長野県議会 > 2022-02-16 >
令和 4年 2月定例会本会議-02月16日-01号
令和 4年 2月定例会本会議-02月16日-目次

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  1. 長野県議会 2022-02-16
    令和 4年 2月定例会本会議-02月16日-01号


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    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年 2月定例会本会議-02月16日-01号令和 4年 2月定例会本会議 令和4年2月16日(水曜日)  応招議員の席次及び氏名   1 番 長野市      望月義寿   2 番 須坂市      小林君男   3 番 松本市      小林あや   4 番 上伊那郡宮田村  清水正康   5 番 長野市      加藤康治   6 番 下伊那郡平谷村  川上信彦   7 番 上田市      山田英喜   8 番 佐久市      大井岳夫   9 番 茅野市      丸茂岳人   10 番 佐久市      花岡賢一   11 番 長野市      池田清   12 番 下伊那郡高森町  熊谷元尋   13 番 東筑摩郡山形村  百瀬智之   14 番 長野市      山口典久   15 番 佐久市      小山仁志   16 番 埴科郡坂城町   竹内正美   17 番 佐久市      竹花美幸
      18 番 諏訪市      宮下克彦   19 番 木曽郡木曽町   大畑俊隆   20 番 岡谷市      共田武史   21 番 塩尻市      丸山大輔   22 番 長野市      髙島陽子   23 番 千曲市      荒井武志   24 番 長野市      埋橋茂人   25 番 塩尻市      続木幹夫   26 番 松本市      中川博司   27 番 安曇野市     寺沢功希   28 番 松本市      両角友成   29 番 上田市      清水純子   30 番 諏訪郡富士見町  小池久長   31 番 伊那市      酒井 茂   32 番 須坂市      堀内孝人   33 番 東御市      石和 大   34 番 南佐久郡小海町  依田明善   35 番 小諸市      山岸喜昭   36 番 飯田市      小島康晴   37 番 中野市      小林東一郎   38 番 岡谷市      毛利栄子   39 番 長野市      和田明子   40 番 大町市      諏訪光昭   41 番 中野市      丸山栄一   42 番 飯田市      小池 清   43 番 飯山市      宮本衡司   44 番 東筑摩郡朝日村  清沢英男   45 番 上伊那郡辰野町  垣内基良   46 番 長野市      鈴木 清   47 番 上田市      高村京子   48 番 北安曇郡池田町  宮澤敏文   49 番 長野市      西沢正隆   50 番 長野市      風間辰一   51 番 駒ヶ根市     佐々木祥二   52 番 伊那市      向山公人   53 番 上田市      平野成基   54 番 松本市      本郷一彦   55 番 松本市      萩原 清   56 番 上水内郡信濃町  服部宏昭   57 番 安曇野市     望月雄内         ───────────────────  出席議員(57名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 清水正康    30 番 小池久長   5 番 加藤康治    31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦    32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜    33 番 石和 大   8 番 大井岳夫    34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人    35 番 山岸喜昭   10 番 花岡賢一    36 番 小島康晴   11 番 池田 清    37 番 小林東一郎   12 番 熊谷元尋    38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司   18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆    45 番 垣内基良   20 番 共田武史    46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔    47 番 高村京子   22 番 髙島陽子    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   53 番 平野成基    56 番 服部宏昭   54 番 本郷一彦    57 番 望月雄内   55 番 萩原 清         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    財政課長      矢後雅司   副知事       関昇一郎    教育長       原山隆一   総務部長      玉井 直    警察本部長     小山 巌   公営企業管理者           監査委員      田口敏子   企業局長事務取扱  小林 透         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   矢島修治   議事課長      百瀬秀樹    総務課担当係長   青木武文   議事課企画幹兼   丸山俊樹   課長補佐         ───────────────────         午後1時開会 ○議長(宮本衡司 君)ただいまから第423回県議会を開会いたします。  知事から招集の挨拶があります。  阿部知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)本日ここに2月県議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位の御出席を賜り、誠にありがとうございます。  提出議案につきましては後刻御説明を申し上げますが、何とぞよろしく御審議の上、御議決を賜りますようお願い申し上げ、挨拶といたします。  令和4年2月16日(水曜日)議事日程    会議録署名議員決定の件    会期決定の件    知事提出議案      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    会議録署名議員決定の件
       諸般の報告    会期決定の件    知事提出議案         午後1時1分開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の日程は、会議録署名議員決定の件、会期決定の件及び知事提出議案であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━会議録署名議員決定の件 ○議長(宮本衡司 君)次に、会議録署名議員決定の件を議題といたします。  お諮りいたします。会議録署名議員は議長指名により決定いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮本衡司 君)御異議ありませんので、鈴木清議員高村京子議員宮澤敏文議員を指名いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(宮本衡司 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━会期決定の件 ○議長(宮本衡司 君)次に、会期決定の件を議題といたします。  お諮りいたします。本定例会の会期は、議会運営委員会の意見を徴した結果、本日から3月16日までの29日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮本衡司 君)御異議なしと認めます。よって、会期は29日間と決定いたしました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案の報告 ○議長(宮本衡司 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                令和4年2月16日   長野県議会議長 宮 本 衡 司 様                           長野県知事 阿 部 守 一         令和4年2月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 1 号 令和4年度長野県一般会計予算案 第 2 号 令和4年度長野県公債費特別会計予算案 第 3 号 令和4年度長野県母子父子寡婦福祉資金貸付金特別会計予算案 第 4 号 令和4年度長野県心身障害者扶養共済事業費特別会計予算案 第 5 号 令和4年度地方独立行政法人長野県立病院機構施設整備等資金貸付金特別会計予算案 第 6 号 令和4年度長野県国民健康保険特別会計予算案 第 7 号 令和4年度長野県小規模企業者等設備導入資金特別会計予算案 第 8 号 令和4年度長野県農業改良資金特別会計予算案 第 9 号 令和4年度長野県漁業改善資金特別会計予算案 第 10 号 令和4年度長野県県営林経営費特別会計予算案 第 11 号 令和4年度長野県林業改善資金特別会計予算案 第 12 号 令和4年度長野県高等学校等奨学資金貸付金特別会計予算案 第 13 号 令和4年度長野県流域下水道事業会計予算案 第 14 号 令和4年度長野県電気事業会計予算案 第 15 号 令和4年度長野県水道事業会計予算案 第 16 号 長野県手数料徴収条例の一部を改正する条例案 第 17 号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案 第 18 号 長野県退職年金及び退職一時金に関する条例等の一部を改正する条例案 第 19 号 証人、鑑定人、参考人等の費用弁償等の支給に関する条例等の一部を改正する条例案 第 20 号 財産に関する条例の一部を改正する条例案 第 21 号 創業及び障害者、母子家庭の母等の雇用を行う法人等を応援する県税の特例に関する条例の一部を改正する条例案 第 22 号 長野県森林づくり県民税条例の一部を改正する条例案 第 23 号 長野県警察関係許可等手数料徴収条例の一部を改正する条例案 第 24 号 資金積立基金条例の一部を改正する条例案 第 25 号 長野県犯罪被害者等支援条例案 第 26 号 長野県男女共同参画センター条例の一部を改正する条例案 第 27 号 児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例案 第 28 号 長野県国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例案 第 29 号 障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例案 第 30 号 知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案 第 31 号 長野県工業技術総合センター試験等手数料徴収条例の一部を改正する条例案 