなどの比較的単純な運動能力は遺伝的要素が強いと言われますが、バスケットのシュートやサッカーのパスなど、複雑な運動ほどトレーニングによる差があらわれやすいことがわかっています。また、図工や音楽などは、どちらかというと遺伝的要素が強いと言われますが、国語、英語、社会などは努力によって違ってきますし、算数や理科は、本人が興味を持って勉強するかしないかで成績に大きな差が出てくるようです。そして、子供たちの性格形成においても、真の愛情をたくさん受けて育った子供は愛情豊かな人になれるでしょうし、他人に傷つけられ、そして、その傷をまた別の他人によっていやされた経験を持つ子は、きっと人の痛みがわかる思いやりのある大人に育ってくれるでしょう。 本年六月に提出されました中教審の第二次答申では、ゆとりの中で子供たちの生きる力をはぐくむという方針が示されました。生きるということは、社会の中で生きるということです。社会には、生まれたばかりの赤ちゃんもいれば、百歳を超える老人もいます。構成する人間はさまざまであり、そこには多種多様な考え方が存在しているのが我々の周りの社会です。そんな複雑な社会の中で、自己を確立しつつ相手を尊重するという生き方は、範囲は狭くとも小さなころから本当の社会に近い世界で育った方がより確立されやすいのではないでしょうか。核家族化、少子化が進む中で、塾通いで友達と遊ぶ機会は少なく、遊びといえばファミコンやテレビゲームなど一人でできるものが中心、そして身の回りの大人といえば自分たちのお父さんお母さんだけという現代の子供たちの世界は、本当の社会とは言えないのではないでしょうか。 そしてもう一つ、子供たちとお年寄りとの交流は、時に子供たちに人間として一番大事なことを教えてくれることがあると思います。私たちの周りの社会には、私たちのだれもが避けたいと思う老いとか死というものが厳然として存在しています。そしてまた、それらはだれにも平等に、いつの日か必ず訪れる避けられない出来事であるということも事実であります。お年寄りとの交流が進むことによって、時には子供たちも、その悲しい現実に出会うことがあるかもしれません。しかし、その悲しい現実にも目を背けずに真正面から対峙することは、とても大切なことだと思えるのです。子供たちが子供たちなりに老いとか死に出会い、感じ、考えるということは、いつの日か、その表裏一体の存在である若さや青春、そして自分自身が生きるということを真剣に考える姿勢にきっとつながっていくと私は信じています。子供たちがお年寄りと交流を図るということは、子供たちの未来に役立つとてもたくさんのことを与えてくれるのではないでしょうか。 また、お年寄りと子供たちとの交流について、今度は視点を百八十度転換し、お年寄りの立場からも考えてみたいと思います。 本年度、私は、厚生委員会で県内各地の老人施設を拝見させていただきました。新しい施設はどれも立派で、また中で行われていますサービスも非常に充実しておりました。しかし、どの施設でも何か少し物足りないような気がしたのも事実です。なぜだろうとよく考えてみると、どの施設でも、どうしても一般の社会とはちょっと離れているような、そんな疎外感を感じたからです。子供たちとお年寄りの交流がどんどん進めば、この点も少しは解消できるんではないでしょうか。お年寄りにとって身近にいる子供たちの存在は人生の刺激となり、時には生きがいにもつながります。そして、それが老化や痴呆の進行を防ぎ、結果として子供たちとの交流は、お年寄りの皆さんに健康と長生きをもたらしてくれるのです。 さて、このようにお年寄りと子供たちの交流は、その双方に大きなメリットがあると考えられます。子供たちの生きる力を養い、お年寄りに生きがいを与えることができます。ただし、そのためには本当の交流が行われなければなりません。年に一度や二度の年中行事では、残念ながら本当の交流とは言えません。お年寄りも子供たちも、それぞれを一人の人間として意識し、そこに好きとかかわいいとかいう気持ち、すなわち人間感情が芽生え、人間関係が築かれないことには世代間交流のメリットはあらわれてこないと思います。 そこでお尋ねをいたします。岐阜県における子供たちとお年寄りの世代間交流について、それぞれのお立場から、民生部長さん、そして教育長さんの御意見をお聞かせください。 私は、将来的には幼老園--ここで言う「幼」ということは幼いという意味ですけれども--お年寄りと幼児が一緒に勉強したり遊んだりする施設ができたら素敵だなということをいろいろな施設を見て思いました。確かにそんな施設を今すぐつくるのは難しいかもしれませんが、最近では、特別養護老人ホームやデイ・サービスセンターなどの老人施設と、保育園、幼稚園や小学校などが併設またはすぐ近くに建設される事例も見受けられます。子供たちとお年寄りの真の交流が行われやすいためには、やはりお互いがすぐ近くに存在しているということはとても重要なことだと思います。休み時間におじいちゃん、おばあちゃんのところへ遊びに行く、また、おじいちゃん、おばあちゃんも、時には子供たちの勉強風景をのぞきに来れる。そんな関係が築けてこそ本当の意味での世代間交流だと思います。そこで、今後の施設整備においては、幼児施設や学校などと老人施設の位置関係も重要になってくると思うのですが、この点についても御意見をお聞かせいただきたいと思います。 さて、第二点目は、道路整備の優先性についてお尋ねをいたします。 平成八年四月一日現在、岐阜県の県道改良率は四八・八%となっております。広大な岐阜県においては、県民の道路改良に対する要望は依然として強く、県御当局も、厳しい財政事情の中で最大限の御努力をいただいておりますことはまことに感謝にたえません。特に道路に関する要望は、地域住民のたっての願いということで改良を行えば、新しくでき上がった立派な道路と比較して、今までさほど気にならなかった未改良部分が目立つことにもなり、地域からは、完成した道路への感謝の言葉とほぼ同時に新たな要望箇所が出てくるというのが実情でありまして、土木部並びに各土木事務所の御労苦は相当なものと拝察いたします。当然のことながら、各地域から上げられる数多くの要望に限られた予算で対処していくためには、道路整備についてもある程度の優先順位をつけることが必要になってきます。そこで考慮される点は、交通量とか交通事故の発生件数などが挙げられるでしょう。また、災害の復旧や災害未然防止のための道路整備は最優先されるべきものですし、また、最近では用地費が安いところ、用地の話がつきやすいところから順次改良を行っていくなどという声も聞かれるようになりました。 さて、岐阜県においては、昨年度から「福祉道路」という新たな制度を創設されました。これは県民の要望が最も強い福祉の充実という観点から、福祉施設に通じる道路を優先的に整備していくというものであり、そのコンセプトは、県の最重要施策である「総合福祉」の考え方にのっとったものと認識をしております。そこで私は、今回、道路整備の優先性に、ぜひとも教育的観点も考慮していただきたいと思い質問をさせていただきます。 平成八年度の小・中・高校生の交通事故被害の件数は、死傷者合わせて全体で千五百三十人にもなっております。そのうち、通学途中の事故は、小学生で八十六人、中学生で九十四人、高校生では三百五十七人、合計五百三十七人とのことでした。歩道の設置されていない道路や夜間無灯火の自転車など、危ないなあとドライバーの皆さんが感じられたことは一度や二度ではないと思います。交通弱者である子供たちが守られるべき存在であることは間違いありません。そして、子供たちの交通事故は、自歩道の設置等、安全な交通整備と交通道徳の徹底により相当数防ぐことのできる事故ではないでしょうか。未来に大きな可能性を持っている子供たちを交通事故から守るためにも、通学路等の危険箇所は優先的に整備されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 また、教育関連の道路は優先的に整備されるべきとの考えに基づき、もう一つ別の角度からもお伺いしたいと思います。 ことしの春、私の地元八百津町では、一つの中学校の名前が消えました。八百津町立潮南中学校は、生徒数の減少により八百津東部中学校に吸収統合されたのです。ただし、実質的な統合は二年後の平成十一年四月からという暫定的措置がとられ、現在はまだ、潮南地区の生徒は東部中学校潮南分校として、今までと同じ校舎で勉強やスポーツに励んでいます。 昭和六十三年度から平成九年度までの十年間、岐阜県内で統合によって廃止になった学校は、小学校で二十三校、中学校で十校の計三十三校に上ります。私の卒業した中学も平成三年度に統合され、今はもうその名前は残っておりません。学校が統合しなければならない地域というのは、少子化が進む都市部もさることながら、その多くは過疎化が進む児童・生徒数の少ない地域です。当然地域の交通量は少なく、いまだ道路整備のおくれているところが多いのが現状です。果たして児童・生徒が、一体何人の学校が最適規模の学校であるかは議論の分かれるところだと思います。大規模校、小規模校にはそれぞれのメリットとデメリットが存在します。ですから、学校統合という形が子供たちにとってプラスであるかマイナスであるかは一概には評価できません。がしかし、学校がなくなるということは、その地域にとっては明らかにマイナス作用の方が大きいのではないでしょうか。過去を振り返りながら、自分の卒業した学校がなくなると寂しいなあなどというセンチメンタルな感情論ではありません。地域に学校が存在し、その学舎で将来を支えていってくれる人材が学び、考え、育っているという姿は、そこに住む住民の活力を大いに増大させてくれているのです。いわば、学校は単に子供たちが勉強している場所というだけでなく、地域の未来への夢が育っている場所なのであります。元気に活動する子供たちの姿を見て、住民の方々は、将来の地域の姿を思い描いているのではないでしょうか。そんな学校統合のマイナス要素を十分わかっていながら、それでも統合せざるを得ないという苦渋の決断をされた保護者の皆さん、そして地域の皆さんが、せめて子供たちが安全で快適に通学できるようにと、早期の道路整備を望まれるのは当然の帰結であろうと思います。 しかしながら、さきにも述べましたように、学校統合が実施されるような地域は、過疎化が進み、交通量も減少しているのが普通であり、黙ってインフラ整備の来る順番を待っていたのでは、子供たちが安心して通える道路ができるのは、その子供たちがとうに学校を卒業してしまい、ようやく彼らが親になったときの子供たちが学校に入るころなどという事態もあり得るかもしれません。もちろん、岐阜県では、まだまだ県内各地で一日も早い道路整備を切望されている地域が多数存在していることは御存じのとおりであります。しかしながら、我が国の憲法では、子供たちがひとしく教育を受ける権利が保障されておりますし、保護者にはその義務があるのです。 去る九月八日、橋本龍太郎首相が無投票で自民党総裁に再選された後、全国十一カ所を結んで行われたインターネット会議の席上、橋本政権の六大改革の中で、行政改革に次いで教育改革への要望が高かったことは、相次ぐ子供たちの事件・事故に対して、国や地域の未来をつくる子供たちの教育をいま一度真剣に考えていくべきだという国民的機運が高まっていることをあらわしています。子供たちが安全で安心して教育を受けるためにも、道路などを含めたインフラの整備は、整えられるべき最低の基本条件だと思います。 以上の理由で、教育関連の道路整備は、福祉関連の道路と同じように優先的に整備されていくべきだと思いますが、この点につきまして、土木部長さんの心温かい御答弁と、そして教育長さんには、ぜひとも力強い応援の御答弁をお願いしたいと思います。 さて最後に、一日も早く解決していただきたい問題である、最近発生しました大型スーパーにおける連続放火事件について簡潔にお尋ねをいたします。 先月二十五日、岐阜市内のショッピングセンターに端を発した放火と見られる一連の事件は、その後、愛知県一宮市、そして県内の柳津町、大垣市、羽島市、そしてきのうは愛知県豊橋市と、計十二店舗、二十一件にも上っています。現場はいずれも火の気がなく、その手口に似通った点も多いことから、同一犯による可能性もあるとのマスコミ報道を知り、すべての県民の皆様が憂慮されているところであります。 御承知のとおり、放火は、公衆の生命、身体、財産に危険を及ぼす公共危険罪と呼ばれ、刑法第百八条では、死刑または無期もしくは五年以上の懲役に処される重大な凶悪犯罪の一つであります。 昨年暮れに、岐阜市内及びその周辺部において発生した連続建物放火事件については、警察御当局の懸命の捜査により犯人を検挙され、県民の期待に十分こたえられましたことは、心から感謝と敬意にたえません。 さて、特に今回の事件はいずれも大型スーパーにおける犯行であることから、危険性も高く、一つ間違えば大変な事態となりかねない物騒な事件であります。安全で安心して暮らせる岐阜県を根底から否定するような反社会的犯行は、断じて許すことはできません。警察御当局におかれましても、事件の重大性を十分認識され、犯人検挙に向けた捜査を強力に推進されていることと思いますが、今回の一連の放火事件の発生状況と、これに対する警察の取り組みについて県警本部長にお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。   (拍手) ○議長(中本貞実君) 民生部長 山田正孝君。   〔民生部長 山田正孝君登壇〕 ◎民生部長(山田正孝君) 子供たちとお年寄りの世代間交流についてお答えをいたします。 子供たちと高齢者の交流は、子供たちにとりましては高齢者への思いやりを自然に身につけ、人間が老いるということをごく自然に受け入れ、理解するのに役立つものと考えております。一方、高齢者の方々にとりましても、子供たちとの交流は心をなごませ、生活に潤いを与えるなど、大変有意義であります。県におきましては、高齢者が生涯青春という気持ちを持ち続けていただくために、老人クラブを中心として生涯青春推進事業というものの普及に努めておりますけれども、その中で、子供たちと高齢者の交流促進の支援を行っております。さらに、高齢社会への関心や理解を深めるために、県及び市町村の教育委員会の協力を得まして、県下小学六年生全員を対象に、高齢社会をわかりやすく解説した啓発資料を教材として製作・配布し、お年寄りと触れ合いの体験などをテーマとする作文コンクールを毎年実施しているところでございます。 また、議員からも御提案がありましたように、子供たちと高齢者の交流を図るためには、児童福祉施設と老人福祉施設が近接しているということが望ましいというふうに考えております。両施設の合築整備や隣接整備を指導しておるところでございます。これまでにも、保育所と特別養護老人ホームの隣接整備、児童センターとデイ・サービスセンターの合築などの事例が幾つかございます。そして、本年度も八百津町において、保育所とデイ・サービスセンターの隣接整備が進められております。今後とも、子供たちと高齢者の交流の促進に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 ○議長(中本貞実君) 土木部長 齋藤 博君。   〔土木部長 齋藤 博君登壇〕 ◎土木部長(齋藤博君) 教育関連の道路整備についてしっかりお答えいたします。 道路整備に当たっては、幹線道路とともに、地域に密着した生活道路についても、その地域のさまざまなニーズに対応して適切な道路整備を実施しているところであります。小・中学校の統合によるスクールバス路線、通学道路等の教育関連の道路整備については、その重要性・緊急性を考慮して、従来から優先的に実施してきたところであります。例えば、議員が例に挙げられました八百津町の当該地区においても、主要地方道多治見白川線の八百津工区、久田見バイパス、一般県道中野方七宗線での久田見工区、福地工区、さらに篠原八百津線での潮見校区での事業を進めているところであります。これ以外の緊急を要する箇所について、当面は待避所の設置等を順次実施し、中・長期的には引き続き本格的整備を行うなど、安心して通学できる道路の整備を進めていきたいと考えております。 平成十年度から始まる道路整備五カ年計画に対応する岐阜県計画案では、教育、医療等の最低限の生活基盤を保障する生存権保障型道路について重点的に要望しているところでもあり、今後も教育関連の道路は優先的に配慮して整備促進に努めてまいります。 ○議長(中本貞実君) 教育長 日比治男君。   〔教育長 日比治男君登壇〕 ◎教育長(日比治男君) 子供たちとお年寄りの世代間交流についてお答えいたします。 子供にとって、お年寄りとの心暖まる交流は、さまざまな人とともに生きていくことや、生涯にわたって学び続ける態度を身につけること、生きた知識や生き方を学ぶことなどの点で重要であると考えております。 学校におきましては、老人福祉施設などの訪問のほかに、日ごろの授業の中でお年寄りを招いて地域に伝わる話を聞き、それを劇にして見ていただいたり、竹トンボやお手玉などの遊び道具を一緒につくって遊び、生活の知恵やすぐれたわざを学んだりする活動などを年間にわたって計画し、取り組んでいる事例もございます。また、三世代ゲートボール大会や収穫祭など、お互いの心の通い合いを大切にした交流も行われております。今後も子供たちとお年寄りの継続的な交流や地域ぐるみの交流が一層推進されるよう、余裕教室の活用も含め、施設の充実に努めてまいりたいと考えております。 教育関係の道路整備についてお答えいたします。 児童・生徒の通学の安全を確保することは県民すべての願いであり、交通事故を未然に防ぐため、児童・生徒が安心して通学できる環境整備と、学校や家庭における交通安全教育の徹底が基本であると認識をいたしております。 また、学校が移転したり統合されたりするような場合であっても、安全で快適な通学ができるよう、市町村の教育委員会と土木関係部局が連携を図り、地域に即した必要な措置を講じていくことが重要であります。さらに、学校、家庭、地域社会が連携し、児童・生徒の安全の確保に努めていくことも極めて大切なことと考えております。県教育委員会といたしましても、関係者との連携を深め、児童・生徒の通学の安全確保に努めてまいる所存でございます。よろしくお願いします。 ○議長(中本貞実君) 警察本部長 中村正則君。   〔警察本部長 中村正則君登壇〕 ◎警察本部長(中村正則君) 大型スーパーにおける連続放火事件についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、大規模店舗の売り場の商品などが燃えるという事件が連続して発生しております。県内においては、九月二十五日岐阜市内、九月三十日柳津町内、十月一日大垣市内、同日羽島市内の四店舗、愛知県内では一宮市、豊橋市において、計八店舗で発生しております。いずれの場所も火の気のないところからの出火であり、県警としては連続放火容疑事件と判断し、愛知県警と連絡をとりながら所要の捜査を進めているところであります。 一般的に連続放火事件は模倣性が強く、議員御指摘のとおり、状況によっては甚大な被害が予想されることから、警察としても、従来から殺人事件、強盗事件などと同様に凶悪重要犯罪と位置づけ、強力な捜査を行っており、昨年十二月には、岐阜市及びその周辺における十四件の連続建物放火事件の犯人を検挙しているところであります。 今回の一連の事件は、白昼、多数の買い物客がいる店内における犯行で、危険性が極めて高いものであり、警察としては、対象となりやすい店舗に必要な警戒等を呼びかけるとともに、一刻も早く犯人を検挙して県民の不安を解消し、県民の期待にこたえていく所存でございます。
    ○議長(中本貞実君) 一番 大西啓勝君。   〔一番 大西啓勝君登壇〕 ◆一番(大西啓勝君) 日本共産党を代表いたしまして質問を行います。 第百六号議案 岐阜県営住宅条例の一部を改正する条例について、まず質問をいたします。 これは、法改正に伴うものでありますが、大きな問題点を含んでいると考えています。そこで土木部長に四点質問します。 一つは、今回の条例改定で、従来の第一条にあった「県が建設する公営住宅」が「県が整備する住宅」に変えられ、公営住宅の供給対策をストック対策中心に切りかえています。それを先取りしてか、平成二年以後、県営住宅の新設や建てかえは、進行中の北方住宅の一部で行われているものを除き、ありません。しかも、法改定では第二種住宅がなくなり、国の建設補助金も削減されます。このように、公営住宅の直接供給分野からの撤退方針がこの岐阜県でも取り入れられようとしています。これが、今回の改定の大きな問題点の一つです。こうしたやり方は、後から述べる管理部門での市町村への委託も含めて、総合福祉--住宅を入れた、これを最重要施策としている県の政策と矛盾しますので、まずお尋ねをいたします。 二つ目に、今回の条例改定では、附則で、「北方住宅は当分の間北方町に委託する」となっています。県営住宅に入った人が途中から管理は北方町--実際には管理法人--に移るのですから、しかも、今回は二百二十戸、全部では千五十戸という大団地なのですから、議会は当然これまでの経緯、今後の方針について詳細に知って議案を審議しなければなりません。北方町との覚書などを要求しましたが、住宅課は出せないということです。けしからぬことですが、私は独自の調査で資料をそろえました。そこでわかったことは、一、今後、町が管理するということで建てかえが決定された経緯。二、県営北方住宅管理財団法人の設立のため、出資金五百万円が北方町議会で可決されていること。三、覚書には、県が管理経費を負担すると明記していること。しかし、四、法人の設立、管理運営受託の具体化は今後にゆだねられていることなどです。そこで、議会に提出する議案についての基本的姿勢についてまず質問するものであります。 三つ目は、改定された条例に基づく家賃についてです。この家賃計算では、算定基礎額のほか、市町村立地係数など四つの係数をもとに計算されます。しかし、私は、利便性係数が、北方住宅一・〇、尾崎団地一・〇、泉北住宅〇・九六五はいずれも高く見積もり過ぎている。その結果、家賃が高く算出されているのではないかと思い、この点について質問をします。 四つ目には、新しい家賃体系の中には、一定収入額以上の人は高額所得者として近傍同種の住宅の家賃を徴収するとともに、明け渡し期限到来後に家賃の最高二倍の賠償金を払うこととなっています。こうして、実際上は家賃は大幅値上げとなると見られ、中堅所得者、子育て期の年齢層に大きな痛手となります。若者を地方都市に呼び戻す都市政策に反すると思うが、いかがでしょうか。 二つ目に、県の行財政改革についてです。 県は、今後の行財政改革案の方針を示しています。以下、その問題点について質問し、あわせて日本共産党の考えを示します。 まず、税収問題と地方債発行問題です。 景気回復策として、県は平成四年度からの五年間で、土木事業を中心に二千九百三十九億円の県単独事業を積み増ししてきました。しかし、新聞でも報道されたように、企業の経営者の中に、景気は緩やかに下降しているとの見方がふえています。最大の原因として、消費税の値上げ、医療負担増などで個人消費が落ち込んでいるためと言われています。個人消費の増加につながる施策、例えば減税、生鮮食料品の消費税廃止などを国に求めるなど、思い切った財政方針の転換を国に要求すべきであります。知事にお尋ねします。 年間県債発行規模は、知事就任の平成元年に比べ、今日では二・五倍の千三百四十五億円、残高は八千三十一億円になっています。県も、このままでは平成十二年度には一兆円を超えるという重大事態を招くとして、今後は抑制基調にしていかざるを得ないとしています。しかし、知事はつい最近まで、私どもの県債発行を抑えよとの指摘に対しても、健全財政である、財源措置のある有利な県債が中心であると強弁してこられました。箱物を初め大型プロジェクトも次々とやってこられました。問題は、なぜこのように県債残高が異常に膨らんだのか。知事就任以来増大したわけでありますから、原因を明確にしてもらいたいと思うところです。 政府は、不況対策の打開策として唯一公共事業を位置づけ、しかも、地方単独事業を奨励、一九九五年度では、地方債による公共事業が四五・六%、一般財源によるもの四二・三%にまでなりました。さらに政府は、地域総合整備事業債--有利な地方債と言われているものですが、これを七五%や九〇%まで起債発行を認めるとして地方債発行をあおってきました。こうした地方への負担の転嫁、国の方針を忠実にやり過ぎて起こった結果だと私どもは思っています。私どもは、一、世界淡水魚園など大型プロジェクトの徹底した見直し、二つ目には、生活密着型、福祉・防災型公共事業へと公共事業の大転換を図るべきと考え、知事の答弁を求めます。 次いで外郭団体の見直しについてであります。 県には五十五の外郭団体があります。その中でも県と密接に関係しているものを「中間機関」と呼び、三十団体存在しています。この常勤役員数は合計六十人ですが、県OB職員が三十九人、県の出向職員が十八人で、その他はたったの三人です。