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令和 3年 6月定例会本会議-06月23日-03号

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  1. 長野県議会 2021-06-23
    令和 3年 6月定例会本会議-06月23日-03号


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    令和 3年 6月定例会本会議-06月23日-03号令和 3年 6月定例会本会議 令和3年6月23日(水曜日)  出席議員(55名)   1 番 熊谷元尋    29 番 清水純子   2 番 望月義寿    30 番 小池久長   3 番 小林君男    31 番 酒井 茂   4 番 清水正康    32 番 堀内孝人   5 番 加藤康治    33 番 石和 大   6 番 川上信彦    34 番 依田明善   7 番 山田英喜    35 番 山岸喜昭   8 番 大井岳夫    36 番 小島康晴   9 番 丸茂岳人    37 番 小林東一郎   10 番 寺沢功希    38 番 毛利栄子   11 番 花岡賢一    39 番 和田明子   12 番 池田 清    40 番 諏訪光昭   14 番 山口典久    41 番 丸山栄一   15 番 小山仁志    42 番 小池 清   16 番 竹内正美    43 番 宮本衡司   17 番 竹花美幸    44 番 清沢英男   18 番 宮下克彦    45 番 垣内基良
      19 番 大畑俊隆    46 番 鈴木 清   20 番 共田武史    47 番 高村京子   21 番 丸山大輔    48 番 宮澤敏文   22 番 髙島陽子    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   27 番 両角友成    53 番 平野成基   28 番 中川宏昌    54 番 本郷一彦   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭  欠席議員(1名)   23 番 荒井武志         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    農政部長       小林安男   副知事       太田 寛    林務部長       井出英治   副知事       小岩正貴    建設部長       田下昌志   危機管理部長    中村宏平    建設部リニア整   企画振興部長    伊藤一紀    備推進局長      田中 衛   総務部長      玉井 直    公営企業管理者   県民文化部長    中坪成海    企業局長事務取扱   小林 透   健康福祉部長    福田雄一    財政課長       矢後雅司   環境部長      猿田吉秀    教育長        原山隆一   産業政策監兼産           警察本部長      安田浩己   業労働部長     林 宏行    監査委員       田口敏子   観光部長      渡辺高秀         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   矢島修治   総務課長      坪井俊文    議事課主査     水澤まゆみ   議事課企画幹兼   丸山俊樹    総務課課長補佐   川村亜由美   課長補佐              兼庶務係長                     総務課担当係長   青木武文                     総務課主事     古林祐輝         ───────────────────  令和3年6月23日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ────────────────── ○議長(宮本衡司 君)次に、荒井武志議員から本日より6月25日まで欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、花岡賢一議員。       〔11番花岡賢一君登壇〕 ◆11番(花岡賢一 君)おはようございます。昨晩長野市にいらっしゃった方は皆さん同様に受信されていると思いますが、昨日の緊急速報を受け、災害に関連する情報の重要性を再認識させられました。  また、先月のことですが、ここのところデジタル化の推進等に多少偏っていた私に対して、全てをデジタル化すれば物事が全て解決するわけではありません。そこに置いていかれてしまう人もいることを忘れないでくださいといったお手紙を頂きました。  昨日のエリアメールは、19時15分に長野地域に土砂災害警戒情報が発表されたものでありました。一般的な電子メールで送られてきた情報に比べると信憑性は限りなく高く、これを疑う方もいらっしゃらないと思います。以前本会議で申し上げたこともありましたけれども、正常性バイアスに対して働きかける内容としては十分であったと思っています。  その性質上、突然届く通知ですので、驚きはするのですが、今年5月に避難勧告が廃止になり、避難指示となった時点で必ず避難することと内容の改定が行われるなど、抽象的ではなく、時に強烈に伝えることを国も推し進めています。また、通信速度の向上やデジタルツールの利便性の向上により情報が氾濫している現在にあって、発信する側にとっては、受け取る側に正確に伝わるような内容をつくらなければ、せっかく善いことをしていても理解してもらえず、無用なことをしていると評価されてしまう状況が生まれてしまいます。  また、情報を受ける側にとっては、情報の内容の正確性について常に考えておくことと、確実な内容を手に入れるツールを平時に見つけておいて利用可能にしておくことも重要であると考えます。  県民の情報リテラシーを高めると同時に、特に、これから雨の季節に向かうに当たり、確実に命を守る行動に導いていく施策展開が求められている状況を考えながら、順次質問を申し上げます。  ちなみに、情報の在り方について私宛てに届いたお手紙の続きには、回覧板以上に信憑性の高いものはありますかと、これからどうあっても押し寄せてくるデジタル化に対して切実な思いが込められていたことを、この場をお借りして御報告申し上げます。  本県事業の中で、伝わる広報物作成強化事業がありますが、令和2年度の広報アドバイザーの費用が減額、見直し事業となっています。事業が見直され、減額となることは、一見事業としては効果が見られなかったと取られてしまう側面もありますが、この事業は、減額となると一定の成果が見られたのではと考えることができます。見直しを行った意図と見直された内容についてお伺いいたします。  また、事業のタイトルに「広報物」とあるところが重要で、従来型のパンフレットやリーフレットを何万枚印刷しましたといった状況からは時代が変わってきているようにも思います。先ほど申し上げたとおり、せっかくよいものを発信しても、相手に伝わらなければ無駄なことと評価されてしまうこともある中、最近では、多くのセクションで、SNS等の媒体を活用して広く県の施策について周知を図っている内容を目にします。  昨年、長野県ハンター講座のアカウント名で発信された「超危険?!クマに出会ってしまった場合の正しい対処」の動画についてでありますけれども、これは、林務部の鳥獣対策・ジビエ振興室の職員さんが作成したものとお伺いいたしました。非常にウイットに富んだすばらしい内容であったと思っています。また、長野県警交通企画課がバイク事故を防ぐために啓発動画を初めて作成するなど、現在持っている情報機器を活用して情報発信を行うなど新しい動きを感じることができます。そこで、職員自ら情報発信を行う能力を身につけることも重要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。  また、本県事業にあっても、新型コロナウイルス関連の情報発信にLINEを活用している状況がありますが、SNSの活用が進めば進むほどそのセキュリティー対策についても重要性が増しています。  かねてよりLINEの情報管理についてその脆弱性を言う方が存在していた中、今年3月に、LINEのユーザー情報が業務委託先である中国の関連企業からアクセスできる状態になっていた問題が発覚したことを考えると、本県事業でもLINEのセキュリティーについては考慮されているのでしょうか。仮に、情報漏えいなどの事態が起きた際にはどのように対処されるのでしょうか。以上3点、企画振興部長にお伺いいたします。  近年、全国的に大規模な豪雨災害が発生しています。本県においても、東北信を中心とした令和元年東日本台風災害や南信を中心とした令和2年7月豪雨災害など、決して他人ごととして捉えることはできない状況があると思います。  災害からの復旧・復興や被害を最小限に食い止めるための事前防災など、ハード整備に対してスピード感を持って進めていただきたいことは至るところで要望されています。しかし、いつ発生するか分からない豪雨災害のことを鑑みれば、災害情報をいかに正確に、また迅速に住民に伝え、命を守る避難行動につなげるかが極めて重要であります。  河川の水位情報に関しては、洪水予報河川水位周知河川など、主要な河川について氾濫危険情報氾濫危険水位到達情報を、避難指示を出す市町村への情報伝達を行うと同時にテレビ、ラジオ等を通じて住民に周知することとなっているほか、県内300か所を超える危機管理型水位計の設置が進められている状況があります。  一方、全国的には、こうした災害時に、河川、用水、水田など様々なところの様子を見に行き命を落としてしまうといった悲しい事例も多く見られる現状があります。こうした状況を踏まえ、災害時の情報伝達についてお伺いいたします。  現在設置が進められている危機管理型水位計について、国が公表している川の水位情報を見ると、国、県それぞれの水位情報が混在している状況が見られます。その狙いなどがございましたら御所見をお示しください。  また、令和元年東日本台風の際には、本川、太い川ですけれども、そうではない小さな河川でも氾濫が発生しました。その事例に対処された例として挙げますと、佐久市入沢地籍を流れます谷川や、同じく常和地籍を流れる田子川にも危機管理型水位計が設置され、沢全体の再構築が進められています。近年の局所的な豪雨への対応として、今後、さらに市町村から要望があった際にはどのような考え方で対応されるのでしょうか。ここまでを建設部長にお伺いいたします。  先週、会派で松本市岡田にあるため池の改修についての視察を行いました。その際に、洪水吐けに向けて設置されている監視カメラの状況を見てきました。ひとしく降った雨に対して川は流れるものであり、水位状況は重要な情報である一方、ため池の貯水状況も近隣住民にとっては不安を生むものであります。本県における現状を農政部長にお伺いいたします。  ここで、視点を変えて、デジタル化の推進の一環として、SNS等を通じた災害情報の発信を行っていく一方で、デジタル化に対応できない方に対してはどのような情報発信を行っていく考えがあるのか、お伺いいたします。  自然の猛威を目の当たりにして臨んだ令和元年の11月議会において、災害時の情報発信について、当時他県でも導入されていた防災アプリについて取り上げましたが、そのとき、検討してまいりたいとの内容の答弁をいただいております。現在の進捗状況とその内容について、ここまで2点を危機管理部長にお伺いいたします。  台風や大雨などの災害が起こった際に、情報発信を行う県ホームページ等にアクセスが集中してサイトが重たくなり、必要な情報が得られないという事態が起こる可能性があります。緊急時にそのような事態が発生しないようサーバーの強化等を十分に実施する必要があると考えますが、現状どのような対策を実施しているのでしょうか。  また、災害発生時のデジタルインフラにおけるアクセスの迂回経路を設けるなどの対策を講ずることが必要と考えますが、現状はどのようでありますでしょうか。こちらも企画振興部長にお伺いいたします。  県では、記者会見も含め、様々な情報発信ツールがありますが、県民に対しての情報発信、その在り方について知事の御所見をお伺いいたします。  質問を続けます。  唐突感はありますけれども、皆様御承知のとおりだと思いますが、ここまで木材が高騰している状況が続くことを考えると、ウッドショックについての対応についてもお伺いいたします。この後触れられる議員がいらっしゃいますので、この場では端的なお答えをお願いいたします。  まず、外国産木材が入ってこないことにより、特にはりや柱の供給が途絶え、枯渇している状況があります。そうであるならば、本県がかねてより進める接着重ね梁は、全国に知らしめる条件が整っていると考えますが、御所見をお示しください。  また、日本の森林のストック量を考えると、木材の輸出量をさらに増加することは可能であると考えるのですが、県産材を輸出するに当たって想定される課題や今後の展開について、以上2点、林務部長にお伺いいたします。  このような状況になる以前は、新築住宅については好調な状況でありました。しかし、住宅工事着工後、木材不足のために工事がストップしている状況が県内でも散見されています。工事のストップは、事業者への契約代金の支払いの滞りや賃金支払いの滞りを発生させる懸念があり、事業者の運転資金の確保に支障を生じさせる可能性がありますが、このような事業者に対して県はどのような支援策を考えておりますでしょうか。こちらは産業労働部長にお伺いいたします。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)情報発信について4点お尋ねです。  まず、伝わる広報物作成強化事業の見直しの意図と内容についてということですけれども、平成30年9月から広報アドバイザー4名を委嘱しまして、県が作成いたしますポスターやチラシなどの広報物、それからウェブ動画、SNS等について専門的見地から個別にアドバイスをいただいてまいりました。  広報物のデザインなど見栄えについては改善されつつありますが、一方で、そこに至るまでの、どういう目的で誰に何をどう伝えるかといった戦略設計、情報発信に関する基礎知識が県職員に必ずしも十分に備わっていないと感じるところであります。そこで、発信力の底上げを図るため、アドバイザーによる個別指導を見直し、職員を対象に、広報の基礎や各媒体の特徴、活用方法などを学ぶ研修を実施することといたしました。  これに関連しまして、次に、職員の情報発信力の向上についてという御質問ですけれども、県民の皆様にきちんと情報が伝わりますよう、広報に当たりましては、伝えるべき内容や対象、相手方によりまして、様々な媒体、手段からより適切なものを選択いたしまして効果的な発信となるよう努めているところであります。  例えば、今般の新型コロナウイルスの感染防止のための広報では、県のホームページテレビコマーシャルケーブルテレビ、テレビ、ラジオ、ポスターやチラシ、新聞広告、さらに地域のコミュニティー誌やFM、さらにツイッター、ユーチューブ、LINEなどのSNSなどを活用しまして、従来型のメディアに接する機会が少ない傾向にあります若い世代の方々も情報をつかみやすくなるような工夫をしているところです。そのため、今年度からデジタル広報も強化しているところです。  このように、全体として手法は整っているわけですけれども、先ほども言いましたように、今後、個々の職員が既存の媒体とデジタル媒体とを有効に活用して、県民をはじめ多くの皆様に分かりやすく県政情報をお届けすることができるよう、先ほど言いました研修は実施しますけれども、それだけではなく、これに合わせて職員の政策形成能力や県民との対話による共感力を高めながら情報発信力の向上に努めてまいりたいと考えております。  次に、LINEのセキュリティーへの考慮及び情報漏えい時の対処についてという御質問です。  今年3月にありましたLINE社の個人情報の取扱いに関する問題点は、日本国外の関連会社の社員がサーバーへのアクセス権限を持ち、データを閲覧できる状態であったことと認識しております。外部からの不正アクセスや情報漏えいは発生しておらず、県が提供いたします行政サービスにおいても情報漏えいの事実はないとLINE社から報告がありました。このLINEを利用した県の行政サービスにつきましては、先頃策定されました国のガイドラインを遵守して提供しているところであります。  県の情報セキュリティポリシーにおきましては、外部サービスを利用する際の事業者選定や契約項目等の基準を設けまして適正に利用するようにしております。また、万が一情報漏えい等の事態が生じた場合には、副知事を最高情報セキュリティー責任者、CISOといいますけれども、そういった体制の下、定められました対策手順に沿って対応することとしております。  最後に、災害時におけますホームページ等へのアクセス集中に対する現状の対策、それからアクセス迂回などの対策の実施についてという御質問ですけれども、一昨年度の令和元年東日本台風災害発生時におきましては、県や市町村のホームページにアクセスが集中いたしまして一時閲覧しづらい状況となりました。このことから、県と市町村とが共同で調達しておりますインターネットの接続回線を、市町村との協議の上、順次増強を図ってまいりました。  また、安定的な通信環境とするためには、冗長性を持たせることが重要です。来年4月の県の行政情報ネットワークの更新に合わせまして、複数のサーバーを置くことによりホームページへのアクセスを分散させる機能をこの回線に導入する予定としております。  以上です。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)危機管理型水位計に関するお尋ねでございます。  危機管理型水位計は、従来の水位計に加え、洪水の危険度をよりきめ細やかに住民の皆さんに提供できるように平成29年度から全国的に設置が進められております。  河川の水位情報は各河川管理者が提供することを原則としておりまして、県内の危機管理型水位計につきましては、国が123基、県が300基で、合計423基をそれぞれの管理者が設置し、運用している状況でございます。
     水位情報の提供は、河川管理者が異なる河川であっても、周辺の河川を含めて一括して提供することによりまして身近な危険をキャッチしやすくなり、住民の避難行動に結びつける上でより有効であることから、国土交通省の川の水位情報で一元的に集約しておりまして、長野県ホームページのトップページにある河川砂防情報ステーションからも一括した提供を行っているところでございます。  危機管理型水位計の設置場所の選定に当たりましては、河川の狭窄部や集落の近くなど、できる限り洪水の切迫感が住民に分かりやすく伝わり、円滑な避難につながる場所を市町村と協議した上で選定しております。今後も、市町村等から追加要望をいただいた際は、これらの考え方の下、近隣の設置箇所の状況を踏まえつつ、設置場所について十分に検討を行い、住民の皆さんの避難行動につながる適切な水位情報の提供ができるように努めてまいります。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)農業用ため池における水位計等の設置の状況についてのお尋ねでございます。  県では、豪雨や地震時に、管理者などがため池に近づかずスマートフォンなどで水位や堤体の状況を把握できるように、46か所のため池に水位計と監視カメラを設置し、昨年9月から監視システムの運用を開始しております。これにより、ため池が危険な水位に達し決壊のリスクが高まったときには、市町村や管理者へ緊急メールが送信されるため、迅速な避難誘導が可能となりました。  さらに、現在103か所で設置を進めており、9月までには市町村から要望があった149か所のため池において監視システムの設置が完了いたします。       〔危機管理部長中村宏平君登壇〕 ◎危機管理部長(中村宏平 君)2点御質問いただきました。  初めに、デジタル化に対応できない方に対する情報発信についてであります。  高齢者などの要配慮者の中には、自らインターネットなどで情報を取得することが難しい住民がおられ、こうした方々に対する情報発信の在り方は重要な課題と認識しております。  災害情報の発信においては、市町村における防災行政無線緊急速報メールのほか、誰でも簡単に情報を取得できるテレビやラジオ、地域の実情に応じた地域密着型のコミュニティーFMとの連携など、情報伝達手段の多重化、多様化が効果的と考えております。  また、避難情報に関しては、昨年度、住民の避難行動を促す情報発信・伝達のあり方検討会を設置して対応策について検討を行ってきており、災害の切迫度や取るべき行動の伝達などきめ細かく分かりやすい情報伝達の工夫、市町村長等による避難のメッセージ、地域における避難や安全を呼びかける仕組みづくりも重要と考えております。  様々な情報発信手段の活用や関係者の皆様との連携を通じ、デジタル化に対応が難しい方に対しても必要な情報が届き、災害による犠牲者を出さないよう、引き続き市町村や放送事業者など様々な皆様と連携し、取り組んでまいりたいと考えております。  次に、防災アプリなど災害時の情報発信に関する検討の進捗状況とその内容についてであります。  逃げ遅れゼロに向け、住民の適時適切な避難行動を支援するためには、情報発信の在り方は大変重要な課題と認識しております。  災害時の情報発信には多種多様な取組がありますが、情報化社会の進展に鑑みると、防災情報をスマートフォンで確認できる手段は有効であることから、今年度、信州防災アプリの構築に取り組んでおります。このアプリには、災害時においては、位置情報に基づき災害情報をプッシュ通知し、適時適切な避難を支援するほか、平時においては、災害に備え、いつ何をするのかを時系列で整理した防災行動計画「マイ・タイムライン」の作成機能や、防災に関する知識や情報をまとめた防災県民手帳などを登載することとしております。  このアプリは10月からの運用を予定しており、多くの県民の皆様に御利用いただけるよう普及にも取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、県民に対しての情報発信の在り方についてどう考えているかという御質問であります。  私ども県政は、県民の皆様方のために仕事をしているわけであります。そういう意味で、常に県民の皆様方に我々が取り組んでいることをお伝えして、フィードバックを受けながら県政を進めていくということが大変重要だと思っています。県政運営の基盤であり、もっと言えば、我々行政から県民の皆様方への民主主義の基礎的なものの発信だというふうに思っています。そうした観点で、これまでも、県職員に対しては、共感力、政策力と併せて発信力を身につけてもらいたいということを申し上げてきています。  また、今年度から新しく次長を置きましたけれども、次長の皆様方に対して私から4点期待することをお伝えしています。その一つが、対外的な発信ということで、政策を実行するだけでなく、しっかり発信を行い、そして、これはよかったねというフィードバックもあれば、これは問題ではないかというフィードバックもあると思いますけれども、県民の皆様方からそうしたフィードバックを受けながら政策の改善につなげることを期待しているということを私から次長に伝えているところであります。  また、これまでの質疑の中でも議論になっておりますように、情報発信は目的を明確にして行うことが重要だというふうに思っています。何となく情報を出すということではなく、何のためにこの情報を発信するのかという目的を明確にしながら手段や内容を適切に選んでいくということが重要だというふうに考えています。例えば、災害対応であれば、本当に迅速な避難を必要としている場合であればそれ相応の危機感が伝わるような情報発信をしていかなければいけないというふうに考えております。そういう意味で、目的に合わせた情報発信ということをしっかり心がけていく必要があるというふうに考えています。  情報発信には、様々な媒体があります。また、様々な伝えるべき内容もあります。今後とも、今申し上げたようなことを念頭に置きながら、この情報発信の在り方について常に改善に努めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)接着重ね梁などの情報発信についてお尋ねいただきました。  接着重ね梁は、角材の上下に厚板を接着する長野県で開発された製品であり、大きな断面となるメリットを生かして公共施設などで使用されてきました。これまでも、木材関係団体と連携して、県内外の展示会、研修会などで積極的にPRしてきたところです。  外国産木材が不足、高騰している現状は、接着重ね梁をはじめとする県産材製品にとって販路拡大へのチャンスと考えられることから、木材関係団体と連携して、県内外でより一層の情報発信を行うなど、今後も県産材の利用促進に努めてまいります。  次に、木材輸出の課題や今後の展開についてでございます。  本県の森林は成熟期を迎えており、豊かな森林資源をしっかりと使っていくことは、林業、木材産業の発展に必要不可欠なことと考えております。  県内では、平成25年度に林業関係団体が丸太の輸出を開始しましたが、木質バイオマス発電の県内需要の増などにより現在は停止しております。