長野県議会 > 2018-10-02 >
平成30年 9月定例会本会議-10月02日-02号

ツイート シェア
  1. 長野県議会 2018-10-02
    平成30年 9月定例会本会議-10月02日-02号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成30年 9月定例会本会議-10月02日-02号平成30年 9月定例会本会議 平成30年10月2日(火曜日)  応招議員   58 番 古田芙士  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 備前光正   2 番 今井愛郎      28 番 両角友成   3 番 寺沢功希      29 番 吉川彰一   4 番 山口典久      30 番 清水純子   5 番 百瀬智之      31 番 小池久長   6 番 金沢敦志      32 番 諏訪光昭   7 番 小山仁志      33 番 髙橋岑俊   8 番 共田武史      34 番 今井 敦   9 番 丸山大輔      35 番 丸山栄一   10 番 荒井武志      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 藤岡義英      41 番 小池 清
      16 番 髙島陽子      42 番 宮本衡司   17 番 小川修一      43 番 清沢英男   18 番 中川宏昌      44 番 垣内基良   19 番 浜 章吉      45 番 鈴木 清   20 番 酒井 茂      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 和田明子      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   54 番 村石正郎      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一   副知事       太田 寛    建設部長      長谷川朋弘   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     池田秀幸    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       塩谷幸隆   総務部長      関昇一郎    公営企業管理者   県民文化部長    角田道夫    企業局長事務取扱  小林 透   健康福祉部長    大月良則    総務参事兼財政   環境部長      高田真由美   課長        伊藤一紀   産業政策監兼産           教育長       原山隆一   業労働部長     内田雅啓    教育次長      轟 寛逸   観光部長      熊谷 晃    教育次長      三輪晋一   農政部長      山本智章    警察本部長     内藤浩文   林務部長      山﨑 明    警務部長      野﨑美仁                     監査委員      田口敏子         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課担当係長   神戸圭一郎   議事課長      村松敏伸    議事課主査     山崎紀子   企画幹兼議事課           総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐      小松健一         ───────────────────  平成30年10月2日(火曜日)議事日程    午前10時開議    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(鈴木清 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △各党派代表質問及び知事提出議案 ○議長(鈴木清 君)次に、各党派代表質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  自由民主党県議団代表風間辰一議員。       〔47番風間辰一君登壇〕 ◆47番(風間辰一 君)自由民主党県議団、風間辰一でございます。自由民主党を代表いたしまして、質問をさせていただきます。  質問に入る前に、さきに発生した平成30年7月豪雨、台風21号、そしてこのたびの24号、北海道胆振東部地震の被害によりお亡くなりになられた方々へ哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々へお見舞いを申し上げます。被災地の1日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。  世界は、21世紀に入り、アジア諸国等の台頭によって世界経済の重心が大西洋から太平洋へシフトすることにより、パワーバランスが大きく変化している局面にあります。グローバル化イノベーションの進展等により相互依存が強まっている一方で、今、欧米の主要国内では内向き重視の傾向が顕在化し、特に米国では、中国の経済成長の影響等により、自国経済を優先する保護主義の傾向が日々強まる中、輸入品への制裁関税発動とそれに対する報復関税の応酬が繰り広げられ、2国間の貿易摩擦は激化の様相を呈しております。  他方、多国間ルールの交渉が暗礁に乗り上げる事態となった現在、多くの国は、2国間協定や地域協定にシフトせざるを得ない状況下にあり、農工業など産業のみならず環境問題に至るまで、世界が共通して取り組み、解決すべき重要なテーマは、主要な国の参加が得られないまま先送りされつつあるといった状況にございます。  グローバルリーダーとなった我が国経済は、さまざまな問題を抱えつつも、互恵と透明性が担保された秩序ある相互主義に基づく自由貿易の中で努力し、成長してきており、世界各国の経済も同様にその中で成長してきていることから、我が国、我が県経済を含め、世界経済が今後保護主義に基づく圧力や2国間の貿易政策のあおりを受ける可能性は否定できません。  経済がこのような不安要素を抱える一方、環境に関しても各国が受けるダメージが顕著になってきており、地球温暖化の進行による異常気象や自然災害等の増加によって国内外の各地で多くの命や財産が失われ、今後も人類の営みに深刻な影響をもたらすことが懸念されております。  国連は、IPCC、気候変動に関する政府間パネルに対し、各国の政策の策定や国際交渉における基礎的資料となる特別報告書の作成を依頼し、いよいよ今月、温暖化に関する現段階での最も信頼できる科学的根拠に基づく新しい将来予測をまとめるとのことであります。  ことしの12月にはCOP24も開かれ、この科学的根拠に依拠したパリ協定の具体的なルールづくりが目されるところではありますが、途上国やCO2排出大国である米・中を含めた各国のCO2削減目標の設定と実施が求められる中、さきの貿易に関する各国共通のルールづくりができないといった状況下ではその応酬が他分野にも発展することが考えられ、世界や我が国にとっての異常気象による猛暑等災害級の環境問題の解決にはまだまだ困難が伴うものと考えます。  一方、国内問題を見れば、我が国においては他の国には類を見ない速さで人口減少が進行し、本格的な人口減少時代を迎えるところであり、総務大臣主催の自治体戦略2040構想研究会の報告では、人口減少が進み、高齢者人口がピークを迎える2040年ごろにかけての内政上の危機として、「若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏」、また「標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全」等を掲げ、このままでは地方も大都市も立ち行かなくなることを見越し、問題を改めて提起するとともに、あらゆる面から取り組みを進めていかなければならない、我が県の存続にもかかわる喫緊の最重要課題がここにあります。  このようないずれも我が国の存続にかかわる重大な問題提起が持ち上がる中、国においては経済、環境、社会の課題を統合的に解決することを目指したSDGsをオールジャパンで推進することにより、持続可能な成長を実現し、その豊かさと幸せを共有する社会の創出に取り組むとしております。また、これと連動させながら第4次産業革命の技術がもたらす新しい価値やサービスにより人々を豊かにするSociety5.0の実現に向け推進策を具現化しているところであります。  我が県においては、2025年には人口が200万人を割ると予想され、高齢者の増加による社会保障費の増加、公共インフラの老朽化による更新投資の増大、自治体規模の縮小による税収減少など、行政運営の維持を困難とする要因の高まりを心配する声が広がっております。このような先行きが不透明で不確実さが増す中、多くの県民は将来に対する不安を感じており、この不安を払拭し、今後も安定して持続可能な住民サービスを提供することが求められております。  こうしたさまざまな打開すべき困難に立ち向かう局面にある今、知事におかれては、長野県知事選挙において3期目の当選を果たされ、向こう4年間のかじ取りを県民から委ねられたところであります。長野県をより一層発展させ、県民の夢や希望の実現に結びつけるためには、これまで以上に知恵を絞った戦略的な県政運営を行うとともに、あらゆる課題に対して果敢に臨んでいく熱意が不可欠であると考えます。県民に付託された思いを受けとめ、責任を持って長野県発展への道筋をしっかりとつけるとともに、さまざまな課題解決のため正しくリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  そこで、まず、現在の国際情勢に置かれた日本と我が県をどう認識し、我が国、我が県へのこれら経済、環境、社会問題の影響をどのように考えるか。その上で、県民生活を守り、発展させるためには、長野県はどうあるべきと考えるか。3期目の県政運営に対する意気込み等をあわせ、御所見を知事にお伺いいたします。  また、選挙期間中は、旧町村の地区を含めて多くの地域で遊説を行い、県民との意見交換をしたと思いますが、県民からの声をどのように受けとめ、その声を県政にどう生かそうとされるのか伺います。  あわせて、しあわせ信州創造プラン2.0を基軸に、当面は「攻めと守りの政策パッケージ~テイクオフ3+1~」により鋭意取り組まれるとのことであります。前期4年間の取り組みを振り返った上で、攻めと守りの政策パッケージをどのように実行に移し、しあわせ信州創造プラン2.0を実現していくのか。また、これらの推進に当たってのスケジュールと体制について知事にお伺いいたします。 次に、産業政策について伺います。  さきに述べたような経済、環境、社会に関していずれも我が国にかかわる重大な問題提起が持ち上がる中、国においては、これらの課題を統合的に解決することを目指したSDGsをオールジャパンで推進することにより持続可能な成長を実現し、その豊かさと幸せを共有する社会の創出に取り組むとしております。具体的には、政府が本年6月に決定した拡大版SDGsアクションプラン2018を未来を創る国家戦略の主軸とし、「SDGsを原動力とした地方創生」など三つの柱を掲げ、持続可能な成長の実現を目指すものであります。我が県を初め全国29の地方公共団体は、SDGsの達成に向けて先導的に取り組むSDGs未来都市として選定されたところであり、国、地方が一体となり、中長期を見通した持続可能な開発を進めるとともに、地方創生に資する取り組みを推進していくことがまさに重要であります。  また、政府は、同時に決定した未来投資戦略2018において、IoT、AI等の先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、イノベーションから新たな価値が創造され、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる社会、Society5.0を実現するため、次世代のモビリティシステムの構築、エネルギー転換、脱炭素化に向けたイノベーション、デジタルガバメントの推進、農林水産業スマート化スマートシティーの構築など変革を牽引する取り組みを掲げ、国を挙げて今後の成長戦略を推進するとしているところであります。  このような時代の大きな潮流にあって、SDGs未来都市に認定された我が県は、目標実現に向けどうすべきか。また、市町村の役割も重要と考えますが、今後市町村に求める姿とはどのようなものか、知事にお伺いいたします。  また、政府が進めているSociety5.0について我が県としてはどのようなビジョンを持ち、どういった分野に重点を置くのか。それらの実現にはどのような方策や組織が必要となるのか。  あわせて、Society5.0では経済発展と社会的課題の解決を両立する未来を目指しておりますが、そのためには、これらを援用した産業政策、教育政策、行政サービスの実現と、県民の暮らしに密着した地域課題に生かす取り組みを強力に進めることが必要と考えます。今後の方向性についてあわせて知事に伺います。  攻めと守りの政策パッケージでは、機動的な政策推進のための産業イノベーション推進本部の機能強化が盛り込まれ、イノベーティブな産業に果敢に取り組むとされております。我が県経済を浮上させるためにはこのような取り組みの方向性は評価するものでありますが、産業イノベーション推進本部について、設置のねらいと想定している体制、役割について。また、このような取り組みを行いつつ、県内景気の本格的な回復に向けてどのような施策を打ち出すのか。そして、産業界へどのようなてこ入れを行うのか。知事に伺います。  加えて、医療機器産業に重点を置く方向を示されておりますが、他の分野への目くばせも重要であると考えます。医療機器産業以外の分野についてどのような対策を講じていき、将来、我が県はどのような産業構造を持った姿を目指すべきか知事にお伺いいたします。  先般、政府は、東京圏一極集中の是正を目的に、首都圏から地方に移住して起業する方に最大300万円を支援する新たな制度を創設するとし、関連費用を来年度予算の概算要求に盛り込んだところであります。こうした地方創生に資する国の新たな施策は積極的に活用していくべきと思いますが、県としてもこのような取り組みに付加価値をつけて、我が県に新たな産業や企業が根づくためのインセンティブが働くよう県独自の実効的、戦略的な施策を打ち出すべきと考えますが、いかがか。産業労働部長にお伺いをいたします。  我が県の経済や雇用を支える中小企業、小規模事業者は、今後10年程度の間に多くの団塊世代の経営者が引退を迎えることになり、その約半数が後継者未定の状況にあると言われております。このような厳しい現実に対し、事業承継の早期着手や後継者とのマッチングの促進などきめ細やかな対策を講じていくことが必要と考えます。そこで、我が県の事業承継に関する現状と課題、また、今後10年先を見据えてどのような施策を打ち出していくのか、産業労働部長に伺います。  次に、長野県営業本部および農業について伺います。  攻めと守りの政策パッケージの中に、総合的に市場開拓等を行う長野県営業本部の設置準備が盛り込まれております。営業本部の設置目的の一つとして、農産物の販売額や輸出額の増大を図るとのことでありますが、対象とする農産物や加工品は、観光客や国内外の消費者への魅力と販売力のある、そば、ブドウ、リンゴ、高原野菜など他に対して訴求力や強みのある県産品をこれまで以上に後押しする必要があります。  例えば、そばについては、もともと我が県のブランドではあるものの、地元産のそば粉の供給体制が産業構造的な事由による農業そのものの衰退や後継者の不足により成り立たず、需要を賄うためには中国やモンゴル等の外国からの輸入品に頼らざるを得ない実情があります。これをどう、信州産のそばと風光明媚なソバ畑の風景を同時に提供する長野県として復活するか、名実ともに本来の姿に取り戻していくかという課題に対しては、農家や農業団体に任せきりとしてきた県にも責任があると考えます。  人は口だけで食べるのではない、目と頭でも食べるといった現在の我々日本人の趣向を踏まえれば、単なる食材提供の面だけでなく、目に見えるものが頭の中で想像していたものと一致する必要があります。ソバ畑を見て、地元のそばを提供され、おいしさをなるほど味わうことができるといった他県からの観光客やインバウンドがイメージする信州とするためには、遊休農地を復活させ、集約し、今まで以上にソバ畑の花と実を観光資源化し、農産物の地産地消に生かしていく必要があります。  このように、農産物の生産拡大、ひいては産業としての農業の振興と観光地の形成には密接な関係があり、それぞれの部局のみで推進することだけでは実現が困難であることから、今回の知事の発想と切り口は多いに期待するものであり、そういったことが可能になるならば、そのチャレンジングな取り組みには賛同するものであります。  そこで、知事の考える営業本部とはどのようなものか。発想や考えるに至った経過や根拠は何か。また、設置は来年度からとのことでありますが、所期の目的をどのように位置づけるのか。また、この組織の中に、長年培った営業感覚を持つ銀行、商工団体等民間からの人材を生かした体制とすることを提案いたしますが、どのような体制で推進されようとするのかお伺いをいたします。  加えて、これにより、信州の名産であるそば、リンゴ、ブドウ、野菜等の農産物の生産と供給、販路拡大を具体的にどう展開しようとするのか。以上、知事にお伺いをいたします。  関連して、農政部長にお伺いいたします。  県は、さきの台風21号の強風により、農業関係ではリンゴ、梨等の果実の落果など農作物等で7億8,000万近くの大きな被害が発生したと公表したところであります。  近年、温暖化に起因するゲリラ豪雨や台風の大型化、最高気温が35度以上となる異常気象が続き、ここでも自然環境の変動が我が県に大きな弊害を与える事態となっており、農作物の生産や家畜の飼育など農業経営にもさまざまな影響を及ぼしております。こうした中、農業経営を安定化させるための対策が必要であり、その基礎となる生産基盤の強化や生産性の向上などが喫緊の課題と考えます。  国では、攻めの農林水産業を展開し、成長産業にするとともに、美しく伝統ある農山漁村を次世代に継承するため、農林水産業・地域の活力創造プラン等に基づく改革を着実に実行するよう、強い農業のための基盤づくりとスマート農業の実現、輸出力強化と高付加価値化などを柱として31年度予算を要求しており、農家の経営安定を図る収入保険制度も平成31年から開始することとしております。  このような状況の中、農業の生産基盤の強化や生産性の向上並びに農家の経営安定を図る対策が必要と考えますが、県は国に対してどういった対策を求めていくのか、また、県としてはどのような対応や施策を講じていくのか伺います。  また、人口減少による日本の市場規模の縮小が見込まれる中、農家の経営力を向上させ、稼ぐ力を強化するためには、農産物の輸出拡大は重要と考えます。我が県の農産物の輸出額は、平成28年の5億6,000万円から、29年には10億4,000円に倍増いたしましたが、その増加要因と、しあわせ信州創造プラン2.0に掲げた2022年目標の20億円達成に向けて今後どのように取り組むのか伺います。  さらに、今後の異常気象下における我が県の農業発展に対する考え方と農家に対する支援の方針を、以上、農政部長に伺います。  次に、大規模自然災害への対策について伺います。  7月に西日本を中心に発生した豪雨災害では、死者、行方不明者合わせて230人。その後発生した台風21号では、関西国際空港が機能不全となり、空港利用者及び関係者が脱出不能となったほか、大阪南部、神戸などでは、最大級の風雨により、建築物の倒壊、大規模破損など大きな災害が発生いたしました。また、停電、断水により多くの市民生活に影響を与えるなど大きな被害をもたらしたところでもあります。  さらには、震度7の揺れを観測した北海道胆振東部地震では、甚大な土砂災害と水害、液状化現象や、苫東厚真火力発電所の停止に端を発した北海道全土を覆う大規模停電、ブラックアウト現象が引き起こされ、その結果、住居、店舗、病院、公共施設全てが停電し、経済活動が一時停止する事態に陥りました。  これらの大規模災害の影響は、物流、電気等がストップし、被災地の住民生活のみならず、製造業、観光業、農林水産業等の多くの産業にも及び、災害の長期化による経済的な損失という深刻な問題に発展しております。  これまで、絶対にないと考えられていた事象が実際に起こり、また、我が国のどこで起きてもおかしくない地震が日本を襲っている状況を踏まえると、豪雨と地震による複合災害のリスクが全国どこにおいても高まっており、我が県においても、対岸の火事とせず、明日起こるかもしれない喫緊の課題として、過去に学び、新たに取り入れるべきのものは取り入れ、早期に対策を練り直さなければならないと考えます。