なぜ県の機構から離れて存在するのか、理由もはっきりしません。こうした外郭団体については、まず、OB幹部職員の出向先が必要との考えが先に出ています。まずこの点の見直しが必要と考えますが、知事にお尋ねします。 第四番目に、市場における独占体制を打破し、契約価格を低くさせる問題であります。私どもが従来から問題にしてきた生コン価格、県立病院等での寝具等の独占問題、グランドルールによるし尿くみ取り料金の問題など、正常な状況をつくれば大きく節約できると考えます。この点についても知事の見解を伺います。 次に、起債発行に伴う高い金利のものから今日の低い金利のものへの借りかえを要求する問題であります。平成八年度末の試算でも十六億円節約できると私は主張いたしましたが、本気になってこれをやるべきであります。今後の決意について総務部長に伺います。 最後に、入札の公平、透明化による財源確保について質問します。談合疑惑等の理由で私は反対しましたが、県健康科学センターの建築工事請負契約が議決された翌日の七月四日、契約を締結した株式会社東海興業が、この議決を待っていたかのように会社更生法の適用を申請し、世間を唖然とさせました。県議会も軽く見られたものであります。同時に、岐阜県の契約がいかにずさんなものであるかも証明されました。既に今議会、質問がありましたので、一点のみ総務部長に質問します。こうした事態を招いた原因は、公共事業を請け負う企業が仕事の公共的責任を感じていないというところにあります。その点どう考えられるのか、お答えください。 第二は、ここに平成七年度、八年度--これは九月議会まででありますが--の入札執行一覧表があります。合計四十六件の入札がありました。そのうち、一回で落札したものが二十九件、二回入札して落札したものが十二件、三回入札して落札が五件です。ところが、不思議なことに、二回、三回入札したものもすべてで落札した業者が、一回目でも二回目でも最低価格で入札しているんです。一件として例外はありませんでした。これを「一位不動の原則」というそうです。前述の物件のうち、平成八年二月五日執行の八草トンネル工事などは四十一億三千万円で二回目で落札していますが、二位との差はわずか三百万円です。このように、入札参加業者が提示している価格の最高額と最低額の差はどんどん小さくなるのに一位は変わらない。これを見ると「談合」という文字が頭をよぎるのです。総務庁行政監察院の調査でも、三回以上入札を行ったものの九二%が一位不動だったそうです。談合をなくせば、この公共工事費を低くさせることができるわけであります。私どもは、そのために徹底して情報を公開し、ガラス張りの中で、国民注視の中で入札を行うことが必要と考えています。県当局は入札制度をどのように改革し、財源確保をどのようにしようとしていくのか、総務部長にお伺いいたします。 続きまして、医療制度の改革についてであります。 九月一日からの医療制度の改悪で、医療費負担が従来の二倍から三倍とふえ、ある診療所では、前年同期に比べ八七%の患者が減り、三つの県病院でも軒並み患者減が起こるなど、国民への影響が出ています。ところが、政府は引き続いて来年四月より健康保険本人の三割負担、薬代の新たな自己負担の増額、老人保健の創設など、医療制度を一層改悪しようとしています。日本共産党は、「世界一高い薬価にメスを入れ、国民への負担増は撤回を」との提案を行い、その実現のため奮闘しています。県は、「健康」を最重要施策としています。これ以上改悪しないよう国に働きかけるべきだと思い、知事に質問をするものです。 次に、県民の中にどういう影響があらわれているか、その実情を知るためにも、今後、県病院等で県民に医療相談施策を充実し、進んで医療費相談にも乗るようにしてもらいたい。また、難病患者の医療費自己負担を検討しているようだが、それを阻止するよう国へ働きかけてもらいたい。以上、衛生環境部長に質問します。 最後に、民生部長に対し、次の二点を質問します。 第一は、重度心身障害者助成、母子家庭等医療費助成、六十九歳老人医療費助成の所得制限を外すか緩和をしてもらいたい。 第二は、低所得者に助成制度を新設し、安心して医療が受けられるようにしてほしい。特に市町村民非課税世帯においては助成対象としてほしい。以上であります。 続きまして、廃棄物処理政策についてお伺いします。 まず、ダイオキシン対策についてであります。以下三点にわたり衛生環境部長に質問します。 一、御嵩問題の教訓は、ごみの減量化・リサイクル化に全力を挙げることであります。減量化とリサイクルの推進についての県の目標設置はどうなっているのか、お答えください。 きのうの答弁では具体的な方針を出していませんけれども、県立学校、病院、その他県の関連施設等の小型焼却炉の実態調査の早急な実施及び情報の公開を求めます。 三つ目には、主婦、婦人団体、環境問題に取り組む市民団体の人たちで構成するダイオキシン問題の対策会議を設置し、広く意見を聞いてはどうか。 最後に、産業廃棄物の不法投棄について、衛生環境部長に質問します。 美濃市曽代の山合いに産業廃棄物が大量に不法投棄されているとの苦情を聞き、七月七日、現地を視察しました。びっくりするような量、推定三万六千立米の古雑誌、タイヤが山積みされています。悪臭、汚水、野焼きによって、まさに環境が破壊されています。地元住民のたび重なる陳情により、七月三日、県は撤去命令を出しましたが、一向に改善されていません。香川県豊島の産廃不法投棄が社会問題化していますが、あの問題も、監督機関である県や国が初期の段階で厳しく対処していたら今日のような深刻な事態は防げたはずであります。この美濃市曽代の不法投棄も同じことが言えます。一日も早い解決が望まれますが、県は今後どのように対処するつもりか、その決意を伺うものです。 続きまして、東海信用組合問題についてであります。 まず、最初に、行政側は議会審議というものを重視して、具体的に答弁されるよう求めて質問に入ります。 さて、それにしても遅過ぎた、なぜもっと早く県は告発できなかったのか。今回の背任罪容疑にしても、検査をしていながらなぜ発見できなかったのか、それが率直な私の感想であります。 一九九一年十二月、県の検査があったにもかかわらず、翌年の十月二十六日に、岐阜市岩田地区の宅地開発に絡み、四千九百五十万円が東名興業に対し、東海信組より融資されています。担保なしであります。 そこでお尋ねします。第一は、なぜ開発が行き詰まり、県も指導していたところに、しかも担保なしで融資が行われたのか、質問をするものです。 第二は、東名興業は本店が岐阜市東鶉二丁目六十四番地の一にあると謄本にありますが、実際には四階建てのビルがあるだけで、会社の看板もありません。謄本では、中鉄建設のビルで根抵当権が設定されています。東名興業の代表取締役は、中鉄建設の代表取締役と同じ川田寿朗。役員は四名すべてが川田姓です。つまり東海信組から融資限度額いっぱいの融資を受けていた中鉄建設では融資が受けられないので、この川田寿朗がこの東名興業で借りたわけです。東海信組もみずから言うように、東名興業は実態のつかみにくい会社なのです。その上、東名興業の謄本では会社の目的を七種類記載していますが、私の調査では、飲食店の経営という項目で笠松町で実際にラーメン屋をやっていますが、その他の事業は全く不明であります。まことに実態の不明な会社なんです。四千九百五十万円の担保なし融資先として、とても信用できる会社ではありません。こうしたことは、その気になればすぐわかることでありまして、県はこうした事実をつかんでおられても見過ごしてきたのではないか、私はそう思っています。商工労働部長にお尋ねをするものです。 四番目に、今回の事件における県警の記者会見で県警幹部は、「県の指摘を受けたので東名興業は担保をつけたのではないか」と言っています。県の指摘は一九九二年十一月中旬で、担保をつけたのは指摘の翌年の二月八日です。この担保は岐阜市岩田東の面積八百二十三平米の田んぼで、当時の評価額で二千八百三十四万円です。しかも、この田は、実質は杉本武夫元専務が役員を務めていた二つの協同組合のものだったわけです。こう見てくると、県は実態の不明な東名興業への東海信組の無担保融資を知っていた上に、なおかつ融資額の半分程度の価値しかない、しかも実質は融資先の東名興業の所有でない担保物件を県が指摘してつけさせたということになってしまいます。この点について商工労働部長にお伺いをいたします。 さて、知事は一日の答弁で、五月二十六日より大蔵省とともに詳細に検査する中で事実関係をつかみ、専門家の意見も聞いて告発したとしています。そこで知事にお尋ねしますが、詳細に検査した結果、告発できたのは一件で、あとは告発に値するものがあっても時効でできなかったのでしょうか。刑法上の時効は切れても、民事責任を問うことはできるはずです。また、今後の検査で、刑事・民事両面にわたって拡大する可能性はあるのでしょうか。これらについてお答えください。 また、県警本部長にもお尋ねします。六月県議会での私の質問に対し、本部長は、特別な関心を持ち独自の調査をしていると答弁されました。独自調査の結果、時効だから捜査できないものもあったのでしょうか。また、引き続いて調査をするのか、お尋ねをいたします。 さらに本部長にお尋ねします。事件の中心人物である杉本武夫元専務は、この事件のかぎを握るとともに、東海信組や二つの協同組合問題の真相解明のかぎをも握っている人物です。県の責任や他の政治家との関与も明らかになる可能性があります。県警は、この人物を中心人物と認識しておられるのでしょうか。また、今後どのように対応していかれるのか、お尋ねいたします。 次に、県の財政支援についてであります。知事は明言を避けていますが、県民は乱脈経営の銀行への支援には納得しようはずがありません。また、住専以来の銀行の後始末は国民・県民が行うという事態も許せるはずがありません。この際、財政支援はしないと明言すべきです。お答えください。 最後に、検査結果の公表は一刻も早くやるべきです。議会も、あと十二月、三月しかありません。県民の疑問にこたえ真相を究明するためにも、議会に対し十分な審議時間を保障すべきであります。同時に、協同組合の検査も公表すべきです。両方の検査結果の公表の時期と方法について知事にお伺いいたします。 続いて、県の広報紙についてであります。 最近の「くらしと県政」には、「御嵩町の産業廃棄物処分場建設問題に関するこれまでの経緯と県の考え方」「御嵩町における調整試案」「『天声人語』に対して厳重に抗議」などがページを大きくとって掲載されました。いずれも、御嵩町処分場建設問題に関し、県が批判されたことへの反論です。この間、御嵩町の住民投票が実施され、明白な結果が出て、世論もそれを支持しました。県議会でも当然御嵩町産廃問題は何度も論議され、県の考えは、知事を初め執行部から繰り返し十分な時間をとって答弁されました。テレビも新聞もこれを報道しました。 また、天声人語問題では、朝日新聞紙上で県の反論も大きく報道され、県民は双方の言い分を知る機会を持ちました。にもかかわらず、県広報紙を使っての県当局--というより知事の一方的な主張の宣伝は私は行き過ぎだと考えています。御嵩町産廃問題では、町や町長の反論は一切載せずにばっさりと批判したものだけです。天声人語問題で、「事実確認が不十分で一方的に論じたもの」と抗議しながら、県自身は、御嵩町や町長に対し一方的に論じている、こう言われても仕方がないものです。知事の答弁を求めるものです。 次に、県の広報紙は政治的に公平・中立で、しかも県民のいろんな意見、立場に配慮したものでなければなりません。行政とすべての県民を結ぶものです。世論も二分されている中で、一方的に県の方針を掲載することは本来の広報紙のあり方ではないと考えますが、総務部長にお尋ねをいたします。 さて、次に東海環状自動車道西回りルートについて質問します。 前の六月議会で、知事は、「さらに活断層の問題もありますので、このことを早く調査しなさいと建設省に言っております。仮に活断層にかかわる重大な事実が発見されたとなると、地震対策上などさらに詳細に調査するということにもなっております。そして、この一連の調査の結果、万が一でも従来想定したものと著しく違う予想外の事実が出てきたときには、既定のルートの変更を含めた検討を行うことは当然」と答弁しています。ところが、八月二十六日に開かれた第二千成団地での国、県、市、住民の四者協議会では、岐阜国道事務所の木全事業対策官は、「活断層の調査となると、金折先生の話でもやってもわからない面もあるが、もっと多くのボーリング調査や弾性波調査を行うので多くのデータが集まる。その中で、山の中に断層破砕帯が明確になる」と、つまりここにトンネルを通すための調査をやれば、その中ではっきりするとの答えであります。活断層の調査を早く行いなさいとの知事答弁は、その前に地元住民との間であった懇談会の知事発言から見ても、当然ルート変更も視野に入れた調査で、通すための調査では決してないと受け取るのが正しいと考えています。まず、安全のため、従来から指摘されながら不十分だった活断層調査を先行してやるよう重ねて建設省に要望すべきと考えますが、知事の答弁を求めます。 第二は、ことし九月になって北海道の国道二百二十九号で、豊浜トンネルに次いで第二白糸トンネルでも大規模な崩落事故があり、原因として、いずれも地盤、地質が大きく取り上げられています。しかし、豊浜トンネル、高山線事故などの事故調査委員会では、原因は予見不能の結論です。ましてや、ルート選定の過失が問われた事例は見当たりません。そうなると、万一事故が起こっても、人命が失われても国家賠償法は適用されません。今後とも現在の土地に長く住んでいかなければならない住民の立場を考えると、私はいたたまれない思いがいたします。危険なルートは避けなければならない、この原則を重ねて知事に伺うものであります。 続きまして、日産生命問題について質問をいたします。 保険会社として戦後初の倒産となり、大蔵省の指導でつくられた一千億円の負担を契約者に押しつけるという処理策は、今、国民の大きな怒りを買っています。岐阜県においては、十六銀行と岐阜銀行が日産生命と提携して保険募集をしていました。九月十二日、両行の契約者などが被害者の会を結成、一、処理策の白紙撤回、二、損失補てん、三、貸付金利のさかのぼっての引き下げなどを求め、銀行交渉を行っています。十六及び岐阜銀行との交渉の席で、被害者が次々と、「生命保険会社の人だったら契約しなかった。銀行だから信用し契約したんだ」と証言しても、銀行側は「ローンの案内をさせていただいただけ」と逃げるばかりであります。会が設置した被害者一一〇番の電話には、八月三十日の開設以来現在まで約五百件という相談が殺到しています。こうした契約者・被害者は全国で約百十万人--これは大蔵省の発表であります。岐阜県でも一万人以上いると推定されています。また、国民の間で生命保険の解約が相次ぎ、今や日産生命問題は社会問題化しています。 そこで企画部長にお尋ねをするものであります。 第一は、個人年金保険のため、中小零細業者が契約者の圧倒的な部分を占め、不況で苦しむ経営と重なり、業者を苦しめています。実情を把握し、両銀行にも常識的な対処を求め、被害者の相談にも積極的に応ずるべきではないか。お答えをいただきます。 第二には、被害者の声の中には、高額の金利で十分もうけておいて、アフターケア全くなしという銀行が岐阜県の金庫を預かっていて大丈夫なのか、こういう意見も多くありまして、指定銀行としている岐阜県も批判されていることになります。複数指定制も含め、指定銀行のあり方について出納長の見解を伺うものであります。 最後に、家電用大型スーパーの進出について質問をいたします。 今議会、岐阜県電器商業組合から、岐阜市鷺山正木地区に、県下最大の店舗面積二千八百六十五平米で出店計画を進めている大型家電専門店、株式会社 関西電波の店舗面積を五〇%カットしてほしいとの陳情書が出されています。私は過日、この家電商業組合を訪問して、役員の方から陳情内容の説明も受けてまいりました。陳情によりますと、この企業は既に岐阜市内及び近郊に四店舗を有し、テレビを四十八円で売るなど、家電公取協が定める公正競争規約違反を再三指摘されてきた大型家電店で、このまま出店されると、岐阜市北部の二九%のシェアを占めるだろうと言われています。同組合は、このまま推移すると中小店は衰退、廃業に追い込まれる。一般消費者にとっても、夜間や緊急災害時の修理などで地域店はなくてはならない店舗であり、今回の進出はオーバーストアである、こう強調しておられます。店舗面積三千平米以下ですから県が出店調整権を持っています。まちづくりという点からも適切な指導で陳情にこたえるべきではないか、商工労働部長にお尋ねをするものであります。 以上で第一回目の質問を終わります。 ○議長(中本貞実君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) まず、個人消費税関係でお答えしたいと思いますが、食料品なんかの減税をしたらどうかということでございますが、確かに消費税率の引き上げに伴いまして、駆け込み需要の反動で減少しているとかいうようなことがございますが、食料品が価格に対して大きな弾力性を持つかどうか、現在、かなりこの食料品については充足されているというようなことでございます。新しい商品、例えば携帯電話というようなものが経済を活性化いたしておりますが、不況といいましても構造的な面がございまして、新しい商品を売り出しているところ、不況の中でも仕事は繁忙をきわめているということも御理解いただきたい。消費者の側に立ちますと、低金利で利子の収入が入ってこない。それから資産価値も大変目減りをしている、株も土地もそうでございますが、そして経済全体につきまして先行き不安であると。識者によりますと、この先行き不安というものが消費マインドを抑制していると言われておりますが、そういう要因によるものでございます。私どもも、そういうような考え方をもとにいたしまして、今後とも諸施策を進めてまいりたい。特に県内産業の振興ということに大いに力を入れてまいりたい。地元優先ということで、県産品の利用とか、いろんなことを進めておるわけでございます。 それから県の行財政改革についてお尋ねがございました。平成四年度から景気対策を進めておりまして、八年度までに約三千億円積み増しをしておるわけでございまして、再三この場でも触れておりますが、不況対策であると同時に、立ちおくれた道路等の社会基盤の整備を進めてきまして、その効果が顕著に出ているというふうに思いますし、これによる生産誘発額は四千三百五十億円、それから雇用の確保という面で就業誘発効果は三万二千五百八十七人と推計されておりまして、景気対策はそれなりに効果をもたらして、岐阜県の景気というものをそれ以上下げないという下支えの役割を担ったというふうに思っております。 そして、その間、特別養護老人ホームの定員数も八年度末で一・六倍になりました。デイ・サービスセンターは三・八倍になりました。ショートステイの定員数は二・九倍になりました。老人保健施設の数は六・九倍ということで、福祉の面でも、そのほかお尋ねの中にもございましたが学校の改築、こういうものも景気対策としてきめ細かな経済波及があるということで、重点的に取り上げてまいりました。その結果、地方債の残高が増嵩したことも事実でございまして、これは景気対策としてしかるべき財源がない。勢い起債によらざるを得ない。全国共通の問題でございまして、これをもってしても、一人当たりの財政規模、県土予算の規模は全国四十七都道府県で三十三番目という程度でございまして、一人当たりの県の予算が、県の経済力の中から見まして大変小さいと。言うなれば小さな政府というような形でございまして、いい悪いは別にいたしまして、そういうような現状もあり、ある程度積極的な施策をしないと県民福祉も実現できない、かように思います。ただ、元利償還金がほかの必要な事業の経費をそれによって抑制せざるを得ないというようなことのないように、公債費比率、起債制限比率、こういうのも全国の平均以下で健全財政を維持していきたいと、かように思っております。 それから、大型プロジェクトの見直しというようなお話がございまして、具体的に世界淡水魚園のお話がございました。この川島町で予定しておりますが、まず中核になりますのは建設省の自然共生研究施設でございまして、これは「自然共生センター」と呼んでおりますが、全国でここだけでございます。いかに河川の生態系を守るために河川の工法をどうしたらいいかということを研究するところでございます。そして、木曽川八景という青少年などに河川環境の学習ができるようにする施設もございます。それから、県水産試験場の一部移転をして、ハリヨとかいろいろ希少魚種がございますが、そういうものの保護・育成に貢献しようという考えでございます。これ全体を「河川環境研究学習ゾーン」と仮に呼んでおりますが、テネシー州のチャタヌーガという水族館を勉強してきましたが、実にすばらしい青少年向けの学習施設になっております。そういうものをこれから構築していきたい、かように思っております。そして、ハイウエーオアシスというような形で、東海北陸自動車道の車がそこで一休みできるということでございますので、第一期の事業といたしましては、ハイウエーオアシスとそれを活用した電子水族館のようなものをつくってまいりたいと思っておりますが、なるべく民活でいきたいということで、優良な企業と一緒に事業を実施しようという話を具体的に進めておるわけでございます。 それから、外郭団体の見直しについてでございますが、前提として申し上げたいのは、地方分権ということは、受ける地方側にいたしますと仕事の範囲がふえると、それから仕事の量もふえると、それから質の向上が要請されるということでございまして、国の行財政改革と地方自治体の行財政改革はおのずから違うわけでございまして、その点はよく御理解をいただきたいというふうに思います。 そして、これからは、いわゆる行政組織としての県だけではなくて、「中間機構」といっておりますが、民間の活力を導入できるように、またそこで専門家が育成されるように、そしてなるべくこの行政事務というものをそういうところに持っていくというような意味で、中間機構というものをつくっておりますが、OBの就職先に考えておるんじゃないかとおっしゃいますが、そういうことはございません。給料一つとりましても、県名は言えませんけれども、岐阜県の場合は、課長級で退職された場合二十八万七千円ということですが、ほかの県ではその倍とかいうような給料を払っておられます。それはいいかどうかは別にいたしまして、OBのためではない、むしろ県の若手職員を派遣して、そして責任あるポストに早くついて能力を磨いていただく。それから、専門家の育成が急がれておりますので、専門家養成の場にするというようなことでございます。しかしながら、時代に即して整理するものは整理しなきゃいけないということでございまして、来年の四月には花の都ぎふ推進センターと岐阜県公園緑地協会を統合するとか、あるいはスポーツ振興事業団とメモリアルセンターを統合する。森林公社と木曽三川水源公社の事務局を統合するとか、そういうようなことを今具体的に考えて検討いたしております。 それから契約についてでございますが、御指摘のとおり、契約は競争原理のもとに締結されなければいけないということでございまして、一般競争と随意契約がございまして、原則、一般競争ということが正しいわけでございますが、特別のケースの場合には随意契約というふうになっておりまして、これも法令に基づいて所要のものは随意契約にいたしておりますが、中には、役所流の前例主義というような嫌いもございまして、前年度のやり方を安直にそのまま踏襲するということなきにしもあらずということでございまして、この点は大いに是正しなきゃいけないと思っております。ただ、県内企業に限って、地元優先でこの契約対象を考えますと、適正な競争ができるような複数の企業が存在しなきゃいけないということでございまして、こういった点は、別の角度から県としても大いに関心を持っていきたいというふうに思います。 それから医療保険制度等についてのお尋ねでございますが、このたびの改正は、国民皆保険制度というものを堅持していく上でやむを得ないというふうに考えております。しかし、県内の障害者や母子家庭の方々などにとって経済的な負担となるということで、これまでの県単独の福祉医療助成制度を拡充いたしまして、増加する自己負担分に対し助成を行うよう、約五億六千万円の補正予算を今議会に提案いたしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。今後の改正につきましては私どもも重大な関心を持っておりますので、国に対し、全国知事会等で十分議論されるように要望いたしております。 それから、東海信用組合の問題についてお尋ねがございましたが、四月三日でございましたが、破綻処理の問題が公表されまして、引き受け銀行も決まるということでございますので、いわゆる取りつけ騒ぎが起こる余地はなくなったという段階で公に調査等をやれるというようなことになりました。