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  1. 長野県議会 2018-10-09
    平成30年 9月定例会本会議-10月09日-06号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成30年 9月定例会本会議-10月09日-06号平成30年 9月定例会本会議  平成30年10月9日(火曜日)  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 備前光正   2 番 今井愛郎      28 番 両角友成   3 番 寺沢功希      29 番 吉川彰一   4 番 山口典久      30 番 清水純子   5 番 百瀬智之      31 番 小池久長   6 番 金沢敦志      32 番 諏訪光昭   7 番 小山仁志      33 番 髙橋岑俊   8 番 共田武史      34 番 今井 敦   9 番 丸山大輔      35 番 丸山栄一   10 番 荒井武志      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 藤岡義英      41 番 小池 清   16 番 髙島陽子      42 番 宮本衡司   17 番 小川修一      43 番 清沢英男
      18 番 中川宏昌      44 番 垣内基良   19 番 浜 章吉      45 番 鈴木 清   20 番 酒井 茂      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 和田明子      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      57 番 望月雄内   54 番 村石正郎      58 番 古田芙士   56 番 服部宏昭  欠席議員(1名)   55 番 萩原 清         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一   副知事       太田 寛    建設部長      長谷川朋弘   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     池田秀幸    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       塩谷幸隆   総務部長      関昇一郎    公営企業管理者   県民文化部長    角田道夫    企業局長事務取扱  小林 透   健康福祉部長    大月良則    総務参事兼財政   環境部長      高田真由美   課長        伊藤一紀   産業政策監兼産           教育長       原山隆一   業労働部長     内田雅啓    教育次長      轟 寛逸   観光部長      熊谷 晃    教育次長      三輪晋一   農政部長      山本智章    警察本部長     内藤浩文   林務部長      山﨑 明    警務部長      野﨑美仁                     監査委員      田口敏子         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課担当係長   神戸圭一郎   議事課長      村松敏伸    議事課担当係長   鈴木晉一   企画幹兼議事課           総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐      小松健一         ───────────────────  平成30年10月9日(火曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(鈴木清 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。  次に、萩原清議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(鈴木清 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、小島康晴議員。       〔22番小島康晴君登壇〕 ◆22番(小島康晴 君)おはようございます。県民生活の利便性向上にかかわって3点伺います。  さきの選挙戦で、知事は、合併前の119市町村に足を運ぶといたしまして、17日間で見事実行、実現されました。敬意を表し、評価するところでございます。  私としては、ならば昭和の合併の前の旧町村で頑張っている地区にも足を運んでいただきたかったなと思ったところですが、それはさておきまして、この119の町村は、地図の上では境を接していても、実際には常時または冬期間などに行き来できない町村があります。例えば、旧上村から大鹿村、大鹿村から旧長谷村などですが、相互の交流や利便性の向上のほか、万が一の災害時に陸の孤島とならないように、防災面の観点からも通行不能区間道路の解消が必要と考えますが、どのように考え、取り組んでいかれるのか、建設部長に伺います。  次に、会議や研修会の開催について伺います。  22年2月定例会、あるいは27年2月定例会でも、私が質問し、要望してきたところですが、県が主催などする会議や研修会、あるいは資格試験などの開催に当たっては、参加者の利便性を考え、できる限り県内各地で分散開催するよう求めてまいりました。最近ではテレビ会議などの新たな手法も考えられますが、どのように取り組んでおられるか、また、取り組んでいかれるのか、総務部長に伺います。  続きまして、南信運転免許センターにかかわって伺います。  東信に運転免許センターが設置された際に、その様子を見ながら、引き続き南信にも設置するということで話が始まりまして、地元とも警察本部ともさまざまな協議を真摯に重ねていただきまして、飯田近辺に設置するとの方向が確認され、現時点では地元の広域連合が飯田産業センター跡地を候補地として要望している状況であります。しかしながら、2月や6月の警察委員会の審議などを伺っておりますと、その説明では、何をおいても十数人の警察職員増員の確保が最大の課題とのことで、その後余り進展していないと受けとめられています。  一般の商品と比べるのは不謹慎で不適切かもしれませんが、インターネットの普及などによりまして注文した品物が北海道や九州からでも次の日に届くような時代でございます。申請して1カ月後に免許証を受け取るとか、即日欲しかったら塩尻まで出向けというようなことはこの時代にそぐわないのではないでしょうか。あくまで私どもとしては免許センターの設置を基本の要望としながらも、何とかこの現状を打開する方策がないものか、他県の事例なども含め御検討いただき、南信の県民の免許証交付の利便性の向上を図っていただきたいと考えますが、警察本部長に伺います。  次に、大きな2項目として、小さな拠点、地域運営組織について伺います。  6月に実施されました内閣府の調査によりますと、小さな拠点が全国で1,000カ所を超え、1,069カ所になったとのことです。小さな拠点及びそれを支えると言われます地域運営組織の長野県内の現状と課題はどのようか、この調査結果も踏まえ、企画振興部長に所見を伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)通行不能の国道、県道の解消に関するお尋ねでございます。  国道、県道の中には、急峻な地形のため、国道152号飯田市上村地蔵峠のように、市町村境や県境で1年を通じて通行不能となっている区間があります。また、積雪による雪崩の危険や路面の凍結により交通の安全確保が困難なことから、国道152号大鹿村の分杭峠のように、冬期間通行どめとしている区間もあります。これらの区間の解消に当たってはトンネル整備等が考えられますが、多額の事業費が想定されることから早期の事業化は困難な状況であり、当面、冬期間通行どめ区間については現道の防災対策、通行不能区間については広域的な迂回路の改良等を進めてまいります。  以上でございます。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)会議、研修会等の開催手法についてのお尋ねでございます。  本県では、平成25年3月に、職員提案に基づき、会議の効果的、効率的な開催を行うため、会議の3か条を定め、参集しやすい場所での開催やテレビ会議等の活用などについて全所属でチェックの上、毎年見直しを行っているところであります。  会議の開催場所、開催方法についての昨年度の見直し事例としては、県庁で行っていた会議やヒアリングを現地機関等の単位で実施することとしたことや、市町村の職員に地域振興局にお越しいただき、県庁と地域振興局の双方向によるテレビ会議を実施したことなど、出席者の移動時間の短縮や旅費等の負担軽減を図るための取り組みを行っております。  また、ICT環境の充実により、テレビ会議等の開催も年々増加をしておりまして、平成27年度に120回だったものが29年度には193回となっております。今後も、会場を県庁にこだわることなく、出席される皆様の利便性を考慮した効果的、効率的な会議の開催に取り組んでまいります。  以上であります。       〔警察本部長内藤浩文君登壇〕 ◎警察本部長(内藤浩文 君)南信運転免許センターの設置に係る質問についてお答えいたします。  南信地域の住民の方々の免許更新手続の利便性の向上を図ることは、県警察としても重要課題の一つと認識しております。また、南信州広域連合南信州広域連合議会からは、南信州・飯田産業センターの跡施設に南信運転免許センターの開設を求める旨の要望書の提出を受けているほか、9月26日には、下伊那郡北部ブロック町村議会からも、運転免許センター設置に向け所轄関係機関において積極的な遂行を要望する旨の要望書が提出されております。  南信地域への運転免許センターの設置につきましては、必要な職員数、施設面、予算等の課題があるところ、特に職員の捻出が大きな課題となっており、それぞれの課題について検討しているところであります。さまざまな課題がある中、南信地域の多くの住民の方々の免許更新手続の利便性の向上が図られる方策について、他県の事例なども含め、調査研究させていただきたいと考えております。  以上でございます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)小さな拠点及び地域運営組織について、県内の状況とその課題ということで御質問をいただきました。  しあわせ信州創造プラン2.0では、2022年度までに小さな拠点の形成数を県内で55カ所、地域運営組織の数を県内で240団体とする目標を掲げてございます。言及のありました最新の調査結果によりますと、県内の小さな拠点は本年5月末現在で50カ所でございます。一方、地域運営組織は、現在、本年1月1日現在の組織数を調査中でございますが、直近の昨年度末の公表値でございますと201団体形成されてございます。いずれも、目標達成に向けまして着実に取り組みは進んでいるものと認識をしてございます。  一方で、こうした取り組みを持続可能なものとするためには、担い手の確保と人材育成に課題があると認識をしてございます。このため、今後は、この取り組みを担う人づくりの観点から、地域住民組織主体の活動に寄り添う人材育成の講座を行うなど、形成されました拠点や組織の機能を発揮、維持していけるよう支援を強化してまいりたいと考えてございます。  以上でございます。       〔22番小島康晴君登壇〕 ◆22番(小島康晴 君)道路に関連いたしまして御答弁いただきましたが、やはり防災面では多重性とか言われておりますし、ミッシングリンクという表現もございますが、やはり道路はつながってこそ効果が出るものでありますので、引き続き長期展望と東西南北のバランスを見つつ整備促進をお願いしたいと思います。  それから、会議などの開催については毎年見直して御尽力いただいておるということでございます。重ねて言うのも失礼ですけれども、何でも長野に集めればいいんだという発想はぜひ捨てていただいて、集まる県民の皆様の利便性に思いをいたして引き続きの改善努力をお願いしたいと思います。  免許センターに関しましては、他県の事例も含めて調査研究いただくということでございます。現状のままでいきますと、郡市民の皆さんの中には、何年後か、将来の飯田警察署の建てかえのころまで先送りとなってしまうんではないかと心配、不安の声すら聞かれるようになってまいりました。ぜひ御検討、御研究をお願いしたいと思います。  それから、小さな拠点につきましては、今回の総合計画は学びと自治の力を推進のエンジンにしていくということでやっておるわけでございますが、この小さな拠点や地域運営組織というふうに国から進められているものと、これまであった町内会とか自治会といった既存の自治組織、地域組織とどのように連携するのか、すみ分けるのか、順調にできているという評価でございますけれども、その点も含めてよく御検討、御研究をいただきたいと思います。  大きな3番目の項目としまして、県政運営について伺います。  私の記憶に間違いがなければ、時折、一義的には教育委員会でといったような表現を知事以下されますが、県民の皆さんにとりましては、知事部局も教育委員会も警察本部も、あるいは企業局も同じ長野県であります。それぞれの部署では、まずそれぞれのお仕事に全力で当たっていくのが当然第一でありますけれども、いわゆる縦割りの弊害を排して決断できるのは、唯一県民から直接選挙で選ばれた理事者である知事しかないと考えます。  県民起点の県政ということをうたうならば、県民の皆さんの立場に立ちまして、即断即決の県政運営が期待されていると思います。2期8年の経験と実績も踏まえ、3期目に当たっての総合計画や公約のスピーディーな実現に向けた知事の所見を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)県民起点で即断即決の県政運営についての所見という御質問でございます。  一義的にはというのは、確かに私も時折使わせていただいておりますが、基本的には、教育委員会であったり、警察本部であったり、他の執行機関の業務に属することについてはそういう言い方をさせていただいております。これは、法令上、私の権限に属さない独立した執行機関が権限を所管しているわけでありますので、そうした趣旨を、一義的には例えば教育委員会でというお話をさせていただいています。  しかしながら、小島議員おっしゃるとおり、私がこの選挙で直接負託を受けている立場であります。県民の皆様方の安心や安全、あるいは子供たちの教育の部分も含めて、県民の皆様方から負託を受けているわけでありますので、そうした観点からすれば、御指摘のとおり、私自身がしっかりと県庁全体を総合調整していくということが重要だというふうに考えております。  今回、選挙期間中に私が県民の皆様方に訴えさせていただいたことを中心に攻めと守りの政策パッケージということで取りまとめさせていただきました。これは、まずスピード感を持って政策実現していきたいという思いと、それから、まさに御指摘のとおり、私の選挙公約にも教育にかかわる部分がかなり入っていますし、今回の政策パッケージの中でも教育委員会の所管部分を組み込ませていただいております。  そういう意味で、これからもスピード感を持って、そして、しっかりと県庁全体の総合調整を行いながら、責任を持って、県として、県知事としての責務を果たしていきたいと思っております。
     適時的確な判断をしていくということ、これは、もとより私の責務でありますし、また、県庁の総力を発揮して総合的に県民の皆様方に安心、希望をもたらす、そうした長野県政になるように今後とも全力を尽くしてまいりたいと考えております。  以上です。       〔22番小島康晴君登壇〕 ◆22番(小島康晴 君)法令上の権限というようなお話もございましたけれども、実際には予算と人事はほとんど知事が実質握っておられるということで、ぜひその辺に思いをいたしてお取り組みいただきたいと思います。  光が当たりにくいところに光を当てる、すばらしいことだと思います。ただ、気をつけなければならないのは、知事も、多分私ども議員も、どちらかというと光が当たる、あるいは光を当てる側にいるんだろうなということでございます。光の当たらないところの皆さんは、当たっていないと声を上げない、あるいは上げられない。だから光が当たっていないということではないかと思います。それを、県民に接する現場の職員の皆さんがいち早く察知する。知事にそれが素早く届き、即断即効で光が差してくる。そんな県政を御期待申し上げまして、終わります。 ○議長(鈴木清 君)次に、清沢英男議員。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)地域公共交通の確保について企画振興部長に伺います。  一つに、過疎化、高齢化が進む地域の暮らしを支えるためには移動手段の確保が極めて重要として、交通事業者、福祉、商工、物流関係者による地域における移動手段の確保・補完に関する検討会を昨年5月に立ち上げ、検討を重ね、既に幾つかの事業に着手挑戦していますが、今後検討するとしている広域的、基幹的な役割を担うバス路線を維持、充実するための方策について、どのようなことが課題であり、どんな問題意識を抱いておられるかお聞かせをいただきます。また、現在進めている事業の評価についてもお聞きします。  二つに、バス路線地域公共交通に関しては、総務省と県の当該事業維持改善の補助金がありますが、中信地区では、県内29路線のうちわずか2路線だけがその対象で、JRや私鉄鉄道のない地域間を往復します。しかし、かかる事情を抱える全地域をカバーできていないと思います。市町村単位では、デマンド交通等の政策を立ち上げ、独自のバスやタクシーを動かしています。移動のための足を必要とする皆さんにとって、同一市町村内ではそれで利便性が図られますが、問題は、市町村の境を越えると途端に大きな不便さを強いられる場合があることです。ほかにも、高校生の通学手段として複数の自治体をまたぐ地域バスへの期待も困難になります。  そこで、広域的な課題として、県が市町村を超えた地域公共交通のコーディネートに積極的に関与してほしいと思うのであります。その場合、実際に利用したいと思う地域の人の中へ入り込んで要望を聞き、理想に近い形を模索し、前述の移動確保検討会の俎上にものせて、地域から喜ばれる結論を導き出していただきたいと願うものですが、お考えをお聞かせください。  次に、篠ノ井線の利便性向上について知事に伺います。  これを抜本的に向上させるのは複線化が最適の策であります。私は、一般質問で、複線化に必要で古く危険な冠着トンネルの再構築をただしましたが、多額の費用、松本―長野間の時間短縮効果は限定的、日本三大車窓の姨捨駅がなくなると消極的答弁をされました。反論すれば、危険除去は最優先的課題、また長野―松本間の時間短縮も限定的とは言うものの大事な課題でありますが、第一義は、何よりも複線化は地域交通の利便性向上のために必要なのであり、通学、通勤、お年寄りの皆さんが快適に暮らすための手段ということであります。  複線化主体のJR東日本は、県が複線化に資本面で積極的に支援することで、長野県の南北を背骨のように縦貫する篠ノ井線再生に動くインセンティブにしていただけるのではないか、そう確信するのであります。しなの鉄道や北しなの線への投資も、地域公共交通の確保に必要な支援でありました。同程度の資金援助を篠ノ井線に投下してもごく自然なことであると申し上げたい。  中信地区における有効な地域公共交通の確保策として、篠ノ井線の複線化に県が積極的に関与してほしいと考えますが、知事の御所見をお聞かせいただきます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)地域公共交通の確保につきまして私に大きく2点御質問をいただきました。順次お答えをいたします。  まず、広域的、基幹的役割を担うバス路線の維持、充実への課題ということでございますが、現在の公共交通が直面しております一番の課題は、利用者の減少が収益悪化を生み、その収益悪化が運行本数の減少や路線廃止などのサービス低下につながり、それがまた利用者の減少を引き起こすという、いわば負のスパイラルとなっていることであります。  特に、バス路線におきましてこの傾向は顕著でございます。しかしながら、少なくとも本県全体の公共交通ネットワークを維持、形成する上で重要となります広域的・基幹的路線につきましては、今後は交通事業者の経営努力や競争原理に委ねるだけでなく、行政も主体的にかかわる中でこの負のスパイラルを断ち切ることが必要と考えております。  広域的・基幹的路線は、鉄道、高速バス、特急バスなどが互いに補完し合うことが望ましいと考えておりますが、具体的にどの路線を誰が担うのか、また、行政がいかにそれを支援するのか、関係者間の合意を一つ一つ得ていくことが不可欠であり、かつ最も難しい問題でございます。検討会では、こうした問題意識を持ちながら、引き続き関係者との議論を進めてまいりたいと考えております。  現在進めております事業の強化についてでございます。  今年度は、貨客混載を進めるための事業者のマッチング、タクシー利用を促進するための定期券タクシーの導入支援、信州ナビを活用したバスロケーションシステムの構築などに取り組みました。これらの取り組みの評価といたしましては、まず、貨客混載につきましては、上田市と青木村を結ぶバス路線で県内2例目となります貨客混載がスタートしまして、また、その他の地域におきましても、現在、具体的な検討が進められている状況でございます。今後は、高速バスを使った首都圏への農産物輸送の取り組みなど、県外路線にもその拡大を図っていきたいと考えております。  