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平成30年11月定例会本会議-12月05日-03号

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  1. 長野県議会 2018-12-05
    平成30年11月定例会本会議-12月05日-03号


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    平成30年11月定例会本会議-12月05日-03号平成30年11月定例会本会議 平成30年12月5日(水曜日)  出席議員(57名)   1 番 花岡賢一      27 番 備前光正   2 番 今井愛郎      28 番 両角友成   3 番 寺沢功希      29 番 吉川彰一   4 番 山口典久      30 番 清水純子   5 番 百瀬智之      31 番 小池久長   6 番 金沢敦志      32 番 諏訪光昭   7 番 小山仁志      33 番 髙橋岑俊   8 番 共田武史      34 番 今井 敦   9 番 丸山大輔      35 番 丸山栄一   10 番 荒井武志      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 藤岡義英      41 番 小池 清   16 番 髙島陽子      42 番 宮本衡司   17 番 小川修一      43 番 清沢英男
      18 番 中川宏昌      44 番 垣内基良   19 番 浜 章吉      45 番 鈴木 清   20 番 酒井 茂      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 和田明子      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      57 番 望月雄内   54 番 村石正郎      58 番 古田芙士   55 番 萩原 清  欠席議員(1名)   56 番 服部宏昭         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    建設部長      長谷川朋弘   副知事       太田 寛    建設部リニア整   副知事       中島恵理    備推進局長     水間武樹   危機管理監兼危           会計管理者兼会   機管理部長     池田秀幸    計局長       塩谷幸隆   企画振興部長    小岩正貴    公営企業管理者   総務部長      関昇一郎    企業局長事務取扱  小林 透   県民文化部長    角田道夫    総務参事兼財政   健康福祉部長    大月良則    課長        伊藤一紀   環境部長      高田真由美   教育長       原山隆一   産業政策監兼産           教育次長      轟 寛逸   業労働部長     内田雅啓    教育次長      三輪晋一   観光部長      熊谷 晃    警察本部長     内藤浩文   農政部長      山本智章    警務部長      野﨑美仁   林務部長      山﨑 明    監査委員      田口敏子         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課担当係長   神戸圭一郎   議事課長      村松敏伸    議事課主査     山崎紀子   企画幹兼議事課           総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐      小松健一    総務課担当係長   矢沢美由紀         ───────────────────  平成30年12月5日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(鈴木清 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(鈴木清 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、清沢英男議員。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)おはようございます。初めに、積雪道路の見える化について伺います。  国交省と警察庁は、大雪時の道路交通確保を目的に、チェーン規制に関する法改正を検討中で、チェーンを装着していない車両通行どめの標識を新設するとか。今年の1、2月の山陰地方での突発的な大雪で大規模な交通障害が発生したことに起因する動きのようですが、改正案は、この12月上旬、公布、施行の予定ということであります。  建設部長に伺ってまいります。  かかる法改正につき、詳細の情報をつかんでおられたらお聞かせいただきたい。積雪は間近に迫っています。県民の皆さんの準備にも影響することであります。スタッドレスタイヤでしのいできた雪道ですが、チェーンの用意が必要となればそれなりの対応をしなくてはなりません。  次に、思うことは、昨今の異常な積雪についてであります。聞いたこともなかった雨氷災害や未曽有の豪雪を思い起こします。豪雪は、4年前の2月8日、県内は大量の上雪に見舞われました。その雪が解けないでいた14日、覆いかぶさるように再度の豪雪があり、結果、東信や南信を初め県内各地で交通や農業ハウスに甚大な被害をもたらしましたが、いずれの降雪も南岸低気圧の通過によるものでした。今冬の長期気象はエルニーニョ現象による暖冬との予測があると同時に、1、2月には南岸低気圧がやってくるだろうという予測もあり、大雪に対する十分な備えをすることが重要になると思います。まずは、過去に県が体験したような豪雪による交通の大規模障害の回避策について具体的にお示しいただきたいと思います。  続いて、備えの一つとして、道路の積雪状況が手にとるようにわかるライブカメラについて伺います。  ライブカメラは、スマホでも簡便に見ることができます。国管理の国道には多くのライブカメラが設置されていて監視体制もとられていますが、県管理の国道や県道にはそれが十分とは言えない現状ではないかと思いますが、いかがでしょうか。  また、地域によって設置数に差があることもなぜだろうというふうに思います。松本圏域では、安曇地域の国道158号線周りに多くのライブカメラが作動していますが、これはむしろ大雨による地すべり対策として大切な役割を果たしているものと思われます。  松本圏域でほかにも設置してほしい例を挙げて考えてみます。長野道の安曇野―更埴インター間は、積雪による車両事故でしばしば閉鎖になります。その際の迂回路としてまず国道19号が考えられますが、これも大渋滞を起こしていた場合、勢い、さらに代替として国道403号、県道大町麻績インター千曲線、同丸子信州新線等に車両は走り込んでまいります。しかし、この代替路線のカメラ設置は修那羅峠の1カ所のみであり、もっと多くの設置を望む声が一般車のドライバーや運送事業者から寄せられています。これからの雪道を心配すれば、より安心なコースを選択したいという心理はよくわかります。  そこで、客観的に見ても県全体で設置密度に地域差があると思うのですが、その解消や当該路線のライブカメラ設置について部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)チェーン装着の義務化についてのお尋ねでございます。  去る11月1日に国土交通省が開催した冬期道路交通確保対策検討委員会において、大雪時の交通確保を目的としたチェーン規制導入の方針が示されました。公表されている資料では、過去に立ち往生が発生している箇所、または道路縦断勾配5%以上の箇所を予防的通行規制区間として抽出し、大雪警報の発表、降雪見通し、チェーン着脱場などの施設状況を踏まえ、集中除雪やチェーン規制を順次導入するとしております。  また、あわせて、タイヤチェーンを取りつけていない車両通行どめの規制標識の新設について12月上旬の省令改正を予定していると伺っています。詳細な導入の時期や区間についてはまだ示されておりませんが、国からの情報や動きについて引き続き注視してまいります。  次に、豪雪による交通の大規模障害の回避策についてのお尋ねでございます。  県内では、大雪により、平成26年2月に茅野市や軽井沢町で高速道路などが最大5日間にわたり通行どめとなったほか、同年12月には大北地域の国道において車両滞留が発生し、災害対策基本法に基づく放置車両対策の区間指定を行い、滞留車両を排除しました。このような経験から、除雪優先路線の設定、市町村や隣接県との相互除雪、道路情報の一元化、各道路管理者、交通管理者との連携強化など、除雪体制強化に向けた取り組みを行ってきております。  また、県内では、国直轄道路において、大雪時に車両の大規模な滞留が発生しないよう早目の通行どめによる集中除雪区間を9区間設定しておりますが、この冬から、県管理道路につきましても17区間を設定し、大規模な車両滞留の抑制を図ることとしております。今後も、国や高速道路会社、警察など関係機関との情報共有や連携を密にしながら、大雪時の道路交通確保に努めてまいります。  次に、道路の積雪状況等がわかる道路情報カメラについてのお尋ねでございます。  県では、積雪や路面状況、交通渋滞の有無など、道路管理者としての状況把握や道路利用者への情報提供を目的に、気象条件や路線の重要性等を総合的に勘案し、道路情報カメラの設置を進め、現在38路線、77カ所の情報を提供しております。また、国直轄国道につきましては、5路線、81カ所でありまして、路線の重要性からも県管理道路と比較して多い状況となっております。道路情報カメラは、効率的に道路を管理する上で、また、利用者の利便性向上の観点からも大変有効と考えており、必要に応じ設置を進めてまいりたいと考えております。  次に、高速道路の代替路線等への道路情報カメラの設置についてのお尋ねでございます。  議員御指摘の国道403号など長野道の代替路線への道路情報カメラの設置については、大雪時における当該路線の積雪や路面状況等の把握の観点から今後さらなる充実が必要と考え、必要な箇所への追加設置を検討してまいります。  また、このほか、道路情報の少ない地域への設置についても、交通量や道路状況などの設置の必要性を勘案し、的確な道路情報の提供、把握ができるよう検討してまいります。  以上でございます。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)次に、インバウンド等観光政策についてお尋ねいたします。  昨年、長野県の外国人延べ宿泊数は100万人を超え、対前年比17%強の増加で、これは調査開始以来の最高値と言います。国別の構成比は台湾が圧倒的に多く、4分の1を優に超えています。続いてオーストラリアが15%弱、中国、香港が9%台、アメリカ、タイ、シンガポール、韓国が4から3%台という順番です。月別では冬や春先の入客が多いという傾向も見られるそうです。  それらを踏まえて総合的に考えるとき、観光事業者や受け入れ先の宿泊施設からの声として、ふえ続ける外国人観光客に対して、かつての身振り手振りの対応をしていた時代から成熟した受け入れに磨きをかけるべきときで、おもてなしを基礎からきちんと固める必要があるというもっともな意見があります。  具体的に観光部長に伺ってまいります。  1点目は言葉についてですが、外国人が訪れる業種全ての店に○○語が話せる店という表示を共通ステッカー等でアピールすることも観光政策の大事な一つだと考えますが、いかがでしょうか。  2点目、ハンディキャップを抱えた方に対しての適切な対応もできなければなりません。そのためには、障害全般に広い知識が必要になります。受け入れ側がそれを習得することも磨きをかける意味で必要でしょうが、その方策は考えておられるでしょうか。  3点目は食事や料理であります。観光部でも国や宗教による対応テキストを出して対策していますが、調理に当たる職人さんが人手不足の昨今、職場をかわることも日常で、その場合、継続的に外国人へ対応する基礎的知識が欠けてしまうことが心配されます。店のオーナーはわかっていても、現場で働く人への情報提供はどのように対応できているかお尋ねいたします。  4点目、地産地消についてであります。海のある県の宿泊施設の方々は漁師さんとの関係を密接にしていると聞きます。長野県は、そういう意味で、観光に携わる方々が積極的に農業者の皆さんと関係を深く持って、野菜や伝統的食材について外国人の皆さんの食卓においしく提供することが求められます。そういった食と農の関係づくりに観光部がかかわることも大事だと思いますが、いかがでしょうか。  申し上げた事柄は、外国の皆さんにかかわらず、国内で増加するシニア世代の旅行者にも喜ばれることだと思います。  知事に伺います。  一つに、観光全般にわたっての基礎や発展的知識は、インバウンドのみならず国内からの誘客にも必要なことであり、今後の観光立県を標榜する長野県にとってはその成否が県の浮沈にかかわることでもあると考えます。よって、白馬高校に設置した観光科はもとより、技術専門校でも観光に関する専門科を設置したり、接客に携わる人や料理する皆さんの技能を段階的にでもアップできるコースを設置すべきと考えますが、お考えをお聞かせいただきます。  二つに、道路の問題です。こういう例をお聞きしました。ハワイからの訪問客を乗せた大型バスが、残念ながら狭くて暗くて整備の進んでいない山合いの県道をようやくにして宿泊施設に到着したとき、緊張感から解放された乗客がほっとして大喜びしたというのです。バスのドライバーは所属会社に電話して、こんな道を二度と通らせるな、そう抗議していたとのことです。結果、宿泊施設のおもてなしには外国の皆さんも満足して帰られていますが、道路に対する不満は残ってしまいました。  道路整備の一般論で、通行量でのBバイCで考えればかかるケースの優先度は高くないかもしれませんが、観光と道路という視点での投資は別枠で考えるべきで、結果、観光経済を伸ばすことができれば、B、ベネフィット、便益は大きくなると思います。それには知事の決断を要しますが、御所見をお聞かせいただきます。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)私には4点御質問をいただきました。  まず、外国人向けの共通ステッカーについてのお尋ねでございます。  さきに策定した長野県観光戦略2018では、外国人観光客受け入れ環境整備は極めて重要な課題として位置づけております。具体的な施策の検討の中で、共通ステッカーの掲示もその一案として議論しているところでありまして、現在、外国人の皆さんからさまざまな御意見をお聞きしているところでございます。  議員御指摘のとおり、店舗や各施設が積極的におもてなしの気持ちを形にして表示していくことは今後稼ぐ観光地域づくりを進める中で重要でありますので、無料Wi-Fi環境の整備や多言語表示メニューの設置、キャッシュレス対応や異文化への接し方など実体的な対応とあわせてどのような方策が有効であるのか引き続き研究し、できるところから対応してまいりたいと考えております。  なお、商店街やDMOなど地域が一体となっておもてなしを基礎から高めていくためには、インバウンドで稼ぐという目的意識を持つことが重要でありますので、今年度中に立ち上げます長野県インバウンド推進協議会における取り組みやDMOの形成支援を通して、自発的な受け入れ環境整備の取り組みを支援してまいります。  次に、ハンディキャップを抱えた外国人観光客の受け入れについてでございます。  そもそも外国人旅行者は、言語の違いのほか、生活習慣や旅行に対する考え方の違いなどが少なからずあることから、特にハンディキャップを抱えた方に対しては丁寧な対応が必要であると認識をしております。  国においても、平成27年7月に観光庁が訪日外国人旅行者向けユニバーサルツーリズム情報発信事業報告書を発表し、情報発信の内容や方法、相談対応の体制構築等について方向性を示して以来、インバウンドにおいてもユニバーサルの視点が重視されてきております。県としましては、これらを参考にしながら、本年7月にユニバーサルツーリズムに意欲のある事業者の皆さんと立ち上げましたユニバーサルツーリズム推進会議において具体的な事例の収集や配慮すべき事項等の研究を深め、その考え方を広く県内に普及してまいりたいと考えております。
     次に、調理師の外国人対応に関する基礎知識についてでございます。  食は旅において大きな楽しみの一つであることから、外国人観光客のおもてなしを考える上で、ムスリムのためのハラールフードを初め、ベジタリアン、ビーガンの方々への対応など、食事への配慮は大変重要だと考えております。県といたしましては、これまでに、観光事業者を対象にしたムスリム対応研修会を開催するほか、国が作成した飲食事業者のためのインバウンド対応ガイドブックムスリムおもてなしガイドブック訪日ユダヤ人旅行者ウエルカムハンドブックといった各種ガイドブック県ホームページへ掲載するなど、食文化の違いに対応する知識の普及に努めてまいりましたが、今後より実効性のある取り組みを進めていく必要があると考えております。  県内には三つの調理師学校があり、そのカリキュラムには、ハラールフード等を含む海外の食文化を学ぶ授業も盛り込まれております。また、県調理師会においても毎年各種研修会を実施しておりますので、今後は、これらの団体と連携して、現場の調理師の皆さんが継続的に直接インバウンド対応の食の知識を得られるような取り組みを進めてまいります。  最後に、食と農の関係づくりについてでございます。  観光部では、平成22年度から県産食材を活用した食の魅力づくり実践講座事業を実施し、観光従事者の産地への訪問、農業者との交流を進めてまいりました。平成28年度からは、県内での交流、意見交換は主に農政部が担当し、観光部は県外へ向けた県産食材の魅力発信やモニターツアーによる産地との交流を行ってまいりました。  さらに、今年度からは、信州の食を目的に訪れる国内外の観光客を増やすため、信州感動健康料理アカデミーを開催いたしまして、健康長寿長野県の魅力を伝えるメニューの開発や信州らしい提供方法の検討に取り組んでおり、県内の料理関係者のほか、農業者にも参画をいただいております。信州の食材を用いて新たに開発されたメニューが、今後県内の旅館、ホテルや飲食店で広く提供されていくためには、県内各地で多彩な県産食材が安定的に供給される必要がありますので、農政部と連携いたしまして、観光事業者と農業者との関係をより一層深めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)インバウンド観光の推進に関連して私には2点御質問いただきました。  まず、技術専門校への観光に関する専門科の設置等についてという御質問でございます。  観光業における人材の確保育成は、観光大県として長野県が発展していく上では大変重要だというふうに思っております。特に、現在、観光業における人材、人手不足は極めて深刻な状況だというふうに考えております。その対策についてまず緊急対応をするという問題意識を持って取り組まなければいけないというふうに思っております。  そういう観点で、今年度から観光インターンシップ推進員を配置して、観光を学ぶ学生と企業のマッチングの推進等を行っているわけでありますけれども、御存じのとおり、県内におきましては、この観光にかかわる人材を育成している機関は幾つもございます。大学においても、松本大学や長野大学、あるいは県内の専修学校や職業訓練校等におきましてもこの観光にかかわる人材の育成が行われているわけであります。  技術専門校での対応という御提案をいただいたわけでありますけれども、まずはこうした学校との連携をしっかり行っていくことが重要というふうに思っております。技専校で新たに対応するということになりますと、カリキュラムの策定であったり、教員の確保であったり、一定程度の時間もかかってしまいます。むしろ既にこうした観光人材の育成に取り組まれている方々と私ども県とがしっかり問題意識を共有して取り組んでいくことが即効性のある人材育成確保につながっていくものというふうに考えております。今後ともこの観光人材の育成に我々としてもしっかり問題意識を持って取り組んでいきたいと考えております。  それから、観光地へ通じる道路の整備という御質問でございます。  この観光と道路という視点での道路整備投資は別枠で考えてはどうかという御質問でございますが、私どもも、観光県として、この観光地へのアクセス道路の整備にしっかり意識をしながら取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  しあわせ信州創造プラン2.0の中でも、このアクセス道路の整備については主要な施策として位置づけ、事業を推進していくこととしております。当初予算に加えて、9月補正予算においては防災・減災の観点で、また、11月定例会、今定例会におきましてはゼロ県債を設定して早期着手を図っていくための補正予算を提案させていただいているところでございます。引き続き、国の交付金事業あるいは県の単独事業によりまして観光地へのアクセス道路の整備を重点的に進めていきたいというふうに考えておりますし、そのために必要な予算の確保にも努めていきたいと考えております。  以上です。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)言葉のことですが、今ではスマホを通してその外国語を自動的に翻訳してくれるという話であります。そういう意味で、Wi-Fiなど実体的な整備をして対応していくという部長の答弁ですので、よろしくお願いしたいというふうに思います。  次に、木質バイオマス発酵熱利用の農業について伺います。  冬場の農業ハウスでは、作物が必要とする熱源に化石燃料を利用している例がほとんどだと思います。木質バイオマスを利用する場合でも、まきやペレットを燃やすことでボイラー等の熱源としています。  こういう直接的に火を燃やしての熱ではなく、発酵熱でカロリーを確保するという方法でハウス内の植物を生育させている例があります。かかる知識を教えてくれたのは松くい虫被害に悩む地域の方であります。一帯に広がる枯損木を見るに見かねて何とかできないだろうかというのが発想の原点です。伐倒処理だけでなく有効に活用できる方法はないだろうかと考えたとき、枯損木をチップ化してハウス内で発酵させ、その発酵熱と光合成に必要な二酸化炭素を確保してのハウス農業が可能であること、その形態で実際に作物栽培する例があること、化石燃料に頼ることのない持続可能な農業の一つの形として発展させることができるのではないか、効果的という学説もあると、そう考えられたのであります。  そこで、まず農政部長に伺います。  かかる木質バイオマス発酵熱利用でのハウス農業について、持続的農業を推進するという立場から、その有効性についてのお考えをお聞かせ願います。  また、もうかる農業という観点でのメリット、デメリットについても御所見をお聞かせいただきます。  続いて、林務部長に伺います。  松くい虫被害の枯損木だけでなく、森林整備による間伐材もチップ化して有効利用すれば発酵熱利用のハウス農業に生かせる場合もあるのではないでしょうか。林務部として、農政部と情報共有し、チップの利用につき支援していく必要があるかどうか、その可能性について伺います。  また、論点を変えますが、県内各所で民間独自の未利用材によるバイオマス発電所ができる予定との報道があります。