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  1. 長野県議会 2021-06-22
    令和 3年 6月定例会本会議-06月22日-02号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 3年 6月定例会本会議-06月22日-02号令和 3年 6月定例会本会議 令和3年6月22日(火曜日)  出席議員(55名)   1 番 熊谷元尋    29 番 清水純子   2 番 望月義寿    30 番 小池久長   3 番 小林君男    31 番 酒井 茂   4 番 清水正康    32 番 堀内孝人   5 番 加藤康治    33 番 石和 大   6 番 川上信彦    34 番 依田明善   7 番 山田英喜    35 番 山岸喜昭   8 番 大井岳夫    36 番 小島康晴   9 番 丸茂岳人    37 番 小林東一郎   10 番 寺沢功希    38 番 毛利栄子   11 番 花岡賢一    39 番 和田明子   12 番 池田 清    40 番 諏訪光昭   14 番 山口典久    41 番 丸山栄一   15 番 小山仁志    42 番 小池 清   16 番 竹内正美    43 番 宮本衡司   17 番 竹花美幸    44 番 清沢英男   18 番 宮下克彦    45 番 垣内基良
      19 番 大畑俊隆    46 番 鈴木 清   20 番 共田武史    47 番 高村京子   21 番 丸山大輔    48 番 宮澤敏文   22 番 髙島陽子    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   27 番 両角友成    53 番 平野成基   28 番 中川宏昌    54 番 本郷一彦   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭  欠席議員(1名)   23 番 荒井武志         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    農政部長       小林安男   副知事       太田 寛    林務部長       井出英治   副知事       小岩正貴    建設部長       田下昌志   危機管理部長    中村宏平    建設部リニア整   企画振興部長    伊藤一紀    備推進局長      田中 衛   総務部長      玉井 直    公営企業管理者   県民文化部長    中坪成海    企業局長事務取扱   小林 透   県民文化部こど           財政課長       矢後雅司   も若者局長     野中祥子    教育長        原山隆一   健康福祉部長    福田雄一    警察本部長      安田浩己   産業政策監兼産           警務部長       來山信康   業労働部長     林 宏行    監査委員       田口敏子   産業労働部営業   局長        金井伸樹   観光部長      渡辺高秀         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   矢島修治   議事課長      百瀬秀樹    議事課主査     水澤まゆみ   議事課企画幹兼   丸山俊樹    議事課主事     松橋高志   課長補佐              総務課課長補佐   川村亜由美                     兼庶務係長                     総務課担当係長   青木武文                     総務課主事     古林祐輝         ───────────────────  令和3年6月22日(火曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    知事提出議案    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(宮本衡司 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ────────────────── ○議長(宮本衡司 君)次に、荒井武志議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案の報告 ○議長(宮本衡司 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                令和3年6月22日   長野県議会議長 宮 本 衡 司 様                           長野県知事 阿 部 守 一         令和3年6月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 16 号 副知事の選任について 第 17 号 公安委員会委員の選任について       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(宮本衡司 君)以上であります。  ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)本件を一括して議題といたします。  提出議案の説明を求めます。  阿部守一知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ただいま提出いたしました追加議案につきまして、御説明を申し上げます。  提出いたしました議案は、事件案2件です。  「副知事の選任について」は、長きにわたり県政に貢献いただいた副知事小岩正貴氏が、7月3日付けで総務省へ復帰することに伴い、後任として、関昇一郎氏の選任をお願いするものであります。関氏は、昨年度まで総務部長として、令和元年東日本台風災害新型コロナウイルス感染症などに、豊富な経験と高い調整力を活かして、県組織全体をまとめ対応していただきました。直面する県政課題を乗り越えるためには、関氏の力が必要であると考えております。  「公安委員会委員の選任について」は、矢ケ崎学氏の再任をお願いするものであります。矢ケ崎氏には、経営者としての知見を活かして、引き続き、委員として御尽力いただきたいと考えております。  以上、追加提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。 ○議長(宮本衡司 君)以上であります。  これらの議案は、本日から行う質疑の対象に供します。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、寺沢功希議員。       〔10番寺沢功希君登壇〕 ◆10番(寺沢功希 君)皆さん、おはようございます。順次質問を進めてまいります。  「本日、本校関係者について、新型コロナウイルス感染症陽性が判明しました。つきましては、5月6日から臨時休業といたします。」。5月5日、ゴールデンウィーク最終日、夕食後、休日気分を切り替えて翌日の学校の準備を整え出した頃、生徒たちの下にそのメールは突然届きました。その後、この学校では複数の感染者が確認され、集団感染となりました。これまで、県内学校でのクラスター発生は僅か1校でありましたが、残念ながら、今回のいわゆる第4波では、複数の県内高校において集団感染が確認されました。  そこで、県内高校での集団感染発生や、生徒もしくは教職員の感染が確認されたことにより休校となった学校は何校だったのでしょうか。また、休校日数はどの程度だったのでしょうか。  今回、松本市内の県立高校で集団感染が発生した際、松本市長が会見を開き、説明を行ったことに違和感を覚えました。松本市は、本年4月より中核市となり、単独で保健所を設置したことからと推察されますが、発生の事実は発表したとしても、状況説明は、市長ではなく、より詳しい内容を把握している設置者である県教委がすべきだったのではないかと考えます。今回、松本市内のみならず、県立高校での集団感染発生において県教委として状況説明を行わなかったのはなぜでしょうか。  さらに、今回、校名は発表されませんでした。しかし、今の時代、情報は瞬く間に広がります。事実、今回も翌日には学校名や感染者が所属する部活動を知る方が多く存在していましたが、同時に、誤った情報や尾ひれがついたうわさ話も流布されていました。誹謗中傷を防ぐ観点からと推察しますが、誤った情報により誹謗中傷が起こることもあり、逆に隠すことで誹謗中傷を助長しているとも感じます。  実際、生徒たちは、今はもう誰が感染しても不思議ではないという状況を認識しており、同級生が感染したことに対しても何も思っていないようであり、また、感染による休業から復帰した先生から闘病体験を聞かされ、さらに感染対策への関心を高めたとも聞いております。正しい情報発信も必要だと考えますが、学校名を公表しない理由はなぜか、お聞きします。  松本市長は、会見で、感染拡大につながった要因の一つとして部活動の実施方法を挙げました。各高校では、これまで、県教委や県高体連のガイドラインに基づき、感染対策を行いながら、昨年挑戦する場すらなかった先輩たちの分もと必死に頑張ってきていました。にもかかわらず、この発言は、校内で陽性者が確認されたため大会出場を辞退し、落ち込んでいる生徒の気持ちに追い打ちをかけたほか、感染者が発生した部活に所属する生徒が悪者扱いされた印象であり、さらに、生徒や教職員が発言により萎縮し、活動が縮小してしまう可能性も大きいと思われます。
     これから、県立高校では、文化祭をはじめ、クラスマッチなど学校行事も多数予定されております。感染を恐れ、中止という選択をすることなく、ガイドラインに沿って感染対策をしっかり行い、胸を張って実施していただきたいと考えますが、所見を伺います。  集団感染が発生した学校の生徒の下には、接触者と特定された皆さんには保健所から直接連絡が行きますといった内容のメールが送られたと聞きます。では、こうした連絡のほかに、当該校の教職員自らが行わなければならない対応はどのようなものがあるのでしょうか。また、それらは、過度な負担とならず、当該校の教職員のみで対応は可能なのでしょうか。  今回、教職員の感染も確認されました。複数人感染というケースも想定されますが、代替教諭対応の体制は整っているのでしょうか。  感染者はもちろん、濃厚接触者、接触者の特定が必要なため、休校期間を定めることができず、翌日が休校か否かを毎日生徒に連絡していたようですが、その連絡は遅めで、20時過ぎということもあったと聞きます。連絡が早くできなかったのはどのような理由からでしょうか。  休校期間中は、通常日課の時間割に沿ってオンラインにより授業が実施されましたが、中には、準備が整わなかったり対応できなかったりで、1日に1時間しか授業が行われなかったケースもあったと聞きます。緊急な場合、スムーズにオンライン授業ヘ対応できるよう、週1回、あるいは月1回程度定期的に実施しておくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。以上、教育長にお聞きします。  西村経済再生担当大臣は、記者会見で、変異ウイルスの感染力の強さに注意を促し、屋外でマスクをつけていても感染が確認される事例の報告が相次いでいると警戒を呼びかけました。  そんな中、先日、あるタレントの新型コロナウイルスへの感染が発表されました。しかし、このタレントと距離は取っていたとはいえ、マスクなしで2時間スタジオという同じ空間にいた共演者は、濃厚接触者とはされませんでした。これは県外の事例ではありますが、これまでも、濃厚接触者の特定では、曖昧さや疑問を感じることが多々ありました。改めて濃厚接触者の定義をお聞きします。加えて、それは地域によって異なるのでしょうか。また、発生からこれまでの間に変更されたのでしょうか。以上、健康福祉部長にお聞きします。  新型コロナウイルス感染症によるテレワークの浸透や密を避けたい思い、加えて、教育環境の観点から、移住や2地域居住を考える方々が増えてきており、その中でも、長野県は特に注目を集めております。しかし、これまでも、残念ながら、移住者と地元住民との間でトラブルが起きていることも事実であり、まさに最初が重要で、来る側も受け入れる側も、印象よく、気持ちよく共生をスタートさせる必要があります。  全国に緊急事態宣言が出されていた昨年春、目に見えぬ未知なるものへの恐怖から、県外ナンバーの車があおり運転等嫌がらせを受ける事象が多発しました。そんな中、当該地域に居住しながら県外ナンバーの車を使用するドライバーの不安を和らげるため、例えば、「私は長野県に住んでいます」といった当該地域在住を知らせるステッカーが販売され、多くのドライバーが利用し、1年が過ぎた今も見かけることが多々あります。  しかし、そもそも、県内に居住しながら県外ナンバーの車を使用することに問題はないのでしょうか。自動車使用の本拠地が変わった際の保管場所の変更及び登録の変更に関して法律により規定されていないのか、県警本部長にお聞きします。  移住者等が新たな地で住民サービスの提供を受ける際には、住民票の有無が関係してくるものも多々あります。2地域居住のように難しい形態もあるほか、そもそも故意に移すことをしない方もいます。この点については、地域住民との関係はもちろん、行政との関係に影響を与えるものですが、住民票については法律上どのように規定されているのでしょうか。企画振興部長にお聞きします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)県立高校における集団感染についてのお尋ねでございます。  まず、臨時休業となった学校数と、その休業日数についてのお尋ねであります。  いわゆる第4波によって新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業措置を取った学校数は延べ19校、休業日数は長いところで11日間に及んだ事例もありますが、それ以外についての休業期間はほぼ1日から3日間程度でございました。  次の質問であります集団感染について県教委が状況説明を行わなかったことについてと、その次の集団感染が発生した学校名を公表しない理由については関連しておりますので、最初に集団感染が発生した学校名を公表しない理由についてのほうからお答えを申し上げたいと思います。  学校において陽性者が判明した場合に学校名を公表するかどうかについては、次の点を考慮して検討してまいりました。陽性者が判明した場合には、県ないし中核市におきまして、感染拡大防止の観点から、必要な場合には施設名を公表することとしていることは承知しておりますが、基本的に、学校は閉じられた環境の中であり、不特定多数の者との接触がないので学校名の公表がなされてこなかったというふうに考えております。  その上で、さらに、設置者として公表すべきかどうかに関しては、議員御指摘のような御意見があることは十分承知しておりますが、一方で、公表することで、とりわけ陽性になった生徒が無用な自責の念や心ない差別、誹謗中傷の被害を受けるおそれがあることも十分考えられるところでございます。県教育委員会としては、生徒たちが安心して学ぶ環境を確保するために、感染者数の多寡に関わらず学校名は公表しないこととしているところでございます。  その上で、今回のように集団感染が発生した場合のことでございますけれども、集団感染が発生した場合にも、感染拡大防止の観点からの必要な情報は県ないし中核市から速やかに公表されるものというふうに承知しております。  県教育委員会としては、それ以上の詳しい情報を提供することは控えたいというふうに考えておりますが、さらに大事なのは、保健所と連携して、集団感染が発生した要因等の検証を行ってその後の対策に生かすことが重要だというふうに私どもは考えております。  今回の第4波においては、長野市と松本市の県立高校において集団感染が発生しましたが、県教育委員会として検証チームを当該校に派遣し、要因等の検証を行い、今後各学校で同様のことが起こらないよう注意事項を整理し、各学校に感染対策の徹底を促したところであります。併せて、教育長メッセージとして、高校生自ら感染対策を行うことの呼びかけを行ったところでございます。  次に、県立高校における行事の実施についてのお尋ねであります。  学校行事については、感染拡大防止策を講じた上で、私どもも可能な限り実施してもらいたいというふうに考えております。もちろん、そうした措置を講じたとしても安全な実施が困難であると考えられる場合には、中止または延期せざるを得ない場合もあるというふうに思っています。  今回の第4波の教訓を踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策に係る県立学校運営ガイドラインにのっとり、感染症対策を徹底し、生徒たちの心に残る意義のある学校行事が実施できるよう学校現場とともに取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、集団感染が発生した高校における対応、代替教員の確保についてであります。  陽性者が判明した場合、学校は、陽性者と接触があった生徒の行動を調べ、保健所の濃厚接触者等の特定に協力するとともに、校内の消毒作業や家庭への情報提供を行っており、万一集団感染が発生した場合でも、教職員の初期対応時の負担は通常の感染者判明時と大きくは変わらないものというふうに考えております。  県教育委員会は、休業が長期化した場合のオンライン授業の準備や生徒の心のケアなどにつきまして、対応に向けた準備があらかじめできるよう、集団感染が発生した学校の対応事例等を全ての県立高校で共有できるよう情報提供をしております。  また、昨年度より、集団感染が発生した学校に対して必要に応じて職員等を派遣できるようサポートチームを整備しておりまして、学校の教育活動に支障が出ないよう今後も人的な支援を行ってまいりたいと思っています。加えて、教職員が感染等により長期にわたり出勤できない場合には代替教諭を充てることとしているところであります。  次に、翌日の休業連絡が早くできない理由についてのお尋ねであります。  県立高校の休業及び再開につきましては、保健所から学校への説明や指導、助言に基づきまして、県教育委員会がその判断を行っております。しかし、感染状況の変化やPCR検査の結果によりまして、休業及び再開の判断が遅い時間帯になることもあるため、学校から家庭への連絡が遅くなる事例があったことも承知しております。家庭連絡に当たっては、家庭向けの一斉メール送信サービスの利用や個別の電話連絡によりまして引き続き速やかに行ってまいりたいというふうに思っております。  オンラインを活用した授業の定期的な実施についてという御提案でございます。  県立高校では、臨時休業に備え、オンラインを活用した学習指導を行うための準備を昨年度から進めてきたところでありますけれども、実際の臨時休業への対応に当たってはその都度様々な準備が必要となるため、通常授業からオンライン授業ヘスムーズに移行できないケースもあったものというふうに考えております。  議員御提案のオンライン授業でありますけれども、生徒がICT機器の操作等に戸惑った場合でも即座に教員が支援できるという利点もあることから、定期的に通常授業の中でオンライン授業を想定した活動を取り入れることを考えてまいりたいというふうに考えております。  以上であります。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には濃厚接触者の定義について御質問を頂戴いたしました。濃厚接触者の定義は、国立感染症研究所積極的疫学調査実施要領で示されており、全国的に用いられているところでございます。  この実施要領は令和2年1月以降度々改正されておりますが、濃厚接触者の定義については、令和2年4月に距離の目安が2メートルから1メートルに変更されたことや15分以上の接触時間が示されたことなどのほかは、基本的な部分は変更されておりません。  現在の定義によりますと、濃厚接触者には、一つ目として、患者または無症状病原体保有者と同居あるいは長時間の接触があった者、二つ目として、適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護していた者、三つ目として、患者または無症状病原体保有者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者、四つ目として、手で触れることのできる距離で、目安1メートルでございますが、必要な感染予防策なしで患者または無症状病原体保有者と15分以上の接触があった者が該当するものとされております。また、周辺の環境や接触の状況等個々の状況から総合的に判断することとされております。  議員御案内の事例は県外の事例でございまして、詳細は分かりかねますが、本県におきましては、PCR等検査実施方針に基づきまして、濃厚接触者に該当しない接触者についても濃厚接触者に準ずる者として幅広く検査を実施し、検査結果が判明するまで自宅待機を要請するなど感染防止拡大に努めているところでございます。  以上でございます。       〔警察本部長安田浩己君登壇〕 ◎警察本部長(安田浩己 君)私には自動車の保管場所の変更及び自動車の変更登録に関する法律の規定についてお尋ねをいただきました。  まず、自動車の保管場所の変更についてでありますが、自動車の保管場所の確保等に関する法律において、自動車の保有者は、自動車の保管場所の位置を変更したときは、一部の地域を除いて、変更した日から15日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置や変更後の保管場所の位置等を届け出なければならない旨が定められております。また、この届出をしなかった場合は10万円以下の罰金に処する旨、規定されております。  次に、自動車の変更登録についてでありますが、道路運送車両において、自動車の所有者は、住所や使用の本拠の位置等に変更があったときは、その事由があった日から15日以内に変更登録の申請をしなければならない旨が定められております。また、この申請をしなかった場合は、50万円以下の罰金に処する旨、規定されております。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)住民票について法律上どのように規定されているかとのお尋ねです。  住民基本台帳では、転入・転居をした者は、14日以内に氏名、住所、転入・転居の年月日、従前の住所等を市町村長に届け出なければならないと規定されておりまして、また、正当な理由がなくて規定による届出をしない者は5万円以下の過料に処するという罰則規定もございます。  以上です。       〔10番寺沢功希君登壇〕 ◆10番(寺沢功希 君)それぞれ御答弁をいただきました。  河野太郎規制改革担当大臣は、5月11日の会見で、引っ越しに伴う自動車のナンバープレートの交換について、次の車検まで猶予する特例を設け、来年1月から適用すると発表しました。まだ詳細は決まっておらず、所管もそれぞれで、関係する法令等の改正も必要のようですが、県警には状況に応じた適切な対応をお願いいたします。  また、県立高校の集団感染につきましては、県教委の、そして現場の教職員の皆さんの多岐にわたる対応、大変御苦労されたものと思います。感謝するとともに、引き続き生徒たちの学びを、そして青春を止めない対応をお願いいたします。  オンライン授業については、前向きな答弁をいただきました。今後は、ワクチン接種の広がりにより、集団感染もなくなり、オンライン授業も必要ないという考えでは、学びでのICT活用の推進とはかけ離れてしまいます。今後も何が起こるか分からない時代ですし、オンライン授業だからこそできる学びもあると思います。教職員の働き方改革にもつながる可能性もあります。ぜひ取組をお願いいたします。  加えて、今後は生徒たちのワクチン接種も始まってきますので、関係各所と連携し、様々な配慮の上、スムーズな対応をお願いいたします。  そのワクチンについての質問に移ります。  先ほど住民票と住民サービスについてお聞きしました。ワクチンの接種券は住民票を置く自治体から発行されますが、住民票を移さず、ほかの自治体に居住している場合、その接種券により現在居住の自治体での接種が可能となっています。しかし、自治体ごとに接種券の発行及び接種のスケジュールが異なるため、接種券を持っていても、居住自治体ではその年齢帯はまだ接種のタイミングではないため、接種が受けられず、トラブルとなり、自治体が困惑するケースもあると聞きます。県内の状況はいかがでしょうか。また、この点の課題はどのようなものがあるのでしょうか。健康福祉部長にお聞きします。  値は日々変化している状態ですが、6月20日時点での長野県の65歳以上高齢者1回目の接種率は45.62%で全国27位となっています。この進捗状況をどう捉えているでしょうか。ワクチンチームリーダーの小岩副知事にお聞きします。  これまで、新型コロナウイルスに携わる医療従事者や保健所職員の皆様など多くの皆さんに御尽力いただいてきました。市町村によりかなり差があるようですが、ここに来て、新たに、ワクチンの電話予約受付に携わる皆さんが大変御苦労されていると聞いています。電話を切り、水を飲もうとしても、その暇もなく鳴り出す電話。電話に出ても、なかなかつながらないことに憤り、延々と続くクレーム。さらには、怒鳴られ、時には、ようやくつながったことに安堵し泣き出してしまう高齢者をなだめるなど、心身ともにかなり疲弊している方もいるようです。スタッフの皆さんが各市町村での対応であることは十分承知しておりますが、県としてはこの状況をどう考えていますでしょうか。また、県として協力できる部分は何か考えられますでしょうか。  我先にと接種を希望する方の中には、ワクチンの効果を過信し、接種をすれば感染しないと思っている方や、効果95%の意味を100人中95人にワクチンが効くと誤解している方もいらっしゃいます。ワクチン接種を終えた方が、安心して気を緩めて行動することにより無症状感染者となり、周囲のワクチン未接種の方に感染させてしまう可能性もあります。