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  1. 長野県議会 2019-06-25
    令和 元年 6月定例会本会議-06月25日-02号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 元年 6月定例会本会議-06月25日-02号令和 元年 6月定例会本会議 令和元年6月25日(火曜日)  出席議員(57名)   1 番 熊谷元尋      27 番 両角友成   2 番 望月義寿      28 番 中川宏昌   3 番 小林君男      29 番 清水純子   4 番 清水正康      30 番 小池久長   5 番 加藤康治      31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦      32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜      33 番 石和 大   8 番 大井岳夫      34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人      35 番 山岸喜昭   10 番 寺沢功希      36 番 小島康晴   11 番 花岡賢一      37 番 小林東一郎   12 番 池田 清      38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之      39 番 和田明子   14 番 山口典久      40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志      41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美      42 番 小池 清   17 番 竹花美幸      43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦      44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆      45 番 垣内基良   20 番 共田武史      46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔      47 番 高村京子   22 番 髙島陽子      48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志      49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人      50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫      51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司      52 番 向山公人   53 番 平野成基      56 番 服部宏昭   54 番 本郷一彦      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    農政部長      山本智章   副知事       太田 寛    林務部長      井出英治   副知事       小岩正貴    建設部長      長谷川朋弘   危機管理監兼危           建設部リニア整   機管理部長     竹内善彦    備推進局長     坂田浩一   企画振興部長    伊藤一紀    会計管理者兼会   総務部長      関昇一郎    計局長       塩谷幸隆   女性活躍推進監           公営企業管理者   兼男女共同参画           企業局長事務取扱  小林 透   センター所長    酒井裕子    財政課長      矢後雅司   県民文化部長    増田隆志    教育長       原山隆一   健康福祉部長    大月良則    教育次長      轟 寛逸   環境部長      高田真由美   教育次長      三輪晋一   信州ブランド推           警察本部長     伊藤泰充   進監兼営業局長   熊谷 晃    警務部長      野﨑美仁   産業労働部長    林 宏行    監査委員      田口敏子   観光部長      中村正人         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   山田むつみ   議事課長      村松敏伸    議事課主任     水澤まゆみ   企画幹兼議事課   西川 裕    総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐              総務課主事     宮坂祐輝         ───────────────────  令和元年6月25日(火曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    知事提出議案    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(清沢英男 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。  次に、向山公人議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案の報告 ○議長(清沢英男 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                令和元年6月25日   長野県議会議長 清 沢 英 男 様                           長野県知事 阿 部 守 一         令和元年6月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 25 号 監査委員の選任について 第 26 号 人事委員会委員の選任について 第 27 号 公安委員会委員の選任について 第 28 号 教育委員会委員の選任について       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(清沢英男 君)以上であります。  ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案 ○議長(清沢英男 君)本件を一括して議題といたします。  お諮りいたします。本件については、それぞれ会議規則第44条の規定により提出者の説明を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本件はそれぞれ提出者の説明を省略することに決定いたしました。  これらの議案は、本日から行う質疑の対象に供します。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、依田明善議員。       〔34番依田明善君登壇〕 ◆34番(依田明善 君)おはようございます。自由民主党県議団、南佐久郡選出の依田明善でございます。通告に従い、さわやかに御質問させていただきたいと思います。  きょうの私の一般質問は、農作業に従事する日本人がなぜ激減してしまったのか、なぜ外国人に頼るようになってしまったのか、そして、より多くの外国人を受け入れる中で、抱えている問題は何なのか、それを解決するにはどうするべきなのか、この辺を中心に御質問をさせていただきたいと思います。  本県農業の農産物における生産量や売上においては、主に葉っぱの部分を食用とする葉菜類が大きな牽引役となっております。特に、高原野菜に代表されるレタスの収穫量は約20万トンで全国1位。白菜は約22万4,000トンで茨城県に次いで全国2位であります。  しかしながら、その生産供給を維持するためには、労働力を十分に確保しなければなりません。かつて、三、四十年前までは、募集すれば、男子学生のみならず女子大生までが奮って応募してまいりました。その女子大生の中には、その後、バイト先の若き農場主と結婚し、今や陣頭指揮をとっている方も大勢おられます。  また、地元の高校生なども、高原野菜の農業は稼げるバイトの筆頭ということで、夏休みなどに住み込みで農家に入り、朝から晩まで汗を流し、高額アルバイト料を手にしたものであります。  ところが、今やそんな風景はどこにもありません。それどころか、農家の子供たちすら家業のお手伝いをしないケースがふえており、「学校のテストの成績さえよければ」ということで、家のお手伝いをさせる親も少なくなってきております。肉体労働の大切さや奥深さを諭してくれる大人もめっきり減ってしまった昨今、特に農業分野における人材確保はますます困難をきわめるようになってしまいました。  本県においても、子供たちに農作業を体験させる取り組み等はされておりますが、体力、忍耐力、そして視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といったいわゆる五感を使う労働の大切さについて、まずは教育長の御見解をお聞かせいただければと思います。  さて、アメリカは、移民大国ということもあり、農作業等には主にメキシコ人が従事しているようであります。しかし、日本の場合は、単一の農耕民族という国の成り立ちもありますので、日本人の総合力によって農業を切り盛りするのが本来の姿だと思います。15歳から64歳までの生産年齢人口が7,500万人もいるわけですから、数字的には十分のように見えます。  人手不足という点については、農業大国アメリカにおいても深刻です。実は、農作業の主力であるメキシコ人が、1980年から2010年の30年間において毎年15万人ずつ農作業から離れていったという現実があります。メキシコの農村部は、経済の発展により数十年前から学校建設が盛んになり、学校教育が行き渡るようになりました。その背景には、好調な経済のみならず、行政改革により中央集権的体制から地方分権的体制へと移行していったことが大きく影響しております。これにより、基礎をしっかりと学んだ若者たちはさらにその高みを目指し、多くがIT関連などの仕事につくようになりました。農業に比べて体への負担は少なく、手取りもよいということになれば、当然の話であります。  日本においても、学問が地方の衰退を招くといった言葉はよく使われます。村や町の子供たちが優秀になればなるほど地方を離れてより広い世界を目指す。結果として、集落の消滅や中山間地農業の崩壊を招くといったことであります。  しかしながら、農業は、本来、クリエーティブで科学的な探求心をそそる高度な仕事でもあります。南佐久のある農業法人では、根性論やどんぶり勘定の農業を否定し、若者を中心に数学の方程式や化学の化学式を使って戦略会議を開き、毎年売上を伸ばしております。男性も女性も目をらんらんと輝かせて作業にいそしんでいる姿を見ますと、彼らの人生をうらやましいとさえ思います。県としては、そういった農業の魅力を若者に伝えていく施策も盛んに行っておりますが、その成果と課題も含めて農政部長の御見解をお聞かせください。  また、生産年齢人口の中には、学生、専業主婦、障害者、あるいはニートやひきこもりといった人々も含まれております。最近の調査では、このニートとひきこもりの皆さんを合わせると、実に数百万人が仕事に従事していないことがわかってまいりました。願わくば、この皆さんにも頑張っていただくことができれば、計算上は外国人に頼らなくてもよいということになります。  ただし、ニートやひきこもりの人々に就労を促すということになりますと、メンタル的な支援、金銭的な支援、就業支援などが長期にわたって必要となります。よって、行政サイドとしても対応に苦慮し、実態も正確につかめなかった中で的確な対応が後手に回ってしまった。その結果が、長期化するひきこもり、いわゆる8050問題や深刻な労働力不足を引き起こしてしまったのではないかと私は思っております。  知事の議案説明の中で、本県では現在2,290人の方がひきこもりの状態にあるとのお話がありました。この状態を解決する一つの方法として、農業の魅力に頼ることは極めて有益だと思います。  障害者の活躍を促す農福連携は、今や国、県、市町村などにおいて注目される大変すばらしい施策の一つになりつつあります。これをニートやひきこもり対策においても応用し、農業の未来を明るくするような施策として練り上げ、昇華させていくことが必要だと思います。  学校や職場などでさまざまなハラスメントを受け、働く自信や生きる自信を喪失してしまった人々はたくさんいることでしょう。そんなときに、自然を相手にする農業というものは、もう一度自分の人生と向き合うにはよいきっかけになると思います。たとえわずかな農地であっても、自分で自由に耕し、自分で種をまけば、その作物の成長が気になり、毎日畑に行きたくなるものです。その結果、トマト一つでも収穫できれば、その方のやる気や自信といった心の収穫にもつながるのではないか、私はそういうふうに思います。  荒廃した農地は中山間地に行けばたくさんあるわけですから、失敗を恐れずに自分の力だけで荒れた農地を復活させる、そんな人生再生プログラムのようなものを部局横断的に考えていく時代に入ったのではないかと思いますが、農政部長の御見解をお伺いいたします。  さて、このような深刻な人手不足の中で注目されたのが、発展途上国に対する国際貢献と国際協力を理念とする外国人技能実習制度であります。この制度は、最初は製造業に導入されましたが、次第に農業にも波及していきました。そして、今や、これら実習生がいなければ野菜農家の経営は成り立たないところまで来ております。  ただし、現制度においてはさまざまな課題があります。例えば、帰国の問題です。基本的に、この制度は、技能の実習中は帰国禁止であり、帰国した時点で実習は終了となってしまいます。高原野菜の場合、秋の終わりには仕事も終わります。中には冬場の仕事をつくって実習生をつなぎとめている農家もおりますが、多くは帰国してしまいます。そうなりますと、2年目以降は再実習が認められないことから、農家は毎年新たな実習生を見つけては、仕事の手順や技術、あるいは礼儀作法に至るまで教える必要があります。もちろん、実習生とは初対面ですから、気心を通じさせるために食事に連れ出したり、観光案内をして気持ちをほぐしてあげたりしております。ただし、農家にとって、精神的、肉体的、金銭的な面において負担になっていることは確かであります。
     したがいまして、実習生の一時帰国と再入国を認め、複数年間実習制度が継続できる制度を切に要望したいと思います。また、春から秋は野菜、秋から冬にかけてはキノコといったように品目が異なる農家間での複数品目の実習を認め、実習生が3年程度継続して実習できる制度に改善していただきたいと思います。県では、2年ほど前に、この点について国家戦略特区の提案を国に要望しておりますが、なかなか進展が見られません。農家と実習生両者にとって使い勝手がよい制度を目指し、さらに国に働き続けていただきたいと思いますが、農政部長の御見解をお伺いしたいと思います。  次に、実習生の逃亡の問題であります。実習生が入国した場合、悪質ブローカーなどの手引きで逃亡し、不法就労に走る実習生もおります。この問題の根源は、実習生がとにかくお金を稼ぎたいと強く願っているところにあります。実習生となって日本に渡るには、契約金、研修費、渡航費、生活費、仲介料など多額のお金がかかります。よって、財産を処分して金策をしたり、借金をする実習生も多いのが現状です。  しかしながら、日本でお金を稼ぐことができれば借金は完済できますし、家族の生活は楽になり、家を建てることもできます。中には、レストランや小売店など自分の店を開き、夢を実現させる方もおります。したがって、彼らには働き方改革などという言葉は通用しません。畑での労働時間が短ければ、雇用主に向かって、お父さん、もっと仕事が欲しい、お金が欲しい、休みたくないと懇願する。そういう場面を私も目の当たりにしたことがあります。  思えば、日本人も、高度経済成長時代にはこのように貪欲な人々が大勢おりました。老後の心配の種というのは、人類がこの世に誕生して以来、尽きたことがありません。よって、稼げるときに稼ぐ、ためられるときにためるということは極めて自然のことだと思います。今の外国人実習生の貪欲さを見ると、改めてそのことに気づかされます。そういう彼らでありますから、ブローカーなどから農業よりももっと金になる仕事があるよと言われれば、心が動くのは当然のことであります。  ただし、ここで問題なのは、逃亡させてしまった受け入れ農家や監理団体にはペナルティー措置がなされることがあり、まさに踏んだり蹴ったりの理不尽な結果を招くことがあります。また、逃亡した実習生は、逃げた時点から追われる身となり、不法就労者となっていきます。中には、危険な仕事につかされる若者や犯罪に手を染める若者などもおり、それらが原因で命を落とす方もおります。よって、これらを防ぐには、実習生が不法就労に手引きされないよう、入国管理局や警察などが連携し、悪徳ブローカーなどの動きを監視する必要があります。  一方、実習生に対しては教育が必要だと思います。この点、農業分野の外国人技能実習生に対し、現在どのような教育や注意喚起がなされているのか、農政部長にお伺いいたします。  次に、税金の問題です。実習生が実習を終えて出国する際、彼らは、日本に対して約20%の税金を払うことになります。これは、租税条約で決められていることでありますが、両国で二重に課税することを防ぎましょうという趣旨のものであります。こういった制度は世間ではあまり知られてはおりませんが、実習生にとってはかなりの負担となっていることは確かです。  ただし、中国の場合は、自国で税金を徴収することになっておりますので、日本での納税の義務はありません。あるのはほかの東南アジアの国々ですから、この税率を緩和させ、手取り額を高めてあげなければ、日本で働く実習生は今後減少していくことでしょう。これは、農業分野に限らず、全ての産業にかかわることなので、改善を促すよう国に強く要望していただければと思います。  次に、実習生のメンタル面のケアについてであります。  どの国の若者でも、海外で働くということになれば、ホームシックになります。お互いに励まし合ってはいるようですが、高速通信が当たり前の昨今、ネット環境の整備はもちろんのこと、母国のテレビ放送がいつでも見られるといった生活環境の整備は必要だと思います。  AIや技術革新によって生産性を上げることは最も大切なことですし、その分野には日本人労働者も集まります。しかし、人力に頼ることの多い産業や、汚い、危険、きついといった労働については日本人から敬遠されてしまいます。そうなれば、外国人技能実習生外国人労働者の取り合いといった事態も想定されるわけですが、本県が外国人から敬遠されることにならないよう、生活の満足度という部分も向上させていくことが重要だと思います。この点についてどうお考えか、県民文化部長の御見解をお伺いいたします。  次に、外国人特定技能制度について御質問させていただきます。  この制度は、人手不足を解消することが主眼であります。本年4月から外国人労働者の新たな在留資格を14業種に創設し、受け入れることになりました。知事は、議案説明の中で、外国人にとって魅力のある地域をつくるため、家族も含め、地域社会の一員として温かく迎え入れていくことが重要であると述べました。そのために、長野県多文化共生相談センター(仮称)を10月に開設させ、医療や教育などの生活に関する情報提供や相談対応を15以上の多言語で行うとのことであります。  ただし、その前段階の問題として、国から許可された受け入れ機関と、その受け入れ機関をサポートする登録支援機関が連携し、特定技能資格を持った外国人の受け入れを行うということ自体が大きな困難を伴うことが予想されます。例えば、一般の農家が受け入れ機関になるにはハードルが高いと言わざるを得ません。事件やトラブルが発生したときのコンプライアンスの問題一つをとっても、やはり不安は大きいわけであります。  このように、特定技能資格を有する外国人の受け入れを農家が行うのが至難のわざであるということになりますと、彼らにかわって手続を代行する仕組みづくりの構築が必要となってまいります。また、サポートする登録支援機関も、現在県内に五つの機関しかないため、特定技能資格を持った外国人の受け入れが見通せない状況にあります。この点については、その打開策も含めて農政部長にお伺いいたします。  最後に、中部横断自動車道について御質問いたします。  阿部知事におかれましては、山梨県や新潟県の知事などと連携し、国への要望活動などを行っておりますが、地元の機運を盛り上げていくには、やはり地元市町村や地元住民の牽引役になっていただければと思います。もちろん、地元には、首長を中心とした期成同盟会並びに超党派による県会議員や市町村議員で構成された議員連盟もございます。また、地元の農協、商工会議所、商工会、女性みちの会などと連携し、定期的に情熱を持って陳情活動なども行っております。しかしながら、中部横断自動車道ミッシングリンクを解消させ、長野県経済を活性化させることは、佐久、小諸のみならず、長野県民全体の願いでもあるわけです。