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平成30年 6月定例会本会議-06月27日-03号

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  1. 長野県議会 2018-06-27
    平成30年 6月定例会本会議-06月27日-03号


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    最終取得日: 2023-06-16
    平成30年 6月定例会本会議-06月27日-03号平成30年 6月定例会本会議 平成30年6月27日(水曜日)  出席議員(56名)   1 番 花岡賢一      28 番 備前光正   2 番 今井愛郎      29 番 吉川彰一   3 番 寺沢功希      30 番 小池久長   4 番 山口典久      32 番 諏訪光昭   5 番 百瀬智之      33 番 髙橋岑俊   6 番 小山仁志      34 番 今井 敦   7 番 小川修一      35 番 丸山栄一   8 番 丸山大輔      36 番 竹内久幸   9 番 酒井 茂      37 番 小林伸陽   10 番 荒井武志      38 番 高村京子   11 番 堀場秀孝      39 番 今井正子   12 番 依田明善      40 番 村上 淳   13 番 石和 大      41 番 小池 清   14 番 埋橋茂人      42 番 宮本衡司   15 番 両角友成      43 番 清沢英男   16 番 藤岡義英      44 番 垣内基良   17 番 髙島陽子      45 番 鈴木 清
      18 番 浜 章吉      46 番 西沢正隆   19 番 中川宏昌      47 番 風間辰一   20 番 清水純子      48 番 佐々木祥二   21 番 堀内孝人      49 番 向山公人   22 番 小島康晴      50 番 高橋 宏   23 番 小林東一郎     51 番 宮澤敏文   24 番 下沢順一郎     52 番 平野成基   25 番 山岸喜昭      53 番 本郷一彦   27 番 和田明子      54 番 村石正郎   55 番 萩原 清      57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一       副知事       太田 寛    建設部長      長谷川朋弘   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     池田秀幸    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       塩谷幸隆   総務部長      関昇一郎    公営企業管理者   県民文化部長    角田道夫    企業局長事務取扱  小林 透   健康福祉部長    山本英紀    総務参事兼財政   環境部長      高田真由美   課長        伊藤一紀   産業政策監兼産           教育長       原山隆一   業労働部長     内田雅啓    教育次長      轟 寛逸   観光部長      熊谷 晃    教育次長      三輪晋一   農政部長      山本智章    警察本部長     内藤浩文   林務部長      山﨑 明    警務部長      横田直幸                     監査委員      田口敏子            ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課課長補佐   議事課長      村松敏伸    兼委員会係長    小林浩行   企画幹兼議事課           議事課担当係長   神戸圭一郎   課長補佐      小松健一    総務課担当係長   伊藤啓一         ───────────────────  平成30年6月27日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(鈴木清 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(鈴木清 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、今井敦議員。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)おはようございます。それでは通告に従って順次質問をさせていただきます。  まずは、つながり人口の創出についてお伺いをしてまいります。  現在、私たちはいまだかつて経験したことのない人口減少時代を迎えております。私たちの暮らす長野県においても、少子高齢化や人手不足、担い手不足が日々明らかになってきており、地域の活力を維持するには、もはや移住というレベルだけでなく、国策として都市や海外から労働力や担い手を導入することや生産性の向上といった事柄を真剣に考えていかなければならない、そんな状況になっております。  長野県では、平成18年に田舎暮らし案内人を置くとともに、県内市町村が結集して田舎暮らし「楽園信州」推進協議会を組織し、移住の推進に踏み出して以来、平成24年、移住交流課が設置され、平成28年からは楽園信州・移住推進室として、現在、日本一移住したい県としての地位を守り続けています。  また、去る6月15日に閣議決定された骨太の方針2018では、地方創生の推進の項目において、「地方への新しいひとの流れをつくる」とのもと、地域外の者にまちづくりに関わる機会を提供するという新たな方向性が示唆されています。その背景として考えられるのが、本年1月に最終報告された総務省のこれからの移住・交流施策のあり方に関する検討会で初めて示された関係人口という考え方であります。もはや都市部でも人口減少が始まるのではないかと言われている現在、私も、単に移住者だけに頼らないさまざまな方策で地域づくりを維持し、進めていくことが必要と考えているところであります。  そこで、これまで、主に都市と地方の間の人の移動については、交流人口と定住人口という区分けがなされてきましたが、ここへ来て、新たに国が関係人口というカテゴリーを入れてきた理由や背景をどのようにお考えか、まずお伺いをいたします。  次に、先ほど触れました総務省の検討会報告では、今後、関係人口に着目した施策を展開していくとありますが、長野県では、本年度よりスタートした新たな総合5カ年計画・しあわせ信州創造プラン2.0では、関係人口と同様な意味合いでつながり人口という新たな概念を導入していますが、関係人口としなかった理由は何でしょうか。お尋ねをいたします。  次に、今回の6月補正予算では、新規事業として、つながり人口創出のための「信州・地域プラットフォーム構築推進事業945万8,000円が、継続的に信州を訪れて地域や住民と多様なつながりを築く人材をふやし、将来の移住や2地域居住につなげるため、長野市鬼無里地区と小川村の2地区において都市部の人材とともに地域の活性化策を研究して実践することを目的として提案をされています。国が新たに開始する事業の本県モデル地区として選ばれたとすれば、つながり人口を研究するには最適地であろうというふうに推察をいたしますが、今回はどのようにこの事業対象地域を選んだのか。また、候補地を募集するに当たり、市町村側の反応はどうであったのかお伺いをいたします。  四つ目ですが、同事業については現在業務受託者の一般公募が行われているわけでありますが、その業務委託仕様書を見てみますと、「近い将来、首都圏においても人口減に転じるとの予測がされている中、従来の手法で移住者や交流人口を増やすことには限界がある。」と現状と課題を示す一方で、執行するべき業務の方針では、「対象地域において従前から実施している事業等を活用し、地域に合ったつながり人口創出方法を事業参加者と地域の関係者がアドバイザーとともに協働で研究・実践を行う。」とありますが、今までの交流人口から定住人口への取り組みにはどのような問題や限界があったと分析をされているのか。  以上、全て企画振興部長にお伺いをいたします。  ところで、移住施策を実践する中で一番苦しいのは、正確なデータが把握できていないところにあります。移住してみたものの、人間関係や気象条件などから移住を取りやめ都会に帰ってしまったなどの話を聞くにつけ、移住しても続けることができずに都会や別の場所に移動してしまった人などはどのくらいいるのか。また、なぜ定住できなかったのかなどがわかれば、より精度の高い移住施策が展開できるのではないかと思うわけであります。  また、これに加えて、地方にとっては、単に定住者をふやすだけでなく、定住した方々に地域の担い手になってもらうことも重要な課題であります。そこで、今回の事業の目的はつながり人口の創出とありますが、まずは定住するに至った人たちにいかに地域のコミュニティーづくりや自治を支える人材になってもらうかが喫緊の課題ではないかと考えますが、この点は知事に御所見をお伺いいたします。  ところで、私の地元、茅野市には、定住には至らないものの、ほぼ定住に近い形のつながり人口が数多く存在をいたします。それは、古くからこの地に開発されてきた別荘地の人々であります。茅野市内には別荘が1万戸以上あり、別荘のオーナーは週末や長期休暇などそれぞれに茅野市での2地域居住ライフを満喫しており、地元にとっては消費の拡大や都市部での茅野市のPRなどにつながる大切な存在であると同時に、既にその人たちのスキルやネットワークを提供していただき、まちづくりに生かしている実例もあります。  そのように長いおつき合いがある別荘のオーナーをつながり人口と捉えるならば、そうした人たちとの関係をこそ深め、大事にすることが、地元にとっては極めて重要になってくるわけであります。  平成27年度に策定された茅野市総合戦略でも別荘地に着目をしており、2地域居住を推進し、将来的な移住、定住につなげていくことを目指し、情報発信、環境の整備を目指すとしています。また、開発事業者自身も別荘地の魅力を維持、向上し、2代目、3代目のオーナーたちが離れていかないようにとさまざまな努力をしています。  しかし、そうした中で、幾つかの問題点が浮かび上がってきています。例えば、これは茅野市特有の問題でありますが、別荘地の上水道の給水事業を別荘の開発事業者みずからが行っている場合において、老朽化した水道施設の更新をする際、民間事業者であるため国の補助事業の対象とならないという問題や、別荘地周辺の森林整備が進まず、当初の景観が維持できていない問題が実際に茅野市で明らかになってきているのであります。これらについては、これから始めようとするつながり人口創出の観点からどのように考えるか、知事の御所見をお伺いいたします。  これまでの移住策は、簡単に言うと、移住に憧れる人に情報や不動産物件を提供し、マッチングすることが中心だったと思いますが、これからつながり人口をふやすということを考えると、対応は大きく変えていかねばならないと思います。都会にいながらにしてさまざまな価値観を持つ人々に特定の地域とつながろうという関心を持ってもらうためには、単に移住担当のみでの対応は不可能で、さまざまな地域の主体が連携してそれぞれの魅力を多角的に都会に向けて発信しなければならないと考えます。  そこで、県としてつながり人口の創出を維持していくためには、庁内連携の体制が重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか。この点もあわせて知事にその方針を伺います。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)つながり人口の創出に関連いたしまして私には4点御質問いただきましたので、順次お答えをいたします。  まず、関係人口というカテゴリーが加わった理由、背景についてでございます。  この関係人口でございますが、議員からも言及がございましたが、平成28年度に総務省に設置されましたこれからの移住・交流施策のあり方に関する検討会、本県の職員も委員として入っておりますが、この検討会の中で提唱された概念でございます。長期的な定住でも、また短期的な交流でもなく、地域や地域の人々と多様な形でかかわるような、こういう人々のことを指すものでございます。  人口減少、少子・高齢化、東京一極集中が進み、地域づくりの担い手の確保育成が大きな課題となります中、地域外の人材が地域活動に継続的にかかわる形、こういった形を広げていくことが地域の活力の維持、持続可能性の観点で有効なアプローチの一つであるとして注目されたものでございます。  次に、本県での受けとめ方でございます。  本県におきましても、この関係人口の考え方は、今後の地域づくりの担い手確保のために重要な視点と考え、しあわせ信州創造プラン2.0の重点施策の一つとして掲げたところでございます。  実は、さきに作成しました信州創生戦略の中でも、柱の一つとして、大都市との未来志向の連携ということで一定の芽出しはしていたところでございますが、今回さらに踏み込んだ形で書かせていただいてございます。その際、行政からの目線ではなく、地域とつながるという人基点のイメージで捉えるということ、また、わかりやすい表現にしたいということで、庁内で検討いたしました結果、本県では「つながり人口」と称するということとしたものでございます。  続いて、地域プラットフォーム構築推進事業対象地域選定についてでございます。  この事業は、総務省の「「関係人口」創出事業」モデル事業の一つとして公募に応じ、採択されたものでございます。応募に当たりましては、まず県内全ての市町村に対しまして呼びかけと意向の確認を行いました。その結果、長野市と小川村から具体的な参画の意向がございましたので、今回、対象地域として選定し、国に応募したものでございます。  4点目、これまでの移住・交流施策に関する問題意識についてでございます。  本県におけるこれまでの移住・交流施策は、県外の相談窓口の設置や移住セミナーなど、長野県への移住をある程度考えていただいている方に対しまして実際に定住人口となってもらえるように事業展開をしてきました。一方で、将来の移住希望者となり得るような県内を訪れていただく方たちに早い段階から幅広くアプローチする、いわば掘り起こすという視点が少々弱く、ここに伸び代があるのではないかと考えているところでございます。  つながり人口拡大の取り組みはこうした認識を踏まえたものでございまして、直ちに移住につながらなくても、多様な形で地域に継続的にかかわり、地域の活性化を担っていただく人材を獲得していくことが、持続可能な地域づくりとともに将来の移住者の獲得にもつながり得るものと考えてございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には3点御質問をいただきました。  まず、定住に至った方々に地域を支える人材になっていただく必要があるのではないかという御指摘でございます。  私どもも、やはり移住されてこられる方々が地域に溶け込み、地域の活動にも参画いただくということは大変重要だというふうに思っております。そうした観点で、平成28年度から、各市町村の窓口に移住コンシェルジュという形で登録をする仕組みをつくらせていただいております。現在、76の市町村でこの取り組みを行っていただいているわけでありますが、ここでは、地域活動への相談であったり、自治会活動の相談、紹介など、地域ごとにきめ細かい対応を行っておりまして、移住された方々が地域に溶け込みやすいような環境づくり、そして定着していただける支援に取り組んでいるところでございます。  地域の持続可能な発展に向けましては、移住された方々と受け入れる地域の相互の理解と協働が大変重要だというふうに思っております。こうした観点で、これからも県としてもしっかりとしたサポートを行っていきたいというふうに思っております。  次に、別荘地における水道施設の更新及び森林整備についての御質問でございます。  水道法におきましては、水道事業は原則として市町村が経営するものとし、市町村以外の者は、市町村の同意を得た場合に限り水道事業を経営することができるというふうにされており、別荘地等一部の地域におきましては、民間事業者がこの水道の経営主体となっているところもございます。  民間事業者が行う水道事業におきましてもこの老朽化対策等は課題となっているというふうに考えておりますが、国庫補助対象となっていないということは議員御指摘のとおりでございます。まずはこうした地域の今後の水道施設のあり方について、地元の市町村と民間事業者が十分協議していただくことが必要というふうに考えておりまして、県としては必要な助言を行っていきたいと考えております。  また、別荘地周辺の森林整備につきましては、森林づくり県民税を活用した里山整備関連事業等により必要な支援を行っていきたいと考えております。  3点目、つながり人口の創出に向けての庁内連携体制についての御質問でございます。  今年度、田舎暮らし「楽園信州」推進協議会におきまして、新しい移住・交流方針を策定していきたいというふうに考えております。この方針の策定に当たりましては、この移住のみならず、つながり人口という観点もしっかり入れていきたいと思っておりまして、例えば、サテライトオフィスの設置であったり、あるいは子供たちの農山村体験交流、あるいは山村留学、こうした具体的なテーマ設定を行うことによりまして本県の強みを生かした戦略的な方針を策定していきたいというふうに考えております。  こうした戦略を検討するのにあわせまして、例えば、サテライトオフィスであれば産業労働部が関係してきますし、また、子供たちの山村留学であれば教育委員会が関係してまいりますので、こうした関係部局の役割やかかわり方を明確に位置づけることによりまして、部局横断で全庁を挙げてこのつながり人口の拡大に取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)御答弁をいただいたわけでありますが、中に茅野市に関係するところが幾つかありました。現在、茅野市においては、御答弁をいただいたとおり、今調整をして検討し、体制づくりをしている最中でございます。今後、県から御助言をいただけるということでありますけれども、しっかりとしたサポートをしていただけると大変ありがたいと、こんなふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
     最後に一言申し上げますが、私は、長野県は関係人口の宝庫だというふうに思っております。答弁にもありましたが、そうした人たちを掘り起こし、生かし、楽しみながらまちづくりを手伝ってもらう、そんなくらいの視点が大事であるというふうに思っております。そのためにも、県内の状況をくまなく精査する必要があると考えます。  また、最近の観光の動向を見ても、人々は、決まりきった観光地より、よりディープな体験や学びを求めるようになってきているように、この関係人口というものも、同じ方向にあるのかもしれません。単に移住者だけに頼らない新たな都市と地方、また地方と地方の関係性を築こうとしているのであり、結果として移住から定住に移行する人も出るかもしれませんが、本来の目的は強力な移住の推進ではなく、幅の広い関係性の構築にあるのだというふうに思います。  そのためにも、ふるさと納税の場合に見られたように、目先のお得さやおもしろさで地方が関係人口を取り合うというのではなく、その地域本来の魅力をしっかりと磨いたり、あるいは悩んでいる課題をしっかりと提示をして地域外の人々の関心や貢献を引きつけることが大切ではないかと、こんなふうに考えるところであります。こうした点を念頭に置いて本事業を進めていただきますよう要望いたしまして、次の質問に移ります。  次に、国民健康保険を取り巻く昨今の課題についてであります。  国民健康保険法の改正に伴い、本年4月より都道府県が市町村とともに国民健康保険の保険者に位置づけられました。市町村は、地域住民との身近な関係の中、保険給付や賦課徴収などの業務を引き続き行う一方で、県は、財政運営の責任主体として、安定的な財政運営や効率的な事業の確保など事業の中心的な役割を担い、国保制度の安定化を図ることといたしました。すなわち、今後のさらなる高齢化の進展や医療の高度化による医療費の増大を抑制し、県と市町村は共同して医療費の適正化を進めなければならないということであります。  しかしながら、そのような取り組みがスタートをした矢先に、昨今の新聞や週刊誌が取り上げておりますように、国保制度の間隙をついた保険給付の不正受給問題が、都市部を中心に、その根幹を揺るがす事態に至るのではないかと懸念をされているところであります。  そこで、この問題について、順次健康福祉部長にお伺いをしてまいります。  まず、我が国に滞在する外国人の国民健康保険の加入には、以前は1年以上の在留期間が必要でありましたが、平成24年の住民基本台帳法の改正により、3カ月以上の在留資格、いわゆるビザでありますが、これを持つ外国人は、日本人と同様に住民登録する制度に変わったために、健康保険組合に加入しない限りは自動的に国民健康保険に加入することが義務づけられるようになったため、さまざまな問題が生じることとなっています。  その一つとしては、在留外国人が国保加入後に帰国をし、母国で医療を受けた診療費を海外療養費として市町村国保に請求する事例がありますが、果たして長野県の現状はどうなっているのかお伺いをいたします。  次に、医療目的で来日する外国人は、本来、国民健康保険に加入できないため、留学や経営といった在留資格に入国目的を偽って入国した後に国保に加入し、自己負担は1から3割で高額な治療を受けて帰国するといった不正な事例について、ビザ取得時や診療時のチェック体制の構築が必要と考えますが、本県の現状はどのようになっているのかお伺いをいたします。  また、厚生労働省でも、この外国人の不正受給の事実を把握し、国保制度の運用の改善などの対応策の検討を始めたと聞いておりますが、どのように進められているのかお伺いをいたします。  最後に、国民健康保険の改正により、本年度より県も市町村とともに国民健康保険の保険者に位置づけられた現在、このような在留資格を偽った外国人の不正受給問題など国保財政の根幹を揺るがすような問題に対し、どのように対処をしていくつもりか。お考えを伺います。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)国民健康保険を取り巻く昨今の課題についての御質問に順次お答えいたします。  まず初めに、海外療養費の長野県国保の状況についてのお尋ねであります。  海外療養費は、日本人等の国保加入者が海外の医療機関で受診した医療費についても保険給付の対象とするものであります。