長野県議会 2019-06-26
令和 元年 6月定例会本会議-06月26日-03号
令和 元年 6月定例会本会議-06月26日-03号令和 元年 6月定例会本会議
令和元年6月26日(水曜日)
出席議員(57名)
1 番 熊谷元尋 27 番 両角友成
2 番 望月義寿 28 番 中川宏昌
3 番 小林君男 29 番 清水純子
4 番 清水正康 30 番 小池久長
5 番 加藤康治 31 番 酒井 茂
6 番 川上信彦 32 番 堀内孝人
7 番 山田英喜 33 番 石和 大
8 番 大井岳夫 34 番 依田明善
9 番 丸茂岳人 35 番 山岸喜昭
10 番 寺沢功希 36 番 小島康晴
11 番 花岡賢一 37 番 小林東一郎
12 番 池田 清 38 番 毛利栄子
13 番 百瀬智之 39 番 和田明子
14 番 山口典久 40 番 諏訪光昭
15 番 小山仁志 41 番 丸山栄一
16 番 竹内正美 42 番 小池 清
17 番 竹花美幸 43 番 宮本衡司
18 番 宮下克彦 44 番 清沢英男
19 番 大畑俊隆 45 番 垣内基良
20 番 共田武史 46 番 鈴木 清
21 番 丸山大輔 47 番 高村京子
22 番 髙島陽子 48 番 宮澤敏文
23 番 荒井武志 49 番 西沢正隆
24 番 埋橋茂人 50 番 風間辰一
25 番 続木幹夫 51 番 佐々木祥二
26 番 中川博司 52 番 向山公人
53 番 平野成基 56 番 服部宏昭
54 番 本郷一彦 57 番 望月雄内
55 番 萩原 清
───────────────────
説明のため出席した者
知事 阿部守一 農政部長 山本智章
副知事 太田 寛 林務部長 井出英治
副知事 小岩正貴 建設部長 長谷川朋弘
危機管理監兼危 建設部リニア整
機管理部長 竹内善彦 備推進局長 坂田浩一
企画振興部長 伊藤一紀 会計管理者兼会
総務部長 関昇一郎 計局長 塩谷幸隆
女性活躍推進監 公営企業管理者
兼男女共同参画
企業局長事務取扱 小林 透
センター所長 酒井裕子 財政課長 矢後雅司
県民文化部長 増田隆志 教育長 原山隆一
健康福祉部長 大月良則 教育次長 轟 寛逸
環境部長 高田真由美 教育次長 三輪晋一
信州ブランド推 警察本部長 伊藤泰充
進監兼営業局長 熊谷 晃 警務部長 野﨑美仁
産業労働部長 林 宏行 監査委員 田口敏子
観光部長 中村正人
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 小山 聡
議事課担当係長 山田むつみ
議事課長 村松敏伸
総務課担当係長 伊藤啓一
企画幹兼議事課 西川 裕
議事課担当係長 鈴木晉一
課長補佐 総務課主事 宮坂祐輝
───────────────────
令和元年6月26日(水曜日)議事日程
午前10時開議
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
─────────────────────────
本日の会議に付した事件等
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
午前10時開議
○議長(清沢英男 君)これより本日の会議を開き
ます。
本日の会議は、昨日に引き続き
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
であり
ます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案
○議長(清沢英男 君)次に、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案を議題
といたし
ます。
順次発言を許し
ます。
最初に、川上信彦議員。
〔6番川上信彦君登壇〕
◆6番(川上信彦 君)皆さん、おはようござい
ます。県民クラブ・公明の飯田市・下伊那郡区選出の川上信彦です。よろしくお願いいたし
ます。
初めに、県による
小規模自治体の支援についてお聞きし
ます。
少子・高齢化、人口減少
が急速に進行する
小規模自治体では、地域の変化に伴い、組織の変更等さまざま
な取り組み
が行われ
ております。
報道等による
と、泰阜村は、8月1日から、村の人口約1,600人の半分をカバーする村役場南支所の窓口事務を村内の温田郵便局に委託し
ます。泰阜村
が窓口事務の委託をするものは26事務で、その内訳は、住民票の写しの交付、
印鑑登録証明書の交付、地方税法に基づく納税証明書の交付等入力を代行するもの
が6事務、戸籍の届け出、妊娠届の受付及び母子健康手帳の交付、飼い犬の登録等郵送により取り次ぐもの
が10事務、その他、税金、使用料、各種会費の収納、各課担当への書類の取り次ぎ、ごみ袋、ごみ処理証紙の販売等の10事務
であり
ます。日本郵便による
と、住民票の写しや
印鑑登録証明書の交付を委託する郵便局は数多くあり
ますが、これだけ多様
な業務を受け付けるのは全国で初めて
となり
ます。
泰阜村
が温田郵便局に窓口事務を委託する背景には、村内の金融機関減少
があり
ます。現在は郵便局を残すのみ
となっ
ており、将来の撤退を防ぐために、行政
と連携を強化することで局の存在価値を高める狙い
があり、行政事務
と金融サービスの
ワンストップ化により住民サービスの向上も図れ
ます。
今後の課題としては、住民異動届や印鑑登録などの事務は村の職員
が直接行わなければならないため、届け出
があった場合、本所から村の職員
が温田郵便局に行く必要
があり
ます。温田郵便局では
各種代理人請求ができないため、本所へ行く必要
があるなど、一部サービス
が低下するケースもあり
ます。
泰阜村では、最低1年間は職員を局に常駐させるため、当面は温田郵便局で従来どおりのサービス
が受けられ
ますが、住民異動届や印鑑登録事務、委任状による証明書の交付申請を郵便局職員でも行えるようにするためには法律の改正
が必要
となり
ます。横前明村長は、職員を常駐させ、運用し
ていく中で、総務省などの関係機関に早期の法律改正を要望し
ていく
と話し
ました。
県としては既に聞き取り調査等を行っ
ておりますが、さらに一歩進ん
だ支援はできないものでしょうか。県としてこのよう
な取り組みを支援すること
で、小規模自治体の課題や居住地による
行政サービスの格差を是正することに役立つ
と考えます。また、
小規模自治体が直接国
と法律の改正について協議することは困難
である
と考えます。泰阜村のこの取り組みは、
行政サービスの今後を
考える意味でも先進的
な取り組み
である
と考えます。企画振興部長の考えをお聞きいたし
ます。
次に、4、5月の凍霜害及び異常気象についてお聞きし
ます。
4月以降の低温により、佐久、上田、諏訪、上伊那、南信州、木曽、松本、長野、北信地域で凍霜害
が発生し、6億4,458万4,000円の被害
が発生し
ました。作物別の被害状況では、果樹では梨、リンゴ、桃、柿等、野菜ではアスパラガス、レタス、
スイートコーン等、特用作物では茶
が被害を受け
ました。
飯田、下伊那で農業被害
が発生したのは松川町、高森町、阿智村、下條村、豊丘村の5町村で、果樹のリンゴ、梨、柿
が中心
となっ
ております。
私
が5月24日に調査した松川町でリンゴ
と梨を栽培し
ている農家では、4月の花
が咲い
ている時期に凍霜害にあった影響で実
ができない木
が多く、中には実
が全くつい
ていない木もあり
ました。例年
であれば、5月後半は摘果作業に忙しいはず
が、作業
ができない深刻
な状態でした。この状況は、今後の育成にも異常を来し、来年にも影響
が及ぶということ
で、非常に心配し
ておりました。
また、飯田、下伊那の農業被害額の総額
が1億5,727万2,000円に上っ
ていること
が、6月13日、県
がまとめた確定報でわかり
ました。5月の第2報から倍増し
ている状況
であり
ます。県では被害額をどのように算定し
ているのでしょうか。また、第2報から確定報で被害額
が倍増したのはどのよう
な理由
があるのか説明を求め
ます。また、県は、被害農家に対し、
農業改良普及センターを通じて栽培管理などの技術指導を行っ
ている
と聞い
ておりますが、どのよう
な指導を行ったのか。また、今後県としてどのよう
な技術指導を行う予定か。また、近年頻発し
ている地球温暖化などによる異常気象から県の農業をどのように守っ
ていくのか。農政部長にお聞きし
ます。
〔
企画振興部長伊藤一紀君登壇〕
◎
企画振興部長(伊藤一紀 君)
小規模自治体への支援について泰阜村の取り組みを踏まえ
ての所見ということ
でござい
ます。
急激に人口減少
が進む中、住民に身近
な基礎自治体
である市町村
が今後どのように
行政サービスを提供し続け
ていくかということにつきましては、とりわけ小規模町村
が多い本県におきましては極めて重要
な課題
である
と認識し
ております。
こうした中、このたび泰阜村
が行い
ます郵便局への窓口業務の委託につき
ましては、先駆的
な取り組み
である
と大変注目し
ておるところ
でござい
ます。県
といたし
ましては、この取り組みについて成果や課題を泰阜村
と共有しながら研究し
てまいり
ます。あわせ
て、こうした民間委託を初め、AI等の先端技術活用によります
スマート自治体の実現や広域における市町村間の連携など将来にわたって持続可能
な行政サービスを提供するための方策につき
まして、国の動向も注視しながらではござい
ますけれども、市町村
と一緒に検討し
ていきたい
と考えております。
以上です。
〔
農政部長山本智章君登壇〕
◎農政部長(山本智章 君)凍霜害及び異常気象についてのお尋ね
でござい
ます。
まず、凍霜害の被害額の算定方法につい
てであり
ますけれども、初めに、今回の凍霜害により被害に遭われ
ました農業者の皆様には心よりお見舞いを申し上げ
ます。被害額の算定については、凍霜害発生後、
地域振興局農政課及び
農業改良普及センターの職員
が市町村やJA等
と連携し
まして圃場を巡回し、被害の面積や程度を調査した上で作物別に減収量を推定し、基準単価を乗じ
て金額を算定し
ております。
確定報で被害額
が大きく増加した理由は、減収量の推計
が野菜など
と比べ
て難しい果樹の被害額
が9割以上を占め
ていることによるもの
であり
ます。具体的には、今回の凍霜害はリンゴや梨等の果樹
が開花期
であったため、果実
がある程度肥大するまでは目視での果実のつきぐあいの確認
が難しく、生育
が進むに従い被害の実態
が明らかになったことから、最終的に被害額
が大きく増加したもの
であり
ます。
次に、凍霜害に対する技術指導について
であり
ますが、県では、
農業改良普及センターが生産者団体
と連携し、農業者に対して技術指導を行っ
ておりますけれども、事前対策としまして防霜ファンや燃焼材の活用などによる被害の未然防止を呼びかけるとともに、被害発生後には被害軽減のための人工受粉や摘果作業等について徹底を図っ
てきたところ
であり
ます。なお、果樹の場合は、凍霜害により果樹の量
が著しく減少する
と枝
が盛んに伸び
てしまうということ
で、翌年の果実のもとになる花芽
が不足するなど悪影響を及ぼすこと
があり
ます。このため、今後、夏場に、勢いよく伸びた枝を切るなどの管理や生育状況に応じた肥料の量の調節など、翌年の果実生産に影響を及ぼさないよう引き続き技術指導を行い、被害
が最小限になるよう努め
てまいり
ます。
続き
まして、地球温暖化などによる異常気象への対応について
であり
ますが、県では、地球温暖化などによるさまざま
な異常気象に対応するため、これまでに、高温条件でも着色のよい夏リンゴ「シナノリップ」や、リンゴの日焼けに対する遮光ネットの利用など、温暖化に対応した新品種の育成や
温暖化対応技術を開発し、生産現場への普及を進め
ているところ
であり
ます。
また、リンゴや水稲など本県の基幹品目につき
ましては、試験場に設置した高温環境を再現するガラス温室等の施設を活用するなどし、作物の生産等に及ぼす長期的
な影響の評価などの研究を行っ
ております。今後も、環境部や国の研究機関、大学等々
と連携し、異常気象に強い新品種の開発や
温暖化対応技術の開発研究の加速化を図るとともに、気象状況に対応した的確
な技術指導に努め
てまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔6番川上信彦君登壇〕
◆6番(川上信彦 君)答弁をいただき
ました
が、県による
小規模自治体の支援について、他の自治体の参考になるケースもある
と考えますので、情報提供等も含め、お願いしたい
と思い
ます。
また、4、5月の凍霜害及び異常気象についてです
が、ことし、来年
と凍霜害の被害
が最小限にとどまるようあらゆる対策を講じ
ていただき
ますようお願いいたし
ます。
次の質問に移り
ます。長野県SDGs、持続可能
な開発目標の普及及び
推進企業登録制度の取り組みについてお聞きし
ます。
県としては、SDGs、持続可能
な開発目標について、しあわせ
信州創造プラン2.0の基本目標「確か
な暮らし
が営まれる美しい信州~学び
と自治の力で拓く新時代~」として取り組んで
おります。
先日、SDGsについて中学3年生になる私の娘に聞いたところ、そんな言葉聞いたこと
がない
と言われ
ました。私の娘
が不勉強
な面もある
と思い
ますが、まずはSDGsの普及に努める必要
がある
と感じ
ました。
SDGsは、2015年に国連で採択された貧困や保健、防災など地球規模の課題解決に向けた国際社会の共通目標
であり、日本を含む全ての国連加盟国・地域
が2030年までに達成を目指し
ております。
2020年から使用される新学習指導要領にSDGs
が盛り込まれ
ている
と聞い
ておりますが、児童生徒の学習機会の確保や普及について県では今後どのように取り組んでいく予定でしょうか。教育長に説明を求め
ます。
次に、長野県
SDGs推進企業登録制度についてです
が、県営業本部では、信州の
ブランド力強化を牽引する農作物、加工食品などの6品目を重点品目に設定、その中の伝統工芸品に飯田水引
があり
ます。
報道等による
と、飯田市は、6月14日、軽井沢町で15日に開催されたG20
エネルギー環境関係閣僚会合に参加した各国閣僚に、同市の伝統工芸、水引でつくったバッジを贈り
ました。各国
が協力し
て取り組む機会に合わせ、水引に込められた「つなぐ」、「結ぶ」といった意味を世界に発信する狙い
があり
ます。バッジは、国連
が掲げるSDGs、持続可能
な開発目標に環境保全、貧困の根絶などの分野で17の目標
があることから、17色の水引を使い
ました。14日、
飯田水引協同組合理事長が軽井沢町に出向き、茶会に出席した各国官僚や関係者に計100個を贈呈し、伝統工芸として300年以上の歴史
があることなどをアピールし
ました。
県では、SDGsの目標を県内企業の事業活動に取り入れること
で、企業価値の向上、ビジネスチャンスの拡大につながること
が期待できる
とし
てい
ます。また、課題として、既にSDGsに貢献する活動を行っ
ているにもかかわらず自社の取り組み
とSDGs
との関係に気づい
ていない中小企業
が多い
とし
てい
ます。また、大学生など若い世代は確実にSDGsを意識し
ており、商品選択のみならず、就職先としてもSDGsに取り組む企業は優位性を有する
とし
てい
ます。
県では、長野県
SDGs推進企業登録制度を推進し
ておりますが、現在の状況
と課題、今後の取り組みについて
産業労働部長に説明を求め
ます。
〔
教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)SDGsの学習機会の確保
と普及に向けた取り組みについてのお尋ね
でござい
ます。
新しい小学校の教科書の中にはSDGs
が盛り込まれ
ているものもあり
ますし、また、議員御指摘のとおり、新しい学習指導要領の解説では、中学校の社会科や高等学校の総合的
な探究の時間等における探究的
な学びの代表的
な視点としてSDGs
が取り上げられ
ておりまして、今後、SDGsをテーマに、望ましい社会のあり方を追求する機会もふえ
ていく
と思われ
ます。例えば、長野高校では、今年度、文部科学省の地域
との協働による
高等学校教育改革推進事業の採択を受け
まして、台湾の高校生たち
とSDGs国際会議を開催する予定
でござい
ます。また、県教育委員会
が実施いたし
ます信州つばさプロジェクトの中で、SDGsをテーマにした海外研修旅行を台湾
とカンボジアの二つのコースで企画し、計35名の県内高校生を海外に送り出す予定
であり
まして、今後もSDGsに係るさまざま
な学びの機会の確保
と普及に努め
てまいりたいというふうに
考えております。
〔
産業労働部長林宏行君登壇〕
◎
産業労働部長(林宏行 君)長野県
SDGs推進企業登録制度の現状
と課題、今後の取り組みについてお答えいたし
ます。
雇用を生み出し、生産性を向上させ、イノベーションを担う企業等
が、SDGsの理念を経営戦略へ取り込み、社会的課題の解決に結びつくよう活動することは、企業価値の向上
と社会貢献の両立のみならず、持続可能
な社会を実現する近道として大きな期待
が寄せられ
てい
ます。
このたび、全国に先駆け
て創設した長野県
SDGs推進企業登録制度は、県内企業等
が事業活動にかかわるSDGsへの取り組みを明確にし、達成目標や成果を自発的に開示し
ていく仕組み
となっ
てい
ます。また、国連の承認を受けた県独自の登録マークの活用等により、企業ブランドの向上やビジネスの創出、競争力強化へ
と結びつけ
ていただきたい
と考えてい
ます。
そこで、まず、県内での機運の醸成
が必要
と考え、本年4月に「SDGsを経営のど真ん中に!」
との声かけでシンポジウムを開催し、約260名の皆様に御参加いただき
ました。現在、第1期の登録申請を受け付け
ておりますが、企業の皆様の関心も高く、多くの問い合わせをいただい
ているところ
でござい
ます。
今後は、来月に予定し
ている第1期登録証交付式の開催や県ホームページによるPRなど登録企業のSDGsの取り組みを対外的にアピールするほか、さらなる登録企業の増加に向け
て、経済団体、金融機関などステークホルダー
と連携し、普及促進に取り組んでまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔6番川上信彦君登壇〕
◆6番(川上信彦 君)御答弁をいただき
ました
が、SDGsの普及及び
推進企業登録制度の促進について、長野県の将来を担う子供や若者
が生まれ育った地域に自信
と誇りを持てる取り組みになるようお願いいたし
まして、私の一切の質問を終了させ
ていただき
ます。ありがとうござい
ました。
○議長(清沢英男 君)次に、髙島陽子議員。
〔22番髙島陽子君登壇〕
◆22番(髙島陽子 君)改革・創造みらい、髙島陽子です。学校徴収金の適正化及び会計管理の方法
と課題について教育長にお聞きし
ます。
教育費負担の観点から、保護者
が学校に納入する学校徴収金について関心
が高まっ
てい
ます。県立高等学校においては、4月の入学や進級から5月を中心に開催されたPTA総会を経るなどし
て、この6月の下旬に金融機関口座からの引き落とし方式によって徴収される折も折、授業料無償化
とは別の、私費負担分の重さを感じる季節を迎え
てい
ます。
過日、北信地方の全日制高等学校の事務長
が、勤務し
ていた高校の保護者からの預かり金を数百万円着服したこと
が発覚した
と新聞やテレビメディア
が報道し、明らかになり
ました。このニュースを知り、今どきあり得ない、どのよう
な会計管理でこのように多額の金をやすやす
と引き出せるのか
と感じた県民は少なくないはずです。
事務職員という立場を悪用し、不正を行った職員の資質に帰するところは大です
が、なぜこのよう
なこと
が起き
てしまったのか。これまで、学校徴収金をめぐる学校財務の環境やシステムに課題
があるの
ではないか
との問題意識から、業務改善を進めるべき
との立場で、6点、質問を行っ
てまいり
ます。
1、県教育委員会は、7日の定例会を経
て当該の事務長による着服案件を発表し
ました
が、学校徴収金をめぐるこの職員の不祥事を受け
てどのように対応したのかをまずお聞きし
ます。
2、また、学校徴収金においては、現在、一括、包括的に集金
が行われ
ており、極めて公共的
な性格を帯び
ている
と考えるが、県教育委員会としてはどのように認識し
て取り扱いを行っ
ているのかをお尋ねし
ます。
3、学校徴収金は公金ではない
が、教職員
が管理を任され
ている実態にある。県教育委員会としてこれをどのように把握し
ているのか。また、業務上の監督はどのように行われ
ているのか、あわせ
てお聞きし
ます。
4、平成22年3月に県教育委員会から示された「学校徴収金の基本的
な考え方」には、学校徴収金の定義や基本原則、公費、私費負担の区別の考え方、保護者の負担軽減のための見直しの観点等
が定められ
ている。各学校においては、これを守り、適正に実施され
てき
ているのか。これまで守られ
てこなかった例はなかったのかを伺い
ます。
5、保護者の信託に応えるため、学校徴収金の取り扱いについては、学校ごとの判断に委ねず、統一された取り扱いマニュアルを規定する必要
がある
