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令和 4年 2月定例会本会議-02月25日-04号

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  1. 長野県議会 2022-02-25
    令和 4年 2月定例会本会議-02月25日-04号


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    令和 4年 2月定例会本会議-02月25日-04号令和 4年 2月定例会本会議 令和4年2月25日(金曜日)  出席議員(56名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 清水正康    30 番 小池久長   5 番 加藤康治    31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦    32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜    33 番 石和 大   8 番 大井岳夫    34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人    35 番 山岸喜昭   10 番 花岡賢一    36 番 小島康晴   11 番 池田 清    37 番 小林東一郎   12 番 熊谷元尋    38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆    45 番 垣内基良   20 番 共田武史    46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔    47 番 高村京子   22 番 髙島陽子    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   54 番 本郷一彦    56 番 服部宏昭   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内  出席議員(1名)   53 番 平野成基         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     農政部長      小林安男   副知事       関昇一郎     林務部長      井出英治   危機管理部長    中村宏平     建設部長      田下昌志   総務部長      玉井 直     公営企業管理者   県民文化部長    中坪成海     企業局長事務取扱  小林 透   県民文化部こど            財政課長      矢後雅司   も若者局長     野中祥子     教育長       原山隆一   健康福祉部長    福田雄一     教育次長      今井義明   産業政策監兼産            警察本部長     小山 巌   業労働部長     林 宏行     監査委員      田口敏子   産業労働部営業   観光部長      渡辺高秀         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡     議事課担当係長   矢島修治   議事課長      百瀬秀樹     総務課課長補佐   川村亜由美   議事課企画幹兼   丸山俊樹     兼庶務係長   課長補佐               総務課担当係長   青木武文   議事課課長補佐   蔵之内真紀    総務課主任     宮坂祐輝   兼委員会係長         ───────────────────  令和4年2月25日(金曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。  次に、平野成基議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、酒井茂議員。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)皆さん、おはようございます。伊那市選出、酒井茂でございます。私は、今回は教育と産業の2項目について質問させていただきます。  まず、高校改革と高校再編についてであります。この件につきましては、今議会に議案が提出されているところであります。  さて、長野県は、学びの県の実現を目指しまして、学校教育の振興や生涯学習の推進などを図るために様々な施策を展開しているところであります。学校教育におきましては、変わることが当たり前の時代にありまして、子供たちが夢の実現に向けて挑戦していくことを目指しているところであります。  さて、高校改革、高校再編につきましては、地域や県民の皆さんの関心が非常に高いものがあります。したがいまして、高校改革の目指すものや必要性などにつきまして、地域や県民にしっかりと理解を得る必要があると考えているところであります。当然のことといたしまして、主人公であります高校生にとって高校改革はどうあるべきかという視点が議論の中心に据えられなければならないというふうに考えるわけであります。  高校改革の議論の中で、今がよければよいとする考えもありますが、私はこれは適当ではないと考えるところであります。今の社会経済状況というものはいつまでも続くものではなく、少なくとも50年先を見据えた改革でなければならないというふうに考えるものであります。県教委で新しい高校の在り方について内部検討を始めたのが2013年であります。9年経過しているわけであります。県教委の慎重な姿勢をうかがうことができると思います。  私は、これまで3回にわたりまして、高校改革、高校再編について、考え方、進め方などにつきまして一般質問を行ってまいりました。県教委は、これまで高校改革に係る手続を進めてまいりましたが、丁寧に進めていると感じております。何度も関係地区に出かけて県教委主催の説明会を開催したり、同窓会等からの要請に基づいて説明会や意見交換会を開催したりするなど、積極的に対応しておると思います。私は、これらの場に何度か出席いたしましたが、県教委の高校再編推進室をはじめ関係の職員の皆さんは理解を得るための努力をしているというふうに思います。時には、ごく一部の出席者から罵声を浴びながらも、じっと我慢して対応する姿を目にしたこともありましたが、紳士的な態度に敬意を表したいというふうに思います。  さらに、新校の再編実施計画を策定するに当たって、地域の声を反映するための再編実施計画懇話会を設置した地域におきましては、民主的な会議運営を行っております。伊那北高校伊那弥生ケ丘高校を統合する伊那新校に係る懇話会は、令和2年11月に設置され、精力的に協議を重ねており、真摯に前向きな議論をしております。懇話会での協議内容につきましては、県教委としてもしっかりと受け止め、新校の教育方針等に生かしていかなければならないと考えます。  教育は百年の大計とも言われますが、新校として統合する両校は、共に100年余の歴史を有する地域の中核校でもあり、両校の歴史や伝統を生かしながら次の100年に向けて輝き続ける高校を目指してスタートすることが期待されているわけであります。  上伊那地域におきましては、区域外に高校生が流出している現状があり、これを解決するためにも、1年も早く魅力ある新校を開校し、区域外に流出している現状を解消する必要があると考えます。変わることが当たり前の時代にあって、これからの高校には、新たな時代にふさわしい人材を育てていくことが求められております。特に、伊那新校には、一つとして医師等の医療人材、二つとして国力を高めるための学術や企業、行政等におけるリーダー的な人材、三つとして地方創生のための今後の地域を担う人材、四つとして自ら起業できるような意欲と創造力のある人材などを育てていくことが期待されております。  一方、新校の敷地となります伊那北高校の現在の校舎等の施設を見ますと、最も古い校舎は昭和33年に建築され、耐用年数の60年を上回る64年が経過するなどかなり老朽化が進んでおり、新校の施設として利用できるものはほとんどないと考えます。伊那北高校同窓会では、10年以上も前から老朽校舎の早期の改築を県教委に要望してきましたが、県教委からは、高校再編に伴い施設整備をする以外に改築は行わない旨の回答が繰り返されてきたのであります。  そこで、教育長に以下4点お聞きいたします。  一つ目。伊那新校の開校時期は2028年とされておりますが、これに至る今後のスケジュール、募集定員や学科名などの基本的事項の決定時期、また、基本設計、実施設計、工事期間等をどのように想定しておられますか。  二つ目。伊那新校の募集学級数は8学級とされておりますが、上伊那地域では地域外に高校生が流出している状況の中で、現在の両校を合わせた12学級から4学級減らすことにより流出がさらに進むのではないかと憂慮されております。新校の学級数については地域や高校生が納得できるものとなるよう慎重に検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。  三つ目。県教委として伊那新校はどのような高校を目指しますか。また、どのような生徒の育成を目指す方針でしょうか。  四つ目。現在の伊那北高校の校舎等は老朽化していることから、伊那新校の校舎等は全面的に新設すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、新校の校地、敷地について質問いたします。  伊那新校の校地については、再編実施計画懇話会校地検討部会において検討されましたが、最終的に伊那北高校の校地とすることが望ましいとの結論が出されました。選定の理由は、校地を選定する上で最優先すべき項目は、全校生徒がその優位性を享受できるように敷地の広さを優先すべきである。両校の敷地面積を比較すると伊那北高校の敷地のほうが広いため、伊那北高校の校地とすることが望ましいとしております。  一方、再編に伴う新校の校舎面積に関して、県教委が設置しております県立高校学習空間デザイン検討委員会では、次のような議論がされております。  一つ目。普通教室については、小学校でも大きさが以前より大きくなっている。県から提示された整備基準のままでは高校の教室としては小さいのではないか。  二つ目。普通教室等に加え、新しいアクティブラーニング等の空間を整備するには、最低面積の1.2から1.4倍程度を確保することが必要としております。  これに加え、地域連携に係るスペース等も考慮いたしますと、現状の校舎の建築面積より広い面積が必要となります。さらに、校舎や屋内運動場、グラウンド、職員駐車場等の施設の最適な配置を行うことも考慮いたしますと、伊那北高校の現在の敷地面積は新校としては不十分と考えます。  そこで、教育次長に2項目お聞きいたします。  一つ目。伊那新校の再編実施計画懇話会における校地選定に係る検討内容等は具体的にどのようなものでしたか。  二つ目。これからの高校における望ましい施設の在り方を考慮いたしますと、教室等の面積を増やす必要があり、再編に係る新校の建築面積は現状より増加させる必要が生じます。新校における施設等の最適な配置を行う上でも、伊那新校の校地となる伊那北高校の敷地は拡張する必要があると考えますが、いかがでしょうか。  次に、新校の校名について質問いたします。  再編後の新校に係る重要な検討事項として校名の決定があります。伊那新校の名称を検討するに当たっては、両校の校名の歴史的な経過を考慮しなければなりません。  戦後の学制改革によりまして、伊那中学校伊那北高校となり、伊那高等女学校伊那南高校となりました。後に伊那南高校伊那弥生ケ丘高校に改められました。当時、伊那北高校では伊那高校の名称を希望しましたが、伊那南高校からクレームがつき、やむなく伊那北高校にしたと伊那北高校同窓会の記念誌に記述されております。当時は、長野県軍政部の意向によりまして、新制高校の名称は原則として所在する土地の名称とし、同じ土地に複数校が存在する場合には東西南北など平等な感じの名称をつけることとされました。伊那北高校伊那南高校の名称もこれに従ったものであります。  これまでの県内の高校再編に伴う新校の名称について、いまだに名称に不満を持つ関係者もあると聞きます。こうしたことからも、校名の決定は非常に難しい作業であると考えます。私は、県立高校に関しては、名前を聞いただけでどこに所在しているのか容易に想像できるように、地域の名称を使うとともに、シンプルな名称が望ましいと考えます。私は、令和3年2月議会で新校の名称に関して一般質問を行い、県教委において名称検討委員会を設置して検討すべきことを提案したところであります。  そこで、教育長にお聞きいたします。  再編に係る新校の名称は、再編実施計画懇話会が検討するには負担が大きいため、県教委におきまして名称の検討組織を設置して検討することを再度提案いたしますが、いかがでしょうか。  次に、再編に伴う伊那弥生ケ丘高校の跡地利用について質問いたします。  同校の敷地は、103年前に上伊那郡が取得したものであります。当時は、地域の大変な負担と苦労の上に敷地を確保したものであり、再編に伴う跡地の活用については地域の理解が必要であり、慎重でなければなりません。  また、同校は、多くの有為な人材を輩出するとともに、同窓生が青春を謳歌した大切な学びやであることからしても、同窓生や関係者、さらには長きにわたり温かく見守ってきた地域の皆さんの心情にも十分配慮する必要があります。  さて、高校の近くには、長野県伊那文化会館、市民体育館、市陸上競技場都市計画公園市防災コミュニティセンターなどの公的な施設が立地しております。これらの施設では広域的なイベントが頻繁に開催をされておりますが、来場者の駐車場の不足が大きな課題となっております。時には複数の大規模イベントが同時に開催され、主催者が駐車場の確保に苦労しております。また、体育館、防災コミュニティセンター陸上競技場等は、長野県広域受援計画における広域防災拠点の一つであり、伊那・飯田ゾーンの中心的な施設に位置づけられております。これらの施設を含む一帯は、大規模災害時には、消防、警察、自衛隊などの関係車両や機材等が集結することも予想されます。大規模災害の発生も想定いたしますと、高校の跡地はできるだけオープンなスペースとして確保し、土地を弾力的かつ有効に利用できるようにしておくことが適当と考えます。  そこで、教育長にお聞きいたします。  再編後の伊那弥生ケ丘高校の跡地は、県伊那文化会館をはじめ周辺の公共施設の駐車場用地として、また、大規模災害発生時における長野県広域防災拠点に係る用地として有効利用することが可能と考えますが、県教委では今後どのような方針を持って検討を進めますか。また、伊那弥生ケ丘高校の跡地は、高校が存在したことを将来にわたって残し、同窓生が集える場所とするためにも、メモリアルパーク的なミニ公園を整備することを提案いたしますが、いかがでしょうか。  以上で大きい1項目めの質問といたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)伊那新校についての御質問でございます。  まず、伊那新校の開校に係る今後のスケジュールについてでございますが、公立高校の募集定員につきましては、毎年度生徒募集前に教育委員会定例会で決定しておりまして、伊那新校の募集定員は開校前年度の令和9年度に正式に決定することになります。  また、学科等の名称につきましては今後の教育課程の編成に合わせて検討していく事項でございまして、開校前年度の令和9年度までに教育委員会定例会において決定する予定でございます。  次に、施設整備の所要期間につきましては、基本計画、基本設計、実施設計の設計関連業務におおむね3年間、工事関連業務におおむね3年程度と想定しているところでございます。  伊那新校の募集学級数でございますけれども、令和10年度に開校する予定の伊那新校の募集学級数は、今後の上伊那地域中学校卒業予定者数の減少などを考慮しまして、現時点では8学級程度を想定しているところでございます。  旧第8通学区は、伊那新校をはじめ、専門学科高校の再編や総合学科高校の新設など新しい魅力ある高校配置を進めていることから、伊那新校の募集学級数については、入学希望者の動向などを総合的に判断し、募集定員に合わせ、慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。  次に、伊那新校が目指す学校像と生徒育成方針でありますが、県教育委員会としては、再編実施計画懇話会での意見交換を踏まえまして、伊那新校には、普通科のほかに、高度な探究により卓越した学びを実現する特色学科を設置していく予定でございます。新校の学校像は、大学や研究機関、地元企業、自治体などと協働した学びや文理融合した学びによりまして、自らの可能性を切り開き、夢の実現に果敢に挑戦する高校を目指していきたいということでございます。  生徒の育成方針としては、探究を核とした学びを通して自己実現と社会貢献を目指す生徒の育成、他者との協働を通して多様な価値観を共有し人間性を育み、自主的な活動や創造的な活動を通して主体性を持つ生徒の育成を目指していくこととしているところでございます。  次に、伊那新校の校舎でございますが、伊那北高校の校舎は築60年を超える古い建物がある一方、築35年程度の建物もありまして、敷地内に新旧の校舎が混在している状況でございます。伊那新校の施設については、各校舎の状況を考慮するとともに、必要となる機能やその配置も含めまして様々な関係者や専門的知見を有する外部アドバイザーの意見を取り入れながら生徒の学びを実現するために最適な整備企画を検討してまいりたいというふうに思っております。
     次に、新校の校名検討組織の設置についてのお尋ねであります。  学校名は地域の願いや期待を込められたものであることが望ましいというふうに考えておりますので、地域との意見交換を通じて選定していくことが重要であるというふうに考えております。第1期高校再編におきましても、地域や同窓会、学校等の代表者からなる校名選考委員会を設置しながら意見交換を行い、決定してきたところでございます。  そのような観点から、現在進めている高校再編につきましては、地域の様々な方々に参加いただいております再編実施計画懇話会において意見交換をしていただくことが最適であるというふうに考えているところでございます。  校名の検討組織でございますけれども、選考の観点や方法等を含め、まずは懇話会で具体的な検討を行いまして、最終的に県教育委員会において決定してまいりたいというふうに考えているところでございます。  次に、伊那弥生ケ丘高校の跡地利用についてでございます。  未利用となる県有財産につきましては、長野県ファシリティマネジメント基本計画に定める意思決定プロセスによって検討することとされております。このプロセスでは、まず県機関での活用を検討し、その後、地元の市町村や公共的団体の活用希望を確認することとされております。利活用の希望がない場合は民間への売却等ということになっております。  伊那弥生ケ丘高校の跡地利用につきましても、ファシリティマネジメント基本計画意思決定プロセスに沿いまして、地元市町村等関係者ともよく話をしながら検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。       〔教育次長今井義明君登壇〕 ◎教育次長(今井義明 君)私には二つ御質問をいただきました。  まず、伊那新校の懇話会における校地選定の検討についてのお尋ねでございます。  校地選定につきましては、再編実施計画懇話会において、地元自治体、同窓会、学校代表などから構成される校地検討部会を設置し、検討してきたところでございます。  校地検討部会では、校地を選定する際の判断基準として、敷地、校地の広さや、駅からの距離、地域との交流の利便性など、校地選定に係る検討項目を具体的に挙げていただき、それに基づいて最終的な校地の決定を県教育委員会に委ねるという方針をまとめ、懇話会で確認がなされました。県教育委員会では、この校地選定に係る検討項目に基づき、両校の校地を比較検討し、その結果を懇話会にて報告したところでございます。  次に、伊那新校の校地の拡張についてのお尋ねでございます。  これからの高校における望ましい施設の在り方といたしまして、議員御指摘のとおり、教室の面積を増やす必要がある一方で、従来廊下と捉えていた空間などを、グループワークやクラスを超えた学習の発表など探究的な学びに使える多用途でフレキシブルな空間に転換することにより、全体の面積を調整することが可能であることが学習空間デザインの報告書の中で示されているところでございます。こうした観点も踏まえ、新校建設のための整備計画策定の中で総合的に検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)高校改革は、50年後におきましても県民から評価されるものとなるよう、引き続き地域や県民の理解を得ながら手続を進めることを要望し、次の企業誘致についての質問に移ります。  コロナ禍によりまして、県内の経済は大きな影響を受けており、今後の経済再生のための産業政策が極めて重要であります。  そのうちの重要な施策の一つとして、企業誘致があります。企業誘致は、雇用創出と税収の増加を可能にし、人口減少の緩和を図ることができます。立地企業は、土地や建物、設備に係る税や事業所得に係る税を納め、そこで働く従業員も税を納めます。継続的に事業を行うとしたら、納税の効果は絶大なものがあります。  一方、コロナ禍により、国内の産業界はサプライチェーンの脆弱性を認識し、生産拠点や調達先の多角化を模索し始めております。また、産業や人口の一極集中による課題が明らかになり、巨大地震など自然災害の発生等の有事を想定してリスクを回避したり、いわゆるBCP、事業継続計画を確かなものとするために、首都圏以外に拠点を求める動きも出てきております。さらに、新たな感染症によるパンデミックの発生を想定いたしますと、密でない地方の評価は高まることが予想されます。  こうした状況の中で、今後地方への企業立地は進んでいくものと考えられ、長野県としましても、ウイズコロナ、アフターコロナを前提として、戦略的に企業誘致を進めるべきと考えます。