長野県議会 > 2020-02-19 >
令和 2年 2月定例会本会議-02月19日-02号

  • ジョブカフェ(/)
ツイート シェア
  1. 長野県議会 2020-02-19
    令和 2年 2月定例会本会議-02月19日-02号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 2年 2月定例会本会議-02月19日-02号令和 2年 2月定例会本会議 令和2年2月19日(水曜日)  出席議員(55名)   1 番 熊谷元尋      27 番 両角友成   2 番 望月義寿      28 番 中川宏昌   3 番 小林君男      29 番 清水純子   4 番 清水正康      30 番 小池久長   5 番 加藤康治      31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦      32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜      33 番 石和 大   8 番 大井岳夫      34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人      35 番 山岸喜昭   10 番 寺沢功希      36 番 小島康晴   11 番 花岡賢一      38 番 毛利栄子   12 番 池田 清      39 番 和田明子   13 番 百瀬智之      40 番 諏訪光昭   14 番 山口典久      41 番 丸山栄一   15 番 小山仁志      42 番 小池 清   16 番 竹内正美      43 番 宮本衡司   17 番 竹花美幸      44 番 清沢英男
      18 番 宮下克彦      45 番 垣内基良   19 番 大畑俊隆      46 番 鈴木 清   20 番 共田武史      47 番 高村京子   21 番 丸山大輔      48 番 宮澤敏文   22 番 髙島陽子      49 番 西沢正隆   23 番 荒井武志      50 番 風間辰一   24 番 埋橋茂人      51 番 佐々木祥二   25 番 続木幹夫      52 番 向山公人   26 番 中川博司      53 番 平野成基   54 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   55 番 萩原 清  欠席議員(2名)   37 番 小林東一郎     57 番 望月雄内         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     農政部長      山本智章   副知事       太田 寛     林務部長      井出英治   副知事       小岩正貴     建設部長      長谷川朋弘   危機管理監兼危   竹内善彦     建設部リニア整   坂田浩一   機管理部長              備推進局長   企画振興部長    伊藤一紀     会計管理者兼会   塩谷幸隆   総務部長      関 昇一郎    計局長   女性活躍推進監   酒井裕子     公営企業管理者   小林 透   兼男女共同参画            企業局長事務取扱   センター所長             財政課長      矢後雅司   県民文化部長    増田隆志     教育長       原山隆一   健康福祉部長    土屋智則     教育次長      轟 寛逸   環境部長      高田真由美    教育次長      三輪晋一   信州ブランド推   熊谷 晃     警察本部長     伊藤泰充   進監兼営業局長            警務部長      野﨑美仁   産業労働部長    林 宏行     監査委員      田口敏子   観光部長      中村正人         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   山田むつみ   議事課長      村松敏伸    議事課担当係長   鈴木晋一   企画幹兼議事課   西川 裕    総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐              総務課主事     宮坂祐樹         ───────────────────  令和2年2月19日(水曜日)議事日程    午前10時開議    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    知事提出議案    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(清沢英男 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(清沢英男 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ────────────────── ○議長(清沢英男 君)次に、望月雄内議員から本日欠席する旨の届け出が、小林東一郎議員から本日及び明日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案の報告 ○議長(清沢英男 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                令和2年2月19日   長野県議会議長 清 沢 英 男 様                           長野県知事 阿 部 守 一         令和2年2月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 61 号 令和元年度長野県一般会計補正予算(第11号)案 第 62 号 令和元年度長野県公債費特別会計補正予算(第1号)案 第 63 号 令和元年度長野県母子父子寡婦福祉資金貸付金特別会計補正予算(第1号)案 第 64 号 令和元年度長野県国民健康保険特別会計補正予算(第1号)案 第 65 号 令和元年度長野県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第1号)案 第 66 号 令和元年度長野県県営林経営費特別会計補正予算(第2号)案 第 67 号 令和元年度長野県林業改善資金特別会計補正予算(第1号)案 第 68 号 令和元年度長野県高等学校等奨学資金貸付金特別会計補正予算(第1号)案 第 69 号 令和元年度長野県流域下水道事業会計補正予算(第4号)案 第 70 号 令和元年度長野県電気事業会計補正予算(第3号)案 第 71 号 令和元年度長野県水道事業会計補正予算(第1号)案       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(清沢英男 君)以上であります。  次に、お手元に配付いたしましたとおり、地方自治法第122条及び地方公営企業法第25条の規定に基づき知事から予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案 ○議長(清沢英男 君)ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。  本案を一括して議題といたします。  提出議案の説明を求めます。  阿部守一知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ただいま提出いたしました追加議案につきまして御説明を申し上げます。  提出いたしました議案は、令和元年度一般会計補正予算案など予算案11件であります。  一般会計補正予算案は、578億7,710万5,000円の減額であります。  増額する主なものは、令和元年台風第19号により被災した地域のコミュニティー維持に取り組む市町村に対する支援や、大規模災害時に被災者支援を行う団体、グループの活動への支援、道路の除雪に要する経費などであります。減額となりますのは、国庫支出金の決定及び事業の確定などに伴うものであります。  歳入につきましては、地方交付税24億7,160万3,000円を増額する一方、諸収入247億3,637万円、国庫支出金168億5,527万3,000円を減額するなどしております。  本年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと9,458億184万1,000円となります。  特別会計補正予算案公債費特別会計など7会計、企業特別会計補正予算案流域下水道事業会計など3会計であり、事業計画の変更などに伴う補正であります。  以上、追加提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○議長(清沢英男 君)以上であります。  これらの議案は、本日から行う質疑の対象に供します。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △各党派代表質問及び知事提出議案
    ○議長(清沢英男 君)次に、各党派代表質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  自由民主党県議団代表風間辰一議員。       〔50番風間辰一君登壇〕 ◆50番(風間辰一 君)自由民主党県議団を代表し、令和最初の代表質問を行います。  今から160年ほど前、我が国は約240年続いた太平の眠りから目覚め、欧米列強諸国に追いつかんと、国を挙げ、経済的な豊かさと幸せを追い求め、敗戦後は、世界からやゆされながら昼夜を分かたず働き、世界第2位の経済大国にまで上り詰めました。  30年余り続いた平成という時代は、この右肩上がりの時代がさらに続くと信じ、あるいは続かせなければならないという焦燥感の下、先進国となりながらも、それゆえに、新たに持ち上がった課題と現実の中でもがき苦しんだ時代ではなかったかと思うのであります。  昭和から平成、そして令和の時代となり、我が国は、時代の変化の荒波の中にあっても、世界に冠たる平和国家、経済発展国家として存在感を示し続けてきたことは間違いのない事実であります。しかしながら、この30年余りの間に、中国など新興国の経済は飛躍的に成長し、相対的に我が国の経済大国としての地位は低下し、また、少子高齢化と人口減少の急速な進行、さらには地球温暖化による気候変動は、人類の生存すら脅かすようになっております。  経済を振り返れば、日本全体がバブルに浮かれた平成元年当時、時価総額で見た世界の大企業トップ50社の中には日本企業が32社あり、実に世界全体の6割以上を占めておりました。そして今、令和の時代、ものづくり日本を象徴する企業が徐々に順位を下げる中、当時11位だったトヨタ自動車がかろうじて41位に残るのみとなっており、トップ50社から日本企業が消える日が来るかもしれない状況であります。  人口とその内情を見れば、平成の30年余りの間に、1年間に誕生する子供の数は125万人からその3分の2の86万人となり、65歳以上人口は3,578万人と平成元年の2.5倍となっております。  この間、環境に対する世界の意識も大きく変わり、元号が平成に変わる直前の1988年、気候変動に関する政府間パネル、IPCCが設立され、地球温暖化対策の検討が本格的に開始されました。令和になって、我が県を襲った台風19号を持ち出すまでもなく、地球規模の気候変動による異常気象や甚大な災害は現実のものとして世界各地で頻発し、人類の生存を脅かす脅威としてはっきりと目に見える形となって現れております。  平成時代に明らかに潮目が変わったそうした事実をしっかりと胸に刻み、知事及び県当局には、次世代に受け継ぐ持続可能な長野県を令和の時代にどう導くか。さきに申し述べた姿となっている我が国を、そして、その構成員の一つとしての我が県が国を動かす原動力となって責任ある行動を取っていかなければならない立場にあることを踏まえ、順次質問をしてまいります。  令和2年度当初予算案は、前年度当初予算を617億円、率にして7%増とする大型予算となっております。予算編成は、昨年の台風第19号災害からの復旧・復興と、その教訓を生かした災害に強い県土づくりなどに重点を置きながら、国の交付金等を十分に活用する内容としており、編成に当たっては、その努力の跡が見られ、県財政にしわ寄せを与えないよう極力留意されつつしあわせ信州2.0の実現にも配慮している点で評価するものであります。  しかし、その一方で、今年度以降の厳しい歳入を考えると、財政悪化を招くことがないかという不安も残るところであります。  世界経済の行方は依然不透明である上、台風災害による各般にわたる企業業績の悪化、新型コロナウイルス感染症や雪不足などの影響により、県内産業の業績の下振れによる来年度の県税収入の落ち込みも懸念されるところであり、今回、この当初予算はかろうじて組むことができても、今後の補正予算や来年度の当初予算編成への影響は少なくないと推察されます。まずこの点についての認識と見通しについて知事にお伺いいたします。  予算案とともに公表された中期財政試算によれば、令和6年度における基金残高は60億円にまで減少すると見込まれており、令和7年度の財源不足を6年度と同額の約87億円と仮定した場合、基金は底をつくことはないか。基金を当てにする編成方針が不可能となりはしないか。その場合、令和7年度以降の予算が組めるのかなど県財政の将来が不安視されるところであります。この点の危惧はないか、中長期的な見通しと今後の健全財政の実現に資する運用について併せて知事に伺います。  先月、世界のトップリーダーが一堂に会し、世界が直面する重大問題について議論する世界経済フォーラム年次総会、通称ダボス会議が開催されました。そこでは、ダボス会議が50回目の節目を迎えるに当たり、ステークホルダーがつくる持続可能で結束した世界がテーマとして掲げられ、改定されたマニフェストでは、企業は顧客、従業員、地域社会、そしてあらゆる利害関係者の役に立つ存在であるべきだという理念が強調されております。気候変動など地球環境問題の深刻化とともに利益至上の株主資本主義の限界が明らかとなりつつあり、世界全体はステークホルダー資本主義への大きな転換点にあるとの考えに基づき、資本主義の再定義が大きなテーマになったのであります。  世界経済フォーラムが1月に公表したグローバルリスク報告書では、今後起こり得るリスクの上位五つ全てを洪水や暴風など異常気象や自然災害等環境関連が占め、これは、気候変動はもはや世界の一部のみに与える一過性の要因ではなく、世界中の様々な業種にわたって存在する全ての企業経営者にとり最大の身に迫る連帯脅威であるということへの認識の高さを示すものとなっております。  また、金融機関においても、米国資産運用最大手であるブラックロックは、投資運用方針を環境、社会、統治、すなわちESGを軸に投資すると宣言し、欧州中央銀行もこの分野での役割を検討すると表明。国際決済銀行も、気候変動によるリスクは、産業構造を変え、資産価値を劇的に失う大惨事につながると示唆しております。  一方、マイクロソフトなど大手企業責任者も、成長を続けるための持続可能性の重要性や、企業が環境への影響を無視しての利益のみの追求は自殺行為であり、短期的な利益の誘惑をはねのけ長期的な成長とするためには、環境、地域、従業員などへの配慮が欠かせないと言及しております。  我が国においても、2017年、主要国の金融機関が設置した気候関連財務情報開示タスクフォースが、温暖化が業績や財務内容にどう影響するかを明らかにするよう企業に求めたことを契機に、この趣旨に賛同する国内の企業数が世界首位となり、調達先の変更や再検討を含め、実際に動き出す企業も増えてきているなど、株主資本主義からステークホルダー資本主義への転換を歩み始めております。  かつて、近代経済学の父、アダム・スミスが、「国富論」の中で「見えざる手」と表現した企業や個々人の利益追求は結果的に社会全体を豊かにするという自由競争の効用が、近代社会が諸問題を抱える中、限界を示してきており、そこを越えて新たな解決の道を探ることが現代資本主義社会に求められていると考えます。世界全体が資本主義再生への方向へと向かう大きな曲がり角に来ていることを踏まえなければならない今、我が国、我が県、そして産業界においてもそうした意識を働かせる経営方針が求められております。  そこで、このような世界の大きな潮流をどのように認識しているか。また、我が国におけるそうした流れを踏まえ、令和時代の初頭にあって、我が県及び我が県経済と産業界は今後どうあるべきと考え、長野県のかじ取りをどのようにしていくおつもりか。知事に伺います。  また、知事が議案説明で示された我が県経済の動向を踏まえ、補正予算として提案された政府の景気対策である安心と成長の未来を拓く総合経済対策が我が県経済に及ぼす効果についても知事に伺います。  新型コロナウイルスによる肺炎の感染が中国を中心に拡大しており、2月18日現在、世界で感染者は約7万3,000人を超え、死者も1,800人以上となっており、その数値も拡大の一途をたどり、世界的に抑制のめどが立たない状況にあります。  県では、長野県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、医療機関、市町村などと連携して、不安の解消、感染の防止に取り組んでいるところでありますが、まずは国内、県内における県民への感染拡大の未然防止に国及び県の格段の配慮を求めるとともに、しっかりと連携しながら県内での感染拡大阻止に向け万全を期し、全力で取り組んでいただくようお願いをするところであります。  今後懸念されるのは、県内への感染拡大とともに、中国における物流の停滞や企業の休業が長期化することによる世界経済への影響であり、事態の収拾が長引けば、我が国の輸出や生産、企業収益の低下は避けられない状況であります。既に、世界各地に供給している自動車関連等部品の調達に世界的に困難が生じているとの報道もあり、我が県産業界にも、製造業を中心に、商業、観光業、農業など大きな影響が予想されます。また、日系企業の40%以上が業務を停止に追い込まれるなど、その影響は現地工場を持つ県内企業の経営にも及ぶと見られるところであります。  そこで、新型コロナウイルス感染症が県内経済へ与える影響はどの程度の規模と想定されるか。また、その対策としてどのようなことを実施するおつもりか。知事に伺います。  県の観光部が公表している平成30年の外国人の延べ宿泊者数調査によれば、中国からの観光客は外国人全体の1割以上を占めており、県内観光業への影響は深刻であります。既に少なくとも6,800人のキャンセルが出ているとの報道もあったところでありますが、中国からの観光客が減少することによる旅行消費減少が我が県経済へ与える影響はどの程度と試算し、県内総生産への影響はどの程度と想定するのか。加えて、観光業への影響を緩和するため、県としてどのような対策をお考えか。  また、我が県は、東京オリンピック・パラリンピックにおいて中国のホストタウンとなっており、その点での影響も考慮すべきと考えますが、これへの影響についてはどのようにお考えか。併せて知事にお伺いいたします。  我が県は、河北省などと長年積み上げてきた友好関係の歴史があるとともに、北京冬季オリンピック開催に向けた冬季競技大会開催のスキルや競技指導方法、中国国内への競技人口の拡大等に対し、国際ウインタースポーツ県として様々な経験や知見を求められている協力関係にあります。国と国との関係には様々な課題があるものの、それらを踏み越えて地方として深い関係を構築してきた我が県が、今、このような状況に置かれた中国との関係について、困難な時期にあるからこそ、オリンピックを契機としてさらに発展させていく必要があるものと考えますが、知事の御所見を伺います。  今後、日本国内、県内に感染が拡大しないよう水際で防止するのはもちろん必要なことでありますが、過度の警戒心や誤った情報の流布により県民生活や経済活動が必要以上に抑制されることも懸念されるところであり、県としてどのような内容、方法で県民への周知を図っていくお考えか。  また、万が一県内で感染拡大が起こった場合、県内の医療機関の受入れ体制は十分に整っているのか。新型コロナウイルスのような未知の感染症に対してもしっかり対応し、県民が安心して生活できる医療体制を確保していくことが重要であると考えます。知事の決意と併せ、御所見を伺います。  県民が安心して暮らせる医療体制の確保という我が県にとって重要な観点において、昨年、国の地域医療構想に関するワーキンググループが再編統合の議論が必要な医療機関として全国424の病院名を公表したことは、我々議会や県内の関係者に大きな衝撃を与えました。その後、根拠になったデータが限定的なもので、地域の実情を必ずしも反映していないことが明らかとなり、本議会としても、国に対し、地域の実情を十分に踏まえた地域医療構想の推進に努めるよう強く要請したところであります。  県民が必要とする医療サービスを提供する体制確保のため、必要なことは国に対して強く要求していく姿勢が不可欠であると考えます。地域医療構想において持続可能な体制をどのように確保していくか。新たなポストとして地域医療担当部長を設置するようでありますが、このポストに求める役割について知事の御所見を伺います。  関連して、総合リハビリテーションセンターの建て替えについて、昨年9月定例会において、知事は、様々な観点での検討を進め、本年度中には結論を出していきたいと答弁しております。19号災害による被災を挟み、取りあえずは現状復旧を実現するとのことでありますが、本来の趣旨では建て替えについての計画を示すことになっております。どのような結論となったのか。知事に伺います。  国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略が来年度からスタートいたします。東京一極集中の是正を目的とした第1期の取組について県はどのように認識しているか。また、第1期の取組と反省を踏まえた上で、第2期の方針はどのようなものとされるのか。今後の県の取組内容等について企画振興部長に伺います。  5Gや光ファイバーの整備など通信環境や未来技術の整備は、空間的な距離を劇的に縮めることができるため、人口減少に悩む今後の中山間地域等の条件不利地域でのスマート農業、自動運転など、我が県の様々なエリアの発展や生活の向上に今後不可欠な基幹インフラであると考えます。国も、5G、光ファイバー等の全国展開支援と整備に本格的に着手し、補助事業によって光回線が整備されていない地域に早期整備を促すことを強力に推進しようとしております。  未整備地域が多く、多様な利活用の可能性のある我が県としても、まずは国による我が県への整備促進と5G利活用の早期実現に向けて、具体的な利活用方針とその実現による県内におけるSociety5.0の姿を示す国への積極的な働きかけが必要と考えます。国の整備方針に対する考え方とその実現に向けての県の方針、また、5Gがもたらす我が県への効果と期待するものは何か。企画振興部長に伺います。  TPP11など新たな貿易の枠組みにより、世界経済の6割、GDPで5,000兆円を上回る規模のマーケットが誕生いたしました。これら巨大市場へ信州ブランドをいかに売り込むのか。その営業戦略は、まさに稼ぐ力を意味し、我が県を売り込み、強みを生かして利益とブランド力を高める上で極めて重要であります。  農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律の施行に伴い、本年4月から農産物を輸出する上での手続が簡素化され、我が県のリンゴ、ブドウ、キノコ、市田柿、ソバなど数々の優秀で魅力ある農産物のブランド化及び輸出販売促進への寄与が大きく期待されるところであります。我が県の農産物は、県収入の面からも戦略的物資であり、営業次第では海外でも相当の需要を見込めるため、もっと積極的に展開していただきたいと思うわけでありますが、農産物の輸出拡大に向けた県の取組について、今後どのように展開し、具体的に推進していくのか。また、それによって得られる成果はどのようなものと想定しているのか。  また一方で、米国等からの農産物の輸入増は県内農家への打撃となることは明らかであることから、営業的戦略と県内農業を守る視点での支援、すなわち攻めと守りの両面での展開が求められるところであります。  そこで、TPP11や日米貿易協定による県内農産物の生産額への影響はどのくらいあると見込まれるのか。その影響を緩和するため、農家等への支援策はどのように行うのか。それぞれ農政部長にお伺いいたします。  本年7月からいよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるところでありますが、観戦や応援のために来日したインバウンドの方々に長野まで足を運んでもらう方策を講じていくことは重要であります。  その方策の一つとして、3月までの国による長野県ふっこう割制度は、これまでも相当な誘客効果もあることから、トリプル打撃の中にある我が県観光産業の再興のためにもぜひとも継続的に講じていただきたい。今も、これからも、国に期待したい施策ではあります。  しかしながら、国による継続の方針が見られない中、県自ら請け負って趣旨を引き継ぎ、新年度当初予算に県単独事業として1億円を充て、落ち込んだ観光事業の早期回復を図ることは、19号災害、雪不足、新型コロナウイルスと試練が連続し、苦難に直面して営業に窮する県内観光を救済する点から見ても、時宜にかなった有効な施策であると評価するものであります。予算化するに当たっての考え方と期限、実施内容等その具体的な中身と効果について知事に伺います。  また、Wi-Fiの整備やキャッシュレス決済など受入れ体制を早期に構築し、インバウンドを呼び込む環境整備を促進していくことは、五輪あるなしにかかわらず極めて重要なポイントであります。現状と今後の方針について企画振興部長に伺います。  さらに、我が県の観光にとって最大のイベントの一つである来年の善光寺御開帳につなげていくことも、復興を期す我が県にとって明るさを取り戻すための重要な観点であります。五輪、そして御開帳を復興に生かし、落ち込みつつある我が県の経済、観光、何より県民の気持ちを前向きに明るくしていくことが求められますが、その道筋について企画振興部長に伺います。  2年後の令和4年には北京冬季オリンピック・パラリンピックが開催されます。我が県は、20年前の長野冬季オリンピック・パラリンピックのレガシーを生かして、スノーリゾートへのインバウンド需要をタイムリーかつ的確に取り込んでいく必要があると考えます。  国では、国際競争力の高いスノーリゾート形成を目指して、古民家や歴史的な建造物を活用した宿泊施設やテーマ性の高い宿泊施設のほか、日本には足りないと言われているラグジュアリーホテルを誘致するなど、世界を相手に大胆な発想で積極的に進めることを検討中とのことでありますが、国際級リゾート信州を標榜する長野県として国の方針にどう関わっていくのか。計画内容と、これに対する見解及び我が県の取組方針について知事に伺います。  リニア中央新幹線により出現する7,000万人規模の人口の集積効果を最大限に引き出し、我が国全体の経済活力を向上させるため、スーパーメガリージョン構想が進められております。このスーパーメガリージョンと北陸新幹線による広域ネットワークの恩恵を全県に波及させるためには、長野県内の交通ネットワークの整備が重要であります。JRなど鉄道網の整備促進、松本糸魚川連絡道路、中部横断・中部縦貫自動車道、三遠南信自動車道など高規格幹線道路等の整備を早期に進めるべきであると考えますが、スーパーメガリージョン構想が我が県にもたらす効果及び県内交通ネットワークの進捗状況と今後の方針について建設部長に伺います。  また、信州まつもと空港については、滑走路が短いことと計器着陸装置、ILSがないことの二つの点がさらなる飛躍を妨げていると指摘されているところでありますが、県としてこの二つの課題をどのように受け止め、信州まつもと空港の国際化を推進していくおつもりか。企画振興部長に伺います。  我が県経済の活力を高める雇用の拡大、県民所得の向上は、様々な社会保障制度を維持する上でも大変重要であります。支える側の人をできるだけ増やし、支えられる人に対する支援を充実していくこと、すなわち、支える側と支えられる側のバランスの改善が人生100年時代における全世代型社会保障として求められていると考えます。そのためには、女性、高齢者、障害者の方などの力をもっと登用し、社会保障制度を支える側の人数を増やしていくこと、すなわち、一億総活躍社会の実現が必須であります。特に、来年度、全国的に就職氷河期世代への就労支援に力を入れるとのことでありますが、我が県の方針はどのように予定しているのか。産業労働部長に伺います。  昨年、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律が成立し、本年6月から施行されようとしております。この法律に基づく特定地域づくり事業協同組合は、例えば、棚田の保全など農林業分野やスキー場など観光分野で大いに活用することができると見込まれますが、この特定地域づくり事業協同組合の活用についてどのようにお考えか。我が県における取組方針を企画振興部長に伺います。  また、地域金融機関や商工会等の経営支援機関は、各地域の事情に精通し幅広いネットワークを有していることから、特定地域づくり事業協同組合の中核として地域づくり人材の育成とマッチングを適切に行うことができると考えますが、併せて企画振興部長の見解を伺います。  次に、災害に強い県土づくりの推進についてであります。  先般、国から千曲川の緊急治水対策プロジェクトが示され、大まかな治水計画が公表されました。これによると、遊水地の増設、狭窄部の掘削、河川のしゅんせつにより、河川の流下能力を上げながら上下流域ともに改良を加えることとしており、長野県も新潟県も同時進行で着手することになったことは、県議会災害対策連絡本部としても要望しているところであり、それらがかなう方向にあることは大いに評価するところであります。  しかしながら、完成までの5年という歳月は、流域住民にとって不安が払拭できるものではありません。なるべく早期の完成は、被災者及び流域住民にとって切実な思いであります。実施に向けた意気込みを知事に伺います。  治水の基本として、様々な対策を講じ、河川の水位を下げることが求められるとともに、19号災害以上の想定外雨量や降水範囲にも備える必要があると考えます。そのために、支流に流れ込む水を分散して一定時間ため込む場を持つ機能が必要となりますが、流域にこれら対策の設置を担うのは主に市町村であり、学校、公園などに雨水貯留施設を数多く配備していく必要があります。県としても、市町村と連携し、流域対策として県有施設において対応していく考えはないか。知事に伺います。  また、遊水地の設置については、千曲川流域全体で講ずることができればかなりの効果が期待できる一方、その実現には困難も伴うものと考えます。