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令和 4年11月定例会本会議-12月06日-02号

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  1. 長野県議会 2022-12-06
    令和 4年11月定例会本会議-12月06日-02号


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    令和 4年11月定例会本会議-12月06日-02号令和 4年11月定例会本会議 令和4年12月6日(火曜日)  出席議員(54名)   1 番 望月義寿    28 番 両角友成   2 番 小林君男    29 番 清水純子   3 番 小林あや    30 番 小池久長   4 番 原 健児    32 番 酒井 茂   5 番 清水正康    33 番 堀内孝人   6 番 加藤康治    34 番 石和 大   7 番 川上信彦    35 番 依田明善   8 番 山田英喜    36 番 小島康晴   9 番 大井岳夫    37 番 小林東一郎   11 番 池田 清    38 番 毛利栄子   12 番 熊谷元尋    39 番 和田明子   13 番 百瀬智之    40 番 諏訪光昭   14 番 山口典久    41 番 山岸喜昭   15 番 小山仁志    42 番 丸山栄一   16 番 丸茂岳人    43 番 小池 清   17 番 竹内正美    44 番 宮本衡司   18 番 竹花美幸    45 番 清沢英男
      19 番 宮下克彦    46 番 鈴木 清   20 番 大畑俊隆    47 番 高村京子   21 番 共田武史    48 番 宮澤敏文   22 番 髙島陽子    49 番 西沢正隆   23 番 荒井武志    50 番 風間辰一   24 番 埋橋茂人    51 番 佐々木祥二   25 番 続木幹夫    52 番 向山公人   26 番 中川博司    54 番 本郷一彦   27 番 寺沢功希    55 番 萩原 清   56 番 服部宏昭    57 番 望月雄内  欠席議員(3名)   10 番 花岡賢一    53 番 平野成基   31 番 丸山大輔         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    建設部長      田中 衛   副知事       関昇一郎    公営企業管理者   産業政策監     伊藤一紀    職務執行者・企   危機管理部長    前沢直隆    業局長       須藤俊一   企画振興部長    清水裕之    財政課長      高橋寿明   総務部長      玉井 直    教育長       内堀繁利   県民文化部長    山田明子    警察本部長     小山 巌   県民文化部こど           監査委員      田口敏子   も若者局長     野中祥子   健康福祉部長    福田雄一   環境部長      猿田吉秀   産業労働部長    林 宏行   産業労働部営業   局長        金井伸樹   観光部長      渡辺高秀   農政部長      小林安男         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      村松敏伸    議事課主事     松橋高志   議事課長      矢島 武    総務課課長補佐   宮島文明   議事課企画幹兼   蔵之内真紀   兼庶務係長   課長補佐              総務課担当係長   津田未知時   議事課担当係長   矢島修治         ───────────────────  令和4年12月6日(火曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(丸山栄一 君) これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(丸山栄一 君) 次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ────────────────── ○議長(丸山栄一 君) 次に、平野成基議員、花岡賢一議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君) 次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、宮澤敏文議員。       〔48番宮澤敏文君登壇〕 ◆48番(宮澤敏文 君) おはようございます。燃料や原材料費の高騰で家庭や産業界は大変な状況であります。抜かりのない対策が講じられるよう知事に要請して、質問に入ります。  持続可能な長野県をつくるための最大の行政課題は人口の減少にあると常々述べてまいりました。社会をつくる基本である働き手の不足、この県政最大の課題を中心に質問に入ります。  最初に、昨年11月県議会での私の質問に答弁された内容について、この1年の進捗状況、取組についてまずお伺いいたします。  産業振興を最重点課題とする本県において、ものづくり企業が最も求める高校卒の人材を得るためと、企業のミスマッチを起こさないために、企業と高校をつなぐ企業出身のコーディネーター制度の導入を提案いたしました。制度化に向け検討するという答弁でありましたが、県内のものづくり産業が大変注目している課題であります。検討結果をお伺いいたします。  国は、私の質問と同趣旨のリスキリングの充実を今年重要課題として取り組み始めました。質問で触れました技専等県の学び直し機関から遠い中山間地で働く者のリスキリングの対応、仕事が終わった後に学ぶ体制について、機会均等の観点から、県の整備の方針と具体的な支援事例を併せて産業労働部長にお伺いいたします。  中山間地の人材育成についての答弁で、知事は、クリエーティブフロンティアの取組を答弁されました。この1年、誰がどのように取り組み、具体的にどのような成果が上がったのか。事例を企画振興部長に伺います。  関連して、コロナ禍でしぼんだ産業界に、国、県の施策の成果から明かりが見えかけている現在、各分野の人手不足が大きな課題となっています。今後の産業界の人手不足解消のためにどんな本県独自の政策を用意しようとしているのか伺います。  また、私は、優秀な方々の雇用の確保と賃金アップの障害として、パート労働者の103万円等の壁問題が大きなネックになっているとずっと主張してまいりました。この時期に103万円等の壁規定の制度を改正すべきだと思います。国への働きかけを求めますが、併せて産業労働部長にお伺いいたします。  砂防事業の重要性について、知事は、砂防は世界から注目される事業になったと答弁され、その後、日本三大崩れの稗田山の現地で知事も建設部長も現場調査をされたとお聞きし、さすがだと思いました。  御覧になられたとおり、歴史に刻む日本三大崩れ稗田山は、手つかずのままであります。自然の猛威とそれに対座する人類の英知の一つの象徴とも言える砂防事業を伝承する提案に対し、この1年間、稗田山等を伝承する研究はどう進んでいるのかお伺いいたします。  また、本県の小中学校の現場教育で、防災教育と同時に住民の生命、生活を守るための国、県の行政や建設関係の仕事の重要性を子供たちに気づかせ、地域にとって重要な建設関係の仕事を将来選択する子供たちが増えるように、安心、安全の対応をする仕事を学ぶ授業を取り入れるべきだと思いますが、県教育委員会へどう働きかけているのかお伺いいたします。  地域高規格松本糸魚川連絡道路の現道活用区間の松川村高瀬川大橋の立体交差、死亡事故が発生する小谷村塩水地域の道路改良について2か所の早期の検討を答弁されましたが、1年たってどう進展しているのか。以上3点、建設部長にお伺いします。  山形県では、地域を挙げてのモデル事業として、県独自の予算で市町村がリードする農地集約と多角的経営に対し独自の政策を打ち出しました。耕作者の平均年齢が70歳に近づき、比較的小規模農家が多い本県で思い切った政策を取らなければ、農業をする人がいなくなる危機感も持ちます。また、若い農業従事者の雇用保険など働く環境の整備も考慮しなければなりません。本県の強い農業づくりを進めるために、今後の担い手対策をどう位置づけ、来年度予算でどう実現していこうとしているのか。農政部長にお伺いいたします。  商工団体への支援の問題であります。  2年前、商工会と商工会議員懇談会が設置した小規模企業振興あり方検討委員会の中間答申で、県下69の商工会と商工会連合会に対して、DXを活用し、商工会と専門家を結ぶハブ機能による事業者への専門性の高い経営指導の実施、商工会事業の柱である経営支援と地域振興の役割分担を提案し、商工会と県との結びつきの強化を答申しました。  商工会が人事と給与の一元化に取り組み始めようとする今年、1年かけて検討し、11月に最終答申をまとめました。最終答申では、昭和35年に制定された商工会法の精神に立ち戻り、経営支援事業は経営指導員が広域化させ、連合会と直結させて効果的、効率的に専門性を高め、チーム力で市町村の枠を超えて事業支援に当たり、商工会単会での初期支援は県が支援する補助員がDXを活用して事務局長と共に当たる体制をしく。これを県が支え、地域振興事業は理事、青年部、女性部が企画し、その要役は事務局長が務める。現在の事務局長は300以上の事業者がいる商工会に設置されるとの規定を見直し、厳しい財政状況にある小規模商工会のために全商工会に設置し、ネットワーク化を図り、市町村と県で支えていく体制をしく。この改革により、69の商工会の独自性を維持しつつ広域化を図り、効率的、効果的な小規模事業者の指導体制を実現すると最終答申をいたしました。  財政不足の課題は商工会議所も同様でありますが、一行政一商工団体の原則の中で、市町村合併がなされなかった本県、全国でも飛び抜けて小規模商工会が多く、まさに生き残りをかけた大革命案であります。  昨年11月県議会の私の質問に対する答弁で、知事は、この1年間で今後の商工団体の支援の在り方についての研究をお約束されました。この最終答申を含め、10年後以降を見据えた小規模事業者支援への思い切った県の新体制について知事にお伺いします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 4点御質問をいただきました。  初めに、企業出身のコーディネーター制度の検討状況についてのお尋ねでございます。  現在、製造業や医療・福祉分野、建設業等で人手不足感が高まる中、県内の高校生の就職内定率は9月末時点で67.2%と、25年ぶりの高水準となっております。他方、就職後3年以内の離職率は、大卒者等と比べて高校卒業者が高い傾向にあり、ミスマッチによる離職を防ぐためにもキャリア教育の充実や丁寧な就職支援が重要と認識しております。  教育委員会からは、来年度、学校と社会の連携を深め、高校生の多様な学びを推進するため、池田工業高校での取組をモデルに、学校と社会をつなぐ連携コーディネーターの配置に向けた検討を進めたいと聞いております。  また、上伊那地域では、中高生等を対象に地元企業の魅力や地域活動等を伝える郷土愛プロジェクトを実施するなど、産学官が連携して郷学郷就の取組を推進しており、こうした取組が他地域にも広がりつつあります。  産業労働部としては、教育委員会の施策や各地域の実情に応じた取組を後押しするとともに、インターンシップ、スキルアップなど就職支援の充実に向けて産業界、労働局とも連携して取り組んでまいります。  次に、中山間地で働く方々のリスキリング等の整備方針と支援事例についてでございます。  現在、国においては、企業における人材育成を支援する人材開発支援助成金制度や労働者の主体的なスキルアップを支援する教育訓練給付制度を実施しています。  昨年度の教育訓練給付制度を見ますと、県内で1,765名が国からの助成を受け、そのうち半数を超える923名が通信制を選択されており、どこにお住まいの方でも訓練が受けられるスタイルが望まれていると受け止めています。  このため、県としても、働く人の学び直しの場拡充支援事業により、夜間、休日のほか、オンラインによる講座の充実や工科短期大学校で実施しているDX人材育成講座をアーカイブ配信するなど、働きながらでも学びやすい環境整備を進めています。さらに、現在構築している社会人学びの総合ポータルサイトでは、リスキリング講座や国の支援制度などの情報を一元的に配信してまいります。  議員御指摘のように、特に長野県は中山間地が多く、そうした地域でも多くの方々が働いておりますので、場所を問わずどこでも学びができますよう、こうした取組を総合的に行うことでリスキリングを後押ししてまいりたいと考えております。  次に、今後の産業界の人材不足解消のための本県独自の政策についてでございます。  本県の10月の有効求人数は5万人を超えている一方で、求職者数は3万人を超えたまま推移しており、着実な雇用に結びつけるためには、スキル習得支援などを行い、ミスマッチの解消、分野を超えた労働移動を促すことが必要と考えております。  特に、子育て中の女性や就職に困難を抱える若者には、伴走型支援によりキャリアカウンセリングから就労までスムーズにつなげ、地域社会で活躍いただくことが大切と考えており、地域就労支援センター(仮称)の設置を検討しているところでございます。  一方、県外からの人材確保策としては、本定例会にUIJターン就業創業移住支援金の増額補正をお願いしております。また、今年度、県内金融機関にサテライトマネジャーを配置するなど、長野県プロフェッショナル人材戦略拠点の機能充実を図ったところです。今後とも経済団体や労働団体、長野労働局とも歩調を合わせ、連携して取り組んでまいります。  最後に、103万円の壁等の就労制約となっている制度の見直しについてでございます。  議員が御指摘されました103万円の壁や130万円の壁などと言われる社会保障制度や税制上の課題があることは承知しております。また、就業時間や日数を調整する就業調整により年収が130万円未満であるパート労働者が多いというデータもございます。  こうした中、既に全国知事会では、就業者の多様な属性に配慮しつつ、働く女性の意欲を促進し、働き方やライフスタイルの選択を阻害しない制度となるよう税制や社会保障制度等の不断の見直しを行うことについて国に要望しているところであり、今後とも機会を捉えて働きかけてまいります。
          〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君) 私にはクリエーティブフロンティアの取組事例についてお尋ねがありました。  中山間地域は、地理的条件など不利な面を抱え、担い手不足などの課題に直面している一方、都会では得られない環境や資源があり、人々を引きつける魅力を有していることから、クリエーティブフロンティアとして発展可能性があると捉えております。そのため、地域が持つ価値や資源を最大限活用し、新しい生き方や暮らし方ができる最先端の地域へと転換させる視点が重要と考え、県として取り組んでいるところです。  具体的には、まず都市部住民を呼び込むという点で、県と市町村が連携して、二地域居住、農ある暮らし、リゾートテレワークなど多様な信州暮らしの魅力発信に取り組んでおり、令和3年度の移住相談件数は、国の調査によると本県が全国1位となっております。  また、つながり人口創出に向けた取組として、今年度、飯田市天竜峡及び王滝村において、地方に関心を持つ都市部住民と地域住民が協働して空き家改修など地域課題の解決に取り組むプログラムを県が実施し、都市部からの参加者が地域に愛着を深めながら継続的な関係を築けるよう取り組んでおります。  加えて、地域資源を活用した取組として、信州の豊かな自然環境を生かした多様な学びの場である本県発祥の山村留学をさらに広げるため、県においてポータルサイトの構築を進めているほか、受入れ団体や市町村と連携し、協議会の設立に向け準備を進めております。  こうした山村留学やつながり人口の取組などが実を結び、根羽村では若年女性を含む人口の増加につながる成果を上げ、本年10月、過疎地域持続的発展のモデルとして総務大臣賞を受賞しております。本取組は南信州地域振興局がサポートしておりますが、県としても他地域の参考になる事例として注目をしております。  こうした取組のほか、デジタル技術を活用した交通、医療などの利便性向上や農林業等の生産性向上に資する取組も進めており、引き続き本県の中山間地域が持つ強みを十分に生かしながら持続的に発展することができるようしっかり取り組んでまいります。  以上です。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には3点御質問をいただきました。  まず、稗田山崩れ等の伝承をする研究の進捗状況についてのお尋ねでございます。  日本三大崩れである稗田山ですが、私も議員に現地を案内いただく中で、砂防事業の重要性を伝え学ぶ場として、また、インフラツーリズムなどの観光資源として非常に価値の高いものであることを再認識したところです。  昨年度は、国、県、小谷村で構成する協議会において、稗田山等を題材とした学習の場、観光活用等について議論を始めましたが、より具体的な施策を検討するため、砂防専門家や商工関係者などの有識者を加え、11月7日に第1回の稗田山崩れ等伝承委員会を開催したところです。委員会の中では、砂防文化をどのような手段で周知していくのか、また、国内のみならず世界に発信していくことも重要との意見が出されたところです。引き続き本委員会で検討を進め、国や小谷村等の関係機関と連携して今後の具体的な取組につなげてまいります。  次に、小中学校に対する建設産業の担い手確保に向けた働きかけについてのお尋ねでございます。  建設産業は、担い手の確保が課題であり、小中学校で建設産業の仕事を学ぶ授業が実施できるよう建設業協会とともに教育委員会に働きかけ、キャリア教育や防災教育に連携して取り組んでいます。  今年度は、千曲市など4校の中学校2年生全員を対象に、東日本台風災害の復旧工事の動画を教材に、現場を担当した技術者との意見交換やVRによる復旧の疑似体験を行いました。また、砂防ボランティアや県職員による防災学習や砂防工事の現場見学会も毎年開催しており、インフラ整備を行う行政や建設産業の役割と重要性を伝えているところです。  子供たちからは、建設関係の仕事に興味が湧き、将来の夢として考えていきたいなどの意見が寄せられており、引き続きこれらの取組を県内の小中学校に広く展開できるよう教育委員会や建設関係団体と連携して取り組んでまいります。  最後に、松本糸魚川連絡道路の現道活用区間である松川村高瀬川大橋区間と小谷村塩水地域の検討状況に関するお尋ねでございます。  まず、松川村高瀬川大橋区間につきましては、主要なアクセスポイントとなることから、地域高規格道路としての機能を踏まえた概略設計を本年度にかけてまとめてまいりました。一方、当該区間は、おおむね100年に1回程度以上の大雨で浸水するおそれがあり、その当面の対策について現在検討を進めております。今後概略設計と当面の対策について松川村等と調整を行ってまいります。  次に、小谷村塩水地区につきましては、豪雪地域であることを踏まえた道路改良の概略設計を行っており、複数案による比較検討を進め、最適案を選定する段階となっております。今後、道路改良案を取りまとめ、早期に事業着手できるよう地域の皆様と協議を進めてまいります。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君) 私には農業の担い手対策について御質問をいただきました。  本県の基幹的農業従事者が直近の5年間でマイナス25%と急激に減少する中で、農業を支える担い手の確保育成は本県農業農村の最重要課題だと認識しております。  このため、来年度の対策としましては、本県農業をリードし、農業生産力を維持する大規模経営体を育成するため、売上額10億円を目指すなど、さらなる経営発展に挑む若手経営者を対象として企業的な経営を実践するための研修を実施いたします。  さらに、地域農業を組織的に担い、就労条件や労働環境が整備された法人経営体を育成していくことも重要であるため、農業経営者総合サポート事業による専門家の派遣や農業農村支援センターの伴走支援等により、新たな法人の立ち上げも含め、きめ細かく支援してまいります。  こうした取組に加え、農ある暮らしや農福連携の拡大など地域内外から多様な人材を農業に呼び込むことにも力を入れ、本県農業を支える担い手を重層的に確保し、農業農村の持続的発展につなげてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には小規模事業者支援に向けての県の支援体制について御質問をいただきました。  商工会、商工会議所は、平素から、小規模事業者の皆様方の経営支援はもとより、県として取り組んでおりますコロナ禍における様々な支援策にも御協力をいただき、また、物価高騰対策にも大きな役割を果たしていただいております。  また、各地域の振興発展のためにも大きな役割を果たしているところでありまして、私としては、商工会、商工会議所が今後とも安定的な組織運営ができるようにしていくということが重要だというふうに思っております。  御質問にもありました10年後を見据えた小規模事業振興の在り方についてということで、宮澤議員が中心になってお取りまとめいただいた答申を私も拝見させていただいておりますけれども、方向性については、経営支援業務と地域振興業務を分けて広域化等を進めていくということ、私も方向性としては共感するものでございます。我々県としては、実際にどういう形で支援していくのかということが非常に重要であります。この答申の内容も十分頭に入れた上で、県として、商工会における広域連携の在り方、また、高度専門的な職員をどういう形で配置していくのが望ましいのか、こうしたことについてしっかり検討していきたいというふうに思っております。  デジタル化への対応、あるいは事業承継など様々な課題に小規模事業者は直面しているわけでありますので、商工会、商工会議所が、小規模事業者がこうした大きな変化をしっかり乗り越えていくことができるような支援を行っていけるように県としてバックアップしていきたいというふうに思いますし、私としては、安定的な組織運営ができるような支援策の在り方について引き続き検討し、具体化していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔48番宮澤敏文君登壇〕 ◆48番(宮澤敏文 君) それぞれ重要課題であります。誠実な御答弁をいただきました。やはり1年1年どう成果を出していくか、これを職員の皆さん方に徹底することによって、一つ一つの実現、知事がよくおっしゃられる成果が上がるという体制をつくっていく原点だと思っております。どうぞ引き続きお願い申し上げます。  知事は、長野県がん対策推進条例に定められた「がんと向き合う週間」のテレビ局の対談の中で、がんに罹患しても生き生きと活躍できる環境づくりの重要性、必要性を述べておられました。私自身も、がん患者と家族に対する支え合いや配慮体制の充実は非常に重要だと思っておりますが、この点も含め、長野県が誇るがん対策の方針について知事にお伺いいたします。  コロナ禍で食料安保が大きな話題となって注目されております。平成6年11月30日開催の参議院世界貿易機関設立協定等に関する特別委員会に長野県米を考える会会長として参考人招致を受け、2時間に上る集中審議の中で、減反政策で水潤む里北アルプス山麓や安曇野から夕立がなくなった、水田の持つ多様性と世界的な飢餓を救う作物として米の限りない可能性を述べ、米の消費拡大の必要性を話しました。  近年、米を取り巻く情勢は大きく変わろうとしています。再度お伺いいたします。  昭和55年、農水省は米消費対策室を設置し、本格的な米の消費拡大政策の実行を進めました。これに呼応して、衆参国会議員からなる米消費拡大・純米酒推進議員連盟が設立され、この本会議場で衆議院議員時代に同議員連盟の理事をお務めになられた村井知事も話されましたが、根本龍太郎会長の下、小渕恵三副会長、羽田孜副会長、加藤六月副会長、角屋堅次郎副会長、林百郎副会長、小沢貞孝事務局長ら、日本の米を守ろうとする強い情熱の下、議員連盟の事務局を任された者として、近年の米消費の減少に危機感を募らせています。  