     昨今の想定を超える自然災害で見えてきたものは、幾ら防災・減災対策を講じても、命と財産を守ることには常に困難が伴うということとともに、いかにエネルギー消失によって人々の日常が奪われるかということであります。水、食料、電気、ガソリン等の燃料が突然消失することの危うさと心もとなさは、今回の不幸な事態を見れば明らかであります。水、食料については応急の配給措置がなされたものの、電気については、ブラックアウトにより経済活動を含め全てがシャットアウトされ、その事態に一旦巻き込まれてしまえば、一個人には一瞬の光も電気も届きようもなく、現代の情報源であり、AIやIoTの集大成であり、唯一の連絡機器であるスマートフォンについては、電池切れにより無用の長物と化し、必要な情報と音信が得られない状況が続きました。  これにより、被災地以外の日本中では情報が入手でき、居間にいながらリアルタイムで事の大きさと経過をつぶさに知る一方で、肝心かなめの被災地で苦しんでいる方々には現状がどうなっているのか震災情報が一切伝わらず、身動きが取れないとの危機に陥らせ、情報社会である我が国を電源消失によって明と暗に二分してしまう異常な事態も生じたところであります。これらにより、緊急時の電源の用意、水の補給体制、ガソリン等エネルギー備蓄の整備は極めて重要であることが再認識されたところであります。我が県においても、これら被災時における緊急電源の設置及び燃料備蓄体制の再構築が求められると考えますが、このたびの大規模な災害を通じてどのような体制整備が必要と考えるか、危機管理部長に見解と今後の我が県の方針を伺います。  また、全国で北海道に次いで2番目に給油所過疎地が多い我が県において、先般、今後の中山間地での生活維持のための燃料供給や災害時における燃料供給体制をどうすべきかを考えるフォーラムが県庁講堂で開催され、まさに県民の暮らしにとって不可欠な灯油、ガソリン等、地域生活にとって重要なインフラとなっている燃料供給所の存続と、有事における燃料備蓄体制等について多くの観点から将来を見据えた問題提起がなされたと伺っております。現在、中山間地をはじめとする県内各地において、もはや社会インフラの一つとなっているSSに対する県の見方は、一つの産業の一つの経営体としか見ておらず、中山間地での生活や、有事の際にいかに重要な存在になるかを見据えて、県としても存続に対する支援を講じていかなければ、災害の有無にかかわらず、失うものは県民にとって余りに大きいと考えます。県民が安心して生活するための燃料を安定供給する生活インフラとしてのSSの存在は、災害時における備蓄体制の強化という意味でも重要になりますが、給油所過疎の県内の実態はどのようになっているか。安定した供給体制とするにはどう支援すべきか。また、備蓄体制については、我が団の当初予算要望の際にも再三申し上げているところですが、まだまだ不十分であるため、今以上の県内各地にしっかりとした備蓄量を保持した整備が求められるところでありますが、どのような強化策をとるべきと考えるか。フォーラムに出席して受けた率直な感想とあわせ、主催者の一人として出席された太田副知事にお伺いいたします。  また、災害リスクが高まっているさなかにあって、避難喚起する情報に対し、人はなかなか自分のこととして理解しようとせず、行動に移さないという問題も浮上いたしました。これまで以上にハード面で防災・減災対策を講じることはもちろんでありますが、昨今の気象変動等の自然現象はそれらの想定を上回ることが多くなっており、人の力は自然の前に無力である事象も散見されております。このような観点を踏まえると、避難というカテゴリーも、減災対策の一つとして今まで以上に重要視しなくてはならないと考えますが、いかがお考えか。危機管理部長にお尋ねをいたします。  また、住民の一人一人が各地域の最悪の被害ケースを想定し、避難場所の確認など事前に行動計画を立てておくことが重要であることはもちろんのことでありますが、近年の想定外の災害下においては、災害関連情報をいかに迅速かつ的確に住民に提供し、それを機敏な避難行動につなげるか。県民にあっては、居住する地域内のどこに災害リスクがあるかを学び、知り得ておくことの必要性。行政にあっては、特別警報等発令基準の見直し、情報提供のあり方の再考という新たな問題点も浮き彫りとなっているところであります。これら新たな課題にどう対処するか、どのような点を改善すべきか、県民を守る我が県と市町村の危機管理は今後どうあるべきか、及び今後の避難等災害関連情報提供のあるべき方向について危機管理部長にあわせて伺います。  7月の西日本豪雨災害において、愛媛県の肘川では、ダムの決壊を避けるため、所定の操作ルールに沿ってダムから放流した結果、下流域の河川の堤防が決壊するといった災害が発生しております。我が県では、企業局を含めて多くのダムを抱えておりますが、これらダムの運用はどのように行われているのか。県内に存在するダムの運用規定の内容はどのようなものか。また、愛媛県で発生した災害と同規模の豪雨があった場合に現行の規定で問題はないのか。問題がある場合にはどのような対応をしていくのか。いずれにせよ、河川管理計画とダムの緊急時の放流のあり方の検証をすべきと考えますが、建設部長にお伺いをいたします。  道路や橋梁といったインフラや公共施設の老朽化の問題も、どこでも起こり得る地震や集中豪雨及びその複合災害に耐え得るのかという点で危機感に拍車をかける重要な問題であり、ハード面からの人命を守るための不断の点検と維持管理、河川整備、砂防事業等、県土の強靱化はさらに図らなければならないと考えますが、建設部長の見解と方針についてお伺いをいたします。  あわせて、国は、中小河川の状況をリアルタイムで流域住民に知らせる危機管理型水位計の設置を全国で始めたとのことであります。洪水のおそれがある時だけに観測を行うこの水位計は、小型かつ低コストで設置可能であり、これを活用して洪水が発生しそうな地域住民のスマートフォンに観測情報をダイレクトに届けることができ、災害への備えが進む大河川に比べ危険度や避難のタイミングが判断しにくい中小河川流域に住む方々への避難の判断と避難を促すことに役立つ可能性があり、今後の河川危機管理及び減災の点からも、中小河川の多い我が県にとって極めて有効と考えますが、危機管理型水位計の我が県へ設置する意義と県内中小河川の設置状況及び今後の設置方針について建設部長にお伺いいたします。  次に、県庁のしごと改革に関連してお尋ねいたします。  長野県行政経営理念で掲げるように、今後も最高品質の行政サービスを提供していくためには、県政運営について不断の見直しを行い、常に最新の知見に基づいた施策の立案が求められております。現在、その際に必要な意見聴取と意見交換を行い、施策立案に生かすための官民からなる審議会等を設置しておりますが、その数は、要綱により設置されている協議会を含め、100を超える数で推移しているとのことであります。今後、社会経済情勢の変化に的確に対応していくためには、従来の業務のやり方を見直し、行政のスリム化、効率化を進めることが必要であり、審議会等についてもそうした観点から見直しを進めていくことも重要であると考えます。  県政において新たな施策を立案していく際には、有識者や関係者等から幅広く御意見を聞き、議論を深めるために、審議会等を活用していくことが必要であり、引き続き広く意見聴取の場として設け続けることには論をまたないところではありますが、今後、審議会等について見直すべきものは見直し、新たに設置すべきものは適切に位置づけていく必要があるとも考えます。  県として審議会等の見直しをどのように進めていくのか、知事にお伺いをいたします。 次に、公文書管理条例の制定について伺います。  6月議会において、知事は、公文書管理のあり方を幅広く検討していく中で条例化の必要性についても検討していくと述べられ、その後、条例制定を検討していくことを県知事選挙の公約に掲げるとともに、攻めと守りの政策パッケージにおいても、県政課題に対応するための独自条例として公文書管理条例の制定を検討することを明記しております。 そこで、公文書管理における課題をどう捉え、条例化がなぜ必要なのかについて知事の基本的な考え方を伺います。  また、条例化に先立ち、公文書管理のあり方を幅広く検討していく必要があると考えますが、条例制定に向け、どのような観点とスケジュールで検討を進めていくお考えか。デジタル公文書の扱いを含め、知事にお伺いいたします。  次に、医療・介護政策に関連して伺います。  我が国の総人口は減少局面に入り、団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、医療や介護の需要がこれまで以上に増加することが見込まれております。このような中、全国トップレベルの健康長寿県である我が県では、今年度をスタートとする第7期高齢者プランを策定し、向こう3年間の事業や目標を示し、中でも、地域包括ケアに関しては、地域の特性に応じながら、医療、介護、生活支援等の各サービスが連携し、地域住民が支え合う体制の確立を県内166あるすべての日常生活圏域において進めるなど、これまで整備してきた体制をより進化させ、効果の高まるものにするとしております。  このような地に足をしっかりとつけた取り組みは重要であり、今後の成果を期待するところでありますが、一方で、2025年以降も見据えた中長期的な対策もあわせて講じていく必要があると考えます。  そこで、地域包括ケアに関し、我が県における中長期的な見込みと課題、また、これらに対して県が講じるべき施策について健康福祉部長に伺います。  本年4月に、国民健康保険制度の改正により県も市町村とともに国民健康保険の運営主体に加わり、新たな制度が動き始めたところであります。新たな国民健康保険制度への移行に際しては、本年度から3年間を対象期間とする運営方針が策定され、その中で、小規模保険者が43市町村と半数を超えることや、1人当たりの保険料調定額の格差が最大で3.4倍と全国一大きいなど、運営に当たっての課題とでもいうべき我が県の特性が示されました。また、急激な保険料の上昇を抑制するため、原則6年間とする激変緩和措置を講じ、方針の改定の都度見直しをするとしたところであります。  新たな国民健康保険制度の運用開始後、半年が経過したところでありますが、被保険者、保険者のそれぞれにおいて新たに見え始めてきた課題や効果などがあると思われます。そこで、現在、我が県の課題とされるものにはどのようなものがあり、財政見通しへの影響をどのように見込んでいるのか。また、課題に対してどのような対処が必要となるのか。さらには、保険料の市町村格差の是正をどのように図っていくのか。健康福祉部長に伺います。  児童相談所が昨年度児童虐待の相談や通告を受けて対応した件数は、全国で13万件と過去最多となり、児童虐待への対応は喫緊の課題となっております。こうした中、政府は、7月に児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策をとりまとめ、児童福祉司を2,000人増員するなど児童相談所の体制強化などを打ち出したところであります。  我が県においても、相談件数が6年連続で過去最多を更新する2,000件余という状況にあり、将来を背負って立つ児童に対する虐待について防止策を一層強化する必要性が増しているところでありますが、我が県の児童相談所への相談における現状と課題、また、今後講じるべき対策について中島副知事にお伺いいたします。  また、就業構造基本調査によると、県内企業における65歳以上の高齢者の有業率は全国平均の24.4%を上回る30.4%と全国一を誇り、健康長寿県である我が県において高齢者が活躍されることは全国の模範であり、経験豊富なベテランの活用は、高齢者が働く土壌が我が県に根づいていることを示すとともに、反面、若手が確保できていない面を補完していると見ることもできます。今後とも、再雇用の役職の引き上げ促進等あらゆる支援を惜しまず、講じていくべきと考えますが、一方で、県内の女性の管理職の割合は8.4%と全国平均の14.8%を大きく下回り、残念ながら最下位の状況にあります。多くの女性が活躍する社会の実現が求められる中、Ⅰターン、Uターン、新卒者等、女性にとりその可能性を発揮する場としての長野県の地位を向上させ、女性が県内で活躍できるように就労や生活に魅力を感じることのできる体制づくりが少子化に歯どめをかけ、若い世代をふやし、老若男女が輝き、持続可能な地方を目指す我が県にとって必要不可欠であろうと思うのであります。  また、県外に進学した二十歳前後の我が県出身者が地元に戻らないことが我が県の課題でもありますが、特に女性のUターン者は少ない傾向にあります。これまでの取り組みで不十分な点を検証しつつ、女性人材の登用の事例をふやしていくことが重要であります。  そこで、我が県の女性の管理職の割合が全都道府県で最下位いう事実についてどう受けとめているのか。また、県内出身者の女性の呼び戻しや子育て世代の女性の増加促進などを行い、我が県の女性活躍が進展し、地域活力の向上も図っていくためには、どのような施策が効果的であり、また、それをどのように進めていくのか、中島副知事にお伺いをいたします。  近年、我が国の夏は気象環境の変動による猛暑となっており、とりわけ今年の夏は全国的に酷暑の日が多く、校外学習から戻った男児が熱中症とみられる症状で命を落としたという悲しい事故も発生いたしました。昔は冷涼と言われた我が県の学校においても、近年は猛暑の夏が常態化し、学習環境は大変厳しいものがあり、多くの保護者からは、学校への空調設備の設置が切望されてきたところであります。この声を受け、知事は、今議会に県立学校施設に対する空調設備の設計費用を計上したところであります。知事選直後の今議会に上程されたことは、このことについての知事の意気込みを感じるわけでありますが、今回、設計費用を計上するに至った経緯とこの問題に対する見解、設置計画に関する考え方を伺います。また、知事は、国に対し、冷房設置への支援について要望を行われましたが、学校施設への冷房設置についてどのように予算化していくのか。特に、財源をどのように捻出しようとしているのか、国からの補助のあるべき姿に対する見解も含め、お伺いいたします。  また、今回の補正予算案では、空調設備設置に係る設計費用のみを計上されておりますが、児童、生徒、保護者からは、来年からでも設置してほしいとの強い要望があり、今夏の状況も踏まえると、来年の夏が始まる前には一気に整備率を100%にすることが必要と考えます。このたびの方針によると、来夏までに全施設への設置ができないため、2年にわたり設置するということのようでありますが、果たして、県民、特に設置が次年度となる学校の生徒の皆さんの十分な理解が得られるか不安があります。ここは、なぜそうせざるを得ないのか、高校生にわかる十分な説明が必要と考えます。事業の工期にずれが生じる理由と、不公平な扱いとしない工夫を講じることについて、県内高校生に向けて知事の明快な説明を求めます。 また、県の執行に先んじて、同窓会、PTA等が再三の要望にもかかわらず設置しない県にしびれを切らし、生徒を含む会員からの寄附金等で空調設備費用を捻出し、いわば県にかわって既に自己負担設置している高校とこれからの施工対象となる行政設置校との間で、公立校の公平な環境整備の観点で、設備費用の初期投資についての県民自己負担と公金支出の不公平支出が生じることになりますが、このことについての考え方、また、同窓会、PTA等が負担しているリース代、ランニングコスト等の支出に対する県の考え方はどのようなものか、知事にお伺いいたします。  先般、安倍総理と自民党県議団との懇談の席上、総理は現段階では小中学校等義務教育については何らかの国の対応をとるとして、今後、県立高校については地方の声を聞いて考えたいとし、また、補助率については現在検討中である旨の返答があったところであります。今後、国の動向は注視しなければなりませんが、義務教育機関について、国が県に対し応分の財政負担を求めた場合、県としてはできる対応は講じていかなければなりません。市町村から多くの要望がある小中学校への空調設置に対する県の財政支援についてどう対応するお考えか、あわせて知事にお伺いいたします。  また、空調設備が予算化されることの意義は教育現場にどのように受けとめられているのか。全国的な猛暑を受け、文部科学省は夏休みの延長を検討するよう各教育委員会に通達したとのことでありますが、県教委としてこれにどのように対応するお考えか。夏休み延長や教育環境整備は子供たちにどのような教育的効果をもたらすのか。見解と方針について教育長にお伺いいたします。  また、学びと自治の力で新時代を切り開いていこうとする我が県にあって、今後どのように学びと自治を融合させた新たな取り組みとするか、その具体的な取り組み事例がまたれるところであります。教育委員会として学びの県づくりにどう関与し、取り組むのか、教育長にお伺いいたします。  あわせて、文部科学省は校長や教頭を補佐する主幹教諭を100人増員するとのことであります。働き方改革の一環として、中学で6割、小学校で3割の教員が時間外労働していることを是正すべく、2026年までに600人の増を目指すとされておりますが、県内の主幹教諭配置状況と配置効果について教育長にお尋ねをいたします。  デジタルテクノロジーの活用は、AIが人にとってかわる脅威と思われがちな側面があり、特に、人対人の教育現場においては、なかんずく人間教育とはなじまないものと懐疑的に見られる面はあります。しかし、これまで人の役割だったルーチン化された仕事を次第にAIへと置きかえる流れは今後ますます社会のさまざまな場面で進んでいくものと思われ、子供たちも早晩そうした社会にどっぷり浸かっていくことはもはや避けられないと思われます。先人も、現在に生きる我々も、技術革新が起こるたびに新しいテクノロジーをしたたかに利活用し、みずからの能力を高めてきた実績があり、現代の子供たちにとっても、いかにこうした世の中で生きていくか、AI、IoTを生きる力として援用する技量を磨き、個人能力を生かすかという観点で見れば、むしろ豊富な接点と場面を多くつくった方がよいと考えます。そういったデジタル社会の大海原に送り出すためにも、確かにプログラミング等の先端技術の指導も必要ではありますが、一方、人としてのあるべき姿や、AIには理解できない人間的な感性を磨くリベラルアーツ等の教育の必要性が一層高まっていると感じます。  新しい技術分野がカリキュラムに組み込まれると同時に、この社会の現場を動かしていくのは人間力であることをしっかりと育んでいただくことは必要不可欠なことであると考えるものであります。いずれにせよ、この新たな時代の到来は、Society5.0における新たな教育のあり方を問うていると考えます。また、そのような時代になればこそ、教育現場においても、人間として教師個人が能力を磨き、生かすことが一層求められてまいります。  Society5.0の出現は、子供や教育界にいかなる影響を与える可能性があるか。長野県教育は、これにどのような姿勢で取り組んでいこうとされるか。また、教育県として復活し、かつての教育県としての誇りを取り戻していく努力をどのように進めるのか。同時に、こうした時代の到来に備え、対応していくために、教師と教育委員会にはどのような工夫と方針が必要と考えるか。Society5.0に対応した教育の考え方と取り組み、今後の長野県教育のあり方について教育長に伺います。  以上で1回目の質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)風間議員の代表質問に順次お答えを申し上げます。  まず、私の3期目に臨む基本姿勢について御質問いただきました。  今、世界情勢をしっかり受けとめながら長野県政を進めるべきだという観点での御質問をいただきました。私も、知事として仕事をさせていただく中で、ありとあらゆる行政分野はまさに世界との関連抜きに考えることはできないというふうに考えております。  AI、IoTを初めとする技術革新はこれまでにないスピードで、世界中に、そして我が国、長野県にも大きなインパクトを与えてきております。また、人、もの、金、情報、こうしたものは瞬時に国境を越えて行き来することができるようになっており、ボーダーレス化が急速に進んできております。また、加えて、自国の経済を優先する保護主義的な動きが世界の中で起こってきておりますし、また、安全保障をめぐる課題ということにも我が国はしっかり向き合っていかなければいけないというふうに思っております。また、気候変動問題を初めとして、国、国家という枠組みを超えた世界の連帯の中で対応していくべき課題というものもふえてきております。  そうした中で、経済、社会、環境、こうした課題の統合的解決を目指すSDGsへの取り組みが、先進国、発展途上国等で注目されてきており、持続可能な社会へ転換するため、世界を挙げて協力して取り組んでいくということが重要だと考えております。  長野県といたしましても、SDGs未来都市にも認定をしていただいております。世界とのつながりをしっかり認識しながらさまざまな政策を進めていきたいというふうに思っております。  そういう中で、県民生活を守り、発展させるために、長野県はどうあるべきかということでございますが、まず、さまざまな社会の変化に対しましてその変化を先取りしていく攻めの姿勢で県政に取り組んでいきたいというふうに思っております。  例えば、AI、IoT化の推進、デジタル革命、こうした分野はまさに産業を発展させていく上での大きな基盤になり得るものだというふうに思っておりますし、また、私たちの生活、暮らし、こうしたものの質を向上していく観点でも大いに活用していかなければいけないというふうに考えております。こうした新しい技術については積極的に取り入れ、活用していく、そうした攻めの姿勢で行政を進めていきたいというふうに思っております。  また、世界では人口が増加しておりますけれども、我が国、そして長野県は人口減少社会という状況であります。風間議員の御質問にもありましたように、地域社会はこのまま人口が減っていって一体どうなってしまうんだという不安をお持ちの方々も大勢いらっしゃいます。医療や介護、さらには防災・減災対策、こうした行政として基本的に責任を持って取り組まなければいけないことについては、県民の皆様方の安心、安全を守るという観点から、しっかりと着実な政策推進を図っていく守りという観点での政策推進が大変重要だというふうに思っております。  また、気候変動を初めとする世界の国々と連帯して取り組むべき問題、これは、もとより国家間同士の協力関係ということも大変重要でありますが、例えば、温室効果ガスの削減等における自治体の果たす役割というものは極めて大きな部分があるというふうに思っております。  そうした観点で、単に国の動きに追随するということではなくて、世界の他の地域と連帯しながら、自然エネルギーの普及拡大だったり、この温室効果ガスの排出抑制だったり、こうした取り組みを進めていくということも大変重要だというふうに考えております。  さまざまな分野、世界との関連、そして世界や日本の動向との関連の中で、しっかり方向性を定めて、県民の皆様方と力を合わせて着実な政策推進を進めていきたいというふうに思っております。  3期目の県政運営をスタートさせていただいたわけでありますが、私としては、改めまして知事としての職責の重さをしっかりと自覚させていただいた上で、使命感を持って職務に精進していきたいというふうに考えております。  次に、選挙中のさまざまな地域での県民からの声をどう受けとめ、県政に生かしていくかという御質問でございます。  暑い中、多くの皆様方に街頭演説等でお集まりをいただき、直接私の訴えを聞いていただけたこと、大変ありがたく思っております。また、そうした中で、多くの地域の皆様方、あるいはさまざまな分野の皆様方と直接お話をさせていただく機会もいただきました。私にとっては、さまざまな気づきのある選挙期間でもあったというふうに思っております。  地域の皆様方の声は本当にさまざまありますが、先ほど申し上げたように、例えば人口減少社会の対応のように一致した懸念や不安ということもお伺いをしております。そうした課題についてはしっかりと正面から向き合っていきたいというふうに思っております。また、それぞれ皆様方の個別の思いはこれからも私としては、お一人お一人の県民の皆様方の思いにしっかりと寄り添って、県民起点で県政を進めていきたいというふうに考えております。  引き続き、共感と対話、県民参加と協働、こうしたことを基本に据えて県政を進めてまいりたいと考えております。  