ぜひとも先頭に立って御尽力いただければと思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)五感を使う労働の大切さについてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、子供たちが教室を飛び出し、身体を使って五感を働かせ、何かをなすことによって学ぶ体験は大変重要であるというふうに考えております。  以前は、各家庭で田畑の手伝いをすることで、必然的に農作業の体験が豊かでありましたけれども、昨今はそのような家庭での農業体験は減ってきております。学校教育等におきまして子供たちが農作業を体験できる環境を守っていくことが必要であるというふうに考えております。  県内のほとんどの小中学校で米づくりや野菜栽培、学校や地域の花壇での草花などの農作業が行われておりまして、例えば、田植えを体験した小学生は、初めて稲を植えたときの土のやわらかさや温かさを手足に感じ取り、秋になり、実った稲穂を鎌で刈る際は、ざくりとした手の感触や積み上げたわらのにおいに充実感を覚える体験をしております。子供たちは、五感を使って働くことで、自然に触れて、感じて、働くことの喜びを心に刻んでおります。  このように、みずから身体を動かし五感を磨く学びの機会の充実が身体を使って働くことの意義を子供たちが深く理解することにつながっておりますので、重要な取り組みとして推進してまいりたいというふうに考えております。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)5点御質問をいただきました。順次お答えいたします。  まず、若者への農業の魅力発信に関する施策についてでありますが、本県農業・農村の活性化を図っていくためには、次代を担う若者を中心に農業の魅力を広く発信し、新規就農者を安定的に確保していくことが大変重要だと考えております。  このため、県では、農業者の代表や農業高校など教育関係者の参画による農業人材確保育成連携推進会議を設置し、県内の高校生を中心とした若年層が農業を職業として意識し、選択できるよう、キャリア教育などに取り組んでいるところであります。  また、昨年度は、新たに「かっこいい」、「稼げる」、「感動を与える」の新3Kを合い言葉として魅力ある農業の姿を若者に伝えるガイドブックや動画を作成し、広く情報発信を行ってまいりました。これらの取り組みにより、例えば、ガイドブックや動画に触れた学生から卒業後に雇用就農を考えたいとの声が聞かれたほか、実際に農業法人への就農など新たな選択をする若者も出てまいりました。しかしながら、農業法人へ就農する場合には、福利厚生等の雇用環境が不十分であるといった課題がありますので、他産業並みの雇用環境を備えた農業経営体をふやす取り組みを行っているところであります。  次に、農業を活用したニートやひきこもり対策についてでありますが、園芸福祉などの言葉があるように、農作業には心身の回復や自己有用感、就労意欲の向上につながるといった効果があると言われております。議員御提案のニートやひきこもりの方を対象とした荒廃農地の再生などの取り組みについては、お一人お一人の状態も異なることから、さまざまな点に留意して進めていくことが必要ではないかと考えております。  先般、国の農福連携等推進会議におきまして、農福連携のさらなる取り組み推進を図るため、福祉への広がり支援として、ひきこもりの状態にある方などの就労や社会参画の機会の確保に向けた取り組みを推進していく方向性が示されました。今後、これらの国の動向を注視するとともに、健康福祉部など関係部局と連携し、検討してまいりたいと考えております。  次に、外国人技能実習制度に関する国への働きかけについてでありますが、県では、これまで、技能実習生の一時帰国後の再入国及び複数機関での実習を可能とすること、並びに農業分野での外国人就労者の受け入れについて国家戦略特区による規制改革提案を行ってきました。  このうち、外国人の就労につきましては、本年4月に新たな在留資格が創設され、実現いたしましたが、技能実習生の一時帰国後の再入国及び複数機関での実習を可能とすることについては、依然として進展がありません。これまで、県では、機会あるごとに国に対して技能実習制度の要件緩和について要請しているところであり、去る6月3日にも改めて国に対して要請を行ったところであります。今後も、引き続き、本県の実情に適応し、農家及び実習生が取り組みやすい制度となるよう国への働きかけを継続してまいります。  続きまして、外国人技能実習生への教育や注意喚起についてですが、平成29年度に外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行されて以降は、実習生の受け入れ機関となっている監理団体及び実習先となる農家におきまして、監理責任者、技能実習責任者をそれぞれ選任することとなっております。それらの責任者は、国が指定する講習機関において研修を受けた上で、技能実習生に対して日本における生活や技能実習に関する教育や注意喚起を行っております。  本県におきましては、例えば監理団体のJA佐久浅間では、独自に研修マニュアルを作成し、技能実習に当たっての心構えや宿舎の規則、ごみ出しのルールなどの教育が行われているところであります。  最後に、特定技能外国人の受け入れの仕組みづくりと支援についてでありますが、新たな外国人特定技能制度の活用も含め、各地域の農業労働力の確保を支援するため、JAグループが中心となって、県や県農業会議等を構成員とするJA長野県農業労働力支援センターが本年4月に発足いたしました。  現在、この労働力支援センターにおきまして、特定技能外国人の受け入れ態勢や支援の仕組みなどについて各地域の実情を聞き取りながら課題を整理しておりまして、今年度中には幾つかのJAと連携し、受け入れ機関としての申請手続を始める予定としております。また、登録支援機関となることについても検討しているところであります。  農業者や農業関係者の理解を深めていただく取り組みといたしましては、去る5月20日に、多くの技能実習生を受け入れている佐久管内におきまして、入国管理局等を講師に県主催の制度説明会を開催したところであります。  今後も、労働力支援センターを中心に、農業関係者の意見を伺いながら新たな制度の活用に向けた検討を深めてまいります。  以上でございます。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)外国人の生活における満足度の向上について御質問をいただきました。  外国人の技能実習制度に加えまして本年4月に創設されました在留資格の特定技能におきましては、同一の業務区分であれば職場を移ることが可能となっております。こうした状況からも、外国人の方々が生活しやすい環境にしていくこと、満足度を向上させて外国人から選ばれる地域にしていく、そういった取り組みの重要性がより一層増していると認識しております。  その取り組みの第一歩として、本定例会に長野県多文化共生相談センター(仮称)を設置するための予算案を提出させていただいております。医療や教育などの生活に関する情報提供や相談を15以上の多言語で行いますとともに、より身近な市町村等での相談体制の整備を促進してまいりたいと考えております。  加えまして、今年度、多文化共生推進指針の改定を進めることとしております。多文化共生の意識づくりや日本語教育の充実など、外国人を地域社会の一員として温かく迎え入れ、ともに地域づくりを進めていくための具体的な施策について検討を深めてまいります。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、中部横断自動車道の整備促進に先頭に立って取り組むべきという御質問をいただきました。  中部横断自動車道につきましては、依田議員の御質問にありましたように、地域にとっても、また長野県にとっても、あらゆる意味で重要な道路だというふうに思います。また、本県のみならず、南北の国道軸をしっかり形成していくという観点からも大きな発展の基盤となり得る道路だというふうに考えております。  そういう意味で、私としても、これまで、石井国土交通大臣を初め関係方面の皆様に対して一日も早い全線開通について求め、要望活動等を行ってきているところでございます。残る未着手区間は、長坂―八千穂間約34キロが残るわけであります。この区域については、地域の合意形成をしっかり図りつつ着実に事業を進めていく必要があるというふうに考えておりまして、このたび、県が主体となって、山梨県側も山梨県が主体となって都市計画の手続を進めていくということにいたしました。  今後とも、国、市町村、長野県、地元の経済団体、さらには地域の皆様方としっかり連携協力をさせていただきながら、まずは長坂―八千穂間の早期の事業化、そして一日も早い全線の開通に向け、積極的に取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔34番依田明善君登壇〕 ◆34番(依田明善 君)それぞれ御答弁をいただきました。  世の中が便利になればなるほど体を動かす機会は減り、やがて運動機能も気力も衰えてしまいます。現代人は、便利さという誘惑に常にあらがいながら生きる運命にありますが、それは、子供とて同じです。最近は、子供ロコモという言葉も出てまいりましたが、高齢者と同じような体の不調や機能障害を訴える子供がふえているようです。便利で成熟した社会が逆に子供の健康を害するようでは本末転倒だと思います。ぜひとも学校教育の中で農業や林業を体験させ、五感をフルに使うことの大切さを教えていただきたいと思います。  また、外国人労働者においては、今後の活躍を期待したいのが行政書士であります。彼らには、本来、外国人関連の取次業務が法律で認められております。  御存じのように、本年4月1日から、入国管理局は出入国在留管理庁となりました。そして、各地に八つの出入国在留管理局が設けられることになりました。そして、何か困り事があれば職員が相談に乗るようにもなっております。しかしながら、現実は、通常の業務が多忙のため、相談者の思いに沿った相談や回答が難しい状態にあります。  そこで活躍しているのが、管理局に登録した申請取次行政書士であります。彼らは日ごろから外国人の在留に関する相談を受けております。例えば、企業が採用を決定したにもかかわらず、在留資格の該当性がマッチしないため在留資格が認めれらないといったケースです。  新潟県では、昨年12月、外国人労働者の受け入れについて企業の相談に応じる新潟県外国人材受入サポートセンターをスタートさせました。在留資格の要件や外国人技能実習生を採用する場合の注意点など、企業が抱えるさまざまな悩みに専門知識を持つ行政書士が対応しております。本県でも、転ばぬ先の杖として同様の取り組みが必要ではないかというふうに思います。  最後に、知事からは、中部横断自動車道についての御答弁をいただきました。  地元住民からしても、知事が建設促進の先頭に立っていただければ非常に心強いものがあります。計画が閣議決定されてから32年という歳月が既に経過しておりますが、いまだに全線開通という日の目を見ておりません。長野県の将来をも左右する重要な道路でありますので、ぜひとも阿部知事の力強いリーダーシップを心よりお願い申し上げまして、一切の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(清沢英男 君)次に、小池久長議員。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)まずは、山形県沖地震におきまして被災された皆さんに衷心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早く日常生活が戻ることを心よりお祈り申し上げる次第でございます。  さて、個性こそその人を幸せにし、社会に求められる力だと、そう力説するのは、国際ジャーナリストで多彩な才能で知られるモーリー・ロバートソン氏であります。日米双方の教育を受け、同じ年に東京大学やハーバード大学など七つの大学に合格し、ハーバード大学では電子音楽とアニメーションを学んだというユニークな経歴の持ち主であります。独自の創造力を発揮しながら、分野や国の違いを超えて活躍する唯一無二の存在感を放つ彼は、今の日本をこう話します。  私見ではありますが、日本はまさに時代の節目、クリティカル・ジャンクションにあると感じています。クリティカルとは臨界という意味で、悪い方向に転がれば重篤に病んだ状態に、よい方向に行けば21世紀のルネサンスのような多様性に富んだ文化的、社会的繁栄につながっていくのではないか。その大きな要因は、AIなどのテクノロジーの進化、そして、加速するグローバリゼーションだという。つまり、AIなどのテクノロジーによって、人の知的労働力も画一化、均一化、規格化され、数値として測定されやすくなる。創造的な活動すらも消耗品として扱われる可能性がある。90年代にIT革命などと言われたころは、仕事の効率化が進み、労働時間が減り、ゆとりある生活ができるものと考えられました。  彼は、AI時代を生き抜くために必要な要素の四つのポイントを挙げています。  一つ目は、互換性がないこと。いい街には必ず昔から魅力的な喫茶店があり、住民や観光客に愛されています。ともすると、グローバリズムは地域経済を食い尽くすことがあるが、目には見えない居心地のよさ、そこにしかない魅力。互換性がないこと、まさにAIに置きかえられない人になることが必要だと言っております。  従来の日本の教育は、決まった範囲の知識を完璧に習得することが目的の路線に乗った学習でありますが、その先の受験という路線内での互換可能な知識だけで合否が決まるシステムであります。難関大学であっても、比較が容易で互換可能な知識だけで合格ができる。それは、そのままAIが得意とする部分であり、世界には日本の難関大学よりはるかに学力偏差値が高い大学は幾らでもあり、さらに、知識の路線から外れた逸材がたくさんいます。AIやそれらの人たちと競争するとしたら、もはや路線内で負けるだけでなく、路線自体の意味がなくなる可能性もあるわけです。  さらに、即興性は重要な要素であります。即興性とは、何らかの刺激にすぐ反応し、新たにつくり直す力であり、日本は、傷口を塞ぐことは上手であっても、あえて壊して新たにつくり直すことにより、刷新してより強い指向性をつくることは苦手だと指摘しています。  また、コンテクスト(行間)は、情報として可視化されていないものを感じ取る力のことでありますが、AIは最後まで完全に受け身であります。受けた情報をみずからの価値観や想像力を介して分析し、自分のものとして新しく創造することが人間の強みだとも分析しています。そして、さらに重要なことは、AIは直線的でありますが、ひらめきにはノンリアルな思考の跳躍力が不可欠であり、それを鍛えることが自由に考えることだとも考察しているわけであります。  さて、以前、教員採用等について文部科学省より審議のまとめがなされたところであり、採用選考方法の改善について、知識の量の多い者や記憶力のよい者のみが合格しやすいものとならないよう配慮し、教育者としての使命感、豊かな体験に裏打ちされた指導力など受験者の資質能力を多面的に評価するよう人物評価重視の観点に立ち、そのあり方を一層改善することとされました。その際、スポーツ活動、文化活動、ボランティア活動や大学等における諸活動の実績などを評価する選考方法の改善を一層進めるとともに、その有効な評価のあり方について検討すること、また、民間企業経験者や教職経験者についてその社会経験を適切に評価することなどの基本方向が示されたわけであります。  本県では、第3次長野県教育振興基本計画が策定され、これからの長野県の教育の方向として、「「学び」の力で未来を拓き、夢を実現する人づくり」が示されています。その目標の一つに、生きる力と創造性を育む信州ならではの「学び」を実践するとあるが、これらの予測不能な社会の中で自分の未来を切り開いていく意欲を持った子供を育てるには、全ての学力をバランスよく育むことも大切である一方、一人一人の個性に応じて得意な分野を思い切って伸ばし、自己肯定感を高めていく教育が必要であると考えております。  そこで、原山教育長にお尋ねいたしますが、長野県教育委員会が今進めようとしている学びの改革の中で、子供の得意分野や個性を伸ばすための教育をどのように実現しようと考えているのか。  また、子供の個性を伸ばすためには、子供を教える教員の資質、能力も重要と考えます。県教育委員会では、教員採用選考で特別選考枠を設け、英語やスポーツなど顕著な実績のある教員を募集しておりますが、子供たちにどのような教育効果をもたらすと考えているか、現況をお伺いいたします。  都道府県の2020年度職員採用試験の応募者数は、前年度比10.8%減で8年間連続で減少しております。長野県では、10.9%減の1,165人であるとの報道がなされましたが、全国的には教員の志願者も例外ではないと思われます。長野県としてどのような工夫をしているのか、あわせてお伺いをいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、子供の得意分野や個性を伸ばす教育の実現についてでございます。  AIなどのテクノロジーが進化し加速するこれからの社会を生き抜いていくためには、子供一人一人が個性を発揮し、活躍することができる創造性や感性を育むことが大切だというふうに考えております。  そのためには、子供のなぜ、どうしてといった知的好奇心を大切にしたり、この場合はどうだろうかと子供自身が試行錯誤したりしながら課題を探求し、他者と協働しながら新しい価値を生み出す学びが大切であるというふうに考えております。  県教育委員会としては、子供一人一人の多様な発想や捉え方を生かした豊かな学びを幼保小中高を通じて実現していくことで、これからの社会を生き抜く力を育んでまいりたいというふうに考えております。  続きまして、特別選考枠の教員採用についてのお尋ねでございます。  本県では、平成29年度採用選考より英語資格所有者を対象とした選考を実施しておりまして、昨年度は、中学校で6名、高校で5名の応募があったところでございます。また、今年度は、スポーツの技能や実績のある者を対象とした選考を新たな特別選考として設置したところであります。これらの教員には、専門的な知識や経験を生かした効果的な指導により児童生徒の力を一層伸ばすとともに、当該の専門分野に限らず、学び方や目標への向かい方等生き方全般に係るさまざまな価値を伝える役割を期待するところであります。  このように、高い専門性や多様な個性を有する教員が教育現場で活躍することで、子供の個性を伸ばす教育が一層推進されるものと思料しております。  それから、教員採用志願者確保のための方策についてでございます。  本県においても教員採用選考への志願者数は減少傾向にあることから、教育委員会では、次のような視点から志願者確保の取り組みを進めております。  まず、広報活動を通して長野県の教育の魅力等について広く周知する機会を実施しております。例えば、銀座NAGANOにおける大学生向けの説明会や教職に関心のある高校生向けの説明会を行い、多くの参加をいただいております。  また、受験の門戸を広げ、多くの方が長野県の教員採用選考を受験しやすくするための制度も設定しております。例えば、正規教員経験者を対象とした特別選考における対象者の条件の見直し等を行ったところでございます。  さらに、学校における働き方改革を全県を挙げて推進するとともに、ブロックごとに採用数を設定する方式の導入によりまして採用後の勤務地を教員が選択できるようにするなど、教職員が働きやすい学校環境づくりを積極的に進めることによりまして受験者の確保に努めているところでございます。  今後も、以上のような取り組みを通しまして、教育への情熱と資質を備えた力のある教員の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)日本経済新聞によりますと、災害時に24時間体制で患者を受け入れる災害拠点病院について、厚生労働省は指定要件を厳格化する方針を固めました。外部からの供給がなくても病院機能を3日程度維持させるため、「確保する」としていた非常用発電機の燃料を「備蓄が必要」とし、診療用水の備蓄も求める方向で検討しています。広域災害や全域停電を想定し、病院の自活能力を強化するのが目的であります。病院の指定を担当する都道府県を通じ、2020年度末までに対応するように求めています。ただ、タンクを増設するスペースがないとする病院もあり、厳格化に苦慮する場合もあるようであります。  政府が昨年実施した重要インフラ施設の緊急点検の一環として厚生労働省が拠点病院の燃料の備蓄状況を調べると、736拠点病院のうち114カ所が備蓄燃料は3日分未満と回答しています。また、飲料水は3日分程度備蓄することが指定要件となっていますが、人工透析などに使う診療用水に関しましては、これまで受水槽や停電時に利用できる井戸の整備を求めていただけで、具体的な数値は示していませんでした。厚生労働省の調査で、受水槽の容量が3日分未満で地下水も利用できない病院が177カ所に上ることが判明し、同省は診療用水についても3日分程度備蓄するよう求める方針であると報道されています。  東日本大震災の発生後、福島県いわき市で人工透析を行っている病院グループでは、市内にあった四つの人工透析施設の全てが断水いたしました。自治体や自衛隊から給水を受けましたが、人工透析に必要な1人当たり120リットル以上の水が確保できず、当時600人いた患者の命にかかわる事態に陥ったわけであります。この病院グループでは、協力を得られた東京都や千葉県、新潟県の医療施設に患者を搬送することで透析治療を維持させましたが、日常から災害に備えることの重要性を改めて認識した。透析者にとって水は命そのもので、水を確保しておくことは病院にとって使命だと語っています。  さて、本県においての災害時の医療機関の水確保について伺います。  災害時において各種ライフラインが途絶する。このうち、電力につきましては、昨年北海道胆振東部地震でのブラックアウトを教訓としてさまざまな対策がなされつつありますが、水の確保については今後の課題ではないかと考えています。水は、飲料水や生活用水としても必要でありますが、人工透析などの医療においても非常に重要であります。県内の医療機関における水の確保についてどのような状況になっているのか、大月健康福祉部長にお尋ねいたします。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)災害時の医療機関の水の確保についてのお尋ねでございます。  災害時に重症者の受け入れなどを行う10の災害拠点病院については、県内全ての病院において受水槽を有しており、加えて、井戸設備の整備などにより災害時の診療に必要な水が確保されている状況でございます。  また、昨年10月に県が実施した調査では、災害拠点病院を含めた全128病院中118病院が受水槽を有しており、受水槽を有していない病院においても、地下水や備蓄水での対応など災害時における水の確保の強化を図っております。  一方、国においては、給水設備整備の補助対象を災害拠点病院以外の救命救急センター等に広げたほか、現在、災害拠点病院の水の確保についても、議員御指摘のように、具体的な数値基準の設定の検討が進められております。