県製作のチラシにも記載されていることは承知していますが、この点についての情報発信を強化する必要があると思いますが、いかがでしょうか。  消防団員の皆さんは、火災現場への出動や災害発生に備え、決して広くはない詰所に待機する必要があります。本人はもちろん、家族の感染リスクへの心配は大きく、中には参加をやめるよう願う家族もいると聞いています。関係者は、最近では、みんなの努力により少しずつ団員が増えてきていたところなのにと困惑していました。  ワクチン接種の優先順位は市町村に委ねられていますが、優先接種には様々な意見があるため、誰を優先接種とするかの決定にちゅうちょする傾向にあります。県は、市長会、町村会との意見交換会で、基本的考え方と当面の進め方として、一定の職種の方へ早期接種を検討するとし、その中に消防団員を含めていますが、改めて消防団員に対するワクチン接種について県の考えをお聞きします。  県は、県内4か所に集団接種会場を設置し、6月末から7月頭の立ち上げ期に、南信会場を除く3会場で特別支援学校教職員及び警察官を優先接種するとされました。今後、県の集団接種会場において消防団員の優先接種を受け入れる予定はありますでしょうか。また、その際はどのような手続方法を想定していますでしょうか。以上、健康福祉部長にお聞きします。  今回の補正予算案では、県PCR検査等実施方針に基づき、PCR自主検査費用への補助が計上されています。民間事業所へは補助率2分の1以内、上限額1件1万円。県外での部活動の大会に参加する県立学校の生徒及び教職員に対しては全額。同様の私立学校生徒及び教職員に対しては補助率3分の2以内、上限額1万5,000円。また、本年1月には、特別警報Ⅱ以上の地域に所在する高齢者、障害者及び救護施設や医療機関の従事者に対しては補助率3分の2以内、上限額1万5,000円として専決処分され、その後、今年度当初予算では、補助対象地域が特別警報Ⅰ以上が発令されている地域に、補助対象回数が1人1回から制限なしに、補助率、上限額がそれぞれ10分の9以内、2万3,000円に拡充されています。  しかし、このように、同じ自主検査であっても、補助率、上限額に違いがあり、さらに言えば、例えば保育所等対象から漏れている機関もあります。これは、それぞれ所管部局ごとに事業設計されているためと推察しますが、まさに縦割り行政と感じてしまう部分もあります。対策本部において統一したしっかりとした基準を設けるべきではないかと考えますが、知事に御所見をお聞きします。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)ワクチン接種につきまして何点か御質問を頂戴いたしました。  まず、住所地外でのワクチン接種についてのお尋ねでございます。  本県におきましては、御指摘のようなトラブルが多数発生しているというようなことは現在のところ聞いてはおりませんけれども、例えば、住民票所在地以外の市町村へ単身赴任で長期滞在されている方が、単身赴任先の市町村では接種が始まっていなかったというような事例は考えられるところでございます。  現在、各市町村が接種計画に基づいてワクチン接種を進めているところでございまして、市町村間で多少の進め方の差異が生じることはあり得るものと考えております。しかし、ワクチン接種は順次進んでまいりますので、皆様には安心してお待ちいただくよう各市町村において周知をいただいているところでございます。  県といたしましては、希望する県民の皆様が、安心して安全に落ち着いた環境の中で滞りなく接種を受けられるよう引き続き努めてまいります。  それから、市町村の電話予約についてのお尋ねでございます。  市町村におきまして、予約の殺到により電話がつながりにくいなどの状況があり、電話対応等で大変御苦労いただいたということにつきましては、県としても承知をしているところでございます。各市町村におきましては、段階的な接種券の発送や、接種日をあらかじめ指定して通知するなど様々な対応をいただいているところでございまして、現在では比較的落ち着いてきているものと考えております。  今後、65歳未満の方の予約も開始されますので、それに向けて改めて予約方法の見直しなどを必要に応じて行っていただいているものと考えております。  県といたしましては、混雑回避に有効であった取組を優良事例として紹介するなど、情報共有を通じてスムーズな予約実現に向けて支援してまいりたいと考えております。  次に、ワクチン接種の効果等に関する情報発信についてのお尋ねでございます。  ファイザー社製ワクチンの効果といたしましては、発症予防効果、これは接種した人の発症率が接種しなかった人の発症率と比べてどれだけ少ないかというものでございます。この発症予防効果が95%とされております。さらに、それに加えて、重症化予防の効果が期待されているところでございます。  現在、主に使用されているファイザー社製ワクチンの場合、2回目を接種してから7日目以降から十分な免疫ができるとされております。また、接種後の効果がいつまで持続するかにつきましてはまだ不明でございます。また、さらに、変異株については効果が減ずる可能性があるとの見解もあることから、接種後も、感染が収束するまでは従来の感染症対策は継続していただく必要があると考えております。  県では、こうした接種後の感染対策の必要性についてチラシ等に掲載して周知しているところでございますけれども、今後、さらに接種が進んでいくことも踏まえまして、改めてその周知に努め、強化を図ってまいりたいと考えております。  続いて、消防団員に対するワクチン接種の考え方でございます。  高齢者の次のフェーズとなります一般住民への接種を円滑に進めるため、6月11日に市長会、町村会の皆様とワクチン接種の基本的な考え方と当面の進め方について意見交換を行ったところでございます。  この場では、社会基盤の維持や災害時の対応等に欠かせない職種や、職務上不特定多数の人と接することが避けられない職種として、消防職員・団員をはじめとする10職種を例示して、こうした方々への早期接種について市町村の皆様と考え方を共有したところでございます。この考え方に基づきまして、各市町村において、地域の実情に応じて早期接種を実施していただくものと考えております。  また、県接種会場での接種でございますけれども、県接種会場におきましては、先ほど御質問の中にもございましたとおり、まずは特別支援学校職員や警察官を対象とした早期接種を予定しておりまして、消防団員など特定の職種の方々への市町村における接種の進捗状況を見ながら今後の接種対象職種を検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔副知事小岩正貴君登壇〕 ◎副知事(小岩正貴 君)ワクチン接種の進捗状況についての受け止めということで御質問をいただきました。  本県では、希望する方が、安心して、安全に落ち着いた環境の中で滞りなく接種を受けられるということを県と市町村で共有の基本的考え方としているところであります。  加えまして、市町村規模の差が大きい本県の特性を踏まえまして、地域間で接種の進行を競い合うことなく、かつ、大きな遅れが固定化する地域が生じないよう留意して進めることも確認しているところであります。その上で、7月末までに希望される高齢者への接種を確実に完了させることをオール信州の目標として臨んでいるところであります。こうした中で、全ての関係者の皆様の御尽力によりまして、6月20日時点で45.62%に達したというわけでございます。  ただ、今述べましたような考え方に立ちますと、その時々の進捗度合いが全国何位かという順位ではなくて、目標の7月末に向けて接種の進捗率がどのくらいであるかを冷静に見極めることが重要と捉えております。  最新の市町村からの聞き取り結果によりますと、高齢者の皆様の接種希望率は最終的に県全体で約87%になると見込んでおります。各市町村での御努力が第一でありますが、加えまして、ワクチン接種支援チームによる医療人材の派遣や県設置の団体接種などによりまして、これから7月にかけて、6月の第1週時点と比較しますと最大約2.4倍のペースにまで上がる見込みであります。これによりまして、7月末までという目標は十分達成できるペースで進んでいると捉えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、PCR検査の検査費用の補助について、補助率、上限等ばらばらで縦割りではないかという御指摘でございます。  結論的には、そうした縦割り的なものではないというふうに受け止めています。  まず、この検査は、同じPCR検査等ですけれども、やはり目的、趣旨がそれぞれ異なっております。私どもがさきに定めましたPCR検査等実施方針を御覧いただくとお分かりになりますように、まず、症状がある方の検査であります。  それから、症状がない、無症状の方への検査として三つカテゴリーを分けております。  一つは、保健所の疫学調査に基づく検査ということで、これは、陽性者の濃厚接触者と接触者をしっかり調査していこうというものであります。それと、カテゴリーとして、感染拡大防止のための積極的な検査ということで、これは、一定の感染拡大地域における飲食店の従業員の皆さんの調査や、御質問にもありました高齢者施設における検査、こうしたものです。それから、もう一つのカテゴリーとしては、社会経済活動を継続させていくために実施する検査ということで、同じ検査でありましても、趣旨、目的がそれぞれ異なっております。補助率、上限額、対象は、こうした目的に合わせて設定しております。  例えば、高齢者施設等への定期的な検査につきましては、これは、重症化リスクが高く、クラスター連鎖が生じやすい施設ということで、感染が一定程度広がっている地域においては、陽性者を早期発見し、感染拡大を防ぐという観点から行うというものであります。  また、企業、団体等の今回制度化いたします自主検査に対する補助につきましては、これは、陽性者が発生した事業所等において、まずは保健所で必要な行政検査を行います。その上で、社会経済活動等を継続するために、例えば事業所の安心のための検査が主体的に行われる場合もありますので、そうした自主的に行う検査に対して支援をしていこうというものであります。  なお、この自主検査に対する補助については、事業種別は特定しておりませんので、例えば民間の幼稚園、保育所等についても対象となり得るという制度であります。
     こうしたことから、全体として統一的な考え方の下に制度設計をしておりますが、今後とも感染状況に応じて必要な検査が適切に行われていくということが必要でありますので、状況に応じて、必要な制度改正も含めてしっかりした制度構築に努めていきたいと考えております。  以上です。       〔10番寺沢功希君登壇〕 ◆10番(寺沢功希 君)それぞれ御答弁をいただきました。  職域接種も本格的に始まりました。今後は、65歳未満の接種が本格化し、現場ではさらに混乱する可能性も出てきます。引き続き市町村と連携し、スムーズな、そして着実な接種に向けた取組をお願いいたします。  これまで、国民一人一人の行動や我慢に頼ることしかできませんでしたが、ようやくワクチンという目に見える対策が始まり、期待が高まってきました。まだまだ現段階では感染終息への確証は得られていませんが、目の前にある僅かな光を目指し、ワクチン接種が着実に進み、少しずつでも以前の生活に近づいていきますことを期待いたしまして、私からの一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、小山仁志議員。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)子供、若者を取り巻く社会環境が急速に変化する中で、子供が抱える悩みや困難も様々な課題が複雑に絡み合っています。こうした変化や困難を乗り越えて、子供、若者が夢や希望を持って力強く将来を切り開いていくことができる環境を社会としてつくり出していくことが私たちの使命であると考えます。  県では、今年度より、こども若者局を新たに設置しました。まず、その目的や目指す姿とともに、設置によりどのような効果を見いだしていきたいとお考えなのか。新年度より就任された野中局長に、その所信とともに伺います。  複雑化、多様化する子供をめぐる課題や困難に向き合っていくためには、部局横断的な対応が不可欠です。児童虐待や発達障害、いじめや不登校や貧困の課題など様々な困難に直面する子供に向き合うためには、こども若者局のみならず、福祉や教育、雇用などの関係施策や、妊娠期から母子保健、育児、子育てに至るまでの包括的な支援など連携を深めなければならない分野が大変幅広いことに気づかされます。こども若者局を超え、こうした幅広い分野との連携を図るためにどのように対応していくのか、具体的取組について伺います。  また、こども若者局設置によって目指すべき体制は、しっかりと現地機関にも反映をさせていくことが重要です。現地機関においても、子どもプラットフォームの設置をはじめ、児童相談所や保健福祉施策を担う保健福祉事務所、教育現場、さらには市町村など、子供をめぐる関係部局は多岐にわたります。こうした関係部局がビジョンを共有し、相互理解と連携を深め、具体的取組についても考えていくことが求められます。こども若者局の理念を現地機関に反映させていくため、どのような対応策を取っていくのか。以上、こども若者局長に伺います。  社会的養護の推進についてであります。  県では、長野県社会的養育推進計画とともに、家庭と同様の環境において養育される家庭養育優先の原則の下、里親委託と里親による養育への支援を推進しています。その普及啓発とともに、里親等委託率や委託児童数も近年上昇を続けてきました。  里親制度の推進に当たっての児童相談所の業務は大変幅が広く、子供が成長する上で極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を実現するためのマッチングには相当な経験や専門性が求められます。  子供が安心して家庭的な環境の中で暮らすことができる里親委託の推進に当たって、職員の資質向上とともに、機能強化のためにどのように取り組んでいくのか、伺います。  里親委託など代替養育に当たっては、極めて慎重な見極め、判断が求められ、子供の特性等を十分配慮した丁寧なアセスメントとマッチングが必要です。その推進に当たっては、受皿となる登録者数の確保は不可欠ですが、家庭的環境での養育の担い手としてふさわしい方が認定されるよう慎重に見極めていく対応が求められます。  里親の認定、登録に当たっては、認定部会も含め、どのような基準の下で審査を行っているのか。確保育成に当たっての課題についてはどのように認識されているのか。また、今後改善すべき対応策についての考えを伺います。  長野県里親会連合会では、里親制度の普及促進や充実、また、会員相互の連携とともに、里親としての役割、使命を果たそうと献身的に自らの資質、養育力向上にお取り組みいただいています。  里親の確保と育成が社会的養育の推進に当たり重要な位置づけとなる中で、複雑な生育歴や背景、多様な困難を抱える代替養育を要する子供を養育するためには、研修や相談、支援の充実が重要であり、里親会との密接な意見交換や情報共有、連携はさらなる強化が必要と考えます。今後の長野県里親会連合会や地区里親会との連携強化に向けた取組についての考え方、方針について、以上、これまでをこども若者局長に伺います。  国が策定した新しい社会的養育ビジョンでは、代替養育においては、子供の意見表明権の保障が重要であり、必要に応じて代弁者をつける制度を保障すべきとしています。  また、措置や立証の根拠となる情報として重要になるのは子供自身の証言ですが、被害をなかなか話しづらい傾向もあります。誰かに知ってほしいという気持ちと不安で揺れる子供の心をしっかりと拾い上げていく、助けを伝えるのが難しい子供の意見、声の表明を保障する仕組みが求められると考えます。  英国やカナダでは、アドボケイトという機能が制度化されており、児相や施設とは別の独立機関が施設訪問等を行い、子供の意思表明を保障しており、埋もれた子供の声を拾い上げるために重要な機能を果たしています。  一時保護や施設入所後、あるいは里親委託後の段階でも、子供は立場が弱く、自分の意見を伝えるのが難しいことが考えられますが、児童福祉士の面談において子供の声を聞いていく仕組みについてどのように課題を感じているのか、伺います。  また、子供の意思をしっかりと拾い上げていくための対応をどのように講じていくべきと考えるのか。アドボケイト機能制度化についての所見と併せて知事に伺います。  代替養育が必要な子供は、虐待等により自分が権利の主体であることや意見を表明する機会が保障されること等を学ぶ機会がなく、十分認識していない場合も多いと考えられます。教育委員会では、子供が自己の意見表明をする権利について学ぶためにどのように対応されているのか、教育長に伺います。  また、虐待死や性虐待など児童虐待をめぐる悲惨な事件の際には、行政機関や学校あるいは自治体間などにおいてネットワークや連携が機能しないことによって子供に適切な支援が届かない事例が多数あると感じます。  子供が長い時間を過ごす学校生活や、アンケート等などによって児童虐待が発覚した際の対応についての手順等は明確化され、適切に対応されているのか。どのように徹底されているのか。今後の対応方針と併せ、教育長に伺います。  続いて、循環器病対策の推進について、以下、健康福祉部長に伺います。  心疾患は死亡原因の第2位、脳血管疾患は第4位であり、両者を合わせますと、2018年には年間31万人以上の国民が亡くなっています。また、介護が必要になった理由の主な原因に占める割合は、脳血管疾患、心疾患、両者合わせて20.6%と最多となっています。さらに、傷病分類別医科診療医療費のうち循環器系が占める割合は6兆782億円と、約20%となっています。  こうした実態を踏まえ、2018年に健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本が成立し、都道府県においても循環器病対策の推進に関する計画を策定することが定められています。この計画の策定につきまして、基本的な方針、考え方とスケジュール等策定に向けた取組状況等についてまず伺います。  また、この計画は、医療や保健、福祉に関する各種計画との整合性も図っていくことが必要ですが、どのように調和を図っていくのかについても併せて伺います。  循環器病の多くは、生活習慣病等の健康状態に端を発して発症し、発症後は早急に適切な治療の開始が必要です。また、幅広い循環器病の症状に対し、個別に適切な診断や治療、重症化予防を行うことも必要です。循環器病の予防や前兆及び症状、発症時の対処、早期受診の重要性や適切な疾患の管理、また、後遺症等についても正しく理解することが求められますが、どのように循環器病の予防、正しい知識の普及啓発に取り組むのか、伺います。  循環器病は、急激に発症し、数分単位で命に関わる重大な事態となるケースも多くあります。循環器病患者を救急現場から急性期医療を提供できる医療機関に迅速かつ適切に搬送可能な体制構築を進めるため、地域の実情に応じた傷病者の搬送及び受入れの実施に関する継続的な見直しも必要ですが、県としてはどのように取り組んでいるのか、伺います。  また、消防機関における救急隊の観察、処置等についても、科学的知見に基づく知識、技術の向上が求められます。救命救急士を含む救急隊員の資質の向上のため、循環器病対策を含めた取組は今後どのように取り組んでいくお考えなのか、伺います。  循環器病は、慢性期においても再発予防や重症化予防、あるいは社会復帰という観点も踏まえた継続的なリハビリテーションなど息の長い取組が求められ、地域の実情に応じた医療資源を含めた社会資源を効率的に用いた多職種による包括的な連携が不可欠です。  特に、維持期においては、患者さん御自身のリハビリテーション、疾病管理への意思をいかに継続していくかが求められ、リハビリ実施率が低下傾向にある中で、例えば佐久医療センターにおきましては、同院のリハビリ外来のみならず、地域の運動施設との提携を開始し、維持期における運動処方への維持に努めています。  循環器病患者に対する継続的リハビリテーションの普及啓発のため、社会資源を効率的に用いた包括的な多職種連携の構築が求められますが、県としてはどのように取り組んでいくのか、伺います。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私にはこども若者局の設置についてと社会養護推進について御質問をいただきました。  まず、こども若者局の設置の目的と効果についてでございます。  子供を産み育てやすい環境づくりや、困難を有する子供、若者への支援をはじめとした子供・若者関連施策につきましては、非常に幅広い分野に関わるものであることから、総合的かつ一体的な施策の立案、実施が必要です。  そのため、今年度より、子供・若者関連施策に係る総合的な企画、部局横断的な調整、関係団体との連携等を行う体制の強化を図るという目的で県民文化部にこども若者局を設置いたしました。これにより、結婚、妊娠、出産、幼少期から青年期までを、切れ目なく、次世代を担う子供、若者を社会全体で支え、応援するための取組を、より効果的かつ迅速に推進できるものと考えております。  少子化の進行、子供の貧困など、多くの課題が山積しております。私といたしましても、将来ある子供、若者が夢や希望をたくさん持って前向きに生きていけることができるような長野県を目指して、誠心誠意努力してまいりたいと考えております。  次に、こども若者局における幅広い分野との連携についてでございます。  議員御指摘のとおり、子供・若者関連施策は、福祉、教育、雇用など幅広い分野に関わるものであり、こども若者局だけで推進できるものではなく、多くの分野との連携、協力が必要です。そのため、関連施策を所管する健康福祉部、教育委員会事務局の職員をこども若者局の兼務、併任とすることにより、局長の指揮命令の下、円滑に部局間連携を図ることができる体制としております。  加えまして、次世代サポート課に部局間連携を行う企画調整スタッフを新たに配置いたしました。これにより、現在、子供の貧困対策、少子化対策など様々な子供関連施策を連携して進めているところでございます。今後も引き続き部局間連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。  次に、こども若者局の理念の現地機関への反映についてでございます。  子供・若者関連施策は、各地域においては、それぞれ所管部局が異なる地域振興局、保健福祉事務所、児童相談所など多くの現地機関が担っていることから、施策の推進に当たっては、これら現地機関との意思疎通や現地機関相互の協力、連携が極めて重要であると認識しております。このため、こども若者局も参加いたしまして、圏域単位で現地機関同士の意見交換会を開催するなど、施策の効果的な実施につながるべく取組を進めているところでございます。  今後も、こども若者局の設置によって強化されましたマネジメント機能を発揮しながら、現地機関と緊密な連携を図り、総合的、横断的に施策を展開してまいりたいと考えております。  引き続き、社会的養護推進についてでございます。  まず、里親委託推進のための職員の資質向上についてでございますが、昨年6月に策定いたしました長野県社会的養育推進計画に基づきまして、昨年度から各児童相談所に里親養育を推進するための専任の職員、地域養育推進担当を配置したところでございます。現在、定期的に本庁とこの担当者との会議を開催いたしまして、里親養育推進に向けた課題の共有、意見交換を行っております。それにより、専任職員の専門性の向上、資質の向上に努めているところでございます。  今後は、この専任職員以外の職員にも里親委託に関する研修を行って、児童相談所全体で里親委託、里親養育に関する資質向上というものが図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。  また、里親委託推進のための機能強化でございますが、昨年度から、各児童相談所に、乳児院、児童養護施設、地区里親会、市町村などを構成員といたします里親委託等推進委員会を設置しております。これにより、地域の課題や強みを踏まえながら、関係者が協力して里親委託を総合的に推進する体制を構築しています。  加えて、里親の新規開拓から委託後の支援まで一貫した包括支援を行う業務を本年度から新たに松本赤十字乳児院にも委託し、県内2か所で実施する体制とするなど、民間機関におけます里親の支援体制の充実も図っているところでございます。  今後も、これらの取組を着実に進め、市町村や民間団体等と児童相談所が積極的に連携することで、社会全体で里親養育を支援、推進していくよう取り組んでまいります。  次に、里親の認定基準についてでございます。  里親の認定に当たりましては、長野県里親認定基準に基づき、弁護士、医師、里親等5人の外部有識者で構成されます長野県社会福祉審議会児童福祉専門分科会里親審査部会において審査を行い、認定を行っているところでございます。  里親認定基準は、現在、県のホームページでも公開をしておりますが、犯罪歴がないこと、養育者の健康状態、家庭の経済状況、家族等の協力体制、居住環境等から判断して子供の健全な養育に支障がない状態であるということを要件としております。加えて、子供の権利擁護や最善の利益に配慮するといった里親として求められる資質も明示し、そうした資質を兼ね備えていることも求めております。  次に、里親の確保育成に当たっての課題、改善策でございます。  里親の確保につきましては、これまでも、地域の里親開拓を行います里親支援専門相談員や市町村と連携した啓発活動により登録数の増加を図ってまいりましたが、昨年度は、新型コロナウイルスの影響により広報啓発や相談会の開催が制限され、新規里親登録者が非常に減少してしまっている状況でございます。  今後、予約制による少人数の相談会やリモートによる相談会などを積極的に開催するとともに、市町村の広報誌への情報掲載を行うなど、広報啓発をさらに強化することで里親の確保に努めてまいります。  また、里親の育成につきましては、代替養育という特性を踏まえ、里親登録前、それから里親登録後の更新時に研修を行いまして、育成及び資質向上に努めているところでございますが、希望者が研修を受講しやすい環境や実践を踏まえた研修機会の確保が課題となっております。  