求人倍率が
回復傾向にありますけれども、職を求めていらっしゃる、いわゆる
求職者数はずっと3万人台で高止まりしております。そうしたことから、現下の
雇用情勢は依然として非常に厳しい状況にあるものと認識しております。県といたしましては、引き続き
緊急雇用対策事業により
正規雇用の求人を確保するほか、
Jobサポ事業によりお一人お一人に寄り添ったマッチングを実施してまいりたいと考えております。
2点目は、
ポストコロナを見据えた
雇用対策についてのお尋ねでございます。
コロナ禍におきまして、人の
移動制限がかかった結果、
リモートワークや
Eコマースの普及など、この1年間で
経済活動が大きく変わってきているところでございます。そうしたことから、
ポストコロナの時代は社会全体のIT化の加速がより一層進むものと考えております。これまで以上に、
IT技術に関する知識やスキルを持つ人材が求められていくものと考えております。
また、
人手不足分野を中心に、求職者の希望と求人の
ミスマッチが大きいと受け止めており、
ポストコロナにおいては、その解消も課題と考えております。先ほど
産業人材育成課長から御説明させていただきました長野県
産業人材育成プラン2.0答申案の中におきましても、視点として、「新たな日常や
産業集積等に対応した
デジタル人材の育成・強化」や「
社会経済環境の変化に対応した求職者、在職者に対する
リカレント教育の充実」が掲げられております。そうした方向性に沿って、
県内産業界が必要とする人材の育成・確保に取り組んでいくことが、
ポストコロナにおける
雇用対策につながっていくものと考えております。以上でございます。
◆寺沢功希 委員 よろしくお願いいたします。まず、県の
制度資金についてお聞きをします。長野県
新型コロナウイルス感染症対応資金は3年間実質無利子というもので、3月31日をもって申込みが終了したわけですが、今後、この次に条件がいいとなると、
経営健全化支援資金の
新型コロナウイルス対策で0.8%のものになると思います。今、資料15を見ますと、
申込件数に大分差があるわけですが、3月31日で対応資金が終わったことによって、この0.8%の
制度資金に結構流れてくるのか、あるいはもう融資の需要がある程度落ち着いているのか、その辺りはどのような状況でしょうか。
◎
若月真也 経営・
創業支援課長 コロナ対応資金の状況について申し上げますと、確かにゼロゼロ融資は昨年度、大変御活用いただきまして、約2万8,000件を実施いたしました。それに代わるものとして県で用意したものが、今、委員おっしゃっていただきました0.8%のものになるのですが、貸付けの状況を見ますと、
コロナ資金は6月がピークでして、そのときには一月で4,600件、628億円を貸し付けました。それがだんだん落ちてきておりまして、最後はゼロゼロ融資の元本償還において据置期間が短い方がいるということで、昨年の2月18日にゼロゼロ融資の借換え制度を設けて実施しました。そうしましたところ、先ほど6月が貸付けのピークだったと申し上げましたが、3月がそれを上回りまして5,200件の貸付け、総額で844億円ということになりました。これは先ほど言いましたとおり、元本償還を迎えて苦しんでいる方が借換えをして、3万弱のうち5,200件ですので、かなりの方がここに借換えをして対応したと思っております。その影響もありまして、4月の
コロナの貸付件数は一月で47件、8億円という状況になっております。
したがいまして、昨年、ゼロゼロ融資で3万件近くの融資をしまして、県内
事業者のかなりの方が、運転資金については当面ここで対応できている、それから先ほどの借換えで対応できているということで、0.8%のほうも融資可能額をそれなりに用意しておりますけれども、今後、貸付け実績は少し落ちていくと、それほどないのではないかという状況で考えております。
◆寺沢功希 委員 3月にそれだけあったということは、借換え、あるいは駆け込みも結構あったのではないかと思います。変な話ですけれども、実質無利子の融資は今後どうなるか分からないというところで、それほど困っていなくても取りあえず借入れしたという企業も結構お聞きしているのですが、無利子の融資がなくなってくると、今度はいよいよこの0.8%のものが、条件が一番いいものですから、これを借りたいという本当に困った企業は、逆に言えばここにお願いしてくるだろうと思うのです。そうしたときに、これは借換え不可になっていますが、制度的にもうどうしようもないのか、あるいは今後、状況に応じて、借換え対応を可能にすることができるのか、その辺りはどういうシステムになっているのですか。
◎
若月真也 経営・
創業支援課長 今の0.8%の金利については、基本的に借換えを認めておりません。県の制度融資では借換えできるものは限定されておりまして、例えば創業の資金や事業承継の資金、あるいは今、経営安定化の対策の中で、借換えできるものになっているのですが、一応もし0.8%の方が困って借換えをしたいという場合には、経営安定化のほうの売上げ減少や経済の不況で困っている方が使える資金があり、
