• KPI(/)
ツイート シェア
  1. 長野県議会 2019-06-27
    令和 元年 6月定例会本会議-06月27日-04号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 元年 6月定例会本会議-06月27日-04号令和 元年 6月定例会本会議 令和元年6月27日(木曜日)  出席議員(57名)   1 番 熊谷元尋      27 番 両角友成   2 番 望月義寿      28 番 中川宏昌   3 番 小林君男      29 番 清水純子   4 番 清水正康      30 番 小池久長   5 番 加藤康治      31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦      32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜      33 番 石和 大   8 番 大井岳夫      34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人      35 番 山岸喜昭   10 番 寺沢功希      36 番 小島康晴   11 番 花岡賢一      37 番 小林東一郎   12 番 池田 清      38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之      39 番 和田明子   14 番 山口典久      40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志      41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美      42 番 小池 清   17 番 竹花美幸      43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦      44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆      45 番 垣内基良   20 番 共田武史      46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔      47 番 高村京子   22 番 髙島陽子      48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志      49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人      50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫      51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司      52 番 向山公人   53 番 平野成基      56 番 服部宏昭   54 番 本郷一彦      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    農政部長      山本智章   副知事       太田 寛    林務部長      井出英治   副知事       小岩正貴    建設部長      長谷川朋弘   危機管理監兼危           建設部リニア整   機管理部長     竹内善彦    備推進局長     坂田浩一   企画振興部長    伊藤一紀    会計管理者兼会   総務部長      関昇一郎    計局長       塩谷幸隆   女性活躍推進監           公営企業管理者   兼男女共同参画           企業局長事務取扱  小林 透   センター所長    酒井裕子    財政課長      矢後雅司   県民文化部長    増田隆志    教育長       原山隆一   健康福祉部長    大月良則    教育次長      轟 寛逸   環境部長      高田真由美   教育次長      三輪晋一   信州ブランド推           警察本部長     伊藤泰充   進監兼営業局長   熊谷 晃    警務部長      野﨑美仁   産業労働部長    林 宏行    監査委員      田口敏子   観光部長      中村正人         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課課長補佐   小山雅史   議事課長      村松敏伸    兼委員会係長   企画幹兼議事課   西川 裕    議事課担当係長   山田むつみ   課長補佐              議事課担当係長   鈴木晉一         ───────────────────  令和元年6月27日(木曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(清沢英男 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。         ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、竹内正美議員。       〔16番竹内正美君登壇〕 ◆16番(竹内正美 君)おはようございます。自由民主党県議団、千曲市・坂城町選出の竹内正美でございます。よろしくお願いいたします。  私からは、大きく分けて3点、廃棄物対策について、国道18号坂城更埴バイパス及び坂城インター線の延伸について、そして、「高校改革~夢に挑戦する学び~」について、通告に従い、順次質問させていただきます。  初めに、長野県は一般廃棄物ごみ排出量少なさランキングで1人1日当たり排出量が4年連続全国1位になったとの報告がなされております。このことは、県のごみ減量化に取り組むさまざまな施策の推進とごみ排出量減量化に取り組む住民意識の向上、並びに各自治体が積極的に分別収集と資源ごみの再資源化に取り組んだ結果と推測されます。  しかしながら、県内で排出される一般廃棄物は、29年度実績63万トンのうち、家庭からの排出量は着実に減少している反面、約3割を占める事業系廃棄物については、紙くずや、数年前に大きな社会問題となりました売れ残り恵方巻きの大量廃棄に象徴される本来食べられるにもかかわらず捨てられている食品ロスなど、いまだ減量化への動きが鈍い状況にあるとお聞きしております。  私自身、県会議員となって、地元のさまざまな宴会に招いていただく機会が急増しましたが、改めて手をつけられないまま廃棄される宴会料理の多さに大変驚きました。生産者のことを考えると、そして、ふだん料理をしている主婦の視点からも、大変心が痛む光景でした。「もったいない」の輪を広げ、食品ロス削減へのさらなる取り組みが必要だと実感しています。  また、世界的な問題となっているプラスチックごみについてですが、レジ袋、ストローなどのプラスチックごみによる海洋汚染の問題が契機となって、世界中で脱プラスチック議論が進んでいます。企業などから排出される産業廃棄物プラスチックごみが増加していることから、国は、緊急避難措置として、市町村に焼却要請を行っておりますが、市町村では、施設の老朽化や産業廃棄物を受け入れることに対する住民理解を求める必要があることなどから、受け入れに難色を示していると伺っております。そもそも、プラスチックごみを出さないことが理想であり、排出を抑制することが重要です。  そこで、次の3点について環境部長にお聞きします。  1点目、長野県における事業系一般廃棄物排出量の推移と食品ロスの現状はどうか。  2点目、事業系一般廃棄物の一層の減量化に向けてどのような課題があるのか。また、県が取り組んでいるチャレンジ800ごみ減量推進事業や残さず食べよう30・10運動をより一層推進するためにどのような対策を講じていきますか。  3点目、排出抑制のために、県では、このほど信州プラスチックスマート運動を始めるとしましたが、運動を展開する上での課題や、より実効性を高めるためにどのような対策を講じていきますか。  次に、千曲市及び坂城町の千曲川左岸の道路整備状況についてお伺いいたします。  国道18号坂城更埴バイパス及びこれに関連する県道の整備については、篠ノ井周辺では県道長野上田線塩崎バイパスが竣工し、昨年11月に稲荷山トンネルが貫通するなど、国や県で整備を進めており、現地においても目に見える形となっていることを地元住民は評価しています。  一方、南の坂城町区間においては、既に都市計画決定から三十数年が経過しており、平成23年度に事業化された区間においても、用地買収には着手されているものの、いまだに工事着手には至っていない状態が続いております。さらには、坂城町から千曲市の間には、いまだ事業化すらされていない区間もあります。  千曲川を挟んで国道に並行して左岸を走る県道長野上田線には、朝夕の通勤・通学時間帯に混雑する現道の国道から多くの車が流れ込み、上山田温泉街や坂城町上平地籍で慢性的な交通渋滞を発生させています。さらには、道路幅員が狭く沿道に家屋が立地している道路に大型車などの通過交通も流入しており、交通事故の危険性が高まっております。  また、この区間には、都市計画決定時に施工された圃場整備事業によりバイパス予定地として幅抜きされている箇所も含まれており、地元からは、早期事業化の要望が強く出されているところでもあります。そして、何より、重要物流道路にも指定された国道18号が走る千曲市から坂城町にかけての区間は、東信地域と北信地域を結ぶ物流の大動脈であり、国が進めている国土強靱化の観点からも重層的な道路ネットワークが必要です。  坂城町の千曲川約7キロメートルの区間には、平均1.4キロメートルの間隔で五つもの橋が設置されておりますが、このうち三つは町道の橋です。中でも、「大きく望む橋」と書く大望橋は、昭和38年に坂城中学生のための通学橋として開通しましたが、河原の取りつけ道路は中学生約900人の勤労奉仕によって完成したもので、通学する中学生の安全や利便性を願う保護者及び町民の熱い思いでかけられました。これは、この地域の基盤整備に対する熱意のあらわれではないかと感じるところです。  しかしながら、五つの橋のうち、この大望橋と昭和橋はとても狭く、大型車両が通行できないことから、既に都市計画決定されている県道坂城インター線先線の新たな橋梁が道路ネットワークを形成するものと期待されているところです。このためには、当地域においては、国道18号の現道及びこれに並行する国道バイパス、そしてこれらをつなぐ千曲川を渡る橋梁からなるはしご状の道路ネットワークの形成が急務だと考えます。  そこで、冗長性のある道路ネットワークを形成するために必要と思われる国が進めています国道18号坂城更埴バイパス整備の今後の見通しと、見通しに対する県の考え方、並びに関連する坂城インター線の延伸の見通しについて建設部長にお聞きいたします。  次に、「高校改革~夢に挑戦する学び~」について質問します。  少子化の影響により、県内の中学校卒業予定者数の推移を見ると、第1期高等学校再編計画が終了した2017年3月の卒業生約2万1,000人が、10年後の2027年には約1万7,000人と約20%も減少することが見込まれています。  さらに、「高校改革~夢に挑戦する学び~」のスケジュールによる再編・整備完了目標とされている2030年ごろにはさらに減少が進み、約1万5,000人と30%近い減少となり、学級の数にすると約150の学級分が減少になるとのことです。  このように、深刻な状況の中で新たな高校再編の枠組みが求められているわけですが、単に少子化を理由に再編するだけではなく、設立したときの経緯や地域活性化での存在意義などを踏まえ、あらゆる方面の意見をお聞きする中で再編・整備計画を策定することが求められています。  また、実施方針に定められていますように、新たな学びの推進により、多様化する生徒の学習ニーズに応えられる高校づくり、そして、業界のニーズに応えられる産業人材を育成できる高校づくりを推進していただけるものと期待しております。特に、中山間地の高校については、地域活性化の意味でも大切な位置づけとなっております。高校と地域が連携した学びが重要であり、地域がどのように高校を育てていくのかという意識を高めることも必要かと考えます。  学校が地域と連携した学びを展開することは、新たな学びを推進する観点からも、キャリア教育の観点からも、中山間地の高校に限らず、県内のあらゆる学校で非常に重要であると考えています。  そこで、次の2点について教育長にお聞きします。  1点目。現在、高校において、地域と連携してどのような学びがなされているのか。また、今後の新たな学びを推進する上で課題をどう捉えていますか。  2点目。第2期高等学校再編計画については、本年9月までに、全ての旧12通学区で市町村長、市町村教育長または教育委員長、産業界から選ばれた者を構成員とする高校の将来像を考える地域の協議会の設置を完了し、各地域の議論を重ねた上、令和3年3月までに全県の再編・整備計画を確定するとされています。  先日、24日には、市長会からも県に対してより深いかかわりや丁寧な対応を求める要望書が提出されているそうですが、同協議会の設置状況及び検討状況、これを踏まえてどのような方向性を持って進めていくのかをお尋ねします。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)廃棄物対策について3点御質問いただきました。  初めに、事業系一般廃棄物や食品ロスの現状についてでございます。  県内における事業所などから出されるごみや売れ残った食品といった事業系一般廃棄物の排出量は平成24年度では19.2万トンでしたが、平成29年度実績では19.9万トンとわずかながらではありますが徐々に増加しております。  食品ロスの現況でございますが、農林水産省及び環境省の平成28年度推計値によりますと、各県ごとのデータは示されておりませんが、国内全体では年間約643万トンの食品ロスが発生しております。これは、国民1人1日当たりの量に換算いたしますと約139グラムとなり、茶碗1杯のご飯の量に相当すると言われております。  次に、事業系一般廃棄物の減量化に向けての課題と対策についてでございます。  事業系一般廃棄物の減量化に向けては、事業所から出る紙ごみと飲食店等での食べ残しの削減について事業者にいかに働きかけていくかが課題となっております。  これまで、地域振興局ごとに、県や市町村等でチャレンジ800実行チームを組織し、事業系ごみの排出量が多い事業所への聞き取り調査や外食時の食べ残しの削減に係る環境教育を実施するなど、地域の状況を分析し、ごみの減量化に取り組んでまいりました。  また、飲食店における食品ロス削減のため、「食べ残しを減らそう県民運動~e-プロジェクト~」協力店の増加に向け取り組んでいるほか、残さず食べよう30・10運動としてテレビCMや街頭啓発を行っているところです。  なお、課題となっている事業者への働きかけについては、今年度、事業系一般廃棄物に関する意識調査を実施し、その結果を施策に反映していく予定としております。  今後も、このような取り組みを着実に実施し、事業系一般廃棄物のさらなる減量化に向けて取り組んでまいります。  次に、信州プラスチックスマート運動の課題と対策についてでございます。  信州プラスチックスマート運動につきましては、いかにして県民の生活スタイルの中に浸透させていくか、意識を変えていただくかが大きな課題であると認識しています。  そのためには、さまざまな主体と連携して展開していく必要があると考え、市町村、経済4団体及び環境保全団体にも県民や事業者への呼びかけなどについて協力をお願いしたところです。各団体には、趣旨に賛同いただき、既に具体的な取り組みを進めていただいております。また、県民には、さまざまな広報による啓発を通じて意識した行動を呼びかけているところでございます。  さらに、使い捨てプラスチックの削減や代替製品の開発などに取り組む事業者をプラスチックスマート協力事業者として登録し、その取り組みを広く紹介する制度を立ち上げ、事業者の活動を後押しすることといたしました。これらの取り組みにより、信州プラスチックスマート運動が実効性のある県民運動となるよう市町村や関係団体と連携して進めてまいります。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)国道18号坂城更埴バイパスの整備と県道坂城インター線の延伸の見通しについての御質問でございます。
