農政部長 山 本 智 章
農政参事兼
農業政策課長 草 間 康 晴
農政技監兼農業技術課長 伊 藤 洋 人
参事兼
農地整備課長 所 弘 志
農産物マーケティング室長 小 林 茂 樹
園芸畜産課長 小 林 安 男
農村振興課長 有 賀 芳 郎
●
付託事件
7月1日に同じ
●会議に付した事件
7月1日に同じ
●
開議時刻 午前10時27分
●
石和委員長 開会を宣した。
▲
日程宣告
農政部関係の審査
▲
議題宣告
付託事件及び
所管事務一般を一括して議題とし、委員の
質疑等発言を許可した。
◆
竹内正美 委員 基本的なことをお聞きいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。種子の生産についてお聞きします。スーパーですとか
ホームセンター等で野菜の種を販売されておりますけれども、種の袋の後ろを見ますと、日本でつくっているものがないという状況で、ブラジルとか、ニュージーランドですとか、中国が多いなと感じております。調べたところ、日本で出回っている野菜の種の9割以上が海外産だということを最近知りました。
種子農家が減っているということなのかなということを予測できるわけなんですが、質問なんですけれども、信州の
種子農家の軒数の推移がわかりましたら教えていただきたいと思います。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 種子農家の数についての御質問でございます。私どもがデータで持っておりますのは、
主要農作物、いわゆる米・麦・大豆・そばの関係でございますので、これについて御説明させていただきたいと思います。手元の資料では、平成27年は、合わせまして480戸の農家がございました。直近の平成30年では、457戸ということでございますので、23戸減少し、減少率としては5%減という状況でございます。
◆
竹内正美 委員 戸数について教えていただきました。想像ですが、
種子農家の高齢化もあるとすれば、もしかしたら、1軒当たりの採種量も減っているのかなという気もするんです。信州の種子について採種する量の推移について、わかるのであれば教えていただければと思います。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 種子の生産量につきましては、特に米について
生産調整等がございまして、減少する傾向にございます。それ以外の麦・そば・大豆等につきましては、ほぼ横ばいであり、それほど大きく減少していない状況でございます。
◆
竹内正美 委員 長野県
主要農作物及び
伝統野菜等の種子に関する条例では、
種子生産者の育成・確保、それから採種の技術の継承並びに種子の
生産体制の整備に必要な施策を講じるとありましたが、必要な施策について具体的に教えていただければと思います。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 まず
種子農家をしっかり確保するということについてですが、昨日も御答弁させていただきましたけれども、
竹内委員の御指摘のとおり、農家もかなり高齢化しておりまして、高齢の方は、80代の方もいらっしゃるかと思います。そうした中で、それぞれの方が、今後、どのような御意向を持っているのか、例えばこれからまだ10年は続けたいとか、もうじき引退したいとか、あるいは面積的に拡大したいとか縮小したいなど、意向をしっかり把握することで、将来どのぐらいの方が作付に必要になるのかということがはっきりしてくるかと思います。そうした
話し合いをしっかりしながら、どういう方に種の生産を担っていただくかということを、
産地ごとにしっかりと把握をしていくことがまず重要かと思っております。これには、農家の方と、それを支えているJAの方や市町村など関係の皆様とよく
話し合いをしながら進めていく必要があるかと思っております。
それから、種子の維持のための県の支援についてでございますが、まず種とりの技術の支援につきましては、
農業改良普及センター、それから長野県
原種センターが連携をしまして、特に新しく始められた方等に丁寧な
技術指導を行ってまいりたい。また病気の発生など、さまざまな問題が
種子産地においても発生をいたしますので、丁寧な
技術的指導を行ってまいりたいと考えているところでございます。
また
園芸作物につきましては、きのう、
園芸畜産課長からお答えさせていただきましたが、それぞれの地域におきまして採種の指導を推進してまいりたいと考えているところでございます。
◆
竹内正美 委員 技術の継承とか後継についてですが、例えば現在、
農業高校との連携はあるのか、また今後予定があるのかということもお聞きしたいと思います。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 担い手育成の観点から、
農業高校とも、
農業人材確保・
育成連携推進会議という会議を設けておりまして、
農業高校の
校長先生や、
農業経営者協会ですとか
農業士協会ですとか
農業団体の皆さんとも一緒になって、今後、
農業高校の学生に農業を一つの職業として選択していただく機会を設けてもらう
取り組みをしております。
◆
竹内正美 委員 篠ノ井の
小森地区の
小森なすの伝承のために、
更級農業高校の生徒さんたちが、種とりの技術を高齢の方から学んでいるということもあるようです。先日、私も一般質問させていただきましたけれども、高校と地域との連携というのは非常に教育上もいいかなと思っておりますので、ぜひ今後も高校と
伝統野菜を守るというところでの連携をしていただけたらと期待しております。
続けて
伝統野菜について、質問させていただいてよろしいでしょうか。種のことでございますが、
伝統野菜というパンフレットにありました、例えば松本一本
ねぎは種を見るとチリ産であったり、野沢菜はイタリア産であったり、私の地元、千曲・坂城の
ねずみ大根も中国産なんです。私も不勉強でわからないんですけれども、
伝統野菜という位置づけの中で、種の産地というのは、あまり影響はないのか、教えていただければと思います。
◎
小林安男 園芸畜産課長 伝統野菜の種苗についてでございます。
竹内委員から、
伝統野菜の種について、産地が海外であるというお話がございましたが、
伝統野菜のほとんどが、
種苗登録されている品種ではないということがポイントになっています。種苗法において、登録された品種であれば、
育成者権というものがあり、その品種を育成した人が25年とか30年という間、権利を有するという形になっています。けれども、
伝統野菜は過去から延々と、脈々と栽培をされてきた品種でございまして、
種苗登録をしているものではなく、こういった品種については、それぞれの
種苗業者がみずから種を採種しまして、それを販売するということに規制はございません。ですので、いろいろな
種苗業者さんが種を採種して販売をしているという実態がございます。例えば坂城の
ねずみ大根につきましては、県内の
種苗業者が中国で種を生産して販売しているという実態がございます。
しかしながら、昨日、
堀内委員にもお話しをさせていただきましたが、私どもが実施しております
伝統野菜の
認定制度は、品種の選定という行為と、もう
一つ伝承地栽培認定という行為をしています。品種については、例えば
ねずみ大根ということで
品種登録はされましたと。その上で、実際にその地域において、過去から作付をされているのかどうか、ということです。例えば、坂城町において作付をされているものという形で、その部分を認定しているのが
伝承地栽培認定でございます。例えば中国から買った苗を、長野市でつくるということは全然問題はないわけです。一方で、伝承地の認定においては、信州の
伝統野菜として認定されているものという中では、例えば坂城の
ねずみ大根では、
振興協議会の皆様方がつくっているものが認証されておりますので、そこの部分で区分されていると御理解いただければと思っています。
◆
竹内正美 委員 よく理解できました。
棚田のことについて、お聞きしたいと思います。中
山間地域の
農業生産活動についてですが、棚田の
オーナー制度などがとてもいい影響があるということも報告いただきました。
信州棚田ネットワークによると、県内には幾つもの棚田があるようでございます。私も地元の千曲市の棚田の
オーナーになっているのですが、全県的には棚田の
オーナー制度はどういう状況なのか、お聞かせいただければと思います。
◎所弘志 参事兼
農地整備課長 棚田の
オーナー制度についてお答え申し上げます。
竹内委員から御指摘のありました
信州棚田ネットワークはことし設立いたしましたけれども、ここに、6つの関係する団体に棚田の
保全団体として入っていただいております。
関係市町村は12市町村でございます。関係する6つの棚田の
保全団体のうち、5つでは
オーナー制度をやっていると聞いておりますが、県全体でどの程度やっているかというデータにつきましては、承知していないところでございます。
◆
竹内正美 委員 棚田の
オーナー制度は非常によい
イベントだと思っておりまして、私も参加するときは、小さな
お子さん連れですとか、ダウン症の
お子さんですとか障害のある方を連れて一緒に体験をしております。このように地域と連携して、
イベントとして愛されるようになっていくと、棚田の保全にもつながるのかなとか、若い世代が農業に興味を持ってくれるのではないかなと思っていますので、その辺を期待申し上げたいと思います。
◆
丸茂岳人 委員 大きく分けて、農産物の輸出についてということと、
農業体験についてということと、担い手の確保について、お伺いします。
まず農産物の輸出でございますけれども、もう少し詳細に、輸出の
ルートはどれぐらいあるのかということ、
生産者から
輸出業者への流れ、
輸入業者から
代金回収までの流れを教えていただければと思います。
次に、海外での長野県産の農産物の
マーケティングというのはどのように行っているのかということ。外地での消費者のニーズを