五月から大蔵省と合同で検査を開始して、今まだ継続中でございますが、一々細かく債権ごとに分類しまして、不良債権かどうかというような詰めをしていくということでございます。その過程で、違法な事実があるのではないかということで、専門家の御意見も伺って今回告発を行ったと、そういう経緯でございます。今後とも民事・刑事にわたる厳格な責任追及をしていきたいというふうに思いますが、関連して、いろいろほかにもあるんじゃないかというお尋ねでございますけれども、犯罪捜査等にも関連しますのでここでは控えさせていただきたいというふうに思います。 それから財政支援につきましては、今回の破綻処理は、預金保険制度などが組み込まれた枠組み、いわゆるスキームがあるわけでございまして、私ども中央信用組合とか岐阜商銀とか、そういう破綻処理の経験をしてまいりました。そういう経験の中で、県議会にも財政支出をお願いしたというようないきさつもございます。当時は、そういう処理の枠組みが全くない、そして任意にこの引き受け銀行を一生懸命私どもが頭を下げてお願いしてきたというようなことでございまして、今回とは趣を異にするわけでございまして、従来、県が実施した損失補てんのための財政支援というようなものはないと考えております。 まだ破綻処理の過程でございますから明言はできませんが、また、明言すべきことでもないと思います。これから岐阜県金融問題調査会の御意見を伺うとか、県議会とも十分相談させていただくというような過程が今後残っておるわけでございます。 それから、検査結果の公表について、これは債権の振り分けを一生懸命やっておりますが、できるだけ公表していきたいと、それから二つの協同組合の検査結果も公表していきたいというふうに思っております。ただ、犯罪捜査に関連するとかプライバシーの問題だとか、そういう点の制約は当然あろうかと思います。 それから御嵩町問題に関連する県の広報についてでございますが、県民参加の県政を私どもは標榜いたしておりまして、県民の方が県政に参加しようということになりますと、その前提として、正確な情報を十分県民の皆様がお持ちいただくということでございまして、果たして現状は正確な情報を県民の皆様が十分県政についてお持ちかどうかといいますと、大変疑問でございます。マスコミ報道ももちろん必要でございますが、どうしてもマスコミ自体の限界もあるわけでございまして、県自身の方法によって県民の皆様に十分正確な情報をお伝えする、これは県としての義務であると、かように思っております。広報紙だけでなくて、県民情報ネットワークでも同じような記事をホームページに上げておりますが、こういう形でこれから大いに広報にも努めたいと、かように考えております。 それから東海環状自動車道西回りルートについてのお尋ねがございますが、建設省に対しましては、この調査の中で、トンネルが御望山南斜面に及ぼす影響についても、既に県が行いました調査結果、こういうものを踏まえて、追加の調査をして安全性を再確認するよう申し入れをしておりますし、そのように調査すると言っております。建設省が地元に説明したという内容、建設省の方から聞いた話ですが、トンネルを掘削するための調査範囲に南斜面の安全性を再確認するために必要な範囲も広めて調査を行い、破砕帯等の状況把握のために必要な箇所については詳細な調査を行うと。この調査結果は公表するということでございまして、先ほど大西議員も発言されましたとおり、私どもの考え方は変わりませんし、また、そのように建設省に今後とも要望していくということでございます。なお、南斜面の対策はそれとはまた別個の問題として重要でございますので、平成七年度、八年度、九年度にわたりまして約一億五千万円の県費支出をいたします。これは大変異例なことでございますが、議会の御理解を得て必要な予算を組んで、そしてトンネル自体の安全性を守るということに今後とも努力をしてまいりたい、かように思っております。 ○議長(中本貞実君) 出納長 藤田幸也君。   〔出納長 藤田幸也君登壇〕 ◎出納長(藤田幸也君) 指定金融機関のあり方についてお答えをいたします。 地方自治法の第二百三十五条によりますと、都道府県は必ず金融機関を指定いたしまして公金を取り扱うことをさせなければならないと、この旨規定をいたしております。その理由につきましては、都道府県における出納事務は間断なく行われまして、事務量も大変多いと。かつ事務が複雑多岐にわたるために、その効率的な運営と安全を図る見地から、関係事務に熟達をしている金融機関を指定いたしまして、公金の取り扱いを行わせることにより出納事務の確実を期そうということによるものでございます。このため、県におきましては、適正な公金の収納、支払い事務を確保しまして、かつ県民の皆様の利便性を考慮して、県内に本店のある金融機関の中で数多くの店舗数を有し、かつ県内一円を網羅していることなどを勘案した上におきまして、議会の御承認もいただき、現在、十六銀行を指定金融機関として指定いたしております。確かに、現在指定金融機関は一金融機関でございますが、他に指定代理金融機関として二金融機関、収納代理金融機関として六十七の金融機関を指定いたしており、当面これを変更することは考えておりませんが、今後とも指定金融機関等のあり方につきましては、金融情勢等の変化に対応いたしまして絶えず勉強をしていかなければならないと、このように考えております。 ○議長(中本貞実君) 総務部長 高橋新蔵君。   〔総務部長 高橋新蔵君登壇〕 ◎総務部長(高橋新蔵君) 県債の借りかえについてお答えいたします。 地方債の資金には、主なものといたしまして政府資金、公営企業金融公庫資金及び金融機関からの借り入れによる資金があります。地方債の借りかえは、借入先に金利変動リスクを転嫁することになるため、借入先との十分な協議が必要となります。銀行から借り入れております県債につきましては証券発行の方法をとっており、市場で流通することが前提となっております。そのため、投資家への影響から、県の都合で一方的に借りかえすることは困難であります。従来から、県債の発行に当たりましては、他県に比べましてもより有利な条件で発行しているところであり、今後とも県債発行に伴います財政負担の軽減に努めていきたいと考えております。 公共事業を請け負う企業の公共的責任についてお答えします。 公共事業は、行政目的に沿った社会資本整備のための事業でありまして、住民の利害に大きな影響を与えるものであります。建設業法には、建設工事の請負契約の当事者は、おのおのの対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならないと規定され、工事請負契約書にも同趣旨の記述をしております。したがいまして、当然のことながら、これらの趣旨を十分に理解していただいて入札に参加していただき、そして、請け負った後は誠実に工事を履行していただくことが必要であると考えております。 ガラス張りの入札制度の推進についてお答えいたします。 入札制度の透明性、競争性、公平性を確保すべく、岐阜県入札制度検討委員会、岐阜県入札制度審査会、岐阜県入札制度運営調査委員会の三つの組織を設け、従来から一般競争入札や公募型指名競争入札の導入、談合情報マニュアルの作成等、順次改善策を実施してきたところであります。本年度におきましても、二度の入札で落札者がなかった場合には、原則として指名がえするなどの改善をしているところでございます。入札内容の公表に関しましては、情報公開制度との兼ね合いもありますので、今後の研究課題としていきたいと考えております。 広報紙のあり方についてお答えいたします。 県の広報は、県政を円滑に進める上で、県民と県の信頼関係を築く重要な役割を担っていると考えております。そのためには、県の主要施策等について、県民の皆様に十分に、そして正しく理解していただく必要があります。それぞれの目的、対象に応じた適切な広報媒体を活用して、積極的に広報しているところであります。特に「ふれあい くらしと県政」は毎月発行し、全世帯に配布している、県として最も重要な広報紙であります。この「ふれあい くらしと県政」の編集方針は、県政の基本方針や重要な施策、課題についてお知らせするほか、県の主要な行事や各種施設の紹介など、できるだけ幅広く、多くの情報を見やすくわかりやすい紙面で提供することといたしております。産廃問題は、県政にかかわります重要な課題であり、「ふれあい くらしと県政」に掲載することによって広く県民の皆様に御理解を求めたところであります。 ○議長(中本貞実君) 企画部長 奥村和彦君。   〔企画部長 奥村和彦君登壇〕 ◎企画部長(奥村和彦君) 日産生命に係る被害者への対応についてお答えいたします。 日産生命の破綻は、生命保険会社としては戦後初めての事態でありまして、保険会社からは、県内の契約者は一万五千人余と聞いております。被害の実情につきましては、何分にも個人情報であるため県としての調査には限界があり、把握し切れない状況にありますが、消費生活センターを初め六県事務局に合計十一名の消費生活相談員を配置し、消費生活相談、苦情相談に対応いたしておりますので、その相談窓口で相談を受ける中で実情を把握していくよういたしております。 なお、被害の実情を把握した結果につきましては、必要に応じ関係機関へ情報提供をも行っており、今後も提供してまいることといたしております。 また、消費生活相談窓口のPRにつきましては、市町村向けの緊急情報サービスを初め各種印刷物、日刊紙、ラジオなどにより積極的に取り組んでおりますが、なお、県民情報ネットワークの岐阜県ホームページを活用するなど、広報機会の拡大を図ってまいりたいと考えております。 ○議長(中本貞実君) 民生部長 山田正孝君。   〔民生部長 山田正孝君登壇〕 ◎民生部長(山田正孝君) 県単の福祉医療助成制度についてお答えをいたします。 県単独の福祉医療助成事業につきましては、六十九歳老人、重度心身障害者及び障害児、乳幼児等を対象とし、これらの方々の医療費の自己負担額を市町村が助成した場合、その助成額に対し県が補助する制度であります。県では、これらの助成対象者のうち、乳幼児を除き所得制限を設けております。乳幼児につきましては、近年の少子化対策の一環として、出生率の低下を防ぎ、安心して子供を産み育てる環境づくりを推進するため、平成六年度に所得制限を撤廃いたしました。その他六十九歳老人、重度心身障害者及び障害児等につきましては、経済的に恵まれていない方を対象として支援するのが目的でありますので、所得制限を設けることは必要と考えております。なお、その緩和につきましては、事業実施体である市町村とともに今後研究してまいりたいと考えております。 次に、所得の低い方に対する医療費助成事業の創設でありますが、市町村民税の非課税世帯者も含めまして、所得水準のみに着目した場合にはさまざまな事例が想定されます。例えば、ひとり暮らし老人でありましても子供たちから仕送りがあるケース、あるいは実際には同居であるけれども世帯分離をしているケース、あるいはある時点の所得はフローですけれども、固定資産や銀行預金等のストックがある場合、あるいは前年度に非課税であったわけですけれども今年度は所得があるといったようなケース、さまざまな事例があると思われます。したがいまして、行政が支援をすべきかどうかという基準をつくるというのは大変困難でありまして、膨大な事務量を要すると思われます。御理解を賜りたいと思います。 ○議長(中本貞実君) 衛生環境部長 本間 泉君。   〔衛生環境部長 本間 泉君登壇〕 ◎衛生環境部長(本間泉君) 医療相談施策の充実についてお答えをいたします。 県立病院におけます九月一カ月間の患者数につきましては、前年同期と比較をいたしますと、三病院全体では入院、外来とも患者数が若干減少しておりますが、個々の病院を見てみますと患者数が増加しているところもございます。今後とも患者さんの動向には十分注意をしてまいりたいと思います。 従来より、県立病院の中には医療相談室を設けまして、通院患者さんの医療や入院患者さんの退院後の生活、医療、福祉等に関する相談にも応じております。また、一般県民の方々の健康・医療に関する相談につきましては、衛生環境部内にも医療相談コーナー等を開設しておりまして、県民の方々の相談に応じているところでございます。 次に、難病患者の医療費負担の国への働きかけについてお答えをいたします。 難病三十八疾患の治療研究における医療費の公費負担につきましては、国の公衆衛生審議会難病対策専門委員会におきまして、今後の患者数の増大や対象疾患の追加要請に対処し、重症患者対策の充実を図るためには、全額公費負担の見直しを行うこともやむを得ないと報告をされております。国は、この関係方面に十分配慮し、慎重に検討した上で制度改正を行う方針と聞いております。県といたしましては、国の厳しい財政状況の中で、難病患者の療養環境の整備、難病患者等居宅生活支援事業の改善等への事業の効率化・重点化が図られ、福祉的側面にも配慮した難病対策が全体として前進するのであれば、何らかの患者負担もやむを得ないのではないかと考えております。今後とも国の動向を常に注目しながら、難病対策事業の予算枠の拡充を国に対して要望してまいりたいと考えております。 ダイオキシン対策についてお答えいたします。 一般廃棄物の減量化・リサイクルにつきましては、平成六年三月策定の岐阜県ごみ減量化・再生利用推進計画の中で、平成十二年度にごみ排出予測量の三〇%を削減するとともに、資源化率を一〇%とすることを目標としております。また、産業廃棄物につきましては、平成六年三月策定の岐阜県第四次産業廃棄物処理計画の中で、減量化率と資源化率の合計が全国平均を下回っている汚泥、廃油等の減量化、資源化対策を強力に推進することとし、上回っているものは一層の向上を目指すこととしております。なお、本年四月から容器包装リサイクル法の施行や、現在実施しております廃棄物総点検の結果を踏まえ、今後見直しを図っていきたいと考えております。 県施設におきます小型焼却炉の使用実態につきましては、調査結果を取りまとめ中でございますが、取りまとめた後、その概要を何らかの形でお知らせしたいと考えております。 ダイオキシンの問題を県民みずからの問題として考えていただくためには、ダイオキシンに関する知識を持っていただくことが重要であり、そのための諸情報の提供に努めますとともに、岐阜県環境づくり県民会議や、製造、流通、消費の代表者で構成いたします岐阜県廃棄物減量化・再生利用推進協議会の場で検討いただきたいと考えております。 最後に、廃棄物不法投棄問題についてお答えいたします。 御指摘の不法処理に係る業者は、廃プラスチック類の破砕を事業内容とする産業廃棄物中間処理業の許可を取得している業者でありますが、この業者は、その保有する中間処理施設の処理能力以上の量の産業廃棄物を受け入れ、これら廃棄物を処理基準等に違反して自社敷地内に大量に積み上げ、放置等をしているものでございます。このため、県におきましては、本年七月三日、当該処理業者に対しまして、当該産業廃棄物の撤去、新たな産業廃棄物の搬入・保管の禁止等を内容とする改善命令及び改善勧告を行いました。その後、新たな廃棄物の搬入がなされていないことを確認しておりますが、撤去につきましては、業者は撤去する旨、口約束はしているものの実施されておりません。そのため、これまで命令事項の早期の履行を求め口頭指導を重ねるとともに、文書による催告を二度にわたり実施するなど、不適正処理の是正に向けた指導に努めているところでございます。県としましては、今後も引き続き地元美濃市等の関係機関の協力を得ながら、当該処理業者に対する指導を一層強めるとともに、関係者に対する指導等、とり得る措置を実施してまいります。 ○議長(中本貞実君) 商工労働部長 大下政司君。   〔商工労働部長 大下政司君登壇〕 ◎商工労働部長(大下政司君) 東海信用組合問題のうち、岩田坂宅地開発事業に関する融資につきましてお答え申し上げます。 県の検査において、融資につきましては、個々の融資が法令、通達、融資基準に照らし適正になされているかを検証するものでありまして、その際、法令等に違反するものであれば、これまでも厳しく指導してまいったところであります。今回の告発の対象となりました融資につきましても同様でございますが、その融資内容等につきましては、個々の事業活動あるいはプライバシーの問題を考慮する必要がありますし、県警の捜査中でもありますので、お答えを差し控えさせていただきます。 次に、家電用大型スーパーの進出につきましてお答え申し上げます。 御質問のございました岐阜市内で計画されております大型家電専門店の出店計画に係る大店法の手続につきましては、現在、出店計画者による地元説明会が終了し、平成九年九月三日に、大店法第五条に基づきます小売業者の届け出が提出され、九月十六日付の県公報で届け出内容を公示したところであります。今後、地元の小売業者、消費者、学識経験者から御意見をお聞きする意見聴取会議を開催するとともに地元商工会議所に意見を求め、それらを踏まえまして、岐阜県大規模小売店舗審議会にて審議をしていただく予定でございます。 岐阜県電気商業組合から提出されました請願書につきましては、この審議会におきまして審議の参考としていただくよう考えております。 ○議長(中本貞実君) 土木部長 齋藤 博君。   〔土木部長 齋藤 博君登壇〕 ◎土木部長(齋藤博君) 議第百六号議案について四点御質問がありました。順次お答えいたします。 まず一点目についてですが、住宅整備は民間部門に依存する割合が高く、今後は公的賃貸住宅の直接供給中心から民間住宅整備を誘導するための施策へと大きく変わることが求められており、民間住宅部門の活性化・支援を含めたさまざまな施策の取り組みを図っていくことにしています。また、県営住宅の整備につきましては、量的なストックはある程度充足している状況であり、老朽化した既存住宅の更新による質の向上と既存ストックの有効活用の観点から、今後建てかえ事業を中心に進めることにしております。 次に、二点目の県営北方住宅の管理につきましては、平成十年四月一日から、入居者の要望に対する迅速な対応、サービスの向上等を図るため北方町に管理を委託する方針で、これまで町とは事務的なレベルで調整を図ってきたものであり、公式には今回最初に議会に提案するものです。 次に、三点目でございますが、新家賃算定方法は、公営住宅法及び同法施行令により、入居者の収入及び立地、経過年数、広さなどをあらわす係数により算出することが定められています。そのうち、利便性係数は、事業主体が地域の状況、設備等を勘案して定めることになっており、利便性をあらわす指標として、固定資産税評価額及び一定の設備の有無を用いることを予定しておりますが、これは妥当なものであると考えております。 最後に、四点目でございます。公営住宅法に基づく公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者のための賃貸住宅として整備されております。従来から、公営住宅法にいう高額所得者については、同法による施策対象外の層として明け渡し請求を行っており、今回の措置は、この趣旨を徹底することにより本来の施策対象者である低額所得者の入居の適正化を図るものであります。また、中堅所得者層に対する賃貸住宅施策としては、民間活力の活用による都市定住促進優良賃貸住宅、市町村が整備する若年層定住促進住宅等に積極的に取り組んでいるところであります。 ○議長(中本貞実君) 警察本部長 中村正則君。   〔警察本部長 中村正則君登壇〕 ◎警察本部長(中村正則君) 東海信用組合に関する捜査状況についてお答えいたします。 岐阜県警においては、去る九月二十七日、背任容疑で東海信用組合役員ら三名を逮捕し、一名を任意で取り調べているところであります。容疑事実は、被疑者らが共謀の上、東海信用組合に対し、財産上の損害を及ぼす危険性を認識しながら、岐阜県綜合協同組合等の利益を図るために、その任務に背き、平成四年十月二十六日、岐阜市内の企業に対して四千九百五十万円を手形貸し付けし、信用組合に財産上の損害を加えたということであります。現在鋭意捜査中でありますが、議員お尋ねのことにつきましては捜査内容にわたることであり、答弁を差し控えさせていただきます。 ○議長(中本貞実君) 一番 大西啓勝君。   〔一番 大西啓勝君登壇〕 ◆一番(大西啓勝君) 二回目の質問を行いますけれども、時間がございませんのですべて納得したわけではありませんので、御了解ください。 まず、県営住宅条例の問題なんですけれども、これについては、県が出しておられます平成八年の第二十五回県世論調査を見ますと、県民の一・九%が公社・公団・県市町村営住宅に住んでおられる。「特に県に力を入れてもらいたい施策は何か」という問いかけに対しても、「住宅政策」というのは六・三%あります。このアンケートは三十九項目をいろいろと問うておりますから、六・三というのはかなり大きな数字だと思うんです。私は、今の答弁は事実上、公営住宅の直接供給分野から撤退するということを公言されたようなものだと思うんですが、この人たちの願いに一体どうこたえていくのか、この点について再度土木部長にお伺いをしたいと思います。 それから、医療制度の問題、知事答弁がありましたが、私ども日本共産党は、秋の非常に重要な課題としてこの医療費、国民を大変苦しめている改悪問題に取り組んでいきたいと決意をしております。現在のものは仕方がないが、今度のものは知事会でというふうな感じに受け取れたんですけれども、ぜひ県民の声を聞いていただきたい。 それから難病問題については、条件がつくなら負担やむなし、これはとんでもない話だと思うんですね。これは、今後難病団体の皆さんからも大変な陳情も起こると思うんですけれども、ぜひ考えを改めてもらいたいと強く指摘をしておきます。 また、美濃市の産廃問題ですけれども、本当にひどい状況であります。これにつきまして、いろいろと手を打つんだということですけれども、やはり早期に対応しないとこういうことになるということだと思うんですね。見ていただくとわかりますけれども、まさに無法地帯です。こういうものについて毅然とした対処を求めたいというふうに再度お願いいたします。 それから、県の広報紙の問題であります。県民は県の仕事を何で知るかと。これも先ほどの世論調査に基づきますと、「ふれあい くらしと県政」は圧倒的でして七四・二%。しかも、程度の差こそあれ八〇・八%の県民がこの「くらしと県政」などを読んでおられるんですね。こうした県広報紙のよき伝統というものをやっぱりつぶさないようにしてもらいたい。心からこれは訴えるものであります。 また、知事の答弁は、私はきのうの答弁も若干聞いておりまして感じたんですが、広報紙とマスメディアのあり方というのを混同しておられるというふうに思うんですね。一言申し上げますと、この天声人語問題で、朝日新聞という大きなマスメディアの切り捨てに対していろいろと対応しておるんだというふうな議論もきのうもありましたけれども、しかし、そう言いながら、この御嵩問題では、今度は知事自身が逆のことをやっておられると思うんです。つまり、この県広報紙は、先ほど申し上げましたように本当によく読んでおられる。これを大きなマスメディアだとしてこれを使っていく。そして小さな行政体とその町を一方的に切り捨ててしまう。これは、本当に広報紙というものをマスメディア扱いしてもらったら困ると思うんですね。この点、私は指摘だけにとどめておきますけれども、考えてもらいたいというふうに思います。 それから、東海環状自動車道のことについては行き違いがいっぱいありますね。これはやはりトンネルを掘るという調査をする前に、非常に不十分だった活断層調査を県のお金をかけてやるべきなんです。これについては再度質問しますけれども、県がやった調査は予算に限界があって--この前やられたやつですね、二つの調査--トンネル委員会の川本委員長も、トンネルに届くボーリングを打ったらどうかと言ったけれども、金がないといって県はやってくれなかったということを言っておられるそうであります。有限要素法という数値解析だけで、水や断層も調査しないで、知事があのとき数字だけで安全宣言をした、ここが非常にやっぱり問題であったと思うんです。そこに一番問題があったと思うんですね。ですから、今からでも遅くないんだから、十分調査し尽くしていないこの活断層調査、やはり真っ先にやってもらうべきだと思い、再度答弁を求めるものであります。 日産生命問題では、この銀行の横暴というのはこの議場でも住専以来たびたび出てくるんですけれども、まさにそういう感じがいたします。これはぜひ、一万五千人からの住民の皆さんが被害に遭っておられる。大変なことだと思うんですね。毅然としてこれはやってもらいたいし、出納長さんにも、やはり指定銀行に対して物を言ってもらいたいと思うんですね、ちゃんとしなさいと。要望をしておきます。 さて、東海信用組合の問題であります。私はいろいろ例を挙げて言いましたけれども、これはやっぱりほとんど何も返ってこない。