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平成30年 9月定例会本会議-10月03日-03号

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  1. 長野県議会 2018-10-03
    平成30年 9月定例会本会議-10月03日-03号


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    平成30年 9月定例会本会議-10月03日-03号平成30年 9月定例会本会議 平成30年10月3日(水曜日)  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 備前光正   2 番 今井愛郎      28 番 両角友成   3 番 寺沢功希      29 番 吉川彰一   4 番 山口典久      30 番 清水純子   5 番 百瀬智之      31 番 小池久長   6 番 金沢敦志      32 番 諏訪光昭   7 番 小山仁志      33 番 髙橋岑俊   8 番 共田武史      34 番 今井 敦   9 番 丸山大輔      35 番 丸山栄一   10 番 荒井武志      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 藤岡義英      41 番 小池 清   16 番 髙島陽子      42 番 宮本衡司   17 番 小川修一      43 番 清沢英男
      18 番 中川宏昌      44 番 垣内基良   19 番 浜 章吉      45 番 鈴木 清   20 番 酒井 茂      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 和田明子      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   54 番 村石正郎      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一   副知事       太田 寛    建設部長      長谷川朋弘   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     池田秀幸    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       塩谷幸隆   総務部長      関昇一郎    公営企業管理者   県民文化部長    角田道夫    企業局長事務取扱  小林 透   健康福祉部長    大月良則    総務参事兼財政   環境部長      高田真由美   課長        伊藤一紀   産業政策監兼産           教育長       原山隆一   業労働部長     内田雅啓    教育次長      轟 寛逸   観光部長      熊谷 晃    教育次長      三輪晋一   農政部長      山本智章    警察本部長     内藤浩文   林務部長      山﨑 明    警務部長      野﨑美仁                     監査委員      田口敏子         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課担当係長   神戸圭一郎   議事課長      村松敏伸    議事課担当係長   鈴木晉一   企画幹兼議事課           総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐      小松健一         ───────────────────  平成30年10月3日(水曜日)議事日程    午前10時開議    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(鈴木清 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △各党派代表質問及び知事提出議案 ○議長(鈴木清 君)次に、各党派代表質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  新ながの・公明代表村上淳議員。       〔40番村上淳君登壇〕 ◆40番(村上淳 君)おはようございます。新ながの・公明の会長の村上淳でございます。新ながの・公明を代表いたしまして、代表質問を行います。  さて、ことしの夏は例年になく猛暑に見舞われまして、加えて台風、地震等自然災害が全国的に多く発生いたしました。改めて被災された皆様にはお見舞いを申し上げ、一日でも早い復興を願うばかりです。また、お亡くなりになられた皆様には哀悼の誠をささげ、御冥福をお祈り申し上げます。  自然災害に対して強い地域をつくることが今求められております。災害対策の基本は普段の備えを怠らないことではないでしょうか。  さて、話題は変わりますが、9月場所が終わったばかりですが、県民の皆さんから多くの御声援をいただいている郷土の力士、出羽海部屋の関脇、御嶽海関ですが、7月の名古屋場所で13勝2敗の好成績で初優勝を果たすことができました。県知事からスポーツ特別栄誉賞をいただくことになりました。これもひとえに県民の皆様の心温まる御支援のたまものです。同郷であり、私は県の相撲連盟の会長をしております立場からも、衷心より感謝を申し上げます。  さて、9月場所においては、苦戦をしながら千秋楽で9勝目を上げることができ、次回の11月場所の九州場所での大関とりの再挑戦に結びつくことができました。御嶽海関には今まで以上に精進し、頑張ることと信じております。元気の出ない木曽地域ですが、御嶽海関の明るい話題に活気が出ております。毎場所、取組のときに、長野県木曽郡上松町出身と呼び上げを聞くたびに近くのお年寄りたちが感激をしております。9年後に開催されます本県主催の国民体育大会全国障害者スポーツ大会に向けて、御嶽海関のこれからの活躍と県立武道館の完成で本県全体のスポーツ振興に弾みがつくことを願っております。  さて、それでは質問させていただきます。県知事選挙についてでございます。  長野県知事選挙は猛暑の中で行われました。投票率は過去最低ではありましたけれども、阿部知事は、63万5,000票余りを獲得して、相手候補者に52万票の大差をつけて勝利いたしました。早速3期目の県政運営のスタートを切り、攻めと守りの政策パッケージを打ち出しました。  そこで、知事は今回の選挙戦をどう総括しますか。選挙結果を見ると、多くの県民は阿部知事の過去2期8年の実績を評価し、阿部知事の今後の県政運営に期待をしております。しかしながら、現在の県政には、県財政を初め、医療、福祉、教育等さまざまな分野で課題があります。本格的な人口減少時代を迎え、各市町村の少子・高齢化に拍車がかかる今、自分の町や村の存続を心配しなければならない現況があります。空き家、限界集落も毎年ふえています。本県には木曽のように人口減少の激しい地域が点在しております。大変厳しい課題ですが、このような地域に対して知事として今後どのように取り組まれるのでしょうか。  知事は、今回の選挙戦では、平成の市町村合併の前の119市町村を遊説されたとお聞きしました。改めて本県をくまなく見直されたと思います。知事も本県に生活の拠点を移されて10年たちます。遊説中、県民からさまざまな意見や要望が出されたと思いますが、選挙戦を通じて今後の県政運営に新たな思いをした点は何でしょうか。知事にお聞きいたします。  知事は、このたびの県知事選挙で今後の県政運営における公約を挙げられました。教育、子育てを初め6分野にわたっております。創造的で持続可能な共生社会づくりを掲げ、基本姿勢として県民起点の県政をうたっております。公約は、現在の総合5カ年計画、しあわせ信州創造プラン2.0~学びと自治の力で拓く新時代~が基本にあると思います。開かれた時代の先に県政の理想の姿があるわけでありますが、どんな社会を知事として目指されているのか、具体的に説明をお願いいたします。  次に、県政運営についてお聞きいたします。  本県は東西南北に広大でありまして、地域格差のない均衡ある県政運営が求められております。中南信のように県庁所在地から遠い県民からすると、県政運営にはさまざまなところで地域格差を感じる場面があると思います。かつて第2県庁を中南信へとのお話もあり、真剣に議論した経緯があります。地方事務所地域振興局に変え、県民と県政をより身近にする努力もしておりますが、知事には本県の地域格差の課題に対する御認識をお示しいただきたいと思います。  本県の若者の人口減少対策についてお聞きいたします。  県の試算では、このまま手だてを講じなければ、2015年の国勢調査で210万人の人口がありましたけれども、これが2060年には130万人に落ち込むこととなっております。県は、合計特殊出生率を現状の1.56から1.84まで引き上げ、さらに、転出入など社会移動増減をなくせば将来150万人で推移すると見込んでいます。  一方、毎年2万人の県立高校生が卒業し、そのうち1万人の高校生が4年制の大学へ進学をいたします。4年制の大学に進学する生徒の85%が県外へ進学し、そのうち40%しか本県に戻ってこない現況があります。若者が地域にIターン、Uターンするモチベーションを高める思い切った施策が今必要です。  そこで、県はUターン就職を促す協定を大学や短大と締結したり、若者が定住するための婚活支援センターを市町村と連携したり、子育て世代が安心できる生活を送るための中学生までの医療機関での医療費窓口無料を始めるなど努力を重ねて、若者が安心して結婚、出産、子育てできる環境を整えていますが、成果はこれからだと思います。  そこで、知事にお聞きをいたします。10代から30代までの若者が本県で生活する上で、魅力ある社会とは果たして何なのでしょうか。また、現在の若者は都市からIターン、Uターンを進めている事業の展望をどのように考えているのでしょうか。あわせて知事の所見をお願いいたします。  次に、地方自治の行方についてお聞きをいたします。  平成の合併が終わり、119あった市町村が現在77となり、市町村運営に新たな課題も出てきました。人口減少の中、特に網羅的に行政サービスを行う小規模町村にとっては財政的にも厳しくなります。また、市町村を運営する意味で、職員数をこれ以上減少できない状況にあると思います。医療、福祉、教育を初め、全ての分野で今までどおり行政サービスを維持することは今後難しいと思いますが、広域連合の見直しやAIやIoTの導入も時代の流れです。  一方、国は、人口減少時代を迎えて、第32次地方制度調査会をこのたび立ち上げて、今後の地方行政のあり方、地方自治のあり方を変えようとしております。知事は今後長野県の行政組織を見直そうとしておりますが、昨年度、10の地方事務所地域振興局に変えて、地域振興局長に今まで以上に権限と予算をつけました。県の組織のあり方の見直しについてと県と市町村や市町村間の連携について知事の所見をお願いします。  これで1回目の質問とさせていただきます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)村上議員からの代表質問に順次お答えを申し上げます。  まず、知事選挙に関連して、今回の選挙戦をどう総括するかという御質問でございます。  私は、選挙において、一候補者という立場でありますので、全力で一生懸命選挙戦に取り組ませていただきました。暑い中での選挙戦でありましたが、多くの皆様方に御支援をいただき、また、街頭演説等にも多くの皆様方にお越しいただき、大変ありがたい、感謝の文字が私の今回の選挙に対する総括と言っても過言ではないと思います。  今回、多くの皆様方と選挙戦で接する中で、さまざまな皆様方から大変な力を私はいただけたというふうに思っています。そして、多くの皆様方からこの県政を引き続き担わせていただくことになったわけでありますので、多くの方々の期待に全力で応えていかなければいけないというふうに思っております。引き続き使命感、そして責任感を持って県政に邁進していきたいというふうに考えております。  次に、人口減少が激しい地域が点在しているがどう取り組むかという御質問でございます。  今回の選挙で、平成の合併前の119市町村を回らせていただきました。知事の仕事をしているときにはなかなか伺う機会のないところにも伺わせていただき、また、そこでお集まりいただいた方々のお話も伺わせていただきました。  もちろん、地域それぞれ課題があるわけですが、異口同音におっしゃっていらっしゃったことが、若者が減っていると。地域はこれから将来どうなってしまうのか心配だと。地域によってさまざまな課題がありますが、こうした県民の皆様方の声、思いは共通であったというふうに私は受けとめております。  県政を進めるに当たりましては、こうした中山間地域の皆様方が安心して暮らすことができるように、地域における若者の定住策であったり、あるいは地域の産業を元気にする上での農林業であったり、観光業の振興であったり、また、他地域との移動を確保する公共交通の充実、こうした課題にしっかり取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。今後とも地域の皆様方の思いにしっかりと寄り添って温かい行政を進めていきたいと考えております。  次に、県民からさまざまな意見や要望が出されたと思うが今後の県政運営に新たな思いとした点は何かという御質問でございます。  今申し上げたことにも重なるわけでありますが、今回、県民の皆様方からの、一つは地域固有の課題、そしてもう一つは全県に共通する課題を私は受けとめさせていただきました。  ある地域では、ここの街頭演説をやっているその先の道路をもう少し何とかしてくれ、トンネルをつくってくれといったようなお話であったり、すぐそこにあるのが診療所だけれども医師確保に苦労しているので県としてもしっかり取り組んでくれという、これはまさに地域固有の課題であります。  それからもう1点は、先ほど申し上げたように、とにかく安心して暮らせる県にしてほしいと。個々の政策がどうこうということではなくて、安心した暮らしをぜひ守ってくれと。このように大きく二つに分けられるというふうに思います。  前者に対しましては、私としては、地域振興局の充実を初めとして、現場重視、そして分権型の県政で地域の課題にきめ細かく対応できるような体制づくりをこれからも進めていきたいというふうに思っておりますし、またもう1点、安心して暮らせる県をつくってほしいという県民の皆様方からの御要請に対しましては、教育であったり、福祉であったり、社会資本の整備であったり、私たちが県として取り組んでいる行政の基本的な部分をおろそかにすることなくしっかりと取り組んでいくことによってこうした皆様方の思いに応えてまいりたいというふうに思っております。  それから、県政の目指す姿は何かということでございます。  5カ年計画の中にも目指す姿を掲げておりますが、私として目指す社会、一言で端的に申し上げれば、創造的で持続可能な共生社会だというふうに考えております。今まさに大きな時代の転換点に当たっているわけであります。そういう中で、やはり未来志向で新しい社会像や新しい産業を構築していく、こうした創造性ということが求められているわけでありますし、その半面、先ほど申し上げましたように、やはり地域の暮らしを安心させてほしいと、安定したものにしてほしいというのが多くの皆様方の願いです。  我が国は、人口減少社会の中で、これまでのシステムが本当に持続可能性があるものかどうかということが問われているわけでありますので、そういう意味で、医療や介護、あるいは交通、さらには環境、こうしたものの持続可能性をしっかりと担保していくことが重要だというふうに思っております。  こうしたことを実現していく上では、信州長野県の本来的な強みであります学びと自治、この力をしっかりと県民の皆様方とともに出し合いながら県政を進めていくということが重要だというふうに思っています。  もう1点、忘れてはならないのは、やはり全ての県民の皆様方、誰ひとり取り残さない県にしていくということが重要だというふうに思っています。多様性が尊重され、そして県民の皆様方相互に支え合い、助け合う、そうした共生社会をつくっていくということが重要だというふうに思っております。そうした思いで創造的で持続可能な共生社会、こうした社会を私としては目指していきたいというふうに考えております。  県民の皆様方の確かな暮らしを実現するため、引き続き全力で取り組んでまいりますので、どうか県議会の皆様方にも引き続きの御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。  続きまして、県政運営に関しての御質問でございます。  まず、地域格差の課題に対する認識という御質問を頂戴しました。  私は、長野県の県政を進めるに当たりまして、先ほども申し上げておりますが、二つの視点が重要ではないかというふうに思っております。  一つは、広い県土を有する長野県でありますけれども、やはり基本的な行政サービス、いずれの地域にお住まいの方に対してもあまねく提供できるように努力していくということが重要だと思っています。これは、防災・減災対策であったり、あるいは医療、介護であったり、さらには教育だったり、こうした部分については、お住まいになっているところによって差があるというようなことがあってはいけない部分だと思いますので、市町村の皆様方とともにしっかりと一定の水準を確保することができるように取り組んでいきたいというふうに思っております。  それと同時に、広い長野県にはそれぞれの地域の課題もあり、また、それぞれの地域の強みや特色もあるわけであります。そういう意味で、こうした部分はむしろ格差というよりは地域の個性だというふうに考えております。こうした個性をしっかりと引き出してさらに伸ばしていくということが、その地域の発展につながることと同時に、長野県全体の発展にもつながる、まさに多様性豊かな長野県をつくるということにもつながっていくというふうに考えております。  そういう意味で、地域振興局を中心に、各地域の課題に今後とも真摯に向き合って対応していきたいというふうに思っておりますし、私自身の立場としては、今申し上げたように、全県のサービス水準の向上と同時に、それぞれの地域の課題をできる限りきめ細かく共有をさせていただきながら、地域課題の解決、そして地域の特徴を生かした発展の方向性を確立すること、こうした意識を持って取り組んでいきたいというふうに思っております。
