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  1. 長野県議会 2020-10-01
    令和 2年 9月定例会本会議-10月01日-04号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 2年 9月定例会本会議-10月01日-04号令和 2年 9月定例会本会議 令和2年10月1日(木曜日)  出席議員(56名)   1 番 熊谷元尋    28 番 中川宏昌   2 番 望月義寿    29 番 清水純子   3 番 小林君男    30 番 小池久長   4 番 清水正康    31 番 酒井 茂   5 番 加藤康治    32 番 堀内孝人   6 番 川上信彦    33 番 石和 大   7 番 山田英喜    34 番 依田明善   8 番 大井岳夫    35 番 山岸喜昭   9 番 丸茂岳人    36 番 小島康晴   10 番 寺沢功希    37 番 小林東一郎   11 番 花岡賢一    38 番 毛利栄子   12 番 池田 清    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司   18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男
      19 番 大畑俊隆    45 番 垣内基良   20 番 共田武史    46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔    47 番 高村京子   22 番 髙島陽子    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   27 番 両角友成    53 番 平野成基   54 番 本郷一彦    56 番 服部宏昭   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     農政部長      伊藤洋人   副知事       太田 寛     林務部長      井出英治   副知事       小岩正貴     建設部長      田下昌志   危機管理部長    竹内善彦     公営企業管理者   小林 透   企画振興部長    伊藤一紀     企業局長事務取扱   総務部長      関 昇一郎    財政課長      矢後雅司   県民文化部長    増田隆志     教育長       原山隆一   健康福祉部長    土屋智則     警察本部長     安田浩己   環境部長      猿田吉秀     監査委員      田口敏子   産業労働部長    林 宏行   観光部長      中村正人         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡     議事課担当係長   山田むつみ   議事課長      百瀬秀樹     議事課主査     水澤まゆみ   議事課企画幹兼   丸山俊樹     総務課課長補佐   川村亜由美   課長補佐               兼庶務係長                      総務課担当係長   青木武文                      総務課主任     三輪佑也         ───────────────────  令和2年10月1日(木曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(小池清 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(小池清 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、宮下克彦議員。       〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)皆さん、おはようございます。諏訪地区選出の宮下克彦です。本日も、DX推進で、ウェブ経由による傍聴の皆様にも感謝を申し上げながら、鋭意質問させていただきます。  さて、本日、10月1日から、世界からの日本への入国制限も緩和されまして、GO TO キャンペーンも東京発着が対象に加わります。  新型コロナ感染症は、国内では感染者数8万3,000人を、死者が1,500人を超えまして、世界全体では感染者数が累計3,300万人を、死者が100万人を超え、アメリカ、ブラジル、インド、ヨーロッパ等でさらなる感染者の増加が日々報告されており、この互いにグローバル化した時代におきましては予断を許さない状況にございます。これから秋冬に向けては、さらに大きな波も予想され、それに伴う倒産の危機や台風シーズンの避難所対策など、喫緊の課題が眼前にございます。  感染拡大防止と経済対策の両立が求められ、特に、観光産業への影響は県下各地で甚大でございまして、各種イベントの中止で大打撃を被っている状況でございます。県内の宿泊者数は、観光庁の調査では、この4月から6月で前年比81%の減少となりました。ただ、この被害に対する長野県の取った長野県ふっこう割などの対策の効果は、6月に十分発揮されたところでございます。諏訪湖温泉組合の旅客数のデータでは、5月の宿泊人数が前年比の3.5%まで落ち込みましたところ、6月は40.2%、7月は50.4%と明らかな効果があったことが示されております。  さて、コロナ禍で県民の不安な気持ちが膨らむときにこそ、安心感を県民に与える必要がございます。例えば、倒産の危機に瀕するときには、人は命の危機にも直面いたします。台風シーズンの災害時に際しましても、十分に備えた安心感が世の中に必要なときでございます。いよいよGo To キャンペーンも本格的に運用されるこの時期に、ぜひともこれまでの経過と経験を生かした実効性ある県の対策を実現してほしいと考えます。  そこで、県民に安心感を与える対策の実行という面から順次お聞きしてまいります。  まず、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針について伺います。  コロナ禍で県下の観光業は大きなダメージを受けまして、6月に一旦回復の兆しを見かけましたが、7月以降、各種イベントも中止となり、大変な痛手を受けた状況にございます。  この中で、先般、長野県では、安全・安心、長期滞在、リピーター獲得の三つを柱としたAfterコロナ時代を踏まえた観光振興方針を策定し、それに沿った9月補正事業がさきに早期議決されております。今や、地域の基幹産業として、町の飲食業、仕入れや土産物、交通業、クリーニング業など多くの波及的影響が大きい地域の基幹産業たる観光事業振興につきまして、観光部長に伺います。  まず、9月15日に決定されましたAfterコロナ時代を見据えた観光振興方針について、三つの柱の一つとして「安全・安心な観光地域づくり」が挙げられています。安全、安心な観光地づくりのために県が担う役割をどのように認識されているか。中村観光部長に伺います。  次に、安全・安心な修学旅行等サポート事業は、予算額で2億円余りでございます。観光関連産業、旅行業界にも期待が大きい事業でございますが、この事業の目的と期待される効果について観光部長に伺います。  次に、今や地域の基幹産業である観光業がコロナ禍を乗り切るためには、県の力強い支援が必要だと考えますが、観光部長に見解を伺います。  次に、大きな2点目、仮称諏訪湖スマートインターチェンジ建設に伴う治山事業等についてお聞きします。  諏訪湖スマートインターは、昨年9月に計画が決定しまして、令和5年度末までの供用開始が条件づけられております。この上部には、神子沢という沢がありまして、地元の調査では、土砂の堆積が相当量あるとされています。神子沢の下流には、諏訪湖サービスエリアを越えると約113戸の世帯、数百人が暮らす地域がございまして、一旦災害が生じると多くの命に関わる事態が想定されます。平成18年7月の豪雨災害では、隣接する岡谷市湊地区の土石流は諏訪湖まで達し、流れ落ちました。諏訪湖スマートインターチェンジ県道諏訪辰野線を取り付け、交通の要所として活用することは、リニアへのアクセスからも非常に有効であると考えますが、そのためにこそ十分な防災対策が望まれるところでございます。  そこで、各部長に伺います。  まず、交通の要所となる仮称諏訪湖スマートインターチェンジ予定地につきまして、上流域の治山及び森林整備の対策について井出林務部長に伺います。  次に、スマートインターチェンジの整備主体はNEXCO、諏訪市及び岡谷市であり、取付け道路の整備主体は県となりますが、一体とした防災対策についてはどのように取り組んでいくのか。田下建設部長に伺います。  次に、大きな3点目の広域的なまちづくりについて伺います。  諏訪では、国道20号バイパスのルート原案が公表されたところであります。かねてよりの懸案の前進とともに、バイパスを生かした新たなまちづくりが必要とされています。山梨県や佐久地域、伊那地域との交流、また、松本、長野地域との連携を踏まえたさらに力強い広域的な諏訪地域のまちづくりを進めなければならないと考えます。  また、広域的な圏域づくりを考えるとき、総務省の定住自立圏構想は、中心市を核にして、周辺市町村が特別交付税や地域活性化事業債の充当などによりましてより広域的な力強いまちづくりに取り組める仕組みとなっております。  そこで、関係各部長に伺います。  まず、国道20号バイパスのルート原案が公表され、地元ではバイパス整備による文化交流や観光客の誘客、産業物流などがもたらす経済効果に期待が高まっております。諏訪バイパスの整備は、各関係機関が連携協力して取り組んでもらいたいところでございますが、県の認識を田下建設部長に伺います。  次に、生活圏や経済圏の広域化や人口減少等社会環境が変化する中で、広域的な観点からのまちづくりが求められております。UDC信州、信州地域デザインセンターの設置から1年が経過しました。諏訪地域の広域的なまちづくりに関する県の支援策について田下建設部長に伺います。  次に、定住自立圏につきまして、本県でも多くの圏域が形成されておりますが、県境をも越えた全国の状況と長野県としての方向性を伊藤企画振興部長に伺います。  次に、大きな4点目の幼児教育についてお聞きいたします。  幼児教育につきましては、県は、特に信州型自然保育などに力を入れているところでありますが、保育士の不足については喫緊の課題の一つと考えます。保育のニーズが増加している中で、県内の保育士の例年の退職者が600名ほどのところ、県内保育士養成校の卒業者は500名程度と不足しておりまして、市町村や私立保育園は保育士確保が困難であると昨年11月議会で聞いたところでございます。実際に、福祉大学校の保育士養成の現場を見てみますと、県下の優秀な学生さんが集まり、園児たちとコミュニケーションを取ることにより、積極的な学びの姿勢から、保育の質の向上が維持されていることが実感できます。  そこで、関係部長に伺います。  まず、昨年11月議会におきまして、県内の市町村や私立保育園では保育士の確保が困難な状況であるとの答弁がございましたが、保育士不足の現状とそれに対する県の対策につきまして増田県民文化部長に伺います。  次に、福祉大学校の卒業生の県下自治体及び保育所への就職状況とその評価について伺い、また、豊かな見識を持った保育士を育成するために福祉大学校の教育の充実が必要と考えますが、見解を土屋健康福祉部長に伺います。  最後に、大きな5点目で、諏訪湖環境研究センター(仮称)の設置について伺います。  タイミングよく、まさに本日、10月1日が、昨年度から制定されました「諏訪湖の日」でございます。そして、数多くの催しがこの前後数週間で実施されているところでございます。諏訪湖環境研究センター(仮称)の設置は、諏訪湖周として、また、諏訪地域全体として、あいとぴあの活用もございまして大変喜ばしいことであります。  今後は、部局横断で、整理を要する環境保全研究所ほかの試験研究機関の後処理などさらに十分な検討が望まれますが、本年3月に有識者や地元自治体も参画しました諏訪湖環境研究センター(仮称)のあり方検討会であり方(案)が取りまとめられ、「地域に根ざし、住民の学びを幅広く支援する」という一つの柱は、地元でも大変期待が大きいものでございます。  諏訪湖創生ビジョンに基づきまして、10月1日の「諏訪湖の日」を定めて積極的に活動している民間団体の諏訪湖クラブの皆様などの活動を踏まえた地域活動との連携機能の拡充につきまして、あり方検討会で検討された諏訪湖環境研究センター(仮称)が担う一つの重要な機能である環境学習、社会活動連携機能の場として、諏訪湖周にある諏訪湖流域下水道事務所や、それに隣接しますビオトープ、また、水産試験場諏訪支場など、連携しての有効活用が望まれております。  そこで、お聞きします。  まず、諏訪湖環境研究センター(仮称)の設置については、地元も歓迎するところであり、さらなる環境学習、社会活動連携部門の活性化が望まれますが、諏訪湖流域下水道事務所が実施している環境学習や地域住民とのふれあいまつりなど、その現状はいかがか。猿田環境部長に伺います。  次に、諏訪湖流域下水道事務所と諏訪湖との間にあります大規模なビオトープを、水質浄化等の環境学習を行う諏訪湖環境研究センター(仮称)の施設として活用することが有効であると考えますが、諏訪湖流域下水道事務所をはじめ諏訪湖周の既存県機関を活用できないか。知事の御所見をお聞きいたします。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)観光振興方針に関連して3点御質問をいただきました。  まず、安全、安心な観光地域づくりにおける県の役割についてでございます。  安全、安心を重視して旅先を決める旅行者が増える中で観光振興を進めていくためには、実効性のある感染防止対策を講じた安全、安心な観光地域づくりに取り組み、これを有効な誘客策としていくことが重要でございます。  感染防止対策につきましては、これまで、宿泊事業者と協働して作成したガイドブックや観光事業者向けのガイドラインの徹底をはじめ、小規模事業者等持続化補助金などの支援により感染防止対策の取組を図ってきたほか、観光客向けに「信州版新たな旅のすゝめ」を作成し、特に、旅前の健康観察などの周知に取り組んでまいりました。  今後は、個々の事業者だけでなく、エリア全体で安全、安心な観光地域としていく必要があることから、地域の観光協会等が中心になり、関係の機関と連携して、感染防止対策の徹底強化を図っていただけるよう支援をしていくほか、冬のシーズンを迎えるスキー場で徹底した感染防止対策に取り組んでいただくため、必要な支援を行ってまいります。  各地域が、観光振興の前提として、まず喫緊の課題でもある感染防止対策にしっかり取り組めるよう、関係部局とも連携して支援をしていくことが県の役割であるとの認識の下、方針の柱の一つとして掲げました「安全・安心な観光地域づくり」の実現に向け、取り組んでまいります。  次に、安全・安心な修学旅行等サポート事業についてでございます。  今年の春から、全国的に多くの学校で修学旅行が中止や延期を余儀なくされておりまして、県内の観光関連産業にも深刻な影響を与えております。本事業では、各学校が取り組む感染防止対策として、密を避けるため、バスの台数や宿泊の部屋を増やす場合の経費を助成し、安全、安心な修学旅行を実施していただくとともに、交通事業者や宿泊施設への支援にもつなげることを目的としております。具体的には、県内外から計350校の誘致を目指しており、1泊2日の修学旅行とした場合に、効果としては、バス1,200台、2万4,000人泊の宿泊の需要が見込まれます。  学校は、日頃より国の定めた衛生管理が行われるなど、感染防止対策の実践が期待できる団体であることから、県では、観光事業者の皆様と連携し、この事業を活用して、さらに安全、安心な修学旅行のためのサポートを行うことにより、誘致を進めてまいります。  最後に、コロナ禍を乗り切るための県の支援についてでございます。  観光庁の宿泊旅行統計によると、県内の延べ宿泊者数は、6月、7月と回復傾向が見られたものの、8月は新型コロナウイルス感染の再拡大の影響で伸び悩み、依然厳しい状況にあると県内の旅行会社等からもお聞きしているところでございます。  観光産業は、裾野が広く、影響も大きいことから、これを早期に回復するため、これまで、県民の皆様の御協力により、県民向けふっこう割ディスカバー信州県民応援割など地域の支え合いによる県内観光需要の喚起、消費拡大に努めてまいったところでございます。  こうした中、7月末から国のGo To トラベル事業がスタートいたしましたけれども、高価格帯の宿泊施設の利用に集中し、その効果が限定的であると考えられることから、このたび県で実施していく宿泊割事業では、特に中低価格帯の施設や、やむを得ずGo To トラベル事業に参加していない施設を対象とするなど、きめ細かな支援を行うことにより、県内観光産業に広く効果が波及するよう取り組んでいきたいと考えております。  加えて、コロナ禍で生じた社会の変革を逆に機会と捉え、アフターコロナ時代にはより必要となるであろう長期滞在型観光の推進やリピーターの獲得の方向性を観光振興方針として打ち出したところでございまして、これを実現していくため、連泊の割引や平日分散化を図る事業も進めるなど、県内観光事業者の皆様をしっかりと支援していくことでこの難局を乗り切り、さらに将来に向かって進んでいただけるよう取り組んでまいりたいと思います。
     以上でございます。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)神子沢の上流域における治山、森林整備についてのお尋ねでございます。  当該上流域の森林につきましては、流域面積が12ヘクタールと比較的小さく、地形も緩やかな上、これまでに土砂災害の履歴はなく、林齢60年以上のカラマツ、アカマツ林が大半を占め、下層植生も繁茂しており、比較的安定した森林となっております。  しかしながら、近年、台風の大型化、線状降水帯の形成等、災害リスクが高まりを見せる中、人家、道路に近接した森林については、特に防災・減災を意識した森づくりが重要と考えております。  当該地については、地元住民の関心が高く、防災に対する強い要望もあることから、今年度、防災の視点に立った流域内の現地調査を実施する予定としております。今後は、この調査結果を踏まえ、地元住民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、地域ぐるみでの災害に強い森林づくりに努めてまいります。  以上でございます。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)順次御回答いたします。  初めに、仮称諏訪湖スマートインターチェンジ等での一体とした防災対策についてのお尋ねでございます。  仮称諏訪湖スマートインターチェンジ等は、NEXCO中日本、諏訪市、岡谷市及び県が連携して計画しているため、整備に伴い、増加する排水等に対応できるように各機関が調整を図り、基準に基づいて道路施設の整備を行ってまいります。今後、林務部とも連携調整を図り、工事の安全にも配慮しつつ、地域にとっても安全、安心な施設となるよう事業を進めてまいります。  次に、国道20号諏訪バイパスの整備に関するお尋ねでございます。  国道20号諏訪バイパスの諏訪市四賀から下諏訪町東町までの間、約10.3キロメートルにつきましては、今年9月に、事業者である国土交通省よりルート原案が示されております。このバイパス整備によりまして、現在の国道20号の交通混雑が緩和され、交通安全や諏訪湖の溢水時の代替路確保が図られるなど、広域的に大きな効果が期待されるものでございます。  今後、県では、環境影響評価と都市計画変更の手続を、事業者である国や地元の市や町と協力して進め、事業の早期着手に向けて最大限努めてまいりたいと考えております。  次に、諏訪地域の広域的なまちづくりへの県の支援策に関するお尋ねでございます。  諏訪地域の広域的なまちづくりにつきましては、諏訪湖を核とした諏訪湖周サイクリングロードの整備や、諏訪湖創生ビジョンによる諏訪湖再生の取組などを県と地域が一体となって進めております。  今後、スマートインターチェンジの供用開始や国道20号バイパスの整備等によりまして、諏訪地域の都市構造が大きく変わってくることを見据えますと、県や市町村といった行政の枠組みを超えた広域的な視点でのまちづくりが一層重要になってまいります。  これらの状況を踏まえ、信州地域デザインセンターでは、まちづくりビジョンの策定や広域の連携プロジェクト、さらには人口減少社会を見据えた公共交通の社会実験などについて市町村とともに検討を進めるなど、既に支援を始めているところでございます。  具体的には、諏訪市において東洋バルヴ跡地利用を広域的に考える検討組織の立ち上げ支援、岡谷市におきましては効率的な路線バスの運行になるよう先端技術を用いたモデル的な利用実態調査を提案し、周辺市町村への広域展開を目指していきます。  今後も、社会環境の変化に対応するため、諏訪地域の歴史や文化、風土など地域資源を掘り起こし、これらの多様性を広域で連携させた魅力あるまちづくりを市町村とともに進めてまいります。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)定住自立圏の全国状況と本県の方向性についてお答えいたします。  中心市と近隣市町村が連携する仕組みの一つであります定住自立圏は、今年の4月までに全国で127の圏域が形成されまして、そのうち、お尋ねの県境を越える県境型は12圏域となっております。このほかにも、一つの自治体が複数の圏域に加わる圏域重複型ですとか、一つの圏域の中で二つの市が共同して中心市となります複眼型など様々な形がございます。  