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令和 元年11月定例会本会議-12月04日-03号

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  1. 長野県議会 2019-12-04
    令和 元年11月定例会本会議-12月04日-03号


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    令和 元年11月定例会本会議-12月04日-03号令和 元年11月定例会本会議 令和元年12月4日(水曜日)  出席議員(57名)   1 番 熊谷元尋      27 番 両角友成   2 番 望月義寿      28 番 中川宏昌   3 番 小林君男      29 番 清水純子   4 番 清水正康      30 番 小池久長   5 番 加藤康治      31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦      32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜      33 番 石和 大   8 番 大井岳夫      34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人      35 番 山岸喜昭   10 番 寺沢功希      36 番 小島康晴   11 番 花岡賢一      37 番 小林東一郎   12 番 池田 清      38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之      39 番 和田明子   14 番 山口典久      40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志      41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美      42 番 小池 清   17 番 竹花美幸      43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦      44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆      45 番 垣内基良   20 番 共田武史      46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔      47 番 高村京子   22 番 髙島陽子      48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志      49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人      50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫      51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司      52 番 向山公人   53 番 平野成基      56 番 服部宏昭   54 番 本郷一彦      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    農政部長      山本智章   副知事       太田 寛    林務部長      井出英治   副知事       小岩正貴    建設部長      長谷川朋弘   危機管理監兼危   竹内善彦    建設部リニア整   坂田浩一   機管理部長             備推進局長   企画振興部長    伊藤一紀    会計管理者兼会   塩谷幸隆                     計局長   総務部長      関昇一郎                     公営企業管理者   小林 透   女性活躍推進監   酒井裕子    企業局長事務取扱   兼男女共同参画   センター所長            財政課長      矢後雅司   県民文化部長    増田隆志    教育長       原山隆一   健康福祉部長    大月良則    教育次長      轟 寛逸   環境部長      高田真由美   教育次長      三輪晋一   信州ブランド推   熊谷 晃    警察本部長     伊藤泰充   進監兼営業局長                     警務部長      野﨑美仁   産業労働部長    林 宏行                     監査委員      田口敏子   観光部長      中村正人         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   山田むつみ   議事課長      村松敏伸    議事課主任     水澤まゆみ   企画幹兼議事課   西川 裕    総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐         ───────────────────  令和元年12月4日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(清沢英男 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、宮本衡司議員。       〔43番宮本衡司君登壇〕 ◆43番(宮本衡司 君)おはようございます。台風19号による災害への対応についてお伺いいたします。  今回の台風19号は、日本各地に甚大な被害をもたらし、県内でも千曲川流域に経験したことのない大きな傷跡を残しました。お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、復旧作業に昼夜を分かたず取り組んでこられた阿部知事初め県職員、警察、消防、自衛隊、ボランティア等々、全ての関係者に感謝をするものであります。改めて、県民の生命、財産を守るべく、災害に強い強靱な郷土を建設する必要があると意を強くいたした次第であります。  今回の台風19号については、10月12日15時30分、静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県の1都6県に大雨特別警報が発表され、最大級の警戒が呼びかけられました。テレビ、ラジオでは、命を守る行動をと繰り返し呼びかけていました。県でも、迫りくる災害に向け、県民に対し命を守るための対応を呼びかけ、情報を発信し続けていたと思います。  さて、このような緊急時の発信は、その発信者の思いと受け手が行う避難行動等の対応が乖離しないようにすることが重要だと思います。今、発災時の状況を振り返ると、警戒と必要な対応を呼びかけ、発信していた県の思いと、それに対する県民の行動等の受けとめは合致したものだったのでしょうか。危機管理部長に伺います。  この台風19号は、北信地域でも、熊の湯観測所で連続雨量421ミリメートルを、千曲川の市川橋で氾濫危険水位を大幅に超える19.12メートルを記録するなど、過去に例のない水量となり、千曲川最下流の飯山市、栄村でも浸水被害が発生しました。特に、飯山市において、皿川が破堤し、市街地が水没したことは全くの想定外であり、大いに悔やまれます。  さて、千曲川に流れ込むこの1級河川皿川は、現在、セミバック堤という形式で整備がなされているとお聞きしております。増水時、千曲川の水位がある程度の高さになると、皿川との合流点に設置された樋門を閉じることにより逆流を防ぐのですが、千曲川の水位上昇と皿川の上流の降雨に伴う流量のピークが重なったことなどから、皿川を横断するJR飯山線付近で越水、右岸が破堤し、飯山市の中心市街地で473戸の床上、245戸の床下浸水が発生、JR飯山線が運休となるなど、大きな被害となりました。市役所、飯山警察署、飯山高校、県営住宅、飯山簡易裁判所長野地方法務局飯山支局北信森林管理署なども次々と浸水し、市の中枢が一時機能不全に陥りました。このことは、住民にとってかなり衝撃的で、一刻も早い抜本的対策が望まれます。皿川の再度災害防止に向けてどのような強化対策をお考えか。建設部長に伺います。  また、皿川の破堤により、飯山市の城山雨水排水ポンプ場が機能停止となりました。この復旧に向けての対応策を環境部長に伺います。  皿川に限らず、飯山市には、宮沢川、今井川など樋門はあるものの排水施設のない中小河川がありますが、これらへの対策はいかがお考えでしょうか。  今回、内水排除に、国交省、長野県、飯山市の排水ポンプ車が出動し、昼夜を分かたず作業に従事していただきました。県が所有するポンプ車は現在3台ありますが、車両台数をさらにふやす計画はおありでしょうか。また、県管理河川監視カメラ設置箇所はどのくらいあり、今後どのように設置を進めるのか伺います。  今回、飯山市蓮地域では、千曲川の越水には至らなかったものの、水位は古牧橋の桁下まで達しました。この地点は国直轄区間でありますが、古牧橋のかけかえが進まないことから、堤防がその場所だけ未整備になっております。  また、国道292号は、第1次緊急輸送路となっているにもかかわらず、今回の水位上昇で長時間にわたり全面通行どめとなりました。早急な古牧橋のかけかえと堤防整備が急務と考えますが、県としてのお考えを伺います。  御承知のように、千曲川の湯滝橋から新潟県境までは県管理区間となっております。この間の整備は、河川整備計画に基づき、下境工区、照岡・馬場工区は整備が進んでいますが、東大滝工区、箕作・月岡工区については着工に至っておりません。特に、栄村箕作・月岡工区については、今回の出水で水位が百合居橋の橋桁に達して流出寸前となり、その下流では4戸が床上・床下浸水いたしました。また、百合居橋を含む箕作飯山線は、平成23年の長野県北部地震の復興事業として整備が進み、国道117号の代替路線としての役割を担っております。このような台風19号災害の状況により、千曲川東大滝工区、百合居橋かけかえを含む箕作・月岡工区の整備の必要性が今まで以上に高まったと考えますが、見解を伺います。  さて、従来から、河川整備は下流からと言われております。今回は、千曲川の川上から川下まで、程度の差こそあれ、ほとんどの地域で被害が発生しましたが、その状況はさまざまであります。また、河川区域内に土砂がかなり堆積したと思われますが、これを撤去しない限り、堤防のかさ上げをしたとしても効果は半減し、次第に天井川になることは自明の理であります。  一方、遊水池は、一時的ではありますが、水を蓄え、下流域へ時間差をつくって流すことができ、効果は大いに期待できます。しかし、その必要性については異論はないものの、やはり総論賛成、各論反対は否めず、地元の理解、協力なくしては実現は困難と思われます。遊水池についてどのようにお考えか。以上、建設部長に伺います。  国が管理する1級河川のうち、中間に都道府県が管理する中抜け区間がある河川は、信濃川水系では長野県内には千曲川と犀川の2河川があり、千曲川では南佐久郡川上村の源流部から上田市の大屋橋までの104キロメートルと、飯山市の湯滝橋から新潟県境間の22キロメートル、犀川は、東筑摩郡生坂村の日野橋から長野市の両郡橋までの41キロメートルが県管理区間となっております。この間の整備については、平成27年7月に策定された信濃川水系北信圏域河川整備計画では、信濃川水系河川整備計画大臣管理区間)と整合をとり、整備を進めるとされております。  また、県では、管理が分かれることで整備の際に国との調整が求められることもあり、上流から下流まで国が一体管理するのが望ましいとの立場をとっていただいており、知事も機会があるたびに中抜け区間の解消を国に求めていただいております。このたびの災害を契機、教訓として、水系一貫の河川整備が不可欠と考えます。知事には、従来以上の強い姿勢で直轄編入の実現に向け国に働きかけてほしいものと思いますが、決意のほどを知事にお伺いいたします。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)警戒などを発信した県の思いと、それに対する県民の行動等についての御質問でございます。  今回の災害において、県では、ホームページやツイッターなどさまざまな媒体を活用しまして、市町村から出された避難情報の提供や適切な避難行動の呼びかけなど命を守る行動をとるように発信をいたしました。結果的に、多くの県民の方が適切な避難行動をとられた一方、1,500名を超える方が逃げおくれ、救助関係機関に救助されるなど、県の思いや情報発信と県民の避難行動とが十分には合致していなかった部分があったものと認識をしております。  このことから、今後の災害においては、県の情報発信が住民の確実な避難行動につながるよう、発信の方法等につきまして検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)初めに、飯山市皿川の再度災害防止に向けての強化対策に関するお尋ねです。  台風19号により、飯山市の皿川において堤防が決壊し、大きな浸水被害となりました。この原因は、千曲川本川の水位が計画高水位を上回り、その結果、樋門が閉鎖され、皿川の水位が上昇したことによるものと思われます。  再度災害防止のための抜本的対策としては、皿川の水位が上がっても堤防からあふれないように堤防かさ上げなどの強化策を検討しております。この堤防のかさ上げには飯山市道の皿川橋やJR飯山線が影響するため、今後関係者と協議を進め、早期に着手できるよう努めてまいります。  次に、飯山市の宮沢川、今井川など排水施設のない中小河川の対策に関するお尋ねです。  今回の台風19号では、千曲川本川の水位が上昇したことに伴い、千曲川に合流する宮沢川、今井川などの多くの中小河川で内水氾濫が発生いたしました。このうち、今井川につきましては、床上、床下合わせて6戸の宅地に浸水被害が発生いたしました。  今後の対策については、まずは床上浸水被害があった今井川を優先的に実施していきたいと考えており、来年度から右岸側に遊水池の整備を進めてまいります。一方、今井川以外の河川については、国と連携した排水ポンプ車による対応等を含め、市と調整してまいりたいと考えております。  次に、排水ポンプ車の増設及び河川監視カメラの設置に関するお尋ねです。  台風19号では、千曲川の越水や内水氾濫による浸水が多くの箇所で同時に発生したため、県の排水ポンプ車3台では足りず、国に排水ポンプ車の応援を依頼いたしました。今回のような広域にわたる同時多発的な浸水にも対応できるよう、県所有の排水ポンプ車を強化する必要性を感じておりますので、来年度以降、順次増設を検討してまいりたいと思います。  河川監視カメラにつきましては、現在、浅川、上川、釜口水門などに12基設置されております。河川監視カメラによる映像は洪水時の切迫感を伝えられることから、住民の早めの避難行動につながる有効な手段と考えております。  長野県においては、本年度と来年度に県管理河川に合わせて190基を新設する計画であり、現在162基の設置に着手し、残る28基につきましても来年度中をめどに設置をしてまいります。  次に、国道292号古牧橋のかけかえについてのお尋ねでございます。  古牧橋は架設より56年が経過し、老朽化に伴うメンテナンスコストが増大するとともに、幅員が狭く、大型車のすれ違いに支障を来している状況です。また、今回の台風19号においては、古牧橋で越水はありませんでしたが、現状では古牧橋の場所だけ堤防が低く、越水の危険性があることは認識しております。  現在、地元の皆様と御相談しながら、古牧橋のかけかえを含む具体的なルート検討を行っているところです。今後は、千曲川を管理する北陸地方整備局とも協議しつつ、橋梁付近の堤防整備も含め、橋梁のかけかえの具体的な計画の策定を進め、早期の事業化を目指してまいります。  次に、千曲川下流県管理区間における築堤工事に関するお尋ねです。  千曲川下流県管理区間においても、飯山市市川橋水位観測所において計画高水位を超過し、広範囲にわたって護岸欠損による被害が発生したほか、議員御指摘のとおり、栄村において家屋の浸水被害も発生しております。  東大滝工区及び百合居橋のかけかえを含む箕作・月岡工区の築堤事業は、既に交付金事業として採択され、先行する飯山市の下境、照岡・馬場工区に引き続き整備を開始すべく準備を進めている段階でございます。  今般、今回の災害を受けて発足した信濃川水系緊急治水対策会議において、今後5年間をめどに流域の総合的な治水対策を取りまとめることとなりましたが、この検討の中で、本事業の千曲川、信濃川全体での位置づけや必要性を整理した上で事業スケジュールを再検討し、改めて地域の皆様に御説明させていただきたいと考えております。  次に、千曲川での遊水池に関するお尋ねです。  遊水池は、河川堤防の一部を低くして、河道からあふれた洪水を一時的に貯留する池であり、洪水被害を軽減するために有効な手段であると考えております。先ほど御説明いたしました流域の総合的な治水対策の中で遊水池の設置も検討してまいりたいと考えております。
     以上でございます。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)城山雨水排水ポンプ場の復旧に向けての対応策についての御質問でございます。  飯山市の城山雨水排水ポンプ場は、市街地の雨水排水を目的として設置された下水道施設でございますが、近接する皿川の堤防の決壊により、電気機械設備が浸水し、機能停止となりました。  台風19号では、県内で多数の下水道施設が同様の被害を受けました。県では、飯山市を初め、被災市町村の首長とともに、11月7日、国に対し、再度の災害防止に向け、機能向上に係る国庫補助制度の拡充と災害査定の採択基準の緩和等について緊急要望を実施したところでございます。  復旧に向けての対応策ですが、災害復旧事業による再度の災害防止策としては、止水壁の設置や防水扉の設置、開口部の閉塞、電気機械設備のかさ上げといった浸水対策がございます。  具体的な対策については、皿川の改修計画との整合も必要となります。このため、ハード対策のほか、ソフト対策も含めた総合的な対策について、建設部とも十分な調整を行いながら、管理者である飯山市に対し技術的な助言を行い、市と連携しながら施設の早期復旧に努めてまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)千曲川等の国による一元管理についての決意という御質問でございます。  私も、飯山市街地の浸水した商店街の視察をさせていただきました。改めて被災された方々にお見舞い申し上げたいと思います。  商店街の皆さん初め被災された方々が希望を持って前を向いて進んでいくことができるように、我々県としてもしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。そうした取り組みを支える上でも、安心して生活できる環境をどうつくるかということが我々の役割だと思っております。そういう観点で皿川の対策もしっかり進めていかなければいけないと思っておりますし、また、御質問がありました千曲川全体をどうしていくかということに我々は責任を持って取り組んでいかなければならないと思っております。  千曲川については、御質問にありましたように、いわゆる中抜け区間ということで、県管理区間国管理区間の両方が存在しているという状況で、一体的な整備を進めていく上では国による一元管理が不可欠だという認識をかねてから私は持っており、これまでも事あるごとに国に求めてきました。ただ、日本全体の雰囲気は、地方分権、国より地方、身近なところということで、国と地方の権利配分の中で逆ベクトルの話で恐縮ですがということで、私自身、いつも申し上げてきました。分権を考えるのは、事務の適正なあり方ということで、単に国から地方に何でもかんでも事務を下ろせばいいというものではないというふうに私は思っておりますので、この千曲川水系の国による一元管理についても引き続き強く国に求めていきたいと思っています。  ただ、長野県だけが主張しているだけではなかなか国全体を動かすことにはつながりにくいところもありますので、同じような状況の都道府県、例えば新潟県や福島県は同じように国管理区間県管理区間にまたがっている河川を有しておりますので、そうした県ともできる限りしっかり連携をとりながら、また、全国知事会等の場も利用しながら、国に対して一元管理を強く求めていきたいと思っております。  以上です。       〔43番宮本衡司君登壇〕 ◆43番(宮本衡司 君)知事におかれましては、去る11月2日に、破堤した1級河川皿川の視察後、被災された商店主の皆さんの声を直接お聞きいただきました。中には、高齢で後継者もおらず、これから借金をして店を続けていけるかどうか悩んでおられる方もおいででした。  台風19号により被災した中小企業者等がグループを形成して行う施設復旧等を支援するため、国と県とで施設設備等の復旧費用の4分の3を補助する中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業、いわゆる中小企業等グループ補助金が新設されました。私有財産については天災が原因であっても自費による復旧が原則とされる中、本事業は、地域経済、雇用の早期回復を図ることを目的として特例的に措置されたものと理解するものです。  今回の災害で大きな打撃を受けた中小企業者にとっては、事業を再開するのに大変ありがたい補助事業であり、これへの期待は大きいものがありますが、飯山市の被害状況を見ると、建物や機械設備だけではなく、商品や原材料の被害が多くを占めております。しかしながら、この補助事業の対象となる経費は、登記してある施設や資産計上してある設備が対象であり、商品の損害に対しては対象外と聞いております。