第 32 号 長野県公営企業の設置及びその経営の基本並びに財務等の特例に関する条例の一部を改正する条例案 第 33 号 長野県農林水産業関係試験研究機関分析等手数料徴収条例の一部を改正する条例案 第 34 号 国営伊那西部土地改良事業負担金等徴収条例案 第 35 号 長野県都市公園条例の一部を改正する条例案 第 36 号 屋外広告物条例の一部を改正する条例案 第 37 号 長野県環境影響評価条例の一部を改正する条例案 第 38 号 長野県地球温暖化対策条例の一部を改正する条例案 第 39 号 長野県立自然公園条例の一部を改正する条例案 第 40 号 包括外部監査契約の締結について 第 41 号 県営土地改良事業施行に伴う市町村の負担について 第 42 号 国営土地改良事業県負担金に対する市町村の負担について 第 43 号 県営農村地域防災減災事業大久保地区用水トンネル工事変更請負契約の締結について 第 44 号 補助金交付申請手続の誤教示に係る損害賠償について 第 45 号 県営林道事業施行に伴う市町村の負担について 第 46 号 一般国道418号災害防除工事(神原)変更請負契約の締結について 第 47 号 「中日本高速道路株式会社が行う有料道路新設に関する協議について」の変更について 第 48 号 主要地方道中津田立線道路改築工事(大滝川橋)請負契約の締結について 第 49 号 一級河川黒沢川河川改修工事調節池整備請負契約の締結について 第 50 号 一級河川岡田河川改修工事排水機場整備請負契約の締結について 第 51 号 道路事業施行に伴う市町村の負担について 第 52 号 急傾斜地崩壊対策事業施行に伴う市町村の負担について 第 53 号 都市計画事業施行に伴う市町村の負担について 第 54 号 流域下水道建設事業施行に伴う市町村の負担について 第 55 号 長野県諏訪湖流域下水道維持管理に要する費用の負担について 第 56 号 長野県千曲川流域下水道維持管理に要する費用の負担について 第 57 号 長野県犀川安曇野流域下水道維持管理に要する費用の負担について 第 58 号 高等学校の統合について 第 59 号 高等学校の統合について 報第1号 令和3年度長野県一般会計補正予算(第12号)の専決処分報告 報第2号 交通事故に係る損害賠償専決処分報告 報第3号 交通事故に係る損害賠償専決処分報告 報第4号 道路上の事故に係る損害賠償専決処分報告 報第5号 道路上の事故に係る損害賠償専決処分報告 報第6号 河川隣接地の事故に係る損害賠償専決処分報告 報第7号 訴えの提起の専決処分報告       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(宮本衡司 君)以上であります。
     次に、お手元に配付いたしましたとおり、地方自治法第122条及び地方公営企業法第25条の規定に基づき知事から予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)ただいま報告いたしました知事提出議案を一括して議題といたします。  提出議案の説明を求めます。  最初に、阿部守一知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ただいま提出いたしました令和4年度当初予算案をはじめとする議案の説明に先立ち、新年度に向けての県政運営に関する所信などについて申し述べさせていただきます。  コロナ禍や相次ぐ災害等により県民の皆様の暮らしの基盤が揺らぐ中、直面している切実な課題に速やかに対処しなければなりません。また、気候変動や人口減少などの中長期的な課題に対しては、今までの発想にとらわれない大胆かつ戦略的な対応が必要です。新年度に向けては、こうしたことを念頭に置きつつ、県民の皆様の「確かな暮らし」を守り、誰もが活躍できる活力あふれる信州を目指し、県政運営に全力を尽くしてまいります。  新型コロナウイルスとの長い闘いが続いています。オミクロン株による「第6波」はこれまでにないスピードと規模で本県に爆発的な感染拡大をもたらし、1月27日から2月20日まで本県に対しても「まん延防止等重点措置」が適用されています。重点措置を講じてから20日間が経過し、感染急拡大には歯止めがかかったものの、新規陽性者数は依然として高止まりしており、確保病床使用率や療養者数などの指標を見ても、先行きは予断を許さない状況が続いています。このため、今しばらく県民の皆様の総力で感染対策の徹底を図る必要があると判断し、本日、国に対して「まん延防止等重点措置」を2週間延長するよう要請いたしました。新型コロナから県民の皆様の命と健康を守り抜くため、県民の皆様の一層の御理解と御協力をお願いしながら「第6波」の収束に全力を尽くしてまいります。  コロナ禍における暮らしと産業を支えるため、刻々と変化する感染状況に応じて生活者支援事業者支援を引き続き迅速に講じてまいります。また、コロナ禍で加速した地方回帰デジタル化などの動きに適切に対応し、「信州回帰プロジェクト」や「長野県DX戦略」を一層推進するなど、暮らしや産業のコロナ禍からの復興を目指します。  令和元年東日本台風災害、令和2年7月豪雨災害、そして昨年の8月、9月の大雨災害と、本県は連続して大きな自然災害に見舞われました。被災された方々に1日も早く日常の生活を取り戻していただけるよう、速やかな復旧・復興に努めてまいります。また、少しでも災害リスクを減らし、地域で安心して暮らし続けられるよう、「逃げ遅れゼロ」の実現や県土の強靱化など、災害に強い県づくりを進めてまいります。  脱炭素社会の構築に向けては、2050年度までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする目標の達成に向け、交通、建物、再生可能エネルギー等の重点分野における取組を加速します。日常生活のあり方も含めて足元からの変革を進める一方で、海外の自治体などとも連携してこの地球規模の課題に向き合ってまいります。  新型コロナ対策における県民の皆様への呼び掛けでは、何度となく思いやりや支え合いの心での対応をお願いしてまいりました。同じように、様々な困難を抱える方々や、社会の中でマイノリティーとされる方々を、どんな時にも温かく包摂できる長野県でありたいと強く願っています。全ての県民の皆様が希望を持ち、安心して暮らすことができるよう、誰一人取り残さない公正な社会づくりに力を入れてまいります。  現代社会は、「VUCAの時代」とも言われるように、未来を確実に予測することが難しくなっています。そうした中、お一人おひとりの県民の皆様がより充実した人生を送ることができるようにするためにも、長野県の経済・社会を更に発展させていくためにも、「学び」が果たす役割は極めて大きいと考えます。子どもから大人まで、誰もが主体的に学び続けられる社会づくりを進めてまいります。  新年度は、総合計画である「しあわせ信州創造プラン2.0」の最終年度です。掲げた目標のうち、健康寿命、就業率など達成に向けて順調に推移しているものがある一方、新型コロナの影響等により、観光消費額など思うように成果が上がっていないものもあります。計画の総仕上げの年であることを意識し、目標達成に向け一層努力してまいります。  今後の県政の道標となる次期総合5か年計画の内容等については、新年度、本格的に議論を進めてまいります。現行計画策定以降、大きく変化している社会・経済情勢や、新たに生じた重要課題などを直視し、県民の皆様のしあわせと長野県の発展のため、果敢な挑戦を続けていかなければなりません。  人口減少に関しては、移住施策の推進や地方回帰の動きにより社会減については改善が見られるものの、少子化の傾向には依然歯止めがかかっていないことから、引き続き重点的な対応が求められています。本県が積極的に取り組んできた脱炭素社会の実現や、産業や暮らしを支えるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進については、一昨年10月の菅総理大臣による2050カーボンニュートラル宣言や、昨年9月のデジタル庁設置などの追い風を活かしながら、取組を一層加速することが必要です。自然災害や感染症などの様々な脅威に対しては、これまでの教訓を踏まえて、ハード・ソフト両面で対策の強化を図らなければなりません。ジェンダー平等の推進や子どもの貧困対策、多様な生き方・働き方の促進などにより、社会の分断や格差を是正し、多様な価値観が尊重される社会を構築していくことも重要です。  このような問題意識を持ちつつ、県民の皆様の声を広くお伺いしながら、環境と共生し、社会的な公正さが保たれ、全ての県民の皆様がしあわせに暮らすことができるよう、長野県の進むべき針路を明確にしてまいります。  今定例会に提出いたしました令和4年度当初予算案及びその他の案件について御説明申し上げます。  令和4年度当初予算案は、新型コロナ対策や防災・減災対策などを切れ目なく実施するため、令和3年度1月補正予算と一体のものとして編成しました。予算案の総額は、一般会計1兆848億9,672万4千円、特別会計4,473億283万8千円、企業特別会計426億2,347万4千円であります。特別会計公債費特別会計など11会計、企業特別会計流域下水道事業など3会計であります。  新型コロナ対策として2,192億円に上る経費を計上したことから、予算案の規模は過去最高額となりました。製造業を中心とした企業業績の改善を背景として、県税収入や地方譲与税が増加するなど、一般財源総額は今年度当初予算とほぼ同水準を確保できる見通しです。また、国庫支出金などを活用し、事業の選択と集中を図ることにより、財政調整のための基金の取崩額を、今年度当初予算よりも抑制することができました。加えて、今年度の県税収入等も当初予算額を上回る見通しであることから、将来負担の軽減を図るため、その一部を減債基金への積立てに充当したいと考えております。こうした取組の結果、財政健全化の指標とされている実質公債費比率や将来負担比率については、引き続き健全な水準を維持できる見通しです。  一方、来年度末の国及び地方の長期債務残高は1,243兆円、GDPの220パーセントにまで達する見通しであり、今後、更に高齢化の進展による社会保障関係費の増加などが見込まれます。また、新型コロナによる人々の価値観の変化、デジタル技術の浸透など、県行政を取り巻く環境は大きく変化しています。そのため、現行の「長野県行政経営方針」を来年度中に見直し、行政・財政改革を進めるための新たな方針を策定する考えです。歳入・歳出の両面を見直して財政の持続可能性を確保するとともに、行政サービス利便性向上や職員負担の軽減につながる業務改革を実施するなど、行政の質的転換と財政構造の改革を進めてまいります。  以下、現下の新型コロナ対策や新年度に取り組む主な施策につきまして、順次御説明申し上げます。  新型コロナウイルス・オミクロン株が猛威を振るっています。県民の皆様の命と健康を守り、暮らしと産業を支えるため、引き続き全庁挙げて対策を進めてまいります。  「第6波」への対応においては、感染拡大のスピードが極めて速い一方で、重症化する方は比較的少ないというオミクロン株の特徴を踏まえ、対策を重点化しながら、県民の総力を結集して、感染拡大防止基礎的社会機能の維持に取り組んでいます。  感染拡大防止のため、混雑した場所や感染リスクが高い場所への外出・移動の自粛や、家庭での感染防止対策の徹底、事業所における在宅勤務の推進などを呼び掛けています。また、大規模な集客施設に対してはまん延防止のために必要な措置を講じることを、飲食店に対しては営業時間の短縮などを要請しています。  「第6波」で特に陽性者が多い学校等での対応も重要です。県立学校においては、対面授業とオンライン授業の併用や、部活動・学校行事の原則中止、学級等の臨時休業期間を陽性者の最終登校日の翌日から原則5日間とすることなどにより、感染リスクの低減と学びの保障の両面を意識して対策を講じているところです。