     県としては、こうした国の動きも踏まえ、新たに設定される要件を満たすための災害拠点病院への財政的支援のほか、万が一の場合に備え、優先的に給水を受けられる協定を地元市町村などと円滑に締結できるように支援を行ってまいります。医療機関が災害時に必要な水を確保できるよう万全を期してまいります。  以上でございます。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)さて、さきの国連の発表で、世界の人口が2050年までにおよそ100億人になると推定されています。軽井沢のG20閣僚会議におきまして長野宣言が発表されました。何を次の時代につないでいくのか、まさに今を生きる私たちの責任である。この責任が非常に大きいことを申し上げ、一切の質問を終わりとさせていただきます。 ○議長(清沢英男 君)次に、中川博司議員       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君)改革・創造みらいの中川博司です。最初に、松枯れ対策についてお伺いいたします。  私の出身の松本市では、東の山は赤く染まり、松枯れの状況は目を覆わんばかりです。それぞれの地区ごとに対策協議会をつくって対策を講じてきていますが、松枯れの進行をとめることはできていません。  松枯れの原因は、これまでの研究では、外来種のマツノザイセンチュウの繁殖が直接的な原因とされていますが、マツノザイセンチュウそのものを駆除するためには薬剤を直接松に入れる方法しかなく、経費的にも労力的にも松全体に対して行うことは困難な状況にあります。  また、マツノザイセンチュウを他の松に運搬する役割を果たしているマツノマダラカミキリを駆除することが効果的として、薬剤の散布、伐倒燻蒸などを行ってきました。マツノマダラカミキリが最も活動が拡大する気温は25度以上と言われていて、これまで、松枯れは標高700メートルまでと言われていましたが、地球温暖化の影響で、標高的にも900メートル、場所によっては1,000メートルを超えて松枯れが出てきています。  これまでの県の対策は、「守るべき松林」を定め、松枯れを拡大させない先端地域にターゲットを絞って対策を進めてきました。しかし、残念ながら松枯れをとめるまでには至っていません。特に、マツタケを採取している皆様にすれば、自然の産物であるだけに神にもすがる思いです。  そこで、松枯れ対策に関連して、4点、林務部長にお伺いいたします。  1点目は、松枯れによって長野県の特産品でもあるマツタケの生産が危ぶまれる状況があります。松枯れした山におけるマツタケ再生に向けた取り組みの現状と展望についてお伺いいたします。  2点目は、一般の県民の皆様からすれば、赤く枯れた松を見て何とかしてほしいと思っていますが、実際は、先端地域への対策をしていて、見えているところは手おくれの状況です。しかし、枯れた松が倒れ、山腹崩壊が危惧されています。治山事業として対策を進めることはできないのか、お伺いいたします。  3点目は、ネオニコチノイド系農薬の空中散布についてですが、健康への影響に不安を持つ県民に寄り添うには十分なリスクコミュニケーションができていないのではないかと感じられます。不安が払拭されるまで空中散布を行わないということもリスクコミュニケーションの一つだと思いますが、見解をお伺いいたします。  4点目は、農薬の空中散布で松枯れの進行をおくらせる効果は認められても、松枯れをとめることができないことが明らかになってきています。抜本的な松枯れ対策の見直しが必要かと思いますが、見解をお伺いいたします。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)松枯れした山のマツタケ再生についてのお尋ねでございます。  本県のマツタケ生産量は全国1位であり、山村地域の重要な収入源となっております。松くい虫被害地域の拡大によりマツタケ山に被害が及ばないよう被害対策を行っているところですが、松枯れした山のマツタケを再生するためには、まずアカマツ林を再生する必要がございます。このため、新たなアカマツの植栽について造林補助事業等により支援するとともに、松くい虫被害に耐性があるアカマツの苗木を植栽することが有効であることから、県林業総合センターにおいて試験等を行い、一定程度抵抗性が期待できるアカマツの苗木生産を進めております。  また、同センターでは、マツタケの人工栽培を目指した試験研究も進めております。今後とも、こうした試験・研究や耐性があるアカマツの植栽への支援を進め、マツタケ山の再生に取り組んでまいります。  次に、松枯れした山での治山事業についてでございます。  治山事業は、保安林の維持造成を通じて山地の保全や水資源の涵養及び生活環境の保全、形成等を図ることを目的としております。  具体的には、豪雨や台風等による林地被害や森林病害虫により広範囲にわたり森林機能が低下した箇所などを対象とし、土砂崩落防止のため施設整備や森林整備を一体的に実施し、災害に強い森林づくりを進めております。  保安林内における松枯れ森林については、被害の激害化により災害の発生するおそれがある集落の裏山や生活道路に隣接した箇所等、人への影響が高い箇所を対象に森林整備などを実施しております。また、現在保安林でない森林で地域にとって公益的機能維持のため重要な森林については、保安林に指定し、治山事業を導入するなど公的な森林管理に努めてまいります。  次に、空中散布のリスクコミュニケーションのあり方についてでございます。  空中散布は、県民の暮らしに重要な松林を守るため効果的な対策と認識しております。しかしながら、化学物質過敏症の方などからは、健康被害を懸念する声があります。それらを踏まえ、県で策定した長野県防除実施基準にリスクコミュニケーションを位置づけ、事業主体が地域住民との情報交換を行い、健康への影響の可能性などについて情報を把握し、検討を行った上で、地域の協議会において実施の可否を判断することとしております。  県としては、人家等からの一定の距離の確保、風速などに注意し、健康等への被害を予防できると判断されるときは、できる限り安全性に考慮した方法により実施するように事業主体に対して助言、指導をしております。  なお、空中散布を実施する事業主体においては、散布後の薬剤の大気及び水中の濃度を測定する安全確認調査を実施しているところでございます。  抜本的な松枯れ対策についてでございます。  県では、県土保全やマツタケ生産など重要なアカマツ林である「守るべき松林」において、薬剤散布や樹幹注入などの予防対策とともに、あわせて伐倒駆除を適期に行うことが重要と認識し、事業主体に助言、指導をしております。さらに、平成30年から、被害マップを作成し、被害の見える化を進めるとともに、守るべき松林とその周辺の松林などの区分を加え、被害状況に応じた薬剤散布、伐倒駆除、樹種転換等の防除を組み合わせるパッケージ対策を進めております。  今後も、松くい虫の侵入を防ぐための対策を選択と集中により効率的、効果的に進めてまいります。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君)今の回答だと答えになっていないところがあるのですが、結局、薬剤散布をしても松枯れをとめることができないわけです。だから抜本的対策が必要だと質問をしているわけです。松枯れの仕組みや対策などについて、関係者だけでなく、県民の皆さんに広く周知していただくということが大事だと思います。  私は、ネオニコチノイド系農薬によると見られるミツバチの大量死問題や健康への影響を考えると、使用を控えるべきだと考えております。私の地元の岡田地区は、果樹農家もあり、協議の結果、更新伐を選択しています。更新伐をしても、山に人が入らなければ、タラノキとイバラの山となってしまいます。  私の小さいころは、松ごみを風呂のたきつけに使っていたことから、祖父や兄と山に入り、松ごみを集めて担いできたことを覚えています。しかし、時代の変遷の中で、生活の中に山とのかかわりが少なくなり、腐葉土がたまることでマツタケは出にくくなってきています。松枯れ対策の根本的な問題は、私たちが山とのかかわりを少しでも取り戻すことではないかと思います。ぜひ、そんな観点でのお取り組みもお願いして、次の質問に移ります。  次に、今定例会で提案されています長野県主要農作物及び伝統野菜等の種子に関する条例案についてお伺いいたします。  長野県の種子条例は、これまでの国の種子法の範囲を拡大し、ソバや伝統的野菜の種子についても対象にしていることは大いに評価できることだと思います。  先般、同僚の埋橋県議と長野市信更地区信田にある種場と松代の原種センターを視察してまいりました。信田の種場は、種を取るためには、他の種との交雑がしにくい中山間の絶好の場所でございます。現在、約60ヘクタールを126人の農家の方が種取りをしています。また、異系品種の抜き取りは、夏の暑いときに3回にわたって行われる大変きつい作業です。しかし、皆さん、長野県の米を守っているという誇りを持って仕事をされていると聞きました。  また、原種センターでは、水稲の場合、試験場で原原種がつくられ、原種センターで原種がつくられ、種場で一般栽培用の種がつくられ、そして一般栽培が行われているわけです。消費者が召し上がるまで最短でも4年かかっています。加えて、品種固有の遺伝的特性を有す健全で優良な種子を計画的かつ安定的に供給するため、県、JAグループ等の関係機関が連携して取り組んでいるところでございます。  そこで、2点、農政部長にお伺いいたします。  1点目は、提案されている種子条例では、種子生産者等への支援として、種子生産者の育成確保や採種技術の継承、生産体制の整備のために必要な施策を講ずるとしています。種子を調整する機械設備などが老朽化している施設もあります。種子生産者の高齢化、後継者不足もあります。今後、県として、この種子条例を生かして種子生産者等への具体的な支援をどのように考えているのか、お伺いいたします。  2点目は、県が行った種子条例についてのパブリックコメントに寄せられた県民の皆様の御意見の中に、遺伝子組み換え作物が国内に流入することに対して不安がある。遺伝子組み換え、ゲノム編集の汚染を受けないためにも、県内にそのような種子を入れない、開発しないという担保が必要という意見に対して、遺伝子組み換え作物に関するガイドラインをつくるとしています。不安な思いを持つ県民の皆様の声を十分に取り入れたガイドラインにしていく必要があると思いますが、どのようにガイドラインをつくっていくのか、お伺いいたします。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)初めに、種子生産者への具体的な支援についてのお尋ねですが、県内の種子生産地では、議員御指摘のとおり、機械、施設の老朽化や生産者の高齢化など産地ごとにさまざまな課題があると認識しております。  このため、本年度から、それぞれの産地の課題を明確にするための調査を行い、県、JA、原種センターなどの関係者が連携して、種子生産者とともに中長期的な視点で今後の産地の方向性や課題の解決策を検討し、必要な取り組みを推進してまいります。  具体的な支援といたしましては、本年度は、良質な種子生産のための技術指導や労働力の大幅な削減につながるドローンを活用した効率的な防除技術の導入を進めてまいります。  次に、遺伝子組み換え作物に関するガイドラインについてでありますが、現在、各都道府県の取り組み状況の調査を実施するなど、遺伝子組み換え作物との交雑を防止するためのガイドラインの作成に向けて準備を進めているところであります。  今後、内容の検討に当たりましては、種子生産者や農業者の代表、生産者団体、消費者など関係する皆様から十分に御意見を伺い、今年度中に作成できるよう検討を進めてまいります。  以上であります。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君)ぜひよろしくお願いいたします。  東南アジアでは、グローバル企業の種を毎年買わなければならないような国もあるようです。日本においては、国民の食料を確保するためにそれぞれの地域の気候や風土に合った種を生産し、それを奨励品種として安価な種として広げてきたことは大変重要なことであったと思いますし、その考え方は今後も引き継がれていかなければならないと思います。  試験場の維持も含めて、県として公共品種や伝統野菜などを守るため引き続きの御努力をお願いいたします。長野県の種子条例が農業の多様性を守り、食料主権を守る道になることを大いに期待しています。  最後に、知事にお伺いいたします。  国連のSDGs、持続可能な開発目標の中には、劣化した森林の回復、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行うターゲットがあります。  化学物質や遺伝子組み換えなどの新しい技術に対して環境に重大な影響を及ぼす仮説上のおそれがある場合は、科学的な因果関係が十分に証明されない状況でも規制措置を可能とする予防原則という考え方があります。  松枯れ対策の農薬の空中散布や遺伝子組み換え作物等に対する県民の皆様の不安がある中で、予防原則に立った対応をしていくことが持続可能な長野県をつくっていくことになると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)いわゆる予防原則に対する見解についての御質問でございます。  いわゆる予防原則の考え方については、国際的には1992年の国連環境開発会議で採択された「環境と開発に関するリオ宣言」の中で広く提唱され、持続可能な開発目標、SDGsを中核とする持続可能な開発のための2030アジェンダにおいても確認されているところであります。  また、我が国におきましては、国の環境基本計画において、予防的な取り組み方法という表現により、地球温暖化対策や生物多様性の保全、大気汚染防止対策などさまざまな環境政策における基本的な考え方として示されています。  持続可能な社会をつくる上で、環境や食品安全などの分野で政策的な意思決定をするに当たっては、できる限り科学的な知見に基づき、客観的なリスク評価を行いつつ、予防的な取り組み方法の考え方を念頭に置いて取り組んでいくことが重要だと考えております。  以上です。       〔26番中川博司君登壇〕 ◆26番(中川博司 君)私も、持続可能な社会づくりのための協働に関する長野宣言を読みました。気候変動対策を県や市町村が協力して進めていくという大切な宣言だというふうに思いました。具体化はこれからだと思いますけれども、例えば、松枯れ問題でも、気温の上昇がとまれば松枯れの拡大をとめることになるかもしれません。  遺伝子組み換え作物は、経済発展偏重の結果であるというふうにも言えます。科学的に問題がないと証明できないことイコール安全だと言えないことはこれまでも多々あったわけでございます。ただいま知事の答弁にもありましたけれども、予防原則という考え方が持続可能な社会をつくる上で大切なことだということを重ねて訴え申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(清沢英男 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時14分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(荒井武志 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  大畑俊隆議員。       〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)木曽郡選出の自民党県議団の大畑俊隆でございます。本日の質問は、医師偏在の解消、医師確保、そして林業大学校のグレードアップについて、3項目、一括質問をさせていただきます。1期生のトップバッターでございますので、どうか温かい御清聴をよろしくお願いいたします。  長野県内における2次医療圏での医師偏在の問題についてお伺いいたします。  初めに、医師少数区域における医師偏在の解消についてであります。  本年2月18日に、厚生労働省は、長野県など16県が人口や診療需要に対して適正な医師数を確保できていない医師少数県となっていることを明らかにしました。  また、医師の総数は31万9,000人と過去最高を更新している一方、都市部への医師集中により地方との格差が鮮明になったとしています。  厚生労働省の示した新指標である医師偏在指標では、県内10ある2次医療圏別でも偏りがあることが示され、北信、上伊那、上小、木曽の4医療圏が医師少数区域として位置づけられました。  特に、全国に335ある2次医療圏の中では、木曽病院は300位と、松本の22位の多数地域とはかなりの偏りがあることが示されました。新指標の人口10万人当たりでは木曽地域は126人で、最多の松本地域の336人と2.8倍もの開きがあることが明らかにされました。  厚生労働省は、新たな医師確保計画による医師確保策、例えば、医師派遣の充実や医師少数区域での勤務評価、大学医学部への地域枠、地元枠の設置要請などを2020年からスタートさせ、各都道府県は、2019年度中に医師確保計画を作成するものとしています。  しかしながら、医師確保が最も進んだとしても2036年に県内で計87人の医師不足が生じ、逆に医師確保が進まなかった場合は合計550人が不足すると推計しています。  地方創生に基づく地域づくりには、福祉、教育、産業のバランスのとれた地域にしていかなければなりません。特に、今回の病院の医師偏在の問題は、地域住民にとって生死にかかわる非常に重要な問題であります。長野県として、各地域の医療圏とは医師偏在等の問題について情報を共有しながら、その解消について十分な取り組みがなされていくことを期待しております。  私は、5月の連休に、昨年の豪雨災害により道路が分断して孤立状態になり、住民がヘリで救助された王滝村滝越という小さな集落を訪れました。  私が、一人の老人に、新人の県会議員の大畑ですと挨拶したとき、間髪入れず、議員さん、ここでもし俺が急に心臓とか脳の病気で入院しなければならないとき、木曽病院がなければ本当に困るんだよ。この集落から1時間半と遠いけれど、木曽病院がなくなるなんてことはないよな。頼むよ、県会議員さんと訴えられました。  安心、安全な地域づくりに県会議員としてもっと住民の気持ちに寄り添いながら取り組まなければならないことを改めて強く感じた次第であります。若者が定住していくためにも、子育て世代のためにも、そして高齢者にとっても、医師を確保して持続可能な病院となるように地域としても応援し、守っていかなければなりません。  そして、医師の絶対数が足りないとされている四つの少数区域には、長野県として重点的に取り組んでほしいと強く要望するところであります。  3月に行われた長野県木曽医療圏地域医療構想調整会議で地元木曽病院の井上院長が発言した中で、常勤医師の21人のうち、数年内に5人の医師が定年を迎える。そのため、数年の間に、24時間365日の対応ができなくなる。そうなれば、夜間に救急車を受け入れられなくなるおそれがあるため、常勤医師の派遣を伏してお願いしたいと求めています。  そこで、健康福祉部長に2点お伺いいたします。  1点目として、今後新たな医師偏在指標をもとに2019年度中に医師確保計画を作成するとしています。この計画立案では、どのようにして医師の偏在を解消していくのかお伺いします。  2点目として、県立木曽病院は、医師が定年を迎え、病院経営に支障を来すと思われますが、どのようにこの課題を解決していくのでしょうか。  以上2点をお伺いいたします。  次に、医師確保のための地域医療現場における情報の共有と診療科の充実についてお伺いいたします。  去る5月23日に木曽で行われた木曽医療圏地域医療構想調整会議において、医師確保対策室は、少数区域には県の奨学金貸与を受けた医師を配置するなどの政策が可能になるとし、奨学金貸与を受けた医師は今後数年間で大幅にふえていく見込みを示しました。  そして、県の配置方針で動かせる医師はふえていき、医師確保計画に一定の担保がとれると語られました。この点については、医師の確保として有効な政策であるため、県として今後積極的に取り組んでいってほしいと期待するところであります。  また、県は、医師不足地域である北信、上伊那、上小、木曽への対策として、18年度に地域医療人材拠点病院支援事業を導入しました。それは、医師が比較的多い10総合病院を拠点病院に指定して財政支援をし、周辺の小規模な病院や診療所への医師派遣を促すものとしています。 この19年度には、新たな拠点病院を上小地域に指定するとともに、派遣先を民間の診療所や病院にも拡充する方針を示しました。このように、県として対策が迅速に打たれていることは、評価するところであります。  ここで、以上のように政策的に医師確保について取り組んでいくことと、もう一方で、地域の病院のよりよい体制づくりも重要な取り組みになってくると考えます。  それは、地域の中で必要とされる病院とは、病院を経営する側と病院を利用する側とが本当に信頼で結ばれていることが重要であるからであります。また、医師確保のためにも、医師が働いてみたいと感じるような病院づくりも同様に必要になってくるのではないでしょうか。 医師みずからがこの病院で働きたいと感じるのは、病院全体がホスピタリティーに満ちていて、気持ちのいい温かみのある病院であることであり、病院側も、医師確保を一方的に訴えても簡単にかなうものではなく、病院みずからが地域のニーズをしっかり受けとめ、必要とされる病院とは何かを病院内で共有して改善していく姿勢が重要であると思います。  このような面からも、県として、医師確保については、病院機構、現地の病院、そして地域住民との情報を共有し、病院の質の向上や経営体制の強化も視野に入れ、取り組んでいってほしいと思います。