低利な災害対策の中小企業融資制度資金もありますが、いくら低利とはいえ、やはり借金であることから、地域からは、商品や原材料の損失に対しても補助を求める声が強くあります。従来の延長線ではなく、グループ補助金の対象経費の範囲を商品や原材料まで拡大することはできないものか。ぜひ柔軟な運用を強く国に求めていただきたいと思いますが、どのようにお考えか。産業労働部長に伺います。  また、商店街では、1階が店舗、2、3階が住居といった生活となりわいが一体となっている建物が多くあります。1階の店舗が1メートル浸水しても、そこは住居ではないので床上浸水との認定にはならず、災害見舞金による生活再建支援の対象にもならないとの話も聞いております。被災認定において、住居と店舗が一体となっている建物被害の場合の認定方法はどのようになっているのでしょうか。危機管理部長に伺います。  市街地の商店街は、小規模な個人商店が多く、今回の被災により廃業を余儀なくされる店が出てくることが危惧されます。地域住民の生活を支え、地域の活性化にも大きく寄与している商店の重要性に鑑み、ぜひとも各事業者がもう一度頑張っていこうと思えるような、少しでも後押しできる支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。産業労働部長に伺います。  千曲川最下流の栄村でも、月岡地区のJAながの栄出張所の倉庫内にあった23トン余りの米が水につかり、農家の皆さんは途方に暮れていましたが、JAの御配慮により補償される運びとなりました。しかし、水田や農業用水路等の被害は甚大で、今後の営農に大きく影響するものと思われます。これらの復旧支援はどのようになっているのか。農政部長にお伺いをいたします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)災害への対応について2点御質問をいただきました。  初めに、グループ補助金の運用に関してでございます。  補助制度など災害復興に対する支援策については、激甚災害として閣議決定された10月29日に経済産業大臣への緊急要望の中で制度の創設をお願いするとともに、11月18日の中小企業庁長官が来県された折にも支援策の拡充や運営について要望しているところでございます。  議員御指摘のとおり、グループ補助金は、被災事業者が、例えば商店街などでグループをつくり、共同で作成した復興事業計画の実行に不可欠と認められる構成員の施設設備の復旧整備等に充てた費用を補助する制度となってございます。このため、商品や原材料への直接的な支援はございませんが、県中小企業融資制度による運転資金への対応や販路開拓等を支援する地域企業再建支援事業の活用などを通じ、早期の事業再建、再構築に結びつくよう関係機関とともに総合的な支援を講じてまいります。  次に、商店街への復興支援についてでございます。  商店街の復興に当たっては、構成する個々の店舗等が元気を取り戻し、持続可能な形で再建していくことが大変重要だと受けとめております。グループ補助金における復興事業計画の作成や施設設備の復旧はもとより、販路開拓を支援する地域企業再建支援事業や、街路灯やイベント広場等の共同施設の復旧を支援する商店街災害復旧等事業などを合理的、効果的に活用できるよう必要な助言に努めてまいります。  また、市町村や商工会、商工会議所の経営指導員等と地域振興局との連携体制をさらに強化し、町に活気が生まれ、経営者や従業員の皆様が希望を持ち続けられるよう、商店街の復興支援に全力で取り組んでまいります。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)住居と店舗が一体となっている建物の被害認定についての御質問でございます。  住家の被害認定は、国が定めた調査方法と被害認定基準に基づき市町村が実施するものであり、内閣府の災害に係る住家被害認定業務実施体制の手引き等により住家被害の程度を判断いたします。これによりますと、店舗兼住宅の被害認定調査は、事業用の部分、店舗部分は原則として住宅に含まず、その居住する部分、住宅部分について調査を行うこととされています。  ただし、例えば1階に店舗部分があり2階を住宅部分として用いている場合でも、1階部分の柱が傾斜するといった構造的な被害により居住のための基本的機能を喪失する場合は、それをもとに住宅部分として調査を行うことも可能とされております。  いずれにいたしましても、調査に当たりましては、居住者に対しよく事情をお聞きするなど、慎重に調査、判断されるべきものとありますので、適切に対応するよう市町村に助言をしてまいります。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)栄村の水田や農業用水路等の復旧支援についてのお尋ねでございます。  今回、栄村では、河川の氾濫による流出、畦畔の崩落などにより68カ所の農地が被災し、また、取水施設や水路の損壊、農道路肩の崩落などにより58カ所の農業用施設で被害が発生いたしました。  県では、国庫補助の災害復旧事業を活用した早期の復旧に向け、事業主体となる市町村と連携し、被害状況調査を行うとともに、災害査定に向けた資料を作成するなど支援を行っているところであります。  なお、今回の災害では、激甚災害の早期指定を県から国に強く要請し、10月29日には閣議決定がなされ、これにより、農地・農業用施設の災害復旧事業の国庫補助率は96%ないし98%程度にかさ上げされる見込みであります。  栄村においては、降雪が早いことから、査定前着工の制度を活用し早期に復旧工事に着手をするとともに、復旧に時間を要する施設については、応急工事により農業用水を確保し、来春の営農に影響がないよう引き続き支援してまいります。  以上でございます。       〔43番宮本衡司君登壇〕 ◆43番(宮本衡司 君)それぞれ御答弁をいただきました。  西暦1742年(寛保2年)8月、戌の満水から270年余の時を経ての台風19号災害を目の当たりにし、自然災害はいつ何どき襲ってくるかわからず、これに対する備えを常にしておかなければならないことや、自分の命は自分で守るなどなど、我々は多くのことを学びました。これらの教訓を日ごろより県民に周知することが重要と考えますが、徹底した広報のあり方を市町村と連携し、早急に御検討いただきたく思うところです。  県総合5カ年計画・しあわせ信州創造プラン2.0は来年3年目を迎えます。北信州の目指す姿、豊かな故郷北信州の実現に向け、雪に強い暮らし、通年型広域観光の推進など、地域課題の解決に向けては、災害復旧に加え、古牧橋、百合居橋など関係施設の整備が急務と考えます。  話は変わりますが、11月3日、長野市エムウエーブ会場にて開催されたゆるキャラグランプリ2019の投票結果で、長野県PRキャラクターのアルクマが10万6,419票を獲得して御当地部門で見事1位となりました。一県民として誠にうれしい限りです。  また、豚コレラ対策に奔走されている農政部においても、リンゴの新品種開発により長野県果樹試験場長が農林水産省から農業技術功労者表彰を受賞する運びとなるなど、長野県にとって明るい話題もまだまだたくさんあります。  北信州はこれから厳しい雪の季節を迎えます。知事におかれましては、今回の水害に対し、決してひるむことなく、着実に確実に復旧・復興に取り組み、長野県のさらなる発展を目指し、今後とも邁進されますよう心よりお願いを申し上げまして、質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)次に、百瀬智之議員。       〔13番百瀬智之君登壇〕 ◆13番(百瀬智之 君)私は、4年前に県議会に来て最初の一般質問で扱ったテーマが地域公共交通だったのですが、その時にお尋ねしたのは、主に2点、地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通網形成計画と、都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画の件でした。交通まちづくりの車の両輪とも言われるその二つの計画について、今回はその後をお尋ねいたします。  初めに、地域公共交通網形成計画について、2014年の法改正以降、県内でも多数の市町村が策定に至り、中には見直しの時期を迎える自治体も出てきています。計画の策定にどのようにかかわっていくかという当時の質問に、「県といたしましては、広域的な交通ネットワークとの整合性や専門的な知識、事例等を提供することで、各市町村における取り組みを支援、後押ししてまいりたいと考えております。」と答弁をいただきました。  改めて、現在計画の策定に至っている市町村はどれほどに上り、この4年間でいかなる支援、後押しをしてきたのか。策定に至っていない自治体をどう見ているかについてまず見解をいただきます。  また、現在、県の取り組みとして、計画の推進にどのようなメニューを用意し、特に今年度始まった地域公共交通最適化サポート事業はこれらにいかに寄与するのかお尋ねいたします。  さらに、各議員の一般質問でも、交通系ICカードの導入に関する質問は、過去、多かったように感じます。十数年前から都市圏では至る場面で当たり前に利用されているICカードを、こちらでは一体いつになったら生活の一部により組み込めるようになるのかという疑問はいまだ根強く、改めて交通系ICカードの普及時期について伺うとともに、ICTを活用しながら出発地から目的地までの移動を一つのサービスとして、すなわち検索、予約、決済までのサービス提供をスマートフォン一つで享受できるMobility as a Service、通称MaaSと呼ばれる取り組みについて導入に県内ではどのような見通しを持っているか。以上、企画振興部長にお尋ねします。  次に、立地適正化計画についてお尋ねします。  平成26年の都市再生特別措置法の一部改正に伴い、公共交通を充実させるとともに、歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりへの方向性が示されました。この法律改正により、市町村が都市機能を集約化する区域と居住を促進させる区域を立地適正化計画として定めることができるようになり、県内でも策定の動きが続いてきましたが、市町村間の連携や災害対応など広域的な課題に県は積極的にかかわっていただけたでしょうか。  例えば、一つには、松本市の南の玄関口、村井駅周辺は松本市の立地適正化計画で都市機能誘導区域に設定されています。村井駅は明治35年に開業し、市内では松本駅に次いで2番目の乗降客数を誇ります。周辺の開発は進み、近年では駅南側に松本国際高等学校が建設され、東側ではまつもと医療センターが開設、現在駅舎の改築プロジェクトが進行中で、周辺のにぎわい創出にさらに期待がかかっています。  一方で、村井駅から南側に200メートルも歩けば塩尻市となるため、塩尻市民も多数村井駅や周辺を利用し、生活圏としては松本市の南限と塩尻市の北限は一体を構成しているのですが、村井駅周辺の都市機能誘導区域は市の境でばっさりと切られたような区域図となっています。塩尻市の北限は同区域に設定されていないため、これで本当に効果的な都市機能が集積されていくのかと率直に感じます。  また、もう1点、災害の観点から、今回の台風19号災害において、自治体が設定した居住誘導区域内に浸水被害が発生しました。長野市が2017年に策定した立地適正化計画においては、設定した居住誘導区域のうち、豊野、松代、篠ノ井などの一部エリアが浸水。千曲市は、しなの鉄道屋代駅周辺や戸倉上山田温泉地区などを居住誘導区域に設定し、この一部が床上浸水。佐久市でも、JR小海線の駅周辺の市街地を居住誘導区域に設定したものの、千曲川沿いの店舗などが川へ流出する被害が出ました。  とりわけ、今年2月の本会議一般質問において、河川氾濫による家屋倒壊等が想定される地域住民に対して都市計画を活用した居住誘導策を講じるべき旨を述べた際、答弁では、立地適正化計画の運用指針では、災害のリスク等を総合的に勘案し、居住を誘導することが適当でないと判断される区域は原則として誘導区域には含めないことを指摘された上で、「ハザードマップ等も考慮し、適切な居住誘導が図られるように技術的助言を行ってまいります。」といただいております。今回の事案に何らかの対応はあったのでしょうか。  以上を踏まえ、これらの問題に県としてどのように対応してきたのか。また、改めて県と関係市町村が広域的に課題を共有できる場を設ける必要があるのではないか。建設部長の見解を求めます。  さて、交通というと、東京など人口規模が大きい地域と県内をどのように結ぶかということにはよく注目が集まりますが、地域の内部でどのような人の流れをつくり、都市計画等を活用してそれを町の活力にどう結びつけていくかということについての議論は大変薄弱であったと思います。さきに摘示した法律や計画を推進しても、人口減少社会へのある程度の対応にこそなれ、町や地域の活力をどこまで創出することができるか、現実的には厳しい面があることは否めません。民間事業者や行政、地域などが今は知恵を出し合って、うまく役割分担しながら地域交通を担っていますが、どこも運営資金に窮し、人手も足りない中で、このままの制度下で存続できるのか、不安は尽きないわけです。  そこで、長期的な展望を考えたとき、2月の本会議では、地域振興局のさらなる権限強化、あるいは統合再編をと述べました。交通の事案にもそのような観点からしっかり地域振興局がかかわっていただきたいと思いますし、また、今般、国のほうでは圏域構想が議論されています。これまで、市町村の枠組みを超えた広域連携は、ごみ処理の事務組合など緩やかな形で幅広く行われていましたが、これに対し、政府内で浮上する圏域は、新たな行政単位という位置づけで、今年6月に閣議決定した骨太方針でも、一定の人口を有する圏域を形成し、医療、交通、産業などの分野における近隣市町村の連携を促進すると明記されています。これが実現すれば、複数の近隣市町村が、権限、財源、人材を一体的かつ合理的に運用しながら交通政策を展開することに期待がかかります。地域振興局にしろ、圏域構想にしろ、ひとまず、形はどうであれ、今後は構造的に広域的なマネジメントを強めていかなければ、人の流れという地域の活力に直結する問題においていつまでも積極策を打つことができないのではと危惧いたします。権限、財源、人材のそれぞれが縮小し続ける各市町村の交通政策を県として広域的にどのように捉えているのか。知事の所見を伺い、今回の一切の質問といたします。ありがとうございました。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)交通まちづくりについて大きく3点質問をいただきました。  まず一つ目の市町村の地域公共交通網形成計画の策定状況と県の対応等についてということですけれども、現在31の市町村が計画を策定済み、今後四つの市町が策定予定としております。  県では、これまで、広域的な公共交通ネットワークとの整合を図る観点から、市町村の公共交通活性化協議会等に参画いたしまして、計画策定について必要な助言、情報提供を行ってまいりました。  議員御指摘のように、この計画は、公共交通の目指す方向性等についてまちづくりとセットで定めますマスタープランと位置づけられておりますことから、大変重要なものと認識をしております。  現在、国におきましては、計画策定を努力義務化する法改正というものも検討されているとお聞きしております。こうしたことも踏まえまして、北陸信越運輸局と連携を図りながら、引き続き市町村の計画策定が進むよう支援をしてまいります。  二つ目です。市町村の計画策定の推進にかかわります県のメニューについてということですけれども、県では、平成28年度から、地域交通ベストミックス構築事業というものを実施してまいりました。ここでは、調査費用ですとか実証運行等に係る経費に対し助成するとともに、交通アドバイザーを派遣するということをやってまいりました。この事業で支援しました28市町村のうち、20市町村が計画策定の準備や計画に基づく路線再編等に取り組んでいるところであります。  この計画のポイントの一つとして、地域全体を見渡した総合的な公共交通ネットワークの形成ということがございますので、今年度から南信州、木曽、北信の3地域で実施しております地域公共交通最適化サポート事業におきましては、そのエリアの人口動態や生活圏を意識しまして、病院、学校といった生活拠点から交通の状況などの基礎データを収集、整理して、課題解決のためのいわゆる処方箋を示しますカルテを作成することとしております。このカルテを各地域において公共交通の最適化に活用することが計画策定の推進に資するものと考えておりますので、このサポート事業を全県展開してまいりたいと考えております。  最後に、三つ目です。交通系ICカードの普及時期とMaaS導入の見通しについてですけれども、交通系ICカードにつきましては、交通事業者や自治体、それから学識経験者等で構成します検討会におきまして、JR東日本が2021年春の提供を目指しております地域連携ICカードを軸として導入することで今検討が進められているところです。  まだ多くの課題がありますけれども、導入の主体であります事業者の多くが、やはりコストの面で課題があるとしておりますことから、こういった課題をクリアした事業者、地域から順次導入が進められていくものと考えております。  MaaSにつきましては、今年度、国が実証実験として全国19カ所でモデル事業を支援しております。残念ながら本県では国のモデル事業を行われておりませんが、県が独自に開発しました観光・交通案内アプリ「信州ナビ」におきましては、鉄道、バスの経路検索や時刻表などの情報、それからタクシー、レンタサイクルを予約できるアプリの情報など、MaaSの取り組みの推進に資すると考えられる情報の提供を行っているところです。この信州ナビの機能の充実、利用促進を図るとともに、国の実証実験の結果等を参考にしながら、さまざまな交通手段を組み合わせたより利便性の高い交通システムの構築について検討してまいります。  以上です。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)立地適正化計画についてのお尋ねでございます。  市町村間の連携につきましては、市町村の区域を超える広域的な調整が都市計画における県の役割の一つでありますので、立地適正化計画に関しても、市町村境を挟んだ計画の整合性などを確認しております。御指摘のありました松本市、塩尻市境の誘導区域については、現在の土地利用状況を反映したもので妥当な設定と考えております。  また、災害と立地適正化計画の関係ですが、御指摘のとおり、今回の災害で居住誘導区域の一部で浸水被害が発生しています。  一方で、日本の都市の多くは、その成り立ちからして河川の氾濫原に形成されております。特に、長野県は山と川に挟まれた狭い場所に都市が形成されており、土砂災害や水害のリスクがない場所は少ないと考えております。  これまで、国と県では、土砂災害特別警戒区域等を避けて誘導区域を設定するよう助言を行ってきましたが、今後は、水害も含めたさまざまな災害を想定し、災害のリスクの大きさと防災対策の状況を勘案した上で計画の策定や見直しを行うよう助言してまいります。  市町村との情報共有や意見交換については、従来からさまざまな機会を設けて行っておりますが、特に、立地適正化計画を今後策定する市町村の中には、都市規模が比較的小さく、他市町村との連携や機能分担が必要となる市町村もありますので、県と関係市町村の間で検討や調整を行う機会を設けていきたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)権限、財源、人材それぞれ縮小し続ける各市町村の交通政策を県として広域的にどう捉えているかという御質問であります。  まず、交通政策は県として大変重要な政策だというふうに思っております。公共交通に係る協議は、一般的に市町村単位の活性化協議会等で行われておりますけれども、住民等の利用実態、長野県の市町村の場合は小規模市町村が多いわけでありますし、また、人の移動は、その市町村域を超えて移動しているというようなことを考えれば、市町村域を超えた広域的な公共ネットワークが重要だというふうに思っております。そういう意味で、広域自治体としての県としても責任を持って取り組んでいかないといけない課題だというふうに思っております。  交通の問題は、県と市町村との関係の前に、そもそも国と地方の関係に極めて大きな問題があるのではないかというふうに私としては思っております。交通の権限は、残念ながらほとんど国が握っております。また、地方における交通財源も非常に乏しい。これは、国全体でも、公共事業等にかかる財源と交通にかけている財源を比べれば桁違いというような状況もある中で、国の全体としての財源配分、そして国と地方の間の権限配分、こうしたものをしっかりと見直さなくては、幾ら県と市町村が頑張っても地域公共交通が元気になる、充実するということにはなかなか結びつけづらいという現状だというのが私の認識であります。  県としては、これまでも、地域振興局が積極的にかかわって広域的な公共交通の課題に取り組んできております。南信州、木曽、北信で、先ほど部長からの答弁でも申し上げましたように、地域振興局が中心となって地域公共交通適正化サポート事業を進めているところでございます。特に、北信地域では、地域振興局が主導して広域の地域公共交通網形成計画策定を進めているという状況であります。こうした県としての取り組みをもっともっと強化していかなければいけないというふうに思っております。  医療や教育などさまざまな政策を進める上でも、通院の足をどうするか、通学の足をどうするか、そういうこととセットで考えていかなければいけない時代でありますので、市町村とはこれからもしっかり連携をして交通政策により一層力を入れていきたいというふうに考えております。  以上です。 ○議長(清沢英男 君)次に、石和大議員。       〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)地域医療構想の推進について伺います。  私の地元東御市では、9月に突然厚生労働省から東御市民病院は再編統合等の再検証が必要な病院だと公表され、住民の間には戸惑いと不安が広がっています。さらに、東御市民病院としては、鹿教湯病院、三才山病院の再編にあわせて市民病院に療養病床を60床増床したいという方針で地域医療構想調整会議に臨んだということですが、不調に終わり、住民の落胆は大きいところです。  東御市だけでなく、上小地域の千曲川右岸地域から鹿教湯病院の療養病床に入院されている方々は少なくありません。定期的に鹿教湯まで通ってケアに当たる家族の時間的、経済的負担は少なくないと思います。もう少し利便性がよいところに療養病床やリハビリ機能が充実した医療機関があればという希望は今後もふえていくと考えられます。  住民のニーズと厚労省や医療調整会議等の考えていることの間には相当の乖離があると考えられます。そして、住民の不安は、今回の公表に名前が挙がっている病院に、今後医師、看護師、医療従事者が集まるのかということにも及んでいます。  そこで、以下、質問をいたします。  県では、今後増加する医療や介護の需要を背景に、平成29年(2017年)3月に長野県地域医療構想を策定し、2025年における医療需要と病床数の必要量等の推計データに基づき、医療機関、自治体等の関係者からなる地域医療構想調整会議を通じて地域で安心して医療サービスを受けられる体制の構築が進められているということであります。  この構想では、将来の人口と医療需要の推移に基づき、2025年度の必要病床数が1万6,839床と推計され、2015年度の許可病床数1万9,769床、稼働病床数1万8,519床に比べ減少する方向が示されていますが、地域医療構想を進めるに当たっては、単に病床数を減らすのではなく、いかに地域の医療供給体制を持続していくかが重要であると考えます。
