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平成30年 9月定例会本会議-10月05日-05号

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  1. 長野県議会 2018-10-05
    平成30年 9月定例会本会議-10月05日-05号


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    平成30年 9月定例会本会議-10月05日-05号平成30年 9月定例会本会議  平成30年10月5日(金曜日)  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 備前光正   2 番 今井愛郎      28 番 両角友成   3 番 寺沢功希      29 番 吉川彰一   4 番 山口典久      30 番 清水純子   5 番 百瀬智之      31 番 小池久長   6 番 金沢敦志      32 番 諏訪光昭   7 番 小山仁志      33 番 髙橋岑俊   8 番 共田武史      34 番 今井 敦   9 番 丸山大輔      35 番 丸山栄一   10 番 荒井武志      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 藤岡義英      41 番 小池 清   16 番 髙島陽子      42 番 宮本衡司   17 番 小川修一      43 番 清沢英男
      18 番 中川宏昌      44 番 垣内基良   19 番 浜 章吉      45 番 鈴木 清   20 番 酒井 茂      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 和田明子      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   54 番 村石正郎      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一   副知事       太田 寛    建設部長      長谷川朋弘   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     池田秀幸    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       塩谷幸隆   総務部長      関昇一郎    公営企業管理者   県民文化部長    角田道夫    企業局長事務取扱  小林 透   健康福祉部長    大月良則    総務参事兼財政   環境部長      高田真由美   課長        伊藤一紀   産業政策監兼産           教育長       原山隆一   業労働部長     内田雅啓    教育次長      轟 寛逸   観光部長      熊谷 晃    教育次長      三輪晋一   農政部長      山本智章    警察本部長     内藤浩文   林務部長      山﨑 明    警務部長      野﨑美仁                     監査委員      田口敏子         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課担当係長   神戸圭一郎   議事課長      村松敏伸    議事課主査     山崎紀子   企画幹兼議事課           総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐      小松健一    総務課担当係長   矢沢美由紀         ───────────────────  平成30年10月5日(金曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10開議 ○議長(鈴木清 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(鈴木清 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、村石正郎議員。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)おはようございます。家庭教育支援条例について伺います。  教育は家庭が原点であります。子供は私たち全ての未来であります。三つ子の魂百まで、全ての教育の出発点であります。基本的な生活習慣、豊かな情操、自立心、自制心は基本的には家庭で育まれるものであります。家庭教育の重要性はますます高まっております。  社会全体で家庭を支えていく支援体制を整えようと、全国自治体で家庭教育支援条例制定の取り組みが進んでおります。全国8県4市で制定され、国では家庭教育支援法の法制化が検討されております。  2006年、教育基本法が改正され、家庭における父母または保護者の第一義的責任、生活のために必要な生活習慣を身につけさせる、国及び地方公共団体家庭教育支援施策を講じる努力義務が盛り込まれました。改正を受けて、全国自治体で早寝早起き朝ごはん運動がスタート、家庭教育支援の取り組みが始まりました。  2013年、全国に先駆けて熊本県が家庭教育支援条例を制定いたしました。熊本県では、条例制定以前からくまもと家庭教育10か条を作成、2007年に子ども輝き条例を制定、そして、2011年から、子供の成長段階に合わせて、親としての学び、親となるための学びプログラムを作成し、家庭教育を推進し、成果が上がっていると聞いております。  条例制定の動きに対して、国や行政が家庭のことに介入すべきではない、また、親に教育の責任を押しつけている等の条例や支援法の法制化に反対している意見があることも承知しております。しかし、国際規約である世界人権宣言の児童の権利条約は、家庭は社会の基礎的単位で、家庭に子供の養育の責任があると規定しております。  2009年の児童福祉法改正では、乳児のいる家庭訪問事業など市町村が行う子育て支援の強化や里親制度の拡充など、施設養育から家庭養育に転換が図られました。2016年の改正では、全ての子供の良好な養育環境を保障していく家庭養育の原則が明記されました。  児童虐待では、法的にも行政が虐待の疑われる家庭に関与しやすくなっております。子供の保護と育成という観点から、行政が家庭の問題に積極的に関与することが求められております。家庭の孤立化を防ぎ、虐待、不登校、ひきこもり、家庭内暴力などの問題発生を未然に防ぐ効果も期待できます。  条例を制定した自治体では、条例ができたことで職員の意識が変わり、横の連携をとりやすくなり、また、学校と地域との連携も進んでいると聞いております。条例の目的は、子供の健全な発育を保障するために親や家庭を支援することにあります。少子化が深刻な地方にあって、何よりも結婚、妊娠、出産、そして子供が一人前になるまで切れ目ない支援体制が重要であります。  以上、家庭教育支援条例について、知事、県民文化部長、教育長の見解を伺います。  家庭教育支援条例は犯罪抑止にも期待できると思われます。警察本部長の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)家庭教育支援条例についての見解という御質問をいただきました。  子供は、一人一人がかけがえのない存在だというふうに思っております。そして、子供が健やかに育っていくことは全ての県民の共通の願いでもあるというふうに考えております。  子供の教育は、第一義的には保護者が責任を有し、家庭の役割は大変重要だというふうに考えております。また、家庭のみならず、学校、地域、県、市町村等も連携協力して、社会全体で子供たちを守り、育てていくことも重要だと考えております。  本県におきましては、平成26年に長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例を制定させていただいております。この条例の目指すところは、子供と子供の育ちを支える人を支援することにより、全ての子供が将来に夢と希望が持てる地域社会を実現するということであります。  村石議員から御指摘のありました保護者の役割あるいはその家庭教育への支援ということについてもこの条例の中に規定をさせていただいております。第5条におきましては、「保護者は、子どもの育ちについて第一義的責任を有することを認識し、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めなければならない。」という努力義務を定めておりますし、また、14条2項におきましては家庭教育の支援を明記しております。県として、保護者に対する学習の機会の提供その他の必要な措置を講ずるということになっております。  県といたしましては、この条例を踏まえて、家庭教育の支援に努めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)家庭教育支援条例についての見解というお尋ねでございます。  ただいま知事からお答えしましたとおり、保護者や家庭への支援については、長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例の中に位置づけておりまして、条例の趣旨をしっかりと踏まえて施策を充実させ、着実に実施していくことが重要だというふうに考えております。  具体的には、平成27年に子ども支援センターを条例に基づき設置し、子供や保護者、子供にかかわる全ての方からの相談に応じております。また、家庭機能を補完し、地域で子供を支える信州こどもカフェを推進するため、県下10地域にプラットフォームを構築し、子供の居場所づくりに取り組んでおります。このほか、子育て家庭を支援するため、市町村、県、民間機関が連携協働して妊娠期から子育て期までの切れ目ない包括的支援を行う信州こどもサポート(仮称)の体制構築を進めております。  引き続き学校や事業者、県民の皆様と連携をとって、全ての子供が健やかに成長し、その能力を伸ばし、発揮できるよう取り組んでまいります。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)家庭教育支援条例についてのお尋ねでございます。  教育委員会といたしましても、長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例に基づきまして家庭教育の支援に努めているところでございます。  本年度スタートした第3次長野県教育振興基本計画におきましても、家庭教育の推進を位置づけまして、PTA指導者などを対象とした講演会や研修会を実施することによりましてPTA活動を通じた家庭教育に関する啓発を行ったり、家庭教育を充実するために幼年期における発育理解や困難を抱える子供の支援、地域の実情に応じた家庭教育支援の事例紹介など生涯学習推進センターにおいての研修や普及啓発などに取り組んでいるところでございます。  引き続き知事部局とも連携をとりながら家庭教育の支援に取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔警察本部長内藤浩文君登壇〕 ◎警察本部長(内藤浩文 君)家庭教育支援条例に係る御質問についてお答えいたします。  少年の健全な育成を図る上では保護者による適切な監護等が行われることが重要であると認識しているところでありますが、御質問のございました条例制定の是非につきましてはお答えする立場にないと考えております。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)改正された新教育基本法第10条(家庭教育)に、父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有すると明記されております。家庭教育支援条例は、ふえ続ける虐待防止、犯罪抑止に大きな効果が期待されます。  オックスフォード大学のジェフリー・トーマス学長の言葉に、ともすれば学校では多くのことを教え過ぎがちだが、学校でも大学でも教えていないのは親になる方法だ。親としての教育にもっと関心を向け、向上させることには大きなメリットがあると述べております。  親が育てば子供は育つ、長野県にふさわしい家庭教育支援条例が制定されますよう強く求めて、次の質問に移ります。  学力について伺います。  全国学力テストの結果が8月に公表されました。長野県の平均正答率は、小6の算数Aと算数B、中3の数学Aと数学Bがいずれも全国平均を一、二ポイント下回っております。県内では、算数、数学が長い期間にわたり全国平均を下回る傾向が続いております。特に、B問題、知識を活用する力に正答率が低く、常連の秋田県、福井県、石川県とは大きな差が生じております。県教委は、授業改善に早急に取り組む必要があるとして、算数・数学重点対策チームを設置し、小中学校へ訪問指導をスタートさせております。  これからの時代に必要なのは、主体的に考える力や他者と協働する力、問題解決の能力であります。B問題は、これから求められている力であり、本当に深いところまで理解しているかどうかはB問題の点数差にあらわれてくるものであります。真の理解にたどり着いていない子供たちがかなりいると捉えなければなりません。教育の基本である学力の向上についてどこに課題があるのか。これからどう取り組んでいくのか。重点対策チームのリーダーである三輪教育次長に伺います。  全ての子供がわかる授業について伺います。  支援が必要な児童生徒が増加しております。県教委によると、県内で2017年度に発達障害と診断された小中学校の児童生徒は6,980人、全体の4.24%。調査を始めた2003年度、836人、0.43%から大幅に増加しております。個々の教員の対応力を一層高める必要があります。  障害のある子供とない子供が可能な限り一緒に学ぶ仕組み、インクルーシブ教育システムの構築が推進されております。インクルーシブ教育では、障害のある子供たちへの支援体制の充実だけでなく、全ての子供たちにわかりやすい授業づくりが求められております。目の前の子供たちと向き合いながらよりよい指導方法を探り続けていくことが重要であります。  全ての子供がわかる授業構築のため、信州型ユニバーサルデザイン構築事業が始動しております。信州型UDカードを使い、授業の工夫を発表し合う、狙いを明確にする、めり張りをつける、狙いの達成を見届けるというものであります。  また、小中の次期学習指導要領では、主体的、対話的で深い学びが重視されております。加えて、学力や発達段階が異なる児童生徒への対応も求められております。全ての子供がわかりやすい授業の実現についてどう取り組んでいくのか、三輪教育次長に伺います。  また、ベテラン教員が大量退職する時期を迎え、若手に経験や指導方法を引き継ぐことが急務であります。この若手教師に経験や指導方法を引き継ぐためにどのように取り組んでいくのか、三輪教育次長に伺います。  道徳教育について伺います。  特別の教科道徳について、学習指導要領の道徳教育を進めるに当たっての留意事項として、「豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、公共の精神を尊び」とあります。これを全校体制で組織的に取り組むことが必要であり、特に校長のリーダーシップは極めて重要と考えます。教育課程の健全化に向けて特別の教科道徳を計画的に実施する。道徳教育の指導に関する方針の作成や指導について、道徳教育の現状や課題について教育長の見解を伺います。
     道徳教育の実施について、指導内容、方法についての見解、共通した考え方、理解を図るための研修の実施、教科書の内容に基づいた指導計画の作成評価方法の検討、適切な評価に向けての授業改善、学力を形成する授業、目標に導く指導、人格を形成するのが教育であり、道徳であります。学び続ける教師でなければ教える資格はないと言っても過言ではありません。教師は伝道者であり、教育者であり、感化者であります。子供たちの心の中に人生の師として生涯輝き続ける恩師とはそういう存在であります。  道徳の授業は非常に難しい。教科書はあるが、教師によって教科書の受けとめ方や授業のやり方が違う。教師の考え方が授業に影響する。これを統一した見解にまとめるのが校長であります。そういう体制がとられているのか、教育長の見解を伺います。  また、評価はどうなっているのか。道徳の授業は、週1時間、年間35時間、確実に実施されているのか。それとともに、道徳性、道徳的判断力、道徳的心情、道徳的実践意欲、これをどう育てていくのか、教育長の見解を伺います。  また、今回の教科化についてはいじめの問題も深くかかわっております。道徳の教科化はいじめの問題の解消や未然防止に関する期待も大きなものがあります。  平成27年、いじめ防止対策推進条例が制定され、学校ごと、学校いじめ防止基本方針を策定、いじめ防止の取り組みの年間計画、未然防止の取り組み、いじめ早期発見の取り組み、いじめの起きたときの対応が盛り込まれておりますが、それでもいじめは防止できていないのが現状であります。いじめは、法律や条例だけでは解決できない。いじめはなぜいけないのか、どうやって防ぐのか、児童生徒たちがみずから考え、話し合い、心の中に定着させていく過程が欠かせません。これは、道徳教育の重要なテーマであると考えます。いじめの解消や未然防止に資する期待を込めて、子供たちが未来を生き抜くための資質、能力の育成が含まれていると考えます。こういう点についてどう考えるか、教育長の見解を伺います。  さらにいじめの問題について伺います。  2016年11月、新潟県の県立高校1年生の男子生徒(当時15歳)が自殺し、第三者委員会が設けられ、その報告書が新潟県教育委員会に提出されました。報道によると、報告書の内容では、生徒が、2016年9月から別の生徒に不愉快なあだ名で呼ばれたりLINEで中傷する画像が投稿されたりするいじめがあったと認定し、男子生徒が計3回担任に相談しているにもかかわらず、情報が一部教諭にとどまり、学校の適切な対応が不十分だったと指摘しております。救ってほしいという生徒の期待が裏切られ、絶望感が強まったことが最も自殺に影響を与えたと報告しております。  いじめの苦しみ、身の置きどころをなくした少年の背を突いたのは、いじめの苛烈さ以上に教員の態度であったということであります。最後のとりでという自覚を教員の方々には常に持ってもらいたいと考えます。取り返しのつかない事態とならないために、担任一人で抱え込まない、学校全体でいじめ問題に対応していただきたいが、新潟県の県立高校のいじめ自殺についてどのような見解を持っているか、教育長に伺います。  また、いじめの定義について、総務省の行政評価局の調査によると、いじめの定義をめぐり全国の公立小中高249校を抽出して調べた結果、24%に当たる59校が法律の定義より狭く解釈していたと発表しております。行為が続いている、集団的といった独自の基準を加えていたということであります。  いじめ防止対策推進法は、心理的または物理的な影響を与え、児童らが心身の苦痛を感じていると定義しております。いじめを見逃したり、深刻な事態を招いたりするおそれがあるため、総務省は文部科学省に改善を勧告したということでありますが、本県の実態と対応について教育長の見解を伺います。  児童虐待について伺います。  児童虐待は、2017年度、全国で13万3,778件で、1990年度から27年連続でふえ続けております。本県でも、こども・家庭課によると、県内5カ所の児童相談所が2017年度に対応した児童虐待は2,048件で、6年連続で過去最多を更新していると聞いております。子育ての孤立化、負担感が虐待という形で発生していると思われます。支援が必要な母親を早期に把握し、妊娠期からの継続的な対応が必要であります。  2018年3月、東京都目黒区で義理の父親から虐待を受けた船戸結愛ちゃん(当時5歳)の虐待死が報道されました。かわいい盛りのわずか5歳の女の子の虐待死、なぜ防ぐことができなかったのか。幼い命を救うことがなぜできなかったのか。香川県警が2017年2月と7月の2回、父親を結愛ちゃん虐待、傷害容疑で書類送検しておりました。しかし、警視庁にはその情報が伝えられていなかったと報道されております。関係機関の連携強化が急務となっておりますが、本県の虐待に関する対応について警察本部長県民文化部長の見解を伺います。       〔教育次長三輪晋一君登壇〕 ◎教育次長(三輪晋一 君)3点御質問をいただきました。  まず、学力向上の課題と今後の取り組みについてです。  全国学力・学習状況調査からは、問題解決の方法を数学的な表現を用いて記述することなど、知識、技能を働かせた思考力、判断力、表現力を一層育む必要があることが明らかになっていると認識しています。  指導上の課題としては、調査問題や調査結果を授業につなげる取り組みや補充的な学習への取り組みが不十分であること、また、教科や教科の枠を超えた探究的な学習に取り組む学校が少ないことなどと分析しています。そのため、全ての教員が授業改善の必要性を理解し、学校全体で授業改善に取り組むことが重要と考えます。  これまで教育委員会では、先進事例の提供、授業モデルの提示など全県一律の支援を中心にしてきましたが、1校ごとの実態が異なることから、指導主事が全ての学校を訪問し、校長を初め学校職員とともにその学校の課題を分析し、授業改善の方策をともに検討する学校伴走型支援へと転換したところです。  算数・数学重点対策チームでは、10月末までに全ての学校へ訪問する予定としており、取り組み状況等のフィードバックを得て、その後の学校支援を加速してまいります。  次に、全ての子供がわかりやすい授業の実現についてです。  全ての子供がわかりやすい授業とは、一人一人の子供が何のために何をどのように学ぶかが明確であり、学んだ実感が持てる授業と考えます。多様な特性を持ち、多様な環境で育った子供が増加する中、一斉一律ではなく、一人一人の子供の多様な見方や考え方、学び方が保障される授業、学習環境づくりが重要であり、そのため、教員には、一人一人の思いをしっかり把握した上で子供の視点に立った授業構想力やファシリテートする能力などが一層求められていると認識しています。  そこで、県教育委員会では、県内のすぐれた取り組みや専門家の先進的な知見を共有する仕組みとして信州型ユニバーサルデザイン構築事業に取り組んでいるところです。先ほど申しました学校伴走型の支援により、学校現場とともに信州型ユニバーサルデザインに基づく授業をつくり、ブラッシュアップしながら全ての子供にとってわかりやすい授業を実現してまいります。  次に、若手教員への指導方法の引き継ぎについてです。  議員御指摘のとおり、近年の教員の大量退職等の影響により教員の経験年数の均衡が崩れ始め、かつてのようにベテラン教員から若手教員へ知識、技能がうまく伝達されない状況が生じていると認識しています。  そのため、昨年度、教員のキャリアステージに応じて身につけるべき資質能力を定めた長野県教員育成指標を全国に先駆けて策定し、同時に、この指標に定めた資質能力を身につけるための研修体系を見直し、新たな研修を本年度より開始したところです。  例えば、経験年数20年程度以上のベテラン教員が若手教員を含めた全教員に対して経験や指導方法等の知見を伝えるために、ベテラン教員みずからが企画、運営、実施する校内研修を義務づけるなどしており、本年度は40歳代中盤の教員339名が対象となっているところです。  また、人事面からも、各学校におけるOJTを活性化するため、マネジメント力が高い校長を再任用校長として任用したり、一部の再任用教員をOJTリーダーとして配置したりするなどの取り組みも進めており、引き続き計画的に取り組みの充実を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)道徳教育の現状や課題についての御質問でございます。  これまで、学校教育における道徳の授業は、教科としての位置づけではなかった。そのために、教科書ではなく、学校が選定した教材をもとに行われました。また、子供の成長を示す評価が行われてこなかったことから、授業のあり方としては、教材に登場する人物の心情理解のみにとどまったり、そういう意味ではみずからの考えが深まらないなどの課題があったというふうに考えております。  しかし、今回の学習指導要領改訂に当たっては、小学校では本年度から、中学校では来年度から教科としての道徳が実施されることになりました。教科書を使用することや子供の成長を捉えた評価を行うことが位置づけられまして、全ての小中学校で、校長が示す方針のもと、道徳教育の学校全体としての方針を示す全体計画や道徳科で扱う教材の配列を示す年間指導計画の見直しが行われたところであります。  道徳が教科化されたことから、これまでのような考えを深めることが十分でない授業から、答えが一つではない道徳的な課題に児童生徒一人一人が自分の問題として向き合う、考え、議論する道徳の授業への転換、これが必要だというふうに考えます。