     そして、特に中山間地域の病院で若い医師が活躍していただくためには、医師が勤務したくなるような支援、例えば、インセンティブも含め、若手医師が医師少数区域で勤務するための環境整備のためのプログラムを用意して医師を確保していくことも重要になってきます。  また、充実した病院づくりには、特に患者が外へ流出しないようにするため、受診科として常勤の循環器内科医や外科医等がいる充実した病院づくりも早急に考えていってほしいところであります。  そこで、3点、健康福祉部長にお伺いいたします。  1点目として、医師確保において重要となる、特に県立木曽病院の経営について、現場とのさまざまな情報やその地域の方々からの病院に対する要望等の意見を共有し、その改善に向けて県としてどのような取り組みをしているのでしょうか。  2点目として、今後、医師確保の立場から、若手医師が中山間地域の病院へ行くための支援をどのように考えていくのでしょうか。  3点目として、木曽病院の充実を図るため、循環器内科や外科医等の常勤医師の配置など地域医療のかなめとなる診療科の医師確保についてどのように考えているか、お伺いをいたします。  続いて、2項目めの長野県林業大学校のグレードアップについてであります。  長野県林業大学校は、昭和54年に開校し、本年で42年がたちます。これまで、林業界、木材産業界に700名もの人材を輩出し、長野県の中核を担ってきています。昨年12月に長野県林業大学校のグレードアップに関する報告書が出されたことは皆様の記憶に新しいところかと思います。  長野県は、総合5カ年計画のチャレンジプロジェクト「美しく豊かな木と森の文化の再生・創造プロジェクト」の実現に向け、木と森にかかわるさまざまな人材が全国や海外から集い、人材育成や研究活動、産官学連携による技術革新やマーケット開拓戦略の構築等など活発な交流が行われる木曽谷、伊那谷を中心とした拠点地域、フォレストバレーについて検討を進めるとしています。  そして、日本またアジアをリードする森林・林業の人材育成拠点の形成において、幅広い分野において連携を推進するとともに、林業大学校がその調整機能も含む中核機関となることを目指すべきとしています。  本県の森林・林業の状況から見ると、森林面積は106万ヘクタールで県土の8割を占め、森林面積、森林面積率ともに全国3位の森林県であります。この資源を今後どのように生かしていくかは、各地域での林業への取り組みに大いに期待するところであります。そのため、今後は持続可能な森林経営の生産性の向上を目指し、先進林業機械等の導入により生産コストの低減を実現し、森林林業再生に向けて大きな一歩を踏み出していくときと考えます。  例えば、北信地域の北信州森林組合が取り組んでいるスマート林業は、高度な林業機械を導入しての作業効率化や、森林調査においてICTを活用した生産管理手法を導入して、境界の明確化や森林資源調査で得られたデータについてのデジタル管理を進めるとともに、原木の生産や流通についてもICTを活用した生産管理手法を導入しています。  このように、林業の成長産業化に向け、スマート林業の取り組みが進んできており、人材不足を補い、トータルコストダウンを図っていくためには重要な転換期となってきています。また、この取り組みには、政策的な予算が十分行き渡ることが必要にもなってきます。今後は、森林・林業の課題である川上から川下までの情報を共有するサプライチェーンシステムを構築し、生産、流通の最適化を図る必要性も高まってきており、森林・林業が再び成長産業へと変革できることを期待していきたいところであります。  また、近年、林業就業者が減少しているものの、若手の林業従事者がふえてきたのは明るい兆しであります。そして、民有林の多くは、間伐もまだまだ進まず放置されているのも実態でありますが、本年度から交付される森林環境譲与税によりその放置された森林がよみがえってくることも期待されています。そして、カラマツ等が主伐期を迎えていることも林業界にとって大きな力となっていきます。  このように、森林整備が進むことで、森林土壌が改善され、森林水源涵養機能により災害から地域を守り、下流域への水源を保ち、また水を浄化させていきます。そして、この森林整備が進めば、再び何十年後も新たな自然資源の恩恵にあずかり、循環されていくわけで、県民にとって重要な森林資源を持つ長野県の責務は大きいものと考えるところであります。  また、今後、石油や石炭の化石資源の燃料やプラスチックなどの材料利用が急速に忌避されていく中で、バイオエコノミーという新たな経済社会のビジョンが注目される時代に入ってきます。  森林・林業が注目される時代になってきている現状で、この新たなグレードアップされた3年制の専門職短期大学校の創設は、長野県にとって重要な教育機関となり、その存在意義は大きいものになると考えます。  そこで、現在の長野県林業大学校が3年制の専門職短期大学へ移行した場合、現在の林業大学校がある敷地の中に学生の受け入れが現在より20名増員になり、合計60名の生徒の受け入れ施設が必要となってきます。現在の敷地内には本館、別館の学び舎があり、隣接した場所に4人1部屋の男子寮と平成27年に新築した女子寮があります。  開校から40年経過している校舎や男子寮に関しては、老朽化が激しく、耐震化の問題もあるなど非常に厳しい環境であり、早急に改善が必要な状況であると考えます。  また、今後、高度な作業機械の導入や高度な森林マネジメントを講義する講師の必要性も出てくるわけで、財政的な負担も大きくなるため、その点を十分考慮した計画をお願いするところであります。  このグレードアップへの取り組みは、他の森林県の先駆けとなっていくように積極的に取り組んでほしいところであり、また、中山間地域における林業再生としての政策的な面からも積極的に推し進め、地域活性化に至るように今後さらなる展開を期待するものであります。  そこで、2点、林務部長にお伺いいたします。  まず1点目として、昨年報告されました林業大学校のグレードアップについて、学生の受け入れ態勢を含め県は今後どのようなロードマップを描きながらこれを実現していくのでしょうか。  2点目として、さらに、林業大学校のグレードアップに伴い、地元森林・林業者はこの大学で輩出される若手人材をきちんと受け入れ、その業界に新たな風を起こしながら、森林・林業、そして木材製品のイノベーションや付加価値の向上、森林・林業の再生に向けたサプライチェーンの構築など、専門家を交え、地域経済を活性化してほしいところでありますが、どのように今後取り組まれるのか、お考えをお伺いいたします。  以上2点について林務部長にお伺いいたします。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)私へは医師確保について5問質問をいただきました。順次お答えします。  医師確保計画における医師の偏在解消についてでございます。  地域の医師数の状況を把握する医師偏在指標をもとに医師確保の方針、確保目標数及び実現のための施策を記載した医師確保計画を本年度中に策定することとなっております。  また、国が定める医師確保計画策定ガイドラインによりますと、医師偏在の解消については、原則、医師少数地域等を定め、重点的に支援することとなっております。県土が広く中山間地が多い本県においては、医師少数地域はもとより、それ以外の地域においても支援が必要な地域があることから、地域の現状を丁寧に分析し、医師少数地域とともにそれ以外の地域にも医師少数スポットを設定すること等により医師の地域偏在解消に丁寧に取り組んでまいります。  医師の偏在の解消のためには、医師の確保養成、医師の定着の支援策の充実強化が必要と考えております。  具体的な医師の確保養成策としては、先日6月20日に、県内唯一の医師養成機関である信州大学へ県内病院への就職率の高い県内出身生徒の推薦枠の拡大を要望したところであります。医学生等への修学資金の貸与、医師研究資金の貸与、ドクターバンク事業等に取り組んでまいります。  医師の定着策としては、女性医師の離職防止の支援、勤務環境の改善を図ってまいります。また、先端技術等を活用した遠隔医療の導入についても検討しながら医師偏在の解消に取り組んでまいります。  次に、木曽病院の医師確保対策についてでございます。  医師の定年による退職の場合、あらかじめ退職時期が想定できますことから、後任の医師の確保や体制の整備については現在計画的に取り組んでおります。  具体的には、病院機構では、理事長や院長が中心となり、信州大学を初め近隣大学の医学部を訪問して医師の派遣を要請するなど、退職により医療に支障が出ないように取り組んでまいります。県といたしましても、必要な医師を確保できるよう、自治医科大学卒業医師の派遣や修学資金貸与医師の配置により支援をするとともに、ドクターバンク事業などを活用して木曽病院の経営に支障が出ないように病院機構と一緒に取り組んでまいります。  次に、木曽病院に対する要望等の共有と改善に向けた取り組みについてでございます。  木曽地域の中核病院である木曽病院が健全な病院経営を行っていくためには、医療・介護の地域ニーズに的確に応えること、地域の皆さんに愛され、信頼され、利用してもらえる病院となることが必要であります。  このため、木曽病院では、地域住民の皆さんと病院経営について意見交換する病院運営会議を開催し、御意見をお聞きし、病院経営の改善に取り組んでいるところであります。改善の取り組みとしては、特に要望の強い循環器内科については、信州大学や伊那中央病院の協力を得ながら、週3日行ってきた外来診療を昨年度から週5日にする体制を整備いたしました。  また、高齢化が進展する中、入院からスムーズな在宅等への復帰を支援する地域包括ケア病棟を昨年3月に開設したほか、来年3月の介護医療院開設に向けた準備を推進するなど、地域ニーズに対応した医療の提供に向けた努力を続けております。  木曽病院が地域の中核病院として果たす役割については、県としても大変重要であると認識しております。今後も、さまざまな御意見に真摯に耳を傾け、地域に必要とされる病院づくりについて病院機構とともに取り組んでまいります。  次に、若手医師が中山間地域の病院に行くための支援についてでございます。  一般的に、若手医師が勤務先の病院を選択する要因については、日本医師会総合政策研究機構の調査によりますと、勤務地が過疎、僻地、離島でないことという要因が比較的大きいという分析結果が出ております。また、若手医師等との意見交換では、中山間地域の病院での勤務に対して、医療の進歩におくれることや指導医の支援を十分受けられないことへの不安も指摘されております。  一方で、中山間地域の病院での勤務は、超高齢社会が進展する中で、地域医療の最前線であり、医師の基本を学ぶ貴重な場であると考えております。  こうした背景を踏まえ、本年度策定予定の医師確保計画においては、若手医師が中山間地域において安心して勤務し、経験を積めるように支援策を盛り込むこととしております。具体的な取り組みとしては、若手医師が将来のみずからのキャリアパスが描ける研修プログラムの提供や地域の中核病院の指導医による継続的な若手医師への指導体制の構築、さらには、遠隔医療を用いた診療のサポート支援等の構築を検討してまいります。  最後に、木曽病院の充実のかなめとなる診療科の医師確保についてでございます。  木曽病院の患者の受診動向を分析しますと、医療ニーズの高い診療科としては、一般内科、外科、整形外科、神経内科、眼科、産婦人科が挙げられます。病院機構では、基本的にこうした診療科には常勤医を配置しております。  循環器内科医の確保につきましては、平成28年に循環器内科医師の退職後は、県立病院機構や伊那中央病院からの医師の派遣により外来機能を維持しておりましたが、先ほど御答弁申し上げましたように、昨年度から週5日の診療体制へと充実をしております。  県では、自治医科大学卒業医師や修学資金貸与医師の配置のほか、県立病院機構と連携して信州大学に医師派遣を要請するなど、木曽病院の医師確保に取り組んできたところでございます。  今後も、医療ニーズの高い診療科について県立病院機構や関係機関と一層連携をし、常勤医の確保に向けてしっかりと取り組んでまいります。  以上でございます。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)林業大学校のグレードアップの実現についてのお尋ねでございます。  昨年12月に、林業大学校グレードアップ推進会議から、時代の変化に対応するため、3年制の専門職短期大学への移行という御提言をいただきました。  このため、本年度は、庁内の関係課からなる検討会議を設置し、産業界や高校生等を対象にしたニーズの把握、他県や他機関の調査分析等を行いつつ、学校形態、学年定員、修業年限、男子寮を含む施設規模等について検討を行っております。検討結果を踏まえ、本年9月ごろを目途に県としての方針案をお示しできるよう取り組んでまいります。  次に、林業大学校のグレードアップを通じた地域経済の活性化についてでございます。  林業大学校のある木曽地域は、豊富な森林資源や森林・林業にかかわる伝統的な産業を有するとともに、林業専門学科を有する木曽青峰高校や高い木工技術を習得できる上松技術専門校があり、また、隣接する伊那地域には信州大学農学部があるなど、さまざまな教育研究機関が集中しております。  このため、これらの機関や地域が連携、協働し、日本をリードする人材の創出や木材のサプライチェーンを含め、森林・林業、木材製品に関係するイノベーションを生み出していくフォレストバレーの構築に向けて検討を進めております。  林業大学校は、その中核としての役割を果たしたいと考えているところでありまして、地域で活躍できる人材の輩出を通じ、フォレストバレーの実現や地域経済の活性化を目指してまいります。       〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)それぞれ御答弁いただきました。  長野県の医師偏在については、全国から見て医師少数県となっているわけですので、御答弁いただいたとおり、医師確保室、そして長野県県立病院機構、県立木曽病院等々の関係機関と十分に連携をしながら医師確保計画を作成し、少数区域となっている地域の偏在解消に向けて積極的に取り組んでほしいところであります。  また、長野県林業大学校のグレードアップについても、今年度、9月ごろを目途にその方向性を示していくということですので、地元の期待どおり現地に創設していただき、十分な財政支援をいただき、フォレストバレー構想のもと、森林・林業再生により地域経済が活性化できるよう一層の取り組みを期待して、私の一般質問を終わります。 ○副議長(荒井武志 君)次に、竹花美幸議員。       〔17番竹花美幸君登壇〕 ◆17番(竹花美幸 君)自民党県議団の竹花美幸でございます。本日の私の質問は、長野県長野西高等学校望月サテライト校について、地方創生について、中山間地域の活性化についての3項目でございます。通告に従い順次質問をしてまいりますので、明確な答弁をよろしくお願いいたします。  では、まず最初でございます。長野県長野西高等学校望月サテライト校についてです。  2020年4月、県内初の公立通信制サテライト校が佐久市望月に誕生いたします。昨年9月定例会において望月高校が2020年3月31日をもって廃止されることが県議会で同意されました。地域にとりましては、長い歴史、伝統ある高校が、一つの時代に幕をおろすことを感慨深く思います。望月地域は、豊かな自然に囲まれ、比田井天来生誕の地として、書道、春日温泉、駒の里の歴史から、馬事公苑、乗馬、四つのゴルフ場を初め、中山道望月宿など観光資源に恵まれた文化の薫り高い地域でございます。  学校は、学びだけの場ではなく、まちづくりを進める上で、人と人とをつなぎ、地域の活性化にも寄与する大事な拠点ともなり、地域では新たな学びの場の実現を期待いたしております。  通信制高校の現状を調べてみますと、全日制課程に進学後、転入などの形で入学する生徒に加えて、近年では直接進学する生徒が目立っております。その背景には、県外からの生徒を募集する広域通信制の増加があります。2018年度の調査では、高校在籍者数は約342万人。そのうち、全日制高校が約315万人、92.1%、定時制高校が約8万5,300人、2.5%、通信制高校は何人でしょう。約18万6,500人、5.4%です。高校生の約20人に1人が通信制高校で学んでいることになります。定時制の2倍以上の生徒が通信制高校を選択しており、この数値は少なくない割合と言えると思います。  通信制高校は、もともと勤労青年に高等学校教育の機会を提供するものとして制度化されました。しかし、現在では、中学や高校で不登校になってしまった生徒の進学先、転学先としてはもちろんのこと、さらには、学校での拘束時間を自分のやりたいこと、専門的に打ち込みたいことに使いたい、普通の学校では自由がないからといった理由から通信制高校を選択する人もふえております。あっという間にテクノロジーや文化が変わっていく現代、全日制と違ったシステムの中で身につく能力があるのではないでしょうか。  時代の流れとともに、通信制高校は、従来の役割に加えて、ますます重要な役割を担っていると考えられます。生徒の多様化が進む中、今後は、通信制教育を新しい学びの場として、どの生徒も夢に向かって挑戦できるよう充実させていくことが、生徒の個性を伸ばし、一人一人が輝き、長野の未来を担う人づくりにつながると考えます。  公立初の取り組みとなる望月サテライト校を全国から通いたいと思っていただける学校に成長させるためには、県、市、地域が一体となり、取り組むことが大切です。長野県初のモデル校となりますが、2点についてお聞かせ願いたいと存じます。  まず1点目です。学びの違いについてですが、これまでの県内公立通信制の学びと望月サテライト校の学びはどのように違うのでしょうか。  2点目です。通信制課程や通信制高校のあり方も制度発足当初とは大きく異なった様相を呈しています。従来の役割に加えて、生徒の個性やニーズに応じた対応がますます必要な時代になっています。長野県においても、通信制教育の仕組みやあり方は変えていく必要があると考えます。今後の本県の通信制教育のあり方をどのように変革していかれるお考えでしょうか。  以上2点については原山教育長にお聞かせ願いたいと存じます。  続いては、地方創生についてです。  国では中央と地方、県では都市と山村、そして、同じ自治体の中においても、中心部と周辺部など、さまざまな局面で地域間格差が広がりつつあり、どこの自治体も競争、競争と厳しい時代の流れにあります。  私たちの町だって、長野だって、負けてはいられません。少子・高齢化の進展に的確に対応し、人口減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、平成26年11月にまち・ひと・しごと創生法が制定されました。  現在、長野県においても、本県が目指すべき将来の方向を踏まえ、人口減少への歯どめと、人口減少を踏まえた地域社会の維持、活性化に向けた施策として、長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略~信州創生戦略~を策定し、取り組んでおります。  長野県の総人口は、平成12年をピークに減少しており、平成22年の人口は215万人、平成31年4月1日現在では205万2,033人となっており、この9年間で何と10万人減少しております。