定期券タクシーにつきましては、10月中旬から、まずは諏訪地方での実証実験が開始される予定でございます。今後は、この成果も踏まえまして課題を抽出、検討し、全県への展開について検討をしてまいります。  バスロケーションシステムの構築でございますが、今年度中にシステムの構築をしまして早期の供用開始を目指しております。このシステムによりまして収集しましたビッグデータを分析、活用しまして、効率的な路線やダイヤ編成を検討するなど、事業者の生産性向上にも生かしていきたいと考えております。  続いて、広域的な調整への県の関与についてでございます。  病院や買い物など生活圏を意識し、市町村の枠にとらわれない広域的な調整が必要であるという点は御指摘のとおりと考えております。  県では、昨年度以降、地域振興局も積極的にかかわりまして、広域的な地域公共交通の調整に取り組んでございます。例えば、北信地域では、北信地域公共交通広域検討会議を設置し、地域全体の利便性向上策を検討中でございます。また、木曽地域におきましては、昨年度、南木曽町から木曽病院への広域路線バス乗合タクシーの試験運行を実施し、今年度も実施を計画してございます。また、南信州地域では、南信州広域連合が設置します南信州地域交通問題協議会のメンバーとしまして地域全体の公共交通に関与をしてございます。  加えて、本庁としてやっております事業としまして、地域交通ベストミックス構築事業というものがございます。この事業では、公共交通に悩みを持つ市町村に対しまして、有識者をアドバイザーとして派遣し、課題解決の支援も行ってございます。  また、域内バス路線の運行本数や運賃等に関して議論するため市町村に設置をされます地域公共交通会議、これには県も参加し、必要な助言を行っております。この会議には、地域住民の代表や利用者代表もメンバーとして参加をしていただいておりますので、こうした場を通じて地域の方の要望を伺うこともできます。今後とも、地域住民の皆様の要望も的確に捉えながら、公共交通の広域連携につきまして県としても積極的に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私に対しましては、篠ノ井線の複線化について御質問を頂戴しました。  篠ノ井線は、私自身も長野県の中核都市であります松本と長野を結ぶ大変重要な鉄道だというふうに考えております。  そうしたことから、これまでも、複線化等輸送力の増強につきまして、沿線市町村の皆様方とも連携してたびたびJRに要望してまいりました。また、平成27年度からは、JR東日本長野支社との間で定期的に勉強会を開催しております。この中で、篠ノ井線の高速化につきましても、路線改良の手法や概算経費、見込まれる効果等についてともに研究を進めているところでございます。  しかしながら、地方の幹線鉄道路線を取り巻く経営環境は全国的に非常に厳しくなっております。多額の費用を要する新たな設備投資は、JRあるいは私ども県のみでは現実的にはなかなか難しい状況でもあるというふうに考えております。そうしたことから、全国的な幹線鉄道ネットワークの整備については、国家的見地からの検討や支援が必要だというふうに考えております。  昨年度から、国におきまして、篠ノ井線、中央東線を含みます全国の幹線鉄道の高速化に向けまして幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査を実施しております。効率的な整備手法やコスト、見込まれる効果等について検討がなされているところであります。こうした国の調査の進捗を引き続き注視していきたいというふうに考えておりますし、また、今後は、国に対しまして整備推進に向けた新たなスキームの創設を要請することも含めて検討をしていきたいと考えております。その際には、ぜひ県議会の皆様方にもお力添えをいただければというふうに思っております。  以上です。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)負のスパイラルの克服は難しいとは思います。しかし、難しいことだからこそ挑戦のしがいがあるというふうに思いますので、ぜひお願いしたいというふうに思います。  それから、篠ノ井線のことですが、国の調査が迅速に進むように、新たなスピードを求めて積極的に県としてもお願いをしていくということでありますので、ぜひ前に進めていただければありがたいというふうに思います。  知事は3期目のスタートに当たりまして、今議会の議案説明で、地域公共交通確保について重要性を強調されました。同感であります。県だからできること、県にしかできないこと、それを市町村合併の結果も見据えて実行していただければというふうに思う次第であります。  続きまして、林務行政について林務部長に伺います。  1点目、松くい虫関連ですが、松枯れ状態になった被害木の伐倒処理はどの程度進んでいるのかお聞かせをいただきます。また、ここ数年、伐倒処理事業費への投資額は十分だったのか、今年度の予算額も含め、今後の方針や対策意欲をお聞かせいただきます。また、センチュウを媒介する新たなカミキリムシの出現についても除去等を御説明願います。  2点目、倒木対策であります。  何度も日本列島を襲った大型台風では、県下各地で暴風による倒木が各所で発生、それを原因とする停電が起こりました。倒木については、前述した松くい虫枯損木が風で倒れたものもあり、よって、一日も早く伐倒処理をする必要に迫られています。附帯して、昨今現場での課題は、処理木を積み上げておく土場や空き地が不足ぎみであります。今後、この処理木は塩尻のF・POWERバイオマス発電所に運搬し、チップ化されて消費される予定でありましょうが、そこで、チップ化や発電につき、それらが稼働できるのはいつになるのかをまずお聞きします。  その上で、それまでの間、枯損木伐倒や処理木の置き場不足にどう対応されるのか。さらに、その枯損木を運搬時にセンチュウが拡散するおそれはないのかどうかお聞かせをいただきます。  3点目、森林伐採後の木材の引き出しについてであります。  森林組合から、材を引き出すのに、トラックが通れない下道や狭い橋につき再構築の要望があります。材の引き出しに恒久的な対策として重要であり、促進方を図っていただきたいと考えます。  その上で、今では姿を見かけなくなった鉄索、すなわち架線集材の活用について伺います。鉄索を使えば、狭い橋や狭い林道、下道を避けて谷を横断し、山から土場へ材をおろすことができる場合もあるのではないかと考えるのであります。再び伐期を迎えた今、何十年も前の伐期の折に使われていた知恵を活用する意味でも、また、鉄索事業者のノウハウが消える前に鉄索、架線集材事業の復活を一考すべきと考えますが、お考えをお聞きします。  4点目、移住、定住と森林の関係についてであります。  長野県の豊かな緑に憧れて移り住んだ方々も多いのですが、しかし、実際は住人となっても余り山に手を出せないと聞きます。移住した方々に限らず、若い皆さんにはまきストーブが人気との由ですが、雑木を買って燃料にする、しかも安価で手に入れたいという希望がありますが、例えば、そんなことをかなえられたら人と山のかかわりがあんばいよくできるのではないでしょうか。  山の近くに住む人には入会権が許され、常識だった時代、山は子供の遊び場であり、山もきれいで動物とも距離が保てました。そこで、移住した皆さんのみならず、地元に住む皆さんに向けても里山の活用方法などの手引書ができないものかお聞かせをいただきます。  続いて、電線の地下埋設について伺います。  さきに述べたように、暴風による立木の倒伏で引き起こされる停電は2次災害であります。北海道のブラックアウト、静岡県や県内での長期停電など、それは日常生活や産業活動の遮断であり、規模の大小にかかわらず、回避できるものならば手を打つべきであると訴えたいのであります。  建設部長にお聞きします。  道路沿いの立木ですが、戦後植林した森林が伐期を迎えるほどに成長し、大きくなっています。傾斜地のものや根張りが十分でないものが暴風のみならず積雪等で倒伏し、道路の閉塞や停電の原因になっています。この原因を除去するには極めて長期にわたる時間や人件費等の投資が必要になり、さらにエンドレスであります。  そこで、抜本的な解決策は電線の地下埋設であります。この事業は景観面で進められてきましたが、それはそれとして、ライフライン、まさに命につながる事業として考えるべきであります。山であろうが里であろうが、電線電柱のあるところは地下埋設を意欲的に推進すべきですが、部長の御見解をお聞かせいただきます。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)大きく4点、6項目について御質問をいただきました。  初めに、松枯れ被害木の伐倒処理の実施状況等についてのお尋ねでございます。  被害木の伐倒処理については、過去においては全ての被害木を対象とする全量駆除を基本としていましたが、被害の激害化に伴い、国は平成9年に駆除事業の対象を広域的機能の維持確保を図るべき松林等に絞り、守るべき松林について選択と集中による確実な松林保全を図る方針に転換をしております。本県においては、平成15年度からこの方針に基づいて伐倒処理を実施しており、平成27年度から29年度の3年間では、松くい虫対策事業、造林事業合わせて材積で10万6,372立方を伐倒処理しており、市町村からの御要望に対する充足率で見ますと95%となっております。  また、平成30年度予算につきましては、松くい虫対策事業、造林事業合わせて6億779万5,000円を確保し、要望に対する充足率は93%で、市町村要望には見合った対応をしているものと認識しております。  一方、被害対策としては、地形が複雑な森林であっても、適切な戦略をつくり、より科学的に対策を講じることが必要であるため、県では、今年度松くい虫被害対策の見える化に取り組んでおり、航空レーザー測量のデータや人工衛星写真を活用して松枯れ状況や被害の拡大経過を俯瞰して把握できるマップを作成しています。このマップにより、被害拡大防止対策の要所や自主転換を優先的に組み合わせる箇所等が明確になり、効率的に対策が進められると考えています。年内に完成する予定のマップについては、今年度中に研修会等で活用方法を普及し、来年度の事業に反映できるよう取り組んでまいります。  新たなカミキリムシの出現についての状況です。標高の高い地域にいる在来種であるカラフトヒゲナガカミキリが高所への被害拡大にかかわっているのではとの指摘がございますが、そもそも生息数が限定的で、生息状況や松枯れ被害の関係性等の実態、あるいは温暖化の影響か否かなどについては、まだ明確となっておりません。このため、林業総合センターが、昨年度から4年間の計画で、国等と連携しながらカラフトヒゲナガカミキリの生息状況やセンチュウ保有の有無について調査に着手しているところでございます。  次に、発電所の稼働についてのお尋ねです。  木質バイオマス発電について、事業者の発表では、来月に現地で建設工事が始まり、2年後の2020年10月には商業運転を開始する予定とされているところです。また、チップ化する木材は、来年の10月ごろから集荷を開始する計画であると承知しております。  続きまして、伐倒木の置き場についてのお尋ねでございます。  松くい虫被害の拡大防止の観点から、丸太での移動が制限されている夏季には、被害地に近い場所でチップ化して発電所へ運搬する仕組みが必要です。  そこで、現在、例えば松くい虫被害の激害地である中信地区において、発電所の本格稼働までの間の貯木を行うとともに、年間を通じた被害木のチップ化処理と発電所への燃料供給を可能とする中間土場の設置の検討を進めているところです。こうした中間土場の活用も含め、伐倒による松くい虫被害の拡大防止とバイオマス燃料の供給の両立が図られるよう取り組んでまいります。  それから、枯損木運搬時のセンチュウの拡散についてのお尋ねでございます。  ただいま申し上げましたとおり、松くい虫被害の拡散防止のためには、マツノマダラカミキリの活動期における夏季の枯損木の被害地への運搬等の取り扱いは避ける必要があります。このため、被害木の移動は、カミキリ活動期の6月から9月を避けて秋から冬に行うか、またはチップ化して移動することを徹底してまいります。  次に、架線集材についてのお尋ねでございます。  収益性の高い林業を実現するためには、資源の状況や地形、路網配置、作業規模等に応じて、車両系の集材や架線系集材を適切に組み合わせて地域の森林整備を進めていくことが重要です。特に、急峻な場所での木材搬出については、作業道の開設と移動式架線集材機であるタワーヤーダーの併用が有効と考えております。  さらに、議員御指摘の架線集材でございますが、これは、近年減少しているものの、奥地から木材を搬出するためのスパンの長い大型架線集材技術は継承していくことも重要であると考えております。現在、長野県林業総合センターにおいては、森林の状況に応じたさまざまな架線技術の習得に関する研修を実施しています。今後とも、こうした技術者の人材育成や必要な機械導入への支援等に取り組んでまいります。  最後に、里山の活用方法の手引書についてのお尋ねでございます。  第3期目となる森林づくり県民税では、地域が主体的に里山の利活用に取り組む地域を里山整備利用地域として認定した上で、地域でのさまざまな取り組みに対して支援を始めているところでございます。例えば、里山におけるやまほいくの活動であるとか、あるいは議員からも御指摘があったまきづくりなど多様な活動も支援の対象としたところでございます。移住された方や地元の若い方など多くの皆様が里山の利活用に参加いただく必要がございますので、議員御指摘のとおり、今後は、里山での活用の実績を踏まえ、里山活用の手引を作成するよう検討してまいりたいと考えております。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)電線類の地中化についてのお尋ねでございます。  先日の台風24号では、電線の切断などによる大規模停電が発生したほか、県管理道路においては、台風21号及び24号の影響による通行どめの復旧に当たって電線が支障となったケースが21カ所あり、電柱の倒壊も確認されています。これまでに、全国的にも地震や台風などにより倒壊した電柱が道路交通を阻害する事例が発生しており、県では、防災上重要な道路において電柱の倒壊が緊急車両の通行に支障を来すことを防ぐため、本年4月から、緊急輸送路全線について新たな電柱の道路占用を原則禁止したところです。  また、既存の電柱につきましては、議員御指摘のとおり、電線類の地中化は有効な手法と認識しており、防災に加え、景観の観点も踏まえて、駅周辺などを優先して地中化を図っているところであります。電線類の地中化には多大な費用を要することが普及する上での課題となっておりまして、今後整備を加速化するためにも、低コストで整備する手法を電線管理者とともに検討してまいりたいと考えております。  以上であります。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)松くい虫の話ですけれども、ことし6億何がしかで、造林事業として93%、市町村としてはまあまあ満足だというような御答弁だったと思いますが、残り7%に中信地域の高速道路沿いに立っている松くい虫枯損木が入っているのでしょうか。  実は、私、前にも言ったんですが、いろいろなマップをつくるとおっしゃるのは結構なことですが、目に見えるところ、ああいうのをやっぱり何とかしてほしい。長野県の観光事業にも影響してくる、私はそう思うので、ぜひ積極的にお願いしたいというふうに思います。  それから、地下埋設の話ですが、私は、そういう事業に取り組むことは県民の皆さんに対して夢を与える、希望を与えるようなことだと思うのです。そういう意味で、たとえ1時間であっても、家庭内で医療行為をしている人や町工場での生産に大きな影響を与える場合がありますので、そういうことも踏まえて積極的に前進させていただければというふうに思います。  次に、事業承継と地域おこし協力隊について伺います。  私は、過日、静岡県の経済産業部産業支援課に政務調査を行いました。事業承継が困難なケースに対して地域おこし協力隊員をマッチングしようという取り組みについてであります。  静岡県では、関係団体と協力し、後継者不在の廃業防止のため、中小企業の事業承継診断によるニーズの掘り起こし支援を行っています。そのうちの一つ、第三者による承継、すなわち外から人を持ってくる方法で、後継者人材バンクを設置し、ここに地域おこし協力隊員との結びつきをしようというものであります。  団塊の世代の経営者の引退はこれから5年以内に進み、うち半数は後継者がいない。小規模事業者は廃業志向ではあるけれども、事業承継について県がリードすれば受け入れられやすいと言います。  実際のスキームは、地域での起業を希望する地域おこし協力隊員を受け入れ先の市町から紹介を受けて後継者人材バンクに登録を促し、後継者不在企業とのマッチングを行います。隊員に対し、県は創業や事業引き継ぎ研修、また、実現後のアフターフォローを含め個別に必要な実務支援も行います。いずれにしても、協力隊員が定住し、地域経済の原動力である中小企業のともしびが消えないようにするわけです。  そこで、企画振興部長には、地域おこし協力隊員が配置されている市町村やその数、隊員の起業意欲の掘り起こしについてどのように対応できるか伺います。  産業労働部長には、静岡県のスキームを参考に、事業承継について地域おこし協力隊の皆さんの起業意欲を促す方法について御所見をお聞かせいただきます。  次に、リンゴ黒星病対策について農政部長に伺います。  黒星病はリンゴの葉や果実にも病班が出る重大な病害で、しかし、これに使う農薬が効かない薬剤耐性菌が松本地域で青森県から導入した苗木に県内で初めて発見されました。これが蔓延すれば、黒星病に対するすべがなく、リンゴ農家に壊滅的被害を及ぼすおそれがある怖い菌であります。松本市では、200戸近い農家で導入した苗木約6,000本が被害を受けた可能性があるとして、うち5,000本を焼却処分、残りを経過観察していると言います。この耐性菌は、気温が高いと発生が緩やかですが、これから秋にかけて気温が低くなっての状態が心配されます。  そこで、一つには、JAからの要請を含め、農政部としてどのような対策をしているか伺います。  二つには、台風による落果被害もあり、耐性菌を心配する農家に何とか元気を出していただくためにも、生産者に対する技術的及び経済的支援について、何ができるのかお聞かせをいただきます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)地域おこし協力隊員の配置数と起業意欲の掘り起こしについての御質問でございます。  本年4月1日現在、県内68の市町村で合計349人の隊員が活動をしていただいております。また、昨年度までに任期を終了し、県内に定着した隊員は、全部で193名おられます。これは全隊員の約3分の2の数字でございます。この193名のうち、起業した隊員は35名でございます。カフェ経営、農家民泊、地場産品等の加工、販売、造園、ウエブデザインなどの事業を行っていただいております。  県では、隊員の今後のステップアップや地域への定着を図るための研修を毎年行っており、その中では、起業意欲を掘り起こすためのプログラムも取り入れております。具体的には、起業アドバイスを行っている専門家や長野県中小企業振興センター、長野創業サポートオフィスの職員、起業した隊員のOB、OGなどを講師に招きまして、講義やワークショップ、事例発表、また個別相談も行い、起業して地域への定着を目指す隊員を支援しているところでございます。引き続き支援を続けてまいります。