県内では、これらの形態を含めまして、六つの定住自立圏が形成されております。このうち、県境を越える県境型は、上田市が中心市となりまして、群馬県嬬恋村も含みます上田地域定住自立圏、それから、山梨県北杜市が中心市となりまして、本県の諏訪郡富士見町と原村が加わる八ヶ岳定住自立圏の二つがございます。  もとより、本県におきましては、10の全ての広域行政圏で事務の共同処理を行います広域連合が設置されておりまして、連携の基盤がございます。その上に定住自立圏ですとか連携中枢都市圏などといった柔軟な仕組みを取り入れることは、市町村が様々な分野で連携して広域的な取組を進める上で有効でございます。多様な連携の仕組み、手法の中から、地域の実情や事務の性質に応じまして最も適したものを活用することが重要と考えております。  県といたしましては、市町村がそれぞれの特色を生かしつつ様々な形で連携を進めることで、魅力ある地域、長野県となるよう取り組んでまいります。  以上です。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)保育士不足の状況と県の取組について御質問をいただきました。  長野県における令和元年度の保育士の有効求人倍率は1.84となっておりまして、引き続き高い水準で推移をしております。これは、女性の就業率の増加等に伴いまして3歳未満児の保育ニーズが増えているということが大きな要因でございますが、求人が求職を上回りまして保育士の確保が困難な状況も生じております。本県でも、一部の市において待機児童が発生している状況でございます。  保育人材の確保に向けまして、県といたしましては、直接的な人材育成のほか、主に三つの取組を進めております。  一つ目といたしまして、新規資格取得者の県内保育所等への就職支援策として、平成28年度から返還免除型の保育士修学資金の貸付けを行っております。二つ目として、潜在保育士の就職支援策といたしまして、平成29年度に保育士人材バンクを設置し、潜在保育士と保育施設とのマッチングを進めております。三つ目として、保育士の就業継続支援として、保育士が自信と誇りを持って就業できるようキャリアアップ研修会を実施するとともに、処遇改善にも取り組んでいるところでございます。これらの取組を推進することによって、引き続き保育士の確保に努めてまいります。  以上でございます。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)福祉大学校卒業生の就職状況と教育の充実についてというお尋ねでございます。  令和元年度における福祉大学校の卒業生47人のうち、就職者は29人で、保育所関係は、県内の公立保育所に16人、私立の保育所、幼稚園等に7人の計23人でございます。平成7年の開校以降、これまでに1,200人余りが保育学科を卒業し、660人が県内の保育所、幼稚園等に就職いたしました。  現場では、保育園長などの指導者として活躍するなど、卒業生に対しては総じて高い評価をいただいているものと受け止めております。これは、豊かな人格識見の形成と地域福祉をリードする専門的人材の育成という学校の教育方針に基づいたきめ細やかな指導の結果であると認識しております。  保育士は、人間形成の基礎を培う大切な時期の子供たちが心身ともにより豊かに成長することを支える重要な役割を担っており、福祉大学校はこれに応え得る質の高い人材を育成するため、引き続き教育の充実に取り組んでまいります。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)諏訪湖環境研究センター(仮称)に関連いたしまして、諏訪湖流域下水道事務所の取組について御質問をいただきました。  諏訪湖流域下水道事務所では、下水道の仕組みや諏訪湖の浄化に果たす役割等について分かりやすくお伝えしたいという思いから、クリーンレイク諏訪におきまして、各施設の見学や水質浄化に役立つ微生物の観察など環境学習の場を提供してきております。特に、小学生を対象といたしました社会見学は、供用開始の翌年、昭和55年から実施してきており、昨年も14校、約700名の見学者がございました。  また、地域との融和を図るふれあいまつりにつきましても、同じく40年間にわたり開催してきており、昨年は、施設を開放して見学いただくとともに、ステージイベントなども開催し、約900名の方に御来場いただいております。  いずれの取組も、新型コロナウイルス感染症の影響で今年度は中止とさせていただきましたが、今後も地域に開かれた施設、さらには学びの場となるよう取り組んでまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、諏訪湖環境研究センター(仮称)に関連しまして、諏訪湖周の既存研究機関を環境学習や社会連携活動を行う機能として活用できないかという御質問であります。  諏訪湖周におきましては、諏訪湖流域下水道事務所水産試験場諏訪支場などの研究機関をはじめとして、市町村、大学、民間団体など様々な機関が水環境の保全に係る情報発信や学習機会の提供を行っているところであります。  新しく設置しようとしております諏訪湖環境研究センター(仮称)につきましては、こうした様々な機関の活動をネットワーク化し、コーディネートするための機能も担っていきたいというふうに考えております。  御質問にございました諏訪湖流域下水道事務所に隣接いたしますビオトープにつきましても、自然観察の場として活用していきたいと考えておりますし、また、諏訪湖周の関係機関をめぐる施設見学コースを設定することなどによりまして、様々な機関や施設との有機的な連携の下で、この諏訪湖環境研究センターの設置の効果を一層高められるよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔18番宮下克彦君登壇〕 ◆18番(宮下克彦 君)それぞれ御答弁いただきました。  観光振興方針につきましては、観光業界の大きな期待がございます。ぜひ希望の持てる光となるように、後ろから支える温かい支援を願いたいと存じます。  防災対策につきましては、地域住民の安心感が何より必要であると考えますので、その辺を配慮願いたいと存じます。  広域的なまちづくりにつきましては、広くまとまることで、これからの少子高齢化社会を見据えた、より力強いまちづくりができると考えます。  福祉大学校につきましては、次世代を担う学生たちが、園児たちの未来を思い、前向きに学べますように、検討を続けていっていただきたいと存じます。  諏訪湖環境研究センター(仮称)につきましては、6月議会でお聞きした諏訪湖のカワウの対策についても、このたび環境省との話を進めていただきまして、広域での第1回連絡会議が、先日、9月18日に岡谷市で開催されました。このような上伊那地域と下伊那地域も含めました諏訪地域の連携などをこの諏訪湖環境研究センターで実施していただければ、全国をリードするような研究成果、対策が展開できるのではないかと非常に期待を大きくしているところでございます。  先ほど、観光部長から、この機会を逆に捉えましてさらに進めたいという決意表明がございましたが、歴史家のユヴァル・ノア・ハラリの言葉に、「あらゆる危機はまたチャンスでもある。」とございます。諏訪では、秋の打ち上げ花火が予定されておりまして、来年6月には諏訪湖周、八ヶ岳山麓でのスワコエイトピークスミドルトライアスロン大会も準備されております。御柱の用意も始まったということでございまして、いよいよ地域経済の再生が始まろうとしております。  第3波や災害に対しましていかに先手を打って素早く備えることができるかに県民の安全、安心がかかっております。早急でバランスの取れた対策に県民の安心感が広がることを期待しまして、私の一切の質問を終わります。 ○議長(小池清 君)次に、川上信彦議員。       〔6番川上信彦君登壇〕 ◆6番(川上信彦 君)県民クラブ・公明の川上信彦です。  初めに、福祉施設の防災・減災への対応についてお伺いいたします。  7月の豪雨の際には、熊本県内の特別養護老人ホームの入居者が多数犠牲になるという痛ましい状況が発生しました。この施設は、浸水想定区域内に立地していましたが、本県にも同じような状況の施設が存在します。  平成29年に、水防法と土砂災害防止法が改正され、市町村の地域防災計画に位置づけられました。浸水想定区域内や土砂災害警戒区域内にある社会福祉施設、学校、医療施設等、主として防災上の配慮を要する方が利用する要配慮者利用施設について、避難先や移動方法をまとめた避難確保計画の作成と訓練の実施が義務づけられましたが、県内の要配慮者利用施設における避難確保計画の作成状況はどうなっているのか。計画の策定等が思うように進んでいないという報道がされておりますが、その要因はどのようになっているのか。また、計画の作成は2021年までに100%を目指すとしています。市町村と連携しながら県としても支援すべきと考えますが、建設部長にお伺いします。  浸水想定区域内にある福祉施設利用者等の逃げ遅れを防ぐため、早期の避難に向けたハード、ソフト両面における取組を推進すべきと考えます。ソフト面では、施設における地域住民との連携、ハード面では、高齢者施設に対する垂直避難に必要なスロープやエレベーター等の整備に伴う改修費用について国による補助制度の創設といった動きが見られます。  この数年間にわたり、大規模災害を経験した長野県としても、早期避難に向けたハード、ソフト両面における取組を積極的に推進すべきと考えますが、どのように対応していくのか。健康福祉部長にお伺いします。  近年の自然災害の頻発、激甚化を踏まえ、民間が設置する病院、老人デイサービスセンター、乳幼児一時預かり施設等の災害弱者施設が災害危険区域や浸水想定区域など災害が発生するおそれがある災害ハザードエリアにある場合、国は、災害弱者施設の移転事業に関わる補助率のかさ上げをしております。  こうした状況を踏まえ、県としても、国の動きに連動し、浸水想定区域内にある福祉施設が区域外への移転を希望する際の独自支援や、施設の新設時に区域外への設置を促進するよう検討すべきと考えますが、知事に御所見を伺います。  次に、7月豪雨の対応と天竜川流域治水対策についてお伺いします。  7月梅雨前線の停滞に伴う長雨と豪雨により、南信州地域でも各地で災害が発生しました。過去に甚大な被害をもたらした昭和36年の集中豪雨、三六災害の同時期と比較しても、大鹿村で1.4倍、天龍村で1.8倍の雨量となりました。  県及び下伊那郡土木技術センターによれば、平成12年、平成25年災害の特徴が局地的豪雨、土石流の発生だったのに対し、今回の災害は、長雨により雨水が地中深くしみ込み、大規模崩落や地滑り災害が発生したことであるとしています。天龍村足瀬や喬木村加々須では大規模な山腹崩壊が発生し、一時集落が孤立するなど、地域住民の生活に甚大な影響を及ぼしました。  9月1日現在、南信州地域の被害総額は167億4,900万円で、県全体の約6割を占めております。道路、橋梁、農地、農業施設、林道、治山等多くの被害が発生しましたが、特に、現在通行止めとなっている国県道について、通勤通学、病院への通院等日常生活に重大な影響を及ぼしており、仮設道の設置も含めて早期の対応が望まれております。東日本台風からの復旧・復興を並行して進めている中で、今後7月豪雨の災害復旧をどのように進めていくのか。知事にお伺いいたします。  国土交通省天竜川ダム統合管理事務所の調べでは、7月の流域平均累計雨量が、過去10年間の平均と比較し、小渋ダムでは3.9倍、美和ダムでは3.5倍となり、ゲートの放流は43日間と37日間続き、過去最長となりました。また、下流で災害が起きないように水位を上げる洪水調整は、それぞれ7回、4回行われました。  本年8月、天竜川上流流域治水協議会が発足し、天竜川上流域において流域全体で緊急的に実施すべき流域治水対策の全体像を流域治水プロジェクトとして策定、公表し、流域治水を計画的に推進することが発表されました。  県では、流域治水プロジェクトをどのように捉え、取り組んでいくのか。また、下流域の飯田市周辺では、断続的な豪雨により天竜川の水位が上昇し、増水氾濫を心配する声がありましたが、下流域への情報提供の在り方も含め、建設部長に御所見を伺います。  また、今回の災害を受け、改めて日頃の備えが重要であると認識しております。知事議案説明でも、ハザードマップの作成やマイ・タイムラインの普及などのソフト対策を総合的に推進するとされておりますが、現在の生活スタイルに合った取組で加速度を増していかなければなりません。  6月定例会で加藤議員も質問しましたが、災害時の避難について、マイ・タイムラインのさらなる普及に向け、デジタルコンテンツの活用が重要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか。危機管理部長にお伺いします。  次に、災害現場の早期の情報収集と通信環境の改善についてお伺いします。  南信州地域振興局では、7月豪雨に伴い、14市町村にそれぞれ県災害対策本部地方部の情報連絡員、リエゾンを派遣しました。今回、リエゾンは、タブレット等必要な装備を持参し、現地から災害情報や必要な支援等について県に情報提供を行いました。今回、6日間と長期の派遣となった町村もあり、市町村からは、県への情報提供の迅速化及び軽減化が図られた、市町村災害対策本部で協議した内容を直ちに県と共有でき、孤立集落の解消等にも役立ったとの話を伺いました。  県として、今回の取組を総括し、今後の豪雨災害や大規模地震に備え、市町村との連携の在り方、リエゾンの研修や装備の充実、派遣期間中の業務のサポート等、全県的に支援体制の強化を行うことを提案しますが、危機管理部長にお伺いします。  豪雨が断続的に発生する中、災害現場の調査や復旧作業に派遣される職員と対策本部の情報共有のため、携帯電話の通信環境の整備が重要であります。継続的に災害現場の状況を把握するため、動画の配信が有効ですが、山間部ではまだまだ携帯電話が通じない場所が多く存在します。市町村に確認したところ、集落に行けば携帯電話は通じるが、集落間を移動する際、携帯の機種によっては通じないところが存在すると聞きました。  政府では、現在5Gによる高速通信環境の整備を進めておりますが、災害時の情報共有、住民の安全確保等、山間部における通信環境の整備について改めて検証し、対策を講じる必要があると考えますが、企画振興部長にお伺いします。  災害調査で市町村に伺った際、職員が災害現場をドローンで撮影した映像を見せていただきました。今回のように長雨で災害現場に立ち入ることが困難で危険を伴う場合、災害状況を瞬時にかつ広範囲に安全に確認することができ、大変有効であると実感しております。  県でも、ドローンを活用し、災害状況の把握に努めており、災害状況の説明資料や災害査定においてもドローンの映像を用いていると伺っております。ドローンの使用については、航空法における無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領等に従い、国土交通省の許可の下、安全な飛行が可能な技術を有するオペレーターが必要となります。県における現在のドローンの活用や整備状況を伺うとともに、今後の災害に備え、各圏域ごとに機体の整備とオペレーターの育成を積極的に推進することを提案しますが、建設部長にお伺いします。  災害時における入札制度の見直しについてお伺いします。  災害発生後、各市町村では、地元建設事業者に、道路の土砂の撤去や河川の流木の除去等、昼夜を分かたず作業を行っていただきました。  県でも、道路管理等随意契約をしているJVや地元事業者に応急工事を依頼しております。通常の建設工事はもとより、災害時の応急工事や冬期の除雪作業等、地域の地形や地質等を把握している地元事業者は、住民の安全な暮らしに欠くことのできない存在です。しかし、現在、コロナ禍で全県的に施設整備等事業規模が縮小する中、経営が厳しい事業者が増加しております。今後、それぞれの地域で建設事業者が存続できるよう、災害時の応急工事のみではなく、災害査定後の本工事においても入札制度に災害特例を設けるなど、県として可能な対策を講じる必要があると考えますが、建設部長にお伺いします。  次に、新型コロナウイルス感染症に関わる差別についてお伺いします。  新型コロナウイルス感染症拡大によって、感染者やその家族、また、最前線でウイルスと闘う医療従事者、物流を支える運送業者の方への差別やいじめが社会問題化しております。このようないわれなき差別が生まれる背景には何があるのか。そして、どうすれば差別やいじめをなくすことができるのか。誰もが感染者になり得る状況下で、感染者や医療従事者等を差別することはあってはならないことであり、恐れるべきはウイルスであって人ではないと、県民に強いメッセージが求められております。  県では、新型コロナ誹謗中傷等被害相談窓口を設置しましたが、相談実施状況といわれなき差別の状況について伺うとともに、身近な相談先である市町村、その他関係機関との連携による誹謗中傷の状況把握と共有はされているのか。また、長引く新型コロナウイルス感染症下で、差別の背景にあるものをどのように捉えているのか。  差別をなくすための第一歩は、差別が生まれる背景や、そもそも差別とは何か等の正しい知識を持つことが大切ですが、県における対策について県民文化部長にお伺いします。  知事は、県民へのメッセージとして、関係者とともに、新型コロナウイルスに伴う誹謗中傷等からみんなを守る共同宣言を行いました。その中には、地域の中で笑顔の暮らしが取り戻せることの大切さを広げるシトラスリボン運動の草の根の活動を行っているNPOの皆さんも参加しております。感染した人やその家族へ差別ではなく励ましの言葉を、県民の命を守る最前線で闘う医療従事者へ感謝の言葉とエールを送り、この危機に立ち向かう長野県の社会づくりへ、県民一人一人の心の中に届く施策が必要だと思いますが、共同宣言により県民に何を伝えたいのか。また、民間の自主的なシトラスリボン運動を広げるため、どのように支援していくのか、知事にお伺いします。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)それでは、順次お答えいたします。  初めに、水防法及び土砂災害防止法に基づく要配慮者利用施設の避難確保計画の策定状況と作成促進に向けた支援に関するお尋ねでございます。  県内における避難確保計画は、全ての県有施設、25施設での計画策定は完了しておりますが、県全体の作成率は、令和2年3月末現在、約40%にとどまっております。  作成が進んでいない理由につきまして施設管理者へのアンケートや聞き取りを行ったところ、施設に避難計画を作成するためのノウハウを持つ職員がいない、計画を作成するための人的、時間的余裕がないなどの意見が挙げられております。  県では、避難確保計画の作成が義務づけられた法改正の際、関係する庁内の各部と連携し、市町村や県内の全ての施設管理者を対象に計画策定のための説明会を実施したほか、毎年、防災に関する会議において、国が提供するマニュアルなどを用い、市町村へ情報提供を行ってきております。  さらに、危機管理部では、県と施設管理者とが面談やウェブでダイレクトに相談できる支援の取組を今年の5月から開始しておりまして、現在までに14施設において支援対応をしているところでございます。  県といたしましては、引き続き計画策定に役立つ情報を提供するなど、市町村とともにきめ細やかに施設管理者を支援し、要配慮者利用施設における避難確保計画の作成が促進され、災害時に適切な避難行動が可能となるよう取り組んでまいります。