過去におきましては、県では、県営工業団地を造成し、企業に売却して誘致に取り組んでまいりました。これまで19団地、123区画を造成し、全ての区画が企業に活用されております。その後、県では、市町村と連携する中で誘致促進活動を行い、市町村の工業団地や市町村が仲介した土地等に立地を行っております。  私の地元伊那市では、企業誘致を行う主な手段として、かつては市が用地を企業にあっせんしておりましたが、これではスピーディーに用地を取得、造成するという企業の希望に沿うことができず、結果として誘致のチャンスを逃してしまう事例が続きました。こうした反省を踏まえて、用地は、主として市が工業用地を造成し、企業に売却するという方式に切り替えました。その結果、積極的な誘致活動を行う中で、これまで多くの企業の誘致に成功しております。  過去に行ったように県が工業団地を造成することは現実的ではないことから、今後は、土地は誘致市町村が確保する方法が適当であると考えます。県におきましては、誘致促進のために、奨励補助金の交付や税制上の優遇措置を講じてきました。この10年間の県内への誘致実績は、342ヘクタールの面積に302件となっております。誘致に係る県補助金交付額は149億円で、立地に伴う雇用人数、つまり立地効果は4,500人余りとなっております。  私は、これまでの県の誘致施策は、総合的に見て評価すべきものと考えます。しかし、企業誘致策は、誘致して終わりではありません。誘致後の企業への支援が極めて重要であります。例えば、降雪時の除雪体制の整備や、よろず相談を受ける体制の整備などが重要であります。誘致後の支援体制のいかんによっては、既存企業の留置や新たな企業の誘致に大きく影響いたします。  さて、長野県の産業構造を見ますと、他の都道府県の産業構造と異なり、生産額では製造業が圧倒的に多いことから、長野県はものづくり県と言うことができます。このため、県内の経済成長を確かなものとするには、ものづくり産業の活性化が欠かせません。優れたものづくり企業が立地する長野県に、優れた技術力を持つ企業が新たに立地し、企業間で連携する中で研究開発や技術開発を行い、これによって新たな製品を製造するための投資を行うことが可能になります。この投資によりまして、新たな雇用と税収が発生することになります。そして、長野県の製造業は、日本をリードする製造業の集積地となることができるのであります。ものづくり産業の集積は長野県の強みの一つであり、私は、製造業のサプライチェーンを強化するとともに、バリューチェーンを構築して日本の工場を目指すべきと考えます。  そこで、まず知事に以下2項目をお聞きいたします。  一つ目。長野県は製造業の集積が進んでおりますが、この強みを生かして、県として、日本の工場を目指して製造業を中心に誘致することを提案いたしますが、いかがでしょうか。  二つ目。企業誘致を行う場合、これからの時代の要請に応える業種を誘致すべきと考えますが、今後企業誘致を促進する業種としてどのようなものを想定しておられるでしょうか。  次に、産業労働部長にお聞きいたします。  誘致後の企業に対するもろもろの支援策が重要でありますが、今後市町村と連携する中でどのように対応していく方針でしょうか。  次に、企業誘致を進める上での人材の確保育成について質問いたします。  長野県では、若い世代が県外に流出している現状の中で、県の総合5か年計画では「産学官連携による人材の育成・定着を推進する」としております。企業誘致の最大の前提条件は、地域に優秀な人材があることであります。優秀な人材が確保できなければ、企業は立地を諦めてしまいます。また、企業は、地域に多くの優良な企業があることや、製品や技術開発等で連携できる企業、研究所や大学があることなどの面も重要視しております。優秀な人材が地域に定着していることが重要でありますが、若い年代の人材、特に女性が定着していることが重要であります。  私は、令和3年6月議会で一般質問を行い、長野県では若い女性の県外流出が顕著であり、これが人口の減少や少子化を招いている主な原因となっている。このため、若い女性に選ばれる長野県にしなければならないことを指摘したところであります。  よく耳にすることといたしまして、県内には若い女性が働ける場所が少ない、出産や育児との両立ができるのか不安である、さらには、仕事を通じて自己実現ができるのか分からないといったものがあります。多くの女性は、就職後においてキャリア形成を図ることを望んでいることから、女性に対するキャリア支援が非常に重要であります。  しかし、県内企業がこれに対して意欲的に取り組んでいる姿勢が見えないと感じます。このため、女性の就職や仕事に対する不安を取り除くための積極的な情報発信が必要であります。一方、女性が子育てをしながらでもやりがいのある仕事に就けるように、小さい事業を自ら起業する場合の支援も有効と考えます。  私は、産業人材の育成確保の面で、産業政策と教育政策の連携が重要と考えます。医療現場において医師、看護師等の医療人材が不足している中で、教育の現場で医療人材の育成に無関心でいたのでは人材不足は解消されないことを想定する必要があります。  大きい1項目めで取り上げました高校改革は、産業人材を育成確保する上でも大変重要であります。さらに、地域を担う人材を育成する上では、キャリア教育の役割は大きいと考えます。上伊那広域連合が行っております郷土愛プロジェクトは、他の地域も参考となる取組であると考えます。人材確保のために県内大学の卒業生の県内就職を促進することが重要であります。現在、県内就職率は50%であり、さらに増やしていく必要があります。  私は、令和3年2月議会で一般質問を行い、長野県立大学の中期計画に卒業生の県内就職率の目標を掲げておらず、県立であるという特殊性も踏まえると、中期計画に目標を掲げるべきことを提案したところであります。これに対する県民文化部長の答弁は、令和4年に初めて卒業生が就職するので、この状況を見て検討するというものでありました。  一方、産業人材を輩出する教育機関として、県立南信工科短大があります。この短大は、ものづくりのスペシャリストの育成を目指しまして、平成28年に信州大学農学部のキャンパス近くに開校いたしました。卒業生の就職率は100%であり、就職者の企業における評価は非常に高いものがあります。実習におきましては、地元企業による技術指導を受けることができ、また、短大の設備は最先端のものが用意されております。  短大は2学科制で、就業年数は2年、定員は各20名でありますが、現在入学生が定員に達していないという課題があります。定員割れの理由は、特に南信地域の高校の先生や保護者に短大の魅力が正しく理解されていないことにあると考えるものであります。地域の企業から様々な面で支援を受けながらこうした状況にあることは大変残念であり、入学者の獲得に真剣に取り組まなければならないと考えるものであります。  さて、新年度予算案に奨学金返還支援制度導入企業に対する支援事業を周知するための経費が盛り込まれております。運用開始は令和5年度となっております。  これに関して、私は、平成28年2月議会で一般質問を行い、大学生等の県内就職を促進するために奨学金の返還時に支援する制度を創設することを提案したところでございます。提案から7年経過する再来年度に県が奨学金に関する制度を創設することは大いに評価するものであり、この制度は大学生の県内就職率の向上につながると考えます。私は、県内の強い産業が企業立地を促進し、立地が優秀な人材の定着を促進し、人材の定着が県内産業をさらに強くするという、言わば好循環を生むと考えております。  そこで、産業労働部長に以下2項目お聞きいたします。  一つ目。若い女性が安心して県内に就職できるよう、仕事と出産、子育てが両立可能なこと、さらには、仕事を通じて自己実現できることを分かりやすく情報発信すべきと考えますが、県としてどのように対応していきますか。また、女性の就業を促進するために、女性自ら起業する場合の支援策が有効と考えますが、県としてどのように取り組んでいきますか。  二つ目。県内企業の就職情報を見ますと、女性のキャリア形成支援に関するものが極めて少なく、女性が県内に就職することをちゅうちょしてしまうのではないかと考えます。今後は、企業におけるキャリア形成支援を充実するとともに、積極的に情報発信すべきと考えますが、県としてどのように対応していく方針でしょうか。  次に、教育次長にお聞きいたします。  人材育成と人材の確保のためにも、小学校から大学まで切れ目なくキャリア教育を行う必要があると考えますが、県教委としてどう対応していく方針でしょうか。  次に、県民文化部長にお聞きいたします。  長野県立大学のグローバルマネジメント学部の4月の卒業生の県内就職見込みは55%であり、県立大学としては低い状況にあるため、今後、数値目標を掲げた上で、さらに高い就職率を目指すべきと考えますが、県としてどう対応していきますか。  次に、産業労働部長にお聞きいたします。  南信工科短大では、現在入学者数が定員割れしている状況にありますが、教育内容等のすばらしさが高校や保護者などに十分理解されておりませんので、今後積極的に情報発信すべきと考えますが、どのように対応されますか。  以上で大きい二つ目の質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には企業誘致に関連して2点御質問いただきました。  まず、日本の工場を目指して製造業中心に誘致を進めることを提案するがいかがかという御質問であります。  本県の製造業は、内陸部という地域特性の中で、製糸工業から精密機械、加工組立へと構造転換を重ねてきております。そうした中で、現在、小型で高付加価値の製品を生産する企業が集積しているところであります。今後さらに発展させていく上では、グローバル展開、コア技術をどう発展させていくか、こうしたことも重要になってきているというふうに思っております。  御質問の中にもありましたように、本県の製造業は、産業の中でも非常に基幹的な役割を果たしていただいているというふうに思っています。製品の出荷額は、平成29年以降6兆円を上回る規模が続いておりますし、近年では、医療機器や次世代交通といった今後の成長が大きく期待される分野にも進出しております。県内総生産の約3割を支えていただいている非常に重要な産業だというふうに考えております。  今後の誘致の考え方でありますけれども、御指摘のとおり、本県はものづくり産業を強みとして発展してきておりますので、その特徴、強みを引き続きしっかり生かしていくということが重要だと思います。  そうした観点で、やはり県内の既存企業と相互にシナジー効果をもたらしてくれるような企業、技術力が高く価格決定力がある最終製品を製造していくような企業、こうした地域への経済波及効果が高い企業や、県内企業としっかり連携して効果が相乗的に上がるような企業を積極的に誘致していきたいというふうに考えております。  続きまして、企業誘致を促進する業種という御質問であります。  本県の産業構造をにらみながら長野県としてのビジョンを踏まえて考えていくことが必要だというふうに思っております。そうした観点で、まず本県は、ものづくり産業振興戦略プランの下、分野別のビジョンをつくって取り組んでいます。医療機器や航空宇宙、さらには食品、こうした分野の発展につながる技術を保有している企業は重要な企業だというふうに考えています。また、現在産業のDXやITバレー構想を進めているわけでありますので、こうしたITやDXのエコシステムの県内における構築に貢献していただけるような企業も、他産業への影響、効果という観点から非常に重要だというふうに思っています。  加えて、長野県は気候変動に率先して取り組み、また、多くの皆さんとともにSDGsの取組を進めていますので、長野県が目指す方向性や信州ブランドに合致するような、本県ブランドによって企業の価値が高まり、また、企業の価値を利用して我々長野県としての価値も高められる、そうした企業が重要だというふうに思っています。こうしたことを念頭に置きながら企業誘致に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)産業立地に関連する御質問に順次お答えいたします。  初めに、誘致後の市町村と連携した対応方針についての御質問です。  企業誘致の促進には、これまでも地域未来投資促進法や農村産業法等を活用し、市町村が事業用地の確保を支援し、県が企業の設備投資に関する助成を行うなど、県と市町村が相互に連携を図りながら取り組んでいるところです。誘致に当たりまして、企業からは、事業用地のみならず、従業員の住宅確保や、小中学校、医療福祉施設等の状況に関する御質問が、また、立地の際には、新卒者や専門職の採用、繁忙期における派遣社員の採用など、人材確保に関する御質問が多くなっております。  こうした状況に対応するため、ハローワークや県内大学等と連携して求人サポートや人材確保に取り組むとともに、企業の要望に応じてプロフェッショナル人材戦略拠点による専門人材の誘致も支援しております。また、従業員の住宅等の御要望を市町村の担当者とともにお聞きし、具体的な物件を紹介するなど、丁寧な対応に努めているところであります。  こうした経営サポートや従業員の安心感の醸成が地域への信頼にもつながり、誘致企業が地域に根づく大切な絆になるものと考えております。今後とも、企業ニーズに沿った対応ができるよう、誘致案件ごとにプロジェクトを組むなど、市町村とのフォロー体制を強化し、立地促進に努めてまいります。  次に、女性が安心して就職できるための情報発信についての御質問でございます。  議員御指摘のとおり、仕事と出産、子育ての両立や、SDGsに掲げられたディーセントワークの実現に取り組む企業が増えることが女性の就職促進の上でも重要だと考えております。  県では、こうした取組を促すため、職場いきいきアドバンスカンパニー認証を行うとともに、ワーク・ライフ・バランスの向上を目指して多様な働き方を実践する企業を応援するための専用ウェブサイト「ながのけん社員応援企業のさいと」を通じて企業の魅力を発信しております。さらに、働きたい人に選ばれる企業が増えるよう、新年度からは、企業自身が発信力を強化し、採用力の向上につなげるための発信力強化セミナーや相談会を開催するほか、新たに採用戦略コンサルタントを配置して伴走型の支援に取り組むこととしております。  また、女性が自ら起業する際の支援策についてお尋ねいただきました。  女性が起業する際に、ビジネスアイデアがあるにもかかわらず、子育てや家事等の両立などを理由に志半ばで断念するケースも少なくありません。こうした中、スタートアップを目指す女性同士が同じ悩みを共有することにより起業の意欲が維持できたという声も聞かれることから、コミュニケーションの場の充実が必要と考えております。このため、県では、創業支援拠点である信州スタートアップステーションに新たに女性起業家のコミュニティーをつくり、専門のコーディネーターの伴走支援や起業セミナーを行うなど、女性起業家の育成支援を充実してまいります。  次に、女性のキャリア形成支援とその情報発信についてのお尋ねでございます。  現在、国では、女性活躍推進法に基づく認定制度「えるぼし」においてキャリアアップに関する取組を評価項目に掲げ、女性の活躍しやすい環境整備を推進しており、県内では、令和3年12月末現在16社が認定を受けております。  また、県独自の取組として、昨年10月に職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度に新たにダイバーシティーコースを設けたところであり、女性のキャリア形成に関する研修受講やメンター制の導入などのキャリアアップ支援に取り組む企業等を認証し、県の入札参加資格審査における加点の優遇策などを講じているところです。  こうした取組を企業が自ら発信できるよう、職場環境改善アドバイザーの事業所訪問の際に助言を行うほか、県の「ながのけん社員応援企業のさいと」においても積極的な発信に努めてまいります。  最後に、南信工科短期大学校における教育内容等の情報発信に関してでございます。  南信工科短期大学校では、平成28年の開校から、即戦力となる実践的能力の養成、少人数教育、技術革新に対応できるカリキュラムを特徴として、これまでに160人の若手技術者を輩出しております。また、現在、県内企業等との連携による脱プラスチックを目指した経木を活用した容器の開発などの共同研究、エネルギーの有効利用などSDGsに関する授業、高校生や生徒に対する見学会やオープンキャンパス、理工系女子を増やすための座談会の開催など、同校の魅力やブランド力を高める取組も進められております。  議員御指摘のように、こうした学校の取組や魅力を中高生や保護者に伝えることが大変重要となっております。これまでの県・市町村広報誌や新聞を活用した周知に加え、ユーチューブやSNSでの継続的なPRなど情報発信を強化してまいります。  なお、この4月から、DXに対応できる人材育成を強化するため、学科名を機械システム学科、電気システム学科に改正した上、カリキュラムの充実を図ることとしております。さらに、今国会には、工科短大等から特区内の4年制大学への編入学を可能とする構造改革特別区域法の改正案が提出されておりますので、同校からも編入学が可能となるよう県内大学との連携に努めるとともに、今後とも南信工科短大振興会や上伊那産業振興会等地域の皆様のお力もお借りし、さらなる発展に努めてまいります。       〔教育次長今井義明君登壇〕 ◎教育次長(今井義明 君)小学校から大学までの切れ目のないキャリア教育への対応についてのお尋ねでございます。  現在、小学校から高等学校では、各学校においてキャリア教育に対する学年ごとの目標や取組内容等を整理したキャリア教育全体計画書を作成し、児童生徒一人一人に社会的、職業的な自立を促す教育を実践しているところでございます。  また、令和2年度よりキャリア教育の学びの履歴をつづるキャリア・パスポートを導入し、児童生徒はその時々の学びを振り返って自己の成長を記録しております。この記録は、小学校から高等学校まで引き継がれ、生徒がこれまでの自分を振り返りながらなりたい自分を見通して学ぶことができるようにしております。  これらにより、小中学校では、職場見学や職場体験学習等の学びを通して働くことの意義や社会における自分の役割について考える力を養っております。この土台の上に、高等学校や県内の大学、短大では、地域や企業、団体等と協働したインターンシップを行うことで自分や他者の役割を認識し、自らの将来を考える力を養っているところでございます。  今後は、キャリア・パスポートの効果的な活用や、学校や外部機関の先進的な事例等についての情報提供、インターンシップの実施に要する経費の支援等の一層の充実を図り、社会の中で自分らしい生き方を実現しながら活躍する人材の育成に努めてまいりたいと考えております。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)県立大学の卒業生の県内就職率の向上についてのお尋ねでございます。  県立大学が地域の期待に応え、県内に人材を輩出することは、非常に重要でございます。大学では、学生に対するキャリア教育や就職支援におきまして、県内産業や地域社会への理解を深める取組に特に力を入れてきております。今月15日時点では、1期生の就職希望者全員の就職先が内定しておりまして、このうち県内への就職内定率は3学科全体で55%となっております。  公立大学協会の調査によりますと、公立大学において大学所在地の都道府県内に就職した学生の割合は、全国平均で45%程度で推移しております。この数値との比較で見る限り、長野県立大学としては若者の県内定着に一定の役割を果たしているものと考えておりますが、1期生の就職状況については今後大学とともに分析してまいります。  また、目標数値の設定に関しましては、大学は学生の夢や希望の実現を後押しすることが大切でありますので、目標となる数値を設けることによって県内就職を促すのではなく、学生を中心に置いて県内就職に向けたキャリア形成や就職支援に取り組み、その結果として県内への就職が増えていくことが望ましいものと考えております。  今後とも、大学としっかり意識を共有しながら学生の県内就職の促進に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)企業誘致は、財政の健全化の面におきましても確実に成果が出ることから、今後も知事を先頭に積極的に誘致を進めることを要望いたします。  県立大学の卒業生の就職率に関して部長から答弁がありました。就職率は掲げないということであります。昨日、西沢議員からこれに関して指摘があったところでありますが、来年度予算案の中に若者の県内就職を促進するため大学生の奨学金返還を支援する経費が計上されており、積極的に施策を推進する姿勢が示されております。  一方、県立大学の卒業生の県内就職率の向上に対する県の姿勢は弱いと考えます。若者の県内就職促進という同一の目標実現のための施策でありながら、産業労働部と県民文化部の姿勢に整合性がないと感じます。今後は、部局横断的に調整を行うよう要望し、以上で全ての質問を終わりといたします。 ○議長(宮本衡司 君)次に、石和大議員。
          〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)自由民主党県議団、石和大でございます。それでは、順次質問をさせていただきます。  警察の人員と働き方改革について伺います。  将来なりたい職業は警察官。男子に将来の夢を問うとそんな答えが返ってくることがよくあります。住民の安全、安心な生活のために24時間365日切れ目なく治安維持に尽力いただく警察官の皆さんの姿に子供たちがあこがれることは、ごく自然なことと感じます。日頃の業務遂行について敬意を表します。  長野県は、山岳県として広大な県土を有し、昨年は山岳遭難事故が増加するなど、警察が担う事象は多いと感じています。県民からは、相談があって駐在所や交番を訪れても警察官が事件事故の対応で不在にしていることが多く話を聞いてもらえない等の話も耳にしており、警察官の人数が足りないのではないかと危惧しています。  また、警察署勤務の警察官には定期的に当直勤務があり、夜間や休日に勤務することも日常的であることから、休日が少ない、あるいは休暇が取得できず家族サービスや私生活を充実させるための時間が確保できない等の不満もあると思われるところであり、働き方改革の推進が必要であると考えます。  そこで、小山警察本部長に伺います。  現在の長野県警察の人員に不足はないか、伺います。また、長野県警察における働き方改革の推進状況について伺います。  次に、サイバー犯罪対策について伺います。  近年、スマホが生活必需品となり、何を調べるにもまずはスマホで検索する方がほとんどではないでしょうか。図書館で書籍を調べ、電話をかけて知人や専門家に問合せをしていた時代があったことが、今では遠い昔のことのように感じます。  また、実際に人に会わなくても、SNSを通じて世界中の同じような趣味、趣向を持った人と瞬時につながることができ人間関係が無限に広がることも、デジタル社会の大きな利点です。  一方で、SNS上で心ない中傷を受けて自殺にまで追い込まれてしまう方がいることも、悲しいかな、現実です。学校現場で児童生徒が亡くなる話は途切れることなくニュースになり、少し前には、テレビ番組に出演していたプロレスラーの女性がネット上での中傷に苦しんだ末に自ら命を絶ち、大きな注目を集めました。  デジタル情報過多の時代にあって複雑巧妙化の一途をたどっているサイバー犯罪への対応は、県民の安全、安心な生活を維持する上で非常に重要な課題であると言えます。特に、インターネット上での個人への誹謗中傷は深刻な問題となっており、国において侮辱罪の厳罰化が議論されるなど、対策が急がれています。  また、企業が保有する情報等もサイバー犯罪のターゲットにされています。今、特に問題となっているのは、保有するデータが勝手に暗号化され、復元と引換えに金銭を要求するランサムウェアと呼ばれる身の代金要求型ウイルスへの感染被害であり、県内企業もこうした脅威にさらされていることから、長野県警察においてもこうしたサイバー犯罪への的確な対応を求めたいと考えます。  そこで、以下、小山警察本部長に伺います。  サイバー犯罪に対処するための警察の体制はどうなっているのでしょうか。侮辱罪の厳罰化が議論されている中、警察では、インターネット上の誹謗中傷被害の届出や相談を受けた場合どのように対応しているのでしょうか。長野県内企業に対するランサムウェア感染被害防止のための取組についても併せて伺います。  次に、アフター・ウィズコロナの観光施策について伺います。  新型コロナウイルスの存在が中国で明らかになってから2年以上の月日が流れました。この間、世界で猛威を振るったウイルスに対抗すべく、ワクチンや飲み薬が開発され、国内でもワクチン接種が順調に進み、昨年末には、そろそろ収束が見えてきたと思った矢先に南アフリカで変異種が確認され、爆発的な感染で、瞬く間に日本を含め世界中に広がりました。  これまで、感染を防ぐため、世界各地の人々が度重なるロックダウンなどで日常生活に大きな制約を加えられてきました。様々な業界が少なからぬ影響を受けましたが、飲食業界とともに特に打撃が大きかった業界が旅行業界です。長野県でも、その時々の状況に応じて、旅行を促す施策を打ったり止めたりを繰り返してきました。知事がよく話していたアクセルとブレーキの踏み分けで、感染拡大防止と観光振興の間でぎりぎりの判断を下し、両立を図ってきたところです。大規模な観光振興策を全面的に打ち出すタイミングになるまでには、今しばらくの時間がかかりそうです。  以前の質問でも取り上げましたが、星野リゾートの社長が提唱するマイクロツーリズムのように、家族で身近な観光地を回ることで、できるだけ人流を大きく動かさないようにしながら観光振興を図るとともに、来るべきアフターコロナを見据えて全国から人を呼び込み、さらにインバウンドの復活を見据えた準備を進めておく必要があると考えます。この難所をいかに乗り越えるか、観光行政及び業界の英知が試されるときです。  そこで、お聞きします。  コロナ禍にあって、直接海外に出向くなど積極的なプロモーションの実施方法に制約がある中、インバウンド再開を見据え、現在どのような取組を行っているのか、渡辺観光部長に伺います。  星野リゾートの星野社長が提唱するマイクロツーリズムは、観光需要創出・確保に有効であると考えますが、これまでの本県の取組について伺います。また、アフターコロナを見据え、県内各地域の特色ある素材を生かした観光の磨き上げや魅力向上が不可欠です。やる気のある地域を支援する方策について、以上2点、渡辺観光部長に伺います。  国内観光においても、インバウンドにおいても、その目的として「食」はキーワードであり、食を活用した観光地の魅力づくりが必要だと認識しています。「あれを食べに信州に行こう」と思っていただくためには、地域の伝統的な農産物や郷土食を活用していくことが重要と考えますが、小林農政部長に現状と展望を伺います。  次に、林業県長野を目指しての県産材活用について伺います。  令和3年当初から始まった外材や県産材を含めた国産材の価格が高騰したいわゆるウッドショックが長期化しています。ウッドショックが起こった背景には、新型コロナウイルスの流行で経済が停滞していたアメリカがいち早く経済活動の再開に動き、金融緩和政策による低水準な住宅ローン金利を導入したこともあり、住宅建築需要が急激に伸びたことに主な要因があるようです。コロナが流行した直後、年率換算で100万戸を割るところまで落ち込んでいた住宅着工戸数は急回復して、先月には約170万戸を記録して好調を維持しています。さらに、世界最大の木材輸入国である中国が他国に先駆けてコロナ禍から早期に景気を回復させたことも、木材需要の急騰に拍車をかけることになりました。  この余波で、国産材の価格は、令和4年2月現在も高止まりが続いています。住宅関連産業にとっては厳しい状況でありますが、川上、川中の林業・木材産業は需要に応えるチャンスでもあると認識しています。県産材の利活用をより推進するためには、今まで以上に川上、川中、川下が連携して当たり前のように県産材が使われる状況を構築することが重要と考えます。  そこで、県内における木材利用に関する川上から川下までの連携の現状と、そうした連携のさらなる強化、拡大に向けた県の施策について伺います。  先般視察した高知県をはじめ、国内各地で大型の木造建築物が建設されています。集成材は、強度や耐火性の面で進化し、10階建ての建物の構造材等に活用されている事例もあるということです。長野県においてはどうでしょうか。長野県の森林も、植栽してから年数を経て立派な木が成長しています。伐期を迎えて、活用される木々も多いことと認識しています。  そこで、お聞きします。信州カラマツをはじめとして、県産材製品を大型の木造建築物に活用すべきと考えますが、取組状況はどうなっているのでしょうか。以上2点について井出林務部長に伺います。  次に、洪水対策について伺います。  令和元年10月に長野県内を襲った台風19号災害から約2年半の月日が流れました。改めて亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げます。当時、水かさが増した千曲川の濁流は、堤防を乗り越え、あちこちで越水して、長野市穂保では決壊する箇所もありました。私の地元の東御市海野地籍は、護岸が大きく削り取られ、市道も海野宿橋も損壊し、市営駐車場も流出し、海野宿が流されるのではないかと恐怖を抱いたあの夜のことは忘れられません。  これまでも本会議場で台風災害関連の質問に立ちましたが、今回は洪水対策について伺います。近年の異常気象により、数十年に一度の大雨がいつやってくるか分からない昨今、雨水を堤防の能力だけで完全に封じ込めることは難しくなってきており、雨水を一時的に貯水して川に流入する水の量を減らす、ため池の活用も重要になります。  そこで、お聞きします。  長野県流域治水推進計画におけるため池を活用した雨水貯留について、計画初年度となる本年度、県ではどのような取組をしてきたのでしょうか。また、千曲川沿いの市町村において幾つのため池が活用されたのか、小林農政部長に伺います。  近年にない大災害となった令和元年東日本台風災害から2年半が経過しました。公共土木施設災害の復旧状況はいかがでしょうか。また、千曲川流域の再度災害防止対策として打ち出した信濃川水系緊急治水対策プロジェクトの今後の見通しはどうでしょうか。  また、このプロジェクトでは、千曲川の治水安全度向上のため、国、県ともに農地を活用した遊水地が計画され、地域の方々への説明が行われているとお聞きしています。長野県内では先例がない治水対策と思われますが、一般的にこうした遊水地に係る用地の取扱いについてどのような考え方があるのでしょうか。以上2点について田下建設部長に伺います。       〔警察本部長小山厳君登壇〕 ◎警察本部長(小山厳 君)大きく2点について質問いただきました。  初めに、警察の人員と働き方改革についてお答えします。  本県の警察官の負担状況につきましては、関係各位の御支援により累次の増員が認められた結果、警察官1人当たりの負担人口は以前と比較すれば軽減されてきておりますが、令和3年4月1日現在では594人であり、全国第6位と、依然として高負担状態が継続しております。  警察官の増員につきましては、昨今の人口減少や厳しい財政事情等により、平成30年度以降、国境離島警備隊の増員などよほどの特殊事情を除き、全国的にも増員は容認されておらず、今後も厳しい状況にあると認識しています。  このような情勢の中、全ての警察官がその能力を最大限に発揮して誇りと責任を持って生き生きと働ける環境を整えることは重要と認識しております。現在、県警察では、働き方改革として、時間外勤務を当然とする職員の意識改革、業務の在り方の見直しやウェブ会議システム等の先端技術の導入による業務の合理化、効率化、男性職員の家庭生活への関わりの推進等に取り組むとともに、時間外勤務の縮減や休暇の取得促進を図ることにより、仕事と私生活を両立、充実できる環境の整備を進めているところであり、これらの取組により、警察官の年次休暇取得日数は増加傾向にあるなど、一定の成果が現れてきております。県警察としましては、今後とも、働き方改革を推進しつつ、限られた人員の中で治安上の課題に適切に対応することにより、県民の安全、安心の確保に努めてまいります。  次に、サイバー犯罪対策について3点お答えいたします。  まず、サイバー犯罪に対処するための警察の体制についてでございます。  サイバー空間をめぐる脅威が深刻化している中、県警察においては、サイバー犯罪に対処するための体制の強化、対処能力の向上を推進しております。  具体的には、令和2年3月にサイバーセキュリティ戦略推進室を設置して、部門横断的な各種取組の総括、調整や、人的・物的基盤の整備を推進しております。また、同月にサイバー犯罪捜査課を新設して、不正アクセス事案などの高度な情報通信技術を悪用したサイバー犯罪に対する捜査を強化しているところでございます。県警察としましては、引き続きサイバー犯罪に的確に対処するため、体制の強化、対処能力の向上を図ってまいります。  続いて、インターネット上の誹謗中傷被害の届出や相談を受けた場合の対応についてお答えいたします。  侮辱罪を厳罰化し懲役刑を導入するなどの議論がなされていることは承知しております。県警察では、インターネット上の誹謗中傷の届出や相談を受けた際に、その内容が侮辱罪や名誉棄損罪等の犯罪に該当するか否かを個別具体的に判断し、犯罪に該当すると認められる場合には必要な捜査を実施しており、法と証拠に基づき厳正に対処しているところでございます。また、こうした事案を未然に防ぐべく、個人の情報リテラシーの向上に資するために、幅広い年齢層に対する防犯講話や広報啓発活動を行っているところでございます。  最後に、県内企業に対するランサムウェア感染被害防止のための取組についてお答えいたします。  全国では、身の代金を要求する不正プログラムであるランサムウェアによる被害が拡大し、長野県内においても企業を標的としたランサムウェア感染事案の相談を受理しております。県警察では、積極的な取締りはもとより、標的になり得る企業、団体等に対し、サイバーセキュリティセミナーや各種広報媒体で、被害の発生、犯行手口及び注意喚起等を迅速に発信し、被害の未然防止、拡大防止を図っております。今後も、民間事業者及び関係機関・団体とも連携し、被害の未然防止、拡大防止対策を推進してまいります。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には3点のお尋ねをいただいております。  まず、インバウンドの再開を見据えた現在の取組についてでございます。  海外プロモーションの実施に当たっては、これまでも、駐在員等と連携し、現地の需要動向を収集した上で、東アジアや欧米などターゲット国や、自然・歴史文化体験など誘客テーマを定めてきたところでございます。  現在、コロナ禍も意識しながら同様の情報分析を行うとともに、中国のスキー・スノーボード愛好家を対象に県内各地のスノーリゾートの魅力をライブ配信するオンラインイベントの開催、欧米などに向け中山道をガイドと旅するライブ映像を活用した情報発信、日本政府観光局などが主催するオンライン商談会への参加など、デジタルプロモーションを展開しております。また、インバウンドの再開後、スムーズな受入れができるよう、宿泊施設の改修支援や世界基準のガイド育成などにも取り組んできているところでございます。  次に、これまでのマイクロツーリズムの取組についてでございます。  新型コロナウイルス感染防止の観点から県境を越えた移動が縮小する中、昨年度の県民向け長野県ふっこう割以降、県民を中心とした宿泊や日帰り旅行の需要喚起策をあらゆる機会を通じてPRしながら実施してきたところでございます。  今年度の信州割SPECIALについては、感染拡大期においても停止せず継続し、令和4年2月現在、約65万人の利用を見込んでいるところでございます。また、事業者等においても、本事業に合わせ、県民向けの日帰りツアーや宿泊プラン、学習旅行などが造成され、県民を対象とした新たな需要の創出確保につながったものと考えております。  最後に、やる気のある地域を支援する方策についてでございます。  観光地域づくりに当たっては、観光地経営の視点に立ち、DMOなどを中心に地域が一体となって取り組むことが重要と考えております。そのため、観光機構のDMO形成支援センターを通じて広域型DMOの形成支援をしてきたところでございます。  特に、重点支援をしてきたハクババレーツーリズムでは、通年観光につながるグリーン期のコンテンツ造成や広域周遊ルートの設定、免税キャッシュレスなど、インバウンド受入れ環境の整備などエリア全体での稼ぐ観光地域づくりの取組を創出してまいりました。さらに、県内のDMOや観光関係団体のネットワークを構築し、県内全域にこうした取組などを情報共有し、普及を促進してきたところでございます。また、信州の観光地魅力向上実践事業により、ワインやアウトドアなど県が推進するテーマに沿って意欲を持って取り組む地域を支援してまいります。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には2点御質問をいただきました。  初めに、地域の伝統的な農産物や郷土食の観光への活用についてでございます。  県内の限られた地域で脈々と伝えられてきた貴重な伝統野菜や、先人から受け継いだ郷土食、食文化など、本県の強みである食を観光に活用することは重要であると認識しております。これまで、伝統野菜や郷土食の買える店、食べられる店の情報発信とともに、営業局や観光部と連携し、県外における物産展と併せて調理方法の紹介や観光案内を行うなど、本県の食を通じた誘客の取組を実施してきました。  また、今年度は、北信地域において、地元高校生や県調理師会と連携し、伝統野菜を活用した現代的なメニューを開発し、県外客も訪れる地元の道の駅の飲食店で提供したところ、好評をいただいたところです。  来年度は、地域の観光協会や商工団体と連携し、伝統野菜や地元食材を活用したフェアの開催を支援するなど、県内外からの誘客につながるよう、観光部と連携し、本県の食を活用した取組を推進してまいります。  次に、ため池を活用した雨水貯留における県の取組と活用状況についてでございます。  本年度、県では、市町村とため池管理者を対象とした研修会を県内6か所で開催するとともに、取組方法を記載したリーフレットを配付するなど、市町村と連携を図りながら取組を進めてきたところです。  研修会では、営農に支障とならない範囲で取り組むことを基本とし、水田の落水後で台風の襲来が多くなる8月下旬から10月下旬にため池の水位を下げていただくようお願いしてまいりました。その結果、昨年秋の活用状況は、全県で212か所、そのうち千曲川沿いの市町村においては145か所のため池で取り組んでいただき、計画初年度から現場での一定の理解が得られたものと考えております。  以上でございます。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)2点お尋ねをいただきました。  まず、川上から川下までの連携についてでございます。  本県では、林業・木材産業、住宅関連産業の合計約1,600の事業者が参加した「顔の見える木材での家づくり」団体が約30団体、各地で活動しております。そして、県産材住宅等の供給を行っているわけでございます。  その一方で、外材を主体に利用してきた工務店等は、県産材の入手先や製品の情報が少ないため、川上である林業や川中である製材業との連携を高めることが重要であると認識しております。このため、県では、林業・木材産業と住宅関連産業の事業者が参加する研修会や商談会などのマッチングに取り組んでおり、川上から川下までの連携の強化、拡大に対して今後も積極的に支援してまいります。  次に、県産材製品の大型の木造建築物への活用についてでございます。  本県の森林は成熟期を迎え、樹木は太く成長してきております。県では、木材関係団体等と連携して、太い径の信州カラマツを使った製品開発を進めているところであり、東京都内の5階建て木造マンションに開発している製品が供給されております。また、最近では、集成材などに加工した県産材製品が千葉県の小中学校の木造校舎などにも利用されております。  今後も、県内外の建築物に県産材製品が使われるよう、関係団体と連携して製品開発や普及啓発に努めてまいります。  以上でございます。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)はじめに、令和元年東日本台風災害の復旧状況と信濃川水系緊急治水対策プロジェクトの見通しに関するお尋ねでございます。  令和元年東日本台風災害では、県、市町村合わせまして約1,300か所の道路、河川等の施設が被災しております。被災直後から応急対策や本復旧に取り組んできた結果、改良復旧事業や令和2年、3年の出水で再度被災した箇所など約50か所を除きまして、今年度末までに復旧工事が完了する見込みとなっております。  また、国にお願いしている権限代行箇所につきましても、この3月1日に東御市の市道白鳥神社線での復旧工事が完了し通行が再開されるのをはじめ、千曲川県管理区間の5か所を含む全ての復旧工事が今年度末までに完了する見込みとなっております。  信濃川水系緊急治水対策プロジェクトにつきましては、佐久市の谷川や千曲川下流での改良復旧、千曲川本川の堤防強化、遊水地の設置など、国、県が連携し、地域住民の皆様の御理解をいただきながら、設計協議や用地買収、本工事等を進めているところでございます。  県事業に関しましては令和6年度、国事業に関しましては令和9年度完了を目標として事業を進めておりまして、今後、それぞれの工事が本格的になってくるため、工事期間中の安全確保に努めながら着実に事業の進捗を図ってまいります。  次に、遊水地に係る用地の取扱いに関するお尋ねでございます。  農地等を活用した遊水地整備における用地の取扱いは、土地を買収する用地買収方式と河川管理者が使用する権利を設定する地役権補償方式がございます。用地買収方式は、掘り下げて容量を確保できるため、面積を小さくできますが、買収した土地の通常時の活用を含め、維持管理の検討が必要となります。一方の地役権補償方式は、補償費を支払った上で使用権を設定するもので、対象とする面積は大きくなりますが、遊水地整備後も農地としての利用が可能となります。  いずれにしましても、地権者や耕作者等の意向をお聞きした上で、用地買収方式、地役権設定方式、またはこれらを組み合わせるハイブリッド方式など、最もよい方式を選定し、関係する皆様の御理解を得ながら、流域全体の安全性の向上に向け、事業を進めてまいります。       〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)次に、長野県のものづくりについて伺います。  昨年、GAFAと呼ばれる4大IT企業のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの株式価値の合計額が日本企業全体の株式時価総額を超えたと報じられました。記事によると、GAFAの合計株式時価総額は約770兆円に達し、日本企業全体の約750兆円を上回ったことが大きな話題となりました。IT企業の成長性に期待する市場の評価が如実に現れた場面でした。  4社のうちアップルは、個性的なフォルムのパソコンMacをつくり、続いてタブレット端末のiPad、スマホのiPhoneを立て続けに世に送り出したIT機器の製造業として以前から注目されていた企業でしたが、アマゾンはインターネット上のスーパーマーケットとして、ほかの2社はインターネット上の情報に絡んで利益を上げている企業として、近年すい星のように現れて、爆発的に売上げを伸ばしてきました。  東北学院大学経済学論集「アメリカ経済における産業構造の転換とその影響」によりますと、GDPに占める産業別構成比率統計で、1980年にはGM及びフォードに代表される自動車をはじめとする製造業が約20%と首位を占めていましたが、2015年の統計では12%弱まで減少して首位から陥落する一方で、金融や情報産業などがその値を伸ばしています。  日本の主な産業構造も、農林水産業から製造業、サービス業への変遷をたどりました。かつては製造業の中でも繊維、鉄鋼、造船といった業界がその時々の花形となっていた時代がありましたが、今はITが花形産業の一つと言えるのでしょうか。プロ野球のオーナー企業にIT企業が名を連ねるようになったことは、一つの象徴的な事象といえそうです。  一代で功成り名を遂げるIT系の創業者がマスメディアを通じて度々紹介されます。IT系の情報を取り扱う業態は、ある程度の認知度を得ると加速度的に業績を向上させることが可能なため、効率よく収益を上げることができます。IT系の技術を持つ若者にとっては、元手の資金が乏しくても、ビジネスプランと営業力で一獲千金を夢見ることができる魅力的な業界に映ることでしょう。  しかし、ものづくりが不要な産業ということにはなりません。IT産業の象徴ともいうべきスマホ1台を持っていれば、生活は各段に便利になりますが、それだけでは生活は成り立ちません。日々の暮らしを送る中では、食事をして、服を着て、乗り物で移動してという無数の行為があり、そこには、誰かがつくった食材、洋服、自動車や電車が必要になります。パソコンの前に座っていれば仕事ができ、利益を上げる仕組みづくりを構築できれば大儲けができる昨今のデジタル社会において、ものづくりの大切さがどこか軽視されているような風潮があるように思えてなりません。例えば、家庭菜園で野菜をつくることも広い意味では一つのものづくりです。1本の大根を育て上げるまでには、天候を気にかけ、汗を流して作業する苦労があり、収穫したときの喜びがあります。