と考えます。この際、これを提案したい
が、見解をお聞きし
ます。
6、学校徴収金の収納率について現状
と課題をお聞きし
ます。
〔
教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)このたびの県立高校事務長による横領事案に関しましては、全体の奉仕者たる公務員
とし
てあっ
てはならない行為
であり、学校教育に対する信頼を著しく失墜するもの
であり
ます。改めて関係者及び県民の皆様に心からおわびを申し上げ
ます。
まず、学校徴収金をめぐる職員の不祥事への対応についてのお尋ね
でござい
ます。
事案の発覚を受け、県教育委員会としては、現地調査及び職員本人からの事情聴取、全ての県立学校において学校徴収金に係る会計の緊急点検を行い、6月7日付で職員本人及び監督者を処分したところ
であり
ます。さらに、6月10日には、県立学校事務長を招集し
て本件について説明をするとともに、改めて県立学校における私費会計等の事務処理基準の遵守の徹底を図ったところ
でござい
ます。また、現在、この事務処理基準の見直しに着手し
ておりまして、本件のよう
な不祥事
が二度と起こらない仕組みの構築を進め
ているところ
でござい
ます。
2点目の学校徴収金の認識及び取り扱いについ
てであり
ます。
学校徴収金については、平成22年3月に「学校徴収金の基本的
な考え方」を長野県教育委員会として定め、県立学校長宛てに通知し
ているところ
であり
ます。その考え方の中で、修学旅行費や副教材など保護者
が負担する費用を学校徴収金として定義し
ているところ
であり
ます。この基本的
な考え方においては、三つの基本原則を掲げ
ております。
一つ目は、保護者に対して十分
な説明
と報告を行うこと。二つ目は、保護者の経済的負担につながることを十分認識し、必要最小限の額
となるようその負担軽減に努めること。三つ目は、管理方法については、県立学校における私費会計等の事務処理基準に基づき、適正に取り扱うべきこと
とし
ているところ
でござい
ます。
3点目の学校徴収金の実態の把握及び監督について
であり
ます。
学校徴収金の実態把握については、事務処理基準に基づき、それぞれの学校においてどのよう
な会計
があるか、誰
が会計の担当者
であり誰
が決裁権者
なのか等を記載した登録簿を県の主管課に報告をさせ
ております。また、事務処理の過程では、校長
が監督を行っ
ており、また、適正に会計処理
がなされ
ているかを確認するために、事務処理基準に基づき、主管課
が指定した者による外部者点検を実施し、その結果を主管課に報告させ
ているところでもござい
ます。
4点目の学校徴収金の基本的
な考え方の実施状況につい
てであり
ます。
学校徴収金については、各学校において毎年度見直しを行っ
ており、「基本的
な考え方」で規定し
ております負担軽減の観点から、例えば、副教材等は本当に必要か、量は適切か等の検討や、修学旅行については、その行き先や行程、実施時期により負担軽減につながるかなどの見直しを実施し
ているところ
でござい
ます。
5点目の学校徴収金の取り扱いについて取り扱いマニュアルを規定する必要
があるの
ではないかという御提案
でござい
ます。
主に事故防止の観点から事務処理基準を定め
ておりますが、今般の不祥事を受け、再発防止のため必要
な見直しを行っ
ているところ
でござい
ます。
一方で、公費、私費の負担区分の曖昧さや保護者負担の軽減については課題
であるというふうに認識し
ております。今後、議員の御質問、御提案の趣旨を受けとめながら、学校徴収金のよりよい運用を研究し
てまいりたいというふうに
考えております。
学校徴収金の収納率についてのお尋ね
でござい
ます。
学校徴収金の収納率については、各学校からの報告は求め
ておりません
が、学校徴収金についても未収金
が生じ
ていることは承知し
ているところ
でござい
ます。「基本的
な考え方」の原則により必要最小限の額の徴収に努めること
とし
ておりますが、未収金の多寡
がこの原則
との関係で課題はないのか、学校徴収金の運用を研究するに当たって考慮し
てまいりたい
と考えております。
以上
でござい
ます。
〔22番髙島陽子君登壇〕
◆22番(髙島陽子 君)お一つお一つ御答弁いただき
ましたけれども、特に、私から4番目
と5番目にお聞きしたところで、期待した答えと少し違うところ
があり
ますので、改めて指摘をしたい
と思うのですけれども、公費
と私費の負担の区別についての解釈や理解の曖昧さ
が実態としてあるということは私もたびたび耳にしたり、目にしたりすること
があり
まして、これまでそれ
が守られ
ていなかったの
ではないか。例えば、講師への報酬や学校の設備を、受益者負担という考え方ではなく、本来は、教育活動、子供たちのために必要
な施設整備ということで公費から充当されるべき
ではなかったかというよう
な指摘
が私のところにも入っ
てまいり
ます。こういったことを踏まえ
て、先ほど、教育長は運用の研究というよう
な言葉を使われたのです
が、改めて県として統一された学校徴収金等取り扱いマニュアルというよう
なものの整備を求めたい
と思い
ます。
文部科学省は、平成24年に、初等中等局から各都道府県教育委員会教育長宛てに「学校関係団体
が実施する事業に係る兼職兼業等の取扱い及び学校における会計処理の適正化についての留意事項等について」を通知し、この中で、学校の経費について、「住民の税外負担の解消の観点から安易に保護者等に負担転嫁をすることは適当
ではない」という関係法令からの言及をし
てい
ます。
また、平成27年7月にも、学校現場における業務改善のためのガイドラインをつくり
まして、先進的実践事例を紹介しながら、適正かつ効率的
な会計処理の実施のため、「会計処理の方法をマニュアル化し、統一した基準のもとで会計処理を行う」、「共通の会計システムを導入し、児童生徒からの徴収状況をパソコンで一括管理する」
と指摘し
てい
ます。
また、少しずれ
てしまうかもしれ
ません
が、現在、長野県においても、市立及び村立の義務教育学校で民間への外部化による新た
な取り組みも始まっ
てい
ます。
長野県市町村自治振興組合は、学校現場の働き方改革や給食費徴収の公会計化を推進することを目的として、学校徴収金管理システムの共同化事業の本稼働を開始した
とのこと
で、県立学校でも参考
となる
なら、採用や導入を検討する、あるいは会計方法について統一基準を示すべき時期に至っ
ている
と感じ
てい
ます。こういったことを踏まえ
て、改めて教育長に、学校ごとの判断に委ねない県として統一された取り扱いマニュアルを規定する必要についての御見解をお聞きし
ます。
〔
教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)県で統一した取り扱いマニュアル等の策定を検討したらどうかというお尋ね
でござい
ます。
議員御指摘のとおり、公費、私費の負担区分についての曖昧さというものは私どもも認識し
ております。そして、それ
が各学校の判断に委ねられ
ていることによって保護者の皆様からのさまざま
な御疑念
があるということも
考えております。そして、今お尋ねにあり
ましたとおり、例えば、義務教育の小中学校の中では、給食費を公会計化するなどさまざま
な動き
があることも承知し
ております。そういった観点も踏まえ
まして、今回の事案を契機として、公費、私費負担の区分を適正にする、あるいは、負担軽減をどうやっ
て追求し
ていくかということも含め
て統一的
な県としての具体的
な見解
が示せるかどうかということについて検討を始め
ているところ
でござい
ますので、議員の提案の趣旨を踏まえながら進め
てまいりたいというふうに思っ
ております。
〔22番髙島陽子君登壇〕
◆22番(髙島陽子 君)続い
て、本年4月に開所した待望の信州幼児教育支援センターです
が、改めてその現状
と、今後何を目指しどのよう
な取り組みを行っ
ていくか、轟教育次長にお聞きし
ます。
また、知事には、今後の長野県の幼児教育のあり方について御所見を伺い
ます。
〔教育次長轟寛逸君登壇〕
◎教育次長(轟寛逸 君)信州幼児教育支援センターにつき
まして現状
と今後の取り組み
でござい
ます。
県内全ての子供たちに質の高い幼児教育を提供することを目指し
まして、信州幼児教育支援センターを4月1日に設置いたし
ました。
幼稚園教諭や保育士の研修は現状では園種によってバラバラに行われ
ておりまして、幼児教育支援センターでは、幼稚園、保育所、認定こども園等の園種を超え
て統一的
な研修を行っ
て、質の高い幼児教育・保育の実践を支援するとともに、小学校以降の教育に接続させ
てまいり
ます。
本県のセンターの研修の特色
といたし
まして、実践園を指定し
てのフィールド研修
がござい
ます。これは、質の高い幼児教育を行っ
ている実践園のフィールドにさまざま
な園種の保育者
が集まり
まして体験を通して学び合う研修で、県内4地区から1園ずつのほか、インクルーシブの観点から1園、小学校への接続の観点から1園、信州やまほいくから1園の計7園をフィールド園
といたし
まして、各園
が培っ
てきた質の高い保育実践を互いに学び、高め合う研修を行い
ます。このフィールド研修には小中学校や特別支援学校の教員も参加することによりまして、小学校以降へ接続させ
ていきたいというふうに
考えております。
また、本県の幼児教育支援センターは、大学等の養成機関を初め、保育所、幼稚園、認定こども園、野外保育の関係団体
と県
とで構成いたし
ます運営会議において方針を決定し
て、オールながので取り組みを推進する体制をとること
ができ
ました。関係者
が相互に協力、連携しながら効果的
な取り組みを着実に進め
てまいりたい
と考えております。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)今後の幼児教育のあり方についてという御質問をいただき
ました。
学びの県づくりを進め
ていく本県としては、生涯にわたる学び
と人格形成の基盤を培う時期でもある幼児期における教育は極めて重要
なものというふうに
考えております。社会の未来をなかなか明確に見通すこと
ができない中で、子供たちには、新しい社会を想像し
ていく力、生き抜く力を身につけ
てもらいたいというふうに思い
ますし、また、配慮
が必要
な子供たちに対しても、適切
な支援を行う
と同時に、全ての子供たち
が多様性の中でともに育っ
ていく、そうした環境づくりに努め
ていきたいというふうに思っ
ております。
本県においては、信州型自然保育「信州やまほいく」という形で具現化し
てい
ます。自然の中で一人一人
がみずから
考え、行動し
ていく力を身につける、こうしたやまほいくのよう
なものを全国へ
と広げ
ていきたいという思いで森
と自然の育ち
と学び自治体ネットワークを設立し
ました。他県、他の自治体ともしっかり連携をし
て、この幼児教育の質の充実を図っ
ていきたいというふうに
考えております。
その中で、2点だけ申し上げたい
と思い
ますけれども、一つは、幼児教育に携わる方々の専門性の向上
がこれからますます重要になっ
ていくというふうに思っ
ております。幼児教育についての理念を共有し、また、それぞれの方々
がスキルアップを図っ
てもらいたい、そういう観点でこの幼児教育支援センター
が十分機能を発揮できるようにし
ていきたいというふうに思っ
ております。
また、やまほいくのお子さんの保護者
とお話しする
と、せっかく主体性
が身についたけれども、小学校に入る
と一律の指示を受け
ていささか困惑し
ているというよう
な御意見もあり
ます。そういう意味では、幼児教育だけを取り出し
て考えるの
ではなく
て、小学校も含めた教育全体での一体的
な取り組みも極めて重要
だというふうに思っ
ております。幼児教育支援センターはまだ設立したばかり
であり
ますけれども、十分機能を発揮し
てもらい、そして、高等教育を含めた教育全体を視野に入れ
て幼児教育の充実を図っ
ていきたいというふうに
考えております。
以上です。
〔22番髙島陽子君登壇〕
◆22番(髙島陽子 君)モデル園における体験や研修は大変よい実践
と受けとめ
ております。県内の保育現場の横のつながりからの発見、そしてスキルの向上にも役割を果たす
と大いに期待をいたし
ます。また、結果的に保育資源を高める取り組みから、質
と量の両面支援も進め
ていただきたい
と要望し
ます。
前半の質問をさせ
ていただいた中で、本来公費で賄われるべきものを私費会計で処理するといった事例も、明確かつ厳格に負担する根拠を示すことによって改善
が進む
と考えます。子供たちの学びを最大限応援し
ていくためにも、教育委員会の一歩進めた取り組みを重ね
て希望し、私の質問を終わり
ます。
○議長(清沢英男 君)次に、宮下克彦議員。
〔18番宮下克彦君登壇〕
◆18番(宮下克彦 君)皆さん、おはようござい
ます。諏訪市区選出、自民党県議団の宮下克彦
でござい
ます。通告に沿っ
て質問し
てまいり
ます。
まず、仮称諏訪湖スマートインターチェンジの早期整備
と諏訪湖周辺の防災対策についてお尋ねいたし
ます。
諏訪湖サービスエリアのスマートインターチェンジにつき
ましては、地元では飯田や甲府へのリニアのアクセスのみならず、観光や産業振興、道の駅などのまちづくり、医療関係の広域的治療の需要拡大など多方面からの多くの期待
がござい
ます。これからの広域交通網のあり方を画期的に変える大きな可能性
がござい
まして、諏訪湖南岸からの諏訪地域全体を大きく活性化する可能性に早期実現の期待
が膨らんでいるところ
でござい
ます。その整備にかかる計画の状況
と今後の予定につき
まして建設部長にまずお聞きいたし
ます。
次に、諏訪湖周辺は、糸魚川―静岡構造線
と中央構造線
が交わる地質的に複雑
な地域
であり
まして、国
が公表する活断層の長期評価において地震発生確率
が全国一高い
とされ
ております。地元では、積極的
な自主防災対策の取り組み
が進んで
おりまして、ハザードマップを自治
と学びの力で大学関係者やコンサルの協力も得
て独自に整備し
ている
と聞い
ております。水源調査や地質の探査等による土石流の予測
と避難経路の周知など自主防災対策の取り組み
と、美しい防災林の整備計画
があわせ
て進んでいるところ
でござい
ます。
防災対策は、一歩おくれる
と多くの人命を失うことになりかねない切実
で喫緊の危険をはらんで
おりまして、諏訪湖周辺の地域こそ全国に先駆け
て防災対策、減災対策を講じ
て先進地域として周知する地域
である
と考えます。県におきましては、そのよう
な取り組みを広く周知するなど、また、県下の各地域においても自主防災・減災対策の取り組み
が広がるよう支援すべき
である
と考えますが、危機管理部長に見解をお聞きし
ます。
また、諏訪湖周辺の防災にかかわる河川整備、例えば一級河川新川の改修など、諏訪湖に流入する河川の整備は諏訪湖周辺の住民に大きな影響を与えるもの
であり、近年の全国的
な災害発生状況もあり
まして地域住民の関心も高く、改修促進に強い要望
がござい
ます。一度災害に見舞われる
と多くの人命を失うことになるため、今回の国土強靱化予算も使っ
て先手を打っ
て一刻も早く進めること
が必要
と考えますが、諏訪湖周辺の河川の整備の対応状況につき
まして建設部長にお聞きいたし
ます。
次に、新産業の拠点整備についてお聞きいたし
ます。
県では、先端技術活用推進課を設置し、さらに、しあわせ
信州創造プラン2.0のチャレンジプロジェクトでもイノベーティブ
な産業圏づくりの研究を進め
てい
ますが、AI、IoT及びRPAやビッグデータの活用などの最先端の技術を生かすことこそ
がこれからの長野県の振興の一つのポイント
と考えます。
産業全体では、農林漁業につき
ましても、先端技術を生かし
て夢のある展開
が大きく期待され
ているところです。ドローンによる森林管理やAI管理の農耕、ハウス栽培など、夢のある農業に向け
まして大きな期待を持っ
てさらに進めるべき
である
と考えております。
そこで、2点、
産業労働部長にお尋ねいたし
ます。
まず、医療機器関係では、諏訪地域でも大きな期待を持っ
ているところ
であり
ます。今年3月に長野県医療機器産業振興ビジョン
が策定され
ました
が、メディカル産業の拠点施設の整備につき
まして、現況及び今後の計画について
産業労働部長にお聞きいたし
ます。
さらに、諏訪地域の工業技術
とAIやビッグデータ活用等の先端技術
が連携する
と、新産業の芽
が育ち、全国、また世界から多くの企業やAI人材を集め、世界的に不足し
ている
とされ
ているAI人材を育成することもできる
と考えます。
今年3月には、産業生産性向上のためのAI・IoT、ロボット等利活用戦略
が策定され
まして、先端技術の活用
が進んでいくことを期待し
ておりますが、これに伴う拠点整備
と今後のAIを活用する人材育成の取り組みにつき
まして産業労働部長にお聞きいたし
ます。
〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕
◎建設部長(長谷川朋弘 君)最初に、仮称諏訪湖スマートインターチェンジの計画及び事業予定に関するお尋ね
でござい
ます。
仮称諏訪湖スマートインターチェンジは、平成27年度に国の準備段階調査箇所に選定され
て以降、国及び事業主体
である岡谷市、諏訪市、中日本高速道路株式会社とともに調査を進め、現在、設計などの事業化に向けた詳細
な検討を行っ
ております。
関連する県の事業
といたし
ましては、県道諏訪辰野線の未改良区間の解消を図るため、全体延長約2.4キロの道路改築計画を策定し
ており、そのうち、岡谷市小坂地籍からの約1.4キロ
が同スマートインターチェンジへのアクセス道路
となっ
ております。当該アクセス道路については、昨年度から現地測量や地質調査に着手し
ており、今年度は、道路設計などの事業化に向けた準備作業を進め
ているところです。今後とも、これらスマートインターチェンジ及びアクセス道路の設計の進捗を図るとともに、地元の岡谷市、諏訪市とも連携を図りながら早期事業化に向け
て国等への働きかけを強め
てまいりたい
と考えております。
次に、諏訪湖周辺の河川整備についてのお尋ね
でござい
ます。
諏訪湖へ流入する一級河川のうち、過去に浸水被害の実績
がある砥川、塚間川、承知川、新川、武井田川の5河川で川幅を広げるなどの河川改修を実施し
ており、これら河川の整備目標に対しまして今年度末で76%の進捗率
となる見込みです。
このうち、特に氾濫時に住宅地への影響
が大きい砥川、塚間川、承知川については、3カ年緊急対策予算を活用し、河川改修事業を加速化し
ているところです。
御質問にござい
ました諏訪市新川は、平成22年度から事業を実施し
ておりますが、当該地区は軟弱地盤
であることから、多額の費用
と時間を要し
ております。今後、地盤対策工法の見直しによるコスト縮減
と工期短縮を図ることにより、早期に改修効果
が発現されるよう努め
てまいり
ます。
今後とも、必要
な予算確保やコスト縮減等に努め、地域の皆様方の安心、安全の確保を図っ
てまいりたい
と考えております。
以上
でござい
ます。
〔
危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕
◎
危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)地域における自主防災対策、減災対策の支援についてのお尋ね
でござい
ます。
災害への備えには、地域の自治による自助、共助の取り組み
が非常に重要
であり、御紹介いただいた事例は先進的
な取り組み
である
と受けとめ
ております。県では、今年度、「いのちを守る」防災力向上プログラム開発事業により、このよう
な県内外のさまざま
な優良事例を集約し、市町村や地域住民の皆様
が活用しやすい形で提供し
ていくことを予定し
ております。
今後とも、自主防災対策、減災対策の取り組み
が他の地域にも広がるよう取り組んでまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔
産業労働部長林宏行君登壇〕
◎
産業労働部長(林宏行 君)2点御質問をいただき
ました。
まず、メディカル産業の拠点施設整備の現況
と今後の計画について
でござい
ます。
メディカル産業は、国内外での市場の拡大
が見込まれるとともに、県内企業
が保有する精密技術や県内大学の材料技術の活用
が期待できることから、県では、今年3月に長野県医療機器産業振興ビジョンを策定し、製品開発
と販路開拓等を支援する二つの拠点を設置したところ
でござい
ます。
製品開発をサポートする信州医療機器事業化開発センターでは、県テクノ財団
と信州大学
との連携のもと、独立行政法人医薬品医療機器総合機構から高度専門人材を招聘し、製品開発の市場性の検証や薬事承認への助言などを行っ
ております。
また、販路開拓等をサポートする信州メディカルデバイスグローバル展開センターでは、諏訪圏ものづくり推進機構
と諏訪地域の中小企業グループSESSA
との連携のもと、本県のすぐれた技術を集め、国内外の大手メーカーへの提案をするため、商談会や展示会への出展支援などを予定し
ております。
