• 高尾(/)
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  1. 長野県議会 2020-02-27
    令和 2年 2月定例会本会議-02月27日-07号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 2年 2月定例会本会議-02月27日-07号令和 2年 2月定例会本会議 令和2年2月27日(木曜日)  出席議員(57名)   1 番 熊谷元尋      27 番 両角友成   2 番 望月義寿      28 番 中川宏昌   3 番 小林君男      29 番 清水純子   4 番 清水正康      30 番 小池久長   5 番 加藤康治      31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦      32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜      33 番 石和 大   8 番 大井岳夫      34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人      35 番 山岸喜昭   10 番 寺沢功希      36 番 小島康晴   11 番 花岡賢一      37 番 小林東一郎   12 番 池田 清      38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之      39 番 和田明子   14 番 山口典久      40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志      41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美      42 番 小池 清   17 番 竹花美幸      43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦      44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆      45 番 垣内基良   20 番 共田武史      46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔      47 番 高村京子   22 番 髙島陽子      48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志      49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人      50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫      51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司      52 番 向山公人   53 番 平野成基      56 番 服部宏昭   54 番 本郷一彦      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清  欠席議員(0名)         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     農政部長      山本智章   副知事       太田 寛     林務部長      井出英治   副知事       小岩正貴     建設部長      長谷川朋弘   危機管理監兼危   竹内善彦     建設部リニア整   坂田浩一   機管理部長              備推進局長   企画振興部長    伊藤一紀     会計管理者兼会   塩谷幸隆   総務部長      関 昇一郎    計局長   女性活躍推進監   酒井裕子     公営企業管理者   小林 透   兼男女共同参画            企業局長事務取扱   センター所長             財政課長      矢後雅司   県民文化部長    増田隆志     教育長       原山隆一   健康福祉部長    土屋智則     教育次長      轟 寛逸   環境部長      高田真由美    教育次長      三輪晋一   信州ブランド推   熊谷 晃     警察本部長     伊藤泰充   進監兼営業局長            警務部長      野﨑美仁   産業労働部長    林 宏行     監査委員      田口敏子   観光部長      中村正人         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課課長補佐   小山雅史   議事課長      村松敏伸    兼委員会係長   企画幹兼議事課   西川 裕    議事課担当係長   山田むつみ   課長補佐              総務課担当係長   伊藤啓一                     総務課主事     宮坂祐樹         ───────────────────  令和2年2月27日(木曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    請願取り下げの件(日程追加)    議員提出議案(日程追加)    議員辞職の件(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    請願・陳情提出報告、委員会付託    請願取り下げの件    議員提出議案    議員辞職の件         午前10時開議 ○議長(清沢英男 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、大井岳夫議員。       〔8番大井岳夫君登壇〕 ◆8番(大井岳夫 君)おはようございます。自民党県議団、大井岳夫です。  昨今の気候変動、とりわけ一昨年の猛暑、そして昨年の台風災害など、激甚災害の際、異常気象という言葉が度々使われます。  では、この異常気象の定義とは何でしょう。気象庁では、過去30年の気候に対して著しい偏りを示した気候と定義します。しかし、地球規模で温暖化が進む中において、30年に1度の割合で発生するというよりは、もはや例年起こり得ることという認識に立ち、各種対策を講じていかねばなりません。  昨年12月、県は気候非常事態宣言にて広く危機感を示し、2050年CO2排出量を実質ゼロにすることを決意し、これから示される気候危機突破方針に基づき、県政のかじが大きく切られようとしています。  今まさに意識の変革が求められています。エシカル消費を浸透させ、身近なところから行動を起こし、その積み重ねと展開により地球温暖化を食い止め、あわせて、災害に強い長野県を県民一人一人が当事者意識を持って再構築していかねばなりません。そのような視点より、林業振興、農福連携、食品ロス削減について質問してまいります。  初めに、林業振興について質問します。  1として、林業を巡る現状認識と改善策についてですが、森林は、生物多様性の保全、土砂災害の防止、水源の涵養、保健保養の場の提供、CO2削減効果、エネルギーの供給、木材の供給など極めて多くの多面的機能を有しています。  その森林を担う、保全の中心となっているのが林業であり、地球規模で温暖化が進み、本県においても災害リスクが年々高まる中において、特にその振興に注力していかなくてはならないことは自明の理であります。  さて、本県における林業の従事者数は、平成16年度までは3,000人程度で推移していたものの、それ以降は減少が続き、平成30年度末の従事者数は1,499人と、この14年で半減しました。さらには、林業従事者の平成30年度末時点における平均年齢は47.1歳と近年若返りの傾向にあるものの、一方で、1年以内の離職率は13%という数値もあり、せっかく就業した若者が辞めてしまえば、担い手の育成確保につながりません。  林業従事者が減少している主な要因として、私は、他の産業と比較して将来に希望を見いだしづらい給与水準や賃金体系と、労働災害率が高いことと推測しておりますが、知事におかれては、林業従事者の減少はどのような要因によるもので、改善に向けてはどのような施策を展開する必要があると考えられているか、認識について伺います。  2として、県産材の付加価値を高めるための施策についてですが、林業事業体の体力をつけ賃金アップを実現するためには、県産材の販路を広げるためにも、原木のブランド力を高め、県産材を活用した製品の付加価値を高めていかねばなりません。ついては、森林税、森林環境譲与税の活用を視野に入れた販路開拓支援のみならず、木曽ヒノキ、信州プレミアムカラマツをはじめとした信州産木材全体のブランド構築をどのように行っていくか、県の戦略について林務部長に伺います。  3として、安全対策についてですが、厚生労働省における平成30年の統計では、林業における労働災害の発生率は、1,000人当たり22.4と、全産業の2.3と比較すると10倍近くであります。林業の労働災害発生率は全産業で最も高く、長野県においても、直近5年では、ほぼ毎年死亡災害が発生しています。若者に選ばれ、定着する産業として確立していくためにも、実態を直視し、労働災害減少に向けさらなる安全対策に取り組んでいかねばなりませんが、どのような対策を行っていくか、林務部長に伺います。  4として、東信エリア高校への林業専門科の再設置についてですが、林業の振興なくしては2050年ゼロカーボン化実現に向けての道のりは険しくなります。そのためにも、林業を担う人材の育成に今まで以上に力を入れることが肝要です。  さて、本県で林業が盛んな地域と言えば、木曽ヒノキのブランドイメージがあり、県林業大学校がある木曽地域を想像される方が多いと思いますが、平成30年度末の統計によると、林業従事者が県内で最も多いのは佐久地域であり、215人と県全体の14.3%を占めています。上田地域の10.2%を加えると、東信エリアには県内林業従事者の4分の1が集中しています。ちなみに、木曽地域の従事者は198人、人口比林業従事者の割合が最も高いところであります。  東信エリアの高校の林業の専門科、例えば、既に統合されていますが、旧臼田高校に設置されていた林業科は、県林務関係の技術者や森林組合などに優秀な人材を輩出してきました。このような専門科が廃止されて久しいものの、林業従事者が集中する東信エリアに、林業の魅力と重要性、知識、技術を伝える林業の専門科を再設置すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。  次に、農福連携について質問します。  2月21日の新聞に、農地復旧で農福連携という記事が掲載されました。台風19号で被災した長野市の農地において、障害者福祉施設の利用者が災害ごみの片づけを受託し、農業分野で障害者の就労を後押しする取組であり、昨年12月から本年2月19日までの32日間に延べ464人が参加したとのことであります。被災された農家は、自力ではほとんど片づけられなかったが、見る間にきれいになったと感謝しきりであったと紹介されています。  農福連携は、これまでも何人もの議員が質問で取り上げてきたように、農業の人材不足を補い、障害者の就労を後押しし、賃金アップにより自立支援を促します。何よりも、農家から喜んでもらえること、必要とされること、農業の有する癒やしの効果により引き籠もっていた方が社会復帰するきっかけとなるなどひきこもり支援としても有効で、農福連携は様々な相乗効果を生み、農業、福祉双方にとって有益であり、一層の推進を期待するものであります。  そこで、1として、障害者の自立支援、ひきこもり支援の観点からの意義と課題認識、今後の取組について健康福祉部長に伺います。  2として、農業における人材不足を補う観点からの意義と課題認識、今後の取組について農政部長に伺います。  次に、食品ロス削減等についてですが、信州の方言で私が最も好きな言葉の一つが「あるを尽くして」であります。御存じのとおり、出していただいた、作っていただいた料理をしっかり食べ切ろうという概念です。私も、両親に、お米の一粒一粒にはお百姓さんの魂が籠もっているから最後の一粒まで残してはいけませんよと教えられて育ちました。まさに信州人の気質、文化が伝わってくる言葉であると思います。  食品ロスを減らすことは、環境への負荷を軽くし、温暖化を食い止める一助となるという観点より質問してまいります。  1として、食品ロス削減に向けてですが、県においては、宴会などで、乾杯後の30分とお開き前の10分は席を立たずに料理を楽しむことにより食べ切りを実践する「残さず食べよう!30・10運動」を推進していくとしていますが、県内で30・10運動を実施しているのは73%の自治体にとどまり、自治体によっては、15分・15分や20分・10分運動を展開している自治体もあります。また、食品ロスに向けたさきに述べたような運動をしていない自治体も18%に上ります。  そもそも、冒頭30分の着座というのは長いのではないか、また、お店サイドの視点では、30分も一つの席に固定されているとお酒の消費が伸びないんだと、こんな指摘もあります。地域によっては運動が根づいており、統一は容易ではないと思いますが、県民への周知、運動の拡大のためにも、統一に向けた努力をすべきではないでしょうか。  ついては、食品ロス削減推進協議会(仮称)のような県内関係者が一堂に会する場を設置し、定期的に意見交換を重ねながら、食品ロス削減、時間の統一などについて話し合う必要があると考えますが、見解を伺います。  また、30・10の声がけがされても、30分以内に一定の料理が出てこなくては効果は薄くなります。仲間うちでの声がけで終わることなく、お店との連携や意思疎通をどのように推進していくか、見解を伺います。さらには、残した料理の持ち帰りは、食中毒など、どのような点に配慮して推進していく方針か、見解を伺います。  加えて、県内には、福祉の観点から、こども食堂や生活困窮者への支援など、フードドライブに取り組んでいる団体があります。これらの活動支援という側面からも、県においてPRに努め、食品ロス削減につなげるべきと考えますが、見解を伺います。以上4点について環境部長に伺います。  2として、レジ袋有料化に伴う収益金の活用についてですが、本年7月からレジ袋有料化が実施されます。レジ袋有料化に当たり、レジ袋の売上げ使途は、消費者がライフスタイル変革を促すことが目的であることから、事業者が自ら判断するとされています。  ここで、県内の先進事例を紹介します。南信州地域では、平成20年よりいち早く地域全体でレジ袋有料化に取り組み、レジ袋売上げの収益金から寄附を受け、それを原資に地域で環境保全に取り組む団体の活動支援を行っています。このような取組は、環境政策に積極的に取り組む長野県において、ブランドイメージを高め、地域に根差した環境活動を後押しする観点からも、大変意義のある取組であると考えます。  そこで、南信州地域の取組を参考に、県もしくは公的団体がレジ袋収益金より寄附を受け、環境保全活動に活用していくべきと考えますが、環境部長の見解を伺います。  最後に、新型コロナウイルス感染症に関する対応、対策について質問します。  1として、今後の対応、対策についてですが、2月25日、長野県内において初の感染者が発生、そして、昨日、2人目の感染者が発生しました。県は、感染者の居住地を松本保健所管内としか公表していない理由として、プライバシーへの配慮を挙げています。小さな自治体においては、特に風評被害を恐れる立場より、県の公表基準に理解を示す自治体関係者もいます。  ただし、県は、今後の対応方針として、正確な情報提供の強化、徹底を図るとしています。現段階における感染症対策の要諦は、拡大を食い止めることであります。また、最も大切にしなければならないのは、県民の生命、健康です。曖昧な情報はうわさの流布を呼び、疑心暗鬼が生まれ、かえって混乱のもととなりかねません。今後、新たな感染者が発生した際は、きめ細かな注意喚起、対策を促す視点からも、市町村レベルで公表する必要があると考えますが、いかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。  2として、教育現場への感染予防についてですが、教育現場へどのような予防策が取られているか、教育長に伺います。  3として、小中学校行事開催に当たっての助言についてですが、県教育委員会では、昨日、県立学校における行事の対応方針を示しました。小中学校の行事については、この対応方針を参考に市町村教育委員会が判断することになりますが、判断が難しい場合もあるのではないでしょうか。市町村教育委員会から県教育委員会に行事開催に係る相談があった場合、どのように助言等の対応をするのか、教育長の見解を伺います。  4として、関連いじめの防止対策についてですが、コロナウイルスに関わるいじめにより心を痛めている児童生徒が全国で発生していますが、あってはならないことであります。本県においては、そのようなことが起こらないよう、過度に不安をあおることのないよう努めつつ、教育現場にて正しい知識を伝えるべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
          〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)林業従事者を巡る現状認識と改善策についてという御質問を頂きました。  大井議員からも御指摘いただきましたが、林業従事者の減少の主な要因としては、給与水準がほかの産業と比べて低くなっているということ、また、年代に応じて給与が上昇していくという仕組みには必ずしもなっていないということ、自然相手で不安定な雇用形態が多いということ、さらには、労働災害の発生割合が高いということで、大井議員が御指摘されたような課題は我々も課題だというふうに認識しているところであります。  こうした課題に対して、県として様々な取組を行っているところではありますが、先ほど議員からは厳しい数字を挙げていただきましたけれども、例えば、生産性や常勤雇用の割合等を10年前と比較しますと、生産性は約1.8倍、常勤雇用の割合も1.9倍ということで、平成20年に37.1%の数字が平成30年に71%まで上昇、改善してきているところであります。しかしながら、従事者の減少が続いているということを、我々もしっかり直視しなければいけないというふうに思っております。  そういう意味で、今後とも、ICTの活用や高性能機械の導入等によります林業の収益性や給与水準の向上を図っていくことと併せて、事業体が行います安全性や雇用環境の一層の向上に向けた取組に対する支援の強化を行っていきたいというふうに考えております。  また、次世代の担い手の確保に向けた林業のイメージアップや教育の充実を図る中で、林業従事者が本県の森林・林業の将来に対して意欲を持って、そして安心して働いていただくことができるような環境づくりを図っていきたいと考えております。  以上です。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)県産材全体のブランド構築についてお尋ねを頂きました。  県産材全体のブランド構築のためには、県産材の品質に対する信頼を高めるとともに、市場ニーズを捉えた製品づくりと認知度向上につながる販路拡大を継続的に進めることが重要でございます。  品質の確かな県産材製品の供給については、本県独自の基準を定めた信州木材認証製品制度の運用、普及や、各地域の樹種の特徴を生かした製品づくりをこれまでも支援してきたところでございます。  これに加えまして、都市圏など新たな販路拡大に向け、全国の標準的な品質基準であるJASの認証取得への支援、市場ニーズを調査し木材産業事業者へ売れる製品づくりへの助言等を行うコーディネーターの配置に必要な予算を今定例会でお願いしているところでございます。これらの取組を木材関係団体と連携して行うことにより、林業、木材産業全体の収益向上につながる県産材のブランド構築を図ってまいりたいと考えております。  次に、安全対策についてでございます。  林業における安全対策については、林業従事者の育成確保のための最重要課題の一つと捉えております。このためには、現場で働く従事者から経営層まで全ての階層に応じた正しい知識の徹底と意識の向上に向け、安全セミナーの実施や林業事業体が自ら取り組む安全性の改善に向けた取組への補助を行ってまいります。  また、技術面では、特に危険性の高い伐倒作業に対し、来年度から県の林業総合センターや林業大学校へ伐倒訓練装置を導入するなど、チェーンソーの操作技術を正しく理解し、反復訓練ができる環境を整備してまいります。こうした取組を通じ、林業における安全性の早急な改善を図ってまいりたいと考えております。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、東信地区の高校への林業科設置についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、旧臼田高校においては、昭和63年度まで林業科が設置され、地域の林業人材育成の一翼を担ってきたところであります。その後、志願動向等を踏まえまして、平成元年4月に林業科と園芸科を統合し、環境緑地科を設置したところであります。現在は、佐久平総合技術高校臼田キャンパスにおきまして、3年生の選択科目として森林科学を開講し、森林の機能や保全、木材の生産に関する内容を学習しているところであります。  林業科設置についてでございますけれども、林業分野において必要とされる人材育成をどう進めていくか、産業界のニーズと、高校生の林業分野への進学・就職動向等といった生徒側のニーズの両面から考えていく必要があるというふうに思っております。  高校改革で現在進めております「未来の学校」構築事業におきまして、高度な産業教育を推進する学校の実践研究に取り組んでいるところでもあり、議員御指摘の東信地区の高校への林業科設置の必要性を含め、本県の林業人材育成については知事部局とも連携して検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、新型コロナウイルス感染症対策の関係でございます。学校での予防対策というお尋ねであります。  学校における感染症予防については、昨年11月以降、例年この時期に流行するインフルエンザ対策として、流水等でのこまめな手洗い、うがいやせきエチケットなどの基本的な感染症対策を実施してきたところであります。新型コロナウイルスの予防に対しては、こうした従来の取組を徹底するほか、新たに家庭と連携した検温等の厳重な健康観察や、児童生徒に発熱など風邪の症状が見られるときは自宅で休養させる対応を取ったところでございます。  新型コロナウイルスは治療法が確立していないことから、感染しないための取組が重要でありまして、学校行事等の見直し、教室の小まめな換気等による適切な環境の維持など、様々な対策を講じて学校における感染予防対策を徹底してまいる所存でございます。  続いて、市町村教育委員会からの相談対応についてであります。  市町村教育委員会から行事開催に係る相談があった場合には、県立学校における行事への対応、国の通知、他県の取組状況等細やかに情報を提供し、適切な判断をいただけるよう丁寧に対応してまいりたいと思っております。  例えば、県立学校においては、卒業式を生徒、職員のみとしたところでありますけれども、職場等で不特定の方々と接触する機会の多い保護者の方々の出席による感染のリスクを考慮してそういう対応を取ったといった点も丁寧に説明し、判断の参考としていただきたいというふうに考えているところでございます。  最後に、感染に関わるいじめ防止、学校現場への正しい知識の普及についてであります。  議員御指摘のとおり、新型コロナウイルスを理由とするいじめや偏見はあってはならないものというふうに考えております。  中国での新型コロナウイルス感染拡大を受けた文部科学省からの通知に基づきまして、中国から帰国した児童生徒等に感染症を理由とした偏見が生じないよう配慮することなどを学校現場に周知してきたところでありますが、県内での新型コロナウイルス感染を受け、県教育委員会として、改めて正しい知識を児童生徒や保護者に分かりやすく伝えるため、新たにリーフレットを作成して、ウイルスの特徴や人に感染する仕組み、予防のためにできることなど普及啓発の取組を強化するところであります。  引き続き、新型コロナウイルスに関する最新の情報を収集し、学校現場に伝達し、正しく理解が深まるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)2点御質問を頂きました。  最初に、農福連携の意義と課題認識、今後の取組についてでございます。  県では、平成26年度から農業就労チャレンジ事業に取り組み、JAなどと連携しながら障害者就労施設と農家等のマッチングを行いました結果、昨年度までの5年間で190件の作業受注につながり、農業に取り組む施設も着実に増加してきているところでございます。  施設側からは、利用者が受け取る工賃の増加に加えまして、健康増進や生きがいづくりにつながっている、また、地域住民との交流が増え、表情が明るくなったといった成果が現れているというふうに伺っているところでございます。  一方、施設と農家の双方に農福連携の取組がまだよく知られておらず、どう始めたらいいか分からないという声があるため、来年度からは、マッチングを行うコーディネーターを1名増員するなど、農福連携をさらにきめ細かく推進し、障害者の自立を支援してまいりたいと考えてございます。  また、農福連携の取組はひきこもり状態にある方にも有効であると考えられ、県内でも農作業に取り組む支援団体が出てきておりますことから、これら団体との連携も図りながら、支援の在り方について考えてまいりたいというふうに思います。   次に、2点目でございますが、新型コロナウイルス感染症に関しまして、感染者の居住地の公表についてのお尋ねでございます。  感染者に係る情報の公表につきましては、蔓延防止や県民の不安解消といった観点から考えることを基本としつつも、他方では患者のプライバシー保護や風評被害の防止といった要請もあり、事案に即してこれらを総合的に勘案し、適切に判断すべきものと考えてございます。  重要なのは、居住地の情報をどこまで公表するかといったことではなく、感染防止に必要な情報をいかに県民に伝えていくかといったことであろうと思います。例えば、感染者の行動履歴について詳細な調査を行う中で、不特定多数の方と濃厚接触した可能性があるといったような場合には場所や施設名についても公表し、県民の皆様に周知していくこともあるものと考えているところでございます。  