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令和 4年 6月定例会本会議-06月22日-03号

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  1. 長野県議会 2022-06-22
    令和 4年 6月定例会本会議-06月22日-03号


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    令和 4年 6月定例会本会議-06月22日-03号令和 4年 6月定例会本会議 令和4年6月22日(水曜日)  出席議員(55名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 清水正康    30 番 小池久長   5 番 加藤康治    31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦    32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜    33 番 石和 大   8 番 大井岳夫    34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人    35 番 山岸喜昭   10 番 花岡賢一    36 番 小島康晴   11 番 池田 清    37 番 小林東一郎   12 番 熊谷元尋    38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆    46 番 鈴木 清   20 番 共田武史    47 番 高村京子   21 番 丸山大輔    48 番 宮澤敏文   22 番 髙島陽子    49 番 西沢正隆   23 番 荒井武志    50 番 風間辰一   24 番 埋橋茂人    51 番 佐々木祥二   25 番 続木幹夫    52 番 向山公人   26 番 中川博司    54 番 本郷一彦   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭  欠席議員(1名)   53 番 平野成基         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    農政部長      小林安男   副知事       関昇一郎    林務部長      吉沢 正   産業政策監     伊藤一紀    建設部長      田中 衛   危機管理部長    前沢直隆    建設部リニア整   企画振興部長    清水裕之    備推進局長     斎藤政一郎   総務部長      玉井 直    公営企業管理者   健康福祉部長    福田雄一    職務執行者・企   環境部長      猿田吉秀    業局長       須藤俊一   産業労働部長    林 宏行    財政課長      高橋寿明   産業労働部営業           教育長       内堀繁利   局長        金井伸樹    警察本部長     小山 巌   観光部長      渡辺高秀    監査委員      田口敏子         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      村松敏伸    議事課主事     松橋高志   議事課長      矢島 武    総務課課長補佐   宮島文明   議事課企画幹兼   蔵之内真紀   兼庶務係長   課長補佐              総務課担当係長   津田未知時   議事課担当係長   矢島修治    総務課主事     古林祐輝   議事課主査     風間真楠         ───────────────────  令和4年6月22日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(丸山栄一 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、和田明子議員。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)おはようございます。エネルギーの価格高騰と自給率について質問してまいります。  いまだかつて経験のないほどの物価高騰の原因は、新型コロナとウクライナ侵略の影響だけでなく、アベノミクスで始めた異次元の金融緩和を続けていることが異常な円安をもたらし、物価上昇に拍車をかけています。  原油の値上がりによって、長野県のガソリン代は、昨年4月にリッター130円台だったものが現在は180円台前後になり、リッター50円も高騰しています。石油大手元売への補助が行われても、消費者は政府が販売価格を下げる努力をしている実感を持ててはおりません。また、原油だけでなく、石炭、液化天然ガスも値上がりし、中部電力は11か月連続値上げ。ガス料金も同じく11か月連続値上げです。電気、ガスの高騰は今後も続きます。県民生活を直撃しています。  6月補正予算案は、長野県価格高騰緊急対策第一弾として52億4,868万円余が提案されましたが、家計を直撃している電気、ガスなど光熱費の高騰に対応したものがないのは残念です。今後、低所得、生活困窮世帯への支援を行うことなどを検討すべきと考えます。健康福祉部長にお伺いします。  電気料金が上がるだけでなく、国は、今年の冬に予想される電力不足の対応策として、大企業を対象とする電気使用制限令の検討、節電が不十分な場合の計画停電の準備、一般の利用者に無理のない範囲でできる限りの節電要請など冬の需給対策について政府検討がされており、ウクライナ危機の長期化でエネルギー不足の懸念が高まっております。  このような事態は、エネルギーを外国に依存している危うさを浮き彫りにしました。日本のエネルギー自給率は10%程度、OECD36か国中35位、先進国で最低クラスです。今こそ外国依存から抜け出してエネルギー自給率を高める政策を推進すべきと考えます。  長野県では、2003年度から、長野県地球温暖化防止県民計画で、温室効果ガス排出量を削減する目標と、環境と経済の両立、地域主導型自然エネルギーの重視という方針を持って推進し、再生可能エネルギー生産量を増やし、エネルギー自給率を引き上げてまいりました。  そして、昨年6月には長野県ゼロカーボン戦略を策定して、「社会変革、経済発展とともに実現する持続可能な脱炭素社会づくり」を基本目標に据えて、温室効果ガス正味排出量は、日本の脱炭素化をリードする野心的な削減目標、2030年までに6割削減を目指すとし、再生可能エネルギーは、生産量を2030年までに2倍増、2050年までに3倍増、最終エネルギー消費量は2030年までに4割減、2050年までに7割減と目標を明確な数値で掲げました。  長野県のゼロカーボン戦略は、全国的に見ても非常に高い目標です。このような高い目標を達成することは、結果としてエネルギー自給率を上げることにもつながると考えるが、いかがか。環境部長にお聞きします。  6月補正予算案には、再生可能エネルギーの生産量拡大の目標達成に向けた施策の一つに、県有施設への太陽光発電設備導入に向けた調査を実施するとありますが、既に設置した施設と今回の調査施設で県有施設に占める割合はどの程度になるのか、伺います。民間企業の取組を促進する上でも県有施設の促進をさらに図るべきと思うが、いかがか。環境部長に伺います。  国の中長期のエネルギー政策では、原発を唯一の重要なベースロード電源と位置づけ、発電量の20から22%を賄うとしています。また、国連から撤退するよう求められている石炭火力についても、2030年度に19%を見込んでいます。原発と石炭火力に依存する姿勢から政府はいつまでも抜け出せずにいます。  一方で、政府の試算では、日本における再生可能エネルギーの潜在量は、現在の国内の電力需要の5倍と、その可能性を認識しています。再生可能エネルギーによる電力を2030年までに50%、現状の2.5倍、2050年までに100%にすることは十分可能だということも明らかではないでしょうか。  エネルギー自給率を上げるためには、県民や企業などより多くの方々が意欲的に取り組めるような施策が必要です。今まで行ってきた取組と今後行う予定の取組について伺います。  また、化石燃料を再生可能エネルギーに置き換えていくことによる経済的な効果と新たな産業分野の拡大につながると思うが、いかがか。環境部長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)生活困窮者の光熱水費に対する支援について御質問をいただきました。  現在までの生活困窮者に対する給付といたしましては、国において昨年度末に住民税非課税世帯に対する10万円の給付が実施され、さらに、先般の経済対策におきまして、令和4年度に新たに住民税非課税世帯となった世帯等に対する10万円の給付や低所得の子育て世帯に対する5万円の給付が盛り込まれたところでございます。  また、県では、今般、価格高騰緊急対策の第一弾を取りまとめ、今回の補正予算案において、生活にお困りの方へのきめ細やかな支援として、まいさぽを通じ、相談者の御要望に応じた食料支援と併せ、タオルやトイレットペーパー、LED電球等の生活必需品の支給を実施することといたしました。  今後でございますが、県としては、エネルギーをはじめとした価格高騰による生活への影響を注視しつつ、生活困窮者の状況に応じてきめ細やかな支援を行っていくにはどのような対策が必要なのか引き続き検討してまいります。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)私には3点御質問を頂戴いたしました。  最初に、ゼロカーボン戦略とエネルギー自給率との関係についてのお尋ねでございます。  本県におけますエネルギー自給率は、1年間に県内で消費されたエネルギー量に対する生産された再生可能エネルギー量の割合としておりまして、脱炭素化を進める上での一つの指標となっております。  御質問にもありましたとおり、ゼロカーボン戦略におきましては、2010年度比で、2030年度には最終エネルギー消費量を4割削減、再生可能エネルギー生産量を2倍増とすることとしておりまして、これにより、エネルギー自給率を2010年度実績に対し3倍となります33%まで引き上げることを目指しております。  次に、県有施設への太陽光発電設備導入についてのお尋ねでございます。  国におきましては、昨年6月に策定した地域脱炭素ロードマップにおいて、2030年までに太陽光発電設備が設置可能な公共施設等の約5割への導入を目指すとしております。公共施設につきましては、個々に形状等が異なりますので、太陽光発電設備の設置に当たっては、構造上建物屋根への設置が可能かどうかを個別に把握することが必要となります。このため、当県が所管いたします県有施設につきましては、今回、調査費用を補正予算案に計上し、この調査に基づき、設置可能な施設を特定した上で、2030年度の目標を6割に設定して計画的に設置を進めてまいりたいと考えております。また、市町村や民間事業者にも参考としていただけますよう、県有施設における取組事例を公表し、普及拡大につなげていきたいと考えております。  3点目でございます。エネルギー自給率を上げるための取組についてのお尋ねでございます。  ゼロカーボンの実現には、徹底した省エネの推進と再エネの普及拡大、さらには、多くの主体の参画が必要でございます。このため、昨年、ゼロカーボン戦略策定に併せ、県民編、事業者編の2種類のゼロカーボンBOOKを作成し、取り組んでいただきたい具体的な行動例をお示ししてございます。  エネルギー自給率の向上につながる具体的な施策といたしましては、省エネにつきましては、例えば、産業分野では事業活動温暖化対策計画書制度によるエネルギーの計画的な削減、建物分野では今年度から高い断熱性能等を有する信州健康ゼロエネ住宅の普及に取り組んでいるところでございます。  また、再エネにつきましては、グループパワーチョイス、共同購入事業でございますが、既存住宅エネルギー自立化補助金による住宅屋根太陽光の普及や、収益納付型補助金等による小水力発電への支援などに取り組んでいるところです。もとより、ゼロカーボンの取組は、交通、建物、産業、再エネ、吸収・適用、学び・行動と多岐にわたりますので、各分野において効果的な施策に今後とも取り組んでまいります。  また、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換は、脱炭素社会の実現に欠かせないものであり、エネルギー費用の域内循環による地域経済の活性化や、まだまだ未開発な部分も多い再エネ分野において新たな技術の創出や地域資源の発掘にもつながるものと考えております。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)引き続き積極的な施策を推進していただきたいと思います。  次に、食料自給率向上について伺ってまいります。  世界的な食料危機について、FAO、国連食糧農業機関が昨年9月に公表した「2021世界の食糧不安」によると、コロナ禍の下で、世界人口79億人のうち30%が飢餓と食料不足にあえいでいる。飢餓水準の人々は9.3億人、食料が底をつくリスクがあり健康的な食事を取れない人々が14.4億人、合計23.7億人。引き続くコロナショックと、新たにウクライナ侵略により一層深刻な事態になっていると警鐘を鳴らしています。  日本においても、内閣府の昨年12月調査で、食料が買えなかった経験がある世帯は、全体で11%、低収入世帯では38%、母子世帯では32%という調査結果を見ると、食料不安は日本でも起こっております。長野県の食料自給率は53%で推移をしていますが、今後、長野県の食料自給率を上げるという観点が大事と思いますが、いかがか。目標はあるのか、どのくらいを目指しているのか、農政部長に伺います。  長野県の経営耕地面積の推移は、2005年度から2020年度の間、1万2,883ヘクタール減少しており、耕作放棄地率は12.7%と全国平均6.1%の倍というデータもあります。農業委員会の農地調査で再生可能と判断された遊休農地は、農地に戻すため、例えば地域おこし協力隊による再生や地域住民の協働など、今までにも対策はされてきたところですが、今後も農地の再生と活用のために支援が必要と考えるが、いかがか。農政部長に伺います。  小麦の政府売渡価格改定は、毎年4月と10月に行われます。今年4月改定の業務用小麦粉を、長野県内の製粉会社は6月20日から値上げしました。小麦粉の値上がりで関連食品の値上げがさらに続きます。そういう中で、輸入小麦から県産小麦への転換や生産拡大が必要だと思います。政府も国産小麦への切替えや増産の支援を打ち出し、団地化推進や農業機械の導入などを補助の対象にするとしています。  長野県の小麦生産量は7,000~8,000トンで推移していますが、今後どのくらい県産小麦を増産するのか、県の食料自給率を高めるためには、県産小麦や大豆の生産量を増やすべきと考えます。県としては、輸入小麦から県産小麦への転換や生産拡大を図るために今後どのように取組を進めていくのか、伺います。  あえて言えば、2020年の食料自給率はカロリーベースで37%、熱量供給の中心となる穀物の自給率は28%、さらに言えば、小麦は15%、濃厚飼料12%、大豆は6%です。ウクライナ危機の下でこれらの増産が本当に求められています。十分とは言わないまでも、水田を活用して、麦、大豆、飼料用作物などへ転作する農家への水田活用の直接支払交付金は一定の役割を果たしています。にもかかわらず、国は水田活用の直接交付金の削減、見直しをするという方向ですが、県内の水田活用の直接支払交付金の利用状況はどのくらいなのか、お伺いいたします。  また、国の方針の見直しを求める動きがあります。県からも国に見直しを求めていただきたいが、農政部長に伺います。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には質問を4点いただきました。  初めに、食料自給率の目標水準についてでございますが、今般のコロナ禍やウクライナ情勢など激変する世界情勢の中で、生活の根幹を支える食料について国内での生産の重要性が再認識されたところです。  県としましては、食料自給率の目標は定めておりませんが、農産物の責任供給産地として、生産面では、スマート農業技術の導入加速化による生産性の向上や、中核的な担い手への農地集積・集約化の促進による規模拡大、農地の大区画化などによる生産コストの削減などの農業者への支援を通じて県内農産物の安定的な供給をしていくことが食料自給率の向上に貢献していくものと考えます。  加えて、地元で生産された新鮮で安全、安心な農産物を消費する地産地消による地域内経済循環をより大きくしていくことも重要な観点であり、県としましては、今後も生産と消費の両面の取組を一層進めていくことにより食料自給率の向上につなげてまいります。
     次に、荒廃農地の発生防止と解消に向けた支援策についてでございますが、農地利用の最適化に向けて、農業委員会に農地パトロールを実施していただいているほか、県では、人・農地プランの策定などを通じて、農地の所有者に将来の作付意向を確認した上で、作付しない農地がある場合、農地中間管理事業などにより地域の担い手への農地の集積を支援しているところです。  また、荒廃化した農地の再生については、国や県の補助事業を活用して、例えば需要が高いワイン用ブドウやリンゴ等の大規模な生産団地を再生するほか、小規模な農地の再生整備も支援しているところです。  県としましては、今後も市町村や農業委員会、農地中間管理機構等と連携しながら、地域の実情に即し、荒廃農地の発生防止と解消を支援してまいります。  次に、県産小麦の生産拡大についてでございますが、主食用米の国内需要が減少する中、昨今の国際情勢の変化により注目が集まっている麦、大豆の増産を行うことは、水田を活用する農家の経営安定のためにも重要と考えております。  県産小麦につきましては、そのほとんどが県内需要者で利用されており、実需者からはパン・中華麺用品種の増産や、品質、収量の安定が求められております。このため、県では、令和5年産から、試験場で開発した中華麺用品種、東山53号「ハナチカラ」など、実需者ニーズに合った収量性の高い品種に転換し、生産拡大につなげてまいります。  また、小麦や大豆の生産拡大に当たっては、作付段階から、実需者、生産者団体等との事前の調整が必要であることから、意見交換の場を設け、需要に応じた麦の品質、生産量の確保に努めてまいります。  最後に、水田活用の直接支払交付金の利用状況と見直しについてでございますが、本県の水田活用の直接支払交付金については、令和3年度においては1万816ヘクタールの交付対象水田に対し約32億円が交付されております。  水田活用の直接支払交付金の見直しについては、国は、現場の課題を検証するため、現在見直しを困難とする理由や交付対象水田の状況等を調査しているところであり、地域からは、ソバ等の品質低下や収量の減少、中山間地域での遊休農地化が懸念されるなどの意見が寄せられております。県といたしましては、地域からの御意見も踏まえ、国に対し、今回の見直し経過を農業者に丁寧に説明するとともに地域の声を十分聞いた上で検討するよう要望したところです。今後も、国の動向を注視するとともに、必要に応じて国に要請してまいります。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)水田活用の直接支払交付金の利用状況は、今、32億円交付されているというお話でございました。やはり、大変重要な役割を担ってきたということは明らかです。  水田活用の直接支払交付金をめぐって、農水省は、5年間水張りしない水田は交付金対象から除外、収穫するだけの年の多年生牧草の助成金は大幅に引き下げると。こういうことは、農業者の戸惑いと反発が大きく、国会でも議論されましたが、農水省は方針を変えてはおりません。  この夏の食料品の値上げは春を越えて進む見通しで、食品メーカーは6月以降も続々と値上げを実施し、今後2か月間に3,000品目を超す値上げが予想され、食料品1万品目値上げという深刻な事態は、消費者の購買意欲を失わせ、食品関連の卸・小売業も対策に追われています。  食料の安定供給のために食料自給率を上げること、そのために、価格保障、所得補償が必要です。岡山大学名誉教授、小松泰伸先生は、長野県のJAが開いた組合員の勉強会で、食べ物を作りながら国土を保全する農業の多面的機能について話をしました。この機能は市場取引ではなく、我が国ではただ働きで、農業などへの補助金はただ働きの分を取り戻しているだけで、もっと価格保障、所得補償が必要なのだから堂々ともらっていいと語ったと言います。  その話に、補助金をもらっていることに後ろめたさをずっと感じていたけれど、堂々とすることができたと参加者は感想を寄せ、自分たちがやっていることが美しい信州を守る一助になると誇りを持たれたそうです。今御苦労されている農業者の皆さんには希望や展望を示すことが必要だということを申し上げておきたいと思います。  次に、高校再編計画案について伺ってまいります。  5月に出された高校再編・整備計画三次案は、一次、二次で対象にならなかった五つの旧通学区の全日制高校の再編整備を計画する。それと併せて、全県の定時制課程、通信制課程の再編案が出され、これは大変大規模なものになっております。  全日制は、都市部でも中山間地でも統合になり、専門高校は県下にバランスよく総合技術高校として再編するということでございますが、今までの高校よりも遠くの高校へ通学せざるを得ない生徒が増えてまいります。遠い高校へ通う場合、生徒やその家族には、通学時間だけではなく、交通費や送り迎えといった様々な負担が増えてまいります。今以上に公共交通が充実するという保障もない中で、このような課題についてどのように捉えているのか、見解を伺います。  このたび発表された高校再編計画案では、全体の学級数が大幅に縮小することとなっている。高校数が減ることで、子供たちの選択肢が狭まることや、近くにあった学校という学びの場がなくなることが危惧されます。そして、定時制・通信制課程は、働きながら学ぶ生徒というよりも、今は、むしろ、多様な生活習慣や不登校も含め、様々な背景を抱えた生徒の大変重要な学びの場となっています。学び直しや自分の次のステップを考える場として大切な役割を持っているわけです。  