事業者の状況によって金利は違うのですけれども、1.3%から1.9%の間で借換えができますので、そちらで借換え対応を考えております。
◆寺沢功希 委員 そうすると、経営安定対策のほうで借換えができますけれども、ここで借換えをするとなると、どうしても経営上あまりよろしくないというか、本当に危なくて大変なところが審査を受けていくわけですが、もともとセーフティーネット保証の5号認定で借りているものを借換えしたいというときに、売上げが落ちていて4号認定が取れたとしても、保証協会としては、たしか4号認定で借換えができないのです。5号を取っている者は5号でしか借換えができない。しかしながら、金融機関としては、100%保証の4号であればリスクがないのでオーケーを出せるのだけれども、5号の借換えであるから出せないという部分で1回ストップがかかるという話も聞くのですが、その辺りは、県の
制度資金とはいえ、保証協会の部分になって、県としてはどうしようもなく、立ち入ることができないのですか。
◎
若月真也 経営・
創業支援課長 セーフティーネットを使った場合には2.8億という保証枠がありますので、その中であれば基本的には使えるはずですが、今、委員の御説明のとおり、5号で認定を取っていたものを4号に変えるか変えないかということは、もちろん保証協会と貸付けの金融機関との話合いになってきますので、協調融資の制度を取っている都合もありまして、県のほうからそこをこうしてください、ああしてくださいという指導はできないです。
◆寺沢功希 委員 分かりました。そうなってくると、今後、そうした形で大変な企業が増えてきたときには、また県のほうで
制度資金そのものを考えていければいけないときも来るかと思います。現状では、経済産業省と中小企業庁のものですけれども、今、県のホームページに
新型コロナ特例リスケジュール支援のお知らせが載せてあるのですが、これを使った場合、通常のリスケと比べるとどのぐらいのメリットが、企業にとってはあるものですか。
◎
若月真也 経営・
創業支援課長 今の特例リスケの話は、再生協議会でやっているお話かと思うのですが、基本的にリスケについては、一つのメインバンクの金融機関でやっている場合はそこと
事業者の関係でできますので、そこでお話合いをしてやっていただくことになります。金融機関が複数にまたがってきますと、基本的なリスケとはメインバンクが主導でやっていくことになるものですので、その調整がなかなか難しくなります。その場合に再生協議会が第三者として入りまして、金融機関に対して
事業者の代わりにリスケの要請をいたしまして、間に入って1年間のリスケの計画をつくりながら対応するということもやっております。
◆寺沢功希 委員 そうすると、再生支援協議会が音頭を取ってやってくれるということですが、県では、取りあえずホームページでお知らせはしていますけれども、この支援に関しては一切関与していないというか、あくまでもお知らせで、あとは直接、再生支援協議会と企業で連絡を取り合ってくださいという立場の方針ですか。
◎
若月真也 経営・
創業支援課長 相談等がございましたら再生協議会に紹介するという形で、具体的な実務については、再生協議会に金融機関出身のプロの方々がいますので、そちらにお任せする形で進めております。
◆寺沢功希 委員 分かりました。ありがとうございます。続いて、信州の安心なお
店認証制度についてです。プレミアム付きクーポン券の発行について、プレミアム分の2,000円は、申請をすると県から販売した店舗に頂けるということですけれども、先日、担当の方とお話をしてお聞きしたのですが、クーポン券を送って、2,000円を県から頂くという申請の際に、レシートのコピー等を添付して手続することになっているようですが、レシートをお客様に渡してしまうのですけれども、そのレシートのコピーの添付の詳しい方法や、それからお話をお聞きしたときにやはりこの手続が煩雑になるということで、今後は、見直していく予定もあるということをお聞きしたのですが、その辺りをどう考えておられるかお聞きします。
◎
合津俊雄 産業政策課長 信州の安心なお店のクーポンの精算の仕方かと思います。委員の御指摘のとおり、今までレシートの写しということでお願いしてきていまして、これはこれからも基本的に変わらないのですけれども、これといってレシートを発行していないときにはどうするのかといった問合せも幾つか受けているところです。
そもそも、レシートをつけていただくようにしたのは、不正防止といいましょうか、しっかりと使っていただいたところに換金させていただくことの徹底を図るためですので、レシートでなくとも、例えば最後はもう日計、毎日の支出や会計の伝票の写しでもよろしいですというアナウンスを広くするようにアナウンスの仕方は変えてきています。もともとは、レシートのまさに複写になったレシートの写しという意味合いだったので、そこも誤解を招いてしまっている点は多々あるかと思いますので、反省しつつ広報の仕方も工夫していきたいと考えております。
