信州ブランド推進監兼営業局長 熊 谷 晃
産業労働部長 林 宏 行
雇用・
就業支援担当部長 福 田 雄 一
産業労働参事兼
産業政策課長 渡 辺 高 秀
産業立地・
経営支援課長 小 林 真 人
創業・
サービス産業振興室長 丸 山 祐 子
ものづくり振興課長 西 原 快 英
日本酒・
ワイン振興室長 柳 沢 由 里
人材育成課長 青 木 淳
労働雇用課長 米 沢 一 馬
営業局次長(
販売流通促進担当) 飯 島 和 久
営業局次長(
メディア・
ブランド発信担当) 斎 藤 政一郎
(
労働委員会事務局)
労働委員会事務局長 小 口 由 美
労働委員会事務局調整総務課長 久 保 友 二
●
付託事件
別紙のとおり
●会議に付した事件
産業労働部及び
労働委員会関係の
所管事務一般について
●開議時刻 午前10時27分
●
依田委員長 開会を宣した。
▲審査日程の決定
産業労働部及び
労働委員会関係 7月1日及び2日前半
企業局関係 7月2日後半
観光部関係 7月3日
▲日程宣告
産業労働部及び
労働委員会関係の審査
▲審査順序の決定
1
付託議案等について理事者の説明
2 質疑等
▲
産業観光企業委員会の
付託事件の報告
条例案1件
▲議題宣告(
産業労働部及び
労働委員会関係)
所管事務一般を議題とし、議題に関連して、理事者の総括説明を求めた。
◎林宏行
産業労働部長 別添、
産業労働部長説明要旨に基づいて説明した。
◎熊谷晃
信州ブランド推進監兼営業局長 別添、
信州ブランド推進監兼営業局長説明要旨に基づいて説明した。
◎小口由美
労働委員会事務局長 別添、
労働委員会事務局長説明要旨に基づいて説明した。
○
依田明善 委員長 報第21号「平成30年度長野県
一般会計予算の繰越しについて報告」について、理事者の説明を求めた。
◎
渡辺高秀 産業労働参事兼
産業政策課長 議案により説明した。
○
依田明善 委員長 理事者から発言を求められていたのでこれを許可した。
◎
渡辺高秀 産業労働参事兼
産業政策課長 別添資料1「最近の
経済情勢について」により説明した。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 別添資料2「「
信州ITバレー構想」の検討状況について」により説明した。
◎西原快英
ものづくり振興課長 別添資料3「
公益財団法人長野県
テクノ財団の
産官学連携の取組について」により説明した。
◎青木淳
人材育成課長 別添資料4「信州・未来の
ひとづくり塾事業について」により説明した。
◎米沢一馬
労働雇用課長 別添資料5「最近の
雇用情勢について」及び資料6「
労働相談等の状況について」により説明した。
◎
斎藤政一郎 営業局次長〔
メディア・
ブランド発信担当〕 別添資料7「長野県
営業戦略2019について」により説明した。
◎飯島和久
営業局次長〔
販売流通促進担当〕 別添資料8「
営業本部の取組について(4~6月)」により説明した。
○
依田明善 委員長 午後1時30分まで休憩を宣した。
●休憩時刻 午前11時12分
●再開時刻 午後1時27分
○
依田明善 委員長 再開を宣した。
第6号「長野県
手数料徴収条例及び長野県
警察関係許可等手数料徴収条例の一部を改正する条例案」中、
産業観光企業委員会に関連のある部分について、
危機管理建設委員会から意見を求められているので、本委員会に関連する部分について議題とし、理事者の説明を求めた。
◎西原快英
ものづくり振興課長 別
添追加資料「長野県
手数料徴収条例及び長野県
警察関係許可等手数料徴収条例の一部を改正する条例案について」により説明した。
◎青木淳
人材育成課長 別
添追加資料「長野県
手数料徴収条例及び長野県
警察関係許可等手数料徴収条例の一部を改正する条例案について」により説明した。
○
依田明善 委員長 委員の
質疑等発言を許可した。なお、議論を深めるため、委員の発言に対し、ほかの委員から意見等がある場合についてもあわせて発言願った。
◆
本郷一彦 委員 御説明ありがとうございました。G20も終わり、
国際社会が非常に多極化・流動化していることは、皆さんも既に御承知のとおりでございます。とりわけ、米中の
貿易摩擦は、すでに貿易戦争と言われる域に達しておりまして、長期化することが安全保障も含めてあらゆる分野に大きな影響を与え、長野県においても、製造業を中心に影響が出ていると
メディアでも報じられております。また、イギリスのEUからの離脱問題など、国際経済の先行きが大変不透明の中、
県内企業も生産拠点の移転や設備投資の抑制など、課題を抱えて不安感が増しているという認識を持たなければいけないと思います。
こうした中、
サプライチェーンや生産体制の強化など、適時適切な対応を講じながら、さらなる
グローバル経済への進展を見据えた
国際競争力のある企業を長野県として育てていくことが大変重要であると思います。グローバルシンキング、
ローカルアクティブという言葉があります。
国際社会と地方経済は、極めて密接不可分な関係に近づいておりますので、なお一層、
都道府県行政や議会の責任は重いものがあると思います。
また、
労働生産性を高めることが本会議でも議論になっておりますが、長野県の
労働生産性は760万円と全国23位であり、低い状況にあります。加えて、技術力の高い
完成品メーカーが少ないという現状は、たびたび指摘されているとおりでございますので、
ものづくり産業振興戦略プランに掲げている高
付加価値産業の体質改善に転換をしなければいけないという基本的な転換期に差しかかっていると思います。
Society5.0への対応なども踏まえて、これは、2016年から2020年の5年間の
科学技術基本法の5期目であり、超
スマート社会をつくるという一つの将来の展望ですが、そのようなものを踏まえて、AIやIoTを柱に新しい時代への先見性のある戦略を組み立てることが、
産業労働部に求められることであり、議会としてもその両輪として対応していきたいと思っています。
今度視察に行きますが、松本市において
AI活用/
IoTデバイス事業化・
開発センターが設置されました。私が前段で述べたことと全部関連をしておりますので、これまでの
センターの運営や具体的な
取り組み状況について、
西原ものづくり振興課長に、コンパクトで結構ですので、お答えをいただきたいと思います。
〇
西原ものづくり振興課長 この4月にできました
AI活用/
IoTデバイス事業化・
開発センターの運用状況についての御質問でございます。この
センターは、AIやIoTを活用した新しい
機器システムの開発・事業化を支援するために設置したものでして、この5月末までの利用実績としましては、
技術相談24件、依頼試験28件、機器開発9件、研究8件でございます。具体的な内容としましては、例えば研究では、塩尻の企業とAIを用いた映像製品の
画像検査技術の開発などを進めております。また、諏訪市の企業と、
IoT技術を活用して機械の稼働状況を見える化する研究もしているところでございます。このほか見学会も4月からこれまでに8回ございまして、約300名の方にお越しいただいております。この分野は非常に技術進歩が速い世界でございますので、早期に成果につながりますよう取り組んでまいります。
〇
本郷委員 長野県は先ほども述べたとおり、完成品としての
マーケットが弱いことは事実でございますし、また、戦時中に首都圏から疎開してきた
メーカーが長野県の大きな
メーカーとして動いているという背景もあり、現在はその議論はあまりしておりませんが、いずれにしても、私どもが北陸に視察に行ったときに見たものでは、
産業戦略という観点の設備が、大げさに言えば10倍くらいの規模でした。やはり、
産業戦略という観点から、ぜひともパンチ力のある、ダイナミックな発想力を持って、
次世代産業へのテクノロジー、あるいはイノベーションの基地になるように、財政的な裏付けはこれからの問題ではありますが、なお一層、御認識を深めていただければ大変ありがたいと思います。
次に、私も今、バッジをつけておりますが、
SDGsの観点でございます。これは国連が提唱した持続可能な開発目標で、環境・社会・経済の3側面の課題などで、統合的な解決に資するものであり、今では世界の共通言語と言われて大きく注目されております。県下の企業や銀行等へ行きますと、先見性のあるところでは、社員がみんなバッジをつけているということもあり、環境問題も含めて、
SDGsの理念は非常に重要だと思います。
したがって、この
グローバル化と
ボーダーレス化が進む中で、大変重要な位置づけにあるという認識をもっていただき、企業の
社会的責任と言われるCSRの活動にとどまらず、この難しい時代における企業の持続的な成長や稼ぐ力の強化になるなど、
ビジネス面における大きな効果が期待できるものであるので、基本的には、これを社会的な企業の理念として進めることが非常に重要だと思います。
この活動を進めることによって、選ばれる企業になり、
SDGsを意識している学生など若い世代を含めた
人材確保、また、
世界マーケットを見据えた販路拡大、さらには
社会的問題解決に資する新商品・サービスの開発など大きなメリットが見込まれるので、
産業労働部を中心として、
県内産業界に対し促進していくことを期待しております。
県では、
登録制度等とともに、今年度予算において、
SDGsを活用した
ビジネスモデルの普及を進めていると聞いておりますが、
SDGsによる
ビジネスモデル事業の
進捗状況や今後の展開などについて、
小林産業立地・