ビジョンの第1フェーズ
となるこの5年間は、この二つの拠点を中心
とする支援や県内大学等
と連携した人材育成に取り組むことで県内企業の存在感を高めつつ、5年から10年後の第2フェーズにおいては、開発プレーヤーのさらなる集積地
となるよう必要
な施策を展開し
てまいり
ます。
次に、先端技術活用の拠点整備
と今後のAI活用人材育成について
でござい
ます。
ソサエティー5.0の実現に向けた技術革新
が加速する中、県内産業
が生産性を向上させ、発展し
ていくためには、AI、IoT等先端技術の早期実装や専門人材の育成確保
が急務
でござい
ます。
しかしながら、平成30年10月に実施した調査では、県内においてAI、IoT等の導入済み企業は9.4%にとどまっ
ていたことから、本年3月にAI・IoT、ロボット等利活用戦略を策定するとともに、4月から県中小企業振興センター内に開設したAI・IoT等先端技術利活用支援拠点において専門家2名による県内企業に対する相談体制を構築し
ました。
当拠点を核に、経済団体や大学、産業支援機関等によるAI、IoT等の利活用促進プラットフォームの形成やマッチングサイトの開設などにより県内企業の利活用を加速させ
てまいり
ます。
他方、県内企業におけるAI・IoT関連機器の開発を促進するため、本年4月、松本市に設置したAI活用/IoTデバイス事業化・開発センターに大手IT関連企業の事業開発経験者をプロデューサーに迎え、2名の専門家を配置いたし
ました。農業、ヘルスケアなどのテーマに応じ、IoT製品開発のプロジェクトチームを組織し、高い付加価値を持ち、競争力を有するビジネスモデルの構築を支援し
てまいり
ます。
AI分野等の人材育成については、県テクノ財団や諏訪圏ものづくり推進機構などの産業支援機関におけるセミナーの実施に加え、今年度から公立諏訪東京理科大学
と連携し
て、企業技術者向けのリカレント講座を開講いたし
ます。
今後とも、県内産業
が第4次産業革命
がもたらすデジタルトランスフォーメーションにしっかり対応できるよう産学官の連携を強化し
て、支援に努め
てまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔18番宮下克彦君登壇〕
◆18番(宮下克彦 君)ありがとうござい
ました。前向き
な御回答をいただき
まして、早期の実現を期待し
ております。
続き
まして、諏訪湖の創生についてお聞きいたし
ます。
県歌「信濃の国」に「諏訪の湖には魚多し」
と歌われ
ました諏訪湖の漁獲量
でござい
ますが、最盛期に比べ
て桁違いに激減し
てしまっ
ております。危機的
な状況
と周囲の団体等
が非常に心配し
ております。
諏訪湖については、諏訪湖創生ビジョンを推進する中でさまざま
な対策
が提案され
てい
ますが、まず、諏訪湖の漁獲量減少に対する対策につき
まして農政部長にお聞きいたし
ます。
次に、昨年度諏訪建設事務所
が実施し
ました湖底状況の調査により
ますと、汚泥の堆積
が今まで以上のスピードで進んでいること
が明らかになり
ました。堆積
が急速に進んでいる現況から、湖底の汚泥のしゅんせつにつき
ましても効果を再検討する必要
がある時期
と考えます。
また、汚泥のもと
となる水草のヒシの除去につき
ましても、他県でも苦労しながらさまざま
な方法をとっ
ている
と聞い
ておりますが、詳細に検討し
て最も効果的
な方法を採用するべき
ではないか
と考えます。湖内の堆積への対応及びヒシの繁茂対策に関する効果的
な県の取り組み方針につき
まして、建設部長にお聞きいたし
ます。
諏訪湖水の貧酸素対策や、かつて諏訪湖の水
が自然浄化され
ていたころのよう
な湖水の対流や流動化を
考えますと、基礎データの収集や最新の技術情報等を生かし
ました総合的
な諏訪湖浄化対策の研究
が必要
と考えます。
諏訪湖周では、さきに軽井沢で行われたG20関係閣僚会合の長野宣言に声高くうたわれた流入するプラスチック等のごみ削減対策など、適切
な廃棄物管理を進める官民の枠を超えた活動
が活発に行われ
ております。諏訪湖の創生のためには、各分野の関係者
が協働し、多くの分野にわたるさまざま
な知恵を取りまとめ
て、協力、協働し
て取り組みを進め
ていく必要
があり
ます。
諏訪湖環境研究センター(仮称)には、さまざま
な情報
と知恵を集約し
て効果的
な対策を進め
ていく上で大きな役割を期待し
てい
ますが、見解を環境部長にお聞きいたし
ます。
最後に、しあわせ
信州創造プラン2.0の実施、施策実現のスピード感についてお聞きいたし
ます。
県の職員も不断のさまざま
な工夫、検討、若い世代の意欲ある提案等によりまして、県民の提案に対して、こうすれば実施可能
だとか実現の可能性
があるなど
と、最近、意欲的、前向きに変わっ
ている
と感じ
ております。今回、選挙戦を通じまして多くの県民の皆さん
と直接お話をしたところ、県政の迅速化を望む切実
な思いを痛切に感じたところ
でござい
ます。
そこで、まず、昨年度策定し、取り組んでき
ましたしあわせ
信州創造プラン2.0は2年目
となり
ました
が、これまでの取り組み状況につき
まして企画振興部長にお聞きし
ます。
人生100年時代
となり、多くの県民の皆様
が何とか早期の政策の実現を
と切実に訴え
てこられ
ました。刻々
と年を重ね
ていく中で、一刻も早い事業の実施を皆さん
が熱心に期待し
ておりました。4年の計画を3年
で、3年の計画を2年で実現すること
ができれば、県民の皆様の心からの笑顔につながるの
ではないでしょうか。しあわせ
信州創造プラン2.0の計画実現に向け、スピード感を持っ
て取り組んでいく阿部知事の意気込みをお聞きいたし
ます。
〔
農政部長山本智章君登壇〕
◎農政部長(山本智章 君)諏訪湖の漁獲量減少に対する対策についてのお尋ね
でござい
ます。
水産試験場では、漁獲量の減少に対する対策として、ワカサギの大きさや量などの資源状況調査やシジミ
が生息できる湖底環境を確認するための試験などを実施し、その結果を諏訪湖漁協へ情報提供するとともに、技術的
な指導、支援を行っ
ているところ
でござい
ます。
また、漁獲量減少の要因の一つ
である外来魚や魚食性鳥類の対策としまして、漁協の行うブラックバス等の駆除事業への補助に加え、漁協
と協力し
てドローンを用いたカワアイサ及びカワウの追い払いなど新た
な取り組みも実施し
ております。
引き続き、漁獲量の維持拡大に向け
て、一つ一つ可能
な対策を漁協や関係機関
と連携し
て取り組んでまいり
ます。
〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕
◎建設部長(長谷川朋弘 君)諏訪湖の土砂流入対策
とヒシの除去についてのお尋ね
でござい
ます。
まず、諏訪湖への土砂流入対策です
が、湖底の調査結果から土砂の堆積傾向
が高い砥川、宮川などの5河川の河口部で、昨年度から3カ年緊急対策予算も活用し
て堆積した土砂の撤去を進め
ているところです。
次に、ヒシに関しては、諏訪湖創生ビジョンに基づき、年間510トン程度を目途に大型刈り取り船を用いた除去を行うほか、昨年度から小型刈り取り船も導入し、浅瀬や支川河口部での刈り取りを始めたところ
でござい
ます。
また、ヒシの繁茂対策として、平成27年度からは湖底を砂で覆う覆砂工を実施し、加え
て、今年度からは新たに掘削機械による根こそぎ除去も試行的に開始する予定
でござい
ます。
今後も、定期的に湖底の堆積状況やヒシの繁茂状況を調査、検証し、地元関係者や専門家の意見を伺いながら効率的、効果的
な土砂流入対策、ヒシの繁茂対策等に取り組んでまいりたい
と考えております。
以上
でござい
ます。
〔環境部長高田真由美君登壇〕
◎環境部長(高田真由美 君)諏訪湖環境研究センター(仮称)の役割についてのお尋ね
でござい
ます。
諏訪湖環境研究センター(仮称)の機能につき
ましては、現在、有識者等による検討会において議論をいただい
ているところです
が、県の複数機関で行っ
ている水環境保全等の調査研究業務を集約し、調査研究を一体的に行う体制を整備し
ていきたい
と考えております。
また、情報発信や環境学習の場としての機能についても検討し
ております。さらに、大学や地域関係団体等関係機関とも連携を強化し
ていくなど、センターの設置を諏訪湖の環境改善につなげ
てまいりたい
と考えております。
以上
でござい
ます。
〔
企画振興部長伊藤一紀君登壇〕
◎
企画振興部長(伊藤一紀 君)しあわせ
信州創造プラン2.0の取り組み状況につき
ましてお答えいたし
ます。
1年目の政策評価につき
ましては現在作業中でし
て、9月定例会に報告する予定ですので、御承知おきいただきたい
と思い
ます。その上で、計画2年目
となり
ます今年度は、プランに位置づけ
ました施策の本格展開を図るための予算を編成し、人口減少社会の対応を初め、産業の生産性向上、学びの改革や子育て支援などの取り組みを加速化させ
ております。
また、政策の効果を最大化するための推進エンジンとして位置づけ
ております学び
と自治の力による県づくりも精力的に進め
ているところでし
て、県組織自体を学ぶ県組織へ転換するための取り組みや、県民の皆様とともに取り組んでいくためのフォーラムの開催、それから地域人材の育成などを行っ
ております。引き続き、職員、組織一丸
となり
ましてプラン2.0の着実
な推進に努め
てまいり
ます。
以上です。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)しあわせ
信州創造プラン2.0の実現に向け
てスピード感を持っ
て取り組むべきという御意見で、私の意気込みはいかにという御質問
であり
ます。
しあわせ
信州創造プラン2.0には、学び
と自治の県づくりやチャレンジプロジェクトのように中長期的
な視点で着実に取り組むべきものもござい
ますが、全体としては、御指摘のとおり、スピード感を持っ
て取り組まなければいけないというふうに思っ
ております。
例えば、既に事業化したものとして、お年寄りの方々のさらなる健康づくりを推進するための健康長寿ビッグデータ分析・活用事業、また、県立図書館を改修し
て、人
と人
がつながり学び合う信州・学び創造ラボ、また、8月には、地域のまちづくりを応援する信州地域デザインセンターの開設といったこと
で、このプランに掲げたものもできるだけ早期に実現できるように取り組んでいきたいというふうに
考えております。
加え
て、こうしたことだけ
ではなく、宮下議員御指摘のとおり、県民の皆様方に実感いただく上では、宮下議員にも県職員として意識改革にお取り組みいただいたわけ
であり
ますけれども、一つは、分権型の組織をしっかりつくっ
ていく
と同時に、部課長や所属長
が自分
ができる範囲で主体的に
考え、行動し
ていくという意識を持っ
て学ぶことも重要
だというふうに思っ
ておりますし、また、補正予算等の活用もしっかり
考えていくということも重要
だと思っ
ております。
さまざま
な取り組みを工夫し、そして我々組織の動き方を改善し
ていく中で、多くの県民の皆様方に県政のスピード感を実感し
ていただくこと
ができるように努力し
ていきたいというふうに思っ
ております。
以上です。
〔18番宮下克彦君登壇〕
◆18番(宮下克彦 君)多岐にわたり前向き
な御答弁をいただき
ましてありがとうござい
ました。
諏訪湖の漁獲量の減につき
ましては水質浄化に関係するところ
がかなりある
と考えますので、ぜひ総合的に対策を検討し、取り組んでいっ
ていただきたい
と考えております。
それにつけ
ても、諏訪湖環境研究センター
が諏訪湖浄化について総合的に検討され
ますようぜひよろしくお願いしたい
と思い
ます。
県議選を通じまして、県民の皆様
と直接向き合い、県民目線で取り組むことを日々問い直し
まして、県政を支え、県職員を激励し
まして、ともに県民
とのかけ橋
となるべく、施策の実現に向け
まして全身全霊を傾け
て取り組んでまいり
ますので、県民
と県政、県議
と県職員
が協力し、長野県のさらなる発展を目指し
てスピード感をもっ
てともに頑張っ
てまいり
ましょう。
以上で私の一切の質問を終了いたし
ます。ありがとうござい
ました。
○議長(清沢英男 君)この際、午後1時まで休憩いたし
ます。
午前11時13分休憩
──────────────────
午後1時開議
○副議長(荒井武志 君)休憩前に引き続き会議を開き
ます。
続い
て順次発言を許し
ます。
毛利栄子議員。
〔38番毛利栄子君登壇〕
◆38番(毛利栄子 君)四賀メガソーラー事業について伺い
ます。
再生可能エネルギーの本格的導入は温暖化対策としても喫緊の課題です。しかし、日本では、きちんとした規制やルール
がないままもうけを優先した乱開発
が起き、特に、2012年7月の固定価格買い取り制度開始以降、事業用太陽光発電をめぐって急速に認定、導入されることになり、安全性や環境保全で住民
との間でトラブル
が起き
ております。
霧ヶ峰に計画され
ている四賀メガソーラーは全国初の環境アセス対象にした事業です
が、開発面積200ヘクタール、諏訪湖の面積の7分の1に相当する広さ
であり、その半分を伐採し、31万枚のソーラーパネルを敷き詰め、89メガワットの電力を送出するというもの
で、全国的に見
ても巨大
な計画です。
ここは、環境省の特定植物群落にも指定され、長野県のレッドデータブックに記載され
ている指定希少野生動植物、また、貴重
な高層湿原群落もある場所
であり、諏訪市の酒造5蔵の水源や茅野市民の4分の1に当たる飲料水を供給する大清水水源を涵養し
ており、諏訪湖や上川の漁業にも大きな影響
が及ぶこと
が憂慮され
てい
ます。また、大規模
な伐採は保水力を奪い、横河川下流域の茅野市米沢では過去に河川の氾濫や土砂災害も経験し
ており、米沢北大塩地区の93%の区民
が反対の意思を表示し、全体で5万を超える署名も集まっ
てい
ます。
そこで、以下、環境部長に質問いたし
ます。
環境アセスに沿っ
て会社側から準備書
が出される段階です
が、いつごろになるのでしょうか。会社側の説明では、発生土は18万7,000立米
とのことです
が、沢を埋める当初計画から、県の指導もあり、2カ所の隣接する砕石場に変更になり
ました。事業者はアセス対象区域外
と言っ
てい
ます。住民の皆さんは盛土の防災面や環境面の管理を心配され
てい
ます。どこ
が責任を持つのでしょうか。
次に、建設部長に伺い
ます。
四賀メガソーラーは、中央高速道路から張りめぐらされたパネル
が目に飛び込んでくる位置にあり
ます。2月議会で、山口典久議員の代表質問に対し、景観届け出制度に新た
なルールの追加を検討し
ている
との答弁でした
が、検討の中身
と進捗状況はどうなっ
ているのかお聞かせください。
続い
て、林務部長に伺い
ます。
林地開発許可の現状はどこまで進んでいるのか、また、今後のスケジュールについてお示しください。事業者は、立木の伐採を行った後、抜根はしない、伐採木のチップ化はしない
と言っ
てい
ます。伐採木の処理について県はどのよう
な指導をするのか伺い
ます。
次に、知事に伺い
ます。
準備書
が出された後に、知事意見を述べるに当たって環境の保全上の意見を聞く必要
がある
と認めるときには公聴会を開く
となっ
ております。4月22日付で米沢地区区長代表
と米沢地区Looopソーラー対策協議会会長名で知事宛てに公聴会を開くよう求める要望書
が出され
てい
ますが、どのように受けとめ
ておられるのか。また、実施し
ていただけるのでしょうか。
富士見町では、10キロワット以上の事業者に対し、町長への事前協議、周辺住民、関係区への説明を義務づけ、住民の求めに応じ合意取りつけや協定締結を行うよう規定し、実施に当たって町長の許可を受けなければならないという画期的
な条例を6月議会で可決し
ました。県内各地で起こっ
ているトラブルは環境の大規模
な改変を伴うものも多く、観光県長野にとっても看過できない状況です。そこで、県としても新しいルール、知事の認定を得る条例の制定
が必要
だと思い
ますが、いかがでしょうか。
〔環境部長高田真由美君登壇〕
◎環境部長(高田真由美 君)2点御質問をいただき
ました。
初めに、準備書の提出について
でござい
ますが、6月24日付で事業者から準備書
が提出され
ました。現在、公告に向け
て手続を進め
ているところ
でござい
ます。
次に、残土処理の管理について
でござい
ます。
この事業で発生する残土につき
ましては、当初のソーラー事業者による事業用地内処理から、別の近隣採石事業者による採石跡地整備への利用に変更され
ました。このため、ソーラー事業
とは別の採石事業の内容
となり、環境アセス制度上
では検討事項から外れること
となり
ます。この採石跡地での残土処理につき
ましては、内容に応じ
て採石法や森林法に基づく許認可
が必要
となるため、これらの法令手続の中で、防災や環境の観点も含め審査されるもの
と承知し
ております。
以上
でござい
ます。
〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕
◎建設部長(長谷川朋弘 君)景観届け出制度の見直しに関する検討状況についてのお尋ねです。
本年4月1日時点で、県内では諏訪市など23の市町村
が景観行政団体
となっ
ており、県は、それ以外の54の市町村の区域において景観行政を担っ
てい
ます。
県では、太陽光発電施設を初め
とする一定規模以上の工作物の設置などの行為に対して、景観法及び景観条例に基づき、事前の届け出を義務づけ
ているところです
が、この手続の見直しを進め
ており、具体的には、地域にとって重要
な景観の眺望点からのシミュレーション
と住民説明の状況などを届け出に際して提出を求めることを検討し
てい
ます。
この方針について、本年1月の景観審議会に説明し、現在、詳細について有識者による専門委員会にて御審議いただくとともに、景観行政団体を含め、市町村へ情報提供し、意見交換を行っ
ているところです。今後、パブリックコメントを行った後、景観審議会にお諮りした上で本年度中の施行を目指し、届け出制度の見直しを行っ
てまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔林務部長井出英治君登壇〕
◎林務部長(井出英治 君)林地開発許可に係る進捗状況
と伐採木の処理についてのお尋ねです。
現状では、事前協議を行っ
ております。事前協議では、土砂災害の防止、水害の防止、水源の涵養、環境の保全について審査を行い、内容
が適正
と認められた場合に申請書を提出するよう通知をし
ます。なお、申請に当たっては、環境アセスの内容
が反映されるよう指導し
てまいり
ます。申請
がなされた場合は、森林審議会で専門的
な意見をお聞きし、許可、不許可を判断し
ます。
伐採木の処理につき
ましては、事業によって発生する伐採木
が産業廃棄物になる場合は、適正
な処理を行うよう指導し
てまいり
ます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)諏訪市四賀のメガソーラー事業について私には大きく2点御質問いただき
ました。
まず、公聴会の開催
と要望書の受けとめについてという御質問
でござい
ます。
今回の環境アセスにおける準備書段階の手続におきましては、環境保全の見地からの意見を有する者の意見をお伺いするため、公聴会の開催を計画し
ております。
また、4月22日付の要望書につき
ましては、地域住民の皆様方
が、太陽光発電施設設置のために計画され
ております森林伐採により地域の水源涵養機能の低下や水道水源等に利用し
ている湧水の水量減少について御懸念、御不安を抱い
ているということを強く受けとめさせ
ていただい
ているところ
でござい
ます。
条例の制定についてという御質問
でござい
ます。
太陽光発電施設の設置に当たりましては、環境面あるいは防災上の懸念
が生じることのないよう、地元の皆様
との合意形成を図りながら事業を進め
ていただくということ
が重要
だと考えております。
県としては、太陽光発電
が地域
と調和したもの
となるように、全国に先駆け
て環境影響評価条例を改正し
て太陽光発電事業を対象
とさせ
ていただいたほか、林地開発許可等の手続についても積極的に見直しを行っ
てきたところ
であり
ます。
先ほど建設部長からも答弁したように、景観届け出制度の見直しも行っ
ているところ
であり
ます。今後とも必要
な取り組みを行っ
ていきたいというふうに
考えております。
以上です。
〔38番毛利栄子君登壇〕
◆38番(毛利栄子 君)今、知事からも御答弁いただき
ました
が、重ね
てお伺いさせ
ていただき
ます。
豊か
な自然環境を売りにする長野県
が事業用太陽光発電でもうけを狙う業者のターゲットにされ
てい
ます。国もようやく問題意識を持ち、ソーラー発電も環境アセスの対象にしよう
と取り組み始め、大量の未稼働案件の固定価格買い取り制度に規制や低減をかけるなどを始め
てい
ます。
全国に先駆け
て実施した長野県の太陽光発電にかかわるアセスは森林の面積
が20ヘクタール
と大きいために、アセスの対象
とならずに設置され
ている例
がふえ
てい
ます。和歌山県では、50キロワット以上の事業用発電に知事の認可を必要
とする条例