これでは議会というものは成り立たないというふうに思うんですけれども、そういう点で、今回告発したのは県なんですけれども、この事件を、私、先ほど例を挙げたようなことでいろいろ見ていきますと、県の行政としての責任が本当に問われていると思うんですね。先ほど、いわゆるいろんな審査はやっているんだと。だけども詳しいことは捜査中だから言えませんと。しかし、私が具体的に上げた、例えば東名興業というのは一体どういう実体のものなのか、言っているんですね、そういうことについて。こういう企業は、普通の企業が金を借りようと思ったときに絶対に借りられないと思うんですよ。これはもうずさんなのか、何かが働いているんです。こういう企業に五千万円もぽんと担保もなしに貸すというんですから、これは本当に一体何を検査していたのか。やはりその責任というのは大きく問われなければならないと思うんです。しかも、一九九二年に貸し出しがされているわけですから。県が決算団体に指定したのはずうっと前であります。しかも、この貸し出しの年の三月には県議会でこの問題は追及されているんですね。十月には平気で貸し出しをしている。議会が何と言おうと、世間が何と言おうと、もうとにかく安易に貸します、そういう状態を許してもいいんでしょうか。私はこの問題について再度答弁を求めますけれども、知事もこの間、最善の努力をしてきたとおっしゃるけれども、事例を挙げればとてもそんなことは言えないと思うんですね。この問題について、商工労働部長に再度答弁を求めるものであります。特に実体のない企業、これは私、具体的に例を挙げました。それまで守秘義務で言えぬなんてことは許せないと思うんです。その点について、その具体的に出しました融資の相手先、これをどうとらえておられたのか、この点についてもお伺いしたいと思います。 きょう、中日新聞を見ましたら、いわゆる一九八五年度の決算で、貸借対照表の資産の部に未収利息その他が二十一億四千三百万円あったと。これはずうっと、時間がありませんで省略いたしますが、実際、未収利息を資産に計上しておったからこういうことになる。これはもう返ってこないというのが相当あるわけですから、それをマイナスに勘定していくと逆に債務超過になってしまう。会社でいうと倒産寸前、倒産するかどうかという状態だと。こういうことはもう十年前から県も知っておったんじゃないかという記事が出ております。私は、ちょっと時間がありませんで恐縮ですが、若干資料があるんですけれども、例えば七千万円ぐらい借りている企業組合が、そのうちの一つが、借りたことも知らぬけれども、五百万円の口なんですけれども、返したことも知らぬ。ところが、一円だけ残っておる。利息は百五十万円以上が、これは恐らく未収利息として計上されておると思うんですね。また、書類の中にも全く日にちも入っていない、収入印紙も押していない、そういうものの写しもちゃんとあるんです。全くずさんだと思うんですね。こういう点で、私は商工労働部長に、このようなずさんな処理ぐあいについて県は何を検査していたのか、再度答弁をいただきたいと思います。以上です。 ○議長(中本貞実君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) 御望山の問題でございますが、現在の都市計画決定しているルートにつきましては、トンネル影響評価専門委員会から、トンネルを掘削しても御望山南斜面の現在の安定性に影響を及ぼすことはないという最終報告を受けております。両者は約百四十メートル離れております。そういうことで、直接的にこの斜面に対する危険ということでルート変更する必要はないと考えております。でございますけれども、これからトンネルを安全に掘削するための詳細調査が行われてまいります。これを早目にやってくれと建設省に要望しておるわけでございますが、その詳細調査の結果、万が一、従来想定していたものと著しく異なる事実が明らかとなり、トンネル掘削等に著しく支障があると判断されれば、当然既定のルートの変更を含めて検討を行うということになっておるわけでございます。 それから、東海信用組合の問題についてお触れになりましたが、いつも申し上げておりますとおり、協同組合も信用組合も一個の独立の民間の企業でございまして、普通の会社と原則的に何ら変わらないということでございます。いたずらに法的な根拠のないまま強制権の発動等はできないということと、さらにもう一つは、法律にははっきりしておりませんけれども、明治以来銀行はつぶさないという日本政府の方針で一貫してまいりました。そういうことで、預金者の皆さんは、金融機関と言えば安心して預金されたというようなことでございまして、企業の独立性と、銀行はつぶさないという方針、この矛盾が従来あったわけでございまして、その点の是正を強く要求してまいりまして、今回の国全体のスキームの枠組みが決まったということでございまして、県だけで動けるというものでもございません。国全体が問題を認識して、新しい国の制度をつくったということで、これからは問題は出てまいりません。どんどん金融機関の情報を公開して、そして危ないところには預金しないというように、預金者自身がみずから判断するということになってまいりまして、一定の経営上の指数が出れば業務改善あるいは業務停止ということを公にやるわけでございまして、金融機関側もしかるべき覚悟が必要であると。ようやく私どもが主張しておりましたような体制に今日なりつつあるということをよく御理解いただきたいと思います。 ○議長(中本貞実君) 商工労働部長 大下政司君。   〔商工労働部長 大下政司君登壇〕 ◎商工労働部長(大下政司君) 今回の告発の対象となりました融資の内容等につきましては、先ほども御答弁申し上げたとおり、個々の事業活動あるいはプライバシーの問題等、あるいは県警が捜査中であるということもありますので、お答えは差し控えさせていただきます。 一般論になりますが、債権に対しまして担保評価額が満たない場合につきましては、信用組合の健全性の確保を図るという観点から、担保を追加させる等、債権の適正保全を指導してきているところであります。 ○議長(中本貞実君) 土木部長 齋藤 博君。   〔土木部長 齋藤 博君登壇〕 ◎土木部長(齋藤博君) 平成九年四月一日現在で、県営住宅の入居率は平均八八・八%、応募率は〇・六倍でございまして、量的には深刻な不足状況にはないと考えております。先ほどもお答えいたしましたが、今後は、公的賃貸住宅の直接供給中心から民間住宅整備を誘導するための施策へと大きく変わることが求められておりまして、民間住宅部分の活性化支援を含めたさまざまな施策の取り組みを図っていくことにしています。 ○議長(中本貞実君) 一番 大西啓勝君。 ◆一番(大西啓勝君) 時間がないので自席で言いますが、東海信用組合の問題、それならなぜ議会で審議できるように早く検査をやらないのですか。知事にもう一回聞きますが、あと二回しか議会はありません。十二月までに間に合わせるかどうか、検査結果の公表を、もう一回お願いします。 ○議長(中本貞実君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) あと一月ぐらいは、最小限、詳細調査の結果が出るまでに時間がかかると思いますが、公開ができる事項はなるべく早く公開したいということで努力をしているわけでございまして、何しろ、一々債権の内容を詳細に調べるわけですから、これは大変な作業でございます。私どもも一日も、一時間も早く事態を明確にしたいと思っておりまして、今、全精力をつぎ込んでおるわけでございまして、私どもがこういうものを遅滞させるという理由は一つもないわけです。          …………………………………………………… ○議長(中本貞実君) しばらく休憩いたします。 △午後零時八分休憩           …………………………………………………… △午後一時十一分再開 ○副議長(田口淳二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。          …………………………………………………… ○副議長(田口淳二君) お諮りいたします。本日の会議時間をあらかじめ延長いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(田口淳二君) 御異議なしと認めます。よって、本日の会議時間を延長することに決定いたしました。          …………………………………………………… ○副議長(田口淳二君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十七番 中村 慈君。   〔二十七番 中村 慈君登壇〕(拍手) ◆二十七番(中村慈君) 発言のお許しを得ましたので、四点につきまして御質問を申し上げます。 まず最初に、安房トンネルの開通に関連しました周辺道路整備についてお伺いいたします。 本県において、道路は生活・産業などのあらゆる社会・経済活動において大きな役割を果たしており、道路整備に対する県民のニーズは高いものであります。特に「日本一住みよいふるさと岐阜県」を築くために、東海北陸自動車道を初めとする新高速三道を基軸として、国道、県道等の道路ネットワークの整備が行われ「開かれた岐阜県」「一つの岐阜県」「ゆとりの岐阜県」を道路整備の基本コンセプトに鋭意事業が推進されています。特に本年は、三月に東海北陸自動車道で岐阜県と愛知県とが結ばれ、さらに本年十二月六日には、中部縦貫自動車道安房トンネル道路の開通により長野県とつながるなど、まさに交通革命元年とも言うべき記念すべき年となります。このような中、本議会に安房トンネルの通行料金を当初計画から引き下げることについて提案がされております。このことにより安房トンネルが、地域住民はもとより一般の方々にとってもより使いやすい道路となり、まことに喜ばしいことであります。建設省、日本道路公団を初め関係各位に深く敬意を表する次第であります。安房トンネル道路の沿線は、中部山岳国立公園に代表される自然観光資源が豊富な地域で、周辺には、平湯、福地、新平湯、栃尾、新穂高など雄大なアルプスの峰々に囲まれた奥飛騨温泉郷があります。また、信州方面では、城下町松本を初め上高地、安曇野など風光明媚な観光地や、中ノ湯、白骨などの温泉地など、見どころがいっぱいであります。また、この開通に合わせて、本県吉城郡の六町村が、記念イベントとして「飛騨の国よしき・ふるさと恋文飛脚便」を企画し、全国からのふるさとへの恋文を募集するなど、地域の期待は大きいものがあります。去る九月二十九日には、上宝村村長を代表とする地域高規格道路国道四百七十一号整備促進期成同盟会が発足し、北陸、関東を結ぶ幹線道路としての整備促進を要望をする等、道路整備に対する熱意も高いものがあります。 このように安房トンネルの開通は、冬季交通不能の解消や、異常気象時における交通の走行性や安全性を確保するとともに、地域の発展に大きく寄与するものであり、飛躍的に、飛騨地域を中心とする交通量が増大するものと期待されております。そのため、安房トンネルの開通に関連した周辺道路整備について今後どのように取り組んでいかれるのか、土木部長に御所見をお伺いいたします。 次に、土砂災害対策についてであります。 御承知のように、我が国は地形的・地質的条件により、梅雨時期や台風時期には、全国各地で毎年のように悲惨な土砂災害に見舞われております。ことしも五月には、避難によって幸いにも人的被害はなかったものの、秋田県鹿角市八幡平で旅館約十六棟をのみ込む地すべり、土石流災害がありました。七月には、鹿児島県出水市で梅雨前線の活動による局地的集中豪雨により土石流が発生し、完成間近の砂防ダムを乗り越えて流れ出し、二十一名のとうとい命と貴重な財産を奪いました。同様に、兵庫県宝塚市では一家四人が裏山の崩壊により命を落とされ、さらに九月の台風十九号では、鹿児島県田代町においてがけ崩れが発生し、三名の方々が亡くなっております。本県においても、大事には至りませんでしたが、上宝村新穂高の左俣谷で七月十日に大規模な山地崩壊が発生し、土石流の危険があるということで避難命令が出されました。一方、がけ崩れ災害は、昭和四十二年から平成七年までの二十九年間で、年平均発生件数五百十一件、死者・行方不明は年約五十名と聞いておりますが、近年の自然災害による死者のうち、その大半は土砂災害によるものと聞いております。このように、多くの人命を失うという結果は土砂災害の恐ろしさを物語っているものと思います。本県では、土石流危険渓流は二千七百四十八渓流、急傾斜地崩壊危険箇所、いわゆるがけ崩れ危険箇所は二千六カ所、地すべり危険箇所は七十八カ所と非常に多く、これらを合わせました土砂災害危険箇所は四千八百カ所を超えます。ことし六月に公表されましたがけ崩れ危険箇所は、平成四年当時と比べてみますと百八十八カ所増加しており、土砂災害危険箇所は一層ふえる傾向にあります。たくさんの人々が土砂災害の危険にさらされているのが現状でありますが、しかし、一方、対策工事に着手した状況を示す着手率では、土石流危険渓流二一%、がけ崩れ危険箇所三一%、地すべり危険箇所三二%と低い水準にあります。 このような状況の中で、悲惨な土砂災害を防止したり軽減するには、砂防ダムやがけ崩れ防止用の擁壁をつくるといった防止工事を実施することが最も効果があると思われます。しかし、国の財政再建ということもありまして、公共事業費は、対前年度比で七%を削減するということですから、今までとはかなり違い、施設をつくるといったハード対策の進捗はおくれるばかりであります。すなわち、生命の危険は一向に減らないわけであります。そこで、土砂災害による死者ゼロを目指して、せめて人命だけは、避難することによって助かるといったソフト面での取り組みも必要であると思われます。本年度は、がけ崩れ対策を計画的に進めるために、平成十年度から始まる第四次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画を策定する年に当たり、こうしたがけ崩れ対策を含め、土砂災害危険箇所の多い我が県において、とうとい人命と財産を守り、安心して暮らせる県土づくりの施策はどうなっているか、土木部長にお尋ねいたします。 続きまして、園芸農業の振興についてお尋ねいたします。 県では、今日の経済社会の大きな変化に的確に対応するため、二十一世紀に向けて本県農業のあるべき姿、進むべき方向を示すぎふ二十一世紀農業ビジョンを見直し、改定されたところであります。信頼と魅力ある岐阜県農業を目指す中で、本県の園芸特産農業は、平成十二年の粗生産額を七百五十億円、県農業粗生産額千八百億円を占める割合は四二%と見込み、本県農業の振興上、最も重要な部門の一つとして位置づけておられます。輸入農産物に対する安全性や、食糧の自給率の低下に対する消費者の皆さんの不安などから、少々高くても国内産という声が高まる中で、まことに時宜を得た適切なものと思います。しかし、野菜を見ましても、輸入の増加、高齢化、都市化、価格不安定といった諸問題を抱える中で、本県の野菜生産も全般に伸び悩んでいるのが現状であります。 このような状況下にあって、私の地元であります飛騨地域は、高冷地の地の利を生かした夏秋トマト、ホウレンソウあるいは大根などの山地としていずれも堅調な生産を維持し、県内市場はもとより、京阪神市場や中京市場においても他県産に比べて二割ほど高値で取引されるなど、その品質を高く評価されております。各市場からは、消費者の要望にこたえるため、出荷量の拡大と周年供給を強く求めてきております。 こうした中、昭和六十三年に事業着手されました国営農地開発事業の飛騨東部開発は、平成八年度末で、計画二十八団地中十九団地の約百四十一ヘクタールが農地造成され、さらに本年度中には約十四ヘクタールが新たに造成される予定であります。また、最終的には四百四十一ヘクタールの農地が造成される計画で、県内屈指の園芸団地が形成されることになります。現在、これらの団地では、雨よけハウスを利用したトマト、ホウレンソウ、花卉などが、また、露地野菜の大根、キャベツなどが造成済みの農地から順次栽培されておりますが、冷涼な空気、気候、さんさんと降り注ぐ太陽、きれいな水、飛騨の匠によってはぐくまれた、まさに安全で新鮮な野菜などの供給基地として、また、安房トンネルの開通に伴う首都圏を視野に入れた産地として、今後一層重要な役割を担うものと思われます。 しかし、その就農には、安全で高品質生産のためのハウス、かん水施設あるいは省力化のための機械設備等の新規購入整備や共同作業場、特に女性の方のトイレ等も含むわけでありますが、そういうものが必要でありまして、そのための多額の費用の負担が参入希望者の大きな課題であり、また、これが負担となっております。 その対策として、県では飛騨・美濃園芸王国育成対策事業を実施されておられますが、私のところへは、本事業は県下で大変要望が多く、なかなか生産者の要望が満たされないというのが実態であるようであります。これは、当団地に限らず、県下各産地の課題でもあると思います。高品質なものを一年を通じて供給してほしいとの要望にこたえるためにも、本県園芸農業の振興を推進されている県としては、農家の営農基盤の早期確立に向け一層積極的に支援すべきと思いますが、農政部長にお伺いいたします。 それでは、最後の質問になりますが、第八回全国和牛能力共進会、牛のオリンピックとも言われておりますが、岐阜県開催に伴いまして各種の課題についてお尋ねを申し上げます。 知事は、「日本一住みよいふるさと岐阜県」の実現を目指して総合福祉構想を策定され、福祉面では飛騨寿楽苑を初めとする特別養護老人ホームの整備、障害者の施設として授産事業振興センターの設置、健康面では健康科学センターの整備や南飛騨国際健康保養地構想など広域総合福祉圏を設定され、地域の実情に即した福祉施策を着々と進めておられます。また、二十一世紀に向けた社会基盤づくりとして、県土一時間交通圏構想に基づいて、いわゆる高速三道の整備も順調に進められております。さらに高度情報基地・ぎふづくりとしてソフトピアジャパンセンターが建設され、VRテクノジャパン等の整備も進められているところであります。また、「豊かで快適で健康によい環境づくり」として、養老天命反転地を初め花フェスタ記念公園など県下各地に県立公園も整備され、まさしく目的達成のために着々と事業を進めていただいておりますことは、まことに心強い限りでございます。 さて、農業面においても「日本一農業ぎふ」の実現を目指し、岐阜県の特徴を最大限に生かして、二十一世紀に向けた農業・農村の活性化のための施策が展開されているところであります。特に飛騨地域は、豊かな自然に培われた歴史と伝統文化、並びに恵まれた地理的条件等、地域の特徴を有効に活用して、飛騨牛、先ほど申しましたが、夏秋トマト、ホウレンソウなどのブランド品を生産し、日本一の産地づくりが進められているところであります。しかしながら、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意により国際化・自由化の進む中で、農業就業者の高齢化、農山村の過疎化の進行等、社会・経済的な波はもろに中山間地に押し寄せてきております。 このような折に、昨年、知事を初めとして、県経済連の代表、県畜産協会会長、県農政部長が京都の和牛登録協会に出向かれ、第八回全国和牛能力共進会の岐阜県誘致を進められ、本年六月に、平成十四年度、これは五年に一度しか開催をされないということから平成十四年度になるわけでありますが、岐阜県での開催が正式決定したことは、本県畜産のみならず、農業経営者を初め地域農業や地域経済にもまことに大きな活力を与えるもので、時宜を得たものであります。 時折しも、第七回全国和牛能力共進会が先月、九月十一日から十五日にかけて岩手県滝沢村で開催されました。我々県議団も、大会の施設や共進会の開催状況をつぶさに観察してまいりました。岐阜県からは桑田副知事さんも参加をしていただいておりました。 会場は、二十二ヘクタールに及ぶ広大な敷地に、岐阜県のふれ愛ドームにまさるとも劣らない催事場を審査会場といたしまして、サブ会場が国際会議場ということで、二施設を共進会の中心に、十一ヘクタールの屋外催事場と、十六ヘクタール、普通乗用車四千四百台、マイクロバス六百五十台、大型バス三百七十五台が収容可能な大駐車場、さらに整備された会場への交通アクセスと、まさにすばらしい環境が完備されていました。はっきり言いまして、どぎもを抜かれたという感じでありました。 大会は、この五日間に四十万人という多くの関係者と四百三十頭の牛が参加する中で開催され、その中で岐阜県代表の成果は、特に肉用牛--これは肉質の検査であります。肉質の検査と牛の外観を審査する二つがあるわけでありますけれども、特に私たちが食べる場合には肉の中身を食べるわけでありますけれども、この肉用牛の部では、数千頭の中から、各県予選を勝ち抜いて本大会に出場した百五十頭の肥育牛の中で見事第二位と八位に入賞しました。これは、三頭を一グループとして出すわけでありますので、岐阜県は二グループ、六頭を出したわけでありますけれども、その二つのグループともが、二位と八位ということで入賞したということであります。肉牛の部では、第五回大会で二位、第六回大会五位、今大会二位と八位ということで、十五年間にわたりまして全国のトップレベルを維持し、飛騨牛がいかにすぐれているものであるかということを改めて全国に実証され、岐阜県での第八回全国和牛能力共進会開催に向けて大きな期待を持たせてくれるすばらしいものでありました。安福号様々というのが今までの現状であります。 さて、それでは本題に入りたいと思います。 まず、岐阜県の第八回全国和牛能力共進会の会場準備についてでありますが、岐阜県開催を決定づける最終審査として、平成九年五月に、全国和牛登録協会によります開催候補地に対する事前調査が、県及び関係市町村長や畜産農家の代表者も出席して行われました。その折、岐阜県は清見村と高山市を舞台とする会場及び施設整備計画図を示し、岐阜県への誘致が積極的に行われたと伺っております。しかし、岐阜県は、開催の決定後、当初整備計画とは異なった仮設施設での共進会を開催しようと計画しているようであります。このことは、全国和牛登録協会が、過去の大会開催の教訓から、多額の開催経費と労力を費やして開催される全国和牛能力共進会が、ただ共進会の開催を目的にしたものであってはいけない。むしろ、目的は開催後の地域畜産振興にあるとしており、共進会の開催意義を明確に位置づけております。ところが、岐阜県が進めようとしている方向は、全国和牛共進会開催の趣旨及び開催を契機に、さらなる畜産の発展を夢見る県内の畜産農家を初め関係者の願いともいささか異なったものと言わざるを得ません。過去七回の全国和牛能力共進会開催県は、農家戸数も牛の飼育頭数も岐阜県の十倍以上と、我が国のトップクラスの畜産県であります。これに対して、牛の質では優位にあるものの、農家戸数も飼育頭数も少ない我が岐阜県が、過去の全国和牛能力共進会に引けをとらない内容とするために、直ちに対策室等を設置して開催準備に着手しなければ、過去の開催県並みの第八回全国和牛能力共進会開催はおぼつかないものと憂慮しているところであります。この点につきまして、第八回の共進会を中心となって開催される県として知事はどのように考えておられるのか、また、今後の具体的な開催用地、並びに会場の整備方針について、あわせてお伺いいたします。 次に、第八回全国和牛能力共進会の飛騨地域での開催は、昨年八月に第八回全国和牛能力共進会岐阜県準備委員会で決定され、県及び県下の畜産関係者の総意によって決定されたものと理解しております。しかし、会場用地の整備については、県の方針が定まらないまま一年有余が経過し、平成十四年度の第八回共進会開催までに会場整備が間に合うかどうか懸念される、せっぱ詰まった状況に来ております。清見村の負担が大きい会場整備の方針が決定されようとしています。県に対し協力を申し出、独自で調査や設計を進めてきた清見村を初め飛騨地域の関係市町村は、その対応に本当に苦慮しているところであります。 そこで質問ですが、長期間にわたって基本方針を決定しないまま時間を浪費したことは、地域の市町村の信頼関係を損なうとともに、県として慎まなければならない行為であり、また、全国的なイベント開催に伴う経費を財政事情の苦しい市町村に過大に負わせることは、県下九十九市町村といたしましても、決して安易に見逃すことのできない重要な問題であります。知事の基本的な考えをお伺いしたいと思います。 最後に、飛騨地域一市三郡の二十カ市町村で計画が進められています飛騨地域畜産基地建設構想と第八回和牛能力共進会との関係が取りざたされておりますが、そもそもこの構想は、第八回全国和牛能力共進会の跡地利用構想として出発したものであり、安房トンネルの開通、中部縦貫自動車道及び東海北陸自動車道の整備等、大きく変わろうとしている社会基盤の変化に対処するために、飛騨地域の広域的な開発構想の一環であり、一方、飛騨牛や夏秋トマト、ホウレンソウなど、全国的なブランドを生産する地域農業の次世代を展望した活性化対策でもあります。 