候補地となる場所自身、もともと水もつきやすく農作業には不適と言われるものの、多くは、それを乗り越え耕作してきた労苦の歴史とともにある私有地であり、地権者の理解を得ていく努力が不可欠であります。理解を進め、契約が実り、事業化するためには、農地補償や保有者に対する一定のインセンティブも必要と考えます。  先般、農林水産大臣が長野市に来訪された折にも、国における新たな施策の創出を求め、大臣に申し上げたところでありますが、困難を伴うが持ち帰り検討するとのことでありました。県としても、事の重要性に鑑み、対策を講ずる必要があると考えますが、今後の流域の農地に対する遊水地設置整備の計画についてどのように推進されようとするのか。また、既存のため池を活用することも期待されているわけでありますが、ため池を管理し、事業の責任を負うのは、このたびの災害により財政的に疲弊している市町村であります。ため池を管理しているこのような状況下の市町村に対し、どのような制度を使うことにより貯水機能増強のための整備に取り組んでいただくべきか。あるいは、県の代行事業として市町村に代わって行う場合はあるのか。そもそも、活用できる対象のため池はどの程度あるのか。建設部長、農政部長にそれぞれお尋ねをいたします。  それぞれの国がインフラ整備のためにどのくらいお金をかけているのかを政府の公的資本形成で比較したデータによると、1997年を100とした場合、現在の規模は、日本が47、アメリカが193、イギリスが293となっております。つまり、インフラへの投資額は、20年前と比較して日本が半分以下になってしまったのに対し、アメリカは2倍、イギリスは3倍に増加しているのであります。  堤防、調整池、ダムなどの整備に事前投資することによって災害発生時の想定被害額を大幅に軽減することができることは明らかであり、例えば、2005年8月にアメリカで発生したハリケーン・カトリーナの場合には約20億ドル、日本円で2,200億円の事前投資で、1,250億ドル、13兆7,500億円の被害が軽減できたと試算されております。復旧・復興に巨額の予算を投じるよりも、事前の予防的投資による堅実な構造物や、改良、堅牢化を図るほうがはるかに低額で効率的であります。  災害によって失われるのは、生命や財産だけではありません。災害がなければ、被災者の皆さんの避難所や仮設住宅での不自由な暮らしと再建に向けて要した様々な労力と時間は、本来あるべき家庭や仕事など生産的なことに使うことができたはずであります。これまで築き上げてきたものが一夜にしてなくなってしまうという喪失感、脱力感を持つこともなかったに違いないと思うのであります。今も、将来を悲観する被災者の皆さんの姿を目の当たりにするとき、事前の予防的投資に優先的に取り組まなくてはならないことは明白であり、国、県にはその責務があると考えます。  そこで、県民の安全、安心を確保するための有事前投資についての考え方と、投資対象としてどのようなものが効果的と考えるか。今後、計画すべき予防保全のための現在ある治水対策の計画的な改良や維持管理などへどのように投資していくのか。知事の御所見と予算措置を含めた今後の方針について伺います。  予防保全の観点からは、昨年の台風19号による被害が少なかった地域、具体的には中南信地域にも必要な投資を行っていく必要があると考えます。令和2年度予算において、被災地以外の予防保全が後回しになっていることはないか。県内全域における災害に対する県土強靱化の現状と今後の展開について建設部長に伺います。  また、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策については、想定される降水量等を昨年の台風19号の水準まで引き上げた上で、既存施設の点検等を改めて行い、改良整備期間を延長する必要があると考えますが、いかがか。建設部長に伺います。  人口減少時代において、予防保全を全ての箇所に行うことは相当な困難があり、知事が目指すよりよい復興、ビルド・バック・ベターの観点からも、今後、経済、生活に必要な機能を一定の地域に集約し、その地域に対してある程度集中的に投資するといういわゆるコンパクトシティーに向けたまちづくりが必要になってくると考えます。  コンパクトシティーに向けたまちづくりの進め方、その際問題となる中心市街地に生じている所有者不明の空き家や空き地問題への対処、また、災害の発生のおそれのある区域への住宅等の立地の抑制等については、先般、国の方針が示されたところでありますが、こうした様々な課題に対する我が県の基本方針について建設部長に伺います。  次に、気候非常事態宣言と県の取組についてであります。  知事は、11月定例会の県議会決議を受け、速やかにその当日中に「気候非常事態宣言-2050ゼロカーボンへの決意-」を発表され、県民と一丸となって気候変動対策を進めていくとの方針を示されました。また、議案説明の冒頭でも気候危機突破への強い決意を示されたところであります。その中で、早急に気候危機突破方針(仮称)を取りまとめるとのことでありますが、この方針はどのような位置づけのものでいつ頃を目途に公表する予定か。脱炭素社会を実現するための具体的な行動としてどのようなことを盛り込む予定か。知事に伺います。  2050ゼロカーボンへの取組は、学び、パートナーシップ、県組織の率先実行の三つの観点で行うとの説明がありましたが、まずは来年度、グリーンボンドを活用し、モデル的に駐在所のゼロエネルギー化などを行うとのことであります。グリーンボンドは、平成29年度に東京都が国内自治体で初めて発行しており、発行総額は年間200億円程度で、スマートシティーの実現を目指して、太陽光パネルの設置や道路の照明のLED化など再生可能エネルギーなどに活用されているようであります。  我が県での発行は恐らく全国2番目と思われますが、県民の環境への関心を高める取組としても大変評価できるものであると考えます。そこで、環境改善効果のある事業とは体系的にどのようなものを想定しているのか。令和2年度の発行額はどのくらいを予定し、具体的に何に活用をしていくのか。将来的な活用の方針も含め、知事に伺います。  県民からは、協力したい気持ちがあっても、急に石油ストーブの使用をやめるわけにはいかない。石油ストーブを使う代わりに、荒廃した森林を手入れして二酸化炭素の吸収量を増やしたらどうかなどの声が寄せられております。こうした県民の声をどのように受け止め、どのように2050ゼロカーボンを目指すのか。県民一丸となるためにはどうするべきか。県民に何を望むのか。知事にその現状認識と方向性及びゼロカーボンに向けた取組の概要を伺います。  また、カーボンオフセットについては、自ら排出削減を行わないことの正当化に利用されるおそれがあるなどこれを疑問視する意見もありますが、カーボンオフセットに対する知事の御所見を併せて伺います。  気候非常事態宣言や長野宣言を行った我が県は、全国に先駆けて、自立分散型で、近隣地域等と地域資源を補完し支え合う地域循環共生圏を創造していく責務があります。廃棄物ゼロを目指して、ごみにならない製品の開発や再利用、再資源化のための分別収集の徹底、リサイクル施設の整備など、循環経済、サーキュラーエコノミーの仕組みを総合的に構築していく必要があると考えますが、その道筋をどのようにつけるのか。また、現在、私ども議会の議員連盟において検討中の環境政策推進条例(仮称)に委ねたい部分、分野、内容はあるか。あるとすればどのようなものか。知事に伺います。  我が県は、SDGs未来都市に全国で初めて選定されるなど、SDGsを県政運営の基本理念として、経済、社会、環境の三側面の課題に統合的に取り組むこととしております。本年、SDGs全国フォーラム2020in長野を開催するとのことですが、目的、期待する効果はどのようなものか。また、SDGs未来都市として、全国に誇れる取組としてどのようなものが挙げられるのか。知事にお尋ねをいたします。  加えて、私たちは、地球を持続可能な惑星として将来世代に残していくため、グローバルな視点で、貧困や分断による国際紛争という壊滅的な状況を未然に防ぐことを念頭に、SDGsの理念ともなっているエシカルに配慮した生活にもっと県民挙げて取り組んでいくことが必要と考えますが、県の取組状況と今後の展開を知事にお伺いをして、第1回目の質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)風間議員の代表質問に順次お答えを申し上げます。  まず、今後の県税収入の認識と見通しについてでございます。  来年度当初予算案におきましては、景気動向に敏感な法人関係税につきまして、米中貿易摩擦などの影響により、本年度当初予算と比べて約47億円の減となる575億円余を見込んでおります。  さらに、一昨日内閣府が発表いたしました10月から12月期の国内総生産、実質GDP速報におきまして前期比年率6.3%という大変大幅な減となっていることに加え、新型コロナウイルスの影響もあり、県税収入へのさらなるマイナスの影響が懸念されているところであります。  中長期的財政見通しと健全財政についてという御質問でございますが、来年度の当初予算案におきましては、今般の台風第19号災害への対応のため、新たに47億円の一般財源の負担が生じることなどから、例年以上に基金の取崩しが増加することとなります。  また、県債残高も平成30年度末に比べて増加を見込んでいるところでありまして、短期的には厳しさを増していく状況であります。しかしながら、中期財政試算でお示しをいたしておりますように、県債残高については令和3年度以降減少を見込んでおりますし、また、実質公債費比率や将来負担比率につきましては引き続き健全な水準を維持する見通しであります。  そうした状況ではありますが、先ほど申し上げたように、経済情勢やこれからの先行きは決して楽観視できる状況にはございません。また、中長期的には、引き続き社会保障関係費が増加していくことが見込まれております。そうしたことを考えれば、今後の財政運営につきましては、より緊張感を持って取り組んでいくということが重要だというふうに考えております。引き続き選択と集中を徹底するとともに、業務の改善によります経費の節減、また、国の国庫補助金や有利な起債措置がある事業の実行、こうしたことに取り組んでいきたいというふうに考えております。  また、人口減少社会の進展も見据えまして、先端技術の活用、県有財産の総量縮小、こうしたことにも取り組みながら持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えております。  資本主義再生に向かう世界潮流への認識、また、県や産業界は今後どうあるべきかという御質問であります。  風間議員の御質問にもありましたように、平成の30年間、我が国経済、そして世界の経済環境は大変大きく変化してきていると考えておりますし、また、AI時代の今日、令和の時代はさらに変化が加速化していくものというふうに考えております。そういう中で、どんどん変化をさせていくものとしっかり維持していかなければいけないものを見極めながら取り組んでいくということが大変重要だと思っております。  御質問にございましたステークホルダー資本主義、これは、古くから売手、買手、社会、三方よしを大切にしてきた日本的経営のよさが改めて世界の中で見直されてきているものというふうに考えております。そういう意味では、日本の経営のすばらしさ、また、災害の関係で申し上げれば、自然と共生してきた日本の在り方、こうしたものはこれからもしっかり大事にしていかなければいけないというふうに考えております。  しかしながら、片方で、大きな変化にも的確に対応していくということが大変重要だというふうに思っております。本県経済が長期的に発展していく上では、自然災害や気候変動に対するリスクを低減させていくということと併せて、成長分野への積極的な投資や働き方改革の促進、さらにはSociety5.0時代にふさわしい県内産業のデジタルトランスフォーメーションの促進、こうしたものが不可欠であるというふうに考えております。  本県は、SDGs未来都市、気候非常事態宣言、ゼロカーボン宣言を行った県でございます。県内産業がグローバルな視点を持ちながらSDGsの達成にも大きく貢献することができるように、県も産業界と一緒になって取組を進めていきたいと考えております。  政府の経済対策が県経済に及ぼす効果という御質問でございます。  県経済、個人消費においては、台風19号災害等の影響が見られるほか、米中貿易摩擦などの通商問題、新型コロナウイルス感染症の流行による中国経済の停滞、こうした環境の中で、先行きについては必ずしも予断を許さない状況だというふうに考えております。  先般の国の総合経済対策は大きく三つの柱がございます。災害からの復旧・復興と安全、安心の確保、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援、そして、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持向上という3点でございます。  この対策の効果は、実質GDPでおおむね1.4%程度の押し上げ効果があるというふうに見込まれておりまして、県経済にも高い効果を期待しております。県としては、まさにこの災害からの復旧・復興は、本県としても最大限有効に活用できる政策でございますので、今回の経済対策にのっとった政策をしっかりと活用して、防災・減災対策や復旧・復興を進めていくと同時に、時代の変化に即応したものづくり産業、養豚技術の研究開発拠点の整備、また、高性能林業機械の導入等を今回の予算案にも計上させていただいているところでございます。  こうした施策の実効性が早期に上がって景気の下振れリスクをできる限り緩和することができるように速やかな予算執行に努めていきたいと考えております。  新型コロナウイルス感染症について御質問を何点かいただきました。まず、県内経済への影響とその対策についてでございます。  中国におきましては現在も感染が拡大している状況でございます。現時点で県内経済への影響を定量的に把握していくということはなかなか難しい状況ではございます。しかしながら、中国のみならず国内企業の生産にも現在影響が出始めているという状況でございます。サプライチェーンの毀損や部品等の輸出入の停滞が懸念されるわけでございまして、今後、長期化した場合には、県内経済に対しましても相当程度の影響が避けられないものではないかというふうに考えております。
     こうした状況に鑑みまして、本県としては、県庁と地域振興局に経営・雇用に関する相談窓口を設置させていただいて、国指定の相談窓口とも連携して対応に当たっております。影響を受けた県内企業に対しましては、県の融資制度や国の対策に盛り込まれております雇用調整助成金などを活用して支援を行っていきたいと考えております。また、必要に応じて、地域経済への影響を踏まえた総合的な対策を知事会などを通じて国に対して要望していきたいと考えております。今後とも、県内経済への影響の把握にしっかり努めると同時に、県内企業からの相談には丁寧に対応していきたいと考えております。  中国人観光客の減少による経済への影響と対策についてという御質問でございます。  平成30年に本県を訪れた外国人旅行者約153万人のうち、中国からは15万4,000人の方が来県しております。特に、2月が年間で最も多い月でありまして、約4万人の方に御来県いただいております。  1月27日から中国人団体旅行の出国が禁止となったことから、宿泊キャンセルや予約の減少が発生するなど、本県観光業にとりましては大変大きな影響があるものというふうに認識しております。今後、仮に2月から5月までの4か月間中国人団体旅行の禁止が続いたと仮定した場合に予想される宿泊の減少数は、約3万6,000人というふうに試算をしております。宿泊に伴いまして、飲食、買物等がございますので、そうしたものを合わせた影響額は約20億円というふうに推計いたしております。県内総生産に与える影響は0.014%程度という形でございます。  この新型コロナウイルス感染症の推移については我々もしっかり注視しているところでございますが、来年度、県独自でのインバウンドに限定した宿泊助成事業を行っていきたいというふうに考えております。  落ち込んだインバウンド需要の回復を図るためには、中国市場については引き続き重要視をしつつも、他方で、欧米からの観光客の取り込みに力を入れていきたいというふうに思っております。欧米からのお客様に特に人気の高い街道等をテーマにした旅行商品の造成等の取組を進めることによって、引き続きインバウンド誘客の促進に努めてまいりたいと考えております。  ホストタウンへの影響ということでございます。  本県は、中国を対象国とするホストタウンとして、東京オリパラに向けて中国の皆様方との友好交流を深めているところでございます。私どもとしては、東京オリパラに向けて、中国の方々を温かくお迎えしていきたいというふうに考えておりますが、現在、中国国内だけでなく、日本国内でも感染が拡大する懸念が必ずしも払拭されている状況ではございません。こうした動向を見極めながら、国と国、そして地域と地域の信頼関係を損なうことがないよう的確に対応していきたいと考えております。  また、今後の中国との関係でございますが、風間議員におっしゃっていただいたように、まさにこうした困難な時期こそお互いの友好交流をしっかり確認して発展させていくということが大変重要だというふうに思っております。  昨年、本県が台風19号災害に見舞われた際には、いち早く河北省、そして中国大使館からもお見舞いを頂戴しております。また、今回の感染症の拡大に際しましては本県からそれぞれにお見舞いを申し上げているところでございます。  一昨日も、中国大使館におきまして孔鉉佑中国大使とお会いさせていただきました。こうした困難な時期にあるときこそ、お互いの友好関係、そして、オリンピックを契機としてこれまで築いてきた協力関係をさらに発展していくことが重要だという認識で一致しているところでございます。引き続き、河北省や中国との関係強化に向けて取り組んでいきたいと考えております。  新型コロナウイルス感染症についての県民への周知についての御質問でございます。  現時点で県内における新型コロナウイルス感染症の発生はありません。しかしながら、国内での感染者が増加する中で、正確な情報発信と、不安を持たれる県民の皆様方からの相談に丁寧に対応していくということが大変重要だと考えております。  これまでも、私の会見やホームページ等を通じまして、県民の皆様方に対しては感染症対策の励行等の呼びかけ、また、マスク不足に関しましては、マスクの効果等について御説明をするとともに、必要最小限の購入にとどめていただくなど冷静な行動を呼びかけているところでございます。  また、自分が感染しているのではないかといったような不安を抱かれている方に対しては、いつでも御相談いただけるよう県庁と保健所に電話相談窓口を設置いたしまして、土日休日を含めて24時間対応をいたしているところでございます。今後とも、県民や事業者の皆様方に対しまして、国や県が発信する正確な情報に基づいて行動いただくよう県としてもできる限り的確な情報の発信に努めていきたいと考えております。  県内で感染拡大が起こった場合の医療機関の受入れ体制についてという御質問でございます。  新型コロナウイルス感染症の患者につきましては、感染症法に基づきまして、原則として感染防止のための万全の体制が整えられている感染症指定医療機関の感染症病床に入院をいただくという形になっております。感染症病床につきましては、各医療圏の人口規模に基づいて指定されることとなっておりまして、本県では、全ての2次医療圏におきまして国が定めた配置基準を満たしております。県全体で現在11の医療機関、46の感染症病床を確保しているところでございます。  また、緊急その他やむを得ない場合におきましては、感染症指定医療機関の感染症病床以外の病床、あるいは感染症指定医療機関以外の医療機関にも入院をいただくことが可能とされております。このため、今後県内で感染が拡大する場合に備えまして、県内の医療機関との調整を始めたところでございます。感染症病床以外の病床の確保など受入れ可能な医療機関の幅を広げていきたいというふうに考えております。患者の皆さんの症状に応じて最適な医療を受けていただくことができる体制の確立に向け、早急に取組を進めていきたいと考えております。  続きまして、地域医療構想に関連して、持続可能な体制の確保と担当部長に求める役割という御質問をいただきました。  持続可能な医療提供体制を確保していく上では、それぞれの地域の医療ニーズに合った形で医療機関の適切な役割分担や連携を進めていくことが重要だと考えております。このためには、医療機関の再編や急性期から回復期への機能転換、あるいは診療科の見直しによるダウンサイジング等につきまして地域の関係者の合意形成を進めていくことが不可欠というふうに考えております。県としては、それぞれの医療機関が将来の姿を検討していくための情報提供、地域でのコンセンサスを得るための議論の場の設置、また施設整備等に対する財政支援でこうした取組を後押ししていきたいと考えております。  地域医療担当部長に関しましては、医師確保を含めた医療施策を一体的に推進していくこと、そして、県庁内部局横断的にこの地域医療を充実する上で様々な課題に対処していくこと、こうしたことを担ってもらいたいというふうに考えております。地域医療担当部長の設置によりまして、この地域医療構想、持続可能な医療体制の構築が一層進んでいくように我々としては全力で取り組んでいきたいと考えております。  総合リハビリテーションセンターの建て替えについての御質問でございます。  総合リハビリテーションセンターの病棟等の施設の老朽化を踏まえまして、これまで、建て替えを含む今後の在り方について検討を進めてきたところでございます。検討の中で、昨年10月の台風19号における被災に加えまして、今年の1月には公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証を求める通知が厚生労働省から出されたことなど、状況が変化してきているところでございます。  こうしたことを踏まえまして、従前からの検討課題であります地域医療構想を踏まえたセンターの位置づけ、また、県全体のリハビリテーションにおけるセンターの役割、そして、施設の規模、経営形態、こうしたことに加えまして、災害への備え、さらには他の医療機関との連携強化、機能分担についても重要な検討課題になっているというふうに考えております。  建て替えを含めたセンターの在り方につきましては、本年度中を目途に県としての方向性を定めて、新年度には関係機関との調整を進めていきたいというふうに考えております。  観光振興緊急対策事業についての御質問でございます。  台風19号災害以降、長野県ふっこう割事業など「がんばろう信州!観光キャンペーン」を展開してきているところでございます。19号災害に加えまして、例年にない雪不足や新型コロナウイルスによる影響もあり、県内の観光地は非常に厳しい状況にあるというふうに認識しております。  こうした状況の中で、観光需要の早期の回復を「ONE NAGANO」を合い言葉に進めていこうということで、今般、観光振興緊急対策を予算化させていただいたところでございます。具体的には、広域型の地域協働事業、インバウンド観光客向けに割引助成を行うインバウンド宿泊助成事業、さらには、積極的なプロモーションを行うための交通事業者や旅行会社等との協働プロモーション事業、こうした三つの事業を進めていきたいと考えております。これらは、来年度の前半に集中的に事業執行を行っていきたいというふうに考えております。こうしたことを通じて、観光需要の早期回復と地域の消費拡大を図るとともに、多様な主体と協働した取組によりまして「ONE NAGANO」のムーブメントを広げていきたいと考えております。  国際競争力の高いスノーリゾートの形成について県としての取組の考え方という御質問でございます。  国におきましては、国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業というものを創設し、来年度予算案に20億円の予算を計上しております。地域内外の投資を呼び込む環境づくりにつなげていく考えというふうに受け止めております。  かつて、国のスノーリゾート地域の活性化に向けた検討会に私自身も委員として参画いたしました。その中で、世界級のスノーリゾートを形成するための課題や対応策について提案させていただいたところでございます。  また、県議会からも御提案いただく中で、県としても、複数回にわたりまして、老朽化した索道施設の更新や受入れ環境、二次交通の整備、こうしたことに対する支援を国に要望してきたところでございます。こうした考え方を国においてもしっかり取り入れていただいた上で今回の事業を創設していただいたものというふうに考えておりまして、政府の取組に感謝をしたいというふうに思っております。  本県は、白馬バレー、志賀高原、野沢温泉など日本有数のスキー場を有しているわけでありますので、今回、全国で10か所程度選定と言われておりますけれども、私としては、複数箇所が選定されるように取り組んでいきたいというふうに考えております。  事業主体となりますDMO等に対しましては、計画策定に向けたビジョンの明確化や目標値の設定、また、関係者間の調整や規制緩和に向けた検討について支援を行って、県としてもこの事業に向けた地域の取組を積極的に後押ししていきたいと考えております。  続きまして、災害に強い県土づくりの推進に関連して、緊急治水対策プロジェクトの実施に向けた意気込みについてという御質問でございます。  このプロジェクトは、本県としては長年の懸案であった立ヶ花、戸狩の狭窄部の掘削、あるいは下流部における大河津分水路の拡幅など、国、県、市町村が一体となって、ハード、ソフト両面で取り組んでいく画期的な内容だというふうに考えております。  このうち、ハード対策におきましては、ビルド・バック・ベターの観点から、被災箇所復旧のみならず、改良復旧、遊水地の整備、内水対策など様々な対策を盛り込んだところでございます。  プロジェクトの取組は、おおむね5年間を目途とさせていただいておりますが、風間議員御指摘のとおり、淡々と5年間かけて行うということではいけないというふうに考えております。災害復旧については、早いものは来年度中に完了させていきたいというふうに思っておりますし、その他の対策につきましてもできるだけ早期に完成させていくことを目指していきたいと考えています。  また、ソフト対策に関しましては、危機管理型水位計や河川監視カメラの設置につきましては来年度中に完了させていきたいと考えておりますし、中小河川における浸水想定区域図の作成も3年間で完了する予定でございます。  このように、5年を淡々と経過させるのではなくて、できる限り前倒しで集中的に事業の実施ができるように取り組んでいきたいと考えております。国、県としっかり連携してプロジェクトを進めることによりまして、住民の皆さん、流域の皆さんの安全、安心が確保できるように全力で取り組んでまいります。  続きまして、県有施設を活用した流域での雨水貯留施設の整備についての御質問でございます。  信濃川水系緊急治水対策プロジェクトのうち、雨水貯留施設の整備をはじめといたします流域対策等につきましては、庁内に関係部局長によります検討委員会を設けて、プロジェクトに盛り込んだ事業の具体化に向け、県の部局全てを挙げて取り組んでいきたいと考えております。  既に、一部の市町村におきましては、小学校の校庭や支所の駐車場を活用した雨水貯留施設を設置しているところでございますが、こうしたことと同様に、県有施設におきましても、雨水貯留や浸透対策を行っていくことが河川への流出抑制に対して有効であるというふうに考えております。今後、こうした取組を積極的に進めていきたいと考えております。  続きまして、予防的な投資についての御質問をいただきました。  昨年の台風19号災害の際には、伊那市の三峰川流域におきまして、戦後最大の被害が発生いたしました昭和36年災害の1.3倍の雨量を記録いたしました。しかしながら、砂防堰堤の整備によりまして、土砂洪水氾濫被害はなかったところでございます。国土交通省が試算したところによりますと、昭和36年以降の砂防事業約330億円の投資によりまして、金額にして約870億円の資産が守られたとされております。こうした例からも、議員御指摘のとおり、予防的な投資は極めて有効というふうに考えております。  投資対象として効果的なものとしては、道路ののり面対策、砂防堰堤の新設、河川堤防の強化等が挙げられますが、さらに、いつ発生するか分からない災害に備えましては、短期間で効果を上げることができるように既存の施設の能力を十分に発揮させるための対策も必要だというふうに考えております。こうした観点から、令和2年度当初予算案におきましては、河川、ダム等の堆積土除去につきまして、3か年緊急対策によります集中投資に加えて、県単独事業として今年度の約10倍に当たる20億円余を計上させていただいているところでございます。今後とも、より効果的に被害を予防、軽減するための対策を検討し、積極的に取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、気候非常事態宣言に関連しての御質問でございます。  まず、気候危機突破方針の位置づけ、公表時期、内容についてという御質問でございます。  気候危機突破方針(仮称)につきましては、気候非常事態宣言の決意を具現化していくために長期のスパンで実現していく分野別の取組の方向性を取りまとめる県としての方針でございます。早急に具体的なアクションを起こしていくために、今年度末には公表したいというふうに考えております。  盛り込む内容につきましては、現在、鋭意検討を進めているところでございますが、住宅、まちづくりやエネルギー供給の在り方等幅広く検討を行っているところでございます。例えば、建築物の新築だけでなく、既存建物以外も含めた高断熱、ゼロエネルギー化や、自動車のEV化、カーシェアリングの推進、さらにはソーラーマッピングを活用した屋根ソーラーの普及、そして、自分たちのエネルギーは自分たちでつくるといった方向性の取組、さらには、公共交通機関が集落と集落をしっかりとつなぎ、コミュニティーの中では自家用車を使わなくても行き来ができるまちづくり、こうしたことについて現在検討を行っているところでございます。できる限り早く方針を取りまとめて具体的な取組に着手していきたいというふうに考えております。  続きまして、グリーンボンドについて御質問いただきました。  グリーンボンドで調達した資金につきましては、環境改善効果のある事業に充てていくことになります。本県では、再生可能エネルギーに関する事業、省エネルギーに関する事業、加えて気候変動に対する適応に関する事業等を想定しているところでございます。  今後、環境改善効果につきましては、環境省のガイドラインに沿いまして外部の評価機関の確認を受けることとなりますが、令和2年度は、小水力発電施設の建設、しなの鉄道の車両更新への補助、駐在所のゼロエネルギー化、こうしたことで活用していってはどうかというふうに考えているところでございます。  発行額につきましては、投資家の需要も踏まえまして、現時点では30億円から50億円程度を想定しているところでございます。