     仕事のやりがいとは、利益を上げることだけが全てではありません。自分が満足するための行為は趣味や娯楽に過ぎませんが、ほかの誰かの役に立って喜んでもらうための行為は仕事になります。ここに仕事のやりがいがあり、ひいては生きがいにもつながります。仕事の意義、ものづくりの大切さを深く認識してもらうことは大変重要なことと考えます。  そこで、以下伺います。  IT隆盛の時代においても、次代を担う子供たちへ仕事の意義を教え、かつ、ものづくりの達成感を広く深く認識してもらった上で仕事に取り組む必要があると考えますが、県としてどのように取り組むのでしょうか。  ものづくり産業では、半導体関連を中心に受注が好調な事業所が多く、求人も多く出されているものの、経営者からは、人材の募集をかけても応募がないといった声が寄せられますが、打開策はあるのでしょうか。以上2点について林産業労働部長に伺います。  ものづくり長野という言葉に集約されるように、長野県には、先進的なもの、伝統的なものも併せて、優れたものづくり産業が根づいています。これを維持発展させていくことが重要だと考えていますが、最後にものづくり産業に対する知事の思いをお聞かせください。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)2点お尋ねいただきました。  初めに、ものづくりの仕事の意義や達成感を認識してもらうための取組についてでございます。  近年、生活の中で疑似体験や間接体験が多くなりがちな子供たちがものづくりや農林業などの現場を体験することは、職業の実像をつかみながら、望ましい勤労観、職業観を身につけるとともに、将来地域への就業を志すきっかけになるものと受け止めております。このため、小学生に対しては、産学官連携による職業体験、ジョブキッズ信州を実施しており、今年度は県内2,600名を超える児童が登録し、食品製造や機械組立、住宅建築など36の企業や団体の職業プログラムを体験いたしました。  また、中学生に対しては、地域の産業、企業の魅力を伝える地域と未来をつなぐゼミを開催し、約1,400人の生徒が金属加工や左官、板金等の熟練技術者や経営者等からの講義を受講したところです。生徒からは、作業は難しく大変だったが、出来上がったときの達成感がよかった。プロの技術を感じ、やってみたい仕事の選択肢が増えた。地元の企業への関心が高まったなど感想も多く聞かれ、地域を愛し、地域を誇りに持ち、地域に貢献したいと思えるような郷学郷就につながるものと受け止めております。  こうした取組は、学校関係者と地域、産業界の連携協働が大変重要です。県としましても、各地域振興局による支援を交えつつ、市町村等の協力を得ながら全県的な取組の充実に努めてまいります。  次に、ものづくり産業における人材確保の打開策でございます。  長野労働局が発表した昨年12月の雇用情勢によりますと、専門的・技術的職業や生産工程の職業で求人数3~4人に対し求職者が1人という割合となっております。  ものづくり産業に見られるこうした雇用のミスマッチを解消するためには、業種や雇用形態、地域の壁を越えた人材移動が必要であり、リカレント教育の推進とマッチング機能の充実が急務と考えております。リカレント教育の充実につきましては、既に国の補正予算においてハローワークが無料の職業訓練を行う求職者支援制度における所得要件等が緩和されたところであり、一層の活用を促してまいります。また、令和4年度から、岡谷技術専門校に女性にも受講しやすい設計業務や品質管理などを学ぶ訓練科を新たに設置し、製造業への就業を促進してまいります。  また、マッチング支援につきましては、国において民間派遣会社を通じて研修・紹介予定派遣等の支援を行う労働移動支援事業が開始されますので、県のJobサポにおいてもハローワーク等と連携して人材を誘導してまいります。  さらに、賃金の引上げを含む従業員の処遇改善を図るなど企業の魅力を高めていくことが打開策の一つともなります。国の事業再構築補助金やものづくり補助金に上乗せする長野県プラス補助金を実施するなど、生産性の向上と雇用環境の充実を支援してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私にはものづくり産業に対する思いという御質問をいただきました。  日本の高度経済成長を支えてきたのは、まさに世界に冠たる技術力を背景としたものづくり産業だというふうに思っています。かつて、メイドインジャパンといえば、それは、優れて安定した品質の製品を意味するものとほぼ同意語であったわけであります。ニューヨークのタイムズスクエアでも日本の企業の看板があちこちに見え、ある意味世界を席巻していた時代がありました。  先ほどの御質問にもありましたように、GAFAの時代ということで、世界の時価総額もかつて日本企業が上位にあった時からかなり様変わりして、アメリカや中国の企業の時価総額が非常に大きくなっているわけであります。こうした中で、御指摘のとおり、ものづくり産業は、これから未来に向けても確実に必要とされている産業だというふうに思っています。  先ほど企業誘致に関連して酒井議員の御質問にお答えしたとおり、長野県のものづくり産業は、時代の変化に合わせて巧みに構造変革を遂げて発展してきたわけでありますので、今後も時代を先取りした動きをしっかり行っていかなければいけないというふうに思います。そういう意味では、県としても、工業技術総合センターや新しく設立する産業振興機構で、これからのデジタル化、グリーン化を見据えたものづくり産業の支援をしっかり行っていきたいというふうに思っています。  また、御質問にもあったように、やはり基本は人材教育だというふうに考えています。かつて日本の高度経済成長期、いわゆる所得倍増計画期においては、理工系学生を増やそう、全国に高等専門学校を設置しようと。また、高校の進学率が確実に上昇してきた中で日本の産業が発展してきたわけでありますので、私としては、もう一回教育面での改革を日本全体でしっかり行うことが重要ではないかというふうに思います。  私も教育未来創造会議のメンバーに加えていただいておりますが、日本の場合、文系、理系というものがはっきり高校の途中から分かれるケースが多いわけでありますけれども、これからの時代、それではなかなか対応していけないというのが多くの皆さんの考え方だというふうに思っていますし、私もそう思っています。  アメリカでは、STEM教育ということで、科学、技術、工学、数学が改めて重視されておりますので、もう一度こうした観点での教育にしっかりと力を注ぎ、我が国、そして長野県のものづくり産業がしっかりと発展していくことが重要だというふうに思っています。  私としても、産業振興の視点、それから、教育については教育委員会と連携しながら、長野県、そして日本のものづくり産業がさらに新しい時代に向けて発展していくことができるように取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上です。       〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)現代社会においては、SNSに何らかの投稿があると、そこにコメント欄があり、誰でも匿名でコメントすることができます。書きたい放題でそこには何の責任もありません。面と向かって話していたら発しない言葉を書いてしまうことがあるのです。いわれのないことでも書かれたら傷つくことは少なからずあるのです。誰もが加害者にも被害者にもなることがあり得ます。誹謗中傷は重大な人権侵害であるという認識をもっと広く県民に浸透させる必要があり、この点については県など行政機関が果たす役割も大きいと考えています。県には、警察と連携し、さらに強力な啓発活動に取り組むよう要望いたします。  今年は、御柱、御開帳等神社仏閣のお祭り等が多いわけであります。憲法上の制約があるということでしょうか。コロナ禍にあって、神社仏閣も疲弊しているんですが、何ら援助がありません。様々な支援がないわけであります。山形県では、そういうところに対しても、工夫して幅広に観光の分野で援助、支援をしている例があるわけであります。長野県は神社仏閣が観光地として根づいているわけですから、そういう工夫もぜひお願いしたいというふうに思います。  さて、質問の中でも触れた私の地元東御市海野地籍では、千曲川の護岸工事に続き、東御市道白鳥神社線の復旧工事が間もなく終了し、3月1日午後3時に開通することになりました。関係された皆様に心から感謝申し上げます。地域住民の皆様にとって欠かせない道となっていた白鳥神社線の開通を契機に、暮らしや経済活動が活性化し、コロナ禍からの脱却と併せて、復興元年となる新年度であることに期待をし、質問とさせていただきます。 ○議長(宮本衡司 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時37分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(清水純子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  堀内孝人議員。       〔32番堀内孝人君登壇〕 ◆32番(堀内孝人 君)最初に、代表質問とダブることもあるかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。  10月の台風19号による災害を踏まえた治水対策について伺います。  私たちの郷土を流れる千曲川は、本州中部の大きな河川であり、水源から河口まで約360キロメートル、流域は1万2,800平方キロメートルで、長野県がその半分を占めております。令和元年の台風19号では、千曲川と各地の支流が増水、氾濫し、長野市穂保では千曲川堤防が決壊して大きな被害に遭遇したことは記憶に新しいものです。また、反対側である須坂市相之島地籍の堤防も、氾濫には至りませんでしたが、非常に危険な状態でありました。また、地域の一級河川である百々川、鮎川、松川、八木沢川なども大きな被害を受けました。被災当時は、堤防がえぐり取られ、河川内にはテトラポットや大きな石がごろごろと転がり水の流れの阻害になっており、再度大雨が降り増水となったときはどうなるかと心配しました。  その後、復旧工事が進められ、名勝臥竜公園の近くを流れる千曲川や百々川、県内外から多くの観光客が訪れる小布施町の松川などは、被災前の状態に戻りつつあります。私には、地域住民から評価の声が届いております。県当局や関係機関に対し感謝申し上げる次第です。  一方、県においては、台風19号の復旧・復興方針に基づき様々な対応をされておりますが、復旧の治水対策について伺います。  近年実施している河川内の土砂掘削や樹木伐採、堤防強化対策は、洪水対策として即効性があり、地域住民からも好評を得ていますが、これまでの取組の経過と今後の見通しについて田下建設部長に伺います。  そして、一級河川の百々川、松川などの地元河川は、信濃川水系北信圏域河川整備計画に取り入れられ、河川の総合的な保全が図られております。温暖化現象が進み、大雨による増水で災害の確率も高くなる昨今、地域住民の安心、安全な生活を守るため、これからの計画をぜひ見直し、最善の体制を取る必要があると考えます。河川整備計画の見通しに対する考え方、また、河川整備計画の策定、変更に際して、地域住民をはじめ関係者の意見をどのように反映していくのか、田下建設部長にお伺いします。  次に、少子化対策について伺います。  さきに総務省統計局が公表した日本の人口は、令和4年1月概算値で1億2,544万人、前年同月と比較すれば63万人の減少となりました。また、長野県において最新の数値は201万7,971人で、前月より1,550人の減少となっております。そして、25歳から64歳の生産年齢人口の65歳以上人口に対する割合を示す潜在扶養指数は全世界でも低下を続け、日本はこの指数が1.8と世界で最も低くなっております。潜在扶養指数の低下は、高齢化が進み、それに伴い労働市場と経済に潜在的な影響を及ぼすほか、高齢者向けの公的医療・年金や社会保障制度を構築、維持するためには、財政的に大きな圧力がかかるおそれがあります。今後、戦後ベビーブーム層の高齢化に伴う自然減等により、我が国の人口が2060年には9,000万人を割り込むと言われている中で、人口減少対策は重要なことであります。  そして、この人口減少の原因となっている少子化については、県政においても重点課題であります。ちなみに、本年度の須坂市の出生数は291人と言われております。小中高の学校数が年々減少していくのは明らかです。県民、議会が一体となって克服していかなければならない問題と考えます。  昨年の11月議会においては、長野県の出生数が過去最少になることを踏まえ、県に対して部局横断の政策パッケージの策定、新年度予算における十分な予算措置を講じるための少子化対策の一層の強化を求める決議を全会一致で可決いたしました。  また、我が自民党県議団の予算要望においても、5か年計画で掲げている合計特殊出生率の数値目標1.76に近づけるような少子化対策を一層強く取り組むことを求めてまいりました。阿部知事も様々な機会を通して少子化問題について言及されておりますが、以下、知事にお伺いいたします。  長野県の少子化について現状をどのように認識されているのか、知事に伺います。  議会から求めた少子化対策に伴う新たな事業などが新年度予算にどのように反映され、また、11月定例会において少子化対策の一層の強化を求める決議を行い、取組の強化を求めましたが、少子化対策に関する新たな事業の令和4年度予算への反映状況と、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。  そして、少子化問題は地域社会にも様々な影響を及ぼしており、高校再編もその一つであります。対象となる生徒が少なくなると学校数も少なくなり、私の地元でも4校あった高校が1校減り、3校に再編されております。そして、現在、さらなる再編論議がされており、1校減る可能性もあります。地域住民からは、高校数の減に伴う影響の声が上がっており、交通機関や地域経済の低迷が危惧されております。  また、今でも廃校となった校舎の後利用等が問題となっていますが、新たな教育機関や公的施設の導入を総合的に検討する中で進めてほしいとの意見です。これらの意見も大切なものであり、どのように捉え、何か具体的なものを検討されているのでしょうか。原山教育長にお伺いします。  次に、高齢運転者の交通事故と高齢者講習について伺います。  先般、本県の交通事故件数が前年より減少した数値が発表されました。大変喜ばしいことであり、警察当局など関係する皆様の努力に敬意を表したいと存じます。  交通事故は、一瞬のうちに尊い命が失われることがあり、多くの人たちに悲しみをもたらします。交通事故ゼロになるためには、私たちはなお一層力を合わせていかなければなりません。  一方、昨年の交通事故を分析すると、高齢化が進み、高齢者の事故が増加しているとのことです。これらの事故の中には、高齢運転者による事故も多く発生しております。そして、国内において、重大事故も発生し、社会的な問題となっております。ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだことにより車両を暴走させた死亡事故、信号の見間違いによる交差点歩行中の歩行者の死亡事故などがあります。  高齢運転者の特性として、年齢や体力、過去の経験等により大きな個人差が認められるものの、動体視力の低下や、複数の情報を同時に処理することが苦手となり、同時に判断する力が低下するなどの身体機能の低下により、ハンドルやブレーキ操作の遅れ、また、加齢に伴う認知機能の低下が懸念されております。  我が国の高齢化は急速に進み、65歳以上の人口は3,459万人となり、総人口に占める割合、高齢化率は27.3%、4人に1人となっております。今後、総人口が減少する中で、高齢者人口が増加することにより高齢化率は上昇し、2036年には33.3%と3人に1人となる推計も出ています。また、運転免許保有者数は約8,221万人で、このうち75歳以上の免許保有者数は約513万人、人口の約3人に1人となっております。そして、特に、75歳以上の運転者の死亡事故件数は、75歳未満の運転者と比較して、免許人口10万人当たりの件数が2倍以上発生しているという統計もあります。ただいま申し上げた数値は全国ですが、長野県においてもおおむね同等の数値かと推察されます。  高齢運転者自らが心身の変化を理解し、変化に応じた運転を心がけることが安全を守るために大切であり、1998年から高齢運転者講習が義務化され、さらに2017年には制度が改正され、75歳以上のドライバーには認知機能検査が強化されました。高齢運転者の交通事故防止対策については私が1期目の議会においても質問させていただきました。その際、当時の警察本部長は、防止対策として、高齢運転免許保有者の増加が見込まれる中で、運転免許証の自主返納と、運転免許証更新時の高齢者講習において実際に自動車に運転してもらい、個々の運転者の癖などを把握し、それぞれの特性に応じた具体的な指導を行う。また、運転免許センター等に運転適性相談窓口を設置して相談に応じると答弁されておりました。  そこで、高齢運転者の交通事故防止対策として当時から講じている免許証の返納や高齢者講習などについて、以下、小山警察本部長にお伺いします。  高齢者の運転免許証自主返納の実態についてお聞きします。また、運転免許証自主返納をさらに促進するための取組についてお聞きします。  高齢者講習はどのような内容であるのかお聞きします。また、現状の高齢者講習における課題と改善方法について警察本部長にお伺いします。  最後に、創業支援についてお伺いします。  県のソーシャルビジネス創業支援金の審査に当たり、事業計画に対する評価が厳しい、ハードルが高いといった声が若者から寄せられております。「日本一創業しやすい県づくり」を掲げる長野県として、若者が困難や挫折、時に失敗をしたとしても、企画段階から丁寧に寄り添うなど、おおらかで寛容な伴走的なサポートが必要と考えるが、今後の拡充も含め、県の見解を林産業労働部長に伺います。  ソーシャルビジネスを含め、長野県における創業相談や支援金申込みの状況、支援金の支給実績について林産業労働部長に伺います。特に、小規模市町村、中山間地においての創業は、地域の振興にも資するものであり、県としてもより積極的に支援していくべきと考えるが、所見を林産業労働部長にお聞きし、最後の質問とします。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、河川内の土砂掘削、堤防強化対策等に関するお尋ねでございます。  御質問をいただきました河川内の土砂掘削や樹木伐採につきましては、平成30年度から始まった防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策等を活用し、県内で令和2年度までに92億円余を投じ、須坂市松川など延べ240河川、約210キロメートルにおいて実施しております。  また、令和3年度から始まった5か年加速化対策では、堤防天端舗装等の堤防強化対策についても積極的に取り組んでおりまして、令和3年度は須坂市の百々川や鮎川など54河川において、土砂掘削、樹木伐採に加え、堤防強化対策を実施してきているところでございます。  令和4年度以降におきましても、遊水地等の河川整備を着実に進めるとともに、松川の最下流部における堤防強化対策を引き続き進めるなど、早期に地域の安全性の向上が図られるよう努めてまいります。  次に、河川整備計画策定に向けた住民意見等の反映に関してでございます。  河川整備計画は、おおむね20から30年間に整備する具体的な河川整備の内容を定めるものでございますが、策定後においても、災害の発生状況等を踏まえ、事業を実施する河川や対象とする流量の検討など適宜見直しを行っております。  計画の策定、見直しに際しては、学識経験者や地方公共団体の長のほか、公聴会の開催等により住民の意見を反映することとしております。例えば、北信圏域河川整備計画においては、東日本台風災害を踏まえ、現在見直し手続を進めているところでありまして、昨年9月から11月にかけて地域の方々や学識経験者からの意見聴取を実施し、環境に関する御意見等をいただいているところでございます。今後、いただいた御意見を踏まえた修正を行い、市町村長や関係機関の意見聴取を経て今年度中に国へ認可申請を行う予定としております。  引き続き住民の皆様の意見を十分に反映しつつ、適宜適切な河川整備計画の策定、見直しを行い、流域の安全、安心の確保に向け、県内の河川整備を着実に進めてまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には少子化対策に関連して2問御質問をいただきました。  まず、少子化の現状認識という御質問であります。  本県の出生数は毎年減少してきております。令和2年が1万3,104人、昨年は1万2,627人ということで、統計開始以来過去最少という危機的な状況になってきております。  