また、市町村立学校等に対しては、県立学校の対応を参考に、感染拡大防止に取り組んでいただくよう依頼しております。  社会機能を維持するための対応としては、医療や介護など生活・経済の安定確保に不可欠な事業者等に対して、陽性者が発生した場合でも必要な業務が継続できるよう事業継続計画の策定、実行等を要請しているほか、保育所や放課後児童クラブ等に対しては、感染防止対策の徹底を図りつつ原則開所とし、休園する場合にあっては代替保育を確保するよう依頼しているところです。  療養体制については、1週間当たりの新規陽性者数が5,000人から6,000人程度となっても対処できるよう体制構築に努めてまいりました。  陽性者や自宅療養者の急増に対応するため、診療・検査医療機関が重症化リスクの初期評価を行うことにより療養先の振り分けを迅速に実施できる体制を整備したほか、症状が増悪した患者に対する電話診療の実施、健康観察センターの人員体制等の強化、パルスオキシメーター等必要な機器類の整備などに取り組んできました。1月29日には新たな宿泊療養施設を東信地域に開設し、7施設932室で宿泊療養者を受け入れる体制となりました。新型コロナ感染者用の病床については、現時点で513床を確保しておりますが、必要な場合には更に140床を緊急的対応病床として稼働させてまいります。  検査体制については、無料検査を実施できる薬局等を拡大し、無症状であっても不安を抱える方々に身近な場所で検査を受けていただける環境を整備しました。供給不足が懸念される抗原簡易キットについては、必要量の供給を国に求めるとともに、行政検査を行う医療機関等に優先供給を行うよう県内卸売業者に対して依頼しているところです。  オミクロン株に対しても、ワクチンの追加接種による発症予防効果や入院予防効果の回復が確認されています。そのため、今月を「ワクチン接種推進月間」と位置付け、市町村と協力して、高齢者やエッセンシャルワーカーの方々を中心にワクチン接種の加速化に取り組んでいます。高齢者施設の入所者等に対する接種を今月中に完了できるよう、県が保有するワクチンの市町村への融通や、県が主体となっての巡回接種などに取り組んでいます。県内10広域に合わせて13の会場を設置している県の接種会場では、現在、高齢者のほか警察職員、学校の教職員なども対象として接種を進めています。  5歳から11歳までの小児に対するワクチン接種も来月から開始される予定です。テレビCMやWEB広告など、様々な媒体を活用してワクチンの効果や副反応についての広報に努めるとともに、各市町村の課題などもきめ細かく共有しながら、医師会、歯科医師会、看護協会、薬剤師会の御協力のもと、希望される方々が少しでも早く接種を受けていただけるよう最善を尽くしてまいります。  コロナ禍であっても、できる限り経済活動を維持していくことが重要です。  飲食店に関しては、「信州の安心なお店」の認証店では現在でも酒類の提供を可能としており、プレミアム食事券についても、来月1日に発行を再開する予定です。観光については、「県民支えあい信州割SPECIAL」と「ウェルカム信州アクティビティ割」について、それぞれ対象を県内在住の同居家族と県内在住者に限定した上で継続してきたところであり、今月23日からは、更に割引対象者や利用宿泊数を拡大する予定です。このほか、宿泊施設、結婚式場、カラオケボックス等も含めて、「信州の安心なお店」の利用を推奨しているところであり、今後とも、感染状況を見極めながら長野県版GoToトラベル事業等の需要喚起策を実施してまいります。  「第6波」で影響を受けている事業者をきめ細かく支援するための市町村への交付金や、借入済の新型コロナウイルス感染症対応資金に係る償還条件の緩和、同一金融機関における信用保証付融資を一括して借換えできる「経営健全化支援資金(新型コロナ向け伴走支援型)」の創設、酒類の売上げ確保を図るための地酒クーポン券の発行などを通じて、企業の資金繰り等を支援してまいります。また、営業時間の短縮要請等に応じていただいた飲食店に対する協力金の支給については、提出書類の簡素化や迅速な支給に努めます。さらに、厳しい経営状況に置かれている事業者が、持続可能な経営形態へと転換を図る取組を支援するため、「プラス補助金第2弾」として国の補助金に関して県独自の上乗せ補助を行ってまいります。  雇用の確保に向けては、緊急就業支援デスク強化事業(Jobサポ)を継続し、お一人おひとりに寄り添った正規就労のための支援を行います。また、ひとり親の資格取得に対する支援や、非正規雇用の女性等に対する求人開拓員や女性就業支援員等による丁寧な就業支援を実施してまいります。  生活者支援としては、「緊急フードドライブ統一キャンペーン」を実施し、民間団体等を通じた食料配布を行うとともに、生活就労支援センター「まいさぽ」において、生活費や食料、住まいや仕事など生活全般のお困りごとの相談にきめ細かく対応します。加えて、信州こどもカフェの開催を支援するほか、生活に困窮している方の経済的な自立を支援するため、生活福祉資金特例貸付の償還や、求職活動のために必要となる被服費・交通費、住居の住み替えに要する費用について、新たに助成してまいります。  本県への移住者数は年々増加しており、他の都道府県から本県への昨年の転入者数は31,050人と過去10年で最多となりました。コロナ禍の中で地方移住への関心が非常に高まっていることから、新年度は若者や子育て世代をターゲットとして「信州回帰プロジェクト」を一層積極的に展開してまいります。  昨年グッドデザイン賞を受賞した移住総合WEBメディア「SuuHaa」等を通じて、若者たちに訴求する情報発信を行うほか、三大都市圏から本県に移住・創業される方を対象に最大300万円を支給する移住支援金・創業支援金についても、子ども1人当たり30万円を移住支援金に更に上乗せするなど、子育て世代の移住を促してまいります。また、IT人材を県内に呼び込む「おためしナガノ」や、企業の県内立地を促進する「おためし立地チャレンジナガノ」の実施など、仕事と暮らし一体での移住支援策を強化します。  さらに、つながり人口の増加も視野に入れ、空き家改修等を通じた大都市住民等との交流イベントの実施、リモートワーク等に積極的に取り組む企業への信州リゾートテレワークの積極的なPR、移住後の新たな暮らし方を提案するための「信州農ある暮らし農園」の開設支援など、大都市等にお住まいの方々の新しい価値観にも訴求できるような取組を進めてまいります。  IT企業、IT人材の集積を図る「信州ITバレー構想」をはじめとする「長野県DX戦略」を積極的に推進し、デジタル社会の構築を進めます。  「信州ITバレー構想」については、善光寺門前、松本城下、八ヶ岳山麓などで大学・企業・自治体等からなるコンソーシアムが形成されるとともに、起業家等が集まる新拠点の開設や、ユニコーン企業を目指すベンチャー企業などの起業が進むなど、徐々に成果が上がりつつあります。引き続き、産学官52機関で構成する信州ITバレー推進協議会を中心に、ITの力で地域課題の解決等を図るハッカソン・アイデアソンの開催、異業種交流の場の設定、ビジネスアイデアの具現化支援などを行うことにより、ITビジネスの創出とIT企業の集積を促すためのエコシステムの形成を図ってまいります。また、IT人材に必要とされる様々な技能や考え方をシリーズで学ぶセミナーを開催するなど、IT人材を信州に惹きつけるための取組を充実します。  県内企業の生産性を高めるため、様々な産業分野におけるDXを推進します。ものづくり産業等の分野では、AI・IoT等のデジタル技術の活用支援や、デバイス開発の支援などを進めるとともに、新たに県内大学生等を対象とするDX人材育成講座を開設します。観光分野では、長野県観光機構を中心に観光客のニーズなどを収集・分析したデータの活用を進めてまいります。観光客の関心が高い情報を効果的に発信する仕組みづくりを通じて強固な信州ファンの獲得を図るとともに、データに基づき観光地域づくりを進めます。スマート農林業も一層進めてまいります。これまでの個別経営体への先端機器の導入支援に加えて、先端機器と農地等の生産基盤を一体的に整備するモデル地区の設定を通じて、地域全体で取り組むDXを支援してまいります。また、水田の高度利用につながる地下水位制御システムの導入適地調査や、森林路網のデジタルデータの整備などにも取り組みます。  日常生活の様々な場面でのデジタル化も進めます。全国初の取組となる県内市町村との協働による電子図書館サービスの提供、県内のバスや鉄道の路線情報をインターネットで検索可能とするためのデータ整備に対する支援、東京大学、名古屋大学や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと共に取り組む洪水予測システムの共同研究などを行ってまいります。  行政事務のDXも加速します。県行政のスマート化を進めるための次期情報システム「ながのデジタルワークプレイス」が本年7月から本格的に稼働することに伴い、チャットなどの新しいコミュニケーションツールやテレワーク環境などが充実することから、全ての県職員が場所を選ばず効率的に働くことが可能になります。あわせて、新たな文書管理システムの導入や、RPAなど既存のデジタル技術の利用拡大を進めることにより、県組織における仕事の生産性を飛躍的に向上させてまいります。また、住民記録、地方税、介護や福祉など市町村が担う主要20業務のシステムの標準化をサポートするなど、県内市町村におけるDXの推進についても先端技術活用推進協議会の枠組みを活用して支援してまいります。  本年4月、長野県中小企業振興センターと長野県テクノ財団が統合し、新たに長野県産業振興機構が発足します。県内産業の総合支援拠点として、技術開発から販路開拓まで一貫した支援体制を構築し、県内中小企業へのサポート機能を強化します。県内企業のGX(グリーントランスフォーメーション)やDXに向けた取組等を支援する専門性の高いコーディネーターを配置し、大学や工業技術総合センター、JETRO等と連携して様々なイノベーションを促進するほか、これまで技術開発を支援してきた5か所の地域センターで新たに経営相談も行うこととするなど、地域においても一貫した支援体制を構築します。  同じく4月には、本格的に普及が進む5G向け電子部品等の開発を支援する次世代高速通信モジュール評価試験棟が工業技術総合センターにオープンし、平成29年度から進めてきた先端技術の開発を支援する五つの拠点整備が完了します。各拠点の機能を最大限活かし、長野県産業振興機構とも連携しながら、航空機、医療機器、IT、食品等今後の成長が期待される分野における技術開発、販路開拓等を支援してまいります。  信州スタートアップステーションの機能を一層充実するため、既存企業の経営資源を引き継ぐ形での創業を支援する専門のコーディネーターを配置するほか、新たに設置される「信州スタートアップ・承継支援ファンド(仮称)」の投資対象企業の販路開拓等を支援するなど、引き続き、日本一創業しやすい県づくりを進めてまいります。  県内産業を担う人材の確保・定着を図るため、多様で柔軟な働き方を可能とするなど「選ばれる職場づくり」に取り組む企業を支援するほか、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度の更なる普及や、テレワークの導入・定着の促進などに取り組みます。また、外国人留学生の県内就職を促進するため、「信州留学生就職促進コンソーシアム(仮称)」の事業運営を支援します。  この春には、善光寺御開帳や諏訪大社御柱祭、飯田お練りまつりなど全国から多くの観光客が訪れる大型催事が相次いで開催されます。こうした機会を活かしつつ、コロナ禍からの観光産業の再生を図るため、新年度を「信州観光復興元年」と位置付け、市町村や観光・交通関係事業者と連携した観光プロモーションなどを積極的に展開してまいります。