     以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)地域おこし協力隊員を事業承継につなげる方法についてでございます。  今年度から、静岡県が、事業承継の支援と地域おこし協力隊の隊員の定住を推進するため、静岡県事業引継ぎ支援センターと連携して譲渡希望者と隊員のマッチングをするモデル事業を実施していることは承知しております。具体的には、隊員に後継者バンクへの登録を促し、事業承継ネットワークで掘り起こした譲渡希望者とマッチングを行い後継者を確保しようとする事業でございます。隊員は、県内各地で地域に密着して活動をし、任期終了後も引き続き地域に残る意欲が強いことから、地域に根差した中小企業等の後継者として望ましいものと考えております。  今年度、県の担当者から隊員に対して創業の支援制度などのPRを行っておりますが、今後は、静岡県の事業を参考にして、事業承継も任期終了後の選択肢の一つとして考えてもらえるよう、機会を捉えまして事業承継の支援制度や承継の事例などを紹介し、関係機関と連携して後継者バンクへの登録及び譲渡希望者とのマッチングにつなげてまいります。  以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)リンゴ黒星病対策についてのお尋ねでございますが、黒星病は、議員お話のとおり、リンゴ産地の存亡を左右する重要な病害であり、本年6月の耐性菌発生を受け、県では直ちに関係団体等と一体となってリンゴ園の緊急点検や防除の指導等を全力で行ってまいりました。また、7月にはJAグループや関係機関と連携し、県リンゴ黒星病対策チームを設置するとともに、県下10広域に地域対策チームを設置し、発生状況の把握、関係者の情報共有、蔓延防止、予防対策の指導徹底などの対策を地域の実情に応じてきめ細かく推進をしてきたところでございます。さらに、8月には注意喚起のポスター、チラシを作成し、県下に配布をいたしました。今後も地域ぐるみの継続した取り組みが必要であることから、引き続き対策チームを中心にしっかりとした対策を進めるとともに、現場から要望の多い農薬の開発、登録につきましても早期に行われるよう国に対して要請をしてまいります。  次に、リンゴ農家に対する支援についてですが、黒星病の発生予防と蔓延防止のためには効果のある農薬を適切に組み合わせた防除が極めて重要になることから、果樹試験場や専門技術員が中心となって農薬散布の基準を作成し、JAや地域ごとに活用できるよう支援をしてまいります。また、農業改良普及センターに相談窓口を設置をし、問い合わせに応じて職員が直接現地で技術指導を行うなど、農家に寄り添い、きめ細かな技術的支援を行ってまいります。さらに、対策の実施に必要な資材や苗木の購入についても、低利な制度資金の活用支援や苗木の増産体制の整備を進めてまいります。  以上でございます。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)苗木の確保については、低利な資金等の提供を考えていくと、ぜひこの対策について力を入れてやっていただければというふうに思います。  それから、事業承継と協力隊員のマッチングのことですが、企画振興部長のおっしゃるように、起業イコール定着を図っていこうというところまでは今までやっていただいたと思うのですけれども、これを産業労働部長のおっしゃることとつなげて、今もそうですが、これから長野県でも大きく問題になろうとしている事業承継の解決にぜひ力を尽くしていただきたいというふうにお願いを申し上げまして、質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)次に、堀内孝人議員。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)自由民主党県議団、堀内孝人です。通告に従いまして順次質問をします。  最初に、児童虐待防止について伺います。  本年3月、東京都目黒区の5歳の女の子が、両親から十分な食事を与えられずに、また、医師の診断を受けられずに放置され、死亡した事件は記憶に新しいものであります。この事件を受け、政府は、本年7月に児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策を決定いたしました。この内容は、国、自治体、関係機関が一体となって子供の命を守り、子供が亡くなる痛ましい事件が二度と繰り返されないよう児童虐待防止対策の強化に向け一丸となって取り組むものであります。困難を抱える子供への支援として、要保護児童対策地域協議会が中心となり、市町村、警察、児童相談所などが連携して児童虐待防止対策を強化すると明記されています。  このように、国、県が一体となって児童虐待防止に努力されておりますが、全国の児童相談所への児童虐待対応件数は2017年には13万件を超えて過去最多となりました。5年前と比較しても倍増となっております。また、児童虐待により年間約80人もの子供の命が失われております。  10月5日の新聞紙上によりますと、ことし1月から6月に虐待を受けている疑いがあるとして警察が児童相談所に通告した18歳未満の子供は、昨年同期より6,851人多く、3万7,113人に上り、上半期としては過去最多となったことが警察庁のまとめでわかりました。  そして、緊急に実施する重点対策として、全ての子供を守るためのルールの徹底や、子供の安全確認を早急に行うとともに、児童虐待に対する専門機関である児童相談所等の体制と専門性強化を進めることとしており、転居した場合の児童相談所間における情報共有の徹底、子供の安全確保を最優先とした適切な一時保護や施設入所等の措置の実施、解除など6項目の対策を掲げております。  一方、長野県の新5カ年計画、しあわせ信州創造プラン2.0の総合的に展開する重点施策として、「子ども、若者が夢を持てる社会づくり」の中で、生まれ育った家庭の環境にかかわらず、すべての子どもが自身の能力を発揮し、夢や希望の実現に向けて挑戦できる社会を構築することを目指し、そして、児童相談所における児童虐待の相談対応件数が年々増加している現状の中で、本県の対策について先般の我が会派の代表質問や村石議員の質問に対する答弁がありましたが、警察との連携強化策などが示されたところであります。このような悲劇を決して繰り返してはならない。子供は社会の宝であります。あらゆる手だてを講じなくてはならないと考えるところであります。  そこで、県の虐待防止対策について角田県民文化部長に伺います。  1として、政府の施策の柱として、児童相談所で対応に当たる児童福祉司を2022年度までに約2,000人ふやすなど緊急対策をまとめ上げているが、長野県の現状はどうなのでしょうか。また、複雑なケースが生じているようであるが、児童福祉司1人当たりの担当ケース数はどれくらいか。個別のケースにしっかり対応ができているのでしょうか。  2として、ただ人員増だけでなく、専門性の向上や児童相談所の連携などの改善が必要ではないでしょうか。また、児童相談所には経験年数の短い職員も多いと聞きます。難しいケースにも適切に対応できるよう研修の充実も必要と考えますが、いかがでしょうか。  三つとして、一時保護された子供が適切な環境で保護されることが重要と考えますが、一時保護所の入所率及び期間はどのような状況なのでしょうか。一時保護所について、個別対応できる居室の整備などの環境改善の状況はどのようになっているのでしょうか。  四つ目として、児童虐待に気づいた人が速やかに通告できるよう、児童相談所全国共通ダイヤル「いちはやく」、189番の周知、啓発の取り組みはどのようになっているのでしょうか、お伺いします。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)児童福祉司の増員と長野県の現状についてのお尋ねでございます。  県内の児童相談所に配置されている児童福祉司につきましては、平成28年の児童福祉法改正により配置標準等が見直され、それに伴い、29年度から30年度にかけまして、計9名、約2割の増員をいたしました。  児童福祉司1人当たりの担当ケース数は、29年度では1人当たり全国平均の41件を上回る45件でございました。このため、児童福祉司の増員に加え、児童相談所広域支援センターの設置のほか、警察官や非常勤の弁護士を配置するなど各児童相談所を支援する体制整備に努めてまいりました。  児童虐待の対応は、特に発生予防や早期発見において市町村との連携や役割分担が大切です。市町村が設置する要保護児童対策地域協議会に児童相談所が学校、保育所等の関係機関とともに参加し、情報共有等を行い、個別ケースに適切に対応してまいります。  次に、児童相談所の連携と職員研修の充実等についてでございます。  児童相談所による調査や指導が継続中に県内外を問わず管轄外へ転居する事案につきましては、全て相手方の児童相談所と事前に協議を行うなどの連携をとっているほか、県内では、児童相談所が虐待相談対応にしっかり集中できる体制を確保するために、児童相談所広域支援センターを設置いたしました。センターは、児童相談所が抱える特殊困難事案の対応や専門業務を支援するとともに、職員向けの研修を実施する役割を担ってまいりました。  また、児童福祉司については、児童福祉法改正により、国が定める基準に適合する研修の受講が義務づけられたことを踏まえまして、児童福祉司任用後研修や児童福祉司スーパーバイザー研修などを県内外の児童相談所関係者を講師として招聘し、実施しております。特に、経験の浅い児童福祉司が優先して研修を受講できるよう配慮しているところでありまして、研修機会の確保と内容のさらなる充実に努めてまいります。  続いて、一時保護所の入所率、期間、居室の環境改善等についてでございます。  県内児童相談所のうち、中央児童相談所及び松本児童相談所に一時保護所を設置しておりまして、定員に対する平均利用状況を示します一時保護所入所率は、平成29年度で43%、平均在所日数は26.2日となっております。居室等の環境改善の状況につきましては、まず、中央児童相談所では、平成23年度の移転改築にあわせて、緊急対応が必要となった場合の個室や1人用の浴室などを整備しております。また、松本児童相談所では、平成28年度に宿泊室と教室の改修を実施したことによりまして、2人部屋として使用することを基本とする宿泊室について、児童の状態に応じて個室利用できるよう改善を図ったところでございます。  続きまして、児童相談所全国共通ダイヤルの周知啓発等についてでございます。  全国共通ダイヤルの周知については、県のホームページにおいて児童虐待に関する情報発信の中で実施しているほか、県内市町村へのリーフレット等の配布により行っております。また、11月の児童虐待防止推進月間では、県内の児童福祉施設等の職員により組織されました実行委員会が主催するながの子ども虐待防止オレンジリボンたすきリレーのほか、各地で開催されるマラソン大会や市町村の広報スペースで行われる児童虐待防止のための啓発活動とあわせて実施しております。全国共通ダイヤルは、児童虐待を発見したときに迅速、適切に通告できるよう、平成27年から189、通称いちはやくでございますけれども、として運用されております。平成29年度に児童相談所へ転送された件数は583件で、速やかな通告を受ける窓口として機能しておりますので、引き続き周知啓発活動に努めてまいります。  以上でございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)さまざまなケースがあろうかと思いますが、情報共有、提供をしっかりしていただくとともに、児童相談所だけでなく、地域、学校など社会全体の体制づくりの必要性を申し上げ、また、国においても引き続き必要な財政措置を講じることを示しておりますので、どうか県においても積極的な対応をとっていただくことを申し上げ、次の質問に移ります。  中学校の部活動についてお伺いします。  部員減少による活動困難の解消や教員の負担軽減などを目的に、須坂市では合同部活動を試行的に実施し、来年度から本格的に導入、実施していくか検討するとしています。  まず、手始めに、市内4中学校でバレーボールの合同部活動を試行的にスタートし、現在も継続されているとのことです。少子化に伴う現状として、生徒数や部活動加入者が減少、主に団体競技で活動が難しくなっている部が少なくない、人数不足で十分な練習ができなかったりする実態を克服する一つの方策として、地域スポーツクラブGaRonsのメンバーが指導に当たり、好評を得ているとのことであります。部活動全体の今後の活動が不透明である学校もあり、対策の一つとして、部活動指導員ほかの指導で練習をしていくとのことで、課題を乗り越えようと努めています。  現場から伝わってきている話として御紹介しますと、実際に合同の部活動を経験した生徒は、ふだんは人数が少なく、大勢で練習ができてよかった。大勢でやると声もたくさん聞こえて気持ちが盛り上がるなどと話し、さまざまな声が聞かれているということです。練習会場への移動は、徒歩であったり、民間企業の協力を得て用意した車、また、路線バスであったり、帰りは保護者が迎えに来るという仕組みも整えようとしているようです。  教育委員会では、生徒たちの送迎や練習会場の確保、指導体制の確保などを検証し、ほかの競技や種目でも合同部活動が可能かを見ていくという姿勢です。この取り組みをモデルとして全県に広げていくべきと考えるが、原山教育長にお伺いします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)中学校の合同部活動についてのお尋ねでございます。  中学校の部活動をめぐっては、少子化の進展等を背景に存続が困難となる運動部もふえる中で、生徒が希望する競技の練習環境をいかに確保していくかが課題だと感じております。このため、本年度から、複数校の生徒が日常的に一緒に練習する合同部活動を促進するということを目的に、送迎費用や指導者謝金などへの補助制度を創設しましたほか、学校単位で行われる大会にあっては、参加基準の緩和等について関係団体と協議を進めているところでもございます。  合同部活動の実施には、学校間での認識の共有化や移動手段及び指導者の確保など課題もある中で、今回の須坂市における取り組みは、地元企業や社会人スポーツチームなどの協力も得て行われている大変貴重な実践事例だというふうに捉えております。今後、この取り組みを参考にさせていただきながら、県内関係者への情報発信や将来にわたり生徒が望むスポーツ活動の場が確保できる環境づくり、これらをさらに推進してまいりたいというふうに考えております。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)信濃毎日新聞のスポーツ面の特集で、「信州高校球児・白球つなぐ」というタイトルで、野球少年や野球に親しむ人の減少により発生している諸課題、それを乗り越えようとする提案や取り組みについてシリーズで報道されているところです。団体で行う種目や競技、特に個人戦を除いた球技などは一定規模の集団によるトレーニングが欠かせないし、全体で練習を行ってこそ仲間との信頼関係と競技力が高まることは誰が見ても明白です。野球のみならず青少年のスポーツ全体の基盤再整備として問題提起をしてくれる記事として注目されています。  次に、若者を対象としたものづくり奨励制度についてお伺いします。  長野県の若手技能者を奨励、顕彰することで、若手技能者が誇りと希望を持ち、また、技能の継承や後継者の育成へもよい影響を与え、やる気を後押しして活性化促進となることを強く確信して質問してまいります。  この領域の教育課程を有する県内公立高校の中には、飯田OIDE長姫、佐久平総合技術、須坂創成高校を初めとして、ほかにも実践的な学習を充実させた方法や理論を学ぶ高校も整えられている。基本技術を目指せる場所、ポジションもでき、目指せ、未来のたくみ技術者へ導くための道筋も整備され、実際に開けてきました。  2015年12月議会で私が質問させていただいた中で、若手技能者にものづくりマイスターの称号を授与し、全国に先駆け、県として創設をとの要望も一定の成果を得られ、喜ばれる仕組みとして動き出しています。信州ものづくりマイスター、信州ものづくりヤングマイスターとマイスター認定及び活動の目的、マイスターの認定基準、マイスターの活動内容、マイスターの認定、活動のフロー等、ものづくり奨励制度を県として制定していただけたことは力強い産業育成の基盤強化に大きな役割を果たしているものと言えます。  本年8月現在、信州ものづくりヤングマイスターの認定状況、認定者54名、認定職種15職種、それぞれの区分として、建設、金属加工、精密機械器具関係ほかであり、ものづくり技能に対する意識の向上、就職率の向上、長野県のものづくり力の強靱化、基盤力の向上などの効果も、制度ができた関係で、誇りと希望を持ち、技能の継承や後継者の育成にもつながっていくと考えられますが、今後のさらなる展開について内田産業労働部長にお尋ねします。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)若者を対象としたものづくり奨励制度についてのお尋ねでございます。  本県のものづくり産業を支える若年技能者の育成確保のためには、技能奨励によるモチベーションの維持向上が重要と認識しておりまして、平成28年度には、技能五輪全国大会入賞者などを信州ものづくりヤングマイスターとして知事が認定する制度を新設いたしたところでございます。ヤングマイスターには、技能の継承、後継者育成を図るため、信州ものづくり未来塾の講師として、すぐれた技能の実演などにより小中高校生等にものづくりの魅力を伝えていただいているところでございます。  今後は、現場の声も伺いながら、講師の回数の増などによる活躍の場の拡大や、技能五輪全国大会のない職種等への拡充など制度の充実を図り、ものづくり産業の振興につなげてまいります。  以上でございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)最後に、高齢運転者の交通事故発生状況について伺います。  報道等によると、全国では高齢運転者による交通死亡事故が増加しているとのことであるが、本県において、先月の交通安全運動期間中に交通事故により3人がお亡くなりになり、うち高齢運転者による交通死亡事故の犠牲者は2人であったと聞いております。  また、高齢者の事故原因については、ハンドル操作を誤ったり、ブレーキとアクセルを踏み間違えたりして歩行者をはねる事故が後を絶たない状況にあります。今後、高齢者人口がさらに増加することに鑑みると、高齢運転者の対策が喫緊の課題であると感じます。  そこで、県内の75歳以上の高齢運転者による交通事故の発生状況や防止対策について内藤警察本部長にお伺いし、質問を終わります。       〔警察本部長内藤浩文君登壇〕 ◎警察本部長(内藤浩文 君)まず、75歳以上の高齢運転者の交通事故の発生状況についてお答えいたします。  本年8月末までの75歳以上の高齢運転者が第一当事者となる交通事故の発生件数は507件で、事故全体の10.6%を占めており、近年、その割合は増加傾向にあります。また、第一当事者の年齢層別運転免許人口当たりの交通死亡事故の発生件数で見ますと、75歳以上の高齢運転者については、75歳未満の運転者の約2倍となっている状況にあります。さらに、75歳以上の高齢運転者による事故死者数は7人で、前年と比較いたしますと2倍以上となっております。  75歳以上の高齢運転者による交通事故を類型別に見ますと、出会い頭事故や追突事故が多く発生しており、この二つの事故で全体の約6割を占めております。また、事故の原因別で見ますと、左右の安全確認をしないなどの安全不確認、考え事をしていたなどの漫然運転、ブレーキやアクセルを踏み間違えるなどの操作上の誤りの割合が75歳未満の運転者と比較して高くなっております。  次に、対策についてでありますが、高齢の運転免許保有者については今後一層の増加が見込まれることなど、高齢運転者の交通事故防止対策は重要な課題であると認識しており、県警察では、交通事故防止総合対策により、高齢者交通事故防止対策を最重点と位置づけて、高齢運転者事故防止対策を推進しているところであります。高齢運転者の方々が安全運転を継続していくためには、自己の身体機能等の現状を自覚した上で運転をしていただくこと、身体機能等の低下を自覚し、本人が納得した上で運転免許証を自主返納していただくことが重要であると考えております。  このような認識のもと、例えば、運転免許更新時の高齢者講習におきましては、実際に自動車を運転していただき、個々の運転者のくせや気をつけるべき点を把握して、それぞれの特性に応じた具体的な指導を行っているほか、運転免許センター等に運転適性相談窓口を設置し、高齢者やその御家族等からの相談に対して、被相談者の身体機能等の現状を踏まえた助言、指導等を行っております。  昨年3月には、認知症対策の強化などを内容とする改正道路交通法も施行されたところであり、今後とも改正道路交通法の的確な運用に努めるなど、高齢運転者の交通事故防止のための取り組みを推進してまいります。  以上でございます。 ○議長(鈴木清 君)次に、小池久長議員。       〔31番小池久長君登壇〕 ◆31番(小池久長 君)「ただいま電話が大変混み合っています。しばらくたってからおかけ直しください。」中部電力の音声案内が繰り返す。信号機には岡谷警察署備品とシールが張られた発電機が設置され、地域の交通インフラを守っている。茅野警察署が台風21号の停電での教訓を生かし、早期に隣接警察署から融通してもらったものである。富士見町の住民福祉課では、民生委員、社協の皆さんが町内のひとり暮らしの高齢者宅を訪問し、食事の準備や町の福祉施設を開放し長期化に備えるが、いつ回復するのか、担当者は2次的被害を懸念する。原村のペンション付近では、食材納入業者が保冷車で待機し、茅野市内の弁当販売店では、1時間待ちですと困ったように頭を下げる。そこに、電力会社の関係設備業者の若い2人が、徹夜でやっていますが倒木が多過ぎて御迷惑をおかけしますと足早に現場に向かう。待ち時間に不機嫌だったお客の1人が、笑顔で頼むなと声をかけました。台風21号では約9,700戸、24号では全県で約2万5,780戸、そのうち8割弱が八ヶ岳山麓の3市町村が占め、おおむね復旧したのは4日の午後でありました。  また、台風停電は今後再び発生することが予想されます。電力というライフラインの確保のため、倒木を未然に防ぐための森林整備を進める必要があると思います。  また、森林県として、そのことを県民の皆さんと共通の認識としなければならないことも事実であります。県土の8割以上森林を有する本県では、行政だけの対応には限界があります。新たなる危機管理に直面する現在、地権者を含め関係団体にも協力を仰ぐための支援策等も今後必要と思われますが、いかがでしょうか。林務部長にお伺いをいたします。  あわせて、台風21号、24号の状況を踏まえて、今回発生した台風25号に対しての電力会社へ県からの要請と今後の連携について危機管理部長にお伺いをいたします。  鉢巻道路を山梨方面に向かうと、急に視界が広がり、左に八ヶ岳、正面には霊峰富士が見えます。これは、当時のコモンズ支援金に端を発し、広原財産区が現在では自主財源と会員の協力によって整備された区間であり、年2回、1,000人規模で整備が継続されていて、終了後の点検に合格しなければ翌週やり直しが命じられます。皆必死であります。  台風21号通過後、枝葉が散乱する鉢巻道路、その区間は何事もなかったように真正面に富士山が見えます。茅野市のビーナスライン沿線の関係者が以前からこの取り組みに関心を持ち、昨年から沿線の整備を観光関係団体や多くの団体が参加し、おもてなしのための環境整備が始まり、ことしは450名余の関係者が参加し、実施されました。  しかし、まずは本県の売りである景観整備のための沿線森林の除間伐をしないとビーナスラインの魅力は価値を見出せません。本県では、新たな森林税の活用として、ビューポイントへの活用をうたう。沿線関係者の協力が早期に功を奏すには充実した予算措置を希望するがいかがでしょうか。重ねて林務部長にお伺いをいたします。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)2点御質問をいただきました。  