定時、通信の集約化、削減は、少人数での学びが実現できなくなるなどの問題が考えられますが、この高校再編計画によって本当に子供たちの学びを保障することができるのか、伺います。  今後、各地で三次案の説明会が開催され、秋頃に決定するとのことですが、これは、より慎重に進めるべきと考えますが、いかがか。教育長に伺います。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)2点御質問をいただきました。  高校再編後の通学に係る課題についてでございます。  今回の「高校改革~夢に挑戦する学び~」に係る再編・整備計画の策定に当たっては、都市部存立校については今後も一定の規模が維持できるように、また、中山間地存立高については可能な限り存続できるように立案してきたところでございます。  このため、再編後であっても、基本的には、現在高校が所在している市町村においては高校が可能な限りなくならない案となっており、再編による新たな通学への影響も最小になると考えておりますが、一部に議員御指摘のような声もあると承知しております。今後も、引き続き実態把握に努めるとともに、関係する市町村などの考え方もお聞きしながら各学校における生徒の学びの環境を整えてまいりたいと考えております。  続きまして、高校再編後の学びの保障と三次案の今後の進め方についてでございます。  中山間地が多く広い県土を有する本県にあっては、地理的な条件や通学の利便性に配慮しつつ、さらなる少子化に的確に対応した多様な学びの場を全県に適切に配置することが重要と認識しております。  この認識の下、今回の「高校改革~夢に挑戦する学び~」に係る再編・整備計画では、普通科高校は旧通学区ごとに配置。専門高校は、総合技術高校も含め、旧通学区を基本に配置。総合学科高校と多部制・単位制高校は現行の4通学区に配置など、全県のバランスを考慮しているところでございます。また、定時制につきましては、夜間定時制の適正配置に努めながら多部制・単位制と通信制を併置するスーパーフレックス高校を新設するなど、少人数学習を含めたより多様で柔軟な学びの場の実現にも意を用いているところでございます。こうした校種と規模の違いによる学びの特性を生かすことで、子供たちの多様な学びの場の選択肢や学びの保障は確保できるものと考えております。  今後の進め方につきましては、既に決定した一次、二次同様に、今回お示しした案をこれから開催する住民説明会で地域に丁寧に説明し理解を求めつつ、県議会等での議論を経て確定させることとしております。  さらに、必要に応じ、当該市町村、同窓会、PTA等への説明を行う中で関係者の声、要望をお聞きするなど、引き続き丁寧に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)今回示されました再編・整備計画案は、所によっては、まさに寝耳に水というような驚きをもって受け止めている、そういう関係の方々も多くおられると思います。  今後は、住民説明会などで丁寧に説明をしていくというお話でありましたが、丁寧に説明しても、結論ありきではならないと思います。高校の規模を一定以上にすることで学習効果と投資効果の最大化を図るということであっても、学級数が少なくなることで教職員の定数が減り、学習環境が保てないというのであれば、教職員を増やすよう国に求めるとともに、県独自でも教員を増やして生徒の学習権を保障することが望ましいのではないかと考えます。近くに学びの場がある、少人数だから学べる、学びを保障する、生徒の学習権を保障することを求めて、質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君)次に、酒井茂議員。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)伊那市選出、酒井茂でございます。私は、今回は感染症と医療について質問をいたします。  まず、感染症と公立病院についてであります。  コロナの感染はなかなか収束いたしておりません。国民の皆様、事業者の皆様など、様々な負担を感じ、苦労をしているというのが現状であります。  また、感染者数が減少している中にありましても、医療現場におきましては、医師等のスタッフの皆さんは、感染の不安からは解放されておりません。医療現場におきましては、一時のような危機的な状況にはありませんが、病床使用率が下げ止まりの傾向にあるなど、まだまだ安心できる状況にはないと考えているわけであります。  重要なことは、感染により入院が必要になった場合には必ず入院ができること、そして、治療が受けられること、さらには、死亡者を出さないことであると考えます。コロナによりまして死亡された数でありますが、第6波のピークであります今年2月22日に322名となりまして、過去最高となりました。第5波のときには、入院できずに自宅療養を余儀なくされ、自宅療養のまま亡くなられた方が多数出たことから、社会問題となりました。このことについては、このときの教訓というものを今後に生かしていかなければならないと考えるものであります。  こうした状況を見ましても、感染拡大時には必要な病床が確保されているということが最も重要であります。今回のコロナ禍におきましては、公立病院が積極的に患者を受け入れるなど感染対策に中核的な役割を果たし、感染拡大時における公立病院の果たす役割が改めて認識されたところであります。  さて、公立病院は、これまで、再編やネットワーク化、あるいは経営改革などに取り組んでまいりましたが、医師、看護師等の不足や医療需要の変化等によりまして厳しい環境が続いております。  こうした状況を解決するために、2007年に総務省は公立病院改革ガイドラインを示しまして、病院設置者に公立病院改革プランの策定を要請いたしました。このガイドラインの中では、必要性が乏しくなっている医療機関は廃止、統合を検討していくべきとされたところであります。8年後の2015年には、ガイドラインが改定されました。2回目のガイドラインにおきましては、地域医療構想を踏まえた役割の明確化を盛り込むこととされたところでございます。  そして、今年3月には3回目となるガイドラインが策定され、名称が改革ガイドラインから経営強化ガイドラインに変更されたところであります。3回目のガイドラインにおきましては、これまでの公立病院の再編統合の推進を重視するという姿勢を転換いたし、公立病院は必要であるという基本的な考え方の下に策定されたところであります。  総務省は、今年3月に通知を出しまして、限られた医療資源を地域全体で効率的に活用するという視点や新たな感染症の感染拡大時の対応という視点を持ちながらプランの策定をするように設置者に求めているところであります。新たなプランにおきましては、新興感染症に備えて平時から対応すること、また、新興感染症拡大時に転用しやすい施設、設備の整備を図ることとしているところであります。新たなプランは来年度中までに策定するよう要請されております。  そこで、知事にお聞きいたします。  総務省は、今年3月に公立病院経営強化ガイドラインを示しました。改定前の公立病院改革ガイドラインでは公立病院の再編統合の推進を重視しておりましたが、新たなガイドラインにおきましては、公立病院の必要性を認識した上で経営強化を重視する方向に転換したと私は考えております。  長野県におきましては、コロナの感染時において公立・公的病院が果たした役割をどのように評価しておられるでしょうか。また、公立・公的病院の必要性、重要性を県としてどのように認識しておられますか。  次に、健康福祉部長にお聞きいたします。  今後、各設置者が策定いたします公立病院経営強化プランにおきまして、新たな感染症への対応に関しては県としてどのような視点を重視すべきと考えておられるでしょうか。  次に、地域医療構想と医療計画について質問をいたします。  2014年に医療介護総合確保推進法が成立いたしまして、地域医療構想が制度化されたところであります。これに基づきまして、各都道府県は地域医療構想を策定し、2025年における医療需要と必要病床数を推定し、これに対応した医療体制を整えることとしております。  しかし、地方における医療体制に関する議論がなかなか進まない状況を受けまして、厚労省では、2019年に再編統合を促す424の公立・公的病院を公表したところでございます。これに対して、地方からは一斉に批判の声が上がったのであります。その後、コロナ感染拡大によりまして医療が逼迫したことから、病院の統廃合や病床の削減ありきで医療構想の議論は進めるべきではないとの声が一層強まったのであります。  再編統合の対象として公表されました公立・公的病院のうち、多くの病院でコロナ患者を積極的に受け入れたのであります。公表された中に県立の総合リハビリテーションセンターも含まれておりますが、この病院におきましても、コロナ患者を積極的に受け入れたところでございます。  こうした状況を受けて、厚労省は、2021年の国と地方の協議の場におきまして、地域医療構想の取組は病床の削減や統廃合ありきではなく、各都道府県が地域の実情を踏まえて主体的に進めるものとの見解を示したのであります。  私は、これまで3回にわたりまして地域医療構想に関して一般質問を行いました。この中で、現在の地域医療構想には、感染症対策に関する視点が欠けていることを指摘いたしました。コロナ対策については、地域の医療機関がその役割を明確にした上で、各機関が連携をして対応すべきことから、地域医療構想を通じた議論が不可欠と考えるものであります。  また、私は、質問の中で、公立病院の統廃合については地方自治の視点が不可欠であることも指摘したところでございます。地域医療構想は国の医療政策の問題でありますが、公立病院の統廃合は地方自治の問題であります。最終的には、公立病院の設置に関する議論は、議会が決定することであり、地域医療構想に関する議論の場では決定する権限はないと考えるものであります。  厚労省は、コロナにより病床が不足する中でも地域医療構想を変更せず、公立・公的病院の統廃合を推進するという基本的な考え方は変えておりません。地域医療構想を改正して感染症対策を記載事項に加えれば、感染症対策として必要な病床を確保することを記述せざるを得なくなり、その結果、病床数を削減することを基本とする地域医療構想の内部で矛盾が生じてしまうのであります。  そこで、厚労省は、やむを得ず、地域医療構想は変更せずに医療法の改正を2021年に行い、感染症対策については都道府県の医療計画に盛り込むこととされたのであります。具体的には、2024年に始まります都道府県の第8次は、医療計画の中に新興感染症等の感染拡大時における医療が記載事項に追加されることとされました。  そこで、知事にお聞きいたします。  地域医療構想と次期医療計画により、公立・公的病院の病床の統廃合と余裕施設や病床の確保というそれぞれ相反する方向性が厚労省から示されている中で、新たな感染症の感染拡大時を想定して県としてどのように対応していく方針でしょうか。  次に、健康福祉部長にお聞きいたします。  公立病院の統廃合については、設置者であります市町村や一部事務組合等の議会承認が不可欠であり、容易ではないと考えますが、県として公立・公的病院の統廃合をどのように進めていかれるでしょうか。また、地域医療構想調整会議における議論と設置団体の首長や議会における議論の調整をどのように進めていかれるでしょうか。  以上で感染症と公立病院についての質問とさせていただきます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、公立・公的病院の役割に対する評価と、必要性、重要性の認識についてという御質問であります。  今般のコロナ禍におきましては、公立・公的医療機関がいわゆるコロナ対応の重点医療機関の8割近くを占めております。また、全確保病床数の9割近くが公立・公的病院ということで、積極的にコロナ対応の病床確保、患者の方々の受入れ、治療を行ってきていただいています。加えて、発熱患者への対応、回復患者の受入れ等の対応も含め、地域医療を支えていただいたことは大変ありがたく、感謝をしているところであります。  また、本県においては、公立・公的病院は、こうしたコロナ対応のみならず、救急や小児・周産期医療、さらには災害医療等の政策医療も担っているところであります。  次期医療計画では、新興感染症等の感染拡大時における医療が記載事項に追加されますことを踏まえて、公立・公的病院が中心となって感染拡大に備えた平時からの取組を進めていただくということが重要だと考えています。こうしたことから、私ども長野県としては、公立・公的病院は県民の皆様方の命と健康を守る上で非常に重要な役割を果たしていただいているというふうに考えています。  続きまして、地域医療構想及び次期医療計画に関する県の対応方針についてという御質問であります。  地域医療構想につきましては、将来における人口構造や医療ニーズの変化、そして、これらを基に推計された機能別の必要病床数を地域の関係者間で共有をして、急性期、回復期、慢性期、そして在宅医療等、医療機能をどう再構築していくかということを目指しているものであります。  他方で、次期医療計画に位置づけることとされている新興感染症等の感染拡大時における医療の考え方については、平時から専用の病床を確保するということではなく、感染拡大時に既存の病床を感染症患者用に切り替えて必要な医療人材が適切に配置されるような体制を構築するものというふうに受け止めております。したがいまして、地域医療構想の考え方とは相反するものではないというふうに考えています。  県としては、今回のコロナ対応の経験も踏まえまして、医療機関の役割分担や連携、また、感染症拡大時等、有事の際の機動的な病床の稼働や医療人材の確保など、的確に行うことができるように検討を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)2点御質問をいただいております。  まず、公立病院経営強化プランの策定に当たり重視すべき点は何かという御質問でございます。  公立病院経営強化プランには、新興感染症の感染拡大時等に備え、平時からの取組を記載することとされております。今回の新型コロナウイルス感染症の対応に当たりましては、患者受入れ病床の増床を働きかけたり、コロナの療養が終わった後の患者が転院するための後方支援医療機関の確保などが必要となったところでございます。  こうした経験を踏まえまして、今後、新興感染症等の感染拡大時にも必要な対策が機動的に講じられるよう、あらかじめ地域における当該病院の役割を行政や医療関係者間で明確にしておくことが必要であると考えております。県といたしましては、各地域における調整会議等の場を通じまして、各医療機関がどのような役割を担うべきかを認識していただき、それがプランに反映されるよう、情報提供をはじめとした必要な支援をしてまいりたいと考えております。  それから、次に、地域医療構想調整会議における議論の進め方についての御質問でございます。  国が地域医療構想を推進する目的で公表した公立・公的病院の再検証に関する分析内容は急性期機能に限定をされたものでありまして、地域の実情にそぐわないものになっていると認識しております。この点につきまして、国では統廃合ありきで議論を進めるのではなく、今回の分析だけでは判断し得ない診療領域や地域の実情等を踏まえながら議論を尽くしてほしいと説明をしているところでございます。  県といたしましては、今後、将来を見据えた医療機能の再構築を進めていく上では、とりわけ自治体の首長、あるいは議会、そして、地域住民の皆様の理解を得ながら議論を進めていくことが重要であると認識をしておりまして、この点を十分に考慮しながら地域医療構想調整会議などの場で丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)今、知事から答弁をいただきました。  感染拡大のときには、既存の施設設備を有効活用するということでありますが、そのためには、遊休施設も保存、確保しておかなければならないわけであります。それには費用がかかるわけでありますから、そのためのものに国または県等の財政支援をするように要望しておきたいと思います。  また、感染症に対応するために、やはり関係機関の連携、病床確保等が重要であることから、県におきましても、県の責務として、強いリーダーシップを発揮する中でそうした調整を取っていただくようにお願いをいたしまして、次の質問に入りたいと思います。  次の質問は、感染症とかかりつけ医についてであります。  今回の新型コロナに関して、2020年9月に国の方針が示され、発熱等の症状がある場合にはまずは身近な医療機関に電話で相談することとされたところであります。県のホームページにおきましても、いきなり医療機関を受診することは避けてください。外出せず、他の方との接触を避け、まずは電話でかかりつけ医など身近な医療機関に相談してくださいと表現されております。一方、昨年6月に、国は、院内感染を防ぐため、それまで特例とされておりましたかかりつけ医によるオンライン初診を制度化したところであります。このように、コロナ対策といたしましても、国はかかりつけ医を重視しているという状況が増えてきております。  しかし、かかりつけ医は、国による明確な位置づけがされておりません。国民の意識も曖昧であります。過去に内閣府が実施した調査によりますと、50%余りの国民がかかりつけ医を持っていると答えております。現状では、自分がかかりつけ医と考えている医療機関がかかりつけ医なのであります。  かかりつけ医の位置づけが明確でないこともありまして、患者は自分の判断で基幹病院やかかりつけの医院などを受診することから、基幹病院への外来が集中する状況にあります。基幹病院では、外来の集中によりまして外来待ちの時間が長くなり、1日かけて外来にかかるということもございますし、勤務医の負担も重くなっております。このため、かかりつけ医等の医院と紹介患者を基本とする医療機関の役割分担の明確化が必要と考えます。今回のコロナ禍を経験する中で、いかにかかりつけ医を持つことが重要であるかということが認識されたのであります。  しかし、発熱した場合にはかかりつけ医などに電話で相談してくださいなどと言われても、かかりつけ医を持たない人など対応に困った方が多かったのではないかと考えます。また、ワクチンはかかりつけ医に打ってもらうことが推奨されたところでありますが、医療機関にお願いしたら、医療機関からは、あなたはかかりつけ患者には該当しませんからうちの病院では打てませんと断られるケースもあったわけであります。そもそも、医療機関にとって、誰をかかりつけ患者と認識しているかも不明確であります。  さて、かかりつけ医を持つことによりまして、早期に病気を発見しまして、軽症のうちに治療を開始できたり、重大な疾患を早期に発見することも可能となります。また、気軽に医師に相談することなどによりまして、普段から自分の健康管理を的確に行うことができることから、感染症にかかりにくくなったり、感染しても重症化を防ぐことが可能となります。  そこで、健康福祉部長に以下2点をお聞きいたします。  一つ目。県としてどのような医療機関をかかりつけ医と捉えておられるでしょうか。また、かかりつけ医に関して、県民に対して具体的にどのように発信しておられるでしょうか。  二つ目。外来診療のかかり方やかかりつけ医に関する県民の正しい理解が進んでおらず、また、かかりつけ医等への支援を通じて、地域医療の確保を図る地域医療支援病院の存在が県民に浸透しておりませんが、今後どのように県民の理解を進めていかれるでしょうか。また、地域医療支援病院は木曽、大北、北信の3医療圏にはないため、全ての医療圏に設置すべきと考えますが、今後どのように対応していく方針でしょうか。  次に、知事にお聞きいたします。