     坂城更埴バイパスは国の直轄事業として進められており、現在、全延長19.2キロメートルのうち3キロメートルが暫定形として2車線で供用済みで、そのほかに坂城町区間3.8キロメートルと長野市側延伸区間2.6キロメートルの2工区で事業が進められております。  国からは、事業中の区間につきましては早期供用に向けて用地買収と改良工事を鋭意進めていると聞いておりますが、開通時期は公表されていない状況です。議員御指摘のとおり、事業期間が長くなっている区間もあり、県といたしましても国に早期整備を強く要望してまいりたいと考えております。  次に、県道坂城インター線につきましては、国道18号からしなの鉄道を立体交差し、テクノさかき工業団地までの道路を県が新設しているところです。県といたしましては、まず、現在施工中の区間を優先的に進め、その進捗状況を踏まえ、先線の千曲川を渡る橋梁の事業の進め方について関係機関と調整してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)高校改革についてのお尋ねでございます。  まず、地域と連携した学びと新たな学びの推進についてのお尋ねでございます。  現在、多くの高校では、地域の特徴を生かした地域と連携した学びを実施しているところでございます。例えば、屋代南高校では、地消地産をテーマに、地元食材を使ったレシピを生徒が考案し、駅前通り商店街で、地元レストランの指導のもと、高校生レストランを開催しております。また、坂城高校では、生徒が地域への理解を深め、各自の職業観を育むことを目的に、坂城町と連携し、町内企業においてインターンシップを実施しているところでございます。  さらに、先進的な事例としては、文部科学省が今年度から開始した地域との協働による高等学校教育改革推進事業で全国51の高校が指定される中、本県からは、長野高校、飯田OIDE長姫高校、白馬高校の3校が選ばれたところでございます。この事業においては、高校が地域の自治体、産業界、高等教育機関コンソーシアムをつくり、新しいカリキュラムを開発することとなっております。  また、長野県独自でも、高校改革の一環として「未来の学校」研究校を指定しておりますけれども、指定校の一つである須坂高校におきましても地域のコンソーシアムづくりを進めているところでございます。  今後の課題としては、これらの先進事例の成果を県内の高校に広く普及させていくことが挙げられます。そのために、地域と学校をつなぐプラットフォームの構築ですとか、その調整をするコーディネーターの配置を行っていくことが必要であると認識しておりますが、こうした地域との協働による学びの高校改革の新たな学びの推進につなげてまいりたいというふうに思っております。  2点目、地域の協議会の設置状況、検討状況と今後の方向性についてであります。  現在、旧12通学区のうち、第1、第2、第3、第8、第9、第10の六つの地区で協議会が設置され、議論が行われております。  協議会での検討内容としては、例えば、旧第8通学区上伊那では、7回にわたる議論の中で、上伊那地域に望まれる学びのあり方や高校の魅力づくりの方策、さらにそれを踏まえた再編の方向性等が話し合われ、県教育委員会への意見、提案に向けた取りまとめが進んでいるところでございます。  今後の方向性についてでありますが、未設置の地区については、県教育委員会として、首長等への説明や共同事務局である市町村等との調整を重ね、設置に向けた準備に取り組んでいるところであります。  再編・整備計画の確定に当たっては、関係者の理解を得ながら、また、協議会からの意見、提案を最大限尊重しながら議員御指摘のとおりのスケジュールで進めてまいりたいというふうに考えております。       〔16番竹内正美君登壇〕 ◆16番(竹内正美 君)環境部長から廃棄物対策について御答弁をいただきましたが、より一層の廃棄量の縮減、食品ロスの削減のため、施策を進めるよう要望します。また、環境教育なども、今後もさらに市町村と連携して推進していただきたいと期待します。  建設部長から、国道18号坂城更埴バイパス及び坂城インター線の延伸の見通しについて御答弁いただきましたが、この地域は工場も多く、慢性的な渋滞は社会生活や産業活動に大きな支障を来し、地域発展にも大きな影響を与えています。地元からも強い要請がありますので、建設促進について県としても国に強く要請していただきたいと思います。  教育長からは、高校改革について御答弁いただきました。地域と連携した教育は、生徒が主体的にキャリアデザインを描く力を築くことにも大変効果的だと考えております。信州の子供たちが夢を自由に語り、夢をかなえ、将来的にこの信州を担ってくれる、そんな高校改革に大いに期待申し上げ、以上で全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(清沢英男 君)次に、清水正康議員。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)県民クラブ・公明、上伊那郡区の清水正康でございます。よろしくお願いいたします。  私からは、大きく4点質問いたします。  まず、交通安全対策について質問いたします。  長野県は、安心できる暮らしを次世代に継承し、いのちを守り育む県を目指し、交通事故などの防止対策を徹底し、県民の命が守られる政策を推進するとしあわせ信州創造プラン2.0にあります。そこで、昨今起きている交通事故の事例をもとに今後の事故予防をさらに進めるべきと考えます。  昨日、寺沢議員の質問に対する答弁にありましたが、県は、これまで、合同点検や交通安全プログラムに沿っての整備を行い、さらに、本年5月に大津市で起きた事故の後、交通安全運動推進本部長である知事から指示のあった保育園、幼稚園の散歩ルート等安全確保重点箇所の点検も行われております。これは、9月までに関係者で合同点検を行い、優先順位をつけながら連携して取り組みたい、対処したいとの答弁がありました。こういった対応は、地域としても子育て世代としてもとてもありがたいと思っておりますが、6月に入りまして、今度は大阪で歩道へ車が突っ込むという事故が発生しており、散歩ルートの点検はもちろん必要ですが、さらに広い意味で歩行者の安全確保が求められていると考えます。  こんなデータもあります。日本は、アメリカやドイツ、フランスなどの欧米諸国と比べると歩行中の交通事故による死者数が多いというデータです。これは、国際道路交通事故データベースからの引用ですが、交通事故の死者数のうち歩行中の方の割合は、ドイツは15.5%、フランスは14.7%、アメリカは14.9%に対し日本は36.2%とのことです。日本は倍以上の率となっております。ちなみに、長野県は、昨年は30.3%、一昨年は39.2%で、本年はここまで42.3%となっております。日本はいかに歩行者が巻き込まれる事故が多いかがわかります。  人口10万人に対する事故の死者数も、日本は先に挙げた国々よりも高いので、歩行者の安全確保を進めることは大きな意味があると考えます。また、死亡事故、重大事故を減らすことは目指すべき大きな目標であると考えますので、歩行者の安全を守ることでその目標に近づくのではないでしょうか。  特に、学校や駅など多くの人や車が集まる交差点などの歩行者の安全対策は喫緊の課題ではないかと考えます。最近目につくのが、学校付近にある交差点の横断歩道です。横断歩道なので歩道が切れているわけですけれども、車どめのポストがないところがかなりあります。ことし起きている事案のように、ここへ車が突っ込めば、子供たちや歩行者を守るものがありません。しかし、これまでチェックが行き届いていない箇所でもあります。  このように、今まで危険と認識していなかった箇所も、昨今の事例から対策を考えることができ、同じような事故が起きないようにすることができます。しかし、もしもこの対応をせずに同じような事故が起きて亡くなる人が出てしまえば、悔やんでも悔やみ切れません。  散歩ルートの点検を指示した交通安全運動推進本部本部長である知事に、危険を認識していただきたく質問をいたします。  これまで点検され、ピックアップされてきた箇所、また、今回実施された保育園、幼稚園の散歩ルート等安全確保重点箇所に加え、これまで危険と考えていなかった場所、特に学校や駅付近など歩行者が多く、交通量も多い場所について、昨今の事例をもとに安全について確認するべきではないでしょうか。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)交通安全対策について御質問いただきました。  御質問にもありましたように、現在、園児の交通事故を受けた緊急安全対策ということで、道路管理者、施設管理者、警察等によりまして園児の散歩ルートの確認、そして、過去5年間に子供が当事者となった交差点の点検を行っているところであります。  御指摘は、それだけでは十分ではないのではないかということだというふうに思います。今般、今申し上げたような箇所以外の場所についても、歩行者が多く、交通量が多い箇所については、それぞれの交通安全運動推進本部の地方部におきまして、関係者が危険性を感じている箇所を持ち寄って安全確認を行っていきたいというふうに思っております。  また、特に、全国的に報道されるような事故が起きた都度対応するということだけではなくて、日ごろから地域の皆さんが感じている危険性というものを広く共有していくということも重要だというふうに思います。日ごろから、地域の思いや課題、問題意識が我々や道路管理者が取り組む交通安全施設の整備にしっかり反映できるようにこれからも努力していきたいというふうに思っております。  以上です。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)御答弁の中に、これまで関係者が危険と思われていた場所だけではなく、日ごろからそういった目線を持って取り組みたい、そのようなお話がありました。ぜひそういった形で点検、整備を進めていただきたいと思います。  これは、一つ要望というような形になってしまいますが、今回の散歩ルートの点検で挙げられた箇所、また、今回私のほうでお話ししたような危険な箇所は、県の管理道、市町村の管理道等があります。県の管理道は当然県が整備を進めるわけではありますが、市町村の管理道についてもこういった年度の途中で出てくるということもあります。ぜひ、県の支援、指導、資金的な支援もお願いをしたいと思います。御検討をお願いしまして、次の質問に移ります。  男性の育児休業の取得についてです。  誰にでも居場所と出番がある県を目指している長野県は、男性の家庭参画を促すことで男女がともに支え合う社会づくりを進めています。特に、男性の育児休業の取得率は、しあわせ信州創造プラン2.0で示された県の達成目標を1年余り残して達成しております。県の職員の皆さんも行っているイクボスなど職場の上司から部下に声をかける取り組みなどは、私もまだ小学校低学年の子供がいますが、雰囲気づくりとしてとてもよい、そのように感じております。  さて、県の今後の目標設定については男女共同参画推進計画などで設定されておりますが、さらに男女がともに支え合う社会づくりが進むよう期待をしております。  そこで、産業労働部長に質問いたします。  小規模の事業所や市町村などは目標値に達しないところも多くあります。そういった小規模の職場への浸透をどう図っていきますか。お答えをお願いいたします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)男性の育児休業への取り組みについて御質問をいただきました。  育児休業の促進については、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度等の推進による育児休業規定の整備や従業員に対する周知など職場環境の改善に向けた働きかけを行っているところです。殊に、小規模な事業所においては、育児休業を取得しづらい雰囲気や代替要員の確保が難しいといった事情もあることから、県の職場環境改善促進アドバイザーの企業訪問による丁寧な支援や国の育児休業支援関係助成金の活用など、長野労働局とも連携しながら働きかけを行っております。他方、市町村における男性職員の育児休業の促進は、市長会や町村会などを構成団体とする長野県女性活躍推進会議を通じて職場や企業の理解促進を呼びかけております。  今後は、こうした取り組みに加え、企業に対するSDGs推進企業登録制度の普及や、連合婦人会が進めるイクボス・温かボス創出プロジェクトとの連携などさまざまな機会を通じ、育児休業制度の浸透を図ってまいります。  以上でございます。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)お話をいただきました。やはり、小規模の事業所や市町村はそのかわりの人がいないというような場合もありましてなかなか数日間の休日をとるのは難しいという、そういう状況があるかもしれません。  私も、春から県議会という場で働かせていただいておりますけれども、議長の御許可をいただきながら、そういった場面がありましたら休業等も考えていきたい、そのようなことを思っております。県におきましては、引き続きまして啓発活動のほうをお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。地域発元気づくり支援金の制度の見直しについてでございます。  前身の制度も含め、10年以上の実績の中で地域づくりに大きく寄与してきている地域発元気づくり支援金事業の趣旨は、豊かさが実感でき、活力あふれる輝く長野県づくりを進めるため、市町村や公共的団体等が住民とともに自らの知恵と工夫により自主的、主体的に取り組む地域の元気を生み出すモデル的で発展性のある事業に要する経費に対して予算の範囲内で交付するとなっております。現在の制度は、同一事業は原則3年以内を限度とした支援金であり、立ち上げ時などの補助的役割で、この間に自分たちで継続運営できるよう準備をするといった考え方であります。しかし、県で行っている事後のフォローアップ調査結果にもあるように、活動を続けるには資金と人材の確保が特に必要との声が多数上がっております。  そこで、質問します。  1点目、補助金頼りの事業はよくありませんが、10年以上の長きにわたり地域のために活動している団体、事業については、地域としてかわりのない大切な存在になっていると感じます。そういった団体、事業に、引き続き活動、さらに活躍できるよう再度の支援が必要ではないでしょうか。例えば、10年以上経ち、老朽化した備品の購入や新しい人材を発掘するための活動、講演会やシンポジウムなどの開催について支援をするべきではないでしょうか。  2点目、また、申請書類などが煩雑だとの声もあります。この制度は、地域の元気のために地域の皆さんに使ってもらうことが目的だと考えます。申請が煩雑になることは利用しづらいことにつながるのではないでしょうか。もちろん、制度を悪用して不正に補助金を得る団体が出てはいけませんが、こういった書類を作成したことがない方にはかなりのハードルになっております。地域の皆さんが利用しやすいように申請方法を見直すべきではないでしょうか。  以上2点、企画振興部長に質問いたします。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)地域発元気づくり支援金につきまして2点御質問いただきました。  まず、支援金を活用したことのある団体、事業が継続して活動、活躍できるよう支援すべきということですけれども、この支援金は、議員の御説明にもありましたように、主に事業や活動の立ち上げ期の支援に力を入れてきたものでございまして、これまでも、制度改正で10分の10だった補助率を少し下げて団体に自主財源などを促してきたり、ハンドブックを作成して県内の好事例を紹介することでヒントとなるようなものをアドバイスしてまいりました。  一方で、制度創設から10年以上経っているということで、議員御指摘のそういった問題、特に制度当初から活動を継続している団体におきましては、備品の老朽化や人をなかなか確保できないという問題が生じていることは承知しております。地域に根差した活動を行っていくためには、まずは地元市町村の協力が不可欠であると考えます。こうした活動継続に当たっての課題を県も市町村と共有、連携しながら住民主体の地域づくりを支援してまいりたいと考えております。  それから、地域の皆さんが利用しやすいように申請方法を見直すべきでないかということでありますけれども、この支援金につきましては、これまでも申請書類の具体的な記載方法を示すなど、できるだけ手続が円滑に進むよう努めてまいりました。そうした中、平成28年度の定期監査において、団体から幅広く意見、要望を聞いた上で事務負担の軽減について検討するよう指示があったところでございます。  そのヒアリングの結果、物品購入に当たっての見積書など提出書類を改善してほしいという意見をいただきました。それに基づきまして、平成30年度事業から、様式の記載例のさらなる充実など所要の見直しを行ったところであります。  ただし、監査報告にもありますように、県民の皆様からいただいた貴重な税金を充てて行う事業であることから、公平公正の観点から一定の手続が必要であることは御理解いただきたいと思います。  その一方で、申請者のみならず、地域振興局職員の事務負担が住民協働による事業や地域づくりへの支援の阻害要因とならないよう配慮することも必要でありまして、これらの点も考慮しながら引き続き事務事業の改善に努めてまいります。  以上です。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)御答弁いただきましたが、制度の見直しという部分ではなかなか難しいというような話だったかもしれません。しかし、答弁の中にもありましたとおり、公平公正というのはもちろん必要ではありますが、やはり使ってもらっての部分かとも思います。地域の元気がもっともっと盛り上がるようにいま一度御検討をいただければと思います。自治の力みなぎる県づくりにこの元気づくり支援金をもっと活用できればと、そのように思っておりますので、広く利用者の声も聞きながら、これからも前向きに取り組んでいただければと思いますので、お願いいたします。  続きまして、最後の質問になります。子供の虐待などの相談対応についてです。  子供の虐待などで相談先の対応がマスコミなどで取り上げられています。亡くなられた子供たちのことを考えると、そこまでの過程も含め、本当にいたたまれないと感じます。我々にできることは、哀悼の誠をささげるとともに、同じことが二度と起きないように取り組むことだと考えます。  現在、子供の関係の相談窓口は、厚生労働省、法務省、文部科学省など多岐にわたる所管があり、地域として情報の共有、活用が100%できているかというと、少々疑問が残ります。  一昨日、小山議員や続木議員の一般質問による答弁より、それぞれの対応、検討、情報の共有は各市町村の要保護児童対策地域協議会が担っていること、児童相談所の児童福祉司が協議会を支える立場であること、また、平成28年度以降増員していて児童福祉司は1.4倍になったなどの話がありました。それらを踏まえ、県民文化部長に質問をいたします。  1点目、情報共有を推進する上で、現在の協議会における情報共有の体制の課題をどのように捉えておりますか。  2点目、要保護児童対策地域協議会を支援する児童相談所の職員数や現在5カ所ある児童相談所の数は十分であると考えますか。質問いたします。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)2点御質問を頂戴いたしました。  要保護児童対策地域協議会における情報共有体制の課題についてということでございますが、現在、全ての市町村においてこの協議会が設置されております。ここにおいて、情報共有が速やかになされるため、観点といたしましては、協議会の構成員が情報共有の必要性をそれぞれ認識して、連絡先をしっかりと把握していること。そして、日ごろから関係機関が連絡を取り合う関係を築いていること。そして、三つ目といたしまして、個人情報の取り扱いについて正しく理解していること。主に、こういったことが必要ではないかと考えているところでございます。  状況は市町村によりまして違いがあるわけでございますけれども、このうちの情報共有の必要性、それから日ごろの関係の構築につきましては、関係者の認識が進んできているところというふうに捉えておりますが、個人情報の取り扱いについて理解が十分でないことによる連絡のおくれ、具体的に申しますと、構成員全体に守秘義務がかかっているわけでございますが、共有する情報が個人情報であることからためらわれるといったようなことが地域によってあるというふうに把握してございます。  県といたしましては、県が主催しておりますこの協議会の調整機関担当者研修会におきまして個人情報の取り扱いについての研修を行うなど、情報共有が進みますように取り組んでまいります。  2点目、県内児童相談所の職員数、設置数についてのお尋ねでございます。  児童相談所の職員数につきましては、申し上げましたように、現在57名の児童福祉司により対応をしております。