◆寺沢功希 委員 クーポン券で払ったレシートなのか、現金で払ったレシートなのかということも、しっかりしたレジでは現金か券かということが出るものもありますけれども、昔ながらのレジではそういうことも出ませんし、最終的には総帳簿であったり、いろいろな対応でしようがないかと思いますけれども、これを利用しようとしている店舗も大分理解できない部分が結構あるみたいですので、改めて分かりやすく説明していただければと思います。
それから、信州の地酒販売促進キャンペーン事業もプレミアム付きクーポン券ですけれども、プレミアム分と言われても、結局、それは本来自分の普通の売上げで入ってくるものを申請してもらうので、普通に入ってくるものを、ただ県を通してもらうだけで売上げは変わらないのですが、実質的にはそこに手間が入っていますので、厳密に言うと利益率は下がっているわけです。それをするのであれば、もう少し支援してあげたほうがいいのではないか。別なところで、例えばGo To キャンペーンのチケットや何かであれば、違うところで販売しているのですが、そういう場合は販売の委託料を払うわけですので、これを売る店舗に対しても、ただ2,000円で2,000円が来るのではなくて、付加価値をつけてあげて、少し利益分を載せてあげて店舗に返してあげるという形を取ったほうがいいのではないか。今の場合では、消費者だけにメリットがあると企業の人は思う部分もあろうと思うのですが、今後はそういう何か使った店舗に対してもある程度の利益が上がるように、付加価値がつくようにということを考えていただければいいと思うのですけれども、その辺りはどうですか。
◎
合津俊雄 産業政策課長 この事業は、信州の安心なお店ということを普及していく、
感染対策を徹底していただくことが主目的で始まっています。徹底していただいたお店には、プレミアム2,000円分の100冊で20万円相当の補助という言い方をしているのですけれども、どちらかというと消費喚起に力点を置いているものではないところが、今、委員の御指摘のプレミアム分についても、しっかりと店舗側に入るようにという考え方と少し違うかと思っています。繰り返しになりますけれども、今回はそういうことで始めていますので、長野市の「推し店」のようにその店舗を応援してもらうという、固定のお客様に対しての新しい追加の消費の動機づけになればと思っていますので、通常であれば3,000円の消費のところを、それでは5,000円分を何か買いましょう、何かサービスをつけてもらいましょうというように動いていただければありがたいと思っております。
今後、
経済対策や地域循環ということを促していく上で、似たような事業を構築する際にはもう少しお店側にもメリットが出るようなことは考えていく必要もあるのかと考えているところです。以上です。
◆寺沢功希 委員 ぜひお願いしたいと思います。売上げは変わらないといっても利益率は変わっていますから、利益がしっかり取れるシステムにしていただきたいと思いますので、お願いします。
そうなってくると、
感染対策という部分であれば、今、これだけ
デジタル化が進んでいる中で、プレミアムクーポン券という券でもいいのかというところも出てくると思うのですが、こうした形のものを、例えばキャッシュレス決済で応援していく、PayPayやメルペイというものを使って応援していく事業もやっていくという考えになると、それはそれで、
産業労働部ではなくて企画振興部になるわけですか。それとも、こちらでも考えることが可能なのでしょうか。
◎
合津俊雄 産業政策課長 例えば商店街において、電子決済の普及はインバウンド、海外からのお客様を呼び込むためには非常に有効な手段だと思いますので、そうした視点で、従来から商店街振興やITの推進ということで当部でも行っている部分もあります。
重複の説明で恐縮ですけれども、今回の信州の安心なお店については、本当に小さな飲食店、お父さんやお母さんだけでやっているようなところも、幅広く対象にしていきたいということもありましたので、もちろんお客様もそうですが、スマホを持たない方々で、地域の昔なじみのお店を応援したいという方もいらっしゃるということで、使い勝手よりは、使える方が多い手法ということでやってきていますが、違う視点からいったときには、今、委員が御指摘した電子決済の普及といった視点も含めた何らかの施策については、考え得るかと思います。
◆寺沢功希 委員 これを今から変えろということではなくて、これはこれでやっていただいて、消費喚起していただくし、また使っていただくし、企業や店舗を応援していただければいいと思いますけれども、今後としては、そういうところも見ていただいて、利用していただければと思います。今回、松本市もPayPayの第3弾ということでやっているということは、やはりそれだけのメリットがある、地域にも、そして店舗にもメリットがあるということだと思いますので、ぜひ検討していただいて今後の参考にしていただければと思いますので、お願いいたします。以上です。
