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  1. 長野県議会 2022-03-01
    令和 4年 2月定例会本会議-03月01日-06号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年 2月定例会本会議-03月01日-06号令和 4年 2月定例会本会議 令和4年3月1日(火曜日)  出席議員(57名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 清水正康    30 番 小池久長   5 番 加藤康治    31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦    32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜    33 番 石和 大   8 番 大井岳夫    34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人    35 番 山岸喜昭   10 番 花岡賢一    36 番 小島康晴   11 番 池田 清    37 番 小林東一郎   12 番 熊谷元尋    38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆    45 番 垣内基良   20 番 共田武史    46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔    47 番 高村京子   22 番 髙島陽子    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   53 番 平野成基    56 番 服部宏昭   54 番 本郷一彦    57 番 望月雄内   55 番 萩原 清         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     農政部長      小林安男   副知事       関昇一郎     林務部長      井出英治   企画振興部長    伊藤一紀     建設部長      田下昌志   総務部長      玉井 直     建設部リニア整   県民文化部長    中坪成海     備推進局長     斎藤政一郎   健康福祉部長    福田雄一     公営企業管理者   環境部長      猿田吉秀     企業局長事務取扱  小林 透   産業政策監兼産            財政課長      矢後雅司   業労働部長     林 宏行     教育長       原山隆一   観光部長      渡辺高秀     警察本部長     小山 巌                      監査委員      田口敏子         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡     議事課主査     水澤まゆみ   議事課長      百瀬秀樹     総務課課長補佐   川村亜由美   議事課企画幹兼   丸山俊樹     兼庶務係長   課長補佐               総務課担当係長   青木武文   議事課担当係長   矢島修治     総務課主任     宮坂祐輝         ───────────────────  令和4年3月1日(火曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、竹花美幸議員。       〔17番竹花美幸君登壇〕 ◆17番(竹花美幸 君)まずはカーボンニュートラルへ向けた取組についてからです。  国土交通省は、2050年カーボンニュートラルや気候危機への対応などグリーン社会の実現に貢献するため、日本のCO2排出量の約5割を占める運輸、家庭・業務部門の脱炭素化等に向けた地域温暖化緩和策、気候変動適応策等に戦略的に取り組む国道交通グリーンチャレンジを令和3年7月に取りまとめ、2030年までの10年間に重点的に取り組む六つのプロジェクトを掲げております。中でも、エネルギー消費ベースで民生(家庭・業務その他)部門におけるCO2排出量は我が国全体の約3割を占めており、日本のエネルギー需給構造の逼迫の解消や地球温暖化対策に関わるパリ協定の目標達成のため、住宅、建築物の省エネ対策の強化は喫緊の課題となっております。  長野県は、2030年には全ての新築住宅のZEH化を実現し、長野に住む誰もが健康、エコで居心地のいい暮らしを当たり前にすることを目標に掲げています。来年度の主要事業として、これまでの信州健康エコ住宅普及促進事業を拡大し、3億4,537万円の予算案を計上し、信州健康ゼロエネ住宅普及促進事業として、住宅、建築物の脱炭素化に取り組むとしています。こうした取組は積極的に推進すべきと考えます。  最近、高気密高断熱住宅に関心が高い方が増えてまいりました。建築家さんの設計で、美しく、エコで、安全な暮らしができる集合住宅。天然素材を多用した内外装、断熱は2地域でなんとG3、窓は全部トリプル、全戸EV充電可、広域防災拠点が近い。私の住む地域でも既にこのような未来型の集合住宅ができつつあり、関心が寄せられております。  そこで、カーボンニュートラルな暮らしに向けた住宅、建築物の脱炭素化について、まず3点を田下建設部長にお伺いいたします。  1点目です。長野県では、地域により地形や気候等が大きく異なることから、ZEH、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実現のために必要なエネルギーを生み、確保するためには課題があると考えます。県では、信州モデルとしてどのような工夫を凝らし、どのような特徴を打ち出してZEHを普及促進していくのでしょうか。あわせて、その取組と目標についてお伺いいたします。  2点目です。信州健康ゼロエネ住宅指針の基準設定には、一般の方からすると分かりにくい難しい項目が多々あると思いますが、具体的にはどのような方法で普及促進をしていくのでしょうか。また、周知の方法は、あらゆるメディア媒体を使って広く普及促進していくべきと考えますが、いかがでしょうか。  3点目は、ZEHを超える概念として、ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅について、国土交通省において基本要件が定められております。  ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅の定義を見ると、使用段階のCO2排出量の削減、長寿命化によりライフサイクル全体、建築から解体、再利用等までを通じたCO2排出量をマイナスにする住宅とあります。長野県ではどのような住宅が例として考えられるのでしょうか。また、2050年ゼロカーボン達成に向けたライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅普及促進のための取組と、目標、課題をどのようにお考えか、お聞きします。  4点目は、信州健康ゼロエネ住宅は、信州の恵まれた自然環境を生かした快適で健康的な信州らしい住まいづくりを通じて2050年ゼロカーボンの実現と地域内循環を考慮し、もって県民の豊かな住環境を創出することを目指しています。中でも、地域内循環の創出につきましては、県産木材などの地域の資源や材料を積極的に使用することなどが盛り込まれております。  基準の一つである県産木材の利用については需給バランスは整っているのでしょうか。県産木材を使用する段階になって供給が間に合わなくなるおそれはないのか、井出林務部長にお伺いいたします。  次は、県有施設の脱炭素化についてです。  長野県ゼロカーボン戦略では、ゼロカーボンビル化の推進として、県庁舎等において、断熱、庁舎の省エネルギー化及び再生可能エネルギー設備の導入等をモデル事業として実施し、施設の長寿命化及び温熱環境の改善により執務効率を向上させるとしていますが、具体的な脱炭素化改修の予定及びどのような改修方法を考えていらっしゃるのか、玉井総務部長にお伺いいたします。  特に、県立高校につきましては、老朽化が進むとともに、新たな再編・整備計画が進められる中で、生徒が一日の大半を過ごす学校がさらに快適となるよう学校施設の脱炭素化も重要と考えます。新しい時代の学校整備に際して、高断熱化や高エネルギー効率設備の導入等、学校施設の脱炭素化にどのように取り組むのか、原山教育長にお伺いいたします。  続いては、県営信州まつもと空港の脱炭素化の推進についてです。  国は、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化等を通じたカーボンニュートラルの形成推進をはじめとして、空港や道路、鉄道、ダム等のインフラ分野における脱炭素化を推進しております。具体的には、GPU、地上動力装置の導入促進、空港施設のLED化等省エネルギーシステムの導入推進、空港車両のFC化、電動化等が掲げられております。また、より柔軟な飛行経路の設定や、さらなる空中待機の抑制を可能とする運航改善の実現を図るとしております。  そこで、お伺いいたします。  1点目です。県営信州まつもと空港は、日本の空港の中でも標高の高い場所、657.5メートルにあるため、平地の空港よりも就航できる機材や就航先が制約される状況にあり、高い山岳に囲まれていることにより、周辺の山岳が計器着陸装置、ILSから発射される電波の障害となるため、その設置が難しいとのことで、これに代わる対策として、GPSの位置情報を航空機に搭載した航法コンピューターで処理、監視しながら経路を正確に飛行して滑走路に着陸するRNP-AR進入方式を2020年7月20日より運用開始しております。日本一着陸が難しいと言われている県営信州まつもと空港ですが、運用開始から1年半が経過する中で、導入前後ではどのような変化があったのでしょうか。  2点目は、2050年ゼロカーボンに向けて、空港施設の消費エネルギーの削減や、RNP-AR進入方式以外の航空交通システム、より柔軟な飛行経路の設定やさらなる空中待機の抑制を可能とする運航の導入など、県営信州まつもと空港の脱炭素化について長野県では具体的にどのように進めていこうとお考えでしょうか。以上2点を伊藤企画振興部長にお伺いいたします。  さらに、現在は滑走路の長さ2,000メートルで離着陸が可能なリージョナルジェットが就航しており、長野県はリージョナルジェット航続距離にある東アジアを中心とした路線展開を図るとしておりますけれども、長期的視点に立って国際化を考えますと、日本のスイスと言われる長野県のさらなる観光需要の創出、県内産業、ビジネスのさらなる成長のために、エアカーゴ、航空貨物の充実も必要と考えます。  経済安全保障の観点からも、サプライチェーンに不測の事態が発生した場合に柔軟、迅速に対応できるよう、県内のものづくり基盤の強化を図る上で、災害時の物資移動等を将来的には視野に入れて県営信州まつもと空港の路線拡充、機能強化に向けたロードマップを描いていくことも重要と考えます。  コロナ禍の中で、県営信州まつもと空港発着の海外チャーター便もここ2年は運航ゼロとひずみを受け、厳しい時代を迎えております。関西国際空港、KIXでは、国家戦略特区で、本格的な水素社会の到来を見据え、スマート愛ランド構想水素グリッドプロジェクトと、世界一ビジネスのしやすいグローバルな競争環境を輸出入関連の規制緩和によって整備し、世界、アジアの成長を取り込むグローバルサプライチェーン拠点の形成を目指し、グローバルサプライチェーンプロジェクトに取り組んでおります。長野県の管理する県営信州まつもと空港も、近い将来、次世代航空機の開発に伴い、航空機の燃料としての水素の生産、調達、供給する施設等も現実的に必要となってくることでしょう。  環境先進県としての長野県が取り組む課題として、県営信州まつもと空港も、地方のローカル空港であっても、ミニ関西国際空港のような空港経営モデルを構築することは可能であると考えます。松本空港の特色を打ち出していくことも必要です。  来年度の予算案には4億555万6,000円が計上され、県営信州まつもと空港の利用回復と発展・国際化を推進するため、発着路線の利用促進や拡充に取り組むとともに、安全、安心な空港に向けた管理運営を行うとされています。新たに松本空港課も新設される中で、長野県の宝である信州まつもと空港の脱炭素化の推進も含め、阿部知事は、県営信州まつもと空港の将来ビジョンをどのように描き、利用促進を図り、長野県を成長、発展させていこうとお考えでしょうか。  続いては、県が株主として出資するしなの鉄道のエネルギー消費効率向上のため、車両、施設等における省エネ化推進の取組状況はどうか、伊藤企画振興部長にお伺いいたします。  そして、小林公営企業管理者には、そのお取組を期待申し上げまして、県内のダム施設を活用した再生可能エネルギーの供給拡大に今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。  政府は、警察庁、国土交通省、総務省、経済産業省の4省庁がITS全体構想を実現するために連携を図っています。2050年ゼロカーボン達成に向けて、EV、FCV、ハイブリッド車など環境に優しい自動車の普及はもちろんですが、幾ら燃費が改善されるとはいえ、渋滞を発生させずにいかにスムーズに車を走らせるか、スムーズに通行できる交通環境を整備することが脱炭素化の面で非常に有効であり、サステーナブルな暮らしの実現につながるのではないかと私は考えます。そこで、警察における交通渋滞緩和策に向けた信号システムの現状と、日進月歩で技術革新が進む中、時代はAIに入りましたが、最先端のエレクトロニクス技術を用いたシステムなど今後の構想についてどうお考えか、小山警察本部長にお伺いいたします。  続いては、G7サミット(主要国首脳会議)及び関係閣僚会合の軽井沢町への誘致についてです。  2023年(令和5年)に、G7サミット(主要国首脳会議)及び関係閣僚会合の日本での開催が予定されています。長野県では、軽井沢町を開催地として、環境分野の関係閣僚会合の誘致を目指すことが発表されております。軽井沢町では、2016年9月にG7交通大臣会合、2019年6月にG20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合を行った実績がございます。1月には誘致活動の主体となる官民連携組織を設立し、夏頃までに順次開催地が決定される見込みとのことですが、現況と、どんな戦略を描き誘致を勝ち取るお考えか、阿部知事にお伺いいたします。  続いては、和歌山市の水道施設の落橋を受けた長野県の点検等の状況についてです。  昨年10月に和歌山市の紀の川以北エリアに水道水を送る唯一の六十谷水管橋が破損して一部が崩落するという事故が起こりました。記者会見で、市長は、震度7の地震が来ても大丈夫なように対策を進めてきたつもりだったが、なぜ落橋したのか分からない、原因究明を進めると語られました。これにより、同市の4割近い約6万戸が断水し、約14万人の生活に大きな影響が出ました。  和歌山市の水管橋崩落事故を受けて、厚生労働省は、2021年10月から12月にかけて全国の上水道事業者などが管理する橋の数や種類、点検状況などを調査し、調査結果が公表されました。崩落した水管橋と同様にアーチなどを使って管路の剛性を補う補剛形式の橋は全国に3,481か所あり、そのうち定期点検を実施していない橋は19%の646か所、定期点検を実施していてもつり材などの補剛部材をチェックしていない橋は907か所、26%に上りました。ちなみに、補剛部材まで点検しているのは55%、1,298か所でございました。  厚生労働省では、水管橋事故を受け、全国の水道事業者に対し、水管橋の点検を含む維持、修繕の実施を要請しており、さらに、その断水被害の大きさに鑑み、災害対策の観点からも生活基盤施設耐震化等交付金において水管橋に特化した補助メニューが10月27日に創設されております。  そこで、お伺いいたします。長野県の状況はどうなっているのでしょうか。同じような事故が起こる心配はないのでしょうか。住民生活に大きな影響を及ぼすインフラ、特に水管橋の現状についてお伺いいたします。  まずは上下水道の状況について、3点、猿田環境部長にお伺いいたします。  1点目、県及び市町村が管理する水管橋の総数。  2点目です。定期点検や診断等の実施状況を把握していらっしゃるのでしょうか。  3点目は、具体的な長寿命化計画の下でどのような維持管理を行っていくのでしょうか。また、市町村管理施設に対して県として指導的立場でどのように関わっていくのでしょうか。  同じく、農業を営む皆様にも影響が出てまいりますので、基幹的農業水利施設の状況につきましても、3点、小林農政部長にお伺いいたします。  1点目です。市町村と土地改良区等が管理する水管橋の総数。  2点目は、定期点検や診断等の実施状況及び劣化状況を把握していらっしゃるのでしょうか。  3点目は、市町村、土地改良区等の管理施設に対して県として指導的立場でどのように関わっていくのでしょうか。  続いては、これからの文化芸術振興についてでございます。  本県には、県民の皆様の文化芸術活動を支える拠点施設が、県民、伊那、松本の三つの文化会館と、飯田、佐久に二つの創造館がございます。特に、佐久市の駒場公園内にある佐久創造館につきましては、人々の創造性を育み、感動や安らぎを与え、心豊かな生活をもたらす上で、地域住民の一番身近な施設として重要な役割を担っております。佐久創造館は、現在70団体を超える皆様が非常に愛着を持って利用されており、近年の利用者数も年15万人前後と、新型コロナウイルス感染症拡大前までは増加傾向にございました。  しかしながら、佐久創造館は、開館から41年が経過する中で、2023年度をもって閉館とする方針が示されており、これを見据えて、指定管理期間も、これまでの5年間から2年間となりました。この間に地元説明会等も行っていただきましたが、閉館ありきの県の説明に対して、佐久の文化が壊れる、白紙に戻さない限り納得できないなど、地元では困惑や反発の声が大きく、投げかけたお願いに対して返事をいただきたい。そうでなければ次の行動が起こせないと、県と利用者の皆様との溝は深まるばかりです。  人口減少社会の中で老朽化している公共施設を全て維持していくことは難しい。どう賢く維持していくのかが全国どこの自治体でも大きな課題となっております。どの施設を廃止し、何を残すかについては、住民や御利用者に説得力のある説明ができなければならないと思います。利用状況も右肩上がりに伸びており、文化振興の成功例ともいえる佐久創造館をなぜ今閉館しなければならないのでしょうか。  また、役割分担として、地域に密着した施設だからと佐久市に移管をお願いされても、ただでさえ文化芸術施設の維持管理は大変であり、公共施設マネジメントを進める佐久市においても苦しさは同様です。  さらに、利用団体の皆様を中心に、昨年11月に佐久創造館の存続を願う会が発足されました。地域も混乱し、御利用の皆様もまだ行き場が決まらない中、佐久創造館の指定管理者さんは、この4月より、佐久市の佐久平駅前、佐久平交流センターの指定管理も担うことが決定しており、この春からは両施設の維持管理と運営を2年間同時に事業展開を行っていくことになります。県が維持していかれないから市へ、市に受け入れてもらえず移管できないから閉館、このような筋の通らないことに対しては、住民も、利用者も、私ども地元県議も、厳しくノーを突きつけます。  新型コロナウイルスの蔓延は、経済活動のみならず、文化芸術活動にも大きな影響を及ぼしました。コロナ禍において活動自粛を余儀なくされ、文化芸術活動は大きなダメージを受けました。コロナ禍で価値観が変わり、先が見えない今、文化芸術はよい時代にだけ享受するぜいたく品ではなく、このような時代だからこそ私たちの生活にとってこの上なく重要なものであり、県民の一番身近な文化芸術活動の場を削ることは、文化の火を消すことと同じではないでしょうか。  そこで、まずは2点について中坪県民文化部長にお伺いいたします。
     1点目です。長野県文化芸術振興計画は、来年度が計画期間の最終年度となります。新型コロナウイルスの影響を大きく受け、多くの文化芸術関係の皆様が活動自粛を余儀なくされ、心を痛める日が続きました。そのひずみにより、計画どおりに推進できない実情があったとは思いますが、どのような成果が出ているのでしょうか。  2点目は、今定例会に、文化芸術活動の支援組織アーツカウンシルを設立、支援する予算は9,100万円が計上されており、文化振興事業団にアーツカウンシル推進室を置き、県全域で活動を推進し、持続的に発展する環境を整えていく考えが示されました。長野県版アーツカウンシルの組織体制はどのようになり、どのような役割を担い、何を目指していくのでしょうか。また、アーツカウンシルにより持続的に地域の文化芸術活動が発展していく環境をどのように支援し、整えながら文化芸術振興を今後図っていかれるのでしょうか。  3点目です。県の方針では、2023年度までに佐久創造館が閉館を迎え、県民、伊那、松本と大きな文化会館が中心となります。佐久創造館は、地域の文化芸術活動の根を育て、裾野の拡大を図るために重要な役割を果たしております。物事を閉じるときには、せめて文化芸術の土壌となり活動されてきた利用者の皆様の納得感が得られることが大前提であります。御理解いただけないままこのまま閉館に向けて進めていかれるのでしょうか。佐久創造館の存続を願う声は大きいですが、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。また、これからの時代、長野県の文化芸術をどのように発展させていこうとお考えか、阿部知事にお伺いいたします。  以上明確な答弁をよろしくお願い申し上げます。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、信州モデルとしてのZEH住宅の考え方と普及促進に関するお尋ねでございます。  本県は、日射量が豊富で、太陽光発電の適地と言われておりますが、御指摘のとおり、地形や気候等によっては十分な発電が期待できない場合もございます。一方で、環境負荷の軽減には、通風など設計の工夫や、木質バイオマスなど太陽光に代わる再生可能エネルギーの活用があり、自然環境と森林資源に恵まれた本県にあってはこれらも有効な手段となります。  県では、学識者等から成る専門委員会を設置し、人と環境に優しい信州らしい木造住宅の技術指針である信州健康ゼロエネ住宅指針をこの3月に策定いたします。この指針に沿って、高い断熱性能を確保しつつ、建築計画の工夫と太陽光や木質バイオマスの再生可能エネルギーの活用により、ゼロエネルギー化を目指してまいります。具体的には、信州健康ゼロエネ住宅助成金によりZEH化を加速し、国が掲げる2030年新築住宅ZEH化100%の目標に先駆けて県としての取組を進めてまいります。  次に、信州健康ゼロエネ住宅の普及促進に関するお尋ねでございます。  ゼロエネ住宅指針では、地域に応じた断熱性能等の数値基準を定めることとしておりますが、県民の皆様に向けては、冷暖房費の削減効果や、真冬の室温変化を抑えることによるヒートショックの防止効果などのメリットに置き換えて御理解いただくことを考えております。  あわせて、分かりやすく解説するパンフレットや周知動画を作成し、設計関係団体等を通じて設計者への周知を図り、設計者からも家を建てようと考えている方への理解を促すことで広く普及促進につながるよう努めてまいります。  最後に、LCCM住宅への取組等に関するお尋ねでございます。  住宅のライフサイクル全体で二酸化炭素の収支がマイナスとなるLCCM住宅は、脱炭素社会の実現に向けて目指すべき住まいの姿であると認識しております。ゼロエネ住宅指針においても、LCCM住宅を目指す姿に見据え、建築資材の適切な選択をはじめ、廃棄の際のリサイクルに至るまでのトータルで二酸化炭素の排出を抑制するようにお示ししているところでございます。本県においては、輸送時における二酸化炭素の排出抑制につながる県産木材の利用や、カーボンニュートラルとされる木質バイオマスを積極的に活用した住宅がLCCM住宅に結びつくものと考えております。  LCCM住宅については、先導的な取組であり、課題としては、建築費の増大や二酸化炭素の排出がより少ない建材等の普及などが挙げられます。まずは信州健康ゼロエネ住宅助成金によりZEH化を推進するほか、ゼロエネ住宅指針に沿って二酸化炭素排出の削減を考慮した計画や施工の周知を図るなど、新築から廃棄に至るまでトータルで二酸化炭素の排出を抑制する施策を展開してまいります。  以上でございます。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)私には県産木材の需給バランスについてお尋ねいただきました。  県では、木材の利用を促進するための様々な施策により需要に見合う県産材製品の供給を進めており、需給バランスの観点で申し上げれば、これまでは需要の一層の拡大が課題であったと認識しております。