     次に、流域治水プロジェクトへの取組と天竜川下流域への情報提供の在り方についてでございます。  流域治水では、近年の頻発する水害に対して、流域のあらゆる関係者が協働して、流域全体で流出抑制策に取り組むこととしております。  天竜川水系におきましては、8月28日に、国、県、市町村が構成員となる流域治水協議会を開催し、今年度中の計画策定に向けて取組をスタートしており、今後、策定した計画につきましては、関係機関、流域住民の皆さんに対し浸透を図り、対策を進めてまいります。  次に、情報提供の在り方についてですが、7月豪雨の際は、国土交通省から飯田市天竜峡水位観測所における氾濫注意情報が発表され、この情報は、県水防本部から市町村や報道機関へ周知したところでございます。なお、危険な水位に達した場合は、さらに市町村から住民の皆さんに対し避難に関する情報が発信されることになっております。  確実な情報提供は、住民の皆さんの迅速な避難行動につながりますので、今後も、洪水予報情報等の連絡体制の強化に加え、危機管理型水位計や河川監視カメラによるリアルタイムの河川情報の発信や、洪水の発生が懸念される際には、河川管理者と市町村長とのホットラインによる伝達などによって確実な情報の提供に努めてまいります。  次に、ドローンの活用についてのお尋ねでございます。  ドローンは、災害発生時における被災状況の全容把握、調査における二次災害防止、ヘリコプターに比べて準備時間や費用を大幅に削減できるなどの利点があり、迅速な応急対応や復旧・復興に向け、県としても活用を図っているところでございます。平成27年度からドローンの配備を開始しておりまして、全ての建設事務所、砂防事務所及び地域振興局に配備しております。  県では、適切かつ安全に運用するため、操作講習会を実施し、関係法令の確認や職員の操作技術の向上を図るとともに、操作が比較的簡易な機体を購入し、多くの職員が操作できる環境を構築しております。  今後とも、職員の操作技術等の向上を図り、災害時はもとより、様々な事業において、安全面に配慮しつつ積極的に活用を図ってまいりたいと考えております。  最後に、災害時における入札制度に関するお尋ねでございます。  災害復旧の本工事では、地域に精通した企業による施工が円滑かつ安全につながるとの考えの下、原則、地域振興局単位の10ブロックを地域要件として発注を行っております。さらに、当該災害時に応急工事をした企業に総合評価落札方式における加点を行い、インセンティブを与えているところでございます。  また、昨年8月からは、過去の災害復旧の実績や災害時の体制等を評価する地域貢献型総合評価落札方式の試行も新たに実施しているところでございます。  大規模な災害時における入札制度につきましては、改めて入札の状況を検証し、さらに検討を加えることで、地元建設業の皆さんがより活躍できるよう努めてまいりたいと考えております。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)浸水想定区域内の社会福祉施設の避難についてのお尋ねでございます。  7月豪雨における熊本県の特別養護老人ホームの被災事例につきましては、決して特殊なケースではなく、長野県の浸水想定区域等でも起こり得る事例として重く受け止めております。教訓とすべき課題としては、高齢者施設や障害者施設等においては利用者の自力避難が困難なこと、また、施設では特に夜間に職員が少ないことから、避難に想定外の時間がかかることが挙げられます。  こうした状況を踏まえまして、災害時の逃げ遅れを生じさせないためには、いわゆる自助、共助、公助、それぞれの取組が重要と認識しております。  自助につきましては、施設自体の取組として、短時間で避難が可能な施設設備を整備し、早期避難のための体制を構築することが重要であり、施設整備において、介護施設等の垂直避難用エレベーターやスロープ整備が補助対象化されたことから、浸水想定区域内の施設に積極的な活用を働きかけ、事業化を図るとともに、体制整備につきましては、実効性のある避難確保計画の策定や実践的な訓練が実施されるよう、先進的な事例の紹介や普及を図ってまいりたいと考えております。  また、共助につきましては、施設と所在地域において、施設利用者の避難において地域が協力できる方法をあらかじめ定めておき、そうした想定を踏まえた実践的な避難訓練を施設と地域が協力して行うなど、地域全体で社会福祉施設の避難を支える体制が確保されるよう市町村と連携して取り組んでまいります。  公助につきましては、施設において早めの避難が開始できるよう、県及び市町村において、危機管理部局と福祉部局が連携して災害の発生予測等に関する情報提供と注意喚起を迅速に行ってまいります。  これらの対応によりまして、施設利用者の逃げ遅れを起こさない万全な体制を構築できるよう努めてまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には3点御質問をいただきました。  まず、社会福祉施設に関連して、浸水想定区域内にある施設の区域外移転、それから新設時の区域外への設置の促進、こういう御質問をいただきました。  社会福祉施設を御利用されている方が災害時にしっかり守られる体制をつくっていくということは、大変重要だというふうに思っております。  まず、区域内における新増設に関連してでございますけれども、これまで、長野県としては、土砂災害警戒区域に関連して、社会福祉施設の補助金について独自の交付基準を設けさせていただき、いわゆるイエローゾーン以外への立地を誘導してきております。  具体的には、定員30人以上の入所施設を整備する場合には、土砂災害警戒区域において、区域内での建物の新築、増築、区域外から区域内への移転改築、こうしたものについては原則補助対象外という形にしております。今後、浸水想定区域についてもこれと同様の取扱いとするよう検討していきたいと考えております。  それから、既に浸水想定区域内にある施設がございます。現在、899か所の社会福祉施設が立地しておりますことから、施設の種類や地域の浸水予測等詳細に分析をさせていただき、施設の状況に応じてきめ細やかな対策を講じることができるよう検討していきたいと考えております。  県としては、市町村と連携して、個々の施設の安全確保対策、避難体制の整備等についても把握をし、人的被害が最小限となるよう引き続き努力していきたいと考えております。  続きまして、7月豪雨により発生した道路災害の復旧の進め方という御質問でございます。  7月豪雨におきましては、斜面崩落等、飯田・下伊那地域を中心に非常に多くの災害被害が発生いたしました。県管理道路におきましても、通行規制が多数発生したところでございます。今回の災害では、喬木村、大鹿村などで孤立集落が発生してしまい、県民の皆様の生活に多大な支障を及ぼすことになってしまいました。被災された方々に改めてお見舞いを申し上げます。  県としても、被災直後から、応急復旧や仮設道路の設置など早期の交通確保に努めているところであります。私も、実際に喬木村、天龍村等被害が甚大な箇所を拝見させていただきましたけれども、いかに生活に影響しているか、いろいろなお困り事も含めて地元の皆様方の声を直接お伺いしてきたところであります。そうした思いを我々もしっかり共有して、住民の皆様方が一日も早く確かな暮らしが取り戻せるよう取り組んでいくことが重要だというふうに考えております。  引き続き、県としても、市町村をはじめ、関係機関の皆様方と緊密な連携を図りながら、再度の災害を防止し、そして、よりよい復旧ができるように全力で取り組んでいきたいと考えております。  最後に、3点目でありますけれども、せんだって行いました新型コロナウイルスに伴う誹謗中傷等からみんなを守る共同宣言、これにより県民の皆様方に何を伝えたいのか、また、シトラスリボン運動を広げていくためにどう支援していくのかという御質問であります。  世界全体で新型コロナウイルスと闘っているわけでありますけれども、そうした中で、感染者の方、医療従事者の方、そうした方々の御家族など、本当に様々な差別や誹謗中傷が起きてしまっております。こうした差別や誹謗中傷は決して許されないものだというふうに考えております。これは、人権問題ということにとどまらず、人と人との信頼関係、社会が分断されてしまうということにもつながりますし、また、誹謗中傷を恐れるあまり検査や受診を控えるということになれば、差別、誹謗中傷をされる方は意識していないかもしれませんけれども、そうした言動が結果的にウイルスの蔓延に協力するということにもなってしまいます。  また、誹謗中傷が激し過ぎると、様々な社会経済活動も必要以上に自粛してしまい、経済活動の停滞にもつながりかねないということで、非常に様々な問題を含んでいるというふうに考えております。  こうした観点から、教育委員会、市町村、経済労働関係団体等多くの皆様方の御賛同をいただきながら共同宣言を行わせていただきました。まずは、今申し上げたような趣旨を県民の皆様方にお伝えしていくということが重要だと思いますが、それと同時に、私たち一人一人の力で思いやりと支え合いの優しい社会をつくっていくことができるということを強く訴えていきたいというふうに思っております。そのために、あかりをともそうキャンペーンということで、県民の皆様方への発信にもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。お一人お一人の県民の皆様には、温かい社会をつくるための前向きな発言、前向きな行動を行っていただくようお願いしたいと思います。  また、シトラスリボン運動につきましては、患者や医療従事者の皆様方が、ただいま、お帰りと地域で受け入れられる、思いやりがあり暮らしやすい社会を目指していく運動でありまして、我々の目指す方向と一致していると考えております。県としても賛同させていただき、市町村、関係団体へも賛同や周知を呼びかけてまいったところであります。引き続き、広報媒体の活用等により広く紹介して、運動の広がりを支援していきたいというふうに考えております。  また、シトラスリボン運動に賛同されている民間の皆様方の活動についても、コロナに負けない信州応援基金等によりましてできるだけの支援をしていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理部長(竹内善彦 君)2点御質問をいただきました。  まず、マイ・タイムラインのさらなる普及に向けたデジタルコンテンツの活用についての御質問でございます。  マイ・タイムラインについては、現在、市町村とともに進めている信州防災「逃げ遅れゼロ」プロジェクトにおいて、住民の皆様に対し積極的に取り組んでいただくようお願いしているところでございます。また、御指摘のございましたデジタルコンテンツでの活用については、スマートフォンなどでもマイ・タイムラインの作成が可能となるよう有識者から助言等をいただくなど、併せて検討を進めております。  引き続き、最新の知見や先進事例について研究、検討を行い、早期にデジタルコンテンツとして活用が図られるようしっかりと取り組んでまいります。  次に、市町村への情報連絡員の派遣及び支援体制の強化についての御質問でございます。  県地域防災計画において、市町村災害対策本部が設置された場合等には、県災害対策本部地方部から情報連絡員を派遣することとしております。さきの7月豪雨災害でも、情報連絡員の活動により、被害状況や支援が必要な事項などを共有し、県と被災市町村との連携した災害対応につながったことから、その派遣は極めて重要であるというふうに考えております。  また、県で導入しているモバイルパソコンを装備品として持参し、市町村職員の代わりに県防災情報システムへ災害関連情報を入力するなど、さらに市町村への支援体制が拡充できるものと考えております。  なお、一方では、長期間派遣される場合、職員に大きな負担がかかることから、地方部への意見聴取を行い、課題の整理を進めております。今後は、これらの現場の声を反映したサポート体制の構築を目指すとともに、情報伝達用の資機材の充実、派遣時における対応等に関する職員研修を実施するなど地方部への支援体制を進めてまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)山間部におけます通信環境の整備についてのお尋ねです。  国におきましては、携帯電話不感地域の解消のための基地局設置の補助対象を見直しまして、今年度から、災害時等の安心、安全の確保の観点で必要となります道路、火山、登山道、自然公園等の非居住エリアとしたところであります。  県では、これを活用しまして、御嶽山の例ですけれども、御嶽山防災力強化計画に基づきまして、今年度木曽町が行います御嶽山二ノ池付近の携帯電話不感地域解消事業を、国や携帯事業者と協調して支援しているところであります。  引き続き地元市町村の要望をお聞きし、危機管理部をはじめ関係部局とともに、県民の皆様の安全の確保の観点から、現状や必要性を十分検証、検討した上で、国や事業者等とも円滑なコミュニケーションを図りながら連携して携帯不感地域の解消に取り組んでまいります。  以上です。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)新型コロナウイルス感染症に関わる差別の現状等について2点御質問をいただきました。  まず、新型コロナ誹謗中傷等被害相談窓口の状況等でございます。  8月26日の窓口開設以来、昨日まで、合計30件の受付をしております。感染者、濃厚接触者の方々、また、そうでない方々からも、周囲の心ない言動で傷ついている、周囲の言動で思うような行動ができずに悩んでいるといった相談や情報が寄せられておりまして、誹謗中傷や差別等が今なおあるという状況を改めて認識させられているところでございます。  次に、関係機関との連携でございますが、人権啓発センターや新型コロナお困りごと相談窓口に寄せられました相談、また、市町村に寄せられた相談についても情報提供を依頼し、状況把握に努めているところでございます。  これらにつきましては、法務局や県警などと人権関係機関連絡会議を設けまして、必要に応じて共有することとしておりますし、個別の事案につきましては、その内容に合わせ、法務局等の救済機関につないでいるところでございます。  新型コロナに伴う差別や誹謗中傷の背景でございますが、まずは、目に見えないもの、不明な点が多いウイルス、それに感染することの不安や恐怖があり、逃れたいという本来的な思いがあると思います。  また、コロナに関する情報が、個人情報も含め氾濫する中で、そうした情報をどのように受け止め、どう行動するかに対する知識、理解と社会的コンセンサスについて、徐々に改善されてきているとは思いますが、なお不足していると受け止めております。  次に、差別をなくすための正しい知識を持つことへの対策についてでございます。  県では、日本赤十字社長野県支部とのコラボレーションによる「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!負のスパイラルを断ち切るために」と名づけられた動画などをホームページに掲載し、また、市町村に紹介を申し上げ、それぞれホームページにリンクを貼っていただくなどの協力を得ながら県民の皆様への啓発に取り組んでいるところでございます。  また、ただいま知事からございましたように、去る9月25日から「コロナは思いやりと支えあいで乗り越える あかりをともそうキャンペーン」を開始しておりますが、ここでは、こころのワクチンプロジェクトという啓発活動を展開する予定でおります。これは、ありがちな誹謗中傷等の事例を紹介し、チェックリストにより気づかないうちに自分が差別的な行動を取っていないかといったようなことを確認していただきまして、一人一人の行動の参考にしていただこうというものでございます。  事例やチェックリストにつきましては、県ホームページを核といたしまして、SNSやテレビCMなど様々な媒体を使って発信し、多くの県民の皆様に知っていただき、参加していただくよう取組を進めていくこととしております。こうした取組を通じて、社会全体で差別的な行為や誹謗中傷のない、思いやり、支え合う社会づくりを進めてまいりたいと考えております。  以上であります。       〔6番川上信彦君登壇〕 ◆6番(川上信彦 君)それぞれ御答弁いただきました。  福祉施設の防災・減災への対応については、避難確保計画の作成、ハード、ソフトの対策、災害ハザードエリアにある民間施設の移転等、県民の命を守る対策を、市町村と連携し、積極的に推進していただくこと。  7月豪雨災害については、県、市町村双方とも、災害現場で少数の職員が長期間対応に追われている状況を目にする中、今後の豪雨、大規模地震に備え、情報通信環境の整備、AI、IoTの活用等、迅速で安全な対策を講じるための具体的な取組を加速する必要がございます。  新型コロナウイルス感染症に関する差別については、感染拡大防止のために取り組んできたソーシャルディスタンスが、いつしか人と人の心の距離も広げていると感じております。シトラスリボン運動のただいま、お帰りと言い合える地域づくりを推進し、共同宣言にあるとおり、思いやり、支え合いでコロナを乗り越え、誹謗中傷のない社会、健やかな暮らしと活気ある地域経済の実現を願い、私の全ての質問を終了させていただきます。 ○議長(小池清 君)次に、小林君男議員。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)高校改革について教育長に伺います。  9月14日、県教育委員会は、1次の再編・整備計画を決定されました。この決定の過程の中で、この間の4地区における説明会での意見が正確に反映されていないとの声も少なくありません。説明会では、この計画に賛同する声も出されていますが、一方、教育は損得勘定ではない。地域の意見をしっかり聞いて再検討を。地域の期待に応える統合になっておらず、地域の産業構造を軽視した提案だ。どの学校が統合されるのか、地域に対して具体性に欠ける説明のまま決められてしまう。今こそ高校でも少人数学級編制の導入をなどの意見も多く出され、地域によっては不安や混乱も広がってきています。  そして、説明会の開き方も、2週間前に開催を発表し、参加案内も地域住民にはあまり周知されておらず、また、地域の声を受け止めるには短時間の質疑や議論であったと地元の皆さんから聞いております。  このような説明会の内容や決定の経過を伺うと、スケジュールありきと思わせ、目指す高校改革や地域の理解の重要性とは大きくかけ離れたものになっており、1次の決定は拙速であると言わざるを得ません。広く地域の意見に耳を傾け、見直すべきと考えますが、見解を伺います。  二つ目です。各協議会での議論やパブコメ、そして説明会における高校での少人数学級の実現の意見の数は群を抜いております。県教委は、これまで、学習集団は少人数の集団を編制しており、生活集団の少人数学級は「未来の学校」構築事業の中で研究を進めていくとの答弁に終始されております。  しかし、学校現場からは、教員の配置は40人学級を大前提としたものであり、学習集団での少人数は、若干の加配はあるものの、学校や教員の努力の上で成り立ってきているのが実態であり、1年生における学習集団での少人数化は30%以下であるとの調査報告もあります。「未来の学校」構築事業の研究結果を待っている状況ではありません。高校における少人数学級の完全導入は急務と考えます。見解を伺います。  次に、知事にも高校の少人数学級などについて2点伺います。  まず、コロナ感染症を経験した県政において、見直すべき行政計画は各部門であろうかと思われますが、高校の再編・整備計画も、ゆとりと希望の学校づくりのため、一度立ち止まり、少人数学級をベースとした視点で方針を再検討、再構築するべきと考えます。  全国に先駆けて小学校1年から中学校3年までの30人規模学級を実現した長野県が、今度は高校における少人数学級を切り開いていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。知事に所見を伺います。  二つ目です。少人数学級の拡充、そして、コロナ危機の中でも、子供たちの学びやケアと安全を保障し、また、従来からの教職員の長時間労働を改善するには、小中高全ての教員の大幅な増員は欠かせません。県は、早速来年度からこの大幅な増員に着手するとともに、OECD加盟国の中でも低い教育予算を抜本的に増やすよう国に要請していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)再編・整備計画1次の決定についてのお尋ねでございます。  高校改革につきましては、これまで、広く県民の皆様の御意見を聞きながら、改革の指針である基本構想や具体的な実施方針を策定し、社会の激変と少子化の中でも将来にわたって高校教育の学びの質を保障していくため、新たな学びの推進と再編・整備を両輪に据えて、一体的に進めてきているところであります。  特に、再編・整備計画の策定に当たっては、地域及び県全体の高校の将来像を総合的に検討していくべきであることから、旧通学区ごとに高校の将来像を考える地域の協議会を地域の協力の下で設置し、協議を重ね、意見、提案をいただいているところであります。  拙速であり、見直しをすべきではないかというお尋ねでありますけれども、先般決定した再編・整備計画1次は、先行した4地区の協議会からの意見、提案を踏まえ、案を公表し、当該地区で開催した住民説明会等での意見や要望も勘案して確定したものでありまして、今後は決定した計画の具体化を着実に推進してまいりたいというふうに考えております。  次に、高校における少人数学級実現への見解というお尋ねであります。  高校での少人数学級の在り方については、授業等の学習集団と学級等の生活集団とは別に考える必要があるというふうに考えております。実際の授業では、これまでにも習熟度別学習や選択講座、専門学科の実習等、学級とは別の少人数の集団を編制し、多様な生徒に対応してきたところであります。  高校における少人数学級の完全導入は急務という御指摘でございますけれども、現在、少人数学級の在り方については、「未来の学校」構築事業の中で実践校を指定し、研究を進めているところでありまして、その状況を見極めてまいりたいというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には大きく二つ御質問をいただきました。  まず、高校における少人数学級実現への所見という御質問であります。  高校における少人数学級につきましては、「未来の学校」構築事業の中で実践校が指定され、研究が進められているというふうに承知しております。先ほど教育長がこの点に関して御答弁申し上げておりますけれども、私としては、教育委員会の考え方を尊重して対応したいというふうに考えております。  続きまして、教職員の大幅な増員と教育予算の増額についてでございます。  教育現場におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染防止や学びの保障、先端技術を活用した教育の質の向上、Society5.0時代に向けた人材育成、こうしたことが求められてきているというふうに考えております。