以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)人材不足を補う観点からの農福連携の意義、課題認識、今後の取組についてのお尋ねでございます。  農業分野では、農繁期の労働力の安定確保が課題となっており、農福連携は貴重な働き手の確保につながり、農業経営の安定に寄与するとともに、障害者の社会参画を促進する大変大切な取組の一つであると考えております。  県内では、農業に取り組む障害者就労施設が、平成25年の78から、平成30年には114事業所に増加するとともに、障害者を雇用する農業者も年々増加しており、農福連携が徐々に拡大しているところであります。  しかしながら、障害の特性により、どの作業が適するのか、また、どう指導すればよいのかなど、農業サイド、福祉サイドとも知識や知見が不足している課題があると認識しております。このため、農政部では、本年度、新たに農業者が障害について学ぶ研修会を開催したほか、障害者就労施設からの要望により、施設の支援員が農業指導できるよう栽培技術を学ぶ研修を実施したところであります。  本年度の取組を踏まえ、来年度は、支援員が農家で実際に農作業を実習しながら障害者に適する作業や指導のポイントなどを農家と一緒に検討する研修を予定しておりまして、引き続き健康福祉部や関係機関と連携しながら取組を推進してまいります。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)5点御質問を頂きました。順次お答えしてまいります。  初めに、30・10運動の時間の統一と協議の場の設置についてでございます。  県では、平成23年から、宴会たべきりキャンペーンという名称で、宴会の始まりと終わりにはしっかりと料理を頂き、「もったいない」を大切にして食べ残しを減らす取組を行ってきたところでございます。同じ年のほぼ同じ時期に松本市が30・10運動として同様の取組を始めたところ、この名称が親しみやすいとして全国の自治体や国にも広がったことから、県でも、平成28年から「残さず食べよう!30・10運動」に変更いたしまして現在に至っているほか、56市町村が同じ名称で実施をしているところでございます。  一方で、30・10運動という名称を用いず、15・15運動など違う名称で取り組んでいる地域もございます。地域によってそれぞれ名称は異なってはおりますけれども、冒頭に申し上げましたとおり、この運動の趣旨は、宴会では始めと終わりの一定時間は席に着いてしっかりと料理を頂き、食べ残しを減らそうということにございます。御指摘いただいたとおり、まだまだ未実施の地域もございます。まずはこの趣旨を広めることが何よりも大事と考えており、時間の名称や時間の統一を呼びかけることは考えておりません。  なお、関係者が集まる場を設けてはという御提案ですけれども、現在、地域振興局単位で、市町村等とごみ減量に取り組むため、チャレンジ800実行チームを設置しておりまして、その中で、地域の実情に応じて食品ロス削減についても取り組んでいるところでございます。  次に、30・10運動のお店との連携と意思疎通についてでございます。  この運動は、先ほども申し上げましたとおり、宴会における食べ残しを減らすことを趣旨として行うもので、食事の時間や料理のペースは、お店や集まった方々により様々であることから、一律に30・10運動の呼びかけどおりに実施していただくことは難しい面もあると考えております。30・10運動の中では、たべきり応援幹事心得というものを示し、お店を予約する際は、参加者の年齢層や男女比、会の趣旨などを伝えることで、お店の方に顔ぶれに合わせたお料理を提供していただくというような取組も行っております。  県では、現在、この運動に御賛同いただく事業者の皆様に協力店として登録していただいております。この運動をよりよくしていくため、事業者の皆様に改めて趣旨をしっかりと説明し、また、事業者の皆様からも御意見をお聞きする機会を設けていきたいと考えております。  今後も、この運動の趣旨を広く御理解いただき、出された料理を残さずおいしく楽しんでいただけるよう、広報、啓発に努めてまいります。  次に、残した料理の持ち帰りについてでございます。  残した料理の持ち帰りについては、食品ロス削減に一定の効果はあると認識している一方、持ち帰りは食品衛生上の問題が懸念される面もございます。まずは、料理が残らないような取組を呼びかけてまいります。そして、食べ切れずに残ってしまった料理を持ち帰る場合につきましては、持ち帰る際の基本的な注意事項、例えば清潔な容器に入れていただくとか、生ものは持ち帰らないといったような注意事項を示すとともに、あくまでも自己責任の範囲で持ち帰っていただくということを県のホームページ等を通じて消費者の皆様に呼びかけております。 また、事業者へは、食中毒予防のための注意喚起などを消費者にしていただくようお願いをしているところでございます。  次に、フードドライブのPRについてでございます。  フードドライブの取組は、食糧支援を必要とする方々や子供への支援といった観点に加え、食品ロス削減の点からも大変重要な取組と考えております。県では、これまでも、フードドライブを支援する団体の皆様とともに、夏休み県庁見学や食料備蓄確認デーなどのイベントの機会を捉えて、県庁フードドライブを実施しております。また、地域振興局でも、地域内の団体の皆様方と独自に取り組むなど、県民の皆様から提供いただいた食材を生活に困窮される方々への支援やこども食堂での食事提供に活用していただいているところでございます。  フードドライブの開催については、県のホームページや県で運営するごみ減量情報発信サイト「信州ごみげんねっと」などで周知に努めているところでございますけれども、今後とも、健康福祉部や県民文化部など関係部局とともに効果的な情報発信に努めてまいります。  最後に、レジ袋有料化に伴う収益金の活用についてでございます。  御紹介いただきましたように、南信州レジ袋削減推進協議会では、平成20年度から事業者、消費者と行政が一体となってレジ袋削減に取り組むとともに、有料化によって得られた収益を地域の環境保全活動に活用するといった先進的な取組をされているところでございます。  また、県におきましても、既にレジ袋を有料化している一部の事業者から環境保全を目的としてレジ袋の収益の一部を御寄附いただいておりまして、レジ袋削減に関する啓発に活用しております。  本年7月からのレジ袋の有料化義務化に伴う収益の使途につきましては、御紹介いただきましたとおり、国のプラスチック製買物袋有料化実施ガイドラインの中で、「そもそもライフスタイルの変革を促すことが本制度の目的であり、その売上の使途については、事業者が自ら判断するもの」とされているところでございます。また、あわせて、環境保全事業などに寄附している事例もあると紹介されております。  県といたしましては、事業者、消費者、経済団体と行政とで組織する長野県レジ袋削減推進協議会の場におきましてこの国のガイドラインの趣旨を説明した上で、効果的な使途について御検討いただくよう事業者の皆様に相談してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔8番大井岳夫君登壇〕 ◆8番(大井岳夫 君)それぞれ御答弁がありました。  特に、コロナウイルスの対策についてでありますが、教育現場におきましても矢継ぎ早に対応がなされていくというお話を聞いて少し安心した思いがいたします。  このコロナウイルス感染症ですけれども、これは、国内全体でも初めての事例、対策ということでして、ここまでやっていいものかどうか。経済活動の視点からも、過度に不安をあおることによりいろいろな活動が停滞してしまい、経済に対する影響が懸念されるというところはありますが、やはり第一は県民の生命を守ることであると考えますので、対策をいろいろ打ってちょっとやりすぎだったかもしれないが急に終わったなと、最終的にそんなふうに収まればいいと思います。一日も早く終息に向かうことを願うものであります。  さて、食品ロス削減の質問をしましたが、私は、食品ロス削減運動をどこまで本気で県民全体で行っていくのか問われているときではないかと思います。あわせて、条例が制定されている地酒で乾杯運動にも力を入れていかなくてはなりません。私も、健康、体重に注意をしなくてはいけませんが、率先して取り組んでいく思いを新たにしました。  農福連携についてですが、最近、中学生から13年間引き籠もっていたという方からお話を聞く機会に恵まれました。人のために、動物のためにと少しずつできることから始め、ひきこもりを克服されたそうです。そして、今は民間会社に勤務されながら、同じような境遇の方を勇気づけられればと、自らの体験談を積極的に語られています。その方がおっしゃられていた誰かのためにすることが自分のためにもなるという言葉に、深い感銘を覚えました。自分ではなく、人の幸せを願い、応援し、行動することにより、大きな力が生まれ、気づかぬうちに自分の行動も変革されていく。私自身も、将来世代に思いを致すに、今、地域のために、将来のために、何をしなければならないか問いかけられた思いであります。  必要でない人などいません。自分は必要とされている存在なんだという正の連鎖が広がり、行動を生み、災害に強い郷土を育み、そして感染症拡大の難局を乗り越えていくことを願いまして、私の一切の質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)次に、川上信彦議員。       〔6番川上信彦君登壇〕 ◆6番(川上信彦 君)県民クラブ・公明の川上信彦です。  初めに、地域医療の現状とICTの活用についてお聞きします。  「自らが望む、人生の最終段階の医療・ケアについて話し合ってみませんか」、これは、人生会議、アドバンス・ケア・プランニングについて厚生労働省が発行しているリーフレットに記載されている言葉です。  人生会議とは、高齢化が進み、在宅や施設における療養やみとりの需要が増大する中、誰もが自分の望む医療、ケアを受けられ、自分らしい最期を迎えるために、家族や医療・介護従事者らと話し合う取組のことで、注目をされてきております。厚生労働省では、ガイドラインを示していますが、その活用については特に規定されておりません。   先日、飯田、下伊那の医師で構成される飯田医師会と地元県議の懇談会があり、地域医療を支える医師の立場から人生会議の普及の取組についてお聞きしました。飯田医師会では、人生会議を理解してもらうため、独自に2種類のパンフレットを作成しております。一つは、事前告示書で、健康な人を対象に、自分の人生観、価値観について考え、人生の最終段階について家族やかかりつけ医と話し合う機会に活用してもらうことを目的としています。もう一つは、医療、ケアについての要望書で、人生の最終段階を意識する時期にある人が対象で、具体的にどういう医療、ケアを受けたいかについて考え、話し合い、作成することを目的としています。  ここで最も重要なことは、本人が大切にしていること、希望することを話し合うことです。そして、どこで療養をしたいか、どのような医療、ケアを受けたいか、食事を取れなくなったらどうするのか、自分が意思表示できなくなったとき代わりに自分の意思を代弁してくれる人は誰なのかなどを確認します。どちらも、時間の経過や心身状態の変化により考え方が変わることはよくあることであり、人生会議は繰り返し行っていくことが重要であるとしています。  私は、4年前、家族とともに病院で父をみとりましたが、事前に人生会議の機会があれば、父の思いを聞き、本人の考えに寄り添った医療やケアの選択ができていたかもしれないと考えました。  そこで、まず、県内で行われている人生会議の取組の事例には何があるのか、また、それらの事例を踏まえ、必要性、有効性など県として人生会議をどのように捉えているのか、お伺いいたします。  先日、南信州新聞で、人生会議と医師会の役割についての特集記事が掲載されました。その中で、病院勤務医が、高齢者が多い病院では人生の最期を病院で迎えることも多く、その最期のときにどのような医療を希望されるか、どこまでの医療を望まれているかは医療者にとって重要な事柄であり、入院中、高齢者は余病を併発することが多く、致命的な状態に急変することが多々ある。急変時に医療者はどのように対処すべきか苦慮し、患者や御家族の希望はどうなのか、命を保つためにどこまでのことをすべきか悩む。そのとき、事前の指示や要望が分かっていれば、心積もりができており、慌てることなく最善の対応が可能となると話されておりました。   地域医療の最前線にいる医師の立場から人生会議の必要性についてお聞きし、まずは、人生会議について知ってもらうことが大切であると感じます。古来、生老病死は人が避けられない苦悩として人類の課題ともされ、その課題を一人で抱えることなく、前向きに家族や医師とともに考える機会を持つことは重要であり、自分の人生を振り返り、家族の大切さ、地域とのつながりを確認するかけがえのない機会になると考えます。  これまで種々述べさせていただきましたが、高齢化率の高い長野県にとって、人生会議の普及の必要性を感じ、今後県としてこの取組を前向きに捉え、ソフト事業として、医療、介護の連携を積極的に進めていただきたいと提案しますが、所見をお伺いいたします。  高齢化が急速に進む中山間地において、医師や介護の人材不足が叫ばれる中、飯田、下伊那では、14市町村と飯田医師会をはじめとした地域の医療、介護の関係機関・団体が協力し、南信州在宅医療・介護連携推進協議会が2016年4月に発足し、地域包括ケアシステムに取り組んでいます。  その中で、2009年から導入を開始した飯田下伊那診療情報連携システム「ism-Link」によるICTを活用した医療・介護分野における情報連携基盤の構築を推進してきました。このシステムは、患者同意の下、電子カルテを病院、診療所間で公開、閲覧をして患者の情報を共有できるネットワークであり、医療と介護の双方向の掲示機能を活用し、患者が自宅や施設で療養を続ける際、情報共有ツールとして退院調整ルールを策定し、連携シートを活用しております。このネットワークへの参加施設は240施設で、病院と訪問看護ステーションは100%、調剤薬局93%、診療所65%、介護関係事業所54%が参加しており、登録患者数は、令和元年12月末現在2万9,012名で、飯田、下伊那の人口に対する割合は18%になっています。  このシステムの活用について、南信州新聞に病院の勤務医の話が紹介されておりました。 休日夜間の救急診療を行っていると、心肺停止や認知症などで意思表示ができない方が搬送されてくる。意思表示ができなければ、直近の医療を行う上で、既往歴やかかりつけ医での治療内容を知りたい、使っている薬を知りたいと思っても情報を得られない。また、その後の治療計画を立てるに当たって必要である日常生活能力や支援者の情報も、数日たたなければ分からない。どのような治療を望まれているのかも不明です。これらの情報は、安全な医療の提供や退院に向けての準備に必要であり、本人の尊厳を守るために、医療者や介護者など多職種で安定的に継続的に最新の情報として共有することが求められると話されておりました。  地域包括ケアシステムの課題として、医療と介護の連携が挙げられますが、ICTを活用し、市町村の枠を超えて、医療と介護、多職種連携を進める飯田下伊那診療情報連携システム「ism-Link」の取組についての評価、また、このような地域が一体となった医療、介護の連携事業は今後ますます強化されていく見込みの中で、県として安定した取組として積極的に支援していくものと考えます。今後の県としての支援の姿勢、さらには可能な支援はどのようなものがあるか、お伺いいたします。  先般、愛知県豊根村での取組をお聞きしました。豊根村では薬局が1軒もなく、医師の人手不足や高齢化も進んでいるという現状から、より効率化した医療の提供が重要視されており、国家戦略特区である愛知県において遠隔服薬指導事業が進められていたことを受け、医師、薬剤師の負担を減らしながら、より多くの患者のサポートを行えるオンライン診療と遠隔服薬指導を活用した実証実験を実施しているとのことでした。県内にも同様の課題を抱える地域があります。  そこで、当初予算案に、医療・介護体制の充実として、医療提供体制が脆弱な分野を強化するために新たにICTを活用した遠隔診療体制の施設整備等への支援が盛り込まれておりますが、支援の具体的な内容及び今後の進め方、また、課題をどのように整理し、県内のICTを活用した遠隔医療の将来像をどう描き、導入に向けて進めていくのか。以上4点について健康福祉部長にお伺いいたします。  次に、水力発電の今後の取組と観光振興についてお聞きします。  昨年12月の気候非常事態宣言において、2050年には二酸化炭素排出量を実質ゼロにするとの知事の意思表明を受け、再生可能エネルギーの普及拡大やエネルギー自立・分散型で災害に強い地域づくりを進めていくことが示されました。そこで、今後30年間を見据え、地域の将来を担う子供たちがそれを理解し、どう行動していくかが重要であると考えます。  私は、昨年7月に信州もみじ湖発電所の起工式に、11月にはくだものの里まつかわ発電所、小渋えんまん発電所の起工式に参加させていただきました。公募により選ばれ、施設の名づけ親となった児童や園児の表彰が行われ、もみじ湖は箕輪東小学校の児童、くだものの里まつかわは松川中央小学校の児童、小渋えんまんは松川町福与保育園の園児がそれぞれ表彰されました。皆さん緊張した様子でしたが、自分が考えた名称が地元の発電所の名称となり、とても喜んでいました。  また、11月に、小渋ダム50周年事業の一環として大鹿小学校児童によるアマゴの放流が行われ、当日は晴天に恵まれ、地元の漁業組合の協力の下、1,000匹のアマゴが小渋川に放流されました。  これらの取組は、将来を担う子供たちが地域の発電所に親しみを感じ、再生可能エネルギーに関心を持ち、自然環境を守り、河川を大切にする心を育む契機になると感じました。
     そこで、企業局で実施している小学生を対象にした夏休み親子発電所体験、中学生を対象にした体験学習、工業高校生を対象にした水力発電所の職場体験への参加者の反応と、今後、水力発電、水素ステーション等再生可能エネルギーの普及啓発や、自然環境を守り、河川を大切にする心を育むためどのような取組を行っていくのか、お伺いいたします。  水力発電所の施設管理について、以前は、24時間365日職員が常駐し管理していたと聞きましたが、現在では、ICTを活用して情報の集約化が進み、気象情報の把握や機器の遠隔操作が可能となり、職員の負担軽減が図られたと聞きました。今後とも、安全性の向上や働き方改革の観点からさらなるAI、IoTの活用が期待されますが、今後の取組や展望について、以上2点を公営企業管理者にお伺いいたします。  近年、全国的に、橋梁、ダムなどのインフラを地域固有の財産と位置づけ、観光を通じた地域振興に活用するインフラツーリズムの取組が行われています。県でも、ホームページで橋梁、砂防施設、ダム、トンネル等が紹介されており、昨日の竹内議員の一般質問でも取り上げられましたが、ダムカードも好評で、カードを求めて施設を訪れる人も多いと聞きました。全国的にも、ダムの人気ランキングが発表され、ダムカードなども話題となり、観光資源として活用する地域も増えてきています。   以上の観点から、県内のダムや発電所を観光資源と捉え、活用することで、県内の新たな観光チャンネルに寄与すると思います。ダムや発電所を活用する観光への取組について提案いたしますが、観光部長に所見をお伺いします。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)地域医療の現状とICTの活用に関する御質問に順次お答えいたします。  最初に、人生会議の取組についてでございます。  現在、県内では、医療、介護、行政などの関係者が連携して様式を策定いたしました飯田医師会や松本市医師会、須高地域医療福祉推進協議会の取組、また、病院独自に患者の思いの整理などのための様式を活用した富士見高原医療福祉センター富士見高原病院の取組などがございます。  自分が望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する中で、本人の意思に沿って人生の最終段階を迎えることは、今をしっかりと生き、人生を全うするためにも大変重要なことであるというふうに認識しているところでございます。  次に、人生会議に係る医療と介護の連携についてでございますが、人生会議の取組を進めていくためには、医療や介護の現場において関係者間の連携を推進するための取組が重要であると考えております。  県では、医療・介護関係者などを対象といたしました人生会議に関する講演や、先進的な取組の事例発表などを行う研修会の開催、また、郡市医師会が開催する医療、介護、行政など多職種の関係者による医療、介護の円滑な連携策についての意見交換会への支援などを行っているところでございます。今後も、こうした取組によりまして、医療と介護の連携を積極的に進めてまいりたいと考えております。  次に、ism-Linkの取組への評価についてということでございます。  今後、医療機関の役割分担や連携を図り、地域全体で持続可能な医療提供体制を構築するとともに、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療や介護のサービスが切れ目なく提供される地域包括ケア体制を構築していく必要がございます。そのためには、患者の検査結果などの診療情報や介護の情報を、医師や訪問看護師、ケアマネージャーなど関係者間で共有することが必要であると考えております。  飯田下伊那診療情報連携システム「ism-Link」は、病院や診療所、訪問看護ステーション、介護関係事業所など多くの関係機関が参加して構築している情報連携システムでございます。関係者間で効率的な情報共有を図り、緊密に連携することで、質の高い医療や介護サービスを提供することを目的としており、地域包括ケア体制の構築などに資する取組であると認識しております。  こうした取組への支援についてでございますが、県では、これまでも、地域医療介護総合確保基金などを活用し、県全域や各地域で診療情報を共有するネットワークの構築を支援してきており、一定程度進んできているものと認識しております。今後は、診療情報だけでなく、幅広く他の情報を付加するような新しい機能の追加などを中心に支援してまいりたいと考えております。  こうした観点から、ism-Linkに関しましては、来年度、地域調剤情報共有システムなどと連携するとお聞きしているところでございまして、さらなる医療、介護のサービス向上につながるものであることから、地域医療介護総合確保基金を活用して支援してまいりたいと考えております。  最後に、ICTを活用した遠隔医療についてでございます。  中山間地域における県民への医療提供を確保するため、来年度、新たに県立阿南病院などが行っている巡回診療にオンライン診療を導入してまいります。そのため、オンライン診療システムやネットワーク機器を整備するための経費に対して支援することとしております。これによりまして、遠隔医療の効果を検証いたしますとともに、実施段階における具体的な課題についても抽出、把握をしてまいりたいと考えております。  ICTを活用した遠隔医療につきましては、中山間地域において県民の医療を受ける機会を確保すること、また、医師をはじめとする医療従事者の負担を軽減することといった地域医療を支えていく上で重要な役割を期待しているところであり、日々革新が進む先端技術を取り入れつつ推進していくべきものというふうに考えております。  実際にこれを普及していく上では、対面診療が原則であることによる制度上の課題、また、機器の取扱いや費用面といった実務上の課題等がございますけれども、これらを一つ一つ乗り越えながら進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)水力発電の今後の取組と観光振興についての御質問にお答えいたします。  まず、夏休み親子発電所体験等イベント参加者の反応についてでございますが、親子発電所体験や体験学習に参加した小中学生や保護者の方々からは、普段見ることができない施設を知ることができたとか、地元にある発電所への理解が深まったといった声が寄せられましたし、進路選択を控えた工業高校生を対象とした職場体験では、発電所の操作は貴重な経験であったとか、職員から話を聞けてありがたかったといった意見をいただき、企業局の水力発電事業に興味を持っていただくという効果もあったものと考えております。  次に、再生可能エネルギーの普及啓発のための取組についてでございますが、これらのイベントのほか、この1月に開催した小学生や地域の皆様などを対象とした横川蛇石発電所の現場見学会では、小学生の皆様が水車に直接触れるなど、小さな集落での平日開催にもかかわらず、200名を超える多くの方々に熱心に御覧いただき、再生可能エネルギーへの関心の高まりや地元にできる水力発電所への期待の大きさを目の当たりにいたしました。  また、ダムスタンプラリーや道の駅などでの発電所カードの配布などには、全国からおいでになる方もありますし、水素ステーションと燃料電池自動車を活用して、著名なロックバンドのコンサート会場や地元プロバスケットボールチームのホームゲーム会場等への電源供給を実施し、参加した方々はもとより、報道などを通じて注目を集めているところであり、今後さらにこうした取組を展開してまいりたいと考えております。  それとともに、自然環境や川を大切にする心を育むものといたしましては、発電所の地元の皆様とも協力してこれまでも行っておりましたアマゴなどの魚の放流に加えて、川の働きや水力発電所の仕組みを知るなどの体験型教室を開催することなどによりまして、学びの場づくりに向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、AI、IoTの今後の取組や展望についてですが、企業局では、全国に先駆けて、昭和52年から発電所の集中監視を進め、現在はその全てを無人とし、発電管理事務所における集中監視制御により遠隔からの運転管理を行っております。こうした取組により、職員1人当たりの発電電力量は、平成25年以来、全国で公営電気事業を行う26団体中で1位となるなど、運営の効率化に一定の成果を上げているところでございます。  さらに、現在多くの新規発電所の建設を進めておりますことから、将来県内各地でより多くの発電所の運転管理を行うこととなり、今まで以上に省力化、効率化を図ることが不可欠となります。  このため、議員御指摘のとおり、AI、IoTの技術を活用し、保安のさらなる高度化、効率化を図ることを目的とした保守のスマート化に向け、経済産業省へ今年度から企業局の職員を派遣するとともに、同省が設置するワーキンググループのメンバーとして企業局も参加し、国とともに検討を進めているところです。  