     続きまして、若者にとって魅力ある社会について、そして、若者の都市からのUIターンを進める事業の展望についてという御質問でございます。  今回の選挙に臨むに当たりまして、選挙中、あるいはその前にもかなり多くの若い方々と対話をさせていただきました。そうした中で、若者の皆様方の思いを集約すると、やはりまちと人と仕事、これは地方創生のうたい文句のようになりますけれども、これが重要ではないかというふうに考えております。  若い人たちにとっては、やはり住みたくなるようなにぎわいや魅力がある町、村、そうした空間の居心地のよさ、魅力というものを長野県としてもっともっと高めていくことが必要だというふうに思いますし、また、人は孤立してはなかなか生きづらいわけであります。人と人とが温かく触れ合い、そして相互に刺激し合い、楽しめる、そうした人と人とのつながる場をつくっていくということ、さらには、暮らしを支える産業でありますが、若い人たちが働きたくなるような産業や職場をつくっていく。こうしたことが若い人たちが定住する、あるいは長野県に戻ってくる、訪れていただく、そうした県づくりにとって重要だというふうに考えております。若い方々が夢や希望を持って、そして何度でも夢に向かって挑戦できるような長野県をぜひつくっていきたいと思っております。  若い人たちのUIターンを推進するためには、先ほど、まち、人、仕事と申し上げましたが、基本は、やはり仕事がなければなかなか戻ってきてもらえないというふうに思っております。そういう意味で、今後とも県外学生に対するインターンシップの体制整備を初めとして、若い人たちの就労支援をしっかりと行っていきたいというふうに思っております。  これまでも、創業セミナーの開催であったり、新規就農者への支援であったり、あるいは信州就活応援プロジェクトであったり、こうした取り組みを行ってきましたが、こうしたことを一層充実をしていきたいというふうに思っております。  また、長野県に生まれ育った若い人たちに、郷土への誇り、愛情、こうしたものを持ってもらうということも重要だと思っております。そうした観点で、企業と連携したキャリア教育だったり、あるいは教育委員会に進めてもらっております地域に根差した学びとしての信州学、こうしたものも充実をさせていきたいというふうに考えております。  今年度、移住、交流の新たな方針の策定を予定しておりますけれども、若い人たちがUIターンしていただけるよう、仕事の側面、そして空き家の有効活用やシェアリング等住まいもセットにした支援など、移住を希望される方々の視点で効果的な支援策を考えていきたいと思っております。  続きまして、地方自治についての御質問でございます。県組織のあり方の見直し、そして、県と市町村や市町村間連携についての所見という御質問でございます。  私は、知事の立場として仕事をさせていただく中で、もちろんほかの県と同様の取り組みの視点もありますが、長野県として最も意識をしておかなければいけないことは、小規模な町村が多いということを念頭に置きながら県政を進めていくということが重要だというふうに考えております。そういう観点で、まずは市町村間の連携ということも重要でありますが、それと同時に、広域的な自治体としての県も、この長野県の小規模町村が多いというような実情をしっかり踏まえて、それに適合した体制をつくっていくということが重要だというふうに思っております。  先般、第32次地方制度調査会が発足したわけでありますけれども、今後、行政サービスが持続可能な形で提供されるように、個々の市町村が全てを担うのではなく、圏域単位で行政を進めるということについての議論が始まっております。こうした国の動向もしっかり注視をしなければいけないというふうに思います。あわせて、市町村との間でも未来に向けた検討を行っていかなければいけないというふうに思っております。  そうした観点で、県と市町村との協議の場も活用しながら、県と市町村の役割分担、そして県の市町村に対する支援のあり方等について検討を行っていきたいというふうに考えております。人材の確保や機関の共同設置、こうした具体的なテーマを設定して、市町村とともに地域の将来を見据えた検討を行っていきたいと考えております。  また、県組織そのものにつきましても、県民起点の県政を進めていく上で、そして時代の要請に適合させていく上で必要な組織体制を構築していきたいというふうに思っております。  例えば、今、各部がそれぞれ責任を持って仕事をしてもらっているわけでありますけれども、未来に向けては、部局間連携が非常に重要になってきております。組織の総合調整機能の強化を初めとした柔軟な組織構造を実現していくということも重要だと思っておりますし、また、事業執行に当たりましては、地域振興局を初めとして、県民に近い組織が自律的に対応できる仕組みをつくっていくことによって、俊敏で的確な行政運営ができるような仕組みということも重要だというふうに思っております。  こうした観点を含めて学ぶ県組織への転換を進めていきたいと考えております。あわせまして、人口減少社会の中で、総人件費の適正化についても図っていきたいというふうに考えております。  いただきました御質問は以上でございます。ありがとうございました。       〔40番村上淳君登壇〕 ◆40番(村上淳 君)県知事選挙も終わりまして、知事は3期目の県政にスタートを切ったわけですが、早速政策パッケージを打ち出して、今回の9月定例補正予算では、一般会計75億9,500万円もの公共事業を中心にした大型補正予算を組まれました。このことは大いに評価できると思いますが、一方、県政の柱である総合5カ年計画を知らない県民が5割を超えているということも公表されております。総合5カ年計画、選挙公約、政策パッケージと次々に打ち出される政策に戸惑う県民もいます。知事には、県政が県民にとってより身近でわかりやすいものになるさらなる努力をしていただきたいと思います。  それから、若者がUターンするためには、若者に夢や希望を与える施策を進めたいというお答えを今いただきましたが、5年前には大学を卒業した学生さんの4割以上が長野県へ戻ってまいりましたけれども、今は4割を切っております。若者にとって魅力ある社会をしっかりとした見地から見定めていただきたいと思います。  続きまして、医療と福祉についてお聞きをいたします。  県民が現在県政に関心があり期待している事項を挙げると、医療と福祉の分野がまず挙げられます。私たちの生活の基本は、人生100年時代を迎えまして、人生二毛作で、健康で充実した人生を送ることであると言えます。そのために、いつでも、どこでも、誰もが充実した医療や福祉が受けられる環境整備が必要です。  そこで、現在、県は、第2期信州保健医療総合計画に基づいて県民の生活習慣を見直し、健康増進を推進しております。また、信州ACEプロジェクトの一層の推進を図るために市町村や企業等との連携を進めております。本県は、全国に冠たる健康長寿県ですが、心臓疾患と脳疾患にかかる率は全国レベルより残念ながら高いのです。  ところで、本県の主な疾病別の死亡率で最も高いのはがんです。がん対策についてお聞きをいたします。  本県では、がんにより毎年6,000人を超える方が亡くなっております。続いて心疾患、脳血管疾患、肺炎となっております。  がん対策の大きなテーマとして、がん予防が挙げられます。近年、がん治療が飛躍的に進歩する中、まずは早期発見が大切ですが、がん予防の一つに検診の受診率の向上があります。部位別での格差はありますけれども、現在、本県の検診の受診率は平均約50%前後です。これを70%に引き上げれば初期でのがん発見につながり、飛躍的に治癒率は上がります。  また、近年、がんとの共生が新たなテーマとなっております。就労しながらのがん治療は企業の理解と後押しが必要です。大企業では、治療のための休暇や短時間勤務等の就労規則が比較的に整っているわけですけれども、中小企業では十分な対応ができていないのが現状です。県として、全ての企業における仕事と治療の両立支援を進めていくための取り組みが必要と考えますが、健康福祉部長の所見をお伺いいたします。  さて、現在、本県は10の2次医療圏があります。それぞれに課題はありますが、共通点は医師不足、看護師不足という長年の課題を背負っております。特に、過疎、中山間地域にとっては深刻です。本県の人口10万人当たりの医師の数は全国レベルよりも14人低く、226人です。地域格差もあります。県内10医療圏でも格差は大きいのです。  医師の数が一番多い松本圏域は10万人当たり300人を超えておりますが、木曽地域は実に126人です。木曽地域の県立木曽病院は唯一の有床病院ですが、18年連続の黒字病院でしたが、ここ2年間、医師不足ということで赤字経営が強いられております。病院経営に深刻な影響を及ぼしています。医師不足は本当に重い課題だと実感をしております。  医師不足対策には、ドクターバンク事業、医学生修学資金等さまざまな対策をとっておりますけれども、結果が見えません。本年度から、県内10の拠点病院から地域の小規模病院へ医師の派遣がされることが決まっておりますけれども、期待したいところですが、残念ながら10医療圏全体ではありません。根本的な医師確保対策を、国として、県として、もっと考えるべきだと思っていますが、知事の所見をお願いいたします。  さて、国は、今後高齢者がふえる中、在宅医療を推進しようとしております。高齢化率は本県でも近い将来40%に達します。独居老人世帯、老老介護世帯の増加など今から対策を練る必要があります。厚労省の調査では、60%の高齢者が住みなれた地域での在宅医療を望んでいるとの報告があります。  県の医師会では、在宅医療推進連絡協議会を立ち上げて対策を練っておるとお聞きしておりますが、県土の広い中、在宅医療を進めるにはさまざまな工夫が必要と思いますが、県としての在宅医療の対応を健康福祉部長にお聞きいたします。  次に、生活困窮者の課題について質問をいたします。  国民が日々豊かな生活を送る権利は憲法で保障されております。現実はさまざまな状況があります。生活保護率は全国平均で16.7‰ですが、本県は5.4‰です。生活保護率は本県は低いのですが、本県でも貧困率は高く、15.5%を超えており、子供が病気になったときに医療機関へかかることをちゅうちょする家庭もあり、また、経済的な理由で食料、衣料品を買えない家庭も少なからずあります。子供への衣食住と学習支援は必要です。生活保護に至らなくても暮らしに困窮している人も多いです。今、自立に向けた細かい支援策が必要です。  国では、生活困窮者自立支援法改正法が国会で成立しましたが、実際、仕事や住まい、子供の学習など、さまざまな側面から困窮者を支える取り組みを強化しなければいけません。また、子供の困窮は将来にわたり連鎖することもあります。困窮した生活から抜け出すためには、就労により経済的に安定した収入を得ることが必要です。生活困窮者自立支援制度では、就労支援策として、困窮者の就労に必要な基礎的能力を身につける就労準備支援事業がありますが、当該事業の実施等の対策は進んでいるのか、県の今後の対応を健康福祉部長にお願いいたします。  次に、教育と子育てについてお聞きをいたします。答弁は教育長にお願いいたします。  少子化が確実に進みつつある中、地域の小中学校の統廃合が全国的に進んでおります。かつて信州は教育県と呼ばれました。学校は地域の核であり、子供たちは宝です。何よりも子供たちの教育を優先したことと思います。  さて、ことしは県歌「信濃の国」が制定されまして50周年の記念の年です。子供たちが信州学を学び、郷学郷就を進める上でも、「信濃の国」を大いに学校で歌い、信州で生まれ育ったことに誇りが持てる教育を推進したいものです。  今、時代に合った教育行政をつくることが求められております。本県の教育行政は、現在、第3次長野県教育振興基本計画「「学び」の力で未来を拓き、夢を実現できる人づくり」に基づいて進められております。教育現場は元気な子供たちであふれておりますけれども、一方、いじめ、虐待、不登校、最近ではスマホ依存症の問題などが多岐にわたっております。子供たちが安心、安全に通学でき、信州のすばらしい自然環境で授業を受けることができる環境をつくる義務が国、県、市町村にはあります。  さて、本県には、現在、県立高校79校、特別支援学校は18校あります。特色のある学校ばかりですが、このたび、これからの学びの場にふさわしい施設整備を進めるための県立学校学習空間デザイン検討会が設置されました。老朽化する県立高校や特別支援学校の今後の改修等を含め、時代に合った学びの場を構築していただきたいです。  特に、教室での電子黒板等の電子化、トイレの洋式化、エアコンの導入は時代の流れです。予算の関係もあると思いますが、早急に進めていただきたいです。また、特別支援学校の図書館の環境整備は学びの基本ですので、早急な整備を求めます。教育長の所見をお願いいたします。  さて、県立高校の改革でございますけれども、県立高校の改革は、現在、次期高校再編計画について検討されております。2年前に長野県高等学校将来像検討委員会で進められ、学びの改革基本構想にまとめた経緯があります。人口減少地域はますます少子化が進み、学校都市部存立校と中山間地存立校に分けることが盛られております。決して数合わせの再編であってはなりません。  人口減少の激しい中山間地の存立校は、ぜひとも1クラス30名程度の少人数学級を進めるべきと思います。どんなに人口が少ない地域でも、教育の機会均等は必要です。全国で、義務教育でいち早く少人数学級を導入した実績のある長野県です。県立高校でも可能と思われます。関係する住民の皆さんと、時間をかけて、住民の皆さんが納得するまで議論を積んでほしいと思いますが、教育長の所見をお願いいたします。  これで第2回目の質問といたします。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)私に対しましては、医療と福祉につきまして3点質問をいただきました。  最初に、がん対策についての質問でございますが、企業における仕事とがん治療の両立支援を進めるための取り組みについては、近年、働く世代のがん患者が増加傾向にありますが、厚生労働省研究班の調査によりますと、がんと診断された勤務者の34%が離職をしております。労働者の3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働く中、がんを初めとする治療との両立支援はとても重要ですが、治療を続けながら就労するための制度や雇用主の理解はいまだ十分とは言えない状況にあります。  このため、厚生労働省は、平成28年2月に両立支援のためのガイドラインを策定し、がん患者の就労支援のため、意識啓発や相談窓口の明確化、休暇制度の整備などを企業側に求めているところです。  県では、本年度から、両立支援に関する新たな取り組みとして、中小企業等の人事担当者、雇用関係団体等を主な対象に、がん患者の仕事と治療の両立に関するセミナーを開催いたします。また、産業労働部と連携し、企業への労働環境等実態調査の実施、現在32企業と締結しております長野県がん対策推進企業連携協定がさらに進むように取り組んでおります。  加えて、昨年、長野労働局、県、使用者団体、労働組合、医師会等で設置されました地域両立支援推進チームにおいて、両立支援の効果的な対策を検討し、仕事とがん治療の両立支援を推進していくこととしております。たとえがんになっても、安心して治療を行い、仕事を続けることができる体制整備にしっかりと取り組んでまいります。  次に、在宅医療についてのお尋ねでございます。  在宅医療の対応については、年を重ねても安心して暮らせる社会の実現に向けて、在宅医療の充実は重要な要素の一つと認識をしております。県民の皆様が可能な限り住みなれた地域で安心して自分らしく生活できる環境づくりが求められます。そのためには、在宅医療を提供する病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション、地域包括支援センターなどの関係者が連携し、入院から退院後の日常療養生活、容体の急変時、ターミナルケア、みとりに至る各段階に応じ、必要なサービスを提供していくことが必要です。  現在、県では、地域医療介護総合確保基金を活用するなどして、各地域における多職種による連携の推進に加え、24時間対応の往診や急変時の受け入れに対応できる体制の強化、訪問看護師等の人材の確保育成、訪問看護ステーションの整備への支援など、在宅医療の充実に取り組んでおります。  在宅医療体制の整備に当たっては、地域によって高齢化の進展や人口密度、医療支援や介護施設の配置など、在宅医療を取り巻く環境が異なることから、地域包括ケア体制の構築状況の見える化を行うことで、その実情や課題を的確に把握し、各市町村の状況に応じた体制づくりに努めてまいります。  次に、生活困窮者への対策についてでございます。  生活困窮者に対する就労準備支援事業の今後の対応策につきましては、生活困窮者の自立支援については、これまで県では19市と連携を図り、県下24カ所に生活就労支援センター、愛称まいさぽを設置し、生活に困窮する方々への自立相談支援事業等を実施してまいりました。  御質問のありました就労準備支援事業は、ひきこもりや長期間就労することができていない方々に対し、就職するための準備的な基礎能力、例えば、身だしなみの整理や挨拶の励行から始まり、ビジネスマナーの習得や模擬面接の訓練などを実施しているところです。  当該事業は、生活困窮者自立支援法では自治体の必須事業ではなく、任意事業の一つとして位置づけられておりますが、本県では、困窮した生活を脱却するための重要な支援策と認識し、法律が施行された平成27年度から実施しております。  県では、平成27年度から昨年度までに延べ180名の方々に対して就労準備支援を行い、平成29年度は、65名の利用者のうち19名の方々を就労に結びつけることができました。  なお、長野県の就労準備支援事業の実施率は全国においても高い状況にありますが、このたび事業の要件緩和がされたことから、今年度未実施の2市に働きかけを行い、来年度の事業実施に向けて調整を行っております。  今後は、県内自治体における事業の完全実施とともに、先進事例の収集、ノウハウ等の情報共有を図り、引き続き相談者に寄り添いながらオーダーメードのきめ細かな就労支援に取り組んでまいります。  私からは以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、医師確保対策について御質問いただきました。  国として、県としてもっと考えるべきという御意見でございます。県としても、これまでドクターバンク事業や医学生修学資金貸与事業等に取り組みまして、合計273名の医師をこうした施策により確保してまいりました。その結果、平成28年末の長野県の人口10万人当たり医師数は約226人ということになっております。これは、平成18年末、10年前と比較いたしますと人口10万人当たり約36人増加ということで、一定の成果が得られてきているというふうに考えております。  また、今年度からは、地域の拠点病院から小規模病院等に対して医師を派遣いたします地域医療人材拠点病院支援事業を新たに実施して、医師の少ない病院を応援する仕組みを講じているところであります。  また、国に対しましても、これまで、医師確保や偏在解消等について再三にわたってさまざまな施策を講じるよう強く求めてきております。  このたび、新たに国の医道審議会の中に医師専門研修部会が設置をされ、私も全国知事会の代表として参画することになりました。先般、1回目の会議が開かれたわけでありますけれども、私からは、医師の偏在是正について強く訴えるとともに、地域の実情についてお話をさせていただいたところであります。  専門医をどう育てるかというこの医師専門研修部会のテーマは、医師の専門性をどう向上するかという観点と同時に、医師の偏在をどう是正するかという大変重要なテーマでありますので、しっかりと地方の声を反映させていくことができるように取り組んでいきたいというふうに思っております。  また、今般、医療法及び医師法の一部を改正する法律が成立して、都道府県知事の権限がこの医療の分野でさまざま強化されております。県として、来年度、医師確保計画を新たに策定していきたいというふうに考えておりますが、限られた医療資源を活用して、医師不足地域に対する集中的な医師確保対策を県として主体性を持って行っていきたいというふうに思っております。  医療関係者の皆様方のお力もいただきながら、県全体でこの医師確保をしっかりと行っていきたいというふうに思っております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)県立学校の学びの場の整備についてのお尋ねでございます。  議員御指摘の電子黒板等の整備につきましては、県立学校へICTを活用した学習環境の整備を現在進めているところであります。  空調につきましては、ことしの夏の猛暑を受けまして、児童生徒の命と安全を守るために緊急的に整備をする必要があることから、2020年夏までには全ての県立学校に整備をすることとしたところでございます。  トイレの洋式化ですが、現在の生活様式を鑑み、洋式化は喫緊の課題であると考えておりまして、洋式化率80%を目指して計画的に整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  また、特別支援学校の図書館につきましては、現状では過大、過密化への対応によりまして、18校中7校では、視聴覚室や会議室との共用や、プレールームに図書コーナーを設ける等により対応しているところでございますが、今後策定する予定の中長期修繕・改修計画の中で図書館設置に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、中山間地存立校への少人数学級の導入についてであります。  この9月に策定いたしました「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針」で、中山間地においては、魅力的な学びの場の創造に向けて、地域と協力した最大限の努力を行っていくという考えを示したところでございます。  また、少人数学級については、今後、少人数学級を研究するモデル校を指定し、研究を開始いたします。このモデル校では、学校の課題や生徒の状況に応じて少人数の生活集団を編成し、さまざまな教育活動における効果的な学級規模及び学校運営のあり方について研究を行っていく予定であります。  これまでも、地域懇談会等で県民の皆様の御意見等をお聞きし、検討を進めてまいりましたけれども、今後は、旧12通学区ごとに設置する高校の将来像を考える地域の協議会で、地域の高校の将来像についての活発な議論を行っていただき、私どもも一緒に新しい高校をつくっていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。       〔40番村上淳君登壇〕 ◆40番(村上淳 君)次に、防災、減災、危機管理についてお聞きをいたします。  ことしに入り、全国各地で自然災害が発生しておりますが、ことしの7月に西日本各地で集中豪雨が発生いたしまして、土砂災害が発生して200名以上の方が亡くなりました。多くの方が被災をされました。災害を十分に予想されながらも、逃げおくれて被災された方も多かったです。  本県でも、王滝村滝越地区が被災し、村道が崩落し、住民20名余りが孤立しまして、消防防災ヘリで救助され、現在、村営住宅や空き家の活用等で生活をしております。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げ、一日でも早い復興を願うばかりです。  さて、本年度、県より第2次県強靱化計画が出されております。県民による自助を初め、共助、公助にわたりそれぞれの役割が明確に示されております。本県の強靱化は、災害が発生しても生命を失わず、最悪の事態を想定し、平時から備えることが明記されております。それでも、最近でも予想を超えるゲリラ的災害が発生し、土石流や噴火等で県民が犠牲になっております。  このような事例に対しまして、想定される被害を最小限にするために、この計画では、部局間連携を含め、どのような考えのもとで推進をしていくのでしょうか。