ところが、昨年からのいわゆるウッドショックに見られるような世界的な木材需給の急激な変化は、県内における木材調達にも少なからず影響を及ぼしているところです。こうした市場の変化にもしっかり対応できるより安定的な県産材の供給体制を整えることにより、信州健康ゼロエネ住宅などのさらなる需要に応えることができると考えております。そのため、県では、素材生産事業者及び木材加工事業者の基盤整備などを引き続き支援し、地域内循環の創出に努めてまいります。  以上でございます。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)県庁舎等のゼロエネルギー化についての御質問でございます。  長野県ゼロカーボン戦略における県組織の行動計画としまして昨年6月に策定しました第6次長野県職員率先実行計画におきまして、県有施設のゼロエネルギー化の取組として、今後新築、改築する建物は原則ゼロエネルギー化とし、また、改修する施設はできる限り消費エネルギーを削減することとしております。この方針に基づきまして、県庁舎については、来年度に設計、再来年度からの工事を予定しており、諏訪湖環境研究センター(仮称)は来年度から工事を予定しております。改修方法につきましては、両施設で、壁や窓の断熱化、照明設備のLED化を予定し、さらに、諏訪湖環境研究センターでは、空調設備の高効率機器への切替えも予定しております。  その他の改修施設につきましては、中長期修繕・改修計画に合わせて、施設の状況や省エネ性能を踏まえ、省エネ化に向けた工事をできるだけ進めてまいります。  また、太陽光発電設備につきましては、順次可能性調査や設置工事を進めまして、国の目標である2040年を待たずに設置可能な県有施設に設置してまいりたいと考えております。2050ゼロカーボンの実現に向けまして全庁挙げて脱炭素化を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)カーボンニュートラルに向けた学校施設の脱炭素化に向けての取組でございます。  長野県教育委員会においては、昨年度、県立学校学習空間デザイン検討委員会の報告を受けたところでございます。その中で、建物自体の高断熱化や効率的な機械設備の導入に加えまして、信州の気候を生かした自然の風や太陽光を取り入れること、エネルギー消費量や太陽光発電量などを可視化するモニターを整備しまして生徒の脱炭素化の意識を高めること等学校施設の脱炭素化に向けた取組を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)3点のお尋ねです。  まず、松本空港のRNP-AR進入方式の導入効果ということですけれども、このRNP-AR進入方式は、GPSの活用により精度の高い航法が得られ、障害物を避け、柔軟な経路設定が可能となりますことから、飛行時間や距離の短縮、それから就航率の改善が図られるとされております。  松本空港では、令和2年7月からこの方式の運用を開始いたしました。それまでの進入方式に比べまして飛行時間が最大15分程度短縮されましたので、これに伴いまして燃料消費が減り、二酸化炭素の排出削減につながっているものと考えております。  また、悪天候時に視界不良により着陸できないケースが減りまして、就航率は、導入前の令和元年度97.4%から、今年度99.2%にまで向上しております。  欠航便数の減少によりまして、空港利用者の利便性は向上いたしましたし、また、今後定期便やチャーター便の誘致を行うに当たりましては、航空会社へのアピールポイントの一つになるものと期待しております。  次に、松本空港の脱炭素化の推進の具体的な取組というお話ですけれども、松本空港では、県のゼロカーボン戦略を推進するため、滑走路の進入灯などの航空灯火や照明のLED化を進めるなど電力の削減に取り組んでいるところであります。  国では、航空法等改正案を今国会に提出する予定としております。今後、国が策定いたします基本方針に基づき、航空分野におけます脱炭素社会の実現に向けた対策を計画的に推進するとされております。  省エネだけではなく、例えば、太陽光発電など電力をはじめとするエネルギーをどのように調達するかといった視点、それから、お話にもありました新たな航空システムの導入の検討などが必要になってまいります。今後、国などの動きも注視し、航空会社をはじめ事業者と連携しながら松本空港の脱炭素化に取り組んでまいります。  最後に、しなの鉄道の省エネ化推進の状況についてというお尋ねです。  しなの鉄道では、利便性、快適性の向上と、地域社会におけます低炭素輸送ネットワーク実現を図るため、老朽化いたしました車両を、軽量化、省エネ化された新型車両に順次更新しているところです。新型車両の使用電力は、従来の車両に比べまして40%以上の削減効果が見込まれております。令和元年度から、国、県、沿線自治体の補助を受けまして、更新予定46両に対しまして既に20両導入されているところです。このほか、設備の更新に併せて駅の照明や信号機のLED化等を実施しております。  こうしたしなの鉄道の取組を、筆頭株主の県といたしましては、沿線自治体と連携し、しっかり支援してまいりたいと考えております。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には3点御質問いただきました。  まず、松本空港の将来ビジョンをどのように描いて利用促進を図り、長野県を成長させていこうと考えているのかという御質問であります。  これまで、信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針に基づきまして、神戸線の新規就航など国内路線の拡充、また、国際化に向けてのチャーター便の就航、さらには駐車場の増設や運用時間の延長など施設の機能強化、こうした取組を順次進めてきたところであります。  今年の4月には、松本空港利活用・国際化推進室を松本空港課に改組させていただき、体制を充実してまいります。コロナ後も見据えて、松本空港の一層の発展、活性化に向けて民間の資金やノウハウの活用による利便性の向上や運営の効率化、また、にぎわいの拠点づくりなど機能強化に取り組んでいきたいと考えています。  こうしたことに加えて、環境に配慮した空港としての整備も進めていきたいというふうに考えておりまして、次期総合5か年計画の策定に合わせて松本空港の将来像を改めてお示ししていきたいというふうに考えております。  今後とも、関係機関、関係団体と連携して、本県の空の玄関口であります松本空港の魅力向上を図り、本県を訪れる観光客の皆様方の拡大、そして県内経済の発展へとつなげていきたいと考えております。  続きまして、G7、関係閣僚会合誘致の現況と、どんな戦略を描いているのかという御質問であります。  1月に経済団体、市長会、町村会、軽井沢町、そして私ども長野県で構成する誘致推進協議会を設置して、誘致に向けての事業計画や要望書を決定したところであります。  協議の中で、長野県は世界トップレベルの健康長寿県という特色もありますことから、環境分野に加えて保健分野も視野に入れて誘致を進めることにいたしたところであります。2月21日には、山口環境大臣、務台環境副大臣に対して、私と藤巻町長からオンラインで要望を行わせていただいたところであります。  戦略としては、大きく二つポイントがあるというふうに考えております。  一つは、本県と軽井沢町がこの関係閣僚会合の開催の場としてふさわしいということをアピールしていきたいというふうに思っております。G7、G20の関係閣僚会合開催の実績もございますし、また、脱炭素社会づくりの取組や健康長寿の取組、こうした点は世界各国に発信できるアピールポイントだというふうに考えております。  2点目としては、オール長野県で取り組んでいくということであります。先ほど申し上げたように、軽井沢町と長野県のみならず、経済団体や市長会、全体でこの取組を進めているところでございます。こうしたオール長野県の取組を県選出国会議員の皆様方とも連携しながらしっかりと発信していきたいというふうに考えております。  今月には外務省等への要望活動もさらに行っていく考えでございます。この誘致が成功するために全力で取り組んでまいりたいと思いますので、どうか県議会議員各位におかれましても引き続きの御支援、御協力をいただきますようお願い申し上げたいと思います。  続きまして、文化振興施策に関連して、佐久創造館の閉館についてであります。存続を願う声も大きいがどう考えているのかという御質問であります。  県有施設の在り方は、新設する場合は地域のバランスや遠い地域の皆さんのことを考えなければいけませんし、今回のように廃止するということも、これまで御利用いただいていた地域の皆様方のことを考えると大変申し訳なく思う部分もあります。  しかしながら、県知事の立場として、やはり県全体としての全体最適をどう考えるかということが私の責任だというふうに考えております。地域に密着した施設や利用実態からして県で設置する必要性が低下しているような施設については、やはり市町村、あるいは民間との役割分担の中で見直しをしていかなければいけないというふうに思っております。  平成28年度にファシリティマネジメント基本計画を策定し、利用者の大半が所在市町村の住民である施設は、利用者の利便性やサービス向上の観点から市町村等への譲渡を進めるという基本方針を掲げさせていただきました。佐久創造館については、利用者の約8割が佐久市民の方々ということで、これまで地元佐久市への移管についての協議を進めてきたところであります。これは、竹花議員の御質問にもありましたように、県と同様、市としても公共施設の総量削減を行っていかなければいけない状況にあるということ、また、佐久創造館については、開館から40年以上経過して老朽化している施設ということで、維持管理費や指定管理料など新たな財政負担が生じるといったようなことなどから移管を受けることは困難だという意思表示をいただいたところであります。  佐久創造館については、昭和55年に広域圏における文化振興の中核施設ということで設置したわけでありますけれども、開館当初から比べますと、文化施設などの整備は全県的に進んできているところであります。地域住民の活動の場についても一定程度は確保されてきているものというふうに考えております。  こうした考え方と経緯の中で、これは関係の皆様方には大変心苦しい思いもございますけれども、広域自治体である県として果たすべき役割に傾注するという観点から、佐久創造館については閉館するという方針を掲げさせていただいたところであります。  今後は、利用されてきた皆様方の活動ができるだけ継続できるように御要望を十分お伺いしながら、また、佐久市はじめ地元の関係者の皆様方とも情報共有を図りながら活動内容に沿った施設の御紹介を行うなど、丁寧に対応していきたいというふうに考えております。地元の皆様方とはこれからもしっかり対話をして御理解いただけるように努力していきたいと考えております。  続きまして、これからの時代の文化芸術の発展についてという御質問であります。  心の豊かさを実現し人生を楽しむことができる社会をつくるためには、文化芸術の振興は大変重要だというふうに考えております。特に、コロナ禍で非常に困難な社会情勢になる中で、文化芸術の力はこれまで以上に大切になってきているというふうに考えています。  県内には、個性豊かな地域性や学びを大切にする県民性により育まれた多様な文化芸術活動が展開されています。新年度、アーツカウンシルを設立していこうというふうに考えておりますけれども、こうした様々な活動が持続的に発展していくように、そして、文化芸術の力が地域課題の解決や新たな価値の創造にもつながるように支援を行っていきたいというふうに考えております。  また、今後の本県の文化芸術振興については、新年度に策定を予定しております次期文化芸術振興計画において方向づけを行っていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)県内のダム施設を活用した再生可能エネルギーの供給拡大についての御質問にお答えいたします。  既存の治水ダム等の放流水を活用した水力発電所の建設は、新たな環境への負荷を極力かけずにスピード感を持って開発が可能なものであることから、企業局では、平成26年度から事業に着手し、平成29年度に高遠ダム直下の高遠さくら発電所と奥裾花ダム直下の水芭蕉発電所の2か所で運転を開始したのがスタートとなりまして、令和2年度には辰野町の横川ダム直下の横川蛇石発電所、今年度は箕輪ダム直下の信州もみじ湖発電所と片桐松川ダム直下のくだものの里まつかわ発電所の合わせて3か所において運転を開始したところでございます。  さらに、平成30年度に発足した新規電源開発地点発足プロジェクトで開発地点に選定したものとしましては、既存の小渋第2発電所の冷却水を活用する小渋えんまん発電所が今年度運転を開始し、御代田町の湯川ダム直下の森泉湯川発電所が現在設計中でございます。  それとともに、建設部が管理する砂防堰堤を新たに活用するものとして、川上村の金峰山川発電所と南箕輪村の大泉地点の2か所の建設に向けて事業を推進してございます。  それに加え、企業局が管理する利水ダムを活用するものとして、長野市の湯の瀬ダム直下の湯の瀬いとおしき発電所と、神川土地改良区からの要請を受託して、上田市の菅平ダム直下に小水力発電施設の建設を進めてございます。  また、令和3年4月に建設部から移管したダム管理用の三つの発電所については、出力増強や運転の効率化を図るため、大規模改修等を検討しているところでございますが、このうち、須坂市の豊丘ダム直下の豊丘発電所につきましては、既に大規模改修工事を公告しております。  企業局といたしましては、こうした取組に加えて、現在、国の既存インフラを活用する再エネ普及加速化検討会にも、全国の地方公共団体では唯一参画し、開発に適する砂防堰堤のポテンシャルマップの作成や概略設計の実施等の検討に加わっているところであり、こうした場などを通じて、県内の治水ダムや砂防堰堤等をさらに活用する方策を探ることなどで、いまだ多く存するとされる県内河川部の再生可能エネルギー導入ポテンシャルがその供給拡大につながるよう積極的に取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)信号システムについて2点御質問をいただきました。  まず、信号システムの現状についてお答えいたします。  県警察では、交通管制システムを運用しており、車両感知器等で収集した交通量や走行速度等のデータを分析し、その分析結果に基づき信号の制御や交通情報の提供を行うことにより、交通渋滞を緩和し、流れを整序化するよう努めております。  次に、信号システムの今後の構想についてお答えいたします。  信号の制御については、警察庁において今後の交通管制の在り方に関する調査研究が行われております。同研究では、人工知能、AIによる交通量予想に基づく信号制御、自動車メーカー等民間が保有する走行実績情報、いわゆる民間プローブ情報の活用などが検討され、今後モデルシステムの構築及び実証実験が行われる予定と承知しております。  これらが実用化された際にはより高度な信号制御が実現すると考えられることから、安全で円滑な交通環境を確保するため、交通管制システムの更新に併せ導入を検討してまいります。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)和歌山市の水道施設の落橋に関連いたしまして、上下水道の状況について3点御質問をいただきました。  最初に、県及び市町村が管理する水管橋の総数でございます。いずれも道路橋などへの添架や比較的簡易な構造のパイプビーム形式を除いた数でお答えいたします。  上水道につきましては、水道用水供給事業を合わせた数といたしまして、県企業局6、市町村及び企業団で55、計61か所となっております。また、下水道につきましては、県管理が1、市町村管理が46の計47か所でございます。  次に、定期点検や診断等の実施状況並びに劣化の状況についてのお尋ねでございます。  一昨年度に国が策定いたしました水道の点検を含む維持・修繕の実務に関するガイドラインでは、水道に係る水管橋のうち重要管路は2年に1回、それ以外の管路は5年に1回の点検診断を実施するよう定めております。  県内61の水管橋のうち36か所についてはこのガイドラインに基づく定期点検を実施済みであり、残る25か所についても今回の事故を受けた緊急点検を実施済みとなっております。これらの点検の結果、老朽化等による支障が判明した水管橋が7か所ございまして、現在、各水道事業者において施設の修繕または撤去を検討しております。  一方、下水道施設の定期点検や診断につきましては、下水道法施行令において、構造等に勘案して適切な時期に適切な方法により実施することとされており、現在までに47か所中18か所で実施されております。加えて、今回の事故を受けて、今年度内に全箇所を対象に緊急点検を行う予定としており、これまでに市町村管理の5か所で劣化が確認され、修繕の実施を検討しております。  3点目といたしまして、上下水道施設の長寿命化計画等と県の関わりについてのお尋ねでございます。  まず、上水道につきましては、水道事業者は、水道事業ビジョンまたは個別計画としての長寿命化計画を策定するよう国から求められておりまして、現在65事業のうち53事業で策定済み、残る12事業についても順次策定する見込みでございます。維持管理等は、この長寿命化計画に基づき、長期的な水需要の動向等を踏まえつつ、施設の計画的な更新やバックアップ機能の強化等を行ってまいります。  県の関わりといたしましては、水道法に基づく立入検査を定期的に実施しているほか、長寿命化計画の策定や更新計画等について確認し、水管橋をはじめとした水道施設の維持管理が適切に行われるよう指導しております。加えて、今回の事故を契機といたしまして、老朽化した水道橋の補強、改築、更新が新たに国の交付金事業の対象となりましたので、その活用についても助言をしてまいります。  下水道に関しましては、県及び公共下水道事業を実施している全ての市町村において長寿命化計画の要素を盛り込んだ事業計画を策定しており、これに基づき計画的に更新あるいは維持管理を行うなどの対応をしております。  県といたしましては、市町村に対し、この事業計画の見直しや国の交付金事業の活用など、水管橋を含めた下水道施設の維持管理が適切かつ効率的に行われますよう、適時適切な助言を行ってまいります。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には基幹的農業水利施設について3点御質問をいただきました。  初めに、水管橋の総数についてでございます。市町村、土地改良区等が管理する受益面積100ヘクタール以上の基幹的な農業用の水管橋は31か所ございます。
     次に、定期点検や診断等の実施状況及び劣化状況の把握についてでございますが、水管橋31か所全てについて、年1回、春先の通水時に点検を行うとともに、令和2年度までに施設の健全度や劣化状況を把握する機能診断調査を実施し、長寿命化計画を策定しております。機能診断調査の結果、老朽化による劣化が認められた水管橋が10か所ありましたが、架け替えによる更新や塗装の塗り替えによる保全対策に既に着手しております。  最後に、市町村、土地改良区等の管理施設に対する県の関わりについてでございますが、市町村等の施設管理者は、長寿命化計画に沿って、施設監視や老朽化の度合いに応じた保全対策を行っております。  県としましては、長寿命化計画に基づいた水管橋の補修、補強、更新が確実に実施されるよう必要な予算を確保するとともに、平成27年度に設立した長野県農業水利施設等保全管理会議を通じまして、技術的な助言、指導を行ってまいります。  以上でございます。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)文化芸術振興に関しまして2点の御質問をいただきました。  まず、文化芸術振興計画に基づく取組の成果についてのお尋ねでございます。  この計画では、文化芸術の力で創造性あふれる信州をつくることを目標に掲げまして、人材の育成や文化芸術を活用した地域の活性化、また、活動拠点の充実などを進めてまいりました。主な取組としましては、芸術監督団の下で質の高い演劇や音楽を観賞いただく機会を県下各地で提供するとともに、県内学芸員のネットワークが主体となった美術展の開催などに取り組んでまいりました。また、北アルプス国際芸術祭や木曽ペインティングスなど、アーティスト・イン・レジデンスを通じて地域の資源や人材の掘り起こしにつなげてまいりました。さらに、県民参加の美術館づくりを進めまして、昨年4月、美術分野の活動拠点である県立美術館を開館することができました。  この2年間、新型コロナウイルスの影響はあったものの、文化芸術を担う人材が各地域に育ち、そのつながりが強まってきたこと、また、地域が主体となって、その資源を生かした文化芸術活動の芽が育ってきたこと、これらの成果が上がっていると認識しております。  次に、アーツカウンシルの組織体制と役割、目指す姿についてのお尋ねでございます。  学びと自治を掲げる本県におきまして、地域が主体となった文化芸術活動を持続的に発展させていくため、文化芸術の振興や活用に専門的知見を持つ人材を配置しまして、行政から一定の距離を置く中間支援組織としてアーツカウンシルの設立を予定しております。  組織体制は、文化振興事業団をはじめ、大学や民間の文化財団、芸術文化団体など様々な主体に参画いただき、幅広い知見やノウハウを生かして連携しながら事業を進めてまいりたいと考えております。  具体的な事業としまして、地域振興や社会包摂に資することが期待される文化芸術活動に対して、活動への助成と相談、助言をセットにした寄り添い型の支援を行って活動を後押しいたします。また、アートと地域をつなぐ人材の育成や文化芸術に関する情報発信を行ってまいります。  これらの取組を通じまして、地域における文化芸術活動の創造性、発信性を高め、その力を観光や福祉、産業、地域づくりなど様々な領域に広げることによりまして県内の文化芸術活動の持続的な発展につなげてまいります。  以上でございます。       〔17番竹花美幸君登壇〕 ◆17番(竹花美幸 君)以上をもちまして私の一般質問は終了させていただきます。ありがとう存じました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、毛利栄子議員。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例案と障害者施策について知事に伺います。  国内の障害児者数は約936万人、国民の約7.6%とされていますが、国際的には15%以上が何らかの障害がある人だと言われています。  障害者は、長い間、障害は病気や外傷等から生ずる個人の問題であるとして、自己責任、家族責任を押しつけられ、旧優生保護法下で不妊手術を強制されるなど、いわれなき人権侵害と差別に苦しんできました。  日本が2014年に批准した障害者権利条約は、障害者が障害のない人と同様の当たり前の暮らしをするために、あらゆる権利を保障し、支援を行う社会的責任が国や自治体にあることを宣言し、障害者自身に関わることを障害者抜きに決めないでとの意思決定過程における障害当事者の関与が定められています。  知事初当選以来の公約であった障害者差別禁止条例が、関係者の長年の努力の中で10年余を経てようやく形となって今議会に提案されていることを心から歓迎します。  振り返れば、阿部知事当選後初の2010年9月議会で、当時の石坂千穂県議が、党県議団が全国に先駆けて制定した千葉県に調査に行き、障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例の制定過程や施行後3年を経ての成果を引き合いに、障害当事者を加えて幅広く意見を聞きながら制定してほしいと求めてきた経緯もあります。当時は条例を制定していたのは千葉県と北海道だけでしたが、今では36の都道府県が既に制定しています。  そこで、知事に伺います。  今回の条例案は、関係者が大変な努力をされて、まずは差別事案を募集し、さらに社会福祉審議会の専門分科会で検討を重ね、条例骨子案報告書への意見募集を募り、骨子案公表後はパブリックコメントを取り、現在に至っています。着手から10年、丁寧に取り組んでこられたこの間の経過と、時間をかけた理由についてお聞かせください。また、長野県らしさ、知事の思いはどう反映されているのでしょうか。  条例案では、差別解消のための手だてとして、相談体制が規定されています。障害者が差別されたと感じ、葛藤や悩んだときに、個人の問題として解消されるのではなく、行政が関わって対応してもらえる中に大いなる安心感と信頼があると思います。そのために、現在も相談を受け付けていただいていますが、差別されたと感じた障害者が気軽に相談ができ、紛争になった場合の対応など条例の趣旨に沿った役割を十分果たすことができるワンストップの相談センターとしての機能を持ったものにしていただきたいが、いかがでしょうか。  