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平成30年 2月定例会本会議-02月28日-06号

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  1. 長野県議会 2018-02-28
    平成30年 2月定例会本会議-02月28日-06号


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    平成30年 2月定例会本会議-02月28日-06号平成30年 2月定例会本会議 平成30年2月28日(水曜日)  出席議員(56名)   1 番 花岡賢一      28 番 備前光正   2 番 今井愛郎      29 番 吉川彰一   3 番 寺沢功希      30 番 小池久長   4 番 山口典久      32 番 諏訪光昭   5 番 百瀬智之      33 番 髙橋岑俊   6 番 小山仁志      34 番 今井 敦   7 番 小川修一      35 番 丸山栄一   8 番 丸山大輔      36 番 竹内久幸   9 番 酒井 茂      37 番 小林伸陽   10 番 荒井武志      38 番 高村京子   11 番 堀場秀孝      39 番 今井正子   12 番 依田明善      40 番 村上 淳   13 番 石和 大      41 番 小池 清   14 番 埋橋茂人      42 番 宮本衡司   15 番 両角友成      43 番 清沢英男   16 番 藤岡義英      44 番 垣内基良   17 番 髙島陽子      45 番 鈴木 清
      18 番 浜 章吉      46 番 西沢正隆   19 番 中川宏昌      47 番 風間辰一   20 番 清水純子      48 番 佐々木祥二   21 番 堀内孝人      49 番 向山公人   22 番 小島康晴      50 番 高橋 宏   23 番 小林東一郎     51 番 宮澤敏文   24 番 下沢順一郎     52 番 平野成基   25 番 山岸喜昭      53 番 本郷一彦   27 番 和田明子      54 番 村石正郎   55 番 萩原 清      57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      山﨑 明   副知事       太田 寛    建設部長      油井 均   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     池田秀幸    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       清水 深   総務部長      小林 透    公営企業管理者   短期大学事務局           企業局長事務取扱  小林利弘   長兼県立大学設   玉井裕司    財政課長      岡地俊季   立担当部長             教育長       原山隆一   県民文化部長    青木 弘    教育次長      角田道夫   健康福祉部長    山本英紀    教育次長      菅沼 尚   環境部長      関昇一郎    警察本部長     内藤浩文   産業政策監兼産           警務部長      横田直幸   業労働部長     土屋智則    監査委員      田口敏子   観光部長      熊谷 晃   農政部長      北原富裕         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課担当係長   鈴木晋一   議事課長      村松敏伸    議事課主査     山崎紀子   企画幹兼議事課           総務課担当係長   小澤利彦   課長補佐      小松健一         ───────────────────  平成30年2月28日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(垣内基良 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(垣内基良 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、小山仁志議員。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)おはようございます。まず、ファシリティマネジメントについて質問いたします。  戦後、高度成長期に集中的に整備された学校や庁舎等公共施設の老朽化に対し、人口減少による利用需要の低下や、厳しい財政状況に伴う更新投資費用の不足につきましては、全国的に課題として提起されています。  本県では、平成23年にファシリティマネジメント基本方針が策定されました。また、国は、平成26年に全ての地方自治体において公共施設等総合管理計画を策定するよう要請、その位置づけとして、従来の基本方針の見直しを行い、平成29年3月に長野県ファシリティマネジメント基本計画が策定されています。平成27年度末、本県の公共建築物の延べ床面積は約366万平方メートルとなっており、平成22年度末と比較し、約3万平方メートルほど増加しています。県有財産の総量縮小、長寿命化を柱とした平成23年策定の基本方針の取り組みや進捗状況をどのように評価、検証、総括をされた上での現在のファシリティマネジメント基本計画なのか。そして、各施策や政策を積み上げ、拡充の方向性がある総合5カ年計画にはどのように反映し、連動を図るのか。ファシリティマネジメント推進会議議長の太田副知事にお伺いいたします。  集中的に整備された公共施設の一斉に迎える老朽化に対し、同時多発的な更新には財源が不足しますことから、経営的な視点でのファシリティマネジメントの全庁的な共通認識の醸成とともに、縦割りによる各部局の利益誘導型の思考からの脱却が求められます。ファシリティマネジメント計画の実践につきましては、しっかりと権限を持った組織体制の充実が欠かせません。現状の組織体制について十分機能しているのか、御認識と課題をお伺いいたしますとともに、部局ごとに予算要求を行い、査定を受けていく財政との連動はしっかりと図られているのかについて総務部長にお伺いいたします。  本県におきましては、大型施設の更新需要が高まる時代を迎え、各施設の状況や延べ床面積、また財政状況は、大きな変化も想定していかなければなりません。走りながら決断し、評価し、修正、実行することが自治体のファシリティマネジメントの手法になりますことから、10年という計画期間がやや長いのではないかと信頼性に懸念を持ちますが、ファシリティマネジメントの進捗状況も把握していくフォローアップの体制をどのように構築するのか。また、計画の見直し等についての考え方も総務部長にお伺いいたします。  ファシリティマネジメントの計画を実践に移す上で重要なのは、各施設の現状について、利用実態や維持管理コスト、資産の状況を捉える施設アセスメントを明確化した上で、各施設のあり方そのものについて考えながら維持管理費の最適化やさらなる削減についての統一的なベンチマークの確立が求められます。本県のファシリティマネジメント基本計画では、各施設のアセスメント維持管理費等の現状についてやや不明瞭に感じますが、どのように理解したらよいのか、総務部長にお伺いいたします。  維持管理費の削減について、合理的で即効的な財源確保を生むのが委託業務等の包括的・一括発注による管理業務です。各施設管理を担当する複数部局ごとの予算計上による事務コストや仕様書の差による設備管理のばらつき等の課題を解決していくイノベーションになります。現在、県では、駐車場の管理や電気需給契約等の一括契約に取り組まれていますが、さらに前進させていくことが求められると考えます。維持管理費削減のための包括的・一括契約の状況、成果とともに、今後どのようにこうした取り組みを広めていくのか、総務部長にお伺いいたします。  ファシリティマネジメントは、公共施設を経営資源として捉え、経営的な視点で利活用を推進する民間の発想からスタートしています。総量縮減の一方で、収益を生み出す財源確保の資源として活用していく視点も欠かせません。地方自治法の行政財産の貸付制度を利用した民間への貸し付け等、公民連携による財源確保の現状とともに、今後の方針について県のお考えを総務部長にお伺いいたします。  県有施設の公共建築物において最も大きなボリュームを占めるのが高等学校を中心とした学校になります。築30年以上を経過している施設は61.8%、今後10年以内に築30年以上になる施設を加えると85%になります。これまでは、耐震対策を最優先に施設整備を行ってきたため、施設設備の老朽化が顕著になってきています。  こうした状況を反映してか、異口同音に多くの高等学校関係の皆様からお聞きするのは、トイレの老朽化に伴う劣悪な環境についてです。また、整備に手間がかかり、財源不足などから、公立高校の洋式化は全国的におくれていることが指摘をされています。そこでお伺いいたしますが、本県高等学校のトイレの現状について、県の認識とともに、洋式化の状況についてはどのように理解したらよいのか、教育長にお伺いいたします。  迫りくる老朽化に対する更新投資費用の低減には、ライフサイクルコストの平準化の必要性が掲げられる一方で、集中的な財政需要が高等学校のトイレに生じています。耐震化対策の優先や厳しい財政事情があるとはいえ、なぜこういった実態を招いているのか。原因を総括した上で将来も見据えた観点が重要と考えますが、原因についてはどのように認識されているのか、教育長にお伺いいたします。  そして、多くの学校から要望が寄せられていますが、どういうプランで改修をしていく、限られた予算の中でこういう優先順位でやっていくという教育委員会の計画的な改修のマネジメント方針を透明化し、情報を届けていく必要があると考えます。また、改修については、喫緊の課題であり、早急な計画的修繕が必要と考えます。  例えば、大阪府においては、1階から最上階までつながる1系統のトイレのみを短期間で効率よく優先的に改修することを通じ、全高校の各階に1カ所ずつ洋式トイレを確保する手法を用い、2019年度末を目標に一気に洋式化を進めています。こうした手法も参考に、目標を定めた早急な計画的改修にアクセルを強く踏み込んでいただくこと、また、その計画の透明化を求めたいと考えますが、教育委員会のお考えを教育長にお伺いいたします。       〔副知事太田寛君登壇〕 ◎副知事(太田寛 君)ファシリティマネジメントにつきまして、まず基本方針の総括等についてお答え申し上げます。  平成23年12月に策定いたしましたファシリティマネジメント基本方針では、県有財産につきまして、総量縮小、有効活用、長寿命化の三つを柱としたところでございます。この基本方針のもと、まず総量縮小につきましては、建物構造や利用状況、維持管理費を分析評価する施設アセスメントを全施設について実施いたしまして、職員宿舎を除く505施設について施設の基本的な方向性を示したところでございます。また、未利用県有地につきまして、平成24年度から現在までに150件、9万7,000平米、17億1,600万円を売却したところでございます。また、市町村と協議の上、勤労者福祉センターなど県有施設の譲渡、移管を行ってきたところでございます。  2番目の有効活用といたしましては、施設の有効活用・転用集約化計画の策定、行政財産の使用許可、使用料の見直しなどを実施してまいりました。一例といたしまして、自動販売機を平成24年度から29年度までに延べ2,296件、収入にいたしまして8億250万円の公募貸し付けを行ったところでございます。  3番目の長寿命化といたしましては、修繕、改修、保守点検の情報の蓄積及び共有化を図るとともに、修繕・改修優先度評価を実施するなど、基本方針を着実に進めてきたところでございます。  さらに、国からの公共施設等総合管理計画策定の要請を受けまして、ファシリティマネジメント基本方針の三つの柱に県有施設の省エネ化などによる維持管理の適正化を加えまして、ファシリティマネジメント基本計画を昨年3月に作成したところでございます。  総合5カ年計画との連携についてでございます。新たな5カ年計画案におきましては、官民施設の有効活用として、経営的視点に基づく県有財産の総合的な管理を図るため、公共施設等の有効活用を図るとともに、適正かつ効率的な維持管理や長寿命化を推進する。また、県民サービスの向上と機能的な業務遂行のための県有施設のあり方を検討するとしております。  これは、ファシリティマネジメント基本計画において掲げます県有財産の総量縮小、有効活用、長寿命化、省エネ化などによる維持管理の適正化を反映したものでございまして、5カ年計画のもとで県有財産の適正管理を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔総務部長小林透君登壇〕 ◎総務部長(小林透 君)ファシリティマネジメントについての御質問に順次お答えを申し上げます。  まず、組織体制についてでございますが、ファシリティマネジメントの推進体制といたしましては、副知事をトップとし、部局長をメンバーとした推進会議を設置し、基本計画の策定見直しや重要案件についてその方向性を定めるとともに、そのもとに、総務部長を取りまとめ役といたしまして、主管課長、関係課長をメンバーとしたプロジェクトチーム会議を設置いたしまして、それぞれ部局横断的な検討をし、全庁的な推進を図っているところでございます。  それらに加えまして、個別課題につきましては、専門的な調査、検討を行うため、例えば職員宿舎ワーキンググループなどのように、所管する課、室が部局をまたがるワーキンググループを設置し、担当者を交えた検討を進めるとともに、県有財産の適正な管理、保全、利活用に取り組むファシリティマネジメント推進員財産管理者ごとに定め、県の組織を挙げてこれらが推進できるよう、機能するようにしているところでございます。  また、財政との連動では、例えば施設の長寿命化を図る修繕・改修工事などにつきまして、緊急性の観点から、部局横並びで優先度による修繕・改修計画のランク分けと同一ランク内での順位づけを行うことによりまして全庁的な順位づけを定めまして、各部局で情報共有をしてございます。部局においては、その全庁的な順位に基づき予算要求をすることにより、財政課の調整を経て予算案に盛り込むということで連動するように取り組んでいるところでございます。  次に、計画の管理、見直しについてでございますが、数多くある県有施設の老朽化対策やその有効利用を図っていくためには、長寿命化のための大規模改修や修繕に多額の財政的支出を要するとともに、移管、譲渡するなどの場合は多くの関係者の調整や受け皿づくりを要することになるため、そうしたことに向けた中長期的な取り組みの方針が必要となるということでございます。そこで、公共施設等総合管理計画の計画期間につきましては、国により示された策定指針におきましても10年以上とされているところでございます。  それとともに、ファシリティマネジメントに関する取り組みを実効性のあるものにしていくためには、取り組みの成果について適切な評価を実施し、客観的に効果を検証することにより、それを新たな改善の取り組みに生かしていくというPDCAサイクルを回していくことも必要と考えております。そのため、推進会議やプロジェクトチーム会議におきまして、毎年度の事業実施内容を検討するとともに、それぞれの事業報告を行うなどにより進捗管理を行ってございます。  今後、計画期間内に予定している第2回の施設アセスメントの実施や中長期修繕改修計画の策定などにおいて、計画期間内であっても必要に応じて計画内容の見直しを行っていきたいと考えております。  次に、施設アセスメントの透明性についてでございます。  施設アセスメントにつきましては、県有施設について、その建物構造、利用状況、維持管理費を分析、評価し、施設の利活用の基本的な方向性、これは維持、機能改善、有効活用、縮小というものを示すものでございます。これにつきましては、24年度から25年度に調査、分析、評価を行いまして、25年度の県のホームページでその結果を公表してございます。  基本計画において、施設アセスメントはおおむね5年ごとに実施することとしており、現在、第2回の施設アセスメントの実施に向け、各施設の利用状況、維持管理費などを調査してございます。