     本県におきましては、小中学校に30人規模学級編制を導入している状況でありますし、国に対しては、教職員定数の改善、学校における働き方改革の推進、GIGAスクール構想の推進のために必要な教育予算の拡充、こうしたことを要請してきているところでございます。  県としては、厳しい財政状況が見込まれるところではありますが、今後とも、引き続き小中学校において30人規模学級の維持に向けて教員の配置を行っていきたいと思っておりますし、また、国に対しては、個別最適な学びや多様な学習活動に対応する環境整備に向けた教育予算の拡充を要請していきたいと考えています。  以上です。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)高校において、生徒の変化や成長に着目する新たな評価も導入しようとしておられるならば、別の角度からも、クラス一人一人を把握する少人数編制のクラスが必要と考えます。少人数学級の導入を知事、教育長に切にお願い申し上げ、次の質問に移ります。  コロナ感染症拡大を受け、経営に苦慮する医療機関が大幅に増えており、事態は深刻です。病院の健全経営は、県民の命を守る根幹であります。  そこで、まず健康福祉部長に伺います。コロナ協力医療機関における経営の実態の調査は県としてどのように実施されているのか、そして、調査結果に基づきどのように対応されているのか、御説明いただきたいと思います。  次に、感染症対応従事者慰労金について3点お聞きします。  一つ目、給付が大変遅れていますが、状況を御説明ください。二つ目、その主な原因として、申請手続が複雑であると開業医師などから伺っていますが、申請を円滑にするための支援をどのように進めるのか、お聞かせください。三つ目、コロナ感染者受入れ病院の現場では、院内感染、人員不足、風評被害などの回避や、恐怖と闘いながら、チーム一丸となって命がけの思いで勤務しており、メンタルの相談も多くなってきているとお聞きしています。同じ院所でも、部署の違いによる支給額の差などから、病院一丸となっての対応に水を差すことが懸念されます。配慮をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。  最後に、知事に伺います。コロナ患者受入れに伴う赤字病院に対し、練馬区などでは、一般財源で赤字補填が実施されています。県は、病床確保を要請した医療機関に空床確保支援事業などは実施されていますが、その要請を受け入れたがゆえに赤字に苦しむ病院の経営問題の解決までには至っていません。これらの各病院の大きな御協力をいただいたからこそ重症化や感染拡大も抑えられてきました。  また、同時に、このような協力を継続し、広げるとしても、各病院の経営問題の解決は欠かすことはできません。慢性的な人員不足で過重労働を強いられてきた日常にコロナ対応というさらなる困難が降りかかり、そこに退職者の続出があったなら、医療現場は深刻な事態となってしまいます。今こそ、国の施策を待つことなく、長野県として経営に行き詰まる協力病院に一番の経営支援策である赤字補填を実施すべきと考えます。知事の見解を伺います。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)順次お答えしてまいります。  最初に、コロナ協力医療機関における経営実態の調査と対応についてのお尋ねでございます。  新型コロナウイルス感染症の患者受入れ医療機関の経営実態の調査につきましては、県としてこれまで実施はしていないものの、日本病院会等の全国組織が行った調査の状況については承知しているところでございます。それによりますと、コロナを受け入れていない病院よりも受け入れている病院のほうがより減収幅が大きいこと、月別には、5月が最も厳しく、6月、7月は幾分持ち直しているという状況でございます。また、厳しい経営状況につきましては、県内の病院長と懇談の場を持たせていただく中で、生の声をお聞きし、重く受け止めさせていただいております。  こうした状況を踏まえて、国では、診療報酬や空床確保料等の単価の大幅引上げ、福祉医療機構による無利子無担保融資枠の拡充などの対応を行っているところでございます。本県においても、4月補正予算に盛った患者受入れ医療機関への協力金について、6月までの患者受入れ実績により8月上旬に中間払いを行い、また、高い単価の空床確保料等が支給される重点医療機関につきましては、先般、県内39病院を指定いたしたところでございます。  今後、空床確保料等の支払いが進む中で一定の収支改善が図られるものと期待いたしますとともに、引き続き経営の動向を注視してまいります。  次に、感染症対応従事者慰労金について3点お尋ねをいただきました。  まず、給付が遅れている状況についてでございます。  慰労金の支給に向けて、9月15日から、県が委託した慰労金・支援金運営センターにおいて申請手続を開始し、9月29日に第1回目として569名の方に対して支払いを行いました。  本事業を確実かつ迅速に実施できるよう検討を重ねました結果、業務委託までの手続に多少の時間を要したことにより申請のスタートは他県に比べて遅くなりましたが、本事業を一括して外部委託したことにより、申請から審査を経て支払いまでの一連の手続につきましては時間短縮が図られ、当初の遅れは早晩解消されるものと考えております。医療従事者等の皆様に感謝の気持ちの慰労金を少しでも早くお届けできるよう、引き続き適正かつスピード感を持った執行に努めてまいります。  次に、申請を円滑にするための支援についてであります。  医療従事者等の皆様が慰労金を受給するためには、本人が医療機関に代理申請委任状を提出することから始まり、医療機関が対象者ごとの金額を確認して申請書類を作成の上申請するといった流れになっております。これらの手続を速やかに進めるために、電子申請による方式を採用いたしますとともに、インターネット対応ができない場合は郵送での提出にも応じることとしております。  事務手続に不慣れな方に申請の際に不都合が生じないよう、運営センター内に相談窓口を設置し、制度の内容確認や申請手続等の問合せに丁寧に対応することで円滑な申請に向けた支援を行ってまいります。  次に、同一病院等における支給額への配慮についてというお尋ねでございます。  本事業は、医療従事者等が新型コロナウイルス感染症の拡大防止、収束に向けて、自らの感染に対する不安や恐怖と向き合いながら、強い使命感を持ち、業務に従事されていることに対し、国から慰労金として給付するものでございます。その支給内容につきましては、対象期間における勤務日数や業務形態に基づき全国一律の制度として国が要綱において明確に定めており、その財源も全額国が負担しているところでございます。  こうしたことから、議員御指摘のような対応は困難ではございますが、引き続き支給内容について医療機関及び医療従事者の御理解をいただけるよう丁寧に説明をしてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)医療機関への支援について御質問いただきました。  患者を受け入れていただいている医療機関に対する支援につきましては、極めて重要な課題だというふうに考えております。  この点につきましては、政府においても、診療報酬の数度にわたる引上げが行われますとともに、重点医療機関の病床確保料についても4月に遡って引き上げるといったような対応が行われてきております。  県としても、独自に患者受入れ医療機関に対する協力金や危険手当に対する財政支援に取り組んできております。加えて、病床確保料としてこれまで数次にわたって予算措置を行わせていただいておりまして、今回、9月補正でもお願いをさせていただいておりますけれども、合計で70億円以上の予算措置を講じようとしているところでございます。  コロナ患者を受け入れていただく医療機関の経営の問題は、本県だけの問題ではなく、国全体に関わる重要な問題だというふうに考えております。こうしたことから、まずは国において手厚い措置を講ずるよう求めていきたいというふうに考えておりますし、県としても引き続き病院の経営状況等を見極めながら必要な対応を行っていきたいというふうに考えています。  以上です。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)協力病院は、努力不足で経営が悪化しているわけではありません。私たちの最後の命綱はこれらの医療機関です。そこで働く人たちの労働環境を最優先に捉え、県は39協力病院の経営状況を随時調査し、経営支援を直接実施していただくことを要望し、私の質問を終わります。 ○議長(小池清 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時36分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(小池久長 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  竹内正美議員。       〔16番竹内正美登壇〕 ◆16番(竹内正美 君)県教委では、中高生を対象に、LINE相談窓口「ひとりで悩まないで@長野」や、県内の小中学生や高校生、その保護者向けに、新型コロナウイルス感染症をめぐる差別や偏見などについて相談に応じる専用ダイヤルも開設されました。大変ありがたく思っています。ですが、差別や偏見による悩みやコロナ禍で児童生徒が心に受けた影響は大きく、大人が子供のストレスの表出を助け、受け止めることが重要だと考えます。  国立成育医療研究センターが行った全国の7歳から17歳の子供を対象にした調査によると、全体の72%にストレス反応やストレス症状が見られ、高校生の6割は最近集中できないと回答しています。休校で遅れた学習を取り戻すべく、授業時間数や宿題が増えた一方、部活や行事は中止や縮小となり、大切な学びの機会や楽しみが失われたことが影響しているように思われます。  「先生が怖い。友達と遊ぶと怒られます。」と回答した小学校低学年。「コロナにかかるのが怖い。学校に行きたくない。」と回答した小学校高学年。「課題が多過ぎて終わらない。」との高校生の声もあったそうです。自分の体を傷つけるなど自傷他害の行動が現れている子供は、どの年齢層でも1割前後見られたそうで、非常に危ないサインだと思います。  最も心配なのは、こうしたストレスに子供自身も周りの大人も気がついていない可能性があることです。子供はストレスを言語化して表に出すことが難しい一方で、それを助けてあげることがストレスのケアになります。子供の側面だけを見るのではなく、その裏にある不安、不満などを子供が話せる場をつくり、しっかり受け止めて、その子なりの頑張りを認め、褒めることも大切なケアになります。  私は、6月議会で、学校現場の教員の窮状をお伝えし、教員のストレスや不安が子供に連鎖してしまうことを訴えましたが、保護者の精神的負担も少なくないことが調査結果から分かっています。子供と関わる大人のストレスケアは、子供のためにも重要な課題です。  調査によると、偏見の防止が必要であることも分かりました。アンケートに答えた子供の32%が自分や家族がコロナになったら秘密にしたいと回答しており、また、22%がコロナになった人とはコロナが治ってもあまり遊びたくないと考えていました。このような意識は、私たち大人の言動が連鎖し、影響していると考えます。  なぜこれが問題なのかを子供と大人が一緒に考える機会をつくることが大切です。正しい知識を身につけ、自分自身も大切にし、周りの仲間も大事にする。そういった考え方ができるよう、教育委員会が中心となって、子供にも分かる言葉で導いてほしいと強く要望します。  次のとおり教育長に質問します。  子供と関わる大人、つまり学校職員や保護者のストレスケアの充実についての御所見を伺います。子供が本音で話せる場を設けてほしいと考えます。電話相談も効果的ではありますが、対面で一人一人に関心を寄せてじっくり話を聞く機会を設けてほしいと考えます。御所見を伺います。  コロナの正しい知識や差別、偏見をしないことの大切さを子供が学ぶ機会をつくるべきと考えますが、こうした機会の設定について現状と今後の予定を伺います。  次の質問に移ります。  新型コロナ感染者や医療・介護従事者への差別が後を絶たない現状を懸念しています。長野県内でも、新型コロナ感染者やその御家族、勤務先などへの中傷が相次ぎ、状況把握や対策の必要性が高まっていました。  そんな状況下で、県は、部局横断組織、新型コロナ関連人権対策チームを設置されました。また、誹謗中傷への対応を強化するため、電話相談窓口を開設したほか、SNSなどインターネット上の悪質な書き込みの監視も始めています。ですが、現在でも誹謗中傷に心を痛めている方や御苦労されている店舗もあるようです。県内の市町村など人権やプライバシーに関わる関係機関も含めて連携を密にし、差別がなくなる取組を強く希望します。  このウイルスは、誰もが感染する可能性があり、感染しても心置きなく治療に向かえるよう温かみのある長野県をつくっていくことが重要です。県は、市町村をはじめ、諸団体とともに、誹謗中傷等がない社会を共に目指す旨の共同宣言を行い、県民の皆様も大きな安心を得たことと思います。また、コロナ禍での差別をなくすことを目指すシトラスリボン運動にも賛同されていますが、差別の根絶に向けて、県民への発信や周知をさらに充実させるための具体的な取組について県民文化部長に伺います。  次に、昨年の台風19号による千曲川の氾濫により、校舎への浸水、教科書や教材の流出など大変な困難に陥った学校が県内には何校かあります。長野市立豊野中学校もその一つで、現在も勤務する女性の校長先生は、災害直後から、浸水した校舎の清掃や片づけ、仮設校舎への移転、そして整備された校舎への再移転などなど、コロナ禍の中、大変な奮闘をされています。非常時においても教育のために頑張っていらっしゃる女性管理職の奮闘を心強く感じました。県内には、大規模校で活躍される女性校長もおられ、教育の世界にも女性の進出、活躍が目立つようになってきたと思っております。  ところが、私は、2015年度に政府が定めた第4次男女共同参画基本計画を見て驚きました。初等中等教育機関の管理職の女性の割合を令和2年度に20%以上と設定しましたが、令和元年5月の調査時点で目標を超えているのは、神奈川県30%、石川県29.7%などの17都府県で、長野県は残念ながら目標に達していません。そもそも、長野県の管理職に占める女性教員の割合の目標は、令和3年4月1日時点で、小中学校においては16.5%以上、高等学校においては8.5%以上と国の目標より低く設定されています。現状を実数で申しますと、長野県内の女性管理職、とりわけ校長先生は、令和2年度、小学校64人、中学校16人、高等学校には6人しかいません。  国立女性教育会館の飯島研究員は、教員の働き方が子供たちの性別役割分担意識に影響を与える可能性があると話しています。2019年、約150人の小中学生になぜ女性の校長先生が少ないと思うかと聞いたところ、男子のほうが偉いからや、男の先生のほうがしっかりしているからなどの回答が目立ったそうです。  そこで、教育長にお尋ねします。  子供たちの目の前で女性リーダーが活躍する姿を見せることは社会全体の意識改革を進める早道になる可能性もあると考えますが、長野県の小中高等学校の管理職に占める女性教員の割合は、全国の状況と比較してどうなのかを伺います。  これに関しての2点目、長野県女性職員活躍推進計画の教職員編によると、20歳代、30歳代では女性職員のほうが男性職員の割合を上回っています。しかし、40歳代後半で男女の割合が逆転し、女性職員の割合が減少しています。私が教育委員を務めていた地域で教職員から現状をお聞きしたところ、女性教員の割合が50%を割り込むのは40歳代後半で、家族の介護が求められるようになる時期に合致しているということでした。女性の先生からは、介護などのため退職せざるを得ない。管理職を打診されても介護のため管理職を諦めざるを得ないという切実な問題が出されました。  現在、管理職登用試験は例年11月前後に実施され、その試験に合格すると次年度に管理職として登用される仕組みになっていると伺っています。合格後に家庭の事情で管理職として赴任できなくなるといったことを防ぐため、現状では、家庭に介護などの事情がない方々が主に受験するとお聞きします。これでは、ちょうど40歳代後半で学年主任や教務主任などの学校の中核を担う方で家庭の事情を抱える女性の受験は困難と言わざるを得ません。  そこで、一つの方法として、管理職登用試験に合格した教員の家庭に事情が生じた場合は改善が見込める時期まで一定の猶予を設けるなどの対応はできないかと考えます。長崎県教育委員会では、管理職となる時期を調整できる仕組みを設けました。また、他県の管理職試験では、結果が一定のレベルに達した方を名簿登録し、その中から適任者を都度配置していくという方法を取っているとも伺います。このような方式ならば、家庭事情のある職員も名簿に登録した上でしばらく猶予することができると思いますが、長野県では、女性管理職を増やすためにどのような方策を取っていくのか、教育長に伺います。  最後の質問に移ります。  埴科郡坂城町では、9月議会にて、県内で初めてとなる犯罪被害者等支援条例を制定しました。町内では、4か月前の5月に、暴力団関係者が民家に押し入り、母親の目の前で無関係のお子さんが殺害される事件が起きています。このときのことについて、町長は、5月の事件発生時には坂城町に犯罪被害者や御遺族を支援するルールがなかったため、町としても住宅のあっせんや見舞金の支給など満足いただける支援ができなかったと話しており、町や町民が一体となって速やかに被害者や御遺族の支援を行うことができるよう条例の制定を急いだと聞いています。  一方、被害に遭われた御家族におかれましては、私も実際に会ってお話を伺いましたが、かわいい2人のお子様を一瞬のうちに奪われた何事にも代え難い苦痛に加え、自宅が被害場所となってしまったため、引き続き居住することができず、狭い町の中での事件であったことから町営住宅への入居もかなわず、明日の寝泊まりする場所を探すのにも非常に苦労したこと。また、暴力団とは無関係であるにもかかわらず、SNSや周囲の心ない言動による誹謗中傷を受け、現在も自宅に戻れず、たとえ自宅に戻ったとしても、その後受けるであろう精神的苦痛を考えると、もう二度と自宅には戻れないだろうと考えていること。県営住宅に優先入居させていただける話があったが、敷金や家賃が減免されるわけではなく、住宅ローンや今後の生活のことを考えると入居に踏み切れなかったこと。突然の被害であったことから葬儀代など予期せぬ出費が発生し、また、精神的ダメージから職場に復帰することができず、現在も休職中であることから金銭的に困窮していること。マスコミ報道、SNSや郵便等による誹謗中傷、根も葉もないうわさ話を真に受けた周囲の心ない言葉による精神的ダメージにより、心にも深い傷を負い、今なお精神的苦痛を受け続けていること。精神的ダメージから何事にも意欲が湧かず、家事を行うことすらできないことといった経済的負担や精神的負担を受けたとお聞きしました。  本件のような凶悪な殺人事件にかかわらず、傷害事件であっても、性犯罪であっても、犯罪被害者やその御家族は、犯罪被害に遭ったことをきっかけに、仕事に行けない、学校に行けないといった就業、学業の問題や、再被害が怖くて自宅に戻れない、思い出がある家に住めないといった住居の問題、人混みに行けず、公共交通機関を使えないなど日常生活の困難化や、眠れない、周りの人の態度に敏感になり過ぎてしまうといった健康上の問題、捜査協力、裁判出廷、うわさの流布、マスコミの取材、日常にない出来事の発生といった生活環境の変化にとても苦しめられている現状があります。  そして、こういった問題の多くは、転居、転職、離職、通院などの副次的被害を引き起こし、早急な対応が求められます。  現時点でも、県では、県営住宅への優先入居や日常生活への支援、関係機関との連携といった施策は取っていただいていると承知していますが、被害に遭った際に被害者から相談があれば対応するのではなく、条例により、居住の安定、雇用の安定、経済的負担の軽減、日常生活の支援、教育支援などの支援メニューを県民の皆様に提示し、行政の側からこのような支援ができると具体的にアプローチすることで県民の皆様に大きな安心を与えられるのではないでしょうか。  また、県の責務として、全ての犯罪被害者等の尊厳が守られ、犯罪被害者等の置かれている状況や支援の必要性への理解を進め、二次被害の防止を基本理念として条例に掲げることにより、魅力ある住みやすい長野県を構築することにつながるのではないでしょうか。  本年4月1日現在で、全国的にも、全体の44.6%に当たる21の都道府県でこうした犯罪被害者の支援に特化した条例が制定されており、市区町村でも、全体の32.4%に当たる558市区町村で制定されています。  昨年、36名の尊い命が失われ、34名もの重軽傷者が出た京都アニメーション放火殺人事件では、多くの自治体に負傷者や御遺族が分散していたため、自治体により受けられる支援の格差が生まれてしまいました。犯罪被害者支援は、被害を受けた者のみならず、その家族、または遺族も支援の対象としていることから、この事件のように、ほかの都道府県で発生したから当県には関係ないとか、私たちの町では事件の発生がないから条例は必要ないといった考え方は理解ができません。  坂城町は、条例で、犯罪被害者等の名誉や生活の平穏を害したり、二次的被害を生じさせることのないよう配慮することと規定していますが、坂城町だけでは当然影響力は限定的になります。県が先頭に立って条例を制定し、犯罪被害者等に対する県民の理解の増進と配慮、協力の確保への取組を強力に推し進めることによって、その取組が市町村にも広がり、それぞれの市町村の実態に即した市町村条例の制定も進むものと考えます。  既に被害に遭われた過去の被害者、御遺族のためだけではなく、明日被害に遭うかもしれない全ての県民のために、誰もが被害者になり得るという前提に立ち、県行政の優先課題の一つとして条例制定に取り組む必要があると考え、次のとおり質問します。  本年2月議会の折に、小山議員から、犯罪被害者等基本法に基づく地方公共団体の責務として、明記された基本理念に即し、地域の実情に応じた施策の策定と実施への取組について御質問があり、知事から、本県としてのさらなる支援の在り方について検討していきたいとの答弁がありました。半年が経過していますが、担当部としてどういった検討がなされたのか。また、どういったさらなる支援の在り方をお考えか。県民文化部長にお伺いします。  次に、犯罪抑止のため、たゆみない努力が重ねられていますが、交通網の発達やインターネットの通信網の発達により、県民の誰もが犯罪の被害者となる可能性が高まっています。今こそ、犯罪被害者等の立場に立って基本理念を定め、県としてこのような支援ができると具体的なアプローチを示した条例を制定するべきと考えますが、知事の御所見を伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、コロナ禍の心のケアなどについての御質問でございます。  