現在、どのような本県独自の米政策を打ち出そうとしているのか、また、来年度の予算で米の用途拡大を支援する策を用意しているのか、お伺いいたします。  また、この議員連盟の発足当時は、日本酒が一級、二級の時代で、純米酒がほとんどない状況でした。この議員連盟の活躍もあり、純米酒が定着しました。酒米の消費量拡大に向けた日本酒の新しい消費スタイルの工夫に対する支援策及び本県の日本酒の将来にわたる振興策の2点を知事にお伺いいたします。  次に、教育問題であります。  第2期高校再編・整備に向けた三次案実施の議論が佳境に入ってまいりました。70年前、15歳以下の全人口に占める割合は35.4%でした。2022年、本年ですが、11.7%と大きく落ち込み、地域に若者がいない現実を生んでいます。とりわけ全国でも他県より高齢化が進む本県は顕著であり、深刻であります。  順次教育長にお伺いいたします。  この地域に若者がいない原因はどこにあると考えられるか。また、初等中等教育にどのような影響が出ているのか。戦後生まれの第3代の世代に入っておりますが、この約80年の間、県教育委員会は県内のそれぞれの地域に若者が残るためにどのような教育姿勢を取ってきたのか。具体的にお示しいただきたいと思います。  大学が少ない本県で、多くの高校生が県外に就職し、そのUターン率は30%台と極めて低いことが続いています。このことが働き手である若者が地域にいない現象を生む要因の一つではないかと私は何回も主張してまいりました。  この観点から、県教育委員会はこの現状をどう分析しているのか。先ほど防災教育とそれに関わる仕事を学ぶ職業教育に触れましたが、県内の地域で生活し、働き、地域社会を背負う人材を育む視点からの教育は、小中高の現場でどう実行されているのかお伺いいたします。  子供たちの生きる力を育む教育では、自然との共存、自然との共生の農林業の持つ奥深さ、 働き汗をかくことの大切さ、創造する喜び、ものづくりの可能性を通じた仕事観を幼き日から体験し経験することが、次のライフステージで、わくわくこんこんと、環境が変わっても伸び伸びと発想し、新たな創造をする生きる力をつくると思いますが、この点で教育長の所見をお伺いいたします。  平成14年、池田工業高校で、私は、ものづくり人材の魅力アップを図るために、企業現場で生きた体験をするデュアルシステム導入案をまとめ、高校に提案いたしました。高校と企業のおかげで、生徒は1年間、毎週金曜日に生きた技術を現場体験し、生徒からも好評で、全国の中学校の副読本に雇用のミスマッチをなくす方法だと取り上げられました。小さな提案でありますが、高校生の就職者の多くが簡単に辞めてしまうが、デュアルシステムを経験した生徒は就職した企業の中核技術者となり、生き生きと働いているとの報告がされています。池工版デュアルシステムは、同窓会や企業の人たちからの地域提案を高校現場が取り上げ、勇敢に実現した、そんな事例の一つであります。  海外の学校との交流体験など高校生の生きる力はこのような体験と経験が何より大切だと思いますが、地域の声を聴くこと、これをどう位置づけて成果を上げていくのか。教育長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には3点御質問をいただきました。  まず、長野県が誇るがん対策の方針についてという御質問であります。  長野県がん対策推進条例、県議会の皆様方におまとめいただいたこの条例を踏まえて総合的にがん対策を進めてまいります。まずは生活習慣の改善、子宮頸がんワクチン接種等の推進といったがんの予防、さらにはがん検診の受診率向上によります早期発見、早期治療、そして、専門的医療を提供するがん診療連携拠点病院等の整備によりますがん医療の充実、そして、がんと診断されたときから緩和ケアの提供を含めたがんとの共生など多岐にわたる施策を進めてまいります。  がん医療の向上によりまして、治療を受けながら社会生活を送る方が増えているという状況を踏まえまして、がんに罹患されても尊厳を持って安心して暮らしていただくことができる社会の構築を目指していきたいと考えております。  このため、今年度は、前立腺がん、膀胱がん等の患者さんに向けて男性用トイレへのサニタリーボックスの設置の取組を始めたところでありますし、また、当事者の方々の悩み、不安の声も踏まえまして、アピアランスケアにも市町村とも連携して来年度から取り組んでいきたいというふうに考えております。引き続きがん対策について長野県として大きな問題意識を持ちながら充実を図っていきたいというふうに思っております。  がんは、長野県民の皆様の死亡原因の第1位という状況であります。こうしたことをしっかり念頭に置きながら、がん対策推進条例の基本理念を踏まえ、がん患者が置かれている状況を理解し、がん患者が社会とのつながりを失うことがないよう、患者会等の関係者の皆様方とも連携して取組を一層充実していきたいと考えております。  続きまして、米の消費拡大の観点で2点御質問をいただきました。  米の消費拡大策と来年度予算における用途拡大への支援についてという御質問でございます。  食料安全保障、また、地産地消の観点からも、米の消費拡大を進めていくことは極めて重要だというふうに思っております。  県内での米の消費拡大に向けましては、原産地呼称管理制度によるPR、JA等関係機関と連携したキャンペーンや食味コンテストの実施、さらに、県産オリジナル品種の風さやかについては、認知度向上に向けてマスメディアやSNSを活用してPRを行っているところであります。また、県外に向けましては、1等米比率が高く品質が安定しているという長野県産米に対する実需者からの評価を踏まえて、この強みを生かした売り込みを行ってまいります。  今後の展開としては、米の消費拡大のためにはさらなる取組が重要だというふうに考えております。地域ブランド米のPRや輸出拡大等の取組をさらに強化していきたいと考えております。  また、来年度に向けては、米粉や飼料用米など主食用米以外の利用拡大を関係者と連携して進めていきたいというふうに考えております。今後、地域の状況をお伺いしながら、施設整備への支援など必要な対策を講じていきたいと考えております。  続きまして、日本酒の新しい消費スタイルの工夫に対する支援策と将来の振興策という御質問でございます。  本県は、試験場において多くの酒米の品種開発をこれまでも行ってまいりました。その中でも、美山錦は他県の酒蔵でも使われており、全国で3番目の生産量を誇っております。  また、2020年3月に品種登録された山恵錦は、栽培しやすく、すっきりとした味わいが特徴で、この山恵錦を使った日本酒が、世界的に大きな影響力を持つ品評会、インターナショナル・ワイン・チャレンジで最高賞に選出されました。これによって全国から注目を集めるようになりました。  さらに、現在、日本酒の様々な消費スタイルが発信されています。家飲み消費のほか、和食以外の様々な料理とのマリアージュなど、日本酒を楽しむ、たしなむ場面を拡大することによって酒米の消費拡大につなげていきたいというふうに考えております。  一方で、酒造りは農業や観光業まで裾野の広い6次産業であります。本県では日本酒・ワイン振興室をつくっていろいろな取組を進めておりますが、さらにお酒の振興に取り組んでいきたいと思います。特に、日本酒に関連しては、純米酒などの良質な酒造り、そして、知名度、ブランド力の向上、さらには販路開拓が必要だというふうに考えております。  全国新酒鑑評会での金賞獲得数日本一を目指す信州日本酒全国ナンバーワンプロジェクト、あるいはテロワールを重視したGI長野等によるブランド化に取り組んでいるところでございまして、こうしたものには引き続きしっかり力を入れていきたいと思います。  今回の補正予算におきましても、県内外での情報発信や大都市圏でのPRイベント、また、ECサイトの構築支援、さらには海外バイヤーやシェフへのアプローチなどの販路開拓を強化していきたいというふうに考えております。信州の地酒のファンを増やし、消費拡大を図っていきたいと考えております。  以上です。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 私には6点御質問を頂戴いたしました。順次お答えを申し上げます。  まず、地域に若者がいない原因と初等中等教育への影響についてのお尋ねでございます。  若者が少ない原因については、例えば出生数が少ないことに加え、就職や進学等を契機とした転出者数が転入者数よりも多いこと、価値観の多様化等によりこれまでの定型のライフスタイルである結婚して家庭を持ち子育てをするという選択をしない若者が増えていること、経済的な理由等により子供を産むことを諦めざるを得ないケースがあることなど要因は様々であると考えております。  初等中等教育への影響としては、児童生徒数が減少することによって子供たちの人間関係の固定化が懸念されること、現行の基準に基づくと配置できる教員数が減り、複式学級が増加したり、中学校や高校では専門の免許を持つ教員の配置が難しくなったりすること、また、市町村の判断によりますが、学校の統廃合が進むことなどが挙げられます。  一方で、学年や学校全体の子供たち一人一人に教員の目が行き届きやすくなるよさもあると考えております。  次に、地域に若者が残るための教育姿勢についてのお尋ねでございます。  長野県では、地域の人、物、事を教材とした学習や地域の歴史、文化、自然を生かした学校行事等、教育活動を地域と共につくることを大切にし、推進してまいりました。  このような実物に触れたり様々な人と関わったりしながら生まれ育った地域について体験的に学ぶ教育の充実は、時代とともに世の中が移り変わり、学習指導要領の内容や求められる学力観が変化する中にあっても、変わることなく信州教育の根底に一貫して流れているものと認識しております。  具体的には、小学校の低学年で、身近な山や川など自然の中で遊び、盆踊りや三九郎など地域のお祭りや行事に親しむこと。小学校高学年において、農業用水を引くために努力した地域の先人たちの取組や、伝統工芸品の優れた技術を現代に受け継ぎ発展させている地元の職人の工夫について調べ、発信すること。中学校で、職場体験学習を通して、地元企業が地域の人々の雇用や生活に深く関わっていることを学んだり、その技術や製品が広く社会に貢献していることを誇りとして働く人の思いに触れたりすることなど、地域と深く関わって学ぶのは長野県の特徴でございます。  このように、自分の地域で体験的に学び、地域で活躍する人々の姿に触れることで、地域社会に対する誇りと愛情が生まれ、ふるさとを愛し、地域で活躍する若者の育成につながるものと考えております。  大学が少ない本県の状況に対する分析についてでございます。  令和3年度末の公立高等学校卒業者の進路状況を見ますと、進学者のうち6割強の生徒が県外の大学、短大、専門学校等へ進学している状況であります。  長野県出身学生の本年4月のUターン就職率は、議員御指摘のとおり、36.5%と低い状況であり、多少の上下はあるものの、ここのところ30%台が続いております。  県外へ進学する生徒が多い理由としては、県内外の大学等の中から自分の適性や希望に応じた進路を選択した結果であると考えています。  卒業後、県外に就職する学生については、大学等において身につけたスキルを生かし、将来のキャリアを見据え、職業選択をした結果、県外を選択する学生が多いものと考えております。  県内の地域で生活し、働き、地域社会を担う人材を育む視点からの教育についてございます。  県教育委員会では、長野県キャリア教育ガイドラインを作成し、小学校から高校まで切れ目のないキャリア教育の推進やインターンシップ等による地域企業と連携した学びの充実などを進めてきています。  小学校では、地域の方を講師に招いて竹とんぼや水鉄砲などをつくり、昔の遊びを体験する地域の方との交流会、学校の周りに生息するホタルを守るために地域の方と共に河川清掃や幼虫の観察を継続的に行うふるさと学習などを実施し、地域の方との関わりを広げながら地域社会とのつながりを実感する取組を行っています。  中学校では、先ほど建設部長の答弁にもありましたように、地域で河川改修に携わる方を招き、100年に一度の災害に備える工事についての話を聞き、地域の安全を守ることについて語り合う交流会、地元の工務店など地域に密着した事業所に生徒が出かけ、実際に地域で働くことを体験する職場体験学習などを実施し、将来を見据えた自身の生き方、働き方について考える学習を行っております。高校では、池田工業高校のデュアルシステムに象徴されるインターンシップ等を行い、職業観の涵養につなげております。このように、児童生徒の発達段階に応じた教育が行われているところでございます。  生きる力を育む教育における体験と経験への所見についてでございます。  学校では、地域の自然環境や教育資源の活用を通して都会では味わえない豊かな体験や経験を積み上げていくことを大切にしております。  具体的には、ねずみ大根、一本ねぎ、ルバーブなどの地域の特産物の栽培を通して、作物を育て収穫する喜びを味わうこと。県内産の木材を使ってものづくりを行うことで木のぬくもりや自然との共存を感じること。地域清掃や花壇づくりなどを通して学校や地域の環境美化に貢献できた充実感を味わうこと。地域の人と関わって学ぶ農林業体験や職場体験などを通して汗を流して働くことの達成感に浸ることなど、子供たちの主体的な取組が幼保小中高を通して行われております。  議員御指摘のとおり、生きる力は、このような幼児期からの体験や経験の積み重ねが基礎となって育成されるものであり、いかなる環境においても豊かに発想するものづくりの源になると考えております。  次に、地域の声を聴くことの高校現場への位置づけと成果についてでございます。
     議員から御紹介いただきました池工版デュアルシステムでは、同窓会や企業と学校が一体となって学びの環境を整え、その中で学んだ生徒は将来の地域社会を担う技術者として活躍しており、現場での体験が地域のつくり手を育てるモデルケースとなっております。  このように、生徒が充実した日々を送り、よりよい社会をつくる人となるためには、地域の声を聴き、体験や経験を通して課題を解決していく学びが大切であると考えます。  池田工業高校以外にも、例えば下伊那農業高校では、地元の赤石銘茶の生産者が減ってきたという声を聞いて、農家の方や自治会の方と協働して、より良質な茶の栽培や販売方法、商品開発等に取り組んでいます。  白馬高校では、地元に住む外国の方との英語を介した交流により異文化理解を深め、多様な価値観に対する寛容性を身につけています。また、コロナ禍以前の修学旅行では、台湾へ行き、地元の高校生と交流をいたしました。さらに、海外の高校生を白馬へお迎えし、自然体験や互いの伝統文化の交流を行っています。  このように、各校では、地域の声を聴きながら、地域と連携して生き生きと探究する学びを取り入れており、県教育委員会としても、生徒が一堂に会しそれぞれの実践を発表する機会を設けて情報共有や意見交換を行い、さらなる学びの深化を図っているところであります。  今後も、新しい時代に求められる生きる力の育成に向けて、地域や企業とともに身の回りの自然や社会における体験や経験を通した学びを大切にしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔48番宮澤敏文君登壇〕 ◆48番(宮澤敏文 君) 阿部知事からは、がん対策に対し、長野県は非常に頑張っていまして、職員さんも知事の思いをしっかり酌んで頑張っておられる。このテレビ局とのやり取りも、松本大学の菅谷学長さんに同席していただいて、すばらしい内容のものだったと私は思っております。これからもどうか日本一のがん対策をお願いしたいと思います。がんに罹患した人たちは、家族も含めて、本当に不安で不安で仕方がない状況でございます。どうかネットワークづくりも含めてよろしくお願いいたします。  知事にお渡しさせていただきました食の王国北アルプス山麓物語づくりで、今回こめカレーを取り上げさせていただきました。こめカレーは、行政関係の皆さんと事業者が一体となって、北アルプスはこれから雪が降る中、カレーを中心に食べよう、しかも地元の米を少しでも食べるような体制にしよう、こういう働きかけであります。こういうことも含めて身近な問題から始めていくことが大事だと思いますので、そのような御配慮をお願い申し上げたいと思っております。  教育長の御答弁を承りまして、非常に重要な答弁だと思いますが、高校で切れるのです。小中学校は非常によくやっていらっしゃるのですが、例えば食育の問題も、高校で切れてしまう。しかも、学校は特定されている学校しかない。ここが残念であります。どうかよろしくお願いいたします。  再編・整備三次案の地元説明会で、今後どのような高校をつくるか、地元の声を第一に進めたいと教育委員会は強調しています。  新校再編実施計画懇話会の構成に対して、同窓会やPTAの代表で構成するとしていますが、職業高校ですから、企業の意見を反映する配慮が必要だと思います。委員構成についてお伺いいたします。  また、本県の産業は、地域ごとの特性があり、職業選択肢は様々であります。同懇話会の進め方と地域から提案された内容の実現度を関係者に十分に説明してから論議に入るべきだと思います。高校生の県内就職の推進は、経営者協会も連合も重点政策に挙げている県政にとっても最重要課題であります。教育委員会だけの問題ではないことを認識し合わなければなりませんが、この点について教育長にお伺いします。  日本人の愛唱歌「ふるさと」、「かあさんの歌」に代表される長野県の豊かな自然の中で育まれた感性や自然と共生の中で享受した世界観など、信州教育らしい学び方、環境づくりがあってしかるべきだと常々述べてまいりました。  移住したい県日本一の長野県は、多くの人たちに住みたい、暮らしたいと要望されるのに、なぜ県出身者の大学等のUターン率がこれほど低いのか。現在実施している信州教育、特に高校教育の中に原因があるのではないかと指摘する声があります。幼児から高校までの人づくりの中に一本筋が貫かれ、どんな環境でも自分の足で貫く力を身につけるために、生きた教育や自然との語らいの中で習得する授業を実施してほしいと思います。  決められたことを決められたとおりにみんなで同じ答えを出す「行き着く教育」ではなく、高校教育は、まさに県教育委員会の力量が試される再編だと思っております。県教育の大きな岐路だと私は思いますが、教育長にお伺いいたします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 私には2点御質問を頂戴いたしました。順次お答え申し上げます。  高校再編における新校再編実施計画懇話会の委員構成と高校生の県内就職の推進についてのお尋ねでございます。  統合新校の開校に向けましては、統合新校ごとに新校再編実施計画懇話会を設置し、地域の自治体や対象校の同窓会、PTA、生徒の代表等に加え、地元企業の代表者の参画を得て、目指す学校像をはじめとした新たな高校づくりの検討を行うこととしております。この懇話会での意見交換を通して地域の企業の皆様の御意見を真摯に受け止め、新校の学校づくりに反映してまいる所存でございます。  また、いわゆる職業高校を含めた高校生の県内就職につきましては、県教育委員会としても重要な課題と認識しており、地域を代表する産業界と意見を交わすとともに、関係する知事部局と業種ごとの課題や将来の見通し等も共有しながら、地域を支える若者を育む拠点としての新たな高校づくりを推進してまいりたいと考えております。  信州教育の大きな岐路である高校改革についてでございます。  これまでの学校教育は、知識、技能の習得に重きが置かれ、同一教室、同一内容、同一進度による一斉一様の学びが中心となっていました。これからの未来予測が困難な時代を生きる生徒には、自ら問いを見いだし、仲間と協働し、新たな価値を創造する学びが重要であると考えます。そのために、生徒一人一人の発達特性や発達段階に応じて学ぶ個別最適な学びと、生徒同士のみならず外部人材や地域の方など多様な他者と共に学ぶ協働的な学びの一体的な充実が必要不可欠であります。  例えば、高校生や教員と地域住民が、共に学び、共に地域社会をつくる共学共創コンソーシアムを組織し、探究的な学びの推進による数々の実体験を通して、地域を深く理解し、地域に愛着を持つ生徒を育てていきたいと考えているところです。  議員御指摘のとおり、信州教育は今まさに大きな岐路に立っていると認識しております。幼保小中高一貫した学びを、知識、技能の習得に偏った一斉一律のものから、体験や経験を積み重ねながら探究し続ける中で、知識や技能、思考力、判断力等を身につけ、他者と協働しながら自分だけの知の体系を構築していくものに転換してまいりたいと考えています。  以上でございます。       〔48番宮澤敏文君登壇〕 ◆48番(宮澤敏文 君) 高校の出口は大学ではありません。大学を出た後、社会人となるわけであります。社会に出て、先ほど教育長がおっしゃられた問題がそれぞれのところへかぶさってくるわけであります。高校改革はそこを含めてあるべきだと私は思っております。私の考え方は、子供たちは人の宝、「人財」であります。そんな見方で今日は質問をさせていただきました。  学校再編に伴う予算づけは知事部局であります。今までの教育長とのやり取りをお聞きになられ、今後教育委員会が独自性と将来性を踏まえた長野県独自の教育体制をしこうとするには、知事部局の連携と支援が何より大切だと思います。  本県の最低賃金は908円であります。知事が先日訪問されたオーストラリアは2,000円であります。働く人がいない、人手不足の問題は、今後の日本の大きな課題になる気がいたします。確実な県土づくりを目指す本県で人づくりと働き手の確保は最も大切な課題だと思いますが、今までのやり取りを踏まえ、知事のお考えをお聞きいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 人づくりと働き手の確保は最も重要な課題だと考えるが、今のやり取りを聞いてどう受け止めているかという御質問であります。  人づくりと働き手の確保、これは、宮澤議員が御指摘のとおり、最も重要な課題だというふうに思っております。最も重要と言うのもちょっと軽過ぎるぐらいで、地域、そして長野県の将来を大きく左右する重要なテーマだというふうに思っています。そういう意味では、この部分は新しい総合計画の中でもしっかり対応していかなければいけないというふうに思っています。  まず人づくり、学びですけれども、私も画一的な教育からもっと多様な教育にしていかなければいけないというふうに思っております。また、これからは学びの充実こそが人を引きつける磁力になる。人を引きつけるのは、どれだけ学びが充実しているかということと言っても過言ではないのではないかと思っています。  実際、風越学園や大日向小学校・中学校、こうしたところに子供を通わせたいということで移住してくる方も多いわけでありますので、そういう意味では学びの魅力をどう高めるかということは地域の魅力の向上にも確実に資するものだというふうに思っております。  また、今、県民対話を行わせていただいております。まだ一部の市町村を回っただけでありますけれども、教育問題、人づくり問題、地域が設定したテーマでなくても、ほとんどの地域でこの問題は出てきます。それだけ県民の方々や事業者の皆様方の関心が強い分野だというふうに思っています。  もっと学びの場の選択肢を増やしてほしいといったような問題、特に中山間地の学校においては教員の配置の在り方を考えてほしいと。また、発達障がいをはじめ様々な困難を抱えている子供たちを支援する意味で、地域と学校との連携をもっと強化してもらいたいというふうに言われます。  これは、まさに私だけでは解決できません。教育委員会との連携、そして、義務の部分は市町村長、市町村教育委員会との連携が必要だというふうに思っております。こうした問題は、関係機関と共有して、そして多くの皆さんの声をしっかり聴く中で改善、改革をしていかなければいけないというふうに思っております。  一つは、私としては、まずは宮澤議員御指摘のとおり、市町村も含めた教育委員会とのさらなる連携、問題意識の共有と方向性の共有が必要だというふうに思っております。  