今後、こうした検討結果も踏まえ、最新技術を取り入れたより高度な発電所の監視制御ネットワークの構築に向けて取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)ダムや発電所の観光振興への活用について御質問をいただきました。  本県には、多様な地形を活用したダムや発電所、急峻な山岳地帯の防災に役立つ砂防施設など、インフラツーリズムの資源となる魅力的な資産が数多くございます。  県内には、既に黒部ダムや小谷村の砂防ダムを活用したツアーなど多くの施設が観光資源となっておりますけれども、最近は、企業局が18か所のダムを対象としたスタンプラリーを行うなど、身近な施設の積極的な活用も図られております。  全国的にも、国土交通省が平成28年にインフラツーリズムを紹介するポータルサイトを立ち上げておりまして、本県でも「信州の土木 魅力のマップ」というパンフレットやウェブを作成して、ダムや発電所、橋梁等の土木遺産を紹介しているところでございます。  ダム等の見学は、その時々の先進技術やなかなか知られていない工夫、そして、人々の暮らしをストーリー化して次世代に伝え、これを学んでいただくことは、体験型観光の魅力的なメニューとなりまして、誘客の有力な手法の一つになるものと考えております。  インフラの観光活用につきましては、建設部や農政部、企業局との連携はもとより、市町村とも協力し、インフラツーリズムの普及拡大を図るとともに、周辺の観光資源と組み合わせることで、より地域の魅力を高めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔6番川上信彦君登壇〕 ◆6番(川上信彦 君)それぞれ御答弁をいただきました。  高齢になっても住み慣れた土地で暮らし続けたい。地域の子供たちに自然環境の大切さを伝え、自分の育った地域に自信と誇りを持ってもらいたい。地域の変化に対応し、持続可能な社会構築のため、人にしかできないことを人がやり続けることができるよう、今後とも、AIやIoTのさらなる活用が期待されております。地域の様々な課題解決に向け、それぞれの分野で業務の見直しを行い、AIやIoTの活用がさらに促進されるよう希望しまして、私の一切の質問を終了させていただきます。 ○議長(清沢英男 君)次に、和田明子議員。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)初めに、昨年9月県議会において、阿部知事が長野県護国神社の支援組織、崇敬者会会長に就いていること、さらに、会長として鳥居修復事業の寄附集めの趣意書に名を連ね、県民の皆様に幅広い御協賛を呼びかけた行為は、政教分離を定めている憲法に反している。公私の別を知事は主張するが、憲法の空洞化につながるとただした際、知事は、「今後、大学の先生をはじめ様々な方の御意見も伺った上で、自分なりに考え方を慎重に整理していきたいというふうに考えております。」と答弁されました。9月議会後にどのような場で意見を聞いたのか、その意見とはどういう意見だったのか、知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)護国神社の崇敬者会会長に関しての意見をどう聞いているのかという御質問であります。  9月県議会以降、東京に出かけた際など公務の合間を見てお話をお伺いしてきているところであります。これまでに、弁護士、憲法学者など複数の有識者の方にお話をお伺いしております。  意見の内容といたしましては、私の行動について、憲法との関係で考え方を整理する上での視点や参考となる情報をいただいたりしている状況でございます。  以上です。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)複数の有識者に意見を聞いたという御答弁ですけれども、その意見の結果どのようなお考えになられたのかについて触れられなかったのは残念でございます。  崇敬者会の会長である知事が護国神社のための寄附集めの趣意書で県民の皆様に幅広い御協賛を呼びかけた行為は、私人としての体裁を取り繕ったとしても、まさに県知事が特定の宗教と象徴的に結びつくもので、違憲だと言われても弁明の余地はありません。  知事にも憲法上の信教の自由はあります。私人として参拝したいと考えるならば、まずは崇敬者会の会長を辞すべきと、先般の地元新聞紙上で憲法学者は指摘しております。改めて崇敬者会の会長を辞めるべきと私も申し上げて、次に移ります。  台風19号災害の対応について危機管理部長に伺います。  大規模な浸水被害をもたらした台風19号災害から、生活となりわいの再建、復興を本格的に進めていくに当たり、誰一人取り残さない立場で支援をと思い、以下、質問をいたします。  浸水被害は、床下、床上であっても、畳や床を上げ、泥をかき出すこと、水につかった壁や断熱材を剥がす、乾燥させなければならず、家財道具のほとんどが災害ごみとして処分せざるを得ません。そうした被災者から、浸水が50センチ、1メートルでも片づけは同じようにしなければならず、修理をしなければ家には住めないのに、浸水深によって判定が大きく異なる判定基準を見直してほしいとの要望が多いことは県としても御承知のことと思います。浸水被害の特殊性に鑑み、浸水深にかかわらず床上浸水は一律に全壊にするなど、住家の被害認定基準の見直しが必要だと痛切に感じていますが、いかがお考えか、危機管理部長にお聞きいたします。  昨年11月から今年1月にかけて被災者生活再建支援法について共同通信社が実施したアンケートに応じた県内73市町村のうち、「支援法を拡充すべき」は58%、「現状のままでよい」は19%にとどまりました。支給額の増額が50%、さらに、都道府県ごとに支援制度がまちまち、同じ災害でも被災規模の違いで自治体ごとに線引きする仕組みの見直しなどを求める回答等が寄せられました。  自然災害が激甚化する中で、生活基盤を立て直せるよう被災者に寄り添う被災者生活再建支援法の抜本的見直しをこれまでも求めてきていただきましたが、国に対して繰り返し求めていただきたいと思います。危機管理部長にお伺いいたします。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)2点御質問をいただきました。  まず、浸水被害における住家の被害認定基準の見直しについての御質問でございます。  住家の被害認定調査は、国が定めた調査方法と被害認定基準に基づき、市町村が実施いたしますけれども、堤防決壊等による水流や瓦礫等の衝撃で外壁などに一定以上の損傷が発生している場合には、床上1.8メートル以上の浸水は全壊、床上1メートル以上1.8メートル未満は大規模半壊、床上1メートル未満は半壊を基準として判定いたします。また、全ての住家が一定の条件の下で床上1.8メートル以上が浸水したことが一見して明らかな区域内にある住家は全て全壊と判定することが可能となっております。  一方、浸水被害においては、全壊と判定されない住家であっても、その家で生活を続けることが難しくなる場合が多いといった課題があることも認識しております。そのため、昨年11月1日に開催された国の非常災害対策本部会議において、阿部知事が全国知事会の一員として出席し、緊急要望として、床上浸水被災者を幅広く救済できるよう半壊に係る査定要件の緩和について国に対し要望いたしました。  今後も、住家の被害認定基準に係る必要な見直しについては、全国知事会とも連携し、国に対して働きかけてまいりたいと考えております。  次に、国への被災者生活再建支援法の抜本的見直しの求めについての御質問でございます。  国の被災者生活再建支援制度には、支給対象が大規模半壊までであること、また、同一市町村で全壊10世帯以上との適用要件があり、同じ災害でも市町村によって適用、非適用が生じることといった課題がございます。  県といたしましては、被災者の円滑な生活再建を支援するため、これらの課題について、これまでも再三国に対し改善を求めるとともに、全国知事会においても同様に国に要望してまいりました。  また、今回の災害では、床上浸水により床材や壁の中の建材を交換しなければならない事例が多数生じたことから、改めて被災者生活再建支援制度による支援金の支給対象世帯を半壊まで拡大する必要があるものと認識しております。  そのため、先ほど申し上げました住家の被害認定基準の見直しと合わせ、全国知事会とともに、被災者の生活再建支援制度の充実について引き続き国に対し改善を求めてまいりたいと考えております。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)この間、繰り返し求めてきたことではありますが、信州型の被災者生活再建支援制度が拡充されたことは、大変被災者に喜ばれております。これが国の制度にさらに上乗せされれば、県はもっと拡充した制度ができます。そういうことも含めて引き続き国に検討を求めていただきたいと思います。  次に、千曲川の治水対策についてお伺いいたします。  信濃川水系緊急治水対策プロジェクトは、河川における対策の全体事業費を約1,227億円、河川における対策として、2024年度までに千曲川本川の堤防の被災した区間での越水防止、2027年度までに千曲川本川からの越水防止を目標に、対策内容として、河道掘削、遊水地、堤防整備・強化ということが示されました。そのほか、流域における対策のメニューの中に、私たちが今まで提案してきた遊水地や田んぼダムをはじめ、河道掘削など県としても国に求めてきたことが盛り込まれていることは歓迎いたします。  私たち共産党県議団・長野市議団は、19号災害から4か月余り、被災者支援活動や御要望をお聞きしてきました。千曲川決壊現場近くの被災された方々から、なぜ堤防が決壊したのか、住宅を再建して暮らすべきかなかなか決められない、堤防の強化によって再び災害に見舞われることを防げるのかと様々な思いを聞き、専門家を招いて現地調査や災害検証シンポジウムを行って検証に取り組んできました。  その上で、建設部長にお伺いいたします。  目標や対策のメニューは示されましたが、対策を講ずる上で重要な基礎データの一つ、台風19号の洪水の最大流量がどのくらいだったのか、千曲川河川事務所に武田良介参議院議員を通じてお聞きしましたが、いまだ精査中とのことでした。改めて、県からも国に対して洪水の最大流量はどのくらいだったのか確認をしたのかお聞きしたいと思います。緊急治水対策プロジェクトによって行う治水の対策の目標流量がなければ、河道掘削の量、遊水地による洪水調節量も決められないと考えます。国、県と関係自治体でプロジェクトをどう具体化していくのかお聞きします。  過去の洪水によってもたらされた土砂の堆積による河道断面積が減少していたため、立ヶ花は計画高水流量の3分の2の洪水流量で水位は計画高水位を上回り、深刻な水害の危険があると国土問題研究所の専門家は2009年から警鐘を鳴らしておりました。  穂保の堤防決壊の対策のため国土交通省が設けた千曲川堤防調査委員会に出された資料には、低水路の河床は平成17年度に狭窄部上流で若干堆積傾向と記されていますが、平成17年度以降の資料がありません。さらに、河川断面積を左右する高水敷の状況は分かりません。国土問題研究所の先生方と現地調査で得たデータでは、長野盆地の高水敷には実際に1960年代以降50センチから2メートルの土砂が堆積し、19号洪水によってもおびただしい土砂が堆積しているということです。低水路と高水敷と合わせて河川断面積を拡大する河道掘削がされるのか、伺います。  国の千曲川堤防調査委員会は、堤防の決壊原因は越水と推定していますが、地域住民の方々から、10月12日に千曲川の水位の上昇によって堤防の川裏に水が噴き出した、決壊した堤防付近に大量の土砂だけでなく礫も多かった等々の話があり、堤防決壊原因について十分に調査してほしいと要望があります。完成堤防と言われ、桜堤で補強されたと長沼地区の住民が思っていただけに、決壊は衝撃でした。堤防の強度の検証が必要と思います。県として国に検証を求めていただきたいが、いかがでしょうか。  堤防は強化して築堤することになりますが、堤防天端保護工、のり肩、のり尻の強化に加え、川裏のり面を遮水シートと連続ブロックなどで保護する耐越水堤防、越水しても決壊しない堤防を造り、安心して暮らせる地域に戻りたいという地元の切なる願いに応えてほしいと思いますがいかがか、建設部長にお聞きします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)台風19号における千曲川の最大流量に関するお尋ねです。  信濃川水系緊急治水対策プロジェクトに係る流量等は国が設定することとなっております。 改めて国に確認したところ、今回の災害の際に立ヶ花観測所において観測された最大の流量は、暫定値で約毎秒8,100トンとのことでした。流量に関しましては、今後さらに調査を進めていくものとお聞きしております。こうした流量等の検討結果を含めて、国と情報を共有する中でプロジェクトの詳細を詰めてまいりたいと考えております。  次に、千曲川の河道掘削に関するお尋ねでございます。  お尋ねの内容は国管理区間に関するところで、県では詳細が分かりかねますが、国では今回の出水を受けて測量を実施し、河川の状態把握を行っており、高水敷で自治体が実施する災害復旧による農地の土砂撤去状況も考慮して必要な流下断面を確保するための掘削などを検討し、対策を実施するものと聞いております。  次に、穂保地区の堤防の強度の検証に関するお尋ねです。  国が開催した千曲川堤防調査委員会におきまして、穂保地区の堤防決壊などについて、その被災原因の解明と再度災害防止のための復旧工法の検討が行われました。さらに、国からは、本委員会での意見を踏まえて浸透に対する精査を行い、堤防等を復旧するに当たっての影響要因を把握するために、仮堤防の開削を行いながらより詳細な調査を進めているところであると聞いており、県といたしましては、必要な検証が行われているところであると認識をしております。  次に、穂保地区の堤防強化に関するお尋ねでございます。  安心して暮らせる地域に戻りたいという地域の方々の思いは十分に理解をするところでございますが、どんな自然の猛威に対しても決壊しない堤防とするということは難しいものと考えております。  今後、気候変動により水災害が頻発化、激甚化することが想定される中、施設能力を超える洪水に対して、洪水時の河川の水位を下げて洪水を安全に流すための抜本的な治水対策や、流域における対策を進めることを基本としつつ、危機管理として河川堤防の強化を実施するなど、浸水による被害をできるだけ減らすための効率的、効果的な対策を進めることが求められています。  このような背景の下、今次出水における決壊の要因等を踏まえ、危機管理として河川堤防の強化を実施するために必要な技術的検討を行うことを目的に、国土交通省において令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会が設置され、2月14日に第1回が開催されたところです。この検討会では、各地で実施された堤防調査委員会等の検討結果を踏まえ、越水を想定した河川堤防の強化対策が検討されるものと聞いており、決壊箇所の復旧工法についても、その検討結果を踏まえ、今後国で検討され、具体的な策が示されるものと考えております。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)ただいまの御答弁の中で、立ヶ花8,100トンとありました。この流量は計画高水位を下回っておりますので、なぜ決壊したのかまた疑問が大きくなるわけです。  台風19号災害よりも以前から、国土交通省は決壊地点でボーリング調査を行い、監視用カメラと危機管理型水位計を設置していた。堤防の弱点を把握していたのではないか、こういうふうに疑問を抱いている方々がおられます。なぜここが決壊したのか、疑問に真摯に答えていくことが行政の責任ではないでしょうか。  次に、浅川治水対策について伺います。  11月県議会で、浅川の内水氾濫と千曲川の外水氾濫が混在した複合災害で、浅川の内水対策を検討するためのシミュレーションを実施するとのことでありましたが、まずその対応について建設部長にお伺いします。
     浅川総合内水対策計画は、昭和58年9月、台風10号で既往最大248.5ヘクタールの内水被害が発生した洪水に対し、宅地部での床上浸水被害を防止することを目的に2013年に策定されました。そして、昨年10月の台風19号による浅川の内水氾濫シミュレーションでは、昭和58年9月の既往最大248.5ヘクタールを約75ヘクタール上回る323ヘクタールに及ぶ浸水被害の推計をまとめ、1月16日に地元説明会が開催されました。ところが、2月10日の2回目の地元説明会では、内水氾濫シミュレーションをやり直した結果として、1回目の323ヘクタールから106ヘクタールも下回る217ヘクタールの浸水面積と説明されましたが、なぜこのように大幅に浸水面積が下回ったのか、建設部長に伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)浅川の内水氾濫シミュレーション結果の修正に関するお尋ねです。  2月10日に住民説明会を開催し、長野市穂保地区の破堤などによる外水氾濫の影響を除いた台風19号災害当日の浅川の内水氾濫シミュレーションは、当日と同様に約9時間の排水規制がかかる前提で、浸水面積が217ヘクタールになると御説明をいたしました。  1月16日の1回目の説明会で公表したものは、千曲川の水位が浅川の水位を下回り、自然排水ができるまでの間、トータル17時間ポンプを停止するという誤った設定条件で行ったものでございます。実際には、千曲川の水位が浅川の水位を下回らなくても、千曲川の水位がハイウォーターを下回ればポンプで浅川の水を排水することが可能であり、説明会開催後に職員が間違いに気づき、今回訂正をさせていただいたものでございます。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)2回目のシミュレーション結果を見れば、既往最大248.5ヘクタールで策定された浅川総合内水対策計画の中長期計画を前倒しして実施すれば数字上では宅地部の床上浸水被害が防止されることとなりますけれども、台風19号災害によって大規模な浸水被害が生じております。浸水被害に幾度も見舞われている地域です。豊野のHさんは、4回の浸水被害を経験した。19号で自宅は全壊したが、ここに戻って暮らしたい。安心して暮らし続けられるよう対策を講じてほしいと訴えています。  浅川総合内水対策計画は、床下浸水は防げない、我慢してくださいということではなく、被災した住民の皆さんの要望を酌んで遊水地を盛り込み、床下浸水も防ぐよう計画策定の見直しをすべきと考えております。建設部長にお伺いいたします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)床下浸水を防ぐよう浅川総合内水対策計画を見直すべきではないかとのお尋ねでございます。  浅川総合内水対策計画は、平成25年に地域の皆様の意見を反映して策定したもので、既往最大被害となった昭和58年9月の台風10号と同規模の洪水に対し宅地部での床上浸水被害を防止することを目標としています。  また、今回のシミュレーションでも、浅川総合内水対策計画の中長期計画に位置づけた排水機場のポンプ増設、堤防のかさ上げ、二線堤の整備を実施した場合、床上浸水は発生しないとの結果が出ており、これらの対策を緊急治水対策プロジェクトに位置づけ、今後5年間で前倒し実施することとした次第でございます。  床下浸水を防ぐよう遊水地を設置すべきとの御指摘についてですが、今回のシミュレーション上の浸水面積217ヘクタールの大量の水は、どこにも行き場のない水であり、これをため込む遊水地は、単純に全てため込むと仮定した場合、東京ドーム1個分よりも大きな体積が必要となり、このような遊水地の設置は現実的ではないと考えております。  今後、中長期計画の前倒し実施だけでなく、千曲川の排水規制が今回よりも長くなった場合を想定して、地域住民の皆様や学識経験者などの御意見も踏まえ、必要な措置があれば追加対策を検討してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)豊野の区長さんは、この地区が安心して住めるという保証がないと家も直せない。仮設住宅で暮らしている人がたくさんいる。何とか対策を講じてもらいたいと述べておられます。そういう皆さんの思いに応えて全力で対策を講じていただきたいと申し上げて、一切の質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時34分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(荒井武志 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  丸茂岳人議員。       〔9番丸茂岳人君登壇〕 ◆9番(丸茂岳人 君)自民党県議団、丸茂岳人であります。よろしくお願いします。  諏訪地域におけるしあわせ信州創造プラン2.0の進捗と課題及び今後の方向性についてお聞きします。  初めに、諏訪地域の産業競争力の強化についてお伺いいたします。  諏訪地域においては、戦前、製糸業を中心に製造業が栄え、戦後は、製糸業で培った人的基盤を生かし、精密機械産業を中心とした製造業で栄えた地域であります。現在も製造業を軸として地域経済が成り立っていることに変わりはなく、諏訪地域においては、製造業を底上げしていくことが地域経済の競争力強化に直結することになると思います。  また、最近は、テクノロジーの進化とともに、いわゆる従来型の製造業から、AI、IoTを活用した産業構造に変化を遂げつつあり、むしろこうした時代の変化に取り残されないように行政としてできる限りのバックアップと環境整備が必要になると思います。  もちろん、民間企業に関することですので、最終的には企業努力によるところが大きいわけですが、日本の企業数の99%が中小企業であり、雇用の7割は中小企業にあるわけですので、地方においてはこうした企業が地域経済と雇用環境を支えていることに変わりはなく、今後さらに進む人口減少社会において、地域経済の核となる中小企業への支援と育成のためのバックアップが欠かせません。  特に、小規模でやっている事業者にとっては、資金的、人員的にもなかなか単独ではカバーしきれないことが多々あると推測し、時代の変化に合わせたテクノロジー化の対応に遅れをとってしまうことも想定されます。こうした状況の中で、県としてできる限りサポートしていくのも重要な仕事の一つかと思います。  しあわせ信州創造プラン2.0には、諏訪地域における産業競争力の強化に関する取組事項として、国際戦略総合特区の活用や、工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門の技術相談等により成長分野への参入を支援しますとあります。  一方で、こうした取組事項に関しては、なかなか地域の経営者の方にも理解しにくいことがあると思います。  そこで、県が進める計画をより広く理解してもらうためにもお伺いいたします。  まず一つとして、国際戦略総合特区の活用とはどのようなもので、地域経済にとってどのような恩恵をもたらすのか。  また、二つとして、工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門の技術相談等により航空・宇宙、医療・ヘルスケア等の成長分野への参入を支援するとは何か。具体的取組と進捗についてお伺いいたします。  さらに、当該プランには、製造業の付加価値額を、2,468億円から、2020年には2,590億円に伸ばす計画設定となっています。そこで、三つとして、数字を伸ばすための具体的取組と進捗についてお伺いします。  四つとして、この数字の変化に航空・宇宙、医療・ヘルスケア等の成長分野がどれくらい寄与するのか、つまり、これら成長分野の産業がどれくらい伸びていくと分析しているのか、お伺いいたします。  さらに、五つとして、米中の貿易摩擦等最近の経済環境を考慮し、この計画にどの程度変更が生じる可能性があるのか、対策と併せてお伺いいたします。  また、公立諏訪東京理科大学との連携によるAI、IoT等の応用研究と地域への普及を推進するとあります。まさに精密機械産業が集積する諏訪地域において必要不可欠な事業であり、これは、地域にある工学系大学の存在意義を発揮し、地域のために生かすチャンスでもあると思います。  これまでは、地域企業は、大学の知力に頼らなくとも自助努力でやってくることができた。しかし、今後テクノロジー化が進展していく社会の中で、従来型の製造業から産業構造が変化し、単独の事業体だけでは解決できない課題がたくさん出てくることが想定され、公立諏訪東京理科大学の必要性が増していくと想像します。  こうした環境変化の中で、諏訪東京理科大学が公立化されたことにより、これまで以上に研究体制が整いつつあり、産学官連携事業をより一層進めやすくなっている環境が整ったわけです。そこでお伺いいたしますが、六つとして、公立諏訪東京理科大学の応用研究と地域への普及とは、具体的にどのような取組で地域に落とし込んでいくのか。また、地域企業はどのように大学を活用していくことが有効と考え、県として支援していくのか。以上6点につき、林産業労働部長にお伺いします。  次に、人材の確保育成についてお伺いします。  現在も諏訪地域の有効求人倍率は高水準を維持しております。一方で、地方に人が集まらないのは、その地域に仕事がないからだというのが最も大きい理由であると思います。  諏訪地域においては、上述のとおり、製造業が集積し、さらに観光も盛んであり、様々な業種において仕事が見つけやすい環境にあると思います。しかし、人手不足の現状は変わっておらず、ここには求職側と求人側の溝がなかなか埋まっていない現状もあると思います。  では、このギャップの原因はどこにあるのか。双方のマッチングがうまくいっていない構造上の問題なのか、または双方のニーズがかみ合っていないのか、まずはこの点をしっかり分析をしていかないと、県や市町村が行う移住、定住の施策もうまくいかないと思います。県としてどのように分析しているのか、林産業労働部長にお伺いいたします。  さらに、ますます少子化が進み、人手不足が深刻となる社会において、地域で必要な人材は地域で育てるということも非常に大切なことだと思います。  また、せっかく就職しても思っていた仕事と違うという理由で辞めてしまうことも多く、こうした事態をなるべく起こさないように、学生のうちに、地域にどのような仕事があって自分に合う仕事は何かということを少しでも詳しく知る機会を与えてあげることが肝要かと思います。  