経営支援課長にお答えを願いたいと思います。
〇
小林産業立地・
経営支援課長 SDGsビジネスモデル事業の
進捗状況、それから今後の展開についての御質問でございます。本県では、この5月に
産業政策課において長野県
SDGs推進企業登録制度を全国でもいち早く創設したところでございます。この登録制度の事業のその先に位置する事業としまして、当課では、
SDGsを活用した
ビジネスモデル普及事業を企画して予算化したところでございます。
まず、
中小企業の
SDGsの認知度が15.8%という極めて低い状況を踏まえて、来る7月19日に、「
SDGsを
ビジネスに生かす」というタイトルを付した
中小企業向けのセミナーを開催します。この中では、
SDGsと
ビジネスリスク・
チャンス、あるいは
SDGsのローカライズをテーマにしながら、
SDGsに取り組む意義の基調講演を行うほか、
SDGsの
考え方そのものを
ビジネスとしているような企業の事例発表を計画しているところでございますし、さらには
パネルディスカッションを行う予定でおります。現在、事業の
受託事業者とともに準備にいそしんでいるところでございます。
また、SGDsの観点から、
ビジネス展開につながるモデル的な
取り組みを、来週公募したいと思っているところでございまして、採択した
取り組みに関しては、実施の経費を補助する計画でおります。さらに、この
モデル事業の実施に当たりましては、戦略の策定から棚卸し、
企業プロモーションなどの
メディア戦略に至るまで、県と
コンサル会社によって
伴走支援を行っていく予定です。年度末にはこの
モデル事業の
成果報告会を開催することで、他の
中小企業への波及も狙っているところでございます。さらに今後の展開としましては、こうした
モデル事業を通じて、
SDGsに関心の高い企業との
ビジネスマッチングを行い、企業と県が連携して市場開拓に取り組んでいくことで、
SDGsを中心に据えた
仕組みづくりを検討しているところでございます。
いずれにしても、
事業活動を通じて、社会課題の解決のための
取り組みを進めることは本県の
成長戦略であるとともに、
県内企業の競争力を強化することにつながると考えておりますので、県として一層の
取り組みを図ってまいりたいと考えております。
◆
本郷一彦 委員 大変重要な理念でございますので、ぜひ一層御精励を願いたいと思います。昨年他界しました
宇宙物理学者の
ホーキング博士が日本に来て講演をしたときに、この虚無に近い時間と空間の中における宇宙論的な中で、地球と似たような惑星はどのくらいありますかという質問に対し、200も300も無限にありますと答えました。
海洋プラスチックの問題ではありませんが、つまり、現代文明が極度に発達しますと、結局、文明の発達によって惑星が消滅すると
ホーキング博士は考えております。
海洋プラスチックは、
ヨットマンに聞けば、太平洋には島があるくらいに浮いているものがたくさんあり、東アジアにおける
海岸線沿いだけの問題ではなく、太平洋全体も大変な汚染状況であります。これは、ほかのカテゴリーにおいても同じことが起きておりますので、そのような意味からも、G20において、環境問題を含めた一つの合意ができましたし、持続可能な地球という観点から、長野県初の新しい明確な戦略について、よろしくお願い申し上げたいと思います。
今後、三菱商事や
住友商事並みに
営業本部が
事業展開をしていくということで、
熊谷局長さんは大変御苦労されているかと思います。米中の
貿易摩擦など保護主義的な動きがある一方で、TPPやEUとのEPAが発効されるなど、
自由貿易圏の充実により経済の
グローバル化は、先ほどからくどいようですが、加速化をしております。加えてインバウンドの増加、海外における健康志向、日本の食文化への関心の高まりなどがあり、そのような注目されている中でも、
発酵食品等は、
熊谷営業局長さんたちの資料によると、世界からの注目が高いという認識であります。一方、長野県だけでも30年後には160万人になるという
人口減少があり、国内の
人口減少に伴う
マーケットの縮小や、
貿易自由化による輸入食材の流入など、一次産品や加工食品の関係で、今後、ますます市場は厳しい環境が予測されます。
こうした中で、県では
営業本部を設置し、県産品の高
付加価値販売、
世界標準への商品力の向上、これが一番大事なところだと思いますが、そのようなものに取り組むことによって、海外も視野に入れた
営業戦略を定めて
取り組みを展開していくことは、極めて状況を正確に把握していると私どもも認識しています。これまでの
銀座NAGANOのさまざまな知見や観光部の経験を踏まえ、長野県の県産品の強みを厳しい市場環境の中でどのように発揮していくのかが一番難しいところでございます。特に行政のお立場では大変苦労が多いと思います。海外に対して、どのような
アプローチで販売開拓の展開を進めていくのかということは、商社や
メーカーの営業部門が一番苦労するところでありますが、ましてや未経験の行政マンがこれをやるということは、新しい切り口で大変評価すべきことだと思います。
ブランド力の強化や情報発信の
取り組みの方向性も含めて、
熊谷信州ブランド推進監にその御見解をお伺いしたいと思います。
◎熊谷晃
信州ブランド推進監兼営業局長 3点御質問いただきましたが、御指摘いただきましたように、やはり
銀座NAGANOというステップを5年前からやっておいてよかったと思っております。委員御指摘のように、
銀座NAGANOでの知見や、観光部での経験を振り返りますと、
一般消費者は体によい物や正しい物を求めており、周辺にあるレストランや料理店でも、本当においしい物やおもしろい物を求めております。今の大量流通の熾烈な流通の世界とは違ったものが都会の中で生まれておりますので、そのようなことを考えますと、生産量は少なくとも高品質であることを生かしていく
チャンスではないかと思っております。
例えば
醤油工業協同組合に話を聞きますと、今、しょうゆは売れていないそうです。1升瓶、1.8リットルを出荷すると1本500円だそうですが、あるこだわりの業者さんは丁寧に300㏄を詰めて500円で売っており、それを1升瓶に換算すると3,000円であり、通常の卸の6倍の価格でも売れているそうです。やはり、正しい物やおいしい物を求めている人に正しく丁寧に伝えていくことが大切であることを
銀座NAGANOから学び、また、これが長野県の
チャンスではなかろうかと思っております。
また、観光部で学んだ点としましては、観光部では、美しい雪やお花を見に来てほしいと、とかく素材のまま出してしまいますが、商品になっていないという問題が長野県の場合、多々ございます。やはり商品にして
付加価値を高めていくことは長野県の伝統でございますので、これを取り戻していくことが必要ではないかと思っております。
海外からの
アプローチでございますが、御指摘のとおり、日本への注目は今非常に高まっておりまして、健康や日本文化を商品とタイアップして出していくことは、非常に今、タイミングがよいのではないかと思います。例えば、お六櫛ですと、国内で売ると1万5,000円程度なのですが、フランスで売ると8万円から9万円で売れるということがあります。海外に出すとなると、輸送費や梱包費、資材費、関税などを気にしがちでございますが、高く売れる場所に出せば、そういった諸経費を上回る
付加価値がつくこともありますので、そんな点を、民間の専門家とともに追及してまいりたいと思います。
ブランド発信力の強化についても、単なる商品のよさだけではなく、信州の持つ清らかで上品なイメージをアウトドアやスキー、サイクリングなどに合わせて、文化と商品をともに発信しながら強い商品力を出していきたいと思います。
ただ、もう一つテクニック的に考えなくてはいけないのは、
グローバルGAPやHACCPといった
世界標準もちゃんと装備して、そのうえでちゃんとしたストーリーで出していくことが重要ではないかと思っております。
最後に、台湾で学んだのですが、「ナガノパープル」というブドウを台湾で売ると、「長野紫」と書かれてしまいます。これでは何なのかわかりません。「
信州サーモン」もそのまま書いては何だかわかりませんが、「
ジャパンアルプスサーモン」とすれば、
日本アルプスの清流で育ったサーモンであることがわかります。こういった表現の仕方も工夫していかなければならないと思っております。
◆
本郷一彦 委員
銀座NAGANOの御経験と知見によって、
マーケティングリサーチについては十分正確な御認識をいただいております。おしょうゆに限らず、日本酒も、蔵数は新潟県に次いで第2位ですが、今、720ミリの純米吟醸が大体3,000円前後で売れているわけでございます。そして大吟醸になると5,000円前後であり、いかに
ブランドや
付加価値をつけてイメージアップするかというところです。例えばウイスキーでも、バランタインの30年物は日本の
マーケットにほとんどありません。これを長野県のデパートで売るとなると、1本5万円から6万円でもその日のうちに売れてしまいます。つまり、格差問題とか、ちょっと違う視点の労働問題は横に置いておいて、日本の富裕層がそのような真にいいものを狙っているということであり、長野県全体の持っている
ブランド力には非常に高いものがありますし、御承知のとおり、この前、東京都で世論調査をしましたが、
人生二毛作の第二の人生をどこで送るかということについては、17年間続けて長野県がずっと1位であることから、もうひとふん張りすれば、本格的な高い質感を持つことになりますので、局長として一層頑張っていただきたいと思うところでございます。