初めに、ライフラインを倒木から守るための森林整備の支援策等についてのお尋ねでございます。  台風等による倒木被害からライフラインを守るためには、手入れが行き届き、しっかりと根が張った災害に強い森林づくりを行政と地域住民の皆さんが連携して進めていくことが重要でございます。  議員御指摘のような地域住民の皆さんがみずから行う里山の整備に対しては、里山整備利用地域に認定した上で、本年度より新たに森林づくり県民税活用事業による支援ができることとしたところでございます。今回の災害を踏まえ、改めて災害に強い森林づくりという観点でもこの制度の普及を徹底してまいります。  次に、森林税を活用した景観整備についてのお尋ねでございます。  本年度より第3期目がスタートした森林づくり県民税においては、これまでに行ってきた里山の森林整備を引き続き進めるほか、多様な県民ニーズに応えられるよう、ビューポイントの整備など観光面での森林の利活用等拡充をしたところでございます。  議員御指摘の観光地等魅力向上森林景観整備事業は、予算規模に比べ各地から大変多くの要望が寄せられております。第3期森林づくり県民税では、税活用事業の評価検証を一層強化し、必要に応じて各事業の予算規模を含め、制度、事業の見直しを行うよう運用の改善を図ったところですので、本年度の執行状況や地域のニーズ、県民会議での御意見等を踏まえ、来年度に向けて評価検証に取り組んでまいりたいと考えております。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)電力会社との連携について御質問をいただきました。  ことしは、多くの災害により全国各地に甚大な被害が発生し、台風の接近では、県内でも暴風雨による倒木が相次ぎ、広範囲にわたる停電の原因となりました。特に、台風21号では、県の中南部を中心に、最大2万4,490戸が、24号でも、同じく中南部を中心に、最大2万5,780戸の停電が発生し、県民生活に大きな影響をもたらしました。これらの状況を踏まえて、今回の台風25号の接近に際しては、事前の対策として、中部電力と協議を行い、停電への警戒の強化、停電が発生した場合における早期復旧対策の実施、復旧の見込みなど住民へのわかりやすい情報の提供といった内容の要請を行いました。  現在、中部電力とは、平成26年に締結いたしました停電発生時等の情報連絡体制に係る覚書に基づきまして速やかに情報共有を行うほか、建設事務所では、電力の復旧作業に支障となる県管理道路上の倒木や土砂を早期に除去するなど、日ごろから協力体制を構築しております。今後も、中部電力とは、停電発生時に早期に電力が復旧できるよう、危機管理部だけでなく、建設部や林務部としっかり連携を行い、県民生活の安全、安心の確保に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔31番小池久長君登壇〕 ◆31番(小池久長 君)仕事をしていく中で、悩みを抱えたり、壁にぶつかったり、スランプを迎えたりすると、人はネガティブになってしまいやすい。人によっては、問題解決のために転職を考える人もあるし、その前に仕事をやめてしまう人もいる。しかし、一度逃げてしまうと、逃げ癖がついていろいろな物事が長続きしなくなってしまい、負のループにかかってしまうと、人は青い鳥症候群となり、幸せを求めていろいろな仕事を転々としてしまう。そして、少しでもつまずくとまた別の場所を探して飛び立ってしまう。青い鳥症候群となって、幸せを探しても、安住の地へ必ずしも行き着けるわけではなく、風に任せて転々とした結果が、その人生を大きく左右する場合も多く、最初の仕事選びが重要な鍵となります。
     さて、18歳で選挙権という社会的責任を得た高校生はどうでありましょうか。大学生は、志望する会社全てに応募書類を提出できますが、高校生は、ある時期まで1社しか応募できません。こうした応募制限は全国44都道府県で実施されています。企業側の採用担当者からは、大学生の採用試験では会社が指定するエントリーシートの提出が一般的でありますが、高校卒業見込みの者の場合は、全国高等教育統一応募用紙の使用が義務づけられていて、採用担当者は出席日数と欠席日数の欄を見てどれだけ真面目に物事に取り組んでいるかを見ると話します。  労働問題に詳しい慶應大学商学部の樋口教授は、高校生などの未成年の場合、大学生と違って社会観や労働観が十分に確立されているとは言えない。就職浪人を出さないセーフティーネットは必要との認識を示すが、反面、高校生の3年以内の離職率が4割に届く事実について、企業側と高校生のミスマッチが原因と指摘。我が社はこういう人材が欲しい、高校生にとっても、その会社で働くことでこんな人になりたいとお互いに面接で本音が言い合えるようにするべきだ。その上で協定の見直しも必要との認識を示しました。  さて、本県ではどうでありましょうか。報道では、県教委などの報告によると、県内の高校を今春卒業した生徒の3月末時点の就職内定率は98.2%に上りました。一方、2014年3月卒業者では、3年以内に離職した人の割合は40.5%、近年4割前後の状況が続いています。高校新卒者の求人は、7月1日以降に各校に掲示され、企業による採用活動は9月16日に解禁されます。その後、県と県教委、経済界、労働局の申し合わせにより、10月15日までは高校生1人が応募できるのは1社、それ以降も2社に限られます。高校と企業との間の信頼関係を基本に希望者が確実に就職できるように続けてきた仕組みでありますが、生徒自身が選択できるだけの情報提供は少なく、結果的に高校の進路指導や支援員頼みとなり、教務も兼務する進路指導の先生の負担も大きいわけです。北信地方の高校の進路指導担当教諭は、複数の企業を見学してから志望先を決めたほうがいいが、希望人数が多過ぎて対応仕切れないと明かしました。  長野労働局は、受験を前提とした1社限定の見学は、就職先を絞る過程で実施する趣旨と合致しないと指摘しています。この状況を踏まえて、県内では、民間事業者やグループの仲介で高校生向けの合同企業説明会を開く動きも相次いでいます。  梓川高校では6事業所が集まったほか、諏訪市内でも、諏訪地方の高校生を対象にし、過去最多の60社がブースを並べ、午後から約320名が参加し、将来に夢をはせました。人材不足で倒産や減産も強いられる地方企業では、正社員が不足していると回答した企業は55%に上ります。人材確保が喫緊の課題でありますが、新規採用にはそれだけの投資も必要であります。高校生と人手不足に悩む企業とのミスマッチにどのように対応していくのか、教育長にお伺いをいたします。  諏訪を代表する高原野菜のセロリは、全国第1位であるとともに、県内でのシェアは約8割、特に夏秋期、7月から9月はほぼ諏訪産が占めるなど、県内最大の産地として発展してきました。そうした中で、高標高地が特徴である諏訪地方の高原地帯においても、ことしの夏は今までにない高温が続き、諏訪を代表するセロリにおいて高温によると考えられる生育障害や病害などの影響が大きく生じた年となってしまいました。諏訪地方の野菜生産額の約6割を占めるセロリが今後も長野県を代表する高原野菜の一つとして発展していくためには、今後の高温も見据えた対応が必要と考えております。  そこで、セロリの高温障害と考えられる芯腐れ症や萎黄病に対しての県の対応について農政部長にお伺いをいたします。  長野県内では、中山間地域が多く、特に諏訪地域では標高1,000メートル地帯においても米づくりが行われてまいりました。高標高地の米は、売れ筋のコシヒカリの作付は難しく、また、経営規模が小さい農家では生産コストが高くなり、十分な所得が得られなくなり、このままでは耕作放棄地の増加が心配されます。さらに、米の消費量の減少がとまらない状況の中では、高標高地の米は今後苦戦が続くことが考えられることから、高標高地水田地帯において、立地条件を生かした高収益が期待できる園芸品目の導入が重要と考えています。  しかしながら、水田の状態で本格的な園芸品目の導入を行うことはなかなか困難であることから、こうした品目を導入できるための施設整備の支援や農地基盤の改良促進等が重要と考えています。  そこで、高標高地帯などで水田を畑として活用するための基盤整備をどのように進めていくのか、また、転換後の水田で園芸品目を新たに導入する場合の施設等支援について農政部長に重ねてお伺いをいたします。  また、野菜など園芸作物の栽培では、規模を拡大すればするほどマンパワーの確保が重要な課題となります。高齢化が進み人口が減少する傾向は農村地帯では特に影響が大きく、高収益が期待できる野菜があっても、労働力確保が規模拡大のネックになることが予測されます。葉洋菜での苗の機械定植機の実用化が進み、防除も大型機械での作業体系が確立されていますが、収穫作業の省力化、軽作業が課題となります。キャベツでは、実用的レベルの収穫機が開発されたと聞いておりますが、レタスでは収穫作業の省力化が課題となります。本県では、レタス収穫機実用に向けて試験研究が進んでいると聞いておりますが、レタス収穫機開発の現状と市販化時期の見込みについて農政部長にお伺いをいたします。  農業は成長産業の一つとして位置づけられておりますが、離農者と耕作放棄地が急増する中、農業生産額は日本全体で10兆円から8兆円台にまで減少し、長野県でも平成3年の4,119億円をピークに、昨年は2,841億円と減少し、農業就業人口においても減少傾向がとまらず、農業は依然厳しい状況であります。  近年、農業ビジネスの切り札としてICTやロボットなどの先端技術を活用したスマート農業に期待が寄せられます。超省力化や高品質生産等を可能にする農業は、日本の農業の将来の命運を担います。しかし、現行では、開発された機械は高額であり、初期投資の負担のため普及が進んでいません。その支援が必要ではないか、農政部長にお伺いをいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)高校生と企業のミスマッチへの対応についてのお尋ねでございます。  県内の高校新卒者の3年以内での離職率は、長野労働局の統計によりますと、全国の動向と同様に、ここ数年4割程度で推移しておりまして、この事実を重く受けとめているところでございます。  議員御指摘の、いわゆる1人1社制は、大量の求人と求職を短期間に円滑に結びつける仕組みとして、大学生のように長い期間の就職活動ができない高校生が比較的短い期間で高い内定率を実現することを支えているということもあるかと思います。  しかしながら、1人1社制のもとで、生徒がみずから応募する職種、企業への認識が不十分なまま就職してしまう場合もあり、そのことが早期離職を生むミスマッチの原因ともなります。それゆえ、応募企業を決める前にさまざまな職種を体験したり、多くの地元企業を知る機会を得たりすることは大変重要だと考えております。  議員御指摘の諏訪地区の合同企業説明会は、60近い企業が一堂に会して自社の魅力と働くことの楽しさを高校生に伝える機会となっており、その意義は大きいと思います。  県教育委員会としては、ハローワークと連携して、県下各地区の希望する高校に対して学校内企業説明会を実施しておりますが、このうち、例えば上伊那地区では、9校合同で20社前後の企業に協力を得て約300名の生徒を集めております。このような取り組みを含め、今後さらに企業、経済団体、関係機関等と連携し、さまざまな企業説明会の拡充支援に努めてまいりたいと思っております。  それに加えまして、インターンシップの充実も図りながら、生徒が自分の人生を構想する力、キャリアデザイン力を育成することで、早期離職を減らし、企業の人材確保という課題にも応えてまいりたいというふうに考えております。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)順次お答えを申し上げます。  まず、セロリの芯腐れ症及び萎黄病についてでございますが、セロリの芯腐れ症は、植物体内でカルシウムが不足することにより生ずる症状で、カルシウム肥料の散布などの技術指導を行っているところであります。しかし、本年のように高温で雨の少ない状況では多発する傾向にございまして、これらの対策では十分でないことから、現在、野菜花き試験場でさらに詳細な発生メカニズムの解明と対策技術の開発を進めているところでございます。  また、萎黄病は、同じ作物を連続してつくり続けることで土壌中の病原菌の密度が増加をして発生する病気でありまして、県では、これまでも、殺菌剤の利用や複数の作物による輪作など防除対策技術の開発と普及を進めてまいりました。さらに、本年度からは、萎黄病に強く、品質にすぐれた新たな品種の育成に着手をしているところでありまして、研究の加速化を図ってまいります。  次に、高標高地水田に園芸品目を新たに導入するための基盤整備と施設等への支援についてでございますが、収益性の高い園芸品目、例えばブロッコリーなどを水田で作付する場合、排水性を高めることやかん水施設などの基盤整備が必要と考えております。  これに加えまして、ホウレンソウやトルコギキョウなど施設栽培に適した品目についてはハウスなどの整備も必要となってまいります。県では、それぞれの地域におきまして作付する品目の計画にあわせた基盤整備と、園芸品目の生産に必要なハウス等の導入について国庫補助事業などを活用して支援をしてまいります。  続きまして、レタス収穫機についてでございますが、県では、レタス生産における労働力不足への対応や経営改善につなげるため、平成27年度から産学官連携によるプロジェクト事業で試作機の開発を進めてまいりました。現在、レタスの切り取り部をセンサーが感知し、1列ごとに切り取って反転させていく仕組みの試作機につきまして現地圃場でのテスト走行を重ねているところであります。今後は、商品化を計画している民間企業など関係の皆様としっかり連携し、機械収穫に適した栽培方法の確立に取り組むとともに、試作機の商品化に向けた最終的な改良、安全性の評価、産地での実演会などの取り組みを支援いたしまして、おおむね3年後の2021年の販売開始を目指してまいります。  最後に、スマート農業に係る機械導入への支援についてでございますが、現在、市販されている酪農の搾乳ロボットやGPSトラクター、農業用ドローンなど、最先端技術を活用した機械の導入に当たりましては、ICTやロボット等の先端技術導入に係る優先枠が設定されている産地パワーアップ事業や経営体育成支援事業などの国の補助事業を積極的に活用し、農家の負担軽減に努めてまいります。  また、機械の導入が経営の効率化、省力化などに着実につながるよう、目的、活用方法、経営状況に応じた機種の選定や費用対効果などについて助言を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔31番小池久長君登壇〕 ◆31番(小池久長 君)この連休は、台風の影響で稲刈りがおくれていた分、農家は長野県米の品質が落ちないよう懸命に稲刈りをしておりました。我が家でも、息子の友人の手もかりて収穫を終えたわけです。その友人は、休む暇もなく、稲刈りできない落ち穂を丁寧に拾って、もったいないじゃんと言って仕事を手伝ってくれました。25歳の彼は、中学校卒業後、ぶらぶらしていましたが、社会に反感を持ったときもありましたけれども、今では家族を持ち、信頼できる仲間もあり、そこそこ満足していると言っています。  俺、この前、知事の個人演説会に誘われて行ったよ。長野県は広いから大変だね、俺たちも自分たちでできることはやらなきゃね。俺たちも頑張るから知事も頑張ってねとタメ口で言っていたことをお伝え申し上げまして、終わりとさせていただきます。 ○議長(鈴木清 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時51分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(小林東一郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  今井愛郎議員。       〔2番今井愛郎君登壇〕 ◆2番(今井愛郎 君)信州・新風・みらいの今井愛郎です。通告に従い、順次質問をしてまいります。  過日、教育委員会事務局職員を対象としている連続2週間休暇を教育長御自身が取得、私費でアメリカに行かれ、ふだんの仕事では得られない刺激を得てきたとの報道がありました。  私も、先日、フィンランドの子育て支援策、ネウボラを視察に行ってまいりましたが、百聞は一見にしかずと申しましょうか、どんなにインターネットなどの情報を詰め詰め込んでみても、行かなければわからないこともあり、長期休暇を用いて自己研さんやリフレッシュをすることは大変よいことであり、職員だけでなく、教員にこそこういった制度が必要でないかと思う1人であります。  そんな中、9月29日の日経新聞には、今や働き方改革ではなく、休み方改革の時代に入ったとの記事がありました。しかし、教員は、長期休暇どころか年次有給休暇すら消化できないと聞きます。今年度から夏休みの完全閉校日をふやすなどして対策を講じていることは承知しておりますが、平日は授業があるから休暇がとれないのではなく、平日でも休暇がとれるようなサポートづくりが必要と考えますが、教育長の御所見をお尋ねしておきます。  続いて、県民文化部長にお尋ねいたします。  平成30年7月6日、厚生労働省子ども家庭局は、県に対し、都道府県社会的養育推進計画の策定を求めてきました。これは、国が平成28年6月に全会一致で児童福祉法の大改正を行ったことや、本年3月、東京都目黒区で、船戸結愛ちゃん(5歳)が虐待死したことを受けて、社会的養護が必要な子供たちへの支援策の見直しが急務となり、通知が行われたと聞いております。  そこで、まず平成28年6月の児童福祉法の大改正及び本年7月の国が求めてきた推進計画策定の概要並びに県の取り組み状況等についてお尋ねしておきます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)教員の長期休暇取得とそのサポートの仕組みについてのお尋ねでございます。  これからの時代を生き抜く子供たちには、みずから考え、新たな価値を創造できるようなそういう学校教育であることが大変重要だというふうに思っております。そのためにも、学校現場において、教員が適切に休暇を取得して自己研さんの機会を持つことやリフレッシュすることでみずからが創造的であることは大切だというふうに思っております。  現在の教員の年休取得状況は、平成29年において、小学校13.7日、中学校11.9日、高等学校12.0日、特別支援学校14.2日というふうになっておりますけれども、なかなか長期休暇を取得することは困難な状況であるというふうに考えております。  昨年11月に学校における働き方改革推進のための基本方針を策定し、今年度から夏休み期間中の学校閉庁などに市町村とともに取り組んでいるところでございます。引き続き教員が休暇を取得しやすい環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)社会的養護を必要とする子供への支援についての御質問のうち、まず、児童福祉法の改正及び推進計画策定要領の概要と取り組み状況についてお答えいたします。  児童福祉法改正によりまして、子供が権利の主体であること、実親による養育が困難であれば里親や特別養子縁組などで養育されるよう家庭養育優先の理念等が規定されました。本年7月に国が示した都道府県社会的養育推進計画の策定要領は、改正児童福祉法等を受けて行われる既存の推進計画の全面的な見直しに当たって踏まえるべき基本的考え方や留意点などをまとめたものでございます。  基本的考え方としては、在宅支援、里親措置による代替養育、自立支援などを一体的な視点で見直すこと。また、子供たちの最善の利益のために着実に進めていくこととし、計画の記載事項といたしましては、子供の意見聴取や意見を酌み取る方策など当事者である子供の権利擁護の取り組み、また、児童家庭支援センターの機能強化等設置促進など市町村の子供家庭支援体制の構築等に向けた取り組み、そして、里親のリクルートから里親養育の支援、さらに里親措置解除後における支援に至るまでの一連の業務の包括的な実施体制の構築など里親等への委託の推進に向けた取り組み等を計画に盛り込むというふうにされております。  留意点といたしましては、2019年度末までに計画を見直し、可能なものから順次取り組みを進めること。そして、計画の進捗状況を毎年度検証するなどが求められております。県では、平成27年に策定した長野県家庭的養護推進計画の見直しについて、長野県社会福祉審議会児童福祉専門分科会で本年2月から審議を開始するとともに、児童福祉施設、里親会、市町村などへの説明、協議等を実施しております。       〔2番今井愛郎君登壇〕 ◆2番(今井愛郎 君)ありがとうございました。  教員の休み方については、今、大企業では、有給を取得したらお金を払うような時代になってきております。そういうことを考えれば、せめて、例えば5年あるいは10年勤続したら5連続休暇を認めるとか、そういう考え方もぜひ取り入れていただいて、大企業に負けないような休みのとり方をできるようにしていただきたいと思います。  続いて、児童福祉法の大改正については、優先すべきが子供の最善の利益と明記されたことで、特に社会的養護を必要とする子供たちへの支援計画である社会的養育推進計画の策定が急務となったと理解するところでありますが、以下、関連して8項目、県民文化部長にお尋ねいたします。  一つ目、計画策定に向けて、団体等へヒアリング中とのことですが、国は社会的養護を必要としている子供たちの意見の反映を求めています。どのように取り組まれていくお考えですか。  二つ目、国は義務ではないとしながらも、里親等委託率を3歳未満は5年以内、就学前は7年以内に75%へ、学童期は10年以内に50%以上にするよう求めています。しかし、長野県の平成28年度末の里親等委託率は13.2%で、児相を設置している69都道府県市中の53番目で、全国平均より5%以上低くなっております。