知事も御承知のように、関西市場における夏秋トマト、ホウレンソウは五〇%から六〇%の市場占有率を持ち、高冷地野菜では、関西を飛騨が制していると言っても過言ではない状況にあります。また、飛騨牛も、前述した第五回和牛能力共進会以来、畜産農家あるいは肉牛試験場等の並々ならぬ努力によりまして、全国共進会では他に例を見ない、十五年間全国トップレベルを堅持するとともに、高山子牛市場の価格も、過去十年以上にわたって全国のトップの市場価格を維持し、まさに畜産と高冷地野菜に代表されます飛騨地域の農業が日本一の産地として岐阜県の発展に寄与しているところであります。知事が提唱されておられます「日本一住みよいふるさと岐阜県づくり」の一環として、地域の実情に即した対応を進められておられますが、飛騨地域にも、地域産業の主体である地域農業振興の核となる飛騨地域畜産基地構想、キャトルパーク構想の整備を第八回和牛能力共進会の跡地利用構想として進めることに対する知事さんの考えをお尋ねするものでございます。 なお、今議会で農政部に対する質問が、我が自民クラブの代表質問で一名、そして私とたった二名ということでございます。農政に関心がないのか、あるいは農政に全く信頼をし切っているのか。しかしながら、幸いなことに、私たちは、朝・昼・夕の食事を何の心配もなく食べさせていただいておるわけでございますし、夜になりますと、また酒米までいただいておるというようなことでございます。そういう現状の中で、国におかれましては、農政という、あるいは農水省という名前が消えるようなことを言っておるようでございますけれども、岐阜県では農政の名前が消えることのないように、また、そういう活動をしていかなければならないというふうに思います。 ここで、岐阜県の農政ここにありと言わんばかりの農政部の回答を求めまして、質問を終わらせていただきます。以上。   (拍手) ○副議長(田口淳二君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) 和牛能力共進会につきましてお答えしたいと思いますが、こういう畜産を初め園芸農業、農業全体は岐阜県でも基本的な産業でございまして、異常気象が頻発して、将来食糧危機の問題も論じられておりまして、依然として農業は重要な産業だと、かように認識をいたしております。 特に最近は、畜産関係では、飛騨牛あるいは飛騨けんとん、美濃けんとん等々すばらしいものが出てまいりました。関係者の皆さんの御協力のおかげでございます。そういう成果を和牛能力共進会で御披露したいということでございまして、ようやくことしの六月十二日に岐阜県開催が正式に決まったわけでございまして、これまた、関係の皆様に心から感謝を申し上げたいというふうに思います。共進会は五年ごとという開催のサイクルでございまして、それだけに、大変重要な会になっておるということでございます。岩手県あるいは大分県等の開催実績がございますけれども、何十万人もの人がおいでになるということで、これも地域の活性化に大きく貢献するというふうに思います。 そこで、この会場整備の方針ですが、中部縦貫自動車道の清見東インターにごく近いところに対象候補地がございまして、インターに近いだけに場合によってはハイテクの産業団地もあっていいんじゃないか、こんな話をしておりました。地価との関係でより生産性の高い産業団地が必要だと、こんなことでございましたが、その後、清見村その他関係者と協議いたしておりますけれども、産業団地はやはり畜産を中心にした産業観光団地のようなものがいいということでございまして、そういう方向で調整をいたしております。 それで、共進会の会場はその土地で開催するわけでございますが、当然に後のことを考えた仮設であるということでございます。どのように事業を進めるか、今、清見村の村長さんを中心に、県の職員も加わりましていろいろ知恵を出しているということでございます。これから私どもは将来の共進会を念頭に置きまして、さらなる肉用牛の改良に努力するということ、その他いろんな条件がございますが、そういった点も皆様方と協力してうまく実現してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○副議長(田口淳二君) 農政部長 森井季雄君。   〔農政部長 森井季雄君登壇〕 ◎農政部長(森井季雄君) 園芸農業の振興についてお答えいたします。 本県の園芸農業の振興につきましては、よりよいものをより値打ちにいつでも供給できる園芸王国づくりを目指して、平成五年度から飛騨・美濃園芸王国育成対策事業を初め各種施策を講じ、消費者に安心して買っていただける銘柄産地づくりに努めているところでございます。この結果、本県の園芸特産品は、県内はもとより中京や京阪神地域の消費者から高い評価を得ており、市場関係者からも、さらに量の拡大と周年供給を強く求められております。このため、銘柄産地をつくることを引き続き推進するとともに、特に園芸生産の比較的伸び悩んでいる中山間地などで、例えば未利用桑園からの転換や水田転作による産地化などを進めることが、県全体の生産拡大と周年供給体制の確立にとって重要と考えております。 また、飛騨地域におきましては、安房トンネルの開通に伴う首都圏をも視野に入れた産地として、特に飛騨東部開発事業で造成された農地での園芸特産物の生産体制を早急に整えることが必要と考えております。 そうした面から見まして、現在進めております飛騨・美濃園芸王国育成対策事業は極めて重要で効果の高い施設であり、また、本年度の県議会農林委員会県内視察の折にも各市町村から多くの要望がありましたので、今後とも本事業を積極的に推進してまいります。 ○副議長(田口淳二君) 土木部長 齋藤 博君。   〔土木部長 齋藤 博君登壇〕 ◎土木部長(齋藤博君) 安房トンネルの開通に伴う周辺道路整備についてお答えします。 安房トンネルの開通に伴い、これまで以上に県外からの観光客の流入や交流人口の増加、さらには物流経路の変化などに伴う交通量の増大が予想されます。この交通量の増大に対する周辺道路整備の取り組みとしては、関係市町村と公安委員会、道路管理者から成る飛騨北部地域交通対策協議会において各種対策を検討してきております。 この中で、対策が必要となる主な周辺道路としては国道四十一号、百五十八号、四百七十一号等があり、短期的には交差点改良、急カーブの解消、路肩の確保、道路情報板設置等を、中期的には観光地周辺での駐車場整備、道路の拡幅等を、長期的にはバイパス等をそれぞれ計画し、実施してまいります。特に安房トンネル開通後、広域的な物流・交流の増大に伴い影響が懸念される国道四百七十一号については、平湯バイパスを十一月に供用するほか、観光バス等の大型車両の円滑な通行を確保するため、現道部において福地地内のヘアピンカーブの改良工事や側溝改良工事、警戒標識の設置を行っております。 なお、休日交通集中による高山市周辺の交通渋滞対策としては、円滑な交通誘導を図るため、FM放送を利用した交通情報、駐車場案内情報の提供などのソフト面の対策も進めていきます。 また、中部縦貫自動車道の高山清見道路については、夏廐地区から清見東インターチェンジ間の早期供用と、本自動車道の丹生川・清見間や地域高規格道路の富山高山連絡道路の岐阜県側の調査促進についても国に要望していきたいと考えております。 なお、安房峠の東側--つまり長野県側でございますが--についても、国道百五十八号の整備、さらには中部縦貫自動車道の中ノ湯から松本市間の整備推進についても、国及び長野県にお願いしていきたいと考えております。 次に、土砂災害対策についてお答えします。 ハード対策としての防止工事については、工法の見直しなどによるコスト縮減、事業の重点化・効率化等に配慮しつつ、引き続き施設整備に努めてまいります。 また、ソフト対策として、雨量観測施設等の整備により土砂災害予警報システムを構築するほか、土砂災害危険区域図の配布、指定地等の標識・標柱の設置、危険箇所の地域防災計画への掲載などにより住民に周知徹底を図るとともに、砂防指定地等監視員による指定地等の監視の強化及び砂防ボランティアによる危険区域の情報提供により人的被害の防止に努めてまいります。 なお、先日、試験的ではありますが、平成四年に大きな災害を受けた富加町において、土砂災害の被害を受けるおそれのある世帯に対し、ダイレクトメールで危険区域であることをお知らせしたところであります。 一方、現在国において来年度から始まる第四次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画を策定中ですが、安全で住みよい岐阜県づくりのために、投資規模の大幅な拡大を強く要望してまいります。そして、今後とも土砂災害による犠牲者ゼロを目指し、ハードとソフトの両面において総合的な対策を進めてまいります。 ○副議長(田口淳二君) 二十二番 近松武弘君。   〔二十二番 近松武弘君登壇〕(拍手) ◆二十二番(近松武弘君) 私は、教育問題と廃棄物問題について質問いたします。 最初に、豊かな人間性を育てる心の教育について、教育長にお尋ねします。 アメリカ・ボルチモアに「スラム街の奇跡」という話があります。ある大学の社会学を学ぶ学生たちが、ボルチモアのスラム街に住む少年二百人を対象に、一人ひとりの家庭環境と生い立ちを調査しました。そして、この調査結果をもとに、少年たちの将来性についてのレポートを作成しました。すると、どの学生も、これらの少年たちには何の未来も期待できないだろうと書きました。それから二十五年後のこと、ある社会学の教授がこのときの調査研究を見つけ、興味を持ち、当時の少年たちがその後どうなったかを学生に追跡調査させました。ところが、引っ越ししたり死亡した二十人を除いた百八十人のうち何と百七十六人が、弁護士や医者、またはビジネスマンとして人並み以上の成功をおさめていたのです。教授はこの報告に大変驚くとともに、興味をそそられ、さらに詳しく調べることにしました。教授はみずから一人ひとりに会いに出かけ、そしてこう尋ねたのです。「あなたを成功に導いたのは一体何だったのですか」。すると、だれもが感慨を込めてある先生の名前を上げたのです。教授は、まだ健在だというその女の先生にぜひ会いたいと思い、訪ねていきました。そして、年はとっていてもしゃんとしたその先生にこう尋ねたのです。「スラム街からあんなに大勢の成功者が出るなんて驚きました。あなたは一体どんな魔法をかけたのですか」。その先生はぱっと顔を輝かせ、口元に笑みを浮かべながらこう答えたのです。「とても簡単なことです。私は生徒たちを愛したのです」。先生の愛が奇跡を起こしたのです。 そういえば、九月十三日、スラム街の聖女、マザー・テレサの国葬がカルカッタで二百万人の市民によって行われました。愛の大切さを訴え続けたマザー・テレサ。「愛とは相手を思いやることです。思いやりとは分かち合う喜びです」と言いました。「温かいほほ笑みを妻に、夫に、子供に、そしてすべての人に。ほほ笑みは心に愛を育てます」、テレサの言葉です。ほほ笑みは安らぎを、安らぎは信頼を、信頼は自信を育てるといいます。子供は自信を持つと元気になり、たくましくなります。 さて、神戸の連続児童殺傷事件で衝撃を受けた文部省は、心の教育について中央教育審議会に緊急諮問しました。あの事件は、あの地区、あの学校、あの子だから起きた事件ではない。形こそ違え、いつ、どこでも、どの学校でも起こり得る事件です。 「ボルチモアの奇跡」のように、先生の影響は極めて大きい。しかし、一番大切なのは親の愛ではないでしょうか。親のほほ笑みと温かい眼差しです。大人や親が変わらなきゃあ学校が変われるわけがありません。 先日、テレビでばっちり決めたミュージシャンの坂本龍一さんが、「大人が変わらなきゃあ時代なんて変わらない」と言って、アウディに乗ってさっそうと走り去る車のCMを見ました。妙に心に残っています。まさに親が変わらにゃあ子供は変わらぬと言われているような気がいたします。「おもしろくない」「むかつく」「いらいらする」などの言葉は、子供たちが日常的に使うようになっています。こうした気持ちがどうして起きているのか。子供たちの気持ちを子供たちの目線で聞くことが心の教育の出発点ではないでしょうか。 ベストセラー「無知の涙」という本を書いたのは、死刑囚の永山則夫です。十九歳の秋、連続四人の射殺事件を犯すまでの彼の経歴・境遇は寒々としていました。 九五年の法務省の調査によりますと、殺人、誘拐などを含め、犯罪少年の九割以上は経済的に普通以上の家庭だといいます。決して貧困や流浪による犯罪ではありません。 さて、真の改革は、実態を肌で感じている現場最先端の先生、子供、親が主役ではないでしょうか。中教審の答申と指示を待つという姿勢では、心の通った心の教育はできないと思います。時代を動かす新しいものはメジャーからは生まれない。常にマイナーによって開かれるといいます。 先日、テレビ討論会で、心の教育について地方の先生方が出席し、行われていました。その中で、審議会の先生方に、どうして私たち現場最先端の教師の気持ちや苦労がわかるのでしょうかという叫びにも似た声が発せられていました。 最近、幼稚園の園児にお母さんの似顔絵をかかせると、異常に口が大きく、眉毛がつり上がっているそうです。似顔絵からお母さんの笑顔は消えてしまっているそうです。 さて、ここに「もし子育てをやり直せるなら」というルーマンズの詩があります。もし子育てをやり直せるなら、家よりもまず子供の自尊心を築き上げます。間違いを直そうとばかりしないで、子供ともっと心を通わせます。知識ばかりを詰め込もうとしないで、心を思いやりでいっぱいにします。うるさいことばかり言わないで、もっと子供を褒めてあげます。そして、成功や権力を追い求めるのではなく、愛の力のすばらしさを子供に教えます。中教審の答申を待つまでもなく、この詩の中に心の教育の原理・原則があるように思います。親の愛と優しさが先年過去・千年未来、人間の心の糧であるようです。 そこでお尋ねします。 一、本県の教育改革プランについて。 その一、県は今、本県教育の中・長期的な指針となる教育改革プランを策定中であります。改革プラン策定のねらいと具体的テーマは何か。緊急課題の心の教育をどう位置づけているのか。 二、日比新教育長は、十八年ぶりの行政職からの起用であります。新しい改革は新しい革袋でという期待が込められています。新教育長に期待するものは、従来延長型の発想ではなく無手勝流の発想です。素朴な発想で大胆に取り組んでいただきたいと思います。どういう決意と切り口で取り組んでおられるのか。 三、上杉鷹山は、藩の改革には必ず足軽を入れよと指示していました。改革は「百の議論より一つの実践」という信念であったようです。実践最先端の声を改革に反映せよということです。現場最先端の親、子供、生徒の声をどういう方法で反映させているのか。 二、ゆとり、生きる力、心の教育について。 その一、今、親も子も先生も忙し過ぎて、お互いを見詰め合うゆとりもほほ笑み合うゆとりもないようです。学校週五日制は、子供たちにゆとりを確保し、生きる力をはぐくむ目的で実施されてきました。さて、ゆとりと一口に言っても非常に範囲が広い。学校週五日制が目指しているゆとりとは一体どういうことか。これまでの月二回の週五日制で、実際に小・中・高でどんな時間が何時間短縮されたのか。これまでの週五日制を子供たちはどう評価しているのか。平成十五年度から完全週五日制の実施が予定されています。ゆとりづくりのために今どんな課題が検討されているのか。 二、心の教育の根本は親の愛と優しさです。子供の教育を私たちは学校教育に依存し過ぎていると思います。特に心の教育は、家庭七、学校三程度の責任割合ではないでしょうか。子供教育の役割分担を大胆に明らかにし、親がもっと責任を持つべきです。家庭・社会・学校の役割分担のあるべき姿はどんなものか。幼児教育、家庭教育、社会教育で心の教育をどう進めようとされているのか。また、学校ではどう対処されるのか。 三、不登校、保健室登校、高校中退が増加しています。その対策として、養護教諭の充実、学校でのカウンセラーの活用が進んでいます。本県の不登校、保健室登校、高校中退はどんな状況になっているのか。その対策はどう進められているのか。養護教諭や学校でのカウンセラーの必要性はますます増大しています。本県の現状配置と将来計画はどうなっているのか。以上、お尋ねいたします。 次に、御嵩町の産廃問題について知事にお尋ねします。 一、六月二十二日に住民投票が行われました。七月十八日、柳川町長は県を訪れ、「投票の結果を尊重する」との文書を提出し、初めて正式に建設反対の意思表明をされました。しかし、今、御嵩町問題は法廷闘争になっています。一方、住民投票の結果に法的拘束力のないことは周知のとおりです。町長のこの意思表示は、個別法の手続などにどんな影響をもたらしているのか、まずお尋ねします。 二、処理場建設の決定権について。 県は、都市計画法上、町長の同意がなければ知事として許可手続は進められない。本事業は、現在町長の手元で凍結されているとの考えです。町長は、開発許可権は県である。したがって、町に決定権はないとの考えです。建設可否の決定権について県と町の考え方にずれがあるように見えますが、法的にどうなっているのか、知事の見解をお尋ねします。 三、寿和工業の訴訟問題などについて。 寿和工業の訴訟内容は三つであります。訴訟一は、都市計画法第三十二条の不作為の訴えです。この三十二条は、開発許可を申請する寿和工業は、町管理道路である町道、林道のつけかえ・廃止などについて御嵩町と協議し、同意を得ることが法律要件になっています。平成七年四月に御嵩町に申請しているが、現在に至るも協議に応じず凍結している。よって、不作為の違法確認を求めた訴えです。 訴訟二は、町有地の所有移転手続をせよという訴えです。平成七年二月に、寿和工業と御嵩町の間に産廃処理施設設置を認める協定書が成立している。この協定書は、必要な時期に土地の価格を協議し、町有地を売却する旨の売買契約であるとの訴えです。 訴訟三は、損害賠償を請求する訴えです。本産廃計画は適法である。にもかかわらず、御嵩町は本計画の手続を凍結し、不法行為により多大な損害をこうむらせたとの訴えです。 これまでに二回の口頭弁論が行われました。第一回が六月十九日、第二回が九月一日でした。報道で知る限り、両者の主張は対立したままであります。本来こうした問題は、行政と行政、あるいは行政と企業、関係者等の話し合いによって解決していくべき課題だと思いますが、しかし、現在はそういう方向ではありません。町長は、寿和工業との関係については、訴訟が続く限り法廷の場で明らかにしていく。法廷外で話し合うことはない。県との関係についても、手続に違法性の疑いがある。許可を含めて法廷の場ではっきりさせていくとの考えのようです。したがって、裁判によって決着をつけていく、そんな色合いが濃くなってきました。判決がどう出るかわかりませんが、時間のかかることは確かであります。 そこでお尋ねします。 一、県は八月八日、御嵩町に「都市計画法第三十二条に同意されるか否か、早急に明確な回答をしていただきたい」と文書で要請しました。これは訴訟一の核心部分であります。この時期に要請されたのはなぜか。また、どういう意味があるのか。しかし、いまだ回答はありません。回答のないことに対し、どう考えておられるのか。いずれにせよ、御嵩町問題に県はこれからどんな形でタッチしていくのか、あるいはどんな形になればタッチできるのか。 二、県の調整試案について、町長はマスコミ等を通じ、調整試案は建設を前提とした試案であり、調整試案をたたき台あるいはベースに話し合うことには応じられないと言われております。これは、県の調整試案も受け入れられないということではないかと思います。知事はどう受けとめておられるのか。調整試案の取り扱いはどうなっていくのか。 三、裁判は、岐阜地裁で判決が出ても、高裁、最高裁まで持ち上がる可能性は大であります。裁判になった以上、手続はすべてストップさせ、県は裁判の成り行きを見守っているより方法はないのか。以上、お尋ねいたします。 最後に、本県の廃棄物対策について、知事並びに衛生環境部長にお尋ねします。 本県の産廃処分場の残余年数は、あと二年程度です。私も処分場を視察してきました。県下の産廃問題は、まさに逼迫した状況にあると思います。 さて、廃棄物処理の将来的方法は、地域内で発生した廃棄物は地域内で処理する、いわゆる自己完結が大原則になるようであります。技術的には、廃棄物の一〇〇%リサイクルと、最終処分場の要らない廃棄物処理技術の開発です。本県の廃棄物行政の基本は、「安全第一・公共関与・リサイクルの徹底・複合行政・自己完結」の五原則です。本県でも自己完結の原則が大きな課題になっています。 廃棄物対策の三原則であるリサイクル・減量化・無害化技術の開発は、今、急ピッチで進展しています。廃棄物の処理は、今後、焼却から溶融へ大きく転換するものと思われます。溶融は千四百度程度で行いますので、ダイオキシン対策に大きな効果があるといいます。 私は、九月三日、三菱重工横浜製作所を視察しました。焼却実証炉、溶融実証炉、廃プラ油化などの実証プラントが集約されていました。それぞれの実証プラントを視察すると同時に、廃棄物処理技術の最先端開発に取り組んでおられる技術者の方々のバイタリティーに触れ、また、生の声も聞きました。 今、シンガポール、マレーシア、タイなどから廃棄物処理プラントの注文が多い。既に溶融プラントの引き合いもある。決して競争相手は欧米企業ではない。日本の技術は機能、品質、コスト、アフターケアのいずれにおいても欧米を確実に引き離している。外国企業との競争ではなく、日本の企業間での厳しい競争である。日本の焼却・溶融技術は世界一のレベルにある。これら東南アジアの国々では、ここ一、二年の間に、日本企業の幾つかの溶融プラントが稼働する。日本より溶融技術は早く普及するかもしれない。最終処分場の要らない廃棄物処理も、これからの技術開発によって近い将来可能であるなどの見解を述べておられます。 さて、今、県下のどこの市町村長さんも、一般廃棄物処理場の更新、ダイオキシン対策などに大変頭を悩ませておられます。ましてや、地域内で発生した産廃は地域内で処理するとの自己完結についてはしり込みせざるを得ないようであります。事実、厚生委員会の県内視察で市町村長さんたちから聞こえてくるのは、まず御嵩町問題を何とか解決してほしいとの声でございます。御嵩町問題を目の当たりにして、住民の理解と納得を得ることが極めて厳しいからでございます。 先日、私は岐阜の問屋町に行きました。アパレルの問屋町の中に宝石屋さんがあります。最初、あれっ、こんなところに宝石屋さんがあると思いました。しかし、ファッションと宝石は大いに関係のあることに気がつきました。その宝石屋さんの御主人がこんなことを言われたのです。「日本刀の鑑別士を育てるには、まず本物を見きわめる目を育てなければならない。そのためには、本物の刀、本物の名刀だけを見せる。そうするとまがいものはすぐわかるようになる。宝石の鑑別もしかりです。本物の宝石、高級な宝石ばかりを見せて鑑別の目を養われる」と言われました。物の本質を見るには本物を見よということです。まがいものを見ていたり悪いものを見ていたのでは、物事の本質はわからないということでございます。廃棄物処理技術も、住民の方々に日本の最先端の最高の本物技術を見てもらうことだと思います。最終処分場の要らない一〇〇%リサイクルの可能性を持った溶融技術、溶融プラントを県民の皆さんに自分の目で見てもらうことです。県は、そういう環境づくりに全力を尽くすべきです。そうすることが県内の市町村長さんに自信を、県民に理解と協力が得られる唯一の方法だと思います。言葉や資料ではだめです。県民に実証して見せることであると思います。 幸いにも、本県には平成十一年四月より、可茂地域十一市町村二十二万人の一般廃棄物を処理する笹ゆりクリーンパークが稼働します。本県初の溶融施設です。日立造船のプラズマ方式で、各地から注目されている画期的な処理方法です。また、九月一日、恵那郡南部組合四町一村は、日本碍子と共同で、同社が開発した流動熱分解溶融炉の実証試験を平成十一年四月から行うと新聞発表されています。試験期間は一年間です。日本碍子の投資額は約二十億円。試験期間中は日本碍子が運営管理する。用地とごみは恵那郡南部組合が提供する。厚生省の認可後は、同組合が運営管理を引き継ぐとのことです。私も、ことしの五月、日本碍子の溶融施設を視察しました。この実証炉は、焼却と溶融を一つの炉内で処理できるため、省エネ、省排ガス、設備のコンパクト化が図れる。また、千四百度程度の高温で溶融するため、ダイオキシンなどの有害物質の発生を抑えることができるなど、メリットの実証にもなります。溶融スラグは路盤材などに再利用するなど、溶融物質の利用方法の研究も進められます。まさに廃棄物処理の最先端技術の実証が行われるわけでございます。 そこでお尋ねいたします。 一、県の産廃処理は逼迫しています。御嵩町問題は裁判に時間がかかります。しかし、御嵩町問題と県の廃棄物対策は同時並行的に取り組んでいくべきだと思います。どう進めていかれるのか。 二、県は、廃棄物問題検討委員会、連絡協議会、地球環境村建設推進協議会、廃棄物処理技術開発研究協議会等を組織しました。