次に、常に言われている人手不足の問題で、産業界の共通する問題は、
人材確保と働き方改革と言われていると認識しております。「しあわせ
信州創造プラン2.0」でも、長野県
就業促進・働き方
改革戦略会議においていろいろな意見が議論されているところでございます。こうした
取り組みをあわせて、今後、中長期的な
取り組みを検討していくのだと思います。特に、
公共事業の関係でも、ことしの2月から3年間で約7兆円から8兆円の景気対策を政府与党が打ち出しているわけですが、働き手がいない状況で、来年の
東京オリンピックとも関連しておりますが、中長期的な
取り組みを検討するに当たり、
人材確保と働き方改革の促進という視点で、現状課題や認識と今後の進め方などについて、
福田雇用・
就業支援担当部長にお聞きいたします。
◎福田雄一 雇用・
就業支援担当部長 就業促進、働き方改革に関する中長期的な
取り組み方針について、御質問いただきました。まず、現状についてはもう御承知のとおり、
雇用情勢が堅調に推移しておりまして、
有効求人倍率は高く、
人手不足感が非常に強まっている状況かと思っております。
雇用情勢自体は、短期的には景気動向の影響を受けて変わってくることがあるかと思っておりますが、中長期的には、今後予想される
生産年齢人口の減少も考慮し、さらには今後、経済成長を続けていくことが必要だという観点に立ちますと、やはり大きな
人材不足が今後も生ずると考えておりまして、
人材確保の
取り組みは中長期的にも非常に重要な
取り組みだろうと認識しております。
課題につきましては、今年度、洗い直しをさせていただこうかと思っておりますが、昨年度の検討の中でも何点か出てきております。例えば、若者を地域に定着させるにはどうしたらいいのかということに関して言えば、本当に小さなころから地元で働くことや地元の企業について認識を持ってもらうための
キャリア教育が必要ではないかという御指摘をいただいたり、若者にとって魅力のある
まちづくり、
地域づくりが必要ではないかと非常に幅広い検討が必要ではないかという御意見をいただいております。
あるいは、
女性活躍推進の観点で申し上げれば、出産・育児等と仕事の両立、いわゆる
M字カーブの回復が非常に重要です。
子育て支援のようなものはもちろん必要なのですが、長野県内は管理職における女性が占める割合が低いといった御指摘もあり、女性の
キャリアアップを離職防止の観点からもあわせて考えていかなくてはならないのではないかという指摘もございました。
このようにいろいろな課題がございますが、今年度、ワーキンググループを開催し、そうした課題についていろいろ御意見を伺ったり、各部で行っている
産業別会議や
地域振興局ごとの地域会議など、昨年度、整えさせていただいた体制の中で、幅広い議論をいただいたりしながら、年度末までに中長期的な
取り組み方針を策定してまいりたいと考えております。
◆
本郷一彦 委員 ありがとうございました。東京では来年
オリンピック・パラリンピックがありますので、毎年、14万人の自然流入があります。しかし、私も東京と大阪でサラリーマンの経験がありますが、政治・行政・金融・マスコミなどあらゆるものが全て東京に集中しています。東京都のGDPは多分、85兆円から90兆円であり、それだけの吸引力はありますが、やや人間論的に申せば、決して自分の人生をかけるようなところではありません。つまり、今、部長がお話しされた観点から、人間と人間の真の結びつきを人生論的に考えれば、地方には大きなポテンシャルがありますので、ぜひ一層、そこにギアを入れていただくようにお願いします。
最後に、産業支援のあり方について、林
産業労働部長にお伺いいたします。「しあわせ
信州創造プラン2.0」で、産業の生産性の高い県づくりは、県政における一丁目一番地であり、実現するためには、先ほど申し上げました各種産業政策をトータルかつ複合的、効果的に進めることが極めて重要であります。そのためには、本庁の
産業労働部のみならず、工業技術総合
センターや
中小企業振興
センター、あるいは
テクノ財団が十分に産業支援について取り組むことが不可欠であることは申すまでもないことでして、県では5か年計画や
ものづくり産業振興戦略プランにおいても、次の時代に迅速に対応できる企業支援体制を構築しているところであります。そこで、最後になりますが、産業支援体制のあり方について、これまでの
取り組みと今後の展望を林
産業労働部長にお聞きして、私の質問を終わります。
◎林宏行
産業労働部長 ただいま産業支援体制のあり方について御質問をいただきました。
本郷委員のお話の中にもありましたが、価値創造社会、Society5.0の実現に向け、特に
グローバル化の競争の中で、
県内企業は相当の技術革新や新しい
ビジネスモデルの創出に大変努力をされて、日夜取り組まれていると思っております。私は経済学の専門家ではありませんが、平成の30年の間に産業政策に携わるのは4回目になりますが、特に私が
産業労働部へ入ったときはちょうどバブルがはじけた後で、円高不況と言われ、空洞化が大変進むときでした。ですから、「1ドル80円工場」という本が出たり、そのときは伊那を担当していたのですが、1ドル70円工場を目指してみんな何をするかという
取り組みも目の当たりにしていく中で、ちょうど大きなラインがトヨタ生産方式に変わったり、その後の10年間でリーマンショックがきたり、震災によりBCP対応を行ったりしており、企業の皆さんは大変な思いで取り組まれていたと思います。
そのようなところを見ながら、
本郷委員がおっしゃるように、
人口減少で労働力も不足する中で、事業承継まで課題になっていることについて、ではどんな体制をつくっていったらよいのか、そして行政はしっかりそこに応えられるような組織になっているのだろうかということを少し意識しなければいけない時期かなと思っております。そんな中で、一番大事なことは、企業の皆様から見て、真に効率的・効果的な施策を展開できる組織になっているのか、ワンストップになっているのかということをちゃんと意識して臨まなければいけないと思っております。
そのような中で、二つ、私が今考えておりますのは、グローバルシンキングという視点を常に持ちながら、全体としての施策をどうするのかということと、長野県内には約7万3,000社の企業がありますが、一社一社が着実な歩みを続けられるような、寄り添った支援はどうあるべきかを議論していく必要があると思っております。
現在、
産業労働部には事務方を入れて439名の職員がおり、商工会・商工会議所等の指導員、中央会も入れれば400名おり、全部で約1,000人弱の支援員がいるなかで、我々がうまく連携して県内の企業の皆様方の本当に役に立つ組織にしていくにはどうしたらいいのか、という視点で臨みたいと思っております。議論はこれからですので、またいろいろ御相談をしながらと思っておりますが、私の思いとしてはそのようなことを考えております。
◆向山公人 委員 幾つかお伺いをいたします。確か帝国バンクか何かの調査だったと思うのですが、2018年に、2019年の景気見通しの意識調査をしたデータがありました。そのときには、2018年の景気動向は「踊り場」が58.9%で一番多く、「回復」は前年の30%から一桁台の6.9%かなにかに減少したと出ておりました。それから、2019年の景気見通しでは、「踊り場」が45.3%から38.5%、「悪化」が34.6%で、前年の9.4%からかなりパーセンテージがふえました。「回復」については、前年の20.6%から4.3%に大幅減であり、景気回復に必要な政策は何かという質問の答えとして、「人手不足の解消」が46.3%。それに続いて「雇用対策」、「消費税率引き上げへの対策」や、「所得の増加」が30%台を続けておりました。
そうしたものに対する県の
取り組みは、北信・東信・中信・南信でITバレー構想が打ち出されておりますが、こうした景気の見通しになっている中で、どのように景気回復に支援をしていくのでしょうか。また、人材育成の地域状況と、
人材不足の中でも業種によってかなりのばらつきがありますけれども、主だった業種の状況等についてお聞きいたします。
◎
渡辺高秀 産業労働参事兼
産業政策課長 私から最初に、景気動向と各地域の産業の関係についてお答えします。景気動向につきましては、委員のお話にあったとおり、踊り場というところから、長野県の景気動向調査におきましても、減速傾向にある状況です。地域別にはとっておりませんが、それぞれの地域の企業さんに直接お邪魔して、その現状等をお聞きしているところでございます。伊那・諏訪地域につきましては精密機械の関係であったり、東信方面につきましては自動車関係の企業があったりする中で、現状としては、半導体関係の企業が中国との関係や韓国との関係で厳しい状況にあるところでございます。
そういったところを踏まえて、先ほどITバレーのお話がありましたが、加えて信州連邦構想というものを今年度予算で考えてございます。ITバレーや南信州における航空機、松本地域における医療の関係のような、それぞれの地域の特性・強みのある産業をしっかり生かして、この景気に対応できるように進めたいと考えているところでございます。
◎米沢一馬
労働雇用課長 職種間、地域間の人手不足の関係で御質問いただきました。まず、地域間の関係については、資料5でお示しした
雇用情勢の地域別雇用状況を見ますと、やはり上田・佐久・大町・飯田の