障害者差別が解消し、障害のある人もない人も共に生きる人権尊重の長野県にしていくためには、あらゆる差別の禁止や合理的配慮を行うことは当たり前だという行政や県民、事業者への啓発が重要だと思います。啓発活動をどう行っていくのか、伺います。  最後に、条例が制定されれば県が差別解消や合理的配慮に努めなければならない責務が生じてきます。差し当たって2点について早急に対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  一つは、子供の医療費は窓口無料となり喜ばれていますが、同じ福祉医療なのに障害者の医療費は現物支給となっていません。年金も下げられ、物価の上昇も続く中、継続した治療が不可欠なため一旦全額払うのは負担、ぜひ窓口無料にしてほしいとの要望も長年いただいていますので、条例制定を契機に障害者の医療費も現物支給にしていただきたいが、今後の見通しについて伺いたい。  二つは、情報保障の在り方です。条例では、「障がいのある人が容易に県政に関する情報を取得することができるようにするため、手話、要約筆記、点字その他の障がいの特性に応じた意思疎通並びに情報の取得、利用及び発信のための手段を利用して情報を発信するよう努めるものとする。」と規定されています。和田県議が11月議会で取り上げましたが、知事会見は、手話だけではなく、リアルタイムでの字幕表示をすぐにでも実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  続いて、教員のわいせつ事案に対する県教委の対応について教育長に伺います。  暮れに検証結果が報告された教員のわいせつ事案に対し、校長や対応した県教委の認識があまりに一般社会の認識とかけ離れていることに驚きました。そもそも生徒と車に乗って日帰り温泉施設に行くこと自体尋常ではないし、耳たぶを触ったり手を握ったりすること自体セクハラ、わいせつ行為です。  県教委に報告もせず事件をもみ消そうとした校長の対応は全く不適切であり、言語道断ですが、報告を受けた県教委の対応も、平成18年以来、懲戒処分等の指針を策定し、平成25年からは非違行為に係る公表ガイドラインを運用、平成28年からはわいせつな行為根絶のための特別対策を講じ、信州教育の信頼回復に向けて対応してきていただいているにもかかわらず、わいせつ事案だとの認識や受け止めもなく、生徒と教員を引き離すために退職か休職を勧めるなどとんでもない指導であり、厳しい自己分析が求められます。  そもそも、県教委の中に通報相談窓口があるのに、通報した教員は、教育に関わることをなぜ総務部のコンプライアンス・行政経営課に相談したのか。県教委に相談してもまともに取り扱ってもらえないと判断したのではないかと思わざるを得ません。  その後の新聞報道によれば、3月末まで療養休暇を取り、退職した教諭は、4月から私立の学校に再就職し、事件が社会問題化した昨年12月に辞職したとのことです。事案にまともに対応しなかったことで教諭は何の処分も受けず、知らずに就職させた私立高校では、そのまま在職していれば生徒が同じような被害に遭っていたかもしれないことを考えれば、県教委の指導には重大な落ち度があったと思います。  そこで、伺います。  教育長は、今回の一連の出来事に対し当時から継続して関わっていた唯一の教育行政のトップとして、どう責任を感じ、どのような見解をお持ちですか。通報した教員は、教育委員会幹部がわいせつ行為を行った学校の関係者であったために隠蔽が行われたのではないかと訴えているようですが、教委の隠蔽疑惑に関して報告書は触れていません。見解を伺います。  当時の高校教育課長は減給10分の1、3か月。校長は10分の1、2か月の処分を受けました。教育長は特別職のため処分対象にはなりませんでしたが、自主返納とのことで、給料の10分の1、3か月との対応を取られました。減給処分となった2人の処分理由について伺うとともに、自主返納の返納割合と月数を元高校教育課長と同じにした理由について伺います。  検証結果報告書では、性暴力根絶のための対策が示され、中でもわいせつな行為について昨年6月に公布された教育職員等による児童生徒性暴力等の防止に関する法律の目的を引用しながら、児童生徒の尊厳や権利を擁護するという基本認識が徹底されていなかったことを挙げています。  性暴力に対する考え方は、刑法の性犯罪に対する改正や、当事者が勇気を持って声を上げることで日々変化しています。その変化に県教委は時宜を得た対応ができているのか、疑問に思わざるを得ません。生徒がどんなに人権を傷つけられ、恐怖を感じ、その後の生活の中でトラウマを引きずりながら苦しい生活をしているのかと思うと、取り返しがつかない思いです。  教職員によるわいせつ事案が後を絶たない中で、現場の教職員への研修や啓発の必要性は当然ですが、私は、今回の事案を踏まえ、県教委事務局や教育事務所など指導的立場にある部署が私ごととして捉え、性暴力に対する子供の権利を主体とした厳格な捉え直しをすることがまず大事だと思いますが、見解を伺います。  さらに、県教委事務局として、今回の事案を踏まえ、身内が身内を調査するのではなく、客観性を持たせるために調査段階から第三者を加えて対応すること、さらに、今後同様の対応を絶対に起こさないための再発防止策と決意について伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例案と障害者施策について何点か御質問を頂戴いたしました。  まず、今回の条例案提案までの経過と時間をかけた理由、長野県らしさや私の思いの反映という御質問であります。  御質問にも触れていただいたように、私が最初の知事選挙に立候補させていただいたときの基本政策集、信州底力全開宣言というふうに称していましたけれども、その中で、障がいのある人も、ない人もともに安心して暮らせる条例(仮称)の制定ということを掲げさせていただいたところであります。その後、当選した後、平成23年度から24年度にかけて研究会を設けて障害者差別をなくすための条例の検討を進めてきたところであります。  ただ、その間、国において法律制定の動きが本格化してまいりました。平成25年6月に障害者差別解消法が成立し、差別の禁止や合理的配慮の提供の規定が設けられましたことから、まずは法律の周知や相談員の配置に取り組んできました。その後、平成27年度の長野県手話言語条例の制定や福祉のまちづくり条例の一部改正を通じて障害のある方が暮らしやすい社会づくりを進めてきたところであります。  その後、障害者差別解消法の施行から3年たってもなお県の相談窓口に対する相談件数が減らないという状況に鑑みて、令和元年度から今回の条例の検討を始めたところであります。実効性のある条例とするため、県民の皆様方との意見交換など丁寧に時間をかけて進めてきた結果、このたびの条例案の提案ということにつながったところであります。  法律は、障害者の生きづらさを解消するという、言わばマイナスをゼロにするという中身になっていますけれども、今回の条例案は、紛争解決の仕組みといったものを盛り込むことと併せて、県として取り組む11の施策分野の方向性を盛り込ませていただいています。言わば生きづらさのマイナスの解消、マイナスをゼロにするということにとどまらず、障害者の方々の自立と社会参加、プラスにまで持っていくと、こうしたことを目指した条例案になっています。  また、検討の過程では、コミュニケーションの格差、人間として生きていく上でやはりコミュニケーションは一番重要だということで、こうした観点でのお話を多くの方々からお伺いしました。聴覚あるいは視覚に障害がある方の情報へのアクセスは非常に重要な要素だというふうに認識しておりますし、また、障害に加えて、例えば女性であるがゆえの生きづらさなどの切実な話、これは複合的要因という形になりますけれども、こうした問題意識を承った中で、今回の条例案の基本理念の中にも、情報のバリアフリーと性別や年齢など複合的要因のある障害者の方への配慮を特徴的に盛り込ませていただいているところであります。  時間をかけさせていただきましたが、その間、当事者の方々の思いを承り、また、有識者の方々の御意見もいただく中で、いろいろな観点を盛り込ませていただいたところであります。10年以上前に私がこうした条例が必要だというところから大変時間がたってしまって申し訳ないと思っておりますけれども、ぜひ御議決をいただいて、しっかりと適切な運用を行うことによって、障害がある人もない人も、本当に希望を持って生きられる長野県づくりに努めていきたいというふうに思っております。  続きまして、ワンストップの相談機能についてという御質問であります。  平成28年4月の障害者差別解消法の施行に合わせて障がい者差別相談窓口を設けさせていただき、障害を理由とした差別や合理的配慮に関する相談に対応してきたところであります。今回、条例案の提出に先行する形で昨年の10月から相談員を増員させていただき、相談対応の強化を図らせていただいているところであります。  今回提案させていただきました条例案におきましては、相談窓口の機能として、必要な助言及び情報の提供、関係者間の調整、関係行政機関への通告、通報等、こうしたことを規定させていただいたところでございます。  障害を理由とする差別の解消を図るためには、相談に対してきめ細かな対応を行い、当事者双方の合意形成を図っていくということが大変重要だというふうに考えています。条例案を御議決いただければ、この障がい者差別相談窓口をワンストップの相談センターとしてより強力に周知させていただき、県民、事業者の皆様方が相談できる体制をしっかりと整えていきたいというふうに考えております。  続きまして、障害者差別の禁止や合理的配慮の啓発についてという御質問であります。  私も、多くの皆様方が思いを共有していただくということが大変重要だというふうに考えています。当事者の方々とお話をさせていただき、なかなか当事者でないと分からない、気づかない、そうしたことも多いというふうに実感しているところであります。  今回提案させていただいております条例案は、障害者が感じている生きづらさの原因は障害のない人を前提につくられた社会の仕組みにあり、是正するのは社会の責務であるとする障害の社会モデルの考え方をベースにさせていただいております。こうした考え方をぜひ広げていきたいというふうに思っております。そのため、庁内連携会議を立ち上げて、健康福祉部のみならず、県職員全体の研修に努めていきたいというふうに思っておりますし、また、組織の意識改革も図っていきたいと思っています。また、所管する部局を通じて、県民、事業者の皆様方にもこうした条例の考え方や内容の周知を図っていきたいというふうに考えております。  また、障害当事者の方にも御協力をいただきながら、市町村はもとより、県民、事業者の皆様方に対して合理的配慮の具体的事例について周知を図るとともに、優良事業者の認定制度を設けることなどにより民間の優れた取組を広げていきたいというふうに考えております。こうしたことを積み重ねながら、県民の皆様方の自主的な取組も促進して、様々な主体が共生社会づくりを進めていただく担い手となるよう後押ししていきたいというふうに考えております。  続きまして、障害者の医療費助成の現物給付化についての御質問でございます。  福祉医療制度につきましては、医療費の窓口負担を軽減する現物給付を行った場合には、国が国民健康保険の国庫負担金等の減額調整措置、いわゆるペナルティー的措置を講じているところであります。私どもはこうした措置はやめてほしいということをずっと言ってきているわけでありますが、いまだに一部残っているわけであります。  子供の医療費の現物給付化については、再三国に働きかけた結果として、平成30年度から未就学児までの医療費助成に対するペナルティーが廃止されました。その動きを踏まえて、本県では、県と市町村とで足並みをそろえて、子育て支援、少子化対策を一層推進するための観点で、中学校卒業までと、一部ペナルティーがかかっている分も含めて広めに現物給付化を実施したところであります。したがって、ペナルティー分はまだ県民の皆様方の税負担で賄わせていただいているという現状が続いているわけであります。  一方で、この障害者の医療費助成については、依然としてペナルティー措置がそのままかかり続けているという状況であります。国に対しては、引き続き全ての年齢を対象としてこのペナルティーの廃止を強く求めていきたいというふうに思いますし、また、この医療費助成制度、子供医療費助成はもう全ての県が行っていますので、国レベルでの社会保障制度としてぜひ創設すべきだということを引き続き求めていきたいというふうに考えております。現物給付化を行うことによって、利用者の実質的な負担は変わりませんが、県としての負担が変わってしまうということでありますので、まずは国の対処をしっかり求めていきたいというふうに考えております。  続きまして、知事会見のリアルタイム字幕表示の実施についてという御質問であります。  平成31年4月の会見から手話通訳を導入させていただいておりますが、中途失聴者など手話を理解できない方々もいらっしゃいますので、字幕表示等を行うことの必要性については私どもも認識しているところであります。  新型コロナの感染拡大防止への協力のお願いなど収録して行う映像については、手話通訳と字幕を挿入し、配信等を行っているところでありますが、私の会見のようにリアルタイムで配信するものの字幕表示については、正確性を確保するため、今の時点でまだ実現できていないという状況であります。私の話を音声認識アプリに通すと少し誤変換するということがあります。また、要約筆記を行っていただく際は、私の発言メモを事前に提供することで正確な表記の対応は可能でありますけれども、私の会見は事前の原稿なしで行わせていただいているということもあって、課題がたくさんあるというのが今の認識であります。今後、様々な手法の検証を行いながら導入の可能性について検討していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)教員のわいせつ事案に対する県教委の対応についての御質問でございます。  まず、今回の事案の責任と見解についてというお尋ねでございます。  このようなわいせつな行為を教員が行ったこと、そして、その事実を校長や教育委員会事務局職員が把握しながら処分せずにそのまま退職させるに至ったことは、長野県教育への信頼の根幹に関わる重大な事態であり、特に、直属の部下である当時の高校教育課長を処分することになったことは教育長としての責任を痛感しているところでございます。本事案により被害に遭われた生徒及び保護者、県民の皆様に対し、改めて心からおわびを申し上げます。  教育委員会の隠蔽の疑惑に関しての見解でございます。  今回の事案において、当時の高校教育課では、元教諭の行為がわいせつな行為に当たらないと判断し、その後の事案の対応を進めたものであり、議員御指摘のような隠蔽は行われていないものと認識しております。また、当時の高校教育課職員に対する聞き取りの中で、学校の関係者であったことがわいせつな行為の判断に影響したということはないとの確認をしているところでございます。  次に、当時の高校教育課長、校長の処分理由についてでございます。  高校教育課長については、元教諭のわいせつな言動について、高校教育課の部下職員に事案の内容を詳しく把握し必要な調査等を行うよう命じることなく、わいせつな行為等とまでは至らない内容であると認識し、判断を誤ったこと、その結果、当該教諭に対する懲戒処分等を行うことができた立場にもかかわらず、当該教諭が定年退職し、懲戒処分等が行われないという事態を招いたこと、これにより、長野県教育への信頼を大きく失墜させたことから、不適正な事務処理を理由に処分したところでございます。  校長については、当該教諭の行為を把握した際、県教育委員会へ報告すべきものであったにもかかわらず、保護者から申立てがあるまで報告を行わなかったこと、さらに、当該教諭による被害生徒への詳細な発言内容について報告しなかったこと、これらのことから、非違行為の隠蔽に当たると捉え、処分したところであります。  私の自主返納を高校教育課長と同じとした理由であります。  今回、直属の部下である当時の高校教育課長の誤った判断によりこのような事態を招いたことは、私の管理監督責任であり、自らの判断で自主返納を行うことといたしました。その額や期間については、私自身がその管理監督責任の重さを熟慮し、その結果として今回の自主返納をさせていただいたところでございます。  次に、指導的立場にある部署における性暴力の捉え直しについてであります。  今回の事案を検証する中で、県教育委員会の組織の中での生徒の人権に対する意識の希薄さを痛感したところでございます。今後は、県教育委員会事務局や教育事務所の全ての職員が、児童生徒への性暴力は児童生徒に対する人権侵害であるという認識を共有し、自分のこととして根絶に取り組む必要があるというふうに考えております。  第三者を加えた調査についてであります。  今回の調査結果報告を踏まえ、児童生徒への性暴力事案を調査するに当たり、児童生徒への聞き取りには、必要に応じスクールカウンセラー等の専門家に聞き取りを依頼し、事実確認を行うこと、被害を訴えた行為が性暴力等に該当するかの判断に当たってはコンプライアンスアドバイザーの協力を得ることといった調査や判断に客観性を持たせるための第三者の関与の仕組みなどを構築したところでございます。  今後の再発防止策につきましては、今後、同様の対応を絶対に起こさないため、児童生徒が上げた声が、担当課にとどまることなく、私を含めた関係者に確実に伝わるような情報伝達のプロセスを構築すること、児童生徒、保護者及び教職員が学校を通さずに直接通報できる窓口の周知といった取組を行ってまいりたいと思います。  再発防止に向けた決意についてでありますが、児童生徒への性暴力は児童生徒に対する人権侵害であるという意識を徹底するとともに、再発防止の仕組みを確実に運用し、二度とこのようなことが起こらないよう県教育委員会全体で取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)私の障害者に関わる質問の肝は、二つの最後の要望の実現ということだったのですけれども、障害者医療費の現物給付に対しては、国のペナルティーがあるということなどの理由を挙げられて、まだまだ時間がかかるということを実感いたしました。とても残念に思います。障害者の立場に立った施策として一日も早く実現できることを求めます。  フランスの詩人ルイ・アラゴンの名言の中に、「学ぶとは、心に誠実を刻むこと、教えるとは、共に希望を語ること」があることはあまりに有名ですが、この言葉は、時代を経てもなお真実をもって迫ってきます。教師と子供ということで、子供を権利の主体と捉えず、教えてやる対象、管理の対象として捉える子供感から脱却し、魂の殺人と言われる性暴力が一日も早く教育現場からなくなり、とかく閉鎖的と言われがちな教育委員会が風通しのよいものになることを願って、質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)次に、竹内正美議員。       〔16番竹内正美君登壇〕 ◆16番(竹内正美 君)自由民主党県議団、千曲市・埴科郡区選出の竹内正美でございます。  最初に、国道18号坂城更埴バイパス及び県道坂城インター線の延伸について質問します。  上田市から長野市を結ぶ千曲市、坂城町地域は、古来千曲川に沿って発展してきた歴史的背景があり、戦後の高度経済成長期から現在にかけて交通ネットワークの形成がなされ、この地域の経済発展に寄与し、拡大しています。  関東圏と北信越を結ぶ物流、人流の大動脈となっている国道18号や上信越自動車道、しなの鉄道や北陸新幹線は、商業、工業、観光などの経済の役割を果たし、ますます物流、人流の拡大が進んでいます。  一方、経済発展が進む中で、基幹道路である国道18号は、千曲市杭瀬下から坂城町内の間は、交通量が1日に1万台を超えているにもかかわらず、歩道のない2車線区間が多く安心して人が歩けない道であり、慢性的な渋滞が発生し、沿道生活に不安を感じる道となっています。  その中で、沿線住民代表が、期成同盟会を昭和36年4月に結成し、新たなバイパス建設要望を始めてから60年以上がたちました。これまで、坂城更埴バイパス延長19.2キロメートルのうち、千曲市八幡から稲荷山地区3キロメートルが供用開始され、現在、長野市の塩崎地区での工事が進められていますが、依然として約10キロメートルについては事業化のめどが立たない状況にあります。  今年の冬は雪が多く、上信越道では坂城インターチェンジ以北で冬用タイヤ装着の規制が幾度も出されました。国道18号沿線の住民の方から、規制がかかる日はさらに国道の交通量が増え、渋滞が続き、救急車や緊急車両の到着にも時間がかかり、日常生活に強い不安を感じたという声を聞きます。  昨年9月に、国土交通省は、大雪の際の道路交通確保対策の抜本的な見直しを行いました。これまでは、自らが管理する道路をできるだけ通行止めにしないことや、道路ネットワーク機能への影響の最小化を目標としていましたが、新たな対策では、人命を最優先に、幹線道路上の大規模な車両滞留を徹底的に回避することを基本的な考えとし、取組の一つとして、高速道路と並行する国道等の同時通行止めと集中除雪による物流等の途絶の回避が挙げられています。つまり、上信越道が通行止めになった場合は、直轄国道である国道18号も通行止めにして集中除雪を行うことが想定され、人流に多大な支障を来すことが想定されるところです。  このエリアには、県下有数の温泉地である戸倉上山田温泉があり、新型コロナウイルス感染症の影響により入り込み客が減少していますが、コロナ収束を見据えた誘客に向けて前向きな取組をされている中で、大雪という自然現象とはいえ、道路の脆弱性によりお客様が大変な思いをして不快に感じられ、誘客に影響が出るのではないかと、今年の大雪を経験され、不安を抱かれている経営者もいらっしゃいます。