まず、全国の旅行会社やメディアに対し、花やアクティビティなど県内各地の早春の魅力をPRする「春の信州 彩り観光キャンペーン」を来月からスタートさせます。四季ごとのコンテンツをきめ細かく発信することにより、年間を通じて観光地がにぎわいを取り戻すことができるよう取り組んでまいります。アウトドアやワイン・日本酒など本県が推進している観光テーマに沿った観光地域づくりを進めるとともに、SDGsを学ぶ体験型の修学旅行や合宿に対する助成を通じた団体客の誘致などにも取り組んでまいります。  本県農業の競争力を強化するため、農業を支える担い手の確保・育成、果樹生産における稼ぐ力の強化などに取り組みます。法人等で雇用されている農業従事者の独立就農を新たに支援するとともに、生活資金や初期投資経費への助成を行うことにより就農後の経営を支援します。売上高10億円以上の大規模法人の育成を目指して信州農業エグゼクティブMBA研修を新たに実施するほか、本格的な市場デビューを果たしたぶどう「クイーンルージュ」をはじめとする本県オリジナルの果樹品種の強みを伸ばし、市場評価を高めるため、プロジェクトチームを設置して、栽培管理研修会の開催や品質向上対策等を実施します。米価の下落が続く水田農業への対策として、主食用米の適正生産を進めるための高収益作物等への転換や、海外への輸出拡大に向けた取組などを支援してまいります。  コロナ収束後に照準を合わせ、海外需要の取り込みを図り、友好都市等との交流も拡大してまいります。これまで開拓してきたアジア各国の有望市場を中心に、ECサイトなどを活用して県産品の販路開拓を進めるとともに、積極的にインバウンドを誘致するため、観光ガイドの養成などによる外国人観光客の受入環境整備や、長期滞在を促す旅行商品の造成などに取り組みます。  長い間友好交流を続けてきている中国河北省と、青少年の冬季スポーツ交流で提携をしてきた北京市とを会場として開催されている北京冬季オリンピック・パラリンピックについては、長野大会でのノウハウを提供するなど大会の成功に向けた協力を行ってきました。連日熱い戦いが繰り広げられている本大会には、本県関係選手22名が出場しています。スピードスケート競技の女子チームパシュートで髙木菜那選手が銀メダルを、また、スキーノルディック複合競技のラージヒル個人で渡部暁斗選手が銅メダルをそれぞれ獲得するなど、各選手の活躍を大変嬉しく、誇らしく感じています。新年度においては、互いに育んできた友好の絆を更に強固なものとするため、大学連携によるグローバル人材の育成や青少年スキー交流などを実施してまいります。  韓国江原道との友好交流協約、ソウル特別市との観光交流協約については、今年度、締結から5周年を迎えました。新型コロナにより中断している観光・経済交流の再開を目指し、松本空港への国際チャーター便の誘致や旅行会社へのセールスなどに取り組んでまいります。  沖縄県との交流につきましては、チャーター便の就航を促進するとともに、物流、観光など多様な分野での連携や子どもたちの交流を一層推進するため、沖縄県内での信州物産展やリゾートホテル向け食材提案会の開催を通じた流通・販売ルートの開拓、学習旅行の誘致などに取り組んでまいります。  「ビルド・バック・ベター(よりよい復興)」の理念のもと、災害からの復旧・復興を着実に進めるとともに、多くの県民の願いである災害に強い県づくりを進めます。  令和元年東日本台風災害からの復旧・復興を引き続き着実に進めてまいります。未だ応急的な住まいへの入居を余儀なくされている被災者の方々に対しては、長野市などとも連携し、個々の世帯の事情を考慮しながら生活再建に向けたきめ細かな支援に努めてまいります。被災した道路・河川、治山・林道、農地・農業用施設等、各種インフラの復旧についてはおおむね完了しておりますが、全ての箇所の早期完成に向け引き続き取り組みます。千曲川の治水安全度を高めるため、「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」に基づき、中野市立ケ花狭窄部の開削や、長野市篠ノ井塩崎地区などでの遊水地整備が国の事業として進められております。県管理区間についても遊水地の整備や堤防の強化、河道拡幅など、必要な対策を着実に進めてまいります。  令和2年7月の豪雨災害で被災した施設の復旧についても完成を急いでまいります。大規模な山腹崩落により被災した一般国道418号の天龍村足瀬地区については、現道の復旧が困難なため、トンネル及び橋梁を新設する方法で復旧を進めており、早期の開通を目指してまいります。  昨年8月、9月の大雨災害で被災した施設の復旧については、全箇所の災害査定が終了したことから、早期の事業着手に努めてまいります。木曽川の異常出水により護岸が被災し、住宅にも被害が及んだ木曽町上町地区については、木曽町と連携して家屋の移転補償に関する交渉を進めているところであり、被災した方々の生活再建が進むよう支援してまいります。土石流により下馬沢川が氾濫した茅野市宮川高部地区では、国の改良復旧事業を活用し、被災した護岸とそれに隣接する脆弱な残存施設を一体的に復旧するとともに、今後の災害を防ぐため、治山ダム、砂防堰堤を1基ずつ設置いたします。また、宮川高部地区を含む諏訪西山地域では多数の山地災害が発生しました。新年度から流域保全総合治山事業を導入し、保水機能が低下した森林を対象として、森林整備と治山施設整備との一体的施工による災害に強い森林づくりに取り組んでまいります。  近年の気候変動の影響による災害の頻発化・激甚化に備え、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を最大限活用し、県土の強靱化を進めてまいります。先にお認めいただいた1月補正予算の事業費も活用し、幹線道路等における落石・法面対策や無電柱化、定期点検等により修繕が必要とされた橋梁やトンネルなどの老朽化対策、災害時における道路の迂回機能の強化、流域全体で取り組む治水対策や土砂災害対策、排水機場の更新やため池の耐震化など、県民の生命と財産を守るための事業を集中的に実施してまいります。  「長野県流域治水推進計画」や国・市町村と共に策定した「流域治水プロジェクト」に基づき、流域全体の関係者と協働で流域治水の取組を進めてまいります。県としては、河川管理者として堤防の補強や護岸の整備、堆積土砂の掘削などのハード対策を実施することに加え、シンポジウムやテレビCMを活用した県民への啓発活動、市町村と連携して取り組む各家庭やため池での雨水貯留の促進、県有施設における雨水貯留タンクの設置や駐車場の緑地化などに取り組んでまいります。また、浸水想定区域図の作成、砂防ボランティアによる防災教育や災害伝承など、水害の発生に備えた取組も進めてまいります。  令和元年東日本台風災害の教訓を踏まえて開始した「逃げ遅れゼロプロジェクト」を引き続き推進します。避難指示等の適時適切な発令など市町村の災害対応力を強化するため、これまでの市町村長トップフォーラムの開催に加えて、新たに県、有識者、県砂防ボランティア協会等からなるキャラバン隊を立ち上げ、相談体制を拡充します。また、県民の皆様に対し、適切な平時の備えと災害時の対応を促すため、昨年10月にリリースした「信州防災アプリ」の普及促進を図るとともに、高齢者等を対象に信州防災手帳の配布も行います。  避難生活における精神的・肉体的な負担をできるだけ軽減するとともに、災害関連死を可能な限り防ぐため、「避難所TKB(トイレ・キッチン・ベッド)環境向上プロジェクト」にも引き続き取り組んでまいります。快適で利用しやすい仮設トイレの導入支援、温かい食事を提供するためのキッチンカー事業者と市町村との連携促進、ダンボールベッドの迅速な調達と円滑な設置に向け、必要な体制整備などに取り組んでまいります。  地元の木曽町や王滝村と共に整備を進めてきた長野県立御嶽山ビジターセンターが、8月下旬に開館する予定です。このセンターを核として、平成26年の御嶽山噴火災害の教訓を伝承していくとともに、住民や登山者等の防災意識の向上、御嶽山火山マイスターの育成などに取り組んでまいります。また、同時期に木曽町が開設するビジターセンターとも連携し、御嶽山を中心に木曽地域全体の魅力発信にも努めてまいります。  迅速かつ正確な火山情報の収集・分析等を行うためには、火山専門家の力が必要です。そのため、名古屋大学御嶽山火山研究施設の運営を引き続き支援してまいります。さらに、災害からの教訓を踏まえた御嶽山における様々な先進的な取組を他の火山防災協議会と共有することにより、他地域における火山防災対策についても充実・強化を図ります。  「長野県脱炭素社会づくり条例」に基づく行動計画として策定した「長野県ゼロカーボン戦略」では、温室効果ガスの正味排出量を2030年度までに2010年度比で6割削減するとの高い目標を掲げました。この目標を実現するための取組を一層加速してまいります。  今定例会に、「長野県地球温暖化対策条例の一部を改正する条例案」を提出いたしました。条例案においては、今後の電気自動車(EV)の普及に対応するため、集合住宅や商業施設など多くの方が利用する駐車場における充電設備の設置に関する努力義務を創設します。また、建築物に係る環境エネルギー性能等検討制度の届出対象を拡大するほか、新築住宅に係る省エネ計画の報告・公表制度を創設します。さらに、再生可能エネルギーの普及拡大を図るため、再エネ設備の設置及び再エネ由来の電気等の購入を県民及び事業者の努力義務とします。  こうした条例による規制・誘導とあわせて、各種支援策についても創設・拡充を行うことにより、脱炭素社会実現に向けた県民・事業者の取組を促進してまいります。  交通分野では、EVの利用環境を整備するため、「未設置区間ゼロ・電池切れゼロ」を目指して、道の駅や観光地等での充電インフラ整備を支援してまいります。また、公共交通機関の脱炭素化についても関係者との協議を進めるほか、まちなかへの自家用車の流入抑制やグリーンスローモビリティ(時速20キロメートル未満で公道を走ることができる電動車)の導入などの社会実験の実施に向け、協議会の設置や交通シミュレーションなどを進めます。県としても新年度更新する公用車のうち特別な仕様が必要な車両を除く33台については全てをEVとするほか、松本合同庁舎において充電設備の整備を行うなど率先して取組を進めてまいります。  建物分野では、2030年度までに全ての新築建物のZEB・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル/ハウス)化の実現を目指して取組を進めます。高い断熱性能や再エネ設備を有し、県産材を活用した「信州健康ゼロエネ住宅」の普及を重点的に推進するとともに、県有施設についても、今後の本庁舎の改修設計や県立学校の施設整備基本計画の策定などに当たってゼロエネルギー化を目指して取り組むほか、太陽光発電設備の設置や高断熱化、照明のLED化の推進などを着実に進めてまいります。  産業分野では、事業活動の脱炭素化に向けた取組や、グリーンイノベーションに向けたチャレンジなどを支援してまいります。  事業活動に伴う温室効果ガスの削減を促進するため、事業活動温暖化対策計画の策定をゼロカーボン関連補助金の採択要件とするほか、信州省エネスペシャリスト等による中小企業等に対する省エネ診断や、製品のライフサイクル全体の温室効果ガス排出量の可視化などを進めるとともに、事業所における再生可能エネルギー由来の電力共同購入事業を実施します。また、脱炭素化の動きを企業のビジネスチャンスにするため、長野県産業振興機構に「グリーンイノベーションセンター(仮称)」を設置し、ゼロカーボン関連の新技術開発などを支援します。  農業由来の温室効果ガス排出量を削減するため、水田等から発生するメタンの削減などの技術開発を進めるとともに、果樹のせん定枝など未利用有機物を活用した炭素貯留の取組、有機農業をはじめとする「環境にやさしい農業」などを推進します。  