が昨年3月に制定され
ました。県は、市町村対応マニュアルなどを示し
てい
ますが、市町村では対応しきれない事例
があるため、県での対応
が必要
だと思い
ます。重ね
て知事の所見を伺い
ます。
続け
て質問させ
ていただき
ます。福祉医療のさらなる充実について伺い
ます。
昨年8月から、県下全ての市町村で子供医療費を中学生まで所得制限なし
で現物給付にし
ていただいたことは大歓迎され
てい
ます。月末や金銭面の余裕
がないときに子供を病院に連れ
ていけないこと
があった。これからは安心し
て受けられる。支払い
が以前より少なく
て済み助かり
ます。手持ちのお金を気にせずかかれるようになり
ましたなど、喜びの声
が届い
てい
ます。
福祉医療給付制度の改善を進める会
が昨年10月から12月にかけアンケートを実施、698世帯から回答を得
ました。アンケートでは、現物給付になったことに対して76.9%
が「大変よい」、「よい」
と答え、県の制度を評価し
てい
ます。一方で、やっとかという思い
だという受けとめや、500円の自己負担分を払うの
なら窓口無料
とは言えないなど完全無料化を求める声も多く聞かれ
ます。県内では、完全無料化の自治体
が11町村、14.3%まで広がっ
てい
ます。
そこで、健康福祉部長に伺い
ます。
格差
と貧困
が広がるもとで子育て支援の充実
が求められ
てい
ます。中学卒業までの子供医療費窓口一部負担金をなくすのに必要
な財源は幾らでしょうか。県としてぜひ完全窓口無料化を実施し
てほしい
と思い
ますが、いかがでしょうか。
また、同じ福祉医療
である障害者医療給付も現物給付にし
てほしい、そういう要望
が強く寄せられ
てい
ます。障害者の場合、働けない上に医療費
が高い傾向にあるのでなおさらです。見解を求め
ます。
福祉医療の改善を進める上で、当事者の思いや願いを聞くことは何より大事
だと思い
ます。子育て中のお父さん、お母さん、また、障害をお持ちの皆さんに完全無料化にかかわる意見を幅広く聞く機会を実施し
てほしい
と思い
ますが、いかがでしょうか。
次に、知事に伺い
ます。
日本共産党は、国の制度として、差し当たっ
て就学前までの医療費を所得制限なし
で無料にすることを求め
ております。全国で助成制度
が広がるもと
で、住むところによって命にかかわる子育て支援策
が違うのはおかしい。国
が就学前までを無料化すれば、さらに自治体の助成制度を前進させること
ができる
と考えているから
であり
ます。子供医療費の就学前までの無料化をぜひ国に強力に求め
てほしい
と思い
ますが、いかがでしょうか。
県下78%、60の市町村では、入院、通院とも高校卒業まで無料です。また、100%の市町村で中学卒業までの通院給付を実施し
てい
ます。市町村の努力でこのよう
な事業
が前進し
てき
ている
と思い
ますが、市長会からも、通院も今の就学前から中学卒業まで県の補助を拡大し
てほしい
と重ね
て要望
が上げられ
てい
ます。知事の考えを伺い
ます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)まず、太陽光発電事業につき
まして再度質問をいただき
ました。条例の制定について改めて問うということ
であり
ますが、太陽光発電事業につき
ましては地域ごとに課題や事情
が異なるわけ
であり
ます。県内市町村におきましても、既に条例化
が行われ
ている市町村
が幾つかあるわけ
であり
ますし、県としてこれまでもこうした動きをしっかり応援させ
てき
ていただい
ているところ
でござい
ます。今後とも、市町村
と課題を十分共有しながら、再生可能エネルギー事業
が適正に導入され、地域
と調和したもの
となるように取り組んでいきたい
と考えております。
続き
まして、福祉医療に関連し
て、子供医療費就学前までの医療費無料化を国に求め
てほしい
がどうかという御質問
でござい
ます。
私どもは、就学前
と言わずに、国の社会保障政策にしっかり位置づけろという要請をし
ているところ
であり
まして、御承知のとおり、現在、子供の医療費助成制度は全国全ての自治体で行われ
ているわけ
であり
ます。しかしながら、受益者負担金の有無や対象年齢、補助対象区分など自治体ごとにさまざまに制度
が分かれ
ているわけ
であり
ます。
こうした中で、子育て支援においての子供医療費助成は全ての自治体で行われ
ているわけ
であり
ますから、国において社会保障の中でしっかり向き合うべきものというふうに私は
考えております。全国一律の制度
とするよう国に求め
てき
ているところ
であり
ますし、これからも引き続き求め
ていきたいというふうに思っ
ております。
それから、子供医療費助成の補助対象の拡大ということ
でござい
ます。
市長会からも、中学生まで県の追補助対象
となるように御要請いただい
ているところ
であり
ます。こうした市町村における御努力、中学まで所得制限なし
で現物給付方式で医療費助成
が行われ
ているということは、市町村の皆様方の御協力、お取り組みのおかげ
だということ
で、私としては大変ありがたく思っ
ております。全国的に見
ても非常に充実した制度
となっ
ているというふうに
考えております。
県の補助対象を拡大すべきという御要請の趣旨については私も問題意識をしっかり共有させ
ていただい
ているところ
であり
ます。しかしながら、県の限られた財源を
有効に活用し
ていく上では、単に県
と市町村
との間で財源振替を行う
ということにとどまっ
てはいけないの
ではないかというふうに
考えております。
より望ましい子育て支援等にどうつなげ
ていけばいいのかということについて十分検討し
ていきたい
と考えております。
以上です。
〔健康福祉部長大月良則君登壇〕
◎健康福祉部長(大月良則 君)福祉医療につき
まして3点御質問をいただき
ました。
まず、子供医療費の窓口一部負担金をなくすために必要
な財源につい
てでござい
ます。
子供医療費に係る受給者負担金を廃止した場合です
が、県、市町村合わせた新た
な財政負担としては8億円
と試算し
ております。
完全無料化の実施について
でござい
ます。
子供医療費の窓口負担金の取り扱いについては、この制度
が市町村
と共同の制度
であり
ますことから、財政負担をお願いする市町村の考えも十分聞き、尊重し
ていく必要
がある
と考えております。平成28年度に現物給付方式の導入について検討を行った際に受給者負担金のあり方について市町村の意向調査を実施し、現行
と同様
とする
との回答
が77市町村の8割を超える結果
となり
ました。この調査結果を踏まえ、長野県福祉医療費給付事業検討会において、将来にわたり持続可能
な制度として県民福祉の向上に寄与するため、現行の1レセプト当たり500円を維持すること
が適当
である
との議論の取りまとめ
がされたところ
であり
ます。
子供医療費に係る受給者負担金の廃止について御要望
があることは承知し
ております。財源
が限られる中で、福祉医療制度全体のバランスのとれた充実を図ること
が必要
であり、また、現物給付方式の導入による受診動向
が与える財源面の影響等も総合的に勘案し
て判断をする必要
がある
と考えております。
次に、障害者の医療給付も現物給付
とすることについて
でござい
ます。
福祉医療制度における現物給付方式につき
ましては、国民健康保険国庫負担金等の減額調整措置
が未就学児まで廃止されたことを踏まえ、検討の結果、子育て支援の観点から子供の医療費について現物給付方式を導入すること
が適当
である
とされ、昨年8月より導入させ
ていただき
ました。
障害者の医療費助成を現物給付方式の対象
とするよう御要望
があることは承知し
ておりますが、仮に現物給付方式の対象
とした場合には、国保減額調整措置による国庫負担金の減少、健康保険組合の附加給付の停止の影響により県及び市町村に新た
な大きな財政負担
が生じ
てまいり
ます。現物給付方式の拡大については、財源
が限られる中で、福祉医療制度全体の観点、財政面の持続可能性の観点から総合的に判断する必要
がある
と考えております。
最後に、当事者の意見を聞く機会の実施について
でござい
ます。
受給者負担金や補助対象の考え方はさまざま
であり、制度の見直しに当たっては、実施主体
である市町村とともに関係団体等当事者の皆さんの意見をお聞きしながら判断をし
ていく必要
がある
と認識し
ております。
そのため、昨年秋以来、福祉医療給付制度の改善をすすめる会を初め5団体の当事者の皆様から、受給者の置かれ
ている現状や対象範囲の見直しに関する御意見を直接お聞きし
てまいり
ました。
貴重
な限られた財源を福祉医療も含め
てどのよう
な施策に使わせ
ていただくこと
が最も子供や障害者の支援につながるかを、さまざま
な機会を通じて当事者の皆様とも丁寧に意見交換をさせ
ていただき、今後の福祉医療のさらなる充実の判断に生かし
てまいりたい
と考えております。
以上
でござい
ます。
〔38番毛利栄子君登壇〕
◆38番(毛利栄子 君)先ほど知事に御答弁いただき
まして、ちょっと聞き取れない点もあり
ました
が、社会保障全体の中で
考えなければならない問題
であるという点や、財源を市町村
が持つか県
が持つかというよう
なこともある
とおっしゃっ
ておられ
ました。しかし、事は子供たちの命にかかわる問題ですので、一般の社会保障
と同列に扱うという問題ではなく
て、長野県内どこに住んでいようとも、長野県民として県
が責任を持っ
て命を守っ
ていくという立場で、市長会
が求め
ているよう
な受益者負担金の撤廃、中学卒業までの通院補助をやっ
ていただきたい
と思い
ます。要は、お金の問題
というよりも、知事の決断一つにかかっ
ているの
ではないか
と私は思っ
ております。
お金の問題ということ
であれば、例えば6月議会でも、財政
が厳しい
と言いつつ、やりくりすることによって25億円を新たに基金へ繰り入れること
ができたことを
考えれば、未来への投資として知事には大胆
な決断を求めたい
と思い
ますが、いかがですか。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)子供医療費の助成についてはこれまでも再三改善をし
てき
ているところ
であり
ます。受益者負担金については、先ほど部長から答弁申し上げ
ましたとおり、この制度は私ども県
が単独で行っ
ている制度ではなく、市町村
と共同で行っ
ているもの
であり
ますので、市町村
と一緒に検討し
ていかなければいけない課題
だというふうに思っ
ております。
私も、お母さんたち
と話したこと
があり
ます。受益者負担金はどうですか
と聞く
と、確かにないにこしたことはない。ただ、その総額
が億単位
であればほかのことに使っ
てもらったほう
がいいの
ではないかという方もいらっしゃるということは事実
であり
ます。全ての財源を行政
が負担するということは、ほかを削減、抑制するということにつながるわけ
であり
ますので、全体のバランスを見ながら
考えていくべきものというふうに思っ
ております。
そして、通院補助の拡大については、先ほども御答弁申し上げ
ました
が、これは、今、市町村の皆様方に支え
ていただい
ているわけ
であり
ます。県の負担部分を拡大するということで市町村の負担は軽減され
ますが、単にそれだけ
だと県民の皆様にとっては直接影響
がないということは毛利議員も重々おわかりのこと
だと思い
ますので、県民の皆さんにとって望ましい形にするにはどうし
ていけばいいのかということを
考えていく必要
があるということを先ほど申し上げたところ
でござい
ます。
以上です。
〔38番毛利栄子君登壇〕
◆38番(毛利栄子 君)最後に、長野県主要農作物及び伝統野菜等の種子に関する条例案について伺い
ます。
昭和27年に主要農作物種子法
が制定され
て以来、農業者
と国、県、農業試験場を初め
とした農業関係者の努力によって、米、麦、大豆の品種改良
と種の保存、生産、供給
が進められ、長野県農業の発展に多大
な役割を果たし
てき
ました。昨年、種子法
が廃止され、農業関係者や消費者の間に大きな不安
が広がり
ました。そうした中で、長野県
が、県民の不安払拭のために、全国でも評価される米、麦、大豆、ソバや伝統野菜を加えた条例を県民の意見も取り入れつつスピード感を持っ
て提案されたことは歓迎でき、高く評価したい
と思い
ます。
そこで、以下、農政部長にお伺いいたし
ます。
種は最も基礎的
な農業生産資材
であり、大切
な遺伝資源です。その開発、生産、普及、保存などに公的機関
が責任を持っ
て対応し
ていくことは必要不可欠
で、国連の提唱するSDGsの食料の安定確保
と持続可能
な農業の推進にも合致し
てい
ます。
過日、種子管理団体に指定予定の原種センターを視察させ
ていただき、お話を伺っ
てまいり
ました。他県には見られない施設として、主要農作物の種子・原種生産供給事業や園芸用種苗・きのこ母菌生産販売事業、遺伝資源の保存事業などをされ
ており、長野県農業の根幹を支え
ていただい
ていることに認識を新たにしたところです。
条例第8条
では、種子計画を原種センター
が実施する
となっ
てい
ますが、長野県農業の根幹を担う部分のため、県
がイニシアチブを発揮し、種子管理団体
と協議しながら責任を持っ
て策定する必要
がある
と考えますが、いかがでしょうか。原種センターにした理由などもお聞かせください。
条例に魂を入れ
て実効性のあるものにし
ていく上で大切になるのは、種子生産をする後継者の育成や担い手の確保です。種採りや交雑を防ぐためには、長年の経験
と巧み
な技術
が必要
であり、手作業に頼らざるを得ない部分のある根気のいる仕事です。担い手の確保にどう対応し
ていくのでしょうか。
加え
て、種子を調製する専用施設の老朽化
が進んでいる現状もあり
ます。中川博司議員の質問に、部長は、今年は産地ごとに調査をし
て課題を洗い出す
と述べ
ておられ
ました。しかし、老朽化の現状は待ったなしです。調査
と並行し
て速やかに対応し
ていただきたい
と思い
ますが、いかがですか。
〔
農政部長山本智章君登壇〕
◎農政部長(山本智章 君)2点御質問をいただき
ました。
まず、種子計画の策定について
であり
ますが、種子計画は主要農作物の種子の需給見通しや生産量などを定めるもの
で、毎年の種子の必要量、在庫量、種子更新率や生産現場の実態等を十分考慮し
て作成する必要
があり
ます。
本県では、先ほど議員からお話
がござい
ましたけれども、他県には例のない県、JAグループ、市町村等の出資により設立し
ました長野県原種センター
が種子の需給調整や在庫管理を行っ
ており、この原種センターを中心
とした種子の生産供給システム
が確立され
ております。このため、種子の生産
と安定供給の中核を担い、種子産地の巡回等を実際に行っ
ている原種センター
が種子計画を作成すること
が適当
と考えております。
また、計画の作成に当たりましては、原種センターの原案を県及びJAグループ等で構成する専門委員会におきまして十分に協議し、決定し
てまいり
ます。
次に、種子生産に係る課題への対応について
であり
ますが、種子の生産現場におきましては、後継者の育成や担い手の確保、種子調製施設の老朽化への対応は大変重要
な課題
である
と考えております。このため、後継者の育成や担い手の確保も含めた産地の将来的
なあり方や、労働力の削減につながる育苗・防除作業等の共同化の推進について関係者
が話し合う場を設けるとともに、共同作業に必要
な機械の導入などについても支援を検討し
てまいりたい
と考えております。
また、種子調製施設の設備につき
ましては多額の費用を要することから、施設の統廃合や共同利用なども視野に、国の交付金の活用なども含め、産地の実情に合わせた支援を検討し
てまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔38番毛利栄子君登壇〕
◆38番(毛利栄子 君)昭和41年に建てられ
て既に50年余を経過し
ている信里の種子センターを視察し
てまいり
ました。種もみの調製機の部品
がないために、壊れたときには自分たちで手探りの工夫をしながら対応し
ている
とのことでした。コシヒカリなど285トンの契約を請け負っ
ており、倉庫も手狭
であり
ます。何か故障
があったときには、3階部分に相当するくらいの高さまで階段もないよう
な機械を登っ
ていっ
て、本当に危険
な状況の中で管理をし
ているというお話を伺っ
てまいり
ました。
施設の機能
が働かなくなれば、種の供給に支障
が出
ます。そこで働い
ている若いJAの職員は、質のよい種を調製するために、1回終わるごとに機械に残っ
ているもみ
が混雑しないように丁寧に取り除く作業に神経を注いで
おられ
ました。また、一人だけでチェックするの
ではなく、ダブルチェックし
て種を残さない努力をされ
ておりました。
輝い
て働い
ていた彼らの姿を見るにつけ
ても、後継者づくりにもヒント
がある
と思い
ます。現場で生産し、管理され
ている皆さんの立場に立ち、苦労に報いること
ができ、消費者にも安全、安心の持てる生きた条例になることを願っ
て、質問を終わり
ます。
○副議長(荒井武志 君)次に、加藤康治議員。
〔5番加藤康治君登壇〕
◆5番(加藤康治 君)県民クラブ・公明、長野市・上水内郡区選出の加藤康治
でござい
ます。よろしくお願いいたし
ます。
初めに、幼児教育、保育の無償化について伺い
ます。
新た
な時代を迎え
ました
が、行政や政治
が取り組まなければならない一番の課題は、人口減少、少子・高齢化への対応です。この課題に立ち向かっ
ていくためには、県民の皆様
が安心し
て結婚や出産、子育て
ができる環境をつくっ
ていかなければなり
ません。
昨年公明党
が行った「100万人訪問・調査」運動におきまして、子育ての分野では、約半数の方から将来の進学などの費用
が不安
である
との声
が寄せられ
ました。このことを踏まえる
と、まず教育負担の軽減に取り組んでいかなく
てはならない
と考えるところです。
幼児教育、保育を無償化するための改正子ども・子育て支援法
が先月成立いたし
ました。これにより、3歳から5歳までのお子さんを持つ全世帯
と、0歳から2歳までは住民税非課税世帯について、幼稚園や認可保育所などの保育料
が無償化され
ます。小さなお子さんを持つ御家庭からは大変喜ばれ
ております。そこで、幼児教育、保育の無償化は本年10月から実施になり
ますが、円滑
な実施に向け
て県としてどのように取り組んでいるか、県民文化部長に伺い
ます。
幼児教育、保育の無償化
とあわせ
て取り組まなければならないの
が待機児童への対応です。今回の無償化とともに、国では、2020年度末までの3年間で約32万人の待機児童解消への施策を新たに進めること
とし
ております。近年は、長野県においても待機児童
が発生する状況
となっ
ております。待機児童
が発生する要因の一つとして保育士不足
が挙げられ
ますが、県としても対策を進め
ていかなく
てはなり
ません。そこで、待機児童対策として保育士人材バンクの充実や保育士の処遇改善などにしっかり取り組むべき
と考えますが、長野県の状況について県民文化部長に伺い
ます。
長野県では、保育園などに通う多子世帯のお子さんの保育料などの負担軽減のため市町村
が行う第3子以降の保育料の負担軽減を支援する多子世帯保育料減免事業を行っ
ておりますが、今回の無償化に伴い、支出
が不要
となる部分
がござい
ます。そこで、幼児教育、保育の無償化により支出
が不要になる財源については、ほかに振りかえるの
ではなく、子育て施策の充実に活用すべき
ではないか
と考えますが、知事に御所見を伺い
ます。
〔県民文化部長増田隆志君登壇〕
◎県民文化部長(増田隆志 君)幼児教育、保育の無償化の実施に向け
て2点御質問をいただき
ました。
1点目の無償化の実施に向け
ての県の取り組みについ
てでござい
ますが、幼児教育、保育の無償化に当たりましては、県
が届け出を受理し
ている認可外保育施設について市町村
と情報共有を行うといった県の個別の業務もござい
ますが、市町村
が無償化の対象
となる施設の審査、施設の利用者の認定、無償化に伴う施設や利用者への施設利用費の支払いなど多くの実務を担うこと
となっ
ており、市町村の役割
が極めて重要
でござい
ます。このため、県
といたし
ましては、まず情報提供や疑問点の解消など市町村の支援をしっかり
と行っ
ていくこと
が重要
と認識し
ております。
本年2月
と6月には、市町村の皆様にお集まりいただき
まして無償化に関する説明会を開催いたし
ました。説明会では、内閣府や文部科学省の担当者の方にも御出席いただき、無償化に伴い必要
となる実務や対象施設ごとの留意点等について説明をいただくとともに、副食費の扱いや住民への広報資料等についての意見交換を行ったところ
でござい
ます。
タイト
なスケジュール
でござい
ますので、今後も市町村
と必要
な情報の共有を図り、連携し
て10月からの円滑
な実施に向け
て取り組んでまいりたい
と思い
ます。
2点目、待機児童対策に関しまして、保育士人材バンクの充実、保育士の処遇改善について
でござい
ますけれども、県では、平成29年度に保育士人材バンクを立ち上げ