しかし、活動が鈍いのではないかと思います。もっと技術に真っすぐに、もっと課題に真っすぐに、そして県民の目にわかるように取り組むべきだと思います。どう活動しておられるのか。特に技術開発研究協議会では、各専門メーカーの最高の技術を探究し、確かな技術的裏づけをとってほしいと思います。技術開発の促進をどんな形で進められるのか。 三、財団法人 地球環境村ぎふには、県と市町村の廃棄物推進のかなめの機能があります。同時に、最新の処理技術の情報も収集されているようです。大いに活用すべきです。地球環境村ぎふは、現在どういう役割を持ち、どんな課題に取り組んでいるのか。地球環境村構想はどこが中心でどのように推進していくのか。 四、廃棄物処理の将来方向は、技術的には一〇〇%リサイクルと最終処分場不要の処理技術の開発です。この二つの技術開発ができれば、御嵩町のような問題は解決できると思います。その可能性を秘めた技術が溶融技術だと私は思います。本県も、溶融技術の開発や導入に全力を尽くすべきだと思います。本県の処理技術の将来像についてどう考えておられるのか。 五、我が国には、今、溶融炉開発メーカーが幾つかあります。まさに技術開発は百花繚乱、しのぎを削っています。メーカーにとって、技術開発の実証試験は必須課題です。メーカーは、実証試験をさせてくれる自治体を求めています。実証試験には、実験場とごみ提供自治体が必要だからであります。しかし、現在、処理場建設拒否風潮の中で困難な状況にあります。私は、メーカーと自治体が共同開発に取り組む絶好の時期であると思います。「ピンチはチャンス」という言葉がございますように、各社の溶融実証炉を本県に誘致することを重ねて提案いたします。どう考えておられるのか。 六、焼却炉方式に比べると、溶融炉方式はコストが高いという感覚があります。しかし、私が調べた限り決してそうではありません。溶融方式には、将来最終処分場不要の可能性もあります。トータルで見れば断然コストは安くなると思います。現在、焼却方法と溶融方法のコスト比較はどうなっているのか、また、将来予測はどうか。 七、県下には、自治体でつくる廃棄物処理組合が幾つかあります。それぞれに、中期・長期を含め、改造・更新・新規計画があると思います。今、県下には幾つの処理組合があり、それぞれどんな計画になっているのか。可茂地域、恵那郡南部以外に溶融方式導入の動きはないのか。溶融方式導入の動きがあれば、県がメーカーとの仲介役を果たせるぐらいになっていただきたいと思いますが、どう考えているのか。 最後に、今、本県の廃棄物総点検が行われています。そのねらいと課題は。また、いつまでに完了できるのか。以上をお尋ねし、私の質問を終わります。ありがとうございました。   (拍手) ○副議長(田口淳二君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) お尋ねの中の産廃問題につきましてお答えをしたいと思います。 七月十八日付で御嵩町長さんから文書をいただいておりまして、住民投票の結果を尊重するという趣旨でございますが、初めて町長さんが公式に現在の業者の計画について否定的な判断をされたものでございまして、これが、今までいろいろ経緯がございましたけれども、初めてのことでございます。そういうことで、町長さんのお気持ちは推定されるわけでございますが、法律上の効果はどうかといいますと、事実上の意思表示にとどまっているということでございます。この事業につきましては、たまたま事業用地に町道という道路がございます。これにつきまして、都市計画法の三十二条の規定に基づく公共施設管理者としての町長の同意が必要である。でなければ開発許可ができないということになっておりまして、その判断が出ない限り、どうするかこうするか、知事の権限を行使できないというような状況になっておるわけでございまして、県と町との意見が違うがというお話がございましたが、両方とも正しいわけでございまして、許可権が知事にあるということは間違いないことでございますが、その許可権を行使する前提である都市計画法上の同意というものが必要でございまして、そういう意味で、御嵩町側に実質的な決定の権限があるということでございまして、その点をよく御理解いただきたいというふうに思います。 八月八日付で、改めて町長さんの同意をするかしないかということを早急に御回答いただきたいということにしたわけでございますが、今申し上げましたように、許可権者である知事が許可手続を都市計画法上の町長さんの同意がなくても進められるがごとき発言があったということで、今申し上げたような法律関係を明確にするためにも文書をお出し申し上げたと、こういうことでございまして、現在まで町長さんからの回答は来ておりませんが、あくまでも町自身が判断されることでございまして、現段階で県の方から何らかの行動を起こすということは一切考えておりません。 それから、今お話がございましたが、町と業者の方との間で訴訟が提起されているということでございまして、訴訟とこの許可手続とは関係がないわけでございますが、訴訟が終結するまで都市計画法上の判断を留保するということでありますと、訴訟が終わるまで、事実上、この件につきましての県知事の判断ができないというような関係になるわけでございます。 それから、この御嵩町の問題もさることながら、県の廃棄物対策も同時に進めなければいけないんじゃないかということでございまして、お説のとおり大変逼迫した状況にございますので、県としては、もう数年前から廃棄物五原則というのを立てまして、その方針でいろんな施策を進めております。その施策を進めるに当たりまして総点検を今しておりまして、年内にはまとまるかと思いますが、市町村別、圏域別あるいは県単位、大企業別、中小業界別、そういうような区分けでごみの排出、減量、リサイクルの状況、それからほかの地域からの廃棄物の受け入れ状況、そういうものを今総点検で調べておりますが、自己完結が最も重要な原則でございまして、ごみが出たところでごみを処理処分するということが最も望ましい。地域住民の方にも責任感が出てくる。自分が出したごみをどうするかということが目に見える関係に置いておく必要がある、かようなふうに考えておりますが、圏域別に一生懸命検討されているところもございまして、この加茂郡、可児郡、美濃加茂市、可児市、一つのブロックとして真剣に御検討をこれからされていくということでございまして、一般廃棄物は可児市に笹ゆりクリーンパークというものが可児市長の御努力ででき上がって、そして広域のごみを引き受けようというような可児市の方針でやっていただいております。産廃の問題をブロックでどうするかということも自主的に御検討願いたいというふうに思います。 地球環境村につきましては、今、技術開発、そういうものの情報を集めるということを強く指示しておりまして、議員のお話の中にもいろんな最先端のものが出てきております。焼却をしない、あるいは溶融をする、あるいはさらにそういうものも要しないというのがアメリカにも今出てきておりまして、職員をアメリカに視察に行かせるということも指示したわけでございまして、どんどん新しいものが出てまいりますので、そういう中のいいものを活用する。実証炉を県内に設けていくということも、百聞は一見にしかず、大変いいことだと思いますし、なるべく地元の企業に頑張っていただいて、岐阜県に先端的な環境産業が興っていくように、そういう形で県も一生懸命御支援申し上げたいと思っております。 ○副議長(田口淳二君) 衛生環境部長 本間 泉君。   〔衛生環境部長 本間 泉君登壇〕 ◎衛生環境部長(本間泉君) 廃棄物問題検討委員会等の活動状況についてお答えをいたします。 岐阜県廃棄物問題検討委員会はこれまで九回開催し、マスコミや一般傍聴者にも、公開の場で、集中的、精力的に御議論を重ねていただき、率直かつ建設的な御意見をいただいております。 この委員会の資料につきましては関係機関等に配布し、廃棄物問題について県民の皆様に正しい情報が伝わるように努めているところでございます。 また、去る七月二十九日に第一回の会議を開催いたしました岐阜県廃棄物問題連絡協議会及び岐阜県地球環境村建設推進協議会、並びに九月二十五日に第一回の会議を開催いたしました岐阜県廃棄物処理技術開発研究協議会につきましても、現在作業を進めております廃棄物の総点検結果を順次提供しながら、各協議会等で建設的かつ具体的な検討を進めていただきたいと考えております。 次に、廃棄物処理技術開発研究協議会についてお答えをいたします。 岐阜県廃棄物処理技術開発研究協議会は、廃棄物処理の技術的支援を行うために、公的機関とリサイクル関連企業等により平成九年九月二十五日に設置されました。この協議会では、廃棄物の処理に関し研究開発されている技術情報を交換し、その技術の完成度、経済性、エネルギーバランスなどを総合的な面から分析評価し、廃棄物の種類、性状等に応じた適正な処理・リサイクル方法等を研究することとしております。また、研究の成果につきましては市町村、事業者等に開示提供し、積極的な活用を働きかけていくこととされております。 地球環境村についてお答えをいたします。 財団法人 地球環境村ぎふにおきましては、地球環境村の整備に向けて、各圏域内で自己完結が可能となるような処理方法の提供を行うなどにより、地球環境村構想の推進を支援することとしております。また、最新の廃棄物処理技術及びリサイクル情報を収集整理し、蓄積した研究成果等の情報を市町村を初め各機関に提供し、積極的な活用が図られるよう努めているところでございます。 次に、地球環境村構想の推進につきましては、市町村ごと、圏域ごと、大企業は企業ごと、中小企業は業界ごとといったそれぞれの範囲内で廃棄物の自己完結を図るために、地域等におきまして積極的・自主的に検討していただき、各圏域において検討された結果、地球環境村建設について地域のコンセンサスが得られるという段階で適当と認められるものであれば、県といたしましても地域と一体となって事業を推進してまいりたいと考えております。 岐阜県の廃棄物処理技術の将来像についてお答えをいたします。 本県の廃棄物処理技術の将来像についてでございますが、現在、日本におけるごみの中間処理技術は、焼却が主流となっております。しかしながら、この焼却技術には、焼却残渣が出ること、ダイオキシンが発生すること、発電効率と物質回収率が低いこと、大規模な処理システムであることの四つの課題の解決が迫られるようになってきております。これらの課題を解決するための、いわゆる次世代型処理技術につきましては、現在盛んに技術の開発努力が行われております。まさに日進月歩の状況にあり、安全で効率的な環境に配慮された技術の早期開発が期待されているところでございます。県におきましても、溶融技術を初めとする次世代型処理技術を評価しながら、積極的に導入を指導してまいりたいと考えております。 溶融炉についてお答えをいたします。 溶融実証炉の誘致につきましては、産・官・学が一体となって組織します岐阜県廃棄物処理技術開発研究協議会や財団法人 地球環境村ぎふにおきまして廃棄物の処理技術について調査・研究されておりますので、溶融実証炉に関する最新の情報についても、市町村等に積極的に提示してまいりたいと考えております。 次に、焼却方式と溶融方式のコスト比較についてでありますが、処理量一日一トン当たりの建設事業費は、焼却方式で、平成八年度の全国の三十八件の平均を見ますと約四千五百万円であります。溶融方式については実例が少なく、将来予測が困難な状況でありますが、熱分解ガス化溶融システムを例として見ますと二件の建設計画がありまして、その処理量一トン当たりの建設事業費は四千五百万円あるいは三千万円という情報がございます。 溶融方式の導入についてお答えいたします。 県下には、現在ごみの焼却処理を行っている一部事務組合が十四組合あり、延べ十七の焼却施設が稼働しております。各組合の計画によれば、平成十年度から十四年度までの五年以内に更新を予定している焼却施設は七施設ございます。なお、現在一施設が更新のため建設中となっております。溶融方式の導入につきましては、二組合のほか、南濃地域におきまして、メーカーと共同による処理能力一日当たり三十三トンのガス化溶融炉の実証プラントが来年度計画されております。県といたしましても、溶融方式に限らず、最新の廃棄物処理に関し、岐阜県廃棄物処理技術開発研究協議会において技術研究を進めますとともに、財団法人地球環境村ぎふにおきましても積極的に情報収集を行い、随時関係市町村等へ情報提供を行ってまいりたいと考えております。 最後に、廃棄物総点検のねらいと課題についてお答えいたします。 廃棄物処理の将来方向は自己完結であり、市町村ごと、圏域ごと、県単位、大企業は大企業ごと、中小企業は業界ごとに、それぞれの領域で廃棄物を処理する方策を自主的に検討していただきたいと考えております。この検討を的確に進めるためには最新のデータに基づくことが必要でありますので、それぞれの領域ごとの廃棄物の発生、処理、将来動向などについての総点検を進めております。この総点検は、年内に概数が出るよう作業を進めておりますが、その結果につきましては、県全体の産業廃棄物処理計画策定の基礎データにいたしますとともに、各領域での検討に御活用いただきたいと考えております。 ○副議長(田口淳二君) 教育長 日比治男君。   〔教育長 日比治男君登壇〕 ◎教育長(日比治男君) 豊かな人間性を育てる心の教育につきまして、各般にわたるお尋ねでございましたが、五点に分けてお答えいたします。 まず、教育改革プランについてでございます。 二十一世紀を目前に控え、大きく変化する社会に対応した教育を進めるためには、従来の考え方にとらわれない発想で、教育以外の分野の人々の活力を積極的に導入し、開かれた学校にしていく必要があると思います。そして、その中で、チャレンジ精神旺盛で、創造力、独創性に富み、個性的で心豊かなたくましい人材の育成を図っていきたいと考えております。 現在策定中の教育改革プランは、二十一世紀に求められる人材を念頭に置きながら、本県独自の学校教育の方向性を明らかにしようとするものでございます。策定に当たっては、教育内容、教員の資質・能力、学校制度、私学振興、学校施設設備といったテーマにつきまして、保護者、教員を初めとする県民約三千七百名を対象としましたアンケートを実施するとともに、県内六会場で公聴会などを開催してきました。今後さらに、生徒を含め各界各層の意見を聞きながら具体的な改革案を策定するよう努めてまいります。中でも、心の教育の重要性につきましては多くの県民からも指摘されており、教育改革プランに反映させるべき課題であると考えております。 次に、学校週五日制についてでございます。 学校週五日制は、子供たちがよりよい生き方やあり方を求めるための時間や、家庭や地域社会でさまざまな体験や人との触れ合いによって生じる心のゆとりを目指しているものと考えております。月二回の学校週五日制の実施に当たっては、小・中学校では各教科の教材や学校行事等の精選に努め、授業時間の見直しを図っております。例えば学校行事について、運動会の練習をより効果的に行ったり、教科指導について、基礎・基本を重視しつつ取り上げる教材を精選して重点化したり、学校週五日制導入前に比べて全体的には授業時間が減少いたしております。また、高等学校では、週当たり授業時数を二時間削減することなどで、子供がゆとりを持って学習や生活ができるように努力いたしております。 平成八年に行われました学校外活動実態調査の結果によりますと、子供がとらえた生活の変化として、ゆっくりする時間がふえたとする割合が全体で約六割、趣味や好きなことに使える時間がふえたとする割合が全体で約五割となっております。学校週五日制の完全実施に向けては、その趣旨を学校・家庭・地域社会が十分理解し、子供たちを受けとめる環境整備をすることが大きな課題であると考えております。 次に、心の教育についてでございます。 心の教育の原点は、先生御指摘のとおり家庭にございます。子供たちの基本的な倫理観を養い、しつけを行う場である家庭の教育力を向上させることが大切であります。そのため、特に幼児期からの教育に当たっては、県内各地で行う乳幼児家庭教育学級の実施、乳幼児を持つ親を対象にいたしました、毎週再放送を含めて二回放映いたしておりますテレビ番組「アンヨはじょうず」の制作、子育てに関する悩みや疑問に答える巡回相談や電話相談などを実施し、親の学習機会の充実を図っております。また、学校におきましては、知・徳・体のバランスがとれた教育を展開し、子供たちに豊かな人間性を育てる場であり、これまで地域ぐるみの道徳教育や個性化教育などに取り組み、心豊かな子供たちの育成に努めております。一方、地域社会では、子供たちが大人や年齢の違う仲間と交流し、多様な体験活動を通して触れ合い、心の豊かさやたくましさを身につける場であります。そのため、地域社会の指導者のもとに行う活動の実施や、子供会、スポーツ団体等、社会教育関係団体の育成及び指導者の養成などに努めております。今後も、家庭・学校・地域社会の役割を明確にしながら連帯を図り、心の教育を進めてまいります。 次に、不登校、保健室登校、高校中退についてでございます。 平成八年度の学校基本調査によりますと、三十日以上欠席した不登校の小学生は四百三十六人、中学生は千三百六十七人で、増加の傾向にあります。このため、県教育委員会では、ほほえみ相談員の配置等教育相談体制の確立や、市町村における適応指導の推進に一層努力してまいります。 保健室への登校の状況は、ことしの調査によりますと、一校当たり平均人数で小学校一・四人、中学校二・一人、高等学校一・四人であり、全国とほぼ同じ傾向であります。この対策といたしましては、保健室相談のための研修を実施し、養護教諭のカウンセリング能力の向上に努めているところでございます。 また、公立高等学校における中途退学者の割合は、平成七年度、全国が一・六%であるのに対し本県は一・二%で、全国より〇・四ポイント低い状態でございます。中途退学問題につきましては、中学校や高等学校において、人間としてのあり方、生き方に関する指導を含めた進路指導を進めるとともに、高等学校においては、生徒の興味・関心や多様な進路希望に対応するため、特色ある学校づくりに努めているところでございます。今後とも、生徒一人ひとりを大切にしたきめ細かな取り組みに一層努めてまいりたいと考えております。 最後に、養護教諭、学校でのカウンセラーについてでございます。 養護教諭につきましては、小・中学校、高等学校ともほぼ全校に配置し、一部の大規模校には複数の配置をいたしております。また、養護教諭の研修につきましては、先ほど申し上げました、保健室相談のための研修を実施するとともに、新規採用者につきましては学校外で十二日、学校内で十五日の研修を実施するなど、その資質の向上に努めております。 学校でのカウンセラーにつきましては、臨床心理士などの専門家を十八校に配置するとともに、学校における教育相談体制の充実のため、市町村と協力いたしまして、ほほえみ相談員三十八名を中学校に配置しているところであります。 今後とも養護教諭の資質の向上を図るとともに、学校におけるカウンセリングや教育相談の充実に努めてまいりたいと考えております。          …………………………………………………… ○副議長(田口淳二君) しばらく休憩いたします。 △午後二時四十六分休憩           …………………………………………………… △午後三時十八分再開 ○議長(中本貞実君) 休憩前に引き続き会議を開きます。          …………………………………………………… ○議長(中本貞実君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二番 岩花正樹君。   〔二番 岩花正樹君登壇〕(拍手) ◆二番(岩花正樹君) 発言のお許しをいただきましたので、以下四項目質問をいたします。 最初に、地方分権推進委員会の第二次勧告からの市町村合併推進について、県の考え方をお尋ねいたします。 地方分権推進委員会は、近々に出される報告で決着をつけ、通常国会終了時をめどに地方分権推進計画策定を決定する方針で、その後、関係法改正等実施に取り組むとのことであり、本格的な分権が開始される状況となってまいりました。今回の第二次勧告の骨子は、国庫補助や負担金の整理・合理化、地方税財源の充実、市町村合併の推進であり、それぞれに地方分権にとっては重要な要件であり、当然、自治体にとっては大変厳しいものであります。特に地方自治体の受け皿論が浮上している中、地方自治が今までとは違い、大きく変化をしなければならないときであり、そのための自立自助、自己決定への改革は、地域にとって大きな可能性を開くが、同時に自己責任と自己負担を伴い、それを全うできる地方自治体の運営が確立されなければならないと思うのであります。 これまでの自治体の意思決定は、ややもすれば、国などのモデルに従ったり、先行自治体をお手本にして行政組織内部で処理する場合などが多かったのであります。しかし、自己決定が厳しく問われる地方分権時代においては、決定に必要な情報や技術の多面性、多様性、決定それ自体の地域的個性と、それに応じた複雑性が想定されており、これまでの方式で対応することには無理が出てくると思われるのであります。これらを解決していくためには、よりよい政策形成を実現しなければならないと思うのであります。住民、議会、行政が役割分担を明確にし、相互に協力し、補いながら、地域のパートナーシップを発揮し、自己責任のもと、政策形成を実行していかなければならないのであります。要は、住民本位の分権を考察し、実行することであり、住民の自治に関する大いなる参加が必要になり、多様な能力を備えた住民の力が十分発揮できる方法を見つけ出していかなければならないと思うのであります。 そこで、ある新聞社が、全国の首長七十六人に地方分権の最大関心事項のアンケートをとった結果、税財源の充実確保を挙げた首長は全体の八三%、六十七人であり、地方への財源の移転が不可欠であると指摘をしております。地方分権推進委員会の第二次勧告の中でも地方税財源の充実を挙げており、その具体策として、地方税の法定外普通税の許可制廃止、法定外目的税の創設、個人市町村民税率の上限撤廃、地方交付税の算定方式の簡素化、地方債発行の許可制廃止などが勧告をされ、課税自主権を尊重しながら税の充実確保を図っていくべきであり、基本的に、地方における歳出規模と地方税収入の差をできるだけ縮小するという観点に立っての見解であり、このことからも、地方公共団体はますます自己決定権と自己責任が明確化され、地方分権が推進される中で、現状のままであれば、これらに対処できない自治体も出てくる可能性があると思うのであります。今後ますます増大する市町村に対する行政需要に的確に対応するための基礎的自治体である市町村の行政能力の向上、効率的な行政体制の整備・確立が重要であり、住民の日常生活や経済活動がますます広域化する中で、より多くの住民ニーズに対応した高度の行政サービスの提供が求められることから、市町村合併推進が重要な地方分権のかなめになってくると思われます。地方分権推進委員会の第二次勧告の中でも、この合併問題に関して、その地域の実態を反映した市町村合併のパターンの提示及び先進事例の紹介、また、これらに対しての必要な助言・調整等に、国は必要な指針を策定しなければならないとしております。 埼玉県の浦和市、大宮市、与野市の三市が、二〇〇〇年合併に向けて動き出しているとのことであります。そこで本県は、この地方分権推進委員会第二次勧告を受けて、市町村合併をどのように取り組まれておるのかをお尋ねいたします。なお、この件につきましては本議会で同一の質問があり、知事の見解はお伺いをしましたので、直接の部署である総務部長にお尋ねをいたします。 次に、古紙在庫過剰打開策についての県の施策についてお尋ねをいたします。 近年、古紙の過剰在庫と市況価格の下落から、県内の回収業者が回収放棄をする事態が発生しております。リサイクル優等生と言われた古紙をめぐる構造的な問題が浮き彫りになっているのであります。現在、再生古紙の流通が世界的にグローバル化し、国際価格になりつつあり、海外より包装廃棄物が輸入される価格は、販路が簡略化されていることもあり、日本の古紙と変わらないといいます。現在、日本の古紙利用率は世界でもトップクラスといいます。例えば、昨年の紙、板紙生産量は約三千万トンに上り、その製紙原料のうち約五四%に上る千六百万トンが古紙で賄われ、紙と板紙等を分けると、紙は原料の二七%、板紙は実に八八%が古紙に依存しているのであります。日本の古紙消費率--紙、板紙の生産量に占める古紙消費量の割合は五三・六%、そして回収率--紙、板紙の消費量に占める古紙回収量の割合でも五一・六%であり、アメリカは消費率三七・五%、回収率四五・〇%、カナダは消費率二一・九%、回収率四〇%など高い水準にあるのであります。しかし、我が国はリサイクルに極めて積極的であるにもかかわらず、それらのシステムがしっかりと確立されていないため、混乱が生じている実態がうかがえるのであります。 