グリーンボンドの発行は、単なる県としての資金調達手段にとどまらず、県内の企業や県民の皆様にESG投資に関心を持っていただくよい機会でもあるというふうに考えております。継続的に発行することによりまして、社会全体で脱炭素社会の実現に取り組んでいく一つの契機にしていきたいと考えております。  ゼロカーボンに向けて県民に望むこと、現状認識と方向性という御質問でございます。  この気候変動の問題は、世界共通の課題ではありますけれども、しかしながら、私たち一人一人の行動が大きなウエートを占めているものだというふうに考えております。そのため、県民の皆様お一人お一人が、気候変動がもたらす影響、そして現状をまずは正しく理解して危機意識を共有していただくこと、そして、そうした問題意識を背景として適切な行動を取っていただく、行動変様につなげていただくことが大変重要というふうに考えております。  こうしたことから、県としては、学びの場として、ゼロカーボンミーティングを県内各地で開催していきたいと考えております。また、信州環境カレッジのカリキュラムにおいても気候変動を柱に充実させていきたいというふうに思っておりますし、様々なメディアを通じた情報発信にも心がけてまいります。  あわせまして、県民の皆様方の行動変様を促すという観点から、エシカル消費についても積極的に推進していきたいというふうに思いますし、信州屋根ソーラーポテンシャルマップのようにそれぞれの県民の皆様方が自分たちの行動を変様させていく、そうしたことを後押ししていくような政策の充実についても検討していきたいと考えております。こうした県民の皆様お一人お一人の学びと行動を通じて2050年のゼロカーボンの達成を目指していきたいと考えております。  カーボンオフセットについての所見という御質問でございます。  カーボンオフセットにつきましては、風間議員御指摘のように、自ら排出削減を行えないことの正当化に利用されるおそれがあると疑問視する御意見があるということも承知をしているところでございます。温室効果ガスの排出量の削減は、各主体ができる限り努力するということが基本だというふうに考えております。しかし、国や公的機関におきまして、省エネルギー設備の導入等による排出削減量や適切な森林管理による吸収量を認証する制度など、信頼性が確実に担保されたカーボンオフセットにつきましては、削減量を補う手法として有効なものというふうに考えております。  続きまして、循環経済の構築についてという御質問でございます。  廃棄物の処理に経済的な効果の面を加えました循環経済の構築は、環境の負荷を軽減していく上で大変有意義なものであり、ゼロカーボンの取組にもつながっていくものというふうに考えております。  現在、県としては、排出抑制や再利用、再資源化のための分別収集の徹底に向け、食品ロスの削減や信州プラスチックスマート運動を通じてごみの減量を県民の皆様に呼びかけているところでございます。また、再資源化の面におきましては、地域で発生する廃棄物を資源として循環させる地域循環圏の構築も進めており、一部では、地域内の小売店から排出される食品廃棄物を堆肥化し、地元の農家で堆肥を利用した作物を栽培し、地元で消費していくという取組も始められているところでございます。  経済活動の視点を取り込んだ廃棄物の排出抑制や再資源化は大変重要なものであるというふうに考えております。来年度策定を予定しております新たな廃棄物処理計画の検討の中で、経済団体や事業者の皆様などからも御意見を伺って、さらなる取組につきまして検討していきたいと考えております。  議員連盟で御検討中の環境政策推進条例(仮称)についてでございます。  これにつきましては、昨年6月のG20関係閣僚会合の開催を契機として、議員連盟の風間会長を中心に御検討いただいているということに対しまして心から敬意を表したいと思っております。現在、地域社会の在り方の転換や地球規模の環境保全の視点から、持続可能な社会を追求する施策を推進することなど極めて重要な視点を条例に盛り込むべく御検討いただいているものというふうに受け止めております。  条例に対する要望というお尋ねでございますが、基本的には県議会の御検討を尊重する立場ではございますが、あえて申し上げれば、いわゆる地酒で乾杯条例のように、この気候変動の問題は、まさに県民の行動変様を促していくということが大変重要だというふうに思っております。そういう意味では、エシカル消費のように県民の行動の変化を促していくような視点を盛り込んでいただくということも御検討いただければ大変ありがたいというふうに考えております。  続きまして、SDGs全国フォーラム2020in長野の目的と期待する効果という御質問でございます。  今回、この全国フォーラムを開催する目的でございますが、誰一人取り残さないという基本理念の下、経済、社会、環境の三つの側面の統合的な解決を図るための世界共通の物差しでありますSDGs、このSDGsの意義や重要性を様々なステークホルダーと共有し、理解を深めていくこと、そして、目標年は2030年、あと10年ということでございますので、こうした取組を一層加速していくこと、さらには、本県はSDGs未来都市でありますので、本県の取組を全国へと発信して、本県のSDGsにおける役割や存在感、魅力を高めていく。こうしたことを目的に計画をしているところでございます。  全国に誇れる取組という御質問でございますが、幾つか例を申し上げれば、例えば、県議会でお認めいただいた総合計画、しあわせ信州創造プラン2.0につきましては、SDGsの理念をいち早く組み込ませていただいております。このことについては、内閣府のパンフレットでも広く紹介をいただいているところでございます。  また、既に232者を登録しておりますSDGs推進企業登録制度も、全国に先駆けて本県が制度化いたしているところでございます。また、気候変動に具体的な対策をとSDGsに掲げられているわけでありますけれども、このソーラーポテンシャルマップは、カバーする面積は、我々が把握している範囲では世界最大の面積でございます。  このように、SDGs未来都市として長野県は様々な取組を全国に先駆けて進めてきているところでございます。引き続きSDGs未来都市として恥ずかしくない取組を積極的に推進していきたいと考えております。  続きまして、エシカル消費に関する県の取組状況と今後の展開についてという御質問でございます。  気候変動対策、グローバルな視点での貧困や分断のない持続可能な社会の実現につきましては、生産者、流通事業者の行動だけではなく、消費者の意識と行動が欠かせないものというふうに考えております。私も、エシカル消費を県民の皆様方にもお伝えするときには、皆さんが社会を変えていくやり方は大きく二つあるんじゃないでしょうかとお話をしております。一つは、投票、選挙を通じて、政治を通じて社会を変えていくということ、そしてもう一つは、日々の消費行動を通じて社会を変えていくこと。そういう意味で、これから様々な世の中の動きに適応してSDGsをしっかり推進する長野県にしていく上で、消費者の皆様方の意識と行動は大変重要だというふうに思っております。  これまで、県としては、しあわせ信州創造プラン2.0に本県独自に健康にも配慮した長野県版エシカル消費を掲げさせていただき、昨年1月のシンポジウム以降、様々な普及啓発にも取り組んできております。  今後、お一人お一人の消費行動が社会を変えていくという認識の共有をさらに図っていくとともに、具体的な行動につながる取組を進めていきたいというふうに考えております。  例えば、子育て世代をターゲットとした小売店等と協働で実施する講座の開催やエシカル消費体験、また、若者をターゲットとした県内大学における公開講座、さらには、県庁や県職員自らによる環境等に配慮した商品の購入の率先実行、こうしたことを通じて、具体的な実践を広げ、県民全体への運動へと発展させていきたいというふうに考えております。  私への質問は以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)6点質問をいただきました。順次お答えいたします。  まず、第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略の取組についての認識と県の第2期の方針、今後の取組内容等についてであります。  国の第1期戦略に併せて策定しました信州創生戦略に沿って国の支援策も積極的に活用しながら施策を展開してきたところです。これに掲げました四つの基本目標のうち、労働生産性や就業率の向上を目指します仕事と収入の確保、それから、健康寿命の延伸などを目指します地域の活力の確保、この2点につきましては、指標が目安値を上回っておりまして、一定の成果を上げているものと認識しております。  一方、自然減への歯止め、それから社会増への転換という人口に関する二つの基本目標については厳しい状況となっております。自然増減に関します合計特殊出生率は1.57となっておりまして、これは東日本では最も高い数値ですけれども、ここ2年ほぼ横ばいとなっております。また、社会増減につきましては、移住者数は年々増加しておりまして、ここのところ社会増減の減少幅というのは小さくなりつつあったのですが、昨年再び拡大に転じてしまいました。やはり若年層を中心に東京エリアへの流出圧力が依然強く、全国的にも東京一極集中に歯止めがかかっていない状況であります。  本県として、いかに若い世代を引きつけ、県内定着を図っていくかが課題でありまして、これに対応することが自然減に歯止めをかけ、社会増への転換に資するものとの認識の下に、令和2年度当初予算案に、高等教育の振興、若者就業やUIJターンの促進、魅力あるまちづくりなど若い世代をターゲットにした施策を盛り込んだところです。  また、国におきましては、こうした人の流れを変えるための打開策の一つとして、2期戦略に新たに関係人口の創出・拡大というものを盛り込んだところでして、このほか、Society5.0の推進、地方創生SDGsの実現などにつきましては、2年前、皆様の御議決をいただいて信州創生戦略を統合吸収して策定しましたしあわせ信州創造プラン2.0に既に先取りして盛り込んでおりまして、方向性は同じだと認識しております。したがいまして、本県としましては、人口減少対策をはじめ、プラン2.0に掲げた施策を着実かつ強力に推進してまいることといたしたいと考えております。  次に、5G等通信環境整備に向けての県の方針などについてです。  第5世代移動通信システム、いわゆる5Gにつきましては、国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、全国への速やかな展開が極めて重要であり、「特に条件不利地域における整備を促進することにより、地方部と都市部の隔たり無く、その整備を加速するほか、5G利活用促進策にも一体的に取り組むことにより、地方創生を推進する。」というふうにされております。  産業や地域のイノベーションを促進する創造性あふれる社会の構築を目指してこのプラン2.0を推進している長野県といたしましては、この動きを好機と捉えまして、積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。  現在、県内におきましては、例えば、白馬村で除雪車の移動支援、駒ヶ根市で登山遭難者の捜索などにこの5Gを活用する国の実証実験などが行われております。こうした取組をはじめ、医療、教育、交通、農林業などの分野での5Gの導入を増やし、中山間地域を多く有する本県が抱える様々な地域課題の解決を図ってまいりたいと考えております。  また、国に対しましては、地方の取組をしっかり支援するよう引き続き要請してまいりますし、通信事業者に対しましては、5Gの通信基地の整備の要望など市町村の具体的なニーズを伝えまして、5Gの県内導入が早期に実現するよう取り組んでまいります。  三つ目ですけれども、インバウンド受入れ環境整備の現状と今後の方針についてです。  観光部が旅館、ホテルや飲食店、小売店等に対して行いましたアンケートの結果によりますと、Wi-Fiやキャッシュレス決済の導入は進みつつあるものの、やはり事業者の取組にばらつきがありまして、外国人旅行者がストレスなくまち歩きができるための利便性というものを考慮した環境が面的に十分整備されていない状況にあるということが分かりました。これに対応するため、観光部が主宰いたしますIT環境整備推進プロジェクトチームに企画振興部も参画いたしまして、一緒に施策の検討を行ってまいりました。その結果、重点支援広域DMOであります一般社団法人HAKUBAVALLEY TOURISMが中心となって取り組みますWi-Fiやキャッシュレス決済、多言語案内などの一体的な整備を支援することといたしまして、令和2年度当初予算案に観光部において必要経費を計上したところです。今後とも、訪日外国人旅行客に選ばれる地域となるよう関係部局や事業者と連携しながら環境整備を進めてまいります。  次に、東京オリンピック・パラリンピック、それから善光寺御開帳などを生かした復興への道筋についての御質問です。  再来年の諏訪大社の御柱を含め、大規模イベントが立て続けに開催されます。県といたしましては、まずは様々な形でこれらに参画し、イベントそのものを盛り上げて成功へと後押しすることが肝要であると考えます。  また、これらを契機に、多くの方々に県内各所を訪れていただき、豊かな自然や地域の文化、その土地ならではの食や人々の暮らしに触れてもらうことで、まちがにぎわい、地域や経済が活性化し、長野県全体が元気になり、被災地域の復興にもつながるものと認識しております。  このため、例えば観光キャンペーンなどを行う際には、こうしたイベントについて地元自治体などとも連携して、様々な媒体を有効に活用しながら、長野県の魅力のコンテンツの一つとして国内外に戦略的に発信してまいりたいと考えております。  加えて、各地域で脈々と受け継がれてきた季節の行事や身近な催しが平常どおりに開催されることが住民の皆様の気持ちをより明るくし、地域の元気につながるものとも考えておりますので、この辺につきましても、地域振興局とともにしっかり目配りをしていきたいと考えております。こうした大型のイベントや地域の行事などの効果を最大限に生かしながら復興への道筋を確かなものにしてまいります。  次に、信州まつもと空港の課題と国際化の推進方策についてです。  日本一標高が高い場所に位置する信州まつもと空港は、離陸時の揚力がなかなか得にくく、滑走路の実質的に使える長さが短いために、運航できる飛行機が限定されてしまうことが課題となっております。こうしたことから、現在の施設条件に合ったリージョナルジェットの運航を中心に国際線の誘致を図ってまいりまして、今年度過去最多となる44便の国際チャーター便の就航につなげたところです。  また、周囲の高い山が電波の障害となって、ILS(計器着陸装置)が設置できない状況にありまして、視界不良時の着陸が難しいことも課題となっております。これにつきましては、FDAが、現在、国とともにGPS技術を活用してより安全な着陸を可能とするRNP-AR進入方式を近く導入するよう調整を進めておりまして、県としましても地元の調整などの支援を行っているところです。
     空港の国際化の推進に当たりましては、訪日誘客支援空港として国の支援を活用しつつ、海外の複数の国の航空会社等への誘致活動を強力に進めていくほか、令和2年度当初予算案でお願いしております入国審査用の臨時施設の整備をはじめとする施設面での機能強化も図りまして、国際線のより円滑な受入れが可能となるよう取り組んでいく考えであります。これらの取組を通じまして、発展・国際化に向けた取組方針に掲げる目標の達成を目指してまいります。  最後の御質問です。  特定地域づくり事業協同組合の活用に対する考え方ですけれども、人口減少下にある中山間地域においては、地域の活力を維持していくためになりわいの創出と担い手の確保が課題となっております。  今回、この事業協同組合を組織化することで、地域内外の住民に対して農林業や地域の様々な事業を組み合わせた仕事の提供などが行われることになりまして、これによりまして、年間を通じた雇用の創出、人材の確保が可能になるものと期待しております。  現在、国においては、地方自治体向けに法律の概要の説明会などが行われております。制度の詳細はまだ示されておりませんが、お聞きするところによると、この3月末を目途に対象地域や事業の範囲など運用に向けたガイドラインを作成しているというふうにお聞きしております。こうしたことから、現在県内の市町村で具体的にこれを活用するという話まではまだ伺っていないところであります。  いずれにいたしましても、市町村がこの取組を進めていく上では、地域の商工会等の経営支援機関の役割も非常に重要でありますことから、これらの機関とも情報共有をしてまいりたいというふうに考えております。こういった意欲ある市町村の取組を、今後の国の動向もしっかり把握し、県関係部局とも連携しながら支援してまいりたいと考えております。  以上です。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)順次お答えいたします。  初めに、農産物の輸出拡大に向けた今後の展開と成果についてのお尋ねでございます。  県では、香港、台湾など東アジアや、タイ、シンガポールなど東南アジア地域の富裕層を対象として、特に高品質なブドウ、桃、リンゴ等を中心とした輸出拡大の取組を進めております。今後は、香港、台湾において中秋節や春節などの贈答需要期における高級果物の販売強化を図るほか、タイやシンガポール等においては、富裕層だけでなく、中間所得層も視野に入れ、量的拡大を意識した取組を進めてまいります。  そのため、意欲的なJA等の輸出向け産地づくりの取組や、植物検疫、輸入規制など国際ルールへの対応について支援することによりまして産地の輸出体制の強化を図ってまいります。また、専用パッケージの活用や海外でのプロモーション活動等により販売力の強化にも取り組んでまいります。  こうした取組によりまして、輸出対象国において県産農産物のブランド力を高め、長期的な国内消費の減少に備えた多様な販路を確保するとともに、農家の生産意欲の向上やグローバル感覚を持った若手農業者の増加などにつなげてまいりたいと考えております。  次に、TPP11及び日米貿易協定による影響と農家への支援策についてのお尋ねでございます。  県産農林産物への影響は、国の試算方法に準じて合意内容の最終年における影響額を算出したところ、日米貿易協定では14億4,100万円、TPP11と合わせた場合では25億1,000万円それぞれ減少する試算結果となり、特に牛肉や豚肉の影響額が大きくなっております。  これらの試算を踏まえ、県では、県内農林業への影響を最小限に抑え、農林業の体質強化とさらなる生産性の向上を図るため、先月、TPP協定等に係る農林業分野対応方針を改定したところであります。具体的な対策としましては、畜産分野では、大規模農家に加え、中小家族経営体も含め、施設や機械整備による規模拡大等を支援するほか、分娩監視システムなどスマート畜産技術の普及等により生産性の向上を図ってまいります。  また、信州プレミアム牛肉の首都圏への販路開拓をさらに進めるほか、リンゴ「シナノリップ」や今後市場デビューするブドウ「クイーンルージュ」をはじめ、県オリジナル品種の生産販売を拡大するなど、優れた県産農産物の稼ぐ力とブランド力の向上を推進してまいります。  続きまして、農地に対する遊水地の設置の推進についてのお尋ねでございます。  農地として利用している土地に遊水地を新たに設置する場合は、地権者及び耕作者の同意が必要となります。地権者に対しましては地役権方式での補償がございますが、耕作者に対する農作物補償については農業共済制度による補償が考えられます。遊水地で作付される作物は水稲が想定されますけれども、水稲共済は、本年度から原則加入の義務づけがなくなったことから、新たな補償の仕組みについて検討し、国に対しても要請をしてまいります。  次に、ため池の貯水機能強化についてのお尋ねでございます。  市町村がため池の貯水機能の強化に向けた改修を行う場合には、防災・減災対策を目的とした市町村の負担割合が低い国庫補助事業の活用を検討していただきたいと考えております。  また、複数のため池を対象として洪水調節機能の向上を図る場合や、重要構造物であるため池の洪水吐、堤体の改修など高度な技術力を要する場合は、県が事業主体となり、実施をしてまいります。  活用できるため池についてですが、ため池の洪水調節機能は、流れ込む雨の量などが影響することから流域の状況を調査する必要があります。県では、信濃川流域にある1,290か所のため池のうち規模が大きい約500か所について現在調査を進めているところでありまして、今後市町村やため池管理者から御意見をお聞きし、建設部と連携して流域対策に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)私への御質問に対しまして順次お答え申し上げます。  まず初めに、スーパーメガリージョンが我が県にもたらす効果及び県内交通ネットワークの進捗状況と今後の方針についてのお尋ねでございます。  リニア中央新幹線が大阪まで開業した暁には、三大都市圏が一体化した巨大経済圏、いわゆるスーパーメガリージョンが誕生いたします。  本県はそのほぼ中央に位置し、三大都市圏との移動時間が大幅に短縮され、通勤・通学圏の拡大、交流人口の増加、広域観光の促進、地域経済の活性化など様々な効果が期待されます。  県では、長野県新交通ビジョンにおいて、リニア整備も含め、高速交通網を最大限に生かし、本県を中心とした交流拡大を図る本州中央部広域交流圏の構築を目指しているところであります。  この交流圏の構築に向け、道路ネットワークについては、昨年上信越自動車道で4車線化が完了し、三遠南信自動車道では天龍峡インターから龍江インター間が開通いたしました。中部横断自動車道では長坂―八千穂間において環境アセスの手続を進め、中部縦貫自動車道では用地買収が進められております。  また、地域高規格道路の松本糸魚川連絡道路では、調査やルート選定手続が進捗しているほか、リニア関連道路の整備も着実に進めております。  鉄道については、県内各地へ円滑に移動できるよう、接続改善等の利便性向上に向け、沿線自治体等とともにJRへの要請を行うなど、利用促進や活性化に取り組んでいるところでございます。  このように、今までなかなか進まなかった事業も含めて、現在、着実に前進させているところでありまして、今後ともスーパーメガリージョンの効果を広く県内に波及させ、長野県全域の発展につなげていくために、国や関係機関とも協力を図り、県内の交通ネットワークの整備や利用促進を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、遊水地整備の推進とため池の活用に関するお尋ねです。  まず、遊水地の整備についてですが、先日公表した信濃川水系緊急治水対策プロジェクトにおいて、国及び県がそれぞれの管理区間で遊水地を整備する計画としております。  遊水地は、河川水位が上昇したときに、川の水を人為的に農地等にため、河川水位を低下させるもので、広範囲の農地等を活用することとなるため、多くの地権者、耕作者の皆様からの理解を得ることが必須です。  県内においては、国も含め、こうした遊水地を整備した事例がないため、現在検討を進めているところですが、先進地である新潟県では、遊水地内の農地へ河川の水を導くことによる冠水を許容していただく代わりに、事前に一定の補償額をお支払いする地役権方式を採用していると聞いております。さらに検討を進め、御理解をいただけるよう、国、県、市町村が一体となって取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、ため池の活用についてですが、ため池を活用した雨水の貯留は浸水被害の軽減に有効であると考えております。  現在、庁内の関係部局長による検討委員会において具体的なため池の活用方法を検討中であり、今後、市町村とも相談しながら積極的に促進してまいりたいというふうに考えております。  次に、県内全域における災害に対する県土強靱化の現状と今後の展開についてのお尋ねでございます。  県土強靱化の現状につきましては、第2期長野県強靱化計画において平成30年度からの5か年で取り組む道路、河川、砂防等の主な整備箇所を明示しているところでありまして、県内全域で対策を推進しているところです。  また、3か年緊急対策につきましても、平成30年11月に取りまとめた重要インフラの緊急点検結果に基づいて計画的に実施しているところであり、建設部の令和2年度当初予算案においても緊急対策に係る予算として約300億円を計上し、このうち約6割を中南信地域に割り当てるなど県内全域で着実に対策を講じてまいりたいと考えております。県といたしましては、引き続き、地域バランスにも配慮しながら、さらなる県土の強靱化に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。  次に、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の延長等に関するお尋ねでございます。  現在進めております3か年緊急対策は、平成30年度の緊急点検に基づき、令和2年度までの3か年を事業期間として実施しております。これまで補助事業や交付金の対象とならなかった河川内の樹木伐採や堆積土砂の撤去も、既存施設の能力を確保するとの観点から対策メニューの一つとされ、本県においても現在積極的に取り組んでいるところでございます。  一方で、議員御指摘のとおり、平成30年の緊急点検以降、台風19号をはじめ、全国的に大きな水害が発生しておりますことから、これらを踏まえた新たな視点で有効な対策メニューを加え、令和3年度以降も事業を実施していくことが必要であると認識しております。このため、来年度も引き続き3か年緊急対策の期間延長及び制度拡充について国に対して強く求めてまいりたいと考えております。  次に、コンパクトシティーに向けたまちづくりについてのお尋ねです。  台風19号災害では、まちづくりに対しても大きな課題を突きつけられたと認識しております。国においては、頻発激甚化する自然災害に対応した防災まちづくり等の観点から、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案を今国会に提出しているところでございます。本県としましても、防災の観点から、国の政令等をまって、災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制など開発許可制度の強化を検討してまいります。  また、立地適正化計画の居住誘導区域について、災害レッドゾーンを原則として除外することや、避難路、避難施設等の整備を位置づける防災指針の作成を市町村に求めてまいるとともに、居住誘導区域の安全度を高めるため、県と市町村が連携してインフラ整備等を積極的に実施し、安全でコンパクトなまちづくりを進めてまいりたいと考えております。  さらに、中心市街地のよりよい復興の観点からは、関連する法制度の活用も視野に入れながら、空き家、空き地も有効利用して、多様な人々が集い、交流できる町なか空間を創出するなど市町村と協力して取り組んでまいります。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)就職氷河期世代への就労支援、対応方針についてお答えいたします。  誰もが活躍できる社会を実現させるため、力があるにもかかわらず活躍の機会に恵まれず厳しい状況に置かれてきたいわゆる就職氷河期世代への支援は、極めて重要であると認識しております。  県では、これまでも、ジョブカフェ信州において、就職を目指す若者に対しキャリアコンサルティングやセミナー、就業紹介などのサービスを一体的に提供しており、新年度は正社員チャレンジ事業に新たに就職氷河期世代優先枠を設けるなど、支援を強化してまいります。さらに、同世代の正規雇用化を促進させるため、労働局や経済団体、就労・福祉関係機関等と共同で設置するプラットフォームによる連携支援や、このたび国が補正予算で講ずることとしている各種支援策の活用も含め、官民が一体となった取組を推進してまいります。  以上でございます。       〔50番風間辰一君登壇〕 ◆50番(風間辰一 君)最後に、大学運営と次の時代を担う児童生徒の育成についてお伺いをいたします。  県内学生の定着と、未来を開く人材輩出を負った長野県立大学につきましては、平成24年2月に阿部知事が短期大学の4年制化を表明後、県議会といたしましても、長野県短期大学の4年制化に向けた懇談会を設置して検討を開始し、私もその会長を務めさせていただき、どのような大学にしていくのか、委員の皆さんと開学までに実に25回もの会議を開催し、県と二人三脚で精力的に検討を重ねてまいりました。平成25年6月の基本構想をもとに、様々な準備を経て、一昨年の4月に無事247名の学生を迎えて開催いたしました開学式のことは、昨日のことのように思い出されます。  開学後も、長野県立大学議員懇談会では、学生との懇談を実施し、学生の夢や大学への希望などを直接お聞きし、昨年の3月に、知事並びに安藤理事長宛てに提言書を提出いたしました。この提言書において、「新設大学として、既存の大学には真似のできない県立大学らしい質の高い教育を提供すること。」という文言に続き、「大学院設置に向けた十分な検討を行うこと。」を提言しております。  大学の基本構想の段階から深く関与してきた議員の一人として、県立大学の教育内容がさらに充実され、有為な人材が多数輩出されることを願ってやみません。県立大学開学から2年が経過し、初めて迎えた入学生が、卒業するまでの4年間の半分が経過したところであります。県立大学の立ち上がりをどのように捉えているのか。とりわけ、基本構想にも盛り込まれている特色ある質の高い教育が提供されていると考えているのか。知事の受け止めをお伺いいたします。  開学から6年間の大学運営の羅針盤とも言える大学の中期計画においても、「大学院については、設置に向けた具体的な計画を検討し、検討結果について県に提案する。」と記載されております。そこで、長野県立大学の大学院設置について現時点での検討状況はどのようになっているのか。その方針内容を県民文化部長にお伺いいたします。  以下、教育長に伺ってまいります。  高等学校は地域の将来を支える人材育成の要であります。高校再編については、時代のニーズと教育の質の向上を合わせた機能強化が必要であり、よりよい高校再編となるようしっかりと進めるべきであります。  高校再編・整備計画の確定は来年3月とされておりますが、他の計画に影響なく実施できるものについては今年の3月に再編・整備計画1次分として策定するとされております。これにはどのような内容を盛り込むことを予定しているのか。  先般、議員と高校生との意見交換会で、高校生の皆さんがしっかりとした意見、考え方を持っている姿に触れたところであり、教育関係者の御尽力に感謝するところであります。惜しむらくは、こうした高校生が県外の大学に進学するなどして一旦県外に出てしまうと、4割程度しか戻ってこないことであります。地元への愛着がUターン希望を左右すると指摘されており、子供たちが地域に誇りを持つプログラムが重要であります。これまで、信州学の取組などを進めてきたとのことでありますが、信州学は、いわゆる進学校では積極的に行われていないとも聞いております。