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  1. 長野県議会 2020-02-20
    令和 2年 2月定例会本会議-02月20日-03号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 2年 2月定例会本会議-02月20日-03号令和 2年 2月定例会本会議 令和2年2月20日(木曜日)  出席議員(56名)   1 番 熊谷元尋      27 番 両角友成   2 番 望月義寿      28 番 中川宏昌   3 番 小林君男      29 番 清水純子   4 番 清水正康      30 番 小池久長   5 番 加藤康治      31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦      32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜      33 番 石和 大   8 番 大井岳夫      34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人      35 番 山岸喜昭   10 番 寺沢功希      36 番 小島康晴   11 番 花岡賢一      38 番 毛利栄子   12 番 池田 清      39 番 和田明子   13 番 百瀬智之      40 番 諏訪光昭   14 番 山口典久      41 番 丸山栄一   15 番 小山仁志      42 番 小池 清   16 番 竹内正美      43 番 宮本衡司   17 番 竹花美幸      44 番 清沢英男
      18 番 宮下克彦      45 番 垣内基良   19 番 大畑俊隆      46 番 鈴木 清   20 番 共田武史      47 番 高村京子   21 番 丸山大輔      48 番 宮澤敏文   22 番 髙島陽子      49 番 西沢正隆   23 番 荒井武志      50 番 風間辰一   24 番 埋橋茂人      51 番 佐々木祥二   25 番 続木幹夫      52 番 向山公人   26 番 中川博司      53 番 平野成基   54 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   55 番 萩原 清      57 番 望月雄内  欠席議員(1名)   37 番 小林東一郎         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     農政部長      山本智章   副知事       太田 寛     林務部長      井出英治   副知事       小岩正貴     建設部長      長谷川朋弘   危機管理監兼危   竹内善彦     建設部リニア整   坂田浩一   機管理部長              備推進局長   企画振興部長    伊藤一紀     会計管理者兼会   塩谷幸隆   総務部長      関 昇一郎    計局長   女性活躍推進監   酒井裕子     公営企業管理者   小林 透   兼男女共同参画            企業局長事務取扱   センター所長             財政課長      矢後雅司   県民文化部長    増田隆志     教育長       原山隆一   健康福祉部長    土屋智則     教育次長      轟 寛逸   環境部長      高田真由美    教育次長      三輪晋一   信州ブランド推   熊谷 晃     警察本部長     伊藤泰充   進監兼営業局長            警務部長      野﨑美仁   産業労働部長    林 宏行     監査委員      田口敏子   観光部長      中村正人         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   山田むつみ   議事課長      村松敏伸    議事課主任     水澤まゆみ   企画幹兼議事課   西川 裕    総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐         ───────────────────  令和2年2月20日(木曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(清沢英男 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、毛利栄子議員。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)おはようございます。共産党県議団の毛利栄子です。最初に、新型コロナウイルス感染症対策について土屋健康福祉部長に伺います。  中国湖北省武漢市を中心に発生した新型コロナウイルス感染は爆発的に広がり、日本をはじめ世界28か国に広まっています。日本国内では、横浜港に停泊しているクルーズ船で陽性確認者が日々増えており、19日現在で621人になりました。  衝撃的なことは、検疫に携わっていた検疫官1名が感染したこと。渡航歴もなく、接触もない感染者が国内で70人確認され、そのうちの1人が死亡。医師など医療関係従事者も感染し、感染源や感染経路が分からないまま広がり続けていることです。もはや新型コロナウイルス感染症問題は、水際対策だけではなく、新しい段階に入ったと言えます。  ネット上では様々な情報が飛び交っておりますが、感染力は強いものの致死率はMERSの34.4%、SARSの9.6%に比べ2%台とインフルエンザ並みの低いものとなっており、飛沫感染、接触感染でかかるため、厚労省は、うがいや手洗いをしっかり行うこと、せきエチケットを守ることで感染を防げる。発熱などがある場合には学校や職場を休むようにと広報しています。  県は、1月29日、新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、ネットで情報を発信するとともに、24時間の相談窓口を開設し、19日現在1,700件弱の相談があったとされています。  現在、県内には、クルーズ船での感染者13名を厚労省の依頼で受け入れた以外、幸いにも感染者は出ていません。国内での感染者が確認されたことで、県民は一層不安を募らせています。かからないようにするにはどのような予防対策が必要なのか。また、風邪で発熱などの症状が出たらまずどうすればいいのか。一般的には、かかりつけの医療機関を受診すると思われますが、その前に保健所に電話をし、新型コロナウイルスの疑いがあれば検査するということですが、その検査が現状では環境保全研究所1か所のみです。しかも、結果が出るまでには一定の時間を要すると聞いています。患者は、体調不良を抱えながら、結果が出るまで何に留意しどこでどう待機すればいいのでしょうか。潜伏期間が最長12日にもなるということで、結果が出たときには他の人にうつしている可能性もあります。  そこで、質問です。いたずらに不安をあおらないために現状はネットで発信していただいていますが、高齢者にはなかなかなじめないため、県としてまず正確で迅速な情報を新聞、テレビ、ラジオなど様々なメディアを通じて発信すること、分かりやすい予防策と受診方法の周知、検査体制の充実や受診可能な医療機関の拡充について早急な対応が求められていると思いますが、健康福祉部長に伺います。  次に、入院に関わる質問です。  クルーズ船内での集団感染が次々に広がる中、厚生労働省は、長野を含む10県に入院の受入れを依頼し、長野県も人道的な見地から受入れをしてきています。県内の指定医療機関は11病院46床ですが、国内での感染が確認され、今後広がることも懸念されます。指定医療機関のベッドは、他の感染症に備えて一定数空けておかなければならないと思いますし、県内での新型コロナウイルス感染者が出現する場合に備えることも必要になってくるかもしれません。受入れのベッド数に関してはどのように調整をするのか伺います。  さらに、厚労省は、国内での増加に備え、指定医療機関でなくても感染者の受入れは可能とも言っており、昨日、知事は、一般病床でも受入れ調整をしているとの方針を示しています。その場合の医師や看護師など医療スタッフの体制やノウハウは十分なのか。  また、現状では、クルーズ船からの受入れに関し、感染者情報の詳細は明らかにしていませんが、県内で感染者が出た場合は、蔓延を防止するために、感染源、感染経路を含め細かい情報の提供が必要だと思いますが、健康福祉部長の見解を伺います。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)新型コロナウイルス感染症対策につきまして4点御質問をいただきました。  まず初めに、新型コロナウイルスへの対応策についての御質問でございます。  感染症対策につきましては、発生状況のフェーズに応じて迅速かつ的確に対応していくといったことが重要でございます。  現時点で県内での感染者の発生はないという状況にあることから、手洗いの励行など感染予防策の周知をしっかりしていくとともに、特に、一定の症状がある場合については必ず保健所に相談していただくといったことの徹底、そして、そのための24時間体制の相談窓口の案内、さらには、不足しておりますマスクの購入に関するお願い等につきまして県民の皆様に対して正確で迅速な情報提供に心がけているところでございます。  具体的には、知事の会見なども設定をしつつ、そういった場を通じて、メディアを通した情報発信を行ってまいりたいと考えてございますし、これまでもそのように対応しているところでございます。  一方、国内において感染が広がりつつあるといったことから、今後訪れるフェーズの進行を先取りして準備していく。検査を担う環境保全研究所の設備や人員等体制の強化を図るなど、迅速な検査を行うことができるよう今も準備を進めているところでございます。  また、医療機関の拡充についてでございますが、感染症指定医療機関の感染症病床以外の病床、さらには、感染症指定医療機関以外の医療機関の病床の確保など、受入れ可能な医療機関の幅を広げるべく調整を進めているところでございます。今後も、新型コロナウイルス感染症対策本部において危機感や目的意識を共有しつつ、また、関係機関とも連携協力して迅速かつ的確に対応を進めてまいります。  次に、クルーズ船からの感染者の受入れについてでございます。  クルーズ船からの受入れにつきましては、同船内で多数の感染者が確認される中、国からの要請に基づき、近隣県での受入れだけでは十分ではないといったこと、さらには、人道上の観点から、2月12日以降計13名の患者を感染症指定医療機関に受け入れているところでございます。  一方で、国内での感染者が日に日に増加する中、県内での患者発生に備えて、県民の生命、安全を守ることを第一に考え、今後の受入れにつきましては慎重に判断をしてまいりたいと考えてございます。  次に、一般病棟で受け入れる場合の医療スタッフの体制やノウハウについてでございます。  今後、感染症指定医療機関以外での受入れが必要な場合には、感染防止対策を含め、医療スタッフの体制が十分整っているといったことを前提に受入れ医療機関の調整を行っているところでございます。  また、受入れ医療機関における院内感染防止対策を支援するため、昨日、信州大学医学部附属病院の協力を得て、同院内に専門的な知見を有する医師等を配置した医療機関向けの相談窓口を開設したところであり、全県における万全な受入れ体制の整備に努めてまいります。  次に、感染者に係る情報提供についてでございます。  感染者が発生した場合の情報提供の在り方につきましては、蔓延防止や県民の不安解消といった観点を基本としつつも、その一方で、プライバシーの保護や風評被害の防止といった要請もあり、国や都道府県の考え方、取扱いは必ずしも統一されたものとなっていないというのが現状でございます。  本県においては、現時点で感染者は発生しておりませんが、発生した場合には、まずは感染経路や濃厚接触者についてできる限り詳細な調査を行った上で、公表が必要な情報、県民の皆様に周知するべき内容について適切に判断してまいりたいと考えてございます。  加えて、行動履歴が複数の都道府県にまたがる場合も想定されるため、国において統一的な公表方針を示すことが望ましいと考えておりますので、全国知事会を通じて国に要望をしているところでございます。  以上でございます。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)県内経済の動向と県民の暮らしについて知事に伺います。  知事は、議案提案説明の中で、日銀松本支店が2月に公表した金融経済動向を引き合いに出し、県内経済は幾分ペースを鈍化させつつも緩やかに拡大しており、個人消費は台風19号や消費税率引上げの影響が見られるものの底堅く推移していると紹介していますが、私は耳を疑いました。この分析は、県民感情や実態から大きくかけ離れていると思います。  2月7日、政府は12月の景気動向指数と家計調査を発表しました。それによると、内閣府の景気動向指数は5か月連続でマイナス、総務省の家計調査では、1世帯当たりの消費支出は前年同月比でマイナス4.8%となり、3か月連続のマイナスとなりました。内閣府は景気の現状を悪化と判断しています。  共産党藤野保史衆議院議員は、衆議院予算委員会で、家計消費は14年の消費税8%増税後から落ち込み続け、増税前に比べ年額31万4,000円も減り、およそ1か月分の消費が吹き飛んだ大変な状況になっており、日本は今深刻な景気不況に陥っていると指摘し、反響を呼んでいます。先日発表された10月から12月期のGDPが年率換算で6.3%もマイナスになっているという衝撃的なデータは、この指摘を後づけるものです。  それでは、長野県の経済状況は一体どうなっているのか。長野県では、米中貿易摩擦、台風19号災害、新型コロナウイルス、雪不足などによる大きな影響を受け、さらに消費税増税が暮らしと地域経済に追い打ちをかけているため、深刻な状態になっています。  帝国データバンクの調査によると、2019年の県内の景気動向調査で、悪化局面と回答した企業が43.2%と、2012年以来7年ぶりに4割を超え、全国2番目に高い状況です。さらに、2020年の景気見通しについても、38.4%が悪化すると回答しています。  県内経済の動向をどう把握し、どう分析するかは、施策を展開する上で非常に大事な要素になってまいります。知事は、昨日の代表質問に答え、受注の減少、業況悪化が見られ、予断を許さないとも言っております。その捉え方では甘くはないか。知事には、県内経済の動向をもっと多面的な資料や角度、指標から見ていただき、正確な判断をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  消費税増税について伺います。  政府は、昨年10月の消費税10%増税に伴い、キャッシュレス還元、ポイント還元、複数税率など影響緩和策を導入しましたが、諏訪地域のある業者は、ポイント還元に合わせてレジやカードリーダーを80万円かけて導入し、20万円の補助を受けたが、買物に来る人が激減し、損しただけで何の役にも立たないと怒りをぶちまけ、また、違う商店主は、商工会議所が導入を勧めてきたが、9か月ばかりのことだし断った。10月、11月はそれでもお客が来たが、12月からはとんと来なくなり、どこまで商売を続けられるか不安と語っています。  国は、2020年度予算で消費税増税分を活用し、社会保障の充実、経済対策の着実な実行、財政健全化をうたっていますが、国の税収自体は18年の60.4兆円とほとんど変わらず63兆5,000億円。従来、所得税が収入のトップを占めていたのに、20年度はとうとう消費税が所得税を2.2兆円も上回る一番の税収になりました。これでは消費が増えるはずがなく、地域でお金が回るはずはありません。  耐久消費財である県内新車登録台数は、消費税導入後の落ち込みを懸念し、自動車税の減税措置をしたにもかかわらずほとんど効果はなく、前年同月比で10月はマイナス25.5%、11月はマイナス12.3%、12月はマイナス11.8%、1月はマイナス10.2%と4か月連続で減少傾向が続いています。前回14年の8%へのアップのときには4か月目にはプラスに転じましたが、今回は回復の兆しが見えてきません。  大阪府では、2019年10月から12月期の景気観測調査結果を1月20日に発表しました。その中身を見ると、企業の業況判断DIは全産業で4期連続悪化し、マイナス29.4と2012年以来の低水準で、景気は弱い動きとなっているとしています。また、消費税引上げ前後の売上高の推移や増税の影響を受ける期間も調査しており、それによると、上半期と下半期では増税後にある程度のマイナス影響があり、小売業や飲食店、宿泊業では影響が7月以降も続き、長期化を想定する向きが強いとしています。長野県としても消費税増税の影響について把握してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
     消費税を8%に引き上げて以降、景気は急激に悪化し、長期化している上に、さらなる引上げで県民生活は困難を極めています。知事は、我が団の度重なる消費税に関わる代表質問や一般質問に対し、持続可能な社会保障制度を構築していく上でも、地方財源を充実していく上でも、消費税率の引上げは重要だ。県財政にとっても貴重な安定的財源と答えています。  しかし、社会保障予算の自然増は1,200億円削減され、年金は2年連続でマイナスとなり、75歳以上の医療費への2割負担の導入や介護施設の食費負担増、受診時定額負担の導入など一層の改悪を進めようとしており、とても充実される状況とは言えません。  税の基本は累進課税であり、所得のない赤ちゃんや寝たきりのお年寄りも負担を余儀なくされる消費税が税収の一番を占めるなどということは異常です。県民の暮らしと地域経済を壊す消費税について改めて知事の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)経済動向と消費税について御質問いただきました。  経済動向を多面的に把握する必要があるのではないかという御質問でございます。  もとより、全くそのとおりだというふうに思っております。提案説明で日銀松本支店金融経済動向を引用させていただきましたが、その後は、しかしということで予断を許さないという認識を示させていただいておりますし、この金融経済動向だけではなくて、日銀松本支店金融短期経済観測結果、長野財務事務所の県内経済情勢、長野経済研究所業況アンケート調査、さらには県独自で四半期ごとに実施しております景気動向調査、こうしたものを踏まえて県内の経済動向を把握してきているところでございます。提案説明ではこの金融経済動向のみ引用させていただきましたけれども、私どもの判断要素としては必ずしもそれだけで行っているわけではないということは御理解いただければというふうに思います。  続きまして、消費税引上げの影響についてであります。  県内企業の影響につきましては、景気動向調査に併せて消費税率引上げに伴う影響調査を実施いたしているところでありまして、現在集計中でございます。前回の引上げ時にも同様の調査を行っておりますので、この消費税率引上げの影響を我々もしっかり把握していきたいと思っております。  また、このほかにも、総務省の家計調査、消費者物価指数などの県民生活に関わる統計や、自動車新規登録台数大型小売店売上高、また、先ほど申し上げたような各種の調査、こうしたものにも注視していきたいと考えております。  続きまして、消費税率引上げについての考え方であります。  この場でも申し上げてきたかと思いますけれども、税金を負担する立場とすれば少なければ少ないほどいいということは基本だと思います。しかしながら、行政として県民生活に必要な仕事をしていく上では、どうしても財源が必要になるわけでありまして、どういう形でどういう方に負担をいただくかということは極めて重要な問題だというふうに思っております。  現在、我が国、そして長野県が置かれている状況は、急速な少子高齢化社会であります。持続可能な社会保障制度を構築していくということが強く求められている状況であります。また、国債残高が非常に多額に上っている中で、将来世代に過大な負担を先送りするということはもはや許されないのではないか。現役世代、今を生きる我々が幅広く広範に負担を分かち合っていくということが必要ではないかというふうに思っております。そういう観点や、景気動向に左右されにくい財源という意味で、消費税は非常に重要な税であるというふうに考えております。  消費税率が5%から8%、そして今回10%に引き上げられたことに伴います本県の地方消費税の増収分は、来年度においては約261億円余というふうに見込んでおります。この財源を、高齢化による社会保障関係費の増嵩経費に約142億円、また、保育士の処遇改善や延長保育、幼児教育の無償化など子供・子育て支援の充実に60億円余、そして、医療、介護の充実に40億円余等々、この財源全てを社会保障関係の経費に充てていくことにしているところでございます。こうした状況を丁寧に説明して県民の皆様方の理解、協力を得ていくということが重要だと思いますし、その一方で、国も地方もやはり納税者の皆様方の信頼が不可欠であります。さらに効率的、効果的な行政運営に努めていきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)今、知事の御説明の中で様々な観点から指標を見ていくということは同感だというふうにおっしゃっておられまして、長野経済研究所や住宅着工戸数など幾つかお話がありましたが、今の景気が底堅く推移しているということを殊さら強調して御説明いただいたことにはやはり違和感があるというふうに指摘せざるを得ません。  また、国の施策の中で高等教育の無償化等にも使われているというお話がありました。しかし、それと引換えに、例えば国立大でいえば、所得の低い皆さんに対しては無償だったものがそこから外れるということもあって、信大の学生も、今まで無料で受けられていた授業を有料化するということがありまして、この施策の中で総体的に使われたといいましても、実態と合わない使い方があるという点を指摘させていただきたいと思います。  県民の暮らしの大変さを幾つか紹介させていただきながら知事に再度伺います。  その1、この3月に高校を卒業される生徒さんの例です。春休みに自動車免許を取るために自動車学校に入学されたようですが、教習費用が29万8,750円。そのうち何と消費税分が2万6,900円。10%の重みはずっしり響いてくるではありませんか。しかも、高校生に収入はありません。新しい生活に踏み出すためにはさらに大きな出費が予想されます。  その2、国民年金だけで暮らしておられる90歳の独り暮らし女性の例です。細かい数字が読めなくなり、眼鏡を替える必要が出てきたそうです。プレミアム商品券の購入案内が来たそうですが、幾ら5,000円プラスされるといっても、2万円をいっときで払えないので、暮れから毎月1,000円ずつためて、ある程度たまったら購入するとのこと。6万5,000円の年金から1,000円を生み出すために灯油代を節約され、日中はストーブを消しているそうです。仮に3万円の眼鏡を買うとしたら、3,000円の消費税。3か月分の積立てに相当するではありませんか。付け加えるなら、彼女は住民税も所得税も非課税です。でも消費税はいや応なしに払わねばなりません。  今挙げた例は、私が県民の皆様からお聞きしているお話の僅か一部です。知事にはこういった県民の切実な声が届いていないのですか。  8%に引き上げた2014年以降、経済が急速に悪化しているため、差し当たって消費税を5%に引き下げるということを私たちは提案しています。県財政にとってみても、地方消費税としての収入や交付税に振り替えられる消費税の配分はあるでしょう。しかし、県のハード事業にも物件費にも消費税はかかってきます。差引きについて知事は考えてみたことはありますか。県民の暮らしにとっては大ダメージであり、県財政にとっても消費税は地域経済と地方行政を圧迫するものだと私は思いますが、いかがですか。