F・POWERも含め、民間事業者がバイオマス発電に乗り出したとき、引き出し可能な材がどのくらいあって何年その消費に耐え得ると計算できるのか、切り出しやすい山の下半分が裸になるのではないか、そんな疑問を持ちますが、林務部の予測をお聞かせいただきます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)木質バイオマス発酵熱の利用についてのお尋ねでございますが、ハウス栽培における発酵熱の利用による暖房は、議員御指摘のとおり、石油など化石燃料の使用量を減らし、地域資源の有効活用につながるものとして、持続的な農業を推進する上で有効な方法の一つと考えております。  また、燃料費の削減による経営コスト削減につながる可能性があるとともに、発酵過程で発生する二酸化炭素には作物の成長を促進する効果があることから、作物の状態に即した活用を行うことにより収量の増加などのメリットも期待できるものと考えております。  一方、発酵熱の利用につきましては、自然発酵により発生した熱などを利用することから、生育に合わせた温度等のコントロールが難しいことが課題でありまして、また、もうかる農業の観点からはコスト面の検討も必要と考えております。  県内では、民間企業の取り組み事例があり、また、県外においても発酵熱利用の実証試験が行われていると聞いておりますので、これらの取り組みを注視してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)2点御質問をいただきました。  初めに、木質バイオマスの農業利用についてのお尋ねでございます。  まず、農業用ハウスへの木質バイオマスによる発酵熱の利用についてですが、身近なところで地域の木材を利用するということは重要なことでありまして、国の林業・木材産業成長産業化促進対策交付金の補助メニューにおいては、木質バイオマスエネルギーの利用施設整備に対しても支援することは可能とされています。ただし、事業実施に当たりましては、事業規模や、それに応じた原料となる森林資源の調達区域及び方法、地域林業との関係などを具体的に明確にしていく必要があると考えております。  林務部といたしましては、木質バイオマスの利活用を通じ、本県の森林資源の適切かつ持続的な利用に資する取り組みを支援するという観点で農政部と情報共有しながら対応してまいりたいと考えております。  次に、木質バイオマス発電への燃料用木材の供給についてのお尋ねでございます。  長野県の民有林人工林資源量は約9,000万立方を超えておりまして、その毎年の増加量、すなわち持続的な利用可能量は毎年約120万立方と着実に充実しているため、木材の供給能力は十分あると考えています。  また、本県森林面積の約4割を占める国有林においては、現在、国において川下側と連携した複数年にわたる立木処分方法の検討をいただいているところでございます。本年5月から11月にかけて県内の主要林業事業体42社に対して聞き取り調査を実施したところ、森林経営計画の積極的な樹立や高性能林業機械の配備等により、素材生産量は過去4年で約1.4倍の増加となっており、加えて、低質材の販路が必要という声を多く聞いております。  また、本県の民有林は、依然間伐を必要とする森林が多く、平成29年度の間伐実績による切り捨て量を試算しても35万立方は林内に捨てられていると見込んでいるところでございます。  なお、発電の場合は利用量が大きくなるので地域バランスが重要であり、具体的な計画と地域の状況を見定めていくことが重要と考えております。  木材供給に向けては、関係団体の認定による合法性、持続可能性の証明制度の活用の徹底や市町村森林整備計画、森林経営計画、伐採、造林の届け出制度等の適切な運用により、森林資源の適正かつ持続的な利用と管理を確保してまいりたいと考えております。  あわせて、新たな森林管理においては、持続性に配慮した事業体が参画できるよう準備を進めてまいる所存でございます。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)林務部長の御答弁、大丈夫だろうということであります。これからもよく見ていきたいというふうに思います  その発酵熱農法についてですが、これに携わって5年という人が軽井沢におられます。深さ2メートル、15坪にカラマツチップを主にして盛り上げ、鶏ふんやぬかなどをまぜて雨ざらしにして発酵させる。そこに穴あき塩ビパイプを埋め、排出される4から50度CのCO2ガスをハウス内に導く。土づくりも肥料も水も暖房も要らない。キャベツは年6回、ナス、トマトは1年中できる。この栽培システムは信州大学との共同研究で国際特許を申請中と言いますが、欠点は、お話のとおり、夏場の高温。ハウス内は50度以上になりますが、外気を入れるとCO2濃度が下がるのでよくない。そこで、山の水をハウス内の壁にホースではわせて温度を下げる。このCO2ガスは、通常の燃焼後排出される二酸化炭素と性質が異なり、比較すると植物の生育に大きな差が生じ、発酵熱のものは根が小さくても葉や茎は通常よりもかなり大きい。養分を気体から吸っているのではないかとのことです。  また、昨年、富山県の農家が行う発酵農法での取り組みが環境省の委託事業として採択され、実証実験を行っているという報道もあります。さらに、カーボンニュートラルの二酸化炭素であり、環境にも優しい農法と言えます。さまざまなことに挑戦することは、ある意味夢のあることだというふうに思います。そんな面でも県政を動かしていってほしいと願い、質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)次に、丸山栄一議員。       〔35番丸山栄一君登壇〕 ◆35番(丸山栄一 君)それでは、順次質問をさせていただきます。  最初に、農業問題について質問いたします。  日本の農業は、農家戸数の減少や農業従事者の減少、高齢化、そして後継者不足など多くの課題を抱えているところでございます。実際、農林水産省の統計によりますと、平成22年の農業就業人口は約260万人で、うち65歳以上が約160万人、基幹的農業従事者は205万人となっております。しかし、平成29年度の農業就業人口は約181万人、65歳以上は120万人、基幹的農業従事者は150万人となっており、大幅な減少を見せているだけでなく高齢化が進んでいるところでございます。  同じく新規就農者の推移を見ても、平成21年には約6万5,000人だったのに対し平成29年には約5万5,000人となっており、最近は回復傾向にございますが、減少していることは確かな事実でございます。日本の社会全体も人口が減少しており、農業従事者が減少するのは仕方ないことではございますが、農業就業人口が減少ということは食料供給の問題にかかわることだけでなく、農村というコミュニティーの維持にもかかわる問題であり、根本的な施策が求められているところでございます。  そこで何点か質問をしたいというふうに思います。  農業の生産性や収益性の向上こそが諸課題の解決につながるというふうに考えております。農林水産省は、平成25年に、農林水産業地域の活力創造プランを策定し、スマート農業による効率的な農業経営の推進や高度な栽培技術の形式知化などに取り組み始めました。現在の産業を取り巻く状況は、AI、IoT、ロボット等の先進技術の進展等これまでにないスピードで目まぐるしく変化しており、県内産業の発展のためには、こうした変化をチャンスと捉え、時代の一歩先を見据え、変革し続けていくことが必要というふうに考えております。農業においても、AI、IoTを積極的に活用し、労働力の削減や効率性、生産性を向上につなげていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。  今後、農業の生産性や収益性の向上のためにはデータを活用したAI等の先進技術が欠かせず、農家を支援する側はもとより、農家自身も先進技術に対する理解を深めることが必要であると考えます。  農業分野においても、AI等の先進技術の対応に即応できる人材育成が急務であります。農業大学校においてこうした先進技術に関するカリキュラムの導入など、人材育成について取り組みをお伺いいたします。  また、農業者の高齢化、担い手不足等が懸念される中、AI、IoT、ICTなど最先端技術を生産現場に導入し農作業事故を減らす取り組みや、農産物の競争力強化のための高付加価値化を進めていくことが重要と考えますが、スマート農業に対します現状の取り組みと今後の対策についてお伺いをいたします。  新規就農者の確保のためには、農林水産省は、情報提供、人材育成、研修への支援や経営スタートに当たっての農地の確保、機械や設備の整備への支援などを基本計画に盛り込んでおります。しかし、農業の参入コスト、収益の不安定といった難しさもございます。近年、農業に興味を持つIターン、Uターン希望の若者も目立ってきておりますが、こういったコストと収益の問題が障壁となっているケースもございました。  具体的には、初期コストとして、土地や住居の確保、農業用機械や機材の購入、技術習得の研修などが必要となってまいります。また、事業を開始しても、肥料や機械のメンテナンス費用、人件費など継続的なコストがかかり、農家収入は一般的サラリーマンよりも不安定と言えます。新規就農者を増加させるためにはこういったコストや収入面での対策が重要と考えますが、県の対応策をお伺いいたします。  また、生産現場では、農業労働力の確保が喫緊の課題であり、農業者と労働者のマッチング、 JA、法人、産地間での労働力の補完をする仕組みづくりにどのように対応されていくのか、農政部長にお伺いをいたします。  次に、リンゴ黒星病でございますが、平成28年に津軽地域で多発し、治癒効果のあるDMI剤の効果が低下しているため、DMI剤を使用しない薬剤防除や菌密度を低下させるため、被害を受けた落葉並びに葉、幼果を処理する耕種的防除に取り組んでいるところでありますが、黒星病は、原因となる菌の胞子が雨や風に乗って分散し、他の木に移るなど感染力が強いのが特徴であり、青森県全域で発生し、増加傾向にございます。  長野県においても、松本地域の圃場で県外から購入されました苗木から県内で初めてリンゴ黒星病のDMI剤耐性菌が確認されました。感染すると葉や実などに黒い病班が発生し、食べても害はございませんが、生果としては出荷できなくなり、拡散、蔓延が非常に心配されているところであります。近年は、農家の高齢化で放任園もふえて、管理の行き届かない園もあり、耐性菌が蔓延や定着すると、長野県のリンゴ産業が根幹から揺るがされる事態となってしまいます。そこで、青森県や他県の黒星病の感染状況はどうなっているのかお伺いをいたします。  また、県内産苗木の供給不足も課題であり、高密植矮化栽培向けのフェザー苗木の増産体制についてもお伺いをしたいと思います。  生産者は、関係機関の指導に基づき、これまで発病した葉の摘み取りなど耕種的防除や農薬散布の実施をしてまいりました。しかし、防除にも限界があり、治癒効果のある新規防除農薬の早期開発が待たれるところでございますが、リンゴ黒星病の蔓延防止に係る技術対策の確立と支援について農政部長にお伺いいたします。  農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律が施行されました。現在、相続未登記及びそのおそれがある農地は全国の農地の約2割に当たる93.4万ヘクタールで、そのうち88万ヘクタールは現状耕作されておりますが、これらの農地が共有地である場合、共有地の過半の同意がなければ貸し付けができず、農地の利用集積、集約を進める上で貸すに貸せない状況にあります。そのため、相続未登記農地等の利用集積、集約化を促進するため、所有者不明農地について相続人の1人が農地中間管理機構に貸し付けできるよう一定の範囲に限定をし、農業委員会の探索、公示手続を経て不明な所有者の同意を得たとみなす制度が創設されました。設定される利用権の存続期間の上限も20年に延長されたところであります。  また、農業用ハウス等を農地に設置するに当たって農業委員会に届け出を出した場合に、内部をコンクリート張りとした場合であっても農地転用に該当しないこととなっております。このため、現場の実態に即した運用が求められ、農業委員会の果たす役割は大変重要となっております。本県の相続未登記農地等の現状はどうなっているのかお伺いをいたします。  また、農業委員、農地利用最適化推進委員及び事務局の果たす役割は大変重要であります。体制強化について県の対応を農政部長にお伺いいたします。  次に、関係人口の創出についてお尋ねいたします。  人口減少、少子・高齢化が急速に進む我が国において、新たな地方創生の方策として注目を集めているのが関係人口等であります。日本創生会議の増田レポートで、人口減により全国896自治体で消滅の可能性が指摘されております。  先ごろ公表されました地域別将来推計人口の分析によれば、2017年の東京圏への転入超過は約12万人、国が雇用創出や子育て支援等の地方創生政策を進めているにもかかわらず、地方分散や移住・定住推進は停滞し、残念ながら地方への人口分散は進まず、都会の人口集中のトレンドはまだ続いているところであります。全国の地方自治体が移住・定住に力を入れておりますが、どこかの定住人口がふえれば、結局どこかが減ることになる。そんなゼロサムゲームではなく、人口が減ることなく、人口がふえ、地域を元気にできる第三の人口であります。  関係人口とは、移住した定住人口ではなく、観光に来た交流人口でもない、地域や地域の人々と多様にかかわる人々のことを指します。地方では、人口減少、高齢化により地域づくりの担い手不足という課題に直面しておりますが、地域によっては若者を中心に変化を生み出す人材が地域に入り始めており、関係人口と呼ばれている地域外の人材が地域づくりの担い手となることを期待しているところであります。  また、関係人口には、観光地へ訪問をきっかけに段階的に移住に至る人々もあれば、移住はしなくとも、特産品の交流やふるさと納税など、思いを寄せる地域に積極的に関心を持ち続け、貢献しようとする人々も存在いたします。  本県も、今後高齢化が進み、生産年齢人口は急激な減少が予測されます。今後の経済や文化活動を維持するためには新たな担い手の確保策を講じなくてはなりません。今後積極的に取り組むべきと考え、質問をいたします。  まず、関係人口については、地方創生に向け今後取り組むべき課題解決のための有効な考え方であり、きちんと政策に落とし込み、推進していくことが必要と考えますが、御所見をお伺いします。  また、関係人口の創出について、県は現在どのような取り組みを行っているのか、現状について企画振興部長にお伺いいたします。  関係人口の創出については全庁的な対応が必要と考えます。平成30年1月に総務省より出されましたこれからの移住・交流施策のあり方に関する検討報告書においては、都道府県は今後の取り組みの主体となる市町村に対し、情報提供等の支援や、広域的な観点から関係人口を創出する取り組み、コーディネート機能を担う人材の育成プログラムの開発や研修の実施をすることなどが考えられるとされているところでございます。そのため、今後具体的な関連施策を展開していくべきと考えますが、どのような取り組みを行っていこうとお考えか。また、取り組みの主体となる市町村に対し積極的に取り組んでいくべきと考えますが、企画振興部長の御所見をお伺いいたします。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)農業問題につきまして9点の御質問をいただきました。順次お答えをいたします。  まず、1点目の農業分野のAI、IoTの活用についてでございますが、近年、AIなどを使った先端技術の開発が急速に進んでおりまして、例えば水田の農薬、肥料散布を行うドローンやブドウ栽培の作業効率をアップさせるアシストスーツ、畜産では自動搾乳ロボットや牛の出産を監視するシステムなどが実用化され、市販化されているところでございます。県といたしましても、担い手の減少や高齢化が進む中で、農作業の省力化や効率化は喫緊の課題と考えておりまして、AI、IoTを活用した先端技術の積極的な導入を進め、農業の生産性向上を図っていくことが必要と考えております。  2点目のAI等の先端技術に即応できる人材の育成についてでございます。  県農業大学校では、現在、スマート農業に係る基礎的な講義を行うとともに、農業機械メーカーと連携し、土壌の状況に応じて肥料の量を調整できる田植え機など最新の農業機械の操作方法を習得する授業を実施しているところでございます。  今後、さらなる先端技術教育の充実に向け、スマート農業の先進的な研究者などによる講義や大学校の圃場でのドローンを活用した生育診断の実施、県内でスマート農業を実践している農業法人への視察研修などを検討してまいります。  3点目のスマート農業の活用による農作業事故防止や農産物の高付加価値化についてでございます。  県では、現在、機械メーカーなどと連携し、危険な傾斜地などでの草刈り作業の負担を軽減する水田畦畔除草機の開発を進めているほか、圃場ごとの作業の難易度を見える化する生産管理システムの活用支援など農作業事故の低減につながる取り組みを推進しているところでございます。  また、高付加価値化につきましては、水田の水の深さなどを計測するセンサーを活用し、酒米の品質向上を図る取り組みなどを支援しております。今後は、水田畦畔除草機の早期市販化への支援や果実の糖度を瞬時に計測できるセンサーの導入による果物の高付加価値化の推進など、先端技術を活用した取り組みの拡大について検討してまいります。  4点目の新規就農者の支援対策についてですが、新規就農者の参入に当たっての支援といたしましては、機械購入や施設整備などに当たり、無利子の青年等就農資金が活用でき、昨年度は130人の就農者に6億5,000万円余が融資され、営農開始を後押ししております。  また、就農直後の収入面での支援では、最長5年間、年間最大150万円の交付が受けられる農業次世代人材投資事業により、昨年度499人に6億6,000万円余を交付しております。県では、これら制度の有効活用を推進するため、普及センターが申請手続などに当たり、きめ細かなサポートを行っております。今後とも、新規就農者のニーズに沿った支援策に取り組み、新規就農者が確実に定着し、担い手が増加するよう努めてまいりたいと考えております。  5点目の労働力を補完する仕組みづくりへの対応についてでございますが、県の調査では、昨年度、農作業請負組織や農作業ボランティア、シルバー人材センターなどの活用により、42の市町村におきまして2,906戸の農家が労働力補完の取り組みを行っております。県では、JAグループと連携し、労働力補完の取り組みをさらに拡大するため、7月に市町村や団体の関係者を対象にした研修会を開催し、中野市におきます猫の手援農隊の取り組みなど各地域の先進的な事例を学び、労働力補完に関する情報の共有を図ってまいりました。  また、JAグループが中心となって検討を進めております労働者とのマッチングや産地間の連携などを行う長野県全域での新たな推進体制の構築につきまして県も参画し、ともに検討を重ねているところでございます。  6点目のリンゴ黒星病の感染状況についてでございますが、青森県では、平成28年にリンゴ黒星病のDMI剤耐性菌が確認され、病害虫防除指導情報を発表しております。また、平成30年には秋田県、富山県、岐阜県でも耐性菌の確認を公表しており、感染地域が拡大している状況にございます。各県における感染状況の詳細は公表されておりませんけれども、青森県では、津軽地域での発生が増加しているとして本年5月に注意報を発表しておりまして、感染が続いているものと考えております。  7点目のリンゴフェザー苗木の増産体制についてでございますが、フェザー苗木は、高密植矮化栽培の拡大に伴いその需要が高まっておりまして、平成30年産は約12万本の供給体制となっており、前年より2万本ほど増産する見込みでございます。他県におけるリンゴ黒星病の感染拡大を踏まえまして県産のフェザー苗木の重要性が高まっていることから、引き続きJAグループと連携しまして、増産に必要な台木の確保、苗木生産者の生産体制の強化に向け一層の支援を進めてまいります。  8点目のリンゴ黒星病の蔓延防止対策についてでございますが、蔓延防止にはDMI剤以外の農薬を活用した効果的な防除が重要になることから、果樹試験場におきまして耐性菌に効果のある農薬を組み合わせた新たな防除体系を策定しまして、現在、農業改良普及センターやJA等を通じて農業者への周知に努めております。  また、新たな防除対策の開発や新規農薬の速やかな登録などにつきまして先ごろ国に対して要請を行ったところでございます。引き続き県及び10広域に設置した対策チームが中心となりまして、発生圃場の追跡調査に基づく防除指導や新たな防除体系にかかわる指導会の開催など現地の状況に応じたきめ細かな技術支援を行ってまいります。  最後に、相続未登記農地等の本県の現状でございますが、平成28年8月時点におきまして約3万1,000ヘクタールで、農地面積の約22.6%となっております。このうち、耕作されている農地は約2万7,000ヘクタールでございます。県では、相続未登記農地の発生を防ぐために、農地を相続した場合の農地法上の届け出にあわせまして相続人が登記の手続を行うように農業委員会に対して働きかけをしております。  また、農業委員会の体制強化についてでございますが、平成28年の農業委員会法の改正によりまして、担い手への農地の集積、集約化、遊休農地の発生防止、解消などが最も重要な業務として位置づけられまして、本県におきましては、ことし9月に全市町村の農業委員会が新体制に移行しまして、その推進体制の強化が図られたところでございます。