そして、二つ目は、今、人づくり、働き手の確保、大きな変革が求められているというふうに思っています。私は、対話をするたびに、地域の皆さんからもっと声を上げてくださいというお話をさせていただいています。ぜひ地域の皆さんとの連携協働をと。  そして、私も、それから内堀教育長をはじめとする教育委員会も、執行機関であります。県議会の皆様方からもどんどん御提案いただいて、住民の皆さんの代表である県議会の皆様方と一緒にこの大きな教育の改革、人づくりの改革について取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  特に、御指摘いただいた高校改革につきましては、私から教育委員会には、単なる統合・再編ということではなく、ぜひ将来に向けて多くの人たちが希望を持てるようにしてもらいたい。また、学校、高校教育の学びにしっかり特色を持つようにしてもらいたいということを申し上げてきております。これは、私が県民の皆さんと対話をして感じていることでもあります。まさに県民の皆様方の期待であり願いだろうというふうに思っております。  いろいろ難しい課題はありますけれども、ぜひ教育委員会ともしっかり連携して、子供たちにとっても、地域にとっても、そして長野県の産業の発展にとっても望ましい形の高校改革を行っていきたいというふうに思います。  この問題は、教育委員会が主管している事項でありますけれども、御指摘いただいたように、予算をはじめとして、また、県民の代表者として、私自身も深くコミットしていかなければいけない重要な課題だというふうに思っております。これからも県議会の皆様方と十分意思疎通を図らせていただきながら、この改革に向けて教育委員会と一体となって取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上です。       〔48番宮澤敏文君登壇〕 ◆48番(宮澤敏文 君) 知事の答弁に敬意を申し上げます。  また、教育長をはじめ教育委員会の先生方はみんな真面目です。真面目過ぎるくらい真面目です。どうか大きく踏み出していただきたい。そのような内堀先生の決意だと受け止めさせていただきまして、全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、清沢英男議員。       〔45番清沢英男君登壇〕 ◆45番(清沢英男 君) 初めに、松本市新村交差点改良について伺います。  新村交差点は、国道158号線と県道松本環状高家線が松本市新村地区で平面交差する信号つきの交差点で、交通量は県道だけでも1日に1万7,700台と膨大であるため、慢性的渋滞を余儀なくされています。その要因として、交差点の直近に上高地線の新村駅と鉄道平面踏切、それに連動する信号機があるため、朝夕に至ってはさらにその渋滞がひどくなるという車泣かせの交差点であります。  さらに、付近は中部縦貫道の松本波田道路が建設予定で、仮称新村インターチェンジも設けられる計画です。よって、全体としては、交差点の渋滞緩和はもとより、道路による住民の皆さんの生活変化を伴う抜本的改良が求められています。  過日、私は地元の皆さんと共に松本建設事務所に要望活動を実施いたしました。  建設部長に伺います。  1点目。令和元年、関係地区に事業の進め方や目的、必要性などとともにルート案について説明会が行われましたが、その後、今日にかけて地元町会の分断回避要望を受けるなど、地元との話合いや変更が続けられてきました。そこで、現在のルート案として落ち着きつつある計画につきその概要をお聞かせいただきます。  2点目。建設事務所への要望項目の中には、農政関係や国、松本市との調和、例えば残存農地の形や市道に設けられるボックスカルバートに大型農業機械を通行可能にしてほしいなど農業者には切実な部分も見受けられましたが、こういう調整を、建設部としてリーダーシップを発揮し、誠実に対応していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。  3点目。新村バイパスの工事は松本圏域でも大型の事業となりますが、予算規模のもくろみや工期はいかほどか。予想で結構ですので概略をお聞かせいただきたいことと、地元経済効果に貢献できるものにしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。  4点目。一つには、現ルート案には直接関係していませんが、将来的には隣接する倭橋改良も視野に入ってくると考えます。二つには、新村の隣の波田地区から、波田の渋滞対策道路から中部縦貫道の波田インター付近を経て東の新村方向に向かう先線、この新設が長いこと望まれています。新村バイパスが着工または完了した暁には、さらにその期待が膨らむと思います。その辺の要望を建設部としてどう将来構想にして対処していくのか、あるいは、素々案をお持ちなのか、伺います。  続いて、花卉振興について伺います。  美しい信州の花についてですが、農政部事業、また、予算の中に占めるウエートに疑問を呈する花卉生産者の皆さんがおられます。農政部のホームページを開くと、「知ってる?信州農産物」との問いかけがあり、米、ソバ、リンゴ、ブドウ、レタスをはじめ9品目が並びますが、花は出てきません。  今年度の農政部事業体系に花という文字は見つかりませんが、園芸産地生産力強化事業という1行が見つかります。そこで、農政部主要事業に入っていくと、農業競争力の強化事業費の中に、果樹全般と並んで、一つだけ、花卉の温暖化による高温対策に冷房設備導入への支援事業費が盛られていますが、果樹関係と合わせて14億円余、昨年比1割落ちの予算で、花卉の支援費が見えていません。果樹については、戦略品種の栽培面積を20年比で300ヘクタールほど拡大すると明記されていますが、これを見た花卉生産者が、花にももっと県のウエートをかけてほしいと思うのは無理からぬことだと思うのです。  農政部長に伺います。  1点目。農政部の令和3年花き振興方針を見ると、切り花の産出額は、この10年でおよそ16億円減少し、91億円余となっています。栽培面積は15%減少、生産量も20%減少している現状が示されています。トルコギキョウやカーネーションをはじめ4品目が全国1位の生産量を誇る中で、切り花全体としては減少傾向にある要因は何か。温暖化はどこでもどの花も同じですから、それ以外の御説明をお聞きします。  2点目は、その対策につき、松本市のカーネーション生産者は3分の1に減ってしまうとの予想もありますが、花卉振興の支援策をどのように考え予算配分に生かそうとしているか。お尋ねいたします。  3点目。燃油や資材、電気料の価格高騰の中で、花卉生産者への支援について、パイプハウスへの支援、また、パイプから鉄骨に切り替えようとする生産者に対する県の支援策、それぞれにつき伺います。  4点目。花の栽培技術も日進月歩だといいます。長野県の気候が花にとって優れているとはいえ、国の支援だけでは味つけしない料理と同じであって、県の支援策がスパイスとなって初めておいしくなる。よって、県独自の花卉振興予算を渇望している生産者がいることを理解してほしいとのことにどのように応じていくかお聞かせいただきます。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には4点御質問をいただきました。  まず、松本市新村交差点改良の計画概要に関するお尋ねでございます。  御質問の交差点は、国道158号と県道松本環状高家線の幹線道路が交わる交差点であり、交通量が非常に多く、南側には上高地線の踏切もあることから、慢性的な渋滞が発生するなど早期の対策が必要な区間であると認識しております。  現在、中部縦貫自動車道松本波田道路の整備が進捗していることから、県としましては、これに併せて、県道の蘇我交差点から倭橋南交差点までの区間についてバイパス計画を策定している段階であります。地元に対しては、本年5月から6月にかけて関係地区への説明会を実施しており、7月には新村、和田両地区の関係住民の皆様に回覧による周知を行ってきたところです。現在は計画区間の現地測量を実施中であり、これに引き続き予備設計を予定していることから、今後、地域の皆様と合意形成を図りながら早期の事業着手に向けて取り組んでまいります。  次に、計画箇所に係る農政関係の調整に関するお尋ねでございます。  当バイパスの計画は多くの優良農地に関係することから、概略ルートの設計に当たっては、農地の整形に極力配慮しつつ、道路の構造を検討してまいりました。今後も、詳細な道路設計を進めていく中で、地域の皆様の御意見をお聞きしながら、地元地区や松本市の農政部局などと協力し、営農への影響が極力軽減されるよう対応してまいります。  次に、工事の予算規模と工期の概略及び地元の経済効果への貢献に関するお尋ねでございます。  当計画では、約1.9キロメートルのバイパスを検討しており、多額の事業費が見込まれるため、国庫補助事業の活用による対応を考えてまいります。工期につきましては、関連する松本波田道路の供用に間に合うよう早期の事業着手を目指してまいります。  地元の経済効果への貢献につきましては、このバイパスの供用により、課題である渋滞が緩和されるほか、松本波田道路へ直結する道路としても機能を発揮することにより、地域内外へのアクセスが飛躍的に向上します。流通や観光地へのアクセスなど円滑な交通が確保されることにより地域振興のきっかけとなることが期待できることから、松本市とも連携して計画を進めてまいります。  最後に、隣接する倭橋改良と波田の渋滞対策道路の先線に関するお尋ねでございます。  倭橋の交差点につきましては、新村バイパスの計画により交差点形状に変化が生じてくるため、今後具体的に調査を進め、交差点の構造について検討してまいります。  また、波田の渋滞対策道路から新村方向に向かう先線の整備につきましては、国道158号の渋滞解消に寄与するものであることから、松本波田道路及び新村バイパスの完成供用後の交通状況を勘案しつつ、必要な対策について検討していきたいと考えています。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君) 私には花卉振興につきまして4点御質問をいただきました。  初めに、花卉生産量の減少要因についてでございます。  花は、食料ではなく、嗜好品のため、その消費は景気などの社会経済の動向の影響を受けやすく、生産量も経済情勢に応じて変動していると認識しております。とりわけ直近10年を見ますと、不景気による所得の低迷や新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により消費者の花の購入量が減少していることから、花農家が野菜に品目転換するなど、担い手も減り、作付面積、生産量とも減少傾向となっております。加えて、本県の花生産は、古くからの産地が多いため、連作による土壌病害の発生が増加していることから、面積当たりの収量減少など様々な複合的要因があり、生産が低下していると考えております。  次に、花卉振興の支援策の考えと予算配分についてでございます。  花の生産と消費が減少する中、花卉振興の支援策は、生産基盤の維持と花の需要を喚起する消費拡大の二つの観点での支援が重要であると認識しています。  生産基盤の維持には、集荷場やハウスなどの施設整備、稼げる品目の種苗導入の支援を行い、消費拡大には花の購入が少ない若年層を対象とした花育や消費者に花のある暮らしや花文化の情報発信を行っているところです。  予算配分については、今般の社会経済の低迷により、切り花のマーケット需要が高まりにくいことを受けて、野菜や果樹に比べ事業要望が少なく、花の事業予算は減少している状況です。今後は、生花店やフラワーデザイナー協会と連携し、医療や福祉施設、観光業界などに幅広く働きかけ、花の新規需要を掘り起こすとともに、新型コロナウイルス感染症から回復しつつある海外の富裕層に向けた輸出に力点を置いた支援策を検討してまいります。  次に、ハウスの整備支援についてでございますが、パイプハウスの支援は県単独事業の信州農業生産力強化対策事業により、3戸以上のグループによる申請であれば補助率2分の1以内で支援するメニューがあり、これまで多くの花産地で活用されています。一方、高額な事業費となる鉄骨ハウスの支援は、国の産地生産基盤パワーアップ事業やスーパーL資金などの融資制度を活用するなど、事業規模に応じ、国と県の事業を組み合わせ、支援しているところです。  最後に、県独自の花卉振興予算についてでございますが、花農家の経営を下支えするため、カーネーションなど主要6品目については、市場価格の下落時に補填金を交付する特産花き生産出荷安定資金造成事業を全国に先駆けて創設し、1,163戸の農家が活用しているところです。  また、燃油価格高騰対策として、ヒートポンプなど省エネルギー設備の導入を支援する県独自の緊急対策事業を6月と9月の補正予算で措置し、85戸の花農家が活用し、11ヘクタールの花の施設に省エネ機器が整備されているところです。加えて、試験研究においても、マーケットが欲しい時期に出荷できる開花調節技術や年間を通じた長期出荷作型の開発などに取り組んでおります。  今後とも、花農家の要望を十分にお聞きしながら、国の事業も活用しつつ、県の事業との相乗効果が最大限生かせる事業展開を行い、切り花の生産基盤の維持と花の振興を図ってまいります。  以上でございます。       〔45番清沢英男君登壇〕 ◆45番(清沢英男 君) 次に、介護や薬不足の問題について伺います。  過日、私は、在宅介護を続けている方から現状の問題についてお話を聞くことができました。この方は、102歳のお母さんの介護をもう何年も続けておられる70歳代の人で、週に1日3時間だけお風呂の施設利用をするほかは付きっきりで、家族の協力を得つつ、足が悪くて寝たままの母親に話しかけ、笑い合い、介護できる幸せを感じて過ごしているといいます。ですから、100歳を超えてもお母さんは頭はしっかりしていて、社会問題にも、また、70を超えて介護をする子供さんの相談にもきちんと応じておられるそうです。  そんな中、最近困っていることが生じているというのです。これまで使っていた薬がない。例えばたんを取る薬ですが、往診の医師にそう言われたとのことです。また、コロナ感染症が不安でも、病院まで出かけることが易しくないので、抗原定性検査キットを手に入れようとしても、高価であり、購入をちゅうちょしてしまうこと等をお聞かせいただきました。
     健康福祉部長に伺います。  1点目。ジェネリック医薬品メーカーの不正やコロナ感染症の蔓延に端を発する薬がないという事態につき、日常的に服用していた薬がなく、変更を余儀なくされるも、自分には合わないという多くの方や、在宅介護などで困っている人たちへの支援をしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。  2点目。抗原検査キットは、無料で配付される皆さんがいます。小学生から65歳の方で医療機関を受診しない有症状の人、世帯全員が住民税非課税の人、就学援助認定を受けている小中学生です。思うことは、介護施設や保育現場で働く人、教師などクラスターが発生しやすい場所で不安と闘っている人たち、さらに、さきに申し上げた在宅介護を受ける超高齢者の方々に対して、無料ならなお結構ですが、抗原検査キットの購入補助をすべきと考えますが、どうか。  また、安価なキットは信用できないという話もありますけれども、それは本当なのでしょうか。本当とすれば、それを求めざるを得ない人に配慮し、なおのこと安心できるキットの補助をすべきで、それらにつきお考えをお聞かせいただきます。  次に、観光事業振興について伺います。  コロナ感染症陽性者数が驚異的に上昇し、第8波となって襲来していますが、県は、医療非常事態を宣言し、いま一度慎重な予防策の徹底をお願いする一方、当面は、政府同様に県民の皆さんに行動制限をかけることなく医療と経済を同時に動かしていくことを選択いたしました。  医療従事者の皆さんには、過酷な状況に対処していただいていることに感謝と敬意を表しますが、同時に、また、長く続くコロナ禍に長野県経済は逼迫して瀕死の状況が続き、まさに県民の皆さんを挙げてウィズコロナとの闘いに挑む時代であると考えます。  観光立県である県内の観光事業者の皆さんは、GoTo事業も中途で断念せざるを得ず、それでも第7波の沈静化で始まった全国旅行支援に息を吹き返したところですが、第8波の兆候で、これも旅行する人の自主規制もあり、気持ちの晴れ渡る状況ではなく、一抹の不安と闘いながらも笑顔でおもてなしを続けていただいていますが、殊に町なかでの年末年始予約数は落ち込みを余儀なくされています。  今必要なのは、アフターコロナを見据えて我が県の観光を再び力強く立ち上がらせる県としての具体的な再興策を提示することであります。もって、長野県経済を牽引する原動力になっていただくことは県政の大きな課題でもあります。  知事は、今年の知事選での121の公約中に、観光プロモーションや観光地域づくりをさらに充実・強化するための特定財源として観光客に税負担を求めることを研究するという新たな観光振興財源を盛り、その再興に向けて一つの道筋を決意しておられます。  観光部長に伺います。  1点目。なぜこれまでの税源では不足で県として新たな観光振興財源を求めねばならないのか。その理由を明確に示していただきたい。  2点目は、知事公約に沿って観光部として当該新税の研究が進められていると推測しますが、その財源を充当すべき事業内容について、観光事業者の希望の光となり得るものなのか、あるいは負担を伴うものなのか等につき現状のお考えを御説明いただきたいと存じます。  3点目。新税の先行事例があればお聞かせいただき、税の性格、例えば法定外目的税とするなどのことですが、いかがでしょうか。さらには、それに沿った条例設置をすべきとするお考えかどうか、それらをお尋ねいたします。  4点目は、市町村との関係についてですが、例えば市町村の貴重な自主財源である入湯税との役割分担につきどう理解を得ていかれるのか。十分な説明が必要と思われますが、いかがでしょうか。  5点目。私は、過日、松本市の観光事業者団体の責任ある立場の皆さんから新税について御意見を聞かせていただく機会を得ましたが、その中で、一つ、新税は旅行代理店が発行するクーポンには含まれないようしてほしいこと。仮に含まれれば、宿泊料金の値上げとなってしまうので、それは避け、税として明確にお客様に提示し、旅館やホテルのフロントでお支払いいただくようにすべきで、客側もその方が抵抗なく気持ちよく応じてくださると言います。  二つ。全国チェーンの宿泊業者は、地元の組合費等は支払うことなく東京本店に持っていってしまっているので、税について地元業者同様一律にお客様から取るようにしてほしいことで、そのように税の公平性を隠してしまうおそれがないように、県としても細部について初めから事業者や多くの意見を聴取してほしいと言います。  三つ。山岳県信州への来訪者の期待は、登山道やトイレが風景同様に爽やかな気持ちにしてくれることで、山小屋をはじめ宿泊業の皆さんの懸命な努力は続けられているものの、十分とは言えない現状を、入山税で環境を整えるべきという話も関係者から出ている中ですが、新税の充当先に係る山岳インフラ整備を考えてしかるべきとの意見もありました。  よって、これらの意見を参考にしていただきたいことと、新税の詳細を検討すべき会議体はどの辺まで進捗しておられ、今後の展開についてはどうなのかをお聞かせいただきます。  次に、松本市内の宿泊事業者がまつもとエコ旅宣言というプラスチックごみになるアメニティーグッズを減らす持続可能な観光スタイルを発信しました。これが県内のスタンダードとなるように県としてPRに協力してほしいと考えますが、どうでしょうか。  知事に伺います。  一つ。知事は去る10月29日から11月3日にかけてオーストラリアを訪れ、同行された同国と関係の深い町村長ほかの職員、県議の皆さんと観光プロモーション活動を行いました。その成果につき概要をお聞かせいただきます。  二つ。県内の腕に自信のある料理人の皆さんは、長野県版ミシュランガイドが発行されるのを待ち望んでいるとの調査もあります。既に県別に発行されているものもあり、長野県からのオファーが必要なときに至っていると考えますが、いかがでしょうか。  同時にまた、信州を訪れる観光客の皆さんが参考にできるよう、酒やみそ、おやきにとうじそば、昆虫食をはじめ、県内各地域が誇りとするおいしくて珍しい食事、食品についても積極的な情報発信をすべきで、例えば県独自の星ならぬコマクサ印をつけて紹介する観光本を出すなども提案したいと思いますが、どうでしょうか。  三つ。これからの観光をこれまでとは大きく変えようとする動きがあると仄聞します。インバウンドも含め、入客の数の多さよりも高付加価値化を目指そうというものです。働く人も少なくなってくる中で、安価で1人でも多くの人に来てほしいと願うよりも、付加価値を加えておもてなしに生かし、それに見合う料金をいただくことで、結果、地域全体が潤うようにすることが持続可能な観光の在り方ではないかとの考え方です。  観光庁もこの考え方に力を入れており、沖縄、北海道だけでなく、全国で10の地域を選定して応援すると言います。その地域に松本・高山が一帯として声を上げ、申請も有力とのこと。ついては、観光庁長官や関係の皆さんによりシンポジウムが松本市で開催されるとのことです。こういう未来志向の観光について県としてどう関わっていかれるか、御所見を伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 私には2点御質問を頂戴いたしました。  まず、不足している医薬品への対応等についての御質問でございます。  医薬品の不足が生じた最近の事例といたしましては、御質問の中にもございましたとおり、まず、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬が一時品薄になるという状況がございました。また、後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品メーカーの不祥事に伴う業務停止処分などによりまして、たんを切る薬やその他の医薬品の一部がやはり品薄になったという状況がございました。県といたしましては、こうした状況が生じた場合には、卸業者等に調査を行い、実態を把握するとともに、供給量の確保や偏在が起こらないよう関係団体及び医療機関等に協力依頼をするなどの対策を講じ、適正な流通になるよう努めてきたところでございます。  また、患者さんが服用している薬の変更等が生じた場合など困っておられる事例についてのお話がございましたが、やはり患者さんが薬剤師に気軽に相談できることが重要であると考えております。かかりつけ薬剤師・薬局の推進を図るとともに、不安の解消や疑問の解決につながるよう関係団体と協力いたしまして、より丁寧に説明できる体制づくりを進めてまいります。  次に、抗原定性検査キットについての御質問でございます。  本県では、重症化リスクのある高齢者等を守るため、第7波におきまして検査キット約19万個を施設に配付するとともに、感染警戒レベル4以上の地域においては高齢者施設等の従事者等を対象とした検査への補助を実施いたしました。  現在、季節性インフルエンザとの同時流行に備えまして、高齢者施設等に対して約81万個の検査キットの追加配付を進めております。また、医療機関に対しては約20万個を配付したところであり、外来逼迫時には有症状者に無料で配付する取組をお願いしております。こうした取組により、今後とも積極的な検査の実施を支援してまいります。  一方、保育現場や学校等においては、高齢者施設等に比べて重症化リスクの低い方が多いことから、国が示した実施手順に基づいて必要に応じて検査キットを購入していただいております。  また、安価なキットというお話がございましたが、市販されている検査キットのうち研究用につきましては、国が性能等を確認、承認したものではございませんので、県では国承認の検査キットを使用するよう呼びかけているところでございます。  なお、低所得者の方に対しては、住民税非課税世帯の方など必要と認められる方に無償で配付しておりまして、また、感染の不安を感じる方に対しては薬局等での無料検査も継続しているところでございます。