ただ、現状では、各教員が授業や評価のあり方の具体的なイメージを持ちにくいということが課題であるというふうに考えております。  次に、道徳科の実施体制であります。  新しい学習指導要領では、校長は役割として、みずから指導力を発揮し、道徳教育の基本的な方針を全教員に明確に示すことが求められております。校長の示した方針のもと、全教員が道徳教育の重要性や取り組みの方向について共通の理解を持ち、協力して道徳教育の全体計画、そして年間指導計画を作成し、そして、これに基づき授業を行うということが重要であります。また、扱う教材など計画の内容を変更する際には校長の責任のもとに行う仕組みとなっております。  教員がこの年間指導計画に基づいて授業を行うに当たっては、校長が任命しました道徳教育の推進を担当する道徳教育推進教師を中心に、職員会議や学年会などの機会に授業での教材の扱い方あるいは評価について検討する体制がとられているところであります。  今年度から小学校で教科としての道徳の授業が始まりましたので、県教育委員会では、道徳教育推進教師を対象とした研修会や指導主事による学校訪問の際に、先ほど申し上げました考え、議論する道徳の実践が全ての学校で実践できるよう支援を充実してまいるということでございます。  次に、道徳科の評価、授業時間と道徳性等の育て方についてであります。  道徳科の評価は、5段階あるいは3段階のような数値による評価ではなくて、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受けとめて、認め、励ます評価として行い、そういう意味では記述によって表現するということになっております。  また、授業時間については年間35時間と定められておりまして、全ての学校で確保されているところであります。  道徳性を養うことを目的とする道徳科においては、教員がみずから学校の目指す道徳教育の目標や方針を十分に理解して、教員自身の一方的な押しつけや単なる生活経験の話し合いなどに終始することのないよう特に留意して、それにふさわしい指導計画、方法、指導の効果を高める工夫をすることが重要だと思っております。  そして、道徳性については、子供自身の内面で、徐々に、しかも着実に養われていくべきものであることから、長期的展望と綿密な計画に基づいた丹念な指導や道徳的実践につながる授業づくりが必要でありまして、県教育委員会としてもこうした取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。  次に、道徳教育によるいじめ問題の解消等への期待についてであります。  この特別の教科道徳が全面実施となる背景には深刻ないじめ問題がありました。そのため、この新しい学習指導要領においても、いじめ問題への対応について、発達の段階を踏まえ、体系的なものとする観点から、内容を改善することや指導方法の工夫を図ることなどが示されているところであります。  道徳科の授業においては、いじめに関する具体的な事例を取り上げて、自分ならどうするかということを真正面から問い、自分自身のこととして多面的、多角的に考え、議論していく道徳へと転換していくことが極めて大事だと思っております。  これからの未来を生き抜く子供たちにとって、一人一人が人としての生き方や社会のあり方について多様な価値観の存在を認識しつつ、みずから感じ、考え、他者と対話し、協働しながらよりよい方向を目指す資質能力を備えることが重要でありまして、こうした資質能力の育成に道徳教育の果たす役割は極めて大きいというふうに考えております。  いじめに関してでありますが、まず、新潟県立高校のいじめ自殺についての見解であります。  議員御指摘のとおり、新潟県立高校のいじめ自殺事案に見られるように、いじめ問題への対応については、教職員一人一人がいじめに係る情報を抱え込むことなく、組織で共有し、速やかに校内のいじめ対策委員会を中核とした組織で適切な対応をすべきだというふうに思っています。  ただ、いじめ対策委員会が本当に実質的に機能して学校全体が取り組むためには、いじめの定義の共通理解でありますとか組織対応の徹底などを校長の強力なリーダーシップのもとで行うことが必要だというふうに考えております。県教育委員会では、組織的ないじめ防止の取り組みや適切な対応を行うよう、校長会や管理職研修等において周知徹底を図っているところであります。また、県としても、電話相談窓口や新たにLINE相談窓口を開設しまして子供たちの声を受けとめた上で、その声を学校に伝えて、学校全体で取り組むことができるような仕組みも整えているところであります。  最後に、いじめの認知に関する本県の実態と対応であります。  平成29年度の児童生徒の問題行動、不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきまして、法の定義に基づいてささいないじめを積極的に認知した学校がある一方で、認知件数ゼロとした学校も一定数あったところであります。  県教育委員会では、本年3月に改定したいじめ防止等のための基本的な方針に基づきまして、本年7月、8月に、担当課が、いじめの認知件数をゼロとして報告した学校を抽出して訪問し、対応状況を聴取したところであります。その結果、それらの学校の中には、管理職が法の定義を十分に理解していなかったり、全てをいじめとして認知すると膨大な件数になるということから迷いがあったなどという理由によりまして法の定義に沿わない独自の解釈をしていた学校があることもわかりました。  このことを踏まえまして、本年度、長野県いじめ問題対策連絡協議会で議論を重ねまして、法の定義に基づいたいじめの正確な認知やその後の適切な対処についての指導を徹底するための新たな研修資料も作成いたしました。今後、この研修資料も活用し、いじめの認知件数というのは子供たちから発せられるSOSの認知件数なんだというふうに捉えて、どんな小さな芽も見逃さない積極的な認知こそが学校全体で対応するための第一歩であるという認識を県内すべての学校で共有し、取り組むよう指導してまいりたいというふうに考えております。       〔警察本部長内藤浩文君登壇〕 ◎警察本部長(内藤浩文 君)本県における児童虐待に対する警察の対応についてお答えいたします。  児童虐待またはその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童の数は、統計をとり始めた平成11年以降年々増加しており、平成29年は最多の850人となっております。  警察では、児童虐待事案に対し、児童の安全確保を最優先とした対応を行っており、児童虐待またはその疑いがある事案を認知した際には、現場臨場等を行い、警察官が児童の安全を直接確認するように努めるとともに、必要な捜査を行い、事態が深刻化する前に児童を救出及び保護することができるようにしております。  また、児童を迅速かつ適切に保護するためには関係機関がそれぞれの専門性を発揮しつつ連携して対処することが重要であることから、児童相談所への確実な通告の実施、通告に際しての事前照会の徹底等により児童相談所との情報共有を図るとともに、要保護児童対策地域協議会に参加するなど関係機関との連携を保ちながら、児童の生命、身体の保護のための措置を講じているところであります。  なお、本年9月20日には児童虐待に係る長野県と長野県警察の連携に関する協定を締結したところであり、情報共有等の面におきましてこれまで以上に連携を強化してまいりたいと考えております。  他の都道府県警察との連携についてでありますが、当県警察におきまして児童虐待事案として取り扱った関係者または被害児童が他の都道府県に転居した場合には、当該関係者または当該被害児童に関する必要な情報を転居先を管轄する都道府県警察に連絡することとしており、連絡を受けた都道府県警察においては、児童相談所と連携して、危険度、緊急度に応じた安全確認を実施するなど必要な措置を講じております。  また、他の都道府県警察から当県警察が連絡を受けた場合におきましても、同様に児童相談所と連携を図り、危険度、緊急度に応じた安全確認などの必要な措置を講じているところであります。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)児童虐待に関する関係機関との連携強化についての御質問でございます。  子供の生命や身体の保護という観点で児童相談所と同じ責務を有する警察とは、連絡会議や合同訓練の実施、児童相談所広域支援センターへの警察官の配置等により連携確保を図っております。  また、警察との間の連携に関する協定をこのほど締結したところですけれども、平成28年度に全国で虐待により子供が死亡した事例を詳細に分析しますと、予期しない妊娠や計画していない妊娠によるものが49人、全体の約半数を占めるという状況がございます。つまり、悩みを抱える妊産婦を早期に発見し、相談支援につなげることが児童虐待防止の観点からも重要であり、県では、現在、信州産婦人科連合会や県社会福祉会等の関係団体と、予期せぬ妊娠に悩む女性を支援する体制づくりについて本年度中に支援を開始できるよう検討を進めております。  虐待予防のための早期対応から発生時の迅速な対応、そして、虐待を受けた子供の自立支援に至るまで、市町村や学校、医療機関等の関係機関としっかり連携を図り、切れ目のない支援が受けられる体制構築に努めてまいります。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)許してください。もう許してください。お願いします。わずか5歳の結愛ちゃんの悲痛な声が児相の職員には届いていなかったのか。厚生労働省の専門委員会がまとめた報告書では、児相がさまざまな虐待の疑いの情報をつかみながら、的確な判断ができず、結果的に幼い命を救えなかった。  政府は、来年度から4年間で児童福祉司を2,000人増員し、現状の1.6倍にする計画を示しております。ただ、虐待に的確に対応できる人材の育成には5年以上かかると言われます。香川と東京の児相間ではけがの写真や危険度を判断した客観的な資料の引き継ぎがなかったと言われております。香川県児相、東京都児相の対応についてどのような見解を持っているか、県民文化部長に伺います。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)東京都目黒区の事件に対する見解というお尋ねでございます。  厚労省の専門委員会の報告によりますと、今回の事件では、香川県と東京都の児童相談所間の引き継ぎでは危険性、緊急性が十分に伝わらなかったとし、その原因として、一つには、両親との面談等を行う指導措置を転居を理由に解除していたこと、二つには、緊急性を評価するリスクアセスメントシートを作成せず、客観的資料が引き継がれていなかったことなどとしています。  児童相談所が多忙をきわめていたとしても、基本的な認識や判断、伝達方法、チェック体制に一つでもミスがあるとこのような事件はどこにでも起こり得るものというふうに受けとめさせていただきました。  本県では、県内から県外に、あるいは県外から県内への転居に伴う事案については、全て相手方の児童相談所と事前に協議を行った上で、直接訪問し、または書面により、すき間が生じないように確実に相談記録等の引き継ぎを行っていますし、県外から県内に転居し引き継ぎを受けた事案については、このたびの警察と締結した協定に基づきしっかりと情報共有を図るとともに連携して対応することとなります。  また、リスクアセスメントシート等を活用し、引き継ぎを行うことにより、児童相談所間で危険度や重症度等の程度の判断に食い違いが生じないように対応しております。  目黒区での事件を契機に、国全体として虐待事案の体制強化、対策の充実が図られることとなりましたが、長野県としても、警察との連携協定や体制の強化でよしとするのではなく、状況の変化や発生事案の特性に応じて対応のさらなる充実に努めてまいりたいというふうに考えております。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)次に、新たな森林管理システムの運用について伺います。  知事は、6月議会の提案説明で、県土の8割を占める森林が利用可能な段階を迎える中、森林資源を健全な姿で次の世代へと引き継いでいくためには地域が自立的かつ持続的に森林を管理していく仕組みをつくることが必要である。ICT等を活用した高度で革新的な技術力を有し積極的な経営に取り組む森林組合や素材生産業者などの林業事業体を育成することにより、収益性と創造性の高い林業の生産体制を構築していく。来年度から導入される新たな森林管理制度を見据え、航空レーザー測量やドローンを活用した森林情報の収集、解析、森林の採算性評価等を実施する。新制度の円滑な導入と森林県から林業県への転換を図っていくと述べておられます。知事の強い森林への思いが伝わってまいります。  国では、本年5月に森林経営管理法が成立し、2019年4月から施行となります。戦後植林された森林が主伐の時期を迎えております。また、主伐後の再造林等を確実にする森林施業のサイクルを意識した計画的な施策ができるように長期的な展望による林業の成長産業化が必要であります。これをどのように進めていくのか、林務部長に伺います。  収益性の高い林業の実現に向け、林業労働者の確保並びに安全性の向上を図るため、高性能林業機械の導入や林内道路網の整備が必要であります。これに対する予算確保を含めて林務部長の見解を伺います。  住民協働による里山整備を活用促進し、自立的な、持続的な森林管理を目指す里山整備利用推進協議会を設立することになっておりますが、地域で里山整備利用推進協議会の組織運営のコーディネートをできる人材がどのくらいいるのか。林業経営、林業施策に知識が乏しい組織で施業計画、施業箇所を定めていく制度設計が確実にできるのか。以上、里山整備利用推進協議会と里山整備利用地域リーダーの育成事業について林務部長の説明を求めます。  市町村には専門的な知識を持つ職員が少ないといった実情があります。新たな森林管理システムの運用について、県の助言指導及び適切な管理等への専門的技術、知識を生かした支援が必要であります。来年度4月から施行される森林経営管理法が、その目的が達成されますよう、確実な運用に向けての取り組みについて知事の見解を伺います。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)まずは森林経営管理法の成立を受けた林業の成長産業化についてのお尋ねでございます。  森林経営管理法に基づく新たな森林管理システムは、所有者の不在村化等により管理が困難となった森林等について、市町村が経営管理権を設定して取りまとめを行い、このうち、経営に適した森林については、意欲と能力のある林業経営者に管理を再委託して、長期的、持続的な林業経営を進めるものであります。  具体的には、県内の森林には、所有者との連絡がとりにくいなど、せっかく森林が利用期を迎えているのに整備ができない森林が多く見られます。こうした森林を今回の制度を活用してまとまりのある森林に集約し、その上で、意欲と能力のある林業経営者等が森林の経営管理を行うこととなります。  オーストリアなど海外の林業先進国では、所有者の確定などの林地の近代化は随分昔に終わっております。かつ、資源の把握もデジタル管理となってきていることから、川下の需要に応じたマッチングが容易となっております。  今回の新たな森林管理システムは、積年の課題であった林地の近代化を進めるチャンスでありますので、これを県もともに徹底的に進めるとともに、作業現場にあってもスマート林業の展開、さらには人材育成や販路開拓をより一層強力に進めることで林業の成長産業化を図ってまいりたいと考えております。  次に、収益性の高い林業の実現に向けた取り組みや予算確保についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、収益性の高い林業を実現するためには、林業を担う人材の確保や高性能林業機械の導入、林内路網整備等を進め、安全性の向上や作業の効率化を図ることが極めて重要です。  国においては、来年度予算概算要求において、現場技術者の能力向上、安全対策の強化に向けた事業の拡充や、資源の高度利用を図る路網整備の充実等が検討されているところであり、国への予算枠の確保の要望も含めて必要な予算の確保に努め、安全で収益性の高い林業の実現に向けて取り組んでまいります。  最後に、里山整備に係る協議会と地域リーダー育成事業についてのお尋ねです。  県では、住民等協働による自立的、持続的な里山の整備、利活用を促進するため、長野県ふるさとの森林づくり条例に基づく里山整備利用地域制度の認定を進めており、地域の運営については、森林所有者や地域住民等で構成される里山整備利用推進協議会を組織してさまざまな活動に取り組むこととしております。  これらの活動の推進に当たっては、議員御指摘のとおり、組織運営のコーディネートや森林施業の実行ができる人材が必要と考えており、県としましては、里山整備利用地域リーダー育成事業として、研修会の開催などを通じ、地域のリーダーとして役割を果たせるような人材を育成してまいります。  このような地域リーダーの対象としましては、地域林業の中核的な人材として、長野県独自の林業士が約300名程度は具体的に活動できるともくろんでおりますほか、地域でさまざまな活動を行っているNPOやIターン者、Uターン者など、多様な立場の方々がいらっしゃるところでありますので、地域の実情に応じて、さまざまな里山の整備利用が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)森林経営管理法の確実な運用について御質問いただきました。  今、山﨑林務部長から御答弁申し上げましたように、この新しい法律に基づきます森林管理システムはこれからの森林・林業政策を大きく進めていく上で大変重要な仕組みだというふうに考えております。
     これは、市町村が中心となって森林経営の集積、集約化を行う制度でありますことから、市町村の果たす役割は大きくなってまいります。その一方で、県内の約7割の市町村におきましては、林務を担当する職員が他の業務と兼務をしているという状況であり、体制面で必ずしも十分ではない部分がございます。そのため、新たな森林管理システムの推進体制をどうしていくか、これについては、県といたしましても市町村の皆さんとともにしっかり考えていくことが重要だと思っております。  現在、市町村とワーキンググループを組織して、新しい森林管理システムが有効に機能するような仕組みの検討を行っているところでございます。こうした検討を踏まえまして、新しい森林管理システムの確実な運用体制を構築することにより、林業の成長産業化あるいは森林資源の適切な管理を図ってまいる考えです。  以上です。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)若い意欲のある林業人を育成し、長く低迷してきた森林・林業に光を当て、ふるさとの里山を再生し、活力ある林業と森林資源の適切な管理が確実に進むことを熱望して、私の一般質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)次に、小山仁志議員。       〔7番小山仁志君登壇〕 ◆7番(小山仁志 君)望月高等学校は、2020年度より長野西高等学校通信制サテライト校設置に向け、そのあり方についての検討準備が進められています。以下、関連し、教育長に質問いたします。  通信制課程につきましては、多様な背景を持つ生徒の増加の中で、そのニーズに対応した学びの場の充実は個々の可能性を伸ばす環境設定に欠かせないものとなってきています。通信制課程や通信制高校をめぐる状況の変化や実態、また、課題や将来に向けた可能性についてはどのような認識を持っているのか、通信制課程の改革に向けた県教育委員会の方針とあわせ、お伺いいたします。  8月23日、教育委員会定例会におきまして、望月高等学校が2021年3月31日をもって廃止されることが決定されました。今定例会では、議会に同意を求める議案が提出されています。今日まで90年を超える歴史を重ねてこられました同校の同窓会を初め、地元望月地域の皆様の思いをはせるとき、筆舌に尽くしがたいお気持ちを察するわけであります。  同校の廃止に関しましては、現在、その学びやで高校生活を送る生徒に対する気持ちに寄り添っていくことも大切な姿勢です。在籍中の生徒に対する理解醸成についてどのように県教育委員会では受けとめているのか、どのように説明を行ってきたのかも含め、お伺いをいたします。  そして、サテライト校開校予定の2020年4月には、本年入学された1年生24名の生徒が3年生に進級する時期と重なります。この生徒の教育体制についてはしっかり守られていくのかについても確認させてください。  さて、今後の通信制サテライト校設置に伴うそのあり方についてであります。  昨年12月、教育委員会定例会において、望月高等学校のあり方について、長野西高等学校通信制サテライト校を設置していくという方針が決定され、本年1月には、県内初の公立通信制サテライト校として新たな学びの場をつくっていくという構想が県教育委員会から地元説明会でも示されました。  まず、望月高校の廃止に伴う県内初の通信制サテライト校の設置に当たり、県教育委員会が込める思いや期待する役割、機能、そしてまた、現時点で想定される規模等についての具体像をお伺いいたします。  教育委員会では、長野西高校サテライト校あり方検討準備委員会を設置され、校名初め教育方針、地域連携の体制等の課題について、関係団体及び地域の参画により設置に資するための意見交換を進めていただいております。この委員会での議論をお聞きして感じますのは、そもそもサテライト校というものに関する理解が住民も含め乏しいということであります。サテライト校というものをどのように捉えたらよいのか。例えば、本校に当たる長野西高校通信制課程とは別の特色づくりや教育課程が可能なのかも含めお考えをお伺いいたします。  あり方準備委員会とともに設置されているのが校内準備委員会です。より実務的な内容、項目について検討をいただいているとお聞きしていますが、両委員会の連携の姿が見えてきません。どのように両委員会の相互連携を生み出していくのかお伺いいたします。  9月3日、文教企業委員会の現地調査におきまして、望月高等学校同窓会長、望月地区区長会長、商工会長の連名にて、望月高等学校の長野西高等学校通信制課程サテライト化に伴い、毎日通学制の導入や生徒の全国募集を求める陳情書が提出され、委員の皆様と陳情者、そして同席された佐久市長との質疑、意見交換の時間がありました。その際、出席者からはどういう声が上がり、意見があったのかについて、教育長はどのように報告を受け、把握をされているのでしょうか。お伺いいたします。  今春、県下中学校を卒業し、通信制高校へ進学された方は421人、年々上昇傾向にあります。背景には、私立の通信制高校の人気があります。現在、私立の通信制高校は、以前のようにレポートを提出し、週に1回程度面接指導を受けるというかつてのベーシックな形が変化し、ほぼ毎日登校しながら面接指導を受けるという形が増加をしています。さらに、そのシステムは進化しており、毎日登校することによるその時間を有効に活用することで、特色を前面に打ち出し、教育課程を組まれ、生徒個々の個性を伸ばしています。  今後の公立通信制高校の特色化がその魅力創出のために求められます。そのためには、サテライト校においても毎日通学型の設置は不可欠であると考えますが、どのように対応するのか、お伺いをいたします。また、毎日通学制の導入に当たっての教職員体制の整備は可能なのかも含め、お答えください。  そして、毎日通学制の導入に当たり、特色化を図る上でキャリア教育の充実が欠かせません。望月高校は、中山道望月宿、望月地域の中心地にあり、医療、福祉環境が充実し、福祉コースが設置され、即戦力となる人材育成も行ってきました。  また、平安時代、国最大の官牧として栄えた歴史ある地で、駒の里として知られ、現代書道の父、比田井天来の出生地でもあります。多様な背景を有する生徒の社会経験と自信につなげるための地域と連携した学びの実現に、望月ならではの地域資源、歴史、文化を生かさない手はないと考えますが、キャリア教育をサテライト校においてどのように推進していくお考えなのかお伺いいたします。  人口減に悩む地方の公立高校では、特色ある教育課程を売り物に生徒を全国募集する動きが広まっています。本県では、白馬高校の国際観光科が、自治体支援も受け、全国募集を行いながら高校の魅力の創出に努力をいただいています。全国各地で進む全国募集を行う高校で共通するのは、都道府県任せにせず、我が地域の問題として、主体的に、魅力向上に地域が一体となって取り組んでいることであり、将来を見据え、広い意味での地域とのかかわり人口の拡大も視野に入れているということであります。  通信制課程サテライト校の設置に当たり、地域活性化にも資する生徒の全国募集について教育委員会ではどのようにお考えなのか、検討を行っていくのか、お考えをお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)望月高等学校への通信制サテライト校設置についてのお尋ねでございます。  