知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ミクロ的に見る場合とマクロ的に見る場合と大分観点が違うのだろうというふうに思って伺っていました。もちろん、冒頭申し上げたように、自動車免許を取られる学生の方、あるいは眼鏡を購入されるお年寄りの方の税負担は少なければ少ないほどいいと私も思っていますし、皆さんもそうだと思います。ただ、誰も税負担をしなければ、社会は成り立ちません。学生に対する支援も、今回、県の予算においてもかなり充実させていただいておりますし、高齢者の介護、医療についても、今の状態を維持しながらもより手厚い対応をしていかなければいけないという現状の中にあっては、一定の税負担をお願いさせていただかざるを得ない状況だというふうに思っております。  もとより、先ほど申し上げましたように、行政が信用できない、国や県がやっていることが信用できないということだと納税者の皆さんは納税する意欲がなくなってしまいます。我々は、常に襟を正しながら県民の皆様方の期待に応えられるように取り組んでいくということが重要だというふうに思います。しかしながら、個別の事象を捉えて、ここが大変だから、そこが厳しいからということで税負担がおかしいという話をされると、それは行政としては成り立たなくなってしまうというふうに思います。個々の皆さんの生活状況の実態にしっかりと寄り添いながらきめ細かな対応をしていくということが必要だと思いますけれども、他方で、マクロの観点では、我々の考え方、今の財政状況をしっかりお伝えして御理解いただくということが重要だと思います。  どうか県議会の皆様方にもそうした考え方を共有いただいて、県民の皆様方に県の状況をお伝えいただければありがたいというふうに思いますし、また、我々自身もしっかりと努力をしていきたいというふうに思っております。  以上です。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)私は、何も税金を徴収してはいけないというふうに言っているわけではありません。税金はあるところから取ることにしていただいて、ないところはそれなりに取らないでいただきたいということを言っているわけであります。この問題はいつも食い違っておりますので、引き続き議論させていただきたいと思います。  次に、気候非常事態宣言に基づく2050ゼロカーボンの長野県を目指す取組について高田環境部長に伺います。  今だけ、金だけ、自分だけ、後は野となれ山となれの利潤追求の資本主義経済は、今や地球を危機的状況に追い込んでいます。世界各地で大規模な森林火災、干ばつ、高温や豪雨など異常気象が頻発しており、地球温暖化の影響が非常に大きいと指摘されています。   長野県で起こった台風19号による異常な降雨も気候変動が要因の一つだとされています。 パリ協定が2020年に本格始動するのを前に、各国がCO2削減目標を引き上げることが最大の課題だった12月のCOP25は、有効な対策を加速できないまま先送りとなりました。日本は、脱炭素社会を掲げながら、石炭火力発電にこだわる姿勢を捨てず、ここで2回にわたって化石賞なるものを受けることになり、世界に恥ずかしい姿をさらす形になりました。  長野県議会の全会一致の決議を受け、阿部知事は、全国で県としては初めて気候非常事態宣言を挙げ、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすると決意したことは大いに歓迎するものです。  問題は、この達成のために、従来の延長線ではない取組をどう行っていくかにかかっています。新年度予算では幾つかの積極的な提案がされていますし、また、今年度中には、将来世代を含む県民の命と財産を守るために気候危機突破方針を策定し、具体的な行動を起こしていきたいとしております。  そのために、県が今まで数次にわたる環境エネルギー戦略を策定し、徹底的な省エネ、環境と調和した再生可能エネルギーの積極的導入、エネルギー自立の県づくりに取り組んできたにもかかわらず、二酸化炭素の排出量は漸減してきているとはいうものの、90年比ではまだまだ増えていることに対し、その原因と問題を明らかにすることが必要です。京都議定書から既に30年たっていることを踏まえれば、2050年まであと30年しかありません。何が問題か、課題の洗い出しと、2050年ゼロカーボンに向けた取組の戦略の基本、ロードマップを明らかにするべきだと思いますが、環境部長の見解を伺います。  また、推進のためには、県民や県内事業所の理解と協力が欠かせません。県は、この間、環境負荷の少ない建築物の屋根での太陽光発電、太陽熱普及に向け、ポテンシャルを見える化するためにソーラーマップを作成し、公表してきました。この取組を気候非常事態宣言の中に生かすことが大事だと思います。  長野県の特徴は、太陽光発電の発電量が多く、しかも小規模分散型です。個人住宅への設置には初期投資が大きいために、まだまだ住宅戸数の1割程度と、普及が進んでいるとは言えません。建物設置の太陽光発電に対し、個人住宅に対しても何らかの支援策を講ずることが太陽光発電の電力量を増やし、県民意識の向上につながると思いますが、環境部長の見解を伺います。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)2点御質問をいただきました。  初めに、ゼロカーボンに向けました戦略やロードマップについての御質問でございます。  現行の環境エネルギー戦略におきましても、2050年までの長期目標を設定した上で現状と課題を分析し、2020年までに行うべき具体的な政策を定めて計画的に推進してきたところでございます。  現在、2021年度から始まります新たな環境エネルギー戦略の策定を進めているところでございます。この策定に当たりましては、2050年にはゼロカーボンという長期目標を踏まえまして、有識者の御意見も伺いながら、しっかりと現状と課題を整理しつつ、政策の柱となる考え方や道筋についても示してまいりたいと考えております。  続きまして、個人住宅におけます太陽光発電の支援等でございます。  個人住宅への支援につきましては、県では、現在、建設部所管の環境配慮型住宅助成金におきまして太陽光発電等の自然エネルギー設備を導入する際の加算制度を設けてございます。また、現在では、48の市町村におきまして住宅用太陽光発電の導入に対する補助制度がございます。さらに、来年度から、県では、自然エネルギー地域発電推進事業、いわゆる収益納付型補助金の対象に太陽光発電を加えたところでございます。この補助金でございますが、太陽光発電設備の設置に当たりまして、建物所有者に初期費用を求めないメニューを提供する太陽光発電事業者を支援する予定でございます。個人住宅への直接支援ではございませんけれども、初期投資の軽減に資するものと考えているところでございます。  ソーラーポテンシャルマップにつきましては、個々の建物形状に応じまして売電や節電などの効果のほか、市町村の補助金の紹介や地域の相談先事業者も掲載しておりまして、設置の検討をしやすくしているところでございます。県民の皆様には、このマップを活用して太陽光発電の設置を検討していただけるように引き続き周知に努めてまいりたいと思います。  以上でございます。       〔38番毛利栄子君登壇〕 ◆38番(毛利栄子 君)グレタ・トゥンベリさんが言っているように、今大人たちが真剣に行動しなければ、将来の若者世代に無責任な社会を残すことになります。人類の未来にとって死活的な課題で、長野県から展望を切り開いていく、そんな取組を共に行うことを期待して、質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)次に、続木幹夫議員。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)順次質問に移ります。信州F・POWERプロジェクトについて伺います。  塩尻市片丘に建設中であった信州F・POWERプロジェクトの木質バイオマス発電所が、計画から大幅に遅れ、いよいよ本年7月に負荷試験を始め、10月に本格稼働するということです。この発電所は、製材過程で発生する端材や製品に適さない低質な原木を県内から集め、年間約14万4,000立方メートルもの木を燃料として使用し、最大で2万6,000世帯の電力を賄うことのできる全国でも最大級の木質バイオマス発電所です。昨年12月に塩尻市奈良井に390世帯ほどの電力を賄うことができる水力発電所ができましたので、この二つの再生可能エネルギーの発電所がフル稼働すれば、県内でもトップのゼロカーボンに向けての先進自治体となります。  しかしながら、4年ぶりに県議会に戻ってみますと、各方面から、あの発電所は大き過ぎる、継続的に毎年14万4,000立方メートルもの木材を集めることにはいろいろ課題があるのではないかという声を多く耳にしました。そうした声を聞くにつけ、私もどんどん心配になってまいりました。  塩尻市も、この事業を軌道に乗せるべく、大手ゼネコンと提携し、ここで生産された製品の販売促進を図り、燃料となる端材が多く出るように画策していますが、塩尻市だけでは限界があります。県もトータルで25億円もの補助金を拠出しているのですから、これを無駄にしないためにも、引き続き県のバックアップが必要です。  そもそも信州F・POWERプロジェクトは、森林資源を無駄なく活用し、その利益を山側に還元することで林業を産業として復活させ、森林の再生や木材産業の振興を図るとともに、カーボンニュートラルを促進する目的で始まったものと認識しております。伐採した木や原木を切り出す際に打ち払われた枝などは、そのまま林地に放置しておきますと、朽ちる際に、せっかく固定した二酸化炭素などが再び大気中に放出され、温暖化ガス削減になりません。したがって、こうした林地残材も極力集めてバイオマス発電所の燃料とすることが肝要だと思います。  宮崎県では、伐採跡地へ再造林を確約する山林所有者らに、山に放置されている林地残材を木質バイオマス発電所まで運搬する経費を助成する事業を始めました。本県においても、信州F・POWERプロジェクトを軌道に乗せるためにぜひこうした助成制度が必要だと思います。林務部長に伺います。  次に、気候非常事態宣言について伺います。  昨年12月、知事は、都道府県では初めて気候非常事態宣言をいたしました。つまり、2050年までに県内の実質二酸化炭素排出量をゼロにすると約束したことになります。そして、この宣言については、我々県議会も全会一致で知事に要請したわけですから、知事とともに県民に対しこの約束を果たす責務を負ったことになります。しかしながら、30年後、知事はもちろん、今この議場にいる議員の中で一体何人の方がいるでしょうか。結局、30年後にこのゼロカーボンを果たせなかったとしても、誰も責任を取らなくて済むということになりかねません。  我が国の地球温暖化防止対策の状況を見ますと、1992年、リオデジャネイロで行われた地球サミットで気候変動枠組条約に署名しましたが、努力目標ということで、我が国はその目標に達しませんでした。その後、97年、COP3での京都議定書で温室効果ガス排出を減らす義務が負わされましたが、これもその義務を果たすことはできませんでした。それどころか、国際環境NGO気候行動ネットワークから2度も化石賞を授与され、我が国は地球温暖化防止対策に消極的で非協力的な国というレッテルを貼られてしまいました。国のこうした状況下で本県が30年後にゼロカーボンとするには、相当な覚悟と大胆な施策をしていかないと難しいのではないのでしょうか。  ゼロカーボンに向けては、大きく分けて四つの観点からその対策をしなければならないと考えます。一つは、二酸化炭素をよく吸収するための森林の整備。二つ目は、再生可能エネルギーの促進。三つ目は、エネルギーの省力化、いわゆる省エネです。そして四つ目は、エネルギーの地産地消です。長野県の県土の85%は森林ですから、森林による二酸化炭素吸収は期待すること大であります。  第三次長野県地球温暖化防止県民計画によると、2015年における長野県から排出される温暖化ガスの排出量は約1,500万トンであり、一方、森林による吸収量は165万トンで排出量の約1割程度です。これをさらにもっと多くの温暖化ガスを吸収するような森林としていくにはどのような方策があるのでしょうか。林務部長に伺います。  次に、再生可能エネルギーの推進についてですが、本県は山紫水明で急峻な地形が多くあります。水力発電の発電量は流量と落差で決まりますから、県内には中小水力発電所の適地が至るところにあります。  第三次長野県地球温暖化防止県民計画によりますと、再生可能エネルギー発電設備容量の2020年目標では、太陽光が145万キロワットに対して、小水力は1.2万キロワットであり、太陽光の0.8%しかありません。これは、あまりに消極的な目標であるように思います。太陽光発電のエネルギー変換率が20%に対して、水力は80%であり、24時間発電ができます。中小水力発電についてももっと積極的な目標を立てるべきだと思いますが、環境部長に伺います。  次に、省エネですが、県内の温暖化ガスの排出量を見ますと、2015年実績で、運輸、家庭、業務、産業のそれぞれの部門が350トン前後でほぼ同量の温室効果ガスが排出されています。 運輸部門については、カーシェアリングや電気・水素自動車の普及を図り、家庭については省エネ住宅の普及、産業についてはそれぞれの企業の生産効率化による省エネを期待したいと思います。  そして、問題は業務部門であります。業務部門の温室効果ガスの排出量の内訳を見ますと、小売、サービス業で8割を占めています。そこで提案ですが、今、人手不足によるコンビニエンスストアなどの営業形態の在り方が問題となっていますが、省エネという観点からも、コンビニなどのサービス業に対して深夜営業の規制をしたらいかがでしょうか。かつてオイルショックのときに深夜営業の規制をしましたから、決して無理な方策ではないと思います。今は非常事態なのですから、このような相当に思い切った施策をしなければ2050年のゼロカーボン化は達成しないと思いますが、知事に伺います。  四つ目のエネルギーの地産地消ですが、今、我が国の大手電力会社による電力の8割が石炭などの化石燃料を使った火力発電によるものです。したがって、県内で再生可能エネルギーで発電を行ってその電力を大手電力会社に売り、また大手電力会社から電力を買っていたのでは、本県のゼロカーボン化にはつながってまいりません。そこで、地元でつくった自然エネルギーを地元で直接消費する、エネルギーの地産地消がゼロカーボンに向けて非常に有効な手だてだと思います。くしくも昨日の信毎の朝刊に、県営水力発電所で発電した電気を災害時に行政機関や医療機関などに直接送る構想が載りました。そこで、非常時だけでなく、常時大手電力会社を介さず直接県内の事業所や一般家庭に送電、供給する仕組みはできないでしょうか。公営企業管理者に伺います。  そして、全国を見ますと、再生可能エネルギー電力の地産地消を進めるため、小規模送電網、マイクログリッドの構築が進んでいます。本県においてもこのマイクログリッドの推進を図るべきと思いますが、知事に伺います。  いずれにしましても、基礎自治体である県下77市町村のゼロカーボンに向けての積極的な取組がなされ、その積み重ねがあって初めて県全体のゼロカーボン化が達成できます。そこで、この気候非常事態宣言について77市町村の理解と協力は得られているのでしょうか。知事に伺います。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)林地残材の運搬経費の助成についてのお尋ねでございます。  木質バイオマス発電には燃料原木の安定供給体制の構築が重要となります。そこで、県では、素材生産量の増大と生産性の向上が図られるよう路網整備や高性能林業機械導入等の支援を行っており、令和2年度は、さらなる素材生産量の増加につなげるため、主伐後の再造林に対する補助率の引上げに必要となる予算を今定例会でお願いしているところでございます。また、手間のかかる枝等の林地残材の搬出運搬コストの削減を図るため、中間土場の整備やチッパーの導入等を支援してまいります。  今後とも、林業事業者等から発電用原木供給に当たっての課題等を伺うとともに、他県の運搬費助成制度の目的や利用実態等を調査し、林地残材を含む発電用原木が確保できるようしっかりと取り組んでまいります。  次に、森林がより多くの二酸化炭素を吸収するための方策についてでございます。  森林は、二酸化炭素を吸収し、炭素として幹や枝に大量に固定することにより地球温暖化防止に貢献する機能を有しております。こうした機能を十分に発揮させるためには、間伐等の整備により、森林を健全な姿で維持することが必要でございます。このため、引き続き森林計画制度や保安林制度等に基づいた適切な管理の下、造林事業や治山事業等による森林整備を計画的に推進してまいります。  また、樹木は一定の樹齢を過ぎると成長量の低下とともに炭素の吸収量も低下するため、適期に伐採して木材として建築物や家具等に利用しつつ、伐採跡地に若齢林を着実に育成することは、二酸化炭素の吸収の促進につながるものと考えております。このことから、伐採木が確実に利用されるよう県産材の利用拡大のための取組を進めるとともに、主伐や再造林を促進してまいります。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)小水力発電設備容量の目標設定についてのお問合せでございます。  環境エネルギー戦略におきます自然エネルギー発電設備容量の目標設定は、エネルギーの種別ごとにそのポテンシャルや導入傾向等を踏まえて設定されています。小水力発電につきましては、設置の計画ができてから調査、設計、工事に至るまでの期間が長期間にわたることから、2020年度の目標は1.2万キロワットとしたところでございます。本県では、これまで、小水力発電キャラバン隊や収益納付型補助金により小水力発電事業の拡大の支援を行い、2018年度末時点で固定価格買取り制度による発電設備導入件数は全国1位となっております。  なお、現行戦略の策定以前に導入されていた水力発電の設備容量は163万キロワットありますので、2018年度末時点の県全体での再生可能エネルギー発電設備容量298万キロワットに占める水力発電の割合は約55%となっているところでございます。  今後も、ゼロカーボンの実現のため、小水力発電を含めた再生可能エネルギーのより一層の活用が必要と考えております。次期環境エネルギー戦略を策定する中でそれぞれの種別ごとの目標も見直してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)気候変動に関連して3問御質問いただきました。  まず、省エネの観点からのコンビニの深夜営業規制についてという御質問であります。  今回、2050年ゼロカーボンという高い目標を掲げたわけでありますので、従来の発想を超えてあらゆる可能性を追求していくということが重要と考えております。地球温暖化対策の推進に関する法律の中で、この温暖化対策を進めていく上でいろいろな事業者の皆さんと協議会を設置できることになっておりまして、私どもとしては、病院、宿泊施設、さらにはコンビニ等を含む商業施設の三つの協議会を設けてこれまでも様々な検討を行ってきております。改めてゼロカーボン宣言を行ったところでありますので、こうした協議会を通じて、より実効性のある取組、そして優先度の高い取組を事業者の皆さんと一緒に考えていくということが重要だと思っております。  ちなみに、県内のコンビニエンスストアのCO2の排出量は県全体の排出量のおおむね0.5%程度という状況でありますし、仮に深夜営業だけ規制したとしても、深夜も冷蔵庫等の電力はそのまま使うということにならざるを得ないわけでありますので、私どもとしては、どういう対策が最も効果的なのか、また、事業者の皆さんがどういう課題を持っていらっしゃるのか、あるいはどういう取組が本当に優先すべきものなのか、そうしたものをまずはしっかり見極めて取り組んでいきたいというふうに考えております。  続きまして、マイクログリッドの推進でございます。これも、ありとあらゆることを考えなければいけないという中で、続木議員御指摘のとおり、一つの重要な取組の方向性だというふうに思っております。  企業局においては、まず地域連携水力発電マイクログリッドの構築の検討を行っていくことにいたしております。これは、大規模災害による停電時において、企業局の水力発電所を活用して直接自営の配電線を用いて村役場等に電力を供給すること、あわせて、送配電事業者の送配電網を用いて地域へ電力を供給していくことを目指そうというものであります。こうした検討を行う中で、このマイクログリッドの具体的な課題をより明らかにする中で本県の特性に即したマイクログリッドの推進を図っていきたいと考えております。  3点目ですが、気候非常事態宣言に対する市町村の理解と協力という御質問でございます。  御指摘のとおり、この気候非常事態に立ち向かっていく上では、行政においても市町村の理解と協力は不可欠だというふうに考えております。そういう観点で、私も、宣言後、市町村の皆様方には機会を捉えてこの宣言の背景、趣旨のお話をさせてきていただいておりますし、また、事務的にも、市長会、町村会に対しまして宣言の趣旨や今後の取組等を県として御説明させていただいております。  G20環境エネルギー関係閣僚大臣会合後の長野宣言に対しましても県内の多くの市町村に賛同をいただいております。40を超える市町村、特に、全市にこの長野宣言に賛同をいただいておりますし、今回の気候非常事態宣言についてもおおむね前向きな対応をいただけるような状況だというふうに受け止めております。  特に、白馬村は、全国で2番目の自治体として気候非常事態宣言を行っておりますし、また、千曲市においては、3月議会において宣言を行う予定というふうにも伺っております。現在、他の市町村においても宣言の動きがあるというふうに聞いておりまして、市町村においてもこの県の気候非常事態宣言、ゼロカーボン宣言を受けての取組がこれから徐々に広がっていくことを期待しているところでございます。  県と市町村が一丸となってこの気候危機にしっかり取り組んでいくことができるように、今後とも市町村との連携協力体制をしっかり意を用いて構築していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)電力の地消地産への取組についての御質問でございます。  企業局といたしましては、平成22年に結んだ長期基本契約に基づき、電力の多くを売電している中部電力等と連携いたしまして、再生可能エネルギーの地消地産への取組といたしまして、昨年6月、軽井沢でのG20関係閣僚会合へ企業局の電力を供給し、その状況を会場に展示し、注目されたところでございます。  また、本年度、企業局の電力で水素を生成する川中島水素ステーションを整備し、この1月には、それとともに導入した燃料電池自動車を経由して地元プロバスケットボールチームのホームゲーム会場へ電力を供給いたしました。  さらに来年度は、川中島庁舎及び南信発電管理事務所庁舎に太陽光パネルを新増設するとともに、新たに燃料電池または蓄電池を設置し、庁舎の電力消費の実質的なゼロカーボン化を目指す取組を始めることとして、その経費を来年度予算案に計上させていただいているところでございます。