有効求人倍率の伸びが落ちており、その状況を見ますと、飯田と上田が製造、サービスで大口の求人が落ちていると分析されております。また、佐久は少し特徴的でございまして、運輸、宿泊・サービスの関係で大口の求人がなくなっていると労働局の資料では言っております。
一方、全体の職種別の求人に関しては、先ほど
本郷委員の御発言の中にもありましたが、建設系の特に管理者の方の求人で非常に倍率が高くなっておりまして、それから建設関係の技能工、また、宿泊や介護系のサービスでも人手不足の数字が見えてきております。
◆向山公人 委員 今お話がありましたように、
人材不足の場合は、求人倍率は高く推移しておりますし、きょうの説明にもありましたが、
雇用情勢は回復、順調に来ているという話がありましたが、肝心かなめの、企業が伸びていくために欲しい人がなかなか採れないという
人材不足に皆さんが御苦労をされているわけであります。県でもプロフェッショナル人材戦略拠点で委嘱した皆さん方が、欲しい企業、欲しい人のミスマッチを埋めていく活動をされてきておりますが、その後の活動の状況はどのようになっているでしょうか。
◎小林真人
産業立地・
経営支援課長 プロフェッショナル人材戦略拠点の状況でございます。この5月末までの実績でございますが、累計で成約件数は231名でございます。成約に至るまでの間に、事業の説明企業が2,805社、相談訪問件数が1,382社、それからコーディネート件数が1,168社でして、27年の設置以来、精力的な事業推進によって、231名が成約に至っております。
委員がおっしゃられたところですが、例えばITの人材は各企業でも非常に求められているところではございます。ただ、IT人材なども、プロフェッショナル人材として、戦略拠点を使って確保することは一つの方策ではあるのですが、デューダの調査によりますと、現在、都市部におけるIT人材の求人倍率は6倍や8倍といったかなりの数字になっております。ITバレー構想はございますが、このように国内のIT人材を連れてくることは大変苦労をするところでございまして、報酬の水準の問題などのあり、都市部から来ていただくことは厳しい状況にあります。
県では、ことし、労働雇用課でプロ人材の就業補助金を準備しておりまして、これは企業さんにその
人材確保に対しての一定の補助を出すものです。条件としては、このプロ人材の拠点を経て確保するという形であれば、補助事業が使えるようにしており、こうした
取り組みで厳しい人材に関しても確保していけるように取り組んでいるところでございます。
◆向山公人 委員 ミスマッチを調整して埋めていくことは、こうした景気浮揚の中でニーズの高いものに対する支援だと受けとめます。結局、
産業労働部としてITバレー構想というものを立てる以上、今度は長野県内でも人材育成に対してどうしていくかということが付随していなければなりません。既存の人たちだけのミスマッチだけで補えるわけではありません。そうなってくると、これからの新しい産業に向かって、長野県としてどのような形で人材のニーズに応えていくかということは、直接には教育委員会等が所管するかもしれませんが、
産業労働部として、経済状況をグレードアップさせるためにも避けて通れない課題ではないかと思っております。その辺に関するお考えもお聞きしたいと思いますが、例えば、高校にしろ、大学にしろ、専科を設けていくことも一つの方法論ではないかなと思っております。南信工科短大も、今、2課程でスタートを切っておりまして、昨年の卒業生では、南信工科短大だけを見ると引く手あまたで、求人倍率が5倍を超えてしまっているとのことですが、全体数が少ないものですから、なかなか企業からの求めに応じられていないこともあります。
また、私どもの地域では、2027年にリニア中央新幹線が開通することもあり、そうしたことを考えたときに、これからの産業の中で、南信工科短大も上田工科短大と同じように専科を4つにして、地域の経済、地域に貢献できる人材を育成、輩出することを考えていかなければならないと思います。あとの2専科を何にするかについては、私どもも業界や業種のほうから要望はいただいておりますが、厚生労働省で専科の限定がされているわけですので、その中で、地域にできるだけ近い専科を考えていかなければなりません。これは、すぐできる、できないという問題よりも、例えば専科を2課程ふやすためには、今後どのような
取り組みが必要だと思われるのか、お伺いいたします。
◎青木淳
人材育成課長 人材の育成について、
産業労働部だけではなく、教育委員会等も含めた考え方についてと、具体的に南信工科短大の専科をふやすことについて御質問をいただきました。最初の非常に大きな話のほうですが、委員のおっしゃったとおり、
産業労働部だけで対応できる話ではありませんので、先ほど福田担当部長からも申し上げましたが、
キャリア教育など、幅広く長いスパンで考えることと、県庁全体で考えていかなければいけないことだと思いますので、連携して進めていきたいと考えます。
それから、南信工科短大について、お話のとおり専科は2科ございます。2科で20人ずつの40人の定員ですが、ことしの入校状況も見ましても、40人を割っている状況です。就職について、実はことし3月末の時点だと1人が就職できなかったのですが、6月にはハローワークの御協力もいただいて就職していますので、全員が就職できております。逆に、委員がおっしゃったように、求人しても来てもらえないというお話をいただいている状況にもあります。
新しい科をつくるというお話ですが、今は定員が埋まっていない状況ですので、まずは定員が充足するように、高校などに、オープンキャンパスも含めたPRをしていきたいと思います。拡充していく方向につきましては、南信だけでなく、上田にある工科短期大学や技術専門校もございますので、今は特にものづくりが中心になりますが、どういった職種にこれから人材育成をしなければならないかを、地域や産業界の方のニーズを踏まえながら、検討していかなければいけないと思います。
ついては、委員には南信工科短大の振興会の役員もやっていただいており非常にお世話になっておりますが、そういった会議の中でも現場の御意見があると思いますので、連携してお話をさせていただいて、どのような必要があるのかというところから検討させていただかなくてはいけないと思います。
◆向山公人 委員 確かに、今ある専科の中でも、生徒が定員割れしているという話があります。私もそうですが、南信工科短大の振興会でも、それぞれの事業者に対して要請しているのは、地元の高校へ行って、校長先生たちに、南信工科短大を受験する生徒を応援してもらいたいといった要請活動も始めておりまして、何とか現況の中で定員割れしないようにしていくことは、地域に貢献することにつながりますので、私どもも努力をしてまいります。ぜひ
産業労働部としても、そういったことに力を入れてもらいたいと思います。
それから、今、上伊那・下伊那・木曽地域の中で、リニア中央新幹線の開通を地域振興や地域の活性化に結びつけられるようにしなければならないことから、いろいろな計画を整理して、煮詰めているところです。渡辺
産業政策課長にも大変お骨折りをいただいて、東京・名古屋のほうの企業立地の推進員さんが回るときに、ぜひ地域に対する意見もお願いしたいと申し上げまして、何回か中間報告もいただいており、外から見た皆さんがどのような地域なら行ってみたいのか、どのような地域なら企業進出してみたいのか、といったさまざまな御意見をいただいております。その渡辺課長がいなくなってしまうことに私は大変せつない思いをしているのですが、後任者にはぜひ引き継いでもらい、協力していただきたいと思っています。
そこで、北陸新幹線が開通してからもう月日がたっておりますが、新幹線が開通した後の産業状況には、どのような変化が生じているのか。また、その中での利点、反省点は今後のリニア中央新幹線の開通に向けて大きな参考資料にもなると思いますので、主だったことだけでもぜひお聞かせいただきたいと思います。
◎
渡辺高秀 産業労働参事兼
産業政策課長 北陸新幹線開通後の産業の状況の御質問でございます。北陸新幹線の開通によりまして、例えばものづくりの関係ですと、富山は非常にものづくりの先進県といいますか、長野県に似た地域ですが、大きめのものであり、内陸の我々より海側にあります。我々のメリットとしますと、今まで東京・名古屋を一つの販路としていたところが、富山や石川と連携が進みました。ものづくりの商談会や連携の商談会を行いながら、東京等で富山と一緒に産業関係に取り組んだりしました。違った点からいきますと、産業の商談会等を行う中で、それぞれの強みを生かした売り込みができたと思ってございます。
それから、北陸新幹線と直接のかかわりではございませんが、いろいろな物を運んだり、海外に送ったりするときに、富山のようなところとつながりができることによって、港湾の関係での搬出についても一つのきっかけになったと考えてございます。
ただ一方で、新幹線が開通したことによって、認知度や連携が高まっている中ではあるのですが、物を運んだりするときの陸路が重要だということで、今、中部横断道など、二次交通の関係や道路の関係が不可欠なのかなと感じているところでございます。
◆向山公人 委員 産業振興を図る、
産業立地を進めるにあたって、北陸新幹線やリニア中央新幹線は東京やその近郊から非常に時間が短縮されて行き来できるようになります。しかし、長野県内の移動に時間がかかり過ぎてしまうことは、これから産業振興を進めていく中でも、時間というのは大きなウエイトを占めることになりますので、