プランでは、各教育機関との教育、訓練、研修の推進とありますが、地域の学校を出て地域で就職し、地域を担う人材を育てるという観点においても非常に重要なことであり、これは、各種企業や市町村、商工会議所等とも密に連携して進めていく必要があると思います。  そこで、お伺いいたします。県は、この事業をどのような立ち位置で、具体的にどのように推進していくのか、林産業労働部長にお伺いします。  次に、点と点を結びつけるための観光施策についてお聞きします。  上諏訪温泉、諏訪湖、霧ヶ峰高原、さらに蓼科高原や車山など県内有数の観光地や多くの登山者が訪れる八ヶ岳等の山岳高原を有する諏訪地域は、首都圏等からのアクセスに恵まれていることから、訪れやすい反面、日帰り客の割合が高くなっています。  こうした傾向は、諏訪地域に限らず、長野県全体にも言えることだと思いますが、そうした現状を踏まえ、観光客による現地消費を増やしていくことが県内の観光産業振興の上で重要になってまいります。  観光消費額は、しあわせ信州創造プラン2.0の重点目標の一つとして、また、諏訪地域の地域計画の達成目標の一つに位置づけられています。全県では2016年の7,322億円から2022年に8,100億円、諏訪地域では398億円を448億円にそれぞれ増加させる目標となっていますが、1として、観光消費額の増加に向け具体的に打った対策と効果についてお伺いいたします。  また、課題はいろいろとある中で、行政的視点で見れば、自治体ごとに対策を打っており、まとまって具体的な対策を打てていない現状もあるかと思います。確かに、アクセスのよさから日帰り客が多いのですが、これを打開していくために、それぞれに散らばっているおのおのの魅力を一体となってアピールしていくことが重要だと思います。  諏訪地域には、滞在型の観光地として売り出している魅力やファシリティーもそろっているのですが、現状はまだまだ点での魅力発信になってしまっていると考えます。そこで、県には、諏訪地域一体を包括的に売り出す施策の推進や地域自治体への指導により一層力を入れていただきたいと考えますが、どのようにお考えか、お伺いいたします。  また、今後大きく鍵を握るのはインバウンドにあると思います。現在は新型肺炎の影響があり、大きくこの点は落ち込んでおり、様々な変動リスクもあるわけですが、少子高齢化が進む日本においてはパイの縮小は避けられず、インバウンドに頼らざるを得ない状況もあるかと思います。  そこで、県が考えるインバウンド施策についてですが、まず、計画では2022年までの県全体の外国人観光客数を300万人にするとありますが、2016年で約113万人であり、これを5年で約3倍に増やすというのは自然増だけではかなり厳しいと感じております。そこで、まずは直近の数字とこれを実現するための具体的な施策について、諏訪地域の状況と併せてお聞かせください。県の考えでは、どの国の観光客を誘致するのが有効的か、そのためにどのように発信していくべきかなど、各市町村ではできない広域的視点でどのように取り組んでいるのか、中村観光部長にお伺いします。  未来を見据えた交通網と災害時のサプライチェーンの確保についてお伺いいたします。  諏訪地域においては、中央自動車道、JR中央本線を基軸として、現状首都圏へのアクセスは利便性が高い地域でございます。一方で、あずさの諏訪地域への発着数が減少するなど、地域全体での懸念事項も生じております。  また、昨年の東日本台風においては、諏訪地域への直接的な大被害はなかったものの、中央自動車道、中央本線ともに甚大な被害を受け、長期間にわたり首都圏から地域への大動脈が遮断されるという事態があり、地域住民のアクセス、地域経済を担う物流、観光産業への直接的なダメージも生じたわけでございます。  このことに関しては、県としても一日も早い復旧に向け全力を尽くしていただき、国やJRなどへの働きかけ、また、観光産業への直接的な支援をいただいたことに大いに評価と感謝をするところでございます。  一方で、地域としては、災害時における地域の交通網の脆弱性を感じた次第であり、地域企業、商店等におけるサプライチェーンの確保が必要であり、県として地域企業に対し緊急時のための対策をより一層促す必要があるかと思います。  そこでお伺いしますが、災害時のサプライチェーンの確保として、今後こうした事態がさらに長期化した場合において、まずは住民の生活を確保するための物資をどのように確保すべきか重要な課題です。そこで、事業者等に対して、供給先を首都圏、名古屋圏等に限定せず、災害対応も考えて多面的に構築するように呼びかける必要があると考えますが、所見を林産業労働部長にお伺いします。  また、プランには、「リニア中央新幹線長野県駅・山梨県駅へのアクセス手段等の検討と中央東線の利便性の向上に向けた取組を推進します。」とあります。リニア開通に向け、両県のリニア新駅と、県内各地を結ぶアクセス道路整備の現状と今後の見通しを長谷川建設部長にお伺いいたします。  次に、特急あずさに関する質問ですが、諏訪地域に限らず、長野県から中央本線を利用して東京圏に移動する際に主要な移動手段となる特急あずさでは、首都圏の駅のホームにおいて事故や危険行為が多発する影響で、鉄道のダイヤが度々乱れております。  そこで、ダイヤの安定という観点だけではなく、事故防止のため、県からJRに対して、新宿―八王子間のホームドアの早期設置を要望すべきと考えますが、県のお考えを伊藤企画振興部長にお伺いします。  次に、広域的に解決していくべき課題を県はどのようにフォローしていくかについてお伺いします。  地域には、今後広域的視点で解決していかなくてはならない課題が山積しております。少子高齢化が進む社会において、どの市町村も社会保障費が膨らんでいく中で、税収が減少していくことが想定されます。こうした社会の中では、できる限り近隣市町村と協力し、広域的視点で行政運営を行う必要があると思います。特に、公共交通に関しましては、長野県新総合交通ビジョンにもございますとおり、持続可能な公共交通の確保、中山間地域等における生活交通の確保が必要とあります。より一層近隣市町村で協力し、地域住民にとって必要となる公共交通網の確保が必要かと思います。  一方で、一つの自治体の中でも課題が山積しており、公共交通に関しても、市町村の垣根を越えて協力しながら進めることの難しさがあるように思います。しかし、住民目線の公共交通網の構築をより積極的に検討する時期にあると思います。  今後進むであろう公共施設の統廃合や人口減少からくる商業施設の撤退、また、地域にある医療機関の縮小等を考慮しますと、より一層地域住民の生活圏域は広域化することが想定されますが、それを担う公共交通網の構築は遅れており、さらに、市町村の垣根を越えて住民が広域的に利用できる公共交通構築はなかなか進んでいない現状があり、また、それぞれの自治体単独では進みづらい現実も理解できます。  そこで、長野県新総合交通ビジョンに、県と市町村は、適切な役割分担と連携の下、交通ネットワークの充実と公共交通の確保に取り組むとありますが、具体的な考え方について伊藤企画振興部長にお伺いします。  最後に、安心、安全な暮らしを守るためにやれることは何かについてお伺いします。  先ほども述べましたとおり、東日本台風における諏訪地方の影響は比較的軽度のものでありましたが、現実的には間一髪のところで難を逃れたというのが現実であります。最も危ぶまれたのが、主に茅野から諏訪を通り諏訪湖に抜ける上川の決壊でした。今回はまさにぎりぎりのところで防ぐことができたわけですが、これは、事前から降水量等を注視し、様々な対策を取っていただいた県の対応と、地元市町村並びに地域の消防団、地域住民の協力があってのことと思います。  一方で、もう少し降水量が多かったらどうなっていたのだろうと怖さも感じました。さらに、大災害は逃れたものの、要所に傷痕を残し、主に上川沿いに関しては損傷箇所も大きく、地域住民としては、今後いついかなるときに同じような災害が起こってもおかしくない環境の中で、できるだけ早急にその回復工事を行ってほしいという要望があります。まずは被災地の災害復旧に全力で当たっていただくことに誰も異存はないわけでありますが、住民感情としては、災害がなかった地域のことを忘れてはいないだろうかとの不安があることも理解できます。  先日の風間団長の代表質問の回答の中で、中南信地域にもしっかりと予算をつけ、防災・減災、国土強靱化に対応いただける旨の答弁がございましたが、改めまして防災・減災のための今後の対策と、強靱化のための3か年予算が終わった後も、有利な起債等を活用し、河川整備や損傷箇所の復旧に向けた取組について長谷川建設部長にお伺いいたします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)順次お答えいたします。  まず、諏訪地域の産業競争力の強化について6点お尋ねをいただきました。  最初に、特区の活用とその恩恵についてでございます。  国際戦略総合特区アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区は、工場立地に係る緑地規制等の緩和、施設設備に係る課税の特例、利子補給金等の支援策により、クラスター形成の促進や地域産業の国際競争力強化を図るものでございます。  本特区の県内のエリアは、平成26年に飯田・下伊那地域が指定され、平成28年に上伊那・諏訪地域へ、そして令和元年に長野市、上田市まで順次拡大し、現在63社、諏訪地域においては18社が指定を受けております。  航空機産業は、長期的な受注による安定経営が見込まれるほか、参入により蓄積される高度な技術や品質保証を生かし、新分野での受注拡大や人材確保などが期待されるところであります。  続いて、成長分野への参入支援の取組と進捗についてでございます。  航空・宇宙分野では、難削材加工など高度な技術にチャレンジする企業を支援するため、工業技術総合センターにおいて加工トライアル事業などを実施しております。諏訪地域の成果としては、精密加工業者1社がエンジン関連部品の受注獲得に至り、さらに、本年度は2社のサポートを行っているところでございます。  また、医療・ヘルスケア分野に取り組む県内企業は100社を超えており、昨年4月にスタートした信州医療機器事業化開発センター等が支援に当たっているところでございます。諏訪管内では、手術用医療器具や内視鏡用鉗子、ステントの開発など、これまでに9件の開発案件に取り組み、その結果、メディカルデバイスを手がける1社が手術用の微細な針の関連器具の発売に至ることができました。今後ともこうした取組により着実な成果を上げるべく支援してまいります。  次に、付加価値額の目標達成に向けた取組と進捗についてでございます。  インダストリー4.0と言われる技術革新がグローバルに展開する中、製造業の付加価値を高めていくためには、航空機や医療機器はもとより、バイオや次世代自動車などの成長分野への参入促進、あるいは大手メ-カーの製造を請け負う下請型企業から大手メーカーの課題に対してソリューションを提供できる課題解決型企業への転換、さらには、AI、IoT等の技術活用などの促進が必要と認識しております。  このため、平成30年3月に策定したものづくり産業振興戦略プランに基づき、諏訪地域への航空機システム産業の集積形成や、精密加工技術による医療・ヘルスケア機器分野への参入企業の集積形成に取り組むことに加え、基盤技術力を強化するため、工業技術総合センターによる研究会や開発支援の実施、その技術力を広くPRするための技術革新、新工法の展示会や、諏訪圏工業メッセ等を支援してまいっておるところでございます。  次に、付加価値の増額に対する成長分野の寄与ということでございます。  御指摘の諏訪地域の付加価値額の達成目標は、2015年の実績をベースに、年1%、5年間で5%伸ばすことを目指して算定しているものでございます。現在のところ、分野別の定量的なことは明確には申し上げられませんけれども、最新の工業統計によりますと、2017年の付加価値額は2,548億円と2年間で3%伸びており、諏訪地域の企業による成長分野への積極的な展開が寄与しているものと受け止めております。  続いて、米中の貿易摩擦等最近の経済環境を考慮した場合の計画変更の可能性と対策についてでございます。  県の平成29年輸出生産実態調査によりますと、諏訪地域の輸出出荷額は544億円余、そのうち、香港を含む中国向けが157.4億円、アメリカ向けは67.1億円で合計224.5億円となっており、米中両国のみで約4割を超えております。  こうした中、米中貿易摩擦など通商問題を巡る緊張や、新型コロナウイルス感染症の流行によるサプライチェーンの寸断、事業活動の縮小など、先行きは予断を許さない状況にあります。計画に及ぼす影響については現段階では明確に申し上げられませんが、県といたしましては、地域振興局に経営雇用に関する相談窓口を設置するとともに、経済情勢に注視しつつ、必要な取組を行ってまいります。  次に、公立諏訪東京理科大学との連携や地域企業の活用についてであります。  現在、公立諏訪東京理科大学では、AI、IoTを中心とした情報工学分野における大学院教育の実施と入学者数の段階的な増加を計画しており、人材供給や共同研究によるイノベーションの促進など、地域産業への波及効果が期待されるところであります。  同大学が有する技術シーズについては、テクノ財団や諏訪圏ものづくり推進機構等によるコーディネートの下、企業の技術ニーズを組み合わせ、事業化に向けた共同研究が展開されており、最近の事例といたしましては、IoTによる遠隔監視ができる浄水装置、あるいは次世代の無線技術を活用して登山者向けの見守り装置などの開発が行われております。  また、同大学のAI、IoTの情報系技術や人材育成プログラムは、信州ITバレー構想の推進エンジンの一つとして大変重要であり、今後ともさらに連携を強化して県内の企業の振興に努めてまいります。
     続きまして、人材の確保育成について2点お尋ねいただきました。  まず、求職者側と求人側のミスマッチについてであります。  12月のハローワーク諏訪管内の有効求人倍率は1.41倍となっておりますが、職種別に見ますと、サービス職や専門職、技術的職業などで2倍を超えている一方、事務職などは0.5倍台、職種によって求人と求職にミスマッチが生じている状況がうかがえます。  業界の状況をお聞きいたしますと、製造業では、理系学生の採用や即戦力となる中堅技術者の中途採用が困難なことから、エンジニアや専門職系のスタッフなどに慢性的な人手不足が生じております。また、観光分野では、勤務時間や勤務日が不規則となりやすい労働環境の特性などから、離職率が高く、ホテル、旅館のフロントや接客などに従事する方の人手不足が強くなっております。  このため、人手不足が顕著な分野への就職を促すリカレント教育を進めるとともに、製造業ではUIJターン就職の促進やプロ人材の誘致、諏訪東京理科大学等の大学連携による地元企業への就職の促進など、高度技術者や現場を支える技能者の育成確保が、また、観光分野では、地域が連携したインターンシップの促進による若者の就業促進や観光事業者と連携した労働環境の改善等、生産性向上の取組などが重要と考えております。  次に、人材確保・育成に向けた県の立場と具体的推進策であります。  県といたしましては、子供たちが地元で学び地元で働く郷学郷就の県づくりが重要との認識の下、産学官が連携して行うキャリア教育を推進しているところです。具体的には、小中高校等における職場見学や職場体験の取組に加え、熟練技能者等を学校に派遣して児童生徒にものづくり体験をしてもらったり、小学生が親子で企業の現場を訪れ、楽しく職場体験ができる機会を提供しております。諏訪地域の学校でも、地元の方を講師としたものづくりの体験や、地元企業の協力による職業体験を実施しております。県といたしましては、地域の子供たちに地域産業の担い手となってもらえるよう、こうした取組を強化してまいります。  最後に、災害時のサプライチェーンの確保についてお答えいたします。  災害時のサプライチェーンの確保については、議員の御指摘にもございましたが、多面的な供給体制の構築が重要であると認識しております。そのためには、事業者が平時から災害時の被害を最小限にとどめ、事業の継続や早期復旧に備えることを目的とした事業継続計画、いわゆるBCPの策定、運用が重要と考えております。  県では、商工会議所連合会など経済4団体、東京海上日動火災保険株式会社との間で平成25年4月に締結した長野県BCP策定支援に関する協定に基づく支援プロジェクトを実施しており、これまで225社の策定支援を行っております。  今後とも、商工会議所の経営指導員等プロジェクトメンバーと連携し、BCPの必要性や策定を呼びかけるとともに、策定済みの事業者も含め、持続可能なサプライチェーンの構築に向け、寄り添った支援を実施してまいります。  以上でございます。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)4点御質問をいただきました。  まず、観光消費額増加に向けた施策と評価についてでございます。  観光消費額の増加のためには、リピーターの増加や新規顧客の獲得など来訪者数の増加、滞在時間・日数の増加や、滞在期間中の消費額の増加など消費単価の増加、これらに寄与する施策を進めることが必要でございます。  県では、これまで、信州デスティネーションキャンペーンや、これを通じた食、体験メニューなどの観光コンテンツの充実、オーストラリアへのスノーリゾートプロモーションなど国、地域別の戦略的な誘客、商談会や旅行フェアへの出展によるPRなど、プロモーションを中心に取り組んでまいりました。  本県の観光消費額は、2018年に8,146億円と、前年に比べ1,053億円増加しましたが、詳細を見ますと、日本人旅行者につきましては、日帰り客数が増加する一方、宿泊者数の微減傾向が続いている。外国人旅行者については、宿泊者数は増加傾向にあるものの、伸び率が鈍化しておりまして、旅行者数のさらなる増加に向けた工夫が必要と評価しているところでございます。  団体旅行から個人や小グループの旅行への移行、また、スマートフォンを活用した旅行スタイルの定着など、旅行者のニーズも多様化、高度化しており、今後は、こうした点を踏まえると、より広域的な観点での持続可能な観光地域づくりを進めるなど、観光振興策を転換していく必要があると認識しております。  次に、地域が一体となった観光施策の推進についてでございます。  観光が地方創生の切り札、成長戦略の大きな柱として地域の稼ぐ力を引き出していくためにも、広域的な観光地域づくりを進めていく司令塔としてDMOの役割は極めて重要でございます。県では、これまで、県観光機構のDMOの形成支援センターや地域振興局と連携して、市町村域を超えた広域型DMOの形成に向け、準備段階から合意形成まで段階に応じた支援を行ってきております。  諏訪地域においては、諏訪広域観光シンポジウムの開催や、自立的な観光推進体制に向けたワークショップに何度も足を運び助言を行うなど、DMO形成の機運を高める取組を行ってまいりました。こうした過程を経て、現在は、関係者の間で、何を目指しどういう地域にしていきたいかといった共通のコンセプトや取組の方向を共有する段階に来ていると認識しております。こうした取組から、地域の合意形成に至るまでが非常に重要で時間がかかると認識しておりまして、この点に十分留意しながら引き続き丁寧に支援を行ってまいりたいと思います。  次に、外国人観光客数の現状と具体的な施策についてでございます。  平成30年の本県の外国人延べ宿泊者数は153万人と、対前年比18.4%の増で過去最高を更新し、昨年も、11月まででございますが、142万人と鈍化傾向にはあるものの、対前年比2.8%の増加で推移をしております。  諏訪地域の状況は、約5万7,000人で、対前年比7.7%増と、台湾、中国、韓国といった東アジアを中心に平成30年は増加に転じたものの、インバウンドの旅行形態の変化、いわゆる団体旅行から個人旅行への対応が課題となっているとお聞きしております。  県では、平成30年3月策定の長野県観光戦略の中で、2022年の外国人延べ宿泊者数300万人を目標に取り組んでいるところでございます。目標達成に向け、プロモーションだけではなく、長野県インバウンド推進協議会といった官民挙げての組織による受入れ環境の整備や二次交通の検討のほか、通年型マウンテンリゾートの形成やグリーン期における欧米、オーストラリアからの誘客、さらには、大阪観光局との連携による関西圏からの誘客の取組などを効果的に進めてまいりたいと思います。  最後に、国・地域別の取組についてでございます。  国・地域別の動向では、台湾が最も多く、次いで、中国、香港、オーストラリア、タイの順となっておりまして、全国と比較すると、台湾、オーストラリアの比率が高いのが本県の特徴でございます。  台湾、韓国は雪の黒部アルペンルートや松本城、中国はアウトレットでの買物、オーストラリアはスキー、スノーボードがそれぞれ主な観光目的となっておりまして、市場ごとに嗜好や特性が異なるため、アプローチする手法も国ごとに変えてきております。そのため、現在の市場からの誘客を進めつつ、欧米市場に人気のある中山道など街道をテーマとした誘客を進めるほか、中国市場には2022年北京冬季五輪により今後拡大するスキー人口を見据えたスキー誘客など新たな方策にも取り組んでまいります。  こうした状況を踏まえ、県では、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした誘客はもとより、例えば、軽井沢が上田、松本との連携により欧米やカナダをターゲットに広域周遊ルートを造成する取組や、大町、白馬、小谷をエリアとするHAKUBA VALLEYの取組を後押しするなど、より広域的な視点でのインバウンド推進に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)まず初めに、諏訪地域からのリニア中央新幹線長野県駅、山梨県駅へのアクセス道路整備についてのお尋ねでございます。  リニア活用基本構想では、木曽、諏訪、松本などの県中央地域をリニア3駅活用交流圏と位置づけ、諏訪地域におきましては、長野県駅に加えまして、山梨県駅の活用も視野に入れて取り組むこととしております。  このため、諏訪地域から長野・山梨のリニア駅へのアクセス道路につきましては、中央自動車道に新たに設置される仮称諏訪湖スマートインターチェンジと直結するアクセス道路整備を行うこととし、来年度から着手する予定としております。  また、長野県駅へのアクセス道路につきましては、中央自動車道に新たに設置される仮称座光寺スマートインターチェンジと直結する道路として座光寺上郷道路の整備を進めており、今年度から用地買収に着手したところです。  いずれのアクセス道路につきましても、地域の観光、産業、資源へのアクセス性の向上や、災害時、緊急時の重要な輸送路となることが期待されており、リニア中央新幹線の開業までに供用が図れるよう重点的に事業を進めてまいります。  次に、諏訪地域の今後の河川整備と復旧に向けた取組についてのお尋ねでございます。  まず、災害復旧についてですが、台風19号で被災した宮川の護岸などは、公共土木施設災害復旧事業として採択され、3月中には工事着手する予定です。また、御質問いただいた損傷した茅野市上川の護岸などは県単独費で対応することとし、今後、早期の復旧に向け取り組んでまいりたいと考えております。  次に、河川の整備についてですが、これまでも、砥川、承知川、塚間川、武井田川、新川で防災・安全交付金などにより計画的に実施してまいりました。各河川の事業を進め、順次治水安全度の向上を図ってまいります。  また、3か年緊急対策では、諏訪湖流入河川や宮川、上川の上流、日影田川で堆積土や支障木の除去に集中的に取り組んでおり、来年度も上川で実施してまいります。  さらに、次年度からは、有利な起債である緊急浚渫推進事業債を活用して河川やダムのしゅんせつに取り組むこととしており、諏訪地域でも積極的に実施してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)公共交通について二つ質問をいただきました。  まず、新宿―八王子間の駅へのホームドアの早期設置を陳情すべきということですけれども、国は、1日当たりの平均利用者数が10万人以上の駅にホームドアを優先的に整備することといたしまして、令和2年度までに全国で800駅を目標に取組を進めているところです。  特急あずさが運行されています中央東線につきましては、JR東日本が令和14年度末頃までに新宿から八王子間、さらには高尾まで、1日10万人に満たない駅も含めまして全ての駅にホームドアを設置する方針としております。  これを踏まえまして、長野県、山梨県、沿線市町村等で構成します中央東線高速化促進広域期成同盟会におきまして、ホームドアの設置等による転落防止対策の推進について毎年JR東日本や国に対しまして要望活動を行っております。引き続き早期のホームドア設置に向けまして要請を続けてまいります。  次に、広域的な交通ネットワーク構築に向けての考え方ということでございます。  新総合交通ビジョンでは、県の役割といたしまして、全県的または広域的な観点から交通の維持活性化が必要な場合には、関係者と十分な調整を図り、主体的、主導的に取り組むこととしております。  この考え方を基本といたしまして、現在、県では、広域圏ごとに、特に生活圏を意識しながら地域交通の現状や課題を把握し、データ分析に基づいて課題解決に向けて検討いたします地域公共交通最適化サポート事業のほか、交通ネットワークの補完、効率化を図るため、タクシーを活用した高齢者等の移動ニーズへの対応ですとか、ICT技術を活用した利便性や効率性の向上などの取組を市町村や事業者と一緒に推進しているところです。  折しも、今国会に地域公共交通活性化再生法等の改正案が提出され、県と市町村が今まで以上に連携を強化し、地域公共交通計画の策定や取組などを進めることを求めております。こうした動きも踏まえまして、県といたしましては、市町村との連携、協働を一層強めながら、市町村域を超えた広域的な交通ネットワークの構築について責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔9番丸茂岳人君登壇〕 ◆9番(丸茂岳人 君)それぞれについて御答弁いただきました。  産業競争力の強化については、県全体に言えることですが、地域企業の産業構造の変化への対応をしっかりと後押しいただき、成長分野を伸ばし、企業のさらなる底上げをお願いするとともに、そこには地域の大学をしっかりと活用する必要があると思います。県にはそのための橋渡しをお願いしたいと思います。  新型肺炎の影響から、我が国全体で実体経済への影響が出てくることが予想されますし、特に製造業への影響が懸念されます。できる限りの支援をお願いしたいと思います。  