一方で、量的にはまだ少ないものの、意欲ある木材加工事業者は県産材製品の輸出を行っています。  県産材については、丸太で輸出するより、県内で製品に加工して付加価値を高めて供給することが重要と考えております。そのためには、競争力のある製品を安定的に加工、販売する体制を構築することが課題であり、今後、こうした体制を整えつつ、まずは県内、国内需要にしっかり応えていくことが必要です。  その上で、輸出へと展開していく場合には、中央団体が実施している海外の展示会、商談会への参加を促し、意欲ある事業者と海外バイヤーとのマッチングが行われるよう協力をしてまいります。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)木材不足の影響を受ける建築事業者への資金繰り支援についてのお尋ねでございます。  現在、資金面の支援策としては、県中小企業融資制度内に経営健全化支援資金を創設しており、例えば、売上げが5%以上減少しているなどの要件を満たす中小企業者を対象に、運転資金であれば最大8,000万円まで融資が可能で、通常より低利かつ信用保証料の補給も受けられる内容となっております。また、日本政策金融公庫等政府系金融機関においても経営環境変化対応資金等の融資メニューがございます。こうした制度も含め、周知してまいります。  なお、資金繰りを含め、経営や雇用に関する相談窓口として、産業・雇用総合サポートセンターのほか、中小企業振興センター内に長野県よろず支援拠点や下請かけこみ寺を設置しております。事業者の皆様がより身近なところで適切な支援策が受けられるよう、関係機関が連携して支援に努めてまいります。       〔11番花岡賢一君登壇〕 ◆11番(花岡賢一 君)知事がおっしゃった目的に合わせた情報発信というところと、林務部長のお答えのPRしていくということ。林務部が発信していかなければいけないのは長野県産の木材を使ってもらうことであって、PRだけにとどまってはいけないと思います。実際にそのよさを発信して、使ってもらって、今輸出の話が出ましたけれども、長野県の木材は国内にあっても物すごくいいものだと、その中で、はり材に関しては、接着重ね梁というものを作った、それが物すごく優秀なものであるということも含めて、使っていただけるような発信の仕方をお願いできたらと思いました。  今回の前段では、県政の広報的役割について申し上げました。質問中には申し上げませんでしたが、動画投稿サイトのユーチューブの一例を挙げてお伺いいたしました。  提案して一般質問を結ぶ形になりますけれども、職員自身が今自らが取り組んでいる事業についての情報発信を行うことでモチベーションが上がることもあると思いますし、御意見をいただく中で施策が研ぎ澄まされていくこともあるのではないでしょうか。これは、先ほどの知事の御答弁の中にも入っていました。  また、現在では、各部局がそれぞれアカウントを運営してそれぞれで発信を行っておりますが、長野県という大きなアカウントを運用して職員がチャンネル登録を行う。それぞれの事業や広報のやり方を共有する、もしくは刺激を与え合う、受け合う。そのことが可能だと思います。例えば、建設部と林務部は、ウッドショックに対しておもしろい動画を配信してやがるなとか、あの部の内容は長過ぎて伝わらない、最後まで再生しないなどと、広く県政を知ってもらういい機会になるのと同時に、職員の情報発信の技術の向上を図ることも可能ではないかと考えています。また、知事の思いを記者会見の発信を通じてより広く知ってもらえることにもつながります。  災害情報については、近年の豪雨に対する不安解消のために活用可能な技術も多く導入されてきている中、その運営次第では無用の長物となってしまう可能性も多く秘めています。サーバーの話がありましたが、実際に、新型コロナ関連の情報では、LINEが発出された直後にアクセスが集中してしまったこともこの場で報告させていただきまして、私の質問を結ばせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、鈴木清議員。       〔46番鈴木清君登壇〕 ◆46番(鈴木清 君)それでは、質問に入らせていただきます。  今、我が国を覆う武漢発のコロナ禍にあって、閉塞感が全土を覆っています。そこで、まだ終息宣言がなされていない今日、この2年余りどのような経過をたどり、取組がなされたのか。概略を順次中村危機管理部長にお伺いしたいと思います。  まず、本県において武漢発のコロナウイルスに感染されたと思われる感染者が把握されたのはいつなのか。次いで、全国的に蔓延が予想される状況下になって、国からはどのような対策が示されたのか。それを受けて、本県ではどのような準備に入ったのか。具体的には、県下市町村と情報の共有化を進める準備に入ったのはいつか。対応策が国から示された中身は、関係機関と県民に働きかける面と、それぞれ両面あると思われますが、取組状況についてお伺いをしたいと思います。  また、関連してお伺いいたします。今日、職域の接種も進んでまいりましたが、日本のワクチンの開発状況は、1980年代までは先進国中の最先端を走っている状況でありました。ところが、今、このワクチンの敗戦の状況を迎えた中で、過去にインフルエンザ、種痘、百日咳ワクチン、日本脳炎ワクチン、薬害エイズ事件等、いわゆる接種に伴う訴訟リスクが増大することによって開発の動きがやんでしまったというのであります。  そこで、集団接種から個別接種に移りましたが、これは、具体的には有事の承認体制がない状況であります。国民の当事者意識について、広報、広聴の充実、本県では県民に対する意識改革、啓蒙を果たせたのかどうなのか。従来の媒体で十分であったのか検証を進めていただきたいと思いますが、どのような御所見を今お持ちになっておりますでしょうか。  また、関連いたしまして、私は、県民に対する周知徹底は、デジタルだけでなく、直接目に触れるアナログの面において求められている面もあると思います。具体的には、垂れ幕、横断幕等を、ポイントポイント、要所要所、目抜き通りに貼りつける、そのようなことも一考かと思います。  と同時に、過去の教訓に学ぶことも求められていると思います。大正7年から10年にかけてスペイン風邪がしょうけつを極めた時期がございました。当時の内務省衛生局は、ウイルスに関する科学的データに加え、世界各国の新聞記事などを綿密に資料として収集し、まとめました。当時、平凡社の東洋文庫から刊行された「流行性感冒「スペイン風邪」大流行の記録」等々があるようにお聞きしております。それらを含めて、やはり危機管理というものは、日頃からいろんな事態を想定し、対応しなければならないと思います。  以上、私がお尋ね申し上げました点、危機管理部長から御所見をお伺いしたいと思います。       〔危機管理部長中村宏平君登壇〕 ◎危機管理部長(中村宏平 君)順次お答えいたします。  県における最初の感染者の把握と全国的な蔓延が予想される状況下の国の対策についてであります。  本県における新型コロナウイルス感染症の最初の感染例は、令和2年2月25日に確認されました。国においては、1月15日に国内初の感染例が確認されて以降、対策本部の設置を閣議決定するなど様々な対応をしてきましたが、3月26日に厚生労働大臣から内閣総理大臣に対し新型コロナウイルス感染症の蔓延のおそれが高いことが報告され、政府対策本部が設置されております。  また、3月28日には、新型コロナウイルス感染症の基本的対処方針が決定され、その中で、正確で分かりやすい情報提供や検査体制の強化、感染拡大の状況に応じた医療提供体制の確保等の対策が示されたところでございます。  次に、県としての準備と市町村との感染者情報の共有化についてであります。  県では、国内初の感染者が確認された2日後の令和2年1月17日に庁内連絡会議を開催し、同29日には県独自に新型コロナウイルス感染症対策本部を設置して県の対応方針等を検討するとともに、同日から24時間電話相談窓口を開設して対応を進めてまいりました。  3月28日の国の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を受け、3月31日には県の基本的対処方針を決定するとともに、県内各地域での外来・検査センターの順次開設や、患者の受入れが可能な病床のさらなる確保について準備を進めました。  また、市町村との情報共有については、令和2年2月4日の県の対策本部の地方部運営会議において、県内での発生時には市町村との情報共有を図ることの検討を始めております。  次に、国の対応策を受けての関係機関と県民への働きかけの取組状況でございます。  令和2年3月28日に示されました国の基本的対処方針の中には、厚生労働省が地方公共団体や医療機関と協力して、感染拡大の状況に応じ地域ごとに柔軟な医療提供体制を確保するとの内容があり、県といたしましても、県内医療機関の御協力により、受入れ病床数の増加や後方支援医療機関の指定等を進めてまいりました。  また、県民に対する情報提供や注意喚起の働きかけといたしまして、県の対策本部会議の中に新たに広報チームを設置して、SNS等各種媒体を活用して分かりやすい情報発信に努めてきたところでございます。また、「信州版 新たな日常のすゝめ」や「信州版 新たな会食のすゝめ」といった日常生活における注意事項や、新型コロナウイルス感染症対策長野県民手帳を発行して基本的な感染防止策について呼びかけてきているところでございます。  次に、過去の感染症に対する取組を教訓とすべきとの御質問でございます。  新たな感染症が発生した際には、専門的、科学的な分析と、議員御指摘のこれまでの経験や知見の集積により効果的な防止策を講じることや、迅速で的確な情報提供などにより人々の不安の解消と対策の呼びかけが必要になるなど、様々な対応が並行して求められます。  当初はその実態が明らかになっていなかったこの新型コロナウイルス感染症に関しましても、過去の感染症への対応を参考にし、情報収集を図るとともに、県の対策本部を速やかに立ち上げて体制整備を進め、その時々ででき得る限りの対策、対応を迅速に行うよう全庁一丸となって取組を進めてまいりました。  また、いわゆる感染の第1波以降、その都度発生の状況と対策の振り返りを行い、専門家の御意見もいただきながら感染拡大の要因の分析や個別の取組の評価等を重ねてきたところでございます。  ワクチンの開発や接種が進む一方で、新たな変異株も確認されるなど、感染状況の先行きは依然として予断を許さないことから、これまでの経験を踏まえながら、引き続きさらなる感染防止に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔46番鈴木清君登壇〕 ◆46番(鈴木清 君)引き続きお伺いいたします。  ワクチンの接種が連日行われております。当面65歳以上の高齢者を先行するということでございますが、今日、直近の状況で、各市町村ごとの対象者数、対応する医療機関関係者の人員及びマンパワーの把握は医療圏ごとなのか、自治体中心なのか。そして、今、医師会、歯科医師会、看護協会等の協力を得て接種の数値目標が示されておりますが、この際、民間の事業者の協力も必要とされておるのか、まず確認させていただきたいと思います。  引き続きお伺いいたします。医師は、接種という医療行為を医師と看護師に限っておりますが、今回、歯科医師も講習を受けることによって可能となっております。医療現場から離れておられる潜在看護師に対し協力要請を既に行ったのかどうなのか、確認をさせていただきたいと思います。  また、現在進めているワクチンの効果はどの程度の期間有効と見込まれるのか。仮に、我が国において日本型変異株が発生した場合、現行の外国製ワクチンで効果があるのかどうなのか。また、全て輸入のワクチンに頼らざるを得ない状況で、現在、OECD加盟国中、接種の状況は最下位となっておりますが、果たして国内においても国産の新しい治療薬が開発される見込みがあるのかどうなのか、もしお答えいただけるようでしたら併せてお願いしたいと思います。以上、小岩副知事にお伺いしたいと思います。       〔副知事小岩正貴君登壇〕 ◎副知事(小岩正貴 君)ワクチン関係の御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。  まず、ワクチン接種の対象者数と接種従事者の人員把握についてでございます。  まず、接種対象者のうち、医療従事者につきましては、医療圏ごとに把握いたしまして、それ以外の高齢者等の対象者につきましては、人口動態調査により各自治体ごとに県として把握しているところでございます。  実際にワクチン接種に御協力いただいております医療従事者の人員の総数については把握しておりませんが、例えば、高齢者接種におきましては、実施主体であります市町村から不足する医療従事者の数を具体的にお聞きいたしまして、医療関係団体の協力の下、支援チームとして募集した人材を市町村に派遣するということになってございます。  それから、潜在看護師に対する協力要請について御質問いただきました。  これは、これまでに2回実施しております。1回目は、4月末に、県が長野県看護協会に委託して実施しております長野県ナースセンターを通じまして、登録していただいております約1,900名の潜在看護師の皆様に対し復職をお願いするメッセージを知事から送付しているところでございます。2回目は、5月の下旬になりますが、知事と県医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会の皆様と共同会見を行いまして、これは現在勤務されている方も含めまして広く協力の呼びかけを行ったところでございます。  ワクチンの効果の期間についてという御質問でございました。  厚生労働省の見解によりますと、新型コロナワクチンを接種することで十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから、ファイザー製につきましては7日以降、モデルナ製につきましては14日、2週間以降としているところでございます。  一方で、まだこの接種自体が始まりまして期間が短いため、効果の持続性につきましては、それぞれのワクチン製造メーカーが行う臨床試験の結果がまだ出ておりませんので、現時点で確定的な情報はないという状況でございます。  続きまして、日本型変異株に対するワクチンの効果についてということでございます。これは、今後、日本型変異株というものがどのような変異なのかも予測不能でございますので、なかなか難しい問いかけかというふうに認識をしております。ただ、海外での報道によりますと、現在国内において薬事承認されております3種類の新型コロナワクチンにつきましては、英国型や南アフリカ型などの変異株に対しましても一定程度の効果は期待されているという情報がございます。  我が国におきましては、厚生労働省などから正式な見解はまだないという状況でございますので、この情報につきましては今後も常に注視していきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔46番鈴木清君登壇〕 ◆46番(鈴木清 君)引き続きお伺いいたします。  西欧先進国、アメリカ、イタリア、フランスなどの欧米諸国は、憲法で国民の人権を手厚く保障しております。ところが、いざ国家的緊急事態に遭遇すれば、速やかに危機を乗り越え、より多くの国民の命や安全を守るため、一時的に様々な人権や私権の制限が可能とされております。  アメリカでは、大統領に緊急措置権が認められており、いわゆる国家非常事態が裏づけとなっておりますが、国家非常事態宣言等様々な権限が行使され、イタリアでは、憲法の緊急事態条項に基づき外出制限令が発せられました。違反者には最高35万円の罰金とのことであります。フランスでも、憲法に基づき大統領に強大な緊急措置権が認められております。外出の禁止や店舗の閉鎖等であります。  我が国では、改正インフルエンザ等対策特別措置等により、まず7都府県に対し緊急事態宣言が発出され、外出自粛の要請、商業施設に対する休業要請、あくまでも要請、要請の二文字であります。近い将来、国家的な危機、例えば、過去に大規模自然災害等々が日本を襲っておりますが、感染症のパンデミック、あるいは南海トラフ、首都直下型地震等、あるいは毒性の強い感染症の蔓延、バイオテロも予測されるような時代であります。現在の法律の行使が不可能な事態に陥った場合、法律制定のための国会召集ができない事態も予測されますし、参議院の緊急集会が開かれない場合も考えられます。  私は、ここで、憲法に緊急事態条項をぜひ盛り込むべきだと考えております。戦前の教訓でありますが、歴史をひもとくと、関東大震災のときは、議会が召集できなかったため、憲法で認められた緊急命令を1か月で13本も制定。そして、議員の任期についてでありますが、地方議員については法律で任期が決まっているため、特例の制定により選挙日程や首長、議員の任期の延長ができました。ところが、国会議員については、憲法で任期が定められているため、改正では対応できないのであります。  現行の災害対策基本にある大規模自然災害発生時の生活必需物資の取引制限、あるいは瓦礫の処理のため職業選択の自由や財産権に限って一時的に必要最小限度の制限を可能にする根拠規定を憲法に置くことが極めて重要だと思います。緊急事態条項を設けるべきと考えておりますので、阿部知事に御所見をお伺いしたいと思います。  また、今回のコロナ禍の危機管理に対し、国では、行政改革担当大臣、経済再生担当大臣、厚生労働大臣と3人の大臣、果たして3倍の権力で3倍の国民に対する施策が充実されたのかどうか分かりませんが、それぞれ3分の1ずつの役割分担になっています。  本県では、危機管理部と健康福祉部、二つの部が窓口になっております。毎日朝、定例会議で打ち合わせているところでございますが、やはり知事の下で責任と権限を集中し、極めて迅速な対応ができるような仕組みを構築しつつ、ぜひコロナ禍を乗り越えていただきたいと思います。知事の決意と今後の見通しについて、思いをこの場でお聞きしたいと思います。
          〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)2点御質問いただきました。  まず、憲法に緊急事態条項を設けることについてであります。  このことについては、様々な議論が国民の中にあり、多くの皆さんの幅広い議論、コンセンサスが必要な事項だというふうに考えています。実際、コロナ対策を行ってきた立場で申し上げれば、憲法問題の議論も必要だとは思いますが、その前に、立法措置でどういうものを講ずるべきかということについてもっともっと検討が必要な部分があるのではないかというふうに思っています。  例えば、災害対策基本には緊急政令の規定があります。また、特措法においても、例えば58条、金銭債務の支払猶予という規定がありますが、これは、国会が閉会中または衆議院が解散中、かつ、臨時会の召集を決定し、または参議院の緊急集会を求めてその措置を待ついとまがないときは政令制定できますというような規定であります。  そういう意味で、憲法上の人権規定、権利規定と公共の福祉とのバランスが一定程度講じられているわけでありますので、法律上どこまで対応が可能なのかということについてはいま一度十分な議論を行うことも必要ではないかというふうに思っています。  それからもう1点、国難にあっての知事としての新型コロナウイルス感染症対応への決意という御質問であります。  昨年来、あえて闘いと申し上げていますけれども、全庁挙げてこの新型コロナウイルスと闘いを行ってきています。県民の皆様方には本当にいろいろな要請に応じていただき、生活、経済面で大変な御負担をいただきながら、この間、何とか爆発的な感染拡大にならないように努めてきたところであります。多くの皆様方の御協力に改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。  まだ新型コロナとの闘いは続いているわけでありますので、引き続き県民の皆様方の命と健康、暮らしと産業を守るために全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。特に、国の場合は各省庁が責任分担しているわけでありますが、県組織の場合は私が一元的に管理すると。本部を設置して、教育委員会あるいは警察本部も含めて全庁一丸となって対応しているところであります。  また、関係部局とはこのコロナ対応について毎日意思疎通を図らせていただいております。感染者が多いような状況下にあっては、休日も含めて意見交換、意思疎通をさせていただいておりますので、引き続き全庁挙げてこうした対応を継続する中で、この新型コロナウイルスを一日も早く収束に持っていくことができるように全力を挙げると同時に、影響を受けている皆様方の生活や産業の支援についてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えています。  以上です。       〔46番鈴木清君登壇〕 ◆46番(鈴木清 君)次に、教育現場におけるICT化について順次お伺いいたします。  前年度、志願して文教委員会に配属させていただきましたが、大勢にくみせず、流れにさお差さない私の発言に対し辟易された方もおられたとお聞きしております。  従来、読み書きそろばんを基本、あるいは根幹としてきました田舎の集落に足を運びますと、多くの頌徳碑が建立されています。江戸時代から明治、大正期に至る各地で、寺子屋から塾が各村ごとに農村子弟の教育に当たり、識字率の高さは外国人の瞠目するところであり、寺社仏閣に掲げてある算額も、和算の問題、解法を誇りに掲げ、和算家が多く輩出されたのも本県の誇りとなるところであります。教育長のお膝元でも、寺島宗伴大師匠が、算額では長野県のその斯界をリードされる方であります。松巌寺に頌徳碑があります。  余談でありますが、ワシントン軍縮会議の際と思われますが、米国、英国、我が国の戦艦、巡洋艦の比率を決める作業中、そろばんを用い、瞬く間に適切な数字を示す姿に、各国の随員から、不思議な魔法の道具を用いている日本国の随員は何だという声が上がりました。その彼とは、後の平民宰相若槻礼次郎であります。若槻礼次郎の養家は私の地元、若槻の出身であります。  閑話休題。さて、この新学期から、小中学校の教育現場においてデジタル教科書の使用拡大が進められております。約2年間経過した今日、使用時間は授業時間の2分の1未満とされていたのが撤廃されたとのこと。また、文部科学省の有識者会議は、紙の教科書から3年後を目途に全てデジタル教科書を導入することを検討中とのことですが、教育委員会としてはどのように受け止めておられるのか、御見解をお伺いしたいと思います。  今日までの状況を概観すると、国は、小中学校におけるパソコン端末の1人1台の配付を目指すGIGAスクール構想の推進、コロナウイルスによる臨時休校が続いているのを横目に、97.6%の自治体が児童生徒の手元に端末を行き渡らせました。本県では100%というふうにお聞きしております。  背景に、AIの利活用に関してアメリカ、中国に後れを取っており、AI人材を育成することにより日本の国際競争力を高めるという狙いがあると思われますが、果たしてそうなのか。いかがでしょうか、御見解をお伺いいたします。  一昨年、AI人材戦略を策定、2025年に年間25万人のAI人材を育成する計画を政府は進めているやにお聞きしております。それに対し、教育現場の声ということで、読売新聞が全国815の市区町村教育委員会に行ったアンケートでいいますと、86%が教員の指導力や子供たちの視力低下等の懸念、ICT教育による学力の影響を特に危惧するという、効果について大きな疑問が寄せられております。  かつて携帯、スマホが今日ほど普及しない時代、戦後の復興からバブル景気に沸いた1980年代までは、バス、電車をはじめとする公共交通機関を利用した通勤通学の時代、学生から勤労者まで、座席で単行本、雑誌を手にする姿が日常の風景として焼きついております。  翻って、今日、子供から社会人に至るまで、携帯、スマホが行き渡り、手にする者がほぼ100%に一変しました。特に、好奇心をそそられるものやいろんな事象の検索、投げかけられた問いに対する答え、SNSによる交流等、利便性、効率性から考えますと、瞬時に答えてくれる反面、人間として悩み、考えるいとまも与えないICTは、教育現場に必要であるのか否か、甚だ疑問であります。教育とは極めて迂遠なものであると私は理解しております。  いわゆる有識者の考察は、私たち人間の思考は、与えられた情報を頭の中で短期記憶として並べ、それを処理することで成り立つ。これをワーキングメモリーと称し、メモリーは限界があり、拡張する方法がない。そのため、思考を効率的に行うには、情報をコンパクトにしてメモリーをあまり消費させないようにする。コンパクト化は、必要事項を箇条書き、あるいは文章を要約化、イラストやグラフとして視覚化するという、情報を整理し、言わば極小化することにより、思考の柔軟性、自由を得ているというわけであります。  静止画像は動画より情報量が少なく、動画よりも写真をさらに単純化した絵を子供たちに見せたほうがメモリーの消費を圧倒的に少なくすると言われております。加えて、録画した授業を復習する場合とノートを取って見返すのを比べると、全てが記録されている録画は聞き漏らしがなく、早送り機能を使って復習することが可能であります。一方、ノートの見返しは、1回の授業がコンパクトにまとめられているので、主体的に考え、復習しなければなりません。