在留外国人のみの状況は把握しておりませんが、全支払い件数は、統計をとり始めた平成27年度から3年間の状況を見ますと、平成27年度が276件、28年度が221件、29年度は198件と減少傾向にあります。一方、医療費総額は、平成27年度が約1,067万円、28年度は約1,285万円、29年度が1,310万円と増加傾向にあります。  次に、国保資格のチェック体制についてのお尋ねであります。  在留外国人が国保に加入する資格取得の要件については、在留資格があること、適法に3カ月を超えて在留する予定であること、国内に住所を有することとされております。市町村においては、国保の資格取得の申請において、取得されたビザ等をもとに、国保資格取得の資格要件を満たしていれば国保への加入を認めているところです。また、医療機関においては、市町村国保の被保険者証を提示した上での受診であれば、国保加入者として在留外国人においても医療サービスを提供することとなります。こうした状況下において、現在、市町村においては国保加入者の適正な資格管理に努めているところであります。  次に、厚生労働省での対応策の検討状況についてであります。  厚生労働省では、本年1月から在留外国人の国民健康保険適用の不適正事案に関する通知制度を当面1年間試行的に運用するとされたところであります。この制度は、市町村が在留資格にある本来の活動をしていない疑いがある在留外国人について調査し、偽装滞在の可能性が高い場合に地方入国管理局に通知をします。その後、地方入国管理局の調査により偽装滞在と判断した場合には、地方入国管理局は在留資格の取り消しを行うとともに、市町村へこの旨を通知し、市町村は国保被保険者資格の取り消しを行い、保険給付費の返還請求を行うというものです。厚生労働省において、今後、本制度の1月から6月までの実施状況について調査を行う予定としております。  最後に、在留外国人の不正受給に対する県の対応についてであります。  近く開催予定の市町村国保の担当者会議において、在留外国人の不正受給に関する説明を行うとともに、市町村の資格要件の確認の困難事例の対応方法、他県等の取り組み状況などを情報提供することで、県内市町村においてより一層の適正な資格管理を徹底してまいります。また、こうした不正受給事案については、国全体で取り組むべきものでありますので、国に対してさらなる対策を要望していきたいと考えております。  以上であります。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)外国人観光客の訪日、いわゆるインバウンドは、人口が減少し、経済が縮小をする中で、我が国を活性化させる有効な手段であります。そのような中、メディカルツーリズムなどもインバウンドを呼び込む手法として注目をされているわけでありますが、その取り扱いも、一つ間違えるだけで我が国に対する財政的打撃は大きなものとなります。  小さな市町村においては、高額な治療や薬剤の使用によって急激に保険料率が上昇する場合もまれではありません。市町村とともに県に国民健康保険法の安定運営の責務を負わせる法改正を行ったわけでありますので、そもそも制度全体を揺るがすような行為を許すことはあってはならないというふうに思います。  県におかれましては、先ほど御答弁もいただいたところでありますが、この点を強く国に対して是正を求めるよう要望いたしまして、質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)次に、石和大議員。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)平成17年4月に発達障害者支援法が施行されました。平成28年6月にはその一部が改正され、共生社会の実現に資することが法の目的に加わりました。切れ目のない支援の重要性が明記され、発達障害のある方にとって社会生活上の妨げになるようなもの、つまり社会的障壁の除去を目指すことも盛り込まれました。  この法では、発達障害を、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害などと定義しています。最近では、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害をまとめて自閉症スペクトラム障害と呼ぶことも多くなっているということです。  発達障害とは、生まれつき脳の働き方に偏りがあるために、発達の仕方にでこぼこが生じて、そのことで生活上の大変さを抱えていると考えられています。例えば、コミュニケーションのとり方が独特であったり、特定のものに対するこだわりが強くあらわれたり、一つのことへの注意が続かずにうっかりしやすかったり、得意なことと苦手なことのギャップが大きかったりというようなさまざまな特性が見られることがあるということです。  こうした特性は、人によって強弱の違いはあり、多かれ少なかれ私たちの誰もが持っているものとも考えられ、個性の一つとも言えるのかもしれません。しかし、この特性が強く出てしまう方々にとっては、その特性に対する周りの理解、配慮が得られないときにさまざまな困難が生じてしまうことになります。社会の多くの人が発達障害について理解し、誰にとっても暮らしやすい社会を目指すことが求められます。  発達に偏りがある子供の例を一つ挙げますと、小中学校のころから不登校気味だったA君は、高校へ入学後、クラスになじめず、1年生の夏休み明けから完全に不登校となり、昼夜逆転でスマホのゲームをやり続けるようになりました。さらに、ゲームで負けると、おまえのせいだと母親へ暴力を振るうようになり、困り果てた母親が学校を通じて保健所へ相談したことをきっかけにA君は医療機関を受診し、自閉症スペクトラムと、これまで的確な対応、支援を受けられなかったことによる鬱症状などの二次障害も出現していると診断されました。  例えば、このようなA君がいたとして、A君がこれまで成長してきた幼少期から青年期までの間に診断や療育等につなげられる機会は幾つかあったと考えられます。さらに、適時的確な支援を受けて二次障害を防ぐためには、保護者や周囲の人間の理解が欠かせないものと思われます。このような子供たちに対し、なるべく早く的確な判断により、診断を初めとする支援が必要なことは言をまちません。しかし、発達障害に関する医療、支援のニーズは、推計3万人、県内全児童の約1割とも言われています。このような数の対象者に対する対応はどのようになされているのかお尋ねをいたします。  まずは、発達障害の疑いのあるお子さんに対し、小学校入学前の早期発見や早期支援はどのように行われているのか。あわせて、保護者にとって受け入れやすいと考えられる医学的な見地からの診断や助言等を受けることができる体制は県内で構築されているのか。健康福祉部長にお聞きをいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)発達障害の診断について2点御質問をいただきました。  1点目は、小学校入学前の発達障害の早期発見、早期支援についてであります。  発達障害の疑いのある子供については、市町村の実施する乳幼児健康診査や保育所、幼稚園などでの集団行動の中で気づかれることが多く、県といたしましては、発達障害の早期発見が進むよう、市町村の保健師や保育士向けの研修を実施しております。  子供やその保護者への支援につきましては、市町村の保健師が中心となって継続的に相談対応を行うほか、必要に応じ医療機関や各圏域に配置されている療育コーディネーター、発達障害サポートマネジャーにつなぐなど、適切な療育が図られるよう各圏域の関係機関が連携して支援に取り組んでおります。  医学的な見地から診断、助言が受けられる体制については、県内の医療体制においては、発達障害の診療や助言のできる医師が不足し、初診待ちが長期化するなどの課題が生じておりました。このため、県では、今年度、信州大学医学部に委託して、子どものこころの発達医学教室を設置し、長野県発達障がい専門医や診療医の育成を行うことといたしました。本事業により育成した医師が将来的に県内の医療機関に配置され、全県的な医療のネットワークが構築されることにより、発達障害の診療や医学的な助言が速やかに受けられる体制を整備してまいりたいと考えております。  以上であります。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)この発達障害に関しては県議会でもたびたび取り上げられています。平成24年2月定例会に下沢順一郎議員により発達障害支援に関する質問がなされています。このあたりから議論が活発になってきていますが、その中で、発達障害支援のあり方検討会の報告書に対する施策について触れられています。  それに対し、健康福祉部長は、答弁の中で、検討会報告の五つの柱に対する施策展開として、1、全般的支援体制の中心たる専門家の育成。2、情報共有手段の整備として、支援関係者が当事者の情報を共有する個別支援ノートの普及。3、専門的支援技術の強化として、当事者の状態を的確に評価し、早期発見や適切な支援につなげる専門的手法の普及。4、普及啓発として、社会の理解を促進する人材の全市町村における養成。5、診療体制の整備として、地域の医療機関や診療検討会などに対する発達障害診療の専門家の指導助言とありますが、約6年経過した現在、これらはどのように施策展開され、どんな成果があったのか。また、現在の課題は何かお聞きします。  関連して、具体的にはサポートマネジャーの育成に対する質問があり、答弁では、最終的には10圏域ごとにサポートマネジャーを配置したいとあり、段階的に増員がなされていますが、現在の配置状況とその機能、これまでの成果についてお聞きをいたします。  関連して、発達障害を持つ子の保護者への支援についてですが、親も診断を受けた当初は困惑し、孤立してしまったり、また、家族の理解にも時間を要することも多いとされています。発達障害を持つ子の子育て経験のある親であって、その経験を生かし、相談や助言を行うペアレントメンターの養成と活用の状況はどうなっているのか。以上、県民文化部長にお聞きをいたします。  次に、先ほどの事例でもわかるとおり、発達障害の発見時期は、幼稚園や保育園での集団行動の中であることが少なくありません。また、小学校入学後、中学校もあるでしょう。だとすれば、当然保育士や幼稚園教諭、学校の先生には、発達障害に対する支援方法についてある程度の知識を身につけ、多様な子供たち一人一人にとってわかりやすい授業を行うことが求められると考えます。県教育委員会としては、現状をどのように受けとめ、今後どう対応していくのか伺います。  さらに、発達障害の子供たちには切れ目のない教育支援が必要と思いますが、特に、義務教育段階を卒業し、高等学校に進学した子供たちへの支援はどのように行われているのでしょうか。また、卒業後の就労等に向けた支援の状況についてはいかがでしょうか。  以上、教育長にお聞きをいたします。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)3点の御質問をいただきました。  まず、あり方検討会の施策の成果、課題についてでございます。  長野県における発達障害者支援のあり方検討会の報告書にございます五つの柱のうち、一つ目の専門家の育成につきましては、発達障害者支援の中核となる人材を発達障害サポートマネジャーとして認定し、平成25年度から計画的に配置を進めまして、平成27年4月には県内10圏域全てに配置を完了したところでございます。  二つ目の柱の個別支援ノートの普及につきましては、本人の成長記録や支援内容を関係者が共有するためのツールとして、平成27年度に「わたしの成長・発達手帳」を作成いたしまして普及に努めてまいりました。平成29年度までに37の市町村で導入され、本人が提示することで適切な支援が切れ目なく受けられるような体制が整備されつつございます。  三つ目の柱の専門的手法の普及につきましては、市町村の1歳半や3歳児の乳幼児健診におきまして、発達の状態を把握するためのツール、いわゆるアセスメントツールの導入を市町村へ推奨してまいりました。平成29年度までに60の市町村が導入しており、早期発見の体制整備が進んでいるというふうに考えております。  四つ目の柱の普及啓発につきましては、発達障害に関する正しい理解者を発達障害サポーターと呼びまして、そのための養成講座を開催してまいりました。平成29年度までに1万人以上の県民が本研修を受講し、発達障害サポーターとして活動いただいております。  五つ目の柱の診療体制につきましては、先ほど健康福祉部長から御答弁申し上げたとおりでございます。  これらの取り組みの全体の成果として、早期発見のシステムや関係機関の連携体制の構築など、県内における発達障害者に対する支援体制の整備は前進していると言えるのではないかというふうに考えておりますけれども、その一方で、今後に向けまして取り組むべき四つの重点課題も明らかになってまいりました。  一つには、学校現場での教員等の知識、対応力の向上、二つには、発達障害者の自立、就業に対するさらなる支援の充実、三つ目としましては、発達障害者やその家族に対する周囲の理解促進、四つ目として、発達障害を診察できる医師の養成でございます。  この中でも、特に自立、就業は、生涯にわたって一貫した支援を行う上で不可欠なものでございます。この課題に対応するため、各年代を通して一貫した支援のあり方を検討する場であります長野県発達障がい者支援対策協議会の構成を見直しまして、今年度新たに自立・就業部会を立ち上げたところでございます。今後は、関係機関との連携を強化し、切れ目のない支援、施策のさらなる充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  二つ目の御質問は、サポートマネジャーの成果等についてでございます。  10圏域に1名ずつ設置いたしました発達障害サポートマネジャーは、発達障害者支援に直接かかわっている教育、福祉、医療等の分野の支援者に対し、幅広い専門的知識や情報をもとに総合的な助言や援助を行うとともに、必要な人に必要な支援が届けられるよう、各支援者間の橋渡しを行っております。  具体的には、発達障害サポートマネジャーが教育と医療、福祉の関係者を集めて合同での事例検討会を行ったり、発達障害サポートマネジャーが高校に出向いて教員と一緒にソーシャルスキルの学習を実施したりしております。こうした取り組みによって、各分野の関係者が行っている支援内容をお互い理解できるようになること、そして、それぞれの支援情報を共有することができるようになり、それまで限定的だった支援が、関係機関が連携するチームとしての支援に変わってきているというふうに考えております。また、それぞれの関係者の役割が明確になり、それを理解した上で支援情報をつないでいくということによって、乳幼児から成人になるまでの一貫した支援が行われるような体制が整備されつつあるというふうに考えてございます。  三つ目の御質問ですが、ペアレントメンターの活用状況についてでございます。  ペアレントメンターの活動といたしましては、家族会、相談会等の保護者が集まる場に出向き、グループ相談の形式で発達障害のある子を育てている保護者のお話を聞いたり自分の体験を話したりしていますが、相手の話を聞き、受けとめる傾聴により、相談者の心理的負担を和らげたり、相談内容によっては新たな支援機関につなげる場面もあり、発達障害者支援施策の一つとして重要な役割を担っております。  ペアレントメンターには、所定の研修を修了した方が平成29年度末現在で100名登録されており、これまで延べ478名の相談に応じていただいております。今後も、支援が必要な立場である保護者のメンタル面を支えるという重要な役割を担っているペアレントメンターの事業をさらに充実させてまいりたいというふうに考えております。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)発達障害のある児童生徒への対応の現状と今後についてでございます。  医師や専門家により発達障害と判断された児童生徒は、小中学校で4.2%という割合になっております。そういう意味では、ほとんどの学級に在籍していると言ってもいい状況でございます。したがって、全ての教員が発達障害について理解し、多様な特性を持つ子供たちがともに学ぶ中で、質の高い授業を実現する必要があるというふうに考えております。  発達障害そのものについての理解は、全ての教員が研修で学んだり、あるいは幼稚園、保育所、小中学校等の要請によりまして開催しております出前研修等により進んできているというふうには思っております。  では、授業改善についてはどうかといいますと、一部では発達障害の児童生徒が授業に集中して取り組むことができるようICTを使って学習の流れを視覚的に提示したり、子供の意欲をもとに授業づくりができるように疑問や興味が持てるような図や絵、具体物を使って授業に入ったりするなどの工夫をしている取り組みもございます。  こうした取り組みを、点にとどめず、実践の共有化を図り、県内の全ての教員が質の高い授業を実現していくことが必要であるというふうに思っております。そこで、現場の英知を集め、それを各学校に提供し、互いに学び合う中で絶えずバージョンアップすると、そういうダイナミックな展開を図ってまいりたいというふうに思っております。  次に、高校に進学した子供たちへの支援でありますが、高校においても、全ての教員が発達障害に対する理解を深めるために、小中学校同様に悉皆研修を実施しておりますほか、学校としての支援体制を確立するために特別支援教育コーディネーターや生徒指導、進路指導担当などを対象とした研修も実施しております。  さらに、今年度からは、一人一人の教育的ニーズに応じた指導、支援を目的とした通級による指導を高校でも開始いたしましたほか、高校の専門性を高めるために、特別支援学校に高校巡回教員を配置し、助言を行っているところでございます。さまざまな取り組みを充実させまして、発達障害のある生徒に対する中学校からの切れ目のない支援に引き続き努めてまいりたいと思います。  最後に、卒業後の就労等に向けた高校における支援の状況でありますが、発達障害等の生徒が社会に出た際に必要となるコミュニケーション能力を身につけるためのソーシャルスキルトレーニングや、実際に就業体験を行うインターンシップなどの支援のほか、支援を必要とする生徒を対象に、基礎的、基本的な学力定着のための学習支援員も配置しているところでございます。さらに、今年度は発達障害のある方の就職に必要な知識やスキルの向上をサポートしております民間事業所、LITALICOというところに教員を派遣し、発達障害等の生徒に対する就労支援のあり方などについての研修も行っているところでございます。今後、この分野における新たな知見や方法を積極的に取り入れながら生徒への支援を充実させてまいりたいというふうに思っております。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)さて、知事は早くから発達障害支援に着目し、それに取り組む先駆的な学園を訪問し、そこで行われているきめ細やかな教育、すさまじいとも表現された先生方の熱意、子供や若者の生き生きとした姿を目の当たりにし、長野県にも専門性の高い学園をということで長野翔和学園を誘致されました。その狙いとしては、特に支援が不十分な高校、大学相当年齢の子供、若者たちの学びの場の確保、特性に応じた個別の発達教育支援を行うために、発達教育支援に先進的に取り組んでいる教育機関を誘致したということです。さらに、こうした先進的な教育ノウハウを県内の公立、私立学校における発達教育支援の向上に生かすとされていました。  改めて知事にお聞きをいたします。この学園誘致を通じて、また、この学園が運営されることによりどんな思いを実現しようとしたのか。成果をどのように捉えているのか。今後の課題、また今後の展開についてどのような所見をお持ちか、お聞きをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)長野翔和学園の成果と課題という御質問でございます。  発達に特性のある子供たちはそれぞれにすばらしい能力を持っているというふうに考えております。翔和学園は、その能力を引き出し、さらに高めていこうということで、本当に教師の皆さんお一人お一人が全力で子供たちに向き合っている大変すばらしい学園だというふうに思っております。  こうした熱意や手法を本県の教育にも広げていっていただくことができればという思いもあり、発達支援を専門に行う学びの場の公募を行い、その結果、長野翔和学園が平成26年4月に開学したところであります。長野翔和学園におきましては、一人一人の子供たちが持つ能力や適性をきちんと把握をした上で個々の状況や興味に応じた教育を行うよう工夫がなされておりまして、自己肯定感が高まり、苦手だった物事にも自信を持ってチャレンジする姿が見られております。  私も、文化祭や入学式などの行事に出るたびに、スタッフの皆さんの熱意と、子供たちが生き生きと生活されている姿を見て大変うれしく思っております。この春までに学園を巣立った5名のうち2名は一般企業へ就職をしておりますし、3名は福祉就労事業所で、翔和学園で学んだことを生かして、新しいかかわりを築きながら働いております。一定の成果は出つつあるのかなというふうに思っております。  ただ、今後でございますが、現在、翔和学園には約40名の子供たちが在籍しておりますけれども、在籍者数は増加傾向ということであります。教育場所、あるいは教員の体制、こうしたものの充実が必要な状況になってきているというふうに思います。学園のお考えを十分お伺いしつつ、県としても協力をしていきたいというふうに思っております。  また、翔和学園が行っております発達障害に関する先進的な教育のノウハウをぜひ普及していきたいというふうに思っております。県におきましては、今、子どもの個性を伸ばす教育研究モデル事業運営協議会を開催して、これは翔和学園の関係者にも参画をしていただいて、高校年代の子供たちを対象とした放課後等を活用して行う教育プログラムについて検討しているところでございます。県内の現場にもさまざまな翔和学園のノウハウが広く普及していくようにこれからも取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)さきにも述べたとおり、一言で発達障害と言っても、その特性は一人一人違うわけです。幼少期から成人まで社会全体がこのことを理解し、できる範囲で気配りや工夫をしていければ、誰にとっても暮らしやすい社会に近づくというふうに思います。もう少しみんなで学び合えることを願います。この学びと理解、そして適応は、必ずや信州の自治を高めることにつながることになるというふうに考えております。大いなる可能性に期待をし、質問を終わります。 ○議長(鈴木清 君)次に、今井愛郎議員。       〔2番今井愛郎君登壇〕 ◆2番(今井愛郎 君)信州・新風・みらいの今井愛郎です。  通告に従い順次質問をさせていただきます。  6月13日、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法は参議院で可決され、140年ぶりに成人年齢が見直されることになりました。改正法は、現在の中学2年生が高校3年生になる2022年4月から施行されますが、高等教育現場にさまざまな影響を与えると思われます。  例えば、今までは、未成年ということで、退学届、バイト、進路指導、免許取得など親の同意や校則によって制限を設けることができましたが、これからは制限が厳しくなると思われます。また、ローン契約では、未成年者取消権が行使できなくなることから、成人教育の必要性が増してくると思われます。  今回の改正で高校教育現場で取り組むべき諸課題は何なのか。また、その課題解決に向けてどのように対応していくべきとお考えか。教育長にお尋ねします。  続いて、公文書管理についてお尋ねいたします。  6月1日、東京記者クラブで、公文書法制定の中心人物、福田元総理大臣へのインタビューがあり、その様子をユーチューブで拝見させていただきました。元総理は、何よりもリーダーが公文書をどのように思っているかが大切であるとおっしゃっていました。  そこで、以下5項目、阿部知事にお尋ねいたします。