総合戦略に基づき一定の政策を講じた場合でも、今後、約40年後には161万人、約60年後ころからは150万人程度で定常化する見通しです。  長野県は、19市23町35村と小規模の町村が多く、特に中山間地域では厳しい現状があります。機能の維持と活性化のために、市町村の取り組みや底上げ的支援を強力に行っていくべきと考えます。国の地方創生により地方や中山間地域に光が当たったことを評価しつつ、しかし、地方や中山間地域での暮らしの現状を見つめると、まだまだその効果は薄く、77市町村がそれぞれの地域特性を生かし、輝けるよう、地方創生、信州創生戦略をさらに力強く推進していただきたいと思います。  そこで、3点についてお聞かせ願いたいと存じます。  まず1点目です。地方創生の取り組みは5年目を迎えております。国においても、2020年からを地方創生の次のステージ、第2ステージとして、第1期総合戦略、とりわけ地方版総合戦略の検証を徹底的に行った上で、地方と東京が連携して地方創生に取り組んでいく必要があるとしております。  信州創生戦略は、しあわせ信州創造プラン2.0に組み込まれておりますが、本県におけるこれまでの地方創生の取り組みの成果、課題をどのように捉えていらっしゃるのか、伊藤企画振興部長にお聞きいたします。  2点目は、地域に活力があふれるためには、若者や女性が活躍できる環境づくりが必要だと考えます。若者や女性の起業や創業支援にどのように取り組んでいくのか、林産業労働部長にお答えいただきたいと存じます。  3点目は、長野をもっと発展させるための人づくりです。  地方創生といえば、やはり人づくりであると考えております。魅力あふれる地域づくりを進めるためには人材育成が大変重要であると考えます。みずからが生まれ育った地域の文化、産業、自然を理解し、ふるさとに誇りと愛着を持てるような意識の醸成は、やはり幼いころから、子供のころからさまざまな場面において必要と考えます。長野ならではの人づくり、学校教育における取り組みについて原山教育長にお願いしたいと存じます。  続いては、3項目めです。中山間地域の活性化についてです。  私は、この数カ月間、中山間地域の実情を自身の足で歩き、目で見てまいりました。おそらく1万軒以上見てきたと思います。高齢者のひとり暮らしや空き家が大変多くなりました。数年後、集落がどうなってしまうのか危惧される、そういった地域もあります。そこに住む方がいらっしゃる限り安全と安心を守るのが政治の役割、行政の役目です。特に、中山間地域では、人口減少に加えて高齢化率が高く、今後も深刻化してまいります。  中山間地域が埋もれていかないように、市町村と連携して、あるいは市町村を支援して、都会にはない地域の資源、まだまだ埋もれている地域の宝がたくさんあると考えます。そうした地域の資源を活用した活性化策を講じていくべきと考えますが、県はどのようなお考えで取り組んでいかれるのでしょうか。伊藤企画振興部長、お願いいたします。  そして、2点目です。  県民の皆様からの御意見、御要望が本当に高く、私もこの選挙戦におきまして多くの御意見を頂戴いたしました。このことは、長野県全体としても大きな課題であると思います。地域公共交通についてです。  近年は、国内の地方部を中心に、通院、通学、買い物難民などの移動困難者が増加傾向にあります。人口減少・高齢化が深刻となる中で、県民の皆様が将来にわたって住みなれた地域で安全に、そして安心して暮らし続けていくためには、日常生活において欠くことのできない交通手段をしっかりと確保していく必要があります。  平成30年交通統計によれば、県内の免許保有率は72%、運転免許返納者数は、平成18年は全体人数で233人、うち65歳以上は211人でした。これが、平成30年、13年経過しましたら、全体人数は7,209人、うち65歳以上は7,060人と、免許返納者全体で、この13年間で約30倍、65歳以上の方は33倍とふえております。一方で、免許を返納したくてもできない現実もあり、高齢者による交通事故の多発は、近年、社会問題となっております。自家用車に頼らなくても不便なく日常生活が送れる公共交通システムの構築が重要になっていることが伺えます。  県内市町村では、免許返納者の皆様への対応として、49市町村がタクシー券を補助したり、デマンドタクシーを平成28年で35市町村が導入し、利便性の向上を図っています。しかしながら、多くの市町村が、運行区域が一部の地区に限られていたり、その市町村の中だけにとどまってしまっているので、複数市町村にまたがってもっと広く使えるようにすることなど課題も大きいです。  長野県総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン2.0」では、「生活を支える地域交通の確保」として、自家用車に依存しない地域づくり、「中山間地域での暮らしの価値を再発見」として、新しい技術の導入等により、子供からお年寄りまで全ての住民が快適に、また創造的に暮らせる生活基盤の整備を掲げております。  県内市町村も実は財政負担が膨らんでおりまして、地方バス路線維持に関しては、特別交付税に関する所要額が、平成20年度が約20億2,000万円であったものが、平成30年度は約32億7,000万円と、この10年間で財政負担額は約6割増加しています。市の負担額は7割強、町村の負担額は5割強増加となっています。  多くの地域で人口減少と高齢化が顕著であり、生活に不可欠なサービスを維持していくことがだんだんと困難になる中で、市町村は、近年、多くの財政負担を投じ、地域公共交通の充実、利便性向上に努めております。しかし、人口減少、高齢化が加速していく中、これまでの運行欠損費を補填するような施策、これまでと同じやり方、同じ考え方ではこの公共交通の維持はもう難しくなってきています。  また、市町村単位だけではなく、広域的な交通網を考えていく必要があります。そのためには、デマンドタクシーの充実を初め、自家用車に頼らなくても不便なく日常生活が送れる公共交通の構築・充実を県が力強く進めていくべきと考えます。
     公共交通の構築、充実にどう取り組まれ、さらには市町村をどのように支援していくお考えか、伊藤企画振興部長にお聞かせ願いたいと存じます。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)これまでの県内公立通信制の学びと望月サテライト校の学びの違いについてというお尋ねでございます。  現在、公立通信制では、レポートの添削指導と週1日の面接指導及び試験によりまして、74単位の修得をもって卒業認定する仕組みを基本としておりまして、長野西高等学校と松本筑摩高等学校の2校を設置しているところでございます。  望月サテライト校では、これまでの公立通信制の成果を生かしつつ、新たな学びの仕組みを構築してまいります。  以下、主な特徴を挙げますと、一つ目は、多様な通学形態を可能としたことです。生徒が自分の生活、学習スタイルに合わせ、平日、週1日から週5日まで自由に登校できる学びの仕組みとしております。  二つ目は、自分に合った教材を自分のペースで学ぶ、個別最適化された学びを実現することであります。オンラインデジタル教材の活用によりまして、生徒それぞれが目標とする学力を身につけることができる学びを目指しております。  そして、三つ目は、地域と協働した学びの推進であります。望月地区の自然、文化、施設、人材等を最大限活用しまして、キャリア教育や特別活動等地域の協力体制による学びを実現することとしております。  望月サテライト校では、こうした特徴を生かして、新たな通信制の学びの姿を創出してまいりたいというふうに考えております。  そして、今後の通信制改革についてでありますが、今回の高校改革において実現したいことは、生徒一人一人の学びというものを本当に大切にするということでありまして、それを徹底して追求していきたいと思っています。  具体的には、生徒個々が自分のペースで学ぶ生徒主体の学び、生徒自身のリアルから始まる学び、そして、社会と一体的で多様な人々と協働する学びの実現を目指してまいりたいと思っております。  これらの学びを通信制教育の中でも実現するために、通信制教育の仕組みやあり方を大きく見直し、今回の望月サテライト校の設置につなげたところであります。望月サテライト校は、通信制改革の実践校として、来年4月にその歩みを始めます。今後、その成果を検証しつつ、通信制教育全体の改革を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に、ふるさとに誇りと愛着を持てるような意識の醸成についてであります。  県教育委員会では、幼保小中高を通してふるさとにかかわる体験的な学びによる地域学習を実践し、ふるさとを愛する意識の醸成に取り組んでおります。  例えば、幼児教育の「信州やまほいく」では、信州の豊かな自然環境と多様な地域資源を活用した屋外を中心とする体験活動を1日の時間割の中に位置づけております。また、ある小学校では、総合的な学習の時間に、先人たちが水のない土地に緻密な設計をしてつくった用水路の歴史について学び、地域の宝としてこの用水路を守り、未来へ引き継ぐために、自分たちでできることとして、用水をせきとめて清掃活動を行うなど、地域を知り、地域に貢献する学びを進めております。  高校では、地域に根差した探究的な学びとして、全県立高校で信州学に取り組んでおります。例えば、阿南高校では、伝統農法を活用して地域の方々とともに稲作を行い、そこで収穫した米が阿南町のふるさと納税の返礼品となっております。学校と地域が協働してつくる学びにより、地域の魅力を体験することで、自分たちが地域に育まれていることを実感し、さらにはその地域を自分たちが支えているという当事者意識を育んでいるところでございます。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)私には3点御質問をいただきました。  まず、地方創生につきまして、これまでの県の取り組みの成果と課題についてです。  信州創生戦略では、「自然減への歯止め」、「社会増への転換」、「仕事と収入の確保」、「人口減少下での地域の活力確保」、この四つを基本目標に掲げましてさまざまな施策を展開してきているところでございます。  これまでの政策評価結果から見ますと、仕事と収入や地域の活力確保の面では順調に成果を上げてきているところですけれども、その一方で、人口につきましては厳しい現状に直面しております。合計特殊出生率はわずかに上昇していますけれども、出生数は減少していますから、自然減が続いております。  また、社会増減は、移住の促進などによりまして、減少幅は3年連続で縮小していますが、若年層を中心に東京エリアへの流出圧力は依然強い状況でありまして、全国的に見ましても東京一極集中に歯どめがかかっていないことから、先般閣議決定されましたまち・ひと・しごと創生基本方針2019におきましても、「地方へのひと・資金の流れを強化する」と明記されたところでございます。  県としましても、信州創生戦略を引き継ぎましたしあわせ信州創造プラン2.0」を基本にしまして、信州暮らしの魅力、強みを長野県への人の流れにつなげていくよう最大限の努力は続けていきますけれども、国におきましても、今後策定予定の第2期総合戦略に抜本的な対策を盛り込むことを期待するところでございます。  それから、中山間地域の活性化につきまして二ついただきました。  まず、地域資源を活用した活性化策についてです。  中山間地域では、これまで、先人たちの知恵を受け継ぎながら自然と向き合い、恵みを享受しながら生活が営まれてきましたけれども、人口減少や価値観の多様化等によりまして徐々にそのよさは失われつつございます。しかしながら、住民自身が地域にある有形、無形の資源を再認識し、そこに新たな価値を導入することによりまして、都会では得られない豊かさと創造性に富んだ地域となる可能性があるものと考えております。  県では、住民が主体的に学び、取り組む活動への支援のみならず、地域人材の育成や中山間地域における移動、買い物などの課題解決に向けたAIやビッグデータ等の先端技術を活用した未来に向けた取り組みも進めております。このほか、地域振興局におきましても、それぞれ市町村等と連携しながら、地域の特性や強みを生かした地域づくりに取り組んでおります。今後も、中山間地域が持続可能な地域であり続けられるよう、資源の有効活用や磨き上げなどの取り組みを市町村とともに進めてまいります。  それから、地域公共交通の構築、充実への取り組みや市町村への支援についてでございます。  誰もが安心して利用できる地域公共交通とするためには、地域の特性を考慮しつつ、鉄道、バス、タクシーなどの各交通機関が連携、補完し、全体としてネットワークを形成しながら最適なサービスを提供していくことが必要であると考えております。これに当たりましては、通院や買い物といった日常生活におきます移動範囲を考慮することが重要ですので、市町村の枠を超えた広域的な調整を行うことが県の役割であると認識しております。県では、これまでも、市町村が主催します地域公共交通会議に積極的に参加しまして、主に広域的な観点から必要な助言を行ってきたところであります。  この方向をより一層進めるために、今年度、地域公共交通最適化サポート事業に着手いたしました。この事業では、生活圏を意識して、地域振興局単位で、バス路線の収支状況や駅や病院など生活関連施設のアクセスの実態、こういったデータの収集、分析を行いまして、それぞれの地域の特性に応じた対応策をカルテとしてまとめまして、広域的な地域公共交通のあり方の検討につなげていくものでございます。まずは、南信州、木曽、北信の3地域振興局において実施しまして、順次他の地域にも広げていきたいと考えております。  今後も、市町村や交通事業者と連携いたしまして、持続可能な地域交通ネットワークを構築するべく取り組みを進めてまいります。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)若者、女性起業、創業支援に関する御質問にお答えいたします。  生産年齢人口が減少する中、新たな産業や雇用を創出し、地域経済を活性化していくためにも、若者や女性の視点、アイデアをビジネスに生かしたり、創業へと結びつけていく意義は極めて大きいと考えております。  これまで、県では、県内67の中小企業支援機関が参画するながの産業支援ネットにより全県的な相談体制を構築するとともに、平成24年に設立したながの創業サポートオフィスにおける出張相談会や女性創業セミナー等の開催、信州ベンチャーコンテストにおける高校生部門の創設、創業後の経営安定化に向けた伴走支援を行うアクセラレーションプログラムなど積極的に支援策を講じてまいりました。  こうした取り組みにより、30代以下の若者や女性からの相談件数は年々増加しており、平成30年度には、若者からの相談件数が207件、女性からの相談件数が172件となっております。 今年度は、一層の促進を図るため、ビジネスにおける知識習得や創業までのステップに応じたノウハウを学ぶ連続講座の開催や、地域の課題解決につながる創業を支援するためのソーシャルビジネス創業支援金を創設いたしました。若者や女性など多様な人材がその能力を発揮できる環境づくりに努め、日本一創業しやすい長野県づくりを推進してまいります。  以上でございます。       〔17番竹花美幸君登壇〕 ◆17番(竹花美幸 君)御答弁いただきました。本日の質問は、長野県を近隣よりも成長させるために重要な課題であると思っております。しっかりとお取り組みいただきますことをお願い申し上げまして、今定例会での私の一般質問は以上で終了させていただきます。ありがとう存じました。 ○副議長(荒井武志 君)次に、小林君男議員。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)県は、昨年4月より、経済団体、労働団体などの皆さんとともに長野県就業促進・働き方改革戦略会議を開催し、検討を重ねられ、本年3月には「当面の取組方針」を確立されました。  そして、4月からの働き方改革関連法の施行に合わせ、5月24日に令和元年信州「働き方改革」共同宣言を発表されました。宣言の1項目めには36協定締結の徹底、そして、2項目めには有給休暇の具体的な取得を据えられたことは、法改正に沿ったものとはいえ、今までにない職場の労働環境の改善を目指す具体的な取り組みとなっており、敬意を表する次第であります。  しかし、36協定では「必要となる場合には適正な内容での締結」との表現。そして、有給休暇取得でも、年5日の確実な取得など、全体的に消極的な宣言であるのではないかと職場の労働者の皆さんや労働団体からも実効性を疑問視する多くの意見をいただいております  厚生労働省が発表している全国の36協定締結における実態調査では、「協定なし」が何と44.8%にも上っています。まさかこれらの企業が時間外労働が皆無なわけがなく、まさに労働基準法違反となっている事実がまざまざとあらわれているといっても過言ではありません。 また、先日、長野労働局は、長時間労働が疑われている事業所を対象に行った監督指導で、32%で違法な時間外労働を確認し、是正を指導したと発表しております。  それらを鑑み、36協定について産業労働部長に4点について伺います。  1点目です。宣言において、「必要となる場合」、「適正な内容」との表現を使われていますが、具体的にどのような想定をしているのかお話しいただきたいと思います。  2点目。当面の取組方針では、適正な協定締結の周知や呼びかけを行う、残業を減らす取り組みを実施している企業割合をふやすとしているだけで、協定締結の現状値も目標値も明らかにはされていません。現在の県内企業の実態による現状値を調査し、提示し、年度ごとの目標値を設定すべきと考えますが、いかがでしょうか。  三つ目。取組方針では、支援センターから派遣する専門家と商工会議所などの経営指導員が会員企業を訪問する際に、チェックリストを活用し、法令の理解と遵守を働きかけるとしていますが、より具体的に各企業に労働基準法違反であることを周知させ、協定の締結をより強力に推進していくのか、その詳細についてお聞かせください。  4点目です。働く人たちに残業命令には協定の締結が必ず必要と周知させることは、それぞれの企業の義務ではありますが、実際にはなかなか進まないのが実態ではないかと考えます。推進の具体的な手段などをお聞かせください。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)初めに、働き方改革共同宣言における具体的な想定でございます。  お尋ねの36協定が必要となる場合とは、労働基準法に基づき、法定労働時間を超えて労働者に時間外労働させる場合や法定休日に労働させる場合を想定しています。また、36協定の適正な内容とは、時間外労働を行う業務の種類や時間外労働の上限など、必要な項目が不足なく記載されていることを指しております。  次に、36協定の現状値の調査や目標値の設定と、3点目の今後の取り組み等についてでございます。  当面の取組方針には、御指摘の36協定の締結状況や目標値については書かれておりませんが、労働基準法の遵守を前提として方針を取りまとめており、一般労働者の総労働時間の縮減や年次有給休暇の平均取得率の向上、残業の縮減に取り組む企業割合の増加など、重点的に取り組むべき目標値を掲げております。  具体的な取り組みについては、労働局が設置した働き方改革推進支援センターの7名の専門家と200名に及ぶ商工会議所、商工会の経営指導員が企業に出向き、チェックリストによる確認を行ってまいります。さらに、長野県就業促進・働き方改革戦略会議の構成団体が行う企業訪問やセミナー、電話相談など、現場に寄り添った対応をしてまいります。  最後に、残業命令の際の協定締結の周知方法についてでございます。  36協定の締結の必要性に関しては、所管の労働局を中心にこれまでも周知に努めてきており、県においても、労政事務所が開催する労働教育講座等において労働者や企業に向けて労働基準法の内容への理解を促進してまいりました。  このたびの共同宣言を契機に、構成団体ごとの機関紙などによる周知はもちろんのこと、産業分野別会議や地域会議を通じた要請やPRポスターの掲示など、さまざまな方法により内容の浸透を図ってまいります。  以上でございます。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)法令に沿って企業運営を行うのは経営者の責務であります。ひいては、企業の業績の向上、あるいは熟年層のひきこもりを生ませない、そこに通じると思いますので、県としても引き続き御努力をよろしくお願いしたいと思います。  次に、長野県内における米軍機の低空飛行について質問いたします。  長野県でも、沖縄とは規模は違うものの、1980年代後半から、伊那谷、北アルプス、北信山岳地帯のいわゆるブルールート、佐久地方のホテルエリアなどで米軍機の低空飛行訓練が多発するようになり、特に、普天間基地と横田基地にオスプレイが配備されてからは、北信、伊那谷、諏訪地域でも頻繁に行われるようになりました。去る5月30日、佐久地方における横田基地配備のC130特殊輸送機の超低空飛行はその一つの例です。米軍機の訓練は、99年の日米合同委員会の合意で、安全性を最大限確保する、人口密集地や学校、病院などに妥当な考慮を払うなどがありますが、今回の佐久市における異常な低空飛行はこれらの合意に背くものであります。  県内の飛行でも、過去に大鹿村の保育園や飯山市役所が仮の攻撃目標に設定された訓練と思われるものや、北アルプスの登山者の真上や、ハングライダーの練習場となっているスキー場の上を超低空飛行したという事例もありました。