     県では、農業委員会が農地のマッチングや農地利用状況調査などを円滑に行えるように研修会等を実施するとともに、農地集積や遊休農地解消の実績等に応じて支払われます交付金が積極的に活用されますよう推進いたしまして、一層の成果が得られるように支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)関係人口の創出につきまして大きく3点御質問をいただきました。  まず、政策への落とし込みについてでございます。  本県は、移住したい県で常に上位に位置し、また、実際の移住者数も近年着実に増加するなど、これまでの移住推進の取り組みの成果が確実にあらわれてきているものと捉えております。しかしながら、今後は、移住という形だけではなく、多様な形で地域に継続的にかかわり、地域の活性化を担っていただく関係人口の創出も議員御指摘のとおり重要になってくると考えております。  この関係人口の創出につきましては、しあわせ信州創造プラン2.0の重点政策の一つに、つながり人口の拡大として掲げているところでございます。関係人口の形態には、2地域居住のほか、農地等のオーナー制度やふるさと納税など幅広く多様なものがありますので、県に求められる対応も多岐にわたってまいります。そのため、企画振興部が中心となり、関係部局の役割やかかわり方を明確にし、部局横断で関係人口の創出に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、取り組みの現状についてでございます。  これまでも、本県では、県外のIT人材を対象としたおためしナガノやときどきナガノ、都市住民を交えた棚田の保全活動への支援、県内外の企業や高校などによる森林整備への支援など、県外の方々とのかかわりを持ちながら実施するさまざまな取り組みを行ってまいりました。  加えて、今年度は、新たに総務省が公募いたしました「「関係人口」創出事業」モデル事業を活用しまして、つながり人口創出のための「信州・地域プラットフォーム」構築推進事業を実施しております。この事業では、長野市の鬼無里地区及び小川村におきまして、首都圏を初めとした都会の住民との協働により、地域の魅力発信や課題の解決につながる活動を行っています。ここで得られました知見、視点をさまざまな施策に反映させまして、つながり人口の創出に向け取り組みを強化してまいります。  3点目、今後の県の取り組みと市町村への支援についてでございます。  現在、信州暮らし推進に向けまして、移住、交流の新たな方針の策定作業を進めているところでございます。この方針では、自然環境を生かした山村留学や子育てに加えまして、多様な働き方の場の提供など本県の強みや課題を踏まえ、ターゲットを明確にした戦略的な打ち出しを検討しているところでございます。  また、先ほど申し上げましたモデル事業のほか、全国の取り組み事例も参考に、さまざまなノウハウを市町村と共有し、つながり人口の全県的な広がりを目指したいと考えております。この新たな方針の策定に当たりましては、市町村からの意見も丁寧に伺いながら十分に連携を図り、つながり人口の創出に成果が上がりますようともに取り組んでまいります。  以上でございます。 ○議長(鈴木清 君)次に、堀内孝人議員。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)自由民主党県議団、堀内孝人です。通告に従って順次質問をします。  最初に、高校募集定員の決定とその課題についてお伺いします。  私立高校と県立高校は所管が異なるため、それぞれの役割で生徒募集について検討を行うと思うが、受験生や保護者からはわかりにくいとの声があり、併願受験の増加、男子生徒の受け皿が少ない環境にあるため、今後、教育委員会の方針を明確にするなどして募集を行っていく必要があると思います。  義務教育期間の残りあと4カ月足らずとなりました現在、中学校3年生は既に来年4月の高校進学に向け受験期を迎えております。一部の私立高校では、段階的に行われる一般向けの入学試験を今月実施し、合否結果が発表されます。公立、私立においても、高校まで6年間一貫体制の県立中学で志望者が難関に挑む季節であり、いずれも先取りが特別なことではなくなっています。目下、長野県教育委員会が進める県立高校再編計画の中で、統廃合など学校数や定員などの縮小、削減が論議される中、これまで以上に私立高校の存在を無視することができません。現在は、2019年度の高校入学者の第2次の志望校調査が行われ、発表されるところとなっております。その数字は、今後の段階的な変更や調整に影響を及ぼしていく、また、従来型の高校のみならず、通信制、単位制の私立高校もあり、多様でユニークな課程を設け、全国的な生徒募集を展開している例もあります。長野県内の中学卒業生が新天地を求めて県外にも進学するとお聞きしております。私立高校は、学力のみならず、スポーツ活動や芸術文化活動などに秀でた生徒を対象にした生徒募集を行う歴史を持っております。  一方で、さかのぼれば、県立高校でも、いわゆる普通科高校偏重から実業系高校の魅力へと誘導することも目指した推薦型入試導入から40年近くたちました。現在は前期と後期に分けた選抜方式で、特別推進型制度も定着しております。このような決して一律ではない選抜方式も含め、多様な課程のあり方など、公立、私立、いずれも高校の魅力づくりは欠かせなくなっています。とりわけ、私立高校においては、建学の精神に基づいて持続的に学校運営を行いながら子供たちの成長を促し、学びの環境の最大化に積極的に取り組んでおります。  長野県は、伝統的に県立高校と私立高校で毎年の定員の調整を行ってきていると思いますが、それぞれの持ち味を生かしたバランスのとれた協議をどのように行っているのか、また、均衡ある募集定員の決定方法について原山教育長にお伺いします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)高校募集定員の決定等についてのお尋ねでございます。  県立高校と私立高校の募集定員につきましては、県教育長を会長とし、私立中学高等学校協会の代表を含む公私立高等学校連絡協議会で、公立、私立の協調体制のもと、毎年協議し、策定しているところでございます。全ての通学区に適正に学びの場を配置することを基本としている県立高校と、建学の精神に基づいて特色ある教育活動を行っている私立高校の双方にとって望ましい募集定員についてどうあるべきか。今後、急激な少子化が見込まれる中では、長期的視野に立った募集定員のあり方について検討する場が必要であるというまとめが本年6月の協議会においてなされたところであります。現在、その場の設置についての取り組みを進めているところでございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)来る2021年の大学入学者選抜もさま変わりすることから、高等学校の入り口においても受験生は大変に注目しております。丁寧な取り組みを要望し、次の質問に移ります。  次に、国体、全国障害者スポーツ大会の開催に向けた取り組みについてお伺いします。  2027年に開催予定の第82回国民体育大会、第27回全国障害者スポーツ大会に向けては、国体の競技力向上対策本部の設置、また、先月9日には、準備委員会の常任委員会において総合開閉会式場の決定や競技会場地市町村の第1次選定分の内定など、開催への準備が進められております。この両大会を開催するまでには、会場となる開催県において、スポーツ指導、支援する団体や健康医学系の全国規模の研修大会あるいはイベントが行われるのが慣例となっているとのことだが、これまで、日本体力医学会、全国スポーツ推進委員研究協議会といった規模の大きな全国大会がプレ国体のような形で開催されているとお聞きしております。  このような研究協議の場やイベント等を契機に、スポーツに連なるリソース、資源を県として束ね、ネットワーク化して、スポーツの競技力向上とともにスポーツ愛好家を拡大していくことで県民の意識を向上させ、その延長線上に開催協力者を確保していくことが重要であると考えます。  あわせて、2027年の両大会の開催までの9年余りの期間に、スポーツ関連の資源を総合的、包括的につなげながら、国体や全国障害者スポーツ大会においてより多くの県民に一体感のある参画を促し、スポーツに親しみ、健康を増進する主体となってもらうため、県が盛り上げていくことも求められているものと考えます。  そこで、国体の開催に向けては、多くの県民が大会にかかわり、県民一丸となって機運の醸成を図ることが重要であると考えますが、原山教育長の所見をお伺いします。  また、全国障害者スポーツ大会の開催に向けては、広く県民を巻き込んだ障害者スポーツの振興とあわせて、多くの県民が障害者スポーツに親しむ取り組みが重要と考えますが、大月健康福祉部長の所見をお伺いします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)2027年の国体の開催に向けた機運の醸成についてというお尋ねでございます。  第82回国民体育大会、そして第27回全国障害者スポーツ大会準備委員会では、来年3月までに新たに広報・県民運動専門委員会を立ち上げまして、両大会の広報活動や県民運動の推進、ボランティア支援、大会の愛称、スローガンやマスコット等に関する検討を開始する予定でございます。議員からいただきました御提案も含めて幅広くこの専門委員会の中で検討してまいりたいと考えております。  あわせて、国体の開催に向けては、より多くの県民がスポーツに親しめる環境をつくり出し、大会後にもつながるスポーツ文化を創造していくことが必要だというふうに考えております。 このため、国体に向けた競技力の向上対策に加え、学校と地域で支える子供のスポーツ環境づくりや、する、見る、支えるなどさまざまな形でスポーツに参加する人口の拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)全国障害者スポーツ大会開催に向けた取り組みについてお答え申し上げます。  本県は、これまで、1998年の長野冬季オリンピック・パラリンピックや2005年のスペシャルオリンピックス冬季世界大会を開催しており、ボランティア文化などの大会開催の遺産が長野県の発展に大きく寄与してまいりました。議員御指摘のように、2027年の障害者スポーツ大会は全国規模の競技会であり、障害者スポーツの振興や障害者理解を促進する絶好の機会であると考えております。全国障害者スポーツ大会へ向けては、競技力の向上とともに、身近で障害者スポーツを楽しむ場の確保、そこでの障害の有無を超えた交流の機会の提供、さらにそれを支える指導者の育成に取り組んでいくこととしております。本年6月には、日本財団パラリンピックサポートセンターとスポーツを通じた共生社会の創造に向けた連携・協力に関する協定を全国の都道府県で初めて締結し、障害者スポーツの交流イベントであるパラスポーツフェスタin軽井沢の開催、総合型地域スポーツクラブを中心に、障害のある人もスポーツを楽しめる拠点モデルづくりなど、障害者スポーツの普及の取り組みをスタートさせております。  さらに、2027年の全国障害者スポーツ大会の開催に向けては、長野県障がい者施策推進協議会に障がい者スポーツ部会を設置し、障害者スポーツの振興や障害者スポーツを通じた共生社会実現のための戦略的な方策についてこの12月に協議する予定であります。この議論の中で議員御提案の内容についても検討し、共生社会を象徴するような大会にしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)国体開催には多くの人の力が不可欠で、長野オリンピックの経験から、県の職員初め民間のボランティアを募って参加してもらう方式が必要ではないかとの声も聞かれます。盛り立てていく工夫や仕組みの検討も視野に入れていただければと要望します。  次の質問に行かせてもらいます。電力の地消地産についてお伺いします。  来年6月に軽井沢町で開かれるG20、持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合の歓迎態勢は推進協議会で準備が進められていることと思うが、このテーマに関して、長野県が進めている持続可能なエネルギー開発や供給など官民両部門においての取り組み状況について高田環境部長にお伺いします。  小布施町と地域企業等の出資による地域新電力、ながの電力が電力小売りを開始いたしました。同新電力の事業は、一般家庭や事業者向けに電力の販売を始めることとしており、地域内だけでなく、いずれは北信全体に100%自給自足の電力をという大きな期待も膨らませております。非化石燃料で自然エネルギーに由来した電気という持続可能性を全面に掲げ、その調達も松川の小水力発電所からで、再生可能エネルギーの活用が実現化しました。  一方、県の企業局も、2025年をめどに県内に新たな水力発電所を設置するとしております。2019年3月までに候補地を決める方針ということで、水力発電所設置場所検討のための部局横断の会議を8月に立ち上げ、翌月に設置候補地点を募集し、現場調査をした上で設置場所を決めるとの計画をお聞きしています。県全体で、今後地域課題解決に資する地域新電力の取り組みを含む電力の地消地産にどのように対応していくのか。全体的な中長期的視点からのビジョンについて現状を踏まえた御見解を高田環境部長にお伺いします。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)電力の地消地産についてでございます。  本県は、平成25年に策定いたしました環境エネルギー戦略に基づきまして、持続可能で低炭素な環境エネルギー社会をつくることを基本目標として施策を実施しているところでございます。  その一つの柱として、地域主導の再生可能エネルギーの普及拡大を掲げ、部局連携による小水力発電キャラバン隊や太陽光発電のための民間事業者への県有施設の屋根貸しなど、県、市町村、民間が連携した取り組みを進めているところでございます。  お話のありましたながの電力の事業につきましても、地域主導の発電事業といたしまして、県の収益納付型補助金により事業化を支援したものでございます。県といたしましては、今後も地域新電力の立ち上げなどを支援するとともに、企業局や関係する部局と連携をいたしまして、小水力発電、バイオマス、太陽光など地域に根差した再生可能エネルギーのさらなる普及拡大を図ることによりまして地域内経済循環に資する電力の地消地産を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)G20の県推進協議会の公式ウエブサイトも開設されたところで、有益な情報が発信され続けますよう願い、一切の質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)次に、中川宏昌議員。       〔18番中川宏昌君登壇〕 ◆18番(中川宏昌 君)この数年、数多くの自然災害を経験した長野県として、頻発する災害の現実を直視し、いつ大規模災害が起こってもおかしくないという状況を新たなステージと捉え、緊張感を持って防災・減災対策に取り組んでいく必要があります。防災・減災に対する意識は以前に比べれば向上し、各機関では災害に関するマニュアルが整備され、的確な対応に資する面がある一方で、単純化したシナリオに基づくマニュアルに頼り過ぎると想定していない現象が起こった際に対応することができないおそれがあります。想定外の事態をなくすべく不断の取り組みを行っていく必要があり、そのためには日ごろの訓練の見直しも必要であると思料されます。  長野県総合防災訓練は、災害対策基本法、長野県及び開催地自治体の地域防災計画に基づいて行われている中、関係する各団体が災害への協力と意識を高め、県民の防災教育や防災意識の向上へ結びついていかなければなりません。  過去4年間を振り返ってみますと、多くの関係者の協力のもと、平成27年度は千曲市、28年度は佐久市、29年度は飯田市、本年度は塩尻市と4圏域で開催されている中、総合防災訓練の運営費については、開催地自治体、広域連合等から県が支出する以上の金額の負担をいただいております。  ここで懸念されることは、訓練内容であります。これまで行われてきた訓練内容を拝しますと、火山噴火、地震、火災、豪雨、異臭発生等、前年踏襲の計画とも見受けられ、いわば設定確定型の訓練であるということです。起こり得る災害、被害想定など抱えている課題は地域ごと異なる中で、実際の対策への道筋がつけられるのか、また、現場で起こる災害のイメージと対処方法を考えることができるかなど地域特性というコンセプトをはっきりとさせて行う必要性があります。  また、応分の運営費の負担をお願いしている以上、開催地域の自治体を当事者とする計画を作成して地域防災力の向上に資する訓練を行うことが大事な視点です。実際に災害が起これば、訓練会場に参集した各団体の活動を指揮、統括するのは現地の首長を中心とした任務となり、その災害に対し、県は総力を挙げて被災自治体をサポートすることとなります。  その観点から、総合防災訓練は災害に対する各市町村の自助力を向上させるもの、また、その地域の課題を浮き彫りにしていくものでなければならないと思う中、実効性のある総合防災訓練のためにこれまでの防災訓練のあり方を検証し、本来の災害時の体制と同じであるということを意識した開催自治体で起こり得る災害と災害想定の絞り込みや、訓練の主体を当事者である開催自治体とし、県は当事者を支える訓練であることへの発想をもととした総合防災訓練への転換が必要と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)長野県の総合防災訓練のあり方についての御質問をいただきました。  長野県の総合防災訓練は、開催地の市町村との共催で実施をしております。地域住民の皆様方や関係防災機関の皆さんにも御参加をいただく中で実施をしているところであります。県と市町村の共催ということでありますので、あくまでも市町村域を超えるような大規模な災害を想定いたしますし、また、その対応も広域的な観点による対応ということで、例えば自衛隊の皆さんにも御協力いただいて、個々の市町村レベルだけでは対応できないような災害を想定して訓練を行っています。  現場の主体は御指摘のように市町村でありますが、この県の総合防災訓練の視点はやはり広域にならざるを得ないというふうに思っております。県としての役割をしっかり前面に立てながら、市町村とも連携して訓練を行うという形になります。  訓練の内容についてでありますが、これは開催市町村の皆さんとともに検討を行って決定しております。そういう意味で、地域の課題にしっかり向き合うようなテーマ設定をさせていただいております。例えば、平成28年度は佐久市で行いましたが、この場合には浅間山の噴火を想定いたしましたし、また、昨年度の飯田市では天竜川の水害、そして、今年度の塩尻市における訓練では糸魚川―静岡構造線断層帯の地震ということで、それぞれの地域で起こり得る災害を想定した訓練を行っているところでございます。  また、訓練内容の企画から実行までの過程におきましては、地域住民の皆様方や防災関係機関等参加者同士が協議を重ねる中で、顔の見える関係の構築にも努めてきているところでございます。今後も地域の特性に応じた内容となりますよう開催地の市町村と十分調整を行いながら、また、さまざまな知見や実際に起こっている各地での災害の具体的な課題を取り入れながらより実践的な訓練になりますよう常に改善を心がけていきたいと考えております。  以上です。       〔18番中川宏昌君登壇〕 ◆18番(中川宏昌 君)より実践的な訓練をお願いしたいと思うんですけれども、この県の総合防災訓練を見た県民からは、大規模な訓練で驚いた、こういう声もありました。県の防災能力を見せていこうという観点も大事だと思うんですけれども、各地域での被害想定が違う中で、私は、見せる訓練から実質的な訓練へ、より進化を遂げていかなければならないと考えております。  また、御存じのとおり、少子・高齢化が進行する中で、災害に携わる人も変わってきている状況でありますので、訓練を目的化せず、諸課題を具体化できるような防災訓練になりますよう申し添えさせていただきたいと思います。  次に、がん対策の取り組みについてお伺いいたします。  国立がん研究センターによれば、2016年にがんで死亡した死亡者数及び死亡率の一番多い部位は肺との報告がされ、本県においても肺がんが最も多い死亡率であり、本県のがん対策の推進に当たり、肺がんの死亡率の抑制が課題であります。  総務省が公表している2016年度の肺がん検診の受診率は全国平均7.7%にとどまっており、検診受診率の目標値50%とは大きく乖離している状況です。本県は、平成29年に発表した数値では53.9%と高い検診率との見え方もありますが、この数字の根拠は、国民生活基礎調査で、いわばアンケートの抽出結果であり、レントゲンを撮ったという行動で検診を受けたという判断がされやすく、実態を映した数字ではないと考えます。  また、平成28年度の「長野県がん検診実施状況調査の結果について」では、肺がん検診率は10.0%であり、実数による受診率を把握していることから、全国と変わらない低い受診率と判断されます。日本対がん協会によれば、医療技術の進歩に伴い、肺がんも早期のうちに発見、治療すれば約8割が治る時代との見解で、実際に肺がんの5年生存率は、病期Ⅰ期では81.8%に対してⅡ期では48.4%、Ⅲ期では21.2%と、肺がんの進行に伴い予後が悪くなることから、早期発見は重要であり、受診率向上が大変重要となります。  このことを踏まえ、まず、本県の肺がんの検診受診率の現状と認識について健康福祉部長にお聞きいたします。  次に、今後の受診率向上に向けての取り組みについての問題提起をさせていただきます。  国では、これまでがん検診の受診率50%を目標とし、受診率向上施策に取り組んできましたが、未達成であることから、第3期がん対策推進基本計画において、受診率向上のために取り組むべき施策として、個別受診勧奨・再勧奨が新たに盛り込まれております。がん検診の受診勧奨としては主に市町村の広報誌やホームページによる受診勧奨が行われておりますが、個人を特定しない受診勧奨が受診率向上につながるという科学的根拠はありません。対象者個人に対する個別受診勧奨は既に多くの自治体で受診率向上の成果が報告されていることから、国では、個別勧奨の実施を推進するために、市町村が実施する個別勧奨に対する補助事業、新たなステージに入ったがん検診の総合支援事業を設けております。  日本対がん協会は、ワクチンの接種の個別通知などと同様に個別勧奨を行っている自治体と行っていない自治体とでは受診率に差があったと報告しており、肺がん検診の受診率向上のために肺がん検診対象者全員への個別の受診勧奨の実施を医師会等関係機関、市町村とも連携をとりながら推し進めるべきであると考えます。  次の問題提起として、国は、がん検診の受診率向上のために有効な施策として特定健診とがん検診の同時受診を推奨し、多くの自治体で特定健診とがん検診の同時受診が導入をされております。厚労省が発行する「今すぐできる受診率向上施策ハンドブック」では、同時受診の際に検査項目のオプトアウト方式を導入することが効果を期待できる施策の一つとして紹介しております。オプトアウトとは、希望すれば特定健診と同時にがん検診を受けられることではなく、断らない限りは特定健診と同時にがん検診がセットで受診できることになることです。この手法は、ジェネリック医薬品の処方箋、大腸がん検診などの各種保健事業において既に導入され成果が得られているところであります。そういった現状を踏まえますと、肺がんを含むがん検診をオプトアウト化することで受診機会を広げることから、県として各自治体に積極的に提案していくべきものと考えます。  以上の問題提起を踏まえ、第3次長野県がん対策推進計画に照らし合わせ、肺がん検診受診率向上への具体的な取り組みをどのように行っていくか健康福祉部長にお伺いをいたします。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)がん対策の取り組みにつきまして順次お答え申し上げます。  まず、肺がん検診の受診率の現状と認識についてでございます。  肺がん検診は、市町村の住民を対象とした集団検診などの対策型検診と職場等を通じた検診や個人の希望で受診します人間ドックなどの任意型検診に区別されます。市町村が実施する対策型検診に着目した平成28年度の長野県がん検診実施状況調査における肺がん検診の受診率は、議員御指摘のとおり10%と全国とほぼ同じ水準で、近年横ばいで推移しております。  一方、さまざまな肺がん検診を網羅した受診率が根拠となっておりますのが3年に1度抽出方式で行われる国民生活基礎調査であり、平成28年時点における本県の肺がん検診受診率は53.9%、全国9位で、国の目標値であります50%を上回っております。がん検診は、がん対策を進める上での大きな柱となっている中で、肺がん検診の受診率は全国平均を上回ってはおりますが、いまだ半数近くの方が未受診であることから、受診率のさらなる向上が必要であると認識をしております。  次に、肺がん検診受診率向上へ向けた具体的な取り組みについてでございます。  75歳未満がん年齢調整死亡率が全国で最も低い当県において、がんの部位別の死亡率が最も高いのが肺であります。県では、肺がん検診の受診率向上につながる取り組みを広く知ってもらうため、受診率向上施策ハンドブックの作成に関与した国の研究機関等の方を講師に招き、市町村の担当職員を対象とした研修会を開催しております。個別通知の工夫や福岡県内で協会けんぽと市町村が連携して実施する特定健診とがん検診をセットで行う同時受診の仕組み、また、東京都八王子市が行う申し込みの段階で明白な理由がない限りは検診を受けることになるオプトアウト方式の導入など、受診率向上に効果のあった好事例を紹介し、市町村で実施するがん検診の受診率向上を支援しているところでございます。今後、長野県がん検診検討委員会において、議員から提案のありましたオプトアウト方式も含め、より効果的な取り組みについて議論をいただくとともに、引き続きがん検診の重要性や有効な施策を市町村に提案すること等により検診受診率の向上に努めてまいります。  以上でございます。       〔18番中川宏昌君登壇〕 ◆18番(中川宏昌 君)実際は受診の実施自治体は市町村でありますので市町村の努力というものが非常に大事になってくると思うんですけれども、県が計画を立てている以上、この受診率向上を進めるに当たってどれだけアプローチしていくか、これは非常に大事な視点であると思います。  ほとんどの方は、がんになることが怖いと感じ、また、がん検診は受けたほうがよいということはわかっているけれども足が向かないという状況であります。実際にがんで亡くなるとなりますと、なぜもっと早く見つけられなかったのかと悩むケースも非常に多いかと思います。  がんの死亡率の低下という目的のためには、がん検診を受診するという行動の変容をどう起こしていくかということについていま一度見つめ直し、創意工夫のもとで向上に向けた取り組みをお願い申し上げまして、一切の質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時37分休憩          ──────────────────         午後1時開議