一つ目は、学校職員や保護者のストレスケアについての御質問でございます。  この新型コロナウイルス感染症対策では、感染症予防対策の徹底や新しい生活様式への対応など、子供たちだけでなく、学校職員や保護者にとってもストレスを抱える生活が続いているものというふうに考えております。  教職員に対しては、学校の業務を支援するスクールサポートスタッフの配置や、通常の清掃の中で消毒を行うなど過度にならない消毒の仕方を周知するなど、できるだけストレスとならないよう対応しているところであります。  また、管理職を中心にチームとして対応し、特定の職員に負担が及ばないような学校運営をするとともに、児童生徒の心のケア等に関する教職員の悩みに対しては、スクールカウンセラーも相談に応じているところでございます。  また、保護者に対しては、リーフレット「今を前向きに過ごすために 不安やストレスを自分たちの力でコントロールしよう」というものを配付しております。ストレスや不安を感じることは当然のことであり、困ったときは迷わず相談すること、相談相手が見つからない場合は学校生活相談センター等を活用することについて周知したところでございます。このほか、学校に相談があれば、養護教諭等が相談に対応しているところでございます。  教員や保護者のストレスケアは、子供を守るためにも重要であり、相談内容によっては専門の相談機関につなげるなど、引き続き丁寧な対応に努めてまいりたいというふうに考えております。  二つ目として、子供の声を聞く機会についてというお尋ねであります。  これまでに経験したことのない状況の中で、ストレスや悩みを抱えている児童生徒を見過ごすことのないよう、周りの大人が子供の小さな変化に関心を寄せるとともに、言葉で直接伝えることが難しい児童生徒のために様々な相談窓口を用意することが重要であるというふうに考えております。  学校再開後、早期に心と体のチェック票を活用しまして、担任等が子供たち一人一人と面談を実施しております。子供の表情やしぐさ、声の調子などを含め、子供たちの状況を丁寧に把握し、子供の声に耳を傾けてきました。  現在、多くの学校で、学校生活アンケートを活用した個別面談や三者懇談を実施し、子供や保護者とじっくり向き合える時間をつくるなどの対応に努めるとともに、さらに、相談支援が必要な子供に対しては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家と連携し、カウンセリングや保護者相談等につないでおります。  また、県教育委員会では、夏季休業明けに、SOSの出し方教育の実施や、LINE相談窓口について学校宛てに改めて周知をしたところでありまして、引き続き子供の心のケアに努めてまいります。  3番目に、コロナの正しい知識、差別偏見をしないことの大切さを学ぶ機会についてであります。  新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識や差別、偏見の防止等については、これまでも学校に通知するとともに、児童生徒向けのリーフレットを作成、配付してきたところであります。子供たちの身近な地域や学校で感染者が確認されるなど、改めて、正しい知識と差別、偏見をしないことについて学ぶ機会を設けることが必要であるというふうに考えております。  各学校においては、校長自らが全校の子供たちに感染予防と差別や偏見の防止を伝えたり、保健師等の専門家による講話や啓発動画を活用した授業を行うなど、様々な取組を実施しているところであります。  県教育委員会では、新型コロナウイルス感染症に関する差別、偏見防止の取組として、学級活動や授業等で用いることができる動画や教材を紹介しております。各学校の状況に合わせて活用するよう依頼をしているところであります。  引き続き、各学校で行われた効果的な取組事例等を紹介するとともに、差別や偏見、いじめ等が生じないよう、学校における人権教育を推進してまいりたいというふうに考えております。  次に、女性教員の管理職登用についてのお尋ねでございます。  本県の現状でございますけれども、女性教員の管理職への積極的な登用に努めてまいりまして、長野県女性職員活躍推進計画の期間中であります平成28年度から令和2年度においては、小中学校が、平成28年度15.1%であったものが、令和2年度は19.0%、高等学校は、7.9%から10.4%へと改善しておりまして、目標値を上回る実績を達成したところではあります。しかしながら、文部科学省による平成31年度の人事行政調査データで見ますと、全学校種を合わせた女性管理職の割合は、全国平均が18.4%に対して長野県は16.3%、全国順位で行くと29位となっておりまして、引き続き積極的な登用に努めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
     次に、女性管理職を増やすための方策でありますが、本県の管理職の登用制度は、資格試験的な意味合いではなく、本人の意思や家庭の状況等をきめ細かに把握し、適材適所の配置を推進することを目的に行っているところでございます。  女性管理職を増やすための方策とすれば、女性教員を教務主任等の指導的立場に積極的に登用したり、研修等によりキャリアアップを図ったりすることを通して、管理職として必要な指導力や資質を高めるとともに、女性管理職のさらなる登用に努めてまいりたいというふうに思っておりますが、管理職の登用制度につきましては、御紹介いただきました事例も含めまして、他県の事例等を十分参考にさせていただき、女性教員の管理職積極登用に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上であります。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)私には2点御質問をいただきました。  1点目、新型コロナウイルス感染症に伴う誹謗中傷等の根絶に向けた発信や周知の具体的取組についてでございます。  御質問にもございましたとおり、先月25日、県は、市町村、関係団体の皆様とともに、誹謗中傷等からみんなを守る共同宣言を行い、併せて、「コロナは思いやりと支えあいで乗り越える あかりをともそうキャンペーン」をスタートさせました。このキャンペーンを通じて県民の皆様に広く働きかけていくこととしております。  川上議員の御質問で答弁申し上げたことと一部重なることを御容赦いただきたいと思いますが、具体的には、二つのプロジェクトの推進と広報活動を展開してまいります。  一つ目は、シトラスリボンプロジェクトについて、民間の皆様で取り組まれている運動に対し、本県も賛同するとともに、広く紹介するなど支援を行い、大きな広がりとなっていくことを促進するものでございます。  二つ目は、こころのワクチンプロジェクトと名づけておりますが、ありがちな誹謗中傷事例等を知り、チェックリストで自らの行動を確認していただき、行動の参考にしていただくというものであります。  そして、広報でございますが、こうしたプロジェクトや、差別や誹謗中傷をなくし、思いやり、支え合う社会をつくっていくこと、そして、日常を取り戻すために歩みを進めてまいりましょうといったことの呼びかけを、テレビやネット、SNS、新聞広告を活用するとともに、市町村や関係団体と連携して実施してまいりたいと考えております。広報費等そのために必要な予算について今定例会に御審議をお願いしているところでございます。  2点目、犯罪被害者支援の充実について、その検討状況、支援の在り方についてでございます。  本県の犯罪被害者支援につきましては、人権政策推進基本方針に基づき、県警や市町村などの関係機関・団体と連携して、広報啓発、相談、情報提供、それから被害からの回復支援、民間支援団体に対する支援といったことに取り組んでおるところでございます。  支援の在り方を検討するために他県の施策の状況を調査しておりますが、他県では、犯罪被害者への見舞金や貸付金の制度化、訴訟費用に対する支援、民間賃貸住宅の仲介支援といったようなことを実施しているところもございます。犯罪被害を受けられた方々に対して実効性のある支援が充実されるということが必要と認識しております。今後、それぞれの県で取り組まれている具体的な施策について、運用状況や効果、また施策を進めていくにはどのような体制が効果的なのかなどについて調査を進めるとともに、犯罪被害者の方々がどのような支援を必要とされているのかといったことも改めて確認するなど、関係機関等とともにさらに検討を進めてまいります。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、犯罪被害者支援条例を制定すべきと考えるがどう考えているかという御質問であります。  犯罪による被害は、被害者御本人はもとより、その御家族、あるいは御遺族に対しまして、生命、身体、財産といった直接的な被害とともに、心にも深い傷を与えるものであります。また、その痛みを周囲に理解いただけないことによる二次被害等に苦しまれることもあり、幅広く生活全般にわたっての御支援が必要だというふうに考えています。  本県としては、人権政策推進基本方針に基づいた支援を行ってきておりますけれども、他県の支援施策と比較いたしますと、御質問にもありましたように、例えば基本理念や支援の枠組みの安定性など、いささか不十分なところもあるというふうに率直に感じています。  今、県民文化部長から御答弁申し上げたように、現在、さらなる支援策の充実に向けて他県の状況等の調査を行ってきているところでございますが、今後、犯罪被害者等となった方々に寄り添ったよりよい支援を本県としても行うことができるように、条例の制定も含めて、具体的な対応を検討していきたいというふうに考えております。  以上です。 ○副議長(小池久長 君)次に、丸茂岳人議員。       〔9番丸茂岳人君登壇〕 ◆9番(丸茂岳人 君)2025年問題の現状認識と今後の課題についてお伺いします。  日本の総人口は、2008年の1億2,808万人をピークに、その後人口減少が続き、2060年には8,674万人になると推計されています。  一方で、65歳以上の高齢者人口は2042年の3,878万人まで増え続け、それ以降は減少過程に入るわけですが、生産年齢人口や年少人口の減少により、相対的に高齢化率は上昇し続けると予想されています。  また、かつては100歳まで生きるのは珍しく、1963年時点では100歳以上の高齢者は日本全国でわずか153人でありましたが、現在は、私の地元である諏訪地域だけで175人おられ、加速度的に高齢化が進んでいることが分かります。  さらに、2025年には、1947年から1949年生まれの団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、その数は700万から800万に達すると予想されています。  高齢者の健康度は、おおむね75歳を境に大きく変化し、身体的機能、認知機能、社会的活動などが低下し、加齢による高齢者特有の病気が増え、要介護状態になる高齢者が多くなるとされ、中でも、加齢に大きく起因する認知症の人々が増えており、2012年時点で、認知症の人々は462万人、認知症予備軍と言われる軽度認知症は400万人と言われ、2025年には軽度認知症584万人、認知症730万人になると予想されています。  75歳以上の高齢者は、複数の疾病を同時に発生するリスクがあり、入院や長期療養などの比率も高くなる傾向があります。それに伴い、高齢者医療や社会福祉などの費用がかさみ、社会保障の財源を圧迫して破綻が懸念されるのが2025年問題です。  また、これに併せて、出生率の低下から、生産年齢人口、つまり労働人口が減り続けている現実があるわけです。特に、医療や介護にかかる費用は、超高齢化社会がさらに進むことで深刻な状況を迎えると予想されています。要介護認定される割合は、2020年の時点で75歳以上の32%になっており、実に約3人に1人が要介護の状態です。2025年を迎える頃にはさらに増えると予想され、医療にも介護にも費用の増加が懸念されます。  我が国の社会保障費のうち、現在、医療費は42兆円、介護費は11兆円ですが、2025年には、それぞれ47.8兆円、15.3兆円となる見通しとなっています。医療費で約20%、介護費で約45%の増加になります。2025年までに社会保障費全体で約19兆円増加の見込みですが、これに対し、GDPの増加見通しは約80兆円となっており、増えたGDPの25%近くが社会保障費の増加分に相当すると予想されます。  ただし、このGDPの増加はあくまでも予測であり、順調に経済成長した場合の数字でありました。本来、本年開催予定の東京オリンピックまでは順調な経済成長が予想されておりましたが、新型コロナウイルスという未知のウイルスによりこの想定は大きく覆り、本年4月から6月期のGDPは約28%マイナスになるという事態となっているのは周知の事実であります。ただでさえ増え続ける社会保障費に対し、財源確保が最大の課題でもあったわけですが、想定外の事態がさらに困難な状況に追い込んでいるわけです。  今後も、想定不可能な災害、ウイルス、経済危機等が起こってもおかしくない社会であり、常に予断を許しません。これら、いつ起こるか分からない想定外の事態に対し、事前に予測を立て、現実的な対策を取るのは大変難しいことであります。  一方で、今後の人口減少、超高齢化社会は想定内の事実であり、必ずやってくる現実です。本来であれば、必ず来ると分かっている事態には明確な対策が取られるべきですが、確実に来ると分かっていながら現実的な対策が立てにくい課題も多くあり、また、対策を立てても抜本的な解決につながらない課題が多々あります。その最たるものが、地方における人口減少と超高齢化であり、これを起因とした財政、介護、医療、地域コミュニティー、教育といった課題かと思います。そうした課題を最も顕著に表した課題が2025年問題だと思います。2025年に向け、起こり得る課題を共通認識とするとともに、昨今の社会情勢や財政問題を念頭に置きながら、県が考える2025年問題の現状と今後の課題についてお伺いいたします。  まず、財政的な問題からお伺いいたします。  長野県におきまして、少子高齢化で社会保障費が膨張したことで、予算編成の自由度は大きく低下したものと思います。私が県会議員に当選した際に、財政課のレクチャーにおいてその財政状況を説明され、極めて硬直化した予算であると強く念押しされたことを覚えております。  現在、本県の人口は204万人台まで減り、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の試算では、2025年には200万人を下回るとあります。また、2025年の長野県の人口構成の予測ですと、人口の3人に1人が65歳以上、4.8人に1人が75歳以上で、高齢者と生産年齢人口の比率は1対1.6となっています。つまり、1人ないし2人の生産年齢人口が1人の65歳以上の高齢者を支えていく社会となるわけです。  阿部知事の3期目就任の際、財政運営で一番大きな課題は社会保障関係費の増加であり、歳入、歳出の両面を改革していかなければいけないと発言されたことを記憶しております。また、12年前の18年度当初予算の社会保障関係費は990億円と、1,000億円を切っておりましたが、現在は1,300億円まで増え、2025年にはこれがさらに増大するものと考えます。  そこでお伺いいたしますが、現状から推測する2025年における社会保障給付費の増加から来る財政の圧力、影響をどのように分析しているか。地方自治体としてこれをどう乗り越えていくのか。阿部知事にお伺いします。  また、そもそも現状の社会保障制度を今後も維持できると考えるか。維持するため、この上昇圧力に少しでも歯止めをかけるための施策としてどういったことができるのか。また、我々県民一人一人がやるべきことは何か。県民へのメッセージと併せ、所見を阿部知事にお伺いいたします。  次に、現実的な介護の問題についてお聞きします。  団塊世代が後期高齢者となり、今後、加速度的に要介護者が増えてくることが想定されているわけです。2025年にはそれが顕著に現れると想定されます。介護人材や介護施設等が不足しており、老老介護問題や介護離職問題等、これまで体験したことのない社会がやってくると思います。もちろん、こうした問題を全て県で解決することは困難であり、国や市町村においても限界はあるかと思います。  一方で、介護施設においては、順番待ちで入りたくても入れない方も多く、さらに、身寄りもなく年金のみで暮らしている方などにおいては切実な課題となっていると思います。さらに、2025年以降、貧困高齢者が増えるというデータもあるようです。  また、そもそも介護保険制度そのものを維持していくことも大変エネルギーが要ることかと考えます。今後の公的な財政面の負担においても、大幅に伸びていくことが予想されるわけですが、最も顕著なのが人手不足の問題かと思います。厚生労働省のデータによると、日本全国で245万人の人材が必要とされ、現実的には211万人程度になり、日本全国で34万人程度不足するとの試算もあります。  そこで、お伺いします。  県は、介護士不足や財政的観点、介護による離職の現状をどう認識しているか。また、こうした課題に対して、2025年に向けた危機意識と取組の方向性について県のお考えを土屋健康福祉部長にお聞きします。  こうした問題の多くは、現実的に直面しない限り、なかなか当事者意識を持てないものであります。私も、最近、知り合いの方が、高齢のため一人での生活が困難となり、余儀なく施設に入ることになったわけですが、その過程において何度か相談される中で、自分自身の無力さ、また現実的な厳しさを知りました。県の現状がどうなっているのか、一人でも多くの方が認識することも重要であると思い、質問いたします。  さらに、地域包括ケアの在り方と現状の認識についてお伺いいたします。  改めて、地域包括ケアとは、厚生労働省によると、「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。」とあります。「今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。」とあり、まさにごもっともな話であります。これが現実になればすばらしいことと思うわけであります。  また、構築のプロセスとして、「市町村では、2025年に向けて、3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を通じて、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じた地域包括ケアシステムを構築していきます。」とあり、基本的には市町村が担うべき役割となっているわけです。  そこで、お伺いします。  こうした地域包括ケアシステムの構築は2025年に向けてどのように進んでいるのか。また、長野県のように大小様々な市町村がある自治体においては、こうしたシステムを一市町村だけで現実的なものに落とし込んでいくのはなかなか困難ではないかと考えるわけですが、こうした状況を踏まえ、県として地域包括ケアの構築にどう関わり、どのような役割を果たすのか。県が考える地域包括ケアの在り方について土屋健康福祉部長にお伺いします。  最後に、労働者不足の問題についてお聞きします。  内閣府が発表している数字によりますと、日本の生産年齢人口は、1997年の8,699万人をピークとし、2025年には7,170万人に減少するとあり、昨今はコロナの影響で有効求人倍率は落ちつつありますが、それでも、業種によっては慢性的な人手不足が続いております。特に、介護の現場、農業現場、建設現場での人手不足は至るところで耳にする課題であると思われます。  そこで、県としては、こうした人手不足の現状をどのような認識で捉えているか。こうした人手不足がなぜ起こっているのか、また、こうした人手不足をどのように補うべきと考えるのか。  考え方としては、まだまだ元気な御高齢の方に働いてもらうことや、外国人労働者の受入れもより積極的に検討する必要があるかと思います。  外国人労働者においては、日本は移民政策を取ることはないという基本的な考え方はあるわけですが、人手不足の現状から、専門的、技術的な外国人受入れ制度の在り方について早急に検討を進めると安倍政権時において認識が示されました。特に、地方においては、若者の流出があり、さらに、日本人が仕事を選ぶという現実がある中で、外国人労働者に頼らざるを得ない現実と、日本人の雇用を守りながら外国人が働きやすい状況づくりが必要と感じています。  一方で、現在は研修生という名目での受入れであり、例えば、農業の実習生であれば農業しかできず、冬の閑散期に介護や建設現場での仕事ができるような環境整備が必要ではないかと感じます。  そこで、高齢者の雇用及び外国人労働者の雇用を含めた人手不足解消において、県の考え方と今後の方針についてお伺いします。  まず、高齢者の雇用に関しては、現在、総人口の28.7%が65歳以上であり、その4分の1が就業しているということでありますが、私の印象としては、意外と低いと感じました。そこで、現状の県内の高齢者の就業状況と、人手不足の観点から健康で長く働いてもらうための取組について伺うとともに、外国人労働者の起用に関してこれまで以上に柔軟な対応が求められると思いますので、県として今後の外国人労働者の必要性をどう考えるのか。また、人手不足の現場にどのようにマッチングしていくべきと考えるか。林産業労働部長にお伺いいたします。  2項目めとして、スマート農業の導入による農業の強靱化についてお伺いします。  我が国の農業は、高齢化や労働者不足がますます深刻さを増しており、長野県においてもこの傾向はより顕著であり、このままの状態が続けば、言わずもがな長野県の農業は徐々に衰退し、県内各地に荒廃地が増え、風光明媚な田園風景が失われ、地域住民のみならず、長野県を訪れてくれる方にとっても、思い描いた心を和ませてくれるような風景が見られなくなってしまうという懸念があります。  