行政での防災力と同時に地域防災力をもっと上げるべきだと思いますけれども、危機管理部長の所見をお願いいたします。  最近の災害の特徴といたしまして、高齢者の方が災害に巻き込まれるケースが多く、今回も、亡くなった方のうち60歳以上の方が7割を超えているとのことです。災害時の避難勧告等の情報伝達について、災害弱者の高齢者対策が必要と思われます。災害現場の市町村と県との連携は今まで以上に求められていますが、どのように取り組んでいくのか、あわせて危機管理部長の御所見をお願いいたします。  さて、戦後最大の火山災害となった御嶽山の噴火災害から4年たちました。いまだに御嶽山の頂上には無残な山小屋が建っておりますが、噴火で58名の方が亡くなり、5名の方がいまだに行方不明です。  木曽町では、頂上までの登山道整備とシェルター整備が終わりまして、頂上までの登山が可能となってまいりました。一方、地元では、王滝村、木曽町を中心に、いまだに住民生活、観光産業等に深刻な影響を及ぼしております。  昨年の6月には、麓の地域で震度5強の地震があり、ことしの7月の豪雨でも村道が崩落をしました。先月の台風ではけが人も出ました。住民は常に自然災害の脅威にさらされております。  県からの復興対策事業には力を入れていただいておりますけれども、先の見えない状況がいまだに続いております。今こそ力強い支援が必要です。今後の復興対応について知事にお聞きいたします。  ところで、御嶽山は県立自然公園であり、あるべき姿を協議する御岳県立公園保護利用協議会を立ち上げておりますが、現況と今後の見通しについてと、被災した山小屋の撤去の見通しについてあわせて環境部長の所見をお願いいたします。  また、御嶽山のビジターセンターについて、今後の見通しについて太田副知事の所見をお願いいたします。  さて、9年後にリニア中央新幹線が開通する予定です。県全体で大いに期待しているところですが、県でもリニアバレー構想を打ち上げており、飯田、下伊那、上伊那の地域の首長さんを中心に議論をされております。  木曽や中信地域は、リニア飯田新駅だけでなくリニア中津川新駅に期待したいところですが、現状では、本地域において議論が低調と感じます。この際、リニア中央新幹線と中央西線の接続の件や、中信地域からのリニア駅へのアクセスの確保の課題もありますので、木曽や中信地区も含めてリニア活用の取り組みを進められたらいかがでしょうか。知事の所見をお願いいたします。  次に、産業振興、景気浮揚について産業労働部長にお聞きをいたします。  国内景気はバブル期を超える景気のよさがあらわれております。設備投資も最近は年10%以上伸び続けておりますが、今が景気の天井だという人もいます。数字の上では県内の大企業の景気のよさがあらわれておりますが、県内の中小零細企業の経営者は、一向に景気浮揚感が湧かないのが現況です。  県内の企業数は現在7万8,500社あり、大企業の数は120社です。本県は中小零細企業が圧倒的に多い県です。県は、5年前に長野県中小企業振興条例を制定し、県信用保証協会等と連携をとりながら鋭意対応しておりますが、中小企業が好景気を実感できないと言われる中、県としてこうした企業に対してどのような対策をとられているのか、産業労働部長にお聞きをいたします。  本県は、次世代産業として、医療、航空機産業、エネルギー、環境分野等を挙げておりますけれども、期待できる分野だと思います。そこで、やる気のある中小企業がどんな形でも参入できる体制が必要です。現況はいかがでしょうか。部長の所見をお願いいたします。  さて、人手不足が大企業、中小企業を問わず各業種で深刻です。本県の生産年齢人口が毎年高齢化し、減少する中、人手不足の解決策は、労働賃金を上げたり、労働時間の短縮、柔軟な働き方改革の推進、女性や高齢者の積極的な雇用を図り、何より生産性向上を図ることが必要です。また、本県の有効求人倍率は1.7に上がり、高校卒業生の求人倍率は1.85倍を超えております。本県独自の人手不足対策のお手本が必要です。本県として魅力のある働きやすい企業の育成を図っていく必要があると思いますが、産学官の連携を含めて具体的にどうされるのか、部長の所見をお願いいたします。
     次に、外国人労働者の雇用についてお聞きいたします。  現在、我が国に住む外国人は256万人で、このうち128万人が国内で働いており、県内事情は、3万4,142人の外国人の方が在住しており、そのうち1万5,700人が就労をしております。  人手不足解消には、外国人労働者の雇用もあります。かつて本県でもブラジル人の雇用が進められた時期がありましたが、外国人の雇用には幾つかの課題がありました。今回、この課題を踏まえて進めたらいかがでしょうか。外国人の労働者は安い労働力だという前提条件にしてはいけないと思います。外国人を高度人材として受け入れ、多くの留学生を受け入れ、そのための施策を進めたらいかがでしょうか。産業労働部長の所見をお願いいたします。  さて、次は林務、林政についてお聞きをいたします。  本県は、森林県から林業県を目指すと知事は示されております。知事の3期目は、本県の林業にとって正念場の年と言えます。  大北森林組合の件ですが、一連の問題は、幾つかの課題を残したものの、法的な視点を含め一応解決策を見ましたが、現在の課題は3点あると思います。一つ、大北森林組合の今後の経営と大北地域の森林整備、二つ目は、大北森林組合から県への補助金返還計画の履行、三つ目は、県林務部の再生、以上です。県として二度とこのような事件が発生しない体制を整えていただきたいと思いますが、林務部長の所見をお願いいたします。  さて、林業の実態ですが、国産材の木材自給率が35%に回復したものの、県内の林業は木材価格の低迷により厳しい状況が続いております。県として林業の復活にどのような所見をお持ちですか。林務部長の所見をお願いいたします。  県内の民有林の整備は、10齢級以上の人工林が9,000万立方に膨れ上がり、山の再生をいかに図るかが大きな課題です。基本的に、切り捨て間伐から搬出間伐に施業方法が変わり、急峻な地形の多い本県では、森林組合等林業事業者の利益率は下がる結果となりました。林業における伐採量も、2011年には32万立方メートルでしたが、2020年までに75万立方の伐採予定が、2016年の実績で44万立方となり、間伐が思うように進んでいないのが状況です。  林業従事者も減少しています。10年前には林業従事者が3,000人おりましたが、2016年には1,648人に減少しています。県として、森林、林業、林産業は苦戦している状況でありますけれども、厳しい林産業の実態と今後の展望について林務部長に御所見をお願いいたします。  さて、本県における次世代の林業の担い手の育成は喫緊の課題です。林業士の育成を図る長野県林業大学校は、本県全体の木材にかかわる人材の育成の学校であります。現在、この学校の将来を見据えてグレードアップ推進委員会で検討中でありますが、ぜひとも本県林業を見据えて生徒や教授陣のさらなる質的向上を目指し、名実ともに日本一の林業大学校をつくり上げる意味でも学校を3年制にするべきと思いますが、林務部長の所見をお願いいたします。  以上、3回目の質問といたします。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)防災・減災対策につきまして2点御質問いただきました。お答え申し上げたいと思います。  最初に、第2期長野県強靱化計画についての御質問でございます。  本県では、平成28年3月に第1期長野県強靱化計画を策定し、鋭意防災対策を推進してまいりました。ただ、第1期の計画期間中にも、平成28年熊本地震や翌年の九州北部豪雨など大規模な災害が全国で発生し、迅速な避難誘導や円滑な物資受け入れなど新たな課題が出てきております。これらの課題や多様化する災害に的確に対応するため、第2期計画では、地域防災力の充実、建物の強靱化、水害・土砂災害対策の三つを重点項目に掲げ、各部局連携のもとで施策を進めております。  具体例といたしましては、地域の防災マップづくりにおいて、土砂災害等の危険区域情報や要援護者に対する支援策を建設部や健康福祉部、そして市町村とともに作成を行い、また、災害時に人的、物的支援を円滑に受け入れる広域受援計画の策定においても関係部局による検討を進めております。  今後は、北海道胆振東部地震の状況などから見えてきた課題も踏まえて全庁的な視野から改善を行い、さまざまな大規模災害に対し、市町村と一体となって的確に対応できるよう万全を期してまいります。  次に、災害時の避難勧告などの情報伝達のほか、高齢者対策や市町村との連携についての御質問でございます。  7月の豪雨災害では、犠牲者の7割を超える方が60歳以上であったとのことから、高齢化が進む本県においても喫緊に取り組むべき課題であると考えております。高齢者に限らず、災害が未経験の場合は避難情報を軽視する傾向があることや、避難勧告などの災害関連情報の意味がわかりにくいといったことが避難行動に結びつかない原因であるとの指摘もございます。  情報の発信に際しましては、簡潔でわかりやすい表現を加えるなど、市町村とともに住民の皆様の目線に立った情報の発信について早急に取り組んでまいります。  また、高齢者や障害のある方など、避難行動に配慮を要する県民の皆様が迅速かつ安全に避難できるよう、災害時住民支え合いマップや地区防災マップの作成も部局連携により一層推進してまいります。  あわせまして、自治会など地域の力を活用し、共助による避難体制など命を守る仕組みづくりについて市町村とともに構築してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)2点御質問を頂戴いたしました。  まず、御嶽山復興に対する今後の対応についてという御質問でございます。  御嶽山噴火から4年の月日が経過いたしました。改めて犠牲になられた方々に衷心から哀悼の意を表しますとともに、御遺族の方々、また被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。  先週の9月26日、安全対策を講じた上で、木曽町において一部の登山道についての規制が解除されました。翌27日に開かれた御嶽山噴火災害犠牲者追悼式には私も出席をさせていただきました。規制が一部解除されたことによりまして、御遺族の皆様を初め多くの方々が御嶽山の頂に立てるようになりましたのは、復興に向けた確かな一歩だというふうに思います。これまで御尽力いただいた関係の皆様方に心から敬意と感謝を表したいと思います。  県といたしましても、二度と噴火災害による犠牲者を出すまいという強い決意のもと、地元町村や関係者と連携して火山防災対策に取り組んでまいりました。今後とも、国、地元自治体、地域の皆様方との協力のもと、再び多くの方々に訪れていただくことができる御嶽山となりますよう、安全対策に万全を期していきたいと考えております。  また、平成26年度以来、安全対策と同時に、地元町村、観光関係者の皆様方とともに御嶽山観光復興協議会の一員として観光振興対策を進めてまいりました。また、今回の9月補正予算におきましても、木曽地域等の誘客を図るため、交通事業者等とタイアップして情報発信をいたします観光情報発信連携推進事業費を盛り込ませていただいているところでございます。  先ほど村上議員の御質問の中にもありましたが、御嶽海関にスポーツ特別栄誉賞贈呈をさせていただくことといたしましたが、木曽地域にとって、そして長野県全体にとっても本当に明るいニュースだというふうに思っております。木曽地域は、御嶽山のみならず、さまざまな魅力にあふれた地域だというふうに私は思っておりますので、この秋冬シーズンはもとより、来シーズン以降に向けても多くの方々に訪れていただき、観光を楽しんでいただくことができるようしっかり観光振興に取り組んでいきたいと思っております。  また、あわせまして、観光以外の部分も含めて、今後とも中長期的な視野を持って噴火災害からの復興と木曽地域の振興発展に向けて取り組んでいくことが重要だというふうに思っております。町、村、あるいは観光関係者、地域の方々と協力して、一緒になってこの木曽地域のさらなる発展のために取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、リニア活用の取り組みの推進についてという御質問でございます。  リニア活用基本構想におきましては、木曽、諏訪、松本などの県中央地域をリニア3駅活用交流圏と位置づけて、長野県駅に加えまして岐阜県駅、山梨県駅の活用も視野に入れて取り組むことといたしております。  これまで、岐阜県駅へのアクセスルートとなります木曽川右岸道路などの整備に取り組んでまいりましたほか、山梨県駅につきましても、駅前広場への駐車場やバス乗降場の整備を求めてきておりまして、加えて、岐阜、山梨両県とは定期的に情報共有を行ってきております。  今月15日に、山梨県、岐阜県の知事と私で3県の知事懇談会を開催する予定にいたしております。その場におけるテーマは、このリニア中央新幹線にする予定でございます。中央線や高速バス等によるリニア駅、長野県にとっては他県の駅を活用するという観点も含めて、アクセスの向上であったり、県境をまたいだ広域観光の展開についても一緒に研究することに着手することを本県から提案していきたいというふうに思っております。  木曽地域におきましても、地域の方々とともにリニアを活用した地域振興策を検討することが私としては必要だというふうに考えておりますので、今後、町や村の皆さんと相談をしていきたい、この地域におけるリニアの活用についてぜひ地域の皆様方と一緒に考えていきたいというふうに思っております。  以上でございます。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)御岳県立公園保護利用協議会の現況、今後の見通しと、被災した山小屋の撤去の見通しについての御質問でございます。  御岳県立公園につきましては、公園のあるべき姿を関係者と共有しながら、その実現のための方策について検討するため、昨年12月に、地元の木曽町、王滝村のほか、観光関係者や木曽森林管理署などで構成されます御岳県立公園保護利用協議会を設置しました。この協議会での議論の成果を公園計画に反映させ、必要な施設整備や維持管理が円滑に進むよう、現在、公園計画の変更を検討しているところでございます。  被災した山小屋の撤去の見通しでございますが、御嶽頂上山荘と二ノ池本館につきましては、木曽町が既に撤去を完了しており、このうち、二ノ池本館につきましては、再整備の上、二ノ池山荘として来年度に営業予定となっております。  また、御嶽剣ヶ峰山荘につきましては、木曽町が来年度に撤去に着手する予定であり、王滝頂上山荘につきましては、王滝村が来年度に改修に着手する予定であると聞いております。  これら被災しました山小屋の再整備や避難施設の設置等につきましても、今後の活用を進めやすくするため、公園計画に位置づけるべく、県立公園保護利用協議会におきまして、まずはシェルターなど防災上必要な避難施設について検討してまいります。  あわせて、県立自然公園は地域振興の重要なツールであるとの認識のもと、公園内の施設のあり方等につきましても検討を進めてまいります。  県といたしましては、今後とも、関係者の皆様とともに県立自然公園を活用して木曽地域の発展に寄与できるように取り組んでまいります。  以上でございます。       〔副知事太田寛君登壇〕 ◎副知事(太田寛 君)御嶽山のビジターセンターの今後の見通しについての御質問でございます。  木曽地域は、御嶽山の豊かな恩恵を受ける地域であるとともに、一方で、甚大な火山災害を経験した地域でもございます。その観点から考えますと、御嶽山のビジターセンターにつきましては、観光振興の視点に加えまして、火山防災の普及や噴火災害を後世に伝えていくという観点からも大変重要な施設であると認識しております。  昨年3月に木曽町、王滝村が御嶽山ビジターセンター(仮称)基本計画を策定し、同じく昨年10月には、県の木曽地域振興局や関係部局の職員も加わりました御嶽山ビジターセンター(仮称)等建設検討委員会が設置されまして、備えるべき機能や情報発信のあり方、建設予定地などの検討も行ってまいりました。  さらに、ことし7月に御嶽山ビジターセンター建設専門委員会が設置されまして、引き続き施設内の展示の内容や方法など具体的な検討も行われております。現在の予定では、来年度には設計を実施し、再来年度、2020年度には施設建設に着手する日程と承知しております。  県といたしましても、木曽地域振興局や関係部局が両町村と連携しながら一体となって検討を進め、火山防災の普及や観光振興の拠点として十分な機能を発揮するビジターセンターになるよう必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)産業振興と景気浮揚について4点の御質問をいただきました。順次お答えをいたします。  まず、中小企業への支援についてでございます。  本県の中小企業は、経営基盤に弱さが見られることに加え、景気波及の効果がおくれがちな下請型企業が多いこと、人材育成が困難なことなどが課題として挙げられております。  こうした課題に対応するため、経営基盤強化の観点からは、商工会議所や商工会が行う経営指導事業への支援のほか、中小企業振興センターの推進員等が製造業を初め小売業やサービス業等幅広い分野の経営相談に応じておりまして、今年度4月から8月末までで約2,800件の相談に対応してございます。  また、下請型企業から提案・研究開発型企業への転換が重要であることから、テクノ財団が産学官連携コーディネートや工業技術総合センターの伴走型新技術開発支援などを進めておりまして、昨年度は、高齢者が扱いやすい電動歯ブラシのグリップ開発など42件のプロジェクトを支援してございます。  人材育成の観点からは、工科短期大学校や技術専門校での在職者向けスキルアップ講座を8月末までに115コース開催したほか、プロフェッショナル人材戦略拠点において、製造業や飲食、ホテルなどサービス業の人材確保にも取り組んでいるところでございます。  引き続き、景気や社会動向などを見据え、迅速かつ効果的な取り組みを進めるとともに、事業承継支援など喫緊の課題にも産学官が連携して取り組み、県内産業の原動力でございます中小企業の持続的発展につなげてまいります。  次に、次世代産業の現況についてでございます。  しあわせ信州創造プラン2.0や、長野県ものづくり産業振興戦略プランでは、議員御指摘の分野を重点的に施策展開するものと位置づけまして、企業の参入支援やクラスター形成に向けた取り組みを促進することとしております。  まず、医療分野についてでございます。  本県の強みである精密加工技術等を生かすべく、これまで、テクノ財団等と連携し、中小企業グループへの内視鏡鉗子の開発支援等を実施してまいりました。しかしながら、販路確保といった課題があることから、今後、医療機器産業振興ビジョンを策定いたしまして、研究開発から販路までの一貫支援をしてまいります。  航空機産業分野につきましては、平成28年度に航空機産業振興ビジョンを策定し、飯田市に航空機システム拠点を設け、高度人材の育成、試験機器充実による研究開発等に取り組んでおり、参入企業は平成26年の40社から現在60社まで増加しております。今後、さらなる産業集積に向け、企業誘致や参入企業拡大に力を入れてまいります。  環境エネルギー分野では、世界市場のニーズが強まっている中、県内でも水素エネルギー分野に進出する企業が出てきており、また、県企業局では水素ステーションの設置に向けた準備が進められております。こうした水素エネルギー活用機運が高まる中、県内企業の同分野への参入支援も進めてまいります。  成長期待産業の発展に当たっては、人材の育成確保や研究開発支援など、部局横断、産学官連携が不可欠であることから、十分な連携体制のもと、事業を加速化させてまいります。  魅力ある働きやすい企業の育成についてでございます。  景気の回復に伴い、人手不足が深刻化し、県内経済への悪影響が懸念される中で、人材の確保と定着を進めるためには働きやすい環境の整備により企業の魅力を向上させることが重要であると認識してございます。そのため、県委託のアドバイザーが年間3,000社を超える企業を訪問し、多様な働き方制度の導入を助言する取り組みや、本年度、新たに県内の経営者や人事担当者が参加する先進的な企業の見学会を県内4地区で開催するなど、働きやすい職場づくりを推進しております。  本年4月には、産学官労が連携して長野県就業促進・働き方改革戦略会議を立ち上げ、全体会議のほか、10の地域会議と六つの産業分野別会議を設置し、地域や産業分野の実情に合わせた課題を議論し、さまざまな具体的な施策を検討してまいりました。  会議においては、企業内のワークシェアリング、テレワークの一層の導入促進、AI、IoTの利活用の促進による長時間労働の是正、就業者に対するリカレント教育やスキルアップ支援の実施などを求める意見が出されておりまして、こうした意見を取り入れ、産学官労が連携しながら魅力ある働きやすい企業をふやす取り組みを強化してまいります。  最後に、外国人労働者の雇用についてでございます。  人手不足が深刻化する中で、県内産業の活力を維持するためには、外国人材の活用が必要であり、特に、不足が著しい高度人材である留学生の受け入れが重要であると認識をしてございます。  