議員御指摘のとおり、利用状況や維持管理費の状況につきましては公表してございませんので、今後、施設アセスメントの結果の公表においては、より見える化を図ることといたしまして、それらの状況を含め、公表内容につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。  次に、維持管理費削減のための包括的・一括契約の対応についてでございます。  議員御指摘のとおり、庁舎管理等に係る委託業務等の包括的・一括契約につきましては、維持管理費の削減とともに、事務の効率化の観点や施設管理レベルの平準化からも有効と考えてございます。  現在、包括的契約につきましては、合同庁舎の清掃作業と施設管理業務を一つにまとめた契約などを行っております。それとともに、同一業務の一括契約につきましては、警備を県庁と長野合同庁舎をまとめた契約や複数施設をまとめた電力調達なども行ってございます。また、こうした業務の発注における仕様書の統一につきましては、清掃業務、警備業務、エレベーター保守点検業務等についてひな形を作成し、施設管理者へ周知しているところでございます。  これらに加えまして、県庁、合庁の警備業務、電話交換受け付け業務等におきまして、例えば2年とか3年ですとか複数年にまたがる長期継続契約を導入いたしまして、受託者における安定雇用や業務内容の適正履行に資するようにするとともに、県においても契約事務の軽減等を図っているところでございます。  こうした取り組みによりまして効果が認められた事例につきましては、さまざまな機会を通じ、実施方法や効果などをなるべく具体的にわかりやすく施設管理者に周知することなどにより、包括的・一括契約等をさらに広げてまいりたいと考えております。  次に、財源確保についてでございます。ファシリティマネジメント基本計画に基づき、行政財産などにおいて新たな制度や方策を導入し、県有施設の有効活用を図っているところでございます。現在、使用していない旧職員宿舎の施設について、例えばグループホームとして福祉団体にお貸しするですとか、あるいは産業振興策としてIT人材の県内誘致を図るため、まちなか・おためしラボとして個人あるいは企業に対して貸し付けを行っている例がございます。  さらに、財源確保策といたしましては、先ほど副知事から御答弁を申し上げました有効活用に加えまして、太陽光発電のための屋根貸し、広告用の壁貸し、広告つき庁舎案内板広告つき玄関マットの設置などにも取り組んでいるところでございます。  これらのそれぞれの取り組みはまだ緒についたところでございまして、その効果を評価するのはこれからの課題ではございますが、今後とも、活用できる県有施設につきましては、市町村、NPO法人などと幅広く連携いたしまして、さまざまな活用方法を検討する中で進めてまいりたいと考えているところでございます。  以上であります。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)高校のトイレの洋式化についての御質問でございます。まず、トイレの現状認識と洋式化の状況についてというお尋ねであります。  県立高校の施設の多くは老朽化が進んでおりまして、トイレについては、議員御指摘のとおり、洋式化等生徒や保護者などから多くの要望があるところであります。各家庭においても多くが洋式トイレを利用している状況の中、学校におけるトイレの洋式化は必然のものだというふうに考えております。千葉県が実施した調査によりますと、全国の公立高校の洋式化率は35.5%でありまして、それに対して本県の整備状況は、平成29年5月現在、洋式化率26.6%という状況でございます。  なぜ洋式化が進まなかったかということについてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、耐震対策と第1期高校再編整備計画に係る施設整備に優先的に取り組んできたところであります。28年度から維持補修費の予算をそれまでの3倍に増額して集中的に修繕を行っておりますが、それでも施設設備の老朽化に伴う危険度、緊急度の高い修繕に対応することで手いっぱいという状況の中で、結果としてトイレの洋式化など生活環境の整備については十分な対応ができてこなかったというふうに考えております。
     そこで、今後の計画的な改修等対応についてでございます。今年度は、洋式トイレの不足から、一部洋式トイレに列ができてしまうといった緊急性の高い箇所については補正予算により対応したところであります。新年度予算でも特別に措置したところでありますが、引き続き、来年度以降も、生徒の学校生活に支障が生じないよう緊急性に応じて継続的に整備してまいりますが、抜本的には県のファシリティマネジメント基本計画に基づく中長期修繕・改修計画、そして、高校改革に基づく再編整備計画を2020年度までに策定していくこととしておりますので、この中でトイレにつきましても現代の学校生活にふさわしい内容となるような計画的な整備に取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)地元地域の高等学校の将来像等について話し合う懇談会やグループワーク等においても、まず真っ先に出てくる課題がトイレ設備等の環境改善というのも大変心苦しく感じています。  平成23年、ファシリティマネジメント基本方針の策定について関連した新聞報道において、当時の管財課長の、本当に使えなくなってから初めて対応するのが今までの行政だった。もっと計画的に小まめに修繕をしていれば長期的なコストは安く上がったかもしれないというコメントが残されています。転ばぬ先のつえの意識が実践できていれば、高等学校のトイレも、今、違った状況にあったのではないかと感じています。全庁的に言えることですが、施設の必要な機能を健全に維持していくためのマネジメントに今後さらに知恵を絞っていただくこと、また、その計画について理解を求める情報発信に努めていただくことも強くお願いをいたしまして、次に移ります。  同和問題、人権政策についてです。  一昨年施行されました部落差別解消の推進に関する法律は、部落差別が現在もなお存在していることを明らかにし、部落差別のない社会を実現することを目的に制定されています。本県におきましては、同和問題と外国人問題が特筆する課題であるという長野県人権政策審議会の答申を踏まえ、平成22年2月、長野県人権政策推進基本方針が策定され、施策が講じられています。人間の尊厳を否定する行為、差別による被害を受ける人々の痛みや苦しみ、思い出すだけでつらい悲しみにどのように向き合っていくべきなのかを踏まえ、以下、県民文化部長にお伺いいたします。  平成27年には、長野市において、60代の女性が近所の男性から1年余りにわたって連続差別発言、差別投書を受ける差別事件があり、行政機関に相談したものの解決せず、暴行される事態にまで至っている事象がありました。また、結婚問題などで深刻な差別が依然として解消されていないだけでなく、いざ相談したいときに相談先が見当たらず困ったという深刻な事態など、県の人権啓発センターを初め、各行政機関には相談が届かない差別事象が起こっていることを認識すべきと考えます。  行政の相談体制については、事象とも照らし合わせながら、検証とともに時代の変化に適切に対応した体制を求めていく姿勢が重要です。市町村との連携はもとより、隣保館、NPOなどとの連携や協働を深め、地域振興局の役割の明確化とともに、総合的、専門的な相談支援体制の充実を図るべきと考えます。県は、具体的にこのような体制をどのように確立していくのか、今日までの相談支援体制に対する課題についての認識とあわせてお伺いいたします。  いわゆる特別措置法が終結後、同和問題が人権一般の教育や啓発による対応に埋め込まれ、部落問題の歴史性や社会性を学ぶ学習が大ざっぱとなっていないか懸念をいたします。また、同和行政をめぐる状況の変化の中で、同和問題に関し、行政職員においても正しく理解できていない方が増加しているのではないかということに不安を抱きますが、県はどのように理解推進のために取り組んでいるのかについてもお伺いいたします。  また、同和問題の解決に向けた啓発や教育、施策の展開に当たっては、その実態把握が欠かせません。市町村との連携、関係機関や当事者などとの協議の上、専門家も活用し、心理的な被差別の実態など、時代に即した新たな視点を加味しながら、実態把握を県民意識もあわせ継続していくことが重要と考えますが、県はどのようにこうした対応を考えているのか、お伺いいたします。  本県において、教育面におきましては、長野県同和教育推進協議会が果たしてきた役割が大きく、今後も連携を図り、支援強化をしていくことが重要と考えます。私自身も、同協議会から発刊された「あけぼの」を教材に授業において学ばせていただいたことが現在も生かさせていると感じています。同協議会との教育現場における連携、さらに支援についてはどのように考えているのか。このことは教育長にお伺いをいたします。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)同和問題に関する御質問に順次お答えをさせていただきます。  初めに、相談支援体制に対する課題への認識、さらには相談支援体制の充実についてでございます。  同和問題を初めといたしました人権問題に関する相談につきましては、法務局、県、市町村などの各主体がそれぞれ窓口を設置し、対応に当たっているところでございますが、相互の連携が必ずしも十分でないという課題があるものと考えております。県人権啓発センターの専門性を生かしながら連携をさらに深めていくことが必要であると認識しているところでございます。  こうしたことから、今後、県隣保館連絡協議会などの場を活用いたしまして、隣保館、NPOなど関係機関等と人権啓発センターが連携した相談対応のあり方について検討してまいりたいと考えておりますし、あわせて、市町村におきます人権相談窓口の現状や課題などを把握し、地域振興局も含めた県の市町村支援のあり方について、19市人権同和政策担当課長会議などの場を活用させていただき、市町村の皆さんと一緒になって考えてまいりたいと考えております。  次に、行政職員の同和問題に関する理解推進についてでございます。  県職員につきましては、職員人権研修会を毎年度実施しているところでございます。本年度と昨年度は主査以下の若手職員を、27年度は管理監督者をそれぞれ対象として研修を実施してまいりました。また、市町村における職員研修につきましては、これまでは人権啓発センター職員が講師として赴くなど、県として必要な協力を行ってきたところでございますが、今後は、これに加えまして、県職員の研修会に市町村職員にも参加をいただくなどの工夫をしていきたいと考えているところでございます。このような研修等の充実により、行政を担う職員の理解推進のための取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えております。  続きまして、差別の実態把握についてのお尋ねでございます。  部落差別解消推進法の第6条におきましては、国が地方公共団体の協力を得て部落差別の実態に係る調査を行うことが定められているところでございます。現在、国におきましては、調査の内容、手法等についての検討が進められているものと承知しておりまして、その動向を引き続き注視するとともに、国の調査に協力してまいりたいと考えております。また、県におきましては、県政モニターアンケート調査を活用し、人権に関する意識についての調査を毎年行っておりますが、県民の皆様に身近な差別を自分事として捉えていただきますよう、設問等を工夫しながら継続して調査を実施していきたいと考えているところでございます。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)長野県同和教育推進協議会との連携支援についてのお尋ねでございます。  長野県同和教育推進協議会は、長野県内における同和教育推進のための調査研究、実践をもとに、人権同和教育副読本や視聴覚教材を多数作成しておりまして、人権教育推進のために大変寄与していただいているところでございます。県教育委員会では、小中学校向けの人権同和教育のための副読本「あけぼの」の編さんに参画しているとともに長野県同和教育研究大会を共催しており、今後とも部落差別の解消の推進に関する法律の趣旨を踏まえ、しっかりと連携し、ともに推進してまいりたいというふうに考えております。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)部落差別解消法の目的に「状況の変化」と記されているように、この法律が制定された背景には、ネットなど情報化の普及進展に伴い部落差別がエスカレートし、拡散され、深刻な被害を生み出していることがあります。部落差別の解消に特化した法律が、なぜ、今制定されたのか、そこから考えてみることが、法律の実効性を持たせ、差別解消という目的を達成する出発点であると考えます。  時代の変化とともに姿を変えて私たちに迫ってくる課題でありますし、決して目を背けてはならない課題であるというふうに考えます。県民文化部長からは、実態把握について当事者意識を持ってもらうような工夫を続けていくということがありました。そういった工夫については、ぜひ検証を重ねていっていただきたいというふうに思います。必要な施策や相談がしっかりと届いているかということについては、常に検証を重ねながら、社会として向き合っていく体制構築、そのネットワークづくりに対しまして県が先頭に立って実効性ある対応をしていただくことを強くお願いをさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(垣内基良 君)次に、荒井武志議員。       〔10番荒井武志君登壇〕 ◆10番(荒井武志 君)初めに、河川漁業の振興についてであります。  私は、千曲川の中流域、更埴漁協エリア内に住んでおりまして、堤防道路を通ることがあるわけでありますが、この間、初夏から初秋にかけての風物詩でありましたつけば小屋やアユ小屋が激減、ウグイやハヤ、アユの不漁、カワウの飛来、外来魚被害など、多くのマイナス要因を感じているところでございます。そこで、実情がいかがなものかと更埴漁協、上小漁協を相次いで訪ね、状況調査をさせていただきました。両漁協とも、漁獲量や組合員の減少、遊漁料の落ち込みが続いているとのことです。  そのような中で、上小漁協では、川魚料理店鯉西さんと上田千曲高校生がコラボし、釣りなどで捕らえたコクチバスを食べるキャッチアンドクッキングを考案、生徒たちはバスバーガーなど9品をレシピにするなど取り組んでいると伺いました。  更埴漁協では、本年度、県農政部が新規事業で取り組んでいる釣ーリズム信州推進事業に呼応し、地域発元気づくり支援金を活用する中で、「釣ーリズム信州」千曲市戸倉上山田地域協議会を組織、昨年10月1日から2月15日までの間、戸倉上山田温泉街前の千曲川、大正橋から万葉橋間で冬季ニジマス釣り場を設定し、キャッチアンドリリースにより多くの皆さんが楽しまれたとのことであります。また、小学校高学年生を対象としたルアー教室も好評で、日釣り客が前年の同時期に比べ3倍以上になっていると伺いました。一方で、ゲリラ豪雨等の際に千曲川が二、三日泥水によって茶色く濁ってしまうことがあり、アユの友釣りができないとのお話もあったところであります。  また、ことしの1月17日には、長野県漁業協同組合連合会が水産業振興に関する要望を知事に行ったとも伺いました。その中で、長野県内の河川、湖沼における魚の生息環境の確保が挙げられています。殊に、在来魚種の保護と健全に生息できる水質、水量の保全の推進、ブラックバスやカワウ、サギ、カワアイサ対策予算の拡充などを強く要望しているとのことでありました。  また、信州大学名誉教授で国際鳥類研究所代表理事の中村浩志氏にお話を伺ったところ、外来魚が越冬期をどのように回遊していくのかを探るために、体長40センチほどのコクチバス3尾に発信機を取りつけ坂城大橋上流に放し、生息調査を行っており、大正橋付近まで移動していることを確認しているとのことでありました。  そこで、伺います。  一つに、千曲川におけるアユの漁獲量や水の濁りなど、水質環境を含め、現状をどのように把握しているのかお答えください。  二つに、県では漁協の検査をしているとのことですが、漁協検査の状況とそこから見えてくる漁協の課題をどのように捉えているのでしょうか。  三つに、外来魚、魚食性鳥類による食害の現状と対応策はいかがでしょうか。  