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君) 私には大きく6点の御質問をいただいております。  まず、新たな観光振興財源を求める理由でございます。  本県が目指す世界水準の山岳高原観光地づくりを実現するためには、受入れ環境のさらなる整備など将来にわたって選ばれる観光地域づくりを推進していくことが重要と認識しております。  一方で、本年10月の令和5年度の一般会計の財政見通しによると、社会保障関係費等の増加により、一定の仮定の下ではございますが、108億円を超える歳入不足が見込まれるなど、県財政は厳しい状況が続いております。このため、受益者である観光客の皆様に一定の負担をいただくことなど、従来の県税や補助金だけに頼らない持続的、安定的な観光振興財源を研究する必要があると考えているところでございます。  次に、新税の現状の考え方でございます。  これまで、観光振興財源確保の先行事例について、ヒアリング等によりその検討経過等を調査するとともに、市町村やDMOとも意見交換を実施してまいりました。また、10月には観光戦略推進本部に観光振興財源検討プロジェクトチームを設置し、税や財源の使途や事業の必要性、また、税とした場合はその課税客体、対象となる行動等や徴収方法、市町村との役割分担など庁内検討を開始したところでございます。  これまでの庁内検討では、インバウンドの受入れに向けた環境整備、オーバーツーリズムへの対応、観光地や宿泊施設等の高付加価値化など他県での活用事例を踏まえ、現下の県内観光における様々な課題に対応できるよう財源の使途などについて研究を深めているところでございます。  次に、新税の先行事例、税の性質、条例設置の考え方でございます。  観光客等に対して税負担を求める事例としては、市町村税における入湯税があるほか、他の地域においては、宿泊行為に対し税負担を求める宿泊税や、沖縄県の島嶼部、島等におきます入域行為に税負担を求める入域税等がございます。  これらの税は、地方税法に定めのある入湯税のほかは、使途に定めのない法定外普通税または特定の目的に充てるための法定外目的税がございます。仮に、議員御指摘の法定外目的税ということであれば、自治体が条例で税の内容を定めた上で総務大臣への協議が必要となってまいります。  次に、入湯税との役割分担でございます。  ただいま申し上げたとおり、入湯税は地方税法で定められた市町村の法定目的税として令和2年度には県内61市町村で徴収実績があり、温泉の泉源管理や観光施設の整備に活用されております。なお、先行県の事例においては入湯税と宿泊税が併存している事例もあることから、税の研究に当たっては、入湯税を徴収している市町村とも意見交換を行ってまいります。  関係者の意見聴取、新税を検討する会議体の進捗と今後の展開でございます。  現在、プロジェクトチームにおいて、税の使途や徴収方法、徴収経費等について研究を行っているところであり、今年度末を目途に取りまとめを行ってまいりたいと考えております。  税議論の検討に当たっては、観光産業がコロナ禍や物価高騰の影響により厳しい状況にあることから、議員からお話があった点も含め、市町村や事業者等幅広く関係者の御意見をお聞きしながら慎重に進めてまいります。  最後に、まつもとエコ旅宣言へのPR協力の御質問でございます。  旅行者にも協力を求めながら環境を意識した持続可能な観光を地域一帯で進めていく取組は、アフターコロナ時代に選ばれる観光地として非常に重要な視点であると認識しております。こうした取組は、環境部が行っている信州プラスチックスマート運動協力事業者の登録制度なども活用いただきながら、優良事例として情報発信を進めることもできると考えておりますし、また、あらゆる機会を通じて観光関係者とも共有を図りながらPRし、県内の観光地にも広めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には観光振興に関連して4点御質問をいただきました。  まず、オーストラリア訪問の観光プロモーションの成果という御質問であります。  今回の訪問は、この冬のインバウンド需要を獲得するため、現地の旅行会社等を集めた観光セミナーを開催しました。また、オーストラリア政府観光局、JNTOシドニー事務所、日本旅行オーストラリア、JTBオーストラリア等観光関係機関を訪問させていただいたところであります。  観光セミナーにおきましては、温泉、自然など本県ならではのコンテンツの紹介、そして、インバウンドが途絶えている間もスノーリゾートの環境整備を行ってきているといったようなことをアピールさせていただきました。セミナー参加者からは、長野県への関心が高まった。長野県を対象とした新たな旅行商品を造成していきたいといったような御回答をいただいております。その後、参加いただいた旅行会社に追加的な情報提供を行い、また、相談にも対応させていただいているところであり、具体的なインバウンド客の獲得に向けた取組を進めているところであります。  また、関係機関への訪問に関連しては、日本政府観光局シドニー事務所との間では、冬期以外も含めたグリーンシーズン誘客に向けて相互に協力していくということを確認させていただきましたし、JTBオーストラリアとの間では、日本への教育旅行需要の高まりを受けて、本県への教育旅行誘致に向けて取組を進めていくということで合意するなど、今後に向けた協力関係を関係方面と構築することができたというふうに考えております。  続きまして、長野県版ミシュランガイドの発行についてという御質問であります。  県産食材のPRレセプション、あるいはワインツーリズムの視察をオーストラリア訪問でも行わせていただきました。やはり観光の大きな素材として食というものは非常に重要だというふうに考えております。  オーストラリア訪問の際一緒に行っていただいた方からも、このミシュランガイドのことが話題になりましたので、帰国後、早速長野県版ミシュランガイドの必要性を検討するよう担当部局に指示をさせていただいたところであります。しかし、発行元の日本ミシュランタイヤから聞き取ったところ、東京版、京都・大阪版以外は特別版という形で発行しているようでありますが、フランス本部の方針でこの特別版を新たに発行する予定はないということでありました。  ただ、日本ミシュランタイヤでは、地方にも良い店が多いので、例えば日本版のような形での発行の可能性について模索したいというふうに伺っております。引き続き日本ミシュランタイヤと情報共有をしながら、県内の食の魅力の発信方法について必要な提案、要望を行っていきたいというふうに考えております。  続きまして、地域のおいしくて珍しい食事、食品の積極的な情報発信についてという御質問でございます。  食は、重要な観光コンテンツだというふうに思っております。本県ならではの食のアピールとして幾つか取り組んでおります。まず、県の公式観光サイト「Go NAGANO」において地域の名物、食文化を紹介させていただいております。また、ワイン、発酵・長寿、おいしい信州ふーどなどそれぞれ発信させていただいておりますけれども、こうした中でも多彩な食の発信を行わせていただいております。さらには、食に本県の強みである温泉を加えたONSEN・ガストロノミーツーリズムを市町村と連携して推進しております。こうした取組をさらに充実していきたいというふうに思っております。  また、今年度の信州観光復興元年のキャンペーンにおきましては、信州の食文化や風土が丁寧に描かれた映画「土を喰らう十二ヵ月」とコラボレーションさせていただき、旬の山菜や発酵食などこだわりの上質な食でもてなす料理店や宿をまとめたタブロイド紙を映画館などで配布するほか、食や日本文化の専門誌におきまして特集記事を掲載していただくなど、全国に広く発信しているところであります。  引き続きサイトや雑誌等の読者の嗜好や本県の食に求めるニーズを的確に把握し、発信ツールやコンテンツの工夫、充実など食に関するプロモーションを強化していきたいと考えております。  最後に、松本、高山の高付加価値な観光地づくりにどう関わるかという御質問でございます。  松本市と高山市が主体となり、中部山岳国立公園をまたぐ両地域の間を結び、多彩で上質な体験と滞在ができる魅力的な観光ルートを創出する松本高山ビッグブリッジ構想が推進されております。県としても、観光消費額の高い方々をお迎えするということは大変重要だというふうに考えております。アドベンチャーツーリズムの充実をはじめ、観光地の高付加価値化を進めていく必要があるというふうに思います。こうした観点から、このビッグブリッジ構想の検討段階から本県もプロジェクトチームに参画しているところであります。  このビッグブリッジ構想の推進に関連して、10月に松本市でナショナルパーク・サミットが開催されましたが、私も参加させていただき、自然公園に関する長野県としての取組についてプレゼンをさせていただきました。また、松本・高山両地域が一体となって体験型の観光地づくりを進める松本・高山高付加価値な観光地づくり推進協議会に県としてもオブザーバーとして参加するなど、この構想の実現に向けて積極的に参画しているところであります。  こうした取組は、本県が目指す世界水準の山岳高原観光地づくりにつながるものだというふうに考えております。今後とも、関係者と連携して、上質な受入れ環境の整備、そしてホスピタリティーの向上、さらには、国立公園を生かした取組でありますので、自然保護と利用の好循環を目指していきたいというふうに思います。  また、こうしたことを通じて、当該地域全体の持続可能な地域づくりにもつなげていきたいというふうに考えております。また、両地域を結ぶ重要な幹線道路としての中部縦貫自動車道の整備促進にも取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔45番清沢英男君登壇〕 ◆45番(清沢英男 君) 健康福祉部長に再質問いたします。  検査キットの話ですが、一つには、在宅介護で寝ている方は病院まで行くのが難しいということでありますから、検査キットを安価でやったらどうかということが一つ。それから、安いキットは不安だとするならば、それを求めなければいけない人たちがいるわけです。その人たちに対して、やはり県としては信用できるものの補助ということを考えたらどうか。ここが答弁が落ちています。  それから、ミシュランガイドの話ですが、フランスのタイヤメーカーのミシュラン兄弟が始めた頃には、ドライブするところでおいしいレストランを紹介するということでした。日本版を今度出すということですが、私は、反骨精神を持って、地方から、地方の独自の、自分の国、県のそういう観光に関する本を出していくことがいいのではないかと思いまして、質問を終わります。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 検査キットの問題につきまして再質問をいただいております。  まず、キットの無料配付につきましては、先ほど申し上げたように、様々な形のものを進めております。いずれかのところにアクセスをいただいてキットを入手いただける状況になるとすれば、あるいは無料検査もございますので、そうしたものを御活用いただければというふうに考えております。  それから、安いキットにつきましては、やはり先ほど申し上げた低所得者対策としての無料配布というものも行っております。こうしたことでの対応を求めてまいりたいと思っております。  それから、在宅の高齢者につきましては、とりわけ症状が生じた場合には、キットの入手もさることながら、やはり医療機関の受診をまず急いでいただくことが必要だというふうに思っております。重症化リスクの高い方、特に要介護高齢者、いわゆる虚弱の状況にある方が多いと思っておりますので、そうしたこともぜひとも御検討いただければと考えております。  以上でございます。 ○議長(丸山栄一 君) この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時49分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(髙島陽子 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  埋橋茂人議員。       〔24番埋橋茂人君登壇〕 ◆24番(埋橋茂人 君) 改革・創造みらいの埋橋茂人です。今日は、私は主に大きな点で四つ質問をいたします。  最初の一つ目です。物価高騰対策について伺います。  岸田首相が就任時に表明された基本政策の「新しい資本主義」は、格差が非常に拡大してしまったそれまでの経済政策を、岸田派の源流である池田内閣の所得倍増政策に倣った分配重視の政策に転換するものとして大いに期待していました。しかし、現実は、コロナ禍に加えて、ロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の激変等、非常事態のゆえもあるとはいえ、NISAの拡大に象徴されるように、所得増加政策から資産増加政策に転換してしまい、従来の政策と代わり映えのしないものになっていると言わざるを得ません。  現状は、市場による価格形成機能と需給調整機能が働いている経済とは言い難いほど、コロナ禍の中、補正予算等で、膨大な物価高騰対策として様々な施策が講じられています。一定の効果はあるものの、ビフォーアフターが明確でないびほう策で、抜本的な対策になっていないとの声も様々のところから伺っています。  そんな中、さらにおよそ29兆円にも及ぶ政府の補正予算案が示されています。今回の異常な物価高騰は様々なところに深刻な影響を与えていますので、幾つか質問をいたします。農業分野は改めて質問いたしますので、農業分野以外で御回答願います。
     一つ目、今までの物価高騰対策の内容と効果はどのようなものか。二つ目、先ほど申し上げましたように、今後未来に向けた取組が必要だと考えますが、所見はいかがですか。以上を伊藤産業政策監に伺います。  三つ目です。物価上昇に賃金が追いつかない状況が続いています。対応策と知事会等を通じて国へ要望すべきことは何ですか。特に、中小企業が圧倒的に多い長野県において、賃上げと生産性の向上をパラレルに実現していくことが重要と思いますが、いかがですか。以上を林産業労働部長に伺います。  四つ目を申し上げます。現場の事例として、物価高騰が信州こども食堂、こどもカフェの運営に大きなマイナスの影響を与えています。9月県会で県も支援策を示され、関係者は評価しています。しかし、民間の力だけでは人員の確保や資金面、また物資の調達等が難しくなっています。現場での臨機応変な対応が必要なこともあり、民間主体を維持しつつ支援を拡大すべきと考えますが、いかがですか。以上を野中こども若者局長に伺います。  大きな二つ目です。農業問題について質問します。  国の肥料、飼料、燃料、資材対策に加えて、長野県の特産品である栽培キノコの資材にも県単独の対策が講じられ、大変感謝されています。しかし、農産物価格は9月県会一般質問で私が申し上げたとおり、市場の需給関係で決定され、価格転嫁は困難です。  フランスでは、2008年の世界規模の石油・穀物価格の高騰時に価格転嫁ができず、大規模な騒動に発展しました。2010年施行の農業近代化法において、農産物価格の乱高下を回避し、生産者に公正な報酬を与えるために特定分野、牛乳、ヤギ乳、生鮮果樹野菜分野での農業生産者と買手の販売契約を義務化しました。しかし、実際には、契約が進まず、また罰則もないために、実効性の確保が課題でした。  それを踏まえ、2018年に生産コストに基づく適正な価格形成を促す食の全般的な状況に関する法律、エガリム法1を施行しました。学校給食、老人ホーム、共同食堂に適用される法律です。食材の20%をオーガニックに、50%を高品質で持続可能な食材にしていくことが大きなポイントです。そのほかにも、プラスチック製品を使わない、廃棄物を少なくするなど、日本のみどりの食料戦略と同様に、環境視点の政策が多いことも特徴です。  しかし、この法律には強制力がないため、実効性が弱く、本年2022年1月に至って、農業生産者報酬保護法、エガリム法2を制定し、生産者が示した生産費に合わせた納入価格の形成を目指すこととなりました。  法の具体的な内容は、一つとして、農業生産者と取引相手との適正な商業関係、すなわち適切な付加価値の再分配による生産者への相応の収入の確保、不当廉売の禁止などです。二つ目、食品の品質、地産地消、これには産品の衛生面、環境面及び栄養面における条件の改善のほか、農薬使用の削減やフードロス対策も含まれます。三つ目は、動物福祉の強化です。四つ目が、健康に寄与し、信頼性及び持続性の高い産品の推進です。五つ目に、食料分野におけるプラスチック使用の減少が挙げられています。  法案の問題提起の根底には、フランスの小売業界は6社の大手スーパーが食品小売の90%以上のシェアを占める寡占市場となっており、小売の権限が非常に強く、生産者への価格低下圧力が常に働き、生産者が得るべき利益が減少しているとの認識があったとのことです。牛肉・豚肉部門に至っては、50%から70%が1社の大規模加工業者に寡占されています。  同法の最も重要なコンセプトは、サプライチェーンの川下の流通業者の数値をベースとして生産農家の所得を決定するのではなく、川上の農家の生産コストをベースとして流通業者に対する価格競争ロジックを逆転させることです。そのため、同法の作成過程において、サプライチェーンの全ての関係者との協議を重ね、コンセンサスを得ましたが、法律の施行後に必ずしも流通業者がルールに沿ってビジネスを行っているとは限らない実態があると言われています。  日本も大手スーパーマーケットの価格支配力はフランス同様強力で、同じ課題を抱えています。消費者の皆さんが安価なものを求めるのは当然のことですが、再生産価格を下回る生産は長続きせず、結果的に消費者にもマイナスの影響を与えることになります。  現に、物価の優等生だったモヤシや卵、牛乳の生産がコスト的に限界に達しています。また、専業農家ほど資材高騰の影響は大きく、地域を支えている専業農家からも廃業の動きが出てきています。国の農業政策に沿って規模拡大に励んだ結果がこれではたまりません。  そこで、小林農政部長に伺います。  一つ、これまでの農業関係の物価高騰対策の進捗と効果はどのような状況ですか。二つ、物価高騰対策については、一時的なものでなく、制度として整備することや、フランスのエガリム法のような再生産価格を維持する仕組みの検討を国に要望すべきと考えますが、いかがですか。       〔産業政策監伊藤一紀君登壇〕 ◎産業政策監(伊藤一紀 君) 物価高騰対策について2点のお尋ねです。  まず、今までの価格高騰緊急対策の内容と効果についてというお尋ねですけれども、事業の進捗を概観しますと、6月の第一弾は一部を除きまして完了あるいは実施中、9月の第二弾は実施中または準備中といった状況であります。  具体的には、生活者への支援として第一弾に掲げましたまいさぽを通じて食料やLED電球を含めた生活必需品等を支援する事業につきましては、8月から受付を開始しまして3か月で327件の配付となっております。  また、国の制度であります子育て世帯生活支援特別給付金、これは町村と連携して独り親世帯へ児童1人当たり5万円を支給するものですけれども、町村部でありますが、これも11月末現在2,341世帯、3,460人に支給しております。また、家計急変世帯などもこれからあると思いますので、その申請も呼びかけているところであります。  それから、第二弾に掲げました住民税所得割非課税世帯等を対象に、県独自に市町村を通じまして1世帯当たり3万円を支給いたします長野県生活困窮世帯緊急支援金につきましては、現在市町村において支給に向けた準備を進めているところです。  それから、食料支援体制の強化を目的としました食料支援調整センター、これはまだ仮称でありますけれども、早期開設に向けまして現在県社協と調整を進めているところであります。  また、第二弾では検討項目としておりました県営住宅の入居要件の緩和につきましては、今般の第三弾といたしまして今議会に条例改正案を提出することができたところであります。  また、事業者への支援につきましても、各補助事業の交付決定がおおむね順調に進んでおります。  県内消費の拡大として第二弾に掲げましたプレミアム付食事券の発行ですけれども、これにつきましては、コロナの感染防止対策に十分注意喚起を促した上で11月28日から販売を開始しておるところであります。  エネルギーコストの削減を図るため第一弾から始めました家庭向けの省エネ性能の高い家電製品の購入支援、それから事業者の省エネ・再エネ設備の導入支援につきましては、好評のため需要が多かったということもありまして、募集期間を延長いたしまして、本定例会において予算の増額をお願いしているところであります。これにつきましては、6月、9月の第一弾、第二弾と合わせて、あくまで試算ではありますが、年間約10.6億円の光熱費の削減が見込まれるところであります。  今定例会で補正予算案をお願いしております第三弾関連事業も含めまして、県民、それから事業者の皆様へ支援ができるだけ早期に行き届き、対策の効果が現れるよう、市町村等とも連携し、鋭意取り組んでまいる所存であります。  それから、未来に向けた取組ということでありますけれども、長野県価格高騰緊急対策におきましては、その価格高騰による影響の緩和を基本としつつも、省エネやDXなど未来につながることにも視点を置いて対策を講じているところであります。  先ほども申し上げました省エネ設備、再エネ設備の導入を支援いたしますエネルギーコスト削減事業や中小企業の新分野への展開などを支援する中小企業の事業再構築支援、輸入小麦から県産小麦への転換、増産体制の強化や、ウッドチェンジによります県産木材の需要拡大などの持続可能な経営への転換を促すための支援も行ってきているところであります。  物価高の収束がなかなか見通しにくい状況ではありますが、このようなときだからこそ、産業の生産性の向上や人材の育成確保など次のステージを見据えながら、活力ある社会の実現に向け取組を進めてまいります。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 賃上げに向けた対応策と全国知事会等を通じた国への要望等について御質問をいただきました。  先ほど議員から賃上げと生産性の向上をパラレルに実現することが重要との御指摘もございましたが、県内産業の大半を占める中小企業において賃上げを行うには、サプライチェーン全体を通じた付加価値の向上や、増嵩するコストを適正に製品・サービス価格に転嫁することなどにより賃上げの原資を確実に確保していくことが必要と受け止めております。  県では、これまで、最低賃金の引上げを支援する国の業務改善助成金や県プラス補助金の最低賃金枠などにより企業の生産性向上を支援するとともに、適正な企業間取引を促進するべく県産業振興機構に設置しております下請かけこみ寺での相談対応や国の下請Gメンの増員、ものづくり・下請中小企業のための価格交渉サポートセミナーの開催などに取り組んでまいりました。  こうした中、10月17日に行われた全国知事会から国への緊急提言では、成長分野への積極的投資や生産性の向上の支援、価格転嫁の円滑化等による取引適正化等を進め、地域の企業の賃上げを可能とする環境整備の一層の推進を求めたところであり、10月28日に閣議決定された総合経済対策に関連施策が盛り込まれたところです。  県といたしましては、こうした国の施策も最大限活用しつつ、中小企業の支援に努めてまいります。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には物価高騰対策としての信州こどもカフェへの支援の拡大について御質問をいただきました。  信州こどもカフェは11月末現在で171か所まで増加し、食事提供だけでなく、学習支援や相談支援など地域の子供たちや経済的困窮など様々な困難、事情を抱える御家庭にとって欠くことのできない身近なよりどころでございます。  県では、こどもカフェの運営を支援するため、今年度から開催回数に応じて補助金を増額し支援の拡充を図るとともに、物価高騰対策分として6月補正予算で食材費の掛かり増し経費の上乗せ支援を行ったところでございます。  