     これまでに各圏域で開催される調整会議において、現在の医療サービスの維持充実や将来の医療需要に応じた医療提供体制について議論が交わされ、医療機関による自主的な取り組みが進められているということですが、これまでにどのような取り組みが行われ、どのような成果があったのか伺います。  次に、全国各地で地域医療構想の取り組みが進む中、本年9月に、厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループにおいて、再編統合等の再検証が必要とされる全国424の公立・公的医療機関が公表され、県内でも15の医療機関が該当するとされたところであります。先ほど述べたとおりであります。この公表については、全国一律の基準により分析したデータのみで再編統合を進めることは適切でない、地域の住民の不信を招いた等の声が全国知事会を初め多くの地方から寄せられたところであります。  今回の厚生労働省の公表については、地方からの指摘のとおり、データ分析に診療科の偏りがあることや、データ発表が唐突であったなど対応に問題があったと感じますが、公表された県内医療機関は地域でどのような役割を担っているのか、また、その役割をどう評価しているのか。見解を伺います。  現在、厚生労働省、総務省、全国知事会等の地方3団体で構成される国と地方の協議の場が設置されたところであり、将来を見据えた建設的な議論が交わされることを期待するわけでありますが、今後の人口減少社会、高齢化社会においても、限られた医療資源をもとに地域住民の命を守り続けていくためには、より一層の取り組みが必要であると考えます。  このため、今後の地域医療構想を進めるに当たっては、地域の実態をしっかりと捉え、医療機関の機能や役割の分化、連携について丁寧に議論を重ねるとともに、これを推進していく効果的な施策が必要であると考えます。今後、県がこの取り組みを進めるに当たっての課題と方向性について伺います。  以上、3点について健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)地域医療構想の推進につきまして3点御質問をいただきました。  まず、長野県地域医療構想のこれまでの取り組みについてでございます。  地域医療構想の推進に当たっては、県内10の圏域ごとに設置した地域医療構想調整会議において医療機能の適切な分化と連携を進め、圏域全体で医療を支える体制、他の区域との連携を図り、県民の皆様が安全かつ効率的で質の高い医療サービスを享受できる体制、こうした体制を目指して協議いただいております。  具体的には、平成29年度以降、再編統合に係る協議と合意形成、在宅医療等に係る医療従事者の確保の課題に対する検討、他の医療圏域における医療提供体制の変化への対応などについて関係者間で議論を深めてまいりました。  こうした議論により、高齢化に対応した回復機能への転換が進んでいるほか、平成30年のまつもと医療センターの統合を初め、これまで14病院がダウンサイジングを行い、4病院においては251床を介護医療院に移行するなど地域医療構想が目指す機能分化と連携の取り組みが進んできているところでございます。  次に、公表された医療機関の役割と評価についてでございます。  今回公表された県内の医療機関は、それぞれ地域の実情に応じて、救急医療などの提供や僻地診療所への医師派遣、地域包括ケア体制の支援などの重要な役割を有しております。それぞれ地域において医療のセーフティーネットを支える重要な医療機関であると認識しております。  最後に、地域医療構想を推進するに当たっての課題と方向性についてでございます。  人口減少や少子・高齢社会が進展する中、医療を取り巻く環境が変化し、県民の皆様が安心して医療を受けることが困難になることが懸念されております。こうしたことから、医師を初めとする限られた医療スタッフや医療施設などの資源を有効に活用したり医療機能の役割分担を進めたりすることにより、持続可能な医療提供体制を構築していくことが課題であると考えております。こうした医療が直面する課題を、医療関係者に加え、県民の皆様、そして自治体関係者ともしっかりと共有し、議論を深めていくことが必要と考えております。  こうした中で、今年5月に、信州大学と締結した地域医療の推進に関する協定及び今年度予算で執行させていただいておりますビッグデータの解析等を行い、地域の医療ニーズや従事する医師の見える化を行うとともに、医療機関の役割に応じた医療スタッフの養成や派遣、医療機関の取り組みを後押しする財政的な支援をしっかりしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)冒頭申し上げたとおり、住民の皆さんとこの調整会議等の間にはかなりの乖離があるということがわかっているんです。これを何とか解消するために県には最善の努力をしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  被災地の復旧・復興について伺います。  東北信地域を中心に大きな爪跡を残した台風19号災害では、千曲川流域を初めとする各地域で住宅や農地がのみ込まれる甚大な被害をもたらし、県内では5名のとうとい命が奪われました。犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、現在も不自由な暮らしを強いられている皆様が一日も早く通常の生活に戻ることができるように、県にはあらゆる施策、人員を総動員して取り組んでいただきたいと思います。  今回の災害への対応に関しては、県も国も迅速に対応していただいたことに敬意と感謝を表します。中でも、昼夜を分かたず24時間体制で復旧工事に取り組んでいただいた建設業者を中心とした工事関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。  さて、100年に一度とも言われる今回の大規模な台風災害ですが、地球規模で温暖化現象が進む現状では、今後も同程度の災害が頻繁に発生することを考慮し、次に備える必要があると考えた上で、被災地の復旧・復興についてお伺いいたします。  史上最大級と予想された台風がもたらす危険性について、事前に県では各部局がどのように情報を共有し、対策をとっていたのでしょうか。また、現代社会では、スマートフォンや携帯電話が主な情報伝達ツールになっていることは間違いがないのですが、今回、千曲川の増水とともに頻繁に鳴り響いた緊急速報メールでは、同じような情報が繰り返し流れていたようにも感じます。避難を促す緊急情報は各種媒体で適時的確に伝わったとお考えでしょうか。  以上、2点について危機管理部長にお伺いします。  私自身も、台風が近づいてきた土曜日には、昼間に何度も千曲川沿いに出て状況を確認しました。白鳥堤防とも呼ばれる今回崩落した堤防は、私が生まれてからも何度か崩れ、昭和58年には大規模に崩落しました。今までにも何度も大水は見てきましたが、共通していたのは、大きな岩が河床を転がるゴロゴロという大きな音とともに流木や畳等が流れていくさまでした。今回もそれが続いていましたが、夕暮れが近づくころには音が小さくなり、浮遊物も少なくなり、次第に増水し、まさにピューという猛烈な速さの流れになっていく千曲川の状況を目にし、恐怖を感じたところです。災害発生前から千曲川流域の増水状況について国土交通省の現地機関との情報共有及び関係機関へのスムーズかつ的確な伝達はできたのでしょうか。建設部長に所感を伺いします。  今回の災害により、東御市内では五つの橋が崩れ落ちるなど大きな被害が発生しました。いずれも地域の住民の皆様にとって生活に欠かせない橋であり、早期の復旧が望まれます。  私の住んでいる本海野地区では、千曲川の堤防が崩落、続いて東御市道白鳥神社線が崩落、さらに海野宿第一駐車場が崩落、流出しました。当日の夜、海野宿住民に避難指示が出ていましたし、停電もしていましたので、私は避難所である田中小学校体育館に移動していたのですが、雨足も弱まってきたので、日付が変わった深夜1時半ごろに通電している事務所に戻りました。  崩落した道路、橋から直線で50メートルくらいの位置ですが、しなの鉄道や別の市道を挟んでいる国道18号線に近い高台に位置しておりますので、明るくなるまで仮眠をしようとうとうとと浅い眠りの中にいたところ、午前2時半ごろだと思いますが、突然ドドーンとこの世の終わりとも思えるようなすさまじい音で飛び起きました。それとともに、ゴーという飛行機のエンジン音のような轟音が鳴り響きました。今まで生きてきて余り経験したことがない恐怖を感じました。轟音は40分ぐらいは続いたのではないかと思います。3キロくらい離れたところにもこの轟音は聞こえたようで、住民の皆様は何の音だろうとさぞかし不安だったろうと思います。これは、市道が崩落した後、残っていた海野宿橋の巨大な橋台が無残に崩落し、それによって新潟から東京へ向かう高圧の天然ガスのパイプが破断し、ガスが噴出する状況になったことによる轟音だったのであります。ガスが噴出していると知った住民の皆さんは、不安を感じて、避難された方々もおられます。  しかし、このころ雨はほとんど降っておらず、深夜だったので見えず、気がつかなかったのですが、千曲川の水位は上昇を続けていたのであり、上流でもう少し雨が降っていたらもっと甚大な被害が発生したと思うと身が震える思いがいたします。  特に、海野宿橋の崩落地点は、これだけ大規模に崩落したことは住民の皆様にとっても初めてであり、復旧前の来年の入梅以降に今回のような大水が来たら、今度は家が流される、海野宿まで流されるという不安が大きいわけです。来年の大水が出る前に本復旧を果たしてほしいというのが地元の切なる願いです。  この現場は、今回、国の権限代行により、護岸工事、市道の復旧工事が計画されています。市道も国の権限代行にしていただいたことに感謝をしています。ただ、この箇所は、県管理区間であり、以前にも何度も堤防が決壊している危険箇所であり、現在の河床のあたりから海野宿方面へ水の通り道の地盤があり、いつもそれに沿って崩落していることが想像できます。 ここ35年間は崩落しませんでしたが、これまでの堤防決壊の歴史的な経過を踏まえ、今回の崩落原因の分析をした上での復旧工事の必要性を感じますし、さらには、恒久的に被害を防ぐ対策が必要です。可能であればこの箇所の川の流れを南側へ誘導する。さらには、二重の堤防を築く。砕石ばかりでなくコンクリートを地中の深い部分から立ち上げるなどの工法がとれないかと考えますが、国、県、市及び住民と今後どのように協議していくのでしょうか。建設部長にお伺いします。  また、被害を受けた白鳥神社線は、東御市の観光の一つの目玉であり、年間に25万人が訪れる海野宿へのアクセス道路となります。また、同様に被災した丸子東部インター線上の田中橋は、川幅が一番狭い箇所にかかっているため、増水時は水が橋の左右の盤に強く当たり橋台部分から噴出する状況になっていて、抜本的な対策が必要であると考えます。いずれも、国道18号線大屋付近の慢性的な渋滞を緩和する重要幹線道路でもあるため、一刻も早い復旧が望まれるところです。建設部長に復旧の見通しをお伺いいたします。  次に、今回の豪雨では、東御市内の南面傾斜には比較的雨量が少なかったこともあり、数多い1級河川の中でも少ない被害で済みました。これは、多目的ダムや砂防堰堤等が機能したことが大きな要素であると考えます。しかし、以前からの土砂堆積に加え、今回の大水でさらに堆積が進んだのではないかと住民から不安の声が上がっていますが、実態はどうなっているのでしょうか。建設部長にお伺いします。  次に、今回の災害により、東御市内千曲川流域でも、護岸崩落とともに農業用水の取水口、頭首工が多数損壊しています。そして、護岸の内部に敷設された送水管や水路も大きく損壊しています。これらの復旧には、国、県、市が連携し、横断的な取り組みが必要ですが、事業主体の市町村は農業土木技術者が不足しています。県には力強い支援をお願いしたいと思いますが、どのような支援を行うのか。また、取水口の復旧は河川改修とともに行う必要があるわけですが、来春の水田の営農までに取水口の復旧はできるのか。また、できない場合の対策はあるのか。  以上、農政部長に伺います。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)2点御質問をいただきました。  まず、県の情報共有体制等についての御質問でございます。  今回の台風第19号は、10月7日には大型で猛烈な台風に発達したことから、災害発生の危険性が高いものと判断し、10日に庁内連絡会議を開催、11日には警戒・対策本部を設置して最新情報を全部局や地域振興局と共有するとともに、全庁で警戒体制をとってまいりました。  特に、今回の台風は週末の3連休に最接近が予想されたことから、各部局において、観光客に対する交通情報などのきめ細やかな情報発信、県立学校の文化祭などイベントの中止及びその情報の発信、最新の気象情報入手の呼びかけ、暴風雨に対する県有施設の事故防止対策の徹底など可能な限りの事前対策に努めてまいりました。  次に、避難を促す緊急情報等についての御質問でございます。  今回の災害では、テレビを初め、さまざまな媒体により気象情報や避難関連情報が発信されましたが、そこには5段階の警戒レベルの情報が付加されたことによりまして、住民の皆様は同一の情報と認識できたものと考えております。  また、千曲川の越水や堤防の決壊により瞬く間に浸水区域が拡大したにもかかわらず、多くの方が避難行動を行っていたことからも、今回の災害におけるさまざまな媒体における情報はおおむね適切に発信されたものと考えております。  しかしながら、一方では、多くの方が取り残され、十分には情報が伝わらなかった部分もあったことから、今後、住民の皆様に避難情報を適時的確にお伝えし、避難につながる方法を検討してまいりたいというふうに考えております。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)初めに、台風19号に際しての千曲川に関する国土交通省との情報共有・伝達についてのお尋ねでございます。  千曲川の増水状況については、水防法に基づき、国土交通省千曲川河川事務所から、千曲川氾濫発生情報がその都度県の水防本部に伝達されました。県では、その情報を、長野県水防計画に基づき、即座に水防管理団体である市町村や消防等の行政関係団体、自衛隊などへ長野県防災行政無線によるファクシミリにより伝達し、到達の確認をしております。  次に、千曲川東御市海野工区の災害復旧に関するお尋ねです。  台風19号による出水では、千曲川の県管理区間国管理区間ともに計画高水位を超過し、既往最大の洪水となったこと、また、御質問の海野地籍は、いわゆる水衝部となっていることなどから、大規模な護岸の決壊に至ったものと考えております。  さらに、この箇所は過去にも同様に被災していることから、今回の復旧に関しては、単なる原型復旧ではなく、再度災害防止の観点も含めた対応が必要でございます。  当該箇所につきましては、大規模で高度な技術を要するため、国の権限代行により設計から工事まで実施していただくこととなっており、現在、測量、設計が開始されていると聞いておりますので、被災のメカニズムや地質の状況等も踏まえ、再度災害防止に資する復旧工法となるよう国と協議を進めてまいります。  また、既に完了した応急工事に関しましても、地域の皆様への説明会を開催しておりますので、本格的な復旧につきましても東御市や地域の皆様の御理解を得ながら進められるよう国に要請をするとともに、県としてもできる限り協力をしてまいりたいと考えております。  次に、東御市道白鳥神社線と主要地方道丸子東部インター線田中橋の復旧に関するお尋ねでございます。  白鳥神社線は、しなの鉄道線をまたぐ橋梁を含めて被害を受けたことから、円滑かつ迅速な復興をするために、国の権限代行により災害復旧事業を実施していただいております。これまでに、橋脚の保護と、流出した橋台にかわり橋桁を支えるベントを設置し、橋梁の安全を確保していただいたことから、先月15日にしなの鉄道線の運行再開を果たすことができております。  本路線の復旧の見通しについては、現在、残存している橋梁の健全性を確認中であり、その結果等を踏まえながら復旧計画を策定する必要があること及び河川の復旧事業とあわせた復旧が必要であることから、検討にはもうしばらく時間がかかると聞いております。  次に、田中橋でございますが、この橋は、右岸側橋台の周辺が洗掘を受け、橋台背面の道路部分が崩落いたしました。被災直後から工事用進入路などの仮設工事を進めており、これと並行して都市ガスなどの占用物件の管理者や近接する住宅所有者などとの協議を行ってまいりました。先般、その協議が整ったことから、県道本体の工事に着手できるめどがつきまして、来年3月中には通行できるように工事を進めていくことといたしました。  県民の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、極力早期に復旧できるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、今回の台風19号におけるダムや砂防堰堤の土砂堆積についてのお尋ねでございます。  今回の台風19号では、洪水や土砂災害による被害が多数発生したところですが、既存のダムや砂防堰堤が機能し、下流に対しての被災リスクを低減したと考えております。  東御市内の南向き斜面に設置されている金原ダムや砂防堰堤では、今回、台風19号での大きな土砂流入は確認されておりませんが、定期的に貯水池の測量や砂防堰堤等の点検を行い、異常な土砂堆積が確認された場合には対策を講じてまいります。  以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)農業水利施設の復旧への支援策についての御質問でございます。  今回の災害では、千曲川やその支流の氾濫によりまして、佐久・上田地域を中心に41市町村で約2,500カ所の取水施設、水路が被災するなど、農業水利施設に甚大な被害が発生しております。  復旧工事に当たりましては、事業主体である市町村が、復旧する施設の構造や工事の進め方などについて河川の護岸工事を行う国土交通省や県建設部と協議を行う必要がございます。農政部としましては、その協議を積極的に支援するほか、被害が甚大で高度な技術を必要とする大規模な工事につきましては県が受託するなどの支援を検討してまいります。  来春の水田の営農については、早期復旧のほか、応急工事の実施により極力農業用水を確保できるよう支援してまいりますが、水稲の作付が困難な場合には、ソバ等の代替作物の選定や栽培技術の指導など、農業改良普及センターが市町村等と連携をし、農家への支援を行ってまいります。  以上でございます。       〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)各部長から個別の項目について答弁をいただきました。まとめとして、最後に知事に質問をしたいと思います。  今回の台風災害を教訓に、情報発信をさらに充実させるとともに、各種治水対策を進めることは大変重要なことです。しかし、それだけでは、命を守るという一点についてはまだ不十分です。  先ほど、台風が近づいた際の自身の体験談をお話しいたしましたが、もう一つの出来事を補足します。  台風の接近に伴って千曲川の水位がぐんぐん上昇した当日、避難を呼びかける緊急速報メールなどが徐々に入ってきました。しかし、御近所の皆さんは、なかなか避難所に移動せず、自宅にとどまっている方が少なからずいらっしゃいました。そんな午後11時過ぎでしょうか。堤防が崩落して避難指示が出たと、消防団が積載車のスピーカーですぐに避難してくれと呼びかける声が聞こえました。  うちの近所では11軒の近所住民を隣組というのですが、今年輪番で組長を務める私にも近所に避難を呼びかけてくれと連絡が入り、一軒一軒を回って避難を呼びかけたところ、ようやく皆さんも腰を上げて避難所に移動してもらうことができました。呼びかけている最中に停電し、海野宿は暗闇に包まれていました。堤防が崩落して、その時に電柱、電線も一緒に崩落したために停電が発生したことが後でわかりました。隣に誰が住んでいるかもわからない都市部では、こうした声がけはなかなか難しく、当たり前のように声がけができる信頼関係が地域にあることはかけがえのない宝だと思います。  平成26年に白馬村を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生した際、倒壊した家屋の中に取り残された住民を近所の人たちが協力して救助し、人的被害を最小限に抑えた白馬の奇跡のことを思い出します。