産業労働部が直接所管するわけではありませんが、そういった交通政策的なこと、陸路や公共鉄道の問題も含めて、産業振興という観点から、時間短縮や今後の産業振興のための景気対策をスムーズに進めていける、魅力ある産業振興をしていく長野県を確立していくためにも、
産業労働部から提案して、強い要請をしていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
最後になりますが、
営業本部、営業局が進めていくPDCA、計画・実行・評価・改善は産業振興の基本になってくるわけでありますが、
営業本部と各部局の役割と連携方法が説明資料の中にありますが、端的に
産業労働部と営業局はどこがどう違うのか、再度お伺いいたします。
◎熊谷晃
信州ブランド推進監兼営業局長 別添でお配りしている「
営業戦略2019」の冒頭にも少し触れさせていただいておりますので、後ほどごらんいただければと思いますが、今までの県の産業支援策といいますと、試験研究開発から始まっており、いわゆる川上からの支援が中心になっており、例えば、できた製品をどう売っていくのか、その支援をしてどう売れたのかといういわゆる川下の反応をなかなかつかみづらい点がありました。
産業労働部本課の日本酒・ワイン振興室でも、苗木の確保や醸造の問題、できた製品の糖度・酸度の分析など、いわゆる生産振興にかなり重きを置いているところがあります。
営業局としましては、今、市場ではどのようなものが好まれ、来年の売上がどのくらいになるかといった見通しをワイナリーに伝え、在庫を過剰に持たないように中間商社的な役割を果たします。いわゆる橋渡しや、首都圏の嗜好がどう変化してきて、どのような商品づくりをしていけばいいのかといった、川下発想が起点になる支援をするといった点で役割分担をしようと考えております。
◆向山公人 委員 説明を聞いていると、そのとおりかなと思いますが、企業側からしてみると、企業が新製品を開発して、何とか売り込もうとするときには、企業も市場調査をしたりしながら製品づくりをしています。今おっしゃられたように、営業局が市場の情報をフィードバックして、有効に活用してもらうということですが、果たして企業側が
産業労働部の支援策と営業局の支援策を理解して、連携を密にしてやっていくことができるのかということになると、ここを変えないと今の時代売れないのではないかといったことを考える企業努力をせずに、売れないものをつくっている企業なんてありませんから、このような形で行政が二つで分担していっても、現実的に企業全体の支援になるのか、企業側が利益を享受できるようになるのか、よほどその辺をきちっと説明して企業に理解してもらわないと、二重手間のようになり、非常に時間がかかってしまうのではないかというおそれがありますので、お伺いをしています。
◎熊谷晃
信州ブランド推進監兼営業局長 今おっしゃられたような企業の場合は、
中小企業からやや大企業寄りの、マーケティング機能または営業部隊のある企業かと思います。
営業本部の役割として、まず品目をごらんいただきますと、農林水産物及び加工品、そして伝統工芸品でして、家族経営に近い、中小から零細の企業のような組織体を相手にしております。そのようなところでは、農林水産物の場合は全農さんや経済連さんのような、独自商社的な役割があるところがありますが、例えば全農さんが果物の流通で確保しているシェア率は40%。それ以外の小さなところでは直売所に出していたり、家族経営的にやっていたりします。そのような大きな営業機能やマーケティング機能のないところの支援を考えております。
◆向山公人 委員 ぜひそのようなことが成果につながるよう、今後の活動をお願いしたいと思います。最後になりますが、リニアを生かした産業振興というものがリニアバレー構想の中に1項目あります。リニアの開通によって、上伊那・下伊那、該当地区においては非常に大きく経済状況が変わる可能性があります。それは大きなプラスかもしれないし、大きなマイナスになるかもしれません。関東経済圏と中京経済圏、そして三遠南信自動車道で東海経済圏という、日本でも有数な大きな経済圏の中で、長野県の南信地域は今後経済活動を進めていくことになります。ですので、該当地区にある
中小企業は、下手をすると、そういった波ですっ飛ばされるおそれもないわけではありません。2027年という一つのめどがきちっとあるわけですから、こうした
中小企業の足腰を強くするためにも、そのようなおそれに耐えられるような具体的な支援をお考えいただいて、悪い意味での影響を受けないように着実に進めてもらいたいということを要望して質問を終わります。
◎林宏行
産業労働部長 リニア時代を迎えてということですが、まちの活力は人と仕事であると思っております。そのための産業インフラの整備や産業支援体制は非常に重要になりますので、伊那谷のみならず、全県にその効果が及ぶようにすることも視野に置きながら、東京、名古屋、大阪を結ぶスーパー・メガリージョン構想というものも、国全体の国土軸の中では進められようとしております。その中にあって、長野県、伊那谷地域がしっかりと発展していけるような絵を描いていけるよう進めていければと思っております。
◆宮下克彦 委員 それでは、資料についてお聞きしていきたいと思います。資料8の
営業本部の主な
取り組みについてということで、
営業本部につきましては、各部局にまたがる組織として
熊谷局長のもと、4月に立ち上がり、大きな期待を各地域でしているところでございます。組織のあり方について、向山委員からもお話がありましたが、いろいろな組織のお考えを柔軟に取り入れていくために、フリーアドレスで職場も工夫し、民間の方も来て一緒にやられているということですが、
営業本部の現在の雰囲気がどんな状況か、
熊谷局長から一言いただきたいと思います。
◎熊谷晃
信州ブランド推進監兼営業局長 職員はほとんどが希望して来ていただいた方で、20代・30代の若い人が結構おります。それと、
中小企業振興
センターにあるマーケティング支援
センターの消費財チームの、ばりばりといろんな商品提案をしたり、売ったりしている実戦部隊も5名来ております。加えて、観光機構の物産
ブランド振興部、いわゆる
銀座NAGANOの仕入れ・販売をやっているメンバーもいるので、県職員としては非常に刺激をもらいながら、今までの産業関係の事業部とは違うイメージで、川下目線でスタートしております。職員に聞いてみますと、非常に刺激的でやりがいがあるとのことです。
それと、民間からマーケティングの専門家2名とブランディングの専門家1名が来ておりますので、こういった方にオン・ザ・ジョブ・トレーニングといいますか、仕事を進める中で、各プロジェクトのリーダーになって指揮をしていただいておりますので、仕事をしながら学べるため職員も大変喜んでおりますし、お越しになるお客さんも、この課は県庁の中でもすごく活気のあるところだという評判をいただいております。
最後に、今までの県職員の事務分担のような、10個の仕事があれば10人に割り振るというやり方ではなく、一つの成果を出すために数名がプロジェクトチームを組んで、1人が2つや3つのチームに入ってやっております。新しい、プロジェクト型のワークスタイルをとっているものですから、最初は少しなれていない感じがありましたが、今はスケジュール管理をしながら、週ごとに成果を確認しながらやっています。私自身も手探りの状態でしたが、非常に刺激のある局の運営ができているのではないかと期待しているところであります。
◆宮下克彦 委員 民間の実戦部隊のノウハウもいただきながらということで、ほかの部局でもとても参考になると思いますので、ぜひ推進していただいて、県庁全体をリードするような本部になっていただくように期待しています。
資料8にございますが、本部体制の形成で4月上旬からさまざまなチームを結成して御苦労いただいているようですが、兼務者会議も立ち上げるとのことですが、地域振興局の窓口の担当者はどのような形で参加するのか、それとも本庁直轄で特にそちらは考えていないのか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
◎
斎藤政一郎 営業局次長 地域振興局等の現地の窓口体制について御質問いただきました。戦略の冊子の本体の最終のページ、別紙3に窓口の考え方を設けました。まず一時相談窓口として、それぞれの生産振興担当部局で受付をしていただいて、マーケティングに関するものを
営業本部で受けていこうという大きな考え方を持っております。地域振興局に事業者の皆さんとたくさんの関係性があるのですが、これから地域振興局によく御説明し、変更はあまりなく、十分に情報が伝わるようにまとめまして、体制をとっていけるように取り組んでいきたいと思っております。
◆宮下克彦 委員 商工観光課や農政課、農業改良普及
センターなどと連携して、それぞれの地域でも営業局、
営業本部をしっかり使えるようにしていただきたいと思います。
銀座NAGANOの場合は、いろいろと御努力をいただいて、駅前のちょっとした店でも
銀座NAGANOに出していると聞きました。小さいと言ってはいけませんが、そのような店でも、
銀座NAGANOと直結してやっているということで、ぜひ
営業本部でも各地域と連携をとって、しっかり隅々まで行き渡るようにお願いしたいと思います。
次に資料2ですが、
信州ITバレー構想についてまとめていただいてありまして、北信、松本・諏訪、伊那というように各地の状況についてそれぞれ特徴があるようです。県としては、各地の状況について、例えば飯田地域での航空産業といった特徴など、どのように捉えられているのかお聞かせ願いたいと思います。