     そこで、新型コロナウイルス収束後の経済活動のV字回復と物流、観光等の経済活動復興のために、そして、地方創生及び国土強靱化を着実に推進させるためにも、強靱な道路ネットワークを欠かすことはできません。そのためには、坂城更埴バイパス事業化区間の建設促進及び未事業化区間の早期事業化が望まれるところです。  国道18号バイパス建設は、沿線地域住民の皆様の長年の悲願でもあり、長野県発展の希望でもあると思います。また、中小企業を中心に、多数の企業、工場が所在する工業の町、坂城町ですが、坂城町を流れる千曲川約7キロメートルの区間には、大型車両が通行できる橋は二つしかなく、建設機械等の工業製品を積んだ大型車両が県道を頻繁に通過し、朝夕には従業員の通勤車両が渋滞を発生させています。その渋滞を避けるために、車両がより狭い市道、町道に流れ込み、近隣の小学校では、危険を回避するために児童の登校時間を変更するなどの対応をせざるを得ない状況です。  この状況を改善するには、当地域において、国道18号の現道及びこれに並行する国道バイパス、そしてこれらをつなぐ千曲川を渡る橋梁から成るはしご状の道路ネットワークの形成が急務だと考えます。県道坂城インター線先線の新たな橋梁ができることで、坂城町はもとより、上田市、千曲市両地域を含めた産業経済の発展や広域観光に大きく寄与するとともに、有事の際の緊急輸送道路として重要なネットワークが形成される路線として期待されているところです。  そこで、建設部長に3点伺います。  1、国土強靱化計画を推進する長野県として、国が進めている国道18号坂城更埴バイパス整備の進捗状況をどう考えているのか。また、今後の見通しと、見通しに対する県の考え方を伺います。  2、国道18号現道及びこれに並行する国道バイパスをつなぐ千曲川をわたる橋梁から成るはしご状の道路ネットワーク形成について県としての見解を伺います。  3、関連する坂城インター線の延伸の見通しについて伺います。  この道路ネットワークが整備されることにより、産業や観光などに好影響を与えることから、道路ネットワーク完成を見据えた産業振興、観光振興について順次質問します。  産業労働部長に伺います。  この道路ネットワークが完成することにより、その効果は産業振興にも大きなインパクトを与えると思われます。既に、バイパス完成を見据えて、千曲市八幡のバイパス沿いでは大手重機レンタル会社の広域防災拠点としての整備が進められており、さらには、沿線にある工業団地や工場集積地はもちろんのこと、建設中の坂城町の工業団地とがつながることで地域の産業連携が促され、地域の新しい強みも生まれると期待していますが、県としてどのようなメリットと支援策があると考えているか、伺います。  観光部長に伺います。  周辺には、日本遺産に認定された姨捨の棚田、武水分神社、稲荷山の歴史的町並みといった千曲市の観光名所もあり、これらを上田市の上田城、坂城町のびんぐしの里公園、長野市の長谷寺、塩崎城、そして戸倉上山田温泉をつなぐことで、新たな観光回遊ルートによる観光振興や地域住民の皆様の広域的な交流の促進により地域経済の好循環と生産性向上が期待されます。新型コロナウイルスの影響で、来訪者が公共交通機関の利用から自家用車利用へ大きく変わっている中、戸倉上山田温泉を含むバイパス沿線地域の観光振興策について具体的に県の考え方を伺います。  次に、大きな二つ目の項目、子宮頸がんを予防するヒトパピローマウイルス、略してHPVのワクチン積極的勧奨再開についてであります。  子宮頸がんとは、ヒトパピローマウイルスへの感染が原因で子宮の出入口である子宮頸部に生じるがんです。つまり、子宮頸がんはワクチンで予防できるがんなのです。日本では、年間約1万1,000人の女性が罹患し、約2,900人の女性が子宮頸がんで亡くなっています。子宮頸がんで亡くなる女性は比較的若い世代なので、親にみとられる若い女性、幼い子供にみとられる母親、婚約者や恋人にみとられる女性も多いそうです。最もかかりやすいのが子育て世代である30代から40代で、多くの患者が我が子を残して亡くなることからマザーキラーとも呼ばれています。また、命は助かっても、がん治療で子宮を失うことで、子供を授かりたくても授かれないというつらさを味わう方も年間約1,200人います。そのような切ない思いをする人たちを減らしたいとの強い思いから今回質問をさせていただきます。  HPVワクチンは、小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に、2013年4月に定期接種に追加されました。しかし、接種後に、持続的な激しい痛みや運動障害などの症状が回復しないといった訴えが相次ぎ、厚生労働省は、2か月後の2013年6月に積極的な接種の呼びかけを中止しています。  8年前に国が子宮頸がんワクチンの積極的な接種の呼びかけを中止して以降、ワクチンの接種率は急激に下がり、無料で接種できる年代を過ぎた現在16歳から21歳までの女性のうちおよそ260万人が無料接種の機会を逃したと分析されています。もしこの世代の女性のおよそ7割がワクチンを接種していれば子宮頸がんになる人をどれだけ減らせたかを試算したところ、ワクチンが子宮頸がんの発症を60%防ぐとした場合、将来子宮頸がんになる人を約2万2,000人減らすことができ、約5,500人が子宮頸がんで亡くなるのを避けられるとしています。  厚生労働省は、その後、国内や海外で有効性や安全性のデータが報告されているなどとして、来月、4月から呼びかけを再開する方針となり、呼びかけを中止していた8年余りの間に定期接種の対象年齢を過ぎてしまった1997年度から2005年度にかけて生まれた女性全てを無料接種の対象とするキャッチアップ接種も行うことを決めました。今後、積極的な勧奨の再開やキャッチアップ接種が実施されることで、接種希望者が増えることが想定されます。  また、ヒトパピローマウイルスは、女性だけでなく、男性の病気にも関わっています。例えば、男性の尖圭コンジローマや中咽頭がんが若い男性に増加している原因の多くがこのヒトパピローマウイルスによるものと言われています。そのため、若い男性からの接種希望も増えており、性別に関係なくHPVワクチンの接種を希望する人が増えるものと予想されます。  そして、接種後に不安な症状が出た場合には、かかりつけの小児科や、必要に応じて高次の医療機関につなぐ必要が考えられます。他県では、既に4年前から子宮頸がんに詳しい産婦人科医とワクチン接種を担当するかかりつけの小児科医が定期的に情報を共有する場を持ち、地域の基幹病院と連携する対応も進めており、接種後に不安な症状が出た場合に地域の医療機関が連携して対応する体制も整備しています。  厚生労働省は、既に、全国の自治体に対し、対象者には個別に予診票とパンフレットを送って周知するよう求めていますが、国が呼びかけを再開するに当たって、積極的勧奨を再開しました、接種してくださいと説明するだけでは、当事者となる女子児童生徒らや保護者としては、接種後に何らかの症状が出たらどうなるのかと戸惑いを感じることが考えられます。  新型コロナワクチンの普及で接種後の副反応に対する市民の理解は進んでいるものの、接種すること自体に伴う不安やストレスによって出る様々な症状について、WHO(世界保健機関)も、予防接種ストレス関連反応として注意を促しています。子宮頸がんHPVワクチンについても、接種する本人が理解して、納得した上で打つことが重要です。  他県では、接種に当たり、独自に作成したリーフレットを使って、中学生、高校生にHPVワクチンの効果と接種後に起こる可能性がある症状を丁寧に説明し、その上で、接種への不安を取り除くために、注射が苦手な場合は横になって接種するなど、接種するときやその後の声がけに気を配っているところもあります。本県でも、接種後に症状が出てしまった人たちをどう支えるのかについて明確にし、事前に分かりやすく示す工夫が必要だと考えます。  HPVワクチン接種は市町村に実施義務がありますが、昨年12月に厚労省から県に医療体制の確保が要請されており、体制が十分整備される前に定期接種が性急に行われることがないよう市町村との連携も求められています。  そこで、健康福祉部長に3点質問します。  1、県内におけるHPVワクチンの接種状況や子宮頸がん検診の受診状況を含めた子宮頸がん予防対策の現状と課題について伺います。  2、HPVワクチンについては、本年4月から積極的勧奨が再開される方針が厚労省から示されたところですが、本県における積極的勧奨の具体的な方法や、過去に接種機会を逃した方への接種機会の確保についてどのような点に注力して取り組み、市町村に対してサポートしていくつもりか、伺います。  3、HPVワクチンの接種が始まった当初は、接種後に症状が出た患者さんに対して、医師が自分の専門ではないなどとしてほかの医師を紹介するといったことが繰り返され、患者さんがますます不安になる状況も見られました。そうした事態を繰り返さないことが重要と考えます。  本人や保護者が安心してHPVワクチンを受けるためには、接種後、体調の変化を感じた際に適切に相談や診療などの対応が行われることが大切と考えます。本県では接種後の症状に対する体制強化をどう進めるつもりか、伺います。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、国道18号坂城更埴バイパス整備の進捗状況及び今後の見通しに関するお尋ねでございます。  坂城更埴バイパスは、国の直轄事業として進められておりまして、現在、全延長19.2キロメートルのうち3キロメートルが暫定形として2車線により供用済みで、そのほかに坂城町区間3.8キロメートルと長野市側延伸区間2.6キロメートルの2工区、6.4キロメートルについてバイパス事業を実施しております。  事業中区間につきましては、調査設計、埋蔵文化財調査及び工事が進められているところでございまして、着実に事業が進んでいると認識しております。国からは、事業中区間の開通時期及び未事業化区間の見通しについて公表されていない状況ではございますが、当バイパスについては、道路ネットワーク整備による産業・観光面の効果に期待しているところでございまして、引き続き坂城町と連携し、用地買収などの協力をするとともに、国に事業中区間の早期完成及び未事業化区間の早期着手について要望してまいります。  次に、国道18号と並行するバイパスをつなぐはしご状の道路ネットワーク形成についてでございます。  国道18号につきましては、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国において重要物流道路に指定されている基幹道路でございまして、坂城更埴バイパスとの相互の機能強化を図るため、これらをつなぐ道路ネットワークの形成が重要であると認識しております。  県といたしましては、道路の強靱化はもとより、人流、物流の円滑化や活性化を図るため、地域の実情に応じた道路ネットワークの形成を図ってまいりたいと考えております。  最後に、坂城インター線の延伸の見通しに関するお尋ねでございます。  本路線につきましては、将来的に国道18号坂城更埴バイパスへ接続することにより、坂城インターチェンジへのアクセス性が向上し、リダンダンシーが確保されるほか、交通混雑の緩和や産業等の活性化が期待されます。  現在、国道18号からテクノさかき工業団地までの区間につきましては、早期完成に向け鋭意整備を進めておりまして、その先線の延伸区間につきましても、今年度から千曲川を渡る橋梁の予備設計に着手したところでございます。現在施工している区間の早期完成はもとより、延伸区間についても国道18号坂城更埴バイパスと一体的に機能が発揮できるよう、今後調査設計及び関係機関との調整を進めてまいります。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)国道18号坂城更埴バイパスを含む道路ネットワーク完成による産業振興へのメリットについてのお尋ねでございます。  当地域は、古くから北国街道と善光寺街道が交差する交通の要衝として栄え、現在では国道18号、上信越自動車道等を通じ、北信や中信地域とのネットワークを形成しております。  当バイパスの整備に併せ、坂城町では、新たに造成した坂城町南条産業団地の整備がおおむね完了し、隣接の青木村でも大規模な工場の立地が進んでいます。また、千曲市では、地域未来投資促進法を活用し、八幡東産業団地の整備が進められています。  当バイパスを含めた基幹的な道路網がさらに充実することで、物流の効果や生産性の向上、自然災害など非常時における代替道路の確保、国道18号の混雑緩和による通勤時間の短縮効果など産業振興の面でも多くのメリットがあると考えております。  こうした中、県の支援策としましては、新たに立地する際の産業投資応援助成金、本社機能の一部や研究施設等に対する本社等移転促進助成金、全国トップ水準の助成率となるICT産業立地助成金などの支援策を設けており、市町村と連携して企業の誘致に取り組んでまいります。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)坂城更埴バイパス沿線地域の観光振興についての県の考え方のお尋ねでございます。  議員お話しのとおり、当該バイパス沿線には魅力ある多くの観光資源があるものと認識しております。これらを生かし、広域的な視点も含め、どのような地域をつくり観光振興を図るのかということを新たな道路の建設を契機に地域全体で考えていくことが重要でございます。  県としましては、これまでも、地域DMOや観光関係団体など地域の主体的な取組に対して、県観光機構に設置した専門人材の派遣等を通じまして、特色を生かしたコンテンツ造成、DMO等における先進事例の情報共有、広域的な連携体制の構築、観光地経営のための計画策定や国庫補助金の活用などを支援してきたところでございます。  今後も、地域が自らビジョンを描き、取り組んでいく観光地域づくりを、その実情に合わせて支援してまいります。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)子宮頸がん予防対策について御質問をいただきました。  まず、現状と課題でございます。  HPVワクチンの県内の接種状況につきましては、平成23年の接種者は年間3万人を超えておりましたが、平成25年6月の積極的勧奨の差し控え以降、接種対象年齢である12歳から16歳までの女性は約4万5,000人いらっしゃいますが、これに対し、1回目接種者の数は毎年2桁、100人に達しない数にとどまっておりました。その後、HPVワクチンの効果やリスクに対する理解などが徐々に進んできたことに伴い、令和2年度の1回目接種者は1,075人、令和3年度は10月末現在で2,122人と増加しておりますものの、接種希望者はまだ非常に少ない状況でございます。  また、本県の子宮頸がん検診の受診率は、令和元年度の国民生活基礎調査では47.4%、全国第9位であり、全国平均の43.7%を上回っているものの、第2期信州保健医療総合計画における令和5年までの目標値である50%にはまだ届いておりません。  御指摘のとおり、将来の子宮頸がんを予防する対策としては、HPV感染を防止するためのワクチン接種の推進に加え、早期発見、早期治療のための検診受診率の向上が不可欠と考えられるため、今後、これらの対策を積極的に進めていく必要があると考えております。  次に、積極的勧奨の再開に係る市町村へのサポートについての御質問でございます。  積極的勧奨の再開に当たりましては、接種対象者や保護者に対し、予診票と共にHPVワクチンの効果やリスク、注意点などを丁寧にまとめた国のリーフレットなどを実施主体である市町村から個別に送付し、お知らせすることとされております。接種機会を逃した方については、接種の検討、判断に必要な情報が丁寧かつ確実に届くよう、現在国において具体的な方法が検討されているところでございます。  HPVワクチン接種を円滑に進めるために県に求められる役割といたしましては、接種後に症状が生じた方の相談窓口や診療体制の整備、県全体で取り組むための市町村や医療機関等との情報共有、県民の皆様へのHPVワクチン接種に係る情報の周知などであると考えております。本県では、既に接種後の相談窓口や診療体制の整備を行っておりますが、引き続き、県庁や、県立こども病院に委託しております長野県予防接種センターへの相談に丁寧に対応していくとともに、今後は、さらに市町村や医療機関と連携いたしまして、県民の皆様に本県の取組などを広く周知することでHPVワクチン接種が円滑に進むようしっかりサポートしてまいります。  最後に、HPVワクチン接種後の症状に対する体制についての御質問でございます。  HPVワクチン接種後に体調の変化を感じた場合、まずはワクチンを接種した医療機関に受診、相談をしていただくことが基本になります。その後、症状が改善しないなどさらなる診療が必要な場合には、地域の中核的な役割を担う協力医療機関であります信州大学医学部附属病院や佐久総合病院において受け入れていただく体制を整備しております。  県といたしましては、積極的勧奨の再開に当たりまして、市町村や協力医療機関等と連携して、地域の医療機関に対し、改めて体調の変化が生じた方への診療やその後の対応に必要な情報提供等を行ってまいりたいと考えております。  また、国においては、相談支援、医療提供体制強化のために地域ブロックごとに拠点病院を整備する計画が進められていることから、こうした国の動きも踏まえながら、今後も必要な体制強化に努めてまいります。  以上でございます。       〔16番竹内正美君登壇〕 ◆16番(竹内正美 君)それぞれ御答弁をいただきました。  子宮頸がんを予防するHPVワクチンについては、8年間の沈黙を破って、来月から積極的勧奨が再開されます。8年前は、接種後の体の変調を訴えた女子児童や生徒さんが医療機関をたらい回しにされたケースが全国で見られ、積極的勧奨の中止を招いてしまいました。過去を繰り返さないために、新型コロナウイルスの対応とも重なり関係者の御負担は大きいとは思いますが、体制の整備など市町村との十分な連携をよろしくお願いいたします。  国道18号坂城更埴バイパスについては、期成同盟会ができて60年を超えたということで、地域の皆様からは悲痛な声が届いています。特に、戸倉上山田温泉は、温泉街の中を生活道路が通っているため、通過車両の量が多く、観光客の方が温泉街を歩いて散策することがなかなか難しい、大変危険な状況です。住む方にとっても訪れる方にとっても安全でストレスのない道路ネットワークの実現に向けて引き続きお力添えをいただきますようお願いいたします。  産業振興、観光振興についても心強い答弁をいただけたと感じています。引き続き市、町と強い連携をいただければと思っております。  以上、御期待申し上げまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)この際、午後1時10分まで休憩いたします。         午後0時1分休憩          ──────────────────         午後1時10分開議 ○副議長(清水純子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  清水正康議員。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)それでは、まず前回の質問時も少し触れさせていただきましたが、携帯電話の不感エリアの解消について質問いたします。  観光地におけるスマホなどの情報機器の活用について、観光スポットやインスタ映えスポットの検索、飲食店の検索、また、県も、次年度、2次交通で観光バス路線などの経路検索サービスの充実を予定しておりますが、そういった検索機能など、スマホ、携帯電話は欠かせないツールとなっております。しかし、観光地、特に山岳エリアといった非居住エリアでは、スマホなどが利用できない場所、不感エリアもあり、不感エリアの解消はアフターコロナの観光を見据えて必要と考えております。  また、警察庁のまとめでは、令和2年の山岳遭難発生時における通信手段の使用状況は、80.1%が遭難場所から携帯電話等を使用し救助を求めているとのことでした。山岳観光が大きな魅力となっている本県では、山岳遭難防止対策を講じ、遭難自体が減るように取り組むとともに、遭難時の対応も重要であり、正確な情報が遭難者の生存確率を大きく上げることはもちろん、救助隊の安全にもつながると考えます。  また、大雨などの自然災害のリアルな情報を伝えることは、地域住民のみならず、訪問者に対しても最悪な状況をつくらないために大切なことであります。  県は、平成26年の御嶽山の噴火災害を受けて、御嶽山の防災力強化として携帯電話の不感エリアの解消に木曽町と取り組みました。また、災害時の情報や伝達ツールなど情報発信については11月の定例会で回答をいただきましたが、観光地での観光情報や緊急時の災害情報等あらゆる最新情報が迅速に伝わることが重要であると考えます。  山間地が多い本県においては、携帯電話の不感エリアが存在し、その解消が課題です。基本的には、地元市町村がその役割を担うべきではありますが、富山県が立山黒部エリアで取り組んだように広域的な観光エリアとして県が注力してもよいのではないでしょうか。観光と防災という重要課題を解決する不感エリアの解消は県が取り組むべきと考えます。県の考え方について伊藤企画振興部長に伺います。  次に、ICT教育について質問します。  多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、子供たち一人一人に公正に個別最適化され、資質、能力を一層確実に育成できる教育、ICT環境の実現に向けてGIGAスクール構想が進められ、2年前からの新型コロナウイルス感染症の拡大で急速に整備が進められてきました。  開会日の教育長の議案説明において、1人1台端末等ICT教育について環境整備を着実に進めてきたとありました。端末は確かに1人1台端末となりましたが、新型コロナの第6波の中で、有効に使えている学校と使えていない学校が明らかになっております。  そこで、質問します。  本県のICT教育は、深い学びをするために同時共同編集を目指しておりますが、その練度に学校間で大きな差があると感じております。ここまで進めてきたICT教育についての成果と課題、今後の進め方についてお答えください。  また、新型コロナウイルス感染症の第6波においては学級閉鎖や学校閉鎖が相次ぎましたが、子供たちの学びを保障するためICTは活用されていたのかどうか伺います。ICTが活用されていなかった学校数とその理由についても併せてお答えいただければと思います。  特に、タブレットやパソコン等1人1台端末はなされていますが、自宅へ持ち帰っていない学校があるとも聞きました。つまり、ICTの利用が極めて限定的である学校があるということです。この状況についてどう捉えているのか、伺います。  市町村立小中学校におけるICT支援員の配置については、国の基準では4校に1人とありますが、実際の配置は市町村によって大きく異なります。そのような状況を踏まえ、児童生徒のICTのスキルに大きな差が生じないようにするためにどのような支援をしておりますか。以上4点を教育長に質問いたします。  大項目三つ目の質問です。新型コロナウイルス感染症についてであります。  これまで、代表質問を含め何人かの議員より質問などがありましたので、感染リスク、基礎疾患といった点で質問をしたいと思います  新型コロナウイルス感染症は、科学的なデータ分析によるエビデンスに基づいた政策形成の必要性をくしくも世に広めたと感じています。一般質問2日目の中川議員への答弁でありましたが、第6波、1月と2月の県内の新規陽性者は、ワクチンを2回接種した人、つまりブレークスルー感染が約7割、未接種が2から3割とのことで、県内のワクチン接種、未接種の割合が9対1であるとのことから、未接種者の感染割合が高いとの話でした。  また、重症化の割合は、第5波ではブレークスルー感染者は未接種者に比べて重症化する割合などが低いことが確認できたが、第6波ではブレークスルー感染者と未接種者の間で明らかな差は見られず、ほぼ同じ傾向とのことでした。このことから、月日とともにワクチンの抗体価は下がるので、追加接種で抗体価を高めるために3回目のワクチン接種を進めるとの答弁でした。  こういったデータや検証を含め、新型コロナウイルス感染症、現在の第6波主流のオミクロン株の特徴を捉え、正しく恐れ、正しく対処すべきと考え、質問をいたします。  オミクロン株は、感染力が強い一方で、重症化リスクや亡くなる方が少ないとされております。第6波における新型コロナウイルス感染症の重症化リスクと死亡率について、県内の実態はどうなっているのでしょうか。話題ではよく比較されるインフルエンザが流行したときの状況と比べ、お答えください。第6波の流行によってお亡くなりになった方のうち、重症化リスクの高い高齢者及び基礎疾患を持つ方が占める割合についても伺います。  少し話題が変わりますが、定期的な健康診断を受けていない方は、自身に基礎疾患があるかどうか分からないこともあります。健康診断は、あらゆる病気に対する自らの重症化リスクを認識するという意味でも重要ですが、コロナ禍による受診率の低下が懸念されております。受診率を向上させるために、基礎疾患があると病気の重症化リスクが高まる、コロナの重症化リスクも死亡リスクも高まるということを改めて広く周知し、健康診断の必要性を認識してもらうということが重要と考えますが、いかがでしょうか。以上3点を福田健康福祉部長に質問いたします。  続きまして、ゼロカーボンに向けた企業局の取組についてということで質問いたします。