     6月7日に政府が決定いたしました経済財政運営と改革の基本方針2022、いわゆる骨太の方針には、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うと記載されております。外来診療における役割分担を明確にし、限られた医療資源を有効に機能させるためにも、かかりつけ医を明確に制度化し、また、推進すべきと考えますが、県の基本的な方針を伺います。  次に、感染症とかかりつけ歯科医について質問いたします。  コロナ等感染症と歯科口腔保健の関係については、多くの県民は認識が足りないと感じております。歯の病気のうち、歯周病は多くの人が罹患しておりますが、特に高齢者の場合には、病気が進行するとアルツハイマー型認知症にかかる危険性が高いとも言われております。また、歯周病は、心疾患や糖尿病、さらにはがんの発症にもつながる可能性があることが分かってきております。  新型コロナは、特に高齢者や糖尿病等の基礎疾患を持つ人が感染すると重症化しやすいことから、口腔内の衛生状況には特に注意をしなければなりません。こうしたことからも、私たちは普段から歯や口腔の健康に関する知識や理解を深めていく必要があると考えます。  近年、急激に高齢化が進む中で、疾病構造や患者像が変化し、国民が求める歯科医療が大きく変化していることから、国は2017年に歯科保健医療ビジョンを策定いたしまして、歯科保健医療の供給体制の目指すべき姿を示しております。この中で、国民がかかりつけ歯科医を持つことを推奨しているのであります。長野県歯科口腔保健推進条例においても、県民の役割として、歯科医師等の支援を受けること等により、自ら歯及び口腔の健康づくりに取り組むよう努めると規定されております。  県の調査によりますと、かかりつけの歯科医を持つ県民の割合は全世帯の平均で76%となっております。感染症対策としましても、県民が身近にかかりつけ歯科医を持ち、定期的に健診を受けることが有効と考えます。私たちは、痛みなどの問題が起きたときに歯科医院に行くことが多いわけでありますが、欧米諸国では予防のために定期的に通うところと認識されており、私たちの意識を変えていくことも必要と考えます。  そこで、知事にお聞きいたします。  歯科口腔保健の維持を図るためには県民がかかりつけ歯科医を持つことが重要と考えますが、県として具体的にどのようにしてかかりつけ歯科医を推進していく方針でしょうか。  次に、以下2点につきまして健康福祉部長にお聞きいたします。  一つ目。定期的に歯科健診を受ける県民の割合は33%で、かなり低い割合にとどまっております。いわゆる骨太の方針2022には、国民皆歯科健診、国民の皆が歯科健診を受けることを具体的に検討することが新たに記述されましたが、県として具体的にどのようにして歯科健診を推進していかれるのでしょうか。  二つ目。長野県歯科口腔保健推進条例に掲げる内容を県民に浸透させていくため、さらなる情報発信が必要と考えますが、具体的にどのように進めていかれるでしょうか。  次に、感染症と献血について質問をいたします。  コロナの拡大によりまして、献血の協力が得にくくなり、必要量が確保されていないという報道があります。日赤による献血事業は、常設の献血ルームと献血バスの派遣が中心となっております。献血ルームでは、コロナ禍にあっても目標量をほぼ達成できている状況にあるとお聞きしますが、献血バスについては、感染拡大を懸念するなどの理由によりまして会社や団体等の受入先の確保に苦労しているようであります。  これに加えまして、これまで医療機関ではコロナにより手術が控えられておりましたが、コロナによる重症者が減少し、手術が再開されるなどして輸血用の血液の需要が増加したこともあり、献血量の不足に拍車をかけております。  長野県においては、若者の献血者が減少していることが大きな課題と考えます。今後の新たな感染症の感染拡大も想定いたしますと、県としても献血推進を積極的に進めるべきと考えます。  私は、これまで献血を継続して実施してまいりましたが、献血した血液の分析結果が送られてくるため、自分の健康管理のためにも献血は有益であります。献血の年齢制限は69歳であります。私も、あと一回献血すれば、後は不可能であります。  さて、県では、長野県広報紙の今年の第1号で献血推進について広報をいたしましたが、大変よい取組だったと私は評価をしております。広報に関心を持った人がどの程度あったのか、大いに関心があります。  長野県におけるこの10年間の推移を見ますと、40歳以上の年代では献血者は増加しているものの、40歳未満の年代では減少してきております。高校生について見ますと、全献血者に対する高校生の割合は、全国の2.0%に対し長野県は1.7%となっております。高校在学生に対する献血者の割合は、全国平均の3.4%に対して長野県は2.5%にとどまっております。  さらに、県下の高校数に対する献血実施高校数の比率を見ますと、令和3年度は僅か4%であります。コロナの影響のなかった令和元年度でも7%と低い状況にあります。さらに、県立高校については、令和3年度は1校だけ、2年度はゼロと極めて少ない状況であり、全く寂しい限りであります。  栃木県では、高校在学生に対する献血者の割合は15%と全国1位で、5年連続1位を維持しております。県内の高校では9割以上で献血に取り組んでいるとお聞きしております。栃木県では、将来の献血を担う若い世代の献血者を確保することが重要と捉えており、県のリーダーシップの下、献血推進に積極的に取り組んでおり、大変すばらしいと考えます。  私は、こうした状況を踏まえまして、平成28年6月議会の定例会で高校生の献血推進に関して一般質問を行いました。このとき、教育長の答弁は、啓発を進めるとともに、健康福祉部や関係機関と連携する中で具体的な改善方策を検討すると答弁されました。しかし、6年経過した現在において、実態は一向に改善されておらず、問題であると考えます。  そこで、教育長にお聞きいたします。  献血を推進していくためには、将来の献血を担う若い世代、特に高校生の献血者を増やしていく必要がありますが、県内高校においては、全国に比べて取組が弱く、特に県立高校の取組が弱い状況であります。今後具体的にどのように高校生の献血を増やしていく方針でしょうか。  次に、以下2点、健康福祉部長にお聞きいたします。  長野県広報紙の今年の第1号の献血特集を受けて、その後、献血者の状況に変化があったでしょうか。  二つ目。安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律に基づきまして、長野県では献血推進計画を現在作成しておりますが、地方分権改革による提案制度によりまして県は計画策定の義務づけの廃止を国に提案しております。  長野県においては、若年層の献血者数が減少しており、特に高校生の献血者数が少ない中で一層の献血推進策を積極的に講じる必要があることから、現状においては献血推進計画を廃止すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。  以上で大きい二つ目の質問といたします。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には合計6点御質問を頂戴しております。順次お答え申し上げたいと思います。  まず、かかりつけ医の捉え方と県民への発信についての御質問でございます。  かかりつけ医につきましては、県民の身近にあって、日常生活における健康相談や診療のほか、必要に応じて専門医療機関への紹介、在宅における医療の提供などを行う医療機関でございまして、各地域で安心、安全に生活を送るための体制を構築するに当たって中心的な役割を果たすことが期待されているところでございます。  県といたしましては、県民一人一人がかかりつけ医を持つことが健康長寿の観点からも重要と考えておりますが、平成28年度に県で実施した県民医療意識調査によりますと、かかりつけ医がいると回答された方が67.4%となっておりまして、かかりつけ医の普及に関する取組を今後とも推進していくことが必要であると認識をしております。  県といたしましては、かかりつけ医の普及を図るため、これまで、医療機関による住民を対象とした研修会の開催や住民向けの啓発パンフレットの作成などの取組を支援してきたところでございますが、今後、次期医療計画の策定に向けた検討の中で、医療機関の機能分化と連携に関する議論を進め、かかりつけ医のさらなる普及につなげてまいりたいと考えております。  次に、地域医療支援病院の県民への周知と今後の対応についての御質問でございます。  御指摘のありました地域医療支援病院は、かかりつけ医等からの紹介患者へのより専門的な医療の提供など、地域全体で医療を支える体制を構築する上で重要な役割を担っております。こうした地域医療支援病院の役割や意義については、ただいまの御指摘も踏まえまして、かかりつけ医の普及に併せて、より丁寧に県ホームページや医療機関、医師会を通じて周知を図ってまいりたいと考えております。  また、地域医療支援病院は、紹介率が一定の割合を超えることが一つの要件となりますが、木曽、大北、北信圏域の病院は地域の医療資源が少なく、初診患者を多く受け入れているため、この要件を満たすことが困難な状況でございます。  一方、今年度から紹介受診重点医療機関制度が導入されることとなりました。この制度は、従来の地域医療支援病院と類似の趣旨で導入されましたが、紹介率の要件が緩和されておりまして、これに代わり得るものとして活用が期待されているところでございます。  今後、県としては、制度の周知に努めますとともに、各圏域の中核的な医療機関と連携を図りながら、地域医療構想調整会議などの場で、制度の活用を含め、対応を検討してまいります。  次に、歯科健診の推進についての御質問でございます。  定期的に歯科健診を受ける県民の割合が低いという課題を踏まえまして、昨年10月に改正をしていただきました長野県歯科口腔保健推進条例では、県が実施する基本的施策の中に、県民が定期的に歯科口腔に係る健診を受けるための取組を新たに加えまして、その推進を図ることとしております。  今年度は、これまで取り組んでまいりました市町村や保険者に対するセミナー等の開催に加えまして、研修会により認定した歯科口腔保健の推進員が歯科健診の普及啓発を図る取組を新たに行います。あわせて、国民皆歯科健診に係る国の施策も注視しながら、さらなる健診の推進に向けて検討を進めてまいります。  次に、長野県歯科口腔保健推進条例の情報発信についてでございます。  長野県歯科口腔保健推進条例の具現化を図るためには、県民、関係者一人一人が条例の理念と内容を理解し、それぞれの役割を果たしていくことが重要でございます。  県といたしましては、県民をはじめ、歯科口腔保健に関係する様々な団体から成る長野県歯科口腔保健推進県民会議を定期的に開催しながら、条例の内容、施策の実施状況、目標の達成状況などの情報発信に努めております。  また、今年度からは、歯及び口腔の健康づくりが全身の健康づくりと密接な関係があることを踏まえまして、歯及び口腔と全身の健康づくりを一体化させた情報発信を進めてまいります。具体的には、ACEプロジェクトと連動したメディアへの情報発信やオーラルフレイルとフレイル予防を一体化させた情報発信を積極的に進めまして、条例に掲げる内容を県民に浸透させていきたいと考えております。  次に、献血に関しまして、長野県広報紙における特集後の献血者の状況について御質問をいただいております。  コロナ禍の影響等で必要な血液が確保できなくなることが懸念されたこともございまして、今御指摘をいただきました献血を特集した広報紙の新聞折り込みをはじめ、2月下旬から3月にテレビCM、ウェブ広告等の様々な媒体を活用した情報発信、信州ブレイブウォリアーズのホームゲームでのイベントなど、献血に関する幅広い広報啓発活動を行いました。  広報を行って以降、血液センターには県民の皆様からの問合せが増えるなど、献血への関心の高まりが見られており、献血者は、前年に比べ、3月は8.9%、4月は5.3%増加いたしました。この結果、令和3年度の献血者数の目標達成率は100.6%と必要な数を確保できておりまして、一定の成果があったものと考えているところでございます。  最後に、都道府県献血推進計画策定の義務づけ廃止についての御質問でございます。  この点につきましての経緯を申し上げますと、昨年度、内閣府の地方分権改革に関する提案募集におきまして、関西広域連合などから都道府県献血推進計画の策定義務づけの廃止が提案されたことを受け、国から、この提案に賛同するか本県に対して照会がございました。県といたしましては、一般論として、計画策定を義務づけている法令等が非常に多く、地方自治体の負担が大きいことから、そうした義務づけは少なくすべきだということをこれまでも国に申し上げてまいりました。今回も、労力を軽減し地方行政の効率化に資するという趣旨の御提案に対して、計画策定の義務づけまでは必要ないのではないかと、こういう立場で追加共同提案団体となったものでございます。  ただし、本県の現状を踏まえますと、献血の推進はやはり重要な課題でございます。仮に義務づけが廃止されたとしても、県では少なくともその必要性が認められる間は今後も献血推進計画を策定していく所存でございます。教育委員会や長野県赤十字血液センターなど関係機関と連携し、献血を推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には2点、かかりつけ医とかかりつけ歯科医について御質問をいただきました。  私としては、いずれも、身近なところでそれぞれの方の生活環境等も熟知されていざというときに頼りになる医師、歯科医師の方にいていただくということについては非常に望ましいことだというふうに考えています。  その一方で、国が骨太の方針に基づいてかかりつけ医制度というものを今後検討していくと打ち出されていますけれども、具体的にどのような内容のものかまだ判然としていないという状況であります。これまでの議論によれば、制度化によりかかりつけ医が継続的に患者を診ることで、患者の状態に合った治療を受けられ、必要に応じ適切な専門医に紹介してもらえると、こうしたメリットが考えられるところであります。  しかし、一方で、制度化の内容にもよりますけれども、外国の事例にありますように、事前に登録したかかりつけ医でしか診てもらえないといったような制度になってしまいますと、逆に受診の門戸を狭めて、患者が医療機関を選ぶことができないという形にもなってしまいかねません。  今回の提案は、財政制度等審議会からの建議もある中で、決して医療費抑制という手段に使われるということがあってはいけないというふうに思っています。この制度については、まず医療を受ける方を中心に十分な制度の検討をしていただくということがまず必要だというふうに思っています。  長野県としては、先ほど部長からも答弁申し上げたように、身近なところでかかる、診療を受けられる環境づくりが非常に重要なことだというふうに思いますので、かかりつけ医の普及について取り組んでいきたいというふうに思っておりますが、国の制度設計に当たっては、都市部と地方部、医師が多いところと少ないところと、必ずしも同じでは対応できないことも想定されますので、そうしたことも含めて、我々地方から現実に即した提言をしていくことが場合によっては必要になってくる場面もあるのではないかというふうに思っています。  それから、歯科医師のほうであります。こちらについては、骨太の方針としても、制度化ということではなくて、しっかり歯科健診等を受けられるようにしていきましょうということが言われているところであります。ライフステージに応じた切れ目のない歯科保健医療をしっかり受けられるようにしていくということが重要だというふうに思っています。  身近なところで信頼できる歯科医を持っていただくということは重要だと思っていますが、そうしたことを進める上では、まずは県民の皆様方に口腔衛生の重要性についてしっかり理解していただくということが必要だと思いますし、また、歯科診療所をはじめとする保健医療提供体制の充実、こうした両面から取組を進めていくことが重要だと思っています。  そのため、県としては、医療機関、関係団体、保険者や市町村とも連携しながら、定期的な健診の重要性と予防活動の実践を呼びかけていきたいというふうに思いますし、また、訪問歯科診療など地域の中で継続的に健診、治療等が受けられる体制づくりへの支援も行っていきたいと思っています。こうしたことを通じて、県議会で制定いただいております長野県歯科口腔保健推進条例の目的であります県民の健康の保持増進と健康寿命の延伸につなげていきたいというふうに考えています。  以上です。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)高校生の献血者を増やすための方策についてのお尋ねでございます。  血液製剤を安定的、継続的に確保していくためには、献血が可能となる高校生が献血の重要性を理解し、自発的に献血に取り組むことが大変重要であると認識しております。  県教育委員会では、平成28年8月に健康福祉部、血液センター、学校現場が参加する意見交換会を開催し、その中で、献血事業者による啓発セミナーである献血セミナーを活用して生徒や保護者の理解を深めていくこととしたところでございます。  献血セミナーは、県立高校において少しずつ広まり始めておりましたが、現在は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により開催を自粛せざるを得ない状況になっております。今後、改めて健康福祉部、事業者、学校が連携を強め、献血セミナーの開催を推進するとともに、引き続き保健体育の授業等で献血の意義について触れること、学校の近くや最寄り駅に献血車が来ている場合に校内放送で呼びかけることなどにも取り組み、高校生の自発的な献血の増加につなげつつ、生徒や保護者の理解が進んだ場合には校内献血の実施も検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)かかりつけ医につきまして、今、知事のほうから御答弁いただきました。国の制度設計の問題、様々な地域性の問題等々があるということで、それは理解をすることができるわけでありますが、全国的な展開ができないとすれば、長野県版かかりつけ医制度を長野県の実情に合ったものとして設けるようなことを御検討いただくことも一つの案としてはいいのではないかというふうに私は考えております。  それから、県立高校の献血について、今、教育長からお話がございました。高校生の自発的なものというふうにおっしゃいました。自発といえば聞こえはいいのですが、自発性が出てくるように今おっしゃったセミナー等々のこともしっかり進めていただきたいということと、やはり県教委がリーダーシップを発揮して進めなければこれはなかなか進まないと思います。今後県教委で学校としっかりと連絡を取って進めていただくように要望しておきます。  感染症への対応として医療体制の強化が重要であり、病床の確保、医師等の確保は非常に重要であります。県としては、そうした面で役割をしっかり発揮していただき必要な施策を進めていただくことを要望いたしまして、以上で全ての質問を終わりとさせていただきます。 ○議長(丸山栄一 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時19分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(髙島陽子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  丸山大輔議員。       〔21番丸山大輔君登壇〕 ◆21番(丸山大輔 君)初めに、沖縄との交流の促進について伺います。  長野県と沖縄県の交流促進の強力なエンジンであった長野沖縄交流促進議員連盟の垣内会長が亡くなったことは、両県にとって非常に大きな損失であると感じております。この遺志を引き継ぎ、両県の発展に向けた相互関係を築いていくことが今後非常に重要であろうというように思います。  去る5月9日、沖縄県議会の訪問団が来県いたしました。各地の視察をされ、また、知事も訪問され、10日の夕方には垣内会長を中心に議連の役員と懇談会を持つことができました。実際交流をさせていただくと、人柄が非常に明るい皆さんで、我々と非常によくマッチしているなというように感じておりまして、非常にいい関係が築けたのではないかというふうに思っております。実際、垣内会長の葬儀には、訪問団の花城団長と西銘幹事長がわざわざはるばる沖縄から会葬されております。こうした交流の積み重ねは、今後の両県の相互発展の関係の深化に必要であって、経済的な相互利益と両面で強化をしていくことが望まれるというように思います。  2月議会の提案説明で、知事は、「チャーター便の就航を促進するとともに、物流、観光など、多様な分野での連携や子供たちの交流を一層推進するため、沖縄県内での信州物産展やリゾートホテル向け食材提案会の開催を通じた流通・販売ルートの開拓、学習旅行の誘致などに取り組んでまいります。」とあり、沖縄交流の重要性と発展性については共有できているというように感じておりますが、今後の具体的なお取組についてお伺いさせていただきたいと思います。  まず、今後の交流の深化について伺います。  行政については、物産、観光、環境、教育等様々な分野ごとのやり取りがあるものと考えますが、相互の関係ではどの分野で結びつきの強化が進んでいると考えるでしょうか。  また、今までも民間の長野・沖縄交流促進機構の沖縄とのつながりが大いに活用されて今日に至っていると認識しておりますが、同様の民間のつながりや交流について県が承知しているものや、今後どのような取組を進めていく予定のものがあるか。以上を関副知事に伺います。  学習旅行を誘致することにより、相互の理解の促進や未来の関係づくりにおいて様々な効果、価値があると考えますが、学習旅行先として選ばれるための取組の状況について渡辺観光部長に伺います。  沖縄での長野県産品の存在感や評価を高め、今後、さらなる長野県産品の出荷につながっていくような取組や、沖縄までの配送コストの課題を解消するためどのように取り組むか。金井営業局長に伺います。  沖縄線のチャーター便から定期化を目指すため、今後特に必要と考える取組は何か。清水企画振興部長にお伺いします。       〔副知事関昇一郎君登壇〕 ◎副知事(関昇一郎 君)沖縄との今後の交流の深化についてのお尋ねであります。  長野県と沖縄県との交流拡大につきましては、県議会の長野沖縄交流促進議員連盟の皆様とともに取組を進めさせていただいております。先月、会長の垣内議員が急逝されました。これまでの沖縄との交流に関する多大な功績に深く敬意を表するところでございます。  さて、一昨年度の知事によるトップセールスを契機として、両県の交流促進に向けた動きが活発化してきております。昨年度は、チャーター便運航の機会を捉えて、私も県内の経済関係団体の皆様と一緒に沖縄県を訪問いたしまして、沖縄県の謝花副知事と今後の連携強化、交流促進を確認したほか、観光商談会、物産展等の開催を行ってまいりました。このほか、信州環境フェアでの共同企画展示、子供の交流など、様々な交流事業を実施してまいりました。  議員からもお話がありましたように、今年の5月には、沖縄県議会議員団11名の皆様に長野県を訪問していただき、知事、県議会の皆さんとの交流を実施していただきました。こうした行政、県議会での結びつきのほか、特に物産振興やチャーター便の運航などにおいて沖縄との結びつきが一定の進展を見せていると考えておりますが、まだまだ途上であるものと認識をしております。  沖縄県との交流事業については、これまでも両県の交流促進に御尽力いただいている一般社団法人長野・沖縄交流促進機構との連携により事業を実施してきておりますが、今後もさらに取組を拡大し、沖縄県との交流を深化してまいりたいと思っております。  民間での交流の状況ということでありますが、この長野・沖縄交流促進機構の皆さんに今週末に沖縄からの学習旅行の誘致の観点から訪問していただきます。こうしたことで、特に、長野県から沖縄への学習旅行が多いのに対して沖縄から長野への学習旅行が少ないという状況を、相互の形で実施できるようにしていきたいと思っておりますし、「子ども第三の居場所」の子供たちの交流ということで、県内でも今後の期待が非常に高まっているところであります。何とか今年度もそうした事業が実施できるように協力をしてまいりたいと思っております。  また、何よりも、航空会社の中では、チャーター便の運航拡大による将来の定期便化が非常に重要かと思っております。こうした様々な民間団体、企業と連携しながら幅広い交流の拡大に取り組んでまいりたいと思っております。