まして、保育士の就職を支援するコーディネーターを1名配置し、全県を対象に潜在保育士の就業希望調査や再就職のマッチングを行っ
てまいり
ました。昨年11月にはコーディネーターを1名追加配置いたし
まして、東北信地区担当
と中南信地区担当の2名体制として、現在、潜在保育士の再就職を促進し
ているところ
でござい
ます。なお、平成30年度には30名、本年度は5月末現在で9名の再就職のマッチングを行っ
ているところ
でござい
ます。
さらに、本年度は、新たに市町村とともに県内の保育士養成施設を訪問し
て保育施設への就職を促すガイダンスを開催するとともに、県外の保育士養成施設への訪問や銀座NAGANOにおいて長野県内の保育施設への就業をPRするなど、保育士確保の取り組みを進め
てまいり
ます。
次に、保育士の処遇改善についてです
が、国
が給与単価の基準
となる公定価格を定め
ており、本年度も国に公定価格の改善及びそのための財政措置を要望したところ
でござい
ます。引き続き国に対して財政措置の充実等を求め
てまいり
ます。
また、平成29年度より保育士等キャリアアップ研修を県において実施し
ております。この研修の受講を民間保育施設の保育士の処遇改善の加算要件
とし
ていくという方向も示され
ておりますので、保育士のスキルアップはもとより、処遇改善にもつながり
ますようキャリアアップ研修の充実を図っ
てまいり
ます。
以上です。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)今回の幼児教育の無償化に伴っ
て県の財政負担
が軽くなる部分については子育て施策の充実に活用すべき
ではないかという御質問
でござい
ます。
加藤議員の考え方の方向性については私も共有させ
ていただきたいというふうに思い
ます。しかしながら、他方で、厳しい財政状況でもあり
ますし、また、来年度以降の財政措置は地方財政措置で行われるということ
で、その内容
がどうなるかということ
が今の時点ではよくわかっ
ておりません。さらに、これまでも、信州型自然保育認定制度に対する支援や信州こどもカフェの運営、子供医療費の助成など県独自で取り組んでき
ているものもたくさんござい
ます。そうしたことに鑑み
ますと、県の負担
が軽くなる分を現時点で直ちに全て子供支援に当てるということまでは申し上げられないという状況
でござい
ます。しかしながら、御指摘
があり
ましたように、子育て支援策はこれからの長野県にとっては極めて重要
な政策
だというふうに私は
考えております。幼児教育の無償化は、今年は年度途中から半年分
であり
ますが、令和2年度からは通年ということ
で、県の負担軽減額もそれだけ増加するということにもなり
ますので、来年度に向け
ては、加藤議員御指摘のよう
な視点を十分認識しながら子育て支援策をどうするかということについて検討を行っ
ていきたい
と考えております。
以上です。
〔5番加藤康治君登壇〕
◆5番(加藤康治 君)それぞれ御答弁いただき
ました。
無償化の10月からの実施に向け、時間は限られ
ておりますけれども、準備のほどをよろしくお願いいたし
ます。また、待機児童対策は車の両輪
でござい
ますので、そちらの方もよろしくお願いいたし
ます。
また、知事からは子育て施策は重要
だという御答弁をいただき
ましたけれども、引き続き充実に向け
ましてお願いしたい
と思い
ます。
県民の皆様
とお話をし
てい
ますと、できればもう1人ぐらい子供
が欲しい
が、経済的
なことを
考えるとなかなか踏み込めないという現実
があるのも事実
でござい
ますので、多子世帯などに対する大胆
な支援を行っ
ていただくこともお願いいたし
まして、次の質問に移り
ます。
次に、高等教育の無償化について伺い
ます。
先月成立したもう一つの法律
が高等教育の無償化に関する大学等修学支援法です。これにより、住民税非課税世帯の方など
が大学や専門学校などの高等教育機関で学ぶ場合に入学金や授業料を減免し、返済の不要
な給付型奨学金
が拡充され
ます。これまで、学ぶ意欲
がありながらも経済的
な事情により進学を諦め
ていた方も意欲
が湧い
てくるの
ではないか
と期待するところです。
私も、学生時代、二つの奨学金を活用することにより何とか学業に専念すること
ができ
ました。自分自身の苦労した経験からも、希望すれば誰も
が存分に学ぶこと
ができる環境づくり
が重要
である、このように
考えております。
給付型奨学金制度については、独立行政法人日本学生支援機構から各高校に対して周知
が始まっ
ており、高校3年生については奨学金の募集
が開始
となるところです。各高校から生徒さんに対し漏れなく周知し
ていくこと
が重要です。
そこで、給付型奨学金制度などの高校生への周知、3年生だけ
でなく浪人生や高校1、2年生への周知を含め、県としてどのように行っ
ているか、県民文化部長、轟教育次長に伺い
ます。
奨学金を活用したものの、卒業後の経済的
な理由などで返済に苦労し
ている方
がいる実態
があり
ます。地方に就職した若者の奨学金返済を支援するため、自治体
と地元企業
が連携し
て返済額の一部を補助する奨学金返済支援制度
が全国に広がっ
ております。
例えば、全国で初めて制度を導入した鳥取県の支援制度は、県
と地元企業で「未来人材育成基金」を設置し、奨学金の返済を支援し
ます。この制度を利用するには、製造業や保育士など県内の対象業種・職種に就職後、8年以上継続し
て勤務し、定住の見込み
があること
が条件
となっ
ております。
奨学金返済支援制度です
が、昨年度は全国32府県において活用され
ております。この制度により、若者に対する奨学金返済支援に加え、都市部の大学などから県内企業への就職による長野県への若者定着の効果もあるの
ではないか
と考えるところです。
そこで、若者に対する奨学金返済の支援を長野県においても行うべき
ではないか
と考えますが、
産業労働部長に御所見を伺い
ます。
〔県民文化部長増田隆志君登壇〕
◎県民文化部長(増田隆志 君)給付型奨学金制度の高校生等への周知について御質問いただき
ました。私のほうからは私学等についてお答え申し上げ
ます。
この新しい給付型奨学金制度です
が、事前申し込みについては原則として8月までに日本学生支援機構に対して行うこと
が必要
とされ
ております。議員御指摘のとおり、高校生など対象者に対する周知は大変重要
な課題
と考えております。
私立の高等学校等に対しましては、日本学生支援機構から各高校へ制度周知用のリーフレット
が配付され
ております。3年生はもとより、1年生、2年生にとっても将来の進路選択に当たっての重要
な情報
でござい
ますので、県では、私立高等学校等に対し、1、2年生も含め
て制度やスケジュールの周知をお願いし、各校で対応いただい
ているところです。
また、予備校に対しましても、周知の依頼とともにリーフレットなどを送付いたし
まして、高校卒業後に大学進学を目指す受験生に対しましても広く制度の周知を図っ
ているところです。
今後も、私立高校関係者
との会議での説明などさまざま
な機会を活用いたし
まして、生徒や保護者に対する新制度の周知を図っ
てまいり
ます。
以上です。
〔教育次長轟寛逸君登壇〕
◎教育次長(轟寛逸 君)給付型奨学金制度等の周知につき
まして、私からは公立高校に関してお答えをいたし
ます。
県教育委員会
といたし
ましては、新た
な高等教育無償化制度
が導入されることに伴い
まして、高校3年生の生徒、保護者に対して、従来にも増し
て丁寧
な対応
が必要
である
と判断いたし
まして、5月に全県の公立高校の進路指導主事を集めた会議におきまして制度の周知徹底を図り
ました。それを受け
まして、各校においては、クラス担任
が個々の進路状況に応じながら詳細
な説明を行うこと
とし
ております。
また、1、2年生に対しましても、学年の集会等において、新しい制度について早い段階での周知を進め
てまいり
ます。さらに、高等学校卒業後2年以内の者は対象
となり
ますことから、卒業後に進学努力を継続する場合にもこの制度
が活用できることを在学中から生徒、保護者に周知し
てまいる所存
でござい
ます。
〔
産業労働部長林宏行君登壇〕
◎
産業労働部長(林宏行 君)奨学金返済支援制度についてお答えいたし
ます。
人口減少社会
が到来し、人手不足
が顕著になる中で、とりわけ大学生等の若い人材の確保は最優先課題
である
と認識し
ております。お尋ねの奨学金返済支援制度はそのための
有効な施策の一つ
と受けとめ
ております。
加藤議員御指摘のように、他県では、企業など
と共同で基金を設置し
て返済者本人を直接支援する方式や、従業員への奨学金返済支援を行っ
ている企業に対し補助する方式など、各県の実情等に応じ
てさまざま
な運用
がなされ
ております。
県としては、本県産業界
が必要
とする人材の確保につながるよう、企業はもとより、支援機関
である経済団体や自治体等の意見をお聞きしながら施策のあり方について検討を重ね
てまいりたい
と考えております。
以上
でござい
ます。
〔5番加藤康治君登壇〕
◆5番(加藤康治 君)それぞれ御答弁をいただき
ました。
給付型奨学金制度につき
ましては、後で知らなかったという生徒さん
がないよう丁寧
な周知を今後もお願いしたいというふうに思い
ます。
また、奨学金返済支援制度の実施につき
ましては、御答弁いただき
ましたように、企業の御協力
が不可欠
でござい
ますので、制度実施に向け
まして引き続き御検討をお願いいたし
ます。
今回の教育無償化には、子育て世代の経済的負担の軽減を通じて少子化に歯どめをかけるとともに、家庭の経済的
な事情による教育格差をなくし、貧困の連鎖を断っ
ていく意義
があり
ます。
長野県は、全国に先駆け
て独自の給付型奨学金制度を行った先進県でもござい
ます。無限の可能性を持つ子供たちの未来を開くため、しっかり取り組んでいただくことをお願いいたし
まして、次の質問に移り
ます。
次に、防災・減災対策について伺い
ます。
平成の時代は、阪神・淡路大震災や東日本大震災など全国各地で大規模
な災害
が多発し、長野県においても、県北部地震や御嶽山噴火災害、神城断層地震災害など多くの災害
が発生いたし
ました。令和の時代は災害のない世の中
であっ
ていただきたい
と切に願うところ
であり
ます。そのためにも、これからは、被害を予防するための防災・減災を政治の主流にし
ていく必要
があり
ます。
災害はいつどこで発生するかわかり
ません。その災害から身を守るためには、いざというときにどのように行動するかを事前に定め
ておくこと
が被害を防ぐ第一歩
である
と考えます。
災害
が起きたときに時系列で自分自身の行動を定めるための防災行動計画、通称タイムライン
と呼ばれるもの
があり
ます。特に、台風などの進行型の災害については、タイムライン
が災害対応力の強化になる
と言われ
ております。
昨年7月、西日本を中心に発生した豪雨災害の際には、行政から出され
ていた避難勧告
が住民の避難に直接結びつかず、大きな被害をもたらす結果
となっ
てしまい
ました。こうしたことを踏まえる
と、住民一人一人へのマイ・タイムラインの一層の普及
が求められ
ます。そこで、災害時に住民の適切
な行動に結びつくマイ・タイムラインの作成に向け、県としても支援すべき
ではないか
と考えますが、危機管理部長の御所見を伺い
ます。
全国各地で災害
が多発する中で自分自身にできることは何かと
考えたときに、まず自分
が防災について学ぼう
と考え、防災に関する基本的
な知識、技能を身につけるため、防災士の資格を取得しよう
と決意いたし
ました。しかし、いざ長野県で資格を取りたい
と調べ
てみる
と、県内では松本大学で資格取得に向けた講習会を行っ
ているのみ
で、私
が受講しよう
と思ったときには既に終了し
ており、やむなく東京で受講し、資格を取得いたし
ました。県外へ行く
となる
と、受講料のほかに交通費もかかり
ます。県内で資格を取得できる環境
がふえれば県民の皆様の防災に関する意識も高まるの
ではないか
と感じた次第です。そこで、防災士の資格を県内で取得できるよう
な環境整備の充実をすべき
ではないか
と考えますが、危機管理部長の御所見を伺い
ます。
〔
危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕
◎
危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)防災・減災対策について2点御質問をいただき
ました。
まず、マイ・タイムラインの作成支援についてのお尋ね
でござい
ます。
マイ・タイムラインは、住民の皆様
が適切
な避難行動を行う上で
有効な手段
である
と考えております。県としても、県公式ホームページにマイ・タイムラインの作成方法を掲載し
ているほか、6月30日発行の「広報
ながのけん」においてその特集を予定し
ております。また、県政出前講座を活用し、直接住民の皆様に作成方法を説明するなど、マイ・タイムライン
が広く普及するよう取り組んでまいり
ます。
次に、防災士の資格取得の環境整備についてのお尋ね
でござい
ます。
防災士は、地域防災力の担い手として重要
な役割を果たされ
ております。県としても、防災士の資格取得の機会拡大のため、県内唯一の防災士の養成研修機関
である松本大学とともに、現在、県内各地での資格取得講座の開催を検討し
ているところ
でござい
ます。
また、市町村への防災士の地域での活躍の場の確保の要請や松本大学
と連携した資格取得後のフォローアップ研修の実施など、防災士資格を活用するための環境整備にも取り組んでまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔5番加藤康治君登壇〕
◆5番(加藤康治 君)御答弁いただき
ました。マイ・タイムラインの一層の普及、また防災士資格取得の環境整備に向け、引き続きよろしくお願いいたし
ます。
防災・減災は、ハード面の対策に加え、防災意識の向上などソフト面での対策も欠かせ
ません。今後も、ハード、ソフト両面での防災・減災対策の充実を通じて、災害から命や暮らしを守る安全、安心の長野県を目指し
て取り組んでいただくことをお願いいたし
まして、一切の質問
といたし
ます。ありがとうござい
ました。
○副議長(荒井武志 君)次に、寺沢功希議員。
〔10番寺沢功希君登壇〕
◆10番(寺沢功希 君)今年5月、大津市で起きた保育園児ら16人
が死傷した事故を受け、県交通安全運動推進本部は、県内の全保育所、幼稚園等の施設
が利用する散歩ルートの緊急安全確認を6月末までに行う
と発表され
ました。
そこで、県民文化部長にお聞きし
ます。現在までの安全確認の実施状況はいかがでしょうか。また、平成24年度に行われた通学路の緊急合同点検の際は、要対策箇所に対する通学路安全対策着手率をしあわせ
信州創造プランに位置づけ、5年をかけ、546カ所に着手し、令和3年度末工事完了予定
となっ
ております。
今回、市町村単位で安全点検を計画し
ていたところ、この発表を受け、県や県警の協力でよりしっかり
と点検
ができ安全対策
が実施される
ならと期待を込め、予定を延期した自治体もある
と聞い
ております。今回の安全確認により洗い出された安全確保重点箇所についても、前回同様、長期的
な安全対策計画を予定され
ておられるのでしょうか。よりスピード感を持った取り組み
が必要
と考えますが、今後のスケジュールをお聞かせください。
子供たちだけ
でなく、歩行者の安全確保のためには、特に危険度
が増す交差点については安全
な待避所の整備や交差点改良
が求められ
ますが、例えば、国道
と県道や県道
と市町村道のように道路管理者
が異なる交差点についての改良はどちら
が先導し
て行うのでしょうか。
また、幅員拡張や歩道設置など抜本的
な交差点改良を行う場合は、予算確保、用地買収等をそれぞれの道路管理者
が行い、両管理者
が協力し、同時に事業に取り組む必要
があるのか、あるいはどちらかの管理者
が先導し
て事業を行うこと
ができるのか、こういった場合の県の対応、見解を建設部長にお聞きし
ます。
次に、国においては平成29年5月に自転車活用推進法
が、本県では今年3月、長野県自転車の安全
で快適
な利用に関する条例
がそれぞれ施行され、この法律、条例に基づき、施策の方向性
とその具体化のための措置を定めた長野県自転車活用推進計画
が制定され
ました。自転車は、健康づくりや環境に配慮した移動手段のみならず、豊か
な自然や地域の景観、町並みを移動しながら楽しめるとして、観光面でも重要
なコンテンツ
となっ
ております。
信州まつもと空港を発着するFDAの定期便には、スポーツ用自転車搭載サービス
が用意され
ており、搭乗日3日前までに申し込むことにより専用ハードケースを無料で借りること
ができ、1便当たり最大7台、分解、折り畳みにより規定サイズにおさまるスポーツ用自転車を手荷物として1人合計20キロまで無料で預かっ
てもらうこと
ができ
ます。昨年度は43件の利用
があり、今年度は4月、5月の2カ月だけで既に21件の利用
があるそうです。
そこで、
企画振興部長にお聞きし
ます。
現在、松本空港にはこのサービスを利用し
て到着された方
が自転車を組み立てる場所
が用意され
ておらず、おのおのロビーの片隅や屋外で組み立
て、整備され
てい
ます。中には、駐車場の一角で組み立てされる方々もい
て、危険
な場面も目撃され
ております。サイクリングファンのための情報サイト「TABIRIN」による
と、サイクリングステーション
が設置され
ている国内空港は5月現在で17カ所あり、中でも隣接県の富山きとき
と空港はサイクリストに優しい空港
と紹介され
ております。
今年度、国際化に向けたターミナル整備に対し調査費
が計上され
ております。今後のターミナル整備において設置を視野に入れ
ていただくのはもちろんです
が、利用件数の増加、利用者の安全対策、これから丘珠便、伊丹便
が追加される夏休みや秋の行楽シーズンに向け
て、簡易的
なもの
でもサイクリングステーションの設置
が必要
と考えますが、いかがでしょうか。
FDAホームページのこのサービスを紹介するページには、「ひょいと青森サイクルツーリズム」というバナー
が張られ
ており、このサービスを使っ
て行く2泊3日
で、青森県の十和田湖、奥入瀬、八甲田エリアを自転車でめぐる旅
が紹介され
てい
ます。このように、FDA
と連携し、松本空港を利用したサイクリスト誘客への取り組み、情報発信にも力を入れ
ていただきたい
と思い
ますが、お考えをお聞かせください。
以前、立地条件
が悪かった
が、サイクルラックを設置したところ来客数
が5倍になった定食屋さん
がテレビで紹介され
ておりました。サイクリングロードからは数分の場所ではあるものの、高額
なロードバイクを所有するサイクリストも多く、盗難防止の観点からもサイクルラックは不可欠
だそう
で、この結果につながったようです。県内の飲食店等店舗でのサイクルラックの設置はまだまだ少ないように感じ
ます。サイクルラックのない場所では、スタンドのないロードバイクやマウンテンバイク等は壁などに立てかけ
て駐輪しなく
てはならず、トラブルのもとにもなりかね
ません。サイクルラック設置推進に対し、補助金も含め、今後の取り組みについてのお考えを観光部長にお聞きし
ます。
また、観光地等に木製サイクルラックを設置することにより県産材のPRや松枯れ材の再利用につながる
と思い
ますが、林務部長のお考えをお聞かせください。
さまざま
な場面において、自転車の活用を推進するに当たっては、安全面を第一に
考えたハード整備も必要不可欠です。自転車活用推進計画は、「長期展望を視野に入れ」
としつつ、2022年度まで
とされ
ており、その中で、県内全域を周遊するジャパンアルプスサイクリングロードの整備
が計画され
ております。このルートに採用される
であろう、現在もアルプスあづみのセンチュリーライドのコースに採用され
ている県道25号塩尻鍋割穂高線の穂高温泉郷エリアは、歩道
が設置され
ておりません。先日も、熊本市で自転車
と衝突した歩行者
が死亡する事故
が起き
ており、自動車
と同じくらいのスピードで音もなく迫るロードバイク等は、歩行者にとって大変危険
であるのはもちろん、もしものときは運転者も無傷
では済み
ません。両者の安全を考慮し、歩道の設置を要望し
ますとともに、この計画に伴うハード整備の概要、スケジュール等を建設部長にお聞きし
ます。
先日、県を含む18団体でつくる組織、ジャパンアルプスサイクリングプロジェクト
が発足され
ました。この組織の今後の取り組み、組織内での県の立ち位置、また、自転車活用推進計画に対する組織の影響力はどの程度か、観光部長にお聞きし
ます。
〔県民文化部長増田隆志君登壇〕
◎県民文化部長(増田隆志 君)交通安全対策につき
まして2点御質問をいただき
ました。交通安全の所管部とともに、長野県交通安全運動推進本部の事務局としてお答え申し上げ
ます。
このたび長野県交通安全運動推進本部
が取り組むことにいたし
ました緊急交通安全対策におきましては、まず緊急安全確認を行うこと
とし
ております。長野県警察
が県内全ての保育所、幼稚園等を訪問し、実際に散歩ルートを回りながら安全確認を行い、その中で安全確保重点箇所を抽出するとともに、散歩ルートの見直しや交通安全に関する助言を行っ