     令和元年12月、知事による「気候非常事態宣言-2050年ゼロカーボンへの決意」以降、自分を含め、これまで多くの議員より質問や提案がありました。本日も、午前中、カーボンニュートラルへ向けた取組ということで竹花議員より質問がありましたが、少々異なる観点からお答えいただければと思います。  デジタル化の推進によって電力量がさらに必要となっております。国が地方分散を進めるデータセンターの使用電力量は、既に総電力量の1%を超えているとも言われております。工場などのボイラーも、化石燃料を燃焼させる方式から電力へシフトチェンジしていきますし、EV、電気自動車も大きく増える見込みです。省エネを進めるにしても、電力量を確保する必要があります。そして、使用電力を100%再生可能エネルギーに置き換える事業者も出てきているように、再生可能エネルギーに対する期待はとても大きいと感じております。また、昨今の原油価格の高騰、ロシアのウクライナ侵攻を含め、資源が乏しい日本の現状を考えると、安全保障上も、エネルギーの自給率を上げることは国益にもつながると考えます。  豊かな水量と高低差を持つ長野県の水力発電は大きな可能性を秘めており、企業局は、来年度、発電建設事務所を3か所増設し、県下5か所体制でさらに力を入れる方針を示しております。また、既に建設中の発電所、砂防堰堤や利水ダムなどの既存のインフラを有効活用することを含め、開発候補地点の調査を加速するとともに、水力発電推進研究会を設置するとありますが、市町村や事業者に対して受け身ではなく積極的に声をかけていくべきと考えます。そこで、2050ゼロカーボンに向けた長野県企業局の取組について、改めて小林公営企業管理者に伺います。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)携帯電話の不感地域解消への県の取組についてというお尋ねです。  長野県の携帯電話エリア内人口の割合、いわゆる人口カバー率といいますけれども、これは99.8%に達しておりまして、人が住む居住地域ではほぼ解消しているものと認識しております。しかしながら、山岳地帯をはじめとする観光地などにおきましては必ずしも解消されているとは言えなくて、災害情報を迅速かつ確実に伝達することが必要な地域があると考えております。  県では、平成28年度に浅間山で、また、令和2年度に御嶽山で、地元自治体と連携して、国の補助事業を活用して県も補助する形で携帯電話の基地局の設置を行ったところであります。毎年、国の補助事業を活用する意向調査がございます。ここで意向があるというふうに回答した自治体と今後要望や状況をよくお聞きし、また、危機管理部や観光部と、県民の皆様の安全確保の面、観光振興の面など十分検討しながら計画的に携帯不感地域の解消に取り組んでまいります。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)ICT教育に関してでございます。  ICT教育の成果と課題、今後の進め方についてというお尋ねでありますが、県教育委員会では、本年度、長野県ICT教育推進センターを設置しまして、ICT機器の活用に係る訪問指導や出前講座の実施、1人1台端末導入ガイドラインの作成と配付、教育事務所ごとにICT活用授業の研修会を開催するなど、市町村教育委員会や学校を支援してきたところでございます。  その成果としては、複数の児童生徒がインターネットのクラウド上でつながり、意見交換やレポート作成等の同時共同編集を行う授業が小学校の約8割、中学校の約7割で始まっておりまして、有識者等からも進んだ取組だというふうに評価いただいているところでございます。  課題としては、このようなICTを活用した同時共同編集を行う授業がまだまだ全ての学校で行われている状況ではないというところかと思います。  今後も、先進的な授業実践例を研修会や学校訪問などで提供しまして広く共有することによりまして、全県の教員のICT活用指導力の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、第6波における学級閉鎖や学校閉鎖の際のICTの活用状況についてであります。  文部科学省の調査によりますと、本年1月11日から2月16日において、土日祝日等を除き連続5日以上の臨時休業や学年・学級閉鎖をした本県の公立の学校数は、小学校が351校中61校、中学校が183校中15校、高等学校が81校中10校であります。ICT端末を活用した学習指導を行った学校数は、小学校が61校中49校、中学校が15校中11校、高校では全ての学校ということになっております。  ICTが活用されなかった小中学校は16校ですが、その理由としては、低学年で学年や学級を閉鎖した小学校ではオンラインによる学習の実施が難しいというふうに判断した、あるいは急遽一斉下校をすることになり、児童に端末を持ち帰らせる準備を整える余裕がなかったなどが挙げられているところでございます。  タブレットやPC等の1人1台端末の持ち帰りでありますけれども、県教育委員会では、市町村教育委員会や校長会等に対しまして端末の持ち帰りを推奨しておりますけれども、本年1月末の調査では、公立の小中学校において臨時休業時等の端末の持ち帰りの準備が整っている学校が89.6%、実施に向けて準備を進めている学校が10.4%という状況でありました。  端末の持ち帰りの準備が整っていない学校の理由としては、端末のフィルタリング等のセキュリティー対策が不十分で、児童生徒が家庭で有害なサイトに接続してしまうのではないかと懸念していること、あるいは児童生徒が端末を持ち帰る際のルールについてまだ検討中であったり、コロナ禍のために策定したルールを保護者に説明する機会が少なく理解がまだ得られていなかったことなどがあります。  県教育委員会では、端末の持ち帰りを進めている市町村の状況を把握しまして課題を共有して、解決策をまだ実施していない市町村に提案した結果、本年度内には全ての市町村で持ち帰りの準備が整う予定となっております。  次に、児童生徒のICTスキルに差が生じないようにする支援についてであります。  長野県ICT教育推進センターでは、どの学校の児童生徒もクラウドを活用してインターネット上でつながり、意見交換等ができるようになっているということを本年度の目標として教員のICTスキルを高める取組を行ってきました。  具体的には、学校の困り事に応じて指導主事が学校を訪問しまして、端末の利活用の体験やICTを活用した授業実践の紹介をすること、教員が参集しなくても機器の操作を学べるオンライン研修会の実施、先進的な取組を行っている学校の実践を各教育事務所から発信したり、信州大学と連携して教員の相談にオンラインで答える教育DXお悩み相談室の開催など、様々な研修や情報発信を行ってきたところであります。  今後も、各市町村や各学校の状況を把握し、それぞれの実態に応じた最適な支援によりまして全校の児童生徒のICTスキルにできる限り差が生じないよう努めてまいりたいというふうに考えております。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)新型コロナウイルス感染症について御質問を3点いただいております。  まず、県内の重症化リスクや死亡率についてインフルエンザと比較した場合どうかという御質問でございます。  数値について申し上げますと、本県の新型コロナウイルスにおける第6波、1月1日から2月20日届出分まででございますが、重症化率は0.046%、死亡率は0.20%となっております。一方、季節性インフルエンザは定点観測の感染症でございまして、それぞれ指定医療機関からの届出数から推計した数値となります。季節性インフルエンザが流行した2018年から2019年にかけてのシーズンの重症化率は0.046%、死亡率は0.032%となっております。  しかしながら、定点観測である季節性インフルエンザでは正確な数値を算出することは困難であり、また、新型コロナウイルス感染症は、第6波はまだ収束しておらず、今後さらに重症化率や死亡率が変わってくる可能性があることから、現時点での比較は必ずしも適切ではないものと考えており、その点だけ申し添えさせていただきたいと考えております。  次に、死亡者のうち高齢者と基礎疾患のある方の割合についての御質問でございます。  2月18日までに公表した県内の死亡者のうち、第6波でお亡くなりになった方は37名となっております。そのうち65歳以上の高齢者は35名で割合は95%、また、基礎疾患のある方も35名で95%となっております。亡くなられた方全員が高齢者または基礎疾患のある方でございまして、本県ではどちらにも該当しない死亡者は第6波ではまだおられません。  次に、コロナ禍における健診受診率向上についての御質問でございます。  高血圧や糖尿病、心疾患などの基礎疾患は、新型コロナウイルス感染症をはじめとした病気の重症化率を高める要因となっております。基礎疾患を早期に発見し適切な治療につなげる上で、定期的な健診の受診は極めて有効な手段でございますが、コロナ禍において受診率の低下が見られ、健診離れが懸念されるところでございます。  県では、県民の主体的な健康づくりを推進する信州ACEプロジェクトにおいて健診受診を重点項目の一つに据えて取り組んでおりますが、御指摘のとおり、受診率の向上に向けて、基礎疾患が重症化率を高めることを改めて広く周知することが重要であると考えております。  周知に当たりましては、LINEによるウェブ広告やテレビCМなど様々な手法を用いながら、市町村等と連携して、より一層の受診率の向上に努めてまいります。  以上でございます。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)2050ゼロカーボンに向けての長野県企業局の取組についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、企業局では、新規電源開発に向けた調査、工事等の加速化を図るとともに、発電所等の運転管理の効率化と激甚化する災害対応の迅速化を図るため、来年度から、新たに発電建設事務所を飯田、松本、上田の3か所に設置して、南信及び北信発電管理事務所と合わせた県下5か所体制といたします。  これまで、部局連携による新規電源開発地点発掘プロジェクトでは、スピード感を持って開発候補地点を選定するとともに、市長会、町村会などにおいて機会があるごとに市町村長の皆様へゼロカーボンに向けた取組を御説明し、御理解を深めていただくことにより、そうした地域を知る皆様から幾つもの新しい候補地点を御紹介いただき、開発に結びつけてまいりましたが、これからは、地域により近いところで候補地点となり得るようなところへも足を運ぶなどにより、地域とともにエネルギー自立分散型で災害に強い地域づくりに向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。  また、それらに加えて、今年度は神川土地改良区からの要請などにより菅平ダム直下の小水力発電施設の建設等を受託することとして取り組んでいるところでございますが、これからは、自ら新規電源開発に取り組むのみならず、市町村や土地改良区をはじめ目的を共有する事業者の皆様と連携、協力して開発を進めるとともに、県内の様々な主体による新規電源開発を促していく必要性を感じているところでございます。  そうした中で、水利権などの法規制や地形等の制約など多くの課題が伴う水力発電の開発は、近年、奥地化、小規模化して、より困難になっているとされていることから、新たに市町村、土地改良区や事業者の皆様と水力発電推進研究会(仮称)を設置することにより、新規電源開発や発電施設・設備の保守などに関する知見や経験を共有するとともに、それぞれが研さん、研修する場を設けることで、県内のより多くの地域において再生可能エネルギーの供給拡大が図られるように努めてまいりたいと思います。  以上でございます。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)携帯電話の不感エリアについてお答えいただきました。市町村の意向でというようなお話がありましたけれども、観光立県としまして、そして、デジタル化を大きく進めている県として、それでよいのかというようにも思います。観光エリアは広域に及びます。そういった部分に県から声をかけて取り組むということも必要ではないでしょうか。観光戦略2018の最終年として、次期観光戦略の策定に向けてぜひ見直していただくとともに、防災に対しても有効でありますから、将来にわたって暮らす人も訪れる人ももっともっと幸せになれるよう、部局を超えて市町村にも声をかけていただき、様々な角度から御検討をお願いしたいと思います。  続きまして、ICT教育の環境についてですけれども、言われるように、1人1台端末等の整備は終わりました。けれども、これはやはり通信環境、使用ルール、教員のスキル、加えてやる気も必要かもしれません。これがそろって、持ち帰れて、初めて環境が整ったと言えると思います。先進的な学校はさらに励んでいただければと思いますが、どの市町村のどの学校のどの児童生徒も、県の本年度の目標だった子供たち全員がクラウドによる同時共同編集が今年度中にできるように支援するべきであったのではないかと思っております。今年度中に持ち帰り等ができるというようなお話でしたので、ぜひ使えるように御指導いただければと思います。  オンライン授業を出席扱いにする、しないというような話があります。不登校などの児童生徒を除いては、対面授業を大切にするといった観点から難しい判断もあると聞いておりますが、陽性になったり濃厚接触者になったりして急に学校に行けなくなった際に授業に参加できるか否かは、その子の学びや生活のリズムにとって重要と考えております。どの学校でもICTを有効に活用できるようにしっかりと指導、支援をいただくよう重ねてお願いいたします。  新型コロナの件ですが、先ほど、第6波はまだ収束していないのでインフルエンザとの比較はまだまだ正しいものではないというようなお話がありました。現状はそうだと思います。ただ、重症化率、死亡率は、簡単に比較してですけれども、やはりインフルエンザより怖いと、そのようなことが考えられるのではないかというように思っております。これまでのデータではそのような評価ということになるかもしれません。  そして、重症化や亡くなられる方で基礎疾患を持っている方、また高齢者の割合は、本県では100%という話でした。このことから分かることもあると思います。基礎疾患や年齢が重症化リスクや死亡率に大きく影響することを改めて周知していただくとともに、自身に基礎疾患があるか否かを知らなければ意味がない、こういったことも強く訴え、健康診断の受診を呼びかけていただきたいと思います。  また、抗体価の減少は重症化予防の低下になるということで、外国では既に4回目の接種も動き始めております。しかし、本県においては、データにのっとって検討していただきたいと思います。若者や基礎疾患のない人など重症化リスクの低い人よりも、抗体価が下がったと思われる重症化リスクが高い人を優先する、そういった状況も今後生まれるのではないでしょうか。国の方針もありますけれども、新型コロナウイルス感染症の何を恐れ何に対応するべきか、科学的なデータ分析によるエビデンスに基づいた判断をお願いしたいと思います。  ゼロカーボンに向けた企業局の取組ですが、しっかりとお話しいただきました。さらに積極的に力強く取り組んでいただきたいと思います。  1点、提案ですけれども、例えば、千曲川や天竜川といった水量のある河川は、高低差を取るためには水路を長く取る必要があり、比較的大きな建設費がかかると聞いておりますが、そういった河川も、街部に近いところを流れ、災害時の電力として大いに期待できますので、ぜひそういった点も考えていただきたいと思います。  また、今後の企業誘致では、再生可能エネルギーを魅力と考える事業者も必ず増えます。再生可能エネルギーに付加価値をつけることも視野に、発電量のアップをぜひ進めていただきたいと思います。  次の質問に移ります。障害のある方の支援について質問をいたします。  文化芸術基本法には、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であるとあります。また、障害者文化芸術推進法には、文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図るとあります。  来年度、県が設置する長野県障がい者芸術文化活動支援センターについては、他都道府県に比べれば設置は遅くなりましたが、障害者に対しての積極的な支援を期待しております。  そこで、質問いたします。  県内の障害者福祉施設における文化芸術活動、つまり創作活動、発表活動、鑑賞活動の現状をどう捉えておりますか。また、障害者の文化芸術活動には知識のあるスタッフ、指導ができるスタッフが必要と考えますが、長野県障がい者芸術文化活動支援センターではどのように支援を行いますか。以上2点を福田健康福祉部長に伺います。  午前中少し話がありましたが、来年度、アーツカウンシルが設立されます。障害の有無によって分け隔てられることなく文化芸術活動が盛んになることを期待しております。アーツカウンシルと障がい者芸術文化活動支援センターの関係について中坪県民文化部長に伺います。  障害者の芸術作品の販売を積極的に行うことで、障害についての理解が広まり、障害者の収入増にもつながると考えております。県内の障害者による芸術作品の販売活動の推進を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。福田健康福祉部長に伺います。  芸術の話から変わります。障害のある方の支援については地域生活移行が定着しておりますが、障害者の地域生活を支える体制について、現状と課題、今後の対応を伺います。  また、家庭や地域での生活に困った際一時的に障害者が避難できる短期入所施設については、地域生活支援拠点の圏域ごとに整備することになっておりますが、特に重度障害者の受入先は少ないと聞いております。現状と課題、今後の対応について伺います。以上2点を福田健康福祉部長に質問いたします。  次年度、強度行動障害者専用室や短期入所施設の増床などが設計予定となっている西駒郷が全県的なセーフティーネットであると認識しております。しかし、以前から課題となっているとおり、西駒郷は老朽化と人員数に適さない規模、未来志向の機能など、再整備が必要であります。西駒郷あり方検討会の報告書が出て既に5年たちますが、このままここにいられるのか、出て行かなければいけないのかなど、施設利用者、家族、そして施設職員は今後について大いに不安を感じております。  そこで、平成29年の西駒郷あり方検討会の報告書以降、西駒郷の果たすべき機能とそれに応じた施設の在り方についてですが、令和2年11月議会の佐々木議員の質問に対し、知事は早急に検討を進めると答弁しております。その後の検討をどのように進めてきたのか、福田健康福祉部長に質問いたします。  西駒郷の今後については、利用者や家族、地域のニーズを取り入れて検討すべきと考えますが、大きな予算もかかる話であり、今後どのように検討を進め、実現していくのでしょうか。また、強度行動障害のある方は増加しており、御家族やそれぞれの圏域内の施設では対応に苦慮しているケースもあると聞きます。西駒郷には、各地域からの相談や人材育成を担う役割があると認識しておりますが、そのような機能を西駒郷の役割として明確に位置づけ、県の支援体制を一層強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。以上2点を阿部知事に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には障害のある方への支援についての御質問を6点頂戴しております。  まず、障害福祉施設における文化芸術活動の現状についての御質問でございます。  本年度行いました県の調査では、111の福祉施設が日中活動として文化芸術活動に取り組んでおり、この数は年々増加傾向にございます。内容といたしましては、絵画、書道、手工芸、音楽、ダンスなど多岐にわたっており、特色ある活動としては、美術館や民芸店等と連携した作品展の開催や、障害者と地域住民が一緒になってミニギャラリーや公園の再整備に取り組む活動などが挙げられます。また、利用者で楽団をつくり、外部からの依頼により、公民館や小中学校、福祉施設など様々な場所で年間数十回の演奏活動を行っている施設もございます。  こうした活動に取り組んだ効果といたしまして、障害者の自主性や主体性の向上、地域住民との交流の機会の拡大等が報告されており、文化芸術活動が障害者の自立や社会参加に果たす役割は大きいものと認識しております。  次に、障がい者芸術文化活動支援センターについての御質問でございます。  御指摘をいただきましたとおり、障害者の個性や能力を理解し、創作活動を適切に後押しする専門的な知識や能力を持った支援スタッフを福祉現場に増やしていくことが大変重要でございます。新年度に設置を予定しております障がい者芸術文化活動支援センターの大きな役割の一つであると考えております。センターでは、事業所の職員や教員を対象としたセミナーの開催、支援方法を指導する出前ワークショップ、弁護士を講師とした著作権などに関する研修会の開催などを通じて人材の育成に取り組んでまいります。  次に、障害者の芸術作品の販売活動の推進についての御質問でございます。  障害者の作品の販売等を支援することは大変重要な取組であると認識しております。現に、文化芸術活動に取り組んでいる事業所の中には、作品の展示即売会や作品を二次利用した商品の制作、販売に取り組み、実績を上げているところもございます。  障害のある制作者の中には、作品販売について意思表示を行うことが難しい方もおり、事業所側も販売活動に関する知識や経験が不足していることなどが課題となっております。新年度に設置するセンターでは、先進的取組をしている事業所のノウハウを収集いたしまして他の事業所に広めるとともに、販売促進に関する事業所や本人家族からの相談に丁寧に対応し、より多くの作品が商品として流通するよう支援をしてまいります。  次に、障害者の地域生活を支える体制についての御質問でございます。  障害のある方やその家族の生活を支える地域生活支援拠点は令和2年4月に10圏域でほぼ整備されましたが、機能面ではさらに強化していくべき点があるものと認識しております。現場の関係者からは、グループホームのさらなる整備やアパートへの入居支援、重度障害者を支える看護職等専門人材の確保、保健、医療、福祉の連携強化などを求める声が出されております。そのため、令和3年度からの3年間の計画でございます第6期長野県障害福祉計画におきましても、柱の一つに「地域で支える支援力の強化」を掲げ、圏域内のニーズや課題に応じて支援拠点の機能強化を図ることとしており、様々な事業を通じて推進してまいります。  次に、短期入所施設の整備の現状と課題についての御質問でございます。  短期入所施設は、地域生活支援拠点の機能の一つである緊急時の受入れ、対応を担っており、本年2月1日時点で県全体で160事業所あり、定員合計は401人となっております。  課題といたしましては、福祉型の事業所が多く、常時医療的ケアが必要な方が利用するための医療型の事業所が約1割にとどまること、障害の重い方を受け入れることができる事業所が限られることなどが挙げられます。  引き続き市町村や福祉関係者と課題を共有しながら、医療機関への事業所開設の働きかけや支援人材の確保育成などを通じて、障害のある方とその家族の生活を地域全体で支える体制を強化したいと考えております。  最後に、西駒郷あり方検討会以降どのような検討が行われてきたのかという質問でございます。  西駒郷あり方検討会の報告の中で、唯一の県立施設として今後担うべき役割として、各圏域のセーフティーネット機能の補完、地域生活移行の推進役、地域で生活する障害者を支援するモデル施設、こういう方向性が掲げられたところでございます。これを具体化するため、平成30年度に整備検討会を3回開催して、有識者や福祉関係者、指定管理者、家族会、地元自治体の皆様から御意見をいただきました。この検討会での議論を基に、それ以降、庁内で優先すべき機能の整理や財政面からの精査を行うとともに、並行して、関係者からの御意見をいただきながら検討を進め、来年度予算案に計上している施設整備に着手することに至ったものでございます。  以上でございます。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)私には、アーツカウンシルと障がい者芸術文化活動支援センターの関係についてのお尋ねでございます。  新年度に設立を予定しておりますアーツカウンシルでは、文化芸術が本来持っている多様な価値観を認め合うことができるという特性を生かしまして文化芸術の力による社会包摂の推進に特に力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。  具体的には、障がい者芸術文化活動支援センターの活動を後押しするため、例えば、福祉現場における支援人材を育成するためのセミナーやワークショップへの講師の紹介や派遣、障害者アートを効果的に展示、発表するためのアドバイス、また、美術館、博物館や文化芸術団体を結んだネットワークの構築、こうした活動を予定しております。  また、アーツカウンシル独自でも、障害者アートに関してモデルとなる取組に対して助成を行いまして、文化芸術の力を障害者の社会参加につなげてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)障害のある方への支援について私には2点御質問をいただきました。  まず、西駒郷の今後の検討についてという御質問であります。  今後の西駒郷につきましては、地域生活移行に伴います利用者の減少を踏まえて、施設をコンパクトにしながら県立施設として必要な機能を強化し、セーフティーネットを補完する施設にしていきたいと考えております。そのため、まずは喫緊の課題であります強度行動障害のある方の専用居室の整備と各圏域から短期入所受入れを増やすための増改築に要する経費を当初予算に計上いたしたところであります。  今後は、現在利用されている方々が安心して安全に過ごせる施設にしていくことが最も重要な視点だというふうに考えております。そのため、引き続き利用者御本人の意思確認を丁寧に行わせていただくとともに、家族会や地域の福祉関係者の皆様方とも意見交換を行いながら、唯一の県立の入所施設であります西駒郷の機能強化を図っていきたいと考えております。  続きまして、強度行動障害のある方への支援機能の強化についてという御質問であります。  強度行動障害のある方を在宅生活で支える困難さ、また、入所を希望されても適した施設がすぐに見つからないといったような状況を関係者の方からお伺いしており、大きな課題だというふうに認識しております。  西駒郷のあり方検討会の報告におきましても、西駒郷には地域のセーフティーネット機能を補完するとともに障害者支援のモデル施設になることが求められております。こうした支援能力を高めていくことは重要な課題だというふうに考えております。  そのため、これまでも、西駒郷は、県外の専門的支援を行う施設へ職員を長期研修派遣したり、また、経験豊富な支援者を招いての学習会の定期的な開催などにより支援力の強化に努めてきたところでございます。次年度からの施設整備に加えて、強度行動障害の支援に関する相談対応や民間事業所の人材育成を担う機能についても西駒郷の役割として位置づけた上で強化を図っていきたいというふうに考えております。  以上です。
          〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)障害者の支援についてお答えをいただきました。  県下のあちこちの施設で文化芸術活動は行われており、年々増加傾向であるといったようなお話でした。  文化芸術作品については、アウトサイダーアート、アール・ブリュットなどと言われる美術指導を受けない生の芸術作品も現在注目されておりますので、指導が全てではないかもしれません。しかし、芸術に触れることや発表の仕方など、知識がなければできないこともあります。  アーツカウンシルと障がい者芸術文化活動支援センターの関係も先ほどお話しいただきましたが、障害の有無にかかわらず様々な活動ができるよう、文化芸術が新たな価値を育めるよう県の支援をお願いしたいと思います。  販売についても広められるよう事業者のバックアップをするといったようなお話がありました。いろいろな場所に文化芸術があふれる、そういった県になればいいと思っております。  続きまして、強度行動障害の支援についてですけれども、現状、課題等をいただきました。課題等はまだまだありますけれども、10圏域でそれぞれ準備できるように取り組んでいるといったお話かと思います。そして、西駒郷が最終的なセーフティーネットになる、そんなお話につながっておりました。  西駒郷ですけれども、現在使われていない施設が放置状態です。幾つか償却するというようなお話もありますけれども、まさに廃墟のように見える場所もあります。障害のある方が住み、そして通う場所でありますが、あの環境は県有施設なのに少し切ない気持ちになります。お金のかかる話ではありますが、ぜひ早急に撤去等の御検討をいただきたいと思います。  また、知事より、様々な関係者の方と意見交換をしながら今後について話していくというような話がありました。ぜひ県有施設として県が誇れる場所となるように強く支援をお願いいたします。  これで一切の質問を閉じます。 ○副議長(清水純子 君)次に、小林君男議員。       〔2番小林君男君登壇〕 ◆2番(小林君男 君)教員の長時間労働改善について教育長に何点か伺います。  1、教師のブラック勤務などとする報道があるように、教員の超過勤務は社会問題となっています。県教委は、2017年に学校における働き方改革推進のための基本方針を確立、そして、昨年その方策を策定し、教員の長時間労働是正に取り組まれてきていますが、「先生くたくた」とする昨年10月の信濃毎日新聞の記事にあるように、昨年6月における勤務実態は、持ち帰りの仕事や取れない休憩時間などを含めた超過勤務時間が過労死ラインの80時間を超える深刻な状況となってきています。特に、教員が1日当たり取れている休憩時間は6分38秒、そして、時間外や持ち帰り残業が常態化しているなど過酷な状況の中で働いているとしています。この現状を県教委はどのように捉え、改善に向けて取り組まれているのか、答弁を求めます。  2、基本方針に取り組まれた直後は改善の兆しはあったものの、コロナ感染症対応や英語教育、GIGAスクール構想の導入などで再び業務量が増加しています。これらの新規業務の導入に当たっては、それに見合う教員の増員や教育環境整備予算の増額を図られるべきと考えますが、ほとんどが現場の努力に任せている状況であり、長時間労働をさらに増幅させる、極めて放置できない実態となっています。見解を伺います。  3、業務量軽減については、教育課程研究や指定校研究などの公開授業を含む研究会を精選、縮小してほしいとの要望を多く聞いています。そして、その研究会自体が上から押しつけられ、自分のやりたいような授業研究でないとの声も届いています。県教委も改善を進めてきていますが、さらなる業務量を減らす授業研究会の在り方の方向性について伺います。  4、学校での時間外勤務削減のため、タイムカードなどで勤務時間管理を進めてきていますが、全国各地で管理職による勤務時間の不適切な管理や虚偽報告などの事例もあります。本県ではどのような指導をされ、正確な実態把握をされているのか、伺います。  5、小中学校、義務教育学校における長時間労働是正のためには、服務監督権者である市町村教委と連携し、業務改善方針や学校職員の安全衛生管理など、業務改善や教職員の健康管理について具体化していくべきと考えますが、取組状況を伺います。  6、教員志願者が過去最低で深刻な状況であると伺っています。また、県教組が行った青年教職員へのアンケートでは、定年まで続けることに不安を抱いていると回答する教職員が今年度は大幅に増え、3年以内に辞めるつもり、いずれ辞めたいとの答えも昨年度の2倍となっています。子供たちの憧れの職業のはずの教員になろうとしている人も大幅に減り、なっても辞めたい先生が大きく増えている、これらの要因分析について県教委の見解を伺います。  また、魅力ある職業にするためには、月45時間のガイドラインに収めることに重点を置くだけの業務軽減の抜本策のない机上の空論的な対応ではなく、本腰を入れて教員の労働環境の改善に取り組むことが不可欠となっています。教員の増員を柱に据え、今後の改善に向けたロードマップが必要ではないか、見解を伺います。  次に、長時間勤務に関する給特法について引き続き教育長に2点質問します。  子供たちに豊かな教育を保障することは、国民みんなの願いです。そのためには、教員の勤務時間が適正化され、心身ともに健康な状態で子供たちに寄り添える学校現場が求められています。それを阻害する大きな要因が、50年前の1か月8時間の平均残業時間を根拠に運用されている定額働かせ放題とも言える公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法ではないかと考えます。  1、埼玉県の小学校教員が教師の残業は労働とみなされないのかと訴えた裁判の判決が昨年10月にありました。裁判長は、判決で、翌日の授業準備や保護者のメールの登録確認など15項目を労働時間とする判断を示し、給特法はもはや教育現場の実情に適合していないのではないか、教育現場の勤務環境改善を切に望むと付言しました。この裁判長の労働時間の判断や給特法への付言を県教育委員会の責任者としてどのように受け止め、どのように考えるか、答弁を求めます。  2、人が人として生きていくための最低限の労働環境を定めたのが労働基準法です。学校現場では、この労働基準法よりも優先されるのが、賃金に4%の上乗せでどんなに残業しても残業代は支払う必要がないという給特法に基づく勤務となっており、教員の時間外勤務は、残業ではなく、自発的業務として処理されています。この改革こそが今求められていると司法も警鐘を鳴らしています。先生たちは残業代が欲しくて言っているのではありません。子供たちにゆとりを持って接して心身とも健やかに成長させたいとの願いから勤務環境の改善を求めています。労基法上の最低基準の厳守による教員の労働管理体制の構築を国に強く要請するとともに、県教委としても自浄作用を持って対処していかれるべきと考えますが、見解を求めます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)教員の長時間労働の改善についてのお尋ねでございます。  まず、長時間労働の現状をどのように捉え、改善に向けて取り組んでいるかというお話でございます。  小中・義務教育学校において行った12月の調査では、1人当たりの時間外勤務時間は、平成26年が54時間23分であったものが令和2年では45時間13分となり、改善は進んできたものというふうに思っておりますが、コロナ禍の影響もあり、本年度は47時間19分と増加に転じ、80時間を超える教職員が一定数いることも把握しております。  議員御指摘のように、小中・義務教育学校を対象に昨年10月に実施した学校運営・業務改善調査の中で、新型コロナウイルス感染症の感染防止やコロナ禍の中での学校行事や授業準備等が教員の勤務時間の増加につながっているというふうに考えております。  県教育委員会では、昨年2月に学校における働き方改革推進のための方策を策定し、これまで、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員の充実、業務の効率化に向けた統合型校務支援システム導入等を進めてきているところでございます。  次に、新規業務導入に見合う教員の増員や教育環境整備予算の増額についてでございます。  新規業務を導入するときには、できるだけ教員の負担が増加しないよう努めてきているところであります。例えば、新型コロナウイルス感染症対応については、スクール・サポート・スタッフをおおむね7学級以上の小中・義務教育学校303校に配置いたしました。教員が本来の業務に注力できるよう、令和4年度はさらに18人増員し、321校への配置を予定しているところでございます。  また、小学校の英語教育につきましては、英語専科教員を平成30年度より3年間かけて20人ずつ増員し、今年度は164校へ配置したところであります。さらに、GIGAスクール構想の導入時においても、県では国の財政支援制度の活用を市町村に周知しまして、市町村教育委員会では各学校に対するICT支援員やGIGAスクールサポーターの配置を行ってきているところでございます。  今後の授業研究の在り方についてであります。  県教育委員会では、教員の授業力向上を図る上で授業研究は欠かせないものであると考えておりますが、教員の負担が過度にならないという観点も加えまして、授業研究に直接関係のない事務手続の見直しなどの改善にも努めてきたところでございます。今後、オンラインを活用した授業参観の実施など、効果的で効率的な授業研究の在り方を校長会や市町村教育委員会と検討してまいりたいと考えております。  次に、勤務時間の管理についてであります。  給特法が一部改正され法的根拠のある指針に格上げされたことに伴いまして、勤務の実態を正確に把握するため、市町村教育委員会を通じまして各学校へ適切な勤務時間の入力、管理を依頼してきたところでございます。県立学校においても同様の取組を進めてきております。  小中・義務教育学校では、これまで勤務時間の客観管理を進めてきましたけれども、昨年12月現在、校務支援システムやタイムカード等の活用によりまして客観的に計測する状況が整っている学校は94%でありまして、来年度からは100%となる見込みです。  また、県立学校においては、特別支援学校では既に出退勤管理システムを導入し、県立高校では来年度校務支援システムを導入し、いずれも全ての学校で勤務時間の客観的管理を行うこととしております。  今後も、全ての校種で客観的な方法により正確な勤務時間の把握に努め、時間外勤務の要因を分析しながら改善を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に、市町村教委と連携し業務改善や健康管理を具体化していくべきではないかいうことでございます。  昨年2月に策定されました学校における働き方改革推進のための方策、これは市町村教育委員会と連携しながら策定したものであります。この作成した方策を各市町村教育委員会とも共有しながらその内容を周知してきたところでございます。この方策に沿いまして、業務改善について、迅速な情報共有としては連絡手段のデジタル化の推進や給食費など学校徴収金の公会計化、また、教職員の健康管理についてはストレスチェックなどメンタルヘルス対策の充実などの具体的な取組を行っているところでございます。  次に、教員志願者減少や中途退職者増加の要因と今後の改善の見通しでございます。  教員志願者の減少につきましては、少子化の影響による大学自体の定員減、教職に対するイメージの低下など複合的な要因によるものと考えております。また、新型コロナウイルス感染症の影響で教育実習の機会が制限され、教育現場の理解が深まらず、教職に不安を覚え、他業種に志願を切り替えた者も一定数いたものというふうに考えております。  中途退職の事由については、転職、結婚、出産、介護、家庭事情、心身の不調等であります。ここ数年、中途退職者数は増加傾向にはない状況です。  議員お尋ねの今後の改善に向けたロードマップについてでございますが、魅力ある職場づくりによる教員の確保は喫緊の課題でありますので、昨年2月に策定した学校における働き方改革推進のための方策に基づきまして教員が働きやすい職場環境となるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、給特法の抜本的見直しに関しまして、判例における労働時間の判断や給特法への付言についての受け止めであります。  教員の時間外勤務の扱いにつきましては、この裁判で指摘がありました給特法によって定められておりまして、県教育委員会でもこの法律に基づき条例を定めているところであります。このため、一義的には国において本法律の在り方について検討がなされるべきものと考えており、現在この裁判は継続しておりますので、今後関心を持って注視していきたいというふうに思っております。  なお、当然のことながら、県教育委員会が現場の教職員の声に真摯に耳を傾け、あわせて、働き方改革を推進しながら、生き生きと働けるよりよい勤務環境を目指して一層取り組む必要があると考えているところでございます。  それから、教員の労働管理体制に係る国への要請等でございます。  先ほどの裁判におきまして、文部科学省は、令和4年度に実施する教員の勤務実態調査によりまして全国の教員の勤務実態をきめ細かく把握して労働環境や報酬の在り方などを検討していくとしておりますので、県としてもその動向を注視しながら対応を考えてまいりたいと思っております。       〔2番小林君男君登壇〕 ◆2番(小林君男 君)教育長の答弁では、取れない休憩時間を含めた数字にはなっていません。しかも、教職員の労働環境改善のためのロードマップをしっかり示せるような答弁でも全くありませんでした。  そもそも給特法は、4項目以外の時間外勤務を原則禁止とし、教員の残業を減らす目的で導入されたにもかかわらず、現在はそれが破綻し、教育現場が疲弊する主な要因となっています。多くの県民は、先生は幾ら子供たちのために頑張っても残業になっていないことをほとんど知りません。この現状を県民に明らかにし、本県の子供たちの学ぶ環境の充実のために知事にもぜひお骨折りをいただき、この問題の重要性をしっかりと認識いただき、さらなるクラスサイズの縮小と教員の増員、そして給特法の抜本的な見直しなど、教員の働く環境改善を、県民の理解とともに、国に先駆けて進めていかれることを強く求め、次の質問に移ります。  これまでも、県は感染症の影響で深刻な経営環境となっている県内の公共交通を担う鉄道やバス事業者へ支援を行ってきていますが、借入金が大きく膨らみ、金融機関からの評価も厳しく、燃料費の高騰の影響も大きく重なり、最大とも言える経営危機に直面しています。また、JRの地方鉄道の在り方の議論が始まるなど、地方の鉄道は幾つかの厳しい条件が重なる現実に直面しています。このような中でも、地域住民の生活上の移動に欠かせないインフラとして毎日欠かさず安全運行に心がけ、設備に投資し、運転手も確保し、バスも電車も走り続けています。  そこで、4点、知事に伺います。  1、脱炭素政策からも、高齢者の免許返納の対応策としても、公共交通の重要性が大きく増しています。県としてもさらなる政策の充実が求められていると痛感します。コロナ禍における長野県の公共交通の現状と存続、発展の展望をどのように考えているか、伺います。  2、地域公共交通は、住民の生活を支え、持続可能な地域をつくる生命線となっています。厳しい経営環境にある民間の地域公共交通を担う乗合バス事業者や地域鉄道事業者への運行継続に要する経費の助成を継続的に図られたい。  3、これらの会社では、年収の大幅な減額をはじめとした労働条件の悪化から退職者が急増しています。コロナ後を見据え、特に運転手の確保に対する措置を取られたい。  4、大手民営鉄道までもが赤字となっている中で、国として抜本的な政策の転換が求められています。早急に大幅な財源確保を図り、地方の公共交通救済のため実施されるよう国に提言されたい。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)公共交通に関連して4点御質問をいただきました。  まず、コロナ禍の中でも我々の移動手段の確保のために御尽力いただいている公共交通従事者の皆様方に心から感謝申し上げたいと思います。  公共交通は暮らしや産業に欠くことができない移動手段であるとともに、地域の持続的な発展と脱炭素社会を実現していく上で重要な社会基盤だというふうに考えております。  一方、昨今のコロナ禍による移動の自粛やテレワークをはじめとする新しい生活様式の定着によりまして、公共交通の利用者は減少し、公共交通の事業者の皆様方には厳しい経営環境になっているというふうに考えております。このため、県としては、事業者の皆様の御要望も踏まえて、その時々の状況に応じて支援策を講じてきたところでございます。  県としてこれまで以上に積極的に関わりながら、官民連携によりまして新たな地域公共交通システムをつくり上げていくため、昨年11月、事業者や国、市町村とともに、全県レベルでの公共交通活性化協議会を立ち上げ、議論を開始したところであります。来年度末までには具体的な方向性や方策、地域公共交通計画として取りまとめていきたいというふうに考えております。  続きまして、バス事業者、鉄道事業者に対する運行継続経費の助成についての御質問であります。  県では、毎年度、公共交通の安定確保のため、広域・基幹的なバス路線に対する赤字補填や県有民営方式によるバス購入、それから地域鉄道の安全性向上などに要する経費について財政支援を行わせていただいているところでございます。  コロナ禍におきましては、令和2年6月以降、感染防止対策や運行継続に必要な経費の助成ということで、交通事業者の皆様方に対して総額27億円余の支援を緊急的に実施してきているところでございます。引き続き交通事業者の状況を十分把握いたしながら、国、市町村とも連携して地域公共交通の維持確保に取り組んでいきたいというふうに考えております。  続きまして、交通事業者の運転手の確保についての御質問であります。  安定的に公共交通を維持していく上で人材の確保は大きな課題だというふうに考えております。こうしたことから、まずバスの運転手不足に対応するため、県では、運輸事業振興助成補助金によりまして、県のバス協会を通じて、バス事業者の方々に対しまして二種免許の取得に要する経費を助成しているところでございます。  また、タクシーの運転手不足も深刻でありますことから、来年度予算におきましては、新たに県タクシー協会に対する交付金を計上いたしております。この交付金によって、二種免許の取得や運転手確保の取組を支援していきたいというふうに考えております。  最後に、地域公共交通維持に向けた国への提言という御質問であります。  私としては、公共交通の在り方は、未来に向けて抜本的に仕組みを変えていくことが重要ではないかというふうに思っております。そうした思いの下、これまで機会あるごとに地域公共交通維持のための強力な財政支援を行うよう国へ求めてきているところでございます。これは、一過性の支援ということにとどまらず、日本の国土、人口構成の変化、地域の将来像、こうしたことを踏まえて、抜本的な制度の見直し、支援策を行っていただきたいというふうに思っております。引き続きこうした観点で国に対して強く要請を行っていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔2番小林君男君登壇〕 ◆2番(小林君男 君)交通事業が独立採算制を前提として存続することは、コロナの影響でこれまでにも増して困難な状況となってきています。既に民間の事業として成り立たない限界に近づきつつあります。路線の廃止、撤退が雪崩を打つ交通崩壊の危機が迫っていると言っても過言ではありません。維持存続のために国に大胆な公的資金の投入をしっかりと要望され、県としても強力な取組を求めます。  最後に、他の国民の命を奪い、核兵器で威嚇するロシアの蛮行は、断固として許されるものではありません。今日3月1日はビキニデーです。唯一の被爆国の日本政府は、核兵器禁止条約に参加し、9条を生かした外交でロシアの侵略をやめさせ、平和的解決に最大限の力を発揮することを求め、質問を終わります。 ○副議長(清水純子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時21分休憩          ──────────────────         午後2時37分開議 ○議長(宮本衡司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  池田清議員。       〔11番池田清君登壇〕 ◆11番(池田清 君)改革・創造みらい、池田清です。通告に基づき質問いたします。  初めに、新型コロナウイルス感染症対応について伺います。  現在、オミクロン株の感染拡大により本県にもまん延防止等重点措置が適用されています。オミクロン株は、感染力は強いが、重症化リスクや死亡率は低い。若者や子供は感染しにくい。昨年末以来、厚労省や国の専門分科会からこうしたメッセージが繰り返し届けられてきました。しかし、本当にそうでしょうか。急激な感染者の増加、第5波を上回る死者数、保育施設、学校施設における多数のクラスターの発生、子供からの家庭内感染の拡大等々、専門家や研究者の見解や具体的な数値は省きますが、厳しい現実を私たちは直視しなければいけないと考えます。  そして、オミクロン株は、BA.2に変異し、感染力がさらに高く、第7波を懸念する指摘もあります。ピークは越えたとの受け止めが一般的です。確かに新規感染者数は減少傾向にはありますが、昨日の病床利用率は37.4%で、重点措置解除の目安とした安定的に35%を下回る状況ではありません。死者数も増加しています。厳しい現実を直視し、正しく恐れ、正しく対処する、そのことが重要と考えます。  こうした観点から、まず3回目のワクチン接種について健康福祉部長に4点質問します。  1点目。2回目接種後からの間隔について、国の方針は、当初の8か月、その後7か月、最終的には6か月と混乱しました。接種開始に向けての国、市町村、専門家との調整、連携は十分であったと言えますか。見解を伺います。  2点目。県内10広域、13か所における県が行う集団接種は、市町村の補完的役割を担うとの位置づけでいいのでしょうか。接種事務は市町村事務ではありますが、市町村との連携の下、新規感染者数は高止まりから減少傾向には向かってはいますが、病床利用率は安定的に35%を下回る状況ではなく、死者数も増加している現状を考慮して、一日も早い接種の完了が必要と考えます。より積極的な告知を行い、接種を進めるべきと考えますが、見解を伺います。  3点目です。国では、65歳以上の高齢者のワクチン接種について2月末までにおおむね完了することを目標にしていました。県内の市町村もおおむね完了すると国に回答したとされますが、完了できたのか、伺います。  4点目です。また、3月末までの3回目のワクチン接種見込みについて、さらに、1回目、2回目の接種において実績のあった職域接種の申込み、実施状況についても伺います。  次に、5歳から11歳までの子供へのワクチン接種について知事に3点伺います。  1点目。基礎疾患がある5歳から11歳までの子供へのワクチン接種については、県立こども病院においては明日3月2日から、信大病院は今月上旬から、それぞれの入院・通院患者を含む計400人に接種する予定であることが表明されています。感染力の強いオミクロン株によって小中学校におけるクラスターが発生している現況を踏まえ、基礎疾患のない小児についても接種開始に向けての国、市町村、市町村教委、専門家との調整、連携の下、迅速に進めるべきと考えますが、見解を伺います。  2点目です。市町村が発出しているワクチン接種券に同封されているお知らせは、無機的であり、あまりに事務的で、まさに通知でしかありません。接種をためらう子供やその保護者に対して副反応等を丁寧に説明し、その上で接種を判断していただけるような文書を知事名あるいは市町村長名で発出してはいかがかと提案しますが、見解を伺います。既に発送の段階であり、困難である場合は、テレビなどでメッセージを伝えるべきと考えますが、見解を伺います。  3点目です。知事は、昨年11月議会の私の1回目、2回目のワクチン接種についての質問に対し、県が派遣しているリエゾンをはじめ、様々なルートを通じて国の機関からの情報収集を行うとともに、河野ワクチン担当大臣はじめ国の担当者とも直接やり取りをしていると答弁されました。県民の命と健康を守る立場から、引き続きできるだけ早く情報把握に取り組むとともに、スムーズなワクチン供給について堀内ワクチン担当大臣とも交渉をしていただきたいと考えますが、見解を伺います。  次に、学校における感染予防対策と学びの保障について伺います。