四つに、外来魚を食材に活用し、駆除対策をさらに進めるべきと考えますが、支援策をどのようにお考えでしょうか。  五つに、県は河川水産業の振興策の一環として試験研究や技術開発を行っているとのことですが、現状と今後の展望はいかがでしょうか。  六つに、漁場の活性化、河川漁業の振興や観光との連携への方向性についてどのようにお考えでしょうか。  以上、農政部長にお伺いします。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)河川漁業の振興についての6項目の御質問に順次お答えをいたします。  初めに、千曲川の漁獲量などの現状把握についてですが、千曲川のアユ漁獲量は、漁業協同組合の報告によれば、平成17年に108トンあったものが平成28年には9トンと、10年間で1割未満にまで激減しております。これは、死亡率が高く大きな被害となるアユ冷水病の発生やブラックバスやカワウ等の食害による減少とともに、近年、千曲川上流域で短時間に大量の降雨が頻発するなどにより、7月から8月に月10日程度の濁りが発生し、アユの友釣りができないなど、遊漁者数が減少していることが要因と考えられます。さらに、遊漁料収入の減少が放流量の減少につながり、漁獲量を減少させるという悪循環ともなっております。  2点目の漁協検査の状況と課題ですが、県では、毎年、漁協に対し、水産業協同組合法に基づく常例検査を実施しておりますが、遊漁料収入の減少等により、近年、損失決算となる漁協が見られるなど、漁協経営が厳しくなっているとともに、組合員の高齢化と減少により、規模の小さい漁協においては役員体制の維持などが課題となっております。  3点目の外来魚等の食害とその対応策ですが、県内30漁協のうち15漁協の管内で、外来魚であるオオクチバス、コクチバス、ブルーギルなどが確認されております。また、カワウは、ここ数年400羽前後が確認されており、これらの食害が漁獲量の減少の大きな要因の一つとなっております。県では、漁協が実施します外来魚の捕獲や産卵場の破壊などの繁殖抑制対策、カワウなどの猟銃による駆除や花火による追い払いなどの事業に対し補助してきているところでございます。  4点目の外来魚の食材活用への支援ですが、外来魚を単に駆除するのみでなく、食材に活用することは河川漁業が抱える課題や現状を地域の方々や消費者に伝え、理解を得る上で効果的な取り組みと考えております。今後、議員から御紹介のありました高校生とのコラボなど、地域のさまざまな事例を県ホームページ等で紹介するとともに、地域振興局と連携し、外来魚対策としてこうした取り組みを広めてまいりたいと考えております。  5点目の試験研究や技術開発の現状と今後の展望についてですが、現在、水産試験場では、効果的な外来魚駆除技術につなげるため、コクチバスに発信機をつけた生息状況の追跡調査を県内2カ所で行っております。また、イワナ、ヤマメなどマス類の資源管理手法を確立するための禁漁区での資源回復調査や、渓流域での自然産卵を助けるための簡易魚道の開発などに取り組んでおります。今後は、調査結果や開発技術の現場での利活用を進め、河川漁業資源の回復に取り組んでまいりたいと考えております。  最後に、漁場の活性化、河川漁業の振興や観光との連携についてですが、漁場の活性化と河川漁業振興については、基本となる魚病対策の強化、外来魚等の駆除対策等に加えまして、魅力ある渓流漁場づくりのための人工産卵場の造成や漁場のゾーニング管理手法の導入、遊漁者のニーズに対応した釣り場づくりなどに漁協や関係部局と連携して取り組んでまいります。  また、観光との連携では、議員から御説明がございましたが、釣りを観光資源と捉え、市町村や漁協、観光関係者等が連携して誘客を図る釣ーリズム信州の推進を図っており、取り組み初年度の本年度は、更埴漁協と戸倉上山田地域の観光関係者等が連携して実施しております。来年度以降、県下各地でこうした取り組みを拡大し、内水面漁業と観光業の連携により地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔10番荒井武志君登壇〕 ◆10番(荒井武志 君)一方で、水環境の保全対策として、諏訪湖を初めとする県内河川、湖沼の調査研究体制を強化するために諏訪湖環境研究センター(仮称)の設置を検討するとしていますが、河川漁業振興の環境面からという点でどのように考えておられるのか、環境部長にお伺いいたします。  知事には、長野県漁業協同組合連合会から受けられた要望を踏まえ、河川漁業の今後のあり方をどのようにお考えか、御所見をお伺いします。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)諏訪湖環境研究センター(仮称)での河川漁業振興の取り組みについてのお尋ねであります。  県では、毎年度、関係機関とともに、43河川、15湖沼の水質調査を行っておりますが、諏訪湖環境研究センター(仮称)では、魚類の生息や漁業振興の基礎となるこうした水質調査や動植物のモニタリング調査の結果などを一体的に整理、解析し、魚類の生息環境の保全につなげていきたいと考えております。  なお、研究センターでは、現在、水産試験場諏訪支場で行っている業務のうち、諏訪湖の水生植物の分布調査や動物プランクトン調査などの水環境の保全に関する調査研究を行い、水産資源の管理や増殖などの水産振興に関する調査研究は引き続き水産試験場諏訪支場で行うこととし、相互に連携をして取り組んでまいりたいと考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)長野県漁連の要望を踏まえた河川漁業の今後のあり方についてという御質問でございます。  昨年5月、漁業振興計画を策定いたしました。この計画を踏まえまして、水産資源の回復、河川、湖沼の漁場環境の再生、健全な漁協の運営、こうしたことを柱に河川漁業の振興を進めていきたいと考えております。  具体的には、水産資源の回復として、従来の種苗放流に加えまして、人工産卵場の造成などで主要魚種の増殖を図っていきたいと思っておりますし、また、河川、湖沼の漁場環境の再生につきましては、多自然川づくりの推進、あるいはイワナやヤマメなどが遡上、降下できる河川環境づくりを行ってまいります。また、諏訪湖漁業の振興、河川、湖沼の水質の監視などにも取り組んでまいります。  加えまして、健全な漁協の運営という観点で、遊漁料収入をふやす冬季ニジマス釣り場の開設であったり、あるいは先ほど農政部長からも御答弁申し上げましたが、観光と連携した釣ーリズム信州の推進などにも努めてまいります。  河川漁業の振興のため、漁業資源を回復し、地域の資源、観光の資源としても活用していくことができるよう、関係部局、市町村、漁業関係者などが力を合わせて取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔10番荒井武志君登壇〕 ◆10番(荒井武志 君)答弁をいただきました。河川における漁業は、放置しておけば壊滅してしまうおそれさえあると認識しているところでございます。振興策に一層力を入れてほしいと願うところでございます。  今後、上小漁協、更埴漁協や行政が連携を図り、振興協議会的な組織を立ち上げていったらどうかとのお考えが地域では出てきているとお聞きしているところでございます。県におかれましては、適時適切な助言や指導、格別な御支援をいただけますよう強く要望させていただき、次の質問に移ります。  次に、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊条例案についてであります。  この条例案の検討に当たっては、地域の実情を踏まえた市町村の意向を踏まえ、民泊事業に期待する声と、その実施に不安を覚える声の両方に可能な限り配慮できる仕組みとしたところであると議案説明を受けました。県は、この条例案の検討に当たり、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、区域を定めて住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができると法に規定されていることを受け、昨年11月、77市町村にアンケート調査を行い、1月から2月にかけては、各市町村における具体的な制限区域と期間について2回目の意見聴取を実施されました。  ところで、この法律のできた背景には、政府が2020年に4,000万人、2030年に6,000万人の訪日観光客をふやすという目標を掲げ、旅行ビザの緩和などを積極的に行う中で外国人旅行者がふえてきたところであります。  東京、大阪、京都、福岡などのゴールデン観光都市を中心に宿泊施設が足りなくなってきたとのことで、政府は、2年ほど前から、全国に800万戸を超えると言われている住宅の空き家、空き部屋を利用する民泊に注目したところでございます。  一方で、最近では違法の民泊が急増、今の旅館業法では取り締まることができない部分をどうするのか、早く民泊を規制するルールをつくってほしいとの声に応える形で法整備が進められてきたものと思っております。  そこで、お伺いします。  一つに、民泊事業に期待する声とその実施に不安を覚える声にはそれぞれどのようなものがあったのでしょうか。また、両方の声に配慮できる仕組みとはどのようなものでしょうか。  二つに、条例案提出後の2月21日締め切りで市町村から第2回目の意見を求めていましたが、条例案そのものにかかわるようなものは出ていないのでしょうか。  三つに、職員体制は、本庁部局に1名を増員し、直接窓口となる保健所の体制は状況を見ながらと聞いているところでありますが、事務が滞り、県民が迷惑や損失をこうむるようでは困るわけであります。応援体制など緊急対処策を考えておくべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。  以上、健康福祉部長にお伺いします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)住宅宿泊事業、いわゆる民泊の条例案についてのお尋ねに順次お答えさせていただきます。  まず初めに、民泊事業に関する県民の声と、その声への対応についてのお尋ねがございました。民泊に関しては、県内でもさまざまな受けとめがある中で、期待する声としては、民泊は日本の生活文化を体験したいなど急増する外国人観光客の多様な宿泊ニーズに対応することができ、宿泊施設が少ない地域への誘客が期待できるとともに、いわゆる空き家対策に資することから地域の活性化につながるとの声があります。一方で、既存の宿泊施設に対する経済的な影響や、特に家主不在型において管理の不行き届きを原因とする騒音の発生やごみの不法投棄などのトラブルの発生に対する不安の声もお聞きしているところでございます。  今回、条例の制定に当たっては、地域におけるさまざまな声を踏まえ、例えば静穏な環境の保全が必要な別荘地における事業の制限や全県一律で制限することとしている住居専用地域において制限の緩和を可能とすることにより、民泊事業に対する両方の声に配慮する仕組みとしたところであります。  民泊の実施に対する市町村の意見の状況についてのお尋ねがございました。  この1月9日から2月21日にかけて実施した市町村の意向確認調査において、条例案そのものにかかわるものとして、例えば管内一定の区域において年間を通じた事業の制限ができないかとの要望をいただいております。この年間を通じた事業の制限については、住宅宿泊事業法の施行要領において、住宅宿泊事業法は事業を適切な規制のもと振興するというものであり、都道府県等の条例により、年間全ての期間において事業の実施を一律に制限することや、自治体の全域を一律に制限することは、本法の目的を逸脱するものであり、適切ではないとされているところであります。  県といたしましては、法の趣旨を超えない範囲で合理的と認められる制限を行うこととしており、本条例案においては年間を通じた規制は想定していないことから、要望された市町村に対し、法の趣旨を十分説明の上、協議を重ね、規則の制定までに理解を得ていきたいと考えております。  民泊に対する職員体制については、住宅宿泊事業法の施行に当たり、本庁の食品・生活衛生課に職員を1名増員し、届け出事務における保健福祉事務所への支援を行うほか、届け出案件に対して現地確認を行う場合や苦情発生など指導を要するときは、市町村の協力も得ながら、必要に応じて本庁の職員が同行し、現地機関の業務執行を支援する体制をとることを予定しております。  今後の職員体制につきましては、宿泊事業の開始後の状況を見ながら、緊急時の対処などについては食品衛生監視業務における体制なども参考に、実態に即した体制整備を図ってまいります。  以上でございます。       〔10番荒井武志君登壇〕 ◆10番(荒井武志 君)職員体制のことでありますが、それぞれ受け付けをする保健所が実際にはかかわらなければいけないわけでありますけれども、市町村との連携をどうするのかというところが大きな課題かと思います。ぜひその辺をしっかり対応していただきますようにお願いをしておきたいと思います。  次に、交通運輸政策についてであります。  高度成長を背景に、この間、それぞれの家庭が1家に1台、そして2台、3台へと車保有を増大する中で、利用者が減少の一途をたどってきた地域公共交通は、事業者の経営状況の悪化や路線の廃止を余儀なくされてきました。その一方で、免許を持たない人や足の不自由な人たちのための生活の足を何とかしなければとして廃止路線の代替を市町村が担ってきましたが、それでもなお利用者が伸び悩んだり減少し続けている状況ではないでしょうか。加えて、ますます進行する高齢者の増加、これに呼応するように車の免許返納者が増加してきていると認識しています。  これらを受け、県は、地域公共交通維持のために積極的にかかわるとして、県、市町村、交通事業者などで構成する地域における移動手段の確保・補完に関する検討会を設置し、生活交通、観光交通の二つの部会で議論されてこられました。  そこで、伺います。  一つに、それらの検討状況はいかがでしょうか。  二つに、長野県交通運輸労働組合協議会から要望のある総合交通計画や、我が会派から要望している公共交通活性化指針の策定などについて積極的に検討を進めるべきと考えますが、どのように受けとめているのでしょうか。  三つに、地域での日常生活を支える持続可能な交通体系を構築するために、市町村等が実施する地域交通の見直し等の取り組みを支援する地域交通ベストミックス構築事業について、この間の取り組みの中から見えてきた課題やさらなる充実策をどのように捉えておられるのでしょうか。  いずれも企画振興部長にお伺いします。
          〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)交通運輸政策について3点お答えを申し上げます。  まず、交通検討会の状況についてでございます。  検討会では、昨年5月に第1回の会議を開催後、延べ6回にわたり議論を行ってまいりました。この中では、従来のような単なる行政からの赤字補填だけではなく、新しい仕組みの取り組みが必要であるということや、ICT、IoT技術の活用、また事業者間の横の連携が必要であることなどの意見が出されたところでございます。  また、メンバーからは、この検討会自体が異業種間の意見交換や情報共有の場となり、例えば、貨客混載と言われるような横断的な取り組みの発展のきっかけになるとの声も聞かれるところでございます。今後も、関係者が一体となって具体的取り組みに向けた検討を重ねてまいります。  次に、総合交通計画等の策定についてでございます。  県では、平成25年に長野県新総合交通ビジョンを策定いたしました。これは、長野県の交通ネットワークの将来像と、その実現に向けた関係者の役割や施策の方向性を明らかにしたものでございます。市町村の財政負担や事業者の人手不足など、状況が年々厳しくなっている今、必要なのは地域公共交通の維持活性化につながる具体的な施策であると考えております。検討会では、交通事業者を初めとした関係者とともに具体的取り組みに向けた議論を行っており、そうした中から、バスロケーションシステムの導入、定期券タクシーなどに使用する車両の導入支援について平成30年度予算案に計上し、審議をお願いしているところでございます。今後とも、関係者と連携、協働し、地域公共交通の維持確保を図ってまいります。  3点目、地域交通ベストミックス構築事業からの課題と充実策についてでございます。  この事業を展開する中で、市町村からは、複数の交通手段を具体的にどのように組み合わせたらよいのかわからない。利用者ニーズの把握の方法がわからない。デマンド交通の広域化の具体的な方法がわからないといった意見が寄せられております。こうした課題へ対処するためには、公共交通の実際の利用データを集積し、解析することが非常に重要と考えております。そこで、例えば観光交通案内アプリ「信州ナビ」から得られます経路検索の利用データや乗降客のデータ、またこうしたデータを路線バスのダイヤ編成や広域単位での交通体系の検討などに活用できないか、今後検討会でさらに議論を深めたいと考えております。  以上でございます。       〔10番荒井武志君登壇〕 ◆10番(荒井武志 君)具体的な施策について検討されておられまして、敬意を表します。これまでやってこられた検討会ですが、これからも継続してやっていくのか、その辺について方向性を改めて企画振興部長にお伺いし、一切の質問とさせていただきます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)再度の御質問でございます。  この交通検討会は、事業者からも非常に高い評価をいただいておりますので、来年度以降も引き続き議論を深めてまいりたいと、このように考えているところでございます。  以上でございます。 ○議長(垣内基良 君)次に、今井正子議員。       〔39番今井正子君登壇〕 ◆39番(今井正子 君)脱原発、護憲、平和主義の今井正子でございます。今回の予算案は、「学びと自治の力で拓く新時代」をうたい、学びと県づくりの施策が掲げられ、かつて教育県と言われた長野県民にとって学びという心地よい言葉が響き、期待するところであります。  教育委員会の予算を見ますと、県民文化部の分野であります就学前の子供の教育、信州ならではの自然を生かしたやまほいくに力を入れ、そして、やがてはグローバルでAI、IoTを活用した企業、産業に生かせるような高等教育に重点を置いています。しかし、その中間となる小中学校、特別支援学校、県立高校に焦点を当てますと、きのうの寺沢議員の質問のように、小学生、そして特に多い中学生の不登校やいじめの数は全国でも上位であり、多くの苦しむ児童生徒や家族、そして、担任初め先生方がいます。盲、聾、養護学校や支援学級にも大勢が学び、高校中退者も多く、引きこもる子もいます。  たくさんの検討委員会や審議委員会がつくられ、レーマンコントロールの効果を生かしてか、全ての教育委員も学校外部の人により構成され、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門家を外部から増員していますが、なかなか難しい現状でもあります。  教育長は、県内を回り、全ての公立小中学校長と懇談したとのことですが、どのようにお感じになりましたでしょうか。また、このような話題についてもお話がありましたでしょうか。県直轄であります特別支援学校や中山間地高校を初め、全ての県立高校は訪問されましたでしょうか。また、臨時の先生が現場には非常に多くいるということですが、その原因は何だとお思いでしょうか。そもそも、小、中、高、特別支援学校の教員の採用人数は、どこで、どなたが、どのようにしてお決めになるのか。教育長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)教育についてのお尋ねでございます。  まず、学校訪問の所感についてでありますが、不登校、学力問題、保護者対応、教育の多忙化など、さまざまな課題を伺ったところでございます。これら懇談を通して出された課題につきましては、第3次教育振興基本計画の策定に反映させたところでございまして、今後、その計画に基づきしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。  全県立学校への学校訪問についてというお尋ねであります。実際に教育が行われておりますのは学校現場であり、その状況を直接把握することの必要性は県立学校も同様だというふうに考えております。機会を捉えて実行してまいりたいというふうに思っております。  臨時的任用の講師についてでございますが、平成29年5月1日現在、小中学校の臨時的任用講師は1,542人、高等学校は286人でございます。臨時的任用講師の約3分の1程度は産・育休、療休、介護休暇の代替者であります。教育課題に対応する加配がふえている中、臨時的任用講師を充てて現場に必要な教員を確保しているところでございます。  教員の採用数についての決定でありますが、児童生徒数や学級数、退職者数や再任用者数等将来の動向を踏まえるとともに、長期的視野に立った安定的な教員採用、年度別採用数の平準化等を考慮いたしまして、県教育委員会が決定しているところでございます。  以上でございます。       〔39番今井正子君登壇〕 ◆39番(今井正子 君)10年前と比較し、900人、約1割減った公立小中学校の正規教員は全体で1万307人と、今言われたとおりで、産・育休では五、六百人の代替の先生、指導教官つきの新規採用の先生が247人、そしてそれより多い退職され1年ずつ雇用となる再任用の先生が300人、そのほかに欠員という定数不足のやはり1年ずつ雇用の臨時の先生が1,076人もいます。その数はここ7年ほど1,000人を超えているような状態です。そのほかに市町村で補う先生方が400名近くいます。  さまざまな形態の先生が混在し、1年ごとに動かなければならない臨時の先生が担任を持っています。前11月議会で、とにかく子供たちのために、落ちついて子供たちと長くしっかりと向き合える正規の教員をふやしていただきたいと申し上げたところ、中長期的な見直しの中で正規率を高めると御答弁いただきましたが、今回、内閣府の見える化データにより、公立小中学校の教員定数の標準に占める正規教員の割合が、沖縄県、大阪府、埼玉県とともに全国下位にずっと位置しています。本年は40位でした。約1割が乖離しており、その数が1,000人を超えると知り、大変ショックを受けました。今まで気づかず、子供や先生方にも申しわけない気持ちでいっぱいです。  教育長、この現状について認識していましたでしょうか。認識しているとすればいつのことですか。そのときからどのような努力をなされたのでしょうか。また、特別支援学校、盲学校、聾学校、養護学校にも同様に臨時の教師が多くおられます。欠員193人、しかし、もともと定数に足りないこともありまして、ここ4年間、毎年20人を増員し、本年は45人採用がありました。この数は、中学校全教科採用総数の半数に当たります。また、15年前の35人学級の導入の際にいろいろ始めた中で、改革により、費用はそれぞれどのくらいかかり、県予算はふえているのでしょうか。教育長に伺います。  また、県立高校では、平成19年の採用が23名と非常に少なく、また公立の小中学校では35人学級の改革も継続したはずの村井知事になり、平成19年305名だった採用が翌20年に149名と突然半数以下に減り、以後、徐々には上がっていますけれども、10年後のことし、247名でありました。責任は重いといたたまれない気持ちでおります。その理由を教育長にお尋ねします。  そして、東京、鳥取、秋田、新潟と肩を並べたいところですけれども、せめて全国平均までアップできるように次期5カ年計画に盛り込んでいただき、教育環境を改善し、子供たちの確かな教育を保障していただけたら不登校やいじめが減るのではないかと期待します。教育長、いかがでしょうか。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)引き続いての御質問でございます。正規教員比率のことにつきましては最後に御答弁させていただきます。  まず、特別支援学校教員増に係る費用についてであります。  特別支援学校教員増員に係る費用につきましては、1人当たり約740万円の人件費を予算計上しておりまして、これまでの4年間で80名増員してきた費用は、本年度で5億9,000万円余というふうになります。  続きまして、30人規模学級に係る予算ということで、平成18年度の状況をお尋ねになりました。  平成18年度は、小学校1年生から4年生までは全額県費負担、5、6年生は市町村との共同方式で実施しておりまして、事業実施に係る費用は、臨時的任用講師を含めた教員476人分の人件費である26億1,800万円でありまして、当然予算をふやして対応したものであります。  なお、正規教員の採用につきましては、30人規模学級も含め、先ほど申し上げましたとおり、長期的視野に立って決定したものであります。  平成19年度、20年度の採用についてでございますが、この採用数についても毎年度の検討の上で決定しておりまして、平成19年度、20年度についても、学級数や退職者数等の動向をもとに当時の教育委員会の検討の中で決定したものであるというふうに認識してございます。  続いて、正規教員の割合についてであります。正規率を高めることは必要であるというふうに考えております。現状については、教育長就任時より認識しているところであります。この間、年齢構成のバランスや将来にわたる安定的な教員採用を考慮しつつ、教員の採用数を一定程度ふやしてきたところでございます。正規教員の割合について、数値目標の設定については考えてございませんが、次期総合5カ年計画におきましても、生きる力と創造性を育む教育の推進等を掲げておりまして、教育環境の充実に一層努めてまいりたいというふうに考えております。       〔39番今井正子君登壇〕 ◆39番(今井正子 君)教育長、どんな計算をしても、急に半数、半減する採用というのは余りないと思いますので、また後で詳しく教えていただきたいと思います。  県立高校の校舎等の整備について角田次長に伺います。  知事は、前回、教育予算の充実は重要と答え、28年度から3年間、県立高校の整備に当たる予算を従前の3倍に増額したと強調しました。期待したところ、27年、3億円弱だった予算を、本年度、8億6,000万余りとし、屋根改修、機械設備改修、トイレの洋式化、パソコン教室への空調を盛ってありました。従前とはいつのことですか。また、県立高校は何校、そして何棟あるとお思いでしょうか。県立高校には昭和30年代の建物がまだたくさんあり、それが本年度分に着手予算がのっているのかと思いきや、昭和58年建築のホクト文化会館のつり天井を中心とした30億円弱の改修工事のその座席の改修費5億円超にも満たない3億円が基準とは、知事と直接公約を交わせない生徒たちはかわいそうであります。  昭和63年の伊那文化会館も平成4年のキッセイ文化会館も長寿命化で改修が始まっています。そして信濃美術館もございます。また、警察も、今回、佐久警察署がおかげさまでカラマツと浅間の石を使ってすばらしく完成いたしました。昭和47年3月の建物でありました。その前は上田署、そして46年の諏訪署がございます。  この10年で長野県の県立高等学校の新築、改装したものはどのくらいありましたでしょうか。また、15年間高校再編に絡まない高校は、改修、改築もしてもらえないままでしたが、統廃合で使われなくなった校舎の建築年月日と再利用を伺います。  最後に、今後の改築計画について5カ年計画に盛り込んでいただきたい。  この3点、角田次長に伺います。       〔教育次長角田道夫君登壇〕 ◎教育次長(角田道夫 君)県立学校の建てかえに関する御質問でございます。  まず、この10年間で新築または改築した学校についてでございますけれども、平成20年から29年の間に新築、改築した校舎、体育館は、県立中学校が2校で2棟、県立高校が22校、34棟、特別支援学校が1校、2棟でございます。  次に、高校の建物の状況についてでございます。数ある高校の中でございますので、幾つか例示をさせていただきたいと存じます。  各高校には複数の建物がありますので、高校における最も古い建物について例示をさせていただきますと、例えば、飯山南高校につきましては、平成4年建築で23年使用、また、中野高校におきましては、昭和40年建築で43年使用、大町北高校におきましては、昭和37年建築、53年使用というような状況でございます。  最後に、県立学校の建てかえ計画についてでございます。  先ほど教育長から小山議員にお答えいたしましたとおり、県のファシリティマネジメント基本計画に基づく中長期修繕・改修計画と高校改革に基づく再編整備計画を2020年度までに策定していくこととしておりますので、そうした中で計画的な整備に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔39番今井正子君登壇〕 ◆39番(今井正子 君)15年前の1期再編のときより申し上げております高校の少人数学級の導入でありますが、この2期再編スタートにモデル校を設置した取り組みや研究の成果を踏まえ、検討するとあるのでは、モデルでない普通校に導入されるのはまた15年先になってしまいます。群馬の長野原高校も嬬恋高校も、統廃合せず、32人学級です。山梨県も30人、35人の学級でやっております。特別支援学級からも6割の生徒が普通校に進学しており、インクルーシブ教育推進の観点からも40人学級を見直しすべきと思いますが、教育長、どうでしょうか。  また、学びの県づくりでは、幼児教育にはやまほいく、また高等教育ではAI、IoTをと、中間の児童と中等教育についての一貫した教育理念の確立こそが必要で、十分な予算措置をとっていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、教育長、4億4,000万もかけた電子黒板やタブレットの購入よりも、生徒たちは同じ先生がいてくれる、灯油や空調、トイレを整備してほしいと願っており、先生たちは同じ条件の仲間と仕事ができる環境や資料やテストを自由につくってコピーができる、また練習試合等を制限されることなく生徒たちを引率したいと願っているのが現状だと思いますが、どのようにお考えになりますか。  最後に、知事が長野県がかつて教育県と言われた理由をどのように理解されているのか伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、高校での少人数学級についてでございます。  幾たびも答弁させていただいておりますけれども、高校での少人数学級のあり方については、授業等の学習集団と学級等の生活集団とは別に考えていく必要がありまして、学習集団としては、これまでにも習熟度別学習や選択講座、専門学科の実習等、学級とは別の少人数の集団を編成し、多様な生徒に対応してきたところでございます。一方、生活集団としての少人数学級につきましては、学校の課題や生徒の状況に応じた少人数の生活集団の導入につきまして、モデル校を指定して研究していく所存でございます。  小中高の学びの改革についてのお尋ねでございます。  生きる力と創造性を育む教育を推進するに当たっては、義務教育、高校教育段階においても、学びの質の転換とそのための環境整備を進めていくことが必要であると考えております。義務教育段階では、全ての学校、学級では質の高い授業を実現するために授業づくり、環境づくりの共通基盤となる信州型ユニバーサルデザインを構築し、それをもとに新学習指導要領が求める主体的、対話的で深い学びに転換していきたいと思っております。  また、高校教育段階では、「高校改革~夢に挑戦する学び~」に示しているとおり、新たな学びの推進と再編整備計画に一体的に取り組み、全ての生徒がみずからの夢を見つけ、夢に挑戦する学びの実現を目指してまいる所存であります。  電子黒板等の導入より環境整備等を優先すべきという御意見でございます。電子黒板やタブレット端末等のICT環境整備は、新学習指導要領に対応いたしまして計画的に進めていくことが必要であると考えております。同時に、学習環境の向上や働き方改革についても引き続き意を用いてまいりたいというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)本県が教育県と呼ばれていた理由というお尋ねでございます。  寺子屋教育、あるいは藩学が盛んであったこと、また、明治初期の就学率が高く、教育投資も高かったといったようなかつての明治維新前後の長野県の状況であったり、あるいは、その後、県民の皆様方が高い教育的関心を持って、例えば市民の寄附で開智学校のような校舎をつくってきたというような取り組み、さらには、そうした県民の思いに応える熱心な教員によります教育活動、さらには、日本の教育界に影響を与えた優秀な教育者を輩出してきたこと、さらには、県民全体が学ぶ意欲にあふれていると、こうしたことから本県は教育県というふうに言われてきたものというふうに考えております。  以上です。       