ているところです。
現在、各警察署において、6月中を目途に全ての施設の訪問を完了するよう進め
ているところ
であり、6月20日時点で約8割の訪問を終了し
ている
と県警から伺っ
ております。
次に、緊急安全対策の今後のスケジュール等について
でござい
ますが、ただいま申し上げ
ました保育所等の施設の訪問、ルートの安全確認を終了した後、県交通安全運動推進本部・地方部におきまして、関係者
が施設整備等を検討すべき場所などの情報を共有いたし
ます。そして、9月末を目途に、交通安全推進地方部ごとに、保育所等の設置者、県警、道路管理者等による合同点検を実施いたし
まして、交通安全施設や道路施設など整備
が必要
な箇所を抽出いたし
ます。その上で、それぞれの施設管理者において優先順位の高いものから計画的に準備を進め
ていく予定
となっ
ております。
また、施設管理者によりますそれぞれの計画とともに、交通安全運動推進本部としても全体計画を取りまとめ
まして進捗管理をし、着実
な推進を図っ
ていくこと
が重要
と考えております。なお、施設管理者は、県、県警のほか、議員の質問にもござい
ました
が市町村等も想定され
ますので、関係者で情報を共有し、連携を図りながら進め
てまいりたい
と考えております。
以上です。
〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕
◎建設部長(長谷川朋弘 君)管理者の異なる交差点の改良についてのお尋ね
でござい
ます。
路線
が重複する場合には、道路法の規定により、国道
と県道
なら国道、県道
と市町村道
ならば県道のそれぞれの道路管理者
が整備を行うこと
とされ
ております。よって、例えば県道
と市町村道の交差点では、安全対策を初め、抜本的
な改良についても、その影響範囲を含め県道の管理者
が整備等を行うこと
となり
ます。今回の緊急合同点検の結果を踏まえた安全対策や抜本的改良については、できる整備や対策を先行するなど、スピード感を持っ
て進め
てまいりたい
と考えております。
次に、県道塩尻鍋割穂高線の歩道整備及び長野県自転車活用推進計画に伴うハード整備の概要、スケジュールについてのお尋ね
でござい
ます。
初めに、県道塩尻鍋割穂高線につき
ましては、歩道未設置区間の路肩塗装や交差点改良
と歩道整備を実施中
であり、引き続き歩行者の安全対策を推進したい
と考えております。
次に、長野県自転車活用推進計画に伴うハード整備等についてです
が、2022年度までの計画期間中にジャパンアルプスサイクリングロードについて県内一周ルートの設定を行うほか、諏訪湖周サイクリングロード、北アルプス地域サイクリングモデルコースを先行整備区間
と位置づけ、県管理区間の路面標示並びに案内標識の整備を行うこと
とし
てい
ます。このほか、主に都市内の道路について自動車や歩行者
との分離や矢羽根型路面標示の整備等を行い、自転車通行空間のネットワーク形成を図ること
とし
てい
ます。これらの施策により、計画期間内に約180キロメートルの自転車通行空間を整え
ていくことを目標に掲げ
ております。
以上
でござい
ます。
〔
企画振興部長伊藤一紀君登壇〕
◎
企画振興部長(伊藤一紀 君)2点御質問をいただき
ました。
まず、松本空港へのサイクリングステーションの設置についてですけれども、現状では、場合によってはサイクリストではないほかの方に迷惑をかけることも
考えられ
ますので、当面の対策として空港施設内に自転車の組み立て整備
が行える仮設スペースを設ける予定
とし
ております。なお、新た
な専用スペースの整備につき
ましては、利用者ニーズ等を踏まえながら今後検討し
てまいりたい
と考えております。
次に、FDA
と連携したサイクリスト誘客の取り組みについてです。
サイクルツーリズムによる誘客の取り組みは、松本空港発着便の利用促進にもつながるもの
と考えております。折しも、この夏、県では、FDAの機内誌において、サイクリングスポットとして安曇野エリアを紹介する記事を掲載する予定
とし
ております。
今後とも、御提案のFDAホームページの活用も含め
まして松本空港の活性化につながる効果的
な情報発信に関係機関
と連携しながら取り組んでまいりたい
と考えております。
以上です。
〔観光部長中村正人君登壇〕
◎観光部長(中村正人 君)自転車活用推進計画に関連し
て2点御質問をいただき
ました。
まず、サイクルラックの設置の推進について
でござい
ますが、サイクリストの皆様
が安心し
て快適にサイクリングを楽しめ
ますよう、ルートのポイントごとにサイクルラックを設置する等の環境の整備は自転車を活用した観光地域づくりを進める上で大切
なこと
である
と認識し
ております。
県内では、自転車活用推進計画を策定する以前から、先行した形で、諏訪、北アルプス地域等において、元気づくり支援金などを活用し、サイクルラックや簡単
な工具、空気入れ等を備えたサイクルステーションの整備
が進められ
ております。また、建設部では、県
が管理する道の駅においてサイクルラック、自転車の調整・組み立てスペース等の整備を進め
ている状況
であり
ます。
店舗や観光スポット等へのサイクルラックの設置を含めたサイクリストにとって快適
な環境づくりにつき
ましては各地域の実情に合わせた取り組み
が重要
であり
ますことから、自転車活用推進計画に基づくサイクリングモデルルートの検討に合わせ
て市町村や地域振興局、関係者の皆様
と相談しながら対応し
てまいりたい
と考えております。
次に、ジャパンアルプスサイクリングプロジェクトについ
てでござい
ます。
自転車活用推進計画によるサイクルツーリズムを官民連携で進めるため、県内において自転車を活用した観光振興に先進的に取り組んでいる団体を中心に、今月、ジャパンアルプスサイクリングプロジェクト
が設立され
ました。
このプロジェクトの取り組みとしましては、国内外のサイクリストに向け
てイベントやお勧めのルート等を一元的に情報発信するウエブサイトの構築、県内を周遊するサイクリングルートを設定し
ていく際の支援、会員同士の情報共有を図っ
ていくこと
とし
ております。県は、プロジェクトの会員として参画し、サイクリングロードの整備、サイクリストにとって快適
な宿泊施設や飲食店の登録等の受け入れ環境の整備、サイクリングを活用した観光誘客等に連携し
て取り組んでいくこと
とし
ております。
自転車活用推進計画の目標の一つ
であるジャパンアルプスサイクリングブランドの構築に向け、今後、一緒に取り組んでいただけるプロジェクトの会員を募集し、ネットワークを広げるとともに、民間ならではの柔軟
なアイディアを持っ
て積極的に取り組んでいただくことにより計画の着実
な推進にさらに力を発揮し
てもらえるもの
と考えております。
以上
でござい
ます。
〔林務部長井出英治君登壇〕
◎林務部長(井出英治 君)観光地等における木製サイクルラックの設置についてのお尋ね
でござい
ます。
多くの人
が集まる観光地等で、県産材を利用し、自転車利用者の環境を整えることは、波及効果
が期待でき、県産材の利用拡大につながるもの
と認識し
ております。県では、道の駅への木製サイクルラックの設置やサイクリングロード周辺施設の木質化等の取り組みを支援し
てきたところです。引き続き、市町村や地域の関係者
と連携し、松枯れ材を含む県産材を利用する取り組みに支援することで県産材の利用拡大につなげ
てまいり
ます。
〔10番寺沢功希君登壇〕
◆10番(寺沢功希 君)歩行者や交通弱者に対して安全確保並びに環境整備を早急に行っ
ていただき
ますようお願いするとともに、自転車の活用推進へさらなる取り組みをお願いいたし
ます。
また、FDAの機内誌で安曇野を紹介し
ていただくということ
であり
まして、知っ
てい
て質問したように思われるかもしれ
ません
が、全く初耳
でござい
ました。大変うれしく思い
ます。ありがとうござい
ます。
次の質問に移り
ます。
平成30年度の県教委調査による
と、県内の発達障害
と診断、判定を受け
ている児童生徒数は、小学校で5,232人、中学校で2,627人、公立高校で1,313人
と年々増加し
ている上、県内全ての公立高校に発達障害の診断のある生徒
が在籍し
ている状況
であり
ます。
平成28年4月、障害者差別解消法
が施行されるに当たり合理的配慮
が求められるようになり、障害のある受験生の入学試験においても合理的配慮
が求められるようになっ
ております。とりわけ、発達障害を抱える方々は、別室での実施や時間の延長、問題用紙の使用フォント変更等の配慮により適応
ができ、ある専門家は、発達障害にこそこの配慮
が必要
である
と痛感し
ている
とおっしゃっ
ておられ
ます。
このほど、全国全ての大学等を調査した結果をもとに入学試験や学生生活での配慮の状況を掲載した大学案内2019障害者版
が刊行され
ました。県内からは、過去の調査に回答した大学はあるものの、今回の調査への回答はなかったよう
であり
ます。
そこで、県民文化部長にお聞きし
ます。県立大学及び県内の国公私立大学、私立高校の入学試験における配慮の状況はいかがでしょうか。同様に、県立高校の状況も教育長にお聞きし
ます。
日本における発達障害の概念は、疾病概念ごとに異なる上、はっきり
としたことは言え
ません
が、一つの指標として、専門誌「発達障害研究」に取り上げられた年で見る
と、精神発達遅滞は1981年ごろ、学習障害は1985年ごろ、自閉症スペクトラム障害は1995年ごろ、注意欠陥多動性障害は1999年ごろ
と、わずか20年から30数年の歴史しかあり
ません。そのため、医療、福祉、教育の分野
ですら管理職の年代では学生時代に発達障害について学んでき
ていないという問題
があり
ます。これらの分野では、それぞれに研修や研究
が重ねられ、対応
が進められ
ておりますが、残念ながら一般企業においてはほとんど理解
が進んでいないの
が現状です。
そこで、県民文化部長にお聞きし
ます。県では、地域に身近
な理解者
がふえ
ていくことを願い、機関、団体、個人の皆さんからの申請により発達障
がい者サポーター養成講座を開催し
ておられ
ますが、現在までの実施状況及び実績はどのようになっ
ておりますでしょうか。また、企業単位での講座の開催状況はいかがでしょうか。
教育現場では大分理解も進み、対応もされ
てき
ておりますが、卒業後、社会に出たとき、いかに周囲
が発達障害に理解を持ち、さらに十分
な配慮をすることにより適応できるか
が重要
であり
ます。しかし、先ほども申し
ましたとおり、残念ながら、社会の、そして企業の理解や対応は不十分
と言わざるを得ない状況です。
そこで、
産業労働部長にお聞きし
ます。発達障
がい者サポーター養成講座の周知を含め、県内企業の発達障害への理解促進に対し産業労働部としてどのよう
な取り組みをされ
ておられるのでしょうか。また、今後の取り組みへのお考えをお聞かせください。加え
て、県内企業の発達障害への配慮の状況、また、把握され
ている配慮の実例
があればお聞かせください。
〔県民文化部長増田隆志君登壇〕
◎県民文化部長(増田隆志 君)2点御質問をいただき
ました。
まず、県内大学等の入試における発達障害者への配慮の状況につい
てでござい
ますが、県内大学におきましては、大学入試センター試験における発達障害に関する配慮事項に準じ
てそれぞれ対応し
ております。具体的には、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害などにより配慮を必要
とする受験生につき
ましては、事前に障害の状況や受験に際して配慮
が必要
な事項を医師の診断書を添え
て大学側に申請し、それに基づき受験日当日に配慮を行っ
ております。
各大学では、試験時間の延長、問題冊子の文字の拡大、受験上の注意事項の文書での配付、一般の受験生
とは別の部屋での受験、試験室入り口までの介添え者の同伴などの配慮
がなされ
ているところ
であり、長野県立大学も同様の対応をとること
とし
ております。
また、私立高校に対しましては、障害等のある入学志願者への配慮を県から通知で依頼し
ており、各校において、別室での受験、問題冊子の文字の拡大、面接時間の延長などケースに応じた配慮
がなされ
ているところです。
次に、発達障
がい者サポーター養成講座の実施状況につい
てでござい
ますが、当養成講座は平成24年度から実施され
ております。平成31年3月末までの実績では501回開催され、講座を修了した者の数は延べ12,834名
となっ
ております。講座を開催した団体の内訳としては、福祉施設及び福祉団体
が約4割を占め
て最も多く、次いで市町村、住民団体
となっ
ております。企業を単位として開催されたのは7回、7社の開催
となっ
ております。
以上です。
〔
教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)県立高校の入試における発達障害者への配慮について
でござい
ます。
発達障害のある志願者につき
ましては、在籍する中学校の校長、志願先の高等学校長及び県教育委員会
との間で十分に連携を図る中で、個別に志願者の状況を把握し、配慮を実施し
ております。
具体的には、学習障害
があり、細かい文字を書くこと
が苦手
で狭い解答欄に記入すること
が困難
な受検生には解答用紙を拡大したり、緊張する場面で言葉を発するの
が苦手
な受検生には面接においてホワイトボードを用いた筆談や面接時間の延長の配慮を実施し
ております。また、大勢の中では気持ち
が不安定になっ
てしまう受検生には別室での受検や座席の配慮などをし
ているところ
でござい
ます。
今後も、障害者差別解消法
が求める合理的配慮の提供を念頭に、適切
な入学者選抜を実施し
てまいる所存
でござい
ます。
〔
産業労働部長林宏行君登壇〕
◎
産業労働部長(林宏行 君)県内企業の発達障害への理解促進についてお答えいたし
ます。
発達障害も含めた障害者雇用への企業の理解促進は大変重要
である
と考えており、産業労働部としては、求人開拓員による企業訪問や企業の人事・労務担当者等を対象にした障
がい者雇用普及啓発セミナーの開催などに取り組んでいるところ
であり
ます。
また、長野県発達障
がい者支援対策協議会では、今年度の実施方針の一つに、企業に対する理解啓発を掲げ、企業に対し合理的配慮を含む発達障害への理解、周知方法等について議論を深め
ていくこと
とし
ております。
発達障害者への配慮の状況や実例の把握については、県内企業の実例ではあり
ません
が、ハローワークや独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構において全国の事例収集等を行っ
ております。例えば、出退勤時刻、休憩、休暇への配慮、具体的かつ簡潔
な業務指示、執務中のサングラスや耳栓の着用許可等の事例
が紹介され
ております。
今後とも、ハローワークや機構とも連携しながら、取り組み事例の普及などを含め
て企業における誰も
が働きやすい職場づくりの促進に努め
てまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔10番寺沢功希君登壇〕
◆10番(寺沢功希 君)御答弁をいただき
ました。引き続きぜひ部局連携で取り組んでいっ
ていただきたい
と思い
ます。
障害のある方
が配慮の有無などで進学先を選択しなければいけないのは本来おかしく、学びたいときに学びたい場所で自由に学べる社会
でなく
てはならない
と思い
ます。残念ながら、現在、発達障害には完治ということはあり
ません。しかし、社会
が理解し、十分にコミュニケーション
がとれ、適応
ができ、生きづらさを感じなくなれれば、問題はなくなる
と思い
ます。 今後の取り組みにより、障害のある方だけ
が辛抱し
て得られるバリアフリーではなく、お互いに助け合い、尊重でき、理解し合え、相互コミュニケーション
が高まる真のバリアフリーにつながり
ますことに期待をいたし
まして、私からの一切の質問を終わり
ます。
○副議長(荒井武志 君)この際、15分間休憩いたし
ます。
午後2時33分休憩
──────────────────
午後2時49分開議
○議長(清沢英男 君)休憩前に引き続き会議を開き
ます。
続い
て順次発言を許し
ます。
石和大議員。
〔33番石和大君登壇〕
◆33番(石和大 君)自由民主党県議団、石和大
でござい
ます。それでは、順次質問させ
ていただき
ます。
千曲川ワインバレーに対する県の取り組みについて伺い
ます。
長野県は、冷涼で気温差
がある気候や水はけのよい土壌
がワイン用ブドウ栽培に適し
ている
と言われ、品質の高いワイン生産県として評価されつつあることを背景に、近年、ワイン産業
が発展し
てき
ました。平成25年3月には信州ワインバレー構想を策定し、官民一体
となっ
て栽培から醸造、販売、消費にわたって県産ワインの一層の振興を図っ
ているところです。
長野県は、県土
が広く、ワイン産地に地域性
があることから、主
な産地
が、千曲川ワインバレー、桔梗ヶ原ワインバレー、日本アルプスワインバレー、天竜川ワインバレー
と四つの地域に分かれ
ており、各地域の特性に合った振興を図る中、それぞれの地域において特徴ある取り組み
が始まりつつあり
ます。
中でも、東御市を中心
とした千曲川ワインバレーは、ここ数年、小規模ワイナリーを中心
とした多くのワイナリー
が設立され、県内におけるワインの主力産地化
が進みつつあり
ます。 平成28年5月に開催されたG7伊勢志摩サミット2016の食事会では、東御市産のワインや上田市のブドウを使ったワイン
が採用され、各国首脳の中には杯を重ねた方もいたというふうに伝わっ
てい
ます。今後、日本を代表するワイン産地として展開し
ていくには、ワインバレー内の横の連携をさらに強化し、一体感を持っ
て活動すること
が重要
と考えてい
ます。
そこで、千曲川ワインバレーに対する県の取り組みについて
産業労働部長にお伺いいたし
ます。千曲川ワインバレーにおいて小規模ワイナリー
が急速に設立され
てい
ますが、その現状及び課題についてどのように認識し
ているのか。また、千曲川ワインバレーはそのエリア
が東信から北信にかけた広域
であること
と、ワイナリー
が増加することでワインバレーとしての一体感
が希薄になること
が懸念され
ます。県としてコーディネート
が必要
ではないか
と考えますが、御所見を伺い
ます。
次に、G20持続可能
な成長のためのエネルギー転換
と地球環境に関する関係閣僚会合を終え
ての所感について伺い
ます。
北佐久郡軽井沢町で先日開催されたG20関係閣僚会合では、各国・地域の代表を前に、長野高校
と上田高校の生徒たち
が、プラスチックごみによる海洋汚染を減らすために音楽イベントを開くアイデアや、野生生物の管理に地域
が連携し
て取り組んでいる事例を英語でスピーチしたこと
が報道でも紹介され
ました。環境問題に真剣に取り組もう
とする若者たちの姿を好ましく思うとともに、大変勇気づけられ
ました。1人当たりのごみ排出量
が全国一少ない長野県民の環境意識
が若い人たちにも浸透し
ていること
がかいま見えた瞬間
であり
ました。
G20関係閣僚会合
が長野県で開かれたこと、また、環境意識の高い若者
がひのき舞台で活躍したことについて知事の所感を伺い
ます。さらに、今後県としてどのよう
な意識で環境問題に取り組んでいくのか、あわせ
て知事に伺い
ます。
関連し
て、海洋プラスチック問題に対する今後の県の取り組みについて伺い
ます。
今回の本県軽井沢町におけるG20関係閣僚会合において、イノベーションの加速化による環境
と成長の好循環等の問題のほか、近年大きな課題
となっ
ている海洋プラスチックごみ対策
が議題
となっ
ており、プラスチックごみについては、共同声明の中で、各国
が政策や状況に基づき行動計画に沿っ
て取り組み、自主的に実施した対策について情報共有を行う枠組みで合意した
と認識し
てい
ます。
一方、国は、今回のG20関係閣僚会合などを踏まえ
て、プラスチック資源循環戦略や海洋プラスチックごみ対策アクションプランを策定するなど、プラスチック問題を契機
とし、廃棄物の問題は地球レベルの問題へ
と大きく転換し
てい
ます。
県は、このプラスチック問題に向き合うため、先月、県民や事業者に呼びかけ、信州プラスチックスマート運動に県全体で取り組む
とし
てい
ますが、この中で、意識し
て「選択」、少しずつ「転換」、分別し
て「回収」の三つの意識した行動を促し、生活スタイルの見つめ直しからこの課題に取り組んでいくということです。
海洋プラスチックごみの7割は内陸から排出され
ている
と言われ
てい
ます。先ほど、若者たちのごみの削減への頼もしい取り組みを紹介し
ました
が、一方で、心ない人
がレジ袋に入ったごみを路上や河原に投棄するなどモラルの欠如による事象も少なからず見受けられるのも事実
であり
ます。海のない長野県
が海洋プラスチックごみの削減に果たすべき役割は大きい
と考えます。さらに、美しい自然を有する環境県
である本県を内外にアピールするためにも積極的
な取り組み
が必要
だと感じ
ます。
そこで、環境部長に2点伺い
ます。
県は、信州プラスチックスマート運動の中で三つの意識した行動を呼びかけ