次に、攻めと守りの政策パッケージをどのように実行し、しあわせ信州創造プラン2.0を実現していくのかという御質問でございます。  まず、これまでの県政で県民の皆様方、そして県議会の皆様方の御理解と御協力をいただく中でさまざまな政策を進めてくることができたというふうに思っております。これまでの4年間におきましても、県立大学、あるいは南信工科短大の創設であったり、国内唯一の航空機システム拠点の整備であったり、また、長野県を発信する拠点としての銀座NAGANOの開設であったり、さらには多くの災害に見舞われる中で、迅速な応急対応、復旧・復興に努めてまいりました。  3期目に当たりましては、県議会の皆様方にお認めいただいたしあわせ信州創造プラン2.0、これに掲げた目標の達成に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。その中でも、私が選挙中に訴えさせていただいたことを中心に、まず速やかに取り組んでいきたいと考えている政策課題を攻めと守りの政策パッケージという形で取りまとめさせていただきました。その中の多くの部分については、今回御提案しております9月補正予算案で施策化をさせていただきました。残りの政策につきましても、このパッケージに掲げたものにつきましては、遅くとも年内には具体的な取り組みに着手をして具体化を目指していきたいというふうに考えております。  もとより、私が訴えかけてきたものでありますが、これは県の政策として両副知事、各部長、職員、全庁を挙げてその推進に努めていきたいというふうに考えております。  続きまして、産業政策についてでございます。  SDGs未来都市に認定された県として、この目標の実現に向けてどう取り組んでいくのか、市町村の役割をどう考えるかという御質問でございます。  しあわせ信州創造プラン2.0の基本目標、確かな暮らしが営まれる美しい信州、これは、SDGsの誰ひとり取り残さない、あるいは持続可能な社会づくりという理念にも通ずるものがあるというふうに考えております。  経済、社会、環境、こうした課題を統合的に解決してSDGsを実現していくためには、本県に脈々と受け継がれてきておりますDNAであります学びと自治の力を活性化して、多様性が尊重される自立・分散型の社会をつくっていくということが重要だと考えております。  具体的には、エネルギー自立・分散型地域の形成、地域内経済循環の促進、快適な健康長寿のまち、村づくり、誰もが学べる環境づくり、こうした四つの観点からの施策を中心として展開することにより、SDGs未来都市として先導的な役割を果たしていきたいというふうに考えております。  また、市町村に対しまして求める姿でありますが、SDGsの実現に向けましては、あらゆるステークホルダー、これは、企業の皆さんを初めとして多くの皆様方が参画して取り組んでいただくということが不可欠だというふうに考えております。そうした中で、市町村はもとよりその重要な一員であるというふうに考えております。  それぞれの市町村におきましては、より地域に密着している自治体、行政機関という立場から、私どもと目指す姿、あるいは考え方を共有いただく中で、このSDGsを実現していく具体的なパートナーとして一緒になって取り組みを進めていただきたいというふうに考えております。  次に、Society5.0への県の対応という御質問でございます。  時代はまさに第4次産業革命とも呼ばれております大きな変革期でございます。そして、その先に、超スマート社会、Society5.0を形成していくということを念頭にして、AI、IoT、ロボット、こうした先端技術を積極的に活用、導入して社会や産業の構造変化に対応していくことが重要だというふうに考えております。  特に、産業分野につきましては、生産現場におけるAI、IoT化の推進であったり、また、観光分野におけるキャッシュレス化、ビッグデータの利活用、さらには農林業のスマート化、こうした分野についてほかの地域の一歩先を行くという発想を持って取り組んでまいりたいというふうに考えております。  また、デジタル革命に対応していくためのCDO、最高デジタル責任者を設置するといった昨今の民間企業の取り組み事例も参考にさせていただきながら、先端技術分野を統括、指揮していく県庁内の組織体制を検討して、Society5.0の実現に向けた政策展開を図っていきたいというふうに考えております。  また、今後の方向性といたしましては、しあわせ信州創造プラン2.0におきましても、政策の構築、実行に当たっての共通視点として先端技術の活用を掲げさせていただいております。あらゆる政策推進に当たりまして、この先端技術、暮らし、教育、産業など、さまざまな分野において最大限利活用できるように取り組みを行っていきたいというふうに考えております。  次に、産業イノベーション推進本部の機能強化についての御質問をいただきました。  多様な人、組織、技術等が既存の産業分野を超えてつながることによります新たな付加価値の創造が期待されております。これまでのように縦割りの産業分野での対応では新しいイノベーションを起こしていくことは難しいというふうに考えております。  そうした観点で、従来の産業分野の枠を超えて政策を推進していくこと、また、具体的な現場の課題であったり、あるいは現場において起きている新しい取り組みにつながる萌芽、こうしたものを見出して県組織全体で受けとめてイノベーションを促進していきたいというふうに考えております。そのための本部の機能強化をしていきたいと思っております。  具体的な体制としては、経営マネジメントや市場動向等に精通をされている目きき役としての専門人材の参加であったり、中小企業振興センターやテクノ財団初め長野県の産業支援機関があります。こうした機関の関係者も一緒になってこのイノベーションを推進していくことができるような体制を考えていきたいというふうに思っております。  私としては、単にきれいな作文をつくる組織ではなくて、この本部の方向性に基づいて、多くの皆さんが同じ目標を掲げて、相互に協力し合いながら具体的に行動して具体的な成果を上げていく、そうした組織体制をぜひつくっていきたいというふうに考えております。  県内景気の本格的な回復に向けてどういう政策を打ち出し、産業界にどうてこ入れを行うかという御質問でございます。  まさに大きな時代の転換点でございますので、新しい産業分野への転換支援であったり、あるいは新しい技術を活用しての生産性の向上、こうしたことを基本に据えて産業政策を進めていきたいというふうに考えております。  また、県内産業の稼ぐ力を高めていくために、医療機器、航空機産業、こうした成長産業の創出、集積を図っていくと同時に、新しい市場開拓、販路開拓、こうしたものも進めてまいります。  また、さまざまな産業分野における先端技術の活用、そして、今産業界においては喫緊の課題であります産業人材の育成、確保、こうしたことに産業界としっかりと連携を図りながら取り組みを行っていきたいと考えております。  次に、本県の目指すべき産業構造等についてということでございます。  医療機器産業の振興にこれからしっかり取り組んでいきたいというふうに思っておりますが、もとより、これから新しい産業政策を進めていくに当たりましては、御指摘のありましたように、医療機器分野の取り組みということもしっかり念頭に置いて取り組んでいくことが重要だというふうに思っております。本県産業が持続的に展開、発展していくためには、常にイノベーションを創出していくこと、そして付加価値を少しでも上げて生産性を高めていくということが重要だというふうに思っております。  航空機や食品などの成長期待分野の深堀りにこれまでも取り組んでまいりました。これからも新しい分野の展開支援をしっかり行っていきたいと思っております。  AI、IoT分野におきましては、長野県がこれまで培ってきた技術力を生かして、世界水準のIoTデバイスの開発が促進されるように取り組んでいきたいと思っております。  また、本県産業における自動車関連のウエートが非常に高い中、電気自動車、あるいは燃料電池自動車へのシフトが的確に行われるような支援も行っていきたいというふうに思っております。  また、さまざまな産業分野におけるAI、IoTの利活用を促進すること、また、そうしたAI、IoT等先端技術を活用できる人材の育成、そして、そうした関連産業の集積についても取り組んでまいります。  こうしたことを通じまして、下請型から研究開発型企業への転換、そして、既存の産業領域や企業の枠を超えた新事業、新市場への展開、さらには絶え間ないベンチャー企業の創出支援、こうしたことを行うことによりましてイノベーティブな産業構造をつくっていきたいと考えております。  次に、長野県営業本部(仮称)についての御質問でございます。  県産品の振興は、本県におきましてはそれぞれの部局が積極的に取り組んでまいりました。そうした中で、横断的な展開も必要ということで、観光部に信州マーケティング戦略担当参与を置いて部局間の連携も図ってまいったところであります。  しかしながら、私の率直な思いとして、まだまだ本県のすぐれた県産品のアピール、販路開拓、マーケティングについては不十分な部分があるんじゃないか、まだまだ潜在力を生かし切れていないんじゃないかというふうに考えております。こうしたすぐれた県産品を育んでおります本県の豊かな自然や魅力、こうしたものをセットで発信をしていきたいというふうに思っておりますし、また、首都圏のホテル、レストランを初めとして、希少価値をしっかり評価していただける顧客の皆さん、あるいは新しい潮流をつくり上げていくような皆さんにしっかりと販売をしていくということが重要だと思います。  こうしたことを通じて、本県の県産品のさらなる付加価値の向上、そして、それとあわせて長野県、信州のブランド力の向上を図っていきたいというふうに思っております。そういう観点で、この営業本部は、営業活動を具体的に実行していく実働部隊にしていきたいというふうに思っております。  特に、すぐれた農作物、加工食品、伝統工芸品等県産品の販路拡大はもとより、マーケットの生の声を反映した売れる商品づくりのサポート、さらには信州の魅力をこの県産品とあわせて発信していくことができるようなメディア戦略、こうしたものを統合的に進めていきたいというふうに考えております。  風間議員のお話にもおそばの例がございました。私も全く同じような思いであります。信州といえばそば、そばといえば信州、しかしながら、そうした物としての発信が十分かということを我々はもっと反省しなければいけないと思いますし、また、地消地産の推進や観光振興へのつながり、そうした幅広い分野でのそばをどう生かしていくかという観点での部局横断的な取り組みの観点、こうしたものも、この営業本部の設置を契機にさらに県庁挙げて一体的に取り組んでいくようにしていきたいというふうに考えております。こうした長野県の誇る産物をストーリーもあわせて発信することによってしっかりと売り出して付加価値を高めていきたいというふうに思っております。  体制としては、県の職員がしっかり頑張っていただくということももとより重要でありますが、こうした分野に精通した民間の人材も活用していきたいというふうに思っております。首都圏等への売り込みやメディア展開、こうしたことに積極的に取り組んでいきたいという思いがある職員の配置をすることによって、県の組織全体として、発信力や販売力が高まるような体制づくりを行っていきたいというふうに思っております。  次に、しごと改革と公文書管理条例についての御質問でございます。  まず、審議会等の見直しについてでございます。  審議会、協議会等につきましては、有識者、関係者等から幅広く御意見を聴取し、政策形成等を行っていく場として重要なものというふうに思っております。ただ、他方で、所期の目的を達成したもの、社会、経済情勢の変化等で必要性が低下したものなど不断の見直しを行っていくことももとより重要であります。  そのため、しごと改革、業務見直しの観点から、既設の審議会、協議会等につきましては、開催実績が乏しいもの等については廃止、統合を検討していきたいと思っております。また、審議会や協議会といった形をあえてとる必要がないようなものについては、個別に有識者等から意見を聴取するという方向に変えていきたいというふうに思っております。こうした観点から、今年度末までには全ての審議会、協議会等についての見直しを行っていきたいと考えております。  また、見直した結果、条例改正が必要なものもあり得るというふうに思います。その場合には、来年の2月県議会を目途に条例案を御提出させていただき、議会での御審議をお願いしていきたいと考えております。
     次に、公文書管理における課題と条例化の必要性についてでございます。  公文書管理に関しましては、作成します文書の内容や分類をどなたにもわかりやすいものにしていくということが重要だと考えておりますし、また、その適正な管理、保存、さらには移管、廃棄、こうしたルールや体制を整備していくことが重要と考えております。  中央省庁におけるさまざまな問題もあり、公文書の適正管理に関する社会的な要請が高まってきております。こうした中、長野県としても、管理をより適正なものとし、公文書に対する信頼性を高めていく必要があるというふうに考えております。  公文書は、県の諸活動を正確に記録し、また、情報公開制度とも相まって、県民の皆様方に対する説明責任を全うし、県政に対する県民の皆様の御理解と信頼を深めていくための基盤であるというふうに考えております。こうしたことから、その管理に関する基本的事項につきましては、県民の皆様の代表であります県議会の御議決をいただき、条例として定めていくことが適当であるというふうに考えております。  条例制定に向けた観点、スケジュールということでございます。  条例制定に向けましては、公文書管理の適正化ということはもとよりでございますが、私どもとしては、しごと改革、あるいは働き方改革、こうした観点も含めて幅広く検討していきたいというふうに考えております。  公文書管理の適正化につきましては、公文書管理法等の法令、あるいは国の取り組み、こうしたことを踏まえつつ、保存区分や分類基準の明確化によります保管の適正化、管理体制の強化など、文書規程等で定めております現行のルールについて必要な見直しを行っていきたいというふうに考えております。  また、御質問にありましたデジタル文書の保管、廃棄につきましては、基本的に紙の文書と同じような考え方で取り扱っていきたいというふうに考えております。  公文書管理の適正化を図っていくためには、ペーパーレス化や公文書の集中管理の推進、電子決裁システムの見直し、こうしたことを進めていくことが必要でありますが、こうした見直しは、オフィス環境の改善、あるいは情報の有効活用、意思決定の迅速化、こうしたことにも関連してまいりますので、しごと改革、働き方改革にもつながるよう検討を進めていきたいと考えております。  こうした見直しの方向性を本年度中に取りまとめさせていただいた上で、公文書にかかわる業務全般を大幅に改善し、その管理を抜本的に見直すべくしっかり検討を行った上で、来年度中を目途に条例案として御提案させていただきたいと考えております。  続きまして、教育及び環境整備としての冷房設置についての御質問でございます。  まず、設計費用計上の経緯についてということでございます。  県立学校におきましては、これまで、児童生徒の個別の状況に配慮して、保健室や児童生徒が長く過ごす特別支援学校の寄宿舎室等への空調設備の設置を計画的に進めてまいりました。  本県は、これまで、全国の中では比較的冷涼な地域でありますことから、空調設備の設置はおくれている状況にございます。しかしながら、この夏、本県も災害的な猛暑に見舞われ、来年以降もこうした猛暑が繰り返される可能性もございます。私としては、早急に対策を講ずることが必要と判断をしたところでございます。  学びの県づくりを標榜しております本県といたしましては、児童生徒が安心して学習に取り組んでいただくことができる学習環境を整備することが重要だというふうに考えております。このため、全ての県立学校に空調設備を設置するための設計費用を今回の補正予算に計上させていただいたところでございます。  予算化財源、あるいは国からの補助のあるべき姿についての御質問でございます。  今回の空調の整備につきましては、児童生徒の生命にもかかわるような重要な課題であるというふうに考えております。緊急的に対応する必要がございますことから、県予算全体の中で優先して財源を捻出するよう取り組んでいきたいと考えております。  今回の整備は、災害とも言える猛暑を受けて行う全国的な課題でもあるというふうに考えております。そういう観点で、国においてはぜひ財政支援をしっかりと充実していただきたいというふうに考えております。  既に特別支援学校は国庫補助の対象になっているわけでありますが、なっておりません高等学校もぜひ加えていただきたいというふうに思っておりますし、また、地方財政措置についても拡充していただきたいということで国に対して要望させていただいてきているところでございます。  現在、国においてはこの空調設備の設置についての補正予算が検討されているというふうに伺っております。国の財政支援をできる限り活用できるように国の動向をしっかり注視していきたいと考えております。  2年で設置するという理由、来年までには設置できない学校があるということを高校生の皆さんも含めてしっかり説明する必要があるという御質問でございます。  今回、空調設備の設置を計画しております教室の数は、高等学校で約2,100、そして特別支援学校で約700、合わせて約2,800の教室についての整備が必要だというふうに考えております。  私自身も、御質問ありましたように、でき得れば来年の夏までに全ての県立学校で空調設備が利用できることが望ましいというふうには考えております。しかしながら、空調の設置工事を行うに当たりましては、設計や工事の発注、あるいは工事中の打ち合わせであったり設置後の完了検査など県の職員が直接行わなければならない事務が多くございます。そうした中で、可能な限り速やかに設置できるようにということで取り組んだ結果、今回、どうしても2カ年に渡らざるを得ないということで判断をさせていただきました。  設置に当たりましては、体温調整が難しい等配慮すべき子供たちがいらっしゃる特別支援学校をまずは優先して整備します。そして、高等学校におきましては、特に室温が高い学校を優先させていただくなど、より緊急性の高いところから設置していきたいというふうに考えております。  また、来年夏に稼働できない学校につきましては、扇風機の設置や増設、さらには緑のカーテン等の環境整備活動に対する支援、さらには、これは教育委員会で検討してもらっております夏休み期間の弾力化、既に空調設備を設置している教室の有効活用等、運用面での工夫も行っていきたいというふうに考えております。  こうしたことを通じて、児童生徒のための安全、安心な学習環境の整備に努めていく考えでございますので、どうか高校生初め県民の皆様方、県議会の皆様方には御理解をいただければありがたいというふうに思っております。  次に、同窓会、PTA等が既に設置している学校に対する対応についての御質問でございます。  同窓会、あるいはPTA等で学校環境整備ということで既にエアコン、空調設備設置をいただいている学校がございます。これまで55校、464の教室に設置をいただいているところでございます。私としては、こうした関係者の皆様方のこれまでの御協力、御支援に改めて心から感謝申し上げたいというふうに思います。  今回、普通教室に対して空調設備を県として設置することを契機にいたしまして、今後は、こうした従来設置をいただいております空調設備につきましては県の管理とさせていただき、責任を持って維持管理等を行い、できる限り長く大切に活用させていただくように努力していきたいと思っております。  既に同窓会、PTA等の御支援で空調設備を設置していただいた学校の電気代等のランニングコストにつきましては、県が設置いたします空調設備との公平性の観点から、県が負担するよう速やかに検討いたします。  また、同窓会、PTA等が既に学校に設置をしていただき、現在リース料を支払っていただいております空調設備に対しましても、今後のリース料について県の負担とするよう速やかに検討してまいります。  続きまして、小中学校への冷房設置に対する県の財政支援についての御質問でございます。  小中学校、義務教育学校に対する冷房設置の事業は、これは設置者であります市町村が文部科学省の学校施設環境改善交付金を受けて行うことになっております。補助率は3分の1でございます。文部科学省が冷房設置事業の交付金を採択すれば、市町村負担分、残りの3分の2でございますが、その3分の2のうちの75%は起債の対象になります。また、その元利償還金の30%は交付税算入されるということになっておりまして、市町村の管理しております義務教育学校につきましては、比較的手厚い財政措置が現在でも講じられているところでございます。  しかしながら、問題は、この交付金が余りにも少ない、交付対象にならないということが問題であるというふうに思っております。  今年度、本県の冷房設置事業は採択がされませんでした。こうしたことから、5月には、関係省庁に対して学校施設整備の円滑な実施を関係6団体で要望させていただきました。また、8月には、知事として官房長官、文部科学省、総務省に対しまして学校施設への空調設備設置等に関する緊急要望を義務教育学校も含めて行わせていただいたところでございます。  県としては、引き続き国に対する財源の確保、そして事業内定、交付決定の早期化等について強く要望していきたいというふうに考えております。  私に対する質問は以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)新たな産業や企業が根づくための県独自の施策についてのお尋ねをいただきました。  稼ぐ力を持つ企業を伸ばすとともに、新たな産業や企業が根づくためには、やはり国の施策と連動して本県独自の施策を展開することが他県との差別化につながり、効果的であると考えております。  具体的には、国のプロジェクトである信州大学アクア・イノベーション拠点の取り組みにあわせて、県が、この場合長野地域振興局でございますが、独自に技術シーズの紹介やマッチングセミナーを開催しておりまして、地域企業に新たな分野の参入が期待されますし、また、地方創生を進めるという観点からは、移住と創業、就業などを組み合わせた施策が効果的であることから、例えば、議員の御指摘にありました国の概算要求に盛り込まれているUIJターンによる起業、就業者創出などの新たな施策と、県が独自に実施し成果を上げておりますおためし・ときどきナガノ事業や、今回本会議で補正予算をお願いしてございますリゾートテレワーク拠点整備事業などを連動して実施することで付加価値が生じるのではないかと考えております。  