若者が地元に戻って希望に応じた就職を実現できるようにするためには、中高生などの早い段階から、職業意識形成に資する支援や地元で暮らすことの魅力、地元優良企業に係る情報等を伝えていくことが重要と考えますが、令和2年度はどのような取組を予定しているのか。  今年4月から小学校においてプログラミング教育が必修となり、4年以内に小学校、中学校の全ての子供たちに1人1台のパソコンやタブレットなどのデジタル端末を配付することが総合経済対策にも盛り込まれております。我が県におけるICT教育の現状と今後の方針はどのようになっているのか。また、ICT活用を教育現場で指導できる人材をどのように確保していくのか。  ICT環境を十分に活用した授業の在り方について、有識者の意見を踏まえ、実践につなげていくとのことでありますが、ICTを活用できる人材育成を学力向上、人間力の向上にどう結びつけていくのかの視点も必要であります。ともすれば、デジタル学習機器の導入がネット上でのいじめなどの発端にもなりかねず、これからますます人としての道徳を持ち合わせなければならない環境と社会が到来し、Society5.0にあって、子供たちには、人と実際に向き合う付き合い方はおろか、顔の見えないネット上の大海においても真摯な対応が取れない人間に育っていただきたくはないと思うのであります。  黒板にチョーク、ノートに鉛筆の時代から、電子黒板にタブレットという時代に移り、今後は5Gの導入で行う指導の在り方も視野に入ってまいります。Society5.0を踏まえ、デジタル機器を活用し、どういった育成方針で子供たちを育てていくのか。まさに信州教育の質が問われる新たな時代を迎える令和にあって、新たな教育の姿をどのように考えるのか。以上、教育長に質問をし、2回目の質問とさせていただきます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、県立大学の現状への受け止めについて御質問をいただきました。  風間議員をはじめ県議会の皆様方には、大学の構想段階から、設立、そして現在に至るまで、大変な御理解、御支援を賜っておりますこと、改めて感謝申し上げたいと思います。  県立大学の安藤理事長、金田一学長はじめ教員スタッフの努力の下で、基本構想に掲げた所期の目的に沿って順調なスタートを切ってきているというふうに受け止めています。特に、教育内容につきましては、以下3点の特色のある質の高い教育を実現してきていただいているというふうに思っております。  1点目は、少人数教育であります。大学のレベルとしては非常にきめ細やかな教育を行っていただいているところでありまして、学長が学生一人一人と面談したり、あるいは1年次から少人数のゼミを行っていただいております。  また、2点目としては、1年次の全寮制であります。寮内で企業経営者等から話を聞く象山未来塾などの学修プログラムも実施されている中で、人間関係を形成する力も養われ、学生の評価も高いというふうに聞いております。  3点目は、2年次全員参加の海外プログラムであります。本年度第1期生が初めて参加をしたわけでありますけれども、参加した学生の視野が広がり、物事に臨む姿勢が明らかに変わってきているというふうにも伺っているところでございます。  グローバルな視野を持って地域にイノベーションを創出する人材を輩出する、そうした目的で開学したわけでございます。引き続き、長野県立大学においては、質の高い教育の実施にチャレンジしていってもらいたいというふうに考えておりますし、県としても今後とも必要な支援を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)私からは、長野県立大学の大学院設置の検討状況についてお答えを申し上げます。  県立大学におきましては、昨年10月、金田一学長を座長とした検討会議を設置し、さらに作業部会を設けて検討に着手しているところでございます。  御指摘のように、中期計画におきまして、令和2年度中に検討結果を県に報告するとされておりますので、大学において検討を加速化してまいります。現時点で大学から具体的な像は示されておりませんが、観点として4点、一つは、学部やソーシャル・イノベーション創出センターとの相乗効果を生み出す。二つ目として、Society5.0やSDGsなど世界の構造変化を踏まえる。三つ目として、グローバル化の中の地方創生へ貢献する。そして、人生100年時代に対応したリカレント教育の重要性といった4点を主な観点に検討を進めていると承知しております。  大学からの基本的な考え方や具体案を受けて、県といたしましても、主体性を持って大学とともに前向きに検討を行い、県議会の皆様に御相談を申し上げてまいりたいと考えております。どうぞ引き続き御指導、御支援を賜りますようお願いを申し上げます。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)次世代を担う児童生徒の育成について御質問をいただきました。  まず、高校の再編・整備計画1次分に盛り込む内容についてのお尋ねでございます。  地域での検討を踏まえて再編・整備計画を策定するために、旧通学区ごとに高校の将来像を考える地域の協議会を設置することとしたところでございますが、協議会は旧12通学区全てにおいて設置され、そのうち、既に議論を終え、県教育委員会に意見、提案が提出された地区は、旧第1通学区、旧第6通学区、旧第8通学区、旧第9通学区の4地区でございます。今年3月に公表する再編・整備計画1次分には、これらの意見、提案を踏まえ、この4地区の再編内容や今後の再編統合の進め方などを盛り込む予定でございます。「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針」でお示ししたとおり、変化の激しいこれからの時代を生き抜く子供たちにふさわしい学びの場の構築を進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、若者が地元に戻って希望に応じた就職を実現するための教育についてであります。  やはり重要なのは、子供たちが地域に愛着と誇りを持つプログラムが学校生活の中にきちんと位置づいていることだというふうに考えております。  高校生は、信州学として、総合的な探究の時間などにおいて地域の魅力や課題を発見し、探求し、地元企業も含めて様々な魅力ある大人たちと出会う学びに取り組んでおります。これは、地元企業への就職が多い高校はもちろんのこと、大学進学が多い高校においても、地域をフィールドにしてこうした取組を実践しているところであります。  今年度、こうした高校生の研究成果の全県的な交流会を試行したところでありますけれども、令和2年度は高校生学びのフォーラム長野として本格実施してまいりたいというふうに思っております。  また、令和2年度から、児童生徒の職場体験学習や生き方学習などを通した学びの記録をキャリア・パスポートとして取りまとめる取組を開始する予定でございます。キャリア・パスポートは、小、中、高と受け継ぎ、発展させるもので、地域で学んだ児童生徒が自己の変様、成長を実感し、将来の夢を育むことにつながる取組だというふうに考えております。  こうした取組を、学校間のみならず、家庭、地域とも共有しながら、職場体験学習やインターンシップ、地域振興局などと連携した企業説明会などを通して、児童生徒が多くの地元企業の活力と魅力に出会う場の拡充に今後とも努めてまいる所存でございます。  次に、ICT教育の現状と今後の方針及びICT活用を教育現場で指導できる人材の確保についてのお尋ねでございます。  現状のICT教育は、児童生徒が活用できるパソコン端末の台数が限られているため、1週間の授業の中で数時間の活用にとどまっている状況でありまして、ICT環境を十分に活用した授業が行われている段階には至っておりません。  ICT教育は、児童生徒の多様な学びや特別に支援が必要な児童生徒の学びなど、子供が置かれた状況に応じて最適化された学習の実現に極めて有効なツールであるというふうに考えております。国の示したGIGAスクール構想も、こうした有効性を前提として1人1台端末の導入を推進しているものだというふうに考えております。県立学校はもちろんのこと、市町村教育委員会においても、国のこうしたICT環境整備に向け、準備を進めているところであります。  また、人材の確保については、指導力のある教員を育成することが重要だというふうに考えております。そのため、大学や民間企業と連携してICT活用を推進する中核教員を育成したり、外部人材をICT支援員として学校現場へ派遣してOJTを推進したりするなど、実務能力の向上に努めているところであります。今後は、有識者による助言を受けながら、1人1台端末を活用した本格的なICT教育の時代を切り開いてまいりたいというふうに考えております。  最後に、Society5.0に向けた新たな教育の姿についてのお尋ねでございます。  革新的技術により世界の経済発展と社会課題の解決を同時に図ることがSociety5.0の目指すものであり、教育が重要な役割を担うものだというふうに考えております。これからの社会を創造していくには、児童生徒一人一人が、自分自身の幸せのみならず、自分の属するコミュニティー、あるいは広く社会全体の幸せや絆を定義し、追求していく力を育むことが大事だというふうに考えております。
     そのためには、デジタル技術を活用した教育を進める中で、情報活用能力だけでなく、感性や想像力、共感する力、自ら問いを立てる力といったAIでは代替できない人間の強みである力を育むことが重要だというふうに思っております。こうした力を育むためには、対面でのコラボレーション活動やコミュニティーでの協働体験、スポーツ活動などといったリアルに体験する学びも必須であるというふうに考えております。  信州教育の特質は、新しい文化や技術を積極的に取り入れる進取の気風を持ち、子供を大事に考えるところにあります。これまでの信州教育を土台として、Society5.0の社会の中で子供たちが幸福で充実した人生を送るための力を育む教育を目指してまいりたいというふうに考えております。       〔50番風間辰一君登壇〕 ◆50番(風間辰一 君)それぞれ御答弁をいただきました。  阿部知事以下執行部の皆様方におかれましては、この令和の大きな時代の分岐点において、進むべき選択を誤らず、必要な政策を鋭意進めていただきますことを強くお願いをいたしまして、自由民主党県議団の代表質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)この際、午後1時20分まで休憩いたします。         午後0時11分休憩          ──────────────────         午後1時20分開議 ○副議長(荒井武志 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  改革・創造みらい代表小島康晴議員。       〔36番小島康晴君登壇〕 ◆36番(小島康晴 君)改革・創造みらい、小島康晴でございます。会派を代表いたしまして質問いたします。  昭和36年6月、当時私は保育園の年長組でした。母が臨月だったためか、祖母が傘を持って保育園に迎えに来てくれて家に帰りましたが、その際、保育園の前の川があふれんばかりになっていたことが脳裏に焼きついています。いわゆる36災害、梅雨前線豪雨でありました。そんな子供の頃の怖かった記憶を思い出しても、先頃の台風第19号で被害に遭われた皆様の怖い思い、あるいは難儀をされたこと、察して余りあるものがございます。改めましてお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、復旧・復興に尽力していただいております全ての関係の皆様に敬意を表し、感謝申し上げます。  まず、台風第19号災害からの復旧・復興と危機管理対応について伺います。  私たち会派では、11月28日、知事に対しまして令和2年度予算編成と当面の課題に関する提案書を提出し、提言、要望等を行ったところです。以下、会派提言と申しますが、このうち、台風第19号関連で7項目の提言をいたしております。開会日の知事の提案説明でも災害について触れられておりますが、発災から4か月経過いたしました現時点で、まず知事は復旧・復興へ向けた県の組織としての取組の進捗状況をどのように捉えておられますか。総括的にお尋ねいたします。  今回の災害で県の施設が被災したことは誠に残念でありました。そこで、主に施設について復旧状況を伺います。  まず、「総合リハビリテーションセンターの改築については、県内全体のリハビリ機能を強化する観点から、立地や機能強化などを含め今後のあり方を再検討すること。」を会派提言しております。先ほど、本年度中には一定の方針を出すというようなお話がありましたけれども、当面、現在の総合リハビリテーションセンターの機能回復の現状について土屋健康福祉部長に伺います。  次に、クリーンピア千曲の機能回復の現状について伺います。  施設の復旧完了は令和3年度末、つまり約2年後とされておりますが、それまでの下水処理の対応はどのように行われるのか。高田環境部長に伺います。  会派提言では、「産業の復旧・復興については、国の支援を十分に活用しつつ積極的に支援すること。」を求めておりますが、被災した企業等へのグループ補助金について、13日の提案説明の時点では15グループ28者の申請を受け付けたとのことですが、順調に進んでいると受け止めてよろしいのでしょうか。一部対象外となるケースがあるとも聞いておりますが、地域や被災企業の状況に寄り添ったものとなっているのでしょうか。知事に伺います。  千曲川、犀川、天竜川のいわゆる「中抜け区間」を解消し、国による流域一貫管理を国に強く要請すること。また、「信濃川水系河川整備計画」については、今回の災害に対応する計画の策定と迅速な実施を国に強く要請することを会派提言いたしました。先般公表されました信濃川水系緊急治水対策プロジェクトの受け止め、先ほどは画期的な内容だというお話がございましたが、この評価と、これを踏まえた今後の県の取組について伺います。  県が管理する河川の内水対策や治水安全度の向上について、県民の皆さんが、どこに住んでいてもひとしく、安全、安心であるように県として統一的な考え方を明らかにする必要があると会派提言いたしましたが、現在の検討状況について長谷川建設部長に伺います。  聞くところによりますと、昨年の西日本豪雨の復旧事業で、災害査定をしてから1年たつのに技師が足りなくていまだ着手できていない事業もあるとのことでございます。今回の復旧・復興事業や3か年の国土強靱化緊急対策事業など県として多くの公共事業の発注、施工管理を抱えている中で、技術職員の人員体制は十分と言えるのでしょうか。若干心配しております。また、今後の職員確保の取組について関総務部長に伺います。  災害対応の振り返りについて、早急に取り組むものとして、台風の時期までに行うとされておりますけれども、先ほど言いましたような梅雨前線豪雨のような事例もあります。できるだけ早く行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、関係団体と県との連携協定のあるなしによって初動対応やその後の経費の公的支援の在り方等に違いがあるようなケースがあったということでございます。幅広い団体との協定締結に向けて早急な対応が必要と考えますが、以上、知事に伺います。  医療機関や介護福祉施設における災害発生時の避難や安全対策について様々な困難や御苦労があったと拝察するところですが、今回の災害によって明らかになった課題と、今後県としてどのような対応を考えているのか。知事に伺います。  また、長期に及ぶ停電や断水等を未然に防ぐため、県として重点的に取り組む施策は何か。また、ライフラインに係る安全対策を市町村と共同で推進すべきと考えますが、今後市町村とどのように協議をしていくのか伺います。特に、77人の市町村長の皆さんと日頃からいわゆる顔の見える関係、信頼関係の醸成が特に重要と考えていますが、知事のお考えを伺います。  被災者への支援の中で、災害救助法による生活必需品の支給を補完して家電製品の支給をしたことについて、取組としては大いに評価するところですが、この対象者は住民税非課税世帯あるいは生活保護の方に限定されました。住民税非課税世帯という基準を設けますと、そのわずかな収入、所得の差で対象から外れてしまうケースが想定されます。また、10月12日まで仕事をしたり営業したりしていて収入があり、災害があったにもかかわらず来年度も非課税世帯とならないケースも想定されます。何事も基準があるのはやむを得ないと思いますが、ぜひ本当に必要な方に支援の手を差し伸べることができるように、こういった規定の弾力的な解釈、運用等の工夫が必要と考えますが、知事のお考えを伺います。  さきの11月定例会において、県議会といたしまして、被災者生活再建支援法に基づく支援制度の拡充を決議したところです。この支援制度につきましては、発足当時から、個人の資産形成に公費を投ずるのはいかがなものかといった議論が付きまとってまいりました。確かに、自分の資産について、例えば損害保険に入るなど自助努力することも必要だとは思いますが、今回追加の提案がありました補正予算案の中に被災地域のコミュニティーを維持するための支援が計上されております。敬意を表するところですが、このように集落を維持するということに公的な価値があると思いますし、住宅再建が難しいため集落を離れざるを得ない方も出ていると伺っております。そんな意味で、集落維持の視点からも、改めて支援額300万円の上乗せや半壊等への対象の拡大など国や関係団体に強力に働きかけるべきと考えますが、知事のお考えを伺います。  先議案件となっております今回の補正予算案の中に約5,600万円の地籍調査事業補助金が盛られております。万が一災害になったときに土地の形も面積も所有者もよく分からないということでは始まりません。今回のような大きな災害対応を踏まえましても、地籍調査の一層の推進、強力な県の後押しが必要と考えますが、知事はこの地籍調査の現状をどのように捉えておるのでしょうか。私としては、ぜひ危機感をもって臨んでいただきたいと思いますが、お考えを伺いたいと思います。  次に、危機管理に関わって、CSF(豚コレラ、豚熱)について、知事はじめ関係各方面の働きかけによりまして昨年10月にワクチン接種に踏み切ったところです。しかし、引き続き野生イノシシの感染が続出しておりまして、なかなか安心できない状況でございます。その後の感染拡大防止に向けた県の取組状況について、加えて、さらに大きな損害が想定されますASF(アフリカ豚熱、アフリカ豚コレラ)発生防止に向けて現時点で考えられる対策はあるのか。山本農政部長に伺います。  新型コロナウイルス感染症につきまして、午前中も御質問、御答弁がありました。大変思いもよらない事態になっております。知事からは、県内経済に関わる課題について相談窓口を設けること、中国人の皆さんへの対応、ホストタウンの関係維持、県民の皆さんに正確な情報を提示して24時間相談窓口を設けること、さらには、病院の受入れ体制についても、指定病院以外でも幅広く対応して備えていきたいといったような御説明、御答弁がございました。率直に言いまして、この感染した患者さんが飯田市立病院に来るのかといった疑問も寄せられるところでございまして、改めて御答弁は求めませんが、県民の皆さんが安心して対応できるように、不安を払拭できるようにしっかりした対応をお願いしたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)19号災害からの復旧・復興、そして危機管理対応について順次お答えを申し上げたいと思います。  まず、台風19号災害からの復旧・復興に向けた取組の進捗状況という御質問でございます。  これまで、被災された方々にしっかり寄り添いながら、国の支援措置も最大限活用して、県組織一丸となって最善最速で復旧・復興に取り組むべく、頑張ってまいりました。  復旧・復興の取組には様々な面、様々なフェーズがあります。そういうことから、進捗状況が進んでいるとか遅れているとかなかなか一概に申し上げにくいわけでありますが、例えば、農地や公共の施設の復旧について申し上げれば、農地の土砂撤去は進展してきておりまして、長野市の堤内地ではおおむね5割完了。被災した公共土木施設及び農地、農業用施設合わせて約5,000か所等の災害査定が今月上旬までにおおむね終了ということで、進捗が図られてきております。今後は、市町村が行う事業を含めた工事の調整、農地や河川から搬出した土砂の処理、春からの営農再開に間に合わない農地への対応等にしっかり取り組んでいくということが必要だと考えております。  暮らしとなりわいの再建に向けてはこれからが正念場でございます。被災された方々に一日も早く日常の生活を取り戻していただくことができるよう、市町村はじめ関係機関と十分連携を図りながら全力で復旧・復興に取り組んでまいります。  続きまして、グループ補助金についての御質問でございます。  今回の災害で被災し、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業、いわゆるグループ補助金の対象となります中小・中堅企業は851者に及んでおりまして、現在、商工団体等と連携して補助金活用の前提となるグループづくりを進めているところでございます。2月14日現在で15のグループ、構成事業者約140者、被災事業者全体の約15%でありますが、この復興事業計画を認定したところでございます。そのうち、本年度内で事業完了を予定している28者から補助金の申請が提出されている段階でございます。  本制度は、事業者の復旧活動に併せて順次申請がなされるわけでありまして、本格的な提出は来年度になっていくというふうに受け止めております。商工会、商工会議所、金融機関、行政書士等と連携して着実な復旧・復興を後押ししていきたいと思っています。  なお、グループ補助金の運用につきましては、事業者の実情を踏まえ、制度上可能な範囲でできる限り要望にお応えしていきたいというふうに考えて取り組んでおります。しかし、一方で、対象が償却できる施設と設備に限られているという状況でございますので、被災事業者の皆様方には引き続き丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。  緊急治水対策プロジェクトの評価と県の取組についてという御質問でございます。  信濃川水系緊急治水対策プロジェクトにおきましては、長年の懸案でありました立ヶ花、戸狩の千曲川狭窄部の掘削が盛り込まれました。これは、長年国に対して要望してきたところでありまして、国と県が一緒に取り組む中で国に組み込んでもらったということで、大変画期的な中身になっているというふうに思っております。また、あわせて、市町村から御要望があります遊水地の設置や決壊した箇所等の堤防強化などを位置づけたところでありまして、千曲川の安全度向上のためにこのプロジェクトをしっかり推進していきたいというふうに考えております。引き続き国や市町村とも十分な連携を図りながら、できる限り早期に事業が進められるように取り組んでいきたいと思っております。  その際、雨水貯留施設の設置といった流域対策、あるいはハザードマップ作成などのソフト対策、こうしたものは市町村が主体となって取り組む内容が多いことから、関係部局が連携してサポートを行っていきたいというふうに思っております。おおむね5年間で今回と同様の災害が起きないようにしていくという方向性を関係の皆さんとしっかり共有して、地域住民の皆さんの御協力をいただく中でプロジェクトの進捗を図っていきたいと考えております。  災害対応の振り返りを早急に行うべきという御質問でございます。  私どもも、今回の災害を踏まえて、改善すべきところは速やかに改善しなければいけないということで取り組んできております。既に、令和2年度の当初予算の中でも、部局長による振り返りを踏まえて、浸水想定区域図の作成、災害時住民支え合いマップ等の作成支援、河川砂防情報ステーション等の機能強化、液体ミルクや屋内テントなどの備蓄品の充実、こうしたものについて、今回の災害を教訓にしながら、補正予算や当初予算に反映させて取り組んでいくことにしております。  また、これ以外の事項につきましても、今後、関係機関、市町村等と十分協議を行う中で、5月末、出水期までには具体的な対策を取りまとめることができるように検討を進めていきたいというふうに思っております。  また、各種団体との協定についてでございます。避難所への食料や生活必需品などの供給、仮設トイレといった資器材の調達など、関係団体との協定が有効に機能したものがたくさんあるというふうに思っております。今回の災害での対応をしっかりと振り返る中で、必要に応じて新しい協定の締結や既に締結している協定内容の見直し等を行っていきたいと考えております。  続きまして、医療機関や介護福祉施設における避難や安全対策についての課題と今後の対応という御質問でございます。  今回の災害で見えてきたテーマとしては、一つは実効性のある避難確保計画の作成、そしてもう一つが、他の施設への円滑な避難、この二つが大きな課題ではないかというふうに考えております。  まず、避難確保計画につきましては、これは各施設等が利用者の避難について計画を定めることになっているわけでありますけれども、県内の計画作成率は昨年の3月31日現在で34%という状況にとどまっておりまして、まだ作成されていない施設が多数あるという状況であります。また、作成済みの施設におきましても、今回の災害を見ますと、外部への避難が必要である場合や浸水で孤立してしまうような場合もありますので、今回の災害に鑑みたときに、実効性のある計画となっているか改めて点検をしていただくことが必要じゃないかというふうに思っております。  こうしたことから、昨年の12月に、施設等に対しまして、令和3年度末までに計画の作成、見直しを行うよう市町村を通じて要請をさせていただいているところでございます。引き続き、市町村とも連携して、実効性のある計画作成に向けた相談、助言を行っていきたいというふうに思っております。  また、今回の災害では、DMAT等が医療機関や介護施設の入所者を他の施設に搬送するケースが出ております。しかしながら、受入れ先の確保あるいは搬送方法、入所者情報の引継ぎ、こうしたことに関係者間の取決め等がないために調整に時間を要したケースがございます。今後、広域圏ごとに被災施設の利用者の受入れ先や搬送等、関係者間のルールづくりを行っていきたいというふうに考えております。こうしたことを通じて、介護福祉施設あるいは医療機関に入所されている方たちがより安心していただけるように取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、ライフラインに関連して、県として重点的に取り組む政策は何か、そして、市町村とどう協議していくのかという御質問でございます。  ライフラインの災害時の対応力を高めていくということは、県民の皆様方の暮らしを守る上で大変重要なことだというふうに考えております。  停電の防止対策につきましては、災害前から中部電力と連携して取り組んでまいりました。危険木を事前に伐採しようということで、今回の災害においても非常に効果が出ているものというふうに考えております。引き続き連携しながら取り組んでいきたいと考えております。  また、県の施設としては、流域下水道施設の対策をしっかり行う必要があるというふうに思っております。今回被災した千曲川流域下水道終末処理場につきましては、電源施設の防水対策により浸水対策を強化した上で、令和3年度までの復旧完了に優先的に取り組んでいきたいというふうに考えておりますし、また、他の流域下水道処理施設についても、浸水を想定した対策の検討を速やかに行っていきたいと考えております。  また、上水道でございますが、県営水道につきましては浸水対策あるいは耐震化の実施を進めていきたいと思っておりますし、市町村が行います地震、老朽化対策への補助も行っていきたいというふうに思っております。  市町村との協議、信頼関係の構築という御質問でございますが、市町村長の皆様方とは、日頃から様々な場面を通じて信頼関係を築かせていただいているところでございます。今回の19号災害に際しましても、10月12日から13日にかけまして、流域の被災規模が大きい市町村長の皆様方とは直接電話でお話をさせていただいて、県として必要な支援があるかどうか確認をしながら災害対応に取り組んできているところでございます。今後、市町村減災トップフォーラムの開催も予定しておりますので、引き続き市町村長はじめ市町村の皆様方としっかり協力をしながら防災・減災対策に取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、被災者の支援に関しまして、対象世帯の限定についての御質問でございます。これは、県が独自に行いました家電製品の支給に関しての御質問だというふうに受け止めております。  まず、災害救助法等被災者支援に当たりましては、基本的には所得にかかわらず支援が行われているところでございます。他方で、今回の災害におきましては、住家の床上浸水等で生活に必要とされる家財を失われた方々が大勢いらっしゃり、これまでの対応では支援策が全くないという状況でありましたので、災害の特殊性に鑑みまして、生活に不可欠でありながら災害救助法の対象とならない冷蔵庫や洗濯機、そして冬を迎えるに当たり寒さをしのぐために必要な暖房器具などの家電製品を支給する支援を本県として独自に実施することにさせていただきました。  この支援策を検討するに当たりましては、まず限られた予算をどう有効に活用するかという観点を考えました。また、支援が必要な方々を効果的に支援していく上で、実際に支給に当たって御協力いただかなければいけない被災市町村の御意見も聞かせていただきました。そうした検討の上で、今回、支援対象世帯については、住民税非課税世帯又は生活保護世帯のうち、災害により家電を失い、買い換えることが困難な世帯という形にさせていただいたところでございます。  一方で、こうやって対象世帯を限定することによって対象とならない方もいらっしゃるわけでありますので、こうした方については、事業者の方と県が調整をさせていただいて、被災者限定の特別の価格、定価より安い価格でこうした家電製品を御購入いただけるよう調整をした上でカタログを作成して配布し、御利用をいただいたところでございます。  いろいろな形態の災害があり、その時々に応じて必要とされる支援が異なってくる場合がございます。そうした際には、被災の状況等を踏まえて、市町村とも十分協議を行いながら柔軟に生活支援を行っていきたいというふうに考えております。  続きまして、国の被災者生活再建支援法に基づく支援制度の拡充についてという御質問でございます。  国の被災者生活再建支援制度には、私としては大きく二つ課題があると思っております。  一つは、支給対象が大規模半壊までに限られているということで、半壊世帯は信州被災者生活再建支援制度で市町村と一緒に補わせていただいているという認識であります。もう一点が、同一市町村で全壊10世帯以上という適用要件がありますことから、同じ災害でも適用される市町村と適用されない市町村が出てしまうと、こういう課題があるというふうに考えております。