     以上であります。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)学習旅行先として選ばれるための取組についてのお尋ねでございます。  沖縄県との交流が進む中、具体的な取組が始まっているところでございます。本年2月には、沖縄県の旅行会社の教育旅行担当者を本県にお招きし、SDGsを取り入れた学習旅行、雪下ろしなどの雪国暮らし体験など現地において具体的なコンテンツの体験、提案をしたところでございます。  また、先ほど副知事からも御答弁申し上げましたが、今週には沖縄の学習旅行に関わる企業、団体の代表者の方々をお招きし、知事によるトップセールスや本県の学習旅行関係者との意見交換を実施する予定でございます。さらに、秋頃には本県の学習旅行関係者が沖縄県を訪問し、観光商談会、教育旅行説明会を開催する予定でございます。  引き続き沖縄県の皆様のニーズも踏まえ、コンテンツの掘り起こしやプランの提案などにより学習旅行の誘致に積極的に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔産業労働部営業局長金井伸樹君登壇〕 ◎産業労働部営業局長(金井伸樹 君)県産品の販路拡大と沖縄までの配送コストについてのお尋ねでございます。  これまで沖縄県で3回開催してまいりました物産展「長野フェア」につきましては、今年度、沖縄県内の小売事業者と連携いたしまして、地元新聞社前での2か所に加えまして、新たに十数店舗のスーパーマーケットでも同時開催する予定としております。来月13日には、その際に販売する商品選定のため、沖縄県からバイヤーにお越しいただきまして商談会を開催いたします。こうした取組によりまして、さらに多くの沖縄の皆様に、本県の食材を知って、買って、味わっていただく機会を拡大いたしまして、県産品の継続的な販路の確保につなげてまいりたいと考えております。  また、沖縄までの配送コストについては、いかに効率よく商品をまとめて輸送して配送単価を下げるかが重要だというふうに思っております。そのため、例えば、県内から定期的に沖縄へ輸送されているコンテナへの混載や、宅配事業者によるより安価な配送方法など、実行可能性を含めまして、流通事業者等との検討を進めてまいりたいと考えております。  加えまして、配送コストを低減するためには、何よりも沖縄県に向かう商品の種類、数量の増加が肝要であり、引き続き販路開拓、拡大にも努めてまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)沖縄線の定期化についてお尋ねいただきました。  航空会社が定期便の就航を判断するに当たりましては、採算性の面から安定した需要が求められているところであります。まずは、引き続き沖縄とのチャーター便の実績づくりが必要であり、特に、松本、沖縄双方向による就航実績の積み重ねが重要と認識しております。  このため、航空会社はもとより、長野、沖縄両県の旅行会社に対して旅行商品の造成を働きかけており、昨年度に続き本年度も双方向のチャーター便が運航される予定となっております。また、本年度からは、チャーター便以外にも、福岡、神戸空港での乗り継ぎによる沖縄との旅行商品の造成支援、PRを実施してまいります。  今後、さらなる認知度の向上に向けて、一定期間内に集中的な沖縄チャーター便の運航を検討するなど、松本、沖縄間の航空需要の喚起を図り、将来的な定期便の就航につなげてまいりたいと考えております。  以上です。       〔21番丸山大輔君登壇〕 ◆21番(丸山大輔 君)様々な分野で着実にお取組がなされているというように伺えたと思います。  ただ、今、沖縄が国際的な観光のハブになっていこうとしている中で、国内で挙げている目的先の三つは、北海道と東京と静岡の3か所であります。何とかここに長野県を加えていきたいというように思うわけですが、それにつけても、まだ直接の定期便がないということは非常に後れを取っているわけでありまして、いま一層のさらなる促進への取組が必要とされているというように思います。  子供たちの交流に関していえば、学習旅行ももちろん誘致していくことは非常に重要だというように思いますし、また、例えば、子供同士がオンラインで交流をすることによってお互いの地域に興味を持ち、また、それが学習旅行の目的先に選ばれることにもつながっていくような可能性があるのではないかというようにも思うわけでありまして、ぜひ教育面でそういったことに取り組んでいただければありがたいというように思います。  続いて、教育創造推進役について伺います。  4月13日に教育委員会の教育創造推進役が退職されたという一報がありました。当初は、また何か不祥事があったのかというような感じを受けるにとどまったのでありますが、この教育創造推進役について見てみると、設置経緯について非常に疑問が生じてまいりましたので、今回お伺いしたいというように思います。  まず、設置の目的なのですが、教育振興基本計画第4次を計画するために必要だと。また、次期総合5か年計画を立てるために必要だと。また、保育や幼児教育といったような部門が弱いのでそういう部門に精通した人を雇用するのだというような御説明がありました。  ただ、ほかの分野でも計画策定というものはあるのですが、こうした外部の意見を取り入れる方法としてはちょっと異例なのかなというように思います。また、後任は、同様の経歴の者が見つからないということで配置しない方針だというように伺っておりますが、これと必要性との整合性というものがよく分からない。また、後任を置かなくても何とかなるのだと判断をしているのか。また、その処遇が課長級であって、900万円超の報酬が見込まれているということに不自然な感じを受けております。  過去に、知事は、信州型事業仕分けや県民協働による事業改善を行ってこられた経緯があります。これらの精神には、最小の経費で最大の効果を上げることが行政の使命であるということがあると思いますし、これは、当時の関総務部長の御答弁だったというように認識しております。これは教育委員会にも同様に当てはまらなければならない問題だというふうに思いますが、その上で質問をしてまいりたいというふうに思います。  まず、教育創造推進役を置くことにより次期計画がよりよいものになるという説明は理解できますが、これはどの分野においても同様であって、どこまで必要だという線引きは極めて重要であると思います。その上で今回必要と判断した基準は何であるか。  また、教育委員会では、役職によっては公募はふさわしくないという判断から今回公募をしなかったということでありますが、役職を設けると決めた時点では選ばれた方はまだ在職中であって、対象には挙がっていなかったわけであります。公募によらずどのように選任しようとしていたのか。  また、想定していた方法で当人以外を選定することが可能であるとすれば、これを行わず、ふさわしい人物がいないとして後任を置かないことは、その人ありきで役職を設けたわけではないという説明と矛盾しないのか。以上を内堀教育長にお伺いします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)3点御質問をいただきました。  まず、教育創造推進役の設置理由についてでございます。  急激に変化し、予測が困難になっていくこれからの時代において、教育の在り方も大きく変わらなければならず、そのためには、教職員が持つこれまでの経験やノウハウとともに、それを超えた知見が必要と考えております。  そのような時代の転換期にこれからの長野県教育の在り方や方向性を検討するためには、市町村や学校以外の学びの場などの様々な方々と学びの現場が抱える課題などについて率直に意見交換をすること、これからの時代に対応した個別最適な学びへの転換などの「新しい学び」を構築すること、フリースクールなど学校以外の学びの場の確保や学校との連携を検討することなどが大変重要なことと考えておりました。  こうしたことの検討や政策立案には、教育行政の枠にとらわれない様々な経験や知識とともに、民間団体などとの幅広いネットワークが必要となるため、外部に人材を求めたところでございます。  続きまして、教育創造推進役の選任方法についてでございます。  教育創造推進役の業務としては、次期教育振興基本計画策定に係る総合調整、学びの改革関連業務の総合調整、市町村教育委員会との連絡調整、学びと自治の県づくり関連業務の総合調整などを担当することを想定しておりました。教育創造推進役の職は、教育行政や教育現場の経験、教育分野の新たな取組などについて知見を有する者を採用するものであるため、公募では難しいと判断いたしました。  池田町の教育長を任期満了で終えることが確定していた竹内氏については、当該職の候補者の1人として想定していたところでございます。なお、選考に当たっては、候補者に対して書類審査と面接を行うこととしておりました。  教育創造推進役の選任についてでございます。  教育創造推進役は、新しい学びを構築するに当たり、教職員では賄えない分野を補うために設けた職であり、ただいま申し上げたこの職に求められる学びの新たな取組への知見等を考慮すると人材は限られるものと考えております。竹内氏の退職以降、ほかにこの職を担える人材を探しておりますが、今のところ適任者が見つからず、採用に至っていないものでございます。  以上でございます。       〔21番丸山大輔君登壇〕 ◆21番(丸山大輔 君)今、探しているが見つからず採用には至っていないというような御説明でありましたが、以前には、もう設置しないのだ、後任を探さないのだというようなお話もありまして、そこら辺のところの不自然さというものを感じてしまっているわけであります。もちろん、その人ありきでそういった職を設けるということがあっても、それは悪いことではないのだと思いますが、その人のために職をつくるというようなことであればそれは問題だというように思っているわけであります。  殊さらこの人物とこの職が問題になるのは、知事との関係性というところで非常に近い人物だというように聞いておりますし、過去にも任期付採用職員として採用したことが県議会でも問題とされた人物でありますので、何か関与があったのではないかというような疑義を生じさせてしまうようなことにもなりかねないというように思っております。  知事在職12年の間、外部人材に頼る場面というものは非常に多かったように思いますが、本来であれば、県職員をしっかりと育成して組織の力を高めていくということが重要なことであるというように思います。知事在任の間、知事は多くの外部の人材を活用し、県政の枢要なポストに登用してきました。厳しい見方をすれば、長期政権における人事の私物化とも受け取られかねないと思いますが、知事は、外部の人材をどのような意図で登用し、県政の発展に生かそうと考えておられるのか。また、どのようにプロパー職員を育成し、県政発展に生かそうと考えておられるのか。知事の御見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)外部人材登用の考え方とプロパー職員育成の考え方について御質問をいただきました。  まず、人事の私物化という発想は全くありませんので、そこは明確に申し上げておきたいというふうに思います。  私は、県知事として県民の皆様方に責任を負っている立場であります。私の権限を行使するに当たっては、人事権、任命権は非常に重要な権限であります。そういう意味では、そうした権限を県民の皆様方にどう生かしていくか。最善の人事、人の採用、任命を行っていくということが私に課せられた役割だというふうに考えています。  そういう意味では、まず、外部人材の活用についてでありますが、今も県の職員の中に特定任期付職員や一般の任期付職員の皆さんに入っていただいています。あえて申し上げれば、この中で私が任命前から直接存じ上げているのは、御嶽山の噴火対策を一緒にやっていただいた県警出身の五十嵐危機管理監、それから、自衛隊出身の後藤危機対策幹、このお二人であります。そういう意味では、ほかの方たちは各部署が責任を持って選考して配置してもらっているという状況だというふうに考えています。  むしろ、いろいろな課題に向き合っていく上では、外部人材も適材適所でもっと活用していくという場面も必要ではないかというふうに思っています。昨年、ANAの職員2名に県の職員になっていただきました。若手職員とも対話をしてもらい、私も、どういうやり取りをしているか少し聞かせてもらいましたけれども、ANAの風土は、やはり安全第一ということで、安全第一を軸にしながら職員相互が常にコミュニケーションを取っていますよ、長野県は大丈夫ですかという感じで御指摘いただき、恐らくそこで話を聞いた多くの職員は、今までの長野県の在り方が本当にいいのかという問題意識を持ったのではないかというふうに思います。  もとより、人材の在り方というのは、画一的にこうあれば最善だということがないわけでありますので、例えば、高度な専門知識であったり、民間で培ったノウハウであったり、必要な部分については県の組織の中にも積極的に取り入れていくということが今後とも必要になってくるというふうに思っています。私としては適材適所の任用をこれからも考えていきたいというふうに思っています。  ちなみに、私自身も、国家公務員として採用されましたが、一回国家公務員を完全退職させていただいて横浜市の副市長なりました。その後もう一回任期付職員で国家公務員として仕事をさせていただきました。例えば、湯浅誠さんは年越し派遣村やこども食堂に一生懸命取り組まれていますけれども、湯浅さんも民間から任期付職員で内閣府に入られて私と一緒に仕事をしました。やはり、組織をこれから発展させていく上で、これは地方もそうですけれども、多様な人材をどう生かすかということが極めて重要だというふうに考えておりますので、適材適所の人事を考えていきたいと思います。  もう一方で、御質問いただいたプロパー職員を育成していく、そして活躍してもらいやすい環境をつくっていくということももとより非常に重要だというふうに思っています。  これまでも、国の関係機関や民間企業に積極的に職員派遣をさせていただいています。これは、いわゆる人の釜の飯を食うということによっていろんな経験ができるというふうに思っているからでありますし、また、職員と意見交換する中で、もっと自分で学ぶ機会を応援してほしいという御意見があったので、自己啓発支援制度をつくって外部講座の受講や資格の取得、大学院で学ぶこと、こうしたものを応援させていただくようにしています。  また、いわゆるプロパー職員の中にも多様な人材が必要だということで、社会人経験者の採用やデジタル職の採用、こうした多様性をプロパー職員の中にも入れていこうということで取り組んできたところであります。  県の職員は若いうちからいろんな経験をする機会が十分ではない部分があるというふうに思いますので、今後ともそういう機会をできるだけ増やすことによって職員自らが育っていっていただけるような環境をつくっていきたいというふうに考えています。県民の皆様方に最善の行政サービスを行う上でどういう人員配置が大切なのかということを常に考えながら人事に取り組んでいきたいというふうに考えています。  以上です。       〔21番丸山大輔君登壇〕 ◆21番(丸山大輔 君)知事の思い描くような人員配置に実際になっているのかということもしっかりと検証しながら進めていっていただきたいというように思います。  知事のおっしゃっている内容についてはよく分かりましたが、やはりプロパーの職員さんの信頼を得ながら、どうやって信頼を高めながら活躍していってもらうかということは非常に重要な観点ではないかというように思います。そういった面をぜひ重視していただきたいと思います。  また、知事は次期知事選に出馬を予定されているということでありますが、4期となると、やはり長期の県政運営であります。ともすれば、物申すことができない職員との関係にもなりかねないというようにも思いますし、言い出せなくなると、知事の話を聞く者だけが重用されるというような事態も懸念されるわけであります。また、外部の人材を恣意的に登用しているのではとの疑念を抱かれるような状況も生じ得ると考えられます。  長期政権に対する県民の厳しい視線は思わぬところで疑念を生じかねない。くれぐれも身を正して県民の声を真摯に受け止め、県政運営を行っていただくことを強く求めて、質問を終わります。 ○副議長(髙島陽子 君)次に、小山仁志議員。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)長期化してきたコロナ禍におきまして、観光関連産業は深刻な打撃を受けてきました。一方、本年、長野県では、御開帳や御柱祭が戦後初めて同年開催となるなど、大型行事を契機とした観光復興にも期待が寄せられています。  この間、観光産業の下支えと回復のため、各種需要喚起策も講じられ、各都道府県が独自に取り組む県民割も、ブロック割から全国への拡大が予定され、今後はGo To トラベル再開についても注目が集まっています。県民割やブロック割は新型コロナウイルスをきっかけに生まれたマイクロツーリズムの推進の後押しにもなっています。  一方で、こうした需要喚起施策による効果や回復に格差が生まれていないかと懸念いたしますが、県内の実態についてはどのように分析をされているでしょうか。  また、こうした格差やマイクロツーリズムで取れなかった部分に対するサポートなど、現在の観光課題に伴う対策を今後の県民割全国拡大やGo To トラベルにおいて講じていくことが求められていると考えますが、取組について県のお考えをお聞きいたします。  今後、Go To トラベルやクーポン券等による割引などの需要喚起策が終了いたしますと、反動による大きな需要減が予想されます。需要喚起策を契機として、中長期的な視点の下で、持続的なリピーターや滞在型利用者の増加、また、消費単価維持に結びつけ、一過性のものとして終わらせないための取組が不可欠であります。Go To トラベルの出口戦略を見据えた制度設計が求められていると考えますが、どのように対応されていくのか。お考えをお伺いいたします。  さて、かねてより、県では、稼げる観光地づくりを施策推進の柱に掲げていますが、観光産業の収益性の向上は大きな課題です。この収益性向上のためには、観光需要の年間を通じた平準化も大切な視点であると考えます。  コロナ禍前、日本の旅行消費額年間約28兆円のうち、およそ8割が日本人の消費によるものですが、ゴールデンウイークや夏休み、祝日を含めた3連休や土日など、いわゆる繁忙期に大きく集中しています。それ以外の閑散期は需要が極端に下がり、必要なスタッフ数も大きく異なることから、観光産業の雇用者は約75%が非正規雇用となっており、非正規雇用者で調整せざるを得ない現実があります。  こうした大きく偏る観光需要を平準化することにより、年間を通じた稼働率の安定や正規雇用のスタッフの増加、地域で生活する観光人材の育成と定着にも結びつきます。極端な繁閑の差による不安定な雇用は観光産業の長期的な競争力強化においても修正しなければならない重要な課題です。観光需要平準化に向けた取組について県のお考えを伺います。  今月からは水際対策も緩和され、パッケージツアー限定ではありますが、訪日外国人観光客の受入れも再開となり、今後徐々に拡大されていくことも検討されています。コロナ禍前、本県の外国人延べ宿泊者数は、台湾や中国、香港をはじめとしたアジアが多くを占めていましたが、一定の国からのインバウンドの偏りは急激な減少を招くリスクもあり、消費単価や滞在日数を高めるためには欧米をはじめとした幅広い国をターゲットとしていく戦略も求められています。  インバウンドの受入れ再開が徐々に拡大されていくことが見通される中で、インバウンドの需要回復、増加を重要な成長戦略として、その持続性への期待を高めながら新規投資を促したり、生産性や潜在的成長力の向上といった経済再生の起爆剤ともなるインバウンド戦略をどのように再構築していくお考えなのか。以上、これまでを観光部長に伺います。  政府では、平成28年に策定された明日の日本を支える観光ビジョンに基づき、国立公園を世界水準のナショナルパークとしてブランド化を図っていくため、自然公園の保護と利用の好循環を生み出していく国立公園満喫プロジェクトを観光立国に向けた柱として推進してきました。一昨年までは、環境省が八つの国立公園を指定し、取り組まれてきましたが、昨年からは、先行してきた国立公園の取組を全ての国立公園に対し水平展開していく取組が始まっています。また、自然公園法の改正により、利用面での施策強化が主眼に置かれており、利用者数だけでなく、滞在時間を延ばし、地域全体の連携の中で自然を満喫できる上質なツーリズムの実現が掲げられています。  こうした流れを本県をまたぐ国立公園を生かした取組にも生かさない手はありません。昨年度以降、国立公園満喫プロジェクトの取組方針における水平展開や各公園の底上げ、また、自然公園法改正を県内の国定公園等においてどのように生かしていくと考えているのか。環境部長に伺います。  また、この施策の柱となる保護と利用の好循環には、自然保護と自然の観光活用は両立し得る、補完関係になり得るという概念があることを理解しなければなりません。自然遺産の希少さを広く伝え、保護や保全活動への理解促進とともに、観光振興により保護や保全活動の資金源にも結びつけていく、よい循環を生み出していくための取組に対する考え方について環境部長に伺います。  国立公園満喫プロジェクト施策推進に当たり、そもそもの背景にある課題が自然の魅力の発信不足にありました。また、外国人目線の施設整備の不足、登山道の荒廃や遊歩道の老朽化、アクティビティーやガイドの不足による滞在時間の短さなども挙げられます。  こうした課題を克服しながら、優れた自然とともに、その自然に育まれた伝統文化や食など地域特有の暮らしに触れていくような好循環を生み出していくという考え方は、本県の国立公園のみならず、国定公園や自然公園を中心としたその周辺エリアにおいても高いポテンシャルがあり、また、インバウンドに訴求する要素も十分備えています。国立公園、国定公園などの魅力を生かしながら、アドベンチャーツーリズム、ワーケーションの受入れ、また、環境に配慮したサステーナブルツーリズムなど、多様な利用層をターゲットにした様々なコンテンツの造成や情報発信に対し今後どのように取り組んでいくお考えなのか。観光部長に伺います。  新型コロナウイルスのパンデミックにより、これまで構築されてきた便利で豊かに生きるための集中型の都市化へのベクトルは、開放的な疎の空間へと向かい、ライフスタイルや働き方の意識、価値観に大きな変容を生み出しています。  そこで、急激に普及してきたのがテレワークでありますが、最先端の田舎暮らしやリゾートテレワーク、デジタルノマド、ワーケーションなどの新型コロナウイルスを契機としたテクノロジーと自然空間の融合のようなトレンドは今後さらに深まっていくものと感じます。  コロナ禍による働き方などの意識変容により、本県に対するリゾートテレワーク等のニーズはどのように高まり、人の流れに変化が生じていると分析をされているのか。また、こうした好機をしっかりとグリップしていくための取組についてはさらにどのように強化を図っていく方針なのか。