まず、通信制課程に対する認識と改革の方針でございます。  通信制は、もともとは勤労青年に対する高校教育の機会の保障を前提としてスタートしたものでありまして、レポートの添削指導と週1日の面接指導を受けるとともに、試験により74単位の修得をもって卒業を認定する仕組み、これが基本となっております。しかし、近年、中途退学や不登校など多様な入学動機や学習歴を持つ生徒が増加しておりまして、制度発足当初とは対象とする生徒の状況が大きく変化をしております。  一方、ICT等のテクノロジーが急速に進展しておりまして、生徒個々の学びを多様な形で支援できる時代にもなっております。このような状況を踏まえて、毎日学校へ登校しなくても高校の学びが得られる学びの自由度が高い通信制の仕組みを生かすとともに、テクノロジーを積極的に活用することで不登校等の多様な背景を持つ生徒や独自の学びを求める生徒たちに応える新たな学びのシステムに改革していくことが必要であるというふうに考えているところであります。  望月高校在校生への理解醸成、そして、現1年生の3年間の教育体制の確保についてのお尋ねでございます。  望月高校の在校生には、母校が廃止されることによって自分たちの学びがどうなるのかという不安があるかとは思いますが、現在在籍している全ての生徒に在学中の学びを保障し、卒業まで十分な教育が行われるよう最大限配慮していく、これは当然のことだというふうに思っております。  また、現在の1年生には、自分たちが3年生になったときにどんな学校生活になるんだろうかという不安もあるかと思います。2020年4月のサテライト校開設を目指すことで、1年間サテライト校の生徒と同じ校舎で過ごす、そういう形になり、両校の生徒が地域とかかわる活動や生徒会、クラブ活動等可能なものを合同で行う機会が生まれ、最後の3年生が取り残されたような思いを抱かずに生活できる環境をつくり出せるというふうに考えております。  生徒たちの不安にしっかり寄り添うとともに、望月高校の全ての生徒が充実感を持って卒業を迎えられるようにするということは私どもの責務だと考えております。これまでも経緯や今後の方向性について生徒や保護者に説明をしてきておりますけれども、これからも丁寧に理解の醸成を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に、サテライト校に込める思いや期待する役割、機能等の御質問でございます。  この望月のサテライト校の設置は、今回の高校改革における通信制改革の大切な第一歩だというふうに捉えております。これからの長野県の高校教育における重要な学びの場の一つとして考えております。  望月高校に設置する通信制サテライト高校については、さまざまな理由により社会になかなかなじめない生徒たちが地域の活動を通して体験的に学びを深めることにより、社会性と個性を磨いたり、あるいは興味のあることをとことん追求したい生徒たちがスポーツや芸術に打ち込むなど、通信制の利点を生かした多様な学びを地域とともにつくり上げていく、そうした新たな学びのシステムを実現したいというふうに考えております。  現在、長野西高校の通信制課程には846人が在籍しておりまして、そのうち北信地域の在住者が595人、東信地域の在住者が251人という状況であります。望月のサテライト校での学びに魅力を感じて通学してくる生徒は、現在の長野西高通信制課程在籍者のうち常時受講している者の割合等を考えますと、初年度は100人程度が見込まれるのではないかというふうに想定しているところであります。  次に、サテライト校の捉え方、それから特色づくりに関してであります。  サテライト校になりますけれども、通信制課程において本校から離れたところに設置いたしまして、今回の望月サテライト校は、本校の長野西高通信制に通学しなくても本校と同様の学びが受けられるということがまず一点であります。その上で、本校の教育課程にのっとった上で独自の特色を盛り込むことが可能でありまして、生徒の希望に合わせて、先ほど御質問の中にありましたけれども、毎日登校できる仕組みでありますとか、望月ならではの地域の資源を活用したキャリア教育などを展開してまいりたいというふうに考えております。  次に、あり方検討準備委員会と校内準備委員会との連携についてであります。  あり方検討準備委員会は地域の方々と学校関係者の17名により構成されまして、地域の御意見をお伺いしながら、校名、教育方針、地域連携の体制等についての話し合いを行うための組織でございます。また、校内準備委員会は、長野西高校と望月高校の両校の職員15名により構成され、教育課程、進路指導、生徒指導等の校内の具体的な内容について話し合うための組織というふうになっております。  両委員会とも、新たな学びの場であるサテライト校を地域とともにつくっていくために重要な組織でありまして、情報共有と相互の検討がフィードバックすることで連携を深めるとともに、今後、あり方検討準備委員会における検討を加速し、校内準備委員会においてその具体化を進めてまいりたいというふうに考えております。  陳情書提出時の意見についてどう把握しているかというお話でございます。  新たな魅力と特色ある学びの場の実現を図ってもらいたいということから、4項目の要望が記載された陳情書が提出されまして、意見交換がされたという報告を受けております。  その意見交換においては、現在の望月高校では、中学校で不登校だった生徒が学校に行けるようになった。サテライト校でも同様のきめ細やかな教育ができるような体制を望むでありますとか、さらには、生徒に選ばれる高校を目指したい。既存の通信制高校から脱却した夢のある高校をつくりたい。書道等の教育力を生かして全国募集につなげたい等、新しい学校への期待も寄せられたところであります。また、サテライト校の具体的内容を早急に示してもらいたいという要望も出されたところであります。  次に、毎日通学型の設置と教職員体制の整備についてのお尋ねでございます。  今回計画しているサテライト校におきましては、平日毎日学校が開いていて、生徒が希望に応じて登校し、ICTを活用した個別最適化の学びや地域での体験的な学び等によりまして個々のニーズに応じた学びができる環境を整えることを想定してございます。  このような学びを進めるためには、教師は単に教えるという役割のみではなくて、学びのガイド役や生徒と地域の方々をつなぐコーディネーターとしての役割も求められるというふうに思っております。そういう意味では、従来とは異なる新たな仕組み、これにしっかり対応できるような教職員体制の整備も検討してまいりたいというふうに思っております。  次に、地域資源等を生かしたキャリア教育の推進についてであります。  議員御指摘のとおり、多様な生活歴、学習歴を持つ通信制の生徒が、社会体験活動等に参加することによりまして生きる力を身につけていくことは大切だというふうに思っております。サテライト校では、例えば、比田井天来に由来する書道や中山道の望月宿、馬事公苑など歴史に由来する地域資源、学校周辺の社会福祉施設等との連携など、望月ならではの地域の特色を生かしたキャリア教育を行っていくことが可能であるというふうに考えております。  地域とサテライト校をつなぐ地域連携コーディネーターの活用など、キャリア教育を円滑に実施するための体制や内容等について、あり方検討準備委員会の中に設置した地域連携小委員会において引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。望月ならではの地域の特色を生かしたキャリア教育を地域の方々の御支援をいただきながら推進してまいりたいというふうに思っております。  最後に、全国募集についてのお尋ねであります。  地域からの陳情等においても全国募集については強い要望をいただいております。この実現のためには、地域資源を十分に活用した特色のあるカリキュラムの開発や魅力の全国への発信が必要でありますし、また、住居、食事等の生徒の受け入れの仕組みづくりも不可欠であります。これらは、地域の協力なしでは実現できないものだというふうにも考えております。こうした点についてもしっかり検討してまいりたいというふうに思っております。  以上ございます。       〔7番小山仁志君登壇〕 ◆7番(小山仁志 君)丁寧に答弁いただいたんですが、9月3日の文教企業委員会の皆さんとの意見交換の際も今報告いただいた内容をお聞きしました。  今、おっしゃっていただいたとおりの内容もそうなんですが、これまでの教育委員会の廃止決定に至るまでのプロセスが、この地域の皆さんや生徒の思いに寄り添ったものとは思えないと。そういう思い、行動には思えないという佐久市長からの発言もあったことを申し添えたいというふうに思います。  それから、毎日通学制を導入して個々のニーズに対応していくということ、そして、コーディネーター、新しい仕組みに対応した学びの場をつくっていく、さらには、規模は100人程度になるでしょうということもお示しをいただきました。そのために対応した教職員の体制づくりというのはしっかり担保していかなければならないんですが、このほど策定された学びの改革の実施方針においては、サテライト校については本校、すなわち長野西高校の先生がサテライト校に行って添削指導や面接、スクーリングを行うというふうに書いてあります。本校の先生が望月高校に行くんですか。望月高校に独自の教職員の方が配置をされていろいろな指導を行っていくのか、そこだけはっきり明らかにしていただきたいと思います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)先ほど申し上げました姿を実現するために、長野西高の先生が行った対応だけでは済まないというふうには当然考えております。新たな学びの仕組みに対応した教職員体制をしっかり検討してまいりたいというふうに思っております。       〔7番小山仁志君登壇〕 ◆7番(小山仁志 君)ぜひ、その毎日通学制、そしてコーディネーター、いろいろな多様なニーズに対応でき得る教職員体制にはしっかり御尽力をいただきたいというふうに思いますし、この実施方針とやや整合性に不安を感じますので、その辺も明確にお示しいただきたいというふうに思っています。  それから、全国募集については、ぜひ実現に向けた努力をお願いしたいというふうに思っています。御指摘のとおり、魅力が伴わなければ全国に発信してもかけ声倒れに終わりますので、地域資源を生かしながら魅力創出への努力をいただきたいというふうに思いますし、知事も選挙戦の公約で導入について広く検討していく旨をお示しいただいております。地方創生というこの日本が抱える課題に主体性を持って向き合っていただく上でも、この地方で高校時代をお過ごしいただくとは大変意義深いものがあるかというふうに思いますので、ぜひ実現に向けた努力をお願いさせていただきたいというふうに思います。  続いて、この8月20日には、陳情書と同様の内容で、サテライト高校に係る要望書が教育長宛てにも提出をされています。通学制高校の特色化と魅力を磨いていく上で重要なのは、地域資源の持つ教育力をいかに生かすかであります。本要望書は、望月にある地域資源を存分に活用して学びの特色化を図っていただきたいというものであります。  要望書の内容についてはどのように検討していくのでしょうか。例えば、あり方検討準備委員会等の場において、各項目についての先進的な事例や課題、すぐれた点等の精査、研究を行っていくような丁寧な議論が求められると考えます。要望書に対する検討の方法とその対応方針はいつお示しになるのか、お伺いをいたします。  県下初のサテライト校として新たな学びの場が設置されるという期待感の一方で、今後の具体的な方針等が示されず、廃止が先行していくという不安感に地域がおおわれている状況にあると考えます。この不安解消と地元理解を得ていくためにはどのように対応していくのでしょうか。  先ほど答弁いただきましたとおり、文教企業委員会現地調査の際に寄せられたような地域の厳しい声があります。こうした声を県教育委員会ではどのように受けとめ、今後の進め方については改善を図っていくお考えがあるのかについてもお伺いをいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)サテライト校化に係る要望書への対応及び地域の理解を得るための対応についてのお尋ねでございます。  要望書の4項目につきましては、先ほど御答弁申し上げた中で方向性を示したというふうに考えておりますけれども、今後の対応については、これまでの答弁でお示ししたサテライト校の目指す姿、この姿を具現化する作業を着実に進めることが大切だというふうに考えております。  議員御提案にありましたような対応、先進事例も含めてどういう形で取り入れながらやっていくかということについてもこの対応の中で考えていきたいというふうに思っておりますけれども、これまで、新たなサテライト校でどのような授業を受けられるのか、地域資源を活用したどのようなキャリア教育が期待できるか、また、高校生活を送る上でどのような支援が受けられるか等について検討してきたところでありますけれども、この要望書等を踏まえる中で、県教育委員会の考え方も示しつつ、二つの委員会の中で検討を加速させ、地域の協力のもと、今年度中には新たな学びの姿を提示してまいりたいというふうに考えております。       〔7番小山仁志君登壇〕 ◆7番(小山仁志 君)先ほど申し上げました文教企業委員会の皆さんとの懇談会の際に、清沢議員さんから陳情者の皆さんに、ポジティブな姿勢は持っていないんですかという心配の問いかけが投げかけられました。おっしゃるとおり、あり方検討準備委員会や地域住民への説明会などをお聞きしても、何か暗いというか、新たな学びの場をつくっていこうという雰囲気がちょっと感じられない。ですので、そういった夢のある特色ある魅力づくり、地域と連携した雰囲気づくりにも努力をいただきたいというふうに思います。  現在、望月高校では、「温良貞粛」という比田井天来の書が生徒を迎えています。大正15年以来、川西地域の人材育成の拠点として歴史に誇る伝統を築いてこられました。また、近年では、小規模校ならではの温かい教育活動の中で、困難を抱える生徒が社会的自立へのきっかけをつかむ学びの場ともなってきました。そこには、校長先生を初め奮闘される教職員の温かな情熱、そして地域との連携から生まれるきずながありました。  望月地域の皆様は、時代が必要とする新たな学びの場、教育に協力をしていきたいと情熱を持ってくださっています。ぜひ地域の情熱と高校が協働し、連携した学びのプラットフォームの形成を求めたいというふうに思います。  多様な背景を有する生徒の学びの場として、誰ひとり取り残されない温かく丁寧な体制づくりでの人材育成、そして、先例にとらわれない発想と創造の中で、夢の持てる選ばれる学校づくりへの御尽力をお願いさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(鈴木清 君)次に、佐々木祥二議員。       〔48番佐々木祥二君登壇〕 ◆48番(佐々木祥二 君)佐々木祥二でございます。  阿部知事3期目のスタートに当たり、私からも私見を交えながら提案と質問をさせていただきますので、知事初め執行部の方々にはできる限り明快かつ簡素で、しかも積極的で具体的な答弁を期待申し上げます。  知事は、3期目のスタートに当たり、選挙中、安心して暮らせる長野県、あすへの希望が持てる長野県とし、希望、安心を掲げ、信州のすばらしい資産を守り、日本一魅力ある県をつくり、時代の変化を積極的に先取りし、信州の新時代を築いていくと力強く訴え、見事当選をされました。  知事、私は、信州の新時代を築くには新しい発想の転換が必要だと思います。それは、一つは効率主義から快適主義へ、二つ目は縦割り行政から横割り行政へ、三つ目として物質的満足から精神的な満足へ、四つ目として分散社会から複合社会へ転換することがキーワードだと私は思います。あの月尾嘉男先生もそうおっしゃっております。  そこで、初めに、障害者支援施設、長野県西駒郷でございますが、昭和43年7月開所以来、あれから50年を迎えました。西駒郷は、全国に先駆けて障害者福祉従事のために多大なる貢献をしてこられたこと、私からも高く評価をさせていただきます。開所当初は、利用者の方が近くの家に黙って上がり込み、おひつをあけて食べていたり、また、勝手にお風呂に入っていたりして地元の方々をびっくりさせておりましたが、時がたつにつれ、だんだん地域とともに歩む西駒郷になってきたと承知をしております。ここまで来るのに50年です。  平成29年2月の知事の答弁では、西駒郷をモデル的な施設とし、地域で暮らす障害者の緊急的な居場所と必要な支援の提供、さらには、本人の状態に即した適切なサービスの提供、また、全県のセーフティーネット機能の強化が求められ、地域での生活を継続することが難しい障害者を受け入れ、再出発を支援し、長野県の障害者支援がさらに充実していくよう取り組むと答弁されております。私もそのようにしてほしいと願う一人でございます。  そこで伺いますが、知事3期目のスタートに当たり、今後の障害者福祉はどのようにあるべきなのか。また、今年度設立50周年を迎えた西駒郷がどのような役割を果たしていくべきなのか。阿部知事のぬくもりのある御所見をお伺いをいたします。  次に、当時の山本部長は、西駒郷の今後は県立施設としての役割について検討会議を設置して協議している。老朽化した施設は検討会の報告を踏まえ、西駒郷が障害者の地域生活を支援するために今後果たすべき役割を明確にした上で必要な施設整備を検討してまいる、こう答弁をされました。  そこで伺いますが、今、外部の有識者を含めた検討会の報告はどのようなものなのか。検討会の報告を踏まえ、障害のある人にとって利用しやすい県立の施設としての役割を果たすために、速やかに具体的にその整備を進めるべきだと思いますが、大月部長の御所見をお伺いいたします。  次に、長野県障害者プラン2018では、今後の6年間で充実していく重点施策の一つとして社会参加の促進を挙げ、障害者が生きがいのある充実した生活を送るため、障害のある人の就労、スポーツ、文化芸術活動等、社会参加の促進を図るとあります。  西駒郷におきましても、豆腐やどら焼きなどの製作販売を手がけているまめ匠や、小物の製作など就労に向けた活動は行われております。しかしながら、利用者の社会参加にはまだまだでございます。また、地域生活移行が進み、利用者の方々はいずれも西駒郷が所在する地域で生活をされておりますが、施設を支える地域の方々とほとんど交流がない状態でございます。  先ほども申しましたが、障害者プランでも障害のある人もない人も地域社会の一員として、誰もが人格と個性を尊重される共生社会を目指すと掲げております。  そこで伺いますが、私は、現在検討が進められております新しい西駒郷で、利用者の社会参加を図り、施設を地域で孤立させないため、利用者と地域住民など外部の方の交流を強力に進めるべきだと考えますが、大月部長の御所見をお伺いをいたします。  さて、私は、この8月に、石川県金沢市のシェア金沢と佛子園を調査研究をしてまいりました。ここは、障害のある方や高齢者、子供から大人、また大学生など、地域で暮らす全ての人々を対象としたまちづくりをしております。そして、この4月、駒ケ根市に本部を移転した公益社団法人青年海外協力協会、JOCAとも申しますが、こことも連携をしております。利用者と地域の皆様との交流を図るためには、このJOCAとの連携も必要と考えますが、大月部長の御所見をお伺いをいたします。  また、現在の西駒郷は、地域との交流を行うための機能と設備はありません。今後、西駒郷を地域に開かれた施設としていくためには、利用者と外部の方が交流を図ることができる施設を併設することが私は望ましいと思いますが、これも大月健康福祉部長の御所見をお伺いし、第1回目の質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)西駒郷に関連いたしまして、これからの障害者福祉のあり方、そして、西駒郷がどういう役割を果たしていくべきかという御質問を頂戴いたしました。  まず、障害者福祉でありますが、私は、誰にでも居場所と出番がある信州をつくるということ、これは、しあわせ信州創造プランの最初のプラン、そして今回の2.0、いずれも引き継いで取り組んでいこうというふうに考えております。障害がある方もない方も、本当に自分らしく生きていくことができる長野県をつくっていくということが大変重要だというふうに思っております。  そういう中で、幾つか観点を申し上げますと、一つは、やはり全ての人たちが相互に理解を深めていく、心のバリアフリーを進めていくということが重要だと思っております。とかく障害を理由とした不当な取り扱いを受けてしまうということがまだまだ社会全体ではありがちでありますけれども、しかしながら、全ての皆さんがやはり心を通じ合わせることによって、お互いを理解し、尊重し合って、支え合う、そうした社会をつくっていきたいと思っております。  そしてまた、さまざまな障害の種別があります。また、形状もさまざまあります。そうしたことにかかわらず、みずからが選んだ地域で自分らしく暮らしていただけるような支援を行っていくことが必要だと思っております。これは、保健であったり、医療であったり、福祉であったり、教育であったり、こうしたさまざまな分野、縦割りではなくて、あらゆるステージに応じた切れ目のない総合的な支援を行う環境をさらに充実させていきたいというふうに思っております。  そして、そうしたことに加えて、やはり障害者の方たちが生きがいを持って充実した人生を送っていただくということが重要だと思っております。そのためにも、就労の促進やスポーツ、文化活動、こうしたことにも積極的に御参加いただくことができるような環境をつくることによって、その方らしい生きがいのある充実した人生を送っていただきたいというふうに思っております。  こうしたことを目指して、これからも引き続き誰にでも居場所と出番がある長野県づくりに積極的に取り組んでいきたいと考えております。