国の求める時期までに里親等委託率を達成するには相当のマンパワーが必要と考えますが、いかがお考えですか。  三つ目、乳児期に限ると、県内では毎年40名前後が乳児院に入所しています。仮に5年で里親等委託率75%を達成したとすると、今まで社会的養護の一翼を担っていた乳児院や児童養護施設等の運営が非常に厳しくなると思われますが、こういった施設への配慮をいかがお考えですか。  四つ目、国は可能な限り生まれ育った地域で育てようと、里親等委託等の推進とともに児童養護施設の小規模化、地域分散化を求めています。現在の児童養護施設は大規模なものが多いと聞きますが、小規模・地域分散化への取り組みについていかがお考えですか。また、ファミリーホームの活用推進も明記されておりますが、飯田児相管内にはファミリーホームがありません。地域遍在をなくす取り組みについていかがお考えでしょうか。  五つ目、29年度末の長野県内の里親登録者数は191人で委託児童は90人とのことですが、ここ数年、県内に社会的養護を必要としている子供たちは600名ほどいらっしゃいます。国の目標を達成するには、現在の里親登録者数を最低でも3倍程度にしなければならないと推計できますが、里親等委託率達成に必要な里親数とともに、ふやす方法をどのように考えていらっしゃいますか。  六つ目、策定指針では、児相が設置されている圏域ごとに里親を包括的に支援するフォスタリング機関の設置を県の義務としています。民間委託も可能としています。本県の取り組みが好事例として全国に紹介されている上田市のうえだみなみ乳児院の民間委託は大変評価したいところでありますが、まだ一地域に過ぎません。里親事業を根づかせるためにも、推進計画の策定より前に、まず県内の各児相圏域内へフォスタリング機関を設置することが急務と考えますが、機関の設置について、時期やその方法についていかがお考えでしょうか。  七つ目、児童福祉法の改正に伴い中核市でも児相の設置が可能になりました。義務ではないものの、可能な限り中核市への設置を求めています。私は、小回りのきいた対応をしていくためにも、可能な限り生活圏に近い単位で児相を設置すべきと考えます。また、長野県は、現在5カ所の体制で児相を設けていますが、虐待を初め相談業務が非常にふえていると聞きます。午前中の堀内議員の質問にもありましたように、児童福祉司の配置基準が以前の6万人から4万人に1人に変更になったということを考慮し、中核市への設置を含め、県内に二、三カ所児相を増設して、より早く、細やかな相談ができるようにすべきと考えますが、いかがお考えですか。また、児相の増設ができないならば、児童家庭支援センターをふやすなどの支援が必要と考えますが、いかがお考えでしょうか。  八つ目、国は児相の機能強化の一環として、可能な限り常勤弁護士の配置を求めています。長野県は全ての児相に弁護士の配置ができないことから、長野市内の児童相談広域支援センターに非常勤弁護士を配置していますが、県土の広さを考えると、遍在していると言わざるを得ません。中南信地区の児相も弁護士を配置すべきと考えますが、いかがお考えですか。また、もし費用的な問題でこれ以上の弁護士の増員ができないのであれば、長野市に比べ県内各地域の児相への距離が比較的等しい松本児相に配置がえをすべきと考えますが、いかがお考えですか。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)関連する御質問に順次お答えいたします。  まず、子供たちの意見を反映する取り組み等についてでございます。  現行計画の全面的な見直しに当たりましては、当事者である子供たちに加えて、過去に社会的養護を経験した方々からの意見聴取も求められております。具体的な取り組みとして、アンケートやヒアリングなどが考えられ、実施方法や内容については子供の心理面への影響に配慮しつつも、子供が安心して意見を出せるよう、児童福祉施設や里親等の関係者と十分に調整を図った上で進めてまいります。  次に、国の求める里親等委託率を達成するためのマンパワー確保等についてでございます。  改正児童福祉法等により、里親開拓から訪問支援等による自立支援まで一貫した里親支援が都道府県の業務として法定化されたところですが、児童相談所が虐待対応に追われている中では、里親支援を十分に行える状況にあるとは言えません。また、本県では、戦後の復興混乱期の中で、個人や寺院などが身寄りのない子供たちを受け入れるために施設を創設したり、小児結核診療所として開設し、その後施設に移行したものが多く、他県と比較しても多い14の児童養護施設が運営されていることも施設への入所割合が高くなっている要因というふうに考えております。  こうした乳児院や児童養護施設は、これまでの本県の福祉、医療の分野で大きな寄与、御貢献をいただいてきたわけでございますけれども、他方で、養育の専門性や自立支援などの対応能力等を長年の経験の中で蓄積していただいていることから、今後の里親養育支援体制の構築において有力な担い手として期待されるところでございます。今後の里親委託の推進、拡大に当たって、質の高い里親養育の実現は不可欠であるため、施設の専門性を生かし、児童相談所、広域支援センターに配置する里親委託等推進員等と協力することで、必要な体制構築を図ってまいります。  続いて、乳児院及び児童養護施設への配慮等についてでございます。  これまで、乳児院、児童養護施設は、専門性を生かし、子供たちを養育する重要な役割を担ってまいりました。家庭養育優先原則を進める中では、実親との分離や喪失体験などによりさまざまな困難を抱えた子供に治療的養育を提供するなど、極めて高度な機能が求められております。そのため、さらなる専門性の向上を伴って、地域の社会的養育を支える専門的な拠点となることが乳児院や児童養護施設には期待されております。  本年7月、国により取りまとめられた「乳児院・児童養護施設の高機能化及び多機能化・機能転換、小規模かつ地域分散化の進め方」における方向性を踏まえ、丁寧なヒアリングや意見交換を始めております。各施設において高機能化を進め、児童家庭相談や地域子育て支援などの機能を果たし、地域の拠点となることにつながるよう支援してまいります。  次に、小規模化、地域分散化への取り組みとファミリーホームの地域遍在に関する御質問でございます。  小規模かつ地域分散化された施設である地域小規模児童養護施設や分園型小規模グループケアは、現在、県内4施設で整備され、41名の子供たちが生活しております。児童養護施設の改築等を契機に、小規模かつ地域分散化が展開されていくよう、施設整備に関する要望を踏まえた適切な支援に努めてまいります。  ファミリーホームは、養育者の家庭で6名以下の子供を受け入れるものですが、飯田児童相談所を除く四つの児童相談所管内に6カ所が整備され、30名の子供たちが生活しています。現在のファミリーホームの養育者は、いずれも養育里親としての経験をもとに事業を実施していますが、飯田児童相談所管内では、他の児童相談所に比べて、そもそも里親登録数が少ない状況です。ファミリーホームの地域遍在をなくしていくためにも、里親制度の周知啓発、里親募集活動の充実による里親登録数を増加させる取り組みを進めてまいります。  続いて、目標達成に必要な里親数と里親登録者をふやす取り組み等についてでございます。  これまでは児童養護施設等に配置されている里親支援専門相談員や市町村との連携した啓発活動により登録数の増加を図ってまいりました。今後は、それに加えて、里親募集のためのリーフレット配布などを県民が多く集まる場所、機会や各家庭へのポスティングによる広報を実施するとともに、乳児院や児童養護施設等の民間機関の協力を得て実施してまいります。  なお、里親制度について社会全体での理解を深めるため、地域共生社会と子供が家庭で育つことをテーマに、10月13日、専門家を招いて長野市内でシンポジウムを開催することとしておりまして、これを契機として、登録数増加の取り組みを強化してまいります。  次に、フォスタリング機関の全児童相談所への設置時期や方法等についてでございます。  本年7月、国が定めたガイドラインでは、里親の新規開拓、研修、養育支援など、里親に関する一連の業務を包括的に実施する機関をフォスタリング機関と定義しております。県では、このフォスタリング業務を一貫して行う仕組みを児童相談所が民間機関とともに構築しているため、今年度から、東信地域の一部を対象エリアとして、うえだみなみ乳児院への業務委託により開始いたしました。児童相談所に加え、フォスタリング機関が関与することで、チーム養育の体制がとられることになるという全国的にも先駆的な取り組みであり、これにより安定した里親養育を継続することが期待できます。今年度からの取り組みによる成果をもとに、民間機関をフォスタリング機関として育成していくという視点を持ちつつ、来年度末までに行う現行の社会的養護推進計画の全面的な見直しの中で、その設置時期や担当地域を明示して必要な体制整備を進めております。  続いて、児童相談所の増設、児童家庭支援センターをふやす支援等についてでございます。  中核市が児童相談所を設置することで、市が行う子育て支援事業との効率的な運用が期待できる一方、児童福祉司等の専門人材の確保育成などの課題がございます。全ての中核市が児童相談所を設置できるようにするという法改正の趣旨を踏まえるとともに、中核市の意向等にも十分に留意して協議を進めてまいります。  児童家庭支援センターは、県内では二つの児童養護施設に設けられており、専門的な知識等を要する児童家庭相談に応じて助言を行うなど、児童相談所の補完的役割を担っております。また、児童養護施設による設置は、地域における在宅支援機能も担うことになり、施設の多機能化に資するものとなります。  児童相談所の増設については、今後の中核市との協議や児童養護施設の多機能化に係る展開等も踏まえながら、児童福祉法改正等で求められている児童福祉司の増員や児童家庭支援センターの運営支援等により対応してまいります。  最後に、児童相談所への弁護士配置等についてでございます。  児童相談所広域支援センターに配置している弁護士は、現在、1カ月当たり6日程度、各児童相談所への出張も含めて、複雑、困難な案件に対する法的助言や親権問題等に係る家庭裁判手続の代理、支援業務を担っております。弁護士を配置したことで、児童相談所職員が緊急対応を要する業務に注力できるようになりました。また、児童虐待事案において、児童相談所と保護者との間で利害対立が絡む案件では、弁護士からの助言をもとに児童相談所職員が自信を持って対応できるようになるなど、配置による効果は大きかったというふうに考えております。  一方で、児童相談所からの移動に時間を要することに加え、児童福祉法等の改正により司法関与の強化が図られていることも踏まえると、弁護士配置の充実等が課題となっております。年内に国から示される予定の児童虐待防止対策総合強化プランも踏まえ、児童相談所の体制強化とあわせ、合理的な弁護士配置先の検討も含め、充実等について検討してまいります。  以上でございます。       〔2番今井愛郎君登壇〕 ◆2番(今井愛郎 君)知事は、国が児童福祉法を改正する前の平成26年6月、長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例を制定し、子供の最善の利益の実現にいち早く着目しておられます。また、知事選挙の基本政策でも、人を大切にし、誰一人取り残さない共生社会をつくるとした中で、困難を抱える子供たちへの支援を掲げられております。少子化時代において、子供を産み育てやすい環境を整えることも大切な政策ではありますが、それ以上に、今を生きている社会的養護を必要としている子供たちの最善の利益を実現するために、国が児童福祉法の大改正で方針転換をした今こそ、長野県も社会的養護を必要とする子供たちへの支援を積極的に進めるべきと考えますが、知事の決意をお尋ねしたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕
    ◎知事(阿部守一 君)社会的養護を必要とする子供への支援についての決意という御質問であります。  今井議員の御質問に対して角田部長のほうから順次お答えいたしましたけれども、この社会的養護を必要とする子供に対する支援にはまだまだ課題がたくさんあるというふうに私も認識をしております。これは、私ども行政としてもしっかりと責任を持って取り組んでいくことが必要でありますし、また、里親になっていただけるような方を発掘していくことも含めて、広く多くの県民の皆様方の御理解と御協力が必要だというふうに考えております。  平成28年に児童相談所広域支援センターを設置して、里親委託を推進する体制を少し改善いたしましたが、まだまだ里親の委託率は全国平均と比べますと低い状況であります。相当な覚悟と決意を持って取り組まないと、全国平均に追いつくのがやっとぐらいということになりかねないというふうに私は危機感を持っております。そういう意味で、これは県民文化部ともしっかり話をしていきたいと思いますけれども、御質問にもありましたとおり、まず体制面での充実をしっかり図っていかなければいけないというふうに思います。  加えて、乳児院を初めとする児童福祉施設の皆様方に新しい視点での取り組みの御協力もいただかなければいけないというふうに思っております。  御質問にもありましたが、うえだみなみ乳児院に県から委託させていただき、包括的里親支援や予期せぬ妊娠に悩む妊婦等の支援体制の構築に取り組んでおります。これは、まだまだスタートしたばかりでありますけれども、こうした施設の皆様方の能力をもっともっと発揮していただけるような環境もつくっていかなければいけないというふうに思います。  加えて、多くの県民の皆様方のこうした社会的養護を必要とする子供たちへの理解と支援を促進していくということが重要だというふうに思っております。  私は、選挙の際にも、子供たちが希望を持って暮らせる社会をつくっていくということを県民の皆様方に訴えてまいりました。こうした社会的養護を必要とする子供たちが本当に夢と希望を持って暮らすことができる長野県になるようにしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上です。       〔2番今井愛郎君登壇〕 ◆2番(今井愛郎 君)力強い決意をいただきましてありがとうございました。  フィンランドで私が聞いたところによると、児童虐待の家庭のほぼ90%は自宅に戻れないと聞きます。すなわち、90%の子供たちが社会的養護が必要になってくる。そんな状況を踏まえれば、待ったなしに取り組んでいただきたい課題だと思います。国が示す指針を待つまでもなく、ぜひ県としても進んでいっていただきたいと思います。  特に、日本全国でも、明石市は兵庫県から児相を譲り受けてやっておりますけれども、結果的に税収はふえる、人口はふえる、子育て支援が厚い町になる、そんないい循環がめぐっていると聞いております。ぜひとも長野県も負けないようにそういった取り組みをしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(小林東一郎 君)次に、依田明善議員。       〔12番依田明善君登壇〕 ◆12番(依田明善 君)人口減少とともに空き家はますますふえるばかりであります。  一方、家庭菜園をやりながら田舎暮らしを満喫したいといったニーズも年々高まっております。したがいまして、移住や2地域居住を促進させるには、それに見合う物件の流通を活発にすることが重要だと思います。  ただし、課題の一つとして、農地及び農地法がかかわってまいります。そことの折り合いをいかにつけていくかが大きなポイントになろうかと思いますので、私なりに具体策を探りながら質問をしてまいりたいと思います。  まず初めに、中古住宅の安全性についての質問です。  地震大国の我が国においては、何よりも消費者が安心して購入できる良質な中古住宅の流通を促進させることは喫緊の課題であります。それには、まず建物の安全性を正しく把握しなければなりません。中古住宅の所有者がインスペクション、いわゆる住宅診断を行ったり、あるいは既存住宅に対して売買瑕疵保険を設定する場合、それらの費用の一部を補助するあんしん空き家流通促進事業補助金というものがあります。まずはその実施状況について建設部長にお伺いをいたします。  さて、この中古住宅ですが、昭和56年以前の旧耐震基準の建物は見るからに危険なものが多いのが事実であります。そういった物件を買ったり借りたりする場合、例えば耐震補強などが施してあれば、ある程度安心ができます。ほかにも、耐震診断の結果やリフォーム、修理、修繕などの履歴がきちんと情報公開されていれば購入後のトラブルを未然に防ぐことにもなるでしょう。また、そういった消費者保護の意識が高まれば、危険な住宅など流通にそぐわない建物は淘汰され、良質な中古住宅の市場形成を図ることにつながると思います。  アメリカでは、建物の資産価値が下がりにくいと言われておりますが、その理由の一つは、契約前に約8割の購入者が住宅診断業者を利用して建物をくまなく調べさせ、良質の物件を求める点にあります。日本も見習うべき点は多々あろうかと思いますが、それには、まず関係者の連携を深めていかなければなりません。  地震大国である日本において良質な物件の流通を促進し、安心、安全な中古住宅市場を活性化するためには、行政のみならず、関係業界との連携による取り組みが特に重要だと考えます。県と市町村との連携もあわせて建設部長に所見をお伺いします。  また、県においても、楽園信州空き家バンクにより農地付き住宅などの住まいの情報提供を行っておりますが、その成果と課題、さらには、農地付き空き家における空き家バンクへの物件登録の状況はどうなのか、また、市町村の空き家バンクの開設状況並びに運営における課題は何か、あわせて企画振興部長にお伺いをいたしたいと思います。  次に、農地について触れたいと思います。  冒頭でも述べましたが、今や田舎に住みたいという田園回帰の流れが高まってきております。と同時に、家庭菜園を行うために小さな農地を手に入れたいと考える移住者もふえてまいりました。ところが、御存じのように、耕作を目的として売買や賃貸借契約を結んだり、あるいは無償で借りる場合であっても、農地法第3条に基づく許可は必要になってまいります。ただし、そこには下限面積という要件がありまして、都府県の場合は原則として50アール、つまり約1,500坪に満たない場合は3条の許可が得られないことになっております。しかし、実際は家庭菜園をするのに1,500坪も耕す人は滅多におりません。5反歩というのはもはや本百姓の領域です。  そこで、現在は、平成21年の農地法改正により、地域の実情に応じて市町村の農業委員会の判断で下限面積を定めることが可能となっております。その条件というのが、一つは、農地集積などが難しく、平均規模が小さい地域、二つ目が、農業の担い手が不足している地域であります。こういった農地については、農業委員会の判断によって下限面積を引き下げることが可能となっております。ただし、この判断基準や考え方というのは温度差があることも事実です。申請されてくる農地の現地調査の際に、案件によっては農地法の理念を厳格に守るべきだといった意見が出る一方、この農地は家庭菜園にしか向かないから下限面積を下げるべきだといった意見が出ることもあります。  つまり、農業委員会の判断に委ねるとは言っても、簡単にはいきません。私も農業委員を経験したことがありますけれども、農地に対する考え方というのは人それぞれであります。県とすれば、条件のよい農地、集積すべき農地等はしっかりと守る。しかし、家庭菜園に適した農地も点在しているのでそこを考慮するようにと農業委員会等にアプローチをしているわけですが、いま一つ浸透していないのが現状ではないでしょうか。  そんな中、この要件緩和に積極的に乗り出し、成果を上げている地域もございます。例えば飯山市ですが、ここでは、関係各位の長年にわたる御努力により、下限面積を2アール、約60坪以上に引き下げることができました。これによって物件の流通がとても活発になったようでありますが、県内の市町村の下限面積の緩和状況はどうなのかお伺いいたします。  また、農業発展と移住推進の両立を図るためにも下限面積の要件緩和について県としての方向性を示していくべきだと思いますが、あわせて農政部長に所見をお伺いしたいと思います。  次に、農業委員会への申請手続についても触れておきたいと思います。  購入希望者が農地の権利移動の許可あるいは所有権移転手続を行う際に問題になるのは2地域居住であります。春、夏、秋は信州で家庭菜園を楽しみ、冬は暖かい南国や都会で生活を楽しむという何ともうらやましい2地域居住を実現されている皆さんも年々多くなっております。ただし、その際に住民票を移さない方々もおります。その際に行政サイドから追及されるのは、生活の拠点はどこにあるのか、あるいは150日以上の就農は可能なのかなどであります。実際の取引の中においては、そういったことがネックとなり、屋敷周りの農地が許可されないことがあります。許可がおりないとなりますと、代金は払ったけれども仮登記のままといった不安定な状況に置かれるケースも出てくるわけです。こういったことが起きないようにしていくのも2地域居住を推進していく中においては重要ではないかというふうに思います。  農地を取得する際に、許可要件を厳格に審査してやるぞというしゃくし定規的な対応ではなく、どのような要件を備えたら許可が出ますよといった協力的な姿勢でアドバイスをしていくことも大切だと思います。そして、そのような考え方が各市町村の担当職員や農業委員会の皆さんの対応にも反映していくと思いますが、農政部長の御見解をお伺いいたします。  最後に、知事にお伺いいたします。  県は、新たな総合5カ年計画の中で、移住交流の新展開をうたっております。その中では、半農半Xなど複数の役割を担う一人多役といった多様な生き方や暮らし方の促進を施策目標として掲げておられます。それを具現化するためには、農地付き空き家の流通を促進することは極めて重要だと思いますが、阿部知事の御所見をお伺いいたします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)あんしん空き家流通促進事業補助金についてのお尋ねです。  