     こうした長期契約などのほか、平成29年度に運転を開始した高遠発電所等の電力につきましては別途丸紅新電力に売電し、東京都世田谷区立の保育園等に供給することで地域と大都市との交流を実現してまいりました。これらの売電契約は本年度で期限を迎えるため、来年度の売電につきましては、地消地産を含めた県への地域貢献や大都市との連携を評価項目とした公募型プロポーザルを実施し、審査の結果、昨年12月に、中部電力、丸紅新電力、みんな電力の3社による共同企業体を選定したところでございます。  企業局といたしましては、再生可能エネルギーの地消地産を進めるためにも、その供給拡大を図る必要があると考え、今後とも経営の安定を図りつつ、新規電源開発等への取組を加速化することに加え、地域マイクログリッドなどの災害時における地域での活用とともに、電力供給そのものの在り方について研究することなどによりまして、2050ゼロカーボンに向けて取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)このまま地球温暖化が進めば、100年後には人類が生存できる環境ではなくなるという説もあります。しかし、私たちの年代の多くの人は、自分が生きているうちは大丈夫、こう思っております。山本良一東京大学名誉教授は、人類に残された時間はあと20年程度。それ以上対策を引き延ばせば本当に手後れになると訴えています。知事におかれても、30年後と言わず、ぜひ知事在任中にゼロカーボンを達成するぐらいの覚悟で地球温暖化防止に取り組むことをお願いして、一切の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(清沢英男 君)次に、小池久長議員。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)内閣府は初の中高年のひきこもり人口の実態調査を行い、自室からほとんど出ないなど半年以上続くひきこもりは、40歳から64歳の中高年では推計61万人と発表しました。ちなみに、調査地点は異なるものの、15歳から39歳では推計54万人であります。中高年のひきこもりの77%は男性で、そのきっかけは、退職、人間関係、病気と続きます。  アメリカの子供は自主性と自尊心を高める教育を受けるが、日本の文化や教育は自己という意識を助長することをしない。九州大学の加藤隆弘精神科医はそう分析しています。同医師は、日本では社会に溶け込めないことは恥とされ、協調できない自分を否定する気持ちがひきこもりを誘発すると説明しています。  厚生労働省が開催いたしました有識者会議は、ひきこもり、介護、貧困などの家庭の問題に関して、縦割りではなく、一括して相談に対応できる体制整備に向けた最終報告をまとめました。現行のルールでは融通が利かず、住民からの多様な相談に関して一体的に取り組みにくいとの声は以前より市町村から上がっていました。特に、50代のひきこもり状態で心身の衰えた親が経済的に行き詰まる8050問題が生じている家庭では、介護、生活困窮、社会参加等複数の問題を抱えている場合が多くあります。  内閣府の調査によると、ひきこもり状態になってからの期間は6か月から1年が6.4%、1年から5年が42.6%、5年から20年が31.9%、20年から30年が12.7%となっています。本県でも、まいさぽ等の相談窓口はあるものの、知られたくないという感情が生きることより優先されてしまい、その状態が深刻化すると生きていくための公的サービスを適切に受けられなくなり、札幌市で起こった親子共倒れのケースでも、地域とのつながりを避けるように暮らしていたので近所付き合いはなく、医療や福祉の支援を利用していませんでした。  本県においても、ひきこもり状態にある人の自立に向けて適切な相談支援機関につなぐ専門の人材、伴走コーディネーターを県内4か所に配置するため、2020年度一般会計当初予算案に費用1,145万円を計上いたしました。現場経験の豊富な社会福祉士や臨床心理士などに委嘱し、生活就労支援センター「まいさぽ」の生活困窮者や就労支援などに関する相談の機能を強化するとしています。報道によると、県が昨年6月にまとめた調査では、ひきこもりの状態にある県民は少なくとも2,290人いるとしています。専門人材の配置は大いに歓迎するところでありますが、広い県土の中で一定規模のひきこもり状態の方がいる現状で、この方々は支援等の関わりを拒絶することも予想されますが、新たに配置される4名の伴走コーディネーターだけでどう対応していくのか。健康福祉部長にお伺いいたします。  2019年の中学生男子のなりたい職業の1位はYouTuber、2位はプロeスポーツプレイヤー、女子の1位は芸能人、2位は絵を描く職業となり、時代背景が見えるわけであります。  経団連では、年功型の賃金など日本型雇用システムの再検討を会員企業に呼びかけることを20年の春闘指針に盛り込む予定だと日本経済新聞が報じています。日本型雇用システムとは、新卒一括採用、終身雇用、年功序列賃金を主に示します。職業スキルのない学生を新卒一括採用によって大量に採用し、入社後は研修や職場教育によって会社の事業活動に必要なスキルを長期にわたって身につけさせる。そして、毎年給料が上がる定期昇給や各種手当によって生活を保障し、終身雇用で雇用の安定を約束することであります。  日本型終身雇用システムの問題点として、新卒一括採用や終身雇用の仕組みが働き手の転職やキャリア形成を阻害しかねないことを挙げています。年功序列で画一的な待遇がAI技術者やデータ分析にたけた優秀な若年層や海外人材の獲得を難しくしている現状を指摘し、優秀な人材が海外に流出しないか懸念を示しています。若手の給料を抑制する年功序列賃金がAI技術者の獲得を難しくしています。従来型の雇用を中心としつつも、あらかじめ職務を明確にするジョブ型雇用と複線的な制度の拡充を挙げています。  経団連が日本型雇用システムの見直しを提起した背景には、AIやデータサイエンスなどデジタル技術者を高額の報酬で獲得できるメリットがあります。日本は、アメリカや中国などに比べてAI人材の数が決定的に不足している事情もあるわけであります。経団連の中西会長は、終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることに限界が来ている。外部環境の変化に伴い、就職した時点と同じ事業がずっと継続するとは考えにくい。働き手がこれまで従事してきた仕事がなくなるという現実に直面している。そこで、経営層も従業員も職種転換に取り組み、社内外で活躍の場を模索して就労の継続に努めている。利益が上がらない事業で無理に雇用維持をすることは従業員にとっても不幸であり、早く踏ん切りをつけて今とは違うビジネスに挑戦することが重要である。  一括採用、終身雇用、年功序列という三つの言葉でくくられるような雇用システムを守ってきたことにいろいろ課題があることは共通認識ではありますが、ではこれを全部御破算というと、そういうわけにはいきません。様々な雇用体系の長所をうまく組み合わせて社員がスキルを磨き、かつ安定的に仕事ができるように再設計していきたいとも語っています。  東京商工リサーチの調査によると、2019年1月から11月に希望退職や早期退職を募集した上場企業は延べ36社で、対象人数は1万1,351人。2018年の4,126人の約3倍となり、その中には、アステラス製薬、中外製薬、カシオ計算機、キリンホールディングス等業績好調にもかかわらずリストラに踏み切った企業も目立つわけであります。2020年は、日本型雇用システムが大きな転換期を迎えるのではないかと人事ジャーナリストの溝上憲文氏は予測をしています。  現在の子供たちは、テレビやインターネットの環境で育ったため、情報や流行には敏感ですが、自分で道を切り開いていく原動力となる実体験や生活体験が著しく乏しいと言われています。私たちが生きている社会生活において営まれている全てのことは、子供たちにとってかけがえのない経験になり、生きていく知恵や力になるはずです。  多くの大人と触れ合うことにより、多様な生き方や価値観に触れ、経験し、感じること。大人や書籍が一つの答えを下すのではなく、触れ合いや経験や感じたことをもとに子供たちが自分で考えること。今の学びが社会とつながっていくことを知ること。それこそが子供たちが学ぶ意欲を高め、自ら生きる力を発見していく道しるべになると考えます。  そして、その道しるべがキャリア教育であります。昔は、人間の営みがすぐ近くにあり、日常生活の様々な場面において子供たちが主体的に生活の場面に参加してきました。また、仕事自体も子供の生活圏内にあったので、仕事をする大人への憧れ、厳しさなどが自然に醸成されてきたわけであります。  現代、地域社会が崩壊しつつあり、また、家庭内も便利な製品に埋め尽くされています。子供が日常的に生活場面に主体的に関わることが少なくなりました。さらに、産業の細分化、分業化により、特に都市部では仕事をしている大人の姿を目の当たりにすることも少なくなりました。一方で、情報化社会の中、不祥事を起こす企業や学校、それを糾弾するマスコミなどの情報が多く流され、とても目立つため、大人に対する憧れが育ちにくくなっています。  このような雇用の変化を迎えている現状に対応するために、子供たちには社会的、職業的な自立に向けた能力や態度を育てるキャリア教育が有効と考えますが、例えば、いろいろな経験を持った地域の人たちにも加わっていただくなど、今後どのように進めていくのか。教育長にお伺いをいたします。  高卒者のミスマッチなど早期離職率は大卒者と比較してどうか。現在、就職慣行として行われている1人1社制は、就職者と採用側のミスマッチを生じさせていることから見直しを行い、一人一人の高校生が自らの意思で主体的に進路を選択する形へと改めるべきだと考えますが、教育長に併せてお伺いをいたします。  単元内自由進度学習とは、教育学習のための一方法論で、ある教科のある単元において、個々の子供があらかじめ準備された教材を用いて自分なりのペースで主体的、自立的に進める学習を意味します。  例えば、ある教科に10時間で実施する単元があるとすれば、この10時間のうち、最初にその単元全体の見通しを子供たちに与えるために行われるガイダンスの1時間と、最後に単元全体の振り返りのために行われるまとめの1時間だけ子供たち全員を一斉に相手にした教師主導の授業が展開されるが、その間の8時間は、子供が自ら立てた学習計画表に従って自立的に学習を進める。単元のどの部分でより時間を要するか、どこにどんな時間のかけ方をすることでより単元目標に近づきやすくなるかといった点でも、子供により違いが見られます。これらは、必ずしも序列化されるべき差ではなく、各子供の持ち味として生かされるべきものであります。  将来の民主主義を担う子供たちは、重要な意思決定において何らかの権威や他人に頼るということだけに終始せず、自立的に判断し、その上で他者と協同して問題を解決していける力を身につける必要があります。上位機構やエリートと呼ばれる人々に任せて我々が思考停止に陥ることがどのような悲劇を生むことになりかねないかということは、最近の世界情勢を見ても理解できます。  子供たちが身につけるべき能力とは、教師に習得するよう指示された内容を指示どおりに習得し再現できるというだけでなく、自らの思考と判断に基づいて新たなことについて学ぼうとし、新たな局面においてその時点で持っている自らのリソースを活用して必要に応じて他者と協同しながら問題を解決していけるという類いのものであるから、外から強制や圧力がなくても自ら進んで学んでいこうという姿勢を保つことができるためには、そうした学習が楽しかったという経験と、時に苦労や失敗や挫折を経た上でそれを乗り越えてきたという実績が不可欠になる。だからこそ、ここで紹介した単元内自由進度学習の実践において、一人一人の子供が学習を楽しいと感じられるように工夫をし、子供が自由を与えられて経験する楽しさのみならず、苦しさをも意味のあることとしてその子の成長に生かしていく道を探ろうとすることであります。  子供の自殺を未然に防ぐためには子供の自己肯定感を高めることが必要と考えるが、いかがでしょうか。また、長野県の未成年者の自殺死亡率は依然として高いわけですが、不登校やひきこもりなど、子供が生きやすく、子供たちの自己肯定感を高めるには、自由進度学習は有効な手だてと考えますが、教育長に御所見をいただきたいと思います。  本県において、この未成年の自殺者数は全国でも高いわけですが、自殺対策プロジェクトチームを設置し、子供の自殺対策を推進することとしていますが、今後どのような対応をしていくのか。健康福祉部長にお伺いをいたします。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)2点お尋ねをいただきました。  最初に、ひきこもりに係る伴走支援についてでございます。  ひきこもりをはじめ、社会で生きづらさを抱える人に対しましては、現在、当事者、家族にとって身近な市町村や保健所の保健師、生活就労支援センター「まいさぽ」等の相談支援機関の職員が支援に取り組んでいるところでございます。  しかしながら、ひきこもりには様々な分野にかかる横断的な課題が多く、どこに相談したらよいか分からないなど現場と専門職のつなぎが不十分なため、適切な機関につながりにくいといった課題もございます。今回、県下4か所に配置する伴走コーディネーターは、このような課題を改善するため、出張相談会や家族会の会合等に合わせて地域に出向き、情報収集や情報提供、相談支援機関への橋渡し等を主に担っていただくことを想定してございます。また、専門的な知見を生かし、市町村や民生児童委員に対する技術的な支援や個別の訪問支援への同行など、課題を抱える家庭の状況に応じたきめ細かい支援にも携わっていただく予定でございます。  こうした取組によりまして、家庭、地域、市町村、相談支援機関など地域の関係機関をつなぎ合わせ、地域における支援の仕組みづくりが進むように取り組んでまいりたいと考えてございます。  次に、子供の自殺対策の今後の対応についてでございます。  県では、子どもの自殺対策プロジェクトチームにおける検討を経て、昨年3月、「子どもの自殺ゼロ」を目指す戦略を策定いたしましたほか、昨年9月には日本財団と子供の自殺対策に特化した協定を締結し、対策の強化を図ったところでございます。  具体的には、第一に、危機介入を強化するため、昨年10月に多職種の専門家で構成する子どもの自殺危機対応チームを設置し、対応困難ケースへの支援を始めているところでございます。また、11月には、教員等が対応に迷ったときに気軽に電話で専門家に相談できるオンライン相談窓口の設置をしたところでございます。こうしたことによりまして、危機的な状況に対応する体制を充実してまいりたいと考えてございます。  第二に、予防の観点でございますが、高校生、教員、保護者を対象とするワークショップを拡充いたしますほか、SOSの出し方に関する教育の全県展開を推進してまいります。自殺のリスクを抱えさせない対策に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。  これらの取組を着実に推進いたしますとともに、子どもの自殺対策プロジェクトチームにおいて進捗管理を行うことによって子供の自殺ゼロを目指してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、雇用の在り方の変化を踏まえたキャリア教育についてであります。  これまでのキャリア教育は、どんな仕事に就きたいかということに力点を置いてきたところでありますけれども、現在は、探究的な学びの中で、生徒が地域や世界で様々な経験をしている大人たちに取材をしたり学校で話を伺ったりしながら、自分が社会の中でどのような役割を果たしていくかを考え、キャリアデザインを構想する教育に変わっているところであります。  こうした学びによって、一度しかない自分の人生をどう生きていくか、それを突き詰めて考えることで、社会的、職業的に自立できる力を育んでまいりたいというふうに考えております。  次に、高卒者の早期離職率でありますが、昨年11月に長野労働局が公表した長野県の3年以内の離職率は、直近である平成28年3月の高校卒業者が38.5%であり、大学卒業者の28.9%よりも高くなっているという状況でございます。  次に、就職慣行における1人1社制の見直しについてであります。  1人1社制を含めたいわゆる就職慣行につきましては、毎年3月に経済団体や高校の代表、労働行政、教育行政の関係者の参加による長野県高校就職問題検討会議が申合せとして確認し、それにのっとって採用選考が行われています。今年度は、長野県では、9月16日から10月15日までの選考を1人1社制とし、10月16日以降1人2社までの複数応募を認めているところであります。1人1社制は、より多くの生徒に短期間で就職内定を得やすくし、就職活動の負担を最小限に抑えることができる仕組みとして一定の機能を果たしてきたというふうに考えております。  今月、厚生労働省と文部科学省が所管する高等学校就職問題検討会議のワーキングチームが早期離職の防止策などを検討しまして、就職慣行に関わる報告書を公表いたしました。その報告書では、高卒就職者の3年以内離職率の高さについては必ずしも就職慣行だけが理由ではなく、仕事のやりがいや待遇など複数の要因があり、具体的、多面的な分析が必要だとしているところでありますが、一方で、複数応募の希望が一定数あることを踏まえ、各都道府県において1次応募から複数応募を認めるか、1次応募は1人1社であっても、その後の複数応募の日程を前倒しにするかの検討を進めることを求めているところであります。  今後は、長野県高校就職問題検討会議におきまして、関係者と連携しながら、県内高校生の主体的な進路選択のためにどのような就職、採用活動が望ましいのかについて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  子供の自殺対策に関わってでありますが、子供の自己肯定感を高めることについての見解であります。  内閣府の令和元年版子供・若者白書では、日本の若者は、諸外国の若者と比べ、自分自身に満足している者の割合が低いとの調査結果があります。また、日本財団の調査によると、日本の若年層は、他の年代と比較して自己肯定感が低いという結果も示されております。これらのことから、子供の自殺を未然に防ぐためには、生きることの促進要因の一つである自己肯定感を高めることが必要であるというふうに考えております。  子供の自己肯定感を高めるための自由進度学習についてのお尋ねであります。  議員御指摘のように、自由進度学習は、自ら計画を立て、自らのペースで進めていく学習でありまして、県内でも幾つかの小学校ではその取組が始まっているところであります。  ある小規模の小学校では、児童数が少ないために、教員の支援が手厚くなり過ぎる。一人で考える機会を奪っているのではないかという認識に立ちまして、単元内の自由進度学習を導入しております。その結果、自分なりの課題を自分なりの方法で納得のいくまで取り組み、一人でやり遂げた喜びを感じる児童が多かったということが言われております。  また、別の小学校では、自由進度学習をする中で、一人では解決できない課題に対して、友達に聞いたり友達と協働的に解決を図ったりするなど学び合う姿も見られるようになったということも聞いております。  このように、自分の力でできた、分かったという経験を積み重ねていく自由進度学習は、自己肯定感を高めることにつながるということも考えられます。こうした取組が学びの在り方として真に有効なものとなるよう支援してまいりたいというふうに考えております。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)子供たちの夢はいろいろあるわけですが、自分がなりたい職業に就きたいというのも大きな夢であります。仕事のトレンドとかいろいろなものが変わる中で、やはりそういったこともこれから考えていかなくてはならない時代が来たのだろうというふうに思います。  四半世紀ほど前、我が富士見町にMさんという女の子がいらっしゃいました。その子は県立こども病院で短い命を終えたわけでありますが、そのMさんは、「命」という歌を残して、その歌はいまだに県立こども病院で受け継がれています。  命はとても大切だ  人間が生きるための電池みたいだ  でも電池はいつか切れる  命もいつかはなくなる  電池はすぐにとりかえられるけど  命はそう簡単にはとりかえられない  何年も何年も  月日がたってやっと  神様から与えられるものだ  命がないと人間は生きられない  でも   「命なんかいらない。」と言って  命をむだにする人もいる  まだたくさん命がつかえるのに  そんな人を見ると悲しくなる  命は休むことなく働いているのに  だから  私は命が疲れたと言うまで  せいいっぱい生きよう  終わります。 ○議長(清沢英男 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時28分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(荒井武志 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  西沢正隆議員。       〔49番西沢正隆議員登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)自由民主党県議団、長野市・上水内郡区選出の西沢正隆でございます。60回目の節目の一般質問となります。今日まで、県民の代表として県議会議員として選出していただいていることに改めて感謝申し上げながら質問に入ります。  最初に、台風19号災害についてお聞きいたしますが、昨日、この名称が気象庁から発表されました。令和元年東日本台風ということでありますので、以下、令和元年東日本台風ということで質問させていただきます。  令和元年東日本台風からはや4か月がたちました。改めて亡くなられた方々に心から哀悼の意を表し、被災された多くの皆様にお見舞いを申し上げます。早期の復旧・復興を願いながら、以下、令和元年東日本台風についてお聞きいたします。  自民党青年局の被災地訪問事業TEAM-11が1月10日に長野市で実施されました。この事業は、平成24年2月、当時の小泉進次郎青年局長が福島県で実施し始めてから、今回の長野市訪問で節目の40回目となりました。小林史明青年局長をはじめとする役員と、自民党長野県連の丸山大輔青年局長、共田武史青年局次長、大井岳夫副幹事長、山田英喜青年局副幹事長、青年局メンバーが参加し、私は青年局顧問として同行いたしました。  クリーンピア千曲、長野新幹線車両センター、千曲川決壊現場を視察し、決壊現場近くの妙笑寺でお墓の通路に敷石を敷く復旧作業のボランティアを行いました。最後に、意見交換で終了。国会議員には、国による千曲川の一括管理を要望いたしました。ボランティア活動をした妙笑寺は決壊現場からほど近く、甚大な被害を受けたにもかかわらず、年末年始や節分時にイベントを開催し、災害でばらばらになった住民が集い、情報交換をするよりどころとなり、特に地域外にお住まいの方には気が休まる癒やしの場所となっています。  妙笑寺の奥様から、長沼の水害と築堤の歴史についての資料をいただきました。この資料によると、江戸時代114回、明治時代45回、大正時代2回の洪水被害に見舞われ、昭和7年に悲願の堤防が完成しました。堤防完成後も、かさ上げ、拡幅工事が繰り返し実施されてきましたが、昭和時代5回、近年で、平成10年、11年、16年、18年と4回の堤外出水が繰り返し起こりました。このように、水害の歴史を抜きにして長沼の歴史を語ることはできません。  その後、平成13年11月から平成28年4月の長期をかけ、堤防の拡幅と盛り土をして全長4.37キロメートルの桜堤が整備されました。これにより、長沼住民の安全、安心が確保されたとみんなが思っていました。その3年後、穂保堤防が決壊し、長沼地区をはじめ多くの地域に浸水被害をもたらしました。  この資料の終わりに、長沼が今度こそ安心して住める場所になってほしい。まず、住民がこの災害で何が起きたのか、その事実を知ることが復興の一歩だと思います。決壊原因の究明をし、地域の未来が保障されるような治水対策を望むとともに、強固な堤防が築かれることを切に願っていますとつづられ、締められていました。  今回の令和元年東日本台風災害は、穂保堤防の決壊さえなければ浅川の内水被害を抑えることができたなど、ここまでの大規模な浸水被害はなかったと思います。過日、国から信濃川水系緊急治水対策プロジェクトが発表され、令和9年度までに様々な対策が実施されることになりました。このプロジェクトに期待し、今度こそは長沼地区の水害の歴史に終止符を打つ対策を願うばかりであります。  そこで、穂保堤防の決壊をどのように検証し、原因究明を行い、信濃川水系緊急治水対策プロジェクトの策定に至ったのか。建設部長にお聞きいたします。  被災された商工業者をはじめ、農業者、福祉事業者なども利用可能な中小企業等グループ補助金は、11月補正予算で52億円が計上され、100グループ800者分用意されているとのことでした。現在、第1次分として、15グループ228者からの申請を受け付けているようでありますが、書類が煩雑で使い勝手が悪いとのことから申請が遅れているとの声があります。当初予算では66億円が計上されましたが、補正と合わせてどのくらいのグループの何者を見込んでいるのか。また、申請時の課題について産業労働部長にお聞きいたします。