さらに、ノートを取る行為そのものが集中力を高め、自身の頭の中での整理が求められ、結果として理解力の向上になると言われております。  ICT企業アマゾンでは、ジェフ・ベゾスCEOの意向により、社内でのパワーポイントの使用を禁止し、会議資料も文章形式で書くことが求められているとのことであります。  私は、AI人材を育てるには、急がば回れ、何よりも読解力と論理的思考力、いわゆる基礎学力の充実を優先すべきであり、子供たちにデジタル玩具、おもちゃを与えるのではなく、小学校では国語と算数の時間数を増やす。プログラミングや機器を使って情報を収集することは誰でもできる状況となっております。本来、学校で学ぶべきものではないと言っても過言ではありません。答えを導き出す努力をなくし、答えそのものを検索する。これは、本末転倒と言わざるを得ないわけであります。  スウェーデン生まれのアンデシュ・ハンセン作の「スマホ脳」が世界的なベストセラーになっております。多くの方々に読まれておりますが、過日、県の職員に紹介したところ、いや、私も読んでいますとのこと。平均で1日4時間、若年層の2割は7時間もスマホを使用とのこと。内容の詳述は控えますが、スティーブ・ジョブズをはじめIT業界のトップは我が子にデジタルデバイスを与えないという現実を冷静に判断すべき時期かと思われますが、いかがでしょうか。  重ねて指摘申し上げますが、デジタル機器は受け手に強い刺激を与え、その結果、刺激が思考の妨げになり、本質的な理解を得られなくなる。学校という学びの場は、企業におけるAI導入による利便性及び効率化の向上を図る経営の改善や行政官庁の手続省略化、公文書の記録とは相入れないものであり、多面的な事象を掘り起こし、そしゃくすることによって成長するという一見合理的でない積み重ねが教育であると思います。  そこでお伺いいたしますが、ICT教育により児童生徒の感性は磨かれ、二つの創造力、クリエーティビティー、想像力、イマジネーションとが芽生えるのか。また、トータルとしての学力向上に役立つのか。視覚と聴覚の一方通行で得た情報は体験や労力を伴わないため、一過性のものとして身につかないのでないか。それぞれ原山教育長の明快な御見解をお伺いしたいと思います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)ICT教育についてのお尋ねでございます。  まず、小中学校におけるデジタル教科書の導入についてのお尋ねであります。  今年度、文部科学省は、デジタル教科書の教育効果の検証や課題の解決策を明らかにするための実証事業に取り組んでおりまして、長野県も190の小中学校が参加しております。この実証事業では、児童生徒、教員を対象にアンケートを行い、デジタル教科書の学習への効果や課題等の把握を行うものというふうにしております。  文部科学省は、デジタル教科書の本格導入につきまして、令和6年度の全面移行を前提に議論しているわけではなく、本事業の結果等を参考にさらに議論を深めていくこととしております。  県教育委員会としては、こうした国の動向を注視しつつ、実証事業の参加校の状況把握や文部科学省からの方針等を参考に、紙かデジタルかの二項対立に陥ることなく、双方の利点を生かした教科書の効果的な利活用についてICT教育推進センターを中心として研究してまいりたいというふうに考えております。  次に、GIGAスクール構想の狙いがAI人材育成により日本の国際競争力を高めることにあるのではないかという御質問でございます。  文部科学省のGIGAスクール構想は、ICT環境の整備によって、子供たちを誰一人取り残すことなく、個別最適な学びや創造性を育む学びを実現しようとするものであるというふうに承知しております。社会の変化が加速度を増す中、その変化を前向きに受け止め、感性を働かせて、社会や人生、生活を豊かなものとすることができるような人材育成が求められているというふうに考えております。  今後、一層のグローバル化が予想される中、日本が国際的に遅れているICT活用の分野を促進することも必須であります。複数の情報を読み取りながら自分の考えを導き出し、自由な発想で表現するなどの活用を日常的に行うことで子供たちの可能性を広げ、Society5.0、超スマート社会時代の礎となる人材を育成していくことが肝要であるというふうに考えております。  次に、デジタルデバイスの使用につきまして教育の観点から冷静に判断すべき時期じゃないかというお尋ねであります。  デジタルデバイスの長時間の使用が睡眠障害や集中力の低下、ネット依存等をもたらす可能性、あるいは思考に与える影響等について懸念する意見があることは承知しております。特に、小中学生については、心身の発達状況段階を考慮しますと、使用時間や使用方法に制限を設け、適切な使用につなげる必要があるというふうに考えております。  一方、デジタルデバイスの活用は、デジタルならではの特徴を生かした新しい学びが展開できるものというふうにも考えております。子供たちが興味、関心を広げてさらに深く学んだり、仲間と一緒に課題を見つけ、その解決策を模索したりするなど、道具として適切、安全に使いこなせるようにしていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。  次に、デジタル機器の活用によって、創造力、クリエーティビティーと、もう一つの想像力、イマジネーションが芽生えるかというお尋ねであります。  学習は、様々な体験を通して、試行錯誤しながら特徴や法則を探し出し、他者とじっくり議論しながら核心に迫るなどの過程を経ることが重要であり、クリエーティビティーやイマジネーションもその中から生まれてくるものだというふうに考えております。  デジタル機器を活用したいわゆるICT教育は、多様で大量の情報の取扱いやシミュレーション等による模擬体験、瞬時の情報共有や蓄積が可能となる特徴があります。その特性を生かすことで、例えば、一つの教室内にとどまることのない、他者との意見共有、比較検討、合意形成やアイデアの創出、また、多様な条件下での実証の再現による論理的思考、課題解決を含んだ学習といったことが可能になるというふうに考えております。こうしたICTの強みを生かしながら、これまでにないアイデアの発想や新たな価値を創造する感性を育んでいくことが肝要であるというふうに思っております。  次に、ICT教育が学力向上に役立つかどうかというお尋ねであります。  ICTを活用することのみによって学力向上につながるとは考えておりません。教育のデジタル化が進展する中にあっても、手を動かして実験や観察をしたり、紙や鉛筆を使いながらじっくり思考して答えを導き出す活動は、深い学びに欠かせないものだというふうに考えております。教師による対面指導や児童生徒による学び合いというアナログの側面と、ICTを活用した学習というデジタルの側面とを組み合わせることによって、これからの時代にふさわしい学力の向上に役立つというふうに考えております。  次に、視覚と聴覚の一方的な情報による学びについてというお話でございます。  議員御指摘のように、情報を一方的に取り入れただけでは知識の習得にはつながっていかないと思います。本当に生きた知識、あるいは使える知識とするためには、体験や労力を伴う学びが大切であるというふうに思っております。そのためには、デジタル機器の強みを生かした学び、例えば空間的な制約を超えて海外の子供たちとつながり、英語で交流する学習であるとか、条件を変えた関数のグラフを瞬時に映し出したり、立体図形を回転させ構造を確かめる学習であるとか、そういった学習を基に、生きた知識を育むことにつながるような取組を進めていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。       〔46番鈴木清君登壇〕 ◆46番(鈴木清 君)2010年に情報処理学会、日本数学会、日本物理教育学会など理数系の教育に関する八つの学会が、連名でデジタル教科書導入に際しての要望を文科省に提出しました。その内容は、デジタル教科書の導入が、1、手を動かして実験や観察を行う時間の縮減につながらないこと、2、生徒が紙と筆記用具を使って考えながら作図や計算を進める活動の縮減につながらないこと、3、授業のプレゼンテーション化が起きないようにすることであります。つまり、デジタル機器が思考を省略してしまうことに対する懸念が現れていると私どもは受け止めております。以上を教育長に重ねて御指摘し、御考慮いただきたいと思います。答弁は結構。  さて、6月5日付の地元紙の「県内公立高一般入試、国語の平均点は15.1点低下」という記事が目に入りました。国語、社会、数学は平均点を下げ、国語は15.1点低下して57.6点。英語のみ前年より6.3点高く、国語や社会は複数の文章や資料を読み取った上で文の構成を意識するといった複数の条件から自分の考えを論述する問題が出題され、正答率が低かったということですが、率直な感想をお伺いしたいと思います。  現行の学習指導要領、国語総合「C 読むこと」には、「文章の内容や形態に応じた表現の特色に注意して読むこと。」、「文章の内容を叙述に即して的確に読み取ったり、必要に応じて要約や詳述をしたりすること。」、「文章に描かれた人物、情景、心情などを表現に即して読み味わうこと。」、「文章の構成や展開を確かめ、内容や表現の仕方について評価したり、書き手の意図をとらえたりすること。」、「幅広く文章を読み、情報を得て用いたり、ものの見方、感じ方、考え方を豊かにすること。」となっています。  現在、初等教育から中等教育の前半、幼稚園から中学校までの教育改革が進行中であり、完了が見えてきたとするのが文科省の見解とお聞きしておりますが、展望として、中等教育の後半、高校から入試を経て高等教育機関、主に大学までの改革プランを徹底していくとのことですが、かいま見えるのは、少子化、グローバル化の進展を背景に、イノベーションの創出を活性化することや、人材の資質を高めていくという狙いが読み取れます。  それに伴い、社会科では、日本史と世界史とに区分されていたものが歴史総合という科目になり、日本と世界は簡単に切り分けられない面もありますから、理解できないわけではありません。  ところで、国語科の科目名称は、現指導要領では必修科目国語総合4単位、新学習指導要領では、現代の国語2単位、言語文化2単位となり、選択科目では、国語表現4単位、現代文A2単位、現代文B4単位、古典A2単位、古典B4単位であったものが、論理国語、文学国語、国語表現、古典探究各4単位とされました。  傾向として、必修科目の現代の国語では文学的な文章を入れないとし、地方自治体の景観保護や駐車場の契約書、高校の生徒会規約など、大学の共通テストがモデル例示とされております。あくまでも実用性と問題解決能力の向上を狙って論理国語という選択科目に移っていくという方向性が見えてきました。  そこでお伺いしますが、従来取り上げられてきた文学作品が高校では減らされるのか、また、新たに加えられるものはどんな傾向、ジャンルのものか、お示しいただきたいと思います。  初等教育、特に中等教育で学んだ近現代作品を手にすることはなくなるのか。思いつくままに作家名を御紹介申し上げようと思いましたが、二葉亭四迷から壺井栄に至るまで、小学校、中学、高校等の図書館で目にした作家の作品名を、もし現在取り上げているものがございましたら御紹介いただけたらと思います。  国語、道徳の授業で朗読し、背景を学び、想像をたくましくし、時には人間の営みのすばらしさを学び、また、社会のゆがみや不条理を受け止め、日々成長する糧とし、血となり肉となり、人間形成への一滴となり、つらいとき、悲しいとき浮かぶ作品の数々がございました。今、学校の図書室に用意されていないのか、あるのか、授業では現状取り上げられているのかどうなのか。また、図書室の利用状況と、小学校、中学校の子供たち1人当たりの読書量と傾向について併せてお示しを願いたいと思います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)国語教育に関してのお尋ねでございます。  まず、今回の入試の学力検査問題における国語の平均点の低下に関する感想についてというお尋ねであります。  入学者選抜は、5教科の合計点で判定するために、各教科の難易度はある程度平準化する必要があります。近年、国語の平均点が他の教科より高い傾向にあったことから、令和3年度の学力検査問題では、複数の資料から適切な情報を得てそれらを比較したり関連づけたりして深く思考し、自分の考えを表現する力を問う問題を出題するなどの工夫を行った結果、平準化が図られたというふうに考えております。  なお、問題の内容に関しては、外部有識者から工夫や改善が見られる良問という評価をいただいているところでございます。  次に、文学的な文章の取扱いについてというお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、令和4年度から使用される必履修科目の現代の国語でありますけれども、実社会、実生活に生きて働く国語の能力を育成する科目として、論理的な文章に加え、実用的な文章も掲載されております。  また、もう一つの必履修科目であります言語文化は、「万葉集」の歌が詠まれた時代から近現代までの我が国の言語文化への理解を深める科目ということで、「羅生門」や詩歌など、これまでの国語総合に掲載されていた代表的な文学作品が引き続き掲載されており、学ぶこととされております。  一方、令和5年度から使用される論理国語をはじめ選択科目の教科書については、令和4年度の当初に発行予定でありまして、文学作品がどの程度掲載されるかということについて、今の段階では内容の詳細が明らかにされていない状況であります。ただ、いずれにしても、国語教育は、論理性、実用性も大変重要でありますけれども、そればかりでなく、豊かな人間性を育むことでも大変重要な科目であるというふうに思っておりますので、引き続き充実するよう取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  次に、教材として活用されている近現代の代表的な作家と作品についてであります。  小学校では、正岡子規の俳句や石川啄木、与謝野晶子の短歌、北原白秋の「からたちの花」、宮沢賢治の「やまなし」等の作品が掲載されて、学んでおります。中学校では、夏目漱石の「坊っちゃん」、太宰治の「走れメロス」、森鴎外の「高瀬舟」、島崎藤村の「初恋」等の作品が掲載されているところでございます。  来年度から高校1年生で使用予定の言語文化の教科書9社について調べてみますと、芥川龍之介の「羅生門」が9社全て、それから夏目漱石の「夢十夜」が5社、志賀直哉の「城の崎にて」が4社、中原中也の「サーカス」及び「一つのメルヘン」がそれぞれ3社で掲載されているところでございます。  児童生徒の図書室の利用状況や読書量、読書の傾向についてのお尋ねであります。  平成31年度の全国学力・学習状況調査によりますと、学校図書館や地域の図書館利用に関する質問におきまして、週に1回以上利用すると回答した児童生徒は、長野県は小学生が27.5%、中学生は16.0%でありまして、これは、全国平均と比べて、小学校は約10%、そして中学校は約8%上回っている状況です。  また、県独自の調査によりますと、令和元年度の学校図書館における子供の1人当たりの年間貸出数は、小学校が100.1冊、中学校が31.3冊で、冊数は前回調査した6年前と比べて多くなっているということであります。  また、読まれている作品の傾向につきましては、令和2年度に県下の複数の小学校、中学校に調査したところ、貸出冊数が多いジャンルは、1番が文学、続いて自然科学となっておりまして、物語や小説が多く読まれているというような状況でございます。  以上であります。       〔46番鈴木清君登壇〕 ◆46番(鈴木清 君)教育長からるる御答弁いただきましたけれども、一つだけ、厳粛な事実ということで確認させていただきますが、2014年から佐賀県の武雄市が東洋大学と共同でデジタル教科書の導入を進めております。いわゆるスマイル学習であります。検証する効果は一部の学年、学科、単元のみであり、佐賀県は教育ICT化の先進県として有名であります。デジタル教科書の整備状況は100%で、全国1位であります。2019年度電子黒板プロジェクターの整備率も94.6%、全国1位であります。ちなみに、最下位は我らが阿部知事の御出身の秋田県の18.5%になります。  ところが、2019年かと思われますが、全国学力テストでは、県別ランキングの1位は秋田県であります。そして、デジタル整備率1位の佐賀県は、47都道府県中43位という状況であります。ICT教育は学力を向上させておらず、教育の効果に見合う効果があるのかどうなのか、投資の効果に見合うのかどうなのか、甚だ疑問な面が指摘されております。現状、学習に適していると考えるICT機器はプロジェクターのみであると言っても過言ではないと思います。隣の韓国、あまり参考にしたくない国なんですが、15歳から全ての学校でデジタル教科書の使用が禁止されているとのことであります。  ところで、以前も紹介していただきましたが、県立長野図書館に、活字の林をさまよい思考の泉のほとりを回るという喬木村出身の椋鳩十先生の扁額が掲げられております。これは太田副知事にお伺いいたしますが、あなたは万巻の書に囲まれ、汗牛充棟の日々を送り、そして博覧強記を地で行くような生活を行っていると私は拝察しております。あなたにとって心に刻まれた作家と、どのような文学作品があったのか、この場でお示しいただけたらと思います。  最後に、知事にお伺いいたしますが、先ほどの教育長の答弁、太田副知事がどんな作家、どんな作品をこれから披露するか分かりませんが、いわゆる今後の国語教育を中心とした長野県の義務教育について、ICT化、あるいは言語を含めた国語教育、あるいは読書について知事自身の御見解をお示しいただきたいと思います。  最後に、小岩副知事、大変いろいろ御苦労いただきまして、今回、本籍地に戻るとのことでありますが、ぜひ長野県に心をお残しいただいて、昨今はやりの忖度という言葉がございますが、長野県に関する事案に関しては忖度をいただき、そして大いに自重自愛、研さんをいただき、国家の柱石として活躍されますことを心から御祈念申し上げまして、私の質問を全て終わらせていただきます。ありがとうございました。       〔副知事太田寛君登壇〕 ◎副知事(太田寛 君)私に対しての御質問でございます。  いろんな本を読んできたことは事実でございますけれども、幾つかございます。  まず第1に挙げたいのは、大学時代に読みました民俗学者宮本常一の「忘れられた日本人」でございまして、これは、民俗学者の宮本常一が各地を訪ね歩き、そこに住んでいるいわゆる普通の人からの聞き書きをしたものでございます。特に、その中の「土佐源氏」が私にとっては一生のうちの1冊だと思っております。  それから、あえてもう一つ挙げますと、地元でございます旧堀金村出身の臼井吉見が書かれました全5冊3,000ページ余の「安曇野」でございまして、これにつきましては、高校3年の夏休みに1回読破した後、その後2回読破しておりまして、郷里のことを書き、最後は臼井吉見自身が主人公になるという、そういう小説でございますが、これが私にとってのもう一つの人生の書だというふうに思っております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)これまでの質問を踏まえて長野県教育に対する所見を伺うという御質問であります。  教育は、子供たち一人一人にとって、本当に人生において重要な問題であると同時に、これからの社会、長野県全体であったり、日本社会全体であったり、非常に大きな影響を及ぼすものでありますので、今の質問をお伺いしながら、私も改めて教育の重要性をしっかり認識して取り組まなければいけないというふうに感じています。  まず、ICT教育でありますけれども、ちょっとラフな言い方をすれば、ツールとして使い倒すということが大事だと思います。ICTに振り回されて教育をICTに合わせるということではなくて、本来実現すべき教育をどうICTを活用して効果的に行えるのかということをしっかり考えていくということが重要だと思いますし、また、エビデンス、子供たちにとってどういう場合にICTをどういう形で使うのが効果的なのか、あるいは、その逆にマイナスの影響を及ぼすのかということもしっかり研究していかなければいけないと思います。  そういう意味で、長野県ICT教育推進センターを設置しておりますので、しっかりこうした中で研究し、活用の在り方を考えていってもらいたいというふうに思っています。  それから、国語教育であります。  私は、学生時代、国語はあまり得意ではなかったのですけれども、文部科学省のホームページを見ますと、国語について、国語の果たす役割と国語の重要性ということでるる書かれています。その中で、いろいろ重要な点がありますけれども、私が重要だと受け止めているのは、国語は文化の基盤である、中核であるというふうに言われている点です。長い歴史の中で形成されてきた我が国の文化の基盤を成すものであり、また、文化そのものであると。国語の中の一つ一つの言葉には、それを用いてきた我々の先人たちの悲しみ、痛み、喜びなどの情感や感動が集積されている。我々の先人たちが築き上げてきた伝統的な文化を理解、継承し、新しい文化を創造、発展させるためにも国語は欠くことのできないものであるというふうに記述されております。  先ほど教育長の答弁の中に正岡子規が出てまいりましたけれども、愛媛県庁勤務のときに、私は俳句づくりを少しかじりました。そのときに私が感じたことは、五七五の短い表現ですけれども、そこにどういう言葉を入れるか。その言葉を選ぶ中で、私の感性も磨かれる部分もありますし、また、世の中の見え方、あるいは自然の見え方というものも変わるなというふうに思っています。  そういう意味で、言語の重要性、これは、もちろんコミュニケーションツールとして重要だという部分もありますが、我々の感情や情緒と密接に関連しているということを痛感しているところであります。  そういう意味で、国語教育の在り方というものは、単にコミュニケーションツールということだけではなくて、例えば、方言も含めてしっかり文化的な位置づけがあるということも踏まえながら在り方を考えていくということが重要だというふうに考えています。  長野県の教育、生きる力と創造性を育む信州ならではの学びを実践するということを教育振興基本計画にも位置づけておりますので、そうした理念をしっかり踏まえて、教育委員会と共に教育の在り方にこれからも真摯に向き合い、検討していきたいと考えています。  以上です。