この事業は、インスペクションと呼ばれる住宅の劣化やふぐあいの診断に要する経費と既存住宅売買瑕疵保険の加入に要する経費に対して県が一部補助するもので、平成28年度から実施しています。初年度は56件、昨年度は69件と予算額に達する申請があり、今年度も、現在までのところ昨年度と同程度のペースで申請をいただいているところでございます。今後とも本制度の周知に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、関係業界などとの連携による中古住宅の流通促進についてのお尋ねです。  議員御指摘のとおり、良質な中古住宅の流通促進には、消費者に適切な情報が行き渡るなど、行政と関係業界との連携による安心、安全な中古住宅市場の活性化に向けた取り組みが重要であります。国では、インスペクションに加えて、耐震診断により安全性が確かめられた中古住宅を扱う団体に安心R住宅の商標の使用を認める制度を関係業界で連携してスタートさせており、県も国とともに本制度の普及に努めているところであります。  また、本県における先進的な取り組みとして、上田市では、研修を受けた宅地建物取引業者が輪番制で空き家バンクの登録物件の仲介に当たり、購入希望者と所有者とのマッチングや重要事項説明等を行うなど、業界と市が連携してトラブル防止と流通市場の活性化を推進している例もあります。  このように、中古住宅の流通など空き家対策の推進は、県、市町村及び関係業界の連携が不可欠であり、県では、引き続き市町村と業界団体が参加する空き家対策地域連絡会を通じ、制度の周知、先進的事例の情報提供や技術的助言に積極的に取り組んでまいります。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)順次お答え申し上げます。  まず、楽園信州空き家バンクの成果と課題についてでございます。  この空き家バンクへの現在の登録利用者数でございますが、平成27年8月の空き家バンク開設時には427人でございましたが、本年9月末現在では1万1,019人にまで拡大をしてございます。また、登録物件数でございますが、本年9月末現在で、市町村登録分として339件、宅地建物取引業者登録分として348件、合わせて687件登録をされております。また、平成29年度中に賃貸または売買の成約に至った件数は、市町村登録分の物件で246件に上っておりまして、一定の成果が出ているものと認識をしてございます。  なお、宅地建物取引業者登録分につきましては、空き家バンク以外でも並行して紹介されている物件でございますので、空き家バンクによる成約数として把握することが難しいということは御承知をいただきたいと思います。  一方、課題でございますが、物件への愛着や他人に貸すことに抵抗があるといった所有者の意識。老朽化し、利用するには改修が必要な物件が多いこと。また、相続の手続が行われず所有者が不明な物件があることなどによりまして物件の登録がまだまだ十分には進まないということだと思っております。  あわせて、こうして登録できる物件が少ないことや、登録更新の事務負担の面から市町村の参加が45の団体にとどまっていることも課題と認識をしてございます。  次に、農地付き空き家の登録状況についてでございますが、楽園信州空き家バンクでは、家庭菜園・畑付きというカテゴリーと就農者向けの二つのカテゴリーを設けまして、農地付き物件の登録もされてございます。本年9月末現在、家庭菜園・畑付きは101件、就農者向けは23件、合わせて124件が登録されているところでございます。  続いて、市町村の空き家バンクの開設状況と課題についてでございます。  本年4月1日現在、66の市町村が独自の空き家バンクを整備をしております。市町村の空き家バンクの課題につきましても、先ほど御説明いたしました楽園信州空き家バンクの課題とほぼ同様でございますが、これに加えまして、県の楽園信州空き家バンクと別々のシステムにより運営しているため、両方のシステムに物件登録の入力が必要となるなど事務処理上の負担も課題と認識をしてございます。  市町村や長野県宅地建物取引協議会とも相談をしまして、移住希望者の利便性を念頭に、よりよいシステムとなるよう今後検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)農地取得に係る下限面積の要件緩和についてのお尋ねでございますが、県では、これまで、市町村農業委員会に対しまして、原則50アールとされている下限面積について緩和することが可能である旨の説明を行うとともに、平成27年11月には文書により下限面積の引き下げを検討していただくようお願いをしております。こうした取り組みによりまして、平成30年9月末現在、県内市町村の約9割となる70市町村におきまして下限面積が緩和されており、全国平均の約6割と大きく上回る状況となっております。このうち、20市町村では、空き家等とセットで取得する場合に、特例として1アール、または0.5アールまで引き下げている状況にございます。優良農地を確保しつつ、移住希望者が円滑な就農や農ある暮らしができるよう、地域の実情に応じて下限面積の緩和を行うことは新たな担い手の確保とともに人口の社会増の観点からも重要と考えておりますので、今後も、機会を捉え、農業委員会へ働きかけてまいります。  次に、農地の取得につきましては、農地法第3条第2項各号に規定する許可基準に基づき市町村農業委員会が許可を行っております。農業委員会におきまして、優良農地の確保という観点から、許可基準に基づき適正に審査をすることは農地法の要請するところであります。一方で、農ある暮らしや、それを踏まえた移住を志向する方の希望に応えることも重要な視点であると考えております。  議員からお話のありました許可基準の一つであります農作業への従事期間につきましては、原則150日以上とされておりますが、農地を取得する方の営農計画全体を丁寧に審査する中で、150日未満であっても許可される場合がございます。県としましては、農業委員会が申請される方の計画を十分考慮して適切に判断をすることができるよう研修会等で助言をしてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)農地付き空き家の流通促進についての所見という御質問でございます。  基本的に依田議員が持たれている問題意識は私も共有させていただいておりますし、ぜひ積極的に進めていく方向で取り組むべき課題だというふうに考えております。  長野県も、移住者の受け入れであったり、あるいは新しいライフスタイルを実現していく県づくりということに取り組んでいるわけでありますけれども、これは大都市と同じようなことをしていてもいけないわけでありまして、絶対大都市ではまねができないことをしっかりと取り組むということが重要だと思います。  そういう意味で、農地付きの住宅であったり、あるいは私は山林付き住宅とも言っていますけれども、農地や山林付きで暮らすなどということは東京都内では全く不可能な状況であります。そうしたものは、やはりしっかり長野県の強みとして売り出していくということは大変重要だと思っています。  そうした観点で、これまでも各部長から御答弁させていただきましたように、私どもも、この農地付きや山林付き住宅については意識をして取り組んできておりますし、また、市町村の農業委員会初め関係方面に働きかけをさせてきていただいております。  ただ、まだまだ取り組みが十分ではないところもあるというふうに私も思いますので、しっかりこの農地、山林付き住宅というものが長野県の特色として確立できるように進めていきたいというふうに思っています。  とりわけ、法令上の規制、課題になるようなものがあれば改善を求めていかなければいけない。あるいは県としても改善するべき点があるかもしれません。また、あわせまして、市町村を初め関係方面にも県の考え方について十分御理解をいただいて、その上で一緒になって取り組んでいくということが重要だというふうに考えております。  長野県が新しいライフスタイルをしっかりと実現できる県となるように、御指摘のありました農地付き住宅、農地付き空き家の流通促進も含めて取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔12番依田明善君登壇〕 ◆12番(依田明善 君)それぞれ御答弁いただきました。  都会から信州に移住し、家庭菜園からスタートし、次第に農業の魅力にはまり、今や全国紙に紹介されるほど画期的な農業人として活躍されている人々もおられます。農地法の理念は、そういった人々をふやしていくという点においても生かされるべきではないのかなというふうに私は思います。  県としても、さまざまな連携を強化しながら農地付き空き家の流通促進を図り、空き家と荒廃農地の減少に努めていただくことを切にお願い申し上げまして、一切の質問といたします。 ○副議長(小林東一郎 君)次に、花岡賢一議員。       〔1番花岡賢一君登壇〕 ◆1番(花岡賢一 君)今年度より展開されております長野県総合5カ年計画、しあわせ信州創造プラン2.0の冒頭、阿部知事の決意を示した一文の中に、「未来は今、私たちが何を為すのかにかかっている。」の一行が見てとれます。これは、マハトマ・ガンジーの言葉として引用されているのですが、総合5カ年計画においても、国連で採択されたSDGsとの整合性をとっているように、今を生きる世代が責任を持って次世代へとつないでいかなくてはならない重要性と行政を牽引していく責務をあらわしているものと考えられます。  私たち人間が生活を営む際には少なからず環境に影響を及ぼしてしまう中、持続可能な開発目標を達成するべく日々努力を重ねていかなくてはなりません。  本県におきましては、平成26年、27年、28年とごみの排出量が全国一少ない県として努力を重ねてきたところではありますが、過去10年の推移を見ると、平成20年のトップ5入りから右肩上がりに順位を上げてきている内容を見ることができます。ごみの排出量削減に対して長野県内できっかけとなった事柄があればお示しいただきたいのと、全国ランキングに目を向けると、長野県と同じように、右肩上がりで順位を上げている県に滋賀県があります。また、熊本県を見ると、高水準を保ってはいるものの、順位が安定していません。むしろ順位を下げた年も見てとることができるのですが、長野県が1位を継続していくためには他県の分析も必要と考えますが、状況を把握されておりましたらあわせてお示しください。  また、ごみの排出量の少なさが日本一となった要因について、市町村の取り組みが大きく寄与していると考えられますが、基礎自治体の行政単位で進めている効果的な取り組みとして家庭から出される水分を多く含む生ごみの水切りの啓発や分別収集の徹底、堆肥化、家庭用生ごみ処理機の購入補助などがありますが、それらの取り組みに対して長野県はどのようにかかわっているのでしょうか。  第4次長野県環境基本計画において、2020年度に、県民1人1日当たりの一般廃棄物の排出量を795グラムとする目標を示していますが、県としてはどのような取り組みに力を入れていくのでしょうか。施策展開などがあれば、お示しください。  あとミニトマト2個分のキャッチフレーズで行われているチャレンジ800ごみ削減推進事業の取り組みには一般廃棄物の削減が重要であることは、政策の展開上、また、ごみの排出量の削減の意識の向上を図る上でも理解するところではありますが、廃棄物の総量を減らすのであるならば、産業廃棄物に対しましても積極的なアプローチをとっていかなくてはなりません。  そこで、産業廃棄物を処理する目的のほかに、再利用を目的とする制度として産業廃棄物再生利用指定制度を取り上げております。この制度は、再生利用されることが確実である産業廃棄物のみの処理を業として営んでいる事業者を都道府県知事が指定する、そのことで産業廃棄物の処理業の許可を不要とするものであります。物を再生し利用する営みは、環境に負荷をかけてしまう人間の日常生活に対して時代がマッチしている制度の一つと考えることができます。この指定制度の現状を見ると、長野県内では余り進んでいない状況はありますが、その原因として、再生利用施設においては悪臭などの苦情が発生しているケースが上げられます。食品残渣に対する長野県としての所見などがあればお示しいただきます。以上、環境部長にお伺いいたします。  また、SDGsなどの持続可能な社会を目指す機運が高まっている中で、廃棄物のさらなる意義について知事の御所見をお伺いいたします。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)順次御質問にお答えいたします。  初めに、全国一となりましたきっかけの事象及び他県の状況についてでございます。  県内では、平成20年度から22年度にかけて、ごみ減量化に有効とされます市町村によるごみ処理の有料化が進んだことで、県民の間にごみ減量の意識が高まり、ごみ排出量が減少するとともにランキングも上昇したものと推察しております。  さらに、市町村で分別回収の徹底を進めたほか、県が事業者や市町村と協働してレジ袋削減や食品ロス削減を県民に呼びかけてきたことにより、こうした取り組みが浸透し、平成26年度以降ランキング1位が継続できているものと考えております。  ごみ排出量の少ない他県の状況につきましては実施施策の調査などを行っておりますが、どの県もレジ袋の削減、食べ残し減量、広報紙やホームページによる啓発など、本県と同様の取り組みを行っているところでございます。  続きまして、市町村の取り組みに対する県のかかわりについてでございます。  議員御指摘のとおり、市町村では生ごみ削減に関するさまざまな取り組みを行っております。例えば、堆肥化につきましては、およそ4割の市町村で、生ごみを専用のごみ袋などにより分別収集をし堆肥化を進めておりまして、住民に無料または格安で配布している市町村もございます。こうした市町村の取り組みにつきましては、地域振興局ごとに設置を予定しましたチャレンジ800実行チームにおいて市町村や関係団体の皆さんと情報共有をし、地域の共通の取り組みにつなげているところでございます。  また、市町村職員を対象といたしました一般廃棄物処理実務セミナーを開催し、県内外の先進事例を紹介するなど効果的な施策をより多くの市町村に取り組んでいただけるように技術的支援を行っております。今後も、こうしたことにより、市町村の取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。  続きまして、県として力を入れる削減の取り組みについてでございます。  一般廃棄物の削減に向けては、食品ロスや事業者から排出される紙ごみがなかなか減らないなどの課題がございまして、市町村でもそれぞれ削減に向けた取り組みが行われております。県では、特に食品ロスの削減に力を入れておりまして、具体的には、小盛りメニューの導入やばら売り、はかり売りなど食品ロスの削減の取り組みを行っていただける飲食店や宿泊施設、小売店等を協力店として登録すること、宴会での食べ残しを減らす「残さず食べよう!30・10運動」の県民の皆様への普及啓発、消費期限、賞味期限間近の値引き食品の購入は、環境に配慮した行動であることを小売事業者と連携して消費者に呼びかける「信州発もったいないキャンペーン」の実施などに取り組んでいるところでございます。  このほか、廃棄物を単純に処分するだけではなく、地域の中で資源として利活用を進めるため、例えば、生ごみ等食品廃棄物につきましては堆肥化し、農業の活用を図り、地消地産につなげていくといった地域循環圏の構築を地域振興局ごとに検討しているところでございます。  引き続き市町村や関係団体などと連携を図りながら、県民の皆様とともに廃棄物の削減に取り組んでまいります。  最後に、産業廃棄物の食品残渣に係る再生利用についてでございます。  産業廃棄物である食品残渣の再生利用につきましても、循環資源の活用の観点から有効な方法であり、推進していくものと考えております。再生利用業につきましては、営利を目的とした処理ができないことなどから、指定業者は少数にとどまっておりますが、営利目的での処理が可能な産業廃棄物許可業者によっても堆肥化等による再生利用の促進が図られております。  しかしながら、一部の再生利用施設では、不適正な処理などにより地域住民の皆様から悪臭などの苦情が寄せられている事案がございます。こうした施設につきましては、地域住民の皆様に受け入れられるものとなるように立入検査を行うなど、適正な処理をしっかりと指導し、食品残渣の再生利用の推進に努めてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕
    ◎知事(阿部守一 君)持続可能な社会を目指す機運が高まる中で、廃棄物のさらなる削減の意義についてどう考えるかという御質問でございます。  まず、本県は3年連続で日本一ごみ排出量の少ない都道府県となりました。市町村初め県民の皆様方の日ごろの御尽力のたまものということで、心から感謝を申し上げます。  廃棄物の削減は、大量生産、大量消費、大量廃棄を基調とした社会経済システムやライフスタイルを見直して、環境への負荷が少ない持続的な発展が可能な循環型社会の形成を目指すものであります。また、廃棄物の削減は、SDGsの観点からも重要な取り組みだというふうに考えております。  例えば、食品ロスの削減は、フードバンク活動などを通じて子供たちの貧困対策に寄与するものであるほか、廃棄物の処理コストの削減や地域循環圏構築に伴う新規ビジネスの創出など、経済面でのメリットも有するものであります。そういう意味で、この廃棄物の削減というのは、まさに環境社会、経済、こうした課題を統合的に解決していくという観点で、まさにSDGsの本質的な取り組みに大きくかかわるものというふうに考えております。  現在、食品ロスの問題や事業者から排出される紙ごみなどの一般廃棄物の削減が重要な課題というふうに認識しております。今後、市町村とも問題意識や方向性を共有しながら、廃棄物のさらなる削減に向けてしっかりと取り組んでまいります。  以上です。       〔1番花岡賢一君登壇〕 ◆1番(花岡賢一 君)さまざまな取り組みの成果として、ごみの排出に対して県民の意識を向上させていかなくてはならないと感じますし、それに向かっていかなければいけない課題であると考えます。  いろいろなお話をお伺いする中で、恐らく他県でも同様な現状があると思いますが、ごみの排出量は800グラム、その付近に収束してくる現状があります。これ以上の削減をすることを乾いた雑巾から水を絞る作業と表現されるケースもありますが、排出量の少なさ日本一を達成し、維持していくこと、その先を考えると、他県よりぬきんでる政策の展開が求められる、それを求めていかなくてはなりません。そのためにも、排出されたごみを資源として地域の中でできる限り循環させる、先ほど触れていただきましたが、地域循環圏の構築が最も重要であると考えます。  全ての食品ロスの中、約半分は家庭から排出されています。その中の30%から40%は生ごみ、さらにその生ごみの80%は水分と言われています。そのような現状の中、先ほど述べましたが、家庭用生ごみ処理機を使うと、容積だけでも5分の1に減量することが可能で、乾燥の度合い、調整次第では肥料として使うことができます。まさに乾いた雑巾から水を出す手段と考えることができます。家庭内での意識が向上し、生ごみがある程度乾燥した状態で家庭外に出されることができたならば、まさに捨てればごみ、生かせば宝の考え方につながり、循環型社会の構築に向かう手だてとなり、ごみの排出削減はさらに進みます。  また、平成9年の法改正によって創設された再生利用認定制度は、廃棄物の減量化を推進するため、生活環境の保全上支障がないなどの一定の要件に該当する再生利用に限って環境大臣が認定することにより、処理業及び施設設置の許可を不要とするものとあります。その中で、食品残渣は、腐敗や揮発によってその性状が変化し、生活環境の保全上支障が生じるおそれのあるものとされていますが、生ごみの水分を飛ばしてしまったら腐敗も揮発も起こらず、性状の変化も起こりません。規定されている状況が起こり得ないとしたら、資源として活用される範囲はさらに広がりを見せることは間違いありません。  加えて、再生利用指定制度で規定されている再利用されることが確実である産業廃棄物を食品残渣と捉えると、廃棄するごみととるか、循環する資源ととるかは明らかになってきます。さまざま申し上げましたが、長野県で推進している地域循環圏の構築は、まさにこの理想の姿を示すものであり、一般廃棄物、産業廃棄物と分けるのではなく、再生させ、利用していく時代の到来を予感させられます。より一層の政策の推進を提案申し上げまして、質問を移ります。  中小企業振興について、産業労働部長にお伺いいたします。  県議会の中でもさまざまな意見が交わされてきた条例の中の一つとして中小企業振興条例があります。目的として、地域経済の活性化や地域社会の持続的発展に資することを目的とする中で、2014年に制定されておりますが、同様の条例を制定している市町村は長野県に4市町しか存在していません。また、県が条例を制定する以前に定められているのは、2000年に諏訪市、2001年に信濃町だけで、県条例が制定された後に定められたのは、2016年に小諸市、2017年に池田町という現状があります。経済団体から中小企業の振興に関する条例の制定を求める、そのような要望があった中で、意見や要望、現状の共有が図られた後に県条例が制定されたと考えますが、県と市町村において理念などを共有しながら中小企業施策は進められているのでしょうか。また、連携した施策展開は具体的にどのような事業が上げられるのでしょうか。  長野県の中小企業振興条例は、労働団体の役割を定めています。中小企業振興となると、会社ないしは企業を主体に考えがちでありますが、労働団体について明記されている条例は長野県と石川県だけであります。