産業労働部長に伺います。  こうした顕在化する多様な働き方へのシフトや地方回帰の流れを、若者世代の県外流出による生産人口の減少や、その要因の一つとも言える希望する企業や職種の少なさなどの課題解決に向けた取組に何とか生かせないものかとも感じます。アフターコロナ時代を見据え、明らかになる地方への人の流れをしっかりと捉えながら、若者が希望するようなスタートアップ企業等の誘致、育成やオープンイノベーションの創出につなげていくためにも、他の地域とは差別化された施策が求められていると考えますが、どのように取り組んでいくお考えなのか。産業労働部長に伺います。  隣接県が多いという本県の特徴を踏まえますと、広域観光連携の強化が求められますが、観光振興を支える上で欠かせないのが道路ネットワークの構築であります。  昨年、中部横断自動車道の未開通区間でありました山梨―静岡間が全線開通となり、本県へのアクセスも向上。移動時間の短縮による観光エリアの拡大、滞在時間の延長等観光需要開拓への余地は大きく、海と山の交流拡大による経済効果への期待もおのずと生まれてきます。中部横断自動車道の山梨―静岡間の全線開通によって観光交流における本県への効果や変化がどのように生じていると認識されているのか。観光部長に伺います。  また、本県からの清水港に対するアクセスもぐっと近づくことになりました。高度な技術を有するものづくり産業が盛んな諏訪圏域からも最も近い港となります。清水港では、その利用促進のため、機能強化とともに、長野県の輸出入貨物に対する助成制度もあり、物流コストダウンに関心のある企業の皆様に対する清水港利用のトライアルを後押ししています。貨物の取扱量を活性化したい清水港と物流輸送コストを削減したい県内企業、お互いの相乗効果を生み出していくことも有効と考えます。  山梨―静岡間の全線開通後、県内産業の清水港利活用状況についてはどのように変化が生まれていると捉えているのか。また、今後、県内産業と清水港の相乗効果を狙い、県としてはどのように取り組んでいくお考えなのか。産業労働部長に伺います。  静岡県、山梨県、新潟県との中央日本4県サミットは、2014年、阿部知事の提唱により始まりましたが、昨年は3年ぶりに各県の知事が顔を合わせての開催となり、「バイ・山の洲」を共同宣言されています。  中央日本4県サミットにおきましても、中部横断自動車道の静岡―山梨間全線開通を契機とし、未開通区間の全線開通早期実現への思いを共有しながら広域観光連携や経済効果の実効性を高め、その利用促進、交流促進を図っていく官民挙げての具体的連携策や取組について議論を深めていただきたいと考えますが、知事のお考えをお聞きいたします。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には大きく6本のお尋ねをいただいております。順次お答えいたします。  需要喚起施策による効果、格差などの実態についてでございます。  今回の県民割等の実施により、新規ツアー・プランの造成や新たな需要の確保につながったものと認識しております。一方で、団体旅行から個人旅行へのシフト、インターネットを通じた直近での予約の増加など、コロナ禍を反映した変化も生じており、施設の形態や情報化対応などにより入り込みへの影響が生じているものと認識しております。  こうしたものを含め、現在の観光課題に対する今後の取組についてのお尋ねでございます。  コロナ禍を踏まえ、これまで信州安全・安心な宿魅力向上事業により施設の改修や情報化を支援してまいりました。また、修学旅行や合宿などの団体旅行等の造成を支援しているところでございます。  県民割事業が全国に拡大する中では、コロナ禍で人気のあるアウトドアアクティビティーや自然体験などをメインコンテンツに、幅広い層や地域からお越しいただけるよう、インターネットや新聞広告の活用などプロモーションを強化してまいります。あわせて、現在設置している県民割の専用窓口や観光部、観光機構においてきめ細かく事業者をサポートしてまいります。  次に、Go To トラベル後を見据えた対応についてでございます。
     県民割事業等においては、事業者の皆さんと昨今の観光需要等を共有しながら、アフターコロナにもつながる新しいツアー、付加価値の高いプランの造成をお願いし、工夫を凝らしながら活用いただいているところでございます。また、こうした事業と連動した季節ごとのキャンペーンにおいても、市町村等に対し新たな観光スポットやイベントなどの掘り起こしをお願いし、旅行会社等にも提案をしているところでございます。加えて、信州の観光地魅力向上実践事業により、アウトドアやワイン、日本酒、ユニバーサルツーリズム、ワーケーションなどを活用した広域的な新しい観光地域づくりを支援してまいります。  次に、観光需要平準化に向けた取組についてです。  今回、全国へ拡大する県民割においては、観光クーポンを平日3,000円、土日休日1,000円とするなど、平日への分散に配慮した仕組みとする予定でございます。また、平日利用の多いインバウンドや学習旅行、ワーケーションなどについても受入れ環境の整備や誘致支援に取り組んでいるところです。  年間を通じた平準化については、例えばスキー場におけるグリーンシーズンの集客促進のためのプロモーション支援、加えて、休日の分散化についても国に要望しているところであり、観光需要の平準化に向けた取組を進めてまいります。  次に、インバウンド戦略の再構築についてのお尋ねです。  短期的、中長期的な視点も意識しながら、戦略といたしましては、本県への訪問実績があるオーストラリアや東南アジア、また、個人旅行の再開を見据えた北米など新たなものも加えてターゲット国を設定し、トップセールスなど効果的なプロモーションを展開。また、外国人に人気のある歴史や文化、自然体験など本県の特徴を生かしたコンテンツの造成、促進などに取り組むこととしております。また、受入れ環境整備などを市町村や観光事業者とともに進めてきたところであり、引き続きインバウンドの本格再開を見据え、需要を確実に確保できるよう取り組んでまいります。  次に、国立公園、国定公園などの魅力を生かしたコンテンツ造成や情報発信についてです。  昨年度、県では日本みどりのプロジェクト推進協議会や旅行会社と連携し、県内外の約100名の学生に参加いただき、県内四つの国立・国定公園で1泊2日のフィールドワークを実施いたしました。草原保全活動やジビエ体験などにも取り組んでいただき、新たなツーリズムへの提案もいただいたところです。今年度は、その提案も生かしながら具体的な商品造成による実証事業に取り組む予定です。  また、松本―高山間の誘客を進めるBig Bridge構想、今年8月にオープンする御嶽山ビジターセンターなど自然公園の魅力を生かした新たな取組も進められているところでございます。引き続き関係機関と連携しながら、ホームページ、SNS、雑誌の活用や、企業、学校への情報提供など効果的な発信に努めてまいります。  最後に、中部横断自動車道静岡―山梨間の開通に伴う効果等の認識でございます。  観光面での効果については、現時点では定量的なデータは把握していないものの、県内の観光・宿泊事業者からは、信州割SPECIALとの相乗効果もあり、静岡県からの宿泊客が増加した。移動時間が短縮されたことで、静岡県からの新規の学習旅行の相談が増えたなどのお話も伺っているところでございます。  コロナ禍にあって、マイクロツーリズムなどが増加する中で、移動時間の短縮はプラス効果をもたらすものであり、新たなマーケットとして期待をしているところでございます。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)私には2点御質問を頂戴いたしました。  最初に、自然公園法の改正を受けた県内の国定公園等の利活用についてのお尋ねでございます。  本県では、自然公園法の改正に合わせ、本年3月に県立自然公園条例を改正し、県内の国立、国定、県立全ての自然公園において、地域が主体的に行う自然体験アクティビティーの提供や利用拠点を整備するための制度の導入と許認可手続の簡略化等を図ったところでございます。  今後、こうした取組を活用していくほか、自然保護センターやビジターセンターにおける学習会などの自然体験活動の促進、サウンディング型市場調査による民間活力の導入、あわせて、先般環境省において候補地に選定されました御嶽山周辺の国定公園化にも取り組み、自然公園の保護と適正な利用を推進し、地域振興につなげてまいりたいと考えております。  次に、観光振興を保全活動等の資金源に結びつける取組についてというお尋ねでございます。  自然環境の保全活動を目的とした資金確保の取組といたしましては、県内では中部山岳国立公園において登山者からの寄附を登山道の維持管理に活用する実証実験が環境省を中心に昨年度から行われております。  また、観光とタイアップした取組といたしましては、大山隠岐国立公園の島根県三瓶山において飲食店の売上げの一部を保全活動に活用する取組が行われているほか、阿寒摩周国立公園の北海道阿寒湖においては、ガイドツアー料金に協力金を上乗せし、保全活動に活用する取組などが検討されているところでございます。  一方、本県におきましては、現在までにクラウドファンディングを活用したライチョウ保護活動を実施したほか、企業版ふるさと納税制度を活用した登山道整備といった財源確保策を講じてきているところでございまして、環境保全に協力したいというお気持ちを強く感じるところでございます。  今後とも、長野県の優れた自然や環境保全の取組を広く発信するとともに、全国の取組事例も参考に、環境保全等につながる財源確保策について研究してまいります。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)3点順次お答えいたします。  初めに、リゾートテレワークのニーズの高まりと取組の強化についてお尋ねをいただきました。  平成30年度にスタートした信州リゾートテレワークは、市町村やJR東日本等の取組もあり、既に受入れ施設は100か所を超えております。また、令和2年11月に発行された「日経トレンディ」の2021年ヒット予測ランキングに、ワーケーションの聖地、「長野でテレワーク」がベスト10入りするなど、その認知度も高まってきております。  令和3年度の専用サイトへのアクセスは、ユーザー数は前年度比1.5倍の約3万8,000、ページビューは前年度比1.3倍の約10万回と伸びており、サイトに掲載している受入れ施設からも予約や問合せが増加しているという声を伺っております。  利用者のニーズを見ますと、休暇に合わせたリモートワークから、コロナ禍によるテレワークの普及もあり、ビジネスや異業種交流の場として活用されるようになってはおりますが、経済的効果をもたらす工夫がさらに必要と考えております。  今後は、先進的な取組を行っている富士見町の森のオフィスや塩尻市のスナバなどの事例を県内50団体で組織する信州リゾートテレワーク推進チームなどで共有し、運営のノウハウを学ぶとともに、ワーケーション自治体協議会を通じた全国への情報発信や経済同友会、中部経済連合会などと連携を図るなど、一層の利活用促進に取り組んでまいります。  次に、他の地域と差別化されたスタートアップ企業等の誘致・育成策についてでございます。  県では、スタートアップ企業を育成するため、工業技術総合センターの3か所に併設した創業支援センターに加え、松本と長野に信州スタートアップステーションを開設し、相談会やセミナーの開催はもとより、大学、金融機関等との連携によるベンチャーサミットやコンテスト、 創業間もない企業を伴走支援する信州アクセラレーションプログラムなど様々な施策を展開しているところです。  さらに、本年4月には、県内金融機関等の出資により、総額7億円余の信州スタートアップ・承継支援ファンドが組成され、財務面での支援体制も強化されたところです。最近の県によるサポート事例では、ITを駆使し、中山間地で農薬散布を行う無人ロボット車の製作、障害者への支援や災害をきっかけに牽引式車椅子補助装置の開発、「発酵・長寿」ブランド等の発信や食品ロス削減のプラットフォームの構築など、本県の地域資源やポテンシャル、コア技術を生かして課題を解決し、事業化に結びつけるケースも多く、こうした取組を増やしていくことが他地域との差別化にもつながるものと認識しています。  また、誘致につきましても、クリエーティブ人材を呼び込む「おためしナガノ」や、市町村と企業とのマッチングによるオープンイノベーションを促進する「おためし立地チャレンジナガノ」などに取り組んでいるところです。本県産業の未来を担う若者たちが夢を持ってチャレンジできるよう、大学、金融機関等との連携によるスタートアップエコシステムを構築し、魅力ある産業の集積を図ってまいります。  最後に、清水港の活用状況と県内産業の相乗効果の発現に向けた取組についてという御質問でございます。  議員御指摘のとおり、諏訪インターチェンジから清水港までの所要時間は2時間を切ることとなり、諏訪地域から最も短時間で結ばれる港となります。海に接していない本県産業にとって、東京、横浜、名古屋港よりも短時間で結ばれる新たな国土軸が形成される意義は大きく、韓国や中国、東南アジアに複数の定期航路を有する清水港へのアクセス向上により、輸出型の製造業等にとって新たな交易チャンネルが生まれること、人の行き来、農産物、海産物の物資の交流に加え、本県産業と臨海工業地帯との連携によるイノベーションの創出、輸送コストやCO2排出量の削減、災害協定の締結など事業継続に向けた選択肢が増えることで経営の持続可能性が向上することなどが期待されるところです。  山梨―静岡間の全線開通後の清水港の利用状況の変化について現時点で定量的なデータは取りまとめられてはおりませんけれども、静岡市は佐久市の友好都市となっており、こうした経済効果が発揮されるよう、市町村やジェトロ、経済団体とも連携を図り、地域産業の振興、経済の活性化につながるよう取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)中部横断自動車道の利用促進と関連しての中央日本4県サミットの議論の深化という御質問であります。  御質問にも触れていただきましたように、この中央日本4県サミットは私が提唱して始めたものであります。今、本州中央部広域交流圏をつくろうということで取り組んでいますが、日本の国土軸を見たときに長野県は中心に位置しています。しかしながら、この東西軸に比べ南北軸が非常に弱いということもあり、新潟県、山梨県、静岡県との交流連携を深めていくことと併せて、お話がありましたように、道路ネットワーク等基盤整備もしっかり進めていくという思いでこうしたサミットを提唱して、関係県の理解の下、進めてきたところであります。  三遠南信自動車道や松本糸魚川連絡道路、中部横断自動車道、こうした道路ネットワークがしっかり整備されることによって、さらにいろいろな資源が共有できる4県だと思っています。山の県として多くの山岳を共有していますし、また、相互の地質学的なつながり、フォッサマグナのつながりも含めて、非常に共有している部分がたくさんございます。そういう意味で、こうした歴史的なつながりや地理的なつながりを生かしながら共々発展をしていこうと、そういう思いでこうした枠組みをつくらせていただきました。  まさに、御指摘がありましたように、中部横断自動車道は、新潟から長野、そして山梨、静岡をつなぐ上で極めて重要な道路だというふうに思っておりますので、三県の知事とも問題意識を共有しながらさらなる道路の整備促進を図っていきたいというふうに思います。  それと併せて、先ほど環境部長からも答弁したように、観光面での人の交流や産業面での物流の促進、そうしたことをさらに活性化させるという観点での交流連携も深めていきたいというふうに考えております。  この間、コロナでなかなか思うような活動ができなかったところもありますが、今申し上げたような原点にもう一度立ち返って、この枠組みを生かしながら4県の連携交流を深めていきたいというふうに思いますし、また、中部横断自動車道も含めて関連道路の整備促進も図っていきたいと考えております。  以上です。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)コロナ禍によって新たに顕在化しているニーズを見ますと、本県にとっては大きなチャンス、可能性を秘めた潜在性や伸び代を感じます。  コロナ禍前の外国人観光客の消費額は、東京、大阪、京都をはじめとした上位5都府県で7割以上を占めています。この要因として、日本の観光が、実は、都市型の観光に比べ、国立公園等を生かした自然観光に引っ張り切れておらず、私たちが誇る豊かな自然を体験していただける観光資源としてはまだ生かし切れていない現状があり、コンテンツの充実がリピーターの獲得にも急務であろうというふうに考えます。  また、テレワークや働き方の変化でありますけれども、NTTが自宅勤務を原則として転勤や単身赴任を廃止する方針で、来月からその取組がスタートするということであります。住まいはどこでもよくて、出社を出張扱いするということであります。従業員のモチベーションや人材獲得をはじめとしたどういった成果が生まれるのか、地方回帰が生み出されるのか、注目に値する改革であろうというふうに感じています。  この新たな時代の潮流や変化、課題を捉えながら視界を広げていく、県政の戦略的な取組を一層強化していただきますことをお願いさせていただきまして、本日の私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(髙島陽子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時6分休憩          ──────────────────         午後2時22分開議 ○議長(丸山栄一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  共田武史議員。       〔20番共田武史君登壇〕 ◆20番(共田武史 君)日本は、世界から、物が安い、サービスが安い、エネルギーが安い、そういった理由で物を輸入しておりました。最近、円安、そして世界の物価高により、日本は物が高くても輸入をしなければいけない状況になっております。こうした世界の情勢、そして経済情勢を見ていると、長野県の政策も大きく方向転換をしなければならない、そんな違和感を感じながらニュース等を見ております。  2年半もの間、コロナ禍で県民は苦しみ、アフターコロナはまた新しい安定した社会を目指せると考えていた矢先、今回のエネルギーの高騰、インフレが県民を襲っております。物価高騰やエネルギー価格の高騰に対する不安が広がり、さらに、この夏、7年ぶりの節電要請が出ております。  世界経済を見ておりますと、今回のインフレは、ロシアのウクライナ侵攻、そして米経済の過熱化が原因となっております。ロシアのウクライナ侵攻は、当初、早く決着がつくと予想されておりましたが、いまだ先が見えておりません。ロシアの経済規模は世界のGDPの1%程度、ロシアに対する経済制裁の影響は少ないと思われておりましたが、実際は、原油産出国であり、小麦の最大輸出国。そのため、世界に食料やエネルギーの高騰を招いております。今、県民の暮らしに、そして産業に大きな影響が出始めております。  世界経済の歴史を振り返りますと、30年前、ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が終わりました。G7にロシアが入りG8になり、民主主義が世界に広がり、平和な世界を世界中が夢見ました。  今までのグローバル化の中の経済では、物やエネルギーを世界中最適なところから、安く、好きなように購入できました。しかし、最近、米中対立の激化、ロシアのウクライナ侵攻により、グローバル化から分断の時代に変わろうとしています。  今回のコロナ禍で、マスクの不足、医療物資の不足、ロックダウンによるサプライチェーンの分断を経験し、アメリカは政治的に影響を受けにくいサプライチェーン化を目指し、フレンドショアリングを進めております。そして、今回のロシアのウクライナ侵攻でこの考え方は加速化しています。フレンドショアリングとは、価値観を共有する国同士でサプライチェーンを再構築し、経済安全保障を目指すことです。半導体など重要な物品調達は友好国や同盟国の間で行い、世界がこれから二分や三分する可能性があると考えられています。  今、まさに時代の転換期、今まで当然と考えられているものの見方や考え方が劇的に変わるパラダイムシフトが起きようとしているとも言われています。そして、これから世界はインフレと低成長の時代に入ると予測され、実際、IMFは、世界経済成長率を、2021年の推計6.1%から減速し、2022年、2023年は3.6%となる見込みに下方修正しました。  アメリカ経済は歴史的なインフレで、5月のCPI、消費者物価指数は8.6%と異常に高く、FRBは金融引締めを行っております。米経済は、景気の減退よりインフレ抑制にかじを切っており、米経済の先行きが不透明。そして、原油高により世界中に影響を及ぼし、世界中がインフレになり、経済危機のおそれがあります。  日本は、ゼロ金利政策により日米金利差から極端な円安、そして、エネルギーの高騰などからインフレになりつつあります。日本のCPIも4月には2.5%とインフレを示しており、そして、今回のインフレは、経済の活性化によるインフレではなく、食料や原油高から来るコストプッシュ型のインフレで、国民生活はこれから厳しくなることが予想されています。コロナ以上の重大な局面が我が国を襲っているのかもしれません。  今まで、日本は常に貿易黒字国でしたが、最近の原油高と円安により貿易赤字が膨らんでおります。日銀も、ゼロ金利と金融緩和をやめれば中小企業に大ダメージがあることをおそれ、ゼロ金利を継続し、国債を買い続けています。日銀の黒田総裁は、5月の発表で、金融緩和により2%の物価安定の目標に向かって物価と賃金が合わせて上昇してくることを期待していますと発言しています。  現在はコストプッシュ型のインフレですが、やがて賃金上昇を伴ったインフレになると予想されています。フレンドショアリングにより安全保障を大切にした貿易、これによるパラダイムシフトにより世界経済は分断、インフレと低成長の時代に入り、日本もインフレが続くと予想できます。日本のインフレは30年ぶりのことです。  このデフレとインフレを考えてみますと、デフレは供給が需要を上回った状態、インフレは供給が需要を下回った状況になります。デフレ下では、需要が少ない中で生産性を上げたり、需要を喚起する政策が求められます。