ているということです
が、意識や行動を変え
ていくためには、繰り返し県民に呼びかけることや問題意識を持っ
ていただくための学びの機会の提供も重要
と考えますが、こうしたことにどのように取り組むか伺い
ます。
また、国は、プラスチック資源循環戦略やアクションプランなどこの問題について次々
と政策を打ち出し
てい
ますが、県の取り組みの目指す方向性はこれらの動きに沿ったもの
と考えてよいか伺い
ます。
次に、人口減少・高齢化社会を持続可能
なもの
とするための地域社会の担い手としてのシニアの活躍について伺い
ます。
しあわせ
信州創造プラン2.0は、サブタイトルとして「学び
と自治の力で拓く新時代」を掲げ
てい
ます。これは、信州の自治の力
が強いこと、自治活動
が盛ん
なことを前提に、さらに自治の力を高めようということを目指すもの
と理解し
てい
ます。しかし、高齢化、人口減少の波は急速にその自治の力を弱め
てき
ている
とも感じられ
ます。
地域の自治会、老人クラブなど地域におけるさまざま
な活動や組織
が、役員の高齢化、会員の減少などによって、役員のなり手不足や活動の停滞だけ
でなく組織の存続も危ぶまれ
ており、地域社会を維持する上での大きな課題
となっ
てい
ます。
高齢者クラブ、いわゆる老人クラブの高齢化という課題
が現実としてあり
ます。人口減少、少子・高齢化に加え、元気
で働けるうちは働きたいという就業意欲の高まり
と人手不足という雇用環境から、地域の組織や活動に参加する人
が減少するのはやむを得ない面もあり
ますが、地域の自治の力の衰退
が懸念されるところです。
こうした中、先般、阿部知事の発案により、全ての市町村長
とのしあわせ信州生涯活躍応援宣言
が出されたということです。多様
な社会参加の促進、希望に応じた就業支援、活躍を支える健康づくりの三つを柱に、県
と市町村
が方向性を共有し、県民の生涯にわたる活躍を促進するという趣旨
であり、人生100年時代の到来を見据えた78名の首長の決意表明
である
と認識をし
てい
ます。県
と全ての市町村
が軸を一にし
てこのよう
な宣言を行うことは全国初の取り組み
と思われ、全国トップレベルの健康長寿県の取り組みとして評価すべきもの
と考えます。
豊か
な経験や知識を有するシニアの方に年齢にかかわらず地域社会の支え手として御活躍いただくことは、地域社会の持続、地域コミュニティーの維持にもはや不可欠
であり、県
が推進するしあわせ
信州創造プラン2.0に掲げる学び
と自治の県づくりにも資するもの
と考えてい
ます。
シニアの方にとって就労を含めた社会参加は最も効果的
なフレイル予防
であり、健康づくり
とも言われ
ており、宣言にうたわれ
ているとおり、活躍
と健康の好循環を生み出すことも期待され
ます。
人口減少
と少子・高齢化
が一層進む社会の到来を見据え、これからの地域社会の担い手としてシニアの方々に一層活躍し
ていただくため県としてどのように支援し
ていくのか、これまでの取り組みの成果も含め、健康福祉部長に伺い
ます。
次に、医師研修制度の影響
と医師の偏在について伺い
ます。
国は、平成20年度以降、深刻
な医師不足に対応するため、随時医学部定員の増を図っ
てき
ました
が、直近、平成28年度の医師・歯科医師・薬剤師調査による
と、長野県における人口10万人当たりの医療施設医療従事医師数は226.2人
で、全国平均240.1人に比べ13.9人下回っ
ている状況
となっ
てい
ます。
また、昨年、医師の偏在解消に向けた医療法及び医師法の改正を行うことにより、本年2月に医師の偏在を統一的、客観的に示す物差しとして、あくまで暫定値
としながらも医師偏在指標
が厚生労働省から示され、本県は全国順位38位の医師少数県に位置づけられ
ました。
この状況に対して、医師養成に欠かせない医師研修制度について本県としてはどのよう
な影響
がある
と考えるか、健康福祉部長に所見を伺い
ます。また、このよう
な状況に対し、今後は偏在解消のためどのよう
な取り組みを行っ
ていくのか、健康福祉部長に伺い
ます。
今申し上げたとおり、本県は医師少数県に位置づけられ
ました
が、上小地域については、従前から医師や看護師などの医療従事者の確保
が課題
となるなど、医療提供体制
が十分
な状況
とは言え
ません。このよう
な状況において、上小地域における医療提供体制を充実させるため、これまで県
がどのよう
な支援策を講じ
てきたか、また、今後どのよう
な方策を
考えているのか、健康福祉部長に伺い
ます。
〔
産業労働部長林宏行君登壇〕
◎
産業労働部長(林宏行 君)2点御質問いただき
ました。まず、千曲川ワインバレーにおけるワイナリーの現状
と課題についてです。
信州ワインバレー構想の策定から6年間で県内のワイナリー数は25場から47場へ
と増加し
ております。千曲川ワインバレーは、千曲川流域の恵まれた気候条件のもと、23場
が集積する国内でも有数のワイン産地へ
と成長し
ており、さらなる発展
が期待され
ております。
この背景には、地元市町村
が酒税法に定める果実酒の最低醸造数量を緩和する構造改革特区の認定を受けたことや、ワイナリー起業講座の開設、開業に必要
な資金調達に係る相談窓口の充実等、小規模でもワイナリーを起業しやすい環境
が整えられたこと
が考えられ
ます。
一方、醸造技術の向上やコストの低減、情報発信やマーケティング活動など取り組むべき課題も多いことから、県工業技術総合センターによる醸造技術指導や首都圏でのワインフェスなどプロモーションの支援を実施し
ているところ
でござい
ます。
次に、千曲川ワインバレーの一体的
な取り組みについてです。
ワインは、ブドウ栽培から醸造、販売、観光利用など地域経済を活性化させる裾野の広い産業
であり、気候、風土、文化を共有できる地域をベースに産地を形成し
ていくこと
がその魅力を高めることにもつながる
と考えております。
その際、ワイナリーの集積
と連動した地域振興策は不可欠
であり
ますし、ワインの品質の向上とともに産地としての一体的
なブランドづくりも重要
と考えております。県では、ホームページ等で各ワインバレーの特色などを紹介し
ているところ
であり
ます。
また、現在、地域振興局
が中心
となり、農地の確保や振興策を担う市町村に呼びかけ、情報交換会を実施し
ておりますが、今後は、生産者や観光事業者等を交え、機運の醸成に努めるとともに、千曲川ワインバレーとしてのブランド力
が高まるよう、その魅力を県内外に発信し
てまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)G20に関連し
て2点御質問をいただき
ました。
まず、G20関係閣僚会合
が本県で開催されたこと、そして、高校生の発表に関する所感についてという御質問
でござい
ます。
G20持続可能
な成長のためのエネルギー転換
と地球環境に関する関係閣僚会合については、県議会議員の皆様を初め、多くの関係者の御協力をいただく中で、6月15日、16日に無事開催され
ました。この場をおかりし
て、改めて御礼を申し上げたい
と思い
ます。
開催された会合の内容
がエネルギー
と環境ということ
で、環境に関する県民意識の高い本県にとってはふさわしいテーマではなかったかというふうに思っ
ております。また、地元としては、エクスカーションにおき
ます施設の見学や歓迎夕食会における県産の食材や日本酒、ワインの提供、さらにはG20イノベーション展への長野県ブースの設置などを通じて、さまざま
な本県の魅力や先駆的に取り組んでき
ている環境・エネルギー施策などを発信すること
ができたというふうに
考えております。
高校生による提言で、長野高校の生徒からは、プラスチックごみ削減のため音楽イベントを開催するアイデアについて、また、上田高校の生徒からは、地域
が連携し
て行う野生生物の管理の必要性についてそれぞれ発表
があり
ました。各国大臣の前で堂々
と英語でプレゼンテーションを行ったということ
で、各国の閣僚からは大きな称賛の拍手を受けるとともに、原田環境大臣、世耕経済産業大臣からも称賛のお言葉をいただいたところ
であり
ます。参加した高校生には、こうした貴重
な経験をぜひ将来に生かし
ていっ
てもらいたいというふうに思っ
ております。
また、県としても、若者
が環境問題を初め
とするさまざま
な社会的
な課題に向き合っ
て、みずから
が行動し
ていくこと
ができるよう
な環境を教育委員会とともにつくっ
ていきたい
と考えております。
もう1点、今後どういう意識で環境問題に取り組んでいくのかという御質問
でござい
ます。
今回の閣僚会合に合わせ
まして、本県としてICLEI日本とともに持続可能
な社会づくりのための協働に関する長野宣言を行わせ
ていただき
ました。国内外の地方政府等に賛同を呼びかけたもの
でござい
ますので、今後、この宣言を実行するべく取り組み、地域循環共生圏の国際展開によりまして持続可能
な社会づくりを行っ
ていきたいというふうに
考えております。
また、本県は海なし県ではあり
ますが、プラスチックスマート運動のよう
な取り組みを始め
ましたように、SDGs未来都市として、常にグローバル
な視点を持ちながら、自然エネルギーの普及や温室効果ガスの排出削減など、地球環境問題における先導的
な役割を果たし
ていきたいというふうに
考えております。
以上です。
〔環境部長高田真由美君登壇〕
◎環境部長(高田真由美 君)2点御質問をいただき
ました。
初めに、信州プラスチックスマート運動におき
ます県民への呼びかけや学びの機会の提供について
でござい
ます。
国際的
な課題になっ
ている海洋プラスチックの問題につき
ましては、海のない本県においても取り組むべき課題として、5月から信州プラスチックスマート運動を推進し
ております。
この運動の取り組みとして、まずは、新聞やラジオ等の広報媒体を活用した広報に努めたほか、コンビニエンスストアで携帯用マイバックの配布による啓発を実施いたし
ました。また、県下10カ所で河川の一斉清掃を実施し、県民の皆様にもボランティアとして参加し
ていただくなど意識の醸成を図っ
てきたところ
でござい
ます。さらに、信州環境カレッジで海洋プラスチック問題の講座を開催するほか、7月末に開催され
ます信州環境フェアで展示や親子体験イベントを実施するなど、学びの機会を提供し
てまいり
ます。
今後も、あらゆる機会を捉え
まして、県民の皆様にプラスチック
と賢くつき合っ
ていただけ
ますよう意識した行動を呼びかけ
てまいり
ます。
次に、県の取り組みの目指す方向性について
でござい
ます。
国は、5月31日付で策定したプラスチック資源循環戦略及び海洋プラスチックごみ対策アクションプランに基づき、プラスチック廃棄物の問題に総合的に取り組むこと
とし
ております。 具体的には、3Rを基本として、レジ袋有料化義務化も含めた使い捨てプラスチックの使用削減や、プラスチックごみの海への流出防止のための分別回収や清掃活動の取り組み支援などを掲げ
ております。また、国等
が率先し
て周知徹底、普及啓発を行うことにより、消費者のライフスタイル変革に関する国民的理解を醸成する
とし
ております。
県
が進める信州プラスチックスマート運動は、県民に三つの意識した行動、生活スタイルの見つめ直しを呼びかけ
ているほか、河川における一斉清掃や不法投棄防止、ポイ捨て防止の徹底を図る
とし
ておりまして、国の方向性
と合致するもの
と考えております。
今後とも、国の動向を踏まえながら、関係機関
と連携し、対応し
てまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔健康福祉部長大月良則君登壇〕
◎健康福祉部長(大月良則 君)私へは3点御質問をいただき
ました。
まず、シニアの方々に一層活躍し
ていただくための支援及び取り組み成果につい
てでござい
ます。
これまで、県では、シニア世代の社会参加、健康づくりを推進するために、長野県長寿社会開発センターにシニア活動推進コーディネーターを配置し、意欲あるシニアの学び
と社会参加の支援に取り組んでまいり
ました。成果としては、シニア大学で学ん
だ者の信州型コミュニティスクールなど各種県施策への参加や、子供や高齢者の居場所づくりなど地域課題の解決につながる取り組み
が行われ
てき
ております。
去る5月28日には、昨年9月の長野市長
と松本市長による高齢者の定義に関する提言を踏まえ
て、知事
と県内77市町村長
が一緒になっ
てしあわせ信州生涯活躍応援宣言をいたし
ました。 県民の皆さん
が年齢にかかわらず生き生き
と活躍できる社会の構築を目指し、県
と市町村
が連携し
て、社会参加の促進、就業支援、健康づくりの三つの柱で取り組んでまいり
ます。
今回の宣言を契機に、県
と市町村
が一体的に取り組みを進め、多様
な知恵やすぐれた取り組みを関係者で共有し、進化させること
で、シニア世代の生涯にわたる活躍を一層支援し
てまいり
ます。
医師研修制度による医師偏在への影響
と偏在解消について
でござい
ます。
医師の研修環境としては、一般的に、症例の多さや将来の進路に対する選択肢の多様さの観点から都市部の病院
が好まれる傾向にあり、医師偏在の大きな要因の一つ
である
と認識し
ております。
本県については、研修医師数そのものは増加傾向にあり
ますが、必ずしも充足し
ている状況
とは言えず、特に、専門研修医に関しては東京都等5都府県に45%
が集中し
ている現状にあり
ます。現行の医師研修制度は本県を含む地方の県に大きな影響
があるもの
と受けとめ
ております。
このため、県
といたし
ましては、国への要望や、阿部知事
が全国知事会の代表として参画し
ております国の医道審議会医師分科会医師専門研修部会を通して、地域医療を担う人材の確保に重点を置いた研修制度
となるよう国に対して実効性のある対応を求め
ております。
また、医師の偏在解消のために、専門研修医は研修した場所に定着する傾向
が強いので、より多くの研修医を確保するために、効果的
な研修病院
と研修医の出会いの機会の創出、あるいは医師にとって魅力あるキャリアパスの作成などに取り組んでまいり
ます。
最後に、上小地域の医療提供体制の充実に係るこれまでの支援策
と今後の方策につい
てでござい
ます。
上小圏域については、人口10万人当たりの医師数
が少ないなどの課題
があることから、県では、平成21年度から地域医療再生計画に取り組み、信州大学
との連携による研修医、指導医等確保事業を初め、上田市産院や初期救急センターの整備など医療提供体制の充実のための支援をし
てきたところ
であり
ます。こうした取り組みの結果、医師の確保
が図られ、圏域内の救急患者の受け入れ
が進むなど医療提供体制
が強化され
てき
ております。
今後につき
ましては、今年度取り組む健康長寿ビッグデータの分析の結果等を地域医療構想調整会議に提供し、議論の活性化を図り、医療機能の適切
な分化
と連携を進め
てまいり
ます。加え
て、地域医療介護総合確保基金により必要
な支援策を講ずるなど、上小圏域における安全かつ効率的
で質の高い医療
ができる体制の整備をさらに進め
てまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔33番石和大君登壇〕
◆33番(石和大 君)それぞれ答弁
があり
ました。
病院、上小の医療課題については、暮らし
ている住民にとっ
てみる
と、信州上田医療センターでもう少し高度
な医療を受けたいというニーズに応え
ていただきたいという要望をし
ておきたい
と思い
ますし、また、療養型の病床についても、もう少し都市部、住民
が多く暮らし
ている地域にできるように、そういう体制づくりに向け
ても御努力をいただきたい
と要望し
ておきたい
と思い
ます。
今のシニア社会は、先ほど申し上げ
ましたとおり、老人クラブの高齢化というよう
な課題
が現実にあるわけ
であり
ます。これからは、行政も、自治の力に頼るの
ではなく
て、それをさらに育てるよう
なテコ入れ
が少し必要になっ
てくる、そういうふうにも感じ
てい
ます。そんなことについてもぜひ市町村
と協働いただければというふうに思い
ます。
ワインについては、ワイナリーの設立
が一過性のブームで終わらないことを願っ
てい
ます。そのためには、国の内外へのマーケティング
が大事
だと考えます。農業分野、観光分野、産業分野、県はそれらの連携の大きな力になるべき
だというふうに思い
ます。
また、県内での消費量の増加にも力を発揮し
てほしい
と思い
ます。ワインに合う信州の食材を使った食事
とのマッチングにより、おいしく
てヘルシー
なワイン
が食卓に並ぶ、芳純
な信州暮らし
が実現することを願っ
てい
ます。
また、赤ワインには発がん抑制に効果
がある成分
が含まれるというデータもあるそう
であり
ます。具体的に、ピノノワールやメルローという種類に健康効果
があるという研究もあるようです。ナガノワインは、おいしく
て体にもよい、信州の文化の一つに育つことを期待し
てい
ます。
海洋プラスチックごみの抑制については、先ほども述べ
ましたように、長野県の役割は大きい
と思い
ます。先月下旬、日本財団
と環境省の共同キャンペーン事業「海ごみゼロウイーク」に合わせ
て、日本全体
が連帯し、海洋ごみ削減のためのアクション
が一斉に実施され、長野県内でも「クリーン信州フォーザブルー」
が県下10カ所の河川で行われ
ました。結果、短時間で13立方メートルのごみ
が回収され、うち8立法メートル
がプラスチックごみ
だったということです。軽井沢での高校生の発表にあったよう
な、ごみを拾っ
てロックフェスにいく、楽しみながらごみを拾うよう
なことで信州をきれいにし
て、海もきれいにする。このよう
な取り組み
が信州のこれからの大きな力
となることに期待し、質問を終わり
ます。
○議長(清沢英男 君)次に、酒井茂議員。
〔31番酒井茂君登壇〕
◆31番(酒井茂 君)自民党県議団、伊那市選出、酒井茂
でござい
ます。私は、今回は公文書の管理
と国道の整備の2項目について質問をいたし
ます。
まず、公文書の管理について
であり
ます。
一昨年、国会においては、いわゆる森友学園問題
が取り上げられ、多くの時間をかけ
て議論をされたところ
でござい
ます。そこでは、財務省の職員による公文書の廃棄
と改ざん
が取り上げられたところ
でござい
ます。また、公文書の不適正
な管理の実態
が次々に明らかになり、マスコミでも毎日のように取り上げられ、国民の行政に対する信頼
が低下したところ
でござい
ます。
私は、長野県においてはこうしたこと
が絶対あっ
てはならない、そう
考え、県民から信頼される行政の実現のためにも公文書管理の適正化を図っ
ていかなければならない、そんな思いから、昨年の議会定例会で2回にわたり一般質問を行ったところ
でござい
ます。
まず、6月の議会で、私は、公文書管理法の趣旨にのっとった文書管理を行っ
ていくには、知事
が決めた文書規程ではなく、議会の議決を要する公文書管理条例を制定し、公文書を県民共有の財産
と位置づけ、保存や公開の基準を明確にし
ていくこと
が求められる
とした上で、早急に県において公文書管理条例を制定することを提案したわけ
でござい
ます。
これに対して、知事は、公文書の管理のあり方を幅広く検討し
ていく必要
がある、公文書管理を条例化すること
が必要
なのかどうかを含め
て検討を行っ
ていきたいという答弁
でござい
ました。この時点では、条例化については知事の積極的
な姿勢は感じられなかったわけ
であり
ます。
その後、県知事選挙
があり、知事は、公文書に関する信頼を高め、説明責任の徹底を図るため、公文書に関する基本的
な事項について定める公文書管理条例の制定を検討するという公約を掲げたの
であり
ます。
私は、その直後の9月議会で再度一般質問を行い、私
が選挙公約を掲げるに至った理由を質問したのに対し、知事は、県議会でのやり取りも念頭に置いた
と答弁をされ
ております。
さらに、私
が、選挙公約を早期に実現するため、1年後の2019年9月定例会までに条例案を議会に提出することを提案したのに対しまして、知事は、公文書にかかわる業務全般の改善を図ることは重要
である。仕事の仕方も含め
て幅広い観点で検討を行い、見直しの方向性を2018年度中に取りまとめ
ていきたい。その上で、県議会を初め、広く県民の意見を聞き、また、専門家の意見も求めながら検討を進め
ていく。公文書の管理については、年度単位で管理すること
が基本
となっ
ていることから、2020年度の当初から施行できるよう2019年度中には条例案を提案したい
と答弁をしたところ
でござい
ます。
9月議会における知事の答弁は、公文書の適正管理に向け
て大きく前進した内容
であり、高く評価できるもの
であり
ます。その後、年
が明けた今年3月になり
まして、県は、公文書管理の見直しの基本的方向性を決定いたし
ました。その中を見
ますと、公文書管理のルールや基準の統一、文書管理体制の強化、公文書の電子化、職員の意識改革などを進めること
とし
ているところ
でござい
ます。
そこで、知事に、公文書管理条例の制定に関し、以下2点についてお聞きいたし
ます。
1、公文書管理条例の制定に向け、公文書管理のあり方の検討など現在の進捗状況はいかがでしょうか。