これからも、単に国の施策や制度を活用するだけではなく、本県独自の戦略的な施策と連動して実施をすることで、施策の効果が一層上がるように検討してまいります。  次に、事業承継の現状と課題についてでございます。  まず、事業承継の現状でございますが、昨年の民間機関の調査では、後継者不在率が6割を超え、高い水準にあることに加えまして、県事業引継ぎ支援センターへの相談件数が延べ2,326件あるのに対しまして、成約件数は53件と少ない状況にございます。  課題としては、多くの経営者が事業承継問題を早期に認識していないこと、事業引き受け希望者が少ないこと、事業承継の課題に対応できる専門人材等が不足していることなどが挙げられております。  今後10年を見据えてどのような施策を打ち出していくのかというお尋ねでございますが、県では、経営者の年齢層や事業承継に必要な期間を踏まえますと、今後10年間が勝負のときと考えてございまして、全県を挙げて迅速かつ集中的に支援を実施するために、県内の産業支援機関等からなる事業承継ネットワークを本年6月に立ち上げたところでございます。このネットワークを活用いたしまして、経営者に対する事業承継診断を今年度から毎年1,000件以上実施をいたしまして、経営者に早期の気づきを促すとともに、専門家につなぎ、引き受け希望者の掘り起こしとマッチングの機会をふやすことで成約につなげてまいりたいと考えております。  また、産業支援機関等のスキルアップのため、成功事例の紹介や、ここ数年拡充されております事業承継税制の申請方法、注意点などについて金融機関や税理士等と協力してセミナーを開催するなど、専門人材等の育成を支援してまいります。  引き続き、関係機関が一層連携を深め、国の各種施策も活用しながら、準備段階から承継後までの切れ目のない支援を行い、円滑な事業承継を促進してまいります。  私からは以上でございます。       〔農政部長山本智章君登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)農業政策について3点御質問いただきました。  まず、農業の生産基盤の強化や生産性の向上、経営安定を図るため、県では、国に対しまして、低コスト、省力化につながる新たな施設、機械の導入への支援や、先端技術等の開発に必要な予算の確保、農家の経営安定を図るための価格安定制度の充実などを求めているところでございます。  また、今年度からスタートしました第3期長野県食と農業農村振興計画に基づき、農地の集積、集約化や乳牛の自動搾乳装置など、AI、ICT等の先端技術を活用した省力化技術の導入を推進するとともに、来年1月から始まる収入保険制度の加入促進に取り組んでまいります。  さらに、本年市場デビューしましたリンゴ「シナノリップ」や、先ごろ商標登録をしましたブドウ「クイーンルージュ」などの県オリジナル品種の生産拡大や、知的財産を活用したブランド力の評価など、収益力の強化に向けた県独自の施策を積極的に推進してまいります。  次に、農産物輸出額の増加要因と今後の取り組みについてのお尋ねでございますが、県産農産物の輸出につきましては、主な輸出先であります台湾、香港を初め東南アジア地域でシャインマスカットなどのブドウや大玉の桃、また市田柿といった高級果実が大幅に増加をしております。  増加要因としましては、経済成長を背景としたアジアの食市場の拡大と贈答需要等の増加、世界的な和食ブームや日本ブランドへの信頼の高まりなどに加えまして、長野県農産物等輸出事業者協議会を中心に、県を初め行政、生産者団体、輸出関連事業者などが一体となって輸出促進に努めてきた成果であると認識をしているところでございます。  今後、目標であります20億円の達成に向けて、香港、台湾、シンガポールに加えてタイ、マレーシアなどを輸出相手先として販路拡大を強化し、現地の消費者ニーズを捉えた継続的で安定した商業ベースの輸出拡大を進めてまいります。  特に、ブドウ、リンゴといった品質が高く生産量が豊富な果物につきましては、輸出向け生産に取り組む産地の育成とともに、収穫時期が異なる品種や施設栽培、冷蔵貯蔵などを組み合わせて、海外マーケットで長期間販売できる体制の構築などに取り組んでまいります。  続きまして、異常気象下における農業の発展と農家支援の方針についてのお尋ねでございますが、本県農業の持続的な発展のためには、地球温暖化などによるさまざまな異常気象を想定した新品種、新技術の開発や技術指導に加え、多目的ネットなどの被害防止資材等の導入を進めていくことが重要と考えております。  このため、農業関係試験場では、高温条件でも着色のよいリンゴ「シナノリップ」や、高温障害を回避できる水稲「風さやか」を育成したほか、リンゴの日焼けに対する遮光ネット利用などの温暖化対応技術を開発して生産現場への普及に努めているところでございます。  また、水稲につきましては、昨年度新たに高温環境を再現する温室を整備いたしまして、長期的な影響評価や対策技術の開発に向けて研究の加速化を図っております。  今後も、気象災害に強い新品種の育成、温暖化対応技術の開発普及、気象状況に対応した的確な技術指導を行うとともに、補助事業や融資制度を活用した被害防止資材、施設の導入を支援してまいります。  私からは以上でございます。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)大規模自然災害への対策について御質問いただきました。順次お答えを申し上げたいと思います。  最初に、大規模災害時の緊急電源の設置、燃料備蓄体制についての御質問でございます。  このたびの7月豪雨災害や北海道胆振東部地震では、新たな課題として、避難所などにおいて被災者の命を守るための冷暖房機器や、必要な情報を得るためのスマートフォンの電源確保のための緊急電源の重要性が明らかとなりました。本県においても同様の事態が想定されることから、早急に市町村や関係団体等と避難所などにおける緊急電源の確保の検討を進めてまいりたいと考えております。  また、特に災害対応を担う行政機関や救命、治療に当たる医療機関などにとって、緊急時の電源となる非常用発電機の確保は、災害発生時業務継続計画、BCPにおきましても、非常時の優先業務執行に必要な設備として位置づけられております。  この非常用発電機を稼働させるためには、災害対応を行う緊急車両の活動には燃料の確保と安定的な供給が必要であることから、県では、国の災害時における給油所の燃料備蓄促進事業を活用し、長野県石油商業組合との連携により、中核給油所や小口燃料配送拠点において燃料備蓄を行っております。  この国の備蓄促進事業が今年度で終了となることから、燃料備蓄の継続、拡大について国に要望を行うとともに、県としてもさらなる備蓄拡大や迅速な燃料供給体制の整備が必要との認識のもと、来年度に向け、県単独事業での実施も含め、具体的な検討を進めております。いずれにしましても、県民の皆様が安心して生活できるよう、燃料備蓄の強化に向けて早急に対応してまいります。  次に、減災対策の一つとしての避難というカテゴリーについての御質問でございます。  東日本大震災の発生を受け、平成25年度の災害対策基本法の改正では直ちに逃げることが重視され、ハード、ソフトのさまざまな対策により被害を最小化する、いわゆる減災の考え方が明確化されました。  本県でも、国の避難勧告等に係るガイドラインなどを活用し、市町村への研修を行うほか、県民の皆様に対しましては、さまざまな普及啓発を通じ、適正な避難行動が行われるよう取り組んでいるところでございます。  しかしながら、本年7月の豪雨災害では、多くの市町村が避難勧告などを発令いたしましたが、避難のおくれなどから多数の犠牲者が発生し、避難のあり方について大きな課題となっております。これら避難の課題については長野県においても重要課題として捉え、各部局や市町村と積極的に連携し、避難対策に取り組み、減災対策を推進してまいりたいと考えております。  次に、災害関連情報提供などに係る新たな課題の対処などについての御質問でございます。  迅速に住民避難を行うには、災害関連情報を正しく理解していただくことが最も重要となります。市町村長が避難勧告などを発令してもなぜ住民の避難行動につながらないのかについて、学識経験者の専門家は、避難情報を発令する市町村長の判断基準が一定でない。災害未経験住民が避難情報を軽視する。避難指示、避難勧告など避難情報に用いられる名称についてそれぞれの言葉の意味やどのような場合に発令されるかなど正しく理解されていないといった複数の原因があると指摘をしております。  情報の発信者であります市町村に対しましては、毎年実施しております市町村長を対象とした減災トップフォーラムのような実践的な研修の継続でありますとか、土砂災害警戒情報発表時における市町村への直接的な情報提供、気象台との連携による職員研修などを引き続き実施してまいります。  また、情報の発信に際しましては、防災行政無線など既存の情報伝達手段のほか、エリアメールを用いたプッシュ型の情報の発信やSNSなどの活用、報道機関などの協力を得るなど、迅速かつ多様な方法による情報発信を行ってまいります。  特に、避難指示や避難勧告などの用語については、わかりにくいという指摘もあることから、情報の発信に際しましては簡潔でわかりやすい表現を加えるなど、市町村とともに住民の目線に立った情報の発信に早急に取り組んでまいります。  さらに、これらの取り組みに加えまして、県民の皆様お一人お一人がお住まいの地域において、例えばブロック塀の倒壊のおそれがある危険箇所など日ごろから身の回りに起こり得る災害のリスクについて確認されるなど、地域全体で想定外をなくす努力も必要と考えております。  県といたしましては、7月豪雨災害などにおける県内避難の実態調査や他県での先進事例の調査を行い、自治会など地域の連携で命を守る仕組みとして共助による避難体制を構築し、市町村と一体となった危機管理体制を推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔副知事太田寛君登壇〕 ◎副知事(太田寛 君)給油所の過疎の問題、それから燃料備蓄体制の強化策等について質問いただきましたので、お答えを申し上げたいと思います。  まず、給油所過疎、いわゆるSS過疎地の問題でございます。  現在、長野県で一つの市町村にガソリンスタンドが3カ所以内、これがいわゆるSS過疎地に該当しますが、これが、現在31町村、全国2番目の多さでございます。このほかにも、例えば最寄りのSSから15キロメートル以上離れた人口メッシュがある地域がこれとは別に7市町村ございまして、県下の市町村のほぼ半数がこのSS過疎の問題を抱えているということでございます。  この問題は、地域住民の安全や安心、そして利便性について考えるとき非常に重要な課題でございまして、この問題につきまして、私も石油商業組合の理事長さんや専務理事さんとかねてから話をしておりまして、これのためには、やはり1回大きなきっかけとなるものをやろうということで、県や事業者、そして市町村、それから地域住民の関心を喚起するためにも、この第1回目のフォーラムが必要ということで、8月21日にSS過疎地対策NAGANOフォーラムを初めて開催したところでございまして、当日は130名余の出席者がありまして、関心の高さを実感したところでございます。  当日は、経済産業省の資源エネルギー庁から、国のこのSS過疎の問題に関する施策の説明もございまして、また、その国の施策に伴いまして、現在市町村のSS過疎地対策計画を策定しております売木村、天龍村などからも実例の発表がございました。  この過疎地対策計画をつくることによりまして、その後の国の補助策、支援策が引き出せるということがございまして、現在、例えば売木村では、将来道の駅にミニSSを併設するようなことも計画しているところでございまして、こういった国の施策も活用しながら、県としても知恵を絞りまして、さまざまなツールでこういった市町村や事業者の計画に対して支援をしてまいりたいと考えております。  また、既存の燃料事業者が抱えている事業承継でございますとか経営問題、こういった問題につきましても、中小企業振興センターを通じまして、きめ細かな相談に応じまして支援を進めてまいりたいと考えてございます。  そして、このフォーラムを通じまして、特に災害時に備えた燃料を備蓄しておくことの重要性を再確認したところでございまして、先ほど、危機管理部長が答弁したとおりでございますが、県内の燃料備蓄につきまして、国に対して燃料備蓄制度の継続、そして拡大を要望していくとともに、県内における備蓄量の増加に向けまして今後も長野県石油商業組合と具体的な検討を進めまして、県民の安全、安心のために実効的な政策ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)ダムの緊急時の放流についてのお尋ねでございます。  ダムは出水時において貯水することで、洪水被害を防止、軽減する効果を発揮しますが、無限に貯水できるものではなく、計画を超える大出水が発生しダムの容量に余裕がなくなる場合には、流入する量をそのまま放流することとなります。  本年7月の豪雨災害を受け、現在、肱川のダムを管理する国土交通省において、運用規定に基づきダム操作を適切に実施していたとする一方で、ダム操作に関する有効な情報提供や住民周知のあり方等について検証を行っていると聞いております。  肱川のダムと同様に、ゲートの操作により洪水調節のための放流を行う構造の県所管ダムは、裾花ダム、奥裾花ダム、松川ダム、湯川ダムの四つです。これらのダムでも、大きな出水でダムの貯水容量を超えることが予想される場合には、異常洪水時防災操作の運用規定に基づき放流を実施せざるを得ませんが、その操作を判断した際には、市町村等への通知やサイレンや警報車による住民への周知を行うこととなります。  現在、県では、常時ダムの放流量や警報に関する情報をホームページで公表しているほか、河川水位がリアルタイムでわかる危機管理型水位計の設置等を推進しているところですが、今後、国の検証結果も参考にしながら、より有効な情報提供の方法や住民周知の方法等について検討してまいります。  次に、インフラの老朽化と県土強靱化についてのお尋ねでございます。  道路などのインフラは、高度経済成長期に集中的に整備されたものが多く、今後、急速な高齢化が見込まれていますが、適切な維持管理を怠った場合には想定を超えた劣化の進展を招き、自然災害発生時に被災する可能性が高くなると考えております。  このため、本県では、道路、河川、砂防施設といった施設ごとに長寿命化修繕計画を策定し、計画的な点検及び修繕等を実施して、できる限り健全な状態を保つようハードの維持管理に努めてきているところです。
     また、緊急輸送路の防災対策や河川の治水対策、土砂災害防止対策など、防災・減災のためのハード整備についても、優先度の高いものから順次対策を実施してきたところですが、昨今の異常気象を踏まえ、県土強靱化に向けた対策の加速化が今後必要であると考えているところです。  次に、危機管理型水位計に関するお尋ねでございます。  従来の水位計は、その設置や運用に多額の費用を要することから、設置場所が限られ、現在、県管理河川に73基が設置されております。  国では、平成27年、鬼怒川の堤防決壊等を契機に、洪水時のみに水位情報を提供する比較的低価格な危機管理型水位計を開発し、今年度から中小河川での設置を促進しているところであります。これにより、きめ細かく正確な水位情報を迅速に提供できることから、本県にとって大変有効であることは議員御指摘のとおりであります。そのため、本県でも、この水位計を今後3年間で住宅地等を中心に約300基設置する予定としており、大規模水害に対する備えを加速化してまいります。  以上であります。       〔健康福祉部長大月良則君登壇〕 ◎健康福祉部長(大月良則 君)医療、介護政策について2点御質問をいただきました。  最初に、地域包括ケアについての御質問でございます。  地域包括ケアの中長期的な見込みと課題については、県では、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて地域包括ケア体制の構築を進めておりますが、それ以降も、2030年までは後期高齢者人口は増加を続け、また、高齢単身世帯、要介護認定者数、認知症高齢者数とも増加し、さらに介護ニーズが高まることが予測されます。  一方で、高齢者を支える生産年齢人口は一貫して減少を続け、現役世代の負担が増大する見込みであることから、1点目としては、2025年を目標に構築を進めている地域包括ケア体制を支える医療、介護、福祉等の人材をどのように確保していくのか。2点目としては、現役世代の負担が増加する中で、県民の皆様が地域で暮らし続けるための医療、介護の持続可能な仕組みづくりをどのように進めていくか。この2点が課題であると認識をしております。  県が講じるべき施策についてですが、県としては、地域包括ケア体制を支える医療、介護、福祉人材の確保については、介護福祉分野への若年世代や他産業からの参入促進、訪問看護師の養成、介護士等の海外人材の確保などに取り組んでまいります。加えて、地域で暮らす人々がともに支え合う地域共生社会の実現を推進してまいります。  次に、社会保障費等が増加する中での持続可能な地域包括ケア体制の構築ですが、介護予防や健康づくりに市町村と県が一体となって取り組み、県民の健康増進を図ることで、医療介護費用の軽減を図ってまいります。  また、今後急速に人口減少が進むことが見込まれる小規模町村や中山間地域において地域包括ケア体制を維持できるよう、モデル事業の実施、地域包括ケア体制の見える化に取り組むなど、必要な支援を行ってまいります。  次に、新たな国民健康保険制度についての御質問でございます。  新たな国民健康保険制度開始後の本県の課題と対処についてですが、新国民健康保険制度移行から約半年が経過したところであり、おおむね円滑にスタートしたと考えておりますが、まずは新制度の定着と国保財政の安定化にしっかりと取り組む必要があると考えております。  また、医療費水準や財政規模が異なる市町村が多い本県において、県内被保険者の負担の平準化を図り、保険料水準の統一化を目指すことが大きな課題と認識をしております。  財政見通しへの影響の見込みについてですが、県が保険者になったことによる県財政への影響については、制度改正前に県の一般会計から市町村国保の保険給付費に応じて支出しておりました県調整交付金の相当額を、制度改正後においては県繰入金として国保特別会計に繰り出しを行っているところであり、現時点では県財政への影響は特段ないものと考えております。  ただし、今後も医療の高度化や高齢化に伴い県全体の医療費が大幅に増加することが懸念されますので、市町村の皆様と一体となって健康づくりや疾病予防の取り組みの推進による医療費の増加抑制を図ることが重要と認識をしております。  保険料の市町村格差の是正についてですが、先ほど申し上げました課題の保険料水準統一には保険料の市町村格差の是正が必要であり、この格差が生じる背景には、市町村ごとの医療費、加入者の所得や年齢構成及び収納率の違いがあります。  市町村の医療費の格差に対しましては、糖尿病性腎症重症化予防の取り組みや、後発医薬品の使用促進及び介護予防や健康づくり等の取り組みの促進を地道に行うことによる医療費格差の縮小や医療費全体の増加抑制に取り組んでまいります。  また、市町村の収納率向上対策としましては、市町村への収納率改善の好事例の情報提供や研修会の開催により収納率の向上を支援してまいります。  県としましては、今後市町村と十分に協議を行い、これらの取り組みを含むロードマップを策定し、保険料の市町村格差の是正、保険料水準統一に向けた取り組みを進めてまいります。  私からは以上でございます。       〔副知事中島恵理君登壇〕 ◎副知事(中島恵理 君)私に対しましては、児童虐待防止対策及び女性の活躍について御質問いただきました。  まず、児童相談所への相談における現状、課題、対策についてのお尋ねでございます。  昨年度、児童相談所が児童虐待の相談を受け、対応した2,048件を類型別に見ますと、暴言や子供の面前での家族間暴力などの心理的な虐待が全体の6割を占め、身体的な虐待は2割となっております。  複雑で対応困難な事案も増加しているため、児童福祉司につきましては、平成29年度から30年度にかけて合わせて9名、これは県の児童福祉司全体の2割に当たる数ですが、この9名の増員を実施しております。また、児童相談所広域支援センターを設置し、警察官や非常勤の弁護士を配置するなど体制整備にも取り組んでおります。  一方、東京都目黒区のような痛ましい事案が後を絶たない状況にございます。児童虐待の対応は、市町村を初め、警察、学校、保育所等とより連携した相談支援体制の構築が課題となっております。その一環としまして、児童相談所と警察との連携を強化して、より迅速に対応できるよう、9月20日に警察との間で児童虐待に関する情報共有や連携方策に関する協定を締結しております。さらに、さまざまな困難な悩みを有する子供や家庭を親子丸ごとの支援を行うため、市町村、県、民間機関が連携して、妊娠期から子育て期、自立の機会に結びつけるまでの切れ目ない支援体制をつくる信州子どもサポートを構築するよう具体的な検討を始めております。  また、市町村が身近な場所で児童、保護者に寄り添って継続的に支援することができるよう、県におきましては、市町村の職員に対する専門的な知識、技術が習得できるよう研修を実施をすることにより、市町村の職員の質の向上を支援していきたいと考えております。  引き続き児童相談所の体制強化に努めるとともに、虐待予防のための早期対応から発生時の迅速な対応、虐待を受けた子供の自立支援に至るまで、全ての子供が切れ目ない支援を受けられる体制の構築に努めていきたいと考えております。  次に、女性活躍の推進に関するお尋ねでございます。  本県におきましては、議員御指摘のとおり、女性の管理的職業従業者の割合は、前回調査と比べましても、割合、全国順位ともに下がっており、非常に重く受けとめております。このため、経済団体等で構成し、私が座長を務める長野県女性活躍推進会議において、女性活躍推進法の行動計画の策定など、取り組みを強化することにしております。これを受けまして、本年度は、初めて経済団体と連携した女性活躍推進トップセミナーを実施する予定でございます。  また、女性の正規職員が少ないことも管理職が少ない要因の一つでございます。こういったことから、ことしから新たに、正規雇用を希望する女性を対象とした託児つきインターンシップの実施を開始しております。さらには、女性自身のエンパワーメントやスキルアップのための女性の学びの場、ウィメンズカレッジも充実をしていきたいと考えております。  