     一つ目、根本的なことをお尋ねいたしますが、公文書を残す必要性についていかがお考えですか。  二つ目、長野県は、千曲市の歴史館に公文書館機能を有していますが、知事が考えている公文書を残す必要性から鑑みて、現状の施設規模、人員配置は十分とお考えですか。  三つ目、長野県の公文書の保管方法等を定めた長野県文書規程ですが、現在のところ罰則規定はありません。国は、懲罰指針の明記化、管理強化、電子決裁化の推進等を検討しているようですが、長野県としてどのような対応が必要とお考えですか。  四つ目、毎日新聞社が全国の知事に行ったアンケートによれば、メールを公文書として扱うか否かは意見が分かれているようです。メールの扱いについていかがお考えでしょうか。  五つ目、公文書管理法では、対象の文書を、職員が組織的に用いるものとして行政機関が保有しているものと定義している一方で、公務に関係して作成したメモなども公文書であり、手控え等にすべきではないという意見もありますが、いかがお考えでしょうか。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)民法改正に伴う高校教育現場への影響についてというお尋ねでございます。  投票年齢の引き下げに続いて、成人年齢が引き下げられるということは、若者の社会参加や自立促進につながるものというふうに考えております。  昨年3月に策定した学びの改革基本構想では、生徒一人一人が新たな社会を創造する力を身につけることを本県独自の目標として掲げたところでもあります。学校現場では、信州学やさまざまな教科の学習において既に探究的な学びに取り組んでおります。生徒がみずから問いを立てて、主体的かつ共同的に学んでいるところでもございます。  したがって、今回の成人年齢引き下げをポジティブに受けとめ、探究的な学びを一層追求する中で、自立した人間として主体的に判断できる生徒の育成を目指してまいりたいというふうに考えております。もちろん、主権者教育が必要であるように、成人として必要となる知識は確実に身につけるべきであり、消費者教育、あるいは金融教育などを充実し、大人としての自覚と責任感が備わるようにしてまいりたいというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)公文書の管理に関連しまして5点質問をいただきました。  まず、公文書を残す必要性でございます。  公文書を適正に管理、保管して公文書公開を積極的に推進していくことは、県の諸活動を県民の皆様方に説明する責務を全うし、県政に対する県民の皆様の理解と信頼を深め、県民参加の公正で開かれた県政の推進に資するものというふうに考えております。  次に、歴史館の規模、人員配置についてでございます。  県立歴史館は、歴史的資料の収集、保管、情報提供等を行う博物館でありまして、歴史的価値のある公文書の収集、保管等を行う公文書館機能も有しております。歴史館の書庫は、約9万冊を収納できる規模でありますが、現在9割程度を使用している状況にありまして、今後10年ほどで満杯になる見込みでございます。また、行政嘱託を含めて3名の職員が古文書の収集、保存等の業務も兼ねながら公文書の収集、保存等を行っております。限られた体制の中で職責をしっかり全うしていただいているというふうに考えております。  次に、国が懲罰規定等を検討していること、あるいは電子決裁化の推進等についての県としての考え方ということでございます。  公文書の不適正処理につきましては、懲戒処分の対象となり得るものであります。必要な場合には厳正に対処していきたいというふうに思っております。  また、電子決裁等の推進につきましては、一昨年度から取り組みの強化を図り、利用率も伸びてきておりますが、引き続き利用促進に努めて、さらに利用率を伸ばしていく必要があるというふうに思っております。  公文書の管理につきましては、まず私自身が現状をしっかり把握していきたいと思いますが、適正管理の徹底を図っていくということが重要だというふうに思っております。そういう観点で、ルールの見直しも含め、そのあり方を検討していきたいというふうに考えております。  次に、電子メールの公文書性についてでございます。  平成19年度に、長野県情報公開審査会から、電子メールの内容、利用実態に応じて、公文書性を個別に判断する必要があるという意見をいただいております。電子メールにつきましても、組織的な利用、管理等の要件を満たせば公文書となるものというふうに考えております。  メモ等の公文書性についてということでございます。  本県におきましては、私的メモとして作成された文書も、組織的な利用に供された場合は公文書として取り扱うなど、情報公開条例に基づき適正な運用を図ってきたところでございます。毎年、職務上作成される文書は膨大であります。職員が自己の便宜のために作成したメモまで公文書として取り扱い、全て保存していくということは現実的ではないというふうに考えております。  以上でございます。       〔2番今井愛郎君登壇〕 ◆2番(今井愛郎 君)民法改正に関連して再質問させていただきたいと思います。  高校教育現場における課題というのはまだまだこれからなのかなと思いますけれども、高校生に関連して言わせていただきますと、市町村主体の成人式が大きな問題になるのではないかと思います。多くの市町村は1月に成人式を実施しておりますが、受験生の1月成人式の出席は無理ではないでしょうか。また、高校生は市町村を越えて通学しており、成人式のあり方を市町村任せにしては高校生に混乱を生じさせる可能性があると思います。県教委が中心となって、18歳成人式をどうすべきか市町村と調整すべき必要があると考えますが、いかがお考えか。教育長にお尋ねします。  また、公文書に関連して何点か阿部知事にお尋ねいたします。  必要性について、知事は説明責任等々の話をされましたが、国立公文書館の方は、公文書を積み重ねることが行政の歴史、すなわち石垣を築くことであり、その文書が有用か無用かの判断は後世の方々がすることなので可能な限り保存をすべきとおっしゃっていたが、このことについていかがお考えでしょうか。  二つ目、公文書廃棄の判断は、国立公文書館、神奈川県立公文書館とも、起案者や管理部署ではなく、第三者的立場の職員の方が行っており、本日の新聞にもありましたが、将来的にはアーキビストを育成していく必要があるともおっしゃっていましたが、このことについてはいかがお考えですか。  三つ目、廃棄文書から保存すべきと判断されたものだけを保存している県の公文書館も、あと数年で満杯になります。県庁や現地機関の庁舎内にも公文書が多く保存されていることを考えると、公文書を専門に保存していく施設を建てろとまでは言いませんが、有効活用する施設はないでしょうか。いかがお考えですか。  四つ目、福田元総理は、懲罰を強化すると余計に文書を残さなくなる。間違いを起こしたことも後世に伝えることが公文書の意義であることや、公文書を残すことは職員自身の保身にもつながることなど、しっかりと職員教育をすべきと言われたが、いかがお考えですか。  五つ目、県の補助金関係書類の保管期間はおおむね5年です。少し短い気がします。法人税の会計帳票類は、たび重なる税制改正を経て、今年度以降は10年の保存が義務づけられています。また、民法の不法行為による損害賠償の請求権は最大20年ですが、立証責任が原告側に課せられます。補助金対象の裏づけ資料等を5年で廃棄しては、原告側の立証を困難にすることになり、せめて民法上の時効が成立するまで保管すべきと考えますが、いかがでしょうか。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)18歳成人式についてのお尋ねでございます。  県内の成人式の開催は、各市町村が参加者の集まりやすい日程や内容を考慮して実施されておりまして、昨年12月に実施した成人式の実施予定調査によりますと、分散開催している市町村も含めまして、一番多いのが8月実施で44市町村、次いで1月実施が33市町村、5月実施が2市村というふうになっております。  実際に改正民法が施行されるのは2022年4月でありますので、それに向けて、ことし12月にも実施する予定のこの成人式の実施予定調査におきまして、各市町村がどのように対応しようとするのかを調査いたしまして、必要な情報の共有を図ってまいりたいというふうに思っております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)公文書管理に関連してさらに5点御質問をいただきました。  まず、公文書の保存の判断ということであります。  公文書を可能な限り保存するという観点ももちろんあるかと思いますが、私は、むしろ後世の皆さんが活用しやすい、わかりやすい形で残すということもより重要ではないかというふうに思っております。決裁文書が私のところに来たときに、時折突き返しております。要するに、5年後、10年後にこの文書を見た人がどういう考え方でこういう方針決定をしたのかということをわかるようにしてほしいと。必要な資料もちゃんと決裁文書にとじてほしいということで指示をさせていただいております。  整理されていない文書が多く保存されているよりも、その当時の、例えば私であれば知事の判断の考え方ということがわかる形でしっかり残すということがより重要ではないかというふうに思います。そういう意味で、この文書管理のあり方ということについては、いま一度我々自身がしっかりと考えていく必要があるというふうに思っております。  それから、アーキビスト育成の必要性ということであります。  国においても、大分このアーキビスト育成等に向けた動きが出てきているようでありますので、そうした動きを我々もしっかり把握をしていきたいというふうに思います。県立歴史館の担当職員は、国立公文書館主催のアーカイブス研修の受講等により専門性を高めてきておりますけれども、各部局の文書主任等の文書業務にかかわる人間が、やはり文書管理の必要性やどういう形で取り組むかということを認識してもらうということが必要だと思いますので、これは県職員の研修等においてもしっかり徹底をしていくということを考えていきたいと思います。  それから、施設でございます。  歴史館、あるいは県庁、そして現地機関の文書庫も、いずれ収容能力が限界に達してくるというふうに考えます。必要なスペースをどうレイアウトして仕事しやすい環境にするかということも重要でありますので、この公文書の保管のあり方については、先ほど申し上げたように、公文書管理のあり方を幅広く検討していきたいと思いますので、そうした中で検討を行っていきたいと思います。  それから、職員教育は、先ほど少し触れさせていただきましたけれども、現在でも初任者研修の段階から、公文書の意義、あるいは公文書の作成、廃棄等のルール、文書管理システムの活用、こうした研修を行ってきておりますが、さらに充実をしていく必要があるというふうに思います。  それから、最後に文書の保存期間でございます。  これにつきましては、文書規程の保存期間の基準におきまして、時効完成まで証拠として保存する必要がある公文書は、時効期間を考慮した保存期間とするよう定められており、補助金交付に関する書類につきましては、自治法の規定する金銭債権の消滅時効を前提に5年以上の保存期間としており、また、住民訴訟が提起された場合には、訴訟に関する公文書は当該訴訟が終結するまでの間、その保存期間を延長するよう定められているところであります。  ただ、先ほど申し上げたように、公文書管理のあり方については全体的によく考えていく必要があるというふうに思いますので、この保存期間の設定のあり方についてもあわせて検討を行っていきたいというふうに思います。  以上でございます。       〔2番今井愛郎君登壇〕 ◆2番(今井愛郎 君)成人式につきましては、実はまだ19歳の方もいらっしゃいます。そういうはざまになる方々も含めて、まずその人たちの教育を早目に手をつけないと、抜けてしまう年代があってはいけないと思いますので、その辺もぜひこれからの課題としてやっていただきたいと思います。  そしてまた、公文書については、積極的な取り組み、これから見直しもしていただけるということで、ぜひ期待を申し上げたいと思います。  さて、大北森林組合の再建に向けた取り組みを、以下、林務部長にお尋ねしてまいりたいと思います。  県は、6,748万円余の損害賠償請求を行いました。この請求をもって大北森林組合に対する補助金返還請求、損害賠償請求は全て終了したということでよろしいか、確認しておきます。  続いて、大北森林組合の総代会が5月29日に終わりました。県は最大の債権者である一方、森林県から林業県になるために最大の支援者にもならなければならないと思います。議案等に関連して、7項目、引き続き林務部長にお尋ねします  一つ目、重要な後発事象として、3月8日付で元専務理事の身元保証人から265万1,286円の入金があったとあります。この取り扱いについてどのような説明を受け、どのように処理するよう協議していますか。  二つ目、4号議案で、不正受給があった平成19年から25年までの非常勤理事、非常勤監事の組合に対する賠償責任を免除する議案が提出されています。対象者の返納総額は1,690万円とのことですが、既返納済額は1,015万円で、役員報酬の辞退分も含まれるとされています。このような方法が法的に問題がないか確認しておくとともに、追加返還額をどのように取り扱うか協議されていますか。  三つ目、今回の議案には、元代表理事の取り扱いが記載されておらず、基本方針でも早期にけじめをつけると記載されていますが、組合とどのような協議を続けていますか。  四つ目、事業計画の基本方針で、仮に県から損害賠償請求が行われれば、その請求の減額または配慮を求めると記載されていますが、県は、総会が終了した2週間ほどの6月11日に求償関係が生じない範囲で損害賠償請求を行っております。組合の運営方針に対していかがお考えでしょうか。  五つ目、出資金については、2月の一般質問で御答弁をいただいたとおり、一定の前進があり、評価したいと思いますが、残念ながら今回も賦課金についての記載がありません。役員の責任はもちろんですが、組合組織である以上、県に損害賠償金の減額や配慮を求める前に、組合員に経営健全化に向けた協力を仰ぐべきと考えますが、いかがお考えですか。  六つ目、昨年、補助金返還計画の見直しが必要ではないかと指摘させていただきましたが、今は集中改革期間であり、必要性を感じていない旨の答弁をいただきました。しかし、損害賠償請求を行ったことで返還総額もふえたわけで、補助金返還計画の見直しが必要と考えますが、いかがお考えですか。  七つ目、組合の事業計画でも、人材確保、育成が急務な課題とされています。先日、諏訪地域の高校生向けの就職説明会に参加したリクルーターの方が、高校生に、賞与込みですが20カ月分の給与を提示している会社があると聞きました。当分超売り手市場が続くのではないかと思います。3月に行われた第5回林務部改革推進委員会でも指摘されたように、森林県から林業県になるためには、発想を変えた林業従事者への大胆な支援など政策転換の必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)全体で8点お尋ねをいただきました。順次お答えいたします。  初めに、大北森林組合に対する補助金返還請求、損害賠償請求についてのお尋ねでございます。  大北森林組合への請求は、平成29年9月12日に公表した大北森林組合等補助金不適正受給事案に係る損害賠償請求についての対応方針に基づき行っており、本年6月11日付の請求で県が行うとした全ての請求を行ったことになります。  続いて、元専務理事の身元保証人からの入金についてのお尋ねでございます。  この身元保証人からの入金についてですが、大北森林組合では、事案に係る責任のあり方について、法的検討、調整を行った結果、元専務理事の損害賠償義務に係る身元保証債務の解決金として、身元保証人と和解し、入金があったものであると説明を受けております。  大北森林組合が作成した補助金等返還計画では、元専務理事からの損害賠償金などについては、より多くの金額の確保を図り、追加の返還財源とすることとされております。このため、今後とも、組合において、元専務理事からさらなる支払い額の確保に努めるとともに、効率的な事業実施の取り組みや収入の確保を図ることにより、組合の安定的な事業運営に必要な資金を確保した上で、補助金等返還計画を上回る返還に努めるよう適切に指導してまいりたいと考えております。  次に、非常勤理事、非常勤監事の組合への報酬の返納についてのお尋ねでございます。  非常勤理事、非常勤監事につきましては、役員の責任の明確化を求めるため、森林組合法の規定により損害賠償請求を免除できないとされる額である、理事については報酬4年分、監事については報酬2年分に相当する額を自主的に返納するよう組合が要請しているところであります。その上で、返納に応じた者についてはそれ以上の責任を求めない旨の議案を30年5月の通常総代会で組合は議決したところでございます。  今回の返還要請及び議決については、役員の責任を明確化するために法律の専門家の意見を踏まえ進めており、法的には問題ないものと考えております。組合では、返還額については経営基盤の強化に充てたいと聞いており、県としては、組合の理事会への出席などを通じ、組合の運営状況を適切に把握するとともに、今後とも経営等の指導をしてまいりたいと考えております。  次に、組合の元代表理事への対応についてのお尋ねでございます。  大北森林組合からは、元代表理事の役員の責任の明確化を図るため、森林組合法の規定により損害賠償請求を免除できないものとされる額である6年分の報酬額を超える額の返納を請求し、交渉中であると聞いております。組合では、返納額が確定したところで、他の役員と同様に速やかな返納金の確保を図っていくこととしているところでございます。  次に、大北森林組合の事業計画の基本方針についてのお尋ねでございます。  大北森林組合への請求は、平成29年9月12日に公表した対応方針に基づき、関係者相互間においてできる限り求償関係を生じさせないよう対応することとしております。現時点での請求額につきましては、適正な額であると認識しており、今後、組合から要請等がされた場合には、その内容を精査し、対応を検討してまいる所存でございます。  次に、組合員に経営健全化に向けた協力を仰ぐことについてのお尋ねでございます。  組合では、賦課金の徴収につきましては、組合員一律に課すことになるため、まずは増資について組合員の理解を得ていくことを優先する意向とのことでございます。このため、組合では、30年5月の通常総代会で組合の経営基盤安定のための増資等計画について説明し、平成32年度までの集中改革期間中に組合員に1人1万円を目標とする増資を求めたところであり、今後、目標達成に向け、組合員への協力依頼に取り組むこととしていると聞いております。  次に、補助金等返還計画の見直しについてのお尋ねでございます。  大北森林組合では、平成29年1月に補助金等返還計画を策定したところであり、これまで計画どおりに返還が行われております。一方、6月11日に組合に対して損害賠償請求を行ったところですが、現時点では、この損害賠償請求額について組合が債務を認めている状況ではないことから、今後の動向を注視していく必要があると考えております。補助金等の確実な返還に向けましては、組合が地域の森林林業の中核的存在として再生することが不可欠であることから、県として、今後とも必要な指導、支援の両面からしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  最後に、林業人材の確保育成に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。  大北森林組合を含め、森林組合や林業事業体が地域の森林整備を推進するに当たり、議員に御指摘いただきましたとおり、人材の確保と育成は極めて重要な課題の一つであると認識しております。このため、長野県林業労働財団とも連携し、就業希望者への就職説明会の開催やトライアル雇用への支援、能力向上に向けた研修の実施、事業体に対する育成経費への補助等の支援、さらには県森林組合連合会と連携した経営改善指導等を行っているところでございます。また、林業が他産業に比べても平均所得が低く、災害の発生率が高いといった実態がございますので、こうした実態を踏まえ、事業体の生産性向上や安全性の向上に向けた支援も取り組んでいるところでございます。  これに加えまして、森林資源が利用期を迎えた中では、すぐれた経営感覚を持ち、地域林業を牽引する人材の確保が必要となっていることを踏まえまして、林業人材育成の拠点である林業大学校をさらにグレードアップし、周辺関係機関と連携を強化することで、全国的な人材育成等の拠点としていく方向で現在検討を進めているところでございます。  以上でございます。       〔2番今井愛郎君登壇〕 ◆2番(今井愛郎 君)大北森林組合については、まだまだこれからいろいろとあると思いますし、やはり県民が特に注視しているところだと思います。引き続き注視し、県がしっかり管理していっていただきたい、そんなことをお願い申し上げて、最後に、今までの答弁を踏まえて知事にお尋ねしたいと思います。  33年かけて組合が返すと言っているのだからそれを信じたいという知事の答弁が過去にあり、その気持ちはよくわかりますが、集中改革期間中とはいえ、組合の経営は計画どおり進んでいるとは言えないのが実態だと思います。幾ら知事が森林県から林業県へとPRしてみても、大北森林組合の問題が解決するまでは県民がそれを実感できるものではないと思います。  そもそも、今の返還計画には、加算金、延滞金が加味されてないわけで、完済したとしても33年後には問題が残るわけです。また、万が一返済の途中で組合が計画どおりに返済できないような事態が起これば、森林行政に対する県民の信頼が再び失墜することは火を見るより明らかです。  先日の損害賠償請求をもって林業県へのスタートを切るためにも、組合員からの賦課金徴収を行うこと等を条件に、不正受給総額約14億5,000万円から、検証委員会委員において時期や内容が不適切であったものの森林整備が一定程度実施されたとされている約9億円を免除した約5億5,000万円と、今回の請求額約6,500万円を合わせた6億1,500万円を求めていくなど現実的な返還請求額を算定すべきと考えますが、知事はいかがお考えですか。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大北森林組合に対する補助金の返還請求額を減額してはどうかという御質問でございます。  この事案につきましては、私は、県知事という立場で、全ての県民の皆様方の代表であるということを念頭に置きながら最大限損失が縮小されるように取り組んできているところでありますし、この間、それぞれ補助金の返還請求であったり、損害賠償の請求であったり、懲戒処分であったり、刑事告発であったり、県民の皆様方の県政に対する信頼をしっかりと回復できるように法にのっとって厳正に対処してきたところであります。  補助金につきましては、法的に最大限可能な返還請求を行って、組合側もこれを認めているわけであります。昨年策定した補助金等返還計画に基づく返還に取り組んでいただいているところでございます。損害賠償請求につきましては、昨年9月の対応方針に基づきまして組合に対して6月11日に請求を行わせていただいたところであります。これらは法的には適正な額であるというふうに考えております。  組合には、再建にしっかりと取り組んでいただき、着実に補助金等を御返還いただくということが県民の皆様方全体にとっての利益に資するものだというふうに考えております。  以上です。       〔2番今井愛郎君登壇〕 ◆2番(今井愛郎 君)知事の気持ちはよくわかるんですが、やはり現実的なことをやる、これもひとつトップとしての判断が必要ではないのかなと私は思います。特に、前にも申し上げましたが、33年後に仮に何かある、あるいは20年後に何かあるということになっても、この中にいる方は誰もいない可能性のほうが多いわけで、やはり責任があるときに責任があった人がそれに立ち向かうことも私はリーダーに求められる資質じゃないのかなと思います。