人材の確保育成に関しましては、求人側と求職側のミスマッチを極力なくし、地域で必要な人材は地域で育てていくための支援をよろしくお願いいたします。  県には、観光や公共交通のみならず、市町村単独では現実的な課題解決に至らない様々な課題に対し、管理監督のみならず、先導役としての具体的役割も大いに期待されるところでございます。  安全な暮らしの確保の観点においては、今後いついかなるときに起きてもおかしくない大災害のために対策をお願いするところでございます。社会保障費が膨らんでいく中で、予算の確保が厳しくなることも想像できるわけでございますが、防災・減災、国土強靱化は、県民の命に直結する課題でございますので、人とコンクリート両輪での対策をお願い申し上げまして、一切の質問を終わります。 ○副議長(荒井武志 君)次に、依田明善議員。       〔34番依田明善君登壇〕 ◆34番(依田明善 君)自民党県議団、依田明善です。通告に従い、御質問させていただきます。  昨年の出来事を振り返りますと、やはり台風19号の災害を筆頭に挙げなければなりません。そして、政治的に大きな出来事といえば、昨年10月に消費税が10%に増税されたことが挙げられます。大きな金融危機や大災害が起きない限りは予定どおり増税する、そんな中で実行されたわけですが、その直後に大規模な台風災害に襲われてしまいました。  1997年に3%から5%に増税した際、実質消費額の伸び率は2.61%から1.14%に落ちました。ただし、リーマンショックが起きたのはそれから11年もたった2008年のことであります。また、東日本大震災は、リーマンショックから3年が経過した2011年であります。したがって、その後の消費は緩やかに回復しております。  また、消費税が8%に増税されたのは2014年ですが、時期とすれば東日本大震災から3年という歳月が流れております。このときの実質消費額の伸び率は0.41%とかなり低迷しました。それでも、大不況にはならなかったわけであります。  ところが、今回の増税はどうでしょうか。昨年の10月に消費税を10%に上げましたが、2週間もしないうちに台風19号の大災害に襲われてしまいました。そこに輪をかけるように異常とも言える暖冬が続き、さらには新型コロナウイルスが発生し、世界中に広がっております。 このパターンは、明らかに過去とは違います。何やら底知れぬ不安を感じるわけですが、そんなことを踏まえながら御質問させていただきたいと思います。  昨年の4月1日より働き方改革関連法が大企業において施行されました。そして、中小企業につきましては、本年4月1日より施行されるわけであります。  御存じのとおり、この法律の一つ目のポイントは、時間外労働、つまり残業の上限を法律で決めるということです。月45時間、年間360時間が上限となっておりますが、臨時的で特別な事情がある場合は年に720時間を限度とすることができます。ただし、これらに違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。  二つ目のポイントは、使用者側は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対して、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与えなければなりません。違反した場合は30万円以下の罰金が科せられます。  三つ目のポイントは、正規と非正規の雇用労働者の間で、基本給や賞与、手当などの不合理な待遇差が禁止されます。いわゆる同一労働同一賃金であります。これらに違反した場合は、罰則規定はありませんが、労働者から訴えられるといったリスクを負うことになります。  さて、ここで問題になるのは、利益率も少なく運転資金や人員にも余裕のない中小零細企業においては、まさに死活問題になるということであります。生産性の向上といっても限界がありますし、結局は新たに人を雇わなければならない。それができない場合は、経営者が毎日の長時間労働に耐えながら会社を維持していかなければなりません。働き方改革関連法の施行を前に戦々恐々としている経営者は数多くいらっしゃいます。  建設業の場合、工期が決められておりますから、働き方改革の出勤日数に当てはめると工期に間に合わなくなるおそれがあります。職人は簡単には確保できませんので、工期に遅れると会社は信用を失います。法律に縛られない一人親方も忙しくはなるでしょうが、その数には限りがあります。むやみに忙しくなるばかりで収入はさほど上がらず、根本的な解決にはなりません。  中小零細企業に対する国からの助成金等もありますが、手続が煩雑であったり、期間や条件がそろわないと受給できません。そのため、運転資金に余裕のある企業は専門業者に手続を委託するという手段を取っておりますが、余裕のない事業所は助成金の申請すらできないのが現状です。経営者の中からは、いっそのこと各企業の雇用条件、業種によって助成金を分配していただきたいといった声も聞こえてまいります。  私が調査した中で、ある老舗の業者さんは、会社を存続するかそれとも廃業するかで悩んでおりました。地域にとってなくてはならない業者ですが、そこまで追い詰められていたことに正直言って驚きました。高い理想に燃え、専門学校などで技術や理論を学び、修業を積みながら資格も取り、晴れて経営者になった皆さん。しかし、経営者ともなれば、仕事も確保し、良い仕事を施し、従業員に給料を支払う責任も負わなければなりません。さらに、待ったなしの手形や小切手などが絡んできますと、決済日などあっという間にやってくる。経営者の大変さはそこにあります。  日本の労働者の多くは優秀で勤勉ですが、中には、スキルアップの努力もせずに、悪いことは全て社会や会社のせいにして弱者を強調する人々もおります。しかしながら、経営者の多くは、窮地に追い込まれても家族にすら弱音を吐けないという傾向が強いのです。  御存じのとおり、中小零細企業の多くは経営と資本が分離しておらず、社長や家族が連帯保証人というケースも珍しくありません。また、経営者の中には地域のリーダー的な存在の方が多く、それだけに、自尊心も人一倍高いわけであります。したがって、最後の最後まで人知れず頑張ってしまう。それが、ある日突然、ぷつんと糸が切れ、無気力や自殺といった形になって現れてくるわけであります。  アメリカのビジネスの世界は、義理人情がない、血も涙もないなどと言われておりますが、金融機関に対して個人保証を負わせられるケースは少ないので、自殺は少ないのであります。その点は、日本の社会システムのほうがはるかに経営者に厳しく、それが自殺につながっているという事実は否めません。これでは、若者に起業を促し、失敗を恐れてはならない、夢を持てなどと叱咤激励したところで、二の足を踏んでしまうのは当然です。  平成30年の職業別自殺者の数を見ると、全体の2万840人に対して、自営業者やその家族従業者の自殺は実に1,483名でありました。ここで注目すべきなのは、無職の人々の自殺率は年々下がっているのに、自営業者や家族従業者の自殺はさほど減っていないということであります。社員など雇用される側も6,447名が自殺しておりますが、分母の数を考慮しますと、自営業者や家族従業者の自殺の数は極めて異常だと思います。そこで、働き方改革関連法をめぐる中小零細企業の厳しい現状や課題、さらには改善策等について、産業労働部長の御見解をお聞かせください。  また、それに付随して、大手の建設業者等が下請に発注する際、法定福利費を計上しない事例が多く、中小零細企業の経営を圧迫しております。この点については、建設部長に御見解をお聞かせいただければと思います。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)働き方改革関連法をめぐる中小企業の現状、課題及び改善策等について御質問いただきました。  このたびの働き方改革関連法の趣旨は、投資促進やイノベーションによる生産性向上とともに、働く方一人一人がよりよい将来の展望を持てるよう、多様で柔軟な働き方が選択できる社会を目指すものと認識しております。  帝国データバンクの調査によりますと、長野県内の働き方改革に取り組んでいる企業の割合は67.5%となっているものの、企業規模別の状況を見ますと、大企業で90.9%、中小企業で63.7%と、法律の適用時期の違いはありますが、その差は30%近くに及んでいます。  また、議員御指摘のように、中小企業には、必要性は認識しながらも、企業規模や取引先との関係などを理由に生産性の向上が思うように進まず、働き方改革の取組の見通しが立たないとの声があるのも承知しております。  このため、県といたしましては、長野県就業促進・働き方改革戦略会議の地域会議の場や、職場環境改善アドバイザーの活動をはじめ、連携する労働局や経済団体の指導員等による企業訪問などを通じ現状の把握に努め、個々の企業の状況に応じた対応策について相談、アドバイスを行っているところであります。  今後、働き方改革の取組が加速していく中にあって、各企業が着実に成長、発展できますよう、販路開拓や生産性向上も含め、寄り添った支援に努めてまいります。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)工事の下請契約における法定福利費についてのお尋ねでございます。  法定福利費は、社会保険等に加入するために必要な費用であり、労働者の医療、年金などの公的保障確保のため下請業者に支払われるべき費用であると認識しております。  今年度国が行った調査によりますと、法定福利費を全額受け取ったと回答した一次下請業者は約6割という結果が出ており、近年数字は上がってきてはおりますが、まだまだ改善が必要であると考えております。  県発注工事におきましては、法定福利費を含めた下請契約が促進されるよう、平成30年度に標準請負契約約款を改正し、工事の請負代金内訳書に法定福利費を明示することとしております。今後は、県発注工事を含む全ての工事において法定福利費を含めた適正な請負代金が下請業者に支払われるよう、法定福利費が明示される標準見積書の活用について、引き続き講習会などを通じて請負業者に促すとともに、建設業団体にも強く要請するなどの取組を行ってまいります。  以上でございます。       〔34番依田明善君登壇〕 ◆34番(依田明善 君)御答弁をいただきました。  個々の経営者に寄り添い、―歩一歩前進させていきたいとのお答えでした。法定福利費も含めて、ぜひとも経営者になった気持ちで頑張っていただきたいというふうに思います。  弱者の定義とは何なのか。固定観念だけで判断してはいけないと私は思います。雇用する側は強者、雇用される側は弱者という紋切り型の固定観念では、決してよい社会は生まれません。今は社員でも、やがて経営者になる方はおりますし、その逆もあります。社長になったからというだけで強者としてのレッテルを貼ることは避けなければなりません。  障害者、高齢者、女性や子供、低所得者、貧困家庭などは社会的弱者として捉えられております。だとすれば、寝る間も削って頑張っているにもかかわらず苦労と損ばかり強いられている中小零細企業の経営者の皆さんも、れっきとした弱者だと私は思います。この人たちに向かって、経営者なんだから苦労は当たり前だと言って切り捨ててしまえば、日本の社会は暗たんたるものとなってしまいます。ぜひとも、雇用する側、される側、両方に目配りをした心の通った施策展開をお願いしたいと思います。  次に、所有者不明土地について御質問させていただきます。  平成30年に成立した所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法では、市町村から固定資産課税台帳や地籍調査票などの情報提供を受けることが可能となり、検索の糸口が得られやすくなりました。
     平成30年6月定例会では、所有者不明土地への不法投棄についても質問をさせていただきましたが、昨年の令和元年東日本台風で発生した廃棄物の不法投棄は大変気になるところであります。  通常、大規模な災害が発生すると、災害廃棄物の不法投棄行為が必ずと言ってよいほど発生いたします。今回の災害において、所有者不明の土地など日常管理されていない場所への災害廃棄物の不法投棄は発生しているのか。さらに、そのような事案への対応もしくは未然防止対策について県はどのような対応を取られたのか、環境部長にお伺いいたします。  また、災害の規模から推定しますと、今後、所有者不明の土地など日常管理されていない土地への災害に起因する廃棄物の不法投棄が懸念される中で、これまで以上に不法投棄対策に力を入れるべきと考えますが、併せて環境部長の御所見をお伺いいたします。  さて、所有者不明の山林をはじめ、管理されていない荒れ地が不法投棄のターゲットになりやすいという話になりますと、管理の基本となる地籍調査が重要になってまいります。ただし、長野県の地籍調査の進捗率は39%であり、中でも森林は30%と農地などに比べて遅れている状況です。これは、森林の境界を知っている方々の高齢化が進む一方、長らく林業が低迷していたために、後継者の皆さんの多くが森林に無関心になっていることも一因です。県としても、地籍調査の重要性を積極的に啓発する必要があると思いますが、農政部長の御所見をお伺いいたします。  さて、この地籍調査ですが、防災・減災のため、砂防堰堤などの建設を予定している地域を優先して進捗を図っているとお聞きしております。言うまでもなく、砂防堰堤の多くは森林地域内に建設されておりますが、二酸化炭素を吸収する森林の保全や整備は、気候非常事態宣言のゼロカーボンに向けた取組としても重要だと思います。  最近は、現地での境界確認を行う代わりに、航空写真や航空測量データなどリモートセンシング技術を活用して、現地に精通している方の意見もお聞きしながら図面を作成しております。そして、こういった図面や画像は公民館などを借りて地権者にも確認していただいておりますが、山に行くずくのない地権者などにとっても非常によい取組だと思います。こういった新技術を活用した地籍調査について今後どのように進めていかれるのか、農政部長にお伺いいたします。  次に、水資源の保全についてお聞きいたします。  長野県は、平成25年3月に長野県豊かな水資源の保全に関する条例を制定いたしました。その背景として、県は次のように説明しております。目的不明の土地取引による地下水への影響や涵養機能の低下による地下水の減少などを契機とし、水資源の重要性が高まってきた。全ての県民が将来にわたって豊かな水資源の恵みを享受するためには、県、土地所有者、事業者、県民などがそれぞれの責務を認識する必要がある。このため、県では、土地所有者等が行う水質の保全及び水量の確保に対する取組や、市町村が行う地下水の取水に関する規制等の取組と相まって、県が水源地域の土地の取引等について常に把握し、適切に指導、監視していくために事前届出制を導入したということであります。  しかしながら、世の中のグローバル化が進む中で、外国資本が日本の水源も含めた土地を購入する事例も発生しているようです。ただし、その実態は正確には把握されておりません。なぜならば、購入する側が正体を隠し、二重、三重のダミーの契約者を立てて土地取引を行うからであります。ただし、そうなってまいりますと、現在の水資源保全条例では大切な水源地を守ることはできません。気がついたら自分たちの飲み水が外国資本に牛耳られていたなどという悲劇も起こり得るわけであります。  御存じのとおり、日本は自由に土地の売買ができる国であります。世界中から清らかな水資源が失われようとしている昨今、日本のおいしい水は外国人にとっては喉から手が出るほど貴重な資源であります。したがって、安全保障の観点からも、生きる源である水資源を我々は未来永劫守り抜く義務があると思います。それには、今の水資源保全条例では、もはや世の中の厳しい現実に立ち向かえなくなっていると私は思います。やはり、外国資本などの文言も明記して警戒感を世に示し、長野県に存在する全ての水源を掌握する中で、それを徹底的に守ることをうたい、違反した場合の厳しい罰則も設け、まさに水も漏らさぬ条例として改正していく必要があると思います。水資源保全条例が制定されてから6年の歳月がたっているわけですが、今までの条例の具体的な功績も含めまして、環境部長の御見解をお聞かせください。  さて、本県では、2050ゼロカーボンを宣言いたしました。これにちなみ、今月14日に県内大学と長野県議会との包括連携協定に基づく議員研修会が開催されました。講師は、信州大学人文学部の准教授であります茅野恒秀先生、テーマは「SDGs未来都市・長野県の暮らしとエネルギー」でありました。  大変興味深く拝聴させていただきましたが、配られた資料の最後のほうに、日本は世界で最もまきを使わない先進国になったという項目がありました。それを見て私は愕然としたわけですが、先進国におけるまきの生産量は、1位がフィンランドで100万人当たり1年間に1,015立米、2位がスウェーデンで651立米、3位がフランスで585立米、日本は残念ながら17か国中最下位でたったの0.9立米。1位のフィンランドの実に1,000分の1ということであります。しかも、木炭の生産量も60年前あたりから減り始め、それに比例してマツタケの生産量も激減の一途をたどっております。これは、つまり、山を整備しなければマツタケも生えないということを物語っているわけであります。  また、茅野先生は、まきの利用者も調査をしております。調査対象は、安曇野市の約4万世帯ですが、まきストーブの利用が確認できた1,639軒を調査した結果、次のような結果が得られました。まきを確保するために自ら山へ入る人2割強、原木を入手してまき割りをする人が5割、完成したまきを入手する人2.5割ということだそうです。  また、まきの調達にかけるコストの平均値は約4万円。これは、あくまでも平均値ですから、製品になったまきを購入する場合はその何倍もお金がかかります。また、原木やまきの入手は年々困難となっており、森林があるのに資源にアクセスできないという現状がかいま見られるとし、奪い合いを避けるためには、社会関係の整備や再構築が急務であると茅野先生は結論づけております。  私は、この点につきまして、自分もまき集めのボランティアに関わっている経験から、少しだけお話をさせていただきたいと思います。  今から12年前、私は仲間とともに環境ボランティア団体を立ち上げました。当時掲げたスローガンは「ずくが地球を救う」でした。これは、山が荒れると農地も荒れてしまい、やがて人の心も荒れてしまうという危機感を背景に、切り捨て間伐など山に放置してある樹木をみんなでずくを出してまきにしましょうという団体であります。  具体的には、まきストーブの利用者や環境保護に興味のある皆さんに声をかけ、月に一度、みんなで山に入るというものです。山といっても他人の山ですから、事前に許可を得なければなりませんが、ただで森林がきれいになるということで、賛同こそすれ、断る方はほとんどおりませんでした。その代わり、集めた樹木は全てただで頂くという約束でありましたから、みんながトラックやチェンソーを持ち込み、山盛りにして自宅に運んだわけであります。エリアは、佐久、小諸、軽井沢方面であり、初めて訪れるような場所は新鮮で心も躍りましたし、地元の皆さんとの楽しい交流もありました。  また、一度場所を覚えれば、個人的にまきを取りに行くことは自由です。ずくさえあれば大量のまきがただで手に入ります。誰もが得をする三方良しの理念の下、この活動は今でも続いております。会員数も増えておりますので、まき取りの回数は現在は月2回に増えております。  また、この作業に参加される皆さんは非常にバラエティーに富んでおりまして、元教師、元警察官、元役人、元飛行機の整備士、ミュージシャン、大工さん、農家さんといった方々もおられます。したがって、時々行う懇親会やミニコンサートなどは和気あいあいとなり、若い会員さん同士で結婚された方もおられます。  近年、SDGsという言葉はあちこちで耳にするようになりましたが、何も堅苦しく考える必要はないと私は思います。持続可能な社会というものは、太古の昔から数十年前までは人類が当たり前のように実現してきたことであります。県民が一丸となってずくを出し、ものや労力を分け合うという心を持てば、お金をむやみにかけなくても持続可能な社会は実現できると思います。このSDGs、持続可能な社会の構築について、知事の御見解と決意を改めてお伺いをいたします。  最後に、農業分野における外国人技能実習生の受入れについてお伺いいたします。  高原野菜の大規模農家においては、今年もいよいよ外国人技能実習生を迎える時期が来ております。ところが、新型コロナウイルス感染に対する心配から、実習生の受入れが予定どおり進まなくなることを農家の皆さんは危惧しております。新型コロナウイルスの拡大には最大限の警戒が必要ですが、長野県農業の発展のために多くの危機等を乗り越え、長い間活躍してこられました山本農政部長に、農業分野における外国人技能実習生の受入れの今後の見通しはどうなのか、御見解をお伺いいたします。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)4点御質問いただきました。  初めに、日常管理されていない場所等への災害廃棄物の不法投棄が発生したのかというお尋ねでございます。  これまで、今回の台風第19号災害に起因する廃棄物の悪質な不法投棄は発生していないものと認識しております。なお、今回の台風災害では、市町村が指定した災害廃棄物仮置場への運搬に相当の時間を要したり、運搬する手段がない等の理由から、多くの市町村でやむを得ず自治体が指定した仮置場以外に廃棄物が集積された場所があったことは承知しております。しかし、そうした集積所につきましては全ての市町村で確実に把握されておりまして、ボランティア、事業者及び行政の連携によりまして昨年末までに全て解消されたところでございます。  次に、これまで行いました不法投棄防止対策についてでございます。  今回の災害では、大量に廃棄物が発生したことから、災害廃棄物等の不法投棄が懸念されたところでございます。このため、災害廃棄物仮置場やその周辺を中心に巡回、監視を強化するよう地域振興局環境課へ通知いたしまして対応したところでございます。  また、昨年11月19日から29日にかけましては、夜間を中心に集中的に本庁の廃棄物監視員による不法投棄監視パトロールを16市町村で実施したところでございます。  最後に、今後の不法投棄防止対策についてでございます。  全国的に、大量の災害廃棄物が発生した際には、不法投棄事案が散見されていると聞いておりまして、本県におきましても不法投棄防止対策の強化が必要と認識しているところでございます。そこで、来年度から、パトロールを委嘱している不法投棄監視連絡員の勤務時間を拡充することとし、不法投棄されるおそれのある箇所を中心に巡回いただくとともに、職員による夜間監視につきましても回数を増やすなどの対応を取っていくこととしております。  このほか、市町村に対しましても、日常の管理が行き届かない土地などへの不法投棄防止対策について助言を行うなど、さらなる対策に努めてまいります。  最後に、水資源保全条例についてでございます。  この条例は、水資源の保全上必要な区域を市町村長からの申出により水資源保全地域として指定した上で、その地域内で土地取引等をする場合には知事への事前届出を義務づけ、水資源の保全に支障があると認めるときは土地所有者や契約の相手方に必要な助言を行うものでございます。  水資源保全地域には、現在、5市町村で18水源を指定しておりますが、これまでに指定地域内におきまして土地取引が行われた事例はないことから、土地取引に対して一定の抑止力が働いているものと考えております。  条例制定から6年余りが経過いたしますが、水資源保全地域への指定はまだまだ進んでいないという状況がございます。その一方、既に地域の実情に合わせまして、地下水の取水に関して独自の条例により規制を課している市町村も多くございます。県条例改正のお話がございましたけれども、県といたしましては、まずは水資源保全地域の指定を進め、市町村による規制と県条例との組合せにより必要な水資源の保全を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)3点御質問をいただきました。  まず、地籍調査の重要性の啓発についてのお尋ねでございます。  地籍調査の重要性につきましては、知事から小島議員の御質問にお答えしたとおりでありまして、県では、令和2年度から始まる長野県第7次国土調査事業十箇年計画を策定するに当たり、昨年度から事業主体の市町村に対し講習会などによりその重要性を説明しているところであります。また、調査未着手や休止中の市町村に対しては、地域振興局が個別に訪問し、実施に向けた働きかけを行っております。  今後も、引き続きこうした啓発を積極的に行うとともに、新規着手や再開を検討している市町村に国の地籍アドバイザーを派遣し、実施に向けた支援を進めてまいります。  続きまして、新技術を活用した地籍調査の進め方についてのお尋ねでございます。  国は、リモートセンシングなどの新技術を活用した地籍調査を促進するため、平成29年度からモデル的な調査を行うとともに、その成果を踏まえ、現地での境界立会いに代わって図面での境界確認を可能とするなどの国土調査法等の改正を行うこととしております。  県では、昨年度から市町村や測量業者を対象にした研修会を開催し、林務部が所有している航空写真や航空レーザー測量等のデータの利用方法を説明するとともに、国土交通省の担当職員や専門家を招き、事例を紹介するなど、啓発に努めているところでございます。今後は、県の地籍調査推進支援事業を活用し、新技術の導入を検討している市町村へ直接専門家を派遣するなど、引き続き新技術を活用した地籍調査を促進してまいります。  次に、農業分野におきます外国人技能実習生の受入れ見通しについてのお尋ねでございます。  本県における農業分野の技能実習生は、昨年9月時点で2,324人となっておりまして、出身国別では、中国が全体の約3分の1で、ほかにベトナム、フィリピンなど中国以外の国が約3分の2を占めております。  現在の状況について農業技能実習生の受入れを予定している主要な監理団体から聞き取りを行ったところ、2月中旬まではいずれの国からも予定どおり入国しており、県内で研修が開始されているとのことであります。  今後につきましては、中国以外の国からは予定どおり入国できるとのことですが、約500名の中国からの実習生につきましては、ビザの発給遅れや航空券が確保できないこと等によりまして入国に遅れが生じる見込みと聞いております。現時点のJA等からの情報では、渡航に遅れが生じた場合も、収穫が始まる5月中旬までに入国できれば本年の生産に直接的な影響は出ないと聞いているところです。  