そして、今後、オスプレイの訓練は、南信地方の山岳地域で増加するとともに、佐久や須高地域のホテルエリアでの夜間の超低空飛行訓練も予想されると言われております。  2月の本定例会では、山口典久議員からオスプレイの事故率の高さも指摘されております。多くの県民が大きな不安や恐怖を訴えている現状を十分に理解し、悲惨な事故を何としてでも回避していただく手立てをとっていただきたいと思います。  そこで、まず危機管理部長に伺います。  現在、米軍機の低空飛行の実態についてはどのように情報をつかむ手立てをとっているのでしょうか。重点地域を定めて県機関が積極的に飛行方向、高度、騒音量などの情報をつかむべきではないでしょうか。  二つ目。先ごろ佐久地方で目撃された米軍機の超低空飛行について、防衛省に口頭要請を行われましたが、国や在日米軍に文書による提言や要請から一歩踏み込んで、直接在日米軍と面談していただき、県民の不安を拭うよう、市街地上空での飛行中止などの要請をするべきではないでしょうか。  最後に、知事に伺います。  全国知事会としても、市街地における米軍機の飛行訓練中止と情報公開を求めるべく、知事に御努力いただけないでしょうか。  よろしくお願いします。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、米軍機の飛行情報の取得方法とその積極的な取得についての御質問でございます。  現在、轟音や低空飛行などの飛行情報の取得につきましては、県民が目撃した情報を、市町村の協力を得て、統一した受付票で広く収集し、国への要請に当たっての資料としております。  また、重点地域を定め、情報取得をすべきとの御指摘でございますが、本県の場合、在日米軍の基地が所在せず、容易に一定の場所が特定できないことから、御指摘のような対応は困難であるというふうに考えております。  次に、在日米軍に直接要請することについての御質問でございます。  米軍機の飛行を初め、安全保障に関する問題につきましては、国が責任をもって対応すべきことと考えておりますが、県民や観光客の安全、安心に影響がある場合には、県として、国に対し、口頭または文書によって要請を行っております。  今後も、県民に不安を及ぼすような飛行が行われるなど、その状況によって必要に応じ適切に対応してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)米軍機の飛行に関連して、全国知事会としても取り組んでいくべきではないかという御質問でございます。  現在の日米安全保障条約に基づく日米同盟は、我が国の平和を守る上で極めて重要なものというふうに考えております。その一方で、そのことに関連する県民の皆様方の不安や懸念には県としても真摯に対応していくことが必要というふうに考えております。  米軍機の低空飛行に関しましては、これまでも、市長会あるいは町村会とも連携しながら国に対して要請を行ってきているところであります。  全国知事会におきましては、米軍基地負担に関する研究会というのを設けて一定の取りまとめを行っております。現状や改善すべき課題について確認をし、昨年、訓練ルートあるいは時期について速やかな事前の情報提供を行うこと、日米地位協定を抜本的に見直すこと等について全国知事会として政府に対して提言を行っているところであります。今後とも、他県の知事とも十分連携をしながら対応していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)いずれにいたしましても、県民の命を守る、この一点をしっかりと肝に銘じていただくことを要望して、私の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。 ○副議長(荒井武志 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時14分休憩          ──────────────────         午後2時30分開議 ○議長(清沢英男 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  清水純子議員。       〔29番清水純子君登壇〕
    ◆29番(清水純子 君)日本で初めてとなる不登校に関する法律、教育機会確保法が2016年12月に成立いたしました。この法律では、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすることと定めております。  また、同法の基本指針には、学校復帰にこだわらない新しい不登校対策が必要であることが明記され、不登校対策史上、歴史の転換点を迎えようとしています。  国は、これまで、本人が抱えている理由や事情とは関係なく、学校に戻ることがゴールという不登校対策を学校に求めてきました。これにより、学校に行けない子供たちは、自分の存在が否定され、学校に戻れない自分はだめな人間だと悲観することにつながってきました。  今回、文科省が主に教員に行っている児童生徒の問題行動、不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査に対して、NHKは、項目をそろえて、不登校もしくは不登校傾向にあった中学生を対象に調査を行っております。この調査で、不登校の要因が「教員との関係」と挙げられた割合が、文科省の調査では2.2%に対し、NHK調査では23%と調査対象の違いにより20ポイント以上の開きがありました。ここから、子供の心を教員や周りの大人がどこまで理解しているのか、本当の心の叫びが届いていないのではないかと危惧します。  今回発表された長野県のひきこもり実態調査においても、ひきこもりのきっかけとして不登校と答えた割合が11.1%と、「わからない」との回答を除き3番目に多い結果となっております。3割以上の「わからない」との回答の中にも、不登校経験がどれだけ含まれているのかわかりません。また、10代、20代では、不登校を経緯する数が最も多くなっております。まさに義務教育の段階において全ての子供への個々に応じた教育機会の確保を総合的に進めるとともに、児童生徒が社会的に自立することを一番に目指すための支援、そのための多様な学びの選択の環境整備が求められます。  教育長にお聞きいたします。  県では、登校という結果のみを目標にしない、個々の児童生徒の社会的自立を目指した不登校対策を目指すこの法律の成立をどのように受けとめているのか。教育機会確保法が3年目を迎え、市町村での不登校対策はどのように変わったのか。県では取り組みの調査を行っているのか。お聞きいたします。  この法律から、教育を受ける場所は学校と限定されるのではなく、学校以外の学習も義務教育として認められる、その選択肢の情報提供が確保されるべきと解釈します。しかし、学校現場では、依然として不登校対応の目標は学校復帰であり、新しい不登校の対応指導について知らない、これまでとは正反対の対応が求められどう対応していいのかわからないとの声もあります。全ての子供の多様な学びを保障し、社会的自立を目指した安心して教育を受けられる学びの場をみずからが選択できる新たな不登校対策への方針転換を長野県教育委員会として明言し、不登校児童生徒、そして関係する全ての人に広く周知するべきだと考えますが、御所見を伺います。  しかし、課題も多くあります。法律には、国、地方公共団体は教育機会確保等に関する活動を行う民間団体、その他の関係者の相互の密接な連携のもとに行われるようにすることとしております。長野県での学校以外の学びの場の現状をお聞きするとともに、関係者の相互の密接な連携をどのように捉えているのかお聞きいたします。  私は、これだけ多様性を求められる時代にあって、学校だけが教育を受けられる場所と限定すること自体が時代おくれであるとも思っております。多様な学びの場は、フリースクールでも、地域の図書館でも、公共施設のフリースペースでも、あるいは自宅であっても、社会的に自立をするために子供が安心してみずから学ぶ場所と選んだならば、そこでの学びの保障を確保するために自治体が責任を持って環境を整えると、そのような決意で不登校の子供たちと向き合ってほしいと思います。関係する民間団体を含め、市町村とともに多様な学びの場の整備のあり方を協議する場が必要だと考えますが、いかがでしょうか。  不登校は問題行動ではなく、誰もが起こり得る。そして、学ぶ場は自分で選択することができると、教師や親、地域がそう確認しながら本気で対応すれば、長い時間不登校から抜け出せない子供たちはもっと減るはずです。大事なことは、孤立させないこと、信用できる周りの人に出会うこと、そして子供が出すSOSのサインに気づく、受け取る大人をふやすことです。  現在、学校教育の中で、SOSの出し方教育を進めております。さらに、それを受け取る側の教育を広げるため、教員、親、地域とそれぞれの立場においての子供のSOSを受け取るプログラムを持つCAPの活用をさらに進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。  外国籍者や不登校者を含む全ての子供に対し、教育機会確保法では、就学機会の提供として、地方公共団体は、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講じるものとされております。県では、これまでも、夜間中学の設置について調査検討を進めており、長野県のニーズ調査では、現在、設置検討なしとされております。しかし、ニーズ調査は県内77市町村の教育委員会への調査であり、外国籍者、不登校児童生徒等必要とする本人へ届く調査となっているか疑問であります。  全ての子供の教育機会の確保との観点から、我が県の夜間中学の設置のあり方について御所見を伺います。  以上、教育長に伺います。  現代社会で大きな課題となっているひきこもりや若者の自殺。その根底に少なからず関係があるのが不登校の子供への対応なのではないかと思っております。知事は、誰もが居場所と出番がある長野県を目指すと言っております。無限の可能性を持つ長野県の子供たちが、学校に行きたくて苦しい、学校に行けなくても苦しい、そして、学校に行っても苦しいとSOSを発信しております。この声に私たちはどう応えていくべきなのか。子供の学ぶ権利の保障への知事の御所見を伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、教育機会確保法に対する受けとめについてのお尋ねでございます。  教育機会確保法が平成28年に成立し、翌年3月には同法に基づく基本指針が文部科学省において制定されました。  県教育委員会では、その重要性を強く認識し、独自に不登校未然防止および不登校児童生徒への支援のための行動指針を昨年3月に策定したところであります。この行動指針においては、国の基本指針で示された「魅力あるよりよい学校づくりや児童生徒の学習状況等に応じた指導・配慮を実施すること。」、「登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒の社会的自立を目指して、組織的・計画的な支援や民間の団体との連携による支援を実施する。」などを勘案するとともに、本県における現状と課題を踏まえて策定したところでございます。  市町村における不登校対策の取り組みについての調査のお尋ねでございますけれども、県教育委員会では、法や国及び県の指針について通知するほか、県内4地区で開催される教職員研修会において、年2回、法や指針の趣旨を周知徹底しているところでございます。  本年1月に教育支援センターに関する実態調査及び民間の団体施設等の連携等に関する実態調査を実施いたしました。77市町村のうち36市町村が、教育機会確保法成立後に新たな取り組み等を行ったという回答でございました。  例えば、本県の教育支援センターの設置状況は全国的に見て進んでおりますけれども、教育支援センターの新規設置機能拡充については、さらに九つの市町村が取り組んだというふうに回答しております。  また、不登校児童生徒やその保護者に対する学校以外の学習活動の場や支援についての必要な情報の提供については25市町村が、さらに、児童生徒理解支援シートを活用した組織的計画支援については13市町村が取り組んだという回答をいただいているところでございます。  次に、多様な学びを選択できる不登校対策の推進についてであります。  議員御指摘のとおり、学校に行きづらい子供たちにとって学校以外の多様な学びの場が選択できることは重要であるというふうに考えております。このことを含め、ただいま答弁したとおり、県内の市町村の取り組みはこれからという面もありますので、法の趣旨について引き続き周知してまいりたいというふうに考えております。  次に、学校以外の学びの場の現状と関係者相互の連携についてであります。  本県における学校以外の学びの場の現状を見ると、平成29年度では、教育支援センター、本県では中間教室というふうに言っておりますけれども、県内64カ所で423名の児童生徒が支援を受け、フリースクール等民間の23施設に94名の児童生徒が通所しております。これは、不登校生徒児童のうち、90日以上の欠席者1,837人と比較すると、多様な学びの場が提供できているとは必ずしも言いがたい状況だというふうに思っています。  また、関係者相互の連携については、さきの実態調査によると、民間の団体施設と連携があると回答した教育委員会は14であります。連携していないと回答した教育委員会にその理由を尋ねると、最も多いのが域内に民間の団体施設がないため、次いで、利用を希望する不登校児童生徒が少ないと見込まれるためというふうになっております。多様な学びの場、あるいは連携のあり方については検討していく必要があるというふうにとらえております。  次に、学校以外の学びの場の整備についてであります。  不登校の子供たちにとって重要なことは、多様な学びの場の選択肢があることであり、そして、その学びの場における活動がその子の社会的自立に真につながっていくものであるというふうに思っております。学校、市町村教育委員会とこれら多様な学びの場の活動主体とが、社会的自立というゴールを共有して緊密な連携の中で子供たちをともに支援していくことが必要だというふうに思っています。こうした観点に立って、議員御指摘のとおり、多様な学びのあり方について関係者と広く協議していくことが必要だというふうに思っております。  昨年度から、不登校等について話し合う県の連絡会議にフリースクール等民間団体の代表者にも加わってもらい、協議しております。さらに、今年度は、8月3日に、県民文化部と共同で、「学校へ行くことが難しい子供たちへの学びの支援について」をテーマに政策対話を行う予定であります。また、市町村教育委員会と県教育委員会との懇談会を県内4ブロックで開催し、この中でも議論する予定としております。  次に、CAPの活用についてであります。  御提案のCAPについては、提供するプログラムの中に、子供だけではなく、教職員や保護者を対象としたワークショップもあり、有効な方法であるというふうに考えております。SOSを受け取る側の教育を進めていく上で、CAPも含め検討してまいりたいというふうに考えております。  最後に、我が県の夜間中学の設置のあり方についてであります。  これにつきましては、フリースクールや外国籍児童制度の支援を行う団体の代表者を含む有識者による検討会を行いまして、平成29年3月に中学校夜間学級設置における課題検討会報告がなされたところであります。  報告では、現時点での夜間中学設置のニーズは確認されなかったとし、夜間中学に在籍する生徒の8割が学齢超過の外国籍の者であるという他県の先行例等を踏まえ、国レベルでの対応も必要だというふうにされたところであります。  また、夜間中学のニーズ調査でありますが、これは毎年度調査を続けておりまして、平成29年度からは、市町村教育委員会に加え、NPO法人等にも依頼し、外国籍や不登校児童生徒の希望もより丁寧に把握できるようにしておりますけれども、現時点では特段の変化は見られない状況ではあります。  一方、今月21日には、国内で暮らす外国人への日本語教育の充実を促す日本語教育推進法が成立したところであります。夜間中学の設置については、こうした状況の変化にも注意しながら、多様な学びの場を確保していくという視点に立って引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)学校に行くことができず苦しい、学校に行って苦しいというSOSを発信している子供たちにどう応えていくべきか、そして、子供の学ぶ権利の保障についてどう考えるかという御質問であります。  私も、学校になかなかなじめず高校をかわった経験がありますので、そうした観点で申し上げれば、今在籍している学校だけが唯一の選択肢ではないということを示してあげるということが重要ではないかというふうに思います。そのためには、そうした環境整備をしていかなければいけないわけでありますし、やはり社会全体でそうした意識を醸成していくということもあわせて重要ではないかというふうに思います。  教育機会確保法においては、基本理念として、不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援を行うようにするということが掲げられているわけであります。この理念を実現していく上では、まず学校自体を多様なものにしていく。画一的ではなくて、学校自体をいろいろな子供たちの希望や能力に合わせたものにしていくということが重要だと思いますし、また、他方で、学校が唯一の学ぶ場であるとして学校復帰を前提とする考え方や不登校を問題行動というふうにとらえる認識を転換していくということが重要だというふうに思います。  あわせて、それぞれの子供の状況に応じた多様な対応の学びの場を整備していく、認めていくということが重要だと思っております。県内では、さまざまな学校が近年開校しておりますし、新たな設置の動き等も出てきており、望ましい方向だというふうに思っております。  また、さまざまな困難を有する若者の自立の場として、NPO法人ぱーむぼいすのように、小中学生の学習支援を周辺市町村との共同事業として実施をし、実績を上げていらっしゃるところもございます。今後、私どもとしては、こうした学びの場をさらに広げていかなければいけないというふうに思っております。  この問題は、教育委員会側の問題であると同時に、学校だけでは対応しきれない問題だというふうに思っております。そういう意味で、教育委員会と一緒に我々知事部局も取り組むべき問題だというふうに思っております。学校関係者、そしてフリースクール関係者の皆様方と一緒になって課題や方向性等について話し合う場をぜひ設けていきたいというふうに思っております。  また、そうした中で、昨年、県の教育委員会が不登校未然防止及び不登校児童生徒への支援のための行動指針というものを取りまとめております。子供の学ぶ権利の保障の観点から改めて幅広く議論を行って、教育委員会の方針としてではなく、県全体の共通認識としての指針として定めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔29番清水純子君登壇〕 ◆29番(清水純子 君)御答弁いただきました。私も、長野県の新たに改定された不登校児童生徒への支援のための行動指針、また不登校への対応の手引き等、どのように変わっているのか見させていただいたところであります。法律の趣旨をしっかりと伝えるということが文章の中にありました。しかし、何がどう変わったのか、長野県はどうやって不登校の子供たちと向き合っていくのか、新しい角度や県としての決意がなかなか伝わってこないという感想を持ちました。  半世紀も続くこの不登校対策。学校復帰を目指していく対応から、学校復帰だけが目的ではないという大きな方向転換に向けていくためには、大きな決意とエネルギーと時間がかかることだというふうにも思っております。  先ほど知事からも言っていただいたとおり、教育委員会の枠を超えて知事を中心に大きく前に進んでいく。そして、子供たち一人一人に教育を受ける権利があるんだということをしっかりと伝える。このことが子供たちに届くようにあらゆる手段を使っていただくことを教育委員会、そして知事に強く要望し、質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(清沢英男 君)次に、続木幹夫議員。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)改革・創造みらいの続木幹夫です。まず、主権者教育について伺います。  私は、皆様御存じのとおり、県議会議員をわずか1期務めただけで次の選挙で無念にも落選し、そして、その後、野に下り、在野から4年間県議会を見てきたという貴重な経験をいたしましたので、その観点から質問いたします。  さきの統一選挙の投票率が示すように、市町村議会、県議会、国会のある中で、県議会は有権者から最も関心が低く、県議会議員は日々一体何をしていて、県政は自分たちの生活とどのような関係があるのかわからない遠い存在であることを、この4年間、つくづく感じてきました。にもかかわらず、一方で、長野県世論調査協会が行った調査で、阿部知事への支持率が昨年9月の時点で90%、本年3月の調査でも86%という結果が出ました。この結果について阿部知事はどのように捉え、かくも高い支持率が得られている理由は何だと考えられますか。