加えて、県内のフードバンク活動団体と共同でフードドライブ統一キャンペーンを実施し、集まった食料をこどもカフェに提供するほか、こどもカフェに食料を寄附する意向のある企業と運営団体とのネットワークづくり、民間の支援団体の補助金や国の政府備蓄米の無償交付事業に関する情報提供などこどもカフェへの支援の充実に向けて様々な取組を行ってきているところでございます。  今後も、こうした取組を通じましてこどもカフェの安定的な運営を支援するとともに、さらなる支援についても引き続き検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君) 私には2点御質問をいただきました。  初めに、農業関係の価格高騰対策の進捗状況と効果等についてでございます。  県では、燃料を使用する施設園芸をはじめ、畜産・養殖業の配合飼料、肥料、キノコ培地資材などに対し、独自の価格高騰対策を実施してまいりました。中でも、6月補正予算による配合飼料の価格高騰分の補●については、第1四半期、4月から6月分ですが、1億2,500万円余りが農業者に支払われ、経営継続のために少しでも補●されてありがたいとの畜産農家の声もお聞きしているところです。  また、エネルギーコスト削減のための空調設備の更新も進めており、例えばキノコ生産施設では年間消費電力を約25%削減するなど、持続可能な農業経営への構造転換にもつながっております。  本定例会においても、国の対策では不足している粗飼料に対する支援などの予算案を提出しておりますが、今後も十分でない分野があれば追加の支援策などについて検討してまいります。  次に、物価高騰対策の制度化等についてでございますが、現在、農家の経営継続のための恒久的な制度として、国の収入保険や農産物価格の下落時に価格補●する国や県の価格安定制度など収入減少に対応した様々なセーフティーネットが構築されていますが、価格高騰など生産コストの増加にも対応した制度も必要なため、県では去る11月7日に農林水産省に対し要請を行ったところです。  また、現在、国において、食料・農業・農村基本法の見直しに併せ、フランスのエガリム法の事例も踏まえた再生産に配慮した適正な価格形成の仕組みづくりの検討が行われておりますので、引き続き生産現場の実情やコスト上昇分の販売価格転嫁の必要性などをしっかりと国に伝えてまいります。  以上でございます。       〔24番埋橋茂人君登壇〕 ◆24番(埋橋茂人 君) 御答弁をいただきありがとうございました。  賃上げですが、もう長い間やっていないものですから、賃上げの仕組みを経営者の皆さんや労働組合の皆さんが忘れてしまったというような悲しい話も聞いております。ぜひ行政のほうからもその辺に手を入れていただければというふうに思うところであります。  続いて、特殊詐欺の実態と対策について伺います。後を絶たない「電話でお金詐欺」と長野県警が名づけた特殊詐欺の実態と対策について小山警察本部長に質問いたします。  電話でお金詐欺(特殊詐欺)の主な手口別の認知件数と被害額について伺います。また、被害を事前に防ぐことができた阻止件数と阻止額及び被害防止のための取組について伺います。  続いて、大きな四つ目として、マルチ商法や霊感商法について伺います。  旧統一教会の霊感商法が国を揺るがす大きな問題となっています。霊感商法同様に、人を欺き、莫大な不当利得を得ている様々な悪徳商法が長い間問題になってきました。法律で禁止するとまた抜け穴を見つけて新たな手法を編み出すといういたちごっこが続いています。  例えば、かぶちゃん農園は、ケフィアグループに属し、2004年に設立され、2005年から飯田市に本拠を置いていました。干し柿やメープルシロップ等オーナー制度という買戻し特約つきの売買契約を勧誘していましたが、2011年に事業が行き詰まり、100人規模の人員整理を実施しています。そのときは、生産者が預けた柿は戻されたと聞いていますが、オーナーへの支払いが滞るようになり、2018年10月に破産しました。  ケフィアグループで会員数は200万人、被害総額は1,000億円以上に及び、太陽光発電等の関連3社を含む負債総額は1,053億円、債権者は3万人に及んでいます。その間、何と皮肉なことに、2017年にはカナダのケベック州政府から勲章を、2018年には中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定されています。倒産の結果、県内柿農家等に大きな影響を与えましたが、かぶちゃんがマルチの仕組みで問題になったのは二度目です。  また、磁気商品の預託事業を展開していた1975年創業のジャパンライフの事件で逮捕され、一審で懲役8年の実刑判決を受け公判中の山口隆祥元会長に至っては、私が高校生の頃、数十年前からこの手の犯罪を主導していました。当時は、刃物研ぎを表看板にして会員を増やしていくいわゆるねずみ講の仕組みで、誰でももうかるとの触れ込みで多くの人たちが金をだまし取られました。無限連鎖講と名づけられましたが、日本に根強く残っていた無尽講の形をまねた巧妙な犯罪でした。  その後も、まさしく表に掲げる見せかけの商品や仕組みを、手を替え品を替えながら本質はマルチ商法を繰り返し、80歳を過ぎても犯罪を重ね、ジャパンライフだけで被害額2,100億円、被害者約7,000人と言われています。そのうち7割が70歳以上の高齢者で、老後の生活資金を失った方が大勢出ました。  詐欺の被害に遭ったことを表に出したくない方も相当数に及ぶと想定され、実際の被害額や被害者数はもっと多いものと思われます。また、50年余にわたる詐欺師の人生の中でどれほどの被害をもたらしたのか見当もつきませんが、膨大な金額であることは確かです。しかし、実刑判決を受けたのはジャパンライフの件が初めてで、理解に苦しむところです。大規模な詐欺の主犯で常習犯がこのような形で生き延びたことが類似犯を多く生むことになったのではないかとの疑念が拭えません。  このほかにも、日本アムウェイ、羽毛布団、原ヘルス等の健康器具、安愚楽牧場等の和牛商法、杜仲茶、金や宝石等のペーパー商法、最近話題になっております偽高級卵等々、これでもかこれでもかというほど次から次へ悪徳商法が生まれ、そして消え、そして形を変え、生き延びています。  霊感商法はさらに大規模で複雑な組織的な仕組みであり、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、判明している分だけで1987年から2021年までに霊感商法による被害件数は3万4,537件で、被害総額は約1,237億円に上るとされています。しかし、実際の被害額は想像を絶する膨大な金額に上るものと推計されます。  そこで、小山警察本部長に伺います。  1、いわゆる悪質商法はどのような法律を使って取り締まっているのですか。2、県警として悪質商法をどのように把握し、警察庁との情報共有はどのように行っていますか。3、消費生活センターとの連携はどのようになっていますか。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君) 電話でお金詐欺について質問をいただきました。  まず、電話でお金詐欺の認知件数、被害額についてお答えいたします。  当県における電話でお金詐欺の被害は、過去10年では、平成27年をピークに減少傾向が続いておりましたが、令和3年から増加に転じ、本年に入ってからも高い水準で推移している状況にございます。  本年10月末における県下の発生状況は、認知件数が157件、被害額が約4億4,500万円であり、前年同期比で認知件数が33件、26.6%の増加、被害額が約2億1,500万円、94%の増加でございます。  認知した157件中、主な手口は、親族をかたって現金などをだまし取るオレオレ詐欺が56件、被害額約2億円、キャッシュカードを対象とした詐欺が43件、被害額約7,000万円であり、これらで全体の6割以上を占めてございます。  次に、被害を事前に防ぐことができた阻止件数、阻止額についてお答えいたします。  県警察では、コンビニエンスストアや金融機関等との連携による被害阻止を推進してございます。本年10月末における警察が把握している数値では、被害阻止件数は329件、前年同期比で29件、9.7%の増加であり、阻止金額は約1億7,700万円、前年同期比で約1億100万円、134.8%の増加であり、全国的にも高い水準で推移してございます。  最後に、被害防止のための取組についてお答えいたします。  詐欺被害の大半において電話が連絡手段として使われている状況を踏まえ、本年4月1日から、特殊詐欺の名称を啓発効果の高い「電話でお金詐欺」に変更し、広報活動に活用してございます。  また、高齢者世帯を重点とした直接的、個別的な防犯指導などにより、常時留守番電話の設定や防犯機能付電話機を推奨する電話対策のほか、コンビニエンスストアや金融機関等と連携した水際対策を推進しているところでございます。県警察では、引き続き関係機関・団体と連携を図りながら被害の未然防止対策を推進してまいります。  次に、悪質商法について3点お答えいたします。  まず、悪質商法を取り締まる際の適用法令についてお答えいたします。  悪質商法については、刑罰法令に抵触する行為が認められる場合は法と証拠に基づき捜査を行っているところ、適用する法令はその態様により様々でございます。例えば、訪問販売等の行為に関して、不備書面による契約や事実ではないことを告げての契約などの行為があれば特定商取引法の適用が考えられ、また、不特定多数の者を対象に「必ずもうかる」といった言葉で勧誘し金銭を預かるなどの行為があれば、出資法や詐欺罪の適用が考えられます。  次に、悪質商法を把握する方法、警察庁等との情報共有についてお答えいたします。  悪質商法については、警察安全相談をはじめ、あらゆる警察活動により把握するほか、消費生活センターとの情報共有を行うなどして情報収集に努めてございます。また、警察庁との情報共有については、広域性があり、被害額が莫大になるおそれがある重大事案を把握した場合などはその都度警察庁に報告しているほか、警察庁が把握した当県に関する事案の情報提供を受けるなど情報共有を図っております。  最後に、消費生活センターとの連携についてお答えいたします。  長野県消費生活センターとは連絡会を通じるなどして日頃から連携を強化しており、個別事案についても必要に応じて情報共有を図っております。また、関東エリアの関係機関や団体が集まって行われる消費者取引に係る会議に参加して情報共有を図ってございます。  以上でございます。       〔24番埋橋茂人君登壇〕 ◆24番(埋橋茂人 君) それぞれ御答弁をいただきました。  前段の食料等の関係でありますけれども、先般、東京、大阪で物価高騰による生活支援として自治体から家庭向けに米等の現物配付の動きが出てきております。東京都では、住民税均等割が非課税の174万世帯を対象に、米だけの場合、1世帯25キロ、全世帯米の場合は最大で4万トン、12月補正で296億円を盛り込んでおられます。3月から配送予定とのことです。大阪府では、18歳以下の子供1人当たり10キログラムを配り、対象139万人、米は1万3,900トンにも上ります。予算は約80億円とのことです。  こども食堂のお手伝いをして思うことは、現物の大切さです。災害支援のときも同様であります。令和の時代に配給かという声もありますが、現に困っている方たちには直接給付は極めて有効です。県も対応を検討いただくことを要望しておきます。  そして、最後の霊感商法等でありますが、先般もNHKの「アナザーストーリーズ」で豊田商事のペーパー商法の件が放映されましたし、高級卵と偽った詐欺商法も最近主催者が逮捕されています。後を絶たない霊感商法も含めたこの手の詐欺商法を、今回国会で協議され成立の見通しになりました救済新法で、今まで救済できなかった方たちを救済し、何とかして今後防止ができるよう期待して、質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(髙島陽子 君) 次に、宮本衡司議員。       〔44番宮本衡司君登壇〕 ◆44番(宮本衡司 君) 千曲川の治水対策について伺います。  令和元年東日本台風豪雨災害では、信濃川水系の上流域を中心に、記録的な豪雨により観測史上最高水位を記録する洪水となりました。この洪水により、長野市穂保地籍では堤防が決壊し、そのほかにも千曲川上流域から信濃川中流域の広域にわたって堤防の越水氾濫や内水氾濫による家屋の浸水、河岸浸食による建物の流出など流域全域に甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しいところであります。令和2年1月には信濃川水系緊急治水対策プロジェクトが策定され、国では千曲川の堤防強化や河道掘削、遊水地整備などの対策が進められています。  一方で、地元からは、立ヶ花と戸狩の狭窄部の掘削などが下流側に影響を与えるのではないかと懸念する声も聞こえてまいります。こうした観点を含め、プロジェクトに位置づけられた千曲川本川、特に立ヶ花から下流の対策の進め方について基本的な考え方を建設部長に伺います。
     飯山市蓮地籍は遊水地として位置づけがなされ、国において住民への説明会の開催、アンケートの実施等具体的に事業が動き出しております。当初は地役権方式でということでしたが、住民へのアンケートの結果、買取り方式で進める方針が示されたとお聞きしております。  集落は委員会を立ち上げ、検討を進めておりますが、個人の考え方や立場により様々な意見が生ずることから、地元として取りまとめは並大抵のものではないと思っております。  さらに申しますと、この地域は、水田農業を中心として150戸ほどで集落を形成してきましたが、遊水地となった場合には、地域のありようが根本から変わることになります。農業を続けたい人、後継者もいないことから農地を手放したい人が混在する中で地域の将来像を構築していくことは大変な作業であり、行政として何らかの形での支援が必要かと思います。  この地域では、国道292号の古牧橋の架け替えも予定されています。遊水地計画が住民の理解を得られなければ橋の架け替えも進捗しないのではないかと危惧しております。そこで、蓮地区における地域の様々な課題に対してどのような姿勢で取り組んでいくのか。建設部長に伺います。  また、堤防が決壊した市内皿川の築堤等の現在の進捗状況について建設部長に伺います。  豪雪地における支援について伺います。  雪国で暮らすにはそれなりの覚悟が必要です。特に、特別豪雪地帯にある住宅の雪下ろしについては危険が伴い、今も変わらず大きな負担となっております。  昨年度の県内における雪下ろし作業中に亡くなられた方は2人、負傷された方は43人で、依然作業中の死傷事故が多発しておる状況です。県は、特別豪雪地帯の市町村と連携して、平成26年から克雪住宅普及促進事業を実施しております。住宅所有者の高齢化が進む中、死傷事故を防ぐための本事業の重要性はますます高まっていると思いますが、それについて伺います。  県では、克雪住宅普及促進補助金として、融雪型や自然落雪型屋根へ新築、改築、改修工事に、対象工事費の5分の1、高齢者世帯は4分の1として最大75万円の補助をする事業を行っております。  克雪住宅の普及促進のためには住民の意識啓発が必要ではありますが、一番必要性を感じているのは豪雪地帯に住む住民であります。高齢世帯にとって、屋根の改修等は、工事費の負担が大きいこともありますが、家屋の立地状況により落雪型にできないことも多々あります。市街地の人家連檐地域などでは屋根の雪の落下スペースが確保できないことや、落ちた雪をそのままにしておけば1階部分の破損につながることがあるため、家屋の形状等によっては排雪しなければならないことが挙げられます。  また、融雪型に改修済みであっても、昨年のような大雪の場合は、燃料費がかかるため、燃料高騰により融雪設備を使わない、使えないお宅が多くあります。特に、現在のような灯油、電気、ガスの高騰を踏まえ、屋根融雪の使用にちゅうちょするのではないでしょうか。雪の落下を防ぐためのアングル等雪止めの設置がなされていない融雪型の屋根に雪が積もり、雪下ろしをしなければならないときこそ最も危険を伴います。  そこで、転落防止用命綱固定金具設置も含め、克雪住宅普及促進事業による支援の拡充など住宅の克雪化のためのさらなる取組が必要であると考えますが、いかがでしょうか。建設部長に伺います。  昨年の大雪で地元住民、業者の皆さんが困惑したことの一つは、飯山の綱切橋と中央橋の間の左岸に開設された雪捨て場への往復時間が極めて長かったことです。その原因としては、雪捨て場に向かうダンプカー等の大型運搬車両の乗り入れが同時間帯に集中したことなどが挙げられておりますが、これにより排雪作業に著しく遅滞が生じてしまいました。  このような中、県管理の今井川の遊水地も雪捨て場として利用させていただいておりましたが、容量の少ないのが難点であります。つきましては、もう1か所ぐらいあったほうがありがたいという声が地元、特に北部方面の皆さんから多く聞こえてきます。  以前も同様の質問をいたしましたが、県においても新たな雪捨て場の確保について鋭意検討を進められてきたとお聞きしておりますが、検討の状況はいかがでしょうか。建設部長にお伺いいたします。       (建設部長田中衛君登壇) ◎建設部長(田中衛 君) 私には千曲川の治水対策と豪雪地における支援について御質問をいただきました。  まず、千曲川の治水対策について3点お答えいたします。  立ヶ花から下流の対策の進め方ですが、国では、立ヶ花と戸狩の狭窄部の掘削について、戸狩は令和6年度、立ヶ花は令和9年度までを目標に河道掘削を行っております。河道掘削の実施に当たっては、下流の安全性に配慮し、上下流バランスを調整しながら段階的に進めております。また、立ヶ花の掘削完了までに遊水地を整備し、千曲川本川全体において安全を確保することとしております。  県といたしましても、下流の県管理区間の栄村の箕作、月岡や飯山市の照岡馬場工区の築堤工事について、国が行う対策と整合を図り上下流バランスが取れるよう、令和6年度の完成を目標に進めてまいります。  次に、蓮地区における課題への取組姿勢についてお答えいたします。  蓮遊水地の整備に当たっては、飯山市が行った意向調査等において、営農継続を希望する方の代替地の確保や用排水路の維持管理の方策などの課題が挙げられており、現在、国と市が連携して代替地の候補の情報収集などを行いながら課題への対応策を検討しております。  また、蓮地区において県が進めている国道292号古牧橋の架け替え及びそれに伴う道路改良事業については、国と綿密な調整を行い、整合を図りながら地元の皆様に御説明しております。  遊水地整備、道路整備、いずれも重要な事業であることから、地域の皆様にとってよりよい事業となるよう、今後も整備に伴う様々な課題に対して、国、県、市が連携し、一つ一つ丁寧に解決に向けて対応してまいります。  次に、皿川の築堤等の進捗状況についてお答えいたします。  これまで、地域の皆様に御説明しながら調査、設計を進めてまいりました。現在の状況ですが、皿川に架かるJR飯山線の橋梁部については、JR東日本と調整を進め、来年度工事委託する予定としております。また、JR渡河部を除く全ての築堤工事については本年11月に工事契約を締結したところであり、今月より工事に着手してまいります。信濃川水系緊急治水対策プロジェクトのロードマップでお示ししているとおり、皿川の築堤等の工事については引き続き令和6年度の完成を目標に鋭意進めてまいります。  次に、豪雪地における支援について2点お答えいたします。  まず、住宅の克雪化のための取組に関するお尋ねです。  克雪住宅普及促進事業は、平成26年度の創設以降、特別豪雪地帯のある10市町村を対象に補助対象を拡充してまいりました。転落防止用命綱固定金具設置についても令和元年度から補助対象としたところです。  補助対象メニューのうち融雪屋根や落雪屋根による克雪化は、雪下ろしが不要となるなど事故防止の観点からより望ましいものの、初期費用が比較的高額であることから、屋根への命綱固定金具の選択も有効であると考えております。  豪雪地域の住民の皆さんに補助金を活用していただくためには、市町村の体制の充実も重要であることから、今年度、市町村の取組に関するアンケートを実施し、状況を把握したところであり、年度内に市町村担当者と直接意見交換し、豪雪地域の住宅の克雪化が進むよう取り組んでまいります。  最後に、大雪時の雪捨て場確保の検討状況についてのお尋ねです。  まず、この冬は既存の雪捨て場での対応として、今井川遊水地の効果的な運用や、企業が保有する排雪場の活用、排雪時間帯のシフト等を行うことにより、道路除雪に伴う雪の搬入を分散し、雪捨て場近くでの交通渋滞の緩和に取り組んでまいります。  また、新たな雪捨て場の確保については、既存の4か所に加え、5か所の候補地を選定し、9月に現地調査を行ったところです。現在、飯山市と協議を進めているところであり、今後市とともに地元調整に入っていく予定です。引き続き雪捨て場の確保と分散化による効率的な除雪について飯山市や企業と連携して取り組んでまいります。  以上でございます。       〔44番宮本衡司君登壇〕 ◆44番(宮本衡司 君) それぞれ御答弁をいただきました。  河川改修工事等は、事前に丁寧な説明をしないと流域住民があらぬ不安感を抱く場合もあります。それを解消することも大事な仕事であると思いますので、御配慮をよろしくお願いいたします。  克雪住宅普及促進事業の県民に対する宣伝広報に際しましては、信州健康ゼロエネ住宅や県産材利用住宅などと一体的に行えばさらに効率よく周知徹底されるのではと思いますので、御一考ください。  また、雪捨て場の増設については、場合によっては県から国に御相談していただくこともあろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。  先月24日、特別豪雪地帯指定市町村議会協議会の役員の皆様に同行し、知事要望、議長陳情をいたしました。阿部知事、丸山議長からは大変前向きなコメントをいただき、勇気100倍であります。水害や雪害に耐え得る強靱な長野県を目指し、さらに御尽力をいただきますようお願いを申し上げ、全ての質問を終わります。 ○副議長(髙島陽子 君) 次に、両角友成議員。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君) 日本共産党県議団の両角友成です。私は発言通告に沿って一般質問を行います。  まず初めの質問項目は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化についてであります。  河野デジタル相は、10月13日、2024年秋までの保険証の廃止を言い出しました。国民の理解を無視し期限を切るのは強制であり、カードの普及のため国民の命に関わる保険証を担保に取るやり方は断じて許してはなりません。住民の命と健康を守り、誰もが安心して住み続けられるようにと日々医療や福祉に取り組んでいる医療機関からも、健康保険証の廃止とマイナンバーカードと保険証の一体化に抗議の声が上がっています。  一部を紹介しますと、マイナンバー法第17号1項では、その者の申請により、その者に係る個人番号カードを交付するものとすると任意取得の原則を定めています。国民皆保険制度において、マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、マイナンバーカードの強制につながり、法令違反です。そもそもマイナンバーカードの取得が進まないのは、個人情報が守られるのか国民の強い懸念があり、政府への信頼が低いからです。とりわけ医療情報という個人情報がひもづけられ、集積されることへの国民の憂慮は当然です。  健康保険証が廃止されれば、マイナンバーカードを持ち歩く機会が増え、紛失のリスク、情報漏えい、第三者による悪用などの懸念も高まります。マイナンバーカードを紛失すれば再発行に1か月ほどかかると言われており、その間の受診をどうするかも決まっていません。患者、利用者はもとより、医療・介護現場に大混乱を及ぼすマイナンバーカードと健康保険証の一体化、健康保険証の廃止に強く抗議し、撤回を求めます。こんな内容です。  他方、国の動きを見ておきますと、河野デジタル相は10月18日の会見で、来年の通常国会にマイナンバー法改正案を提出すると表明。