県といたしましては、実習生の入国時期等について引き続き国やJAグループ、監理団体など関係機関と連携し、情報収集に努めるとともに、入国がさらに遅れる場合には、JAグループ等との協力により農業労働力の確保に努め、本県農業の生産に極力影響が出ないように対応してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、SDGs、持続可能な社会の構築についての見解と決意という御質問をいただきました。  依田議員の御質問にもありましたように、私も、このSDGs、持続可能な開発目標というものは、全て新しい価値が出てきているとか、堅苦しく考えなければいけないというものではないというふうに思います。  例えば、ゴール6、全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する、これは、まさに水道、下水道をちゃんと整備しましょうという話でありますし、ゴール15などは、持続可能な森林の経営、まさに依田議員が御質問の中で触れられました森林ボランティアの皆さんの活動や昔ながらの里山の利用、こうしたことを言い表しているものというふうに考えております。  ただ、SDGsは、世界共通の目標になっているということ、また、企業なども含めて様々な主体が協働しながら取り組んでいくというところに大きな意義があるというふうに思っております。そういう観点で、私としては、我が国や本県がこれまで大切にしてきた暮らし方や生き方は引き続きしっかりとその価値を認識し、大切にしながらも、県民、企業、団体など様々な主体の皆様と連携、また、時には支援し、オール信州で未来のビジョンを共有してSDGsの取組を進めていくということが大変重要だというふうに思っております。SDGs未来都市として責任ある取組をしっかり進めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔34番依田明善君登壇〕 ◆34番(依田明善 君)それぞれ御答弁をいただきました。  不法投棄につきましては、監視の目を光らせ、成果も上がっているようなので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。  地籍調査につきましては、所有者の責任感を促すという役割もあると思います。新技術を駆使してさらに推進していただければと思います。  水資源の保全につきましては、日本人が日々生きていくための最も大切な施策だと思います。持続可能な社会の基本は、おいしい空気と水の確保だと思いますし、日本の水が狙われているというのは周知の事実であります。ぜひとも懸命に守り抜いていただきたいというふうに思います。  最後に、SDGsの件ですが、持続可能な社会の構築などというフレーズがこのところブームになっておりますけれども、裏を返せば、人類の未来に警鐘が鳴らされているということであります。しかしながら、人類の危機を救うのは、やはり人類しかおりません。それが実現できるのかできないのか、そのことを我々は自然界から試されているのだろう、そんなことを最後に申し上げまして、一切の質問といたします。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(荒井武志 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時23分休憩          ──────────────────         午後2時39分開議 ○議長(清沢英男 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  丸山大輔議員。       〔21番丸山大輔君登壇〕 ◆21番(丸山大輔 君)信州まつもと空港についてお伺いいたします。  信州まつもと空港は、昨年神戸便が就航し、また、国際チャーター便も44便と過去最高を記録するなど、信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針の実現に向けお取り組みいただいているところであります。  国際チャーター便については、日韓のあつれきや台風災害、新型コロナなど不測の事態がなければより多くの運航が達成できたと思いますし、来年度はオリンピックもあることから、さらなる国際チャーター便の増加と定期化への取組を期待するものであります。  神戸便についても、1月は64%と他の路線並みに落ち着きましたが、11月は84.7%、12月は78.2%と高い利用率を達成しており、神戸空港から発着する空港も多いため、乗り継ぎ利用なども含めた今後の展開が期待できる非常に大きな成果であったと感じております。  中信地域にとっては、特急あずさが新宿まで2時間半を超える状況は当面改善される見通しが立っていませんし、中部縦貫自動車道や松本糸魚川連絡道路などの整備も、前進してはいるものの、まだ相当な時間がかかる状況でありますから、松本空港が地域外との交流の窓口として大変重要な役割を担っています。また、観光、ビジネスの中核的交通インフラであることから、さらなる活用をいかに成し遂げていくかは本県の最重要課題の一つに挙げられます。  長野県営業本部は、信州食材の新たな販路の拡大のため、沖縄でのテストマーケティングや沖縄国際物流ハブを活用したアジア向けの海外展開を検討されています。沖縄関係の流通業者やリゾートホテルなどへの販路開拓を行うということですし、沖縄大交易会への出展も計画されています。  沖縄との連携や市場の可能性などについては、先日の山岸議員の質問への答弁からも、双方に利益と新たな価値の創造が見込めることや、幅広い交流の中で可能性を探っていくことなどが必要との認識が示されましたし、また、学習旅行の誘致に向けても取り組んでいかれるということでありますので、これらを達成していくためには、沖縄との移動の利便性が求められます。  一方、沖縄県は、国際旅客ハブ構想の下、欧州、アジア、日本国内周遊の拠点を目指し、航空路線の拡大を図るとともに、プロモーション事業や他都市との連携事業に取り組んでいます。現在は、東京、北海道、静岡の3地域との連携によってそれぞれの魅力を発信し、相乗効果を生み出そうという戦略であり、ここに世界級の山岳リゾート長野を早期に売り込んでいくことができるか否かが世界に選ばれる通年型のマウンテンリゾートとなっていけるかの正念場と考えます。  沖縄から4~5時間圏内には、中国14億人、ASEAN6億5,000万人の巨大な市場があり、多くの外国人観光客を集めています。このインバウンドを長野県に取り込むことで、長野県観光にとっては非常に大きな力とすることができます。また、那覇空港は沖縄国際航空物流ハブとしての機能も有しており、ANAの沖縄貨物ハブが実現した2009年秋以来、国際貨物取扱量は目覚ましい勢いで伸び、ここ数年は減少するものの、現在10万4,000トン余りに上ります。アジア主要都市間との輸送が4時間圏内という地理的優位性を活用することができれば、長野県産業の輸出戦略にとってはスピードと広がりの両面で大変大きな足がかりとなります。  現在、沖縄との行き来には、一般的には羽田空港まで行くことになりますが、羽田空港に行き着くまでに相当な時間や乗り継ぎの労力を要すことは皆さん実感されていると思います。松本空港から沖縄への空路が開設されれば利便性は飛躍的に高まることから、長野県からの渡航には十分な需要も見込めることと思います。対して、沖縄からの渡航需要については読み切れない状況ではありますが、先ほど述べました沖縄県の戦略と長野県の観光戦略を組み合わせて相乗効果を生むことや、学習旅行の振興などに取り組むことで需要の確保は実現するものと考えます。  沖縄への航空路線の就航と定期便化については、需要が見込めるかという問題とともに、那覇空港には発着枠が残っていないという問題がありましたが、那覇空港は第2滑走路をこの3月に供用開始することから、受入れ可能な便数は1.8倍になるとのことであり、今、絶好の機会であると言えます。  先日の諏訪議員への御答弁では、下地島空港などとのさらなる路線拡大に向けて取り組まれる旨の御答弁があり、これが実現すれば当然大変な飛躍につながるものとは思いますが、この際、那覇空港との定期路線を構想することは、より多くの観光誘客や利便性の向上、産業の発展につながると考え、質問いたします。  那覇空港とは将来的に貨物空輸もできれば理想的でありますが、那覇空港との定期路線を持つことの意義や、長野県にもたらされるであろう効果について、観光、物流それぞれの視点から信州ブランド推進監の御所見を伺います。  神戸便が就航し、定期路線が充実され、国際チャーター便が増加してきている中、沖縄路線を定期便化するための施設的な問題点等はないのか、また、臨時の国際ターミナルを建設する計画ですが、臨時でない国際ターミナルを含めた施設全体の整備についてはいつどのように取り組んでいかれるでしょうか。企画振興部長に伺います。  定期路線を実現し、維持していくためには、双方向の需要が重要です。長野県からの沖縄訪問需要は十分見込めると思いますが、長野県に呼び込むためには、沖縄県との強力な連携関係を構築し、観光のコンテンツを常に更新しながらPRしていくことが必要であります。そうした準備や取組について観光部長に伺います。  定期路線を持つかどうかの最終的な判断は航空会社に委ねられます。このことを後押しして、資金面でも支援することなど手を尽くして就航に結びつけるべきと考えますが、企画振興部長の御所見を伺います。  続いて、長野県農業の振興について伺います。  令和元年東日本台風における農業関係の被害額は666億円余であり、過去の災害に比してもその被害は甚大でありました。しかし、災害復旧に当たっては、国の支援も充実し、また、農地の復旧についても非常に速い対応で進めていただいていると伺っております。復旧・復興に当たられている方々の御労苦と御尽力に敬意を申し上げます。  まさに技術系職員のお力が必要な状況であり、十分な人材確保が求められています。小島議員からの質問にも、技術系職員の今後の確保策について、年複数回の採用ですとか、試験地、試験方法、資格要件等の見直し、任期付職員の再任用などの取組をされるとの答えがありましたが、ぜひしっかりと行って技術職員の確保をしていただきたいと思います。また、若い職員の皆さんがより希望を描けるような体制づくりにも御配意いただきたいと思います。  長野県農業の課題は、災害のみならず、風間議員の質問への御答弁では、TPP等の影響額が25億1,000万円とのことでありました。TPP等の影響や中山間地としての経営の課題、担い手の高齢化、温暖化への対応といった恒常的なものも数多く存在しているため、復興からさらに発展を遂げていくためには、価格や販路といった販売の側面、省力化や新品種といった技術の側面、農地と労働力といった生産基盤の側面など、様々な角度からの支援が必要であり、新年度においてもそれぞれにお取り組みいただく事業計画を策定されているところであります。  こうした状況を踏まえ、何点か農政部長にお伺いいたします。  昨年1月から収入保険制度が始まりました。農業経営の安定に資するものと考えますが、既存の野菜価格安定制度も野菜産地の維持発展に貢献してきた制度であり、農家の中には、どうしても今までの野菜価格安定制度など既存の制度を利用していきたいという声も強いと伺っています。県としては、こうした要望も鑑みて、今後の野菜価格安定制度をどのように考えるか、その方向性について伺います。  また、人手不足が顕著な昨今、特に農業従事者の確保は困難さを増しています。大井議員の質問にも、障害者の就労のみならず、ひきこもりなどの対策としても農業を活用されたいという話があり、支援団体と連携しながら在り方を考えていかれるとの御答弁がありました。  私も、鬱病になった若いシステムエンジニアを農家に預けると、1年後に元気になって戻ってくるという事例があること、栃木県若年者支援機構が、精神的な問題を抱えながら自立や社会復帰を目指す人の中間的就労の場として若者を農家に派遣し、自立につなげている事例などを御紹介いたしました。  土に触れて体を動かすことが精神的な安定や豊かさをもたらすという農業の特性をもっと活用して、都会の企業と連携し、精神的な問題を抱える人や、その前の予防的な取組として長野県の農業に携わってもらうということを仕組みとしてつくり上げていくことができれば、農業従事者を増やすことや、今般の取組で目指している関係人口を増やしていく上でも、また、医療費の削減にもつながる有効な取組になり得ると思いますので、これはぜひ部局横断で御検討いただきたいと思います。  また、先日、知事の提案説明の中で、特定技能外国人を農家に派遣する仕組みをJAグループと連携して構築するほか、農繁期が異なる地域と連携してリレー雇用を試行的に実施するとありました。  愛媛県では、宿泊施設の整備など待遇面を充実させ、温州みかんの収穫期には全国からアルバイターを呼び込むとともに、北海道と沖縄と産地間のリレーで人材確保を果たしているとのことであり、こうしたアルバイトの確保の取組も県として必要と考えますが、御所見はいかがでしょうか。  このたび果樹試験場で開発された新品種長果34は、果肉がピンク色で非常に目を引くリンゴであります。名称の募集は昨日までということで、どんな名前になるか楽しみではありますが、こうした研究開発は一般の農家にはなかなかできないことでありますので、今後もぜひ力を入れていってほしいと思っております。そのためには、開発に取り組む人材の充実が不可欠でありますが、農産物の新品種などの開発に取り組む人材の育成や資質向上をどのように行っていくのか、御所見を伺います。  最後に、県立武道館について伺います。
     昨年8月、塩尻市出身の出口クリスタ選手が、日本武道館で行われた柔道世界選手権女子57キログラム級で見事優勝を成し遂げ、世界チャンピオンとなりました。長野県出身者としては初の快挙であり、知事からもスポーツ栄誉賞を授与していただきました。出口選手は、幼い頃から地元の長野誠心館道場で練習を重ね、松商学園でさらに技術を学び、長野県のジュニア柔道界を牽引してきた存在であり、東京オリンピックでのさらなる活躍とともに、出口選手の後に続く選手が本県から輩出されることを願うところであります。  折しも、本県の武道関係者の長年の悲願であった県立武道館がいよいよ来月開館となります。長野県の武道振興のためには、まずは武道を知らない人にも武道館に足を運んでもらい、武道に触れ、親しんでもらうことが重要であると考えます。  そこで、現時点における県立武道館の利用見込みはどのような状況であるか、また、武道の魅力を感じてもらうために施設内にはどのような配慮をされているのか。県立武道館建設に御尽力いただきました轟教育次長にお伺いいたします。       〔信州ブランド推進監兼営業局長熊谷晃君登壇〕 ◎信州ブランド推進監兼営業局長(熊谷晃 君)那覇空港と定期路線を持つことの意義と効果についてのお尋ねでございます。  昨年より、県産品の新たな販路や本県への誘客の拡大へ向けた取組を開始したところでありますので、今後、御提案にありましたような貨物空輸も含めた定期路線が開設できるのであれば、様々な面で両県の距離が縮まるとともにコストダウンが図られる可能性もあり、交流の促進拡大に大きく寄与するものと考えています。  加えて、海のリゾートである沖縄県と山のリゾートである本県が結ばれる路線は、魅力的な観光ルートとして国内外から注目されるものと大いに期待できるものであります。  本県にもたらされる効果としましては、物流面では、沖縄県内での信州ブランドの販売拡大に加え、国際物流ハブを活用したアジア諸国への進出が容易になりますし、観光面では、沖縄県からの教育旅行のみならず、沖縄県民の皆さんの新たな誘致や、沖縄を訪れる外国人観光客のさらなる訪問先として本県への誘客を大きく伸ばす可能性があります。また、その結果として、沖縄やアジア諸国でさらに県産品販売を伸ばす相乗効果も期待できるところであります。  さらに、両県の人的交流が深まることによりまして、産業や文化、教育、医療などの分野においても新たな連携が生まれることも期待できます。  いずれにしましても、これを現実のものとしてまいるには両県双方の熱意が重要でありますので、今後とも様々な可能性を双方で研究しながらウィン・ウィンの関係性を積み上げてまいります。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)私には二つ御質問いただきました。  まず、沖縄路線の定期便化に向けた施設面での問題点と国際ターミナルビルの整備についてという御質問でございます。  神戸便の就航等により松本空港の発着便が増加する中、国際チャーター便の受入れに当たりましては、定期便等の合間を縫ってダイヤの調整を行い、その都度、国内線と国際線のお客様の動線を分け、仮設のCIQ審査場を設けて対応しているところでございます。こうしたことから、今後国際チャーター便をより円滑に受け入れられますよう、当面の対応として入国審査用臨時施設を整備するものでございます。これにつきましては、令和2年度当初予算案に計上しているところでございます。  御紹介がありました取組方針に掲げます国内路線の拡充や国際定期便の受入れにも対応が可能なターミナルビルにつきましては、民間のノウハウを活用した新たな運営方式など、空港施設の機能強化に向けた検討を来年度から行うことといたしまして、これにつきましても必要経費を令和2年度当初予算案に計上しているところでございます。  次に、那覇空港への定期路線開設に向けた方策についてということでございます。  定期路線の新規就航につきましては、航空会社に御判断いただく上で安定的な需要が見込まれ、採算が取れるかどうかということが最も重要な要素であると考えております。  県では、これまでも、航空会社の負担軽減を図るため着陸料を全額減免してまいりましたし、また、利用促進策として、マスメディア等を利用した広告宣伝や旅行商品造成への支援を行ってきたところでございます。  こうした支援策も路線開設のための一つのインセンティブになるとは思いますけれども、このほかにも様々なアプローチが必要であるというふうに考えております。まずは観光部や営業局と連携いたしまして、観光面、物流面で沖縄との交流拡大を図り、安定的な需要の創出につながるよう取組を進め、費用対効果や市場性などを勘案しながら、また、地元自治体や経済界の御協力もいただきながら路線開設の可能性を探っていきたいと考えております。  以上です。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)長野県への訪問需要を喚起するための準備や取組について御質問をいただきました。  本県と沖縄県のそれぞれの魅力やブランド力を生かした観光や物産分野の交流拡大を図るため、昨年から、両県の関係者が相互に訪問し意見交換を行うなど連携を強化してきております。  こうした中で、沖縄県からの誘客につきましては、本県の山岳リゾート、スノーリゾート、そして観光列車といった沖縄県にはないコンテンツや、日本酒、ワイン等の食へ関心が高いことも把握させていただいているところでございます。このため、これらの魅力を具体的な旅行商品としていただく取組を進めるとともに、本年沖縄県で開催されるツーリズムEXPOジャパンへの出展や物産の売り込みと合わせたPRなど、プロモーションの機会を増やしてまいりたいと思っています。  あわせて、学習旅行につきましては、両県の教育・旅行関係者と連携を密にし、誘致を強化してまいります。  また、沖縄県の外国人延べ宿泊者数は本県の約4倍となっており、インバウンドの面でも、海のリゾートを求めて来日する外国人のお客様に本県の山のリゾートの魅力を一緒に発信するなど連携したPRのほか、信州まつもと空港の活用も視野にインバウンドの誘致を検討してまいります。  以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)3点御質問いただきました。  まず、野菜の価格安定制度についてのお尋ねでございます。  野菜価格安定制度は、野菜の市場価格が下落した場合に生産者に価格差補填金を交付し、収入の減少を補填するとともに、需給調整の機能を備え、生活に欠かすことのできない野菜を消費者へ安定供給するという役割も担っております。  気象要因などで作柄が安定しない野菜は、価格変動も大きく、価格差補填金は毎年交付されている状況にあり、野菜価格安定制度は生産者にとって重要な制度となっております。県では、従来から国に対し本制度の維持を要請してきたところであり、今後とも、本制度を活用し、野菜産地の維持発展を図ってまいりたいと考えております。このため、収入保険制度が開始された令和元年においても、6月及び11月の2回にわたり野菜価格安定制度の堅持と十分な予算を図るよう国に要請をしており、引き続き必要に応じて要請をしてまいります。  続きまして、農業労働力としてのアルバイトの確保についてのお尋ねでございます。  農業生産の維持拡大には、中核的な担い手の育成と併せ、アルバイトを含め多様な担い手を確保することが必要であり、本年度、JAグループや県を構成機関としますJA長野県農業労働力支援センターを設立し、労働力の安定確保に向けた取組を始めたところであります。  具体的な取組としましては、昨年10月に県内で初めて農業専用の求人・求職マッチングサイトを開設し、インターネットを通じて、地域や県内にとどまらず、全国から短期雇用を含めた農業従事者を広く募る仕組みを構築しております。  また、県では、ハローワークと連携し、農業分野に特化した求人・求職者説明会を今年度初めて県下2か所で開催し、シニア層や子育て世代など短期就労を希望する方の取組も始めたところであります。  今後につきましては、マッチングサイトの利用者の増加を図るとともに、JAグループや産業労働部、関係機関と連携をしながら、引き続き各地域の農業労働力の確保に努めてまいります。  次に、新品種などの研究開発に取り組む人材の育成についてのお尋ねでございます。  農業関係試験場では、研究職員が備えるべき知識や技能の習得のため、経験年数に応じた体系的な研修を行っているところです。  具体的には、試験場において、新任、若手、中堅をそれぞれ対象としたキャリア別研修を行うとともに、農林水産省が開催する経験年数に応じた専門研修や国立研究開発法人農研機構等で高度な技術を習得する3か月程度の派遣研修などを組み合わせ、研究職員の能力に合わせた資質の向上を図っております。  さらに、ベテランの研究職員が中心となった研究手法等の勉強会への参加や英語論文の投稿などを推奨し、世代間の技術継承や情報発信能力の強化を進めているところです。  また、今後開発すべき新品種、新技術の目標設定に当たりましては、生産現場やマーケットのニーズに応えられる研究となるよう、様々な形で関係団体や県民、農業者の皆様から御意見、御要望をお聞きする機会を設け、研究職員のアンテナ力を高めております。  こうした取組によりまして、研究開発にとって最も重要な人材の育成や資質向上に引き続き努めてまいります。  以上でございます。       〔教育次長轟寛逸君登壇〕 ◎教育次長(轟寛逸 君)県立武道館について2点御質問をいただきました。  まず、県立武道館の利用見込みについてでございます。  平成28年に基本構想を策定して以来、約4年をかけて整備を進めてまいりました県立武道館は、いよいよ来月26日に開館する予定となっております。現時点における利用見込みの状況でございますけれども、今年9月までの土日祝日を見ますと、主道場で行う各種武道大会を中心に、約9割が予約で埋まっております。また、平日は、柔道場や剣道場を中心にいたしまして、地元のスポーツ少年団の定期練習など約6割が予約済みでございまして、空いている日は指定管理者による武道教室やヨガ教室等の自主事業で活用される予定となっております。  さらに、武道以外の多目的利用といたしましては、コンサートや大相撲の巡業といった興行のイベントのほか、全日本ジュニア卓球大会の県予選大会等のスポーツ大会や県華道展などの文化イベントの利用も予定されているところでございます。  次に、武道の魅力を感じていただくための武道館の施設の配慮についてでございます。  武道関係者のみならず、武道以外の目的で県立武道館を訪れる方にも、武道を知り、関心を持っていただけるように、施設の内部にも武道の魅力発信の工夫をしているところでございます。  具体的には、10の武道ごとにその歴史や基本ルールなどを紹介したパネルを設置いたしましたり、武道で使用する用具や全国的に活躍している選手などからお借りした賞状、トロフィー等の展示コーナーを設置いたします。  また、武道ライブラリーといたしまして、約700冊の武道書籍を整備いたしますとともに、技能の向上を分かりやすく解説したDVDの視聴コーナーや小学生も遊べる遊具を常設するなど、誰もが楽しみながら武道を学んだり自由に過ごせる空間とする配慮もしているところでございます。  開館後におきましても、指定管理者をはじめ、佐久市や各武道団体等と協力して、武道振興の中核的拠点施設としてふさわしい設備や機能がさらに充実できるよう取り組んでまいりたいと思います。       〔21番丸山大輔君登壇〕 ◆21番(丸山大輔 君)海の沖縄と山の長野県、非常に希望の持てる御答弁をいただいたというように思っております。産業、文化、医療、様々な面でウィン・ウィンの関係を築いていけるよう、ぜひお取組を進めていただきたいとお願いを申し上げます。  また、農業関係につきましては、やはり人材の確保育成ということは非常に大きなテーマであろうというふうに思います。まだまだ厳しい状況だと思いますので、ぜひこちらも取組を進めていただきたいというように思います。  また、轟教育次長のこれまでの御活躍に敬意と感謝を申し上げ、一切の質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)次に、花岡賢一議員。       〔11番花岡賢一君登壇〕 ◆11番(花岡賢一 君)連日、日本を含めた全世界での感染拡大が報道されている中、今後、おおよそ2週間の対策が全国的に重要であり、発生が確認された2月25日から本県も新たなフェーズに突入しています。全県に渦巻く不安を丁寧に取り除くこと、または緩和することが求められている現状を踏まえ、新型コロナウイルス感染症への今後の対応方針について、冒頭、3点お伺いいたします。  25日に全国知事会が緊急声明を発表しておりますが、国と都道府県との情報の共有の徹底と連携が必要である内容を県内に落とし込んで勘案すると、長野県行政として求められる対応は、県民などに対する正確な情報提供の強化と徹底であると考えられます。  医療機関を直接受診することは感染リスクを高める可能性があるため、「受診する前にまず相談」の呼びかけなど、どのような手段を使って徹底を図っていくのでしょうか。  現状、県内では28検体、おおむね14人の検査体制との説明を伺いましたが、今後の流行に備え、検査体制の充実が必要と考えますが、どのように進めていかれるのでしょうか。  また、国の基本方針では、PCR検査は入院を要する肺炎患者の治療に必要な確定診断に移行するとされました。