◆池田清 委員 それでは何点か質問しますのでよろしくお願いします。最初に、丸山
労働委員会事務局長から労働争議の概要を御説明いただきました。私はこの
コロナの中で、もっと多くの労働者の皆様の失業や、あるいは解雇という労働問題について労働委員会で懸案の課題として抱えているかと思ったら、割合が少ないですけれども、外国人労働者の雇い止めや解雇ということも含めて、もう少しそうした問題なども、今、抱えておいでではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
◎
丸山賢治 労働委員会事務局長 労働委員会で扱っている案件の関係でございますけれども、委員の御指摘のとおり、件数としては多い件数ではなくて、少ない件数でございますけれども、労働委員会自体は不当労働行為という、労働組合との関係が準司法的な審査ということで重きを置いてやっておりまして、なかなか件数として大きく増えてくる状況ではないところでございます。
一方で、個別の労働紛争のあっせん等については、現下の
雇用情勢や労働をめぐる環境等を見ますと、もう少し出てきていいという感触はございますけれども、この制度につきましては、裁判所の労働審判もございますし、国の労働局のあっせんもございまして、複線的な取組になっているところでございます。ですので、全体としては、今の時点でまださほど出ておりませんけれども、今後、
コロナ関係の
雇用情勢において、厳しい情勢が長く続くと、当委員会で扱う案件も増えてくる印象を持っているところでございます。
いずれにいたしましても、紛争を抱えて困っていらっしゃる方に労働委員会のあっせん制度があることをきちんと伝えていくことが大事だと思っておりますので、市町村の広報紙を通じたり、使用者団体や労働団体の会報等に労働委員会の制度を載せていただいたり、今、いろいろな手当てをしておりますので、必要な方に必要な情報がしっかり届く準備をしてまいりたいと考えております。
◆池田清 委員 今言ったような様々な周知も労働団体により丁寧に行う必要があると思うのですけれども、労政事務所としても様々な課題を抱えていると考えてよろしいですか。
◎
小林弘一 労働雇用課長 労政事務所でも専任の労働相談員を置きまして労働相談に応じております。昨今の状況ですけれども、昨年度は年間で2,150件ほどの相談に乗っておりました。中を見ますと、賃金の問題や解雇の問題、あるいは労働時間の問題でありましたり、昨年は賃金や労働時間の問題が多かったかと思います。今年の今の2か月分の状況は304件ほどになっておりまして、対前年比で見ますと、ほぼ同じぐらいの状況でございます。やはり今年も賃金や労働時間の問題が多くなっているかと思います。
また、
コロナの相談につきましても、労政事務所では緊急労働相談ということで乗っておりまして、昨年、
コロナ関係の労働相談に360件ほど応じています。今年の状況でございますが、2か月で20件となっております。昨年は6月ぐらいから
コロナの相談が増えまして、年間で360件ぐらいになっていますので、今年は去年と比べると今のところ同じぐらいですが、この先がどうなるかについては、これからだと思っております。解雇等の深刻な相談も受けていまして、それにつきましては、特別労働相談員ということで、弁護士の方や社労士の方にお願いをして相談を受けていただいていまして、無料相談を行っている状況でございます。
◆池田清 委員 それぞれの労政事務所にも深刻な課題や相談が寄せられている実態があることは、今、改めて認識いたしましたけれども、使用者側、それから労働団体等にもしっかりいろいろな会議を通じて、そしてまた書面などを通じて、そうした事態がより深刻にならないうちに様々な手を打っていただきたいと思います。
そうした中で、今日の資料20の中に「長野県のはたらくみなさまへ」というパンフレットをお出しいただいたのですが、中を開くと大変盛りだくさんといいますか、その内容や支援の方法、それから相談窓口にしても、平たく言うとてんこ盛りです。もう少し手際よくコンパクトな形ですぐそこにたどり着けるようにすると、自分の抱えている悩みがそこにあるというところで、そのためにはどういう形で相談して、そしてどのような支援方法があるのかというところにピンポイントで行けるのではないかと思うのです。これだけ盛りだくさんに全てをここに網羅して、このA3の中に盛り込んでしまうと、見る側といいますか、相談したい皆様、働く側の皆様からしてみると、もう少し丁寧な、相談にすぐ結びつくようなものにしてもらいたいと率直に思うのですが、改善の余地などはお考えでしょうか。
◎
小林弘一 労働雇用課長 確かにこれは一覧ということで、目次的にこれを見ればざっくりと分かるということで作っておりますので、今、委員の御指摘のとおり、少し分かりづらい部分もあるかとは思います。今後、改善することは全く考えていないということもありませんので、今御指摘いただいた点を踏まえたり、また、関係の皆様に御意見を聞きまして、より見やすいということには努めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