〔39番今井正子君登壇〕 ◆39番(今井正子 君)知事、私は千葉県の教員になったときに、どういうのが教育県かということを校長さんに聞きました。長野県が県予算の3割以上を教育、子供たちに注いでいる県だからだということを言われました。この点をよくまた考えていただきたいというふうに思っています。  望月高校と高校改革の進め方につきまして、せめて生徒たちを中心にということもございますが、まず最初に、地域の人たちは通信制についてほとんど説明を受けておらないので、長野西高校、松本筑摩高校の通信制の現状について説明を求めます。そして、長野西高通信制にはどんな生徒が通学してきているのか、入学試験、卒業試験、また大卒認定など取得する生徒の割合はどうか、他校と比べてどうなっているのか、そして、住民説明会では、サテライト校の条件として交通の利便が挙げられました。また、毎日先生がいてしっかりと見てくれる体制をとってもらいたいということをよく要望していました。  現在、東信から通信制に通っている生徒数が明記されていましたが、通信制ができた場合に東信へ希望移籍はされるのかどうか。調査されていないようであれば調査してほしい。また、現在、通信制に在籍する生徒たちは移籍が可能となるのか、いろんな問題点がございますが、その点をお願いしたいと思います。菅沼次長にお願いしたいと思います。  最後に、北原農政部長に、種子法廃止に伴う県主要農作物の種子の独自性の政策について伺います。  4月1日より種子法が廃止されます。日本の主食とも言える稲、麦、大豆等の種子の安定的な生産供給体制を維持することが大切です。新潟県議会でも北海道でも対応を検討していると聞きます。農業従事者や農業委員、農協理事者から心配の声を聞きますが、長野県としても関係者の意見を聞きながら、長野県なりの条例を作成していかれるか、独自の政策についてどのようにお考えになっているかお聞きしたいと思います。  以上で終わります。       〔教育次長菅沼尚君登壇〕 ◎教育次長(菅沼尚 君)望月高校と高校再編の進め方について4点御質問いただきました。  まず、望月高校の通信制サテライト化について、地域の方への説明ができていないという御質問かと思います。  望月地域の方々には、住民説明会において通信制課程の現状や学びの方法について説明を行ってきておりますが、今後も必要に応じて説明をしてまいりたいというふうに考えております。  続きまして、通信制の現状についてでありますけれども、近年は、全日制、定時制課程から転入学、編入学する者や不登校経験のある者、自分の学習スタイルで進学を目指したい者など、多様な学習歴や入学動機を持つ者が入学してきております。入学者選抜は調査書や面接結果をもとに選考し、学力検査は行っておりませんし、そのほか、卒業については全日制、定時制と同様でございます。  続きまして、通信制高校として再編の募集開始等についての御質問かというふうに思います。  望月高校については、昨年5月1日の時点で第1期高校再編計画の再編基準に該当したために、今後のあり方についてサテライト校設置の方向で検討してきているところでございます。  なお、サテライト校を設置するためには、これから教育方法や学習内容の検討に1年程度、また募集についても1年程度考える必要があるというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)主要農作物種子法廃止に伴う県の対応についてですが、最も基礎的な食料である米、麦、大豆等の主要農作物の生産安定のため、良質な種子を安定的に供給していくことは極めて重要であります。本県では、県、JAグループ、市町村等の出資により設立しました長野県原種センターがその役割を担っております。今後も、長野県原種センターを中心に、引き続き県、JA等関係機関が一体となって生産供給システムをしっかりと維持し、高品質な種子の確保と安定供給に取り組んでまいります。  種子法廃止後の取り組みに当たっては、県や原種センター等が実施する業務を明確化するため、具体的な業務内容や手続、手法について実施要領等により規定してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(垣内基良 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時27分休憩          ──────────────────         午後1時開議
    ○副議長(諏訪光昭 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  清水純子議員。       〔20番清水純子君登壇〕 ◆20番(清水純子 君)不育症について質問をいたします。  不育症とは、妊娠しても流産を繰り返してしまう状態をいい、厚生労働省の調査では、年間3万人が発症、16人に1人が不育症であるとされております。妊娠を希望しながらそれがかなわない、御本人にとっては大変つらいことです。現在、不育症の研究も進み、治療法も確立してきているとされており、年間30万件と言われる自然流産に有効的な治療を施せば、多くの命を救えると言われております。  そこで、人口減少社会の課題に向けての取り組みと若者のライフデザインの希望実現の観点から、健康福祉部長に4点質問させていただきます。  不育症の治療にかかわる費用は10万円ほどと聞いております。しかし、若い夫婦には決して安い金額ではありません。県では、平成27年度より県単独で不育症治療費への助成を行っておりますが、これまでの実績をお聞きいたします。  子供を産みたいと願う若者の夢と希望の実現を応援する観点からも、不育症の診断、治療における医療環境の整備が必要だと思います。現在、不育症に対応できる医療環境はどの程度整っているのか、また、不育症専門医師の育成についてのお取り組みをお聞きいたします。不育症への有効的な治療環境の整備を進めるために、拠点となる不育症専門治療センターの設置も必要かと思いますが、御所見を伺います。  不妊症という言葉は広く周知をされております。しかし、不育症の認知は余りされておりません。県では、不妊に悩む方への相談場所として長野県不妊専門相談センターを設置しております。このセンターであわせて不育症に関する相談や治療に関する情報提供を行うことは可能かどうか、御所見を伺います。また、不育症に悩む治療中の方が相談や情報交換ができる場所も必要かと思いますが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお聞きをいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)不育症に関しまして4点御質問をいただきました。  まず初めに、不育症治療への助成についてでございます。  不育症の治療につきましては、国による助成制度がなく、継続的に治療を受ける方の経済的負担が大きいことから、県単独事業として、平成27年度から不育症の診断に係る検査費用やヘパリン療法等の治療費用を対象として通算6回まで助成する不育症治療支援事業を実施しております。これまでの助成実績は、平成30年1月現在で助成件数42件、助成額が182万5,000円であります。  不育症に対応できる医療環境と医師の育成についてのお尋ねがありました。  不育症の検査や治療につきましては、既に県内でも、東北中南信、それぞれの圏域において不妊治療を行う産婦人科医療機関等で実施されているところであり、治療に当たる医師も含めて治療環境は一定程度整っていると認識をしております。  また、専門的な領域における医師の知識、技能の習得については、医療界において専門集団による自律性を基盤とした取り組み、いわゆるプロフェッショナルオートノミーとしての取り組みが行われており、不育症の分野についても研修会等が開催されているところであります。  県といたしましては、引き続き、不妊・不育症治療に係る助成事業の実施とあわせて、県内の治療環境の状況を把握し、不育症の方の支援を行ってまいります。  次に、専門的な治療センターの設置につきましては、不育症治療の実情等を踏まえ、専門家の意見等をお聞きしながら、設置の必要性も含めて考えてまいります。  不育症の相談や情報交換ができる場につきましては、県では、長野県不妊専門相談センターにおいて平成13年度から不妊の悩み等の専門相談を行っており、平成26年度からは不育症に関する相談にも対応しているところであります。センターでは、昨年度、438件の相談を受けた中で、不育症に関する相談は24件と全体の約5%でありました。不育症の方に寄り添った相談を行うことで、相談者の不安の解消や適切な治療に結びつくよう、引き続き相談事業の質の向上を図るとともに、相談事業の周知に努めてまいります。  また、情報交換ができる場につきましては、関係者の御意見を踏まえながら研究してまいりたいと考えております。  以上であります。       〔20番清水純子君登壇〕 ◆20番(清水純子 君)平成27年から42件、182万円の補助ということでありました。  厚生労働省の調査では、不育症は全国で年間3万人が発症しているとされております。長野県でももっと助成の対象者はいるのではないかと思われます。不育症で悩む方へ支援の情報が届いていないのではないか。県のホームページの女性応援情報ページには、不育症の助成制度の掲載はされておりますけれども、さらに不育症に関する詳しい情報の提供が必要であると強く考えます。御見解を健康福祉部長にお聞きをいたします。  次期総合5カ年計画しあわせ信州創造プラン2.0を具現化するため、県として、稼ぐ観光地域づくりに向けた県全体の取り組みの方向性を明確にするとともに、県民、県、市町村、DMO、観光関連事業者等が協働し、取り組むための指針として、今回、信州の観光新時代を拓く長野県観光戦略2018の策定が進められております。これまでの実績や課題、議論を踏まえ、本県の観光を取り巻く現状課題を捉えながら、焦点を絞った目標と戦略が求められます。  しかし、観光施策の抜本的な転換への推進で懸念をされるのは、中核を担う旅館、ホテルの倒産です。2017年、帝国データバンクによる調査では、負債1,000万円以上の法的整理での倒産件数は9件、都道府県別では2年連続全国で最も多い結果となっております。現在でも、水面下で抜本的な再生スキームが進行しているケースがあり、今後も全国的に高い水準で倒産が発生をしていくとも言われております。  地域の宿泊業関係者との懇談からは、宿泊業を取り巻く厳しい現状が見えてまいります。長野オリンピック・パラリンピックから20年が経過をし、施設設備の老朽化の大きな課題を抱えております。  今回の観光戦略の策定に当たり、県は宿泊施設への実態調査を行っておりますが、この結果においても、施設設備の老朽化が、従業員の確保、高齢化とともに課題として挙げられております。また、平成28年度の県内の旅館、ホテル等宿泊施設の客室稼働率、これは35.1%と全国で最も低くなっており、厳しい経営を示しております。  これらの結果を見ても、県内の旅館、ホテルは客室稼働率の低さから来る業績低迷だけではなく、施設設備の老朽化、そして過剰債務等の悪循環が続いております。その悪循環を改善し、選ばれる観光県長野の中核となる宿泊施設としてともに歩むために、金銭面における借りかえ制度や経営改善の専門的知識の提供、さらには観光経営に特化した経営プログラムの作成などが必要と考えますが、県としての取り組み状況をお聞きいたします。  以上、産業労働部長にお聞きをします。  5年先、10年先を見据えた本県観光を考えると、この現状課題に加え、旅行者のニーズの多様化や宿泊獲得方法の変化への対応、また、新たな情報発信への展開等多くの対応が求められております。これらに長野県としてはどのように対応していくのか、観光部長にお聞きをいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)不育症に関する情報提供についてのお尋ねをいただきました。  不育症の悩みや不安を抱える方に不育症の原因やその治療法などに関する正しい知識を持っていただくことで、不安の解消や早期の検査等につながる可能性もあることから、詳しい情報の提供は重要なことと認識しております。  有識者の意見等も参考にしながら、県の不育症助成制度を紹介するホームページで厚生労働省の研究班による知見を紹介するなど、不育症に関する情報の提供を行ってまいりたいと考えております。  以上であります。       〔産業政策監兼産業労働部長土屋智則君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(土屋智則 君)宿泊業に対する経営支援の取り組みについてのお尋ねでございます。  まず、金融面につきましては、事業者の月々の返済軽減など資金繰りの安定等を図るため、今年度、県の中小企業制度資金において、保証料補助つきの借りかえ制度を創設いたしまして、金融機関や地域振興局等と連携しながらあっせんを行いました結果、宿泊事業者におきましても、これまで、14件、約2億3,000万円の御利用をいただいているところでございます。  また、経営相談につきましては、経営体質の改善、売り上げ拡大、施設リニューアルへの対応など、個々の宿泊事業者の経営課題につきまして、県中小企業振興センターなどにおきまして、コーディネーターによる相談や中小企業診断士などの専門家の派遣によりまして、今年度、これまでに約100件の事案に対応してきているところでございます。  今後は、こうした支援制度等をきめ細かく浸透させるため、PR等を重点的に実施いたしますとともに、観光部等と連携しながら、宿泊事業者や関連団体との意見交換等を行う中で、借りかえ制度の実態把握や経営改善に向けた具体的な方策について中小企業振興センター等とともに検討を進め、宿泊事業者に対する支援を強化してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)旅行者のニーズの多様化と新たな情報発信についてお尋ねをいただきました。  個人旅行の増加、SNSの急速な普及、外国人旅行者の急増によりまして、観光地では今までになかった多様なニーズへの対応に加え、効果的な情報発信が求められております。多様なニーズへの対応といたしましては、本県観光にさらなる付加価値を生み出す学び・体験型ツーリズムや信州型ユニバーサルツーリズムの推進、また、温泉地の新たな楽しみ方の創出や信州の食ブランドの創造など、新たな観光ブランドの形成に取り組む必要があると考えております。  さらに、宿泊の獲得も含めた情報発信につきましては、旅行者の利便性が高まるよう、国内外の民間サイトと連携いたしまして、学び、体験、食、宿泊コンテンツなどの予約機能の円滑化や旅行先選定から利用後の口コミやランキングなどでつながる新たなシステムの導入も進めていく必要がございます。こうした取り組みを現在策定中の長野県観光戦略2018に位置づけるとともに、5年先、10年先、さらに先を見据えた持続可能な観光地域づくりに向け、観光部はもとより、県観光戦略推進本部におきまして全庁的に取り組んでまいる所存でございます。       〔20番清水純子君登壇〕 ◆20番(清水純子 君)さらに稼ぐ観光づくりに向け、県全体での方向性を示すことは重要です。以下、信州の観光新時代を拓く長野県観光戦略について4点お聞きしてまいります。  1点目に、担い手人材の確保は特に急がれます。新たに人材の育成と確保を目的とした観光インターンシップ制度の導入や観光人材バンクの設置も検討されておりますが、観光人材バンクはどのような人材の確保を想定しているのか。また、県外からの獲得も視野に入れているのか、お聞きをいたします。  働き方改革が求められる現在、受け入れ側の改革も必要と考えますが、どのようにこれを進めていくのか、観光部長にお聞きをいたします。  白馬高校国際観光科の34名の1年生が、地元ホテルを借りて高校生ホテルを運営すると聞きました。これからですけれども、観光人材の育成からも期待がかかる取り組みであり、若者視点の観光業へのつなぎもぜひお願いをしたいと思います。  2点目に、県内のホテル、旅館等での信州産食材の活用を促すとともに、食を目的とした信州旅の創造は期待がかかるところです。問題は、信州産食材とそれを活用する宿泊業を結ぶ仕組みや配送を担う流通の役割の確保だと思いますが、これをどのように進めていくのか、農政部長にお聞きをいたします。  3点目に、新たな信州型ユニバーサルツーリズムにおいて、高齢者や障がい者といった旅行弱者を受け入れる態勢づくりは長野県の新たな観光ブランドの形成につながるチャンスと考えます。