2、議会に公文書管理条例の骨子案を示す時期はいつでしょうか。また、条例案を提出する時期はいつでしょうか。
次に、公文書管理の適正化について質問をいたし
ます。
今年3月に県
が決定した公文書管理の見直しの基本的方向性の中に公文書管理の適正化
が掲げられ
ており、その中で、公文書の廃棄や公文書の改ざんについても記述され
ているところ
であり
ます。
それにより
ますと、公文書の廃棄の際には、文書作成課
と文書主管課によります二重チェックを行うこと
とし
ております。また、公文書の改ざん防止のために電子文書による文書の管理を行い、修正等の履歴管理を行うこと
とし
ているところ
でござい
ます。このことは、大事
なポイントではあり
ますが、過去に国において行われ
ていたように、職員による意図的
な廃棄や改ざんを防ぐこと
が何よりも重要
であり
ます。
国においては、公文書管理法
がありながら、これを遵守せず、廃棄や改ざん
が行われ
ておりました。県でも、条例等を制定するだけ
では廃棄や改ざんを防ぐことはできない
と考えるもの
でござい
ます。
私は、昨年6月議会でこのことに関して一般質問を行ったところ
であり
ます。私
が、公文書の改ざんを防止するため具体的にどのように対応し
ていくのか
と質問したのに対し、知事は、いま一度公文書の適正管理について徹底を図っ
ていきたい
と答弁し
ております。
また、私
が、保存すべき公文書の廃棄を防ぐために内部のチェック体制は具体的にどのようになっ
ているのか
と質問したのに対しまして、関総務部長は、公文書の適正管理の徹底に一層努め
ていく。職員による意図的
な廃棄など不適正処理
が発生した場合には、懲戒処分も含め、厳正
な対処をすべき
と考えると答弁をし
ております。
さて、滋賀県では、今年3月に公文書管理条例を制定したところ
でござい
ます。これにあわせ
て、公文書管理の適正化を図るために、公文書管理に関する審議会を設置いたし
ました。この審議会は、公文書管理制度の運営や改善に関する提言、公文書管理に関して知事
が定める基準の策定や変更、公文書の廃棄等に関する事項を調査、審議するもの
であり
ます。非常に先駆的
な取り組み
であり、参考
とすべき
だと考えます。
そこで、知事にお聞きいたし
ます。公文書管理条例の制定にあわせ
て公文書管理の適正化を図るため、公文書管理に関する審議会を設置することを提案いたし
ますが、いかがでしょうか。
次に、以下2点について総務部長にお聞きし
ます。
1、職員による意図的
な文書の廃棄や改ざんを防ぐためにルールづくり
が必要
と考えますが、具体的にどう対応されるでしょうか。
2、条例制定後、公文書管理の具体的
な基準についての検討の進め方
とスケジュールをどう
考えておられるでしょうか。また、公文書管理のさまざま
な基準を遵守し
ていく上で職員の負担
が大きくならないように配慮すべき
であり
ますが、具体的にどう対応され
ますか。
以上で大きい1つ目の質問
といたし
ます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)公文書管理条例に関連し
て3点御質問いただき
ました。
まず、条例制定に向けた進捗状況についてという御質問
でござい
ます。
今年3月に「公文書管理の見直しの基本的方向性について」を策定し、公文書管理の見直しから始める県庁しごと改革に着手し
ております。この中で、公文書管理の見直しの基本的考え方、ルールや基準の統一
と共有、あるいは集中管理の推進、公文書の電子化、職員の意識改革、こうした基本的考え方を定めたところ
でござい
ます。
現在、この基本的方向性に沿い
まして条例の規定の具体的
な内容について検討を行っ
ているところ
でござい
ます。あわせ
まして、条例制定前
であっ
ても、できる取り組みから着実に進め
ていこうということ
で、8月に実施する文書管理月間に向け
まして庁内会議を開催し
て、2S、整理整頓等の取り組みの周知を図っ
ているところ
でござい
ます。
続き
まして、公文書管理条例案の提案時期はいつかという御質問
でござい
ます。
まず、条例案の具体的
な内容につき
ましては、9月をめどに骨子案として取りまとめた上で県議会の皆様にお示しをしたいというふうに
考えております。また、骨子案につき
ましては、広く県民からの御意見をお伺いし
て、あわせ
て専門家の御意見も求め
ていきたいというふうに
考えております。
こうした御意見、そして県議会での御議論も踏まえた上で条例案を取りまとめ、でき得れば来年2月県議会への提案を行えるように取り組んでいきたいというふうに
考えております。
公文書管理に関する審議会の設置についての御質問
でござい
ます。
適正
な公文書の管理は開かれた県政の基本
だというふうに
考えております。情報公開制度とも相まっ
て、説明責任を果たし、県政に対する県民の皆様の御理解
と信頼をいただくための基盤でもあるというふうに
考えております。
こうしたことから、まず、公文書管理の具体的
な基準については、実効性や内容の客観性を確保すること
が重要
であり
ますことから、有識者によります第三者機関から意見を聞く仕組み
が必要というふうに
考えております。
また、基準を定めた後につき
ましても、公文書管理
が基準に則したもの
となっ
ているか継続的にチェックをし
ていただく機関
が必要というふうに思っ
ております。
こうしたことから、公文書管理について御意見を伺う審議会を条例に基づき設置することについて検討し
ているところ
でござい
ます。
以上です。
〔総務部長関昇一郎君登壇〕
◎総務部長(関昇一郎 君)公文書管理条例について2点御質問をいただき
ました。
まず、意図的
な公文書廃棄、改ざん防止のためのルールづくりについてのお尋ね
であり
ます。
公文書の不適正
な取り扱いに対して厳正に対処し、その抑止を図ることは、県政への信頼を確保し
ていく上で極めて重要
であり
ます。
公文書管理の基準において廃棄の手続を具体的に定める際には、意図的
な文書の廃棄を防ぐため、条例での設置を検討し
ている審議会においてダブルチェックの仕組みを具体化し
て検討し
てまいりたい
と考えております。
あわせ
て、新しい文書管理システムでは公文書の集中管理を実施し、公文書の改ざんをシステム上で防止する手だても研究し
てまいり
ます。
2点目の条例制定後のスケジュール
と職員の負担軽減についてのお尋ね
であり
ます。
先ほど知事から答弁申し上げ
ましたように、公文書管理の具体的
な基準について、より実効性
が高く内容の客観性
が確保されるよう審議会から意見をお聞きし
て、来年度には規則等を定め
てまいりたい
と考えております。
また、職員
が見直し後の基準に負担感なくスムーズに移行するためには、同時に新た
な文書管理システムを構築すること
が不可欠
であり
ます。このため、令和2年度から3年度にかけて、見直し後の公文書管理の基準に対応するシステムの構築を行っ
てまいり
ます。
こうしたことを踏まえ、新た
な文書管理システムの稼働
が可能
となる令和4年度当初をめどに、見直し後の基準に基づく公文書管理を実施し
てまいりたい
と考えております。
以上
であり
ます。
〔31番酒井茂君登壇〕
◆31番(酒井茂 君)ただいまは、知事から、また総務部長から、大変具体的かつ前向き
な答弁をいただいたわけ
であり
ます。
私の公務員としての経験からいたし
ますと、職員
が、理事者、特にトップに対して意思決定につながるよう
な重要
な判断を仰い
だ場合、職員は必ずメモを残すもの
でござい
ます。このメモは、非常に重要
な文書
であり、単なる私的メモとして廃棄されることになれば、将来、政策の評価を行うための検証
ができなくなっ
てしまうわけ
であり
ます。
平成29年に内閣府
が公表し
ました行政文書の管理に関するガイドラインに関する解説集により
ますと、「政策立案や事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録については文書を作成するもの」
とされ
ているわけ
であり
ます。意思決定につながるよう
な打ち合わせメモはこれに該当するため、県におきましても、国
と同様、文書として残すべき
と考えておるところ
でござい
ます。
これまで、国においては、行政にとって不都合
な情報や文書を公開しなかったり、なかったことにし
てしまうこと
があり
ました。行政にとって都合
がよいのか不都合
なのかの事情により情報や文書の扱い
が異なること
があっ
てはなり
ません。重要
なメモの扱いについては、今後行う文書管理に関する具体的
な基準の検討作業の中でしっかり検討するよう要望し、次の大きい二つ目の質問に移り
ます。
二つ目は、153号の整備について
であり
ます。
まず、伊駒アルプスロードの地域の意見への対応についてお聞きいたし
ます。
県民にとりまして最も関心のあることは、健康
と医療の充実
であり
ます。その中でも、特に救急医療の充実を求める声
が強くあり
ます。救急医療を行う上では、高速道路の果たす役割は大変大きなもの
があり
ます。しかし、降雪や事故で高速道路
が通行どめになること
がたびたびあり、この場合、国道
がその代替機能を果たさなければならないわけ
であり
ます。まさに道路は命を救う「命の道」
であり
ます。国道の整備は極めて重要
な行政課題
であり
ます。
さて、長野県では、平成26年3月にリニア活用基本構想を策定し、この構想を実現するための取り組みとして道路ネットワークの強化を掲げ
ました。これを受け
て、県では、同年10月にリニア関連道路整備計画を策定し、リニア長野県駅への主要
なアクセス道路
が位置づけられたところ
でござい
ます。
計画は、10の路線等
が掲載され
ておりますが、その一つ
といたし
まして153号伊駒アルプスロードの整備
が掲げられ、リニア開通までの完成を目指し
てまいり
ました。
伊駒アルプスロードは、上伊那地域の国道153号の整備計画区間35キロメートルの一部区間
であり、上伊那では、昭和48年に箕輪町の松島バイパス
が着工されたの
が始まり
であり
ます。これまでの整備の進捗率は54%
となっ
ております。これまで、伊南バイパスの延長9キロメートル
が、国の権限代行により昨年11月に全線供用
となり、現在は、県により北側の伊那バイパスの整備
が進められ
ているところ
でござい
ます。
一方、伊駒アルプスロードは、その中間の中抜けの部分
であり、伊南バイパス、伊那バイパスの効果を一体
となっ
て発揮させるためにも早急に整備
が必要
な区間
となっ
ております。
さて、上伊那では、天竜川の西側、いわゆる竜西地域には、JR飯田線、国道153号、中央道、大型農道
が走り、交通基盤
が整備され
てきたため、大きく発展し
ております。これに対して、天竜川の東側、いわゆる竜東地域にはこうした交通基盤
が少なく、不便
な地域
であり、取り残された地域でもあり
ます。
こうした状況は、西高東低、西に高く東に低いとも表現され
ているところ
でござい
ます。このバイパス
が整備されることにより、地域の活性化に大きく寄与する
と考えられるところ
でござい
ます。これまで光
が当たらなかった竜東地区にもようやく光
が当たる
と地域の期待は大きいもの
があるわけ
であり
ます。予定のルート上にある地域では、道の駅を誘致し
て、産業振興や防災、高齢者福祉などの拠点として活用したい
と期待
が膨らんでいるわけ
であり
ます。
さて、この道路に関しましては、平成23年からルート等
が検討され
ました。また、同年、県は、概略計画の検討に着手し、その後、環境影響評価や都市計画案の縦覧などの諸手続を経
て、今年3月に都市計画決定をいたしたところ
でござい
ます。
これらの諸手続を進める中で、住民からさまざま
な意見や要望
が寄せられ
ているところ
でござい
ます。その一つは、道路の予定ルート
が集落内を通り、これによってコミュニティー
が分断され
てしまうおそれ
があるというもの
であり
ます。もう一つは、ある区間
が、長い距離にわたり、現在の路盤高から5メートルから7メートルも高い盛土構造
とする計画
であり、これ
が二つのアルプスに囲まれた美しい農村風景を損ねるおそれ
があるというもの
であり
ます。
この二つの課題に対しては、この道路に関する都市計画を審議した昨年の県都市計画審議会でもコミュニティーの分断や道路構造に関して議論
が交わされ
ているところ
であり
ます。その中で、委員の中からは、地域の皆さんの意見に同調する意見も出され
ているところ
であり
ます。
一方、国交省は、平成29年10月に、道路のデザインを実施する際に参考
とすべき事項を取りまとめた道路デザイン指針(案)を策定いたし
ました。それにより
ますと、広がりのある風景を道路
が遮断しないようにすべき
である
とし
ております。また、田園地域の新設道路では、集落への接近は問題
となりやすいため、集落の秩序を尊重し、迂回させることを原則
とする
とし
ているところ
でござい
ます。道路デザイン指針(案)の内容はどれももっとも
なこと
であり、最大限採用すべき
と考えます。
そこで、建設部長にお聞きいたし
ます。
環境影響評価及び都市計画決定の手続の中で住民から寄せられた意見や要望に対し、今後、具体的にどのように対応し
ていき
ますか。また、地域コミュニティーの分断を避けたり、既存の良好
な景観を維持するため、具体的にどのよう
な対策をとり
ますか。さらに、伊駒アルプスロードを整備する上で、国交省
が策定した道路デザイン指針(案)をどのように生かし
ていく方針でしょうか。
次に、伊駒アルプスロードの整備について質問いたし
ます。
今年度の国交省の予算に、この道路について直轄による権限代行の実施の検討を行うための調査費
が計上されたところ
であり
ます。検討を始めた平成23年から実に8年もの期間を経
てようやく調査費
が計上されたもの
であり
ます。
これは、これまで、知事を先頭に、県担当部課や伊那建設事務所等の積極的
な取り組みや県選出国会議員による要望活動、さらには関係期成同盟会や関係市町村の積極的
な要望活動
があったから
であり、敬意を表するもの
であり
ます。特に、知事を初め、県の取り組みは高く評価するもの
であり
ます。国交省出身の長谷川建設部長は、道路局に長く在籍した道路行政の専門家
であり、これまでの経験や知識を生かし
て国交省
との協議を粘り強く行っ
てきた
と理解をし
ております。
私は、平成27年6月の定例会で、リニア関連道路としての伊駒アルプスロードの整備に関する一般質問を行い
ました。私
がこの道路の必要性
と整備効果について質問したのに対し、奥村建設部長は、153号バイパス全体の構築へ
とつながり、交通混雑の緩和、地域間の移動の円滑化、中央自動車道の代替機能の確保、緊急輸送路としての信頼性向上など多岐にわたり大きな効果
が期待できる。加え
て、リニア中央新幹線
がもたらす大都市圏
との時間短縮効果をより広範囲に拡大し、交流の拡大、地域の振興につなげる上でも不可欠
な整備
と認識し
ている
と答弁し
ております。
また、私は、この道路の整備においては、高度
な技術力
が求められ、巨額
な投資を必要
とし、リニア関連道路として早期に整備をする必要
があることから国の協力
が不可欠
と考え、県の考え方について質問をしたところ
でござい
ます。
これに対して、奥村建設部長は、リニア開業時の整備効果発現を目指す伊駒アルプスロードについては早期の整備
が求められ
ている。整備については、伊南バイパス
と同様権限代行事業で実施されるよう、関係市町村
と連携し、国に対して強く求め
ていく
と答弁をし
ております。
そこで、建設部長に以下2点をお聞きし
ます。
1、伊駒アルプスロードの事業着手に向けた県のこれまでの取り組み状況
とその成果をお聞きいたし
ます。また、事業化に向け
て、今年度、国の権限代行に向けた調査費
が予算化されたところ
であり
ますが、今後の事業の見通しはいかがでしょうか。全線を国直轄による権限代行事業で実施することを目指すべき
と考えますが、いかがでしょうか。
2、現在県
が施工し
ている国道153号伊那バイパスについては、リニア開通時までに全線整備を目指すべき
と考えますが、いかがでしょうか。
最後に、知事に、伊駒アルプスロードはリニアを生かした交流圏拡大道路整備事業に位置づけられた重要
な道路です
が、事業への意気込みをお聞きし
ます。
以上で二つ目の質問
といたし
ます。
〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕
◎建設部長(長谷川朋弘 君)初めに、伊駒アルプスロードの地域の意見への対応に関するお尋ね
でござい
ます。
昨年度までに行った環境影響評価及び都市計画決定の手続の中では、住民の皆様から、早期の事業化を望む意見や環境や景観保全に関する意見をいただい
ております。こうした意見を踏まえ、今後詳細
な道路設計を行っ
ていく中で、都市計画のルートを前提に、道路の高さの変更、横断施設の設置等による地域分断の影響の緩和など必要
な道路構造の微修正について検討を行っ
ていくこと
となる
と考えております。
また、本道路の環境影響評価においては、景観に配慮するため、のり面等の緑化及び道路付属物の形状、デザイン、色彩の検討などを実施すること
とされ
ており、これらの具体的
な設計に際しては、国土交通省
が策定した道路デザイン指針(案)を活用し
ていく方針です。
次に、伊駒アルプスロードの整備
手法に関するお尋ね
でござい
ます。
国道153号は、重要
な物流を担う幹線道路
であることに加え、本道路は、特に大規模で技術的難易度の高い工事
が見込まれることから、県
とし
ましても、国の権限代行に向けた要望活動を繰り返し行っ
てきたところ
であり、その結果、今年度から権限代行に向け
ての直轄調査
が開始されたもの
と理解し
ております。
一方で、他県を見
ますと、直轄調査
が実施された区間全て
が権限代行として事業化されなかった例も見受けられることから、県
といたし
ましては、全線を国の直轄事業として採択し
ていただけるよう引き続き国へ要望し
てまいり
ます。
次に、伊那バイパスの整備目標に関するお尋ね
でござい
ます。
伊那バイパスは、延長約7.6キロメートルのうち北側の3.4キロメートルを平成24年3月に供用開始したところです。残り4.2キロメートルの区間について、現在、地元の皆様の御協力を得ながら、調査設計用地補償、トンネル及び橋梁を含む道路築造工事を進め
てい
ます。引き続き重点的に事業を進め、リニア中央新幹線の開通までの供用を目指し
て積極的に取り組んでまいり
ます。
以上
でござい
ます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)伊駒アルプスロードの整備事業の意気込みについてという御質問
でござい
ます。
伊駒アルプスロードは、昨年供用開始いたし
ました伊南バイパスや事業中の伊那バイパスとともに、リニア中央新幹線の整備効果を広く県内に波及させ、交流の拡大あるいは地域振興を図っ
ていく上での重要
な社会基盤
であるというふうに
考えております。
国に対してさまざま
な要請をし
ている事項
があり
ますが、この伊駒アルプスロードの全線直轄事業による整備というのは、今、私
とし
て最も力を入れ
て要求、要請をし
ているところ
でござい
ます。
国土交通省を初め関係方面に対して要請をし
てき
ているわけ
であり
ますが、伊那谷人口の85%を東京90分圏内にすることなど、リニア中央新幹線の効果を最大限発揮し
ていくためにはこの事業は極めて重要
であり
ますことから、引き続き国によります早期の全線整備を強く求め
ていきたいというふうに
考えております。
以上です。
〔31番酒井茂君登壇〕
◆31番(酒井茂 君)それぞれお答えをいただき
ました。
知事からは強い意思表明をいただき
ましたので、引き続きしっかり
と対応し
ていただきたい
と思い
ますし、建設部長からも極めて具体的
な答弁をいただいたわけ
であり
まして、こうした答弁を聞いた地元の皆さんも一安心され
ているの
ではないかというふうに
考えているわけ
でござい
ます。
事業を推進する上では、関係職員の負担も大変大きい
と思い
ます。しかし、地元自治体や関係住民
としっかり連携する中で事業を進め
ていただくように期待をするもの
であり
ます。
国道を整備すれば、これに接続する県道の整備も必要
となり
ます。県の財政負担も多大
なものになる
と思い
ますが、多岐にわたり大きな効果
が期待できるプロジェクト
であることから、計画的
な事業の推進
と財源の確保に努めるよう要望いたし
まして、以上で全ての質問を終わりといたし
ます。
○議長(清沢英男 君)お諮りいたし
ます。本日はこの程度で延会にいたしたい
と思い
ますが、これに御異議あり
ませんか。
〔「異議なし」
と呼ぶ者あり〕
○議長(清沢英男 君)御異議なし
と認め
ます。よって、本日はこれをもっ
て延会することに決定いたし
ました。
次会は、明27日午前10時に再開し
て、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑を日程
といたし
ます。書面通知は省略いたし
ます。
本日は、これをもっ
て延会いたし
ます。
午後3時49分延会...