◆池田清 委員 私もこうした相談を受けることもありますので、先ほどの労政事務所もそうでしたし、多くの労働団体なども様々な相談窓口があるわけですけれども、今、改善などについても御検討いただけるということでありますので、より分かりやすいものをお作りいただければと思いますのでよろしくお願いします。
そうした雇用の相談や労働問題の相談について、
緊急就労支援事業ということで、先ほど資料21の御説明をいただきました。働く場所をなくして、生活に本当に困って、新たな雇用の場に結びつけばいいのですけれども、そうでない場合には、まいさぽから様々な形で、今度は福祉的な側面でセーフティーネットが働いてきて、その中で最終的には生活保護ということになります。また、福祉的就労や中間就労というようないろいろな雇用形態になってくると思うのですが、それぞれの所管の中で、自分の守備範囲があることは十分承知しておりますけれども、労働雇用課と福祉的な側面で
健康福祉部における福祉の担当と、それからまいさぽがそれぞれの部署との連携をどのように取っていられるのか。これは大変重要だと思うのですけれども、その連携についてお聞きしたいと思います。
◎
小林弘一 労働雇用課長 福祉の分野との連携という御質問でございます。暮らしと労働という部分で、2019年の台風災害以降、そうしたことが必要になってきている、強まってきているかと思っております。まさに
緊急就労支援事業についても、労働雇用課のみでやっているのではなくて、これは一般就労という意味と福祉就労的な意味も強いもので、そして、事業の実施主体がまいさぽということになっておりますので、地域福祉課と連携を取りまして、今回のこの制度改正をするに当たっても、社協の皆様、あるいは地域福祉課の皆様も含めまして、どうしたらいいのだろうということでお話をしました。特に現場のまいさぽの皆様に聞いたお話を一番踏まえているのですが、例えばもともとひきこもりで就職ができなかった方もいるわけですから、そうしたことは急に雇用には結びつきづらく、働く人もなかなか自信がないし、雇う人も雇ってもどうだろうという不安が雇う側にも働く側にもあるということなので、それを解決するような研修をつくったらどうかという話を
健康福祉部とも連携を取りながら進めてきているところでございます。以上です。
◆池田清 委員 ぜひとも、今後もそうした横の連携をしっかり取っていただきながら、それぞれケース・バイ・ケースであり、そしてまた、お一人お一人の今までのライフステージが全然違ってきていますので、寄り添った支援をお願いしたいと思います。
全体に関わった話ですが、様々な企業や
事業者への支援も含めて、多くのお金が支援金として動いているわけですが、財源としては国の地方臨時創生金ということであります。先ほどの安心なお店もそうですが、こうした多くの制度が企画の段階から、実際にそれぞれの皆さんに周知して申請してくださいと、そしてまた動き出すというときに、時間があまりにも差し迫っているというか、例えば安心なお店や、観光のことなども関わってくることもあるのですけれども、連休のお休みを挟んで連休明けのウイークデーの最初の日までに出してくださいというような話があって、その周知が連休の前ということで、あまりにも
事業者の皆様、これから応募する皆様方も大変戸惑っているというお話をよくお聞きします。もう少し周知までに時間をかけ、そして申請そのものも、ネットでの申請で僅かなスペルミスやいろいろな入力情報の些細な違いで入らなかったり、またそれをサポートするところも委託されているので、問合せもなかなか通じなかったりということで、大分戸惑いがあるのですけれども、直接支援を要する人たちがいち早くそこにたどり着ける、また、しっかりそれを周知していただく日数も必要だと思うのですが、今後の改善に向けていかがでしょう。
◎
合津俊雄 産業政策課長 多岐にわたる事業に対する御指摘かと思います。一部、観光部主管の事業もあるので、全てについてはお答えしかねるのですが、今、委員の御指摘の中に、安心なお店も例として挙げていただいたかと思いますので、そのような視点から答えさせていただければと思います。
安心なお店につきましては、まずは
事業者募集から始まりまして、クーポンについても、あくまで
事業者の募集から始まっております。実際にお使いになられる皆様への周知は、確かに使えるようになる3日ぐらい前から、クーポンが届き次第使えますというアナウンスになったところは委員の御指摘のとおりであります。使える期間は11月まであるのですが、今、御指摘のとおり、
事業者が登録するに当たって、事業によっては遅れてはいけないことが何かあろうかと思いますので、より広くの皆様にもしっかりとその施策が届くように、施策自身の周知の仕方を含めた工夫はこれからも日々考えていきたいと思っております。
観光部と我々