また、長年培われてきた高品質な農作物をつくる技術が衰退すれば、日本にとって大きな損失になり、これは大げさなことではなく、国益の損失につながる可能性もあるわけです。  2015年農林業センサスによれば、日本の農業就業人口は30年前に比べて約7割減少し、平均年齢は66歳となるなどの大変残念な数字を目にするわけです。そもそも、日本全体で少子高齢化が加速度的に進んでいるわけであり、あらゆる産業でロボット技術やICTを進め、これらの技術革新が競争力の強化につながってきており、世界の先進国に先駆けて高齢化を迎えている日本にとっては、こうした社会を技術革新で補い、後にこの技術がこれから少子高齢化を本格的に迎える先進国に対し大きなビジネスチャンスにつなげることができると思います。  それは、農業分野でも同じであり、農業における技術革新の大きな柱の一つとして、ロボット技術やICTなどの先端技術を活用したスマート農業の実現に向けて取り組んでいく必要があるわけです。農業のスマート化が進めば、高齢の方も働きやすくなり、生産性も上がると思われることから、若者の新規参入も増えると考えます。  そこで、以下四つをお伺いいたします。  1として、我が国の農業従事者の現状や長野県の農業における課題をどのように分析しているか。  2として、そうした状況から鑑みて、県は、スマート農業の生産現場への導入を推進するため、スマート農業機器のお試し導入などに取り組んでいるが、具体的な事例を含めた現在の進捗状況はどうなっているのか。また、スマート農業の推進を今後どのように行っていくべきと考えるか、お聞きします。  3番目として、農業大学校等でこうした先端農業推進のための教育はどのように行われ、今後卒業生がどのように長野県農業に貢献していくと考えているか、お聞きします。  四つ目として、今後農業従事者を増やしていくためにも、食べていける農業であることが大前提であることは重々承知しており、ブランド力のある果実や花などを栽培していくことも重要なことであると思います。食べていける農業を育成する観点、一方で、長野県のみならず、我が国の食料自給率を維持向上させていくための観点と、長野県ののどかな田園風景を守っていくための観点も大変重要なことと思います。それぞれの観点において今後長野県の農業をどのように推進していくべきと考えるか。合わせて4項目、伊藤農政部長にお聞きします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)2025年問題の現状認識と今後の課題についてということで、私には2問御質問をいただきました。  まず、社会保障給付の増加による財政への影響をどう分析し、どう乗り越えていくかという御質問であります。  国が平成30年5月に公表いたしました2040年を見据えた社会保障の将来見通しによりますと、社会保障給付費の伸びに伴いまして公費負担も増大して、2025年には2018年の約1.24倍、特に介護分野では1.44倍の伸びが見込まれております。  本県の状況を全国と比較いたしますと、高齢化が先行している分65歳以上人口の伸びは全国を下回る見込みでありますが、担い手としての生産年齢人口の減少率は全国よりも大きく、65歳以上の人口の割合が全国を上回ることが見込まれますことから、高齢者の介護や医療を賄う財源の確保が大きな課題だというふうに考えております。  財源の確保に向けましては、国に対する地方税財源の確保充実の要請、そして、長野県としての税収の確保、さらには、事務事業の見直しなどによる歳出の適正化、大きくこの三つの観点があるというふうに考えております。  地方税財源の充実確保につきましては、全国知事会とも連携して、社会保障関係費の増大を織り込んだ上での地方一般財源総額の確保や、持続可能な地方税財政制度の構築を強く求めていきたいと思います。  また、税収の確保につきましては、短期的には新型コロナの影響で苦しんでおられる地域産業の再生支援に全力で取り組んでいくとともに、産業の生産性が高い県づくりを通じた税源の涵養に努めてまいります。  また、事務事業については、不断の見直しを行うほか、重点分野への選択と集中を徹底して歳出の適正化を図っていきたいと考えております。  続きまして、社会保障制度を今後も維持できると考えるのか。また、どういったことができるか。そして、県民へのメッセージという御質問でございます。  現在、社会保障制度は、先ほど申し上げたように、これから負担の増大が見込まれるわけでありますけれども、様々な工夫と努力を行うことによりまして、安心の基礎となる社会保障制度を何とか維持していかなければいけないというふうに考えております。  今後、将来にわたってこの社会保障制度を維持していくためには、様々な観点からの取組が必要だというふうに考えております。例えば、高齢者の方々の就労や社会参加を促進することによりまして健康で長生きできる社会をつくっていくこと。また、AI等の先端技術を活用しながら医療介護サービス自体の生産性を向上していく、こうしたことも重要な課題だというふうに考えております。  県としては、健康長寿日本一の維持を目指して、健康づくりや介護予防の一層の推進や人生二毛作社会づくりなどに引き続き積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。こうしたことを進めていくためには、健康づくりや介護予防の主体となります市町村の皆さんと、今の状況、財政状況等も十分認識を共有させていただいた上で連携して取り組んでいきたいと考えております。  また、県民の皆様方には、やはり御自分の健康はできるだけ御自分で守っていただきたいということで、一人一人が主体的に健康増進に取り組んでいただくことができるよう、信州ACEプロジェクトの推進など県民の皆様方と一緒になって取組を進めていきたいというふうに考えております。こうしたことを通じて、長寿で、そして幸せな長野県づくりを目指して取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)2点御質問をいただきました。  最初に、介護の諸問題の現状認識と2025年に向けた危機意識及び取組の方向性についてというお尋ねでございます。  介護人材につきましては慢性的に不足しておりまして、本年7月のハローワークの有効求人数は2,213人となっております。また、平成30年の介護給付費は1,825億円となり、介護保険制度がスタートした平成12年の2.8倍に増加をし、県や市町村財政の大きな負担となっております。さらに、総務省の調査によれば、介護等のために離職する方の全離職者数に占める割合は平成29年で3.2%となり、5年前に比べて倍増しております。  介護保険は、住民の生活になくてはならないものとして定着してきておりますが、一方で、様々な課題も生じてきているものと認識しております。2025年に向けましては、介護ニーズが高まる後期高齢者が現在よりもさらに約4万人増となることから、ただいま申し上げた数値も一層深刻化するものと見込まれるところでございます。  2025年、さらにはその先にわたって本県の介護を持続可能な形で運営していくためには、健康長寿日本一の維持継続を目指しつつ、具体的には、体操や趣味の活動などの実施による健康づくりや介護予防の推進、高齢になってもできる限り住み慣れた自宅や地域で暮らせるよう医療や介護、生活支援などが提供される地域包括ケア体制の構築、就労やボランティアの機会の増大など、生きがいのある社会づくりなどが重要だと考えております。  現在、市町村と県が連携して、令和3年度から5年度までを計画期間とする介護保険事業計画の策定を進めております。将来への認識を市町村と共有し、高齢者人口がピークを迎える2040年を見据えた計画づくりを進めてまいりたいと考えております。  次に、地域包括ケアシステムの構築についてでございます。  地域包括ケアシステムの構築につきましては、具体的には、要介護認定者数や介護サービス別の利用者数などの将来推計を踏まえて必要な在宅介護サービスの確保や施設整備の推進を図るとともに、要介護状態となることを予防する事業の拡充などに取り組んできております。  こうした取組の結果、年齢と性別を全国平均に合わせた要介護認定率は全国で2番目に低いなど、本県の地域包括ケア体制構築の取組は関係指標にも成果として現れているものと認識をしてございます。  県の役割といたしましては、市町村が地域包括ケア体制の構築に向けて現状を把握し、目標を持って取り組めるように支援することであり、特に、本県は町村数が全国で2番目に多く、かつ小規模町村が多いことから、市町村の実情を踏まえたきめ細かな支援をしていくことが必要であると考えております。  県が、昨年、市町村の地域包括ケア体制の構築状況について、約400の項目についてより見える化する調査を実施いたしましたところ、介護サービスにつきましてはどの市町村においても一定の取組がされている一方で、介護予防や生活支援の取組状況には差が生じているといった課題が分かってきたところでございます。  県では、こうした課題について市町村と内容を共有した上で、地域によって異なる支援や住民意識を踏まえたそれぞれの市町村の介護保険事業計画となるように取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。
          〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)労働者不足に関連しまして、高齢者の就業及び外国人労働者の起用とマッチング支援についてのお尋ねでございます。  平成27年の国勢調査における本県高齢者の就業率は28.7%でした。これは、全国第1位であるものの、約7割の方が未就労にあります。他方、平成29年の就業構造基本調査では、65歳から69歳までの未就業者のうち、約2割は機会があれば就業したいとしておりつつも、多くの方は、体力や健康に対する不安により就業に至れずにおられます。  このため、高齢者の就業促進については、豊富な知識、経験を生かした専門分野への就業と、社会参加や健康維持を主目的とした生きがい就労など多様な働き方ができる場の確保が必要と考え、シルバー人材センターの働き場所開拓への支援やシニア大学の講座を通じたキャリアチャレンジの促進に取り組んでいるところです。  次に、県内産業における外国人材の受入れについては、新たな在留資格である特定技能を含む制度の理解を進めるとともに、円滑かつ適正な受入れを促進するために、現在、外国人材受入企業サポートセンター(仮称)の開設準備を進めております。  県下の雇用情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響により求人数の減少が見られますが、中長期的な労働需要を踏まえれば、専門的、技術的知識を持つ外国人材の受入れは地域産業の持続的経営に資すると受け止めております。このため、中小企業等における受入れ体制づくりや、各部局と連携して人手不足分野とのマッチングを進めるとともに、相談体制の充実等を図ってまいります。       〔農政部長伊藤洋人君登壇〕 ◎農政部長(伊藤洋人 君)私には4点御質問をいただきました。  まず、本県の農業従事者の現状と農業における課題についてでございます。  本県の農業従事者数は、2015年までの直近10年間で約38%減少するとともに、農業従事者に占める65歳以上の割合が約47%と全国平均をおよそ3ポイント上回るなど、全国と比べ農業従事者の減少や高齢化が進行している状況でございます。  今後もさらに労働力が不足することが見込まれることから、新規就農者や雇用人材の確保に加え、高齢者や主婦、障害者など様々な方が農業に円滑に従事できるよう、作業の軽量化や省力化、また、農地を集積し、限られた農業従事者で地域の農業生産を持続的に維持していくための法人化の推進、労働生産性の向上などの課題への対応が必要と考えているところでございます。  次に、スマート農業の進捗状況と今後の推進についてでございます。  昨年度から行っておりますお試し導入では、水田センサー、施設園芸モニタリングシステムなど125台を貸し付けておりますが、モニタリングシステムをお試し導入した研修生を受け入れている農家が、勘と経験で培った熟練の技をデータで裏づけ、研修生に伝えることで、研修生が就農1年目から安定した経営を実現するなどの効果も出てきているところでございます。  また、伊那市の農業法人で行っております稲作の大規模実証では、直進アシストつきの田植え機や自動運転トラクターなどの体系的な導入によりまして作業時間の削減を検証しており、1年目から大幅な作業時間の効率化が図られていることが確認されたところでございます。  一方で、スマート農業に対する農家の認知度がまだまだ低いことに加え、農業者からは、スマート農業機の値段が高く、導入のネックになっている。機器が開発途上で生産現場のニーズに応え切れていないなどの声が聞かれているところでございます。  今後も、高齢化や労働力不足などの課題に対応した省力化や生産性の向上を図っていくため、スマート農業への理解を深めていただく研修会の開催や先端機器のお試し導入の推進、新たに配置した先端技術を担当する普及指導員による生産現場の課題の把握と開発メーカーへの情報提供、国庫補助事業の活用によります機器の導入支援などによりスマート農業の推進を図ってまいりたいと考えております。  次に、農業大学校等での先端農業教育の推進についてでございます。  農業大学校におきましては、昨年度から、新たに外部の専門家によりますスマート農業の講義を開設し、ドローンによるセンシングやAI搭載農業機器など先端技術についての知識習得の取組を開始したところでございます。  本年度は、さらに教育内容を充実させるため、水田の自動給水栓や農業ハウス内の環境モニタリングシステム等を導入するとともに、農業機械メーカーと連携し、最先端の機械による実習をメーカーの技術者から直接指導していただくなど、農場でのより実践的な授業を行っているところでございます。  今後、知識、技術を身につけた学生が就農し、スマート農業を積極的に実践することで、先端技術が地域へ波及し、本県農業の生産性の向上や労働力不足などの課題解決に寄与できるものと考えております。  最後に、三つの観点からの本県農業の推進についてでございます。  まず、食べていける農業、すなわち所得がしっかり確保できる農業につきましては、売上げの増加と生産コストの削減の二つの視点で推進を図ってまいります。  売上げの増加では、高品質で競争力のあるブドウ、ナガノパープル、クイーンルージュなど、また、米の風さやかなどの魅力ある県育成品種の戦略的な生産拡大、また、県産農産物のブランド化、そして、付加価値向上のための6次産業化の推進、販売の多角化や輸出の推進、また、生産コストの削減に向けましては、作業の軽量化、効率化などのためのスマート農業の導入の加速化、トヨタのカイゼン手法を導入いたしました作業工程の改善、作業性の効率化のための農地の基盤整備などに取り組んでまいりたいと考えております。  また、食料自給率の維持向上に向けましては、県民の地域農業への重要性についての理解促進や農業と食品産業の連携、農業生産基盤の強化、担い手の育成確保に取り組むことに加え、県民に身近な直売所の機能強化や県内の旅館、ホテルで活用する食材の県産農産物への置き換えなど、地域内流通の拡大を図ってまいりたいと考えております。  さらに、美しい信州の田園風景の維持に向けましては、広く県民の皆様に国土保全や雨水の貯留などの農業の持つ多面的な役割の理解を深め、農業者と地域の住民が地域ぐるみで行う水路の泥上げ等の管理の共同活動を促進するとともに、遊休農地の解消やきれいな水を使った景観などを生かし、都市と農村の交流を進めるなどの取組を推進してまいります。  以上でございます。       〔9番丸茂岳人君登壇〕 ◆9番(丸茂岳人 君)それぞれ御答弁いただきました。  まず、2025年問題におきましては、我が国が世界の中で最も進んでいる少子高齢化の問題を顕著に表した課題であり、必ずやってくる事実です。この問題をクリアしていくには、財政的にも人員的にも多々課題がある中で、現実的な対応がなかなかできていないと感じるわけです。また、我々が考える以上に現場サイドの声は切実であり、目の前の課題として対応する必要があるかと思います。こうした課題に関しては、常に問題意識を持ちながら進捗を確認していくことが大変重要と考えますので、引き続きよろしくお願いします。  スマート農業に関しましても、根本的な問題は少子高齢化から来る課題であり、これを技術の進歩で補っていくための施策であり、農業だけでなくあらゆる分野で進めていかなくてはならない課題です。特に、農業に関しては、県がしっかりとこれをサポートして進めていく必要があり、県でなくてはできないことが多々あると思います。  結びに、我が国が、世界中のあらゆる国に先駆けて、直面する少子高齢化の課題をあらゆる分野で乗り越えていくことで、これから本格的に少子高齢化を迎える国々の模範となっていくことを期待しまして、私の質問を終わります。 ○副議長(小池久長 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時11分休憩          ──────────────────         午後2時27分開議 ○議長(小池清 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  大井岳夫議員。       〔8番大井岳夫君登壇〕 ◆8番(大井岳夫 君)自民党県議団、大井岳夫です。通告に従いまして順次質問いたします。  まず、畜産振興について質問します。  本県における畜産振興は、第3期長野県食と農業農村振興計画に基づき実施されており、平成28年9月定例会における宮澤議員の一般質問において、畜産振興方針について、畜産クラスター事業等による施設の整備と、ICT機器や搾乳ロボット等の新技術による経営の効率化、JAや食肉販売業者と連携した法人経営による生産の拡大、信州プレミアム牛肉等品質の高い畜産物の生産によるブランド力の向上などを全体として進める中で、畜産業の生産力の維持、競争力の強化を図っていくと知事が答弁されてから、4年が経過しました。この間の畜産振興政策の成果と、どのように評価しているかについて、知事に伺います。  コロナ禍による学校給食の休止、外食産業の落ち込みにより、肉牛生産や酪農は大きなダメージを受けており、このような状況が続くようであれば存続は難しいという声も多く上がっています。畜産業にとっては今がまさに瀬戸際です。  畜産業は、飼料の調達段階においては農業、加工流通段階においては卸、小売店とつながり、そして、地元レストランなど飲食店の集客力にも貢献します。このように、地域経済と密接につながり、食の地域内循環、地産地消といった観点からも、畜産が失われてしまうと地域に計り知れないダメージを及ぼします。  TPPやEPAを受けた牛肉や豚肉の輸入増を受け、国では畜産業への様々な支援策を打ち出していますが、県においても独自の支援策を打ち出すべきと考えます。コロナ禍における肉牛を中心とした支援策について農政部長に伺います。  佐久地域の11市町村で構成される佐久広域連合が運営母体となっている佐久広域食肉流通センターは、6月29日に開催された佐久広域連合の正副連合長会議において、譲渡先が見つからなければ来年3月をもってセンターを廃止すると決定しました。その後の8月20日、関係者のお話を直接お聞きし、この課題と向き合わなければならないとの考えより、佐久地域選出の県議会議員6名にて、畜産農家、食肉流通センター関係者、食肉センターに隣接して立地しており加工流通を担うフレッシュミート佐久平の3団体より経過を伺うとともに、意見交換を行いました。  畜産農家の方からは、ただでさえコロナ禍で消費が冷え込んでいるのに、もし佐久食肉流通センターが廃止されるようなことがあれば、運送コストの増加が懸念されることから事業を継続していくことは難しいといった悲観的な声も聞かれました。このような状況下で、知事は、佐久広域連合の方針をどのように受け止め、対応されてきたか、伺います。  そして、県は、食肉流通センターの譲渡先が見つかるよう、これまでどのようにサポートしてきたか。また、これから行っていく考えでしょうか。さらには、畜産農家の不安払拭のためにどのように努めていくか、農政部長の見解を伺います。  蓼科牛は、主に、父親を黒毛和牛、母親をホルスタインに持つブランド牛であり、商標はJA佐久浅間が保有しています。地元産にこだわった稲わらや発酵させた飼料、蓼科山麓から湧き出る豊かな水で育てられていることから、肉質がきめ細かで柔らかく、甘みがあると評判です。また、県内のみならず、伊勢神宮に奉納されるなど全国でも高い評価を得ていると認識していますが、蓼科牛ブランドについての県の評価を伺います。県では、主に信州プレミアム牛肉の商標を有するとともに、一定の肉質に対して認定し、ブランド向上に力を入れていますが、地域ブランドである蓼科牛の販路拡大、ブランドの向上をどのように側面的に支援していくかの2点について、農政部長の見解を伺います。  松本市にある長野県食肉公社は、将来的に移転統合による整備を目指す。中野市にある北信食肉センターも存続の方向であると認識をしています。一昨日、竹花議員の質問への答弁では、県内食肉処理施設の在り方の検討やその整備については、各施設の販売戦略を尊重しながら、衛生基準を満たす施設の機能強化を支援していきたいと知事より答弁がありました。  今後の整備において最も重要なことは、整備を決断し、整備後も施設を存続、持続することが可能な処理頭数の確保であると私は認識しています。ちなみに、食肉処理施設における国庫補助基準は一日当たり700頭以上とされていますが、そもそも、松本の食肉公社の処理能力は一日当たり600頭、中野の食肉センターは同300頭であり、現在と同規模で再整備を行おうとすると国庫補助を受けることは難しいと言わざるを得ません。