    ○副議長(小林東一郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  山岸喜昭議員。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)順次質問に入ります。防災・減災対策についてであります。  ことしも残すところわずかになりましたが、振り返ると、2018年に入って、今までにない大規模な自然災害が日本列島を襲ってきた年でありました。夏は記録的な豪雨、次々に列島を駆け抜ける強烈な台風、そして強い揺れ等次々と襲われて、多くの犠牲者と甚大な傷跡を残していきました。  また、全国各地で連日の猛暑に悩まされもし、相次ぐ自然現象とそれに伴う甚大な被害に社会は大きな衝撃を受けました。日本こそ脆弱な国であることを改めて思い知らされ、防災の大切さを身にしみて感じる夏でありました。何十年に一度クラスの自然災害が1年のうちに何度も起こる。果たしてこれは偶然なのでしょうか。素人目にも世界が完全な異常気象サイクルに入ったように見えます。なぜここまでして災害が起こるのか。地球温暖化によって気象は今後も悪化し、台風の巨大化、頻発化、そして地殻活動の活発化によって火山噴火や大規模地震の発生も懸念されています。治山治水は国家のかなめであり、安全確保を第一に国土強靱化を見直す時期に来ていると思われます。不完全でもよいから1割でも2割でも減災しようという現実的な判断と、いつ、どこで起きるかわからない自然災害に対応できるよう防災体制確立の重要性を改めて感じているところであります。災害の甚大さや発生頻度を勘案し、脆弱なインフラを洗い出す意義は大きいと思います。災害の予想される緊急性の高い事業を優先し、計画的な整備を行うため予算にもめり張りをつけるべきではないかと思われます。  県内において土砂崩れを起こしかねない危険地点はどのくらい把握されているのか。住民自身が災害の危険度を把握しておくことや、常日ごろ、被害予想を示すハザードマップや地元の避難場所については確認、周知も必要と考えるが、いかがか。建設部長にお聞きします。  一方、避難勧告などの連絡を受けても避難しない住民が少なくないことから、各自治体においては災害発生時の情報提供の体制を確認し、防災教育や避難訓練を充実させる必要があると思うが、いかがか。危機管理部長にお聞きします。  国内で多発する災害の経験や教訓に学び、今後予想される大規模地震や噴火災害、大雪、豪雨などの気象変動に備えて、地域防災計画の見直しや、防災・減災対策について国、県、市町村で連携して取り組んでいかなければなりません。県土の強靱化を進め、県民の安心、安全な暮らしを守る取り組みを重視されたいが、いかがか。知事にお伺いいたします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)県内の土砂災害のおそれがある箇所の把握についてのお尋ねでございます。  県では、平成13年度から、土砂災害防止法に基づき、土砂災害のおそれがある区域を明らかにする砂防基礎調査に取り組んでおります。特に、平成26年8月に広島市で大きな被害を生じた土砂災害を踏まえ、補正予算を活用するなどして前倒しした対応を図ってきたところです。その結果、現時点で、県内の土砂災害のおそれがある土砂災害警戒区域として2万6,950カ所を把握しております。県では、引き続き地形改変等のあった箇所を中心に継続して調査を進め、危険箇所の把握に努めてまいります。  次に、ハザードマップ等の周知についてのお尋ねでございます。  危険箇所や避難場所等を示したハザードマップは、現在、県下全市町村において作成、公表され、住民に配付されております。しかしながら、県では、ことしの西日本豪雨災害を踏まえ、ハザードマップの住民への周知徹底を図るため、市町村に対し10月に説明会を開催し、再度の住民周知の取り組みを依頼したところです。この中で、例えば、村が住民に配付しているカレンダーにハザードマップを掲載し、効果的に周知を図っている例などを紹介したところであり、各市町村が認知度アップに向けて創意工夫を持って取り組んでいただくようお願いしているところです。  また、近年の災害の激甚化を踏まえ、現在県では、さらに大きな洪水に対する浸水想定区域図を作成しているところであり、土砂災害危険区域の最新情報とともに速やかに市町村に提供することで新たなハザードマップ作成もスピード感を持って支援してまいります。  以上でございます。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)災害時の情報提供や防災教育、避難訓練の充実についての御質問をいただきました。  本年の7月豪雨災害では、市町村から避難勧告などが発令されても、その重要性や意味が十分には理解されず、避難行動につながらなかったと指摘されております。そのため、現在、国の中央防災会議では、住民が身に危険が迫るという切迫度を理解し、避難行動を促すための情報提供の仕組みについて検討が行われたところでございます。  本県といたしましても、独自の取り組みとして市町村実態調査を実施しているほか、市町村と連携し、住民の皆様への聞き取り調査を行うこととしております。  また、住民の皆様がみずからの命はみずから守るという意識を持ち、みずからの判断で避難行動をとるためには、防災教育や避難訓練などの取り組みがやはり不可欠となっております。今後は、避難行動を促す情報をわかりやすく提供するほか、出前講座の実施や地域の皆様にみずから防災マップをつくっていただく取り組みなど、市町村や関係部局と連携し、さまざまな手法を用いた防災教育や災害から見えてきた課題や地域の特性を取り込んだ実践的な避難訓練を行うよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大規模災害に備えた一体的な防災・減災対策の必要性について御質問いただきました。  県民の皆様の生命、財産を災害から守るということは県としての大きな役割だというふうに考えております。そのため、しあわせ信州創造プラン2.0におきましても、いのちを守り育む県づくりということを重点政策に掲げて、地域防災力の向上や災害に強いインフラ整備など、ソフト、ハード両面から災害による被害を最小限に抑えるための取り組みを推進することとしております。こうした取り組みを着実に推進していきたいというふうに考えておりますが、他方で、防災対策のあり方等については常に見直しを行っていくことも必要というふうに考えております。  例えば、ことし7月の西日本豪雨災害や9月の北海道胆振東部地震を教訓にして、本県においてもこうした災害を自分事として捉えて対応していこうということで、今、各部で具体的な検討を行っております。災害時の情報発信のあり方や停電対策、災害弱者対策、こうした点について、今回の災害を受けて全庁的な視野から改善策の検討を行っているところでございます。  今後とも、いつ起きるかわからない大規模災害に備えまして、県土の強靱化に向けたハード面での取り組み、そして国や市町村、関係機関としっかりと連携をしてのソフト面での取り組み、こうした両面から一体的な防災・減災対策を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)続きまして、「高校改革~夢に挑戦する学び~」における高校の将来像を考える地域の協議会の設置についてお聞きします。  本年9月に策定された「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針」では、来年9月までに、旧12通学区ごとに高校の将来像を考える地域の協議会を地域の協力のもと順次設置するとしていますが、設置タイムリミットまで10カ月足らずとなった現在、旧8通学区以外には設置に向けた動きが表面化していません。地元小諸では2校ありますが、行政、地域、同窓会、学校などで前向きな話し合いが持たれているところであります。実施方針に、「県教委は広域連合長たる市町村長に協議会の設置を要請する」とあるとおり、当然のことながら、県教委としては、設置に向け、広域連合長や当該市町村との協議等を進めていることと思いますが、設置に向けた現在の進捗状況についてお伺いいたします。  また、同じく実施方針の中には、再編・整備計画について、県教委は、協議会の意見・提案を踏まえて、総合教育会議での議論を経て、全県的視野に立って21年の3月に再編・整備計画を確定する。なお、他の計画に影響なく実施できるものについては、20年3月に再編・整備計画を策定するとあります。万が一、協議会の設置がおくれ十分な議論がされない場合、あるいは協議会が設置されないような事態が生じた場合には県教委としてはどのようにするのか、教育長にお伺いします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)高校改革について地域の協議会についてのお尋ねでございます。  地域の協議会の進捗状況についてでございますが、旧第8通学区では上伊那地域の高校の将来像を考える協議会が本年6月に設置され、同窓会や各方面から幅広く意見聴取を行うとともに、地元にない新たな形の高校を視察しながら地域の高校の将来像について建設的で活発な議論が行われているところであります。県教育委員会としては、他の地区においても高校の将来像を考える地域の協議会の設置を進めるため、関係する市町村長や教育長等に要請を行ってきているところであります。  現在、全ての地区において協議会の趣旨を御理解いただき、設置に向けた協議や調整が行われておりまして、設置要綱の作成や委員の選考を進めている地区も多いところでございます。このような状況から、旧第8通学区以外でも今年度内に順次設立が始まるものと考えているところでございます。  地域の協議会の設置に係る懸念についてでございます。県立高校の再編・整備は県教育委員会の責任において決定し、実施していくべきものであることは当然でありますが、その責任を果たす上でも、地域の声を丁寧に聞きながら進めていくことが重要であるというふうに考えておりまして、協議会において高校の学びのあり方や高校配置について議論していただきたいと考えているところであります。  この趣旨を踏まえ、各地域で協議会が可能な限り早期に立ち上がり、地域の将来を担う若者をどう育てていくかについて議論を尽くしていただけるものと考えており、また、そうなるように県教育委員会としても来年9月末までに全ての地区で設置されるようしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)ぜひ設置に向けて御尽力を願いたいと思います。  続きまして、スポーツ振興についてお伺いいたします。  現在、県におきましては、第82回国民体育大会及び第27回全国障害者スポーツ大会の開催を契機に、大会終了後も見据えながら、より多くの県民がそれぞれの関心や適正に応じて、する、見る、支えるなどさまざまな形でスポーツに参加できる文化を創造することを目指し、スポーツの振興に取り組んでおります。  国体の本大会及び冬季大会並びに全国障害者スポーツ大会の三つの大会を成功させるためには、大会運営に向けた準備や競技会場の選定、整備のほか、全国レベルでの競える選手、指導者の育成など、長期間にわたり計画的に取り組んでいくことが必要であります。大会では、ぜひ天皇杯及び皇后杯の1位獲得を目指してもらいたいと大いに期待をするところであります。  そこで、これまでの取り組み状況や今後の予定についてお伺いいたします。  昨年12月、全ての市町村長、関係競技団体、各界各層の関係団体など約300名で構成する長野県準備委員会が設立され、オール信州による準備体制が整備されましたが、27年の大会開催に向けて現在の準備状況はいかがか。また、各競技の会場地となる市町村では、今後競技場の整備が進むと思われますが、市町村が行う施設整備について県はどのような方針で取り組まれるのか。近年、本県は国体の本大会での全国的順位の低迷が続いている状況にありますが、本年6月、知事を本部長とする長野県競技力向上対策本部が設置され、大会本番で1位を目指す推進体制が整ったと思いますが、今後の対策本部を中心とした競技力の向上に向けた取り組みはいかがか。開催を見据えては、9年後に主力となるジュニア層の選手の発掘、育成が重要となります。  長野県では、平成21年から、子供たちに国際舞台で活躍できる競技者となる夢とチャンスを与えることを目的とした発掘・育成事業、SWANプロジェクトに取り組み、本年で10年目を迎えておりますが、これまでの成果はいかがでしょうか。このSWANプロジェクトは、冬季競技のジュニア選手の発掘・育成事業であります。夏季競技のジュニア選手の発掘や育成も重要と捉えますが、今後はどのように取り組まれていくのか。地元、小諸市、東御市では、ラグビーワールドカップや東京オリパラなどの事前合宿を契機に、特色を生かしての高地トレーニング構想を推進する中、トップアスリートの誘致を図り、スポーツツーリズムに取り組み、高地トレーニングで小諸から表彰台へをキャッチフレーズに、競技選手の育成、トレーニングの場としてオリンピックムーブメントを発信しているところであります。  こうした中、東京オリンピックでの活躍を目指し始めたオリンピアン育成支援事業が昨年度をもって事業終了となりましたが、世界を目指すことは国体の強化にもつながるものであり、私はこの事業をぜひ復活、続けるべきと思うが、いかがか。教育長にお聞きします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)スポーツ振興についてのお尋ねでございます。  まず、2027年の国体、全国障害者スポーツ大会の準備状況でございますけれども、昨年12月に準備委員会を設立後、準備委員会の中に専門委員会を設置いたしまして、総合開閉会式会場、競技会場地市町村の選定に向けまして専門委員会委員による意見交換や市町村、競技団体とのヒアリング、現地調査を行いながら選定作業を進めてきたところでございます。  先月9日に開催した両大会の準備委員会の第2回常任委員会におきまして、総合開閉会式会場を松本平広域公園の陸上競技場と決定し、国体の競技会場地市町村の第1次選定分として、14競技の会場地を11の市町に内定したことによりまして、大会開催に向けて本格的なスタートを切ったところでございます。今後は、2020年度末までの全正式競技の会場地選定を目指しまして引き続き調整を進めるとともに、名称、愛称、広報、マスコット、県民運動などを検討する専門委員会を新たに立ち上げまして、両大会に向けた準備を加速してまいりたいというふうに考えております。  次に、競技場の整備に係る方針についてでございます。  国体の競技場の整備につきましては、日本スポーツ協会において、既存施設の活用に努め、大会後の地域スポーツ推進への有効的な活用を考慮するということが定められておりますし、また、両大会の準備委員会におきましても、国体の競技施設基準を満たし、ユニバーサルデザインにも配慮された既存施設を活用することというふうにされているところでございます。  このような方針を踏まえまして、会場地が内定した市町村とヒアリングを行いながら、今後準備委員会において競技施設の概要や主な整備内容などを整理した競技施設整備基本計画を策定することとしているところでございます。本計画に基づきまして、市町村が着実に整備を進められるよう県としてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。  続きまして、競技力向上に向けた取り組みについてでございます。  本年6月に設置した長野県競技力向上対策本部は、知事を本部長に、競技団体を初め、医科学分野の専門家や大学プロスポーツチームなど県内の競技スポーツ関係者で構成するオール信州の組織であります。対策本部では、現在、9年後の国体と、国体終了後も見据えた中長期的な取り組みの指針となります競技力向上基本計画の策定を進めているところでございます。この計画では、大会及び大会までの段階的な目標や大会後における目標も定めるとともに、競技力向上のために必要な組織強化、指導者養成、選手育成及び環境整備の四つの視点ごとに対策本部が行う具体的な取り組みを示していく予定としております。大会本番まであと9年という限られた期間でありますが、本県の競技力の底力を県内外に示せるよう、対策本部を中心に県内スポーツ関係者の力と英知を結集して全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。  SWANプロジェクトの成果についてのお尋ねでございますが、このプロジェクトは、冬季オリンピックでのメダリストを夢見る小中学生を主な対象に世界への挑戦に必要なフィジカルトレーニングなどを提供する事業でございまして、これまで、71名が終了し、現在は、10期生12名を含めた66名を育成しているところであります。これまでに、全国中学校体育大会など小中学校の各学年で県を代表する選手として活躍しているほか、修了生を含めた12名は、各種目での全日本ジュニアクラスの指定選手となってワールドカップや世界ジュニア選手権などへ出場を果たしております。10年目の節目を迎えた本年度は、新たに夏の間に北海道でスピードスケートの氷上合宿を行うなど、事業の充実を図ったところでありますが、今後も引き続き一人一人の成長段階に応じたより高いレベルのプログラムの提供に努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、夏季競技に係るジュニア選手の発掘、育成についてであります。  競技力向上対策本部では、本年度から、9年後の国体を見据えまして、夏季競技についても子供の成長段階に応じたジュニア選手の発掘・育成事業を開始したところであります。具体的には、小学校の低学年に向けては、運動遊びやスポーツの楽しさを経験できる体験教室を県内4会場で順次開催いたしました。9年後の国体で主力として活躍が期待される小学校の高学年には、キラキラっ子育成プロジェクトと名づけた発掘・育成事業を行いまして、約750人の応募者の中から1期生として選考された44名に対しまして最先端のスポーツ医科学の知見も取り入れた育成プログラムを提供中であります。  また、みずからの可能性に挑戦する中学生や高校生に向けては、その年代から始めても技術向上が期待できる種目や競技人口の少ない種目など個々の適性を見きわめることのできる体験の場も提供するところであります。今後は、これらの事業に協力いただいております専門家の意見も踏まえ、改善を加えながら9年後の国体に向けたジュニア選手の発掘、育成に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  最後に、オリンピアン育成事業の継続についてであります。  平成26年度から取り組んできたオリンピアン育成事業は、2020年に東京でオリンピックが開催されることに着目し、少しでも多くの本県出身選手が出場できるようJOCのオリンピック強化選手の指定が本格化する直前の平成29年度までの4年間、県独自で強化支援を行ってきたところであります。この間、夏季競技の25名の選手を指定し、支援してまいりましたけれども、大変厳しい競争の中で、一部にはナショナルチームのメンバーに選出され、世界大会に出場する選手も出現しております。今後、日本代表として東京オリンピックへの出場を大いに期待しているところであります。オリンピックを初め、国際大会での本県選手の活躍は、県民を元気にし、子供たちに夢や希望を与えるとともにスポーツへの関心や参加意欲の高揚にもつながるものであります。今後、9年後の国体に向けた選手強化に取り組む中で、世界の舞台に挑戦できるトップ選手の育成も図ってまいりたいというふうに考えております。  以上であります。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)ことしも大リーグ、マラソン、体操、ゴルフ、水泳、テニスなど多くの日本人の世界での活躍が目立ちます。オリンピックやワールドカップ、世界大会など、合宿誘致で「長野県からセンターポールに日の丸を」を目標とすることによって、人口減少に歯どめをかけるとともに、多くの外国人や多くの交流人口の増加につながることになり、スポーツ離れや若者に夢を与える。これからのスポーツ振興に大いに期待しまして、質問を終わります。 ○副議長(小林東一郎 君)次に、花岡賢一議員。       〔1番花岡賢一君登壇〕 ◆1番(花岡賢一 君)誰もが活躍することができる県の組織の構築に向かう長野県にあって、皆様御承知のとおり、障害者雇用に関する一連の事実は、ある方面では活躍の場のあり方について再度考えさせられるものであったことは間違いなく、また、中央省庁からの方針、内容について、それを精査し、再発を防いでいかなければならない極めて重要な事例であったと考えます。  阿部知事も今定例会の議案説明の中で触れておりましたが、今回の教訓を踏まえて、障害者雇用のあり方を抜本的に見直す姿勢を示していかなくてはなりません。  また、行政とは、さまざまな時代の背景や価値観の変遷に対して求められるサービスを提供し、それを提供し続ける責務を負っていますが、障害者雇用のあり方が抜本的に見直されることを前提に、以下、総務部長にお伺いいたします。  平成30年度の障害者雇用率、長野県分、長野県企業局合算分についての再点検調査を行ったところ、一部対象とならない職員の参入がありました。公開されている資料を見ると、「厚生労働省から、「新たに対象となる職員の範囲の考え方が示されたことに伴い」等の記述を見ることができます。この再点検調査については厚生労働省からの依頼があったものと認識しておりますが、その際に国からの何らかの新たな説明はあったのでしょうか。  また、今回の件でさまざまな意見が県民ホットラインに寄せられておりますが、再発防止に関する質問に対して、信頼回復のために適正な事務処理の確保に努めていくとの回答がありましたが、問題の再発防止に向けてどのような取り組みを進めていくのか具体的にお示しください。  