このため、留学生の県内就職が促進されるよう、県、信州大学、経済団体が連携し、ビジネス日本語教育やキャリア教育などを実施する留学生就職支援促進プログラムを昨年度開始するとともに、留学生等と県内企業とのマッチングを行うグローバルキャリアフェアを実施し、就職につながった事例も出てきております。  留学生は、日本での労働ルールや県内企業を十分に知らないという課題があるため、本年度は、留学生が就職の際必要となる在留資格の変更や、労働ルールを学ぶワーキングセミナーを実施するとともに、今後は、Uターン就職促進協定を結んでいる大学が52校ございますが、こちらとの共催による留学生と県内企業とのマッチングフェアを検討してまいります。  また、企業や地域の課題として、受け入れ態勢が十分でないことが挙げられますので、企業向けサポート窓口の整備等や、市町村と連携した多文化共生の地域づくりなども進め、留学生等の外国人材が働きやすい環境整備に取り組んでまいります。  私からは以上でございます。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)林務行政について4点御質問をいただきました。  初めに、大北森林組合等補助金不適正受給事案に係る今後の体制等についてのお尋ねでございます。  大北森林組合は、まずは地域の森林整備の担い手として森林経営計画の作成を進めることにより、計画的に地域の森林整備事業に取り組み、体制の強化を図りつつ、経営の健全化に努めることが重要であると考えています。  このため、県としましては、引き続き組合の事業の進捗状況や経営状況を把握するとともに、地域の森林整備の推進に必要な技術面や体制面の強化に向けた指導、支援等に取り組んでまいります。  また、こうした取り組みを通じて、組合が早期に再生できる体制を確立し、県への返済が計画的に履行されることを確保してまいります。  林務部における再発防止の取り組みにつきましては、林務部コンプライアンス推進行動計画に基づき、業務の適正化や職員の意識改革等に取り組むことはもとより、職員のモチベーションの向上や各所属の実情に応じた人員配置の適正化、しごと改革による業務の改善、効率化に今後とも取り組んでまいります。  特に、コンプライアンスの推進については、意欲ある若手職員で構成されるプロジェクトチームの提案をもとに、推進行動計画の見直しを随時行うなど、職員一丸となって改善しつつ継続していくことにより、県民の皆様の信頼回復につなげてまいります。  次に、林業の復活についてのお尋ねでございます。  現在、県内の民有林の人工林の森林資源は9,000万立方と、昭和45年の6.5倍と成熟している一方で、森林所有者の高齢化や相続による世代交代等が進行し、所有者の把握や境界の明確化等に多大な労力が必要となっていることが大きな課題です。  こうした中、来年度より導入される森林経営管理法に基づく新たな森林管理システムにおいては、市町村が中心となって私有林の経営管理の集約、集積を行う予定であり、この制度を確実に運用できる体制を整えていくことが重要です。このため、現在、市町村の皆さんとともに検討を進めており、将来を見据えた体制のもとで業務が円滑に進むよう取り組んでまいります。  また、森林資源等の情報をデジタル管理し、需要者側とマッチングできるよう、ICT技術を活用したスマート林業を構築し、生産性の高い基盤をつくる取り組みも進めているところです。  さらに、木材の需要開拓も重要で、例えば、カラマツ大径木をブランド化するための取り組みとして、中部森林管理局と共同で林齢80年生以上の良質な人工林カラマツを信州プレミアムカラマツとして販売を開始したところ、通常のカラマツ材の1.9倍の価格で取引されており、こうした木材の価値を高める取り組みにより木材の需要の開拓も進めてまいります。世界的に見れば、森林資源は海外と比較しても遜色ない状況を迎えつつあり、こうした取り組みを加速化させることで林業県を具現化したいと考えております。  続きまして、林業、林産業の今後の展望についてのお尋ねでございます。  間伐材を含めた本県の素材生産量は、合板用材と木材チップ用材が堅調に推移しており、平成29年においては、木質バイオマス用を含めると前年度比109%となる54万立方となっており、平成17年に比べ約2倍と、着実に増加しているところでございます。  また、林業の担い手については、林業就業者の全体数は御指摘のとおり近年減少傾向ではありますが、伐採、搬出を行う素材生産作業の従事者は1,000人近い水準を維持しております。 林業の担い手の確保育成には安全で効率的な就労環境への改善が欠かせないため、引き続き長野県林業労働財団と連携した就労説明会や作業技術習得への支援、安全教育の徹底により、素材生産を中心とした林業の現場技能者の確保育成に取り組んでまいります。  県内の林産業の実態ですが、製材工場は、昭和40年代には約1,000工場あったものが、近年では150工場を下回るなど厳しい状況にありますので、製材工場が森林所有者や消費者と連携する地消地産型の垂直連携や、複数の製材工場が個々の技術を生かして連携し、スケールメリットを追求する水平連携などの取り組みを進めていくことが重要と考えております。こうした取り組みを進め、充実した森林資源を持続的に活用し、林業、林産業の成長産業化を図ってまいりたいと考えております。  最後に、林業大学校の3年制化についてのお尋ねでございます。  林業大学校につきましては、昨年度から有識者による委員会、林業大学校グレードアップ推進会議により、学校の教育理念、目標やその実現に向けた学校体制等について多角的な検討を行っていただいているところでございます。  委員会では、現在、報告書を取りまとめ中ではございますが、森林資源の充実や社会情勢の変化等に的確に対応するため、高度な技術力に加え、経営力やリーダーシップを持ち、さまざまな場面で地域を牽引できる人材の育成が急務であることを踏まえ、3年制に向けた教育内容、体制の大幅な強化を図るべきとの方向で御意見をいただいております。  県としましては、こうした御意見や議員の御指摘も踏まえ、日本をリードする人材育成の拠点となるためにはどんな施策が必要か、あるいは関連機関と林業大学校の連携をいかに進めるか等について十分に検討してまいりたいと考えております。
     以上でございます。       〔40番村上淳君登壇〕 ◆40番(村上淳 君)農業について入りたいと思いますが、農政については1点だけお聞きをいたします。  本県は、農業の担い手の高齢化が進み、若手の担い手の確保が喫緊の課題です。本県では、年間250名ほどの新規就農者を目指しておりますが、就農者の中には、親族が所有している農地で農業を始める人、新しく農地を取得して農業を始める人とあります。新しく農地を取得する人は、スタートの段階でハンディがありますが、新規就農者の現況と今後の見通しについて、新規就農者に支援できる県独自の支援策について農政部長に所見をお伺いいたします。  次に、安心、安全、県警察でございますけれども、県民が日々安心、安全に生活ができる社会をつくり上げるためには、県警の果たす役割は大きいです。  ところで、高齢者を中心に、相変わらず振り込め詐欺が発生しております。振り込め詐欺につきましては、年々巧妙化する手口で高齢者が狙い撃ちをされております。年々被害件数は減る傾向にはありますけれども、長野県内のことしの上半期の被害額は、件数こそ30.3%減少しておりますけれども、認知件数が83件、被害額が1億8,903万円と前年度に比べて31.9%ふえております。  オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証詐欺、還付金詐欺などあり、手口も、警察に成り済ましたり、直接現金をとりにきたり、あの手この手で現金を詐取するケースが多いと聞きます。県民に対する対策の啓蒙活動も積極的に行われておりますが、そこで、県警としてこのような状況をどのように考えているのかお示しをいただきたいと思います。県民が安心して生活ができる環境を整えるべきと思いますが、警察本部長にあわせて対策をお聞きいたします。  最後に、長野県の観光戦略についてお聞きをいたします。  現在、我が国は観光産業が活況を呈しており、2020年のオリンピック・パラリンピック開催に伴う我が国への外国人観光客は、実に4,000万人を見込んでおります。本県にも大きな影響を及ぼすことでしょう。  本県は、自然が豊かであり、観光には適した地域と言えます。観光は、本県にとって大事な収入源であり、県観光部は県観光機構と連携して魅力ある観光産業を目指しております。本県は、観光に伸び代の多い観光県とも言えますが、課題も多いのです。  本県の観光客の入り込み客数は、平成3年当時は1億人を超えておりましたが、最近は8,000万人と減少しております。観光人口の減少の原因の一つにスキー人口の減少が挙げられます。かつて本県へのスキー人口は2,100万人おみえでございましたが、現在は約600万人とかつての3分の1です。  一方、山岳登山人口を初めグリーンシーズンの観光客やインバウンドの外国人観光客の増加が目立っております。本県でも、今後、近々外国人宿泊者数が200万人は見込めると思います。  観光といえば、旅館、ホテル、民宿、民泊等の宿泊ですけれども、本県の宿泊施設の稼働率は全国一低い30%台に低迷しております。また、近年大型宿泊施設が毎年倒産するなど、設備の老朽化、労働人口の確保を初め状況は厳しいです。  我が会派で昨年訪れました熱海市は、観光が一時低迷いたしましたが、インバウンドの外国人よりも、徹底して法人の誘客にこだわり、見事に観光産業を復活したところもあります。  昨年、DCキャンペーンを開催されました。残念ながら天候不良が原因で目標には至らなかったとの報告ですが、ことしは後イベントとして昨年を上回る努力をしてほしいと思います。  そこで、質問いたします。観光部長の答弁をお願いいたします。  一つ、本県へのインバウンド観光客の動向と今後の見通しについて伺います。  二つ、本県の宿泊施設の稼働率は低迷する状況にありますが、これは、そもそも供給過多であるといういかんともしがたい面もございます。これを打開するためには、長期滞在型の宿泊数をふやす努力が必要でありますけれども、インバウンドをより多く取り込み、長期滞在をふやすことが重要であると思いますが、いかがでしょうか。  三つ目、県観光部は3年間のDCキャンペーンでの取り組みの成果を今後の観光振興にどのように生かしていくのかお尋ねいたします。  四つ目、高齢化社会を迎え、時間と生活にゆとりのある高齢者、または障害を持つ方など、どなたでも訪れた皆さんが信州を楽しめる環境を整えるために県としてどのような対策をとる予定でしょうか。  五つ目、菅平はスポーツ合宿のメッカであり、多くの学生が毎年合宿を行っております。このような合宿等の誘致は本県にとってもよいことであり、推進していく必要があります。しかし、少子化が進む中、他県においても学習旅行や修学旅行の誘致等に力を入れており、限られたパイを奪う状況にもなっております。県として、合宿や学習旅行を誘致するに当たり、どのような点に力を入れていくのかお伺いします。  六つ目、全国初の総合的な登山安全条例である長野県登山安全条例が施行されて3年たちます。多くの登山者で信州の山々がにぎわっておりますけれども、その一方、山岳遭難は平成25年の300件をピークに減少しつつあるものの、依然として高水準で推移しております。山岳遭難を減らしていくためにどのような対策を進めていくのか御所見をお願いいたします。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)新規就農者の現況と見通し、県独自の支援についてのお尋ねでございます。  新規就農者は、平成26年度には目標を上回る253人が就農いたしましたけれども、近年は、雇用情勢が好調なことから、他産業との競合により、平成28年度が220人、昨年度は211人となっております。  就農者の傾向といたしまして、農地や農業機械を持っていない非農家から農業に参入する希望者が増加しておりまして、このような参入者を円滑に就農に導く取り組みが重要と認識をしております。  このため、県では、熟練農家が里親となり、参入者の技術習得や農地などの確保をサポートする県独自の新規就農里親支援事業によりまして、これまで548人の参入者を受け入れ、このうち75%の410人が就農するなど一定の成果を上げてきております。  また、親元就農におきましても、就農経費の支援といたしまして、長野県農業担い手育成基金を通じまして一人30万円を上限に助成をします親元就農者支援制度を今年度から新たに創設をしたところでございます。  今後も、里親支援事業等の活用により就農率の向上を図るとともに、JAや農業法人でのインターン制度や市町村の研修制度との連携を強化しながら新規就農者の確保に努めてまいります。  以上でございます。       〔警察本部長内藤浩文君登壇〕 ◎警察本部長(内藤浩文 君)最初に、特殊詐欺被害の発生状況についてお答えいたします。  8月末の特殊詐欺の発生状況は、認知件数が100件、被害額が2億3,587万円余であります。前年同期比で、認知件数が51件、33.8%の減少、被害額が5,443万円余、30.0%の増加となっております。  主な特徴といたしましては、架空請求詐欺の認知件数が42件と前年同期比で15件、26.3%減少いたしましたが、全体の42.0%を占めていること。その被害額は1億5,739万円余と、1億1,402万円余、262.9%増加し、全体の66.7%を占めていることが挙げられます。  なお、特殊詐欺の被害額が増加している要因といたしましては、架空請求詐欺により複数回にわたり現金や電子マネーをだまし取られ、被害額が1,000万円を超える被害が6件あり、その合計額が1億2,190万円余に上っていることが挙げられます。  続きまして、特殊詐欺被害の抑止対策についてお答えいたします。  警察では、関係機関・団体等のあらゆるネットワークを活用した先制・予防的活動、金融機関、コンビニエンスストア等と連携した水際対策などにより特殊詐欺の被害抑止対策を推進してきたところでありますが、本年に入り、オレオレ詐欺や架空請求詐欺の被害が多発したことを踏まえ、3月19日に本職から県民の皆様に対して特殊詐欺被害多発に伴う緊急メッセージを発信して、3カ月間にわたり集中的に緊急対策を推進いたしました。  主な取り組みとして、特殊詐欺被害撲滅三ない運動プラスワン、「渡さない」、「払わない」、「電話に出ない」、「振り込ませない」の周知、高齢者世帯を対象とした常時留守番電話設定や電話をかけないことを推奨する集中的な防犯指導などを行ったところであり、これらの取り組みにつきましては、現在も継続しております。  その結果、特殊詐欺の被害額は増加したものの、認知件数は大きく減少させることができましたので、一定の効果があったものと考えております。  一方で、被害額が増加している架空請求詐欺の特徴といたしまして、全ての被害者がメールやはがきに記載の連絡先に電話をかけたことにより被害に遭っていること、被害のうち83.3%が電子マネーをコンビニエンスストアで購入させる手口であること、被害者は高齢者が中心のオレオレ詐欺と異なり、あらゆる年代にわたっていること、1,000万円を超える被害は全て現金や電子マネーを多数回にわたりだまし取られているものであることなどが確認されております。  このような状況を踏まえ、10月1日から架空請求詐欺の被害抑止を重点とする特殊詐欺被害抑止強化月間を開始したところであります。この月間におきましては、あらゆる機会を活用した広報啓発活動による、メールやはがきに記載の連絡先には電話をかけないこと、まずは警察や家族に相談することの周知徹底、コンビニエンスストア等の水際対策に対する支援の強化などの対策を進めているところであります。  これまでの取り組みに加え、これらの対策により特殊詐欺被害のさらなる抑止を図ってまいります。  以上でございます。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)6点お尋ねをいただきました。  まず、本県へのインバウンド観光客の動向と今後の見通しについてでございます。  本県へのインバウンド観光客は、平成24年から昨年まで6年連続で増加しており、本年に入ってからも昨年を上回るペースで推移をしております。国、地域別の状況を見ますと、台湾からの宿泊者数が統計をとり始めた平成19年から11年連続で最も高い状況で、次いで中国、香港、オーストラリア、タイの順となっております。近年は、香港、タイ、韓国や欧米諸国の伸びが顕著でございます。  今後の見通しとしては、外国人の地方への興味がますます高まってきておりますことに加えて、来年のラグビーワールドカップや再来年の東京オリンピック・パラリンピック、さらには2021年に関西地域で開催予定のワールドマスターズゲームズなど、世界規模のスポーツ大会が連続して開催されることから、欧米諸国を中心に、今後も本県へのインバウンド観光客を増加させる好機は続くものと考えております。  次に、長期滞在をふやす施策についてでございます。  外国人観光客の日本での平均宿泊日数を国、地域別に見ますと、韓国、香港、台湾が4から6泊、中国、タイが約10泊、欧米やオーストラリアが約2週間という状況になっております。  長期滞在をふやすためには、滞在日数の多い欧米やオーストラリア、さらには中国、タイなどの富裕層を中心に、他県に負けないようにいかに本県に誘客を図るかが重要となってきております。  そのためには、これまでの本県のセールスポイントとしております四季の美しさやスキー、スノーモンキーなどの旅の目的地に加え、トレッキングやサイクリングなどのアウトドアや伝統文化の体験などの事消費をセットに、本県の多様な魅力を面的に発信していくことが必要と考えております。  特に、まだまだ入り込みが弱い6月から9月までのグリーン期は、誘客を本格的に伸ばしていく必要がありますので、さわやかな信州の夏の体験と宿泊をセットとした旅行商品の造成や、デジタルプロモーション、海外への情報発信の強化に今年度から重点的に取り組んでいるところでございます。  次に、デスティネーションキャンペーンの成果を今後どう生かしていくのかについてでございます。  信州デスティネーションキャンペーンの開催を通じて、今後の観光地域づくりにつなげる機運が醸成されたことは大きな成果と捉えております。一方で、天候不順の影響も受ける中で、将来へ向けてのさまざまな課題も見えてまいりました。今後は、天候に左右されない観光コンテンツの充実、ネット予約機能や情報発信力の強化、2次交通の充実、おもてなし県民運動の推進、以上の4点をさらに発展させるべく取り組んでまいりたいと考えております。  そのため、今回の9月補正予算では、長野県公式観光ウエブサイト、さわやか信州旅.netの全面リニューアルに向けた戦略の策定、信州デスティネーションキャンペーンで築いた交通事業者等との関係を発展させ、木曽、南信州エリアにおける誘客促進のための情報発信に関する事業をお願いしているところでございます。  次に、誰でも信州を楽しめる環境を整える対策についてでございます。  県では、障害者や高齢者を初め、誰もが信州の魅力を楽しめる環境づくりを進めることが必要であるとし、本年度からスタートしました長野県観光戦略2018の中でユニバーサルツーリズムの推進を盛り込んだところでございます。  山や坂の多い長野県では、施設、設備のバリアフリー化のみに頼るのは限界があることから、県内外で開発されました優秀なアウトドア用補助器具などと県民の皆様によるサポートの組み合わせによりまして、山も谷をも乗り越え学ぶ信州型ユニバーサルツーリズムを展開したいと考えております。  本年度は、地域トラベルサポーターの皆さんなど関係17団体を中心に約120名に御参加いただきまして、第1回ユニバーサルツーリズム推進会議を7月に開催いたしました。この会議を推進母体として、信州大学と連携したモデルルートの造成やアウトドア用車椅子や車椅子スキーの購入支援を行うこととしてございます。  次に、合宿や修学旅行の誘致についてでございます。  平成28年度の学習旅行実態調査結果によりますと、本県を訪れた小中高の学校数は4,593校、延べ児童生徒数は86万3,000人であり、ピーク時の平成元年の6割程度となっておりますが、平成20年度以降は再び増加傾向に転じているところでございます。目的別に見ますと、スキー合宿などが減少傾向にある一方で、農業体験や音楽合宿、学習セミナーなどの文化系合宿が大きく増加しているところでございます。  今後、誘致を推進するためには、スポーツコミッションと県観光機構が中心となって各種スポーツ合宿を開拓するとともに、市町村や観光協会等と連携いたしまして各種体験メニューの充実やさまざまな文化系合宿のニーズにもきめ細かく対応できる受け入れ態勢の構築が重要と認識しております。加えて、信州ならではの伝統文化の体験や地域住民との交流などを提案することによりまして他県との差別化を図り、誘致を強力に推進してまいりたいと考えております。  最後に、山岳遭難防止対策についてでございます。  主な取り組みとしましては、登山計画書届け出の義務化や山のグレーディングの導入などによります安全登山に向けた意識啓発、山岳専門サイトや情報誌を初めとした多様な媒体による遭難防止のための情報発信、そして、登山相談員や常駐隊員が行う山際での直接指導による未然防止活動の三つであります。  これらに加え、昨年度からは、遭難が起きやすい春山での集中啓発や、外国人を中心に増加傾向にありますバックカントリースキーに対する注意喚起を行ってきておりまして、さらに、今年度からは、これまでの啓発活動から一歩踏み込み、登山者の皆さんに学ぶ場を提供いたします信州山岳アカデミーを展開してきております。