     被災者事業者向け支援のメニューとして、地域企業再建支援事業が11月補正予算で5億2,500万円計上されました。復旧後の事業再建の取組として、展示会、商談会の出展、販促イベントの開催などの支援がありますが、被災された企業はそれどころではなく、使い勝手が悪いと聞いています。現状を踏まえ、県は現実に合うような支援ができるよう国へ要望したとのことですが、今後どのように取り組むか。産業労働部長にお聞きいたします。  平成31年2月定例会において、増加する防災士を県として今後どのように生かしていくのか危機管理部長に聞いたところ、県としては、地域での活躍の場の確保を市町村に要請するとともに、県内でも防災士の養成研修機関であります松本大学と連携いたしまして、資格取得後のフォローアップ研修の実施に昨年度から取り組んでおりますとの答弁でありました。今回の災害において防災士はどのような活動をしたのか。危機管理部長にお聞きします。  令和元年東日本台風において、県との災害協定の下、多くの団体が支援等の実施をしました。例えば、避難所としての民間賃貸住宅のあっせんを宅建協会が、石油組合が燃料の供給が滞った公的施設への燃料供給、獣医師会によるペットの預かり等々、その他相談業務は多くの団体で行われました。そこで、長野県と災害協定を結んでいる団体等はどのくらいあるのか。また、今回の災害で災害協定が有効に生かされた実例を危機管理部長にお聞きいたします。  次に、地方創生についてお聞きします。  地方創生は、2015年、地方創生元年として今日まで様々な取組が行われました。県内で2017年247人、2018年230人と転入超過し、よい傾向であったにもかかわらず、残念ながら2019年は1146人転出超過となってしまいました。自然減は3年連続1万人を超え、県全体で1万4,393人減少、1月1日現在204万6,640人となりました。地方創生の大きな目標は、首都圏への人口の一極集中を是正することでありました。しかし、首都圏への転入超過14万8,783人と、一極集中が加速し、歯止めがかかりません。  私は、首都移転や省庁移転など抜本的な対策を施さない限り、さらに首都圏への一極集中は進行すると考えます。県や各市町村は、総合戦略を策定し、何とか人口減少を食い止めようとしていますが、77市町村中25市町村で転入超過となり、人口増であったところは8町村で、市は全て人口減少という結果となりました。しかし、地方創生の取組を行わなければさらに人口減少が進捗したと考えます。一定の成果があったと思いますが、このままでは、2000年に222万人でピークであった県内人口が、2024年には200万人を切ってしまうことが予想されます。  平成31年2月定例会で地方創生における知事の意気込みを聞いたところ、地方創生を進めていく上では、国頼り、他人任せというような他力本願的な発想ではなく、我々自身が主体的に知恵を絞りつつ、できる限り多くの関係者の皆様と連携協力を図りながら施策を構築し、施策を徹底していくということが大変重要だと思っている。それを踏まえて、人口減少に何とか歯止めをかけるべく信州創生に全力で取り組んでいくとの答弁でした。  そこで、今年度は第1期地方創生の最終年でありますが、第1期での長野県らしい特徴のある取組は何か。そして、第1期の反省を生かして、今後人口増進対策に向けて取り組んでいく上で何を重要視していくのか。知事にお聞きします。  県が移住支援金制度を市町村と連携して創設し、即戦力となる人材を確保し、移住定住の促進を促す新たな制度が今年度創設されました。本事業は、首都圏、愛知県、大阪府に5年間在住及び就労していた者がUIJターンし、中小企業等に就労または創業する者を対象に、移住先の居住市町村が窓口となって受け付け、移住に要する経費として最大100万円の移住支援金を支給することとしています。また、創業の場合には、地域課題を解決する社会的事業で創業する者を県が公募し、選定された者の創業に要する経費を移住支援金とは別に最大200万円助成することとしております。  そこで、今年度の成果について産業労働部長にお聞きします。  人口減少対策の課題として、若者の大学進学時の県外流出が高いことが長野県では課題とされてきました。その起爆剤として2018年長野県立大学の開学、2019年には長野清泉女学院大学と長野保健医療大学に看護学部が新設されました。  国において、地方創生に資する大学改革として、「地方における若者の修学、就業の促進に向けて」が有識者会議より2017年12月に公表されました。その中で、地方の特色ある創生のための地方大学の振興、東京の大学の定員抑制、地方移転、地方における若者の雇用の創出が掲げられ、東京23区においては原則として大学の定員増を認めないことや、首都圏の大学による地方のサテライトキャンパスの設置などが注目されてきました。サテライトキャンパス誘致は、長野県にとって、首都圏から近いという優位性から有効な施策であると考えます。平成30年2月定例会でサテライトキャンパス誘致についての所見を県民文化部長に聞いたところ、有効な施策であるので積極的に関わり、必要な提案をし、県内自治体の情報収集をしていくとの答弁でありました。そこで、サテライトキャンパス誘致について、答弁の結果を踏まえ、今後どのように取り組んでいくか。県民文化部長にお聞きします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)長野市穂保地区の堤防決壊の検証と信濃川水系緊急治水対策プロジェクト策定の経緯に関するお尋ねです。  まず、今回の堤防決壊を受け、学識経験者から成る千曲川堤防調査委員会を国土交通省が設置しており、穂保地区の堤防決壊などの原因解明と再度災害防止のための復旧工法の検討が行われました。  その結果、長野市穂保地区の決壊は、昭和58年水害をベースに整備された施設能力を上回る洪水により越水が発生し、さらにその越流によって堤防等の欠損が生じたことが決壊の主要因であると推測しております。  また、対策としては、千曲川本川の水位を下げるための整備を基本としつつ、万が一越水した場合でも、堤防の決壊までの時間を少しでも引き延ばせるよう堤防を強化する対策が挙げられております。  対策の基本とされた千曲川本川の水位を下げるためには水系全体の総合的な取組が不可欠であるとの認識の下、国、県、流域市町村が一堂に会し、信濃川水系緊急治水対策プロジェクトを取りまとめることとなった次第でございます。今後、国、県、流域市町村が連携して、狭窄部の河道掘削や遊水地整備などのハード対策と雨水貯留施設の設置などの流域対策、住民への情報伝達手段の強化などのソフト対策を一体的に進め、穂保地区を含め一日も早く地域の皆様の安全、安心が確保できるよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)私には3点御質問をいただきました。  まず、中小企業等グループ補助金に係るグループの規模でございます。  補助金の対象となる中小・中堅企業の被災が851社に及ぶため、現在、商工会や商工会議所、工業団地、事業協同組合、農協などを単位としてグループづくりを進めているところで、おおむね50グループになると予想しております。  また、事業者から寄せられている相談としては、設備の補助対象となる範囲や書類作成方法等に関するものが多くなっておりまして、課題としては、導入設備の新旧の機能比較や被災資産の所有証明の整備方法などが挙げられます。今後とも、商工会等の経営指導員はもとより、行政書士にも応援を仰ぎ、丁寧な支援に努めてまいります。  次に、地域企業再建支援事業についてでございます。  本事業は、被災による売上げ減少を克服するための支援制度であり、販路開拓などへの支援だけでなく、グループ補助金では対応できない復旧経費についても補助できるよう国へ要望してきたところでございます。  こうした中、例えば、発災後のレンタル費用や汚泥処理費用が対象となるなど、事業者の実情に合わせた対応が可能となったところでございます。今後とも、制度の周知に努めるとともに、事業者の着実な復旧・復興に向け、寄り添った支援に努めてまいります。  最後に、移住支援金及び創業支援金の成果についてでございます。  UIJターン就業・創業移住支援事業、いわゆる移住支援金は、ウェブ上のマッチングサイトを経由して県内の企業等に採用され、かつ、移住された方を支援する制度となっております。昨年8月のマッチングサイト開設以来、約170社に及ぶ県内企業等に御登録いただき、約230人の求人を掲載しているところであります。現在までのマッチング成立件数は12件で、このうち5件について既に補助金を交付したところでございます。  他方、地域課題解決型創業支援事業、いわゆる創業支援金は、移住の有無にかかわらず、県内で地域課題を解決するソーシャルビジネスの創業者を対象としており、73件の応募に対して11件を採択したところですが、移住者の該当はこのたびありませんでした。  本制度は、移住と仕事を結びつけ、県内企業を発展させていく地方創生の重要な取組でありますので、今後もさらに御活用いただけるよう経済団体や金融機関等と連携しながら利用の促進に努めてまいります。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)2点御質問をいただきました。  まず、今回の災害における防災士の活動についての御質問でございます。  県といたしましては、昨年度より、防災士の地域での活躍の場の確保につきまして、危機管理・防災担当課長会議や防災職員研修などの機会を捉え、市町村へ要請したところでございます。  ただ、今回の被災市町村では、発災時における防災士の活躍の場を確保しているところはなく、また、防災士は、本来、自発的なボランティア活動とされることから、具体的な活動状況につきましては把握しておりません。しかしながら、伊那市や下諏訪町では、自治防災組織の活動に際し防災士の参画を位置づけるなど、積極的な取組を始めた市町村もございます。今後は、そのような取組事例を集めて他の市町村へ提供するなど、防災士の地域での活躍の場の確保につきまして引き続き市町村に対し要請するとともに、総括を把握してまいりたいというふうに考えております。  次に、災害時応援協定が生かされた事例等についての御質問でございます。  令和2年2月1日現在、食料、生活品関係など様々な分野において、県は180団体との間に153件の災害時応援協定を締結しております。今回の災害では、これらの協定に基づき、多くの団体の皆様から御支援をいただきましたが、強いて実例を挙げるなら、生活衛生同業組合様との災害時における被災者の支援に関する協定による二次避難所としてのホテル、旅館の提供、長野県宅地建物取引業協会様との災害時における民間賃貸住宅の被災者への提供に関する協定による早期の住宅の確保といった被災者の住まいの確保をはじめ、避難所への食料や生活必需品の供給、仮設トイレ等資器材の調達など迅速な被災者支援につながったものと評価をしております。  また、今回の災害対応を振り返る中で、必要に応じ、新たな協定の締結や内容の見直しなどに取り組んでまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)地方創生に関連して、私には第1期地方創生総合戦略で実施した本県らしい取組、そして、今後重視する人口増進対策という御質問をいただきました。  まず、特徴的な取組として幾つか例を申し上げたいと思います。  一つは、信州やまほいくでございます。長野県の豊かな自然環境を生かして、自然の中で子供たちに知力、体力の向上を図ってもらうという取組でありますけれども、認可外の13の施設においては在園児の約半数が県外からお越しになられているということで、移住者の増加にもつながっている施策となっています。  また、二つ目として、大学の新設等への支援でございます。県立大学の開学も含めて高等教育の振興に取り組んでまいりましたが、平成26年には長野県内の大学の収容力は15.4%ということで全国最下位ということでありましたが、県内大学の学部新設等への支援を行ってきた結果として、令和元年には全国44位まで順位が上がってきております。若い学生の流出に一定の歯止めをかける効果が出ているものというふうに考えております。  また、移住施策全般でございますけれども、田舎暮らしの本の移住したい都道府県ランキングでは14年連続1位、ほかの調査でも長野県は常に上位に位置しております。移住者数も着実に増加傾向にあるということで、この移住施策についても、市町村が民間と連携して取り組む中で一定の成果が出てきているものというふうに考えております。  このほかにも、信州リゾートテレワークの推進や子供の福祉医療制度の充実、また、まちづくりを支援する信州地域デザインセンターの開設など長野県としての特色ある取組を進めることによってこの地方創生を進めてまいりました。こうしたことによりまして、一定の成果が上がってはきておりますものの、東京圏の人口吸引力はまだまだ非常に強い状況であります。特に、10代後半から20代前半の進学就職期における転出超過にはなかなか歯止めがかかっていないという状況であります。  そういう観点で、今後重視する取組として一番重要なことは、若い世代を引きつけることだというふうに思っております。若い世代の定住を促進する、あるいはUターン、Iターンを促進していくということが極めて重要だというふうに思っております。そのためには、若者が安定的に働ける職場をつくっていくこと、若者に魅力あるまちづくりを進めていくこと、こうしたことが大変重要だというふうに考えておりますので、こうした若者を引きつける県づくりに向けて長野県としての施策を総動員して取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)私には、平成30年2月議会の答弁も踏まえて、サテライトキャンパスの誘致についてどう進めるかという御質問をいただきました。  平成30年2月定例会の部長答弁で、積極関与に言及しております。国における調査研究につきましては、サテライトキャンパス設置に関する研究会が設置され、平成30年10月に報告書がまとめられております。その報告書では、地方公共団体と大学とのマッチングシステムについて提言し、現在内閣府でシステムを構築中でございまして、その進捗を注目しているところでございます。また、報告書では、地方側と大学側のニーズのずれの傾向を指摘する一方、活動拠点やフィールドの提供などにより地方が大学と信頼関係を構築し、結果としてサテライトキャンパスの設置につなげている事例を紹介し、連携の重要性を指摘しております。  昨年度県で調査いたしましたところ、県外74大学等が33市町村でフィールドワークを行っておりまして、学究のフィールドとして本県に魅力があることがうかがえます。大学との連携は、サテライトキャンパス誘致の足がかりとなるとともに、それ自体が地域課題の解決、地方創生に役立つものと認識しており、長野県としても東京藝術大学との包括連携協定の締結など県外大学との連携を進めているところであります。  サテライトキャンパスの誘致は、現在行っております大学学部新設等に対する支援と同様、県内高校生の選択肢の拡大、学生の地域定着、地域のにぎわい創出など地方創生に有効な施策と捉えております。また、行う際には、費用対効果、長野県にない分野などニーズの見極め、また、県内既存大学との関係などを総合的に勘案する必要がございます。県といたしましては、大学との連携を深めつつ、サテライトキャンパス誘致について検討してまいりたいと考えております。       〔49番西沢正隆議員登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)地方創生には若者を引きつけることが重要であるということでありましたので、サテライトキャンパスについて今後も検討していただければと思います。  台風19号の名称が令和元年東日本台風と気象庁から発表されました。昭和52年、沖永良部台風以来42年ぶりだそうです。被害が一定以上の基準を超えると名称がつけられるそうですが、それだけ甚大である台風であったことを物語っています。今年も同様の災害が起こることを想定しながら早期に予定された災害対策を実施していただくことをお願い申し上げます。  長野市では、被災地域をはじめ、長野市に元気を取り戻すべく、復興をテーマに善光寺イルミネーションと復興煙火を実施します。これを機に被災地域に活気が取り戻されるよう祈るばかりであります。  次に、信濃美術館整備計画についてお聞きします。  信濃美術館は、令和3年4月、善光寺御開帳の開催に併せたリニューアルオープンに向け着々と工事が進捗しています。私の地元、第二地区にあることから、地元の皆さんはオープンを待ち望み、地区のシンボルとして期待をしているところです。信濃美術館を愛する多くの皆様の期待に沿うべく、準備の最終年として重要な1年となりますので、準備状況や今後の計画について以下お聞きいたします。  来場客100万人を目指す意気込みで準備を進めていると聞いていますが、これを達成するには、残された1年間の広報活動が重要であります。今後は広報活動を強化していくとのことですが、どのような戦略をお考えか。県民文化部長にお聞きします。  来場者を増やすには、フリースペースにどのくらいの方がおられるかが鍵になり、その一翼を担うのはカフェやミュージアムショップであります。安曇野アートヒルズミュージアムでは、展示コーナーは小規模でありますが、訪れる大多数の方がレストランとミュージアムショップでの誘客であります。信濃美術館においてもカフェとミュージアムショップの計画がありますが、準備状況について県民文化部長にお聞きします。  隣接する善光寺や門前のまちづくり活動など地域との連携も大変重要です。地元に愛され、親しまれる美術館にするためにどのような取組を行っていく予定か、県民文化部長にお聞きします。  年間来場者150万人の金沢21世紀美術館を視察したときに、法人向けの1口5万円のサスティン会員、いわゆる後援会や、家族2人で4,500円の友の会などが設けられていました。こういった後援会や友の会を信濃美術館でもリニューアルに併せて設置するよう県民文化委員会で提案した経緯があります。そこで、このような後援会や友の会を設置する予定があるのか、県民文化部長にお聞きします。  多くの方の来場を目指すのはよいのですが、城山公園周辺でイベントを行うと、必ず駐車場不足となります。善光寺御開帳、以前開催したジブリの企画展も大渋滞でありました。地域住民の皆さんが多く懸念しているのが駐車場不足であります。そこで、駐車場の確保についてはどのような計画であるのか、県民文化部長にお聞きします。  総事業費106億円のうち寄附で2,000万円を補う予定でありますが、寄附の現状について県民文化部長にお聞きします。  信濃美術館は、善光寺に隣接する城山公園に長野県の美術館を建てようとの県民の声を受けて、昭和41年に財団法人として発足し、昭和44年に県に移管されて以来、長野県信濃美術館としてなれ親しまれてきました。  昨年、信濃美術館の名称変更も検討していると県側から説明がありました。信濃美術館整備計画として進められてきた整備計画でありましたので、名称変更は想定外でありました。私は、説明直後から、地域になじんでおり、名称変更に反対であることを県側に伝えてきました。信濃美術館の所在地は私の地元でもあるので、水面下で地元住民の意見聴取もさせていただきましたが、愛着があり、変更は反対との意見が多く出されました。  1月26日、城山公園整備計画説明会に急遽名称変更について説明する場を設け、増田県民文化部長にも出席していただきました。唐突すぎる、説明責任が果たされていないなど名称変更に反対の立場の意見が多く出されました。その後、県は、信濃美術館に係る条例改正案の提出時期を6月にしたと聞いています。説明責任を果たすべく、急ぐこともなく6月にしたことについては評価するものの、説明をしっかり丁寧に行っていくことが重要と考えます。今後どのように進めていくのか、県民文化部長にお聞きします。  唯一の県立美術館である信濃美術館のリニューアルオープンまで約1年となりました。県民をはじめ多くの方に愛され、時代とともに歩む、進化、成長する美術館を構築するための決意を知事にお聞きします。  旧長野県自治研修所についてお聞きします。  長野市上ケ屋飯綱高原にある旧長野県自治研修所は、当初、昭和40年から県企業局のホテル明鳥閣であった建物を昭和48年から平成24年まで県自治研修所として活用し、平成25年から現在までは未利用県有施設となっています。地元芋井地区自治協議会等で購入を検討されましたが、耐震補強等に多額の経費がかかるため断念し、現在は、長野市への土地賃借料等年間60万円の維持費がかかっています。  昭和39年、現県庁舎建設に伴い、大正2年(1913年)の日本に現存する旧県庁舎では唯一の木造建築である南側正面部分を昭和40年に旧長野県自治研修所に移転しましたので、貴重な建造物であることから、簡単には解体されなかった経緯があります。  施設は老朽化が進み、地震による危険箇所があり、一部立入禁止にもなっており、地元から売却や解体など早く結論を出してほしいとの要望がありました。それを受け、平成30年11月定例会で今後の旧長野県自治研修所の在り方について質問をしたところ、関総務部長は、サウンディングと呼ばれる手法による市場調査を来年度実施して利活用の方法を検討してまいりたいとの答弁でありました。そこで、サウンディング調査の結果と、それを踏まえて、今後の旧長野県自治研修所の在り方について総務部長にお聞きいたします。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)それでは、信濃美術館の整備に関しまして、7点、順次お答えをさせていただきます。  まず、開館に向けた広報戦略についてでございますが、信濃美術館では、昨年4月に広報・マーケティング室を設けまして、メディア出身の民間人の副館長をトップに広報集客活動に取り組んでいるところでございます。  広報戦略としては、4点を重点としております。  1点目は、1年前イベント、開館直前イベントといったイベントを核とした発信。  2点目は、メディアミックスと呼んでおりますけれども、新聞、テレビなどの従来型の広報媒体に加えまして、ホームページを刷新し、これにYouTube、インスタグラムなどのウェブを連動させてまいります。また、来館者自身のSNSによる発信を積極的に促してまいります。  3点目、観光部門との連携の強化でございます。これまで関係が深かったとは言えない観光関連団体、事業者との連携を強化してまいります。  4点目といたしまして、令和3年4月の善光寺御開帳に向けた広報活動に併せ、全国的な広報誘客活動を展開していくべく関係機関と調整を行っているところでございます。  次に、カフェレストラン、ミュージアムショップの準備状況についてでございます。  新しくできるカフェレストランは、展覧会においでいただいたときに使っていただくだけではなく、カフェレストランだけの利用でも大勢のお客様に来ていただくというコンセプトで進めております。そのため、設置場所は、ロケーションのよい本館2階の窓から善光寺本堂を見ることができる場所としておりますし、展示室が閉まった後の営業も想定しております。業者はプロポーザルによることとしておりまして、その際に求めます店舗イメージ、料理、運営条件などを先行する美術館を参考に検討してきておりまして、来月にはプロポーザルの募集を開始する予定となっております。  ミュージアムショップにつきましては、1階の無料ゾーンに設置いたしまして、入りやすさを確保いたします。個性あるショップ、ここだけでしか買えない魅力あるオリジナルグッズを取りそろえたショップにしてまいりたいと考えておりまして、こうした観点から、昨年公募を行い、複数の美術館で運営実績のある業者を選定してございます。現在、開館に向けてオリジナルラベルを貼った県産品などのグッズの開発に取りかかっていただいているところでございます。  次に、地域との連携、地元から愛される美術館への取組についてでございます。  美術館整備事業を進めていく上で、基本設計の段階から、県民の方、それから関係者の方を対象としまして、フォーラムや意見交換会などを25回ほど行ってまいりました。長野市内でも12回実施してきたところでございます。