産業労働部は、非常に密接的な事業や関わりが大きいところが多々ありますので、飲食業、観光業ともに安心なお店には登録していただいています。そうしたところで両部一緒になってそのような工夫に取り組んでいきたいと思っております。お願いいたします。
◆池田清 委員 そうした声も届いていると認識しました。せっかくのいい事業を行政の皆様が使い勝手がよく、そしてまた、県民にもしっかり利用していただくことがスムーズにいくように、どこかでもう少し工夫すれば1日、2日は取れるのではないかという気もしますし、去年の
コロナの様々な制度が始まって以来、同じようなことがずっと繰り返されていると私は思っているのですけれども、それぞれの部局との連携を取っていただきながら、ぜひ改善していただくようにお願いをしておきたいと思います。以上です。
◆小山仁志 委員 よろしくお願いいたします。皆様には長期化する
コロナ禍において、機動的な産業政策を御対応いただいておりますこと、本当に感謝を申し上げたいと思います。雇用につきましては、先ほど人手不足あるいは
ミスマッチが生じていて、解消していきたいというお話があったわけですが、私は、今、直面する日本の働いている皆様の所得の劣化といいますか、経済の構造的な課題について、少しスポットを当てながら伺っていきたいと思っています。
格差と貧困という課題が言われて久しいわけでございますが、長期化する
コロナ禍において、さらに深刻化していることについて、私はしっかりと踏み固めなければいけないと思っています。先ほど
本郷委員から非
正規雇用者数が4割という実態をお話しいただきましたけれども、昨年の総務省の労働力調査の状況を見てみますと、年収200万円未満の皆様が雇用者のうち日本全体で1,854万人おり、そうすると全雇用者の約31.1%、3割が今、200万円未満の所得で働いているという実態があります。200万円とは、いわゆる生活保護受給者の水準とも言われておりまして、この働けど生活保護水準の所得しか得られないという皆様がワーキングプアという表現もされますけれども、サラリーマンの3分の1という状況があるわけでございます。
つまり、かつて日本の豊かさを支えた1億総中流の話は、本当に今は昔の話になっていて、この広がる格差というものが資本主義社会の現実のようなことになっているわけでございます。こうした数字について、私は県の状況を少し調べてみたのですが、所管にもお願いしましたけれども、なかなかつかむことができませんでした。こうした雇用の所得の劣化あるいは格差と貧困の実態については、県としてはどのように認識し、受け止めているのか、またこうした状況がどうして生じているのかについて、どのように分析されているのでしょうか。まずお伺いいたします。
◎
小林弘一 労働雇用課長 現在のこの状況をどう捉えるかでございますが、今、委員が御指摘のとおり、まずは非正規の問題があるかと思っております。全国では大体4割ぐらいということですけれども、本県でも平成29年の就業構造基本調査ではやはり同じくらいで、本県は37.6%でございまして、同じような状況になっております。私も最新の労働力調査の状況も見てみたのですが、非正規の割合としてはやはり同じような形で、足元の4月でも38%ぐらいが非正規で、男女別では非正規がどうなのか見ると、男性は23%ぐらいでございました。片や女性は53%ぐらいで、女性の方の非正規が多いということですけれども、今までの大きな流れの中でどうなっているのかを考えてみたのですが、まずバブルという時代があり、それが崩壊しまして、1999年に労働者派遣法が改正されたわけでございます。それまでは通訳や研究開発といった一部の専門の業種に限られていたのが、1999年に労働派遣が原則自由化されたあたりから、その後、2004年には製造業でも派遣が解禁されましたし、また、2015年ぐらいになりますと、企業が3年ごとに人を入れ替えれば派遣を入れ替えられるようになったということもありまして、だんだんとそういう派遣という非正規の方が増えてきていた状況だと思います。
また、そうした法改正に加えまして、女性の活躍の場であったり、高齢者の方も働くことになったという背景があるかと思います。やはりそうした方は派遣労働であったり、パートであったり、契約社員の方ということで、非正規が増えてきたのかと思っておりまして、それが今の段階で大体4割ぐらいまで来ているということもあります。ただ、今はさらに所得が厳しい中で、昔は若者、高齢者の方や女性の方に非正規が多かったのですが、今では例えば世帯主の方も非正規であるということで、問題が非常に深刻化してきていると思っております。現状としてはそうしたことで所得が抑えられる、なかなか賃金も上がっていかないという中で、負のスパイラルに入ってしまっていて、なかなかうまくいっていない状況がマクロの話としてはあると考えているところでございます。
◆小山仁志 委員 今、課長から負のスパイラルというお話もありました。派遣法の改正あるいは女性や高齢者に加えて世帯主の皆様でも、今、非