◎
渡辺高秀 産業労働参事兼
産業政策課長 各地域の産業の状況でございます。委員からお話がありましたとおり、特に飯田につきましては、航空機ビジョン等を策定しまして、拠点を設けながら人材育成や機器の関係も含めて、産学官民で進めているところでございます。
松本・諏訪地域につきましては、こちらでは医療ビジョン等を策定しまして、特に医療機器の関係を今年度予算でも進めておりますが、例えば諏訪圏ものづくり推進機構、いわゆるスワモと連携した販路の関係について取り組んでおります。それから、松本におきましては、今回、AI/IoTのデバイスの関係の
開発センターを設置したところでございます。これについては、県下全域に広げていきたいと思っております。
北信地域につきましては、飯田地域も同様ですが、食品産業の関係が盛んであるということと、今回この表にございますとおり、ITの関係について、北信・東信地域には首都圏との近接性がございますので、特徴的と言えると思います。
東信地域につきましては、主に自動車関係の企業も集積しておりますので、
ものづくり産業振興戦略プランにおいては、こういった産業についてそれぞれの地域振興局で強みを高める事業を進めているところでございます。
◆宮下克彦 委員 ありがとうございました。諏訪地域ですと、松本と一体で、信州大学もありますので、医療ビジョンやその方面にかなり特化しているということでよろしいでしょうか。
◎西原快英
ものづくり振興課長 ただいま渡辺課長から説明がありましたとおり、この3月に長野県医療機器産業振興ビジョンをつくりまして、それに基づいて
取り組みを進めており、今、二つの
センターをつくっております。一つが信州医療機器事業化
開発センターと言いまして、医療機器の完成品の開発・事業化の支援をするものでございます。これは、長野県
テクノ財団と松本市の信州大学との連携によって構築されております。もう一つが、信州メディカルデバイスグローバル展開
センターでございます。こちらは、諏訪圏ものづくり推進機構と、諏訪地域7つの
中小企業によるグループであるSESSAという医療機器の開発をしているグループがあり、そちらとの連携によって構築しております。
特に長野県内におきましても、諏訪地域には医療機器関係に熱心な企業が多いです。今は産業の分類が変わってしまったのですが、平成14年までは製造業の中に精密機械工業という中分類がありました。医療機器というのは細分類でございまして、その精密機械工業の中にありました。ですから、精密技術は本来、医療機器に向いている技術でございます。特に諏訪地域の精密技術は、内視鏡の鉗子のような細いものに向いていまして、SESSAというグループでは世界で最も細い内視鏡用の鉗子を開発したりしております。そのような面もあり、諏訪地域で全県をリードしていただこうと思い、メディカルデバイスグローバル展開
センターを諏訪にお願いしました。
◆宮下克彦 委員 地域の特徴を生かした御支援をよろしくお願いしたいと思います。ITバレーということで、シリコンバレーに準じていると思うのですが、ITバレー構想の中で、特にAIについては、実際に工場に導入するのにも、導入するための人材が不足していると聞いております。その辺について、状況はいかがでしょうか。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 ITバレー構想の関連から、AI人材の育成についてお尋ねをいただきました。AI人材については長野県だけでなく、全国的に不足している状況でございまして、育成はかなりの課題だと認識しております。ITバレーでも柱の一つで多様なIT人材の育成・誘致という項目がございまして、この中で、既存のスキルや知識をレベルアップするためのリカレント教育など、諏訪東京理科大学でも取り組んでいただいておりますが、そういったものにまず取り組んでいきたいと思っております。
また、かなり長い目で見ますと、小中学生のころからのIT教育も大事だと思っておりますので、そのようなことに対して、どのような施策ができるのかを、今後、詰めていきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
◆宮下克彦 委員 長い目で見た育成も必要だと思いますので、育てるという面から教育委員会とも連携して、今回、諏訪東京理科大にも御支援いただくようですが、大学との連携でAI人材に注目して育てていっていただきたいと思います。
続いて、働き方改革の関係で、昨年、軽井沢町で提案があり、知事も5月にいろいろなイベントがありました。長野県の特徴を生かして、働き方改革にもつながるように、リゾートテレワークという、観光にも生かしながらテレワークで仕事をするような状況をつくっていくというお話を聞きました。非常に可能性があると考えていたのですが、ことしどんな状況であるかお聞かせ願いたいと思います。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 リゾートテレワークの
取り組みについてのお尋ねでございます。信州リゾートテレワーク事業として、昨年9月の補正で予算化させていただき、昨年11月ごろから、広報事業とモデル3地域での
取り組みを進めてまいりました。ことしはその3地域に佐久市・駒ケ根市・信濃町・山ノ内町の4地域を合わせて、合計7地域でモデル地域を展開しております。新しいところについてはこれから事業が始まるところでございますが、昨年からの3地域につきましては、既に体験会なども実施の予定が入っておりまして、力を入れていきたいと思っております。また、広報につきましても、ことし3月1日に東京でやったのですが、中京圏でもPRイベントをしたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
◆宮下克彦 委員 昨年から大分箇所も増えたということで、非常に可能性のある事業ですので、進めていけば長野県が日本をリードして観光にも結びつけられると思いますので、ぜひ拡大していっていただきたいと思います。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 ありがとうございます。全国との
取り組みにつきましては、ワーケーションのスタートアップフォーラムをことし7月18日に予定しておりまして、その場で、長野県と和歌山県の両知事が呼びかけを行います。リゾートテレワークとワーケーションは近いものがあるのですが、長期休暇がとれないといったところに着目して、自治体協議会のようなものを設立して、働き方改革も含めて、ワーケーションやリゾートテレワークを推進していきたいと思っております。和歌山県と長野県で、海と山での連携ができたりしますので、リゾートテレワークがまだまだ浸透していないところもございますが、多くの自治体が協力することで啓発を進めていければと思っております。
◆宮下克彦 委員 ありがとうございました。富士見町もかなりテレワークに取り組んでいますが、7カ所にふえた中には富士見町は入っていないのですか。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 モデル地域については、全市町村に照会した上で決めているのですが、富士見町様は長野県より早い段階から森のオフィス等を設置してテレワークに取り組んでおられまして、その独自の
取り組みを進めていただいていると承知しております。
◆宮下克彦 委員 順調に育っているなという感じがしますので、ぜひ日本をリードして、観光部と
産業労働部が連携してさらなる推進をお願いしたいと思います。以上で私の質問を終わります。
○
依田明善 委員長 午後3時10分まで休憩を宣した。
●休憩時刻 午後2時53分
●再開時刻 午後3時10分
○
依田明善 委員長 再開を宣し、引き続き、委員の
質疑等発言を許可した。
◆花岡賢一 委員 資料2のITバレー構想についてお伺いいたします。数字的な話なのですが、北信地域が81とあります。その横に棒グラフがあり、長野市は71企業とあり、これは81の北信の中の71が長野市と読み解けますが、同様に松本・諏訪地域が75あり、うち松本市が39企業という読み解き方でよろしいでしょうか。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 そのとおりでございます。
◆花岡賢一 委員 そうすると、6ページの下にあるエコシステムのイメージ図を見ていただきたいのですが、ここで見ると、松本市ないしは長野市が拠点といいますか、集積しているのかなと思います。次に、イメージ図を見ると、大きな丸があるところの右肩に長野市ICT協議会とあり、左上のところには塩尻市振興公社と書いてあります。塩尻という文言が読み解けないのですが、塩尻も拠点となり得ているのかどうなのかを教えてください。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 ITバレー構想における推進体制図の中の塩尻市振興公社の件でございます。塩尻市をここに入れた理由は、塩尻市振興公社が受注型のテレワーク事業として、年商1億円くらいのITを活用した事業をやっているため、ここに例として入れさせていただきました。松本市については、企業の集積は数で言うと75のうちの39であり、塩尻市については企業の数は9です。企業数は少ないのですが、産業支援機関の
取り組みとしては特筆するものがあるということで入れさせていただきました。