研修につきましては、開催場所や回数、休日の開催日を増やすなど、対象者の状況に応じて受講しやすい環境整備を進めており、しっかりと研修を受けて資質向上に努めていただけるよう配慮してまいりたいと考えております。  また、里親経験のない里親登録者につきましては、一時保護委託やショートステイなどを通じて実践機会を得られるよう、市町村とも連携しながら支援してまいりたいと考えております。  最後に、里親会との連携強化に向けた考え方、方針でございます。  長野県里親会連合会及び地区里親会との連携につきましては、これまでも連合会役員会での意見交換や共同での里親サロン、里親広報啓発の実施など様々な取組を行ってまいりました。里親会に所属されている里親経験者が長年の養育により培ってきたノウハウ、里親相互の支援ネットワークは、今後里親委託を推進していく上で欠かせない社会資源です。  今後も、引き続き様々な機会を通じ、里親会の皆様との意見交換の場を確保していくとともに、各児童相談所に設置いたしました里親委託等推進委員会を中心に、地域の里親会が実施する活動を支援し、連携を強化してまいりたいと考えております。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、社会的養護の推進に関連して、子供の声を聞いて意見を反映していくための仕組みに関連して御質問いただきました。  まず、子供の声を聞いていく仕組みの課題という御質問であります。  社会的養護を必要とされる子供たちは虐待等によりまして自分の意見を表明する権利が保障されているということを十分認識していない場合もあります。また、その子の様々な特性から、自分の考え、あるいは思いを整理して伝えていくということが困難な子供たちもいます。こうした子供の気持ちや考えを適切に引き出していく。このために、いろいろな仕組みであったり、対応について工夫をしていくということが重要だというふうに考えております。そうしたことにしっかり力を注いでいかなければいけないと考えております。  また、子供の意見を拾い上げるための対応、それからアドボケイトの制度化についての所見という御質問であります。  例えば、施設入所する子供たち等に対しましては、児童福祉士が入所時に子供の権利ノートを渡しながら、自分は守られるべき存在である、また、自分の意見を自由に言っていいというようなことを伝えて、その後も定期的に面談等を行い、子供の意向を小まめに確認しているところであります。  また、子供たちは自分のところで活動するわけですが、例えば、学校などで子供が施設等の生活で困っていることなどを周囲の先生方などに打ち明けたような場合は、本人の意向、それから事態の緊急性等を踏まえて学校等から児童相談所に情報提供をいただくという形にもなっています。子供に関わる様々な周囲の人間、大人が子供の意見に耳を傾け、親身になって対応していくということも重要だというふうに考えております。  アドボケイト、子供の意見を代弁する制度の制度化についてでありますが、本県では、今年度から、一時保護所におきまして、第三者であります弁護士が直接子供の意見を聞いて支援の改善につなげるという取組を開始いたしたところであります。今後、この取組の成果、課題をよく分析していきたいと思います。その上で、他の子供たちへの対象の拡大等についても考えていきたいというふうに思います。  冒頭申し上げたように、なかなか自分の思いをうまく伝えられないという子供たちも大勢いますので、県としてもよりよい制度づくりに向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、子供が自己の意見を表明する権利について学ぶ機会についてのお尋ねでございます。  子どもの権利条約第12条で、意見を表す権利ということで、子供は自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利を持っているというふうに規定されているところでございます。  子供たちが自分をかけがえのない人間として自覚し、自分や他人の人権が侵害されたときに声を上げるスキルを身につけることは大変重要なことであるというふうに考えております。このため、県教育委員会では、「子どもの権利条約を学ぼう」や、小学校の高学年では「こんなときなんて言う?」という題材で、言いたいことをきちんと伝えること、それを考える活動などについて指導事例を示しておりまして、各学校では、学校生活における日常指導や各教科等の内容に関連づけながら取り組んでいるところでございます。  また、平成30年度からは、児童生徒が不安や悩みへの対処方法などを学ぶSOSの出し方に関する教育を実施しておりまして、現在では、中学校で8割以上、公立高校では7割以上の学校が実施しておりまして、子供たちが自分が大切な存在だというふうに気づき、身近な人にSOSを出すことができるよう取り組んでいるところでございます。  続きまして、児童虐待が発覚した場合の対応についてでございます。  まず、手順の明確化でありますけれども、文部科学省が令和元年5月に作成しました学校・教育委員会等向け虐待対応の手引で明記されておりまして、担任や養護教諭等が虐待と疑われる事案を見聞きした場合は、直ちに管理職に相談、報告し、身体的な虐待が疑われる場合、ネグレクトがあると疑われる場合などについては児童相談所等に通告するとの手順が示されているところでございます。  これを踏まえまして、令和2年度を見ますと、学校や教育委員会から児童相談所に虐待に関連した通告等が347件ありまして、適切な対応に努めているものというふうに考えているところでございます。  県教育委員会としては、児童虐待を発見した際の対応について、毎年養護教諭を対象とした研修会において周知徹底するとともに、校長会等におきましても、虐待等が疑われる場合は、ちゅうちょすることなく児童相談所等に通告を行うよう周知しているところでございます。今後も、教職員が子供のSOSに気づく感度の向上と、適切な対応が確実に取れるよう啓発や研修の実施に取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には循環器病対策につきまして御質問を頂戴いたしました。  まず、推進計画についてでございます。  本県の循環器病対策推進計画につきましては、昨年10月に策定されました国の基本計画を踏まえまして、急性期から慢性期、小児期から高齢期まで幅広い分野にわたる循環器病対策について本県の現状や地域の特性を反映した上で令和3年度中に策定する予定でございます。  計画策定に向けて、有識者や関係団体、循環器病の当事者等で構成する長野県循環器病対策推進協議会を立ち上げておりまして、来月にも開催し、検討を進めることとしております。  また、議員御指摘のとおり、循環器病対策は、信州保健医療総合計画や高齢者プラン等各種計画に幅広く関連しております。それら既存の計画との整合性を図る観点から、医療のみならず、保健、福祉、介護など、各分野からの御意見をいただく場を別に設け、それらを計画に反映してまいりたいと考えております。  続いて、循環器病の予防、正しい知識の普及啓発についてのお尋ねでございます。  循環器病には、脳卒中や心臓病など多くの疾病を含み、その前兆や症状等も多彩でありますが、発症予防、さらには再発予防や重症化予防の基本となりますのは生活習慣病の予防でございます。したがいまして、生活習慣の改善が非常に重要であると考えております。  県では、これまでも、生活習慣病を予防するため、信州ACEプロジェクトとして、毎日の運動、健診を受けること、健康的な食事などの実践を促してきておりまして、それらに加えて、発症早期の対応や早期受診の重要性等を含めた循環器病に関する正しい知識を生涯にわたって学ぶことで、より効果的な予防につながると考えております。  今後、信州ACEプロジェクトを推進するに当たって、正しい知識の普及啓発も併せて取り組んでいくとともに、専門家のお力もお借りしまして、関係団体と連携しながら、効果的、具体的な普及啓発の在り方について検討してまいります。  それから、循環器病患者の救急搬送についてのお尋ねでございます。  循環器病においては、救命率の向上と予後の改善等の観点から、救急搬送における病院の選定、さらには医療機関における救急医療の提供までの一連の行為を迅速かつ適切に実施することが重要でございます。そのため、県では、消防の規定に基づきまして、傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準を平成23年に策定し、この中で、重症度、緊急度を評価する分類基準を定めるとともに、受入れ先医療機関を機能別医療機関としてリスト化しているところでございます。
     このリストは、毎年10月に医療機能調査を実施し、常に最新に保つよう見直しを行っておりまして、現在、脳卒中については25病院、心筋梗塞については24病院となっておりまして、救急搬送の際の病院選定に活用されているところでございます。  それから、救急隊員の資質向上についてのお尋ねでございます。  傷病者の救急搬送に当たっては、的確な病状把握と搬送先の選択が重要であるとともに、傷病者の状態によっては、医師の指示の下で救急救命士が救急現場で法令上可能とされている特定の医療行為を行う必要性がある場合がございます。  そのため、医師の指示の下で救急救命士が適切な医療行為を行うことができるよう、全県においてメディカルコントロール体制を構築し、気管挿管や薬剤投与等の病院実習や救急活動の事後検証会を行うなど、救急救命士の資質向上に取り組んでおります。  また、平成28年度に指導救命士認定制度が創設され、本年4月1日現在、計43名が認定を受けております。経験豊富な救急救命士による研修、指導等が行われているところでございます。  さらに、救急救命士を含む救急隊員の標準的な活動内容を定めた活動基準、いわゆるプロトコールについて、これまでの事後検証における課題等を踏まえ、現在見直しを進めております。  県といたしましては、引き続き、急性の循環器病を発症した県民の命が救えるよう、救急救命士の資質向上と病院前救護体制の充実を図ってまいりたいと考えております。  それから、5点目、継続的リハビリテーションの普及啓発への県の取組についてのお尋ねでございます。  循環器病患者のリハビリテーションにおいては、再発予防や合併症予防、在宅復帰を目的とした多職種連携による継続的リハビリテーションが有効な治療プログラムであると認識しております。その普及に当たっては、御指摘のとおり、地域の社会資源を効率的に用いて取り組む体制づくりが大変重要でございます。  高齢者介護の分野におきまして、地域包括ケアシステムの構築を進めてまいりました。医療、介護、生活支援等の各サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムにおける多職種連携、こうしたものを基といたしまして、社会連携に基づいた循環器病対策、それから患者支援の具体的な取組につきまして、専門家の御意見をいただきながら今後検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)県の里親委託の推進、あるいは里親の皆さんへの養育支援等については、機能強化、あるいは細やかに取り組んでいただいているということについては理解いたしました。  一方で、この子供の家庭養育優先の原則というものは、愛着関係を育みながら安心感の中で健全な成長と信頼感を獲得することに意義がありまして、養育先での虐待、ましてや魂の殺人というものは断じて許されないことであります。  県内の養護先において監護者による性虐待の事件が発生してしまいました。県には検証委員会が設置されており、この年度内の報告書を待つということでありますけれども、学校の対応や子供の様子の把握の仕方、あるいは一連の経過の中で適切な対応ができていたのか。県としての責任を重く受け止めて、自らも再発防止の検証と改善策について速やかに講じていただくことを求めておきたいというふうに思います。  そして、循環器病の対策でございますが、先進地の岐阜県におきましては、心臓リハビリテーションネットワークを設置し、循環器系医療の専門家を中心に、医療機関やフィットネス、スポーツクラブなどをネットワーク化、情報共有を図り、心臓リハビリテーションによる再発予防を通して患者のQOLの向上に取り組んでいます。  循環器病は、国民の健康寿命に対する脅威であります。こうした先進事例も参考に、社会連携を生み出していくための主体、牽引役としての県の取組を強く求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、望月雄内議員。       〔57番望月雄内君登壇〕 ◆57番(望月雄内 君)三つの項目について質問をします。  まず、2地域居住の推進についてであります。  地方への移住、定住や多様なライフスタイルの実現を促進するため、全国の知事や市町村長を中心に、今年の3月に長野県阿部知事を会長とする二地域居住等促進協議会が設立されました。  また、長野県においても、都市部の住民の地方回帰機運の高まりを好機と捉え、本県へ人や企業の呼び込みを強化するための信州回帰プロジェクトを推進しております。  近年においては、軽井沢や白馬村などの別荘地にこれまで県外から夏の避暑で来られた方がコロナ禍の影響などにより通年で居住する人が増えたり、県内での親の介護のために毎週自宅と親元の居住地とを往復する人が増えるなど、2地域居住を行う人が多くなってきております。  このことは、関係人口の拡大や地域経済発展の観点から有益な面がありますが、一方、実際に2地域居住を行うに当たり、現行制度では様々な課題も生じていると認識しております。  例えば、実際に地方に長期間滞在していても、住民票は移していないため、税金は都市部など住民票の所在する地域に納税されている一方、住民サービスに係るコストは滞在している地方自治体が負担しているという例や、2地域の行き来に係る交通費が負担となるなど、費用面等の課題もあります。私の知人の中でも、実際に自宅と母親のいる実家との2地域居住を行っている方がおりまして、制度面での課題など様々な問題提起をいただいております。  そこで、企画振興部長に質問です。  1として、2地域居住を推進するに当たり、県はどのような取組を行っているのか。また、現状の様々な課題をどのように認識しているのか。お伺いいたします。  2として、現在の制度では、住民票を一つの居住地にしか置くことができないため、1市町村にしか納税ができません。納税先の選択制や案分制について検討が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。  三つとして、選挙についても、多様な生活実態がある中、2地域居住のいずれかで選挙権を取得可能とすることについて検討を行ったらどうかと考えますが、いかがでしょうか。  続いて、知事に質問します。  2地域居住の推進に当たっては、行政側から見た制度的な課題のほか、実際に行っている方の視点からの課題もあるなど、様々な角度からの検討が必要であり、市町村とも連携しながら課題を整理し、必要な事項については国に要望を行うなど、しっかりと検討を進めるべきであると思いますが、所見をお伺いいたします。  次に、ポストコロナの経済ビジョンについて伺います。  新型コロナウイルスの感染拡大によって人の動きや物の動きが停滞し、観光業や飲食業への影響をはじめ、製造業におけるサプライチェーンへの影響など、本県経済に幅広く大変大きな打撃を与えております。  国及び県においては、事業者に対する事業継続のための資金融資の拡充を図るとともに、前例のない給付金の支給をはじめ、状況に応じてきめ細やかな支援が行われてきました。そして、現在は、新型コロナを収束させるための切り札として大変大きな期待を集めるワクチンについて、医療従事者への先行接種から始まり、65歳以上の高齢者への接種、さらに、次の段階の準備も進められているなど、県、市町村、医療従事者をはじめ、関係者の御尽力により鋭意進められているところであります。今後、ワクチンの接種が多くの人々に行き渡ることによって、諸外国の状況を見ましても、感染の縮小、抑制が大いに期待されるところであります。  そして、コロナの抑制が達せられた段階になれば、現在取り組まれているコロナ禍における事業継続のための支援から、今後は経済再生に向けた支援へとかじを切ることが必要となります。コロナを乗り越えた新たな時代における産業振興と経済活性化に向けて県の役割と責任をどう果たしていくのか。これを改めて明確にした上で、新たな対処へとつなげていかなければならないと考えます。  そこで、ポストコロナにおける長野県経済の復興に向けてどのようなビジョンを考えているのか、担当する太田副知事に伺います。  続いて、県立高校へのエアコン設置についてであります。  私が高校生だったときには、学校にエアコンはまずあり得ない時代でした。時代が変わり、気候変動が悪化に向かう中、最近の夏の猛暑は、熱中症の危険が一層高まる大変厳しい状況となっています。  この状況を受けて、県では、昨年(令和2年)までに県立高校における全ての普通教室にエアコンが設置されたところであります。しかし、高校には、普通教室以外にも、LL教室や家庭科室などの特別教室や教員室などの教職員が使用する部屋があります。お聞きしたところでは、普通教室以外のこれらの部屋には3割程度しか設置がなされていないということで、言い換えれば、7割が未設置ということです。ますます気候変動が進み、今後も猛暑日が増えると言われております。今年の夏も猛暑となれば、新型コロナの対策としてマスクを着用している折でもあり、子供たちへの負担はますます大きくなり、勉強どころではないことは容易に想像できます。  子供たちが健康的に快適に授業など学校生活に集中して取り組めるよう、エアコン整備の必然性は喫緊の課題、否、差し迫った問題であります。また、子供たちだけでなく、先生方が働く部屋でも同様であることは言うまでもありません。  そこで、教育長に伺います。  県立高校においてふさわしい学習環境を整えるため、特別教室や教員室などについて県が責任を持って早急にエアコンを設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。  さらに言えば、県立高校において既に設置されているエアコン機器の老朽化が進めば、いずれ更新が必要となります。将来も継続して快適な学習環境を整える必要性は変わらないため、設備の更新についても県がしっかりと対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)2地域居住について順次お答えいたします。  まず、2地域居住の取組及び課題の認識についてということですけれども、2地域居住は、長野県への移住や、長野県と様々な関わりを持つつながり人口の拡大が期待できますことから、県では、信州回帰プロジェクトの一環として、リゾートテレワークやおためしナガノ、それから、県内企業の副業人材の活用支援や、県外に住む人と地域とを結び付け共同で地域課題を解決する信州つなぐラボといった事業などに取り組んでいるところでございます。  新たなライフスタイルであります2地域居住は、複数の拠点を設けますことから、実践する人から見ますと、住まいなど拠点の確保や、先ほど御指摘いただきましたように交通費などの移動のコストの問題、それから、子供の教育など様々な問題があると思っています。  また、受け入れる自治体や地域にとりましては、御指摘がありましたとおり、公共サービスの受益と負担の問題、それから地域コミュニティーとの関わりといった様々なレベルで解決すべき課題があると認識しております。  次に、2地域居住を進めるに当たって、税制においては納税先の選択制や案分制について検討したらどうか、また、選挙制度については、2地域居住のいずれかの居住地で選挙権を取得可能とすることを検討したらどうかという御提案ですけれども、住民の住所は、地方自治及び住民基本台帳の規定に基づきまして、各人の生活の本拠を言っておりまして、1人について一つしか存在しないとされております。御指摘の税や選挙に関しましても、課税の重複や投票権の二重行使を防止する観点から、この住所は一つという原則に基づき制度が構築されているところであります。  このほか、保健福祉など現在の行政制度は、住民が生活の本拠をいずれか1か所に定めて居住することを前提に構築されておりまして、2地域居住など新しいライフスタイルに対応していない面もあると考えております。  御提案の趣旨を実現するためには、行政のみならず、様々な制度を根本的に見直す必要があると考えておりますので、国家的見地からの議論や検討を進めていくことが必要と考えております。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)2地域居住の推進に当たって、市町村と連携しながら課題を整理し、必要な事項については国に要望を行うなど、しっかり検討を進めるべきという御質問であります。  まず、長野県としては、市町村と連携して、この2地域居住や移住を進めようということで、田舎暮らし楽園信州推進協議会を設置しています。この中で、市町村の皆様方とも問題意識を共有して、まず、我々が地域で解決できる課題についてはしっかり解決を図っていきたいと思います。  ただ、そうした中で、望月議員の御質問にありましたように、国の制度を含めて検討が必要なものもありますので、この2地域居住を進めるという観点からの制度見直しを国に対してしっかり求めていきたいというふうに考えています。  こうした観点で、先月末に、私のほうから国土交通副大臣に対して2地域居住に係る負担の軽減やサテライトオフィス等の拠点整備に関する支援の充実等を要望いたしました。また、知事会においても、地方創生に関連してこの2地域居住に関する提言を国に行っています。  また、望月議員にも御質問で引用いただきましたように、今年3月に全国二地域居住等促進協議会が設立されました。私が会長を務めておりまして、全国の639の自治体が参加しています。こうした参加自治体の声、考え方というものもしっかり整理させていただいた上で、専門部会の中で検討を行って、国に対して提言を行っていきたいというふうに考えています。  この2地域居住の推進は、もとより地域の活性化に資するということだけではなく、新しいライフスタイルをつくっていくということにつながるわけでありますので、ぜひ長野県が先頭に立ってこの取組を進めていき、国とも連携して様々な制度改正を進めていきたいというふうに考えています。  以上です。       〔副知事太田寛君登壇〕 ◎副知事(太田寛 君)私には、ポストコロナの経済ビジョンについてというお尋ねをいただきました。  新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、テレワークなどデジタル技術を活用した働き方の変化、環境への意識の高まり、地方回帰の動きなど、社会情勢も大きく変化しております。  先週開催いたしました県の新型コロナ対策産業支援・再生本部会議では、経営や雇用の下支えなど足元の対策を引き続き着実に進めるとともに、ポストコロナを見据えた施策にも注力していくことを確認いたしました。  まずは、現状、厳しい状況にある飲食業や宿泊業などの事業者につきまして、新しい生活様式の定着を目指す「信州の安心なお店」の認証を進めつつ、プレミアムつきクーポン券や宿泊・日帰り割引の実施など、ポストコロナに向けたジャンプの踏み台となるべき需要喚起策を実施してまいります。  ポストコロナ社会については、事業の再構築や新分野展開を進めるとともに、次世代を担う人材への投資を行い、中長期的な競争力強化や成長を支援していくことが必要と考えております。  具体的には、コア技術を持つ長野県製造業の集積を生かしながら、IT人材の育成、誘致、ITビジネスの創出など信州ITバレー構想の推進、2050年ゼロカーボン実現に向けたグリーン成長分野へ展開する企業に対する技術開発等の支援、国内回帰サプライチェーンの強靱化やゼロカーボンに取り組む企業の育成、誘致、さらに、安全、安心な地域づくり、中長期滞在型観光の推進、信州リピーターの獲得を目指すポストコロナ、アフターコロナを見据えた観光振興方針の推進を図ってまいりたいと考えております。具体的には、宿泊事業者が実施するワーケーション、信州リゾートテレワークへの対応など、新たなニーズを取り込むための前向きな投資を支援してまいりたいと考えております。  こうした取組を加速させ、本県経済の回復による活力ある長野県に向け、産業界と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)県立高等学校の空調設備の整備についてのお尋ねでございます。  県立高校では、平成30年度の災害的な猛暑を経験する中で、緊急整備事業として、令和2年7月まで約2か年、約50億円をかけて空調設備の整備を行ったところでございます。この整備に当たっては、常時活用される普通教室は全て、そして、空調設備の必要度の高い一部の特別教室や職員室等への空調設備の整備を実施したところでございます。  現在、学校では、例えば特別教室の授業を空いている普通教室で行ったり、教職員が空調設備整備済みの職員室や会議室で執務を行ったりするなど、工夫しながら整備した空調を活用しているところでございます。しかしながら、本事業の対象とならなかった特別教室等の空調設備の整備につきまして現場から整備要望があることは承知しております。また、県立高校における空調設備の整備については県が責任を持って取り組むべきものというふうに心得ております。  今後、県立高校の再編・整備等が必要となる中で、特別教室等の空調整備については、利用実態など現場の声を聞いた上で、財政当局とも相談しながら、優先順位や計画的整備などその在り方について検討してまいりたいというふうに考えております。  また、経年劣化等による空調設備の修繕や更新については、学校からの要望と予算を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。       〔57番望月雄内君登壇〕 ◆57番(望月雄内 君)コロナは必ず収まるというふうに確信しております。長野県の経済が遅れることのないよう、今から事業をしっかり立てておいていただきたいというふうに熱望いたします。  エアコンの設置の件で再質問させていただきますが、今の答弁で、設置は全て県が責任を持って行うということでありまして、大変ありがたいことだと思います。学校関係者の皆さんも大変喜んでくれていることと思います。  ただ、お話の中では、現場の声を聞いて財政当局と相談して進めるということを言われておりますが、知事、これでは大変時間がかかるんではないかということです。私の認識では、現場は大変深刻な状況です。本当に子供たちがかわいそうです。二、三年なんていう期間は私は待てないという認識です。財源が伴いますので大変だと思いますが、ここは、知事、財源は起債を起こしてでも確保して一気に仕上げると、そういうことでどうでしょうか。スピード感を持ってやっていただきたいと私は思います。議会は応援しますよね。私は県民は大歓迎だと思いますよ。知事の御英断を、いかがですか。  これで全ての質問を終わります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)県立学校への空調設備の設置についての御質問であります。  先ほど教育長からも御答弁申し上げたように、これは、思い起こしていただければ、平成30年度、私も知事選で暑い夏で、ずっと県内を回らせていただきました。そうした中で、熱中症に注意してくださいと発令される日が県内でも多かったわけですし、また、子供たちと話す中でも、学校は大変だというお話がありました。  これまで、本県においては、寒冷地であるということもあり、空調設備はあまり積極的に整備を行ってきませんでした。しかしながら、集中的に整備していこうということで、実際には平成30年度に設計費を予算化させていただき、令和元年、令和2年と非常にハイペースで50億円以上の予算をかけて空調設備の整備を行わせていただきました。その結果、全ての普通教室と必要度が高い図書室、パソコン教室、音楽室、こうしたところの整備は行わせていただいたところであります。  ただ、御指摘のように、まだ残っている教室があるというのも現実であります。私としては、学びの県づくりということを掲げています。子供たちの教育内容は教育委員会の皆さんにしっかり取り組んでもらうということが重要でありますけれども、学習環境の整備は予算も伴いますので、私としてもしっかり問題意識を持って考えなければいけない課題だというふうに思います。  そういう意味で、教育委員会の皆さんと十分意思疎通をさせていただきたいと思っています。現場の実態、必要性、こうしたものを勘案し、そして、財政状況も、これは非常に多額の予算が必要となりますので、最終的には県議会の皆様方にもお認めいただかなければいけないわけでありますが、今後のエアコン、空調設備の整備についてはよく在り方を検討していきたいというふうに考えております。  また、整備した空調設備の更新については、これは県の責任においてしっかり行っていきたいというふうに考えております。  以上です。 ○議長(宮本衡司 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時46分休憩          ──────────────────         午後1時1分開議 ○副議長(清水純子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  続木幹夫議員。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)改革・創造みらい、塩尻市区選出の続木幹夫です。  順次質問に移ります。  まず、凍霜被害農家への支援について伺います。