この時は、御近所の皆さんがお互いに誰がどの部屋にいるのかを把握していたため、迅速かつ的確に救助をすることができたとしてマスコミにも驚きをもって取り上げられました。  堤防を強靱化するなどハード面をどれだけ整備しても、異常気象が日常になりつつある近年の気象条件においては災害時に100%の安全を確保することは限りなく難しく、最後は地域で人と人が信頼関係でつながる地域防災力が命綱だと考えますが、この点をどのようにお考えになるでしょうか。また、地域防災力を向上させるためにどのような取り組みをしていくのか。  以上、2点について知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)地域防災力についてどう考えるか、また、どう向上させるかという御質問でございます。  災害対応に当たっては、やはり、自助、共助、公助、この三つがいずれも重要だというふうに思っております。特に、御質問のありました地域の防災力の向上、これは、私は行政の立場ではありますけれども、行政だけで取り組むには災害時はなかなか限界があります。消防団の皆さん、自主防災組織、町内会の皆さんの活動も含めてしっかりと充実を図っていくということが大変重要だというふうに思っております。  県としては、これまでも、消防団活動に対して応援税制等で支援を行ってまいりましたし、また、災害時住民支え合いマップ、あるいは地区防災マップの作成支援、さらには、自治会等に職員が出向いて、地域防災力アップ出前講座、または自主防災アドバイザーの委嘱や自主防災組織リーダー研修会等の実施等により、こうした地域防災力の向上に努めてきたところであります。  先ほど白馬の地震のことも引用いただきましたけれども、あれは、メディアでは白馬の奇跡というふうに言われております。私は、奇跡ではなくてそういう地域コミュニティーがあったからだということをいろいろなところで申し上げてきておりますけれども、たまたまできたとか、あの人がいたから何とかなったということでは、私ども行政としての役割は果たせないんじゃないかというふうに思っております。うまくいった事例が、いつ、どういう地域においても同じように対応できるように取り組んでいくということが私どものやらなければいけないことではないかというふうに思っております。  市町村の皆さんからすると、職員も二、三年で異動して災害対応の経験がない職員もいる。また、地域の皆さんも、災害に遭遇したことがないので具体的にどう行動すればいいかよくわからないというような方が大勢いらっしゃいます。そういうことを受けて、今年度、私どもは、「いのちを守る」防災力向上プログラムの策定に取り組んでいるところであります。これは、避難勧告等の判断、伝達、災害対策本部の設置や避難所の運営、さらには災害時住民支え合いマップや要配慮者避難計画のつくり方等について取りまとめたプログラムをつくっていこうというものであります。これをつくった上で訓練や実践にしっかりと結びつけていきたいというふうに考えているところであります。  こうした取り組みは、まさに私どもが今進めております総合計画、しあわせ信州創造プラン2.0に掲げております学びと自治、学びでもあり、自治でもあります。我々が最も力を入れて取り組むべきテーマだというふうに思っております。  今回の災害によりまして、県民全体の防災への関心が今まさに高まっているところだと思います。こうした機会を捉えて、市町村とも連携して、地域防災力がさらに一層向上できるように県としても取り組みをしっかり進めていきたいと考えております。  以上です。       〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)被災現場を目の当たりにし、被害を受けた皆様と話をしていて、復旧・復興について一番大事なのは先の見通しであります。そして、この先に希望の光があるのかということに住民の皆さん、被災者の皆さんは本当に不安を持っていますし、先に希望があれば諦めないという気持ちが湧いてくるわけであります。  また、今回被災地に多くのボランティアが駆けつけて復旧を担っていただいていますし、自衛隊は大きな力を発揮してくれました。さらには、さきに述べたように、建設業者の皆様も地域の復旧のために精一杯の力を発揮してくれています。もちろん、県の行政職員の皆さんを初めとする多くの皆さんがそのように力を発揮してくれています。このように復旧に向けて動いていただいている力強い姿は、希望の光であります。今後も、英知と力を結集し、今回の被災からの復興を未来への力とつなげられるように皆で努力する決意を新たにし、質問といたします。 ○議長(清沢英男 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時29分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(荒井武志 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  望月義寿議員。       〔2番望月義寿君登壇〕 ◆2番(望月義寿 君)改革・創造みらい、望月義寿でございます。通告に従い、質問いたします。知事並びに理事者の前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。  令和元年台風第19号災害からの復旧について質問いたします。
     記録的な豪雨をもたらした台風19号は、日本列島に甚大な被害を生じさせました。本県においても5名の方がお亡くなりになり、144名の方々が重軽傷を負われ、8,551世帯が浸水被害を受けました。お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。  未曽有の水害により、道路、河川、公共施設を初めとする社会資本や、農商工業の生産基盤に2,500億円にも及ぶ被害が生じ、水害の恐ろしさを改めて実感するところです。11月1日集計の長野市の資料によると、私の住む篠ノ井も1,527軒の浸水被害を受けましたが、これは、長野市内の住宅被害3,620軒の4割以上を占め、お隣の松代の590軒と合わせると市内の6割近くが南部での被災で占められました。  一方、決壊の被害は桁違いであり、長沼、豊野、古里3地区の被害は1,466軒であるのに対し、うち全壊が824軒、大規模半壊が236軒を占めています。内水被害対策に全力を挙げるとともに、決壊だけは何としても防がなくてはなりません。  国では、2014年に信濃川水系河川整備計画を策定し、30年計画で整備を進めてくださっていましたが、今回の雨量は1983年の既往最大洪水を超えてしまいました。国の調査委員会は、穂保の決壊が越水によるものと結論づけましたが、同じく越水により決壊寸前だった箇所はほかにも多数あります。  台風が大型化してきている昨今、破堤、破壊された堤防の改良復旧と未整備部分の解消、弱小堤防の強化が必要であり、信濃川水系河川整備計画の見直しと千曲川堤防の強化、立ヶ花狭窄部、戸狩狭窄部の開削、無堤地区の解消を引き続き国に強く求めるとともに、県管理河川においても、越水や浸透、浸食、洗掘に耐えられる堤防の整備が必要です。鋼矢板で補強する工法や裏法面を遮水シートで保護する耐越水工法等の採用は考えられるのか。長谷川建設部長に御所見を伺います。  今回の内水氾濫においては、浸水により機能停止した排水機場もあり、千曲川の水位が減少してからも排水できずに被害が拡大した事例もありました。今後、排水機場の復旧や新設に当たっては浸水への対策が必要と考えますが、長谷川建設部長に御所見を伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)初めに、堤防強化の工法についてのお尋ねです。  堤防の構造は土による盛土が原則であり、修復が容易なこと、基礎地盤と一体化できること、環境調和などの面から古くより用いられています。  一方、昨今、全国各地で洪水による破堤が発生していることもあり、越水しても決壊をおくらせることで被害を最小化し、十分な避難時間を確保する等の観点から、粘り強い堤防としていく方針が国から示され、民間企業においては堤防強化に関するさまざまな工法が開発されています。  今後は、破堤による社会的影響が大きい箇所から堤防強化とその工法について検討を進めるとともに、国に対しましても同様に堤防強化について検討するよう要望してまいります。  次に、排水機場の耐水化についてのお尋ねです。  まず、災害復旧に関してですが、公共土木施設、農地、農業用施設の災害復旧として洪水により被災した排水機場の復旧を行う場合には、排水機場の周りの止水壁の新設またはかさ上げ、防水扉の新設、電気機械設備のかさ上げなどの方法により、被災した際の浸水高さを対象とした防水・耐水処理が復旧の対象となることとされています。  また、新たに排水機場を整備する場合においては、過去の浸水実績等を勘案し、浸水による被害を防止する構造とすることが基本と考えております。  排水機場の浸水に対する安全性の確保は、周辺地域の浸水被害軽減のために重要なことでありますので、復旧に際しては機能アップをさせる改良復旧を実施してまいります。  以上でございます。       〔2番望月義寿君登壇〕 ◆2番(望月義寿 君)ぜひ、幅広く適切な工法を早急に考えていただきまして、工事のほうをお願いしたいと思います。  県は、内水氾濫により甚大な被害が発生した浅川について、氾濫状況のシミュレーションを実施し、浅川に限った氾濫の影響を明らかにすると表明しましたが、いかなる条件下で実施するのでしょうか。千曲川からの越水等も考慮するのか。また、シミュレーションの結果はいつまとまる予定でしょうか。長谷川建設部長に御所見を伺います。  また、実施したシミュレーション結果に基づく対策を、短期的対応、中長期的対応に分けて示し、中長期的な対応については流域住民の意見を聞く機会を設けるなど丁寧に進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。御所見を伺います。  今回の災害で、内水氾濫による被害が発生した全ての県管理河川の治水安全度は、例えば浅川では100分の1年となっていますが、統一した基準のもとに設定されているのでしょうか。されていないのであれば、多数浸水被害が生じた岡田川、聖川、蛭川、神田川等においても優先順位を考慮しつつ、少なくとも浅川と同一基準で順次整備を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。長谷川建設部長の御所見を伺います。  また、河床しゅんせつは最も安価な水害対策であり、早急かつ継続的に進めるべきと考えますが、御所見を伺います。  また、遊水池や雨水調整施設の整備もあわせて進めるべきと考えますが、物理的、財政的な課題はあるのか。長谷川建設部長の御所見を伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)浅川の内水氾濫シミュレーションに関するお尋ねです。  台風19号に際しての浅川下流域の浸水被害では、浅川樋門が閉鎖されたことによる内水氾濫と千曲川の穂保地区が破堤したことによる外水氾濫の影響が混在しております。  当日の内水氾濫を再現するシミュレーションの実施に当たっては、穂保地区の破堤による外水は考慮せず、浅川の当日の実流量に対して今回と同様に9時間の排水規制がかかるものとして検討しております。このシミュレーションについては、被災直後から既に作業を開始しており、年内をめどに結果をまとめた上で、引き続いて対策に関する検討を行ってまいります。  次に、浅川の内水計画策定に関するお尋ねです。  氾濫シミュレーション結果に基づく内水計画の再検討に際しては、平成24年度に設置した浅川総合内水対策協議会において長野市を初めとする関係機関の御意見をお聞きするほか、地域の方々への説明会等についても実施する予定です。  また、検討の結果、具体的な計画変更が必要な場合には、河川整備計画の変更手続きの中で地域の方々や学識経験者などさまざまな方々の御意見を反映するなど、丁寧な計画策定に努めてまいります。  次に、県管理河川の治水安全度の考え方等に関するお尋ねです。  支川の治水安全度については、想定氾濫区域内の人口、資産などによる重要度や、合流先となる河川の治水安全度とのバランス、さらには、その河川が築堤河川か掘込河川かなどの河川形状、過去の災害履歴等により各支川ごとに決定しています。また、河川改修完了までには長い期間がかかるため、ほとんどの支川では目指すべき治水安全度に到達しておらず、順次安全度の向上を図っている段階であります。  議員の御質問にございました長野市内の河川ですが、今回の浸水の主な要因は千曲川本川の水位上昇によるものと考えており、再度災害防止のためには千曲川の水位低下対策が重要であると考えております。  以上を踏まえ、今後の治水対策としては、現在検討中の緊急治水対策プロジェクトの中で千曲川の抜本的な水位低下対策について県としても積極的に対応するとともに、支川についても、その河川が有する特徴や課題を的確に捉え、必要な対策を着実に進めることで、地域の方々の安全、安心の確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、河床のしゅんせつと遊水池に関するお尋ねです。  河川のしゅんせつにつきましては、平成30年度2月補正から、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策により県内134河川において実施しているところです。しゅんせつは、浸水被害を防止、軽減する上で非常に重要と考えており、本事業の令和3年度以降の継続について国土交通省へ要望してまいりたいと考えております。  次に、遊水池や雨水調整施設についてですが、これらは、洪水時の流水や雨水を一時的に貯留し、河川の水位低下に資する施設であり、治水対策、流域対策として有効なものと考えています。これらの施設により効果を発揮させるためには、広範な面積の土地が必要であり、流域の市町村や地権者の協力と理解が必要であること、また、施設を完成させるためには短期間に集中投資する必要があることなどが課題であると認識しております。  以上でございます。       〔2番望月義寿君登壇〕 ◆2番(望月義寿 君)お答えいただきました。  浅川の治水安全度は100分の1年ということになっております。これに対して、聖川、蛭川、神田川は、今回大きな内水氾濫が生じたわけですけれども、こちらの治水安全度は50分の1年、こちらは、上流部以外は既に改良済みとなっております。そして、今回大きな被害が生じた岡田川に関しましては、現在30分の1年、これから排水機場を整備していただきまして護岸工を行い、それでも50分の1年を目指して工事中、浅川で100分の1年であるのに対して、果たして他の主要河川が50分の1年のままでいいのでしょうか。それで流域の安全は守れるのでしょうか。また、それぞれの各流域の住民の皆さんの御理解は得られるのでしょうか。重ねて長谷川建設部長に御所見を伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)先ほど、御答弁させていただきましたとおり、治水安全度は想定氾濫区域内の人口や資産、破堤の可能性のある築堤河川か、可能性のない掘込河川か過去の災害履歴等により決定しているところであります。全ての河川を高い水準に整備することは望ましいと考えておりますが、財政面の問題や、改修には用地買収を伴うことから、段階的に整備を行っている状況であります。御提案のあった支川については、その河川が有する特徴や課題を的確に捉え、対策を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。       〔2番望月義寿君登壇〕 ◆2番(望月義寿 君)御答弁いただきました。  それぞれの河川の特徴ですとか、流域の人口ですとか、そういったことも含めてお考えだという御答弁をいただきましたけれども、まず、岡田川流域には相当な人口密集度がありまして、長野市内で最も大きな小学校があるのがこの岡田川の流域、そして、3番目に大きな小学校があるのも同じくこの岡田川の流域です。そこにおいて、果たして50分の1の治水安全度でいいのかという問題があります。  また、河川の形状におきましても、岡田川は天井川と言われておりまして、人口密集地におきまして天井川築堤の場所があります。決して掘削されているような場所ばかりではありませんし、また、今回100%浸水被害があった大当、作見においても、堤防がある場所になっております。そこの治水安全度が現在30分の1で、50分の1を目指す。それで果たしてよいのでしょうか。  また、50分の1のままで整備済みとなっているのに、今後考えるとおっしゃられてもなかなか理解ができないところです。今後、財政的な面も含めてさらに整備をする予定があるのかにつきまして改めて御答弁をお願いいたします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)まず、蛭川、聖川、神田川につきましては目標治水安全度は50分の1となっておりますが、これらの河川については築堤河川だというふうに理解をしております。岡田川については30分の1の治水安全度となっておりますが、基本的には掘込河川であると、築堤の部分もあるかもしれませんが掘り込みが多いというふうに認識しております。  こういう河川について今後どうやって整備を進めていくかということでございますが、先ほど申し上げましたように、その河川が有する特徴や課題を的確に捉えて、今後、着実に整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。       〔2番望月義寿君登壇〕 ◆2番(望月義寿 君)御答弁いただきました。着実にとおっしゃっていただきました。浅川においては、100分の1を実現しているにもかかわらず、さらに排水機場を整備して支川の改修も計画され、実行されつつあります。そこで内水氾濫が起きたために、他の河川に関しては100分の1にまだ行っていないにもかかわらず、さらに新たに内水氾濫が生じないように整備を進めようとしているわけです。着実にとおっしゃっていただきましたので、ぜひ着実に実施していただきたいのですが、もちろん、その河川においてどれだけ上流で雨が降るかによって治水安全度は変わってきますが、果たして本当に50分の1で安全が確保できるのかについて、改めて長谷川建設部長に伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)先ほど御答弁申し上げましたとおり、河川改修の完了までには長い期間がかかるため、ほとんどの支川ではまだ目指すべき治水安全度に到達しておりません。順次安全度の向上を図っている段階でありまして、着実に整備を進めていきたいというふうに考えております。       〔2番望月義寿君登壇〕 ◆2番(望月義寿 君)御答弁ありがとうございました。  50分の1は暫定的な値ということで、地域の安全のためにこれからもさらに着実に進めていただけるという御答弁だと納得させていただきまして、最後の質問をさせていただきます。  信濃川水系の水害対策は、流域全体を通しての総合的、抜本的対策が必要だと考えます。千曲川本川の整備はもちろんのこと、支川における堤防や排水機場の整備、遊水池の整備における農地への地役権設定や雨水調整施設整備における個人、企業の協力など、財源の確保、多部局間の調整、市町村との調整が必要となり、解決すべき課題もあるため、行政の長である知事のリーダーシップに負うところが大きいと考えます。今後の取り組みにおける知事の姿勢について、期待を込めて阿部知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)県民の皆様方の安全を守っていくということが我々県行政の大きな役割の一つであります。今回、19号災害を踏まえて、この治水対策についても改めてしっかりと向き合っていかなければいけないというふうに思っております。  先般、千曲川流域の市町村にお集まりいただき、国、県と共同で信濃川水系緊急治水対策会議を開催したところであります。この場において、緊急治水対策プロジェクトを策定して、総合的な治水対策を進めていくということを確認したところでございます。  引き続き、国や市町村とも十分連携をとらせていただきながら、また、地域の皆様方の御意見も十分お伺いをしながら、千曲川本川の水位低下対策を進めることに加えて、支川の内水氾濫対策等についても対応していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔2番望月義寿君登壇〕 ◆2番(望月義寿 君)今回の災害に当たっては、行政の皆様、そして、ボランティアの皆様を初めとする多くの皆様に昼夜分かたず御尽力をいただいていることに本当に心から感謝を申し上げるところです。私も現場に出てさまざまなお取り組みを拝見していたところですけれども、今後とも、県民の命と暮らしを守るための御活躍を御祈念、御期待申しまして、私の一切の質問を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(荒井武志 君)次に、髙島陽子議員。       〔22番髙島陽子君登壇〕 ◆22番(髙島陽子 君)台風19号の影響で水害に遭われた方々がまず直面したのが、住宅への浸水と同時に、一夜にして家財を損失されたことでした。10月12日、とるものとりあえず急ぎの避難を余儀なくされ、明るくなり、雨がやんでも、水浸しで住みなれた家に近づけない。水が引いてみれば、家屋、車、家具類、生活用品など暮らしの営みに欠かせない身の回りの物が一遍に水浸しに、さらには大量に泥をかぶってというのが被災された方々の10月13日の状況でした。  私は、発生から4日後に、長沼地区津野の知人のお宅で片づけに加わって、被災されたどの御家庭でも、あらゆる物が泥にまみれ、土と水とほこりと、そしてがらくたになってしまった物たちがあふれる光景を見ました。