これは、国の児童相談所の運営指針で定める基準を満たしておるところでございます。しかしながら、昨今の状況に鑑みまして、さらに適切な体制整備を進めていくことが必要というふうに考えております。  児童相談所の設置数につきましては、現在の配置において、この体制の中で積み重ねられました各児童相談所と市町村、警察、それから児童福祉施設、医療や教育機関といった関係機関とのネットワークが構築され、機能しております。そして、人口50万人に1カ所程度という国の運営指針で求める基準を満たしている状況でもございます。こういったことを踏まえますと、現時点では、まず現在の5カ所の児童相談所の体制を整備していくことが重要と認識しております。  一方、今国会で改正されました児童福祉法では、児童相談所における介入の担当と支援の担当を分けることや、法施行後5年をめどに児童相談所の配置状況を勘案いたしまして、その設置や整備のあり方について検討を加えるともされております。こうした国の動向にも注視しつつ、本年度策定いたします長野県社会的養育計画の検討の中でも関係者の御意見を伺いながら体制の充実強化を検討してまいります。  以上です。       〔4番清水正康君登壇〕 ◆4番(清水正康 君)今国会で話し合っている、また、県のほうでも今年度検討しているというような話がありましたけれども、人口という部分での配置に加えまして、どうしても長野県は広くて人口密度が薄いというところもありますので、そういったところも勘案しまして、土地柄のことも検討しての人員配置をお願いしたいと思います。  そして、情報の共有、一元化につきましては、やはりとても難しい問題だと認識しております。しかし、やはり何かあってからでは手おくれであるという危機感も常に持っております。賛否はあると思いますし、また、議論もとても必要だと思いますが、例えば、カルテのような形でその子の情報を一元化することができれば、今回のような虐待の話だけではなく、ひきこもりや不登校、または若年者の自殺予防にもつながるのではないか、そのようにも考えております。  子供たちの未来が大きく開かれるようにぜひ御検討いただけましたら幸甚であります。  以上で私の一切の質問を終了します。ありがとうございました。 ○議長(清沢英男 君)次に、花岡賢一議員。       〔11番花岡賢一君登壇〕 ◆11番(花岡賢一 君)21世紀の国民生活に深刻かつ多大な影響をもたらす急速な少子化の進展という事態に直面して、家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備し、子どもがひとしく心身ともに健やかに育ち、子どもを生み、育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現し、少子化の進展に歯どめをかけることが求められていることとの前文から始まる少子化社会対策基本法が定められて15年以上が経過している現状と、いまだ歯どめがかかっていない少子・高齢、人口減少社会、その真っただ中にあって、さまざまなライフステージに対応するべく政治や行政はあるべきで、その対応は急務と言われ続けています。  私自身、少子化対策は国が率先して行うべき課題と考えていましたし、このような課題は、フランスやスウェーデンの事例のように、いつか大人の人たちが解決してくれることとどこか楽観していたところがありました。しかし、気がつけばその当事者として対応が迫られる立場や年齢となっている現実に直面しています。  平成25年には、少子化危機突破のための緊急対策が出された中で、「少子化対策を新たなステージへ高める」との観点にあるように、常に新しい対応が求められている現実は、もはや共通の認識であると捉えています。  そのような中、結婚、妊娠、出産、育児の切れ目ない支援が必要と言われていますが、中央でも各省庁をまたいでの対策であるのと同じくして、本県にあっても県民文化部や健康福祉部と部局をまたいで総合的に対応をとっていかなければならない重要な課題であります。  少子化対策のスタートとして婚姻率の向上が課題でありますが、市町村や社会福祉協議会などの公的結婚相談所は、その相談員の多くが高齢であり、結婚を望む若者の意識の把握やノウハウが属人的になっている傾向が課題であると考えます。
     地域で結婚相手を紹介したり、仲人を立てて結婚式を行うことが極めてまれになっている状況により示されることでありますが、他県では、ビッグデータやAIを活用したマッチングシステムの導入例があります。結婚支援をさらに進めるために、本県でもこうした技術を積極的に活用するべきと考えますが、県民文化部長のお考えはいかがでしょうか。お答えいただきます。  また、少子化対策の中で、婚姻率の向上の先に必要になるものは出生率の向上となってきます。希望する子供の人数を持てない要因の一つとして、晩婚化、晩産化があると考えます。初婚年齢や出産時平均年齢を下げるためには、若者が結婚、妊娠、出産を含めたライフステージを全体的に考える機会を早いうちからつくるべきと考えますが、県はどのように取り組んでいるのか、県民文化部長にあわせてお伺いいたします。  さらに、近年の晩婚化の傾向により、子供を持ちたいという夫婦が不妊治療を行っているケースがふえているという現実をさまざまな場面で目の当たりにしますが、不妊治療は、精神的、身体的な負担がのしかかってきます。また、高額な医療費について県内では多くの市町村が独自の助成を行っていますが、安心して不妊治療に専念できるように長野県としてはどのような支援を行っているのでしょうか。また、その成果にはどのようなものが生じているのでしょうか。健康福祉部長にお伺いいたします。  先ほども申し上げたとおり、さまざまなニーズに対応することが行政のあるべき姿であり、希望する妊娠を妨げる要因が金銭面や精神面であったならば、その障壁を社会が取り除くための努力を重ねていかなければならないと思っています。少子化対策をより実効性のあるものにするために、結婚支援にとどまらず、妊娠、出産、子育てへと切れ目のない支援などさまざまな施策を総動員しつつ、より効果的な施策を充実させていくことが求められると考えますが、少子化対策を強化させていくことに対する知事の御所見をお伺いいたします。  また、少子化危機突破のための緊急対策の中で、働き方改革が施策の柱として盛り込まれています。本県におきましても、先月24日に、経済団体、労働団体などとともに、長野県就業促進・働き方改革戦略会議として、令和元年信州「働き方改革」共同宣言を行ったわけでありますが、その実施に当たっての文章の冒頭でも少子・高齢化の内容を確認することができます。少子化対策を含んだより広い意味でのライフステージの充実や活躍の場を示すものであると考えられますが、働き方改革が進む中で、仕事以外の余暇時間の意義が大きく変化しています。また、個人が充実した人生を送るためには、その使い方が非常に重要になってきているとも考えられます。  そのような中、しあわせ信州創造プラン2.0に掲げる学びと自治の県づくりの観点から、新たに生まれた余暇時間の活用についてどのようなことを期待しているのか、知事にあわせてお伺いいたします。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)2点お尋ねをいただきました。  1点目のビッグデータやAIを活用した結婚支援、マッチングシステムの導入等についてでございます。  県では、平成23年7月から現在のマッチングシステムを運用しているところでございます。これは、市町村や社会福祉協議会などが運営いたします38の公的な結婚相談所が有するデータを共有しまして、相互に検索できるものとなっております。このシステムは、導入から8年が経過いたしました。技術が日進月歩の今日の状況の中では、相談者が結婚相談所に出向いていかなければ利用できないなど利便性や機能に課題も生じております。  一方、AIを活用したマッチングシステムを導入しております愛媛県では、導入によってお見合いの件数が約2倍に増加したといったような結果も出ていると聞いております。県といたしましては、先行している県における導入の効果や課題を調査いたしまして、新たな技術を採用いたしましたマッチングシステムの導入について検討してまいります。  2点目、出生率の向上について、ライフステージ全体を早いうちから考える機会をつくるべきであり、その取り組みについてというお尋ねでございます。  県といたしましても、出生率の向上を図るためには、若者に早い段階から自分の将来に対するイメージ、ライフステージのイメージを具体的に持ってもらうことが重要であると考えております。  平成30年度に実施いたしました長野県民の結婚・出産・子育てに関する調査におきましても、結婚されている方が理想の子供の数を持てない理由として、子育てや教育に係る経済的な負担が一番多く、次いで、自分または配偶者の年齢を挙げる人が多くなっております。年々増加する傾向にございます。  このため、県では、平成27年度から、高校生や大学生等を対象に、妊娠のしやすさ(妊孕性)に関する正しい知識を伝える講座を行っておりまして、これまでに357回、3万755人が受講しているところです。また、平成29年度からは、就職、結婚、妊娠、出産そして育児といったライフイベントを踏まえて将来設計を総合的に考えていくライフデザインセミナーという講座を一部の高校や大学で始めております。来年度以降、全ての高校での実施を目指し、今年度はモデル事業の実施校を4校にふやして副教材や指導用資料の検討や研修を行っていく予定です。  今後も、健康福祉部や教育委員会と連携を図りながら、高校生や大学生の段階から自分のライフデザインを考える機会をより多く提供するよう努めてまいります。  以上です。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)不妊治療を受ける夫婦に対する精神面、身体面、経済的な支援の内容、成果についてのお尋ねでございます。  近年、晩婚化を背景に、不妊治療を受ける夫婦は増加傾向にあり、治療が長期に及ぶこともあるため、精神的、身体的、経済的な負担に対しトータルな支援が必要であると考えております。  精神面の支援としては、長野県不妊・不育専門相談センターにおいて、本年度からは休日相談も開始し、電話、面接等の相談を行っております。相談件数は増加傾向にあり、平成13年度から昨年度末まで延べ3,773件となっております。相談を受けられた方の治療に対する不安が軽減し、前向きに治療に臨まれるなどの成果が見られております。  また、身体的負担の大きい不妊治療を継続する上では、職場の理解、仕事と治療の両立が重要でございます。本年度、県の職場環境改善促進アドバイザーが企業を巡回し、不妊治療を行いやすい職場環境づくりへの要請を行うこととしております。  さらに、経済的な支援として、平成16年度から特定不妊治療を行う方への治療費助成を行っており、本年度は、男性の初回の助成額を15万円から30万円へと増額するなど、支援を拡充してきております。この結果、助成件数は、当初の208件から昨年度は1,668件へと増加し、累計では1万9,252件となり、多くの方の特定不妊治療の取り組みへの支援につながっております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)少子化対策と働き方改革に関連して2点御質問をいただきました。  まず、少子化対策の強化についてという御質問であります。  今月公表されました平成30年度の合計特殊出生率は、本県は1.57ということで、前年をやや上回る0.01ポイント増ということで全国12位であります。東日本では一番高い出生率という形にはなりますが、しあわせ信州創造プラン2.0で掲げた2022年の1.76を達成するには相当気合いを入れて取り組まなければいけないというふうに思っております。少子化の問題は、これは我が国における最も重要な課題だというふうに思っております。  産業人材の確保や地域社会の継続性、社会保障制度の持続可能性、こうしたことに全て関連してくるのがこの人口問題であります。そういう意味で、県としてしっかり取り組まなければいけないと思っておりますが、今年度の政策評価としては、八つの重点目標に絞り込んで、それぞれ目標ごとにデータに基づき政策を検証するということにいたしております。その中で、出生率の向上を達成するために今後優先すべき政策は何かということについて明確にしていきたいというふうに考えておりますので、この政策評価を踏まえて少子化対策をさらに強化していきたいと考えております。  続きまして、余暇時間の活用についてということでございます。  働き方改革によりまして、働く方全てがその能力を発揮して活躍していただけるような環境をつくっていくこととともに、一つの職場のみならず、地域社会や家庭などさまざまな場における活動も大切にしながら自分らしい生き方ができるような社会をつくっていくことが重要だというふうに思っております。  現在、我が国の労働時間は、最近発表されたOECDの調査で、例えば教員の勤務時間は調査対象国・地域の中で最も長いという結果が出されておりますように、諸外国と比べて総じて長いという現状にあります。労働時間の短縮によって得られる時間を、純然たる個人の余暇活動ではなくて育児や介護等に充てていかなければいけない方々もいらっしゃるという状況だというふうに思っております。こうした方々の負担が軽減されるように我々行政としては取り組まなければいけないというふうに思っております。  また、その上で、個人が完全に自由に使える時間がふえたときどうするかという観点で申し上げれば、基本的にはそれぞれの方々の自由だというふうに考えております。しかしながら、ベストセラーにもなりましたリンダ・グラットン氏が著した「ライフ・シフト」におきましては、これからの人生100年時代においては、人々は余暇の時間をレクリエーション(娯楽)だけではなく、友人と過ごしたり、健康増進、教育やスキルの再習得などのリ・クリエーション、すなわち自己を再創造する活動のために使うようになるという指摘がなされております。このことは、これからの社会を考えていく上で大変参考になるものというふうに考えておりますし、まさに学びと自治の県づくりを進めていこうという長野県の方向性にも合致しているものというふうに考えております。  県民の皆様が充実した人生を送っていただくことができますよう、余暇時間をみずからを高める学びに活用していただき、さらに、その学びを社会や組織の中で共有し、協働して課題を解決する自治の力につなげていただければ望ましいことだというふうに思っております。  こうしたことが実現できますよう、新しい総合計画を踏まえて学びと自治の県づくりに力を入れて取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔11番花岡賢一君登壇〕 ◆11番(花岡賢一 君)お答えいただきましたけれども、私の友人でも、妊娠を諦めたという方とお話しする機会が多くありました。何にしてもそうですけれども、諦めるというその決断は非常に厳しいものがある。むしろ、そこのところを行政が後押しできるような時代が来ることを常に願っています。  また、先ほど自分らしい生き方の充実というふうにお答えがありましたけれども、先日、テレビを眺めていたときに、働き方改革と言われて使える時間がふえたとしても、何をやっていいのかわかりませんといった内容の映像を目にしました。時間や仕事に追われる毎日の私とすれば共感できるなと思ったのですけれども、時代が大きく変化しているということを再認識させていただく、そんな機会になったと思っています。  従来の時間の使い方は、大きく就労時間と余暇時間とあったとしたら、その余暇の中で休息時間をとっていたという考え方になるかもしれません。また、働き方改革の推進によって、その時間の使い方というものを明確に示すことができる時代になってきているのかもしれません。  その中で、自治体への参加や消防団、子供会などの地域活動へ参加する時間を社会生活時間と表現されることもありますが、この観点で考えると、自治力の強化に直接つながります。そしてまた、自治力の強化につながった後、これも先ほど御答弁でありましたけれども、自己啓発やスキルアップのための学び直しや学び足しと言われるリカレント教育のような時間に充てるのならば、文字どおり、これは学びの力となっていきます。  さまざまなライフステージの中で選べる選択肢が多く存在する県となりまして、総合5カ年計画の二つの政策推進エンジンがフル稼働することでさらなる活力が生まれてくることは間違いないと確信しておりますので、質問を移りたいと思います。  以前取り上げました再犯防止推進法についてお伺いいたします。  平成28年に再犯の防止等の推進に関する法律が施行され、本県でも、平成30年度中に長野県再犯防止推進計画を定めるとされていましたが、現在の進捗状況と今後の見通しはどのようになっているのでしょうか。  また、各地方自治体が独自の計画を定めるように努力義務が課せられている中、長野県として特に力を入れようとする、そのような点があればお示しください。  薬物犯の話ですけれども、犯罪を絶つといった考え方では全くなく、再び罪を犯してしまうのではないか、その不安の中で、一日一日、「今日一日は罪を犯さなかった日」、その連続であったという内容を聞きました。再犯者の原因の多くが貧困であり、職業を持たなければ再犯率は当然上がります。一日一日を精いっぱい生きる中で就労の場はとても重要である中、長野県は全国で3番目となる保護観察中の少年を雇用する事業を平成26年から行っています。現状はどのようになっているのでしょうか。  また、国においては、令和2年までに実際に刑務所出所者などを雇用している協力雇用主を1,500社とするとしていますが、県内の状況はどのようになっているでしょうか。  以上2点、健康福祉部長にお伺いいたします。  続いて、以前より問題視してまいりました有害鳥獣に関連して林務部長にお伺いいたします。  シカの頭数調査やハンター養成等を行ってきた長野県にあって、年間捕獲頭数を定めて捕獲に取り組んでいますが、最近はとれなくなったという意見や、どこどこには多数生息しているなどとさまざまな意見を耳にしますが、現状と課題についてお示しください。  有害鳥獣捕獲のためのくくりわなによってツキノワグマやニホンカモシカなどの錯誤捕獲が発生しています。何らかの対策はとられているのでしょうか。  また、ジビエ振興について、信州産シカ肉認証制度を定めていますが、認知度や波及効果はどうでしょうか。その制度が消費や捕獲につながっているのかお示しいただければと思います。お願いします。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)再犯防止について2点御質問いただきました。  まず、長野県再犯防止推進計画策定の進捗状況についてでございます。  