     本年4月初旬からの断続的な低温による凍霜害の影響が県内で広がってきており、県のまとめでは、6月3日の時点で、県全体で被害額が20億3,186万円に上っています。果樹の凍霜害は生育が一定程度進まないと被害程度が明らかにならないことから、これからの調査によって明らかになる品質低下分を加えると被害額がさらに増えるのではないかと予測されています。  私ども改革・創造みらいは、4月12日に、松本市、安曇野市、塩尻市の被害に遭った果樹園を調査してきました。農家は、高価な燃焼材を燃やしたり、防霜剤を散布したりして被害を最小限に食い止めようとしましたが、松本市今井にある地域気象観測システム「アメダス」では、4月6日にマイナス4.4度、10日にはマイナス5.3度を記録し、氷点下の時間が7時間も続いたため、防霜対策もむなしく、被害が拡大してしまいました。防霜ファンを設置してある果樹園では防霜ファンも回しましたが、マイナス3度以下では効果が十分ではないことから被害に遭ってしまったようです。  こうして凍霜害に遭った果樹園では、収穫量が減るばかりでなく、霜の影響で実のつかなかった樹木は通常よりも養分が枝に行き渡るため、枝が伸びて風通しが悪くなり、病害虫発生の原因となることから、害虫防除などで例年よりも剪定作業や農薬散布の量などが増えます。さらには、樹勢維持のための肥料や農薬の購入などの経費も余計に必要となります。  市町村によっては、既にこれらへの支援を決めた自治体もあるようです。県としても、被害農家の経営維持安定のため、金融機関と連携して低金利の資金融資や利子補給も必要と思われますが、農政部長にお聞きいたします。  また、温暖化により、全ての果樹の開花時期が早まっていて、大きな凍霜被害が3年に1度ぐらい発生するようになってきています。さらに、近年は、凍霜害のみならず、台風による強風、豪雨、河川の氾濫、猛暑による日焼け、ひょうなどの異常気象による被害も頻発するようになってきています。  したがって、このような自然災害による果実の減収に備えて、果樹共済や収入保険制度への加入促進策が必要と考えます。しかし、果樹共済や収入保険の加入率は市町村によって大きな開きがあります。その理由の一つと考えられるのが、掛金の市町村による補助率の違いです。果樹共済については、掛金の半額は国が負担していますが、残りの農家負担分については、県下では塩尻市が50%と最も高く、26市町村は全く補助がありません。そこで、野菜には県単独の事業として市場価格の下落時に価格補填金を交付する野菜生産安定資金造成事業がありますが、本県は、リンゴ、ブドウの生産額が全国第2位、桃が第3位で、果樹王国でもあります。そこで、果樹についても、県単事業として共済掛金の農家負担分について県下一律に補助する制度を創設すべきと考えますが、農政部長に伺います。  次に、農道について伺います。  本年4月某日、塩尻市内の農道において、路側帯を占有する形で駐車していた農作業中の農家の自動車が駐車違反として警ら中の警察官に違反切符を切られました。この報を聞いた一帯の農家は騒然となりました。その理由は、数十年来、この一帯の全ての農家は、自らの農地に面した農道の路側帯に同様の方法で車を駐車して農作業を行っていて、この農道の建設時には、農家に対して、当時の県松本地方事務所土地改良課の担当者から、道交では歩道への駐車はできないが、今回の農道は、歩道ではなく、両側へ駐車可能なグリーンベルトである。警察署との協議で駐車スペースとして位置づけることで了承を得ていると説明されていて、議事録も残っています。  実際、今まで、この農道において駐車違反で摘発された前例はなく、農協や市役所の職員、はたまた議員までもが警察署に詰めかけ、こんなところで駐車違反の取締りをされたのでは農作業に支障が出る。ましてや、ここへの駐車は違反ではないと説明を受けているとして違反の取消しを求めましたが、受け入れられませんでした。つまり、このような駐車の仕方は、実際は道交上違反なのですが、この一帯のほとんどの農家は全くその認識はなく、たまたま今まで駐車違反に問われなかったにすぎなかったということです。  私は、この事件をきっかけに、農道について幾つかの疑問が湧いてまいりました。そもそも農道とは、農村地域において農業の用に供するために設けられた道路の総称で、一般には、土地改良第2条に基づく農業用道路のことを指します。そして、農道は、道路に基づく道路の区分ではないため、その所管は国土交通省ではなく、農林水産省となります。したがって、農道は、一般的には土地改良事業のときに敷設整備されます。  土地改良事業は、農家からの賦課金、受益者負担金と、自治体や国からの交付金によって行われます。私も、所属する土地改良区が改良事業を行ったときには、所有していた農地の面積に応じてかなりの額の受益者負担金を納め、その捻出に苦労した覚えがあります。  そして、こうして完成した農道は、完成直後、その維持管理が主には市町村に移管され、公道となり、農家ばかりでなく一般車も普通に通行するようになり、道交の適用となります。議場内の皆様も、意識はしていなくとも、頻繁に通行していると思います。  農家は、一般的に、トラックなどに農機具を載せ、田畑に着くと、自らの農地に極力近いところに駐車させ、そこで農機具を下ろし、農作業をします。また、収穫時には、出荷物を農地から運び出し、駐車してあるトラックに積み込みますので、この農作業中の数時間は一定の場所に駐車することになります。したがって、路側帯などをつけられるとかえって作業のしにくい農道となってしまいます。  この事件後、一帯の農家は、道交にのっとった駐車の仕方をしなければ、たとえ農道でも駐車違反に問われるとして、非常に気を遣って駐車するようになったと同時に、農作業もしにくくなったと聞きます。この事件を機に、管理者である塩尻市は、安全に農作業が行える駐車スペースを確保するための手続や整備を行っていくと聞いています。  現在、県内各地で土地改良事業をやっていますが、この事件を教訓に、1、今後、県として農作業のしやすい農道をどのように整備していくお考えでしょうか。  2、土地改良事業は、専ら農家が便益を受けるとして、事業費の一定割合を農家が受益者負担金として納めるのですが、先ほど述べたように、農道完成後は一般車も通行する公道となるわけですから、農道建設に係る事業費分については受益者負担金が減ぜられてしかるべきではないでしょうか。以上、農政部長に伺います。  3、農道には、農業車両優先という標識が見られます。農道を敷設する際には、農家が受益者負担金を出しているのですから、農業車両が優先されるのは当然と思っていました。しかし、私も農家の端くれですが、では、具体的にどのような場面で農業車両が優先なのかよく分かっておりません。どのような場面で農業車優先なのでしょうか。以上、県警本部長に伺います。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には4点御質問をいただきました。  初めに、凍霜害被災農家への融資等についてでございますけれども、県では、現在、被害を受けられた農家の相談にきめ細かに対応するため、各農業農村支援センターに相談窓口を設置したほか、被害の大きな農家には直接状況をお伺いしているところです。相談窓口等には資金融資に関する相談が寄せられていることや、農業関係団体からも農業者の資金繰りへの支援を求める声をお聞きしていることから、県としましても、被災農家の営農継続に向けた融資面の対策が必要であると認識しております。このため、資金の融資、利子補給につきましては、引き続き農家の皆様の声をお伺いしながら、資金需要の動向を踏まえ、JA、金融機関、市町村と協調し、適切な時期に対応できるよう検討を進めてまいります。  次に、共済掛金への県の支援についてでございますけれども、これまでのNOSAI長野の調査から、果樹共済に加入しない主な理由は、被害に遭うことが少なかったことによります関心の不足、これが一番大きな要因となっていると捉えております。このため、県では、共済掛金の一律補助という形ではなく、自然災害や価格低下など様々なリスクに対応する収入保険や果樹共済など、農業のセーフティーネットへの関心を高め、加入を促進していくことが引き続き重要と考えております。  近年の度重なる自然災害におきまして、セーフティーネットに対する農家の皆様の関心が高まり、加入面積も増加傾向にありますので、県としては、NOSAI長野、市町村、関係団体と連携しまして、農業者の集まる会議や研修会での周知、PR、さらには、JAの部会など、ターゲットを絞った加入促進などの取組を強化してまいります。  次に、農作業のしやすい農道整備についてですが、経営規模の拡大に伴い、農業機械や輸送車両の大型化が進む中、作業性に優れ、より安全な農道の整備が求められております。農道の整備に当たっては、農地への出入りを容易にするため段差を小さくするとともに、通行量の多い農道においては農業用車両の駐車帯を設けるなど、農業者が安心して作業でき、歩行者や一般車両の安全にも配慮した整備が重要と考えております。県といたしましては、今後も、農業者が安全で使いやすいよう、要望をお聞きした上で、国の基準に沿った農道の整備を進めてまいります。  最後に、農道整備における農業者の負担金についてですが、土地改良事業における農業者の負担金については市町村が条例等で定めており、一般的に、通行車両の多い農道では農業者から負担金を頂いていない状況です。県といたしましては、今後も、農道の規模や性格に応じた受益者負担となるように市町村と調整してまいります。       〔警察本部長安田浩己君登壇〕 ◎警察本部長(安田浩己 君)私には、農業用道路における農業車両優先の標識について御質問をいただきました。  農業用道路は、速度の遅い農業車両が走行する道路でありますことから、一般車両が農業用道路を通行する際には農業車両に十分注意して走行していただく必要があると考えております。こうした観点から、道路管理者において農業車両優先等の標識を設置し、農業用道路を通行する一般車両に対して注意を促しているものと承知しております。  一方で、この農業車両優先等の標識は、道路交通を根拠として公安委員会が設置した標識ではないことから、農業車両に対して道路交通上優先的な取扱いをすることはできないことにつきまして御理解をいただきたいと思います。  以上です。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)この農道における駐車違反の件につきましては、この捕まった農家がただ単に運が悪かったと。これからは、今までと同様、農道における農業車両の駐車については警察に大目に見てもらおうという、こういう状況が続くのであれば、この捕まった農家も納得しませんし、私も納得いたしません。この事件を機に、農道についていろいろ問題が明らかになりましたので、地元に帰りましたら、農道はどうあるべきなのかということをまた検討してまいりたいと思います。  これで私の質問を一切終わります。 ○副議長(清水純子 君)次に、中川博司議員。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君)改革・創造みらいの中川博司です。有機農業の推進について農政部長にお伺いします。  ここ数年、有機農業に対する関心が高まってきているのは、種子が廃止されたことから、遺伝子組換えの農作物が食卓に知らないうちにのってくるのではないかといった心配や、発がん性が認められている除草剤が店頭で売られていることへの心配、さらに、ネオニコチノイド系農薬の残留基準が他の国より高く設定し直されたことなどの影響が考えられます。  2017年、種子が廃止された後、県内各地で勉強会が開催されてきました。飯田、松代、松本、茅野、伊那、松川村などなど、大勢の方が食と農について学んできました。その中で、廃止された種子に代わる県条例を制定してほしいという声が大きくなり、2019年6月定例県議会で、長野県主要農作物及び伝統野菜等の種子に関する条例がつくられました。子供たちにより安心、安全な物を食べさせたいという思いは、その後の様々な学習会や要請行動につながって現在まで来ています。  そこで、今回は、気候変動や消費者の側面から有機農業推進について質問をいたします。  環境省では、気候変動適応に基づく初めての報告書として、昨年12月17日に気候変動影響評価報告書を公表しています。その中で、農業分野においては、気温が高い年ほど米やミカン、リンゴなどの品質低下が生じること、家畜は夏季の高温による突然死や乳用牛の乳量の低下などの影響が報告されています。稲などの害虫は、気温上昇により分布が拡大し、発生量が増加しているとのことです。  こうしたことから、農林水産省としても気候変動対策に乗り出し、今年の5月、みどりの食料システム戦略を発表し、様々な方針とともに、この中で、現在0.5%、2万3,000ヘクタールの有機農業の耕地面積を、2050年までに25%、100万ヘクタールに引き上げる目標や、化学農薬の50%低減、化学肥料の30%低減を目指すとしています。  そこで、県農政部として、農業分野における気候変動への影響をどう認識されているのか。また、みどりの食料システム戦略が国で公表されましたが、どのように対応しているのか、お聞きします。  農林水産省は、気候変動対策以前から環境保全に配慮した取組を進めてきました。土づくりと化学肥料の使用を低減する農業生産を導入する計画のある農家に対して都道府県知事が認定する認定農業者、エコファーマーへの支援や、有機農業と地域振興を考える自治体ネットワークの構築などに取り組んでいます。また、有機農業は、普通に行われる農業より労働力もコストもかかることから、化学肥料を減らした場合、堆肥をまくなど、他の方法を用いて生産する際のかかり増し経費についても支援してきています。こうした取組を通じて化学肥料の使用は減り、1990年時と比較すると、2016年時では、窒素約4割減、リン酸、カリでも約6割減というデータが出ています。  長野県農政部としても、有機農業推進に向け、この間、有機農業推進プラットフォームを開設し、勉強会を開催してきました。私も何度か出席させていただきましたが、直近では、5月28日に新型コロナ対策としてオンラインで夜7時から9時半まで開催され、当初190人から申込みがあり、当日は最大160人が視聴したということで、有機農業への関心の高さがうかがえます。  さらに、昨年からは先進活動支援金制度もできました。同じく8月には、県内各地で食と農の問題に取り組んでいる団体の皆さんと農政部との意見交換会も行われ、その中で、県としての有機農業推進の取組方針などが説明され、農政部長も、何よりも有機農業の担い手をつくることが大切であり、補助金がなくても食べていくことのできる有機農業にしていくことが重要と述べられていました。  そこで、お聞きします。  これまでの県農政部としての有機農業推進に向けた取組の成果と課題についてどのように考えておられるのでしょうか。新規就農者は、有機農業を目指す方も比較的多くいるとお聞きしますが、県内の有機農業を目指す新規就農者の現状はどのような状況でしょうか。有機農業を推進していくためには、技術的な指導をはじめ、支援が必要です。県農政部として、自治体などへの有機農業における技術支援はどのように行われているのか、お伺いします。  次に、有機農業を推進するためには、生産者側の課題とともに、消費者側の課題もあります。生産者が草取りなど多くの労力をかけても、それに相当する収入がなければ続けることはできません。  全国的には、学校給食に有機農産物を使用することで生産者を支援し、安定した生産を持続する取組が行われているところがあります。昨年2月のオーガニック議員連盟の発足総会で、30年前から食と農のまちづくり条例をつくり有機農業を推進してきた愛媛県今治市の取組について、以前にも御紹介いたしましたがポイントだけ改めて申し上げますと、今治市では、学校給食に地元の低農薬、有機の農産物を使用することで、有機農業の拡大や食育の取組につなげてきています。それまではアメリカ産を使ったパンの原料の小麦も、地元で作ってもらうことで、当然地域経済への貢献にもなります。地産地消によって生産者の顔が見える関係にあることは、食育を進める上で大事なことだと思いますし、また、気候変動対策からも、長距離輸送をできるだけしないという意味もあり、学校給食に地元の農産物を積極的に使用してもらい、その中で有機農産物を拡大していくことを目指すことが必要だと思います。  塩尻市の学校給食は自校給食であるため、地産地消率が50%から60%であると聞いていますが、松本市では大規模学校給食センターであるため、地産地消率が10%くらいではないかと聞いています。県内学校給食における地産地消の現状はどのようになっていますか。  昨年、池田町松川村給食センターでは、新たに年6回ですが、有機のお米を提供することになったそうです。学校給食での有機農産物利用の状況はいかがでしょうか。  また、安曇野市においても自然栽培のお米1トンを提供することになりましたが、通常1キロ250円くらいですが、有機米や自然栽培米だと1キロ700円以上になるため、市民の皆さんにカンパを呼びかけ、差額を農家に補填いたしました。市町村が有機農業を進めるきっかけになる学校給食への有機農産物の導入を県として積極的に行ってほしいと思いますが、県の支援の在り方について伺います。以上、農政部長に伺います。  次に、長野県のホームページに長野県版エシカル消費のコーナーがあります。そこに、「「エシカル消費」は、人や社会、環境に配慮したものやサービスを選んで消費することです。」と書かれていて、信州の環境に優しい農産物認証制度や有機JAS、エコファーマーなどが紹介されています。そこで、エシカル消費の観点から、有機農産物の消費拡大について県民文化部長に見解を伺います。  欧米では、有機農産物の需要が近年非常に大きくなっているようです。流通関連のホームページをのぞくと、スーパーに遺伝子組換えではないノンGMのコーナーがあるだけでなく、オーガニック食品の売場が大きく拡大しています。日本国内でも注目されているコストコをはじめ、ウォルマートやアルディでも青果売場にオーガニックコーナーが設けられています。  先ほど紹介した県農政部の有機農業推進プラットフォームの勉強会では、フランスの有機給食を進めている調理人や管理栄養士のグループの取組が紹介されました。フランスでは、法律により、学校給食において、プラスチックの廃止とともに、食材の50%を良質な持続可能な物にし、うち20%をオーガニック認証のついた食材にすることを目指しています。このような海外の事情から、外国人旅行者はオーガニックへの消費志向が高いと思われますが、営業局としての認識と施策展開について営業局長に伺います。  下伊那郡松川町では、定年帰農者や学校保護者などが遊休農地を利用して有機農業に取り組み、定期的に技術指導を受けられるよう行政が支援し、できた有機農産物を学校給食に提供しています。有機農業を通じ、子供や大人が自然や農業に接し、作物を育み、食を通じて命を考え、人と自然のつながりを考える取組や、有機農業を目指す新規農業者を受け入れて地域として支援するなど、県として有機農業を地域づくりの手法の一つとして推進してはいかがかと考えますが、知事の御所見を伺います。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には3点御質問をいただきました。  初めに、農業分野における気候変動への影響と対応などについてですが、気候変動により、本県においても、リンゴの着色不良やレタスの結球不良などの影響が出ており、その対応は喫緊の課題と認識しております。  このため、県では、2014年度から、温暖化による農作物への影響評価と適応技術の試験を開始しており、高温でも色づきのよいリンゴ、シナノリップの品種育成など成果が出ているところでございます。さらに、農業生産活動に由来する温室効果ガスを削減するため、本年度より、牛のげっぷからメタンガスを削減する技術開発などに着手したところです。  こうした取組は、先般、国が公表しましたみどりの食料システム戦略と方向を同じくするものであり、今後も、2050年ゼロカーボンの実現に向け、革新的な技術の開発などで国との連携を強化し、有機農業をはじめ、環境に優しい農業のさらなる拡大を推進してまいります。  続いて、有機農業の取組の成果と課題などについてですが、県では、技術習得のためのオーガニック・アカデミーの開催や、有機農業推進プラットフォームの立ち上げなどの取組を行い、県内の有機農業の面積は令和元年度末現在で418ヘクタールと、5年前から103ヘクタール増加し、有機JAS認証の取得件数につきましても77件と全国8位となっております。  課題としましては、安定生産のための技術支援や実需者とのマッチング機会の増加等による販路の確保、購入につながる消費者への理解の醸成などが必要と認識しております。  有機農業を目指す新規就農者は、数は少ないものの、県の里親研修制度などを活用して研修を積み、独立後は、県内の有機農業者で構成される研究会のリーダーとして活動を牽引したり、地元の食や農に関する住民活動の中心となるなど活躍されております。さらに、市町村と連携して有機農業を推進するため、県内各地の熟練有機農業者をアドバイザーとして派遣し、普及指導員とともに技術支援を行っております。  最後に、有機農産物の給食での利用などについてですが、令和元年度の県による調査では、県内の学校給食で使用された県産食材の利用割合は46%となっております。このうち、有機農産物の利用は安曇野市や松川町、辰野町などにおいて取り組まれておりまして、米やジャガイモ、ニンジン等の品目が提供されております。  県の支援の在り方としましては、有機農業推進プラットフォームの勉強会において、引き続き、県内外の先進的な事例の紹介による理解の促進や、プラットフォームの会員が地元給食へ有機農産物を提供する仕組みづくりを支援し、取組の拡大を図ってまいります。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)エシカル消費の観点から見た有機農産物の消費拡大についてのお尋ねでございます。  有機農産物は、農薬や化学肥料に頼らず、環境に配慮して生産された農産物でありまして、その消費拡大を図ることは、長野県版エシカル消費の推進につながるものと考えております。昨年度から、スーパーマーケットの店頭で、有機JASマークをはじめ、エシカル消費につながる商品を分かりやすく紹介する掲示を行っているところでございます。  引き続き、掲示に御協力いただける店舗の拡大を図りながら、有機農産物の消費拡大を含めた長野県版エシカル消費の推進に取り組んでまいります。       〔産業労働部営業局長金井伸樹君登壇〕 ◎産業労働部営業局長(金井伸樹 君)外国人旅行者のオーガニックへの志向と施策展開についてのお尋ねでございます。  