今議会の答弁でも需要の喚起や生産性という言葉が何度も出てきていますが、これはデフレ下の政策ではないでしょうか。  インフレ下では、供給が少ないので、生産性ではなく生産量を上げなければならないと考えられます。そのため、経済政策は大きく変えなければいけないとも感じます。インフレ下の経験がないので、我々は考え方がデフレになっており、政策もデフレのための政策になっている。そういうことをこの転換期に気をつけなければいけないと考えます。  世界的になのか、同盟国、友好国に対してなのか分かりませんが、供給が他国で足りない状況になれば、生産を高めることが日本の責任となります。日本のエネルギー安全保障、食料安全保障の面からも、小麦や大豆、穀物などの食糧やエネルギーや、木材などの資源を国内で生産することも考える必要があり、その中で長野県が果たすべき役割は非常に大きいと考えます。  貿易収支の赤字は原油高による影響が大きく、赤字を減らすためにも外貨を稼ぐ必要があります。そういった意味では、製造業、観光業によるインバウンドなど外貨を稼ぐ意識をすることも重要です。  そこで、県内産業の国内回帰について、3点、林産業労働部長に伺います。  コロナ禍では、サプライチェーンの寸断が起きました。そして、産業の国内回帰が叫ばれ、長野県は信州回帰を目指してきました。また、円安により輸出産業には追い風となっております。そこで、コロナ禍を受け、産業分野の地方回帰の流れに取り組んできましたが、取組の状況と現状を伺います。  また、コロナ禍、円安の進行により製造業など輸出産業への追い風、中国の政治不信など、産業の国内回帰を促すさらなる契機となりつつありますが、現状をどのように分析し、今後産業を長野県に呼び込んでいくのでしょうか。  日本は、1990年以来、30年ぶりのインフレです。現役世代のほとんどは日本経済のインフレを経験したことがありません。どのような変化があるか予測が難しいと考えます。そこで、円安の進行、インフレ懸念、エネルギーの高騰を受け、様々な産業にこれまで経験したことのないスピードで悪影響が出ることが予想されます。どの業界にどのような影響が出るのか、スピーディーに情報をつかみ、対応していくことが大切となりますが、どのように情報収集を行い、対応していくか、伺います。  続きまして、穀物価格、肥料価格等の高騰について。  小麦価格が高騰しております。今後も高騰が予想されております。今回のロシアのウクライナ侵攻とアメリカ、カナダの不作が原因で、世界中で小麦不足、穀物不足から深刻な食糧不足に陥っております。米食文化の日本も、現在は小麦の消費量は多く、今後国民生活にも影響が大きく出てきます。  そこで、小林農政部長に3点伺います。  肥料価格の高騰により農業経営者は大変な状況にあります。一方、穀物価格の高騰により、今後国内の農業を小麦やトウモロコシなどの穀物に転換して利益を出せるような状況になることも予想されますが、現状をどのように分析しているでしょうか。  長野県は、シャインマスカットを代表する高付加価値のある嗜好品の生産に力を入れてきました。農業が盛んで広い長野県は、この食料危機のおそれがある中で、嗜好品を生産する一方、日本人の食文化に合わせ、食料自給率を高めるための穀物生産を考える必要があると感じます。  広大な県土を持つ長野県において、国内の食料自給率を上げ食料価格の高騰を抑えるためにも、食料を確保し国を守る意味でも、穀物を生産する大規模農家を育成することは長野県の大きな責任だと考えますが、県はどのように取り組んでいくのでしょうか。  今回の価格高騰対策では飼料購入費への支援が行われ、今後は肥料購入費への支援も必要になると考えられます。こうした支援は、飼料、肥料の増加コストが農産物へ価格転嫁されるまでとなるのか、継続的に行われるのか。県の考えを伺います。  続きまして、森林資源活用に関わる森林県としての責任についてです。  森林大国ロシアの木材が国内から消えました。建設業界では木材調達が厳しくなっております。泥沼化しているウクライナ情勢を考えると、長野県は逼迫している国内の木材需要に対しての供給不足を考えなければいけない、長野県は森林県の責任を果たさなければいけないと感じます。  そこで、吉沢林務部長に2点伺います。  ウッドショックにより林業への追い風がさらに強くなる中、森林県である長野県としてエネルギーや資材となる森林資源を国内に供給する必要と責任があると考えますが、所見を伺います。  県内の森林の多くは主伐期を迎えており、伐採すれば国内で必要とされる資源です。林業の活性化のためにも、逼迫する国内需要の手助けのためにも、伐採を加速させることが必要で、また、端材等は発電に回すことも大切です。主伐のスピードを上げるとともに、間伐材に至るまでエネルギー資材に利活用する取組を早急に検討する必要があると考えますが、県の所見を伺います。  価格高騰対策第二弾に向けた状況把握についてです。  今まで現役世代が経験したことのないコストプッシュ型のインフレの中、社会的弱者の暮らしや産業、雇用を守る取組も必要となります。今議会には価格高騰対策第一弾が盛られておりますが、先行き不透明な中、支援を考えていかなければなりません。  コロナ禍では、隠れていた厳しい状況になっている業界や団体からの要望を知事が直接聞く場面が多くあったと感じます。支援のタイミングが遅くなった場面もあったように思いますが、コロナ禍という経験のない事態で仕方ないと考えます。  また、今回はインフレという経験の少ない状況ですので、デフレに慣れてしまった私たちにインフレにより何が起こるか想像できない中、例えば、事業支援か、消費者支援か。価格を抑えるためなのか、価格転嫁までの支援なのか。事業継続か、産業の転換か。労働力の確保と賃金の上昇、適正なインフレか、弱者支援か。様々な要因を考え、バランスを取らなければなりません。  そこで、コロナ禍においては、生活困窮者だけでなく、仕事や暮らし、社会経済の様々な分野への影響から生活困難に陥る人があり、個人や事業者、企業などに対して様々な支援が行われたものの行き届かなかった部分があったかと思います。  価格高騰第二弾も行われるものと思いますが、第一弾の対策で行き届かなかった部分、変化する課題をどのように把握し、第二弾の対策を取りまとめていくのか。また、今後の対策に当たり、どのように事業者、消費者に対する支援のバランスを取っていく考えか。併せて阿部知事に伺います。  現下の社会状況における政策の方向についてです。  長野県は、ゼロカーボンを理想としています。実際に、今回のような原油価格の高騰は、ガソリンだけでなく、電気料などエネルギー全般に影響を及ぼし、化石燃料の重要性が浮き彫りになりました。
     省エネルギーを進め、自然エネルギーを推進していますが、結局は原油に頼る部分が大きいと改めて考えさせられます。化石燃料をやめ、自然エネルギーのみにすると、景観や自然に甚大な被害が出ることが今回の取組で分かってきております。  エネルギー価格の高騰に県民が苦しむ中、ゼロカーボンを推進し、化石燃料に頼らない社会を実現するためには、割高な再生エネルギーとコストの負担による痛みが伴うこと、エネルギー構成全体を考えなければならないと感じますが、県の所見を猿田環境部長に伺います。  原油高と円安の関係を考えてみます。  値上がりした原油を輸入しますと、それにより貿易赤字が拡大します。貿易赤字が拡大し、国の信用が薄れ、円安が進みます。円安により、さらに原油コストが高くなってきます。円安と原油高の悪いスパイラルに陥っており、原油の輸入増は物価の上昇にも影響しております。そして、それは国民の暮らしを厳しいものとしています。結局は化石燃料と原子力発電に頼っていることを改めて感じます。エネルギー価格の高騰、電力不足から、原発再稼働の声が大きくなっております。  長野県は、ゼロカーボンを声高らかに推進しております。そして、県民は原発の恩恵を受けておりますが、長野県には原発がありません。都合のいいとこ取りの長野県にならないためにも、原発再稼働についての議論からは逃げてはいけないと思います。  そこで、原油高による燃料価格高騰や電気料の上昇を抑制し国民の暮らしを守るとともに、ゼロカーボンを推進し脱炭素を実現するためにも、再生可能エネルギーの活用推進といった理想論のみではなく、原子力発電所の再稼働に関する議論は必要と考えますが、所見を阿部知事に伺います。  今年のG7で開催されたUrban7市長宣言では、「都市は単に施策を実行に移す行政機関ではなく、国と対等な立場で政策プログラムを策定及び決定する政治レベルの存在となる。」というくだりがあります。まさしくパラダイムシフトが起き、地方自治体の責任はこれから非常に大きくなってくると思います。  そういった状況で、長野県は国に対してどういう支援ができるのか、どういう協力ができるのか、世界に対してどのような支援ができるのかを考えなければなりません。そして、県民の暮らしを守り、産業を最適化し、国を支え、世界に貢献する視点も今後必要になってくると思います。  世界情勢の影響により、エネルギー価格の高騰、インフレ懸念など、国難とも言える状況にあります。現在は、補助や支援といった方策で対応していますが、これでは根本的な解決にはなり得ません。国の政策を待つことなく、本県の農業、林業、製造業の強みを生かして県経済の活性化を図り、県民の生活を守るべきと考えますが、阿部知事の所見を伺います。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)私には産業の国内回帰について3点の御質問をいただきました。  初めに、産業分野の地方回帰の取組の状況と現状についてのお尋ねでございます。  県では、これまで、産業投資応援助成金をはじめ、ICT産業立地助成金、本社等移転促進助成金等による支援を行い、製造業等の立地を後押ししてまいりました。  最近の状況につきましては、直近2年間の立地件数とコロナ前の2年間で比較しますと、製造業で7件の増加、IT産業で3件の増加、本社機能移転で5件の増加となっています。背景として、食品産業の立地の増加や、リモートワーク、BCPの観点から県内への立地を選択したケースが多いものと分析しております。  議員御指摘のコロナ禍での地方回帰の流れを踏まえ、県内投資がさらに加速されるよう本定例会にお願いしております県税条例の一部改正案には、本社機能の移転に関する税制優遇の延長、対象分野に情報サービス事業部門を追加するなど支援の充実を図ることとしております。  次に、産業の国内回帰の分析と対応でございます。  県内製造業の投資動向を見ますと、旺盛な需要により好調が続く半導体関連や人手不足に対応するロボット製造などの分野で投資が加速しており、海外にも事業所を有する企業が県内で展開する事例も多く見られるところです。  一方、企業へのヒアリング調査では、円安の進行が輸出にとって追い風ではあるものの、原材料価格の高騰もあり、今後の収益性を厳しく見込む企業が大変多くなっております。為替に左右されにくい業態等への転換が課題となっていると受け止めております。  このような状況を踏まえ、今後の誘致活動に当たりましては、県内産業のDXを支援できるIT分野や本社機能の移転など、既存産業とともに高い付加価値を生む事業所や部門の誘致を積極的に推進してまいりたいと考えております。  最後に、情報収集方法等についてのお尋ねです。  県では、四半期ごとの景気動向調査や新型コロナ影響調査等に加え、日銀をはじめとする金融機関や経済研究所、ジェトロ、県の海外駐在員等との連携により情報収集を行っております。  議員御指摘のとおり、円安の進行とウクライナ情勢等の影響を受け、エネルギーや原材料価格の高騰を受けた急激なインフレが懸念される現下の経済情勢では、各業界への影響を把握するための広範囲な情報収集がますます重要と考えております。  今後は、幅広い分野の相談、情報が寄せられております産業振興機構、NICEやジェトロなど支援機関とも連携を強化し、国内外の事業所の状況をタイムリーに把握するとともに、スピーディーかつ柔軟な対応を心がけてまいります。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には3点御質問をいただきました。  初めに、小麦などの穀物生産の現状についてでございます。  本県の小麦の生産は、主食用米の適正生産のために転作作物として作付されているものがほとんどで、10アール当たりの販売収入は1万7,000円程度と主食用米の収入に比べ約8分の1と大きな開きがあり、国からの支援により主食用米並みの収入を確保しているのが実情です。現在の輸入小麦の価格は昨年より17%程度上昇しており、国産価格も同程度上がると推察されますが、販売収入だけでは利益を上げることは大変難しい状況であると思慮されています。  これらのことから、国内で小麦などの穀物生産を振興していくためには引き続き国からの十分な支援が必要であると認識しており、需給調整とは別に、食料安全保障や食料自給率の向上の観点からも小麦等への新たな支援策を講じるよう国に要請したところです。  次に、穀物生産をする大規模農業者の育成についてでございます。  大規模農業者の育成は、穀物に限らず重要であると考えておりますが、中山間地域が多く狭隘な農地が多い本県においては、土地利用型作物の規模拡大には、作業の効率が悪くなることや品質にばらつきが生じるなどの課題が多いものと認識しています。  一方で、平たん地が多い地域では、農地中間管理事業を活用し、農地の集積、集約化に取り組み、稲作と麦による大規模農業を営んでいる農業者も出てきております。県としましては、穀物などの土地利用型作物による規模拡大が可能な立地条件にある場合には、地域の実情に応じた品目やスマート農業の導入を進め、大規模農家の育成に取り組んでまいります。  最後に、飼料や肥料価格高騰に対する支援についての県の考えでございますが、今回の県の独自支援については、急激な価格の高騰により、国の制度だけでは畜産農家の負担増加分を賄い切れないため、緊急的措置として実施するものです。また、一般的に、農畜産物の価格は市場取引により形成され、コスト増加分を価格転嫁できない特性から、経営の安定には国の補填制度の見直し等が必要であると認識しています。このため、飼料については、畜産農家に対して十分な補填金が交付されるよう制度の見直しを求めるとともに、肥料については、価格高騰に対する補填制度がないことから、新たな支援制度の創設を国に強く要望したところでございます。  以上でございます。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)2点御質問いただきましたのでそれぞれお答えいたします。  まず、森林資源を供給する必要と責任についてです。  県土の約8割を占める森林は、資材やエネルギー源としての木材の供給に加え、土砂災害防止や水源涵養などの公益的機能を有しており、こうした様々な機能を最大限発揮させることが重要です。  森林・林業については、植林から木材資源として活用できるまで数十年かかることから、長期的な視点に立って取り組んでいくことが必要であり、民有林、人工林の約8割が、植えてから50年を超え、本格的な利用の時期を迎えている中、主伐、再造林の取組を加速化し、若い森林への更新を計画的に進めていくことが喫緊の課題です。将来にわたり持続可能な森林づくりを進めるとともに、成熟した森林資源を十分に活用できるような供給体制を整備し、森林県から林業県への転換を図ることが重要な責務であると認識しております。  次に、木材を利活用する取組についてです。  主伐、再造林の加速化と合わせ、各分野における利活用を進めることが重要であると考えております。これまで、エネルギー分野においては、バイオマスボイラーやペレットストーブ等の設置、また、建築分野では、県民の皆様が利用するオフィスや店舗等の木質化に対する支援などを実施してきております。  今年度は、新たに、主伐時に発生する枝葉などをバイオマス資源として利活用するための実証事業や、デザイン、物語性など訴求力がある木製品の開発等を支援しウッドチェンジを促進する事業を行うこととしており、引き続き様々な分野での県産材利活用に向けた施策に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には大きく3点御質問をいただきました。  まず、価格高騰対策第二弾に向けてどう課題を把握するのか、また、事業者、消費者等に対する支援のバランスをどう取っていくのかという御質問であります。  まず、今回の第一弾におきましても、当面の支援策や省エネ設備の導入等中長期的な対策、緊急的な対応と中長期な対応の両面から補正予算を計上させていただいているところであります。第一弾に当たりましても、関係団体等の声をしっかり把握するように私から各部局に指示をさせていただいたところでありますので、まずこの第一弾の御議決をいただき、適切な執行に努めていきたいと思っております。  第二弾に当たりましても、今申し上げたように、県として、それぞれの部局が、関係団体、金融機関、個々の事業者、そうした方々から状況をしっかり把握させていただくということが何よりも重要だというふうに考えております。この価格高騰や社会経済環境の変化は継続的に起こっていますので、常にそうした変化に敏感であるように取り組んでいきたいというふうに思っております。  また、今後どうバランスを取っていくのかというお話でございますけれども、昨日、国において物価・賃金・生活総合対策本部の初会合が開かれ、そこで、岸田総理からも、価格高騰が顕著な品目や地域ごとの価格高騰の状況に応じてきめ細かな対応をさらに講じていくという趣旨の発言がありました。地方創生臨時交付金のさらなる増額等も行っていただけるということが表明されておりますので、そうした国の対策も最大限生かしていきたいというふうに思っています。  他方で、我々は自治体でありますので、単に国がこうすると言ったからそれに追従するということだけではなく、先ほど申し上げたように、地域の声を丁寧にお伺いしながら対応していきたいというふうに思っています。物によっては事業者に対する支援が間接的に消費者支援につながるということもあろうと思いますので、そうしたことも念頭に置きながら全体として最適な対策となるように取り組んでいきたいと考えております。  それから、原子力発電所の再稼働に関する議論の必要性についてという御質問であります。  原発再稼働については、既にもう10基稼働中という状況であります。今、未来に向けてのエネルギー政策を考える上で、この原発の議論は避けて通れないものというふうに思いますし、実際、長野県は原発立地県ではありませんが、他の原発立地県の都道府県知事は、この安全性と公益性の間のぎりぎりのところでの判断を迫られているというふうに考えております。  とはいえ、我々長野県としては、再生可能エネルギーを最大限充実、拡充していくということが重要だというふうに思っております。既に全国では全電力の約2割が再生可能エネルギーになっています。今は、まだ稼働できていない原子力発電所がありますので、そこは割り引かなければいけませんが、現時点においては原子力を上回る電源になっているという状況でありますし、国のエネルギー基本計画においても、2030年度には再生可能エネルギーが36から38%ということで、各種天然ガス、石炭、石油、原子力を含めた電源構成の中で最もウエートが高いものにしていくというのが政府の方針でもありますので、県としても長野県のポテンシャルを最大限生かしながら再生可能エネルギーの拡大に努めていきたいと考えております。  それから、本県産業の強みを生かして県経済の活性化を図り県民の生活を守るべきと考えるが所見はいかがかという御質問でございます。  冒頭、共田議員からもお話がありましたように、まさに世界経済、世の中が大分変革してきておりますので、そうした変革にしっかり適合した政策を講じていくということがもとより重要だというふうに考えています。  先ほど申し上げたように、今回の補正予算も、短期的な対策と中長期的な視点での対策の両面を盛り込ませていただきましたし、また、生活費支援と事業者支援の両面から県独自の対策を講じさせていただいたところであります。  新しい資本主義を総理が提唱されているわけでありますけれども、いわゆる社会的共通資本、宇沢弘文先生が提唱された新しい経済的な考え方を日本全体でもう一度考えていくということが必要になってくるのではないかというふうに思います。経団連の十倉会長も、新しい資本主義実現会議の場で宇沢先生の理論について言及されているという状況であります。行き過ぎた市場主義をどう修正していくのか、そして、環境制約と社会的な公正さを維持しながらどう経済を発展させていくかということが今まさに問われているというふうに考えています。  マクロ経済政策については、どうしても国の大きな枠組みの考え方が重要になってくるわけでありますけれども、とはいえ、私ども長野県としては、新しい未来を見据え、長野県の強みや長野県の資源を最大限活用し、社会的共通資本的な視点も持ちながら、経済のさらなる発展を目指していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)再生可能エネルギーのコストを含めましてエネルギー構成の在り方についてのお尋ねを頂戴いたしました。  再生可能エネルギーの発電コストにつきましては、特に太陽光発電を中心に年々低下してきており、経済産業省の試算によりますと、2020年時点における事業用太陽光の発電コストは火力発電全体とほぼ同程度となっております。さらに、2030年に向けては、火力発電はコスト増となる一方、太陽光発電はさらにコスト減が進むものと見込まれており、全電源中最も低廉となる可能性が示されております。  加えて、コスト以外の観点においても、再生可能エネルギーは脱炭素に資するとともに、エネルギー費用の域内循環による地域経済の活性化、分散型のエネルギー供給によるレジリエンスの向上といった効果もございます。  以上のことから、当県といたしましては、実現可能で、脱炭素のみならず地域づくりにもつながる再生可能エネルギーの普及拡大に注力してまいります。       〔20番共田武史君登壇〕 ◆20番(共田武史 君)私たちは、冒頭申し上げたとおり、デフレの中で30年も生きてしまいましたので、考え方がデフレになっております。そんな中で、政策がデフレになっているということをいま一度見直していかなければ、このインフレ下では対応できなくなってくる気がします。  先ほど、ウッドチェンジという言葉がありました。木材需要が逼迫する中でウッドチェンジをすれば、さらに木材は不足します。