    ○議長(宮本衡司 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時32分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(清水純子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  小池久長議員。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)朝、日の出とともに、森を流れる川と風の音で目が覚める。旬の食材でシンプルに手作りした朝食をすませたらすぐ野良仕事にかかる。手をとめて大自然あふれる日常の風景にふっと目をやり癒される。冬に降った雪解け水や、その他シーズンに降った雨水は、ブナの木の森から地下に染み渡り、50年の歳月をかけて湧き水となって村の豊かな暮らしを支えている。これは、野沢温泉の富裕層向け農LIFE&CAMPアグリツーリズム事業のインフォメーションの抜粋ですが、いかにも制限の中で暮らす人たちの心を誘うメッセージであります。  観光庁において、令和2年度、地域における夜間、早朝の旅行者の回遊性を高め、旅行消費額の増加や長期滞在につなげることを目的に、夜間・早朝の活用に新たな時間市場の創出事業として31事業が採択され、その一つに野沢温泉が選ばれたものであります。日本各地に根づく文化や自然が持つポテンシャルを最大限に生かして、アフターコロナ以降反転攻勢をかける意味で、この取組は非常に興味深いものであります。中には、福島市の夜の果樹園ツアーというような事業も含まれ、地元でも気づかなかった部分に知恵が出されています。  現在の生活者のハードルは、「制度的には旅行に行けるが、周りの目や感染の恐怖など心理的な不安がある」のフェーズにあります。制度上も心理上もハードルがなくなり、本格的に観光業が復活するにはまだまだ時間がかかると思われます。  一方で、外出自粛によって自宅やその周辺にいる時間が増え、地元への関心が高まっている傾向があります。また、コロナ禍でワーケーションというワードが注目を集め、観光地やリゾートで休暇を取りながらテレワークする働き方が定着してきました。この働き方が、観光客以上に地域と強いつながりを持つ関係人口の獲得方法として期待が高まっています。旅行には行けないが、地元への関心が高まっている。この状況をどう生かすか。地元への関心をキーワードに、旅行先のニューノーマルはまさに地元であります。また、ソロ活という意識も非常に高まりつつあります。  コロナ禍の中で、人口の首都一極集中型に大きな変化が見られました。2019年10月に転入超過が全国一だった東京が、2020年10月には一転して全国一の転出超過となりました。  株式会社月刊総務が全国の総務担当者を対象に実施した調査によると、2020年8月の時点で、新型コロナウイルスの影響でオフィスの見直しを実施検討している企業は7割に上っています。  見直しの内容は、第1位は占有面積縮小。占有面積の縮小を実現するための方法として、フリーアドレス制の導入や執務室の縮小といった回答が寄せられています。  これまで、オフィスの価値を伝えるポイントは、都心の一等地に構えた広い業務スペース、自社カフェテリアのような充実した福利厚生施設や景観のよさでありました。しかし、テレワークが常態化する中で、出社する社員の数が減り、これまでにオフィスに附帯していた価値観が意味を失いつつあります。従来の価値は、社員に広く還元されないだけでなく、不要なコストに転じる可能性も出てきました。  オフィスの見直しが求められる理由となるのが、テレワーク導入の増加です。コロナ禍を機に全面的にテレワークに替えた企業は少数派ですが、オフィスワークとテレワークの併用やテレワークの対象者の拡充を進める動きが見られます。これまで、将来的な課題として見られていた業務のIT化が、コロナ禍をきっかけに急速に進められ、テレワーク実施にはずみをつけています。  新型コロナウイルス対策としてテレワークや時差出勤を導入した企業では、各社員の出社日を調整し、社内人数を低減するといった方法を取っています。社員人数分の座席が不要となれば、フリーアドレス制を利用してオフィス面積を縮小することが可能であります。先の見えない経済情勢の中、企業では不要コストの削減が急がれます。こういった流れから、既存のオフィス契約を解除し、オフィスの縮小や移転を検討する動きが加速しています。オフィス縮小と併せて、サテライトオフィスの設置やコワーキングスペースの活用など、社員にとって利便性の高い手段を採用する企業も見られます。  こういった企業と本県のゼロカーボンへの意欲的な取組と観光関連業者との連携も新たなるビジネスチャンスと考えられます。  全国屈指の観光地や山岳高原、温泉など多様な観光資源を有する本県において、コロナ前には国内外から延べ宿泊者数1,800万人が訪れ、裾野の広い観光産業は地域経済や雇用に大きな役割を担っています。  昨年の春、感染第1波に伴い全国に緊急事態宣言が発令されたゴールデンウイーク、第2波が直撃した夏の観光シーズン、秋の紅葉シーズンは持ち直したものの、第3波の影響によって年末にGo To トラベルは停止となり、年明けに大都市圏などに緊急事態宣言が再び発令された年末年始。この1年、書き入れどきの観光シーズンのたびに感染の波に襲われ、宿泊業者、旅行会社、スキー場など、観光地全体が疲弊をしております。  ワクチン接種が進んだ海外では、ワクチン接種済みの人を対象に観光客として受け入れる動きや、アメリカのニューヨークでは、観光客に無料でワクチンを接種する取組が始まっており、徐々に出口の光も見えてまいりました。  国内において、変異株の台頭等により、依然予断は許さないものの、今後、ワクチン接種が進み、コロナが収束に向かうことで、本格的な観光需要の回復が期待されます。しかしながら、新型コロナは、人々の行動を大幅に制限し、私たちの生活スタイルや価値観を大きく変えています。その影響が長期に及んでいることから、コロナ収束後も以前の生活や行動、価値観に戻ることは考えにくく、旅行スタイルや観光ニーズの変化も、やり過ごせば元へ戻るという感じでもないように思われます。  インバウンドや宴会つきの団体旅行の需要は、この先、元の水準まで回復するには相当な時間がかかると思われます。また、働く場所を選ばないテレワークやオンライン会議の普及などによって働き方の多様化が進み、ワーケーションといった新たな観光需要が見込まれる一方で、以前のような地方への出張や会議などの需要は完全に回復が見込めないと考えます。従前と同じスタイルで事業を続けているだけでは、数多くある観光地の中でまた選んで来ていただくことはできないわけです。  県では、これまで、度重なる感染の波に機動的に対応しながら、宿泊割などコロナ禍を耐える緊急的な需要喚起策を講じて観光関連産業の下支えに努めていただいているところでありますが、並行してこれまでの常識やスタイルを見直すなど、足腰の強い観光地域への転換を進めていく必要があります。  県では、出口戦略として、昨年9月にいち早くアフターコロナを見据えた観光振興方針を示したところであります。需要が回復しても需要の中身がコロナ前に戻るわけではありません。宿泊事業者は感染防止対策に今まで相当な費用を投じており、これからまだ資金的には苦しいときが続くと思われます。既に対策を取っている事業者に対して、信州安全・安心な宿魅力向上事業はどのような事業を想定しているのか、お聞きいたします。  また、報道によりますと、軽井沢旅館組合は、新型コロナワクチンの職域接種について国へ申請したということでありました。お客様と従業員のそれぞれの安心のため、このような自衛的な取組は、再び感染が拡大したときに貴重な戦略となり、やはり今までの教訓が生かされなくてはならないと思います。この件につきましては観光部長に所見をお伺いいたします。  また、コロナに対する旅行スタイルや価値観の変更を踏まえて、長野県観光が対応していくべき取組の方法についても併せてお尋ねをいたします。  観光消費額を増大させるためには、周遊を促して滞在時間を延ばし、再訪を促していくよう観光地としての魅力を高めることが重要でありますが、県民支え合いによる宿泊割事業により、県民の県内観光地の魅力の再発見につながった面もあります。こうしたきっかけを今後につなげていくためには、地域が一体となってこれまで以上に観光資源の磨き上げや観光地間の連携に取り組む必要があります。  来年、長野県では、諏訪大社の御柱祭、善光寺御開帳など大きなイベントが控えております。疲弊した観光地を再興するためには、こうした機会を一過性に終わらせないよう、地域が主体となって観光ニーズをしっかりと把握するとともに、広域的な連携を進めていくことが重要だと思います。観光地域づくりの担い手である観光関係団体とどのように連携し、支援をしていくのか。観光部長に併せてお尋ねいたします。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には4点の御質問をいただきました。順次お答えいたします。  信州の安全・安心な宿魅力向上事業についてでございます。  この事業では、感染防止対策のほか、コロナ後も見据えた施設整備など、いわゆる前向き投資を補助対象とするものでございます。具体的な対象としては、消毒や換気等感染防止対策に要する物品等の購入、非接触型チェックインやキャッシュレス決済の導入、ワーケーションスペースやWⅰ-Fi環境の整備などを想定しているところでございます。  また、宿泊事業者には、宿泊施設向けのガイドラインが示されました昨年5月以降、精力的に感染防止対策等を講じてきていただいたところでございます。そのため、その時点まで遡って支援対象とする予定でございます。  次に、ワクチンの職域接種についての御質問でございます。  県では、昨日、企業、団体等が国による職域接種に円滑に申請できるよう、業種ごと各部局に相談窓口を開設したところでございます。観光部では、観光協会や宿泊業、旅行会社からの相談に対応してまいります。  観光県である本県にとって、事業者のワクチン接種は安全、安心な観光地につながるものであり、観光産業の振興に大きく寄与するものと考えてございます。希望する団体等につきましては、関係部局と連携し、相談対応や課題解決を図り、早期接種につなげてまいりたいと考えてございます。  次に、今後の観光の取組の方向性でございます。  県が昨年9月に策定しましたAfterコロナ時代を見据えた観光振興方針では、これまでの観光地巡りやタイトな旅行スケジュールといった一般的な観光スタイルから脱却し、安全・安心な観光地域づくり、長期滞在型観光の推進、信州リピーターの獲得の3本柱の下、稼ぐ観光地域づくりの実践を掲げているところでございます。  この方針を踏まえまして、感染防止対策等の強化はもとより、民間企業と連携したリゾートテレワークの推進、地域の文化、伝統を取り込んだ体験型の商品造成など、具体的な取組を進めてまいります。  最後に、観光関係団体との連携、支援でございます。  先ほど申し上げましたとおり、コロナ後を見据え、長期滞在等を促進するためには、周遊プランなど地域間の連携が不可欠でございます。このため、各地域の現状や課題等をきめ細かくお聞きし、その上で、議員からもお話しがございましたが、地域ごとの観光ニーズなどの分析データの提供、広域観光を促進する周遊コンテンツの開発支援、広域連携のモデル的な事例の普及など、持続的、また、相乗効果が図れるよう、地域振興局や観光機構などと一体となって観光地の再生、活性化に向けしっかりと支援をしてまいりたいと考えてございます。  以上でございます。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)久しぶりにこの席に立たせていただいたものですから、観光部長に、信州安全・安心な宿魅力向上事業は昨年5月まで遡及をしてくださるのかどうか、ちょっと早口で分からなかったので、もう一回教えてください。  今までの経験を学びとして、ぜひとも観光産業を再び成長軌道に乗せて、長野県観光の復活に向けて市町村や関係団体、事業者としっかり連携をして取り組んでいただきたいと思います。この再質問だけよろしくお願いします。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)信州安全・安心な宿魅力向上事業の遡りの関係、大変失礼いたしました。  これにつきましては、宿泊事業者は、議員からお話のありましたとおり、かねてより様々な感染防止対策等を講じてきていただいたところで、今回の国の事業の部分を県でも取り入れてございますけれども、宿泊施設向けのガイドラインが示された昨年の5月以降、ここまで遡って、それまで講じていただいた感染防止対策や各種の投資事業についても対象とすると、こういう予定でございます。  以上でございます。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)終わります。 ○副議長(清水純子 君)次に、両角友成議員。       〔27番両角友成君登壇〕 ◆27番(両角友成 君)日本共産党県議団の両角友成です。私は、発言通告に沿って一般質問を行います。  まず初めの質問項目は、東京オリンピック・パラリンピック開催についてであります。  菅首相は、今月1日、東京オリンピック・パラリンピックに関し、国民の命と健康を守るのが私の責務だ、五輪を優先させることはないと明言しました。しかし、コロナ禍の中、それでも開催の意向です。開催されれば、数万人の規模で、外国から東京に選手、関係役員、ボランティアなど多くの方々がどんどん集まる。人流抑制に歯止めはかからない。それが何をもたらすか。  国民が今望んでいるのは、日本の国内で感染の波を起こさないでほしいということではないでしょうか。世界的なコロナウイルス感染拡大の中での五輪開催は、平和な社会を目指すためにスポーツを役立てるとする五輪憲章と相入れない大会になってしまうのではないでしょうか。放映権料がないと組織がもたないとされるIOC(国際オリンピック委員会)は、何としても東京オリンピック・パラリンピック開催を強行する姿勢であり、バッハIOC会長は、どんな犠牲を払っても五輪を開催すると明言し、物議を醸しました。  無理難題も。9時間シフトの看護師500名を関係団体に要請、感染した選手らを受け入れる指定病院を30か所確保、出場選手にウイルスに感染しても主催者側の責任を問わないとする誓約書に署名を求める方針も示しています。  このような商業主義、政治主義がむき出しの大会は、オリンピックそのものを自己否定するようなものではないでしょうか。長野県内を見ても、各国の事前合宿を受け入れる自治体、受入れを中止した自治体と、国がきちんとした開催のための判断基準を示さない中、住民の中に分断が持ち込まれてしまうような状況が生まれています。  東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて進んでいる現在の動きに強い疑念と危惧を抱くものです。長野冬季五輪を成功させた県として、現在の国の動きに対する知事の姿勢を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)東京オリンピック・パラリンピックの開催についての姿勢を伺うという御質問でございます。  本県出身の選手、あるいはゆかりのある選手、オリンピックに出場が内定している選手もいるわけで、こうしたアスリートの皆さんの思いを考えると、やはりいい形でオリンピックが成功してもらいたいというふうに思います。  しかしながら、今、コロナの蔓延防止に国民挙げて取り組んでいるという状況であります。先日、総理が、緊急事態宣言下にあっては無観客も辞さないというふうに発言されたという報道もありますが、コロナ禍で開催する以上、感染拡大につながることがないよう最大限の措置を講じていただくということが重要だというふうに考えています。  特に、オリンピック・パラリンピックは夏休みやお盆の時期とも重なってきます。人の移動については、これまで、県としても県民の皆様方にいろいろお願いをしてきたわけであります。国として明確なメッセージを出していただくということが重要であると考えておりまして、6月19日にオンラインで開かれた全国知事会議において、私からそうした発言をさせていただいたところであります。そうしたことも踏まえて、全国知事会としても、オリンピックに関連して、例えば大会開催時期の都道府県境をまたぐ移動や関連イベントの在り方、こうしたものについて早急に検討すること、また、引き続き感染防止対策を確実に実施すること、こうした点について要請、提言を行っているところであります。  県としては、引き続き県内外の感染状況を踏まえつつ、市町村、関係団体とも連携しながら蔓延防止に全力で取り組んでいきたいというふうに考えています。  以上です。       〔27番両角友成君登壇〕 ◆27番(両角友成 君)五輪開催に何人もの専門家の方々が警鐘を鳴らしています。昭和大学医学部客員教授の二木芳人先生は、第5波は必ず来る。そういうタイミングで五輪が開かれると、本来は集中して行うべき感染症対策が非常に難しくなる。政府が何が何でもやると強行する姿勢のため、専門家も積極的に発言できないでいる。本来ならもっと議論が必要でした。組織委員会やJOC、IOCは、開催のための機関として準備するのが当然で、中止しようという話はしません。ストップをかけられるのは、国民の命や健康を守るとはっきり言い切った菅首相であり、その責任があります。アルマゲドン、最終戦争がない限り中止しないと発言されたIOCの役員もいますが、いざ感染爆発が起きて緊急事態宣言発令となったら、これはもうアルマゲドンと一緒ではないでしょうか。このように述べています。オリンピックの開催予定日は7月23日、あと1か月ですが、何らかの声を上げるべきと再度申し上げ、次の質問に移ります。  次の質問項目は、行政におけるデジタル化の問題点についてであります。2月定例会で毛利団長がDX戦略について質問し、重複感もありますが、大切な項目でありますので、私からも質問させていただきます。  今日の国の動きは、行政が特定の目的のために集めた個人情報をもうけのネタにしようとして利用し、成長戦略や企業の利益につなげようとしているように見受けられます。デジタル技術は、地方自治と住民福祉の増進に役立つ有効活用こそが大切ではないでしょうか。  個人情報保護法制の一元化で、自治体の個人情報保護条例に縛りをかけ、保護の仕組みを切り捨てるものではないかと心配です。マイナンバーカードに健康保険証を組み入れる仕組みは、不具合があり、半年先送りとなりました。情報漏えいの懸念もあるのではないかと危惧されます。  9月発足とされるデジタル庁は、地方自治体にも強い権限を持ち、国がつくる型に収まる範囲内の施策しか県が行えないおそれがあるのではないでしょうか。デジタル化を口実に、行政の窓口の減少等住民サービスの低下も懸念されます。デジタル弱者を誰も置いていかないと国は言いますが、自分のことを考えただけでも疑わしい限りです。  また、自動車の運転免許も含め、何でもかんでもマイナンバーカードの動きも、監視社会になるのではと心配です。行政におけるデジタル化について、国の動きに対する県の受け止めはどうか、また、県としてどう対応するのか、知事の見解を伺います。  続けて伺います。  長野県は、長野県個人情報保護条例で、本人への通知なくして個人情報の目的外使用は認めていません。全国的に見ても優れた条例との評価があります。  県は、市町村と一緒にシステムに入ろうとしています。標準化すると言いますが、国保料、税の軽減、就学援助、ほかにも、介護保険への市町村の横出しなど、各自治体が住民福祉のためにせっかく積み上げてきたものが、標準化の名の下に後退させられてしまうのではないか。企画振興部長に伺います。  また、セキュリティーという問題でも心配です。  5月27日信濃毎日新聞によると、国土交通省や外務省で内部情報流出の報道。職員のメールアドレス約7万6,000件流出とのことです。外務省では、デジタル政府実現に向けた検討資料が流出。ほかにも、行政機関のサイバー攻撃対策を統括する内閣サイバーセキュリティーセンターもシステムを構成するパソコンの製品名や保守日程などが流出。このような状態で、果たして個人情報は保護されるのでしょうか。  みずほ銀行では、システム障害が今年2月末から2週間で4回続けて発生し、全国でATMが停止。5,000枚を超える通帳やキャッシュカードなどがATMに取り込まれてしまう被害が出ました。6月に入り、みずほ銀行頭取は引責辞任することにとの報道までありました。  他方、政府は、2022年末までにほとんどの国民がマイナンバーカードを取得するとの目標を掲げています。マイナンバー制度をめぐる個人情報漏えいや不正利用対策として、国が総額約38億で契約し17年7月から運営している監視システムが事実上機能していないことが会計検査院の調査で判明。2019年は、システム利用想定の5.5%とのことです。デジタル化を急ぐ国の狙いがどこにあるのか、見極める必要もあります。改めて、個人情報をどう守るのか、総務部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、行政のデジタル化に関連して、国の動きに対する受け止め、そして県としてどう対応するのかという御質問であります。  デジタル改革関連が成立して、我が国のデジタル化は新たな段階を迎えているというふうに考えています。司令塔を担うデジタル庁の下、様々な分野での取組がこれから本格的に始まっていくと考えています。  まず、県としては、個人情報の保護については今後とも十分な対策を行っていくということが必要だというふうに考えております。個人情報保護条例も含め、今後必要な条例改正を検討していきたいと考えております。  また、情報システムの標準化につきましては、本県の場合、とりわけ小規模町村が多いわけでありますので、情報システムを標準化して共同利用していくということは市町村事務の効率化の観点からも重要だというふうに考えています。  本県は、国の動きに先駆けてDX戦略を策定したわけでありますが、県と市町村からなる長野県先端技術活用推進協議会の枠組みを基盤として、引き続き情報システムの共同利用を積極的に進めていきたいと考えています。  県としては、個人情報の保護に十分配慮しつつ、市町村と連携しながら、デジタル技術とデータを活用して、県民の皆様の利便性の向上や行政事務の効率化に取り組んでいきたいと考えています。  以上です。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)情報システムの標準化、共同化によって市町村行政が後退してしまうのではないかという御懸念ですけれども、コロナ対応について、現在、全国の市町村が、国が提供するワクチン接種記録システムを共同利用しております。各市町村においては、この共同システムを利用しつつ、集団接種や個別接種、あるいはそれらを組み合わせるなど接種を迅速に進めるために様々な工夫を行っております。  国におきましては、行政サービスのレベルや仕組みを統一しようというふうに考えているわけではありません。むしろ、今回のように全国共通の取組に対応するためには、同一のシステムの下だからこそそれぞれの独自のサービスを工夫しながら提供しやすくなっているものだと認識しております。  国は、自治体の情報システム標準化に当たりまして、住民サービスの安定向上と自治体業務の円滑化、効率化のため、地方の実績、進捗をきめ細かく把握し、丁寧に意見を聞いて進めることとしております。本県におきましても、先ほど知事が答弁しましたように、県と全市町村で構成いたします協議会があります。この枠組みの下、市町村の状況を把握し、必要に応じて国に要望してまいります。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)個人情報をどう守るのかについてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、いわゆるサイバー攻撃に対しましては、通常業務やマイナンバー利用事務に係るネットワークをインターネットから分離するなど、国が示す基準に沿って情報システムの運用を行っているところでございます。  また、個人情報を含むパソコンやUSBメモリーなど電磁的記録の持ち出しの際には必ず所属長の許可を得ることやパスワード設定を行うことなど、個人情報保護条例に基づく要綱、取扱事務マニュアルに沿って事務を行っているところでございまして、引き続き適切な個人情報の管理に努めてまいる所存でございます。       〔27番両角友成君登壇〕