生産者に伝えて、
商品開発に生かすなどの
取り組みが行われているのか。例えば、海外に駐在している日本人が買っているとか、海外の裕福な層が買っているとかなど、どういう層が購買しているのかということ。海外の人が望んでいるものを提供することで輸出額を上げていく必要性があるのではないかと思いますけれども、どうお考えになっているのか。
次ですが、先日お伺いしたときに、長野県産の農産物は、国内の
マーケットだけで需要が満たされていて、なかなか輸出に回す商品がないということをお聞きしました。
生産者において、
海外マーケットに売り込むのと国内で売るときの利益率というのはどれくらいの違いがあるのかをお聞きします。
◎
小林茂樹 農産物マーケティング室長 輸出について3点質問をいただきました。まず
ルートについてお答えをしたいと思いますが、それぞれの国別に
ルートは違ってございまして、例えば香港で言いますと大きく3つの
ルートがございます。県内の
卸売市場を経由し、
輸入事業者を通じて、現地の、例えばイオンとか、そごうなどに行く
ルート。それから県外の大手のところ、例えば大阪の
卸売市場等に出荷されたものを、
輸入事業者が買って小売店に販売する
ルート等がございます。県外で言いますと、大阪、それから
名古屋等の大手の市場を経由して、そこから
輸入事業者を通じて小売店に販売されるという
ルートが主だと思います。ただいま、香港の
ルートを中心に申し上げましたけれども、
シンガポールで言いますと、県内の
卸売市場は、大手2社がございますが、そこで荷物を集めて、同じような
ルートで販売をしておる状況でございます。
代金につきましては、県内の卸もそうですし、県外の卸もそうですが、
卸売市場を経由して販売しておるものですから、
生産者は
卸売市場から全農などを通じて代金が支払われるという形で
代金回収をしておる状況でございまして、海外の業者から直接というのはあまりないケースだと考えてございます。
2点目は、
マーケティングニーズをどのように把握して生産等に結びつけておるかという御質問だと思います。
輸出事業者で組織します長野県
農産物等輸出事業者協議会が平成26年に設立されています。その協議会では、それぞれ
輸出支援員という方を香港・
シンガポールに配置してございます。その方々に輸出先でのニーズを把握していただいたり、我々が出向いた際に、現地のバイヤーさんと接点を設けていただく中で、どんな需要がどの時期にあるかという情報を提供していただきまして、協議会の
構成メンバーでありますJAとか
卸売市場にその情報をバックする中で、
結びつきの強化を図っておるところでございます。
3点目の
国内マーケットの
利益率等の関係でございますが、一例で申し上げますと、シャインマスカットの輸出等につきましては、
卸売市場から
国内輸出事業者が仕入れをしまして、それを
輸入事業者へ販売するパターンが現在の主流となっております。一般的には、
輸入事業者が、コンテナでの
輸送経費とか、
梱包費用、それから輸出の通関料、船積みの
手数料等の
各種手数料を上乗せしまして、
卸売業者を通じて小売店に販売してございます。
小売業者は、輸出先で、当然、もうけを上乗せするわけでございますので、最終的には、海外での
販売価格は
日本国内の約3倍で販売されてございます。
県内の輸出の関係者にお聞きしますと、品目によっても異なるわけでございますけれども、輸出をすれば
国内販売に比べて必ず大きな利益が上がるというわけでは、一概には言えない部分もございます。
卸売市場から買いつけていくものですから、
卸売市場の価格で国内では販売されておるという感じになります。
しかし、長期的に見れば、
人口減少で市場が縮小しておるということ、それから豊作などによりまして、
国内市場において価格が低迷した場合、有利な
販売ルートとして確保しておく必要があるということ、それから新たな販路の確保の一つとして
海外ルートを確保しておくことが必要であるということ、このような観点を含めまして、
農業経営の
販売チャンネルの一つとして輸出に取り組むことによりまして、
農家所得の向上に結びつくものと考えてございます。
◆
丸茂岳人 委員 詳細な御説明でよくわかりました。
農業体験についてなんですけれども、私の地元の茅野でもほっとステイということで、
子供たちの
農業体験をやっております。年間、大体3,000人から4,000人ぐらいの
受け入れをしております。以前は
課外授業というと、全県的に登山とかスキーが主だったんですけれども、危険性があって親御さんが非常に嫌がると。そのかわりとして、
農業体験、ほっとステイが非常に盛んになってきている。そういう中で、ほっとステイの
受け入れを体系的にやってくれる団体がまだきちっと確立されていなくて、特に茅野でいうと、個人の農家さんがそれぞれ
受け入れ先を開拓しているということをお聞きしています。
去年が年間3,000人でことしが年間4,000人ぐらいいきそうだということで、急激に人数がふえてきているということで、現場でかなり無理が生じてきている。そういったところを見るとニーズとして高まってきているけれども、
受け入れをきちんと
行政単位で行う体制が、まだできていないのかなと私は感じております。その辺、市町村との連携等あると思いますけれども、県としてどのような
支援体制ができるのか、お考えをお聞きしたいと思います。
◎
山本智章 農政部長 農業体験、あるいはほっとステイについてのお尋ねでございます。
丸茂委員の御質問は大変重要でございまして、小中学生もそうですし、あるいはインバウンドもそうですけれども、
農業体験の需要が大変多くなってきております。その中で、体系的な
取り組みがどのようになされているかというお話ですけれども、それは地域・地域でいろいろな
取り組みがございまして、例えば
南信州地域のように、
南信州観光公社が古くから
農業体験の
受け入れ体制を整えてしっかりやって取り組んでいるという地域もございますし、NPOの団体が
受け入れをして取り組んでいるというところもあって、地域によっていろいろな違いがございます。
農業体験を観光なり地域の発展に生かしていくということは、非常に重要な観点でございまして、県としましては、
地域ごとに
DMOを
立ち上げて、観光の一つの重要な要素として取り組んでいくべきではないかと考えておりまして、
DMOの
立ち上げについて、県でもいろいろな面で支援していこうということで、部局横断的に取り組んでいるところでございます。
◆
丸茂岳人 委員 ニーズに実態が追いついていないのかなというところは、私も見ていたりお聞きしている中で感じております。小さいときから農業の体験に触れていくということですが、将来的には
担い手不足の緩和につながっていくのかなと。そういう意味では、この事業を引き続き力を入れていくべきではないのかなと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
最後に、担い手の確保についてであります。きのうも御説明いただきましたとおり、
希望者といいますか、やる気のある若い人などが新しく
新規就農したりということで、非常に旺盛だということはわかりました。一方で、例えば新しく
新規就農の
希望者を募っているけれども、
受け入れ先とか土地がないとか、まだまだ排他的な地域が多くあってなかなか
受け入れてくれないという状況が結構あるということをお聞きしています。要するに
希望者の
受け入れだけじゃなくて、
受け入れる側の対策とか対応というのは、どのように行われているのかというのをお聞きしたいと思います。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 担い手の
受け入れ先についての御質問でございます。担い手の確保は非常に重要な課題ということで、第3期の食と
農業農村振興計画でも、45歳未満の
新規就農者を毎年250名確保するという目標を掲げて、各施策に取り組んでいるところでございます。その中で、
新規就農者の皆さんは就農するに当たって研修先を求めているわけです。里親となっていただく
受け入れ先の農家の方の登録をしていただいて、そこの里親さんのもとで2年間ぐらいの研修を積んでいただくということでして、平成30年度は、
受け入れる里親の
農業者数は471戸ございます。これまでも、里親のところでの研修を進めてきたわけですけれども、新規で延べ608名の方が研修を積んできたと。新規に就農するに当たっては、農地の問題、それから住居の問題があるわけですけれども、地域におられる里親さんは、非常に信用力も高い方ですので、その方々を通じて、農地のことですとか、住居のことですとかを支援しているという例がございます。
◆
丸茂岳人 委員 関連してもう一つ、
受け入れ先と
希望者の
マッチングの仕組みについて。要は希望する方とその
受け入れ先をどのように結びつけているのか、相性ですとか、いろいろな面で問題があると思うんですけれども、その辺の
取り組みをお聞かせください。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 担い手の確保に向けては、いろいろな
ステップを踏みながら、
ステップアップ方式での支援を行っているところです。最初に
就農相談について
情報発信をして、それで県内外で
就農相談会をやるわけです。その中で、
農業改良普及センターにおいて、各
新規就農を希望する方々と面談などをいたしまして、要望をお聞きしながら、里親さんとの
マッチングを進めているところでございます。
◆
丸茂岳人 委員 では定着率は大体どれぐらいですか。5年単位でも、10年単位でもわかる範囲で結構でございますけれども、どれぐらいの定着率があるのか。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 里親研修生の就農率は約73%で、4分の3近くが就農しております。就農した方の90%以上の方が定着しているということで、