さらに県としても、昨年度から始めたグリーンボンドの発行額を増加させるほか、ESG債に対する投資を拡大し、ESG投資に対する気運の醸成を図ってまいります。  再生可能エネルギー分野では、本県が高いポテンシャルを有する太陽光と小水力を中心に普及拡大を目指します。  屋根ソーラーの普及に向けては、既存住宅エネルギー自立化補助金と共同購入事業としてのグループパワーチョイスにより、住宅用太陽光発電設備等の更なる普及拡大を図ります。固定価格買取制度のもとでの導入件数及び設備容量共に全国1位の実績を有する小水力発電を更に広げるため、収益納付型の補助金による事業化支援や、企業局における新しい水力発電所の建設等に取り組みます。農業用水を活用した小水力発電を更に進めるため、中小規模の用水路を調査・リスト化して発電適地の掘り起こしを行います。また、県立武道館など五つの県有施設における使用電力を100パーセント再生可能エネルギー由来のものに新年度から切り替えます。  森林吸収源対策としては、主伐・再造林による森林の更新を積極的に進めるとともに、森林整備による二酸化炭素吸収量を販売可能なクレジットとして国が認証する制度の活用、生活用品等を木質製品に切り替えるウッドチェンジの取組、外材等から県産材への利用の転換などを進めます。また、長野、松本、上田及び飯田の4市と共に、まちなか緑地や街路樹などのグリーンインフラ整備を推進してまいります。  信州気候変動適応センターを中心に気候変動の実態や影響を継続的にモニタリングするとともに、農業分野では温暖化に適応した新品種・新技術の開発・普及、防災分野では流域治水の取組推進など、気候変動への適応策についても検討・実施してまいります。  「サステナブルNAGANO共創プラットフォーム(仮称)」については、新年度早期の立上げに向け、経済界や市町村、大学等の皆様と協議を重ねるとともに、拠点の設置準備を進めています。それぞれの主体が強みを持ち寄って気候危機突破プロジェクトの推進などに取り組むほか、県内各地でのゼロカーボンミーティングの開催などを通じて、気候危機に立ち向かう県民の輪を広げてまいります。  また、信州環境カレッジを中心に多様な学びのカリキュラムを提供するとともに、環境先進国への高校生の派遣、高校生自らが教室の断熱改修等に取り組む「生徒発 気候危機突破プロジェクト」の始動、エシカル消費の協力店舗の拡大、「地域発 元気づくり支援金」におけるゼロカーボンの重点テーマ化などにより、若い世代を含む県民の皆様の多彩な活動を後押ししてまいります。  SDGsの理念でもある「誰一人取り残さない」社会の実現を目指し、公正な社会づくりに取り組みます。  全ての県民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し、多様な在り方を相互に認め合う社会を実現するため、「障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例案」を今定例会に提出しました。基本的人権の尊重、社会参加の推進、情報コミュニケーションのバリアフリーなどを基本理念とし、県の責務並びに県民及び事業者の役割を定め、障がい者の自立と社会参加に向けて県が取り組む基本的施策などを盛り込んでおります。  この条例案の提出に合わせ、事業者の合理的配慮を促すための優良事業者認定制度の創設、県民意識の醸成を図るための県民フォーラムや全国最大規模でのボッチャ競技大会の開催、共生社会について学校で楽しく学ぶ「パラ学」の拡充、障がい者芸術文化活動支援センターや医療的ケア児等支援センターの新設、ユニバーサルツーリズムの発信強化など、様々な施策を充実してまいります。障がい者の就労を促進するため、障がい者雇用減税を延長するとともに、障がい者を新たに雇用する小規模事業所に対する助成金を創設します。さらに、JAとの協働による相談体制の充実等により農福連携を一層進めてまいります。  総合リハビリテーションセンターについては病棟の現地建替えを前提とした建築方針の策定等に着手するほか、強度行動障がいがある方のための専用居住エリアを西駒郷に整備します。  犯罪被害者やその御家族の皆様が安心して暮らすことができる社会を実現するためには、必要な支援が迅速に行われなければなりません。そのため、「長野県犯罪被害者等支援条例案」を今定例会に提出いたしました。  取りまとめに当たっては、犯罪被害者の御遺族の方々から私自身も直接お話をお伺いし、御提案を踏まえて条例内容を一部見直しました。具体的な施策においても、経済的負担を軽減するための見舞金の給付、関係機関・団体等との連携による切れ目のない相談支援体制の構築、被害者等が置かれている状況や支援の必要性についての広報・啓発などに取り組むことにより、犯罪被害者とその御家族の皆様が平穏な生活を営むことができるよう取り組んでまいります。  若者や子育て世代への支援を充実し、結婚や妊娠・出産、子育ての希望をかなえることのできる社会の実現を目指してまいります。  若者の結婚を後押しし、結婚を社会全体で応援する気運の醸成を図るため、異業種で働く若者たちに新たな交流・出会いの場を提供するとともに、新婚夫婦等が割引などの特典を受けられる結婚応援パスポート制度を創設します。さらに、市町村との連携協議会を設置し、新婚世帯に対する住宅取得費用等の支援を行う「結婚新生活支援事業」を実施する市町村の拡大と補助率の引上げを図ってまいります。  出産や子育てに係る経済的負担の軽減等も重要です。本年4月1日から不妊治療に公的医療保険が適用となることに合わせ、不妊検査や保険適用外の先進医療に対する助成を県独自に実施します。また、WEBサイト「妊活ながの」による情報提供や「不妊・不育専門相談センター」による相談体制の充実等により、妊娠を希望する夫婦を応援します。子どもの医療費については、市町村が実施する子どもの通院医療費補助に対する県費負担の対象を従来の未就学児から小学校3年生にまで拡大します。また、家事・育児等に不安を抱える子育て家庭を地域で支えるため、相談支援拠点の整備や家事・育児支援等に取り組む市町村を支援します。  若者の正規雇用を促進するため、ジョブカフェ信州での就職情報の提供やキャリアコンサルティングを実施します。また、令和5年度からは、寄付金を原資として新たな大学生向けの奨学金制度を創設するとともに、従業員の奨学金返還を支援する制度を設けて人材確保に取り組む中小企業を支援します。  家事や家族の世話を日常的に行っているヤングケアラーの存在は看過することはできません。そのため、小学生、中学生等に対する実態調査を行うとともに教育、福祉関係者等に対する研修を実施するなど、ヤングケアラーを早期に発見・把握し、必要な支援を行うための体制づくりを進めてまいります。  依然として増加し続ける児童虐待に対する対応は喫緊の課題です。引き続き児童相談所の専門職員を増員して体制強化に努めるほか、住民からの養育相談や市町村支援等に対応する児童家庭支援センターを新たに佐久児童相談所管内に開設し、全ての児童相談所管内で相談・支援を受けられる体制を整備します。  ひきこもりの当事者とその御家族の方々を地域で支えるため、ひきこもりに対する理解を深めるフォーラム等を開催するとともに、地域の支援団体が行う社会とのつながりをつくり安心して過ごせる居場所づくりの取組を支援します。  「誰も自殺に追い込まれることのない信州」を目指して、各種相談会やゲートキーパー養成研修会等を実施します。特に、子どもの悩みや不安に寄り添った相談支援体制を強化するため、「子どもの自殺危機対応チーム」の充実、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの増員、LINE相談窓口の開設日数の増加などを行います。  また、救急医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員や、介護・障がい・児童福祉施設、幼稚園等の職員の処遇改善を図るため、給与の引上げに必要な経費を助成します。  変化の激しい時代にも対応できる資質・能力を育むための教育環境の充実や、働く人たちに対する学び直しの機会の提供など、誰もが主体的に学び続けられる社会づくりを進めます。  個別最適な学びや協働的な学びを実現するために、小・中学校を含む教育現場がICT機器を活用した教育を効果的に実施することができるよう、「ICT教育推進センター」を中心に、先端的な教育ソフトウェア教材の導入や、教員のICT活用能力向上のための研修などを進めます。  高校の第2期再編等に伴う県立学校の施設整備においては快適で多様な学習空間づくりを進めるとともに、老朽化した学校施設を改修・修繕するための予算を一層拡充します。特別支援学校については、松本養護学校・若槻養護学校の改築等のための基本計画を策定するほか、教室の増築やスクールバスの増車などを進め、教育環境の充実を図ってまいります。
     本年4月、長野県立大学は「ソーシャル・イノベーション研究科」と「健康栄養科学研究科」の二つの研究科からなる大学院を新たに開設します。専門的な学びを深めたい学生や、公共政策や企業活動に携わる社会人を受け入れ、高度な専門人材を育成してまいります。  働く人の学び直しのためのリカレント教育・リスキリングの充実を図るため、夜間・休日やオンライン等を活用して専門知識や資格を取得することができる講座の新設を支援するほか、「社会人学びの総合ポータルサイト」を構築し、リカレント教育等に関する情報発信を強化します。また、産業界でのニーズが高いデジタル人材を育成するため、若年求職者を対象にしたプログラミングスキル等を習得するためのオンライン訓練や、農業法人などを対象としたスマート農業先端機器の体験講座を新たに実施するとともに、在職者訓練事業や民間活用委託訓練事業においてもデジタル分野の職業訓練を充実してまいります。このほか、長野県看護大学における感染管理認定看護師教育課程の開設や、観光業の生産性向上を促すセミナーの開催など、様々な産業分野で必要とされる人材の育成に取り組んでまいります。  県内における文化芸術活動を一層活発にするためには、アーティスト・イン・レジデンスや、県内学芸員のネットワークなど、芸術監督団事業等により培ってきた県民主体、地域主体の文化芸術活動の芽を更に力強い幹へと育て上げていかなければなりません。そのため、県内の文化芸術活動に対して、専門人材による助言や事業費助成などを行う寄り添い型の中間支援組織としてアーツカウンシルを設立することといたしました。様々な関係団体の参画を促し、文化芸術活動の持続的な発展と担い手の育成に努めるとともに、文化芸術の力を他の分野にも波及させ、地域の課題解決や新たな価値の創造にもつなげてまいります。  昨年4月に開館した長野県立美術館には、コロナ禍の中にあっても先月末までに約72万人もの皆様にお越しいただきました。「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」をはじめとする七つの企画展はもとより、子どもたちを対象にした造形体験を行うワークショップ等も盛況で、「開かれた美術館」として県内外の皆様に親しんでいただいております。本年春には、善光寺御開帳にあわせ「善光寺さんと高村光雲」展を開催します。今後も善光寺や長野市などの関係者としっかりと連携しながら、文化・観光の拠点として更に多くの皆様に足を運んでいただけるよう取り組んでまいります。  上松町出身の御嶽海関が、先月行われた大相撲初場所で三度目の優勝を飾り、本県出身力士としては実に227年ぶりとなる大関昇進の快挙を達成されました。本県スポーツ界において特筆すべき偉業であり、ふるさと・木曽地域のみならず、長野県全体に大きな感動と希望を与えていただいたことから、その栄誉を讃え、県民栄誉賞を授与することといたしました。