     分散登校、分散教室、学級閉鎖、学校閉鎖、オンライン授業、部活の中止等、学校現場はコロナ対応に大変苦慮しています。  県立学校、附属中学校、特別支援学校を所管する県教委は、教育長と健康福祉部長の連名で、県立学校長に対し、2月7日付で「第6波における陽性者が発生した場合の学校の対応について(通知)」を出しています。別紙「臨時休業について」を添付し、遺漏のないようにお願いしますとの文章も添えられています。同日付の市町村教育長宛ての同じ内容の通知では、参考にしてくださいとの文章も添えられています。市町村教委は、県立学校に準じて所管の小中学校における対応を行うことになります。  市町村教委にあっては、独自にかつ先駆的に感染予防対策と学びの保障を実践している事例が多数あります。1枚の通知文書だけではなく、市町村教委の感染予防対策と学びの保障の先進事例を調査研究し、連携して対応する、より具体的な子供に寄り添った感染予防対策と学びの保障を具体化すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、3回目のワクチン接種、いわゆる追加接種について御質問をいただきました。  まず、追加接種開始に向けた国や市町村等との連携、調整についての御質問でございます。  国の方針の変更があったところでございますけれども、まず、国に対しましては、昨年12月16日に、市長会、町村会とともに、知事から直接担当大臣に対し追加接種に係る具体的な方針について早期に示すとともに、現場が混乱することのないよう自治体に対し事前に丁寧な説明を行うことなどについて緊急要望を実施したほか、全国知事会等あらゆる機会を捉えて随時国に必要な要望を伝えてきております。  市町村とは、市長会、町村会との意見交換会を随時開催し、首長レベルで追加接種に係る基本的考え方や進め方を共有するとともに、担当者会議等により事務レベルでの情報共有を迅速かつ丁寧に行いながら進めてきております。  また、接種の進め方につきましては、ワクチン接種アドバイザーチームに随時諮り、専門的な観点からの助言、指導をいただきながら進めてきております。  以上申し上げたとおり、これまでもできる限り国や市町村等との調整、連携を図りながら追加接種を進めてきたところでございまして、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  次に、県が設置する集団接種会場についての御質問でございます。  新型コロナワクチンの接種につきましては市町村が主体となって実施することとされておりますが、県では、市町村を支援するために最大限の努力をしていくという考え方の下、接種の加速化を図っているところでございます。  県接種会場は、他県と比較しても非常に多くの会場を設置しておりますが、こうした会場の広報については、県のホームページはもとより、県会場日程の新聞全面広告やそのデータを活用したポスターの配付、地域のFM放送やケーブルテレビにおける接種の呼びかけ、SNSでの情報発信など、様々な媒体で積極的な告知に努めているところでございます。今後とも、仕事帰りにも接種できる夜間接種など、接種される方の利便性を考慮した県会場の運営に努め、早期接種に取り組んでまいります。  それから、2月末までの高齢者の追加接種目標の達成状況というお尋ねでございます。  65歳以上の高齢者への接種につきましては、可能な限り2月末までに希望する高齢者への接種を終えられるよう、市町村とともに接種ペースを加速化してきたところでございます。市町村には接種券の早期発送や接種体制の見直しなど対応の前倒しをお願いするとともに、県接種会場の拡充や医療人材の派遣などあらゆる支援策を講じながら2月中の設置枠の拡大と高齢者の前倒し接種の勧奨に取り組んでまいりました。  こうして、できるだけ多くの方に2月中に接種していただけるよう前倒しで接種を進めてきたため、全体として大きく進捗が図られたと考えておりますが、例えば、既に予約したかかりつけ医で接種したい、前倒しは希望しないというような御本人の希望により3月に接種する予定の方も一定数おられるところでございます。こうした方々への接種を今後も迅速かつ着実に進めてまいりたいと考えております。  次に、3月末までの接種見込みについての御質問でございます。  65歳以上の高齢者につきましては、3月に入って6か月経過で接種可能となる方や、今申し上げた3月に接種を希望される方もいらっしゃることから、こうした方々への接種を進めまして、基本的には高齢者への接種は完了させたいと考えております。また、64歳以下の方々の接種につきましても、エッセンシャルワーカーや一般の方に対し供給されるワクチンを最大限活用して、できる限り多くの方に接種してまいりたいと考えております。  また、職域接種の実施状況でございますが、初回接種では67団体、約9万人に実施をいただき、このうち3回目の追加接種を実施する団体は、検討中のところも含めますと、58団体、約8万人と見込んでおります。なお、既に申込みをしている団体では、2月下旬から順次接種が開始される計画となっております。  実施を検討中の団体に対しましては、個別の相談に応じながら実施に向けた働きかけを行い、必要に応じ医療従事者の派遣など支援策を講じてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)小児のワクチン接種に関連して3点御質問をいただきました。  まず、関係機関等との調整、連絡という御質問であります。  ワクチン接種は市町村主体で行っていただいているわけでありますので、まずは市町村の皆様方と問題意識を共有して一緒に取り組んでいくということが大変重要だというふうに考えております。  健康福祉部長からも答弁申し上げたように、市長会、町村会とは定期的にいろいろな連絡調整を行わせていただいておりますし、ワクチンについても意見交換を行わせていただいております。小児の接種についても、まずは重症化リスクの高い基礎疾患のあるお子さん等に速やかな接種機会を提供し、接種を進めていくといったことを含めて、方向性を確認、共有しているところであります。  3月2日の県立こども病院から小児接種は本県内でスタートする形になりますので、引き続き市町村や医療関係団体、ワクチン接種アドバイザーチームの皆様方とも連携、調整を図りながら円滑な接種が行われるよう取り組んでいきたいというふうに考えています。  続きまして、丁寧な説明という御質問でございます。  ワクチン接種全般でありますけれども、正確な知識、エビデンスに基づく情報を踏まえた接種の判断をしていただくということが重要だと思っております。特に、小児の接種は、やはり保護者の方にはいろいろな不安がおありであるというふうに思いますので、効果、安全性、副反応、こうしたことについて正確な情報を丁寧にお伝えしていくことが大変重要だというふうに考えています。こうした点は、基本的には国において統一的にしっかり行われるということがまずは重要だというふうに思っておりますが、本県としても、アドバイザーチームの御意見をお伺いする中で、必要な情報を丁寧に分かりやすくお知らせすることができるように取り組んでいきたいと考えております。  それから、早めの情報把握とワクチン担当大臣との交渉というお話でございます。  河野大臣とも直接何度もワクチンの話をさせていただきましたし、堀内大臣とは、先ほど健康福祉部長から御答弁した昨年のウェブ会議のほかにも、オンラインで何回かお話をさせていただいているところであります。ワクチン接種の推進は、何よりも国の動きを早く把握して早め早めに対応していくということが大変重要だというふうに思っておりますので、機会を捉えてそうした活動を行ってきているところでありますし、今後とも心がけていきたいというふうに考えております。  これまでも大臣には私からいろいろお願いをしているわけでありますが、例えば、従来は追加接種の県分は別枠で配分されてきませんでしたが、何とか県分も頂けないかと要望させていただいたところ、県の接種会場において使用するワクチンを、別枠で、全国でまず100万回分が追加供給されるという形になりました。そのうち1万5,000回分のワクチンが本県内に供給されるということになりましたので、直接お願いさせていただいた効果があったのではないかというふうに思っております。  今後とも、国との連携を密にしながら、市町村と問題意識を共有して接種の円滑な進行に努めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)新型コロナウイルス感染症対応について、子供に寄り添った感染症対策と学びの保障の具体化についてというお尋ねでございます。  各市町村教育委員会で行われている感染予防対策と学びの保障に向けた実践につきましては、市町村教育委員会との連絡会において情報共有の場を設けるとともに、随時教育長の皆様から各学校の取組を伺うなどして情報収集に努めているところでございます。  また、その中で伺った好事例を2月18日付で策定した「まん延防止等重点措置」期間延長に伴うさらなる感染防止対策の手引きで周知するとともに、オンライン説明会等でも紹介し、参考にしていただくよう努めたところでございます。  例えば、小学校低学年の発達段階に配慮し、児童がノートに書いた内容をタブレットのカメラ機能で撮影し、他の児童と双方向でやり取りする、あるいは、クラスごとに休み時間をずらすことにより他の学級との接触を抑制するなど、学びの保障や感染防止に向けた取組の工夫を紹介したところでございます。  今後も、学校現場や各市町村教育委員会の取組に耳を傾け、より子供に寄り添った感染予防対策と学びの保障を具体化するよう努めてまいりたいと思っております。       〔11番池田清君登壇〕 ◆11番(池田清 君)ただいま健康福祉部長からお答えをいただきましたけれども、3点目の2月末における接種率についてどのように把握されているかということもお聞きしたかったわけなんですが、県のホームページにおいても、2月21日段階において、65歳以上の高齢者全体で64万5,000人のうち23万2,000人が受けて接種率は35.6%という数字が公表されています。2月28日、昨日のことですので、まだ集計中で間に合わないということもあるかもしれませんが、どの程度把握されているのか、分かる範囲で結構ですので、改めてお聞きしたいと思います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)2月末時点の高齢者接種率についての御質問でございます。  いわゆるVRSベースによる数値というものは出ております。5割を超えたところでございますけれども、この分野ベースによる接種率につきましては、御承知のとおり、入力をするまでのタイムラグがございまして、正確な数字とは申し上げられないところがあると思っております。市町村で接種見込み調査をしておりますが、その数字によりますと7割を超えている状況でございます。こちらのほうが実態に近くなるのではないかと思っておりますが、正確な状況の見込みにつきましてはまた精査をしたいと考えております。  以上でございます。       〔11番池田清君登壇〕 ◆11番(池田清 君)いずれにしても、国の調査に対して、市町村はおおむね65歳以上については接種が終わるということで、県もそれを把握していたということであるというふうに思います。50%を少し超えるぐらいなのか、その辺のこともしっかり精査をお願いしたいというふうに思います。  3回目の接種がなかなか進まない一つの要因として、いわゆる交互接種という問題があります。ファイザー、ファイザー、そしてモデルナということに対して、様々な副反応の問題でモデルナを避ける傾向があると思います。一方で、抗体価が高いということも指摘されていますし、県としても集団接種においてはモデルナ製を使用しているわけでありますから、モデルナ製ワクチンのマイナスイメージをしっかり払拭するような情報提供を県民に積極的に行っていただき、県が行っている集団接種につなげていただきたいというふうに思います。  次に、地域生活定着支援センターについて、3点、健康福祉部長に伺います。  初めに、現状と課題について伺います。  地域生活定着支援センターは、刑務所などの矯正施設や保護観察所からの依頼に基づき、市町村行政、福祉事務所、障害者相談支援機関等と連携協働して矯正施設退所後の社会復帰等を支援することを目的としています。  法務省の調査によると、毎年、刑務所などの矯正施設から出所する受入先のない満期釈放者は約7,200人で、そのうち1,000人余りが高齢や障害のために自立が困難で、福祉サービスが必要となる方々です。長野県においては、2012年4月から長野県社会福祉士会に業務委託され、10年が経過します。現状と課題について伺います。  2点目。次に、現状と課題を検証することにより、必要とされる支援をどのように把握しているのかについても伺います。  3点目。次に、法務省が策定した再犯防止計画においても指摘されているように、矯正施設及び地域生活定着支援センター、地方公共団体との連携強化が重要と考えます。また、長野県のように広い圏域において多くの困難事例に対応するためには、職員体制の充実が必要と考えますが、見解を伺います。  次に、国道117号丹波島橋の渋滞解消について伺います。  初めに、丹波島橋渋滞解消に関する研究会の開催状況と改善実績について、2点、建設部長に伺います。  1点目。長野県、長野市、県警の3者によって構成される研究会のこれまでの開催状況について伺います。  2点目。荒木交差点における延長40メートルの右折レーン延伸の成果は検証できているのでしょうか。荒木交差点手前約15メートルの市道への右折車がスムーズな車の流れを阻害しているのではないかとの指摘もあります。実態調査を行うべきと考えますが、見解を伺います。  新年度における取組において、2点、建設部長に伺います。  1点目。令和4年度における長野県の新たな事業計画はあるのか、伺います。  2点目。令和4年度において、長野市は市道長野西746号線荒木交差点からあやとり橋までの間の車線の増設工事を予定しているとのことです。年度内に工事は完了するのでしょうか。それに伴う交差点改良により、信号機の移設も必要になると思いますが、その見通しについても伺います。  新橋架設に向けての取組について建設部長に伺います。  長野県商工会議所連合会、長野市南部地域住民自治協議会等から、渋滞解消に向けての要望が提出されています。長野県商工会議所連合会から県警本部長に提出された要望書は、長野県商工会議所連合会のほか、長野市商工会議所、長野市商工会、長野青年会議所、南長野青年会議所の6団体が連名で、交通規制を中心に、善光寺御開帳に際し、長野の印象が市中心部への入り口の交通渋滞で損なわれることのないよう、渋滞解消に向けた対策を要望しています。  また、長野市南部地域5地区の住民自治協議会会長連名で長野市長に提出された丹波島橋渋滞解消のための新橋建設に関する要望書は、1、丹波島橋渋滞解消のための新橋建設期成同盟会の設立、2、市長に同盟会会長就任を要請するものです。  長野市南部地域5地区の人口は約14万人です。私も20年余り南部地域住民の一人として渋滞解消のため要望を行ってまいりましたが、渋滞の解消どころか、渋滞緩和も実感できない現実があります。住民の不満は怒りを通り越して諦めの領域に達し、さらには行政不信を招きかねない危険性があります。丹波島橋渋滞解消に関する研究会のテーマには、渡河部橋梁に関する課題整理について明記されています。新橋の架設についても具体化に向け研究を始めるべきと考えますが、見解を伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)地域生活定着支援センターについて御質問を頂戴しております。  まず、現状と課題でございます。  地域生活定着支援センターは、刑務所など矯正施設の退所者のうち高齢または障害により福祉的支援を必要とする方に対して社会復帰や地域生活の定着を支援する機関として県が長野県社会福祉士会に委託して運営しているものでございます。  センターでは、退所後の受入先や福祉サービスの利用手続等の事前調整、退所後の受入先施設等に対する助言及び相談支援、地域で生活する退所者やその家族に対する相談支援を行っております。令和2年度における支援対象者は93人で、うち65歳以上の高齢者が47人、障害者が46人でございました。この中には、前年度以前から継続して支援を行ってきた方が44人おられます。  センターが抱える課題といたしましては、退所者の受入れに応じる施設が少ないこと、退所後の生活が定着せず支援を行う期間が長期化していることなどが挙げられます。  必要とされる支援をどのように把握しているかという御質問でございますが、今申し上げた課題のうち、受入れ施設が少ない理由としては、犯罪や違法行為をした人に対する不安や抵抗感があることや、退所者に関する情報が必ずしも十分でなく、円滑な受入れに必要な準備が整わないことなどが挙げられます。  また、支援が長期化している理由としては、当事者の性格や障害特性等が影響する場合もございますが、受入れ側の支援ノウハウや地域の関係機関との連携が十分でないことなどが指摘をされております。  以上のことから、これらの課題の解決のためには、受入れ側に退所者に対する理解を促す啓発の強化、支援事例の共有や研修等による支援ノウハウの向上、保健、医療、就労等の地域の関係機関や保護観察所、弁護士会等の司法関係機関との連携の強化等が必要であると考えております。このため、平成30年度から、10圏域ごとに関係機関のネットワーク協議会を開催し、連携づくりを進めているほか、研修会等を通じて支援ノウハウの蓄積や関係者間の情報交換等を行っているところでございまして、今後もこうした取組を通じて退所者の地域生活の定着を支援してまいります。  また、センターの職員体制でございますが、現在の職員体制は、所長以下5名の社会福祉士と2名の事務員の計7名で矯正施設退所者の地域定着のための支援業務を行っていただいております。  令和4年度までを計画期間とする長野県再犯防止推進計画では、犯罪をした者が孤立せず地域社会の一員として復帰でき、再び犯罪をすることがなく、また、県民が犯罪による被害に遭うことがない安全、安心な社会の実現を目指しております。  センターは、犯罪をした者が地域生活に戻る際の橋渡し役として重要な役割を担っておりまして、十分な体制の確保が重要であると考えております。センターの運営費は、国の補助を基に予算措置しているところでございまして、国に対して必要な予算の確保と県への必要額の配分を要望することなどによりましてセンターの円滑な運営を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、丹波島橋渋滞解消に関する研究会についてのお尋ねでございます。  まず、研究会の開催状況ですが、丹波島橋渋滞解消の調査研究を行うため、本年度は6月と11月の2回開催し、これまでに計6回開催しております。この中で、特に丹波島橋周辺の交通容量の拡大、自動車利用者の総量抑制及び交通分散による渋滞対策について、それぞれ役割分担の下、具体的な取組を進めることとしております。  また、その取組の一つとして、昨年3月に県事業によりまして丹波島橋から北側の荒木交差点に向かう国道117号の右折レーンを延伸したところでございます。整備後の4月と10月に出勤時間帯における右折レーンの滞留状況などの実態調査をしておりますが、信号の右折表示後にレーンに取り残される車両はなく、また、交差点手前の犀川堤防方面への右折車が後続の直進車の通行を阻害している状況は見られず、一定の効果はあったと考えております。  一方で、直進車の滞留状況や通過時間には大きな変化が見られなかったため、引き続き裾花あやとり橋方面からの直進レーンの増設などにより荒木交差点の交通容量の拡大を図ることとしております。  次に、令和4年度の取組についてのお尋ねでございます。  丹波島橋の渋滞対策として、まずは荒木交差点の交通容量の拡大に取り組んでおりまして、昨年県で行った右折レーン延伸に続き、長野市において裾花あやとり橋方面から荒木交差点に向かう市道の直進レーン増設工事を行い、令和4年度には工事が完了した部分から順次供用する予定としております。その進捗状況に合わせまして、県が主体となり信号機を移設するとともに、県警察において信号サイクルの調整も行い、整備効果が現れるように進めてまいります。  なお、令和4年度における取組につきましては、年度当初に予定している第7回研究会において改めて構成機関で詳細を確認するとともに、自動車の総量抑制など他の有効な取組についても積極的に検討してまいります。  最後に、新橋架設についてのお尋ねでございます。  平成31年に改定した長野都市圏総合都市交通計画におきまして、新橋架設は主要交通施策の拠点間のネットワーク強化に資する道路としてその必要性を検討することとしておりまして、県といたしましても、犀川渡河部の交通容量の拡大のためには新橋架設もその一つの重要な方策であると考えております。  その位置につきまして、丹波島橋の交通量転換効果が最も期待できる渡河部に接続する道路が長野市道であることなどから、長野市が主体となって新橋架設について課題の抽出を行っているところでございます。  今後も、将来の人口減少やワークスタイルの変化による人の移動量の状況、県が施工する落合橋の架け替えなどによる交通の流れの変化、現在実施中の荒木交差点改良の効果など様々な観点を考慮しながら、引き続き研究会において積極的に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔11番池田清君登壇〕 ◆11番(池田清 君)地域生活定着支援センターについては丁寧な御答弁をいただきました。大事な事業でありますので、しっかり連携しながらこれからも支援をお願いしたいというふうに思います。  もともと厚労省が示したこの支援センターは各県に一つというのが原則ですけれども、とりわけ長野県は広い圏域であります。南信方面への往復だけでも多くの時間と労力が取られますし、関係機関との折衝など大変過密なスケジュールをこなしながら少ない人数で頑張っているわけでありますので、これからもしっかりケアをしていただきたいというふうに思います。中国帰国者の方の困難ケースなど多くのケースを見せていただきましたが、やはり時間がかかるということでありますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。  それから、丹波島橋につきましては、先ほど二つの要望について御紹介いたしました。研究会においてもしっかり情報を共有していただきたいというふうに思います。今言った様々な積み重ね、ステップ・バイ・ステップということでありますが、住民、そして県民のそうしたストレスが少しでも緩和できるような方向性というものを見いだして前進していただくように心から要望して、私の質問を終了させていただきます。 ○議長(宮本衡司 君)次に、丸茂岳人議員。       〔9番丸茂岳人君登壇〕 ◆9番(丸茂岳人 君)コロナ禍における長野県経済の現状と今後についてお伺いします。  2年に及ぶコロナ禍において、県におかれましては、感染対策と同時に、停滞した経済活動や落ち込んだ消費を何とか支えるべく、多額の財政支援を行い、県経済の下支えに全力を尽くしてきたことと思います。国の施策においても、全国民向けの10万円給付から始まり、事業者向けの様々な支援を含め多くの対策が取られてきました。パンデミックという現存する人類が初めて体験する事態において、社会経済活動を維持し国民の暮らしを守っていくためにも本当に必要なことであり、こうした経済対策や国の財政出動がなければ国民の暮らしはどうなっていたのか、こうした経済対策が多くの人々や企業や自治体にとって大きな恩恵をもたらしたことは間違いないことであると思います。未曽有の事態における緊急経済対策は必要不可欠なものであったと思います。