その意味からも、処理頭数を確保し、増やしていくことが重要なのであります。そこで、県内処理施設や流通業者と連携し、県内施設での処理頭数を増やしていく方策についてどのように考えていくのか、農政部長に見解を伺います。  次に、中高一貫校の成果検証と生徒の県外流出対策について質問します。  まず、県内中学卒業者がより高いレベルでのスポーツや学業などに取り組むため、県外の私立高校を選択し、進学するケースがありますが、人数と割合などの実態は把握しているでしょうか。また、その数は近年増加傾向にあるのかどうか、教育長に伺います。  本県においては、平成24年、屋代高校附属中学校が開校し、本年3月までに3学年が中高一貫教育課程にて卒業しています。また、諏訪清陵高校附属中学校は、その2年後の平成26年に開校し、本年初の卒業生が誕生しました。両校は、6年間の計画的、系統的な学びの中で、高い知性と想像力の育成を目指して、中学校段階からじっくりと学び、深く考える学習を実践しています。  教育委員会では、中高一貫教育における狙い、生徒の育成方針について、中1から高3までの異なる年齢集団の中で社会性を育成する。そして、6年間を通した教育によって視野を広げて物事の本質を深く理解し、高い志と強い責任感を持ち、様々な分野でリーダーシップを発揮する社会のために貢献できる骨太の人材を育成していきたいとこれまでも答弁されていますが、現段階における中高一貫校の成果と検証はどのようになされているか、教育長に伺います。  人材の県外流出を防ぐという観点からも、中高一貫教育は学業面において有効と捉えていますが、一方、スポーツにおいて有効なのは、指導力、育成能力の高い指導者の下で指導を受けることであると認識しています。  実際に、私立高校では、特に野球や駅伝、バレーボールの強豪校、優秀な指導者の下に県外より多くの生徒が集まってきます。ただ、それは、実績にもよりますが、1校で長年にわたり継続して指導に携われるという前提があってのものです。  一方、県立高校においては、教諭は数年で異動となり、私立高校のように10年続けて指導するというようなことは基本的には難しいのが現状です。それにより何が起きているかというと、優秀な部活指導者であっても、部活自体がない高校へ赴任しているという事象も発生しているのです。  仮にですが、私が幾ら優秀な相撲の指導者であったとしても、相撲部自体がない高校への赴任が繰り返し起きる。すると、土日祝日などを利用して外部から指導をするしか方策がなくなってしまうのです。このようなことが続くと、部活の弱体化を招くだけでなく、中学生を私立学校や県外高校へ流出させる要因ともなってしまいます。言うならば、また相撲の例えになりますが、本県から第二の御嶽海が生まれるといった可能性が低下してしまうのです。  教諭は、教頭や校長として赴任する場合や特例を除き、過去に勤務経験のある高校には赴任できないという規定があるようですが、これは、1年延期となりましたが、2028年、令和10年度に予定されている長野国体に向けて、選手の育成強化を図り、生徒の県外流出を食い止める観点からも、さきに述べたようなスポーツ指導ができる教諭の異動は実情を考慮して適切に行うべきと考えますが、教育長の見解を伺います。  次に、ネット依存対策について質問します。  新型コロナによる休校の長期化によりネット使用時間の増加が指摘されており、県と県教委、県内の教員や小児科医らで構成されている団体、子どもとメディア信州の3者が合同で行った県内の小中高生7万2,000人に対してインターネットの利用状況を調査したアンケートにおいて、51%の児童生徒が新型コロナの影響でSNSなどを利用する時間が増えたと回答したと8月26日の新聞記事で取り上げられています。休日で12時間以上使用する、平日の午前3時を過ぎてもやめないという回答もありました。また、小中高校の学年が上がるにつれてネットに依存する児童生徒が増えているという指摘もあります。  本年3月、香川県議会において、子供のインターネットやゲームへの依存を防ごうと、ゲームの利用時間を1日60分までとする目安を盛り込んだネット・ゲーム依存症対策条例が可決され、4月から施行されたことは、全国でも大きな話題となりました。  県内においても、近年、子供のインターネット、スマートフォンの1日の利用時間が増加傾向にあることを受け、使用時間について家庭で話し合うなど、ネットリテラシーへの取組が行われています。そこで、県内における児童生徒のネット依存の状況をどのように捉えているか、教育長に伺います。  コロナ禍における学びの担保、そして時代の趨勢からしても、ICTの推進に取り組んでいかなければなりません。したがって、ネット自体が悪ではなく、家庭でルールを決め、うまく付き合う、利活用すべきというのが現代におけるネットとの関係における一般的な捉え方であろうと思います。  ただ、ネット依存の弊害として、心身や心においては、栄養の偏り、体力の低下、骨密度低下、睡眠障害、感情のコントロールができない、鬱を引き起こし、家庭的、社会的には、家族関係の悪化、遅刻、不登校、成績不振、そして退学を引き起こす要因となることが指摘されており、小中高における学習では、特に国語力に影響を及ぼすのではないかと懸念しています。  そこで、ネット利用時間の増加と、国語や算数、数学などの学力相関関係について、また、睡眠時間が短くなるなど、規則正しい生活に影響が及び、健康へ悪影響を及ぼした事例の把握などどのように認識しているか、教育長に伺います。  国語においては、本を読めば、分からない漢字や表現があり、都度調べることにより身についていく。その繰り返しにより、学力もおのずと上がっていきます。読書の効果としては、視野が広がり、想像力が磨かれ、脳の活性化につながり、知識教養がつき、読解力が高まり、ボキャブラリーが増えるなど、いいことずくめであります。  また、ネットゲームでは課金が際限なく行われ、経済的リスクがあるのに対し、本、読書においては、図書館を利用すれば移動コストしかかかりません。今、このコロナ禍という環境だからこそ、大人も巻き込みながら、ゲームから本、読書への回帰を推進すべく、小中学校や家庭と連携して施策を講じる必要があると考えますが、教育長の見解を伺います。  最後に、コロナ禍における避難所運営について質問します。  本年7月の豪雨災害は、本県のみならず、全国で被害が発生し、特に九州では、死者、行方不明者合わせて79名という甚大な被害をもたらしました。改めて被害に遭われた皆様の御冥福をお祈り申し上げるとともに、お見舞いを申し上げます。  その際、九州の避難所においては、新型コロナ対策のため避難所の定員を大きく減らした結果、すぐに定員オーバーとなり、避難を断られる事象が複数あったと報道されています。従来の定員の半数程度とする避難所が多かったと認識をしています。結果として、大雨の中を避難所から避難所へ移動することとなり、避難者は大きな危険にさらされることとなりました。  本格的な台風シーズンを迎えている中、本県においても、このような事象を教訓とし、県下市町村と連携しながら、混乱を生まないよう、コロナ禍における避難所運営対策を講じていかなければなりません。  そこで、仮に避難所が定員に達したとしても、状況に応じ、臨機応変で柔軟な対応を取ることが必要と考えますが、見解を伺います。避難所が密にならぬようできるだけ多くの避難所を開設することに加え、避難所におけるテントなどの活用も検討すべきと考えます。さらには、親戚・知人宅など多様な避難先をあらかじめ確保しておく必要があると考えますが、県内市町村との連携状況について伺います。  8月19日、危機管理建設委員会の佐久建設事務所管内における現地調査の地元首長からの陳情の場にて、小泉小諸市長より、台風シーズンを迎える中、避難所運営の在り方について苦慮している。特に、県しか情報を持ち得ていない濃厚接触者の情報共有について一考いただきたいとの発言がありました。私も全く同感であり、その後、何度も所管課と意見交換をしてまいりました。  濃厚接触者の情報においては、現状、県しか知り得る立場にありませんが、避難所における感染拡大を防ぎ、濃厚接触者を守る観点から、避難所の運営主体、設置の主体は市町村でありますので、市町村と一定の個人情報の共有をすべきと考えますが、見解を伺います。  以上3点について危機管理部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)畜産振興に関連して2問御質問を頂戴いたしました。  まず、畜産振興施策のこの4年間の成果と評価という御質問でございます。  AI、ICTを活用したスマート畜産を進めていくということで申し上げてきておりますけれども、この間、31の農場でスマート畜産技術が導入されて、作業の効率化や労働時間の削減に寄与しています。搾乳ロボット、分娩監視装置、こうしたものが導入されている状況であります。また、規模拡大に向けた畜舎や機械の整備によりまして1戸当たりの飼養頭数が増加してきております。経営基盤の一定の強化にはつながってきているものというふうに考えております。  しかしながら、畜産経営は非常に厳しい環境が続いているわけでございますので、引き続きこのスマート畜産技術の普及や生産者の所得拡大を推進していくための生産性の向上、規模拡大、こうした取組を進めていかなければいけないと思っております。  また、ブランド化につきましては、信州プレミアム牛肉では高品質の生産を推進しておりまして、認定頭数も増加してきております。平成28年の3,447頭が、令和元年は3,800頭以上まで増えてきております。  関西圏を中心として評価も定着してきており、高価格での取引、販売が拡大しているといったような状況であります。平成30年度からは、安心安全基準とおいしさの数値基準で認定した他の銘柄牛にはない特徴というものを知っていただくために関西圏で特別フェアを行っておりまして、御協力いただける老舗の料理店や高級小売店なども着実に増えてきているという状況であります。  また、東京方面は、これからの開拓でありますけれども、高級ホテル、レストランでの売り込みも開始したところであり、首都圏での売り込みもさらに強化していきたいというふうに考えております。  こうした成果と課題を踏まえまして、JAグループや関係団体とも十分連携を図りながら、さらなる生産性の向上、ブランド力の強化に取り組んでいきたいと考えております。  それから、佐久広域連合の佐久広域食肉流通センターに関する方針の受け止めと対応という御質問でございます。  県では、佐久広域連合を含みます食肉流通の関係者で構成されます食肉流通合理化検討会を設置して、来年3月を目途に県内の食肉流通の方向性を検討してきたところであります。そうした中、本年7月、佐久広域連合から、佐久広域食肉流通センターの継続は困難であり、譲渡または廃止の方向を固めたという報告を突然受けたわけでありますが、施設運営に関わる事業者などとの今後の対応については佐久広域連合が責任を持って対応していくということを県として確認したところでございます。  その後、広域連合長の柳田市長から今回の決定についての説明を受けたわけですが、その際、私からは、重ねて、生産者など施設を利用されている方々への今後の対応を含めてしっかり御対応いただくようお願いをしたところでございます。一部の畜産農家からは、きちんとした説明がなく不安であるといった声もお伺いをしていることから、改めて佐久広域連合に関係農家に対する丁寧な説明を行うよう働きかけてまいりたいと考えております。  引き続き、広域連合が進めております譲渡の候補先との交渉の推移を注視し、必要な対応を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔農政部長伊藤洋人君登壇〕 ◎農政部長(伊藤洋人 君)私には4点御質問をいただきました。  まず、コロナ禍における肉牛を中心とした畜産業への支援についてでございます。  コロナ禍による食肉への影響につきましては、豚肉及び鶏肉への影響は見られないものの、牛肉は、外出自粛やインバウンドの減少に伴い、主に高級部位を扱う外食、ホテル等の業務用需要が減少し、枝肉価格の下落などの影響が出ているところです。影響を受けている肉用牛農家への支援策については、販売価格と生産費の差額の9割を補填する牛マルキン制度に加えて、新たに経営体質の強化に資する肉質の分析や畜舎の環境整備などに取り組んだ場合、1頭当たり2万円の奨励金を追加交付する国の事業が措置されているところでございます。  県といたしましては、これらの事業が農家にしっかり活用いただけるよう、制度の周知や申請書類の作成などの支援を行うとともに、学校給食への県産牛肉の提供、県内企業及び県職員等へのあっせん販売による需要喚起などの取組を進めてきたところであり、今後も引き続き支援を行ってまいります。  次に、譲渡先探しへのサポートと農家の不安払拭についてでございます。  ただいま知事からの答弁で触れさせていただきましたが、施設開設者である佐久広域連合から、佐久広域食肉流通センターの今後については佐久広域連合が責任を持って対応するとの説明を受けております。また、これらについては企業間の経営に関わる交渉であることから、県といたしましてはその交渉の推移を注視し、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。  また、畜産農家の不安の払拭につきましては、ただいま知事から御答弁申し上げましたとおり、佐久広域連合においてしっかり対応していただけるようお願いをしてきたところですけれども、改めて広域連合に対して農家に対して丁寧な説明を行っていただくよう働きかけてまいります。  次に、蓼科牛の評価と販路拡大、ブランド力向上への支援でございます。
     蓼科牛は、地域の生産者が一体となって、統一した飼育方法や地域で生産された稲を発酵させた飼料を使用するなどにより肉質の向上を図り、県の畜産共進会でも特別優秀賞を受賞するなど、県としても優れた取組と評価しているところです。また、地域の風土と農家の協力により生み出された魅力ある高品質な牛肉が、地域ブランドとしても地元のレストラン等で提供されており、地産地消の取組としても成功事例であると考えているところです。  県では、JAや販売事業者からの御要望に応じて、県が運営する商談会への参加やSNS等による食べられるお店の紹介、県観光機構が運営するNAGANOマルシェに参加いただくことなどにより販路拡大を支援してまいります。  また、佐久地域振興局においても、農林畜水産物のブランド化、普及促進を地域発元気づくり支援金の重点テーマとして、補助率等のかさ上げをしており、地域の生産者や小売店、ホテル等が一体となった地域食材を利用する取組に活用いただきたいと考えております。  最後に、県内施設での処理頭数を増やしていく方策についてでございます。  県内の畜産農家は、高齢化や担い手不足により減少しており、生産頭数も減少しているところですが、一方で、各地域においては、若手の後継者など、施設の高度化、規模拡大を志す意欲ある中核的な経営体が経営発展を目指し、日々努力をされているところでございます。  このため、県といたしましては、畜産クラスター事業を活用した施設機械整備などによる飼育頭数を増加していくための支援や、母豚1頭当たりの子豚の生産頭数を増やす新たな飼育方式の導入検討など、生産頭数の拡大につながる取組を食肉処理施設や流通事業者、JAグループなどと連携して進め、処理頭数の確保に向け取り組んでまいります。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、中高一貫校の成果検証と生徒の県外流出対策についてのお尋ねでございます。  まず、県内中学校出身者の県外高等学校進学者数についてでございますが、正確な統計は取っておりませんけれども、中学校卒業生の受検状況等の調査に併せて参考として中学校から情報を聞き取っております。これによりますと、直近5年間の県外高等学校全日制課程に進学した県内中学校出身者数は、年度による増減はあるものの、毎年400人前後、全卒業者数に占める割合は2%程度となっておりまして、近年の傾向としてはおおむね横ばいの状況であるということでございます。  次に、中高一貫校の成果と検証についてでございます。  第1期高等学校再編計画におきまして、中学校と高校を接続した6年間の学校生活の中で弾力的、系統的な教育課程を展開し、個性の伸長や学力の向上が期待できる併設型のモデルケースとして導入決定をしました。そして、平成24年度に屋代高校、平成26年に諏訪清陵高校にそれぞれ附属中学校を設置しまして、附属中学校では、導入目的に沿って、中学校段階からじっくりと学び、深く考える学習を実践してまいりました。  両高校の中高一貫教育による生徒の多くが卒業時に自ら希望する進路を実現しておりまして、6年間の計画的、継続的な学習活動の成果の現れだろうというふうに思っております。今後、学校への聞き取りや、保護者や生徒へのアンケート結果等も踏まえ、その成果などを総括的に検証してまいりたいというふうに考えております。  続きまして、教員の人事異動に関してのお尋ねであります。  県教育委員会では、生徒や保護者の願いに応えることができる魅力ある高等学校づくりをより一層推進し、各校の教育課題に迅速で的確に対応するとともに、全県的な教育水準の向上を図るということから、高等学校教育職員の人事異動方針を定め、人事異動を計画的に行っているところであります。  議員御指摘のとおり、過去に経験した勤務校については原則として異動させないということとしておりますけれども、これまでも教科の特性等の状況に応じ柔軟に対応してきているところであります。実情を考慮した適切な人事異動に努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、ネット依存対策についてのお尋ねであります。  まず、ネット依存の状況についてでありますが、昨年度県が実施したインターネットに関するアンケート調査では、授業以外でインターネットを使用していると回答した者のうち、小学生の5%、中学生の18.3%、高校生の34.4%が自分に依存傾向があるというふうに回答しております。また、子どもとメディア信州が実施した調査でも、スマホがなかなかやめられない、注意されるといらいらすると、やり始めるとなかなかやめられないとの回答を合わせると、小学生は47%、中学生は52%という数字であります。  インターネットの利用時間については、今年度、子どもとメディア信州と協力して実施した調査でも、約5割が学校の臨時休業を経てインターネット等を利用する時間が増加したとしておりまして、依存傾向にある児童生徒の増加が懸念されるというふうに考えております。  次に、ネットの利用時間と学力、健康への影響などについての認識であります。  平成29年実施の全国学力・学習状況調査の国語、算数・数学の結果分析を見ると、メールやインターネットを利用する時間が長い児童生徒のほうが正答率が低い傾向が見られました。例えば、メールやインターネットを利用している時間が30分未満の生徒における数学Aの平均正答率は67.5%であるのに対し、4時間以上利用している生徒は50.3%という状況でございました。  また、昨年県が実施した調査では、インターネットを利用している児童生徒のうち、小学生の約1割、中学生の約3割、高校生で約4割が睡眠時間が短くなったという回答をしております。今年度、長期休業の影響について学校から聞き取った結果では、子供たちの中に、ゲームの時間が多くなり、ゲームをやらないと不安定になった。ネットゲームにはまり、昼夜逆転してしまった。オンラインゲームにより生活のリズムが乱れ、欠席が増加したなどの回答がありまして、子供たちの健康や学びなどへの影響が心配されるというふうに考えているところでございます。  最後に、ゲームから本への回帰推進についてのお尋ねでございます。  児童生徒の読書離れが懸念されるところでありますが、全国学力・学習状況調査を分析すると、例えば、学校の授業時間以外に1日当たりどれくらいの読書をするのかという問いに対して、全く読書をしないと回答した小学生は、平成31年度において、全国が18.7%に対して長野県は16.3%、中学生は、全国が34.8%に対して長野県は27.1%という結果であります。また、この回答についての長野県の10年間の推移を見てみると、小学生についてはほぼ変わっておらず、中学生については、より読書をする傾向に変化しているところであります。  このように、長野県の小中学生は、全国に比べますと読書の習慣づけがされているというふうには捉えておりますけれども、近年の子供を取り巻く情報環境が変化する中において、この傾向を維持していくことが重要だというふうに思っています。県では、「豊かな読書を子どもたちに」を基本理念とした第4次子ども読書活動推進計画を本年3月に策定したところであります。学校、家庭、地域と連携しながら、発達段階に応じた効果的な取組、例えば、学校図書館を活用した探求的な学習や、本を紹介し合うビブリオバトルなどの取組を推進し、子供たちの豊かな読書習慣の形成につなげてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理部長(竹内善彦 君)コロナ禍における避難所運営につきまして3点御質問をいただきました。  まず、避難所が定員に達した場合についての御質問でございます。  災害発生時において、第一に守るべきものは人命であることから、住民が避難所や避難場所に緊急的に避難する必要があれば、避難者の安全確保を最優先にすべきものと考えております。そのため、感染症予防対策のために人と人との間隔を十分に空けたことにより避難所が定員に達した場合においても、できる限りの感染症対策を行いながら、避難スペース以外にも避難者を受け入れるなど臨機応変に柔軟な対応を取るよう市町村にお願いしているところでございます。  次に、多様な避難先の確保についての御質問でございます。  