例えば、無料ゾーンの充実というのは、美術館の近くにお住まいの子育て世代の方の、雨天時などに子供を気軽に連れて行かれる場所があるとよいという御意見から生まれてきたものでございます。今後も、県民、地域の皆様と意見交換を行いながら美術館を整備運営してまいりたいと思っております。  まちづくりなどでの連携につきましては、これまでも、善光寺門前プロジェクトと名づけ、作品を店舗に展示し、ガイドツアーなどを行ったり、びんずる市にブースを設け、学芸員がワークショップを行うなどしてまいりました。新しい美術館におきましても地域と連携した取組を拡充してまいることとしており、具体的な打ち合わせに入っているものもございます。また、今後、地元の方を対象といたしました建設中の現場見学会や内覧会も実施していく予定でございます。  次に、友の会などの設置についてでございます。  御質問にございましたように、金沢21世紀美術館では、安定した入館者を増加させていくために個人向けに友の会制度を設けまして、年会費制で主催展覧会は何度でも入館できる、ニュースレター配布が受けられるという制度でございます。新しい美術館でも、同様の趣旨で、常設展に何度でも入館でき、特典もある、いわば年間パスポートのようなものを発行する、また、リピーター割引というようなものを導入することを予定してございます。会員制を取るかについては今後検討してまいるところでございます。  法人からの支援につきましては、現在、建設時の寄附をお願いしているところでございまして、まずはこれを進めてまいります。開館後の支援につきましては、先行する館の事例も参考に検討してまいります。  次に、駐車場の確保でございますけれども、開館後の駐車場につきましては今後詳細を詰めてまいりますが、現時点で、一般車両が15台程度、バスは8台程度の確保の予定でございます。これは、障害をお持ちの方など配慮を必要とする方向け及び団体バス向けのものというふうに考えております。  その他の来館者の皆様方には、過日第二地区でも御意見を頂戴した最寄り駅からのルート案内も含めました公共交通機関の御利用や、周辺の民間駐車場等の御案内をしてまいりたいと考えているところでございます。  御指摘のとおり、城山公園一帯はイベント等における駐車場不足が課題となっております。現在、長野市の城山公園再整備検討委員会において、御開帳時などの臨時的な対応や長期的な構想について検討されておりますが、ここには美術館も含めました県の関係機関も加わりまして検討しているところでございます。  それから、寄附募集の状況についてでございます。  新しい美術館では、無料で入館できますエリアに、映像作品や触れたり聴いたりして鑑賞することができる作品群を展示する予定でございます。これを「みんなのアートプロジェクト」と呼んでおりますが、このプロジェクトに必要な資金2,000万円をふるさと納税によるクラウドファンディングで募集をしておりまして、2月15日現在で146万円程度が寄せられているところでございます。また、これとは別に、企業からの寄附募集にも取り組んでいるところでございます。まだまだ目標額には遠く、新年度はさらに体制を強化して取り組むとともに、現在、美術館整備事業を企業版ふるさと納税の対象事業に申請中でございまして、県外企業にも積極的に呼びかけてまいりたいと考えております。  最後に、名称について変更する場合は丁寧に説明をしていくべき、どのように進めるのかという御質問でございます。先月伺いました長野市第二地区の説明会においては、御出席の皆様方から、御質問にございましたとおり、唐突であるなど様々な御意見を頂戴いたしました。  名称につきましては、御指摘のとおり、丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。具体的には、来月下旬に予定しております信濃美術館整備委員会において御意見をいただき、また、新美術館の紹介に併せ、県のホームページに掲載をいたしますとともに、4月に予定しております県内4会場での説明会においても新しい美術館の魅力の発信とともに御説明を申し上げてまいります。もとより、さきに御意見を頂戴いたしました第二地区の皆様には、またぜひ説明会などの機会を頂戴したいと考えているところでございます。こうした機会を通じまして、丁寧に御説明申し上げ、御意見を伺った上で、名称を含む条例案を固め、御審議をお願いしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)多くの方に愛される美術館を構築していく決意という御質問をいただきました。
     美術館整備に当たっての基本方針におきましては、美術館の目指す姿として、国内外の人々が集い、信州の魅力を発信する文化・観光の一大拠点というコンセプトを掲げているところでありまして、その実現に向けて、ハード、ソフト両面から取り組んでいるところでございます。  ハード面では、善光寺や信州の自然、山並みと一体となったランドスケープ・ミュージアムとしての整備を進めているところでありますし、ソフト面では、あらゆる世代の方々に美術に親しんでいただける場とするとともに、世界水準の作品展示と信州芸術の紹介の場として大勢の方々に御来館いただけるよう準備を進めております。松本館長を中心に開館初年度の企画展の準備等を行っているところでございます。私としても、開館以来の歴史をしっかりと継承し、次の50年、100年に向けて、これまで以上に地域の方々から愛され、そして県民全体から親しまれる美術館となるように引き続き責任を持って取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)旧自治研修所のサウンディング調査の結果と今後の在り方についてのお尋ねであります。  旧自治研修所の利活用について昨年6月に政策対話を実施したところ、できる限り残してほしいという意見や、民間への売却を検討してはどうかという意見、さらに解体すべきではという意見まで様々な御意見をいただきました。これを受け、昨年の8月には現地見学会を行い、10月から12月にかけて民間事業者から建物の利活用のアイデアをお聞きするとともに、参入の意向やその際の条件を把握するサウンディング型市場調査を実施いたしました。本調査では、建設業など四つの事業者から様々な御提案をいただき、改修コストや法的規制などの課題があるため建物全体の利用は困難であるが、建物の一部利用であれば可能性があることが分かりました。このため、できる限り外観を保存し、地域活性化にも資するような建物の活用に向けて今後プロポーザル方式で民間事業者を公募することを予定しておりまして、現在、土地所有者である長野市等と公募条件を検討しているところであります。       〔49番西沢正隆議員登壇〕 ◆49番(西沢正隆 君)信濃美術館の名称については、多くの県民の皆さんと共に、しっかり議論をしていただきたいと思います。  そして、要望でございます。  新型コロナウイルスの猛威が連日報道されています。県内の病院には13人の感染者を受け入れていると聞いていますが、受け入れている病院が公表されていないことから、様々なうわさが飛び交い、風評被害にもつながるおそれがあり、病院への出入り業者も困惑しています。県では、これらのことに配慮して今後の対応を取っていただくことを要望させていただきたいと思います。  県の責務は、県民の命を守り、安全、安心を守り抜くことであります。知事を先頭に令和2年度は復興元年となるよう、「ONE NAGANO」で様々な取組を早期に実施されますことを切望し、一切の質問を終わります。 ○副議長(荒井武志 君)次に、埋橋茂人議員。       〔24番埋橋茂人君登壇〕 ◆24番(埋橋茂人 君)改革・創造みらいの埋橋茂人です。通告に従い、主に三つ大きな質問を申し上げます。  まず、台風19号災害からの復旧・復興について伺います。復旧・復興に向けて懸命に取り組んでおられる関係者の皆様に深く敬意を表し、質問に入ります。  被災地が日常の暮らしを取り戻すのに不可欠な医療、介護、福祉施設の復旧・復興対策について健康福祉部長に伺います。  一つ、該当施設の被災状況と復旧・復興のめどはいかがですか。  二つ、災害復旧の原則となっている現状復旧では、同様の災害が起きた場合、災害弱者であり避難困難者である入所者や関係者の安全性が担保されないと考えますが、いかがですか。  三つ、よりよい復旧、ビルド・バック・ベターを標榜する中で、さらなる安全性の向上を図るため、どのような復旧・復興策を講じていくのか伺います。国の支援策の上積みや県単による上乗せは考えられるのか、お尋ねします。  二つ目でございますが、千曲川の遊水地について建設部長に伺います。  先般公表された信濃川水系緊急治水対策プロジェクトには、県内においても遊水地の設置が盛り込まれており、水害のリスクを軽減させる上で複数箇所での遊水地設置は評価できる対策ですが、プロジェクトの中ではおおむねの設置範囲が示されているのみであり、関係する地域住民にとってはどういった遊水地が想定されているのかが分からない状況にあります。現在、国、県とも実施に向けた検討を進めているものと推察しますが、以下の2点を伺います。  一つ、プロジェクトに盛り込まれている遊水地の機能、目的はどのようなものか。また、流域対策として設置する遊水地、調整池などとの相違点はあるのか。  二つ、栃木県の渡良瀬遊水地のように常時水をためるものなのか、それとも洪水時のみ機能させるものなのか。また、遊水地に係る用地の対応方法と完成までのスケジュールをどのように想定しているのか伺います。  三つ目であります。浅川水系の災害対策について建設部長に伺います。  一つ、浅川ダムの完成と千曲川合流部分の排水機場のポンプの増設等で水害のリスクは極小化されたのではなかったのでしょうか。  二つ、今回の大規模水害において、千曲川の決壊がなかった場合の浅川の内水氾濫の想定図が示されましたが、合流部分以外にも内水氾濫が起こるとされている原因を伺います。  三つ、今回のような非常時には浅川ダムに水をためられるようにすべきではないかとの声が地元からも寄せられておりますが、見解を伺います。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)施設等の被災状況と復旧・復興の目途について3点御質問をいただいてございます。  まず、被災状況についてでございますが、今回の台風19号災害では14市町村で施設等の被害がございました。被災状況を施設種類別で申し上げますと、医療施設が18件、高齢者施設が60件、障害者施設が14件で、合計92件、被害総額は計約54億円となってございます。今回は、特に長野市内の施設への被害が大きく、被害総額の約8割を占めているところでございます。  復旧時期についてでございますが、61件が既に復旧を完了しております。今後順次復旧が進み、本年度末までに約8割の71件が復旧を完了し、遅くとも本年10月末までには全ての施設の復旧が完了する見込みとなってございます。  次に、入所者等の安全性を担保するための復旧策についてでございます。  再度の災害による被害を防止するためには、原形復旧にとどまらず、より災害に対して適応力のある復旧を行うことが必要であるというふうに考えているところでございます。このため、これまでも、知事を先頭にいたしまして、再度災害防止対策への財源措置について強く国へ要望してまいっているところでございます。この結果、施設につきましては、原形復旧の費用を上回らない範囲内であれば、より災害対応力の高い形での復旧を認めていただける方向となり、要望のあった1施設について国と協議を行っているところでございます。  また、災害時の施設機能維持を目的とした非常用自家発電及び給水設備の整備が国庫補助事業の対象となっていることから、14施設から要望がございますので、今回の補正予算において総額2億6,000万円余の予算の計上をお願いしているところでございます。県といたしましては、国の支援策を活用して、最大限施設に寄り添った対応をしてまいりたいというふうに考えてございます。  次に、福祉施設等のさらなる安全性向上のための復旧・復興策についてのお尋ねでございます。  台風19号災害におきましては、国が直接復旧補助を行っている医療機関を除きまして、県では、長野市以外の市町村に所在する施設の復旧・復興を所管しているところでございます。 この県が所管している被災施設につきましては、当該施設の皆様から御意見や御要望を伺いながら必要に応じて国に協議をし、基本的には施設の要望に寄り添った建物の復旧等を進めているといったように認識しているところでございます。  また、今回の災害では、他の施設等に避難したところもあったということでございますので、外部の避難先の確保や大勢の要配慮者を安全に搬送する方法などにつきましてソフト面での安全対策に係る御要望もいただいているところでございます。現在、福祉施設等に対して実効性のある避難確保計画の作成を要請しているところでございまして、計画の作成や見直し、さらには計画に基づいた避難訓練の実施など、ソフト面の安全対策についても相談や助言を行ってまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)信濃川水系緊急治水対策プロジェクトに盛り込まれた遊水地の機能や目的に関するお尋ねです。  先般公表された緊急治水対策プロジェクトでは、上流の県管理区間に1か所、上田市から飯山市にかけての直轄管理区間に2か所遊水地設置の候補範囲をお示ししております。これらの遊水地は、いずれも、千曲川の水位が上昇し、下流での越水等が想定される場合に千曲川の流水を引き込み、一時的に貯留することで水位を低下させることを目的としたもので、河川管理者が設置いたします。現在、国、県ともに設置場所等について検討を進めているところですが、基本的には千曲川沿川に設置することを想定しております。  一方、流域対策として設置する調整池などの貯留施設は、流域に降った雨水を一気に河川に流入させないことを目的として河川管理者以外の者が設置するものでございます。したがって、設置場所は必ずしも河川沿いに限定されません。  このように、両者とも最終的に河川の水位を下げる効果がある点は同じでありますが、河川の水を貯留するのか、雨水を貯留するのかといった違いや、設置者の違いなどがあります。  次に、遊水地の形態、用地の対応方法、整備スケジュール等に関するお尋ねでございます。  まず、栃木県の渡良瀬遊水地ですが、こちらは利水機能を有する遊水地となっており、今回の千曲川の遊水地につきましては洪水調節のみを行う治水目的の施設として整備を行う予定ですので、常時は水をためないものと想定しております。  また、用地の対応方法については、現段階で、遊水地を囲む堤防等に関する部分について買収を行い、それ以外の部分については、用地買収をせず、地役権のみを設定する方法を想定しております。したがって、平時には稲作等の耕作ができる形を想定しております。  次に、整備全体のスケジュールですが、事業実施に際し、こうした用地の考え方も含め、地域の方々、地権者、耕作者の皆さん方に対し丁寧な説明に努めつつ、緊急治水対策プロジェクトの目標に掲げておりますように、おおむね5年を目途に進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、浅川ダムと排水機場のポンプ増設により水害のリスクが極小化したのではないかというお尋ねでございます。  今回の台風19号による浅川下流での浸水は、千曲川が既往最大の水位となり、これに伴って長野市穂保地区で越流により堤防が破堤したことが大きな原因となっております。御質問の浅川ダムは、浅川上流域に大きな降雨があり、浅川の流量が増えたときにダムに水をためて浅川からの外水氾濫を防ぐ目的で建設したものであります。また、排水機場のポンプは千曲川の水位が上昇した際に内水氾濫を軽減するために設置しているものでございます。したがって、今回のケースとはそもそも対象としている水害が異なると考えております。  浅川ダムにつきましては、今回の台風19号に際し、ダム上流域に大きな降雨がなかったためダムに水を貯留するという状況には至りませんでしたが、上流域に大きな降雨があればその効果を発揮していたものというふうに考えております。  また、排水機場に関しては、平成30年度に従前からあった毎秒44トンのポンプを毎秒58トンに増強しておりますが、今回の台風19号の際には千曲川への排水規制が約9時間かかり、この間ポンプが稼働できない状況となりました。仮に、千曲川の水位がハイウォーターを越えず排水規制がかからなければ、その機能を十分に発揮していたものと考えております。なお、排水規制がかかるまでの4時間は増強後の能力でポンプが稼働しており、この間より多くの水を排出できたことで浸水面積を減少できたものと考えております。このように、浅川ダムや排水機場の整備により、地域の水害リスクは確実に低下しているものと考えております。  次に、浅川の内水氾濫シミュレーション結果に関するお尋ねです。  今般、千曲川の長野市穂保地区で破堤したことなどによる外水氾濫の影響を除いた台風19号災害当日の浅川の内水氾濫シミュレーションを実施いたしました。当該シミュレーション結果では、千曲川と浅川合流部以外でも浸水が発生しておりますが、これは浅川に流れ込む支川や用排水路の氾濫が原因ではないかというふうに考えております。  次に、非常時の浅川ダムにおける貯留に関するお尋ねです。  浅川ダムは、浅川上流域に大きな降雨があり、浅川の流量が増えたときにダムに水をためて浅川からの外水氾濫を防ぐ目的で建設したものであります。大雨時に水をためるという構造上、排水口が小さく絞られており、そもそもダムから排出される水の量は多くありません。仮に、今回の台風時の浅川ダムからの排水量を全てダムで貯留した場合どうなるのかという試算もいたしましたが、下流域の浸水水位を下げる効果は数センチメートルにとどまりました。  また、千曲川への排水規制がかかりダムに水をためている際に浅川の上流域で大きな降雨があると、ダムが予定より早く満水になり、洪水吐から一気に水が下流へ流れ出てくることにより、下流域で大きな被害が発生するおそれがあります。  現在の気象予報の精度では、流域に降る雨量をかなり前もって正確に把握することは困難であり、浅川ダムを現在の容量のままで内水対策としても運用するには危険が伴います。以上のことから、内水被害を軽減するために浅川ダムで水を貯留することは難しいと考えております。  以上でございます。       〔24番埋橋茂人君登壇〕 ◆24番(埋橋茂人 君)御答弁いただきましたけれども、佐賀県の武雄市に牟田辺遊水地という遊水地がございます。牛津川の沿川に設けられたものでございますが、今建設部長がおっしゃったように、普段は農地として利用していて、中小洪水のときは遊水地内の水を初期遊水地に集め、ポンプで排水するそうでございます。また、大洪水のときには、一部を越流提から計画的に遊水地内に導き、一時的に貯留し、下流域の洪水被害を軽減させる機能を持っているということでございますので、ぜひ今計画されている三つのエリアの中で可能なものから早期に設置していただくことを要望して、次の質問に移ります。  二つ目でありますが、英語の大学入試改革延期に伴う県の対応等について伺います。  萩生田文科相が2019年10月24日のBSの番組で、裕福な家庭の子が民間試験を回数受けてウオーミングアップをすることができることがあるかもしれないけれど、身の丈に合わせて勝負をして頑張ってもらえばと発言、いわゆる身の丈発言でありますが、大問題となりました。 これは、図らずも、格差が拡大し固定化しているというこの問題の本質を明らかにしたと思います。結果として多くの大学関係者、高校の英語の先生、保護者や、何より高校生自身から強い危惧の声が出ていた民間入試の導入が延期になったことをひとまず歓迎したいと思います。  県内でも、世論調査協会によれば、58.9%がこの措置を妥当としています。また、英語の影に隠れていた国語や数学の記述式についても是非の議論が激しくなり、結局中止となりました。両方民間試験業者に採点を委託し、落札額61億6,000万円で業者が決定されました。試験業者に事前に試験問題や解答例まで掲示するというやり方は、英語の制度設計よりさらに危ういものとなっていたと思います。50万人超もの受験生の採点を短期間でやらねばならず、アルバイト学生まで使わざるを得ないということを関係者が認めていました。  落札した会社は、英語でも最多の受験生が選択すると言われていたGTECという民間試験を運営するベネッセコーポレーションの子会社でした。ベネッセには文科省のOBや大学関係者が多く関係しており、公正であることが最も求められる大学入試が著しくゆがめられていることに大きな憤りを覚えます。また、新たな利権構造の発生に強い危惧を感じます。  そこで、今回の延期について県としてどう受け止めているのか、教育長に伺います。  一つ、県内の高校生からは英語の民間試験導入に対応して不安等の声はあったのか。また、延期が決まったことについては不安等の声は上がっているのか。県教育委員会としてどう受け止めているのか。見解を伺います。  二つ、全国の校長会等の延期要請に対する県教育委員会の見解はいかがですか。  二つ目でありますが、話す、聞くの能力を高めるなら、民間に大学入試の試験を丸投げするのではなく、外国人教員の大幅増員や語学教育用のICT導入など全国で機会均等となるよう公的な試験制度として設計をやり直すべきだと考えます。  そこで、今後の県の対応について教育長に伺います。  一つ、予備学習機会や受験機会の確保、経済格差への対応が困難なら、民間試験を導入すべきではないと思いますが、いかがでしょうか。  二つ、制度を導入する場合は、地方の学生が不利にならないよう国が制度設計をやり直すべきだと思いますが、いかがですか。また、国に対してどのように要望していくのか伺います。  この問題とセットでございますが、小学校の英語の教科化について同じく教育長に伺います。  一つ、小学校の英語教科化により現場でどのような対応を取っているのか。  二つ、教科が増えることは教員の働き方改革の観点からも問題があると思います。英語教育の実効性を高めるのであれば英語専科教員の配置が有効だと考えるが、今後の見通しはいかがですか。また、市町村が配置する外国語指導助手の活用も有効だと考えますが、県としてどのような支援を行っているのか伺います。  三つ、英語教育の早期開始はメリットばかりではないとの指摘もあります。教科となったからには、子供たちが英語に親しみを感じ、楽しく学ぶことが大切だと考えますが、県の考え方を伺います。  続いて、大きな三つ目に入ります。働き方改革について伺います。  昨年の4月施行の働き方改革関連法が、今年の4月から中小企業にも適用となります。過日信濃毎日新聞でも取り上げていましたが、帝国データバンク県内支店が2月12日にまとめた県内企業に対する意識調査によれば、働き方改革に取り組んでいる企業は67.5%で、2018年8月の前回調査比で25.1%増加しています。また、これから取り組む予定の企業も15.6%あり、合わせると83.1%と高率になっています。県内中小企業経営者が課題として認識していることを示しています。  中小企業が圧倒的に多い日本においては、これからが働き方改革の本番です。長野県もまた同様ですが、県内の中小企業の働き方改革の状況と、県として何を課題として認識しているのか。また、支援策等について、以下4点を産業労働部長に伺います。  一つ、私が9月定例会で申し上げましたように、開業率も廃業率も全国で低位で、かつ、欠損法人率70.7%という状況は、企業の新陳代謝や産業シフトが鈍いことを示しています。県としての改善策を伺います。  二つ、生産性が高くない中小企業の働き方改革をどう促進するのか伺います。  三つ、単なる生産性向上策では正規雇用率の低下が懸念されるが、その対策を伺います。  四つ、全国一律の最低賃金制度の実現を知事会で提言していますが、その理由と実現策を伺います。  二つ目です。教員の働き方改革について教育長に伺います。  一つ、平成26年2月に長野県中学生期のスポーツ活動指針を策定して以来、運動部活動の活動時間はどのように変化したのか伺います。  二つ、運動部活動だけでなく、吹奏楽や合唱等の文化部活動も一部では長時間化の課題が同様ではないかと思います。文化部活動に対する県の取組について伺います。  