里親研修を済んだ方が就農した場合には、かなり高い定着率となっております。
◆
丸茂岳人 委員 わかりました。
担い手不足の状況は本当に深刻になっていますので、引き続き力を入れていただいて、お願いしたいと思います。
◆
山口典久 委員 最初に
種子条例について伺います。将来にわたり優良な種子を安定的に生産する、供給する。そのためには条例も大切ですし、生産の体制をどう確保するのかについては、きのうからも話になっているところです。その点で何点か質問をしたいと思っています。
私も、先日、信田の水稲の採種について視察させていただきました。改めて、何が必要なのか、何が求められているのかを、現場に学ぶべきだなということを痛感したところです。信田で
生産組合の組合長さんからも伺ったのですが、例えば水稲の場合でも、
種子生産には大変な苦労があるとのことでした。真夏の暑いときに田んぼに入って異種を見つけ出しそれを除伐していく。本当に
汗だらけになりながらの過酷な作業だということなんですね。そういうのを3回、4回やると言っておられました。
種子生産に必要な特別の技術・作業があると思います。米なら米、大豆なら大豆、麦なら麦、そばならそば。求められる技術・作業はどんなものなのか教えていただければと思います。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 種子生産に必要な特別な技術についての御質問でございます。基本的に、種の生産では、種自体が充実しているということが非常に重要でございます。そのためには、単に肥料をたくさんやってたくさんとるということではなくて、それぞれが充実する
栽培管理をするということが重要になってまいります。
特に重要なのは、
交雑防止ということでございまして、基本的に
自家受粉のものは、あまり交雑はしないんですけれども、それでも至近になりますと交雑してしまうということもありますので、常に周りにどんな品種が作付されているかということに気を配って生産をするということも一つの技術でございます。
それ以外には、ただいま
山口委員から御指摘がありました
異形抜きという作業がありまして、例えば稲はみんな平らになっているんですけれども、ぴょんと1個だけ飛び出ていたりとか、色が違ったりとか、ほかの品種が混じっている、あるいは変異した本来の性質とは違うものがありまして、これらを排除するという技術がございます。稲の場合には、主に高さですとか色で見分けますし、大豆などでは葉っぱの形なども重要な着目点になります。ほかの品種が混ざらないように注意をしているところでございます。
自然界においても突然変異は一般的にあることでございまして、純度の高いもと種を使っていても、一定の確率で出てくるおそれがございます。それから、田んぼですので、用水の流れによっては、他のものが流れてくるという可能性もゼロではないということがございまして、そこは最も気を使う作業となっているところでございます。
大きく申し上げますと、ほかと隔離した環境をしっかり確保すること。それから量をとるのではなく、充実した種を確保すること。それから異形をしっかりと分類をすること。加えまして、種で伝染する病気もございますので、病気にも非常に気を使っております。そういったものが発生した場合には、その種は種としては出荷しないというルールにしておりまして、病気が出ないよう特に気を配って十分管理をするということも、種生産の中の技術では非常に重要と考えているところでございます。
◆
山口典久 委員 本当に大変な作業で、そして技術の蓄積が求められていると思うんですね。同時に種の生産について、それに見合った価格、収入はどの程度保証されるのかということも大事なことになってくると思うんです。例えば稲も、どのように種の価格が決まってくるのか。同時に、現在、種の価格はどの程度の水準が確保されているのか。一般の生産と比べてどうなのか。米、大豆、麦、そば、のそれぞれについて教えていただきたいと思います。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 まず種の価格の決まり方ですけれども、一般の水稲、それから大豆・麦の通常の所得がベースになってまいります。ただ、これらにつきましては転作の助成金ですとか、あるいは国の経営安定対策の関係の助成金などが支出の価格に上乗せされているところでございます。例えば1俵5,000円であっても、そこに助成金が乗った価格が農家の手取りということになりますので、それが大前提になってまいります。
次に、長野県は、例えば米で申しますと、10アール当たり600キロ程度とれているわけでございますけれども、それに対して、種の場合、400キロぐらいしか収穫しないという実態がございます。それは、先ほど申しましたように、充実したものをつくるために肥料をあまりあげ過ぎないということがございまして、最終的に10アール当たりどれぐらいの価格とすれば、ほかの農家さんと比較してそれ以上の価格が確保できるかということを勘案して決めているところでございます。
ただ、種の価格自体を、うんと高くすると、一般の農家に最終的にかかってくることにもなりますので、例えば1割とか、2割とか、多くても50%増ぐらいの範囲の中で、納得できるところ、農家さんもこのぐらいの種の価格ならいいよというところを、接点を見つけながら考えているところでございます。買うほうの農家さんにとってみると、できるだけ安く、安定的にして供給してほしいというところがございますので、幅的には3倍、4倍という値段にはできないというのが現状でございます。
◆
山口典久 委員 安定的に収入が保障されるというのも種の生産にとっては大事かなと思うんですが、価格は、毎年、毎年変わるということなんですか。それとも数年間、安定して価格が設定されるということなんでしょうか。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 価格の設定につきましては、例えば資材費の高騰ですとか、いろいろな要件がございますので、毎年、どんな価格にするかという検討は行います。ただ、幅があまり大きくない場合には据え置きといたしまして、大きく何かが変動して、農家さんにその部分を還元しなきゃいけないことがあった場合には、十分、関係者と
話し合いをした上で、価格を上げさせていただくということになるかと思います。価格を下げるという状況にはなかなかないかと思いますので、当然、実態に見合った価格になるように、毎年、検討しているところでございます。
◆
山口典久 委員 種子の
生産者については、特別な後継者対策も必要なのかなと現場でお話を聞いていて思ったんですが、その辺、
種子生産者に対する後継者対策などは行われているんでしょうか。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 種子生産者に対する特別な後継者対策ということでございます。基本的には、何か特別ということはあまりないのが実態でございます。ごらんいただいたような信田のように、種場というのは、過去からかなり長い間、
種子生産が行われておりまして、ある面でいうと、種の匠の里なんですけれども、そういう中で、農家同士の教え合いですとか、あるいは技術伝承ということが、かなりしっかりと行われてきたのが今までの状況でございます。
ただ、先ほどありましたように、これからはそういったベテランの方がリタイアされていくということになってまいりますし、なかなか教えきれないところもあるし、技術をどう次へつないでいくかというのが課題だと我々も思っております。
農業改良普及センターにおきましても、新たに生じた事象ですとか、あるいは病気の対策等は、積極的にいろいろな
技術指導をさせていただいておりますが、今後はベテランの方がリタイアされた後も伝承されるように匠の技術の内容も、例えばビデオで撮影するとかも含めて、考えていかなくてはいけないところでございます。
◆
山口典久 委員 現在、長野県内の原種採種圃は、27、28カ所くらいあるということなんです。これらがどういう現状にあるのかということについて、具体的な課題を明らかにしていくと。施設・設備の関連ですけれども、今後、どんな規模で、調査や対策をされていくのか、伺いたいと思います。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 産地の実情を知るための調査の考え方ということでございます。基本的には、まずそれぞれの種場ごとにということで考えております。先ほどもお答えいたしましたけれども、
生産者の年齢構成ですとか、あるいはそれぞれの栽培面積、また今後の経営の意向ですとか、あるいは栽培の面積の拡大の考え方などが、農家さんでは一つのベースになるかと思います。産地としては、例えば足りないとなったときに、外部の方を積極的に
受け入れられる体制や、意向があるかということも一つの要素と考えております。
また、インフラ系につきましては、種を調製するために、異物が混ざっているのを排除したりとか、乾燥したりという施設がそれぞれの種場にございますので、これらが今どういう状況にあるのか、すぐに対応する必要があるもの、あるいはもう少し時間をかけても大丈夫なものという区分をして、状況を把握することが必要かと思っております。
また、今後、高齢化や、人数がある程度少なくなってくる中で、どうやったら効率的に、楽に作業ができるかといことについて、例えば現在、それぞれの農家さんがやっている育苗作業をみんなでまとめてやりましょうとか、田植えも田植機で、誰か代表の人がやる方法にしましょうといった共同作業の可能性や意向等も重要な要素と考えております。基本的にはそれぞれの種場ごとに調査を行って、最終的にその情報を全県でまとめて、特に施設の整備等につきましては、多額のお金がかかりますので、近隣のところと効率的な利用ができないか等も含めて、検討をしてまいりたいと考えております。
◆
山口典久 委員 いい条例をつくって、同時に充実した
種子生産の体制をつくるということが大事だと思いますので、今後もぜひそういう意味での御努力もお願いしたいし、私たちもいろいろかかわっていきたいと思っています。