当初、長野県地域福祉支援計画と一体的に策定すべく作業を進めてまいりましたが、長野県保護司会連合会等関係機関の皆様から、個別計画として対策を強化してほしい旨の要望があり、単独計画として現在策定を進めております。  本年4月の社会福祉審議会における計画素案の議論を踏まえ、現在、関係機関との最終調整を行っており、今後、パブリックコメントに付し、県民の皆様の御意見を伺い、本年度の早い段階で計画を決定したいと考えております。  特に力を入れようと考えている点についてのお尋ねでございますが、計画案では、再犯防止に向けた重点的取り組みとして、経済的な自立に向けた就労、住居の確保を掲げました。再犯の防止のためには、まずは経済的な自立が不可欠であり、そのためには、住居を確保し、仕事を見つける必要があります。しかし、保証人がいないことで就職や住宅への入居が断られるケースがあり、今年度、新たな保証制度を県社会福祉協議会とともに構築し、社会復帰される方の経済的自立を支援すること等により再犯防止に取り組んでまいります。  保護観察中の少年の雇用及び協力雇用主についてでございます。  本県では、平成26年5月23日に、長野保護観察所、長野県保護司会連合会と3者で、議員御指摘のように、全国で3番目となる保護観察中の少年の雇用及び就労支援に関する協定を締結しております。現在まで3名の保護観察中の少年を県庁で雇用し、本年度も新たに1名を雇用する予定となっております。  また、保護観察所によりますと、県内の協力雇用主は増加しつつありますが、平成31年4月時点では936社となっております。実際に雇用している協力事業主は9社で、雇用されている刑務所出所者数は10人にとどまっております。働くことは、みずからの居場所を見つけ、役割を見つけることで自信を持ち、更生につながってまいりますので、雇用は再犯防止に大変大きな意味を持つものと考えております。  そこで、県では、出所者等の雇用の促進のため、建設工事の入札参加資格における加点制度の導入などを講じているほか、関係機関と連携し、昨年、23年間みずから保護観察中の少年少女を多数雇用し、社会復帰支援を続けている福岡県のガソリンスタンド経営者を招聘して、協力雇用主への講演会を行って、雇用への理解促進を図っております。  以上でございます。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)シカ捕獲の現状と課題についてのお尋ねでございます。  ニホンジカの捕獲目標につきましては、第二種特定鳥獣管理計画において年4万頭と定めておりますが、捕獲活動を継続的に強化してきたことで、一部地域ではシカの警戒心が高まっており、平成27年度以降は目標頭数の7割前後の捕獲頭数となっております。  県としましては、シカの捕獲目標の達成に向け、シカの行動把握等の調査を行うとともに、今年度からは、新たにシカ捕獲に関する高度な知識や捕獲技術を有する捕獲者の育成を開始し、捕獲の新技術の試行と高標高地等における捕獲体制の構築に取り組んでまいります。  次に、ツキノワグマ等の錯誤捕獲対策についてでございます。  ツキノワグマやニホンカモシカの錯誤捕獲への対策としましては、市町村や地域の野生鳥獣被害対策協議会に対する補助制度を設け、麻酔による放獣作業を推進しておりまして、平成30年度は317件の放獣作業を実施したところでございます。  また、錯誤捕獲の防止に向けましては、ツキノワグマが錯誤捕獲となりにくい構造のくくりわなの実証も始まっておりますことから、県としましては、その効果を見きわめながら地域への普及を図ってまいります。  信州産シカ肉認証制度についてのお尋ねでございますが、認証制度につきましては、県内12店舗で、認証シカ肉とその加工品を販売する大手スーパーマーケットに加えまして、県内外の大手ホテルや、高価格帯の周遊型寝台列車を運行する鉄道事業者など、その品質の確かさから認証施設を指定した取引先が増加するなど、認証制度の認知度や評価は高まっておりまして、消費拡大に貢献していると考えております。認証制度により、ジビエ製品の付加価値を高め、安定的な生産、出荷に資することで、地域における捕獲意欲の向上に引き続き努めてまいります。       〔11番花岡賢一君登壇〕 ◆11番(花岡賢一 君)再犯防止について申し上げると、入ってきた時から思ったんですが、大月部長さん、胸につけているのは黄色い羽ですか。社会を明るくする運動のシンボルマークですね。来月7月は、再犯防止啓発月間であります。  また、ジビエの振興について申し上げると、移動解体車等さまざまなアプローチを重ねてまいりました。もともと有害鳥獣などの問題意識を私が持ったきっかけは、錯誤捕獲でその猛獣のとめ刺しを行った際に、狩猟期間との関係で処罰の対象となった例があったからです。生態系から気候変動など急速的に変化している環境の中で、常に柔軟な対応が行われ、他県や諸外国に誇れる政策構築を願い、私の質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時21分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(荒井武志 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  高村京子議員。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)ひきこもり状態にある方々への支援について伺います。  県は、ひきこもり状態にある方々の調査を、市町村を通じて、県内民生委員、児童委員さんの協力を得て実施し、結果を公表されました。ひきこもり状態にある方々のことを初めて調査されたことを評価させていただき、調査にかかわった皆さんの御奮闘に敬意を表します。調査の結果2,290人との発表です。若者から40歳、50歳、さらに60歳になる方もおられ、10年近くひきこもっている方が4割です。本人も家族も、どうしたらひきこもり状態から抜け出せるのか悩んでおられると思います。  昨今、ひきこもり状態にあった家族間の悲惨な事件が起きており、社会的不安やひきこもりの人々を犯罪予備軍と見てしまう世論もあることが危惧されます。県は、今回の調査から、ひきこもり状態にある方や家族の状況をどのように受けとめておられるのか、大月健康福祉部長に伺います。  若者を対象にした就労支援などの相談窓口「まいさぽ」が各地にありますが、10年以上社会に出ることができずに40代、50代と長期にわたり家庭内にひきこもり状態にある方々や、対応に悩む家族に対する相談支援はどうでしょうか。長期にわたりひきこもり状態にある方々の相談は専門性を持った人の配置が必要だと考えます。専門性がない窓口では、相談しても本気で対応してもらえずに、家族はさらに追い込まれて悲惨な事件につながったこともあります。現在の相談体制はどのようになっているのか、伺います。  ひきこもることで人生の充電期間とされているケースは温かく見守りましょう。しかし、精神的治療や関与が必要な方もいらっしゃいます。県精神保健福祉センターでは、小泉所長をトップに精力的に活動されており、定員2名のところを心理士2名と保健師1名、計3名で活動されていますが、さらに県内各地での相談体制支援をと奮闘されておられます。県精神保健福祉センターの奮闘を初め、県が示す相談窓口の体制の充実も必要と考えます。深刻な事態になる前に相談やSOSを発信することができ、適切な対応ができるように各相談窓口間での連携も強めつつ、相談窓口の存在を社会に周知することが必要です。また、悩んでいる家族を勧誘し、ひきこもりの人を強引に連れ出してケアが劣悪な施設に送り、高額を請求するなど悪質業者の問題があります。このような悪質業者の介入では、家族関係がさらに悪化することになります。県として、このような詐欺的行為や人権侵害にもなることに対し、注意喚起などの対策が必要と考えます。  以上、大月健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)ひきこもりについて2点御質問をいただきました。  まず、今回の実態調査の結果、ひきこもり状態にある方や家族の状況の県としての受けとめについてございます。  今回県として初めて実施したひきこもりの実態調査により、2,290名の方がひきこもりの状態にあり、若年層に加えて高い年齢層にもひきこもりの方が多数いること、ひきこもりが長期化、高齢化している実態が明らかになりました。  ひきこもりは、不登校、病気や失業などさまざまな要因を契機として誰にでも起こり得る問題であります。人々の理解と地域社会や行政等の適切な支援があれば社会とつながりを取り戻すことができる問題であるというふうに考えております。  しかし、ひきこもり問題の背景には、社会のあり様があり、社会から孤立してしまっている個人や家庭の存在、地域の支え合いの力の低下等日本社会が抱えるひずみが影響しております。これまで、当事者や家族が相談できず、抱え込み、悩んでいたひきこもりの問題を、今回の調査を契機に、個人の問題ではなく、社会全体の問題として受けとめ直し、関係部局が連携して包括的な支援をしていくことが必要と考えております。  次に、長期のひきこもり状態にある40代、50代への相談・支援体制の充実についてでございます。  県では、調査結果を6月18日に発表した際に、当事者及び御家族に向けて、悩みを抱え込まずに相談機関に相談してほしいと呼びかけを行いました。  具体的な相談先としては、身近で寄り添い支援につながる市町村窓口を基本とし、身近で相談しづらい方には県ひきこもり支援センター、24の生活就労支援センター「まいさぽ」、4カ所の県子ども・若者サポートネットなどの相談・支援機関で対応することとし、こうした機関をしっかり周知させていただくことによって具体的な相談や対応につなげていきたいと考えております。  こうした窓口においては、長期にわたってひきこもり状態にある40代、50代の方に対して、相談される方々の思いや悩みを丁寧に受けとめ、個々の事情に応じて自立に向けた就労支援や生活保護制度などのセーフティネットにつなげております。  ひきこもりの支援のためには、今後の相談体制の充実は重要であると認識しております。今後予定している市町村等との意見交換や専門家等から御意見を伺う中で、当事者や御家族が相談しやすい、また、どの相談窓口へ行っても必要な支援機関にしっかりつながる連携の仕組みの構築に取り組んでまいります。  詐欺的業者等についての注意喚起というお話でございました。こうした問題も非常に重要だと思いますので、県の関係機関で情報共有をしながらしっかり県民の皆さんに注意喚起をさせていただきたいと思います。
     以上でございます。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)県として初めて調査をしていただきました。このひきこもり状態にある方々の悩みや苦悩を、それぞれの窓口で連携を強化し、体制を強めていっていただきたいと思います。  次に、国民健康保険について伺います。  国民健康保険の保険料、税は、払いたくても払えない高額の保険料となっています。国保加入世帯は年金で生活する人や非正規労働者など低所得の世帯が8割近くを占め、年間収入が200万円以下の世帯が7割です。協会けんぽの2倍にもなる高い保険料で、収入の1割以上にもなり、生活費を優先すると保険料を払えない滞納世帯も出ています。医療にかかれず、重症化し、若くして死亡する事例も県内で起きております。  軽減のための市町村の独自努力については、1月に県が通達を出し、困窮世帯の実態等に丁寧な配慮を要請されたことは歓迎します。一方で、国は、激変緩和の縮小と県内保険料率の統一化を求めています。2018年度の県内国保1人当たりの保険料は、最高が上高井郡小布施町の11万8,946円、最低が下伊那郡大鹿村の3万9,344円で、格差は約3倍です。2月の国庫運営協議会での議論では、地域の医療体制に大きな差がある中で保険料統一では不公平感が強いとの御意見がありました。今年度、国保料、税水準統一に向けたロードマップ策定のため、ワーキンググループにおいて今後の方向を検討するとしていますが、ワーキンググループに求める議論に付す内容は何でしょうか。県民的な議論や77市町村の意見を聞く場を設けつつ検討すべきと考えますが、ワーキンググループに託す内容と進め方について大月健康福祉部長に伺います。  国保料が協会けんぽの約2倍と高いのは、均等割の負担があることです。子ども・家族税とも言える負担のあり方は問題です。子育て世帯への支援策としても、均等割制度の廃止を国に求め、国庫財源の大幅な拠出を強く求めていただきたいと思います。市町村独自の国保料引き下げのための法定外繰入等については、2月県議会の山口県議の代表質問でも確認されましたが、市町村の自主的努力として引き続き尊重する立場と確認させていただきますが、いかがでしょうか。  県としても、高い国保料の引き下げのために財源拠出をすべきです。例えば、国保料を払えば生活保護水準以下になるような世帯に対して独自財源拠出で支援するなどいかがでしょうか。大月健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)国民健康保険についてお尋ねをいただきました。  まず、ワーキンググループに託す内容と進め方というお尋ねでございます。  長野県国民健康保険運営方針では、国保料の統一に向けて具体的な目標年次や方向などを示すロードマップを来年度中に策定することとしております。この策定に向けて、県では、市町村と協議し、課題に則した検討を図るため、市町村の実務担当者による医療費、保険料、市町村事務標準化の三つのワーキンググループを5月に設置し、年内に4回開催し、ロードマップの素案を作成する予定であります。この議論の中では、保険料の引き下げにつながるような医療費適正化や健康づくりの推進を図る取り組みの検討も行う予定でございます。  県民及び市町村の意見を聞く場を設置することについてでございます。今後、ワーキンググループでの検討を進めていく中で、10の市町村の首長で構成する県市町村国民健康保険運営連携会議や同じ市町村の課長級職員で構成する同幹事会の議論を経て作成しますロードマップの原案をもとに広域単位で市町村長のお考えも直接お聞きすることとしております。  また、このプロセスの節目において、市町村へは、それぞれの住民の皆様の意見を十分お聞きするよう要請をするとともに、パブリックコメントを行い、県民の皆様の御意見をしっかりとお聞きし、意見の反映に努めてまいります。  次に、国保料、国保税の均等割の廃止と財源拠出の国への要請等についてでございます。  まず、国民健康保険制度は、医療保険制度として被保険者の方々が所得等に応じて保険料を負担し合う中で成り立っている制度であります。直ちに均等割を廃止するというのは難しいと考えます。  しかし、一方で、国保保険料の均等割は逆進性が高く、子供が多い世帯ほど保険料負担が重くなる課題があり、子育て世帯や低所得世帯に対する十分な配慮を行っていくことは重要と認識しております。これまでも、国に対して、全国知事会等を通じ、子供に係る均等割保険料軽減措置の導入を要望してきており、去る6月3日にも県独自で国に対して要望したところであります。  市町村独自の努力についての見解でございますが、国民健康保険の健全な運営としましては、基本的な方向として、国や県からの公費と保険料により医療費等を賄っていくべきものと認識しておりますが、市町村が行う医療費適正化などの保険料引き下げの努力は現時点の制度では認められているというふうに認識しております。  県から市町村国保への財源拠出についてでございます。今年度当初予算において、被保険者の保険料負担の軽減のため、県一般会計から県国保特別会計に対して120億円の拠出金を計上しているほか、低所得者に対する保険料軽減対策のため、主に市町村が繰り入れを行う経費の4分の3に当たる58億円の負担金を計上し、被保険者の保険料負担の軽減に県としても努めております。  県として必要な対応をしておりますが、もとより、国民健康保険制度は社会保障の根幹をなすものであり、国が財政的には責任を持つべきものと考えております。引き続き国保定率負担の引き上げなどさまざまな機会を捉えて国に対して要望をしてまいります。  以上でございます。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)御答弁いただきました。けれども、国保、これは社会保障制度の根幹であるということをしっかりと述べていただきました。やはり、暮らしや健康を支えていく、そのための国保の制度設計が待たれていると思います。特に、ワーキンググループでは非公開で行うということでありましたが、県民に開かれた形で議論を進めていただくよう求めておきます。  国保料が高くて払えない、保険証がもらえない、滞納が重なると窓口にも行きにくく、滞納額が高額となり、県の地方税滞納整理機構による収入や財産の差し押さえが強制的に行われ、暮らしも健康も維持できず、一層困窮状態に押しやる事態が起きています。  私に相談があった事例を述べます。自己破産などで困窮した4人家族。100万円以上の滞納があります。地方税滞納整理機構から督促がきました。世帯主は、年金に加え、ダブルワーク、スリーワークで頑張り、息子さんのアルバイト代を含めると月に家族で38万円ほどの収入がありますが、8月から28万円を差し押さえると通達が来ました。4人家族で月10万円の生活費しか残らないのです。最近、妻が重病となり、医療費が多額にかかる事態となり、地方税滞納整理機構に何とか月28万円の差し押さえを減額してほしいと相談に行きましたが、それはあなたの都合ですと冷たい対応でした。私も一緒に地方税滞納整理機構に行き、上司を交えて現状をよく聞いていただき、生活費と妻の医療費とを残し、月ごとの返済金を何とか引き下げてもらうことができました。このようなことがこの1件だけとは思えません。重大な人権侵害ではないでしょうか。  この事例から、地方税滞納整理機構でも、相談者の命と健康が守られ、暮らしを保障することを原点とすべきではないでしょうか。人権を尊重しつつ、生活状況や訴えをよく聞き、丁寧な対応を求めますが、関総務部長に見解を伺います。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)国民健康保険の地方税滞納整理機構での対応についてのお尋ねであります。市町村では、国民健康保険料、税を滞納している方のうち、納付の約束を守られない方や資産や収入があるにもかかわらず納税をされない方など、大口あるいは処理困難な案件について地方税滞納整理機構に案件を移管しております。  滞納整理機構では、まず滞納者に対し事案引受通知書兼納税催告書を送付して納税を促しますが、滞納者から不測の事故や親族等の病気などの理由で生活の維持や事業の継続が困難であると具体的な御相談を受けた場合には、それらを十分に考慮し、差し押さえの可否や徴収緩和条件の決定などの対応を行っております。  以上であります。