◆花岡賢一 委員 わかりました。先ほどの宮下委員の質問の答えの中でもあったと思いますが、ITバレー構想の説明の中で、集積、集めるというニュアンスを含んでいるのですが、集める前に耕さなければいけない状況ではないのかなと思うのです。北信では長野市が拠点となるように、東西南北の拠点となるところがまずでき上がってから、集積を図っていくというイメージを持ったほうがいいのではないかと思います。施策例については今後検討してまいりますと各所に書いてありますので、具体的なことはお答えいただけないことを十分承知の上で質問します。全体のイメージとして、耕してから県として集積をしていくというイメージなのか、それとも既に耕す状態は整っていて、新たに集積を図っていくのか、イメージがあればお示しいただきたいと思います。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 ITバレー構想の集積と、既存企業を含めて、拠点をつくってから集積を図るべきではないかという御質問でございます。これについては、どちらが先かということはなかなか難しいところだと思っております。拠点につきましては、6ページの例示にありますように、塩尻市や長野市のように組織立っているところもございます。そのほか、松本市でことしの秋に「33GAKU」というICTの拠点がオープンする予定です。どちらが先かということよりも、できるところからやっていきたいと思っており、拠点があって活動が進められるところは進めていただきたいですし、拠点がこれからというところは、集積が先になることもあろうかとか思っております。
◆花岡賢一 委員 そうなってくると、今はまだ黎明期というか、始まりのところだと思います。その中で、ITバレー構想を打ち出してきていると思うのですが、
産業労働部の施策を見ていくと、テレワークやAI・IoT等先端技術活用・開発支援事業、拠点整備、
IoTデバイス事業化促進事業など、広い意味で第4次産業革命と言われているものに
アプローチをとっていることはわかります。その中で特化したもの、全て包み込むような政策があるのかどうのなのか、示していただけたらと思います。
◎林宏行
産業労働部長 AI・IoTの活用は、非常に幅広くなってきております。ですので、4月からオープンしている利活用拠点については、既存産業の皆さんがAI・IoTをどう使っていくのか、どう産業振興に取り込んでいくのかという分野の話であり、デバイス
開発センターは、AI・IoT関連のデバイスをどうつくるのかということで、県内には製造業が多いので、そのようなところへ利活用といいますか、製品開発を支援していくというスタイルでスタートしております。
今回のITバレーは、まさにIT
ビジネスの集積を図っていきたいです。既存の企業の皆様方の課題にもありますように、若干、
人材不足の声があったり、生産性をもう少し高くしたいという声があったりしてございます。ですから、その振興を図りながら、さらには外からの誘致も図って集積に結びつけていきたいと思います。
◆花岡賢一 委員 そうなると、やはりテレワークという、現地に向かうのではなくて、一つの拠点で仕事をしていくという形が、IT人材の育成や誘致、定着にものすごく絡んでくると思います。先ほど、リゾートテレワークの拠点について質問もありましたが、PR動画をつくるという事業がありますが、
進捗状況と、リゾートテレワークだけに特化したものなのか、IT人材の誘致や定着を目指すものなのか。お考えがあったらお示しください。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 リゾートテレワーク事業で行うPR動画の作成のことということでお答えをさせていただきます。リゾートテレワーク事業は、昨年度の9月補正で予算化したことについて先ほどお話ししました。その予算を使いまして、既にPR動画はつくっております。ホームページで、信州リゾートテレワークを検索していただきますと出てくるのですが、そちらにモデル地域ごとのPR動画と全県統一のPR動画を、短いものですが、載せさせていただいております。IT人材の誘致に力を入れている動画になっておりまして、長野県はITで働き方改革を進めるにはとてもいい場所だとPRしている動画でございます。
一方、テレワークは一つの働き方の手法でございまして、テレワークで働く方もいらっしゃれば、集まってミーティングをしながら働くという働き方もあると思い、ITバレー構想では働き方のところまでは検討が進んでいない状況ですので、今後そこも含めて検討していきたいと思っております。
◆花岡賢一 委員 モデル地域を全部で7地域にふやしたということで、その中には佐久市も入っており、やっていただいているかと思います。ですが、拠点となり得るかどうか、今はまさに黎明期ですので、より人が来やすい状況にすることを、
産業労働部だけでなく、全てに絡んでくることだと思いますので、乗り遅れないようにしていただきたいとお願いさせていただきたいと思います。
次に、6月19日に県主催でAI・IoT活用キックオフフォーラムが開かれております。その内容と、先ほどの全てを包み込むような政策でなければいけないという点との絡みがあったらお示しいただきたいと思います。
◎小林真人
産業立地・
経営支援課長 先日開催しましたキックオフフォーラムに関しての御質問でございます。AI・IoT利活用のプラットフォームをつくろうと、利活用拠点をつくりましたが、そのプラットフォームのキックオフという位置づけでございます。一つは、基調講演として、マイクロソフトの西脇役員においでいただきました。エバンジェリストと称されていまして、いわゆるAI・IoTなどの普及のためのしゃべりのプロフェッショナルの方においでいただき、AI・IoTがいかに有効なのか、どんな活用がいいのかというお話をしていただきました。
その先生のお話の中には、海外の事例ですが、ストリートにガス灯を整備してきたガス灯の会社があり、60年代・70年代に整備しましたが、その後、電気などに変わっていく中にあって、その企業がどのように生き残りをしたかという話がありました。それは、それぞれのガス灯にさまざまな観測機器を取りつけまして、ネットで見られるようにするための
IoT技術を組み込んだのです。その観測データを売るという
ビジネスを新たに興して、生き残ってきたとのことです。
さらに、JRのさまざまな駅のトイレでは、ネットで空き状況を見られるようになっているとのことで、デモンストレーションをしていただきました。こうしたインターネット、IoTの活用によってさまざまな
取り組みができ、さらにそこで集まったビッグデータをAIに深層学習、ディープラーニングさせることで、さらにその
事業活動に有効に活用できるということをお話しいただいたところでございます。後半は、県内の企業などのそれぞれの
取り組みや、AI・IoTを使った
取り組みの事例発表がありました。
このプラットフォームは、各企業さんや県・市町村など、さまざまな団体が入るということで、作業が最終段階にあるかと思います。ネット上でもプラットフォームのポータルサイトをつくって、さまざまな企業がAI・IoTを活用したいときに気軽に相談できるようにすることや、あるいはもう少し利活用の段階が進んでおり、ITのシステムを構築している企業さんとのマッチングに活用できればと思い、これから立ち上げるところでございます。
ITバレー構想との関係でございますが、AI・IoTの拠点はあくまでAI・IoTのものでございまして、ITバレー構想はさらにもう少し大きな包み込みのものかと考えております。ただ、私どものプラットフォームと、ITバレー構想の中の推進体制で掲げているエコシステムは重なるところもございますので、今後、そうした点を踏まえて連携をとっていきたいと考えているところでございます。
◆花岡賢一 委員 やはり全てのものについて、新たな産業の取りかかりになる時代が来ているんだなと思っています。そこで、知事の言葉ですが、デジタル革命が急速に進む中で、10年後、20年後どうなるか見通すことが難しい時代になってきた。世の中の動きをしっかりと学んで、新しいアイデアを長野県から創造していかなければいけないと述べられているそうです。それを考えると、やはり、本当に始まっている状況だと思うので、何回も申し上げますが、乗り遅れることのないように取り組まれることをお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
産業労働部と観光部にまたがっていくところかと思いますが、キャッシュレス決済、これは一つのキーワードになってくると思います。キャッシュレス決済について、統一QR「JPQR」の普及事業を行うと思いますが、さまざまな議員が長野県内の公共交通機関の交通系カードの統一ができないのでしょうかと企画振興部に訴えてきている中にあって、表現を悪くとっていただきたくないのですが、公共交通機関の共通カードすら進まない県で、なぜ先行して行う県として4つの中に選定されたのかが気になるのですが、そこの経過を示すことができるものがあったら教えていただけますか。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 「JPQR」の普及事業についてのお尋ねでございます。委員御指摘のとおり、長野県を初め4県が今回のモデルの実証県になっております。経過としましては、国にキャッシュレス協議会がございまして、そこに入っている自治体に、長野県を含めた今回の4県が入っておりました。キャッシュレス協議会には、民間も含めて300者以上が入っているのですが、自治体会員が15というかなり少ない中で、都道府県として入っているところにお声がけをいただきました。その中で、長野県でも対応できるのではないかと考え、回答したという経過がございます。総務省がプロポーザルで事業者を選んでおり、事前に長野県の状況を調査いただいた上で選ばれたものと思っております。