また、昨年行った県民アンケートによりますと、長引くコロナ禍による不安感などから、結婚に対しては約24%の方が、そして出産に関しては約36%の方が、後ろ向きになった、あるいはやや後ろ向きになったというふうにお答えになられておりまして、少子化がさらに進んでしまうことが懸念されている状況であります。ここで何とか歯止めをかけないと将来にわたって深刻な影響が出てくる可能性があるというふうに思っております。  こうした認識の下、地域社会、地域経済の活力を維持するとともに、若い世代の希望実現を後押しするという観点から、この少子化問題に県としてもしっかり向き合って対応していきたいというふうに考えております。  続きまして、少子化対策新規事業の令和4年度予算案への反映状況と今後の取組という御質問でございます。  昨年の県議会における少子化対策の一層の強化を求める決議を受け止めさせていただき、我々は、市町村とともに、少子化対策、若者支援の観点で施策の検討、構築を進めてきたところであります。  来年度の新たな主な事業としては、例えば、女性や若者が暮らしたくなる県づくりという観点から、新しい奨学金返還支援制度の創設、そしてそれらの実施に向けた広報、また、移住支援金については、子育て世帯への重点的な支援を行っていきたいと思っております。また、若者の出会いや結婚の希望の実現という観点からは、新たな出会いの場づくりに向けた異業種間のマッチングの促進や、新婚夫婦または結婚予定のカップルが特典を受けることができる結婚応援パスポートの創設、さらに、子どもを産み育てる世代の安心と幸せの実現という観点からは、不妊に関する検査、また、不妊治療において医療保険が適用されない先進医療に対しての助成、さらには、子供の医療費助成については市町村に対する補助対象範囲の拡充、こうしたことを行っていく予定でございます。  こうした取組を通じて、市町村、関係団体の御協力をいただきながら、結婚、妊娠、出産、子育て、各般にわたる切れ目のない支援を行うことにより、若い世代の皆様方が希望を持って生きていくことができる、そうした社会の実現に取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)再編によりまして廃校となった校舎の後利用についての御質問でございます。  未利用となる県有財産につきましては、さきに酒井議員にお答えしたとおり、長野県ファシリティマネジメント基本計画に定める意思決定プロセスにより検討することとなります。具体的には、県機関での活用を検討した後、地元の市町村及び公共的団体の活用希望を確認し、そうした希望がない場合には民間への売却等も考えていくということになるかと思います。  高校再編により未利用となる校舎につきましても、ファシリティマネジメント基本計画に沿いまして、地元からの御意見にしっかり耳を傾けながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)高齢運転者に関し2点質問をいただきました。  まず1点目の高齢者の運転免許証自主返納についてお答えいたします。  高齢者の運転免許証自主返納者数は増加傾向にあり、令和元年には過去最高の9,351人となり、昨年は7,726人が自主返納しております。  次に、運転免許証を自主返納された高齢者に対する支援方策についてお答えいたします。  県下の自治体では、運転免許証の返納者に対する支援施策として、公共交通機関の乗車回数券やタクシー券の交付などの支援を行っています。また、県警察では、運転免許証を返納した高齢者の生活を幅広くサポートするため、民間事業者に働きかけ、商品の購入料金や配達利用料金の割引などの支援を推進しているところでございます。このほか、運転免許センターや運転免許事務を扱う警察署、交番の窓口に安全運転相談窓口を設置し、運転に不安を感じている高齢者やその御家族からの相談を受けるなどの対策を行っております。県警察としましては、引き続き自治体や民間企業への働きかけを行うことで支援施策のさらなる拡充を図り、運転免許証を返納しやすい環境の整備に取り組んでまいります。  2点目の高齢者講習についてお答えいたします。  まず、高齢者講習の内容についてお答えいたします。
     高齢者講習は、県下27の指定自動車教習所に委託して実施しており、講習の内容につきましては、座学による講習のほか、運転適性機器を使用した指導、実車を使用した運転指導など、受講者個々の特性に応じた講習となっております。  次に、高齢者講習のいわゆる待ち日数につきましては、昨年12月末現在、県下平均約76.6日となっております。従前よりも待ち日数は改善しているものの、依然として長くなっている原因といたしましては、高齢者講習は運転者個々の特性に応じて個人指導が必要なため、一度に多数の方に講習を行うことができないことや、75歳以上の受講者は先立って行われる認知機能検査の結果により講習内容が異なっている点が挙げられます。  県警察としましては、待ち日数の解消方策として、運転免許センターに専用の相談ダイヤルを設置し、空きがあり受講しやすい自動車教習所を案内しているほか、本年3月からは、各自動車教習所における高齢者講習等の空き状況を一元的に管理し、迅速に受講案内ができる高齢者講習等管理システムの運用を開始することで待ち日数の短縮を図ってまいります。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)創業支援について3点御質問をいただきました。  初めに、ソーシャルビジネス創業支援金による若者支援についてのお尋ねでございます。  ソーシャルビジネス創業支援金は、買物弱者支援、子育て支援、過疎化対策などの地域課題をビジネスの手法で解決しようとする創業促進策であり、令和元年から実施しております。  採択に当たりましては、社会性、事業性、必要性、遂行能力の四つの視点から、中小企業診断士、起業家、ソーシャルビジネスに知見のある学識経験者等で構成する審査委員会を設置し、審査を実施しております。例年20代から40代を中心とした若手創業希望者から多くの申請をいただいておりますが、ソーシャルビジネスは、地域課題を解決しながら新たにビジネスを起こすという大変難しい分野であり、実施可能性や持続可能な経営について十分に事業計画をつくり上げていくことが求められるところでございます。  このため、事業実施に当たりましては、中小企業振興センターにコーディネーター2名を配置し、事前に計画のブラッシュアップを図るなど伴走型の支援をしております。若い方々が担い手となって県内にソーシャルビジネスが数多く創出されることが持続可能な地域社会の実現にも重要と考えております。本支援金の活用がその一助となるよう引き続き支援に努めてまいります。  続いて、創業相談、支援金の申込み状況及び支援金支給実績についてのお尋ねでございます。  創業相談は、信州スタートアップステーションを中心に対応しており、令和3年度は1月末で延べ469件となっており、昨年度の1.4倍となっております。今年度のソーシャルビジネス創業支援金につきましては、申込みは87件、このうち社会性や必要性など審査要件を満たし書面審査を通過したものが44件、採択数は予定30件に対して26件、交付決定額は4,514万円となっております。なお、採択数及び交付決定額は前年比で約1.4倍となっているところでございます。  最後に、小規模市町村、とりわけ中山間地における創業の支援についてのお尋ねでございます。  中山間地は、過疎化、少子高齢化に伴い地域コミュニティーの維持が困難になるなど、多くの課題を抱えている上、市場規模としても十分とは言えない環境にございます。今年度のソーシャルビジネス創業支援金においては、中山間地における薬局の開設、アートと食を通じた交流事業、休耕地を活用したクラフトビールの醸造事業など、新たにビジネスに挑戦する事業者もございます。こうした中山間地においてより持続可能な事業計画となるよう、伴走支援を行うコーディネーターが商品やサービスの開発と販路等について必要な助言をするほか、地元商工会、信州スタートアップステーション等とも連携し、地域の実情に合った創業を支援してまいります。今後とも、こうした各種支援制度の活用により中山間地が活性化するよう努めてまいります。  以上でございます。 ○副議長(清水純子 君)次に、中川博司議員。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君)改革・創造みらいの中川博司です。冒頭、昨日ロシアがウクライナへ軍事侵攻したことに抗議をし、直ちに撤退し平和的な解決の道に戻ることをロシア政府に強く要求するとともに、日本政府には邦人の安全確保に全力を挙げ、国際社会と連帯して平和的な解決への道を切り開くよう会派の総意として要望し、質問に入ります。  最初に、新型コロナウイルス感染症対策の長期化への対応についてお伺いします。  長引く新型コロナウイルスの影響から、県民生活も県民の意識も疲弊しています。まん延防止等重点措置が行われることも致し方ないほど第6波の感染拡大状況はこれまでとは明らかに異なっています。県民の命と健康を守るために日夜気を抜くことができない状況が丸々2年続いていることに、対応する県知事をはじめ、担当部局や保健所職員などを近くで見ている立場から、本当にお疲れであることがよく分かります。そして、新型コロナウイルス感染症への対応に、自らの感染へのおそれを持ちながら日々患者の皆さんに対応していただいている医療関係の皆様にも、どれほど感謝を申し上げても足りないほどの御苦労をいただいていることも、多くの県民の方がお分かりのことだと思います。  こうした中にあって、県民の皆様からは、いつ収束するのか、いつ元の生活に戻れるのか、オミクロンは重症化しないならまん延防止装置をしても変わらないのではないか、ワクチンは本当に効き目があるのかといった率直な声が聞かれるのも事実です。私は、そうした皆様に、これまでの一般質問でも触れてきましたが、新型コロナに感染しても、ワクチンを打っても、最後は個人の免疫力が勝負ですよとお話をしています。  11月議会で私から提起させていただいたワンヘルスの考え方も大切です。日本国内で、今後家畜などを介して変異をしないように、自然と動物と人間を一体のものとして感染対策をしていくことも県として考えてほしい課題です。  そこで、質問ですが、オミクロン株の特徴も大分分かってきていることと思われますので、ワクチンの有効性について県内データから言えることなどを何点か健康福祉部長に質問をした上で、今後の見通しについて知事にお伺いいたします。  コロナ対策室の説明では、1月末時点でワクチンを2回接種した方と未接種の方の新規陽性者数の割合は半々、重症者はゼロ、再感染者は4人ということでした。2月に入ってからも連日新規陽性者数は増え続けてきましたが、新規陽性者におけるワクチン2回接種者と未接種者の割合や重症化の傾向は1月の傾向と同じなのか、あるいは新たな傾向が読み取れるのでしょうか。  ワクチンの有効性や再感染の状況について県内のデータから言えることはあるのでしょうか。  5歳から11歳までの子供にワクチンが新たに接種されることに対して、慎重にも慎重を期すべきだという意見を多くの県民の皆様からいただいています。子供の副反応について専門的な対応が求められていると思いますが、いかがでしょうか。以上3点、健康福祉部長にお伺いします。  ワクチンによる抗体が時間とともに減っていくことに対して、政府は、6か月経過した方から順次3回目の接種を行っていく方針を示し、現在行われているところです。今後、COVID-19がどのような変異をしていくのかは分かりませんが、これまでのウイルスの歴史から考えると、弱毒化しながら感染力は強くなり、集団免疫が獲得されるまで続くと考えられるのではないでしょうか。もちろん感染者数が増えれば重症化する人も相対的には増えますから、医療が逼迫しないよう、医療提供体制の確保や定期的にワクチンを打つことが必要です。今後利用されるであろう飲み薬の効果なども含め、中長期的な視点で新型コロナウイルスへの認識を早期に示すことが必要だと思いますが、知事の見解をお伺いします。  次に、里親虐待事件の検証についてお伺いします。  6月定例議会で課題となった養育先における児童虐待事件に関して、県は検証委員会を設置し、様々な視点から検証を行い、再発防止に向けた検討を行っているという答弁でしたが、この検証委員会の報告はいつ公表されるのでしょうか。また、議会などでも指摘されている課題について、この間、どのような具体的な対策が行われてきたのでしょうか。特に、里親の適性についての見極めは国の法的措置が必要という考え方がありますが、長野県としてはどのように考えますか。こども若者局長にお伺いします。  次に、家族介護・看護者への支援について健康福祉部長にお伺いします。  平成29年に実施した総務省の就業構造基本調査の中で、介護、看護のために前職を離職した者の割合が長野県は和歌山県に次いで全国で2番目に高い結果が出ています。これは、5年ごとの調査で、平成24年の調査と比較して長野県は1.7ポイント上昇しています。家族の介護や看護のために離職する人の割合が全国の中で長野県が高い理由についてどのように考えていますか。介護や看護のために仕事を辞めることがないようにするために長野県としてどのような施策が必要と考えているか、健康福祉部長にお伺いします。  次に、長野県における多文化共生社会の構築に向けてお伺いします。  昨年9月、本県議会は、国に対して多文化共生社会に係る基本法の制定を求める意見書を全会一致で可決いたしました。これまでも、外国人労働者、技能実習生の課題についてこの議会でも取り上げられてきているところです。コロナ禍ということもあり、松本市の多文化共生プラザには、依然として外国人労働者の雇止などの相談が寄せられています。もちろん、制度上の課題もありますが、雇主の人権感覚やこの地域で共に生きる仲間としての共生感覚を高めるために県からのアプローチが必要になっているのではないでしょうか。お伺いします。  また、外国人技能実習生が仕事を失い、しかも母国に戻れない状況があります。監理団体や外国人技能実習機構が対応するわけですが、すぐに仕事が見つからない場合が多く、永住者、定住者等の在留資格のある外国人なら生活保護を受けることができますが、技能実習生の場合、生活保護を受けることができません。技能実習生の生活を支援する制度が必要と思いますが、県として検討いただけないでしょうか。以上2点は産業労働部長にお伺いします。  また、外国人の方が地域で暮らしていくためには、地域の日本人、長野県民が、同じ人間として、地球社会で生きている仲間として接することが大切なのではないでしょうか。20年以上長野県に住んでいるミャンマーの友人に、県としてどんな政策が必要かと聞きました。いわく、例えば宗教上の理由で牛肉や豚肉が食べられない外国人がいるけれども、レストランや食堂のメニューに牛肉や牛エキスを使っていることが一目で分かるピクトグラムの表示があればいい。ごみの出し方でトラブルになることもあるが、ルールを説明するのではなく、なぜ分別をしているかを説明するほうが理解される。保険証を持って歯医者に行っても、そんなにお金がかかるものではないということを知らないなど、日常生活で共に暮らしていく上でのポイントがあるというお話でした。  長野県が外国人にとって暮らしやすい町であることは、私たちにとっても暮らしやすい町だと思います。大きな市では多文化共生に向けた相談窓口などがありますが、小さな市や町村での対応も含めて、長野県として、県民に外国人と共に生きていくための知恵を示していくことが大切なのではないでしょうか。県民文化部長にお伺いします。  次に、児童生徒の通学路の安全確保について建設部長にお伺いします。  平成24年に全国で登下校中の児童生徒が死傷する事故が相次いで発生したことから、同年8月に緊急合同点検が実施されました。また、昨年6月に発生した千葉県における児童の交通事故被害を踏まえ、8月に合同点検が実施され、新年度予算において対策が講じられているところです。  そこでお聞きしますが、10年前の調査以降、今日まで改善されず今回も報告されている県管理の通学路は何件あり、なぜ改善がされてこなかったのか、理由をお聞きします。  私の地元においても、歩道整備が必要な三桁国道がありますが、市が沿線住民にアンケートを取り、賛成が得られないため、進んでいません。このように、用地買収や物件補償が伴うものについては改善が遅くなりがちだと思いますが、子供の命、安全を守るために、通学路の安全確保は待ったなしの課題だと思います。長野県としてどのような施策が必要とお考えでしょうか。例えば、定期的に市町村や地元自治会などと協議を行う仕組みが必要ではないかと考えるが、いかがでしょうか。  最後に、有機農業、地産地消の推進について農政部長にお伺いします。  農林水産省、消費者庁、環境省が連携してSDGsの2030年までの達成を目指し、持続可能な生産、消費を広めるための活動、あふの環2030プロジェクトが、食と農林水産業に関するサステーナブルな取組動画を募集する「サステナアワード2021伝えたい日本の“サステナブル”」を実施し、全国から92の作品が寄せられて、2月14日、授賞式が行われました。その中で、長野県松川町の「松川町ゆうき給食とどけ隊の思い」が、優秀賞(審査委員特別賞)を受賞したことは、長野県が有機農業を進めていくための弾みになることで、大変喜ばしいことです。  そこで、ゼロカーボンの視点から、農業政策について何点か提案させていただきます。  一つは、生ごみの堆肥化による循環農業の確立です。国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCは、温室効果ガスの21%から37%は、食料の生産、消費、廃棄全体の食料システムが由来であると推定しています。また、世界で食料生産の3分の1が廃棄されているという報告があります。食品廃棄物を埋めればメタンガス、焼却すれば二酸化炭素を発生させます。食品ロスを削減することや生ごみの堆肥化は、実はゼロカーボンの政策だということです。これは、古くて新しい話ですが、2001年に食品リサイクル法が制定され、生ごみのリサイクルが始まりました。2019年には食品ロス削減推進法がつくられました。改めて県農政部が関係部局と連携して生ごみの堆肥化等による循環農業を展開してはいかがでしょうか。  二つ目。地産地消の強化です。これも古くて新しい話ですが、県農政部が昨年12月に行った長野県環境にやさしい農業推進研修会で、セブンイレブン・ジャパンの取組の報告がありました。長野県内のセブンイレブンでは、米、そば、うどんは100%長野県産を使用するように切り替えることで、お客様、地域経済、セブンイレブンがウィン・ウィンの関係になる。キュウリはスライスして売るので、曲がっていても規格外でも買い取っている。信州産丸ナスも使っている。輸送は段ボールからコンテナに替えて、フードロスにも取り組んでいるというお話です。これらがゼロカーボンに資することは言うまでもありません。これも、県農政部と関係部局がタッグを組んで、ゼロカーボンを推進する観点から地産地消の運動の取組を強化してはいかがでしょうか。  三つ目。円安などを原因として、最近化学肥料の値上がりが著しいようです。窒素肥料は天然ガスから、リン肥料はリン鉱石から、農薬も石油から作られるものが多いわけです。そこで注目されているのが緑肥です。松川町でも、実際ソルガムなどの緑肥が使われています。窒素分を増やすには大豆等の輪作、リン酸を活用するにはヒマワリなど、様々な研究がされてきているようです。有機農業推進で化石資源をできるだけ使わなくていい。米の価格が下落していますが、有機で付加価値をつけることもできます。国は、みどりの食料システム戦略実現に向け、環境と調和の取れた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案を今国会に提案しました。いよいよ国としても本格的に有機農業の推進に動き始めていると思われます。  さきに紹介した松川町は、新年度の国の施策である有機農業の生産から消費まで一貫した取組を支援するオーガニックビレッジに取り組むと聞いています。国は、2025年までに100市町村でオーガニックビレッジを目指しています。これまで、長野県として行ってきた有機農業プラットフォームの取組が、県内各地で有機学校給食の取組や有機農業の推進に取り組む地域や自治体に力を与えてきました。長野県内に多くのオーガニックビレッジが生まれることを期待しています。改めて県農政部としての有機農業推進に向けた決意をお伺いします。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)御質問に順次お答え申し上げます。  まず、新規陽性者のワクチン接種状況と重症化の傾向についての御質問でございます。  1月中の新規陽性者のうち接種歴が確認されている陽性者について改めて集計いたしましたところ、2回目の接種から14日以降に陽性となったいわゆるブレークスルー感染者は全体の73%、未接種者は23%でございました。同様に、2月の陽性者についても判明している範囲で集計したところ、ブレークスルー感染者は70%、未接種者は26%であり、1月と2月を比較した場合ほぼ同じ傾向となっております。  また、重症化の傾向につきましては、1月中は重症者の中にワクチン接種者は確認されておりませんが、2月には重症者のうち1名がブレークスルー感染者だったことを確認しております。  次に、ワクチンの有効性についての御質問でございます。  第5波のデータに基づきましてワクチンの効果について分析を行ったところ、ブレークスルー感染者は、未接種者と比較して重症化する割合や濃厚接触者が陽性になる割合が低いことが確認されております。しかし、これに対して同様の分析を第6波で行ったところ、重症化の割合や濃厚接触者が陽性となる割合について、ブレークスルー感染者と未接種者の間に明らかな差は見られず、ほぼ同じ傾向となっております。  また、一度新型コロナウイルス感染症と診断され、療養解除後に再度感染し陽性となったいわゆる再感染の事例につきましては県内で23例ございまして、特に第6波での増加が見られるところでございます。ワクチンの発症予防効果が下がるというオミクロン株の特性も考慮する必要がございますが、これらのデータから、第6波では、2回のワクチン接種から時間が経過したことに伴い、徐々にその効果が低下しているものと考えております。  