現在、市町村と連携し、信州防災「逃げ遅れゼロ」プロジェクトに取り組んでおり、その中で、コロナ禍における避難対策として、安全な親戚、知人宅への避難、ホテル、旅館の活用、車での避難、安全確保等、多様な避難先の確保を進めております。また、その一環として、県有施設を避難所として活用できるよう、施設管理部局では、市町村からの避難所等の要請があった場合には積極的に協力することとしております。  なお、避難所におけるテントの活用ですが、段ボールベッドやパーティションとともに感染症対策として有効であると考えており、マニュアルにおいても位置づけているところでございます。  最後に、感染拡大防止に向けた市町村との個人情報の共有についての御質問でございます。  災害発生時においては、新型コロナウイルス感染症に係る濃厚接触者とされる方に不安なく避難していただけるよう、プライバシーに配慮した避難先を早期に確保することが重要となります。また、避難先の感染症拡大防止のため、一定の個人情報を含め、必要な情報が当該災害対応に当たる関係者間において速やかに共有される必要がございます。そのため、県市長会から、新型コロナウイルス感染症に係る濃厚接触者への災害時避難情報の提供等についてとしまして、避難情報連絡体制の整備について要望があったところでございます。  これらを踏まえ、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者及び検疫所から健康フォローアップを依頼された方の一定の個人情報につきまして、原則として市町村が避難準備情報、高齢者等避難開始以上の避難関連情報を発令するか、災害が発生し、市町村が避難所を開設した場合、あるいは、さきの台風第10号のように、数日前から大規模災害が予想され、緊急かつやむを得ないと県が判断した場合において市町村へ名簿を提供することといたしました。  なお、提供開始は10月5日以降の災害時等とし、これに先立ちまして、去る9月24日から25日までの2日間にわたり、市町村及び地域振興局の職員に対し、個人情報の適正な取扱いを図る目的で説明会を開催いたしました。今後、個人情報の取扱いに十分配慮した上で、市町村と連携し、感染拡大を防止するとともに、適時適切に避難先を確保できるよう努めてまいります。  以上でございます。       〔8番大井岳夫君登壇〕 ◆8番(大井岳夫 君)それぞれ答弁をいただきました。  佐久広域食肉流通センターにおきましては、知事から経過を注視していくという答弁がありましたように、譲渡先が見つかるよう、佐久広域連合と連携、情報共有を密にしてサポートをしていただきたいと要望いたします。  また、一義的には佐久広域連合におきまして農家の方への丁寧な説明に努めていただくという答弁もありましたけれども、そちらについてもしっかりとフォローしていただきまして、県におきましても畜産農家に寄り添った対応を要望いたします。  中高一貫校の検証につきましては、本年7月に中央教育審議会の部会にて、早ければ2022年より高校の普通科において三つの学科を新設することができるとする案が示されました。県においては、国の動向も踏まえながら、特色を生かし、私立高校と切磋琢磨しながら、さきに述べました異動などに配慮いただきつつ、より魅力ある県立高校を目指していただくことを要望いたします。  また、ネット依存の状況につきましては、予想以上に深刻であるということが認識できました。こちらの対策につきましては、これが正しいというものはないというふうに思います。常に現場と情報共有をしていただきながら、よりよい対応が講じられるように、絶えず対策の検討をお願いしたいと思いますし、私も、読書のみならず、方策について研究をしてまいりたいと思います。  避難所運営につきましては、濃厚接触者の情報共有をしていくというよう答弁もありましたけれども、それに加えまして、やはり災害時における避難におきましては、たとえ空振りに終わるようなことがあっても、できるだけ早い段階での避難が求められる、そのことによりまして被害を最小限に食い止められるということもありますので、これまで以上に市町村と連携を密にしていただき、今後災害による被害が起きないことを祈りまして、私の一切の質問を終わります。 ○議長(小池清 君)次に、熊谷元尋議員。       〔1番熊谷元尋君登壇〕 ◆1番(熊谷元尋 君)熊谷元尋です。2050ゼロカーボンへの取組についてお伺いいたします。  初めに、本年7月の豪雨により、天龍村や喬木村をはじめ、飯田・下伊那地域各地で土砂崩落等の被害が発生しましたが、阿部知事に自ら足を運んでいただいたほか、建設部や飯田建設事務所等の早い対応に、地元の首長からはありがたいといった声がありました。引き続き、地域住民が安心、安全に生活できるよう、早期の復旧をお願いいたします。  ところで、阿部知事は、昨年12月6日に気候非常事態宣言を、本年4月1日には気候非常事態宣言の理念を具現化するための長野県気候危機突破方針を出し、2050年に二酸化炭素の排出量をゼロにすることを内外に表明しました。この中で、ゼロカーボンの目的は、単に気候変動対策ではなく、地域経済の発展と県民生活の質の向上を目指すものであることが格調高くうたわれています。  気候非常事態宣言2050ゼロカーボンへの決意について、県は、県内の市町村に対して賛同を依頼し、このほど全市町村の賛同を得たと伺っていますが、それに対する所感と、2050ゼロカーボンの実現に向けて市町村にどのような役割を期待するのか。阿部知事にお伺いいたします。  2050ゼロカーボンを達成するには、単にスローガンを掲げ、市町村や事業者、県民の自主的な行動を促すだけでなく、理解と協力を得て県が一緒に取り組むことが大切です。そのためには、2050ゼロカーボンについての分かりやすい説明が必要です。  市町村の環境分野を担当する職員の方の中には、2050ゼロカーボンについて説明していただいたが、一回聞いただけでは理解できない。また、事業者の中には、ゼロカーボンの必要性は理解するが、今は新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、会社の維持が最優先とおっしゃる方もいます。さらに、県が2050ゼロカーボンを目指していることを知らない事業者や県民の方もいらっしゃいます。  そこで、県は、2050ゼロカーボンについて、市町村や事業者、県民にどのような説明をされ、県の考えが十分理解されていると考えていらっしゃるのか。また、今後どのように理解を得ていくのか。猿田環境部長にお伺いいたします。  次に、県が気候非常事態宣言や気候危機突破方針などのアドバルーンを上げ、市町村や事業者、県民と危機意識を共有することは大切ですが、具体的な行動につなげなければいけません。知事が発した気候非常事態宣言に賛同した自治体の中には、県からの依頼なので賛同はするが、賛同するだけでは意味がない。自分たちに本当に何ができるのか、何に取り組む必要があるのかを真剣に考えている自治体があります。そして、二酸化炭素の排出量や森林の吸収量が実際どの程度あり、その上でどのような取組が必要なのか等、自治体の実態調査や研究を単費440万円で業者に委託しています。県は、このように積極的に取り組む自治体をしっかり応援すべきと考えます。  また、小規模な自治体では、環境分野に精通した職員を配置できないのが実情です。環境施策の指導や助言をしていただけるアドバイザーを県が派遣するなど、人的支援を求める声もあります。県として、市町村、特に小規模町村の取組をどのように支援していくのか。猿田環境部長にお伺いいたします。  次に、2050ゼロカーボンという方針は示されましたが、2050ゼロカーボンの位置づけや具体的な取組、そして、年次的な達成目標や工程表等は明確になっていないと思います。また、上位計画である第四次環境基本計画にも2050ゼロカーボンの理念は記載されていませんし、知事の挨拶文にも2050ゼロカーボンという言葉はありません。さらに、基本計画の第3章「長野県の将来像」は、おおむね2030年頃に目指す県の将来像となっています。  私は、2050ゼロカーボン宣言を踏まえ、2050ゼロカーボンの方針や理念等を環境基本計画や環境エネルギー戦略に反映すべきと考えます。また、具体的な取組と進捗管理をどのように行うのか。猿田環境部長に所見をお伺いいたします。  次に、県は、気候危機突破プロジェクトの中で、住宅用太陽光の徹底的な普及を目指しています。長野県は、全国の中でも日射量が多く、太陽光発電の導入件数は全都道府県の中でもトップクラスだそうです。これは、県の取組もありますが、FIT制度により収益が見込まれたことに加え、市町村が導入に対して補助制度を設け、導入の後押しをしたことや、南信州地域では、屋根貸しという初期投資ゼロで民間の事業者が推進したことが普及した要因だと考えます。  最近は設置費用が安くなっていますが、売電価格も下がり、売電から自家消費に流れが移行しています。また、高齢者世帯では、将来を見据える中で、ソーラー等の導入を慎重に考えざるを得ないのが実情です。そのような中、信州全ての屋根にソーラーの設置をどのように推進するのでしょうか。また、店舗や工場等が初期投資ゼロ円で太陽光発電を設置するPPAモデルという事業がありますが、県内での導入状況と、今後の普及拡大に対する所見を猿田環境部長にお伺いいたします。  県は、今定例会に提出した一般会計補正予算(第7号)案に、太陽光発電設備等共同購入普及業務委託料を計上しています。  そこで、1、購入希望者を募る企業が施工業者を入札で選定する仕組みですが、行政が関与する以上、安ければいいというものではなく、お金を地域で循環させることが大切と考えます。そのような仕組みになっているのでしょうか。  2、購入希望者を募る企業は県内企業に限定するのか。あるいは、全国募集にするのでしょうか。  3、太陽光パネル等は全県で一括して購入するのか、地域単位とするのか。また、1年に1回の購入でしょうか。  4、購入希望者を募る企業は関連する企業が施工業者になると、地元の事業者の受注機会が減るなどの影響は出ませんか。また、地元の事業者への事業説明が必要と考えます。以上、猿田環境部長にお伺いいたします。  次に、南信州地域で再エネの地産地消を進め、地域内循環を創出することで産業振興を図り、持続可能な地域づくりを目指している事業者がいます。しかし、50キロワット以上の高圧電力は、電力会社が送電線に空きがないという理由で電気を引き受けてくれない南信州地域の特殊事情があるそうです。事業者からは、県には電力会社に対して特殊な事情、ルールの見直しの要望を一緒にしていただきたいという声があります。南信州地域の事業者が積極的に取り組むことができるよう、県として支援できないのか。猿田環境部長にお伺いいたします。  次に、全ての屋根にソーラーの設置を広く求めるのであれば、県が率先して県有施設にソーラーを設置することが必要です。スポーツ施設や教育施設等も含めて、県有施設で太陽光発電等を導入できる施設数と設置状況及び発電量と今後の取組について、猿田環境部長にお伺いいたします。  次に、愛知県豊田市では、ハーモライドという超小型電気自動車のシェアリングサービスがあります。高速道路は走行できませんが、1回の充電で50キロメートル程度は走行できるそうです。例えば、長野駅から県庁や善光寺などへの通勤や移動等に活用できる可能性があると考えますが、所見を猿田環境部長にお伺いいたします。  次に、2027年の開催予定が1年延びると言われる国民体育大会で使用される県有施設の競技場には、太陽光発電や雨水貯留槽などを導入するとともに、全ての競技場からプラスチックごみなどのごみを発生させない、移動は電気自動車等を利用するなど、徹底した省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用拡大等、2050ゼロカーボンを目指す長野県にふさわしい環境に配慮した国体にしてはどうでしょうか。阿部知事に所見をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)2050ゼロカーボンに向けた取組に関連して、私には2点御質問を頂戴いたしました。  まず、気候非常事態宣言に全市町村が賛同したことへの所感、そして市町村の役割への期待という御質問でございます。  県として行った気候非常事態宣言に対しまして、9月8日までに県内全ての77市町村から御賛同をいただきました。このうち、7市町村は独自にも宣言を行われているほか、ほかの市町村でも宣言をされる動きがあるというふうに伺っております。このことは、知事の立場として大変ありがたく、そして、これから政策を進めていく上で大変心強く感じているところでございます。  何よりも、ゼロカーボンの実現に向けては、住民や事業者の皆様方と一体となって取り組んでいかなければいけないわけでありますけれども、そうしたことを進める上で、やはり市町村の皆様方の存在、役割は非常に大きなものがあるというふうに思っております。市町村の皆様方の御協力なしには住民と一体での取組を進めることはできないというふうに思っております。  また、このゼロカーボンを進めていくに当たりましては、住民の皆様方への学習機会の提供や環境教育、こうしたものも進めていかなければいけませんが、これも市町村の皆様方に担っていただく役割が大きいと思っています。  加えて、まちづくりといったような観点を考えれば、これは私どももしっかり取り組んでまいりますが、やはり主役は市町村の皆さんだというふうに思いますので、県、市町村一体となり、そして県民の皆さん、事業者の皆さんも、共に同じ方向を向いて取り組んでいく上で大変ありがたい御賛同をいただけたというふうに思っております。  10月26日には、県と市町村の協議の場を開催する予定でございますが、その場で、気候変動問題をテーマにして意見交換をしていきたいというふうに考えております。市町村の皆様方と一緒に実効性の高い取組を推進していきたいと考えております。  それからもう一点、長野県にふさわしい環境に配慮した国体の開催についてという御質問でございます。  国民体育大会におきます環境配慮は、これからの時代にあっては極めて重要な視点だというふうに思います。既に、これまでの各都道府県における国体においても、開閉会式会場におけるカーボンオフセットや大会期間中の公共交通機関の利用促進、こうした取組が行われております。2050ゼロカーボンを目指す本県としては、こうしたものにとどまらず、より進んだ形で環境に配慮した国体を開催していくということが極めて重要だというふうに考えております。  エネルギー消費、選手、観客の移動、廃棄物の削減、会場で配られる物品への配慮、様々な観点でのゼロカーボンの取組が考えられますので、今後策定してまいります開催基本構想の中にこうしたゼロカーボンや環境配慮の取組を明確に位置づけることができるよう、県、市町村や競技団体で構成します県の準備委員会で検討を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)2050年ゼロカーボンに関しまして8点御質問をいただきました。順次お答えいたします。  まず最初に、理解を深めるための取組についてでございます。  ゼロカーボンの実現には、市町村はもとより、事業者、さらには県民の皆さん一人一人に自分が直面している気候危機を知り、何ができるかを考え、行動してもらうことが不可欠でございまして、県はそのために必要となる様々な情報を提供していきたいと考えております。  一方で、県民の皆様は、職業も暮らし方もそれぞれ異なり、また、2050年までの30年間という期間を考えれば、子供や若者を含む幅広い年齢層に参画いただきたいことから、お伝えする内容も手段も工夫が必要となります。  県では、これまで、信州環境カレッジにおいて座学や体験型の学びの場を提供したり、新聞広告等を行ってまいりましたが、県民の理解を得るにはさらなる取組が必要と感じております。このため、まずは、今年度から、テレビを通じた発信のほか、小中学生と社会人、大学生とで受講対象者を区分したウェブ講座などを開始し、さらに、今後も受け手を意識して、内容も手段も工夫した効果的な情報発信に努めてまいります。  次に、市町村の取組への支援についてでございます。  県は、これまで、市町村と地球温暖化対策や再生可能エネルギーの普及拡大に関する研究会を開催し、これらに関する最新の情報の共有や市町村の計画策定への助言などを行ってまいりました。  また、先月、知事から環境大臣に対し、脱炭素社会の実現に向けて取り組む地方公共団体を支援するため、総合的な交付金の創設とともに、計画の策定等に対する国の支援を要請いたしました。昨日明らかになった環境省の来年度予算の概算要求におきましては、計画策定や人材育成への支援を含むゼロカーボンシティ再エネ強化支援パッケージ等が新たに盛り込まれたところでございます。県といたしましては、こうした国の支援策も活用しながら、専門家や職員を派遣するなど、引き続きゼロカーボンの実現に向けて市町村と連携協力してまいります。  次に、既存計画への反映等についてでございます。  2050年ゼロカーボンの理念や方針を具体化するため、今後10年間で取り組む施策や事業を盛り込む計画が、今年度策定する次期環境エネルギー戦略でございます。取組の進捗状況や成果につきましては、この戦略に基づいて毎年度検証し、公表してまいります。  総合5か年計画や環境基本計画などは再来年度までの計画となっておりますが、こういった他の県計画につきましても、それぞれの計画の改定の際に、気候危機突破方針や環境エネルギー戦略を反映させてまいります。  続きまして、太陽光発電の推進方法並びにPPAモデルについてのお尋ねでございます。  住宅用の太陽光発電設備の普及につきましては、補正予算案に計上いたしました太陽光発電設備等共同購入事業などにより取り組んでまいります。お尋ねのPPAモデルにつきましては、工場や店舗が建物屋根に太陽光発電設備を発電事業者に無償で設置してもらい、そこで発電された電気を自ら購入するという新しいビジネスモデルでございます。県内での導入状況につきましては、数としては把握できておりませんが、PPAモデルに取り組む発電事業者からは、大型小売店舗や福祉施設、さらに体育館等での導入が始まっていると聞いております。  今後、再生可能エネルギー利用100%、いわゆるRE100を志向する企業の増加などにより太陽光発電に関するニーズは高まると見込まれているため、PPAモデルを有効な手法として活用、普及を検討してまいります。  続きまして、太陽光発電設備等共同購入についてでございます。  4点御質問をいただいておりますが、まず、地域で経済が循環する仕組みとなるかにつきましては、今後、購入希望者を募る支援事業者と県が締結する協定において、設置工事を県内事業者が担うこととする予定でございます。  また、支援事業者の選定につきましては、最も確実に事業が実施できる事業者を公募により選定するため、現時点で地域的な制約を設ける予定はございません。  次に、太陽光パネル等の購入方法につきましては、本事業の成否は、いかにスケールメリットを生み出せるかにありますので、まずは全県一括、年に一度の募集でスタートしたいと考えております。
     さらに、支援事業者と施工業者との関係、地元事業者への事業説明につきましては、支援事業者を選定する際の条件や支援事業者と県が結ぶ協定におきまして、施工事業者は入札等により公平性や競争性を確保して決定するよう義務づける予定でございます。また、県内事業者への情報発信にも努めてまいります。  次に、南信州地域の系統接続についての御質問でございます。  再生可能エネルギーを含む新規電源が、混雑している送電線にはすぐに接続できないといった事案は、全国的な課題となってございます。このため、現在、国において、送電線の利用ルール見直しに向けた検討が行われているところでございます。本県といたしましても、全国知事会を通じて国に改善を要望してまいります。  次に、県有施設の太陽光発電設備の設置状況と今後の取組についてでございます。  現在、県有施設には58の施設、合計で2.3メガワットの太陽光発電設備が設置されております。県有施設は、それぞれ施設の目的によって形状等が異なることから、補正予算案に計上いたしました県有施設太陽光発電設備・蓄電池活用可能性調査によりまして各種の建物の調査を行ってまいります。この調査結果を踏まえまして、建築年数、建物屋根の形状、耐荷重などを考慮し、設置可能な建物から導入を検討してまいりたいと考えております。  最後に、電気自動車のシェアリングの導入についてでございます。  運輸部門においてもゼロカーボン化を進めるためには、ガソリン車から電気自動車、あるいは徒歩、自転車など環境負荷の低い移動手段への転換が必要であり、また、シェアリングサービスも有効であると考えております。  ゼロカーボンの実現に向けては、今回御提案がありましたような新しい技術の開発、導入が必要であると考えており、民間からの提案を広く受け入れ、活用の道を探る窓口としてゼロカーボンハブを設置してまいります。  以上でございます。       〔1番熊谷元尋君登壇〕 ◆1番(熊谷元尋 君)知事から市町村への役割と期待についてお答えをいただきました。  私は、加えて、この2050ゼロカーボンへの取組を通じて持続可能な市町村をつくっていくのだ。そして、住民をいかに巻き込んでいくかということを市町村にもしっかりと考えてもらい、住民の自治を育てていく、そういう機会にしてもらいたいというふうに思っております。  市町村が実態を調査するのは非常に大変だというふうに思いますけれども、えらいけれどもやってみる、その後押しをぜひ県にお願いして、私の質問を終わります。 ○議長(小池清 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小池清 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明2日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時30分延会...