民間事業主の模範となるべき県として、障害者雇用の定める率に向かうべく努力をしていかなければなりません。9月以降、庁内組織での検討を進めると同時に、障害のある方々を講師に迎えて意識改革に向けた職員研修を行っている中で、今年度2回目の選考募集を始めたことは評価されるべきだと考えます。  しかし、2回目の障害者採用の募集の内容を確認すると、県職員の採用予定者は5名程度とされ、1回目の合格者4名と合わせても法定雇用率に対する障害者の雇用不足数15.5名に及びません。法定雇用率をいつまでにどのようにして達成を目指していくのか、その計画をお示しください。  雇用率の達成だけにとらわれると、今回浮き彫りになった課題の細かい部分を見落としてしまうのですが、再点検を行うに当たり、障害者手帳の確認を行わなくてはなりませんでした。そもそも、障害者手帳などの取得についても個人の意思が尊重されることは当然であり、その所持を確認する際には、個人情報の取り扱いの観点から細心の注意が必要であります。再び今回のような事案が起こらないことが大前提でありますが、手帳の取得の確認を行わなくてはならない状況が発生した際に、今後どのような対策をとっていくのでしょうか。  障害者雇用のあり方については、今定例会の冒頭で長野県のあり方や方針が示されたわけですが、これから実行されていく障害者の雇用拡大に向けて誰もが活躍することができる県組織づくりに向けた取り組みの方針を取りまとめるとの内容がありましたけれども、どのような方針になるのか。  以上、お伺いいたします。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)障害者雇用に関連して5点お尋ねをいただきました。  1点目の再点検調査に当たっての国からの説明についてであります。  8月31日付で国から依頼のありました再点検調査においては、新たに対象となる職員の範囲の考え方が示され、任期が1年以下の臨時、非常勤職員も算定の対象とするよう指導があったところであります。しかしながら、その詳細な定義が不明確であったことから、本県では、調査日時点で任用する全ての臨時、非常勤職員を対象として雇用率を算定しております。国に対しましては明確な基準を示すようあわせて要請をしたところであります。  10月23日に国が決定いたした公務部門における障害者雇用に関する基本方針では、職員数の計上方法等に関して明確な判断基準を改めて示す手引を新たに策定することとしており、これにより今後明確な運用ができるものと考えております。  2点目の障害者雇用の算定誤りの再発防止策についてであります。  先般の再点検調査においては、国の通知やガイドラインに定める方法に従い全職員に呼びかけを行い、障害者手帳の確認を行ったほか、把握した情報の保存方法を見直すなど、調査手法を抜本的に見直したところであります。今後、チェックシートの作成や複数職員による確認の徹底など再発防止に向けて事務処理の適正化を進めてまいります。  3点目の法定雇用率の達成時期とその方法についてであります。  法令を遵守すべき立場にある本県としては、法定雇用率の達成は当然の責務と認識しております。障害者の採用は、その特性に応じて、より短時間で柔軟かつ多様な勤務形態にも対応できるよう、常勤職員だけでなく、非常勤職員の採用を推進していくことも必要であります。このため、非常勤職員の募集への障害者枠の導入や知的・精神障害者を対象としたチャレンジ雇用の拡大により、来年の法定雇用率の達成に向けて積極的な取り組みを進めてまいります。  4点目の障害者手帳等を確認する際の個人情報の取り扱いについてであります。  障害者手帳等に対する考え方は個人によりそれぞれ違いがある中で、職員へのプライバシーへの配慮は非常に重要であることは言うまでもないところであります。調査に当たっては、全職員への呼びかけと本人からの申告を前提に把握することとし、所属を通した申告に加えて、今後は直接人事課へ申告できる制度も導入してまいりたいと考えております。  最後に、障害者の採用、活躍の場の拡大に向けた取り組み方針についてであります。  障害者雇用の抜本的な見直しに向けては、より実効性のあるものとなるよう障害者団体の皆様から御意見をいただいてきたところであります。いただいた御意見の中には、障害特性に応じた採用枠の拡大、勤務時間の弾力的な設定や週20時間未満の超短時間勤務の導入、相談、サポート体制の充実といったものがあり、勤務条件の整備の重要性を改めて認識したところであります。取り組み方針には、こうした意見の反映はもちろん、全庁的な検討組織による障害者の従事業務の検討や職員の意識改革に向けた研修の実施などに加えて、単に法定雇用率の達成にとどまらず、子育て中の方や高齢者も含め、誰もが働きやすい職場づくりについても盛り込んでいく予定であります。  以上です。       〔1番花岡賢一君登壇〕 ◆1番(花岡賢一 君)お答えいただく中で、やはり率の達成というものを目的とするだけでなく、それぞれの皆様の採用に当たっていろいろなニーズに対応できるような体制をつくっていっていただきたいと思うところでございます。  障害者雇用の問題に関する国の検証委員会の報告においても、厚生労働省のガイドラインの取り扱いや通知の不明確さなどに関する課題が指摘されており、雇用率の問題が全国に波及した一因になったものと考えられます。  一方、障害者の中には長時間の勤務に耐えられない方もおられる一方で、週20時間未満の勤務の方は現在の雇用率制度の対象とはならないといった課題もあり、県としてはこうした制度の見直しを国に求めていっていただくとともに、そうした方々の雇用もぜひ進めていただきたいと思います。  いずれにしても、今回の問題を契機として、国、地方公共団体における障害者雇用のあり方が抜本的に見直され、障害者が主役の本来の障害者雇用制度が再構築されることを切に願います。  平成33年、あえて平成と申し上げますが、4月を前に、障害者雇用率をさらに0.1%ずつ引き上げると言われている状況を考えると、向かうべき理想の県組織の構築が、長野県だけでなく、国全体で取り組んでいかなければならない課題と捉えることができますし、その課題に対して長野県はぜひ先頭を突っ走っていただきたく強い願いを申し上げて、質問を移ります。  心のケアについて質問いたします。  厚生労働省障害保健福祉部の患者調査の中の参考資料を見る中で、精神疾患を有する総患者数の推移では、平成11年が約204万人であるのに対して、精神疾患の判定が以前より明確になったこともありますが、平成26年には約392万人と精神疾患を有する患者が倍近くになっている現状があります。疾病別の内訳で見ると、神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害の患者数の増加が顕著であるようにとれます。厚生労働省が、四大疾病に精神疾患を加え、正式に五大疾病としたのが2013年であることを考えてみても、心のケアやメンタルヘルスについては社会全体で認識をしていくことと同時に、理解を進める重要性が現代人に問われているものと考えます。
     そのような中、県が平成28年度に実施した県民健康・栄養調査の結果によると、ストレスを感じている15歳以上の県民は、「非常に」と「多少」を含めたもので、男性で64.8%、女性では75.0%との結果があり、特に30代から50代の働き盛りの方の割合が高い傾向が見てとれます。 また、40歳代以上の男性は、ストレス解消のための対処法がある人の割合が男性平均より低い状況にあります。適度なストレスはやる気や作業効率を上げることもありますが、対処できないほどの強いストレスを長時間にわたり受け続けると、心身の健康を害するおそれが高まります。過度なストレスによって深刻な事態に追い込まれることのないよう、働き方改革が求められる中で、心の健康づくりやメンタルヘルス対策の充実は大変重要と考えます。  そこで、県は県民の心の健康づくりを推進するため、地域や職場においてどのような取り組みを進めようとしているのでしょうか。健康福祉部長にお伺いいたします。  また、厚生労働省の発表では、仕事が原因で精神疾患にかかり平成29年度に労災申請をしたのは1,732件で、昭和58年度の統計開始以降最多との結果があります。労災認定も506件で過去最多でありました。前年の平成28年度も過去最多であったことから最多を更新し続けている現状があり、自殺件数に至っては未遂も含めて98件にも上っているようですが、県内の労働者の心の病による労災の現状はどのようになっているのでしょうか。また、労働者の心のケアについて県はどのような対策を行っているのでしょうか。その際に、労働局及び関係団体との連携は図られているのでしょうか。産業労働部長にお伺いいたします。  身体の健康状態をチェックする健康診断とメンタルヘルス対策を比較すると非常にわかりやすいと思うのですが、健康診断は従業員に定期的に健康診断を受ける義務があるのに対して、心の健康診断は従業員には受診する義務はありません。また、業務上のストレスに対する軽減措置は、労働者が高ストレス状態にあっても労働者みずからが面接を申し込まなくてはならないなどの課題があります。このように、身体の健康診断と心の健康診断では大きな違いがありますが、この違いが大きいのに反して、それを知る人が少ないことから、実施運営の担当者は、周りの理解不能により運用や調整がうまくいかないこともありますが、これからの運用に際しては問題点の改善も図り、進めていかなくてはならない課題であります。  また、雇用する側としても、労働者個人が高ストレス状態になることを未然に防止するためにも重要な課題であると同時に、労働者の心身の健康を保持し、増進することは、企業全体の利益につながることと考えます。企業の中で健康経営という言葉が広がり始めたのが2009年ごろで、経済産業省が2015年に行った健康経営の啓発と中小企業の健康投資増進に向けた実態調査では、約6割の経営者が健康経営という言葉を知らない状況もあったようです。健康診断と同様に、労働安全衛生法では、心の健康診断とも言うべきストレスチェックを2015年に実施していますが、その内容は常時50人以上の労働者を使用する事業所には実施の義務があるというようですが、先ほどは長野県に対して対外的にどのような対策かお聞きいたしましたが、県職員に対してはどのようなストレスチェックを行っているのか、総務部長にお伺いいたします。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)心の健康づくりの推進についてのお尋ねでございます。  心の健康には、身体状況、社会経済状況、家庭や職場の環境、対人関係などさまざまな要因が影響しております。日本の社会が、人と人とのきずなが薄れ、学校や働く場での競争が激化する中で、議員御指摘のように、ストレスが増加し、精神疾患を有する者が増加しております。心の健康を保つためには、適度な運動、バランスのとれた食事、心身の疲労回復のための休養の3要素に加え、ストレスと上手につき合う方法を身につけることが必要です。  県では、第2期信州保健医療総合計画の「こころの健康」分野において、県民が過度なストレスを感じることなく、心豊かに生き生きと生活できるよう、地域、学校、職場における心の健康づくりに取り組むこととしています。  まず、地域においては、保健福祉事務所等における精神保健福祉相談の実施に加え、家族や仲間の変化に気づき、その方の気持ちに寄り添って傾聴し、必要に応じて専門家につなぐゲートキーパーの養成を推進する等により、生きる支援に取り組んでまいります。  第2に、学校においては、中学生にストレス対処法やSOSの出し方等を学んでもらう授業を今年度もモデル校で試行しました。大人になってからも役立つ心の健康を保つスキルを身につけられるよう、来年度以降、順次この取り組みを全県展開してまいります。  第3に、職場においては、働き方改革が求められている現状を踏まえ、働く人の立場、視点に立って労使双方と連携しながら、一人一人の労働者に寄り添った相談の実施、企業等に対する職場環境改善の働きかけ等を行ってまいります。  心の健康は、健康長寿を支える重要な要素であり、健康づくり県民運動、ACEプロジェクトや自殺予防対策とともに取り組みを進め、県民の皆様の心の健康づくりを推進してまいります。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)2点御質問いただきました。  まず、労働者の心の病による労災の現状についてでございます。  厚生労働省の平成29年度過労死等の労災補償状況によれば、仕事上の強いストレスにより鬱病などを発症したとして長野労働局が労災補償支給を決定した県内の件数は9件、うち4件が未遂を含め自殺によるものとなっております。  次に、労働者の心のケア対策についてでございます。  県では、県内4カ所に設置しております労政事務所におきまして、専任の労働相談員を配置し、労働者からの心のケアなどの労働問題に関する相談に対応してございまして、メンタル不調について専門的な相談を希望される場合には産業カウンセラーによる特別労働相談を受けることとしております。  また、企業の人事労務担当者や労働者等を対象に、産業カウンセラーが講師を務めるメンタルヘルス対策講座「心の健康づくりフォーラム」を労働局の関係機関でございます長野産業保健総合支援センターとともに県内4カ所で開催してございます。人手不足を背景とする長時間労働やパワーハラスメントなど労働者のメンタル不調につながる労働環境が依然としてあることから、引き続き関係機関と緊密に連携しつつ、働き方改革、労働者の心のケア対策を推進してまいります。  以上でございます。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)県職員のストレスチェックの実施状況についてのお尋ねであります。  知事部局では、民間事業者に委託をし、常勤職員及び任期が1年以上の行政事務嘱託員等を対象にストレスチェックを実施しております。今年度の対象者は5,872人で、そのうち回答者は5,692人、回答率は96.9%となっております。回答者のうち、厚生労働省が定める基準以上の高ストレス者に対しては、医師の面接指導の勧奨や希望者への保健師との面談を行っております。  また、職場ごとの集団分析を行い、改善が必要な所属については改善案の検討、報告を求めております。今後とも、ストレスチェックの実施により、職員のメンタルヘルス不調の未然防止に努めるとともに職場環境の改善につなげてまいりたいと考えております。  以上であります。       〔1番花岡賢一君登壇〕 ◆1番(花岡賢一 君)お答えいただきましたけれども、ストレスチェックは、その制度が導入されてまだ2年という状況ですので、これから改善も含めて取り組みが行われていくことだと思います。  今回取り上げました質問は、一見関連がないようにとられてしまうかもしれませんが、今週3日からは障害者週間でありますし、4日からは人権週間であります。障害を持つ方もそうでない方も、その家族の皆様に対するレスパイトケアについても、全ての人が活躍する社会の構築と活躍のみにこだわらず、社会全体が包み込むような長野県となることを願い、質問を終わります。 ○副議長(小林東一郎 君)次に、両角友成議員。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)日本共産党県議団の両角友成です。私は、発言通告に沿って一般質問を行います。  まず初めの質問事項は、再生可能エネルギー社会への転換についてであります。  ことし9月6日、北海道胆振東部地震で北海道全道が停電、ブラックアウト、離島を除く北海道全295万戸が停電、戦後初めてのことであり、市民生活に大打撃を与えました。交通機関は全面ストップ、産業の生産もストップ、人命にかかわる医療介護現場は大混乱し、大量の牛乳も廃棄せざるを得ない悲惨な状況、日本国内にまさかと大きな衝撃を与えました。北海道電力、北電は、大規模発電に余りにも偏り、ブラックアウトの最大の原因とされた苫東厚真石炭火力発電所、165万キロワットは、1カ所で北海道の半分以上を背負っていました。集中型電源を中心とする既存のルール、大きな発電所は電力の安定供給には不可欠で、再生可能エネルギーなど小規模のものは安定供給上問題がある電源との考えを守っていました。しかし、福島原発事故で、あれだけ集中立地は危ないと指摘されながらも、7年間も従来の発想を変えず、大型電源から分散型電源にかじを切ることはしなかった。送電線を太くする対策も間に合わなかった。既存のルールは満たしていたが、福島原発事故から学んで大きく仕組みを変える努力をしてきたかというと、残念ながら不十分との識者の指摘であります。  ここ10年、電力システムの世界の流れは大きく変わり、大規模集中型電源から分散型電源へということです。原発や石炭火力に依存し続けることは、コスト面からもリスクを考えても問題が多く、中長期的には地域分散型のエネルギーシステムに移行すべきです。結果、エネルギーの自給率が上がり、気象変動への対策にもなり、ビジネスの面からも安定供給の面からも必要ではないでしょうか。  かつて日本のメーカーは、太陽光パネルでは世界一でした。しかし、一気にドイツや中国のメーカーに追い越された現実があり、産業政策の失敗との指摘があります。ブラックアウトは起きてしまいました。この状況下、大規模集中型から地域分散型へ転換すべき時期と考えますが、知事の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)地域分散型のエネルギーシステムに移行すべき時期ではないかという御質問であります。  分散型エネルギーシステム、これは、非常時のエネルギー供給の確保や地域資源の有効な活用による地域の活性化等さまざまな意義があるものというふうに考えております。  北海道の災害では、こうした分散型の柔軟な電力システムの重要性ということが改めて認識されたところであります。  本県におきましては、平成25年に策定いたしました環境エネルギー戦略の中に既にこうした考え方を取り入れているところであります。地域に根差した分散型の再生可能エネルギーを活用したエネルギー自立地域の実現を目指すということで取り組んできております。この戦略のもと、県では自然エネルギー信州ネットとの協働による再生可能エネルギー普及の基盤づくりを進めるとともに、地域主導型の事業化支援等によりまして地域に根差した分散型の再生可能エネルギーの普及拡大に取り組んできているところであります。  こうした取り組みの結果、本県の再生可能エネルギーの発電設備容量は、平成22年度からの6年間で約10倍の103万キロワットとなっております。こうした取り組みをさらに一層進めるためにも、本年度からは、建築物の屋根での太陽光発電、あるいは熱利用のポテンシャルの見える化を目指したソーラーマッピングの構築に着手をしております。屋根ソーラーの普及を今後進めていきたいというふうに考えております。  再生可能エネルギーに関する技術革新、蓄電技術も含めてどんどん進んでいくわけでありますので、こうした状況を見きわめながらエネルギー自立地域の実現に向けた取り組みをさらに一層進めていきたいと考えております。  以上です。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)中長期的には分散型のほうがエネルギー自給率も高まるし、気候変動の対策、地域への波及効果も期待できる。県独自でも自前の発電施設を、特に県内の潜在能力が高いとされる水力に、水道管路で減圧弁のかわりに水車を回し発電するなども含め本格的に取り組んでいただきたいがいかがかと質問を進めてまいります。  今定例会の補正予算の中に、新規電源開発の推進、未利用エネルギーの拡大に向け既存発電所の冷却水配管を利用した新たな発電機を設置、具体的には、小渋第2発電所の冷却水配管に発電機を設置する。11月17日の信濃毎日新聞には、図解入りで新たな小水力発電機設置へと報道されました。新たな水車発電機は、冷却水用の配管をさらに分岐させて設置し、発電と既存の発電機を冷却する機能をあわせ持つ。発電量は精査中だが、最大200キロワット未満。歓迎する事業であります。  私ども県議団は、今回、大阪府にある自然エネルギーなどによる発電施設の設置、運用及び保守管理並びに電力会社への電気の供給及び販売などに関する業務を事業内容とする企業の視察をさせていただきました。発電システム本体は22キロワット、75キロワットで水道管を使用、今回の企業局の考えに似通っており、各家庭に配水する配水池から水道水の水量と余剰落差の持つエネルギーで水車を回転させ、その回転エネルギーから電力を生み出す。導入費用は、設置場所によるが3,000万円から6,000万円、年間700万円が売電可能とのことです。  水道水で回す水車は、ポンプアップのために現在水道管に使用されているポンプの水車であり、安全面も試され済み。太陽光発電の屋根貸しの発想と同様に、発電施設の導入に係る初期投資は企業側の全額負担も可能とのことです。再生可能エネルギーでクリーンな発電、地球温暖化防止にも貢献できる。今回の企業局の事業内容を見ますと、2025年度までには企業局の電力量で賄える県内世帯数の割合、12.6%と目標が明記されています。既にいろいろな戦略が練られているとは思いますが、そこに水道水の水量と余剰落差の持つエネルギーを利用した小規模発電も加味できないかの提案ですが、いかがでしょうか。企業局長に伺います。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)企業局の新規電源開発の取り組みについての御質問にお答えいたします。  企業局では、再生可能エネルギーの供給拡大を通して地域の発展に貢献するため、本年8月に新規電源開発地点発掘プロジェクトを発足させたところであり、現行の固定価格買い取り制度の適用期間内に地元の理解が得られず、採算性が確保できる候補地点を発掘し、新たな電源開発を推進することとしてございます。  今定例会に提出いたしました債務負担行為の設定をお願いする補正予算案は、小渋第2発電所構内に新たに発電機を設置しようとするもので、このプロジェクトで発掘しました地点を初めて具体化するものでございます。  これは、企業局が持つ既存発電所の冷却水配管に使用している減圧弁に新たな発電機を設置し、これまで利用されていなかったエネルギーを活用するもので、水利権の新規取得が不要であり採算性も十分あるものと確認できたことから、早期に着手すべきものと判断いたしました。減圧弁のかわりに発電機を設置するということで申し上げますと、議員御指摘の趣旨にも沿った取り組みであると考えております。  企業局といたしましては、まずは現行の固定価格買い取り制度の適用期間内にということを大前提に幅広い可能性を探りつつ、地元理解が得られ、採算性が確保できる新規電源開発地点の発掘に向け、自前の施設における未利用エネルギーのさらなる活用等も含めてスピード感を持って取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)水道に関係して質問させていただきましたが、いま一度水道水の活用を願い、次の質問事項に移ります。  次に、国道143号と県道の災害復旧の見通し及び青木峠の改良について伺います。  昨年10月の台風が引き金で地すべり災害が起きた箇所、国道143号取出地区が、あれから1年、いまだに、依然として工事用信号機が設置され、片側交互通行となっています。調査中、測量作業との看板はありますが、見通しを伺いたい。国指導、国予算での災害復旧はどうしてこうも時間がかかるのか不思議でなりません。仕組みの説明も伺います。  路肩に農道がある。単に台風災害ではなく地すべりであるから、土が動いている間は手がつけられない。