御嶽海関には、県民の期待を背負って一層の御活躍をされますことを心から願っております。  令和10年に本県で開催予定の第82回国民スポーツ大会・第27回全国障害者スポーツ大会はいよいよ6年後に迫ってまいりました。先般開催された準備委員会において、大会の愛称とスローガンがそれぞれ決定されました。愛称の「信州やまなみ国スポ・全障スポ」、スローガンの「行こう。それぞれの頂へ。」には、大会に関わる全ての人が信州の山々のようにつらなり、手を取り合いながら、自分の想い描くゴールを目指し、未来へとつながる大会にしたいとの思いが込められています。新年度は、この愛称・スローガンを用いて広く広報を行い、大会の開催気運の醸成を図るとともに、開催基本構想の策定や競技力向上などの取組を進めてまいります。また、今定例会に長野県国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会開催基金を新設するための一部改正条例案を提出しました。大会開催に備えて資金の積立てを行い、財政負担の平準化を図ってまいります。  地域公共交通は、通勤・通学や通院など日常生活に欠くことのできない移動手段であると同時に、地域の持続的な発展と脱炭素社会実現のための重要な社会基盤です。人口減少と高齢化が進む中で、公共交通という財産を次の世代へと確実に引き継ぐためには、県をはじめとする行政がこれまで以上に積極的に関与し、新しい地域公共交通システムを官民連携で創り上げていかなければなりません。  こうした考え方から、昨年11月、事業者や国・市町村とともに全県レベルの公共交通活性化協議会を立ち上げました。本年1月からは、10圏域ごとに設けた地域別部会において、地域事情に応じたダイヤ編成、各地域が目指すべき公共交通の将来像などについての議論を開始したところです。利用者はもとより事業者の意見にも真摯に耳を傾けながら検討を進め、来年度末までには各地の実情を踏まえた持続可能で最適な地域公共交通の姿を明らかにしてまいります。  本州中央部広域交流圏の形成に向け、高速交通網の整備を進めます。  高規格道路については、中部横断自動車道や中部縦貫自動車道、三遠南信自動車道の整備を引き続き促進するとともに、伊那木曽連絡道路の整備、松本糸魚川連絡道路「安曇野道路」の本格的な着手に向けた取組を進めます。  また、市町村や民間団体等と連携したリニアバレー構想実現に向けた取組や、リニア中央新幹線の整備効果を広く県内に波及させるための道路整備などを着実に進めるとともに、JR東海に対してはトンネル工事事故を踏まえた再発防止対策の徹底などを強く求めてまいります。  「松本空港利活用・国際化推進室」を「松本空港課」に改組し体制を強化します。これにより、本県の「空の玄関口」である松本空港の一層の発展・活性化に向け、民間の資金やノウハウの活用による利便性の向上や運営の効率化、賑わいの拠点づくりなど、空港の機能強化に取り組みます。また、新型コロナウイルスの感染収束後も見据え、昨年複便化した神戸線をはじめとする既存路線の利用促進や更なる路線の拡充、沖縄とのチャーター便の運航促進など、関係団体とも連携して取組を強化してまいります。  最後に、条例案などについて申し上げます。  条例案は、新設条例案3件、一部改正条例案21件であります。  このうち、「創業及び障害者、母子家庭の母等の雇用を行う法人等を応援する県税の特例に関する条例の一部を改正する条例案」は、県内で創業等を行い、又は障がい者を雇用する法人等を応援するため、事業税の軽減措置の適用期限の延長及び対象者の拡大等を行うものであります。  「資金積立基金条例の一部を改正する条例案」は、「信州学生協会・信濃寮」大学修学等支援基金及び長野県国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会開催基金の新設などを行うものであります。  事件案は、20件であります。  このうち、「高等学校の統合について」は、小諸商業高等学校と小諸高等学校の統合、伊那北高等学校と伊那弥生ケ丘高等学校の統合に係るものであります。  専決処分報告は、「令和3年度長野県一般会計補正予算(第12号)の専決処分報告」など7件であります。  以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。 ○議長(宮本衡司 君)次に、原山隆一教育長。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)令和4年度の教育委員会関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  最初に、これからの長野県教育に関して、教育長としての所信の一端を申し述べさせていただきます。  まず、信州教育の信頼回復について申し上げます。  昨年2月、高等学校の教諭が生徒への性的な言動を行ったにもかかわらず、校長や教育委員会事務局職員がその事実を把握しながら、当該教諭を処分せずに、そのまま退職させるに至ったという事案が発覚いたしました。県教育委員会として、本事案は長野県教育への信頼の根幹に関わる重大な事態と受け止め、事実関係を含め、事案を徹底的に検証すること、責任を明確化し、関係職員を厳正に処分すること、事案の検証をもとに、実効性のある対策を講じること の3点を肝に銘じて取り組んでまいりました。事案の検証にあたっては、客観的、専門的な視点を確保するため、弁護士や臨床心理士などで構成する「コンプライアンスアドバイザー会議」を4回にわたって開催し、事実確認や問題点・原因の明確化、再発防止策の検討を行い、昨年12月に検証結果報告書として取りまとめたところです。こうした検証をもとに、責任を明確化し、昨年末、関係職員に対して厳正に懲戒処分等を行ったところでありますが、私自身につきましても教育長としての管理監督責任を明確にするため、給料の1/10を3か月間、自主的に返納させていただきました。  今回の事案は、長野県教育への信頼を著しく損なう、あってはならない極めて遺憾なことであり、県議会の皆様、県民の皆様に、深くお詫びを申し上げます。今後は、全ての教職員の「わいせつな行為等」に対する認識を「性暴力」という厳格なものに改めるとともに、検証結果報告書に掲げた、性暴力を見逃さない、見落とさない仕組みづくりや性暴力を未然に防止する措置の徹底など、性暴力根絶のための対策に取り組み、県民の皆様からの信頼回復に全力で努めてまいります。  次に、第3次長野県教育振興基本計画の着実な遂行と次期基本計画の策定に向けた基本的な姿勢について申し上げます。  県教育委員会では、平成30年3月に策定した第3次教育振興基本計画に基づき、『「学び」の力で未来を拓き、夢を実現する人づくり』を基本理念に掲げ、これまで様々な施策を行ってまいりました。令和4年度は現計画の最終年度であり、それぞれの施策の総仕上げに向け、取組を一層進めてまいります。  また、来年度は、これからの長野県教育のあり方や方向性を示す次期基本計画の策定に本格的に取り組む一年でもあります。  新型コロナウイルスとの闘いでも明らかなように、変化の激しい、予測困難な時代にあっては、想定外の事態に遭遇した場合でも、思考停止に陥ることなく、自ら考え、判断し、試行錯誤や創意工夫ができる資質・能力が求められます。探究を中核とした学びの必要性は今後さらに増していくものと考えています。  社会のあり方はリアルを前提としたものから、デジタルを前提としたものへと急速に変化していきます。教育のあり方も大きく変わらざるを得ません。また、工業化社会から知識社会に転換する中で、一人ひとりの認知の特性や興味関心の違いを踏まえて、その力をさらに伸ばす教育を、デジタルの力も借りて実現していかなければなりません。  多様化する教育問題への単なる対処療法的な対策に陥ることなく、子どもたち、ひいては社会にとっての「Well-being」を実現するために学校はどうあるべきか、長野県教育は何を目指していくべきか、関係する様々な皆様と一緒になって考えていきたいと思っています。  次に、令和4年度の教育委員会の重点的な施策について申し上げます。  最初に、新型コロナウイルス感染症への対応につきまして申し上げます。  先月から感染が急拡大し第6波の波が到来する中で、県教育委員会では改めて「県立学校運営ガイドライン」に基づき、感染症対策を徹底するとともに、「まん延防止等重点措置」の適用期間中には、対面授業とオンライン授業や自宅での課題学習を併用し生徒同士の接触機会を減らすこと、学校行事・部活動を原則実施しないことなどについて、県立学校長あて通知するとともに、市町村教育委員会に対しても県立学校の対応を参考に感染症対策に取り組んでいた だくようお願いしてまいりました。  さらに、オミクロン株の特性を踏まえ、臨時休業のルールを変更するなど、学校内の感染拡大防止に努めているところです。  引き続き、刻々と変化する感染状況に適時適切に対応することにより、学校での感染リスクを抑え、児童生徒の健康を守り、学びが継続できるよう努めてまいります。  加えて、令和3年度1月補正予算と令和4年度当初予算案とを一体的に編成し、消毒液などの保健衛生用品や3密対策に必要な物品の追加購入、特別支援学校に通う医療的ケアを要する児童生徒の感染リスク低減を図るためのスクールバスの増便など、感染防止に万全の対策を行うことにより、学びへの影響を最小限に抑えられるよう取り組んでまいります。  次に、誰一人取り残さない公正な社会づくりについて申し上げます。  不登校児童生徒への支援につきましては、どこに居てもその子にあった学びを提供できる仕組みづくりが重要です。このため、今年度、県内4市町の市町村教育委員会が設置する教育支援センター等に不登校支援コーディネーターを配置し、自宅やフリースクールなどでの学びを支援する仕組みを構築するとともに、指導要録上の出席扱いの事例などを掲載した「不登校児童生徒の学びのサポートガイド」を作成しております。  来年度は、引き続き4市町において、自宅などで学校の授業を受けるためのICTを活用した学習支援の方法を研究するとともに、県内の市町村が配置している不登校支援コーディネーター等を対象とした研修会で、4市町の取組を紹介するなど、全ての市町村で支援体制の構築が進むよう取り組んでまいります。  児童生徒の相談体制につきましては、コロナ禍における子どもたちの悩みに加え、ヤングケアラーなどの新たな課題に対応するため、来年度もスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員し支援時間を拡充いたします。また、引き続き24時間体制の電話相談やLINE相談窓口を開設し、児童生徒の悩みに寄り添ってまいります。  特別支援教育につきましては、障がいの状態に応じて一人ひとりの可能性を伸ばす質の高い教育を提供するため、自立活動担当教員を25名増員するとともに、図書や教材の整備、芸術家などの外部専門家による授業の充実などに取り組んでまいります。  また、特別支援学校につきましては、松本養護学校・若槻養護学校の改築等に向けた基本計画の策定を進めるとともに、老朽化が進む施設の計画的な修繕や、児童生徒の増加による狭隘化に対応した教室の増築など、学びの環境を充実してまいります。  多様なニーズを有する子どもへの支援につきましては、発達障がい等の特別な教育的ニーズのある児童生徒の学びを充実するため、小中学校の通級指導教室を増設するとともに、病気や怪我の治療のため長期入院中の高校生や聴覚に障がいのある高校生へのICT機器を活用した学習支援、日本語が不自由な外国籍の生徒への生活支援相談員の配置などにより、全ての子どもの学びを保障してまいります。  次に、誰もが主体的に学び続けられる社会づくりについて申し上げます。  ICT教育につきましては、義務教育諸学校では各校で1人1台端末が整備され、県立高校では来年度から個人所有端末を活用したBYODによる1人1台端末が始まるなど、ICT環境の整備を着実に進めてまいりました。