具体的には、夏の涸沢において、専門の医師から脱水予防など病気遭難を防ぐための手だてを学ぶ山小屋セミナーを開催したところであり、この秋以降は、首都圏の登山用品店などやウエブ上でも学べる機会を提供してまいります。  以上でございます。       〔40番村上淳君登壇〕 ◆40番(村上淳 君)さて、きょうはさまざまな角度から質問をさせていただきましたけれども、県政の柱は、長野県民の誰もが、生まれ育ち、暮らしてよかったと思える県政を推進し、誰もが健康で輝ける社会を構築することです。  きょうは木曽地域からも遠路傍聴に来ている方が大勢いらっしゃいますが、この代表質問を通じて、県の隅々まで血の通った県政運営に尽力されることを知事に最後にお願いして、代表質問といたします。御清聴ありがとうございました。 ○議長(鈴木清 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時51分休憩          ──────────────────         午後1時1分開議 ○副議長(小林東一郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  日本共産党県議団代表和田明子議員。       〔26番和田明子君登壇〕 ◆26番(和田明子 君)日本共産党県議団を代表し、質問を行います。  さきの県知事選挙は、気象庁が命にかかわる災害と警告を発するほどの酷暑の中での選挙で、本当に御苦労様でした。3期目の阿部知事の御奮闘を心より御期待申し上げます。  ことしの夏は、観測史上最悪の猛暑、西日本を初めとした各地の豪雨、相次ぐ台風、北海道胆振東部地震など自然災害が日本列島を襲い、多くの人命が奪われました。被災され、避難生活を余儀なくされている多くの皆さんがおられます。亡くなられた皆さんに心からの御冥福と、被災された皆さんにお見舞いを申し上げます。一日も早い復興を願うばかりです。  それでは、質問に入ります。  今回の県知事選挙の投票率43.28%は、前回を0.28ポイント下回り、過去最低の投票率となり、県政への関心が薄れていることをうかがわせる深刻な事態だと思います。阿部知事は、初心を忘れず、県民一人一人の思いに寄り添い、全力で県政に取り組むと当選直後に抱負を述べています。前回、今回とも6割弱の有権者が棄権していることをどう考えておられるのか。県の役割がわかりにくい、県政は遠いと感じている県民に、県民総参加の県政を掲げる知事として、今後どのような対策を考えておられるのか、お尋ねいたします。  3期目の知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。  第1は、憲法についてお尋ねいたします。  戦後73年間、世界を見れば、各地で戦争や紛争が繰り返され、何の罪もない多くの人々が犠牲となり、戦争難民は数千万人に膨れ上がる深刻な事態が広がっていますが、日本は平和憲法に守られ、これまでいかなる戦争にも参戦せず、一人の犠牲者も出さず、平和を守り抜いてきました。  しかし、安倍首相は、自民党総裁選挙を経て、総裁選で掲げた憲法9条に自衛隊を明記する改憲について、党内の力強い支持を得ることができたとの認識を示し、秋の臨時国会にも自民党改憲案を提出するため、与党協議も検討などと報じられています。憲法改定案の中身は、自衛隊を海外に派兵し、戦争参加できること。国民主権もないがしろにしようとしています。  日本国憲法99条では、天皇または国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法を尊重し擁護する義務が明確に規定されています。安倍総理の改憲発言は憲法擁護義務違反の発言であり、容認できるものではありません。  共同通信の世論調査では、秋の臨時国会への自民党改憲案の提出に反対が51%、賛成の35.7%を大きく上回っております。知事は、安倍総理のこれらの発言についてどのような見解をお持ちか、平和憲法が戦後果たしてきた役割をどのように評価されているのか、お尋ねいたします。  次に、核兵器廃絶についてお尋ねいたします。  日本は、世界で唯一の戦争被爆国として核兵器の廃絶を求める義務があるとして、1984年7月、県議会は非核平和県民宣言の決議を行い、長野県は県庁前の標柱で意思表示をしています。2月県議会で核兵器禁止条約への署名と批准を求める意見書を採択するなど、核兵器廃絶への意思を示す取り組みをしています。朝鮮半島の非核化も話し合いで進めるという歴史的な情勢の進展が始まっております。  阿部知事は、昨年2月に、広島、長崎の被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名の趣旨に賛同し、既に署名されたとのことですが、知事の核兵器廃絶への姿勢と今後の取り組みについてお尋ねいたします。  次に、日米地位協定の抜本的見直しについてお尋ねします。  全国知事会は、2年近くかけてまとめた提言を、ことし7月には全会一致で採択し、外務、防衛両省と米大使館を訪問し、日米地位協定の抜本的な見直しを求めました。その中身は、航空法や環境法令など国内法の適用や、事件、事故等の基地の立ち入りなどを日米地位協定に明記するよう要請、米軍の訓練ルート、時期に関する情報を事前提供すること、基地の使用状況などを点検して縮小、返還を促すことを求めたと報道されました。2年余りかけ、全国知事会としては憲政史上初の画期的提言と言われております。知事会のメンバーとしてどう受けとめておられるのか、知事にお尋ねいたします。  次に、オスプレイ飛行に関してお尋ねします。  一昨年9月、県民の安心、安全と環境を守る立場から、市長会、町村会と知事が連名で、防衛大臣、環境大臣に、米海兵隊MV22オスプレイ訓練の具体的内容を関係自治体及び地域住民への事前説明、日米合同委員会の合意事項の遵守、希少動植物の生息環境への配慮等を申し入れしたにもかかわらず、事前説明も環境影響への配慮もなく、昨年3月に県庁真上を飛行、さらに、ことしは、7月、9月、10月とたび重なるオスプレイの飛行が県内各地で目撃され、写真撮影されています。いずれも、知事が関係機関に申し入れた内容に反しており、知事として抗議をすべきと思います。  知事に伺います。  横田基地には、海兵隊のMV22オスプレイが頻繁に飛来しています。そして、米空軍の特殊作戦機CV22オスプレイが米軍横田基地に、10月1日、正式配備になり、飛行訓練は横田基地のホテルエリアに含まれる県内にも影響が出ることに対して知事はどう対応されるのか、お聞きします。  次に、消費税についてお尋ねします。  ことし、2018年は、1989年に消費税が導入されてから30年目になります。社会保障の充実のためと、消費税導入から、3%、5%、8%と税率が引き上げられ、その都度深刻な不況に見舞われ、地域経済は打撃を受けてきました。この30年間の消費税収は372兆円にもなります。ほとんど同じ時期の法人三税の減収額は累計で291兆円にもなっております。消費税のほとんどが法人税などの減収の穴埋めとなり、社会保障財源の確保も財政の健全化もできなかったことは明白です。
     知事は、消費税に対し、最も安定した財源、県にとっては重要な財源、増税はやむを得ないなどと答弁してまいりました。最も安定した財源ならば、県民の暮らしがどうあれ、税収は安定しているという一面しか見ていないことになり、過去の増税時の不況や低所得者、年金生活者に深刻な生活不安を引き起こしたことをどう見ているのでしょうか。  安倍首相自身も、消費税増税が景気に与える影響を理由に二度にわたって10%増税を延期してきましたが、依然として国民の所得は低迷し続けております。安倍政権の5年間で、非正規雇用者数が2,036万人、2012年より223万人ふえました。同じく2012年比で、労働者の実質賃金は4.5%低下しております。2019年10月に予定どおり消費税を10%に引き上げが実施されれば、1世帯当たり年8.6万円を超える負担増が予想されます。  第2次安倍政権の5年間で、大企業の内部留保は330兆円から425兆円、格差を広げ続けている中で、低所得者により負担の重い消費税増税、知事はこうした事態をどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。  また、10%増税に合わせて、軽減税率の導入やインボイス制度、適格請求書等保存方式による事務の煩雑化は、中小零細企業の経営悪化に拍車をかけ、地域経済を疲弊させると懸念されております。県民生活と地域経済を守る立場で10%への増税に明確に反対すべきと思いますが、知事の見解をお尋ねいたします。  次に、情報公開についてお尋ねします。  公文書は、県民の財産、知る権利は民主主義の原点です。県の情報公開条例には、公務員の職務に関する情報は原則として公開であると記されております。この原則が全く踏みにじられている。長野県は開かれた県政、県民総参加の県政を目指しているのか、私は大いに疑問を抱いています。  私は、本年7月9日に、大北森林組合等補助金不適正受給事件の本質を解明するのに欠くことができないと考え、大北森林組合等補助金不適正受給事案にかかわる法的課題検討委員会報告書を受けて知事から提出された監査請求書に基づき、監査委員が平成29年9月12日から平成30年2月19日までの監査期間に財務会計職員と非財務会計職員に対して行った調査について、その11名の監査対象職員やそれ以外の職員から行った事情聴取のときに監査委員が得られた書類の一切について情報公開条例に沿って公文書公開請求をしました。その結果が、求められた文書は277ページあることがわかりました。8月1日に開示された公文書の99%が、実はこのように公開を拒否したも同然でした。全くの黒塗り、のり弁です。  公開しない理由は、公務員として受忍する限度を超えて個人の健康、生活が脅かされるおそれがあるため、ヒアリングに関する情報であり、その情報は通常事後に公表されることを前提としていない。今後同様な行為があった場合を含め、公開されることを恐れて事実をありのままを話すことに消極的になり、具体的な情報を十分に得られなくなるおそれがあると付されていました。  これでは、今後もほとんどの文書が非公開になってしまうおそれがあります。県政史上の重大な事件で本質が解明されず、再発防止の対策にもなりません。行政の説明責任の放棄であり、県民の知る権利を奪う、まさに民主主義の根幹にかかわることと考えます。  長野県の情報公開に対する知事の基本姿勢について御所見を伺い、1回目の質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)和田議員の代表質問に順次お答えを申し上げます。  まず、選挙の投票率についての評価という御質問でございます。  まずは、大変暑い中、多くの皆様方に投票所に足を運んでいただいたということを私としては大変ありがたく思っております。投票率が過去最低ということは残念ではありますけれども、私としては、引き続き県民の皆様方にわかりやすい県政の推進、そして県民の皆様方との対話をしっかり行っていきたいというふうに思っております。また、選挙管理委員会初め多くの皆様方に暑い中選挙啓発に御努力いただいたわけでありますので、そうした皆様方にも感謝を申し上げます。  若い皆さんにも選挙権が拡大しているわけでありますので、引き続きそうした若い世代ともしっかり対話を行うことによって、政治や県政に対する関心をもっともっと高めていただけるように努力していきたいというふうに思っております。  続きまして、私の政治姿勢ということで何点か御質問いただきました。  まず、憲法改正に関しての御質問でございます。  安倍総理の発言、これは政治的な見解を示されたものというふうに認識をしております。また、現行の日本国憲法のもとで平和と繁栄を享受してきたわけであります。外交、防衛に携わる多くの皆様方の御尽力のたまものでもあるというふうに考えております。今後とも戦争の教訓を決して風化させることのないように、平和のとうとさ、あるいは戦争の悲惨さ、こうしたものを次世代へとしっかり引き継いでいくことが重要だと考えております。  続きまして、核兵器廃絶への姿勢と今後の取り組みという御質問でございます。  これは、県議会におきましては、昭和59年に、核兵器の廃絶と世界の恒久平和を実現するため、非核平和県民宣言の決議をされて以来、核兵器廃絶を求める意見書を国に対して5回提出されてきております。こうした取り組みに敬意を表したいと思います。  世界で唯一の被爆国であります我が国にとりまして、核兵器の廃絶、そして恒久平和の実現は、全国民の願いだというふうに考えております。私も、御質問にも引用をいただきましたけれども、平成29年に、広島、長崎の被爆者の方たちが訴える核兵器廃絶国際署名の趣旨に賛同し、署名をさせていただいたところでございます。  県としては、戦争体験をきちんと次の世代に伝えていくことが重要だというふうに考えております。教育委員会とも連携して、子供たちが戦争体験を学ぶ機会として、満蒙開拓平和記念館や松代大本営跡などへの社会見学を推進するなど、引き続き県民の平和への願いを次世代へと引き継ぐことができるように取り組んでいきたいというふうに思っております。  続きまして、日米地位協定の見直しについての全国知事会の提言についてでございます。  全国知事会におきましては、在日米軍基地に係る基地負担の状況につきまして、都道府県共通の理解を深めることを目的として、平成28年から米軍基地負担に関する研究会を設置して、これまで6回にわたり議論を行ってきております。  この研究結果として、本年7月に知事会で決議をし、国へ行った提言におきましては、米軍機の飛行訓練に関する地域住民等の不安の払拭、日米地位協定の抜本的見直し、米軍人等による事件、事故の防止策の提示、こうしたことについて一層積極的に取り組んでいくことを提言しているところでございます。  この提言につきましては、米軍機の訓練ルートや訓練が行われる時期についての事前情報を求めるなど、これまで私たち長野県として要望してきたものも含まれているわけであります。この研究会は、米軍基地がない都道府県も一緒に研究を行い、全都道府県が一致して取りまとめたものであり、大変意義深いものだというふうに考えております。  続きまして、オスプレイの県内飛行、横田基地配備の対応という御質問でございます。  県民の皆様方の安全、安心を確保することは私たちの使命であります。そうした観点から、県民や観光客等の安全、安心について懸念がある場合には、国に対してしっかりとした対応を求めていくということが重要だと考えております。  これまでも、県として、市長会、町村会の皆さんとも協力して、防衛大臣あるいは環境大臣に対しましてオスプレイの飛行訓練に関する情報開示や日米合同委員会合意事項の遵守などを求めてきているところでございます。  本年7月にオスプレイが県内を飛行した際にも、事前情報の提供がなかったことから、北関東防衛局を通じて、在日米軍に県としての遺憾の意を伝えさせていただいているところでございます。また、定期的に北関東防衛局との情報交換等を行わせていただいております。  横田基地への配備を受けて、県内飛行の状況を把握して、県民の皆様方の安全、安心を確保できるよう取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、消費税率の引き上げについてでございます。  前回、2014年の引き上げ時、これは5%から8%の引き上げでございますが、駆け込み需要の反動減などで個人消費が落ち込みましたものの、実質経済成長率は、本県は前後の年、平成25、平成26、平成27、いずれもプラスでありました。全国ベースでは、消費税引き上げの年、平成26年はマイナスでありましたが、翌年にはプラスに転じているところでございます。  もとより、この経済状況は、消費税の影響のみならず、前回の引き上げ時点におきましては円安による輸入コストの増といったような背景もある中で、御指摘のとおり、経済環境には十分配慮しながら取り組んでいくということが重要だというふうに思っております。  今回、2019年のさらに2%引き上げて10%になる引き上げ時におきましては、これは国全体で5兆円強の増収を見込んでいるところでございます。しかしながら、増収分のおおむね半分、約2.5兆円は社会保障の充実と教育の無償化に充てられるということで、この分は家計負担の軽減にも資するわけであります。  いずれにしても、国税であると同時に地方税としての部分もございます。私どもとしては、国民、県民の皆様方に新たな負担増をお願いするものであるということを十分認識をしながら対応していくことが重要だというふうに思っております。  軽減税率制度の導入に伴います事務の煩雑化対策といたしましては、複数税率対応レジの導入等に対する補助制度や税額計算の特例適用期間の設置によりまして、中小企業、小規模事業者の方々にも配慮がされているところでございます。  加えて、国におきましては、増税前の駆け込み需要や反動減を抑えるため、2019、2020年度当初予算において経済対策を講ずる方向というふうに伺っております。  今回、さらに2%引き上げによります増収の約半分は、先ほど申し上げたような医療、介護、年金の充実に加えまして、幼児教育の無償化、待機児童の解消、保育士の処遇改善、高等教育の無償化、こうしたものに充てられていくわけでありますし、残りの半分は財政再建に充てるというふうにされております。  厳しい財政状況、そして急速に進む少子・高齢化という現状に鑑みれば、来年10月に予定されております消費税、地方消費税率の引き上げを確実に行っていくことが必要というふうに思っております。国にもしっかり対応していただきながら、私ども県としてもさまざまな課題に対応していきたいというふうに思っております。  政治姿勢の最後に、情報公開についての御質問でございます。  御指摘いただいた事例は、ちょうど私の選挙期間中に情報公開の請求開示がされたということでありまして、その当時私はこの県庁内にはおらなかったわけでありますし、御指摘の事例は知事部局以外の実施機関の事例でありますので、一般論として申し上げたいというふうに思います。  まず、県民の皆様方に対して、公文書は原則公開というのが大前提だというふうに思っております。本県の情報公開条例には、個人に関する情報や事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼす情報など合理的な理由がある場合には、必要な限度で非公開とできるというふうにされております。  したがいまして、これは極端な例でありますけれども、例えば個人情報の部分のみ情報公開請求をされれば全部黒塗りと、これは当然そうなるわけであります。したがいまして、出された文書が全部黒塗りかどうかという見た目ではなくて、やはりその内容で判断されるべきものというふうに思っております。  また、不服がおありになる方におかれましては、情報公開審査会に対する審査請求ができる。これは第三者機関で公正に御判断いただく仕組みになっております。私どもとしては、その判断を当然尊重すべきものというふうに考えております。  私は、県民の理解と信頼のもと、県民参加の開かれた県政を進めていきたいと思っております。その上でも、情報公開の積極的な推進は必要だというふうに思っております。今後ともそれぞれの実施機関が原則公開の基本理念を踏まえて対応していくということが重要だと考えております。  御質問は以上でございます。       〔26番和田明子君登壇〕 ◆26番(和田明子 君)御答弁いただきました。  オスプレイについては、県としては遺憾の意を伝えていると御答弁がありましたけれども、ブルールートとかホテルエリアとか、そんなことは無視して我が物顔に飛び回っているということがこの間見てとれることでありますので、ぜひ知事に県のトップとして対応していただきたいと、このことは申し上げておきたいと思います。  そして、情報公開ですが、277ページ全て99.9%黒塗り、これが全て個人情報であるか、私は知る由がありません。原則は公開であるはずの公文書を、県民の権利として情報公開制度に沿って請求したその行政文書の黒塗り、のり弁で出たことに、私は、この情報は出さないという意図を感じております。  この情報公開請求に対する処分に不服があるときは審査請求、または処分の取り消しを求める訴訟を提起することができます。上脇博之神戸学院大学教授は、森友学園問題で情報公開請求し、99.9%黒塗り、のり弁を提訴した結果、一転して全面開示された経験から、長野県の黒塗り、のり弁について、個人名を伏せて内容を公開すべきだ。現在の情報公開制度は行政側への信頼の上に成り立っているが、積極的に説明責任を果たそう、知る権利を守ろうという姿勢が感じられないと指摘をしております。  以上申し上げまして、次の質問に移ります。  大北森林組合補助金不正事件に関してお聞きいたします。  知事は県知事選挙で、大北森林組合補助金不適正受給事件に関してはほとんど触れなかった。また、9月議会の知事提案説明は、「事件案は、大北森林組合元専務理事に対する損害賠償請求に係る訴えの提起」のみでございました。  知事は、この事件は現地機関職員に対して損害賠償で一定の幕引きとでも考えておられるのでしょうか。県知事選挙後の県民世論調査では、事件への対応が不十分、52%、十分は10%であり、県民世論は知事や県の対応に厳しい目を向けております。