次に、後継者対策にもなるんですが、配付していただいた中高生のための信州就農ガイドBOOKについて伺いたいと思います。かなり農業のイメージが変わるガイドブックだとも思うんです。「新3K かっこいい!稼げる!感動を与える!」ということだったり、「農業をシゴトにしてみよう!」ということだったりと。この中で、特に農業法人への就職がぐっと打ち出されているといいますか、強調されていると思うんですね。中を見せていただきますと、長野県内には1,000の農業法人があり、一般的なサラリーマンと同じように就職できるし、毎月、お給料ももらえるし、休みだってあると。6ページの「就活で「農家」に!?「農業法人」に就職」を見ますと、農業法人へ就職をすればどうか、ということが打ち出されていますね。その隣を見ると、株式会社アグレスの土屋さんという方のところでも、年商3億円を目標に頑張っていらっしゃるトップランナーとして紹介もされているわけですね。
また、例えば3月から11月は畑で仕事に没頭する一方、冬の3カ月間は長期間の旅行に行くなど休暇を楽しんでいます、という体験談も載っていますし、私たちの会社は給料制で決められて一般企業と同じような環境にありますという体験談といいますか、現状の報告もされているわけですであります。
こういうトップランナーを知って、夢を持ち、興味や関心を持つことは、確かに大事だと思うんですが、しかし、私が、同時に大事だなと思ったのは、ガイドの8ページにありますトップリバーの嶋﨑秀樹さんという方が、「法人就農のメリットは?」というところで、「ただ農業法人といってもさまざまな会社があるので、給与や社会保険、3年以内の離職率などの情報をしっかり調べて法人を選ぶことが大切だ」と述べられておるんですね。ですから、トップランナーをバァーッと掲げて、夢がある、希望もある、行け行けというのももちろんそれは否定しません。しかし、現実もしっかり押さえておくことも必要かと思うんですね。
そこでお聞きしたいんですが、県内の農業法人は1,000あるということですけれども、毎年、採用はどれくらいあるのか。また、就職した人はどれくらいいらっしゃるのか。それから、それぞれ法人によって違うのはわかりますが、給与や社会保障は、大体どうなっているか。そして、嶋﨑さんも言われておりましたけれども、3年以内の離職率の情報というのはどのようにつかんでいらっしゃるのか。そして、この情報はどう提供されているのか、伺いたいと思います。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 法人就農等に関する御質問をいただきました。法人への就農も職業選択の一つにしてもらいたいということで、
農業高校等に現地を見てもらったり、インターンシップをしてもらったりしながら、法人の状況を見てもらって、一つの選択として勤めてもらいたいということを、行っているところです。法人への就農の数ですが、平成26年は、26人の方が就農しています。平成27年には75人、平成28年は46人、平成30年は28名の方が法人への就農をしております。農業法人といっても、
山口委員御指摘のとおり、いろいろな形態があって、確かに常時雇用するということができる法人というのは、かなりトップランナーの法人になってきます。我々の基準としては、販売額が3,000万円、農業所得にすると1,000万円以上を稼ぐような
農業経営者をトップランナーとして位置づけているところでございます。
法人ごとに、いろいろな状況があり、福利厚生の点ですとか、まだ整っていないところがございます。例えば、ガイドブックにあるアグレスは南牧の会社ですけれども、ここは非常に法人雇用している方が多くて、PALネットながのの会長さんをやっている若手農業者が社員にいたりするんですけれども、そういう法人ばかりではないということで、我々のほうでも、
農業高校の皆さんがいろいろな法人について事前に状況を見ていただく
取り組みを行っております。何人かでまとまって法人に行って、体験をしてもらったり、様子を見てもらって、就職先になるのかどうか、そこも含めて判断をしてもらうということで行っています。離職率については手元にはないので、すみません。
◆
山口典久 委員 特に高校生が法人への就職を希望する場合は、学校の進路指導の先生を介してということがこの中でも言われているんですよね。だから体験や丁寧な進路指導が必要だと思うんです。それで、例えば高校における進路指導について、こういうふうにしてほしいという要請などの手だてを何かとられているんですか。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 農業高校とは、昨年、
農業人材確保・
育成連携推進会議という会議を設立しております。その前からも、12校の
農業高校に対して、いろいろなお話をさせていただき、教育委員会には就農促進に向けた
取り組みの必要性を理解していただいておりますが、
農業高校の役割は、農業を通じた人材育成が前提で、
農業高校イコール就農人材育成ではないということも言われております。そのため、農業を一つの職業の選択肢として認識していただく
取り組みとしてやっていきたい。高校生が就農するということも、企業に就職するのと同じように考えていただければということで、就農に対するキャリア教育の実践に向けて、連携推進会議でも
校長先生等からも意見をいただきながら、
農業改良普及センター、それから高校とで、役割分担をして行う
取り組みを進めているところでございます。
◆
山口典久 委員 次の質問ですが、収入保険制度について伺いたいと思います。今年度から収入保険制度が導入されたと思うんですけれども、加入の対象が青色申告の農家に限られています。そして、補填基準となる収入も、過去5年間の平均の9割が基準になっていくということで、価格の下落が続いていくと、基準収入もどんどん下がってしまうというのが課題ではないかと思っているんです。そこで、収入保険制度は、県内において、どのように進行しているのか、今の段階はどうなっているのか伺いたいと思います。
◎草間康晴
農政参事兼
農業政策課長 収入保険制度についての御質問でございます。加入申請については昨年の10月から12月まで、制度の開始がことしの1月からになってございます。青色申告をしている農業者は、長野県内では推計で1万8,000ほどですが、NOSAIの加入目標数は1,500件ということで、自然災害のほかに、
山口委員からお話がありました価格低下という観点についてもカバーできる保険になってございますので、県も連携をさせていただき、農業者に周知をして、できるだけ多くの方に加入していただきたい。周知の機会を設けさせていただいたところですが、実際のところ、約500件と、目標の3割程度の加入という状況でございます。
◆
山口典久 委員 お話があったように、最近でも凍霜害やひょうの被害があり、これらは1回で数億円という被害が出てくるし、価格の下落もいろいろ心配されるんです。そういう意味では、収入保険そのものへの期待もあると思うし、役割もあると思うんだけれども、加入者も目標の3分の1だというお話もありましたが、課題になっているのはどんなことなんでしょうか。
◎草間康晴
農政参事兼
農業政策課長 加入状況がまだ目標に達していないということで、共済組合のほうとも確認をさせていただく中では、ことしが初年度の制度でありますので、まだ、農家の皆さんは様子見をしているところも結構あるということですので、いい制度ができたということは、さらに、今後、周知を図っていきたいと考えてございます。
◆
山口典久 委員 本当に使いやすく頼りになる制度にするために、どうしていくかというところだと思うんですが、その辺はどうですか。県として、いろいろ改善する余地があるかということについては、この制度では難しいのでしょうか。
◎草間康晴
農政参事兼
農業政策課長 この制度については、国で定められている制度ですので、例えば、県が独自にこれに上乗せをするですとか、そういう形はなかなか難しいと思いますので、今後、実際に運用をしていく中で、加入者の声も聞かせていただき、必要があれば、国へもお話をしていきたいなと考えてございます。
◆
山口典久 委員 それとの関連ですが、農業災害の補償制度、つまり農業共済事業についてお聞きします。この収入保険の創設と一体で、農業共済事業における米・麦などの加入制度が廃止されていくということなんですね。共済組合の組合員自体が減少していくことや、共済事業の縮小なども心配されるんですけれども、農業共済事業は、本来、災害の際に農業者の経営を維持するもので、その役割が引き続き重要になっていると思うんですね。加入者の促進や事務費の援助などの支援も必要だと考えるんですが、その点で、県はどんな手を打っていらっしゃるのか。
◎草間康晴
農政参事兼
農業政策課長 山口委員からお話がございましたとおり、収入保険制度ができたことによりまして、共済制度か任意加入か、どちらかを選択をするという形になってございます。そういう中で、ことしの3月末現在での加入状況等を比較してみますと、例えば水稲でいきますと、加入率について、前年度が9割であったものがほぼ同じ程度ですし、園芸施設についても、54%程度ということで変わりがない状況であります。こちらの比率がかなり下がってきたりですとか、収入保険制度との兼ね合いの中で、検討しなければいけないことが出てくれば、それはしっかりやりたいと思います。まずは、
農業改良普及センターにおける農業者への講習会等の中でも、共済制度と収入保険制度のメリットの周知などについても、盛んにこちらでもやらせていただいているところでございますので、そこは共済組合とも連携して引き続きやってまいりたいと思っております。
◆
山口典久 委員 特に加入率が低い果樹などについて、共済を利用しやすくするという改善も必要だと考えるんですね。園芸施設についても54%程度というお話だったんですけれども、その辺で改善策として何か考えていらっしゃるでしょうか。