企業の振興のためには人材が最も重要であり、働き方改革の推進を進めるべきと考えることはできますが、所見をあわせてお伺いいたします。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)順次お答えをいたします。  まず、県と市町村による中小企業振興施策の実施についてでございます。  長野県中小企業振興条例では、中小企業は産業発展の原動力であり、地域に密着して地域社会を担う重要な存在であると位置づけております。  また、議員御指摘のとおり、多くの市町村においても、名称は異なっているものの、中小企業振興を柱とした商工業の振興条例等を制定しておりまして、こうしたことから、県と市町村が理念を共有し、相互に連携しながら次世代産業の創出や創業などの施策を推進しております。  施策を進めるに当たっては、情報や課題等の共有が不可欠であることから、共同で設置した協議会や企業誘致等の連絡会議などを定期的に開催し、意識を合わせ、一丸となって推進しているところでございます。  次に、具体的な事業についてでございます。  まず、次世代産業の創出といった観点からは、南信地域での航空機産業クラスター形成において、土地の提供や建物の改修などお互いに役割分担をしながら拠点の整備を行うとともに、特区に関しても共同で事業を実施しております。  次に、商店街振興の観点からは、空き店舗対策として市町村は物件の掘り起こし等を行い、県では出店希望者とのマッチングを行うとともに、市町村が行う整備補助に対して県も上乗せ助成を実施しております。このほか、創業の観点からは、市町村は創業支援計画を策定し、県では円滑な実施に向けた助言を行うとともに創業応援減税などの支援策を市町村施策とあわせて創業者に活用いただいております。今後は、医療機器分野におきましても、企業の参入や集積に市町村と連携して効果的に進めてまいります。  次に、働き方改革の促進についてでございます。  条例では、中小企業における労働環境の整備を明記しておりまして、働きやすい労働環境整備や多様な働き方制度の導入が重要であると認識してございます。このため、県では、経済団体や労働団体などと連携し、長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進などに取り組むとともに、短時間勤務制度や在宅勤務など柔軟な働き方制度の導入支援を行い、働き方改革に取り組む企業の普及拡大を進めてきました。あわせて、条例では、中小企業の人材育成確保についても規定されておりまして、国際競争の激化や人手不足が深刻な時代、中小企業の持続的発展のためには、働き方改革を進め、人材の確保や定着を図ることが有益と考えております。  今後は、経営者みずからが参加する先進企業の事例研究会の開催、企業内のワークシェアリングやテレワークの導入促進、就業者に対するリカレント教育やスキルアップ支援の実施など一層働き方改革を推進してまいります。  以上でございます。       〔1番花岡賢一君登壇〕 ◆1番(花岡賢一 君)お答えいただきましたけれども、航空分野であったり、医療であったり、長野県の特色がある産業を伸ばしていただくようお願いさせていただければと思います。  各市町村との連携、条例を制定した県としてさらなるリーダーシップを発揮していただきたいことを要望すると同時に、強い理念で牽引し、実効性を伴う施策の展開を強く願い、質問を終わります。 ○副議長(小林東一郎 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時8分休憩          ──────────────────         午後2時24分開議 ○議長(鈴木清 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  浜章吉議員。       〔19番浜章吉君登壇〕 ◆19番(浜章吉 君)通告順に従いまして順次質問を進めてまいります。  今年度から2022年度までの5年間の県政運営の指針となる県総合5カ年計画、しあわせ信州創造プラン2.0がスタートし、6カ月が経過いたしました。この間、阿部県政3期目がスタートし、当面優先して取り組む25政策、「攻めと守りの政策パッケージ~テイクオフ3+1~」が提示され、初議会となる今9月議会におきまして一般会計約76億円、債務負担行為102億円、特別会計5億4,000万円に上る積極的補正予算が上程されたところであります。  さて、プラン2.0では、総合的に展開する重点施策が示されています。将来像を描く中で掲げる理念やビジョンから、スピード感を持って実現性をどう具体化するのか、将来に向けた事業の改善を含め、速やかに着手するために、重点的、優先的に取り組む、あるいは取り組んでいる施策、事業についてお伺いをいたします。  最初に、計画では「「学ぶ県組織」への転換」を掲げ、人材育成及び組織風土などさまざまな変革を進めていくとされています。中でも、計画に掲げた政策の推進を担う県職員の能力開発が重要だと考えますが、今後の県の研修制度をどのようにしていくのでしょうか。  続いて、学ぶ県組織への転換を目指す上で、県職員一人一人が地域に飛び出すことの重要性を指摘しています。このたび発表した「地域に飛び出せ!社会貢献職員応援制度」を創設した意義と社会貢献を地域や組織の中でどのように実践、発信していくのでしょうか。  以上2点につきまして関総務部長にお伺いをいたします。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)まず、今後の県職員の研修制度についてのお尋ねでございます。  社会環境が急速に変化をする中、その変化に的確に対応し、最高品質の行政サービスを提供していくためには、職員一人一人の能力アップを図るとともに、その能力を生かす機能的な県組織に転換していく必要がございます。このため、学ぶ県組織への転換チャレンジプロジェクトを立ち上げ、組織運営の改善や人材育成の取り組みを進める中で職員の研修制度の充実に向けた検討も進めているところであります。  特に、主体的、積極的に学び行動できる若手職員の育成を目指して新規採用期の研修の充実を図るとともに、職員の能力を最大限に生かす管理監督者のマネジメント力の向上や、現場で直面する課題に対し解決策を考察し組み立てる政策形成能力の向上に向けた研修の充実などに取り組んでまいりたいと考えております。  2点目の社会貢献職員応援制度の意義と実践についてのお尋ねでございます。  人口減少社会の中で、地域社会を維持していくためには、誰もが一人多役の意識を抱き、持てる能力をさまざまな分野で発揮していくことが重要であり、県職員にもその役割が期待されております。本制度を活用して多くの職員が地域に飛び出すこととなれば、担い手の減少に苦慮する地域社会にとっても有益なことと思われます。  また、職員が地域でさまざまな活動に参加することで県民の皆様の思いや時代の変化を敏感に感じ取り、それを県行政に生かすことは、県民起点を徹底する組織風土の形成にも資するものとなります。今後、地域の団体等が職員に求めるニーズの周知や、職員が実際に地域社会で活躍する姿を紹介するなどの組織内での発信や職員の意識改革を図り、1人でも多くの職員の参加を促し、実績、事例を積み重ねてまいりたいと考えております。  以上であります。       〔19番浜章吉君登壇〕 ◆19番(浜章吉 君)御答弁をいただきました。  組織改革につきましてはゴールのないテーマでありますが、県民の信頼と期待に応える組織づくりと目的の達成力を高めることについて、なお一層の効果的かつ効率的に行政サービスの質の向上が図れるよう求めるものであります。状況の変化にも柔軟に対応しながら責任ある推進体制を図っていただくこと、機能的な組織として学ぶ県組織への転換を大いに期待をしております。  次に、しあわせ信州創造プラン2.0における地域計画では、県下10の広域圏ごと、地域重視、現場重視の観点から内容の充実を図るものと理解しております。  私の地元、諏訪地域は、先端技術を誇る製造業、特色ある農業、高原野菜の栽培でありますが、これらの競争力のある産業の集積地であり、中央自動車道やJR中央本線等交通の結節点であること。さらに、諏訪湖、八ヶ岳、富士山を眺望する自然環境がすばらしく、天下の大祭、諏訪大社御柱祭が連綿と引き継がれている等、縄文等の歴史を保有しておるところであります。その他、当地域は、諏訪地域ならではの誇れる明確な地域性を有しています。こうした地域性を最大限に生かすことで、豊かな自然と地域の強みを生かした競争力のある産業が共存する地域の実現を地域計画で示しておるところであります。  加えて、地域特性や将来像を的確に表現した地域計画を実現するため、産業競争力の強化並びに地域を支える人材の確保育成、諏訪湖を生かしたまちづくり、諏訪湖創生ビジョンでありますが、この推進であります。選び続ける観光地域づくりや安全で安心な地域づくりを重要な政策と位置づけています。それぞれの施策に向けては、諏訪地域振興局長が積極的にかかわり、課題や希望に取り組みながら日々御尽力いただいている姿勢に接し、私も県政を担う諏訪地域の代表の1人として、心強く思いながら施策の実現に課された責任の重さを痛感しているところであります。  そこで、諏訪地域担当の中島副知事にお伺いをいたします。  地域重視、現場重視の観点で策定した諏訪の地域計画について、地域の声をどのように酌み取り、計画の中にどのように反映したのか。また、計画を実現するために、今後どのようなさらなる取り組みを行っていくのか、御所見をお伺いいたします。       〔副知事中島恵理君登壇〕 ◎副知事(中島恵理 君)諏訪の地域計画について御質問をいただきました。  この地域の皆さんの思いをできるだけ酌み取った計画にしたいということで、市町村長、地域のキーパーソンとの対話や局長のタウンミーティングにより合計30回以上の意見交換をさせていただき、計画策定を行いました。  計画の反映、今後の取り組みについて二つの例で御紹介をしたいと思いますが、まず一つ目として、地域からの御意見として、諏訪湖周サイクリングロードの早期完成を望む声や、サイクリングしやすい環境を住民を巻き込んで進めてはどうかといった声が多くございました。こういったことから、計画においても、諏訪湖周サイクリングロードの整備やサイクリングを進める環境づくりの推進を盛り込んでおります。この計画を踏まえ、11月からはサイクリングロードの整備に具体的に着手するとともに、本年2月に立ち上がった民間団体、諏訪湖八ヶ岳自転車活用推進協議会によるサイクルスタンドの設置等を支援しております。  また、協議会と連携した新たに諏訪湖周及び塩の道を生かしたサイクリングルートの検討など、諏訪地域の魅力を生かしたサイクルツーリズムの推進に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えています。  また、縄文から続く諏訪地域の歴史文化について、外国人観光客の誘致を視野に、観光面でも訴求力のあるストーリーをまとめてほしい。そういった地域からの御意見がございました。 そこで、縄文からの歴史文化を活用した観光振興と外国人旅行者の誘致の推進を地域計画に記載をしております。本年5月には、諏訪地域6市町村を含む「星降る中部高地の縄文世界」が日本遺産に認定されたことから、これを契機に、地域一体となって文化遺産の活用による圏域を超えた観光の展開の具体的な方策を検討していきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔19番浜章吉君登壇〕 ◆19番(浜章吉 君)地域計画への取り組みについて御所見をお伺いいたしました。さまざまな角度からテーマや仕掛けの導入が見えてきたわけでありますから、そこで、町なかの人と町をつなぐ愛着を育むプロフェッショナルを生かしてほしいと思います。  さらに、地域の皆さんの参加を容易にするコミュニケーションデザインのあり方が求められてまいります。地域ニーズを感受し、課題解決の力を引き出す、何よりも取り組みの背景やプロセスを見える化し、住む人のモチベーションを高め、共感を誘発するツールを広げることが地域創生への成功の方程式ではないかと思う次第であります。  次に、産業の生産性が高い県づくりを柱の一つと掲げ、県内産業の稼ぐ力を高め、持続的な経済成長と雇用を確保することについてであります。  あわせて、産業労働部が策定したものづくり産業振興戦略プランでは、今後成長が期待できる分野として健康・医療を挙げています。今回の政策パッケージにおいて、医療機器産業振興ビジョンの策定と事業化開発センターの設置について具体的政策として着手することとしています。今議会に上程された9月補正予算案で、医療機器開発事業化支援及び海外への医療機器部品の参入可能な分野の調査に必要とする産業事業費に1,300万円強を、また、設備整備事業費に約1,400万円、計2,700万円強が盛り込まれています。具体的な技術面や販路拡大に向けた積極的な支援事業ということで受けとめています。  そこで、攻めと守りの政策パッケージにおける本県の強みを生かした産業づくりについてお伺いをいたします。  経済産業省の医療福祉機器産業室の報告によりますと、医療給付費は、現在の約36兆円から2025年度には約54兆円へと1.5倍に膨らみ、また、介護給付費は、現在の約9兆円から同じく2025年度には2.2倍強の約20兆円に達すると見込んでいます。これに合わせたように、医療機器の国内市場規模は増加し、2015年は2兆7,000億円を超え、翌2016年にはグローバル市場規模は3,362億米ドルとなっており、日本は米国に次ぐ世界第2位の市場規模にあるとのことであります。  我が国の医療機器のイノベーションはますます加速化することが想定されてまいります。中国、アジア地域においても、今後急速な成長が期待される医療機器産業でありますが、拡大傾向のグローバル市場にある一方で、日本の地位は相対的に低下傾向にあるとも発しています。  本年2月の定例議会におきまして、私から医療・ヘルスケア機器分野への参入についての課題について一般質問をいたし、御答弁いただいた一つに、マーケットインのための市場ニーズの具体的な把握が必要であること。二つ目に、目きき集団によって技術を見きわめ、世界市場への展開も見据えた研究開発や事業化につなげる取り組みが有効であると考えているとのことでした。その対応に今年度予算にも反映がなされているところであります。以降、その動向に注視をしてまいったところであります。  そこで、医療機器産業の現状について内田産業労働部長にお伺いをいたします。  また、長野県産業の特徴を生かせる医療機器産業振興ビジョンと事業化開発センターによる本県産業の医療機器分野への取り組みにつきまして阿部知事にお伺いをいたします。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)私には医療機器の現状についての御質問でございます。  医療機器産業は成長期待分野でございまして、民間調査機関によりますと、平成29年に約42兆円の世界市場が、4年後、2021年でございますが、約52兆円まで拡大が見込まれてございます。平成28年の厚生労働省薬事工業生産動態統計年報によりますと、本県の医療機器の製造業は51社、生産額は233億円、全国第22位でございまして、主に内視鏡外科手術器具や医療用滅菌装置などを製造しております。最近では、精密加工技術を活用いたしました微細で高精度な内視鏡用の鉗子や骨を傷めない柔軟な材料を使用した高機能人工関節等の先進的な研究開発への取り組み事例もふえてきております。  平成29年の長野県工業技術動向調査によりますと、現在、健康・医療分野との取引を持つ企業は53%でございまして、今後新たに参入したい分野としては、健康・医療が44%と最も多くなってございまして、県内企業においても成長を期待できる分野と認識しているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には医療機器産業振興の取り組みについての御質問でございます。  本県産業が持続的に発展していくためには、常に時代の変化に応じて成長期待分野へと産業構造を展開していくことが極めて重要だというふうに考えております。  この医療機器の分野は、本県企業のすぐれた精密加工、あるいは電子技術と信州大学の独創的な材料技術の強みなどを生かすことが可能な分野であります。また、世界的にも、高齢化の進展や新興国事業の拡大等によりまして市場が拡大傾向にありますことから、非常に産業分野としては有望な分野だというふうに考えております。  また、現在でも、諏訪地域等におきまして高品質の手術用具やインプラント等の製造販売に取り組まれる企業も出てきている状況であります。こうした中、医療機器分野の振興につきましては、我々行政のみならず、企業の皆さんはもとより、大学も一体となって取り組んでいくということが重要であります。多くの関係者の方々と取り組みの方向性を共有するという観点で、医療機器産業振興ビジョンの策定が必要だというふうに考えております。  このビジョンは、付加価値の向上を目指した国内市場向けの完成品の開発、そして、すぐれた加工技術を生かした高機能な部品の海外市場への供給、この2点を柱としてそれぞれ支援体制を強化していく考えであります。  具体的には、信州医療機器事業化開発センターには、医療機器の開発、事業化に精通した専門家を招聘いたしまして、その上で研究開発や医療機器の承認などを支援していきたいと考えております。  また、諏訪圏ものづくり推進機構とも共同しまして、海外メーカーのニーズに基づきます医療機器部品の供給を支援いたします信州メディカルデバイスグローバルセンター、これはまだ仮称でございますが、の整備に取り組んでまいります。こうした取り組みを通じまして医療機器産業の一層の振興を図ってまいります。  以上です。       〔19番浜章吉君登壇〕 ◆19番(浜章吉 君)諏訪地域は、県が強みと位置づける精密機器産業の集積地であり、あわせて医療機器産業の集積地でもあることから、医療機器分野への参入に積極的な企業が多いわけであります。今、知事の答弁にありました成長が見込まれる医療機器産業の育成にも本腰を入れるとのこと、力強く受けとめさせていただきました。これまでも、一部の企業では医療機器の開発が進められてきましたが、本県産業の持つ技術は医療機器の開発に活用できるとのことで、医療機器産業振興ビジョンに基づき、さらに医療機器の技術開発と医療現場への普及が進むこと、県においても、この分野の支援に一層の力を入れ、本県の医療機器ビジネスが大いに成長を遂げることを期待するものであります。  さて、阿部知事も出席を予定されていると思いますし、県も力を入れていただいておりますが、10月18日から20日まで諏訪圏工業メッセ2018が開催されます。諏訪地域のものづくりを具現化する展示会でもあり、加えて、国内外の企業、大学、研究機関のプレゼン等が盛り込まれています。現在、419社の出展、海外からは、アメリカを初め、イスラエル、ベトナム、タイ、ブラジル、インドネシア、またジェトロの紹介国など来場予定とも伺っており、魅力ある諏訪ブランドを世界に発信する絶好のPRと商談の機会と承知をしております。  続いて、リゾートテレワークについて伺います。  インバウンドの誘客を図るため、都会の企業を含め、豊かな自然と文化といった観光資源と商店街の空き店舗等を融合したリゾートテレワーク環境を、今年度から、県下佐久、諏訪、北アルプスの3エリア内に整備するとのことであります。今議会において、この事業に対して1,900万円の補正予算が計上されておりますが、リゾートテレワーク拠点整備事業の目指す姿と、モデル地域をどのような基準で選定、決定していくのでしょうか。内田産業労働部長にお伺いをいたします。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)リゾートテレワーク拠点整備事業についてのお尋ねでございます。