これに対して、デジタル庁のマイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ専門家会議では、拙速にすべきでない、プライバシー保護が重要だと反対意見が続出。マイナンバーにひもづく個人情報を一元管理する機関や主体をつくらないようにするべきだとの意見も出ています。  制度発足当初は、年金記録の紛失が社会問題となっており、行政の透明性の確保が目的だったはずだとの指摘。利用拡大について、何のために拡大するのかが分かりにくいとの批判。さらに、国民の政府への信頼は高くない。政府の透明性を高めるべきだ。そうでないと国民に受け入れられないと強調する意見。制度創設時には、3分野、社会保障、税、災害対策を広げないことでプライバシーとセキュリティーを守ってきたはずだ。国民が知らないうちに監視や不利益に使われないようにしなければならないと警鐘を鳴らす意見も。自治体と国が共同利用する情報システム基盤のガバメントクラウドについて、自治体と国の役割が混在する。元の制度設計から逸脱するのは違和感がある。民間連携による個人情報の民間活用が規律なく行われると詐欺のようなものに使われかねない。歯止めや規律が必要だとの主張も。このように、専門家会議でも懸念の声が上がっています。  私は、6月、9月定例会でもマイナンバーカード普及の国のやり方に抗議するよう事例を挙げて重ねて求めてまいりましたが、今回、マイナンバーカード普及策として、60年の歴史を誇る保険証を廃止する。ここまでされても県は何も言わず、国に従うのでしょうか。  松本市では、生活保護世帯に、マイナンバーカードはお持ちですかと申請手続を促す動き。カードリーダーが設置されていない院所でマイナ保険証での診察でトラブル。被保険者情報が迅速に反映されない。有効な保険証でも無効と表示された。カードリーダーそのものの不具合も。こうした実態をどの程度把握しているか。保険証の一体化、廃止について、現状認識を健康福祉部長に、冒頭述べたように、国の動きには問題があり、保険証廃止の方針の撤回を求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) マイナンバーカードと保険証の一体化についての御質問でございます。  県内の医療機関におけるカードリーダーの設置は全国平均よりも進んでおりますが、マイナンバーカードでの利用が可能となっている医療機関は11月20日時点で4割弱という状況でございまして、現場からは、カードによる受診はまだまだ少ないとの声も伺っております。  県内では、御指摘ございました現場での大きなトラブルが生じたという具体的な話は現在のところ伺っておりませんが、今後マイナンバーカードの取得が進む中で、医療機関での受診が円滑に行われるよう環境を整備していくことが重要であると認識しております。  保険証との一体化に当たりましては、カードを取得することが難しい方への対応など課題もございますことから、国に対して具体的な対応策を示すとともに、丁寧に説明を行うよう求めてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) マイナンバーカードの保険証利用への対応についてという御質問であります。  我が国は非常にデジタル化が遅れている国だというふうに思っておりますが、これは課題を解決しながらも確実に進めていかなければいけないというふうに思います。コロナ禍や価格高騰対策の中で、事業者や県民の皆様方にいろんな支援金、給付金を支給するとき、アナログ的な作業で非常に時間もかかる、コストもかかると。こうした課題を解決していかなければいけないというふうに思います。  そういう中で、我々は、この情報化の基盤として、マイナンバーカードの普及のために市町村の皆さんと一緒に取り組んでいるところであります。健康保険証のデジタル化につきましては、診療や健診、投薬情報の一体的利用による医療の質の向上、また、医療機関の窓口での利便性の向上など、よりよい医療提供のためのメリットがあるというふうに考えています。  ただ一方で、全く問題がないわけではないというふうに思います。高齢者や新生児を含めてカード取得が難しい方々への対応や、訪問診療や接骨院等における対応、運用上の課題もクリアしていかなければいけないというふうに思います。  国においては、10月に閣議決定された物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策の中で、マイナンバーカードの健康保険証との一体化を加速し、そのための環境整備等に取り組むとしています。今、関係省庁の検討会でこうした課題を整理し、対応していく方針であるというふうに承知しております。この一体化のメリットが十分生かされるよう、国においては課題を解決して円滑な移行ができるように取り組んでいただきたいと考えております。  以上です。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君) マイナンバーカードの発行を担う地方公共団体情報システム機構が、この5年間で、カード関連事業に少なくとも179件、1,480億円超を発注していることが分かっています。受注は、大手企業7社に集中。政権は、今回の保険証廃止策動に見られるように、カード取得を事実上強制しており、今後さらに大手IT企業への利益が集中する状況が生まれます。政府の狙いは全国民にマイナンバーカードを持たせることにあります。あくまで任意取得であると改めて強調し、次の質問項目に移ります。  次の質問項目は、介護保険制度の見直しについてであります。  国では、3年に1度の介護保険見直しの議論が行われ、年内にも利用者負担増がまとめられようとしています。社会保障審議会の介護保険部会の主な論点として、介護サービスの利用料2割、3割負担の対象拡大、ケアプランの有料化、老健施設など多床室の室料の有料化、要介護1、2の生活援助の保険給付外し、福祉用具の貸与制度の購入への転換等が挙げられています。中身は大改悪です。3年前の介護保険見直しの議論でも高齢者の生活への影響を理由に反対意見があり、利用料の原則2割負担が見送られた経緯があります。  諸物価高騰の中、所得の少ない人ほど生活は困窮しています。高齢者は6月から年金が切り下げられ、10月から75歳以上の病院窓口負担が2倍になりました。2015年、年収280万円以上の人に利用料2割負担が導入されたとき、介護施設運営者でつくる21世紀・老人福祉の向上を目指す施設連絡会の影響調査で、配偶者の生活苦、個室から多床室に移った、利用料の滞納、支払い困難を理由に退所といった施設が続出した報告がありました。  今回寄せられた訴えに、呼吸困難の持病があり、就寝時呼吸をしやすくするため介護保険からレンタルした電動ベッドが不可欠です。現在、厚労省の審議会では、電動ベッドなどの福祉用具についても貸与制から販売へ転換することが検討項目に。今は月1,100円の負担で利用できますが、購入となると電動ベッドは使えなくなるかもしれない。調べてみますと、電動ベッドの価格は、1モーター、2モーター、3モーターで違いますが、15万から20万円ぐらいです。  医療費窓口負担は10月から2倍に、医療費は月2万円を超えます。弱い人ばかりを狙っているとしか思えない。介護事業者からは、要介護1、2の状態を維持していた人が保険給付から外されれば、この先、要介護3に悪化するかもしれない。今給付が抑えられても、将来さらなる給付が必要になりますと懸念を示しています。  要支援1、2は既に介護保険から外され、市町村が運営する地域支援事業に移行。この事業は、一部無資格のボランティアなどが担い手です。要支援の人へのサービスは、要介護状態にならないためのものであったはず。しかし、地域支援事業への移行で、利用できる頻度が減り、要介護状態に悪化した人もいます。  要介護1、2の利用者は、清掃や料理などの家事支援で訪問介護サービスを利用する人が多くいます。認知症の利用者の場合、薬の管理も必要に。要介護1、2が保険給付から外されれば、認知症のある利用者が、それまで訪問介護によって適切に服用していた薬が飲めず、結果、症状が進む可能性も。みんな訪問介護を頼りにしています。何とか在宅で生活できるように。訪問介護が使いづらくなると在宅生活ができなくなる。家族は訪問介護があるから安心して働きに出られる。介護給付から外されたら以前のような家族介護に逆戻り。安心して生活ができない。いい介護をすることで利用者の状態は悪くならない。長期的に見れば、それが結果的に介護給付も医療費もかからないことにつながるなどなどです。  現在、高齢者の生活は年々厳しくなっています。介護保険の利用料を2倍にしたら尊厳ある生活ができなくなってしまうのではないでしょうか。介護という人生の中で最も支えが必要なときに介護を取り上げるようなことをしてはなりません。制度の持続可能を言うのであれば、介護保険の国庫負担を増やすように、県民生活を守るためにも国に迫るべきと考えますが、いかがでしょうか。  要介護1、2を市町村の地域支援事業に移行するとしていますが、既に要支援を地域支援事業へ、市町村に丸投げした経過があります。この運用がうまくいっている認識か、県の見解を伺います。  また、国では、さきに示したような内容で見直し作業が行われていますが、この営みに対して県としてどのように考え、どのように対応していくか、健康福祉部長の見解を伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 介護保険制度の見直しについて御質問を頂戴しております。  まず、要支援者へのサービス提供の現状についてでございます。  御指摘の平成26年に行われました介護保険制度の見直しにつきましては、要支援者等に対する訪問介護、通所介護サービスを市町村が実施する地域支援事業に移行したものでございます。その際、併せて介護予防の取組を強化するため一般介護予防事業が設けられ、住民主体の介護予防活動の支援や、リハビリ専門職が市町村事業に関与しやすくなるなどの見直しが行われたところでございます。  制度改正前の平成26年9月に県内で要支援者への訪問介護、通所介護を利用していた方は約1万3,800人でございましたが、地域支援事業による現行の事業対象者は、要支援認定を受けなくても基本チェックリストの状況によって利用可能になるという制度改正の影響もございまして、令和4月9月では約1万7,800人と約29%の伸びとなっております。こうしたデータが示しますとおり、要支援相当の方がより広くサービスが利用できるようになったものと認識をしております。  今後、こうした軽度の方々が要介護状態になることを予防するために、リハビリ専門職の市町村事業への参画などをさらに進める必要があると考えております。県といたしましては、今後も市町村の状況に応じて、個別市町村への伴走的な支援や介護予防事業を充実させるためのリハビリ専門職を含めたアドバイザー派遣など必要な支援を行ってまいります。  次に、介護保険制度の見直しについてでございます。  現在、制度改正の一環といたしまして、給付と負担の在り方について国の社会保障審議会で議論されており、年内に議論の取りまとめが行われる予定となっております。御指摘のケアプランの有料化や軽度者への生活援助サービス等の地域支援事業への移行についても検討対象となっているものとお聞きしております。  県といたしましては、制度の持続可能性の確保の観点から、これまで国庫負担の増額を県独自で要請してまいりました。また、制度の見直しにつきましては、その内容が、制度全体として、高齢者が必要なサービスを利用し、安心して日常生活を営むことを阻害することのないように配慮していく必要があるものと考えております。  国に対しては、直近では11月に厚生労働省に国庫負担の増額を直接要望したところでございますが、制度の見直しにつきましては、全国知事会において社会保障審議会の議論に参画しておりますので、こうした考え方を伝えてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君) 繰り返しになりますが、このまま国の言いなりになれば、以前のような家族介護の時代に逆戻りしてしまうと警鐘を鳴らしておきます。  次の質問項目に移ります。次の質問項目は、コロナ禍における教育現場の救済についてであります。  ある小中学生の保護者からの訴えです。中学校の参観日に行ったら空席が気になった。8名いなかった。夏休み明けはもっと欠席者がいたと聞いた。担任の先生は仕事が重なり体調を崩したなんて話をしていた。こんな状況で、教育現場において、不登校であったり、子供たちの心の状態をしっかりフォローできるだろうか。小学校は何度か学級閉鎖になったが、その分の学習補●がされた感じはありません。コロナ禍において、より子供のケアができる体制はないと感じている。先生方の大変さは目に見えて分かると同時に、子供一人一人に目が行かない、しっかり向き合える環境ではないと保護者から見て感じている。教員を増やし、もしくは少人数学級にすることが様々な教育現場の問題点を解決することになるのでは。こんな切実な声です。  小学校の現場からは、専科教員の増員は急務。音楽、理科、家庭科、英語、体育等各学年に1人専科教員がいただけでも助かる。1週間29時間、1時間の空き時間もない。各授業の準備、事務仕事も膨大。授業のできる教員を増やしてほしい等の声です。  コロナ禍で困窮する学校現場の現状についてどう把握し、どのような問題意識を持っているか。また、小中学校の教員の負担軽減について、教員の増員も含め具体的な方針を教育長に伺います。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) まず、コロナ禍における学校の現状と問題意識についてでございます。  県内の小中学校では、これまでも、働き方改革を進め、教員の時間外勤務時間は年々減少傾向にありましたが、コロナ感染症対応業務などにより横ばいの状況となっており、コロナ禍においても時間外勤務時間を縮減していくことは課題であると認識しております。  そのような中でも、各学校では、できる限り子供と向き合う時間の確保に努めており、例えば、これまでの行事等の在り方を見直し、子供の発想を生かして一緒につくっていくなど工夫した取組も生まれてきているところであります。
     次に、教員の増員を含めた負担軽減についてでございます。  教員の増員については、抜本的には国の定数改善が必要となりますが、教員の業務を支援する教員業務支援員の配置を、令和2年度当初の149校から、本年度は321校へと拡大し、教員の業務負担の軽減に取り組んできたところでございます。  今後も、先ほど申し上げました行事等の在り方の見直しやICTの活用などと併せ、引き続き教員の負担軽減に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君) 答弁いただきました。学校の現状は大変厳しいものがあると思います。時間がありませんので、この続きは委員会でやっていただきたいと思います。  文科省の調査で、全国の小中高特別支援学校で、2021年始業日時点で2,558名の教員が未配置となるなど現在の学校現場は緊急事態です。非正規で欠員を補充するのではなく、抜本的な定数改善や労働条件拡充が必要です。国や県、市町村がやることは、教育優先の原則を確立すること。学校にもっとゆとりをと申し上げ、質問といたします。ありがとうございました。 ○副議長(髙島陽子 君) この際、15分間休憩いたします。         午後2時14分休憩          ──────────────────         午後2時30分開議 ○議長(丸山栄一 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  石和大議員。       〔34番石和大君登壇〕 ◆34番(石和大 君) 初めに、現在県で策定作業を進めている新たな行政・財政改革方針についてであります。  行政は、保健、医療、福祉、環境、道路の建設や管理、危機管理、防災などあらゆる分野においてサービスを提供し、住民の皆様が安心して暮らすことができ、万一の際には手を差し伸べ、ハード、ソフトの両面において社会基盤を支える重要な役割を担っております。  住民の皆様から苦情なども寄せられることがあるようですが、これは、それだけ行政に対する期待が高いことの表れであると考えます。県は、市町村の範囲を超えた広域的行政に対応しており、ともすれば住民の皆様にはその役割が見えにくいことも事実であろうと思います。  一方で、新型コロナ対策や気候変動、頻発する大規模災害への対応など、昨今は市町村の範囲に収まらない課題が増加する中、市町村、また、県民から県行政へ寄せられる期待は大きく、県においては複雑多様化する行政課題への対応並びにサービスの向上のため努力をいただいているところであります。  県では、平成29年4月に、県民の皆様から信頼され期待に応えることができる県政に向けて、効果的、効率的な行政経営を推進し行政サービスの質を向上させていくための取組方針として長野県行政経営方針を策定し、これまで取り組んでこられたと承知しております。  企業においても、パーパス経営として社会における企業の根本的な存在意義を掲げることで従業員も自らの存在意義を自覚し、モチベーション向上や共通認識の定着化を実現し、業績の向上につなげた例もあります。県行政に求められるものが多岐にわたる中にあって、県民サービス向上のため県職員が自身の存在意義と役割を自覚し、組織としての使命、同じ方向を目指し一体感を持って進むことのできる目標を掲げ、その達成に向けて意識を統一していくことは大変重要なことであると考えています。そこで、平成29年4月に策定した行政経営方針に基づいて、これまでどんな取組をし、どのような成果があったのか、玉井総務部長に伺います。  一方で、時代の変化とともに、職業や仕事に対する意識が世代間で異なってきており、民間企業においても、職業人生において、一つの企業で勤め上げるのではなく、スキルの習得、ステップアップのために転職を前提に就職する若者が目立つようになっているとお聞きしているところです。こうしたことから、公務員を志す方も、仕事に対する思いや目的に関する考え方が一昔前と変わってきているのではないかと推察するところであります。  先般の決算特別委員会本庁調査においてお聞きしたところでは、県が令和2年度に実施した職員満足度調査の結果、30代の職員で不満が高い現状とのことでありました。そこで、この令和2年度に行った職員満足度調査における30代で不満が高いという結果について、原因をどのように分析しているのか。玉井総務部長に伺います。  また、現在、県においては新たな行政・財政改革方針の策定作業を進めているところですが、この新たな行政・財政改革方針については、社会状況の急速な変化に対応するため、職員を巻き込みながら実効性のあるものにする必要があると考えますが、現時点の方向性について阿部知事に伺います。  次に、持続可能な脱炭素社会の創造についてであります。  気候変動対策は全世界における共通の課題であり、脱炭素社会構築のための取組は、国、県、市町村にとって最優先課題の一つであることは言うまでもありません。脱炭素に向けての取組については、国、県、市町村、それぞれの役割があるところですが、特に、市町村が取組を具体化していくことが理想であり、また、最も重要なことは、脱炭素への取組は住民一人一人がそのことを意識することにより行動変容につなげ、その取組が定着することであります。身近なところでは、スーパーにおけるレジ袋の削減はかなり定着してきた一方、コンビニなどを利用した際にはビニール袋を購入している方も見受けられるなど、脱炭素が十分に意識づけられているとはいえないようにも感じられます。  そこで、住民一人一人がゼロカーボンを自分事として捉え、行動変容を起こしていくためには、どのようにしていくべきと考えているのか。猿田環境部長に伺います。  また、脱炭素に向けては再生可能エネルギーの拡大が重要でありますが、私の地元である上小地域においても、県内トップレベルの日射量による太陽光発電や農業用水を生かした小水力発電など豊富なポテンシャルを有しているところです。  そこで、こうした地域の持つポテンシャルを最大限活用するためには市町村や地域との連携が不可欠であると考えますが、県として市町村や地域とどのように連携しながら再生可能エネルギー拡大に取り組んでいくお考えか、猿田環境部長に伺います。  次に、暮らしやすく多彩な魅力のある上田小県の地域づくりについて伺います。  長野県は山紫水明の地であり、地域それぞれに独自の文化が息づき、広い県土のいずこも魅力にあふれています。私の地元である上小地域も、湯の丸や菅平、美ヶ原などの高原や温泉地、近年では多くのワイナリーが開設されるなど、ほかの地域に劣らぬ魅力あふれる地域であります。こうした魅力にさらに磨きをかけるとともに、上小地域に暮らす皆様がさらに暮らしやすい地域となるように順次質問をしてまいります。  まず、医療、福祉の充実についてであります。  医療の面において、上小地域は人口10万人当たりの医師数が県内で低位にあるほか、3次救急や高度医療について近接の佐久地域に頼らざるを得ない現実があり、医療提供体制の充実は上小地域に住む県民にとって切実な願いでした。  そこで、上小地域における救急医療体制の整備や医療従事者の確保などの課題を解決するため、県において策定した地域医療再生計画に基づく事業が実施されたところでありますが、どのような成果があったのか。また、さらなる医療提供体制の充実を図っていただきたいと考えていますが、新興感染症への対応を含め今後の見通しについて福田健康福祉部長に伺います。  人生100年時代を迎える中において、高齢者が介護や生活支援等のサービスを十分に受けられるかどうかということも重要な課題であります。県では、現行の第8期長野県高齢者プランにおいて、2040年には高齢者のうち要介護認定を受ける方の割合が高い85歳以上の人口が19万3,000人に達し、2020年の当該人口の約1.5倍になると見込んでおり、これらの方々を支えるため、医療や介護、生活支援等の各サービスが切れ目なく提供される地域包括ケア体制を構築すべく、市町村と共に施設整備や介護予防など各種施策に取り組んでいるとお聞きしているところです。  そこで、地域包括ケア体制に本格的に取り組むことになった平成27年度の第6期長野県高齢者プラン以降、上小圏域において高齢者施設の整備や要介護認定率などどのように進捗してきたのか、福田健康福祉部長に伺います。  さらに、2024年度から始まる第9期長野県高齢者プランにおいては、現在上小圏域においてどのような課題があり、課題を克服すべく圏域内市町村と共にどのように取り組んでいくのか、福田健康福祉部長に伺います。  さて、暮らしやすい地域の実現は全ての人にとって共通の思いであり、私はこれまでも障がい者支援に関する課題について質問をしてまいりました。特に、障がい者が社会の一員として活躍できることは、御本人、地域にとっても重要なことであります。  私の知人が民間の就労支援施設を開設しており、時折訪ねさせていただいておりますが、一般就労への移行に成果が出ているとのことでありました。就労する障がい者が一人でも多くなり、障がいがあっても自己実現できることが多くの方々に認知され、社会でも尊い存在とされることが必要であります。企業においても、障がいのある方を雇用することで経営者や従業員の考えが大きく変わってきているとお聞きしているところです。  そこで、障がいのある人は、社会の一員として、福祉就労にとどまらず、一般就労によって経済的に自立し自己実現したいと考える方が多いというふうに考えられますが、福祉就労から一般就労への移行状況と県による一般就労への移行支援の取組について福田健康福祉部長に伺います。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君) 行政経営方針に関連しまして2点御質問をいただきました。  まず、これまでの取組と成果についてでございますが、行政経営方針は、社会環境の変化が激しい中、県組織が変化に適応し、県民の皆様に最高品質の行政サービスを提供することを取組方針として平成29年4月に策定いたしました。  方針に基づく取組の成果でございますが、まず、県民の信頼と期待に応える組織づくりとしまして、県民起点を徹底する組織風土の形成に向けて知事を本部長とするコンプライアンス推進本部会議を設けるとともに、内部統制制度を令和2年度から本格実施し、職員のコンプライアンス意識の変革に取り組んできております。  