◎草間康晴
農政参事兼
農業政策課長 ほかの共済に比べまして、果樹共済の加入率は2割程度と低い状況がございまして、果樹共済に対する関心があまり高くないということがあります。それと、実際に共済を掛けても、その減少量によって支払われないという制度的なものもあると考えております。ですので、それぞれの制度について、よりきめ細かく、農業者の方にお話をさせていただく中で、農業者の方がみずから、災害等があったときにはしっかり対応できるようになることも含めて、周知は引き続きやっていかなければいけないと思っております。
◆
山口典久 委員 最後に大規模経営の支援について、お伺いをしたいと思います。離農者の農地や農作業を引き受けて頑張っていらっしゃる大規模経営も少なくないと思います。私が接した中で、例えば1人で、あちこち点在する離農者の農地を15ヘクタールも頑張って耕作しているということも直接聞いたんですが、やっぱり無理があって、だんだん大変になってきて、離れたところにある田んぼは少しずつお返ししてということで、そういう田んぼは結局荒廃していっちゃう。近間に集約せざるを得ないとか、いろいろな話があるんですけれども。大規模経営でもそういう経営不安が広がっている中で、地域農業を支える役割が将来にわたって持続できる支援も必要だと思っているんですね。県内の大規模経営の実態はどうなっているのか、掌握されていることをお聞きしたいと思います。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 大規模経営についてのお尋ねです。農地の集積を進める中で、大規模経営という効率のいい経営化を進めているわけでございまして、それぞれの地域で人・農地プランをつくりながら、どの担い手さんに将来の地域の営農を進めていくかということを、各市町村において、推進していただいております。それから、中間管理機構を活用しながら農地の集積を進め、
マッチングをしながら、耕作放棄地にならないように、大規模経営ができるように進めているところで、現在の長野県の集積率は、約40%となっております。また、いろいろな地域の農業を進めていく上では、集落営農という形態もあって、集落として、どのようにその農地を守っていくのかという方式もございます。
現在の構造ですが、経営規模別に見ますと、大規模農家につきましては、センサスが一つの指針になっておりまして、平成27年でいきますと、10ヘクタール以上の大規模農家は386戸であり、その前のセンサスは平成22年で323戸ということで、大規模農家は60件ほどふえているということです。10ヘクタール以上のものもそうですし、5から10ヘクタール未満の農家数は平成27年で803戸ということで、その前のセンサスでは742戸でしたので、大規模化する農家はふえているという状況になっております。
◆
山口典久 委員 規模拡大に見合う大型機械の導入や買いかえ時の投資コストを抑えるために、機械や施設の更新などへの助成、リース制度の拡充、低利融資など、いろいろ求められると思いますので、そういう措置が必要だと考えていますが、何か新たに問題意識を持って考えていらっしゃることはあるでしょうか。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 認定農業者におきましては、資金の関係で、スーパーLという資金も借りられるようになっておりますし、大規模な経営発展や農業機械等の導入を支援するに当たっては、国庫の強い農業・担い手づくり総合支援事業等も活用していただけますので、そういったことにより農機具などの買いかえについても支援していきたいと思っております。
◆
山口典久 委員 規模拡大の場合に、実態に見合った具体的な支援や、充実を図ることもお願いして、私の質問を終わります。
○石和大 委員長 午後1時30分まで休憩を宣した。
●休憩時刻 午前11時32分
●再開時刻 午後1時27分
○石和大 委員長 再開を宣し、委員の
質疑等発言を許可した。
◆望月義寿 委員 まず輸出について、お聞かせください。午前中の
丸茂委員へのお答えでは、輸出の販売金額に関しては、農家の手取り向上という観点もありつつも、価格は市場に左右されてしまうということでした。実質的な農家手取りの向上のためには、有利販売が必要ではないかと思います。そういう観点で、ぜひ商品力強化に向けた専用パッケージなど、ブランド化を進めていただくということが大切なわけです。ぜひとも、販路の拡大だけではなくて、価格に転嫁できるようなブランド化を進めていただきたいんですが、今後の見通しについて、お聞かせください。
◎
小林茂樹 農産物マーケティング室長 輸出に関する御質問でございます。御質問は、市場価格で取引されるので、農家の手取りがなかなかふえないんじゃないかという趣旨かなと思います。委員御指摘のとおり、輸出先では、競合相手がかなり多くなります。特に香港・
シンガポール等では、同じブドウでも、例えば山梨産とか、岡山産とか、他県産と競合する部分が出てまいります。そうしたときに、長野県の高品質なものであるということが一目でわかるような、例えばパッケージとか、マークをつくるということを、本年度、試作、検討を進めて、少しでも農家の手取りが多くなるように取り組んでまいりたいと思っております。
◆望月義寿 委員 ぜひ実質的な手取りの向上に向けてお
取り組みいただき、ブランド化を進めていただきたいと思います。
次に、新品種について伺います。新品種、新技術についてはかなり開発していただいております。感謝申し上げます。新品種ができたときの県内での流通ですとか、県外への流出に関しての考え方について、お聞かせください。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 新品種の開発と、県外へ新品種を出すかどうかということの御質問かと思います。長野県が育成した品種の中には、例えば麦、そばになりますが、国の補助金、あるいは助成金をもらいまして育成した品種があります。こういったものと、例えば米ですとか、果樹類とかがこれに当たりますけれども、県独自に県の予算で育成したものがありまして、それによって扱いが変わってまいります。
まず国の助成金をもらって育成した品種につきましては、国に助成金をもらうときの条件で、全国どこの都道府県から求められても、基本的には作付ができるところであれば提供をするということになっております。例えば麦ですとか、大豆ですとか、先日お話ししましたそばの長野S8号ですとかは、県内での囲い込みができませんで、県外へも提供するということになっております。
一方、果樹とか野菜につきましては、県独自の予算でやっておりますので、基本的に4年程度を県内で囲い込む時期として定めております。この期間中は、県内の農家さんで産地を形成するまでの時間、ほかの県には出さずに長野県だけで栽培するということにしております。また期間につきましても、
農業団体や関係者の御意見をいただきながら、必要に応じて延長するという形にしておりまして、長いものでは10年以上囲い込みをしているものもございます。こういった形で、県の育成品種について、県民の財産という観点から、長野県民が一番利益を得られるように対応しているところでございます。
◆望月義寿 委員 4年、10年すれば、ブランド化しているかと思います。また生産量もふえているかと思いますので、なるべく県内で生産して、それを全国へ、また世界へ販売できるように、これからもお
取り組みいただきたいと思います。
中
山間地域農業直接支払事業について、お聞きします。かなり高齢化が進んでいる状況の中で、担い手といいますか、実際に栽培してくださる方が農家でなかったり、あるいは農家であっても、栽培している品目が専門でなかったりということで、収量がなかなかとれないという現状があります。捨てづくりというわけではないんですけれども、そのように見られてしまうおそれもあります。栽培技術は中
山間地域を守っていく上で本当に重要なことだと思いますので、栽培技術を教えることによって、これからも持続していけるようにしていただきたいと思います。
また、担い手がいなくなったときの集落連携・広域化の促進についてはどうお考えなのか、お聞かせください。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 中
山間地域農業直接支払事業についての御質問ですが、この事業自体は、平成12年度から、農業生産条件の不利な中
山間地域において、集落単位で協定を結びまして、
農業生産活動を行って営農の継続を図るという目的で実施している事業でございます。5年ごとの対策期間を設けて進めてきておりまして、今年度が4期対策の最終年度になっております。
中
山間地域においては、耕作放棄地が進むという傾向にあるんですが、集落協定を結んで事業をやったところについては、5年間耕作放棄をしないという
取り組みを進めておりまして、非常に効果が上がっています。5年ごとに対策期が進むわけですけれども、生産活動をしている方々が高齢化していく中で、なかなか集落協定の内容を維持していくことが大変になっていきます。それで対策期が変わるごとに、集落協定の数が少し減ったりということが起こっているところでございます。
一つの協定の範囲内で、高齢化したり、人が少なくなる中で、同じ集落協定を結んでいる隣接する、他の協定の生産活動と一緒になったり、また、その中で新たな
取り組みをする女性や若い人たちを取り込んだりすると国でも加算がされることがございますので、市町村とも打ち合わせしながら進めているところでございます。
◆望月義寿 委員 高齢化が進んでしまいますと、もうできないということで、遊休農地化といいますか、荒廃が進んでしまうのではないかと思います。また、中