また、この4月に設置をしました長野県就業促進・働き方改革戦略会議や、私自身が市町村や県内女性と行った意見交換では、例えば、女性が好む職種が都会と比較して県内に少ない、そういった県内のニーズと女性のニーズとのミスマッチがあるということ。または、子育て中の女性が正社員として再就職できる環境がまだ十分ではないことが明らかになりました。  こういったことから、議員御指摘の県内出身の女性の呼び戻しや子育て世代の増加促進に関しては、先ほど申し上げました女性の管理職を拡大していく、そういったことに加えまして、女性による創業支援をより積極的に行うことで女性にとってより魅力のある職種をふやしていくこと、または、女性の視点を生かして製造業など県内の企業で活躍できること、こういったことを子供のころから学べるようにしていくこと、さらには、子育てをしながら正社員として仕事を継続、または再就職できる環境の整備などが求められているところでございます。  こういったことを踏まえ、今後、長野県就業促進・働き方改革戦略会議等を通じ、これらの取り組みを官民連携して着実に取り組めるよう具体策をさらに検討していきたいと考えております。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)空調の整備や夏休み延長の教育的効果、方針についてのお尋ねであります。  空調設備の予算化は、多くの児童生徒、保護者、県民の強い要望に応えるものであり、夏場における児童生徒、教職員の健康管理、児童生徒の学習意欲の向上に大きく寄与するものと教育現場でも受けとめられているところであります。引き続き教育環境の整備に努めてまいりたいというふうに思っております。  夏休みに関してでありますが、ことしの夏休みについては、国の通知を受けまして、市町村教育委員会及び各学校に、児童生徒の健康と安全に配慮し、授業日数を確保しつつ夏休みを延長する等の柔軟な対応を依頼したところでございます。  来年度以降も夏期の猛暑が続くことが予想されることを踏まえまして、児童生徒にとって学びやすい環境を整えるために、空調設備の設置を推進するとともに、夏休みのあり方についても検討してまいりたいというふうに考えております。  児童生徒の主体的、対話的で深い学びが求められている中で、夏休みの延長により、実体験を通して感性や社会性、人間性を磨く機会がふえることも期待されるところでございます。県教育委員会、市町村教育委員会、県PTA連合会、学校関係者、そして知事部局による検討委員会を設置し、検討してまいりたいというふうに考えております。  次に、学びの県づくりへの関与とその取り組みについてであります。  しあわせ信州創造プラン2.0において、政策推進の基本方針の一つに学びの県づくりを掲げておりまして、学びを起点として、新しい社会を創造していくためにさまざまな面で関与、貢献できるものと考えております。  教育委員会の本来業務である学校教育については、Society5.0という新たな時代に向けて変革をしていく、これについては後ほど御答弁させていただきます。  また、これまで個々の幼稚園や保育所などがおのおの取り組んでいた幼児教育についても、信州幼児教育支援センターを設置し、全ての就学前児童が等しく質の高い教育を受けられることを目指してまいりたいと思っております。  高校改革も含めまして、新たな時代にふさわしい学びを幼保小中高と一貫して実現してまいりたいというふうに思っております。  また、しあわせ信州創造プラン2.0のチャレンジプロジェクトの一つに、人生を豊かにする創造的な「学び」の基盤づくりプロジェクトがございますが、これについては、轟教育次長をリーダーとする部局横断のプロジェクトチームで取り組んでいるところであります。誰もが、いつでも、どこでも、誰とでも創造的に学ぶことができ、生涯にわたり主体的に考え、行動していく力を身につけられる学びのフィールドづくりなどを検討しているところであります。  いずれにせよ、教育という視点のみならず、分野を超え、世代を超えて、学びを起点として新しい社会をつくっていくという観点から、教育委員会として積極的に取り組んでまいります。  次に、主幹教諭の配置状況と配置効果であります。  主幹教諭は、平成19年の学校教育法の改正によりまして、授業を担当しながら校長及び教頭の校務を果たして円滑な学校運営を行うことを目的に置くことができるとされたものでありますが、本県では、主幹教諭の役割とされるものの多くを教務主任が果たしていることを踏まえまして、現在配置は行っておりません。  配置されている他県の状況を見ると、校長、教頭を補佐し、課題への組織的な対応ができるようになるといった効果が報告されている一方で、明確な管理職ではなく、教頭や教務主任等と職務や権限の違いがはっきりしていないために十分に役割が果たせていない等の課題も報告されているところであります。  学校における働き方改革、とりわけ教頭の業務軽減については課題と考えておりまして、教頭の複数配置でありますとか、学校事務職員の校務参画、スクールサポートスタッフの配置拡充等を進めているところであります。  主幹教諭については、現在ほとんどが定数内で配置されておりますけれども、国が加配をふやす方向で検討しているというところでもありますので、そういったことを踏まえ、他県の様子をさらに詳しく把握する等研究してまいりたいというふうに思っております。  最後に、Society5.0に対応した教育の考え方と取り組み、今後の長野県教育のあり方についての御質問でございます。  まず、Society5.0が教育に与える影響及びSociety5.0に取り組む姿勢についてであります。  議員御指摘のとおり、先端技術が高度化したSociety5.0では、定型的な業務はAI技術等による代替が進むことが見込まれます。こうした社会においては、機械にはない人間の持つ本来的な強み、例えば、創造力、クリエイティビティーを働かせて新しい製品やサービスを生み出したり、リーダーシップや共感、信頼といったことが重要な意味を持つことになります。そのため、旧来の定型的な業務を行う職業人の育成にたけている、答えを覚えるだけの詰め込み型の教育では、Society5.0には対応できなくなるというふうに思っております。  それらを踏まえ、Society5.0に向けては教育のあり方も大きく変換する必要があり、本県の教育は新しいテクノロジーを積極的に取り入れるとともに、全ての児童生徒がみずからの未来を切り開いていけることができるよう、人間の持つ本来的な強みを確実に育んでいくことが必要であるというふうに思っております。  教育県としての誇りを取り戻す努力及び教師と教育委員会に求められる工夫と方針についてであります。  長野県教育は、明治期から大正期にかけ、全国から視察者が殺到するほどのすぐれた先進的な学びを実現してまいりました。Society5.0という大きな転換期にある今こそ、市町村教育委員会や学校現場と一体となってかつてのように新しい学びの実践に挑戦するときだというふうに思っております。  そのためには、県教育委員会もそのあり方を変える必要があると考えておりまして、内外の研究機関、実践機関等と連携しながら、エビデンスに裏打ちされた豊かな学びのモデルを構築、提示するとともに、それを単なる情報提供に終わらすことなく、実践を学校現場と伴走しながら支援し、展開してまいりたいというふうに思っております。同時に、学校現場、殊に教師において求められるのはみずからの変革をいとわない姿勢、学び続ける姿勢であり、これこそが最も重要だというふうに思っております。  こうした方針のもと、具体的な取り組みとしては、先端的なテクノロジーであるEdTechを活用して、児童生徒一人一人に最適化された学びを実現することを高校改革の中で設置するモデル校等を牽引役として進めてまいります。  それと並行して、創造力、共感する力、みずから問いを立てる力といった人間にとっての強みを育てるために、人格形成の基盤となる幼児教育の質向上に取り組む幼児教育支援センターの設置、AIでは代替できない感性や想像力を育む自然教育、地域に根差した探究的な学びである信州学の充実等の取り組みを推進してまいります。  さらに、みずから問いを立てるための知的基盤となるリテラシーや、議員御指摘のリベラルアーツを育てることにも今まで以上に努力しながら、主体的、協働的な学びと最新テクノロジーを組み合わせた新しい時代の教育を全国に先駆けて実現してまいりたいというふうに考えております。       〔47番風間辰一君登壇〕 ◆47番(風間辰一 君)昨今では、都市圏からの企業移転や進出を考える際の条件として、各自治体の誘致支援の手厚さや東京からの距離、オフィス、居住環境などの条件に加え、自然災害発生率の低さや教育環境、教育水準を比較、検討して決める企業が増加しており、リスク分散とともに、社員の子供に対し、いかに都市圏と同等の質の高いレベルの教育が提供されているかが地方進転出を左右する大きな判断理由となっております。  恵まれた学力向上のための教育環境が移転候補地に備わっているか、我が子の進学にかかわる心配はないかという心情が、現実、親にある以上、進学面においてこの疑念が払拭され、学力向上に熱心で魅力ある教育を展開する長野県という姿が都市部にアピールされなければ、幾ら誘致のために財政的な支援制度を充実しても現実的には最後に教育環境で選択されないわけであります。  ここを改善し、県内在住の子供への教育の充実のみならず、都市圏に住む親や子供にとっても教育施策に魅力のある、選択される長野県でなければ、産業の振興のための企業誘致とIUターンによる人材確保もままなりません。つまり、我が県の企業誘致の増嵩や産業振興、人材確保に関する任務は、産業労働部ばかりではなく、教育委員会にも深いかかわりとミッション、重い責務があると考えます。  この責任の一端を意識しつつ、教育委員会は学力向上のための環境整備、教育行政に当たるべきと考えますが、今後の長野県教育の施策展開にどう反映していくべきなのか、教育長の見解をお伺いいたします。  先ほど知事から御答弁を種々いただきました。中で2点ほどお伺いします。  2年にわたり設置するというこの空調設備でありますが、緊急性の高い部屋から設置する、扇風機や緑のカーテンで対応するというようなお話でございますが、そもそもそのような対応がもうできるような温度ではないような状態だからこのような話になっているわけでありまして、それを高校生の皆さんに納得させていくには先ほどのお話ではちょっと足りないのではないかなというふうに思います。これから場面、場面で高校生に対するしっかりとした説明をする必要があると思いますので、これからもその努力をしていっていただきたいと思います。これは要望です。  空調のリース代、ランニングコストについて、これからのリース、ランニングコストについては県が負担するというお話だったんですが、それは今年度分からということでよろしいか、そのことをお伺いをします。  そして、最後に知事にお伺いをいたします。  3期目に臨む知事の基本姿勢について伺いました。県民の声をどう受けとめて県政に生かすかという質問をさせていただきました。選挙期間中、多くの県民の皆さんにお行き会いをして要望や意見に耳を傾けることができたと思うわけであります。さまざまな気づきのあるときであったという御答弁もありましたが、知事はあの瞬間を覚えているでしょうか。  猛暑の照り返しの激しい強い日差しの中、一人の小学生の女の子が、知事にどうしてもお願いしたいことがあるといって、ずっとあなたが出てくるのを一人で待っていた女の子がおりました。選挙期間中です。私もその現場に立ち会っておりました。塚田佐元長野市長のお宅と向かいの託老施設に寄ったところ、門の前の路上に突然あらわれた学校帰りとおぼしき一人の女の子が、あなたが出てくるのを、暑い中、汗をかきながらランドセルを担いで一人ずっと待って、姿を見せたあなたを見るなり、どうしても聞いてほしいと近寄り、勇気を奮ってこう言いました。知事さん、学校にクーラーをつけてください。お願いしますと。知事、覚えていますか。  突然の大陳情に、私も佐さんも周りにいる人たちも衝撃と感銘を受けて、よく言ったと。そのことを伝えたかったのかと。勇気を奮って知事に正直に思っていたことを伝えたその女の子をたたえて、心から賞賛いたしました。  その子の発言と行動は一体どこから来たものか。子供にとってもう我慢の限界であることをあなたに伝えたかったんだと思います。義務だとか県立だとか高校だとか、行政管理の垣根を越えて、心からのお願いだったと思います。知事なら何とかしてくれる、そういう思いでお願いしたんだと思います。その意味で、あの子は子供の代表、どこからともなくやってきた天使だったと思います。私はすばらしい場面に遭遇できたと思っています。  このときのこの子の思いをどう受けとめ反映させるべきか、知事のお考えを最後にお聞きをし、3期目の初頭に当たり、県民に寄り添う県政を推進することにこれからも邁進していただくことを強く要望申し上げ、代表質問を終わりといたします。  ありがとうございました。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)企業誘致、産業振興等と今後の長野県教育の施策展開についてのお尋ねでございます。  先ほど、新しい時代の教育を全国に先駆けて実現したい旨の答弁をしましたが、そのことを通じて、長野県の内外を問わず、保護者の皆さんが本県でこそ学ばせたいと思ってもらえる教育を実現したいというふうに考えております。  そして、この教育は、Society5.0時代において、長野県の産業、企業が高い競争力を持つための必須なものであると。その意味では、産業政策の重要な一翼を担っているというふうにも考えております。知事部局、産業界と一体となって取り組んでまいります。  同時に、この教育は、好奇心を原動力として、一人一人がみずからの幸せをみずから定義し、追求していく力を育むものであり、今まで以上に人間としての本来のあり方を問うものであるというふうにも思っております。  こうした重要な意義を踏まえ、先ほど申し上げました方針のもと、新しい時代の教育の実現に全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)空調設置に関連して2点質問をいただきました。  まず、既に設置を同窓会等の御協力の中でいただいているエアコンのリース代の負担のあり方についてであります。  これにつきましては、先ほど速やかに検討するということで御答弁いたしました。現実に、ことしの空調設備としての稼動は、夏を過ぎてしまっているわけでありますので、例えば、どこの期間からの分を負担するのかということについて、やはりしっかり検討させていただきたいというふうに思っておりますので、そういう意味では、どういう考え方で行うのが適切かということについてしっかり判断をした上で、先ほど申し上げたように、基本的に県が今後は負担する方向で取り組んでいきたいというふうに思っております。  それから、選挙期間中の女の子の要請の話は私もよく覚えております。あのときの女の子の、汗をかきながら、本当に上気した顔でお話をしてもらったことは今でも忘れておりませんし、また、今回の選挙期間中は、高校生、中学生、小学生、いろいろな子供たちからこの空調設置については要請いただきました。そういう意味で、まず、私ども県として責任を持って取り組んでいくべきところについては、今回の予算で設計費を計上させていただきました。  先ほどの義務教育については既に手厚い財源措置があるからということでありますが、私は、だから何もしないというふうに申し上げているわけでは決してありませんで、この義務教育学校の交付金を国の補正にちゃんと計上して充実してもらうということについても市町村と一緒になって要請をさせてきていただいております。  問題意識は市町村長の皆様方いずれの方々もお持ちでありますので、市町村の皆様方の思いをこれからもしっかり共有しながら、義務教育学校においても空調設置が進むように取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上です。 ○議長(鈴木清 君)この際、午後1時20分まで休憩いたします。         午後0時16分休憩          ──────────────────         午後1時21分開議 ○副議長(小林東一郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
     続いて発言を許します。  信州・新風・みらい代表竹内久幸議員。       〔36番竹内久幸君登壇〕 ◆36番(竹内久幸 君)信州・新風・みらいを代表して質問を行います。  阿部知事には3選目の当選おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。  第2次中期総合計画であるしあわせ信州創造プラン2.0の達成を初め、今回の知事選前に公表した基本政策2018に掲げた公約を実現し、県民生活向上のため誠心誠意尽力されることを期待を申し上げます。  また、この3期目は人口減少対策への対応や子育て支援、医療介護サービスの確保、地域包括ケア体制の見える化、地域公共交通の確保、産業の育成、働き方改革などなど、結果を残すことが問われるとともに、国民体育大会や全国障害者スポーツ大会の準備やリニア中央新幹線への対応など、中長期的な課題への着実な推進が問われております。  阿部知事には、この重要な3期目に当たり、県議会や市町村、県職員と連携し、県民起点の姿勢で堅実に県政運営を推進していただくことをお願いをしたいと思います。  さらに、県政運営の活性化のためには、知事が率先して、県職員の皆さんが知事に率直に物が言える環境づくりを行うことが求められていますし、職員の皆さんにも知事に対して率直に物を言う姿勢を持っていただきたいと思います。  以上、申し上げて、質問に入ります。  まず、この間の自然災害を教訓とした今後の取り組みについて知事に伺います。  西日本豪雨、北海道地震、台風21号災害、台風24号などにより亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。  本県においては、台風による農業被害があり、9月補正予算案に市町村が行う緊急対策事業への支援予算を計上するとともに、7月豪雨等により被災した道路、河川等の復旧予算や、防災・減災対策の加速化のための予算を計上しているところですが、近年の異常気象を考えると、さらなる防災、減災対策の加速化が問われていると思います。  そして、特に西日本豪雨で教訓としなければならないと思うことは、避難指示や勧告が発令されても、行政と住民の認識の乖離から住民の避難行動にはつながらず、被害が拡大してしまったということであります。このいざというときの避難指示や勧告についての住民理解の徹底が今後大きな課題であると思いますが、県として今後どのような取り組みを行っていかれるのか伺います。  次に、県有施設のブロック塀の調査結果と対応について伺います。  6月18日に大阪府北部を震源として発生した地震で、倒壊したブロック塀等の下敷きとなった小学生を含む2名の方が亡くなられたことを踏まえ、県では安全対策の周知を行うとともに、県有施設や県内公立学校のブロック塀の安全点検を指示し、行ってまいりました。  その結果、県有施設では、193カ所のブロック塀のうち、建築基準法の現行基準に適合しないものは116カ所もあり、そのうち倒壊のおそれのあるものが1カ所あり、直ちに撤去するとともに、建築基準法の現行基準に適合しないものは速やかに撤去、または補修するとしました。  また、市町村立学校敷地内のブロック塀の点検結果では、全小中学校544校のうち、塀のある小中学校52カ所中、現行の建築基準法に不適合な塀が22校あり、うち倒壊のおそれがある塀が15存在するとされました。今後の対応として、倒壊のおそれのあるブロック塀については立入禁止とした上で撤去するとともに、建築基準法に不適合なブロック塀についても補修または撤去を行うとしています。  災害は忘れたころにやってくると言われますが、災害発生時には点検、調査を行ったり、当面の方向を示しますが、大切なのは、その後対策が確実に実施されているかであります。その意味で、今後の県有施設の取り組み状況と、実施を確実に担保する仕組みづくりが必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。  次に、知事選結果について知事に伺います。  さきの知事選の結果は、有効投票数に占める得票率で阿部知事が85.14%で圧勝しましたが、投票率は43.28%で過去最低を更新してしまいました。そこで、その受けとめと、今後有権者に県政が身近に感じられる取り組みが問われると思いますが、その取り組みについて伺います。  また、今回の知事選は10代の有権者が投票した初めての選挙であり、阿部知事は10代で投票した有権者の83%の得票を得ており、これらの若者の期待に政策的にどう具体的に応えていくかお考えをお尋ねいたします。  3期目となると、首長はとかくトップダウンになりがちと言われますが、選挙期間中、初心を忘れずとたびたび強調されたことへの思いとは何か。また、3期目の県政運営に挑む姿勢についてもあわせて伺います。  次に、知事選で公約された課題の具体化について知事に伺います。  知事選に当たり、阿部知事は第2次県総合5カ年計画の着実な推進を前提に、公約と言える基本政策集2018を公表し、当選後、その実現のための当面優先して取り組む25の政策パッケージを選挙後初の部長会議で示し、実施のため、今議会に一部補正予算案を提案されました。特に速やかに取り組んでいくとして、補正予算案に防災・減災対策の加速化、7月豪雨災害の災害復旧、県立学校への空調施設の整備、保育士人材バンクの機能強化、地域包括ケア体制準備状況の可視化、医療機器関連産業の集積形成、信濃美術館本館の改築、信州まつもと空港の慢性的な駐車場不足の解消等々の予算を提案されたことに敬意を申し上げたいと思います。  これらの経緯を踏まえ、当面優先して取り組む25の政策パッケージについてはわかりましたが、さまざま公約している中で、任期の中で特に重点的に取り組もうとしている課題は何か、まずお尋ねをいたします。  次に、公約である基本政策2018、以下、基本政策集に略しますけれども、に記載されている主な内容について順次伺ってまいります。  まず、基本政策には、新たな組織等の設置として、幼児教育支援センター(仮称)、信州地域デザインセンター(仮称)、長野県経営本部(仮称)の設置が掲げられていますが、それぞれどのような役割を想定しておられるのか、また、設置の時期について伺います。  