また、昨年4月に設置した「長野県ICT教育推進センター」を司令塔に、各教科のICT活用のポイントなどをまとめた「長野県1人1台端末導入ガイドライン」を県内全ての学校に配布するとともに、教員のICT活用力の向上を図る研修の開催、1人 1台端末を用いたモデル授業の提案などに取り組んでまいりました。今後、こうした取組をさらに進めるとともに、1人1台端末等の成果や課題、さらには全国の先進的な取組等の情報発信を行ってまいります。  併せて、県立高校の教科学習を充実するための先端的な教育ソフトウェアの活用、生徒の学習状況をICTにより即時的に把握し指導改善につなげるシステムの導入、ICT機器の障害発生時に学校での運用を支援する「GIGAスクール運営支援センター(仮称)」の設置などにより、児童生徒の探究学習や協働学習、さらには習熟度に応じた個別最適な学習を実現する「学びの DX」に取り組んでまいります。  次に、幼児教育につきましては、県内全ての幼児教育施設で質の高い教育を提供するため、大学等の有識者や保育現場の実践者と、保育者研修や幼保小接続のあり方について検討するとともに、引き続き実践を通して保育者同士が学び合うフィールド研修等を実施してまいります。  義務教育につきましては、来年度も学校改革に挑戦する小中学校等42校を「学びの改革実践校」として指定し、アドバイザーの助言を受けながら学年担任制や学年の枠を越えた授業の導入などに取り組む学校を支援します。また、多くの学校がこのような取組を実施できるよう、教育雑誌やSNS等を通じ、実践校の取組を定期的に発信するとともに、「学びの改革ミニフォーラム」の開催などにより、改革に取り組む小中学校を支援してまいります。  高校教育につきましては、「未来の学校」として指定した県立高校6校において行っている「卓越した探究的な学び」や「信州に根ざしたグローバルな学び」などをテーマとする先進的・先端的な実践研究をさらに進めてまいります。また、これまでの取組で得られた各校の成果を、公開授業や成果報告会等の開催により全県で共有し普及につなげてまいります。  高校再編につきましては、現在、既に決定した「再編・整備計画」一次分・二次分の統合新校について、学校ごとに学校関係者や生徒・市町村・産業界などで構成する「新校再編実施計画懇話会」を設置し、目指す学校像や学科、活用する校地などについての意見交換を重ねるなど検討を進めております。このうち、地域での意見集約が先行している小諸新校と伊那新校については、今月の県教育委員会定例会で「新校再編実施基本計画」を決定し、今県議会定例会 に、小諸商業高等学校と小諸高等学校、伊那北高等学校と伊那弥生ケ丘高等学校の統合について同意を求める議案を提出いたしました。  また、一次分・二次分でお示ししていない残り5地区と県全体の定時制課程の配置については、「再編・整備計画」の三次案として、今年度末までに策定・公表するよう進めております。今後とも、地域の皆様との合意形成を丁寧に行いながら、再編・整備を着実に進めてまいりたいと考えております。  また、高校改革の一貫として進めております「新たな入学者選抜制度」については、中学校や高校の校長会などと意見交換を行い、昨年9月、第3次案を公表し、旧12通学区ごとに保護者などへの説明会やウェブ上に説明動画を掲載するなど様々な方法で意見を求めてまいりました。寄せられた御意見を踏まえ、今年度末には新たな入学者選抜制度を決定し、現小学校6年生が受検する令和7年度選抜からの実施に向けた準備を進めてまいります。  学びの機会充実の取組につきましては、全ての県民が、居住地や生活スタイル、障がいの有無などにかかわらず学び続けられる基盤づくりの一環として、新たに電子図書館を構築します。市町村と協働で、住民ニーズに対応する一般書の電子書籍貸出サービスを導入するとともに、県立長野図書館に調査、研究支援のための専門書・学術書の電子書籍閲覧サービスを導入します。  県立歴史館につきましては、善光寺御開帳や諏訪御柱祭と連動した「祈り」をテーマとする時宜を得た企画展を開催するとともに、「長野県公文書等の管理に関する条例」の施行に伴う特定歴史公文書の適切な保存と利用に努めてまいります。  次に、施設の老朽化と脱炭素社会の構築に資する取組について申し上げます。  学びを支える学習環境の整備につきましては、先ほど申し上げました県立高校統合新校や、松本養護学校・若槻養護学校において、ZEB化への対応も含め、これからの「新しい学び」にふさわしい施設整備に着手するため、外部有識者の知見も活用しながら整備の骨格となる基本計画の策定を行ってまいります。加えて、老朽化が進む校舎等を計画的に改修するため、修繕予算を拡充し、快適な学習空間の実現を目指してまいります。  また、総合教育センターの照明のLED化に向けた設計などゼロエネルギー化を進めるとともに、知事部局と連携し、県立高校の生徒が気候変動対策についての学習を通して自主的に取り組む、教室の断熱改修などへの支援を行ってまいります。  次に、コロナ禍を越えたスポーツの振興について申し上げます。  令和10年に開催予定の第82回国民スポーツ大会・第27回全国障害者スポーツ大会につきましては、県民が一つとなって天皇杯・皇后杯を獲得することに加え、大会終了後の競技力の維持・定着にも意を用いていかなければなりません。  先般開催された県準備委員会において、大会の愛称を「信州やまなみ国スポ・全障スポ」、スローガンが「行こう。それぞれの頂へ。」と決定されました。昨年8月から10月にかけて県内外から4,200点を超える多くの作品の応募をいただいた中から、いずれも両大会にふさわしい、長野県をイメージさせる作品が選定されたと感じております。来年度は、この愛称・スローガンを広く周知し、大会の気運を盛り上げるとともに、中央競技団体による競技会場地市町村の正規視察を通じ、競技会場・練習会場の整備や宿泊・輸送計画など競技会運営に向けた準備を本格化してまいります。  また、競技力の向上につきましては、今年度までのジュニア選手を幅広く発掘・育成する育成期から、来年度は6年後の本県開催時に活躍する選手層の強化に軸足を置く充実期に移行することとし、ジュニア強化の拠点となるクラブを指定し、新たに強化練習等に係る費用への支援を行うとともに、県内各地で医科学的なサポートを受けられる体制の構築に引き続き取り組んでまいります。  以上、教育委員会の重点的な施策について申し上げました。  これらの施策を推進するため、令和4年度当初予算案は、令和3年度1月補正予算と一体のものとして編成し、一般会計1,788億1,849万3千円、高等学校等奨学資金貸付金特別会計8,293万円をお願いしております。  条例案は、長野県国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催基金を新設するための「資金積立基金条例の一部を改正する条例案」の1件でございます。  事件案は、先ほど御説明申し上げました、県立高校「再編・整備計画」一次分の小諸新校及び伊那新校に係る「高等学校の統合について」の2件でございます。  以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議の程をお願い申し上げます。 ○議長(宮本衡司 君)次に、小山巌警察本部長。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)警察本部関係の議案説明に先立ち、県下の治安情勢と長野県警察の運営重点について御説明させていただきます。  初めに、令和3年中の県下の治安情勢について御説明いたします。  まず、犯罪の発生・検挙状況についてです。  刑法犯認知件数は5,959件で、前年と比較して985件、率にして14.2パーセントの減少となりました。平成14年以降20年連続の減少で、戦後最少を更新いたしました。  一方で、刑法犯の検挙率は57.1パーセントで、平成元年以降で最高を記録した前年と比較して2.4ポイントの減少となりました。  次に、交通事故の発生状況について御説明いたします。  交通事故発生件数は4,772件で、前年と比較して30件、率にして0.6パーセント減少しており、平成17年から17年連続の減少となりました。  死者数は45人で、前年と比較して1人、率にして2.2パーセントの減少であり、統計を取り始めた昭和23年以降で最少となりました。また、死傷者数は5,741人で、前年と比較して61人、率にして1.1パーセント減少しております。  次に、本年の長野県警察の運営重点について、御説明いたします。  県警察では、県民の安全・安心を確保するため、運営指針を「県民とともにある力強く温かい警察~日本一安全・安心な信州をめざして~」と定め、その下に、「総合的な犯罪防止対策の推進」、「検挙力の強化」、「交通事故防止対策の推進」、「テロ・大規模災害等危機管理対策の推進」、「治安情勢を的確に見据えた効果的な地域警察活動の推進」、「県民の立場に立った積極的な対応」、「時代の要請に応じた警察活動の基盤強化」の7つの運営重点を掲げております。  その中でも、特に力を入れていきたい事項について御説明いたします。  1点目は、特殊詐欺対策であります。  特殊詐欺の状況につきましては、被害額が約2億6,894万円と前年と比較して約2,784万円減少したものの、認知件数は155件と前年と比較して30件増加しており、高齢者を中心とした被害が依然として深刻であります。  県警といたしましては、関係機関・団体等と連携した先制・予防的活動や、高齢者を始めとしたあらゆる世代への注意喚起、金融機関・コンビニエンスストア等と連携した水際対策など、被害防止に向けた取組を更に強力に推進してまいります。  また、前兆事案を認知した段階から即応して、受け子等を検挙するとともに、突き上げ捜査による特殊詐欺グループの実態解明と、多角的な取締りにより、犯罪組織の壊滅を目指してまいります。  2点目は、高齢者の交通事故防止対策であります。  交通死亡事故のうち、高齢者死者数が27人で、死者数全体に占める割合が60.0パーセントと依然として高い割合を占めており、高齢者の交通事故防止対策が重要な課題となっております。  このような情勢を踏まえ、本年は、抑止目標を交通事故死傷者数6,000人以下、死者数50人以下、重傷者数550人以下と定め、最重点である高齢者の交通事故防止対策を中心に、関係機関・団体と緊密な連携を図りながら交通事故防止対策を推進してまいります。  以上、治安情勢と運営重点について御説明させていただきました。  引き続き、県民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。  最後に、警察本部関係の議案について御説明いたします。  まず、令和4年度一般会計予算案についてでございます  令和4年度一般会計予算案は、日本一安全・安心な信州の実現を目指し、運営重点として掲げた各種施策を推進するため、450億9千万円余を計上いたしました。  主要なものといたしまして、先ほど力を入れるべき事項として御説明いたしました「高水準で発生している特殊詐欺の被害防止や検挙に向けた対策の強化」、「高齢者等の交通事故を防止するための交通安全教育や各種事故防止対策の推進」と併せて「先端技術等の活用による警察活動の質的向上の推進」のために要する経費を計上しております。  次に、条例案について御説明いたします。  条例案につきましては、「長野県警察関係許可等手数料徴収条例の一部を改正する条例案」であり、「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」及び「道路交通法施行令」等の一部改正に伴い、手数料の額の改定等、所要の改正を行うものでございます。  次に、専決処分報告についてでございますが、「交通事故に係る損害賠償専決処分報告」1件を報告するものでございます。  以上、警察本部関係の議案につきまして、その概要を御説明させていただきました。