    ◆27番(両角友成 君)デジタル化への大前提は、政治の透明性と説明責任を果たせる政府が個人情報を適切に管理し、安心や安全を求める国民に信頼されることです。  ところが、今の政府や企業の現状はどうでしょう。さきの事例に加えて、2月の国会で取り上げられた500万人分ものマイナンバー情報が日本年金機構から中国に流出していたとされる問題、さらに、3月17日には、国内で8,600万人が利用しているLINEの個人情報が中国国内から閲覧可能になっていることが分かり、利用を停止する政府機関や自治体が相次いでいます。  このような状況を見たとき、デジタル化を今のまま進めるのではなく、事業者の個人情報漏えい事実の消費者への通知義務、十分な被害救済や仕組みの整備、情報の自己決定権などを保障することが必要で、さらに個人情報保護のガイドライン策定や、監視、監督などを行う個人情報保護委員会の強化が求められているのではないでしょうかと申し上げ、次の質問に移ります。  次の質問項目は、再生可能エネルギーの普及促進についてであります。  エネルギーは、食料とともに経済社会の存立の基盤ですが、日本のエネルギー自給率は10%足らずです。無駄なエネルギー需要を削り、再生可能エネルギーの普及で温暖化防止、資源の上でも持続可能な社会を構築しなければなりません。  さきに開催された先進7か国首脳会議議長国の英国政府が、共同声明に石炭火力発電の全廃を盛り込む提案をしているとの報道がありました。「日本孤立の懸念」と副題がついていました。  日本の総合商社がこぞって脱炭素に本腰を入れる方針、軽くてフィルム状の次世代型でビルの壁でも車体でも発電可能なペロブスカイト太陽電池の開発が進められ、2025年には実用とのことです。  5月26日、2050年までの脱炭素社会実現を明記した改正地球温暖化対策推進が参議院本会議で成立。再生可能エネルギーの導入拡大に向け、自治体が促進区域を設ける制度を創設、温暖化ガスの削減とともに、地域活性化につながるとも明記。  改正では、住民の雇用や災害時の電力供給など、地域活性化につながる事業を地域脱炭素促進事業と定めました。2030年度の排出量を13年度比46%削減するとの中間目標を達成できるかどうかが試金石とされています。  長野県も、今月8日、県ゼロカーボン戦略を決定し、今年から2030年までに取り組む内容を明記しました。再エネでは、太陽光、小水力を核に生産を大幅増、地域の再エネを余すことなく活用し、エネルギー自立地域の確立と明記されています。  私は、長野県内ではポテンシャルが高いとされる水力発電の普及を今までもいろいろな角度から提案してきました。全国では、24時間発電が可能で、天候に左右されにくい安定的な再エネとして、用水路を使用しての小水力発電が見直されています。県企業局も、25年までに17か所を36か所に水力発電倍増計画をお持ちのようですが、全容を伺います。  短期間での意欲的な計画ですが、何より人材確保が課題だと思いますが、いかがでしょうか。公営企業管理者に伺います。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)再生可能エネルギーの普及促進についての御質問にお答え申し上げます。  企業局の水力発電倍増計画の全容とこれに伴う人材の確保についてでございますが、企業局では、令和元年度に知事が行った気候非常事態宣言と、昨年度制定された長野県脱炭素社会づくり条例の趣旨を踏まえ、再生可能エネルギーの供給拡大とエネルギー自立分散型で災害に強い地域づくりを基本方針としつつ、令和7年度までを計画期間とする改定経営戦略において、昨年度までの電気事業の約60年間の取組で17か所となっていた水力発電所を、工事着手ベースで36か所とすることとして、より多くの地域に電力を供給する目標を掲げました。  本年度は、新たに建設した3か所の発電所が運転を開始し、建設部から引き継いだ3か所のダム管理用発電所について大規模改修等に向けて検討するとともに、既に発注した新規電源開発の5地点については建設に向けた設計等を進めており、現時点で事業着手ベースでは28か所となります。  これらに加え、知事部局との連携による新規電源開発地点発掘プロジェクトにおいて、市町村等の御協力の下、開発候補地点の調査を推進することにより、国においても、近年、奥地化、小規模化してより困難になっているとされている水力発電所の建設に向けてスピード感を持って取り組みます。  また、県内各地に建設する発電所について、運転管理の一元化と効率化を図るため、本年度、企業局川中島庁舎に設置した中央制御所を中核として、AI、IoT等の先端技術を活用したスマート保安の推進と、次世代監視制御ネットワークシステムの構築に取り組む中で、それらを支える職員の技術の向上も図ります。  さらに、こうした取組は全国的にも先進的であるとされていることから、企業局CIを活用した戦略的な広報活動により、県内外への情報発信に努め、関係部局と連携して社会人経験者の採用選考を柔軟に実施することなどにより専門人材の確保を図るとともに、職場内における技術研修会等を充実させることに加えて、職員の提案による外部機関の専門研修への参加や、経費を負担して若手職員の資格取得を奨励することなどによりまして人材の育成にも積極的に取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。       〔27番両角友成君登壇〕 ◆27番(両角友成 君)東京海上日動火災保険株式会社が2030年までに全てグリーンエネルギーにするとの報道。県内企業エプソンが100%グリーンエネルギーに。長野県内の再エネ電源の開発加速に向け県と民間2社で信州Green電源拡大プロジェクトを開始、国内初。電気料金を通じて特定地点の電源開発を支援する取組など始まりますが、新型コロナウイルス感染症の流行で冷え込んだ経済の再起を図るのに、脱炭素社会など環境問題への取組を併せて行おうとするアフターコロナの施策の一つ、グリーンリカバリーの考えを具体化すれば、再エネが長野県経済施策に直結すると考えますが、産業労働部長の見解を伺います。  太陽光パネルの屋根置き個人住宅用は、革新的技術ではなく、既存の技術で可能だと専門家が指摘しています。環境大臣も、太陽光パネルを置けるだけ置き、景色を変えたいと、脱炭素で意気込んでいます。信州屋根ソーラーポテンシャルマップを活用し、県内大規模に、個人住宅の屋根も含め計画の練り直しが必要ではないかとただそうとしましたら、本定例会予算案で、太陽光発電と蓄電池の設置に関わる既存住宅エネルギー自立化補助金が提案されました。県としては初めて個人住宅に補助金が支給されることが計画され、歓迎するものです。既にあるグループパワーチョイス(共同購入)と併せ、より県民が利用しやすい事業になることを期待します。  結果として、両事業が同時にスタートすることとなるが、両事業の位置づけと期待する効果は何か。また、先行している市町村事業との関係性についても環境部長に伺います。  最後に、知事に伺います。  知事は、今月8日の記者会見で、ゼロカーボン戦略に関連して、達成が簡単ではない目標だが、将来世代に豊かな地球を引き渡す上では是が非でも達成することが必要だと述べています。昨今の地球温暖化が生み出す異常気象に対して、若者が私たちの未来を奪わないでと訴えています。この思いにどう応えるのか、どんな営みができるのか、知事の見解を伺います。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)グリーンリカバリーの具体化と再エネ、そして県の経済施策についてのお尋ねでございます。  グリーンリカバリーは、新型コロナからの経済回復と脱炭素化を同時に進めるアプローチであり、例えば、EUにおいては、気候変動対策として、グリーン・デジタル分野に対し約1兆8,500億ユーロ(約220兆円)の復興基金をベースとする成長戦略が進められるなど、世界的な潮流となりつつあります。  県では、こうした動向も踏まえ、さきに開催いたしました新型コロナ対策産業支援・再生本部会議において、再生フェーズの施策に長野県ゼロカーボン戦略の推進を織り込んだところであり、具体的には、グリーン分野への挑戦を促すため、長野県ゼロカーボン基金を活用した新技術の開発や、産業構造の転換の後押し、省エネの実践、再エネの活用等による事業活動における脱炭素化の促進、SDGs経営やESG投資の推進など、官民で取り組むことを確認したところであります。  また、産業のグリーン化の推進に当たっては、再生可能エネルギーの活用に加え、経済活動のあらゆる段階での資源の効率的、循環的な利用が重要となります。このため、エネルギーの地域内循環はもとより、廃棄物の発生抑止や、リユースやリサイクル前提の製品設計など、いわゆるサーキュラーエコノミーへの転換に寄与する産業イノベーションが加速していけるよう、経済団体、大学等と連携して取り組んでまいります。       〔環境部長猿田吉秀登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)既存住宅エネルギー自立化補助金とグループパワーチョイス(共同購入)についてお答えいたします。  本県は、日射量が多く冷涼な気候により太陽光発電のポテンシャルが高いことから、住宅等の屋根の一層の有効活用を図るべく二つの事業の導入を進めているところでございます。このうち、グループパワーチョイス(共同購入)は、同時購入によるスケールメリットに期待し、単一の製品ながらも比較的低廉な価格での設置を促進するものでございます。  この事業実施に当たりましては、当初の予定を変更し、県内を二つのブロックに分け、それぞれにおいて県内事業者1社が販売、施工を行うこととしております。  一方、今回予算案を提出しております既存住宅エネルギー自立化補助金は、地元の事業者が販売、施工を担い、多様な製品の中から選択が可能となるものでございます。住宅のエネルギー自立に着目し、蓄電池を設置する場合に費用の一部を補助するものでございます。  県民の皆様には、それぞれの特徴を踏まえて事業をお選びいただくことで、屋根ソーラーによる再エネの導入を加速化し、ひいてはエネルギー面での強靱化、地域内経済循環などにつなげてまいりたいと考えております。  なお、現在、約6割の市町村で住宅用太陽光発電設備等への補助制度を設けており、今月、各市町村に対し両事業について御説明を申し上げるとともに、補助制度の併用の可否について検討をお願いしているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)再生可能エネルギー普及促進に関連して、若者たちの私たちの未来を奪わないでという訴えにどう応えるのかという御質問をいただきました。  地球温暖化、気候変動の問題は、まさに公正さの問題であるとも思っています。世代間の公正、そして、地域間、先進国ほど温室効果ガスを多く排出しているわけでありますので、そういう意味では、世界各国、あるいは地域同士の公正さの問題でもあるというふうに思っています。  そういうことを考えますと、今を生きる私たちが将来世代に対してどう責任を果たしていくのかという問題であると思います。  私も、この間、中学生、高校生、大学生と気候変動について意見交換をさせていただきましたけれども、非常に問題意識を強く持っている若い世代が増えてきたなというふうに率直に感じています。そうした若い世代の思いを我々もしっかり受け止めながら共に行動していきたいというふうに思いますし、また、まだ一部の動きにとどまっている部分もありますけれども、そうした若い世代の活動や行動がより広く拡大していくように我々も一緒になって励まし、取り組んでいきたいというふうに思います。  私もいろいろな取組を進めていきますけれども、非常に困難な課題もたくさんあります。しかしながら、若い人たちから頑張っているというふうに言ってもらえると私も大分力をいただけるというふうに思いますので、そういう思いを共有して取り組んでいきたいと思っています。  近く、ゼロカーボン実現県民会議を立ち上げていきたいと思っています。まだ仮称でありますが、若者世代も含めて多くの皆さんに協力していただき、このゼロカーボン実現運動に一緒に取り組んでいきたいというふうに考えています。若い人たちの思いを我々もしっかり受け止め、そして若い人たちと一緒に行動してこのゼロカーボン社会の実現を目指していきたいというふうに考えています。  以上です。       〔27番両角友成君登壇〕 ◆27番(両角友成 君)知事から答弁がありました。  若者と思いを共有したい、より広く運動化するんだなどいろいろなことを言われましたが、知事の思いが若者に通じ、そして一緒に行動ができるようになればいいのかなと私も思います。  デジタル社会のことを取り上げました。デジタル社会においての最大の弱点は、災害などで電源が確保できずに業務ができなくなるおそれです。この間の災害では、電源の喪失、情報通信機能の麻痺、サーバーの水没などが発生しています。  災害時、地域の電源確保に有効なのが地域連携水力発電、マイクログリッド構想だと思います。県は、発電所立地市町村において一つ以上の水力発電所を自立運転との方向をお持ちですが、早期の実用化を望むものです。再生可能エネルギーが環境を守り、新たな産業、雇用の場の創出になる、このことを確認させていただき、質問といたします。ありがとうございました。 ○副議長(清水純子 君)次に、清水正康議員。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)早速ですが、まず、新型コロナウイルス感染症について質問いたします。  後遺症について、先週、国の三つの研究班が中間報告を発表し、その中で、厚生労働省と日本呼吸器学会の実態調査により、中等症以上の患者では、3か月後も54%の人の肺に何らかの異常が残るとの報告がありました。感染拡大を防ぐとともに、医療機関への負担をかけないためにも、症状を重くしないことが重要であります。  そこで、質問となりますが、県では、自宅療養もしくは宿泊施設で療養されている方について、保健所や看護師による健康観察または遠隔健康観察システムにおいて症状の把握を行っておりますが、症状が悪化した方は何人ありますか。  また、療養している方は、運動不足や偏った食事によってフレイルが進み、免疫力が低下する恐れがあります。症状が進まないために運動や食事などの健康管理の指導を行うべきと考えますが、県の取組についてお答えください。  ワクチン接種が県内でも進んでおります。先行する海外の企業などが開発したメッセンジャーRNAワクチンは、開発されてから間もないにもかかわらず、数万人規模の臨床試験での発症予防効果は約95%あり、経済回復のために、また、失われた日常を取り戻すために大きな期待が持たれております。しかし、今回のワクチンは、従来の製法とは異なる製法で作られた遺伝子ワクチンであり、人類に使用されるのが初めてであります。そのことから、中長期的な人体への影響については不安を持つ方もいます。様々な情報があふれる中、困惑している方も多くあります。だからこそ、行政が正確な情報を示す必要があるのではないでしょうか。  先月末に行われた厚生労働省の厚生科学審議会の資料によりますと、現在接種しているワクチンは、臨床試験より発症予防効果と重症化予防は評価されておりますが、感染予防については、発症しない感染者が多数存在する新型コロナウイルス感染症では実証が難しいとしております。つまり、ワクチンでの感染予防は現段階では認められておりません。  そこで、質問となりますが、ワクチン接種後、免疫ができるまで何日かかかるといった情報もありますが、ワクチン接種後についてはどのような行動が必要か、改めて伺います。  さらに、審議会の資料によりますと、年代によって感染後の重症化のリスクは大きく異なります。30代と比較して、40代は4倍、50代は10倍、60代は25倍、70代は47倍、80代は71倍と、年代が上がるごとに重症化のリスクは上がっております。逆に、20代は0.3倍、10代は0.2倍と若年層は低くなっております。  そのことから、ワクチンの接種に当たっては、ワクチンの特性に加え、接種対象となる者の年齢や医学的な背景等を踏まえた新型コロナウイルスの感染によるリスクを勘案し、総合的に接種の判断をすることができるよう情報提供することが必要であるとしております。日本小児科学会も、健康な子供については、大人への接種状況を踏まえた慎重な実施が望ましいと先週言及しております。  そして、昨日、厚労省、文科省は、連名で、中学校、高等学校に対して集団接種は推奨しないとの通知を出しました。学校での集団接種は保護者への説明機会に乏しい、接種への同調圧力を生みがち、接種後の体調不良に対するきめ細かな対応が難しいなどが主な理由とのことです。そして、接種の進め方については、それぞれの自治体の考え方に沿って対応いただくということでした。各市町村の参考になるように県の考え方を示していただきたいと思います。  そこで、四つ目の質問です。基礎疾患のある方を除いて、重症化リスクが極めて低い子供、若年層のワクチン接種に対する県の考えについてお答えください。  そもそも、ワクチン接種は任意でありますが、企業や大学などで職域接種が行われれば、ワクチンを打つべきだという同調圧力がかかりやすい状況が生まれます。接種、未接種の個人情報の取扱いにはより慎重な配慮が必要だと考えます。  五つ目の質問です。ワクチン接種希望者への迅速な接種と併せ、ワクチン接種を希望されない方、接種のできない方が差別や誹謗中傷を受けないためにどう取り組むのか、伺います。  PCR検査について伺います。  これまで、飲食店の周辺などで数回の一斉PCR検査を行っておりますが、陽性者は少なかったと認識しております。個人的には、地域の安心のためには一定の効果があったとは思いますが、もう少し早めに、例えば感染警戒レベルを5にする前に行えればとも感じました。今後、県は、感染の可能性のある方に対する検査を幅広く行うなど、戦略的にPCR検査を行うとしております。  そこで、六つ目の質問になります。これまでの一斉PCR検査の効果をどう検証し、戦略的PCR検査を行うことにしたのでしょうか。一斉PCR検査の陽性率と併せて伺います。  また、ワクチンを接種しても、感染や発症しないわけではありません。新たな感染症や他の病気も今後考えられることから、最後の質問になりますけれども、県は県民の健康長寿を狙ってACEプロジェクトに取り組みますが、自然免疫力のアップについてもプロジェクトに反映すべきと考えますが、どう取り組みますか。以上7点、質問いたします。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)新型コロナウイルス感染症につきまして7点御質問を頂戴いたしました。  まず、自宅療養または宿泊療養者で中等症、重症となった方についての御質問でございます。  昨年2月の第1例目から本年6月8日までに届出のありました新型コロナウイルス感染症陽性者4,901例のうち、自宅療養された方が958名、宿泊療養された方は1,695名となっております。自宅療養された方のうち、その後中等症となった方は14名で1.5%、重症となった方は1名で0.1%となっております。また、宿泊療養をされた方につきましては、その後中等症となった方は41名で2.4%、重症となった方は1名で、0.06%となっております。  次に、療養者の運動、食事などの健康管理についての御質問でございます。  宿泊施設や自宅で療養している方々については、症状が悪化しないよう看護師や保健師により継続的に健康観察を行っております。加えて、独居者など食事の手配が困難な自宅療養者に対しては、保健所から管理栄養士の監修による栄養バランスを考慮した食品を届けるとともに、宿泊施設での療養者に対しては、運動不足とならないよう、入所時に居室内でもできる運動の資料を配付し、体調管理を支援しているところでございます。  引き続き、こうした取組をきめ細かく行いまして、健康面と生活面の両面で軽症者等の健康管理を行ってまいります。  次に、ワクチン接種後に必要な行動についての御質問でございます。  ワクチン接種による発症予防効果について、ファイザー社ワクチンは95%、モデルナ社ワクチンは94%とされておりまして、非常に高い効果が認められておりますが、100%の発症予防効果ではございません。また、臨床試験において、ワクチンの接種で十分な免疫が確認されるのは、2回目の接種を受けてから、ファイザー社ワクチンは7日以降、モデルナ社ワクチンは14日以降となっております。  先ほどの御質問の中にも御指摘がございましたが、両ワクチンとも現時点では感染予防効果は明らかになっておりませんので、感染が収束するまでの間は、ワクチン接種を受けたかどうかにかかわらず、マスクの着用、3密回避、手洗いや消毒の励行など適切な感染防止策を行う必要がございます。県としても、県民の皆様には、チラシ、動画、ホームページなど様々な方法によりまして引き続き感染対策の徹底を呼びかけてまいります。  次に、小児へのワクチン接種についてでございます。  6月1日に、国では、ファイザー社製ワクチンの接種対象年齢について12歳以上に引き下げたところでございますが、通常の小児への予防接種と同様に、新型コロナワクチンの接種に関しても保護者の同意が必要となっております。  16日に明らかとなりました日本小児科学会の提言にもございますように、接種による発症予防等のメリットと副反応等のデメリットを本人と保護者が十分に理解することが必要不可欠と考えております。  また、これも御指摘ございましたとおり、昨日22日に文部科学省及び厚生労働省から学校集団接種に対する考え方が示されておりまして、接種後の体調不良に対するきめ細やかな対応が困難であることなどから、現時点では推奨するものではないとされたところでございます。  小児へのワクチン接種に関しましては、こうした国や学会の考え方を踏まえまして、個別接種の推奨などを含めて検討してまいりたいと考えております。  次に、ワクチン接種を希望されない方が差別等を受けないための取組についての御質問でございます。  新型コロナワクチンの接種につきましては、予防接種により、原則として接種を受ける努力義務規定が適用されておりますが、接種を受けるかどうかは最終的には各個人の判断となります。住民の中には、副反応の心配等により接種を受けない方がいらっしゃるかと思いますが、接種を受けないことによる差別、誹謗中傷は決してあってはならないと考えております。  ワクチンの接種が本格化する中、ワクチンを接種しない方への差別等が行われないよう、県ホームページなど様々な広報や、市町村、各種団体等を通じて呼びかけをしてまいりたいと考えております。  また、県では、誹謗中傷等の抑止に向けて、意識や行動変容を促すためのココロのワクチンプロジェクトを展開しております。こうした取組によりまして、ワクチン接種を受けない方に差別や誹謗中傷等が行われないよう取り組んでまいります。  それから、次に、一斉検査についてのお尋ねがございました。  一斉検査、集中的な検査は、地域の感染状況等を勘案して、検査前確率が高く、また、クラスター連鎖が生じやすいと考えられる期間や場所において実施することが効果的であり、かつ、適切であると考えているところでございます。  この考え方の下、これまで、飲食店の従業員等を対象に集中的な検査を10回実施しておりまして、16名の陽性者が判明しておりますが、陽性率は0.5%となっております。こうした検査を実施したことによりまして、感染の連鎖を未然に防ぎ、感染拡大の封じ込めにつながるとともに、地域の安心、安全に寄与できたと考えております。  今般策定いたしました長野県新型コロナウイルス感染症PCR検査等実施方針におきましても、感染拡大防止のための積極的な検査の一つとして明記させていただいたところでございます。今後も、感染状況をしっかりと見極めた上で、感染拡大防止のために必要な検査が迅速かつ適切に実施されるように努めてまいります。  最後に、自然免疫力アップについての取組に関するお尋ねがございました。  一般的に、免疫力向上については、主に栄養、運動、休養の三つの要素が影響していると言われております。バランスの取れた食生活、日頃から適度な運動により基礎体温を上げること、十分な睡眠などが重要と言われているところでございます。  これまで、県民の健康づくりに関しては、健康づくり県民運動信州ACEプロジェクトとして県民に毎日の運動、健康的な食事などの実践を促してまいりました。こうした取組は、県民の免疫力向上の観点からも少なからず効果があるものと考えておりますので、今後とも県民に一層健康づくりに取り組んでいただけるよう働きかけを続けてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)御答弁より、率としては少ないということでしたけれども、療養中に悪化した方があるということでした。御本人のためにも、また、医療機関の負担軽減のためにも、少しでも悪化する可能性を下げれるような、そういった取組をしていただきたいと思います。
     そういった中で、健康管理のほうも、栄養士、また、運動できるようなチラシを配っているというような話もありましたが、さらにそれぞれの体調が管理できるように指導していただければと思います。  ワクチン接種ですけれども、ワクチンを接種しても、全体として次のフェーズに移行しなければ感染対策は引き続き行うということで認識しました。収束させるために接種を進める必要性は理解しますけれども、メッセンジャーRNAワクチンは歴史が浅いことは事実でありますので、期待や予想ではなく、正確な情報の発信をお願いしたいと思います。  若年層の接種についてですけれども、子供たちには個別接種を推奨するといったようなお話がありました。今回のワクチンは、新しいワクチンではありますが、後日、全く問題ないといったことも証明されるかもしれません。しかし、現段階ではどちらとも言えません。県として、重症化リスクの少ない世代、これからを担う子供たちへの接種は慎重に進めていただきたいと思います。  また、いかなる理由においても、接種の有無で差別や誹謗中傷があってはいけません。身近なところでは、県の職員のワクチン接種についても今後進むと思われますが、接種を希望しない職員に対しての強要などがあってはいけません。県の基本的対処方針には、偏見、差別等への対応について書かれておりますが、先週改定された内容には、ワクチン接種における偏見等の記述はありません。ぜひ全県のモデルとなるような在り方を示していただきたいと思います。  PCR検査の件ですけれども、10回のPCR検査等を行って陽性率は0.5%だったというようなお話がありました。県民の安心、安全が増すように、また、飲食店などへ休業要請をしなくて済むように、PCR検査を戦略的に行うよう期待しております。  また、健康長寿は多くの県民が望む状態でありますので、ACEプロジェクトに自然免疫といったことも項目として上げていただきながら統一して取り組むようお願いを申し上げます。  次の質問に移ります。公共配布カードについて質問いたします。  昨年2月の竹内議員の一般質問において、県や市町村のインフラカードについて一元的に情報発信をするとの答弁をし、以降、少し取り組んでいただいておりますが、まだまだ足りないというように感じております。アフターコロナの観光戦略の一つとして、この際、インフラカードのみならず、災害伝承カード、景勝地カードなど、各市町村や観光協会などが作成するカードについても県で通し番号を振るなどして一元的に管理し、観光地の掘り起こしや人々のコレクター心をくすぐる取組を行ったらいかがでしょうか。渡辺観光部長に伺います。  続いて、県産材の利用について質問いたします。  県産材の利用促進については、自分も含め、これまで多くの議員が要望してきました。一昨年、県が行った住宅関連事業者に対する調査では、64社中35社が県産材を利用し、29社が利用していないとの回答でした。  2月定例会の農政林務委員会でも、住宅への利用促進について要望がありました。もっと多くの事業者または建築士が県産材を積極的に選び、利用できるようにすべきであります。  そこで、2点質問いたします。  事業者が県産材を選ばない、利用しない理由について伺います。  また、現在、木材価格の上昇があり、県産材にとってはチャンスと考えますが、一時の増産ではなく、継続した利用、確かな需要が期待できなければ、製材事業者なども増産や新しい機械への投資はできません。事業者が県産材を選ばない理由は至極明快であり、今回の外材の影響に関係なく県産材が利用される環境をつくるべきであります。エコなど他の条件とは別に、県産材の利用促進だけの支援事業を考えるべきではないでしょうか。井出林務部長に伺います。  最後に、ウェルビーイングについて伺います。  ウェルビーイングは、GDP等の経済指標では捉えられない人々の幸福や満足を描き出そうとする試みの一つですが、政府は、各種の基本計画等について、ウェルビーイングに関するKPIを設定することを考えております。  県におきましては、例えばしあわせ信州創造プラン2.0では、それぞれに数値目標等を置いて達成を目指しております。