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)地方税滞納整理機構の約30%は国保料滞納の世帯です。また、延滞金ですが、何と8.9%で、納付金は雪だるま式に膨れ上がることも問題として捉えていただかなければいけないと思っております。国保は命と健康を守るもの、困窮している世帯や滞納世帯に対して、生活実態に寄り添い、憲法25条の精神に沿った対応が求められています。  国保44条にある特別な状況が発生した場合には、市町村長の判断で医療費負担軽減ができることになっていますが、実際には、大きな災害のときくらいしか対象とされず、国保世帯が病気になった、失業した、世帯主が亡くなったなどの深刻な経済状況の悪化を役場に申請してもなかなか医療費の免除をしてもらえない事態があります。  国保44条による救済を求める申請が実効性があるものにしてほしいと私が2月県議会の一般質問で求めましたところ、国保主管課長会議等で基本的な考えをしっかり説明するとの御答弁でしたが、その後具体的な対策をどのようにとられたのでしょうか。また、同じように、国保77条によって突然昨年の収入以下の困窮状態になった場合に保険料減の減免申請ができますが、これも県として市町村が具体的に実行できるように検討してください。国保44条と77条の具体的対策を大月健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)国民保険の減免適用の実効性ある取り組み及び具体的な救済対象についてという御質問をいただきました。  まず、本年4月24日に開催しました市町村・国保組合国民健康保険主管課長会議の中で、国保料や一部負担金の減免に関して運用基準を未策定な市町村においてはまず策定していただく、そして、制度について広報誌等を活用して周知していただく旨の依頼を行いました。また、全市町村に対して書面により改めて通知をしております。  7月下旬に予定している生活就労支援センター拡大会議及び8月上旬に開催する国民健康保険担当者研修会においてもこの旨徹底してまいります。  減免による具体的な救済対象についてでございますが、国は、国民健康保険法第44条の規定による具体事例として、世帯収入額が生活保護法の基準額以下であり、かつ預貯金が同基準額の3カ月分以下である世帯の場合について入院療養費の一部負担金を減免するといった例を市町村に通知しております。  国の示す事例も含め、市町村においては、減免期間の延長や入院だけでなく外来診療も対象とするなどの対応を行っている市町村もございますので、こうした基準を市町村で決めて対応するよう引き続き依頼をしてまいります。77条の減免についても同じ対応をしてまいりたいと思います。  以上でございます。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)大北森林組合の経営状況と今後の見込みについて伺います。  大北森林組合に対し、県は、不正支給された補助金返還金約8億5,000万円を33年間で返還するとの森林組合の計画を承認し、経営改善に向けて援助、支援していく方向を示してきましたが、現在の大北森林組合の職員体制や経営状況は非常に厳しい状況となっております。今後補助金返還は計画どおりに実行可能と考えておられるのか。  また、国から県が課せられた加算金3億5,000万のうち647万円余、さらに、時効としていた2年分の追加額損害賠償6,100万円も追加請求しました。組合側は、賠償責任を素直に受けとめることは困難であるとの立場で県との折衝を重ねているとしています。県はこの件についてどのような対応をされるのですか。2点について井出林務部長に伺います。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)大北森林組合の経営状況と補助金の返還についてのお尋ねでございます。  5月30日の総代会で承認された大北森林組合の30年度決算においては、組合の森林整備など事業の実施に伴う損益が、昨年度より赤字幅は縮小したものの、引き続き赤字となっている状況です。  これは、職員の退職等に伴い組合の事業実施体制が十分でないこと等により、森林所有者の取りまとめなど手間のかかる森林整備事業の実施が減少していること等が大きな理由であると認識をしております。  一方で、補助金の返還については、組合の策定した補助金等返還計画に基づき、平成30年度まで計画どおりに返還されております。組合においては、令和2年度までを集中改革期間として位置づけ、この間での経営の立て直しを目指すとしているところであり、事業損益の赤字幅は着実に縮小しているなど一定の改善は見られているところでございます。  県としては、引き続き、補助金等が確実に返還されるよう、組合の再生に向けて必要な指導、支援を行ってまいります。  次に、加算金に係る損害賠償請求への対応についてでございます。  大北森林組合に対する加算金相当額の損害賠償請求については、森林整備事業のうち、事後的にも施業が行われておらず組合が責任を負うべきものに限定した上で、県職員と重複する部分について2分の1とした約600万円を昨年6月に請求したものでございます。  大北森林組合からは、昨年10月に損害賠償請求額の減額を求める要望があり、これに対して、同年11月に請求額の減額には県民、議会への合理的な説明が必要である旨の回答を行ったところでございます。このほか、理事会での説明や意見交換などを行ってまいりましたが、引き続き請求の内容や根拠等について丁寧に説明するなど、組合の理解を求めてまいりたいと考えております。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)大北森林組合の経営実態については、井出林務部長と私どもの調査では認識が違います。昨年度は800万円の赤字の予想を大幅に下回り、実際には1,300万円もの赤字となっております。この1年間の経過だけでも大変な厳しい状況だと再認識するわけでございます。  最後に、知事に伺います。  大北森林組合の赤字は増しており、経営は非常に厳しい状況です。現状では、補助金返還が計画どおり実行できるのか、県民から見ても大きな疑問、不安が生じております。約9億円にも上る補助金返還ができる経営に向けて県の責任は大きく問われていると思います。もっと積極的な支援が必要ではないでしょうか。大北森林組合に県としてどのように支援されるのか、阿部知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大北森林組合に対する支援についての御質問でございます。  大北森林組合の経営の健全化に向けましては、組合の本来業務であります森林整備事業の本格実施に向けた条件整備、そして、それらを支える役職員一体となった取り組みの強化が最重要課題だというふうに考えております。  このため、県といたしましては、本年1月から本庁の課長級職員を北アルプス地域振興局兼務といたしまして、制度面、技術面を含めて、より強力な指導、支援に取り組んでいるところであります。また、林業政策に専門的知見を有した方の紹介等を行っているところでございます。加えて、森林組合の指導機関として県の森林組合連合会も人的支援を行っておりまして、こうしたことにより組合の事業実施体制の強化を図っているところでございます。  県としては、事業全体あるいは経営状況の的確な把握、進捗管理を行いますとともに、森林整備推進のための計画の策定や森林調査等への実効性ある指導や支援、そして、市町村との調整等を積極的に行っているところでございます。  今後とも、大北森林組合が地域の森林整備の中核的な担い手としての役割を十分発揮し、あわせて補助金等の確実な返還がなされますよう、指導、支援の両面から取り組んでまいります。  以上です。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)県としても的確に進捗状況を把握して、返還の実効性があるように市町村との調整なども行いながら支援をしていくという御答弁ですけれども、御報告もありましたが、5月に行われた大北森林組合の総代会の収支報告では、この間、1億6,000万円余に上る累積赤字となっております。計画どおり返還されていくのか大変心配でございます。  この間、森林組合の元組合長は、責任を重く感じ、補助金不正受給期間の6年分の報酬4,000万円と不動産の一部を自主返納する形で責任を果たしたとお聞きしております。また、森林組合の職員体制は、9名から、今年3月には3名が退職するなど厳しい職員体制が続いております。今後の事業拡大に支障を来す状況ではないでしょうか。  県内各地の森林組合の状況を見ても、数千万円の黒字が出ると、こういう状況にはないわけです。厳しい状況の中で大北森林組合の役職員の皆さんは本当に不安な思いで日々頑張っておられるのではないでしょうか。  長野県のこの事件の責任ある対応として、大北森林組合が再生できるようにしっかりと御支援をお願いしたいということを申し上げて、私の質問を全部終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(荒井武志 君)次に、池田清議員。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)改革・創造みらい、長野市・上水内郡選挙区選出の池田清です。通告に基づき質問をいたします。理事者の明快で前向きな答弁を求めます。  初めに、学校に行かない、または行けない児童生徒への支援についてお伺いいたします。教育長にお伺いいたします。  学校に行かない、または行けない児童生徒への支援は、本県義務教育における最重要課題の一つです。全国平均を上回り、高どまりしていると言われる学校に行かない、または行けない児童生徒の小学校、中学校における現状の在籍率についてお伺いいたします。  あわせて、市町村教育委員会の支援体制はどうなっているのかについてお伺いいたします。また、長野県不登校対策検討委員会等ではどのような議論がされているのか、お伺いいたします。  2017年2月に教育機会確保法が施行され、2年が経過しました。当初の法案には、不登校の子供たちの居場所となるフリースクールや自宅での学習など、学校以外での学習も義務教育として認められることが盛り込まれていましたが、国会での審議で削られました。学校に行かないことを安易に認めるべきではないとか学校に行かないことを助長するという意見もあります。一方で、休んでもよい、学校以外の場の重要性を認めたことは画期的です。子供も保護者も休むことを認めることで、自分を否定しなくてもよくなり、自己肯定感につながります。また、休むことを認める以上、居場所としてのフリースクールなどとの連携も重要になります。これまでの学校復帰を前提とし1人でも多くの児童生徒を登校させようとしていた取り組みについては見直しが必要と考えます。教育機会確保法を本県教育行政にどのように具現化していかれるのか、伺います。  フリースクール等民間団体との連携について県民文化部長にお伺いいたします。  教育機会確保法は、学校以外の居場所として、フリースクール等との連携、支援を求めています。フリースクールは設置基準がないため、運営主体や活動はさまざまです。  不登校等支援活動団体を紹介します。長野市のブルースカイ、正式名称は登校拒否を考える親と子の会でありますが、子供や親の居場所として1990年5月に発足しました。不登校、ひきこもりに悩む子供たちや若者の居場所として、現在は長野市障害者福祉センターで活動しています。  昨年7月、永年の活動が評価され、公益財団法人社会貢献支援財団から社会貢献者表彰を受賞しました。まだ登校拒否について社会的に関心があまり高くない1990年、我が子の現状と将来に不安でいっぱいのお母さん5人でスタートし、30年近くの長きにわたって困難な状況でも黙々と努力してこられた功績、先駆性、独自性、模範性などを備えた活動が評価されたもので、関係者の喜びはひとしおであったと推察します。心から敬意を表し、お祝いを申し上げます。  ブルースカイなどフリースクール等民間団体の現状についてどのように把握されているのか県民文化部長にお伺いいたします。また、県とフリースクール等民間団体との連携を進めるべきと考えますが、見解をお伺いします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、不登校児童生徒在籍率の現状でございます。  年間30日以上の欠席がある不登校児童生徒の在籍率は、平成29年度、小学校で0.64%、中学校で3.19%であり、増加傾向が続いているところでございます。  次に、市町村教育委員会の支援体制ですが、多くの市町村が教育支援センターを設置しておりますが、その中には、一人一人の実情に応じて職員による訪問指導を実施しているところもございます。また、教育委員会と学校担当者による不登校対策委員会を定期的に開催し、現状の分析に基づいた取り組み計画を作成している例や、福祉部局と連携し、生活困窮世帯等のひきこもりや不登校等の子供に対して学習支援協力員が家庭訪問による学習・生活支援を実施している市町村もございます。  次に、県における議論でございますが、市町村教育委員会の代表者及び市町村行政関係者、学校関係者、学識経験者等をメンバーとして協議を行っております。例えば、平成29年度は、教育機会確保法の成立を受け、国の基本方針を勘案した上で、本県における現状と課題を踏まえた不登校未然防止及び不登校児童生徒への支援のための行動指針を協議の上で策定したところでございます。  平成30年度は、新たにフリースクール代表者にも加わってもらい、協議をいたしました。その中で、フリースクール代表者からは、時間割や規則にとらわれない自由な遊びの中で個に応じた学びに取り組む子供の姿の紹介や、学校との連携についての発言では、相談が学校のほうから来ることもある。保護者から相談があれば、学校に一緒に伺うこともあるといった発言があったところであります。  これを受けて、学校や市町村教育委員会の代表者からは、フリースクールの発表を聞き、子供たちの学びについて学校教育に取り入れられる部分もたくさんあると感じたという感想もあったところであります。多様な学びや相互の連携の重要性について認識を深めたところでございます。  次に、不登校対策の見直しと具現化についてであります。  法の理念を実現するためには、まず、学校において児童生徒の社会的自立に向けた学びを実現するとともに、学校が唯一の学ぶ場として学校復帰のみを前提とする考え方や、不登校を問題行動と捉える認識の転換が必要だというふうに考えております。  一方で、児童生徒の実情に応じた多様な学びの場という点では、まだまだ選択肢は不足している現状だと思います。そのため、8月3日に開催する政策対話では、「学校へ行くことが難しい子どもたちへの学びの支援について」をテーマに議論をする予定です。また、7月から、市町村教育委員会と県教育委員会との懇談会を県内4ブロックで開催し、この中でも議論をする予定となっております。  今後、これらの議論を踏まえ、学校における学びのあり方や多様な学びの場の設置、学校とフリースクール等民間団体との連携など知事部局とともに検討してまいりたいというふうに考えております。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)私の方からは2点御質問にお答えいたします。  フリースクール等の民間団体の現状についてでございますけれども、県と県教育委員会が現段階で把握しておりますフリースクール等民間団体は53カ所でございます。これらの団体では、子供とのかかわりを大切にしながら生活や活動を支援されていると承知しております。一人一人の実態に応じて活動内容を設定され、中には、在籍校と連携して、学校からプリントを送ってもらって、それをもとに教科学習をしているところや、社会性を身につけるために自分たちで計画を立てて遠足をしているところもあると聞いております。  今年度、県民文化部の職員がこれらの民間団体のうち7カ所を訪問して直接お話を伺っております。そこでは、団体の方から、学校や市町村教育委員会とさらに連携、協力をしていきたい、安定した運営を継続していくことが難しいといった希望や課題が示されたところでございます。  フリースクール等民間団体と県との連携についてでございますが、フリースクール等の民間団体は、不登校の子供たちの多様な学びの場や自立の場を確保する上で大変重要な役割を果たしていると認識しており、県と民間団体との連携をこれまで以上に進めていきたいと考えております。  これまでは、県内のフリースクール等民間団体の代表である「不登校を考える県民の会」との懇談会、あるいは同会が主催されます学習会や「不登校を考える県民の集い」の周知への協力と県職員も参加しての意見交換を行ってまいりました。  今後は、先ほど教育長からも答弁がございましたが、8月3日に開催する「学校へ行くことが難しい子どもたちへの学びの支援について」をテーマとした政策対話を初めとして、教育委員会とともにフリースクール等民間団体の方々から意見を伺いながら対話、連携を深め、学校へ行くことが難しい子供たちへの支援を進めてまいります。