山間地域においては、近隣のできるところにも担っていただくといっても、かなり広くなってしまいます。例えば、こちらの地域でできなくなったものをお隣でできそうだからということだとしても、移動にも時間がかかるなど、経費がかかる面があるかと思うんです。やっていただけるところにお願いしたいというのはわかるんですけれども、具体的にはどのような方法をお考えでしょうか。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 委員がおっしゃるとおり、飛び地については、なかなか
取り組みは難しいと認識しております。集落単位ということになっていますので、近隣の集落に対しては、
取り組みができないかという投げかけをしながら広げていくということです。高齢化してきた農家の皆さんにとって、事務処理もなかなか大変だというお話もいただいておりますので、国のほうには、いろいろな集落連携をするに当たって、やらなきゃいけない要件などをもう少し広げるように、制度のハードル緩和の要望もしているところでございます。
◆望月義寿 委員 ぜひお
取り組みを進めていただければと思います。また、
技術指導に関してはいかがでしょうか。担い手の方々の中には、面積払いが認められないというか、申請を控えてほしいということもあるかと思うんですけれども、そのようなことにならないように、きちんと生産量が上がる
技術指導が必要ではないかと思います。そちらのお
取り組み状況はいかがでしょうか。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 この事業の一つの目的は、耕作放棄地を出さないこと。そのために
農業生産活動を行うということであります。中
山間地域は中
山間地域で、特徴のある作物がございまして、それをつくっている集落協定の組合もあります。例えば、この近くで言いますと、芋井の平
生産組合におきましては、転作のところへお米もつくるんですけれども、協定の中で大豆を振興して、まめっこというお菓子を加工し、集落で直売所などで売り出しているという
取り組みをやっています。本格的な農業もさることながら、中
山間地域の
地域ごとにある作物をまたつくってもらうということも、事業の一つの展開ですので、進めていきたいと思っています。
◆望月義寿 委員 できるところは、それぞれの地域で頑張っていただけると思うんですが、そうでないところについても、ぜひ御配慮いただきまして、御指導いただければと思います。
最後にスマート農業について、伺いたいと思います。さまざまな助成制度もある中で、最新の機械を貸し出したりとか、使ってみる機会を与えていただく事業をしていただいております。それによって効率化するのはわかるんだけれども、採算がとれるのかという観点から踏み出せない方もいらっしゃるかと思うんですが、採算がとれるかどうかというシミュレーションもされていらっしゃるんでしょうか。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 スマート農業の機器の導入にかかる採算性の御質問でございます。委員御質問のとおり、さまざまなスマート農業機器が開発されておりますけれども、これらの導入に当たって採算性は非常に重要な要素と考えております。県でもお試しの機械を導入するに当たって、どのぐらいの効果があるのかということも計算をしております。例えば水田センサーを入れた場合に、一定の面積の試算ですけれども、水田の水の管理能力を6割くらい削減できるですとか、あるいは施設園芸のみどりクラウドシステムにおいては、適切な条件の中では2割ぐらい増収効果があるんじゃないかと見込んでおります。こういったものについて、実際に作付をしている作物の種類ですとか、あるいは規模等を当てはめながら、採算に合うかという視点を導入することは非常に重要だと思っております。
今回はお試し導入でございますので、農家の方に効果を実感していただいて、なかなか、おもしろいものだなとイメージしていただくのが最大の目標でございますけれども、次の段階である導入に当たっては、採算ということが極めて重要と考えております。実際の導入に当たりましては、スマート農業の関係で、普及センター等も導入のお試しの事業にかかわっておりますので、農家と一緒に、実際に採算が合うのかどうか、農家の経営に応じて助言等してまいりたいと考えているところでございます。
◆望月義寿 委員 ぜひよろしくお願いします。以上で私の質問を終わりとさせていただきます。
◆埋橋茂人 委員 一つ目は、多くの委員が触れられておりました
種子条例の関係ですが、大変長い時間をかけてここまで仕上げてこられたことに敬意を表します。御苦労さまでございました。それで幾つかお聞かせをいただきたいんですが、長野県の場合、法律で担保していた
主要農作物に加えて、そばプラス
伝統野菜ということでした。ほかの道県もいろいろな条例をつくったり、これからつくろうとしていますけれども、法律そのまま
主要農作物だけのところと、長野県のように穀物を加えているところ、また野菜やほかのものまで範囲を広めているところなど、それはどんな状況でしょうか、教えていただきたいと思います。
◎
伊藤洋人 農政技監兼農業技術課長 他県の条例において定めている作物の範囲についての御質問でございます。条例の制定が既に行われているところは、全国で10道県あるところでございます。この中で、
主要農作物種子法で定めておりました稲、麦、大豆以外のものを入れているのは、北海道、埼玉、宮崎の3道県でございます。具体的に、北海道は、小豆、インゲン、それからエンドウ、そばということで、4つの品目を加えております。それぞれ北海道でもかなり生産量が多いものでございます。埼玉県におきましては、
主要農作物の在来種と、例えばこの間も申し上げました戸隠在来そばにあたるようなものが入っております。それから宮崎県につきましても、本県と同様にそばを加えているところでございます。これ以外に、3つの県が条例の策定に向けて検討しているということでございまして、まだ正確ではありませんが、栃木県は、イチゴなどの栽培が盛んでございますので、特産の野菜類も入れる方向で検討しているという情報を伺っているところでございます。
◆埋橋茂人 委員 そうすると、
伝統野菜のように広範にカバーされているのは長野県だけということですね。大変御苦労さまでございます。午前中の質疑の中で、
伝統野菜も3パターンくらいになるだろうという話がありました。これから打って出るというか、産地拡大をするものもあるとのことですが、京野菜を例にとると、非常にグレードが高くて、特定の利用者が大変好んでお使いになっています。加賀野菜もそうです。長野の
伝統野菜も、これからインバウンドのお客様等を迎える中で、あえて名前を挙げると語弊があるかもしれませんが、種類については、どういうものを、これから戦略的に拡大品目としてお考えなのか、教えていただきたいと思います。
◎
小林安男 園芸畜産課長 伝統野菜の生産振興の部分についてのお問い合わせでございます。午前中もご説明させていただきましたけれども、70を超える品種が生産されている中、その全てについて生産振興を図って外に打って出て外貨を獲得し、農家の所得向上につなげるものだとは考えていないという御説明をさせていただきました。
そういった中で、最もポピュラーに生産されているのは、皆さん御承知のとおり野沢菜でございます。野沢菜は既に全国で栽培がされておりますし、加えて周年を通して栽培されているという状況にございます。一方で、先ほど申し上げましたが、
認定制度の中で伝承地の認定をしているのは、野沢温泉村と飯山市の一部分のところです。そういった形の中で、全国展開をしていける品目は、あるんだろうなと思っています。
委員からお話がありましたけれども、京野菜の中でも、例えば九条ねぎなどについては、農業法人協会の全国の会長さんが大規模な
取り組みをされていて、大変大きい生産量、販売額を持っているという実例もございますので、そういったものも参考にしながら、生産振興をして販売をしていくことについて、できる限り対応していきたいと思っております。
◆埋橋茂人 委員 個別の名前は挙げられないことは理解できますので、わかりました。私も大品目流通に関することをずっとやってきたものですから、
伝統野菜については、
取り組みが明らかに不足していたことをみずから反省しておりまして、状況がかなり変わってきているんじゃないかと思いますので、ぜひお
取り組みをお願いしたいと思います。
2つ目ですけれども、農協法やら、農業委員会法やら、みんなセットで変えられたわけですけれども、その中で幾つか御質問をさせていただきたいと思います。農業委員会法において、委員が首長さんの任命制になって、特に地域では、委員と農地利用最適化推進委員ということで、遊休農地の解消等を中心に中山間地で努力をしていくという形になっているわけです。現状とその評価、さらに任命制になったことによるプラスとマイナスはどう捉えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
あわせて、全国農協中央会が一般社団法人になり、都道府県の農協中央会が事業連ということになりました。今まで農協への指導というのは、法律で全国農協中央会が指導機関ということでしたので、全国農協中央会を通じて行っていたと思いますけれども、今後、どういう形で農協への指導を行うとお考えなのか。事業指導なのか、経営指導なのか、さまざまな部分があると思いますけど、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
◎草間康晴
農政参事兼
農業政策課長 農業委員会、農業委員、農地利用最適化推進委員についてと、JAの改革のお話をいただきました。初めに農業委員、農地利用最適化推進委員の関係でございますが、県内におきましては、全ての市町村におきまして、既に新制度に移行をしてございます。これによりまして、農業委員が、現状995名、農地利用最適化推進委員が494名、合わせて1,500名程となっております。農業委員会法が改正されたことによりまして、これまでの農地の権利の移動許可ですとか、知事許可に関する進達に加え、農地利用の最適化について、担い手への農地利用の集積・集約化や、遊休農地の発生予防、解消ということが規定されたところでございます。