◆花岡賢一 委員 嫌らしい聞き方をしますが、お声がけいただいて、できますと答えるには裏づけがあったはずですが、これを示すことはできますか。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 できますという答えというよりは、どのような状況ですかと聞かれ、長野県内のキャッシュレスの状況等についてお答えした経過はございます。例えば、長野県の場合、キャッシュレスの決済比率は全国で30位と低い状況にあるのですが、そのような統計的なことについてお答えした経過はございます。
◆花岡賢一 委員 30位という低い状態の中で提案され、4県の中の1県として受けるわけです。不安はあったと思うのですが、国が率先し四つの県に指定してもらったならば、とことんやっていかなければいけません。どうでしょうかと言われて、はい、できますというものではないと思います。当然、裏づけがあって、長野県のキャッシュレスが進むという展望もあって受けているはずですので、不断の努力により、
取り組みを進めていただきたいと思います。
そして、この「JPQR」を県内で4,000店舗導入することを目標としているということですが、導入は8月1日からで、現在はどのような状況でしょうか。お示しください。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 「JPQR」の申し込み状況のお尋ねです。説明会がほぼ3分の2の箇所で終了しておりまして、全部で1,000人くらいの方に説明会に来ていただいております。この後、7月17日までございますが、全体で40カ所で説明会をする予定です。説明会の会場で受け付けもしているのですが、なかなかその場ですぐ申し込む方が少なく、実際は地元の商工会・商工会議所の経営指導員さんと相談しながら申込書を書いて、商工会・商工会議所でまとめて申込書を送るようになっております。6月19日現在で事務局に届いた数は約60件でございます。まだ申し込みはこれからと思っております。
◆花岡賢一 委員 残り1カ月で60件を4,000件まで持っていくとなると、相当大変だとイメージされてしまいます。ですが、先ほどの説明の中にあるとおり、申し込みの波が来るのはこれからだということであるならば、いろいろな形でお伺いすることが出てこようと思っています。ただ、現実1,000人へ説明をし、3分の2終わっているのであればどうなのかと不安があります。これは全国といいますか、世界的に考えていかなければいけないことですので、「JPQR」だけではなくて、「クラウドペイ」なども含めて考えていかなければいけないことだと思っていますので、こちらのほうも乗り遅れないようにお願させていただきまして、私の質問を終わります。
◆川上信彦 委員 花岡委員からもありましたが、
信州ITバレー構想の部分でお聞きしたいと思っています。別紙の3ページのところで、長野県の強みを3点挙げていただいています。大都市圏との近接性があり、交通アクセスが良好。豊かな自然と文化など、暮らしやすい生活環境。農商工など、さまざまな産業がバランスよく集積とのことで、これに関しては長野県内全てに合うような内容かと思い、骨子の部分も含めてお聞きしております。中心になるエリア等あるかと思うのですが、このような
取り組みは全県の皆さんが承知して取り組めればと思っておるのですが、現状、私が見たところでいきますと、例えばインターネット自体の通信環境等が整っていないなどの、手前の部分で課題等があったりすると思います。
進めていくにあたって、今は導入という部分になってくると思いますが、特にIT企業など都市部の企業等にとって、どのようなハード・ソフト面での環境が整えば働く場所となり得るのか、わかるところで結構なので教えていただきたいと思います。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 県内のITの状況についてのお尋ねです。現在、長野経済研究所に委託しておりまして、IT企業側のニーズだけでなく、発注する側のニーズも含めた調査を実施しております。骨子に加えて、9月ごろを予定しております構想のときには、そのところも反映していきたいと思っております。昨年秋に長野経済研究所が調査した状況で言いますと、IT企業側で行政に要望しているものについては、今、この資料にあるのですが、もう少し掘り下げた調査を今行っております。通信の環境等も含めて改めて御報告することができると思いますのでよろしくお願いします。
◆川上信彦 委員 農商工など、さまざまな産業がバランスよく集積しているということで、AI・IoTの部分になるかと思いますが、各自治体でも見込めるような連携があれば、情報を教えていただきたいと思います。
◎丸山祐子 創業・
サービス産業振興室長 AI・IoTも含めた県内市町村との連携のお問い合わせです。先日の産業イノベーション推進本部会議の中でも、長野県立大学の安藤理事長から御紹介があったりしましたが、農業分野との連携や交通弱者の関係などでの連携が想定できるのではないかと御提案をいただきました。そのよう事も含めて今後、構想に向けて検討していきたいと思っております。
◆川上信彦 委員 導入の部分として、各市町村が
取り組みをしっかり認識してやるためにも、情報提供を引き続きお願いできればと思っております。
次に、資料7でいただいた「
営業戦略2019について」の、2019年の具体的な戦略展開の部分の(2)の
ブランド力強化品目を重点的に支援という部分です。信州
ブランドの推進重点品目プロジェクトというところで、一つの具体的な例としては、伝統工芸品産業の魅力アップとして木曽漆器や飯田水引等が出ていると思います。創造事業の推進の部分にも関係してくると思うのですが、現状の課題として後継者の育成や商品開発がある中でも、これからの長野県を象徴する
ブランドになるかと思います。そのような意味でいきますと、PRも含めて、商品開発の部分に専門の民間の方も入っていただいていると聞いておりますが、商品についてのアドバイスやサポートは今後できるのかどうか、お聞きしたいと思います。
◎熊谷晃
信州ブランド推進監兼営業局長 5月にかけて、集中的にいろいろな生産者や事業者のお話を聞いてまいりました。今までの川上からの支援になると、後継者育成としては、子供の体験などが中心になってしまうのですが、根本的な問題を川下から見ると、ちゃんとした
付加価値がとれていないところが一番大きな問題です。工芸品でも、特に木曽漆器のようなものは日用使いのものでありますので、ガラスや金属、陶芸などいろいろな代替品が出てくると、価格の面もあり、負けてしまいます。なので、しっかりとした
付加価値をとって売れることが、後継者育成を川下から見る面では一番重要かと思います。
それと、日用使いが中心であるものだけに、基本的な価値と感性価値の両面から見ると、今後、海外で日本文化を本当に高く評価している中では、芸術性やエコ、木質の植物性100%であるところをいかに訴えていくかというところも、委員御指摘のように、感性価値の部分、デザインやマーケティング力を強めてやっていかないといけないと思っております。
水引もですが、技術というものは生活の中で生まれてきて、守られてきた技術でありますので、評価として安く見られてしまっているところが問題です。昔は、各地域にちゃんと商いをして都会に運んでいる問屋さんがいたのですが、今はその卸業が衰退しまして、流通革命で小売業が直接流通させるようになると、地域のものを仲介するような問屋さんがいなくなったものですから、販路がほとんどなくなってしまっています。ですので、昔は首都圏で売れていたのに、近くに商品を出し始めます。ですので、営業局としては、仲買いのようなことはできませんが、昔の問屋の機能のように販路をつないでいくことにも注力してまいりたいと考えております。
◆川上信彦 委員 ぜひお願いしたいと思います。最後に一点ですが、UIJターン就業・創業移住支援事業についてお聞きしたいと思います。移住・定住ということで、市町村で取り組んでいただく部分については、これからに向けてありがたい
取り組みと聞いております。今の
進捗状況と今後の課題についてお聞かせ願えればと思います。
◎米沢一馬
労働雇用課長 UIJターン就業・創業移住支援事業ですが、現在、サイトを立ち上げて、8月からサイトを通して募集をかけていくための準備を進めているところでございます。この支援制度につきましては、県内外にこのような制度がありますということを周知し、それから、市町村がこの話に乗ってきて、市町村の6月議会を経て予算化をしていくことで初めて事業になるものですから、そちらの準備を進めていただいている状況です。
◆川上 議員 マッチングサイトの運営事業とありますが、これはどんなものになるのでしょうか。
◎米沢一馬
労働雇用課長 今回の移住の支援金を受けるためには、このマッチングサイトに登録した企業さんの求人を受けて来ていただくことが条件になってまいりますので、登録する企業さんを集めて、県の事業をやっていくためのトータルのサイトを立ち上げるという内容でございます。