本年上半期の古紙の消費量は昨年の三・八%増を記録、九〇年代に入って最高の伸びを示したにもかかわらず、古紙価格は史上最安値を記録しているのであります。回収量の伸びが大幅に消費量の伸びを上回ったために最安値を記録しているのであり、その原因については、事業系ごみの全面有料化に伴う回収の活発化であり、自治体の資源回収--行政回収--の普及が挙げられるのであります。もちろん資源の有効利用の観点から、古紙回収量がふえること自体に異論はないのであります。しかし、自治体主導によるごみの減量化作戦イコール資源物の増加という考え方に対して、行政のやり方は、古紙を資源として出すだけ出すから、あとは勝手にやってくれという感じに受け取れるところがあると思うのであります。古紙は、生産調整によって受給バランスをとることができない商品であることもあって、これまでも余剰と均衡を繰り返してきましたが、単一の産業を相手にしていることもあって、業界そのものは比較的安定をしていたのであります。それが、行政のごみ減量化施策によって一変しつつあり、行政の集団回収に乗って一挙に集まり出したのであります。今後、メーカーにとって安定供給が確保された現在、激しい国際競争に勝ち抜くためにも、買い入れ価格を上げることはないと思うのであります。行政主導でやれば、確かにシステム的には効率的ではあるが、古紙の回収部分だけ行政が関与することによって、過剰在庫、市況価格下落、そしてリサイクルに混乱を招いているのは事実であると思うのであります。 現在、問屋業者が回収業者から仕入れた古紙を仕分けし、圧縮、こん包などしてメーカーに売るまでにかかる費用は一キログラムにつき約七円、回収業者のコストは約十円かかると言われております。到底採算が合わない現状であり、本県の業者も大変頭を痛めており、九月より岐阜市、大垣市、多治見市等その他の市町村でもこれらに対応していくとのこと。要は、廃棄物はすべてもとに戻すとの考え方から、紙は紙、鉄は鉄、油化成型物は油にすれば残るものはほとんどなくなり、廃棄物問題はあり得ないのであります。しかし、再生には費用がかかります。県も環境行政の中での循環型リサイクルを打ち出されながら自己完結をうたっているのであるならば、これらの古紙再生問題から起こる在庫過剰打開策を打ち出すべきであり、再生費用の行政補助負担を考えるべきであると思うのでありますが、衛生環境部長の御所見をお尋ねいたします。 次に、少子化に伴う今後の公立高等学校の定員及び学級定員並びに統廃合についてお尋ねをいたします。 二〇〇〇年には、女性一人が一生のうちに産む子供の平均人数は一・四人未満まで低下することが厚生省の合計特殊出生率調査で判明し、少子化、高齢化が一層強まることを懸念しております。今後、この状態で少子化が推移すると見たとき、公立高等学校のあり方が大きな問題になってまいります。平成九年度岐阜県の公立高等学校一年生の在籍生徒数は、合計で一万九千五百二十九名であり、定員数は一万九千八百四十名から見ますと三百十一名の減であり、今後ますます定員割れが出てくると思われます。平成八年度の岐阜県統計書からの年齢別人口を見ますと、あくまでも数字の上ではありますが、本年高等学校に就学した人口は二万六千九百二十六名、同一歳児の人口は二万四百八名であり、その差六千五百十八名であり、約二五%減となり、これらの子供が十五年先にこのままの状態で高等学校に入学するとしたら、高等学校そのものにだぶつきが出てくると思われるのであります。当然、それまでには種々の対策を実行されると思いますが、長期的展望に立った施策が必要ではないかと思われるのであります。さきにも述べましたように、平成九年度の時点でも三百十一名の定員割れがあり、このまま行きますと、機能を果たさない公立高校が出てくると思われます。 先ほど東京都は、都立高等学校の統廃合並びに高等学校全日制の職業学科の学級定員を四十名から三十五名への見直しを発表いたしました。県も、普通科、理数科及び英語科については、昭和四十九年度から岐阜県公立高等学校の通学区域に関する規則によって県内教育事務所単位の六学区に分け、学区内の高等学校のみを志願することとしており、これらのことも今後大きな課題になってくると思われます。このような状況の中で、中教審が各般にわたる教育改革を推進し、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方についての諮問を行っているところであります。今後の教育は、学校・家庭・地域社会全体を通して、生きる力をはぐくむことを重視すること。生きる力をはぐくむためには、子供たちを初め社会全体にゆとりを持たせることが必要であり、また、教育課程審議会でも、将来における教育課程の改定のための教科再編・統合を含めた将来の教科等の構成のあり方に検討着手することが重要であるとしております。これらのことから、県は、高等学校進学率が一〇〇%に近い状況を踏まえ、総合学科制への移行と、中・高一貫教育を視野に入れた新しい学校づくりを含め、高等学校定員のあり方を考察していかなければならないと思うのであります。これらの点につき、教育長の御所見をお尋ねいたします。 最後に、身体障害者及び在宅介護の中での、要介護者の移送サービス及び身体障害者用バス改造費助成についてお尋ねいたします。 岐阜県障害者基本計画では、ノーマライゼーションの理念のもと、障害者の完全参加と平等の実現に向け、障害のある人たちが地域社会で自立して生活していけるよう支援する体制づくりを進められ、気くばり県政、先取り県政を両輪に、「日本一住みよいふるさと岐阜県」の実現を目指して取り組まれております。この基本計画の重点課題の中で、すべての人々に住みよい社会づくりの推進が上げられており、障害者の社会参加促進を図るために、障害者が安心して外出することができるよう、交通移動手段の確保が必要であると、このように書かれております。この計画を実行するために、車いす使用者等で一般の交通手段を利用することが困難な在宅の重度身体障害者が利用可能なリフトつき自動車を市町村に設置し、各種移送に利用していただき、身体障害者の生活圏を拡大し、もって社会参加の促進を図ることを目的に、県はこの制度を利用する市町村に二分の一補助を出しておられます。平成八年度は八市町村に補助を実施され、これ以後、六カ年計画で設置予定だといいます。市町村は、少しでも完全参加と平等の実現を支援する体制の確立に努力されておりますが、この支援もほんの少しの障害者への移動手段であり、必要なときにすぐ利用ができるものではありません。今後、障害者とともに高齢者が増加する中で、移送手段に本人や家族が悩む状況が出てくると思われます。 それらを解消するために、他県においては、障害者、高齢者に安心して暮らせる福祉まちづくりの一環として、公営・民間の事業者がリフト付バス及び低床スロープ付バスを路線バスとして導入されているところが多くなったと聞きます。本県においては、岐阜市の公営バスがこれらを採用され、導入を図られておりますが、その他民間のバス事業者ではどこも導入をされていないと聞いております。国と地方公共団体が、人と環境に優しいバス普及促進事業として、民間路線バス事業者に、これらの車両導入のときには補助率五分の一ずつを補助金交付するという制度があるにもかかわらず、本県内の民間バス事業者には導入されていないのが現状であります。確かに、現在はバス離れという現象が起こっており、民間事業者も経営努力をしながらの厳しい状況でありますが、岐阜県障害者基本計画推進に当たっては、県民、関係団体、企業などの理解・協力を得ながら多面的に取り組むと言われており、福祉のまちづくり推進の重要な一つの手段であり、県からの民間事業者に対する指導性があってよいと思うのであります。そして、この計画の中で、障害者の生活環境分野ではまだまだ考察していかなければならない事項があり、少しずつ解消しながらも、ノーマライゼーションの理念に近づけていかなければならないと思うのであります。民間事業者にもぜひ導入していただくよう働きかけていただきたいのであります。 また、これらのサービスに関連してでありますが、ある民間のバス事業者が、今から十年ほど前に、将来の福祉サービスを見込んでの身体障害者用リフト付観光バスを運行し始めたのであります。約一千万円の改造費をかけ、車いす四脚を固定することができ、乗車定員三十八名の大型観光バスで、装備は通常の観光バスと同様であり、使用料も通常の観光バスより三割引きであり、全国にも類を見ない観光バスでありました。しかし、稼働率も二〇%と低く、営業収入に貢献する車両ではなかったのですが、十年以上の間、障害者の方々に有効に利用していただき喜ばれており、少しでも障害者に負担をかけないで楽しく旅をしていただき、視野を広げる役目を担っていたのであります。特に養護学校、養護施設、老人ホームの旅行に利用され、県外からの障害者の方々の利用も多くあったと聞きます。しかし、バス事業者は、車両が古くなったこと、稼働率が悪いことで、この厳しい経営状況の中での存続はできないと判断をされ、明年、廃車をされるとのことであります。 県にも「ながら号」という身体障害者用リフトバスがあり、利用されているとのことでありますが、利用者からも、ぜひ民間の事業者のリフト付観光バスの存続を希望する声が多くあり、車両改造に対しての助成ができないかと思うのであります。当然民間事業者の協力も必要になり、少しでも完全参加と平等の実現に向け取り組んでもらいたいのであります。 また、移送サービスの一環として、県内の各市町村でタクシーチケットなどを配布しており、平成七年度は県内二十三市町村で実施をされており、今後もそれ以外の市町村で考慮しているとのことであり、行政の積極的な行動が評価をされると思うのであります。しかしながら、利用者にとっては不便さを感じる点も多いのであります。それは、タクシーにはリフト付が少なく、車いすに乗ったまま乗車できる車両はほとんどなく、利用するときにはどうしても介助者が必要になり、障害者の社会参加を妨げるのが現状であります。そこで、障害者及び在宅要介護者が必要なときに自由に利用ができるよう、民間のタクシー事業者にリフト付自動車を設置していただくための助成を県が検討していただけないかと思うのであります。二十一世紀型福祉は、行政、民間の連携が重要なポイントになってまいります。この経済状況の厳しい中、民間会社に単独でリフト付自動車を設置させる指導は困難であります。 市町村のリフト付自動車利用は、もしもの事故の場合の保障、また乗務員の教育等厳しいものがあり、民間業者の営業車に任せるのが安心、安全ではないかと思うのであります。今後ますますふえると思われる在宅要介護者、まただれにでもなり得る可能性のある障害者のために、ぜひとも検討をしていただきたく思うのであります。 以上、障害者、在宅要介護者の移送サービスについて民生部長の御所見をお尋ねいたしまして、私の四項目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○議長(中本貞実君) 総務部長 高橋新蔵君。   〔総務部長 高橋新蔵君登壇〕 ◎総務部長(高橋新蔵君) 地方分権と市町村合併についてお答えいたします。 今後、地方分権の動きが本格化してまいりますと、住民の生活にかかわります事務は市町村の事務として処理されることが当然多くなってまいります。その分自己責任も増すわけで、行政体制の整備を含めた行政能力の充実が求められます。また、高齢化・少子化の進行への対応が迫られる中で、住民の日常生活圏の拡大や住民ニーズの多様化・高度化により多様な行政サービスの提供が求められますことから、それぞれの地域において、市町村合併を含めた広域行政の取り組みが検討されるべき時期に来ていると思います。本県におきましても、例えば山県郡二町一村による山県地方自治研究会など、自主的に各地域で広域行政の研究会が発足しており、地域の将来を考えようという機運が盛り上がってきております。県といたしましても、こうした動きを積極的に支援してまいりたいと存じます。 しかしながら、市町村合併は、地域の住民や民間団体あるいは市町村が主体的に取り組み判断すべきものであると考えております。そのために、住民や民間団体など地域全体の機運を盛り上げるため、パンフレットの作成・配布や説明会の開催などを行ってまいりましたが、今後とも、より一層市町村への情報提供や助言あるいは民間団体からの求めに応じた研修会への出席などに努めてまいりたいと存じます。 ○議長(中本貞実君) 民生部長 山田正孝君。   〔民生部長 山田正孝君登壇〕 ◎民生部長(山田正孝君) 障害者及び在宅要介護者の移送サービスについてお答えをいたします。 リフト付路線バスは、現在、県下では岐阜市交通部に四台配備されまして、長良線など三路線で運行されております。障害のある方の社会参加や福祉のまちづくりを進めていくためには、リフト付バスや低床スロープ付バスの導入を県下に拡大していくことも必要と思いますので、既存の支援制度の活用等も含め、民間路線バス業者の方からの御意見も伺いながら研究してまいりたいと考えております。 なお、リフト付観光バスに対する助成の御提案もございましたけれども、県では、昨年八月に更新いたしましたリフト付バス「ながら号」を障害のある方や高齢の方々などの団体旅行や各種の行事などに御利用いただいております。現在、稼働率は四割程度でございますので、ぜひ御活用をいただきたいと思っております。 また、タクシーは身近でいつでも利用できる有効な交通手段となっておりますが、御指摘のありましたように、車いすを利用されている方など一般のタクシーが利用困難な方々もおられます。したがいまして、リフト付タクシーの問題も、民間路線バスの問題とあわせて研究してまいりたいと思います。 ○議長(中本貞実君) 衛生環境部長 本間 泉君。   〔衛生環境部長 本間 泉君登壇〕 ◎衛生環境部長(本間泉君) 古紙在庫過剰打開策についてお答えをいたします。 古紙につきましては、リサイクル意識の高揚により活発化する回収量に比して消費量が少なく、市況価格の下落や過剰在庫を来たし、古紙リサイクルの推進に深刻な事態が発生しているところでございます。県といたしましては、過剰在庫を解消し、古紙リサイクルの円滑化を図るためには、古紙再生品が積極的に利用されることが重要であることから、紙の用途ごとに古紙の配合率や白色度等を定めました古紙再生品利用ガイドラインを策定し、それに沿った利用拡大を図るよう、県機関、市町村、事業者等に対し周知するとともに、スーパーマーケット、百貨店には販売促進につきまして文書をもって依頼したところでございます。 なお、県下九市町村におきまして、リサイクルの輪を断ち切ることにもなりかねないとの懸念や、一般廃棄物としての処理量の増大を避ける等の観点から、資源回収業者に対する支援が講じられております。 今後とも古紙リサイクルが円滑に進むよう、市町村と連携を図りながら啓発事業を実施するとともに、国に対しましても、製紙メーカーへの一定の古紙利用の義務づけや、古紙リサイクル技術の研究開発などの必要な措置が講じられるよう要望していきたいと考えております。 ○議長(中本貞実君) 教育長 日比治男君。   〔教育長 日比治男君登壇〕 ◎教育長(日比治男君) 少子化に伴う公立高等学校の定員と統廃合についてお答えいたします。 本県におきましても、近年の少子化に伴い中学校卒業者数は減少しており、高等学校の入学定員につきましては、生徒数の状況や生徒の希望等を勘案して慎重に策定してきております。この間、四十人学級の実現、大規模校の解消等に努めてきたところであり、さらには総合学科、単位制高等学校などの新しいタイプの学校の設置にも着手してまいりました。 今後におきましても、生徒の減少を単に定員の削減や学校の統廃合につなげるだけではなく、これを契機として豊かな心をはぐくみ、一人ひとりの能力・適性に応じた教育の充実を図るべく、特色と活力ある学校づくりに努めてまいります。 ○議長(中本貞実君) 二十九番 平野恭弘君。   〔二十九番 平野恭弘君登壇〕(拍手) ◆二十九番(平野恭弘君) きょうで一般質問も今議会最後となりました。トリを務めさせていただきますが、ゴルフのトリはしょっちゅうなんですけれども、議会質問でのトリは初めてでございます。フェアウエーを歩けるかどうかわかりませんが、ラフばっかり行って、時たまOBも出すかもしれません。時間もかかると思いますが、与えられた時間でホールアウトさせていただきますので、大変お疲れでしょうけれども、御清聴のほどよろしくお願いするとともに、土木部長さんにはしっかりと御答弁をお願いいたします。 さて、それでは、通告に従い質問をさせていただきます。 ことしは、例年に比べ早い時期よりの台風の本土上陸が多くありました。その中で、中型で強い台風九号は、七月二十六日夕方、四国東部から紀伊半島にかけて上陸、中国地方周辺を縦断して、二十七日午前に日本海に抜けましたが、上空にある高気圧による北上をはばまれ海上で停滞したため、その影響で、岐阜市においても雨による被害が発生しました。 この資料ですが、(配布資料を示す)この資料は集中豪雨の被害状況について、岐阜市の議会事務局が市会各議員にあてた速報でございます。私も、この被害状況を巡視いたしましたが、要点を説明しますと、長良校区では小河川である正木川があふれ、南陽町二、三丁目で側溝へ逆流の状態で、約二十世帯が床下浸水の被害を受けております。中鶉でも同様の状態でございました。そのほか、白山、梅林地区でも、近くの小河川への水はけができず、水たまりの状態になって、浸水となっております。最も浸水が多く激しかったのは三里六条地区で、長良川支流の荒田川からあふれた水で一面水浸しの状態で、約五十世帯が床下浸水となり、深いところでは腰あたりまで水が増し、道路と田んぼの区別がつかないほどで、四世帯が公民館に避難されました。この地形を見ますと、荒田川の川面が部分的に道路とほぼ同じ高さで、堤防がないといった状態で、集中豪雨により川の水があふれ浸水したものです。この部分の改修工事あるいは築堤を早急に行うべきものと思います。 また、今回、長良校区、中鶉、白山、梅林校区の浸水の原因はといえば、小河川の水の側溝への逆流や水はけの悪さが主な原因となっております。小河川の水はけをよくすることがこういった被害を最小にする最大の手段と思いますが、これらの点について土木部長にお伺いいたします。 このような水害を目の当たりに見ますと、昭和五十一年九月十二日、岐阜市北部全体を流域に持つ伊自良川の堤防の崩壊により、流域住民が受けた大災害が悪夢として昨日のように思い出されます。その被害者の一人として当時の状況を思い浮かべますと、私ども近辺は、平家では屋根のみを残した状態で約二メートル以上水につかり、家具を初め衣類、寝具等全滅の状態で、特に病院である私のところでは、患者さんを抱え、水が使えなく、医療品も水につかり使用できなく、火が使えず、消毒もままならず、さらに食糧の問題、また二次災害として伝染病の発生等に心を悩ませたことや、そして救急車も出動できず、いかだで救急患者さんの家まで往診したことなど、鮮明に思い出されます。私ども伊自良川流域の住民にとって伊自良川の改修工事は最大の願いであり、一日千秋の思いでその完成を待ち望んでおります。 さて、岐阜市を流れる長良川の支川の本格的改修は、河口堰の完成並びに運用及び川底のしゅんせつに並行して行うとのことであります。河川改修は、下流部における治水の安全性が大前提であることは承知しております。 長良川河口堰は、平成七年三月に完成し、マウンドのしゅんせつ工事も完了し、本年八月七日、その式典が盛大に催されました。長良川下流域の諸工事は、おおむね完了したと言えます。それに対し、岐阜市域の堤防は、力関係からいっても相対的に弱体化は免れません。河口堰の完成、川底のしゅんせつに並行して、長良川支派川の改修工事を初め、旧堤の撤去等の作業が行われるかとの私の質問に対して、知事さんからは温かい答弁を得ております。また、そのように地元では説明してまいりました。もうそんなわけにはまいりません。 岐阜市を流れる長良川の支流を見ますと、岐阜市南部は大江川、境川、論田川、荒田川がありますが、前にも述べましたように、荒田川では、雨のたびごとに住民は被害をこうむっているごとく、いずれも改修工事は完成とは言えません。岐阜市北部での伊自良川は、その支流として根尾川、石田川、鳥羽川、天神川、早田川、則武川、正木川、板屋川、新堀川を持ち、それぞれ合流して、最終的には合渡地区で長良川に合流しております。この広い流域を持つ伊自良川は、支流を含めてみても、おのおの条件的に異なっておりますが、改修工事は完成しておりません。特に伊自良川にある旧堤の撤去は長年の課題でございます。 そこで、伊自良川を中心に質問をさせていただきます。 資料をごらんください。(配布資料を示す)この資料でございます。 まず根尾川ですが、多くの地元住民が、過去の水害の経験から治水上の問題で不安を抱いておられるのが実情であります。こうした不安を解消することが大切です。また、遊水地内の湛水量の拡大と、遊水地から一級河川根尾川本川へ湛水した水をよりスムーズに流下させる必要があります。したがいまして、現在、暫定河床断面で整備されている根尾川につきまして、河川本改修を早期に進めるのが急務ですが、その対策について土木部長にお伺いいたします。 次に、伊自良川は、長良川との合流より繰船橋までは建設省の直轄です。この部分での問題点の第一は旧堤の撤去でございます。現在、申しわけ程度に一、二メートル堤防の上を削り取った状態です。次に、名鉄揖斐線の鉄橋の取りつけの部分が、ちょうどひもで首を締めたような状態になっており、洪水の折の問題の箇所でございます。早急な対策が必要でございます。この点に関して土木部長の見解をお尋ねいたします。 さて、繰船橋より上流は県の管轄部分であります。ここは、さきにも述べましたように、昭和五十一年九月十二日の堤防決壊により大災害をこうむり、そのため激特事業及び小規模河川改修事業が促進されてきたところでありますが、その後も幾多の洪水で、水位の上昇による堤防の漏水、破損を初め田畑の冠水、家屋浸水が発生し、流域住民は不安な思いをしてきたところであります。そのため、伊自良川改修期成同盟が結成され、西垣市会議員を会長に関係各所に陳情してまいりました。そのおかげで、繰船橋上流の旧堤撤去を県当局には最近手がけていただき、感謝しております。しかし、聞くところによりますと、二、三メートル除去で今年度は終わりとのことですが、完全撤去を切に望むところでございます。 資料のように、まず一番目、竜巣橋を永久橋にかけかえ、そして石谷地区の樋門付近の改修、胴木樋門の改修、繰船橋については今言いましたが、新堀川の改修工事などが最も早期に望まれるところでございます。 そして、ここは国立岐阜大学医学部等の教育施設誘致が実施の段階になり、さらには流域住民が切望する東海環状自動車道インターチェンジの計画も決定され、当河川流域は今後ますますの発展が望まれている中で、治水安全度の向上は流域住民の悲願であるとともに、何度も述べますが、昭和五十一年九月十二日の大災害の現場でもあります。そして、一メーター八十センチ以上水没したところでもあります。 岐阜大学のすぐ裏の胴木の樋門は、最も危険な場所であることは衆目の一致するところであり、新堀川を挟んで医学部が総合移転してまいります。岐阜大学医学部附属病院移転後並びに東海環状自動車道インターチェンジが完成された後にこのような水害に見舞われたとすれば、附属病院の諸設備はもちろんのこと、患者さんの受けるダメージを初め、その被害ははかり知れないものがあります。一日も早い対応が望まれます。前に述べました五カ所の改修工事について、土木部長の見解をお伺いいたします。 岐阜市柳戸の岐阜大学本部団地の西隣の地区に岐阜大学医学部、同附属病院が移転予定されていることは前述いたしましたが、これについて、地域医療への貢献並びに医療技術の発展のため、本県においても協力支援されているところでございます。 一方、本県の医療水準は、数年前までは全国で、最下位とも言えませんが下の方と言える状態でございました。しかしながら、知事さんの肝いりで最近は上位に浮上し、医学会などに出席いたしましても胸を張れるようになりました。しかし、医療を取り巻く現況は、ことしの脳死を人の死と認めるという法案が可決されて以来、日本でも臓器移植が現実味を帯びてまいりました。臓器移植が可能か不可能かによって医療水準が問われると言っても過言ではございません。この問題については次回に質問させていただきますが、医学部、病院等が移転後も円滑に機能するため、必要な都市基盤整備につき協力していかなければなりません。特に道路網の整備は欠かせないものがあります。そこで、二〇〇五年に開催される愛知万博の最大のアクセス道路である東海環状自動車道についてお伺いいたします。 愛知万博の開催地瀬戸市でも、この東海環状自動車道を全国各地からの最大のアクセスと位置づけています。