     また、一つ林務部長にお願いしておきます。  先ほどの中で、損害賠償請求をしたものについては経営基盤に充てるというお話がありました。確かにそれも大事ですが、やはり県民感情としては、賠償したものは幾らかでも県に余分に入れていただく、そんな指導をしっかりしていただくようお願い申し上げまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(鈴木清 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時28分休憩          ──────────────────         午後1時1分開議 ○副議長(小林東一郎 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  依田明善議員。       〔12番依田明善君登壇〕 ◆12番(依田明善 君)それでは始めさせていただきたいと思います。  今回は所有者不明土地についてでありますが、昨日、丸山栄一議員もこの件で御質問されました。そこで一つわかったことは、国においても、県においても、所有者不明の土地の状況を毎年調査しているわけではなく、比較するデータが極めて乏しいということであります。  国交省においては、平成28年度に約62万筆の地籍調査を行っております。そして、この調査のやり方ですが、不動産登記簿により所有者の探索を行ったようです。それによって所在が判明しなかった土地が約20%、面積にすれば約410万ヘクタール、これが九州全土よりも広いということになり、さあ大変だということになったわけであります。ただし、もし仮に市町村や親族にも聞き取り調査を行うなどさらに深堀りの探索を行ったとすれば、所有者はより多く確定したのかもしれません。  いずれにしましても、こういった調査は手間も費用もかかります。しかしながら、県を初め市町村においてはこういった業務をこなす人材が不足しているというのも事実です。よって、今後は司法書士や行政書士の皆様にも全面的に協力をしていただきながら、ノウハウを蓄積し、効率性も高め、定期的に行っていくべきだと思います。そうしなければ、いつごろから所有者の不明化が悪化したかなど、経年変化もわかりませんし、原因の究明もできません。そうなれば、当然有効な対策も打てないというわけであります。今のまま放置すれば、所有者不明土地、いわゆる幽霊土地は720万ヘクタールを超え、北海道に匹敵する面積に膨れ上がるなどと言われております。これは、安全保障も含め、国の存亡にもかかわる問題でありますので、国を先頭にしてしっかりと調査を行い、対策をとっていただきたいと思います。  さて、そのような状況ではありますが、所在者が不明の場合の弊害として、公共工事が滞るという事態を挙げることができます。道路、河川、砂防等における公共事業等においては、相続登記がなされていないために大変苦労するというお話もあるわけです。問題は、それらを解決するために要する時間、費用、労力等でありますが、それらの実態につきまして建設部長にお伺いをしたいと思います。  また、公共事業の遂行においては所有者を確定することは先決問題でありますが、この確定作業の効率を上げるためにどのような探索を行っておられるでしょうか。所有者確定作業の方法、課題、今後の改善点についてお伺いをいたします。  次に、環境面についてですが、道を走っておりますと、地主の所有物ともごみとも区別がつかないものが大量に置いてある場合があります。景観的にもよくありませんし、衛生的にも問題でありますが、もしこの土地が所在者不明の土地の場合、環境部としてどのように対応されておられるのでしょうか。環境部長にお伺いをいたします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)公共事業における相続登記未了土地への対応についてのお尋ねでございます。  相続登記未了土地を取得するためには、登記名義人の戸籍簿等から相続関係人を探索し、その当事者間で相続人を確定してもらう必要があります。相続登記が長期間行われていない場合では、相続が子や孫の代まで及ぶことから、平成29年度末現在で相続関係人が約460人となっている案件や、全国各地や海外といった遠方に所在する案件もございました。  さらに、住民票の除票等の保存期限が5年間とされており、登記名義人や相続関係人が転居して5年以上経過している場合、転居先がわからず所在が不明になるケースがあります。こうした場合には、親戚、近所の方、地元精通者への聞き取りによる所在確認が必要となっています。このため、建設部の事業においては、10年以上の長期間が経過しても用地を取得できない案件があるなど、探索や用地交渉に多大な時間と労力を要しているところであります。  次に、所有者を確定する作業の効率化と今後の改善点についてのお尋ねでございます。  ただいま申し上げましたとおり、登記簿や住民票等の調査で所有者の所在が不明の場合は、親族、近所の方、地元精通者への聞き取りによる所在確認など地道な作業を行っており、探索作業の効率を上げることは難しい状況でございます。このたび成立した所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法では、市町村から固定資産課税台帳や地籍調査票などの情報提供を受けることが可能となり、探索の糸口が得られやすくなったことについては大いに歓迎しているところであります。  一方で、公共事業を担う立場としては、さらなる制度改善に向けて、自治体が保有する各種情報と国の登記情報をシステムとして連動させることの是非や、現在は任意となっている相続登記のあり方等について引き続き国民的な議論が必要ではないかと考えているところであります。  以上です。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)所有者不明の土地における不法投棄等への対応でございます。  議員御指摘の状況が確認された場合には、まず現地調査を行いまして、放置してあるものが廃棄物に該当するかどうかということを判断いたします。そして、廃棄物と認められる場合には、一般廃棄物であれば市町村に対応を依頼し、また、産業廃棄物であれば県で対応することとなります。県で対応する場合には、まずその産業廃棄物が誰の手によって放置されたものかということを調査し、その上で、原因者に対して撤去等適正な処理を指導してまいります。また、原因者が特定できない場合には、市町村とも連携をして、定期的に当該土地の監視を行うとともに、必要に応じて周囲に囲いを設けるなど、廃棄物の飛散流出防止と新たな不法投棄防止の対策を講じてまいります。  なお、常日ごろから、このような事態が生じないように、廃棄物監視員による監視、不法投棄監視連絡員による巡回など直接的な監視活動や、不法投棄ホットラインの設置による情報収集などを通じまして廃棄物の放置や不法投棄の防止に努めているところでございます。  以上でございます。       〔12番依田明善君登壇〕 ◆12番(依田明善 君)さて、高度経済成長期やバブル期においては、いわゆる土地神話がありました。地価の高騰は多額の利益を生んだわけですが、そういう時代にあっては、所有権移転などの相続登記をこまめに行う人々が多かったと思います。ところが、バブル崩壊とともに土地神話も崩壊しました。しかも地方の人口減少などによって土地利用のニーズは低下し、土地を所有し活用するという意識も崩壊していったわけであります。  国土交通省で実施している土地問題に関する国民の意識調査では、土地は預貯金や株式に比べて有利な資産かという設問に対し、「そう思う」と回答した人の割合は、調査を開始した平成5年度で61.8%でした。バブルが崩壊したにもかかわらず6割の人々が土地を最も有利な資産として認識をしていたわけであります。ところが、平成10年度以降は30%台に激減し、そのまま今日に至っております。最近では、地元の地主、あるいは故郷を離れている地主等から、土地を手放したい、寄附したいといった人々もふえているようですが、非常にゆゆしき事態だと思います。  そんな中、国においては、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案が国会に提出され、6月6日の参議院本会議で可決、成立をいたしました。この法律は、当面、地域福利増進事業、あるいは土地収用制度の改革や不動産登記制度の運用改善を図るものでありまして、例えば公共事業等における土地収用などを円滑に行うための法律であります。したがいまして、地主をいかに探し出し、いかに所有者不明土地を減らしていくかといった趣旨とは異なります。とはいえ、この法律の施行を契機に、国民の土地所有に対する意識が高まればと期待はしております。  なお、この特措法における所有者不明土地の定義ですが、簡単に言えば、相当な努力を払っても所有者がわからない土地ということであります。この相当な努力というのはどの程度の努力なのかということですが、具体的には、登記事項証明書の交付を請求するとか、住民票、固定資産課税台帳等の書類に記載された情報の提供を求めるとか、さらには、一定範囲の親族等に照会するといったことを指すようであります。また、不動産登記簿上の住所に連絡したんだけれども所有者が判明しなかった。こういった土地も広い意味においては所有者不明土地と呼ばれております。  そういったことを前提としたこの特措法ですが、今国会で成立したこの法律の有用性についてどのように考えておられるでしょうか。また、県はどのような役割を国から期待され、どのような体制で臨まれるのか、企画振興部長にお伺いをいたします。  また、相続登記などをスピーディーに行うには、地籍調査を行い、所有する面積や境界線などを明確にすることが重要であります。売買にしても、あるいは公共事業やまちづくり、あるいは災害の復旧などの点においても重要でありますし、所有者不明土地の発生を抑制するという点においても重要です。  国の説明では、平成29年3月末の時点において、全国の面積ベースでの地籍調査の進捗率は約52%であるとのことです。その中において、都市部の進捗率は約24%、林地の進捗率は45%と低くなっております。やはり、速やかな相続登記を行うためには、地籍調査により面積や境界線を明確にすることが先決問題であり、公共事業や災害復旧の場面においても重要となってまいります。県内の地籍調査の進捗状況はどうなのか。  また、緊急性の高い災害想定地域等では、一刻も早く地籍調査を進める必要があると思いますが、全国的にはおくれているとお聞きしております。長野県の状況はどうなのか、それぞれ農政部長にお伺いをしたいと思います。  この地籍調査ですが、地主本人あるいは土地家屋調査士だけで解決できるとは限りません。隣接する地権者や関係者などの立ち会いも必要になってくる場合も多いわけであります。国土交通省では、平成32年度から始まる次期の第7次国土調査事業10カ年計画の策定に向け、所有者が不明な場合も含め、立ち会い等の手続の合理化、官民の境界情報の迅速な整備、新技術による測量の効率化、民間の測量成果等の有効活用、災害想定地域の優先地域での重点的な実施の促進といった事項について検討するようであります。  この10カ年計画においては、引き続き地方公共団体と連携し、地籍調査の迅速化を図っていくとされておりますし、地籍調査の過程で得られた情報の利活用の促進についても検討していくとされております。こういった国の取り組みに対しましてどう対応されるのか、農政部長にお伺いいたします。  最後に、根本的な質問をさせていただきます。  この問題に大きく横たわっている原因として、家督を相続する者の自覚というものがあろうかと思います。先代の残した宅地、農地、林地を相続するということは、同時に、それらを維持管理していく、税金も払っていくという責任も生じてまいります。現代の風潮としては、なるべく身軽に、なるべく面倒なことにはかかわらず、余計なお金や労力もかけたくないといった考え方も強くなっているように感じますし、それが地籍の確定や相続登記などを鈍らせている大きな要因ではないかと私は思います。  やはり、所有者不明土地をふやさないための長期的な取り組みとしては、子供たちへの教育が最も大切だと思います。不動産を含めた相続の仕組みを学ぶことや、おのれの財産、地域の財産、広くいえば日本の国土を守ることの大切さ、あるいは自然や環境を守る意識などを醸成する教育も必要と考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)特別措置法についての御質問でございます。  この特別措置法ですが、公共事業における収用手続の合理化と所有者不明土地への利用権設定の制度創設が2本の柱でございます。これによりまして、収用手続の期間短縮や利用権設定による所有者不明土地の有効活用が期待できるところでございます。  一方で、この制度は財産権の制約にかかわるものでありますことから、知事の裁定に当たりましては、適切な補償額の算定や適正な手続が求められているところと承知をしております。県といたしましては、この法の趣旨に応えられますように、中立性、公平性の担保や職員の資質の向上など必要な体制の整備に努めてまいります。  以上でございます。       〔農政部長山本智章登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)地籍調査について3点御質問をいただきました。順次お答えをいたします。  まず、県内の地籍調査の進捗状況についてですが、本県における地籍調査対象面積は、県土全体から国有林及び湖沼を除いた9,596平方キロメートルであります。このうち、平成29年度末の調査済み面積は3,697平方キロメートルで進捗率は39%となっており、都市部では40%、都市部以外の宅地では59%、林地で30%、農地で64%となっております。  次に、県内における災害想定地域等の地籍調査の状況についてですが、国は緊急性の高い災害想定地域等を南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されている市町村としておりますが、県では、南信州や上伊那地域等34の市町村が指定をされており、この地域の平成29年度末における地籍調査の進捗率は38%であります。県といたしましては、緊急性の高い災害想定地域等においては、防災対策や円滑な災害復旧のため、該当する市町村と連携し、優先的に進捗を図ってまいります。  続きまして、地籍調査の迅速化と情報の利活用の促進についての県の対応ですが、国は、地籍調査事業の迅速化について、境界立ち会いの効率化や人工衛星等を活用した測量技術の導入など新たな手法により調査コストを縮減し、進捗を図ることとしております。  県といたしましては、国の次期10カ年計画に合わせまして長野県第7次10カ年計画を策定するとともに、新たな手法の導入に向け、実施主体であります市町村の職員を対象に実務者研修会を開催するなどしてさらなる調査の進捗を図ってまいります。また、地籍調査の過程で得られた情報は、公共用地の取得などにおいて所有者不明土地の有効活用や所有者の探索に重要な情報と認識しておりまして、その利活用につきまして国の検討状況を踏まえて対応してまいります。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)所有者不明土地をふやさないための子供たちへの教育というお尋ねでございます。  相続に関しましては、高等学校の教科「家庭」の中で学習しておりますし、また、地域の財産や自然、環境についての学習は、小中学校の総合的な学習の時間や高等学校の信州学等でも行っているところであります。  そして、御質問いただいております所有者不明土地のような社会的課題については、生徒自身がみずからの課題としてどうあったらいいのかということを主体的に考えていくことが必要であるというふうに思っております。生徒たちが探求的に学んでいく中で、歴史的な観点や世界はどうなっているんだろうかといったグローバルな視点を持ちながら、自分、地域、国土について総合的に考え、新たな社会を創造する一員としてさまざまな社会課題に挑んでいくことが重要だというふうに思っております。       〔12番依田明善君登壇〕 ◆12番(依田明善 君)それぞれ御答弁をいただきました。  人類の歴史は、お互いの領土や農地をめぐって血や汗を流してきたという歴史でもあります。しかし、現代においては、土地の魅力は低下しておりますし、熱い思いというものはなかなか湧いてこないのかもしれません。ただし、土地というものは、果実を生み出すという普遍的な役割と特性があります。商売をやればもうかる、農業や林業をやればもうかる、そうなれば家督を相続する人々も含め、多くの人々が土地所有に責任と魅力を感じることができると思います。ぜひとも、そんな世の中になるよう、県政をさらに推進していただくことをお願い申し上げまして、一切の質問とさせていただきます。 ○副議長(小林東一郎 君)次に、花岡賢一議員。       〔1番花岡賢一君登壇〕 ◆1番(花岡賢一 君)健康寿命の延伸とフレイルについて質問いたします。  本年3月に示された信州保健医療総合計画の冒頭、阿部知事の「はじめに」の言葉の中に見られるように、既に平均寿命において男女ともに全国トップクラスを実現している本県にあって、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間、すなわち健康寿命の延伸が大きなテーマとなっていることを感じることができます。  また、人生100年時代を見据えた中、「長生き」から「健康で長生き」の考えのもと、保健、医療、福祉を支える関係者はもとより、全ての人がみずからの課題と捉え、進めていかなくてはならないテーマであることは間違いありません。  さて、先ほど申し上げた信州保健医療総合計画の内容について触れると、「医療費の適正化」の中に、「自分の健康は自分でつくる」の言葉を見ることができます。私の地元の佐久総合病院の故若月俊一名誉総長の言葉に、予防は医療にまさるという言葉があります。この理念は、まさに「健康で長生き」の考え方と一致します。総合計画中の「予防」を主題とした項目が薄いようにとれますが、予防施策は具体的に何が挙げられるのでしょうか。健康福祉部長にお伺いいたします。  また、総合計画中、健康づくり県民運動、信州ACEプロジェクトの推進については、「基本的な方向性」の冒頭に記述されていることからも、予防に特化された施策であることが見てとれるのですが、現状、進捗、新たな取り組み、主にACEプロジェクトを深化させて展開とありますが、どのような考えがあるのかもお示しください。  国民健康保険の保険者としてリーダーシップを発揮し、多様な主体と連携する体制を構築し、オール信州で県民の健康づくりに取り組むことを目指すとの発言が健康福祉部長からありましたが、増大する社会保障費の抑制に向けて、健康な人ほど得をする健康連動型保険の普及促進を図る考えが政府にはあるようですが、本県ではどのような考えがあるのでしょうか。  そして、オール信州で健康づくりに取り組む体制の一つとして捉えておりますが、県と市町村が一緒になって健康づくりに取り組む体制の長野県自治力による健康づくり推進会議の進捗状況もあわせてお示しください。  ここまで、本年度より展開されている総合5カ年計画の保健分野を具体化するための計画についてお伺いしてまいりましたが、健康寿命の延伸を進める施策は、社会保障費の抑制に直結するものと私自身が感じ、考えてきました。しかし、社会保障費の抑制を観点とすると、一部には、健康寿命を伸ばす予防が医療費の抑制に効果が薄い、もしくはない、もしくは増加の可能性を示す記述を見ることができますが、長野県として阿部知事はどのように捉えていらっしゃるのか、お考えをお伺いいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)健康寿命の延伸に関しまして私には4点御質問をいただきましたので、順次お答えをさせていただきます。  まず初めに、第2期信州保健医療総合計画における予防に関する取り組みについてであります。  本県における疾病予防の計画については、健康増進法に基づく健康増進計画と、がん対策基本法に基づくがん対策推進計画を第2期信州保健医療総合計画に包含して策定をしているところです。計画では、予防の取り組みについて、生活習慣病予防、栄養、食生活、身体活動、運動など九つの分野において施策を展開することとしております。