     以上です。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)教育委員会、知事部局、それぞれの行政の垣根を越えながら、横断的な横串を差しての支援が大変重要だということがわかると思います。これからぜひとも一歩前進をして、進めていっていただきたいと思います。  次に、母子生活支援施設について2点、県民文化部長にお伺いいたします。  1点目です。母子生活支援施設は1932年(昭和7年)に施行された救護法に母子寮として位置づけられましたが、1998年(平成10年)に改正された児童福祉法で、母子生活支援施設に改称し、母子の保護から「保護するとともに、生活を支援する」という変化した役割を担うこととなりました。母子が一緒に生活しつつ、ともに支援を受けることができる唯一の児童福祉施設という特性を生かし、保護と自立支援機能充実が求められる施設なのですが、近年はDV被害に対応する避難シェルターとしての役割が大半を占めているとのことです。  また、施設の老朽化、トイレ、風呂の共用など、利用者のニーズに合っていないこともあり、入所世帯が減少し、施設運営は厳しいと伺います。  一方で、子供の貧困、生活困窮など、母子家庭を取り巻く生活環境が悪化する中で、母子家庭は増加傾向にあり、母子生活支援施設のニーズは拡大していると考えますが、こうした状況を踏まえ、県内にある3施設の現状と課題についてお伺いいたします。  2点目、県の支援についてお伺いいたします。  老朽化している施設の改修、施設利用者のみならず、母子世帯の生活相談を行う専門性を高めるための職員研修、また、利用者が本県のみならず広域にわたることなどから、設置市だけに任せるのではなく、県の財政支援を含め、積極的に支援すべきと考えます。県民文化部長の見解をお伺いいたします。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)2点御質問を頂戴いたしました。  1点目の母子生活支援施設の現状と課題についてでございますが、県内に現在設置されております3施設は、長野市の施設が昭和52年、上田市の施設が同54年、松本市の施設が平成元年の建設で、いずれも建設から30年から40年たっているところでございます。いずれの施設も、経年劣化による老朽化が進んでいるほか、トイレ、風呂が共用であることや、食堂やリビング等が共用施設となっており、そこではプライバシーが確保できない構造となっていると承知しております。また、利用者数は減少傾向にありますが、そうしたことが入所希望者のニーズに合っていないことが要因と考えられるというふうに聞いております。  母子生活支援施設につきましては、議員御指摘のように、従来からの役割である児童福祉法に基づいた経済的に困窮している母子世帯の保護、生活自立支援のほか、広域的にDV被害者を保護する役割、父親が行う虐待ケース等において母と子を一緒に保護する役割など多様化した役割が求められております。このため、これらの役割を担う施設をどのように維持しニーズに応えていくかが課題であると認識しております。  次に、母子生活支援施設の体制整備に係る財政支援についてでございます。  3施設の改修につきましては、設置主体であるそれぞれの市がまずは御検討されることと承知しております。支援策としては、国庫補助制度もございますが、設置主体や改修等の方法により支援できる内容が異なっておりますので、今後、設置市から具体的な相談があった際には、県として支援が可能かどうかも含め、市の考えを十分にお聞きしながら一緒に検討してまいりたいと考えております。  また、専門性の向上については、これまでも、これらの施設の職員に県が主催する研修に参加いただいておりますが、引き続き研修機会の充実等により支援に努めてまいります。  以上です。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)3施設は、公設公営、公設民営というような運営形態をしておりますので、民設民営のようにさまざまな補助金を得ることがなかなかできない環境もあります。ぜひとも県としてもしっかり支援をしていただきたいというふうに思います。そういった面では、部長にも一度現場を見ていただきたいというように思いますので、お忙しいとは思いますが、お時間をいただければと思います。  さて、次に3点目の質問です。丹波島橋の渋滞解消についてお伺いいたします。  朝夕の通勤時間帯における国道117号線、丹波島橋の渋滞は、長野市南部地域住民のみならず、隣接する千曲市民、そして高速道路を利用し、長野インターチェンジでおり、長野市街地に向かう他県の観光客、運送事業者の皆さんなどにとっても大きな問題です。  20年前に市議会議員に初当選し、初めての本会議で、地元議員として渋滞緩和について質問しました。20年近く経過しましたが、渋滞は緩和するどころか、さらに深刻化しています。  市南部の五つの地域には約13万人が暮らしています。昨年、長野市南部地区交通渋滞対策協議会が結成されました。そして、運動を展開しています。県都長野市の中心市街地に向かう南の玄関口とも言える丹波島橋の渋滞解消は待ったなしで取り組まなければならない課題と考えます。  長野県を初め、長野市、千曲市など5市3町で構成する長野都市圏総合都市交通計画協議会において計画が策定されました。丹波島渋滞対策の検討結果はどうなっているのか。また、計画実現に向けて、新橋の建設を含め、長野市と連携しながら地元住民の要望に応えるべきと考えますが、いかがでしょうか。建設部長にお伺いいたします。  ソフト面の対策も重要です。橋を渡る自家用車の大半は運転する人のみの一人乗りです。パークアンドバスライド、BRTの導入など長野市が進めようとしているマイカーから公共交通への乗りかえを促進する取り組みに対し県の支援についてお伺いいたします。  また、バス利用者の利便性向上のため本年4月から長野、松本エリアで運用が始まったバスロケーションシステムの利用者の評価について、企画振興部長にお伺いいたします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)丹波島橋の渋滞対策についてのお尋ねでございます。  丹波島橋の渋滞は、犀川より南側から長野駅及びその周辺の長野市中心部に至る通勤交通が朝の短時間に集中し、かつ、そのルートが限定的であることが要因であると認識しております。  この渋滞の解消の方策としては、丹波島橋及び前後の現道を拡幅し、車線数を増やす方法も考えられますが、現道の拡幅には沿道建築物の移転など莫大な費用と長い年月が必要となってしまいます。このため、本年3月に改定しました長野都市圏総合都市交通計画では、丹波島橋前後の交差点を含めた一連の区間の交通容量の拡大のほか、犀川部新橋など他路線への交通量の転換、パークアンドライドの実施、バスの所要時間等の情報提供、バス専用レーンの有効活用など、ハード、ソフト両面でさまざまな対策を検討することとしております。  こうした対策を総合的、効果的に検討、実行していくためには、関係機関の連携が不可欠と考えており、長野市、県、県警察本部が参画する丹波島橋渋滞解消に関する研究会を近々立ち上げ、対策の具体化に取り組んでまいります。  以上です。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)長野市の公共交通利用促進に関する取り組みに対しての県の支援などについての御質問です。  御紹介いただきました長野市の取り組みは、県も参加しております長野市公共交通活性化再生協議会において議論されたものでございまして、この協議会と長野市が主体となって今年度から実施されるものと承知しております。協議会メンバーでもある県としましては、この取り組みを通じまして、自家用車から公共交通への転換が円滑に進みますよう、観光交通案内アプリ「信州ナビ」にパークアンドライド情報を掲載するほか、アプリのプッシュ機能という通知機能を使ってPRするなど情報発信の面で支援していく考えでございます。  また、長野と松本エリアで始まりましたバスロケーションシステムの利用者の評価という御質問です。これは、走行中のバスの現在位置を確認できるシステムですけれども、この機能を「信州ナビ」に追加したところ、この2カ月間でアプリのダウンロード数が3万9,000件から4万9,000件と1万件増加しております。また、実際に利用された方から便利だという声も多くいただいていることから一定の評価をいただいているものと認識しております。一方で、操作がわかりにくい、時間帯によっては通信が遅いといった御不満もお聞きしておりますので、こうした声も踏まえまして、利用者にとってより使いやすいシステムとなりますよう改善に努めてまいります。  以上です。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)丹波島橋の渋滞解消に向けて研究会を立ち上げるという御答弁をいただきました。これは、具体的に、時期等も含めて関係者には案内を行っているのでしょうか。具体的な時期も含めまして建設部長にお尋ねします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)長野市、県警察本部が参画する丹波島橋渋滞解消に関する研究会の立ち上げ時期についての御質問でございますが、具体的な日にちはまだ決まっておりませんが、近々立ち上げさせていただきたいというふうに思っているところでございます。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)近々ということで、大変心強く思っております。そんなに遠くない中、長野市選出の議員の皆さんともしっかり連携しながら取り組むべき大変大きな課題であるというふうに思いますので、よろしくお願いします。  また、バスロケを含めて県の方で支援いただいておりますこのシステムですが、さまざまな課題もありますし、また、より利便性を高めるために、さらには使い勝手がいいようにこれからも改修を進めていただいて、バスが来ないイライラ感、とりわけ寒い中で風が吹きつけるようなバス停でお待ちいただいている皆さん方のイライラ感をしっかり解消するために、バスへの誘導をしていただくロケーションシステム等のシステムを変更し、アップしていただきますようよろしくお願いいたします。  以上をもちまして私の質問を終わります。 ○副議長(荒井武志 君)次に、丸茂岳人議員。       〔9番丸茂岳人君登壇〕 ◆9番(丸茂岳人 君)自由民主党県議団、茅野市・原村・富士見町選出の丸茂岳人です。通告に従い、順次質問させていただきます。  まず、大項目1番として、県内大学の存在意義について伺います。  少子化による18歳人口の減少や東京及び大都市圏への若者の流出は加速しており、地方においては今後大幅に生産年齢人口が減る可能性が高く、地方の存続が危ぶまれております。東京及び大都市圏への若者流出の最大の要因は大学等への進学及び就職であり、この流れに歯どめをかけることは容易なことではなく、政府も、東京及び大都市圏への一極集中を是正するべく、地方大学の振興、地方での雇用環境の確保に向けた取り組みに着手していますが、抜本的な解決方法になっていない現状であるかと思います。  かような状況下、地方大学の存在意義が問われており、この数年で、多くの地方で経営上の問題から私立大学が公立化する動きも見られています。  また、地方の大学が経営に行き詰まった背景には、少子化や若者の都市への流出だけでなく、さまざまな複合的要因があると思います。一つには、地方における進学の選択肢の少なさが挙げられます。大規模な有名大学は大都市にあり、特に、東京や京都の大学の進学者収容力は200%前後と突出していますが、多くの地方都市では100%を切っており、そもそも、地方の学生が地元で進学しようにも、収容人数そのものが足りておらず、選択肢も限られている現状があるのではないでしょうか。特に、長野県は進学者収容力が42.4%程度と低い状況にあるかと思います。さらに、バブル経済崩壊後の1993年から2000年代半ばまで続いた就職氷河期においては、地方の私立大学からの就職は厳しい状況にあり、各地域の国立大学やよほど特殊性のある学びができる私立大学以外においては顕著に入学者数が減っていき、経営難に陥るところも少なくなかったという考察もあります。  では、少しでも大都市への若者の一極集中を回避し、地方の大学に魅力を持たせ、人を集め、地域に貢献するためにはどうするべきか。また、そもそも地方における大学の役割とは何か。その地域において存在意義を発揮し、地域で輝く存在となり、末永く存続するためにはどのような取り組みができるのか。県としてのお考えをお聞きします。  小項目の1番として、県内大学の役割についてお伺いします。  この数年続いてきた好景気と人口減少から、地方の有効求人倍率は高水準にあり、長野県全体の有効求人倍率も2018年度で1.70と過去最高の水準にあります。これは、企業において人手不足が顕著になっていることのあらわれとも捉えることができると思います。こうした中で、県内大学の卒業生の県内企業への就職の現状、また、企業と大学を結ぶマッチングのような取り組み、インターンシップ制度の現状や事例についてお示しください。また、県内大学の卒業生が県内企業に安定して就職する実績をこれまで以上に上げていくために、県としてこうした事例をもとにどのような取り組みを行っていくべきと考えるか、県民文化部長にお伺いいたします。  小項目2番として、企業と大学の共同研究及び産学官連携についてお伺いします。  大学は、研究開発や地域産業の振興及び活性化において大きな役割を果たすことが可能であり、また、それを果たしていくべきであると考えます。ただし、専門的で高度な研究開発となると、国立大学や都心にある大規模な大学でないと、ファシリティー、人材、資金の面で難しい側面があり、簡単なものではないと思います。では、地方の大学においてできることは何か。まず、地域が大学の存在、機能を理解し、大学が地域産業や地域企業の持つ課題を理解し、相互に連携し、情報交換する場を積極的に設けていく必要があるのではないかと思います。その中で、双方にとって身の丈にあった課題を見つけ出し、少しずつ小さな実績を重ねていくことが重要であると思います。  特に、中小企業においては、人材面、資金面において自前では進めることが難しい研究を大学との連携や産学官連携において進めることができるチャンスがあると思います。そこで、企業と県内大学の共同研究開発の現状及び産学官連携事業の現状と課題をどう分析しているのでしょうか。例えば、私の地元にある公立諏訪東京理科大学など、県内における大学や大学院を活用した今後の産学官連携事業の方向性や事例について産業労働部長にお伺いいたします。  次に、小項目3番として、大学の地域貢献についてお伺いいたします。  学校教育法の2007年の改正により、大学の地域貢献が正式に追加されました。同法第83条の条文には、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用能力を展開させることを目的とする。大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。」とあります。長野県においても、大学の地域貢献を通じ、地域の活性化につなげ、住民と共同でまちづくりを進めていくことが重要であると思います。そこで、これからの大学の地域貢献とはどうあるべきと考えるか。さらに、大学の地域貢献を通じ、地域活性化やこれからのまちづくりに地域の大学がどうかかわっていくべきとお考えになるか。県民文化部長にお伺いいたします。  小項目4番として、県内大学の学生収容人数についてお伺いいたします。  冒頭でも触れましたが、地域における大学の学生許容人数の限界は、地域からの人口流出にもつながっていると考えられると思います。そこで、県として大学の収容人数そのものに限界がある現状をどう考えているかについてですが、今後は、少子化が進む中で、新たに大学をつくるということは得策ではないと考えられますし、比較的首都圏に近い長野県においては一定数の学生が都心へ流れていくことも仕方がないと考えます。一方で、少子化が進むとはいえ、県内学生の大学進学率も上がってきており、県内大学の需要も十分にあると思います。特に、昨今は、若者の価値観も変わりつつあり、若者が誰しも東京へ行くということではなくなってきていると思います。こうした中で、県内学生の地元大学への進学希望の現状と収容人数のキャパシティーを広げていく必要性について、県としてのお考えを県民文化部長にお伺いいたします。  小項目5番として、大学の価値を上げ、存続していくための取り組みについてお伺いいたします。  まず、大学とのかかわりが薄い地域においては、大学の存在価値に気づかず、ただ当たり前に存在するものとして認識しているかもしれませんが、現実的にその地域に大学があるとないとではさまざまな点で大きな違いがあると思います。地域住民と大学の共存や、地域自治体と連携することにより大学はその存在価値を増すことができますし、また、地域住民も大学を有効に活用することが大切と考えます。地域の大学から地域を担う人材や地域の雇用に貢献する人材を輩出し、産業や地域活動を守っていくことで、住民にとってもなくてはならない存在となることが大変重要なことであると思います。  長く大学が存続していくためには、学力レベルの向上だけでなく、その地域にとっての大学の存在価値を高めていくことが大変重要であると思います。諏訪地方におきましては、昨年4月より公立化された公立諏訪東京理科大学を、諏訪地域のみならず長野県にとってなくてはならない大学とするべく、さまざまな取り組みを行っております。県といたしましても、引き続き最大限の御支援をお願いしたいと思います。  そこで、県内の大学を末永く存続させ、大学の存在価値を上げ、地域にとってなくてはならない存在とするために、県として県内大学に対しどのような協力と支援をしていくのか、知事の考えをお伺いいたします。  続きまして、大項目の2番として、地方創生関連交付金事業についてお伺いいたします。  初めに、ここで言います地方創生事業とは、第2次改造安倍内閣で掲げられた東京一極集中を是正し、地方人口減少に歯どめをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策を指します。具体的には、人口の急減、超高齢化への対応、若い世代の就業、結婚、子育て支援、東京への人口の過度の集中是正、地域特性に即した地域課題の解決などが挙げられます。一方で、1年から2年では簡単に成果が出しづらい内容が多いのですが、日本が直面する人口減、超高齢化のスピードは諸外国に比べても際立って速く、こうした対応に10年、20年と長い年月をかけるほどの時間もないわけであります。  政府は、こうした状況下、地方創生推進交付金、地方創生加速化交付金など地方の自立性や官民連動を要件とした先駆性のある事業に用いられる交付金を設け、多額のお金を投入している状況です。地方自治体は、こうした資金を有効に活用し、各地域に合った事業を設定し、少しでも地方の衰退に歯どめをかけるべく汗をかいているわけであります。また、こうした地方創生関係交付金の使い方に関して、政府は、各事業の目標達成のために具体的な数値目標を立て、その進捗状況を計測するKPIの設定やPDCAサイクルを確立するとともに、個々の事業において民間資金を誘発し、将来的には本交付金には頼らない自立した事業構築を促すとしています。  先ほど申し上げたように、この地方創生という言葉は、第2次安倍改造内閣の発足時、2014年9月3日に総理大臣就任記者会見において発表され、同日にまち・ひと・しごと創生本部の設置を閣議決定しているわけであります。その後、多くの地方創生関連の交付金が予算化され、事業が行われております。  長野県においても、平成30年度までの間に、計画ベースで総事業費約51億円の事業が行われていると理解しておりますが、今年度の事業や来年度以降の事業も続いていくわけであり、さらに多額の予算が投入されていくと思います。地方創生が叫ばれ、各種事業が始まり、少しずつ時間も経過していく中で、事業の現状や今後の見通しというものが見え始めてきていると理解しております。  また、事業によっては残り1、2年で交付金が終わる事業が出てくるわけです。もともと、政府の考え方として、将来的には本交付金に頼らない自立した事業構築を目指すとしているわけであり、現状からそうした見通しを県はどのように見ているのかお聞きしたいと思います。  こうした県が行う事業において、政府が言うような自立ということはそう簡単なものではないと推測します。