後戻りするような、手直しをするような工事はしたくないなどいろいろ言われますが、3桁とはいえ国道です。国道が1年たっても片側交互通行は納得いきません。建設部長の見解を伺います。  県道矢室明科線、五常落水地籍の地すべり現場も、長野自動車道との間に新たなクラックが発生し、対処するなど、難航していることは承知していますが、いかんせん時間がかかっています。学校のお便りにまで早期の復旧を願う文言が書かれている状況です。工事は予定どおり進捗しているのか、住民の皆さんの一刻も早く復旧への思いを受けとめてほしい。見通しを伺います。  現在行われている箇所が保安林であり、林務部が担当し、その後の河川、道路は建設部であり、林務部長及び建設部長にそれぞれ答弁願います。  県の5カ年計画に書き込まれ、災害時1次緊急輸送路として危機管理の面からも重要な役割を担う路線として地元に期待が大きい国道143号青木峠区間、現在はバスやトラックなど大型車両の通行が不可能な明治23年に建設されたトンネルが2本。この区間4キロの改良の手順を示していただきたいが、いかがでしょうか。建設部長に伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)私に対する御質問に対しまして順次お答えいたします。  昨年10月に発生した国道143号の災害箇所、松本市取出の復旧見込みと仕組みについてのお尋ねでございます。  御質問の箇所は、道路下部斜面の地すべりによって、約90メーターにわたりブロック積みや舗装にクラックが生じたものであります。被災直後からボーリング等を実施し、地盤変状の観測を開始しましたが、地すべりは、その範囲や深さを確定するため、地盤変状が収束するまで観測する必要があることから時間を要したものであります。現在は観測を終了し、施設設計を行い、本日災害査定を受けておりますので、その後速やかに工事着手し、できるだけ早期の完了を目指してまいります。  次に、県道矢室明科線の災害復旧の見通しについてのお尋ねでございます。  御質問の箇所は、林務部が行う上部の斜面対策により安全が確保された後に道路施設の災害復旧を建設部が行うこととしております。現在、林務部において道路上部の斜面工事が進められ、斜面下部での調査ができるようになり、道路の被災状況がわかってきております。林務部からは、県道上の排土処理が来年3月中旬に完了予定と聞いておりますので、切れ目なく道路の復旧工事に着手すべく、年明けには地域の皆様や関係する皆様に工事の内容を御説明させていただきたいと考えております。  続きまして、国道143号青木峠トンネルに関するお尋ねでございます。  青木峠トンネルは、しあわせ信州創造プラン2.0において事業着手箇所に位置づけられており、本年5月にルート帯を公表したところです。急峻な地形や脆弱な地質など技術的難易度の高いトンネル工事が想定されることから、専門家を交えた勉強会を開催しながら検討を進めています。今年度は、測量やルートを決定するための設計を行っているところであります。今後検討を重ね、最適なルート案を地元へ提示できるよう進捗を図るなど、早期事業化を目指し準備を進めてまいります。  以上でございます。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)県道矢室明科線上部の災害復旧についてのお尋ねでございます。  当該箇所につきましては、地すべり性の崩壊であるため、地盤の動き等の調査を災害直後から行ってきております。その結果、2月には動きが安定したことから、さらなる崩壊を誘発しないよう地下水排除工などの緊急対策を進めてまいりました。  そうした中で、議員の御指摘にもございましたが、4月下旬に崩壊地の上部に新たなクラックを確認したため、のり枠工に鉄筋挿入工を併用するよう工法の見直しを行った上で、6月から本格的な復旧工事に着手しております。現在は、斜面の上部から不安定な土砂を取り除き、順次地山を補強するためののり枠工及び鉄筋挿入工を施工しているところでございます。現場は、地質がもろく、斜面の至るところから湧水があるなど現場条件が大変厳しいことから作業に時間を要しておりますが、2月には鉄筋挿入工348本が完了する見込みとなっております。工事自体はさらに1年ほどかかる見込みですが、建設部長答弁のとおり、来年3月中旬までに県道の復旧工事が着手できるよう、のり面中部から下部へと着実に工事を進めてまいります。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)地元四賀地区では、ことしで59回を数える四賀地区一周駅伝大会が毎年秋に開催されています。昭和34年8月のお盆にこの地域を襲った7号台風、四賀地区に甚大な被害をもたらしました。それは、橋という橋が流され、道路は寸断され、犠牲者が多数、多くの家屋が流される、あるいは床上浸水。農地は土砂に埋まり、田んぼの稲穂も、出穂の時期ではありましたが、土砂から一、二本。奥山には鬼が爪でひっかいたように土砂崩れ現場が至るところに見えました。復旧・復興された今の四賀地区からはおよそ想像できない状況でした。打ちひしがれている住民に何とか元気をと、時の指導者、若者が、考え、実行したのが村内一周駅伝大会でした。1本のたすきにいろいろな思いを込めてでこぼこ道を必死で走る地区代表の選手。沿道で選手を応援する住民に、頑張ろうと勇気を、いっときの安らぎにも似た感情を与えたであろう駅伝大会です。それが、途切れることがなく、ことしで59回。ことしも、全国各地の被災地、被災された皆さんに、元気を出して頑張ってくださいの思いを込めて10チームの選手が四賀の里を走りました。  何でこんな話をするか。それは、駅伝のコースが矢室明科線であり、国道143号だからであります。1区スタートから2区のたすきを渡す途中が県道矢室明科線の五常落水の災害現場で通行どめです。昨年、ことしとスタート位置を1区と2区の中継点とし、1区の選手は災害現場を折り返す形をとり、国道143号取出地区片側通行区間は、選手は歩道を走り、伴走バイクは工事用信号機に従うスタイルをとっています。この措置が2年続きました。今、両部長からいただいた答弁では、まだまだ時間がかかる。この大会、3年このようなスタイルは勘弁してください、こんな思いから、復興を願って始まった駅伝の話をさせていただきました。2月定例会で、四賀地区が陸の孤島になってしまうとこの災害現場の窮状を訴えたとき、知事は、地元の皆さん方の思いに寄り添って対応を進めていきたいと、早期の復旧をと答弁されました。一刻も早い復旧をと切望し、次の質問事項に移ります。  次は、災害に強い県をどう構築するかであります。  専門家の中には、これからの日本列島は、地震を初め台風、豪雨、竜巻、火山噴火、豪雪などさまざまな災害に関してかなり過酷な状況に入っていく可能性があるとの指摘があります。現に、大阪北部地震、北海道胆振東部地震が起き、豪雨、台風災害は西日本豪雨災害、台風21、24号などで大きな災害が生じました。こんな中、公共事業は、災害対応を優先させる必要性があります。必然的に、新規事業優先ではなく、防災・減災、老朽化対策に重点を移すことが必要ではないでしょうか。橋やトンネル、生活道路など公共施設の多くが建設後50年を経過する時期を迎える中、防災面でも老朽化対策は最重要課題の一つと考えます。従来の延長線上ではない抜本的な対策が必要と考えますが、建設部長に見解を伺います。  被災地の公的支援については、本年9月定例会代表質問で、和田明子議員より、被災者生活再建支援金について最大500万円の増額と半壊や一部損壊への対象拡大を国に要望すること、京都府、愛媛県のように独自の上乗せ対象拡大を迫りました。答弁では、全国知事会が11月をめどに取りまとめる内容を踏まえ、被災者に寄り添って生活再建を支援できるよう必要な対応をしてまいりたいとのことでした。11月19日に出された全国知事会の提言を見ますと、4項目上げられ、支給対象を半壊まで拡大すること、法に基づく救済が被災者に平等に行われることなどが盛り込まれています。知事会として努力されていることが見てとれますが、被災地で圧倒的に多い一部損壊が入っていません。国がやらなければ県がやる。我が県と予算規模が似通っている京都は、半壊が150万円、一部損壊が50万円が府独自で補助されます。災害者のなりわいも含め、早期の生活再建に向けて自力で歩き出せる支えとなるよう県として現行制度のさらなる充実を図るべきではないでしょうか。危機管理部長に見解を伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)道路施設などの老朽化対策についてのお尋ねでございます。  道路などの社会資本は、適切な維持管理や老朽化対策を怠った場合には、急速な劣化の進展により災害時の機能不全など重大な事態を招くことになると考えております。このため、建設部では、老朽化対策も最重要課題の一つと捉え、橋梁やトンネルなどの公共施設ごとに長寿命化修繕計画を策定し、計画的な点検及び修繕等により構造物ができる限り健全な状態を長く保つよう努めてきているところであります。  また、先ごろ、国において、本年の豪雨災害、地震災害等を踏まえた重要インフラの緊急点検の結果と対応方策が取りまとめられ、防災・減災のための緊急対策を本年度から3カ年で集中して実施すると伺っております。  県といたしましても、国の方針に沿い、このたびの重要インフラの緊急対策を積極的に活用するなど県土の強靱化に向けた防災対策や老朽化対策の推進を図ってまいりたいと考えております。  以上であります。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)被災者の生活再建に関する公的支援の充実についての御質問をいただきました。  被災された方々の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的とした被災者生活再建支援制度は、都道府県の拠出による基金を活用し、国と協力して被災された方々に対して支援金を支給しているところでございます。この制度につきましては、先ほど議員御指摘のとおり、全国知事会において本年度見直しを検討いたしまして、支給対象を半壊まで拡大すること、全ての被災区域を支援の対象とすることなど、現行制度の拡充を決議し、先月、国に対して要請を行ったところでございます。  長野県としましても、平成23年の県北部の地震や平成26年の神城断層地震の際には、各部局が連携してライフラインの早期復旧や観光、農業などの産業振興支援などに取り組み、また、生活再建支援制度の対象とならなかった方々に対して見舞金を支給するなど独自の取り組みを実施してまいりました。今後におきましても、全国知事会の取り組みも踏まえて、市町村や関係機関と連携して被災者に寄り添った支援ができるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)被災者の公的支援については、国がやらなければ県がやる、この姿勢が大切だと思います。県独自でやっているよという答弁はありますが、先進地である京都府、愛媛県のように、半壊あるいは一部損壊にもきちんと補助をしていくと、この姿勢に変えていっていただきたいと申し上げておきたいと思います。  最後に、知事に伺います。  県として、広く関係者、建築土木、保育所、学校や病院、介護施設、電力会社、運送、水道事業者、消防などを参集のもと、学者、専門家によるシンポジウムを行うなど、本当に災害に強い長野県をどうつくるか、知恵と力をあわせることを改めて提唱いたしますが、いかがでしょうか。見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕
    ◎知事(阿部守一 君)災害に強い長野県づくりのために関係者の英知を結集して取り組むべきだという御質問であります。  御指摘のとおりだと私も思います。防災・減災対策は、この防災・減災の専門家だけではなく、広く県民全ての皆様方が主体的にかかわっていただかなければいけないテーマだというふうに思います。ただ、そのかかわり方やその視点、そうした部分については、専門家からアドバイス、意見をいただきながら考えていくということが重要だというふうに思っております。  長野県防災会議は多くの関係機関の皆様方にも御参加をいただいております。また、各種の防災訓練等において多くの関係者に参画いただいております。そうした中で、防災関係機関や学識経験者の方々からも最新の知見や他県での先進事例の紹介といったようなことも行っていただいて問題意識の共有を図っております。  また、減災トップフォーラム等を市町村長を対象として開催しておりますけれども、こうした問題意識を共有していく場づくり、また、各部局、地域振興局においても防災シンポジウムの開催等を行っています。  また、それぞれの市町村が行っている防災講演会等へも県として応援させていただいております。こうしたさまざまな気づきの場や検討の場に多くの皆様方に御参加をいただいて問題意識の共有と政策の方向性の共有、こうしたものをしっかり行っていきたいというふうに思っております。引き続き多くの防災関係機関や専門家の皆様方の御協力、御支援をいただきながら長野県全体の防災・減災対策のレベルを上げていけるように取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔28番両角友成君登壇〕 ◆28番(両角友成 君)自分だけは大丈夫、我が家だけは大丈夫、こんな方が多くいるとの報道がありました。他の地域で起こったことでもきちんと教訓として自分たちの地域に受け入れ、対応力を強くし、人を育て、予防行政、予防対策に取り組み、災害に強い地域社会を生み出しましょうと申し上げ、質問といたします。ありがとうございました。 ○副議長(小林東一郎 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時23分休憩          ──────────────────         午後2時39分開議 ○議長(鈴木清 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  石和大議員。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)人口減少社会では、公共サービスにおいても、これまでの制度のままでは適用できないようなことが少なからず起こってきます。蛇口を開けばどこでも衛生的な飲料水が出てくる日本が誇る上水道という一番基本的なインフラも、現代社会ではそれに付随している生活排水についても、将来に向けて持続可能な形を見据えなければなりません。  そこで、まず、山国信州ならではの上下水道施設の維持管理についてお尋ねをいたします。  農業集落排水施設は、農村地域において農業用用配水の水質保全や農村生活環境の改善等を図るため整備が進められてきました。本県では、冬季長野オリンピックの時期をピークに整備が進み、農業集落排水施設数は全国2位となっています。中山間地域を抱える長野県にとって、生活排水の整備のスピードや財政的な有利さを考えたときに、この事業によって整備することは時宜にかなっており、県民の皆さんの生活排水処理の向上に大きく寄与してきたと考えます。  一方、施設の整備から時間が経過し、施設の老朽化や人口の減少など農業集落排水事業を取り巻く環境は厳しくなっております。県内中山間地域に多く建設され、更新時期を迎えている農業集落排水施設の現状や対策及び県の市町村への支援の状況について環境部長に伺います。  また、農業集落排水については、施設、特に建屋については景観や地域性を考えたデザインになっていて、中には地域の公民館にでも使えそうな立派な建物があります。今後、例えば、私の地元、東御市のように、農業集落排水を公共下水につなぎ込むといった場合の施設の後利用について、県の考え方を環境部長にお聞きをいたします。  中山間地域の中でも、特に小さな集落になってくると、農業集落排水施設やコミュニティープラントのような集合処理による生活排水事業の維持管理が困難になるのではないかと懸念しています。今後、そのような地域がふえていった場合の処理区域の対応はどう考えているのか。そして、今後人口減少による使用料収入の減少が進むと、一般会計からの繰り入れに頼らざるを得ない状況に陥るなど、生活排水事業の運営は厳しくなることが予想されます。住民の公衆衛生向上と公共用水域の水質保全のためには、今後も農業集落排水施設も含めた生活排水処理施設を維持管理していくことが肝要であります。人口減少などの影響を受けつつも、今後も生活排水処理施設全般を持続的に運営していくための方針について環境部長に伺います。  また、排水だけではなく、水道についても課題はあります。水道事業の維持管理については市町村単位によるところが多いわけですが、小規模な町村については、管路や水路といった施設についてもそうですが、収納等事務の執行についても人手不足などの要因により大変さを抱えて負担感が増してきていることが懸念されます。水道事業の維持管理等について、企業局が天竜村で行った事務の一部代替執行のように県としての小規模町村の今後の水道事業を支えていく仕組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。環境部長に伺います。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)4点御質問をいただきました。順次お答えいたします。  初めに、農業集落排水施設の現状等についてでございます。  農業集落排水施設につきましては、昨年度末時点における施設数は269カ所で、このうち供用開始から20年が経過し更新時期を迎えている施設が約100カ所ございます。この更新時期を迎えている施設の対策でございますが、まず、市町村において公共下水道等への統合が可能かどうか、接続費用や維持管理に係るコスト比較を行い、その結果、統合が有利となる施設につきましては、国土交通省の助成を受けて整備を進めているところでございます。  一方、統合が不利となる施設につきましては、施設の機能診断に基づき、必要最小限の費用に抑制した保全計画を策定した上で、農林水産省の補助を受けながら処理水槽のコンクリートの補強やポンプ等の機械の更新といった機能強化対策を進めております。県といたしましては、市町村に技術的な助言を行うとともに、国に対して要望を行い、必要な予算確保に努めているところでございまして、市町村が計画的に整備を進められるよう引き続き支援してまいります。  続きまして、農業集落排水施設の後利用についてでございます。  農業集落排水施設を公共下水道等へ統合した後の建屋や処理水槽の利用につきましては、補助金で整備した場合には一定の制限が課されることもありますが、防災備蓄倉庫や文化財収容庫などに活用されている事例がございます。県といたしましては、市町村のニーズを踏まえ、施設の有効利用が図られるよう必要な助言をしてまいりたいと考えております。  続きまして、生活排水処理施設の運営方針についてでございます。  本県では、生活排水事業に係る県構想を平成27年度に策定し、市町村ごとに下水道、農業集落排水施設、浄化槽の区域を設定したエリアマップや経営プラン等を定めております。この中で、集合処理が困難となる地域では、施設の大規模更新の時期にあわせて浄化槽整備区域への転換を検討することや、人口減少により使用料収入が減少する場合には施設の統廃合により管理運営費を削減することなどの方針を示しているところでございます。  また、国からも、より一層効率的な運営を図るため、広域化、共同化に関する計画の策定を求められておりまして、県と市町村で県構想の見直しに着手しているところでございます。構想の見直しに当たりましては、処理区域の変更や処理施設の統廃合のほか、複数市町村によります維持管理業務の共同化といったソフト面の連携なども検討する必要があると考えておりまして、今後も市町村と連携し、地域の特性に応じて多面的な対策を検討してまいりたいと思います。  次に、小規模町村の水道事業についてでございます。  御指摘のとおり、小規模な町村におきましては、職員数が少なく、技術者も不足しており、水道事業の経営に関するノウハウの継承ができないなど大きな課題を抱えていると認識しております。水道事業を将来にわたって維持していくため、平成29年3月に策定いたしました長野県水道ビジョンに基づき県内10地域に設置した広域連携に関する検討の場においても同様の課題を市町村と共有しており、水質試験や施設の維持管理の共同化なども含めさまざまな方策の検討を進めているところでございます。今後も市町村の要望等を丁寧にお聞きし、関係部局、現地機関等と連携をいたしまして地域の実情に応じた支援策を検討してまいります。  以上でございます。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)続いて、県営水道施設の老朽化対策及び自然災害への対応についてお尋ねいたします。  去る11月13日に、長野市若槻団地で、水道管の破裂による事故のため、断水や赤水、濁り水等が発生し、約4,800世帯の住民の生活に影響が出たことは記憶に新しいところです。新聞報道によりますと、この地域を給水区域とする長野市上下水道局の話では、原因は特定できないが、この水道管は1965年に埋設され、耐用年数の40年を超えていたことから、老朽化の可能性が高いとのことです。県企業局では、長野市南部、千曲市、坂城町及び上田市の千曲川沿岸の3市1町の住民18万8,000人に水道水を供給しているわけですが、上田市から長野市に至るまで千曲川に沿って埋設されている送水管を初めとする水道施設の老朽化対策についてどのように対応しているのか、公営企業管理者に伺います。  次に、企業局の県営水道の自然災害への取り組みについて伺います。  平成28年4月発生の熊本地震、ことしの台風7号と梅雨前線の影響による西日本を中心に発生した平成30年7月豪雨、そして9月に発生した北海道胆振東部地震など、全国各地において大規模な自然災害が相次いで発生しました。このため、被災地域では、水道管を初めとする水道施設が被害を受けたことから、断水や濁り水などが生じ、かつ、復旧までに時間を要したため、住民生活に大きな影響が出たことは周知のとおりです。長野県も、糸魚川―静岡構造線断層帯を初めとする多くの断層帯が存在し、大規模地震がいつ起きてもおかしくない状況であると考えます。  そこで、企業局では地震などの自然災害に備えた対策についてどのように取り組んでいるのか、公営企業管理者に伺います。  続いて、企業局の電気事業についてお尋ねします。  企業局の電気事業につきましては、地方公営企業を取り巻く環境の変化を踏まえ、平成15年に企業局事業の民営化計画が策定されるなど、一時は民間への譲渡が検討されてきたところですが、平成23年3月の東日本大震災と福島第1原発事故を契機にエネルギーを取り巻く情勢が一変したことから、平成24年11月議会での議論を経て事業の継続が決定されました。ここからの電気事業は、固定価格買い取り制度、いわゆるFITにより投資が促され、経営戦略も成り立っていることが大きいわけですが、制度の活用には2020年までに認可を受けることが必要となっています。そして、企業局では、平成28年に長期的な経営の基本計画となる長野県公営企業経営戦略を策定し、平成29年4月には17年ぶりの新規発電所となる高遠発電所と奥裾花第2発電所を竣工させました。  また、損益では、平成25年から29年まで5期連続で過去最高益を更新し続けるとともに、地域貢献として、一般会計にこれまで約12億円に上る繰り出しや企業局職員の技術力を生かした水力発電所建設に係る技術支援を行っていると承知しております。