5日前までは誰かの大切な物たち、これらをひたすら水で泥落とし、洗浄、でも、きれいにならず諦めてまとめる。家屋や敷地から泥をかき出す。こういう作業を根気よく継続して取り組まれていた全ての皆様に敬意を表したいと思います。  実際に助けに入ってみて、使っていた物たちを手放す、それもほぼ瞬時に決めていかなくてはならない。時間に限りがあるので、これは被災した当事者たちに痛みを強いていると感じました。その一方で、私たちが、普段思った以上にたくさんの物を所有する生活スタイルになれてしまっていることに思い当たることにもなりました。  それでも、被災された方々の現実は、まず生活を再建するために動かざるを得ない。変わり果て、災害廃棄物となったこれらの物たちを、さて、どう片づけていったらよいのか。堤防決壊による激流の力で、家そのもの、そして家財類がどこかへ流れたり、入ってきたり、散乱したりしている状況に四苦八苦する中、当事者初め地域住民、ボランティアの皆さんは、当惑し、苦慮しながら、コミュニティー空間に集積場を求めて運び出しをするという日々の始まりが、災害ごみ、災害廃棄物の出発点で、ここでの対応が肝心だったかもしれないと今振り返っています。  前置きが長くなりましたが、災害の経験から学び、次に生かすことを念頭に、これより順次、質問を行っていきます。台風19号による災害廃棄物処理への対応に関して大きく7点について、また、アスベスト対策について、知事と環境部長にお尋ねします。  初めに、災害廃棄物の処理に県が果たす役割について知事に所見をお聞きします。  この災害で、全国的に注目を集め、実際に被災された住家や避難所生活を強いられた被災者が圧倒的に多かったのは長野市ですが、ほかに被害を受けた市町村もある中、改めて県の力を求められた点についてお聞かせください。  次に、高田環境部長に3点お聞きします。  1、今回の災害で、災害廃棄物の搬出や被災家屋の片づけ、泥かき等の現場でボランティアが大きな役割を果たされたことは、知事からも提案説明で述べたとおりで、被災当事者のみならず、大勢の支援者が当初からかかわっていた。活動の初期の段階で、廃棄物の選別や分別がどこまで行われていたのかを把握していますか。排出作業が始まった被災後の早期に、災害ごみの収集方法や分別方法などがよくわからないまま活動をしていた人が少なくなかったと思うのですが、この段階で、専門的見地から、県から助言や技術的支援が実行できたのではないかと考えますが、いかがでしょうか。  2、災害廃棄物処理には、大きな災害が発生した際の広域連携体制の仕組みがあるが、今回の災害にどのように生かされたのか。また、被災した市町村、県、国のパートナーシップに基づき廃棄物処理にどのように取り組んだのか。時系列に沿って伺いたいと思います。  3、市町村の災害廃棄物処理計画の作成及び実施に際しての課題をどう認識していますか。また、被災した市町村が計画に基づき対応する中で、どのような御苦労や困難があり、それを県としてどう受けとめているかお聞きします。県がそれぞれの計画の運用において相談を受け、調整をされてきたと思いますが、いかがですか。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)災害廃棄物の処理に県が果たす役割についてという御質問をいただきました。  災害復興を進めていく上で、災害廃棄物を円滑に処理していくということは大変大きな課題だというふうに思っております。災害廃棄物の処理は、一義的には市町村が行っていただく役割、責務であります。ただ、広域自治体としての県としても、少しでも処理が円滑に進むよう、市町村と問題意識を共有して取り組んでいくことが必要というように考えております。いろいろな形態の災害がございます。また、状況は時々刻々移り変わっていくわけでありますので、そういう意味では、臨機応変の対応ということを心がけていかなければ現実の災害対応は進められないというふうに思っております。  このため、これだけ大規模な災害でありますから、災害廃棄物の処理について県としてのノウハウの蓄積が必ずしも十分ではございませんので、環境省から職員にお越しいただいておりました。環境省からお知恵をかりながら、内閣府初め関係の皆さんにも応援をいただき、円滑に廃棄物の処理が進むように被災市町村が抱える課題を共有させていただいたところであります。こうした課題を共有する中で、県としては、仮置き場の運営に対しての助言や災害廃棄物の広域処理の調整などによりまして、課題解決が一歩一歩進むように支援を行ってきているところでございます。  被災者の皆さんが一日も早く日常の生活に戻っていただくことができるように、引き続き関係機関の御協力もいただきながら、円滑な災害廃棄物の処理に向けて市町村と一緒になって取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)初めに、災害廃棄物の初期段階での分別及び県からの助言についての御質問でございます。  今回は、台風の県内接近が想定されたことから、災害廃棄物の発生に備えまして、10月11日付で市町村に対して処理に必要な仮置き場の確保と分別の徹底、ボランティア、NPOとの連携、害虫及び悪臭等への対策等につきまして周知したところでございます。  また、千曲川の堤防が決壊いたしました10月13日には、市町村に対して改めて災害廃棄物処理について直接助言を行ったほか、翌日14日には、環境省中部地方環境事務所とともに長野市や千曲市など5市町に出向いて被害状況を確認し、災害廃棄物仮置き場の運営や廃棄物の分別等について詳細に説明を行いました。また、廃棄物の分別が細かいのではという意見も寄せられたことから、火災や悪臭防止など分別の必要性について市町村に助言し、県のホームページでも周知をしたところでございます。  一方で、被災が甚大な地域におきましては、発生した災害廃棄物の量も膨大で仮置き場の開設にも時間を要したことから、市町村で定めた分別ルールが正確に伝わらないことなどによりまして適正な分別が行われないまま住家の身近なところに集積されてしまう状況もあったと認識しております。  しかし、その後、市町村の体制整備や広域連携による支援が進み、現在は仮置き場の運営も適正に行われておりまして、廃棄物の処理も着実に進んでいるものと考えているところでございます。  次に、災害廃棄物の広域連携についてでございます。  今回の災害廃棄物の処理におきまして、まずは災害廃棄物仮置き場の管理運営が課題となりました。これに対しましては、環境省による災害廃棄物中部ブロック広域連携計画に基づきまして、中部ブロックの県や市から職員の派遣を受け、被災市町村の支援に入っていただきました。また、県の協定により、一般社団法人長野県資源循環保全協会に支援を要請し、一部の仮置き場の運営を担当していただいたところでございます。環境省からは、千曲川の堤防が決壊した当日の10月13日から職員が本県に常駐して連携支援を行っていただいております。また、災害廃棄物に関する知織や経験を有する専門家である災害廃棄物処理支援ネットワーク、D.Waste-Netにも本県に常駐をいただいて仮置き場の状況把握や課題の洗い出しと共有に努めていただきました。  仮置き場以外の住宅地等の場所に集積された災害廃棄物の撤去も課題となり、これにつきましても、中部ブロックの広域支援を受け、他の県や市の自治体だけではなく、他県の民間事業者等からも派遣を受けまして運搬等の支援をいただいたところでございます。  さらに、長野市におきましては、昨日の風間議員の質問でも御答弁しましたとおり、Operation:One Naganoの取り組みが進められたところでございます。徐々に市町村が設置した仮置き場に置かれた膨大な廃棄物の運搬処分が始まってきておりますが、これにつきましても、広域連携によりまして一部県外事業者に委託するなどの対応が行われているところでございます。  続きまして、市町村の災害廃棄物処理計画についてのお尋ねでございます。  市町村の災害廃棄物処理計画につきましては、本年11月末現在で策定済みは12市町村で、今回の被災した市町村でも未策定のところが見られるところでございます。策定が進まない要因としては、職員等のマンパワーの不足とか、災害廃棄物の発生量の推計等に係る技術的なノウハウが十分ではないことが考えられるところでございます。このため、県では、国の災害廃棄物処理計画策定モデル事業を活用いたしまして市町村の計画策定支援を行っており、今年度は11市町村が計画を策定する予定となっております。  また、今回の災害では、計画を策定している市町村におきましても、計画のとおり仮置き場を設置できなかったり、職員の不足から管理運営に係る人員を配置できないなどの課題が生じました。このため、発災直後から、広域連携による県外自治体の職員や県の職員を災害廃棄物の集積場所となる仮置き場の管理運営に配置するなどし、処理に係る支援に努めてきたところでございます。  今後は、こうした課題を踏まえまして、市町村に対し災害廃棄物処理計画の策定や見直しについて助言をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
          〔22番髙島陽子君登壇〕 ◆22番(髙島陽子 君)今回の災害で、被災地支援に関しては、フェイスブックやツイッターなどのSNSにおいて情報のやりとりが活発に行われていたと思います。発災の当初から私も積極的に参加し、それぞれ地域の状況、さまざまな動きのほか、多くの情報を得ました。例えば、被災地内の道路の混雑状況や、ボランティア参加のために長靴、マスク、ゴムやビニール製の手袋、雨がっぱやヤッケを身に着けるなど、どう臨んだらよいかとか、スコップや土のうを持参とか、被災者支援のために何か役に立ちたいとの思いを持った人たちからの情報の発信や拡散が手がかりとなったことです。呼びかけや注意喚起、問いかけ、励まし合いなども行われていました。ただ、自主的な情報発信でもあり、災害ごみがどう集められ、選別され、処分されていくのかといったことがわかりにくい、わからない、手探りといった状況があったというのが私の現場を通しての実感です。  翻って、県が策定した災害廃棄物処理計画、これを後に手に取ってじっくり見れば、一つ一つ、必要な手順が明らかになっています。仮置き場のこと、分別方法などから、処分、処理といった出口のことまでよく整えられていると感じました。  一例として、収集運搬体制の整備については、被災市町村が住民に対して被災家屋からの災害廃棄物の分別排出を周知することが記され、道路の被害状況、仮置き場の位置を踏まえて収集運搬方法やルートの決定を行う。ほかにも注意点に触れています。現場で作業を経験した者からすれば、百聞は一見にしかず。これが初めからわかっていればとの思いを強くしています。  そこで、県がこの計画を実際にどう生かし、運用されていたのかを、細かい点もお聞きしていきたいと思います。  以下、10項目について、また、アスベスト対策について2点を高田環境部長に質問します。  県の災害廃棄物処理計画については、1、災害対策本部の資源循環推進班の初期対応や即応体制は同計画のもとにうまく機能したと認識されていますか。  2、同計画にある県民等への情報提供は徹底されたのか。  3、災害廃棄物処理の想定は計画手順どおり進んだのか。  4、有害廃棄物の処理は計画どおりに進んだのか。  5、同計画は、実効性のある計画とするために毎年1回の見直しを図るとされているが、平成28年3月に策定されてからの経過はどうなっているのか。  6、同計画には、県の地域防災計画と整合をとりながら対応すべきと考えられているが、これとの整合はどうなっているのか。  7、昨年発生した西日本豪雨災害の水害を初め甚大な災害がもたらした大量の廃棄物の発生や排出が予測されることができたのではと考える。災害を見直しの機会と捉え、計画を部分的に改定すべきだったのではないか。  それから、災害廃棄物に関する災害応援協定について、1、協定は十分に機能したのか。例えば、県と県資源循環保全協会とは、協定で、災害廃棄物の収集運搬、処分を支援するとされているが、実際は仮置き場における管理が中心だったと聞いています。事実であれば、協定で締結された内容が果たせなかった要因は何か。  2、災害廃棄物処理計画の別添資料にある各種協定は現在でも有効なのか。気候変動や社会情勢の変化に伴って早期に見直さなければならない協定はないのか。多面的な研究、分析や検討が必要なのではないか。  次に、県の復旧・復興方針等で、災害廃棄物の早期排出について、官民一体となって取り組むことで円滑な廃棄物処理を進めるとある。また、令和元年台風第19号の暴風雨による災害により発生した災害廃棄物処理の基本方針にも、適正な分別により処理コストの削減を図るとともに、地元企業の活用など地域の経済復興を促進するよう努めるとしている。県内業者や地元業者、業界団体との連携を一層強化して、経済対策としても後押しする必要があると考えますが、そのための県の支援策について伺います。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)初めに、県の災害廃棄物処理計画に関しての質問に対してお答えをいたします。  まず、初期対応等についての認識でございます。  今回の災害におきましては、災害廃棄物処理計画に基づき、資源循環推進班である資源循環推進課や地域振興局環境課が連絡をとって、現地確認や市町村に対して技術的な助言を行ったところでございます。大規模な災害であったため、発災直後から派遣をいただいた環境省の職員からもアドバイスをいただきながら対応しておりまして、おおむね計画の枠組みに沿って進んだものと認識しております。  次に、県民への情報提供についてでございます。  今回の災害におきましては、市町村の災害廃棄物仮置き場の設置状況、分別収集の必要性と協力のお願いなど、災害廃棄物の処理に関する情報を県のホームページに掲載して県民に周知をいたしました。また、県の災害対策本部員会議におきましても、災害廃棄物の状況を逐次報告をいたしまして、報道機関へ情報提供を行ったところでございます。  次に、処理フローについてでございます。  本計画におきましては、発災後の市町村及び県の処理のおおむねの手順を示しております。市町村におきましては、被災状況の把握や仮置き場の開設、廃棄物の処理見込みの推計などが行われ、県は、市町村の災害廃棄物処理への助言、広域支援の要請などを行ってきているところでございまして、計画に示された手順に沿って進められてきているものと認識しております。  続きまして、有害廃棄物の処理についてでございます。  有害廃棄物の処理につきましては、先ほど御答弁申し上げました10月11日付の市町村宛ての周知の際に適切に処理を行うよう助言をしております。被災市町村におきましては、災害廃棄物の回収の際に有害廃棄物を適切に分別し保管を行っておりまして、順次処理も進めていることから、おおむね計画どおりに進められているものと認識しております。  続きまして、計画の見直しの経過についてでございます。  本計画では、計画を実効性のあるものとするため、毎年1回計画を見直すこととしております。これを受け、毎年度、国の動向や県内外の災害発生の有無等の情報収集を行いまして、計画の見直しの必要性については検討を行っております。ただ、これまで、計画の見直しを行うような状況にはなく、結果的には計画の見直しは行っていないところでございます。  続きまして、地域防災計画との整合についてでございます。  災害廃棄物処理計画と地域防災計画につきましては、それぞれ策定見直しに当たっては整合性をとりながら進めているところでございます。現在、両計画の整合性は図られているものと考えております。  続きまして、昨年発生しました他県の災害等を踏まえた部分的な見直しについてでございます。  本県の現在の計画には、水害における災害廃棄物発生量につきましては、被災場所とか被災範囲、被災家屋数など被害想定が困難であることから、災害前に総量の推計は行っていないところでございます。  昨年の西日本豪雨災害で被災が大きかった岡山県や広島県などの災害廃棄物処理計画におきましても、水害による災害廃棄物発生量の推計は行われてはおりません。また、同災害では、現在も災害廃棄物の処理が続いている県が複数ございまして、現時点では、災害廃棄物処理計画の見直しを行った県もないと承知しております。以上のことから、西日本豪雨災害を参考にいたしました本県の計画の見直しは行っていないところでございます。  なお、今回の災害を受けまして、今後は、一連の災害廃棄物の処理が終了した後、全体の評価、検証を行い、必要に応じて計画の見直しを行ってまいりたいと考えておりますが、その際には、西日本豪雨等他県の対応状況等も参考にしながら、より実効性のある計画としていくように検討をしてまいりたいと思います。  続きまして、災害廃棄物に関する災害応援協定の関係についての御質問でございます。  初めに、協定は十分に機能したのかという御質問でございますが、一般社団法人長野県資源循環保全協会と県は、災害廃棄物の撤去、収集運搬、中間処理、最終処分及びそれらの実施に伴い必要となる業務について市町村からの要請に基づき協力できるように協定を締結しております。  今回、同協会とは、発災直後から、どのような協力が可能か調整を行い、会員の事業者の状況等も考慮して長野市のニーズとマッチングを行った上で、市の要請を受け、10月17日から仮置き場の運営に当たっていただいております。これは、協定でいうところの収集運搬等に伴い必要な業務でございまして、協定の内容に沿ったものと考えております。  また、11月12日からは、長野市からの要請を受けて、住宅地等に集積した災害廃棄物の収集運搬を行うなど、円滑な災害廃棄物処理に向けて御協力をいただいているところでございます。  次に、災害応援協定の見直しについてでございます。  本計画の資料編に掲載している協定につきましては、現在も効力を有しているものを取りまとめて掲載してございます。これらの協定につきましては、いずれも相互応援や支援に関して基本的事項を定めたものでございまして、被災状況に応じて柔軟に対応できるような規定となっております。  したがいまして、特に協定書本体を改定する必要性はないと考えておりますが、今回の災害を踏まえ、実際の運用面や支援内容につきまして改善すべき点があるかなどにつきましては、関係機関と話し合ってまいりたいと考えております。  最後に、県内事業者や業界団体に対する支援策でございます。  今回の災害では、迅速な災害廃棄物の処理が必要とされたことから、長野市及び千曲市では広域処理が行われておりますが、その他の被災市町村では、市町村等の処理施設や県内の民間事業者を中心といたしまして災害廃棄物の運搬や処分が行われているものと承知しております。  県といたしましても、災害廃棄物の対応に地元の事業者の協力は不可欠であると考え、協定に基づき、一般社団法人長野県資源循環保全協会に要請して業務の委託が行われ、また、今後、市町村におきます損壊家屋の解体、撤去が見込まれることから、協同組合長野県解体工事業協会に協力を依頼しているところでございます。  災害廃棄物処理に係る業務につきましては、市町村において契約がなされるものではございますけれども、県といたしましては、県内事業団体とのこうした協定等を活用いたしまして、県内事業者の皆様にも御協力をいただきながら円滑な処理が進められるように支援を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔22番髙島陽子君登壇〕 ◆22番(髙島陽子 君)大変恐れ入ります。先ほどアスベストまで一括でお聞きしようと思っていたのですが、改めて、環境部長、台風19号災害におけるアスベスト対策について、1、今回の台風19号災害において災害時における災害建築物のアスベスト調査に関する協定に基づく調査が行われていないのはなぜか。  2、災害時のアスベスト対応については、事業者だけでなく、住民、ボランティア等へ広く周知が必要と考えるが、県はどのような対応を行ったのか。  以上、2点について御答弁をお願いいたします。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)アスベストの関係で2点御質問いただきました。  初めに、災害時の被災建築物のアスベスト調査協定についてでごさいます。  この協定は、災害時に壊れた建築物からのアスベストの飛散を防ぐため、専門知識を有する技術者の協力を得てアスベストの有無を調査するものでございます。調査の対象は、飛散性アスベストが使用されている可能性の高い平成18年以前に建築された鉄筋コンクリートの建築物のうち、倒壊、損壊し、壁や天井がむき出しとなった建築物となります。  長野市内の被災した鉄筋コンクリートの建築物につきましては、アスベスト対策を所管する長野市から、設計図書や現場を確認した結果、アスベストの使用がないことが判明したとの報告を受けたため、協定による調査の対象といたしませんでした。  また、長野市以外の浸水地域につきましては、県が確認をいたしましたが、調査の対象となる鉄筋コンクリートの被災建築物はなかったため、協定に基づく調査は実施いたしませんでした。  次に、災害時の注意喚起についてでございます。  災害時におけるアスベストに関する注意喚起につきましては、県といたしましても、事業者だけでなく幅広い周知が必要と考えまして、発生直後から県のホームページやSNS等を活用して行ってまいりました。  その中で、被災建築物のうち飛散性アスベストが使用されている可能性が高いのはどういう箇所であるか例示をしたほか、作業に当たる際の留意事項などについて具体的に記載をして周知を図っているところでございます。  以上でございます。       〔22番髙島陽子君登壇〕 ◆22番(髙島陽子 君)環境部長から多項目にわたり一つ一つ丁寧に御答弁をいただいたと思っております。おおむねうまく動いていたというような御認識だと思っておりますけれども、昨日の風間議員への部長からの答弁でも、やはり同じように、災害廃棄物処理計画の見直しを県がするにしても、廃棄物の処分が完了する見通しの一連の処分が終わってから2年後になると、同じように述べられました。しかし、災害が2年間待ってくれるのか。