これはこれで大切なことではありますけれども、最終的に何を目指すかというと、巻頭の知事の言葉にあります「県民の皆様お一人おひとりが、人生を楽しみ、しあわせに暮らすこと」だと考えます。  内閣府の満足度・生活の質に関する調査の第4次報告書なども参考にし、県民の皆様が幸福を感じることが多くなるようにウェルビーイングを各種計画等に取り入れたらと思いますが、知事の御所見を伺います。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)インフラカード等の活用についての御質問でございます。  全国的に発行されておりますインフラカードにつきましては、昨年、県公式サイト「Go NAGANO」において、「ダムや周辺観光地を訪れてダムカードを集めよう」というトリップアイデアを掲載し、PRしたところでございます。  今後も、様々なインフラ分野に順次拡充いたしまして、構造物の背景や歴史など、知的好奇心を高め、学びの要素を加え、新しい観光資源としてPRしてまいりたいと考えております。  また、地域独自に発行しているカードにつきましては、周辺観光地の食文化や体験といった地域の魅力を複合的に発信することが重要であることから、市町村と連携して、ウェブサイト等の活用などによりまして観光地の魅力を発信してまいります。  以上でございます。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)まず、県産材を利用しない理由についてでございます。  令和元年度に県が行った住宅関連事業者に対する調査によると、県産材を利用しない理由として、1、外材のほうが低価格であること、2、外材のほうが求めている製品を適時適量にワンストップで購入できること、3、あえて県産材を使おうとする施主が少ないことなどの傾向が見られました。  県としては、外材と比較しても消費者の皆さんに県産材を選択していただけるよう、これらの課題に対応していくことが必要と考えております。  次に、県産材の利用促進のための支援事業についてでございます。  県では、環境面、経済面で持続可能な脱炭素社会を構築するため、高い省エネルギー性能を有した県産材住宅への支援を実施しておりまして、今後も、林務、建設両部が連携の上、積極的に推進してまいりたいと考えております。  また、消費者の皆さんに県産材のよさを知っていただくため、多くの県民の皆様が利用する商店や銀行などの商業スペースやコミュニティーセンターなどの公共スペースの木質化を支援しているところでございます。  現在、外材の価格が高騰する中、今まで県産材を利用してこなかった住宅関連事業者などに対しては、県産材の新たな需要先と捉え、県産材に関する情報の発信や供給側の窓口の紹介などの取組を行ってまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私にはウェルビーイングを県の各種計画に取り入れてはどうかという御質問であります。  ウェルビーイングとは、一般的には、身体的、精神的、社会的に良好な状態が持続することを意味する概念とされており、幸福というふうに翻訳されることが多い言葉でもあります。  御質問にもありましたように、今般閣議決定されました骨太方針には、「政府の各種の基本計画等について、Well-beingに関するKPIを設定する。」というふうにされています。  内閣府が公表しております「満足度・生活の質を表す指標群」においては、可処分所得金額、健康寿命、保育所待機児童数などの指標が設定されております。こうした指標は、本県のしあわせ信州創造プラン2.0においても、暮らしの豊かさを測る指標として、重点目標や関連目標という形で盛り込んでいるところであります。  経済的な豊かさだけではなく、社会の豊かさ、人々の生活の質、満足度、こうしたことに注目していくことはこれから大切な視点だというふうに考えております。  今後、県の様々な計画における目標設定の際には、こうしたことを十分意識して取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)まず、公共配布カードについてですけれども、取組のほうは幾つかしていただいておりますけれども、やはり観光という部分でもっと利用していただきたいです。観光では、キーワードのように、あるものを掘り起こしてとか、点ではなく線で、面でと言いますけれども、この公共配布カードはまさにあるものであり、点と点を結ぶものであると考えます。種類別とか地域別とか様々なグループ分けを行うことでコレクター心をくすぐることができると思いますので、強く提案をいたします。  続きまして、県産材の利用について御答弁いただきました。住宅事業者に関しては、情報を発信して、使っていただくように取り組みたいというようなお話がありましたけれども、現状は、やはり取組はなかなか進みません。理由は、安いとか、種類があまりないといったような話もありました。事業者がそういった投資ができるように、県のほうでぜひ応援をしてほしいです。出口をしっかりとつくるといった取組をしていただきたいというように思います。県産材の利用について、単独で事業化をしていただければと思います。  今、森林整備もF・POWERも前に進んでいないということを真摯に受け止めて、県産材利用促進の事業を、申請書類の簡素化も含めてぜひ検討していただきたいと思います。  最後に、ウェルビーイングについてです。  知事から御答弁いただきました。意識をして取り組んでいくと、そういったような話があったかと思います。  しあわせ信州創造プランということで、既にタイトル自体に幸せを望んでいる長野県ということが示されているかと思います。それぞれの指標ごとになるかと思いますけれども、そういったところで県民の幸せにどうつながるのか、そういった観点をこれから作成するだろう次の総合計画に取り入れていただきたく、提案を申し上げます。  まだまだ新型コロナとの闘いは続いております。関係する皆様に心から感謝申し上げ、一切の質問を閉じます。 ○副議長(清水純子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時22分休憩          ──────────────────         午後2時38分開議 ○議長(宮本衡司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  熊谷元尋議員。       〔1番熊谷元尋君登壇〕 ◆1番(熊谷元尋 君)熊谷元尋です。初めに、リニアバレー構想についてです。  これまで、伊那谷自治体会議では、リニアバレー構想実現のための基盤整備として、JR飯田線への乗換新駅設置について検討されてきました。  乗換新駅については、請願駅という位置づけで、設置費用は地元負担と言われてきましたが、地元の範囲はどこまでか。費用負担はどうなるのか。JR飯田線の運行は1時間に1本、リニアも1本ということであれば、使い勝手が悪いなど懸念する声は当初からありました。しかし、疑問が解消されることはなく、伊那谷自治体会議では、飯田市からの乗換新駅に関する提案内容を了承し、JR東海に対して正式に協議を求めることも確認されてきたと理解しています。  そこで、伊那谷自治体会議では、乗換新駅に関してどこまで具体的な検討が行われたのでしょうか。また、これまで、乗換新駅は必要だという考えが共有され、検討を続けてこられたのでしょうか。田中リニア整備推進局長にお伺いいたします。  次に、2月9日に伊那谷自治体会議が開かれ、会議では、飯田市長から、乗換新駅ありきではなく、既存の元善光寺駅とリニア長野県駅を新しい交通システムを導入して接続する方法を研究し、その成果も踏まえて比較検討するといった趣旨の発言があり、出席者からは異論なく了承されたと伝えられています。  しかし、飯田市長からの新たな提案は、比較検討とはいいながら、一般的には乗換新駅は中止と理解されています。私は、飯田市長が乗換新駅は中止しますと言ったので了承しましたということでは、伊那谷自治体会議としての責任は果たせないと思いますし、伊那谷自治体会議として乗換新駅について何らかの振り返りが必要だと考えます。  また、伊那谷自治体会議では、今回、飯田市長からの新たな提案がなければ乗換新駅構想の検討は継続されたと思います。今後、乗換新駅と飯田市長からの新たな提案が比較検討された結果乗換新駅構想が再浮上することはないと思いますが、この問題は、飯田市が調査研究をするので飯田市だけの問題というわけではなく、上伊那地域と長野県駅をどう接続するのか、伊那谷全体の課題であり、さらに広域的な2次交通を考える上でも重要な課題です。私は、伊那谷自治体会議の中で、県の知見も交えて方向性を出すべきと考えますが、伊那谷自治体会議の関わりについて田中リニア整備推進局長にお伺いいたします。  次に、リニアバレー構想には、企業の中枢機能のバックアップ施設の受皿を目指すとあります。  私は、以前、都内にある大手企業の方から、リニア中央新幹線を利用すれば短時間での移動は可能ですが、それは平時のときであり、災害時にリニアが止まれば短時間でバックアップ施設には行けなくなります。リニア中央新幹線が通るということだけではバックアップ施設を南信州地域に設けることは難しく、可能性があるとすれば、バックアップのバックアップではないですかと指摘されました。ちなみに、その企業では、バックアップ施設は都内に設け、バックアップのバックアップ施設を北九州に設けているそうです。  私は、コンサルタントなどの話だけでなく、東京や名古屋等の企業経営者など現場の意見を聞いて取組に反映させるべきと考えますが、受皿をどう実現させるのか、田中リニア整備推進局長にお伺いいたします。  次に、リニアバレー構想は、策定から5年ほど経過します。これまで実現できたこと、成果は何ですか。  また、昨日の佐々木議員への答弁の中で、リニアバレー構想の見直しについて言及されました。私は、リニアバレー構想は、社会状況等の変化を踏まえ、柔軟に対応することが大切で、リニア中央新幹線の開業時期も不透明な中、構想を練り直すリセット感覚が必要と考えます。そこで、リニアバレー構想の見直しはどの程度を考えていらっしゃるのでしょうか。また、経済団体との意見交換を行っているようですが、市町村との関わり及び見直しのスケジュールについて、見解を田中リニア整備推進局長にお伺いいたします。  続いて、スポーツ合宿についてです。  長野県では、2016年にスポーツコミッションが設立され、長野県におけるスポーツツーリズムの推進による観光市場の創造を目指し、その実現に向けて、スポーツ大会やイベントの誘致、スポーツツーリズムの振興及びナショナルチームの事前合宿の誘致等に取り組んでいます。つまり、スポーツ大会やスポーツ合宿の誘致を地域経済の活性化につなげようというものです。  ところで、長野県スポーツコミッションの会員には多くの市町村が名を連ねていますが、中には会員になっていることを知らない市町村もあります。私は、市町村名だけを出していても意味がなく、もっと市町村や民間企業との連携、そして県民を巻き込んで取り組むことが大切と考えますが、今の体制で十分に機能しているのでしょうか。これまでのスポーツコミッションによる取組の成果、特に地域経済の活性化につながっているのかを併せて渡辺観光部長にお伺いいたします。  また、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿と交流については、新型コロナウイルス感染症の影響により中止する自治体が出ていますが、県内の状況を渡辺観光部長にお伺いいたします。  次に、スポーツ合宿等で長野県を訪れていただくことは、県のスポーツ振興だけでなく、交流人口やつながり人口の増加にも寄与すると思います。スポーツ合宿を推進するには、県と市町村の連携が必要です。例えば、東御市では、東京オリンピック・パラリンピックに向けた合宿の効果もあり、令和2年度の実績で、水泳が1,500泊、陸上が3,600泊、令和3年度は、水泳が9月分までで3,800泊、陸上が10月分までで4,000泊の要望があるそうです。今後は、国内に加え、海外のチーム等の合宿誘致にも力を入れていきたいということで、県にも海外向けにPRしていただきたいとおっしゃっています。  また、下伊那郡売木村は人口500人ほどの村ですが、「走る村」をキャッチフレーズに、清水村長を先頭にスポーツ合宿の誘致に取り組んでいます。売木村でのスポーツ合宿は、2018年度は2,880人、2019年度は3,105人と順調に伸びてきましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年度は1,433人に減少したそうです。売木村では、イベントや合宿を担当する職員は1人だそうです。県に対して人的な支援を求めるとともに、他県で行っているように県のホームページ等で県内におけるスポーツ合宿のPRをしていただきたいとおっしゃっています。  全国的にスポーツ合宿で有名な菅平高原では、観光協会事務局にお聞きしたところ、夏季合宿で訪れたチーム数は、平成30年度が1,019チーム、令和元年度は1,037チームでしたが、令和2年度は70チームと激減したそうです。今後、スポーツ合宿に来られるチーム等にPCR検査等を受けてもらうことができれば選手も受入れ側も安心できるので、検査に対する補助及びスキーの修学旅行やスポーツ合宿における旅費等への補助を検討していただきたいとおっしゃっています。  そこで、県内におけるスポーツ合宿の現状と課題をどのように把握されていらっしゃるのか。また、スポーツコミッションは、大きなスポーツ大会やナショナルチーム等の事前合宿だけでなく、県内でスポーツ合宿を希望しているチーム等を市町村に紹介するなど、国内チームのスポーツ合宿を強化する必要があると考えますが、市町村との連携を含め、どのようにスポーツ合宿を推進していかれるのでしょうか。渡辺観光部長にお伺いいたします。       〔建設部リニア整備推進局長田中衛君登壇〕 ◎建設部リニア整備推進局長(田中衛 君)私には4点御質問をいただきました。  まずは、伊那谷自治体会議における乗換新駅の検討経過に関するお尋ねでございます。  平成28年9月に開催された伊那谷自治体会議において、飯田市から新駅設置検討の表明があり、同市が主体となり、駅位置などの検討を進めることとなりました。  また、平成29年11月の伊那谷自治体会議では、飯田市が中心となり、請願駅としてJR東海と協議を進める旨の確認をし、同市において平面曲線や縦断勾配といった新駅設置に必要な実施基準の調査研究を実施してまいりました。その後、検討を進めた結果、令和3年2月の伊那谷自治体会議において、乗換新駅は施設整備という固定的費用が課題となるため、整備費用が固定化されない新しい交通システムを考慮した接続方法を検討していくという方針が飯田市から示され、今後も検討状況を伊那谷自治体会議に報告することとなったところです。  次に、乗換新駅に係る伊那谷自治体会議の関わりについてのお尋ねでございます。  令和3年2月の伊那谷自治体会議における飯田市の提案に対し、参加されたメンバーからは、飯田線とのアクセスは、乗換新駅の有無にかかわらず十分に活用する必要がある。その上で、2次交通として最も優位なものは何かということを検討すべきという意見や、観光では飯田線が必要となってくる。飯田線の在り方を含めて検討していく必要があるといった意見が出されたところです。  伊那谷自治体会議では、今後も検討状況の報告を飯田市から受け、方向性を共有し、飯田線との接続や2次交通、飯田線の活性化など、県や各主体が行う検討に反映させていく予定です。また、県といたしましては、飯田市に対する技術的な助言及び国の動向や全国の先進事例など、新しい交通システムに関する情報提供を行いながら、駅利用者に配慮した2次交通の形成に向け、一緒に取り組んでまいります。  次に、リニアバレー構想における企業の中枢機能のバックアップ施設の受皿についてのお尋ねでございます。  リニアバレー構想におきましては、大規模地震などの発生リスクが高まる中、伊那谷が首都圏と中京圏の中間に位置する地の利を生かし、企業の中枢機能のバックアップ施設などの受皿としての役割を目指すこととしています。  災害時においても企業がバックアップ機能を確保し、安心して業務を継続できるようにするためには、ライフライン、通信、交通が確保され、持続的な経済活動ができるような災害リスクの低い地域づくりに取り組んでいく必要があると考えております。  今後、企業誘致や本社機能移転の促進に当たっては、企業の的確なニーズの把握に努めるとともに、伊那谷地域が首都圏や中京圏の企業から選ばれる受皿となり得るよう関係部局が連携し、防災・減災対策やエネルギーの自立の取組など安全、安心な付加価値の高い地域づくりに努めてまいります。  次に、リニアバレー構想のこれまでの成果と見直しについてのお尋ねでございます。  リニアバレー構想を平成27年度に伊那谷自治体会議で策定して以降、リニア開業を見据えた地域振興に向けて様々な課題に取り組んでまいりました。こうした取組の成果として、中央アルプスの国定公園化、エス・バードの体制整備、座光寺スマートインターチェンジの供用など、地域振興を支える基盤整備が着実に進展してまいりました。  その一方で、構想の策定から5年がたち、アフターコロナ、DX、ゼロカーボン、働き方、暮らし方など顕在化してきた社会経済情勢の変化を踏まえ、より実効性のある取組となるようリニアバレー構想の見直しに着手したところでございます。  見直しに当たっては、経済団体など関係団体、関係市町村などと意見交換を実施するとともに、アフターコロナなど社会的変化による課題整理を行い、見直しが必要な事項や役割分担を検討した上で本年度中の改定を目指してまいります。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)スポーツコミッションにつきまして3点お尋ねをいただいてございます。  まず、スポーツコミッションの取組でございます。  長野県スポーツコミッションは、設立以降、県内市町村にも加入のお声がけをし、現在、市町村やスポーツ団体等76団体で連携を深めながら東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿をはじめとする合宿誘致に取り組んでまいりました。東京を含め3名の誘致推進員を配置しており、マッチング支援等をしております。こうした実績、誘致効果を市町村を含め幅広く発信し、誘致効果を上げてまいりたいと、このように考えてございます。  取組の成果でございますが、海外チームの事前合宿等につきましては、精力的に視察の受入れを行った結果、これまでに10件、延べ宿泊者数1,775人となったところでございます。また、今後行われる東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿については、7か国の受入準備が進んでおります。  また、国内合宿の実績につきましては、令和元年度、延べ宿泊者数1万4,350人となり、スポーツコミッションを設立した平成28年度と比較して約120%となってございます。地域経済への一定の波及効果があるものと認識してございます。  続いて、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿と交流の状況についてでございます。
     県内では、4市2町で7か国の受入準備が進められております。また、当初予定していたものから中止になったものは3か国ございまして、その理由といたしましては、出場権が得られなかったもの、コロナの影響で事前合宿の日程が取れなくなったものなどというふうにお聞きしております。  交流につきましては、選手と見学者との距離を十分に取った公開練習の見学やオンラインを活用した対話等、感染症対策に配慮した取組が受入れ自治体で予定されているとお聞きしてございます。  最後に、スポーツ合宿の推進でございます。  まず、現状と課題でございますけれども、国内のスポーツ合宿につきましては、現在、新型コロナウイルス感染症の影響により積極的な誘致が困難なこと、また、集団生活となるため、利用者、事業者の双方の徹底した感染防止対策が必要なことなどの課題もございまして、厳しい状況が続いているものと認識しております。  今後の推進策でございますが、議員から何点か例を挙げていただいております。  これまで、スポーツコミッションでは、事前合宿誘致に重点的に取り組んできており、これまでの蓄積したノウハウを活用し、海外を含め、効果的なPRを市町村と連携して行い、誘致に取り組んでまいります。  また、人的PR支援につきましては、誘致推進員により、市町村の御要望を踏まえたマッチングを促進するとともに、県ホームページにおいて施設情報を充実させるほか、SNS等でも発信してまいります。  合宿への支援につきましては、本年度、安全・安心な修学旅行等サポート事業に新たに合宿を追加することとしたところでございます。感染リスク低減に追加的に係る費用を負担することで誘致を促進してまいります。  こうした政策を有機的に組み合わせ、市町村と連携し、スポーツ合宿誘致を推進してまいります。  以上でございます。       〔1番熊谷元尋君登壇〕 ◆1番(熊谷元尋 君)リニアバレー構想の成果について答弁がありました。  どちらかといえば、基盤整備、いわゆるハード部分の成果というようなことだというふうに思いますけれども、この問題点は、そもそも住民の皆さんにリニアバレー構想という名前自体が余り知られていないというようなこと、また、内容についても十分な情報が伝わっていないというようなことにあるんじゃないかというふうに思います。  今日、成果として上げていただいたこういったことについて、これもリニアかというようなハード面の整備もあるというふうに思っております。ホームページ等でもこのリニアバレー構想が上げられておりますけれども、非常に分かりにくいし、あまりおもしろくないというようなことで、もっと住民の皆さんにも興味を持っていただけるような、そして、この会議で検討するだけではなく、スピード感を持って前に進める、そういったことが必要だというふうに思っております。その点について再度田中リニア整備推進局長にお伺いし、私の質問を終わります。       〔建設部リニア整備推進局長田中衛君登壇〕 ◎建設部リニア整備推進局長(田中衛 君)リニアバレー構想に関する周知に対する御質問をいただきました。  議員おっしゃるとおり、リニアバレー構想というものが地域の方々、住民の方々に十分周知されていないといった御懸念は十分承知いたしました。地域振興を行うためには、やはり住民の方々がリニアの開業に向けて一緒になって取り組む、そういったことが非常に大事だと思っております。今後の取組を進めるに当たっては、そういった構想が地域の方々にも十分周知されて、一緒にやっていけるような取組になっていくように努めてまいりたいと考えております。 ○議長(宮本衡司 君)次に、大畑俊隆議員。       〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)自由民主党県議団、木曽郡選出の大畑俊隆でございます。それでは、通告に従いまして一括して質問をいたします。  まず、コロナ禍における観光戦略とアフターコロナを見据えたその戦略についてであります。  このコロナ禍の日本経済から観光業を見ると、令和2年度の実質GDPは、個人消費や設備投資の不振で前年度比4.6%減と、リーマンショック時の3.6%を超す戦後最大の落ち込みとなりました。  また、この3月期の上場企業の決算発表によると、旅行業大手のJTBが過去最大の赤字幅1,052億円を出したことは、コロナ禍にあえぐ観光業界の苦境をあらわにし、業界のみならず経済界全体に大きな衝撃を与えました。  2021年の1月から3月期は、1月に2度目の新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が発令され、宿泊業、飲食、そしてサービス産業は冷え込み、個人消費は前期比1.4%減となり、観光業は、特にインバウンドを受け入れることが全くできず、国内移動も制限されたため、大きな打撃となりました。  また、感染拡大を受けて、政府の観光支援策Go To トラベルが、遠距離及び人の往来により感染が拡大するとの懸念から、7月から始めたこの施策が全国一斉に一時停止の方針が出されたことで観光関連の事業者に大きな影響が出ました。  コロナ前までは、県が積極的にインバウンド施策・戦略を講じながら、山岳リゾートの活性化に重点を置き、スノーリゾートの誘客やグリーンシーズンのマウンテンリゾートの発信に努めてきたことは大いに評価でき、また、長野県の観光ブランド力やグレードアップに大きな力を与えてきました。  しかしながら、昨年来、このコロナウイルス感染拡大によりインバウンドの受入れができない状態が続き、また、国内の人の移動が制限されたことから、観光業のダメージは大きく、経営難に陥る事業者が増え、つい最近、木曽地域でも、老舗旅館が3億円規模の負債を抱えて倒産したばかりで、地域に与えた影響は大きく、地元に衝撃が走りました。  そうした状況の中で、観光関連支援策については、この6月補正予算において、県民支えあい観光需要喚起事業へ55億1,500万円余、信州安全・安心な宿魅力向上事業に22億610万円余、そして、山小屋の公益的機能応援事業に4,080万円余の予算が提案されました。