     それから、西駒郷の今後の役割についてという御質問でございます。  50周年という節目の年を迎えることができましたこと、関係の皆様方に心から感謝申し上げたいと思います。地元駒ケ根市、宮田村の皆様方を初め、本当に多くの皆様方、地域の皆様方の御支援、御協力のたまもので50周年を迎えることができたというふうに思っております。これからも地域の皆様方の支えを得ながら発展をさせていくことが必要だと思っております。  新しい西駒郷の役割につきましては、現在、整備検討会で御検討いただいているところでございますが、全県の各圏域におけるセーフティーネットの補完の役割や県全体を先導する障害者の方々の地域生活移行の推進役としての役割、さらには、地域で生活する障害者を支援するモデル施設としての役割、こうした方向性が出されてきているところでございます。  私としては、こうしたことに加えまして、先ほど佐々木議員の御質問の中にもありましたように、やはり外部の方たちとの積極的な交流が図られるような、施設が孤立するのではなくて、先ほど御質問にもありましたJOCAのような非常に意欲的な方々も駒ケ根に大勢いらっしゃいますので、そうした方々のお知恵、お力もかりながら、ノーマライゼーションの理念が具現化する場として、多くの方たちが交流する、活動する、そうした共生の拠点となり得るような場にぜひしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)西駒郷につきまして順次お答え申し上げます。  検討会の報告を速やかに具体的に整備を進めるべきということについてでございますが、西駒郷あり方検討会の報告では、西駒郷の課題として、地域生活支援体制の整備推進や入居者の重度化、高度化、施設の老朽化などを指摘しております。それに対する方向性として、西駒郷が県立施設としてセーフティーネットの確保や地域生活移行の一層の推進といった役割を担うほか、施設運営の見直しとして、入所支援が必要な障害者が高齢になっても安全で安心して過ごすことができる居住の場とすること、日中活動系サービスの民間への譲渡の検討、障害の特性に配慮した人材の育成などを挙げております。  現在、あり方検討会の報告に沿って西駒郷整備検討会で具体的な検討を行っておりますので、今後報告がまとまったところで県としての検討を行い、新しい西駒郷の具体的な整備に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、西駒郷の利用者と外部の方との交流についてでございます。  福祉施設の利用者と外部の方との交流は、長野県がまさに目指す共生社会の実現という理念で一致しております。交流を進めることにより、利用者自身の生活の質の向上、一般就労への円滑な適応、将来の地域生活移行の促進、さらには地域住民の障害者への理解促進などさまざまな効果が期待できますし、何より地域や社会が変わる大きなきっかけになると考えております。  新しい西駒郷では、開かれた施設として外部の方との交流を多方面から強力に進めていくことが必要と思われます。その方策について西駒郷整備検討会において御議論いただきたいと考えております。  次に、JOCAとの連携についてでございます。  公益社団法人青年海外協力協会、JOCAは、この4月に東京から駒ケ根市に正式に本部を移しました。現在では約30人の青年海外協力隊のOB、OGからなる職員が駒ケ根駅前商店街の事務所で団体本部の業務のほか、地域の課題を解決する活動に取り組まれております。  現在、JOCAは、駒ケ根市を含め全国6カ所で地方創生事業に取り組まれており、特に石川県輪島市においては、地域に開かれた福祉施設の運営で定評のある社会福祉法人佛子園と連携して障害者を含むまちづくりを行っております。  JOCAの皆さんは、新たな発想、まちづくりのノウハウを持つことから、9月6日にJOCAを訪問し、まちづくりの中核の職員の皆様と懇談をさせていただきました。西駒郷のエリアは、JICAの訓練センター、看護大、魅力ある企業、農業法人等にも恵まれており、JOCA、駒ケ根市とさまざまな皆さんと連携することで丸ごと共生社会の実現にふさわしい場所と考えております。しっかりと連携の方法を検討してまいります。  最後に、利用者と外部の方が交流を図ることができる施設についてでございます。  交流というキーワードは新しい西駒郷の運営において重要な柱として認識しています。交流には施設は必要なものでありますが、まずは西駒郷を舞台としてどのような交流が可能かについて西駒郷整備検討委員会や関係者の皆様と議論を深めていくことが必要と考えております。その次の段階として、交流を実現するために必要な施設は何であるかということについて西駒郷整備検討会で御議論いただき、具体化していくべきものと考えております。  以上でございます。       〔48番佐々木祥二君登壇〕 ◆48番(佐々木祥二 君)次に、一石三鳥の林業再興戦略、新規分野について伺います。  これからの林業で一番期待される施策は、新規の建設素材としての利用であると思います。2013年、スイスのチューリッヒに日本人の建築家が設計をした木造の7階建てオフィスが完成いたしました。ここに使用されている木材は、CLTと言われる集成木材であります。耐火や耐震の性能も実物規模の建物で実験をされ、高層建築への利用が認可されております。  日本は55%が木造という木造建築大国でありますが、このような新規の分野では相当出おくれております。実際、フランス、イタリア、イギリス、スペイン、オランダなど、8階建てから9階建てのCLTの建物が認可され、ウイーン郊外には7万平米の木造ショッピングセンターがあり、ロンドンでは、1階が鉄筋コンクリートであるものの、2階から9階までCLTの木造集合住宅が実現していると聞いております。  これが日本で普及すれば、住宅だけでなくオフィスや商業施設に木造建築が採用され、結果として林業を再生し、森林を保全し、国内で供給可能な再生可能資材を活用するという一石三鳥の効果が期待されております。  そこで伺いますが、民間の推進組織が設立され、政府も関係省庁が連携をして進めていく方向のようでございますが、CLTの将来はどのようになるのか。林務部長の御所見をお伺いをいたします。  また、林務部長は、最近海外調査に出かけたとお聞きいたしました。CLTに代表される新たな木質の建築素材の都市部等での普及を通じた長野県林業の再生の可能性をあわせて林務部長にお伺いをいたします。  次に期待される戦略は、木材を燃料とする発電だと思います。これまで価格が安かったため普及しませんでしたが、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度によりまして、バイオマス発電が実用化され、これからも間伐が進み、山がきれいになり、林業も進展し、森林も保全され、ここも一石三鳥の施策であると思います。また、発電だけでなく、地域密着型の熱供給システムや熱を利用した冷暖房システムを導入している例もあるとお聞きいたしております。  そこで伺いますが、地域密着型の小規模な木質バイオマス利用のあり方や今後の方向性についても林務部長の御所見をお伺いいたします。  次に、1960年(昭和35年)でございますが、木材自給率は90%でありました。50年後、平成22年には26%になり、昭和55年、木材の総生産額は9,700億円あったものが、30年後の平成22年には1,900億円となり、2割以下に減ってしまいました。山林経営者では、20ヘクタール以上保有している家族経営の林家は、平成22年でございますが、年間所得は何と10万円にしかならない、驚くべき数字になっております。これではだめなんです。  森林は、木材を生産するだけでなく、水源の涵養、酸素の産出、土砂崩落の防止、緑の効用などなど数多くの役割があり、それらを金額に換算いたしますと、全国で70兆円余、長野県では3兆681億円にもなると推計されております。  そこで伺いますが、我々人間が最も必要な森林の多面的機能を将来にわたって維持していくためにも、森林の整備、保全に直結する産業であります林業を元気な成長産業として再興することが重要だと考えます。  阿部知事、ここも3期目のスタートに当たり、林業再興に向けた攻めの戦略について、御所見をお伺いをいたします。  次に、山岳遭難防止対策についてお伺いします。  観光振興は、長野県全体の活力を高め、成長していくために欠くことのできないものであります。県では、昨年、長野県観光戦略2018を策定し、その戦略に基づき取り組みを進めていると承知をしております。  この戦略は、目指す姿に、「そこに暮らす人も訪れる人も「しあわせ」が感じられる世界水準の山岳高原リゾート」を掲げており、中央アルプス、北アルプス、南アルプスといった信州の山々は他県にない魅力的な観光資源であり、近年増加している外国人観光客にとりましても登山やトレッキングは魅力的な内容となっております。この魅力的な観光資源を最大限に生かすためにも、安全に信州の山岳を楽しんでもらうための取り組みは重要だと考えます。  山岳遭難の状況につきましては、全国におきまして年々増加している中、長野県では、県や各地区の遭難防止対策協会や山岳関係者の皆さんのさまざまな取り組みが進められており、平成25年をピークに減少傾向にありましたが、本年、夏山で遭難した人は121人となり、1954年(昭和29年)以来最多と聞いております。こうした悲惨な事故を少しでもなくしていくためにさらなる戦略と取り組みが必要だと思います。  先日、私は、同じ会派の宮本衡司議員とともに、本年7月、ホテル犀北館で日本人女性医師として初めて本年5月にエベレスト登頂に成功いたしました大城和恵医師の帰国講演会、「エベレスト山頂からの生還 医師から見た山岳遭難の縮図」を拝聴する機会を得ました。また、一緒に記念写真も撮らせていただきました。  この大城和恵先生は長野県長野市出身で、日本人初の国際山岳医であり、登山家の三浦雄一郎さんが2013年に史上最高齢の80歳で世界最高峰エベレストに登頂した際のチームドクターでもありました。そんなエベレスト登頂までのエピソードなど貴重なお話を拝聴させていただき、山岳遭難につきましても大変高い見識をお持ちの先生と推察したところでございます。  そのような中、長野県は、この10月1日に、大城和恵医師を山岳遭難対策特別アドバイザーに任命したと伺い、大変喜ばしいことと感じた次第であります。  そこで伺いますが、山岳遭難対策特別アドバイザーに就任いたしました大城和恵医師に対しましてどのようなことを期待されているのか熊谷観光部長の御所見をお伺いし、第2回目の質問とさせていただきます。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)林業再興について順次お答えいたします。  まず、CLTの将来性についてですが、国においては、平成28年度にCLTの普及に向けた新たなロードマップが策定され、建築意欲の向上、設計、施工者の増加、コストの縮減等を一層進めていくこととされたところであり、平成29年度末までに全国の都市部等において182件のCLT活用施設が建設されております。  今後は、これまで木材がほとんど利用されていない都市部のマンションや商業施設など中高層建築物等での需要が創出されることで国産材の需要拡大につながることが期待されております。  こうした中で、CLTはさまざまな樹種に対応できるメリットがある一方で、樹種ごとの特性を生かすという点ではまだ課題があります。そうしたことから、本県においては、資源量と強度面で強みがある信州カラマツの個性をより生かすため、新たな木質建築素材として耐火性能を備えた集成材が開発されております。これにより、例えば、東京都江東区の学校や東京オリンピック等に活用されるランニングスタジアム、千葉県柏市の医療施設等に活用されるなど都市部の木造化にこうした工法と信州カラマツが生かされつつあります。  また、県内の木材団体と林業総合センターが開発した信州型接着重ね梁が朝日村新庁舎やJR大糸線一日市場駅舎に活用されるなど、非住宅分野への木材利用拡大にもつながりつつあります。  今後は、平成29年度に信州カラマツの強みを生かすために立ち上げた信州プレミアムカラマツの一層の用途拡大を進めるとともに、外材製品が大半を占めるはり、桁等の横架材の分野でも市場開拓を進め、本県の林業再生につなげてまいりたいと考えております。  なお、先般出張いたしましたオーストリアでは、風土の違いはございますが、CLTを活用した24階建ての高層ビルに加え、新しい4万人規模の木質系のまちづくりが進められており、中層建築物の共同住宅やショッピングモール等の木造建築が当たり前となっている状況で、生産した木材の国内での積極的な利用に加え、国外市場に向けての輸出も盛んに行い、林業、木材産業が同国の主要産業となっておりました。こうした事例も参考にさまざまな取り組みをさらに進めてまいります。  次に、小規模な木質バイオマスの利用についてのお尋ねでございます。  里山など身近な森林資源を生かしていくためには、エネルギー効率の高い熱利用を主体とした木質バイオマス利用の一層の推進が必要と考えております。このため、まずは化石燃料を利用するさまざまな熱利用施設から木質バイオマスに切りかえていくことが必要であり、県といたしましては、これまで温浴施設や学校等への木質バイオマスボイラー整備への支援を進めてきております。  今後の方向性につきましては、バイオマス先進国であるオーストリアの取り組みですとか、複数の施設を配管でつなぎ、熱供給する地域熱供給システムですとか、木質バイオマスによる冷暖房システムなどの国内での先進事例も参考に、市町村や関係部局とも連携し、木質バイオマスの熱利用をさらに進めてまいりたいと考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)林業再興に向けた攻めの戦略についての考えという御質問でございます。  長野県を森林県から何とか林業県にしていきたいということをかねてから申し上げてきております。県土の8割を占める森林が利用可能な段階を迎え、また、佐々木議員の御質問にもありましたように、CLTを初めとする建設用材としての活用であったり、あるいはバイオマスエネルギーとしての活用であったり、こうした用途が非常に拡大しつつある中、これを私たち長野県の林業、森林にとってのチャンスとして最大限生かしていかなければいけないというふうに思っております。  そのため、私としては五つの観点で取り組んでいきたいというふうに思っております。  まず、1番目は体制であります。  先ほども新しい新たな森林管理システムのお話を申し上げましたけれども、今後、森林の経営管理をしっかり行っていくことができる体制をつくって定着させていくということがやはり重要だと思っております。広域的な視点で自立的、持続的な森林管理を行う体制にすべく、新しい森林管理システムの導入に合わせて、市町村や関係機関の皆さんと一緒になって、この森林、林業経営の体制をまずはしっかり整えていきたいというふうに思っております。  また、2点目としては、スマート林業を進めていかなければいけないと思っております。  人口減少社会の中でも、収益性と創造性の高い林業を構築していくということが必要であります。ICT等を活用した技術革新をどんどん進めることにより、生産性の高いスマート林業を進めていきたいと思っております。  そして、3点目は人材であります。  本県には、信州大学の農学部や林業大学校を初めとする教育研究機関が既に存在しているわけでありますが、こうしたものの連携をさらに深め、体制を強化していくことによりまして、全国から森林・林業を学ぶ人が集う拠点にしていきたいと、いわゆるフォレストバレーの形成に取り組んでいきたいというふうに思っております。  そして、4点目がブランド化と販路開拓であります。  信州プレミアムカラマツのような県産材のブランド化をしっかり進めていくこととあわせまして、新しい製品の開発等も進め、販路の開拓を行っていきたいというふうに思っております。  そして、最後、5点目が、先ほど林務部長の答弁にもありましたけれども、海外に視野をしっかり向けて、世界はもうかなり水準が上がって、森林・林業のあり方が大きく変わってきています。私どもも世界の国や地域としっかりつながることによって、そうした地域、国のいいところは積極的に採用しながら、しっかりと世界的な視点の中での森林・林業政策を進めていきたいというふうに思っております。  こうしたことによりまして、ぜひ森林県から林業県への転換を図っていきたいと考えております。  以上です。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)特別アドバイザーへの期待についてのお尋ねでございます。  大城和恵医師は、イギリスにおいて国際登山医学会、山岳救助協議会、山岳連盟の3団体が認定する国際山岳医の資格を日本人として初めて取得され、全国的にも医学的見地からの山岳遭難救助について指導的な役割を担っておられます。本県においても、平成28年度から主要登山口での脱水予防啓発を御指導いただくとともに、今年度は新たに信州山岳アカデミーの講師などをお務めいただいております。  本県の山岳における遭難死亡原因を山岳遭難統計で見ますと、転・滑落、発病、疲労、凍死、凍傷で全体の約8割を占めており、さらに、大城医師による詳細な分析では、外傷、低体温症、心臓死が3大死因として挙げられております。これらは、いずれも脱水により引き起こされる可能性があることから、登山前、登山中、登山後の脱水対策が重要であると同氏は指摘をしております。  このように、信州の山岳での死亡原因等を細かに分析されている大城医師からは、今後、県の特別アドバイザーとして、予防を重視した遭難防止対策はもちろんのこと、万が一遭難が発生した際の応急処置から救助時の対処方法に至るまで、多面的に御助言を賜り、医学的見地からの山岳遭難対策を強化してまいりたいと考えております。       〔48番佐々木祥二君登壇〕 ◆48番(佐々木祥二 君)それぞれ御答弁いただきました。  障害者福祉でございますが、効率主義から快適主義への転換が私は必要だと思いますし、また、西駒郷におきましては、分散社会から複合社会へ転換する必要もあろうかと思います。また、物質的満足から精神的な満足への転換も必要と考えております。知事、よろしくお願いいたしたいと思います。  さて、林業でございますが、知事の提案の長野県営業本部、これはすばらしいと思っております。林業製品も縦割り行政から横割り行政へ、部局間連携もして、民間活力も活用して、新規開拓、販売促進、売れる林業商品開発など、もうける林業を長野県営業本部でよろしくお願いしたいと思います。  山岳遭難対策特別アドバイザーの大城先生でございますが、登山はすばらしい文化。だけど山は何があるかわからない。登山者は、山で起きる最低限必要な応急処置は自分でできることが大切。応急処置は登山技術の一部とも言っております。先生を大いに有効に活用され、少しでも遭難者が減る戦略をお願いいたします。  知事、千利休は、「人の行く裏に道あり花の山」、こういう有名な言葉を残しました。これは、投資家や新規ビジネスや新しい施策を遂行する要諦でもあります。また、成功の秘訣でもあります。そして、その後半は、「いずれを行くも散らぬ間に行け」とおっしゃっております。いつまでも考えていたり、プランづくりをしていたり、検討、検討、会議ばかりでなく、実践、実行することが地方創生の重要な要件であると思います。  これからも現場を熟知され、発想の転換よろしく、日本一魅力ある信州の新時代を開いていっていただくことを御期待し、ちょうど時間となりました。私の全ての質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(鈴木清 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時59分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(小林東一郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  小川修一議員。       〔17番小川修一君登壇〕 ◆17番(小川修一 君)しあわせ信州創造プラン、プロジェクト6「誇りある暮らし実現プロジェクト」の政策評価によりますと、自分の暮らしている地域に誇りを感じている人の割合は、目標には達しないものの80%台前半で推移し、年代別に前年度と比較すると、20代の評価が8.9ポイント上がり、全世代で最も高くなったといいます。  これからの長野県をしょって立つ若い世代が地域に誇りを感じているということは大いに頼もしいことであり、県のこれまでの各施策が実を結びつつあるということであれば大変喜ばしいことでありますが、その要因についてはどのようなことが考えられるでしょうか。小岩企画振興部長に伺います。  また、プロジェクト7「活動人口増加プロジェクト」のアクション分析である公共的活動の支援と協働の積極的推進については、政策評価の基礎資料となった平成29年度の県政モニターアンケートの公共的活動への参加度の調査によると、全世代では58%となっていますが、18歳、19歳と20歳代の若年層の参加度は20%程度にとどまっています。  変化が激しく価値観が多様化しているこれからの時代に対応した県づくりを行っていくには、若者のアイデアや行動力は欠かせず、若年層の参加度をより増加させる必要があると思いますが、対策について具体的にどのようなことを考えているでしょうか。角田県民文化部長に伺います。  若い世代による公共的活動はもちろん、若い世代を巻き込んだ地域づくりを行っていく上で、域学連携は有効な手段であると考えます。域学連携とは、大学生と大学教員が地域の現場に入り、地域の住民やNPO等とともに地域の課題解決、または地域づくりに継続的に取り組み、地域の活性化及び地域の人材育成に資する地域づくりの活動を言います。  学校教育法でも、高等教育機関である大学が教育、研究の成果を広く社会に提供することが求められています。大学では、実践的なフィールドワークの場が必要となり、他方で、高齢化、過疎化が進んだ自治体では若い人材の力を必要としていることや、大学に集積する知識や情報、ノウハウといったものが生かされることから、大学及び地域の双方にメリットがあります。  こうして、県内はもとより全国で自治体と大学との域学連携が進められています。例えば、地域資源の掘り起こしと活用に関する調査研究、空き店舗を活用したカフェでの住民との交流、学生による農作業体験を通じたゼミの研究テーマの探究、介護ボランティア、地域行事ボランティア、学習等のサポート、情報ネットワーク、情報発信による活性化策に関する研究など、さまざまな分野で自治体と大学との連携協定が締結され、地域の現場に大学がかかわり、大学のさまざまな資源を活用して課題解決に取り組んでいます。  今月2日の新聞報道によれば、長野県立大学で学生が地域とのかかわりを深める動きが活発化しているとの記事。県立大が既に長野市、飯山市と包括連携協定を結び、本日は千曲市と提携するとの記事が掲載されました。そこでは、大企業に行くことがよいことと思っていた学生が、地域に踏み出したことで意識が変わったとの感想も掲載されていました。  また、一昨日の村上議員の代表質問では、若者の都市からのUIターンについて御質問がありました。知事は、まち、人、仕事が重要で、空間の居心地、人と人との触れ合い、つながりの場、若い人たちが働きたくなる場をつくる。インターンシップや就労支援に力を入れるという趣旨の御答弁もされておりました。  域学連携で地域に入った大学生は、将来、かかわった地域で起業や新規就農などで移住、定住をすることも考えられます。域学連携は、県外の人材定着、あるいは関係人口、つながり人口の増加にも寄与すると思います。  また、地域に根差した学びである信州学に取り組む高校生や、地域の他の仲間との交流、そして、今月から県が導入した社会貢献職員応援制度との相乗効果によって、さらに若い人材力に広がりを見せることを期待しております。  そして、県は、みずからはもちろん、市町村がどこの大学とどういう協定を締結しているか、その分野は何かといったことも承知されているかと思います。大学と協定を締結する分野は、それぞれの自治体が伸ばしたい、力を入れたいと思っている分野であるはずですから、そうした中から市町村のニーズ、課題も把握でき、施策に生かすことができるでしょう。  そこで、自治体と大学双方にとってメリットがある域学連携について、現状はどうなっているでしょうか。また、域学連携によってこれまで生じてきたさまざまな課題、そして県のかかわり方についてはどう捉えているでしょうか。角田県民文化部長に伺います。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕
    企画振興部長(小岩正貴 君)自分の暮らしている地域に誇りを感じている人の割合が20代で上がった要因ということで御質問いただきました。  平成29年度の県政モニターアンケートの結果では、自分の暮らしている地域に誇りを感じる人の割合が全体では81.8%でございました。これに対しまして、年代別で見ますと、20代が94.6%ということで全体を通じて最高となってございます。この20代の評価が全体を上回るという傾向は平成26年度から続いております。  では、具体的にどういった部分に誇りを感じるのかというところでございますが、同じ調査の中で、景観、歴史文化遺産、文化芸術活動などの項目を挙げて調査をしておりますが、最も高かったものが豊かな自然環境でございます。この豊かな自然環境の割合が、全体が83.9%であるのに対しまして20代では91.4%という結果になってございます。この部分が20代全体としての評価を押し上げている要因になっていると分析をしているところでございます。  以上でございます。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)若い世代の公共的活動への参加度の増加対策についての御質問です。  公共的活動への参加につきましては、自治会が行う地域活動、消防団活動、あるいはNPOや公益法人の活動、さらには災害復興のための募金に応じることなど、非常に幅広い参加の方法がございます。柔軟な発想力と行動力を持つ次の世代を担う若者が地域社会と多様なかかわりを持つことによって地域の活力増加につながっていくことが期待できるものというふうに考えております。  そのような観点から、しあわせ信州創造プラン2.0では、県と若者を含む多様な主体との連携協働を位置づけまして、例えば、信州ACEプロジェクトについてSNSを活用した情報発信で県内大学生に協力いただく取り組みを初め、県としても若者との協働事業に積極的に取り組んでおります。  あわせて、長野県みらい基金を通じた資金助成や運営セミナーの開催により、公共的活動の担い手となるNPO法人の活性化を促す取り組み、さらにはNPOと大学生をつなぐための情報発信の取り組みを通して若者の参加意識を高めるなどし、公共的活動への参加を促進してまいりたいというふうに考えております。  次に、域学連携の現状と課題、県のかかわり方についてでございます。  まず、現状でございますけれども、活動期間は1カ月から数日とさまざまではありますけれども、昨年度、県内外の80の高等教育機関、これは大学、大学院、短期大学、高等専門学校を指しますけれども、80の高等教育機関の学生約1,800人が県内38市町村の現場に入り、フィールドワークや地域活動等を通じまして、例えば、特産品開発や観光資源開発による過疎地の活性化策や、在宅看護、介護の質の向上など、地域課題の解決や地域づくりに取り組んでおります。  県では、地域振興局とも連携しながら、元気づくり支援金を活用して学生と市町村等との連携事業を重点的に支援するなど、地域における若い世代との協働を推進しております。こうした域学連携により、大学生の課題解決能力が育まれたり、学生目線で地元の強みが捉え直されるなどの効果がある一方で、特定の大学と市町村との1対1の関係にとどまるケースもあるといった課題が挙げられます。県といたしましては、域学連携の状況を継続的に把握し、効果的な活動事例や連携協定締結へとつながるような成果を市町村に情報提供することで、県全体への波及を図ってまいりたいというふうに考えております。       〔17番小川修一君登壇〕 ◆17番(小川修一 君)しあわせ信州創造プラン、プロジェクト8「教育再生プロジェクト」の政策評価によれば、小中学校の学校満足度、基礎的・基本的な内容の定着度が全国平均より高い児童生徒の割合、学習したことを実生活の場面に活用する力が全国平均より高い児童生徒の割合が全て目標値を下回っていますが、これらの要因、対策についてはどのようなことを考えているでしょうか。  特に、基礎的・基本的な内容の定着度が目標値を下回ったということについては、授業において形ばかりになってしまい、子供が主体となっていない授業があることなどが原因と考えられると分析されています。確かに、最初は形から、フォームから入ることが大切でありますが、しかし、目的は児童生徒に基礎的・基本的な内容を定着させることであり、先生が形どおりの授業をすることが目的ではありません。このことは真剣に考えていただきたいと思います。  私は教育の専門家ではありませんが、基礎がなくては応用もできないということ、基礎的・基本的な内容の定着が不十分なうちは児童生徒が自分の考えをまとめて実生活の場面で活用する力もつけにくくなってしまうだろうということは想像がつきます。  しあわせ信州創造プラン2.0の根幹である学びの県づくりでの取り組みは、「生きる力と創造性を育む教育の推進」において取り組むであります。将来の長野県や我が国を担う生きる力と創造性を身につけた人材を育成するためには、児童生徒の基礎的・基本的な内容の定着を十分にできる授業が求められます。児童生徒が内容を理解できれば、授業も楽しくなり、ひいては学校満足度の向上にもつながるはずです。  そこで、基礎的・基本的な内容の定着度において授業が形ばかりになってしまったと分析されている点について、そうした評価を踏まえ、改善していくための取り組みについて原山教育長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)小中学校に係る政策評価の結果についてのお尋ねでございます。  評価指標のうち「基礎的・基本的な内容の定着度」、それから、「学習したことを実生活の場面に活用する力」、これは、それぞれ全国学力・学習状況調査の算数・数学のA問題とB問題に係る指標であります。子供たちに学力をつける効果的な授業改善が進まなかった結果、これらの指標が目標を下回るとともに、その結果として学校満足度も伸び悩んだものというふうに分析をしております。  では、授業改善が進まなかったのはなぜかということでありますけれども、県教育委員会として、これまで、先進事例の提供でありますとか授業モデルの提示など情報提供型の全県一律の支援を行ってきたために、学校現場の理解が形式的なもの、まさに形ばかりにとどまり、その本質的な意味が理解、浸透されにくかったのが原因の一つだろうというふうに分析をしております。このことは、昨年度学校訪問して全ての小中学校長と懇談するということを行いましたけれども、その中でも感じてきたところでございます。  そこで、県教育委員会の支援のあり方を村石議員の御質問に三輪教育次長が御答弁したとおりでございますけれども、情報提供型の支援から学校伴走型の支援へと転換し、学校全体での授業改善の取り組みを加速させ、調査問題や調査結果を授業につなげることや補充的な学習、さらには教科や教科の枠を超えた探究的な学習などを重視させ、学力向上とともに結果としての学校満足度の向上も図ってまいりたいというふうに考えております。       〔17番小川修一君登壇〕 ◆17番(小川修一 君)これまでの情報提供型から学校伴走型の支援へとつなげるということで、県教委の各種取り組みに期待しております。また、現場の先生方には、多忙をきわめる中、大変かとお察しいたしますが、奮起していただいて、使命感を持って取り組んでいただきたいと思います。  次に、グリーンスローモビリティーの活用についてお尋ねします。  2015年に締結されたパリ協定に基づき、我が国では、低炭素化社会の実現のために、環境、経済、社会の統合的向上を具体化した取り組みが求められています。この考え方に基づき、国土交通省では、地域が抱えるさまざまな交通課題の解決と地域での低炭素型モビリティーの普及を同時に進めることができるグリーンスローモビリティーの推進を始めたとのことです。  グリーンスローモビリティーとは、電動で時速20キロ未満で公道を走る4人乗り以上のモビリティーをいうそうです。CO2排出量が少ない電気自動車は家庭用のコンセントで充電が可能であり、ガソリンスタンドが撤退した地域でも運行が可能です。また、時速20キロ未満の低速のため、高齢者でも運転しやすく、将来の自動運転との親和性もあります。現時点で想定されている車両は、4人から7人乗りのゴルフカートタイプ、または10人乗りや16人乗りの電動低速バスタイプとのことです。  私がグリーンスローモビリティーの活用場面として浮かんだイメージは、私の地元、千曲市でいえば、姨捨の駅から棚田までの移動、あるいは県立歴史館から森将軍塚古墳への移動といったものが浮かびました。  県内各地で新たな観光資源としての役割に期待できると思います。特に、信州、長野県が持つクリーンなさわやかなブランドイメージにも合致するものだと思いますが、また、高齢者ドライバーでも運転がしやすいということから、免許返納が課題となる中、活用方法によっては地域公共交通としての役割にも期待ができるのではないでしょうか。  こうしたさまざまな可能性を秘めているグリーンスローモビリティーについての所見を小岩企画振興部長に伺いまして、私からの質問を終わります。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)グリーンスローモビリティーについての御質問でございます。  このグリーンスローモビリティーは、SDGs未来都市であります本県にとりまして大変関心の高い移動手段であるというふうに捉えております。  現在、県内では、飯田市におきまして、土日祝日に10人乗りのバスで飯田駅と動物園などを結ぶ中心市街地の移動手段として運行されているという実績がございます。また、県外ですと、富山県の黒部市や群馬県の桐生市で温泉街の周遊等に利用されているものと承知をしております。  このような観光客向けのモビリティーとしての観光定期バスやイベントでの活用のほか、道幅が狭く、従来の車両では入れなかった地域での移動手段としても活用できると考えてございます。御質問がございましたように、高齢者でも運転可能であるということ、また、将来的には自動走行への転用も考えられるということで、今後幅広い可能性が感じられるところでございます。  県といたしましては、市町村のほか、交通事業者や観光関係者に対しましてこのモビリティーの存在について広く周知をしますとともに、地域の足や観光面での具体的な利活用施策に対しましてともに考えてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○副議長(小林東一郎 君)次に、藤岡義英議員。       〔15番藤岡義英君登壇〕 ◆15番(藤岡義英 君)順次質問いたします。望月高校の廃止の手続について質問いたします。  教育委員会は、望月高校廃止に同意を求める議案を9月議会に提出されました。地元の望月地区の住民の皆さん、同窓会関係者の方々は、苦渋の選択で望月高校の廃止を受け入れようとされています。それは、廃止後、長野西高校通信制のサテライト校として、今後も一定の規模の生徒を受け入れる教育環境とそれに対応した教職員の体制が存続されることを条件としているからであります。しかし、現時点においても具体的な方針が示されず、廃止だけが決定し、進んでいく状況に、地元住民は不信感を強めております。募集生徒数の規模、その規模とカリキュラムに対応する教職員の体制の具体化など方針を定めてから廃止の手続に入るべきではないかと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  小山県議の質問と重なる質問は省略いたしますが、小山県議の質問に対し、サテライト校の初年度の入学者は約100人を見込んでいるとの答弁がございました。3年から4年の学校生活と考えると、300人から400人規模かなと想像いたしました。その規模で毎日通学型、キャリア教育の対応、地域と生徒をつなぐコーディネーターなど、多様な学びを支援する新たな体制と考えれば、教職員体制についても一定の見込みを出せるのではないでしょうか。  望月サテライト校には何人の教職員が常駐されるのか、長野西高から何人の先生が行き来されるのか、その合計人数はどれくらいか、今議会中にお示ししていただきたいと思いますが、いかがですか。教育長にお聞きいたします。  今議会で望月高校廃止に同意を求める議案が提出されたわけでありますが、いまだに地域の不安は解消されておりません。できれば次の11月議会に提案を延ばしていただき、地元地域で不安解消に取り組んでほしいと私は考えます。なぜ今議会に提出しなければならないのか、その理由を教育長にお聞きいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)望月高校に関するお尋ねでございますが、最初の望月高校の廃止の手続に関する質問に関しましては、本定例会に事件案を提出する理由の御質問に対する答弁と重なってしまいますが、まずそこから入らせていただきたいと思います。  高等学校設置条例第3条には、「高等学校を統合又は廃止する場合は、統合又は廃止に係る当該高等学校の生徒募集定員を決定する前に、議会の同意を得なければならない。」と定められているところであります。望月高校は、平成29年に第1期高等学校再編計画における再編基準に該当し、住民説明会等を開催して今後の望月高校のあり方について検討を進めてきたところでございます。同年11月、佐久市、もちづき教育未来会議、望月高校同窓会の3者による望月地域への高校教育の場の確保等を内容とする要望書の提出を受け、同年12月、教育委員会定例会において、望月高校に長野西高校通信制サテライト校を設置する方向で検討することを決定したところであります。本年、あり方検討準備委員会及び校内準備委員会を設置し、新たな学びの場であるサテライト校の設置に向けて地域の皆さんとともに検討を行っているところでございます。  生徒募集定員でございますけれども、来年度の長野県立高等学校の生徒募集定員を決定するのはこの10月下旬の教育委員会定例会でございまして、そこで望月高校の募集停止を決定する予定でございます。したがって、その手続上、その直近の議会である本議会に望月高校の廃止について議会の同意を求める事件案を提出したところでございます。  そして、具体的な方針という話でございますけれども、望月のサテライト校の目指す姿につきましては小山議員にお答えしたとおりでありまして、この方針に基づき、地域からの要望も踏まえ、具現化を図っていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。  次に、教職員体制についてのお話でございます。  今回計画しているサテライト校におきましては、平日毎日学校が開いていて、生徒が希望に応じて登校し、ICTを活用した個別最適化の学びや地域での体験的な学び等により個々のニーズに応じた学びができる環境を整えることを想定しているところでございます。  また、新たなサテライト校でどのような授業を受けられるか、地域資源を活用したどのようなキャリア教育が期待できるか、また、高校生活を送る上でどのような支援が受けられるか等についての検討も必要になります。  このような学びを進めるためには、学びのガイド役や生徒と地域の方々をつなぐコーディネーター役としてなどの教師の役割も変わってくるんだろうというふうにも考えております。さらには、地域の方々や外部人材の皆さんも含めた形を考えていくことも必要であると思っております。  したがって、このような従来と異なる仕組みについてしっかり対応できるよう、体制の整備を検討してまいりたいと思っておりますので、先ほどの具体的に何人の教職員かというのは、具体的に何を実行していくかということを詰めていく中で決まってくるものだというふうに思っておりますので、今ここで何人というめどを示すような段階ではないというふうに思っております。  以上でございます。       〔15番藤岡義英君登壇〕 ◆15番(藤岡義英 君)私は、生徒数の見込みが決まれば教職員の体制の見込みも出せると思っております。議案を出すタイミングが来年の入試を控える県内の中学3年生にとってはぎりぎりだということは理解いたしました。  地域の意見の中では、従来の通信制の枠組みの継続では、生徒は子供の数に比例して減少し続け、数年もすれば、再びサテライト校の存否のみならず通信制自体の存否の議論さえ起こるのではと不安の声が寄せられております。学校の規模、教職員は何人体制の見込みになるか、具体的な将来像が明確に示されなければ地元での納得は得られないと思います。早期の具体的方針の決定、地元住民への説明、不安解消についても具体的方法を示していただくことも強く要望したいと思います。  たった2年の基準が下回っただけで、90年もの歴史があった高校が、どんなに地元が存続を求めていても問答無用に廃止の方向へ進められてしまいました。今後進められる第2期再編のやり方を予測させるものだったと私は感じております。これからも、地域の声を聞かずに、期限を切って高校統廃合を推し進めていくつもりでしょうか。教育長にお聞きいたします。  教育委員会は、高校改革~夢に挑戦する学び~の実施方針を決定いたしました。この方針では、2021年3月には全ての地域の再編計画を確定するとのことですが、仮に、今後旧12通学区単位で設置される予定の地域協議会などで、たとえ生徒が減っても、クラスが少なくなっても、規模が小さくなったとしても、再編対象に上がった高校を残したいという意見が出た場合、どう受けとめられるのか。教育長に御所見をお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、基準の適用のあり方についてでございますけれども、第1期長野県高等学校再編計画、これは県議会での御議論を経て作成されたものでありまして、1学年2学級規模の定員に満たない学校に係る再編基準を定めており、望月高校はこの基準に該当したことから、これに基づき検討し、その結果、同校を廃止するとともに、地域からの要望を受けて、同校の施設を活用し長野西高等学校の通信制サテライト校を設置する方向で検討を進めていくということになったものでございます。  また、今回の高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針では、都市部存立校、中山間地存立校等の基準を設けるとともに、旧12通学区ごとに設置する高校の将来像を考える地域の協議会で、地域とともに高校のあり方を検討することとしているところでございます。  再編対象校に係る地域協議会の意見の受けとめでありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、9月に策定したこの実施方針においては、都市部存立校、中山間地存立校等の基準を設けており、この基準に該当した場合には再編対象校として検討を進めていくことになります。地域の協議会におきましては、再編等に係る基準を踏まえ、地域の将来を見据えた高校の学びのあり方について議論を進めていただきたいというふうに思っております。       〔15番藤岡義英君登壇〕 ◆15番(藤岡義英 君)たった2年の基準を下回ったということで90年の歴史が閉じる。大変残念であります。地域の声として地元の高校を残したいとの結論が出れば、それは地域自治として尊重すべきだと私は考えます。また、望月高校のように問答無用に廃止に追い込むようなやり方を今後全県に広げるようなことがあるならば、それは絶対に認められないことを申し上げて、次の質問に移ります。  大北森林組合の補助金不正事件問題について質問いたします。  この問題が発覚してから間もなく4年が経過いたします。8月の選挙で当選された知事は、インタビューで、誠実に最善を尽くしてきたとコメントされておられました。果たしてそうなのでしょうか。振り返りながら質問したいと思います。  この間、大北森林組合補助金不正受給検証委員会、以下検証委員会、の議事録を改めまして公文書公開請求いたしました。この中身を見てみますと、事件が正式に発覚したとされる平成26年12月以前に、組合の事業で未完了のものがあることを8カ月前の平成26年4月、半年前の6月、そして11月と、再三北安曇地方事務所から報告されていたのに本庁林務部が対応していなかった問題について、一切検証委員会で議論された痕跡がありませんでした。議題にも上がっていないことが明らかになりました。4月に報告があったという説明資料は委員会に提出されていたようですが、第三者によってこの問題が議題として取り上げられず、検証されていなかったことは重大だと考えます。  特に、事件公表の半年前、平成26年6月18日、本庁林務部の3課の職員が複数、北安曇地方事務所を訪れた、いわゆるSP巡回のときに地方事務所職員から詳細に報告があったにもかかわらず放置していた問題。この問題の検証が検証委員会で行われていないのであれば、一体どのタイミングで第三者の方々の間で検証されたのでしょうか。一度も第三者によって検証されていないというのが事実ではありませんか。この事実について林務部長に御所見をお伺いいたします。  この事件について、県は、これまで検証委員会、組合と中村被告の公判を受けて行われた再確認という県内の内部調査、法的課題検討委員会、11名の県職員に行った監査委員のヒアリング調査の4回の機会に検証、調査を行いました。果たしてこの4回の機会が第三者委員会的なものだったのでしょうか。また、誠実で最善なものだったのでしょうか。  4点、知事にお聞きいたします。  1点目、検証委員会についてですが、その特徴は、県自身が調査を行い、実態を解明したものについて3名の委員が検証することを基本としております。事実、検証委員会での議論の中でも、高橋委員長が、この委員会の設置目的が県の調査を踏まえた実態の解明の検証、検証委員会であり調査委員会ではないと認めております。県の調査を委員が検証することで客観性を担保しようとしておりますが、7年間にもわたり700件以上もの不適正な事業が行われていたという実態を、3カ月余りの期間に3名の委員だけで公正、中立に検証することは私は不可能だと考えます。また、調査主体の県にとって不利な情報が委員に提供されない可能性があることも否定できないと考えてしまいますが、いかがでしょうか。御所見をお聞きいたします。  2点目、検証委員会の委員長の高橋弁護士は長野県の契約弁護士です。平成14年からこれまでずっと契約されているとのことでありますが、日本弁護士連合会が策定した企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインによりますと、第三者委員会の独立性、中立性を保つためには、企業等と利害関係を有する者は委員に就任することができないとしております。注意書きで、顧問弁護士は利害関係を有する者に該当すると書かれてあります。このガイドラインに基づけば、この検証委員会はガイドラインの指針に反する委員で構成されていることになりますが、いかがでしょうか。  ちなみに、知事は法的課題検討委員会の委員の選定時にはこのガイドラインを参考としながら選定を行っていきたいと述べておられました。御所見をお伺いいたします。  3点目、組合と中村被告の裁判で、当時、北安曇地方事務所職員が、本庁職員が未完了事業の実施を認識していたと想像する。本庁は闇繰りを前提に予算消化を押しつけてきたと私は捉えたと証言しました。検証委員会の最終報告書の内容を覆す証言でしたので、大変大きな衝撃を与えました。この裁判後、再確認という県の内部調査、法的課題検討委員会、監査によるヒアリング調査と3回の検証機会がありました。設置目的は違いますが、それぞれ事件について調査、検証し、結論を出されております。  私たちはそれぞれの機会にどのような議論、プロセスを経て結論に至ったのか、会議議事録や職員へのヒアリングの内容などを公文書公開請求いたしましたが、和田県議の代表質問でもパネルで示されたように、一切公開されませんでした。結論を出すまでの過程で必要な資料が全て提出されたのかもわからない。正しく結論が出されたのか、議論の内容や検証するシステムが適正だったのかを県民がチェックすることができません。結論だけが押しつけられている状態です。これでは納得できないのは当然だと思いますが、どう受けとめられておられるか、御所見をお伺いいたします。  4点目、以上のことから、県が第三者委員会と位置づけているそれぞれの検証機関が公正、中立で客観的な本来の第三者委員会的なものだったのかは疑問であり、検証結果に至ったプロセスも全く見えず、密室非公開の中で出された結論だけが押しつけられているだけにしか感じられません。知事は誠実に最善を尽くしてきたと言われましたが、私は誠実に最善を尽くしているように見せているだけにしか感じられません。いかがでしょうか。  以上4点を知事にお伺いいたします。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)大北事案に係る検証委員会の審議内容に関するお尋ねでございます。  平成26年4月からの経過につきましては、平成27年1月29日に、これまでの経過と、早期の事業完了を求めるといった不適切な事務処理が行われていたことを公表し、会見において説明させていただいております。さらに、この内容については、平成27年4月15日に開催した第1回の検証委員会において公表資料を提出、説明し、委員の皆様に御理解をいただいております。 こうしたことも踏まえ、平成26年4月からの経過を含めた検証をいただいており、報告書には検証委員会の皆様の認識が反映されているものと考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大北森林組合事件に関連して、検証委員会、あるいは法的課題検討委員会、そうした場での取り組み、公正さ、中立性、こうしたことについての御質問であります。  まず、検証委員会であります。これにつきましては、2,000件を超えます大北森林組合からの補助金の申請案件に対しまして県として行いました書類の調査、現地調査、あるいは県と組合双方の職員からの聞き取り調査について適正に行われたかどうか検証いただいたわけであります。  また、検証委員会におきましても、必要なものに対しましては、直接書類の調査や現地調査、さらには県職員、組合職員の聞き取り調査、こうしたものを行っていただいておりまして、単に私どもが提出した資料だけを見ているということではありません。  また、検証に当たりましては、委員のほかに委員補助員2名を委嘱しております。徹底した調査と入念な御検討、御審議をいただいた上で専門的かつ客観的な観点から公正、中立な検証を行っていただいたものというふうに考えております。  県にとって不利な情報がないんじゃないかというようなお話もございましたが、県にとって不利というのがどういうものを指すかというのは立場によって違うと思いますが、私としては、これは県民の代表として取り組んできているわけです。検証委員会の検証の中でも、これは予算消化を目的とした不適正な申請の依頼であったり、行き過ぎた助言であったり、県の組織にとって厳しい指摘をいただいているわけであります。県民の立場からすれば当然の御指摘だというふうに私は思っておりますけれども、こうしたアウトプットを見ても、公正、中立な検証を行っていただいたものというふうに考えております。  それから、委員、弁護士の部分でありますけれども、本県の契約弁護士制度につきましては、これは県が弁護士に容易に法律相談を行うことができるようにあらかじめ契約を結んでおいて法律相談を受けていただくというものであります。これは、県の代理人としての立場に立つものではありませんので、このことによりまして第三者性が否定されるものではないというふうに考えております。  それから、検証プロセスの公表についてということでございます。この事案は、極めて重大な事案でありますので、外部の専門家の御協力、あるいは監査委員にも監査をいただきながら、その場面、その場面で対応を行ってまいりました。プロセスにつきましてもその都度丁寧な御説明をさせていただきながら行ってきたところでございます。  委員会の検討におきましては、これは委員会が自立的に検証、検討をいただいているわけでありまして、私どもは、委員の皆様方の御指示、御要望に基づいて必要な対応、資料の提出等をさせてきていただいております。単純に私どもが出した資料だけで決められたとおりやってもらっているというようなものでは全くないわけであります。また、報告書につきましても、委員間の専門的かつ詳細な議論をいただいて取りまとめていただいたところであります。  そして、検討経過につきましては、検証委員会も、法的課題検討委員会におきましても、開催のたびにメディアの取材をお受けするなど詳細な説明をしてきていただいているところであります。  また、委員会の報告をもとに県として対応方針を定めてきているわけでありますけれども、こうした対応方針につきましては、私自身がこの県議会でも御説明をさせていただいておりますし、また、会見等でも丁寧にしっかり考え方をお話させていただきながら取り組みを進めてきたところであります。また、森林づくり県民税の県民説明会の場におきましても、この大北森林組合の事案につきまして御説明をさせてきていただいております。こうしたことから、その都度、私どもとしてはできる限り丁寧な御説明に心がけてきているところでございます。  最後に、知事は最善を尽くしてきたというがそうは思えないという御質問でございます。  今申し上げましたとおり、私としては県民の皆様方の代表という立場として常に最善を尽くしてまいりました。誠実に最善を尽くしてきたと、そういう認識でございます。  以上です。       〔15番藤岡義英君登壇〕 ◆15番(藤岡義英 君)もちろん3名の委員の皆さんは事件の全体像を解明するために御尽力いただいた、このことは私は一定評価しております。しかし、県の側から資料を提出しました、説明しました、だから検証しましたとはなりません。第三者の立場の方が問題を議題として取り上げ、徹底的に議論し、本当の意味で検証されたのかが問われております。  ちなみに、事件発表6カ月前のいわゆるSP巡回に関する資料が検証委員会に提出されているかどうかは、公文書公開請求でいただいた委員会の膨大な提出資料から私も確認させていただきましたが、全く確認できませんでした。資料もない、説明もない、議論もない、そして検証されていないのだとしたら、私は大変大問題だということを指摘しておきたいと思います。