地方自治体が行う事業でかつ予算ありきの事業ほどきちんと進捗管理をしていかないと、後々一般財源からの持ち出しとなり、本来地方自治体がきちんと行わなければならない事業に支障を来すことが想定されます。  そこで、小項目1番として、交付金事業の現状と課題についてお伺いいたします。  本事業の開始から5年目を迎え、事業の達成率や見えてきた課題は何か。企画振興部長にお伺いいたします。  また、小項目2番目として、事業における費用対効果の検証についてお伺いします。  地方創生関連交付金事業は、予算があるからやるという予算ありきの体質にどうしてもなりがちだと考えます。もちろん、県が行う事業ですので、費用対効果の観点だけで判断すべきものではないと思いますが、事業によっては交付金終了後も継続していくものがあるかと思います。各事業の費用対効果の検証をどのように行っているのか。また、その検証結果について企画振興部長にお伺いいたします。  小項目3番としまして、交付金終了後も進めていく事業の見通しについてお伺いいたします。交付金終了後も県が独自で行っていくべき地方創生関連交付金事業の方向性をどう考えているのかをお伺いいたします。交付金終了後は、県単独の事業として自主財源で進めていくことになるかと思いますが、県が自立してやるべき事業の必要性と見通しについて企画振興部長にお伺いいたします。  以上です。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)3項目について御質問をいただきました。順次お答えいたします。  1項目めの県内大学卒業者の県内企業への就職状況、インターンシップ等の事例、県の取り組みについてまずお答えいたします。  最初に、県内大学卒業者の県内企業への就職状況についてでございますが、県内大学卒業者の県内への就職率は、平成30年度末で、国立大学が39.7%、公立3大学の平均で69.8%、私立5大学の平均で79.5%、県内全ての9大学の平均で57.2%となっております。  次に、インターンシップの状況、事例についてでございますが、インターンシップはさまざまな形態で行われているところでございますが、そのうち県の取り組みに関するものついて御紹介させていただきます。県では、平成28年度から、県内企業が行うインターンシップに関しまして企業と県内大学生とのマッチングを行ってきておりまして、これまで3年間で239名の参加者実績がございます。平成29年度末の卒業生について調査をした中から例を挙げますと、このインターンシップに参加されました諏訪東京理科大学工学部の学生14名中9名が県内企業に就職されております。また、この県がマッチングを行ったインターンシップ全体の参加者の約8割が県内企業に就職しておりまして、一定の成果が出ていると認識しております。  県といたしましては、インターンシップ参加者の交通費、宿泊費の補助を今年度から県内大学生にも対象を広げたところでございまして、県内学生の県内企業への就職が促進されますように一層努めてまいりたいと考えております。  次に、大学の地域貢献活動を通じた地域活性化などへのかかわりについての御質問でございます。  大学の地域貢献、地域活性化へのかかわり方として、主なものを四つ程度挙げられると考えております。  一つ目は、大学の授業やゼミの活動において積極的に地域の課題を取り上げ、その解決方法を探るという学びを取り入れるということでございます。これを通じて学生の力を伸ばすとともに、その成果を地域に還元することにより地域への貢献になるというものでございます。  二つ目は、大学の持つ知や技術の集積を生かし、県内企業等との共同研究、共同開発を進めることがございます。また、地方公共団体と地域づくりを進めていくということもございます。さらに、複数の大学や企業、研究機関等が結びつくことによって、地域にイノベーションを継続して生み出す仕組みが生まれ、その中で大学が重要な役割を果たすということも期待されているところであります。  三つ目は、地域を牽引する人材を輩出すること。  四つ目といたしましては、若干広い意味になりますけれども、魅力的な大学があり、そこの学生が地域において活動することが地域の活力を生み、その地域の魅力を高めることに貢献すると考えております。  四つを挙げさせていただきましたが、そのためにも、大学は積極的に地域に向き合い、アプローチをし、地域もまた大学に対してアプローチをしていくことが重要だと考えております。  最後に、高校生の県内大学への希望状況、そして県内大学の収容人数についての県の考え方についてでございます。  まず、県内学生の県内大学への進学希望の状況でございますが、少し古いデータですが、平成22年に県内高校3年生を対象に県が実施したアンケート調査では、25.6%の高校生が県内大学への進学の意向を示しておりました。これは、昨年度の県内大学への進学率が17.1%でございますので、これを大きく上回るものでございます。  県内大学の収容力についての考えでございますけれども、議員御指摘のように、本県の大学進学率はまだ全国平均より低いわけでございます。そして、県外流出率が高い、全国で5番目ぐらいに県外に流出している。その一方で、その後流出した学生がUターンで帰ってくるかというと、就職率は4割程度にとどまっているという問題がございます。そして、県内学生の県内大学への志願者数はここ数年増加しております。こういった状況を考えますと、県内大学の収容力を高めることが県としても必要と考えております。大学、学部の新設など、定員増加を伴う取り組みに対しまして支援を行うこととしているところでございます。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)企業と県内大学の共同研究開発の現状と今後の産学官連携の御質問にお答えいたします。  本県における産学官連携の取り組みは、平成13年の県テクノ財団の設立によって加速され、同財団では、これまでに、基本財産をはるかに上回る130億円余りのプロジェクト資金を国等から獲得し、数多くの共同研究などを支援してまいりました。  最近では、経済産業省のサポイン事業の採択を受け、茅野市の企業のタミフル原料となるシキミ酸の新たな製法の開発や、飯田市の企業の航空機用燃料関係システムの開発など、9件のプロジェクトが進められております。
     他方、全国の大学等の状況を見ますと、文部科学省の平成29年度の調査によれば、県内の大学等が県内企業と共同研究を実施した件数は、信州大学が111件で全国の中で13位、長野高専が14件で全国の高専の中で3位といずれも上位クラスに位置しているものの、二つの大学等にとどまっており、連携支援体制の充実強化が必要と受けとめております。こうした中で、諏訪東京理科大学における大学院の拡充は、産学官連携の活性化に資するものと大いに期待しているところであります。県としては、県内企業が第4次産業革命等の技術革新にしっかりと対応できるよう、引き続き産学官連携による支援に努めてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)長野県が発展していくためには、高等教育機関の役割が極めて重要だというふうに考えております。その中で、存在価値の高い大学となり長く存続していくためには、大学に対して県はどう協力していくのかという御質問をいただきました。幾つか観点はあるかと思いますが、大きく三つ申し上げたいと思います。  まず一つは、世の中の変化が非常に激しい時代でありますので、社会のニーズに大学そのものもしっかり適合して変化していくことも重要だと思いますし、また、地域の知の拠点として産学官連携あるいは地域との連携で地域課題の解決や産業振興に貢献いただくということが重要だと思います。そして、何よりも、高校生から選ばれる大学であるということが重要だというふうに思っております。  1番目の観点で申し上げれば、高等教育支援センターを設置して県内大学のさまざまな改革をこれまでも応援してきております。諏訪東京理科大学の公立化に当たりましても県として支援をさせていただきましたし、今定例会にも大学院の拡充に対する支援を盛り込ませていただいているところであります。こうしたことを通じて、社会のニーズに常に的確に対応していきたいというふうに思っております。  また、産学官連携、地域貢献については、先ほど産業労働部長から申し上げたように、本県の大学との間の産学官連携は非常に広範にわたっておりますし、また、県内大学自体も地域貢献に積極的な大学が多くあるわけであります。県の立場としては、こうした取り組みをいろいろな関係者との連携をしっかり応援していくということでサポートしていきたいというふうに思っております。  また、大学の知の拠点として持っている資源を地域に生かしてもらう支援をしていきたいと思っております。例えば、今年度も社会人のリカレント教育プログラムにおけるAI、IoT技術教育、これは、諏訪東京理科大学に担っていただくわけですが、こういったものを県としても応援することによって地域貢献における大学の役割をしっかりと果たしていただきたいというふうに思っております。  また、高校生から選ばれる大学ということで、私ども県としてもさまざまな魅力発信を行ってきております。今年度も、例えば県内大学、短大の魅力をお伝えするプロモーションビデオの作成や近隣県の保護者をターゲットとした新聞広告の実施、こうしたことで県内大学の魅力を関係方面へと発信していきたいというふうに思っております。  長野県が発展するためには高等教育機関が果たす役割は極めて大きいというふうに考えておりますので、今後とも積極的な振興に努めていきたいと考えております。  以上です。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)地方創生関連交付金についての御質問です。  まず、達成率と課題についてということです。  事業の目的と達成度合いを図るために設定したKPI(重要業績評価指標)を134項目設定いたしましたけれども、このうち約7割に当たります91項目が達成ということになっております。未達成となっております指標についても、その多くが数値を伸ばしておりますので、各事業が目標に向かって着実に進捗しているものと認識しております。  それから、課題ということですけれども、これまで、国におきましても、地方の声を聞きまして交付金の事務や使い勝手について改善をしていただいたところではあるのですけれども、国の地方創生推進交付金のあり方に関する検討会でも議論されましたように、例えば、申請に当たって義務づけられております計画策定の負担が大きいということや、複数年度にわたってハード整備が行われるものへの活用が困難である、期間中の効果検証を行って事業見直しが必要となった場合に変更が容易ではないといったようなことがいまだ課題であると認識しております。  次に、交付金の期間終了後も継続する事業の費用対効果の検証と、特に県が自主財源で取り組む事業の必要性についてということですけれども、現行の地方創生推進交付金は、御存じのように3年から5年の交付期間でありまして、期間終了後も事業が継続されることが原則とされているところであります。  県といたしましては、継続する際にこれまでの効果を検証するとともに、事業の必要性はもとより、事業の規模が適正か、また、財源に当たっては一般財源以外の有利な財源が使えないかなど毎年の予算編成の中で十分に検討を行っているところでございます。  継続事業の一例を申し上げますと、例えばRESASを活用した中高生の探究型学習推進事業、これは昨年度をもって交付期間が満了したものですけれども、これにつきましては、交付金事業によって蓄積されたノウハウが生かされまして、信州学の取り組みの中で継続されているということを御紹介したいと思います。  今後とも、交付金の活用に当たりましては、将来の自立性の観点も十分踏まえながら、最大の効果が得られるように計画的に事業を進めてまいりたいと考えております。  以上です。       〔9番丸茂岳人君登壇〕 ◆9番(丸茂岳人 君)それぞれにつき丁寧な御答弁をいただきました。  まず、県内大学の存在意義についてでございますが、まずは大学が地域にとって高等教育の拠点であり、研究開発などの知の拠点であり、地域にとってなくてはならない存在であると地域住民が理解することが大切であると思います。そのためには、大学が地域に優秀な人材を輩出していくことと、地域企業や行政と連携し研究開発の事例を積み重ねていくことが重要であると思います。そうした中で、県内大学と茅野市、飯田市において、具体的な事例が進んでおりますことは大変うれしいニュースであり、地域にとっても励みになる事例だと思います。県内全体にこうした動きが広まっていくことを期待したいと思います。  さらに、収容人数においても、県としても問題意識を持ち、前向きに進めていく旨の御答弁をいただきました。知事からも、大学の存在価値を末永く存続させていくために、県としてもさまざまな点で協力していく旨の御答弁がございました。  少子化が急激に進む地方において、大都市への若者流出に歯どめをかけ、大学が地域活性化にさらに貢献できる存在となるべく、県としての引き続きの御支援を御期待申し上げたいと思います。  地方創生関連事業におきましても詳細な御答弁をいただき、現状が理解できました。引き続き地域にとって必要な事業はきちんと進めつつ、予算ありきの事業とならぬように精査し、事業の選択と集中を進め、広く県民にとり恩恵のある事業となっていくことを御期待申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(荒井武志 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時34分休憩          ──────────────────         午後2時50分開議 ○議長(清沢英男 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  山田英喜議員。       〔7番山田英喜君登壇〕 ◆7番(山田英喜 君)上田・小県郡区選出、自民党県議団の山田英喜です。県議会で初めての一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  1点目に、経済基盤強化に向けた各種施策について、2点目に、群馬県から長野県に抜ける上信自動車道と上田市神科地域から真田地域を通る国道144号の整備について、3点目に、地域主導型自然エネルギー創出支援事業と太陽光発電施設設置の規制についてお伺いします。  私は、これまで、教育や医療、介護福祉、子育て支援などさまざまな要望を上田市民の皆様からいただき、課題と直面してきましたが、財源の確保が難しく、実行できないものが数多くあることを実感してきました。私たちの子や孫の世代に自信を持って継続性のある地域を引き継ぐために必要なことは、耳ざわりのいい政策を並べ立てることではなく、国への政治力の強化と経済基盤を強固にし、継続的な税収の確保を図っていかなくてはならないということを上田市議会議員の経験から強く感じてきました。  それぞれの地域にあるさまざまな課題は、地域の生産性を高めて経済基盤を強くしていくことで多くが解決していくものと考えます。  例えば、全国的にも大きな課題の待機児童や保育士の不足、皆様はこの課題をどう捉えておりますでしょうか。私自身、日ごろさまざまな場面で、女性は男性とは違う視点を持っており、県議会同様、多くの仕事で一定程度の女性の活躍の場は必要だと感じておりますが、一方で、今は女性も働かなくてはならないという意識も強くなってしまっているように思います。男性と女性には間違いなく役割があり、男性は子供を産むことができず、小さな子供にとって母親の注ぐ愛情が重要なことは言うまでもありません。本来であれば、小さな子供は母親と一緒に過ごしたいと思っているはずですが、今は0歳から児童を預けるケースがふえており、年齢が低いほど児童に対する保育士数が必要となるため、保育士が不足し、全国的に待機児童増加の一因となっております。そのような観点から、生産性を高め、子育てに専念したい女性はその環境を築くことが子供目線での一番の子育て支援だと思いますし、待機児童を含む保育士不足を解消でき、児童福祉法に位置づけられた児童福祉施設として本当に必要とする家庭が安心して利用できるものと考えます。また、人材の確保が困難な今、外国人労働者の受け入れと相まって、女性の社会進出を過度に進めていくことで、低賃金で働く人がふえ、結果的に全体的な給与水準も下がってしまうのではと危惧をしています。  そのような流れとは別に、生産性を高めるため、先進技術などを積極的に取り入れた経済施策を行っていくことで、研究の場を求める企業の誘致、それら企業からの税収確保など好循環が生まれるものと考えます。以上のような思いをもとに、順次質問をしてまいります。  まず、大枠として、世界経済が及ぼす県内への影響についてお伺いします。  非常に加速化するグローバリズムの中において、経済全体が各国とも流動化し、移民問題を含め、内在する問題が非常に多岐にわたっています。世界経済、特に米中貿易戦争により、中国企業の生産の落ち込みから設備投資にも減速が見られており、13億人とも言われている巨大国家の高度成長からの転換が顕在化してきました。こうした状況は、中国に拠点や取引先がある県内企業にとっても影響が出始めていると認識しておりますが、県内企業の業況をどのように捉えているかお伺いいたします。  次に、地域企業の抱える課題について質問してまいります。  初めに、労働者の不足について、長野県の有効求人倍率は4月時点で1.68倍となり、前月を0.04ポイント上回りました。労働需要が逼迫する中、従業員の離職や採用難など人手不足による収益悪化で倒産する企業もあると伺っております。現在でも、地方の急激な人口減少や雇用のミスマッチもあり、人手不足に回復の気配は見えていません。そこで、中小企業の人手不足についてどのように捉えているか伺います。  また、長野県では、しあわせ信州創造プラン2.0において「産業の生産性が高い県づくり」を掲げ、製造、サービス・観光、農業、建設、介護福祉を対象分野として、産業生産性の向上のためのAI・IoT、ロボット等利活用戦略を策定しています。この戦略が、人手不足の解消も視点に置き、進められていくべきと考えますが、どのように寄与すると考えるか、お伺いいたします。  また、人手不足を解消するために、AI、IoT人材の育成確保に取り組んでいる企業をどのように支援していくかもあわせてお伺いいたします。  続いて、生産性の向上について、周知のように、世界の中で日本のGDPは第3位ですが、生産性についてはOECDの中で10位以下という状況です。第4次産業革命と言われている現代にあって、県内産業の生産性の向上は最大の課題であります。これについて現状と課題、方策をお伺いいたします。  次に、事業承継についてです。事業の後継者不足が非常に深刻になっており、後継者不在率は60%を超え、県内社長の平均年齢も年々上がってきております。