また、風通しのよい職場風土づくりに向けては、職場ごとに職員アンケートを実施しまして、結果に基づいて改善を図る職場環境調査の実施や、RPA、AIの導入や、行政手続等のオンライン化などによる仕事の質と生産性の向上に取り組んでおりまして、具体的には、RPAやAIの導入につきましては、平成29年度3業務であったものが令和3年度には累計で70業務ということで増加してきているところでございます。  また、共感と対話の県政の推進につきましては、多様な主体との協働、共創の推進に向けまして、企業との包括連携協定を平成29年度の22件からR3年度には累計で43件締結しております。市町村等との連携としましては、県と市町村の協議の場、それから新型コロナ対応ということで連携しながら推進するための意見交換会を合わせて54回開催しているところでございまして、様々な主体との共創にも取り組んでいるところでございます。  さらに、行政サービスを支える基盤づくりということでは、職員の社会貢献活動の参加を促す「地域に飛び出せ!社会貢献職員応援制度」を平成30年に創設しまして、今年度からは農作業補助にも運用の幅を広げるなどこれまで累計で48件の活動を行っておりまして、職員の主体的なキャリア開発の支援や多様な成長機会の確保にも取り組んでおります。  また、未利用県有地の売却の促進や、県有施設の譲渡、移管などによるファシリティーマネジメントも行っておりまして、未利用県有地の売却につきましては、平成29年から令和3年度で累計135件、約17億円の売却を行っておるところでございます。  こうした取組によりまして、時代の変化とともに職員の意識や働き方の質も変わりつつあり、民間企業や市町村との共創や県の行財政基盤づくりにも一定の成果が得られているというふうに考えているところでございます。  次に、職員満足度調査についてでございますが、令和2年度に実施しました職員満足度調査の総合満足度では、職員全体では不満層が24.9%に対しまして30代では33.9%ということで、30代の不満が高い傾向が表れております。  項目として、特に、職場に無駄な仕事、手続があるとの回答が、全体で66%に対して30代は78%、業務の効率化に向けたITの活用が進んでいないとの回答が、全体67%に対して30代は77%、仕事の進め方や仕事そのものの見直しなど業務の効率が図られていないとの回答が、全体で61%に対し30代では71%という状況でございます。  このような結果の要因としましては、やはりコロナ禍への対応や災害対応など通常と異なる業務を抱える中で時間外勤務が慢性化し、また、多忙感を感じる職員が多くなっているということ。また、年齢構成が30代後半から40代の職員が極端に少なく、相談できる職場環境になりにくいという状況にあることなどが考えられます。  今後の県組織の中核を担っていく30代職員の声を真摯に受け止めまして、その軽減や解消に向けて組織として取り組んでいく必要があるというふうに考えておりまして、現在策定中の新たな方針の中で具体的な改善につながる取組につきましても組織全体の課題として検討していきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 行政・財政改革方針の現時点での方向性についてという御質問であります。  総務部をはじめ庁内でいろいろ議論しているところでありますけれども、幾つか課題があるというふうに思いますし、その課題にしっかり対応していく方針にしていきたいというふうに思います。  先ほども総務部長から答弁を申し上げたように、例えば、職員からすると、非常に多忙感を感じている職員が多いという状況、これは、コロナや災害対応で現実的に仕事が増えているという部分ももちろんありますが、仕事をやる意義が十分分からない、あるいは何となくやらされ感があるということもその多忙感につながっているのではないかというふうに思います。  一方で、県民の皆様方とお話をさせていただくと、なかなか県職員に迅速、的確に対応してもらえないといったような声も聞きます。これは、県職員が怠けているということばかりでは必ずしもないというふうに思っておりまして、やはり職員それぞれの責任と権限を分担しているわけでありますので、私はいろんなところで自由なことを勝手に言っていますけれども、一人一人職員が県民に対して、特に仕事の場では自分がこう思ってもなかなか言いづらいという部分もあるだろうというふうに思います。  また、昨今の庁内の状況では、様々な事務処理ミス、あるいは法令にのっとらない対応ということが見受けられますので、こうしたことを全体として改善していかなければいけないだろうというふうに思います。  そういうことを考えますと、現場の職員起点でいろんな改善が行われるような仕組みや仕事の改善、新しい事業の提案等、県民の皆さんに最も身近に接している職員にどんどん声を上げてもらうということが必要だというふうに思っています。  また、上司と部下、あるいは部局横断で、よりコミュニケーションを密にしていくということが必要ではないかというふうに思います。様々な問題意識がありますけれども、今、行政経営理念に基づいて学ぶ県組織をつくっていこうということで取り組んできていますが、まだまだ不十分だというふうに思っています。  今回の行政・財政改革方針は、これをやります、あれをやりますと私を含めた幹部職員がいろいろと処方箋を並べ立てるというよりは、むしろ一人一人の県職員が主体的、能動的に行動できるような環境づくり、そして、職員一人一人が本気になってこの行政・財政改善に取り組んでいってもらえるような風土づくり、こうしたことに重点を置いていきたいというふうに思っておりますし、そうした枠組みづくり、仕組みづくりや風土づくりを私としては応援していきたいというふうに思っています。  また、県民との関係では、私も県民の皆様方との対話集会を各市町村を回って行っておりますけれども、やはり私としても新たな気づきがたくさん得られています。そういう意味では、県組織全体でより県民の皆様方との対話を深めていきたいと思いますし、もっともっと共創していくという考え方を徹底していきたいというふうに思います。  加えて、財政構造については、持続可能な財政構造を何とか構築していきたいというふうに思っています。  今こうした考え方で方向性を取りまとめているところでありますので、県議会の皆様方の御意見等もお伺いしながら、これからの長野県政が県民の皆様方の期待に応えられる、そして一人一人の職員がやりがいを感じて活躍できる、そうした組織になるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君) 持続可能な脱炭素社会の創造について2点御質問を頂戴いたしました。  最初に、行動変容を促すための取組についてのお尋ねでございます。  CO2の削減量など、一人の行動がもたらす効果は小さいものの、その積み重ねがあって初めて脱炭素が達成できるものと考えております。そのためには、一人一人が地球温暖化に対する危機感と責任感を持ち、どう行動すればよいのか、そして、その行動がどのような効果や未来につながるのかを共有することが必要と考えております。  こうした観点から、信州ゼロカーボンBOOKによる具体的な行動例などの紹介、信州環境カレッジのコンテンツの充実、地球温暖化対策条例による再エネ導入の努力義務化などに取り組んでまいりましたが、まだまだ十分とは考えておりません。  このため、ゼロカーボン社会共創プラットフォーム「くらしふと信州」の活動を通じ、新たなライフスタイルの提案を行っていきたいと考えております。また、脱炭素につながる個々の取組が家計や健康、安全、安心などどのような効果をもたらすのか、実例をお示ししながら分かりやすく情報発信していきたいと考えております。  次に、再エネ拡大に向けた市町村や地域との連携についてのお尋ねでございます。  2050ゼロカーボン達成に向けましては、本県が有する再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限活用することが必要であり、これまで、例えば屋根ソーラーにつきましては、信州屋根ソーラーポテンシャルマップや既存住宅エネルギー自立化補助金及びグループパワーチョイス、いわゆる共同購入により、また、小水力発電につきましては収益納付型補助金や小水力発電キャラバン隊などにより普及拡大に取り組んできたところです。  一方で、今後地域のポテンシャルを有効活用して再エネ導入を加速していくためには、市町村や地域の理解と協力、そして主体的な関与が重要であると考えております。  そのため、県として、再エネ事業の計画段階から地域と情報が共有される仕組みづくりに取り組みたいと考えております。また、エネルギー自立地域づくりなど、市町村や地域による脱炭素化に向けた主体的な取組に対し、くらしふと信州における多様な主体との連携、共創も視野に入れながら積極的な支援策を検討してまいります。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 私には上小地域における医療、福祉の充実について4点御質問をいただいております。  まず、地域医療再生計画に基づく事業の成果とさらなる医療提供体制の充実についてでございます。  県では、平成21年度を初年度として7年間にわたり上小地域を対象に約25億円の基金を造成し、輪番制による2次救急医療の体制強化や基幹病院の医師確保などに取り組んできたところでございます。  こうした取組の結果、これまで上小地域外の病院へ搬送していた救急患者について地域内の病院での受入れ割合が向上したほか、基幹病院における常勤医師数が増加するなど一定の体制強化を図ることができたものと考えています。  しかしながら、上小地域においては依然として医師不足が大きな課題であるとともに、医療機関の役割分担と連携強化などによる医療提供体制のさらなる整備が求められているところでございます。  今後は、今回の新型コロナ対応での経験を十分に踏まえた新興感染症等の感染拡大時における医療の在り方のほか、地域における医師確保対策について次期医療計画策定の中で検討してまいります。また、医療機関等の具体的な取組に対しては、地域医療介護総合確保基金による財政支援を行うなど、県民の皆様が安心して医療を受けられるよう引き続き取り組んでまいります。  次に、高齢者プランに基づく地域包括ケア体制構築の進捗状況についての御質問でございます。  地域包括ケア体制を構築していくために、中長期的な人口推計や要介護認定者数の推計を行い、介護需要を見込んだ上で介護サービス等の提供体制の整備を計画的に進めてまいりました。  上小圏域の高齢者施設の整備状況について、代表的な例として特別養護老人ホームの整備数について申し上げますと、平成27年度末の1,110床から現在は1,260床となっております。その結果、特別養護老人ホームのいわゆる待機者数は、平成27年度末の900名から現在689名まで減少いたしました。今後も引き続いてグループホームや訪問看護ステーションなども含めて様々なサービスの充実を図る必要があるものと認識しております。  一方で、要介護認定率の推移を見ますと、平成27年度末の19.0%から現在は18.8%と僅かながら減少しております。高齢化率が平成27年度の29.5%から現在32.3%と上昇していることを踏まえますと、市町村と民間の団体が密接に連携して取り組んでいる介護予防の取組の効果が現れているものと考えております。  次に、次期高齢者プランに向けての現在の課題と今後の取組についての御質問でございます。  地域包括ケア体制の構築では、住み慣れた自宅や地域で安心して暮らし続けられる環境整備を目標としているところですが、上小圏域におきましては、在宅や老人ホーム等におけるみとりの事例が県平均よりも少ない状況にございます。  そのような中、とりわけ上田市では、第7期長野県高齢者プランの期間中から県が支援して24時間在宅ケアサービス推進モデル事業を実施し、高齢者の在宅ケアサービスを24時間提供可能にする取組などを行っております。  来る第9期長野県高齢者プランでは、今後の介護需要を見込んだ上で計画的な施設整備を着実に進めてまいりますが、とりわけ定期の巡回や随時の対応ができる訪問介護や訪問看護、通い、泊まり、訪問といった多機能な介護サービスの整備などについて、ソフト、ハードの両面から、上小圏域の市町村に対し県として支援を行ってまいります。  最後に、福祉就労から一般就労への移行状況と県の取組についての御質問でございます。  福祉就労から一般就労へ移行した方は、全県で令和元年度の265人から令和3年度には315人に約2割ほど増加しております。上小圏域においても27人から36人と増加しておりまして、人口規模から見ましてもトップクラスの移行状況となっております。  県の取組といたしましては、県が指定した10圏域に設置されている障害者就業・生活支援センターが、ハローワークや地域振興局の求人開拓員等と連携して障がい者一人一人の障がい特性や仕事への適性を見極め、企業等とのマッチングを行っております。特に、雇用前の職場実習は一般就労の促進等に有効な施策であることから、県では短期の実習を行う実習生に手当の支給等を行う障がい者短期トレーニング促進事業を実施し、支援をしております。昨年度この事業を利用した324人中218人が一般就労を実現するとともに、就職から6か月後の職場定着率は88.6%と成果を上げております。  障がいのある方が地域で自立し、就労を通じて自己実現を図るためには、適性に合った仕事とのマッチングや働きやすい職場環境づくりが重要でございます。県としては、職場実習を含めたきめ細かな支援によって引き続き一般就労への移行支援に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔34番石和大君登壇〕 ◆34番(石和大 君) 先ほど御紹介したとおり、福祉就労から一般就労へ障がい者の就労支援を行っている知人、私の友人でありますが、上小地域は、その成果もあって県内でトップクラスだということでありました。本当にうれしいことだと思います。多くの方々と触れ合っておりますけれども、非常に生き生きと暮らしている、そして就労を目指している、そういう姿が見受けられます。これからもそんな上小地域であってほしいというふうに願って次の質問に入ります。
     防災・減災と道路網の整備についてであります。  気候変動も相まって、近年、豪雨災害が頻発、激甚化する中、こうした災害への対処も暮らしやすい地域づくりに必要不可欠であります。  長野県では、令和元年東日本台風災害をはじめ、毎年甚大な豪雨災害が発生し、大きな被害を受けているところであります。激甚な災害が頻発化する昨今の状況を鑑みるに、事前の防災・減災、国土強靱化を一層推進すべきであり、9月定例会においても国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を活用し、土砂災害を未然に防ぐための砂防堰堤の整備や災害時の交通を確保するための重要な道路ネットワークの機能強化、長寿命化計画に基づくインフラの老朽化対策を進めており、今後もこれらの取組を加速化させていくとの答弁があったところです。  令和元年東日本台風では、上小地域でも、道路においては国道254号の三才山等大きな被害を及ぼしたほか、東御市に隣接する群馬県側でも被害が大きく、現在も復旧工事をしているところであります。そこで、今後も地域のアクセスを寸断するような災害は起こり得るものでありますが、道路の防災・減災対策の取組状況について田中建設部長に伺います。  世界基準のワインの産地について質問いたします。  県では、平成25年3月に信州ワインバレー構想を策定し、栽培から醸造、販売、消費にわたる振興策を示し、長野県産ワインのブランド化とワイン産業のさらなる発展を推進してきました。  こうした取組の成果により、本県で生産されるワインの品質は年々向上しており、海外からの賓客との晩さん会に長野県産ワインが提供されたことが話題となるほか、日本ワインコンクール2022において長野ワインが入賞70品で全国2位、うち金賞は12品で全国1位となるなど非常に高い評価を受けていることは皆様御存じのとおりであります。  長野県はワイン用ブドウ栽培の適地であり、令和元年のワイン用ブドウ栽培面積は343ヘクタール、生産量は全国1位の6,789トンを誇り、国税庁の統計によりますと、国産のブドウのみを原料とし日本国内で製造された日本ワインの令和2年の出荷量は3,773キロリットルで全国1位、ワイナリー数は全国2位の71か所であります。  このうち、上小地域には15か所のワイナリーがあり、市町村別では、東御市が13か所、上田市、青木村がそれぞれ1か所となっております。県内では新規ワイナリーの参入者が急速に増えており、ワイン産業が盛んになることは喜ばしいことであります。  そこで、上小地域が含まれる千曲川ワインバレーにおいても同様にワイナリー数が急増しておりますが、このような状況の中で、各ワインバレーでは、ワインの品質を確保すると同時に、どう人を呼び込んで地元の食材とワインとのマリアージュを楽しんでいただくかをしっかりと発信していくことが大切であると考えますが、現状、県内の各ワインバレーではその魅力をどのように発信しているか、林産業労働部長に伺います。  また、将来的には、全県的にナガノワインの魅力を発信し、長野県のワイン産業を持続的に発展させていく必要があると思いますが、そのためにどのようなビジョンを持って取り組んでいくべきと考えるか、林産業労働部長に伺います。  初めにも申し上げましたが、上小地域には、湯の丸や菅平、美ヶ原といった高原、別所温泉、鹿教湯などの名湯、秘湯など魅力ある観光地が多数あり、多くの方々が訪れております。一方で、これらの観光地について、それぞれ魅力はあるものの、一体感がないようにも感じられます。  長崎市を参考にしますと、点在している核となる観光スポットを周遊できるようになっており、観光客にとっては様々な場所を巡ることができ、これらの場所を多くの人々が訪れることで地域に潤いをもたらします。このように観光地をつなぐためのコーディネートを県ができないかと考えるところであります。  そこで、上小地域には高原や温泉、城下町、街道等の魅力ある観光資源を有する観光地が多く点在しており、こうしたそれぞれの観光地の魅力を高め、さらにつなぐ取組が必要と認識しておりますが、渡辺観光部長に所見を伺います。  また、観光地を支援するためには、将来的に周遊できる道路が必要でありますが、観光支援に向けた道路整備の取組状況について田中建設部長に伺います。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には2点御質問をいただきました。  まず、道路の防災・減災対策の取組状況に関するお尋ねでございます。  災害時における緊急輸送路の確保や主要幹線を補完する迂回路の機能強化に向け、通行止めのリスクの高い箇所の対策に取り組んでいるところであります。上小地域では、緊急輸送路である国道254号上田市東内から西内及び東部望月線東御市田中の整備などを推進しているところです。引き続き防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を活用し、道路の防災・減災対策を重点的かつ集中的に講じてまいります。  次に、観光支援に向けた道路整備の取組に関するお尋ねでございます。  地域の周遊性やアクセス性の向上など、観光地の魅力を高める上で道路整備は重要であると考えております。観光の周遊性を高める道路整備として、湯の丸高原へ向かう県道東御嬬恋線の道路拡幅や別所温泉への周遊道路となる県道別所丸子線のバイパス整備などを推進しております。  また、県外からの集客に寄与する道路として、地域高規格道路である上信自動車道について、国や群馬県と共に早期整備推進に向けた検討会を開催するなどの取組を進めているところです。さらに、観光地の魅力向上のため、上田市天神の無電柱化による景観に配慮した道路整備のほか、舗装修繕や沿道環境美化など観光支援に向け様々な取組を行ってまいります。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 世界基準のワイン産地について2点御質問を頂戴しました。  初めに、各ワインバレーでの魅力発信についてでございます。  議員も御紹介されましたが、県内におけるワイナリー数、ワイン出荷量やワイン用ブドウの栽培面積は、いずれも信州ワインバレー構想策定以降着実に増加してきているところです。  また、最近では、しなの鉄道や長野電鉄などでのワイン列車の運行や、観光事業者と連携した誘客等によってテロワールを肌で感じながらワインを楽しむといった光景も見られるようになってまいりました。  大型イベントとしては、今年5月に、小諸市、東御市、上田市、坂城町が連携し、各地で地元ワインの販売会を行い、しなの鉄道などで回遊してもらう千曲川ワインゴーランドを2日間にわたり開催。また、同時開催となった桔梗ヶ原ワインバレーの「新緑と楽しむワインピクニック塩尻ワイナリーフェスタ2022」には、市内14ワイナリーと醸造免許を持つ塩尻志学館高校が一堂に会し、県内外の愛好者に自慢のワインが振る舞われました。コロナ禍ではありましたが、各地域の風土やブランド意識を共有することができ、地域の魅力向上につながるものと思っております。  次に、ワイン産業の持続的発展に関する今後のビジョンにつきましては、現在、産業振興戦略プランの策定に併せて信州ワインバレー構想の改定を行っております。日本一のワイン産地を形成できるよう、農政部や工業技術総合センター等が連携して、栽培技術から醸造技術、経営までを一貫支援する体制づくりや、ワイナリーを観光資源として交流を深める観光地域づくりの取組を強化してまいります。  さらに、県内のホテルやレストランなどで当たり前のようにナガノワインが味わえるワイン文化の醸成や、GI長野によるブランド発信など、真に「世界が恋する、NAGANO WINE」となるよう取り組んでまいる所存です。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君) 私には上小地域における観光地の魅力を高め、つなぐ取組への所見についてでございます。  議員御指摘のとおり、上小地域には多くの観光資源があり、それらの魅力を向上させ地域への滞在を促す取組は、観光消費額を増加させ、観光産業の発展や地域の活性化を図る上で重要であると認識しております。  このため、信州の観光地魅力向上実践事業により、東御市など東信エリアのワインツーリズムを担うガイド育成の取組等と併せ、温泉などのコンテンツとも結びつけ、面的な観光地の魅力づくりを支援しているところでございます。  また、上田地域振興局においては、市町村や観光協会と連携し、銀座NAGANO等において観光地や特産品のPRを行うなど、上田地域の観光地をつなぐ取組を進めているところでございます。  コロナ禍を経て、観光ニーズが物見遊山的なものからテーマを意識したものへと変化していることから、サイクルツーリズムや、食や歴史、文化などストーリー性のあるコンテンツによって観光地を結びつけ、滞在、周遊につながる取組を市町村等と連携し進めてまいります。  以上でございます。       〔34番石和大君登壇〕 ◆34番(石和大 君) ナガノワインと料理の組合せの話に触れましたが、70以上のワイナリーがあります。さらには、長野県には80以上の酒蔵があるわけであります。クラフトビールやシードル、そしてクラフトジンなど様々なおいしい飲物ができています。それらと料理を組み合わせて、長野県のあそこに行ってあのワインとあの料理を食べよう、あのお酒とあのおそばをあの店で食べようと各事業者の皆様はしっかり発信し、広がりを見せています。  しかし、長野県は酒どころ、ワインの聖地という認識は、まだまだ全国や世界に広がってはいないというふうに思います。もちろん、お酒だけではなく、信州のおいしい果物、それを使ったスイーツとこのコーヒーといった組合せもたくさんあります。事業者や生産者の皆様はしっかりとそれを発信しています。それを後押しできる役割、発信できる、強化する、その役割を県が担う必要性を感じています。  それとともに、二次交通の充実やインフラ整備によって、それらを面としてつなぐ役割も市町村と協調して進めていくよう要望しておきます。  