なお、追加接種によって抗体価を高めることにより感染や重症化を防ぐことが期待されております。県といたしましては、3回目のワクチン接種を前向きに進めていく必要があると考えております。  それから、5歳から11歳までの子供への接種についての御質問でございます。  小児への接種は、小池議員や高村議員への質問にもお答えいたしましたが、方向性を市町村と共有しておりまして、重症化リスクの高い基礎疾患のあるお子さん等には速やかな接種機会を提供する、それ以外のお子さんについても希望者ができるだけ早期に接種を受けられる体制を整備する、こういう申合せをしております。接種が3月上旬以降順次開始される予定になっております。  なお、厚生労働省によりますと、5歳から11歳までの副反応は12歳から15歳までより頻度が少ないとの海外の報告もございますが、副反応が生じた場合、まずは接種を受けた医療機関やかかりつけ医である小児科において丁寧に対応していただくことが不可欠であると考えております。県といたしましては、関係する医療機関において知見が共有され、きちんと対応が行われるよう、また、専門的な治療が必要となった場合は、より専門的な医療機関を受診できるよう体制を整えるなど、きめ細かな対応に努めてまいります。  次に、家族介護・看護者への支援についての御質問をいただいております。  まず、介護等離職の割合が高い理由でございます。  本県では、まず介護している者の有業率が60.7%と全国で最も高い割合となっております。そもそも介護しながら働いている人が多いという状況が離職者が多くなる基礎にあるというふうに考えております。  その上で、令和元年度に実施いたしました高齢者生活・介護に関する実態調査で、介護者が介護する上で困っていることをお聞きしたところ、多いほうから順に、「日中、家を空けるのを不安に感じる」という回答が40.6%、「精神的なストレスがたまっている」という回答が40%、「自分の自由になる時間、リフレッシュする時間が持てない」という回答が26%となっております。介護者が大きな精神的負担を抱え、その解消ができないでいることが離職の原因の一つとなっているものと推測されます。こうした介護者の立場に寄り添い、相談できる窓口の存在や、精神的負担などを軽減するための制度の周知が必要であると考えております。  この介護離職防止のための施策についてでございますが、家族介護者が悩みを相談できる窓口としては、地域包括支援センターがございます。こうしたところを通じて、介護者同士の交流機会を提供するなどの市町村で実施している支援制度や、育児・介護休業法に基づく介護休業制度等の利用をしていただき、負担軽減につなげていただくことが必要と考えております。  県では、昨年11月8日から26日にかけまして、県内経済4団体及び労働団体を直接訪問いたしまして、相談支援の窓口である地域包括支援センターや市町村の介護者支援制度について事業者及び従業者に対して広くお伝えをしていただくよう依頼をいたしました。あわせて、長野労働局と連携し、法に定める介護休業制度や短時間勤務等の利用促進に向け、市町村及び地域包括支援センターに周知したところでございます。  今後は、これら関係団体の御意見もお聞きしながら、第8期長野県高齢者プランに沿いまして、施設整備や在宅サービスの充実はもとより、市町村が行う家族介護者を支える制度、その他の介護離職防止につながる取組を支援してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、新型コロナ対応に関連して、中長期的な視点での新型コロナウイルスへの認識についてという御質問をいただきました。  現在、まん延防止等重点措置を講じさせていただき、取組を進めているわけでありますが、多くの県では、直近1週間の人口10万人当たり新規陽性者が200人を上回るところがほとんどでありますが、本県の場合、何とかその直前で踏みとどまって、やや今減少基調にありますし、また、確保病床率も50%に行かないようにということで取り組んできましたが、それも大体40%前後で推移しており、これまで多くの皆様方の御理解と御協力をいただいてきた結果、何とか危機的な状況は回避してくることができたのではないかというふうに思っております。  中長期的な視点ということでありますが、今は第6波でありますが、この2年間、同じような対策、対応では済まされない事態だったというふうに思っています。当初はお子さんはほとんど陽性になりませんでしたけれども、この第6波はかなり子供の陽性者が多いわけであります。また、第5波のデルタ株と今回のオミクロン株では相当性格、性質が違うということでありますので、今後を見通していくのはかなり難しい部分があるなというふうに思っています。専門家の間でも、季節性インフルエンザと同等になってきているのではないかという御意見がある一方で、これだけ決定的にみんながマスクの着用とか手洗いをやった上でようやくインフルエンザ並みになってきているという状況なので、さらなる変異株の出現という可能性もある中で、まだまだインフルエンザ並みとまでは言えないという考え方もあるところであります。  しかしながら、2年以上こうした対応をしておりますので、そろそろ出口戦略をしっかり示していく必要があるのではないかというふうに私も思います。ただ、これは、国においてしっかり方向づけしてもらわなければいけないというふうに思います。当初全くなかったワクチンや治療薬が出てきていますので、こうしたものの有効性や確保の見通し、また、現在オミクロン株と闘っているわけでありますけれども、その変異としてのBA.2の出現ということも言われていますし、さらなる変異株ということも可能性としてあるわけでありますので、こうした新型コロナウイルスの変異の可能性、さらには、海外における対策の変化とそれの影響や効果、こうしたことを踏まえていただいた上で、ぜひ科学的な知見に立った出口戦略を早期に示していただきたいというふうに思っております。また、こうした点については知事会等を通じて国にも要請していきたいというふうに考えております。  県としては、まずはまん延防止等重点措置の適用期限である3月6日までに一定のレベルまで感染を落ち着かせていきたいというふうに考えておりますので、県民の皆様方、事業者の皆様方には、いましばらく御協力をお願いしたいというふうに思っております。  以上です。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には、県内で発生いたしました重大被措置児童虐待について、検証報告の公表時期、これまで県が行ってきた対策、里親の適性の見極めという3点について御質問をいただきました。  まず、検証報告の公表時期でございます。  県が措置した児童が養育先で重大な虐待を受けていたという事案の検証につきましては、昨年5月に有識者による検証委員会を設置し、これまで6回にわたり検証が行われております。今後、来月に第7回検証委員会を開催し、年度内に県へ検証報告を提出いただくという予定になっております。  これまで県が行ってきた対策でございます。  県では、再発防止を図る観点から、課題と考える事項について検証結果を待つことなく対策を行ってまいりました。具体的には、児童相談所が行う児童との定期的な面接について頻度や時間を増やすとともに、里親等の影響のない場所で行うように面接方法を変更いたしました。また、児童が被害を外部に訴えやすくする環境づくりに向け、面接などにおいて自分は守られている存在であるということや、権利が侵害されたときはすぐに伝えてほしいということを子どもの権利ノートというものを活用して定期的に分かりやすく説明するということをルール化させていただいております。また、里親研修において、子どもの権利擁護、被措置児童虐待防止に関する研修の時間を拡充いたしました。さらに、学校現場での適切な対応方法を周知徹底するため、県教委と連携し、小中高の学校管理職研修において児童相談所長による虐待対応研修を実施いたしたところでございます。今後は、検証報告を踏まえ、さらなる対策を検討し、再発防止に努めてまいります。  最後に、里親の適性に関する見極めについてでございます。  里親の審査における適性の見極めに関しましては、見極めるための情報をいかに多く集めることができるかというところが重要であると考えております。現在検証委員会で御議論をいただいているところでございまして、今後出される検証報告の提言を十分に確認させていただき、県として対応すべき点を検討いたしてまいります。その上で、国に制度上の措置を求めるべきものがあれば、ほかの課題等も含め、積極的に国に提言してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)外国人労働者の雇い止めなど2点の御質問をいただきました。  初めに、外国人労働者をめぐる雇主の人権感覚や地域の共生感覚についてのお尋ねでございます。  長野労働局が先月末に公表した令和3年10月末現在の県内の外国人雇用状況によれば、県内の4,149事業所に2万714人の外国人労働者が雇用されており、事業所数、労働者数とも過去最高を記録したとされております。一方、全国の労働基準監督署が技能実習生の受入れ事業所に対して行った指導監督の結果では、法令違反事業所が7割を超え、高止まりにあるとしております。違反の内容を見ますと、機械等の安全基準違反、長時間労働、割増し賃金の不払い、違法な賃金控除などが上位を占めています。  こうした実態を踏まえ、県では、令和3年1月に設置した外国人材受入企業サポートセンターにおいて事業主向けセミナーや労働教育講座を開催したほか、7月の多文化共生推進月間では、ポスターを作成し、関係機関に配付するとともに、やさしい日本語の普及啓発のための講習を実施するなど、事業所や地域における多文化共生意識の醸成に努めているところです。既にESG投資に見られるように、人権への対応が企業ブランド、社会的評価にもつながってきております。引き続き、日本人も外国人も互いを理解し、尊重し合いながら働ける職場、暮らせる社会づくりに向け、取り組んでまいります。  次に、技能実習生の生活支援の制度についてでございます。  技能実習法では、技能実習生が雇い先から解雇され、実習の継続が困難になった場合、監理団体が次の実習先や実習生の宿泊場所の確保等を担うこととされており、仮に監理団体が対応しない場合には、外国人技能実習機構が代わって実習生の援助に当たることとされております。さらに、実習生が新型コロナの影響で解雇された場合、次の就業先の確保のために出入国在留管理庁においてもマッチング支援が行われております。  こうした中、県といたしましても、外国人材受入企業サポートセンターや多文化共生相談センターが必要に応じ外国人技能実習機構や出入国在留管理庁に取り次ぐなど、関係機関と連携して支援に努めてまいります。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)県民に対しまして外国人と共に生きていくための知恵を示していくことについてどうかとのお尋ねでございます。  御指摘のように、地域住民の側が外国人県民の抱える疑問や不安を理解し配慮する中で共に生きていけるよう、県として様々な知恵や方法を集めまして、それを市町村はじめ各地域に紹介していくことは、多文化共生の地域づくりを進める上で重要な方向であると考えております。  このため、県では、昨年度から多文化共生を進めるためのモデル地域を設けまして、地元市町村等と連携しながら、地域住民と外国人が実際の生活場面で接する機会をつくることで共に暮らしていくための気づきが得られるよう取組を始めたところでございます。  例えば、昨年度モデル地域となりました駒ヶ根市では、日本語習得に向けたプログラムの中で、実際に外国人の方が買物などをしながら地域の商店街を歩く取組や、医療従事者の方にも参加いただいて病院の受診体験などを行う、こうしたモデル的な取組を始めております。  今後は、支援団体などがない小規模な市町村に向けてこうしたモデル地域での取組を紹介し、普及を図っていくことで、地域住民の側の多文化共生意識を広げる取組を進めまして、共に生きていく社会づくりを広めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)通学路の交通安全対策についての御質問でございます。
     平成24年度の点検において県管理道路で対策が必要とされた546か所につきまして事業を進めてきたところでございますが、歩道整備などについて地元説明や地権者交渉に時間を要したため、工事が完成せず、今年度の点検で32か所について継続して実施することとしております。この32か所につきましては、地元や学校関係者と協議し、まずは路面標示や部分改良などの安全対策を今年度末までに8か所、令和4年度中に残りの24か所について行うこととしております。引き続き、今年度の点検結果を踏まえ、さらなる安全対策を進めてまいります。  次に、用地買収等を伴う事業の進め方に関するお尋ねでございます。  まず、地域の皆様が対策を要望する危険箇所については、市町村や地元自治会、学校関係者とともに現地で立ち会い、対策の方向性について確認しております。その上で、歩道などの設計に当たりましては、地権者も含めて地域の皆様や市町村、地元自治会と協議を重ねながら、地域の実情に即した設計になるよう努めてきております。その後、地域の同意を得た設計に基づき、県として個々の地権者さんの御意見、御要望を十分把握し、市町村や地元自治会等の御協力をいただきながら、様々な課題に対する協議を行いつつ用地交渉を進めているところでございます。今後とも、地域の皆様への丁寧な説明を心がけることによりまして、子供の命が危険にさらされることのないよう道路環境の整備に積極的に取り組んでまいります。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には3点御質問をいただきました。  初めに、生ごみの堆肥化による循環型農業の展開についてでございます。  地元で生産された農産物が地域内で消費され、その残渣が堆肥となって農地に還元されて再生産につながることは、持続可能な食料システム構築の観点からも有効と考えております。  県内においても、堆肥の材料の一部に生ごみを利用している事例はありますが、全ての材料を生ごみとすると、水分量が多く、堆肥化が容易でないこと、異物混入を防ぐために徹底した分別収集が必要となることなど課題が多いと認識しております。一方で、農地への堆肥散布は環境に優しい農業を推進する上でも重要であることから、農政部としましては、堆肥化施設の整備や製造された堆肥の有効活用を支援するとともに、今後生ごみの堆肥化をどのように実用ベースへ乗せることができるのかを関係部局と連携し、検討を進めてまいります。  次に、地産地消に向けた運動の強化についてでございますが、脱炭素社会にもつながる地産地消の取組の推進に当たっては、県民の皆様の理解促進を図るとともに、県内における生産者と食品企業等との結びつきを拡大していくことが重要と認識しております。このため、今年度は、県産食材の応援消費を促す地産地消フェアを開催するとともに、地元産を選ぶことが環境に配慮した消費につながることについて、テレビや新聞等を活用し、広く情報発信いたしました。セブンイレブン・ジャパンの取組もこの一環として実施したものでございます。  また、生産者と食品企業等の双方が意見交換できるプラットフォームを設置し、例えば県産キノコの学校給食での利用拡大に向けた商品づくりなど新たな地産地消の取組も促してまいりました。来年度は、さらに生産者と食品企業や小売店等との結びつきを強化し、県産食材の利用拡大を図るとともに、県内の有機農産物の学校給食での活用も推進することとしており、引き続き関係部局とも連携した地産地消の取組を広げてまいります。  最後に、有機農業推進に向けた決意ということでございますが、県では、有機農業を、農業の自然循環機能を大きく増進し、農業生産に由来する環境負荷を軽減する栽培方法として環境に優しい農業の一つに位置づけ、平成21年に策定した県の有機農業推進計画に基づき推進しております。また、持続可能な社会の構築に向けて県が推進するSDGsやゼロカーボンの観点からも有機農業への期待と役割は大きいものと認識しております。このため、農政部では、有機農業の専任担当を配置するとともに、県有機農業推進プラットフォームを開設して、勉強会の開催や販路開拓など有機農業の推進を支援しているところです。  今後は、みどりの食料システム戦略や関連法制度の状況も踏まえ、現在策定を進めている次期長野県食と農業農村振興計画の検討過程において、多くの皆様の御意見をお聞きしながら、有機農業の推進を計画に位置づけて、さらなる拡大につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君)御答弁をいただきました。  まず、里親の虐待事件についてですが、性犯罪は再犯性が非常に強い犯罪ということもぜひ今後検討していただきたいというふうに思います。  二つ目に、多文化共生社会の構築に向けてですが、お話を聞いていて、我々の努力は必要だとしても、推進する条例が必要なのではないかということを一つ提起させていただいて、質問を終わりにいたします。 ○副議長(清水純子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時12分休憩          ──────────────────         午後2時27分開議 ○議長(宮本衡司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  加藤康治議員。       〔5番加藤康治君登壇〕 ◆5番(加藤康治 君)初めに、新型コロナウイルス感染者への対応について伺います。  昨年夏頃に猛威を振るったデルタ株からより感染力が強いとされるオミクロン株への置き換わりによる第6波により、県内においても、当初の想定を超える新型コロナの感染が昨年末から急速に拡大し、陽性者は3万人に達しようとしています。感染状況に大幅な改善が見られないため、まん延防止等重点措置の適用も来月6日まで延長されています。県内において初めて陽性者が確認されて、本日で2年が経過しました。この2年間、県におかれては、知事を先頭に、市町村や医療現場をはじめ、関係する全ての皆様と連携しながら昼夜を分かたず御対応をいただいていることに対し、心より敬意と感謝を申し上げます。  私自身も、今回新型コロナに感染し、多くの皆様に御心配をかける結果となってしまいました。しかしながら、自分自身が感染し、実際に経験したことにより、見えてきたことがあります。また、今回の感染拡大により感染された方から様々なお声をいただくことが増えていることから、県としてこれまで行ってきている対応が感染者に確実に届いているのか改めて確認するとともに、今後の新たな変異株の状況によっては、これまで以上の対策の必要性が出てくることが想定されることを踏まえ、何点かお伺いいたします。  まず、PCR検査についてですが、同居している保護者が先に新型コロナに感染した場合、濃厚接触者となった子供らは後日PCR検査を受けることになりますが、検査会場までの移動手段のない子供等が検査を受ける際、保護者が体調を崩している場合は検査会場まで送迎できないことが想定されます。また、濃厚接触者として自宅等で待機している独居者が、PCR検査を受ける前に症状が発生して、移動が厳しい場合も考えられます。私自身も、濃厚接触者と判定され、数日後にPCR検査を受けましたが、検査の前日に発熱や頭痛等の症状が出てしまい、体調がすぐれない中、自家用車で検査会場へ向かった経過があります。そこで、濃厚接触者がPCR検査の会場へ行くことが困難な場合の対応状況はどのようになっているか。また、濃厚接触者がPCR検査を確実に受けられるための体制整備が必要ではないかと考えますが、御所見を伺います。  新型コロナに感染し自宅で療養されている県民は、昨日現在で4,000名近い状況であり、行政によるきめ細やかな対応が必要です。感染により宿泊施設や自宅で療養する際、重症化の兆候をつかむため血中の酸素濃度を測定するパルスオキシメーターが活用されていますが、県内全ての療養者に貸与されていない現状があります。症状が急激に悪化する可能性を踏まえると、療養している全ての方にパルスオキシメーターを貸与する必要があると考えます。感染者数も増える中、パルスオキシメーターが足りない状況が懸念されますが、病状の確認が必要な方や、病状の急変に備え、療養者全員に確実に早急に貸与される体制になっているか、伺います。  新型コロナに感染し自宅療養する場合には、外出の自粛が要請されるため、食品や生活必需品の購入が困難になります。万が一の場合に備え、日頃から食品等を自宅に備えておくことも必要ですが、現実には全ての家庭がそのような状況にはなっていないと思われます。自宅療養となった場合、近くに親族等がいれば食品等の支援を受けることも可能ですが、近くに支援していただける方がいない、また、自分が感染したことを他人に知られたくないため支援をお願いすることができない方もいらっしゃると推察されます。本県では、長野県健康観察センターを設置し、自宅療養者のうち独居者など同居家族等による支援を受けることが困難であると保健所長が認めた場合に食事や生活必需品の支援を行うこととしていますが、独居者以外であっても、家族全員が自宅療養となり、外出ができず、家族以外の支援を受けることができない場合には確実に食品等が届く体制になっているか、伺います。  感染された方にお話を伺うと、同じ県内に住んでいても、保健所の設置主体により、例えばパルスオキシメーターの貸与や、食料、生活必需品の支援等について、自宅療養者への対応に違いが生じている状況があるのではないかと考えます。そこで、全ての感染者が安心して自宅で療養できる状況にするため、保健所を設置している長野市や松本市に対し県としても必要な助言や支援を行うべきではないかと考えますが、いかがか。伺います。  自宅療養者が増えている現状を踏まえると、安心して療養できる環境整備が重要です。体調に変化が生じた場合には、自宅にいながら医師による診察ができ、必要な薬が届く体制を整備すべきです。そこで、療養中の体調変化に対応するための電話診療も含めた医師による診察の体制や薬の処方、自宅への迅速な送付等の体制整備の状況はどのようになっているか、伺います。  