県においては、事業引継ぎ支援センター設置など、商工会や商工会議所、金融機関の団体と連携を図りながら進められるなど対策を講じておりますが、さらに踏み込んだ対策が必要だと感じています。県における今後の進め方について見解をお伺いいたします。  次に、東信地域の産業振興について質問してまいります。  東信地域に集積する技術や地域特性を生かし、産業の活性化を目指すため、平成28年7月に東信エリア10市町村で構成する東信州次世代産業振興協議会が設立されました。その中で、浅間リサーチエクステンションセンター、通称AREC内に東信州次世代イノベーションセンターを設置し、多種多様な企業群と大学が培った研究を結びつけるとしています。  東信地域は、中核都市のような飛び抜けた大都市ではない中、お互いの危機意識を共有し、広域連携による全国トップレベルの産業振興を目指していくものです。地域の基幹産業はものづくり産業で、長野県内の製造業の上場企業の半数以上である11社が同地域内に立地する一大産業集積地となり、それらを支える中小企業が多数存在することも東信地域の強みであると同時に、地域内には国立大学を含む6大学が立地しているため、全国の多くの若者がこの地域で勉学に励んでいます。  このように、東信地域には全国にも誇れる環境と取り組みが生まれている中、2月の阿部知事の議案説明では、南信の航空産業、中信の医療機器開発、北信のIT産業の集積地として触れられましたが、東信地域だけが触れられておりませんでした。長野県ものづくり産業振興戦略プランには、「それぞれの地域で、ターゲットとする産業分野において、競争優位性を持つ県内産業の核を基にして、国際競争力を有する高付加価値型の産業集積を育成する。」とあり、東信地域においてもこの推進が急務であると考えます。東信州次世代イノベーションセンターのサポートを含め、東信地域の産業振興を県はどのように考えているのか、お伺いをいたします。  また、東信州次世代産業振興協議会には、現在でも地域振興局がアドバイザーとして参画をしていますが、上田だけでなく、佐久地域、長野地域もエリアに含まれています。それぞれの連携をどのように図っていくのか。ここまでを林産業労働部長に伺います。  次に、AI、IoTを推進する自治体へのサポート体制について質問してまいります。  長野県でも、労働人口の確保として、外国人が地域の担い手として活躍する地域を目指すとの方向性を示していますが、一方で、近い将来、先進技術の進展によって今ある多くの仕事がなくなっていくことも予測されています。  長野県の昨年12月末時点での外国人住民は3万5,493人と、前年と比べ2,556人増加しております。多くの企業が外国人労働者を受け入れ、事業拡大に貢献している一方で、生活習慣の違いからトラブルになるケースもあり、外国人住民の多い上田市において、私も多くの相談を受けておりました。  さきの質問のように、県内の人手不足は深刻な問題であり、対応が必要ですが、過度な外国人労働者の受け入れは、今後さらに多くの課題が出てくることが予測されます。また、上田市では、かつて多くのブラジル人の方々を労働力として受け入れてきましたが、景気が後退し、労働者の需要が低下した際に、その多くが帰国を余儀なくされました。今、世界の多くの国は、AI、IoTなどの導入について、労働力が奪われるとして反発が起きると言われておりますが、世界に先駆けて超少子・高齢社会を迎え、労働力が不足していく日本は、肯定的に先進技術の導入に向かっていける数少ない国の一つであり、日本がこの危機をどのように切り抜けていくかを世界が注目しています。  昨日閉幕した通常国会では、後半に人工知能などを活用した2030年ごろの未来社会を先取りした最先端都市「スーパーシティ」の実現に向けた国家戦略特区法改正案が提出されましたが、再考を求める声が与党内にもあり、廃案となりました。  長野県内でも、この法案に対して前向きに検討を進める自治体もあったため、残念ではありますが、今、人工知能などについてはさまざまな技術が進んでおり、県庁においても仮想ロボットによる業務の自動化を前年度の3業務から30業務へと大幅に拡大し、職員の時間と労力をより創造的な業務に振り向けていくとしています。  また、今、注目を集めているのは、夢物語と言われていた量子コンピューターの開発に向け、米グーグルを初め各国の大手企業や日本の文部科学省が資金を投入しています。この量子コンピューターは、最新のスーパーコンピューターでさえ数百年かかるとされるデータ量の計算を一瞬で終え、処理能力の速度は1億倍になるとの試算もあります。  このように、今、人工知能やコンピューターなどの技術は急速に進展し、この分野への対応は待ったなしの状況にあります。今回は廃案となりましたが、関連した法案が成立した際に、自治体が挑戦することで、最先端技術の社会実装に対する意識を高めることにつながると思います。そこで、県は、今後もさまざまな議論が予測される最先端技術関連の法案に挑戦する自治体に対しどのようにサポートをすることが可能か、お伺いいたします。  また、AI、IoTに限らず、これまでにない技術は少し怖いというイメージを持つ方が多いと考えますが、その意識をどのように変えていけると考えるか。伊藤企画振興部長にお伺いいたします。  地域経済基盤の強化については以上でありますが、続けて、地元の懸案であり産業振興にも重要な役割を担う上信自動車道及び国道144号の整備と、地域主導型自然エネルギー創出支援事業、太陽光発電施設設置の規制についてそれぞれお伺いをしてまいります。  上信自動車道は、群馬県側約65キロ、長野県側が約15キロで、全体の計画延長約80キロの高規格道路です。平成16年3月に渋川西バイパスが整備区間として指定され、現在の計画では、渋川市と東御市をつなぐとされています。今年度も、群馬県側では多くの予算が配分され、ほぼ群馬県側の事業が終える長野原嬬恋バイパスの8.5キロが新たに事業化されました。現在は両県で協力しながら調整を行っていると聞いていますが、現在の長野県側の進捗状況についてお伺いいたします。また、これまでの計画では、終点が東御市側として指定されていますが、計画当初と変わった点と現在の検討状況をお伺いいたします。  次に、上信自動車道ともかかわってくる国道144号の現在の整備計画と今後の整備計画について長谷川建設部長にお伺いいたします。  次に、今年度から拡充された地域主導型自然エネルギー創出支援事業と太陽光発電施設設置の規制についてです。  私の出身の上田市は、日照率が全国的にも高く、大変恵まれた環境だからこそ、大規模太陽光発電施設が大きな課題ともなっております。そのような中、上田市は、8月施行を目指し、土砂災害などが懸念される地域への立地を条例で抑制する方針を示しました。条例案は、既存の市の指針で防災や環境上立地を避けるべき地すべり防止区域などレッドエリアとしている場所を抑制区域に指定し、条例で定める規模以上の事業は事前協議を課すほか、住民説明会を開く必要があり、協議結果を市に報告することも義務づけられています。また、手続に違反した業者が勧告に従わない場合、市は事業者名を公表し、国、県に通知するとしています。  この条例案では抑制しきれない面もありますが、上田市では、議会でもほぼ毎回取り上げられ、検討を重ねる中でこのような条例をつくるに至るほど大きな課題の一つとなっております。大規模太陽光発電施設の中には、本来の自然エネルギーの推進という観点から離れ、金融商品として投機目的で設置されるものもあると伺っています。また、長野県でも、太陽光発電が自然環境に負荷を与えたり、災害の懸念が生じるものであってはならないという考えのもと、今年度から地域主導型自然エネルギー創出支援事業を拡充されました。これは、法的な観点で具体的にどのようなことができるかといったことを所在の市町村が中心となって課題解決を図っていく方向を打ち出していきたいということで設けたものとされておりますが、県は基本的に自然エネルギーを推進していく方向性を持ち、進められております。  一方で、防災や景観の観点から地域住民が反対するなどの課題も増加する中、ブレーキの役割も担わなくてはならないと考えますが、見解を伺います。また、今年度から拡充された地域主導型自然エネルギー創出支援事業をスタートされ、改めてどのような効果が期待できるかを高田環境部長に伺います。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)5点の御質問に順次お答えいたします。  まず、米中貿易摩擦等の県内企業への影響についてです。  日本銀行松本支店が今月発表した金融経済動向では、県内経済は緩やかに回復しているとしつつも、4月に引き続き生産の一部に弱めの動きが見られるとの下方修正の判断が加えられており、米中貿易摩擦等の影響が懸念されているところです。本県は輸出関連企業も多く、特に中国とアメリカは輸出先の上位2国であり、輸出額もそれぞれ県全体の約2割ずつを占めています。こうしたことから、産業労働部がこの5月に実施した景気動向調査に合わせて県内企業へ米中貿易摩擦に関連したヒアリングを行ったところ、中国向けの輸出の減少や設備投資の抑制が見られる、中国からの生産拠点の移転を予定しているなどの声をお聞きしております。  こうした状況を踏まえ、引き続き世界経済の動向などを十分注視するとともに、企業の皆様の声を伺いながら、中小企業振興センターやジェトロ等の産業支援機関とも連携を密にし、貿易、経営の相談に対応してまいります。  次に、中小企業の人手不足の見解、AI、IoT戦略の人材不足解消への寄与、AI、IoT人材の育成確保に取り組む企業への支援についてでございます。  県内の有効求人倍率は、平成28年12月以降29カ月連続で1.5倍台以上と高水準で推移しています。殊に、警備員などの職種や建設土木産業などの職種では5倍を超える高水準となっており、職種によってばらつきは見られるものの、県内中小企業全体としては人手不足の状況にあるものと認識しております。こうした人手不足の要因としては、生産年齢人口の減少が全国より著しいこと、県外進学率が約8割と高い反面、Uターン就職率は4割弱にとどまり、大学生等の新規学卒者の確保が課題となっていること、求人側と求職側のニーズが一致しないことなどが考えられるところです。  AI・IoT、ロボット等利活用戦略では、こうした状況を踏まえつつ、先端技術の利活用による省力化の促進とともに、企画開発など高付加価値創出分野への人的シフトを促すなど、生産性向上やイノベーションを後押ししてまいります。  またAI、IoT人材の育成確保策として、県工科短大や公立諏訪東京理科大学等における在職者向けのリカレント講座の開講等に加え、長野県プロフェッショナル人材戦略拠点による技術者の誘致を精力的に推進してまいります。  3点目の生産性向上に向けた現状や課題、今後の方策についてです。  県内産業の1人当たりの労働生産性は、平成27年度、761万2,000円、全国23位となっており、前年度の28位を上回ったものの、依然全国中位にあります。このため、しあわせ信州創造プラン2.0に基づき、航空機や医療機器など成長産業の創出、集積や、AI、IoT等の活用による生産性向上策に加え、県内総生産の7割を占めるサービス産業の活性化や営業本部における県産品の高付加価値販売のためのマーケティング支援に注力しているところです。さらに、長野県SDGs推進企業の登録や職場いきいきアドバンスカンパニーの認証などの取り組みを通じて、働き方改革の推進と企業価値の向上に取り組んでまいります。  次に、事業承継支援の今後の進め方についてです。  県の事業引継ぎセンターでは、5名の業務経験者を配置し、これまで延べ2,986件の相談に対して450件に及ぶマッチングに取り組んできたところですが、企業の財務状況や設備内容など、条件の不一致により、成約は66件にとどまっております。そこで、昨年6月に、市町村や金融機関、商工会、商工会議所、税理士会等136の機関で構成する長野県事業承継ネットワークを設立して地域に密着したサポートを開始し、経営者に早期着手を促すため、1,728件に及ぶ事業承継診断を実施いたしました。今年度は、さらに事業承継ネットワークの事業承継コーディネーターを1名から4名に増員するとともに、新たな試みとして、中野市をモデルにした地域完結型事業承継支援事業を実施することとしております。さらに、県の移住施策や長野県プロフェッショナル人材戦略拠点とも協力して、より一層の成果に結びつくよう取り組んでまいります。  最後に、東信地域の産業振興と東信州次世代産業振興協議会に関する御質問でございます。  東信地域につきましては、昭和59年のテクノハイランド構想のもと、いち早く国からテクノポリス地域の指定を受けるとともに、産業技術の高度化を目指し、テクノ財団、信州大学、ARECなどの産学官連携で産業振興に取り組んでまいりました。長きにわたる取り組みによって、当地域の製造業は、電気、生産機械、輸送関連を中心に発展し、世界レベルの競争力を有する企業や技術力の高い中小企業などが立地するものづくり産業の集積地となっております。  議員御指摘のとおり、ARECを拠点として設立された東信州次世代産業振興協議会の活動については、県のものづくり産業振興戦略プランに位置づけておりますように、イノベーティブで広域的な活動が期待されており、三つの地域振興局はもとより、信州大学、長野大学、佐久大学を初め数多くの高等機関とも協力しながら連携を深めてまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)スーパーシティ構想実現に向けての市町村への県のサポートと先端技術に対する意識をどう変えていくかという御質問です。  県では、これまでも、市町村に対しましてスーパーシティ構想に関する国の動向を逐次把握して情報提供などを行っているところでございます。もとより、積極的に取り組もうとしている市町村に対してできるだけ応援していきたいと考えておりますけれども、この構想を実現するための国家戦略特区法改正案が昨日国会において廃案となってしまいましたものですから、枠組みが当初どおりいくかどうかも含めまして、今後の国の動向を注視しながら対応してまいりたいというふうに考えております。  また、先端技術に関する住民意識を醸成していくためには、先端技術を学び、その利便性を実感してもらう、そういう機会を多くつくっていくことが重要だと考えております。このため、県では、関係機関と連携した自治体向けのセミナーを開催しますほか、今回の補正予算案でも計上させていただいておりますけれども、中山間地域の課題解決に向けた先端技術実証事業では、住民の理解のもと、効果的に事業を進めていくために、住民向けのアンケートやワークショップを計画しております。今後とも、市町村とも連携しながら、先端技術を積極的に活用し、人を引きつける快適な県づくりを進めてまいります。  以上です。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)上信自動車道の整備に関するお尋ねでございます。  上信自動車道は、群馬県渋川市と長野県東御市を広域的に結ぶ地域高規格道路に位置づけられており、現在、全長約80キロメートルのうち群馬県側の52キロメートルが事業中または供用済みとなっております。現在、長野県と群馬県の県境部について、沿線市町村から構成される建設促進期成同盟会から要望のあった鳥居峠付近を経由するルートにより群馬県と調整を進めているところであり、まずはできるだけ早期に県境部の道路のルートや構造を固めていきたいと考えております。また、終点が東御市であることについて変更は考えておりません。  次に、国道144号の改良につきましては、これまでに上田市街地側の0.6キロメートルが完成し、残り1.7キロメートルについてバイパス整備を進めているところであり、現在、用地補償及び道路築造工を実施しているところです。用地補償も残っており、いつまでにということは申し上げにくいのですが、この上田バイパス工区は交通量が多く、混雑度も高いことから、地元の皆様の御協力をいただきながら重点的に整備を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)地域と調和した太陽光発電施設の設置と支援事業の効果についてのお問い合わせでございます。  太陽光発電施設の設置に当たりましては、環境面や防災上の懸念が生じないよう、地元との合意形成を図りながら事業を進めることが重要と考えております。このため、太陽光発電を適正に推進するための市町村対応マニュアルを公表し、それぞれに異なります地域の課題や実情を踏まえた対応の支援に取り組んでいるところです。
     これに加えまして、今年度から地域主導型自然エネルギー創出支援事業補助金を拡充し、生活環境や景観などに支障を及ぼしている事業について支障解消に向けた方策を法的な観点も含め検討する市町村を支援することといたしました。導入初年度のため、今後事業を実施するところでございますが、地域における支障事例の解消モデルを創出し、そのノウハウを他の市町村とも共有することで、地域と調和した事業の推進に寄与するものと期待しているところでございます。  以上でございます。       〔7番山田英喜君登壇〕 ◆7番(山田英喜 君)それぞれ御答弁をいただきました。これからの県政を考えたときに、私たち政治家が、財源を考えずに教育や医療、介護福祉、子育て支援などをパフォーマンス的に補助を求めることは、今の子供たちの将来的な負担をふやしていくことに直結していくことと思っております。財政基盤の強化など将来の財源確保につながる可能性のある投資こそ、今の子供たちのために進めていくことが急務だと考えております。  阿部知事は、先日、グロービスの「本気で取り組む「地方創生」」というテーマの講座にパネリストとして登壇され、市町村の産業政策に携わる職員が手薄であることを指摘されました。また、国からのお金の話を避けてきたから課題が明るみに出ていないと発言された後に、経済活性化とお金の流れの話はこれから特にしっかりとやる必要があるとの問題提起をされており、共感をいたしました。  合併当初に約5,800億円あった製造品出荷額が、一時、10年くらいで4,000億円以下に減少し、下落率が県内19市で最も大きかったのがこの上田の地域でもあります。私としても、県としてのこの地域における産業振興の意識をさらに強く持っていただけるよう、本日いただいた答弁をもとに、定期的に質問に立たせていただきます。そして、地元の道路整備や大規模太陽光発電施設の設置についても、今後の動きを確認しながら県の政策を注視してまいります。  以上で私の一般質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明28日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑並びに決算特別委員会の設置等を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時22分延会...