基本政策集の重点1「学び」、創造的な学びを推進し、多様な学びの場を整備の欄には、信州型自然保育を一層推進するとしていますが、国が2019年から実施する幼児教育、保育の無償化では、自然保育でも認可保育施設と認可外施設で利用料負担で差が出てしまう可能性がありますが、どのように対応していかれるのかお伺いをいたします。  このことについて、私は、先日、県民文化健康福祉委員会の現地調査で、県の信州型自然保育特化型認定園の佐久穂町にある森のようちえん、ちいろばを視察しましたが、代表者である園長は千葉県から本県に移住し、廃校を活用し、幼稚園を開園し、現在の園児は26名ですが、幼稚園の理念に共感し移住してきた方や、佐久地域から広く園児が通園しているとのことでありました。  しかし、園長からは、今後の課題として、国の制度改正により保育料の無償化が実現された場合、無認可である施設が対象外となれば存続できない可能性が高いことへの対策や、ふえている移住希望者や移住予備軍に対しての空き家や別荘地、田舎暮らし情報の提供等の充実等に取り組んでほしいとの指摘がなされました。  このように、この問題が直面する大きな課題となっておりますので、真剣な取り組みをお願いをいたします。  次に、基本政策集の「産業」、農林業の成長産業化と小規模農家等への支援の欄に、「主要農作物種子法の廃止に伴い、長野県原種センターの位置付けの明確化や伝統野菜などの保全を視野に入れ、広く県民の御意見をお伺いした上で、長野県種子条例(仮称)の制定を検討します。」としています。  このことにつきましては、6月22日に、私たち会派、信州・新風・みらいとして、阿部知事に対し種子法廃止に伴う県条例の制定等について申し入れを行った際、問題意識は共通している。公約の中に載せることも含め前向きに検討したいとし、今回、基本政策集の中に掲げていただいたことに敬意を申し上げます。  そこで、条例制定に向け、生産者や消費者の関心が高いことから、学識経験者や関係者、県民代表等で構成する検討会等を設置する手法についてと制定の時期について伺います。  また、基本政策集には、ほかに公文書管理条例(仮称)と自転車条例(仮称)の制定を掲げていますが、公文書管理条例についてはその目的と制定の時期について、自転車条例についてはその目的について伺います。  これまで、知事は、就任以来さまざまな条例を提案し、制定してきましたが、これまで制定した条例が生かされているのか、時代の変化に対応しているのか等を検証し、見直すべきは見直し、進化させることを求めておきたいと思います。  また、知事が前に公約した条例の中で、障害者差別禁止条例は、国の法整備と重なり保留されたままになっていますが、今後どうされるのかもあわせて伺います。  次に、働き方改革についてですが、労働界には産業育成の力点と比較し、弱いのではないかという指摘があります。そこで、基本政策で職場いきいきアドバンスカンパニー制度の活用を通じた誰もが働きやすい環境の整備に積極的に取り組むことを掲げたことを生かし、この認証企業が最近104社となりましたが、県内企業数の比率から見るとまだまだ少ないことから、もっと積極的な知事の言う攻めの取り組みが必要であり、結果が問われていると思いますが、決意を伺います。  次に、子供の医療費の現物支給を8月1日から実施しましたが、選挙中の新聞報道によると、窓口負担について、低所得者に対する支援を別の形で充実するとか、その分の経費で貧困格差にしっかりサポートしていくことが重要と発言したと報道されましたけれども、低所得世帯の子供に対する支援についてどのような施策を考えておられるのか、具体的な施策についてお伺いをいたします。  基本政策集では、「学び」で、学びや共生の欄で、大学生等の県内定着を促進するための奨学金制度の創設を検討、給付型奨学金の充実を掲げており、同意をするところですが、具体的な取り組み内容について伺います。  基本政策集に関する質問の最後に、働き方改革に関連し、会計年度任用職員制度導入の本県の対応について伺います。  先日、県民文化健康福祉委員会の県内調査の折、上田合同庁舎での東信消費生活センターの職員数の説明で、計6名のうち4名の消費生活相談員が行政事務嘱託員であるとの説明がありました。この説明に対し、私からは、国の働き方改革で2020年4月から会計年度任用職員制度が導入されるが、処遇改善を検討しているのかをただしたのに対し、所長からは、まだ本庁から具体的な指示は来ていない趣旨の答弁がされました。  私からは、なぜこの質問をしたかといえば、日常の勤務の中で主力を担っている行政事務嘱託員の御苦労を把握しているのは現場の皆さんであり、この制度に依拠して少しでも職場環境を改善するために率先してこの機会に処遇改善を果たすよう本庁に意見を言ってほしいと求めてきたところであります。  そこで、消費生活センター等で中枢を担い、尽力されている行政事務嘱託員の会計年度任用職員制度による処遇改善をどのように考えておられるのか、県民文化部長に伺います。  また、2020年4月から会計年度任用職員制度が導入されますが、県の基本方針について、総務部長に伺います。  次に、契約に関する条例の具体化について、知事に伺います。  平成26年3月に長野県契約に関する条例が制定されてから4年目になります。この間、契約審議会の審議を踏まえ、取り組み方針を具体化し、印刷の請負に係る最低制限価格制度の試行と適切な予定価格の検討、信州県産品優先調達制度の試行、建設工事において週休2日制の確保を評価する総合落札方式の試行、除雪業務の入札制度の見直し、賃金実態調査を踏まえた清掃業務、警備業務、設備管理業務における最低制限価格の設定等について実施されてこられたことに敬意を表します。  しかし、審議会が決定した取り組み方針で、経営安定と労働環境の整備を一体的に取り組むことに対し、経営者側からは、労働賃金を改善するといっても平均落札率が低いではないかとの指摘があり、県が失格基準価格を2.5%上げたことにより、最近は平均落札率が92%以上まで上がってきているにもかかわらず労働賃金には反映されていないという声が聞かれます。  また、公共工事設計労務単価は、2012年比で40%以上大幅に引き上げられましたが、現場で働く建設技能労働者の賃金は大幅な上昇は見られず、企業側の収益となっていると指摘されております。  この点について、県では、建設工事における適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式の試行を行ってきましたが、成果はあらわれているのか。また、試行を踏まえた今後の取り組みについてまず伺います。  現在県が行っている建設工事における適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式の試行の主な内容は、下請次数は土木2次、建築3次までに制限し、発注者が指定した指定工種の労務費見積もり総額を設計労務費の87.5%以上とすること。発注者が労働賃金の支払い実態等の調査を行う際には、受注者は支払い書類等を提示し、調査に協力すること。上記の項目を誓約した者へは、価格以外点を0.5点加点、下請者については、見積もり、契約と同額の支払いを受けたことを証する請負代金受取報告書を提出するというものであります。  この9月11日に開催されました今年度2回目となる県契約審議会を傍聴させていただきましたが、この試行の実施状況が報告され、試行状況の考察と今後の取り組みとして、指定工種に係る労務費の見積もり額についてはおおむね設計と同額となっており、見積もり額に基づいた支払いも行われている。標準見積書の活用については企業に十分浸透していないことが確認された。今後も試行を継続し、標準見積書の活用の浸透と適正な労働賃金の支払いの定着を推進するとしました。  この報告に、委員からは、本当に支払われているか確認しているのかとの趣旨の質問がありましたが、県側は、書類上の審査であり確認はしていない趣旨を答えました。  そこで、契約条例制定の趣旨は、適正な労働賃金の支払いが行われる仕組みづくりが課題であることを踏まえれば、書類上だけでなく実際に確認すべきではないかと思いますが、今後の取り組みについて伺います。  また、適正な労働賃金の支払いの定着を推進するとしていますが、どのように定着させていくのか、あわせて伺います。  知事には、建設業で働く皆さんの処遇改善と将来の担い手育成のためにも、この課題について真剣に取り組んでいただくことを強く求めておきたいと思います。  一旦ここで質問を区切ります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)竹内議員の代表質問に順次お答えを申し上げます。  まず、災害時の住民避難についてでございます。  避難指示等災害関連情報の発令時における行動、住民の皆様方が的確に行動をとっていただくということは大変重要なことだというふうに私も考えます。そのためには、住民の皆様方に対するわかりやすい情報提供、そして、平素からの住民の皆様方の御理解と、さらには実際避難指示を出す立場の市町村の皆様方の問題意識がしっかり確立されているということが重要だというふうに考えております。  まず、避難指示や避難勧告といった用語についてはわかりにくいという御指摘もございます。情報発信の際には簡潔でわかりやすい表現を加えるなど、市町村とともに住民の目線に立った情報発信のあり方について考えていきたいと思います。  また、県としても県民の皆様方に対して災害時住民支え合いマップや地区防災マップの作成、さらには、市町村が実施する避難訓練等への参加を通じまして、災害を我が事として捉え、災害時の危機意識を正しく持っていただくことができるよう防災教育や普及啓発を行ってまいります。  7月豪雨災害におきましては、住民同士の声がけが避難行動につながった事例等も報告されております。こうした先進事例等を市町村と一緒に県もしっかり研究していきたいというふうに思っております。その上で、的確な避難行動がとれる学びの県づくりに取り組んでいきたいというふうに思っております。  次に、県有施設のブロック塀の調査結果と対策の実施についてでございます。  6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震におきまして、県立学校を含む県有施設のブロック塀について6月20日から緊急調査を行いました。この結果、竹内議員の御質問にもありましたように、建築基準法の現行基準に適合していないブロック塀が116件、このうち倒壊のおそれがあるものが1件ございました。この1件につきましては直ちに撤去させていただいております。  10月末までにはこの116件のうち約4分の3の88件の対策が完了する予定になっております。残りのブロック塀につきましては、長さが150メートルを超える長大なもの、あるいは撤去することによりまして隣地にも影響が出てくるもの等があり、調整に時間を要しているものもございますが、来年の3月末までには対策を全て完了することができるように取り組んでいきたいと思っています。財産活用課を中心にしっかり問題意識を共有して取り組んでまいります。  次に、知事選の結果についてでございます。投票率の受けとめについてでございます。  まず、候補者として立候補させていただいた立場からすれば、非常に猛暑の中、多くの皆様方に投票所に足を運んでいただいたことに心から感謝申し上げたいと思っております。  ただ、投票率が過去最低になってしまったこと、これは残念なことというふうに受けとめております。県政を身近に感じていただけるような取り組み、県政に参加意識を持っていただけるような取り組み、こうしたことをしっかり進めていかなければいけないというふうに改めて感じております。  私自身も、今後、移動知事室の実施回数をふやしていきたいというふうに思っておりますし、タウンミーティング等の機会もしっかり確保していきたいと思っております。特に、地域振興局長を初め現地機関の職員に頑張ってもらっていますけれども、地域の中にどんどん出かけていって県政を身近に感じていただけるような取り組みを組織を挙げて行っていきたいと思っています。  また、CATVとの連携強化、あるいはソーシャルネットワークサービス等多様な広報媒体の活用等を通じて県の政策をわかりやすくお伝えすることによって県としての発信力を向上するとともに、県民の皆様方の県政への御理解、御協力、そうしたものを深めることによって身近に感じていただけるように努力をしていきたいというふうに思っております。  次に、若者の期待に政策的にどう応えるかということでございます。  今回の選挙は、多くの若い方々にも投票いただいたことにまず感謝申し上げたいと思います。  選挙中、大きく三つの観点からの政策を訴えましたが、その一つが子供、若者が希望を持てる政策ということでございます。今回取りまとめさせていただきました攻めと守りの政策パッケージの中におきましても、これを大きな視点の一つに位置づけさせていただきました。しあわせ信州創造プラン2.0の中でも、この若者に関連する施策を数多く盛り込ませていただいております。  生きる力と創造性を育む教育の推進、あるいは郷学郷就の産業人材育成確保、若い人たちが魅力を感じていただけるような市街地の活性化、若者のライフデザインの希望実現、子供、若者が夢を持てる社会づくり、こうしたことに県全体で着実に取り組みを進めていきたいというふうに思っております。  引き続き、若い皆さんともしっかり対話をさせていただく中で、問題意識を共有しながら、若い皆さんに夢と希望を持っていただける長野県づくりに取り組んでまいります。  次に、初心を忘れずと強調した思いと3期目の県政運営に挑む姿勢ということでございます。  私も知事として多くの皆様方の御支援をいただく中で仕事をさせてきていただいております。これは、知事としてのポジションを与えていただくに当たっての選挙においても、あるいは県政を進めるに当たっても、本当に全ての県民の皆様方から力をいただき、そして多くの皆さんの御協力を得ながらこれまで県政を進めてきております。そうした多くの皆様方の思い、お気持ち、こうしたものをこれからもしっかり忘れずに取り組んでいきたいというふうに思っております。  特に、県民起点の県政ということを掲げさせていただいておりますので、県民の皆様方の思いをしっかり受けとめて、共感と対話、県民参加の協働、こうしたことを引き続き堅持していきたいというふうに思っております。  また、私がどうして知事になったのかと県庁見学の子供たちにもよく聞かれてお話し申し上げてきておりますのは、長野県は本当にいいものがたくさんある。そうした潜在力をしっかりと発揮できるようにしていきたい。それが私の思いですよということで子供たちにお話ししております。  この長野県の強みを生かすという点、そして、県民の皆様方とのお約束を守る、光が当たりにくいところに光を当てる、こうした就任当初から掲げてきた考え方についてもしっかり堅持をして、初心を忘れず、これからも県政に取り組んでいきたいというふうに思っております。  3期目の県政運営に挑む姿勢でありますが、攻め、守り、温かさ、こうしたことを意識して取り組んでいきたいと思っております。特に、時代が大きく変化しようとしている中で、やはり積極的な政策展開、アグレッシブに取り組んでいきたい、攻めの姿勢で取り組んでいきたいと思っておりますし、また、県民の皆様方と今回の選挙中にもかなりお話をさせていただきましたけれども、やはり安心して暮らせる県にしてほしいと、自分たちの暮らしが持続可能なものになってほしいと、そういう地域の皆様方の声を聞いてまいりましたので、そういう意味で、県民の皆様方の安全、安心、そうしたものを確保するための守りの行政、こうしたこともしっかり意識して取り組んでいきたいというふうに思っております。  次に、公約のうち特に重点的に取り組むものについてという御質問でございます。  県民の皆様方とのお約束でございますので全て実現できるように最大限努力していきたいというふうに思っております。ただ、特に私として重点的にという観点で申し上げれば、やはり一朝一夕にはなし得ないような大きな課題にしっかり向き合っていきたいというふうに思っております。  一つは、これは教育委員会と連携しながら取り組まなければいけないわけですけれども、新しい時代に向けた学校教育への転換ということであります。そして、地域の皆様方の安心を確保するための持続可能な医療介護提供体制の構築、そして、さまざまな政策分野に関連いたしますけれども、公共交通の充実と地域の移動手段の確保、さらには、昨今の豪雨災害等に鑑みて、やはり安心、安全の県土づくり、広域的な防災体制の整備、そして、こうした社会全体に活力がある長野県であり続けるための産業支援体制の再構築、こうした大きなテーマに正面から向き合って県民の皆様方からの期待に全力で応えていきたいというふうに思っております。  次に、公約に掲げられた機関の役割と設置時期について御質問いただきました。  まず、幼児教育支援センターの役割と設置時期についてでございます。  幼児教育支援センターにつきましては、幼児教育の質の向上を図っていくために、保育士あるいは幼稚園教諭等の経験年数に応じた体系的な研修の実施、幼保小のスムーズな接続を目指したモデル的なカリキュラムの作成、また、配慮が必要な子供たちへの対応について専門機関と連携を図る仕組みづくり、こうした役割を担うものというふうに考えております。  現在、幼児教育あり方検討会におきましてセンターの具体像について検討しているところでありまして、来年度の設置を目指して取り組んでまいります。  次に、信州地域デザインセンターでございます。  このセンターは、未来に続く魅力ある町づくりを実現するため、公共、民間、大学等の連携によりまして市町村と協働してまちづくりを行うとともに、まちづくりにかかわる人材育成等も行っていくものというふうに位置づけております。  現在、学識者等から構成されます検討委員会におきまして、支援内容や方法、体制等の検討を進めているところでありまして、来年度の前半を目途に設置いたしたいというふうに考えております。  次に、長野県営業本部(仮称)の役割と設置時期であります。  長野県営業本部につきましては、本県の農作物や加工食品、伝統工芸品等の県産品の中でも、新品種、新商品、希少性の高い限定品等高品質ですぐれた県産品に力点を置いた販路拡大、流通ルートの開拓を行ってまいります。  また、あわせて市場のニーズを捉え、売れる商品づくりにつなげるサポート、あるいは、県産品の販路開拓にあわせて信州の魅力を発信するメディア戦略、こうしたことを担っていく組織として設置してまいります。  そのため、民間の専門人材を活用いたしますとともに、首都圏等へ売り込みやメディア展開に対応する意欲ある職員を配置することによりまして一体的なマーケティング活動を機動的に実施をしていきたいと考えております。既に、関係部によります本部設置のための検討会議を立ち上げておりまして、来年度の設置に向けて鋭意検討を進めてまいります。  次に、信州型自然保育の認可保育施設と認可外保育施設で幼児教育の無償化にあわせて利用料負担に差がついてしまうことへの対応についての御質問でございます。  無償化になる施設とならない施設が出てくる可能性があるわけでありますけれども、このいわゆる無認可の認定園に関しましては、今後認可保育施設となることを目指そうという園がございます。そうした園に対しましては、今後、園舎の整備など、移行が円滑に行えるように支援を行っていきたいというふうに思っております。
     また、一方で、認可外施設のまま継続したいというふうにお考えの園もございます。こうしたところに対しましては、私としては何らかの支援が必要ではないかというふうに考えております。幼児教育無償化の国の制度設計を見据えまして、県としても具体的な支援のあり方を検討して具体化を図っていきたいというふうに思っております。  次に、公約に掲げた条例の目的と制定の時期について御質問いただきました。  まず、農作物種子条例(仮称)の制定手法と制定時期についてでございます。  条例制定に当たりましては、本県らしい条例となりますよう、農業者、種子生産者、農業団体等さまざまな立場の皆様方から個別に十分御意見をお聞きしていきたいというふうに考えております。いただいた御意見を踏まえて、来年の1月までには骨子案を作成していきたいと考えております。また、幅広く県民の皆様方の御意見をお聞きするためにパブリックコメントも行ってまいります。  食と農業農村振興審議会におきまして御議論いただいた上で、来年2月の定例会に条例素案をお示しした上、6月の定例会には条例案を提出する方向で取り組んでいきたいと考えております。  次に、公文書管理条例(仮称)の目的と制定時期であります。  公文書管理の適正化を図ることによりまして、公文書に対する信頼性を高め、県民の皆様方への説明責任を全うするため、公文書管理の基本的事項を条例として定めていきたいというふうに考えております。しごと改革、働き方改革の観点からも公文書管理を抜本的に見直すべく、しっかり検討を重ねていきたいと考えております。来年度中を目途に条例を制定いたしたいと考えております。  自転車条例の目的についてでございます。  自転車、これは子供から高齢者まで幅広い世代にとって手軽な移動手段でありますと同時に、魅力あふれる観光地域づくりや豊かな環境の保全、健康長寿を支える健康づくり等にも大きな可能性を持っているというふうに考えております。  一方で、昨年県内で発生した交通人身事故7,952件のうち、約12%の928件は自転車が関係しております。交通ルールの遵守、あるいはマナーの向上が課題になっております。  こうした観点から、さまざまなメリットがあります自転車の利用を促進し、持続可能な社会の実現と、一方で、安全で安心な県民生活の確保を目指しまして条例を制定いたしたいというふうに考えております。  次に、障害者差別禁止条例の今後の方針についてということでございます。  障害者差別禁止条例につきましては、これまで研究会を設置して報告書を取りまとめていただきました。その後、平成25年の6月に障害者差別解消法が成立したことから、法の周知、職員対応要領の策定、相談窓口の設置等の対応を行ってきたところでございます。  これと並行しまして、この研究会のメンバーとの懇談を踏まえまして、平成28年には茨城県に条例の効果、課題についてのヒアリング調査を行いました。また、法律の施行にあわせまして、障害者差別解消・虐待防止連携会議を設置いたしまして条例の制定についての意見交換を行ってきているところでございます。  法律が成立してからの全国の条例制定状況を見ますと、24の都府県で条例が制定され、5県で条例制定予定という形になっております。障害者が暮らしやすい社会づくり、あるいは共生社会の実現、こうした法律を補完するような内容の条例となっております。  私としては、この法施行後の差別解消等の実態をまずしっかり把握をしなければいけないというふうに思っております。その上で、私もぜひ当事者の方々と直接意見交換をさせていただき、関係の皆様方の思いをしっかり共有をさせていただきたいというふうに思っております。