こうした課題につきましては、これまでも再三国に対し改善を求めてきているところでございます。引き続き全国知事会とも連携しながら国に対して強く改善を求めてまいりたいと考えております。  続きまして、地籍調査についてでございます。  本県の地籍調査の進捗率は平成30年度末で39%ということで、国全体の52%と比べますと遅れているという認識を持っております。このため、昨年度から補正予算を組みまして鋭意進捗を図らせていただいているところでございます。  今回の台風第19号災害を見た場合にも、災害からの迅速な復旧・復興、あるいは防災対策を円滑に進める上で、この地籍調査は大変重要だというふうに認識をしております。このため、今定例会の補正予算におきましても、浸水想定区域や土砂災害警戒区域などを含む地区の進捗を図るための事業費を提案させていただいているところでございます。  また、令和2年度からスタートする長野県第7次国土調査事業十箇年計画を現在策定中でございますけれども、砂防堰堤の整備など防災・減災事業の実施予定地域の地籍調査を優先する方向で検討を行っております。県土強靱化に向けて引き続き事業主体である市町村を応援していきたいと考えております。  以上です。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)総合リハビリテーションセンターの台風19号災害からの機能回復についてのお尋ねでございます。  県では、発災直後から被災状況の把握と計画的な復旧工事に取り組み、被災3日後には身体障害者手帳の発行などを行う更生相談室をセンターの2階部分に移して業務を再開し、また、電子カルテの応急復旧や暫定的な電源確保などによりまして11月中旬には被害を受けなかった病棟2階で外来診療を再開。被害が比較的軽度であった施設での復旧工事を進めまして、12月の末には一部の入所者などの受入れを再開するといった具合に段階的かつ可能な限り速やかな機能回復に努めてまいったところでございます。  今後についてでございますけれども、暖房や消防設備を復旧した上で、3月下旬には病棟での入院患者の受入れを再開する予定でございます。また、新年度早々には、MRIやCTなどの医療機器を稼働させ、手術機能を含め、全ての機能を回復させてまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)クリーンピア千曲の現状と対応についてのお尋ねでございます。  クリーンピア千曲につきましては、浸水により全ての施設が被災したことから、現在、仮設電源や仮設ポンプ等によりまして下水処理を行っております。  まずは、令和2年度末までに水処理機能を復旧させる予定でございます。現在までに5系列あるうちの2系列を仮復旧して、簡易的な生物処理を行っております。今後、仮設設備による下水処理を継続しつつ、ポンプ設備等の本復旧と並行いたしまして残る水処理系列について段階的に復旧させ、令和3年4月には本稼働となる予定でございます。また、電源設備や汚泥焼却施設等を含みます施設全体の復旧につきましては、令和3年度末までに完了するように取り組んでまいります。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)台風19号災害の復旧を含めた治水計画に関するお尋ねです。  まず、今回の信濃川水系緊急治水対策プロジェクトでは、おおむね5年をめどに、千曲川本川では大規模な浸水被害が発生した区間等において越水等による家屋部の浸水を防止する、支川においては家屋部の浸水を防止または軽減するという目標を設定し、対策を講じていくこととしております。  また、一般的に実施している治水対策においては、想定氾濫区域内の人口、資産の集積状況や、築堤か掘込かなどの河川の形状から判断する。危険性等を踏まえて、万が一越水した場合の社会的、経済的、人的影響の地域間バランスを考慮しつつ治水安全度及び計画流量を定めまして、20年から30年の間に対策を講じていくこととしております。さらに、内水対策については、床上浸水を発生させないことを目標として整備を進めているところであります。  このように、治水対策においては、保全対象への被害や影響度を尺度に、一定の目標、考え方の下で整備を行っているところでございます。今般の台風19号による豪雨は、年間降水量の約半分が2日間に集中するような異常降雨となりましたが、現在国においてこのような気候変動を踏まえた治水計画の在り方について検討が進められております。  今後、国の方針を注視しつつ、必要に応じて計画の見直しを行い、県内の河川の安全度向上に努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)技術職員の人員体制と職員確保の取組についてのお尋ねであります。  現在、台風第19号災害の復旧・復興対応はもちろんのこと、国土強靱化に係る道路、河川、農業施設等の事業の推進に向けて県を挙げて取り組んでいるところであります。  しかしながら、本県の技術職員のうち、土木、農業土木職については、近年、予定している採用者数を確保できていない状況にあります。このため、現在、他県からの職員応援や任期付職員の採用など様々な方策を講じ、災害への対応を行っているところであります。  今後もしっかりと社会資本整備を進めていくためには、県組織として技術力の維持が不可欠であり、職員の計画的、継続的な採用が重要であります。このため、今年度から、採用募集の年複数回実施や東京都内での受験会場の新設を行っておりますが、来年度からは、技術系の応募者が受験しやすいよう、従来の公務員型の教養試験を改め、多くの民間企業が利用する能力検査に変更することとしております。  これに加えて、今後、社会人経験者採用の資格要件の緩和を行うとともに、状況に応じ試験回数の増加や任期付職員の再度の募集なども行い、必要な職員確保を進めてまいりたいと考えております。  以上であります。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)CSF(豚熱)対策の取組状況及びASF(アフリカ豚熱)対策についてのお尋ねでございます。
     まず、CSFについてですが、飼養豚へのワクチン接種は、10月26日から1月末までに県内全域の約7万3,000頭への接種を行うとともに、現在、新たに生まれた豚への接種を継続しており、飼養豚の免疫付与率は現時点で96.2%となっております。  また、養豚農場においては、バイオセキュリティーレベルの向上に向け、野生イノシシの侵入防止用の防護柵や人、車両への消毒装置の設置を進めており、全ての農場で年度内に完了できるよう支援をしております。  さらに、野生イノシシによる感染拡大を防ぐため、ワクチンベルト計画等に基づき、昨年末までに県内45市町村の山林などへ約3万4,000個の経口ワクチンを散布し、その後、新たに野生イノシシの感染が確認された上田市、軽井沢町においても、今月、追加散布を行ったところであります。  ASFについては、国外からの侵入が懸念されており、有効なワクチンや治療方法がないことから、松本空港を含む国内の空港等の検疫体制の強化、徹底を引き続き国に求めるとともに、県としては、養豚農場における更衣室の設置支援などバイオセキュリティーレベルの一層の向上に向けて対策を講じてまいります。  以上でございます。       〔36番小島康晴君登壇〕 ◆36番(小島康晴 君)災害のあった後、最初の代表質問でございますので、少し立ち入って御質問させていただきました。引き続き市町村等としっかり連携していただいて復旧・復興に当たっていただきたいというふうに考えます。  一点だけ、説明不足だったかもしれませんが、何かの基準を設けるときに、基準は必要なんですが、住民税非課税というと、基本的には前の年の所得を基準にしているものですから、その年に収入があるかどうかではないということでありまして、先ほどの家電は一例ですけれども、災害以外の部分も含めて弾力的に運用していただくことを念頭において御検討いただきたいということをお願いしておきたいと思います。  5か年計画の折り返しの年度を迎えます。そこで、しあわせ信州創造プラン2.0の推進と予算編成に関わってお尋ねいたします。  まず、私どもの会派提言では、消費税10%導入後の状況把握を徹底して行い、非正規労働者対策や中小企業対策など、依然として厳しい状況が続く地域の雇用情勢や経済実態の改善に向け、低下が続いている実質賃金の底上げとともに、産業の育成策や企業誘致等、雇用と県税収入に好循環をもたらす「経済活性化対策」としての予算とすることと要望したところでありますが、開会日の提案説明で、知事は、県内経済について、「幾分ペースを鈍化させつつも緩やかに拡大しており、個人消費は、台風第19号や消費税率引上げの影響が見られるものの底堅く推移し、公共投資は持ち直しているとされています。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により中国経済に停滞の動きが見られるなど、県内経済の先行きについては予断を許しません。」とも示されました。  しかしながら、一昨日の内閣府の発表によりますと、10月から12月期のGDPは、年率にして6.3%減、5四半期ぶりにマイナスとの状況でございまして、これは容易ならざる事態と言わざるを得ないと考えます。  しあわせ信州創造プラン2.0の推進及び予算編成の前提として、消費税率引上げや米中摩擦の激化等による県民生活、県内経済への影響を知事はどのように受け止めておられ、対応していこうと考えておられるのか、伺います。  次に、「地方交付税制度の堅持をはじめ、地方財源の確保を国に強く働きかけること。特に、地方交付税算定にあたっては、条件不利地域等、地域の実情に配慮し、地方交付税の財源保障機能が損なわれないように働きかけること。また、特例的な措置である臨時財政対策債の廃止を図るとともに、これまで発行された臨時財政対策債の償還財源を確実に確保するよう求めること。」と会派提言したところでございます。災害対策を中心にした今回の国のいわゆる15か月予算及び新年度の地方財政計画、そして、臨時財政対策債の縮減等についての知事の受け止め、評価を伺います。  総務省が1月31日に公表しました外国人を含む2019年の人口移動報告によりますと、東京圏への転入超過は約14万9,000人で、一極集中が加速しており、長野県も4,306人の転出超過となっています。このように、とまらない、歯止めがかからない東京一極集中への基本的な認識と、1期目の県の創生総合戦略の評価について知事に伺います。  また、現状では、県の創生総合戦略はしあわせ信州創造プラン5か年計画に統合されているわけですが、今回、新たに国が2期目の総合戦略をつくる。これに合わせて県も改定作業をして2期目の創生戦略をまた別につくるのか。阿部知事に伺います。  県議会の全会一致の決議を受けました「気候非常事態宣言―2050ゼロカーボンへの決意―」については大いに敬意を表するところでございます。その趣旨は、新年度予算にどのように反映されているのでしょうか。各部局が予算要望をまとめた後にこの宣言がなされたために、間に合わなかったやにお聞きもしておりますが、この非常事態宣言や、関連してSDGsの趣旨は、県職員をはじめ県民の皆さんへの周知、浸透が肝要と考えますが、具体的にどのように取り組んでいかれますでしょうか。率直に言いまして、カーボンゼロって何とか、SDGsって何という声を聞くわけでございまして、知事の取組に対するお考えを伺いたいと思います。  続きまして、総合計画の六つの政策推進の基本方針について順次伺ってまいります。  まず一つ目の学びの県づくりについてです。  今年度閉学いたします県立短期大学は、約70年間の歴史がございます。この70年の歴史に対する県立短期大学の評価、それから、この評価を今後の4年制の新しい県立大学の在り方にどうつなげていくのか伺います。あわせて、知事は県立大学の現状と課題をどう捉えておられますか。まだ卒業生がおられない状況ではありますが、伺いたいと思います。県立大学をつくる中で、県内の高校卒業生の県外流出に一定の歯止めをかけるといった狙い、目標もあったかと思いますが、その辺も含めて知事の見解を伺いたいと思います。  今後の高校再編の検討の中では、地域の将来を担う人材を育成する地域高校の充実を図っていただきたいと考えております。少子化が進展する中で、特に、中山間地にあります地域高校は大変厳しい状況となっておりまして、今までどおり40人で1クラスという体制が困難になるということが想定されますし、現に起こってきております。小中学校と同様に35人学級体制などを検討し、定数の見直しについて国へ要望するなど具体的な取組にかかることが必要だと考えますけれども、教育長の考えを伺います。  これまでも議論がありましたように、高校の入試改革について取り組まれてまいりましたが、私は、ぜひ、中学生、中学校の先生、さらには関係の保護者、中学校の関係の地域の皆さんとよく論議を深めて進めていただきたいというふうに考えます。今回、2年間延長することになったわけですが、その後の考え方、今後の検討の方向性について教育長に伺います。  次に、産業の生産性が高い県づくりについて関連して伺います。  ものづくり長野の技術を生かしまして、この工業系の技術を農林業や福祉、介護の分野にも適用しましてスマート化や省力化を進めるような、いわゆる技術の地域内循環というものを促進していただきたいと考えます。結果として、そのことが働き方改革や若者の仕事の定着にもつながるのではないかと考えまして、知事のお考えを伺いたいと思います。  今後の成長が期待される分野の一つとして、航空宇宙産業の創出、集積へ向けて振興ビジョンをつくり、精力的に取り組んでいただいております。クラスター形成特区の区域も拡大したとのことでありますが、この航空産業について今後重点的に取り組む施策について産業労働部長に伺います。  先ほども氷河期世代というお話がありましたけれども、現在の大学生や現役の世代の皆さんには、給付型奨学金など、いってみれば返さなくてもいい奨学金ができたり、高等教育の無償化が進んでいるわけですが、現役の皆さんの少し上の世代、氷河期世代とも言われる皆さんにはそういう制度、仕組みがなかったわけでございまして、僅かな年齢の差で大きく均衡を欠いているというふうに考えております。これは、生まれたときの運が悪かったとか、そういうことでは済まないというふうに考えております。国のほうでも、ようやくその辺を考えていただきまして、3年間で600億円を投じて対策に乗り出して、職業訓練への支援や奨学金返済の支援などを打ち出しておられます。  また、骨太方針でも、この世代の正規雇用者を3年間で30万人増やすといったようなことが示されております。長野県におけるこの就職氷河期世代を含めた非正規雇用労働者への対策については、ぜひ正規化率をアップしていくように取り組んでいただきたいと思いますが、今後の取組について産業労働部長に伺います。  建設機械大手会社のコマツが石川県に本社機能を移したことにより、少子化対策にもなり、地域活性化にもなっていると聞いております。結婚する人が増えたり、子供の数が増えたり、あるいは地域の活動に積極的に社員の方が参加しているといったことでございます。こういった本社機能や研究開発部門の県内への誘致について、県もこれまでも積極的に取り組んでいると思いますが、現状と課題、今後の取組について産業労働部長に伺います。  万が一災害が発生したときの応急復旧工事や冬の除雪対応など、地元の建設業の皆さんに地域の安全、安心を守っていただいております。しかし、その維持存続はなかなか困難な状況になっております。これまでも提案してまいりましたけれども、地元の工事は地元の業者へということをぜひお願いしたい。例えば、コンクリートの既製品を県外から購入してきて工事を済ませると、結果として地元の生コンが使われないといったお話をお聞きしました。このことも含めて、地域の仕事は地域で、地域内循環を基本にして進めていっていただきたいというふうに考えますが、県の具体的な取組について建設部長に伺います。  人を引きつける快適な県づくりについて伺います。  残念ながら日本は棄権票を投じたということですが、農村社会を維持発展させていくために、小農の重要性を再認識し、その価値を高めることが都市の発展にもつながるとした国連の小農の権利宣言が一昨年11月に採択されました。これを踏まえまして、何回も申し上げておりますけれども、本県においても家族農業、小規模農業をしっかりと支え、特に家族農業を維持する一番の決め手は親元就農であるというふうに私は考えます。この支援の強化をぜひとも強めていただきたいと思うところですが、農政部長のお考えを伺います。  田園回帰の流れは脈々としておりまして、長野県にとっては大変なチャンスであると考えております。そのためにも、いわば入り口としてのつながり人口、関係人口の拡大は大変重要であり、この推進に向けて今後重点的に取り組む施策について企画振興部長に伺います。  2027年を目標年次とします長野県新総合交通ビジョンを2013年に策定いたしておりますが、その後数年たっておりまして、自動運転技術の進歩やドローン配達の技術、あるいは免許証の返納率の上昇といった交通を巡る様々な状況変化が起きております。これらを踏まえまして、この総合交通ビジョンについて、10年後を見据えて改定や見直しを行う考えはあるか。企画振興部長に伺います。  また、昨年8月に設立した信州地域デザインセンターについて、その現状と、特に今後の市街地活性化に向けた県の取組について建設部長に伺います。ぜひとも市街地活性化という重要な取組に県を挙げて取り組んでいただきたいという気持ちも添えて、お尋ねいたします。  いのちを守り育む県づくりについて伺います。  「厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループは、効率的で不足のない医療提供体制を構築するため、再編統合の議論が必要な医療機関として全国の病院名を公表した。その中には県内の公立・公的病院も含まれ、県民に不安が広がっている。地域の実情を十分に踏まえた地域医療構想の推進につながるように、県も積極的に支援すること。」と会派提言いたしました。知事も、今回の厚労省の公表のやり方などは拙速であると受け止めておられるようですが、改めまして、地域医療構想に基づく県内の病院の再編等につきまして県の基本的な考え方と今後の取組について知事に伺います。  選挙区が合区になりまして、今年から各町村の出初め式にもお招きいただくようになり、出初め式の後の懇談や懇親にも参加させていただいてまいりました。率直な感想といたしまして、私の思っていた以上に各村に若い消防団員の方がおられ、しっかり活躍されているということが分かり、力強く感じたところでございます。  「「消防団の活動に協力する事業所等を応援する県税の特例に関する条例」や「信州消防団応援ショップ事業」により、消防団員が得られるメリット等を、民間事業者と共に推進し、団員確保の支援を行うこと。」と会派提言しております。総合計画等の目標でも、2022年度、人口1,000人当たり17.2人という目標があるわけでございますが、こういった消防団の団員の確保について、そしてまた、今回の災害の対応を踏まえまして、消防団の装備の改善充実について一層の支援が必要と考えますが、今後の県の取組について危機管理部長に伺います。  香川県議会におきまして検討されておりますネット・ゲーム依存症対策条例案につきまして話題になっております。子供がゲームをする時間の目安とか終わりにする目安を条例で定めることの是非などが論議されております。こういったことを踏まえまして、最近の児童生徒のネット依存やネット被害の状況も踏まえて、その辺の見解について教育長に伺います。  また、これも何回かこの場で提案し、お願いをしてきたところでありますが、インターネット、SNSによります子供の性被害やいじめ、あるいは犯罪に近いような行為を防止するための対策についてですが、やはりそれぞれの市町村で取り組むには限界がございまして、県といった大きな立場で、しかも、警察や県民文化部、教育委員会といった部局を超えてしっかり取り組んでいただきたいということを改めてお願いいたしますが、知事の見解をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)しあわせ信州創造プラン2.0に関連しての御質問に順次お答え申し上げたいと思います。  まず、県内経済の状況の受け止めについての御質問であります。  米中貿易摩擦の影響等で、製造業においては受注が減少しているほか、非製造業でも、民間の建築需要の落ち込みや台風19号災害の影響などから業況の悪化が見られているものというふうに承知しております。  また、御質問にもありましたように、一昨日内閣府が発表した昨年10月から12月期の実質GDPは前期比年率6.3%減という状況でありますし、また、新型コロナウイルス感染症の流行による経済への影響も懸念されているところであります。県内経済の先行きは予断を許さない状況だということで、しっかりと注視していきたいと考えております。県としては、国の総合経済対策を最大限活用して、今回予算編成をさせていただきました。早期に実効性を上げることができるように速やかな執行に努めていきたいと考えております。  また、あわせまして、信州ITバレー構想によるIT産業の集積やスマート農林業の普及など県内産業のデジタルトランスフォーメーションの促進、さらには、航空機産業等成長期待分野に企業が参入する、あるいはそうした分野で発展していく上での支援、本県農産物のブランド力強化、こうしたことを通じて長野県産業の生産性の向上に引き続き力を入れてまいりたいと思っております。  続きまして、国の15か月予算と地方財政計画の評価についてという御質問でございます。  国の予算におきましては、まさに本県を襲った台風19号災害の対応に関する予算を非常にしっかり盛り込んでいただいているわけでありまして、大変ありがたい予算だというふうに思っております。  特に、グループ補助金は、県内の産業が立ち上がっていく上では大変重要なものだというふうに思っておりますし、また、特別交付税についても、県あるいは市町村が災害対応を進めていく上で大変貴重な一般財源だというふうに考えております。また、県立学校の校内無線LAN整備に対する補助金も含めて、未来への投資を進めようとしている本県の方向性とも合致している事業が多いというふうに考えており、今定例会に提案させていただいております補正予算案、当初予算案に最大限活用させていただいているところでございます。  地方財政計画につきましては、厳しい税収見通しの中ではありますが、地域間で偏在している法人事業税の一部を国税化していわゆる偏在是正措置を講ずるということで、人口減少が進行している地方に配分するための地域社会再生事業費が創設されました。また、緊急的に河川等のしゅんせつを進める緊急浚渫推進事業費も創設され、盛り込まれております。私どもとしては、こうした取組は大変ありがたいものというふうに思っておりますし、また、一般財源総額を増額確保する中で臨時財政対策債が抑制されていることに対しても一定の評価をするものでございます。  しかしながら、依然として、臨時と言いながら臨時ではない臨時財政対策債になってしまっているということも含めて、持続可能な地方財政の運営にとってはより抜本的な対応が必要ではないかというふうに思っております。引き続き国に対しては臨時財政対策債の廃止や地方交付税の法定率の引上げを含めた抜本的な対応を強く求めていきたいと考えております。  続きまして、東京一極集中への基本認識と県の1期目の地方創生総合戦略の評価という御質問でございます。  東京圏への過度な一極集中は、地方における社会、企業の担い手不足を招き、ひいては地方の活力を低下させていくものというふうに考えております。国全体で考えたときには、必ずしも望ましい状況ではないものというふうに考えております。また、首都直下地震など災害時のリスク管理という面でも多くの機能が一つの地域に集中し過ぎることは極めて問題が大きいのではないかというふうに思っております。  信州創生戦略についてでありますが、人口減少に歯止めをかけ、人口減少下においても地域の活力を維持向上させようということで取組を進めてまいりました。  一定の成果を上げているものとしては、例えば移住施策に関連しましては、市町村や官民一体となって施策を推進した結果として移住者数も着実に増えてきていると受け止めておりますし、また、県立大学の開学や県内大学の新しい学部の設置等へ支援を行うことによりまして県内大学の収容力も少しアップをしてきているなど、一定の成果を上げてきたものというふうに考えております。  しかしながら、若年層を中心として、依然として東京圏へ流出してしまっているという現状があります。こうした現状は我々も重く受け止めなければいけないというふうに思いますし、人口減少に歯止めをかけていく取組についてはしっかり進めなければいけないというふうに思っております。  特に、転出超過が大きい若い世代を本県としていかに引きつけ、定着させるか。あるいは、Uターン、Iターンしてもらう。そこに大きな課題があるものというふうに考えておりますので、そうした問題意識を全庁的に共有してしっかり取組を進めていきたいと考えております。  また、国の第2期総合戦略に併せて県のしあわせ信州創造プランを改定するのかという御質問でございますが、国の第2期総合戦略に新たに盛り込まれております関係人口の創出拡大、あるいはSociety5.0の推進、地方創生、SDGsの実現、こうしたことにつきましては、本県としては国を先取りする形でしあわせ信州創造プラン2.0の中に盛り込んでいるところでございます。このように、このプラン2.0は国の戦略と方向性が合致しているものでありますことから、改定をする必要がないというふうに考えております。  続きまして、気候非常事態宣言の新年度予算への反映についてという御質問でございます。  新年度予算案におきましては、この気候非常事態宣言の対応は全ての分野を網羅した予算とは必ずしもなっておりません。現在、気候危機突破方針(仮称)を策定中でございますので、その方針を踏まえて様々な対策の具体化に取り組んでいきたいと思っております。  しかしながら、待ったなしで取り組まなければいけない課題でございますので、現行の環境エネルギー戦略に基づく省エネルギーの推進、そして再生可能エネルギーの普及拡大について一層加速化していくための予算を盛り込ませていただいているところであります。また、学びとパートナーシップ、そして県としての率先実行、この三つの観点で2050年ゼロカーボンをスタートさせるための予算案とさせていただいているところでございます。  カーボンゼロって一体何だか分からないという方もいらっしゃるというお話でございまして、まさにそうした皆様方とも問題意識を共有して取組を進めていくということが大変重要だと思っております。そういう意味で、この「学び」ということを今回の予算でも重視して編成させていただきました。あらゆる世代が共に学ぶゼロカーボンミーティングの開催や信州環境カレッジの充実拡大、こうしたことを進めることによりまして多くの県民の皆様方と問題意識を共有していきたいと危機感を共有していきたいというふうに思っております。また、我々県職員自らも学ばなければいけないということで、専門家を招いた研修会の実施等を行っていきたいというふうに考えております。全ての県民の皆様方を巻き込みながら、協力し合ってこの気候危機をぜひ突破していきたいというふうに考えております。  続きまして、県立短期大学の評価と県立大学への継承、そして県立大学の課題等といった御質問でございます。  長野県短期大学は、昭和4年、全国6番目の公立女子専門学校として開校以来、本県の女子高等教育を牽引してまいりました。平成16年度からは男女共学の短期大学としてこれまで約1万5,000人もの有為な人材の輩出をしております。地域からの評価も高く、長年にわたり高等教育と地域の発展に大きな役割を果たしてきたものというふうに考えております。  新しい県立大学におきましても、この短期大学の優れた特徴であります少人数教育、あるいは個性を大切にする教育、こうしたものを継承して人材育成を進めますとともに、地域や経済界とのつながりを一層強め、中核的人材を輩出することができる役割を引き継いでいきたいと考えております。  また、新しい県立大学は、安藤理事長、そして金田一学長のリーダーシップの下、特色ある教育を推進し、着実なスタートを切っていただいているというふうに受け止めているところでございます。しかしながら、まだ開学して2年目という状況でもございますので、グローバルな視野を持ってイノベーションを起こすことができる人材、そして、県内企業等からも御評価をいただける人材を今後輩出していくことができるかという部分が課題だというふうに考えております。  また、御質問にありました県外からの入学生の増加についてでございますが、このことは、県外において県立大学が高く評価された結果というふうに受け止めております。しかしながら、一方で、より多くの県内の生徒たちが県立大学の入学を目指していただくということも重要だというふうに考えております。そのため、県内の高校訪問やオープンキャンパスを県立大学にはさらに積極的に行ってもらいたいというふうに考えておりますし、また、高校生や保護者、学校関係者にこうした取組を通じて県立大学の魅力等をしっかり伝えていくということが重要だというふうに思っています。引き続き県立大学が所期の目的をしっかり実現することができるように我々県としても協力しながら取組を進めていきたいと考えております。  続きまして、技術の地域内循環の促進という御質問でございます。  県内のものづくり産業の革新的技術が農林業あるいは福祉・介護分野など様々な分野のスマート化に貢献していくことは大変重要なことというふうに考えております。  そうした新たな事業展開を進めていくためには、人材育成、技術開発から販路開拓まで一貫したサポート体制を県をはじめとする公的機関が整えていくということが重要だというふうに考えております。そのため、今後、中小企業振興センターやテクノ財団、工業技術総合センターや発明協会の一体的配置やワンストップ化を進めていきますとともに、様々な支援機能の再構築、そしてそのために必要な人材の確保育成を進めていきたいと考えております。  また、本年度産学官で策定いたしましたITバレー構想の推進も重要だと考えております。IT人材やIT企業の集積を図りますとともに、県内の様々な産業と連携してデジタルトランスフォーメーションが促進されるような環境整備を進めていきたいと考えております。  続きまして、地域医療構想に基づく病院再編についての県の基本的な考え方、今後の取組という御質問でございます。  今後の人口減少や少子高齢社会の進展を見据えて、限られた医療資源を有効に活用していくということが重要になってきております。そのための医療機関の再編も含めた役割分担と連携を進めていくことが必要と考えております。  これまでも、地域医療構想調整会議において将来の医療提供体制の在り方を議論し、その上で医療機関の統合や回復期病床への機能転換などが進められているところでございます。しかしながら、将来の医療ニーズの見極めは必ずしも容易ではないという中で、圏域全体の統一的な方向性を見いだしにくい部分もございます。