三つ、学校事務、校外指導、ICT教育、先ほど触れた小学校の英語の教科化等教員の仕事量の増大が懸念されますが、実態と今後の過重負担軽減策を伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)英語民間試験導入延期に係る高校生の意見についてのお尋ねであります。  大学入学共通テストへの英語資格・検定試験導入の延期決定に至るまで、受験生にとって必要不可欠な試験期日や会場などの情報が民間事業者から十分に提供されていなかったことから、多くの高校生が不安を感じていたものというふうに考えております。延期については、やむを得ないという声と、せっかく努力してきたのに残念だという両方の声があったと聞いております。県教育委員会としては、今回の英語資格・検定試験導入について、長野県内で受験できる会場に地域的な偏りがあったり都市部に比べて受験回数が少なかったりするなど大きな課題があったというふうに認識しております。また、経済的に困難を抱える受験生への対応も、例えば受験料の軽減などは個々の民間事業者に任されており、十分とは言い難いものでありました。 これらのことから、延期決定はやむを得ないものであったというふうに考えております。  次に、全国の校長会等の延期要請等に対する見解でありますが、全国高等学校長協会では、各都道府県の状況を詳細に確認した上で、英語資格・検定試験導入が様々な課題を抱えていると考え、やむなく延期要請に至ったというふうに考えております。  次に、英語資格・検定試験の導入の是非についてのお尋ねでありますが、現在、国においては、試験の在り方を検討しているところであります。大学入学共通テストに英語資格・検定試験を導入する場合には、受験生が自宅から通える範囲で受験できる会場の設定や、都市部と同等の試験回数が確保されること、また、経済的に困難を抱える受験生への対応を国が責任を持って行うことなどが必要だというふうに考えております。  英語の入試制度設計の見直しについてのお尋ねでございます。  文部科学省は、今後、民間試験方式も含めた制度の抜本的な見直しを行い、受験生が安心して受験に臨むことができる仕組みを構築することとしております。  見直しに当たっては、議員御指摘のように、地方の学生が不利にならないような制度を構築することを全国都道府県教育長協議会などを通じて要望してまいりたいというふうに考えております。  次に、小学校の英語教科化に対する対応でございます。  新学習指導要領では、これまで、5、6年生で行われている外国語活動が外国語科として教科に位置づけられておりまして、全面実施は来年度からでありますけれども、全360校中324校では既に先行実施を行っているところであります。  これらの学校では、学級担任のほか、市町村が配置している外国語指導助手と、県及び市町村が配置している英語専科教員により授業が行われております。具体的には、外国語指導助手は、昨年12月1日時点で県内の各市町村で計247名が配置されており、小学校でのチームティーチングを行っているところであります。また、英語専科教員は県で配置している教員が40名、市町村では11の市町村で13名配置されております。このほかにも、英語免許を所有している小学校教員は608名ということから、英語免許所有者が高学年を担当している学校や、小規模の小中併設校において中学校の英語科教員が小学校で教えるなど専門性を生かした指導がなされているところであります。  次に、英語専科教員配置の見通しと外国語指導助手活用に対する支援であります。  英語専科教員については、令和2年度は20名増員し全体で60名を配置する予定であります。外国語指導助手の活用に対する支援については、全ての外国語指導助手が参加できる研修会を毎年度開催しておりまして、学級担任との役割分担や連携の仕方、児童と英語でやり取りをする際のポイントなどについて学ぶ機会を提供しております。また、学校において担任と外国語指導助手が互いに学び合う研修での活用を想定しまして、チームティーチングの在り方の映像が含まれているモデル授業のDVDを作成し、年度内に配付する予定としております。  英語に親しみ、楽しく学ぶことの大切さについての御質問であります。
     教科化によりまして、5、6年生では扱う語彙数が600から700語程度と約1.5倍となり、授業の内容も、聞く、話す、読む、書くの四つの領域を盛り込んだ教科指導へ変わってきます。そのため、英語になじめず、英語嫌いにつながるつまずきも懸念されることから、今まで以上に楽しく学ぶことを意識した授業づくりが必要になるというふうに考えております。  具体的には、外国語指導助手と英語を介して互いの紹介をしたり興味を持ったことを尋ねたりするやり取りを通して、外国の文化や生活の理解までつながる探求的な生きた英語の授業を目指してまいりたいと考えております。  また、今後1人1台端末が整備されることから、海外の姉妹都市の人とオンラインでつながり、互いの生活の様子について興味、関心を持ったことを英語で尋ね合うような授業も可能になるというふうに思っております。  このように、生きた英語を使って未知の世界を知り、好奇心をかき立てられるような英語の授業が広まるよう努めてまいりたいというふうに考えております。  続いて、教員の働き方改革についてであります。  スポーツ活動指針策定後の運動部の活動時間の変化についてであります。  長野県中学生期のスポーツ活動指針を策定した直後の平成26年度と、5年後に当たる今年度の状況を比較いたしますと、活動時間については、平日は長くても2時間程度、休日は長くても3時間程度とした基準に対しまして、平成26年度は約6割にとどまっていたものが今年度はほぼ全ての学校で基準が守られております。  休養日の設定については、平日と休日それぞれ1日以上という基準に対して、平成26年度は約4割でありましたけれども、本年度はほぼ全ての学校で基準に合った適正な休養日が設定されております。  また、策定した当時8割を超える学校で行われていた朝の運動部活動については、本年度は原則として行わないとした学校が94%に上るなどそれぞれ指針で定めた基準に合った活動へと着実に見直しが進んでいるところであります。  しかし、昨日諏訪議員の御質問に御答弁しましたとおり、一部の社会体育活動では長時間に及ぶ活動の実態があることも認識しておりますので、引き続きその改善には努めてまいりたいというふうに思っております。  次に、文化部活動の長時間化に対する県の取組についてでありますが、文化部活動については、現在は長野県中学生期のスポーツ活動指針の基準に準じた運営がなされておりまして、運動部同様ほぼ全ての学校で活動指針で定めた基準が守られているところでありますが、一部の文化部活動においては、過熱化による活動の長時間化の実態があるということも認識しております。  こうした課題に対応するため、県教育委員会では、文化庁の文化部活動の在り方に関する総合的なガイドラインにのっとりまして、昨年12月に長野県中学校の文化部活動方針を策定したところであります。この方針では、スポーツ活動指針と同様の1日の活動時間や休養日等の基準に加えまして、部活動の延長として行われている社会文化活動の制限についても明記しているところであります。  県の方針を受けまして、各学校においては、3月末までに部活動方針を定め、4月から運用が始まるところであります。県教育委員会では、運用の状況を把握する調査を実施しながら取組を浸透させてまいりたいと思います。  最後に、教員の勤務実態と過重負担軽減策についてのお尋ねであります。  小学校の英語科教科化等学習指導要領の改訂による授業時間数の増加、ICTを活用した学習の充実を図るための授業準備等教員が担うべき仕事が増える中で、県では、平成29年に策定した学校における働き方改革推進のための基本方針に基づきまして英語専科教員を配置したほか、授業準備や様々な学校事務を補助するスクール・サポート・スタッフ、単独で部活動の指導ができる指導員を配置するなど学校業務の軽減に取り組んでまいりました。  令和元年度、12月の教職員の勤務時間等の調査結果では、1人当たりの1か月平均時間外勤務時間が、小学校では46時間3分、中学校では50時間20分という状況で、基本方針策定前の平成28年度の調査と比較しますと、小学校では6.2%の縮減、中学校では15.0%の縮減となったところであります。今後、県及び市町村教育委員会、学校、保護者、地域の役割分担を明確にし、学校業務の見直しを進め、専門スタッフのさらなる拡充や信州型コミュニティスクールの仕組みを生かした家庭、地域、企業との連携等により、引き続き教員の働き方改革に取り組んでいく所存であります。  以上であります。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)私には4点御質問いただきました。  最初に、企業の新陳代謝や産業シフトへの対策についてです。  地域経済の健全な発展には、活発な創業や業種を超えたビジネス転換、発展的な事業承継、的確な事業整理と再生などへの支援が重要だと認識しております。このため、県では、まず開業率の向上を図るべく、起業家のアイデアを着実にビジネスにつなげる信州ベンチャーサミットや創業間もない事業者の課題解決を伴走支援するアクセラレーションプログラムの実施などに加え、創業後の経営革新に向けた技術支援や販路開拓支援などを行っているところです。  次に、中小企業の働き方改革促進についてでございます。  働き方改革につきましては、生産性の向上につながる経営革新と一体で進めていく必要があると認識しております。現在、昨年5月に行った長野県就業促進・働き方改革戦略会議構成団体代表による共同宣言を具現化すべく、労働局、経済団体などと連携して企業訪問や相談を実施しており、長時間労働の是正や多様な働き方の導入、適正な取引の確保など各企業の取組の促進を図っております。  他方、生産性の向上につきましては、AI、IoT等先端技術の活用や、新製品・サービス開発を支援する国のものづくり補助金の活用等の支援策などにより中小企業のイノベーションを促進してまいります。  続いて、生産性向上で懸念される正規雇用比率の低下等でございます。  本県では、産業の生産性の高い県づくりを進めておりますが、人員削減を伴うような単なる業務の効率化、省力化ではなく、従業員のモチベーションの向上や新たな価値の創造、1人当たりの労働生産性の向上を図る取組が重要と考えています。  例えば、デジタルツールの利活用による付加価値の高い業務への人員シフトや先端技術の活用によるマルチタスク化を図るなど、一人一人の能力を最大限発揮できる職場環境づくりが大切であり、こうした企業の取組を後押ししてまいります。  また、正規雇用比率の向上に向けた取組としては、職場環境改善アドバイザーの企業訪問により正規化に向けたアドバイスを行うとともに、ジョブカフェ信州の正社員チャレンジ事業により、労働者の希望や意欲、能力に応じた雇用形態や待遇の実現が図られるよう取り組んでまいります。  最後に、最低賃金に関してでございます。  知事会における最低賃金の提言理由につきましては、地方での女性定着と活躍を加速させる一つの方策として国へ提言を行ったものと認識しております。  全国一律の最低賃金制度の実現には、女性のみならず若者やプロ人材も含めた一極集中の解消、地域間の経済的格差の是正と同時に、地域産業の振興に向けた強力な施策の推進が求められるところであります。このため、さらなる生産性向上策の充実と、サプライチェーンにおける地域産業への所得配分の在り方など、産業界全体の問題として、全国知事会の場はもとより、様々な場においてさらに議論を深めていくことが重要であると考えております。  以上でございます。       〔24番埋橋茂人君登壇〕 ◆24番(埋橋茂人 君)幾つかお答えを頂戴しましたけれども、教員養成の仕組みと小学校の教科化の間にはギャップがございます。制度設計がいかに拙速だったかと思いますので、移行期の生徒に負担にならないようによろしくお願いいたします。  そして、最後に、都市からの人口逆流を起こすためにも、全国一律の最賃というのは大変大きな発想の転換で大事なことだと思いますが、地方の中小企業がこれについていけるとは思えません。外国人労働者の確保のためにも必要ですが、そのために、このコスト増を負担する地方中小企業への補助を制度的に行っていくことが必要だと思います。県としてもこの産業施策を強力に推し進めることを強く要望するところでございます。  ちなみに、埼玉県と鹿児島県で生活実態調査を行ったわけですが、必要経費は、費目別に差はあるものの、ほとんど変わらないとの結果が出ています。田舎と都会とそんなに変わらないというのは大変衝撃的なデータでございますので、よくその辺も御検討いただいて推進いただくようお願いして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(荒井武志 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時27分休憩          ──────────────────         午後2時43分開議 ○議長(清沢英男 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  小山仁志議員。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)高齢化の急速な進展により介護需要の増加がさらに見込まれる中で、現時点でも既に介護人材は不足の状態にあり、介護サービスの需給ギャップの解消は喫緊の課題となっていることから、多様な人材の参入が必要です。  外国人の登用につきましては、EPAや在留資格介護、技能実習制度等の受入れが展開され、さらに新たな在留資格として特定技能の創設もあり、今後見込まれる外国人人材が介護の現場において円滑に就労や定着が図られるよう受入れ環境整備への支援が不可欠です。  本県の介護事業所、施設においての外国人人材の受入れ状況と抱えられている課題とともに、今後の意向についてはどのように認識をされているのでしょうか。まず健康福祉部長に伺います。  介護事業所においては、日本語学習や介護技術のための講座、さらには住居確保等外国人人材登用のための制度活用には様々な費用負担が生じます。また、適正な雇用管理の確保も求められます。こうした外国人介護人材受入れに伴う負担に対する支援について県は今後どのように取り組まれていくのか。健康福祉部長に伺います。  外国人労働者からの行政、生活情報等生活者としての様々な相談や、労働を巡るトラブルに関する相談対応を行っていく体制も、全県で偏りなく構築していくことが求められます。県では、今年度より、多文化共生相談センターを長野市に開設、様々な相談に一元的に応じる窓口として対応を行っています。広い県土においてこの相談支援のネットワーク化をどのように図っていくのか、強化していくのか、県民文化部長に伺います。  そして、急速に進む介護職における外国人人材を巡る環境変化の中で、現場においては様々な課題が発生してくることが見込まれます。自治体間や事業所間の情報共有や対応策等の検討について県が連携体制を生み出すための主体的な役割を果たすべきと考えますが、対応方針を健康福祉部長にお伺いいたします。  介護事業における外国人人材の受入れとその対応の一方で、国内での人材確保や離職防止の課題もなかなか解消されていかない実態とも向き合わなければなりません。県では、福祉事業所の職場環境や人材育成など働きやすさへの取組について、認証、評価、そして発信を行う信州福祉事業所認証・評価制度を信州ふくにんという略称で2018年2月よりスタートしています。およそ2年が経過しますが、高齢者福祉事業所については五つの法人への認証にとどまり、事業費はおよそ400万円です。事業所がこういった制度を生かそうとしていくニーズがあるのか、疑問を抱かざるを得ない状況です。認証・評価制度運用の活性化に向けた課題はどのように認識され、今後どのように改善を図っていくお考えか。健康福祉部長に伺います。  介護労働実態調査によれば、人材不足の理由として最も多かったのが、採用が困難であるというものでした。ハローワーク等の採用経路では確保できず、民間の職業紹介事業者を通じた採用を行う事業所も多く、また、厚生労働省の調査では、1件当たりの手数料が全国平均で50万1,000円。高額の手数料を払っても、離職の割合が高く、経営にも大きな圧迫となっています。  一方で、配置人数の基準維持のため、高額でも紹介業者に頼らざるを得ない現実もあり、構造的な課題を抱えていると感じます。数年にわたる入職促進や、定着支援、離職防止に向けた取組が成果を上げているのか、かなり深刻に受け止めるべき状況が生じており、構造的課題として視野を広げた政策の再構築も図らなければなりません。各施策や事業等の取組に対する成果への認識とともに、県ではこうした構造的課題をどのように捉え、対策を講じていくのか。知事に伺います。  健康長寿のさらなる創出に向け、本県の強みでもありますヘルスケア産業の新たな創出と振興に期待があります。本県ヘルスケア産業の技術、構想、アイデアを、介護現場における職員負担の軽減や利用者のQOLの向上等様々な課題の解決に対し生かさない手はないと考えます。介護現場のニーズと本県ヘルスケア産業のシーズをしっかりとマッチングしていくような支援を県が行っていくべきと考えますが、現状の取組状況や課題とともに、今後どのようにヘルスケア産業と介護現場とを結びつけていくお考えなのか。産業労働部長に伺います。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)介護人材につきまして、私には4点御質問をいただきました。  初めに、介護事業所の外国人人材の受入れ状況等についてでございます。  県内の介護事業所が受け入れた外国人人材のうち、EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者につきましては、制度が始まりました20年度から今年度まで71名を受け入れております。また、29年度から制度化された介護分野の技能実習生につきましては、昨年度20名、今年度96名の合計116名を受け入れているところでございます。  外国人人材受入れに係る課題といたしましては、公益財団法人介護労働安定センターが30年度に介護事業所等を対象に実施した介護労働実態調査によりますと、利用者や職員との会話等における意思疎通に支障がある。また、日本語文章力、読解力の不足等により、介護記録の作成に支障があるといったことなどが挙げられているところでございます。  また、将来的な受入れの意向についてでございますが、30年度現在実際に受け入れている事業所の割合0.6%に対しまして、将来的な受入れ意向のある事業所の割合は12.3%でございまして、外国人人材の受入れ意向は高まっているものというふうに認識をしているところでございます。  次に、外国人人材の受入れに対する支援についてでございます。  介護事業所等が外国人人材を受け入れるに当たっては、事業所の皆様から、住環境を含む生活サポートであるとか、日本語や介護技術の習得支援についての負担が大きいといった声をお聞きしているところでございます。こうしたことから、県では、外国人人材に対する日本語学習支援に加えまして、今年度は雇用する外国人職員の住居借上げに係る経費に対して助成をしているところでございます。  さらに、来年度は、新たに技能実習生が訪日前に行う日本式介護等の研修に要する経費に対する支援を行いますほか、外国人留学生を受け入れる事業所等が行う奨学金の貸与等への助成も行うこととしているところでございます。外国人人材を受け入れる事業所等の負担を軽減する取組についても県として取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  次に、自治体間や事業所間の連携のための県の役割についてでございます。  外国人介護人材の受入れに当たりましては、文化の違い等による職場での対人関係の課題に加えまして、外国人が暮らすコミュニティーにおいても様々な課題が生じているというふうに承知をしております。  県では、事業者の皆様が外国人人材の送り出し国や受入れ団体等の実情を聞き、外国人人材の受入れに関して理解を深めていただくための外国人介護人材受入れ研修会を、昨年度県下2会場で開催したところでございます。  また、市町村や介護事業者等を構成員といたします長野県地域コンソーシアムを設置いたしまして、コミュニティーが外国人を受け入れる際の課題や効果的な取組事例についての情報交換なども行っているところでございます。今後も、このコンソーシアムを活用いたしまして、外国人人材の受入れ環境の改善に向け主体的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、信州福祉事業所認証・評価制度の課題と改善策についてでございます。  信州福祉事業所認証・評価制度は、平成30年の制度開始以来、これまでに55法人322事業所が取組宣言を行いまして、うち御指摘がございましたとおり5法人67事業所が認証を受けているといった状況でございます。  この制度をより活性化していくためには、まずはより多くの事業所を認証につなげていくことが重要であると認識をしているところでございまして、そのためには、認証取得が事業所等の運営に効果的であるといったことを広く示して制度の認知度向上を図ってまいりますとともに、アドバイザーを派遣するなど取組宣言をした事業所に個別にサポートしていくといったことが有効ではないかというふうに考え、取り組んでいるところでございます。  そこで、来年度におきましては、ハローワークと連携して介護の特設コーナーへの情報の掲載やハローワーク等が開催する福祉の職場説明会へ優先参加できるようにするといったことを行いまして、事業者、求職者双方の認知度の向上と認証取得数の増加に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)私には、外国人相談支援のネットワーク化とその強化について御質問をいただきました。  御質問にございましたように、長野県多文化共生相談センターを、昨年10月、市町村をはじめとする外国人向け相談機関の中心的機能を果たすために設置したところでございますが、あわせて、地域の相談機関の強化にも努めているところでございます。具体的には、県内10か所で順次巡回相談を行ってきておりますけれども、これは、より身近な地域で相談を受け付けるとともに、あわせてノウハウを市町村に伝えていくことを目的としたものでございます。  また、市町村の相談員等関係職員を対象としたスキルアップ研修会を開催しております。 こうした機会を通じて、相談員や関係機関とのネットワーク化の構築に努めますとともに、外国人相談員窓口のない市町村に対して窓口の開設を働きかけているところでございます。  加えまして、来年度は、先駆的な日本語教室を設置する市町村にアドバイザーや国際交流ボランティアの派遣を予定してございます。これらを通じまして、日本語教育でも相談対応が可能となるようアドバイスを行い、新たな相談場所とネットワークづくりを進めるなど引き続き県内の相談体制の強化に努めてまいります。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には介護人材の確保施策の成果と今後の対策について御質問をいただきました。  まず、介護人材の確保につきましては、これまでキャリア支援専門員を県内4か所に配置して事業所と求職者のマッチングを行ってまいりました。これは、平成30年度の実績で、145人マッチングを行っております。人材派遣会社に委託して、無資格者の入職と資格取得の支援が平成30年度の実績で96人、また、潜在的有資格者の復職や外国人人材の受入れ支援といったような事業を行ってきているところであります。こうした取組によりまして、本県の介護職員数は平成29年は3万5,000人余ということで、直近の3年間で約2,000人増加してきているという状況であります。  また、離職率でありますけれども、これは景気の動向にも左右されるわけでありますが、勤続3年未満の離職者の割合が5年前の7割から6割にやや減少しているということで、離職防止にも少し成果が現れている部分もございます。  しかしながら、まだまだ各事業所では人材確保に苦慮されているというふうに認識しておりますし、将来に向けて介護ニーズが一層増大するといったようなことを考えますと、この介護人材の確保につきましては引き続き強力な取組を行っていかなければいけないというふうに考えております。  