オーガニック食品の世界の市場規模につきましては、農林水産省の調べによりますと、2008年から2018年の10年間で約500億ドルから1000億ドルと倍増しているところでございます。特に、欧米では、オーガニック食品の年間消費量も多く、また、SDGsを背景に食材への関心も高まっていることから、欧米の外国人旅行者を中心にオーガニックへの志向は今後ますます強まるものと考えております。このため、オーガニック食品の利用拡大は、ホテルやレストラン等飲食店にとりまして集客を図る上で強みの一つになるものと考えています。  営業局では、産地を巡りながら県産食材の利用促進を図るツアーを行いまして、県内外の一流シェフやメディアの皆様に対しましてオーガニック食品の提案をこれまで行ってきたところでございます。また、昨年から県産品の販売促進のために開設いたしましたマッチングサイト「しあわせ商談サイトNAGANO」におきましても、オーガニック食品を生産する事業者の皆様の登録を進めているところでございます。  今後も、安定的に生産されるオーガニック食品につきましては、ウェブサイトによる情報発信や商談会への出店もさらに進めながら、農政部をはじめ関係部局と一緒になりまして利用拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)有機農業の推進について御質問をいただきました。  御質問でも触れていただきましたけれども、ここ数年、県として、農政部を中心に、有機農業にしっかり力を入れて取り組んでいこうということで、有機農業推進専任担当の配置や有機農業推進プラットフォームの開設、また、農業農村支援センターの職員を有機農業指導職員として養成し、さらには先進的な活動に対する支援金と、様々な取組を進めてきています。これは、長野県として、持続可能な社会をつくっていく上で有機農業は非常に重要な役割を果たすものというふうに考えているためであります。  先般、私は、有機農業の生産農園を直接訪問させていただき、活動されている皆さんと意見交換をさせていただきました。有機農業に関する活動で環境大臣賞を受賞された「農の寺子屋」の皆様でありますけれども、人が生きる根幹としての食を通じた生産者と消費者のつながりなど非常に実践的なお話を伺わせていただき、大変勉強になりました。しかも、これは、農業ということだけではなく、地域社会、コミュニティーの在り方や、持続可能な農業をどうつくるかといったようなことも含めて非常に幅広く意見交換をさせていただきました。  そういう中で、御質問にもありました学校給食についても御意見をいただいています。有機農業を広げて理解を深めるために効果的な手段であるためもっと推進できないかという御意見もいただいていますので、教育委員会とも一緒にどうすれば進められるか考えていきたいというふうに思っています。  有機農業につきましては、単に農作物を育てるということだけではなく、先ほど申し上げたように、持続可能な社会をどうつくっていくかということにも相通ずる取組だというふうに考えております。SDGsを進める我が県としては、脱炭素社会の構築、エシカル消費の推進、さらには食育などなど、様々な政策分野とも関連することを常に意識をしながら政策を進めていきたいというふうに考えています。  以上です。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君)御答弁ありがとうございました。  有機農家への支援情報も県として発信できたらいいのではないかというふうに思いますし、また、今お話がありましたけれども、学校給食への有機農産物買入れの際の差額を補填する制度を検討し、市町村の取組を後押ししていただくことを重ねて要請いたしたいというふうに思います。  また、今年8月に、全国有機農業研究者会議が飯田市で開催されるとお聞きしています。長野県としても積極的に関わっていただきますよう併せて要請いたします。  次に、人権問題について2点お伺いいたします。  1番目は、迷惑行為等防止条例の改正についてです。  差別を伴う悪質な嫌がらせ行為が10年以上にわたって反復して行われるような重大な人権に関わる事件について、最近、地元紙で3日間にわたり特集が組まれていました。その内容から、現行の法体系では行政も警察もなかなか対応し切れない現状がうかがえます。  長野県以外の都道府県では、いわゆる迷惑防止条例で嫌がらせ行為を規制していますが、長野県においても、悪質な嫌がらせ行為については処罰を含め規制すべきではないかと考えます。  2月定例会で、花岡県議からの質問に答えて、警察本部長から迷惑防止条例の改正の必要性や改正の在り方について真剣に検討していく旨の答弁もありましたが、いわゆる迷惑防止条例について、嫌がらせ行為の禁止等を追加する改正に向けての作業を急ぐべきと考えますが、警察本部長の見解を伺います。  次に、ハンセン病患者台帳流出について伺います。  明治時代に警察が県内のハンセン病患者らの氏名などをまとめたとみられる台帳がインターネット上のオークションに出品されるという事案が今年2月に起こりました。これは、ハンセン病回復者の皆さんやその家族の皆さんに多大な不安と恐怖をもたらし続けるという精神的被害の現実から、早急な問題解決が図られなければならない課題です。  今回の問題は長野県だけの問題ではなく、明治32年の調査は、隔離政策の開始につながる全国一斉調査であり、同様の資料が全国的に存在し、同じように流出してもおかしくない状態であることから、国としても早急に対策を講じる必要があります。また、人権侵害を起こす可能性が高い歴史的文書、公文書に対する扱いについても、国の段階での整備が必要だと思われます。ただ、今回は長野県の文書の流出ということですから、長野県として人権問題やハンセン病問題にどう取り組んでいくのかということが問われてもいます。そこで、まず警察本部長にこの件に関する県警察の対応状況について伺います。  次に、今回の事案を把握してからの経緯と今後の対応について県民文化部長に伺います。  そして、ハンセン病患者台帳流出に関する知事の認識をお伺いします。併せて、人権は県民の安心な生活の基盤であると考えますが、県行政のトップとしてこれまでも知事は人権を守ることについて様々発信をしてきていますが、改めて人権を守ることについての知事の決意をお伺いします。       〔警察本部長安田浩己君登壇〕 ◎警察本部長(安田浩己 君)私には2問御質問をいただきました。  まず、いわゆる迷惑防止条例の改正についてのお尋ねであります。  前回の2月長野県議会定例会において私から答弁させていただいたとおり、現在、県警察では、いわゆる迷惑防止条例の改正について真剣に検討を進めているところであります。その中において、公共の場所または乗り物以外の場所における盗撮やのぞき行為等の規制を検討しているほか、議員御指摘の人間関係のトラブル等に起因する嫌がらせ行為や恋愛感情に基づかない付きまとい等を規制対象に加えることなどについても併せて検討しているところであります。県警察といたしましては、できる限り早く条例改正の案を取りまとめ、関係機関等との協議を経て議会に提出できるよう努力をしてまいります。
     次に、ハンセン病患者に係る台帳の流出に関する県警察の対応についてのお尋ねであります。  本件については、本年2月17日、県から、表紙に大町警察署と記載があるハンセン病患者に係る台帳がネットオークションやネットショップに出品されているとの情報提供があり、県警察として認知したものであります。  当該文書の表紙には大町警察署との記載がありますが、文書が作成されたと思料される明治時代は、中央では内務省、地方では県知事によって警察が管理運営されており、現在の大町警察署とは組織が異なること、また、昭和23年に衛生に関する業務が警察から県に移管されていることなどから、当該文書が出品された経緯の調査等については県が調査主体となり、県警察は保管文書の調査等を行うなど必要な協力を行っているところであります。  なお、本件を受け、県警察では、本年2月に22警察署を含む県警察の全所属につき同種文書が存在していないか調査を実施し、本年6月にも、県からのハンセン病に係る文書の保管状況等調査を受け、再度調査を行い、この種の保健衛生に関する文書は保管していないことを確認しております。  今回の文書の流出の経緯は明らかではありませんが、いずれにせよ、このような文書が行政機関から流出することはあってはならないことであると認識をしております。県警察といたしましては、引き続き、行政文書の整理、保管や保存期間が満了した文書の廃棄等を適切に行い、文書管理を徹底してまいります。  以上です。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)ハンセン病患者台帳流出に関する事案発覚後の経緯と今後の対応についてのお尋ねでございます。  本年2月の事案発覚後、人権侵害につながるおそれがあることから、直ちに人権救済機関である長野地方法務局へ報告するとともに、厚生労働省とも情報共有を行いました。また、オークション出品者を訪問し、台帳を販売しないよう依頼したところでございます。  また、先月には、ハンセン病市民学会等で構成された「明治32年らい病患者並血統家系調」に関する検討会の皆さんから、県としての取組姿勢を明確にし、対策を講じるよう要請をいただき、県として今回の文書への対応を行うとともに、情報管理の在り方の再検討や人権意識の向上に取り組んでいくことを回答いたしました。  現在、ハンセン病に係る公文書の有無や保管状況について現地機関を含めた全庁を対象に調査中であり、来月には結果を取りまとめてまいります。また、総務部等において、個人情報を含む行政の情報管理を適切に行うよう通知の発出や情報統括責任者会議で徹底を行ったところであり、今後、個人情報が漏えいした場合の対処手順の見直しについても行っていく予定です。さらに、県職員の人権意識向上を図るべく、研修会の開催を検討しております。  引き続き国や関係団体の皆様と情報共有しながら必要な取組を行ってまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)今回のハンセン病患者台帳流出についての認識、それから人権を守ることについての決意という御質問であります。  今回、恐らくは県が保管していたであろうと思われる文書によりまして、ハンセン病回復者、またその御家族、関係者の皆様方に多大な不安を与えてしまっていることについて重く受け止めているところであります。こうしたことが二度と起こらないように、関係団体の皆様方の御意見も十分承りながら県としてしっかり対応していきたいというふうに考えています。  関係の皆さんと意見交換をさせていただいた際に、今部長から答弁いたしたように、私から大きく3点の課題を申し上げています。  一つは、今回の文書の扱いであります。こうした文書がまた同じような形で出てしまうのではないか、まだどこかに存在するのではないかというふうに心配されていらっしゃるので、我々としては、できるだけ県庁内をしっかり調査していきたいというふうに思います。同じような文書があるのか、ないのか、確認を行っていきたいと思います。  また、これは関係の皆様方と相談の上でありますが、県民の皆様方の中にこうした文書を保有されている方がもしいらっしゃれば申し出ていただくというような呼びかけも検討していきたいと思っています。  また、2点目として、これは一般的に個人情報が含まれている文書でありますので、行政としての情報管理をしっかり行っていかなければいけないというふうに考えています。県として改めて情報管理を徹底すると同時に、問題が生じた場合の対応についても処理方針を明確にして臨んでいきたいというふうに考えています。  それから、3点目が、人権を守るための取組の強化ということでございます。これが中川議員の御質問にも重なる部分でありますけれども、今、コロナ禍の中でも、誹謗中傷や差別が大きな問題になっています。今まさに、人権の問題に我々長野県としても改めて正面から向き合って対策を強化していきたいというふうに考えています。職員の人権意識をさらに向上させるための研修等を行っていきたいと思いますし、また、県民の皆様方と人権について共に考える場を設けていくことを考えていきたいと思っています。加えて、今年度中には人権政策推進基本方針を改定して、今日的な課題も含めて県としての対応の在り方を考えていきたいというふうに思っています。  こうした人権の課題に、県として真摯に、真剣に向き合う中で、人権が尊重される長野県を目指して取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君)そもそも、らい予防の廃止に伴う名簿の廃棄について国から指示があったのか。廃棄されたという事実を確認する仕組みがあったのか。古書店がどのような経緯で入手したのか。県は、当初回収をちゅうちょしたと報道されているが、その事実関係を明らかにするとともに、今後の調査の在り方についても、今もお話がありましたけれども、県・市町村関係機関への調査とともに、県職員、警察関係者のOBへの聞き取り調査、古書店、古文書などを扱う業者、さらには個人への呼びかけなど、責任体制を明確にして調査が行われるよう強く要請し、私の一切の質問を終わります。 ○副議長(清水純子 君)次に、加藤康治議員。       〔5番加藤康治君登壇〕 ◆5番(加藤康治 君)初めに、新型コロナウイルスワクチン接種について伺います。  県内においても、65歳以上の高齢者へのワクチン接種が進んでおり、1回目の接種を終えた高齢者の割合は6月20日現在で45.6%となっています。県では、7月末までに希望する高齢者への接種、インフルエンザ流行期前となる11月末までには希望する全ての県民への接種が終了することを目指す計画で進められています。  ワクチン接種がコロナ収束の鍵を握っており、高齢者への円滑な接種、また、その後の高齢者以外への接種をいかに円滑に行うか。現状、行政として取り組むべき一番の課題と考えます。  円滑な接種のためには医療従事者の確保が不可欠であり、市町村における一番の課題であります。接種のさらなる推進のため、県では医療従事者の募集を行っていますが、その申込み状況や市町村とのマッチング及び派遣の状況、確保に向けての課題について伺います。  また、パート看護師の方がワクチン接種業務に協力して収入を得ることにより扶養の枠を超えてしまうことを懸念し、協力をちゅうちょしている状況があることを受け、接種業務の収入については扶養認定の収入に含めないことが例外的に認められることになったことを踏まえ、医療従事者の確保に向け積極的な周知を行うべきと考えますが、どのように取り組んでいくか、伺います。  企業による職域接種が全国的に開始されましたが、県内においても、大企業を中心に職域接種の動きがあります。市町村が行う接種に加え、企業や大学など多くの接種機会を確保することは市町村の負担軽減にもつながることを踏まえると重要であると考えます。一方で、中小企業単独では職域接種を選択できない課題も発生しており、県としても支援すべきです。  そこで、県内における企業や大学等の接種についての申込み状況はいかがか。また、県によるワクチン接種会場設置に向けた検討が行われていますが、その検討内容について伺うとともに、市町村が行っている住民への接種とのすみ分けの状況、職域接種を選択できない中小企業等の受皿になるのか。以上を健康福祉部長に伺います。  高齢者へのワクチン接種が進む中、2回目の接種が終わった方からは、マスクはしなくてもいいのか、外出は自由に行っていいのか等の声が上がっていることを踏まえ、2回接種した県民に対する行動指針を県として示すべきと考えるが、いかがか。危機管理部長に伺います。  現在、市町村で行われている高齢者への接種では、先ほども申し上げた医療従事者の確保や人口の多い自治体を中心とした予約の取りづらさ、障害者へのきめ細かな配慮等の課題が上げられますが、高齢者への接種で確認された課題への認識、また、課題を踏まえ、今後本格的に行われる高齢者以外のワクチン接種の際に生かしていくことは何か。ワクチンチームのリーダーである小岩副知事の御所見を伺います。  次に、社会経済活動への対応について伺います。  長期化するコロナ禍の影響により困窮を極めている中小企業者に対し、国による支援が行われるとともに、県においても、今回の補正予算案において、県内経済の下支え、生活支援のための事業が計上されています。  今回の緊急事態宣言等に伴う外出自粛等の影響により売上げが大幅に落ち込んだ旅行関連事業者等をはじめとする中小企業等への支援策として、国による月次支援金制度が創設され、申請が行われています。対象となる事業者が支援金をしっかり活用し、事業継続の一助となるようにしていくことが重要ですが、制度が事業者に浸透していないとともに、書類の作成が困難で申請を諦める方もいらっしゃいます。また、国で設置している申請のためのサポートセンターが県内で1か所しかない状況もあります。これらを踏まえ、月次支援金の県民へのさらなる周知、申請を諦めることがないようサポート体制の充実を県としても図るべきと考えますが、具体的にどのように行っていくか、伺います。  高齢者へのコロナワクチンの接種が県内においても進む中、今後は、経済活動を促進するための仕組みづくりが必要です。飲食店等への支援もさることながら、県民に利用してもらう意識を醸成するような方策を県としても検討すべきと考えます。  そこで、集団免疫という概念もある中、事業者が将来に希望を持ち、今後の事業への見込みが立てられるよう、ワクチン接種の進捗状況を踏まえ、経済活動を前進させるための具体的な時期や方法をロードマップで示すべきと考えるが、いかがか。以上を産業労働部長に伺います。  次に、コロナ禍における女性の負担軽減への対応について伺います。  新型コロナの感染拡大による女性への負担が増加している中、世界各国で女性の月経に関する生理の貧困の問題が浮き彫りとなっています。生理の貧困とは、経済的な理由等で生理用品を購入できない環境にある女性のことを指し、発展途上国のみならず先進国においても問題になっています。  この問題は、日本においても無関係ではなく、ある任意団体が行ったオンラインアンケート調査によると、5人に1人の若者が金銭的な理由で生理用品を買うのに苦労した。ほかの物で代用している等との結果が出ています。また、経済的な理由で購入できないだけでなく、ネグレクト等により親などから生理用品を買ってもらえない子供たちがいるとの指摘もあります。  国においては、3月に行った公明党からの申入れを受け、地域女性活躍推進交付金の追加措置により、困難を抱える女性に寄り添った支援を大幅に拡充いたしました。  内閣府の調査によりますと、長野県においても、5月19日現在で16の市や町で生理用品を無償で配布する等の支援が行われていますが、誰一人取り残さない社会を実現するため、一日も早く女性の負担軽減に取り組んでいただくよう、公明党県議団では、4月16日、知事に対し緊急要望を行わせていただきました。  そこで、何点か伺います。  県の防災備蓄品に生理用品を加えることは、生理の貧困に加え、災害時の女性への支援にも有効であると考えますが、検討状況について危機管理部長に伺います。  また、今回、生理の貧困という形で困難を抱える女性の状況が浮き彫りになりましたが、女性が社会的に孤立しないための支援に対する県としての今後の方向性について県民文化部長に伺います。  最後に、地域衛星通信ネットワークの整備について伺います。  近年、災害が頻発化、激甚化しています。災害時には、災害情報の迅速な共有が不可欠であり、その重要な役割を担っているのが地域衛星通信ネットワークです。  地域衛星通信ネットワークとは、全都道府県が通信衛星を共同利用して防災情報や行政情報の伝達を行う専用線のネットワークであり、大規模災害により地上系の通信網が途絶えた場合でも、都道府県と市町村を結ぶ防災行政無線の衛星系の機能を果たすとともに、国と市町村を結ぶ消防防災無線の衛星系を通じて国と被災自治体との連絡調整等を行うことに寄与しています。10年前に発生した東日本大震災や3年前の北海道胆振東部地震等においても被害情報等を迅速に把握する役割を果たしました。  しかしながら、現在運用されている地域衛星通信ネットワークの第2世代システムは、整備費が高額なことや雨の影響を受けることなどを理由に、都道府県がシステムを整備する際に市町村局を廃止する事例が全国で起こり、大規模災害時の被害状況の把握に支障が生じる可能性が顕在化しました。  この状況を打開するために、国は量産品や規格品による第3世代システムの導入を決定しましたが、現行の第2世代システムを管理運営する自治体衛星通信機構の管制局の設備の耐用年数が令和7年度までとされており、それまでに第3世代システムに確実に移行することが災害時の安全、安心の長野県をつくるために重要です。  今年度の国の当初予算において、防災対策に係る費用を対象とする地方債である緊急防災・減災事業債が令和7年度まで延長され、第3世代システムの地域衛星通信ネットワーク等を都道府県が管内全市町村分を含め一体的に整備する場合はこの地方債の対象となりました。昨年12月には、総務大臣から都道府県に対し、緊急防災・減災事業債を活用した第3世代システムの整備が要請されたところです。  そこで、以上のような状況を踏まえ、地域衛星通信ネットワークの第3世代システムについて、現行の第2世代システムの運用期間が終わるまでに、緊急防災・減災事業債を活用し、市町村分を含め県として一体的に整備すべきと考えますが、本県における現在の運用状況と第3世代システムの整備に対する方向性について危機管理部長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)ワクチンの接種に関しまして何点か御質問を頂戴しております。  まず、医療従事者の申込み、マッチング等の状況でございます。  長野県では、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会の全面的な協力によりまして長野県ワクチン接種支援チームの募集を行っております。これまでに、医師105人、看護職162人、薬剤師114人の計381人の方から応募いただいているほか、500人を超える歯科医師の方から協力の意思を示していただいております。市町村からは延べ1,304人日の求人があり、これまでに延べ1,076人日の方々を12市町に御紹介したところでございます。  課題でございますが、多くの医療従事者の皆様に支援チームに御応募いただいているところでございますけれども、南信及び北信の一部地域においては、応募者が少なかったり、応募者の従事が可能な日と市町村の接種会場の日程が合わない事例も見られるところでございます。応募された方々に日時、場所等を具体的にお示しして再度協力をお願いするほか、医療関係団体と連携してさらなる応募を呼びかけるなどして医療従事者の確保に今後とも努めてまいりたいと考えております。  続いて、医療従事者の確保に向けた周知の取組についてのお尋ねでございます。  県では、5月27日に医療関係団体と共同会見を開き、人材確保に向けた情報発信を行ったところでございます。  議員御指摘の扶養認定に係る特例措置につきましても、パート看護師等の方々が接種に御参加いただくための大きな後押しとなることから、県では、6月10日付で長野県医師会及び長野県看護協会を通じて会員に対して周知するとともに、長野県看護協会及び県ホームページにおいて知事からのメッセージにより看護職の復職に向けて幅広く呼びかけを行ったところでございます。  今後、ワクチン接種支援チームで当該医療職を募集する際や県で設置する接種会場において従事いただく場合に、その旨をきちんとお伝えすることによりまして募集人員の確保に努めてまいりたいと考えております。  それから、県内における職域接種の申込み状況でございますが、昨日、6月21日時点では、企業、団体等から24件、大学から8件、計32件の申請があったところでございます。県接種会場につきましては、当面、東信、南信、中信、北信に各1か所設置し、各会場7月上旬までには接種を開始し、11月末までの開設を予定しております。各会場の接種人数につきましては、当面、1日当たり280人から560人を予定しております。  次に、市町村とのすみ分けでございますが、県接種会場におきましては、当面、社会基盤の維持や災害の対応等に欠かせない職種などをまとまりとして接種することにより、実施主体である市町村の負担を軽減し、県全体の接種スピードを上げていきたいと考えております。  また、職域接種を選択できない中小企業等への対応でございますが、県では、職域接種等に関する企業、団体等からの相談に対応するため、新型コロナウイルス対策本部ワクチンチームに企業等接種調整班を設置し、各部局において所管団体等の窓口を設けたところでございます。この企業等接種調整班では、職域接種の実施要件を満たせるよう、複数の事業者を結びつけ、1,000人規模の接種人数を確保するためのマッチングのほか、ワクチン接種支援チームによる医師、看護師等の派遣等により中小企業等の支援をしてまいりたいと考えております。  また、本県のように中小企業が多い地域にとって、職域接種の実施要件の一つである同一会場で対象者1,000人というハードルは厳しいものがあるため、地域の実情に応じた要件の緩和について全国知事会を通じて国に要望しているところでございます。  以上でございます。       〔危機管理部長中村宏平君登壇〕 ◎危機管理部長(中村宏平 君)私には3点御質問をいただきました。  初めに、ワクチンを2回接種した県民に対する行動指針についてでございます。  長期に及ぶコロナ対策において、県民の皆様がワクチン接種を済ませれば元の日常生活ができるのではないかと思われることは十分理解するところでございます。現時点では、医療従事者や高齢者の方々の接種も進んでいるところであり、一日も早く希望する方々にワクチンが行き渡ることが大切であると考えます。  また、現在、国においては、接種によって発症を予防できると期待される一方、ほかの人への感染をどの程度予防できるか十分な医学的知見が集積されていないことなどから、接種後においてもマスクの着用など基本的な感染対策の継続を呼びかけているところでございます。  