全体の方向性はこれからと聞いておりますけれども、信州型との言葉のとおり、概念に捉われず、最高のおもてなしの心を持った質の高いユニバーサルツーリズムの構築を望みますが、観光部長に御所見を伺います。  さらなる観光産業の基盤づくりとして、個々ではなく、地域全体で、さらには広域連携での観光地域づくりが重要です。そして、観光地域ごとテーマとターゲットを絞った観光地域づくりが必要と考えます。特に、全国を上回るペースで増加している外国人旅行者をターゲットとした観光地域づくりにおいては、地域全体で言葉、マナーの問題、案内表示等、受け入れのハードルが高いと思われる課題解決を観光地域全体で進めることで効果を上げることが期待できると考えますが、御所見を伺います。  今回の旅行業者向けのアンケートにおいて、インバウンドに取り組むに当たって長野県に欠けているものはとの質問に対して、Wi-Fi環境と答えた方が60%近くで第1位となっております。災害時の情報提供の必要性からもフリーWi-Fiの積極的な整備が必要と考えます。今後の通信環境整備についての進め方をお聞きします。  以上、観光部長にお聞きをいたします。  最後に、知事にお聞きをいたします。  雄大な資源環境に加え、歴史的な建造物などに恵まれ、そして、各地に観光名所が散在する長野県、そして、長寿県長野は、暮らしの中にさえたくさんの国内外を魅了する観光資源を持っております。しかし、宿泊施設を初め多くの厳しい現状、課題も抱えております。次期総合5カ年計画のスタートとなる平成30年度は、まさに長野県観光の大きな転換期であります。これまでの観光施策を抜本的に転換し、着実な戦略の実行によって世界を魅了する国内外から選ばれる観光県づくりへと知事には大いにリーダーシップをとっていただくことを期待いたしますが、最後に知事の御所見をお聞かせください。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)観光戦略について順次お答えしてまいります。  まず、観光人材バンクと人材の受け入れについてのお尋ねでございます。  観光人材バンク事業は、各地の観光地域づくりに向けた課題解決のため、DMO支援、情報発信、インバウンド、ホテル・旅館経営などの専門家を県内だけでなく県外からも登録いたしまして、市町村や地域DMOなどの要請に応じて紹介する体制を構築するものであります。  次に、受け入れ側の改革につきましては、事業者の意識を高め、時代の変化に対応していくことが何よりも肝要でございます。そのため、インターンシップ事業では、新たに設置いたしますインターンシップ推進員が参加者の要望等を事業者に伝えることによりまして働きやすい環境づくりを支援するとともに、インターンシップ推進協議会を立ち上げ、観光業における就労環境の改善の輪を広げてまいりたいと考えております。  さらに、長野大学に開設予定の観光地域づくり寄附講座や日本観光振興協会と連携して実施します観光マネジメント人材養成講座を通じて、国内外の先進的な経営手法や泊食分離などの経営改革を学び、観光業の働き方改革にもつなげてまいりたいと考えております。  次に、信州型ユニバーサルツーリズムについてのお尋ねでございます。  本県は、山岳高原であるがゆえに、誰もが自然景観やアウトドアを楽しむことができるように車椅子やスキーなどの道具を工夫し、人の力で旅行者を温かくサポートしようとする団体が数多く立ち上がり、それぞれにユニバーサルツーリズムの普及啓発、人材育成、モニターツアー等を行っております。また、信州あいサポート運動や昨年の信州デスティネーションキャンペーンを通じて県民のおもてなし機運が高まってきておりますので、これらの温かいサポートと県民のおもてなしの心で進めるユニバーサルツーリズムがまさしく信州型のユニバーサルツーリズムであると考えております。  新年度には、取り組み団体の皆さんを中心にユニバーサルツーリズム推進会議を立ち上げまして先進事例を県内に広く普及するとともに、人材育成の取り組みを推進し、質の高いユニバーサルツーリズムを構築してまいりたいと考えております。  次に、外国人旅行者をターゲットとした観光地域づくりについてのお尋ねです。  インバウンド先進地の岐阜県高山市では、飛騨・高山観光コンベンション協会が、地域DMOとして行政と役割分担をしながら民間の力を結集し、インバウンド受け入れのための環境整備や情報発信、広域観光ルートの形成などの課題解決に取り組んでおります。  本県においても、このような取り組みをリードする広域型DMOの形成に本格的に着手するほか、県観光機構内にインバウンド支援センターを設置しまして各地域や事業者からの相談に応じるとともに、支援ツールの作成や研修会の開催を通じて受け入れ環境整備を加速させてまいります。また、意欲的な民間事業者や市町村とともにインバウンド推進協議会を設置しまして、受け入れ環境の整備の輪を県内各地に広げてまいりたいと考えております。  最後に、通信環境整備のあり方についてのお尋ねです。  フリーWi-Fi整備につきましては、新設するインバウンド支援センターにおいて、外国人旅行者の目線で市町村や民間事業者の皆さんとともに必要な箇所の調査を行いまして、効果的な整備を図るとともに、観光庁や総務省等の補助制度の活用を支援するなど、効率的に整備が進むよう積極的に取り組んでまいります。  また、同センターでは、信州ナビに掲載しておりますWi-Fiスポットの情報をさらに拡充しまして見える化を一層促進してまいります。加えて、Wi-Fi以外でも、プリペイドSIMサービスなどの最新情報を県内各地に提供し、通信環境の活用の幅を広げてまいります。  以上でございます。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)お答えいたします。  信州産食材の活用についてですが、ホテル、旅館等での信州産食材の活用を促進するためには、その地域にある農産物直売所を起点とし、生産者と利用者を結ぶ物流体制を構築することが有効な手法の一つであると考えております。また、地域DMOとの連携により、食を地域観光の主要なテーマと位置づけ、地域の食材を活用した特徴的な料理の創出などの取り組みを促進することも重要と考えております。  これまで、ホテル、旅館等を対象とした産地見学会や意見交換会等を開催し、生産者との関係強化を図ってまいりましたが、平成30年度からは、県、市町村、地域DMO、宿泊事業者や農産物直売所など多様な関係者の参画による信州産食材活用研究会を設置しまして、宿泊業者と産地、生産者とを結ぶ流通の仕組みや流通を担う農産物直売所の機能強化と活用の手法などについて検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)観光地域づくりに向け、リーダーシップをしっかり発揮せよという御質問でございます。  長野県は、申し上げるまでもなく、全国有数の観光県であります。また、特にこれから観光の伸び代でありますインバウンドつきましては、ここ最近、毎年のように増加をしてきております。平成29年は130万人を超えてくるだろうというふうに見込んでおります。また、先日も平昌オリンピックが開催されたわけでありますけれども、これから2年後には東京オリンピック・パラリンピック、そしてその2年後には北京オリンピック・パラリンピックということで、東アジアでオリンピックが3回連続して開催される中で、長野オリンピック・パラリンピックを開催したというメリットをしっかり生かしていくことができる環境もあります。また、東京オリンピック・パラリンピックの開催で世界中の視線が日本に集まってくる時期でもあります。  そういう観点で、長野県の世界における観光プレゼンスを高めていく上では大変重要な機会だというふうに思っております。したがいまして、私どもは、政策におきましても観光というものを重要な政策の柱に位置づけて取り組んでまいります。  しあわせ信州創造プラン2.0の案におきましても、八つ重点目標を掲げております。出生率の向上あるいは人口の社会増への転換、こうしたことと並べて、観光消費額の増加ということについてもあえてこの八つの重点目標の中に掲げてさせていただき、観光について力を入れていきたいというふうに思っております。  また、観光部だけが取り組む観光戦略ではなく、全庁挙げて取り組んでいこうということで、観光戦略推進本部を設置して各部の総力を結集して取り組んでいるところでありますし、また、それぞれの地域における取り組みも大変重要だということで、各地域振興局長に対しては、観光地域づくりを横断的な課題として位置づけるということを私のほうから指示させていただき、全地域振興局で観光について積極的な取り組みを行ってきているところであります。  新しい総合計画がスタートする新年度を信州観光改革元年というふうに位置づけさせていただき、観光の担い手としての経営体づくり、観光地域としての基盤づくり、そして、インバウンド戦略、こうしたものに総合的に取り組むと同時に、私もしっかり責任、役割を果たし、全庁挙げて世界を魅了するしあわせ観光地域づくりに邁進していきたいと考えております。  以上です。       〔20番清水純子君登壇〕 ◆20番(清水純子 君)御答弁いただきました。  外国人延べ宿泊者数、これは、先ほど知事がおっしゃったとおり、ここ数年2割増し程度の増加率で全国のペースを大きく上回っており、インバウンドとして長野県が選ばれているということであります。外国人旅行者の獲得は重要施策の一つであるというふうに思っておりますけれども、2020年、30年とインバウンドの旅行者獲得に国が力を入れている中で、長野県がしっかりとこれを獲得するチャンスであるというふうに思っております。  しかし、残念なことに、今回のアンケートによると、今後外国人の旅行者を受け入れる考えはないと答えている宿泊業が6割もいるんです。現実に宿泊業の6割がこれを受け入れるつもりはないというアンケート結果、ここにしっかりと手を打っていかない限り、県が思うような結果はなかなか出せないというふうに思っております。  また、先ほどの農政部長の農産物の御答弁ですけれども、平成30年度から研究会を設けてというようなお話がありました。これは、農政部なのか観光部なのかよくわからないのですが、これではインバウンドの大きな流れに対応していく県の取り組みが後手後手になってしまう。先ほどの答弁の中で、そんな危機感を覚えたわけでございます。観光部中心の長野県の観光、ましてや信州観光改革元年という言葉を打っている以上、観光部を中心に、ほかの部に対してもしっかりとこれを発信し、御協力をいただいてやっていく、そして結果を出す。建設部であったり、農政部であったり、そして教育委員会等々含めて巻き込んでいくという熱い思いが大事なのかなというふうに思っております。  信州観光改革元年、まずはしっかりと結果を出すためのスタートになることを願って、一切の質問を終わらせていただきます。 ○副議長(諏訪光昭 君)次に、両角友成議員。       〔15番両角友成君登壇〕 ◆15番(両角友成 君)日本共産党県議団の両角友成です。私は、発言通告に沿って一般質問を行います。  まず初めの質問事項は、生活道路の災害復旧についてであります。  昨年10月の台風は県内に大きな被害を引き起こしました。被害額21億円、被害箇所145カ所、私の住む松本市内、特に、地元四賀地区でも、国道143号線取手地区、県道矢室明科線の五常落水地区で地すべりと土砂崩れが起きてしまいました。現在、国道143号は、信号機つきの片側通行、土が動けば全面通行どめとなる、回転灯作動時全面通行どめと警報装置が設置されている状態。県道は、五常地区で全面通行どめです。国道143号では、安曇野市高萩地籍の災害現場でブルーシートがかけられたまま災害発生から4カ月が過ぎています。  同じ国道143号でも、災害になってしまいそうな箇所では、松本建設事務所による地質調査のボーリングが始まるなど手だてをしていただいていますが、大きな災害現場ではそうならないのはなぜでしょうか。今回、もう少しで四賀地区は陸の孤島になりかねない状態でした。今もその危険性が続いています。大変深刻です。
     現在開会されている通常国会での担当委員会でのやりとりで、災害発生から1週間程度で災害認定をし、災害復旧は、原状復旧にとどまらず改修工事を行うと政府答弁がされていました。長野県では、公務員の削減により技術職員が減り、設計業務をコンサルタントに依頼することが普通となり時間がかかるとの指摘もあるが、現状はどうか。林務、建設部長、それぞれに伺います。  四賀地区五常落水の県道災害現場は、長野自動車道の路肩よりわずか30メートルの地点から、幅約50メーター、高さ約80メーターの長さで崩れています。上約半分は保安林であり林務部が、下の県道及び河川を建設部が担当していただいております。土が動く厄介な地すべり地帯で長野自動車道にも影響が懸念されています。まず林務が、保安林治山のため、逆巻き工法と言われるのり面上部からアンカーボルトを打ち込みながらの復旧工事、それが終わってから河川の護岸、県道の復旧とトータルで2年以上かかるとの説明です。  地元双葉保育園、四賀小学校の保護者、沿線の商店、ガソリンスタンド、宅配便、生協、牛乳配達、地元町会長、高校への通学、職場への通勤、新聞店、通院されている皆さんより、また、他の工事現場への生コン車もダンプカーも通れないと、悲痛とも言える早期の復旧を望む声が届いています。重要な生活道路であり、現地住民の皆さんの中には、スコップを持って駆けつけ、土砂を片づけたいとの話まであります。素人目にも厄介な現場だと思いますが、工期が2年はいかがでしょうか。危険を冒してまで工事をしてくださいとは言いませんが、全国の事例に学び、林務、建設が連携して同時並行での工事方法をとるなどできないか、現状と復旧の見通しをお聞きします。林務、建設、それぞれの部長から答弁を願います。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)初めに、災害復旧への対応についてのお尋ねでございます。  山地災害の発生時においては、災害状況の把握から復旧計画の作成、提出に至る業務をできるだけ迅速かつ確実に行うことが求められるため、災害関連緊急治山事業の場合は、発災から20日以内に国に復旧計画を提出することを徹底しております。また、従来から、復旧計画に必要な測量や設計をコンサルタントに依頼しているほか、状況に応じて本庁や地域外の職員が応援するなどしており、今後も引き続き関係者の力を最大限に発揮して迅速な災害対応に努めてまいります。  次に、一般県道矢室明科線の災害復旧についてのお尋ねでございます。  当該箇所の山腹崩壊につきましては、議員御指摘のとおり、地すべり性のものであり、復旧工事を行うには、あらかじめボーリング調査等を行い、地すべり活動の挙動を見きわめる必要があります。また、今回のような地すべり性の現場では、斜面下部の県道から土砂を撤去すると斜面の不安定土砂が崩落する危険性が高いため、県道の復旧工事に先立ち、上部から山腹の安定化を図る必要があります。  このような中、林務部では、これまで建設部と連携して行ってきた地すべりの観測結果を踏まえて、県単治山事業により1月末から山腹を安定させる工事を既に始めているところでございます。加えて、崩壊地の上部には長野自動車道があることから、慎重に土砂の撤去等を進める必要があるため、工事の完了にはおおむね1年を要する見込みですが、工期を少しでも短縮できるような工法を採択するなど、速やかに山腹の復旧を進め、一刻も早く県道の復旧工事に取りかかれるよう努めてまいります。       〔建設部長油井均君登壇〕 ◎建設部長(油井均 君)災害復旧の対応についてのお尋ねでございます。  建設部では、道路や河川等の公共土木施設が被災した場合に、直ちに職員が現地調査を行い、発災後1週間程度で国へ災害報告をしております。その後、必要な測量設計や地質調査などは、従来から速やかにコンサルタントへ委託しており、これにより時間がかかるということはございません。  なお、早期対応が必要な災害復旧事業については、災害査定前に応急工事を実施しているほか、一般的に被災後2カ月以内の国の災害査定が原則となっており、スピーディーな対応が徹底されております。  一般県道矢室明科線の災害復旧についてのお尋ねでございますが、建設部では、被災直後から林務部と連携し、ボーリング調査、地すべり観測などや斜面の崩壊拡大を防止するための倒木除去を実施するとともに、案内看板やホームページによる情報提供、緊急車両の通行を容易とする対応等をしてまいりました。  本件は、林務部長答弁のとおり地すべり性のものであり、復旧までに時間を要することはやむを得ないと考えております。