     大北森林組合補助金不正事件に関し、知事や本庁林務部の幹部職員に対し損害賠償を求める住民訴訟が始まっております。この裁判で、これまで県民に明らかにされてこなかった組合と中村被告の刑事裁判の記録提出が認められました。既に知事と林務部は中身を把握されていると思いますが、これまでの県民への説明と矛盾しないのか、その中身が大変注目されます。  まだまだこの事件の追及は続いていくことを申し上げ、次の質問に移ります。  県が発注する業務委託を請け負う自営型テレワークについて質問いたします。  自営型テレワークとは、個人で注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して、主として自宅などで、例えばテープ起こし、データ入力、ホームページの作成、設計、製図等の作成や役務の提供を行う就労のことです。非雇用型テレワークとも呼ばれております。  政府は、テレワークが時間や空間の制約にとらわれることなく働くことができるため、子育て、介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となるなど有効としており、その普及を図っていくとして、雇用契約によらない働き方を広げる方針でおります。  一方、私たちは、労働基準法など労働者保護が適用されない無権利、低収入の働き方を広げるものとして批判してきた経過があります。まず、テレワークの普及は、会社による労働時間の把握、管理の責任を明確にしてからという考えを主張しておりました。  このような自営型テレワークについてでありますが、県はどのように位置づけをされておられるのでしょうか。産業労働部長にお聞きいたします。  県として独自にテレワーカーに挑戦しようとする方々をサポートするため、支援策、研修などの育成、スキルアップ対策、相談体制をつくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。これも産業労働部長にお聞きいたします。  この自営型テレワークでありますが、報酬の支払いの遅延、未払い、仕事内容の一方的変更、最低賃金のようなものがないため不当に低い報酬額など契約をめぐるトラブルの発生も少なくない状況がございます。こうしたことから、厚生労働省は、自営型テレワークの適正な実施のためのガイドラインを策定して取引のルールの明確化を示しております。  そこで質問ですが、県が発注する業務委託を請け負う自営型テレワークが適正に実施されるように、仲介事業者に対しガイドラインの内容をどのように周知させ、守らせるように対応されているのでしょうか。会計局長にお聞きいたします。  北海道の旭川市では、建設工事だけでなく、清掃等の業務委託などでも低価格競争を抑制し、適正価格での発注を進めるために最低制限価格を設けております。県としても、適切な報酬を事業者やテレワーカーに保障するために業務委託でも新しいルールをつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。これも会計局長にお聞きいたします。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)まず、自営型テレワークの位置づけでございます。  県では、人口減少時代の人材の確保や、生活を大切にしながら自分らしい働き方ができる環境づくりのため、テレワークですとか短時間正社員制度などの多様で柔軟な働き方制度の導入を進めております。企業に雇用されずに自宅等でICTを活用し、仕事をする自営型テレワークは、場所や時間にとらわれず仕事ができる柔軟な働き方でございまして、子育てや介護等により企業への就職が困難な方の就業も可能にすることから、多様な働き方の一つとして県でもその普及を推進しているところでございます。  次に、自営型テレワークへのサポートでございます。  県では、テレワーカーとしての能力開発を支援するため、昨年度からウエブサイト構築やITシステム設計など3コースのITスキルアップ講座を開設し、155名が受講、今年度も約100名が受講しております。  あわせて、テレワーカーの受注を促進するため、ウエブデザイン、サイト作成、記事作成等の発注業務の切り出し方や実例を紹介する企業向けセミナーを実施するとともに、ITスキルアップ講座の受講者と企業のマッチングなどの支援を行い、昨年度は46名の方がテレワーカーとして仕事を受注することができました。  また、相談窓口での支援として、中小企業振興センターのながの創業サポートオフィスやよろず支援拠点で、創業や契約上のトラブルなど経営全般についてワンストップで対応してございます。  今後も、引き続きテレワークを推進し、仕事や子育てや介護等が両立できる働き方を推進してまいります。  以上でございます。       〔会計管理者兼会計局長塩谷幸隆君登壇〕 ◎会計管理者兼会計局長(塩谷幸隆 君)お答えいたします。  最初に、自営型テレワークガイドラインの周知及び対応についてのお尋ねでございます。  自営型テレワークでございますけれども、県が発注する業務においても想定されるものであります。県では、本年3月に全発注機関に対しまして通知を出しまして、そのような業務の入札公告をする際にはガイドラインを遵守する旨を明記するように周知をしております。  続きまして、テレワーカーへの適切な報酬を保障する新しいルールづくりについてのお尋ねでございます。  県では、長野県の契約に関する条例の取り組み方針に基づきまして、適正な履行が通常見込まれない金額を契約金額とする契約の締結の防止を図っているところでございます。このうち、県が発注する業務委託におきましては、品質の確保とともに、適正な賃金水準の確保を図るため、予定価格と落札金額との乖離が大きかった清掃、警備業務などにつきまして、標準的な労務単価等をもとに予定価格を積算するとともに、最低制限価格を設定するなどの対策を実施しておるところでございます。  御質問の自営型テレワークの活躍が想定される業務につきましては、例えば音声起こし業務、いわゆるテープ起こしがありますけれども、平成28年度以降に入札を行いました案件の平均落札率は93.7%、平均応札者数は1.7社でありまして、現時点では最低制限価格等の対策を導入する状況にはないと認識をしております。  以上でございます。       〔15番藤岡義英君登壇〕 ◆15番(藤岡義英 君)この質問をするきっかけとなったのは、実は県の発注した各種会議録の音声起こしの仕事を委託された女性のテレワーカーさんから相談を受けたからでありました。お母さんたちの考え方は幅広く、例えば能力があり、子育てをしながらちょっと働きたいという方もいれば、子育てなどでずっと外で働く機会がなく、いきなり勤めるのは怖いから、ならし運転、リハビリ的位置づけといった方などさまざまなニーズがある中で、仕事を始めるきっかけ、社会とつながり、働きがいを持つことができるとして自営型テレワークに可能性を感じている方がふえてきているとのことでした。  しかし、実態は、スキルなしの状態で、研修や教育訓練の機会がなく、仲介業者から仕事を丸投げされ、未経験のテープ起こしの仕事を泣きながら徹夜などしてやっと仕上げた。けれども、得られる報酬はわずか。力がないからこんなに安いと自分を責め、自己嫌悪になり、結局働く意欲を奪われ、ずっと働き続けている人が少ない現状があるとのことでありました。  このように、県が発注する業務委託を請け負った仲介業者が末端のワーカーさんに対しガイドラインを守らずに劣悪な状態で働かせている実態があるようです。これでは使い捨てではないかと。中には、業務委託の契約書を交わしていないこともあると訴えられました。新しい形態のブラックな働かせ方と言えます。  もちろん、県には直接責任はありません。悪いのは劣悪な労働環境で働かせ、低賃金を押しつける仲介業者です。しかし、そのテレワーカーさんは、県はテレワークの普及促進のための取り組みを進めておきながら、県の発注する仕事によって苦しめられているテレワーカーさんがいる現状についてそのまま放置しているのは問題ではないでしょうかと話されました。県サイドとしては、発注した業務が納期内に適正に完了して返ってくることに責任があるため、そのことのみに関心が向けられている現状があると思うのですが、これからは、県の発注する仕事が、末端で、労働者またはワーカーさんなどによって適切に請け負われているのか、適正な報酬が支払われ、次の仕事にもよいものにと働く意欲向上につながっているのか目を向けていく必要があると考えます。  この点について、もう一度会計局長に御所見をお伺いいたします。       〔会計管理者兼会計局長塩谷幸隆君登壇〕 ◎会計管理者兼会計局長(塩谷幸隆 君)県発注業務委託におけます自営型テレワークの適正実施についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のような課題に対処し、自営型テレワークが適正に行われるためには、関係者がそのよりどころでありますガイドラインを十分に理解し、それを遵守することが必要不可欠であると考えております。  県と契約関係にある受注業者が業務の一部を自営型テレワーカーに行わせる場合には、その受注業者にはガイドラインの遵守義務が生じることとなりますが、そういった場合は県と自営型テレワークとの契約関係はありませんので、県としての対応は限定的なものとならざるを得ません。  とり得る対応としては、受注業者と自営型テレワーカーとの契約が再委託となる場合には県の承諾を必要とする、こういう仕組みがありますので、その再委託を承諾する際に受注業者がガイドラインを遵守しているかどうかを確認するという方法が一つございます。また、県と受注業者の契約をする際に、その仕様書にガイドラインの遵守をあらかじめ明記しておくという対応も可能でございます。限られた手段でありますけれども、これらによりまして受注業者に対しましてガイドラインを遵守するよう求めてまいりたいと考えております。  今後も、引き続き、長野県の契約に関する条例の基本理念に基づきまして県の契約の履行に係る業務に従事する労働者の労働環境が整備されるよう取り組んでまいります。  以上でございます。       〔15番藤岡義英君登壇〕 ◆15番(藤岡義英 君)メード・イン・ジャパンという札のついた有名アパレル会社の洋服の製造を受けている下請会社を告発するテレビ番組を見ました。その会社は、中国の技能実習生を最低賃金以下で働かせ、残業代も支払っていませんでした。5人の技能実習生が未払い賃金の支払いを要求すると、会社は突然倒産したと主張し、未払い賃金を払おうとしません。そして、実際にはミシンなどの道具、ほかの技能実習生を引っ越しさせ、他県の別の場所に工場を移して同じアパレル会社の洋服を生産しておりました。告発した5人の中国の技能実習生は、ビザの期限が迫る中、最後に有名アパレル会社の本社ビルへ出向き、発注先でこうした問題が起こっていることを知ってほしい、これ以上犠牲者を生まないでほしいと要望書を手渡しに行きましたが、ビルの外で対応され、門前払い。後日ファクスで、発注者として責任はないのでコメントは差し控えさせていただきますとのメッセージが返ってきただけでした。  確かに、今の法律では、発注元の有名アパレル会社には違法性はなく、責任は問われません。しかし、この番組を見た視聴者は、発注元にも責任があるとの思いを強くしたと思います。  県が発注した業務を直接請け負った方々が社会とつながり、自分らしく輝き、働く意欲も高まればすばらしいことですし、多様な働き方で活躍できる県民がふえることは県政にとってもプラスでしょう。そして、でき上がった仕事がいいものに仕上がってくれば県民サービスの向上にもつながることになります。  末端で業務を請け負った労働者さんやテレワーカーさんたちが適正な労働環境で適正な報酬で仕事を受けているのか、発注元である県がその先に目を向け、責任を持ち、ルールをつくること、そのことが現場で切実に求められていることを訴え、質問を終わります。 ○副議長(小林東一郎 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時3分休憩          ──────────────────         午後2時19分開議 ○議長(鈴木清 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  山口典久議員。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)仕事と介護の両立について質問をいたします。  家族の介護、看護のための離職、いわゆる介護離職をする人が年間10万人と言われています。その8割が女性で、多くは40歳代から60歳代、男性の場合は50歳代から60歳代が多くなっています。  こうした中、先ごろ発表された平成29年就業構造基本調査によると、長野県で過去1年間に介護離職した人は、平成24年は1,400人でした。しかし、平成29年には2,500人に急増しています。割合では1.5%から3.2%へ、1.7ポイントの急上昇です。離職率3.2%というのは全国第2位とのことです。  介護離職は、経済面だけでなくさまざまな面で介護者の負担が増すことにつながります。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの厚労省の委託で行ったアンケート調査では、介護離職した人の74.9%が経済面における負担が増したと答えています。また、精神面では64.9%が、肉体面では56.6%が仕事をしているときよりも負担が増したと答えています。  この間、介護離職をした人たちから直接お話をお聞きしてきました。仕事をやめて父親と母親を介護した男性は、二人を見送ったときは貯金も全て使い果たし、今は週2回から3回のアルバイトで暮らしています。離職後、正社員として再就職できる人は半数と言われています。最後は生活保護に頼らざるを得なくなるケースもあります。また、管理職や働き盛りの中堅社員が離職をせざるを得ない状況は、企業にとっても社会にとっても大きな損失をもたらすものです。  介護離職をなくしていく取り組みがますます重要になっていますが、長野県内における現状、県内で急増している要因をどのように捉えているでしょうか。また、今後さらに増加しないか、見通しはいかがでしょうか。仕事と介護の両立は、厚労省労働局のみならず、県も重要課題に位置づけて重点的に対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。産業労働部長に伺います。  仕事と介護を両立するために、何よりも職場における支援制度を充実することが欠かせません。先ほどの三菱UFJリサーチ&コンサルティングのアンケート調査によると、介護のために離職した人に勤務先の制度について聞いたところ、「制度を利用していなかった」が男性44.4%、女性51.0%でした。制度を利用した人で一番多いのは有給休暇でした。介護休業制度の利用率は、男性がわずか13%、女性は8.4%です。せっかくの介護休業制度もなかなか利用されていないのが現実です。なぜ制度が利用されないのか、その理由を聞くと、介護と両立する支援制度がないためとの回答が多く、制度を利用しにくい雰囲気がある等も挙げられています。相談できないまま離職する人も少なくないということです。  長野県内の企業で仕事と介護の両立支援制度を設けている企業の現状はどうでしょうか。そして、支援制度が設けられていない企業に対する県の対応を伺います。さらに、支援制度があっても知られていなかったり利用しにくくなっている実態に対して、制度の周知や利用環境を整えるためにどのように対応していくのか、産業労働部長に伺います。  続いて、介護保険制度について伺います。  仕事と介護を両立するためには、必要なサービスを必要なだけ保障する充実した介護保険の制度が求められます。しかし、この間、政府が行ってきたのは、要支援者の保険給付外し、特別養護老人ホームの要介護3以上への限定、さらに利用料2割負担、3割負担の導入など、必要なサービスが受けづらくなる制度改悪でした。こうした中で、地方自治体が制度をいかに改善、充実するかが鍵になっています。  最初に、地域包括ケア体制の構築について伺います。  本議会において、地域包括ケア体制の構築状況を調査、分析し、県民にわかりやすく公表する可視化の新規事業が提出されています。この事業は、要介護認定者のうち、自宅または地域で暮らしながら介護サービスを受けている人の割合を2020年度に83%以上とする目標ですが、現在の到達点はどうでしょうか。  同時に、この目標は、本来希望しているサービスや必要なサービスを受けられているかどうかではなく、その一部、一つでも受けていれば介護サービスを受けている人にカウントされます。つまり、サービスを提供する側からの数値目標と言えます。利用者や家族が本当に希望するサービス、必要なサービスを受けられている人が何%いるかというサービスを受ける側からの指標も必要ではないでしょうか。  続いて、特養ホームの待機者について伺います。特別養護老人ホームの入所を希望しながら順番を待っている本県の待機者の実態を伺います。  特養待機者が増加している要因に、高齢世代の貧困化があります。現在、国民年金を受給している人の平均受給額は月5万1,000円です。厚生年金も、女性の平均受給額は基礎年金部分を含めて月10万2,000円です。こうした低年金の人は、要介護状態になったとき、1カ月15万円も20万円もかかる有料老人ホームやサービスつき高齢者住宅には入居することはなかなかできません。結局最後まで入居できる施設は特養ホームしかありません。  今後の特別養護老人ホームの整備計画はどうなっているでしょうか。本県の第6期高齢者プランでは、特別養護老人ホームの整備目標710床に対し到達は528床でした。地域密着型も含めると目標に対して392床不足しています。待機者ゼロに向けた展望を伺います。  本県の第7期高齢者プランでは、特定入居者生活介護は合計837床と大きな目標になっています。特定入居者生活介護は、いわゆる介護型有料老人ホーム、サービスつき高齢者住宅、ケアハウスの三つが指定されますが、有料老人ホーム、サービスつき高齢者住宅は家賃が高くなります。低額な費用で良質な介護サービスの提供がどこまで保障されるかという課題もあります。  こうした中、サービスつき高齢者住宅に比較して経済的負担が少ないケアハウスの役割が県内で大きくなっているものと考えます。県内におけるケアハウスの整備状況並びに今後の見通しについて伺います。  次に、介護福祉労働者の労働条件の改善について伺います。  必要なサービスを必要なだけ保障するには、現場の深刻な人手不足を解消すること、そのためにも、労働条件の改善、担い手の育成確保が不可欠です。高村議員が2月議会でも質問いたしましたが、介護労働者の平均賃金は他産業を大きく下回り、長時間過密労働が蔓延しています。現場では、ベッドはあいているのに人手が足りないから入所者を受け入れられない、こうした状況も深刻化しています。  この間、本県も処遇改善や多様な人材の確保育成、離職防止並びに介護職の魅力向上など介護人材確保の対策に取り組んでいるところです。しかし、人材確保で一層の改善を図るためには独自に給与の引き上げのための助成制度が必要と考えますが、いかがでしょうか。  介護保険料について質問します。  長野県の介護保険料の県平均は、現在、月額5,399円です。しかし、2024年には7,231円程度と見込まれています。現在の介護保険は、サービスの利用がふえたり介護職の労働条件を改善すれば直ちに保険料利用料の負担増にはね返るという根本矛盾を抱えています。保険料、利用料の高騰を抑えながらより一層の制度の充実や基盤の拡充を図り、本当に持続可能な制度としていくためには、公費負担を大幅にふやすしかありません。国に対し、公費負担の大幅な増額を強く働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)順次お答えをいたします。  まず、介護離職者増加の要因と見通しです。  先ほども議員からお話がありましたとおり、国の平成29年就業構造基本調査では、本県における介護、看護のために前職を離職した者の割合が、平成24年調査の1.5%から3.2%にふえ、全国で2番目の高さとなり、介護離職率の高さは本県におきましても大きな課題であると受けとめております。  介護離職率の高さや前回調査からの大幅な上昇の要因としては、要介護、要支援の認定者数が増加していること、また、高齢者及び主に介護を担う女性の就業率が本県では高いこと、さらに、介護中の世代別就業者数では、前回に比べ、55歳から59歳の現役世代の割合が増加し、離職を余儀なくされるケースがふえたと考えられることでございます。  県が県内企業と労働者を対象に行った平成29年度労働環境実態調査に回答した労働者1,163人のうち、今後介護のために離職したり離職を検討する可能性があると答えた割合が4割に上ることに加え、県の高齢者プランの推計によると、県内の要介護、要支援認定者数が、2035年には2017年と比べて約2万人増加するとともに、国の推計によると、県内の介護職員は2025年には約6,800人不足するため、介護離職率は増加する可能性があると認識をしております。  次に、仕事と介護の両立についての施策でございます。  介護による離職は、御指摘のとおり離職者が経済的困難に陥る懸念や、人手不足時代に有用な人材を失うことによる企業の不利益などさまざまな問題を生じさせることから、しあわせ信州創造プラン2.0では、育児、介護をしながら自分らしい働き方ができる環境づくりに取り組むこととしております。  具体的には、介護をしながら働き続けられる職場の環境整備や介護休業制度に関する周知のほか、介護をしながら自宅で仕事ができるテレワークの普及、家族介護者の負担を軽減するための介護サービスの利用促進などを進めてまいります。  最後に、仕事と介護の両立支援制度の現状等についてです。  先ほどの労働環境実態調査では、介護に携わる従業員のための制度があると回答した企業は26%であり、導入している具体的な制度の内容は、所定労働時間の短縮措置や始業、就業時間の繰り上げ、繰り下げが多くなっています。  支援制度を設けていない企業に対する働きかけとしては、アドバイザーの企業訪問により支援制度の導入や介護休業制度の設置などに向けた助言を行うとともに、制度の導入と利用実績のある企業を県が認証する職場いきいきアドバンスカンパニー認証企業のさらなる増加を図ってまいります。  しかしながら、御指摘のとおり、制度を従業員が知らなかったり、利用しにくい職場の雰囲気があっては離職を防止することはできないと考えます。そこで、現場の声をお聞きし、例えば社内のイントラネットへの支援制度の掲載や介護との両立に関する社内相談窓口の設置など、支援制度を利用しやすい職場環境づくりについて、県、企業、経済団体、労働団体、介護関係者がともに取り組んでまいります。  以上でございます。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)介護保険制度について順次お答え申し上げます。  介護サービスの利用についてでございますが、要介護認定者のうち、自宅または地域で暮らしながら介護サービスを受けている者の割合については、平成10年2月末時点で82.5%となっております。  次に、介護サービスを受けている側からの評価についてでございますが、介護保険制度においては要介護度によって受けることができるサービスが異なり、またサービス量が異なり、また地域によって利用できるサービスに制約があります。  そうした中で、介護サービスの利用に当たっては、ケアマネジャーが利用者、家族の意向を尊重しつつ、自立支援の観点も加味しながら、最大限その方の意向に沿ったケアプランを作成し、サービスが提供されることとなっております。したがって、介護サービスの満足度という観点からの評価が可能でありますが、希望するサービス、あるいは必要なサービスが受けられているかどうかを指標化することはなかなか難しいと考えております。  次に、特別養護老人ホームについてでございます。  在宅の特別養護老人ホームへの入所希望者数は平成30年4月1日現在2,246人で、施設整備の進展等により平成28年度に比べ392人減少し、申し込みから入所までの平均期間も、平成26年3月は約450日でありましたが、平成29年3月は約350日に短縮され、年々改善されてきております。  特別養護老人ホームについては、市町村が策定する介護保険事業計画を踏まえ、県が3年ごとに策定する長野県高齢者プランに基づき計画的に整備を進めております。平成30年度からスタートした第7期長野県高齢者プランに3年間で487床の整備を盛り込み、これにより、特別養護老人ホームの定員数は2018年3月末の1万3,270人から2021年3月末には1万3,757人となる見込みです。  また、有料老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅等の多様な住まいの整備も進んでおります。その結果、入所希望者数は着実に減少しており、今後も中長期的に減少していくと考えております。