阿部知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私に対する支持率についての御質問でございます。  県民の皆様方からはこれまでも大変な御支援をいただいております。そのことに対しては、感謝の思いを持つと同時に、非常に重い責任を感じているところであります。  これまで、私は、長野県知事として、県の特色を生かしていこう、そして、光の当たりにくいところにもしっかり光を当てて政策を進めていこう、さらには、県民の皆様方に公約を掲げて選挙を戦っているわけでありますので、県民の皆様方とのお約束をしっかり守っていこう、こうしたことを肝に銘じて県政に向き合ってまいりました。教育、人づくり、健康、福祉の充実、産業の振興など各種施策に取り組んできたわけであります。  支持、不支持については、これは調査に回答した方々それぞれにいろいろなお考えがあっての御評価だというふうに思いますので、私からその理由はこうだというふうに一概に申し上げることはできませんけれども、これからも県民の皆様方の期待に応えることができますように全力で県政に取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)ただいま知事からは、みずからはその理由を言うことはできないというような控えめな答弁があったわけですけれども、いろいろな捉え方はあると思うのですが、私は、阿部知事がいかに名知事とはいえ、一党独裁の中国や北朝鮮ではないのですから、たとえ地方自治体の首長の支持率とはいえ、成熟した真っ当な民主主義国家において90%、86%の支持率はあり得ないと思っています。知事には失礼ですが、私の解釈では、この数字は県政に対する無関心率ではないかと考えています。つまり、県民が県政に余りに無関心であるがゆえに、知事に特段の失政がなく無難に県政を運営していれば、大多数の県民が何となく支持であると答えただけの結果だと思います。  県議会に限らず、近年、全ての選挙の投票率は、回を重ねるたびに右肩下がりで、政治に無関心な人たちが若者を中心に非常にふえてきているのが現状です。この理由については、複合的にいろいろあると思うのですが、私が考えるのに、学校教育における政治的中立性を保つことを理由に、主権者教育、つまりさまざまな利害が複雑に絡み合う社会問題、政治課題について自分の意見を持って論じ合い、合意形成をしていく、学んでいく、そうした教育があまり行われていないのではないでしょうか。少なくとも、私は、中学、高校時代そのような教育を受けた記憶はありません。そこで、現在、本県における主権者教育の状況はどうなっているのか、教育長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)本県における主権者教育の状況についてというお尋ねでございます。  中学校の社会科では、政治に関するさまざまな事象や課題を考察する際に、効率と公正などの概念的な枠組みに着目したり関連づけたりして、合意形成や社会参画を視野に入れながら、課題の解決に向けて多面的、多角的に考察する学びを行っておりまして、高校入試問題にもそうした問題が出題されております。  高校においては、総合的な探究の時間等を使いまして、具体的な現実社会の諸課題の解決に向けた課題研究を行っております。各自が設定したテーマについて調べ、学校の外に出てフィールドワークや関係者へのインタビュー等を行って研究をまとめ、校内外の発表会で互いに討論するなどして学びを深めております。  今後も、選挙管理委員会や諸機関との連携、協働を生かしながら、生徒が主体的に意見を論じ合い合意形成をしていくことを学ぶなど、主権者教育の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)ただいま教育長からは、本県においてもそれなりに主権者教育を行っているという答弁がありましたが、私は、主権者教育というのは、単に若者を選挙に行かせるためだけの教育ではなく、低い投票率を上げるためだけの教育でもないと考えております。  民主主義及び選挙の研究を行う国際機関、民主主義・選挙支援国際研究所が2016年に公表した投票率データでは、日本の投票率は196カ国中158位となっています。ただし、投票率が高いことイコール成熟した民主主義国家ということではなくて、政情不安の国や社会主義国家など義務投票制がしかれている国では当然高いのですが、そうした国ではなくても投票率が高い国があります。それは、北欧諸国であります。ちなみに、デンマーク、スウェーデンは約86%、アイルランド81%といった状況です。この違いはどこからくるのでしょうか。文献などで調べてみますと、スウェーデンでは、小学校から民主的な選挙や政党政治の本質や利点、欠点を学び、選挙を自分の意見を表明できる機会として捉えて、積極的な政治教育、民主主義教育、主権者教育を行っているようです。  とかく権力者は国民に政治から目をそらそうとするものです。特に、今の政権はその傾向が強いように思われて仕方がありません。我が国は、シルバー民主主義が進み、若者は政治に興味を失う一方です。本来、投票権は民主主義において何ものにもかえがたい権利です。この権利をしっかりと教える主権者教育に力を入れていただくことをお願いして、次の質問に移ります。  児童虐待防止体制について伺います。  最近、親などによる虐待で児童が死亡するという痛ましい事件が相次いでいます。とても人の所業とは思えぬ残虐な行為で、私は、テレビにこのような事件が映った途端、いたたまれず消してしまうのですが、このような事件が起きた後、判で押されたように、児童相談所の対応のまずさ、警察との連携の悪さが指摘されます。そして、誰しも次に思うことは、本県においてもしこのような事件が起きた場合、児童を守る体制はしっかりとできているのだろうか、大丈夫だろうかということです。  そこで、県民文化部長に伺います。  本県において、現在の児童相談所の人員及び体制で十分に対応し切れているのか。そして、千葉県や北海道での事件が発生した後、本県においては児童を虐待から守る体制について改めて点検、見直しが行われたのか。そして、警察との連携についても県警と話し合いがなされたのか伺います。  そして、さらに重要なことは、市町村との連携だと思います。恐らく、こうした虐待が疑われるとの情報は、まず一番身近な基礎自治体である市町村にもたらされるのではないかと思います。したがって、市町村との迅速な情報共有が重要であると同時に、虐待が疑われる全ての事案について児童相談所が出向き、一手に引き受けるということは人員的にも難しいと思われます。そこで、市町村レベルで解決できる事案と児童相談所が直接対応しなければならない事案のすみ分け分担が必要だと考えます。したがって、県は、改めて各市町村と連携、分担について検討、見直しすることが必要だと思われますが、県民文化部長に伺います。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)児童虐待防止体制について3点御質問をいただきました。  まず、児童相談所の体制についてでございますが、近年、児童虐待が深刻な社会問題となっていることから、児童相談所の児童福祉司を、平成29年度に4名、平成30年度に5名増員してまいりました。また、本年度は、1月に千葉県で発生した事案等を受け、さらに6名を増員し、現在、平成28年度の約1.4倍となる57名の児童福祉司が児童虐待への対応を行っているところでございます。この体制は、国が求めます人口4万人当たりに児童福祉司1名という基準を満たしてはいるものの、児童福祉司1人が担当する新規の虐待相談件数が40件を超える状況であり、今後さらに適切な体制整備を進めていくことが必要と考えております。  また、千葉県や北海道の事件を受けての対応についてですが、各児童相談所においては、全国で発生いたしました重大事案を自分事として捉え、その都度、所内の相談体制や他機関との連携体制の点検、確認を行ってきております。  また、両事件後に改正されました児童虐待防止法や児童福祉法が求める児童相談所の体制について、現在、内部検討を始めた段階であり、今後、本年度策定いたします長野県社会的養育推進計画の中でも、関係者の意見等を伺いながらその体制の充実強化を検討してまいります。  次に、児童相談所と警察との連携体制についてでございますが、その重要性に鑑みまして、県と長野県警察において昨年9月に児童虐待事案に連携して的確に対応することを目的とした協定を締結し、連携体制の強化を図ったところであります。  この協定におきましては、当事者が保護を求めている事案、たばこ、アイロン等によるやけどがある事案、受理通告後、原則として48時間以内に児童相談所または関係機関において子供の安全が確認できない事案など、児童相談所と県警が共有すべき情報の基準について速やかな情報共有が図れるように明確化したところでございます。  なお、県警から児童相談所に対しての通報は、平成29年度は857件で、平成30年度は975件となっております。また、情報共有以外におきましても、合同対応訓練の実施や定期的な連絡会議を開催するなど連携の強化に努めているところでございます。  児童虐待事案において、子供の生命や身体の保護という観点で児童相談所と警察との連携は大変重要であり、今後も、情報共有や両機関が連携した対応など事案への即応体制の強化に努めてまいります。  最後に、児童虐待における市町村との役割分担についてでございます。  議員御指摘のとおり、児童虐待の対応に当たっては、身近な相談機関である市町村が果たす役割が重要となっています。そのため、平成28年度に児童虐待防止に係る児童相談所と市町村の連携指針を定め、県と市町村の役割や連携体制について整理、明確化したところでございます。  連携指針におきましては、児童相談所が専門性の高い事案への対応や一時保護や措置等の行政処分を行い、市町村は、虐待防止や早期発見、学校などとの連絡調整、さらには、児童相談所が在宅指導・援助している家庭や児童養護施設等を退所した子供へのフォローアップの役割を担っていただくこととしております。  なお、児童虐待への対応に当たっては、両者、さらには関係機関が連携して対応することが極めて重要でございますが、児相の体制とともに、市町村における援助・相談体制の充実を図ることも必要でございます。県といたしましては、市町村職員を対象とした研修の充実や市町村の実情に応じた丁寧な助言を行うなど、市町村支援と連携に努めてまいります。  また、本年度策定いたします長野県社会的養育推進計画の中でも、市町村を初め関係機関の役割分担や連携について検討を深め、全体としての充実強化を図ってまいります。  以上でございます。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)ただいま県民文化部長より答弁がございましたが、児童相談所の職務というのは、いわゆるお役所仕事ではとても対応できないということですし、相談員などもしっかりとした人材を育てるには8年、10年かかるということですので、人事の面に関してもその点を考慮して進めていただきたいと思います。  次に、高齢者ドライバーの運転事故防止対策について伺います。  今、高齢者ドライバーによる交通事故の多発が社会問題化していて、それに対して、国や地方自治体では、その防止にさまざまな取り組みがなされています。
     東京都では、後づけの急発進防止装置やアクセルとブレーキの踏み間違いを防止する装置などをつける高齢者に対し、その費用の9割を補助する方針を明らかにしています。  また、免許返納者に対してタクシー券を交付する自治体もあります。本県においても、幾つかの市町村において免許返納を促す施策を行っていますが、これに対して、知事は、議案説明において、自主返納に伴う支援制度の周知等に取り組むとして、市町村が現在行っているこれらの制度に頼るかのような説明をしていますが、このような制度を県下全ての市町村が行っているわけではなく、また支援制度を見てみますと、免許返納時のみに特典があるものばかりで、恒常的に免許返納者が生活する上での足に困らないような施策はほとんどありません。したがって、中山間地がほとんどで免許を返納したくてもできない高齢者が多くいる本県こそ、こうした各市町村が行っている免許返納促進支援制度を補完する制度や交通システムの構築や、後づけの事故防止装置設置への補助を早急に講ずべきと考えますが、知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)高齢ドライバーの事故が相次ぐ中でこうした状況への対応をどうするのかという御質問でございます。  長野県の場合は、自家用車がないと生活ができない、仕事ができないという環境の方が大勢いらっしゃるわけでありますので、この高齢ドライバーの方の運転事故の防止対策は本県にとっては極めて重要な課題だというふうに思っております。  事故防止のためには、幾つか視点があろうかと思います。御自分で認知機能等の低下を自覚して免許の返納をしていただくというような対応も必要ですし、また、免許がなくても必要な移動が確保できるような対策を進めていくということも重要であります。また、自動車の安全な運転、特に自動車の安全性、性能そのものが高まってきておりますので、こうした自動車の活用を進めていくということを多面的に考えていかなければなりません。後づけの安全運転支援装置についてですが、これは、性能の認定制度もこれから考えられるという状況でありますので、あまり先走りすぎることなく、しかしながら先頭を切って取り組んでいくということが極めて重要だというふうに思っております。  このたび、6月18日に、未就学児及び高齢運転者の交通安全緊急対策というものが国の関係閣僚会議で決定されました。幾つか方向が出されており、特に高齢者の部分については、今申し上げた安全運転サポート車の普及推進や高齢運転者に優しい道路環境の構築、制度の垣根を越えた地域輸送サービスの充実、こうした方向が出されています。これは、国レベルの検討だけに委ねるのではなく、我々地域においてまさに問題意識をしっかり持って検討していくということが重要だと思っております。  先ほども申し上げたようなこうした観点からいたしますと、なかなか一つの部局でおさまり切らない課題でございますので、まずはこの交通安全緊急対策、国の方向性を部局横断でしっかりそしゃくした上で、我々独自の視点でどういう対応をしていかなければいけないのかということについてしっかり検討を行いたいというふうに思っております。その上で、これまでも市町村あるいは交通安全協会の皆様方と連携してさまざまな対策を進めてきておりますので、関係機関の皆様方と連携してさらなる具体的な取り組みを進めていきたいと考えております。  以上です。       〔25番続木幹夫君登壇〕 ◆25番(続木幹夫 君)知事から現時点での本県独自の具体的な事故防止策をお聞きすることはできませんでしたけれども、高齢化が進みますとこれからも高齢者による事故が続くことは必至ですので、財政的には厳しいと思いますが、県全域にわたる高齢者による交通事故防止策を図っていただきますようお願いいたしまして、私からの一切の質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)次に、小山仁志議員。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)多様化し複雑化する子供の悩みや困難に寄り添い、必要な支援を丁寧に届けるための細やかな体制づくりは喫緊の課題です。  若者の死因第1位が自殺であるのは先進7カ国において日本だけであり、さらに、本県の若者の自殺率も高い水準にあります。県では、第3次自殺対策推進計画において未成年者の自殺対策の強化を重点施策に掲げ、昨年度、知事を座長とするプロジェクトチームを設置、子どもの自殺ゼロを目指す戦略を策定しています。  自殺対策において重要なのは、さまざまな分野を超えた生きることの包括的な支援という視点からの連携の創出です。すなわち、縦割りになりがちな行政組織において、ある事業も工夫をすることによっては生きる支援につながるという創造性を持つことが不可欠です。子供自殺ゼロを実現するためにどのように全庁的な体制構築を図っていくのか、まず知事に伺います。  関連し、以下、教育長に伺います。  教育委員会では、自殺対策のポピュレーションアプローチとして、SOSの出し方に関する教育についてモデル中学校で試行に取り組まれ、今後は全ての中学校での実施を目標に掲げています。授業後の生徒のアンケート結果では、みんな悩んでいることを知って安心した、困っている友達にどう接してよいかわかった等、理解でき、役に立ったと感じる生徒が9割近くになりました。全県展開に当たり、どのように実効性を高めていくための取り組みをしていくのかお伺いいたします。  一昨年の試行からスタートしました県内中高生を対象にしたLINE相談窓口「ひとりで悩まないで@長野」の事業では、多くの生徒からの相談が寄せられました。匿名での気軽な相談窓口としての有効性が明らかになっています。  相談の裾野が拡大する中で、SNSの活用ならではの課題についても対応していくことが不可欠です。表情や声のトーンから相談者の思いを推測できる対面や電話とは違う技術や知識が相談員には必要になりますし、また、相談の案件によっては実支援へのつなぎについても強化をしていかなければなりません。こうした課題に今後どのように対応していくのかお伺いいたします。  さて、子供たちのSOSに向き合う命の支え手としての大人、社会の側も気づき方やつなぎ方について意識を高めることが必要です。減少しない若者の自殺には複合的な原因が指摘されますが、警視庁のまとめによりますと、平成19年から28年で、教師との人間関係による子供の自殺は37人に上っています。教員からの人権を侵害するような行き過ぎた指導や叱責の繰り返しにより追い詰められる指導死という言葉もあり、問題視されています。そして、その特徴は、表面化しにくいことです。学校現場には、指導の方針や方法を教師一人一人に任せる習慣もあり、周囲から介入されず、歯どめがかけられない課題が指摘されています。指導の方法等を校内でチェックし合う仕組み、また、子供の異変を早期に見つけてケアする仕組みづくりが求められると考えますが、教育委員会ではどのように対応されるのでしょうか。  大人の側から感じた問題行動が子供にとってのSOSのケースもあり、その気持ちを酌み取る姿勢も必要と感じます。児童生徒の心の危機との向き合い方について教職員に資質を備えていくための取り組みをどのように対応されているのか、教育長に伺います。  また、教職員のみならず、家庭を初め、社会においても単なるしつけや叱責ではない受けとめ方が求められると考えますが、SOSの受けとめ方についてどのように理解促進や普及啓発に取り組むのか、こちらは健康福祉部長に伺います。  子供の変化を受けとめるプラットフォームとしての学校の体制構築も重要です。中でも、保健室で子供と向き合う養護教諭は、児童生徒のけがや体調不良のみならず、抱えているさまざまな悩みと向き合ったり、教室が苦手な子供の大切な居場所にもなったりしています。校内のみならず、家庭や地域と連携、協働しながら継続的に適切な対応が必要なケースもあり、その役割は一層重要となっています。養護教諭へのフォロー体制は、各学校の緊急度等についても適切に把握をし、教育委員会と学校が連携を図りながら構築していくべきと考えますが、対応策についてお伺いいたします。  さて、子供のSOSは、待つだけではなく、リスクの高い子を把握したり、何らかのサポートが必要なまま学校生活を送っていないかの現状把握や危機意識を組織として共有していく仕組みづくりが重要です。  三重県では、医師会と教育委員会が連携、協働し、児童生徒全員の心の健康度を図るアンケート調査を行い、その結果をもとに、医師と教員が児童生徒への配慮について繰り返し検討を重ねる取り組みをしています。ある年の中学生への調査では、9%が「死にたくなる」と回答しました。調査がなければ死にたいほど悩んでいる生徒がいるとはわからなかったと教員は振り返っています。  若者の自殺対策の中で児童生徒のメンタルを理解していく取り組みを推進していくことが必要と考えますが、県の対応策について教育長にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)自殺対策、とりわけ若い人たちの自殺対策は県として最も重要な政策課題というふうに思っております。  その中で、全庁的な体制構築をどのように図っていくのかという御質問でございます。これは、健康福祉部を中心として、関係部局長を構成員といたしますいのち支える自殺対策戦略会議というものを私も加わって設置して、さまざまな施策を進めております。特に、ライフリンクの御助言もいただきながら、いわゆる自殺対策関連事業だけではなくて、庁内で行っている全ての事業をこの自殺対策に活用できないかという観点で洗い出しをさせていただきました。その結果、庁内の全事業のうち約250の関係部局の事業を「生きる支援にかかわる事業」と位置づけて、全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。  例えば、各部局でいろいろな研修会等を行っていますが、そういう場で「生きる支援」を研修テーマに掲げる。また、ゲートキーパー研修も、単に福祉にかかわる人だけではなくて、さまざまな分野の方たちに研修を受けていただく。また、生きる支援情報、相談先の一覧等をあらゆる場を通じて配布をしていく。