その上で、他県の状況等しっかり把握をした上でこの条例の制定の必要性について判断していきたいというふうに考えております。  続きまして、職場いきいきアドバンスカンパニーの積極的な攻めについての決意という御質問でございます。  職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度、これは、ワーク・ライフ・バランスの推進と働きやすい環境づくりに取り組む企業を県として認証する制度であります。これまで104社認証しております。県内企業の人手不足が深刻化する中、より多くの企業で認証取得を進めていただきたいというふうに思っております。その中で、女性を初めとするさらなる多様な働き方を進め、労働参加を促進していきたいというふうに思っております。  昨年度行ったアンケートによりますと、多様な働き方を導入していない企業では、導入の必要性を感じていない企業というのが依然としてたくさんございます。また一方で、必要性は感じているけれども小規模な企業なのでなかなか取り組みが難しいといったような声もあります。  こうしたことを考えますと、個々の企業の状況に応じてアプローチをしていくことが必要ではないかというふうに考えております。このため、まず必要性を感じていないという企業に対しましては、県のアドバイザーが直接企業を訪問させていただき、多様な働き方制度の導入のメリット、必要性、人材定着の効果、こうしたことについてまずは丁寧に説明して取り組みを促していきたいというふうに思っております。  また、小規模な企業に対しては、この職場いきいきアドバンスカンパニー認証企業の制度自体、毎年のように職員を雇用しているような企業ではない場合にはなかなか認証基準が実態に合っていないというような部分もありますので、規模にかかわらず、不利にならないよう、認証のあり方の見直しを行っていきたいというふうに思っております。そうすることによって小規模企業の取り組みを応援していきたいと思っております。  また、認証企業の中でも、女性や高齢者の活用等に積極的に取り組んでいるより先進的な企業もございます。こうした企業に対しては、特別認証、これまでの認証に加えて特別認証を行う仕組みづくりの検討も現在行っているところでございます。  今後とも、職場いきいきアドバンスカンパニー認証企業を拡大することを通じて、多様な働き方を進め、そして、誰もが働きやすい環境整備に取り組んでまいります。  次に、低所得世帯の子供に対する支援についてでございます。  昨年行いました子供と子育て家庭の生活実態調査の調査結果を踏まえまして、貧困等さまざまな困難を抱える子供たち、そして、その御家庭への支援を一層充実していくことが必要だというふうに考えております。  具体的な取り組みについては、現在広範に検討しているところでありますけれども、例えば低廉、無償の学びの場の充実等について、学生あるいは教員OBなどボランティアの活用ができないかというような観点、あるいは、児童養護施設に入所している子供に対しては、大学進学のための給付型奨学金制度をつくったわけでありますけれども、そうしたものに加えまして、社会的な自立に必要な資格取得など就業支援をより充実していくことができないか、こうした検討を行ってまいります。  来年、消費税の引き上げに伴いまして幼児教育の無償化が行われる予定になっております。これにあわせて、県あるいは市町村が子供たちに対して支出をしている財政負担、財政措置も大きく変更してくることが見込まれております。こうしたことから、貧困対策を含む今後の子育て支援の充実策につきまして、11月に予定をしております市町村との協議の場におきましても議論をして、市町村の皆様方と一緒になって取り組みを進めていきたいというふうに考えております。  続きまして、奨学金制度について、まず給付型奨学金の具体的な取り組み内容についてということでございます。  本県では、全国に先駆けて、平成26年度、給付型奨学金制度を創設いたしました。加えて、児童養護施設等入所児童に対する奨学金に新たに入学一時金を設けるなど、給付型奨学金の充実に取り組んでまいりました。  他方で、県内大学等進学奨学金の受給者は1学年当たり30人程度にとどまっておりますので、奨学金が十分活用されていない状況もあります。  現在、募集時期は9月ということにさせていただいておりますけれども、まだ9月の段階では進路が確定しない状況もありますので、2月ごろに追加募集を行うことも含めて来年度に向けて制度改正、制度改善を行っていきたいと考えております。  また、長野県と国の奨学金をあわせて受給をしても、一般的な学費、あるいは生活費の半分未満の水準であるというような状況もあります。国における奨学金の検討状況も踏まえまして、より子供たちが学業に専念することができるよう、さらなる奨学金の拡充について検討を行っていきたいというふうに考えております。  また、大学生等の県内定着を促進するための奨学金についてでございます。  人手不足時代に県内産業が持続的に発展していくためには、さまざまな人材の確保が重要であります。とりわけ、大学生等若い人材の確保は極めて重要な課題でありまして、奨学金制度、あるいは返還支援制度の導入は一つの有効な施策だというふうに考えております。  現在、各都道府県の実施状況の調査を行っている段階でございますが、都道府県によって業種の限定、あるいは地域限定、いろいろな制度設計がなされております。  本県といたしましても、企業や経済団体、学生、地域ニーズ等しっかり把握をさせていただきながら、本県が必要とする人材の確保に真につながるような制度のあり方について検討を行っていきたいというふうに考えております。  次に、契約に関する条例の具体化についての御質問でございます。  まず、総合評価落札方式の成果と今後の取り組みについての御質問でございます。  建設工事におきます適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式につきましては、建設業の経営安定と労働環境の整備を一体的に進める取り組みの一つとして平成28年度から試行しております。この試行は、下請人からの見積書に基づく下請契約を求めて、さらに、その支払い状況を確認することによりまして、下請人へのしわ寄せがない適正な金額での契約と支払いを定着させ、労働賃金の底上げを目指すものであります。  現時点で、本方式を採用して、竣工後、関係書類提出に至った工事は26件ございますが、その全てで、元請、下請間の適正な契約と支払いを確認をいたしております。ただ、その数はまだ少ない状況でありまして、成果として評価する段階にはまだ早いと考えております。今後引き続き試行を継続して、課題等の検証を行ってまいります。  次に、適正な労働賃金の支払い実態の確認と定着についてという御質問でございます。  賃金支払い実態の確認につきましては、労働者の賃金が適正な水準にあることとする条例の基本理念を達成するためには重要なことというふうに認識をしております。しかし、他方で、建設労働者の方々はお一人が複数の職種を担っていたり、また現場ごとに役割も異なっておりますことから、お一人お一人の適正な賃金を確認するということはなかなか容易ではない部分もございます。そのため、本試行におきましては、契約審議会での審議を経て、企業間での労働賃金支払いの総額を書類により確認する現在の方式がとられております。  ただ、今後、試行を進めていく中で、確認方法について改めて契約審議会の御審議をいただきながら検討していきたいと考えております。  また、適正な労働賃金の支払いの定着を推進するためには、企業経営の安定への配慮が必要でございます。県発注工事におきます予定価格等の適正な設定、下請にしわ寄せが及ぶダンピング受注を防止する入札契約制度の改善などの取り組みも重要だというふうに考えております。本試行を通じて、適正な労働賃金の支払いに関する課題を検証してまいりますとともに、企業経営の安定に資する取り組みも継続して適正な労働賃金の支払いの定着を推進していきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)会計年度任用職員制度導入への対応のうち、私には消費生活相談員の処遇改善についての御質問でございます。  県の消費生活センターには現在15名の消費生活相談員を配置しておりますが、この相談員は、国家資格を有するか、またはこれと同等以上の専門的な知識、技術を有することが必要でございます。日々の業務におきましても、相談者にわかりやすく納得いただける助言を行うなど、相談員には高い対応力が求められますことから、処遇や任用期間等につきましては、一般の行政職員に比べて一定程度配慮したものというふうに認識しております。  そのさらなる処遇改善につきましては、今後の会計年度任用職員に関する県の制度設計の状況を踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えております。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)会計年度任用職員制度の導入についてのお尋ねでございます。  地方公務員法等の改正によりまして、行政事務臨時嘱託員につきましては、顧問、参与など専門的な知見に基づき助言等を行う職を除き、2020年度に会計年度任用職員への移行を予定しております。現在、新たに支給が可能となる手当の取り扱いなどにつきまして、整理すべき課題について洗い出しを行っているところであります。  質の高い行政サービスを維持、提供していくためには、正規、非正規にかかわらず、全ての職員がその能力や経験を生かして活躍できる環境づくりが大切であります。地方公務員法等の改正趣旨を踏まえながら適切に制度設計を進めてまいりたいと考えております。       〔36番竹内久幸君登壇〕 ◆36番(竹内久幸 君)ありがとうございました。  知事には公約実現のために全力で頑張っていただきたいというふうに思います。  1点、総務部長にお伺いしますけれども、会計年度任用職員制度の導入について、これは条例の整備が必要になると思うんですけれども、どの辺の時期を考えておられるかということをお聞かせいただければと思います。  それから、要望させていただきますが、契約に関する条例の具体化につきまして、適正な労働賃金の支払いを評価する総合落札方式をこれからも引き続き試行していくというお話でございましたが、確認のあり方もそうなんですけれども、実際に現場で働いている人たちがなるほどなという実感が持てるようにしていただきたいということがございまして、ぜひその点は結果が出るように、しっかり力を入れて取り組んでいただきたいということを要望させていただきたいと思います。  それでは、続きまして、公共交通の維持と充実について知事及び企画振興部長に伺います。  知事は、知事選に当たり公表した基本政策集の中で、「高速バス等広域的基幹的な公共交通については、交通事業者と連携して存続・充実に取り組みます。」としています。しかし、私は、前にも、千曲バスの佐久―長野間の高速バスの廃止と、アルピコバスの長野―松本間の減便を例に質問しましたが、本県にとって県内各地を結ぶ高速バスの存在は必要不可欠ですが、採算性や運転手不足、少子・高齢化と人口減少により、今後さらに存続が危ぶまれることが予想され、早期の対策が求められていると思います。  この点について、昨年9月議会の答弁で、阿部知事は、「今後は、鉄道も含めた県全体の交通ネットワークの形成維持の観点から、県有民営方式の活用などさらなる支援策を検討していきますとともに、バス事業者や沿線市町村とも連携して観光を含めた利用促進策を検討するなど、高速バス路線の維持確保を図っていきたい。」と答えていますが、基本政策集に掲げた「交通事業者と連携して存続・充実に取り組みます。」とは、具体的にどのような施策を考えておられるのか、今後の取り組みについて伺います。  知事は、これまでも、公共交通の維持と充実は大切な課題であることを強調してこられましたが、私から見ると具体策に乏しいと思います。そこで、人口減少による中山間地域への対応や、県全体の交通ネットワークの形成維持、観光を含め利用促進策を検討するため、学識経験者や事業者などで構成する条例による審議会を早急に設置し、具体策を打ち出すべきと思いますが、決意を伺います。  また、私は、昨年9月議会で、県内共通の交通系ICカードの早期導入について質問しましたが、この質問に、小岩企画振興部長は、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えまして県内共通ICカードの早期導入を実現したいと考えておりますが、具体的な時期につきましては、どのようなシステム構成にするのかと表裏一体の問題でございます。今年度中には方向性について関係者間の合意が得られるよう努めてまいりたいと考えております。」との答弁をしております。そこで、取り組みの現状と今後の見通しについて企画振興部長に伺います。  次に、公共交通に関連して、県内を連結する道路整備について伺います。  知事は、基本政策集の「交通」の中で、「中部横断自動車道、中部縦貫自動車道、三遠南信自動車道、松本糸魚川連絡道路、木曽川右岸道路などの道路整備や、信州まつもと空港の国際化、中央東線の利便性向上など、本州中央部広域交通圏構想を推進します。」としておりますが、このことは私としても支持をしたいと思います。  しかし、リニア中央新幹線整備が具体化しつつある今日、リニア中央新幹線整備後の県内の公共交通等の利便性を考えれば、中信地区の、特に松本地区の利便性が取り残されることになることから、県内の均衡ある発展のためには、今後の課題として松本地区の首都圏のアクセスの利便性をどのように高めるかが課題となっていると思います。  この点について、知事の基本政策集には、県内10地域の取り組みの方向性が示されていますが、上田地域の中で、「松本地域と結ぶ青木峠トンネルの調査・整備などを通じて、他地域との交流促進を図ります。」としております。そこで、新幹線上田駅へアクセスする基幹道路としても位置づけ、今後の重点課題として取り組むべきと思いますが、お考えをお尋ねいたします。  次に、県立病院機構の運営について知事に伺います。  私はことしの2月定例県議会で、県立病院機構の運営について、平成28年度決算で2億6,300万円の損失となり、給与カットの提案や、県の人事委員会勧告による差額支給が行われないなどの実態を招いていることについて、その原因は、年金制度改革に伴う共済年金掛金の増加、人事委員会勧告に準じた給与引き上げの影響、厳しい医師不足等としていますが、県が定めた第2期中期目標の県の運営費負担金の検討や計画の認可の際、目まぐるしく変わる医療改革や賃金値上げ等を考慮せず、硬直化させてしまったのではないか。病院機構の厳しい状況に対応するため、中期計画の変更や県負担金の見直しを行うべきではないかとする趣旨の質問をいたしました。  そして、この問いに、阿部知事は、経営収支でマイナスという厳しい経営状況になっているが、経営改善に向けて現在病院機構において取り組みを行っている状況であり、見守っていきたい。県民にとって重要な機能を果たしているので、県として必要な負担を行っていきたいとの趣旨の答弁をしております。  しかし、ことし6月末に発表された県立病院機構の平成29年度決算によれば、2年続けて赤字となり、欠損額は1億3,000万円となっていますが、これは表面上の数字であり、県の人事委員会勧告による差額分9,000万円を組合との協議により支払わなかったことをプラスすれば、約2億2,000万円の赤字であったということになります。  病院機構の関係者にお聞きすれば、さまざまな経営努力はしていますが、しかし、ことし人事委員会が給与値上げを勧告すれば、今年度また赤字となる可能性が高く、ドキドキしているということであり、職員の皆さんが将来に不安を抱え、ドキドキ状態で仕事をしているのが現状であると思います。  このまま放置すれば、人材の確保やサービスが悪循環となるとともに、特に木曽病院は存続の危機に陥る可能性があると私は思っております。独立行政法人化したとはいえ、県立病院の担う役割は僻地、過疎医療、救急、小児、周産期、災害、精神など不採算、特殊部門にかかわる医療の提供があり、これらの課題は本県にとって欠かせないものであり、病院機構を絶対に衰退させてはならないと私は思います。  このような県立病院機構の2年続けての厳しい経営状況について知事はどのように受けとめておられるか、また、県としての今後の支援策を考えておられるか、伺います。  今9月議会に評価委員会の平成29年度の総合評価が報告されましたが、それによると、県及び機構の自己評定ともに、全体としておおむね中期計画における所期の目標を達成していると認められるのB評価、財務内容の改善に関する事項の評価では、県及び機構の自己裁定ともに、中期計画の達成のためには改善を要するC評価となっていますが、今年度に入っての経営状況と見通し、そして、ことしも県の人事委員会勧告はプラス勧告が予想されますが、その場合の病院機構の対応についてあわせて伺います。  次に、障害者法定雇用率の水増し問題について知事に伺います。  中央省庁が障害者雇用を水増ししていた問題について、8月28日、ようやく厚生労働省が各省庁の障害者雇用の実態について調査結果を公表しました。調査の結果では、33の国の行政機関のうち8割の27の機関で3,460人の水増しがあり、実際の雇用率は法定を大きく下回る1.19%にとどまることが明らかになりました。  民間部門に対して率先して障害者の働く場を広げる立場にある中央省庁が、みずからルール違反を犯し、組織的な脱法行為と言われても仕方のない不正を行っていたものであり、国の信用を大きく失ったと言わざるを得ません。  また、雇用率の水増しは、単に形だけの数値目標達成にこだわっただけではなくて、本来は就業できるはずだった多くの障害者の労働機会を奪った深刻な問題であるとともに、障害者の働く権利を奪い、基本的人権を大きく侵害するものであり、政府は障害者やその家族の願いを踏みにじってきた責任を痛感すべきであります。  水増し問題は自治体でも行われていたことが判明し、本県でも、県の発表によれば11件の水増しがあったとされています。このことは、中央省庁同様に、本来民間部門への法定雇用率向上を推進する立場にある県の信用を失墜させたと言わざるを得ませんし、率先、垂範すべき県がこれでは、県民にも示しがつかないと思います。  なぜこうした問題が起こったのか原因を明らかにするとともに、再発防止の具体的対応と今後の取り組みを示していただきたいと思います。  また、引き続き教育委員会、県警、外郭団体等の実態調査を行うことを求めるとともに、法定雇用率の向上や検証のため、障害当事者や障害者雇用の専門家による第三者委員会を設置すべきと考えますが、お考えをお尋ねいたします。  次に、大北森林組合問題への対応について知事に伺います。  9月14日、監査委員が知事に提出した平成29年度長野県歳入歳出決算審査意見書の概要版によりますと、「県が大北森林組合に対し請求した返還金については、履行期限の延長処分が行われ、平成29年度は返還計画に基づいた返還がありましたが、引き続き適切な管理が必要です。 また、組合の事業の経営状況等を随時把握し、必要に応じて指導助言などを行うことにより、組合の経営の健全化と債権の計画的かつ早期の回収に努めてください。他の補助事業者に対する返還請求で未納になっているものについては、引き続き債権回収の手続を確実に履行してください。組合元専務等に対する損害賠償請求については、その全額が収入未済となっていますので、債権回収の対策を講じるとともに、補助金不適正受給問題については、今後も職員が一丸となって再発防止に取り組み、県民の信頼回復に一層努めてください。」と指摘されました。  この監査委員からの指摘を踏まえ、県はどのように取り組んでいかれるのか、まず伺います。  また、この間、県は補助金不適正受給事案に関し、国から課された加算金について、長野県職員の損害賠償責任に関する監査請求を行い、その後の監査結果に基づき、ことし3月19日に対象職員に対して監査結果のとおり損害賠償請求を行いましたが、その後の対応について伺います。  次に、本県の資産老朽化比率の改善について総務部長に伺います。  9月17日の新聞報道によりますと、総務省が示した統一基準により地方自治体がまとめた2016年度決算の公会計データを日経グローカルが独自に分析した結果、都道府県では島根県に次いで本県が資産老朽化の進みぐあいを示す指標が高いと報道されました。これは、日経グローカルが入手した39の道府県と全政令市のデータを分析した結果ですが、公共施設やインフラなど自治体が持つ資産の老朽度合いを示す有形固定資産減価償却率、資産老朽化比率のことですけれども、これが本県は71.8%で2番目に高いということであります。  そこで、この結果をどのように受けとめておられるか、また、この数値をどのように改善していくお考えかお伺いをいたします。  さらに、ファシリティマネジメント基本計画による取り組みはどのように進んでいるのかお尋ねをいたします。  質問の最後は、PFIコンセッション改正法への県の対応について総務部長及び環境部長に伺います。  ことし6月13日に、国会でPFIコンセッション改正法案が可決、成立しました。PFIコンセッション改正法とは、企画立案、設計から建設、維持管理、運営までの全ての工程を網羅しているPFI法にコンセッションを加えたものであり、その対象が道路、港湾、空港、上下水道から、さらに市街地再開発、区画整理、廃棄物処理、医療、社会福祉等の施設まで、公共サービスのほぼ全体を網羅し、30年契約としてこれを進めるために邪魔になる規則は全て撤廃、または緩和を推進するとしています。  つまり、民間の創意と工夫、利益をあらかじめ上位に置き、これの妨げになる規制は全て廃止、変更する狙いがあると言われています。  この法改正により、まず危惧されることは、上下水道への民間事業者の参入です。その理由は、日本の下水道管渠の耐用年数が50年ですけれども、既にそれを超えるものが現在3%、15年後には25%にふえると指摘されていること。上水道の管路の耐用年数は40年ですが、既に15%は超えており、2014年度末の耐震適合率は36%にとどまっていること。そして、これらの整備費は全国で年間1兆4,000億が必要で、それを賄うには6割以上の料金値上げが必要とも言われており、地方自治体の上下水道の維持管理等、運営が財政難から厳しくなることを想定し、外国企業を含め、民間事業者の参入に道を開く意図があると思うからであります。  なぜなら、新たな法のもとでは、管理運営権は物権となるため、事業者はこれを抵当権として資金を借りることができるために投資の対象となるからであります。しかし、水の安全、モニタリング、水質管理は微生物や化学物質など51項目を基準値にしていますが、営利を目的とした民間事業者で十分な対応ができるのかどうか。  フランスでは、コンセッションを導入した長い経過がありますが、パリでは水道事業の民営化は、水は命との国民の声から、民から官へ移行している状況にあります。  そこで、PFI法において公共施設等運営事業、コンセッション事業が拡充されていますが、本県の今後の施設管理と県民サービスのあり方について総務部長に伺います。  また、今回の法改正を受けて、上下水道事業のあり方について環境部長に伺います。  さらに、もしこのコンセッションを導入した場合は雇用問題が想定されますが、その場合の対応について、現在、命名権を活用した県有財産がありますが、この法律を活用して管理運営権の売却につながることを懸念しますけれども、所感をあわせて総務部長に伺います。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕
    ◎総務部長(関昇一郎 君)先ほどの会計年度任用職員制度の導入に関連をいたしまして、再質問をいただきました。  条例制定の時期はということでありますが、2020年4月1日の施行に間に合うよう、来年度中に条例制定できるよう鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、有形固定資産減価償却率、いわゆる資産老朽化比率が全国2位とされたことについての受けとめと改善策についてのお尋ねであります。  この指標は、貸借対照表上に計上された県庁舎や道路などの償却資産の取得価格等に対する減価償却累計額の割合であり、資産の取得からどの程度経過しているかを示すものであります。貸借対照表の作成に当たりましては、国から示された統一的な基準に基づいているものの、取得価格や供用開始時期の精緻な把握が困難な資産の計上方法などについては各県の判断に委ねられております。  例えば、償却資産の約半分を占めております道路の計上方法については、各県の運用に任されていることからばらつきが生じています。このため、今回の指標のみをもって単純に他県と比較することは適当ではないものと認識をしております。  しかしながら、過去に整備をした公共施設やインフラ資産は、今後一層老朽化していくことが確実であることから、長寿命化や更新に力を入れていく必要があります。人口が減少する中、資産の適切な維持管理は重要な課題であり、県民の皆様の安心・安全の確保のため、財政の健全化に留意をしながら計画的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、ファシリティマネジメントの取り組み状況についてのお尋ねであります。  平成29年3月に定めた長野県ファシリティマネジメント基本計画では、四つの基本方針に基づいて取り組みを進めております。  方針の一つ目、県有財産の総量縮小については、施設の有効活用、転用、集約化計画の策定に向けた施設アセスメントを実施しております。また、平成29年度には、未利用県有地26件のほか、松川青年の家などの県有施設の市町村への譲渡、移管を7件行いました。  方針の二つ目、県有財産の有効活用については、太陽光発電用の屋根貸しや、おためしナガノの居住用施設としての活用などを行っております。また、職員宿舎の管理戸数適正化や共同利用の推進にも取り組んでいるところであります。  方針の三つ目、県有施設の長寿命化につきましては、県有施設の修繕、改修工事の優先度評価を実施しております。平成32年度末の中長期修繕・改修計画の策定に向けて、今年度は高等学校、特別支援学校の102施設について定期点検を実施しております。  方針の四つ目、維持管理の適正化につきましては、比較分析が可能な168施設において光熱水費のベンチマーキングを行うとともに、課題がある施設に対して改善策を提案し、維持管理費の適正化に取り組んでいるところであります。  次に、PFI法のコンセッション事業についてのお尋ねであります。  今回の改正は、国による支援機能を強化するとともに、PFI法に基づく事業の一つでありますコンセッション事業に係る制度面での改善や上下水道事業への導入促進を図るものであります。  コンセッション事業は平成23年度に制度化され、利用料金で独立採算が見込める公共施設を対象として、公共が所有する施設の運営権を民間事業者に設定し、自由度の高い運営を可能とすることを目指しております。  今後、本格的な少子・高齢化社会が到来する中で、効率的かつ効果的に社会資本を整備し、質の高い公共サービスを提供していくためには、民間事業者が行うことが適切なものはできるだけ民間事業者に委ねていくことも一つの手法と考えております。  最後に、コンセッション事業における雇用問題と運営権の売却についてのお尋ねであります。  コンセッション事業の導入に伴い、新たな民間雇用が創出されることとなりますが、外郭団体等で事業を実施している場合の職員の雇用問題や、コンセッション事業者の職員の低賃金の問題などが発生するおそれがあり、そうした雇用問題への配慮も必要となります。  コンセッション事業の導入については、提供する県民サービスが最も効率的なもの、そして良質なものとなるよう、サービス水準やそのコスト、利用料金などについてメリット、デメリット等を十分に検討した上で判断していく必要があるものと考えております。  以上であります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)公共交通に関連して、まず公共交通の維持に向けた取り組みについての御質問でございます。  広域・基幹的な交通ネットワークの維持確保は、通勤通学のみならず観光あるいはビジネスといった面からも重要な課題だというふうに考えております。  これまでも、県としては、市町村をまたぐ地域間幹線バス路線に対し、運行経費の補助や県有民営方式によります車両導入の支援を行ってまいりました。  ことしの1月には、交通事業者の皆様方と直接意見交換をさせていただき、さまざまな事業者の皆さんの課題やこれからの展望について直接お話を聞かせていただきました。いろいろな課題を率直にお伺いできて、私としてはこれからの政策を考える上で非常に参考になりました。  今後とも、こうした当事者の皆様方の御意見にもしっかり耳を傾けながら、必要な路線をしっかり守っていくことができるよう取り組んでいきたいと考えております。  具体的な取り組みとしては、まず経営面での支援として、広域・基幹的なバス路線を維持するための補助制度について検討を行っていきたいというふうに思っております。また、貨客混載など運賃収入以外の収入の確保策を応援していきたいと思っております。また、自動運転バスについて共同研究を行うことを考えていきたいと思っております。  また、利用促進策としては、信州ナビを活用した観光面での利用促進、そして、路線情報の大手検索アプリへの提供、こうしたことに取り組むことにより、公共交通の維持、存続に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。  次に、条例による審議会で交通に関する具体策を打ち出すべきではないかという御質問でございます。  現在、地域における移動手段の確保・補完に関する検討会を設置してさまざまな御意見をいただいております。学識経験者、交通事業者のほか、福祉、商工、観光の関係者の皆様方にも御参画をいただいて、実務的な視点での活発な御意見をいただいているところであります。  この場での御意見を踏まえて、今年度、新たに、バスロケーションシステムの構築、ユニバーサルデザインタクシーの導入や定期券タクシーの運行といったこれまで手薄であったタクシー事業者に対する支援、さらには、貨客混載方式の拡大に向けた事業者間のマッチング、こうした具体的な取り組みを行っているところでございます。  公共交通の維持、確保や利用促進策について今後どのような場で検討していくことが適切かということについては、今後の課題とさせていただきたいというふうに考えております。  次に、青木峠トンネルの整備についてでございます。  国道143号は上田地域と松本地域を結び、経済面、観光面、防災面からも重要な幹線道路であるというふうに考えています。  青木峠の整備に関しては、各方面から多くの御要望をいただいてまいりました。青木峠トンネルの整備によりまして、物流の安定性の確保や新たな観光ルートの創出が期待されますとともに、災害時の緊急輸送路としての機能向上が図られますことから、本州中央部広域交流圏の形成にも大きな役割を果たすものと考えております。  しあわせ信州創造プラン2.0におきまして事業着手箇所として位置づけているところでありますので、本年5月にルート帯を公表いたしました。引き続き早期事業化に向け、具体的なルート、構造の検討を進めてまいります。  県立病院機構の運営についての御質問でございます。  まず、2年連続の赤字に対しての受けとめについてということでございます。  県立病院機構の各病院は長野県の地域医療に大きく貢献していただいておりますし、県民の皆様方の命を守り、安心、安全に大きく寄与しているというふうに考えております。  その一方で、御指摘ございましたとおり2期連続の損失の計上ということで、これは、私としては、県民の皆様方にこの県立病院機構による医療サービスの持続可能性について不安を与えているということに対して大変申しわけなく思っているところでございます。県立病院機構には、徹底した取り組みを行うことにより、経営改善、そして信頼回復を図っていくことが必要だというふうに思っております。  今後の支援についてでございますが、まず、県立病院機構も問題意識を持っていただく中で、本部事務局に経営改革統括責任者を配置するとともに、病院の職員配置の見直しにも着手をしているところであります。  県としても、このほど取りまとめた平成29年度業務実績の評価におきまして、人員配置の適正化計画の速やかな策定やさらなる給与制度の見直しなどを求めたところでありまして、機構の努力に期待をしているところでございます。  県としては、毎年多額の運営費負担金を交付しているところであります。今後のあり方としては、独法としての自助努力の範囲と県として負担するべきもののあり方について引き続き研究をしていきたいというふうに考えております。  平成30年度の経営状況の見通しについての御質問でございます。  病院機構におきましては、平成29年度に経営改善プログラムを策定いたしました。平成30年度の取り組みとしては、例えば、信州医療センターにおいて産婦人科に女性医師を採用して医師を4人に増員するとともに、個室化などを図って分娩件数を増加させてきております。また、木曽病院におきましては、地域包括ケア病棟を開設するとともに、職員数の削減によりまして人件費の抑制に取り組んでおります。  こうした取り組みから、平成30年度の年度計画におきましては黒字化を見込んでおりまして、実際、4月から7月までの実績におきましても約2,400万円の黒字という状況でございます。今後もさらなる経営健全化に努めていただき年度計画の達成をしていただくことを期待しているところでございます。  人事委員会勧告への対応についてでございます。  機構職員の給与につきましては、地方独立行政法人法におきまして、同一の職種の国及び地方公共団体の職員、民間企業の従事者の給与、機構の経営状況等を総合的に勘案して機構が定めるものというふうに規定されております。  人事委員会勧告への対応につきましては、勧告が出された時点で機構において検討をされるものというふうに考えております。  次に、障害者雇用についてでございます。  障害者雇用促進法に基づく障害者雇用につきましては、本県におきまして、障害者手帳等の確認を行わず障害者として計上していた方がいるということが過日判明し、公表、訂正をさせていただいたところでございます。このことにつきましては、県民の皆様、特に障害者の皆様方の信頼を大きく損なうものであり、深くおわびを申し上げます。  直接的な原因は、算定の対象となります障害者について、国のガイドラインが障害者手帳等による確認を求めているにもかかわらず、障害者雇用促進法で定める障害の状況、事実をもって判断してきたというところにございます。  現在、改めて全職員へ呼びかけを行うなど、障害のある職員が申告しやすい環境づくり等に着手をしたところであります。新たに申し出ていただいた障害がある職員もいます。  他方で、厚生労働省が再点検調査を行っているところでございますが、法で定める常勤職員にどこまでの職員が含まれるのか国に明確な判断基準を求めております。数値に誤りのないよう慎重に対応しているところでございます。  今後、現状をしっかりと把握し、法定雇用率の達成に全庁を挙げて取り組むことはもとより、この法定雇用率の対象職員に入らない職員も含めて、障害者の就労が進むよう、働きやすい環境づくりに全力を尽くしてまいりたいと考えております。そのため、各部局横断的な検討組織を設置して、障害者の方々が働きやすい職場環境づくりや採用枠の拡大について具体的な検討を開始したところでございます。  今後、障害者の方を講師に招いて障害者雇用等に関する研修会を開催するなど、職員の意識改革もあわせて進めてまいりたいと考えております。  雇用率向上や検証のための第三者委員会の設置についてという御質問でございます。  現在、再調査を実施しているところでございますが、国にその対象職員の範囲等逐次確認をしながら慎重に進めているところでございます。また、庁内検討組織においても今後のあり方を検討しているところでございます。今後、障害者御自身からの声も直接お伺いしたいというふうに思っておりますし、障害者団体の皆様方と意見交換を行っていきたいというふうに考えております。  これを契機に、障害者の皆様方にとって本当に働きやすい長野県組織になるようにしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。こうした取り組みをまずは行うことによりまして、本県における問題点の検証、あるいは障害者の採用拡大に取り組んでいきたいと考えております。  次に、大北森林組合の問題への対応について何点か御質問いただきました。  まず、組合の経営の健全化と債権の回収についてでございます。  大北森林組合が再生し、事業経営計画及び補助金返還計画が着実に実行されますよう、県として事業実施や経営状況の報告を徴取するなど定期的に計画の進捗を確認し、組合に必要な指導、支援を実施してきているところでございます。  特に、森林整備に必要な計画作成のための制度的、技術的指導や、森林所有者の境界の確認や同意取得への支援は大変重要でありますことから、地域の森林整備の推進に向けた指導、支援を重点的に行ってきているところでございます。こうした取り組みを通じまして組合の経営健全化と確実な債権回収に努めていきたいと考えております。  他の補助事業者に対する債権の回収についてということでございます。  他の補助事業者への債権につきましても、今後とも引き続き粘り強く支払いに向けた交渉を継続してまいります。債権の確実な確保に努力をしてまいります。  次に、組合元専務等に対する損害賠償請求についてということでございます。  元専務に対しましては、大北森林組合等補助金不適正受給事案に係る損害賠償請求についての対応方針に基づきまして、平成29年12月19日に文書によりまして1億2,900万円余の損害賠償を請求しているところでございます。  以降、督促、催告はもとより、請求内容や県の見解を書面で説明してまいりましたが、本年7月に代理人弁護士を通じて、支払いには応じられず、県が提訴した場合、応訴もやむなしという書面回答がございました。中村元専務からの任意の回収が期待できませんことから、今回訴えを提起せざるを得ないというふうに判断いたしまして、今議会に議案を提出させていただいているところでございます。  再発防止による県民からの信頼回復についてでございます。  県民からの信頼回復に関しましては、行政経営方針に、「県民の信頼と期待に応える組織づくり~コンプライアンスの推進~」ということを真っ先に掲げさせていただき、職員の意識改革、そして風通しのよい職場づくりに林務部のみならず全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。  再発防止に関しましては、全部局長からなるコンプライアンス推進本部におきまして、現在リスクマネジメントの仕組みの構築を進めております。  また、特に林務部におきましては、林務部コンプライアンス推進行動計画に基づきまして、業務の適正化や職員の意識改革等に取り組んできているところでありまして、常に見直しを行いながら継続して行動を行ってまいります。  今後も、私も含めて一人一人の職員がしっかりと問題意識を持って職務に取り組むことによって、県民の皆様方からの信頼回復ができるよう全庁を挙げて取り組んでまいります。  県職員に対する損害賠償請求の結果についての御質問でございます。  この事案に係ります県職員に対する損害賠償請求につきましては、本年2月の長野県職員の賠償責任に関する監査結果に基づきまして、財務会計職員4名と非財務会計職員7名に対しまして、3月19日に賠償命令及び損害賠償請求を実施し、対象となった職員からは7月19日までに請求どおりの納入がなされたところでございます。  以上でございます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)交通系ICカード導入に向けた取り組みの現状と今後の見通しについての御質問でございます。  県内共通のカードの早期導入を実現するという方向性のもとで、ことしの1月以降、5回にわたりまして交通事業者や市町村等を交えたワーキンググループを開催してまいりました。  このワーキンググループでは、既存のカード発行事業者からシステム導入に当たっての条件や使用の確認を行うとともに、タクシー事業者への導入も視野に入れた導入機器の市場調査やシステムの研究を鋭意行ってきたところでございます。  一方で、先日、JR東日本からは、現行のSuicaと各地域の交通系ICカードを1枚のカードにまとめた新たなシステムの開発を行う。目標としましては2021年春の提供開始を目指して行うといった発表もあったところでございます。こうした動きも踏まえつつ、交通事業者や市町村等と協議の上、今年度中には導入する具体的なシステムやスケジュール、地域等を決定できるよう引き続き取り組んでまいります。  以上でございます。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)PFI法改正を受けての上下水道事業のあり方についての御質問でございます。  上下水道事業につきましては、施設の老朽化や人口減少による収入減などが大きな課題となっているため、民間の資金やノウハウを活用したコンセッション事業も対応策の選択肢の一つであると認識しております。  また、上下水道事業は、生活環境の改善や公衆衛生の向上を目的とし、公益性が高く、住民生活に密着したものでございますので、安全、安心を担保するということが極めて重要でございます。その上で、事業主体である市町村などが運営手法を判断し、持続的かつ安定的な管理運営を行っていくべきものと考えているところでございます。       〔36番竹内久幸君登壇〕 ◆36番(竹内久幸 君)御答弁ありがとうございました。  上下水道事業のあり方については、選択肢の一つであるということです。この水道事業は市町村ですが、県も水道事業をやっていますので、安全の問題をしっかりと心得た上でやっていただきたいという趣旨で申し上げたということを認識しておいていただきたいと思います。  それから、公共交通のICカードの導入について、企画振興部長は、去年の9月の段階で今年度中と言っていまして、また今年度中というと1年延びているということになるのですが、なぜおくれてしまったのか。いろいろな技術的な問題や、事業者間の共通認識が持てなかったり、あるいはみんな矛先が違ったり、あるいはカードの種類が違ったりしていて統一的にどうするかという話だと思うんですけれども、可及的速やかにという意味でいけば、オリンピックまでに間に合わせるということでぜひ取り組みをいただきたいということでございます。これは質問はいたしません。要望にとどめておきたいと思います。  それから、高速バスに関して言うと、県にとって、この県内を結ぶ幹線の高速バスは、命綱というか、極めて脈であって、これが衰退するようなことがあると県内はかなり活力が落ちてしまうということになります。その認識のもとに、事業者は今どんな気持ち、どんな経営状況で、人手は足りているのか、そういうことを現時点で事業者にぜひ確認、聞き取りをしていただきたいということを要望だけさせていただきたいと思います。  以上で信州・新風・みらいを代表しての質問を終わらせていただきますけれども、知事のこの3期目のしあわせ信州創造プラン2.0に掲げる目標を着実に推進するとともに、中長期的な方向を示し、県民が共有できる夢を示すことができるかが課題であろうかと思います。  また、これまで、阿部知事は、栄村や神城断層地震、御嶽山の噴火災害、県防災ヘリの墜落事故等さまざまな危機管理対応を行われてこられたことに対しまして敬意を申し上げます。近年の全国各地で頻繁に起こる地震や異常気象による災害の発生、台風被害等は、いつどこで発生するか予断を許さない現状であり、知事には、防災・減災対策に万全を期すとともに、当然のことと言われますが、いざというときの対応をしっかり行う万全な準備をしておいていただくことを心から求めておきたいというふうに思います。  そして、そのためには、くどいようですが、日ごろ知事と県職員がそれぞれ物が言える健全な関係を構築することが課題であろうかと思います。この点についてもどうぞよろしくお願いをいたします。  今回の知事選で、私たち会派は阿部知事を推薦し、それぞれの立場で支援をさせていただきましたが、地方自治政治の原点は二元代表制である意図を生かすためには、今回の知事選結果を踏まえ、県民生活の向上のためにはチェック機関としての議会の役割を重視し、今後も、私たち会派は、知事に対しては是々非々の立場で取り組んでいくことを最後に申し上げまして、会派を代表しての代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(小林東一郎 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(小林東一郎 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明3日午前10時に再開して、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。
            午後2時58分延会...