正規雇用の方が増えてきて、所得がどんどん下がってきている状況について、県でも同じ傾向が見て取れたわけでございますが、しっかりとつかんでおくべきことは、21世紀に入ってこの格差と貧困が同時に起きていることと、もう一つ押さえておいてほしいことは産業間の就業者の移動です。すなわち、21世紀に入ってから20年間で、製造業と建設業の皆様は437万人減少しています。一方で、広義の
サービス業、おおむね第3次産業と言えると思いますけれども、そうした
サービス業に従事する方は721万人上昇しています。これは県でも同じ状況でありまして、いわゆる第3次産業にお勤めの皆様は73%で、製造業、第2次産業は23%です。3倍の開きがあります。その就業間の移動の中でもう一つ起きていることは、いわゆる
サービス業の平均収入が製造業・建設業と比較して87万円も安いのです。つまり、この賃金が安いほうに、年収が低いほうに就業人口が大きくなだれ込んだことによって、所得の劣化が起きているということを、私はしっかりとつかむ必要があると思いますけれども、こうした構造的な課題をどう解きほぐしていくかについて、頭を使っていかなければならないと考えますが、どのように対策を講じていけばいいと考えているのかお伺いいたします。
◎
小林弘一 労働雇用課長 委員の御指摘のとおり、確かに第1次、2次産業を長いスパンで見ますと、1次産業と3次産業では、1次産業は減り、そして3次産業が増え、2次産業も若干低下の傾向にあることが見てとれますので、例えば
サービス業が多い第3次産業のほうに人が流れていく中で、先ほどの話でもありましたけれども、飲食や宿泊は、主に女性の方が多い産業である部分もあるかと思います。そうした中に人が多く流れている状況ですので、一般質問でも最低賃金のお話をいただいたのですけれども、今般、最低賃金のみならず、やはり働く人たちの賃金を上げるということを、企業の皆様もやっていかなくてはいけないと思いますし、また、そうしたところで労働生産性を高めることも必要ですし、あるいは魅力的な企業にすることが必要ですので、今、
コロナ禍で少し止まってしまっておりますけれども、ここで働いてみたいという働き方改革や職場づくりを進めることも必要だと思います。また、雇用の
ミスマッチも結構ありまして、例えば製造業に移りたいとおっしゃいましても、なかなか経験がないということや、求職を求めている方は事務的な職業で働きたいと言っているところに、企業のほうは即戦力となる知識を持った人材を求めているということを考えれば、その場合は、教育訓練というような訓練も必要になってくるのだと思います。また、その先には第3次産業、デジタル産業みたいな分野への人の移動も考えなくてはいけないとなれば、これからキャリア教育のようなところから本当に必要になってくるだろうと考えるところでございます。
◆小山仁志 委員 やはり世の中が大きく変化してきているということをしっかり踏み固めなければいけないと思います。先ほど
本郷委員からも米中の
覇権争いの話がありましたけれども、今、世の中でよく話題になることは、いわゆるデジタルトランスフォーメーションです。中国のBATHが
アメリカのGAFAにいつ追いついていくのかが議論されている中で、例えば日本のトップランナーのトヨタ自動車の時価総額はアップルの10分の1という状況であります。ですので、これまでの工業力や生産力を上げていって成長していくというモデルが、少し時代から、世界から地盤沈下しているのではないかという捉え方をしつつ、本県の製造業は基幹産業でもありますので、そうしたものへの配慮もしっかり行っていかなければならないと思いますが、あわせて、私は日本企業の経営の変化というものも手繰り寄せてみました。財務省の法人企業統計というものがあります。これは大中小全ての法人企業の統計ですけれども、2019年の経常利益は全体で71.4兆円です。これはどういう数字かというと、2000年の35兆円の倍、法人は利益を上げています。2000年で35兆円ですから、71.4兆円と21世紀に入って2倍以上になっているのですけれども、一方で、設備投資や人件費は張りついて横一線の状況が続いています。この設備投資は、21世紀に入る前の95年は44兆円ですが、2019年も44兆円と、グラフを見ると横ばいになっています。張りついています。人件費も202兆円が95年あたりから全然変わっていない。つまり、今は企業自身も一言で言うと将来が不安なのだと思います。
この将来が不安な中で、今、課長がおっしゃった、高い収益性が期待できる分野への生産性向上というものに投資していくという、構造変革を促すような投資よりも、内部留保や、あるいは配当金みたいなこともあるのですけれども、構造変換を促すよりもコストを絞るだけ絞っていこうというほうに世の中が動いてきてしまった20年間だったのではないかと思っています。
そういう意味では、今、Society5.0、それから第4次産業革命と言っていますけれども、そういう社会変革というものはコストを絞っていくという生産性向上ではなくて、いかに次の世界をつくっていくか、成長産業の創出、あるいはサービス産業の高付加価値化の創出に政策誘導していくような知恵が、今、この