     次に、ケアハウスの整備状況及び今後の見通しについてでございます。  ケアハウスについては、第7期長野県高齢者プランに3年間で57床の整備を盛り込み、これにより、定員数は2018年3月末の整備状況は1,518人となっております。2021年3月には1,575人となる見込みです。  次に、介護福祉労働者の労働条件改善策についてでございます。  介護職員の給与の改善については、平成21年度以降、介護報酬の加算等により複数回にわたり引き上げが行われております。平成29年度におきましても、月額平均1万円相当の処遇改善が行われております。  本県では、国の制度である介護職員処遇改善のための加算取得及び職員の労働環境改善が図られるよう、介護職員が働きながら資格を取得するための研修受講費用の助成、長野県版キャリアパスモデルの普及によるキャリアパスの構築支援、施設内保育所運営費や介護ロボット導入経費の助成などにより介護事業所の取り組みを支援しています。  独自の助成制度ではなく、今後もこうした取り組みを通じて介護職員の給与引き上げと働きやすい職場環境の整備を進めてまいります。  最後に、国費負担増額の要望についてであります。  本県は、健康寿命が男女ともに全国第一位、年齢、性別を調整した要介護認定率が全国2番目に低い水準にあるなど、全国屈指の健康長寿県であります。それでもなお、長野県の介護給付費は、平成12年度の介護保険発足時の655億円から29年度には1,874億円まで増加しており、介護保険財政の安定化が重要な課題であると認識をしております。  県としては、介護保険制度が将来にわたり安定して運営できるよう市町村の皆様とともに取り組むとともに、これまでも国に対し国庫負担の拡充等を要望してきておりますが、今後も引き続き要望してまいります。  以上でございます。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)再質問いたします。  先ほど、介護を受ける側からの指標が改めて必要ではないかということを提案いたしました。第7期長野県高齢者プランでは、「長寿の喜びを実感しながら、生涯にわたり自分らしく安心して地域で暮らしていける信州」をテーマにしています。介護を受ける立場で、介護を受ける人が、どれだけサービスが保障され、自分らしく生きていくことができるか、そこが基準に当てられていると思うわけであります。しかし、介護サービスを受けるには、認定から始まってケアプランの作成が必要ですし、何よりもサービス基盤の整備は欠かせません。さらに、利用料など経済的な負担も生じます。幾つものハードルがあるのが現実です。サービスを提供する側の視点だけではなくて、希望するサービス、必要なサービスを受けることができるかどうか、利用者や家族の視点で検証や分析がなければ、長寿の喜びも、自分らしく暮らしていくこともかなわないことになりかねません。利用者や家族の現状での対応をしっかりしていくべきだと思います。  先ほど、ケアプランの作成にかかっているということや、さらにこれは難しいという話がありました。難しくてもそこを一歩一歩切り開かなければ本当に利用者の立場に立った介護保険制度は充実できないのではないでしょうか。難しいと突っぱねるのではなくて、県の努力を求めます。  続いて、介護労働者の労働条件改善についてです。  人材確保について、この間、保険料、利用料の引き上げに連動させることなく賃金アップを図るために、介護報酬とは別枠の公費の直接投入が必要だ。このことは重ねて申し上げてきたとおりです。これは国にも強く働きかけていただきたいと思います。  加算制度があるからということですが、その加算制度をとるために小さな事業所は大変な苦労をしています。そのための人件費やそのための新たな人材の確保も必要になっています。何のための加算なのか、そのことが問われているのも事実だと思います。そういう意味では、やはり介護報酬とは別建てで公費を投入する仕組みはこれからは欠かせないと思います。改めて検討を求めます。  次は再質問です。  人材確保に関し、昨日から取り上げられたのは外国人技能実習制度でした。しかし、介護労働は、高度な専門性を要する知的労働であり、利用者とのきめ細やかなコミュニケーション抜きに的確なサービスは提供できません。介護の質を二の次にし、さらに安い労働力への置きかえを狙った外国人への開放は、国民の願いに逆行し、介護職の低賃金、労働条件の悪化に一層拍車をかけるものになりかねません。健康福祉部長の見解を伺います。  続いて、信州F・POWERプロジェクトについて質問をいたします。  信州F・POWERプロジェクトは、林業の復活、森林の再生や木材産業の振興、さらに木質バイオマス発電などで循環型社会の形成をこの長野県から目指すものです。しかし、この事業は、この間、安定性などで問題があり、指摘されてまいりました。  私たち日本共産党は、木質バイオマス発電の活用を重視しながらも、安定的な運営、そのためにも小規模分散型の施設を提案してまいりました。そういう立場からも、6月議会でも両角議員が、製材事業が不安定な中での大規模発電計画は無理があり、適正規模への軌道修正を求めたところです。やはり小規模分散型でいくべきだということです。同時に、この事業は県の補助金25億円が投入されています。県としてもっと経営に関与し、議会への報告も行うべきだと6月議会では求めたところです。  そこで、伺います。平成27年の春に完成予定だった発電施設、木質バイオマス発電施設は着工が大幅におくれ、ようやく11月に着工する計画ということですが、燃料となる未利用材の確保の準備状況はどうでしょうか。同様に、未利用材を活用する発電施設の設置の動きは県内を含め各地に広がっているようですが、どのような動きがあるのでしょうか。燃料確保の見通しを含めて伺います。  次に、製材事業において、米国や中国への輸出を強化するなど、また、国内向けでは床材などの製品化を、5月は約3,000立方メートル、7月は約4,000立方メートルを計画していたようですけれども、この間の製材量や販売実績について伺います。  三つ目に、発電所の稼働に伴い、1日当たり10トン車60台分と言われる大型車両の出入り、焼却灰の処分、さらに肺炎の影響など、近隣の住民の安全や生活環境の破壊への不安の声が上がっています。地元住民の皆さんの合意と納得を得るために県はどのように説明責任を果たすのでしょうか。  四つ目に、平成25年6月18日、阿部知事、小口塩尻市長、櫻井征矢野建材代表取締役の連名によるプロジェクト宣言が出されました。この宣言は、この事業を長野県総合5カ年計画、しあわせ信州創造プランに位置づけて推進していくこと、さらに、本県から全国に向けて林業再生と再生可能エネルギーの利用における先駆的なモデルを発信できるよう推進していくとうたっています。  この事業は、県として積極的に深く関与している事業であり、先ほど申し述べたように補助金も多額です。事業が計画どおり進捗しているか責任ある体制で検証、確認する必要があると考えますが、いかがでしょうか。  以上、林務部長に伺います。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)海外からの介護人材の確保についてのお尋ねでございます。  厚生労働省の調査によりますと、2025年に向けての調査で、長野県の場合は約6,800人の介護人材が不足するとされております。これまで、年間新たに約900人の方が介護の分野に入ってきていただいております。その内訳とすれば、介護養成学校の卒業生であったり、他分野、あるいは他産業からの参入であったり、あるいは離職者の復帰というものでありますが、これから先不足する6,800人をそういったものだけではカバーし切れないという現状になってきております。  ただ、長野県としては、やはり日本人の介護職をしっかり確保していくと。その中で、若い人たちが介護の現場、福祉に希望や夢を持って参入していただける、そういったものをやはり大事にしていく必要があると思います。そういうことをしっかりやりながらも、なおかつどうしても不足する人材については、やはり海外からの介護人材をしっかりと確保していく、そういうことによって長野県の介護の体制をしっかり守っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)信州F・POWERプロジェクトにつきまして4点御質問をいただきました。  初めに、発電事業の未利用材確保についてのお尋ねでございます。  信州F・POWERプロジェクトの推進に向けて、県としては、燃料用原木の供給が安定的に行われるよう、林業関係4団体で構成するサプライチェーンセンター及び発電事業者等と定期的に会議を開催、調整を進めているところでございます。燃料の確保は、事業者が一義的には行うものですが、安定的に行われるよう林業事業体のヒアリングを行うなど、体制整備等にも取り組んでいるところでございます。  このような中、県内の素材生産量は過去5年で1.5倍となるなど大きく増加しており、今後成熟した森林がふえ、主伐が始まること、また、バイオマス発電の開始に伴って、これまで山に捨てられていた低質材、松くい虫被害材等の活用が大きなビジネスチャンスとなるところであり、これら発電所が必要とする未利用材の供給は十分に可能と見込んでいるところです。  県としては、発電所の稼動に向け、引き続き関係者との調整を進めるとともに、高性能林業機械の導入や路網整備等の木材生産基盤の強化、中間土場施設やチッパー導入の支援等を通じ、安定供給体制の構築に取り組んでまいります。  なお、県内の木質バイオマス発電所については、現在1施設が稼働済みで、1施設が休止中、本発電所も含めて2施設がFIT法に基づく認定を受けて施設整備を開始している状況です。また、このほか、具体的なものとしては、2,000キロワット程度の計画が1施設あると承知しているところでございます。  次に、製材事業についてのお尋ねでございます。  現在、事業主体におきましては、海外に向けては展示会等を通じた販路開拓に取り組み、国内においては大手建材商社等への製品販路の確保を進めており、目標に向けて着実に実績を積んでいると承知しております。  なお、製材事業の詳細については、個別企業の経営にかかわる問題ですので、この場でのお答えは差し控えさせていただきます。  次に、地元住民の合意を得るための県の説明責任についてのお尋ねでございます。  本プロジェクトは、スタート時から産学官それぞれが主体的に役割を分担し、責任を果たしながら連携して進めているものでございます。地域の合意形成に当たっては、塩尻市が中心となって進めており、本プロジェクトの円滑な推進を図るため、平成27年2月に市、地元区、事業者間で環境協定が締結されております。  また、本年11月から始まる発電所の建設工事に伴い、先日、塩尻市立ち会いのもと、地元区と施工業者間で工事車両の通行ルールや環境保全などを定めた建設工事の施工に関する協定が締結されたところでございます。  県としては、塩尻市が行う住民説明会などに参加し、塩尻市とともに地域住民の皆様の不安を解消できるよう引き続きプロジェクト全体の調整役としての役割を果たしてまいる所存でございます。  最後に、プロジェクトを検証、確認する体制についてのお尋ねでございます。  本プロジェクトの円滑な推進を図るためには、部局連携のもとでの進捗管理が重要と考えております。このため、中島副知事をリーダーとした産業労働部や林務部等の部局連携のプロジェクトチームを本年5月に設置し、3回の打ち合わせを重ねてきているところでございます。  このチームは、補助事業施設であるという点からの指導と県産材振興としての支援の両面から役割を果たしていくということが目的と考えています。このため、事業者が取り組む原木調達や製品販路拡大について進捗状況や課題等について共有しながら、必要に応じて指導や情報提供等の支援を行っているところでございます。  今後も、関係者間で情報を共有しつつ、県産材利用の拠点として役割を果たせるよう取り組んでまいります。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)中島副知事を先頭にしたプロジェクトチームが結成されたということであります。そこで、プロジェクトチームのリーダーである中島副知事に伺います。  県産材の利用について、年間10万立方メートルという目標だということですが、この年間10万立方メートルの目標は達成できる見込みでしょうか。経営主体について安定的な事業運営がなされていると言えるのでしょうか。  以上、副知事の見解を伺います。       〔副知事中島恵理君登壇〕 ◎副知事(中島恵理 君)私につきましては、県産材利用の目標達成の見込み、そして安定的な事業運営についてお尋ねいただきました。  まず、県産材利用の目標達成の見込みでございますけれども、この目標達成に向けては、製材事業者側における販路開拓等における生産販売量の拡大及び県内の林業事業者からの円滑な原木供給の拡大の両面が必要でございます。この生産販売量の拡大に向けては、事業者側では大手建材商社や地元工務店等に営業強化をしているとともに、海外市場の開拓のため、中国等の展示会に出展を計画し、製品の販路開拓を進めております。  また、県におきましては、県内外の公共施設や設計事業者、流通事業者等に対する県産材のPR、または製品のよさを客観的に評価することによるブランディング支援等の支援を行っております。  原木供給に関しましては、事業者側における調達基準の見直しを行うとともに、県としましては、本年5月から10月にかけて林業事業体に対する個別ヒアリングを行いまして、円滑な原木供給に向けた取り組みの洗い出しと追加的な支援策を検討しております。  県としましては、部局連携のプロジェクトチームにおきまして事業の進捗状況や課題を共有し、目標達成に向け指導、支援に迅速に取り組んでいるところでございます。  また、安定的な事業運営についてのお尋ねでございます。  現在、事業者において稼働初期の課題を改善しつつ、製品販路の確保や安定した原木の調達を着実に進められるよう、個別取り組みごとの具体的な目標を設定するとともに、人員体制を強化し、取り組んでいるところでございます。  県としましても、プロジェクトチームにおいて毎月の進捗管理、3カ月ごとに取り組みの有効性をチェックし、事業者への指導、支援を実施し、製材事業が安定的に運営されるよう取り組んでいきたいと考えてございます。  以上でございます。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)県としてふさわしい、責任を持って安定的な事業運営に努めていただくようにお願いをいたします。  次に、公共事業、ファシリティマネジメント基本計画について伺います。  3月に策定された県の公共事業、ファシリティマネジメント基本計画は、急な少子・高齢化の進展、人口減少社会到来などにより、県民ニーズが多様化、複雑化していることなどを掲げて指摘しています。とりわけ、公共建築物の老朽化が、築後30年を経過したものが約3分の2となり、県有財産の総量縮小推進などが必要と位置づけています。  最初に、総量縮小について伺います。  5%縮減の目標ですが、この間、全国的にも、各地で公共施設等総合管理計画並びに義務教育学校法制化などのもとで全国の小中学校の統廃合が進められ、総量縮小ありきのやり方に住民の不安や不信も広がっています。  長野県において、県有財産公共建築物の土地は、学校が35.6%、建物では、同じく学校が37.6%で一番大きい面積を占めています。そこで、総量縮小5%の目標設定の根拠について伺います。並びに、この基本計画の推進体制について、いわゆるPDCAサイクル、計画、実行、評価、改善を副知事、部局長で構成する推進会議で行っていくとしています。しかし、マネジメントで財政効率優先にならないか危惧されています。県民の声を聞く場はあるのか、県民参加はどのように保障されているのか、総務部長に伺います。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)ファシリティマネジメント基本計画につきまして、県有施設総量縮小の数値目標の根拠についてのお尋ねであります。  人口減少社会の到来によりまして、長野県の将来人口は2025年には2015年比で6%程度減少するものと推計されています。こうした中では、限られた財源で膨大な県有財産の改修、更新を進めていくことには大きな負担となることが確実でありまして、現状のままで施設を維持していくことは困難であります。  基本計画の対象施設の4分の3は人口減少に伴って需要が減少することが見込まれる県営住宅や職員宿舎等が占めておりまして、こうした施設については集約化等を進めることとしております。  また、人口減少と直接連動しない社会、文化、体育施設や庁舎等については、長寿命化を図りながら、市町村とも連携し、施設の有効活用を図っていくこととしております。  こうした将来の利用動向を踏まえ、現時点で、今後廃止、移管等が見込まれる県営住宅、職員宿舎、老朽庁舎、また、第1期の高校の再編計画により廃止した高校などの校舎を勘案をした上で、平成38年(2026年)度末までに5%縮減の目標を設定したところであります。  次に、ファシリティーマネジメントを進める上での体制、県民参加についてのお尋ねであります。  ファシリティーマネジメントは、財政効率だけではなく、適切に県民サービスを提供していくために必要な施設について、経営的な視点で総合的に企画、管理、活用していくためのものであります。ファシリティマネジメント基本計画を具体化するため、来年度には施設ごとに今後の利用形態を評価する施設アセスメントを実施し、その結果を踏まえ、利活用の具体的方向性を示す施設の有効活用・転用集約化計画を策定してまいります。  こうした過程で、事前にホームページで県民の皆様に情報を提供するとともに、パブリックコメントなどにより県民の皆様の声を反映させていきたいと考えております。  また、住民に大きな影響を与える施設の実際の移管、廃止に当たっては、市町村等と協議を行いながら地域住民の皆様の声をしっかりとお聞きしながら進めてまいります。  以上であります。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)丁寧な説明責任、そして十分な情報公開を求めて、質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)次に、清水純子議員。       〔30番清水純子君登壇〕 ◆30番(清水純子 君)新ながの・公明の清水純子でございます。それでは、質問に入らせていただきます。  我が国の経済は、雇用や所得環境が改善する中にあって、緩やかな回復が続くことが期待されております。一方で、世界経済の動向など先行き不透明感が増す中にあって、地域の活力の源である中小、小規模企業事業者が直面する課題と支援ニーズの把握による早急な対策を講じることが求められます。  公明党では、少子・高齢化や人口減少に直面する日本にとって極めて重要な四つのテーマを掲げ、本年4月からの3カ月間、全国3,000人の公明党議員による100万人訪問調査運動を実施いたしました。今回は、中小企業支援について集計の結果から浮き彫りとなった課題を中心に県としての取り組みと見解をお聞きいたします。  今回の調査からは、国によるものづくり補助金やIT導入補助金、そして事業承継制度や所得拡大促進税制等々、数ある中小企業支援策を利用したことがないと答えた企業が4割に達しました。その理由として、そもそも制度を知らないとの答えが56%に達し、制度の周知の必要性が浮き彫りとなりました。  長野県においても県内中小企業への支援策がありますが、支援を必要とする県内企業への情報の提供について、我が党の調査結果への見解も含め、県の取り組みをお聞きいたします。  情報の周知を広く進めるには、中小企業とつながりやすい商工会や商工会議所、金融機関等との連携強化がさらに必要と考えますが、いかがでしょうか。  また、商工会、商工会議所等での総会のときなど、多くの企業の経営者が集まる場を周知徹底の機会と捉え、活用することも効果的と考えますが、いかがでしょうか。  公明党では、地域経済を支える中小企業を全力で応援するとのメッセージとともに、施策について理解を深め、そして積極的に活用してもらうための中小企業応援ブックを作成しました。これには、中小企業が直面する課題解決のための施策や利用条件、さらには相談問い合わせ先等が記載されております。県においても、支援策の周知と積極的な活用を促す対策として企業に支援情報をつなぐ応援ブックの作成を提案いたしますが、御所見を伺います。  現在、県内4カ所において中小企業振興センターの受発注取引推進員が配置され、担当地域の企業を毎日訪問し、歩いていただいております。この推進員を活用して、さらには専門員を設置し、中小企業への情報のつなぎの強化を推進することが重要だと考えますが、御所見を伺います。  次に、事業承継時に最も困ると思われる課題については、人材、後継者探しとの答えが46.3%を占めました。それぞれの事業実態の把握や具体的な課題を抽出し、親族内承継や第三者承継、またMアンドAなどの事業引き継ぎにかかわるさまざまな選択肢を提示し、経営者が早期に向き合うことが必要です。  県中小企業振興センターには、平成26年に事業引継ぎ支援センターが設置され、取り組みを行っていただいているところでありますけれども、本年6月には、事業承継ネットワークを立ち上げており、円滑な事業承継を進めるため、両者の役割や機能をどのように位置づけ、連携をして進めていくのか、お聞きをいたします。  生産人口の減少、若者の職業観の変化、大手企業の技術系学生の採用強化等々、地方の中小企業の若手人材の確保は急務です。県内の中小、小規模企業事業者の雇用の確保の実態をお伺いいたします。  若者の人材確保の一つの対策として、県外学生の県内企業へのインターンシップ参加時の交通費、宿泊費を補助する信州でインターンシップ応援補助金が用意されておりますが、実施後の実績の推移をお聞きいたします。