起こらないとも限りませんし、具体的な行動に導くような県の災害廃棄物処理計画とするためには、取りかかるのは今、ここではないかと、私は強く感じています。整えられた計画を動かして生かしていく上で何が壁となったか改めて早急に問題点を洗い出すべきではないでしょうか。速やかに検証し、多面的に見直しを求めていきたいと思います。  このたびは、県の災害廃棄物処理計画を一人でも多くの県民に知ってもらい、災害ごみ、災害廃棄物処理の適切な処理の方法によって多くの皆様に知っていただきたいという思いで質問させていただきました。次回以降も議論を進めてまいりたいと思います。お願いいたします。 ○副議長(荒井武志 君)次に、丸山大輔議員。       〔21番丸山大輔君登壇〕 ◆21番(丸山大輔 君)長野県を襲った台風19号災害からの復興について伺います。  復興に向けては、ビルド・バック・ベターの考え方を取り入れ、より強靱で安心、安全な長野県を実現することが目指されていますが、これは大変重要な視点であると思います。  ビルド・バック・ベターの視点は、防災面のみならず、経済や産業といった面においても発揮されることで、米中関係などで懸念される長野県経済の停滞を打ち破るきっかけにもなり得るものと考えます。長野県経済のビルド・バック・ベターとしては、例えば、商工業やサービス業で、災害復旧を機によりよい施設設備が導入され生産性が向上することや、災害復旧のための建設事業によって県内建設業が力をつけ、人材を多く集め、ともに災害対策を進められる強力なパートナーとなること、また、東北の震災、原発事故の復興に当たって構築された再生エネルギーや医療、ロボットの国際研究産業都市構想である福島イノベーション・コースト構想のような取り組みを県として構築し、また、国から引き出していくことで、G20環境閣僚会議での長野宣言を産業に生かしたり、ITバレー構想の充実につなげていくなどさまざまな道筋を描くことが可能です。  直面する問題にまずは対応することが当然最優先ではありますが、復興に当たって常にこのような視点を持ち続けることや、未来を見据えた構想を描いていくことを、知事初め執行部の皆さん全てに期待するところであります。ビルド・バック・ベターが災害を越えて発展する長野県経済を実現する最大のキーワードと言えましょう。  長野県経済の発展のための産業支援策について、農林業等の被害もありますが、ここでは、商工業等の復興について取り上げたいと思います。  第一に、直接的な被災企業の復興支援を手厚く行うことが求められます。知事の提案説明にもありましたが、商工業関係の被害は654件、679億円余と甚大なものです。産業への支援は11月補正予算の柱の一つとされており、また、産業労働部内に産業復興支援室が設置されて、中小企業等の復興を総合的に支援するということであり、これらが効果的に機能することを期待するものであります。  昨日の西沢議員、本日の宮本議員の質問への答弁で示されたように、施設や設備については、中小企業グループ施設等復旧整備補助事業による補助金について、100グループ、800事業者と非常に多くの利用が想定されているとのこと。また、在庫や2次被害等への支援については、地域企業再建支援事業などが活用できるとの御説明があったところであります。  さて、補助金の自己負担分や、補助金を受給するまで、営業や運転再開までのつなぎの資金などのうち、自己資金で賄えないものについては、県の制度融資を初めとした融資を利用することになります。県としては、災害対応の制度融資の充実を発表し、経営健全化支援資金の融資限度額を6,000万円へと倍増させ、貸出金利を1.1%から0.8%へと引き下げ、また、元本返済の据置期間を1年から2年へと伸長するものとされました。このことは評価すべきものと考えますが、一方、0.8%までというのはいささか中途半端とも思えます。日本政策金融公庫は、台風19号災害の復旧貸し付けの金利を、3年間ではありますが0.21%まで引き下げています。やれることは何でもやるというスタンスをアナウンスするためには、利子補給をして無利子化してもよかったのではないかとも思えます。据置期間についても、営業再開後までとしなければ、2年で営業再開できない場合には収入がないまま元本を返済することになり、大きな負担となります。  また、融資をする際、現状ではどうしても経営者保証をしなければならないという課題があります。国の経営者保証に関するガイドラインが平成26年に導入されたものの、金融の現場ではまだまだ十分生かされていないのが現状です。  本年、安倍内閣において、事業承継時に後継者の経営者保証を可能な限り解除するための個人保証脱却・政策パッケージが表明され、経営者保証に関するガイドラインの特則に係るワーキンググループが設置されたことから、今後は、個人保証についての扱いが国全体として変わってくる可能性はありますが、そもそも、株式会社の有限責任社員は、出資金の範囲で責任を負うというのが大原則であります。経営者保証は日本独自の悪しき商慣行であり、経営者に過大な責任を負わせると同時に、金融が責任を回避するシステムになっています。そのため、中小企業の活力を損ない、創業リスクが高くなるため、起業に歯どめがかかり、金融の企業審査能力も育たない状況に陥っています。  この点についても、ビルド・バック・ベターの考え方を生かし、災害の融資の際に経営者保証を求めないように改善していくことができれば、今後の長野県の産業の発展の一つのきっかけになり得ます。  そこで、産業労働部長に伺います。  災害対応における経営健全化支援資金については無利子化し、元本償還の据置期間も営業再開までとすることが県としての支援の姿勢を明らかにする上でふさわしいと考えますが、この点についての御所見を伺います。  また、日本的な経営者保証の現状について、経営者、創業者が過大な責任を負っている現状が起業率の低迷を初めとする経済の停滞につながっていることについての御所見を伺うとともに、今回の災害対応を含め、今後の制度融資の経営者保証についてどのように取り組んでいかれるか、お伺いします。  また、産業復興支援室がトータルサポートの役割を担うと考えますが、被災した中小企業への復興支援にどのように取り組んでいかれるか、お伺いいたします。  被災企業の再建と同時に進めなければならないのが、県経済全体の振興です。想像をはるかに超える大災害に直面して、県内では消費マインドの落ち込みが著しいように感じられます。被災地ではない地域でも、一部には自粛ムードも漂う中、これを放置することは長野県経済全体への悪影響となり、2次災害とも言える状況を引き起こしかねないことは、東日本大震災の教訓として記憶に新しいところです。  これから忘新年会シーズンが到来するに当たって、自粛をせず予定どおりに各種イベントなどを開催することが復興への近道だということをしっかりとアナウンスし、後押ししていくことが必要と考えます。知事を中心に、経済界と連携してぜひこうした呼びかけをしていっていただきたいと思います。  また、今、復興はどの程度進んでいて、今後どうなっていくのかがわかるということも一つの安心感につながり、消費マインドの改善に多少なりとも寄与するものと考えます。ロードマップを提示し、進捗状況を明らかにした見える復興が目指されます。  今の県のHPでの情報発信は、復旧・復興方針が示され、さまざまな支援策等のお知らせがあり、災害対策本部員会議の内容公開として現状報告等が挙げられており、これはこれで必要ですが、治水、農林業、商工業などそれぞれの分野で、今、復興のどの段階にいて、今後どうなっていくのか、いつ復興は終わるのかというようなことは見えてきません。イメージマップなどを利用して、画像からクリックしていくとそれぞれの復興状況や今後の計画などがわかり、そこからさらに視覚的に説明できるページへのリンクで解説していくというような誰にでもわかりやすい発信も必要と考えます。  また、長野新幹線車両センターの冠水による新幹線の減便や中央線の特急あずさ、かいじ等の運休、中央自動車道、上信越自動車道の通行どめなど交通インフラの被災による物理的な観光客の減少や、被災地を回避する消費行動などから、観光需要の落ち込みも顕著であり、これも全県経済にとって深刻な打撃となっています。  観光需要の回復のために、がんばろう信州!観光キャンペーンとして、長野県ふっこう割の活用や情報発信事業、信州まつもと空港発着の応援ツアー、「ONE NAGANO」の発信などが盛り込まれています。これらが早期に効果を発揮することを期待するものでありますが、長野県観光のビルド・バック・ベターの視点からは、例えば、県が主催してのイベントの開催や、民間、市町村の取り組みの支援を通じ、地域の方々や観光客も交えて盛り上がりを生み出していくための施策の充実を図っていくことが必要と考えます。グランプリを取ったアルクマも活用し、その中で義援金を募るような取り組みも県のあらゆる場面であっていいのだと思います。  住民の皆さんや観光客を交え、地域の盛り上がりを生み出していく施策についてどのように取り組んでいかれるか。観光部長にお伺いいたします。  次に、児童虐待死を防ぐための方策について伺います。  児童虐待死が相次ぎ、大きな社会問題となったことから、何人かの議員からこれまでも質問がされてきたところでありますが、事の重要性に鑑み、改めて質問をさせていただきます。  児童虐待件数の増加については、これまでも、心理的虐待を含めることなど基準が変わったことや、児童虐待に対する認識の高まりから通報をためらわなくなったことが要因として挙げられるとの御説明があり、件数だけでは実際の動向がどうなのか判断できるものではありませんが、現場が対処すべき件数が相当ふえているということは間違いありません。県警との連携も図られてきている状況であり、また、配置基準の改定によって児童福祉士の増員もなされてきています。介入と支援の分離の必要性についても述べられており、支援を担う市町村に体力差があることから、市町村への支援も表明されています。  しかし、現在の虐待への対応は、依然として現場の頑張りで支えられてきている側面が強く、長野県で死亡事件が起きていないのはたまたま運がよかっただけで、他県の死亡事件のような事案が起きれば、これを食いとめることは難しいものと感じます。人材の確保や育成の課題についても挙げられていましたが、人数をふやしたとしても、機能しなければ意味がありません。事案に応じて確実に機能させるためには、そのためのすきのない仕組みを構築しておくことが必要と考えます。どのような仕組みが必要かについては、さらに現場の声をよく酌み取って検討していくことも必要と思いますが、一つには介入と支援とを切り分け、ともに充実させていくことであろうかと思います。  改正児童福祉法では、児童相談所の担当を介入と支援に分けることが求められているわけですが、担当を分けるレベルでよいのか、別の組織が必要ではないのか。児童相談所の権限、人材の強化も視野に入れ、常に事態の深刻さを評価し、各部門の連携を指示できる体制づくりをしていくことが必要です。  昨日示された来年4月の児童虐待防止法改正についての厚労省有識者検討会の指針案で、身体に苦痛、不快感を与える罰を体罰と定義し、どんな軽い体罰も罰則なしの禁止とされたことは、親のしつけを規定するというよりも、児童相談所の介入強化を目指したものと考えられます。  また、警察と検察、児童相談所が共同で行う司法面接と系統的全身診察を同時に実施することで、隠れた虐待を顕在化させていくことを制度化していくことや、各機関と地域の公民館、民生委員、NPOなどを組織化して地域で子供を見守っていくことなどについて、仕組みの例として検討していく必要があると思います。  そこで、県民文化部長に伺います。児童相談所の配置をふやしても虐待死を防ぐためには十分ではないという認識を持っていることが重要と考えますが、県のお考えを伺います。  虐待事案への対応が現場職員の奮闘に頼らざるを得ない状況に対し、虐待死を防ぐ仕組みづくりが必要と考えますが、どのような仕組みが必要であり、かつ、理想と考えるでしょうか。また、来年度どのように取り組んでいくのかお伺いします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)災害対応に関連して3点の御質問をいただきました。  まず、災害対応における経営健全化支援資金についてでございます。  県中小企業融資制度は、中小企業の健全な発展を図ることを目的に、県内金融機関並びに信用保証協会との協調を得て、長期、固定、低利の融資として、関係機関と協議し、運用している制度でございます。
     今般の災害に対応する経営健全化支援資金の災害対策分については、事業者の甚大な被害状況に鑑み、金融機関の独自融資との役割分担、県内経済の状況や市中金利への影響などにも考慮し、金融機関に最大限の努力を要請、協議した上で、貸出金利を1.1%から0.8%まで引き下げることといたしました。また、償還の据置期間の設定に当たりましては、被災企業が復興への道筋を着実に歩めるよう、元本償還を最大2年間猶予できるよう制度改正を行ったものでございます。  次に、経営者保証に対する所見についてであります。  融資に際しての経営者保証は、経営への規律づけや、信用補完としての資金調達の円滑化への寄与などの観点から必要なものと考えておりますが、一方で、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生を妨げる要因となるなど、企業の活力を阻害する面があるものとの指摘もあると認識しております。  災害対応を含めた制度資金の経営者保証に関してでございますが、平成25年に、国の研究会が、財務基盤の強化や経営の透明性確保など一定の条件のもとに、限定的に経営者保証なしで融資を行うことができるとする経営者保証ガイドラインを、金融機関等の自主的、自律的なルールとして策定しました。県内金融機関では、災害対策など県中小企業融資制度を含めて、このガイドラインに沿った運用を行っているところであります。  議員御指摘のとおり、現在、国では、信用保証制度において、事業承継時に経営者保証を一定の要件のもとで不要とする新たなメニューの創設を検討しているところであり、県としては、こうした動向を踏まえ、適切に対応してまいる所存です。  最後に、復興支援への取り組みについてでございます。  県では、発災直後から、被災状況の把握や今後の支援策を検討するため、地域振興局内に相談窓口を設置し、事業所ごとの被害状況や対応策の相談に応じてまいりました。  このほど、グループ補助金や県中小企業融資制度等による復興支援策がまとまったことから、11月25日付で産業復興支援室を設置し、兼務職員を含め27名の体制で復興業務をスタートさせたところです。  被災事業所の再建、再構築に当たっては、個々の事業者の技術面、経営面、雇用面等さまざまな課題に寄り添い、グループ補助金に限らず、それぞれの課題に適した支援策の活用を提案し、より強靱な経営基盤となるよう支援することが重要と考えております。  そのため、定期的に国、市町村、経済団体等との情報交換、意見交換の場を設けるなど、産業復興における「ONE NAGANO」体制を構築し、総合的な支援に努めてまいります。  以上でございます。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)観光を活用した地域の盛り上がりについて御質問をいただきました。 一日も早く元気な長野県を取り戻すためには、被災された皆様に配慮しつつ、観光を活用しながら地域の盛り上げを行うことで復興への取り組みを進めていくことは大変重要でございます。  県では、復興に向け、観光を核として地域の元気につなげていくため、暮らし・生業再建本部に「がんばろう信州!」推進チームを設置し、観光キャンペーンや物産振興などに取り組むこととしております。まずは、既に予定されていた県内外のイベントなどを、各地域が行うものも含め、復興モードに転換し、お客様を呼び込むため元気な長野県を発信していただくとともに、義援金やボランティアの支援を呼びかけるなど復興につながるよう取り組んでいるところです。  また、このたび、新たに観光復興に向けた地域協働事業として、市町村や交通事業者、企業、団体の皆様が復興に向けて行う事業、例えば、しなの鉄道沿線地域で広域的に行うイベントなどに県観光機構や県、地域振興局が協働して取り組むことで支援を行ってまいります。  今後も、ふっこう割の実施や県内外でのプロモーション、また、アルクマを活用した義援金の呼びかけなどとあわせてこれらの取り組みを行い、地域の盛り上げを図ってまいります。  以上でございます。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)児童虐待死の防止について2点御質問をいただきました。  1点目、児童相談所の人数をふやすだけでは十分ではないと認識すべきではないかということについてでございます。  児童虐待の相談件数が増加する状況下にあって、児童相談所の機能強化、また、人員の増強は極めて重要でございまして、国や政府の動向も注視しながら着実に実施してまいりたいと考えております。  その上で、議員御指摘のとおり、児童相談所職員の増員だけをもって十分とは言えないと認識しております。児童相談所は、児童虐待防止の最後のとりでとも言われておりますが、人員を増員しても、一方で児童虐待が増加し続けるような状況であったとしたら、リスクをゼロにすることは難しいと考えております。また、そうした状況は、個々の虐待死を防げたとしても、社会全体として本質的な解決ではなく、望ましい状況ではないと認識しております。  2番目の虐待死を防ぐ仕組みづくり、理想や取り組みについてということでございますが、児童虐待に至る背景には、家庭の貧困や配偶者からのDV、さらには児童や養育者が抱える障害、育児の孤立化などさまざまな背景があると言われております、そして、こうした要因が虐待のリスクを高めていると言われております。  理想を申し上げれば、こうしたリスクが軽減される社会の仕組みをつくっていくことと考えますが、その上で、まずは、市町村の児童相談体制の強化、そして、福祉医療などの支援機関との連携を強化して児童虐待の発生予防、早期発見に重点を置いた取り組みを社会全体で推進していくことが重要と考えております。  少し具体的に申し上げれば、一つ目として、まず、虐待につながる可能性の高いリスクを抱える家庭につきましては、市町村に設置されます要保護児童対策地域協議会が有効に機能をし、支援につなげていくことが必要であります。この協議会は、市町村や児童相談所のほか、警察、学校、病院、保育所等から構成されるものですけれども、必要な情報を共有し、連携して、それぞれの機関において速やかに切れ目のない支援がとられることが求められます。  さらに、二つ目として、虐待の背景にあるリスク全体を軽減していくためのものとして、さまざまな困難や悩みを抱える子育て家庭に対し、早い段階から適切な支援が行われる体制がとられることが必要であります。  このため、県といたしましては、市町村、県、民間機関が連携協働して妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行う体制、子ども家庭支援ネットワークと呼んでおりますけれども、この体制の構築を進めているところでございます。  現在、体制構築等に向けまして、県下10広域ごとに、市町村の関係部署や関係機関と意見交換を行い、児童相談所、民間施設等との連携の強化や市町村における相談拠点の設置促進についても議論をしているところであります。  来年度におきましては、児童相談所の充実を進める中で、市町村の支援機能を強化し、児童相談所単位でモデル市町村を選定して、市町村や地域の実情に合った子ども家庭支援ネットワークの構築を支援してまいりたいと考えております。  また、市町村や関係機関向けの研修会等も引き続き実施し、体制の充実や連携の強化を進めてまいります。  以上です。       〔21番丸山大輔君登壇〕 ◆21番(丸山大輔 君)経営者保証に関しては、規律の観点等もあろうかというふうに思いますが、これは金融システムの問題だということをぜひ御認識いただいて対策に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。  また、観光の振興については、復興モードということで、ぜひこれからの取り組みを期待するところであります。  児童虐待は、さまざまな要因があるということで、それを一つずつ潰していくことが必要であるというように思いますが、先ほどの御答弁の中で、経済的な困窮というものが要因の一つとして挙げられております。県経済の底上げを図っていくことでその恩恵をみんなが受け取れるように、ビルド・バック・ベターの考えをぜひ広げていただいて、また、国からも大きな力を引き出していただいて長野県経済の発展にぜひ御尽力いただくことをお願い申し上げ、質問を終わります。 ○副議長(荒井武志 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時24分休憩          ──────────────────         午後2時40分開議 ○議長(清沢英男 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  竹内正美議員。       〔16番竹内正美君登壇〕 ◆16番(竹内正美 君)このたびの台風19号災害で犠牲になられた方の御冥福をお祈りしつつ、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。  この災害では、私の地元、出身地であります千曲市と坂城町でも、千曲川水位上昇により、1,700件を上回る浸水被害に遭われた方がいらっしゃいます。被害を受けた地域の皆様からさまざまなお話をお聞きした中で、学ぶ点がたくさんありました。その点を中心に、災害に関して6点、一括質問させていただきます。  千曲市杭瀬下にある国土交通省の水位計は6.4メートルを記録し、この数字は、これまでに記録された最大水位5.21メートルを1.2メートルも上回るもので、下流の雨宮地籍でも千曲川の堤防越水が生じ、近くで合流する沢山川でも行き場のなくなった水が越水、堤防に損傷を与えました。