     一方で、こうした事態におけるかつてない経済対策、財政出動は初めてのことであり、五里霧中の中、何とか国民、県民の暮らしを守るために走り続けた対策であり、どこかでこの効果検証をきちんと行うことが大変重要なことであると考えます。今後、パンデミックに限らず、突発的要因による世界的不況や大災害による経済全体の落ち込み等が起こったときに、どういった経済対策が有効であり、効果が大きいのか、振り返っての分析が必要と思います。  そこで、以下3点質問させていただきます。  一つとして、これまで行ってきた経済対策等についての効果検証をきちんと行うことが大変重要と考えますが、消費喚起をはじめとした事業者支援策についての評価と、その評価を万一第7波となったときにどのように生かしていくのか、林産業労働部長に所見を伺います。  次に、県税収入についてお伺いします。  令和4年度予算案の歳入では、一般財源の見通しとして、コロナ禍にかかわらず県税収入が大幅に増加するとされています。また、令和3年度の税収見込みについても、当初予算では2,167億円としていたところ、現時点の見込みでは2,402億円と大幅な上振れが見込まれています。コロナ禍においても、県内では、製造業をはじめとする好業績の企業が多くあると理解するところです。そこで、令和3年度の法人2税の税収見込みと、税収が伸びている業種や落ちている業種はどのようになっているか、玉井総務部長にお伺いします。  県税収入の上振れ見込みは、世界経済全体が活況であり、これはコロナ禍による生活スタイル、生活環境の変化により起こったことも考えられますし、世界中のあらゆる国で打ち続けた経済対策の効果であると考えます。しかし、こうした経済対策もどこかで終わり、アメリカは行き過ぎたインフレを是正するために金融引締めに入りつつあるわけですが、こうした環境の変化が少なからず我が県の製造業を中心とした企業に影響を与える可能性もあると思います。そのためにも、アフターコロナにおける県内企業のフォローは大変重要と考えます。  そこで、コロナ対策により行った補助金や低金利融資、協力金などが労働意欲の低下や経済の新陳代謝低下につながるとの懸念もあるわけですが、県として問題意識を持っているのか伺います。また、補助金、低金利融資が終わり、自立的な経営に立ち戻る際、どのようにフォローしていくのか、林産業労働部長に御所見を伺います。  次に、諏訪地域におけるしあわせ信州創造プラン2.0の総括についてお伺いします。  しあわせ信州創造プラン2.0におきましては10圏域ごとに地域ごとのプランが記載されているわけですが、大枠は代表質問でお聞きしていますので、今回は当方の地元である諏訪圏域の項目の中から幾つかの質問をさせていただきます。  諏訪地域の特徴といたしましては、諏訪湖、八ヶ岳を有する自然環境があり、古くは縄文文化が栄えたところであり、本年は諏訪大社御柱祭が開かれる年でございますが、諏訪大社を中心に、歴史、伝統文化も数多く有する地域であります。産業といたしましては、主に戦前は製糸業を中心に栄え、戦後は精密機械産業に徐々に移行し、現在も多くの製造業を中心とした中小企業が存在しております。こうした製造業が地域の雇用を支え、また、地域の人材によってこうした製造業が支えられているという事実もあるかと思います。  一方で、諏訪地域においても若者や人材の流出は例外ではなく、地域の産業を支える人材の確保と産業構造の変化とともに、中小企業の多くも積極的にAIやIoTの導入に取り組んでいかなければなりません。幸い、諏訪地域には公立諏訪東京理科大学をはじめとした工学系の教育機関があり、こうした教育機関から地域産業を支える人材をこれまで以上に積極的に輩出する必要があると考えます。  そこで、地域計画の重点政策では、「地域を支える人材の確保・育成」として、公立諏訪東京理科大学、信州大学諏訪圏サテライトキャンパス、岡谷技術専門校、地域企業などとの連携による教育、訓練、研修の推進があるわけですが、これまでの成果と今後の課題、これからの取組について、林産業労働部長にお伺いいたします。  また、産業構造の変化とともに、新たな成長分野への積極的な参入も今後より一層力を入れていかなければならないことであり、こうした新たなる分野への参入を促し、そのためのフォローを県としても積極的に行い、地域産業の活性化につなげていただきたいと考えるわけです。  県は、これまでも国際戦略総合特区や工業技術総合センターを活用し、航空・宇宙、医療・ヘルスケア等の成長分野への参入促進を図ってきたと思いますが、これまでの進捗と課題、計画策定時との外部環境の変化をどう捉えて次の計画に落とし込むか、所見を林産業労働部長にお伺いいたします。  次に、広域連携の在り方についてお伺いいたします。  御存じのとおり、諏訪地域においては、平成の大合併において合併に至らず、現在も6市町村が存在しています。どの市町村においてもそれぞれの歴史や伝統文化があり、アイデンティティーが明確にある地域だと思います。  一方で、地域住民の生活圏は、当然ながらそれぞれの市町村だけでなく、圏域内や圏域外へ生活の範囲は広がっています。また、諏訪湖や八ヶ岳、霧ヶ峰、白樺湖、富士見高原といった日本有数の観光地が多数近い距離にありながら一体的にセールスができていないことは、これまでも言われ続けているところです。  ここでは、市町村合併の是非は別としまして、まずはそれぞれの市町村のアイデンティティーをしっかりと残しながらも、観光振興や地域公共交通の確保に向けた取組など、地域の振興に当たっては市町村間の連携が欠かせないわけですが、こうした連携に当たり、県により積極的な関与を望むわけですが、次の計画において県としてどのように関わっていくのか。また、これまでの連携における成果や課題についてどのように分析しているのか。伊藤企画振興部長にお聞きします。  次に、地域の利便性の向上についてお伺いいたします。  諏訪地域から首都圏へのアクセスは、現在、鉄道ですと、あずさを利用して2時間から2時間30分程度であります。これが速いか遅いかはおのおの利用者の目的によると思いますが、長野駅から東京駅へのアクセスと比較しますと最大で1時間程度の差があります。引き続きあずさの諏訪圏域へのアクセス数は維持をしつつ、将来的には、山梨からリニアに乗り継ぎ、首都圏へ向かうアクセス方法も大いに期待ができるところであります。  そこで、リニア中央新幹線の開業に合わせた諏訪圏域からリニア中央新幹線山梨県駅(仮称)へのアクセス手段の確保、中央東線の利便性向上、道路網の構築は、諏訪圏域の生活や企業活動など地域の振興に大きなメリットを生むものであると思いますが、どのように構想し、取り組んでいるのか。また、これらの整備により諏訪圏域から首都圏への移動時間はどの程度短縮される見込みか。見解を斎藤リニア整備推進局長にお聞きします。  今般の新型コロナ対応や災害を踏まえ、次期5か年計画では、地域計画により一層重点を置いていいのではないかと考えます。地方の時代とよく言われますが、それは、まさに地域の時代であるわけです。地域計画策定に当たって、各地域が本当に望む声を反映すべきと考えますが、そうした声を聞く場をどのように設け、地域計画に落とし込んでいくのか、次の総合計画においてもより一層地域の計画に力を入れるべきと考えますが、思いを阿部知事にお聞きします。  続きまして、農業の担い手確保育成についてお伺いいたします。  長野県は、日本の原風景といえる農村に広がる美しい農地、地域に伝わる農村文化や郷土食など誇れるべき資産を多く有しています。農業は、私たちの生活に欠かすことのできない安全で安心な食を供給する重要な産業であります。長野県の農業農村総生産額は近年3,000億円を上回る規模で維持し続けており、国民が欠かすことのできない農畜産物を安定的に供給する責任を果たすとともに、長野県としての地位を維持しております。  しかしながら、昨年度国が公表した2020年農林業センサスによりますと、2015年からの5年間で県内の基幹的農業従事者が7万3,467人から5万5,516人と、実に24.4%の約1万8,000人も減少しており、全国の減少率22.4%に比べても大きな減少幅となっています。5年でおよそ4分の1が減少しており、また、65歳以上の高齢者の割合もついに7割を超えるという状況になっており、農業の担い手不足の深刻さがさらに増していると感じているところです。  県が平成29年度に策定した第3期長野県食と農業農村振興計画では、基本目標の一つとして「次代を担う経営体の育成と人材の確保」を掲げ、新規就農者の年250人の確保を目標としていますが、近年の人口減少社会の進行や企業の働き方改革、定年延長等の中で、農業者の高齢化と併せて農業継承が思うように進まない状況もあり、担い手不足は急速に進行しております。今後も農地を守り農業生産を維持していくためには、農業の担い手の確保育成は最も重要な課題であると考えます。  そこで、県が来年度から新たな担い手施策として実施する農業法人の従業員の独立支援及び信州農業エグゼクティブМBA研修は、どのような内容で、これによりどのような担い手を確保育成していくのか、農政部長に伺います。  現在第6波となっている新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活の様々な部分に思いがけない影響や変化を与えております。総務省が1月28日に発表した2021年の住民基本台帳の人口移動報告によりますと、東京23区では、区外や他県へ転出した人は23区内に転入した人より1万4,828人多く、データのある2014年以降初めて23区外への転出が超過となっております。  また、国土交通省が令和2年6月に首都圏在住者を対象に実施した地方暮らしに関するアンケートでは、都市部と地方部のどちらにも生活拠点を持つ2地域居住に関心を持つ者の割合が4割を超えております。新型コロナ禍において、感染防止の観点から、政府や企業による在宅勤務の推奨など働き方の大きな変化とともに、デジタル化の進展もあり、都会に住む必要性に疑問を感じる方も増え、豊かな自然環境の中で生活したいなど都会生活とは違った価値観を求め、地方回帰の流れが加速していると感じます。  こうした中で、長野県は、移住したい都道府県ランキング16年連続1位にある人気県であり、移住を希望される方の自然や農業という長野県のイメージも強いことから、長野県への移住を検討されている方は、自分で野菜を栽培して食べたいと考える方も多く、農業は移住者獲得の強力なフックになると考えています。  私の住んでいる茅野市では、10年以上前から、市役所や商工会議所、市内の不動産会社が連携し、移住希望者の茅野暮らしを応援するため、田舎暮らし楽園信州ちの協議会を設立し、情報提供や移住相談会等を積極的に展開してきております。現場では、一昨年からの新型コロナ感染拡大で地方移住ニーズが高まっており、現地に相談に訪れる方も増加しているとのことです。不動産業者は、感染拡大を防止するため、自家用車で来訪されるお客様のみ対応するなど工夫して対応しておりますが、眺望のよい場所では不動産物件が足りない状況も出てきていると聞いております。やはり農地つきや農業のできる広い土地つきのような物件が人気とのことです。  そこで、コロナ禍における地方回帰の流れをチャンスと捉え、半農半Xなども含めた多様な人材を農村や農業生産に呼び込む取組を県としてどのように推進していくのか、農政部長にお伺いします。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)4点、順次お答えいたします。  初めに、これまでのコロナ対策の評価と、今後どのように生かしていくか、所見のお尋ねをいただきました。  コロナ禍における経済対策については、いわゆるゼロゼロ融資等の資金繰り支援に加え、国の持続化給付金や雇用調整助成金、県の特別応援金など各種給付金制度により経営、雇用の下支えを行ってまいりました。  他方、消費喚起策としては、信州プレミアム食事券や信州の地酒おトクーポン、観光関連の宿泊・日帰り割引を実施しており、さらに、地域の実情に対応できるよう、累計で約70億円を超える市町村交付金による給付金の支給や需要喚起策を実施していただいているところであります。  こうした中、昨年12月現在の有効求人倍率は1.38倍と、一部に弱い動きが続くものの、改善傾向にあり、資金需要は今年度1月末までの保証承諾金額が前年度同期比23.5%と落ち着いている状況にあります。また、令和3年中の倒産件数がコロナ前の状況にとどまるなど、こうした対策が一定の効果をもたらしているものと受け止めています。  しかし、第6波の長期化により、飲食業、宿泊業やその関連事業者などにおいては依然として厳しい状況にあるものと認識しており、県としては、引き続き事業者の声を聞きながら経済状況の把握に努めつつ、国の動向も踏まえ、必要な対策を講じてまいります。  次に、労働意欲の低下など問題意識と自立に向けたフォローについてのお尋ねでございます。  先ほど申し上げました支援策等により経済の下支え的な効果は現れているものの、第5波における国の月次支援金と県の特別応援金の受給者が約2万者に及んでいる上、直近1月の雇用調整助成金の申請が2,891件、休業支援金給付金の申請が3,165件と依然と高い数値になっております。また、第6波においては、まん延防止等重点措置が適用され、経済に対する影響が長期化しておりますので、一日も早く収束しコロナ以前の状況に戻るよう、できる限りの支援策を講じているところであります。  自立に向けた具体的なフォローでございますが、まず資金繰りの支援につきましては、今後の返済期を見据え、借入れ済みの新型コロナウイルス感染症対策資金に係る償還条件の緩和、同一金融機関における信用保証付融資を一括で借換えできる経営健全化支援資金(新型コロナ向け伴走支援型)を創設し、返済負担の軽減を講じてまいります。また、県独自のプラス補助金第2弾により、中小企業の新分野展開や持続可能な事業展開のための設備投資を支援してまいります。このほか、県産業振興機構に開設予定の経営改善支援センターにおいて、外部専門家による資金繰りや採算管理などを図る経営改善計画の策定支援も行ってまいります。  次に、地域を支える人材の確保育成に関して、取組の成果と今後の課題についてでございます。  諏訪地域では、ものづくり産業をはじめ、地域の将来を担う人材の確保育成のため産学官金が連携して様々な取組を行っております。県岡谷技術専門校では、卓越技能者による在職者訓練に加え、エプソン情報科学専門学校等に委託してIT関係の国家資格の取得と正社員就職を目指す長期高度人材育成コースを実施しております。また、諏訪圏ものづくり推進機構と県の共同講座「信州ものづくり革新スクール」では、5年間で82人の技術者、経営者を輩出しており、信州大学諏訪圏サテライトキャンパスと岡谷市が協働で取り組むエンジニアの教養講座では、7年間で969人がSDGsやデジタル技術などを学んでおります。  他方、諏訪圏ものづくり推進機構と諏訪信用金庫が主催した諏訪東京理科大学と企業を結びつけたコンテストでは、学生たちから画像処理技術やAI技術を活用したアイデアが提案されるなど、若手起業家の育成や企業の生産性向上につながる取組も行われています。  こうした地域連携による人材育成の取組は、イノベーションの創出、起業や創業の原動力ともなると受け止めておりますが、課題としては、諏訪管内の12月の有効求人倍率が1.46倍となるなど、依然として人材不足にあり、若手人材の確保や業種を超えた人材移動を促すことが必要であると認識しております。今後とも、こうした地域課題に対応できるよう、産業界や市町村とも連携し、政策づくりに向けた検討を重ねてまいります。  最後に、成長分野への参入促進の進捗と課題、次期計画策定についてのお尋ねです。  成長分野への参入促進については、分野ごとにビジョンを策定し、産学官連携により取り組んでいます。  航空機分野では、経済産業省やJAXA等とも連携し、工業技術総合センターの技術支援に加え、エス・バードによる性能評価や販路開拓等の支援を行っています。同分野に取り組む企業数は、平成28年度の57社から令和2年度には86社へ増えましたけれども、需要回復期までの経営支援が課題となっています。  一方、医療機器分野では、県テクノ財団や信州大学、諏訪圏ものづくり推進機構等と連携し、内視鏡関連の機器開発や人材育成等を支援しており、医療機器の製造所数は平成23年度の92所から令和3年には123所へ増加しております。  食品分野につきましては、しあわせ信州食品開発センターを中心に支援しており、出荷額は平成27年の7,040億円から7,363億円まで増えてきた一方で、本県の強みである発酵長寿ブランドの定着向上にはさらなる発信力の強化が必要と考えております。  次期計画につきましては、サプライチェーンの強靱化や脱炭素への対応、デジタル化への推進といったイノベーション戦略も見据えつつ、中小企業振興審議会などの場で御議論をいただく予定です。  以上でございます。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)令和3年度の法人2税の状況についての御質問でございます。  令和3年度の法人2税につきましては、製造業を中心に企業業績の回復が見られることから、当初予算比で43.9%増、191億円余の増収となる627億7,000万円余を見込んでいるところでございます。  業種別でございますが、製造業の中でもテレワークによるOA・通信機器などの需要増による電機、産業用機械・ロボットの需要増などによる機械、こういったところが特に好調となっております。また、非製造業にあっても、円安基調による外国為替益などがあった金融や、コロナ禍での巣籠もり需要を取り込んだ小売・卸売業が伸びているところでございます。  一方で、コロナ禍における人流制限などにより、運輸や飲食・宿泊業を含むサービスが低調になっているという状況でございます。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)諏訪地域の市町村間連携、それから県の関わりの成果や課題についてというお尋ねです。  諏訪地域におきましては、全6市町村が出資いたします第三セクターであります諏訪広域総合情報センターが住民票の発行や課税業務などの情報処理を行っております。また、諏訪広域連合が介護保険の保険者となるなど広域的な結びつきが強く、その連携によりまして効率的な業務遂行につながっているものと考えております。  県は、市町村と連携して、諏訪湖創生ビジョンの推進や諏訪湖周サイクリングロードの整備などに取り組んでおり、諏訪湖の水環境保全や諏訪湖を生かしたまちづくりに関して一定の成果が上がっているものと考えております。  ただ、地域公共交通の確保や御柱や諏訪湖など以外の地域資源の活用などにつきましては、県と市町村が連携をさらに深めながら取組を強化していく必要があると考えております。このため、県が全市町村、また、全交通事業者と立ち上げました公共交通活性化協議会の諏訪地域部会におきまして、1月から諏訪地域の交通の在り方について議論が始まったところであります。  また、昨年12月には、諏訪地域振興局が八ヶ岳、霧ヶ峰の魅力を生かした地域づくりに向けたタウンミーティングを開催いたしました。これは、諏訪東京理科大の教授をファシリテーターにして、管内の市町村職員、それから企業や団体と意見交換をしたのですけれども、このタウンミーティングは来年度も引き続き実施する予定としております。いただいた御意見は次期総合5か年計画の諏訪地域計画を策定する際の参考としてまいります。  今後とも、地域振興局を中心に、市町村と方向性を共有し、連携しながら諏訪地域の振興に取り組んでまいります。  以上です。       〔建設部リニア整備推進局長斎藤政一郎君登壇〕 ◎建設部リニア整備推進局長(斎藤政一郎 君)諏訪圏域からリニア中央新幹線山梨県駅へのアクセス手段確保に関する取組についてのお尋ねでございます。  県では、リニア活用基本構想において、諏訪、木曽、松本地域などの県中央域をリニア3駅活用交流圏と位置づけ、山梨県駅をはじめとする3駅を活用した交流拡大や広域観光の推進、通勤・通学圏の拡大や、移住、2地域居住の促進などにつながるアクセス手段の確保などに市町村や民間等と連携して取り組むこととしております。  リニア山梨県駅の立地は中央東線の甲府駅からは約7キロメートル離れておりますが、一方で、隣接する中央自動車道と直結し、スマートインターチェンジが整備される予定です。このため、諏訪圏域とは自動車や高速バス利用による乗換えが中心になると想定されますが、現時点では、首都圏までの時間短縮は、特急あずさと比較しまして30分から60分程度の幅があると見ておりまして、アクセス手段が具体化する中で変動していくと考えております。  県としましても、諏訪市、岡谷市とともに、仮称諏訪湖スマートインターチェンジのアクセス道路及び接続する主要地方道諏訪辰野線のバイパス整備を進め、諏訪地域から山梨方面への高速道路によるアクセス機能の向上に取り組んでいるところです。  今後も、リニアの整備効果を広く県内に波及させるため、関連する道路整備事業の促進を図るとともに、山梨県をはじめ関係自治体等と連携し、交流の拡大やアクセス手段の確保、利便性の向上などにさらに取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、次期総合計画策定に関して、地域計画策定についての取組と思いという御質問をいただきました。  現行のしあわせ信州創造プラン2.0策定に際しましては、地域振興局が主体となって、市町村はじめ多くの皆様と意見交換を重ねながら、10の広域圏ごとに独自性を持った地域計画を策定したところであります。  次の総合計画の策定におきましても、地域の皆様方の思いをできるだけ反映した計画にしていくということが重要だというふうに思っております。そうした観点で、地域の様々な分野で活動している方々から御意見をお聞きする地域懇談会を3月から行っていきたいというふうに思っております。こうした取組をはじめ、様々な機会を通じて県民の皆様方と意見交換を行っていきたいと考えております。  その上で、10の広域圏ごとに地域振興局長が中心となって地域戦略会議を主催してまいります。現地機関の長や市町村長等が意見交換を行っていただく中で、各地域の目指す姿や取組の方向性など共に検討して策定していく形を取っていきたいというふうに思っております。  長野県は、それぞれの地域に独自の歴史や文化、個性があるわけであります。こうした各地域が持つ個性を生かしながらそれぞれの地域が発展していくということが県全体の活力や魅力の向上にもつながるものというふうに考えております。そういう観点で、地域振興局を中心として、市町村、関係団体の皆様方ともしっかりと連携、協働しながら計画策定を行うとともに、計画策定後も方向性を共有して取り組んでいくことができるような計画になるよう取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には、農業の担い手につきまして2点御質問をいただきました。  初めに、次年度の新たな担い手対策の内容等についてでございます。  高齢農家の離農や新規就農者の減少が進む中、担い手の確保育成は喫緊の課題であることから、来年度は、従来の担い手対策に加え、即戦力となる担い手の確保と大規模農業法人の育成を図る、議員お話しの二つの新たな取組を行うこととしております。  農業法人の従業員の独立支援では、長野県農業法人協会の協力の下、従業員の独立に意欲的な法人と連携し、基礎的な経営スキルを習得する勉強会の開催や農地の確保支援などにより、法人就農後おおむね5年程度で円滑に独立就農できる仕組みを構築し、即戦力となる担い手の確保を図ってまいります。  また、信州農業エグゼクティブМBA研修では、売上高おおむね1億円の意欲ある若手農業経営者を対象に、農業の視点だけでなく、企業経営に必要な多角化や資金調達、人事評価などのスキルを身につけるための講座を開設し、将来、売上げ10億円以上の大規模農業法人の育成を目指してまいります。これらの取組により、地域農業のみならず、県農業を支える担い手の確保育成を強化し、本県の農業生産の維持発展につなげてまいります。  次に、多様な人材の農村等への呼び込みについてでございます。  県では、令和元年度に農ある暮らし相談センターを設置し、専任のアドバイザーによる相談活動や、市町村等と連携した体験セミナーの開催などを通じて、農ある暮らしへの誘導、実践をサポートしております。  今年度は、農ある暮らし実践者の確保に向けてガイドブックを新たに作成したほか、楽園信州ちの協議会や宅建業協会などと連携して初めて開設しました信州農ある暮らし農園では、全ての区画が移住者と2地域居住者に利用されるなど、好評を得ているところです。  来年度は、信州農ある暮らし農園を県内各地に増やすため、市町村への開設を働きかけるとともに、SNS等による魅力発信の強化、銀座NAGANOにおけるセミナーや農ある暮らし見学会の開催など新たな取組を加え、農業・農村への多様な人材の呼び込みを一層進めてまいります。  以上でございます。       〔9番丸茂岳人君登壇〕 ◆9番(丸茂岳人 君)もろもろ御答弁いただきました。  コロナ禍における経済対策は、多額のお金を投入して県民の暮らしと県内企業を下支えしてまいりました。全世界において同じように経済対策を打ち続けたこともあり、何とかこの2年間、大きな経済危機に見舞われず過ごすことができたという事実もあると思います。しかし、こうした経済環境もどこかで終わりを迎えるわけですので、新しい局面を迎えたときに全力で走り出せるための準備も必要かと思います。  これからの長野県の方向を決めていく指針となるしあわせ信州創造プランの次の計画においては、自民党の代表質問にありましたとおり、将来の県民の幸せにつながるものであっていただきたいと思うと同時に、より地域目線を重視した地域住民の幸せに直結するものであってほしいと思います。この2年で見えてきた課題やこれから大きく変わっていく生活環境を考慮しつつ、計画に落とし込んでいただきたいと思います。  農業は、長野県にとって暮らしの一部であり、地域の産業の根幹の一つです。昨今の世界環境を見渡してみても、働き手を確保することで地域の食料をしっかり守っていくことが今後より一層重要になると思います。地方回帰を機に、新しい暮らしのスタイル、農業のスタイルを確立し、地方創生につなげていきたいと思います。  マスクをせずに生活していたことがはるか昔のことのように感じますし、本当に2年前の日常に戻るのかなと思うことさえあるわけですが、目前まで来ている夜明けを見据え、あらゆる面で次の一手を打ち続けることが県勢発展につながっていくことを確信いたしまして、一切の質問を終えます。 ○議長(宮本衡司 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ○議長(宮本衡司 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明2日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時51分延会...