具体的な施策としては、信州ACEプロジェクトの推進、特定健康診査結果のデータ分析による地域の健康課題の見える化と市町村が実施する保健事業に対する支援、県民が健康に配慮した食事を選択できる環境の整備、運動を始めるきっかけづくりやその継続支援、歯科口腔保健の重要性についての普及啓発、受動喫煙防止のための取り組みについての働きかけ、がん検診の受診促進等を推進することとしております。  次に、ACEプロジェクトの今後の展開についてのお尋ねがございました。  信州ACEプロジェクトは、平成26年6月にスタート以来、さまざまな取り組みを進めてまいりましたが、今後、より多くの県民の皆さんに御参加いただける県民運動としていく必要があると認識しております。信州ACEプロジェクトの今後の展開につきましては、国民健康保険の保険者として市町村と連携した健康づくりを推進するとともに、特に働き盛り世代の健康づくりを推進するため、健康経営の取り組み促進を進めてまいります。具体的な事業の実施に当たっては、市町村、企業、団体等と県民の健康課題や危機意識を共有した上で意欲ある関係者と協力した推進体制を構築し、より多くのターゲット層に御参加いただけると同時に、効果のある事業となるよう努めてまいります。  次に、健康連動型保険の普及促進に係る国の考え方についてのお尋ねであります。  我が国では、全ての国民が医療機関を利用することができるよう、公的な皆保険制度が導入されているところです。保険会社からは、公的保険における自己負担分等を対象とした保険商品が販売されている中、国では、国民の健康に対する意識を高めていくため、生活習慣の改善を支援するサービスと連携した保険など、健康増進型の民間保険商品の開発を促進することとしており、今後、課題の抽出や個人の健康に対する投資意欲の活性化に向けた方策を検討していくものと認識しております。  次に、長野県自治力による健康づくり推進会議についてのお尋ねであります。  長野県自治力による健康づくり推進会議では、県民の健康課題や市町村が住民を対象に保健事業を実施する際の課題を県と市町村で共有し、県民の健康づくりに一体的に取り組む方策や課題の解決策を検討することとしております。  会議は、知事を初めとして、市町村長や地域で健康づくりの実践をしている保健師や管理栄養士で構成し、市町村長については、市長会と町村会の推薦をいただいた2名にお願いし、会議の趣旨等を説明させていただいているところであります。今後、日程調整を行い、年度内に2回程度開催する予定となっております。  以上であります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)社会保障費の抑制と予防医療との関係で、健康寿命が延びること自体が医療費抑制に効果が薄い、あるいはないといったような指摘があるがどう考えるかという御質問でございます。  そうした御意見が出されているということは私も承知をしております。こうした論者の皆様方の主張を拝見すると、まずは予防医療自体を必ずしも否定しているわけではないというふうに受けとめています。ただ、逆に予防医療イコール全て医療費削減につながるといったような考え方は正しくはないのではないかという、これはエビデンスに基づいてもう少ししっかり考えるべきだという御主張だというふうに思います。  私も、少しこの点を考えてみましたけれども、ここから我々が考えなければいけないことは大きく三つあるのではないかというふうに思っております。  一つには、我々は県民の皆様方の幸せのために健康づくりの運動等に取り組んでいるわけでありますので、単純に医療費抑制のためにACEプロジェクトを初めとした健康のための取り組みを進めているわけではないということです。ただ、この予防に力を入れることによって医療費が増嵩していく方向につながっていく部分もあり得るということは、まず一つ認識しなければいけないだろうというふうに思います。  それから、健康寿命が延びたときに、単に不健康期間の先送りになるだけではないかというような御指摘がある中で、そもそもそうした期間における医療のあり方、高齢期における医療のあり方とか、過剰な診療、適正な診療とはどういうものかということについて、やっぱりしっかり考えていくということが重要だと思います。  それから、これはエビデンス、科学的根拠ではっきりしっかり考えていく必要があるんではないかということで、私どもも国保の財政責任を負う立場にもなったわけでありますので、これまで以上に具体的なデータをしっかり我々も把握をしながら政策を進めていくということが大変重要だというふうに思っております。そういう意味で、こうした御指摘があるということも念頭に置きながら、とはいえ、県民の皆様方に健康な人生、幸せな人生を送っていただけるように、引き続きこの健康づくりの運動、予防対策の充実、こうしたものに取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上です。       〔1番花岡賢一君登壇〕 ◆1番(花岡賢一 君)意外ときっちり答えていただけたなというふうに思うところがあるんですけれども、先ほどの健康連動型保険、これは今単年度契約がほとんどだそうなんですけれども、これはある意味合理的なものと考えられます。健康に対する意識の向上、そのきっかけはシンプルであっていいと思っています。健康であると保険料が安くなる、安くしたいために健康に気を配り、みずからの健康はみずからでつくる考え方に至るのであるならば、結果、双方にとってメリットは出てきます。しかし、コスト的な話と健康は本来両立しづらい面もあわせ持っていることも事実です。両立が難しい立場であっても、県民益へと向かい、「「健康長寿」世界一を目指して」の施策展開を要望し、質問を移ります。  今年度からの新規事業として健康福祉部から示されている内容に、フレイル予防総合推進事業があります。フレイルとまた新しい響きの単語が躍るわけですが、このフレイルは、健康な状態と介護が必要となる状態の中間を指し示す表現として日本老年医学会から提唱されたものであります。  厚生労働省の研究班は、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」と定義づけています。すなわち、加齢に伴う運動機能等の変化を事前に察知し、適切なアプローチを行うことにより、介護が必要な状態を先送りにすることができる内容であり、健康寿命の延伸に確実な効果を示すものであると考えます。  施策展開の中に、フレイルについて理解を求めることが予防活動につながるとの内容と、市町村職員や医療、介護、その専門職を対象とした人材育成プログラムを実施していくとありますが、そのための具体的な内容はあるのでしょうか。また、新規事業として展開する中で、フレイルに対して根拠となった調査等は存在していたのでしょうか。  前段で申し上げましたが、信州保健医療総合計画には歯科口腔保健についても示されています。平成23年に制定された歯科口腔保健の推進に関する法律の基本理念のもと、さまざまな施策展開が示されておりますが、長野県では、長野県歯科保健推進条例を平成22年に定め、乳幼児期、学齢期、成人期及び高齢期といったライフステージごとに歯及び口腔の健康づくりを充実させる内容などを定めています。  それに対して、本年3月に示された保健医療総合計画において、口腔機能における軽微な衰えとしてオーラルフレイルの内容を見ることができます。先ほどより触れておりますフレイルの概念は、早くとも平成26年に日本老年医学会から提唱があるまではさまざまな解釈と表現が存在していたため、当然条例が制定された平成22年当時、その概念はありません。第2期信州保健医療総合計画と長野県歯科保健推進条例との関連はどのようにとられているのでしょうか。
     関連して、長野県食育推進計画(第3次)でありますが、その中のポイントとして、世界一の健康長寿を目指す食育に向かっていくためには、まず口腔機能の低下を防ぐこと、すなわちオーラルフレイルに特化した施策の展開が重要と考えますが、御所見をお伺いします。  また、オーラルフレイルの予防と対応について、多くの人が少しずつリスクを軽減することで集団全体として大きな恩恵をもたらすことに注目し、集団全体をよい方向にシフトさせていくポピュレーションアプローチの考えがあればお示しください。  健康長寿に重要な三つの柱として、栄養、運動、社会参加が言われます。先ほどのポピュレーションアプローチと類似した考えですが、フレイル予防としてこの三つの柱をクリアするためにシニア大学は最適な施策であると考えます。まず、シニア大学に入学する方たちは、年齢とともに薄くなりがちな社会参加のハードルをクリアしている状態でありますが、そのカリキュラムで口腔ケア、オーラルフレイルについての講座があれば、同時に二つのハードルをクリアすることになると考えられますが、シニア大学の講座で口腔衛生について取り入れた経過はありますでしょうか。  また、オーラルフレイル対策を行うことがフレイルへ向かうことを抑えることであることを啓発できたのならば、シニア大学への入学者がふえる可能性を含むと考えますが、展開は可能でしょうか。  以上7点、健康福祉部長にお伺いいたします。  健康長寿の観点から、腸内環境の改善として腸内フローラが近年提唱されてきています。体内の酵素量は50歳ごろから急激に低下していくデータもありますが、酵素を体内に取り入れていくことも重要であると考えます。  そこで、産業労働部が示した長野県ものづくり産業振興戦略プランの中に、「すんき等の発酵食品による地域ブランディングを通じた産業の集積形成」とありますが、このような地域で行われている発酵食品の強みを全国へ発信していくため、ことし11月に開催される全国発酵食品サミット in NAGANOなど、食品製造業振興ビジョンに基づく発酵食品の振興施策の状況はどのようであるのでしょうか。産業労働部長にお伺いいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)フレイル対策についてのお尋ねに順次お答えをさせていただきます。  まず初めに、フレイル予防総合推進事業についてでございます。  フレイルは、筋力の低下や口腔機能が低下するオーラルフレイルに伴う低栄養などの身体的な虚弱、認知機能の低下や鬱病などによる精神、心理的な虚弱、閉じこもりに見られるような社会性の虚弱など多面的な要因によるため、多職種の連携による総合的な対策が必要となります。市町村や医療、介護の関係者とともにフレイルに関する課題や必要とされる取り組み等を検討し、医療、介護の専門職を対象とするフレイル予防支援プログラムと住民向けのフレイル予防実践プログラムを作成することとしております。  具体的には、これまでの人生二毛作社会づくりの取り組みを踏まえ、健康長寿である本県において高齢者が培ってきた知識や経験を社会活動や仕事で生かし、元気に活躍するための内容を盛り込むなど、本県の特徴を生かした長野県版プログラムとしたいと考えております。  次に、フレイルに関する調査についてのお尋ねがございました。  厚生労働省の高齢者フレイルの実態調査の結果から、フレイル該当者は11.5%、フレイル予備軍の該当者は32.8%であり、疲労感や身体活動低下に該当する対象者が多く認められました。また、本県における平成28年度高齢者生活・介護に関する実態調査等の結果を見ると、足腰などの痛みで外出を控えている人が17%、生きがいがあるかという質問に対して思いつかないと答えた方が26%となっております。  続きまして、オーラルフレイル対策についてのお尋ねでございます。  オーラルフレイルは、食べこぼしやむせ、滑舌の低下といった口腔機能の軽微な衰えから始まり、全身のフレイルの入り口とも言われ、近年、対策の必要性が認識されてきております。  条例と計画との関係につきましては、大きい総論的な枠組みにつきましては条例で示し、また、個別の時々に応じた施策については計画で策定し、取り組みを進めるというのが基本的な考え方と考えております。第2期保健医療総合計画におきましては、新たに60歳以上で何でもかんで食べることができる人の割合の向上を数値目標として掲げるとともに、オーラルフレイル対策の充実について、フレイル対策と連動し、多職種で予防する取り組みを推進することとしております。  食育とオーラルフレイルに特化した施策についてのお尋ねがありました。  食育の推進に当たり、口腔機能維持の重要性は認識しているところであります。県では、長野県歯科保健推進センター等において、オーラルフレイルについて周知するための県民向けリーフレットの作成や、県の市町村歯科保健事業ガイドラインに新たにオーラルフレイル対策について記載するなど、取り組みを進めてまいります。  続きまして、オーラルフレイル対策の進め方についてのお尋ねがありました。  オーラルフレイルは、高齢者を中心に誰にでも起こる状態であり、歯や口腔の健康づくりに関する正しい知識の周知や定期的な歯科検診の受診推進に向けた取り組みといったポピュレーションアプローチは重要であると考えております。  続きまして、シニア大学における口腔衛生に関する講座の開設についてのお尋ねであります。  シニア大学におきましても、これまで、大学教授や歯科医師を招いて口腔衛生や歯と健康といった講座を開設した学部があり、今年度も4学部で口腔衛生を目的とした講座が開催される予定となっております。  オーラルフレイル対策の啓発を通したシニア大学の学生増についてのお尋ねがございました。  オーラルフレイル対策は、健康で長生きするために重要であり、シニアの関心も強いと考えております。シニア大学の入学者数の増加については、年間のカリキュラム全体をシニアにとって魅力のあるものとするとともに、市町村や民間における取り組みとの差別化を図ることが重要と認識しております。シニアのニーズ等をしっかりと把握して、オーラルフレイル対策も含め、魅力あるカリキュラムの提供に努めてまいります。  以上であります。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)発酵食品の振興施策の状況についてお尋ねをいただきました。  県では、昨年9月、食品製造業振興ビジョンを策定いたしまして、全国で高いシェアを持ち、知名度も高い発酵食品を中心に、体に優しい食品の開発と普及を進めることといたしました。乳酸菌や酵素などを含む発酵食品は一般的に健康によいと言われておりますが、効能を消費者に訴え、売り上げにつなげるためには、機能性を有するなど、科学的根拠、エビデンスでございますが、これを示すことが必要です。  このため、信州大学や食品業界などと連携し、食と健康長寿の関連性の探求や機能性エビデンスの取得を行う「食」と「健康」ラボ事業を本年度スタートさせました。また、国の交付金を活用いたしまして、発酵食品などの研究開発のための機能性食品開発拠点をしあわせ信州食品開発センターに併設することとし、本年4月から整備を進めております。加えまして、ビジョンを推進する体制として、3月に食品業界や大学等から成る推進協議会を立ち上げ、新商品開発プロジェクトや企業の機能性認証の取得支援などに取り組んでいるところでございます。  今後は、食品製造業振興ビジョンの実現に向け、11月に県内で開催されます全国発酵食品サミットなどで県内の発酵食品を全国に発信し、エビデンスに裏打ちされた長寿県長野の発酵食品のブランド力向上に努めてまいります。       〔1番花岡賢一君登壇〕 ◆1番(花岡賢一 君)お答えいただきましたけれども、やはりお答えの中で一つのキーワードと考えられるのがエビデンス、その検証結果というものが非常に重要なんだというふうに改めて思うところであります。厚生労働省のデータ、そのデータに基づく調査も重要かもしれませんが、県独自の調査も進めていかなければいけないのかなというふうに思うところであります。  オーラルフレイルについて申し上げましたけれども、このオーラルフレイルというのは、フレイルの前の段階、プレフレイルの状態を示すわけで、この状況をきちんとアプローチすることによってまた健康な状態に戻っていける、この可逆性があるというふうに言われていますので、口の中の口腔衛生、もっと言うならば歯の健康、肉を食べたから元気になったという人たちもいらっしゃるわけですので、また取り組みを広めていただければと思います。  先日、日本老年歯科医学会指導医・専門医で浅間総合病院の歯科口腔外科の奥山秀樹医師との意見交換の際に、人は口から老いるとの言葉を聞くことができました。平成元年から全国展開されております8020運動は、その導入当初、達成者は数%であったものが、現在は40%を超える状況になってきています。およそ30年での意識の向上により物すごい効果を発揮した例であり、次世代へよりよい施策展開をもって引き継いでいかなくてはならないことと考えます。ただ残すのではなくて、価値あるものとして残していかなくてはならないことを強く感じる次第であります。  また、さきに述べました佐久総合病院の若月医師は、従来の医学はただ病気になった場合だけについて論じてきたが、これからは、病気になる前に、積極的に半病気、むしろ半健康とも言うべき状態をつかむことが重要との言葉を残されております。まさに、現状を正確に把握し、未来志向の施策展開により健康長寿世界一をともに進めていかれることを強く願い、質問を終わります。 ○副議長(小林東一郎 君)次に、堀場秀孝議員。       〔11番堀場秀孝君登壇〕 ◆11番(堀場秀孝 君)上田市・小県郡区選出、信州・新風・みらい、堀場秀孝でございます。 順次質問いたします。  骨髄バンク事業の取り組みについてお聞きします。  骨髄など造血幹細胞の移植は、白血病など治療が困難な血液疾患の患者さんに有効な治療法と言われています。公益財団法人日本骨髄バンクは、これら血液疾患の患者さんと善意で骨髄等を提供するドナーを橋渡しし、広く公平に患者さんを救うことを基本理念とし、平成3年12月の設立以降、現在までに2万例を超える骨髄等の移植をコーディネートしてきております。将来にわたり骨髄バンク事業が安定的に運営されるには、日本骨髄バンクのみならず、関係機関の協力が不可欠ではないでしょうか。  健康福祉部長に伺います。  骨髄バンク事業は、公益財団法人日本骨髄バンクが主体となり、日本赤十字社、都道府県等が連携して行っている公的事業でありますが、そのうち県の役割はどのようなものになっているのでしょうか。  白血病などで骨髄等の移植を希望する場合、兄弟姉妹がいれば4分の1の確率で白血球の型が一致し、移植を受けられることがあるとのことですが、兄弟姉妹でも一致しなかった場合や兄弟姉妹等がいない場合には、骨髄バンクを通し、白血球の型が一致する善意のドナー登録者を探すことになります。しかし、血縁者でない場合、その一致の確率は数百から数万分の1とのことで、骨髄バンクを介し、骨髄等の移植を希望する方でも、実際に移植を受けることができるのは約6割程度にとどまるようです。患者さんにとっては、善意のドナー登録者のみが助かる希望になっています。  白血病などにかかり、骨髄等の移植を必要とする人々には、若者や小さな子供さんも多くいます。将来のある若者がドナーが見つからないために命を落としていくことは、非常に心苦しいところです。より多くの患者さんを救うためには、より多くのドナー登録者が必要なのです。  私の知る限り、白血病で死亡した有名人は、女優の27歳で亡くなった夏目雅子さん、落語家で80歳で亡くなった桂文治さん、お笑いの中島忠幸さんは35歳で亡くなりました。歌手の本田美奈子さんは38歳で、歌舞伎俳優の市川團十郎さんは66歳で亡くなっています。身近な身内や友人にたまたまいなかっただけです。  健康福祉部長に伺います。  県内に、骨髄バンクに期待し、骨髄移植を待っている患者さんはどの程度いるのでしょうか。また、それに対し、県内のドナー登録者数の推移や年代別登録者数の状況はどのようになっているのでしょうか。  あくまで善意で行われている事業の理念からすると、登録は強制できないものであり、安定的なドナー登録者の確保は非常に難しいものであると理解しています。まずは骨髄バンクのことを多くの方に理解してもらう必要があるのではないでしょうか。普及啓発は重要と考えます。一部には、骨髄移植は怖いと誤解されているケースがあるとお聞きします。県民に正しく伝え、イメージを変える必要があるのではないでしょうか。また、若者をターゲットにした普及啓発に力を入れてはどうでしょうか。現在のドナー登録者の年齢構成からすると、若年層にドナー登録の普及を進めていくことが極めて重要と考えられます。  さらに、課題の一つとして、ドナーとして骨髄等を提供するためには、事前の検査、面談や入院期間を含め7日から10日ほど必要になることが挙げられます。会社にお勤めの方は仕事が休めない、自営業の方であれば収入に直結するなどの懸念により、高い志を持ってドナー登録をしていながら、提供を断念する方もいるようです。  このような中で、一部の企業では、ドナー休暇制度といって、ドナーとして骨髄等を提供するために必要な期間を特別休暇とする制度を設けているところもあるとお聞きします。また、全国的に、一部の自治体になるかと思いますが、休業による金銭的損失を補償するためのドナー助成制度を設けているところもあるようです。  県内のドナー登録者は対象人口1,000人当たりの割合が全国で最も低い状況の中で、ドナー登録者数の増加のためどのような施策を行っているのでしょうか。また、ドナー休暇やドナー助成などの制度の整備が必要と考えますが、健康福祉部長、どうですか。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)骨髄バンク事業に関連して3点御質問をいただきました。  まず初めに、骨髄バンク事業における県の役割についてであります。  骨髄バンク事業は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律に基づき、公益財団法人日本骨髄バンクが主体となり、関係機関の協力により実施されております。県では、同法を踏まえ、平成28年11月に骨髄・末梢血幹細胞提供推進連絡会議を立ち上げ、県や関係機関、ボランティア団体等の連携体制を整え、ドナー登録者の増加に向けた普及啓発活動に取り組むとともに、長野県赤十字血液センターの献血ルーム3カ所と七つの保健福祉事務所においてドナー登録の受け付けを行っているところです。  ドナー登録者数等の状況についてのお尋ねであります。  骨髄バンクを通じて移植を希望する県内の登録患者数は、平成29年度末現在32人となっております。ドナー登録者数は、近年、全国で最も低い状況であったことから、ボランティア団体や関係機関と連携した取り組みを積極的に進め、平成27年度の新規登録者数が178人であったものが、平成29年度の新規登録者は513人まで増加しており、平成30年3月末現在の県内ドナー登録者数は、近年の3,700人程度から4,091人と増加をしております。また、平成29年度末時点の県内ドナー登録者の年代別割合では、40代以上が65.9%と全体の3分の2を占めております。  ドナー登録者数増加のための施策等についてのお尋ねでございます。  ドナー登録が可能な年齢は18歳から54歳までとなっており、全国で毎年2万人近くが登録を抹消されていることから、若年層の登録者の増加が、当県のみならず全国的な課題であると認識しております。  