当初、市町村の状況ということで、農業会議からのお話もお伺いする中では、それぞれ新たな業務ということでありましたので、最初は戸惑いもありましたけれども、県も含めてそれぞれの委員の皆さんへ研修等をする中で、大分、制度も落ちついてきている状況かなと思っております。
委員の任命制については、こちらも既に一回改選の時期になっているところもございますが、今のところ特に問題は生じていないという状況でございます。
もう一点、農地利用最適化推進委員の活動の中で、実際の活動ですとか成果実績に基づいた報酬の増額があります。実際に各市町村で、報酬を支給するに当たっては条例を制定することが必要になっておりまして、県内の状況を確認する中では、全てのところで制定をしているということではなく、約半分くらいという形でございます。引き続き、県といたしましても、最適化推進委員の活動が活発であるようにしていきたいと思っておりますので、さらに
取り組みを進めていきたいと思っております。
JAの改革の関係でございますけれども、農業協同組合法の改正に基づきまして、中央会は、これまでの指導機関から、地域農業等の自由な活動を制約せず適切にサポートする支援機関という形に、制度として、また組織としても変わっていくという状況でございます。ことしの9月末までに、農協の連合会という形に変わるということで、法律上も位置づけられているところでございます。長野県のJAの中央会におきましても、9月末の期限に向けて準備を進めておりまして、移行が円滑に進んでいる状況で、この4月1日から、移行を前提として組織の改変を行ったところでございます。県といたしましても、JAの中央会が変わる中で、引き続き連携を図り、農協等への指導をしっかりやっていきたいと考えてございます。
◆埋橋茂人 委員 特に推進委員の皆さんについて、中山間地の遊休地解消が、大変、過重になっている。それが仕事ですから、皆さん、使命感を持ってやっていますけれども。先ほど、望月委員が言ったように、高齢化が進んだり、遊休荒廃地がふえ、なかなか思うに任せないという中で、成果実績による報酬等々のことも検討されて条例化している市町村もあるようです。受け持っているところによって大変さが全く違ってしまいます。消防団と同じで、報酬の多寡で志が下がるという気持ちは皆さんお持ちではないですけれども、それでも、何らかの偏差をかけてやらないと大変かなと思っている次第でございますので、改めて検討をお願いしたいと思います。
それと中央会の関係ですが、中央会と連携を持って今後ともやっていくということですけれども、ある面では根拠法がなくなっているわけですし、経営指導のところは、農林中金から信連を通じた
ルートが強くなってきておりますが、この辺はどうお考えでしょうか。これからどうされるのかです。お願いします。
◎草間康晴
農政参事兼
農業政策課長 信連等、団体との関係ということでございますが、今までの制度から変わったことを踏まえたうえで進めていく形になるかと思います。信連等については、改正がありますが、JA等とも話をしながら進めてやっていきたいと思っておりますし、監査の関係でいきますと、みのり監査法人という別の組織になってまいりますが、外部監査という形で、県におきましても農協検査をやっていますので、そういうところでも連携を図りながら進めてまいりたいと思っております。
◆埋橋茂人 委員 これからの話となりますが、よろしくお願いします。
先ほどお伺いすればよかった部分もあるんですけれども、古代の稲が雑草化してなかなか除去できないので、石灰窒素を入れるというお話を聞いています。私も古代稲を入れるときに大変危惧したのですけれども、案の定という結果です。石灰窒素で除去できればいいのですけれども、種場にこれが入ったらえらいことになるなと思っているんです。田んぼアートで、結構、もてはやされている部分もありますが、ある意味ではとんでもないことだと私は思っています。田んぼアートについて制限できないとすれば、古代米が入らないようにする方法を、ぜひお考えをいただきたい。それから、私も信田の種場へ行きまして見てきました。連担であればいいんですけれども、農家が、俺の家はもう種をやれないということで、通常の栽培米に移行している農家もあり、場所が虫食いになりつつあるので、非常にリスクのある状況になっているんじゃないかと思います。その辺も、古代米のこととあわせて、種場についてしんどい世界にならないように御指導をお願いしたいと思います。これは私の要望です。
次にかぶちゃん農園について伺わせていただきます。かぶちゃんファーム、ケフィアのグループの破産では、今回2度目ですね。1回目は、かぶちゃん農園の破産でしたが、その時は農家などから預かった柿は返してくれました。2回目にかぶちゃんファームが破産ということになりまして、これは警察本部へ言うべきことですからここでは言いませんけれども、何であんな詐欺師みたいなところに2度もやられたのかとか、非常に反省すべきことがあると思います。それは農政部の話じゃありませんので外します。彼らが預かった園地、特に柿の園地はどのようになったのか、そしてこれからどのようにしていくのか教えていただきたいと思います。
◎
有賀芳郎 農村振興課長 かぶちゃん農園の関係における農地の状況でございます。中間管理機構、円滑化事業、それから利用権設定等で、約48ヘクタールの農地を借りていたということですが、今のところ、30ヘクタールについては、新たな担い手さんに転貸借をしたということです。残りについてですが、約7ヘクタールについては、中間管理機構が管理を2年間ほどできますので、農地管理事業で管理をしているという状況です。残りの10ヘクタールちょっとについては、今後、新たな貸し手を探していくという状況になっております。
◆埋橋茂人 委員 輸出実績でも2番目の品目にもなるほど
南信州地域では重要品目ですので、ぜひ、これを機会にして、ちゃんと産地形成をしていただくようにお願いをさせていただきたいと思います。残り10ヘクタールの今後については、それぞれのところで御指導をお願いします。
次に、非常に難しい問題だと思いますけれども、豚コレラについて、お伺いします。愛知・岐阜を中心に、まだ蔓延がとまらないということで、農家サイドからは、豚に直接、豚コレラワクチンを投与してくれという声も、私のほうにも入っています。しかし、販売サイドからすれば、輸入の豚肉がこれだけたくさんあって、しかも豚コレラの汚染地域が国内でも限られる中で、横に豚コレラの非汚染地域の道県や外国産の豚肉があったときに、長野県産に仮に豚コレラワクチンを打ったら、買ってもらえないというジレンマもあって、非常に皆さんも苦慮されていると思います。現実に、野生イノシシにワクチンを投与して、どのくらいで効果が出るものなのか。ヨーロッパでは、野生イノシシから豚コレラウイルスが出なくなるまで、7年とか8年かかっているんですよね。あの植生の貧しいヨーロッパですらその程度ですから、日本のように山が豊かなところで、まいたワクチンを食べてくれるかどうかもわからない中で、どうかということです。長野県としても、もう恵那まで来ているわけですから、少なくとも早急に県境の野生イノシシ対策をしていただきたいということと、あと、豚にやるかやらないかは、国と県といろいろな形で協議をいただくしかないわけですが、かなり農家がくたびれてきているということですので、その辺を御理解いただいて対策をお願いしたいと思います。
また、今回の補償については、国の制度で補償される部分と県から御配慮いただいて補償になる部分があるわけですけれども、本人たちは、市場を失っちゃったわけですね。有力なスーパーさんと取引していたのものが、その間、供給できないわけですから、その取引先を失っちゃうわけなんで、そこを回復するまでにまた大変なんです。ですから、表に出た金額以外にも、逸失利益や期間喪失みたいなものがすごくあります。この辺は、金額換算できない部分もあるかと思いますけど、これ以外にもう少し手の打ちようがないのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。豚コレラについては以上でございます。
◎
小林安男 園芸畜産課長 豚コレラの発生についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、6月29日には、愛知県において全国で28例目の豚コレラが発生したということで、この関連農場も合わせて7,500頭の殺処分がされるということになってございます。これまでに処分された豚が10万8,000頭ほどございましたので、11万5,000頭を超える規模の殺処分が行われるということでありまして、大変に危機感を持って対応していくことが必要だと私どもは考えております。
さらに加えて、県境の岐阜県におきまして、半径10キロ圏内に長野県がかかる地域で、豚コレラのウイルスの陽性を確認されたイノシシが発見されているという状況にあり、私ども農政部としては、本当に危機感を持った対応を進めていく必要があるとに認識しているところでございます。
そういった中で、6月3日には、知事から農林水産省事務次官に対しまして、野生イノシシに対する経口ワクチンの散布ついて、検討を進めていただきたいという要請をしているところでございますし、その後、具体的に農林水産省の動物衛生課とも、野生イノシシに対する経口ワクチンの散布についての打ち合わせ等もさせていただき、本県におけるワクチンの散布について、引き続き国と協議を進めているところということを御理解をいただければと思っています。
それから被害額の算定についてのお話がございました。私どもが補正で上げた金額は1,200万円でございますけれども、前回の2月補正の中では9,200万円という金額を上げさせていただいているところでございます。委員からもお話がありましたが、それに加えて、実際に豚コレラが発生した農場においては、県も全面的に支援をするということで、国からの手当金について、実際に実害を受けた金額を算定いたしまして、この金額を取りまとめて、現在、国に早期の支払いをしていただくように協議を進めているところでございます。まとまった金額が手当金という形で発生農場には入っていきますので、御理解をいただけたらと思います。