今回の第6波においては、家庭内での感染の割合が増えている状況がありますが、保護者が感染し自宅で子供の世話ができない場合を想定した対策が必要と考えます。そこで、例えば、親子が一緒に宿泊療養施設に滞在できるようにすることも一つの方法と考えますが、支援体制は取れているか、以上を健康福祉部長に伺います。  また、感染した保護者が重症化し入院等をした場合、子供の世話ができない状況になることも想定されますが、そのような家庭への支援は現状どのようになっているか、こども若者局長に伺います。  第6波の感染状況を踏まえると、家庭内での感染をいかに防止するかが重要と考えます。特に、重症化リスクが高いとされている高齢者がいる家庭への対応が急務です。事実、家庭内で高齢者への感染が広がっているとの指摘もあります。同居家族が感染した場合は、高齢者の早期の隔離や支援が必要ですが、今回のオミクロン株の感染力の強さを考えると、自宅での隔離は厳しいと考えます。そこで、同居家族が感染者となり高齢者が濃厚接触者となった場合、同居家族からの感染を防ぐため、自宅以外での隔離を行うような体制整備が重要と考えますが、どのような対応が行われているか、健康福祉部長に伺います。  第6波においては、10歳代以下の感染が増えており、子供の感染や学校、保育園等での休校や休園が相次いでいることにより、保護者が仕事を休まざるを得ないケースが増えています。保護者が休暇を取得しやすいよう事業主を支援する国の制度として、小学校休業等対応助成金・支援金がありますが、全国的な感染拡大を受け、支援制度の対象期間が来月まで延長されています。しかしながら、実際にこの制度を保護者が活用しようとしても、事業所が認めてくれないケースがあると聞いており、この制度に対する事業所への理解が進んでいないことや、制度の活用に際し事業者の申請手続が煩雑と思われている背景があるのではないかと考えます。そこで、県としても、助成制度の事業所での積極的な活用に向け、国と連携した助成制度のさらなる周知や申請に関し丁寧な相談対応を行うべきと考えますが、いかがか。産業労働部長に伺います。  また、この制度は、保護者が個人で申請することも可能です。従来は労働局が勤務先に確認しなければ申請できませんでしたが、勤務先への確認前でも申請できるよう簡略化され、一層活用しやすくなりました。そこで、市町村教育委員会とも連携し、小学生等の保護者に対し支援制度のさらなる周知を行うべきと考えますが、いかがか。教育長に伺います。  さらに、保育園児等の保護者に対しても同様に支援制度のさらなる周知を図るべきと考えますが、いかがか。こども若者局長に伺います。  新型コロナワクチンの3回目の追加接種が進んでいますが、新型コロナの感染歴がある方から、自分は追加接種をしたほうがよいのかどうか迷っているとの声をお聞きします。国の「新型コロナワクチンについてのQ&A」によりますと、新型コロナの感染歴のある方にワクチン接種をすると、感染歴のない方に接種したときよりも高い抗体価を得られるという報告がある一方で、発熱等の全身性の副反応や接種部位の痛みといった局所の副反応が、感染歴のない方と比べると高い割合で発現するといった報告もあります。そこで、新型コロナの感染歴がある方がワクチンの追加接種を行うべきかについての県としての見解をお聞きするとともに、県内でも感染者が増加している状況を踏まえ、市町村とも連携しながら感染者の追加接種に対する考え方についてさらなる周知を行うことが必要と考えますが、いかがか。健康福祉部長に伺います。  新型コロナに感染した場合、発症から10日経過し、かつ、症状が軽快してから72時間経過した場合、あるいは、症状が軽快してから24時間経過し、24時間以上間隔を空け2回のPCR検査で陰性を確認できれば、退院や自宅療養等が解除となります。新型コロナの陰性証明がなくても社会復帰が可能となっていますが、陰性が確認されてからの職場への復帰が求められるケースがあるなど、国で定める療養解除基準が社会に浸透しておらず、理解が進んでいないと感じるところです。  現在、本県においても無料でPCR検査が受けられる体制が整えられていますが、検査が受けられるのは症状のない方や感染に不安のある方に限られています。実際に感染した方が社会復帰する際については無料検査の対象外であり、必要な方は自己負担でPCR検査等を行う必要があります。新型コロナに感染した方からは、社会復帰する際のPCR検査費用の助成を行ってほしいとの声も寄せられており、それだけ切実な課題となっております。そこで、県としても、新型コロナに感染した方の退院や療養の解除に関する基準のさらなる周知を行う等、感染した方も感染していない方も安心して社会生活が送れるよう取り組むべきと考えますが、いかがか。知事に伺います。  次に、誰一人取り残さない公正な社会づくりについて伺います。  来年度、当初予算案の六つの重点テーマの一つとして、この「誰一人取り残さない公正な社会づくり」が掲げられています。この問題に全力で取り組んでいくとの知事の決意の現れではないかと推察されます。新型コロナの感染拡大を契機に、これまで表に現れてこなかった様々な課題が顕在化している状況があり、それぞれにしっかり向き合い、解決していく必要があります。  その一つに、困難を抱える女性への支援があります。新型コロナの感染拡大による女性への負担が増加している中、世界各国で、女性の月経に関するいわゆる生理の貧困の問題が浮き彫りとなりました。日本においても同様の問題が発生し、このことをきっかけとして、国において地域女性活躍推進交付金の追加措置により困難を抱える女性に寄り添った支援が大幅に拡充されました。これを受け、本県においても、昨年6月補正予算において、コロナ禍において不安・困難を抱える女性に対する緊急支援事業が事業化され、女性相談窓口の整備や女性の居場所づくり、生理用品の提供等が行われています。そこで、これまでの事業の実施状況についてお聞きするとともに、女性相談窓口にどのような声が寄せられ、実際の支援につながったか、伺います。  コロナ禍が長期化する中で、困難を抱える女性はさらに増える懸念があり、支援の継続が求められますが、実施に当たっては、県内の様々な団体や民間企業等を巻き込みながら行っていくことも重要と考えます。そこで、現在行っている事業の状況を踏まえ、さらに支援を充実すべきと考えますが、来年度以降の方向性や展開について、以上を県民文化部長に伺います。  家族の介護や世話などを日常的に行っている18歳未満の子供、いわゆるヤングケアラーが社会的にも注目される中、ヤングケアラーに対する国の支援が来年度拡充されます。国は、来年度からの3年間を集中取組期間に設定し、社会的認知度の向上を図るほか、自治体の取組等を支援する新規事業を創設することとしており、来年度当初予算案に関連経費が盛り込まれています。  県が昨年9月に実施したヤングケアラーに関する高校生へのアンケート調査によりますと、「世話をしている家族がいる」と回答した生徒は、全日制高校生で2.1%、定時制高校生で3.8%、「ヤングケアラーと自覚している」と回答した生徒は、全日制で1.6%、定時制で3.0%と、本県においても高校生のヤングケアラーが一定程度存在することが明らかになりました。また、「ヤングケアラーについて聞いたことがない」と回答した生徒は、全日制で67.5%、定時制で82.0%となり、認知度の向上が課題であることも明らかになりました。  自治体の取組を支援する国の来年度の新規事業として、ヤングケアラーの実態調査や、福祉、介護、教育等の関係機関職員向けに研修を実施する自治体に対する財政支援を行うこととしています。また、関係機関と民間支援団体とをつなぐヤングケアラーコーディネーターの配置や、当事者同士が悩みや経験を共有し合うオンラインサロンの運営支援に対する費用を負担することとしています。県としても、国の事業を最大限に活用し、ヤングケアラーへの支援を加速する必要があります。  県では、来年度当初予算案にヤングケアラーの実態調査に係る経費を計上し、今年度の高校生への調査に加え、小中学校、大学の児童生徒、学生、関係機関を対象にアンケート調査を行うこととしており、県内におけるヤングケアラーの実態を把握する上で一歩前進と考えます。そこで、小中学生等についての調査対象や調査時期、市町村との連携等、具体的な調査方法について伺います。また、調査結果を踏まえた上で具体的な支援策を講じることが重要と考えますが、今後の支援の方向性についてこども若者局長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、新型コロナウイルス感染者への対応につきまして合計8点御質問を頂戴いたしました。順次お答え申し上げます。  まず、濃厚接触者のPCR検査会場への移動手段、また、PCR検査を確実に受けられる体制整備についての御質問でございます。  濃厚接触者の方に対するPCR検査については、これまでも原則として自家用車の利用など御自身で手配していただいた公共交通機関以外の手段によりまして保健所や外来検査センター等において実施してまいりました。また、症状が出現された方については医療機関を受診していただき、症状が重く緊急を要する場合には救急車を要請していただき、救急外来において対応してきたところでございます。  なお、どうしても御自身で移動手段を手配することが難しい方につきましては、それぞれの事情に応じて、例えば保健所において訪問するなど個別に対応してまいりました。今般の第6波におきましては、濃厚接触者の方も急増しておりまして、こうした個別対応が非常に難しい状況になっておりますが、重症化リスクの高い方など、その必要性等に応じて対応してまいりたいと考えております。  濃厚接触者の検査につきましては、保健所業務が厳しい状態にある現時点におきましても、重症化リスクの高い方は必ず検査を受けていただけるよう努めているところでございます。重症化リスクが低く全く症状のない方は御自宅で健康観察をしていただいておりますけれども、保健所で備蓄している抗原定性検査キットの活用なども可能でございますので、必要な場合はそういった方法も含めて対応してまいります。  次に、パルスオキシメーターの貸与についてでございます。  本県では、パルスオキシメーターにつきましては、宿泊療養者分として約1,000個を施設に常備するとともに、自宅療養者分として約6,000個を確保し、療養者全員に貸与しております。また、パルスオキシメーターをこれまで健康観察センターから療養者に送っておりましたが、今般の自宅療養者の急増を受けまして、増員した保健所の事務スタッフから療養者に送る方法に変更いたしまして、迅速に療養者の手元に届く体制としたところでございます。今後も、迅速かつ確実に貸与できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  それから、健康観察センターによる生活支援物資の提供体制についてでございます。  本県では、自宅療養者の生活支援物資について、独居者ではなくても、家族全員が自宅療養となり外出ができない場合は、健康観察センターから食料品や生活必需品等を無償で提供しております。今般の自宅療養者の急増を受け、事務スタッフを大幅に増員することなどにより、生活支援物資を迅速、確実にお届けできる体制を整えたところでございます。  次に、保健所設置市に対する助言、支援についての御質問でございます。ただいま申し上げましたとおり、県では自宅療養者に対して様々な支援を行っておりますが、長野市や松本市でもきちんと対応できるように助言や支援をしてほしいという御指摘かと思います。  保健所設置市である長野市と松本市に対しては、知事と保健所設置市長との意見交換会や保健所長会議を随時開催しておりまして、必要な認識を共有するとともに、常に意思疎通を図っているところでございます。自宅療養者の支援につきましても、ノウハウの助言や生活支援物資の提供に係る補助も行っておりまして、とりわけパルスオキシメーターにつきましては、知事と市長との意見交換会で市の保有数が十分でないという話が出まして、県の保有しているものを貸与したということもございました。県は、保健所設置市に対して上から指導を行う立場にはございませんが、県と保健所設置市ができる限り足並みをそろえて対応していく必要があると考えております。今後も、認識の共有と意思の疎通を図り、相談や要請があれば迅速に対応してまいりたいと考えております。  それから、自宅療養者に対する医療提供体制の整備についてでございます。  本県では、自宅療養者の症状が増悪した場合、重症化のおそれが認められる患者については、保健所が受入れ医療機関での受診、入院の調整を行っております。また、発熱などの症状が生じた軽症者については、保健所から登録医療機関に依頼し、電話診療等を実施いたしまして、薬の処方が必要な場合は医療機関から連携薬局に処方箋を送り、薬局が患者の自宅へ屆ける仕組みを構築しているところでございます。安心して自宅で御療養いただけるよう、医療提供体制の整備には今後とも努めてまいりたいと考えております。  次に、保護者が感染した場合における親子の宿泊療養についての御質問でございます。  本県が用意している宿泊療養施設におきましては、ツインルームが111室あり、感染した保護者が入所する場合には、空き室があれば親子が同じ部屋で療養できる体制は整っております。ただし、子供さんが陰性の場合、同室の場合はどうしても感染するリスクを負うことになりますし、また、子供さんの陽性の場合につきましては、日本小児科学会のガイドラインでは、精神的に不安定になりがちであること等から、基本的に小児の軽症者は自宅療養とすることが適切とされております。こうしたことも踏まえて、個々の事例に即して適切に対応してまいりたいと考えております。  次に、高齢者が濃厚接触者となった場合の対応についてでございます。  陽性者の御自宅に重症化リスクの高い高齢者が同居している場合、陽性者に宿泊療養していただくことが原則となっております。したがいまして、宿泊療養が利用できないという事情がない限りは、高齢者の側を御自宅から別の場所に移さなければならないというケースは少ないと考えておりますが、仮に高齢者が自宅以外で生活する必要が生じた場合は、高齢者が介護保険の認定者である場合は、自宅以外の施設に一時的に入所できるサービスとしてショートステイが利用できる状況でございます。また、認定者でない場合は、市町村で運営されている生活支援ハウスや宅老所等が行っているお泊まりデイサービス、養護老人ホーム等での一時受入れも可能でございます。こうした制度の活用は、地域包括支援センター、市町村福祉担当課が相談に応じておりますので、適切な相談や対応ができるよう支援してまいりたいと考えております。  それから、感染歴のある方への追加接種についてでございます。  厚生労働省によりますと、新型コロナへの感染歴がある方も追加接種が可能であり、感染後から追加接種までの間隔については、諸外国の動向や現時点での科学的知見を踏まえて、暫定的に3か月が一つの目安とされているところでございます。現在、オミクロン株によりまして2回目接種をした方の感染者数が増加している状況であり、再感染するおそれもあることから、県としては、感染歴のある方も、より高い抗体価を得るために追加接種を御検討いただければと考えております。  感染歴のある方への追加接種につきましては、これまでは相談があった場合に対応することとしておりましたけれども、御指摘のとおり感染者数がこれだけ増えてまいりましたので、今後は広く周知する必要があると認識しております。具体的には、追加接種の広報内容に加えることや、感染者に対して個別に案内することなどが考えられるところでございますが、広く趣旨が伝わるよう周知の方法については検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には3点御質問いただきました。順次お答えさせていただきます。  まず、保護者が重症化し入院等により子供の世話をできないケースへの対応でございます。  保護者が新型コロナウイルスに感染し、入院等により子供の養育が困難になった場合には、最終的なセーフティーネットとして児童相談所が一時保護を行う体制を整えております。具体的には、保健所、市町村、児童相談所の三者で、保護者の重篤度や当該児童の状況、親戚等保護者以外の養育先がないかなどを調査検討し、適切な養育先が見つからない場合には児童相談所が一時保護を行う仕組みとなっております。実際にこのようなケースで児童相談所が児童を一時保護したケースは、これまで、3世帯6人となっておりますが、一時的とはいえ、保護者の元を離れ、知らない場所で一定期間生活することは、子供にとって精神的負担も大きいものと考えております。今後も、児童の養育先の選定に当たりましては、児童の意向を十分に踏まえ、最善な養育先を選定してまいりたいと考えております。  次に、小学校休業等対応助成金・支援金の保育園児等の保護者への周知についてでございます。  小学校休業等対応助成金は、保護者が経済的な負担感を感じることなく安心して仕事を休んで子供の世話をする上で重要な制度と認識しております。これまでも、制度改正等の機会を捉えて市町村を通じて保護者に制度の周知を図ってまいりましたが、第6波においては子供の感染が拡大したことから、先月、市町村に再周知を依頼したほか、まん延防止等重点措置が延長されたことを受けて、改めて2月にも周知をお願いしたところでございます。今後も、必要に応じて市町村と連携して保護者への周知に努めてまいります。  最後に、ヤングケアラーの実態調査の対象者等について御質問をいただきました。  まず、実態調査の対象者でございますが、今年度、高校生を対象として実施したところですが、来年度は、高校生以外の小学生、中学生、大学生に対象を広げる予定でございます。より幅広い年齢層を調査することで、よりきめ細かに支援ニーズを把握することができるのではないかと考えております。具体的な調査時期、調査方法等につきましては今後検討してまいりますが、特にどの学年に調査を行うかということにつきましては、アンケート調査を行うという性質もございますので、子供の発達段階等も踏まえて考えてまいりたいと思っております。また、調査を行うに当たりましては、市町村等の関係者の御協力が欠かせませんので、そういった関係者の方々の御意見も伺いながら連携して進めてまいりたいと考えております。  実態調査を踏まえた今後の支援策についてでございます。  県では、来年度、国と歩調を合わせて、認知度向上に向けた集中的な広報、教育や福祉分野の関係者の対応力向上に向けた研修、ヤングケアラーに対する訪問家事支援事業に対する補助などに取り組むこととしております。今後、来年度行う実態調査の結果も踏まえながら、さらに必要な支援についても検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)小学校休業等対応助成金・支援金の周知、相談対応についてのお尋ねでございます。  このたびの第6波は、保育園や小学校等での感染も多く、子供の臨時休校等で仕事を休まなければならないが何か制度はないかといった相談が県の産業・雇用総合サポートセンターにも寄せられています。こうした御相談には、制度の詳細を説明するとともに、申請先の労働局へ確実につなぐよう対応しております。また、事業者の理解を深めるため、1月31日付で、経済団体を通じ、経営者の皆様に、労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させる制度を整備いただきたいこと、その場合には厚生労働省の小学校休業等対応助成金の対象となるのでその活用をいただきたいこと等の周知依頼を行うとともに、労働団体を通じて労働者宛てにも制度を周知したところでございます。  なお、仮に事業者が休暇制度を導入してくれない場合には、労働者からの相談を受けた労働局が事業所に対して休暇制度の導入と助成金活用の働きかけを行います。それでも事業所が応じないようなケースについては、労働者本人が直接申請できる仕組みがあり、そうした手続についても案内しているところでございます。引き続き労働局と連携しながら丁寧な対応に努めてまいります。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)小学校休業等対応助成金・支援金のさらなる周知についてのお尋ねでございます。  小学校等に通う保護者に対する制度の周知につきましては、市町村教育委員会に令和4年1月17日付で依頼をさせていただいたところでございます。そして、2月18日に作成した「「まん延防止等重点措置」期間延長に伴うさらなる感染防止対策の手引き」でも取り上げまして、改めて学校から保護者の皆さんに周知いただくよう依頼したところでございます。  今後とも、市町村教育委員会を通じながらさらなる周知について努めてまいりたいというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)新型コロナウイルスに関連して、感染した方もしていない方も安心して社会生活を送れるような取組についてという御質問であります。  御質問にありましたように、療養解除の基準、例えば人工呼吸器等による治療を行っていない場合、症状があってそうした人工呼吸器等を行っていない、いわゆる軽症、中等症の方については、発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合には療養解除といったような基準が示されているわけであります。これらは、国立感染症研究所の研究で、オミクロン株のウイルス排出は、ワクチン接種の有無にかかわらず時間とともに減少し、発症から7日から9日間で消失すること、また、症状軽快から3日目以降ではウイルスの排出が認められなかったこと、こうしたことを踏まえてのものであります。  お話にありましたように、検査による陰性証明等は、こうした療養基準に該当していれば提出する必要はないというふうにされているところであります。ただ、お話のように、こういう基準は、本当に大丈夫かというふうに思われる方々もいらっしゃる可能性があると思いますので、我々も、どうしてそういう基準になっているのかということを含めて分かりやすく伝えていく努力をしっかり行う必要があるというふうに思います。療養されていた方にもお伝えしていきたいと思いますし、また、経済団体等を通じて事業所側にもこうした考え方をお伝えしていきたいと思います。あわせて、広く県民の皆様方にもこうした考え方をお伝えすることによって、過度に不安感をお持ちになることなく、今、非常に社会機能が低下しているという課題もありますので、できるだけ早く勤務等に復帰いただけるような取組をしていきたいというふうに思っております。  以上です。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)コロナ禍において不安や困難を抱える女性に対する支援について2点御質問をいただきました。  まず、今年度の緊急支援事業の実施状況についてでございます。  コロナ禍において不本意な離職や収入減などにより不安や困難を抱える女性に対する緊急の支援として、昨年8月からこども食堂を運営するNPO法人や県社会福祉協議会に委託しまして、女性の相談支援を行う事業を実施してまいりました。県内6カ所のこども食堂に常設の女性相談窓口を設けまして、先月末までの約半年間で1,700件余りの相談対応を行ったほか、約3,300パックの生理用品を配布いたしました。また、生活就労センター「まいさぽ」におきましては、生理用品280パックの提供を通じまして新規の相談につながった事例も見られました。