若い世代向けの普及啓発の取り組みとして、平成28年度からプロ野球やサッカーJリーグの試合会場でのドナー登録会の開催や、骨髄移植経験者による講演会を行っております。また、ドナー登録の多くが各地域の献血会場で行われていることから、献血事業を実施している日本赤十字社と連携し、献血並行ドナー登録会の開催やドナー登録説明員の養成及び献血会場への説明員派遣の調整などの取り組みを進めているところです。  ドナー休暇及びドナー助成制度については、ドナー登録者数の推移を注視しつつ、登録者が協力しやすい環境の整備及び登録者数の増加につながる施策として、他県の状況把握を含め、検討してまいります。  以上であります。       〔11番堀場秀孝君登壇〕 ◆11番(堀場秀孝 君)お答えいただきました。長野県議会にはがん議連があります。ドナー登録には54歳という年齢制限はありますが、議員各位にも、それぞれが先頭に立って、ドナー登録者がふえますようにお声がけをお願いしたいと思います。  ことしの4月から、日本体育協会は日本スポーツ協会に名前が変わりました。その日本スポーツ協会が国体の名称を2023年の開催から国民スポーツ大会に変更すると発表がありました。2027年の我が県で開催される大会は国民スポーツ大会となるでしょう。その国民スポーツ大会の競技種目、開催市町村は、競技団体と市町村との間で調整しているとのことですが、2027年にはリニア中央新幹線の品川-名古屋間が開業予定の年です。昨日の小島議員の質問に、知事は、リニア中央新幹線の早期開通を引き続き国に働きかけていきたいと考えていますと答弁しています。2027年の冬季大会と本大会の同時開催を目指している長野県にとって競技施設の拡充が必要であると考えます。  リニア中央新幹線による波及効果も見据え、国民スポーツ大会後の利用も含め、県営飯田野球場を、野球のみならずコンサートや展示会、発表会等の集客にも対応できるドーム施設として、中京圏からも首都圏からも多くの人々が伊那谷に来ていただける拠点施設とする。いかがですか、建設部長。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)県営飯田野球場のドーム施設化についてのお尋ねです。  2027年開催予定の国体の正式競技に係る会場市町村につきましては、2018年度から2020年度中をめどに決まる予定で、現時点では白紙の状態でございます。  お尋ねのドーム野球場につきましては、数百億円とも言われる建設費のみならず、多額の維持管理費用が必要となることから、確実な収入の見通しが不可欠であり、利用料金の大幅な引き上げも想定されます。  一方、県営飯田野球場は、年間約150日の利用があり、その利用者の多くが小学生から社会人に至る幅広い年齢層にわたっていることや、草野球としても利用されているなど県民にとっての憩いの場であり、大変身近な施設となっているところであります。これらを踏まえ、現段階では県営飯田野球場は現在の形態で御利用いただくことが望ましいのではないかと考えているところであります。  以上であります。       〔11番堀場秀孝君登壇〕 ◆11番(堀場秀孝 君)答弁いただきました。札幌ドーム、西武ドーム、東京ドーム、名古屋ドーム、大阪ドーム、福岡ドームの6大ドームツアーでは多くのファンが移動しています。長野県に七つ目のドーム施設で、国内外から多くの人々が伊那谷を訪れ、長野県のよさを広めていくことが必要であると考えます。今のままで野球ということですが、国体の開催種目がまだ決まってない中で、ドーム化することで多くの競技が雨が降ってもできるのかなと考えます。さらなる前向きなる検討をお願いいたしまして、質問を終わります。 ○副議長(小林東一郎 君)次に、小山仁志議員。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)昨年1年間で、本県の人口は統計以来初めて自然減少が1万人を超え、急速な人口減少には歯どめがかからない状況となっています。一方で、社会増減に目を向けますと、県外からの転入者のほうが247人多い17年ぶりの転入超過となりました。各自治体の移住定住促進への積極的な取り組みの成果も見てとれます。  昨年のふるさと回帰支援センターによる移住希望先のランキングで本県は1位に返り咲き、例年人気が高く、上位の常連となっています。また、総務省の都市部の住民の意識調査におきましては、農山漁村地域に移住してみたい人の割合は30.6%、特に20代、30代で突出をしており、20代男性に至っては43.8%の方が移住してみたいと考えているという調査結果もあります。  高い移住希望者の比率の一方で、移住する予定があるとしたのは1%台と低くなっており、移住へのハードルの高さも感じ取れます。こうした地方やふるさと、本県への移住に対する憧れやニーズの潮流に対し、現在、さまざまな施策の効果、結果と結びついているのか。県の認識とともに、お感じになっているハードルや課題等について、まず知事にお伺いいたします。  近年、若者のライフスタイルや働き方、価値観の多様化の中で、SNS等の情報技術の進展とともに地方やふるさととのかかわりへの志向が広がっていると感じます。都市住民の多くが移り住む以外の方法で農山漁村地域とかかわりを持ちたいと考えていることが総務省の調査でも明らかになっており、さまざまなかかわり方を希望する方の一定のニーズがあります。  こうした地方とのかかわりを求めようとされる方の希望は、世代やライフステージにより多様なニーズが存在し、そのあり方や意識の強さもグラデーションのように濃淡があり、幅広くなっています。私は、こうした地方とのかかわりや役に立ちたいといった関係を持つことに価値を感じるニーズをつかみ、地方やそこに暮らす住民との多様なかかわり方を生み出していく視点を持った施策の充実がより一層求められていると考えます。  こうした移住、定住でもなく観光でもない第3の道として、関係人口とも昨今称され、県ではつながり人口として事業をお考えいただいておりますが、今後のいわゆる関係人口の創出について知事の受けとめをお伺いいたします。  また、関係人口の概念や定義と照らし合わせますと、部局横断的に関連する既存の事業が数多くあると感じます。こうした事業も体系的に整理を行いながら、関係人口創出としてかかわりの回路を広げるようなイメージで戦略的な取り組みが求められると考えますが、県はどのように役割を果たしながら信州創生に生かしていくお考えなのか、県の対応方針についても知事にお伺いいたします。  こうした地方やふるさととのさまざまなかかわりを求めるニーズを地域課題等と結びつけたり、実際に暮らす皆様との交流や体験等をつなげるために、地域や住民との多様な交流の入り口をつくっていくプロデュースやコーディネート、そしてマッチングを行う中間支援機能とその人材育成が関係人口の創出には欠かせません。県では、どのように関係人口創出のためこうした機能をつくっていく、あるいは支援をしていくお考えなのか。企画振興部長にお伺いいたします。  現在、本県におきましては、349名の地域おこし協力隊の皆様が68市町村に受け入れられ、地域協力活動に従事いただいています。全国的にも年々増加を続けており、若者を中心とした都市部から地方、農山漁村等への人の流れの潮流としても象徴的な傾向であります。  現在、各市町村ごとに受け入れをされており、各地域において新しい変化を引き起こす人材としても期待が高まります。地域活性化に結びつく地域おこし協力隊の皆様の活動の充実に県としてはどのようにかかわっていくお考えなのか、これまでの成果への認識とあわせ、企画振興部長にお伺いいたします。  地方とのつながりをつくる関係人口の創出においては、つながりの入り口をいかに広く緩くつくるかという工夫が必要です。県では、平成27年度より、IT人材の県内誘致を視野に、訪問型のときどきナガノ、滞在型のおためしナガノを実施し、年々、応募人数、参加者数ともに上昇しています。自然豊かな環境での暮らしや創造性を確保されようとするIT人材やクリエイティブ人材の皆様にとっては大変魅力的な事業です。  以下、産業労働部長にお伺いをします。  本事業を活用されて参加された皆様はどのような動機や背景の中で信州をお試しになったのか。また、本県での仕事や暮らしをお試しになっての感想や印象については今後の施策を考える上で大変重要なことと考えますが、どのように県は捉えているのか、お伺いいたします。  そして、こうした皆様の体験につきましては、情報発信、シェアリングの工夫が次のつながりの創出やそのハードルを下げる上でも欠かせないものであると考えますが、県ではどのように対応されてきたのかについてもお伺いいたします。  この事業では、参加へのハードルを下げることにより、拠点設置や移住等定着の促進を目指しており、参加者の募集に当たっては工夫も求められますが、どのように対応されているのか、また、成果に結びついているのかについての認識についてもお答えください。  おためしナガノやときどきナガノの特徴の一つは、コワーキングスペース等の活用の中で、実際に県内に暮らすITやクリエイティブ人材とのつながりの場が生まれることにあります。私は、こうした事業につきましては、単に移住や創業拠点設置のみを一直線での最終ゴールとして考えるのではなく、結果としてそういうことに結びつけば好ましいわけですが、まさに「ときどき」と称されているように、時々長野県で仕事をするといった気軽な感覚でのかかわりの間口を広げるようなイメージにより、こうしたお試し事業はさらに拡充し、地域や人材とのつながりを広げていくことが大変重要と考えますが、県のお考えを産業労働部長にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)つながりの拡大について2点御質問いただきました。  まず、移住に関する施策の取り組みの結果とこれからの課題についてという御質問でございます。  本県におきましては、田舎暮らし「楽園信州」推進協議会を核にしまして、県のみならず市町村、民間団体と連携して、オール信州で移住者の呼び込みに取り組んできております。県としては、三大都市圏全てに専任の移住相談員を配置しておりますが、これは全国で本県だけでございますし、また、市町村では、先ほども申し上げましたが、移住コンシェルジュを設けてきめ細かな対応をしていただいております。また、宅地建物取引協議会によりまして空き家バンクをつくっていただき、運営をしていただいております。  このように、さまざまな取り組みを行ってきておりますので、そうした結果、各種調査で移住希望先ランキング1位とされることが多い状況であります。おかげさまで、移住先としての人気はほぼ定着してきているのかなというふうに思っています。行政がかかわっての移住者数も、5年前に比べますと3倍以上の1,274名ということで、29年度の数字ですけれども、着実に増加してきているところでございます。  そうした中で、今後に向けての課題ということでありますけれども、これだけ移住希望先として評価されておりますので、もっと活用していかなければいけないと、この状況を利用していかなければいけないというふうに思います。そうした観点で、やはり長野県としてはターゲットを明確にしていくということも必要ではないかなというふうに思っております。  特に、本県の場合、社会増減を見ますと、若い世代の社会減が大きいということもありますので、この若い世代にしっかり移住してもらえるようにしていくということが重要だと思いますし、これは長野県内の今の課題の一つとして、人手不足、人材不足ということもありますので、単に移住してきていただいてよかったねということだけではなくて、移住をしていただいて就業していただくといったようなこともしっかり視野に入れた取り組みをしていくということが重要だというふうに思っております。こうした考え方を庁内でもより具体化して、関係の皆様方と問題意識を共有して取り組んでいきたいというふうに思います。
     それから、関係人口の創出についての受けとめと対応方針ということでございます。  本県ではつながり人口というふうに称しておりますけれども、人口減少下におきまして、持続可能な地域社会をつくっていく上では、このつながり人口を拡大していくということは重要な方向性だというふうに思っております。そうした観点で、しあわせ信州創造プラン2.0の中でも重点政策の一つとして掲げて取り組んでいこうというふうに考えております。  このつながり人口には、2地域居住であったり、ふるさと納税であったり、さまざまな形がございますので、求められる対応も大変多岐にわたっているというふうに思っております。今年度、新たな移住交流方針の策定を田舎暮らし「楽園信州」推進協議会によって行っていこうというふうに考えておりますので、ここの中でより具体的な対応方針を考えていきたいというふうに思っております。  先ほど移住でも申し上げましたけれども、例えばサテライトオフィスを設置して働いていただくことであったり、あるいは山村留学等で、最近親子留学に取り組んでいる地域もありますので、そうした具体的なテーマを設定して戦略的な打ち出しをする中で、庁内各部局が連携してこのつながり人口の拡大に取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上です。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、関係人口創出の中間支援機能についてでございます。  県では、総務省の公募事業を活用する形で、つながり人口創出のための「信州・地域プラットフォーム構築推進事業を実施すべく、今回の補正予算に関連経費を計上しているところでございます。  この事業は、地域と地域外の人材を結びつける中間支援機能を担う人材を育成するとともに、継続的に地域づくりができる仕組み、これを地域プラットフォームと呼びますが、この仕組みづくりにモデル的に取り組むものでございます。  具体的には、長野市の鬼無里地区におきまして、地域資源を活用した観光イベントなどに地域外の人材を活用して新たな事業展開を図るもの、また、小川村におきまして、伝統行事など地域の活動に地域外の人材を活用することを通じまして、新たな切り口で地域活動の担い手確保策に取り組むものでございます。本事業で得られます課題やノウハウを県内市町村と共有しましてつながり人口の全県的な広がりを目指したいと考えております。  続いて、地域おこし協力隊についてでございます。  地域おこし協力隊は、地域の特産品開発や農業支援、観光振興、伝統芸能の継承、高齢者の生活支援など非常に幅広い分野で活動いただきまして、持続可能な地域づくりの中核を担っていただいているものと認識をしております。  県では、これまで、隊員の活躍や活動後の定着を支援するために、隊員の活動年数に応じた研修会や交流会などを開催してまいりました。これらの研修会等を通じまして、希望する業務と従事する業務のミスマッチ、市町村や住民との関係づくり、任期終了後の就業や起業などといった具体的な課題も明らかになってきております。  こうしたことから、昨年度、地域振興局ごとに隊員やそのOB、市町村職員等で構成しますネットワークを構築いたしまして、課題の共有や解決方法の検討を進めております。地域おこし協力隊が新たな担い手として地域に定着、活躍できますよう、引き続き市町村と連携しながら支援してまいります。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長内田雅啓君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓 君)私には、ときどき・おためしナガノ事業関連で4点御質問をいただきました。  まず、本事業を活用された皆様の動機や背景についてでございます。  東京へのアクセスがよく、自然豊かな場所で働きたい、子育て環境がよい場所に移住をしたい、Uターンして地元の活性化のために貢献したいなどといったものがございます。また、仕事や暮らしを試された感想や印象といたしましては、人混みで働くストレスが減り、業務効率が大きく改善した、短時間で首都圏との行き来ができ、拠点設置のデメリットはないなどよいものがある一方で、県内での事業展開が難しいといった課題も挙げられております。  今後は、豊かな自然環境やアクセスのよさといった本県の強みを生かした事業PRを強化するとともに、参加者の課題解消につながる取り組みを進めてまいりたいと考えております。  次に、参加者の体験の情報発信についてでございます。  参加者の体験を多くの方に情報発信することは、御指摘のとおり、つながりの拡大や移住等の促進のために重要であると考えております。そのため、参加者には、支援の条件として、暮らしぶりや仕事の状況を定期的にSNS等に投稿していただくとともに、県が参加者の体験談のインタビュー動画をユーチューブに掲載するなど、広く発信をしてございます。また、東京で開催されます移住相談会、「信州で暮らす、働くフェア」などの県外イベントでも、参加者の体験紹介や事業説明、相談対応などを積極的に実施しているところでございます。さらに、今年度は、県内に拠点を設置された方による座談会を新たに開催いたしまして、その状況をインターネット上で公開するなど、参加者の体験を多くの方と共有できるよう努めてまいります。  次に、募集の工夫と成果についてでございます。  本県での暮らし、仕事を体験するに当たっては、住居や仕事場の確保、交通費、引っ越し代などの金銭的な負担、地域にうまく溶け込めるかどうかなどの不安感などがハードルとなっております。このハードルを下げるため、使用していない職員住宅の無償提供や仕事場の紹介、交通費等に対する補助、市町村担当者を通じた生活関連情報の提供など、参加者の負担や不安を軽減させる支援を実施してまいりました。その結果、これまでに17組が県内に拠点を設置したほか、今年度のおためしナガノでは、御指摘のとおり、事業を開始した平成27年度に比べ2倍を超える36組、58名の応募があったことから、一定の成果に結びついているものと考えてございます。  最後に、事業の拡充についてでございます。  ただいまお答えしたとおり、本事業は一定の成果を上げておりますが、さらに参加者をふやすためには、よりハードルを下げる取り組みが必要と考えております。そのため、参加者へのアンケートや事業を実施した市町村、コワーキングスペース運営者から課題を聞き取り、翌年度の事業に生かしているところです。引き続きつながり人口の拡充を図るため、トライアル期間や支援条件の緩和など、制度の見直しを図ってまいります。また、本事業は定着率が高いことから、ICTを中心としたクリエーティブ人材だけでなく、ほかの分野の人材の定着についても同様の手法を活用できないか研究をしてまいります。  以上でございます。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)本日の今井敦議員の質問でも御指摘がありましたが、関係人口における関係は、地方への関心という意識と関与という行動の両者に及ぶものと考えます。単に人口という量的な側面ではない、地方やふるさとに思いを寄せる地域外人材との継続的、複層的なネットワーク形成の役割が、今、改めて自治体に求められていると考えます。  人口の減少は、現在避けることのできないトレンドの中で、地域とかかわる人である人材の増加は、地域にとって新しい力になる存在であると考えます。多くの調査で実証されている移住への願望のみならず、地方への憧れ、ローカルイノベーションへの社会的価値を持つ皆様の潮流を多様なチャンネルでつなげていく創意工夫が今求められていることを指摘させていただきまして、次に移ります。  母子保健の推進についてです。  信州創生戦略の政策評価報告書によりますと、理想の子供の数が持てない理由として、育児の心理的負担等を上げた方の割合、すなわち、これ以上育児の心理的、肉体的不安に耐えられないからと回答した方は、昨年、16.2%となり、前年と比較し3.3%増加、目安値の11.7%と乖離している状況があります。  妊娠、出産は、女性にとって、体の変化と同様に心にもさまざまな影響が出る時期ですが、核家族化の進展や晩婚化に伴う晩産化、地域関係の希薄化等の中で、出産を大きな不安を抱えながらお迎えになる方が増加しているものと考えます。このような状況の中、市町村の母子保健に対する県の支援策等について、順次健康福祉部長にお伺いをしてまいります。  県では、平成28年度から2年間、産後ケアアドバイザー派遣事業を実施されました、県全域における妊娠、出産から子育てまで切れ目のない支援体制の構築を目指す中で、市町村が効果的な産後ケア事業の構築が行えるよう、専門性を有する助産師をアドバイザーに、個別ケアやデイサービスなどの取り組みをいただきました。本年度より本事業は終了されましたが、本事業の成果をどのように総括されているのかお伺いいたします。  また、2年間において、本事業の活用市町村は11市町村にとどまりました。産後ケア事業の重要性や意義を市町村と共有することもその目的にありますが、取り組みの成果の市町村との共有についてはどのように認識をされているのかお伺いいたします。  次に、妊娠、出産に関するフォロー体制には、孤立化防止や虐待の予防等さまざまな課題が多様化、高度化する中で、切れ目のない包括的な支援が必要とされています。本年度より策定されました本県の子ども・若者支援総合計画におきましても、包括支援機能の向上について、母子保健法でも法定化された市町村における子育て世代包括支援センターが位置づけられています。本県における子育て世代包括支援センターの設置状況とともに、同センターでの産後ケア事業の実施状況はどのように理解したらよいのかお答えください。  そして、設置に至らない自治体の課題はどのように認識をされているでしょうか。今後、こうした課題をフォローしていくことが県に求められると考えます。各自治体の設置に向けた県の支援方針とともに、母子保健サービスの均一化に向けた県の運営支援についてもお考えをお伺いをいたします。  産後ケアでは、育児への安心感の提供とあわせ、産後鬱等ハイリスクに至る前の早期発見、早期対応が大変重要です。まず、本県における産後鬱の実態についてはどのように捉えているのかお伺いいたします。  また、県では、全市町村において、産後鬱スクリーニングの活用を目標に取り組まれ、平成28年度末で約8割の市町村において実施されるようにはなりました。実施をちゅうちょされていた自治体には、技術的な不安を抱えているといった課題もありましたが、こうした課題を克服される状況に至っているのでしょうか。県の認識とともに今後の対応策についてもお伺いいたします。  国の施策においては、産後鬱の早期発見のため、昨年度、出産後の健診費用への助成制度がスタートしています。産後鬱の発見にも有効活用が期待されますが、制度の活用状況についてはどのように把握し、また、今後県は制度活用促進に向けどのような役割を果たそうとするお考えなのかお伺いいたします。  最後に、県民文化部長にお伺いをいたします。  