県といたしましては、感染再拡大の防止と県内経済の回復という観点からも、専門的、科学的分析に基づく指針について示されるよう国に求めてまいるとともに、ワクチン接種後も県民の皆様にお願いすべきことについて専門家の意見をお聞きしながら検討を進め、適時適切に分かりやすく情報提供してまいりたいと考えております。  次に、県の防災備蓄品に生理用品を加えることについてでございます。  大規模災害に備え、食料や必要な物資の備蓄は大変重要な課題と考えており、県では、市町村を補完する立場として、広域単位での備蓄や応援協定の締結に努めております。  今年度からは、こうしたこれまでの食料品等に加え、女性や要配慮者の視点に立った被災者支援の推進に向けて、新たに、御提言のございました生理用品や、乳児用、大人用おむつの備蓄にも取り組むことといたしました。  これまでも、備蓄した食料品については、賞味期限が近づいた際に、フードドライブ等で有効に活用してまいりました。今回、備蓄いたしますこうした生理用品やおむつ等につきましても、使用期限が迫った場合には必要とされる方々へ配布することにつきまして検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、地域衛星通信ネットワークの整備についてでございます。  現在運用している第2世代システムと呼ばれるシステムは、平成25年度から平成29年度まで5か年をかけて県庁や各合庁、市町村、広域消防本部、自衛隊などを結ぶ衛星系の防災行政無線として整備し、災害時の被害情報の収集や情報発信の手段として活用しております。  今回国が導入を決定いたしました第3世代システムは通信機能の向上や整備費の低減が図られておりますが、一方で、第2世代システムとの互換性がなく、スムーズな移行のためには、現在のシステムを運用しながら新たなシステムを整備していく必要がございます。  議員御指摘のとおり、新システムの整備の財源には緊急防災・減災事業債が活用できますが、現在のシステムを整備してから間もないこと、また、整備の検討、実施にはやはり一定の時間が必要なことから、令和7年度までとする運用期間の延長と併せて事業債の適用期間の延長をするよう国に対して要望しているところでございます。  いずれにいたしましても、第3世代システムは激しい雨の際にも通信が確保できるなど災害時に有効な通信手段でありますので、確実に移行できますよう市町村と十分協議しながら整備を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔副知事小岩正貴君登壇〕 ◎副知事(小岩正貴 君)新型コロナウイルスワクチンにつきまして高齢者接種で確認された課題への認識と今後にどう生かしていくのかという御質問を頂戴いたしました。  高齢者接種を進める中で、直接の実施主体である市町村とは、これまでも様々な場面を通じまして課題やその対処方法、対応方法等について把握や検討、共有に努めてきたところでございます。その中では、議員御指摘のような各種課題、これは、全体的なオペレーションレベルのものから個々の住民の方との接点のレベルまで本当に様々でございますが、こうした課題への対応の必要性も認識しているところでございます。  今後、対象者が高齢者以外にも拡大してまいります。また、職域接種などで接種場所も増えていくことになりますので、ニーズや課題も多様化し、複雑化していくことが想定されます。そうした中で、きめ細かな対応と全体としてのスピード感を両立させていくためのバランスをどう取るのか、これが非常に重要な視点になってまいります。県と市町村、医療関係者、事業者、そして、接種を受けられる皆さんなど多くの関係者が、それぞれ役割分担と相互の理解、配慮をし合いながら認識を共有して取り組んでいくことが不可欠になってまいります。そのためにも、県としましては、市町村や関係団体等との情報共有、あるいは県民の皆様への副反応等も含めた正しい情報発信など、できる限りのコミュニケーションを取りながら進めていくことがますます重要になっていくものと考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)2点、順次お答えいたします。  まず、月次支援金の周知と申請サポートについてです。  国の月次支援金は、東京をはじめとする緊急事態措置またはまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業、時短営業や外出自粛等により、直接または間接的に影響を受けた事業者を支援する制度となっております。  当支援金は、売上げが半減するなど要件を満たせば、業種、地域を問わず広く対象となることから、多くの事業者に活用いただけるよう、市町村、商工会、商工団体等を通じて制度の周知に努めているところです。  また、事業者の皆様が身近なところで相談ができるよう、申請をサポートする登録確認機関に金融機関や商工会等約600者にエントリーいただき、事前確認や書類作成の助言などに当たっていただいておりますし、各地域振興局に設置している産業・雇用総合サポートセンターにおいても、登録確認機関と連携しながら事前相談や申請手続の支援を行っているところです。  さらに、本県には、経済団体、金融、大学等67の機関が密接な連携の下に事業活動をサポートするながの産業支援ネットがございます。月次支援金はもとより、各種支援策が事業者の皆様に着実に届くよう、連携強化に努めてまいります。  次に、経済活動を前進させるため具体的なロードマップを示すべきとのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、感染症防止と社会活動の両立に向けた取組や手順を記したロードマップを示し、共有、実行していくことは、経済活動を再開し、前進させる上でも重要と考えております。  本県では、昨年5月、いわゆる第1波の際の緊急事態宣言解除後に社会経済活動再開に向けたロードマップを策定、公表するとともに、産業支援・再生本部会議において、緊急支援フェーズ、ウィズコロナフェーズ、ワクチン等開発後の再生フェーズごとの課題や支援策について検討し、国、市町村、経済団体、金融機関等と相互に協力しながら取組を行ってまいりました。
     以降、第2波、3波、4波と感染拡大に伴う影響を受けた事業者への支援に取り組んでおりますが、今後の経済活動前進のためのロードマップの作成には、ワクチン接種の進捗状況や先行する諸外国の経済活動の状況等、専門的、科学的な分析が不可欠であることから、出口戦略の観点から、国に対して今後の方針を早急に示すよう全国知事会を通じて求めているところであります。  もとより、医療供給体制の強化や集団免疫の獲得が経済活動を拡大するための基盤ともなりますので、県といたしましては、そうした国の方針を踏まえながら、県内経済の回復が遅れることのないよう、経済団体等とも連携し、必要な支援に努めてまいります。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)女性が社会的に孤立しないための支援に対する県としての今後の方向性についてのお尋ねでございます。  新型コロナの感染拡大が長引く中、不安や困難を抱える女性に対する緊急支援として、新たに県社会福祉協議会やこども食堂を運営するNPO法人と連携した事業を実施してまいります。この事業では、経済的困窮により生理用品の入手が困難な女性に対し生理用品を配付するとともに、これまで支援の届かなかった女性や子供を持つ女性に対し寄り添った相談支援を行い、不安や悩みを抱える女性が社会的に孤立することのないよう取り組んでまいります。       〔5番加藤康治君登壇〕 ◆5番(加藤康治 君)ワクチン接種につきましては、今後、高齢者以外の接種が本格的に行われるに当たりまして様々な課題が起こることが考えられます。今後の接種に生かしていくことについては先ほど小岩副知事からも御答弁がありましたけれども、実施主体であります市町村、また、職域接種を行う企業等の状況を県としても的確に把握していただくとともに、医療従事者をはじめ多くの皆様の御協力が不可欠ですので、十分に連携を図っていただきながら、希望する方が安全にワクチン接種ができるよう、そして、接種をしてからも、安全に、また安心して社会生活が送れるよう取組をお願いしたいと思います。県民の関心も高く、現状の最重要課題とも言えるまさに一大プロジェクトですので、引き続き県を挙げて取り組んでいただきますようお願いをいたします。  また、飲食業や観光業に携わる皆様を中心に、いつまでこの先の見えない状況が続くのか、見通しが立たず、大変不安な状況が長期間続いています。今回、ロードマップという提案もさせていただきましたが、事業者が将来に希望を持ち、光が差し込むよう、県としてもさらに取り組んでいただくことをお願いいたしまして、一切の質問といたします。 ○副議長(清水純子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時21分休憩          ──────────────────         午後2時38分開議 ○議長(宮本衡司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  佐々木祥二議員。       〔51番佐々木祥二君登壇〕 ◆51番(佐々木祥二 君)佐々木祥二であります。  令和3年6月県議会における一般質問に当たり、私見を交えながら質問させていただきますので、知事及び執行部の皆様方には前向きで具体的で明快な答弁を期待するものであります。  まず初めに、今からちょうど60年前、昭和36年6月23日から降り続いた梅雨前線による大雨は、30日までの8日間で500ミリ以上に達し、各地で大規模な土石流や氾濫が起き、天竜川は支流に流れ込んだ土石流で川底が上がり満水となり、堤防が決壊し、伊那谷で1万か所以上で災害となり、地域全体が大災害となりました。  交通や通信網が寸断され、孤立化した集落は食料や飲み水も底をつき、伊那谷全体が恐怖のどん底に陥りました。県下で136人もの犠牲者を出し、被害総額は340億円、今の金額として1,224億円でございます。この大災害は三六災害として人々の心の中の記憶に深く刻み込まれております。この災害から今年ちょうど60年を迎えました。災害の犠牲になられました全ての皆様に心より御冥福をお祈り申し上げ、質問に入ります。  昭和39年12月23日発行の「濁流の子 伊那谷災害の記録」の中に、駒ヶ根市中沢小学校東分校1年の双山美也子さんの当時の作品がございます。原文のまま読みます。   「死線をこえて」 ふたつ山みやこ   みやこのうちへ 「おんどりや」のとこから 水が へってきた。   ようさ みやこたちがねとるとき 水が うんと にわのとこへはいってきた。とおりまでついてきたもんで おとうちゃが 「にげる」ちゅった。   おとうちゃと おかあちゃは うらぐちへみにいった。おじいちゃが 「くらがいい」と おもったもんで みやこたちも みんな くらへ へえった。   そのとき 水が うんと 川のように きたもんで くらは つぶれちゃった。みやこは、土や すなや いろいろ いっぺえ のんだ。うりやぶの とこまで ながされて いった。 おとうちゃが 「しんじゃあ たまらん」と ゆった。ゆずらの きのとこに おとうちゃは おちたもんで うまく すわれた。それで でんきんばしらに つかまった。「ゆき」が ちょこんと くらの まんなかに たっていた。みやこは おじいちゃと おばあちゃの あいさへ へえって くるしかった。みやこのとこへ 木や ざいもくや ふとん やら いっぺえ きたもんで おとうちゃが ざいもくや いろいろ どかして だして くれた。そのとき おじいちゃや おばあちゃは しんどった。  九死に一生を得た彼女は、当時のことを振り返りながら次のように語っておりました。6月28日夕方からどんどん家の中に水が入ってきた。夜半頃、家の中は危ないということで、祖父母と私を含め兄弟3人が土蔵へ逃げた。両親は外に見回りに行き、そして、その一瞬、山津波、土石流が襲い、母と祖父母、兄が亡くなり、その中で助かったのは、父と3歳の弟と私の3人でした。そこから濁流を渡って安全と思われるほうへ逃げた。そのとき弟は濁流にのまれ、行方が分からず、今も見つかっておりません。そして、母は23回忌にやっと遺骨が上がりました。災害から2日後、父と一緒に家に帰ったら、家も田畑も跡形もなく、何もありませんでしたと「続・濁流の子」に記してありました。  そこで伺いますが、こういう悲惨な災害を繰り返さないためにも、社会教育、防災教育、そして学校教育に至るまで継ぎ目のない事業の重要性を訴えていかなければなりません。三六災害から60年となる中で、学校教育の場でも、この三六災害を学び伝えていく教育の仕組みが必要だと考えますが、教育長の御所見をお伺いをいたします。  また、防災は、一人一人の問題であると同時に、市町村、県、国の問題でもあります。三六災害後、今日まで、伊那谷地方は復旧工事やダムを含めた防災工事、砂防工事が進められ、国で73基、県で376基の砂防堰堤の整備が進み、それに直轄治山工事も続けられてまいりました。そして、伊那谷地方は、昭和58年に伊那谷を襲った三六災害に匹敵する豪雨に際しましても、人的被害はなく、ダムや砂防施設のおかげで被害も少なくて済みました。  国の発表資料によれば、令和元年10月、台風19号により三六災害を超える638ミリの総雨量を観測しましたが、三六災害後の着実な砂防堰堤整備により、土石流、洪水、氾濫を完全に防止いたしました。これまで、三六災害から砂防の設備投資約330億円により、流域の約870億円余の資産に対して被害を軽減したとされております。  また、最近では、令和2年7月豪雨において、6月30日から7月12日まで降り続いた雨は、伊那市北沢の雨量観測所では1,063ミリ、最大時間雨量26ミリ降り、三六災害のなんと2.4倍の雨量でも、三峰川の堤防決壊や天龍村の土砂崩壊はあったものの、三六災害ほどの大きな災害とはなりませんでした。大変ありがたいことであります。  そこで伺いますが、今後も施設能力を超過する洪水や土石流が激化することが考えられます。そのためには、社会全体で、洪水に備え、河川の流域全体のあらゆる関係者が共同して流域全体で行う持続可能な治水対策が必要であると考えます。  リニア中央新幹線を迎えて飛躍する伊那谷を守る流域治水対策として、天竜川上流流域治水プロジェクトが始まります。このプロジェクトでは、堤防整備や施設能力を超過する洪水が発生することを前提に、河道拡幅や堤防整備等の河川における対策、そのほかに、ソフト対策として住まい方の工夫や住民避難に関する取組、さらには、流域における対策として、雨水貯留施設の整備やため池、田んぼ等を活用した流出抑制に取り組むと記してあります。この流域治水プロジェクトに県としてどのように関わっていくのか。また、ソフト対策については、地域を巻き込んで住民とタイアップしていく必要があると考えます。併せて建設部長の御所見をお伺いいたします。  また、過去に起こった災害や危険から身を守る方法などを地域で学ぶ赤牛先生派遣による社会教育や防災教育の取組は非常に重要だと考えます。現在の赤牛先生派遣の取組状況と地域防災力向上に向けたお考えを建設部長にお伺いいたします。  次に、この三六災害等の教訓をいかに継承し、近年頻発している異常気象による大規模な災害をいかにして防ぎ、全ての県民が安全で安心して暮らせる安定した地域をいかにしてつくっていくのか。知事の御所見と決意のほどをお伺いし、第1回目の質問といたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)三六災害を学び伝えていく仕組みについてのお尋ねでございます。  児童生徒が、災害を身近な経験として捉えるために地域の災害の歴史を学ぶことは、大変重要であるというふうに考えております。  三六災害を学ぶ取組として、例えば、飯田市では、当時の小学生の手記や災害の状況について取り扱った副教材を、小学校3年生、4年生と中学生が学習しております。また、伊那市では、三峰川との共存について独自の教本を使って小学校4年生が学習しているところであります。  県教育委員会では、平成23年の東日本大震災を契機として、学校における防災教育の手引を作成し、今年2月には令和元年の台風19号災害の内容を追加するなどの改訂をしたところでございます。この手引では、三六災害を含めて本県で発生した多くの災害について掲載し、学校での防災教育に活用しております。  今後も、児童生徒が、過去の災害を学び、将来災害に直面したときに状況を適切に判断し自らの命を守れる行動を取れるよう、防災教育の一層の充実に取り組んでまいりたいと考えております。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、流域治水プロジェクトへの県の関わり方とソフト対策への取組に関するお尋ねでございます。  県では、プロジェクトに位置づけた河川、砂防等のハード対策につきまして、例えば、天竜川上流流域治水プロジェクトにおける伊那市大沢川の河道拡幅や、駒ヶ根市瀬早川での砂防堰堤設置など、5か年加速化対策予算を最大限活用し、効果が発揮されるよう進捗を早めてまいります。  また、雨水の流出抑制対策につきましては、本年2月に策定した長野県流域治水推進計画に基づき、一般住宅への雨水貯留タンク普及を促すため、まずは県有施設439か所への設置を推進しているところでございまして、さらに、農政部との連携により、ため池等の活用について市町村や関係者の皆様に御理解いただくため研修会を開催したところでございます。  逃げ遅れゼロに向けた取組に関しましては、国、県が作成する浸水想定区域図などを基に、危機管理部や健康福祉部による県政出前講座やマップ作成支援員による実地指導等により、住民の皆様に対してマイ・タイムラインや災害時住民支え合いマップの作成を促してまいります。  現在、流域治水キャンペーンと銘打って、テレビ等様々な媒体により住民に向けたPRを行っており、今後とも市町村とともに住民の皆様へ浸透を図る努力を続けてまいります。  次に、赤牛先生派遣の取組状況と地域防災力向上についてのお尋ねでございます。  県では、土砂災害のおそれのある地域の公民館や小中学校等に土砂災害の専門家を講師として派遣する赤牛先生派遣事業を令和元年度から始め、これまでに87か所で実施し、住民の皆さん延べ2,760名の方が参加しております。また、全国を見ますと、近年の豪雨災害では、高齢者福祉施設を利用する方が逃げ遅れ、被災した事例が多く見られることから、今年度から対象を要配慮者利用施設に従事する方々に広げ、講習会を行ってまいります。  なお、令和元年東日本台風における土砂災害の警戒避難に関する住民アンケート結果では、講習会等に参加することにより効果的に避難行動につながっていることから、この取組は大変重要であると認識しております。  地域防災力の向上には、地域住民一人一人が土砂災害や水害を我が事として捉える防災意識を醸成することが大切であると考えております。二度と悲惨な災害を被ることのないよう防災教育をはじめとする様々な取組を積極的に実施してまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、三六災害等の教訓をいかに継承し、また、近年頻発している異常気象による大規模災害をいかに防いで安心して暮らせる地域づくりを進めるのかという御質問であります。  まず、伊那谷における三六災害をはじめ、本県はこれまであまたの災害を経験しながら今日に至っております。県民の皆様方の命と財産を守るためには、これまで経験してきた災害の教訓をしっかりと引継ぎながら教訓を踏まえた対策を講じていくということが大変重要だというふうに考えています。  そうした中で、まず県としての取組への反映であります。三六災害におきましては、支川からの多量の土砂流出によりまして天竜川本川での河床の上昇、堤防の決壊、氾濫等が生じました。こうしたことから、支川における砂防堰堤等の整備を進め、流域全体の減災に努めてきております。また、土砂災害警戒区域等の設定をはじめとするリスク情報の提供も県として積極的に進めてきているところであります。  こうしたことに加え、先ほど建設部長からも答弁申し上げたように、今後は、流域治水、あるいは逃げ遅れゼロということで、流域の市町村、事業者、そして住民の皆さんと一緒に災害対応を進めていくということが極めて重要だと思っています。こうした取組に多くの皆様方に関心を持っていただき、一緒に取り組んでいただく上でも、この教訓を分かりやすく伝えていくということが大変重要だと思っています。そういう観点で、先ほど御質問いただきました学校教育や赤牛先生の派遣、こうした事業が大変有効になってくるものというふうに考えております。  今後、県民の皆様方の命と暮らしを守るために、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策予算も最大限活用いたしながら、国、市町村をはじめとする関係団体の皆様方としっかり連携し、県民の皆様方の問題意識を涵養しながら、県民の皆様方の理解と御協力を得ながら災害対応を進めていきたいというふうに思っています。引き続き行政の基本的な役割として災害に強い県づくりを鋭意進めていきたいと考えております。  以上です。       〔51番佐々木祥二君登壇〕 ◆51番(佐々木祥二 君)次に、飛ぶ鉄道、夢の超特急リニア中央新幹線整備事業の現状とアフターコロナを見据えた地域振興策についてお伺いいたします。  天竜川を中心に二つのアルプスに抱かれた伊那谷は、深く豊かな自然環境と南信地域特有の文化が育む潜在的なポテンシャルを持ちながらも、人口減少が経済縮小を招き、多くの課題を抱えている地域でもあります。そこへ、飛ぶ鉄道、夢の超特急が伊那谷を飛ぶのであります。地元自治体では、未来を先取りしたリニア時代のまちづくり、伊那谷の定住・交流人口の増加、リニアを生かした産業振興などを進め、これまでも高速道路や国道バイパスなど交通網整備、工業団地への企業誘致、温泉地や国際山岳観光などの拡充に取り組んできておりますが、新型コロナウイルスによる昨今の社会情勢への影響により、一層厳しい状態であります。  こうした中、地元のリニア整備への期待は大きく、大都市圏との移動時間の大幅な短縮は、首都圏の新しいヒンターランド(後背地)となり、東京の機能分散の適地に成長する可能性があり、伊那谷の生活圏や地域住民のライフスタイルに大きな変化をもたらすと考えられます。  このほどの新型コロナウイルス感染症の拡大は、私たちのプロジェクトと衣食住の在り方に大きな影響を与え、今後の社会活動や生活様式の見直しが求められていて、今、アフターコロナを見据えたリニア整備後の地域振興策を改めて検討すべきと考えますが、リニア整備推進局長の御所見をお伺いいたします。  次に、2月に開催されました伊那谷自治体会議において、JR飯田線への乗換新駅設置を見直し、新しい交通システムを考慮した既存駅との接続方法を検討するとした方針が飯田市から提案されたと伺っております。  また、自動運転技術や車両のEV化など新しいモビリティーの開発が急速に進む中、伊那バレーリニア交通網の利便性向上に向け、長野県駅からの2次交通は、車と鉄路それぞれの特性を生かし、目的地や需要に応じた柔軟な対応ができるシステムづくりなどが有効と思われます。それぞれの関係市町村などの新たな提案を踏まえ、リニア長野県駅からの2次交通の今後の方向性についてリニア整備推進局長の御所見をお伺いいたします。  次に、地域住民の交通手段として重要な役割を担っているJR飯田線について、利便性はもとより、価値観の多様化と将来にわたり充実と活用を図り、飯田線を守っていくことは、伊那谷地域全体の重要な役割、課題であります。  そこで伺いますが、リニア開業に向けて、飯田線の知名度や価値観を高め、アフターコロナの誘客につながるよう、伊那谷の文化、生活に触れる体験ツアーや、飯田線の魅力を生かし、のんびり、ゆっくり旅のスロートレインや伊那谷縦断列車の運行など、伊那谷の観光振興策とタイアップした飯田線の活用を積極的に進めるべきと考えます。リニア開業に向けた観光振興策とJRとの観光連携について観光部長の御所見をお伺いいたします。  次に、JR東海による県内のリニア中央新幹線事業は、平成28年11月に県内で最初の工事となる南アルプストンネル長野工区が着手されました。その後、伊那山地トンネルや中央アルプストンネル、さらに天竜川をまたぐ天竜川橋梁の準備工事に着手するなど、本格的な工事着手に向け着実に動き出しております。  一方で、静岡県では、大井川に関する水資源の確保に関し、国の有識者会議において依然議論が続いており、静岡工区の着工は見通しが立たない状況と伺っております。  そこで伺いますが、去る5月13日に開催された知事とJR東海の金子社長とのトップ会談において、金子社長からは、改めてリニア中央新幹線の東京―名古屋間の2027年の開業は難しいとの説明があったと聞いております。JR東海は開業時期の見通しを明言してはいませんが、仮に開業が遅れた場合、既に沿線地域で進んでいる関連事業の進捗に影響が生じるのかどうか、リニア整備推進局長の御所見をお伺いいたします。  次に、リニア建設工事に伴う発生土置場の確保については、沿線市町村はもとより、運搬経路に関係する近隣の自治体や住民において大きな関心事であります。事業主体でありますJR東海には、騒音や振動の影響に配慮した環境対策や生活道路の交通安全対策にしっかりと取り組んでいただくことを大前提に、早期の発生土置場の決定を期待しております。駒ヶ根市でも2か所ぐらい予定していると承知しております。  そこで伺いますが、県内の工事で見込まれている発生土は900万立米を超えると伺っています。この発生土は、地域活性化対策から見れば宝の山であり、宝の土であります。南アルプス、中央アルプス山脈の宝の山から地域振興にいかに活用するかは地域の知恵にかかっていると思います。  宝の山に入りながら手を空にして帰る。そんなことのないように、これから本格的になるリニア建設工事の機会を捉え、公共事業はもとより、地域振興事業と連携した造成等に積極的に活用することは、当該事業の経費節減につながるなど、活用土のメリットは大きく、大変有効なことと考えます。地域の活性化に資する活用土の有効利用策についてリニア整備推進局長に御所見をお伺いし、第2回目の質問といたします。       〔建設部リニア整備推進局長田中衛君登壇〕 ◎建設部リニア整備推進局長(田中衛 君)私には4点御質問をいただきました。  