大きく給与面、職場環境面、さらにはキャリアアップの面、こうした観点で取組を進めていきたいというふうに考えております。  給与面につきましては、県内事業所にアドバイザーを派遣して介護職員処遇改善加算制度の導入を働きかけますとともに、国に対しては介護報酬のさらなる引上げを要望していきたいと考えております。また、職場環境の改善については、休暇の付与や労働時間の短縮を働きかけるとともに、職員の負担軽減のための介護ロボットの導入や介護記録のデータ化などを支援していきたいと考えています。また、介護職員の方々が将来のキャリアアップを目指していくことができるように研修の機会を増大していくということと併せて、キャリアパスの構築等優れた取組を行っていただいている事業所を県が認証する仕組みもより一層普及拡大をしていきたいというふうに考えております。  こうした取組に加えて、中高年の方々、子育て中の女性、外国人人材など多様な人材に介護の現場に携わっていただくような施策も進めていきたいというふうに考えております。こうした様々な施策について我々県行政としてもしっかりとした危機感と問題意識を持ちながら、より強力に推進していくことにより介護人材の確保定着に取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)私には、ヘルスケア産業に関するニーズ、シーズのマッチング等について御質問を頂戴しました。  ヘルスケア産業は、超高齢化社会を迎え増大する健康需要を踏まえますと、今後とも成長発展が期待される分野と認識しております。このため、平成27年3月に産学官連携による長野県次世代ヘルスケア産業協議会を設立し、介護現場等のニーズを掘り起こす研究会や関係する事業者とのマッチング事業などにより企業活動を支援してまいりました。  成果といたしましては、介護事業者による見守りセンサーや介護記録の電子化システム導入、センサーを利用した歩行ケアサービスのビジネス化、ポールを活用したウオーキングの普及促進などビジネス化や販路開拓につながった事例も出ております。  ヘルスケア産業は、健康長寿を誇る長野県ならではのアプローチも期待できる分野でもありますので、産業支援機関の連携を強化し、技術開発から販路開拓まで一貫したサポート体制を構築することで現場ニーズを踏まえた新たなビジネスの展開や創出を支援してまいります。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)ぜひ危機感を持った取組をお願いしたいと思います。  まず、認証制度の信州ふくにんですが、介護事業者の皆様からは、その趣旨には賛同するものの、認証を受けたことによって人材確保が実際に改善するのかあまり期待できない、認証に至る手間も考えますとそこまでの余力もないといったお声もお聞きしています。  一方で、例えば広島県では、「魅力ある福祉・介護の職場宣言ひろしま」という認証制度を行っていますが、今年度より第2期ということで、スタンダード、プラチナと2段階の新しい制度にリニューアルされています。この認証には、全国で唯一手数料がかかるものの、リニューアル後、100近い法人が申請。働きやすさや人材育成、サービスの質の向上等への取組へのインセンティブとなっており、広島県では5年後をめどに6割以上の事業所の認証を目指しています。  この認証事業所紹介のホームページを見ますと、優良法人の検索条件のバリエーションも豊富で、紹介の内容やその見せ方についての様々な創意工夫を見る側が手に取るように感じられるようになっています。ぜひ、信州ふくにんの状況と比較をしていただきたいと思いますし、こうした先進事例の工夫を参考にして信州ふくにんの運用をお願いしたいというふうに思います。  長野県福祉大学校の介護福祉学科の定員は20名でありますけれども、今年度入学者は6名の皆さんでありました。将来を見据えた人材育成の厳しい状況を映し出しています。深刻な介護人材の確保について、創意工夫とともに最新の注意を払い、対策を講じ続けていただくことをお願いさせていただいて、次に移ります。  性暴力被害者支援センター「りんどうハートながの」が開設され、4年目となっています。リンドウの花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」であり、センターの開設、運営に込められたこの思いとともに、365日、24時間体制で支援員による相談支援が行われています。  関連し、以下、県民文化部長に質問してまいりますが、まず、りんどうハートながのの相談受付や支援の対応状況をはじめとした運営の概況とともに、開設から4年の経過の中でその運営の成果についてはどのように総括をされているのでしょうか。お伺いいたします。
     性暴力に遭った被害者の多くは、誰にも言えない、知られたくない、考えたくないと独りで悩みを抱え込まれます。内閣府の男女間における暴力に関する調査におきましても、異性からの性被害に遭った女性の約6割が誰にもどこにも相談していないという実態が明らかになっています。できるだけ早く医療的、心理的な支援を受けることが心身の回復にとっては大変重要なことであり、深い心の傷からのPTSDを回避するため、急性期からの中長期的心理的ケア体制の構築が不可欠です。被害者が相談しやすく、早期につなげる体制づくりが必要と考えますが、県ではどのような取組を行っているのでしょうか。  また、ワンストップでの支援の実現には関係機関との連携構築が不可欠です。それは、被害者に必要な寄り添ってくださる方の存在から、心のサポート、医療的サポート、そして警察や法律家などによる支援など総合的なアプローチを構築するネットワークづくりであります。支援センター中心の連携型体制の構築にはさらなる工夫が必要と考えますが、今後どのように対応されていくのか、伺います。  そして、ワンストップ支援の連携の構築や二次被害防止のためにも、負担が大きく責任も重いセンターの支援員の皆様が自信を持って業務を行うことができる環境づくりも求められます。内閣府の調査では、全国の性被害者支援センターの約7割が人材確保に悩みを抱え、また、業務内容や業務量に見合った待遇となっていないというという回答も4割を超え、無給、交通費程度で働いている支援員の存在もあり、個々の支援員の熱意で支えられているセンターもあることが浮き彫りになっています。りんどうハートながのでは、支援員の人材確保や待遇等の対応はしっかりできているのか。支援員の皆様のさらなる資質向上や専門性強化について県ではどのようにサポートを行っていくのか。併せて伺います。  りんどうハートながのは、子どもを性被害から守るための条例に基づく性被害を受けた子供の救済のための位置づけもあります。犯罪白書によりますと、性被害者の年齢層別での構成比では、13歳から19歳代での被害が大きなボリュームを占めています。心身の成長とともにアイデンティティーが形成されていくこの時期での性被害は、重要な他者へのコミット面まで阻害されかねず、誰にも相談できず、孤立し、回復への支援が届かないような状況は必ず回避しなければなりません。広報啓発活動がこの年齢層にしっかり届いているのか検証が必要と考えますが、県ではどのように認識され、今後対応を行っていくのか、伺います。  また、性被害の未然防止のための人権教育、性教育のさらなる充実が求められる一方で、その内容、方法には十分な配慮も不可欠です。被害に遭ったときの心理教育とともに、人権じゅうりんという暴力と化す加害者を生まない社会をつくるための情報を教育の場で確かに届けていく必要があります。教育委員会では現在どのような取組を行っているのか、また、今後、教員の指導力向上も含め、さらに充実をさせていくのか。教育長に伺います。  また、りんどうハートながのの支援員の皆様の支援や、相談を通じた実態やお考えを学校や地域、団体等で行う人権・性教育においてお伝えしていくことも大変重要なことと考えます。県のこうした連携へのお考えについて県民文化部長に伺います。  さて、性被害も含め、犯罪被害は、個人の属性や立場とは無関係に、ある日突然被害者となります。犯罪の被害に遭った時点で基本的人権が奪われ、様々な二次被害に苦しめられます。  2005年に施行されました犯罪被害者等基本法の基本理念では、犯罪被害者等の尊厳にふさわしい処遇の権利としての保障や個々の事情に応じた施策が適切に行われること、平穏な生活が営まれるように途切れることのない支援が明記され、地方公共団体は、この基本理念にのっとり、地域の状況に応じた施策の策定と実施が責務と定められています。  長野県では、公安委員会で認定の長野犯罪被害者支援センターにおいて、犯罪や事故等の被害に遭われた方やその御家族、御遺族の方々に対し、面接相談や電話相談、直接的支援を無料で行っていただいています。  全国の状況を見ますと、基本法の制定を引き金として、犯罪被害者等支援条例を定める自治体が増加、33の道府県と501の市町村において制定されています。過日会派で調査いたしました兵庫県におきましては、地域安全まちづくり条例に犯罪被害者等に対する支援を明記し、連絡協議会等を通じ、市町村等との被害者支援のための現状や今後の被害者支援の方向性についての意識醸成や情報の共有を図るなど、連携体制の構築や条例制定の支援にも取り組まれていました。  このように、先頭に立った取組により、県内市町村でもその地域に応じた取組が誘発され、困難に直面している犯罪被害者等の支えとなり、犯罪被害者やその御家族が置かれた状況への理解も生まれ、広がっていきます。県ではどのように基本法に明記された基本理念に則したお取組を行っていくのか。知事にお伺いいたします。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)りんどうハートながのに関しまして6点御質問いただきました。順次お答えを申し上げます。  1点目に、運営の概況と開設からの成果の総括についてということでございますけれども、御質問にございましたように、りんどうハートながのは、平成28年7月の開設以来、性暴力被害者からの相談を受け付け、被害者の希望に応じた被害直後の産婦人科医療、傷ついた心のケアのためのカウンセリング、また弁護士による法律相談などの支援を行ってまいっております。毎年度70件以上の新たな性暴力被害者の支援を行っておりまして、その件数は年々増加し、今年度は2月17日現在で昨年度実績の74件を上回る82件の支援を行っております。この支援件数の増加傾向の受け止めはいろいろございますが、この増加している傾向、あるいは被害者本人からだけではなく、家族や関係機関から相談が寄せられているといったことから、このりんどうハートながのがワンストップ支援センターとして認知が進んできており、安心して相談でき、支援を求める場所として一定の役割を果たしているものと考えております。  支援に当たりましては、被害者の気持ちに寄り添うこと、被害者の意思に沿った支援を行うことに留意しているところでございますが、被害者から気持ちが落ち着いたという声や感謝の言葉もいただくなど、支援機関としての信頼も得られてきているものと認識しております。  次に、被害者が相談しやすく早期に支援につなげられる体制への取組についてということでございます。  御質問にございましたように、24時間365日の電話対応を行っていますこと、加えて、電子メールによる相談も受け付けておりまして、被害者が相談しやすい体制づくりに努めているところでございます。  また、一人でも多くの方にりんどうハートながのを知っていただく必要があるため、昨年の1月から2月にかけて、テレビコマーシャルの放映や、特に若年者への周知を意図いたしましたインターネットのサイトへのバナー広告の掲載を行いました。  一方で、関係機関等が把握した性暴力被害がりんどうハートながのへ迅速につながることも重要でございます。このため、市町村や学校、児童相談所、女性相談センター、県警、民生児童委員といった幅広い機関や団体に対しまして、担当者への説明やチラシの配布等によりりんどうハートながのが行っております支援の周知に努めているところでございます。学校から直接相談が寄せられ、早期支援につながった案件もあるということでございます。こうした取組を継続することにより、りんどうハートながのの認知度を高め、早期の相談支援につなげるよう取り組んでまいります。  次に、支援センターを中心といたしました連携体制の構築についてでございます。  御指摘のとおり、関係機関との連携強化は必要不可欠でございます。りんどうハートながのでは、開設以来、医療機関や警察、弁護士、臨床心理士等と連携して被害者の支援を行ってまいりました。  また、運営体制や関係機関との連携も含めた支援の在り方を検討するため、産婦人科医会、弁護士会、それから支援関係課等により構成されております運営会議を開催し、問題の解決方法を検討してきております。この中から支援員が必要に応じて弁護士からアドバイスを受けられる体制を構築してまいりましたほか、精神科医療機関との連携について検討を進めているところでございます。今後も、こうした改善を重ねることなど、関係機関との連携を密にして、被害者の要望を踏まえた支援を円滑に実施できるよう努めてまいります。  次に、支援員の人材確保やさらなる資質向上等についてでございます。  本県のりんどうハートながのは県が直接運営しているところでございますが、現在、その構成は、チーフコーディネーター以下18名の支援員を配置してございまして、人材確保はできていると捉えております。なお、地域バランスを考慮した現地支援員の配置に努めているところであります。  支援員の方々は非常勤職員ではありますが、その待遇は、業務内容や業務量に見合ったものとなっているものと考えております。資質、専門性につきましては、まず、保健医療等の分野における相談支援経験者を任用しております。任用後は、相談情報の取扱いや心理カウンセリングに関する研修等により資質、専門性の向上に努めております。今後も、支援員への県主催の研修とともに、内閣府が主催する研修、ワンストップ支援センターの全国的な研修会等への参加により専門性の強化を図ってまいります。  次に、13歳から19歳といった年齢への広報啓発が届いているか、検証や今後の対応についてということでございます。  若年層におけるりんどうハートながのの認知度といったことを把握することは重要と認識しておりまして、来年度予定しております人権に関する県民意識調査の中で調査していく予定でおります。  なお、相談を受けた際に、どのようにしてりんどうハートながのを知ったのかを聞き取っておりますけれども、若年層を中心に、多くの方がウェブサイトからの検索と回答しているところです。今後は、リーフレットやカードの配布といった従来からの手法に加えて、若年層がアクセスしやすく、より分かりやすく相談しやすいものとするため、学校現場の方などの御意見を伺いながらホームページの改善やSNSの活用などに取り組んでまいります。  最後に、りんどうハートながのの支援活動で得られた実態等を伝えていくことについてでございます。  性被害の未然防止のためには、重大な人権侵害でございますこの性暴力に対する実態を踏まえた正しい理解を社会全体が共有することが極めて大切だと考えております。それには、学校や地域等における教育等が大きな役割を果たしており、その関係者にりんどうハートながのにおける支援の積み重ねで得られた事例や知見をお伝えしていくことは重要であると認識しております。  これまでも、地域の中学校、高校の生徒指導連絡協議会や人権擁護委員協議会等から講師派遣の御要望をいただき、りんどうハートながのの職員が出向いて被害者支援の活動等について講義をしているところでございます。今後は、学校や地域、団体などのニーズを踏まえながら、また、被害者等のプライバシーに十分配慮した上で、より多くの方に被害者支援の実態等をお伝えできる方法があるか検討してまいります。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)性被害の未然防止の現在の取組と今後どのように充実させていくのかというお尋ねでごさいます。  県教育委員会では、長野県子どもを性被害から守るための条例に基づきまして、子どもの性被害防止キャラバン隊を中学校、高等学校、特別支援学校に派遣、また、教員向けには、ネットを契機とする性被害防止のための指導方法等研修会を開催しております。両取組とも、令和2年度は小学校も対象に加え、実施する予定としております。  また、性被害防止に関わって、デートDVなど現代的な課題について県下4地域で教員向け研修会を開催しているほか、これらの課題を専門的に扱う外部講師を学校に派遣する取組なども実施しているところでこざいます。  さらに、昨年11月から、県立高校等におきまして、生徒、教員、保護者を対象としたワークショップ形式の研修を実施しておりまして、性被害等の被害者にも加害者にもならないようにするための実践的な研修となっており、令和2年度はさらに拡充して実施する予定としております。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)犯罪被害者等基本法の理念に則した長野県としてのこれからの取組という御質問でございます。  犯罪被害者等基本法を踏まえて、本県では、人権政策推進基本方針におきまして、一つとして犯罪被害者等に対する理解の促進、二つ目が関係機関・団体の連携、三つとして適時適切な犯罪被害者等への支援を具体的施策の方向性として掲げております。これに基づきまして、広報啓発、相談、情報提供、被害からの回復支援、民間支援団体に対する支援、こうした取組を関係者が連携して実施しているところであります。  犯罪による被害は、被害者本人やその御家族、御遺族に、生命、身体、財産といった直接的な被害とともに、心にも深い傷を与えるため、多様な支援が必要であるというふうに認識をしております。  小山議員の御質問にもありましたように、他県においては、条例を制定したり見舞金や貸付金を制度化しているといったような事例もあると承知をしております。こうした取組を参考にしながら、本県としてのさらなる支援の在り方について検討していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)りんどうハートながのにつきましては、徐々に認知度も向上し、信頼も醸成されてきているということで、ぜひ引き続き努力をお願いしたい、エールをお送りしたいというふうに思っています。  2018年、警察庁の発表によりますと、SNSを通じて全国で事件に巻き込まれた子供は1,811人、小学生の被害者が過去最多となるなど、被害者の低年齢化の傾向の中で、SNSを活用した性暴力も多様化しています。性暴力の影響により、若年層は自己尊重感が低下、被害を被害として認識したり相談してもよいことと思うことができず、支援機関につながることがないまま、トラウマに起因する心身の不調を抱え、年齢を重ねてしまう方が多いことが明らかになっています。  こうした背景の中で、内閣府は、昨年12月、期間限定で「Cure Time」という10代女性向けの性暴力相談SNSを開設いたしました。サイトには、「あなたは悪くない」と大きく掲げられています。否定的自己像を抱え誰にも相談できずに苦しむ皆さんへのアプローチについて、時代背景等もキャッチしながら支援センターが存分に機能を発揮していただくことを求めたいというふうに思います。  犯罪は、ある日突然、何の前触れもなく降りかかり、誰にもそれを予想することはできません。突然の犯罪被害は、被害者に肉体的、精神的に大きなダメージを与え、生活は一変を余儀なくされます。二次被害の徹底防止とともに、再び平穏な暮らしを取り戻していただくには、行政を中心とした社会としての支援の輪が不可欠です。  県には、基本法の理念にのっとり、広域にわたる施策とともに、犯罪被害者支援センター及び市町村との連携、バックアップを図り、必要な支援につながる体制づくりに一層の御尽力をいただきますようお願いをさせていただきまして、私の質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)次に、寺沢功希議員。       〔10番寺沢功希君登壇〕 ◆10番(寺沢功希 君)市町村や各種団体等の住民と協働による地域の元気を生み出す事業を支援する地域発元気づくり支援金。平成19年から実施され、平成30年度までに延べ8,067事業が支援金を受け、実施されております。令和2年度の支援事業募集も先日2月3日に締め切られ、今後、各団体からのヒアリングを経て、地域の選定委員会による審査により採択事業が決定される予定になっております。申請書類の煩雑さなど課題はあるものの、あらゆる角度から地域へ活力を与える事業に対して支援が可能であり、これまでの実績からもなくてはならない制度の一つとなっておりますが、支援金を利用して、地域においておみこしを活用して伝統文化の継承、地域協働による活力を創出する事業を計画していたが、事前説明会、事前相談の過程で申請を断念したという団体のお話をお聞きしました。  そこで、以下の点についてお聞きします。  過去の採択事業を調べますと、おみこしに対して支援している実績はあります。交付要綱では支援対象外の事業として九つの事業が挙げられており、その中の一つに宗教的活動に関する事業があります。その条件の下、書類提出、ヒアリングを経て、選定委員会の審査を受け、採択されたものと思います。事前説明会で参加者に配布されるQアンドAにも支援対象外の事業の一つとして宗教的活動に関する事業があり、申請を受付できませんと記載されております。今回の事前相談では申請は受け付けるということだったようですが、宗教的活動に関する事業とは言えないが100%無関係とは言い切れないため、採択の可能性は限りなくゼロに近いという雰囲気を感じたということで、断念されたようです。側聞するに、元気づくり支援金に携わる多くの職員が、内容を問わずおみこし等のハードに対する支援はできかねるという認識でおられるようですが、いかがでしょうか。  また、改めて、知恵と工夫により自主的、主体的に取り組む元気を生み出す発展性のある事業に対して支援するという趣旨に基づいて、事業内容、事業効果について審査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。以上、企画振興部長にお聞きします。  憲法第89条では、地方公共団体と宗教との分離、独立を確保するため財政的支援を禁じておりますが、最高裁の判例では、宗教的活動とは、宗教との関わり合いを持つ全ての行為を指すものではないともされています。明確な線引きが難しい問題であることは十分承知しておりますが、伝統文化や行事、お祭りなどは、歴史をたどればそのほとんどが信仰や祈願が元になっている面もあり、デリケートな問題ということで支援をしないとなれば、地域の絆が加速度的に失われている中、守るべきものが衰退していく可能性は高くなっていきます。文化財に指定されれば支援が可能であるといった意見もありますが、指定されるまで守り続けることが困難であるのが現状です。  知事は、学びと自治を掲げる県において積極的に支援し、お祭りなど伝統行事や文化を守り、次世代に継承されるよう取り組むと以前答弁されましたが、ここで改めてしっかりとした態度を持って支援していただくことをお願いいたします。知事のお考えをお聞きします。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)元気づくり支援金の対象事業について御質問いただきました。  まず、この支援金に携わる多くの職員が内容を問わずにみこしなどのハードに対する支援はできかねるという認識でいるようだが見解をということでしたけれども、この支援金では、その趣旨に鑑み、地域の元気を生み出すモデル的で発展性のある事業をできるだけ幅広く対象にしようと努めているところです。しかしながら、県民の皆様から頂戴した税金を財源としておりますことから、やはり公平性、公正性を確保することが必要です。もとより、公金の支出に当たっては、地方自治の本旨に則しつつも、過去の判例を参考に、憲法や地方自治法をはじめとする法令に抵触するおそれのないよう留意しているところでございます。このため、支援金の交付要綱において、先ほど議員からもありましたように、宗教的活動に関する事業や政治的活動に関する事業などは対象外とすることと規定しておりまして、このことは事業募集に当たっての説明会などで周知しているところであります。  