産業労働部においても求められていると、私は思いますが、そうしたものをどのように誘発していきたいと考えているのかお伺いいたします。
◎林宏行
産業政策監兼産業労働部長 冒頭、賃金の格差の問題から入って、今、生産性の向上をいかにするかという御質問までお聞きしました。本来、非
正規労働者が出てくる背景には、この日本の中で、いかに多様な働き方を認め合ってよい暮らしにつなげるかというところからスタートしたはずだったと、私は認識しておりますけれども、そうした多様性を重視した働き方、魅力ある職場をいかにつくるかということは、しっかり賃金が担保された生活につながる働き方だろうと思っております。
そのときに、途中で御指摘もありましたけれども、製造業と
サービス業の生産性という差が明らかになって、より付加価値の高い、生み出す産業と比べ、
サービス業はそれより低い額が今、実は出ていまして、例えば製造業でいくと、生産性という意味では1,000万円に対して、大体
サービス業、第3次産業は700万円くらいという1人当たりの生産力でありますが、そこへ労働移動が起これば、おのずから下がっていってしまうということがあり得るのですけれども、そのときにサービスの質をいかに高めていくか。付加価値をいかに高めて、労働生産性という観点で上げていくかということは非常に重要でありまして、委員の御指摘のように、今までの世の改善策はいかに省力化を図るかというコストを下げるほうでいって、売上げは維持しながら収益を何とか担保しようという流れの中だったものですので、なかなか賃金まで移動が起きなかったと認識しております。
そのため、委員も少し触れておりましたけれども、今後、いかに付加価値を高めるか、
サービス業においても高いサービス、質のよいサービスで収益を上げているかというところを大事にしていこうということで、私ども
イノベーション推進本部でも、今までは製造業中心の振興策を長野県としては取ってきたのですが、業種を超えてIT産業も含めて、商業・
サービス業も含めて高度化を少し図りながら質の高いサービスを提供して収益につなげていただけるように、先ほど申し上げました
デジタル化の推進や、あるいは製造業については、グリーン分野、新たな投資が呼べるような分野へのチャレンジをしていただくことをしていきたいと思っています。同時に、働き方改革も大事ですので、働き方改革推進会議を設けまして、各分野の労働生産性が上がるような工夫をしていきたいと思っております。
ただし、御指摘のとおり、内部留保の問題では、実は長野県内は中小企業が非常に多いわけであります。当然、下請けといいますか、元請があっての企業体質、経営が多いものですから、そうしたところからの受注の段階で、しっかりとした収益が上がる提案をできるような提案力というものをつけていかなければいけないと思っております。そうした総合的な支援策を講じながら、少しでも県内の労働生産性が上がり、県民所得が上がることにつながるような政策を展開していきたいと思っております。
◆小山仁志 委員 より高い収益性が期待できる分野へのサービス産業の高付加価値化の取組について、部長からも御答弁をいただいたわけでございます。
今、1人当たりのGDPとよく聞くのですけれども、今や日本はアジア1位どころか4位ということでありまして、香港は今、中国の関係で揉めていますが、シンガポール、香港、ブルネイに続いて、4位ということでございます。やはり日本は今、アジア先端を走っている、先頭の国ではないということをしっかり認識しなければいけないと思いますし、シンガポールや香港は、いわゆる工業生産力を高めて豊かになっていったのではなくて、サービス産業を高付加価値化して、観光で人がたくさん訪れる。そうした取組で今、豊かさを享受しているモデルについても、しっかり問題意識を持った取組をしていただきたいと思います。
今月、閣議決定されました、いわゆる骨太の方針で地方創生も一つの柱になっていて、地方創生については最低賃金の引き上げを柱に据えています。一方で、日本商工会議所や中小企業団体からはそのようなことをしたら雇用を破壊してしまう、失業を発生させると、政府が労働組合の主張をしていて、経営者は真っ向から対立する構図もあるわけですけれども、こうした考え方をいかに解きほぐしていくような生産性向上あるいはサービス産業の高付加価値化へのインセンティブを働かせていただくことが、皆様の腕の見せどころではないかということでお願いをしていきたいと思います。以上です。
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丸山大輔 委員長 本日の審査はこの程度とし、明29日は午前10時30分から委員会を開会し、前半は
産業労働部及び
労働委員会関係の審査、後半は
企業局関係の審査を日程といたします。
散会を宣した。
●散会時刻 午後3時13分...