最初に、アフターコロナを見据えたリニア開業後の地域振興策についてのお尋ねでございます。  県が事務局を担う伊那谷自治体会議では、平成27年度にリニア開業を見据えた地域振興の指針としてリニアバレー構想を策定し、課題への対応を進めてまいりました。その一方、デジタル化の急速な進展、2050年ゼロカーボン実現に向けた動き、新型コロナを契機とした暮らし方、働き方に対する価値観の変化など、構想策定時には想定していなかった新たな社会的変化が生じてきております。  このため、伊那谷自治体会議では、リニアバレー構想の見直しを行うこととし、論点の洗い出しを行うとともに、経済団体との意見交換を始めたところです。これまで進めてきた広域観光や2次交通整備、キャリア教育の取組を着実に進めつつ、社会の変化に対応した新たな課題についても整理を行い、官民一体となってさらなる取組を進めてまいります。  次に、リニア長野県駅からの2次交通の今後の方向性についてお尋ねをいただきました。  リニア整備を伊那谷地域の発展につなげるためには、リニア長野県駅を多くの人々にとって利用しやすい駅とする必要があり、JR飯田線、バス、タクシーなど多様な交通手段による良好なアクセスを確保することが不可欠です。  このため、伊那谷自治体会議では、リニア長野県駅からの目的地や移動距離に応じ、2次交通や広域2次交通、さらに3次交通の検討主体を明確にし、今後、それぞれの主体が最適な移動手段やルートなどの具体化に向けて検討することとしております。  伊那谷地域の重要な交通結節点となるリニア長野県駅の誕生を好機と捉え、MaaSによるモビリティーサービスなど議員御提案の目的地や需要に応じた柔軟な対応のできる新たなシステムづくりも視野に、引き続き、飯田市をはじめとした地元自治体などとともに、駅利用者の利便性に配慮した2次交通の形成に向け積極的に取り組んでまいります。  次に、リニア開業の遅れに伴う県内の影響についてでございます。  先月5月13日の阿部知事とJR東海金子社長とのトップ会談では、金子社長から、静岡工区の早期着工、品川―名古屋間の早期開業に取り組むとともに、長野県内の工事は引き続きペースを緩めることなくしっかり取り組んでいく旨の発言がありました。  JR東海による県内のリニア建設工事の契約率は5月末までに9割を超え、現在、南アルプストンネル長野工区と伊那山地トンネルで斜坑などの掘削工事が進められております。また、本年秋からは、明かり部の天竜川橋梁下部工に着手されると伺っており、着実に工事が進捗してきております。  また、リニア関連道路整備事業については、国道153号伊駒アルプスロードが昨年度から直轄権限代行により事業化され、調査が進められています。また、3月28日には座光寺スマートインターチェンジが供用開始となり、これに接続する座光寺上郷道路でも工事に着手いたしました。これら関連事業は、リニア整備の効果を県内に広く波及させるために必要な事業であり、引き続き計画どおり事業の促進を図ってまいります。  次に、リニア建設工事に伴う発生土の有効活用に関するお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、発生土を公共事業や地域振興の拠点施設に活用することができれば、少ないコストで大きな効果が期待できます。JR東海によりますと、発生土の活用先については、5月末時点で11か所が決定したほか、約30か所で地元との調整が進められている状況です。  このうち、発生土の活用先の一つであり今年の4月にリニューアルされた大鹿村運動広場では、豊かな自然環境の中で多くの人たちが集い、スポーツを通じて交流する拠点施設となることが期待されています。また、今後、発生土の活用が見込まれる伊那市の伊那インター工業団地は、事業が完了すれば新たな企業誘致と雇用拡大につながり、地域振興に寄与するものと思われます。  今後とも、地域の活性化に資する観点から発生土が有効に活用されるよう、市町村と連携し、JR東海との調整に努めてまいります。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)リニア開業に向けた観光振興策とJRとの連携についての御質問でございます。  JR飯田線沿線は、二つのアルプスの雄大な景色に加え、伝統芸能や食文化など伊那谷ならではの観光素材を有しております。こうした素材を生かし、JRと連携しながら、秘境駅を巡る企画列車の運行、沿線風景のフォトコンテストの実施、各駅と連携したリーフレットの配布などを実施してきているところでございます。  また、来年春の飯田お練り祭りをはじめとする大型催事に向けたしあわせ信州観光キャンペーンにおいても、JRの協力を得てプロモーション等を実施していく予定でございます。  今後、アフターコロナやリニア開業を見据え、リゾートテレワークなど観光と暮らし方を意識した取組についてもJRと連携を深めてまいります。       〔51番佐々木祥二君登壇〕 ◆51番(佐々木祥二 君)それぞれ答弁をいただきました。  三六災害から60年、もう語り部は少なくなってまいりました。災害は忘れた頃にやってくると申します。常に小中学校における総合学習の場を有効に活用するなど、学校教育の段階から防災教育や土砂災害対策などの理解を深める取組を、ここは教育長、しっかりやっていただくように要望をしておきます。  災害から貴い人命を守るためには、軸足はソフト対策であると思います。地域の方々と連携し、流域治水対策、すなわち消防団や住民総参加の取組を、ここは建設部長にお願いしておきます。  三六災害後、地域では、「災い転じて福と成す」の志を持って、地域の力強い復興意欲の結果、あれから60年、令和の時代に伊那谷は災害に力強く立ち向かう地域を目指しております。知事、ハード面の整備促進、支援を強くお願いをしておきます。
     また、観光対策につきましては、飯田線秘境駅ツアーなど私はよいと思いますので、いろいろ地域の市町村とも連携を取りながら、観光部長、よろしくお願いしたいと思います。  また、伊那谷は、新たな夢のリニア新時代に突入をしております。夢の超特急がもうすぐ伊那谷を飛ぶのです。この際、リニア効果を最大限活用し、地域の夢や思いの丈を実現しようではありませんか。今、地域振興、地域活性化は大チャンスでございます。リニア局長、ここもよろしくお願いをいたします。  もともと道はどこにもないのです。私たちが歩いて初めて道はできるのです。道なきリニアの道は、夢が切り開くのです。昔から、夢ありて事始まると申します。長野県の夢、またこれからの伊那谷、リニア新時代に向け、夢集めや夢育て、そして夢の実現に向け、知事を先頭に邁進、努力していただくことを心よりお願いを申し上げ、ちょうど時間となりました。私の全ての質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、酒井茂議員。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)伊那市選出、酒井茂でございます。私は、今回は農業と人口減少の二つの項目について質問いたします。  大きい一つ目の質問は農業であります。まず、食料自給率について質問をいたします。  農は国の基であります。農業の振興なくして、国民の命を守り、そして国土を保全することはできません。今回のコロナ禍において分かったことは、パンデミックが起きたときには農産物の輸出入が滞り、食料の入手が困難になるということであります。  食料安全保障の観点も踏まえまして、食料の安定供給に対する国民の関心が高まっており、食料自給率を高めていくことが求められているわけであります。知事も地消地産を提唱されておりますが、これを実現していくためには県内の食料自給率を高めていく必要があると考えるわけであります。  また、将来発生する確率が高いと言われております南海トラフ地震や巨大地震をはじめ大規模な自然災害が発生したときに食料供給基地としての機能を長野県が果たしていくためにも、カロリーベースで53%となっております現在の県内の食料自給率の向上を図っていかなければならないと考えるわけであります。  そこで、知事にお聞きいたします。県内の食料自給率の将来に向けた向上について県としてどう考え、どう施策を進めますか。  次に、農政部長にお聞きいたします。今後も県の農業振興を図るとともに、県内の食料自給率の向上にもつなげるため、県として生産の維持、拡大を図るべきと考える作物は具体的には何があり、その生産拡大を図るための具体的な対策をどう考えておられますか。  次に、米の適正生産についてであります。  昭和45年以降、長く続きました米の生産調整、いわゆる減反政策でありますが、これが終わり、現在では、国の示した需要見通しを目安に各県で生産数量を調整しているわけであります。令和3年度産米につきましては、国の需要見通し数量が昨年に比べて大幅に減少したため、果たして各広域圏や県全体におきまして調整ができるのか、見通せない状況にあるわけです。  これまでの米需要の減少傾向に加えまして、コロナの影響により需要が大きく減少して米余りに拍車をかけている状況であります。需要の減少により米価が下落していることから、需給調整への意欲が減退し、適正生産に協力したくなくなる農家が出てくることでさらに米余りとなり米価が下落するという悪循環に陥ることが懸念されており、水田の利活用を一層推進し、農家の所得確保を図っていく必要があると考えます。  米価の下落は、特に大規模な米生産組織や法人等の経営の圧迫につながりまして、大規模であることがかえってデメリットになってしまうという皮肉な現象も生んでいるわけであります。  そこで、以下2点、農政部長にお聞きいたします。  一つとして、米の需要が減少している中で、米の需給調整の現状をどう捉え、今後、水田の利活用も含め、需給調整にどのように取り組んでいかれますか。  二つ目に、米の生産を維持していくため、新たな市場として海外も有効な選択肢の一つではないでしょうか。米の輸出促進には、ノウハウのある民間と連携して進めることも有効ではないかと考えます。農協などの協力によりまして輸出の拡大につながると考えますが、いかがでしょうか。  次に、担い手の育成についてであります。  国の農業政策においては、中核的な経営体や集落営農組織、あるいは農業法人を担い手の中心としており、兼業農家に対する評価というものは極めて小さいと考えます。  しかし、県内に多数存在する兼業農家は、土地利用型農業においては一定程度の生産機能を担っており、耕作放棄地の進行を食い止め、農地を維持していく上では、重要な役割を果たしております。  農村地域において、兼業農家はものづくり産業などに従事しながら生計を立てているわけでありますが、採算を度外視しても農業経営を継続し、農村や農地を守り、雇用を確保する役割も大きなものがあるわけであります。また、集落営農組織では構成員の確保が課題となっておりますが、現状におきましても、今後におきましても、兼業農家が組織に加入しなければ組織の維持は困難であると考えます。私は、長野県農業におきます兼業農家の果たす多面的な役割を適正に評価するとともに、今後におきましては農業の重要な担い手として保護、育成すべきと考えます。  一方、県では、新規就農者数を毎年250人とする目標を設定しているところでありますが、実際に就農した人は毎年目標値を下回っております。一人前の農家になるまでには長い期間を必要としますが、それまでの期間の生活のやりくりに苦労しているのが現状であります。  新規就農者を支援する国の次世代人材投資事業におきましては毎年150万円給付されているわけでありますが、生活の継続が困難になり、就農を途中で断念してしまうケースも出てきております。  県では、新規就農者の育成を図っておりますが、国の支援制度だけでは不十分な面もあり、県も農業担い手育成基金による助成制度を創設しておりますが、この制度では十分ではないとする声も上がっております。  一方、親などが所有する土地等を利用でき、農業経営のノウハウを持つ親元就農者は、安定した農業経営を実現できるために、主要な担い手として育成していくことが適当と考えます。  そこで、まず知事にお聞きいたします。  県として、今後の長野県農業の主要な担い手の対象をどのように想定し、どのように育成していく方針でしょうか。また、兼業農家の役割をどう評価し、今後において兼業農家を担い手としてどう位置づけていく方針でしょうか。  次に、以下2点について農政部長にお聞きいたします。  一つ目、新規就農者のさらなる確保育成を図るため、国の農業次世代人材投資事業による就農支援制度とは別に県による新たな支援制度の創設を提案いたしますが、いかがでしょうか。  二つ目、親元就農者は、現有の経営基盤やノウハウを継承できることから、主要な担い手として育成していくことが適当と考えますが、支援策について伺います。  次に、スマート農業の振興についてであります。  私の地元、伊那市では、令和元年度、2年度の2か年にわたり、農水省からの委託事業であるスマート農業技術の開発・実証プロジェクトが実施されました。プロジェクトは、中山間地におきます農業者の高齢化や後継者不足、低収益性などを打開するため、スマート農業技術を駆使した先進的な水田複合経営を検証する目的で実施されたものでございます。  3月には、プロジェクトの成果報告会が開催されまして、実証農場を引き受けました農事組合法人田原の中村組合長は、機械の導入によりもうかる健全な農業経営を期待したが、予期せぬ米価の下落により経営に苦慮していると述べております。今回の実証プロジェクトは一定程度の成果を上げたと総括されておりますが、機械等が高額なことや、農産物の生産や価格に不安定要素があることを考慮して推進すべきと考えます。  そこで、知事に、本県においてスマート農業をより効果的に導入していくための基本的な方針について伺います。  次に、以下2点について農政部長にお聞きいたします。  一つ目、スマート農業を推進する上で、導入する機器が高額であることが最大の課題であるため、国や県には導入時における財政支援の実施が求められますが、どのように対応していきますでしょうか。  二つ目、ドローンによる農薬の散布について、周辺住民から安全性に対する不安の声も想定されるため、農業者からは、安全性に関する県としての統一的な見解を提示するよう求める声がありますが、県としてどう対応していきますでしょうか。  次に、農業の基盤の整備についてであります。  県内農業におきます農業基盤に係る課題として、過去の土地改良事業で造成した水田は1区画当たりの面積が小さく、また、用排水路等の農業水利施設は老朽化が進んでいることが挙げられます。  一方、米需要の減少等に伴い、米価の下落が進み、農業収入が減少していることから、米生産農家にとりましては必要な基盤整備の財源を負担することが困難な状況になっております。  そこで、以下2点について農政部長にお聞きいたします。  一つ目、土地利用型農業における生産性の向上やスマート農業を推進するために、水田の区画の拡大や農業水利施設の更新、長寿命化に併せて用水路のパイプライン化などを進めることが必要でありますが、県としてどのように進めていかれるでしょうか。また、水田の基盤整備事業実施に伴う農家負担の軽減を図る必要がありますが、県としてどのように対応していかれるでしょうか。  二つ目として、整備した農地や農業水利施設などを維持していく上で有効な施策として、多面的機能支払交付金がありますが、提出書類の作成などが困難なため、手続の簡素化を求める声は大きなものがあります。今後どのように対応していかれるでしょうか。  次に、農協との連携について質問いたします。  まず、農協改革についてであります。  農協改革は、2014年5月の政府の規制改革推進会議の農業ワーキンググループによる意見発表から始まったわけであります。  私は、2017年9月の議会一般質問におきまして、農業ワーキンググループが示した農協改革の内容のうち、信用事業、これは金融事業でありますが、これを営む農協を3年後に半減させるべきとすることについては現実的ではないと指摘をしたところでございます。  総合農協におきましては、信用事業と共済事業、保険事業でありますが、これは、主要な収入源であり、この収入がなければ赤字部門である営農指導事業を大幅に縮小せざるを得なくなり、結果として農家の経営に甚大な影響を及ぼすからであります。現状の農協経営を見ますと、主要な収入源である信用事業につきましては金利水準が大幅に低下しており、これにより大幅に収益が減少していることもあって、総じて財務内容が悪化しております。これにより、営農指導事業に回せる資金が減少し、やむなく事業に係る組織や人員体制を縮小していくことが懸念されます。  そこで、以下2点について農政部長にお聞きいたします。  一つ目、2014年に政府の規制改革推進会議の答申でスタートした農協改革について、現状どのような経過となっておりますか。また、現時点における県内農協改革の進捗状況とその成果を県としてどのように評価されておりますでしょうか。  二つ目、農協の営農指導事業も広域化、多様化する中で、今後、農業経営の効率化や農業所得拡大の実現、県が進めようとしているスマート農業を振興していくためには、県と農協が連携を強化し、農業経営指導や技術指導などの支援体制を強化すべきと考えますが、それぞれの役割を踏まえて今後どう対応していきますか。  次に、知事にお聞きいたします。  県は、平成28年に農協との包括連携協定を締結いたしましたが、これまでの県と県内農協との具体的な連携の内容と、連携の成果をどう捉えておられるでしょうか。また、農協との連携について今後どう対応していく方針でしょうか。  以上で大きい一つ目の質問とさせていただきます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)農業の振興に関連して、私には大きく4点御質問いただきました。  まず1点目でございますけれども、食料自給率の関係であります。どう考え、どう施策を進めるのかということであります。  県内の食料自給率について考える場合に、大きく二つ側面があるかと思っております。一つは、全国の農産物の責任産地として安定的な供給をしていくということ、そのことを通じて国内全体の自給率の向上に貢献していくということが重要だと思っております。その一方で、地元で生産された新鮮で安全、安心な農産物を生産、消費して、地消地産、地産地消による地域内経済循環をより大きくしていくと、こうした両面があろうかと思っています。  前者の観点からは、スマート農業技術の導入加速化による生産性の向上や中核的な担い手への農地集積、集約化の促進による規模拡大、また、農地の大区画化等による生産コストの削減、こうしたことを進めていきたいと考えております。  また、地産地消、あるいは地消地産を進めていく上では、県民の皆様方が地域の農産物を優先して購入いただくようエシカル消費を進めていきたいというふうに考えておりますし、旅館、飲食店や学校給食、食品産業において県内産の農産物を極力使っていただくようにお願いしていきたいと思っております。また、生産者と消費者が直接交流でき、地域の農産物の魅力の発信の拠点ともなる直売所の供給力も強化していきたいというふうに考えています。  こうした多角的な取組によりまして県内の食料自給率の向上を図るとともに、責任産地としての役割を果たし、地域内の経済を活性化させていきたいというふうに考えております。  次に、農業の担い手に関連してでございます。  主要な担い手の対象をどう想定して育成していくのか、また、兼業農家をどう評価し、どう位置づけるのかという御質問であります。  県としては、大規模生産法人をはじめとした認定農業者や地域全体をまとめて生産活動を行う集落営農などを今後の本県の農業生産の大宗を担う主要な担い手ということで位置づけております。  将来にわたってこうした担い手を確保育成していく上では、経営マネジメント力などを身につけるための信州農業MBA研修や、経営コンサルタント等の専門家が伴走型で支援を行います農業経営サポート事業等によりまして個々の経営を支援していきたいというふうに考えております。  一方で、兼業農家を含む家族農業につきましては、国連におきましても、食料安全保障や持続可能な農業に重要な役割を果たすということで評価されております。2019年からの10年間を家族農業の10年と位置づけているところであります。  本県におきましても、兼業農家は、専業農家とともに農業生産を支えていただいております。食料の安定供給はもとより、農村コミュニティーや多面的機能の維持、農村文化の継承等に不可欠であるというふうに考えております。今後とも地域農業を支える重要な担い手として位置づけていきたいと考えています。  続きまして、スマート農業導入の基本的な方針という御質問であります。  県としてはDX戦略を策定しております。農業も含む産業面でのAI、IoT等先端技術の利活用によります課題解決、生産性の向上を進めております。農業分野におきましても、本県農業の様々な課題の解決にこのスマート農業を進めていきたいというふうに考えています。  県内での導入を効果的に進めていく上では、このスマート農業機器の開発が進んでいる分野であります水稲、畜産、施設野菜、これを重点品目として設定して、中でも、生産性向上の顕著な効果が見込まれる一定規模以上の農業者の皆さんを重点農家として、その導入を促進していきたいと考えています。  本年度から農業農村支援センターに新たにスマート農業推進担当を設置いたしておりますが、JA、機械メーカー、市町村など関係団体と連携して、重点農家の御意向をお伺いしながら、必要な機器類の導入が促進されるようきめ細かにアドバイスを行っていきたいと考えております。  最後に、4点目でありますが、農協との包括連携協定の評価と今後の対応についてという御質問であります。  信州創生のために、JA長野県グループと平成28年に農村地域の暮らし支援についての協定を結ばせていただいております。農業生産拡大に係る支援や地域社会経済の持続的発展に係る支援など相互の連携による取組をこれまで行ってきているところであります。  具体的な取組と成果としては、例えば、南信州地域におきましては、JAみなみ信州や市町村等と連携して、南信州地域全体の農業のPR活動、研修生の受入れによります移住の推進を図ってきております。平成29年11月以降、39名にこの取組で移住をしていただいております。  また、北アルプス地域におきましては、JA大北と連携させていただき、農業相談、移住・観光情報を提供する農ある暮らしサポート直売所を平成31年4月に設置いたしております。  長野地域におきましては、信州こどもカフェ推進地域プラットフォームとJAグループが連携していただき、こども食堂やフードバンク団体への食材提供が平成29年から始まり、令和元年にかけて五つの地域に拡大してきております。  こうした取組が県内各地で広がっており、この包括連携協定を締結していただいたおかげで、移住・交流の推進、子育て支援、こうした分野でもJAグループの皆様方の御協力をいただける形になっているというふうに考えております。  JA長野県グループとは、農業振興はもとより、生活物資の供給、医療・介護事業等農村地域での様々な役割を担っていただいておりますので、これからもしっかり連携していきたいというふうに考えております。新規就農者の確保、地域に密着した暮らしの支援など、農業・農村の発展に向け、共に力を合わせて取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には11問御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  初めに、食料自給率の向上につながる作物についてのお尋ねでございます。  本県は、野菜や花卉など、カロリーベースの食料自給率の向上にはつながりにくいものの、収益性の高い園芸品目を中心に生産振興を図っているところです。  食料自給率の向上については、穀類や芋類、畜産の自給飼料の生産拡大が重要であり、中でも、麦、大豆など主要穀類については、県内の実需者から増産を求める声があることや、食料自給率向上にもつながることから、生産拡大を図っていくことが必要と認識しております。  具体的な麦、大豆の生産面積の拡大としましては、米の適正生産に向けた主食用米からの転換の推進や、スマート農業技術の導入による作業の省力、効率化の推進など、これらの取組をJAグループや市町村など関係機関と一体となって進めてまいりたいと考えております。  次に、米の需給調整の取組についてのお尋ねですが、本県の令和2年産米は、コロナ禍の影響により需要が減少し、例年以上の在庫を抱えており、全国の状況も同様なことから、米価が下落しました平成26年以上の下落も想定され、本県でもさらなる需給調整が必要と考えております。  このため、田植え後の今からでも実施が可能で、交付金を含めると主食用米と同程度の所得が見込める飼料用米への転換をJAグループと連携して進めているところでございます。  米の需要が大幅に減少している中、今後も需要に見合った適正生産を進めていくことが重要であり、園芸作物などの収益性の高い品目への転換、飼料用米や輸出用米への誘導等を関係機関と連携して進めてまいります。  次に、米の輸出拡大についてのお尋ねですが、県内では、若手の米生産グループが輸出量を3年間で倍増させた取組や、全農長野県本部が卸会社を通じて県産米を高付加価値商品として輸出する取組などが行われており、これら民間と連携した取組を進めることが輸出拡大に有効であると認識しております。  このため、県では、このような民間企業の皆様を講師にいたしまして、輸出に関心のある産地や生産者向けの研修会などを開催し、輸出用米の生産者を増やす取組を行っているところです。米の国内需要が減少する中、海外市場も重要な選択肢と考え、今後も、輸出のノウハウやルートを持つ民間企業や輸出に意欲的な産地や生産者と協力し、さらなる米輸出の拡大につなげてまいります。  次に、新規就農者への新たな県支援制度の創設についてのお尋ねです。  本県においては、国の農業次世代人材投資事業の積極的な活用により、制度開始から昨年までの9年間で、準備型517人、経営開始型1,062人が交付金を受給し、新規に就農しており、成果が上がっているところでございます。  こうした状況から、今後も、交付金については国の制度の活用を基本とし、県では、就農前の相談活動や研修事業の実施のほか、就農後の生産、経営両面からの技術支援などソフト面での支援を一層充実させることによりまして、できる限り早期の経営確立につなげてまいります。  次に、親元就農者への支援策についてのお尋ねです。  親元就農は、親が持つ農地、農機具などの経営基盤が既にあり、円滑な就農に結びつくことから、新規就農の重要な形態と位置づけております。このため、県では、平成30年度から、長野県農業担い手育成基金の事業として親元就農者に30万円を給付する制度を創設し、親元就農者を支援しているところです。  さらに、国においても、農業次世代人材投資事業の交付要件を親元就農に合わせて緩和するとともに、本年度、経営発展を図る親元就農者が交付を受けられる新たな事業を創設するなど、親元就農者への支援を拡充しております。今後も、こうした国や県の制度を活用し、親元就農者を支援してまいります。  次に、スマート農業機器導入への財政支援についてのお尋ねです。  一般の機器よりも高額なものが多いスマート農業機器の導入を円滑に進めるため、強い農業担い手づくり総合支援交付金などの国庫事業や融資制度を活用し、農家の負担軽減を図るほか、一部の機器については本年度から県単独事業の活用もできるように対応しているところです。