具体的にみこしの整備が宗教的活動に関する事業に該当するか否かの判断基準としましては、まずその事業の目的が宗教的意味を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉等になるもの、そういう事業であるのかどうかということ。それから、支援対象となる施設設備等の所有権が特定の宗教的団体に属するのかどうかということを基本といたしまして、実際の所有者や保管場所、使用場所などの実態を事業計画書やヒアリング等を通じまして確認を行いながら見極め、判断しているところです。  なお、これまで、職員の相談対応等につきまして不十分な事例があったのであれば、今後丁寧な説明を行い、十分御理解いただけるよう改めて地域振興局に徹底してまいります。  それから、ハード所有者が宗教団体でないことを前提とした審査をというお話でありましたけれども、制度の基本的な考えや運用の大枠につきましては本庁の企画振興部が要綱や要領として定めておりまして、その上で、地域振興局におきまして、各地域の実情に応じて重点的に取り組むテーマや事業の有効性や継続性、発展性などの基準を設けて選定をしているところであります。  この選定に当たりましては、先ほど来申し上げております公平性、公正性の確保が大前提といたしまして、事業の内容が真に宗教的活動に結びつかないかその実態を十分見極めながら、支援金の趣旨にのっとりまして、住民の協働による地域の元気を生み出すモデル的で発展性のある取組であるかという観点で各地域振興局において慎重に審査が行われるものというふうに考えております。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)伝統文化に対する支援についてという御質問であります。  本県は、地域に根づいた伝統芸能や文化が非常に多彩な県であります。それがまた地域の特色でありますし、地域の住民の皆さんが誇りを持って受け継いできた地域の宝でもあるわけであります。県としても、文化財保護事業や、今議論になっております元気づくり支援金等によりまして様々な伝統文化が次世代に継承されるよう取り組んできているところであります。  元気づくり支援金の選定に当たりましては、先ほど企画振興部長が御答弁申し上げたとおり、公平性、公正性を確保しながら事業内容を十分に見極めて判断していきたいと考えております。  以上です。       〔10番寺沢功希君登壇〕 ◆10番(寺沢功希 君)御答弁いただきました。今回は宗教的見地から取り上げさせていただきましたが、支援対象外、申請を受け付けないとされている事業の中には、ほかにも判断基準が曖昧なものがあります。実施から10年が過ぎ、細部にわたり検証する時期が来ているのではないかと思います。  初めに申し上げましたとおり、なくてはならない事業であります。だからこそ、一貫性のある判断ができるよう、基準の検証、確認、徹底と認識の統一の再確認をお願いするとともに、伝統文化・行事に対するさらなる支援をお願いいたしまして、次の質問に移ります。  日本人の2人に1人ががんになる現在、がんによる死亡数と罹患数は、人口の高齢化を主な要因として共に増加し続けておりますが、3人に2人が治癒しており、医学の進歩により今後もこの率は向上するものとされております。  患者さんにはがんに対する治療が最優先され、生きる希望を持っての病との闘いが始まります。しかし、その希望を絶たれるほどのつらい思いをする場合があります。がん治療による薬や放射線照射が卵巣や精巣にダメージを与え、将来の妊娠、出産の機能が低下したり、さらには諦めなくてはならない場合があるのです。  しかし、近年、そのリスクに備え、がん治療前に精子や卵子、卵巣組織を凍結保存し、将来妊娠する可能性を残す妊孕性温存療法を選択することができるようになってきております。 現在、成人はもちろん、小児でも思春期後の男児及び全ての女児で妊孕性温存は可能となっており、思春期前の男児についても研究が進んでおり、近い将来可能となると言われております。  そんな中、本年1月10日、県立こども病院と下諏訪町にあります諏訪マタニティークリニックとの間で、小児がん治療に際し妊孕性温存治療に連携して取り組む協定が結ばれました。今回の連携は、がんと闘う子供たちに夢と希望を与え、治療の際の心の支えになる取組になるものと思います。  しかし、一方で、課題もあるとお聞きをしております。そこで、教育長にお聞きします。 がんと診断され、その治療が始まる前に、妊孕性温存をするか否かの選択をしなくてはなりません。小児がんと闘う幼い子供が選択に迫られることもあるわけです。将来、子供ができなくなるというリスクや、その選択の重要性を正しく理解できないお子さんもいらっしゃると思います。県立こども病院には院内学級がありますが、そういった子供たちに対し、心のケアも含めた性教育を行い、対応することは可能でしょうか。  さらに言えば、今回、県立こども病院で取組が行われますので、各小学校において、現在よりもかなり早い段階から、子供を授かるということ、そしてそれは大変奇跡的で神秘的であることなど基本的な性教育を行うことで教育の面からもサポートすべきと考えますが、いかがでしょうか。  日本癌治療学会は、2017年7月、妊孕性温存に関する診療ガイドラインを策定し、がん治療を最優先にしながら、患者さんに将来不妊になる可能性を伝え、希望すれば温存治療を行う生殖医療の専門医を紹介するよう求めておりますが、現状では医療機関や医師によって対応に温度差があるようです。  そこで、県としては、県内医療機関での患者さんに対する妊孕性温存に関する情報提供の現状を把握されておりますか。また、患者さんに寄り添った情報提供が行われるよう県として取り組むことは可能でしょうか。健康福祉部長にお聞きします。  患者さんが妊孕性温存を希望された際に問題になるのが、公的医療保険の適用外であり、費用が自己負担になるということです。卵子の採取、凍結に40万円ほど、卵巣組織の採取、凍結では60万円ほどの費用になり、さらに凍結保存管理に年間3万円ほどの費用負担となります。そのため、経済的な理由で子供を授かることを諦めるがん患者さんがいるのが実情であり、がん患者であるお子さんが家庭の事情を心配し、断ったという事例もあったそうです。他県では、2016年4月に滋賀県が費用の一部を助成する制度を創設し、昨年11月時点で岐阜県、埼玉県など12府県において助成制度が導入されておりますが、長野県にはその制度はありません。  妊孕性温存を選択する多くは小児世代とAYA世代と呼ばれる思春期から若年の15歳から39歳の世代です。進学や就職、恋愛、結婚など様々なライフイベントに巡り会う時期に突然がんと診断されると大きなショックを受けるのは当然ですし、病気のために様々な困難が一気に降りかかってきます。ただでさえ大変な時期に、がんに対する高額な治療費に加え、妊孕性温存の費用を捻出するのはあまりにも酷です。経済的負担が妊孕性温存を断念する理由の一つにならないよう、ぜひ、県においても助成制度を創設していただけないでしょうか。また、同時に、県として国に対し保険適用化を要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、今回の協定により、卵子や精巣組織の採取、凍結保存、管理は諏訪マタニティークリニックで行われます。小児がん患者の場合では、20年から30年といった長期にわたる保存管理をする必要があります。今回、クリニックの根津院長にお話をお聞きする中で、20年後、30年後にクリニックが確実に存在しているという保証はない。今後は保存管理体制も考えていく必要があると指摘されました。不安なく長期にわたる保存管理体制や施設について県として担っていくことも検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか。以上、知事のお考えをお聞きします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)妊孕性温存に関する院内学級での対応であります。  小児がんのため院内学級で学ぶ児童生徒の心のケアについては、病気や治療の不安を一人で抱え込まないよう担任や医療スタッフが児童生徒の話を丁寧に聞いたり、担任が退院後の学校復帰への見通しを示したりして、児童生徒の思いに寄り添った対応をしているところであります。  妊孕性の問題に関しては、主治医が保護者へ治療方針を説明した上で、担任や医療スタッフと情報共有を行いながら、主治医が妊孕性に関わる身体の影響などリスクに関する専門的な内容を本人に分かりやすく説明しているところであります。性教育という側面もありますが、むしろ専門的な医療の範疇での対応が必要な場面として捉えることがふさわしいのではないかというふうに考えております。  それから、子供を授かることを学ぶ性教育であります。  学校における性に関する授業では、発達段階に応じた適切な時期に子供を授かることの重要性を扱っております。学習指導要領に基づきまして、小学校4年の保健の授業、5年の理科の授業などにおいて、生命の誕生には受精が必要なこと、受精卵が成長して胎児となり出産に至ることなど命を授かることの尊さを学んでいるところであります。性に関する指導については、全ての児童生徒が適切な時期に必要な知識を学ぶことができるよう引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)妊孕性温存に関する情報提供について御質問いただきました。  2016年の症例をまとめました全国がん登録事業報告書によりますと、県内における40歳未満のがん患者は368名でございまして、その多くは、がん診療連携拠点病院等において治療を受けているところでございます。  これらの病院につきましては、治療に伴う生殖機能への影響や生殖機能の温存について説明をするということがその指定要件となっていることから、患者への情報提供が適切に行われているものと認識しているところでございます。  一方で、がん診療連携拠点病院等以外の医療機関にまでその説明が義務づけられているところではございませんので、そちらで治療を受けておられる患者を含めて、全ての患者に対して情報提供が十分行われるよう取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。  そこで、県も参画しております長野県がん診療連携協議会におきまして、全県統一で正しい情報を分かりやすく提供するためのリーフレットを今年度中に作成し、がん治療を行っている全ての県内医療機関において患者に配付してもらうよう取組を進めているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)妊孕性温存に関して2点御質問いただきました。
     まず、費用負担の軽減についてでございます。  妊孕性の温存につきましては、御質問にありましたように、公的医療保険の対象外であるため費用負担が大きいという声があるということは承知をしております。助成制度の創設につきましては、近年、他府県で導入する動きがありますことから、県としてもその事業内容等を参考に検討していきたいと考えております。一方で、全国統一的な助成制度の導入を含め、小児、若年のがん患者に対する支援制度の構築を国に対して要望していきたいと考えております。  もう1点の管理体制や施設の在り方についてであります。  県内で妊孕性温存治療を実施する施設は、病院、診療所合わせて9か所あるというふうに承知をしております。長期にわたり精子や卵子の凍結保存が必要になりますことから、安定的な経営の下で災害などにも耐えられる施設における保存が望ましいというふうに考えます。  現在、県としては、信州大学医学部附属病院とともにがん治療を行う医療機関と産婦人科医療機関のネットワークづくりに取り組んでいるところであり、管理体制や施設の在り方についても、こうした取組の中で関係者の御意見もお伺いしながら研究していきたいと考えております。  以上です。       〔10番寺沢功希君登壇〕 ◆10番(寺沢功希 君)御答弁いただきました。確認ですが、妊孕性温存治療を受け、将来保存していた組織などにより妊娠、出産を目指す際には、県の特定不妊治療費に対する助成制度を利用できますでしょうか。健康福祉部長にお聞きします。  今回、根津院長より、知事に対して、今後の県の取組に大いに期待をしている。よろしく伝えてくださいと伝言をお預かりしておりますので、この場をお借りして確かにお伝えするとともに、患者さんががん治療後に新たな悩みを抱えることがないよう、また、治療に前向きになるよう、県として最大限の取組をお願いいたしまして、次の質問に移ります。  いよいよ本年7月24日から東京オリンピックが、8月25日から東京パラリンピックが開催されます。国では、世界中から、障害のある人も含めあらゆる人が集い、そして、障害のある選手たちが繰り広げる圧倒的なパフォーマンスをじかに目にすることのできる2020東京パラリンピックは、共生社会の実現に向けて社会の在り方を大きく変える絶好の機会と捉え、東京大会を契機とする共生社会の実現に向け心のバリアフリーを推進するとし、開催地のみならず全国を見据えた世界に誇れる水準でのユニバーサルデザイン化された公共施設、交通インフラ整備や、心のバリアフリーを推進する施策を実行するため、2017年2月、ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議を設置しました。  その中で決定されたユニバーサルデザイン2020行動計画では、心のバリアフリーを推進するため、学校に心のバリアフリー教育の実施や、企業、行政に社員、職員向け研修の実施を求めるとともに、行政と地域関係者の連携によって地域に根差した心のバリアフリーの周知啓発を求めています。  これを受け、学習指導要領の改定に伴い、文部科学省は、2020年度以降、心のバリアフリーに関する教育を充実させる方針であり、あらゆる分野において取組がさらに加速していくことに期待するところであります。  そこで、産業労働部長にお聞きします。  昨年の6月議会において企業における合理的配慮の状況について質問しましたが、先月、障害者差別解消法の見直しを協議している内閣府の有識者委員会において、障害のある人の社会参加を推進するため、負担が過重にならない範囲で障壁を取り除く合理的配慮を企業に義務づけることを検討すべきだとの意見書案が示されました。これに対する国の動向、また県としてのお考えはいかがでしょうか。  来年度、県では、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機としたプロモーション事業を実施し、長野県の認知度や興味、関心の向上を図るため、県内観光地及び県産品の魅力を効果的に発信することにより、外国人旅行者の誘客促進及びブランド力強化を推進するとしておりますが、パラリンピアンや障害者の皆さんに対して不自由なく安心してお越しいただくためにどのような点をPRしていくお考えでしょうか。また、特別な事業を実施する予定はありますでしょうか。  本県を選び、訪れていただいた皆さんには、しっかりとおもてなしをしなければなりません。県では、地域のおもてなしをリードしていく人材を育成する信州おもてなし未来塾を実施し、その修了生の中から信州おもてなしマイスターを認定しておりますが、その未来塾において障害者支援についても取り上げていらっしゃるのでしょうか。  また、来年度実施予定のインバウンド支援センター設置事業の中に「インバウンドおもてなしセミナーの開催」とありますが、ここでも障害者支援について取り上げられておられるのでしょうか。以上、観光部長にお聞きします。  長野市では、市内の飲食や小売店、サービス業などを対象に、障害のある人に優しいお店を登録する制度の運用が始まり、多様な個性を尊重する心のバリアフリーを重視し、今後5年間で1,000店舗の登録を目指すとされております。  長野市のみならず、県内各地に、障害のある人が安心して利用でき、行きやすい、また行きたいと思えるお店がさらに増えていくことを期待しますが、飲食店やサービス業に対する県としての取組を健康福祉部長にお聞きします。  今回の質問の中で、私は、障害者という表現をしてきましたが、どうしてもこの言葉に違和感があります。これまで、障害の「害」を平仮名表記にするなどの取組が行われました。「障害がある人」と言いますが、そもそも、障害は、物理的なものであったり、制度的なものであったり、社会にあるものであって、本人にあるものではありません。昨今、行政の使う言葉は、簡単を意味する「易しい」言葉でなくてはならないという意見がありますが、優しさを意味する「優しい」言葉も必要だと思います。  パラリンピックの「パラ」は、下半身麻痺を意味するパラプレジアから由来し、その後、並行を意味するパラレルの「パラ」へと変わったと聞いております。例えば、決して交わることのない平らという字を使う「平行」ではなく、共に進んでいく、並んでいくという意味の並という字を使った「並行」を意味するパラレルからパラレルズと表現するといったように、パラリンピックの開催を機に、そして、7年後のスポーツ大会開催地として、長野県から障害者を別の言葉に代えていってはどうでしょうか。知事のお考えをお聞きします。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)2点お尋ねをいただきました。  最初に、妊孕性温存における特定不妊治療費助成制度の利用についてでございます。  がん治療が終了したのち、凍結保存していた精子や卵子を用いて特定不妊治療を行う場合につきましては、現行制度において治療費助成制度の対象としているところでございます。  次に、サービス業に対する心のバリアフリーの取組についてでございます。  県では、心のバリアフリーを推進する具体的な取組といたしまして、多様な障害特性や障害による生きづらさを学んでいただき、障害のある方への配慮を実践していただく人を増やす信州あいサポート運動を推進しているところでございます。その中で、サービス業を中心といたします122社に運動の趣旨に賛同をいただき、あいサポート企業として認定をしているところでございます。また、県職員が事業所へ出向いて行う研修の受講等によりまして、これまで約6万4,000人余りの方にあいサポーターとなっていただき、運動の輪を広げているところでございます。  現在検討を進めております長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)が目指すところも、学びを通して障害への理解を深め、互いに尊重し合い、支え合う社会の実現でございまして、県内事業所に対してさらに理解促進の働きかけを進めてまいりたいというふうに考えてございます。  今後も、こうした取組を通じまして、心のバリアフリーがサービス業の場を通じて県民の皆様に広がっていくよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)内閣府の障害者政策委員会の意見書案についてでございます。  先月27日に開催された同委員会に提出された意見書案には、事業者による合理的配慮の提供について、障害者と事業者との建設的対話の促進や事例の共有、相談体制の充実を図りつつその義務化を検討すべきと盛り込まれたものと承知しております。  その際、日本経団連の委員からは、合理的配慮の企業への義務化について、国や自治体が企業に対する普及啓発をこれまで以上に行うべき、事業者や業界団体などから幅広い意見を聞きつつ慎重に検討すべき等の意見が提示され、議論が行われたところです。今後、こうした意見を踏まえた上で、国において具体的な検討が進められるものと承知しております。  県といたしましては、しあわせ信州創造プラン2.0に掲げる誰にでも居場所と出番がある県づくりや、SDGsの取組を推進していく上でも、事業者と障害者双方にとってよりよい制度が構築されることを期待しているところでございます。  以上でございます。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)2点御質問をいただきました。  まず、東京パラリンピックへ向けたPRの取組についてでございます。  東京オリンピック・パラリンピックは、世界中の注目が日本に集まる絶好の機会であり、これを契機に本県の魅力を海外に積極的に発信していくことが重要であると認識しております。  本県では、信州型ユニバーサルツーリズムを推進してきた取組の結果として、長野市戸隠や白馬五竜などで牽引式車椅子が導入され、散策できること、富士見高原で旅行サポート人材が常駐していることなど障害をお持ちの方も安心して観光できる環境が整っている点をパラリンピック関係者や観戦でお越しの皆様にPRしていくことを考えております。  事業としては、新たに県内観光地のバリアフリー対応情報を集約いたしまして多言語化し、県公式観光サイト「Go NAGANO」に開設いたします東京2020の特設サイトと連動させるなど広く発信することを考えております。さらに、東京オリンピック・パラリンピック期間を中心に、海外メディアの招請による魅力発信や、外国人が宿泊する都内のホテルコンシェルジュへの働きかけのほか、ユニバーサルツーリズムのコンテンツを旅行会社に売り込むことによりPRや誘客を図ってまいります。こうした取組により、今後も年齢、障害の有無にかかわらず、ハード、ソフト両面でどなたにも楽しんでいただける観光地域づくりを推進してまいります。  次に、信州おもてなし未来塾等での障害者支援の取組についてでございます。  信州おもてなし未来塾は、平成26年度から開催いたしまして、これまで151名を信州おもてなしマイスターとして認定してきております。未来塾では、障害をお持ちの方への気配りや思いやりなど相手の気持ちになって行うホスピタリティー向上研修やあいサポーター研修等を行っているところでございます。  また、インバウンド対策として、専門家を招いた実践的な内容でインバウンドおもてなしセミナーを開催しておりまして、旅行の際のストレスフリーに加え、バリアフリーの観点でも受入れ環境のレベルアップを図っているところです。  障害をお持ちの方への支援は、インバウンドの点でも非常に重要でありますことから、今後事業者の意見も踏まえ、セミナーのテーマとして取り上げてまいります。こうした取組を継続することで、観光事業者だけでなく、多くの県民の皆様が困っている方々にお声がけができるよう心のバリアフリーの考え方を広めてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)障害者という言葉の言い換えをしてはどうかという御質問でございます。  漢字3文字の障害者、これは法令用語になっているわけでありますけれども、この言葉につきましては、国においても、平成22年に障害の表記に関する作業チームが設けられて検討されてきた経過があります。その際には、当事者間に様々な意見がある中で、現時点において新たに特定の名称を決定することは困難と整理されています。  本県においては、漢字の「障害」の2文字目の「害」、この字が公害や害悪等のマイナスの印象を想起させ、そのことに不快感を抱く当事者の思いに配慮するとともに、共生社会の実現を推進するという観点で、平成26年4月以降、障害の「害」については平仮名で表記するということにさせていただいております。この言葉の在り方につきましては、過去の検討等を拝見しても、当事者の間にも様々な思いがある中で、簡単に結論を導くことはできない難しい問題であるというふうに考えております。  以上です。       〔10番寺沢功希君登壇〕 ◆10番(寺沢功希 君)御答弁いただきました。  東京パラリンピックの開催を機に、心のバリアフリーという意識がさらに広がり、長野県が優しさあふれる先進県として、県一体となって7年後のスポーツ大会、そしてその先へと進んでいくことに期待をいたしまして、私からの一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(清沢英男 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明21日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑並びに各委員長の報告案件を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時59分延会...