知事は、その都度、誠実に最善を尽くしてきたと、知事会見等で55回も説明してきたと言いますが、知事と県民の認識とは大きなギャップがあると思います。県の説明責任、事件の解明の対応が不十分という県民の声をどう考えているのか、知事にお聞きいたします。  補助金交付にかかわる県側の不正な事務処理に対し、国から制裁として3億5,000万円余の加算金が課せられたことについて、当初は、県の補助事業者に対する指導、監督の不備により補助金適正化法に基づき課せられた加算金だということで、県としては二度とこうした事案を起こさないという強い決意でしごと改革を断行し、加算金相当額以上の人件費を平成30年度までに削減しますという方針を示していました。  その後、住民監査請求等で方針を転換して、現地機関職員11名、450万円、法的課題検討委員会では11人に最大約1億5,300万円請求可能という報告がありました。大北森林組合に加算金分647万円、組合元専務に加算金分8,434万円余を損害賠償請求をしたところです。  この請求に対して、大北森林組合は、不正受給した補助金など約10億3,900万円を県と大北地方4市町村、金融機関に33年間で返済する計画が既にあり、これ以上は組合の再生に影響が出ると、損害賠償について減額を含め県と協議する方針とのことですが、大北森林組合との協議は現時点でどのようになっているのか、林務部長にお尋ねいたします。  組合元専務は損害賠償の返還をしないということで、今議会に訴えの提起が議案として出されました。提訴に踏み切ったからには裁判で勝訴できる見通しを持っておられるのでしょうか。あれば根拠をお聞きします。  大北森林組合と元専務への加算金等の損害賠償請求はしたが、私には行き詰まっているとしか思えません。返還される見通しが持てるのでしょうか。県としての見解を林務部長にお尋ねいたします。  加算金3億5,000万円余から県職員、大北森林組合、元専務にそれぞれ損害賠償請求をしましたが、残りの約2億5,500万円、この扱いはどうなるのか伺います。  国への補助金返還と合わせて加算金を支出した当初のように、加算金はそもそも補助金の不適正な事務を行ったことに課せられたものとして、県の責任で対応するべきではないかと考えます。林務部長に伺います。  大北森林組合に返還を求めている10億3,900万円を33年間で返還する計画について、私たち共産党県議団は、以前から、その根拠が曖昧、この計画には疑問を指摘してまいりました。さらに、林務部改革推進委員会から県の指導や経営計画に対する甘さが厳しく指摘されています。  山﨑林務部長は、6月議会本会議で、特に北安曇地方事務所管内の森林資源は非常に広葉樹が充実している状況があって、かつ、あの地域はまきを初めとした多くの需要も期待できるという部分が大きいとか、組合の返還計画の妥当性は、それぞれ数字的にチェックをし、林務部改革推進委員会の御意見も踏まえて決定したものでございますと小林伸陽団長の質問に答えていました。  ところが、9月11日に開かれた林務部改革推進委員会では、植木委員からは、前年度に比べなぜ高い目標が示せるのか、具体的な根拠が見えない。向山委員は、民間企業では四半期ないし月単位で事業の進み具合を管理している。林務部が組合の経営実態を把握しているとは言えない。高橋委員長は、民間に比べると異質、数字管理をしっかりするべきだ。また、当日欠席した大久保委員は、書面で、今の状況では9億円の回収は不可能と思われる。何が原因、問題なのかを追及する必要があると厳しく指摘しておられます。  これらの指摘をどう受けとめているのか、今後の対応もあわせて林務部長に伺い、2回目の質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大北森林組合の事案に係る説明責任と事件の解明についてどう考えるかという御質問でございます。  この事案につきましては、これまでも再三にわたりましてこの県議会での質疑もいただいてきているわけであります。大変多額な補助金の不適正受給事案でありますので、県民の皆様方が、直ちに県としての損害が回復できればまだしも、そうではない現状の中で、この対応がもろ手を上げてよかったねというふうになるまでには相当な時間を要するものというふうに思います。私どもとしては、県として取り組むべきことを誠実に実行していくということに尽きるというふうに思っております。  これまで再三にわたってこの場でも申し上げてきたわけでありますけれども、今回も、損害賠償請求に関し、元専務理事を提訴する議案も提出をさせていただいております。引き続き県としての役割をしっかり果たしていきたいというふうに思いますし、また、それぞれの局面におきまして、会見であったり、県議会における説明であったり、あるいは県のホームページ等を通じての周知であったり、さまざまな方法で県民の皆様方にこの事案への対応状況を御説明させてきていただいております。  今後とも、まだまだ損害賠償請求の取り組みや補助金返還への対応を行っていかなければいけないわけでありますので、行政として責任ある対応を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)大北森林組合関連で5点御質問をいただきました。  初めに、大北森林組合の損害賠償請求への対応についてのお尋ねでございます。  県では6月11日に、大北森林組合に対し加算金相当額を含め6,700万円余の損害賠償請求を行いました。これに対し大北森林組合では、7月26日開催の臨時総代会において組合員に県から損害賠償請求があったことを報告するとともに、県からの損害賠償請求について請求額の見直し等を求めていくこととした長野県からの損害賠償請求に対する組合の方針を議決したと承知しております。  県としては、これまで、組合に対して、平成29年10月に組合の理事会で県の考え方を説明するとともに、11月には専務理事等に請求の詳細な内容について説明するなどの対応を重ねてきたところでございます。  今後、組合は、同方針に基づき、請求額の見直し等の要望を行う意向と聞いており、県としては、引き続き組合の御理解が得られるよう丁寧に説明してまいりたいと考えております。  次に、大北森林組合と元専務への損害賠償請求についての御質問です。  初めに、裁判で勝訴できるとする根拠についてとのお尋ねですが、元専務理事に対する損害賠償請求については、法的課題検討委員会で御検討いただき、本件について主導的役割を果たしており、森林作業道、未施工、適用単価不適合に係る不適正な申請に関しては、その関与が明らかであるため、民法第709条による不法行為による損害賠償が可能であるとされており、法的に適正なものであると考えております。  また、返還見通しのお尋ねでございますが、大北森林組合に対しましては、組合の再生を通じ、損害賠償についても回収に努めてまいる考えでございます。  また、元専務理事に対しては、所有する資産に加え、出所後、生業につくなどにより少額でも返済が可能となれば支払いを求めてまいります。  続きまして、加算金のうち損害賠償請求できない部分の扱いというお尋ねでございます。  加算金に関しましては、国に対して平成28年度に県が既に納付をしております。この3億5,300万円余に係る対応につきましては、平成28年6月に定めた国庫補助金返還等への対応方針において、県組織全体で受けとめ、県民サービスの維持向上に努めつつ、しごと改革による人件費の削減により対応することとしております。  一方、損害賠償請求に関しては、法的課題検討委員会からの報告を踏まえ、昨年9月に定めた大北森林組合等補助金不適正受給事案に係る損害賠償請求についての対応方針に基づき対応しており、加算金相当額についても、民法及び地方自治法上請求が可能な9,500万円余についてそれぞれの関係者に請求を行っているものでございます。  続きまして、加算金については県の責任で対応すべきではないかとのお尋ねでございます。  この事案に係る損害賠償請求については、関係者が複数であり、法的にも難しい課題が存在していたことから、法的課題検討委員会の報告を踏まえ、昨年9月に損害賠償請求についての対応方針を定め、関係者相互間においてできる限り求償関係を生じさせないよう対応することを基本とし、対応してまいりました。  加算金相当額に関しては、法的課題検討委員会の報告書では、大北森林組合等が補助金等交付規則及び森林造成事業補助金要綱等に反し補助金交付を申請し、交付を受けなければ発生しなかったものであり、加算金についても法的請求は可能であると解されるとされており、不法行為による損害として、民法第709条により損害賠償請求を行ったところでございます。  損害賠償請求の金額は、関係者相互間における求償関係を生じさせないようにするため、県職員と重複する部分についてはその2分の1の額としたところであり、適正な金額を請求したものと考えております。  最後に、大北森林組合の指導等についてのお尋ねです。  大北森林組合の経営上の主な課題としては、体制の弱体化に伴い、森林経営計画の作成が進まないことなどにより森林整備事業の進捗が停滞しており、大幅な事業経営の改善につながっていないことと認識しております。  このため、組合に対しましては、地域の森林整備の推進に必要な技術面や体制面の強化に向けた指導、支援や経営改善に向けた指導、助言等を重点的に実施し、平成32年度までの集中改革期間において森林組合の本業である森林整備事業を正常な状態に戻し、組合経営の健全化を図る考えでございます。  引き続き、組合の事業や経営の状況等について適切に把握した上で、組合の課題等に対し、関係機関や地域と連携しながら、的確な指導や迅速な支援策の検討、実施に努め、組合が地域の森林整備の担い手としての役割を果たすとともに、補助金等の確実な返還がなされるよう、指導、支援の両面からしっかり取り組んでまいります。       〔26番和田明子君登壇〕 ◆26番(和田明子 君)この問題は、事件発覚から既にもう3年以上たちましたし、私たちが問題にしている平成26年4月、事件発覚の芽を見過ごしていたと指摘させていただいておりますけれども、この問題は、やはり県の責任が曖昧になっていたのでは事件の解明はできない、こういうことを申し上げて次の質問に移りたいと思います。  福祉医療制度について伺います。  20年以上にわたって、多くの関係者の皆さんと子供医療費の拡充、窓口無料化を求めてきました。8月1日から現物給付、窓口無料が実施されたことは大きな前進です。諦めずに取り組んできたと多くの皆さんが言われております。病気の子供を医者に連れていっても、それまでは検査しますよと言われるとお財布の中身が心配でした。でも、窓口無料になったので、今は500円あればいい、こういう安心感があると喜ばれております。  8月から子供の医療費の給付制度が変わることを県として周知するために作成したポスターを拝見いたしました。ポスターには、「窓口での支払いが一定額(500円、300円、0円)となります。」と窓口での支払い額の表記がありまして、ばらばらです。また、「給付制度が変わるのは、0歳から中学3年生までの方です。(市町村によっては高校生以上も対象としております。)」と、制度を正確に周知しようとすると、市町村ごとに自己負担金や医療費助成の対象年齢が異なっているということを知らせる必要があるので、このポスターの書き方はやむを得ません。  つまり、市町村が独自に自己負担金の軽減や対象年齢を拡大して子育て支援に取り組んでいることがこの制度が自治体ごとばらばらな制度になっているという状況を生んでいるわけですが、既に自己負担金ゼロは9町村に上り、高校卒業まで対象にしている市町村が県内の7割以上に上っております。
     私たち共産党県議団は、自己負担金の見直しや、県が負担する医療費助成の対象年齢を拡充することを一貫して求めてきました。そこで、お尋ねいたします。県内どこに住んでいても等しく自己負担金なし、高校卒業まで対象年齢を拡大する統一的な制度になるよう検討する機会を持つべきではないでしょうか。その際は、市町村、医療関係者、何よりも利用者の声を聞く機会を持って検討していただきたいと思いますが、いかがですか。  福祉医療制度として、子供、障害者、ひとり親等への医療費助成を行っている中から、子育て支援を優先させ、子供医療費の窓口無料化が実施されましたが、障害者の医療費は自動給付方式のままで取り残されているという状況です。障害者の高額に上る医療費を窓口で一旦支払う負担の重さを県はどう把握しているのでしょうか。どう受けとめているのですか。子供医療費だけでなく、障害者など含め、福祉医療費制度全体を窓口無料化していくべきではないでしょうか。健康福祉部長に見解を伺います。  次に、県立学校の教室へのエアコン設置についてお尋ねいたします。  災害と認識する猛暑で学校全ての教室にエアコンの設置を願う声が広がり、9月補正では設計に係る予算が計上され、来年度、再来年度の2カ年で実施する方針が出されました。確実に実施されることを願うものであります。  県立高校81校、特別支援学校18校の中には、我が母校も築40年余と老朽化が進んでいる校舎があり、改築や改修が必要になることを見据え、学習空間の標準スタイルを検討するため、県教育委員会は、県立学校学習空間デザイン検討委員会を設置しました。この検討委員会の結論を待つことなく、エアコンはこれに優先して、着実に2カ年で100%設置するのか。きのう、きょうとの答弁とも重なりますけれども、再度教育長にお尋ねいたします。  県立高校等の教室に既に同窓会やPTA等の寄贈によって設置済みのエアコンの電気代は、南信の高校は2年、3年生の校舎にエアコンが入っている。設置は同窓会なので、同窓会に夏の間1人1カ月5,000円のエアコン費を払っている。エアコンのついていない1年生も、生活保護の家庭にも請求が来ている。中信の高校では、同窓会が500円掛ける30年徴収などなどさまざまな実態をお聞きしております。  昨日の質問に対し、同窓会等が設置したエアコンの電気代等を今後は県の需用費で拡充していくと御答弁がありました。今夏の電気代の御検討を重ねて知事に要望させていただきます。  熱中症については、特に体力のない高齢者や子供への対策を呼びかけております。命の危険にかかわるほどの酷暑の中、子供の安全、安心の立場で、保育園、幼稚園、小中学校のエアコン設置についてお尋ねいたします。  8月23日に開かれた県市長会総会において、保育園や幼稚園、小中学校へのエアコン設置に対して、各市から、子供の安心、安全にかかわる。国は十分に予算措置をしてほしい。来年に向け準備をしなければ間に合わないと話し合われ、国だけでなく県としての積極的な関与を求める声があったとのことですが、県への提案や要望にどう応えていくのか、県民文化部長と教育長にそれぞれお尋ねいたします。  次に、「高校改革~夢に挑戦する学び~」について伺います。  9月19日、定例教育委員会で、県教育委員会は、「高校改革~夢に挑戦する学び~」の実施方針を決定しました。この実施方針の決定までに、3月29日に公表された実施方針案に寄せられた意見、パブコメは、意見募集の結果を示すだけで、検討の途中の経過は一切わからない、こういう状況で実施方針を出すということでは、これは教育的な進め方とは思えません。  「高校改革~夢に挑戦する学び~」では、新たな学びの推進と再編・整備計画を同時に取り組んでいく方針ということですから、教育委員会の方針を県民に十分に理解して意見を出してもらうことが大事であり、そのために、既に教育委員会は通学区ごとに説明会をしてきましたが、引き続き取り組んでほしいと思います。  私は、新たな学びとして探究的な学びを進めるには、これから生徒が減少することをまさに一人一人の生徒の学びを深める好機と捉えるべきだと思います。長野県は、全国に先駆けて小中学校で35人規模学級を実現し、ことし4月に開学した県立大学では、少人数学習の効果があることを認めて、さらに少人数学習を重視しているのですから、高校においても少人数学級に踏み出すことも含めて地域での議論を深めていただきたいと思います。  それでは、再編・整備計画についてお聞きしてまいります。  実施方針では、2019年9月までに、旧12通学区単位で「高校の将来像を考える地域の協議会」、以下、協議会という、を地域の協力のもとに順次設置する。広域連合長たる市町村長に協議会の設置を要請する。その協議会の構成員は、市町村長、市町村教育長、産業界から選出された者に加えて、地域振興局長、地区の中学校長会長、地区の高校長会長、地区の小中学校のPTA代表を加えるのが望ましいなど、県教育委員会側からかなり踏み込んで協議会設置を目指していますが、現状は、協議会は12通学区のうち11通学区で設置されておりません。協議会設置を広域連合長に要請するとしていますが、1広域連合内に複数の通学区、長野市のように1市に二つの通学区など複雑な地域もあり、さらに、協議会の構成員に地域振興局長を加えるのが望ましいとされると、より複雑なことが生じると思います。協議会設置の課題をどう捉えているのか、教育長にお尋ねいたします。  既に地域協議会が設置された上伊那では、高校再編を考える住民の会がつくられたとのことで、そこでは、地域協議会について、PTAや同窓会も参加させず、会議は一部公開のみなど、生徒や親、地域も知らない中で進められている運営などに関しても相次いで意見が出されていると聞いております。  地域の高校や子供たちの学びの場にかかわる大事な課題を議論する場が地域に開かれていなければ地域協議会とは言えないとの声も上がっています。協議会のあり方を見直し、拙速ではなく、PTAや同窓会を含め、関係住民の参加のもとで丁寧な議論を保障するよう見直すべきではないでしょうか。教育長にお聞きいたします。  地域協議会の位置づけについてもお聞きいたします。  今回出された実施方針では、再編方針は、協議会の進みぐあいがどういう形であれ、教育委員会の責任で確定するとしているようですが、それならば、協議会は住民の声を聞いたと形式を整えるだけで、結論ありきで押しつける場になるのではないかと思えてなりません。協議会の議論を尊重してこそ協議会を設置する意味があり、充実した議論が行われると思います。教育長の御所見を伺います。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)私には福祉医療制度について2点御質問をいただきました。順次お答えいたします。  最初に、子供医療費の関係でございますが、福祉医療制度の統一化についてでございます。  子供を対象とした医療費助成における受給者負担金の金額や対象年齢につきましては、事業の実施主体であります市町村が、財政状況などを勘案した上で独自の判断で現在設定をされております。その中で、今回各方面から強い要望をいただいた現物給付方式を導入し、この8月から、中学校卒業までは全市町村で統一して実施することで窓口負担が軽減され、安心して必要な医療を受けられる仕組みができたと考えております。  県といたしましては、まずはこの新しい制度の定着と円滑な運営に努めてまいりたいと考えております。  次に、福祉医療制度全体を現物給付に拡充することについてどう考えるかという御質問でございます。  福祉医療制度における現物給付方式につきましては、国民健康保険国庫負担金等の減額調整措置が未就学児まで廃止されたことを踏まえ、市町村の代表を構成員として平成28年度に開催した長野県福祉医療費給付事業検討会におきまして、子育て支援の観点から、子供の医療費につきましては現物給付方式を導入することが適当であるとされ、本年8月より導入したところでございます。  障害者やひとり親家庭を含めた受給者全体を現物給付方式の対象とする御要望がありますことは認識をしております。仮に、受給者全体を現物給付方式の対象とした場合には、国庫減額調整措置による国庫負担金の減少や、健康保険組合への付加給付の停止の影響により、県及び市町村に新たな財政負担が生じることが想定されます。現物給付方式の拡大については、引き続き国の減額調整措置に関する取り扱いを注視しつつ、実施主体である市町村のお考えを丁寧に聞きながら慎重に検討すべきものと考えております。  また、県では、全国統一的な医療費助成制度の創設や国保減額調整措置の全面的な廃止につきまして、全国知事会や全国部長会議などの機会を通じて各県と連携して国に要望を伝えてきております。平成29年度、30年度、それぞれ8回の要望を行っております。今後ともこうしたさまざまな機会を通じて国に対して要望してまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、空調設備の設置についてでございます。  県立学校学習空間デザイン検討委員会は、これからの県立学校の整備に関して中長期的な観点から最適な学びの場のあり方と効率的な整備・維持管理手法について検討するための委員会でございます。  一方、県立学校への空調設備の設置は、ことしの夏の災害的な猛暑を受け、児童生徒が安心して学習に取り組める学習環境を整備するため緊急的な措置として行うものでありますことから、可能な限り速やかに設置する必要があり、2カ年で整備が完了するよう計画したところでございます。  それから、小中学校へのエアコンの設置でありますが、小中学校への冷房設置に関しては、学校設置者である市町村が文科省の学校施設環境改善交付金を受けて行っているところでありまして、この制度は、補助率3分の1かつ起債に係る交付税措置があるという制度となっておりますけれども、国において十分な予算措置がなされておらず、今年度も本県冷房設置事業が文科省で採択されなかったということから、県では、5月に関係省庁に対しまして学校施設整備の円滑な実施を関係6団体で要望しましたほか、8月には阿部知事が文科省、首相官邸及び総務省へ緊急要望を行ったところでございます。  