◆埋橋茂人 委員 畜産農家の支援をぜひよろしくお願いします。特に宮田の農家は、飯田の方にありますよね。長野県の養豚も点在する大型農家になっているので、そこがなくなれば、県の養豚も一気におかしくなるという状況ですし、養豚の中心は、御案内のとおり、飯伊、飯田地方なので、そこへ愛知・岐阜から入ってきて汚染をされたら、大変なことになると思いますので、何としても入ってこないように、よろしく御支援、御指導をお願いしたいと思います。
あと、今回の市長会からの意見書の中にもありますけど、新わい化の普及については、随分、御尽力いただいて、400ヘクタール弱まで来ておりますが、私は大変ありがたいと思っていますし、これからもよろしくお願いをしたいと思います。まだまだパーセンテージ的には少ないんですけれども、どの程度まで、どういうスケジュールで拡大をしていくお考えか。品種的に個性もあると思いますが、どんなお考えか教えていただきたいと思います。
◎
小林安男 園芸畜産課長 新わい化・高密植栽培等のさらなる普及ということで御質問いただいております。現在のところ、400ヘクタールほどまで伸ばしておりますけれども、第3期長野県食と
農業農村振興計画の中におきましては、2022年に735ヘクタールまで面積を伸ばしていきたいという計画でありますので、現在
取り組みを進めているところでございます。
◆埋橋茂人 委員 苗木は県内で自給できるということでよろしいんでしょうか。あまり申し上げたくはないけれども、今回のような黒星病を持ってこなくて済む苗木の生産計画をお立ていただいているんでしょうか。
◎
小林安男 園芸畜産課長 新わい化栽培、それから高密植栽培につきましては、大変多くのフェザー苗が必要になります。普通でしたら10アール当たり12本程度の苗木で済むわけでございますけれども、新わい化栽培で125本から150本程度、また高密植栽培ということになりますと250本以上ということで位置づけられておりまして、多い圃場では400本近くのところもあるということで、かなり多くのフェザー苗が必要になるという事実がございます。まだ需要に見合うフェザー苗の生産が追いついていないというのも実態としてはあると認識をしているところでございます。
そういったことも踏まえて、県では、平成29年からフェザー苗の苗木の増産に対する支援事業を展開しているところでありまして、平成29年、平成30年につきましては、苗木の種苗の生産業者、またJA出資法人等に対しまして、苗木の導入にかかる掘取機ですとか、貯蔵庫ですとか、ハード面の支援を実施してきております。こういった
取り組みによりまして、平成29年は10万本程度の年間供給量でございましたけれども、平成30年度には12万本の供給ということで、生産本数も増加してきているところでございます。
加えまして、わい化するための台木というものがあり、これにはM.9ナガノという台木を使っておるんですけれども、この供給本数が少ないということがフェザー苗の供給にも大きく影響しているということもございます。JAの出資法人が、実際に栽培する圃場の管理、運営に対して新たに支援をすることによって、台木の供給を安定的に進め、その結果としてフェザー苗の安定供給につなげるという新たな
取り組みも始めているところでございます。
◆埋橋茂人 委員 12万本の供給で、高密植栽培が250本から400本ということは、マックス400本入れると計算して、300ヘクタールぐらいの増産で、ぎりぎりの数字かなと思いますので、M.9ナガノの台木の増産とあわせて、ぜひ力を入れて御指導をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
これは
農政部長にお答えいただくのがいいのかもしれませんが、一般質問でも申し上げましたけど、TPP11と日EUの関係で、知事は、あまり影響はないという御答弁をされました。再質問すればよかったんですけれども、影響がないわけがない。豚コレラともあわせまして、畜産には大変な影響が出ていますし、市長会からも要求が出ておりますが、輸入ワインが増加するということや、長野県の新ワインの増産が間に合うのかどうかということについては、私もその辺り、大変心配をしているところです。端的に言って、これから長野県内において、額まで出なくても、どういう影響があって、さらにこれからどういったことを想定されていて、それをTPP対策本部でどのように対策を打っていかれるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
◎
山本智章 農政部長 TPP11、それから日EU・EPAの影響に対する対応についての御質問でございます。本会議でも知事から答弁申し上げましたとおり、現時点におきましては、畜産の部分について、輸入量がふえているなどの影響は出ておりますけれども、輸入されている肉は価格帯の安い肉でして、国内で流通して我々が消費している肉とは価格帯が違っているということがございます。輸入量はふえていますけれども、消費量もふえているということで、国産の牛肉や豚肉の生産量がそれによって影響を受けているということでもないですし、それから価格面においても、今のところは国産の牛肉・豚肉とも影響を受けていないという状況でございます。ただ、この先、こういう状態が長い期間続いていきますと、何らかの形で影響が出てくる可能性もございますので、国にしっかりと検証をしていただきたいということで、6月3日に国に要請をしたところでございます。
いずれにしましても、この貿易協定によって、国内、あるいは長野県内の農業・農村が影響を受けないように、いろいろな対策を打っていく必要があると思いますし、既に対策を立てているものについては、着実に実行して対応してまいりたいと思っております。また、新たな対策が必要になったものについては、国にしっかり要望や協議をして進めていきたいと思っております。以上です。
◆埋橋茂人 委員 影響はすぐに出てこないというお話ですが、いずれ出てくることは確実ですので、今から準備をお願いしたいと思います。豚コレラで、二重苦、三重苦になっていることもあわせて御認識をいただいて、よろしくお願いします。
いろいろな課題が山積ですけれども、地方創生についても、第1期から、今度第2期となりまして、社会福祉協議会とか、農協とか、商工会議所という地域のセクターと、これからちゃんと手を結んで地方創生をやっていくという話に国でもなってきています。発展とはもうなかなか言いがたいんですが、とりわけ農村が発展、維持していくために、ぜひ皆さんの御尽力を強くお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
○石和大 委員長 以上で質疑を終局いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議ありませんので、質疑を終局いたします。
ただいまから議案の採決に入ります。最初に、第1号「
令和元年度長野県一般会計補正予算(第1号)案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中の、歳出、第7款 農林水産業費、第1項 農業費 第2項 畜産業費 第2条 債務負担行為の補正について、採決いたします。本案、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議ありませんので、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、第5号「長野県
主要農作物及び
伝統野菜等の種子に関する条例案」について、採決いたします。本案、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議ありませんので、本案は原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。
次に、報第1号「平成30年度長野県一般会計補正予算(第7号)の専決処分報告」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中の、歳出、第7款 農林水産業費、第3項 農地費について、採決いたします。本件、報告のとおり承認すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議ありませんので、本件は報告のとおり承認すべきものと決定いたしました。
ただいまから陳情の審査を行います。当委員会に付託されております
農政部関係の陳情を一括して議題といたします。過日、お手元に配付いたしました審査資料をごらん願います。
農政部関係の陳情は、新規分5件であります。
なお、審査に際し、継続審査とする旨の御発言をされる場合は、なるべくその理由を一緒に述べていただくようお願いいたします。また願意が複数ある請願及び陳情で、その一部が採択できないために継続審査と決定した場合は、付記事項として請願者及び陳情者に通知することについて、その都度お諮りすることといたしたいと思いますので御了承願います。
まず、陳第12号についてであります。理事者の説明はいかがいたしましょう。
〔「不要」と呼ぶ者あり〕
本件について、質疑等ありますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
以上で質疑を終局いたします。
この陳情の取り扱いは、いかがいたしましょうか。
〔「継続審査」と呼ぶ者あり〕
ただいま継続審査との御意見がありましたので、陳第12号については、継続審査とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議ありませんので、さよう決定をいたしました。
次に、陳第13号についてであります。理事者の説明はいかがいたしましょう。
〔「不要」と呼ぶ者あり〕