また、本日の国会審議で検査の保険適用に踏み出す方向が示されたようですが、肺炎症状のある患者に必要な検査が実施できるよう、行政の対応だけではなく、民間の検査機関の活用も必要ではないかと考えますが、対応の展開はあるのでしょうか。以上、健康福祉部長にお伺いいたします。  続けて、台風19号災害の復旧・復興についてお伺いいたします。  先般公表された信濃川水系緊急治水対策プロジェクトの重点施策中、遊水地の設置がありますが、その中に、県内では4か所の遊水地計画を見てとることができます。内容として、千曲市から長野市南部と長野市東北部から中野市、飯山市、ここは国が進めるのに対して、佐久市及び安曇野市は県が担当することになっていますが、どのような協議の中で決定されてきたのでしょうか。  また、今回示されたプロジェクトは、上流と下流のバランスが重要であることが含まれていますが、上流の佐久市の担当を県が行い、下流の長野市南部・東北部、中野市、飯山市は国が担当するという形となります。計画策定や事業実施の段階で上下流の整合性を図り、プロジェクトに掲げた目的を達成するために想定される課題と考えはありますでしょうか。以上、建設部長にお伺いいたします。  また、同プロジェクトにおいて、田んぼダムを活用した雨水の貯留量の確保の取組を見てとることができます。私も、以前より、雨水を面でとどめることはできないものかと考えていましたが、県内の信濃川水系となる市町村の水田面積と、その中で貯水効果が大きい圃場整備済みの水田面積はどれぐらいあって、どの程度の水量をとどめることができるのでしょうか。  また、水田の排水口に排水量を調整する板を設置することによってピーク時の排水量を減少させる効果がある田んぼダムの取組について、農政部はどのように進めていく考えでしょうか。  加えて、水田を田んぼダムとして利用していくには、営農の継続と、老朽化した箇所もある水路の改修など平時からの備えが必要と考えますが、県は農業水利施設の改修についてどのように取り組んでいく考えなのでしょうか。  春が近づくにつれ、農業を営む方々の中には、いつから再開できるのかと不安を持ってこの冬を耐えている方が多くいらっしゃいます。千曲川などの取水施設の被害により春以降の作付が間に合わない場合が出てくることが想定されます。その不安と向き合うとき、具体的にどのように対応されるのでしょうか。取水施設の復旧状況と併せてお答えください。以上、農政部長にお伺いいたします。  今日まで様々な復旧・復興の説明会に参加しました。被災された方をはじめ、関係住民の不安解消と、より強固な改良復旧に向かう内容の説明に尽力されている皆様に心より感謝の思いを抱きました。  示された計画の案を手にして、まだこんなことをやっているのかと言う方も実際にいらっしゃいました。ですけれども、私は、ようやくここまで来れたんだなと思ったわけです。復旧・復興を必ず成し遂げるという強い決意の下、日々お取組のことと思いますが、実際に計画案を図面で確認したときに安堵される方も多かったと感じています。  多くの爪痕を残す中、今回の台風19号による豪雨では、谷川、田子川、滑津川など千曲川の右岸の支流で大きな被害が発生していますが、これらについては改良復旧が計画されています。その一方、佐久市地籍の千曲川左岸地域の浸水被害軽減に対しては片貝川の担う役割が大きいと考えますが、この河川の課題と今後の対応方針はどのようになっているでしょうか。  先日、佐久市区長会と選出県会議員との意見交換が行われた中で、佐久市の新たな事業についてお伺いしました。その内容は、佐久市が残土処分場を確保し、県管理の河川のしゅんせつに伴う土砂を無償で受け入れるとのことですが、この事業による効果をどう評価されていらっしゃいますでしょうか。ここまで2点、建設部長にお伺いいたします。  また、令和2年度当初予算において河川内の堆積土砂の撤去を推進していく内容が示された中、この事業に係る課題解決に向け、今回の佐久市の取組を県内に拡大すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)新型コロナウイルス感染症について3点お尋ねいただきました。  最初に、県民等に対する正確な情報提供の強化、徹底についてでございます。  県内での感染防止を図るためには、県民の皆様に適切な行動を取っていただけるよう、正しい情報を提供していくことが極めて重要でございます。  県民の皆様に取っていただきたい行動はフェーズによって変化するものでございますが、2月25日にリニューアルして発信いたしました県民及び滞在者の皆様へのお願いにおきましては、三つの観点、一つは、自らの感染を防止し、他の方にうつさないための予防対策の徹底、二つ目は、集団感染を防止するための外出時における予防対策、三つ目は、重症化しやすい方を守るための配慮、こういったことについてそれぞれ具体的な行動をお願いしているところであり、「受診する前にまず相談」もその一つでございます。  こうした内容をいかに周知していくかについては、非常に重要な課題であると認識をしてございます。引き続き県ホームページや公式ツイッターなどを活用いたしますとともに、知事会見や報道機関の皆様に対するブリーフィングなどによりメディアを通じた情報発信に努めてまいります。  また、県内で患者が発生したことを受け、今後各地方部で開催される会議等を通じて住民に身近な市町村広報誌への掲載を依頼するなど、市町村や関係団体と連携協力して情報発信に努めてまいります。  次に、県内での検査体制の拡充についてでございます。  現在の検査体制については、県環境保全研究所が1日当たり16検体、おおむね8人、長野市保健所環境衛生試験所が1日当たり12検体、おおむね6人それぞれ実施可能となっているところでございます。まずは、この検査能力をフルに活用すべく、現在、県と長野市との連携協定に基づき、相互協力による検査体制を構築しているところであり、合わせて28検体の検査が行われることとなっているところでございます。  しかしながら、今後の疑い事例の増加を考えると十分とは言えないことから、環境保全研究所での検査をさらに拡充するために、必要な検査機器の購入や保健所職員による応援体制等について具体的な手配を進めているところでございます。  加えて、県内において検査能力を有する信州大学医学部附属病院へ検査業務の一部を担っていただくよう、委託に向けた事務的、技術的な準備等についても鋭意進めているところでございます。これらによって、県内で1日当たり現行の28検体からおおむね2倍程度の検査が可能になるものと考えております。  次に、民間検査機関の活用についてでございます。  今後さらにフェーズが進み、県内で流行期に入った場合、大幅な検査件数の増加が想定されます。そうした状況においては、検査についての新たな対応が必要であり、議員御指摘の民間検査機関の活用もその一つであると考えております。  しかしながら、現時点では対応できる民間の検査機関の数や所在地が限られており、直ちに活用できる状況にはないことから、県といたしましては、民間検査機関への外部委託の活用を含め、必要な検査が実施できる体制を構築するよう引き続き全国知事会等を通じて国に要望してまいることとしております。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)緊急治水対策プロジェクトに位置づけた遊水地の整備に関するお尋ねです。  御質問の遊水地は、洪水調節を目的として、河川管理者の管理区分の中で役割分担を決めております。佐久市の遊水地は県管理区間に設置するものであり、加えて、県の実施する谷川、滑津川等の改良復旧による千曲川への負担を軽減するものであるため、県で実施することといたしました。  なお、安曇野市黒沢川の遊水地計画は、県が台風災害発生前から設置を計画し、事業化していたもので、今回の災害を踏まえてプロジェクトに位置づけ、早期の完成を図ることとしたものであります。  次に、遊水地設置も含め、プロジェクトに掲げた目標達成のために想定される課題についてのお尋ねでございます。  県が設置する遊水地につきましては、今後、国との調整を図りながら詳細な検討を進めようとしている段階です。また、整備の段階では、遊水地の設置と、国が実施する立ヶ花、戸狩の狭窄部の掘削は、進捗を調整しながら進める必要があると考えております。  課題としては、遊水地の設置には広範囲の農地等を活用することから、多くの地権者、耕作者の皆様方から御理解を得ることが必要になるということが挙げられます。国、県、市が密接に連携を図り、地元の皆様に御理解をいただくよう取り組むとともに、事業の進捗を調整しながらおおむね5年間を目途にプロジェクトを進めてまいりたいと考えております。  次に、千曲川左岸地域の浸水被害軽減に対する片貝川の今後の方針等に関するお尋ねです。
     片貝川については、今回の台風災害前から調査を行い、河川整備計画に位置づけ、整備を行う予定としていました。調査の結果、河川の流下断面が不足している部分があり、今回の台風時に越水が発生しておりますが、大規模な護岸崩落等の被害とならなかったことから、改良復旧事業の実施には至りませんでした。今後、なるべく手戻りがないよう河川改修の検討を行い、河川整備計画にそれを位置づけ、早期事業化に向けて進めていきたいと考えております。  次に、河川のしゅんせつなどによる残土処分についてのお尋ねでございます。  建設工事で継続的に大量の残土が発生する場合、あらかじめ国や市町村などにより情報提供をいただき、他の公共工事や造成工事などに活用することを基本に調整を行ってまいりました。  一方で、災害復旧や3か年緊急対策のように緊急を要する工事では、残土処理に係る調整が進んでいないため、速やかに工事着手ができない、あるいは運搬距離が長くなりコスト高になるなどの課題がございます。今回、佐久市と協定を結ぶことにより、災害復旧や改良復旧に要する期間の短縮が期待されるほか、3か年緊急対策や今後のしゅんせつ工事においても、残土運搬に係るコスト縮減により、より多くの土砂掘削が可能となるものと考えております。  以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)3点御質問いただきました。  まず、信濃川流域の水田面積と田んぼダムの取組についてのお尋ねでございます。  県内の信濃川流域の市町村には約3万6,000ヘクタールの水田があり、そのうち県営圃場整備事業を実施した水田はおよそ2分の1の約1万8,000ヘクタールになります。仮に、圃場整備済みの全ての水田において降雨を20センチためた場合は、3,600万立方メートルがたまることになります。  流域対策の一環で水田を田んぼダムとして利用する場合は、地域の合意形成や調整板の設置が必要となりますが、こうした取組につきましては、国の多面的機能支払事業を活用することができます。県では、信濃川流域の土地改良区や、多面的機能支払に取り組む433の活動組織を対象として、研修会などで他県の事例紹介やパンフレットの配布を行うことにより意識の醸成を図るとともに、地域の取組を支援してまいります。  続きまして、農業水利施設の改修についてのお尋ねでございます。  水田に用水を供給している農業水利施設は、その多くが昭和30年代から50年代に造られており、県では、市町村などと連携して、老朽化が進んでいる施設について計画的に改修を行っているところです。  また、昨年3月に新たに長野県基幹的農業水利施設の管理・整備指針を策定し、農業水利施設の補修、更新を一層進めることとしており、今後も、農業者の費用負担を軽減するため、国庫補助事業を積極的に活用しながら施設の改修や長寿命化に取り組んでまいります。  次に、取水施設の復旧状況と作付ができない水田への対応についてのお尋ねでございます。  台風19号により被災した農業用水の取水施設については、現在、事業主体である市町村が県と連携しながら国庫補助事業を活用して復旧事業を進めているところでございます。  復旧の見通しにつきましては、取水施設の被災により影響のある農地、約1万ヘクタールのうち、約99%で農業用水が確保できる見込みでありますが、河川の被害が甚大な箇所では復旧が間に合わず、約90ヘクタールの水田において作付への影響が想定されます。このため、県では、現在、農業改良普及センターが市町村、JAなどと連携して、ソバや大豆、野菜など地域の実情に合わせて具体的な代替作物の選定を進めております。今後は、選定した作物の栽培技術指導を行うとともに、転作作物に対する交付金の活用を周知するなど、引き続き被災農家に寄り添った支援を行ってまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)河川のしゅんせつに係る課題解決に向けて、今回の佐久市との取組のようなことを広げていってはどうかという御質問であります。  既存施設の能力を十分に発揮させるためには、河川内の土砂撤去を進めていくということが早期の効果発現等の観点からも重要な対策だというふうに考えております。  この事業を進めていく上では、残土処分場の確保が大きな課題の一つであるというふうに思っております。今回、県河川の堆積土砂撤去を推進するため佐久市が主体となって残土処分場を御用意いただけるということは、大変ありがたく、御協力に心から感謝申し上げます。県内の市町村の皆さんにこういった形で御協力いただくことは、各地域の安全度向上につながるものであります。今後とも、市町村と連携、連絡を密にし、必要な御協力をいただきながら積極的に事業を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔11番花岡賢一君登壇〕 ◆11番(花岡賢一 君)関係住民の不安の解消のために引き続きの取組をお願いいたします。  昨年の9月定例会で戦争の語り部育成事業について取り上げましたが、その内容を佐久市、北佐久郡限定ではありますが、私の県政レポートとして新聞折り込みを行ったところ、私もあと何年生きられるか分からないから聞きに来てもらえないかとの問合せが数件来ました。昨年9月にも申し上げましたが、傷痍軍人の方にお話を伺いたくても、リスト上の100人にお問合せをしてお話をお伺いできる方が1人見つかるか見つからないかの状況である中、驚きの内容でした。  実際お会いしてお伺いする内容は、一様に壮絶で、様々な資料や文献を読んではきましたが、百聞は一見にしかずでありました。様々な方からお話をお伺いすると、戦争の実体験が次の世代につながれていない現状が浮かび上がります。ですが、伝えたいと思う人が現実にいることを考えると、壮絶すぎて実体験を子供の世代に伝えることができなかった、もしくは、苛烈を極めた後、生きることに精一杯であったことなど、伝えることなく蓋をせざるを得ない状況があったことが想像できます。  そのような中、先日、長野県遺族会主催の沖縄信濃の塔慰霊戦跡巡拝に行く機会をいただきました。長野県の施設、信濃の塔での追悼式と慰霊祭を行い、ひめゆりの塔を巡礼し、その後、佐久市出身で、動員学徒全員に生き続けることを説得され、自らは自決された小池軍医の最期の洞窟、糸洲の壕の中まで入り、沖縄県平和祈念資料館を回る行程が1日目でありましたが、夕食のときに、ドキュメンタリー映画にもなっている「ふじ学徒隊」に出演された方からお話を伺える機会をいただきました。出演というとちょっと表現が違うかなというふうに感じますが、正真正銘、積徳高等女学校の学徒看護隊、いわゆる小池部隊に所属されていた方でした。  内容についてはこの場で申し上げることはしませんが、なぜ92歳を超えた今、語ろうと思ったのか。私は、壮絶過ぎて伝えられなかったものが、75年の歳月を経て、伝えておかなければならないものに変わってきている現状を目の当たりにしたと思いました。どのような理由であれ、戦争を行ってよい理由は存在せず、国家間における最後の外交手段を行使せざるを得なかった歴史認識を正しく伝えていかなければならない責任を改めて感じてまいりました。  そこで、平和教育について質問いたします。  先ほど申し上げました沖縄信濃の塔で行われた追悼式には、本年は小岩副知事が参列されました。故郷の信州を思い倒れていった英霊も感謝をしていたことと思いますが、率直な感想を小岩副知事にお伺いいたします。  また、巡礼に同行していた高校生に、平和学習って一番大切だと思うんですよねと言われたので、修学旅行で来れるんじゃないのと聞いたら、私の代から台湾なんですよと言われました。国内のみでなく、地球を広く見る観点を持つ若者を応援することは当然のことですが、修学旅行の傾向が海外へとシフトしてきている現状があります。しかし、国内戦跡を見に行く探究的学びがあってもよいと私は思います。例えば、希望者を公募し、平和学習を県外で行う考えはありますでしょうか。また、学んだ内容について、地域に戻り、プレゼンテーションを行うことで、より深い平和学習が行えると考えますが、原山教育長の考えをお伺いいたします。  最後に、本県出身の戦没者に慰霊の誠をささげ、世界の恒久平和を祈念するために建立された信濃の塔への思いを阿部知事にお伺いいたします。       〔副知事小岩正貴君登壇〕 ◎副知事(小岩正貴 君)沖縄信濃の塔追悼式に参列をした率直な感想ということでございます。  今回の沖縄の訪問では、県遺族会主催の信濃の塔追悼式だけではなく、その後の戦跡巡拝にも一部予定の許す限り同行させていただきました。改めて、現在の我が国の発展がさきの大戦での多大な犠牲の上にあること、そして、その犠牲は決して特別な人たちではなく、ごく普通の人々の身に起きたということ、そして、それは決して遠い過去の話ではないということ、こういったことを、頭や理屈ではなく、肌で感じてまいりました。特に、ひめゆりの塔では、私自身、四人の娘を持つ身として、身につまされるものがございました。  今回参加された御遺族の方々のほとんどが御高齢でございます。もちろん、まだまだお元気な方々ばかりでございましたが、一方で、戦争体験や平和とは何かを語り継いでいくにはやはり負担が大きく、時間が限られていることも痛感いたしました。  青年部のお一人として参加されました花岡県議も、また、私も、同じく戦争体験者の孫の世代でございます。戦争を実感としては持ちづらいのは事実としてあるかもしれません。しかし、かけがえのない命と平穏な生活が脅かされるという点では、これは戦争だけではなく、自然災害や予期せぬ不慮の事故、また病気など、現代を生きる上でも自ら実感を伴う出来事は存在するわけでございます。  自分が、あるいは我々世代ができることは何か、なすべきことは何か、自らに問いかけ、考えさせられた貴重な体験でございましたし、一人でも多くの人が同じような思いを巡らせる時間を持てれば伝えるべきことは伝わっていくのではないか、そのように感じた次第でございます。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)国内戦跡を見に行く探究的な学びについてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、国内戦跡において、関係者と出会い、感じ、考えを深めることは、平和な社会を希求する生徒を育てる上で大変意義が大きいというふうに思っております。  現在、令和元年度の県立高校の修学旅行先を見ますと、沖縄県に延べ51校、広島、長崎県に延べ22校が行っているところであります。希望者を公募し、探究的な学習という議員の御提案につきましても、今後研究してまいりたいというふうに考えております。  また、修学旅行の実施に当たっては、事前学習だけではなく、プレゼンテーションなどを含む事後学習を充実させる工夫をすることが重要であるというふうに思っております。例えば、飯田高校の今年度の3年生は、広島、長崎、知覧をクラス別に修学旅行で訪れ、旅行後に作成したレポートを英訳して冊子にまとめるといった探究的な学びにも取り組んでいるところであります。  今後とも、優れた実践事例を県内で共有する取組を進めまして、修学旅行における平和教育の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、沖縄の信濃の塔に対する思いという御質問をいただきました。  この信濃の塔は、沖縄戦の犠牲者をはじめ、本県出身の戦没者の御霊を鎮めるため、県が関係団体の御協力を得て昭和39年に建立させていただいたものであります。この間、戦争の悲惨さを後世に伝える記念碑として、また、県民の皆様の恒久平和への思いの象徴としての役割を担ってきたというふうに考えております。  例年、長野県遺族会の皆様方には、沖縄信濃の塔において追悼式を挙行していただいているわけでありますが、私も沖縄県を訪問した際には訪問させていただき、追悼の意をささげているところでございます。その都度、歴史の重み、そして先人の皆様方の御労苦に思いを致しているところでございます。  戦後74年を経過して、県民の皆様の戦争の記憶も薄れていく中で、私たちに課せられた使命は、戦争の悲惨さと平和の尊さを将来世代へとしっかり引き継いでいくことだというふうに考えております。  この沖縄信濃の塔につきましては、戦争の記憶を後世に語り継ぐための記念碑として、県遺族会をはじめ、関係機関の皆様の御意見もしっかりお伺いしながら、既に建立から55年経過しているということもありますので、周辺の環境整備や適切な維持管理に取り組んでいきたいというふうに思っております。  また、一人でも多くの県民の皆様に信濃の塔を御訪問いただきますよう、修学旅行など訪問の機会の拡大、そして平和教育の充実、さらには信濃の塔の存在を多くの方々に知っていただけるような情報発信にも努めていきたいと考えています。  以上です。       〔11番花岡賢一君登壇〕 ◆11番(花岡賢一 君)信濃の塔に関してですけれども、建立からだいぶ年月がたっておりまして、改修が必要だというふうに思います。過去に花壇を一回整備したことがあるようですけれども、あれは実は長野県から巨大な石を運んでいるんです。信州人の心意気、気質みたいなところも含めて、よりよいものに改修していただけることをお願いさせていただければと思います。  本県議会の一般質問も最後となりますが、今しばらくお付き合いいただきます。  長野県の契約に関する条例が制定されて5年が経過する中で、契約の透明性、公平性の確保や品質の確保などに取り組まれてきていますが、条例の基本理念の実現に向けたこれまでの成果と今後の展望について、このたび、人生の節目を迎えられます塩谷会計局長にお伺いいたします。  また、今定例会においても、様々な方が男女共同参画について、また女性の社会進出について質問されてきました。実は私は就職氷河期世代の一人なんですが、そんな中、やっとの思いで就職した政治家事務所にあって、当時10人を超える秘書軍団を取りまとめていた方が女性でした。その姿や、まさに鉄の女でしたが、当時はそのような表現がまかり通っていました。時代が進むにつれ、社会の中で、男性、女性の性別を超えた多様性が求められています。いずれその垣根を越えた共同の時代が来ることを切に願っています。  そのような中で、本年度から新たに設置された女性活躍推進監として、また、男女共同参画センターの所長として、これからの長野県における男女共同参画社会の実現につきましての御所見を酒井女性活躍推進監にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。       〔会計管理者兼会計局長塩谷幸隆君登壇〕 ◎会計管理者兼会計局長(塩谷幸隆 君)契約条例に基づく取組の成果と今後の展望についてのお尋ねでございます。  県では、長野県の契約に関する条例の制定に合わせて長野県の契約に関する取組方針を定め、条例の基本理念の実現に向けた取組を進めてまいりました。取組方針に掲げた91項目のうち、既に89項目について取組に着手をしております。具体的な取組の内容は、建設工事契約に係るものをはじめとして多岐にわたりますが、庁舎等の清掃や警備業務の委託契約における最低制限価格制度の導入のように、会計局が中心となって県全体で統一的な運用を行い、著しく低い価格での入札の防止に対し一定の成果が認められたものもあります。  今後も、引き続き、取組方針に沿って、透明性、公平性の確保や品質の確保など契約に求められる基本的事項の一層の適正化に取り組むとともに、地域経済の発展やエシカル、SDGsといった持続可能な社会形成につながるような契約の在り方についても、契約審議会の場などで幅広く御意見を伺いながら検討を重ね、よりよい契約制度の運用を目指してまいります。  以上でございます。       〔女性活躍推進監兼男女共同参画センター所長酒井裕子君登壇〕 ◎女性活躍推進監兼男女共同参画センター所長(酒井裕子 君)これからの長野県における男女共同参画社会の実現についてお尋ねいただきました。  急激な少子高齢社会が進展する中、社会の活力を維持するためには、女性の活躍が期待されているところです。今年度は、女性活躍推進監として、県内の多くの女性からお話をお伺いする機会を得ることができ、地域や様々な分野で生き生きと活動している方がたくさんいらっしゃることを実感いたしました。  また、県南信工科短期大学校で行われた内閣府主催の理工系女子を育成するイベントに出席した際には、女性が少ない分野に進みたいという夢を持つ大勢の高校生や中学生にお会いすることができました。女性も男性も、性別にかかわらず、その希望に応じて多様な生き方、働き方が実現でき、若い世代が夢と希望を持てる社会づくりが必要と感じたところでございます。  課題といたしましては、これまでの男性中心型労働慣行等の変革や、性別役割分担意識の解消などが挙げられますが、県だけではなく、県民の皆様、市町村、民間団体や事業者の皆様と一体となって継続して取り組んでいくことが必要であるというふうに考えております。  以上です。 ○議長(清沢英男 君)以上で行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑は終局いたしました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案委員会付託 ○議長(清沢英男 君)次に、知事提出議案をそれぞれ所管の委員会に付託いたします。  各委員会におかれては、慎重審議の上、速やかに議長の手元まで審査報告書を提出願います。付託一覧表は後刻お手元に配付いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △請願・陳情提出報告、委員会付託 ○議長(清沢英男 君)次に、去る11月定例会後、県議会に対して請願及び陳情の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読、議案等の部「6 請願・陳情文書表」参照〕 ○議長(清沢英男 君)以上であります。  ただいま報告いたしました請願及び陳情を、それぞれ関係の委員会に付託いたします。  各委員会におかれては、慎重審議の上、速やかに議長の手元まで審査報告書を提出願います。請願・陳情文書表は後刻お手元に配付いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △請願取り下げの件 ○議長(清沢英男 君)次に、お手元に配付いたしましたとおり、請願の取下願がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  ただいま報告いたしました請願取り下げの件を本日の日程に追加いたします。  本件を議題といたします。  お諮りいたします。本件については、願い出のとおり取り下げを許可するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本件は願い出のとおり取り下げを許可することに決定いたしました。       〔議案等の部「7 請願取下願」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案の報告 ○議長(清沢英男 君)次に、議員から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕 議第1号         森林環境譲与税の譲与基準の見直しを求める意見書案提         出書                                令和2年2月26日      長野県議会議長 清 沢 英 男 様