東御市にはオーベルジュもできています。海野宿にもそろそろオーベルジュが誕生する予定であります。多くの県民の皆様、そして全国の多くの皆様を迎え入れられる、そんな海野宿や東御市、長野県でありたいということを願って、質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、堀内孝人議員。       〔33番堀内孝人君登壇〕 ◆33番(堀内孝人 君) 自由民主党県議団、堀内孝人です。2点ばかり質問いたします。  最初に、子供の放課後の健全な居場所の確保について質問いたします。  市町村では、それぞれの学校区単位で放課後児童クラブなど放課後の子供たちが過ごす場づくりに取り組まれています。放課後児童クラブにおいては、各自治体で実施者が苦慮しながらも、新型コロナウイルス感染症対策としてソーシャルディスタンスを守りながら空間確保を実施してきております。このことに関連して伺います。  狭隘な施設で過ごす子供たちが少なくない中、放課後児童クラブにおける遊びや学びの場としての空間確保が必要と考えますが、面積の基準はどうなっているのか。また、子供が快適に伸び伸びと過ごせるよう、放課後児童クラブの実施に対して県として後押ししてほしいと考えますが、野中こども若者局長にお伺いします。  次に、肥料価格高騰に対応した肥料の国産化についてお願いしたいと思います。  コロナショックやウクライナ紛争の国際情勢の変化に伴い、肥料が入手困難、また価格高騰となっています。肥料の高騰に関しては、国内の食の安定した供給が困難となるのではないかという懸念とともに、下水汚泥などの国内の資源の活用が注目されております。国においても下水汚泥などの肥料利用を拡大する方針であります。  長野県下では、県が3流域4処理場で流域下水道事業を行っているほか、45市町村で公共下水道事業を実施しており、汚水処理によって排出される下水汚泥は、各自治体の処理ではなく、産業廃棄物として外部処理をしている状態です。今まで輸入に頼っていたツケが回ってきている状態を改善すべきであり、SDGsの視点からも長野県が率先して取り組むべき事案であると思っております。  肥料価格が高騰する中、国は農林水産業のグリーン化を推進しつつ、肥料の国産化、安定供給を図るため、下水汚泥や堆肥等の未利用資源の利用拡大を図ることとしているが、県としても下水汚泥を含む国内の資源を原料とした肥料の活用を進めるべきと思いますが、小林農政部長にお伺いします。  また、佐賀市では下水汚泥から製造した安価な肥料を多くの市民が利用しているとの報道がありました。長野県としても、国の動向を踏まえ、流域下水道から発生する汚泥の肥料化を進めるべきではないかと考えますが、猿田環境部長にお伺いします。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には放課後児童クラブに関して2点御質問をいただきました。  まず、放課後児童クラブの面積基準についてでございます。  放課後児童クラブの設備及び運営の基準に関しましては、国が示した基準を参酌して市町村において条例で定めることとされております。国の参酌基準上は、遊び及び生活の場としての機能と静養するための機能を備えた専用区画を設けることとされており、専用区画の面積は児童1人当たり1.65平方メートル以上とすることなどが定められておるところでございます。  次に、放課後児童クラブの実施に対する県の支援についてでございます。  県においては、市町村の計画に基づく放課後児童クラブの新規創設、施設改修等の整備費への助成や人件費等の運営費に対する助成を行っております。また、各放課後児童クラブに配置され子供たちの活動の適切な支援を行います放課後児童支援員を養成する研修を行い、子供の発達段階に応じた必要な配慮事項、各種活動における安全確保の方策、緊急時の対応方法など必要な知識及び技能を習得していただいておるところでございます。  今後も、こうした施設整備への助成や職員の育成を通じて、明るく快適な環境で、適切な訓練を受けた職員の支援により、子供たちが心身共に健やかに育成されるよう市町村を支援してまいります。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君) 私には国内の資源を原料とした肥料の活用について御質問をいただきました。  原料を輸入に依存している化学肥料の価格が高騰する中、下水汚泥や家畜排せつ物、キノコの使用済培地など国内の資源を活用して製造された肥料の利用拡大は農家の経営安定のために有効な手段の一つであると認識しております。  県では、これら肥料を農家自らが活用し、化学肥料低減に取り組めるよう、有機質資材の施用や土壌分析に基づいた施肥等をまとめた手引書をJAグループと協力して作成し、技術指導に努めております。  なお、下水汚泥につきましては、肥料として国の登録を受けた者が県内においても草花や樹木等の栽培に使用されていると承知しております。今後も、国内資源を原料とした肥料の活用を進め、化学肥料低減をはじめとした環境に優しい農業など持続可能な農業を推進してまいります。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君) 流域下水道から発生いたします汚泥の肥料化についてのお尋ねでございます。  現在、全国には約2,000の下水処理場がございますが、その半分に当たる約1,000の処理場において、また、県内でも45の処理場において下水汚泥を利用した肥料化に取り組んでおります。  一方、量で見た場合には、下水汚泥に対する肥料利用の割合は全国で約1割、県内でも約3割にとどまっており、これは、下水汚泥に対するネガティブなイメージや需要先の確保などの課題があるためと考えております。  今般の肥料価格高騰を受け、再び下水汚泥等が注目されておりまして、農林水産省、国土交通省、関係団体等で構成される下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会が10月に設置され、利用者の理解促進や需要と供給のマッチング支援など官民が連携した取組について検討が始まったところでございます。  本県の流域下水道の汚泥につきましては、これまでもセメント材料として100%利用されてはおりますが、肥料化による利活用が進むことは原料の国産化や循環型社会の構築の観点からも有効でございます。国の動向や千曲川流域下水道での過去の検討経過、さらには費用対効果も踏まえ、関係部局とも連携して可能性について検討してまいりたいと考えております。       〔33番堀内孝人君登壇〕 ◆33番(堀内孝人 君) 長野県は果物王国です。少しでもおいしい果物が手に入るよう、安い肥料、農薬を、ぜひとも県においても引き続きやってほしいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上で質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、続木幹夫議員。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君) 改革・創造みらい、塩尻市区選出の続木幹夫です。順次質問に移ります。  まず、県内大学等連携推進について伺います。  文部科学省は、昨年2月に、少子化などを受け、大学間で連携して質の高い教育を実現する目的で大学等連携推進法人を制度化いたしました。この制度の目的は、連携する各大学の強みを持ち寄って競争力を高め、また、教員を増やさず学生が学べる分野を広げることができ、さらに連携する他の大学の講義を受けて単位を取得することができる等の効果が期待できます。  本県では、大学の個性を生かしながら大学間で連携して、教育研究資源を有効活用しながら県と地域の発展に貢献する目的で、平成20年に高等教育コンソーシアム信州が設立されました。また、長野県は、平成21年11月に長野県と国立大学法人信州大学との包括的連携に関する協定を締結し、令和元年11月には都道府県で初めて県庁内に信州大学・長野県連携室を設置して、信州大学のコーディネート人材を配置しました。  このように、本県には既に大学等連携推進法人設立の下地が十分にできています。そこで、県内の大学における大学等連携推進法人の設立の動きはどのような状況か、県民文化部長に伺います。  次に、心理的虐待への対応について伺います。  全国的には、児童相談所の虐待対応件数が2021年度に最多を更新しました。このうち、子供の前で家族に暴力を振るう面前ドメスティックバイオレンスを含む心理的虐待の増加が顕著で、その件数は全国で12万件を超え、10年前の約7倍になっていて、虐待件数の6割を占め、急増しています。  本県の児童虐待の動向を見ますと、昨年は若干減少しましたが、やはり増加傾向にあり、全国の動向と同様に心理的虐待が6割を占めています。心理的虐待による心的外傷、トラウマは、何年たっても消えることはなく、その後の人生に大きな影響を及ぼします。また、心理的虐待を受けている子供は、身体的虐待やネグレクトと違って外見に虐待の痕跡がないので、周囲から見過ごされやすく、潜在的にはもっと多いと考えられます。そこで、なぜ近年子供への心理的虐待が増えているのか。そして、この心理的虐待を見過ごさないようにするにはどのような方策が考えられますか。こども若者局長の見解を伺います。  そして、心理的虐待を見逃さない一つの方策として、子供と長く接している教師の役割が重要と思われます。学校の現場で心理的虐待を見逃さない方策はどのようになっているのか、教育長に伺います。  また、DVまで行かなくても、感情に任せての保護者間での言い争いも実は子供に大きな不安を抱かせることを親は認識するべきで、どのような言動が心理的虐待となるのかということを保護者などに周知させることも重要と考えます。そこで、PTAの会合などの場で、保護者に対してどのような言動が心理的虐待となるのかを認識してもらう研修が必要と思われますが、現状について教育長に伺います。  そして、心理的虐待を受けた子供へのケアは現在どのようになっているのでしょうか。また、このペースで心理的虐待の件数が増えていけば児童相談所の対応が追いつかなくなることも考えられますが、その対応策についてこども若者局長に伺います。  そして、この対応策の一つとして、市町村との連携も考えられますが、現在市町村との連携はどのようになっているのでしょうか。これもこども若者局長に伺います。  次に、武力攻撃想定訓練について伺います。  先月、11月8日に、塩尻市で武力攻撃やテロの緊急事態発生に対応する国民保護共同図上訓練が行われました。そこで、このそもそもの目的と、この訓練によって得られた課題と成果を対策本部長を務めた副知事に伺います。  そして、本年9月定例県議会において、西沢正隆議員の一般質問に対して、知事は、他国の侵攻やミサイル攻撃など国民保護法の武力攻撃事態を想定した訓練の実施を検討すると答弁いたしました。  確かに、今日の世界情勢を見ますと、ロシアのウクライナ侵攻、頻発する北朝鮮のミサイル発射、さらには習近平主席の「中国は一つ」発言による台湾有事も考えられ、不安定な要素は多くあります。アメリカのバイデン大統領は、中国が武力で台湾統一を図ろうとした場合、台湾防衛のために軍事的に関与する考えを示す発言をしましたので、台湾有事ともなれば、米国の基地が全国各地にある我が国にもその火の粉が降りかかってくることが考えられます。  しかし、長野県に限って見ますと、長野県内には米軍基地があるわけではなく、松本市に小規模の自衛隊の駐屯地があるのみで、直接ミサイルなどの武力攻撃を受けることは考えにくく、他県で既に実施したような、Jアラートが鳴ったら頭を抱えて伏せるとか物陰に隠れる訓練をしても実効性はないと考えます。  私が一番恐れるのは、日本海側にある原子力発電所が誤爆も含め攻撃され、放射性物質が噴出し、偏西風に乗って県内にも降り注いでくるという事態です。実際、先月27日に、福井県おおい町で、自衛隊が運用している地上配備型の迎撃ミサイルPAC3の訓練が原発がある市町村では初めて行われ、国としてもその点を恐れているようであります。  そして、もしこのような事態が実際に起これば、長野県民、とりわけ北信の県民は、より南東に向かって避難しなければなりません。したがって、原発がある福井県、石川県、新潟県と連携して日本海側にある原発が攻撃されたことを想定した避難訓練をしたらいかがか。知事に伺います。
          〔県民文化部長山田明子君登壇〕 ◎県民文化部長(山田明子 君) 県内における大学等連携推進法人の設立に向けた動向についての御質問でございます。  現在、長野県内では、信州大学が中心となり、長野大学、佐久大学を連携大学として、令和6年度の法人設立を目指して検討しているものと承知しております。この法人の設立によりまして、各大学の強みを相互に生かした文理横断型のSTEAM教育を実施し、地域や産業界が求めるDX、GX、グリーントランスフォーメーションの推進に資する人材の輩出を目指していくものでございます。  具体的な取組といたしましては、地域学、データサイエンス及びグリーンテクノロジーなどを各大学間の連携科目として開設いたしますとともに、課題解決型学習を取り入れるなど、既存の教育プログラムの再構築を図ってまいります。  また、あわせまして、信州大学では、県内大学や経済団体、長野県など産学官の代表者を構成員といたしました地域連携プラットフォームを設置いたしまして、地域が求める人材像や人材の育成方法、教育プログラムの評価点検方法などを検討、立案して、大学等連携推進法人による人材育成につなげていく予定でございます。  県といたしましては、こうした県内大学による新たな展開を見据え、産学官が連携したプラットフォームへの参画を通じまして、地域で活躍する専門人材の育成を支援してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には心理的虐待に関して4問いただきました。順次お答えさせていただきます。  まず、心理的虐待の増加要因についてでございます。  本県の児童相談所で対応いたしました心理的虐待の件数は、平成23年度が283件であったのに対し令和3年度は1,607件と、この10年間で5.7倍になっており、御指摘のとおり大きく増加している状況でございます。  これは、平成16年の児童虐待の防止に関する法律の改正以降、児童がDVを目撃した場合にこれを心理的虐待として扱うことになったことに伴い、子供がいる家庭における配偶者に対する暴力事案、いわゆる面前DVに係る警察からの通告が増加していることによります。令和3年度の心理的虐待のうちおよそ46%に当たる735件が警察からの通告となっております。  近年、核家族化の進展により子育てが孤立化し、さらには、コロナ禍で親子共々家庭内でストレスを抱えながら過ごす時間が長くなっていることなどを背景として、児童への暴言や配偶者へのDVの事案が増え、心理的虐待件数が増加してきているものと考えております。  次に、心理的虐待を見過ごさないための方策についてでございます。  心理的虐待は、身体的虐待とは異なり、目につきにくい虐待であり、周囲の大人の気づきが一層大切でございます。このため、子供を取り巻く親戚、近隣知人、友人のほか、学校や保育所などの子供の所属先の支援者が子供との信頼関係を構築し、子供の態度や表情などからその変化を酌み取れるよう意識醸成や社会機運を高めていく必要があると考えております。  同時に、子供が気軽に相談できる環境づくりが必要と考えており、県では、子ども支援センターを平成27年度に設置し、子供から寄せられる様々な相談を通じて心理的虐待等の発見に結びつけているところでございます。  次に、心理的虐待を受けた子供へのケアについてでございます。  子供の心の安定には、日頃から子供に接する身近な大人からの安心感をもたらすような関わりというものが欠かせません。住民に身近な相談先である市町村等と連携しながら保護者を面接指導することで、保護者と子供が良好な関係を築けるよう支援を行っているところでございます。  また、心理的虐待が繰り返されたり、子供が重篤なダメージを負っているような場合に関しましては、児童を一時保護の上、医療につなげたり、また、児童相談所の児童心理司が専門的なケアをきめ細やかに行っているところでございます。  最後に、児童相談所の対応と市町村との連携についてでございます。  県では、増大する児童虐待相談に対応するため、児童福祉司、児童心理司等の専門職員の増員を計画的に行ってきたところでございます。  一方で、児童虐待の対応に当たりましては、身近な相談機関である市町村の果たす役割が重要となることから、県では、平成28年の児童福祉法等の改正を受けて、児童虐待防止に係る児童相談所と市町村の連携指針を定め、県と市町村の役割や連携体制について明確化を図ってきているところでございます。  この指針におきましては、児童相談所が専門性の高い事案への対応、一時保護や措置等の行政処分を行い、市町村は、虐待防止や早期発見、学校などとの連絡調整、さらには児童相談所が在宅指導・援助している家庭や児童養護施設等を退所した子供へのフォローアップというような役割を担っていただくこととしております。  そうした中で、市町村における援助と相談体制の充実を図ることが必要であることから、県といたしましては、市町村職員を対象といたしました研修、市町村の実情に応じた丁寧な助言、援助の実施、市町村の児童・家庭相談支援体制の構築を行う地域養育推進担当を各児童相談所に配置するなど、市町村への支援と連携強化に努めてきているところでございます。  今後も、市町村と役割分担、連携強化を図りつつ、子供や家庭に関する相談に適切に対応してまいります。  以上でございます。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 私には2点質問を頂戴しました。  まず、学校における心理的虐待を見逃さない方策についてのお尋ねでございます。  各学校においては、教職員が子供たちを注意深く見守るとともに、学校生活に関するアンケートや面談等を定期的に実施して、子供たちの不安、悩みや変化について把握する取組を行っております。  また、県教育委員会では、子供と接する時間が長く虐待の兆候を発見しやすい場所である学校に対して、管理職に向けた研修を実施するとともに、本年3月には「児童生徒の虐待対応に関する取組について」を発出し、校内マニュアルの作成または見直し、長期休業中の見守りの実施、年度当初の校内研修の実施を依頼したところでございます。  心理的虐待は、見過ごされやすく、その影響も表に出にくいため、これまで以上に教職員が子供たちの違和感や変化に気づき、僅かなSOSを見逃さないようにすることが必要であると考えております。  次に、保護者に対する心理的虐待に関する研修についてでございます。  これまで、県教育委員会では、各学校に対し、虐待についての保護者への啓発や虐待防止を目的としてPTA総会などにおいて虐待防止について理解を求めたり、学級通信などで子供への関わり方等について悩みを共有し相談できる関係機関等を紹介するなどの取組を依頼してきており、子供との接し方のヒント等を内容とした研修がPTAの会合等において行われていると承知しております。  今後は、保護者がどのような言動が心理的虐待になるのかという認識を持つことも含め、子供たちへの接し方についての意識が一層高まるような研修等が行われるよう引き続き学校に働きかけてまいります。  以上でございます。       〔副知事関昇一郎君登壇〕 ◎副知事(関昇一郎 君) 塩尻市と共に行った国民保護共同図上訓練の目的と成果、課題についてのお尋ねであります。  今回の訓練は、国と共同で、テロによる爆破という緊急対処事態発生時に住民の生命、財産を守るために必要な県と市町村の対応能力の向上と、消防、警察、自衛隊等との連携手順を確認、実践することを目的に実施しました。  訓練の成果といたしまして、今回想定したような爆破や立て籠もり事案も、テロによる行為の場合国民保護法に基づく緊急対処事態になり得ることを参加した関係機関が認識をしたことが一つ挙げられます。また、県、市町村が、救護や住民避難等に関して、国、関係機関とどのように情報共有し、連携するのかを実践することができました。  一方で、通常の災害では起こり得ないような複数の事案が連続して発生し、様々な情報が入ってくる中で、優先して解決すべき事項をいかに関係者間でしっかり共有できるかを把握することが課題として認識したところであります。  こうした課題については、情報共有の手法をより実践的なものとなるよう努めるなど、今後も、万が一に備え、国民保護事案対応の体制整備に努めてまいりたいと考えております。  以上であります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 原子力発電所が攻撃されたことを想定した訓練の実施についてという御質問であります。  福島第1原発の事故の際には、本県においても放射性物質が飛来し、また、農作物等の風評被害も発生いたしました。まずはその放射性物質の飛散に対応していくということが重要でありますので、武力攻撃事態に対処するというよりは、むしろ原子力災害対策として対応していくということが必要だというふうに考えております。  長野県の地域防災計画においては、原子力災害対策編を設けて対応を定めているところであります。本県は原子力発電所の立地県ではなく、おおむね30キロ圏内のUPZ、緊急防護措置を準備する区域という範囲内に含まれておりませんので、まずは地域防災計画の対策を関係機関との間でしっかりと共有することが重要だというふうに考えております。  その上で、放射性物質のモニタリング結果の伝達方法、また、住民への呼びかけ内容の確認、こうしたことについて徹底していきたいと考えております。  以上です。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君) 心理的虐待につきましては、確かに私の子供の頃はそうした認識とか言葉もありませんでしたが、今思えば、私もまた心理的虐待を受けていたと思いますし、同時に私も自分の子供の心を傷つける言動をしていたのではないかと反省する部分もあります。したがって、特に保護者への心理的虐待についての認識の研修などはしっかりと行っていただきたいと思います。  そして、副知事からは塩尻市で行われましたテロを想定した訓練の成果と課題を答弁いただきましたが、そもそもテロとは、暴力や武力によって何らかの政治目的を達成させようとする行為であって、例えば奈良市における安倍元首相の襲撃事件は、個人的な恨みによる犯行であって、テロではありません。  今回塩尻市で行われた訓練は、報道によると、バドミントン大会が開かれていた塩尻市の体育館が爆破され、多くの死傷者が出たという想定での訓練とのことですが、この想定のどこに政治的目的があるのでしょうか。凶悪犯罪とテロを混同してはいけません。政府機関も国際会議場もない塩尻市でテロなど起こるはずもなく、また、報道によると、来年4月に軽井沢で行われる予定の先進7か国外相会合、G7に備えての訓練ということも併せて行っているということであれば、軽井沢で行えばよいのであって、塩尻で行っては何の意味もなく、何の実効性もない訓練であったと言わざるを得ません。  また、知事は、検討しているという武力攻撃想定訓練につきまして、原子力災害として別途訓練をすればよいというような答弁をされました。しかし、実際のところ、原発推進を積極的に図っている政府が、国民に原発に対して不安感を抱かせるような訓練を許すはずがありません。この訓練の本当の目的は、隣の国が攻撃してくるぞという国民の危機感をあおって内政の失策から国民の目をそらし、防衛費の倍増や敵地攻撃を国民に納得させる手段でしかありません。  太平洋戦争中に行われた焼夷弾が落ちてきたらバケツリレーで消火する訓練や、米軍が上陸してきたら米兵を竹やりで突く愚かしい訓練と何ら変わりない実効性のない訓練など、県民の不安をあおるだけで、やるべきではないということを知事に申し上げて、私の一切の質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明7日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時51分延会...