     本事業は、豊かな自然、文化と首都圏等に近い利便性をあわせ持つ本県の優位性を生かしましてリゾートテレワーク拠点を整備し、都会から地方への新しい人の流れをつくる事業でございまして、本年度は3地域の実施を予定しております。  目指す姿といたしましては、本事業の取り組みを第一歩として、比較的長期に滞在する休暇先で時々仕事もする働き方であるワーケーションという新しいライフスタイルを積極的に普及することで、地域の活性化や観光の振興につなげまして、あわせて企業の働き方改革にも貢献することでございます。  今回のモデル地域の選定基準でございますが、リゾート地に近い商店街等で拠点整備ができること、それから、リゾートテレワークを推進するキーパーソンや地元の自治体、商工・観光関係者等と連携した推進体制を構築できること、それから、市町村への意向調査で、ぜひ取り組みたいと回答していること、この3点を主なものとして広域的な波及効果も考慮しながら選定をしてまいります。  モデル地域の取り組みが全県に広まり、移住やつながり人口の拡大など都会から県内へ多くの方にお越しいただけるよう取り組んでまいります。  以上でございます。       〔19番浜章吉君登壇〕 ◆19番(浜章吉 君)私の住む諏訪地域でありますが、大変おもしろいまちづくりという点で最近新たな展開を示しているところであります。それぞれにおいて、酒の飲み歩きや路地を使っての新しいまちの魅力の発見などさまざまなイベントが用意されておりまして、県外からも多くの方が見えているところであります。こうした中で、いろいろな視点から選定をいただけたらというふうに思います。  次に、平成30年度全国学力・学習状況調査について伺います。  県教育委員会が公表した平成30年度全国学力・学習状況調査の結果によりますと、国語と理科についてはおおむね全国平均並みの結果であったという報告がなされています。  そこで、2点お伺いをいたします。  1点目、今年度文部科学省より新たに学級ごとSP表が提供され、このSP表とは、教員にとりましては事業改善の手がかりとなり、児童生徒にとっては個別のつまずきが確認できるなど分析に活用できるものと伺っておりますが、これらが提供されたことから、分析手法等を全ての学校で共有し、各学校、学級の課題を明確にして早急に重点的な取り組みを進めることが示されました。全学校で取り組む成果を期待いたしますが、具体的な進め方についてお伺いをいたします。  あわせて、調査を実施した小学校第6学年、中学校第3学年について、各学校が補充、補完など重点的指導を明確にできるよう支援する考え方が示されていますが、他の学年への継続的な課題としての取り組みはどのようになっているでしょうか。原山教育長にお伺いをいたします。  2点目、算数、数学については全国平均を下回る結果が続いていることから、算数、数学重点対策チームを立ち上げ、全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた授業改善の重点を明確にして早急に取り組みを進めるとしています。学校への指導改善支援チームの取り組みと、子供たちの力が高まるよう今後の取り組みについて、算数、数学対策チームリーダーである三輪教育次長にお伺いをいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)SP表を活用した取り組みの具体的な進め方、そして他の学年への取り組みについてのお尋ねでございます。  全国学力・学習状況調査は、その調査結果をしっかりと活用して児童生徒の学力向上に資することが大切でありまして、文部科学省でも本年度から学校への返却を7月末に早めるとともに、資料として新たにSP表が提供されたところでございます。このSP表でございますが、児童生徒一人一人のそれぞれの問題に対する正答、誤答の状況が学級ごとに整理され、一覧表としてまとめられたものでありまして、個々の児童生徒のつまずきだけでなく、学級ごとに効果のあった学習や定着が不十分な学習を分析する手がかりとなるものでありまして、大変有益な資料でございます。  県教委として、今年度、学校伴走型の支援に転換したところであります。学校ごと、学級ごとに課題が異なることを踏まえまして、現在、指導主事が全ての小中学校を訪問し、学校長を初め教職員とともにその学校のSP表を一緒に分析し、調査を受けた児童生徒への補充、補完する学習内容や授業で重点的に指導する内容などの明確化に努めているところでございます。  さらに、議員御指摘のとおり、学習は系統的、段階的に行われるということでありますから、調査した最終学年の課題を生む要因が全段階にあるということも考えられますので、SP表の分析を生かしながら他の学年も含め、学校全体で授業改善が進むようしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔教育次長三輪晋一君登壇〕 ◎教育次長(三輪晋一 君)算数・数学重点対策チームの取り組みについてのお尋ねでございます。  このチームの目的は、一つは、調査を受けた児童生徒の補充・補完指導を確実に行うこと。二つとして、全ての児童生徒に育む学力、目指すゴールを共有すること。三つとして、学校伴走型の支援により全ての学校で授業改善を加速することです。  全国学力・学習状況調査の調査結果が文部科学省より各学校へ返され、早速夏休み中に検討を始める学校がある中、全ての学校で足並みをそろえ、できるだけ速やかに取り組むため、現在、教育事務所、総合教育センターなど、総力を上げて推進しておりまして、まずは10月末までにおよそ550校全ての小学校を指導主事が訪問する予定です。この間の訪問からは、調査結果の資料の見方がわかり、指導の見通しが持てたですとか、算数は積み重ねの教科なので全ての学年の授業改善のポイントについて改めて研修をお願いしたいなどの評価を得ています。  子供たちに高める学力は、単に知識を再現する力ではなく、生きて働く知識、技能、未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力、そして主体的に学習に取り組む態度であり、今後各学校のフィードバックを得て、学校現場とともに走りながら、算数、数学の力をしっかり高めてまいりたいと、そのように考えております。  以上でございます。       〔19番浜章吉君登壇〕 ◆19番(浜章吉 君)ただいま答弁をいただきました。他の学年へ実施していただくということでございます。どうかよろしくお願いしたいと思います。  昨年度実施した全国調査結果が公開されています。秋田、石川、福井県の好成績が目立ちますが、その理由はどこにあるのか。先進県が取り組む好事例を、本県においても普及に努めたらいかがか。よりわかりやすい授業、今与えられている学習の時間で最大の効果を上げるようにするにはどうしたらよいのか。このような点について私も友人の教員OBとの議論になると語り尽くせない思いは膨らむばかりであります。  さて、よりよい教育を進める観点から、教育行政の情報公開は極めて重要であると考えております。小中学校においては、市町村教育委員会を通じ、授業改善の仕方や保護者へのPR等周知に努めていただくことも必要ではないかと提案を含め、要望しておきます。本県の子供たちのため、総力を上げて教育行政を推進していこうではありませんか。  以上で質問の全てを終了いたします。 ○議長(鈴木清 君)次に、共田武史議員。       〔8番共田武史君登壇〕 ◆8番(共田武史 君)初めに、公共交通についてです。企画振興部長にお尋ねいたします。  人口減少と高齢化がもたらす課題が山積する中で、Society5.0や人生100年時代の到来など未来に期待が持てる将来像が見えてきました。世界で最も高齢化率が高い日本の中で、長野県の高齢化率は上位となっています。今まで誰も経験したことがない問題や課題がこれからも出てくることが予想できます。国の目指すSociety5.0の実現は、少子・高齢化や人口減少の課題もカバーできる可能性があり、長野県としても早期の実現に期待いたします。  人口減少や高齢化が進み、課題が増大して社会問題になっていくのが先か、最新技術や社会システムが進化し、未然に解決していくのが先か、スピードが求められていると感じます。情報の伝達、移動については飛躍的に向上し、恩恵を日々受けていますが、物や人の移動については、技術的には大きく進歩していますが、社会実装はこれからになっています。  ことしになってから全国各地で自動運転の実証実験が行われています。県内でも、ことし2月に伊那市において自動運転レベル2、レベル4の実証実験が行われました。来年にはビジネスモデルの構築のための長期間の実証実験が日本各地で行われ、2020年には自動運転、自動走行のサービスが社会実装される見通しです。スマートフォンで呼び出すと自動運転の無人のタクシーが迎えに来てくれて目的地まで送ってくれる社会が目の前まで来ています。人だけではなく、商品など物資を運ぶことや除雪車の自動化なども実現していきます。AIやドローンなどの連携が充実し、公共交通だけでなく、経済、環境、社会にも大きな恩恵をもたらすことが期待できます。しかし、それまでの間に対応していかなければいけない課題がたくさんあります。  今回、県議会議員補欠選挙に際し、いろいろな高齢者の方々からお話を聞きました。大変気になったのが、年をとって車の運転が怖い。でも免許証を返してしまうと、買い物にも病院にも行けない。バスが少な過ぎてこれから先の生活に不安があるという声が非常に多かったことです。自身の身体的な衰えだけでなく、いつも運転してくれた家族が亡くなったり、運転してくれていた人の体力が衰えたり、理由はさまざまでした。高齢者の事故がふえ、身の回りにも危険な運転をしている高齢者が見受けられます。高齢者の危険な運転という表面的な問題だけでなく、なぜ高齢者が運転をするのか、なぜ高齢者が運転をしなければいけないのかを深堀りしなければ、交通事故の危険性は日に日に増してきます。  免許証を返納したがゆえに生活に支障を来す方、運動能力が落ちてきて、運転を続け、事故を起こしてしまう方、そんな方がふえる一方です。言いかえれば、危険を認識しながら運転をしている高齢者、新たに公共交通に頼りたい高齢者がふえ続けています。団塊の世代が後期高齢者となるこれからの数年、高齢者による交通事故の危険性がふえてくる。事故を未然に防ぐためにも、生活の支援のためにも、公共交通の充実と免許証の返納は表裏一体で、並行して行っていく必要を感じます。  免許証を返納した方に特典を与える市町村やタクシー協会が県内にはたくさんあります。免許証自主返納を推進することにも、賛否両論、さまざまな考えがありますが、安全運転のための免許証の返納、返納した人たちへの市町村、各種団体からの支援、これからの公共交通をさまざまな分野の方々が連携をとりながら進めていくことが必要です。  喫緊の課題として、現在、運転に不安を感じながらも免許証を返納できない人がどの程度いるのか、どんな理由により免許証を返納できないのかなど実態を把握する必要があると考えます。そして、免許証の自主返納の是非、返納した方に対しての支援、市町村やタクシー会社、タクシー協会などが行っている特典の状況を把握し、効率性や有効性を研究する必要があると考えます。  攻めと守りの政策パッケージでも、広域・基幹的なバス路線の維持・充実方策の検討も盛り込まれています。国の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部による官民ITS構想・ロードマップ2018でも、2020年から自動走行のサービスを実現し、2025年から普及展開を目指すようです。全国に先駆けて自動走行による公共交通を展開していただくよう準備を進めていただきたいと思いますが、多くの市町村で現在公共交通を維持していくことが難しくなっている中、高齢者など交通弱者が不自由なく移動できる環境を整備する必要があると考えますが、県として鉄道やバス、タクシーなど公共交通を維持確保するための今後の取り組み方針についてお伺いいたします。  そして、65歳以上の運転免許証の自主返納は、平成20年で1,101人だったのが、平成29年度には6,672人とふえています。特に、ここ数年は激増しています。公共交通が充実していない地方こそ無人タクシーや無人バスなど自動運転技術を活用すべきだと考えますが、実用化して普及にはまだ時間がかかります。免許証を返納した高齢者には当面タクシーが有効な交通手段と考えますが、所見をお伺いいたします。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)公共交通につきまして大きく2点御質問をいただきました。  まず、公共交通を維持確保していくための今後の取り組み方針でございます。  本年度からスタートいたしましたしあわせ信州創造プラン2.0におきましても自家用車に依存しない地域づくりを掲げ、広域的な交通ネットワークの充実に取り組むこととしております。地域の公共交通を持続可能なものとするためには、鉄道、バス、タクシーがそれぞれ連携、補完し合いながら全体としてネットワークが整備されることが必要でございます。  県では、これまでも、鉄道に対しましては線路補修やバリアフリー化など施設整備への支援、バスに対しましては地域間幹線バス路線への赤字補填や県有民営方式での車両導入の支援、タクシーに対しましては今年度からユニバーサルデザイン車両の導入支援などさまざまな支援を行ってまいりました。こうした支援に加えまして、今年度からは、新たに信州ナビを活用したバスロケーションシステムを導入することとしております。また、県内共通の交通系ICカード導入に向けた取り組みも進めております。  ICT技術を活用したこれら新たな取り組みは、利用者の利便性向上のみならず、そこから得られる利用者の移動データ、いわゆるビッグデータを活用しまして、より効率的な路線やダイヤ編成の検討など交通事業者生産性向上にも資するものと考えております。こうした新たな取り組みも組み合わせながら、公共交通の維持確保に向け、鉄道、バス、タクシーのベストミックスに引き続き取り組んでまいります。  次に、公共交通としてのタクシーについての所見ということでございます。  タクシーは、鉄道やバスに比べまして狭い道路での輸送に対応でき、また、路線にとらわれないため、移動が困難な高齢者をドア・ツー・ドアで移送できるなど強みがございます。中山間地や高齢者が多い長野県におきましては、こうした強みを持つタクシーは、公共交通ネットワークの維持確保に大変有効な手段と考えております。  一方で、たとえ利用者が1人であっても運転手1人が必要となるため、どうしても運賃が高くなってしまうという点が、タクシーが公共交通として広く活用され、定着する上での課題となります。こうした観点から、昨年設置いたしました地域における移動手段の確保・補完に関する検討会にはタクシー事業者にも参画をいただき、近々実証実験が始まります定期券タクシーや買い物などの生活支援タクシー、貨客混載など新たな取り組みの提案もいただいているところでございます。今後、自動運転技術の動向も視野に入れながら、県民の移動の足を担う公共交通機関としての新たな展開をタクシー業界とも連携して検討してまいります。  以上でございます。       〔8番共田武史君登壇〕 ◆8番(共田武史 君)御答弁いただきました。  これからの社会、この公共交通での移動手段でさまざまな課題が改善されると思われます。  そして、先ほども述べましたが、要望として、現在運転に不安を感じながらも免許証を返納できない人がどの程度いるのか、どんな理由により免許証を返納できないかなどをぜひ実態調査をしていただきたいと思っています。  そして、免許証を自主返納した方に対しての支援、市町村やタクシー会社、タクシー協会などが行っている特典の状況を把握して、効率性や有効性をぜひ検討して、自主返納しやすい環境をつくるために必要な支援をしていただきたいと思います。  そして、三つ目として、数年後には自動運転の自動車やタクシー、バスが実装し始めます。 ぜひ長野県は全国に先駆けて、田舎でありながら移動が便利な地方を目指していただきたいと思います。  続きまして、諏訪湖浄化について環境部長にお伺いいたします。  諏訪湖創生ビジョンをことしの6月に策定され、諏訪湖周辺の住民からは期待する声が多数あります。一方、水質が改善されなければ、周辺整備をしても利活用は進まず、諏訪湖の創生は実現しないとの声もあります。  今まで、長野県、諏訪6市町村、地域住民、地域の企業が努力したことにより、汚れた諏訪湖の水質は改善されてきました。しかし、最近は水質の改善が感じられず、地域住民にも諏訪湖の水質浄化のためにやり尽くした感があります。  改善されないため、原因究明にさまざまな憶測が飛び交っています。天竜川の河口水門の下段放流が必要、しゅんせつを復活しなければいけない、農地からの肥料が原因だ、ヒシを全て刈り取らなければいけないなど憶測で悪者を探しているようにも見えます。  諏訪湖創生ビジョンには、COD、全窒素、全リンや透明度の目標値を設定していますが、さまざまな科学的な考えがあるようです。改めて科学的見地から現在の諏訪湖の水質汚濁の原因を整理し、その上で何が諏訪湖の水質改善に必要なのかを示す必要があると考えるが、いかがでしょうか。  そして、諏訪湖の水質及び生態系の保全等に関する調査研究体制を充実強化するため、諏訪湖環境研究センター(仮称)の設置を検討しているとのことですが、設置時期や機能はどのようになるか、お尋ねいたします。  続きまして、諏訪湖サイクリングロード及びジョギングロードについて建設部長にお伺いします。  近年、自転車はエコや健康の観点から世界中で見直され、我が国においても、平成28年から自転車推進活用法が施行され、本県においても現在策定中のことです。そして、現在は諏訪湖周のサイクリングロードを計画していただいております。  新聞報道でもありましたが、ことしの11月から着工して8年で完成を目指すようですが、諏訪湖のジョギングロードは、昭和61年から着工して、現在、98%完成しています。これまで30年もの時間を要し、古いところは既に木の根っこや水路などにより起伏ができているなど危険な箇所ができてしまっています。この事例に鑑み、サイクリングロードの建設は県が主導して早期に進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。  そして、諏訪湖のジョギングロードは、朝も昼も夜も多くの方が湖周でジョギングやウオーキングを楽しんでいます。しかし、傷んだ箇所でつまずいて転んだ方も多数います。危険だからジョギングロードを避けて普通の歩道を走る方もいます。また、除雪の問題もこれからの季節には出てきます。維持管理が適切にされていれば住民にも観光客にも喜ばれますが、傷んだ箇所は危険です。県が率先して補修を行い、維持管理の方法をその一部を管理する地元市町に示す必要があると思うが、いかがでしょうか。  そして、先日、ボート競技の元オリンピック選手、岩本亜希子さんと諏訪湖の可能性について意見交換をしました。今まで、日本のみならず、海外の湖で活躍や生活した経験から諏訪湖の特色を聞くと、諏訪湖ほど商業、観光、病院などさまざまな都市機能が周辺に充実しているところはほとんどないとのことです。これから自転車の周回ルートが湖周にできます。周辺にはさまざまな都市機能があり、それを結ぶことにより新しい自転車環境ができます。しかし、諏訪湖周サイクリングロードからさまざまな施設までの道のりは自転車には適しておりません。危険性があるため、自転車のお勧めコースを示すことができない自治体もあります。諏訪湖周サイクリングロードは、諏訪湖周辺の観光地等を結べる可能性があるので、観光地、ホテル、美術館、博物館へのルート整備も同時に考える必要があると思いますが、いかがでしょうか。自転車活用推進計画等の連携も含めて所見をお伺いいたします。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)諏訪湖の関係で2点御質問いただきました。  初めに、諏訪湖の水質改善についてでございます。  諏訪湖の水質につきましては、下水道の整備などにより一時期に比べ改善してきておりますが、COD、化学的酸素要求量や全窒素についてはいまだ環境基準の達成には至っておりません。この主な要因につきましては、森林や市街地、農地などからの汚濁物質の流入が考えられておりますが、その対策の検討に向けては、さらに詳細なデータを収集し、しっかりと分析していくことが必要と考えております。そのため、今後、汚濁物質がどこからどの程度流入しているのかなどの詳細な調査を行うとともに、湖水の水質データの解析や水質汚濁のメカニズム解明に向けた調査研究をさらに進めてまいります。  続いて、諏訪湖環境研究センター(仮称)についてでございます。  センターの機能につきましては、諏訪湖における水質や生態系の保全に関する調査研究、県内河川、湖沼等の水質保全に関する調査研究、情報発信の強化、学習活動の推進、大学や地域関係団体等関係機関との連携の強化などを想定しているところでございます。  これらの内容を具体化するため、本年6月に、有識者や関係市町、県機関で構成する検討会を設置しまして、現在検討を行っているところであり、2022年度までの業務開始を目指して取り組みを進めてまいります。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)諏訪湖周サイクリングロードの建設についてのお尋ねでございます。  諏訪湖周サイクリングロードについては、平成28年8月に県が主体となり、岡谷市、諏訪市、下諏訪町とともに諏訪湖周サイクリングロード基本計画を策定し、整備の基本方針や整備内容などを決めたところであり、全長約16キロについてそれぞれの管理主体が整備を進めることとしております。このうち、県の整備区間約6.6キロについては、平成28年度に事業化し、建設部では地域戦略推進型公共事業に位置づけ、年内には諏訪市豊田付近、約700メートルについて県が先行して工事に着手します。  また、関係市町においても、国の交付金を活用しながら、本年度から調査設計を実施しているところであり、県は引き続き技術的助言や進捗管理等を行い、事業が円滑に進むよう強力に指導してまいります。  次に、諏訪湖周のジョギングロードの維持管理についてのお尋ねでございます。  ジョギングロードについては、長野県や関係市町がそれぞれ公園の園路や道路として維持管理をしております。長野県では、パトロールや草刈り、剥離したゴムチップの舗装面を切断除去し張りかえるなどの維持管理を行っております。  議員御指摘を踏まえ、さらなる状況把握に努めるとともに、劣化箇所や補修方法等について関係市町に情報提供を行うなど、諏訪湖周における安全で快適な通行環境の確保に努めてまいります。  次に、観光地等へのルート整備の検討並びに自転車活用推進計画との連携についてのお尋ねでございます。  観光地等へのルート整備につきましては、関係市町と諏訪建設事務所が連携して検討を行っているところであり、本年度中をめどに策定する諏訪湖周の自転車活用推進計画の中に反映させていく予定であります。  以上であります。       〔8番共田武史君登壇〕 ◆8番(共田武史 君)御答弁いただきました。  諏訪湖の浄化は地域住民の悲願です。そして、浄化が完成すれば長野県の宝となります。ぜひ浄化方法を示し、地域住民から協力をいただけるような形をとっていただければと思います。  そして、自転車は、SDGsの観点からも、県民の生活、健康の観点からも重要なこれからの移動手段であり、さまざまな可能性を秘めています。自転車活用推進計画と自転車利用に関する条例をより実効性のある未来につながるよう進めていただくことを要望し、質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(鈴木清 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明10日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時23分延会...