     一方、受け入れ側の裾野を広げることも必要です。多くの企業は直面する人材不足の課題解決に向けてインターンシップの活用を考えているとされております。県内企業のインターンシップの実施状況についてお聞きいたします。  また、本年より都内にて長野県インターンシップフェアを開催いたしましたが、企業、学生の参加状況、そして開催の成果並びに県内企業のインターンシップ拡大に向けた県の取り組みをお伺いいたします。  以上、産業労働部長に答弁を求めます。  今回のアンケートをもとにした地元企業経営者との懇談の中で、地方の中小、小規模企業事業者の人手不足は思った以上に喫緊の課題であると実感いたしました。企業は、その対策として、外国人の雇用を拡大し、またはこれから外国人の採用を考えざるを得ないとの声も多く聞かれております。しかし、言葉や生活面の支援、地域の受け入れ環境の整備等一企業では整備が大変厳しいと課題もお聞きをしております。  労働力不足が喫緊の課題となる県内中小企業の外国人の雇用とその環境整備についての県の御所見は、昨日、服部議員と堀場議員への御答弁でお示しをいただきましたが、全ての人に居場所と出番があるとの知事の言葉のとおり、県内には女性や高齢者、そして障がい者と、まだまだ出番を待つ活用されていない潜在力も十分あります。さらに思い切った施策と環境整備に御期待をいたします。  今後、生産人口の減少による地域経済活力の低下に立ち向かうためにも、積極的に生産性向上を後押しする県の役割はますます重要になります。その効果を最大限に生かすには、産業の競争力の強化の観点からも、生産性革命と流通の促進、これを同時に進めていくことが重要であると考えます。地域の活力を生み出し県民の生活を支える産業の生産性の高い県の構築を進めるとともに、そのために不可欠な製品を迅速に出荷できる流通促進のための道路計画について、知事の積極的なリーダーシップを求めますが、知事に御所見を伺います。  急速に進む人口減少によって行政サービス自体が維持できなくなると言われております。高齢者人口がピークを迎える2040年ごろの行政のあり方を検討してきた総務省の研究会は、労働力の大幅な減少を人工知能AIなどの先端技術で補い、役所の機能を維持するスマート自治体への転換の必要性を指摘しました。  横浜市では、本年4月からAI技術を活用したごみ分別案内システムを本格導入しております。これは、LINEを使う感覚で対話形式でごみの出し方を聞くことができます。市は、従来から、紙の冊子や検索システムでごみの分別方法を案内してきましたが、実際は電話での問い合わせが多数だったとしております。また、年間14万人もいる転入者への周知も課題となっておりました。これに対して、今回導入された案内システムは、AIが質問内容を判断し、直接回答するため、手軽で早いと喜ばれているようです。横浜市は、システムの利用が進めば、電話対応に割いていた時間を別の業務に使うことができると効果を訴えております。  さいたま市では、保育所の入所選考におけるAI活用実験で、毎年30人が50時間をかけて行っている保育施設の割り振りを決める作業をわずか数秒で終了し、注目を集めております。  今後、行政分野におけるAI等の活用の可能性として何点か挙げれば、電話や窓口などの問い合わせ対応をAIやロボットで代替をすることや、糖尿病の重症化や生活保護に陥りそうな人を予測して事前の支援を行うこと、ほかにも、給付金や支援金など一人一人に応じたサービスを勧めたり、犯罪や火災などの発生を予測し、未然に防ぐこともできると言われております。  さらには、統計データや過去の実績、類似事例などをもとにした政策立案支援も可能だと言われております。今後、人口減少社会における行政サービスの維持の向上を補うものとして積極的に活用することが期待されます。  長野県行政におけるAI等を活用した行政サービスの現状はいかがでしょうか。また、今後の進め方と、そのための専門人材の確保についてお聞きいたします。  今後ますます小さな町村では人材不足の加速が喫緊の課題となります。県では、市町村での行政サービスの維持を補足するAI等の活用についてどのように支援を行っていくのか。  以上2点、企画振興部長に御所見を伺います。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)順次お答えをいたします。  まず、支援策の情報提供についてでございます。  県では、県内中小企業への支援施策を周知する方法として、ホームページへの掲載を初め、個別事業のチラシや長野県中小企業融資制度の御案内、支援事例集等のさまざまなツールを作成し、施策の周知と活用促進を図っております。  公明党で実施されたアンケート調査では、支援制度を利用したことのある企業は59.3%と過半数を超えてはいるものの、利用したことがない企業の理由として、そもそも制度を知らないという回答が56%にも上っており、制度周知の取り組みを徹底させていく必要があると感じております。  県では、企業が必要とする情報をわかりやすく提供するため、各課が個別に掲載していたホームページの支援施策の情報を統合して見やすく、使いやすくし、パソコンだけでなく、スマートフォンからでも検索できるよう作業を進めておりまして、今後さまざまな機会を利用して制度の周知を図ってまいります。  次に、商工会等との連携についてでございますが、県内企業に対する中小企業支援策の情報提供については、地域で相談を受け、課題解決を実際に支援している商工会や商工会議所の指導員、金融機関の職員などを通じてPRすることが有効であると考えてございます。  このため、地域で指導員が集まる会議や中小企業振興センターのよろず支援拠点が金融機関職員向けに行っている能力向上研修会等を活用いたしまして支援制度の周知を図っているところでございます。  今後も、商工会、商工会議所、金融機関等との連携を強化し、支援制度の周知と利活用の促進に努めてまいります。  次に、多くの企業経営者が集まる場所の活用でございます。  商工会、商工会議所や長野県経営者協会の総会等の多くの企業経営者が集まる会合は、支援制度の周知を図る重要な機会と認識をしてございまして、実際にこれらの場を利用して中小企業支援施策の説明などを行っております。  また、経営者だけでなく、経済団体の役職員や事務担当者との意見交換会も実施しておりまして、その場に私どもの各課の担当が参加をして、施策の周知や活用について討議をいたしました。このような機会を利用いたしまして、引き続き施策周知に取り組んでまいります。  次に、応援ブックの作成についてでございます。  御提案いただきました中小企業応援ブックにつきましては、中小企業がすぐにでも活用したい事業を中心にエッセンスを抽出した使いやすいものと認識をしてございます。  先ほども申し上げましたように、現在、県の支援施策案内をわかりやすくしたホームページ等を作成中でございまして、その参考とさせていただき、引き続き施策周知の充実に努めてまいります。  次に、課題解決のためのつなぎの強化でございます。  受発注取引については、県内製造業の受発注取引情報の収集や販路開拓に関する相談を受けるため、県内4カ所に専門の推進員を配置して企業訪問を実施しているところでございます。加えて、企業訪問では、受発注情報のみならず、経営相談や国の補助金の申請方法、大学との連携方法などさまざまな相談を受けておりまして、内容に応じて経営課題の支援を行っているよろず支援拠点等へつなぎ、対応してまいりました。  しかし、近年、多岐にわたる相談が寄せられているため、このような課題には、中小企業振興センター、工業技術総合センター、テクノ財団が一体となって解決に取り組むなど、連携を強化してまいります。  次に、事業承継関係でございます。  中小企業等の円滑な事業承継を進め、貴重な経営資源の喪失を防止するため、平成26年2月に事業引継ぎ支援センターを開設し、金融機関のOBなど専門職員を配置、事業承継の中核的機能を担ってまいりました。特に、事業引継ぎ支援センターでは、第三者承継の専門機関として、M&Aによる承継のほか、事業の引き受け希望者と譲渡希望者を結びつける後継者バンクを設置するなど、事業承継のマッチングにつながる実務を担当しております。  しかし、事業承継の問題は、これも複雑性を増しておりまして、金融機関や弁護士、税理士など士業の方々とより連携を深め、課題を解決する必要があることから、本年6月に多くの関係機関からなる事業承継ネットワークを立ち上げたところでございます。ネットワークでは、コーディネーターがネットワーク全体の統括を行い、事業承継に係る相談、事業承継診断による潜在的な案件の掘り起こし、産業支援機関や士業の方々向けの研修による専門人材の育成、専門家の派遣などを行っております。ネットワークの調整機能と承継実務機関としての引継ぎ支援センターの専門性が連携することで、事業承継の相談対応から企業と後継者のマッチング、承継後まで切れ目のない支援につなげてまいります。  次に、雇用確保の実態でございます。  長野経済研究所の昨年の調査では、回答のあった県内中小企業381社の約半数が人材を確保できておらず、約8割の企業で人手不足により事業に影響が出ているか、今後3年間の間に出てくると回答しております。  また、県中小企業団体中央会の昨年の調査では、人手不足の企業は回答のあった694社の半数以上に上り、不足している理由として最も多い「求める人材が来ない」の約6割に次いで、「新規採用が困難になった」が約3割となっており、中小企業が若年も含めた人材の確保に苦慮している実態がうかがえます。  このほか、現在議論を進めている長野県就業促進・働き方改革戦略会議の場においても、出席委員から、中小企業では新卒者を中心に若年人材の採用が困難になってきているとの実情もお聞きしております。  次に、インターンシップ補助金の実績でございます。  信州でインターンシップ応援補助金は、県外学生の県内企業でのインターンシップを支援することで県内企業への興味や関心を高め、県内就職を促進することを目的に実施しているものでございます。  事業を開始いたしました平成28年度は、大企業も対象にしていたため、参加学生は延べ250名、受け入れ企業数は延べ58社で、本年1月に実施した参加学生に対する追跡調査では35名の県内企業への内定を確認してございます。29年度は、対象を中小企業に限定した結果、参加学生数が延べ153名、受け入れ企業は延べ60社となりました。本年度は、2日以下のインターンシップが増加している状況を踏まえ、補助対象を従来の3日以上から1日以上に拡大したため、9月末現在、参加学生が延べ258名、受け入れ企業数が延べ72社と増加しております。  最後に、インターンシップの活用などに関してございます。  県が平成28年に実施いたしました多様な働き方等労働環境実態調査によると、回答のあった1,899事業所でインターンシップを実施した割合は、26年度が8.3%、27年度が9.1%、28年度が10.0%と年々増加をしてございます。また、今後のインターンシップ受け入れ予定については、回答のあった1,400事業所のうち約3割の事業所が若年人材確保のための有効な手段としてインターンシップの受け入れに前向きな姿勢を示しております。  本年6月には、新宿でインターンシップフェアを開催し、23の参加企業・団体に対して学生68名の参加があり、県外学生が県内企業を知る機会として一定の効果があったと考えております。12月には、長野市でも開催を予定しております。さらに、来年度は経済団体等と連携しながら、県外でより大規模なフェアの開催を検討しております。  県内企業のインターンシップへのニーズも踏まえ、これまで県内大学生のみを対象に実施していた個別マッチング事業について、来年度はその対象を県外学生まで拡大する方向で、経済団体や県内大学等と協力をしながら体制を整備してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)中小企業支援に関連しまして、私には流通促進のための道路計画の促進について御質問いただきました。  県内企業の生産性向上を後押ししていく観点で、物流を担う道路の整備は重要だというふうに考えております。  本年3月、国土交通大臣が、物流上重要な道路輸送網を指定する重要物流道路制度を創設されました。主に、高規格幹線道路や直轄国道を指定するものでありますが、県といたしましては、地域高規格道路など物流を担う道路の指定も要望し、重点的な整備を図ってまいりたいと考えております。  また、この重要物流道路に加えまして、本州中央部広域交流圏の形成に向けた取り組みといたしまして、三才山トンネル有料道路の一般道路化に向けた手続や、国道143号青木峠区間の具体的なルート、構造の調査を進めてまいります。  しあわせ信州創造プラン2.0の中でも主な道路整備箇所を公表いたしております。引き続き選択と集中により物流を担う道路の整備を計画的に進めてまいります。  以上です。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)自治体におけるAI等の活用について、私には2点御質問をいただきました。  まず、県における活用についてでございます。  県では、本年度、ICT活用によるしごと改革を推進するスマート県庁の一環といたしまして、人工知能AIと定型的な事務を自動で処理するRPA、ロボティック・プロセス・オートメーションの実証実験に取り組んでおります。具体的には、公共事業に係る入札関連システムの入力データにつきまして、それが正確かどうかAIを使って判定する取り組み、また、県関係庁舎の光熱水費につきまして、請求書の読み込みや集計など一連の作業をRPAにより自動処理化する取り組みでございます。  また、このほか、職員の給料、手当の返納通知をRPAによって自動作成する取り組みですとか、体力テストの集計等をRPAにより自動処理する取り組みにも着手しております。  今後、取り組みの効果等を検証しまして、来年度以降の本格運用や適用分野の拡大など、AI、RPAの積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。  また、こうした取り組みを進めるため、先端技術の活用を推進する組織体制につきましてもあわせて検討しますとともに、外部人材の活用も図りつつ、専門的な知識やスキルを有する職員の育成確保に取り組んでまいります。  続いて、市町村支援についてでございます。  人口減少が進む中、今後も市町村が行政サービスを維持していくためには、市町村間連携や県による補完のほか、AIやRPAなどの活用も有効な方策の一つと考えてございます。  県では、これまで、長野県市町村自治振興組合と連携しまして、情報セキュリティーの強化策や電子申請システムの共同利用など、市町村の情報化推進の支援に取り組んでまいりました。引き続き自治振興組合と連携しまして、全国の自治体や民間の先進的な事例、IT事業者からの最新情報の収集も図りながら、市町村行政におけるAIやRPAの利活用に向けて必要な支援を行ってまいります。  以上でございます。       〔30番清水純子君登壇〕 ◆30番(清水純子 君)御答弁をいただきました。  今回の100万人訪問調査運動を通して地元の企業の経営者の方々としっかりと対話を重ねる中で感じたことは、それぞれに違う企業の抱える問題に対して、近くでアドバイスをいただけるところが少ない、そんな感覚を持っていることと、また、数ある支援メニュー、あれもこれも幾らでもあるよと御答弁いただくんですけれども、実は地元の企業にしっかりと届いていない。これを実感したわけでございます。  数ある支援メニューの情報がわかりやすくきちんと届くことがまず一番であろうと。長野県の中小企業はもっと頑張ろうと一緒になって応援するこの支援メニューの情報を届けていただくということにさらに力を尽くしていただきたいと、そんな思いでいっぱいになりました。  近い将来、AIを活用して、一人一人、企業企業に合った支援メニューを届ける、そんな時代が来るかもしれませんが、情報を届けることに貪欲に、そして最優先で力を尽くしていただきたいと心からお願いをし、質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(鈴木清 君)次に、吉川彰一議員。       〔29番吉川彰一君登壇〕 ◆29番(吉川彰一 君)無所属の吉川彰一です。  本会議初日の知事挨拶にもあり、以後の本会議でもさまざまな議論が生じている学校エアコン問題について私からも質疑させていただきます。  エアコン設置方式には、直営、リース、PFIの主には三つの方式があります。この方式のうち、直営方式は、個々の物件の調査、設計、調達や施工が委託され、引き渡し後、維持管理や更新も個々の物件ごとに行われる従来の方法です。一方、リース方式は、エアコンの維持管理までの責任はリース会社が担い、エアコン本体などの費用はリース料金に含まれています。このため、エアコン設置の際、多額なキャッシュアウトはありませんが、エアコンの所有権はあくまでリース会社にあります。  最後に、PFI方式ですが、イギリスが起源のPFIとは、インフラ整備に民間活力を導入した一つの手法です。詳しくは内閣府や国土交通省のホームページに譲りたいと思います。  学校のエアコンの場合、調査、設計、調達、設置や維持管理の各業務に当たる企業により、SPC、特別目的会社が設立され、発注者側の公的機関と契約します。BTO方式の場合、施工後に引き渡しが行われます。また、その間の資金調達はSPCが担い、銀行融資などの利用が見込まれます。このように、電気工事、金融といった専門性とノウハウの活用により、経済波及効果が期待されます。また、発注する側の自治体にも設置やランニングコストなどの面で一定の縮減が見込まれ、採用が目立ってきています。このように、エアコン設置にさまざまな手法がとられています。  今回の議論は、直営方式で推移しているように感じます。ところが、PFIの場合、資金調達はSPCが行います。仮にSPCが県内金融機関の八十二銀行や県信連等を利用した場合、県内で預かったお金を県内で融資することにより、地域の経済循環が生まれることが期待されます。また、工事を2期に分けることよりも一度に発注することのスケールメリットを発注する側と受注する側双方が享受することになるのではないでしょうか。  この点について検討されたでしょうか。轟教育次長にお尋ねします。       〔教育次長轟寛逸君登壇〕 ◎教育次長(轟寛逸 君)エアコン設置の手法でございますが、県立学校への空調設備の設置につきましてはさまざまな手法の検討をさせていただきまして、その中でPFI方式の検討も行いました。  御指摘のように、PFI方式によることで事業コストの削減や民間の事業機会の創出が期待される面はありますけれども、PFI方式をとった場合、供用開始まで相当の期間を要することになります。児童生徒のために来年夏からできるだけ多くの学校で稼働させたいという緊急性に鑑みますとこの方式は困難であることなどから、直営方式によることが妥当と判断いたしました。  直営方式によっても設置及びランニングコストを縮減できるように設計の中で十分検討してまいる所存でございます。  また、現在、学校施設の中長期的な修繕・改修計画を策定するに当たりましてPFI手法についても検討しているところでございまして、今後、その効果が期待できる改修工事につきましては導入について検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔29番吉川彰一君登壇〕 ◆29番(吉川彰一 君)御答弁いただきました。  いただいた説明に改めてお聞きしたいことができましたが、時間の関係上、次に移ります。  次に、今般の相次ぐ災害、6月28日から7月8日にかけての西日本を中心とした豪雨、9月4日の台風21号では、本県でも農作物を中心に大きな傷跡を残しました。また、9月6日には北海道胆振東部地震が発生しました。FDAの松本―札幌便が一時的に就航できなくなるなどの直接、間接のさまざまな影響を受けました。そこで、本県におけるサプライチェーンの分断などの経済的な被害をどう把握しておられるのか、内田産業労働部長にお尋ねします。  また、首都直下地震の発生確率は70%と言われています。これが抽象的過ぎると言われるために、もっとわかりやすく換言すると、宝くじ1等が当たる確率よりも高いと言われます。これを危惧して本社機能を東京から北海道に移転して今回の地震で被災したある企業は、何とも皮肉です。  しかし、考え方は正しいと思います。JR山手線の内側に中核的機能を集中させる企業や大学は一見効率的のように見えます。しかしながら、リスク分散の見地からは不合格と言わざるを得ません。いたずらに危機をあおるつもりはありませんが、危機発生前にできる対策と発生前に講じる対策があり、バックアップやリスク分散機能としての本県の位置づけの啓蒙にはどのように取り組まれているのでしょうか。  申すまでもなく、東京駅始発の北陸新幹線に乗れば、8時前には長野駅におり立つことができ、また将来的にはリニア中央新幹線で品川と飯伊がわずか45分で結ばれる地の利、また、首都直下地震では高さ6~8メートル、南海トラフ地震では最大30メートル超の津波が予想されます。しかしながら、本県ではこれを考慮する必要はありません。あわせて内田部長にお尋ねします。  次に、本年全国各地で相次いで発生した災害において、緊急輸送路の果たした役割や残した課題、また、こうした反省が本県にどのようなフィードバックをもたらすのか。長谷川建設部長にお尋ねします。  南海トラフ地震発生時、愛知、静岡両県の支援を本県が前線として担うことが予想されます。こうした観点ばかりではなく、国道153号線の果たす役割は大きいものがあると思います。道路管理者が国と県で交錯するなど課題はありますが、まず道路法改正により制度化された重要物流道路に指定されるべきと思います。長谷川部長の御見解、検討状況などをお尋ねして、私からの一切の質問といたします。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)順次お答えをいたします。  まず、被害状況の把握でございます。  県内外での災害発生により、企業活動の停滞等が懸念されることから、県では速やかに産業支援機関、経済団体等と連携をして情報収集に努めております。具体的には、災害発生時に地域振興局及び中小企業とのネットワークを持つ中小企業振興センター等が中心となり、企業が所有する県内外の施設やサプライチェーンへの影響などを含め、被害状況や要望などを早期に把握しております。  このほか、県内の災害では、地域に密着している商工会、商工会議所を初め、経済団体、市町村等の行政機関からも情報収集をしております。さらに、景気動向調査などを通じて災害の及ぼす業務への影響調査も随時行っており、支援施策に反映しているところでございます。  引き続き災害時における被害状況を速やかに把握し、危機管理部を初めとした他部局等と情報共有するとともに、産業支援機関や金融機関等とも連携を図りながら、被害を受けた企業に対して経営相談、受発注開拓、融資などきめ細かく支援してまいります。
     次に、本県の位置づけの啓蒙でございます。  本年も、平成30年7月豪雨、北海道胆振東部地震など大規模な災害が発生いたしました。また、首都直下地震や南海トラフ地震などの災害リスクが高まっていると言われており、企業が事業継続をする上で、リスク分散等のマネジメントが必須となっております。このため、県では、経済団体や損害保険会社と連携をいたしまして、平成25年度から県内事業者の事業継続計画、BCPの策定支援やセミナーの開催等に取り組んでおりまして、現在までに約200事業者が策定を完了いたしました。  長野県は、首都圏と中京圏に近くアクセスがよい、内陸部のため他県に比べ台風の影響を受けにくい、また津波の被害がないという利点がございます。企業誘致に際しては、ICT企業、研究開発型拠点等を中心に、リニア中央新幹線のPRとあわせて、リスク分散の一つであるバックアップ拠点先としての本県の利点も提案しており、引き続き市町村等と連携をして取り組んでまいります。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)災害時における緊急輸送路についてのお尋ねでございます。  緊急輸送路は、災害直後から緊急車両の通行を確保すべき重要な路線であり、県内では、高速道路を初めとする119路線の約2,460キロメートルが指定されています。  本年7月の西日本豪雨災害などでは、土石流や大規模のり面崩壊などにより、高速道路から生活道路まで幅広く、かつ広範囲に通行どめが発生し、避難所によっては緊急支援物資が迅速に届かなかった事例もあったと聞いております。このため、本県において緊急輸送路の改築や耐震化などの対策を推進するとともに、代替路のない区間における防災対策の強化が必要と考えております。  また、大規模災害の発生時における迅速な救助活動、緊急物資輸送を支えるためには、通行可能な道路を早急に把握することが重要であると考えており、いかに効率的に情報を収集して取りまとめるかについて検討してまいります。こうしたハードとソフトを組み合わせた対策により、県内の強靱化を図ってまいりたいと考えております。  次に、国道153号の重要物流道路指定に関するお尋ねでございます。  国は、重要物流道路について、今後、高規格道路や直轄国道等を中心に指定し、その機能強化や災害時の復旧の迅速化、セミトレーラー等の特殊車両の通行許可手続の簡素化などを図るほか、重点整備や重点支援を行う予定と聞いております。  議員御指摘の国道153号は、県管理区間も含め、沿線に物流拠点となる事業所が多く立地しているほか、伊那谷には広域防災拠点の設置も計画されており、物流を担う重要な路線となっています。実際に、国道153号の県管理区間は特殊車両の交通量が多く、国道153号国直轄区間や国道19号と比較しても同程度となっていることから、重要物流道路に指定する意義は高いと考えております。  県といたしましては、これまでも国道153号について直轄編入を要望してきたところであり、その意味からも、本道路が重要物流道路に指定されるよう今後国に要望してまいります。  以上でございます。 ○議長(鈴木清 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(鈴木清 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、来る10月9日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時45分延会...