               提 出 者              風 間 辰 一            賛 成 者              小 島 康 晴  望 月 雄 内  萩 原   清              服 部 宏 昭  本 郷 一 彦  平 野 成 基              向 山 公 人  佐々木 祥 二  西 沢 正 隆              鈴 木   清  垣 内 基 良  宮 本 衡 司              小 池   清  丸 山 栄 一  山 岸 喜 昭              依 田 明 善  石 和   大  堀 内 孝 人              酒 井   茂  丸 山 大 輔  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 林 東一郎  髙 島 陽 子              埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫  中 川 博 司              寺 沢 功 希  花 岡 賢 一  池 田   清              熊 谷 元 尋  望 月 義 寿  宮 澤 敏 文              諏 訪 光 昭  小 池 久 長  清 水 純 子              中 川 宏 昌  小 山 仁 志  川 上 信 彦              加 藤 康 治  清 水 正 康  毛 利 栄 子              高 村 京 子  和 田 明 子  両 角 友 成              山 口 典 久  百 瀬 智 之  小 林 君 男  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第2号         特定技能外国人の受入れの促進に向けた更なる取組を求         める意見書案提出書                                令和2年2月26日      長野県議会議長 清 沢 英 男 様            提 出 者              風 間 辰 一            賛 成 者              小 島 康 晴  望 月 雄 内  萩 原   清              服 部 宏 昭  本 郷 一 彦  平 野 成 基              向 山 公 人  佐々木 祥 二  西 沢 正 隆              鈴 木   清  垣 内 基 良  宮 本 衡 司              小 池   清  丸 山 栄 一  山 岸 喜 昭              依 田 明 善  石 和   大  堀 内 孝 人              酒 井   茂  丸 山 大 輔  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 林 東一郎  髙 島 陽 子              埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫  中 川 博 司              寺 沢 功 希  花 岡 賢 一  池 田   清              熊 谷 元 尋  望 月 義 寿  宮 澤 敏 文              諏 訪 光 昭  小 池 久 長  清 水 純 子              中 川 宏 昌  小 山 仁 志  川 上 信 彦              加 藤 康 治  清 水 正 康  百 瀬 智 之  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第3号         小児・AYA世代のがん患者の妊よう性温存への支援を         求める意見書案提出書                                令和2年2月26日      長野県議会議長 清 沢 英 男 様            提 出 者              小 島 康 晴            賛 成 者              風 間 辰 一  望 月 雄 内  萩 原   清              服 部 宏 昭  本 郷 一 彦  平 野 成 基              向 山 公 人  佐々木 祥 二  西 沢 正 隆              鈴 木   清  垣 内 基 良  宮 本 衡 司              小 池   清  丸 山 栄 一  山 岸 喜 昭              依 田 明 善  石 和   大  堀 内 孝 人              酒 井   茂  丸 山 大 輔  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 林 東一郎  髙 島 陽 子              埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫  中 川 博 司              寺 沢 功 希  花 岡 賢 一  池 田   清              熊 谷 元 尋  望 月 義 寿  宮 澤 敏 文              諏 訪 光 昭  小 池 久 長  清 水 純 子              中 川 宏 昌  小 山 仁 志  川 上 信 彦              加 藤 康 治  清 水 正 康  毛 利 栄 子              高 村 京 子  和 田 明 子  両 角 友 成              山 口 典 久  百 瀬 智 之  小 林 君 男  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第4号         「顧客等のハラスメント」を防止するための抜本的な対         策を求める意見書案提出書                                令和2年2月26日      長野県議会議長 清 沢 英 男 様            提 出 者              宮 澤 敏 文            賛 成 者              風 間 辰 一  望 月 雄 内  萩 原   清              服 部 宏 昭  本 郷 一 彦  平 野 成 基              向 山 公 人  佐々木 祥 二  西 沢 正 隆              鈴 木   清  垣 内 基 良  宮 本 衡 司              小 池   清  丸 山 栄 一  山 岸 喜 昭              依 田 明 善  石 和   大  堀 内 孝 人              酒 井   茂  丸 山 大 輔  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 島 康 晴  小 林 東一郎              髙 島 陽 子  埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫              中 川 博 司  寺 沢 功 希  花 岡 賢 一              池 田   清  熊 谷 元 尋  望 月 義 寿              諏 訪 光 昭  小 池 久 長  清 水 純 子              中 川 宏 昌  小 山 仁 志  川 上 信 彦
                 加 藤 康 治  清 水 正 康  毛 利 栄 子              高 村 京 子  和 田 明 子  両 角 友 成              山 口 典 久  百 瀬 智 之  小 林 君 男  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第5号         特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律等の廃         止を求める意見書案提出書                                令和2年2月26日      長野県議会議長 清 沢 英 男 様            提 出 者              山 口 典 久            賛 成 者              毛 利 栄 子  高 村 京 子  和 田 明 子              両 角 友 成  小 林 君 男  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第6号         自衛隊の中東派遣の中止を求める意見書案提出書                                令和2年2月26日      長野県議会議長 清 沢 英 男 様            提 出 者              両 角 友 成            賛 成 者              毛 利 栄 子  高 村 京 子  和 田 明 子              山 口 典 久  小 林 君 男  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。       〔議案等の部「1 議案 (2)議員提出議案」参照〕 ○議長(清沢英男 君)以上であります。  ただいま報告いたしました議員提出議案を本日の日程に追加いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案 ○議長(清沢英男 君)最初に、議第1号「森林環境譲与税の譲与基準の見直しを求める意見書案」及び議第3号「小児・AYA世代のがん患者の妊よう性温存への支援を求める意見書案」を一括して議題といたします。  お諮りいたします。本案については、それぞれ会議規則第44条の規定により提出者の説明及び委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本案はそれぞれ提出者の説明及び委員会審査を省略することに決定いたしました。  本案それぞれに対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を一括して採決いたします。  本案それぞれ、原案どおり決するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本案はそれぞれ原案どおり可決されました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、議第2号「特定技能外国人の受入れの促進に向けた更なる取組を求める意見書案」を議題といたします。  お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により提出者の説明及び委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本案は提出者の説明及び委員会審査を省略することに決定いたしました。  質疑の通告がありませんので、本案につき討論をいたします。  毛利栄子議員から討論の通告がありましたので、発言を許可いたします。  毛利栄子議員。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)議第2号「特定技能外国人の受入れの促進に向けた更なる取組を求める意見書案」に反対の意見を述べます。  国内での人出不足が深刻化する中、日本で働く外国人労働者は、厚生労働省の外国人雇用状況の届出状況によりますと、2019年10月末現在170万人近くになっており、前年比20万人増加し、過去最高を更新しました。在留資格別に見ると、そのおよそ5割は技能実習生と留学生、アルバイトが占めています。労働者としての権利が十分保障され、日本社会の一員として共に共生できる労働環境の中で、安上がりでない働き方をしていただくことは大いに歓迎できます。  しかし、技能実習生の失踪、人権侵害などが問題視される中、入管法を改正し、実習生からの移行を前提とする新しい在留資格「特定技能」に基づく外国人労働者の受入れが昨年の4月から始まりました。特定技能第1号の外国人労働者の地位は極めて不安定であり、家族の帯同も認めず、就職や解雇、住まいをはじめあらゆる場面で不正な利益を目的とするブローカーの介入の危険があります。受入れ企業が支援するとしていますが、支援を委託される機関は技能実習生の監理団体が横滑りできる制度ともなっており、在留資格が1年ごとの更新制の上、雇用契約は1年以下、5年を上限として短期の雇用契約や在留期間を繰り返す低賃金の非正規労働者をつくり出すもので、外国人を雇用の調整弁とするものにほかなりません。  外国人労働者の劣悪な労働実態を放置したまま受入れを拡大するのではなく、外国人労働者の基本的人権が保障される秩序ある受入れと、共に共生する社会を実現することこそ大前提であることを申し上げ、反対討論といたします。 ○議長(清沢英男 君)以上で討論は終局いたしました。  本案を採決いたします。  本案、原案どおり決するに賛成の議員の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○議長(清沢英男 君)起立多数。よって、本案は原案どおり可決されました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、議第4号「「顧客等のハラスメント」を防止するための抜本的な対策を求める意見書案」を議題といたします。  お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により提出者の説明及び委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本案は提出者の説明及び委員会審査を省略することに決定いたしました。  質疑の通告がありませんので、本案につき討論をいたします。  髙島陽子議員から討論の通告がありましたので、発言を許可いたします。  髙島陽子議員。       〔22番髙島陽子君登壇〕 ◆22番(髙島陽子 君)議第4号「「顧客等のハラスメント」を防止するための抜本的な対策を求める意見書案」に賛成の立場から討論します。  皆さんはカスハラという言葉を聞いたことはありますでしょうか。カスタマーハラスメントの略称であり、顧客等のハラスメントという意味です。意見書案にありますように、サービス流通業などで働く人たちを脅かすような顧客や消費者からの嫌がらせ行為のことであり、過剰なサービスを求める、あからさまに人格否定するような心ない言葉を浴びせかける、暴言を吐く、言いがかりをつけわびをさせる、土下座させる、乗じて金品の要求を一度や二度だけでなく繰り返し、執拗なまでに追い詰めるなど、働き手に過度のストレスや恐怖を与えます。  今、労働力不足が言われる業界において、スーパーマーケットや飲食店にとどまらず、バスやタクシーなどの運転手をはじめ交通機関や介護現場にも及び、精神的に追い詰められ、退職を余儀なくされる事例まで報告されています。  さらに、働く者への個人攻撃にとどまらず、企業全体の評価をおとしめるような中傷行為に発展するような被害も深刻であります。限られた人的資源を守るための対策、働く魅力を損なわないための方策を打つ企業や業界も出てきています。  日本社会全体にひずみをもたらしているこの事象を問題視する専門家やメディアが伝えることも多くなりました。しかし、我が国の消費文化や消費者の在り方を問い直し、労働環境改善の呼びかけだけでは不十分だと言えます。  企業が働き手を保護する取り組みを進めるために、国民的な理解を得ながら国が支援を進めるべきです。長野県が2018年4月に労働に関する調査で個人や事業主に対して実際にクレームを受けたり対策に取り組んだりしたかを尋ねたところ、悪質なクレームは増加傾向にあることが明らかになりました。一方、消費者教育においても、カスタマーハラスメントの現状を伝えたり、啓発へとつなげたりする取組も行っています。  これらを踏まえ、国に対しては、労働者の安全への配慮の観点から、顧客等のハラスメント、悪質クレームの発生抑制や消費者の適切な行動を促すためのより一層の措置を講ずるよう求め、私の賛成討論といたします。 ○議長(清沢英男 君)以上で討論は終局いたしました。  本案を採決いたします。  本案、原案どおり決するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本案は原案どおり可決されました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、議第5号「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律等の廃止を求める意見書案」を議題といたします。  提出者の説明を求めます。  山口典久議員。       〔14番山口典久君登壇〕 ◎14番(山口典久 君)議第5号「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律等の廃止を求める意見書案」の提案説明を行います。  いわゆるカジノ法は、2016年12月に強行され、この間、国民の根強い批判がありながらカジノ施設の設置が進められようとしています。  カジノ設置に関しては、観光客が増え、地域経済が潤い、税収も増えるなどの主張もありますが、世界的に見ても、IR、統合型リゾート施設型のカジノで成功していると言えるものはほんの一握りの施設、地域だけであります。圧倒的多数は様々な問題を抱えています。  何よりも、ギャンブル依存症患者の増加が懸念されます。厚生労働省が公表した国内のギャンブル等依存に関する疫学調査によると、我が国のギャンブル依存症の人の割合は、成人の3.6%、約320万人と推計されます。日本に次いで高いのがオーストラリアの2.4%、オランダの1.9%、フランスの1.2%ですから、我が国の比率の高さがうかがえます。ギャンブル依存の問題は、往々にして、個人の問題、自己責任とされる傾向にありますが、ギャンブルが産業化し、借金を背負った先の悲惨な結末を見れば、自己責任のみと断罪できるものではありません。  先般、カジノ担当副大臣を務めた現職国会議員が誘致をめぐる収賄容疑で逮捕、起訴されたことは、業界と政治家の癒着を浮き彫りにいたしました。その後も、カジノ規制の中核を担う行政組織であるカジノ管理委員会の事務局がIR推進事業者から職員を受け入れていること、萩生田文部科学大臣が開設の認定期間の大幅な延長など海外カジノ事業者の要求に忠実に応じて表明したことも問題になっています。  朝日新聞の2月15日、16日の世論調査では、カジノを含む統合型リゾート、IRが国内にできることには、「デメリットのほうが大きい」と答えた人は56%で、「メリットのほうが大きい」は30%でした。こうした中、カジノ施設の設置を推進することは認められず、カジノ法の廃止を求めるものです。議員各位の御賛同をお願いいたしまして、提出者説明といたします。 ○議長(清沢英男 君)以上であります。  お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本案は委員会審査を省略することに決定いたしました。  本案に対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を採決いたします。  本案、原案どおり決するに賛成の議員の起立を求めます。       〔賛成者起立〕
    ○議長(清沢英男 君)起立少数。よって、本案は否決されました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、議第6号「自衛隊の中東派遣の中止を求める意見書案」を議題といたします。  提出者の説明を求めます。  両角友成議員。       〔27番両角友成君登壇〕 ◎27番(両角友成 君)議第6号「自衛隊の中東派遣の中止を求める意見書案」の提案理由の説明を行います。  2018年5月、米国がいわゆるイラン核合意から離脱した後、ホルムズ海峡周辺でタンカーへの攻撃等が発生するなど中東地域の緊張が高まる中、政府は、昨年12月、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集体制を強化するためと、自衛隊を中東地域へ派遣することを閣議決定しました。  今般の自衛隊派遣は、国会承認を必要としない防衛省設置法第4条の調査及び研究を根拠としていますが、国権の最高機関である国会の審議を経ることなく自衛隊の海外派遣という極めて重要な判断がなされることは、国民主権を軽視するものです。これをよしとすれば、歯止めのない派遣拡大につながり、災害援助で貢献していただいた若い自衛隊員の皆さんを命の危険にさらすことになります。  また、閣議決定後の本年1月、米国とイランとの間で軍事的応酬が発生するなど、中東地域の情勢が急激に悪化している中で、自衛隊が不測の事態に巻き込まれ、憲法に反する武力行使に発展するリスクが高まっているにもかかわらず派遣を強行することは、無謀かつ危険極まりないものです。  よって、国会及び政府において、緊迫している中東地域の状況に鑑み、自衛隊員の生命、身体の安全を守るため、一刻も早く自衛隊の中東派遣を中止するよう強く要請する中身です。議員各位の賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。よろしくお願いいたします。 ○議長(清沢英男 君)以上であります。  お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本案は委員会審査を省略することに決定いたしました。  本案に対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を採決いたします。  本案、原案どおり決するに賛成の議員の起立を求めます。       〔賛成者起立〕 ○議長(清沢英男 君)起立少数。よって、本案は否決されました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員辞職の件 ○議長(清沢英男 君)次に、百瀬智之議員から議員の辞職願の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  ただいま報告いたしました議員辞職の件を本日の日程に追加いたします。  本件を議題といたします。  本件に関する地方自治法第117条の規定による除斥対象者は百瀬智之議員でありますので、退場願います。       〔除斥対象議員退場〕 ○議長(清沢英男 君)お諮りいたします。百瀬智之議員の議員の辞職は、これを許可するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、百瀬智之議員の議員の辞職は許可することに決定いたしました。       〔百瀬智之君入場・着席〕 ○議長(清沢英男 君)次に、ただいま議員を辞職されました百瀬智之君から御挨拶があります。  百瀬智之君。       〔百瀬智之君登壇〕 ◆百瀬智之 君 お許しをいただきましたので、一言御挨拶を申し上げます。  3月8日告示になります松本市長選挙に立候補するために議員辞職願を提出しましたところ、早速御許可いただき、ありがとうございました。  顧みて、平成27年4月から長野県議会議員として活動の場を与えていただき、今、いろいろな思いがよみがえってまいります。自身、国会から県議会に活動の場を移して思ったことは、長野県議会という場が、真剣な議論の場でありながら、長野県民の優しさ、温かさを代表するような場所であったということです。国会では与党と野党の激しいせめぎ合いや対決軸の厳しさが印象的でしたが、こちらでは、一致団結して長野県をよくしていこうという思いにあふれ、一種の大きな家族のような雰囲気を感じました。  無所属で活動することが多い私でしたが、気さくに声をかけてくれる父親のような議員の先輩方や頼れる兄貴たち、気配り上手なお姉様方に接していただき、また、定例会のたびに一般質問や委員会で理事者の皆様と血の通ったやり取りができるのも本当に楽しみなことでした。  昨日の一般質問で申し上げたとおり、この5年間は、環境と経済、社会の統合を自分なりに追求してきた日々でもありました。この経験を糧に、環境先進都市の実現に向け、新たな時代を切り開くべく、本日をもって議員を辞職いたします。台風災害や新型コロナウイルス感染拡大に伴う県民不安が増大する中、この信州に一筋の光明を見いだせるよう不退転の覚悟で全力を傾ける所存です。  最後に、議員各位、阿部知事はじめ理事者の皆様、そして報道関係者の皆様には一方ならぬお世話になりましたこと、重ねて御礼申し上げながら、今後の県議会と県政の一層の御発展を祈念申し上げまして、御挨拶といたします。長い間本当にありがとうございました。       〔百瀬智之君退場〕          ────────────────── ○議長(清沢英男 君)次会は、来る3月10日午後1時に再開して、各委員長の報告案件を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって散会いたします。         午後4時8分散会...