当時、文教企業委員として議論に参加し、電気事業の継続を強く訴えてきた私としては、このような電気事業の現在の状況を見るにつけ、当時の判断は適切であったと心から思う次第であります。  さて、今定例会で、企業局からは、県営の発電所にさらに小水力の発電装置を整備するという補正予算案が提出されています。これまで使われていなかったエネルギーに着目して再生可能エネルギーの供給を拡大するという取り組みは、これはこれで企業局職員の技術力を生かした大変意義のある取り組みだと考えます。  この件も含めて、企業局では、現行の固定価格買い取り制度を有効に活用して今後とも安定した経営を継続していくとともに、地域との共存共栄を果たしていくためにどのように電気事業を展開されていくお考えか。公営企業管理者に伺います。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)御質問に順次お答えしてまいります。県営水道施設の老朽化対策及び自然災害への対応についてでございます。  まず、水道施設の老朽化対策についてでございますが、企業局における水道施設の老朽化対策につきましては、2016年から2025年度までを計画期間とする経営戦略におきまして、アセットマネジメントの手法を取り入れ、国や他の事業体の基準も参考に、法定耐用年数の1.5倍での更新を基本とする独自の更新基準を設定いたしまして計画的に更新を進めてまいりました。その結果、現在、耐用年数の1.5倍以内で更新を終えることができてございますので、それを超えた老朽化資産はございませんが、今後ともこの基準に基づき老朽化資産を極力生じさせないよう取り組んでまいります。  この中で、とりわけ最重要管路の一つでございます上田市の諏訪形浄水場から千曲市鋳物師屋に至る送水管路につきましては、延長も長く、幹線道路下の埋設であることから、生活や交通への影響を最小限にとどめるため、本計画期間中に管路や地盤の基礎調査を行うとともに、関係機関と協議、調整の上、工事に着手できるように進めてまいります。  次に、自然災害への対応についてでございますが、自然災害の対応につきましては、ハードとソフトの両面から対策を進めてございます。具体的には、ハード面の対策といたしまして、まず、浄水場や容量が1,000立方メートル以上の配水池、あるいは導送水管や口径200ミリ以上の配水管に加えまして、病院や災害時に避難所となる学校等地元市町と協議の上定めた重要給水施設に至る管路と耐震化を優先する施設を定めまして、これら施設、管路の耐震化を現行戦略の計画期間中に100%とするよう取り組んでまいります。  さらに、現在、災害時に避難所となる施設に設置を進めている応急給水施設「安心の蛇口」につきましては、平成28年4月の熊本地震を受け、計画期間中に整備予定箇所を20基とすることとし、今年度までに7基を整備する予定でございます。  次に、ソフト対策といたしましては、平成29年度に関係する市町村と災害時連携協定を締結し、その中で、災害発生時における役割分担や情報共有の手法などについて明確化するとともに、これら市町村と合同防災訓練を実施して被災情報の収集や応急給水応援体制の確認を行っております。今般の地震や豪雨などの自然災害の報に接し、水道が住民生活や社会経済活動に不可欠なライフラインであることを改めて認識したところでございまして、今後も安定した給水が継続できるよう、水道施設、管路の適切な維持管理に努めてまいりたいと思っております。  次に、電気事業の今後の展開についてでございますが、企業局では、再生可能エネルギーの供給拡大と経営の安定及び地域への貢献、地域との共存・共栄を両立させて電気事業を発展させていくためには、現行の固定価格買い取り制度の期間内に、新規発電所の建設や既存発電所の大規模改修を可能な限り進めていくとともに、それにより培った技術系職員のノウハウを地域へ還元していくことが重要であると考えております。  そのため、現在着手してございます辰野町、箕輪町、松川町の3カ所の新規発電所では、末永く地域に愛される発電所となるように地元小学生等から発電所の名称を公募するとともに、観光資源としても活用できるよう景観に配慮した外観とする計画としてございます。  既存の発電所の大規模改修といたしましては、現在、西天竜発電所の建てかえ工事を行うとともに、春近発電所については、PFI方式によらず、企業局が直営で行うことを決定し、10月に環境影響評価に係る調査委託契約を締結したところでございます。  さらに、その上流に位置する美和発電所につきましても、同時期に建てかえることで水運用の最適化による発電量の増加を見込めるため、現在発注の仕様を検討してございます。  これに加え、最近の取り組みとして、本年8月に新規電源開発地点発掘プロジェクトを発足させ、その中で、今定例会に補正予算案を提出した小渋第2発電所構内を含む4地点を早期調査着手地点として選定し、現行の固定価格買い取り制度の認定を目指して取り組みを加速することとしてございます。  また、これらの取り組みを通じて、企業局が蓄積するノウハウを地域へ還元すべく、環境部が主体となって市町村や土地改良区等の小規模発電の事業化を支援する小水力発電キャラバン隊の取り組みに今後とも企業局としても積極的に参加してまいりたいと考えてございます。  以上でございます。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)現代社会のキーワードの一つであるSDGs、国連による持続可能な開発目標は、一人も取り残さないという目標だというふうに示されていますが、日本は今までも一人も取り残さない社会を目指してきました。地球上には、一人も取り残さないということをまずなし遂げたいと考える国も少なくないでしょう。日本は、水の恵みを中心にした自然環境と勤勉性などにより今日の社会システムを構築しました。特に、昭和、戦後の高度経済成長期の人口ボーナスをバックボーンにしたインフラ整備は、時間的に日本を狭くしたほどです。しかし、今回質問した項目のように、当たり前の水道や生活排水といったインフラも急速に更新時期が到来しているという感があります。人口減少社会では、意識して持続可能な形をみんなで構築することが必要だと思います。  長野県が目指す学びと自治の力で切り開く新時代は、歴史に学び、現状を見詰め、先を見通す目をみんなで磨き、力を出し合うことだと考えます。長野県は、過疎化の進行もあり、小規模な市町村が少なくありません。持続可能な社会を目指すのに困難な課題が待ち受けていることは容易に予想されます。  まず、県はそんな基礎自治体の課題を把握し、適切なサポートをすることが大切な使命になると思います。誰一人取り残さない長野県の構築に向けてしっかりと力を出し合うことに期待をし、そんなところに力をしっかりと出していきたいということを決意し、質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)次に、埋橋茂人議員。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)信州・新風・みらいの埋橋茂人です。通告に従い、私は主に二つ質問を申し上げます。  一つ目は、入管難民法改正法案、新たな在留資格の創設についてです。  11月2日、安倍内閣は、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案、以下、入管難民法改正案と言いますが、閣議決定しました。11月28日の衆議院法務委員会で与党が強行採決し、今国会で法案を可決、成立させようとしています。  国内の人手不足は深刻であり、労働力の確保が重要な課題であることは共通した認識だと思います。しかし、新たに創設される在留資格「特定技能」は、人材不足とされる分野において外国人材を受け入れる制度です。基本的に整理すべき事項がいまだ多くあります。  とりわけ、一つ、受け入れ人数上限が5年間で34万5,000人余と一応の人数は示されていますが、業種別等の内容は示されていません。  二つ、業種は14業種とし、単純労働は受け入れないとしていますが、例示がありません。  三つ、労働環境の整備についても、失踪者が7,089人にも及んでいますが、対応策が示されていません。  四つ、永住権についても、新たに設けられる特定技能2号の該当者は永住権の申請が可能になると考えられますが、その後の部分が曖昧なままです。その他、健康保険制度の適用範囲や参政権の問題も明確になっていません。  また、裁量労働制のときと同様、職場をやめる理由が、原文では「低賃金だから」となっているのを、公表データでは「より高い賃金を求めて」と、またもやデータの恣意的な改変が行われている等々です。重要な部分が法律成立後の関係各省の省令に委ねられる、いわゆる委任法になっています。事実上の移民政策であり、導入されれば国の形、社会の仕組みが大きく変わらざるを得ないものであり、省令に任せるべき事項ではありません。  私は、長期的な展望に立った多角的な論議と哲学が必要だと強く思っています。また、日本語教育、外国語教員確保、コミュニティー対策等々、基本的に課題が多く、1市町村の手に余ることは明らかです。工場の労働力として多数の外国人が居住する市町村の事例から見ても、欠陥だらけの制度の影響を受けるのは当該市町村です。今回の改正について知事としての見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)入管法の改正についての私の見解についてという御質問であります。  海外人材の活用につきましては、昨年度、県として、雇用・就業支援担当部長を座長として関係課長で構成するプロジェクトチームにおいて対応のあり方を検討してきているところであります。その際、県内に事務所を有する法人等に対してアンケートを行いました。回答いただきました454の法人等のうち約4分の1の法人等で過去3年間に外国人を採用したという回答でありました。また、従業員が不足していると回答をした209の法人等のうち、約4分の1の法人等で海外人材も含めて人材を充足していきたいというふうな回答がなされておりました。  こうした法人等の考え方、あるいは既に長野県内においても約1万5,000人の外国人の方々が就労されていること、また、将来的には人口減少で労働力の大幅な不足が見込まれること、こうしたことを鑑みますと、省力化投資の促進等によります産業の生産性の向上や、女性や高齢者、障害者等の一層の活躍の促進とあわせて、外国人材についても一定のルールのもとで受け入れていくことは避けて通れないものというふうに考えます。  しかしながら、外国人を受け入れるというのは、お越しいただく方々は生きた人間であります。単なる機械的な労働者ということではないわけであります。特に、特定技能2号では家族にも在留資格が付与されるということになるわけでありまして、地域社会においてもそうした方々を温かく受け入れて真の共生社会を築いていくと、そうした強い決意が必要だというふうに思っております。そうしたことから、企業での受け入れ体制はもとより、地域社会におけるさまざまな対応、お子さんの教育であったり、医療であったり、こうしたことも必要になってくるというふうに考えております。  国の法案のみでは実際の運用がどうなるのかということが必ずしも明確ではないわけでありまして、本県の産業や地域社会への影響が明確でない部分がございます。しかしながら、現実的には、こうした対応は、市町村や我々長野県、都道府県が取り組むべきことが多く出てくるわけでありますので、国においては、外国人の受け入れ、共生のための対策を早急に示して具体化していただくとともに、我々の取り組みに対してもしっかり支援をしてもらわなければいけないだろうというふうに思います。  また、日本人の就業促進や省力化のための投資の促進についてもより一層力を入れていただく必要があるというふうに思っております。県としても、この人材の問題は、産業分野においては緊急を要する課題だというふうに考えております。IoT、ロボット等の利活用のための戦略を早急に策定して、各分野の生産性向上に全力で取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、また、就業促進・働き方改革戦略会議では、これまでの議論を踏まえて、若者はもとより、女性や高齢者、障害者、こうした方々の就労促進を図るための当面の方針を年度内には取りまとめて具体化していきたいというふうに思っております。引き続き関係機関と連携してこの就業の問題にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)お答えをいただきました。少し重複する部分がございますが、続いて産業労働部長に伺います。  日本で働く外国人労働者の数は、厚生労働省の「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(2017年10月末現在)」で約128万人。県の人数は今知事がおっしゃられたとおりであります。大変な人数であります。労働組合連合は、入管難民法改正案、この新たな在留資格の創設の閣議決定に対する談話を出しています。  長いので一部を要約しますが、一つとして、社会的影響の大きな課題であり、国民的議論が必要として、2月の総理発言を契機に短期間に非公開で取りまとめられたこの法案は、専門的、技術的分野に限って外国人材を受け入れるとしてきた従来の政府方針を大きく転換するものである。新たに創設される在留資格「特定技能」は、人材不足とされる分野において外国人材を受け入れる制度だが、社会的影響の大きな課題であり、十分な時間をかけて包括的な議論を行う必要がある。  二つ、基本方針、分野別運用方針の検討プロセスは公開すべきとして、法案は、在留資格「特定技能」制度の根幹である人手不足の判断基準、技能レベル、受け入れ分野等について基本方針及び分野別運用方針において決定すると定めている。これらの方針は、法案成立後に閣議決定または関係行政機関の長による協議によって決定されるとするが、国内雇用への大きな影響を考えれば、関係者のみの閉ざされた場で協議をすることは極めて問題がある。女性や高齢者も能力を発揮できる就業環境の整備、非正規雇用労働者の処遇改善が十分になされた上での検討であるのか、検討のプロセスを明らかにすべきである。  三つとして、全ての外国人労働者の権利と人権の保障が重要として、長く労働関係法令違反、人権軽視の問題が指摘されてきた外国人技能実習制度においては、昨年11月に適正化のために技能実習法が施行されました。しかし、依然として最賃未満の賃金しか支払われない、労災に遭ったが労災申請できない、違法な長時間労働を強制される等の問題が後を絶ちません。日本人と同様に労災関係法令が適用されるとはいえ、多くの外国人労働者は日本語能力の問題から権利を行使することが難しい。まずはこうした日本で働く全ての外国人労働者の権利、人権を保障することが先決である。  四つとして、国会において徹底した議論が求められるとして、連合は、今後の国会審議において、外国人労働者保護のため、日本人と同等報酬、ブローカーの排除、罰則の強化といった実効性ある施策の導入を求めていく。同時に、生活者としての外国人労働者について、日本語教育や公共サービス、多文化理解等の共生施策についても、社会的コストの負担の問題も含め徹底した議論が行われることを求める。外国人を含む日本で働く全ての労働者保護の後退や労働条件の低下を招くことがないよう、構成組織、地方連合会と一丸となり、連合フォーラム議員と連携した取り組みを強力に展開していく等々、多くの問題点を指摘しています。  県内においても、人手不足の対策として、また、安価な労働力確保としての外国人材の受け入れ拡大策が取り沙汰されています。国内の有効求人倍率は、数字上は大きく改善していますが、不本意非正規労働者の比率はまだまだ多く、安易な外国人労働者の受け入れ増は、雇用においてその層と競合し、政府の掲げる働き方改革、一億総活躍社会、介護離職ゼロと逆行するものだと言わざるを得ません。  そこで、以下、産業労働部長に3点伺います。  労働不足対応は、まずは県内での働き方改革を推進し、県の重要施策に掲げた生産性の向上、女性や高齢者の就業環境の整備、非正規雇用労働者の処遇改善等に最優先で取り組むべきだと思いますが、県の考え方や具体策を伺います。  二つとして、法案では、分野横断的な方針を明らかにするための基本方針を閣議決定し、受け入れ分野ごとの方針を明らかにするための分野別運用方針を定めることとしています。この分野別受け入れ方針の策定に当たっては、労使や外国人支援団体を含む国民各層の意見を集約する場を設け、プロセスの透明性を確保すべきであると思いますが、いかがですか。  三つとして、多くの外国人労働者を受け入れた場合、国内労働者の労働条件の影響が強く懸念されますが、県の考え方を伺います。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)労働力不足対応について御質問をいただきました。  ただいま知事からも申し上げましたが、県としては働き方改革と就業促進を図るため、まずは業務の効率化等による生産性の向上を進めるとともに、女性、高齢者、障害者にとって働きやすい環境の整備を行い、労働参加を促し、あわせて人手不足が深刻な分野などで外国人材を活用することが適当と考えております。
     国でも、本年6月に閣議決定されました骨太の方針2018において、設備投資、技術革新、働き方改革などによる生産性向上や国内人材の確保を引き続き強力に推進し、その後、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れていくとしてございます。  具体的に、県では、県委託のアドバイザーが年間3,000社を超える企業を訪問し、多様な働き方制度の導入について助言をしたり、仕事と家庭の両立ができる職場環境の改善に取り組む企業を県が認証いたします職場いきいきアドバンスカンパニー制度などにより働きやすい職場づくりを推進し、就業につなげてまいったところでございます。  今後は、現在行っております長野県就業促進・働き方改革戦略会議での各界からの御意見をもとに、人手不足に短期間での効果が期待できる当面の取り組み方針を取りまとめ、構成団体等と連携をいたして速やかに実施してまいります。  次に、分野別運用方針の策定についてでございます。  国では、新たな外国人材の受け入れについて、入管法改正案成立後、政府基本方針を閣議決定し、その後、法務省と関係省庁において分野の特性を考慮した分野別運用方針を決定することとなっております。同方針においては、人手不足の状況、生産性の向上や国内人材確保のための取り組み等が記載されることとなっており、外国人材に求める技能や日本語能力の水準、人手不足状況の変化への対応など非常に重要な項目が多いことから、さまざまな意見を踏まえて策定されることが望ましいと認識しております。  最後に、国内労働者の労働条件の影響についてでございます。  外国人材の受け入れにつきましては、国が7月に中間取りまとめを行った外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策の中で、適正な労働条件と雇用管理の確保・労働安全衛生の確保に取り組んでいくとしております。人手不足分野での多数の外国人材の就労により、国内労働者の賃金の低下、雇用情勢の悪化等が懸念されておりますが、国では、国内労働者への影響を考慮し、外国人材受け入れ人数を制限するため雇用への悪影響は少ないとし、また、賃金については、経済動向などさまざまな要因が影響するため一概に答えることは困難としております。  県といたしましては、こうした国の見解も踏まえ、外国人材受け入れ後の国内労働者の影響について、経済団体、労働団体、労働局等と情報共有を図り、動向を注視するとともに、不適正な事案が生じた場合には連携して対応してまいります。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)お答えをいただきました。以下は意見でありますが、今後、政府は5年間で34万5,000人を迎え入れるということを言っておりますが、2012年の12月から2018年の6月までに203万人から264万人と既に61万人の増加を見ております。上限とする35万4,000人で解消するかどうか極めて疑問であります。  就業者予測でありますけれども、2015年から20年までには120万人減る、20年から25年までには203万人減ると言われています。これを、外国人労働者だけで今の34万5,000人では全く焼け石に水でありますから、国内の雇用対策を含めてもっと大きな政策を国にとってもらいたいということを県からも申し入れていただきたいと思います。  ちなみに長野県は、私もこの場で触れましたが、2012年までの15年間で、全国で下から3番目というか、多いほうから3番目といいますか、7万7,000人の就業者が減っております。日本で稼げるのは月に平均1,000ドルというレベルでありますから、台北やソウルと同じレベルであります。2017年のスイスの国際経営開発研究室の調査によりますと、外国人材から見た日本の魅力度ランキングは、63カ国中51位、2015年の移民統合政策指数では、総合性、38カ国中27位、差別禁止規定では38カ国中37位と言っています。果たして日本が選ばれるのでしょうか。大変疑問なところでございます。  続いて、長野県主要農作物等種子条例関係について申し上げます。  生産者、流通業者、消費者の皆さんから心配の声が出ている主要農作物種子法廃止に対して、知事は、主要農作物等に係る県条例を定め、守るべきものは守っていくとの方針を示されました。御英断に深く敬意を表するところです。  9月定例会において、我が会派の竹内議員の代表質問における条例制定のスケジュールに関して、2月県会で骨子案を提示し、6月県会で条例案を県議会に諮るとのお考えが知事から示されました。  種子法が廃止されたことについて各地で自主的な研修会、勉強会が開かれ、多くの県民の皆さんが参加されています。私も幾つかの集会に出ていますが、国会での議論が衆参両院でわずか12時間という短さであったことや農業競争力強化法案のパッケージであったために、さまざまな論議が交わされています。  そこで、条例制定に当たって、県の基本的な考えを示し、広く県民の意見、要望を聞くため、県として県民の意見を聞く機会をどのように設けるのか。また、関係機関や消費者からどのように意見を聴取するお考えか、お聞きします。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)種子条例制定に当たっての意見聴取についてのお尋ねでございます。  現在、農業者や種子生産者、農業団体、消費者などさまざまな立場の皆様から意見交換やアンケート調査の実施などにより御意見をお伺いしているところでございます。  今後、いただいた御意見を踏まえまして、来年1月までに条例の骨子案を作成し、パブリックコメントを行うとともに、その内容を詳しく説明し、御意見を伺う機会を設けてまいりたいと考えております。  さらに、2月には、農業者や消費者の代表、食品流通業界、学識経験者などの委員で構成される長野県食と農業農村振興審議会におきまして議論していただくこととしております。  以上でございます。 ○議長(鈴木清 君)次に、清水純子議員。       〔30番清水純子君登壇〕 ◆30番(清水純子 君)それでは、本日最後の質問に入らせていただきます。  県内に多くの観光地を有する我が県にとって、観光業は重要な主要産業になっております。また、国では、東京五輪、パラリンピックが開かれる2020年までに年間の外国人観光客を4,000万人までふやすとし、観光立県の実現を目指す中、長野県でも総合5カ年計画において2022年までの外国人延べ宿泊数の目標を300万人としております。  