例えば、ハローアニマルの子どもサポートに参加する子供への情報提供、都市公園の窓口等にリーフレットを置いておく、そういうことを通じて、健康福祉部だけではなくて、各部局の事業を全体としてこの自殺対策へとつなげていくということを行っております。  今後とも全庁を挙げて自殺対策を進めていきますが、特に、子供の自殺対策については、子どもの自殺対策プロジェクトチームをつくって、子供の自殺ゼロを目指す戦略を今年3月に策定いたしたところであります。これについても、健康福祉部が中心にはなりますけれども、例えば、県民文化部で取り組んでおります子ども家庭支援ネットワーク等もこの自殺対策に生かしていくというような視点を持ちながら、県のさまざまな施策を全て活用する意気込みでこの自殺対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、SOSの出し方に関する教育について、全県展開に当たりどのように実効性を高める取り組みを行うのかというお尋ねでございます。  昨年度、県内の6中学校におきましてSOSの出し方に関する教育を初めてモデル的に実施をいたしました。この取り組みを検証するために実施した授業後のアンケートでは、95%の生徒が、内容を理解できた、資料も説明もわかりやすかったなどと回答しておりまして、その実効性を確認したところであります。  一方で、迷惑をかけたくないから等の理由から相談行動に結びつけられない生徒もいたことから、SOSを受けとめる教職員の気づきの感度をさらに高める、そういった取り組みを推進することも必要だというふうに思っております。  この結果に基づきまして、全県展開に向けて、市町村教育委員会、教職員、保健師等を対象に県内4地区において研修会を開催したところでございます。そして、今年度は、87%の中学校がSOSの出し方に関する教育を実施する予定となっておりますが、こうした成果と課題を踏まえて、その取り組みを支援し、さらには全校実施につなげるよう市町村教育員会に働きかけてまいりたいというふうに考えております。  次に、SNSを活用した相談の課題の今後の対応についてでありますが、SNSを活用した相談は、文字数が少ないという制約から、相談者自身の状況や真意を把握し、その中から相談者自身が動き出せる力をいかにして引き出せるか、そういう意味で、相談員に高いスキルが要求されます。このため、SNSカウンセリング研修を受講済みで実務経験のある相談員を配置し、開始前には事例を用いた研修を行うなど、SNS相談ならではの特徴に対応できる業者に委託をしているところであります。  しかしながら、委託先で相談を受けるために、地域に特化した相談への答えにくさというものもありますので、今年度は、地元の大学生が相談に当たるピア・デイというものも実施しようとしております。  それから、実支援へのつなぎについてでありますけれども、緊急を要する相談には即座につなぐ体制を整えてあります。一方で、相談者みずからが、次のステップとして、身近な人への相談や電話相談等に動き出す力をいかに引き出すかということに関しては、さらなる支援力の向上を目指した取り組みを関係者と協議しながら進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、教員の指導方法等をチェックし合う仕組みや子供の異変を早期に発見し、ケアする仕組みづくりについてであります。  各学校では、児童生徒や保護者が学校づくりに参画し、風通しのよい学校づくりを目指しております。この取り組みの中で、学校運営に対して匿名性を担保した評価を取り入れ、その結果を校内で共有し、教育活動に反映してきております。  また、教員の人権感覚を高めるための研修等によりまして、子供のSOSを敏感に感じ取る取り組みや、複数の教員がチームとして教育活動を行うことで、異変の早期発見や各教員の指導方法のチェックにつなげるなどの取り組みもございます。  さらに、学校だけで子供の異変に気づくことが困難な場合には、スクールカウンセラーや相談員等の学校外の専門家を活用し、情報を共有しながら児童生徒の支援につなげております。  県教育委員会では、市町村教育委員会や校長会等を通じまして、子供の危機の早期発見、早期対応が有効に機能するよう引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、教職員の資質向上の取り組みでありますが、教職員は、児童生徒の表にあらわれるものだけではなく、内面を理解し、心情に寄り添った支援ができる資質能力を身につけることが大切であります。そのため、児童生徒の様子を日常生活の中で注意深く観察するとともに、学校生活アンケートなどを活用し、あるいは必要に応じて直接面談することなどを通じまして、児童生徒理解を第一に取り組んでいるところであります。  また、県教育委員会では、学校の校内研修に資するよう、さまざまな研修の機会を捉えて、子供とともに歩み、子供の成長を支援する生徒指導のあり方を具体的な資料とともに示し、各学校へ伝達しておりますが、さらに、全ての教職員がゲートキーパーの資質を備えられるよう、主体的に学ぶことができるワークショップ形式の研修を今後実施できるよう検討しているところでございます。  次に、養護教諭のフォロー体制についてであります。  児童生徒の病気やけがへの対応に加えて、支援を要する多様な子供たちとの相談等、養護教諭が果たす役割は一層重要になっているというふうに考えております。  例えば、高等学校への聞き取りにおいては、学校によって状況は異なるものの、不登校経験がある、発達障害を抱えている、あるいは家庭環境に課題がある等支援が必要な生徒が多い学校においては、養護教諭に大きな負担がかかっているという回答も寄せられております。こうした場合の対応としては、校内の連携協力体制を整えることで養護教諭への過度な負担を避けるというような回答もあり、養護教諭が専門的な役割を果たすことができるよう、各校において、例えば教育相談係や特別支援教育コーディネーター等との連携、あるいは調査回答などの事務的業務の精査、業務分担の見直し等、校長のマネジメントによる部分も大きいわけでありますが、他方、養護教諭の役割の重要性に鑑みますと、その状況については、教育委員会と各学校が常に情報を共有するとともに、緊密な連携のもとに必要な支援を行うという体制の構築についてさらに進めてまいりたいというふうに考えております。  最後に、児童生徒のメンタルを理解するための対応策であります。  子供の心理、心情を理解するためには、これまでの教員等の経験則による対応に加えまして、科学的知見を取り入れた調査等を活用していくことで子供たちのメンタルを理解できる可能性が高まるというふうに思っております。  県教育委員会としては、アセスと呼ばれる科学的知見に基づき開発されたアンケート調査を活用して、教員の主観的判断に任せきりにせず、客観的な児童生徒理解を深めるための取り組みを推進しているところであります。このアセスについては、今年度までに、小学校では25校、中学校では93校、高校では55校で実施しているところであります。このアセスを実施した結果として、早期介入・支援が必要と判断される子供につきましては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに相談したり、ケースによっては医療機関や保健所などの専門機関と連携を図るなどの対応を行っているところでございます。  以上でございます。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)子供からのSOSの受けとめについてどのように理解促進や普及啓発に取り組むのかというお尋ねでございます。  子供の自殺予防のためには、子供へのSOSの出し方に関する教育とともに、子供の出すSOSをキャッチする大人の気づきの感度を高めることが重要と考えております。  昨年度、モデル校で実施したSOSの出し方に関する教育を受講した生徒のアンケート結果を見ますと、「心配をかけたくない」等の理由によって悩みを相談できない生徒が約1割いることがわかりました。相談できないと感じている子供に対しては、大人の気づきの感度を高め、大人から手を差し伸べる必要があることから、本年3月に策定した長野県「子どもの自殺ゼロ」を目指す戦略では、保護者や地域の子供支援者向けの対策を盛り込みました。具体的には、今年度から新たに開催するPTA指導者研修会において自殺予防を分科会のテーマに取り入れたほか、学級PTAの機会等を活用した保護者に対する啓発、8月には自殺対策の専門家を講師とする子供支援者対象の実践的な研修が開催予定となっております。  また、子供の変化に気づいて声をかけ、悩みを傾聴し、見守りを行うゲートキーパーについては、子供にかかわる機会が多い者を対象に毎年5,000人程度の養成を目指して市町村とともに取り組んでまいります。  以上でございます。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)若者の自殺対策におけるインパクトは、私は阿部知事がマニフェストにおいてゼロにすると掲げたことであろうかと思っています。そのためのプロジェクトチームであり、戦略になりますが、重要なのは心のSOSといかに向き合うかということであり、待っているだけでは目的は達成できないと考えています。  OVAというNPO法人は、ネットの検索エンジンでの連動広告、リスティング広告を用いることで、ハイリスク者へアプローチする仕組みを構築しました。自殺に関連した用語を検索した方を相談サイト、チャットに誘導していく仕組みで、称する名称は「夜回り2.0」ということでございます。こうしたICTを活用したアウトリーチの仕組みとの連携も欠かせない時代を迎えていると考えます。  ぜひ、創意工夫を重ね、子供、若者の声なき声に手を伸ばしていく、「助けて」を受けとめられる社会の感度を上げるため、先頭に立ってお取り組みいただくことをお願いいたしまして、次に移ります。  児童虐待の関係です。児童相談所がかかわりを持ちながらも虐待により幼いとうとい命が失われる痛ましい事件が相次ぎ、児童相談所の体制や機能、関係機関との連携のあり方が課題提起されています。  昨年、目黒区で発生した船戸結愛さんの事件を契機とした政府の緊急対策に基づき、長野県と長野県警におきまして児童虐待事案にかかわる連携協定が締結され、情報の共有や連携した迅速な児童虐待の対応等が明記されています。  協定締結後、連携強化を図るために具体的にどのような取り組みを行ってきたのか、県警本部長にお伺いをいたします。幅広い業務の中で、児童相談所の業務負担の深刻な状況はかねてより全国的な課題となっております。本県におきましては、児相職員の増員や広域支援センター、児童相談・養育支援室の附置など体制強化にお取り組みいただいています。  体制強化の一方で、児童相談所で業務を行う児童福祉司には、援助や相談におけるアセスメント力や交渉力、関係機関との連携力が求められ、一定の経験や知識が不可欠な業務です。本県の児童相談所における児童福祉司の専門職としての地位の確立と定着はしっかり図られているのでしょうか。また、経験の浅い方へ指導を行うスーパーバイザーの配置は十分な状況にあるのでしょうか。今後の対応方針とともに県民文化部長に伺います。  また、通告から48時間以内に子供の安全確認を行ういわゆる48時間ルールは、児童相談所において全て徹底されているという理解でよいかについてもあわせてお答えください。  さて、改正児童虐待防止法、改正児童福祉法が国会で成立いたしました。大変胸の痛むたび重なる虐待事件の中で、行政体制への課題が突きつけられ、その都度、法改正など対応策に追われています。児童相談所の役割や機能、また社会との役割分担や連携体制等について、知事のお感じになっている課題認識と改善すべき点についてお伺いいたします。  また、しつけを名目とした虐待など、虐待をめぐっては、親の養育力の低下や未熟さが原因として指摘されています。なぜ虐待は起こるのか、根源的な課題に対し県政としてはどのように向き合っていくべきとお考えなのか、あわせて知事にお伺いします。       〔警察本部長伊藤泰充君登壇〕 ◎警察本部長(伊藤泰充 君)児童虐待についての県と県警察との連携についてのお尋ねでございます。  昨年9月に県と児童虐待事案の対応について協定を締結いたしましたが、これは、児童虐待の防止と早期発見による被害児童の安全確保のため、県警察と児童相談所、それぞれの機関が保有する情報を共有し、児童虐待事案に連携して対応することを目的とするものであります。  この協定に基づき、それぞれの機関が取り扱った事案のうち、他方の機関の関与が必要と認めたものについては相互に情報提供を行っております。そして、その情報をもとに、警察では事件として立件するなどの措置を、児童相談所では被害児童を一時保護するなどの措置を講じ、必要に応じその後の経過について情報交換しております。  また、協定に基づく情報共有以外においても、両機関の連携強化を図るための取り組みとして、児童虐待の防止等に関する法律に基づく立ち入り調査や臨検、捜索要領の合同訓練を継続的に実施しているほか、今月19日には、現場対応する警察官や児童相談所職員が児童虐待事案を見逃さないよう必要な知見を高めるため、法医学専門の医師を講師とし、合同研修会を開催したところであります。県警察といたしましては、引き続き児童相談所と連携し、児童虐待事案に適切に対応してまいりたいと考えております。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)2点御質問をいただきました。  まず、児童福祉司の地位確立と定着及びスーパーバイザーの配置でございますが、児童虐待への適切な対応が求められる児童福祉司には、虐待の有無を慎重に判断し、時に親と対立しながらも子供を保護する力、幅広い力が求められております。今般、知識と経験、判断力等の高度な専門性がますます求められる状況にございます。このため、長野県では、児童福祉司を福祉職として採用し、保健福祉事務所のケースワーカーとしてソーシャルワークの経験を一定程度積んだ上で児童相談所の業務に当たることとしております。  また、児童相談所での経験の浅い職員が相談援助を行うに当たっては、経験豊かな職員とチームで対応し、OJTを通じて経験の浅い職員が実践力をつけていく体制をとっているところであります。  さらに、児童福祉司は、経験年数に応じて国のカリキュラムに基づく研修などを受講し、資質向上、研さんに努めているところです。引き続き研修等の充実を図り、児童福祉司の専門スキルの向上に努めてまいります。  スーパーバイザーの配置状況についてでございますが、児童福祉司及びその他相談担当職員に対し専門的見地から職務遂行に必要な技術について指導及び教育を行うスーパーバイザーは、児童福祉司として5年以上勤務した者でなければならないとされております。国の基準では、児童福祉司おおむね5人につき1人とされております。  本県におきましては、平成31年4月現在、県内の児童相談所に16名のスーパーバイザーが配置されており、国の基準を上回る配置状況となっております。  児童相談所におきましては、近年、児童福祉司等の増員により、経験の浅い職員が増加しております。このことから、スーパーバイザーとなる職員の養成を計画的に行うとともに、各児童相談所の規模等を踏まえた職員のバランスのとれた配置に努めてまいります。  次に、児童虐待防止における48時間以内の安全確認についてでございますが、児童虐待通告があった場合の安全確認につきましては、国の児童相談所運営指針において、緊急性に乏しいと判断されるケースを除き、48時間以内とすることが望ましいと定められているところであります。  長野県におきましては、他の関係機関によって把握されている状況等を総合的に勘案し、緊急性に乏しいと判断されるケースを除き、原則として48時間以内に全ての安全確認を実施することとしております。  なお、接触を試みるなど安全確認に努めても、それでもなお48時間以内に確認ができないケースにつきましては、警察と情報共有、連携をするなど対応を厚くし、できるだけ早期の確認を実施しているところです。  今後とも、関係機関とも十分連携を図りながら、子供の安全確認を最優先として対応してまいります。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)児童虐待に関連して2点御質問いただきました。  まず、児童相談所の役割や機能、社会との役割分担や連携体制等についての課題認識と改善すべき点という御質問でございます。  児童虐待への対応におきます児童相談所の役割は、専門性の高い対応を担うということとされております。緊急性の高い場合における親子分離などの介入と、家族再統合に向けた親へのサポートなどの支援という介入、支援の相反する二つの役割が求められております。  そのため、例えば子供の安全確保のため緊急一時保護を行ったことによってその後の家族再統合の支障となるようなケースもあり、現場では大きなジレンマを抱えているところというふうに聞いております。  今国会で改正された児童虐待防止法におきましては、児童相談所内で強制力を持って家庭介入を行うチームと相談支援により家族を支える支援チームを明確に分けるということにされたところでありますが、児童相談所内の役割分担にとどまっていると、保護者から見たときには、同一機関であるということには変わりはありません。私としては、この対応は限界もあり得るのではないかいうふうに思っております。特に、支援という役割に関しましては、家庭に身近な存在であります市町村や地域社会における支援機能が大変重要だというふうに考えられますことから、市町村や関係団体と連携した体制づくりについて今後考えていきたいと思っております。  それから、児童虐待における根源的な課題に対して県としてどのように迫っていくべきと考えるかという御質問でございます。  児童虐待は、育児不安や本人が虐待経験を持つといった親の要因、あるいは育てにくさや発達のおくれ等の子供の要因、さらには、社会から孤立しての子育てや不安定な夫婦関係といった家族を取り巻く要因、さまざまな要因から引き起こされ得るというふうに言われております。いじめの問題、自殺、ひきこもり、不登校、児童虐待、さまざまな問題があるわけでありますが、私は、広い意味での孤立というものが共通しているのではないかというふうに考えております。広い意味での孤立というのは、例えば、居場所がない、相談したくてもどこに相談すればいいかわからないといったようなことも含めて孤立しているということがいろいろな課題に関連しているというふうに考えております。  他方で、従来の行政では、児童虐待は県民文化部の所管、不登校やいじめは教育委員会の所管、ひきこもりあるいは自殺対策は健康福祉部の所管、これは、国も縦割りで対策を講じているわけでありますので、国の方針に従っているとどうしても縦割りでの対応ということになってしまうわけでありまして、この問題については、社会的な孤立という観点で横串を刺して考えていかなければいけない問題ではないかというふうに思っております。  今、包括的に地域社会を応援するという観点で、地域福祉支援計画に基づく地域共生社会づくりも進めておりますし、また、子ども家庭支援ネットワークで子供や御家庭をさまざまな主体で応援していこうという体制づくりも進めているわけでありますが、こうしたものも、単発の目的ではなくて、広く御家庭やお子さんを支えていくという観点で具体化をしていかなければいけないというふうに思っております。
     また、私どもが具体的な施策を考えていく上でも、先ほど申し上げたように、それぞれの部局がタコつぼ的に施策を考えるのではなくて、横断的な視点をしっかり持って取り組んでいくように私ども自身の意識も変えてまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君)県警本部長からは、児童相談所との連携につきまして、いわゆる現場対応のための法医学の専門家を招いての合同研修が行われたという答弁がありました。連携協定に明記されているものだけではなく、コミュニケーションづくりを積極的に日ごろからやっていくことが大変重要なことではないかと考えておりまして、そういった工夫をさらに重ねていただくことをお願いしたいと考えます。  児童相談所は、子供に関するあらゆる相談を受ける窓口でもあり、幅広い業務の中で、児童虐待につきましては、緊急事態に備え、24時間365日の対応に迫られています。このほど成立した改正児童福祉法では、ただいま知事からもありましたけれども、ためらいなく一時保護などの介入に踏み切れるように保護者の支援に当たる職員との担当の分離が盛り込まれています。これは、大幅な増員と専門性向上の両立が不可欠だと思いますし、市町村との連携もあわせて考えていかなければなりません。実効性の高い機能を発揮できるような専門組織としての体制構築に向けて、職員の養成、人事異動にもしっかり認識をお持ちいただきたいというふうに思います。  そして、社会から虐待をなくすには、発生予防の視点が重要です。虐待の原因にしっかりと着目をしながら、さまざまな困難を抱える家庭に、家族に、いかに支援を届けるか。社会全体としての体制構築に県政がなお一層主体的にお取り組みをいただくことをお願いさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(清沢英男 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明26日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時52分延会...