今後も、国の十分な予算措置、補助率、補助単価の引き上げ等について引き続き関係各省へ要望するとともに、冷房の設置に関する国の動向について把握し、迅速に情報を提供してまいりたいというふうに考えております。  高校改革についてでございます。高校の将来像を考える地域の協議会の設置に関する考え方についてであります。  議員御指摘の広域圏と旧通学区の範囲が一致しない地域につきましては、広域連合長を担っている市町村長のほか、旧通学区内の他の市町村長とも相談、調整しているところでございます。特に、市内に二つの旧通学区を抱える長野市長には、二つの地域の協議会に参画していただくよう調整しているところであります。  なお、地域振興局長も、管内に複数の旧通学区がある場合にはそれぞれの地域の協議会に参画していただくように考えております。  既に大半の旧通学区について以上のような調整を進めているところでございまして、2019年9月までに全ての旧通学区に地域の協議会が設置できるよう取り組んでまいりたいというふうに思っております。  地域の協議会の運営についての御質問であります。  高校改革実施方針では、地域の協議会の構成員は、先ほど議員からもお話がありましたとおり、市町村長、市町村教育長に加えまして、産業界から選出された者を必ず含むと。その上に、地域振興局長、地区の中学校長会長、地区の高校長会長、そして地区の小中学校のPTAの代表を加えるのが望ましいというふうにされていまして、上伊那地域の協議会は、それらを全て含む18名で構成され、会議は原則公開とし、これまで非公開の会議は行っておりません。また、議事録等の公開も行っているところでございます。さらに、協議会として、同窓会、高校長会及び地域住民からの意見聴取を既に行ったところでございます。今後設置される全ての地域協議会においても、県教育委員会も共同事務局でありますので、丁寧な議論が行われるように努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、地域の協議会の位置づけでありますが、これからは、地域づくりの観点からも、地域の子供たちを地域と高校が一緒になって育てていくということが必要だというふうに思っております。そのためには、高校のあり方も、県教育委員会だけが考えるのではなく、県教育委員会と地域がともに考えることが必要ということから協議会を設置することとしたところであります。この趣旨を踏まえて、協議会において建設的な議論が行われることを期待しております。  県教育委員会は、この協議会の議論を尊重しつつ、全県的視野に立って責任を持って再編・整備計画を確定してまいりたいというふうに思っております。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)保育園、幼稚園へのエアコン設置についての御質問でございます。  まず、幼稚園につきましては、教育支援体制整備事業費交付金などの国庫補助制度を活用しまして、今年度もエアコン整備を計画的に進めていただいているところでございます。  一方、保育所等につきましては、私立の場合、施設の新設または大規模修繕等に伴いエアコンを設置する際に補助制度の活用が可能という状況でございます。このため、本年8月に、先ほど御紹介いただきました県市長会に加え、町村会とともに三者で厚生労働省に対しエアコン設備単独の設置事業についても補助対象とし、必要な財源を早期に確保するよう緊急要望したところでございます。  今後も、国の補助制度を最大限活用するよう情報提供しながら丁寧に個別相談に対応するとともに、引き続き国へ財源の確保等を要望してまいりたいというふうに考えております。       〔26番和田明子君登壇〕 ◆26番(和田明子 君)健康福祉部長に要望しておきたいと思いますが、この8月1日から新たな制度が始まって、当面現行制度を着実に進めていくということですけれども、これだけ県内の市町村ごと制度がばらばらという状況になりますので、県内どこに住んでも同じ制度になるようにぜひとも検討する機会を設ける、ここまでは御努力をいただきたいと御要望しておきたいと思います。  また、高校の再編計画についてですけれども、今回、この協議会に参加する市町村長、市町村教育長は県立高校について扱う立場にはなく、地域の学校については存続を求める立場であって、再編のために統廃合を進める、こういうことは積極的には語れないということだと思います。  また、今までの教育委員会の立場では、御意見としてお聞きしておきますとか参考とさせていただきますという姿勢が目立つので、協議会の設置がこれをおくらせているのではないかということを言われる方もあります。そういう点では、この協議会設置が目的ではありませんので、ぜひ丁寧にやっていただきたいというふうに思います。  それでは、次に県職員の障害者雇用水増しについて伺います。  障害者雇用で、民間企業に雇用を促すべき国の各省庁で水増し問題が発覚し、調査した結果、中央省庁の8割で不正算入が蔓延し、昨年雇用していた約6,900人のうち国のガイドラインに反し不正に算入していたのが3,460人にも上ると国の調査結果が公表されました。  私は、一人一人の人権、一人一人の人格が踏みにじられた、こういう思いでこのニュースをお聞きをいたしました。このことは法や制度の根幹を揺るがす事態であり、行政への不信が募るばかりであります。  国の事件発覚後、長野県でも障害者手帳を確認できない職員を障害者雇用扱いにした、いわゆる水増しが明らかになったことは甚だ遺憾であります。県においても障害者雇用で不適切算入がされていたことに関して、意図的な水増しという認識はないが、国のガイドラインに沿っていなかったことは申し開きの余地がないと謝罪会見でも述べられ、制度の理解不足や思い込みが引き起こしたミスだったと言われておりますが、ミスだったなどは到底理解できるものではありません。新規採用時には障害者手帳の有無を確認する、これは明確でありますが、採用後に障害を負ったケースでミスがあったとしています。  県は、厚生労働省の周知に曖昧さがあると言いますが、障害者雇用促進法で定める障害者の定義は、必ずしも手帳の有無では決まらず、厚生労働省のガイドラインの表現は、障害者雇用促進法とは開きがあると認識を示しておられます。  では、お聞きします。障害者雇用促進法とガイドラインの開きとは具体的にどのようなことなのか、総務部長にお聞きいたします。民間企業にも厚生労働省のいうガイドラインが適用されるのでしょうか。公務員にはガイドラインを適用し、民間企業には、障害者雇用促進法で指導、監督というダブルスタンダードであればゆゆしき事態です。また、一定の障害者を雇用していない、雇用率に達していない民間企業からは納付金を徴収する一方で、国や県、市町村には雇用率に満たなくても納付金などというような罰則がないということでは国民の理解は得られません。  そこで、産業労働部長にお伺いいたします。民間企業には障害者雇用促進法に沿って、県はどのようにかかわっておられるのでしょうか。雇用率に達しない民間企業の納付金はどのくらいに上るのか、産業労働部長にお伺いいたします。  知事は、この制度の理解不足などから起きたミスという問題意識なのかどうかをお尋ねいたします。この問題をミスで処理してはならないと私は思います。きちんと原因を明らかにしなければ改善も進みません。原因が法定数をクリアするためであったとすれば本末転倒です。改めて水増しの原因を究明していただきたいと思います。知事の所見を伺います。  中央省庁や地方自治体で水増ししたことで、雇用の機会を奪われた障害者の方がおられます。障害者が働ける環境を整える本来やるべきことが先送りになったのではないでしょうか。障害者雇用について、差別や偏見意識がない社会を実現するために、まずは県職員から意識改革をする必要があると思います。  今回の障害者雇用水増し問題を受けて、県社会福祉会会長は、率先して障害者雇用を進めるべき立場にある省庁や自治体で水増しが相次いだことに対し、極めて深刻な問題であり、非常に遺憾としつつ、法定雇用率や雇用人数といった数値問題にとどまることなく、障害者の特性に配慮して働きやすい職場づくりをと望んでおられます。県として今後どう取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  次に、災害対策についてお尋ねしてまいります。激甚化する災害の備え、避難のあり方についてお伺いします。  2014年10月、国土交通省は有識者懇談会を設置し、翌年、新たなステージに対応した防災、減災のあり方をまとめています。それは、異常気象の多発により、施設整備だけでは防げない豪雨災害が今後も起きるとした上で、命を守るための早期避難や被災後の支援に重点を置く考えを打ち出しました。  西日本豪雨災害で甚大な被害になった岡山県真備町を初め、幾つかの地域では、既につくられていたハザードマップと豪雨被害の発生地域が重なっていたところが少なくないと報じられております。想定外ではなかった。ハザードマップによって危険が予測できたにもかかわらず、多くの住民の避難がおくれ、被害が甚大になりました。  県は、市町村が作成するハザードマップへの支援や、ハザードマップを住民が十分に理解する、こういう周知を通じて、住民が自分のこととして受けとめるような取り組みをどう進めていくのか、建設部長にお伺いいたします。  避難勧告が出ても実際に避難所には行かない、まだ大丈夫という住民側の問題意識を変えなければならないという問題もありますが、避難所の環境がどうかという面から、避難所を見直す必要もあるのではないかと思います。  京都大学の藤原准教授は、どうして小学校や中学校の体育館が真夏や真冬でも避難できるように設計されていないのか。食べ物や毛布や敷物のストックがなく、給食の調理場が災害時にすぐ対応できないかと疑問を投げかけています。早目、早目の避難につなげるために、避難所の快適性、このことを考えて避難所づくりをふだんから進めていくべきと思いますが、危機管理部長にお伺いいたします。  災害から復旧・復興を進めていく上で幾つかお尋ねいたします。まず、仮設住宅についてです。  大規模災害では仮設住宅が必要になります。最近は、民間のアパートなどを活用する借り上げ型も進んでまいりました。これも早く避難所から移ることができるので進めてほしいと思います。  また、被災された皆さんはコミュニティーを維持し、子供たちの学校や自分の通勤など被災した住居の近くに住みたい、こういう希望もあります。そこで、木造仮設住宅を求める、こういう被災者の声もあります。  真冬、真夏、こういう時期にも過ごしやすく、その後、木材は恒久住宅として利用できる、こういう展望がある木造仮設住宅の建設も可能になってまいりました。県産材の利用とあわせて木造仮設住宅が進められるような仕組みを考えていただきたいと思いますが、いかがか。長谷川建設部長にお尋ねいたします。  また、生活再建支援金についてもお尋ねいたします。  現状では全壊300万円の被災者生活再建支援金を最大500万円への増額、半壊や一部損壊への支援拡大は待ったなしと思います。全国知事会は、7月、被害認定が半壊の家屋にも支援を拡大する方向で議論があり、地方自治体も、京都府や愛媛県、岡山県総社市、広島県呉市など独自の上乗せや対象の拡大を実施してきております。県としても、被災者再建支援資金の最大500万円への増額、半壊や一部損壊への支援の拡大を国に要望していただきたいと思います。危機管理部長に伺います。  災害からなりわいの復興にグループ補助金が実現してまいりました。被災した事業所や商店の復旧費用の4分の3を公費で助成できるグループ補助金が東日本大震災を契機に始まりました。当初は、大企業の協力会社、サプライチェーンが大きく毀損した場合が優先対象とされていました。その後、災害が相次ぎ、運動もある中で、中小零細の事業所に広げていくことができるようになりました。2016年、熊本地震では、中小の事業所もかなりこの事業の対象になりました。しかし、昨年の九州北部豪雨では、災害の規模が小さいなどと適用されないケースもあるとお聞きしております。  中小企業、中小自営業者こそ地域の産業、雇用とコミュニティーのかなめです。希望する全ての事業者にグループ補助金が使えるよう国に求めていただきたいと思います。産業労働部長にお聞きいたします。  次に、西日本豪雨災害やゲリラ豪雨では、ダムの異常放流や堤防、ため池の決壊で想像以上の速さで下流に達し、人命を奪う被害が起こりました。ダム操作の確認とため池の危険箇所の点検と対策に御尽力いただきたいと思います。  また、川の流れを妨げる堆積土砂や繁茂した樹木などが洪水被害を拡大していることから、河川の堆積土砂や繁茂した樹木の撤去など日常の維持管理に手厚い予算が必要と思います。現状と今後の予算のあり方について建設部長にお伺いいたします。  次に、相次ぐ台風により県内各地に農業被害が起こりました。21号台風は、収穫直前のリンゴ、梨など果樹の落下、果樹が強風で根元から倒れる、ハウスなど施設が壊れるなど、農作物、施設等の被害額は7億8,000万円余に上りました。  9月補正では、被害樹木の植えかえのための種苗や果樹棚等の資材の購入等に872万円が計上されております。しかし、落下果樹等への支援は主には果樹共済という状況です。果樹共済では減収分の一部しか補填されない、あるいは今の制度に加入されていない方もあり、本当に深刻な事態もお聞きをしております。また、県は、今後は収入保険へと言われますが、青色申告の農業者に限られるこの制度では本当に全ての被災者に適用されることにはなりません。  持続可能な農業のための支援、激甚化する災害が多発している中で、価格保障、所得補償へと農業政策の抜本的な転換を国に求めることも含めて災害対策の強化をしていくべきと思いますが、農政部長にお伺いいたします。  次に、リニア中央新幹線についてお伺いいたします。  まず、希少動植物の保全についてです。  リニア関連工事で、中川村で新設中の四徳渡トンネルの工事付近で、7月13日、県版レッドデータブックで絶滅危惧種に指定されるブッポウソウの営巣が確認されなくなったとして工事中断が余儀なくされました。今後、リニア関連工事はいよいよ本格化していくと思われますが、工事に伴う希少動植物への影響が及ばないようにするために県はJR東海に対してどう対応していくのか、環境部長にお訪ねいたします。  次に、水枯れ問題と水道水源保全条例についてお伺いいたします。工事に伴う水枯れ問題について、妻籠水道水源保全地区の問題についてお伺いいたします。  県条例に基づいてJR東海が事前協議書を提出し、県は、1年間の環境審議会での審議の結果として、ことし3月に審議会の答申をもとに知事はJR東海の事前協議書への回答を示しました。回答は、リニアトンネル工事に同意し、同意に当たっての水道水源保全のための条件を付した内容となっております。それは、トンネル工事による水源への影響の有無やその程度は、現状では明確に判断することは困難であるとし、一層の調査が必要であるとして浅層の観測井戸と深層の観測井戸を設け、モニタリングの強化を指摘しております。  条例で指定された重要な水源保全エリア内をトンネルが通過することにより、工事期間も含め、将来にわたる影響についての検証と、協議書に付された同意条件の履行の確認が必要と考えます。今後どのように対応していくのか、環境部長にお聞きいたします。  次に、企業局の発電所も、リニアトンネルの通過によって流量変化があれば、企業局の発電量に影響が出てまいります。これに対する補償問題にもつながる可能性があるのではないかと思います。リニアトンネル工事における影響調査がどうなっているのか、通常リアルタイムで監視を行うなど県民の財産を守る立場でJRに十分な環境調査を求めているのか、公営企業管理者にお聞きいたします。  最後に、JR東海の対応について知事にお伺いしてまいります。  静岡県や同県を流れる大井川流域自治体では、全長25キロの南アルプストンネルの工事のうち、静岡県分8.9キロで大井川源流部を横切る形となり、大井川の水量減少が産業や生活に影響が及ぶことから工事に反発しているとお聞きしております。  特に、川勝静岡県知事は、記者会見で、県や自治体が、トンネル工事で発生する湧水を全量川に戻すよう求め、また、島田市の染谷市長は、大井川の水は命の水、周辺地域全体の盛衰にかかわる話だと徹底した対策を求めています。  これに対し、JR東海が必要に応じてと条件つきの内容を示して平行線とのこと。県が窓口になって利水者団体とJR東海が協議している協定の年内締結は困難となっているようであります。  静岡県では、こうした南アルプスの自然環境や水源、水資源に与える影響などを検証する有識者会議などを立ち上げ、その結論をもとに対応を強めているところです。  JR東海の金子社長は、こういうことに対して地域の方との協定を結ばなくてはいけないというルールはないと、地元同意がなくても着工できるとする開き直りともとれる発言をし、工事準備のために既に宿舎工事を開始した。こういうことに対して、余りに一方的であるなどますます疑問や不安が湧き起こっており、そういう疑問や不安を置き去りにしてまずは27年開業ありきで建設に突き進むやり方をどう考えるのか、知事に御所見を伺います。  私たちは、リニア計画そのものに対する根本的な疑義は全く払拭されていないと考えています。自然や住環境、水環境の破壊はもとより、超高速で地下を走行するリニアの安全性については、たび重なる地震を初め、大規模災害からの乗客の避難の仕組みを初め、懸念の声は絶えません。ゼネコンによる談合疑惑の判決もこれから出てまいります。巨大開発のツケが回されるのは国民です。  知事は無批判にバラ色のリニア像を描いて県民を推進に駆り立てるのではなく、一旦立ちどまって将来に対する責任ある対応をしていただきたいと思います。この点、知事はいかがお考えでしょうか。  次に、森林・林業についてお伺いいたします。  さきの通常国会において成立した森林経営管理法についてお伺いいたします。  手入れが行き届いていない私有林の管理を市町村を介して林業者や企業に集約化する新たな森林管理制度は、安倍政権が掲げる林業の成長産業化へ、行政主導で森林管理への民間事業者の参入を図るものと言われております。  所有者に森林を適切に管理する責任を課した上で、所有者が管理できない場合、新制度では管理権を市町村が取得し、採算ベースに乗りそうな森林は、意欲があると判断した林業者や企業に管理権を設定し直し、採算確保が難しい森林は市町村みずからが管理するという内容だとお聞きしておりますが、このことによって市町村の役割が大変重く、大きくなります。