こうした中にあって、本年9月には台風21号の上陸、そして北海道の胆振東部地震で大きな被害が発生し、関西空港や新千歳空港が一時閉鎖されました。また、札幌市内のホテルでは、ブラックアウトによる停電等で観光客に大きな影響も出ました。とりわけ、外国人観光客にとっては、多言語での災害交通避難情報が十分でないなど災害時の対応に大きな課題を残すこととなりました。  災害の多い我が国においては、観光の危機管理は重要で、各自治体における観光客に対する防災や災害時の支援体制を進めていくことが重要です。国際観光需要の高まりとともに、インバウンド市場をめぐる地域間競争も激化する中、世界から選ばれ続ける長野県の観光地を目指した安心、安全の観点から外国人観光客受け入れ環境の整備についてお聞きをいたします。  世界から選ばれる安全、安心な長野県の観光地、これを目指していくには、何より災害時に迅速かつ正確に情報提供を行う体制の構築が必要です。まず初めに、長野県地域防災計画の中には、観光旅行者に対する避難場所、そして避難経路などの計画が定められているのかお聞きいたします。また、外国人観光客への情報伝達に関する事項は整備されているのかお聞きいたします。  具体的に、初動体制の構築の観点から、市町村が発信する緊急速報メール、そして県の防災ポータルやツイッターなどの災害情報のアナウンスは、多言語での情報発信の整備が必要と考えますが、その整備状況についてお聞きいたします。以上を危機管理部長にお聞きします。  また、ITを活用した緊急地震速報及び津波警報が外国人旅行者のスマートフォンに自動的 に飛び込んでくるプッシュ型情報発信アプリ、このようなものが観光庁の協力により開発されております。その活用についてお聞きいたします。  避難誘導時にどこへ避難するのか一目でわかる伝達情報の整備が必要です。多言語化による避難場所等の案内板表記や国内外ともに一目でわかる防災ピクトグラムでの表示、誘導時の指さしフリップボードの作成等の整備は県内の観光地においてどの程度行われているのか。今後の進め方もあわせてお聞きいたします。以上、観光部長にお聞きします。  その他、京都府では、要配慮者対策として災害時の通訳ボランティアの事前登録を行っております。避難所等での通訳ボランティアの仕組みの整備について県民文化部長にお聞きいたします。  また、仙台市では、緊急搬送時における症状観察や応急措置、医療機関選定時に必要な言葉を網羅した9カ国語の外国人救急カードを作成し、救急車へ常時配備をしているところです。長野県の119番通報における多言語対応の整備状況について危機管理部長に伺います。  また、診療体制の構築についても現状を健康福祉部長にお聞きいたします。  最後に、今後長野県において外国人旅行者を受け入れる側の県、市町村、警察、消防、各事業者、そして県民とが一体となった支援の枠組みの構築が一層重要になると思います。新時代を開き、そして世界に選ばれる長野県観光戦略を積極的に進める我が県において、災害時の外国人旅行者への支援体制構築のため、関係機関との協議の場の必要性について知事に伺います。  また、現在結ばれております長野県ホテル旅館生活衛生同業組合との協定の見直しの必要性についても知事に御所見を伺います。  現役世代の不就労者、ひきこもりの増加は、少子化が進む我が国にとって対策が求められている喫緊の課題となっております。厚生労働省では、ひきこもりを、さまざまな要因の結果として社会的参加を回避し、原則的には6カ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続ける状態と定義をし、約26万世帯に上ると推計しております。  また、近年では高齢化が進んでおり、全国ひきこもり家族会連合会の調べによると、ひきこもりを始める年齢が横ばいにあるものの、平均年齢は上昇傾向にあると。そして、最近では、一旦社会に出てから挫折をすることでひきこもり状態になる人がふえ、高齢化に拍車をかけているということです。年齢が高くなるほど抱える家族の負担は重くなり、支援が難しくなってしまいます。問題は、ひきこもりを抱える親が既に高齢化しており、本来、親の世代が年金を受け取るなど社会保障の恩恵を受けている世代のはずが、子供が社会復帰できない、または不就労の状態が続き、果ては生活困窮に至る世帯となることが予想されることです。  内閣府は、ひきこもりを続けている40から60歳前後の5,000人とその家族を対象に、ひきこもりに至った原因やその期間などを尋ねる訪問調査を開始するとしております。従来の調査に加え、中高年者への実態把握に本格的に国が乗り出した背景及び目的について県はどのように考えているのかお聞きをいたします。  ひきこもりに特化した第1次相談窓口として支援コーディネーターなどの派遣をし、早期に適切な機関につなぐことを目的とした長野県ひきこもり支援センターが設置されております。実績については昨日の荒井議員の質問に御答弁をいただいておりますけれども、これまでの相談対応から見えてくる長野県のひきこもりの分析をどのように受けとめているのかお聞きいたします。  また、国では、同じような立場の人によるサポート、ピアサポートの重要性を掲げております。県においてもひきこもりサポーター事業を実施しておりますけれども、事業の目的と実施状況、活動状況と効果についてお聞きいたします。また、今後、ピアサポート的視点から、ひきこもり経験者やその家族、関係者も含めてのサポーター養成も重要かと考えますが、いかがでしょうか。  生活困窮者自立支援法では、その目的について、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し自立相談支援事業の実施と住居確保給付金の支給、その他の支援を行うための所要の措置を講ずるとしておりますが、県においての自立相談支援事業の実施内容と住居確保給付金の活用及び周知方法についてお聞きいたします。  内閣府の若者の生活に関する調査によれば、ひきこもり状態になった人の原因で最も多かった理由、これは、職場になじめなかった、不登校を経験した。次いで、就職活動にうまくいかなかった、人間関係がうまくいかないとの回答です。この分析からも、社会から孤立し困窮に直面する前に、さまざまな潜在的リスクに気づき、対応するための支援が必要です。  私は、この潜在的リスクの一つに大人の発達障がいがあるのではないかと思っております。 現在、発達障がいは多くの人に周知をされるようになり、早期発見に取り組む自治体も整備されつつあります。しかし、発達障がいとは認識されないまま大人になった軽度の発達障がいや、大人になってから症状が顕在化する発達障がいもあり、実は今後の重要な課題であると思っております。教育現場では支援とはつながらなかったけれども、複雑な社会性やコミュニケーション能力を求められる社会人となって初めてうまく適用できず悩んでいる人は多いのではないかと思っております。大人の発達障がいは正式名称ではないと聞いておりますけれども、適切な診断が受けられるための医療機関、特に精神科医師への情報提供や研修によって本人の気づきにつなげ、周りの理解を求めることによってひきこもりにつながる潜在的リスクの一つに対応できるのではないかと思っておりますが、御所見をお聞きいたします。  以上、健康福祉部長にお聞きいたします。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)私に対しまして3点御質問をいただきました。順次お答え申し上げたいと思います。  最初に、長野県地域防災計画における観光旅行者対策についての御質問でございます。  県地域防災計画では、観光地の災害対策として、地理状況に不案内な観光客のため、地域住民による応援体制の整備や外国人旅行者のための防災対策の充実を基本方針とした観光地の災害予防計画を定めております。この計画としては、県、市町村、関係機関、観光施設の管理者は相互の連携により災害時の観光客の安全確保策を推進する。外国人旅行者のために避難場所や避難経路標識などの簡明化、多言語化や情報提供体制の整備など災害発生時の防災環境づくりに努めると規定しており、管理者が連携して具体的な計画を進めることとしております。  次に、多言語による災害情報の提供についての御質問でございます。  現在、土砂災害警戒情報や避難指示など緊急性の高い情報につきましては、市町村が通信事業者を介してスマートフォンなどに緊急速報メールを配信しているところであり、機種の設定でありますとかアプリケーションの利用により多言語による情報を得ることができることとなっております。  また、県の防災情報ツイッターや防災情報ポータルにつきましても、利用者が言語を設定することで県内の気象情報や市町村が発令する避難勧告などの情報を多言語により得ることができるようになっており、県の外国人向け観光サイトにおいて防災情報ポータルの紹介をしているところでございます。外国人旅行者や外国籍県民の皆様の安心、安全の確保のためには、多言語による災害関連情報の提供が重要となっておりますので、今後も関係部局や通信事業者と連携して必要な情報の提供や周知に努めてまいりたいと考えております。  次に、119番通報時における多言語対応の整備状況についての御質問でございます。  議員の御質問にもございましたが、本県におきましても、救急車内におきましては外国人救急カードやタブレット端末による多言語対応をしてきております。また、13の消防本部の全てにおいて119番通報時の多言語対応を整備し、運用の充実を図っているところでございます。 具体的には、10の消防本部が長野県国際観光推進協議会が設置しておりますNAGANO多言語コールセンターを利用して15カ国語に対応できる体制を整備しており、他の三つの消防本部では、それぞれ民間サービスを利用して5カ国語に対応できる体制を整備しております。実際の利用実績でございますが、平成29年度は89件となっております。  今後も、119番通報時の多言語対応につきましては引き続き消防本部との情報共有に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)2点お尋ねをいただきました。  まず、外国人旅行者向け災害時情報提供アプリの活用についてのお尋ねでございます。  このアプリ、セーフティーチップスにつきましては、5言語により緊急地震速報及び津波情報、気象特別警報、噴火速報等をプッシュ型で通知するほか、現在地からの有効な避難方法や日本人とのコミュニケーションカード、災害時に必要な情報が収集できるリンク集等が提供されています。  さらに、今年度からは、各自治体が発信する災害時の避難勧告や指示情報も配信されることになりまして、災害時に外国人が情報を収集するためのツールとして非常に有効なものであると認識しております。国レベルでは、JNTO(日本政府観光局)を通じて海外において周知しているほか、空港、交通機関、観光案内所等においても情報提供をしております。県レベルでは、外国人向けの観光情報サイト「GO!NAGANO」や各種パンフレットにおいて情報発信をしているところであります。今後、県内の市町村、観光協会に対しましてもこのアプリについて周知を徹底し、各種媒体を利用して外国人旅行者に広く呼びかけてまいります。  次に、外国人旅行者の避難誘導についてでございます。  これらの対応につきましては、昨年の外国人宿泊者数が3万人以上の県内の九つの市町村に対して調査をしましたところ、いずれの市町村も避難誘導案内看板の多言語化やピクトグラムによる表示など何らかの対応がなされているものの、全ての案内板で対応ができていない、指さしフリップボード等が活用されていないなど環境整備は十分であるとは言えない状況でございました。  県といたしましては、市町村等に対して、指さしフリップボードなどのアナログ的なツールから最先端機器に至るまで、各種災害対応ツールとその適切な活用方法について広く紹介しながら観光地における避難誘導環境の整備促進を進めてまいりたいと考えております。  また、この一環として、来年度は、現在国の実証事業に申請中ではありますが、災害時の外国人旅行者のニーズの把握、情報発信ツールの研究、災害時の支援マニュアルの作成等を通じまして、より実効性のある環境整備につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)災害時の通訳ボランティアの仕組みについてのお尋ねでございます。  長野県では、平成26年に外国籍県民及び外国人旅行者を対象とした避難場所での生活環境整備に関するガイドラインを策定しております。このガイドラインでは、避難所を開設した市町村が災害多言語支援センターを設置し、多言語による情報の提供や避難所への巡回による支援などの応急活動を迅速に行うこととしております。この支援センターにおける通訳者につきましては、京都府のような登録も一つの方法と考えますけれども、その場合、言語能力や経験については御本人からの申告に基づく制度であるため、避難所のニーズに適切に対応できるかどうか難しい場面もあるのではないかというふうに考えております。  一方、長野県では、ガイドラインにより、日ごろから地域の通訳人材と交流のある公益財団法人長野県国際化協会や地域の国際交流協会などに意欲や経験、言語能力などの点から総合的に判断して蓄積した人材情報を活用していくこととしておりますけれども、これは、情報を更新し管理するということで、事実上の登録制度としての運用となるのではないかというふうに考えております。  災害時の業務を円滑に遂行するため、毎年行われる県総合防災訓練や市町村の防災訓練においては、この方法で災害多言語支援センターの設置運営訓練を行っております。蓄積した通訳人材情報を定期的に更新しながら、今後とも市町村や関係団体と連携した確実な体制づくりに努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)観光危機管理の充実についてとひきこもりの社会復帰支援と潜在的リスクの対応について順次お答え申し上げます。  まず、多言語化による診療体制の構築についてでございますが、観光庁と厚生労働省が示した要件に基づいた外国人旅行者の受け入れが可能な県内医療機関は順次増加し、平成30年3月現在、24施設あります。また、県内各医療機関からの報告によりますと、外国語対応が可能な医療機関は、平成30年12月現在、約1,000施設ある状況です。  さらに、国では、日本政府観光局のウエブサイトにおいて医療関係者向けサポートページを設けており、診療申込書や問診票、検査説明書等、厚生労働省が作成した外国人向け多言語説明資料のほか、参考となるマニュアル等を掲載しています。  本県においても、県内医療機関の検索サイト「ながの医療情報Net」の英語版を提供しているほか、外国人への診療を支援するために8カ国語による問診票を作成、公表しています。  また、医療通訳の養成に加え、先ほど危機管理部長が申し上げました多言語コールセンターにより外国人と医療機関との円滑なコミュニケーションを支援しております。このように、外国人のための多言語による診療体制の確保に向けさまざまな取り組みを進めてきたところであり、今後、訪日外国人旅行者のさらなる増加を見据え、外国人が安心、安全に医療提供を受けられるよう取り組みを着実に推進してまいる所存です。  次に、ひきこもりの社会復帰の関係でございますが、まず、県内のひきこもりの実態と分析でございます。  内閣府が行う中高年のひきこもりの調査の背景と目的についてお答え申し上げます。  これまで内閣府は、ひきこもりについて40歳未満を対象とする調査を行い、対策も40歳未満の子供、若者に焦点を当てて取り組んでまいりました。近年、ひきこもりの長期化により、ひきこもり当事者の高齢化とともに親の高齢化が同時進行する、いわゆる8050問題が大きな社会問題となっております。  こうしたことを背景に、内閣府では、今年度、40歳から64歳を対象とする全国調査を新たに行うと聞いておりますが、これまではひきこもりを子供、若者に特有の問題と捉えてきたところが、大人も含めたより大きな社会的問題として認識するようになったものと考えております。  次に、県内のひきこもりの実態と分析でございます。  精神保健福祉センターでは、平成26年度から28年度までの3年間にひきこもり支援センターで受けた電話相談276件の分析を行いました。ひきこもり本人の性別は男性が約7割、年齢区分では40歳未満の相談が8割以上を占めていました。また、ひきこもりの開始年齢は10代後半と20代後半が多く、それぞれ3割を占め、約半数の人に不登校歴がございました。年齢別に見た場合、40歳未満の特徴としては、就労経験がないことや外出範囲が狭いことなどが挙げられます。それに対し40歳以上では、就労経験があり、外出に比較的抵抗感が少ないなどの特徴が見られますが、就労時の身体的、精神的な負担や、挫折、傷つきの体験がある場合には、再び社会につながることへの困難さが見られるなどの傾向もあり、世代別の支援のあり方を整理する必要があると考えております。  次に、ひきこもりサポーター事業の目的と実施状況、効果についてでございます。  県では、ひきこもりの当事者や家族がきめ細やかで継続的な支援を受けられる体制を整えるため、ひきこもり当事者や家族への支援に関心のある人を対象としたひきこもりサポーターを市町村と連携して養成しております。これまで、大町市と飯島町でサポーター養成研修を実施し、25名がサポーターとして登録され、家族会等への参加や市で委託するフリースペースに勤務するなどひきこもりや不登校の支援等に当たっております。ひきこもりの背景や要因はさまざまであることから、サポーターが当事者や家族一人一人に寄り添った支援を行うとともに、関連機関とつなぐ役割を務めていただくことでひきこもりへの支援の幅が広がるものと考えております。  ピアサポートについてでございます。  ひきこもり当事者の支援に当たり、ひきこもりの状態から回復した方やその家族の体験は大変貴重なものと考えております。ひきこもりを経験された方がサポーターとして活動することで、より当事者に寄り添った支援が可能になると考えられ、県では、事業の周知などによりサポーター養成の取り組みを進めてまいります。  次に、自立相談支援事業の実施内容と住居確保給付金の活用及び周知方法についてお答え申し上げます。  長野県では、平成27年度から、市と連携して、生活就労支援センター「まいさぽ」を県下24カ所に設置して自立相談支援事業を実施してまいりました。平成29年度までの3年間で生活に関するさまざまな困難を抱える方々から1万1,500件を超える相談を受け、相談支援員や就労支援員が相談者に寄り添ってハローワーク等の関係機関と連携を図り、これまでに2,651人の新たな就労や増収に結びつけてまいりました。この新たな就労や増収に結びついた者の中には、離職等により経済的に困窮し住居を失った者等も含まれており、福祉事務所設置自治体が住居確保給付金として家主に対して家賃相当額を、有期、3カ月で支給して住居を確保し、求職活動等をした結果、これまでに250人を超える方々が就労に結びつくことができました。  県や市のホームページで住居確保給付金を含めた生活困窮者自立支援制度の案内をするとともに、パンフレットやチラシ等により制度の周知を行っているところですが、支援が必要な者に対し確実に支援が行き届けられるよう関係機関とのより一層の連携強化に努めてまいります。  最後に、大人の発達障がいへの対応がひきこもり対策につながるのではないかという御質問でございます。  ひきこもりは一つの原因から生じるものではなく、生物学的、心理的、社会的なさまざまな要因が絡み合って生じるものと認識しております。一方で、成人期のひきこもりの人たちの一部に、未診断の発達障がいや精神疾患が関連する場合もあることが指摘されております。したがいまして、ひきこもり当事者が医療につながった場合に、発達障がいの可能性も考慮して診療できる医師の養成は重要と認識しております。  県では、今年度、信州大学医学部に委託して、子どものこころの発達医学教室を設置し、長野県発達障がい専門医や診療医の育成に取り組んでいるところであり、子供たちが全県で格差なく速やかに発達障がいの診療を受けられる体制の整備を進めることとしております。  一方で、ひきこもりにつながるさまざまなリスクへの気づきや対応の中で、ひきこもり当事者を医療につなぐ体制や家族を支える体制も重要であることから、引き続き医療機関や市町村等との連携を進めてまいりたいと考えております。
     以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には災害時の外国人旅行者への支援体制の構築に関して、関係機関との協議の場の必要性と長野県ホテル旅館生活衛生同業組合との間の協定のあり方について御質問いただきました。  インバウンド観光客が着実に増加してきている中で、外国人旅行者に対する災害時の対応の充実は県としても喫緊の課題として対応しなければいけないというふうに思っております。  北海道胆振東部地震を初め、昨今の大規模災害を教訓として、災害時の外国人旅行者に対する支援については、情報発信、避難誘導、被災された外国人の受け入れ態勢、また、出身国、お越しいただいた国への帰国の支援など、きめ細やかな対策が必要だというふうに考えております。  年明けの2月には、インバウンド推進に意欲のある市町村、宿泊業の方、交通事業者、観光関連施設、経済団体等の関係者で構成される長野県インバウンド推進協議会の設立を予定しております。この場におきまして、外国人旅行者に対する災害時における実効性ある支援策について検討を行っていただきたいというふうに考えております。実行可能なところから直ちに実施に移していきたいと考えております。  また、外国人旅行者に対する支援のあり方については、長野県ホテル旅館生活衛生同業組合の皆さんとも検討を行っていきたいというふうに思っております。同組合とは災害時における被災者の支援に関する協定を結ばせていただいておりますので、必要があればその見直しも行っていきたいと考えております。  以上です。       〔30番清水純子君登壇〕 ◆30番(清水純子 君)インバウンドに関しては、危機管理という観点から、今後どんどんふえ続ける外国人旅行者の受け入れ態勢、世界から選ばれる長野県を目指していく上で、安心、安全だという発信は大変大きなテーマ、視点になってくるというふうに強く思っております。  旅館やホテル関係との連携に関しても、知事は必要があればと枕言葉をつけましたけれども、長野県のインバウンド対策に本当に力を入れていくのであれば必要があると私は強く思っております。  そして、ひきこもりの支援に関してですけれども、さまざまな支援が必要になってくる難しい問題であり、時間が経過するにつれて親の世代も高齢化してくる。大きな課題がどんどん膨らんでいることは誰もが認識しているところであるというふうに思っております。まずは本人も家族も孤立をさせない対策が大前提であります。そして、まずは中間的就労場所の確保が大事であり、しっかりと支援につなぎながら、その中で自分の得意、不得意を確認し、就労につなげていく。県としてはこのようなところに特にしっかりと取り組んでいっていただきたい。全ての人に漏れなく光が当たる長野県を目指してともに頑張ってまいりたいと思います。  以上です。 ○議長(鈴木清 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(鈴木清 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明6日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時59分延会...