こうしたことから、来年度は、各地域での議論を促進していくために、医療需要の見込みに資するデータの提示や調整会議に併せて必要に応じて関係者が意見交換、情報共有できる場の設定、また、地域医療構想アドバイザーの派遣、こうしたことを行っていきたいと思っております。あわせて、県として、財政面の支援としては、病床機能の再編統合に伴います施設の整備等に対する支援の拡充を行っていきたいと考えております。こうしたことを通じて、地域の実情に応じた医療提供体制の構築を図ってまいります。  部局を超えた子供のインターネット対策を進めるべきという御質問でございます。  県としては、教育委員会、警察本部とも連携し、携帯電話事業者などの民間の皆様と一緒になって青少年インターネット適正利用推進協議会を平成27年度に立ち上げて、青少年の安全なインターネット利用の推進に取り組んできているところでございます。  また、今年度におきましては、青少年のネットの適正利用に関する地域連携の推進を目的とした内閣府主催のフォーラムを県と教育委員会、警察本部が共催で開催して各機関の取組を紹介しております。また、教育委員会のインターネットについてのアンケート調査を受けまして、県民文化部と警察本部で結果を共有して、児童生徒のスマートフォン等の利用上の指導について学校へ通知を行っております。このように、この問題に関しましては、県の関係部局が既に連携して取り組ませていただいております。  また、最近では、ネットゲームへの依存など子供の健康面での影響も注視されているところから、今後は協議会に健康福祉部も加わっていくことになっております。今後とも、子供のことを第一に考え、県の部局の枠を超えて協力して取り組んでいきたいと考えております。  私に対する御質問は以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、地域高校の充実に関わって、学級規模についてのお尋ねでございます。  生活集団と学習集団がほぼ一致している小中学校とは異なり、高校では学級等の生活集団と授業等の学習集団とは別に考えていく必要があるというふうに思っております。これまでも、生活集団は40人としつつ、学習集団としては、専門学科の実習等をはじめ、習熟度別学習や選択講座など学級とは別の少人数の集団を編成し、多様な学びを展開してきているところであります。  一方、生活集団としての少人数学級の在り方については、未来の学校構築事業の中で研究校を指定し、研究を進めているところでございます。なお、「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針」に掲げているとおり、学びの場の保障が必要な中山間地においては、魅力的な学びの場の創造に向けて、地域と協力した最大限の努力を行ってまいりたいというふうに考えております。  次に、新たな入学者選抜制度についてでありますが、入学者選抜制度の検討については昨年9月に第2次案を公表し、県議会をはじめ多くの皆様から様々な意見をいただいたところであります。そうした御意見を踏まえ、検討事項を整理し、今後の対応方針を本年1月に策定いたしました。  導入時期については、移行期間中も含め、新学習指導要領の趣旨にのっとった内容で学ぶ現中学校1年生からとしてきたところでありますけれども、授業改善及び中学校における学習評価が全ての学校で着実に実施されるためには一定程度の期間が必要であると判断し、新学習指導要領で中学校3年間を学ぶ現小学校5年生が受験する令和6年度選抜から新たな制度を導入するとしたところでございます。  今後、対応方針に基づきまして、制度の具体的内容の提示、不登校生徒への配慮内容の検討、学校現場における負担軽減の方法の研究等の課題について検討を重ね、本年9月を目途に新たな選抜制度の内容を公表し、令和2年度末に新制度を決定したいと考えているところでございます。  それから、香川県議会で検討されているネット・ゲーム依存症対策条例案について、最近の児童生徒のネット依存やネット被害の状況を踏まえた見解というお尋ねでございます。  県教育委員会が令和元年度に実施したアンケート調査によりますと、学校の授業以外でインターネットを利用していると回答した者のうち、自分にネット依存の傾向があるとした小学生は5.0%、中学生は18.3%、高校生は34.4%でございました。また、機器の使い方について、家庭学習の時間が短くなった、睡眠時間が短くなったといった影響が出ていることがアンケートからもうかがえるところでございます。  香川県議会においてネット・ゲーム依存症対策として利用時間を制限すること等を盛り込んだ条例の制定を検討していることは承知しております。条例制定の是非については様々な議論があるところでありますが、いずれにせよ、スマートフォン等が既に子供たちの極めて身近なツールとなっていることを前提として考えると、子供たち自らが利用時間を設定するなど主体的にルールづくりをする力を育んでいくことが重要だというふうに思っております。  ネットゲームを含むネットへの依存については、健康被害が指摘されていることからも、健康福祉部や県民文化部、県警等と連携し、啓発等の取組を推進するとともに、子供たちと保護者が共に利用について考えることができるよう、学校だけでなく、市町村、民間団体等と連携した取組を行ってまいりたいというふうに考えております。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)3点、順次お答えいたします。  まず、航空宇宙産業で今後重点的に取り組む施策についてでございます。  平成28年5月に策定した県航空機産業振興ビジョンに基づく特区指定の拡大などによりまして、航空機部品などを製造する企業の数は、ビジョン策定時の40社から、昨年3月には75社まで拡大してきました。しかし、参入企業の多くが部品供給にとどまっていることから、例えば、航空機の制御機能や通信機能などのより付加価値の高いシステム分野への参入を促すことが重要と認識しております。  そこで、新年度は、アジアの航空機システム拠点の形成を目指す「エス・バード」を中心に、JAXAの協力も得ながら、産学官連携による業務用無人機のシステムの調査研究を進め、令和3年度には国の資金などを活用して開発と実証試験にも取り組みたいと考えております。  次に、就職氷河期世代を含めた非正規雇用労働者への対策についてでございます。  非正規雇用の中には、不本意ながらその状態を繰り返しておられる方がいらっしゃることや、正規雇用と非正規雇用とで待遇に差があることなどの課題があると認識しておりますし、殊に、不合理な待遇差については法改正により禁止されることとなっております。県としては、こうした動きも踏まえながら、アドバイザーによる企業訪問において非正規社員の処遇改善等に向けたアドバイス等を実施しております。  また、正規化の促進については、ジョブカフェ信州の正社員チャレンジ事業において職場実習支援などを実施しており、新年度は新たに就職氷河期世代に優先枠を設けるなど、支援を強化してまいります。  最後に、本社機能や研究開発部門の県内誘致に関する現状と課題、今後の取組方針についてでございます。  平成27年に、国は、地方への人の流れを生み出すため、地方拠点強化税制として本社機能移転等に対する課税特例制度等を設け、これに併せて、本県は、小規模移転等を対象に本社等移転促進助成金を創設し、誘致活動を進めてまいりました。これまでの実績は、地方拠点強化税制の認定が夏目光学株式会社の研究所拡充など5件、県独自の助成制度の活用が本多通信工業株式会社の県内移転等7件、合計12件となっております。  一方、誘致の課題といたしましては、経営、研究開発を支える新卒者を含めた高度人材の獲得や、従業員子弟の大学進学のほか、サプライチェーンの再構築などの問題があるとの指摘を受けているところであります。
     今後は、こうした課題を踏まえ、プロフェッショナル人材戦略拠点によるサポートの強化、UIJターンの促進、自然環境や暮らしやすさなど本県のポテンシャルを踏まえた移住施策との連携に加え、企業間取引の再構築に向けたマッチング支援の強化などにより本社機能等の移転促進に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)2点お答え申し上げます。  まず、地元の建設業の維持存続に対する県の具体的な取組についてのお尋ねでございます。  議員御指摘の「地元の工事は地元の業者へ」につきましては、平時の入札公告では、原則、県内企業のみを入札参加要件として設定するとともに、総合評価落札方式で地元企業を加点評価するなどの取組を行っております。また、生コンクリート等の建設資材の地産地消については、工事発注時の仕様書に県内産資材を優先して活用することを規定し、県内経済の活性化にも配慮しているところでございます。さらに、建設業が地元で維持存続していくためには経営基盤の安定化を図る必要があり、地域間で著しく偏った事業量とならないようバランスの取れた予算配分に努めているほか、建設業への就業促進についても県として必要な支援を実施してきているところです。  今後とも、地域を支える建設業検討会議等の場において受発注者間で意見交換を行いながら、建設業の健全な発展に向け様々な取組を実施してまいります。  次に、信州地域デザインセンターの現状と市街地活性化についてのお尋ねです。  信州地域デザインセンター、UDC信州では、市町村からの御相談を受けて、まずは検討の進め方や体制づくりについて助言し、次に課題の整理やビジョンの作成、まちづくり資源の掘り起こしなどをサポートし、さらに専門家や事業手法、ビジネスモデルの紹介などを実施してまいります。  昨年8月の開設以降、現時点までに25の市町村からまちづくりに関する多くの相談が寄せられており、各地域でのまちづくりを本格的に始動するため、まずは検討の体制づくりに向けた調整を行っております。  市街地の活性化につきましては、これまで、市町村が主体となる中心市街地活性化計画や立地適正化計画の策定を県として支援してきたところですが、UDC信州に寄せられる相談の中にも、中心商店街の活性化などの課題が多くございます。  今後の中心市街地活性化に向けては、従来からのマスタープラン的なアプローチと、UDC信州などによるまちを起点としたアプローチの両面から市町村と協働して積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)家族農業や親元就農への支援についてのお尋ねでございます。  家族農業は農業経営体の9割以上を占めており、農業生産のみならず、農村コミュニティーの維持や農村の活性化に大変重要であることから、県としましては、これまでも家族農業への支援に努めてきたところであります。  具体的には、農業改良普及センターによる技術支援に加えまして、3戸以上の農家がまとまった場合には、小規模な経営面積であっても、機械、施設の整備に対して補助する県単独事業などにより支援を行っているところであります。  また、親元就農に対しましても、県独自の支援策としまして、長野県農業担い手育成基金を通じ、1人30万円を上限に助成する制度を昨年度新たに創設したところでありまして、これまで52名の方に対して支援を行ってきております。  家族農業、小規模農業などへの支援の強化につきましては、現在、国が見直しを進めている次期食料農業農村基本計画においても検討が行われておりまして、県としましては、国の動向を注視しながら引き続き支援を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)二つ御質問いただきました。  まず、つながり人口拡大に向け、今後重点的に取り組む施策についてです。  短期的な交流でもなく、また長期的な移住でもなく、地域や住民と多様な形で継続的に関わるつながり人口、この拡大を図っていくために、二つの視点で重点的に取組を進めていきたいと考えております。  一つ目は、従来からあります地域の活性化のための担い手確保とこれに向けた取組です。昨年度から、意欲や様々なノウハウを持つ都市部の人材を地域とつなげ、地域の課題解決に一緒に取り組む「信州つなぐラボ」を実施しております。これを実施地域に根づかせるとともに、こういった取組をさらに県内各地に広げていきたいと考えております。  二つ目は、働く場としての信州といった仕事に着目した取組です。働き方改革に向け、仕事と休暇を併せて行います信州リゾートテレワークの普及や、自らの能力を地方で生かしたいと考える都市部の人材を、兼業、副業という形で県内企業へつなぐ取組などを進めてまいりたいと考えております。  これらにあわせ、情報発信等を一元的に行うポータルサイトの構築や、市町村、事業者等と連携した受入れ体制の整備にも取り組んでまいりたいと考えております。  次に、長野県新総合交通ビジョンの改定や見直しを行う考えがあるかという御質問ですけれども、自動運転やドローン等の新技術は、社会実装に向けた取組が各地で進められておりまして、今後地域交通システムの一端を担う新たなツールとして活用が期待されております。また、県内においても、今年度、南佐久地域におきましてAIを活用したデマンド交通システムの実証実験等を進めております。  こうした手段等の変化はあっても、交通ビジョンに掲げます目的や目指す将来像、一つとしては安全、安心で持続可能な交通サービスの実現、二つ目に県内各地を円滑に移動できる交通ネットワークの実現、三つ目として高速交通網を最大限に活用した交流拡大の実現、こういった将来像は変わることはないと考えております。したがって、新技術等による新たなツールも有効に活用しながら、引き続きビジョンの実現を目指して取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)消防団の団員確保や災害対応を踏まえた装備充実への支援に関する県の取組に関する御質問でございます。  消防団は、今回の災害においても住民の救助や避難誘導など各地において御活躍をいただきまして、地域防災力の中核として欠くことのできない存在でございます。県といたしましては、被雇用者団員が8割を超えることから、消防団活動協力事業所応援減税や入札参加資格での加点など、消防団活動に理解のある事業所に対しまして優遇措置を引き続き講じ、活動環境を整え、ひいては団員確保につなげるとともに、女性や学生など幅広い層を対象に加入促進に取り組んでまいります。  また、消防庁は、今回の災害を受け、消防団設備整備費補助金の対象を見直し、新たに発電機や排水ポンプ、救助用ボートといった資機材を対象とするとともに、令和2年度の新規事業として救助用資機材の無償貸付けを行うこととしております。県といたしましては、県内市町村にこれら新たな制度内容を周知するとともに、今回の災害を踏まえた装備等の充実を図るため、その活用を働きかけてまいりたいというふうに考えております。       〔36番小島康晴君登壇〕 ◆36番(小島康晴 君)誰にでも居場所と出番がある県づくりについて関連して伺います。  昨年会派として視察をお願いしました下伊那郡のある社会福祉法人は、35年ほど前、知的障害のお子さんを持つ保護者の皆さんが共同作業所をつくろうとしたのがきっかけで、その後、20年前にはその組織を法人化し、今では就労継続支援B型をはじめ様々な業務拡大をされて、従業員130名を抱えるような大きな福祉の組織に発展しておられます。現在のように法整備がされていない時代からの関係の皆さんのそこまでに至る御苦労はいかばかりかと思うわけですが、誰にでも居場所と出番があるという表現は大変すばらしいことですけれども、その実現は並大抵ではないというふうに感じるところでございます。  障害を持った方が子供のときからお年寄りになるまで生涯安心して地域で暮らせるように縦割りでない総合的な支援策が必要であり、現在検討されている長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)も、ぜひ障害者やその御家族、それぞれの地域の実情に合ったものにしていただきたいと考えるところであります。  私の記憶に間違いがなければ、知事は、最初の選挙のときの公約で、障害のある人もない人も共に安心して暮らせる条例の制定とうたわれていたと思いますが、この共生社会づくり条例策定に向けて、知事のお考えをお尋ねしたいと思います。  次に、自治の力みなぎる県づくりについて関連して伺います。  地域の個性を生かした特色ある地域づくりに向けて地域振興局への一層の人材や財源の配分が必要と考えております。これで3年間たちましたが、私としては、地域振興推進費や元気づくり支援金の増額、充実を再三求めてまいりましたが、その辺の在り方について知事に伺いたいと思います。  例えば、4月、5月に桜のイベントなどをやろうとするときに、元気づくり支援金の現在のスケジュールの中では申請しても対象になりづらいというようなことも聞いております。そんなことも含めて、地域の実情に合った元気づくり支援金、それを支える地域振興局の体制の強化、そういった点について知事に伺いたいと思います。  それから、3年前のこの代表質問で小さな拠点や地域運営組織の取組について伺ったところですが、その後3年たちましたので、その状況について企画振興部長に伺います。  ふるさと回帰とか田園回帰と言われておりますけれども、やはりそれぞれの集落がしっかりしていてこそIターンやUターンの方を温かく迎えることができると考えます。先日も、市内のある地区の新年行事に参加いたしまして、その地区にあまり縁のなかった多くのIターン、Jターンの方が自治会や公民館の役員を引き受けて、一緒になって頑張っておられる姿を拝見いたしました。この間の取組によりまして移住が増えたりして、この地域や村の人口の2割、3割が移住者、Iターン、Jターン者だというような状況も出ております。そんな方を含めて地域の活性化を進めていくためには、その地域の基本となる集落、町場では町内会、そういった単位から地域自治を再構築していくことが必要ではないでしょうか。持続可能な地域づくりに向けて自治組織の活性化は欠かせないというふうに考えますが、知事はどのような姿を目指しておられるのか、伺います。  次に、リニアバレー構想に関わってお尋ねいたします。  しあわせ信州創造プラン2.0では、地域編、地域計画が前回に増して重要視され、策定されました。私どもの飯田・下伊那では、伝統と最先端が響き合う「リニア新時代」のフロンティアを目指して取組が進められております。  年が変わりまして、リニアの開業までいよいよあと7年ということになってまいりました。各地域でリニア工事のつち音も高まっておりまして、いわば秒読み段階となっておるところでございます。そこで、リニアバレー構想の進捗状況と現状の課題について、知事は伊那谷自治体会議の座長でもありますので、総体的に見てどのように認識しておられるか伺いたいと思います。  それから、これもやはり3年前に代表質問でお尋ねしましたけれども、こういったリニア中央新幹線の効果を全県へ波及させるための取組として、中央東線をはじめとした在来線や信州まつもと空港との連携の仕組みづくりを、7年後と言わずに今から検討を進めていく必要があると考えますが、企画振興部長のお考えをお尋ねいたします。  次に、公文書管理条例が提案されておりますので、関連してお尋ねしたいと思います。  現在と将来の県民の皆さんのために県の意思決定過程をしっかり残しておくことは大切なことであります。したがって、公文書管理条例を制定することは大変意義あるものと考えておりますが、この条例を実効あるものにするためには、まずは県職員の皆さんの文書や仕事そのものに対する意識改革をすることが肝要ではないかと考えます。今後の具体的な取組について伺いたいと思いますし、最近、アーキビストということが言われておりまして、適正な公文書管理に向けまして、この専門職でありますアーキビストの導入について検討してはいかがかと考えますが、総務部長のお考えをお聞きいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)についての御質問をいただきました。  誰にでも居場所と出番のある長野県をつくっていく上で、この共生社会づくり条例は極めて重要だというふうに思っております。これまで、障害当事者の方や支援団体の方にも加わっていただいている社会福祉審議会の障がい者権利擁護専門分科会で検討を重ねてきているところでありまして、検討に当たりましては、障害者団体からの意見聴取、県民との意見交換会の実施、県政モニターアンケートの実施等丁寧な検討を重ねてきているところでございます。  先日、私も障害者団体の方々と懇談をさせていただき、直接御意見をお伺いいたしました。その際には、実効性のある条例の制定や総合的な対策の必要性ということを御要望いただいたところでございます。  私としても、条例はまず議会の御審議に耐えられるものにしなければいけないというふうに思うのと同時に、制定された暁には、単に条文が並んでいるだけではなく、実効性がある、それによって社会が本当に動いていくというようなものにならなければいけないというふうに思っております。そうした観点で、現在、健康福祉部だけでなく、各部局に対して、この条例制定後、それぞれ必要な取組を検討させているところであります。  先般も、庁内の部局長を集めてこの共生社会づくりに向けた問題意識を共有させていただくと同時に、共生社会づくりに向け、例えば教育の在り方であったり、災害時の対応であったり、それぞれの部局で具体的な取組を検討するよう指示させていただいているところでございます。実効性があり、障害者の方々からも評価いただけるような条例となるように今後ともしっかりと取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、地域振興局の人材や財源配分の在り方についての御質問でございます。  地域振興局は、地域の課題を地域で解決するために、現場の最前線で責任を持って地域課題に向き合う現地機関という趣旨で設置いたしました。組織体制の面では、他の現地機関と一体となって地域の課題解決や活性化に取り組むことができるよう局長の権限を強化するとともに、企画振興課を設置して体制も増員いたしました。また、財源の面では、局長がリーダーシップを発揮して執行することができる一体的な予算として、元気づくり支援金に加えて地域振興推進費を創設したところであります。  また、日頃から地域振興局と本庁部局が地域課題を共有し、また、予算編成に当たっても、局長からの地域の目線に立った施策提案を反映させるなど、地域の意向を県政運営にしっかり取り込めるよう様々な取組を進めてまいりました。  また、この4月には現地の組織を強化することを予定しております。一つは、南信州地域振興局にリニア活用・企画振興課を設置して、体制もリニアバレー構想の具体化に取り組むという形で強化し、人員も増やしていきたいというふうに考えております。  また、地域農業や中山間地域が抱える課題に迅速、的確に対応するため、地域振興局の農政課と農業改良普及センターを統合して、地域振興局に農業農村支援センターを設置する予定にしております。こうしたことを通じて、さらに地域振興局の体制を強化してまいります。人員や予算に限りがある中ではございますけれども、地域振興局が地域から信頼され、そして地域の皆さんの期待に応えられる組織となるように今後とも取り組んでまいります。  続きまして、持続可能な地域づくりの目指す姿はどういう姿を考えているのかという御質問でございます。  それぞれの地域独自の歴史や文化、風土がございますので、一律にこうとはなかなか決められない部分がありますが、長野県としても学びと自治を政策推進のエンジンに位置づけて取り組んでおりますように、やはり、地域の皆さんが主体的に学びながら、様々な主体と協働して自らが行動していく、地域課題の解決に取り組んでいく、そうしたことが極めて重要だというふうに考えております。  本県におきましては、自治組織や公民館活動を通じて学びと自治の精神が脈々と受け継がれているわけでありますし、今回の災害におきましても、自治組織の活躍、消防団員の活躍により救われた命もあるわけでありまして、私としても改めてその重要性を認識しているところでございます。  こうした地域コミュニティーの力が災害時も含め様々な場面で発揮されることができるよう、コミュニティーの維持あるいは地域防災力の向上に向けた取組を県としてもしっかり進めていきたいというふうに思いますし、様々な地域の活動を県としても応援していきたいと考えております。  リニアバレー構想について御質問いただきました。進捗状況と現状認識でございます。  リニアバレー構想につきましては、リニア開業を見据えた様々な取組を掲げているところでありまして、分野によって進展に少し差があるというふうに思っております。  着実に進展が見られるものとしては、例えば、産業の分野では、航空宇宙産業クラスター形成に向けて「エス・バード」等の体制整備が着実に進んでいるところでありますし、また、環境の保全、活用という観点では、中央アルプスの国定公園化もしっかり進んでいるところでございます。また、長野県駅の周辺整備については、飯田市において基本設計を終えていただいているところでありますし、また、関連道路の整備につきましては、長野県駅と座光寺スマートインターチェンジを結ぶアクセス道路の事業化等着実な進捗を図っているところでございます。  しかしながら、他方で、広域観光の推進や広域二次交通網の整備、地域を担う人材の育成、こうしたことにつきましては、地域の皆様方の考えを中心にしながら具体化を進める必要があるわけでありまして、2027年の開業に向けてさらに検討、具体化の加速化を図っていくことが必要というふうに考えております。  こうしたことから、昨年9月の伊那谷自治体会議におきましては、リニアバレー構想を実現するための官民一体となった行動方針をリニアバレー構想実現プラン(仮称)として作成することといたしております。官民協力し合って、伊那谷をどういう地域にしたいのか、問題意識、取組の方向性を共有しながらリニアバレー構想を着実に進められるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)2点御質問をいただきました。  まず小さな拠点、それから地域運営組織の3年前と比べての現状についてということですけれども、小さな拠点は、3年前は38か所だったものが現在は65か所、また、地域運営組織は、134団体であったものが202団体ということでありまして、小さな拠点についてはしあわせ信州創造プラン2.0に掲げる目標値を上回っております。  昨年、事例集を作成いたしました。ここでは、豊丘村で平成30年に道の駅「南信州とよおかマルシェ」を核としてコミュニティービジネスを展開するという拠点が設置されておりまして、こうした先進的な取組を分析して紹介するなど市町村に有益な情報を提供するとともに、必要な助言などを行いまして、小さな拠点の形成などを支援してまいりたいというふうに考えております。  それから、リニアの効果を全県波及させていくための仕組みづくりということですけれども、先ほども説明しました新総合交通ビジョンにおきまして、リニア中央新幹線を含みます様々な高速交通網の整備効果を最大限に生かし、交流を拡大させ、本県のさらなる発展につなげていくため、本州中央部広域交流圏の構築を目指すことにしております。  この構想の実現に向けまして、例えば、リニア長野県駅へのアクセス強化の一環として、JR飯田線との接続など在来線とのアクセス機能の確保に向けましては、伊那谷自治体会議における議論等も踏まえまして、飯田市が主体となってJR東海との協議及び技術的な調査を進めていると承知しております。  また、空の玄関口であります信州まつもと空港におきましても、国内外との交流拡大を図るため利用促進策を様々やっておりますほか、航空機能の強化にも積極的に取り組んでいるところでございます。  整備が進んでおります道路ネットワークを含めまして、高速交通網のさらなる充実とこれらの接続、連携によりましてリニアの整備効果を広く全県に波及できるよう本州中央部広域交流圏の構築等に部局連携で引き続き取り組んでまいりたいと考えています。  以上です。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)公文書管理条例に合わせた職員の意識改革とアーキビストの導入についてのお尋ねであります。  職員の意識改革は、昨年の3月に取りまとめをしました公文書管理の見直しの基本的方向性において柱の一つに位置づけをしておりまして、条例案の第32条におきましても、職員の責務及び職員に対する研修について具体的に規定をしているところであります。  この規定に沿って職員が責任を自覚し、適正な公文書管理を行えるよう、条例の本施行を予定している令和4年度を待たず、来年度から公文書の作成力を向上させる研修を実施するなど、職員の意識改革に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。  また、アーキビストにつきましては、現在国において認証制度の創設に向けた検討が進められていると承知しておりまして、この動向を注視しつつ、専門性を身につけた職員の確保について検討してまいりたいと考えております。  以上であります。       〔36番小島康晴君登壇〕 ◆36番(小島康晴 君)今回、私としては3回目の代表質問ということでございまして、会派で議論を重ねて取りまとめました政策提言と、議会で議決しました総合5か年計画・しあわせ信州創造プラン2.0の六つの基本方針に少しこだわって質問させていただきました。  災害からの復旧・復興に向けてビルド・バック・ベターということが言われております。ビルド・バック・ベターというと思い出されるのは、3年前、当時の天皇皇后両陛下に飯田のリンゴ並木を御訪問いただきまして、その後、昭和20年代という戦後間もない時期に、災害復興を機に前よりさらに良いものを作るという近年でいうビルド・バック・ベターが既に実行されていることを知りましたとお話しいただきました。災害復旧・復興にとどまらず、県政の様々な分野でビルド・バック・ベター、前よりもよくなるということがしっかり政策展開され、仕事が進められるように御期待申し上げまして、一切の質問を終わります。 ○副議長(荒井武志 君)この際、15分間休憩いたします。         午後3時14分休憩          ──────────────────         午後3時30分開議 ○議長(清沢英男 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  県民クラブ・公明代表諏訪光昭議員。       〔40番諏訪光昭君登壇〕 ◆40番(諏訪光昭 君)県民クラブ・公明を代表して、10年目を迎えました阿部県政に質問いたします。  阿部知事は、就任当時から、「県民の暮らしをしっかりと支える」を念頭に、県政運営、その構築に向け、自ら県内各地はもとより様々な現場にも足を運んで、県民をはじめ各方面での対話を大切にした姿勢で臨んでおります。  子供や若者が希望を持って暮らせる県土づくり、年を取っても安全、安心して暮らせる県土づくりに取り組むため、未来の信州を五つの姿で表した県の総合5か年計画・しあわせ信州創造プラン「確かな暮らしが営まれる美しい信州」を策定し、推進してきました。そして、一昨年からは、「しあわせ信州創造プラン2.0~学びと自治の力で拓く新時代~」の取組が進められております。新年度は、ちょうど中間年度に当たります。