平成28年11月定例会において、私は、乳児の虐待死の実態と関連し、望まない妊娠に悩む女性への支援について質問させていただきました。誰にも明かせないまま悩みを抱える女性の潜在性に迫り、いかに支援を届けるか、また、困窮等の生活状況など複雑に絡む課題に対しても向き合うことが求められます。  県では、予期せぬ妊娠に悩む妊婦等への支援が本年度から事業化されていますが、どのような体制で市町村や医療機関、社会資源等との連携を生み出し、妊娠期から出産後まで継続的な支援を構築していくのか、お伺いいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)母子保健の推進についてのお尋ねに順次お答えをさせていただきます。  産後ケアアドバイザー派遣事業の成果等についてであります。  県では、母子保健に関する人材育成等の課題を抱えた市町村への支援策として、産後ケアアドバイザー派遣事業を平成28年度から2年間実施したところです。11市町村から要望があり、助産師会会員を中心とした登録助産師が産後ケアアドバイザーとして延べ75回の助言を行いました。助言を受けた市町村からは、母乳に関する相談への対応方法がわかった、母親の不安が一番強い時期の支援の重要性を理解できた等の声が寄せられたところであり、事業の実施状況や成果について市町村母子保健担当者会議等により情報共有を図ったところであります。今後は、母子保健推進センターにおいて引き続き助産師会の御協力をいただきながら市町村の産後ケア事業を支援してまいります。  子育て世代包括支援センターについてのお尋ねであります。  子育て世代包括支援センターは、妊産婦や乳幼児の状況把握及び相談対応を、関係機関と連携して切れ目なく支援することを目的としており、平成29年4月現在、22市町村で設置され、17市町村で補助事業等を活用して産後ケア事業を実施しております。  一方で、人員等の補助要件等を満たしていないものの、子育て世代包括支援センターと同等の機能、体制を有する市町村もあると認識をしております。  県では、未設置市町村においても住民に必要な母子保健サービスが届けられるよう、それぞれの実情を踏まえ、個別の保健事業に関する助言や設置市町村との情報交換会を開催するなど、市町村の取り組みを支援してまいります。  次に、本県の産後鬱の状況についてのお尋ねであります。  厚生労働省によると、産後鬱スクリーニングを受けた産後間もない母親のうち、産後鬱病の疑いがある方は約1割とされており、長野県でも同様の状況であると認識をしております。市町村における産後鬱のスクリーニングは新生児訪問時に行われており、平成28年度末現在59市町村で実施をされております。取り組みの推進に当たっては、市町村保健師等のスキルアップが重要であるため、産後鬱スクリーニングに関する研修を昨年度計9回実施したところであります。引き続き全ての市町村においてスクリーニングが導入されるよう、市町村の支援を行ってまいります。  続きまして、産婦健診事業の実施状況と県の市町村支援についてのお尋ねであります。  平成29年度から産後鬱の予防と新生児の虐待予防等を目的とした市町村の産婦健診事業に関する国の補助制度が創設され、本県では1町が利用したところです。出産後の健診では、産後間もない母親が居住する市町村の枠を超えて医療機関を受診することから、各市町村における事業の円滑な導入に向け、県内統一の仕組みで請求、支払い業務等が実施できるよう、県では国民健康保険団体連合会や医療関係団体等との調整を行い、ことし10月から運用が開始されることとなっております。さらに、産後鬱が疑われる方に対する産科や精神科の医療機関、市町村等が連携したサポート体制が重要となることから、保健福祉事務所が開催する母子保健推進会議等において関係者間の情報共有や連携方法を検討するなど、事業の実施に向けた取り組みを進めております。  以上であります。       〔県民文化部長角田道夫君登壇〕 ◎県民文化部長(角田道夫 君)予期せぬ妊娠に悩む妊婦等への支援についてのお尋ねでございます。  この課題に対応するため、平成29年2月に長野県新生児里親委託のあり方等検討協議会を設置いたしまして、予期せぬ妊娠に悩む女性への相談等の支援、新生児の里親委託のあり方等について検討を行い、本年3月に取り組み方針を策定いたしました。  この方針に沿っての主な取り組みを申し上げますと、一つには、産科医療機関での妊娠相談や分娩、母子生活支援施設での支援など、妊娠期から出産、子育て期まで必要な支援が受けられる体制を整備すること、二つには、県内の乳児院への24時間体制の専門相談窓口を設置すること、三つ目には、みずから子供を育てることができない場合に里親による養育につなげる支援体制をつくることでして、この3点につきましては、本年度中に実施、実現できるよう、現在関係機関と具体的に検討、調整を進めているところでございます。  このように、妊娠期から出産後に至るまでの包括的な支援の仕組みづくりは全国的にも先導的なものでございまして、この取り組みを通して、医療や保健、福祉等のサービスを切れ目なく受けられるよう、県内の産科医療機関を初め市町村、学校、児童相談所、母子生活支援施設等の関係機関と十分に連携できる体制を構築してまいりたいというふうに考えております。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)県には、県下全域において、偏りなく一貫した切れ目のない母子保健サービスが提供されるよう、市町村や専門機関等との連携を生み出していく役割が求められると考えます。県下全域を見渡しますと、例えば産後ケアセンター機能を有する山梨県などと比較をしますと、まだ、産後ケアにつきましては地域によってその事業実施状況にも濃淡がある状況と感じています。また、産後鬱の早期発見への対応につきましても、例えば、出産後の健診費用の助成制度についてなかなか活用が進んでいない実態もあり、対策も求められています。  産院退院後の悩みや孤立感は次の出生行動にも大きな影響を与え、児童虐待も、乳児期の子供に対するものが多くを占めており、背景には、妊娠期からひとりで悩みを抱えたり、産前産後の心身の不調や家庭環境等の問題も絡んでいると思います。母親の身体的回復と心理的な安定の促進の中で、大変さを乗り越えて母親自身が育児を通じた成長を実感しながら、母子とその家族が健やかな育児ができるような支援の体制構築に社会として向き合っていくことができるよう県の一層の努力をお願いをさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(小林東一郎 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時36分休憩          ──────────────────         午後2時53分開議 ○議長(鈴木清 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  堀内孝人議員。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)自由民主党県議団、堀内孝人です。通告に従って順次質問をします。  初めに、2027年長野国体に向けた選手強化対策について伺います。  県内で開催予定の第82回国体に向け、先ほど堀場議員さんからもありましたが、2023年度、佐賀国体の年から国民スポーツ大会に変更の予定であると発表されました。ちなみに、第83回は群馬県に決定しており、準備が進んでおると聞いております。  対策本部の組織は、知事を本部長に、具体的な事業を検討する強化対策委員会の委員長にはキング・オブ・スキーの荻原健司さんを迎え、スタートしました。対策本部の本年度の事業としては、今後の中長期的な選手育成や指導者養成等の取り組みの指針となる長野県競技力向上基本計画を策定することのほか、ジュニア世代の育成強化にも取り組むこととされております。  大会本番で県民の期待に応え、開催県としてふさわしい成績をおさめるとともに、大会の終了後を見据え、将来にわたり持続、定着できる競技スポーツの振興を図ることを目的に、去る6月6日、長野県競技力向上対策本部が設置されました。  特に、ターゲットエイジとも呼ばれる小学生等を中心とした発掘、育成は、成長段階に応じたきめ細やかな取り組みが必要と考える。本年度からジュニア年代の発掘育成事業をスタートすることが決定し、国体開催時や、その後世界で活躍できるアスリートの育成を目指した育成事業が行われると聞いております。9年後の国体で活躍してくれるジュニアの選手の育成に、国体、五輪選手を育てる意気込みで取り組んでいくことが長野県の選手の好成績につながっていくことを期待しております。  そこで、今回、対策本部で決定されましたジュニア選手の発掘・育成事業の内容についてと、また、今後競技力向上を図る上で県内の大学からの協力支援は大きな力になると考えるが、大学との連携の現状を原山教育長にお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)国体に向けての御質問でございます。  ジュニア選手の発掘・育成事業についてでありますが、2027年の国体を見据えまして、本年度から子供の成長段階に応じたジュニア選手の発掘・育成事業に取り組んでまいります。具体的には、まず9年後の大会で少年の部の主力となる小学校低学年には、運動遊びやスポーツの楽しさを経験してもらう体験教室を実施してまいります。次に、さまざまな技術能力の獲得に最適な時期、いわゆるゴールデンエイジと呼ばれる小学校高学年には、キラキラっ子育成プロジェクトと名づけたジュニアアスリートの発掘・育成事業を行います。この事業は、2回の選考会を経て30名程度を選抜した上で、最先端トレーニングの体験等を通じ、基礎的な運動能力を向上させるなどの育成プログラムを提供していくものでございます。  さらに、他の競技への転向などみずからの可能性に挑む中学生や高校生に対しては、競技人口の少ない種目や競技力が低迷している種目などを含め、個々の適性を見きわめる体験の場もつくってまいりたいと考えております。同時に、ジュニア選手がそれぞれの地域で活動できるための受け皿づくりも関係競技団体と連携しながら進めてまいります。  次に、競技力向上対策に係る県内大学との連携についてでございますが、9年後の国体で開催県としてふさわしい成績をおさめる水準まで競技力を向上させるためには、関係者の力と英知を結集した取り組みが必要でありまして、特に県内大学との連携は不可欠な要素というふうに考えております。このため、新たに設置しました長野県競技力向上対策本部には、委員として関係大学の専門家に参画いただくほか、先ほどのジュニア選手発掘育成事業の中でも、トレーニングや栄養指導プログラムへの協力に加えまして、学生ボランティアや大学施設の活用にも支援をいただきたいというふうに考えております。  さらに、今後は関係大学の運動部とも連携を深めるとともに、大学生から始めても選手として国体に出場し、活躍が期待できる競技の体験会を各大学で実施するなど、大学生アスリートの育成にも相互協力をしてまいりたいというふうに思っております。  この競技力向上の分野での県内大学との連携というのはスタートしたばかりでございますので、今後、大学関係者の意見も伺いながら、さらに連携を強固なものとしまして、競技スポーツを初めとする県内スポーツの振興に努めてまいりたいというふうに考えております。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)次に、2点質問いたします。  最初に、地域振興局の取り組みについて。  旧5カ年計画の地域編の達成状況について、県民への浸透をいかに図るかが課題との声が聞かれますが、地域振興局単位で、計画の具体的取り組みや実践によって県民が力を発揮し、県を高めていける、これがまさに自治と学びの理想的なありようではないでしょうか。  先日、地域行政懇談会において、地域振興局が標榜している目標に沿ってどのくらい成果を達成しているのかの報告も一部お聞きできました。昨年、地域振興局がスタートしてから1年が経過しましたが、その取り組みをどのように評価し、今後の方向性についてどのように考えているか、企画振興部長にお伺いします。  次に、社会保障・税番号(マイナンバー)制度についてお伺いします。  2016年1月より、国民の利便性の向上、行政の効率化、公平、公正な社会の実現の三つを目的として、便利で暮らしやすい社会づくりのために生まれたマイナンバー制度があります。単身赴任等遠隔地在住者へのマイナンバーカード利用のための利便性に自治体により格差があるようだが、移住者、交流人口拡大のために県として可能な限り促進を呼びかけてほしい。  国の発表によりますと、ことし3月時点のマイナンバーカードの普及率は、全国10.7%に対し長野県は8.7%とやや低い状況にある。このことは、マイナンバー制度の利便性が県民に十分に伝わっていないあらわれであると思う。県として住民への周知、啓発はどのように取り組んでいるか、企画振興部長にお伺いします。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)2点、順次お答えをいたします。  まず、地域振興局の評価及び今後の方向性でございます。  この1年間、各地域振興局では、地域戦略会議や局長タウンミーティングなど、地域の皆様と多くの交流、コミュニケーションの機会を設け、その声を積極的に聞いていただきました。また、地域振興局長会議や部局長会議などを通じ、地域と本庁との間での課題や情報の共有に取り組んできました。  その結果、県民の皆様にとっての県政との距離感ですとか、あるいは本庁と現地の間の風通しなどの面でよい方向での変化が出てきているのではないかと感じているところでございます。また、各地域振興局におきまして、しあわせ信州創造プラン2.0の地域計画を主体的に策定したことも具体的な成果の一環であると考えております。
     今後、さらに地域振興局がスピード感を持って主体的、積極的に地域課題の解決に取り組めるよう、その機能や役割の充実に努めるとともに、本庁からもしっかりとサポートしてまいりたいと考えております。  次に、マイナンバーカードの普及、周知についてでございます。  マイナンバーカードの普及率は、全国的に見ますと、大都市圏ほど高い傾向にございます。これは、住民票や印鑑登録証明書など公的証明書のコンビニエンスストアでの取得サービスにつきまして、大都市圏のほうが利用しやすい環境にあるといった理由にあるものと思われます。  県では、マイナンバー通知が開始されました平成27年の10月以降、リーフレットやチラシの配布、ラジオ、県ホームページを通じまして、マイナンバーカードの普及促進を含む制度全般につきまして県民の皆様に周知を行ってまいりました。今後も、国や市町村と連携しながら、マイナンバーカードの具体的な利便性を実感、また御理解いただくとともに、利用機会を拡大していくことを通じまして普及に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)次に、G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合を契機とした環境エネルギー政策の発信についてお伺いいたします。  来年、2019年6月15日、6月16日、軽井沢プリンスホテルにて環境エネルギー分野の所管大臣及び関係機関約50名が参加して開催される予定でございます。このG20関係閣僚会合を契機に、長野県らしい小水力発電を初め自然エネルギーのさらなる普及や利用を加速し、全国をリードする信州の環境エネルギー政策をアピールすべきと考えますが、いかがか。  また、昨年、環境省等との共催で開催いたしました地域再生可能エネルギー国際会議2017の成果を踏まえ、環境部長にお伺いいたします。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)来年6月に軽井沢町でG20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合が開催されますことは、議員御指摘のとおり、先駆的に取り組んできた本県の環境エネルギー政策を国内外に発信するまたとない契機と捉えております。  県では、平成25年2月に、持続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会をつくることを基本目標といたしました長野県環境エネルギー戦略を策定し、小水力発電を初めとする地域主導の自然エネルギーの事業化支援や実効性の高い省エネルギー政策を推進してまいりました。  これらの成果が評価され、本戦略は平成28年に低炭素杯のベスト長期目標賞の大賞を受賞し、本県が環境エネルギー分野で国内のトップランナーの自治体の一つとして認められました。また、地域再生可能エネルギー国際会議2017では、参加された国内外の諸団体とともに、再生可能エネルギー100%地域を目指した新たな取り組みと連携を開始する長野宣言を取りまとめたところでございます。  今後は、G20関係閣僚会合に向けて開催を予定しておりますシンポジウム等において、これらの取り組みや成果を広く発信するとともに、再生可能エネルギーの自給率向上に向けた取り組みをさらに進めてまいります。  以上でございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)次に、2点御質問いたします。  最初に、農福連携について。  いわゆる農福連携については、障害者の雇用拡大、遊休農地の活用、このような点から期待が寄せられ、具体的な取り組みにもつながり、システムが整いつつあります。  ところで、農福連携が一層推進され、持続可能な事業となっていくためにはどのような課題がありますか。農業分野からの視点で農政部長にお聞きします。  また、県では、障害者の農業就労チャレンジ事業により障害者と農家等をつなぐ仕組みをつくってきました。この仕組みを活用して農家等からの作業依頼がふえ、それに伴って、農業に取り組む障害者、就労施設も増加し、新たな就労の場の創出につながっています。農業にはさまざまな作業の種類、工程があることから、障害者にとってその能力や特性に応じた働き方ができるメリットがあると思います。  そこで、健康福祉部長にお聞きします。  福祉の面からは、障害者の働きがいという点からどのような課題が見られるのか。賃金、働き方、人材確保の視点からどのような課題があるのかお伺いいたします。  次に、長野県食育推進計画についてお聞きします。  本年3月策定されました「信州の食でつながる、人づくり・地域づくり 長野県食育推進計画(第3次)」では、若い世代に対する食育を一つの柱に据えているのが読み取れます。先ほど、2027年に本県で開催される予定の国民体育大会に向けた競技力の向上対策についてお伺いいたしましたが、この大会におけるターゲットエイジ、すなわち少年少女種別選手に対する強化策の一環として、信州らしい健康への配慮も徹底した食事の普及を通した体づくりも重要と考えます。また、医科学、栄養学的な見地から、スポーツマン、アスリートのための食事、あるいは企業などの食堂で取り入れられ、健康に配慮したメニューなど、例に倣い積極的な健康増進と食育のため、スポーツ栄養に結びつきを強めるという方法もあろうかと考えます。  本年3月に策定されました第3次長野県食育推進計画では、若い世代に対する食育を一つの柱として、生涯にわたる心身の健康増進と豊かな人間形成を進めるための学びを通じた人づくりに取り組むとしているが、若い世代に対する食育をどのように進めるのか、健康福祉部長にお伺いし、質問を終わりにします。       〔農政部長山本智章登壇〕 ◎農政部長(山本智章 君)農福連携に係る農業の視点からの課題についてお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、障害者の就労を受け入れる農業者は年々増加をしており、受け入れた農業者は、障害者の作業を高く評価し、受け入れを継続する傾向にあります。しかしながら、障害の特性によりどのような作業が適するのか、また、どのように指導すればよいのかなど、農業者側の障害者雇用に対する専門的な知識の不足が課題となっております。  加えて、農業には農繁期と農閑期があり、雇用が必要となる時期が限られるため、年間雇用を望む障害者側の意向に沿えないという課題もあります。農福連携を持続可能な事業としていくためには、現在県で行っております障害者の農業就労チャレンジ事業の中で、農作業等を指導するサポーターの支援が大変重要と認識をしておりまして、今後とも健康福祉部等と連携し、農福連携の取り組みを一層推進してまいります。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)私には2点御質問いただきましたので、順次お答えをさせていただきます。  1点目は、農福連携における福祉の視点からの課題についてであります。  農業就労チャレンジ事業を活用した障害者就労施設では、工賃が増加するとともに、障害者の健康増進につながった、働きがいがあったという感想が寄せられ、健康や働きがいなどさまざまな成果があらわれているところであります。一方で、施設外就労に伴い、施設の支援員及び農作業の指導を行う人材の確保、農家の障害者に対する理解促進等が課題となっております。また、障害者就労施設内で行う農業では、農業技術の向上や農産物の販路拡大等が課題となっております。  こうした状況を踏まえ、農政部等と連携しながら、サポーターの活用の促進や共同販売会の開催など、農業就労チャレンジ事業の充実を目指すとともに、農業技術を指導できる人材確保等について関係機関との協力体制の構築を図ることなど、農福連携の取り組みを一層進めてまいります。  次に、若い世代を対象とした食育の推進についての御質問をいただきました。  第2次長野県食育推進計画では未来を担う子供の食育を進めてまいりましたが、若い世代は、近い将来ひとり暮らしを始めたり、社会人となっていく世代であるにもかかわらず、朝食欠食や野菜摂取不足などの課題が依然として存在しております。そのため、昨年度から食生活改善推進員が高校や企業を訪問して食育の講座を開始するとともに、今年度からは、県内大学と連携して大学生と栄養士等とが交流する学びの場を設け、大学生がみずからの食生活の振り返りを通して健康的な食事を同世代へ発信していくための事業を実施することとしております。  家庭における食文化等は親から子へ引き継がれるため、これから親になる若い世代への食育は、次の世代の子供たちへの食育という観点からも重要と考えておりますので、引き続き積極的に取り組んでまいります。  以上であります。 ○議長(鈴木清 君)次に、清水純子議員。       〔20番清水純子君登壇〕 ◆20番(清水純子 君)先月新潟で起きた小学校2年生の女児殺害事件を受け、政府では、登下校時の子供の安全確保に関する登下校防犯プランを決定いたしました。改めて被害者の方へ御冥福をお祈り申し上げるとともに、二度とこのような事件が起こらないように早急な対策が求められます。