     また、県では、民間企業と連携しまして、より安価な機器の開発にも取り組んでおり、軽量コンパクトで急傾斜でも稼働するリモコン式畦畔草刈り機を実用化したところです。  さらに、作業時期が異なる産地間でスマート農業機器を共同利用するシェアリングの実証にも参画し、農家の負担軽減に向けた支援を取り組んでまいります。  次に、ドローンによる農薬散布の安全性についてのお尋ねですが、ドローンを用いた農薬の散布については、国が令和元年度に安全かつ適正な散布に係る安全ガイドラインを策定しております。  加えて、県独自の対応として、散布計画の県への届出や周辺住民への周知などをすることを指導要領で定めておりまして、これら国や県の要領等に従って散布をすることで安全性が確保できると認識しております。  ドローンの利活用が進む中、県では、これらの内容をホームページ等で周知するとともに、引き続き安全かつ適正な農薬散布が実施されるよう、防除業者をはじめ関係機関・団体へ研修会等を通じまして指導を徹底してまいります。  次に、水田の区画拡大等の進め方などについてでございます。  スマート農業が可能となる水田の区画拡大や用水路のパイプライン化などの整備を推進していくためには、農家の皆様に導入の効果を十分に理解していただくことが重要です。  このため、県では、先進地視察や農業農村支援センターによる整備に即した営農技術の紹介など、事業効果を理解していただくための取組を実施しているところです。  また、農家の負担軽減につきましては、担い手への農地集積・集約化率に応じて交付される促進費や、一定の要件を満たした場合に農家負担が不要となります農地中間管理機構関連農地整備事業などの制度が整備されているため、これらを積極的に活用してまいりたいと思っております。  次に、多面的機能支払交付金の手続についてのお尋ねでございます。  これまでも、県では、国に対して事務負担の軽減を要請いたしまして、提出書類の削減など一定の改善が図られてきたところですが、依然として書類作成や事務手続が活動組織の負担になっていると認識しております。  このため、手続の簡素化について引き続き国に要請していくとともに、事務の集約につながる活動組織の広域化や土地改良区への事務委託などの促進によりまして事務負担の軽減に努めてまいります。  次に、農協改革の経過及び県内の進捗状況とその成果についてのお尋ねですが、農協改革につきましては、先週末に閣議決定された規制改革実施計画において、農家の所得増大等に向けた具体的な自己改革方針等を各JAが組合員の判断に基づき策定、実践し、農水省が指導監督する実践サイクルの構築により自己改革を継続するとされました。また、懸案となっていました信用事業については、実施計画に盛り込まれずにJAの判断に委ねられ、代理店化は強制されないこととなりました。  県内の農協改革の進捗については、信用事業を行うJAに対し、毎年、部門別の経営状況や自己改革等への取組のヒアリングを行う中で、農家の所得向上に向けた直接販売の拡大や事業コストの低減に向けた施設の統合、集約化などの取組が年々増加していることを確認しており、本県においても農協の自己改革が着実に進んでいるものと評価しているところでございます。  最後に、農協との指導の連携強化についてですが、県と農協との指導連携に当たり、例えば、スマート農業を地域に導入する際には、県は現地の適応性を検証し、農協は農家への面的拡大やPRを担うなど、役割分担をした上で連携していくことが重要で効果的と考えております。  具体的な取組として、昨年から、上伊那地域では、県が作成した指導動画等をクラウド上のデータベースで農協と共有し、双方がタブレット端末で利用できる指導体制を整えるなど、新技術や新品種の迅速かつ効果的な普及につなげているところです。  今後は、こうした効果的な指導体制の整備を他地域でも展開し、農協との連携を一層強化してまいります。       〔31番酒井茂君登壇〕 ◆31番(酒井茂 君)大変項目数の多い中で、端的に御答弁をいただいたと思います。  次に、大きい二つ目の質問とさせていただきます。まず、人口減少の原因と対策についてであります。  長野県では、急激な人口減少を緩和して長期的に安定させることは可能であるとして、様々な有効な施策を実施するために、平成27年に人口定着・確かな暮らし実現総合戦略、いわゆる信州創生戦略を策定したところでございます。そして、この戦略は、平成30年には、総合5か年計画でありますしあわせ信州創造プラン2.0に継承されているところであります。  信州創生戦略におきましては、人口増減の要因のうち、社会動態要因について、社会増減は従来から大幅な転出超過となっており、近年の傾向は従来と大きく変わらないものの、特に若い世代で女性の流出が加速していると分析しております。しかし、なぜ若い女性の流出が加速化しているのかについては分析されておりませんし、流出を抑止するための具体的な施策も記述されていないのが現状であります。  私は、人口の減少を止めるためには、若い女性の流出超過を抑止することに取り組むことが重要であるというふうに考えておるところでございます。  そこで、以下2点、知事にお聞きいたします。  一つ目、長野県の人口減少の原因をどう分析し、県では人口の減少を緩和するためにこれまでどのような施策を実施し、どのような成果を上げてきているでしょうか。また、施策の実施に当たって、課題をどのように認識し、今後どのように進めていく方針でしょうか。  二つ目、若い女性の流出超過の現状をどのように認識し、その原因をどのように分析されておられるでしょうか。原因が掌握できていないのであれば早急に調査することを提案いたしますが、いかがでしょうか。  次に、企画振興部長にお聞きいたします。  県では、若い女性の流出超過を抑止するために、これまでに具体的にどのような施策を実施し、どのような成果を上げているでしょうか。また、流出超過を抑止する施策を実施する上での課題をどう整理し、課題解決のため今後どのように対応していきますでしょうか。さらに、流出超過を抑止するために、県として具体的な流出率を数値目標に掲げた上で具体的な施策を実施することを提案いたしますが、いかがでしょうか。  次に、女性が尊重される社会についてであります。  人口減少に関してユニークな対策を実施している自治体があり、全国から注目されています。それは、兵庫県北部に位置し、コウノトリの郷や城崎温泉などで有名な豊岡市であります。豊岡市では、一旦市外に転出した若い女性がその後市内に転入する割合、これを若者回復率と呼んでおりますが、これが低いとした上で、人口減少の最大の要因は若い女性が豊岡市を選んでいないことであると分析しております。そして、若い女性に選ばれない背景にはジェンダーギャップが根強く残っているとしております。  その上で、女性が住みたいと思う町をつくり上げない限り女性に選ばれる市にはなれないとし、昨年改定した地方創生総合戦略の中で、新たな視点として「女性に選ばれるまちづくり」を掲げております。その中で、ジェンダーギャップを解消し、生き生きと暮らす女性を増やす取組を進め、多くの若い女性を呼び込む施策を展開することとしております。  私は、豊岡市の考え方には大いに賛同するものであります。  内閣府は、昨年7月に、女性の社会参画に関する有識者会議を開催し、地方から都市部に若い女性が流出しているのは地域に男女差に関する偏見が根強く存在しているからだとする見解を公表いたしました。国がこうした見解を示したのはこれが初めてのことであります。  ジェンダーと聞いただけで男性敵視と誤解する人が多いことも事実でありますが、こうした事実こそが問題であり、人権感覚を育成するとともに、現状を変えるための努力が必要と考えます。  ジェンダーギャップとは、簡単にいいますと、男女の違いによる格差のことであります。ジェンダーに関しまして、長野県では県民意識調査を実施しておりますが、ジェンダーについて半数の人が知らないと答えております。  私は、3年前の平成30年11月の議会で一般質問を行い、長野県では若い女性の県外への転出超過が続いており、これが少子化の主な原因になっていることから、若い女性が地域に定着することが重要と考える。そのためには、女性が住んでいたい、住みよいと感じる地域にしていかなければならないと指摘したところでございます。  長野県の調査によりますと、世の中は男女平等かを問う質問で、平等と答えた割合は女性では5%にとどまっており、「男性のほうが優遇されている」または「どちらかというと男性のほうが優遇されている」との回答は女性では8割でありました。この回答から、いかに多くの女性が男女平等ではないと感じているかが分かります。  また、男女共同参画社会はどのような社会かを問う質問では、男女を取り巻く偏見や決まり、慣習、しきたりなどが解消された社会と答えた人が50%ありました。この回答から、男女を取り巻く偏見や決まり、慣習、しきたりがあると感じている人が多く、この状況を解消し、男女共同参画社会を実現することが女性の流出抑止につながると考えられます。  私は、固定的な意識や慣習などに関して女性が嫌だと感じることについて女性の皆さんに聞いてみました。幾つか例を挙げてみますと、一つ、冠婚葬祭などの場面で親戚から古くからのしきたりなどを持ち出される。二つ、地域の意思決定は男性によって行われる。三つ、地域役員の選定の際に女性は関われない。四つ、地域の会議で女性が意見を言うと、女のくせにと言われる。会議では女性はお茶を入れるのが役目である。5番目、介護は女性がするものとの考えが強いなどでありました。  コロナの時代となりまして、生活様式や考え方などが変わることが当たり前の世の中になることから、この際、社会通年、慣習、しきたりなどを見直すには絶好の機会ではないかと考えます。  例えば、今回のコロナ禍で、葬儀に関する様式が大幅に簡素化されたところであります。これにより、多くの女性の皆さんは負担が軽減されたことを歓迎しており、元に戻ってほしくないとの声も出ております。親の介護の後の葬儀、そして法要、新盆、伊那地域ではそう言っておりますが、と続く一連の弔事や法事は、女性が嫌う慣習やしきたりなどが重くのしかかる機会となり、女性にとっては心身ともに大きな負担であるという声も聞かれます。  固定的な意識や慣習の問題点に気づかない、あるいは疑問を持たない人が一定数おります。私は、様々な学習活動や啓発活動により、県民一人一人の行動が意識的になり、それが無自覚な意識や慣習を変えることにつながると考えます。  県の総合5か年計画には、女性が輝く社会づくりについて記述されているものの、残念ながら男女の固定的な意識や慣習を変えていく施策については記述されておりません。女性も男性もお互いに認め合う温かい地域づくりを行い、女性が尊重され、女性が心から暮らしたい、住んでいたいと思える社会を実現しなければならないと考えます。  そこで、企画振興部長にお聞きいたします。兵庫県豊岡市の人口減少対策としての女性に選ばれるまちづくりの取組は県政としても大いに参考にすべき面があると考えますが、この取組をどのように評価しますか。  以下、3点について知事にお聞きいたします。  一つ目、女性が県外に流出する背景には、兵庫県豊岡市と同様に、ジェンダーギャップの存在があると考えます。ジェンダーギャップ及びSDGsに掲げる5番目の目標、ジェンダー平等についてどのように認識されておりますでしょうか。  二つ目、女性が尊重される社会の実現に関して、県の調査によりますと、男女を取り巻く偏見や決まり、慣習、しきたりが解消された社会を望む県民が多い状況でありますが、知事はどのように認識されておられるでしょうか。その上で、偏見や決まり、慣習、しきたりなどで女性が不利だと感じられるものは解消していくべきと考えますが、いかがでしょうか。  三つ目、固定的な意識や慣習などを解消していくには、県と市町村、地域、企業などが連携して取り組まなければならず、知事のリーダーシップが求められますが、いかがでしょうか。  次に、教育長にお聞きいたします。  固定的な意識や慣習などを変えていくために、生涯学習や公民館活動が最も効果的と考えますが、学びの県を標榜する県として、生涯学習や公民館活動にどのように取り組んでいく方針でしょうか。  以上をもちまして大きい二つ目の質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)人口減少、とりわけ女性に関連して幾つか御質問をいただきました。  まず、人口減少の原因、これまでの施策とその成果、課題と今後の方針についてという御質問でございます。  本県人口については、一つは人口構造の変化に伴って出生数が減少する一方で死亡者数が増加傾向にあること、また、特に二十歳前後の皆さんが県外に転出してなかなか戻ってこないという、この人口の自然減、社会減の二つが大きな要因だというふうに考えています。  これまで、こうした自然減、社会増への対策として、妊娠から子育てまで切れ目ない支援体制の構築、県立大学の開学や私立大学の学部新設への支援といった高等教育振興、さらには信州やまほいくなど特徴的な教育環境の整備、そして、官民一体の移住施策、こうしたことに取り組んでまいりました。  その結果、例えば県内大学の収容力は、平成27年度の16.3%から令和2年度には19.4%ということで、15歳から19歳の転出超過数もこのことによって少し減少しております。また、信州やまほいくの認定園は225園に拡大いたしました。県外からの若い世代の移住にもつながっています。また、田舎暮らしの本の移住したい都道府県ランキングでは15年連続の1位ということで、移住者数も徐々に増加してきているということで、一定の成果は出ているものというふうに考えております。  ただ、全体として見ますと、出生数の減少、あるいは若者の人口流出には依然として歯止めがかかっていないという状況がございます。引き続き、本県の強み、特色を生かしながら、若い世代が安心して子供を産み育てられる県になるように、また、企業、あるいは人材を引きつけられる魅力ある地域となるように様々な施策を総動員して取り組んでいきたいというふうに考えています。  続きまして、若い女性の流出超過の現状をどう認識し、どう分析しているのか、また、原因が把握できていなければ早急に調査をという御質問であります。  本県におきましては、とりわけ20歳から24歳の女性の転出超過が男性の1.5倍近くということになっています。また、このうち約9割が東京圏への転出超過という状況です。  まず、県外に進学した本県出身学生を対象とした意識調査を行っておりますが、県内に希望する企業や仕事がないとする趣旨の回答が最も多くありました。また、女性については、公共交通機関が便利、あるいは都会の暮らしが好きということで、こうした要因で県外への就職を選ぶ傾向が強かったという結果になっています。  そして、私も都内で県内出身の大学生と懇談しましたが、そうした中で言われたのは、まず、若者が県内企業や地域の魅力に気がついていないのではないか。また、地元にはやりたいことがないという固定観念を持っているといったような意見が出されていました。本県の魅力を若い世代に分かりやすく伝えていくことの大切さを実感したところであります。  また、民間のグローバル都市不動産研究所が行った全国調査によれば、地元の就職先を選ばない理由として、東京都で仕事をしたかったという回答が最も多くなっております。また、女性は男性と比べて地元や親元を離れることを重視しているという分析もございます。  コロナ禍を契機に、地方回帰の動きが強まっております。これを本県の活性化につなげていくことが重要だと思っております。特に、若い世代が、一度県外に出てもまた戻ってきてもらえる、あるいは県内に住み続けてもらえると、こうしたことは非常にこれから重要だというふうに思っております。  そうした観点で、若い世代を対象とした意識調査を今後も随時実施していきたいというふうに考えております。また、そうした結果も踏まえて、関係機関や産業界とも連携して若者に対する情報発信等をしっかり行って、効果的な施策につなげていきたいと考えております。  続きまして、ジェンダーギャップ、そしてSDGsに掲げるジェンダー平等についてどう認識しているかという御質問であります。  一人一人の私たち個人が自分らしく生きていく上でも、また社会を発展させていく上でも、このジェンダーギャップをなくしていく、ジェンダー平等を実現していくということは非常に重要なことだというふうに考えています。  世界経済フォーラムが毎年公表しているジェンダーギャップ指数によりますと、日本は、教育、健康分野ではジェンダー平等が進んでいるという一方で、政治や経済の分野における格差が極めて大きいという状況が示されています。  本県においての状況ですが、例えば、県の審議会等における女性委員の割合については全国で上位に位置するといったような形で徐々に女性の活躍が進んできているものの、酒井議員に引用いただきました令和元年度に実施した県民意識調査によれば、社会全体として男女の地位が平等であると思うというふうに回答した方の割合は全体で9.4%ということで、これは非常に低い水準ではないかというふうに考えております。  家庭や地域社会、職場等の場面で性別による役割分担意識が残っているといったようなこと、また、ワーク・ライフ・バランスの理想と現実が乖離しているといったようなことがこの調査からも読み取れるところであります。こうした課題にしっかり向き合っていくことが重要だというふうに考えております。  次に、しきたり等が解消された社会を望む県民が多い。そういう中で、女性が不利と感じられているものは解消していくべきと考えるがいかがかという御質問でございます。  全くそのとおりだというふうに思います。例えば、この調査にも、様々な方針決定過程に女性が少ないのはどうしてかという設問があります。多くの方が答えていらっしゃるのが、例えば、自治会などの団体の代表者は男性が担うことがしきたりや慣習になっているから、役員決定をはじめとして男性主体の組織運営がなされているからといったような回答が多くなっています。  また、ちょっと違う観点としては、女性自身が責任ある役職に就くことに消極的だという意見、あるいは、女性の参画を積極的に進めることを意識している人が少ないからといったようなことが指摘されています。  その一方で、多くの県民の皆さんがこの偏見や慣習、しきたり、こうしたものをなくしていくことが男女共同参画を進めていく上で重要だというふうに考えておりますので、引き続き、こうした状況認識をしっかり持ちながらその解消に努めていきたいと考えております。  そして、最後に、こうした固定的な意識や慣習を解消する上での私のリーダーシップを求めるがいかがかという御質問であります。  この男女共同参画を進めていく上では、一つは我々行政の取組や制度的に改善されるべきもの、それから、多くの皆さんの意識や慣習に起因するものとがあろうかというふうに思います。  例えば、審議会の委員等は、私が任命する方を考慮すれば一定程度女性の割合を高めていくということはできるわけでありますが、意識や慣習といったような部分については私が何か行動しただけでは一気には変わらない部分があります。しかしながら、こうしたところにもしっかり踏み込んで対応していかなければいけない段階だというふうに考えております。  今回、第5次の男女共同参画計画を策定いたしました。これをまずしっかりと推進していかなければいけません。働き方、暮らし方を変えて、誰もが自分らしく生きられる社会をつくろうと、こういう基本テーマを掲げておりますので、この実現に向けてしっかり取組を進めなければいけないと思っています。  特に、先ほどの自治会の問題やPTAの問題はかねてから言われているわけですが、なかなか大きく改善されてきていない分野、あるいは課題というのがあります。こうした問題については、総論ではなくて、一つ一つ個別に向き合って対処していくということが必要ではないかというふうに思います。  そういう意味で、県民文化部のみならず、各部横断的に、各部がそれぞれの課題としてこの男女共同参画を認識して取り組んでいくということが大変重要だというふうに考えております。この男女共同参画計画の実現に向けて、私は、リーダーシップを取りながら、県庁全体で具体的に成果が上がるように全力を傾注していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)人口減少に関してのお尋ねです。  まず、若い女性の流出超過を抑止するために実施した施策とその成果、課題と今後の対応についてということですけれども、県では、若い世代の流出超過を抑止するために、先ほど知事からも答弁しましたように、妊娠から子育てまで切れ目のない支援体制の構築をはじめとする様々な取組を行ってきております。  その結果、若い女性の社会増減は、信州創生戦略の取組を始めました平成27年から昨年令和2年までの動きを見ますと、20代前半では減少幅が拡大しているものの、20代後半は減少幅が縮小、また30代と40代は増加幅が拡大するというように一定の成果を上げております。  課題となっております20代前半の流出抑制につきましては、やはり就職活動期の若者に伝わる効果的な情報発信が必要と考えております。20代後半以降の世代につきましては一定の成果も出ておりますことから、引き続き、子育てや教育環境の整備、暮らしやすく魅力的なまちづくりなどの取組を着実に推進することが必要であります。現在の地方回帰の動きを確実なものとするため、こうした方々に焦点を当てながら信州回帰プロジェクトを強力に推進することによりまして、若い世代の流入を加速させてまいります。  次に、流出率を数値目標に掲げて施策を実施するという御提案です。  しあわせ信州創造プラン2.0では、重点目標としまして、社会増の実現、それから、関連目標としまして、県内出身学生のUターン就職率や県内高校・大学卒業生の県内就職率を掲げまして、毎年度の政策評価において年代別、男女別などの具体的な分析を行っております。  総合的な施策の展開が求められます若者の人口減少対策におきまして、様々な角度から要因を分析することは大変重要だと考えております。御提案の視点も持ちながら分析、評価を進めまして、より効果的な施策構築につなげてまいります。  最後に、兵庫県豊岡市の人口減少対策として女性に選ばれるまちづくりの取組についての評価ということです。  豊岡市の若者回復率という分かりやすい独自の指標を用いての目標設定をしている点ですとか、多様性を受け入れるまちづくりの一環として取り組むジェンダーギャップの解消を人口減少対策として重視している点などは、SDGs未来都市である本県として参考になるところが多いと考えております。  今後も、こうしたほかの自治体の取組も参考にしながら施策を構築し、地方創生に取り組んでまいります。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)固定的な意識や慣習を変えていく方法としての生涯学習や公民館活動への取組というお尋ねでございます。  議員御指摘のように、固定的な役割分担意識、あるいは慣習などを解消するための方策として、全国一を誇る公民館活動を通じた学びが有効であるというふうに考えております。  その公民館活動を支える役割を担うのが長野県生涯学習推進センターでありますが、県教育委員会としては、公民館活動等の地域における学びを通じて、固定的な役割分担にとらわれず、多様な価値観や属性の人々が参画し、持続可能な地域をつくっていくことが重要だというふうに捉えまして、生涯学習推進センターにおいてそのような学びをコーディネートする力量とマインドを持つ地域の支え手の育成を進めているところであります。  一例を挙げますと、今年度の「地域づくりの支え手入門講座」では、「女性・若者と地域」をテーマとして、中山間地域である飯田市南信濃地区において女性や若者が主役となった地域参加や次世代育成の活動を学ぶこととしているところでございます。  このような取組によりまして、固定的な意識や慣習などを変え、持続可能で活力ある地域社会の形成を目指してまいりたいというふうに考えております。       〔31番酒井茂君登壇〕
    ◆31番(酒井茂 君)女性が尊重される社会の実現には、息の長い地道な活動や学習などが不可欠でありますが、地域の自主的な活動にはなかなか限界がある。そうした中で、行政の強いリーダーシップが求められるということでありますが、知事からは、リーダーシップを持ってやっていただけるということでありますので、大いに期待したいと思いますし、私どもも、地域においても、県政においても、しっかりと活動していかなければこういうことは実現できないというふうに考えているわけであります。  いずれにしましても、行政にとって今をどうするかという施策も重要でありますが、20年、30年といった長期的な視野に立って、誰もが住みやすいと思える地域づくりに取り組むことが重要と考えます。そのために、学びを通じた施策を積極的に行うことを要望し、以上で全ての質問を終わりとさせていただきます。 ○議長(宮本衡司 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明23日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時13分延会...