     昨年9月に1年目のしあわせ信州創造プラン2.0の政策評価を表やグラフなどを交えて発表していただきました。政治は結果であります。そして、結果は数字が一番よく物語るものであります。もちろん、数字が全てではありませんが、会派としても、この先、具体的な成果がしっかり出るよう検証し、そして、県勢発展と県民生活の安全、安心のための議論を深め、提言してまいりますので、御理解、御協力をお願いいたします。  県民クラブ・公明は、昨年4月の結成からこれまで、所属する9名の議員が行財政改革、地域安全、芸術文化健康福祉、産業観光など九つの調査会を立ち上げ、県民の皆様の心に寄り添いながら、各テーマに対して、それぞれの地元はもとより、県内外、国外でもグローバルな視点で調査研究を重ね、精力的に行動してまいりました。そして、その成果を着実に県政に反映させるため、新年度予算編成時には、知事に対して要望書に取りまとめ、それぞれの要望事項については真摯に向き合い、諸施策に反映できるよう2回にわたって要望をいたしました。新年度予算、そして諸施策に反映していただき、感謝申し上げます。つきましては、新年度以降の事業、政策に反映できますよう、引き続き知事はじめ関係部局の御努力をお願い申し上げます。  昨年、台風19号が猛威を振るい、長野県を含む全国各地に甚大な被害をもたらしました。改めて、お亡くなりになられた方々に謹んで御冥福をお祈り申し上げます。被害に遭われた方々には心よりお見舞いを申し上げます。被災者の皆様が希望を持って安心して日常の生活に戻れるようきめ細かな対応を全力でお願いいたします。  会派でも、各議員が、それぞれの地域で各地の被災者の皆さんの声を直接お聞きし、取りまとめ、これも2度にわたり知事に要望いたしました。これまでの補正予算、新年度予算に反映していただき、道路、河川などの復旧・復興、生活支援、事業の再開などに迅速に対応いただき、感謝申し上げます。この先も、今定例会に提出された補正予算、新年度予算の成立後は速やかに円滑に予算執行いただきますようお願いを申し上げます。  私が今回の台風19号被災地の現場に出向いたときに思い出したのは、ちょうど私が高校3年生の昭和44年8月でございます。犀川、千曲川の最上流域である高瀬川が豪雨、土砂流出により、温泉施設と当時県企業局が所有していた温泉源泉の施設などが流失し、下流域にも大きな被害が発生いたしました。  この年は、7月後半から、大雨ではないのですが毎日雨が降り続いていたと記憶しております。既に山では相当の雨量があり、8月に入って雨量がさらに加速し、より一気に押し出したと記憶しております。川いっぱい、そして堤防ぎりぎりの所まで黒々とした川がごろごろと巨大な石を巻き込みながらぶつかり、火花を散らしている川の様子がよみがえってまいります。  その後は、東京電力による水力発電所、ダム事業2基、そして建設省の多目的ダム1基の建設により下流域の安心、安全が確保されております。そして、平成19年には、その3ダムと梓川流域の1基のダムが連携して下流部分の流出量を調整できたことにより、19号線沿いの堤防の越水を防いでおります。北の犀川、千曲川、そして南の木曽川、天竜川をはじめ、中小河川の安全、ハード、ソフト両面での安全対策をしていかなければいけないことを実感いたしました。今後も、気象変動による豪雨が増加し、今回の災害と同様の災害が発生することが予想される中、徹底的な検証により防災・減災対策を進めなければなりませんが、県民の命を守る阿部知事の御所見をお伺いいたします。  平成元年(1989年)は、日本でバブルが崩壊しました。100兆円の不良債権が発生して解消には相当の時間がかかりました。国際的には、ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が終結いたしました。平和の2文字に期待を込めましたが、宗教・民族紛争、テロが各地で起こるようになりました。この間、世界はますますグローバル化し、デジタル化が急速に進んでおります。  令和の時代に変わり、2020年代が幕を開けました。長野県は、首都圏をはじめ大都市圏からの立地にも恵まれ、災害のリスクも少なく、四季に恵まれ、自然豊かな県として、移住してみたい県として14年連続で支持を受けました。  人生100年の時代と言われていますが、気候変動により、人間が熱で危ないと危機感を募らせる識者もおります。国内外の若い世代の皆さんも危機感を募らせ、行動をしております。海洋プラスチックだけでなく、気候変動に関して、水問題に関して、森林に関して、地球温暖化への取組は急務であります。  全国都道府県のトップを切って、気候非常事態宣言、ゼロカーボン宣言を行いました。本日のこれまでの同様の質問に対して、知事からは、気候危機突破方針をはじめ具体的な行動について説明をいただいております。それぞれを確認させていただきました。  脱炭素社会の構築、再生可能エネルギーの普及拡大など、新たに設ける気候変動担当部長を中心に、これまで以上に具体的な行動を起こしていただき、長野県モデルを全国、世界に発信し、世界の環境の安定に貢献できるよう取り組んでいただくことを強く望みます。  この23日日曜日には、北アルプス地域振興局が、管内5市町村をはじめ、地域住民の皆様にも呼びかけ、大北地域気候変動対策セミナーを開催いたします。本日の新聞報道では、千曲市が、開会中の市議会定例会で気候非常事態宣言を行う準備を進めている旨が掲載されておりました。今後もさらに県内一円に行動のうねりが広がっていくことを期待いたします。改めて、阿部知事の胸の内に秘めた具体的実行の大切さについてお聞かせください。  先端技術の高度化により、社会の在り方そのものが劇的に変わっております。こうした変化の中、社会の作り手となる子供たちは、自ら必要な情報にアクセスし、取捨選択をしながら問題の解決につなげるといった情報活用能力の育成が求められております。そのためには、学校教育も変化していかなければなりません。本県が学びの改革を進め、これらの時代にふさわしい学びを実現するためには、教育の情報化が果たす役割も大きいと考えます。  OECDを対象とした国際調査、PISA2018ICT活用調査によれば、日本の子供たちは読解力調査で成績の低下が見られます。その一因として、日本では、普段の学習にパソコンなどのデジタル機器を活用する割合が低いことが挙げられております。情報化は、あくまで手段であって目的ではないのでありますが、これからの学びには不可欠な手段でもございます。パソコン端末と校内ネットワークを一体的に整備するGIGAスクール構想を国が打ち出したこともこういった流れの中でと考えることができます。  本県が進める学びの改革の中で、ICT環境を整備することによって児童生徒の資質、能力をどのように育成しようとしているのか。また、授業の場面において具体的にどのような変化が起こるのか、お聞かせください。ICT環境が整備された学校では、生徒たちの学びの変化を実現するために教員はどのような役割を果たしていくことが求められるのでしょうか。また、教育委員会として教員の支援にどのように取り組むのか、お伺いをいたします。  教育委員会一丸となって新たな学びを創造し、教育現場における学びの改革を支援する中核的な組織として本年度から学びの改革支援課が組織されました。昨年の原山教育長の議案説明の中で、学びの改革の推進について触れられた方針について私は共感を覚えました。組織改正から1年、どのような取組をし、それによってどのような成果が得られたのでしょうか。引き続き学びの創造に向け、教育委員会一丸となっての取組を強く望みます。以上、原山教育長にお伺いをいたします。  先月広島で開催された全国都道府県対抗男子駅伝、京都市で開催の女子駅伝は、男子が3年ぶり8回目の優勝に輝き、女子もこれまで最高の4位入賞を果たしました。両選手団の活躍は、県民の皆様に大きな感動を与えていただきました。台風被害に遭われた地域の皆様の復旧・復興の一助になったことは間違いありません。両選手団の粘り強いチーム長野が一丸となった成果が十分発揮されたことをテレビ放映と広島の現地で確認、実感させていただきました。改めてスポーツの魅力を再認識させていただきました。御承知のように、いずれの大会とも、中学生、高校生の走る区間が多く設定され、若手選手の育成、登竜門と位置づけられている大会であります。既に、男女ともに、両大会に出場した多くの県内出身選手は日本を代表する選手として活躍し、成果を残していただいています。  このほか、ウインタースポーツでも県選手団の活躍が続いています。スケート国体では、男女総合優勝、女子総合優勝は、5年連続のアベック優勝であります。スキー国体は真っただ中で、熱いレースが展開されております。冬季のインターハイや全中大会など、全国トップレベルで堂々と大活躍している大勢のジュニア選手がいます。頼もしい限りであります。将来に向け飛躍が期待されます。  教育委員会新年度予算では、本県で国体が開催される2027年に向け、スポーツ振興予算が大きな柱として位置づけられております。主力となるジュニア選手の発掘、育成を今後どう進めていくのか。原山教育長の方針をお聞かせください。  本県の中学生の運動、スポーツを巡っては、運動をする子としない子の二極化が進み、平均運動時間も全国平均に比べて少ない状況が続くなど、本県の未来を担う子供たちの健やかな成長という面からは多少の心配があります。  こうした中、学校の運動部活動については、近年は、少子化問題に加え、多様化、複雑化する教育課題への対応や教員の働き方改革など、これまでと同じ形で進めていくには限界があり、部活動の改革を推し進めていく必要があります。  部活動は、生徒、保護者、指導者などそれぞれの立場や目指す目標により求める理想像は様々であると思いますが、大事なことは、生涯にわたって楽しみながら運動、スポーツを継続していくための基礎を養う場としていくことだと私は考えます。  県教育委員会は、昨年2月、スチューデントファーストの理念に基づき、持続可能なスポーツ環境の構築を目指し、長野県中学生期のスポーツ活動指針を5年ぶりに改定し、活動基準の設定や学校と地域の連携などを打ち出したところであります。昨年の改定から1年が経過いたしますが、この間の成果と課題及び今後の取組について原山教育長にお伺いいたします。  原山教育長の議案説明でも触れられていた長野県立歴史館は、今年度開館25周年という節目を迎えました。力の入った特別企画展が開催されております。私も、昨年、国宝土偶展を拝見させていただきましたが、全国の国宝土偶が一堂に集められての展示は壮観であり、それぞれが個性豊かで、芸術的で内容もすばらしく、歴史に触れる喜びを再確認し、感動いたしました。同時に、歴史館の職員、スタッフの対応もよく、こうした質の良い多くの人が集まる展示を今後も続けてほしいと考えます。  「しあわせ信州創造プラン2.0~学びと自治の力で拓く新時代~」の学びには、県立歴史館の役割も大きいと思います。開館25周年の特別事業としてだけでなく、継続的に人を引きつける展示をするためには、企画展のための相応の予算措置が必要と考えます。同時に、県立の学習施設としての機能を果たしていくためにも予算の確保は必要と考えます。今後の歴史館の事業を拡充させていく考えがあるのか。それぞれの方針について教育長にお伺いいたします。  昭和41年(1966年)に開館した長野県信濃美術館は改築工事が進められております。いよいよ来春には開館の運びとなります。平成2年(1990年)に開館した東山魁夷館の改修工事は終了いたしました。  歴史館は、開館25周年を迎えましたが、年月を経て施設の老朽化も進み、常設展示についても変えていく必要があるように思われます。さらに、県民の皆様をはじめ多くの皆様に利用してもらうために、今後の県立歴史館の大幅改修などについてどのような検討がされているのか。併せて教育長にお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、台風災害を踏まえての今後の防災・減災への所見という御質問をいただきました。  今回の台風19号災害は大変大きな被害を長野県にもたらすこととなりました。私も、知事として約10年仕事をさせていただいており、栄村の大規模地震から始まり各地の災害対応を行ってまいりましたけれども、今回の大規模な風水害を受けて、改めて行政として県民の皆様方の生命と財産を守る重要性を痛感しているところであります。  日常の生活を奪われてしまった多くの皆様方の思いにしっかりと寄り添いながら、まずはこの大規模災害からの復旧・復興に市町村をはじめ関係機関の皆さんと連携して全力で取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  その一方で、我々は、これを教訓として、本当の意味で災害に対して適応力のある災害に強い長野県をつくっていかなければいけないと強く決意しているところでございます。今回の当初予算の中にも様々な災害対策の予算を組み込ませていただいているところであります。ソフト面、ハード面、両面からしっかり取組を進めていきたいというふうに思っておりますし、災害対応は、事前の予防的な対策、そしていざ発災したときの的確かつ迅速な対応、さらには、災害後の復旧・復興、それぞれのフェーズにおいてより望ましい、できれば最善の形で対応していくということが重要だと思っております。  今回の台風災害を踏まえた検証の振り返りをまずしっかりやっていきたいと思いますし、その上で、地域防災計画の見直しや情報伝達の在り方の見直しなど様々な対策を講じていきたいというふうに思います。また、単に計画をつくったりハード面の整備をするだけではなく、いざというときに迅速に動けるような日頃からの訓練にも市町村の皆様方としっかり連携しながら取り組んでいきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、県民の皆様の生命、財産を守るということが我々行政に課せられている最も基本的かつ重要な使命であるということを十分自覚した上で、しっかりと取組を進めていきたい。防災・減災対策の推進、そして県の強靱化の推進に全力を挙げていきたいと考えております。  続きまして、気候変動に対する決意という御質問でございます。  今回、長野県議会全会一致の決議で気候非常事態宣言を行わせていただいたということは、県知事の立場として大変重いものがあるというふうに考えております。ある意味全ての県民の皆様方の総意でこの気候変動に取り組んでいくということを支持いただいていると受け止めております。  これまでも、長野県としては、環境エネルギー戦略等を踏まえて、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの普及拡大、ほかの県に負けない取組をしてきているというふうに思っております。二酸化炭素排出量も2010年以降減少傾向が続いておりますし、また、再生可能エネルギーについても、小水力発電設備の導入件数は全国で1位、また、住宅用太陽光発電設備普及率も全国2位ということで普及拡大が進んでおります。また、アジアで初めての再生可能エネルギー国際会議の開催やG20環境エネルギー大臣会合の開催といったようなことで国際社会にも貢献をしてきているところであります。  しかしながら、2050年ゼロカーボン実現は、これまでの対策の単なる延長では実現することは難しい、高いハードルだというふうに考えております。そのためには、全ての県民の皆様方と危機意識をしっかりと共有、連帯し、世界の地方政府や日本の国内の自治体ともしっかり連携し、そして、県内の事業者の皆様方とも協力し合いながらあらゆる政策に気候変動対策の観点を盛り込んで取り組んでいくということが大変重要だというふうに思っています。  そういう観点で、新たに新設を考えております気候変動担当部長においては、部局横断的な調整や日本政府をはじめとする国内外の自治体との連携、さらには、世界に向けた本県の取組の情報発信、こうした気候変動対策全体の牽引役として取り組んでもらうことを考えております。  今後とも、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの普及拡大、さらにはエネルギー自立分散型で災害にも強い地域づくりなど、先駆的で実効性のある政策を打ち出してそれを具体化していきたいというふうに思っております。県議会の皆様方にもどうか引き続きの御協力と御支援をいただきますよう心からお願いを申し上げるとともに、諏訪議員から御指摘いただきましたように、長野県の取組が世界、全国の模範となるようにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、ICT環境整備による資質・能力育成と授業の変化についてのお尋ねでございます。  ICT環境を整備することによりまして、児童生徒の学びの進度に合わせた個別最適化学習や仲間と多角的に意見を交わす協働学習を効果的に実施することが可能となります。  個別最適化学習では、一斉型の授業から、児童生徒一人一人が自分のペースで学ぶ授業に変わっていきます。AIを活用した学習により、子供が自分のペースで学習を進めることができ、知識技能を効率的に習得することが可能となります。  また、協働学習では、講義型の授業から双方向でアクティブな考察を行う授業に変化します。例えば、子供がタブレット端末で考えをまとめ、電子黒板を用いて互いの意見を検討し合い、多様な考えに触れる、そんな授業が展開します。そうした中で思考力や表現力を育成してまいりたいというふうに考えております。  さらに、1人1台端末の環境となることで、生徒はいつでもデジタル空間の膨大な情報を利用することが可能となります。そこから重要な情報を見極め、的確に利用しながら探求することで、情報活用能力を育む学びが実現できるものと考えているところでございます。  そうしたICT環境整備に合った教師の役割の変化とそのための支援であります。  授業の変化に合わせて、教師の役割は、知識を授けるティーチャー型から、問いを投げかけ深い学びへと導いたり生徒の主体的な学びを背後から支援したりするファシリテーター、伴走者へと変わっていく必要があるというふうに思っております。  個別最適化学習の場面では、ICTを活用して生徒の状況を把握し、生徒の目標設定と学習のデザインを適切に支援するコーチング力が、また、協働学習の場面では、生徒の気づきや考察を幅広く受け止め、必要なアドバイスをしたり、新たな視点を与えたりする専門的な知見と授業デザイン力がより一層必要となると思っております。  今後、1人1台端末の有効利用や教師のICT活用指導力向上について、有識者を含めて検討する長野県ICT学び推進協議会(仮称)の設置を準備しているところであります。協議会での検討を通して新たな教員研修の導入や効果的な指導方法の共有を図り、小中高を通じてICTの活用が一層進められるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、学びの改革支援課の取組と成果であります。  学びの改革支援課への組織改正によりまして、それぞれの学校現場で学びの改革への意識改革が進んでいるというふうに思っております。  新たに設けた信州幼児教育支援センターでは、幼稚園や保育所等の園種の垣根を越えて学び合うフィールド研修を実施しております。保育者をはじめとする幼児教育関係者のほか、小学校教員を含め延べ682名が参加し、育ちをつなぐ幼保小接続の取組が始まっております。  また、小中学校では、来年度当初予算の新規事業として学びの改革に先進的に取り組む学校を応援する事業を考えておりますが、その募集をしたところ、25校の指定枠に対し110校を超える応募がありました。全県的に学びの改革を実践しようとする意欲が確実に高まってきているというふうに感じております。  高校では、生徒が問いを立て、探求する学びが広がっております。例えば、今年度、文部科学省の新規事業「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」の全国51校の指定校のうち、本県からは3校が指定されまして、地域との緊密な連携に先進的な学習プログラムを開発しているところであります。  また、これまで各校が行ってきた探究的な学びの成果を発表する「私のプロジェクト」を開催し、全県から21校57名の高校生が参加し、多彩な成果を学び合ったところであります。今後も、子供一人一人が自ら学びに向かう力を高める学びの改革をさらに進め、全県に広がるよう進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、2027年の長野国体に向けたジュニア選手の発掘育成についてであります。  近年の国体における本県の少年種別の成績は、冬季大会では、ジュニア選手の発掘育成事業「SWANプロジェクト」の修了生の活躍もあり、北海道に次ぐ第2位を確保しておりますが、本大会では最高でも29位という状況にあります。2027年の国体で天皇杯、皇后杯を獲得するためには少年種別の強化は重要な課題であることから、昨年度より、7年後に主力となる小学生、いわゆるターゲットエイジを対象に夏季競技版の発掘育成事業に取り組んでいるところであります。  現在、多数の応募者の中から選抜された64名に対し、基礎体力の向上やアスリートに必要な知識の習得等を目指し、発達段階に応じた運動機能の強化やメンタルトレーニングなどの育成プログラムを提供しているところであります。今後は、個々の能力や可能性に応じた適正種目を見いだし、競技団体が行う専門的な強化練習と連携させるとともに、特に競技人口が少ない種目については、並行して実施しているスポーツ体験教室や異種目転換事業を組み合わせて強化を図るなど、2027年を見据え、計画的かつ戦略的なジュニア選手の育成に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、スポーツ活動指針の成果と課題及び今後の取組についてであります。  昨年度改定した指針は、少子化の進展や、運動する子、しない子の二極化など、直面する課題に対し、学校だけではなく地域とも連携して中学生の持続可能なスポーツ環境を構築するということを目指しました。  このうち、運動部活動については、成長期にある生徒がバランスの取れた生活を送ることで生涯にわたりスポーツに楽しむ習慣を育てる基盤とするとともに、スポーツ障害を防止する観点から活動時間の上限や休養日の設定等の基準を定めたところであります。その結果、ほぼ全ての中学校で基準に合った活動へと改善が進んでまいりましたが、一部には、社会体育として、部活動と同じ部員が、同じ指導者の下、長時間活動している実態もあるため、短時間練習でも実績を上げている講師を招いた研修会を行うなど、長時間練習しないと強くならないと考える関係者の意識改革に取り組んでおります。  また、競技大会についても、少子化に対応した複数校による合同チームの参加が拡大するよう関係団体とともに参加資格の見直しを進めているほか、競技によっては大会数の多さが生徒や顧問に過度な負担を招いている場合もあるので、今後、市町村教育員会とともに大会の在り方を検討してまいりたいと思っております。  一方、地域と連携した取組としては、学校に外部の専門家として部活動指導員を配置したほか、学校外の活動としても、プロスポーツとの連携や競技団体による活動の場づくりのほか、地域の指導者によるゆるスポ活動の実施など生徒の多様なニーズに応えるための仕組みづくりを進めているところであります。  本県の将来を担う子供たちのために、今後も引き続き、市町村教育委員会をはじめ全てのスポーツ関係者の理解と協力の下、改訂指針の理念の実現に向け取り組んでまいりたいというふうに考えております。  県立歴史館についてのお尋ねであります。  まず、歴史館事業の拡充についてということでありますが、県立歴史館においては、平成28年に笹本館長が就任し、新たな事業に取り組んできたところであります。  企画展については、来年度は、信州の醸造技術をテーマとした「地酒王国信州」展、弥生時代の稲作技術と農耕社会の形成をテーマとした「稲作とクニの誕生」展、信州にゆかりのある画家、書道家である中村不折をテーマとした企画展を開催する予定であります。これらの企画展の開催にかかる予算を拡充しておりまして、議案としてお願いをしているところであります。  学習施設としての機能については、これまでシニア層の参加が多かった古文書講座について、来館が少ないジュニア層を対象としたティーンズ古文書講座を積極的にPRし、受講生の確保につなげてまいりたいというふうに思っております。  また、体験型学習講座の「お出かけ歴史館」については、上伊那、下伊那、木曽地域に加えて、今年度から諏訪地域の小学校にも開催の御要望をお聞きしているところでありまして、これらの御要望に幅広く応えてまいりたいと思っております。今後も、県民の皆様の学びを支援するそれぞれの事業の内容をさらに充実してまいりたいというふうに思っております。  それから、大幅改修の検討についてであります。笹本館長の就任以来、新たな様々な企画に取り組んで、特に今年度は開館25周年の企画展の開催に注力してきたところであります。お尋ねの大幅改修などについてでありますけれども、施設の老朽化対策としては必要な修繕を適宜行ってきたところであります。また、常設展示に関しましては、今後さらに魅力的な県立歴史館とするためには、他の博物館の先進的な事例について調査する等研究が必要であるというふうに考えております。来年度以降、これらの研究を行う中で、必要な見直しについて考えてまいりたいというふうに考えております。  以上であります。       〔40番諏訪光昭君登壇〕 ◆40番(諏訪光昭 君)知事の提案説明にもありましたが、本県の稼ぐ力とブランド力の向上を図るため、スタート年度の営業本部では昨年6月に営業戦略を策定し、営業本部の役割を、県内生産者・事業者と県外とのつなぎ役、事業者の価値創造のための学びと実践の場づくり、そして、信州ブランド発信の推進の三つの柱として鋭意努力を進めてきたことと承知しております。  本県の各事業者の皆さんは、それぞれが工夫と努力によりすばらしい商品を生産しておりますが、いずれも規模が小さくなかなか営業まで手が回らないため、県外に進出しようとしても、大手の流通で安価な価格で取り扱われてしまうか、そもそも生産量が少ないために取り扱ってもらえないなどなかなか販路を広げることができないのが現状であります。本県事業者に寄り添う立場の営業本部に期待するところは大きいものでございます。そこで、初年度1年目としての取組の成果はどうであったのか。見えてきた本県の課題に対し、今後2年目以降どのように展開していくのか。本部長を務める阿部知事にお伺いいたします。  県では、香港をはじめ、台湾、シンガポールを輸出拡大重点国として事業を推進しており、2018年の長野県産農産物輸出額では前年比17%増の12.2億円となり、過去最高を更新しました。しかし、近年の伸び率50から90%増に比べると伸び率は鈍化しているのが現状であります。  2018年度に策定されました信州農産物マーケティング推進計画では、県産農産物の輸出額の目標額を2022年に20億円と掲げております。本計画では、具体的な取組として、ブドウ「シャインマスカット」やリンゴを重点品目として、リレー出荷や冷蔵貯蔵の活用による長期出荷体系を確立して輸出量の拡大に取り組むこととしております。また、長野県農産物等輸出事業者協議会への支援を強化することとしております。  これまでの海外輸出は、各部がそれぞれでPRなどを進めてきておりますが、具体的な販売やセールスといった点では県としてなかなか踏み込めてはいなかった分野であると思います。そこで、本年度、営業本部が設置され、営業局において営業力や販売力を強化することにより、海外への展開に当たっても生産振興面と販売面が結びつくことで、県外、さらに海外への販売強化が進むことになるものと考えております。  海外への農産物等の輸出に関しても、営業本部長の下、各部が連携して取り組むことにより成果を上げることが大いに期待されます。  新年度予算を見ますと、農産物をはじめとする輸出の推進に当たり、新たな取組が見受けられるところでありますが、まず、農政部の輸出向け産地づくり推進事業では生産振興面でどのように対応していくのか。これまでの取組の成果と併せて山本農政部長にお伺いをいたします。  また、営業局におきましては、県産品海外輸出基盤構築事業が提案されております。生産サイドとどのように連携し、どういう販売面からの支援をしていこうとしているのか。熊谷信州ブランド推進監兼営業局長にお伺いいたします。  次に、現在、国では、日本酒のグローバルなブランド戦略に関する検討会を開催し、日本酒の輸出拡大やブランディングの推進に向けて様々な観点から議論されております。令和2年度の国の予算では、日本産酒類の競争力強化・海外展開推進事業として、日本産酒類のさらなる輸出拡大に向けて販路開拓支援、国際プロモーションを強化するとともに、新規にブランド化や酒蔵ツーリズムを推進するほか、酒類総合研究所による技術支援の拡充、国税局酒税課に輸出促進室を新設することとしております。  日本酒の輸出額を見ると、平成30年で清酒が222億円で総輸出額の約30%を占めており、対前年比119%と他の酒類より高い伸び率でございます。日本酒の国内出荷量はピーク時の3分の1と減少傾向にある中、各蔵元は大変厳しい状況となっている一方、輸出量は日本食ブーム等を背景に増加傾向にあり、平成30年の輸出量は約2万6,000キロリットルとこの10年間で倍増、日本酒の輸出金額は、平成25年に初めて100億円を突破して平成30年には222億円となるなど、この10年間で約3倍の伸びとなっております。  このような状況を見ましても、四季折々の自然と良質な水、原材料という条件を兼ね備えた本県は、日本酒やワイン、クラフトビール、シードルなど酒造りの適地であり、清酒の蔵元やワインの醸造所等が数多く所在しております。同時に、意欲あふれる若手経営者が、それぞれの特徴を出しながら、醸造技術の向上、マーケティング活動に努力をしております。今後の本県の日本酒等の輸出拡大には大きく期待をするところであります。  そこで、お聞きいたします。  営業本部では、昨年より日本酒やワイン等の輸出について海外や沖縄市場での調査や海外バイヤー等への聞き取りを開始しておりますが、海外市場における本県酒類の販売の可能性と課題について、熊谷信州ブランド推進監兼営業局長にお伺いいたします。  また、本県のブランドとして、他県と比較し優位性を示すためには、国税庁が進める地理的表示制度、GIの導入や、本県が誇る長野県原産地呼称管理制度の活用が有益であると思いますが、この進め方については林産業労働部長にお考えをお伺いいたします。  知事の提案説明の中で、新たに本県の食文化や伝統工芸品に込められた歴史や文化等を海外向けにアピールすることによりブランド力の向上を図るとありますが、広い世界を見渡せば、人口が減少局面を迎えた日本の中で、各県との競争に時間と労力を費やすのではなく、日本の文化に注目し、尊敬の念を寄せる海外において他県に先駆け発信することはまさに的を射たものと思います。そこで、新年度から信州ブランドをどのように海外向けにアピールしていく考えか。熊谷信州ブランド推進監兼営業局長にお伺いをいたします。  農林水産統計によりますと、長野県の水稲栽培に要する10アール当たりの生産費は、地形条件等から、全国平均と比べて1.4倍と高く、内訳では、特に労働費の割合が大きいことが分かっております。長野県は15万2,646円、全国は11万1,652円であります。  水稲栽培における労働費を見ると、圃場整備や農道整備などの土地改良事業を実施してきたことにより労働時間は大幅に削減されましたが、作業別に見ると、用水管理にかかる時間が減っていないのが現状であります。水管理にかかる時間は労働時間の約3割を占めると言われております。高齢化している農家にとっては、毎日の用水管理に負担を感じているばかりか、往復の車の運転や田んぼの周りの歩行時に危険も伴います。担い手農家への農地の集積も進んではいますが、耕作者が減ることにより実質の管理者も減ってしまうため、適切な用水管理ができなくなる事態も生じています。この結果、用水不足を生じる地域も出ております。  地元大町市の美麻地区の県営事業でスマートフォンで操作できる自動給水栓を設置していただいたところ、地元農家からは、田んぼの水の見回りが大変だったが、負担が減り、水管理が楽になったとの声を現地でのシステムを確認しながら直接お伺いいたしました。土地改良事業での自動給水栓の導入は県内で初めてのケースで、導入に当たっては、県の農地整備課の担当者の熱心な取組があり、親切な指導と適切な助言等もいただきました。今後、担い手農家が農地を借り受け、農業を継続していく上では、用水管理に関わる時間の短縮と適切な用水管理が可能となる自動給水栓などの施設を計画的に導入していくことが有効的であると感じています。  国でも、スマート農業の実現と強い農業のための基盤づくりの支援に向け、農家の負担軽減などの課題に対してICT関連施設の普及拡大の取組を進めております。平坦な地域だけでなく、中山間地域の農地や土地改良施設においても、自動給水栓をはじめとするICTの活用が必要と思われますが、県内での土地改良事業における導入状況と今後の取組方針について山本農政部長にお伺いをいたします。  県土の8割を占める森林は、県民全体、国民全体の宝であります。温暖化防止や環境保全、災害防止に加え、豊かな水を育み、動植物の住みかをつくり、すばらしい景観や文化を支える働きや持続可能な天然資源である木材を生産する働きなど、どれも我々が安全、安心に生きていくために欠かすことのできない恩恵を与えてくれるものであります。  地球全体の未来のための国際社会共通の目標であるSDGsの推進においても、森林は、安全な水の供給、クリーンなエネルギー、陸の豊かさの保全など、経済だけでなく環境面、社会面までも含む多くの分野において重要な役割を担っております。  また、世界規模での異常気象の発生など気候変動の影響が身近な脅威として感じられる状況になっている中、県は、昨年12月、気候非常事態宣言を世界に向けて発信し、未来を担う世代に持続可能な社会を引き継ぐために全力で取り組む決意を示したところであります。このために必要な対策は多岐にわたりますが、中でも、森林を多く有する我が県にとっては、二酸化炭素を吸収する森林をしっかりと手入れするとともに、これを木材として利用することによって、炭素を固定したり、バイオマス燃料として利用して化石燃料を削減するなどの取組は非常に重要であります。  さらに、昨年の台風19号による災害など、国内、県内においても近年気象災害が激甚化、頻発化している状況にあります。山崩れや倒木被害を防ぐなど、森林の防災力を発揮、向上させるには、適切な管理の下、森林を健全な状態に保つことが不可欠でございます。しかしながら、木材価格は長期にわたって低い水準にあり、森林を支える山村地域も過疎化や高齢化が進んでいる結果、手入れが行われていない森林や境界が分からない森林が増えております。  さらには、所有者自体が分からない森林も増えていくおそれがあり、そうなれば国土自体が失われていくに等しい大きな損失となります。また、林業の低迷に加え、人口減少時代を迎える中、森林施業の担い手となる林業就業者も年々減少し、15年前の半分の水準になっている状況にあります。  このように、森林・林業には直面する課題も多いわけですが、一方で、県内の森林には大きなポテンシャルがあります。里山から奥山まで広大に広がる山々において、近年注目されているカラマツをはじめ、杉、ヒノキなど木々は着実に育ってきているとともに、森林環境譲与税の導入など社会全体で森林を支える機運も生まれています。この木々を木材資源としてしっかり使って、将来の森林のために植えていくこと、これによって持続的な森林のサイクルを改めて回し始めていくことが何よりも重要であると考えます。