プランでは、防犯ボランティアの高齢化や担い手不足により見守り活動に空白地帯が生じていると指摘され、不審者が身を潜めやすい危険な箇所を9月末までに把握するとしております。  4点お聞きいたします。  小学校の通学路の死角場所への緊急総点検について、長野県の今後の取り組みを教育長に伺います。  2点目に、判明した危険箇所は警察が重点的にパトロールするほか、見守り活動の人員配置を効果的に行うことも大事だと思いますが、どのような対応を行うのか、警察本部長に伺います。  また、必要に応じて防犯カメラの整備も必要だと考えますが、教育長に御所見を伺います。  警察が発信する不審者情報の改善にも期待をするところですが、保護者等の防犯対策に役立つ、不審者があらわれた場所をより鮮明に伝えるため、その改善についての対策を警察本部長に伺います。  次に、私たちを取り巻く環境が今後も大きく加速度的に変化する中、県総合5カ年計画が、長野県の将来像を見据え、スタートいたしました。長寿県でもあり、全国トップレベルの健康長寿である長野県において、今後、人生100年時代を想定したあらゆる取り組みに市町村と連携を図り、協働しながら先導的に役割を果たすことが求められます。高齢社会において、多くの高齢者が生き生きと暮らすことが社会全体の活力を維持することにつながり、ひいては介護保険制度の持続性の確保にもつながります。  そこで、団塊の世代が75歳を迎える2025年を目途に、地域包括ケアシステムの構築が市町村を中心に進められております。医療と介護の連携、介護サービス、介護予防、生活支援、そして住まいと地域包括ケア体制の構築が着実に進む中、生活支援、介護予防の体制整備の取り組みは始まっているものの、その効果が上がるまでには至っていないのが現状です。NPOや地域住民等が主体となった体制づくりが課題とされております。  地域包括ケア体制の確立は、日常生活圏域、いわゆる中学校区が想定をされております。しかし、介護予防や生活支援の効果的な展開には、より身近な場所で継続的に活動ができることが求められます。また、拠点を小さく細かくすることで、多くの住民がかかわり、そこから地域住民のリーダーの発掘にもつながると考えます。  人生100年時代を見据え、県民一人一人が学びを通じた健康づくりに主体的に取り組み、地域における自治の力を生かした自主的な活動という観点で捉えると、日常生活圏域での核となる小さな拠点活動の構築が、誰もが住みなれた地域で自分らしく安心して暮らし続けられる社会環境の確立に最も効果的と考えますが、御所見を伺います  上田市では、平成27年度より公民館等を拠点とした住民主体の介護予防事業の構築を進めています。身近な公民館での寄り場づくりとして、また、お茶飲み会やサロンを通し、情報の共有や学びの場として地域の住民が集まっては散る拠点活動づくりも進めております。平成27年度から、今までの市による介護予防の教室開催形式を廃止し、住民主体の身近な場所で継続的に介護予防活動ができる支援へと方向転換いたしました。  その支援事業は3年を経過しましたが、ふえ続けてきた要介護、要支援の認定者数、これは事業をスタートした平成27年度以降初めて減少に転じています。特に、要支援の認定者の減少は著しく、身近な小さな単位での介護予防活動の効果を示しております。この効果からも、全国トップレベルの健康長寿、長野県の要因の一つでもある全国一の公民館の多さを活用し、地域住民が主体となった小さな拠点づくりを信州版地域包括ケア体制の目指す姿として示すべきだと考えますが、御所見を伺います。  時代の変化に伴う多様な価値観を持つ人々が集まり、新しい社会的価値をつくる場としての公民館の活用は、地域包括の構築の観点からも信州の強みを最大限に生かした取り組みであると思います。しかし、高齢者が気軽に寄れる公民館という視点で見てみると、入り口の段差や2階にある大広間、足の悪い方が必要な椅子や扇風機のない公民館もいまだあり、ハード面での未整備が課題となっております。  上田市では、公民館を活用した高齢者が主体的に健康づくりに取り組むための環境整備として、公民館の椅子やテーブル、そしてテレビや扇風機と上限20万円の補助制度を創設し、人が集まる環境整備を行っております。実効性のある地域包括ケア体制の確立や地域の支え合いの体制づくりと自治の力を十分に発揮できる公民館の環境整備について県のかかわりをお聞きいたします。  公明党では、今、子育て、介護、中小企業、防災・減災をテーマに、4月からの3カ月間、100万人訪問調査運動を全国で展開しております。地域の1軒1軒を訪問し、現場のニーズを酌み取り、そして、その後、集約した調査結果を政策づくりに活用いたします。現在、調査実行中ではありますが、介護にかかわる調査を進める中で、特に地域包括ケアシステムの認知度が非常に低いことがわかります。地域包括ケア体制の効果的な構築には、地域住民等の積極的な参加がなくては成り立たないことから一層の周知に努めるべきと考えますが、県としてどのように捉えているのか、その対策も伺います。  以上4点を健康福祉部長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)通学路の死角場所への緊急総点検についてのお尋ねでございます。  県教育委員会では、通学路の安全確保について、ボランティアによる登下校時の見守り活動でありますとか、児童生徒、保護者等との危険箇所点検など、地域全体で見守る体制の整備を推進してきたところであります。  今回の事件を受けまして、国では、6月22日の関係閣僚会議において、登下校時の総合的な防犯対策を強化する登下校防犯プランを決定したところでございます。県教育委員会としては、本プランによる通学路の緊急合同点検につきましては、学校、警察、市町村等地域の見守りにかかわる関係者が連携して、県内全ての通学路の危険箇所等の点検を本年9月末までに実施できるようにしてまいりたいというふうに考えております。  防犯カメラの整備についてのお尋ねでございます。  通学路の危険箇所に防犯カメラを整備することは、子供たちの安全確保の一つとして重要な方策であるというふうに考えております。国の登下校防犯プランにおきましても、危険箇所における防犯カメラの整備に関する支援が示されたところであります。県教育委員会としては、防犯カメラの整備に関する国の支援を含めた全体的なスキームが必要であるというふうに考えておりますので、まずは国の動向を注視してまいりたいというふうに思っております。       〔警察本部長内藤浩文君登壇〕 ◎警察本部長(内藤浩文 君)最初に、今後行われる通学路の緊急合同点検により把握された危険箇所における効果的な見守り活動に関する質問についてでございますが、県警察では、これまで、子供の被害防止のための施策として、通学路における子供対象の犯罪や声かけ、つきまとい等の前兆事案について、警戒・警らの強化、よう撃捜査等の実施、これらの事案の発生日時、発生地域等の概要及び防犯対策に役立つ情報について、ライポくん安心メール、ヤフー防災速報による情報提供のほか、教育委員会や学校等に対する電話等による情報提供、警察等が委嘱している「こどもを守る安心の家」による不審者の早期発見、通報、緊急時における子供の一時的な保護等、通学路等における学校、PTA、自治会、防犯ボランティア団体、事業者等との連携による見守り活動などの諸対策を推進しているところであります。  登下校防犯プランでは、緊急合同点検により把握された危険箇所について、警察官の警戒パトロールを重点的に実施するとともに、防犯ボランティア団体等の地域住民による見守りについても、危険箇所へ重点的な配置にシフトすることにより、その効率的、効果的な実施を図ることなどが示されております。  県警察におきましては、これまでの施策を継続するとともに、今後、警察庁から示される登下校防犯プランに係る推進要領等も踏まえ、関係機関と連携しつつ、適切に対処してまいります。  次に、不審者情報の発信の改善についての御質問でございますが、県警察では、現在、不審者にかかわる事案の発生日時、発生地域等の概要及び防犯対策に役立つ情報について、ライポくん安心メール、ヤフー防災速報による情報提供のほか、教育委員会や学校等に対する電話等による情報提供を行っているところであります。  登下校防犯プランでは、プライバシーに配慮しつつ、発生場所、被害態様に関し、見守りの配置、ルートの変更等に直接役立つようなより粒度の高い情報、保護者等がとり得る防犯対策、検挙情報等、受信者側の対応に資する情報についてもあわせて発信、提供することが求められております。県警察では、登下校防犯プラン及び警察庁から示される推進要領を踏まえた上で、適切な不審者情報の発信を行ってまいりたいと考えております。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)長野県の強みを生かした高齢期の生き方、暮らし方と地域の活力の向上について、私には4点御質問をいただきましたので、順次お答えさせていただきます。  まず初めに、小さな活動拠点の構築の考え方についてであります。  高齢者一人一人が生き生きと暮らし続けるために、生涯を通じて社会参加できる環境を整えていくことが重要であると考えております。高齢者が社会参加できる健康づくりや、介護予防、趣味活動、ボランティア等の拠点となる場については、歩いて通える場所に構築していくことが理想的、効果的であると認識をしております。  次に、地域包括ケア体制における公民館の活用についてであります。  地域包括ケア体制の構築に当たっては、既存の資源を有効に活用するとともに、地域住民が主体となる取り組みの推進が重要であり、本県の公民館活動は住民の社会参加の促進に大きな役割を果たしていると認識しております。  昨年度策定した第7期長野県高齢者プランでは、2016年度に1,555カ所であった住民運営による通いの場を、公民館も活用しながら、2020年度までに2,000カ所以上とすることを目標としており、市町村と連携して取り組んでまいります。  公民館を活用した介護予防拠点施設の整備につきましては、既存の公民館等を活用して介護予防事業を行う拠点の整備に対して、地域医療介護総合確保基金事業により支援を行っております。昨年度の基金の交付実績は、4町村、12施設で1億200万円、今年度は、4町村、10施設で8,500万円の交付を予定しております。今後とも、市町村の要望を踏まえ、必要な施設の整備を支援してまいります。  続きまして、地域包括ケア体制の構築に係る住民への周知についてのお尋ねがございました。  地域包括ケア体制の構築には地域での支え合いの推進が肝要であり、地域住民等の積極的な参加が必要であることは議員御指摘のとおりであります。県としては、人生二毛作社会推進事業や生活支援コーディネーターの養成等、地域包括ケア体制への住民参加を促すための取り組みを実施しているほか、地域包括ケア体制の構築状況について、本年4月から住民向けに公表を開始したところであります。今後とも地域包括ケア体制の構築の主体である市町村と連携して地域住民等の参加を促していく所存であります。  以上であります。       〔20番清水純子君登壇〕 ◆20番(清水純子 君)御答弁いただきました。  登下校の防犯プランには、各地の先駆的な取り組みを紹介するためのポータルサイトの新設も掲げられております。見守りの空白をどのように減らしていくのか、今後は担い手の裾野を広げるということが求められておりますし、また、地域でのウオーキングや買い物、また、犬の散歩のような日常生活の中でのながら見守り、これを地域全体で子供たちの安全を守っていくためにもっともっと広げていきたい、広げていかなくてはいけないというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  次に、学びの県づくりに不可欠な生涯にわたる学びの礎でもある幼児教育についてお聞きをいたします。  学び続ける信州人、その基盤である幼児教育の充実に資すると考えられる豊かな自然環境を生かした体験活動を積極的に取り入れる信州やまほいく認定制度、これがスタートして3年が過ぎました。現在の認定数は、27の市町村で152園と着実に広がっております。人生100年時代と言われる一方で、今後20年以内に50%近くの仕事がAI化されると言われるこれからの時代においては、創造性、主体性、また、みずから考え、問題を解決する力などの能力がますます求められ、人生の根っこである幼児期から生きる力を育む教育の重要性がますます高まっております。  初めに、長野県が目指すべき幼児教育の基盤として、子供の幼児期には何が最も重視されるべきと考えるか、お聞きをいたします。  また、来年度4月設置予定の信州幼児教育支援センター、仮称でありますけれども、この目的と想定される機能についてお聞きいたします。  学びの県づくりは、教育県から学習県への転換が大きな柱であると認識をしております。長野県の教育振興基本計画においても、生きる力と創造性を育む信州ならではの学びの実践に向け、幼児期からの成長段階に応じた縦のつながりの視点を重視しております。県教育委員会では、幼児期における学びと初等教育との連携を具体的にどのように実現しようと考えているのかお聞きをいたします。  幼児期の教育は、豊かな体験を尊重した多様な学びと、そして自己肯定感を育む教育であるべきと私は思っております。しかし、子供たちの自己肯定感は、小学校、中学、高校と学齢が上がるにつれ大きく低下する傾向が見られ、その結果、ニートやひきこもり等の社会的自立が困難な若者を生み出す一因にもなっていると考えます。  子供の主体的な体験を重視する信州やまほいくを通して広がりつつある「子どもがまんなか」を意識した子供の多様性を尊重する教育理念が、就学後も学習者本位の学びとして保障されることが重要です。さらに、自己肯定感を高められる学校教育のあり方と役割が不可欠と考えますが、御所見を伺います。  幼児教育と小学校教育との接続の強化が重要であることは、既に教育委員会でも議論をされているところですが、そのためには、幼稚園や保育園等と小学校の教員が幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を確実にお互いに共有することが必要であると考えます。そこで、保育・幼児教育施設と小学校の教員の人事交流や双方の教員がともに研修をするなどの交流の場を継続的につくることを提案いたしますが、御所見をお伺いいたします。  以上4点を教育長に伺います。  最後に、知事に伺います。  知事が中心となって4月に立ち上げた森と自然の育ちと学びネットワークには、現時点で県内47もの市町村が参加表明したそうでありますが、知事もおっしゃっているとおり、長野県には、子供を中心に据えた教育と、それを支える県民の教育尊重の気風があると私も思っております。  知事は、変化の激しい困難な時代においては、学びは、答えに導く教育から、子供たちがみずから問いを立て、答えを見出せる教育への転換をしていかなくてはならないともおっしゃっております。成長を支える人生の根っこをつくるための豊かな土壌となるべき信州の幼児教育の重要性について御所見を伺います  そして、小学校から高校に至るまで一貫して学習者本位の教育の周知を徹底することこそ県が掲げる学習県への転換を実現するための基本軸であると考えますが、知事の覚悟をお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)幼児教育についてのお尋ねでございます。  まず、幼児期に最も重視されるべきものは何か、そして、幼児教育支援センターの目的と機能についてのお尋ねであります。  生涯にわたる人格形成の基礎となる探求心、表現力、自己調整能力等のいわゆる非認知的能力、これを育むことが子供の幼児期に最も重視されるべきものであるというふうに考えております。そして、そうした能力は、自発的な活動としての遊びや体験活動を通じて育まれるものであり、この観点に立って幼児教育の質の向上を図っていくことが重要であると思っておりますが、その推進の中心的役割を担うことを目的として幼児教育支援センター(仮称)の設置を目指しているところでございます。
     想定される機能としては、行政組織、大学、関係団体等との連携の推進、幼稚園、保育所、認定こども園などの垣根を越えて専門性を高め合える研修の企画運営、子供の発達と学びの連続性を保障する幼保小の円滑な接続、そして、県立大を初め養成機関と連携した質の高い幼児教育のあり方の研究などを考えているところでございます。  次に、幼児期の教育と初等教育との連携について、そして、御提案ありました幼児保育、幼児教育施設と小学校の教員の人事交流や双方の教員がともに研修するなどの交流の場を継続的につくるといった御提案についてのお尋ねでございます。  幼稚園、保育所と小学校というように学校種は区分されておりますが、子供にとってみれば、幼児期と児童期は連続しているわけでありますので、連続性、一貫性を持った教育を実現することが重要だというふうに思っております。  教員の養成課程の違いによりまして、保育士、幼稚園教諭と小学校教諭の子供の捉え方にはかなり大きな差、違いがあります。そこで、両者が互いの教育について理解を深める機会を持つことが大変重要だというふうに思っております。そういう意味で、議員から御提案いただきました保育・幼児教育施設と小学校の教員の人事交流や双方の教員がともに研修するなどの交流の場を継続的につくることは大変有効な施策であるというふうに思っております。  そうした幼保小接続の充実のために、交流や研修の方策や小学校のスタートカリキュラムの内容等につきまして、現在やっております幼児教育あり方検討会で検討いただいた上で、設置を検討する幼児教育支援センター(仮称)の中で取り組んでまいりたいというふうに思っております。  学習者本位の学びの保障と自己肯定感を高める学校教育のあり方についてであります。  幼児教育関係者からこんな話を伺ったことがあります。小学校に入った途端に、幼稚園までの育ちをなかったことにして、手はお膝、お口にチャックという規律訓練を始めるところがあると。実にもったいないことをしているというお話であります。このお話をお聞きして、幼稚園あるいは保育所までの豊かな体験の中で育まれた、みずから考え、取り組んでいく力を小学校が受けとめ、大切に育てていくことが子供主体の教育、自己肯定感を高める上で重要であるというふうに改めて認識したところであります。  小学校から教科学習が始まるわけですけれども、そういった場面においても、一斉一律ではなくて、子供一人一人の多様な発想や捉え方を生かした豊かな学びを実現していくことが重要であり、このような前提に立って、幼稚園あるいは保育所から小学校へと連続性のある学びを実現することが学校教育の役割であるというふうに認識しているところでございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、幼児教育の重要性と、そして学習県、学習者本位の教育への転換をしっかり実現すべきだという御質問をいただきました。  まず、幼児教育の重要性でありますが、これは清水議員の御質問の中にもるる触れられておりましたけれども、やはり幼児期にしっかりと主体性や創造性、そして自己肯定感を育む基礎を築いていくということが大変重要だというふうに考えておりますし、また、いわゆる非認知的スキルを育んでいく上でも、この幼児期は重要だというふうに思っております。  長野県は、信州やまほいくということで、長野県の特色を生かした自然保育に取り組んでいるわけでありますけれども、こうした幼児教育の重要性ということも認識しながら、自然教育、自然保育の動きをさらに幼児期以外にも拡大すると同時に、長野県発の自然保育の認定制度でありますから、全国にも広げていきたいというふうに思っております。  と同時に、幼児教育支援センターの設置についても検討しているところでありますので、この幼児教育の重要性というものを多くの皆さんに共有していただいて、長野県からこの幼児教育をしっかり充実させていく、こうした取り組みに力を入れていきたいというふうに思っております。  学習者本位の教育という観点でございますが、長野県の新しい総合計画、しあわせ信州創造プラン2.0の中でも「学びの県づくり」ということを掲げているわけであります。私の思いとすれば、あえて教育ではなくて学びという形で使っているわけでありますが、教育はどうしても教える側が主語になりますが、学びは学ぶ側が主語になります。そういう意味で、子供たちの教育においても、やはり子供たちが主体となる、まさに学習者本位の教育ということを貫徹していくということが重要だというふうに思っております。  そのためには、やはり一方的に教え込むのではなくて、一人一人の子供がみずから学ぶ意欲を持ってもらうような、いろんなことに関心を持ってもらうようなことが重要だというふうに思いますし、また、テクノロジーも大分進んできましたので、画一的な教育ではなくて、その子の一人一人の能力に合った、適合した教育を実現していくということも重要だと思います。  国も、文部科学省であったり、経済産業省であったり、こうした教育にかなり目を向けていただいているようになっていますので、国の協力も得ながら、そして市町村や教育委員会ともしっかり連携をしながら教育県から学びの県へとしっかり転換をしていきたいと、学習者本位の教育ということをしっかり念頭に置きながら、自他ともに認めていただける学びの県づくりのために邁進をしていきたいというふうに思っています。  以上です。       〔20番清水純子君登壇〕 ◆20番(清水純子 君)幼児教育について御丁寧な御答弁をいただきました。思いも聞かせていただきました。  非認知的教育、人生の根っこである幼児教育、ここに長野県が学びの県づくりとしてしっかりと力を入れていくということ、大変高く評価をさせていただきますし、幼稚園、保育園から就学の接続のところでしっかりとこの理念が共有される、ここが一番難しいのかなというふうに思って質問させていただきました。  学校教育の現場の中で、教員がしっかりとこの意識改革をされない限り理想で終わってしまうと私は思っております。変化の厳しい予測のつかない困難な時代、これを生き抜くための人間教育というのは、理想の枠に教員が生徒をはめる、こんな教育ではいけない。そして、指示待ちの大人をつくる、そんな教育でもいけないと心から思っているわけでありますけれども、多様な存在を尊重した教育の実現、学びの主人公はあくまでも子供である、そして学習者である、そんな思いをしっかりといま一度訴えさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(鈴木清 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(鈴木清 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明28日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時50分延会...