この問題について、六月議会、我が自由民主党の代表質問をされた渡辺議員に答え、知事さんは、愛知県で二〇〇五年国際博覧会が開催されることは、まさに中部圏にとって新時代の幕あけともいうべき快挙であり、開催地の瀬戸市は岐阜県の県境からわずか十キロしか離れておらず、開催時点では東海環状自動車道が完成をいたしておりますと明言をされた上、この自動車道を使えば、わずか数分の時間距離で県内土岐市、多治見市に到達し、東濃はもちろん、中濃、西濃、この東海環状自動車道を通じ、さらには東海北陸自動車道を通じ、飛騨にも大きな波及効果があります。県下一円にはかり知れない波及効果をもたらすと答弁されております。さらに、今回の定例議会での知事提案にも、便利に活動できる岐阜県づくりの中で、二〇〇五年の愛知万博に対応して、観光客の県内誘導を図るため、新高速三道を初めアクセス道路の確立や、発生交通量の予測等を考え、万博関連道路の整備を約束されております。 このようなことから、西回りルートはもちろんのこと、養老以南も含め、二〇〇五年までに東海環状自動車道は完成するものと信じております。しかるに、中部国際空港を二〇〇五年までに何が何でも完成するために、東海環状自動車道は、二〇〇五年には東回りは完成するが西回りはおくれると聞いております。今後の事業の見通しはどうなるのでしょうか。知事さんにお伺いいたします。 一方、東海環状自動車道通過市町村少年サッカー交流大会が計画されるなど、東海環状自動車道の一日も早い完成を心から沿線住民は願っております。しかし、気になることは、平成八年二月十日に起きた北海道の豊浜トンネル事故と、本年八月二十五日に起きました第二白糸トンネルの事故であります。報道でトンネル事故と言われますと、だれしもトンネル内での事故と思われますが、実際はトンネル入り口の巻き出し部分、いわゆる坑口が壊れたにすぎません。家でいえば、雨よけのためのひさしと言っても過言ではございません。つまり、山間部の道路で起きるがけ崩れ、落石がたまたまトンネルの巻き出し部分に当たったにすぎません。残念なことには、この二つの事故を御望山にトンネルを掘ることへの反対運動に結びつけられているということでございます。御望山のトンネルが斜面に及ぼす影響については、トンネル影響評価専門委員会から、トンネルを掘削しても斜面の安全性に影響を及ぼすことはないと報告されています。しかし、住民の理解を得るよう十分な説明が必要であります。この点に関して土木部長のお考えをお伺いいたします。 資料をごらんください。(配布資料を示す)この資料でございます。 移転予定周辺の道路について見ますと、北側には、前述のごとく東海環状自動車道--これは岐阜大学なんですが、その岐阜インターチェンジが予定されております。ここから岐阜環状線へつなぐ岐阜インター線、それと接続しながら移転予定地の西側を通る折立大学北線、その南部と接続し、岐阜市から糸貫町へと抜ける長良糸貫線が都市計画決定されているところでございます。 まず、折立大学北線は総延長千九百十メートルで、大学進入路となる道路であり、医学部附属病院へのアクセスとして最も重要なところであります。 次に、現在、岐阜大学本部を含む岐阜市の北西部から岐阜市中心部へ結ぶ道路としては主要地方道大野線がありますが、今でも相当な渋滞を起こしております。朝夕のラッシュ時は身動きがとれないほどです。岐阜大学医学部、病院等が移転整備されますと一層の混雑が発生することが予想されるところであり、さらに東海環状自動車道岐阜インターチェンジが完成しますと、慢性便秘といった状態になることは目に見えます。将来に向けての早急な対策が必要であります。 一方、伊自良川には多くの橋がかけられていますが、いずれも交通量は多いものばかりです。その中で四車線の橋といえば、繰船橋と有料道路である島大橋のみでございます。有料道路である島大橋につきましては、昨年十二月議会の質問で自転車通学生を無料にとお願いいたしましたが、この九月より自転車の無料を実現していただきました。この点に関しましては地域住民は大変感謝しております。県の御配慮に心から御礼を申し上げます。虫のいい話なんですが、さらに重ねて車両の無料化をお願いする次第でございます。 一方、いずれの地域でも川が交通の妨げになり、その解決のために橋がかけられております。今、北西部の人々は、朝夕ラッシュ時の混雑に非常に困っております。その解決のためにも、四車線の橋の早急な建設が望まれております。その解決のため、移転整備される大学の進入路である折立大学北線の南端につなぎ、東は岐阜市中心市街地、西は糸貫町へと結ぶ計画道路が長良糸貫線でございます。この長良糸貫線のマーサ21より西の区間の早急な整備とともに、伊自良川への橋梁--ここにも書いておきましたが--(仮称)黒野大橋の設置が早急に必要であります。また、関連する道路として、折立大学北線から岐阜環状線へとつなぐ岐阜インター線があり、この岐阜インター線は、岐阜市中心市街地からの通行の幹線道路というべきものであります。 以上、述べました長良糸貫線、(仮称)黒野大橋及び岐阜インター線は、国家的行事である岐阜国立大学統合による道路整備であり、特に医学部附属病院には多数の県民、市民が毎日来院され、交通の増大は目に見えています。さらに、二〇〇五年開催の愛知万博でのアクセス道路として大変な混雑が予想されます。これらの点に関して、特に長良糸貫線、(仮称)黒野大橋の今後の予定について、土木部長にお伺いいたします。 次いで、二巡目の岐阜国体について質問をいたします。 県民一人一スポーツという知事さんの提案による生涯スポーツ推進の運動により、県民一人ひとりが、体力、年齢、目的に応じ、気軽にスポーツレクリエーションに親しむようになった結果、スポーツ人口の底辺が拡大され、毎年行われる国体の好成績となってあらわれております。また、大きなスポーツイベントして、平成十年--来年ですが、第十一回スポーツレクリエーション祭、平成十二年にはインターハイが本県において開催され、その成功を心から祈るものでございます。 さて、次は国体です。二巡目の岐阜国体は、現行の開催要綱と一巡目の開催順序からしますと、平成二十四年が予想されます。石川国体、山形国体、徳島国体、愛知国体、福島国体、広島国体と見させていただきましたが、その規模・設備等、年々大型化しております。岐阜県の施設を見ますと、メモリアルセンター内の競技場はコンパクトで使いよさはあるものの、駐車場不足等いろいろな問題を抱えております。特に陸上競技場は、平成七年度に第一種の公認競技場に認定されており、平成十二年のインターハイでは第一種として通用します。しかし、この公認は五年ごとに見直され、平成十二年以降は第二種となる可能性もあります。と申しますのは、第一種の基準として走路は九レーンが必要でありますが、八レーンしかありません。また、補助競技場も四百メートルトラックが必要でありますが、三百メートルしかなく、現在のメモリアルセンターでは、拡張の余地はほとんどないと言っても過言ではございません。 平成二十四年に開催されるとなれば、第一種公認競技場の新設が必要でございます。国体開会式が行われる陸上競技場は、やはり県都である岐阜市につくることが望まれます。この点に関して、岐阜市議会の林 政安議員と常々話し合っており、市議会で提案したらということになり提案されましたが、この問題は県で対応することであるということで、私に依頼がありました。 知事さんの言われる、夢を抱くならば、県民がスポーツレクリエーションに親しみ、憩いの場となる総合運動場を兼ねた県民の森をつくったらどうかという夢が浮かびます。この夢の実現には広大な面積を要します。その候補地として、交通の便を考えますと、東海環状自動車道岐阜インターより近い岐阜市北西部網代地区、方県地区、そして山県郡伊自良村の一部を含んだ山林を中心とした地域で、ここはゴルフ場の計画もあったところです。そして、西濃、東濃、飛騨よりの交通アクセスから見ても最善の場所でございます。 かつて私は、夢提案第四弾として、県都岐阜の北の玄関口構想を提案いたしました。その柱として、第一に、岐阜市の玄関口にふさわしいネオンや看板のない、歴史のある落ちつきのあるまちづくり。第二は、インターチェンジを出たところへ住民も利用できる道の駅あるいはアグリパークを利用した農産物の市場をつくる。第三は、岐阜市北西部に公害のない先端工業の研究所や工場の誘致といった内容の夢提案をいたしました。今回は、夢提案第七弾として、ちょっと書いておきましたが、続県都岐阜の北の玄関口構想「運動公園のある県民の森づくり」を提案いたします。(配布資料を示す)平成二十四年まではまだ十五年もあります。しかし、先の長い話と悠長に考えていますと、時はあっという間に流れてしまいます。今から対処しても遅くはありません。 さて、知事さんは、昨今の厳しい財政環境の中、諸対策に積極的に取り組み、二十一世紀に向け、より「便利な」「元気な」「安らかな」の三つの「な」と、「美しい」「温かい」「楽しい」の三つの「い」のダブル三拍子を備えた「日本一住みよいふるさと岐阜県づくり」に取り組んでおられます。そんな中、十五年先になりますが、国民体育大会の開催についてどのように知事さんはお考えになっておられるかお伺いして、ちょっと余ったんですが、本当に諸先生方はお疲れでしょうが、第一回の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。   (拍手) ○議長(中本貞実君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) お答えいたします。 いつも提案型の御意見をいただきまして大変勉強になっておりますが、まず東海環状自動車道についてお答えしたいと思います。 東海環状自動車道は、もともと岐阜県がリードして進めてきた事業でございますが、西濃、中濃、東濃という地域の横の連携が非常に悪いわけでございまして、そのためにも県が中心になって進めてまいりました。そして、愛知、三重両県につなぐということで、高速道路、たしか七本ぐらいつなぐということで、東京にも大阪にもない画期的な環状自動車道でございます。そういう自動車道は重要な役割を果たすことになるわけでございますが、議員がお話しになったとおり、二〇〇五年の国際万博の開催が決定いたしまして、その一番重要なアクセス道路というふうにも言われるようになりました。また、中部新国際空港のためのアクセス道路であり、地域によっては非常に重要な意味を持っております。 それから、首都機能移転ということにつきましては、東海各県の連携がスムーズにいっておりますが、これも各県をつなぐ東海環状自動車道あってこそというふうに思うわけでございまして、いろんな意味で大変重要な役割を果たす高速道路でございます。ただいま土岐南インターチェンジから関市の間で工事が進められておりますが、用地買収が七割を超えました。そして昨年度、土岐と関・富加の二カ所で着工したということでございます。そして、愛知県側に行きます土岐南インターチェンジの東の方でございますが、こういうところをあわせて、二〇〇五年万博開催までに開通できるように要望しております。問題は、関市から西の養老町に至る区間でございますが、昨年十月、ようやく都市計画が決定されまして、ことしの二月に整備計画が決定いたしました。いよいよ本格的に事業が始められるという態勢になったわけでございます。それから、残る養老町から県境を越えて三重県の北勢町に至る区間につきましては、来年度の建設省概算要求の中で新規に事業化するということが建設省から要求が出されておりまして、ぜひこれを実現したいと考えておりますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。 通常、こうした高速道路は、都市計画決定から開通までに、過去の経験では十年から十五年の期間を要するということでございます。何とか二〇〇五年の国際博開催までに、全区間は無理としても、少しでも長い区間を開通させるように働きかけをしてまいりたい。特に西回りにつきましては、私はできるところからどんどん着工してもらえと、小間切れでもいいからやってもらえということを指示しておりますが、そういう姿勢で臨んでまいりたいというふうに思います。関と土岐の間は二〇〇五年までに大丈夫でございますが、その他の区間が問題でございます。 それから、岐阜国体についてのお話がございまして、平成二十二年の千葉県開催まで了解という形で決まっておりまして、岐阜県は平成二十四年というようなことが、東海ブロックの順番がちょうど回ってきます。そういうことで、現在、県の体育協会で岐阜県開催に向けて検討されていると聞いております。県体育協会で決定されれば、県議会とも御相談しまして前向きに検討してまいりたいというふうに思います。その際、現在の施設で間に合うかどうか、その点も並行して検討してまいりたいと、かように思っております。 ○議長(中本貞実君) 土木部長 齋藤 博君。   〔土木部長 齋藤 博君登壇〕 ◎土木部長(齋藤博君) 河川及び道路の御質問に対して精いっぱいお答えします。 まず、台風九号による岐阜市内の浸水被害対策についてお答えいたします。 県におきましては、浸水後、直ちに岐阜市と共同して、浸水被害のあった河川につきまして実態調査等を実施したところであります。荒田川につきましては、調査結果等を踏まえ、現在実施中の広域河川改修事業により、新堤築造に必要な用地の買収を一層促進するとともに、当面の応急処置として、長年の支障となっていた立木等の伐採を行うこととしております。また、正木川につきましては、現在、岐阜市におきまして都市基盤河川改修事業により、下流より抜本的改修に着手したところですが、上流域の浸水被害を軽減するため、県において、暫定緊急処置として、ネックとなっておりました暗渠の一部を改築する予定であります。 なお、今回の豪雨は、岐阜市に大きな被害をもたらした昭和四十九年七月のいわゆる七夕豪雨と降雨量が似ておりますが、このときの被災状況と比較してみますと、浸水戸数約六千世帯に対し今回は百六十五世帯と大幅に減少しており、昭和四十九年の被災後の排水機場の整備や改修工事が一定の効果を発揮したものと考えておりますが、一日も早く住民の皆様に安心していただけるよう、引き続き正木川、荒田川などの抜本的な治水対策の促進に努めてまいります。 次に、伊自良川及びその支川の改修についてお答えします。 伊自良川は、長良川河口堰関連緊急治水事業の最重要河川の一つと位置づけており、鋭意改修工事を実施中であります。 まず伊自良川の旧堤撤去につきましては、長良川合流点付近は国で実施中であり、上流部鳥羽川合流点付近につきましては、国と県におきまして、新たに今年度より一部着手したところであります。また、伊自良川にかかる名鉄揖斐線の橋梁改修につきましても、議員御指摘のとおり、伊自良川のネック地点となっており、国に対し、引き続きその早期着手を強く要望してまいります。さらに、伊自良川の上流部の改修につきましては、現在、石谷用水堰の改築を実施しておりますが、公共・県単事業を合わせ、平成十三年度を目途に、竜巣橋のかけかえや石谷地区の樋門付近の改修などを実施する予定としております。 次に、伊自良川の支川である根尾川につきましては、現在の暫定改修工事を鋭意上流へ進めているところであり、そのめどがついた段階で、順次下流部より本改修を行っていく予定としております。 また、胴木樋門の改築と新堀川の改修につきましては、岐阜大学医学部の移転計画や東海環状自動車道の進捗状況及び岐阜市施工の支川の改修状況等を踏まえながら、その促進に努めてまいります。 次に、東海環状自動車道のうち、まず御望山トンネルについてお答えします。 議員御指摘のとおり、北海道でのトンネル事故は斜面が崩壊してトンネル坑口部を破壊したものであり、一方、御望山の問題は、トンネルを掘削することにより、トンネルから約百四十メーター離れた御望山南斜面が破壊されるおそれがないかというものであり、性格が全く異なるものであります。まずトンネルそのものの安全性の確保としては、北海道の事故等も教訓とし、特にトンネル坑口部周辺の斜面については細心の注意を払い詳細な調査を行い、必要な対策を実施していくと聞いております。次に、御望山南斜面そのものの安全対策としては、県において、昨年度より浮き石除去、落石対策工、地下水観測などを鋭意実施しております。一方、まず北海道の事故と性格的には同じ問題となりますが、御望山南斜面が大雨などで崩壊することが原因でトンネルを破壊するおそれは、約百四十メーター離れておりますのでその危険性はありません。次に、トンネルが原因で斜面に及ぼす影響については、トンネル影響評価専門委員会からトンネルを掘削しても斜面の現在の安全性に影響を及ぼすことはないと報告を受けており、トンネルの安全性の問題と御望山南斜面の安全性の問題とは切り離して別々に考えるべきであると住民の方々に重ねて説明してまいりましたが、今なお不安を持っている住民の方々がおられます。このことを踏まえ、今後建設省において行われるトンネルを安全に掘削するための詳細調査においても、トンネルが御望山南斜面に及ぼす影響について、県が実施した調査を補足し、安全性に影響を及ぼすことがないことを再確認するよう建設省に申し入れております。現在、この詳細調査のための現地立ち入りについて地元との話し合いの場を持っているところですが、残念ながら地元の了解を得るには至っておりません。県としましては、今後とも建設省、岐阜市とともに住民の方々に十分説明し、この安全性の問題について正しく御理解いただけるよう努めてまいります。 次に、自動車道周辺のアクセスについてお答えします。 都市計画道路長良糸貫線は、国道二百五十六号を起点に、岐阜環状線と交差して糸貫町へ通ずる岐阜都市圏の放射型道路として昭和六十年に都市計画決定されたものであり、東海環状自動車道の仮称 岐阜インターチェンジ並びに糸貫インターチェンジに至るアクセス道路としても役立つものであると考えております。黒野大橋を含む本路線の整備につきましては、基本的には東海環状自動車道の事業展開などと調整をとりながら進めていくことになりますが、いずれにしろ、事業主体、具体的な整備手法、事業化の時期等を含めて今後検討していく必要があると考えています。 ○議長(中本貞実君) 二十九番 平野恭弘君。   〔二十九番 平野恭弘君登壇〕 ◆二十九番(平野恭弘君) 懇切丁寧なしっかりとした答弁、まことにありがとうございました。 ただ、ちょっと心配なのは、知事さんに御答弁いただきましたが、西回りルートが二〇〇五年までには完成しないんじゃないかという不安がさらに確実になったことでございます。そうなりますと、岐阜市、そして揖斐郡、大垣市、こういった岐阜を初め中濃の方からの万博への交通、これにはどうしたらいいか。東京へ行くより、ひょっとしたら北海道へ行くより時間がかかってしまうんじゃないかなあと。いっそのことカルガリーでおっこちた方がよかったんじゃないかなあ、そう切実に感じる次第でございます。 この三月に、私は中部国際空港について質問をさせていただきましたが、岐阜県にとってアクセス道路の解決が第一条件だと私は主張しましたし、知事さんもそのように努力をし、やってこられました。お祝いするべきだと思いますが、藤井運輸大臣が誕生されました。藤井先生も、その任務上、中部国際空港を完成させるんだとは思いますが、それに向けて大変な努力も払っておられることも知っております。特にその大黒柱、村山前首相の秘書官であられる通産省の岐阜市出身の方を大黒柱と据えて、絶対やるんだという姿勢を貫いておられますが、先ほど言いました、岐阜県にとってアクセス道路が第一だということについて、知事さんは藤井先生と話し合っておられるかどうか、その点をお伺いするとともに、藤井先生が運輸大臣になられまして、名古屋市にとっては棚からぼたもちというか、ぬれ手でアワみたいなものだと私は思っているんですね。名古屋市の政治意識というか、そういったものから考えますと、私どもとはちょっと違っておって、藤井先生が力を入れられりゃあ入れられるほど敵に塩を贈るみたいなもので、岐阜県民の懐は軽うなるんじゃないかと。ちょっとOBかもしれませんけれども、OBでも納得のいくOBと納得のいかないOBとあります。私の今の発言は、自分では納得のいくOBだと思っております。この点に関して、偽らざる私の心境であるとともに、岐阜県民の抱いている心境だと思いますので、この点に関しても藤井先生に篤々と言っていただいて、アクセスを第一に考えていただくということを知事さんからくどいようですがお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。 ○議長(中本貞実君) 知事 梶原 拓君。   〔知事 梶原 拓君登壇〕 ◎知事(梶原拓君) 東海環状自動車道につきましては、早く西回りも整備しなければならないということは私も同様に考えておりまして、二〇〇五年まで全線開通といかなくても、整備の手順によってはかなり有効に機能できるというやり方もあろうかと思いますが、これは建設省と相談してまいりたいと思っております。国体とかいろんなものも関連しますが、なるべく早く整備をしてまいりたいというふうに思います。 それから、中部新国際空港との関連ですが、これも全く議員と私も意見は同じでございまして、アクセスがなければ空港の機能は果たせないと。中部新国際空港という看板を上げておりますけれども、アクセスが悪ければ知多半島の単なる地方空港ということになるわけでございまして、岐阜県がワイワイ言う言わぬにかかわらず、愛知県、名古屋市も一生懸命努力すべきであると、かように考えておりますが、県は県なりにバックアップしていくと申しますか、努力するということで、名古屋西港線、JRの将来の空港への延伸の非常に重要な足固めになる予算、これも県内の国会の先生のおかげで予算に組み込まれたわけでございまして、岐阜県の国会議員の先生方のお力なくしては新国際空港のアクセスの整備もできないということでございまして、幸い大変有力な先生方がおいでになりまして頼もしい限りでございますが、ぜひ県会の先生方と御一緒にお願いしながら頑張ってまいりたいというふうに思います。 ○議長(中本貞実君) これをもって一般質問並びに議案に対する質疑を終結いたします。          …………………………………………………… ○議長(中本貞実君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、お手元に配布の議案及び請願付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(中本貞実君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております各案件は、お手元に配布の議案及び請願付託表のとおりそれぞれ所管の委員会に付託することに決定いたしました。 なお、審査は十月七日までに終了し、議長に報告願います。 △平成九年第四回岐阜県議会定例会議案及び請願付託表 委員会名付託案件総務委員会〇 議第九十五号のうち歳入予算補正、歳出予算補正中総務委員会関係及び地方債補正 〇 議第百一号 〇 議第百十六号 〇 請願第三十五号 〇 請願第三十七号企画経済委員会〇 議第九十五号のうち歳出予算補正中企画経済委員会関系及び債務負担行為補正中企画経済委員会関係 〇 議題九十六号及び議題九十七号 〇 議第百二号 〇 平成八年度岐阜県水道事業会計決算の認定について 〇 平成八年度岐阜県工業用水道事業会計決算の認定について厚生委員会〇 議第九十五号のうち歳出予算補正中厚生委員会関係及び債務負担行為補正中厚生委員会関係 〇 議第九十八号 〇 平成八年度岐阜県病院事業会計決算の認定について農林委員会〇 議第九十五号のうち歳出予算補正中農林委員会関係及び債務負担行為補正中農林委員会関係 〇 議第百三号土木委員会〇 議第九十五号のうち歳出予算補正中土木委員会関係及び債務負担行為補正中土木委員会関係 〇 議第九十九号及び議第百号 〇 議第百四号から議第百六号まで 〇 議第百十号から議第百十五号まで 〇 議第百十七号 〇 議第百二十一号及び議第百二十二号文教警察委員会〇 議第九十五号のうち歳出予算補正中文教警察委員会関係及び債務負担行為補正中文教警察委員会関係 〇 議第百七号から議第百九号まで 〇 議第百十八号から議第百二十号まで
    〇 請願第三十六号          …………………………………………………… ○議長(中本貞実君) お諮りいたします。委員会開催等のため、明日から十月七日までの四日間、休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(中本貞実君) 御異議なしと認めます。よって、明日から十月七日までの四日間、休会とすることに決定いたしました。          …………………………………………………… ○議長(中本貞実君) 以上をもって本日の日程はすべて終了いたしました。 十月八日は午前十時までに御参集願います。 十月八日の日程は追って配布いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 △午後四時四十三分散会           ……………………………………………………...