建設部としては、林務部の工事により上部の安定が確保された後に速やかに県道の復旧工事に着手し、早期の通行どめ解除を図ってまいります。       〔15番両角友成君登壇〕 ◆15番(両角友成 君)現地からは、前回10年前にも災害が繰り返されている現場であり、原状回復にとどまらず、万全な工法を施していただきたいとの要望があります。ぜひとも取り入れていただきたいとお願いすると同時に、復旧の早期実現を願うものです。  知事に伺います。今回の地元の台風災害で、松枯れで山肌があらわになり、保水ができず、早急な治山工事が必要な現場。県道、国道数カ所が同時に土砂崩れ、地すべりに遭遇し、痛感していることがあります。それは、困難をきわめる現場で対応できる技術職員の確保、また、職員を育てていく、現場経験を積んでいただく必要性を強く感じていますが、職員の確保育成について知事の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)今回の災害復旧につきましては、林務部長、建設部長から御答弁したとおり、地元の皆様方の思いに寄り添って対応を進めていきたいと思っております。その上で、技術職員の確保育成は、一般論で申し上げれば大変重要な取り組みだというふうに思っております。まず、県としても技術職員の計画的な採用に努めてきておりますし、また、技術、スキルアップをしてもらおうということで、実務講習会等も開催させてきていただいているところであります。引き続き技術職員の確保、そして、その技術力向上にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔15番両角友成君登壇〕 ◆15番(両角友成 君)コンサルタントが減っているとの話もあります。しっかり取り組んでくださいと申し上げ、次の項目に移ります。  次は、特別支援学校について伺います。  知事は、議案説明で、特別支援教育の充実と障害者への支援の項で、「特別支援教育の充実、障害者の就労支援などにより、生きる力を育む学びを保障し、共生社会の実現を目指します。発達障害のある児童生徒が適切な教育が受けられるよう、信州大学と連携して専門医等教育体制を強化し、通級指導教室については、小中学校に増設するとともに県立学校に新設します。特別支援学校の教職員配置については、自立活動担当教員をこの4年間で80名増員してきましたが、来年度は、寄宿舎指導の職員を含め、さらに20名増員します。」  教育長は、「県立学校の学習環境の整備につきましては、高校のパソコン教室への空調設備の整備やトイレの洋式化、特別支援学校のトイレの多目的化など、児童生徒が快適な環境下で学びに集中できるよう環境改善を図るほか、松本養護学校の過密化の解消と中信地区特別支援学校の教育環境の向上を図るために平成27年度から進めてまいりました中信地区特別支援学校の再編整備計画につきましては、平成30年度の松本ろう学校の改修により事業完了を予定しております。」  この説明を踏まえて、特別支援学校の現状認識及び改善について、県内の状況はどこも似通っていると認識していますので、特に松本養護学校を中心にお聞きします。  古い施設、特に体育館、寄宿舎を対症療法的に修繕し、何とか保とうとする現状は見てとれますが、もう限界ではないか。建てかえ計画を早期に示すべきと考えますが、いかがでしょうか。  以前の答弁にあった県有財産の有効活用、総量縮小、長寿命化、長野県ファシリティマネジメント基本方針なるものがあり、それに照らしてとのことでありました。基本方針を見ますと、特別支援学校を特別とはせずに、他の学校と一緒にその他の学校として一くくりにしています。差別解消法に照らしても、障害をお持ちの皆さんの学びの環境整備は県として特別に力を入れる分野ではないでしょうか。教育委員会所管施設の中でも第一義的に取り組むべきです。備前県議の代表質問でも、いつまでこうした状況を放置したままいくのかと厳しく指摘されました。そのことも踏まえての答弁を願います。  特別支援教育の専門性の向上という点から見て、松本養護には職員室がない。職員室は、職員同士がお互いに高め合う、助け合う、教員間のもろもろの事項を共有するスペースだと思いますが、スペース的にも軽んじているのではないか。特別教室の確保はされているのか。実態を明らかにしていただきたい。  松本養護学校の過密化解消策とされる、松本ろう学校、松本盲学校、寿台養護学校に分散する中信地区特別支援学校の再編整備計画を保護者の皆さんが認めた後も、これで終わりということにはせずに、県も保護者も実情や課題に対し不断の見直しをしていこうとする姿勢だと思うが、県はどんなビジョンを持っているか、教育長に伺います。  卒業後の居場所づくりも喫緊の課題です。卒業生が行く場所がない、足りない。この現状の打開策を示していただきたい。卒業生の就職先確保の面から山本健康福祉部長に、また、学校における就職指導の面からはどうか、教育長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)特別支援学校についてのお尋ねでございます。  まず、施設の建てかえ計画についてどうかという御質問でございます。  特別支援学校は、主な建物の建築年度が昭和40年代から60年代である学校が多く、設備等の経年劣化が進んでいることから、必要となる大規模改修工事、耐震改修工事のほか、計画的な修繕等を実施し、児童生徒の学習環境整備に努めてきたところでございます。今後、県のファシリティマネジメント基本計画に基づきまして、全ての特別支援学校の個別施設計画を策定していくこととしております。その中で、児童生徒数の推移や中長期的なあり方も勘案しながら整備について具体的な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。  次に、特別教室の確保についてであります。  特別支援学校では、児童生徒の増加による過大、過密化に対応するため、校舎を増築するとともに、特別教室等を普通教室に転用することなどにより必要な教室を確保してきたということでございます。松本養護学校では、現在、職員会議室及び3カ所の特別教室を普通教室6室に転用してございますけれども、平成27年8月に策定いたしました中信地区特別支援学校再編整備計画によりまして、計画が完了する2020年度までには全てそれをもとに回復するとともに、小学部職員室についても設置できる見通しということでございます。  それから、中信地区再編後のビジョンについてというお尋ねでございます。  この計画に基づきまして各学校の施設整備を進めておりまして、予定どおり来年度からは松本養護学校から寿台養護学校への児童生徒の移行が始まりまして、2020年度には再編整備が完了する見込みでございます。  しかしながら、松本養護学校初め特別支援学校の多くは建設から相当の年数が経過しており、先ほど申し上げましたとおり、県のファシリティマネジメント基本計画にのっとりまして個別施設整備計画を策定する中で具体的な整備内容等について検討してまいりたいと思っております。教育内容や学習環境の改善につきまして、引き続き不断に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  特別支援学校における就職指導の面でどんな困難があるかというお話でございました。  特別支援学校卒業生の就労は、一般企業への就労が4割弱、それから就労支援事業所への就労が6割強という状況であります。一般企業への就労につきましては、職業教育の充実や受け入れ企業の拡大が課題でありまして、働く意欲とスキルを高めるため、技能検定の導入や、実習先の開拓や生徒と企業のマッチングを支援する就労コーディネーターの配置などに取り組んでいるところであります。  また、就労支援事業所については、圏域によっては受け入れ可能な事業所や生徒の希望する条件を満たす事業所が十分にないことが課題となっておりまして、選択肢が限られている状況でありますけれども、生徒が意欲や期待を持って就労し、その力を十分に発揮できる事業所を選定するために、在学中から関係機関との支援会議を重ねながら、複数の事業所での実習機会をふやすなどの工夫をしているところでございます。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)私には、特別支援学校卒業生の就職先確保についてお尋ねをいただきました。  特別支援学校の卒業生の就労については、本人の障害特性や能力に応じた就労先の確保が重要と考えております。企業等への就職については、県では、福祉、教育、行政等の関係機関で構成する圏域の自立支援協議会での企業向けの助成金制度の説明会や養護学校の見学会等の開催などを通じて障害者雇用への理解を深め、特別支援学校卒業生を含めた障害者の就職先確保に努めております。また、県内10圏域に設置している障害者就業・生活支援センターでは、特別支援学校生徒に対し、卒業前から就職に向けた相談支援等を行っております。  本年4月から、障害者の法定雇用率が引き上げられることに伴い、企業等における障害者の雇用促進が一層求められることから、県といたしましては、それぞれの能力等に応じた就職先の確保に向け、労働局等と連携しながらこれらの取り組みを強化してまいります。  また、企業等での就職が困難な生徒の主な就労先となる就労支援事業所については、圏域によっては十分とは言えない状況もあるため、必要な基盤整備を進めるとともに、農業分野での障害者の就労機会の拡大を目指す農福連携等新たな就労分野の開拓などにも取り組んでまいります。  以上であります。       〔15番両角友成君登壇〕 ◆15番(両角友成 君)次に、スクールバスについてお伺いいたします。  学校が松本市の端にある立地条件の悪さも手伝って、通学に苦労している。以前にもその実情を話しましたが、小中高全ての児童生徒が利用できるよう、スクールバスの増車が必要と考えますが、いかがでしょうか。  松本市在住の視力に障害がある御高齢の方から、障害のある方とない方が出会うのが18歳になってからだ。したがって、お互いに戸惑うと言われました。このお話を聞き、特別支援学校に通う児童生徒が居住地域の学校にも籍を置く副学籍も必要ではないかと考えます。既に市町村にその動きがあり、21市町村から33市町村に広まっているとのことですが、その中身の充実と、全県に広げるため県も積極的にかかわる必要があると思いますが、いかがでしょうか。  以上、2点について教育長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、松本養護学校のスクールバス増車についてのお尋ねでございますが、現在4台を運行しておりますが、学校規模が現在過大な状態にあるため、全ての利用希望者にはお応えできる状況にないということを認識しております。今後、再編整備計画により順次改善され、来年度につきましては、寿台養護学校へ48名の生徒が移行することから、スクールバスは小中学部の希望する児童生徒は全員利用できるようになる見込みとなっております。  続いて、副学籍についてのお尋ねでございます。  本県では、特別支援学校に在籍する児童生徒と居住地の小中学校の児童生徒との交流を充実させるために、小中学校に副次的な学籍を置く仕組みであります副学籍に取り組んでおりまして、特別支援学校に通う子供が居住する64市町村のうち33市町村で実施されているところであります。この副学籍があることによりまして、居住地の市町村での居場所づくりや学校行事、地域行事への参加が促進され、相互に同じ地域の仲間としての意識が形成されるといった成果が見られているところでございます。  県教育委員会としては、副学籍の先進的な取り組みについて市町村教育委員会と共有し、拡大を推進してまいりたいというふうに考えております。       〔15番両角友成君登壇〕 ◆15番(両角友成 君)答弁では、いつも子供が減る、子供が減ると。いずれ子供が減るということですが、現在が必要だということを申し添えたいと思います。ファシリティマネジメントに関係する先ほどの答弁でも、平成32年を2020年と読みかえた、その程度の答弁かなと思います。このことについてはこの後の委員会で深めてまいりたいと申し上げ、次の質問事項に移ります。  次は、住宅の耐震化をどう進めるかについて伺います。  毎年のように大きな自然災害が発生しています。来るべき災害に備え、災害に強い地域づくりが求められています。知事は、議案説明で、大規模地震から命を守るためには、建物の倒壊防止が重要、住宅所有者向けの相談会や改修事業者のための講習会を実施し、住宅や避難施設等の耐震化の一層の促進に努めますと言われました。地震による被害を軽減するために必要なことは、建物を倒壊させない水準にすること、地震により住宅が大きく壊れず、逃げ出せる程度の損傷にとどめることを最優先にすることが大切と言われています。  国においては、1981年以前の旧耐震基準で建てられた古い木造住宅を中心に、大地震災害で多くの住宅が被害を受け、多数の犠牲者が発生したとして、減災のためには住宅の耐震化が重要であるとし、2011年3月15日、閣議決定した住生活基本計画において、新耐震基準が求める耐震性を有する住宅ストックの比率を、約79%から、2020年には約95%にすることに目標が定められました。  国土交通省の調査によると、耐震化の阻害要因は、第1に費用負担が大きいこと、第2に耐震性があるという認識など理解不足、第3に業者の選定が難しいこと、第4に工法、費用、効果等が適切であるかどうかの判断が難しいことが指摘されています。耐震診断、工事の担い手、信頼できる業者を育成し、適切な工法、費用、効果などが判断できる情報提供、相談体制が確立され、住宅の使用に大きな支障を来さない耐震改修工法を提案するまでになればこの事業は進展するものと言われています。  こんな状況下、県として来るべき災害に備え、災害に強い地域づくりが求められています。公共施設の耐震化に比べ特におくれている住宅の耐震化をどう進めるか、助成制度の拡充も大切ではないかと思いますが、いかがでしょうか。  住宅の耐震化を進めるに際しては、診断、設計、工事の担い手の育成と低コスト工法のマスターも大きな鍵になると考えますが、いかがでしょうか。  以上、建設部長に伺います。       〔建設部長油井均君登壇〕 ◎建設部長(油井均 君)住宅の耐震化に関するお尋ねでございます。  県民の生活の基盤である住宅の耐震化は、県民の生命、財産を守るとともに、地震災害後の社会的な損失を抑える根幹的な施策であると認識をしております。従来から、無料の耐震診断や耐震改修工事費に対する補助など、市町村と連携して実施しているところでございます。  一方、対象となる昭和56年以前に建てられた住宅は、既に36年以上が経過し、所有者の高齢化が進む中、耐震改修工事費の費用負担が大きいことや、そんなに大きな地震はすぐには起きないだろう。地震が起きても自分の家は大丈夫だろうといった心理的な要因があることが耐震化が進まない理由と考えております。このため、今年度から、耐震改修工事費に対する補助限度額を60万円から100万円に拡充し、活用しやすい制度としたところでございます。  一層の耐震化の促進に向けて、まずは耐震化の重要性を住宅所有者に知っていただくことが第一歩と考えており、従来から実施している地域での出前講座の開催等に加え、市町村と連携して、戸別訪問の実施など住宅所有者に対し直接的に耐震化を促す取り組みを検討してまいります。  次に、診断、設計、工事の担い手育成と低コスト工法に関するお尋ねでございます。  耐震診断、設計の担い手につきましては、県内に在住または勤務する建築士であって、県の実施する講習会を受講した2,300名余りを長野県木造住宅耐震診断士として登録し、技術の向上と統一を図っているところでございます。工事の担い手につきましても、来年度から改修事業者の技術力向上を図るための講習会を開催することとしております。  また、民間で開発された既存の天井や壁を壊さずに補強できる工法や家の外から補強できる低コスト工法の周知、普及を図るため、日本建築防災協会の住宅等防災技術評価制度による耐震化効果の客観的評価に加え、本県の取り組みといたしまして、長野県建築物構造専門委員会において改修工法の審査、評価を実施しているところであります。  引き続き、担い手の育成や低コスト工法の普及に市町村や関係団体と連携して取り組んでまいりたいと考えております。       〔15番両角友成君登壇〕 ◆15番(両角友成 君)阪神・淡路の大震災では、家屋倒壊などによる圧死が死亡者の約8割、発災から15分以内に死者9割以上の方が家屋や家具の倒壊により亡くなっています。