     また、これまでのやり方を変える新しい機械や技術が生まれているほか、地域住民や都会との交流によって森林を新たな資源やフィールドとして活用する動きも各地で聞こえてきております。  こうした新しい技術や多様な視点の活用、そしてこれらをリードする若い人材の活躍があれば、森林・林業の未来は明るいと考えています。森林・林業専門の教育機関である林業大学校では、学生の皆さんは高い知識と技術習得に取り組み、人材育成に貢献いたしております。 新年度では、教育環境整備として、同大学校の学生寮棟改築計画が予定されています。林大生が、卒業後は林業を支え、環境教育をはじめとして、森林と人、そして地域を結びつける担い手としての役割が果たせるよう、カリキュラムの充実に向けてぜひ検討いただきたいと考えます。このような新しい森林・林業の姿の実現に向け、来年度予算も含めて取組方針を井出林務部長にお伺いいたします。  また、森林・林業の明るい未来に向けて、地域の森林整備を進めるに当たっては森林組合の役割は大変重要であります。大北地域においては、大北森林組合は、事業経営計画に基づき、令和2年度までを集中改革期間と位置づけ、経営の健全化を目指しているところであります。そこで、大北森林組合の現在の経営状況はどのようになっているのかお伺いをいたします。また、組合の再建に向け、今後県はどのように指導、支援を行っていくのか。いずれも井出林務部長にお伺いいたします。  一方、県は、組合が現在計画に基づき取り組んでいる補助金返還とは別に、平成30年6月に不法行為による損害として請求が可能と判断した約6,700万円の損害賠償請求を行いました。 これまで、組合はこの請求を認めておらず、一日も早くこの問題を解決していくことが組合の再生、ひいては地域の森林整備の担い手としての役割を果たしていくことにつながると考えます。そこで、損害賠償請求について、現在の状況と今後の対応について井出林務部長にお伺いいたします。  平成28年度に策定された「信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針」に沿って順調に推移していることを確認いたしております。3年間のテイクオフの期間を過ぎ、上昇期間に入った初年度に目標としていた新規路線の開設では、神戸線の通年運航がスタートし、利用者も順調に推移していることは、今後の弾みとなることは間違いありません。  新年度におきましても、入国審査用臨時施設整備事業がスタートします。限られた範囲の中での施設整備、機能強化も4本柱の一つであります。残り2年の上昇期間では、国内定期便の増便や新規就航先の開拓を視野に利用促進を図るとともに、より利便性の高い空港となるよう施設強化の加速をお願いいたします。  安全・快適で利用者がより楽しめる空港施設を目指し、その運営に関する官民連携方策の検討など、信州の空の玄関口としてさらなる取組に臨むと、さらに先を見た姿勢を伊藤企画振興部長は議案説明の中で示していただきました。  中信地域はもとより、全県的に経済面や観光面での波及効果が期待される信州まつもと空港の今後の取組の方針について、御見解を伊藤企画振興部長にお聞きいたします。  スキーやスノーボードなどは長野県の冬の重要な観光コンテンツの一つであります。ライフスタイルの変化などによりスキー人口は大幅に減少しています。県内のスキー場利用者数は、昨シーズン、2018から2019年シーズンですが、645万人と、ピークだった平成4年の2,119万人の3割の水準にまで減少しています。利用者数の減少に歯止めをかけるため、これまでも様々な取組が行われ、現在は、平成23年度の長野県スキー発祥100周年を契機として県や索道事業者協会などにより発足された「スノーリゾート信州」プロモーション委員会が中心となったスノーリゾート信州のブランディングやスキーマーケット拡大、発信力の強化など、県内スキー場への誘客に向けた取組を進めていただいております。  一方、国内外からのスポーツツーリズムの魅力が認識されるとともに、日本の雪質やスノーリゾートへのアクセスのよさ等が評価され、スノースポーツを目的としたインバウンド観光客の数は着実に増加基調にあります。  既に人気を博してる欧、米、豪の需要に加え、2022年に北京冬季五輪が開催される中国からの需要増加が見込まれる中、今後のインバウンド需要をタイムリーかつ的確に取り込むため、スキーリゾート形成のための取組を促進していくことが必要と考えます。  近年は、雪不足が非常に深刻です。スキー場等を含め、観光面での影響が懸念されております。今後のスキーリゾートの在り方、インバウンド需要を確実に取り込むため、県内のスキーリゾートの活性化、グレードアップを推進していくための施策について中村観光部長の見解をお聞かせください。  高齢者や共働き家庭が増加していることに伴い、外食や総菜を購入する中食が増えるなど、食を取り巻く環境が大きく変化するとともに、輸入食品の増加などにより、食のグローバル化の進展などを背景として、約15年ぶりに食品衛生法が平成30年6月に改正されました。この法律の主な改正内容は、衛生管理の国際標準であるHACCPに沿った衛生管理制度の義務化や、営業許可、届出制度の見直し、食品自主回収報告制度の創設などで、令和3年6月にかけて施行されると聞いております。  長野県は観光立県であり、各地域の歴史、文化、ライフスタイル等を生かした観光資源の開発が行われており、国内外の観光客に信州長野県の魅力を体験していただいております。食についても、長野県の大切な観光資源の一つであります。より衛生的な環境でより安全な食事を提供することは、ブランド力の維持や向上のためにも極めて重要であります。  しかしながら、食を提供している飲食店などは、少人数で経営している事業者が多く、経営者の高齢化も進んでいる中、令和3年6月からのHACCP制度の導入は、事業者の負担感が強く、不安の声も聞かれます。全ての飲食業、食品製造業の事業者にHACCPの制度導入を円滑に行うには、食品衛生協会など関係団体の協力を得て事業を推進するべきと考えますが、阿部知事の見解をお聞かせください。  県内の治安情勢につきましては、刑法犯の認知件数の減少が続いています。交通事故の発生につきましても減少傾向という報告を聞き、各警察署をはじめ県警察本部一丸となって、県民の皆様の、そして長野県を訪れる皆様の安全、安心の治安維持に御尽力いただき、感謝申し上げます。  本部長の議案説明では、新年度の主要事業の一つとして、サイバーセキュリティー戦略に取り組むことが示されております。現在、サイバー空間において様々な犯罪が発生していると推測されます。つきましては、サイバー空間における犯罪に対応するため、来年度県警察が実施する体制強化策、人材育成の取組方針について伊藤警察本部長にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)営業本部についての御質問にお答え申し上げたいと思います。  1年目の取組の成果と課題、そして今後の展開についてという御質問でございます。  まず、主な成果といたしましては、現在357社に御登録いただいておりますけれども、マッチングサイトを新設することによりまして、誰もが販路開拓に挑戦できる環境をつくってまいりました。そのほか、海外商談会の拡充、また、北米や沖縄への新たな販路の開拓にも着手してきているところであります。  こうした中で見えてきている課題でありますけれども、本県産品は、県外、海外でまだまだ高く評価される余地があります。逆に言うと、まだよく理解されていない、強みが生かされていないといったような課題があるわけでありまして、そういう意味で、一つは、海外に向けて産地形成や商品づくりから流通、販売まで一貫した輸出支援体制を整備していくということが重要だというふうに考えております。また、エビデンスやストーリーを明確にした商品づくり、ブランド発信で長野県の産品を印象づけていく、長野県の風土と一体で売り込んでいく、こういったことがより重要であると考えております。  今後の具体的な取組といたしましては、まず、国内市場につきましては、県外バイヤー等とのビジネスネットワークをさらに強化して、新たに開拓した沖縄県との交流も深化させていきたいというふうに考えております。  また、海外に対しましては、一層営業力を強化して県産品の価値を本当に認めていただけるようなレストランやバイヤーの開拓を進めていくことと併せまして、ちょうどオリンピックイヤーの好機でもございますので、海外に対して信州ブランドを積極的にPRしていきたいと考えております。  HACCPの導入に向けた関係団体との連携について御質問いただきました。  HACCPは、国際標準の衛生管理手法でありまして、食品の安全性を確保する上で極めて有効なものというふうに考えております。  しかしながら、その一方で、小規模な食品等事業者におきましては、制度が理解しにくいといった不安感に加えまして、HACCPで求められている作業記録をつけることへの負担感等もあり、なかなか導入が進みづらいといった状況にあると承知しております。  こうしたことから、本県としても、長野県食品衛生協会をはじめ関係団体の皆様の御協力をいただきながら、業種別、規模別の講習会や個別相談会の開催、監視指導を活用した助言指導、事業者の中から委嘱をさせていただいた食品衛生推進員1,088名によります助言や相談活動など様々な取組を行ってきているところでございます。御協力いただいている食品衛生協会をはじめ関係の皆様方には改めて感謝申し上げたいと思っております。  このHACCP導入につきましては、関係団体の皆様方との協力が不可欠であることから、引き続きしっかりと連携しながら導入が円滑に進むよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)2点御質問いただきました。  まず、農産物輸出の取組の成果と輸出向け産地づくり推進事業についてのお尋ねでございます。  県では、JAグループや卸売市場、輸出事業者を中核としまして、65の事業者からなる長野県農産物等輸出事業者協議会を組織し、相手国の輸入事業者等との密接なネットワークの形成により継続性の高い商業ベースでの販売活動等を支援してきたところでございます。  こうした取組により、海外の百貨店やスーパー等での継続的な取引が拡大されているほか、生産者自らが積極的に海外フェアに取り組み、県産農産物の輸出額は5年前の約10倍の12億円余と順調に増加してきました。  来年度実施します輸出向け産地づくり推進事業では、国際ルールへの対応を強化するため、昨年輸入条件が厳しくなったタイ向けに、新たに選果梱包施設の衛生管理等の認証取得を支援いたします。  加えて、輸出対象国の求める品目の生産拡大や栽培方法等に対応するため、JAなどが策定するグローバル産地計画の取組を支援することにより、輸出向けの生産出荷体制の強化を図ってまいります。  次に、土地改良事業におけるICTの導入状況と取組方針についてのお尋ねでございます。  県では、昨年2月に、農業農村整備における新技術等導入ガイドラインを策定し、地域の営農計画や担い手の意向などを踏まえた上で新技術の導入を推進しているところであります。 具体的には、農業用水の管理の効率化を図るため、水田への自動給水栓の設置や樹園地のかん水施設の自動化を行うとともに、豪雨時の施設管理の省力化、安全性の確保のため、水路の水門やため池を遠方から操作、監視できるシステムの導入を進めております。  今後は、自動運転トラクター等の導入に対応した圃場の整備も含め、新技術の導入を進めるとともに、自動給水栓の展示圃場を設置して見学会を開催するなど、効果的な導入方法や事例について市町村や土地改良区に積極的に啓発活動を行ってまいります。また、事業の実施に当たっては、事業費の農家負担分を国が助成する事業を活用し、農家の負担軽減を図ってまいります。  以上でございます。       〔信州ブランド推進監兼営業局長熊谷晃君登壇〕 ◎信州ブランド推進監兼営業局長(熊谷晃 君)3点お尋ねをいただきました。  まず、県産品海外輸出基盤構築事業による輸出支援についてでございます。  同事業は、海外向けの県特産品セールスやグローバルプロモーションの展開などにより、これまでの商談会やプロモーションから一歩踏み込んだ海外販路のパイプづくりやブランドの戦略的発信など、海外輸出の基盤構築を目指すものであります。  特に、海外向けの県特産品セールスでは、海外のレストランや輸入商社を常時訪問し、ネットワークづくりを行ったり、商取引上のリスク検討を行うことによりまして、生産サイドで育成支援された高品質の果物等が高価格で販売できるよう支援するとともに、販売先の反応を生産サイドに伝え、その後の商品づくりに生かしてまいります。  また、インバウンドの増加に伴い日本食への関心が高いタイでは、他県に先駆け、富裕層向けの地元テレビショッピング番組を活用して、本県特産品のすばらしさに加え、産地や観光の情報を丁寧に伝えながら高価格での販売につなげてまいります。  次に、海外市場における本県酒類の販売の可能性と課題についてでございます。  近年、急激な伸びを示す日本産酒類の輸出をリードする清酒、いわゆる日本酒の本県の状況を見ますと、平成29年の輸出量は全国の総輸出量の1.3%にとどまっております。また、日本酒ブームに併せ、近年の訪日観光客増加の影響から、海外市場はより地方の酒を求める傾向にあり、県産日本酒の海外市場における販売の可能性は大きいものと考えられます。  海外バイヤーや輸出を展開する県内の蔵元からは、海外で自社の酒を際立たせるためには地域の風土や酒造りのこだわりを十分説明する必要があることや、価格が高いものはおいしいと認められ、安いものは飲むに値しないと排除される傾向があることなども指摘されておりまして、中小の蔵元が多い本県としては、限られた経営力の中で海外向けのストーリー豊かで高付加価値な商品づくりや、これを富裕層に販売していくためのパートナー探しが課題であると考えられます。営業本部といたしましては、その他の酒類も含め、海外のニーズを反映した商品づくりや適切な販路の開拓、プロモーション等を支援してまいります。  最後に、信州ブランドの海外向けアピールについてでございます。  本格的なグローバル時代を迎える中、信州ブランドが世界で勝負するためには、海外の視点で再評価され、磨かれることが重要であります。そこで、新年度は、日本の伝統文化に関心の高い欧米で市場調査を実施し、本県の伝統工芸品や食文化等に込められました高い精神性や優秀性を戦略的に発信することによりまして、世界からの注目と関心を高めてまいりたいと考えております。  加えて、今年はオリンピックイヤーでもありますので、大会期間中には、銀座NAGANOをはじめ、都内にPR拠点を確保するなどして、海外からのお客様に本県の様々な情報とともに信州ブランドに直接触れて味わう機会を設け、強力にアピールしてまいります。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)日本酒等の輸出拡大に関連して、地理的表示制度、GI及び原産地呼称管理制度についてお答えいたします。  まず、本県の原産地呼称管理制度は、日本酒、焼酎、ワイン、シードル、米の5品目を対象として、原料が県産である製品に限定した上で厳しい官能審査を経て認定する独自制度として平成14年に導入したものでございます。以後、認定品数は着実に増加し、近年では国際会議等で提供されるなど、そのクオリティーについても一定の評価を受けております。  一方、国が指定するGIは、生産者が地域の酒類の特性を明確にし、産地名を独占的に表示できる制度であり、国際協定等で相互の産地名が保護されることにより、海外においてもブランド価値の向上と販路拡大が期待できるところであります。  今後は、こうした両制度の意義や特徴を生かしつつ、国内外でブランド力が向上するよう、まずは日本酒、ワインにおけるGIについて県酒造組合等の生産者団体と共に検討を重ねてまいります。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)新しい森林・林業の姿の実現に向けた取組方針についてお尋ねいただきました。  来年度、林務部では、新たな時代を見据えた林業、そして森林づくりの展開に向けて三つの項目に重点的に取り組んでまいります。  一つ目は、収益性の高い林業を推進するための取組で、ドローンやICT技術を活用したスマート林業の実証、普及を進めるとともに、主伐後の再造林への支援や非住宅分野での県産材の利用拡大等に取り組んでまいります。  二つ目は、観光や教育等森林の多面的な利活用に関する取組で、地域住民の皆様による活動への支援や、企業や都市部住民との連携交流を促進してまいります。  三つ目は、次世代の人材を育成するための取組で、高度な技術と環境や経営等の幅広い視野を持つことができるよう林業大学校の教育環境の整備やカリキュラムの検討により教育内容の充実を図るとともに、VR技術等も活用した林業体験の提供やPRを実施し、新規就業者の確保にもつなげてまいります。  次に、大北森林組合の経営状況と今後の支援についてでございます。  最初に、組合の経営状況についてですが、組合では、県、県森林組合連合会の指導、支援の下、地域の森林の団地化等に積極的に取り組むとともに、公的機関の森林整備事業や河畔林の伐採等の着実な受注を進めているところであり、本年度の目標である事業利益の黒字化についてはおおむね達成できるものと見込んでおります。  また、来年度は集中改革期間の最終年度となることから、県としても、県森連、市町村等とも連携しながら、組合の経営状況の的確な把握、地域の森林整備を一層進めていくための体制強化への支援などを進め、大北森林組合が地域の森林整備の中核的な担い手としての役割を十分発揮できるよう、指導、支援の両面から全力で取り組んでまいります。  次に、大北森林組合に対する損害賠償請求の現在の状況と今後の対応についてでございます。  県の損害賠償請求に対し、これまで、組合は、素直に受け入れることは困難であるとしており、県は組合の理解が得られるよう丁寧に説明を行ってまいりました。こうした中、組合から、本年1月29日付文書で長野地方裁判所に民事調停の申立てがなされたところです。今後、裁判所において調停の手続が進められることとなりますが、県の請求の考え方を十分に説明してまいります。  また、手続の進展に応じ、関係法令にのっとり、適切に対応をしてまいります。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)信州まつもと空港の今後の取組の方向性についての御質問です。  県内各層の御協力の下、発展・国際化に向けた取組方針に沿っていろいろな取組を進めてきたところでございますけれども、おかげさまで利用者は年々増加し、国内定期便の搭乗率は7割を超え、国際チャーター便も今年度過去最多の44便となっております。  現在、この取組方針に掲げたロードマップの第2段階、上昇期に入っているところでございますけれども、この現状に満足することなく、例えば国内線の増便や下地島との連携など、さらなる路線拡充に向けて、ビジネス客や乗り継ぎを含めた訪日外国人の獲得を図りまして、経済観光交流の拡大につなげてまいりたいと考えております。  また、施設面での機能強化につきましては、国際チャーター便の増加が国内定期便運航の阻害要因とならないようにするため、当面の対応として、入国審査用臨時施設を整備することといたしまして、必要経費を令和2年度当初予算案でお願いしているところでございます。  また、安全、快適で多くの利用者が楽しめる空港にしていくため、新たなターミナルビルの整備も視野に入れつつ、民間事業者のアイデア、ノウハウを活用し、空港の利便性向上や運営の効率化を図るべく、検討を進めてまいります。  こうした取組のほか、空港からのアクセスの充実や隣接する松本平広域公園との連携も含めまして、観光、にぎわいの拠点としても活用されるよう、関係自治体や事業者と課題を共有しながら一体的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)雪不足の中でのスノーリゾートの在り方について御質問をいただきました。  スノーリゾートは、外国人旅行者の長期滞在や観光消費額の拡大に向けての有力なコンテンツの一つと考えております。  今シーズン、雪不足に対応して最新の降雪機を導入した県内のスキー場は集客力があったとお聞きしておりますほか、スノーシュートレッキングや星空観察、冬キャンプなど、スキー以外にも楽しめるコンテンツを開発したり、グリーンシーズンを含め年間を通じた誘客策を考える動きが出てきております。加えて、SDGsに対応した取組として、照明をLED化したり車の利用を減らすため乗り合いを勧めるといった例も見られております。  こうした動きから、今後の観光地域づくりやインバウンド需要を取り込む観点で、気候変動や雪不足に対応した持続可能な通年型のマウンテンリゾートへの転換や、ターゲットに合わせたコンテンツ開発など、各地域の誘客戦略を見直していくことが重要であると認識しております。そのため、来年度、関係者の皆様方とスノーリゾートの在り方や冬の観光地づくり等について先進事例を参考に検討を開始し、必要な施策を講じてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔警察本部長伊藤泰充君登壇〕 ◎警察本部長(伊藤泰充 君)サイバー犯罪に対する体制強化と人材育成についてお尋ねがございました。  インターネットが県民生活や社会経済活動に不可欠な社会的基盤として定着し、今やサイバー空間は日常生活の一部となっております。こうした現状において、サイバー空間を利用した不正アクセス事案などのサイバー犯罪が複雑、巧妙化しているほか、重要インフラ事業者に対するサイバー攻撃が頻発するなど、サイバー犯罪の脅威が深刻化しております。  このような情勢の下、県民生活の安全、安心を確保するため、サイバー犯罪への対処に係る体制強化とこれに従事する捜査員の人材育成は、県警察の喫緊の課題となっております。  初めに、体制の強化につきましては、組織全体の総合調整や人事を担う警務課に、来年度、サイバーセキュリティ戦略推進室を設置して、部門横断的な各種取組の総括、調整や、人的、物的基盤の整備を行うほか、官民一体となった被害防止対策を推進してまいります。  また、現在、生活環境課の附置機関であるサイバー犯罪対策室を、来年度、サイバー犯罪捜査課に所属化して、不正アクセス事案などの高度な情報通信技術を悪用したサイバー犯罪に対する捜査を強力に推進してまいります。  次に、人材育成につきましては、組織的かつ体系的な育成方針を定め、計画的に推進しております。まず、全ての警察官のレベルアップを図るため、パソコンなどの電子機器を解析するための基礎的な教養や能力検定制度を活用した段階的な教養を行うとともに、全国の検挙事例を題材とした実践的な訓練等を実施しております。  来年度は、さらに、県警察のネットワークを活用したサイバー捜査に関する知識、技能を競うサイバーセキュリティーコンテストを実施するなど、サイバー捜査に関するさらなる能力の向上を図ってまいります。  また、一定レベルに達した捜査員につきましては、より高度な知識、技能を習得させるため、現在、警察大学校等に入校させておりますが、来年度は、IT事業者に派遣して長期間にわたる研修を受けさせるなど、民間事業者の知見を活用した取組も行ってまいります。  県警察といたしましては、サイバー犯罪に的確に対処するため、対処能力のさらなる向上を図ってまいります。       〔40番諏訪光昭君登壇〕 ◆40番(諏訪光昭 君)新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。収束の見通しも全く立たない状況であります。  県では、クルーズ船内での感染者の受入れをいただき、専門機関で治療に御尽力をいただいております。幸い、今のところ県内での発生はありませんが、この先も県民の皆様に対して迅速、的確に情報提供をいただき、感染予防に向け万全の態勢で臨んでいただくようお願いをいたします。  同時に、既に個人消費を中心に経済への影響が出ております。今後は、製造業をはじめ、観光業など様々な分野にも波及しそうであります。県内関係企業の急減速に備え、実際の影響を最小限に抑えられるよう対策を講じていただくことをお願いいたします。  そして、過剰なくらい警戒したが、終息した後に、そこまで心配する必要がなかったね、一安心と胸をなで下ろすことができるように臨んでいただきますようお願いいたします。
     CSF、台風被害、新型コロナウイルスなど、次々に県民生活に大きな影を投げかけています。その都度、知事を先頭に、職員の皆さん一丸となって迅速、適切に対応いただきありがとうございます。  明るい話題もあります。本年はオリンピック・パラリンピックの開幕の年でございます。オリンピックの開幕までは160日を切りました。県議会閉会予定日の3月12日には、ギリシャ・アテネで聖火が採火されます。そして、4月2日、3日には県内をオリンピック聖火リレーが走ります。オリンピック・パラリンピックは都市開催ですので、東京の冠はつきますが、これまでの東京、札幌、長野オリンピックを含め、まさに日本のオリンピック・パラリンピックであります。  長野県出身選手の活躍も期待されます。日本と日本人の誇りをかけ、スポーツの祭典としての成功を世界に示し、日本の文化、長野県の文化を世界に発信する絶好のチャンスでもあります。冬季オリンピックを開催した長野、信州の文化を一層輝かせてほしいと思います。  同時に、震災から10年を迎える東日本大震災の復興五輪でもあります。「ONE JAPAN」、「ONE NAGANO」として大いに盛り上げ、取り組み、大切なレガシーとして残してほしいことを願いながら、代表質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)以上で各党派代表質問並びに早期議決を要します第16号及び第17号の予算案に対する質疑は終局いたしました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案委員会付託 ○議長(清沢英男 君)次に、第16号及び第17号の予算案をそれぞれ所管の委員会に付託いたします。  各委員会におかれては、慎重審議の上、明20日までに議長の手元まで審査報告書を提出願います。付託一覧表は後刻お手元に配付いたします。          ────────────────── ○議長(清沢英男 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明20日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時57分延会...