それが正しい施策なのかどうかは分かりません。ただ、この視点は、今まさに必要な視点だと思います。  また、再生可能エネルギーを推進するという話でしたが、全部を再生エネルギーとしてできるのであれば私も喜んで推進します。ただ、今まで、太陽光パネルをたくさんつくればそれによる自然破壊や様々な弊害が出ることを私たちは学びました。その中でエネルギーバランスということを考えながらこれからの経済、エネルギーを考えなければいけないと思います。  経済予測を交え質問しましたが、予測なので、今後インフレが続くのか、パラダイムシフトが起こるのか、分かりません。価値観が大きく変わったり、デフレからインフレに変われば、今までの政策と根本的に方向を変える必要が出てきます。  今年、新たに総合計画を策定していますが、インフレも視点に入れた計画にしなければ、策定から4年間、大きな損失を県民が被ることになり得ます。世界の状況、経済の方向を見極めながら計画を策定していただくことをお願いし、質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君)次に、毛利栄子議員。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)学校給食費の保護者負担軽減による子育て支援について教育長に伺います。  ロシアのウクライナ侵略や円安などにより、エネルギーや食品、生活必需品が高騰し、総務省の3月分の消費者物価指数では、前年同月比で、タマネギが74.9%、食用油が34.7%、小麦やパンなども10%、灯油は30.6%と軒並み値上がりし、消費税3%増税並みとも言われています。  4月分の消費者物価指数を見ると、長野県は総合で全国4位。前年同月比較で、トップが青森の5.5%、2番が秋田の3.7%、3番は沖縄の3.1%、長野は3.0%です。長野県民は、全国的に見ても物価高の影響でダメージが大きい暮らしを余儀なくされているということではないでしょうか。  この県民の暮らしを今こそ支えることが求められています。物価高を収入増で補いたいと思っても、実質賃金指数は令和3年10月から下がり続け、4月はとうとう最大の落ち込みで、前年同月比1.4%の落ち込みとなりました。給料は上がらず、ある医療機関では、収入を増やすために夜勤をもっと増やしてほしいという希望者が増えているとのことであります。  県内で私どもが行っている市民アンケートにも、食べたいものが買えない、子供優先で生活すると私の衣類など何も買えない、子供に食べさせるために必死ですと切実な声が寄せられています。  学校給食も大きな影響を受けています。現場では、栄養バランスと量を維持しながら何とか値上げしないで対応しようと、豚のもも肉を肩肉に替えたり、デザートの回数を減らしたり、食材の見直しなどを行って工夫に苦慮しています。さらなる値上げが続けば給食費を上げざるを得ない選択を迫られています。  学校給食は、食育を担う重要な教育の一環であり、子供たちの成長、発育、健康にとっても重要です。食材費の高騰分に対する支援策として地方創生臨時交付金が使えるとのことで、既に文科省から活用のための事務連絡も発出されています。  特別支援学校など県立学校と私立小中学校への負担軽減策として今議会に補正予算が提案されていることは歓迎します。1食当たり10円、20円と交付金で対応している自治体もありますが、時限的な給食費の引下げ、無料化も可能とのことです。学校設置者に対し交付金活用を周知していただくとともに、食材の調達についても、安全、安心の学校給食推進や食育推進の立場から、地場産や国産を積極的に検討するよう周知していただきたいと思いますが、教育長、いかがですか。  給食費は、学校徴収金の約半分、子供1人当たり年間約5万円、3人いれば15万円にもなり、負担感が大きくなっています。2月議会の山口議員の学校給食費無償化を求める質問に対し、教育長は、無償化等に伴う効果について、子育て支援に対する経済的負担の軽減、町村への移住希望子育て世帯へのPR、地産地消、学校給食費徴収に係る教職員の負担軽減を挙げていますが、学校給食法に基づき、保護者は食材費あるいは学校給食費を負担することになっているとし、給食費の無償化は市町村において判断し、実施することが適当であろうと答えています。しかし、憲法は義務教育は無償とすると定めていますし、食材費の高騰に伴い今回政府が音頭を取って公費の投入も可能としていますので、保護者負担にこだわる県の言い分はあまり説得力を持つものとは思えません。  長野県は、「田舎暮らしの本」のアンケートで、統計を取り始めた2006年から連続して移住したい県の1位にノミネートされています。活力ある長野県の創出や子育てしやすい長野県をアピールするためにも、2017年の文科省調査でも、全国では完全無償化自治体が4.4%、一部補助など何らかの助成をしている自治体が24.7%と4分の1を超えている現状があります。お隣の山梨県では、40%の自治体が既に無償化していますし、長野県でも11の町村と1組合立で無償化しています。コロナ禍で一層負担感の強い学校給食費の無償化を、この際、市町村と協力しながら思い切って実施していただきたいと思いますが、教育長の考えを伺います。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)2点御質問をいただきました。  給食費への地方創生臨時交付金の活用と地場産品等の積極的な使用の周知についてでございます。  議員御指摘のとおり、国の地方創生臨時交付金は学校給食費の高騰分や時限的な引下げ等に活用が可能であることから、県教育委員会では、4月14日付で市町村教育委員会に通知を発出いたしまして、その中で、全国の臨時交付金の活用事例の中から、給食費の無償化や保護者負担の軽減を図った市町村の好事例等を紹介するとともに、地場産品や国産品の積極的な活用を検討するよう依頼したところでございます。  重ねて、6月9日に開催いたしました栄養教諭などが参加する衛生管理推進研修会でも交付金の活用について呼びかけたところでございます。今後も、学校設置者に対し、機会を捉えて交付金の活用や地場産品等の活用を呼びかけてまいりたいと考えております。  子育て支援策としての学校給食費の無償化についてでございます。  学校給食法に基づき、小中学校の学校給食の実施に当たっては、学校設置者である自治体が人件費や施設などの経費を負担し、保護者は食材費、いわゆる学校給食費を負担することになっております。県内の町村の中には、子育て支援策の一つとして保護者負担の軽減を図っているところがあることは承知しておりますけれども、給食費の無償化は、地域の状況などを把握している市町村において判断し、実施することが適当であると考えているところでございます。  以上でございます。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)教育委員会は、今も教育長から御答弁がありましたように、学校給食は設置者、つまり市町村の責任で対応すべきとの考えをずっと示されております。  しかし、保護者にとっては、国であっても、県であっても、どこでやっていただいても構わないわけです。このまま物価高騰が続き、値上げという選択がされれば、たとえ1食10円であっても年間3,000円弱上がることになり、3人子供がいれば1万円にもなります。これが1食20円上がればその倍の負担になるということであります。これでは子育てに不安が広がるばかりではないでしょうか。子育てに希望が持てる長野県にしていただくためにも、学校給食費の無償化に足を踏み出し、保護者の応援をしていただけるよう切に要望いたします。  千葉県では、この6月に、知事が、子供の多い世帯を対象に、市町村と協力し、年度内に実施できるよう無償化の検討を始めると答弁されていることも御紹介させていただきます。  次に、リニア残土置場候補地と盛土に係る新設条例について知事並びにリニア整備推進局長、建設部長に伺います。  初めに、リニア残土置場候補地の問題です。  リニアの残土置場候補地が土砂災害の危険区域にあるとの新聞報道は、関係する住民の皆さんにとって大きな衝撃をもって受け止められました。近年の異常な降雨や、死者27名、行方不明者1名の大惨事となった熱海の土石流災害を見れば、流域に住む皆さんにとって、そんなところに埋め立てられたら何が起こるか分からない、命の危険にさらされないか不安になるのは当然です。  リニア残土置場の候補地が危険区域にあるのは、阿智村のクララ沢、飯田市の清水沢川、下條村の火沢ということですが、ほかにもあるのか。リニア整備推進局長に伺います。  新聞報道では、知事は、候補地が土砂災害の危険渓流であることは県のホームページでも公開しており、市町村が知らない状況ではないと思うと述べたとされていますが、ホームページを見ても、あまりに細かい上に、箇所数も多いため、場所を特定するのは容易ではありません。熱海の土石流災害を機に盛土の危険から命を守ることが最大の課題になっている中、そのような発言をされているとしたらあまりに不適切ではないかと思います。現に、阿智村議会は、3月30日、住民に寄り添う姿勢がないと指摘し、大変遺憾として、情報の扱い方や丁寧な説明を求め県とJR東海に抗議と要望書を提出しています。その後、慌てて説明の機会を設けたとされますが、県行政への信頼は大きく損なわれたのではないでしょうか。  そこで、リニアの残土処分置場の候補地選定過程の中で県はなぜ地元に積極的に情報を提供し、丁寧な説明をしてこなかったのか。知事に伺います。
     さらに、県内のリニア工事で発生する残土は974万立方メートルと言われて膨大な量ですが、公共事業では処分先を確保してから工事を始めるのに、民間工事はそのルールがないために処分先も決まらないのにJR東海は工事を始めています。  そこで、リニア整備推進局長に伺います。最終処分先が決まっている量はどのくらいでしょうか。処分先は引き続き探していくと思いますが、今回の事案を踏まえ、関係住民に今後どのように対応していくのか。知事の見解を伺います。  次に、長野県土砂等の盛土等の規制に関する条例案に関わって建設部長にお聞きします。  今まで、盛土をするに当たっては、森林法、農地法、土砂災害防止法、砂防法、河川法、宅地造成等規制法、廃棄物処理法など個々の法律に照らして行われてきたと承知しています。しかし、危険な盛土に対する全国統一の基準、規制がないことから、災害も起こる中で、全国知事会も法整備を求めてきましたが、さきの通常国会で全会一致で盛土規制法が可決、成立しました。  条例案では、面積が3,000平方メートル以上または盛土の高さが5メートル以上の場合は知事の許可が必要としています。国の新法と相まって今回の条例が制定されることにより、住民の生命、財産が守られ、安全、安心がきちんと担保されるのか。建設部長の見解を伺います。  5月13日に出された熱海の土石流災害の行政対応検証委員会の最終報告書では、県、市など行政の対応は大失敗だったと厳しく指摘し、その本質は、盛土が崩壊した場合にどういう最悪の事態が起こるかを想定すべきであったがそれができなかったとしております。  また、その中で、行政職員の知見のみでは深刻度の認識や対応に苦慮するため、土木、地盤の専門家に現地調査を依頼し、災害発生の危険性の確認や行政対応の助言を求める体制整備が望ましいとしていて、私は、この指摘は長野県でも検討に値するものと受け止めました。  盛土の主なものは建設残土だと思いますが、長野県では、やはりリニアに関わっての残土処分が当面の大きな課題だと思います。クララ沢の件でも、阿智村では、独自に盛土の安全性に詳しい専門家を招いて現地を視察。専門家は、設計図やクララ沢の環境を分析し見解を示すとのことですが、今後、地元市町村は、リニア工事に関連して残土処分が進むにつれ、住民の不安の払拭のために専門家に調査、分析、見解を依頼するケースが増えてくると思われます。その際、市町村がばらばらに専門家に調査等の委託をするのではなく、リニアのような大規模な一定規模以上の盛土に関しては、県が専門家から成る第三者委員会を設置し、そこで出された意見に基づき許可権者としての知事が判断できる仕組みづくりが必要だと思います。  条例案には規定がありません。地質や水象、気象や成り立ちなど全体を専門的に県職員だけで分析、判断するのは無理があると思われます。第三者委員会の必要はないのか。建設部長の見解を伺います。  政府が設置した盛土検討会の第1回会議の資料によると、都道府県で盛土に関わる条例を設置しているところは26、そのうち住民説明会を規定しているところはほぼ半分の12とされています。  長野県で住民説明会を義務づけていることは評価します。条例案第10条では説明する対象者を周辺地域住民とされていますが、周辺地域住民とはどの範囲を指すのでしょうか。直接的に関係する周辺住民という狭い範囲だとしたら、土石流の被害の大きさから考えれば、下流域の住民の不安のほうが大きい場合もあります。  リニアの工事現場や残土の埋立予定地など何度も現地調査させていただきましたが、三六災害では土石流が沢を下り、下流域に大きな被害が出たことが口々に語られています。谷を埋める場合などはぜひ下流域に住む住民も対象に加えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。建設部長に伺います。       〔建設部リニア整備推進局長斎藤政一郞君登壇〕 ◎建設部リニア整備推進局長(斎藤政一郞 君)私には2問御質問をいただきました。  まず、リニア発生土置場候補地における土砂災害のおそれのある箇所の有無についてのお尋ねでございます。  事業者であるJR東海では、発生土置場の候補地として14か所を決定し、さらに20か所について各市町村が開催するリニア対策委員会やJR東海が開催する住民説明会において地元説明が行われておりますが、これらのうち土砂災害のおそれのある箇所は、議員御指摘の3か所を含め19か所でございます。  次に、リニア工事の発生土のうち最終処分先が決定している土量についてのお尋ねです。  県は、リニア発生土置場候補地のうち、決定した箇所について、JR東海から決定の都度連絡を受けており、現在14か所の決定済みの候補地では長野県内から発生する土量の約3割に相当する容量が確保されている状況です。  このほか、JR東海では、地元説明を行っている20か所を含め約30か所で調整中としており、これらの箇所全てにおいて搬入可能となった場合の容量は、県内で発生する土量の約9割に相当すると説明しております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)発生土置場に関連しての地元説明について2点御質問をいただきました。  まず、なぜ積極的に情報提供をしてこなかったのかという御質問であります。  議員御指摘の土石流危険渓流等でありますけれども、これは、林野庁や国土交通省の要領に基づいて住民への周知等を目的に調査をして県が公表し、市町村にも通知をしている箇所であります。既に市町村には通知をしているところであります。  この地域、区域でありますけれども、法律等により盛土の設置が規制されているという箇所ではありません。盛土を行う場合にあっては必要な対策を行うことで安全が確保され得るものと考えています。そのため、リニア事業の説明会におきましては、この対策の説明に力点が置かれ、土石流危険渓流等であるということ自体の説明は必ずしも行われてこなかったというふうに承知しています。  今後の対応についてでありますが、先ほども申し上げたように、そもそも規制をされている区域ではありませんが、一連の今回の経過から、やはりこうしたことも含めて地元に説明するのが適切だということで、県からJR東海に対しまして説明内容の改善を求めたところであります。JR東海が行う地元への説明の際には、土石流危険渓流等に関する説明も追加をすることとしてもらったところであります。  なお、これは市町村との関係でありますが、本来、こうした地域については、市町村、地域の皆様方が認識をしていただいていることが必要だというふうに考えておりますので、県としては、4月に市町村に対して改めて文書を出させていただきまして、土砂災害のおそれのある箇所の周知徹底を図っていただくようにお願いするとともに、市町村担当課長会議においても説明を行わせていただいたところであります。  以上です。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)私には盛土等の規制に関する条例案について3点御質問をいただきました。  初めに、盛土規制法と条例による県民の安全、安心の担保についてのお尋ねでございます。  盛土規制法は、重点的に規制が必要な宅地や森林、傾斜地など区域を指定し、その区域内における盛土を厳格に規制することとなりますが、本条例はこの法に基づく指定区域外の場所をカバーすることになります。  また、本条例では、土砂崩壊などによる災害の発生防止に必要があると認められる場合の措置命令や地方自治法に定められている上限の罰則などを規定することで条例の実効性を担保することとしています。  各種法令などに加え、本条例を適切に運用することにより、盛土等に起因する災害を未然に防止し、県民の皆様の安全、安心な暮らしを確保してまいります。  次に、第三者委員会の必要性についてのお尋ねでございます。  本条例による許可に当たっては、大規模な盛土の場合、安定計算のみならず、近隣における施工実績などにより盛土の安全性について十分検討し、安全な盛土等の構造となるよう盛土を行う者に求めることを考えております。  砂防法で指定地内の盛土を許可する際には、担当部局で構造を審査しておりますが、大規模な盛土で高度な技術力が必要な場合には、担当部局と調整の上、事業者が有識者の意見を聞いた事例がございます。  本条例においても、現地の地形、地質、盛土の構造や規模等を踏まえ、大規模な盛土で許可に当たり高度な技術的判断が必要な場合には、第三者の専門的知見を活用することを検討してまいります。  最後に、住民説明会の説明対象となる周辺地域の範囲についてのお尋ねでございます。  説明の対象範囲としては、盛土を行う土地や隣接地が属する町内会、自治会のほか、土地の形状や土砂災害警戒区域などの指定の状況なども踏まえ、災害の危険性が及ぶおそれがある地域の住民の皆様も含まれると想定しております。したがいまして、議員の質問にございました谷を埋めるなど盛土を行う土地の下流域に盛土が流出するおそれがある場合などにおいては、下流域が属する自治会などの住民も説明の対象となると考えています。  本条例を適切に運用することにより、住民の皆様の御意見への対応に努めるよう盛土を行う者に求めるなど、住民の皆様の不安を払拭し、盛土の安全性を確保してまいります。  以上でございます。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)飯田市の清水沢川などでは、埋立てを心配される皆さんがグループをつくって、専門家を呼んで何回も何回も学習会をやられたり、それからまた、そのことを住民の皆さんにお知らせするということで、身銭を切ってチラシ配布をやられてきたという経過もあります。事前にここは本当に大変なところだということが分かっていれば村を二分するような形にはならなかったのではないかとも思われます。  知事は、今後は丁寧に説明をされていくということですので、リスクも含めてよく説明し、対応をしていただきたいと思います。  条例の性格上、必要最低限の提案がされているわけですが、例えば、盛土の許可基準や土砂等管理台帳に記載される内容など審査の上で知りたいこと等は規則で定めるとされています。規則や要綱は執行権者の権限で定めることになっているため、今、並行して御検討いただいているとは思いますけれども、議会が関与することはできません。ぜひ該当の委員会で適宜御報告をいただければと要望させていただき、質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)次に、宮下克彦議員。       〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)自民党県議団、諏訪市区選出の宮下克彦であります。  まず、県道岡谷茅野線の大型車交通規制について伺います。  昨年9月定例会におきまして、県警本部長に県道岡谷茅野線の交通事故の頻発について質問をさせていただきました。大型車両が出入りする企業の意見も十分に踏まえながら個別具体的な規制の在り方を検討していきたいとの本部長の答弁をもらい、今般5月に、諏訪市とともに関係者の会議を開催するところまで対策を進めていただきました。県警本部並びに諏訪警察署の交通安全対策に感謝を申し上げます。  この道路は、通称西街道と呼ばれますが、平成14年から24年の10年間で6名の死亡事故が起きており、この20年来高齢者の事故が数多く発生し、大型貨物車両の日本海から太平洋に抜ける抜け道になっている現状がございます。抜本的な解決は、国道20号バイパスの早期整備や新川バイパス整備によりまして、市街地に輸送用トラック等の大型車が入り込まない交通対策が望まれますが、当面の対策としましては、大型車両の交通規制対策も必要と考えます。  今後の大型車の交通規制対策の実現につきましては、地域の住民の合意の取付けや地域の事業者の皆様の経済活動への支障がないように工夫を図ることが必要であります。両者の意向を確認し、進めているところでございますが、事業者につきましては、規制区域内で貨物を事業活動に支障なく運送するのに許可を得る必要が生じます。DX等を駆使しまして、電子申請等で迅速、簡略化して、円滑に許可対応をしていただくことがお願いしたい点でございます。  また、交通規制を行うとともに、それ以外にも実施していく対策が種々ございます。例えば、道路管理者の生活道路の道路表記のペイントも、山側から道路が交差する部分は赤く塗るとか、道路を狭く見せてスピードを抑制する、点線をペイントするなど、生活道路の安全対策を様々に工夫してしっかりと実施している隣接市町村などがございます。  県事業につきましても、新川バイパスの整備や、地盤沈下に対する十分な舗装、改修、道路改良、狭い交差点の整備拡幅が通学の安全のためにどうしても必要です。児童生徒の横断する交差点への信号機の設置、横断歩道の整備、通学路点検に基づく道路の改良など、積み重ねていくべき対策が数々あると考えます。  そこで、お聞きいたします。  小山県警本部長に伺います。県道岡谷茅野線の交通安全対策として、住民から大型トラック等の交通規制を望む声が多数ありますが、大型車規制に関する今後の見込みとスケジュールについて伺います。  