     相談内容を見ますと、コロナ禍での生活困窮に関する相談や、障害を抱えて就労の難しい女性を市町村の福祉窓口へ紹介したり、再就職に自信が持てない方の話をお聞きして助言するなど、対応を行ってきております。相談者からは、市町村の福祉窓口へ同行していただき心強かった。丁寧に話を聞いてもらい、気持ちが落ち着き、生きる活力が出た。また、経済的に苦しいときに生理用品を頂きとても助かったなどの声が寄せられております。  次に、来年度以降の事業の方向性や展開についてでございます。  相談窓口を新たに設けましたこども食堂につきましては、子育て家庭を中心に、コロナ禍で不安や困難を抱える女性が気軽に利用できる場所であることから、予想を上回る相談が寄せられたところでございます。コロナの影響が長引く中で、引き続き相談支援のニーズがあるというふうに考えております。  こうした事業の必要性とともに、本事業の財源である地域女性活躍推進交付金が引き続き措置されることから、新年度は、相談対応を行うこども食堂の数を6カ所から26か所に増やしてまいりたいと考えております。また、事業の委託を行わない県内各地のこども食堂においても地域の実情に応じた支援の取組が行われるように、信州こども食堂ネットワーク等を通じてこれまでの取組のノウハウを共有してまいります。  なお、生理用品の提供につきましては、今年度、企業や団体からこども食堂を運営するNPO法人に対して寄附を頂く仕組みが構築されてまいりましたので、来年度はその仕組みを活用してこども食堂での提供を継続してまいります。  以上でございます。       〔5番加藤康治君登壇〕 ◆5番(加藤康治 君)困難を抱える女性への支援ですけれども、来年度大幅に拡充していただけるということでございます。引き続き御丁寧な対応をお願いしたいと思います。  ヤングケアラーについては、家族の世話自体は大変尊いことでございますけれども、それがお手伝いの範囲を超えてしまうと、例えば、学業や健康、また、友人関係、将来の進路にも影響を及ぼしかねません。来年度は小中学生等に実態調査を行っていくということでございますが、実態を把握していただいた後には、スピード感を持って具体的な支援にかじを切っていただきますようお願いいたします。  また、新型コロナの感染者への対応につきまして、重症化の兆しをつかむために重要な役割を果たすパルスオキシメーターですが、先ほどの答弁では、県では全ての療養者の方に迅速に貸与しているということでございましたけれども、長野市では対応が少し違います。県の立場として、県内全体の底上げを図っていくという意識も重要ではないかと考えますので、引き続き必要な助言や支援をお願いしたいと思います。  保護者に対する小学校休業等対応助成金については、これまでも周知を行っていただいているということでございましたが、やはり自分自身がいざそういう立場にならないと学校から通知が来ても注目しないということもあります。何度も繰り返し周知をしていただくことが重要と考えます。他の様々な支援制度を含めまして、丁寧な対応をお願いいたします。  そして、今回は自分自身の経験も踏まえて質問をさせていただきました。自分が感染したと分かったときは大変ショックを受けますし、また、感染したことに対しどうしても後ろめたい気持ちになってしまいます。また、自分から感染したとは切り出しづらい社会の状況もあります。私自身が感染したことを知って、実は私も感染しましてと話を切り出される県民の方もいらっしゃいます。一方で、自分は感染したくないという方も当然おられます。知事に御答弁いただきましたけれども、重要なのは、感染された方もそうでない方も、お互いに安心して生活できる環境にしていくことです。ぜひともそのような長野県となるよう取り組んでいただくことを強くお願いいたしまして、一切の質問といたします。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、望月義寿議員。       〔1番望月義寿君登壇〕 ◆1番(望月義寿 君)改革・創造みらい、望月義寿でございます。通告に従い質問いたします。  最初に、ケアリーバー、社会的養護から巣立った人への支援について質問いたします。  厚生労働省は、虐待や貧困などで保護され、児童養護施設や里親の家庭で暮らす子供や若者が支援を受けられる年齢の制限を撤廃する方針を固め、今国会に児童福祉法改正案を提出する運びとなりました。成立すれば、今まで原則18歳で自立を求められたケアリーバーが、都道府県や児童養護施設などが連携して継続的な支援が必要と判断した場合は、大人向けの就労支援や困窮者向けの給付金、医療機関につなぐまでの間、施設や里親の家庭、自立支援のための専門施設などで暮らせるようになります。  厚生労働省が令和3年4月に公表したケアリーバーの実態把握に関する全国調査では、現在の暮らしの中で困っていることや不安なこと、心配なことの質問に対しては、生活費や学費のことが33.6%で最多であるとともに、過去1年間に医療機関を受診できなかった人は20.4%、収入より支出が多い人が22.9%に上る等、経済的困窮が明らかになりました。また、自由記述欄からは、社会生活を送る上での知識が不足している状態で自立を求められ、社会に対応できず困惑し、相談する先を必要としている状況も見て取れます。しかも、悉皆調査であるにもかかわらず、施設や里親からケアリーバーに案内を屆けることができたのは35.7%にすぎず、届けられなかった64.3%のうちの6割は、理由として連絡先不明を挙げています。すなわち、ケアリーバー全体の4割が巣立ち後5年以内に音信不通になっている実態が明らかになりました。連絡が取れているケアリーバーですら、困窮、困惑している人が多いのに、音信不通の人はさらに困難な状態にあることは容易に想像できます。ケアリーバーに対する支援、これから巣立とうとする子供たちへの支援は極めて重要であり、喫緊の課題です。  以下、野中こども若者局長に質問いたします。  児童福祉施設や里親家庭において自立に向けた知識の習得ができているとお考えでしょうか。県内の状況に対する認識を伺います。  施設退所後、ケアリーバーが気軽に相談できる体制が整っているか、自立を促すあまり相談しづらい雰囲気はないか、ケアリーバーの相談に応じる窓口は生活就労支援センター「まいさぽ」のほかどのようなものがあるか、また、今後相談窓口を拡充する考えはあるか、それら相談窓口の存在は巣立ちの前にしっかりと周知されているのかについて伺います。  児童福祉法改正案が成立し、年齢制限が撤廃された場合、児童養護施設や里親家庭は速やかに対応することが求められます。余裕を持って対応できるよう制度改正の周知を徹底するとともに、必要な場合に引き続き養護可能となるよう県はどのように支援していくのか。また、自立に向けた助走期間の支援はどのようなことをお考えでしょうか。御所見を伺います。  次に、養育費の立替払いについて質問いたします。  令和3年2月定例会において養育費の立替払いを提案しましたが、立替払い制度は、調停調書、公正証書などによる公的取決めが前提であり、県では、取決めをしていないひとり親家庭が多い状況を踏まえ、まずは養育費の取決めを促進する旨の答弁がありました。県は、来年度から養育費履行確保事業を拡充し、公正証書等の作成費補助を始める予定ですが、立替払いの前提条件が整うことから、さらに踏み込んで立替払い制度を開始してはいかがでしょうか。こども若者局長の御所見を伺います。  次に、保育園児へのマスク着用推奨について質問いたします。  保育所に通う子供へのマスク着用について、後藤厚生労働大臣は、2月8日の会見で、可能な範囲で、子供や保護者の意図に反して無理強いすることのないように留意して、一時的にマスクの着用を推奨すると述べられました。強制にならないよう配慮した表現ではありますが、保育現場においては厚生労働省の指導を遵守する意向が働きますし、国が推奨すれば同調圧力により半強制的に実施されることは容易に想像できます。そもそも、マスクの着用は、適切に装着しなければ効果が限定的であり、幼児の場合は、適切な装着ができないことが多い上、マスク表面を手で触る等、むしろマスク装着が感染拡大につながる使い方をする危険性も指摘されています。保育所においては、8時間なり10時間なりの長時間にわたって保育が行われており、それだけの長時間、保育士が担当する全ての園児のマスクを適切に装着させることは不可能です。にもかかわらず、マスクをしていない幼児がいればクレームが寄せられ、保育士、園が疲弊することも容易に想像できます。  さらには、マスク装着が嘔吐による窒息を発見できない危険性や熱中症の危険性についても指摘されています。小児科医である川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦氏は分科会において大反対し、東京都医師会の川上一恵理事もとんでもないと反対を表明。長崎大学大学院小児科学教授の森内浩幸日本小児感染症学会理事長も、メリット、感染予防はあるかないか分からない程度なのに、デメリットは非常に大きく、2歳以上でも着用を推奨すべきではありませんと述べるなど、子供のことを知っている関係者は反対しているにもかかわらず、推奨が既定路線になってしまいました。  多くの批判の声を受けて、要望したとされる全国知事会の平井会長は、申し上げたのは矛盾があるということで、2歳児につけろとは一言も言っていないと述べ、厚生労働省も、2月15日に発出したQアンドAの中で、「2歳以上の場合で、登園している子どもが保護者の希望などからマスクを着用している場合でも、正しくぴったりとマスクを着用することは子どもには難しいことも多いことから、常に正しく着用しているかどうかに注意を向けることよりも、マスク着用によって息苦しさを感じていないかどうか、嘔吐したり口の中に異物が入ったりしていないかなどの体調変化について十分に注意していただき、本人の調子が悪い場合や持続的なマスクの着用が難しい場合は、無理して着用させず、外すようにしてください。また、当然ながら、午睡の際にはマスクを外させるようにお願いします。(なお、WHOは5歳以下の子供へのマスクの着用は必ずしも必要ないとしています。)」と述べています。  推奨している厚生労働省自身が無理して着用させず外すようしてくださいと述べている幼児のマスク着用、効果が限定的であるにもかかわらず、幼児死亡の危険があるマスクの着用は推奨すべきではありません。県として、園児のマスク着用は、あくまで保護者が希望する場合のみとし、希望しない保護者の子供にまでマスク着用が強制されないようしっかりと県内に周知を徹底すべきと考えますが、阿部知事の御所見を伺います。  最後に、不登校特例校の設置について質問いたします。  不登校の小中学生が過去最多を更新する中、多様な学びの場を提供することを目的に教育機会確保法が超党派の議員立法で成立し、平成29年2月に完全施行されました。この流れを受け、文部科学省は、地方自治体に不登校特例校の設置を求めていますが、県教育委員会や県内市町村においては設置する予定はないとのことです。不登校特例校設置についてどのような課題が想定されるのでしょうか。  現在、全国の不登校特例校は、公立8校、私立9校の17校が設置され、不登校児童生徒に対応した特色ある指導を行っているとのことです。未設置の府県においても設置を検討する教育委員会もあり、夜間中学との併設等様々な形での設置に向けた動きもあります。  県教委では、不登校児童生徒への支援策として、オンラインや中間教室、フリースクールへの登校等を出席扱いとし、評価に反映する方策等を検討していますが、それが不登校児童生徒の教育機会確保のための万全の対応とお考えでしょうか。多様な学びの場の有効な一つの場として、本県でも市町村立あるいは県立の不登校特例校の設置に向けて検討を始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。原山教育長の御所見を伺います。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には、ケアリーバーについて3問、養育費について1問の御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  まず、児童養護施設等における児童の自立に向けた知識の習得についてでございます。  県内にある児童養護施設等や里親家庭では、高校卒業等による退所後の自立生活を見据え、児童の状況を踏まえた生活指導等が行われております。具体的には、施設内においては、自立訓練のための専用施設などを活用し、職員の指導の下、一定期間、金銭管理を含む独り暮らしの経験をさせております。また、里親家庭におきましては、里親が金銭管理や自炊等に必要な基本的なスキルを教えていただいたりしておるところでございます。加えて、最近では、自立後を見据えた教育支援を行う意識も高まりつつあることから、退所を控えている児童のみならず、学童期から買物や家事を積極的に経験させるよう取り組んでいただいており、自立に向けた知識の習得がなされるよう取組が進んできているものと認識しております。  次に、ケアリーバーに対する相談体制についてでございます。  ケアリーバーが抱える悩みについては、生育歴に起因するものから、進学、就職先での悩みまで様々であることから、まずは退所者が抱える複雑な事情や背景を十分に認識した者が相談に応じることが必要と考えております。  そこで、県では、令和元年度から、児童養護施設等の職員が退所者の相談、支援を行う際の経費を補助する児童養護施設退所者アフターケア促進事業を県単独事業として実施し、令和元年度は5施設、令和2年度は11施設に補助をしておるところでございます。これにより、施設の職員が退所者の住居や就業先を訪問し、悩みや問題を抱えている場合には、退所者に寄り添った助言をしたり、就学・就労先の関係機関に退所者の状況等を説明し、理解を求めに行ったり、また、状況に応じて関係機関による支援につなげたりといった対応を行っていただいております。  さらに、本年度からは、児童養護施設等に支払われる措置費の中で、児童の自立支援を専門に行う職員を配置した施設に対して加算して人件費相当額を支払う制度が創設されております。現在3か所の児童養護施設が専門職員を配置し、アウトリーチを含め、相談支援に当たっているところでございます。これらの取組により、退所者が気軽に相談しやすい環境づくりに今後も努めてまいります。  次に、ケアリーバーに対する相談窓口の拡充についてでございます。  ケアリーバーからの相談への対応に当たりましては、先ほども申し上げましたが、まず信頼関係が既に構築されている施設職員が丁寧に悩みを聞いた上で、必要としている支援内容に応じ、まいさぽやハローワーク、福祉事務所といったほかの専門支援機関につなぐことが重要であると考えております。このため、県といたしましては、今御説明させていただきました施設職員による相談体制の充実強化に向けた取組を推進しているところでございます。特に、児童の自立支援を専門に行う職員については、今後さらに配置が進むように取り組んでまいりたいと考えております。  また、巣立ち前の児童への周知につきましては、困ったことや悩みが生じたときには、信頼できる施設職員や児童相談所の担当者に相談をしてくださいということで、その連絡先を周知しておるところでございます。  次に、措置年齢の上限撤廃に係る関係機関への周知と県の支援、また、自立に向けた支援の内容についてでございます。  児童養護施設等への措置は、児童福祉法により原則18歳になるまでとされておりますが、現行の制度下においても、児童の抱える課題や事情等を考慮し、児童相談所が必要と認める場合には最長22歳まで措置等を延長することができるということになっております。本県でも、令和2年度に措置期間中に18歳となった児童52人のうち、8人が措置援助となっております。措置援助となった児童の方に関しましては、施設等で生活しながら引き続き自立に向けた就労訓練や生活訓練を行っていただいており、その際、児童相談所においても児童のケアや施設に対する助言等を行っているところでございます。  最長22歳というこの年齢上限の撤廃につきましては国において検討が進められていると承知しておりますが、現時点において具体的な制度設計や運営方法等は示されておりません。これが示された際には、速やかに関係機関に御連絡し、適切な対応が取られるように指導をしてまいりたいと考えております。年齢上限が撤廃された場合の自立に向けたさらなる支援につきましては、国から具体的な制度設計や運営方法が示された後、関係者の御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えております。  最後に、養育費の立替払いについてでございます。  養育費の支払いにつきましては、親が子供に自分と同程度の水準の生活を送らせるための義務である一方、取決めによってその内容が具体化するまでは抽象的な権利にとどまると解されております。そこで、調停調書や公正証書等の公的な取決めをすることが養育費を確保する上で有効であることから、来年度予算案に新たに公正証書等作成費用の補助に要する経費を計上させていただいております。県による立替払いには、子の生活保持に係る親の責務との関係性や、立替え後の債権回収、財源等様々な課題があるものと考えております。  国の法制審議会におきましては、現在、養育費の不払い解消策など離婚後の諸課題について審議が行われているものと承知しております。こうした国における審議の動向を注視するとともに、養育費確保に係る県の各種支援策、弁護士による無料法律相談や公正証書等作成費の助成などの利用状況を踏まえ、必要な支援について今後引き続き検討してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、保育園児へのマスク着用推奨について御質問をいただきました。  このことにつきましては、国からは、子供や保護者の意向に反して無理強いしないこと、一律にマスクの着用を求めないこと、2歳未満児には着用を勧めないこと、こうした様々な注意事項が通知されているところであります。  県としては、市町村や保育所等の担当者を対象とするオンライン会議を開催いたしまして、こうしたマスク着用の趣旨、特に子供や保護者の意向に反して強制しないこと等の留意事項を丁寧に説明させていただくとともに、ウェブ上でも動画の配信を行っているところでございます。  また、こうした取組に加えて、保育専門相談員等が保育現場の巡回指導を行っておりますが、こうした機会を活用して必要な助言等を行っているところであります。子供たちに対して一律にマスクの着用が求められるといったようなことがないよう、引き続き取り組んでまいります。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)不登校特例校設置に当たり想定される課題についてというお尋ねでございます。  平成29年3月の文部科学省通知、「教育機会の確保等に関する基本指針の策定について」の中で、不登校児童生徒に対する効果的な支援策の一つとして、特例校や教育支援センターの設置促進について示されているところでございます。  現時点で具体的な検討を進めている市町村はなく、今後、市町村教育委員会に対し、不登校児童生徒に対する支援に関する説明会において、設置している他県の情報など必要な情報を提供しながらその動向を踏まえて対応してまいりたいというふうに思っております。その中で課題を整理してまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、県立高等学校では、不登校経験者の進学先の一つとして、特に多部制・単位制などの定時制や通信制が、ゆとりある教育課程を編成して、きめ細やかな指導によりその役割を担っております。こうした既存の課程との関係を整理する必要があるというふうに考えております。  次に、不登校児童生徒の教育機会確保の対応と特例校設置についてということでございます。  県教委では、小中学校において不登校児童生徒数が多い現状を踏まえまして、不登校の子供たちが学校以外でも自分らしく学びが継続できるよう、市町村が設置する教育支援センター等を中核とした多様な学びの仕組みを整備し、学校以外の場所での学習活動や体験活動を出席扱いとしながら評価につなげることに取り組んでいるところでございます。このような取組の結果を踏まえた上で必要な施策をさらに検討するとともに、市町村などから特例校の設置に向けた希望があれば共に研究してまいりたいというふうに考えております。       〔1番望月義寿君登壇〕 ◆1番(望月義寿 君)それぞれに御答弁いただきました。前向きなものもあれば、まだこれからというものもあるわけですけれども、いずれにしても、子供たちの利益を第一に考えていただきまして、今後のお取組、御尽力をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮本衡司 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、来る2月28日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時34分延会...