これにより、土口地籍から生萱地籍一帯は茶色のプールのような光景が広がり、保育園も浸水しました。  千曲市では、今でも200名弱の園児たちが別々の園で過ごしています。園児たちが読んでいた絵本や紙芝居も全て泥まみれになり、多くの思い出の品が失われました。この保育園が水害に遭うのは、平成11年に続き2度目です。  これまで、過去においても、この地区は、沢山川と千曲川が合流するところにあり、さらに、千曲川の上流で取り入れた農業用水が全て集まることから、長雨が続き千曲川が増水すると、水が集落の中までついてきます。  実は、私は、この水害に悩まされ続けた集落、土口地区で生まれ育ちました。私自身も、この土地で3度水害に遭っています。この地区では、たび重なる洪水被害から命や財産を守るためにさまざまな工夫と独自の水害対策をしており、それを代々伝えています。高い石垣が連なる土口地区の家並みもその一つです。昔は、大切なみそおけや仏壇は、いざという時につり上げられるように、天井に滑車がついていたお宅もありました。  現在も、子供たちが遊ぶ公園には、被災日ごとの洪水の水の深さが一目でわかる洪水水位標が立てられていたり、区民や子供が集まる公民館には洪水被害の写真が掲示されていたりと、大人から子供に水害の怖さを伝える工夫がされています。このことは、治水工事の必要性を強く思うと同時に、各家庭で、いざという時に命を守る行動をとるためには地域の災害の歴史を学ぶことが重要だということを教えられた気がしています。  そこで、まず危機管理部長にお聞きします。今回の災害で得た教訓は何か。また、それを将来にどのように生かしていきますか。  2点目として、千曲市の佐野川の支流の荏沢川には、明治15年につくられた石積み砂防堰堤が今も現存し、現在も治水効果を発揮しており、国の有形文化財に登録されています。明治初期に佐野川の流域では大規模な災害が発生し、その復旧工事として当時の内務省直轄で砂防事業が実施されました。千曲市と坂城町には、このような日本古来の治水施設が残されており、災害の軽減に効果を発揮しています。例えば、坂城町谷川の石積み堰堤や千曲川の霞堤があります。残念なことに、伝統的工法によりつくられたこれらの施設の歴史や機能が広く知られていないことが今回の災害で感じたことです。これは、説明書きなどの案内板もなく、現地までの道路もないことから、環境整備がされていないことなどがその原因かと思っております。これらの施設を子供から大人まで広く知ることは、地域の災害の歴史を学ぶ上で大事なことです。  そこで、建設部長にお聞きします。先人が培ってきた治水技術を後世に伝えるために取り組んでいただいていると思いますが、今回の災害を経験して、さらに取り組むべき内容は何か。また、そのための予算の確保をどう考えますか。  三つ目として、命を守る行動という言葉について、この言葉の意味を正しく理解する必要があります。そのために、子供のころからの防災教育が大事だと考えます。  そこで、教育長にお聞きします。防災教育を今後さらに充実させて進めることについてお考えをお聞かせください。  次に、緊急災害時にかかわる対応についてです。今回の台風19号により、千曲市では全ての小中学校が避難所に指定され、いずれの学校も200人前後の方が避難されました。最も多い避難者を受け入れたある中学校では、午後10時には避難者は700人を超え、体育館や柔道場、剣道場等の広い場所はほぼ満員になりました。  大雨の中、その後もふえ続ける避難者のことや、中学校の状況を知った地元の教育長さんは、自らが同窓会長を務める近くの県立の高等学校に直接依頼し、体育館を避難所として開けていただき、そのおかげで110人ほどの皆さんが避難することができました。こういった賢明な判断がなければ大変な混乱を招いたのではないかと思います。  そこで、4点目の質問です。災害救助法によれば、避難所開設は市町村が行う自治事務であり、市町村立の学校が避難所に指定されることが多いわけですが、県立の高等学校は現状としてどの程度が避難所に指定されているのでしょうか。また、避難所に指定されていない高等学校については、今後市町村から避難所に指定したい旨の申し出があった場合はどう対応されるのでしょうか。あるいは、指定される前に今回のような災害があり、緊急的に避難所として利用を依頼された場合はどう対応されるのでしょうか。教育長にお考えをお聞きします。  5点目は、小中学校で避難所等において非常災害時の業務に当たられた各学校の先生方についてです。  千曲市では、避難所になった小中学校全てに市職員を派遣してくださいました。しかし、避難所となった学校施設で暖房を入れたり明かりをつけたりするなどの具体的な使用方法は学校職員でなくては対応が難しく、いずれの学校においても、校長が県費負担の職員に避難所運営の支援等をするよう指示したそうです。  ある中学校では、校長先生からの指示を受け、15人ほどの職員が駆けつけ、避難所開設の準備、大雨の中に立ち避難される方々の誘導、車椅子の方々の介助、翌朝は市職員とともに炊き出しの御飯の配付、避難所の片づけなどの業務を行いました。泊まり込んで対応をされた教員もいたと聞いております。  市職員の方々は交代して避難所運営に当たり、その後、休みを取ることもできていると伺いました。しかし、避難所である学校の教員は、市の職員とともに避難所の運営や非常災害時の業務に当たっていても、代休などのような休みは取れていないと聞いています。  さらに、平成28年10月に発生した鳥取県中部地震により被害を受けた鳥取県においても、学校が避難所となる場合の基本的な考え方の中で、避難所運営業務の服務上の取り扱いについては、その学校に属する教職員が避難所運営に携わる場合は職務として取り扱うことが適当であると考えられると記しています。そして、さらに、教職員を避難所運営業務に職務として従事させる場合は、教職員の手当については、行政職の職員に支給される手当との均衡を図るための措置を講ずる必要があるとも記しています。  このように、他県においても特殊勤務手当の対象として明確に教員の業務が示されています。長野県の教員の特殊勤務手当の支給については、平成30年に改定された教育長通知によりまして、非常災害時における幼児、児童または生徒の保護が対象と記されておりますが、今回の災害では、多くの教職員が、休日及び深夜まで、児童生徒の保護、あるいは学校施設設備の点検や被災状況の把握などさまざまな業務に当たっていました。このようなことから、非常災害時の業務に対応された教職員に、市町村教育員会や学校長を通じて服務上の適切な取り扱いや非常災害時における教員特殊業務手当の適切な支給が図られるよう対応をお願いできませんでしょうか。教育長にお考えをお聞きします。  最後に、6点目です。  避難している方からさまざまなお話をお聞きできました。体育館がいっぱいで一時教室まで避難所を提供していたある学校では、車椅子の男性がこうおっしゃっていました。本当は早くここに避難したかったんだけど、車椅子では上がれない。4日間もホテルなんかをさまよって、やっとこの体育館に入れてもらったんだよ。また、ある学校に避難された足の不自由なお年寄りからお聞きしたことです。誘導された場所は1階だったけど、すぐ近くに川が流れていて、そこがあふれるかもしれないと怖かった。2階へ避難することが適切ではないかと思った。しかし、この方は電動車椅子に乗っていたため、2階に行きたいとは言いにくかったそうです。千曲市にはエレベーターが設置してある学校がありません。市町村立の学校を建設するのは市町村の役目ですが、今回の甚大な災害を考慮いたしますと、エレベーター設置を進めるということが地域住民の財産と命、暮らしを守るためには必要ではないかと感じました。  そこで、教育長に伺います。今後、今回のような大規模な災害はあってはならないわけですが、県教委として、市町村の教育委員会と協力して、避難所に指定されている学校に、住民の暮らしと命を守るためエレベーター設置について何らかの補助をすることはできないでしょうか。お考えをお聞きします。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)今回の災害の教訓等についての御質問でございます。  今回の災害では、議員からお話にありましたのと同様に、長野市長沼地区では、代々引き継がれてきた千曲川の水害の教訓が地域住民の早期の避難行動を促し、命を守る一助となった事例があります。  このように、過去の災害で得られた貴重な教訓を生かすことが実災害において多くの命を救う結果につながるものと認識しております。同じような災害があったときには、迅速かつ的確に対応することができるよう、しっかりと記録にとどめ、得られた教訓を将来の防災・減災対策に生かしてまいりたいと考えております。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)今回の災害を経験して取り組む内容と予算の確保に関するお尋ねです。  議員御質問のとおり、治水事業に関しては、古い時代から地域住民が工夫をし、自らの生命、財産を守るため、後世に伝えてきた技術、例えば輪中堤や霞堤などが現在でも生かされております。  一方で、今回の台風19号では、東信から北信地域を中心に、かつて経験したことのない雨量や既往最大の水位を記録し、広域的に大規模な災害を受けることとなりました。こうした災害を経験いたしますと、治水対策に関しても、広域的かつ総合的に考えなければならない時代になってきたと実感しております。このため、信濃川水系緊急治水対策会議の中で、流域内の全ての関係者が連携し、河川管理者が行う河川での対策に加え、内水対策を含む流域対策、さらには浸水被害も考慮したまちづくりや避難誘導に資する各種ソフト対策を一体的かつ緊急的に進めてまいりたいと考えております。  また、予算に関しましても、こうした取り組みの中でしっかり確保できるよう国に対して要請してまいります。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、防災教育の充実についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、命を守るための防災教育は大変重要だというふうに認識しておりまして、児童生徒が自ら危険を予測、回避して安全な行動がとれるよう防災教育を推進しているところでございます。  とりわけ、平成23年に発生しました東日本大震災を機に、県では、学校における防災教育の手引きを平成25年に作成し、平成18年の諏訪・上伊那地域の豪雨災害や平成23年の長野県北部地震災害など本県で発生した多くの災害についても学校での指導に活用できるようにしているところであります。  先ほど危機管理部長の答弁にもありましたとおり、今回の災害でも、例えば千曲川が繰り返し氾濫してきた歴史を持つ長野市長沼地区では、地元の小学生が創作劇を上演したりオリジナルの主題歌を歌うなど、地域の水害の歴史を学び、語り継ぐ活動を行ってきております。この小学校で当時水害の歴史を学んで避難した住民の、先生と勉強したことが全部本当だったと実感したという声も報道で紹介されているところであります。  このことは、校庭へ逃げるといった標準的な指導だけではなくて、児童生徒が災害を身近な経験として捉えるために地域の災害の歴史をあわせて学ぶことが重要だということを改めて教えてくれているということだと思っております。  こうした被災地の歴史を初めとする災害情報や体験を収集、蓄積、普及し、防災教育の手引きの改訂に反映させるなど、将来、児童生徒が再び災害に直面したときに、状況を適切に判断し、みずからの命を守る行動をとれるよう防災教育の一層の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、県立高校の避難所の指定についてであります。  当然のことでありますけれども、こうした災害時において、県立高校は市町村と協力して住民の安全を守る立場にあるというふうに考えております。  避難所の指定は、災害対策基本法に基づきまして市町村が判断して指定しておりまして、現在、市町村からの要請を受け、指定されている高校は37校でございます。今後も市町村から指定の要請があった場合は同様に対応してまいりたいというふうに思っております。  また、避難所として指定されていない場合においても、災害その他緊急事態が発生した場合は、行政財産の目的外使用の取り扱いによりまして、一時避難所として利用していただくこととしているところであります。  続きまして、避難所運営業務等に当たった教職員の休みの取得及び手当の支給についてであります。  こうした災害時に学校が避難所となった際に、休日や夜間において教職員が避難所の運営に関する業務を行った場合は、これは服務上の職務として取り扱うこととされておりますので、代休の対象でもありますし、また、教員特殊業務手当の対象でもあります。  議員御指摘の声は私どものところにも届いておりますので、避難所運営等に従事した教職員が確実に休みを取得し、また、教員特殊業務手当を受給できるよう、市町村教育委員会及び各学校へ周知徹底を図ったところでございます。  続きまして、避難所に指定されている学校に対するエレベーターの設置補助であります。  市町村がこうした防災の拠点施設とする公立の小中学校の整備においてエレベーターを設置してバリアフリー化を進めるという場合には、学校設置者である市町村が文部科学省の学校施設環境改善交付金というものを利用することができます。  これは、国が事業費の3分の1を補助し、市町村が負担する残りの3分の2ですけれども、その75%を起債することができまして、さらに元利償還金の30%が交付税に算入されるという非常に手厚い財政支援制度となっております。  県では、小中学校を防災の拠点として施設整備を進める市町村に対しまして、その国の補助制度に係る情報の提供に努めるとともに、国に対しましては、財源の確保等について引き続き要望してまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。       〔16番竹内正美君登壇〕 ◆16番(竹内正美 君)それぞれに誠実に御答弁いただいたと受けとめております。  私は、4月の選挙に出た際、地元の皆さんから、あなたの宝はこの地域で3度も水害に遭っている経験だよと言って応援をしていただきました。こういった水害対策については、特に使命感を持って対応してまいりたいと思っています。ですから、今後もこの件については引き続き継続して質問をしていきたいと思っております。  また、自分自身も、自分の被災経験、そして、この今回の台風19号で学んだことを生かして、地域の皆様への安心、安全に力を尽くしてまいりたいと思っております。そういった決意を述べさせていただきまして、全ての質問を終わりとさせていただきます。
    ○議長(清沢英男 君)次に、山田英喜議員。       〔7番山田英喜君登壇〕 ◆7番(山田英喜 君)今回は、20分の貴重なお時間をいただき、台風19号災害を受けた長野県の対応と県有財産の利活用などについて質問をさせていただきます。  私は、今回の台風被害では、台風前から被災後の対応まで長野県として迅速に対応いただいた面が多く、これまでに災害の少ない県として歩んできた中にあって、可能な限りの適切な対応に敬意と感謝を申し上げます。  日本は、古来より多くの自然災害に遭遇をし、復興を重ねてきました。かつて世界から尊敬の念を寄せられた日本人の強い精神性は、神話の時代より築き上げられてきた国民性はもとより、このような自然災害から、幾多の困難に見舞われ、立ち直ってきた経緯があってのものと思います。今回も、災害に遭った後に一つ一つ検証していくことで、より強い長野県、日本をつくっていく、今後の検証が将来的な防災の強化につながるということは言うまでもありません。そのような観点から、幾つか質問をしてまいります。  初めに、今回の台風19号により起こった被害の特徴を伺います。  今回、私がダメージのあった河川を見て回り、感じたことは、決壊した箇所が河川の蛇行した外側を侵食し、決壊につながったものと、もう一つは、決壊した箇所の少し上流に中洲、特に強く根の張った木の多い中洲が見られたことであります。  今回のように急激に水量がふえた場合に、水面下で水が中洲に当たり流れが急激に変わることで、岩などが堤防に何度もぶつかり、決壊した箇所が多かったのではないかと推測いたします。今後、本復旧に向けていく中で、河川の流量の確保と同時に、もとあったように戻していくのではなく、取り除ける中洲は取り除きながら、できないものはその下流の壁面を強固にするなどの対応が必要かと思います。  そこで、河川の流量確保のためにしゅんせつ作業はどのような方針で行われているのか。また、中洲が河川の流れに影響を与えていると考えますので、中洲の除去を検討することについて所見をお伺いいたします。  次に、長野県においても、昨年の補正予算から防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策が盛り込まれました。私は、この取り組みが今回の台風で多くの被害を抑えてきたと考えています。  一つ例を挙げますと、上田市丸子地域の依田川では、河川に多くの樹木があり、以前から、水量がふえた時には倒木が流れ、橋などが倒壊するおそれ、または上流から流れてきたものがせきとめられ、越水する可能性のある箇所があるとの指摘をいただいてきました。  私も危険だと感じていた箇所をいち早く3カ年緊急対策で対応をいただき、今回の台風による被害を抑えられたものと、地元にとって本当にありがたい対策をしていただきました。そこで、この効果について県はどのように検証しているか伺います。  次の来年度以降もある程度の事業が継続できるよう国に要望すべきとの質問も通告しておりましたが、さきの答弁がありましたので、私からもお願いをさせていただきまして、割愛をさせていただきます。  次に、台風19号が近づくにつれて河川カメラのアクセス数が急増したことが予測されます。この河川カメラはどの程度避難行動につながったものと認識をしているか。また、当日は河川砂防ステーションへのアクセスがしづらい状況となりましたが、その対策を図っていく必要があると考えていますがどうか。お伺いいたします。  次に、現在河川カメラを設置していない河川においてもリアルタイムな情報を提供するために危機管理型水位計の設置を早急に進めるべきとの質問も、さきの答弁がありましたので割愛をさせていただきますが、水位の発表方法について、メールを受けた際に危険水域がどの程度危険なものなのかわかりづらいとの意見をいただきました。提供する内容は、水深とは別に、堤防の高さまで何メートルとの表記などよりわかりやすい情報提供を検討することは可能か。ここまでを長谷川建設部長に伺います。  次に、菅平ダムの放流について伺います。  初めに、神川と千曲川の合流点である国分地域で越水をしたのは菅平ダムの放水によってではないか。また、放水により水かさが増し、県内の決壊した箇所へつながっていったのではないかとの意見もありますが、私は、今回の状況を見て回り、国分での越水は、菅平ダムの放水だけでなく、渋沢川に長距離にわたる土砂崩落が見られるなど多くの要素が重なったものと考えます。  私は、当日、消防団員として、午後4時ごろから台風に備えてもらうように広報に回り、午後6時ごろに詰所へと戻りました。その約15分後に、菅平ダムが夜8時に放流するとの連絡が入り、再度避難をするように広報に回りましたが、予定時間が早まり、7時20分に放流が開始するとの情報が入り、出動団員全員が慌てて避難誘導に当たりました。  住民への避難情報については、誤った情報であっても空振りを恐れず早めに出すということが国の避難勧告等に関するガイドラインでもうたわれております。被害を事前に防ぐという視点で、今回の情報の混乱は、時間が早くに伝わったため、結果として悪くなかったとは捉えておりますが、菅平ダムの放流について住民に避難行動を促す情報の提供は、菅平ダム管理所と市町村とでどのように連携をして行われているか。また、今後改善できる点があるか、伺います。  そして、菅平ダムは、今回、流入量より少ない放流を行ったと聞いていますが、河川の流量に及ぼした影響はどの程度であったと考えているか。また、利水ダムではありますが、今回のような豪雨の際に災害発生を防止するためにとれる措置はあるか。小林公営企業管理者に伺います。  次に、平成30年に大阪周辺で大きな被害のあった台風21号の後には、大阪府が避難行動についてさまざまな項目でアンケート調査を実施し、分析を行っています。直接大阪府の担当の方にお話を伺いましたが、この調査結果で特に注目したいものは、災害発生前と後で比べると、台風に対する意識として41.7%が74.2%に、約33%増と急増した一方で、自然災害に備え食料や水などを備蓄しているかという質問に対しては、39.3%が49.9%へと10%増にとどまり、家具の転倒防止対策については、15.2%が17.1%と約2%の増、その後の訓練への参加については7.4%が4.6%へと減少をしています。この結果を見ると、自然災害を経験して府民の方々が自然災害に対する意識は向上していても、実際に行動に移して対策を行っている方は少ないということがわかります。  そのような中、意識を高めるためにも、長野県のホームページなどにあるマイ・タイムラインは、特にハザードマップで危険箇所とされている地域にお住まいの方々がスムーズな避難行動につながるものとして有用であると考えます。マイ・タイムラインの周知等、普段から防災意識を高める取り組みはどのように行っているか、また、台風19号の災害を受けて、防災意識を高めるための取り組み強化をどのように考えているか。竹内危機管理部長に伺います。  次に、今回の台風により、取水口や頭首工の損壊が多くありました。さきの質問でもありましたので、私からは、堀越堰を初めとする神川の取水施設や別所線の橋が崩落した付近の二ケ村堰頭首工の復旧についてどのような対応を考えているか伺います。また、今後の復旧に向けて、特に議論の難航が予測される二ケ村堰について、市、県、国が連携をとりながら対応をしていくことが必要であると考えますが、県も打ち合わせの段階から積極的にかかわっていくべきと考えるがどうか。山本農政部長に伺います。  