次に、大型車対象の交通規制が実施された場合、沿線の企業等が支障なく業務活動をするためには通行許可申請の負担を軽減することが必要と考えます。そこで、電子申請による手続の簡素化の可否等について小山県警本部長に伺います。  次に、田中建設部長に伺います。県道岡谷茅野線の通学路の安全対策の進捗状況と本年度の改修予定はいかがでしょうか。  あわせて、田中建設部長に伺います。県道岡谷茅野線の新川バイパスの本年度の整備予定はいかがでしょうか。また、大型車の生活圏進入を止めるためにも、国道20号バイパスの早期整備が期待されますが、いかがでしょうか。以上、田中建設部長に伺います。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)県道岡谷茅野線の大型車両の交通規制に関し御質問をいただきました。  県道岡谷茅野線について、地域住民から大型車両の通行を抑制する要望がなされていることは承知しており、本年5月に開催された地元説明会において、警察から大型車両の通行規制に関する説明を行い、また、地域の御要望等をお聞きしたところでございます。  県警察としましても、住宅地周辺における大型車両の抑制は、地域住民の安心感を高めるとともに、交通事故防止上有効であると考えておりますが、一方で、大型車両を規制した場合には、周辺企業等の大型車両利用者は通行許可を受けなければならないほか、新川バイパスへ大型車両の通行が振り替わることによる交通環境整備の検討が必要となります。  県警察としましては、大型車規制の前提として、地元住民と沿線企業間の合意形成や道路管理者と連携したバイパスの交通環境整備が必要と考えており、今後、こうした状況の進展を確認しながら大型車規制の在り方について検討してまいります。  大型車規制実施のスケジュールにつきましては、地元地区の合意形成状況や道路管理者等関係機関との調整等によるところもございますので、現段階でお示しすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。  次に、電子申請による通行許可手続についてお答えいたします。  警察行政手続の電子申請については、申請者の負担軽減及び手続の迅速化を図るため、警察庁で警察行政手続サイトが整備され、全国警察において令和3年6月から運用が開始されております。道路交通に関するものとしましては、現在13の手続が利用可能となっており、通行禁止道路通行許可の申請もそこに含まれております。  なお、通行禁止道路通行許可申請につきましては、新規申請に限っては、通行理由や迂回路の有無等の確認を行うため警察署窓口での申請を行っていただく必要がございますが、その後継続して行う申請については電子申請が利用できることとなっております。  以上でございます。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)まず、県道岡谷茅野線の通学路の安全対策の進捗状況に関するお尋ねでございます。  昨年度、関係機関と連携して実施した通学路における合同点検の結果、本路線においては、対策が必要な箇所が諏訪市湖南大熊交差点付近など4か所ございました。これらの箇所における安全対策としては、車止めポストの設置や外側線の引き直しなどの短期的に講ずる対策と、新川バイパスなどの計画的に講ずる対策が位置づけられており、短期的に講ずる対策は本年中に完了する予定です。  なお、湖南大熊交差点付近の対策は外側線の引き直しを既に完了させたところであり、引き続き新川バイパスの整備によりさらなる安全対策を進めてまいります。  次に、新川バイパスの整備に関するお尋ねでございます。  新川バイパスは、現道の通過交通をバイパスに転換し、安全で円滑な交通を確保することを目指し、整備を進めているところです。新川と並行する区間につきましては、河川改修事業と一体的な整備を進めており、本年度は用地補償を行うとともに地盤改良工事等を行ってまいります。  また、新川バイパスへの交通転換を図るため中洲神宮寺交差点付近の改良を予定しており、本年度は軟弱地盤の沈下対策工事を行うとともに、中央自動車道との交差部の設計を行ってまいります。引き続き関係機関と調整を図りながら着実に事業を推進してまいります。  最後に、国道20号バイパスの整備に関するお尋ねでございます。  まず、下諏訪岡谷バイパスにつきましては、下諏訪町及び岡谷市市街地の交通混雑緩和、交通安全の確保を目的として国土交通省で整備を進めております。現在、下諏訪町東町から岡谷市長地の1.7キロメートルで事業を実施しており、早期整備に向け用地買収及びトンネル工事を進めていると聞いております。  また、下諏訪岡谷バイパスに隣接する諏訪市四賀から下諏訪町東町までの約10.3キロメートルの諏訪バイパスにつきましては、交通混雑の緩和や交通安全の確保、災害に強い道路ネットワークの構築、さらには地域産業の活性化や安全、快適なまちづくりが期待されるため、国へ新規事業化を強く要望しているところです。  県としましては、諏訪バイパスの新規事業化に向け、環境影響評価と都市計画変更の手続を併せて進めています。本年3月には準備書に対する知事意見を公表したところであり、今年度中の都市計画決定を目指し、引き続き早期整備に向け、諏訪市、下諏訪町と協力して取り組んでまいります。  以上でございます。       〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)答弁ありがとうございました。  地域の合意が大変大事ですので、事業者の方も含めて丁寧に進めていただきたいと考えます。また、新川バイパスの迅速な整備が期待されますので、ぜひよろしくお願いしたいと要望しておきます。  次に、諏訪湖の生態系の再生について伺います。  ここ3年の漁獲量の激減に対しまして、諏訪湖漁協が諏訪地域6市町村の議会に陳情を行ったところでございます。  昨年、令和3年度の総漁獲量は僅かに約1トンと落ち込んでまいりました。令和元年度の17分の1に激減したところでございます。かつて昭和時代、昭和45年が最盛期でございましたが、530トンの漁獲量がございました。内訳は、ワカサギが331トン、以下タニシやフナ、コイということで、総量で530トン。近年では、平成21年に35トンを漁獲した以降減少しておりまして、令和元年に17トン、令和2年に6トン、ここで令和3年1トンと、この3年で急減した諏訪湖は、生態系のバランスが崩れておりまして、喫緊の課題を突きつけられていることに気づく必要がございます。  今年は、諏訪湖の名産のテナガエビは禁漁とせざるを得なくなったと漁協の組合長が申しておりました。フナやモロなどの小魚を食べるブラックバス、これも食べる餌がなくて減少し、さらに、それらをも捕食する有害鳥獣のカワウ、カワアイサ、鳥類までもが餌がなくて今や減少しているという切実な実情を諏訪湖漁協からお聞きしたところでございます。  生態系の回復には、魚介類の生息、産卵などの隠れ場所が必要で、湖内環境の整備が不可欠でありますが、諏訪湖漁協では、漁獲量激減の調査研究さえ不十分で、魚介類の生存繁殖を重視する対応は十分とは言えないとしております。  湖畔の活用やにぎわい創出ももちろん重要でございますが、今諏訪湖の魚介類の復活を図らなければ、このままではそこに生き物がすまない湖と化して、生態系は壊滅的な打撃を受け、漁業の存続はもとより、自然や観光での利用にも大きな影響が生じる。そういう危険にさらされている状況にどうか対処してもらいたいという漁協の訴えでございました。今年度進めている諏訪湖創生ビジョンの改定以前に、今年度中にすぐにでも手を打つべきではないでしょうか。  生態系対策は総合的に考える必要がございます。まず、諏訪湖のしゅんせつについては、湖全体の湖底のスクモを除去してほしいという意見もございます。しゅんせつ土の処理方法などの課題もございますが、ヒシ対策とも連動して考える必要がございます。ヒシは、2.4メートル以上の水深があると日光も届かず、芽が出ないという説もございます。諏訪湖の透明度も大分変わってまいりましたので、最近は水深2.4メートルを超えるところまで日が当たるという説もございます。刈り取っても刈り取っても次々と生えてくる現在の対策よりも湖底の泥の除去が有効という説もございます。生態系を考慮すると護岸からの覆砂が有効という考えもございます。いずれにしましても、科学的な知見を結集しまして諏訪湖創生ビジョンの改定作業を進めなければ、課題であります生態系の改善、しゅんせつ対策、ヒシ対策の改善は進まないと考えます。  諏訪湖創生ビジョンは、地域の住民の意見を聞いてまとめるものであり、知事も昨年の9月定例会の答弁で言っているように、人間の営みと自然との関係なので明確に最善の策を決め難いところがあるけれども、皆さんの思いを結集して改定していくことが重要であるということでございます。  今般、第8期の諏訪湖水質保全計画の部分、これは環境省が認可をしてまいりますが、それを含めた諏訪湖創生ビジョンは、生態系対策、しゅんせつ対策、ヒシ対策を含め、科学的知見を基に、この1年で地域住民の思いを諏訪地域振興局が取りまとめる必要がございます。この科学的知見を集約するには、県庁の本庁各課の担当課が、これから半年、全力を傾注して共に検討してもらう必要があると考えます。  さらに、来年度に向けて、予算も獲得していかなければ、今のビジョンと同様に、人工エゴの創設、これは魚介類が隠れる場所、それを創設しようというものです。護岸対策、これも魚介の隠れる場所、産卵する場所対策、これは、今の創生ビジョンにも記載はされているものの、なかなか有効に実施できないビジョンということでございます。今のビジョンをさらに前に進めていくために、ぜひ皆さんの知識や思いを結集していただきたいところでございます。  そこで、お聞きします。  まず、小林農政部長に、諏訪湖の漁獲量は諏訪湖漁協のデータから、ここ3年で激減し、危機的状況であります。喫緊の対策が必要であると考えますが、具体的対策をどう進めるのか、伺います。  次に、田中建設部長に伺います。諏訪湖が、温暖化に伴う豪雨災害の急増によりまして、ここ数年で急速に埋まりつつあることは多くの地域住民が訴えており、このままでは将来諏訪湖がなくなることを憂いております。しゅんせつは地域住民の切なる願いでありまして、しゅんせつ土の他事業への活用も図りながら流入河川の河口周辺からしゅんせつを推進すべきと考えるが、いかがでしょうか。  猿田環境部長に3番目の質問を伺います。諏訪創生ビジョンの今回見直すべき課題の要点は、漁獲量対策、しゅんせつ対策、ヒシ対策であると考えますが、改定に向けた検討のスケジュールはいかがでしょうか。  次に、三つ目の大きい質問項目に移ります。長野県の強みを生かす県政の方向について伺います。
     しあわせ信州創造プラン2.0の改定が進められていますが、知事は、提案説明で、次期5か年計画で取り組むべきテーマや方向性を県民と共有し、言わば共創型の、共につくる計画にしたい。長野県の持つ可能性を最大限発揮して真に豊かな社会を築いていかなければならないとされています。  そこで、長野県が進むべき方向について繰り返し質問し、DX、GX、人への投資、分散型社会などを提案してまいりましたが、信州回帰、言わば自然回帰の方向は、文明と自然の問題として昔から取り上げられている問題でございまして、生命力、生きる力の回復につながります。つながるという言葉こそ現代人のキーワードではないでしょうか。現代の課題、また危機を解決する鍵がそこに隠されているように思います。  現在、諏訪地域へは信州回帰で古民家や別荘地への移住が進みまして、供給が追いつかない地区も出てきていると聞いております。コロナ後もこの傾向が続いてほしいものだと考えております。  さて、御柱も6年ごとに自然の活力を大自然の山奥から注入し直します。山の大木を通じて大自然の力とつながるわけであります。過日、清水企画振興部長さんと研修する機会を得まして、お話を伺いましたが、数多くの県に赴任された経験をお持ちの部長が、長野県の山は他県の山と違うと。その奥行き、後ろにある豊かさというのは、ほかの県にはない違いであるとおっしゃっておりました。ここにこそ長野県の強みがあると考えます。  また、別の観点から自然を見ますと、長野県の財産であります森林について、現在、その管理に多額の費用がかかりまして、諏訪でも収入のない生産森林組合では解散を考えているところもございます。里山整備にはぜひ森林税の継続が必要という声も多数あります。  こうした森林は、さらに管理が行き届かなくなる方向にございます。このような森林に価値を与える動きが全国の自治体の中で出始めております。カーボンオフセットとして森林のCO2吸収力をクレジット化しまして、国際的な取引を行う企業の社会的責任を果たす商取引の支援に活用するものです。森林には、毎年相当程度の収入が入ってまいります。このように、大自然を活用する工夫には様々な手段があるということです。  さて、広域的な自然の雄大さを生かしたイベントでありますスワコエイトピークスミドルトライアスロン大会がいよいよこの6月25日土曜日に開催されます。行く行くは海外からの選手や家族も呼び込んで、繰り返し練習に訪れる滞在型観光地を視野に入れましたグローバルな大会に育てていきたいと考えられています。これらも世界や大自然とつながるイベントでございまして、これからの長野県の進むべき方向性を示すものと考えます。  このような状況を踏まえて質問します。  まず、清水企画振興部長に、コロナ禍を契機に都市一極集中回避の地方分散の重要性が再認識されましたが、本県への移住の現状はいかがでしょうか。また、アフターコロナにおいても、長野県の持ち味を生かし、本県への移住を推進すべきと考えますが、信州回帰プロジェクトをどのように進めていくのか。伺います。  次に、渡辺観光部長に伺います。自然を生かした長期滞在型観光への支援とスポーツイベント等を生かす長野県観光の魅力向上についての支援策はいかがでしょうか。  最後に、阿部知事の見解を伺います。信州回帰の流れや信州の大自然など長野県の強みを生かした今後の県の目指すべき方向性につきまして阿部知事の御所見を伺います。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には諏訪湖の漁獲量減少への対策について御質問をいただきました。  ワカサギやコイなどを主体とした諏訪湖の漁獲量につきましては、議員がお話しのとおり、令和3年は1トンにまで減少している状況です。  漁獲量が減少している要因としましては、生息環境の変化や、外来魚、カワウ等による食害などが複合的に影響していると考えられるため、漁獲量減少に対しては長期的な対策が必要と認識しております。このため、水産試験場諏訪支場では、諏訪湖の漁獲量の大部分を占めるワカサギの採卵量を安定的に確保するため、従来の自然遡上による採卵から、採卵前の親の魚を捕獲して採卵を行う新たな採卵モデルの開発に向けた研究を開始しております。  また、諏訪湖の特産であるテナガエビについても大量生産技術の開発などの研究を開始しており、今後も漁協などの関係機関の協力を得ながら対策を進めてまいります。  以上でございます。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)私には諏訪湖のしゅんせつに関して御質問がありました。  諏訪湖のしゅんせつについては、平成30年度から3か年緊急対策や緊急浚渫推進事業債の予算を活用して諏訪湖に流入する河川の河口部などにおいて7万4,000立方メートルに上る堆積土砂の撤去を行ってきており、今年度も約1億円を投じて実施してまいります。しゅんせつした土砂につきましては、諏訪湖の浄化対策としての覆砂工や砂防工事における工事用道路に利用するなど、有効に活用しているところであります。  今後も、しゅんせつ土砂の有効活用を図りながら、5か年加速化対策や緊急浚渫推進事業債の予算を積極的に活用し、上川などの流入河川の河口部などにおいて引き続き重点的かつ集中的に土砂撤去を推進してまいります。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)諏訪湖創生ビジョンの改定についてお尋ねをいただきました。  平成30年3月のビジョン策定以降、これまでの4年間で、住民、企業、行政が一体となって取組を進め、一定の成果が見られる一方で、漁獲量の減少、しゅんせつの在り方、ヒシの適正な刈取り量などは依然として未解決の課題となっております。  今回の改定に当たりましては、諏訪地域振興局が事務局となる諏訪湖創生ビジョン推進会議におきまして本庁関係課も参画しますワーキンググループを立ち上げ、一つに、ヒシの大量繁茂対策、二つに、水生動植物、三つに、水辺整備、湖辺面の利活用の三つのテーマごとに議論を進めることとしており、課題解決のためのより具体的な方向性が盛り込めますよう取り組んでまいります。  また、並行して、今年度改定いたします諏訪湖水質保全計画をはじめ各種計画と調整を図るとともに、パブリックコメントなどを通じて広く地域の御意見をお聞きしながら、今年度末までにビジョンを改定する予定としております。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)本県への移住の現状と信州回帰プロジェクトについてお尋ねがありました。  昨年度の本県への移住者数は過去最高の2,960人となりました。4年連続の増加であり、県として調査を始めた平成27年度と比較しまして約1.7倍の移住者数、また、世帯主の年齢は、20代、30代の割合が高いという状況となっております。コロナ禍を契機とする意識の変化やテレワークの普及などにより地方暮らしへの関心が高まっているものと受け止めております。  こうしたコロナ禍における変化を追い風とし、本県への人や企業の呼び込みを一層強化すべく、本年5月、信州暮らし推進の基本方針を改定いたしました。改定版基本方針におきましては、若者・子育て世代を主なターゲットとし、転職や子供の入園、入学などのライフステージの変化や、会社のテレワーク導入などワークスタイルの変化といったタイミングを捉え、仕事と暮らしセットでの呼び込みなど積極的にアプローチをすることとしております。  雄大な自然、ゆとりある生活や特色ある教育環境など、本県の持ち味を最大限生かし、特に若者・子育て世代に訴求するよう、市町村、民間事業者などと連携し、信州回帰プロジェクトを一層推進してまいります。  私からは以上です。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)スポーツイベント等を生かした観光の魅力向上への支援策についてのお尋ねでございます。  一昨年、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針を策定し、その柱である長期滞在型観光の推進、信州リピーターの獲得などに沿い施策を展開しているところでございます。お話にもございましたトライアスロン大会は、泳げる諏訪湖やサイクリングを楽しむといった諏訪湖創生ビジョンのイメージを具現化する取組であり、観光地域づくりにも寄与するものと考えております。  また、こうしたスポーツ大会は、期間中の宿泊や飲食だけでなく、事前合宿やワーケーションなどによる訪問等を通じた波及効果も期待するところであります。県では、現在実施している信州の観光地魅力向上実践事業などにより、こうしたスポーツなども生かした長期滞在、リピーター獲得につながる新たな広域的な観光地域づくりを支援してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、長野県の強みを生かす県政ということで、目指すべき方向性についての所見という御質問をいただきました。  常に長野県の強みをどう生かすかということを考えながら県政を進めてきました。信州やまほいく、リゾートテレワークなど長野県の強みである自然の豊かさ、大都市との近接性、こうしたものを生かした施策だというふうに考えています。  今後、総合計画を改定して新しい計画をつくっていくわけでありますけれども、この長野県の強みというものをしっかり意識していきたいというふうに思っています。私は、御柱祭にも伺わせていただきました。歴史と文化、人と人との絆を本当に感じさせる行事でありますし、また、その一方で、人と自然の共生の大切さということを実感したところであります。こうした人と自然との共生や人と人との共生は、これからの世界において非常に重要な価値観だというふうに思っています。また、継続的に行われており、持続可能性ということも世界に誇るべき価値だというふうに考えております。こうした長野県の歴史や文化、あるいは自然の強みというものを生かしてこれからの長野県の在り方を総合計画に反映していきたいというふうに思っています。  また、先ほどお話がありましたトライアスロン大会は、まさに諏訪地域における諏訪湖を中心とした自然の豊かさを活用してのイベントだというふうに考えます。こうした地域ごとの特色をさらに発展させていくということは県としても重要な課題だというふうに考えています。  地域戦略会議で総合計画について市町村長の皆様方と意見交換をさせていただいてきていますが、そうした中でも、長野県全体のブランドではなく、もう少し圏域ごとのブランドの確立ということも必要ではないかというふうに考えています。地域ごとの強み、特色をどう伸ばして発信していくか、こうした観点も持ちながら次の総合計画の策定に向き合っていきたいと考えております。  以上です。       〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)それぞれ御答弁いただきました。  本県の持ち味を最大限に生かすということで、それぞれの地域の特色があると思います。その歴史と文化、人と人とのつながり、そうしたものも生かしていただき、コロナで大分ダメージを受けていると思いますが、そういったところから回復する力、それを自然からぜひつかんでもらいたいと願っています。  トライアスロン大会は25日に開催されます。この大会は世界とつながるような大会に育てたいと考えられていますので、大自然とつながるということとともに、世界とつながりましてさらに元気な、生きる意欲に満ちた長野県を目指して県民の皆様とともに進んでいってもらいたいと思います。ぜひよろしくお願いしたいと要望して、私の一切の質問をこれで終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明23日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時7分延会...