     市町村には、林務の専門職員がほとんどおらず、来年4月の新制度開始へ実施体制をどう整えるかが課題になっております。専門職員がいない、確保できないなど、市町村から県への人的支援を求める声が寄せられていることと思いますが、県はどのように対応するのか、林務部長にお伺いいたします。  森林管理の委託先として適正な事業者をどう確保するのかも課題と言われております。法の施行に向けて、市町村や関係事業者、森林所有者等への周知などの具体的な動きはどうなっているのか、林務部長にお伺いいたします。  最後に、森林整備のあり方として、大規模な集約化ではない自伐型林業についてお聞きをしておきます。  1950年代に国策で大々的に植林をし、伐採の適齢期と言われる50年を過ぎた人工林は、効率的に切る時代を迎えていると言われ、県も森林県から林業県へと政策的に進めています。国も、大規模化、効率化への支援に力を入れており、安倍総理は、国会閉幕の記者会見で、大規模化によって我が国の豊かな森林資源を生かしながら、地方が誇る美しい山々を守り抜いてまいりますと言われたそうですが、どんな山を後世に残していくのかが今問われているのではないでしょうか。大規模に集約化して森林整備を進める方向だけではなく、山間地に住みながら地元で小規模に施業を続ける自伐型林業という動きが始まっているとお聞きしております。山の状態を見きわめながら必要な木を少しずつ切っていくため山への負担が少ない。設定した伐採期を迎えたからと低コストで一斉に切る考え方とは対照的に、元気な木を選んで残す。50年先まで見えなくても、少なくても10年、20年先は気持ちのいい山になるように、こういう考え方で、地元の工務店と連携して地域の木材で家を建てる事業も手がけているということであります。  林業だけでは経済的に苦しく、ジビエの調達などの副業とあわせて生計を立てるスタイルとして、いわゆる自伐型林業でその普及を目指す自伐型林業推進協会によると、ことし7月末時点で、既に全国41の自治体が支援策を予算化しているそうです。Iターン者の林業研修などに取り組んでもいるそうです。研修を受けた人の中から1,000人以上が林業を始めたとお聞きしております。  県としてこの自伐型林業推進協会の動きをどう捉えておられるのか、こういう自伐型林業も推進していくお考えがあるのか、林務部長にお伺いいたします。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)障害者雇用促進法とガイドラインの取り扱いについてのお尋ねでございます。  障害者の雇用の促進等に関する法律では、障害者雇用率の算定対象となる障害者を、身体障害者及び知的障害者については具体的な障害の内容、程度等により規定しており、障害者手帳等の交付を受けている者に限定してはおりません。  一方、厚生労働省のガイドラインにおいては、雇用率の算定対象となる障害者を障害者手帳等によって確認することとしており、原則として障害者手帳等の交付を受けている者に限定をしております。  8月の会見におきましては、法律とガイドラインにおけるこうした取り扱いの違いのわかりにくさについて申し上げたものであります。  以上であります。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)順次お答えをしてまいります。  初めに、障害者雇用関係でございます。  まず、民間企業へのガイドラインの適用については、厚生労働省長野労働局によれば、民間企業も対象となってございます。  次に、雇用率未達成企業に対する県のかかわりについてですが、障害者雇用率制度は厚生労働省の所管であり、雇用率未達成企業に対する管理指導権限は厚生労働大臣が有しております。  一方、県は、障害者雇用促進法により、国とともに障害者の雇用促進や職業安定のための施策の推進に努めることとされており、法定雇用率に達していない企業に対して文書で障害者の雇用拡大について要請をしているところでございます。  最後に、雇用率に達しない民間企業の納付金についてですが、障害者雇用納付金の徴収業務を所管している独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構長野支部によれば、雇用率未達成企業のうち常用労働者が100人を超える事業所から徴収することとされている納付金の平成29年度県内実績は328件、3億643万円となってございます。  次に、災害対策関連のお尋ねでございます。  中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業についてでございますが、本事業は、災害被害が広範囲かつ甚大であり、サプライチェーンの毀損などにより経済活動が停滞する地域を国が対象として指定し、地域内の中小企業等グループに対し補助を行うものと承知をしております。  東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年西日本豪雨のように、一旦地域指定がなされた場合はかなりの事業者が補助金の対象となる一方で、平成29年九州北部豪雨のように地域指定を受けられないケースもございました。  近年、全国的に大規模な自然災害等が発生していることから、地域経済の一刻も早い復興につなげるため、地域の実情や要望を勘案し、柔軟に国の地域指定が受けられるよう、また、補助金が広く使えるよう現行制度の内容を研究して国への要望を検討してまいります。  私からは以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)順次お答えいたします。  まず、障害者の雇用についてでございます。  障害者雇用促進法に基づく障害者雇用につきまして、対象とならない方を計上していたことにつきましては、県民の皆様、特に障害者の皆様方の信頼を大きく損なうものでございます。重く受けとめなければいけないというふうに考えております。  直接的な原因は、算定の対象となります障害者につきまして、国のガイドラインが障害者手帳等による確認を求めているにもかかわらず、障害者雇用促進法で定める障害の状況、事実をもって判断してきたことにあります。また、その背景といたしましては、障害者雇用の目的、意義等に対する理解が十分ではなかったことにあるというふうに考えています。  現在、国からの指示を受けまして、平成29年度及び30年度の障害者雇用率について国に逐次確認をしながら慎重に再調査を行っているところであります。今後こうした問題を起こさないため、現状をしっかり把握するとともに、障害者の就労促進に全庁を挙げて取り組んでまいります。  また、障害者の特性に配慮した働きやすい職場づくりにどう取り組むかという御質問でございます。  私も、この障害者の法定雇用率は、数字の問題ではありますが、数字の問題だけにしてはいけない問題だというふうに強く思っております。今回、一連の流れの中で、私も市町村社協の方々と話す中で、障害があっても障害者手帳をとらない方々がいらっしゃるという状況も認識をいたしました。障害者雇用は、単に法定雇用率を達成するということにしてしまうと、そうした方々に対する支援がおろそかになってしまうということも考えられるわけでありますので、やはり全ての方たちが本来働きやすい、そして能力を発揮できる、そうした環境をつくっていくということをしっかり念頭に置きながらこの障害者の雇用の促進を進めなければいけないというふうに思っております。  既に各部局横断的な検討組織を設置いたしまして、障害者が働きやすい職場環境づくり、そして、採用枠の拡大について検討を始めております。また、今後、障害者団体の方々からも御意見を直接いただく機会を設けるなどして障害者の特性に配慮した配置や採用のあり方を考えていきたいというふうに考えております。  加えて、今回の事案を契機といたしまして、障害者だけではなくて、子育て中の方や高齢者の方、誰もが働きやすい職場環境づくりについても改めて十分検討を行って、多様な人材が活躍いただけるような県組織を目指していきたいと考えております。  続きまして、リニア中央新幹線に関連して、JR東海の姿勢についての考え方とリニア計画の将来についての対応ということでございます。  まず、御質問にありました静岡県での動きにつきましては、その詳細は承知しておりません。また、長野県知事という立場として、考え方をこの場で申し上げる立場ではないというふうに思っております。  リニア中央新幹線の建設に関しましては、地域の皆様方は、さまざまな御懸念や不安をお持ちの方がいらっしゃいます。本県としても、地域の皆さん、市町村の皆さんの思いにしっかり寄り添ってこれまでも対処してまいりましたし、これからも対応していきたいと考えております。  JR東海においては、地域の懸念の声を真摯に受けとめ、関係者の理解を得るように最善の努力をしていただくことが必要だというふうに思っております。今後とも、JR東海に対しましては、地域の皆様方の御理解と御協力が何よりも重要であるということをしっかりと伝える中で、地域の懸念に正面から向き合っていただくように求めていきたいと考えております。  以上です。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)私には災害対策について3問いただきましたので順次お答えいたします。  市町村が行うハザードマップの作成、周知への支援についてのお尋ねでございます。  県では、新たなステージに対応した防災・減災のあり方の趣旨も踏まえ、洪水による重大な被害のおそれがある河川において新たなハザードマップの基礎となる想定最大規模降雨での浸水想定区域図を来年度までに作成するよう進めています。また、土砂災害警戒区域等につきましては、平成28年9月の全県での区域指定完了の後、引き続き地形改変等の認められる箇所の調査を行っており、適宜反映してまいります。これらを関係市町村に提供し、ハザードマップ作成の支援をしてまいります。  周知に関しましては、新たなハザードマップ作成、公表までの間の緊急対応として、県内市町村の防災担当者を対象とした説明会を今月中に開催し、現在のハザードマップの周知を創意工夫して行っているすぐれた事例を紹介し、改めて住民周知の取り組みを依頼する予定です。  さらに、災害発生を自分事として捉えていただくため、県立歴史館と連携した地域住民への災害伝承への取り組みを推進するとともに、小学校、中学校での防災教育、住民が主体的に参加する地域防災マップ、タイムライン等の作成についても引き続き積極的に支援してまいりたいと考えております。  次に、木造応急仮設住宅についての本県の対応状況をお答えいたします。  平成23年3月に発生しました東日本大震災におきまして大量の応急仮設住宅が必要となり、あらかじめストックされていた鉄骨プレハブ造の仮設住宅に加え、木造の仮設住宅の活用も必要とされました。  本県におきましても、木造にも対応できる体制を整えるべく、県産材を活用した木造応急仮設住宅の建設に係る協定を平成24年度から平成26年度までに建設関係2団体と締結したところでございます。  木造応急仮設住宅は、良質な室内空間の確保や地域経済への波及などに資する面があるものの、短期間での供給棟数に限りがあり、鉄骨プレハブ造に比べて建設に時間を要することから、災害の状況や被災者の声等も踏まえつつ採用を検討してまいります。  次に、河川の維持管理の現状と今後の予算のあり方についてのお尋ねでございます。  河川管理の現状といたしましては、堆積土砂や樹木の繁茂の状況も含め、河川巡視員による定期的な巡視、出水期前のパトロール等により危険箇所の把握に努めており、その対策は防災上優先度の高い箇所から順次対応しているところです。また、あわせて、住民による河川愛護活動への参加や、住民の希望者に支障木を伐採していただく取り組みを推進し、コスト縮減も図っているところです。さらに、山からの土砂流出の減少には砂防施設等の整備も効果があり、これらの整備も順次進めてきたところです。  今定例会に河川の堆積土砂や支障木の除去に8億円余の補正予算をお願いしたところでありますが、今後とも住民参加による維持管理の取り組みを拡大しつつ、日常の維持管理も含め、防災・減災対策に必要な予算の確保に努めてまいります。  以上でございます。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)災害対策につきまして2問御質問いただきました。お答え申し上げたいと思います。  最初に、快適性を考えた避難所づくりについての御質問でございます。  平成23年3月11日に発生いたしました東日本大震災では、被災者の心身の機能低下や疾患の発生、悪化など、避難所での生活におけるさまざまな課題が生じました。これら課題解決のため、平成25年6月の災害対策基本法の改正に基づきまして国が策定した避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針により、市町村は、男女別のトイレ、更衣室や授乳室の設置などによるプライバシーの確保、暑さ、寒さ対策など避難所における良好な生活環境の確保などに努めることとなりました。  現在、市町村では、マンホールトイレの増設など環境改善の対策を進めているほか、県でも、プライバシーウオールや段ボールベッドなどの備蓄を行うなど災害への備えを進めているところですが、近年の災害においては新たな課題も指摘をされております。  県としましては、国の指針に基づく対応について市町村とともに進めることはもちろんのこと、さまざまな課題などに対応するため、他県での先進的な取り組み実例を調査するなど、避難所における良好な生活環境の確保について平時から関係部局と連携をし、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  次に、被災者生活再建支援金の増額及び対象の拡大についての御質問でございます。  被災者生活再建支援制度は、被災された方々の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的として、国と都道府県の拠出による基金を活用し、自然災害により被災された方々に対して支援金を支給するものでございます。  全国知事会では、本年7月の全国知事会議においてワーキンググループを設置して、支給対象の拡大範囲や支給額、支給拡大に伴う財政負担などについて検討することを決定いたしました。このワーキンググループでは、本年11月をめどに結果を取りまとめ、国に対して必要な制度の見直しを求めていくこととしております。  長野県においても、平成23年3月の県北部の地震や、平成26年11月の神城断層地震の際に、この制度の対象とならない被災者の方々に対して見舞金を支給するなど、独自の取り組みを実施してきたところでございます。今後も、全国知事会の検討を踏まえながら、被災者に寄り添った生活再建を支援できるよう必要な対応をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)農業の災害対策強化についてのお尋ねでございます。  県といたしましても、大きな災害が多発する中で、対策の強化が必要と考えておりまして、本年度から、被害防止対策として、防ひょうなどの多目的ネットの導入を支援するため、県単独事業の拡充を行ったところでございます。  また、市場価格の下落に対する価格差補填につきましては、国と県独自の制度を組み合わせた野菜価格安定制度などにより対応しているところですけれども、対象品目のさらなる拡大について国に要望をしております。  さらに、平成31年1月からは、自然災害や価格低下等による収入減少を補填する収入保険制度が新たに開始されることから、県としましてもさまざまな機会を通じて制度の周知や加入の働きかけを行っているところであります。  農業共済制度につきましても、今までの国への要望を踏まえ、現地調査を行わずに統計データを活用して損害を確認する仕組みが新たに導入されるなど、農業者の負担軽減が図られる制度に改善されております。  今後も、農業被害を最小限に食いとめるため、引き続きこうした制度を活用しながら災害対策の強化に努めてまいります。  以上でございます。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)2点御質問をいただきました。  初めに、リニア工事に伴います希少動植物の保全についてでございます。  希少動植物を含め、リニア中央新幹線建設工事に伴う環境への影響につきましては、JR東海において毎年度調査を行い、その結果を県に報告することとなっております。県では、この報告書について、環境影響評価技術委員会において専門的な見地から審議を行うとともに、住民や関係市町村長の御意見も踏まえ、JR東海に対し助言を行っています。  これまでも、希少な猛禽類など動植物等への影響、または影響のおそれがあると認められる場合は、原因の究明、必要な調査の実施及び環境保全措置を直ちに講じ、速やかに関係市町村、関係機関等と協議を行うとともに、住民に対して必要な説明を丁寧に行うことなどを求めてきたところでございます。  引き続き、リニア中央新幹線建設工事に伴います環境への影響を注視し、希少動植物への影響が回避、低減されますようJR東海に求めてまいります。  続きまして、水道水源保全地区の行為に関する県の検証等についての御質問でございます。  今回の事前協議に関する知事同意に当たりましては、施工前、施工中、施工後5年間、観測井戸による水位の観測を行うことや、工事により水源に影響が生じた場合は速やかに南木曽町や県に報告すること、工事に関する情報を積極的に提供することなどの条件を付したところでございます。  県では、今後、事業者から定期的に提出される観測結果等の報告により、水道水源への影響がないことを確認してまいります。  なお、水環境保全条例におきましても、必要に応じて事業者からの工事の実施状況の報告徴取や事業者への立入検査も可能となっておりますので、南木曽町とも連携をとり、水道水源の保全に万全を期してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)リニア中央新幹線のトンネル工事に対する企業局の対応についての御質問でございますが、議員御指摘のとおり、平成25年9月に公表されましたJR東海の環境影響評価準備書におきまして、トンネル工事により小河内沢川等の河川流量が減少するとの予測が公表されたものと承知してございます。  これにより、企業局大鹿発電所におきましては、小河内沢川にある御所平取水口地点の取水量が減少し、発電事業の減収につながる可能性もあることから、企業局で蓄積している御所平取水口地点の河川水位データの水位を注視しているところでございます。  また、JR東海に対しましては、これまで河川流量の減少を最小化する最適な工法の検討を企業局として求めるとともに、河川流量の観測や観測データの蓄積、共有等の対策を実施するよう申し入れを行ってまいりました。  これを受けまして、JR東海は、本年2月に1時間間隔で流量を把握するための水位計を設置し、5月から観測を開始しており、取得したデータは企業局とともに双方で共有して確認することとしてございます。  企業局といたしましては、JR東海に対して引き続き工法の検討を求めるとともに、今後それらにより河川流量に影響が認められた場合は、必要な対応をJR東海に求めてまいりたいと考えておるところでございます。  以上であります。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)森林・林業について3点御質問いただきました。  初めに、森林経営管理法による新たな森林管理システムの実施体制についてのお尋ねでございます。  森林経営管理法に基づく新たな森林管理システムにおいては、市町村が中心になって森林経営の集積、集約化を図っていくことになるため、市町村の役割が一層重要になります。  一方で、県内の約7割の市町村においては、林務担当職員が他の業務と兼務しているなど新制度に向けての運用体制が課題となっていることから、現在、市町村の皆さんとワーキンググループを組織し、円滑に進めるための体制づくりへの支援策等について検討を進めているところでございます。  初めての仕組みですのでさまざまな課題はありますが、こうした検討を通じ、対策を講じていくことで、新たな森林管理システムの円滑な導入を図ってまいります。  次に、森林経営管理法による新たな森林管理システムの周知についてのお尋ねです。  森林経営管理法による新たな森林管理システムについては、まずは取り組みの中心となる市町村に対して、市町村、市長会、町村会での説明に加え、担当者への説明会を2回開催したほか、市町村とのワーキンググループ会議での説明など、随時説明を重ねているところでございます。  また、関係事業者に対しては、国から示されつつある考え方を踏まえ、新たな森林管理システムにおける森林経営の再委託先となる意欲と能力のある林業経営者の年度内の選定に向けて、林業事業体向けの説明会を開催いたします。  さらに、森林所有者に対しては、制度の細部や実施体制等の決定状況に応じて、市町村や森林組合等と連携し、さまざまな機会を捉えて周知に努めてまいります。
     最後に、自伐型林業についてのお尋ねです。  長野県におきましては、県内の森林資源を持続的に利用していくために、施業地の集約化や路網整備の促進等により生産性と創造性の高い林業を目指しています。  一方で、いわゆる自伐型林業のような地域に根差した小規模な林業についても、地域の活性化や山村振興を図る上では重要な形態の一つと認識しております。  このため、昨年度、自伐型林業推進協会の中嶋会長を講師とした研修会を開催し、意見交換を行うとともに、木の駅プロジェクトに代表される地域の実情に沿った小規模な森林資源の利活用などの取り組みに対し県として支援を既に行っているところでございます。  このように、大規模集約型林業と小規模な自伐型林業は対立するものではなく、共存しながら持続的な管理、利用を進めていくことが極めて重要と考えています。現在、県内に自伐型林業推進協会に参加している自治体はありませんが、山村に定着しながら自伐型のような小規模な林業を行っていくことは、特に里山などでは有効と考えており、こうした取り組みを含め、地域のさまざまな取り組みへの支援を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔26番和田明子君登壇〕 ◆26番(和田明子 君)それぞれ御答弁をいただきました。  先ほどの障害者の雇用水増しの問題について県のほうからお尋ねいただいて、結局民間企業から納付金が3億円以上に上っているということで、これは、本来は企業等で障害のある皆さんが働きやすい環境のためにこの納付金は生かして使われるということにならなければおかしいということでありまして、障害者雇用がさらに促進されるということで、意識の変革とあわせて環境も整えていくというところにも県としてさらに御尽力をいただきたいと思います。  冒頭に申し上げましたが、今回の県知事選挙が過去最低の投票率になったということについては、それは知事ばかりではなくて、私たち県議会にも投げかけられていることだと受けとめております。  県民の皆さんには、県の役割がわからないとか、県政が遠い、こういうふうに言われる方もありますが、今回、エアコン設置について緊急に対策をしていただいたように、県民の皆さんの要望に沿ってしっかりと対応していくことで、県政が身近であったり、県民の皆さんの寄せた声が本当に生きたのだ、こういう実感を通じて県政がさらに県民に近くなる、こういうことに私たちも一緒に頑張っていきたいと思っているところです。  阿部知事におかれましては、3期目は県民の目線で積極的に国に対して意見を言っていただきたい、そういう思いで今回質問させていただきました。引き続き御努力をお願いしたいと申し上げまして、一切の質問を終わります。 ○副議長(小林東一郎 君)以上で各党派代表質問は終了いたしました。          ────────────────── ○副議長(小林東一郎 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(小林東一郎 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明4日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時1分延会...