最後に、長野県では、航空レーザ測量調査により崩壊の危険性の高い森林を抽出する作業を進め、その成果を住民の皆様にも共有する中で防災意識の向上に役立てていくとともに、危険度が高い箇所について事業を集中的に進め、森林の防災・減災機能の発揮を図っていくことを進めてきましたが、今回の台風19号の崩壊箇所は、その調査とどの程度一致をしていたのか。また、調査結果は住民の防災意識の向上にどのように寄与してきたと考えるか。井出林務部長に伺います。  次の項目に移りまして、長野県の行う広聴活動について伺います。  阿部知事は、2010年9月から長野県の知事として県政を運営していく中で、県民の皆様の意見を伺いながらということをベースとして、実際にタウンミーティングや県民ホットラインなどを通じて意見を広く聞くことに努められていると感じています。私たち議員は、県民の皆様から負託をいただき、この一般質問の場や委員会などの場で、県政に提言することができる貴重な権利をいただいております。当然、発言一つ一つに責任を持ち、その権利をいただくものとして、時には発言に対する批判の対象として矢面に立つこともあります。  そのような中で、県民ホットラインでは、投稿者がさまざまに県に対し提言や意見を述べ、この責任は県政にとってもらう、覚悟しておけという過激な投稿や、議員個人に対する批判の内容などもあり、それをそのままホームページに公開しております。それら一つ一つの質問に対しても丁寧に答えており、この返答に職員の方々の労力も大きく割かれていることを考えると、質問する方も責任を持って、ある程度の個人情報を公開することも必要ではないかと思います。  もちろん、少数意見をすくい上げるということは重要だと思いますが、タウンミーティングや県民ホットラインなどの仕組みでは、少人数でも声の大きな団体の意見が強くなってしまうことも懸念されます。議会としても、議員個々がさまざまな方々の意見を聞くことは当然必要ではありますが、盛んに言われている開かれた議会、議会改革度ランキングなどに惑わされ、パフォーマンス的な議会のあり方というものは、間違った方向に進んでしまうのではないかとも危惧しています。  204万人以上の県民の皆様に対して平等に意見を聞ける状況をつくっていくことは難しく、私も、市議会議員のころに、議会報告会を経験する中で、どうしても声の大きな団体の意見が強くなる傾向にあることを強く感じてきました。本来は、議員一人一人ができる限り多くの方々の意見を聞き、それを精査した上で行政に伝えていく。ある意味で、フィルターのような役割を担う中で県に対して提言をしていくことが議員としての役割の必要性とも考えます。報告会などで出た意見を個々の議員が参考とするのであればいいのですが、これを県民の方々から直接議会に意見を聞き、議会としてダイレクトに行政につなげていくのであれば、議員としての役割を担えていないのではないかとも言えます。  例えば、ある事業に対して10人中8人の議員が賛成で、2人の議員が反対だったとします。特に、反対や批判はエネルギーを生み出すため、反対の2人の議員が議会報告会の会場に人を集め、その中で出る意見が平等とは言えず、偏った意見だということを強く感じてきました。議会としても開かれた議会のあり方は相当注意しなくては、ある偏った団体や党の利益、政治的な手法に使われかねないと感じています。  それは、行政においても同じことが言えるかと思いますが、県民の皆様との直接的な対話を行うタウンミーティングや県民ホットラインから意見を集めるこの取り組みで、民意と乖離する意見など十分な検討が必要なものも考えられるが、どのような工夫をし、施策に反映をされているのか。伊藤企画振興部長に伺います。  次に、今後の行政運営で最も重要なのは、財源の確保であります。産業の活性化については6月議会で質問をさせていただきましたが、財政健全化を図っていくためには、公共施設の総量縮減や維持管理、有効活用も重要で、大きな課題でもあります。長野県では、ファシリティーマネジメントの基本計画を策定し、県有施設の総量縮減に取り組み、おおむね10年で延床面積を5%削減するとのことであります。公共施設の削減については、総論賛成、各論反対となりやすい議論でありますが、確実に考えていかなくてはなりません。  そのような中で、今後40年で必要な改修、更新をする場合、1兆4,000億円を要し、年平均では350億円とされています。対応として、人口減少社会の到来及び厳しい財政状況等を考慮し、既存施設の転用、集約化、市町村施設等の利用、市町村との共同設置などにより、総量縮小を推進するとともに、未利用県有地の売却などを進めていくとあります。私の出身、上田市でも、平成28年に上田市公共施設マネジメントを策定し、その中で、今後40年間に必要となる更新・改修費用を試算した結果、その総額は約2,903億円となり、40年間の平均では1年当たり約72.6億円となりました。これは、平成21年度から平成25年度までの5年間の年平均約49.7億円の約1.5倍の予算であり、おそらく長野県内多くの自治体で同じような状況になってきているものと推測します。  また、今後の公共施設のあり方として、県の動きは各市町村が注目していることと思います。県有施設の総量縮小、有効活用を進めていますが、進捗状況と、進めていく上での課題はどこにありますでしょうか。  また、令和2年度末までに中長期修繕・改修計画を策定していくということでありますが、計画策定までには残すところ1年と数カ月という状況であります。中長期修繕・改修計画の策定状況はどうか。関総務部長に伺います。  最後に、今後の県政を広い長野県下で推進していくには、人材の確保や育成も重要になってくるものと思います。そこで、長野県内各市町村で350人を超える方々が活動する地域おこし協力隊を初め地域づくりの人材の必要性をどう捉え、その育成に具体的にどのように取り組んでいるのか。伊藤企画振興部長に伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)初めに、私への質問は、しゅんせつ作業の方針及び中洲の除去について、3か年緊急対策の上田市依田川の丸子中央病院前のしゅんせつ工事に関する効果、河川監視カメラの効果及び河川砂防情報ステーションへのアクセスについてのお尋ね、それから河川のわかりやすい情報提供についてのお尋ねだと理解をして回答差し上げます。  初めに、しゅんせつ作業の方針及び中洲の除去についてのお尋ねでございます。  河道内の中洲に堆積する土砂は、河川の流下断面の阻害や流水の蛇行による護岸の欠損を生じさせるなど、治水上の課題であると認識しております。このため、3か年緊急対策の予算を使いながら護岸や堤防等の強度を低下させないことなどに配慮しながら、計画河床以上に堆積した土砂を撤去し、河道断面を確保する方針で取り組んでおります。  次に、上田市依田川の丸子中央病院前のしゅんせつの効果についてでございます。  昨年度から進めている3カ年緊急対策において、堆積土砂の除去等を県下134河川で行っておりますが、上田市依田川の丸子中央病院前などでは、台風の前に作業が完了いたしました。具体的なデータというのはございませんが、河川断面が大きくなったことで水位上昇が抑えられる効果があったものと考えております。  次に、監視カメラの効果及び河川砂防情報ステーションへのアクセスについてのお尋ねでございます。  河川監視カメラの効果につきましては、消防団員の方が河川監視カメラの映像で千曲川の越水状況を確認し、他の団員への避難情報伝達の指示を行ったとの報道もありました。このように、河川監視カメラは避難判断情報として有効に活用され、住民の避難行動につながるものと考えております。  また、河川砂防情報ステーションは、台風19号の北上に伴いアクセス集中による障害が発生しました。このため、緊急の対策として、今回の台風19号と同程度のアクセスに対応できることを目指して、次期出水期までに回線の増強を行ってまいります。また、今後のさらなるアクセス増加に対応するため、来年度以降、サーバーの増強等の根本的対策を検討してまいります。  次に、河川のわかりやすい情報提供についてのお尋ねでございます。  河川の水位については、危機管理型水位計による情報発信がリアルタイムな情報提供として有用であると考えておりまして、現在193基が稼働しております。議員御質問の危機管理型水位計の表示の仕方でございますが、従来の水位観測局とは異なりまして、水深ではなく堤防天端までの高さがわかるようになっております。  引き続き、市町村と設置箇所等の調整を行い、令和3年度出水期までに約300基を設置していきたいというふうに考えております。  また、わかりやすい情報提供の一つとして、先ほど答弁いたしました河川監視カメラによる映像も、リアルタイムに洪水時の切迫感を伝えるという意味で重要なものと考えております。長野県においては、本年度と来年度に合わせて190基を新設する計画であり、現在162基の設置に着手をし、残る28基につきましても来年度をめどに設置してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)御質問に順次お答えをいたします。  まず、菅平ダム管理所と市町村の情報連携についてでございますが、菅平ダムからの放流につきましては、法令に基づき国交省の承認を得たダム操作規程により、河川周辺のサイレンに加え、上田市、消防、警察など防災関係機関へFAXと電話による事前通報を実施することにより周知することとしてございます。  台風第19号では、10月12日の対応といたしまして、午後8時からダムの放流を行いましたが、あらかじめ、午後4時40分から電話により上田市、消防、警察などの関係機関に放流予定の情報を提供するとともに、午後6時40分からFAXと電話により同じ連絡先に対して放流開始の事前通報を実施いたしました。  議員御指摘のとおり、今回の放流では、こうした情報を受けた関係機関が行った住民の皆様への伝達の過程において一部に誤解を生じさせるなどの事案が発生したものと認識してございます。  これまで、関係機関や住民の皆様への周知につきましては、毎年5月に上田市、地域住民の代表ほか関係機関が参加する菅平ダム下流関係機関打ち合わせ会議を開催し、その徹底を図るとともに、情報伝達訓練の実施や周辺住民へのチラシの配布等を実施してきたところでございますが、今後こうした会議で改善に向けた意見交換を行うとともに、今回から用いた県の防災ツイッターなども活用して、放流開始時刻をよりわかりやすく明示することなどによりましてさらに正確な情報伝達ができるように取り組んでまいりたいと思います。  それとともに、常日ごろから、マスコミなどの関係機関や地域住民を対象として、イベントやダム見学会などの機会を通じて、ダムの仕組みや放流に関してより理解が深まるように努めてまいりたいと思います。  次に、菅平ダムからの放流の影響と災害発生の防止措置についてでございますが、菅平ダムはかんがいなどを目的とした利水ダムであり、治水を目的としたものではないものの、今回の台風接近前に貯水率を10%としていたところ、最大84%まで貯水することにより、菅平ダムにはトータルで約200万トンを貯水することができました。  それとともに、菅平ダムへの流入量は最大で毎秒約80トンであったものを、ダムのゲートからの放流量は、午後8時の開始時の毎秒0.38トンから、調整しながら、最大でも毎秒約28トンまでに抑えました。これらにより、下流の神川の河川水位は、ダム放流後の高い時でも2.52メートルにとどまり、放流前の午後6時30分時点で観測した3.05メートルを超えることはございませんでした。結果的に、この放流前の水位が今回の神川の最高水位となったことなどによりまして、菅平ダムは治水に一定の役割を果たしたものと考えております。  菅平ダムは、ダムの放流ゲートがダム堤体の上部にあることから、事前放流などが難しい構造となってございますが、国において利水ダムを含めた既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討を始めたところでございますので、こうした動向などの情報収集に努め、今回のようにあらかじめ貯水率を可能な限り下げておくことなどにより、今後ともできる限り治水に貢献できるように取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)防災意識を高める取り組みについての御質問でございます。  住民が適切な避難行動を実行できるようにするためにも、日ごろから防災意識を高めておくことが重要でございます。そのため、広報ながのけんや県ホームページなどでマイ・タイムラインの作成方法の周知、ツイッターを初めさまざまなメディアを活用した啓発、地域防災力アップ出前講座や自主防災組織リーダー研修会の開催などによる住民の皆様への直接の働きかけなどにより防災意識の高揚を図っているところでございます。  また、今回の災害を受けまして、県民の防災に対する関心が高まっていることが予想されますことから、この機会を捉え、市町村と連携して、自治会に対し災害時住民支え合いマップ作成を働きかけるなど、これまでの取り組みを強化し、住民の防災意識が高まるよう取り組んでまいりたいと考えております。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)被災した取水設備の復旧と県の対応についての御質問でございます。  神川には農業用水の取水施設が15カ所あり、その全てにおいて損傷、土砂の堆積などの被害が発生しました。地域振興局農地整備課では、被災直後から被害状況調査を行うとともに、災害査定に向けた資料を作成するなど上田市の支援を行っているところです。  さらに、来春の営農に向けて農業用水を確保するため、査定前着工により、上田市が建設事務所の協力を得て、土砂の撤去や仮設パイプの設置などの応急工事を進めております。  また、千曲川から取水をしている二ケ村堰の取水施設については、施設全体が流失しており、復旧に当たっては、上田市が河川管理者である国土交通省と協議をしているところです。農政部としましては、復旧する施設の構造や工事の時期などについて上田市や県建設部と連携し、国土交通省との協議に加わるなど早期復旧に向け支援を行ってまいります。  以上です。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)崩壊箇所と測量調査結果の一致状況と防災意識の向上についてお尋ねをいただきました。  県では、航空レーザー測量結果をもとに詳細な地形地図等を作成し、崩壊するおそれの高い危険箇所の抽出を行っております。  今回の台風19号による崩壊箇所のうち、特に災害規模が大きく国庫補助の災害復旧事業を導入する予定の14カ所については、全て抽出した危険箇所と一致しております。調査に基づく危険箇所については、平成29年度に全ての市町村に位置情報の提供を行っておりまして、治山事業はもとより造林事業や林道整備などの事業計画の際に関係する住民の皆様にも情報提供をしてまいりました。  さらに、本年度、危険度の高い箇所から順次、住民の皆様とともに、御自身の暮らしている地域の地形、地質や森林の状態を明示した防災マップの作成を始めておりまして、住民説明会の開催などとあわせて防災意識の向上に努めてまいります。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)二つ御質問をいただきました。順次お答えいたします。  まず、県の広聴活動について、どのような工夫をし、施策に反映しているのかということですけれども、県民起点での県政を進めていくためには、県民の皆様の多様な御意見をお聞きし、施策等に適切に反映していくことが重要と認識しております。このため、広聴活動として、規模や形態など工夫しながら、お話にもありましたように、県民ホットラインや県政ランチミーティング、県政タウンミーティング、このほか、今年度から新たに各部局が主体となって行う政策対話を実施しております。  いただいた御意見につきましては、公平、公正を基本として、客観的データも考慮しながら、必要性やコスト、県が行うことの妥当性等を十分に検討した上で施策化しております。したがって、短期間で実施できるもの、また、中長期のスパンで研究、検討していくものがございます。  こうしたことから、御意見に対する県の考えや取り組みの方向性などにつきまして県のホームページでも公表することによりまして、施策への反映状況を県民の皆さんにできるだけわかりやすくお伝えし、行政の透明性の向上にも努めているところでございまして、このことで行政の公平性ですとか公正性というものをお示ししているのではないかというふうに考えております。引き続き、県民の皆様の御意見を幅広くお聞きしながら、共感と対話による県政を進めてまいります。  続きまして、地域づくりの人材の必要性とその育成についてという御質問ですけれども、地域の課題解決や活性化を進めていくためには、行政と住民による地域主体の協働を基本としながらさまざまな人が地域づくりにかかわることが重要であるというふうに考えております。  外部人材の力をかりることも有効でありまして、68市町村で活躍します353名の地域おこし協力隊は、みずから地域に入りながら地域のパートナーとなる重要な存在であります。また、地域に寄り添い、時には導くことができる中間支援的な役割を担う人材も必要です。協力隊のほか、市町村や県などの行政職員にもその役割が期待されるところであります。  県では、この地域おこし協力隊については、その活動年数に応じた研修を実施しておりますし、また、中間支援人材の育成に向け、まちむら寄り添いファシリテーター養成講座を昨年度から実施しているところです。この講座は、地域活動を進めるために基本的な心得や技術を学ぶ基礎編と、県内各地域でフィールドワークを行います実践編がありまして、現在、協力隊やシニア活動推進コーディネーター、それから行政職員などが六つの地域に実際に入りまして活動を行っているところです。  こうした事業を市町村とも連携しながら行うことにより、人材をふやし、持続可能な地域づくりを推進してまいります。  以上です。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)まず、県有施設の総量縮小と有効活用の進捗状況と、進めていく上での課題についてのお尋ねであります。  県有施設の総量縮小につきましては、令和8年度末までに5%削減することを目標としておりまして、県営住宅や職員宿舎などの譲渡、移管を進める一方、完成した下水処理施設の建屋などがあったことなどもあり、平成30年度末現在の状況は約1%の削減となっております。未利用施設の譲渡や移管を進めるためには調整に時間を要することが課題となっております。  県有財産の有効活用につきましては、自動販売機設置の公募や太陽光発電の屋根貸しなど貸付制度の活用や、職員宿舎の共同利用の推進などに取り組んでおります。  有効活用を進めるに当たっては、各財産管理者の立場のみではなく、全庁的な視点からのさまざまな検討を行うことが必要であります。このため、施設の所管部局に加えまして、私ども総務部や関係部局が参加をするワーキンググループで活用策を検討するとともに、広く民間団体、企業等にも県有施設を貸し付けできる仕組みを検討しているところであります。  次に、中長期修繕・改修計画の策定状況についてであります。  計画の策定に向け、平成30年度には県立高校や特別支援学校の101施設、今年度には合同庁舎や警察署など72の県有施設について劣化度等の点検調査を行っております。この点検調査結果を踏まえ、現在、各財産管理者が施設ごとの改修工事の概算費用や優先順位を取りまとめる作業を進めており、今後は、関係部局と連携をして施設間の調整を行い、令和2年度末までに計画を策定してまいります。  以上であります。       〔7番山田英喜君登壇〕 ◆7番(山田英喜 君)それぞれ答弁をいただきました。  最後の公共施設に関しては、経済動向等とは違って将来的にどうなっていくかということが見えているものであり、将来、こうしておけばよかったと後悔しないように取り組んでいかなくてはなりません。私も注視をさせていただきます。  また、公聴活動について、これもタウンミーティングや県政、県民ホットラインなどを通じて公平性を保っているという答弁がありましたが、今後も間違った方向に引っ張られないように私も注視させていただきますので、よろしくお願いいたします。  そして、菅平ダムについては、地元でも誤解を招いている部分もありますので、そこの部分、私としても仕組みなどしっかり広めていくように努めてまいりたいと思っております。  台風19号災害では、今回、私も避難誘導に当たっている中で、明らかに危険な住宅にお住まいの方も、うちは大丈夫だからと何軒もの方から反応がありました。
     私は、2011年3月11日に、東日本大震災の報道を一緒に見ていたイギリス人の友人から、日本人は日ごろから自然災害や隣国に対する危機意識が薄いと言われました。その当時、私はなぜそのような発言をしたのか疑問に感じておりましたが、日本人には他国にはない意識があるように感じています。  かつての日本人が信じていたものに、言霊の力というものがあります。言葉には魂があり、考え、口にしたことは現実になるという考えが広まっていました。現代の日本人が言霊を強く信じているわけではありませんが、今でも、受験生に滑るや転ぶ、または結婚式で切れるや別れるという言葉を使わないという忌み言葉などからも、言霊の意識が潜在的に残っているのではないかとも思います。そのために、自然災害や隣国の軍事行動に対する危機を想定することは、現実にそれを呼び寄せてしまうのではないかと考えてしまう国民性ではないかとも言われています。日本人にとって誇らしい文化ではありますが、自然災害やグローバル化の波に備えるためには、この意識における対応が最も苦慮するところかもしれません。台風災害の復旧・復興に向け、災害前よりも強い長野県となるように注力をいただきますようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明5日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時44分延会...