これらの事業は、宿を支援することにより関連事業者も同様に再生していくための施策と考えますが、アフターコロナの観光を考えるとき、事業者への施策が効果的な支援につながったかが重要であります。  そこで、このコロナ禍にあって、県は様々な施策を打ち出してきましたが、本県の観光の課題として見えてきたものは何か。また、その課題解決のために事業者に対して行ってきた支援策をどう評価しているのか。そして、6月の補正予算に計上した支援事業にどのような効果を期待しているのか。以上、渡辺観光部長にお伺いいたします。  ワクチン接種の普及等により感染症が落ち着いた世の中、いわゆるアフターコロナにおいては、大規模イベントの効果的な誘客PR施策や行政に頼らない自立した事業者の育成が重要と考えますが、県が取り組むべき施策はどのようなものを考えているのか。渡辺観光部長にお伺いいたします。  昨年初めて発令された緊急事態宣言と今回の宣言において都道府県をまたぐ移動について自粛を求められたことで、マイクロツーリズム、つまり、地元や1時間から2時間程度の近郊からの短距離の旅行が観光業を救う鍵と言われてきました。  旅行者のマイクロツーリズムを強化することで感染リスクを低減させるのも一つの考えではありますが、時間と旅行メンバーの属性によって感染リスクを低減させることが重要であると考えます。例えば、100人を1日泊まらせることよりも、50人を2日間泊まらせるほうが感染リスクは低減するわけで、時間でいえばより長く滞在してもらえるビジネスモデルを展開していくことが事業成立とリスク低減とのバランスから望ましく、また、属性という面からも、県でも行ってきた家族単位での旅行や一人旅で長時間滞在してもらうことが重要なわけです。  よって、長時間の滞在には、観光地にある様々な体験プランを造成し、広域的に結びつけ、面で対応していく、付加価値の高い観光がますます重要となってきます。そこで、グリーンシーズン及びウインターシーズンの自然豊かな魅力を有する本県の観光は、他県の比ではなく、本県の自然豊かな観光地では、長野県の持つアウトドアの限りない可能性を引き出していくための体験を取り入れた旅行商品を積極的に都市圏へPRしていくべきときと考えますが、渡辺観光部長に見解をお伺いいたします。  さらに、来年は、長野県を代表する大きなイベントとして全国から注目されている善光寺御開帳、諏訪御柱祭等が4月から開催される予定であります。ワクチン接種が順調に進み、来年の4月には全国的に感染が落ち着くことを期待するところですが、ワクチンが有効に機能する期間がはっきりしない現段階では、先のことはまだ何も見通せない状況かと思います。  そこで、県としては、今後、この大きな伝統的なイベント等について、感染対策の面からどのように関わっていくのか、また、オリンピック開催に当たっても問題となってきている観客の制限等についてどのように考えていくのか、阿部知事に見解をお伺いいたします。  さて、アフターコロナの観光において長野県として期待することは、何といってもインバウンドの復活であろうかと思います。2012年の政権交代以降、観光立国の実現に向けて、成長戦略の柱、地方創生の切り札としてインバウンドを積極的に受け入れ、2019年には3,188万人の海外からのお客様が来日し、世界で11位、アジアで3位と順調に推移してきました。インバウンドは、観光の成長率を伸ばしていく上で効果があり、その成長の中に新たな観光の取組が生み出される可能性を秘めています。よって、アフターコロナにおけるインバウンドについての受入れ準備を周到な計画を持って行うべきと考えます。  また、国内外の感染状況を見極めた上でのインバウンドの段階的復活を目指していくべきですが、海外の旅行会社が我々の国の事情を酌み取り、対応してくれなければ、ツアー等は成立しません。感染拡大がゼロでない中で観光を動かすには、自制的な行動が必須だということを関係各所が認識し、共有する者同士で観光を動かしていくことが重要と考えるところであります。  よって、国同士の政府レベルでPCR検査の要件を設定し、ツアー内容の選定に関する裁量権を地方自治体に付与するなど、安心、安全を担保した上でインバウンドをいかに早く動かすことができるかが全世界の課題となっているのが現状であります。  そこで、長野県のアフターコロナにおいて、インバウンドについてどのような取組をされていくのか。また、インバウンド復活のための受入れまでの計画を各観光地と連携を持って策定すべきと考えるが、いかがか。さらに、各観光地に対して、そのグレードアップと充実を期すための観光人材の確保、多言語対応、Wⅰ-Fi整備等の強化支援策を今まで以上に積極的に講じていくべきと考えるが、渡辺観光部長に見解をお伺いいたします。  また、反面、国内観光の促進をより一層図るべきと考えます。令和元年度の観光白書を見ると、国内旅行消費額は、日本人観光によるものが82.7%で、インバウンドが17.3%、金額ベースでは、観光消費額全体では26兆1,000億の市場で、うち4兆5,000億がインバウンドであるということから、観光マーケットの中で国内旅行、観光はないがしろにできないわけであります。  この数字からも、日本人の国内旅行の需要喚起の重要性は明らかであり、インバウンドの4.5兆円を上回る4.7兆円の日本人の日帰り市場もあり、この市場も十分視野に入れた国内旅行の掘り起こしを図るために、安売り観光地にならない商品造成など稼げる観光地づくりを市町村と共に取り組むべきと考えるが、渡辺観光部長の見解をお伺いいたします。  日本の感染症対策やワクチン接種の対応について、ICTの遅れが先進諸国の中でも目立つ中、今後のDX戦略において、観光面では長野県がそのリーダー役になってほしいところであります。  観光DXは、データ収集と今までの業務の見直しにより、デジタル技術を通じて顧客体験の向上や収益向上を図ることを目標にしていかなければなりません。また、プロモーションの方法やサービスなどに活用することで顧客の嗜好に合わせたコンテンツの提供ができるため、観光DXは、今後世界から人を呼び、様々なデータから顧客満足度を上げていく方法を見いだす有効な武器となってきます。  観光DXの可能性は大きく、観光アプリの開発が進むことでスタッフはおもてなしに注力でき、国内外の方々がストレスのない旅を満喫し、顧客との接点をつくり出し、スマホ1台で全てが完結する旅も可能になります。  そこで、観光分野におけるDX活用について県はどのような方向性を描いているのか。また、各観光地が共にレベルアップをして、より多くの観光客に来ていただくために観光DXをどのように進めていくのか。渡辺観光部長にお伺いいたします。  国の施策であるGo To トラベル事業は、当面の観光事業の回復を支える国内旅行の需要喚起を行う事業として、安全で安心な旅のスタイルを普及、定着させることを目的に行われた事業であった。  2020年の7月22日から一時停止まで、少なくとも約5,260万人泊の利用があり、地域共通クーポン券取扱店舗数は35万店舗を超え、宿泊業のほか、地場のお土産店、飲食店、観光施設まで波及効果があり、地域活性化に資する事業となりました。  木曽路中山道観光においても、ここ数年インバウンドでにぎわっていた妻籠宿がGo Toトラベル事業による日本人旅行者で活況を呈していたことからも、この事業効果は大きかったのであります。しかしながら、感染拡大要因として、世論はこの事業をやり玉に上げるようになり、現在まで事業は停止中となっています。  批判当初はGo To トラベルと感染拡大を結びつける直接的なエビデンスはないとしていましたが、逆に、感染拡大にはつながっていないエビデンスを示すこともできず、世論に押される形で事業停止となりました。よって、Go To トラベルの問題点の一つは、このエビデンスを示せなかったことにあります。  今回県が取り組むとしている県内旅行を対象とした観光需要喚起策は、地域の観光関連事業者にとって大変有り難い話であります。一方で、インバウンドや県外客を主に受け入れてきた地域にとっては、県内から訪れる観光客だけでは経営を維持していくには限界があり、県外からの誘客を望む声があることから、全国展開されるGo To トラベル事業に対する期待感は大きいものがあります。  そこで、現在中断しているGo To トラベル事業について、県は国に対してどのような要望を行ってきたのか。また、今後、全国的にワクチン接種も進み、感染が収束に向かう期待もある中で、国に対してGo To トラベル事業の早期再開と事業を停止する際に説明責任を果たすよう要望していただきたいが、阿部知事の所見をお伺いいたします。  続きまして、コロナ禍の森林・林業経営の実態と今後の在り方についてであります。  このコロナ禍において、第3次ウッドショックとして、米材、欧州材の輸入量が激減し、国内の需給バランスが崩れ、全国的に林業、木材・住宅産業が前代未聞の混迷状態に陥っています。  コロナ禍で起きたこのウッドショックにより、国内林業における問題点が一挙にクローズアップされました。それは、輸入材依存がもたらした国産材サプライチェーンの脆弱さと、今後国産材高騰がもたらす新たな林業の転換期への対応であります。  従来、輸入材である外材主体で加工、建築していた製材、プレカット、住宅産業には大きな影響を与えていますが、外材が足りない部分は国産材で賄う動きがあるものの、山側の動きは、このバブルのような状態がいつまで続くか疑心暗鬼の状態で、前倒しの伐採などの動きは少ない状況にあります。これにより、プレカット業での減産や住宅の竣工延長など、大きな影響が出ている状況があります。  そこで、県内の林業、木材・住宅産業において、この輸入材価格の急激な高騰と品不足により県内林業、木材・住宅産業はどのような状況にあり、また、今後の対策をどのように考えていくのか。井出林務部長にお伺いをいたします。  また、カラマツ等県内産の需要が大きくなってきており、杉、ヒノキの柱・土台取りサイズは2倍近くで取引されているため、輸入材のシェアを取り返し、県産材が大きく市場参入する絶好のチャンスでありますが、素材生産業、製材業ともに増産の量は限定的であります。なぜならば、これらの最大の原因は人手不足、技術者不足と聞いています。  そこで、この点について、今まで林業を斜陽産業として捉えてきたものを、今後の脱炭素社会やグリーン社会、そしてスマート化された林業という新たな成長をもたらす産業として位置づけ、各地域の林業をこの機にしっかりと変革させていく抜本的な新たな取組を県としても推進させていくことが必要となってきます。それには、県として、今まで以上に林業従事者の育成と確保をしていく施策を積極的に講ずべきと考えるが、いかがか。  また、輸入材に依存しない、地域材を利用した森林・林業、木材産業を目指していくことが必要と考えるが、井出林務部長の見解をお伺いいたします。  最後に、今後の森林・林業において、消費者のニーズや地域の現状を的確に把握した上で地域材のサプライチェーンマネジメントを形成する取組など、地域の林業、木材産業、いわゆる川上から川下までコーディネートできる人材の育成が重要であります。  また、適任者がいない場合には、優秀なコンサルタント人材を派遣する支援策の構築など、森林税、森林環境譲与税を活用した弾力的な人材育成確保の施策が必要と考えるが、井出林務部長の見解をお伺いいたします。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には大きく8点の御質問をいただいてございます。順次お答え申し上げます。  まず、本県観光の課題についてでございます。  首都圏等の度重なる緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が発令され、旅行需要が激減したことなどによりまして、観光消費額の8割を占める県外需要の落ち込みを緩和する県内需要の掘り起こし、また、施設等の固定費に加え、感染防止対策等の追加経費負担、キャッシュレス等非接触型システムの導入加速化などが挙げられるところでございます。  次に、支援策の評価についての御質問でございます。  これまで、感染が落ち着いている時期に宿泊割を実施した結果、約34万人泊の需要を喚起いたしました。また、感染拡大時の対策としては、本年度、信州の宿県民応援前売割を創設し、売上総額は約2億円となってございます。  修学旅行につきましては、安全・安心な修学旅行等サポート事業を実施し、昨年度、小中高合わせまして、県内176校、県外25校を誘致してございます。こうした中で一定の効果があったと考えているところでございます。  次に、6月補正予算案の事業に期待する効果等についての御質問でございます。  先ほど答弁いたしました課題に対応すべく、宿泊・日帰り旅行代金の割引等による県内需要喚起、ワーケーション設備などのアフターコロナを見据えた施設整備の進展、消毒液配置等による感染拡大防止対策の徹底を図るために補正予算を計上したところでございます。これらによりまして、安全、安心な観光地づくり、事業者の収入確保、将来の誘客につながることを期待しております。  次に、アフターコロナ時代の観光施策についてのお尋ねでございます。  まず、PRの関係でございますが、コロナ禍において急速に普及したデジタル環境を活用し、SNSやデジタルサイネージの活用によりタイムリーな観光情報の発信、また、事前体験が可能なオンラインツアーの実施など、デジタルと観光の組合せによる効果的な誘客PRに取り組んでまいります。  また、事業者の育成については、専門人材の派遣等により、県や観光機構等が有するデータを踏まえたコンテンツの磨き上げ支援、人材育成や経営課題の解決、研修開催による先進事例の導入支援などに観光機構と連携して積極的に取り組んでまいります。  次に、体験観光の都市圏等でのPRでございます。  本県の強みである多彩なアウトドアでの体験観光は、コロナ禍において注目を集めているところでございます。  昨年は、ラフティングやスキーなどのアウトドア商品について、体験観光等で使える観光クーポン券の販売、専用サイトにおきましてアクティビティー料金の半額割引などを実施するとともに、県内外の主要新聞社、テレビ、ラジオ等へ情報発信を行ったところでございます。  本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえながらではございますけれども、自然分野における関係団体と連携いたしまして、専門ガイドと一緒に行く自然公園ツアーなど特別な体験ができる商品造成を進めるとともに、メディア体験ツアー、県公式観光サイトや県外事務所を通じて都市圏等へプロモーションを実施してまいります。  次に、インバウンドについての御質問でございます。  アフターコロナのインバウンドの取組についてでございますが、海外におきましては、自然や歴史文化体験に関するニーズが高まっているため、中山道など外国人に人気のある素材を組み合わせたコンテンツの造成を進めるとともに、オンライン商談会の開催や県ホームページの充実などデジタルプロモーションを強化してまいります。  各地域と連携した計画策定についてでございます。  市町村や観光事業者などとの連携を図るため、毎年、その時々の実情を踏まえ、実施計画を策定しているところでございます。インバウンド再開も見据え、今後も観光事業者や地域の御意見をお聞きしながら計画を策定してまいります。  また、観光地の受入環境の強化支援についてでございます。  引き続き観光事業者の資質向上のための研修会の開催などを実施するとともに、6月補正予算に計上しました事業を活用しまして、非接触チェックインシステムの導入など新たな取組を支援し、インバウンドの受入れを含め観光地の環境整備を進めてまいります。  稼げる観光地づくりについての御質問でございます。  先ほど小池久長議員にお答えしたとおり、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針では、稼ぐ観光地域づくりの実践を掲げているところでございます。こうした方針を市町村と共有しながら、安全,安心な観光地づくりや新たなニーズを取り込んだ商品造成を連携して進めており、コロナ後を見据え、取組を加速させてまいります。  また、観光地の稼ぐ力を引き出す重要な基盤であります地域DMOなどが,市町村圏域を超え、地域一体で取り組む広域型DMOの創設につながるよう、市町村や県観光機構と連携して取組を進めてまいります。  最後に、観光分野におけるデジタルトランスフォーメーションの方向性と進め方でございます。  昨年7月に県が策定しました長野県DX戦略に基づきまして、観光分野においては、新型コロナの感染リスクの軽減も考慮し、まずはキャッシュレス決済の導入に注力していくこととしたところでございます。  進め方といたしましては、デジタルインフラ整備のモデルとして、重点支援型広域DMOである一般社団法人HAKUBAVALLEY TOURISMが取り組むキャッシュレス化、Wⅰ-Fi環境の整備を支援し、将来的に県内全域に横展開をしてまいります。  また、県公式観光サイト「Go NAGANO」に消費者データの取得から分析結果の提供までを一貫して行うプラットフォームを整備し、各地域の観光戦略を支援してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)観光に関連して2問御質問いただきました。  まずは、大きなイベントにおける感染対策にどう関わるのか、また、観客の制限等についてどう考えるのかという御質問であります。  コロナ禍におきましては、感染状況を踏まえて、感染対策を十分講じていただいた上でイベントを実施していただくということが大変重要だというふうに考えています。  御質問にもありましたように、来年は、善光寺の御開帳、諏訪の御柱という本県に多くの皆さんにお越しいただく大きなイベントが予定されているわけであります。コロナの感染が何とか落ち着いていい状況で迎えられることを期待していますし、感染拡大防止に努めていかなければいけないというふうに考えています。  その中で、まず大規模イベントにつきましては、現在の基準では、屋外開催の場合、観客数の上限はないものの、人と人との間隔を1メートル以上空けることや誘導人員を配置することといった感染防止策が必要になってきます。来年の状況によってはこの基準が変わってくる可能性もあると思いますけれども、国の考え方も踏まえつつ、必要に応じてどういう対応が必要か考えていきたいというふうに思っております。  全国的な人の移動を伴うイベント等につきましては、県としては、主催者等から事前に御相談をいただく形をこれまでも取っていますし、これからもそうした形で対応していきたいというふうに考えております。  今後、御相談をお受けする形になると思いますので、イベントの内容に沿った具体的な助言、必要な情報提供を行い、十分な対策の徹底を図っていきたいというふうに考えております。  続きまして、Go To トラベルについてであります。
     これまで、どのような要望を行ったのか、また、早期再開、そして停止をする際の説明責任を果たすよう要望していただきたいと考えるがどうかという御質問であります。  長野県における観光産業は極めて重要でございますので、これまでもGo To トラベルをはじめとする観光関連施策については、所管の赤羽国土交通大臣や蒲生観光庁長官に対して、文書あるいは口頭で再三にわたって様々な要請を行ってきているところでございます。  例えば、Go To トラベルに関連しては、昨年の7月の段階では、感染状況を踏まえた段階的な誘客対象範囲の拡大、そして、11月には、Go To 事業を見直しするに当たっては、観光関係者が混乱したり観光需要を急激に減少させないようにということで、急ブレーキをかけないようにという要請、また、12月の段階では、感染収束時にはGo To トラベル事業の再開を検討するようにと、そして、今年の1月には、Go To トラベル事業の画一的な実施が困難な場合には、地域に任せて実情に応じた観光振興ができるよう当該事業の財源を我々都道府県に分配してほしいといったようなことを要請してまいりました。  こうしたことの成果として、前売り割をはじめとして、県が主体的に取り組む事業に対する国の支援策というものもできてきたところでございます。現在は、近隣4県の新潟、山梨、静岡と一緒に、感染状況に応じて近隣圏域での旅行も支援対象としてほしいということで国に要請を行っているという状況でございます。  御質問にありましたように、今後、感染が落ち着いてきたら、Go To トラベル事業を再開することをぜひ国において積極的に検討してもらいたいというふうに思います。  感染状況を見ながら、我々も、国に対して適宜必要な要請を今後とも継続的に行っていきたいというふうに思いますし、また、先ほど急ブレーキの話を申し上げましたが、事業者の皆さんは、やはり急にストップ、ゴーと言われてもなかなか対応が難しい部分がありますので、事業者や利用者に混乱をもたらすことのないよう分かりやすく適切な対応を国に求めていきたいというふうに考えています。  本県にとって、観光事業は非常に重要な産業であると同時に、地域の活性化、振興にとっても不可欠でありますので、引き続きこの観光振興について県としてもしっかり取り組んでいくと同時に必要な要請を行い、国とも連携して最大限の対応をしていきたいと考えております。  以上です。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)私には3点お尋ねをいただきました。  まず、輸入材価格の高騰、品不足による県内関係業者の状況と対策についてでございます。  このほど、県内の林業、木材・住宅産業の事業者に対してアンケート調査等を実施した結果、最も影響が大きいと考えられる住宅産業では、外材を主体に取り扱っている工務店での資材調達不安や契約及び着工の遅れが徐々に出始めているという回答を得ております。  製材業をはじめとする木材産業では、外材の代替として県産材への問合せや注文が増えている一方で、多くの事業者は、設備や原木調達の関係から直ちに増産することは困難という状況です。林業においても、県産材への注文が増えているものの、機械や労務の状況から即座に対応することは困難なため、増産を検討している事業者は約3割となっています。  県としては、今回の外材不足を県産材への転換のチャンスと捉え、新たな需要を確かなものとし、着実な増産につなげられるよう、林業、木材・住宅産業の需給マッチングを積極的に進めるとともに、中長期的には設備投資や人員増など林業・木材産業の足腰を強化するための支援を引き続き実施してまいります。  次に、林業従事者の確保育成と輸入材に依存しない森林・林業、木材産業についてでございます。  議員御指摘のとおり、林業従事者は減少傾向が続いており、林業従事者の確保と育成については重要な課題と認識しております。  現在、県の林業労働力対策の基本的な考え方や具体的な方策を定める長野県林業労働力確保促進基本計画について、現行計画が来年度末までとなっていることから、見直し作業に着手しております。森林資源が充実し、利用段階となっていることや、脱炭素社会を実現するためにも、林業の成長産業化が不可欠なことから、関係者との意見交換を重ね、実効性のある基本計画の策定と質の高い人材の確保育成のための施策の検討を進めてまいります。また、こうした質の高い人材が地域で活躍し、産業界が活性化することで、輸入材に頼らない森林・林業、木材産業の形成を目指してまいりたいと考えております。  最後に、林業、木材産業に係るコンサルタント人材の派遣についてでございます。  林業については、持続的な林業経営の確立支援事業によりまして、林業事業体が抱える個別課題に応じたオーダーメード型の経営改善等の取組を支援しておりまして、コーディネーターの育成やコンサルタントの派遣等の実績がございます。  木材産業については、令和2年度から県産材製品や販売の知見を有する県産材製品コーディネーターを3人配置し、都市部等での市場ニーズ調査や情報発信、県内木材加工事業者との商談の設定などにより、実際に千葉県内の公共建築物における県産材利用の実績等を上げております。  いずれの取組も、森林環境譲与税を財源としたもので、サプライチェーンマネジメントの形成にも資するものと考えておりますので、引き続き地域の課題を踏まえ、林業の発展と県内外に県産材製品を流通させるための取組を行ってまいります。  以上でございます。       〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)それぞれ御答弁いただきました。  長野県経済は、今後、半導体、医療器具、防災、ゼロカーボン等を軸に成長産業として位置づけ、投資をしていくことが重要と考えます。  そして、観光産業においては、将来にわたって長野県経済の中で潤滑油的な機能を果たし、その魅力を国内外に示していくことで、アフターコロナにおける成長につながっていくものと考えるところであります。  また、林業において、間伐及び主伐期を迎えた人工林の伐採、造林については、人が足りず、人材確保に向けた取組とその育成が今後の長野県林業の成否を決めると言っても過言ではありせん。長野県が率先して地球環境を守っていくという観点から、森林を守り、森林を生かすという強いメッセージと今以上のお取組を切にお願いするものであります。  そして、今後、県として、経済、福祉等々の人材確保については、問題を先送りすることなく、この課題については優先的にお取組をいただき、地方創生のあるべき姿を取り戻していくようお願い申し上げ、私の一切の質問といたします。 ○議長(宮本衡司 君)次に、和田明子議員。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)まず、新型コロナウイルス感染症の対策について伺ってまいります。  第4波でコロナウイルスが感染力の強い変異株に置き換わり、低年齢層での感染も増え、学校でもクラスターが起こってしまいました。さらに感染力が強い変異株が危惧されます。今後の感染拡大に備えるため、県は病床を434床から490床に増やすこと、北信に5か所目の宿泊療養施設を開設して治療体制を拡充することになりました。  コロナ受入病床を増やすためには、医師、看護師はじめ関係スタッフの確保が必要になります。また、ワクチン接種が、高齢者と併せて企業や64歳以下と、今まで以上にワクチン接種の医師、看護師、スタッフが必要となります。通常医療も担っていただくことなど、いずれも県民にとって欠かすことはできません。既に医療機関、医療従事者の負担は相当なものになっている状況の中で、両立させる見通しと県として行う対策について健康福祉部長にお伺いいたします。  医療関係者の皆様には、新型コロナウイルス感染症が確認されてから1年半、新規陽性者が急拡大し、圏域の病床が逼迫する事態にも懸命に御尽力いただいてきました。にもかかわらず、新型コロナウイルス感染症によって医療機関は減収し、経営面で医療崩壊につながりかねない事態があり、減収の実態を県として把握していただきたいと繰り返し求めてきました。  コロナの治療に当たって、医療機関では、様々な補助金等によりある程度補填ができたところもあると聞いています。しかし、実際には、多額の融資の返済を猶予してもらい、人件費カットと併せて経営を維持しているのが実情です。また、病院内でのコロナウイルスのクラスターにより入院、外来診療を停止し、コロナ対策の治療に専念したため、数億円の赤字になった医療機関もあります。そのほか、受診控えによる減収など、要因は様々です。  新型コロナウイルス感染症の1波、2波、3波、4波と、医療関係者は献身的な治療、地域で連携して医療の提供に御奮闘いただいています。これまで、県は、医師会や幾つかの病院から実態を聞いているとのことですが、医療機関の現状をどのように把握し、どう捉えているのか、健康福祉部長にお聞きします。  県から国に医療機関の経営支援を求めていただいているところと承知はしています。しかし、国は減収補填の立場に立っていません。県として何らかの支援が必要ではないかと考えています。医療機関の実態を把握して国に減収補填を求めていただきたいと思いますが、知事に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)新型コロナウイルス感染症対策について御質問を頂戴いたしました。  まず1点目、コロナ対応と通常医療の両立、さらにはワクチン接種のための医療人材の確保についての御質問でございます。  先ほど御指摘がございましたとおり、コロナ受入病床を今回490床に拡充させていただいたわけでございますけれども、一般医療と両立した医療提供体制の確保が必要でございます。医療機関の間での役割分担の徹底や後方支援病院の確保などにより医療従事者の負担が軽減されるよう取り組んでいるところでございます。  さらに、入院患者に対応する医療従事者等の処遇の維持や離職防止を図るために、医療機関が支給する特殊勤務手当への助成の継続などを通じてコロナ対応を行う医療機関の取組を支援してまいります。  また、先月末には、ワクチン接種を担う医療人材の確保に向けまして、県と医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会が共同会見を行いまして、一丸となって医療従事者の募集を行っているところでございます。とりわけ、ワクチン接種をはじめ、様々な医療現場で必要とされております看護職につきましては、長野県ナースセンターの人員体制を強化し、潜在看護師の掘り起こしを行い、再就職に結びつけるためのマッチング支援を実施しております。  以上のような対策を講ずることによりまして、各関係機関と連携しながら、必要な人材を確保できるよう努めてまいります。  次に、医療機関の経営状況についての御質問でございます。  新型コロナウイルス感染症に関する医療機関の経営状況につきましては日本病院会等が調査を行っておりますが、最新の令和2年度第4四半期の調査によりますと、医業利益について、コロナ患者を受け入れていない病院はほぼ前年度の水準への回復が認められたものの、受け入れている病院は対前年でのマイナスが継続しているとの分析がされているところでございます。  また、4月に行われた県内の新型コロナウイルス感染症に係る病院関係者との懇談会など様々な機会において、新型コロナウイルス感染症対応下での県内の病院の経営状況などについてお聞きしているところでございます。  受診控えなどによりまして状況は非常に厳しい反面、先ほど御質問の中にもございましたとおり、医療機関によって状況は異なるかと思いますが、空床確保料等の補助金によりまして一定程度の補填がされているということも伺っているところでございます。  こうした中で、新型コロナウイルス感染症への対応に係る経費といたしまして、今年度当初予算では172億円を計上しているところでございますが、今定例会におきましては、コロナ患者を受け入れている医療機関等に対し、医療体制を維持拡充するための設備の支援などに67億円の補正予算を計上しているところでございまして、今後とも必要な経営支援策を継続的に講じてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、医療機関への支援について御質問をいただきました。  県としては、コロナ患者の受入れに御尽力いただいている医療機関に対して、これまで、昨年度の実績で申し上げると、約177億円に及ぶ空床確保料や特殊勤務手当、そして、機器整備等の補助金等で医療機関の支援を行ってきているところであります。  また、医療機関の経営については、私も、コロナ禍にあっても、経営について医療機関が心を煩わすことなく向き合えるようにしっかりとした支援を行うよう国に求めてきているところでございます。こうした内容については、知事会からの提言の中にも反映されている状況であります。  今月18日に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針の中では、感染症患者を受け入れる医療機関に対し、減収への対応を含めた経営上の支援や病床確保、設備整備等のための支援について診療報酬や補助金、交付金による今後の対応の在り方を検討し、引き続き実施する旨が明記されております。  医療機関が経営上の不安を抱えることなく医療と向き合うことができるよう、こうした方針の具体化を期待しているところでありますし、県としても、医療機関の経営状況等をお伺いしながら必要な支援を引き続き行っていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)ぜひ引き続きよろしくお願いしたいと思います。  それでは、次に生理の貧困について伺ってまいります。  コロナ禍の下で、生理の貧困ということが顕在化しています。生理用品を軽減税率の対象にというキャンペーンから始まった団体「#みんなの生理」が、日本における生理の貧困の実態を明らかにすべくSNSで呼びかけてオンラインアンケートを実施しました。  過去1年で生理用品を入手するために金銭的理由で苦労したことがある若者の割合が20.1%に、また、過去1年以内に金銭的な理由で生理用品でないものを使ったことがあると答えた割合は27.1%、生理用品を交換する頻度を減らしたと答えた割合は37%でした。  このアンケート結果に、私は大変衝撃を受けました。経済的な理由で生理用品に苦労している実態と体への負担、さらに精神的な苦痛を受けている女性の問題にとどまりません。人間の尊厳、人権の問題として社会全体で向き合うことだと思います。  県内の自治体では、災害用備蓄品の生理用品を活用し、臨時的な配布をしていただいていたり、さらに、6月の市町村議会を通じて、保健室あるいはトイレに常備するなどの動きが出ています。  早期議決されたコロナ禍において不安、困難を抱える女性に対する緊急支援事業で、きめ細やかな相談支援を実施するとともに、生理用品の配付をするとしていますが、雇用や収入が不安定な状況に置かれ、孤立する女性を支援する施策をどのように進めていくのか、県民文化部長にお伺いいたします。  また、県立学校においては、生徒等の実情に応じた相談対応や生理用品の提供を実施するということでありますが、生理用品の提供の仕方は、まずトイレに生理用品を置いていただきたいと思います。誰でもトイレで用を足したときにトイレットペーパーを使うのは当たり前、それと同じように、トイレに生理用品があるのも当たり前、必要に応じて使えるように置いてほしいと思います。どうお考えか、教育長にお聞きいたします。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)孤立する女性を支援する施策をどのように進めるかとのお尋ねでございます。  新型コロナの感染拡大が長引く中、不安や困難を抱える女性に対する緊急支援として、新たに県社会福祉協議会やこども食堂を運営するNPO法人と連携した事業を実施してまいります。  この事業では、経済的困窮により生理用品の入手が困難な女性に対し生理用品を配付するとともに、これまで支援の届かなかった女性や子供を持つ女性に対し、寄り添った相談支援を行い、不安や悩みを抱える女性が社会的に孤立することのないよう取り組んでまいります。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)生理の貧困につきまして、県立学校の対応に関し、生理用品をトイレに設置してはどうかというお尋ねでございます。  生理の貧困に対しては、学校においても、子供たちの身近な相談場所としての機能を果たしつつ、必要な支援を行うこととしているところでございます。このため、生理用品が用意できなくて困っている子供たちに気軽に養護教諭等に声をかけてもらい、言葉を交わす中でその子供たちに生理用品を提供する仕組みとすることとしております。  先ほどの県民文化部長の答弁にありました経済的困窮により生理用品の入手が困難な女性に対する支援事業とも十分連携を図りながら、この取組を進めてまいりたいというふうに考えております。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)大分なくなったとはいえ、生理タブーとか生活困窮という、そういうことの中で、心理的な負担のハードルは、見えないものがまだまだあります。ですから、生理用品の配付については、それを必要としている生徒、女性の立場、その側に立って対応してほしいと要望しておきたいと思います。  次に、世界経済フォーラムにおけるジェンダーギャップ指数2021でも、日本は156か国中120位に低迷しています。最も遅れているのは政治分野で、147位、経済分野117位で、指導的地位に占める女性は少なく、政策決定の場に女性が参画できないでいます。決して日本の女性が他国に比べて能力が劣っているわけではないにもかかわらずです。  日本の女性の就労人口は増え続け、共働き世帯は専業主婦世帯の2倍。一方、男性の家事・育児参加時間は、世界の中で最低水準です。家事、育児は女性がすべきものという性別役割分担の面と、男性には男のくせにという偏見もあり、育児休業取得は遅れています。結果として、女性には家事、育児と仕事の負担が過重になり、男性同様の働き方を求められてもできない、女性が管理職になる機会が失われるという悪循環の一因になり、ジェンダーギャップ指数に現れています。  そのような状況の中、国会で、出生時育児休業、男性版産休を新設する改正育児・介護休業が成立しました。企業に対し、子供が生まれる従業員一人一人に育児取得を働きかけるよう義務づけることになりました。夫婦が協力して家事や育児を担い、安心して子育てできる環境の整備を後押しし、少子化に歯止めをかける狙いがあると言われています。  この改正に合わせて取材した番組はとても興味深いものでした。紹介します。  既に100%育休取得がされている企業は、私どもは難しいことはしていません。社員から子供が生まれると聞いたとき、いつ休むのと聞くだけですと。育休は当たり前のことと担当職員は語っていました。  また、実際に6か月間育児休暇を取得した男性は、家事や育児ができるようになった。育休を取ったことで、自分の将来、昇進などに影響が出るのではないかと不安を抱いたと。しかし、女性はいつもそのような状態に置かれてきたことも理解ができたと言っていました。  男性、女性とも、産休、育休を取得するために、意識を変え、理解を進めること、代替職員を含め、取得しやすい職場環境を整えることが必要です。そのことは容易ではありませんが、当たり前のこととなるよう取り組んでいただきたいと思います。県職員の状況と今後の対応について総務部長に伺います。  ジェンダーギャップの課題になっている政策決定の場に女性の参画が遅れていることに関してお聞きします。  第5次長野県男女共同参画計画が策定されたところですが、長野県男女共同参画推進本部は、知事を本部長に、副知事、関係部局長で構成されており、昨年度は女性は1名、今年度はゼロという現状になっております。この現状についてどう考えるのか、また、男女共同参画を推進するために、長野県男女共同参画推進本部長としての知事の見解をお聞きします。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)育児休業取得促進に向けた県職員の状況と今後の対応についてのお尋ねでございます。  令和元年度における県職員の育児休業の取得率は、女性職員が目標である100%を達成した一方で、男性職員の取得率は11.1%であり、平成28年度の8.4%に比べると、向上はしましたが、目標である20%を下回る状況でございます。また、育児休業を1か月以上取得した男性職員の割合は、令和元年度は50%であり、平成28年度には20%であったことに比べると、取得期間の長期化も進んできているところではございます。  職員が育児休業を取得する際には、原則として代替職員を配置することや、所属長がイクボス・温かボス宣言を行うことで率先して職場の意識を変えるなど、これまで育児休業を取得しやすい環境づくりに取り組んできたところでございますが、男性職員のさらなる育児休業の取得促進が課題であるというふうに認識をしております。  今後、対象職員への関係制度の周知はもちろん、所属長と面談の上で、男性職員が計画的に育児に向けた休暇等を取得する男性職員の子育て計画書の作成を徹底させるなど、職場の理解を得るための取組を引き続き進めながら、男性、女性問わず、職員が育児休業を一層取得しやすい意識改革、それから職場環境づくりに取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)県の男女共同参画推進本部に女性がいないことの認識についての御質問であります。  この本部は、県の組織を挙げて男女共同参画を進めようというものでありますので、県の部局長級の職員以上で構成をしております。様々な部局の政策に男女共同参画の視点を入れていこうという観点で設置している本部でありますので、女性の数が少ないということ、あるいは女性がいないということで直ちにその機能が果たせないというものではないというふうに思っています。むしろ、問題は、県の幹部職員に女性が少ないということが課題だというふうに思います。  ただ、私は知事になってから約10年ですけれども、課長級以上の管理職は、平成22年4月の段階で19人だったものが、この4月には78人まで増えてきておりますので、もう少しで部長級の職員も輩出できる形になってくるというふうに思います。引き続き女性職員が活躍しやすい職場づくりに努めていきたいというふうに思っています。  また、男女共同参画の政策をつくるに当たっては、当然、女性の皆さんの御意見も伺っております。今回の第5次男女共同参画計画をつくるに当たりましても、男女共同参画審議会、そして女性活躍推進会議、こうしたところで御意見を伺っておりますが、女性のメンバーも多くいらっしゃいます。引き続き県のあらゆる施策に男女共同参画の視点を取り入れながら、具体的な成果が上がるよう取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)育児休業の取得は民間企業に遅れないよう御努力をお願いしたいと思います。  知事もおっしゃったとおり、あと一歩というところまで見えてきているのかもしれませんけれども、政策決定の場に女性の参画を進めるため、さらに知事のリーダーシップを発揮していただきたいと申し上げておきたいと思います。
     それでは、農業について聞いていきたいと思います。  今年4月の凍霜害による被害額は、6月3日現在約20億円、自然災害による農業被害額としても過去5番目、その被害は広範囲に、多品目に及んでいます。生産者のダメージは被害額以上に大きいものです。  県としては、生産者への支援は、5月28日から当面の間相談窓口を設置し、被害を受けた農作物の今後の技術対策や営農継続のための融資制度ということです。この間、どのような相談が寄せられているのか、農政部長にお聞きします。  福島県でも、4月に過去2番目の被害額の凍霜害があり、福島県知事は、農業者の心が折れることなく希望を持って営農を継続できる財政支援の検討を重ねたと述べ、枝の芟徐、肥料や農薬、防霜ファン導入に5億5,000万円余の補正予算を計上しました。山形県の緊急パッケージでは、凍霜害による50%以上の減収に対して、農薬、肥料など補助を予定しているとお聞きしています。  災害で心が折れそうになっている農家を経済的に支援することは、農業の存続に関わる課題であります。4月の凍霜害被害を受けた農業者に、農業県長野として、営農意欲が持てるよう、経済的支援などの支援策をどのように行うのか。農政部長にお聞きします。  次に、収入保険についてもお聞きします。  2019年1月から始まった収入保険制度は、自然災害による収量減少、作付できないことによる減収のほか、市場価格の低下、けがや病気により収穫ができないなど様々な農業者の経営努力では避けられない収入減少を補償する保険で、基本的に農産物ならどのような品目でも対象となる。農家の平均収入は8割以上の収入が確保され、農業経営を総合的にカバーする制度ということですが、自然災害とコロナ禍で厳しい農業経営が余儀なくされる中で、経営を支える収入保険の加入の実態とその受け止めについて農政部長にお伺いします。  収入保険加入は青色申告が条件ですが、白色申告であっても加入できるよう条件の緩和をすること、関係書類など煩雑な事務を簡素化すること、基準収入の設定については、災害やコロナ禍で平均収入が大幅に下がる場合に考慮することなど農家の方々から要望いただいています。厳しい農業経営の中で一定の所得を支える保険制度に改善して、収入保険の加入につながるよう国に対して県から積極的に検討を求めていただきたいと思います。農政部長にお聞きします。  次に、米の需給調整について伺います。  コロナ禍で米需要が減り、米価が暴落して農家経営を脅かしています。そのため、農水省が保管管理経費を支援する米穀周年供給・需要拡大支援事業によって、売り急ぎを避けて米価の安定につながることにはなりますが、それによって2020年産米の申請が既に33万トンに上っているとのことです。  保管されているお米が11月以降に市場に出回れば、今年度産の需給との均衡に影響し、米価の下落を招くおそれがあり、その分を見込んだ作付の転換が必要と言われています。今年度産は既に作付され、田植えも終わり、秋の実りのために農作業が進んでいる一方で、主食用米を飼料用米に転換する営農計画を出す。主食用米を飼料用米に転換することで米農家の収入は一定にはなります。けれども、果たしてそれがおいしい米づくりに励んでいる米づくりの農家の支援と言えるのでしょうか。コロナ禍により米の需給が崩れている中、今後も農家が意欲を持って生産に取り組めるよう、県として米の需給調整をどのように進めていくのか、農政部長にお聞きします。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には4点御質問をいただきました。  初めに、被災農家からの相談内容と今後の支援についてのお尋ねでございます。  相談窓口には、主に果実や樹体の今後の管理などの栽培技術に関する相談のほか、次年度に向けた被害防止対策、利用可能な融資などの相談が寄せられております。  現在、県では、この相談対応とともに、生産者団体と連携して栽培管理講習会を地域ごとに開催するなど、被害の状況に応じた技術支援をきめ細かに行っているところです。  また、今回の凍霜害は、圃場、品種ごとに被害の様相が大きく異なっていることから、果実品質など被害状況の追跡調査に加えまして、今後の被害防止対策の構築に向け、防霜対策の実施状況や効果などの確認調査も実施しているところです。  今後、これら調査の状況や相談窓口等に寄せられている声を踏まえまして、本年度必要な技術・経営支援に加え、将来に向けた被害防止対策などの観点から、被災農業者が意欲を持って営農を継続できるよう、JA、市町村とも協調し、必要な支援策の検討を進めてまいります。  次に、収入保険の加入の実態とその受け止めについてのお尋ねでございます。  令和3年の収入保険の加入状況は1,647経営体と、制度開始の令和元年の509経営体から3倍に増加しており、作物別で見ますと、果樹の加入件数が一番多い状況となっております。  加入経営体の件数の増加につきましては、近年の台風災害や新型コロナウイルス感染拡大の影響など、農業経営リスクに対する農業者のセーフティーネットへの意識の高まりによるものと捉えており、特に果樹についてはその傾向が顕著となっていると受け止めております。  県といたしましては、加入していただきたい農業経営体がまだ多くおられると認識しており、NOSAI長野や市町村、関係団体と連携し、農業者への加入メリットのPRや、JA部会を重点対象とした加入促進の取組強化など、引き続き収入保険制度の加入推進を図ってまいります。  次に、収入保険制度の拡充についてのお尋ねでございます。  県では、収入保険の加入が促進されるよう、昨年度、国に対して制度の要件緩和などについて要望し、新型コロナウイルスに係る基準収入算定の特例措置や書類の簡素化など一定の改善が図られてきたところです。  今後、さらなる加入推進を図るためには、加入者要件の緩和や、集団で加入する場合の割引等のインセンティブ措置、そして、野菜価格安定制度などの他のセーフティーネットとの重複加入など、さらなる制度の拡充が必要と考えております。  収入保険制度は、近年頻発する自然災害や新型コロナウイルスなど様々なリスクを踏まえると、農家の経営安定のためにより重要性が増してきているものと認識しており、県としましては、農業者の声を丁寧にお聞きしながら制度の課題や御要望を整理し、一層の加入促進につながるよう国へ要望してまいります。  最後に、米の需給調整についてのお尋ねです。  米価を維持し、稲作生産者の経営安定を図っていくためには、全国で協調して、生産者の御理解と御協力をいただきながら、需要に見合った適正生産を進めていくことが必要です。このため、県では、主食用米と同程度の所得となるよう国の産地交付金の設定を拡充し、新たな販路としての輸出用米や需要が見込める飼料用米、収益性の高い園芸品目への転換を重点的に進めております。  また、国の支援に合わせ、ソバなどへの転換については県単独支援も講じているところです。さらに、県産米の県内外での消費拡大を図るため、県オリジナル品種「風さやか」のPR動画の作成、配信のほか、今回の補正予算で、県内の直売所等における地産地消フェアでの販売促進や、営業局と連携し、大都市圏における百貨店等での信州フェアの開催などの事業をお願いしているところです。  これらの取組を総合的に展開し、今後も農家の皆さんが意欲を持って営農を継続していただける環境を整えながら需給調整を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)御丁寧に御答弁ありがとうございました。  収入保険に加入できない農業者の皆さんには、農業共済制度をさらに維持、発展させていくためにも、県内の自治体で掛金への補助を出しています。昨日も続木議員への御答弁がありましたが、私からも共済掛金に県としても補助を出していただきたいということを要望しておきたいと思います。  今、コロナ禍で、米が余っている、需給が崩れていると言われているその要因の一つに、コロナ禍によって、食べたくても食べられない、1日1食に切り詰めるような生活困窮者が広がっていることも見過ごすことはできません。フードバンク、フードドライブ、こどもカフェ、大人カフェ、このような支援活動をしている団体の皆さんに対して、国は年に1団体にお米90キロ程度の提供しかしておりません。  これは、国の行うべきことかもしれませんけれども、そういう活動をしている団体に対して、県としてもお米を買い上げて支援をするなど検討していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明24日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時14分延会...