     御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○議長(宮本衡司 君)次に、小林透公営企業管理者。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)今回提出いたしました議案のうち、企業局関係につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、企業局事業を取り巻く状況等について御説明申し上げます。  企業局では、今年度からスタートさせた改定後の「長野県公営企業経営戦略」において、「水の恵みを未来へつなぐ」を基本目標とし、経営の安定や未来への積極的な投資等に取り組んでいるところですが、新型コロナウイルスの数次にわたる感染拡大により、人々の価値観や生活様式に大きな影響を及ぼす中、社会・経済情勢の変化や新たな地域課題にも、進取の精神で柔軟かつ俊敏に対応してまいります。  電気事業では、昨年10月末から開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)において、2030年までの期間を「勝負の10年」と位置付け、日本が全ての締約国に野心的な気候変動対策を呼び掛けるなど、脱炭素化が国際的にも大きな潮流となる中、企業局がこれまで60年以上にわたり培ってきた技術と経験により、豊かな水と落差という資源に恵まれた本県のポテンシャルを最大限に活かして、「再生可能エネルギーの供給拡大」と「エネルギー自立分散型で災害に強い地域づくり」の具現化を図ってまいります。  具体的には、現在、県内2か所にある発電管理事務所に加えて、新たに「発電建設事務所」を飯田、松本及び上田の3か所に設置し、発電所の建設と運転管理を現地で行う事務所を県内5か所とすることにより、地域との連携を強化するとともに、大規模災害時にも迅速に対応できる体制を整備してまいります。  これにより、新規電源開発については、知事部局との連携による「新規電源開発地点発掘プロジェクト」で選定した開発候補地点の調査等を加速するとともに、現在、設計等に取り組んでいる6か所の新しい発電所の建設を推進します。  また、基幹発電所の大規模改修等につきましても、今年度中に美和発電所の工事に着手することに加え、令和4年度中に春近、与田切の2つの発電所の工事に着手することなどにより、事業を着実に進めてまいります。  こうしたことにより、今後、県内各地へ展開することとなる発電所等については、既存の発電所等とともに、その監視制御を企業局川中島庁舎の中央制御所に一元化し、AI・IoT等の先端技術を活用したスマート保安を推進することで、次世代監視制御ネットワークシステムの構築による保守の高度化、効率化を図ることに加えて、長野県DX戦略の下、企画振興部が大学等と進める洪水予測データの利活用に係る共同研究と連携し、企業局クラウドを活用して水位等のデータを幅広く集積することで、運転管理と災害等に対してより的確に対応できるものとなるよう取り組んでまいります。  近年頻発する大規模災害等による停電時において、地域の電源を確保し、防災拠点等へ電力を供給する「地域連携水力発電マイクログリッド」の構築に向けては、自立運転機能を新しい発電所に整備することに加え、既設の発電所にも順次付加するとともに、西天竜発電所等をモデルとして、関係する市町村や送配電事業者等と連携して研究を進めてまいります。  企業局では、これまで培ってきた技術や経験を活かして、地域における新規電源開発等の取組を促進するため、菅平ダムの直下で農政部と神川沿岸土地改良区が計画している小水力発電施設の建設工事と運転管理を受託し、菅平発電所と一体的で効率的な運転管理を図ることとし、この取組を市町村や団体等への支援のモデル事業として横展開してまいります。  これに加えて、水力発電に意欲のある事業者や市町村等と「水力発電推進研究会(仮称)」を設立し、新規電源開発や発電事業の運営等に関する課題を共有し、その解決に向けた取組をともに進めてまいります。  企業局電力の売電につきましては、令和2年度から公募型プロポーザル方式により、卸売契約を締結しているところですが、これからの売電等のあり方については、国の電力システム改革が進展する中、刻々と変化する電力市場の動向を注視しつつ、経営の安定を図るとともに、エネルギーの地消地産や地域内経済循環等に資するものとしていく必要がありますので、引き続き有識者の皆様の意見を聞くことなどにより、検討を進めてまいります。  水道事業では、本格的な人口減少時代の到来等による水需要の減少に加えて、老朽化する施設の更新・耐震化とともに、人材不足、頻発する大規模災害への対策等で厳しい経営環境に直面していることから、安全で安心な水道水を安定して供給する持続可能な経営体制の構築に向け、未来への計画的な投資、専門人材の確保・育成等とともに、広域化・広域連携の推進等に正面から取り組むことが急務となっています。  そのため、施設等の維持管理につきましては、基幹施設や基幹管路に加えて、重要給水施設に至る管路等の耐震化を、当初の経営戦略を前倒し、令和6年度までに完了することを目指すとともに、諏訪形浄水場の中央監視制御装置等の老朽化した設備等の計画的な更新や、有収率向上対策としての塩化ビニル管の解消に向けた取組を着実に進めてまいります。  また、令和元年東日本台風災害における県内公共施設等への浸水被害を教訓とし、豪雨時等における浸水対策として、施設への止水壁の設置や施設の嵩上げ等を引き続き実施していくほか、災害時の断水に備えるものとして、末端給水区域における「安心の蛇口」を、令和4年度、新たに1か所に設置して、全体で15か所とすることを予定しています。  地域への貢献、地域との連携としては、平成30年度からこれまで、市町村等の水道事業者を対象として、電話等による「水道事業者なんでも相談窓口」の設置をはじめ、有収率向上のための漏水調査機器の貸与や、実務研修会を継続して開催するとともに、知事部局と連携した「水道事業市町村支援チーム」によるお出かけ相談の実施等を通じて、地域の実情に応じた支援を展開してまいりました。  それに加えて、令和2年10月に知事部局と連携して、県内の全市町村等とともに立ち上げた「長野県水道事業広域連携推進協議会」において、市町村の担当者等を構成員とするワーキンググループを設置し、「水道情報の共有」と「専門人材の確保・育成」の2つをテーマに検討していますが、引き続き、広域連携等による経営基盤強化や、専門人材が不足する小規模町村等への水道技術アドバイザーの派遣等による支援に取り組んでまいります。  また、昨年5月、厚生労働省により、上田・長野地域の企業局末端給水区域とその関係市町を対象として、今後50年間で有収水量が約32%減少することを見通して、施設の統廃合等を図る「水道施設の最適配置計画の検討」結果が公表されたことを踏まえ、関係市町から知事へ要望されたことを契機として設立した「上田長野地域水道事業広域化研究会」では、広域化の形態として、事業統合が最も大きなメリットを得られると考えられるとして、中間的な報告がなされました。  現在は、事業統合した場合の財政シミュレーションの実施等に取り組んでいるところですが、今後、地域住民や議会の皆様との意見交換の場等を設け、丁寧な説明と意見交換等を行いながら、この地域にふさわしい広域化等の方向性について、関係市町とともに検討を進めてまいります。  それでは、令和4年度企業局当初予算案の概要につきまして、御説明申し上げます。  令和4年度の当初予算案につきましては、「経営戦略」の基本目標である「水の恵みを未来へつなぐ」を具現化し、社会環境の変化や直面する課題に迅速かつ的確に対応するとともに、最終年度を迎える「しあわせ信州創造プラン2.0」の目標達成に向けて、積極的・重点的に取り組むという観点から編成いたしました。  最初に、電気事業についてですが、料金収入は、大規模改修等を終えて、この2月から3月に運転開始となる西天竜発電所と裾花発電所が通年稼働することによる発電電力量の増加を見込む一方で、基幹発電所である美和、春近、与田切の3つの発電所の大規模改修に伴う運転停止により、発電電力量が減少することなどから、今年度に比べ2億214万円余の減となる34億6,108万8千円を計上し、純利益は、これに加えて発電施設の運転管理業務に係る委託料等が増加することなどから、今年度に比べ2億8,283万円余の減となる1億4,977万6千円を計上い たしました。  建設改良費につきましては、新しい発電所の建設や基幹発電所の大規模改修に係る事業費等として、今年度に比べ31億986万円余の増となる89億8,991万5千円を計上するとともに、債務負担行為につきましては、137億7,350万7千円を設定いたしました。  なお、電気事業の利益剰余金を活用した一般会計への繰出しにつきましては、こどもの未来支援積立金から2,000万円を繰り出し、県立長野図書館と市町村立図書館等が協働で取り組む「電子図書館」の構築等を支援してまいります。  次に、水道事業についてですが、水道料金収入は、末端給水事業においては、近年、給水戸数が増加する一方で、戸当たり給水量が減少傾向にあることから、今年度とほぼ同額の36億6,667万9千円を計上し、用水供給事業においても、今年度とほぼ同額の14億4,346万円を計上いたしました。  両事業を合わせた純利益につきましては、施設等の更新に伴う減価償却費等が増加することなどから、今年度に比べ2,539万円余の減となる1億3,532万9千円を計上いたしました。  建設改良費につきましては、施設・管路の耐震化や更新等を着実に進めるための事業費等として、末端給水事業では、24億7,738万3千円、用水供給事業では、6億8,187万3千円を計上いたしました。  また、スピード感を持って、積極的にこれらの取組を展開するために、今年度、企業局が発足して60周年を迎えたことを一つの機会と捉え、県民の皆様をはじめ関係機関に対して、戦略的で効果的な広報活動を継続して実施することで、企業局ブランドの向上を図るとともに、実施する事業への理解が深まるよう取り組んでまいります。  以上、電気事業会計と水道事業会計を合わせた企業局の予算額は、収益的支出と資本的支出を合わせて235億8,630万8千円となります。  条例案は、西天竜発電所の改修工事の完了に伴う「長野県公営企業の設置及びその経営の基本並びに財務等の特例に関する条例の一部を改正する条例案」の1件であります。  以上、企業局関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議の程をお願い申し上げます。 ○議長(宮本衡司 君)以上をもって知事提出議案の口頭説明は終了いたしました。  ただいま説明がありました以外の部長の説明につきましては、議会運営委員会の意見を徴した結果、口頭説明を省略することとし、お手元に配付いたしましたとおりでありますので、御了承願います。       〔議案等の部「3 口頭説明を省略した部長の議案説明要旨」参照〕          ────────────────── ○議長(宮本衡司 君)これらの議案は、来る2月22日から行う質疑の対象に供します。          ────────────────── ○議長(宮本衡司 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮本衡司 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、来る2月22日午前10時に再開して、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後2時52分延会...