このことからも住宅の耐震化は、震災直後の死傷者と住宅被害を軽減させるとともに、その後の復興に違いが出るとされています。  長野県の計画を見ますと、住宅・建築物耐震改修総合支援事業の来年度予算案は、前年度より約1,000万円増の9,114万9,000円です。県の耐震化の目標値は、2年後、2020年末には住宅で90%、特定建築物、学校、病院、店舗などの多数が利用する建築物は95%に定め、耐震化の推進を図りますとのことですが、来年度は住宅250軒分の予算。このペースでは、到底目標達成は難しいと思われます。  先進県を見ますと、県と市町村の独自補助を合わせると90万円から150万円、これを2分の1などの定率補助ではなく限度額枠内での全額補助、その上、注目すべきは、県として、大学と行政、民間企業が協力し、コストダウンした耐震工事、低コスト工法を採用し、普及を図っている。私の言う先進県は高知県ですが、さまざまな工法を用いてそれを柔軟に使いこなし、現場工事の勘どころを押さえ、無駄、手間を省くことで基本的に補助金の範囲内で耐震工事が実現しているとのことです。  高知県を含む四国全域は南海トラフの巨大地震の発生が懸念され、震度6弱から最大震度7という非常に強い揺れに襲われる可能性があり、住宅倒壊の被害想定が甚大なことから、耐震化の一層の推進が求められている地域ですが、ここ長野県も、糸魚川―静岡構造線、津南―松本構造線、神城断層、備前県議の代表質問でも答弁されたように、活断層の非常に多い、やはり大変危険な地域です。  高知県では、3年間で4,500戸の耐震改修を目指し、1,600億円もの予算を組んでいるとのことです。担い手の確保と並行して、せっかく耐震診断した住宅をいかに工事していただくか、その手だてとして、職員、先ほども部長から戸別訪問という答弁がありましたが、職員が戸別訪問するということがみそだそうです。それを実施している自治体もあるとのことです。  長野県同様大地震が想定されている高知県の取り組みの一端を紹介しました。部長は100万円にしましたということですが、定率補助ではなく、これを限度額、枠内としていただきたいと思います。喫緊の課題である住宅の耐震化に向け、今の答弁にあったように、県も問題意識を持って取り組んでいると認識していますが、県内市町村、関係業者の皆さん、そして県民の皆さんと連携し、先進地に学び、現在の取り組みをさらに進めていただきたいがいかがでしょうか。いま一度建設部長の見解を伺います。       〔建設部長油井均君登壇〕 ◎建設部長(油井均 君)住宅の耐震化のさらなる取り組みに関するお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、高知県におきましては、市町村やNPO法人による戸別訪問の実施、あるいは啓発の強化による需要の掘り起こしや改修事業者の営業力と技術力の向上による供給能力の強化などの取り組みが一定の効果を上げていると聞いております。  住宅の耐震化の促進には、地域に応じたきめ細やかな取り組みが重要と考えておりまして、これまでも市町村と連携して取り組みを進めているところであります。引き続き地震による住宅倒壊等の被害を最小限のものとするため、高知県などの事例を参考に、どういった取り組みが有効か、市町村あるいは関係団体と協議を進め、さらなる住宅の耐震化の促進に取り組んでまいりたいと考えております。       〔15番両角友成君登壇〕 ◆15番(両角友成 君)今定例会、2月議会は予算議会と言われます。したがって、予算が伴う質問事項が重なりましたが、事業をなし遂げるためには、やはり究極は人だなと思っています。県民の皆さんのためにお互いに力を尽くしてまいりましょうと申し上げ、質問といたします。ありがとうございました。 ○副議長(諏訪光昭 君)次に、今井敦議員。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)まず、稼ぐ観光地域づくりとDMOの形成についてお伺いいたします。  私たちが今まで経験したことのない人口減少時代を迎え、地方においては町や村の消滅の危機が叫ばれる中、観光は地方創生の鍵であり、我が国の重要な成長戦略の一つとなってきています。このような中、本県だけでなく、全国各地で地方の観光のあり方はどうあるべきかとの検討が開始され、現在策定が進められている長野県観光戦略2018においても観光地域づくりの重要性が示され、その推進役としてDMOの形成を進めることが語られております。  私の地元茅野市でも、DMOの設立に向けて本格的な議論と準備が進められており、この3月末で市観光協会が解散し、4月からはDMOに全面的に再編されることになりました。  しかしながら、日本版DMOを提唱する観光庁の定義や解説を読んでも、その本質的な部分や具体的な部分、すなわちDMOとは何か、具体的に何をやるのかといった点がわかりにくく、茅野市内の関係者の間でも、スタートを切るに当たり不安を隠せない状態であります。  過日、DMOとしての国への登録を目指す県内の各DMO候補法人を回り、相談、支援を開始している県観光機構にお話を伺ったところ、いずれの団体も、ほかにおくれをとらないように観光協会をDMOに再編したものの、一体何が変わったのか、一体何をやってよいのかわからない。また、DMOになると宣言したばかりに、自立するものと誤解されて、これまで支援を受けていた行政サイドから助成金がカットされることになってしまった。あるいは、DMOの目的は経営の自立であるので、まずはみずからが宿泊施設など稼ぐ仕組みを立ち上げなければとそちらに専念してしまっているなど、DMOを目指す各団体がそれぞれに悩みや迷いを抱えていることがわかりました。  そこで、まずは、この稼ぐという意味を十分に理解し、共有することが必要であるというふうに思うわけでありますが、確認の意味でも観光部長にお聞きいたします。  一つ目、稼ぐ観光地域づくりのかじ取り役としてDMOには期待をするところであり、一日も早く各地域で立ち上げるべきと思いますが、この稼ぐという言葉を観光戦略においてあえて強調する思いにはどのようなものがあるのでしょうか。また、誰が稼ぐことを意味しているのでしょうか。
     現在、立ち上がろうとするDMOを見ていると、市町村観光協会をそのままDMOに移行させているところが多いように思います。また、早期に国に登録されたほうが国からの助成金が得られるので有利だとの考えで、まず組織ありきで立ち上げようとしている向きも見られるわけですが、地域の将来のために本当に役立つDMOを立ち上げるにはどうしたらよいのか、いま一度立ちどまって考えることが大切ではないかと思います。  そこで、DMOを立ち上げるにはどのようにしたらよいと考えるのか、また、県としてはDMOの立ち上げや観光地域づくりの形成に当たってどのように支援をしていくつもりなのか、観光部長にお伺いをいたします。  現在策定中の長野県観光戦略2018では、その行動指針に、「様々な主体が協力し合い、学び合い、そこに暮らす人も訪れる人も「しあわせ」を感じられる地域づくりを進めよう」と書いてありますが、理想とする観光地域づくりが地域の全産業や住民を挙げて相互に協力して進めるものであるとするならば、そこを訪れる人も、年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめるユニバーサルツーリズムの考え方につながるもの、または、それが必要になってくるというふうに考えられますが、観光部長が理想とする観光地域の姿とはどのようなものなのか、所見を伺います。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)稼ぐ観光地域づくりとDMOの形成について3点御質問をいただきました。まず、稼ぐという言葉に込めた思いとその主体についてのお尋ねでございます。  これまでの観光は、個々の主体が個別の観光資源に誘客を行い、それぞれに収益を上げるか、旅行会社の系列やツアーに組み込まれてその中で収益を得ることが主流でありました。近年、価値観の多様化が進み、国内外とも個人旅行が主流となり、旅の目的も、物見遊山的なものから、アウトドアや癒やし、その地域ならではのさまざまな体験へと変化をしております。そのような中、受け入れる側としては、地域の統一的なストーリーに従い、その地域の各産業や住民が参画、協力し、面的に多様な魅力を発信していくことが重要になってきております。  稼ぐという言葉には、DMOのマネジメントのもと、地域の各産業が協力して観光客の受け入れや交流の役割を発揮することによりまして、皆で収益を上げ、それを域内に再投資することで地域経済が拡大することを意図しているのでありまして、新たに立ち上げるDMOのみが収益を上げることとは考えておりません。  次に、DMOの形成とその支援についてのお尋ねでございます。  DMOの立ち上げに当たりましては、一つ目に、多様な主体が参画して広域的に地域の価値を外部の視点やニーズを取り入れながら掘り起こし、地域のストーリーを見出すこと。二つ目に、そこにどのように誘客を図り収益を上げていくのか、さまざまな手法を検討すること。そして、三つ目に、企画立案やプロモーション、基盤整備など、関係者間の役割を調整することが必要であります。その上で、全体のマネジメントを担うDMOは、果たしてどのような規模や形態であるべきかを検討して決定していくことが適切な手順であると考えております。  観光部といたしましては、県観光機構が設定する広域型DMO形成重点支援候補地域に対しまして、DMOの立ち上げ段階から地域振興局とともにサポートし、一定の基準を満たした広域型DMOに対しては、国や市町村とともに連携しながら、県観光戦略推進本部がハード、ソフト両面から観光地域づくりに必要な支援を多面的に行ってまいる所存でございます。  最後に、理想とする観光地域の姿についてのお尋ねでございます。  そこに暮らしている人々が幸せを感じられる地域にこそ旅人は行ってみたいと思うものでありまして、幸せが感じられる地域とは、年齢や障害の有無を超えて誰もが楽しめる、まさにユニバーサルな精神があふれる地域であると考えます。さらに、そこから一歩踏み込みまして、地域自体や住民生活に負荷をかけることなく、住民のありのままのライフスタイルを訪れた方に楽しんでいただくことにより、地域の自然や文化、伝統などが健全に保全されていく持続可能な地域こそが本県にとって理想の観光地域であろうと考えております。  以上でございます。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)DMOは観光地域づくりのかじ取り役であり、経営に苦しんでいる地域の旅館や観光事業者がまさに稼げるようにリードすることが大切であり、DMO自身が稼ぐために立ち上がるのであれば、それは結果として地域の競合相手がふえるだけで、逆に地域を苦しめることになってしまうのではないでしょうか。そんなふうに思っております。  県内の現場では、DMOは何のために立ち上げるのか。また、今まで行われてきたエコツーリズムやほっとステイなどの既存の活動や施設をうまく活用し、次のステップに移行することができるのか。あるいは、広域的な視点を持った運営ができるのか。または、補助金頼みの組織づくりから卒業するべきではないかなど、さまざまな迷いや課題が聞かれるところであります。県においては、県内のDMOの状況をしっかりと見きわめていただき、それぞれをしっかりとサポートをしていただきたいと、そんなことを思います。  次に移ります。リニア中央新幹線の開業を見据えた中央東線の利便性確保についてであります。  平成28年3月の北陸新幹線の金沢延伸に続き、平成39年にはリニア中央新幹線が開業し、いよいよ本県と首都圏、中部圏、関西圏が新幹線によって強く結ばれることとなります。リニア中央新幹線の開業は、長野県、特に伊那谷の皆さんにとっては大きなチャンスであり、開通効果を享受できるよう準備をしていくことが重要であることは言うまでもありません。  しかしながら、一方で、リニア中央新幹線の開通は、松本、諏訪地域と首都圏を結ぶ中央東線にとって大きな脅威となるものでもあります。昨年12月にスーパーあずさの新型車両が導入され、乗り心地や快適性が大幅に改善されたことは大変喜ばしいことではありますが、沿線の住民の方々からは、リニア中央新幹線が開通すると、首都圏と山梨県甲府を結ぶ特急かいじがなくなるだろうとか、松本地域と上田地域との道路改良が進むことにより、松本地域の皆さんの北陸新幹線の利用がふえ、その結果として特急あずさの利用が減り、減便されてしまうのではないかといったアフターリニアに対する不安の声が今から聞こえてきているところであります。  私たち中南信の県民が古くから親しみ、お世話になってきた中央東線は、諏訪、松本地域と首都圏を結び、地域の産業、経済の発展に果たす役割は多大であり、八ヶ岳、諏訪湖、松本、上高地、安曇野を結ぶ県内観光に欠くことのできない、いまだに揺るぎない重要な鉄路であります。リニア中央新幹線の開通まで10年を切った今こそ、この路線が将来にわたって存続をし、県民や長野県を訪れる方の利便性が引き続き確保できるよう、沿線住民、市町村はもちろん県が危機感を持って取り組んでいくことが重要だと考えます。  そこで、以下3点、企画振興部長にお伺いをいたします。  1点目、南北に長い長野県内において、南信地域の住民の利便性を確保するという観点から、特急あずさの長野と飯田までの乗り入れを図ることが必要と考えるが、いかがでしょうか。  次に、これまで阿部知事が会長を務めている中央東線高速化促進広域期成同盟会を通じ国やJR東日本などに要請活動を行ってきているが、具体的にどのような働きかけを行ってきたのか。  3番目、リニア中央新幹線の開通まであと10年を切った中、リニア開通後も引き続き特急あずさの本数を確保し、中央東線の利便性の向上を図っていくためには、今から先を見越して国やJR東日本と交渉をしていくことが必要と考えるが、どのように取り組んでいく所存か、県のお考えをお伺いいたします。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)中央東線の利便性確保につきまして3点お答えを申し上げます。  まず、松本から先への特急あずさの乗り入れについてでございます。  特急あずさにつきましては、現状でも、1日1便、終着駅の松本駅に到着した後、そのまま長野駅まで運行する快速列車として活用され、利用者の利便性向上が図られているところでございます。南北に長い長野県におきまして、南信地域と長野を結ぶ直通の特急列車の導入は、利用者の利便性確保のみならず、観光誘客の点からも有効と認識をしております。そこで、県では、JR東日本を初めJR各社に対し地元の声を集約して要望するJR連絡調整会議を主催し、これまでも、諏訪地域から長野駅までの特急や快速の乗り入れや増便につきまして要望しているところでございます。  昨年夏の信州DC期間中には、首都圏から木曽路に直行する木曽あずさ号や、あずさと接続する飯田線リレー号が運行され、特急あずさによる送客を県内各地へ広げる取り組みか行われたところでございます。こうした取り組みの実績も生かし、松本から先への特急あずさの乗り入れを拡大するようJRに働きかけてまいります。  次に、JR等への要請活動についてでございます。  中央東線の高速化と利便性向上に向けましては、さきに申し上げました県主催のJR連絡調整会議での要望のほか、中央東線高速化促進広域期成同盟会としても、これまで、JR東日本及び国へ繰り返し要請をしております。昨年12月にも、同盟会会長である阿部知事みずから新宿のJR東日本本社を訪ね、深沢副社長に対し強く要請を行ったところでございます。  具体的には、高速化につきまして、三鷹―立川間の複々線化の早期事業化と高尾以西への線形改良の推進、利便性の向上につきまして、早朝、深夜の特急列車の新設とクルーズトレインを活用した周遊ルートの充実などを要請してございます。また、国政レベルでも、自民党中央東線高速化促進議員連盟において御支援をいただいているところでございます。こうした活動によりまして、特急あずさの新型車両の導入のほか、SuicaやWi-Fiの導入など利便性向上につきましては着実な成果を上げてきております。高速化につきましては、工事に多額の費用がかかることなど実現には多くの課題がございますが、引き続き粘り強く要望してまいりたいと考えております。  最後に、リニア開通後を見越した取り組みについてでございます。  リニア中央新幹線と比較した場合の特急あずさ最大の優位性は、松本、諏訪地域と首都圏をダイレクトに結んでいるということであると認識をしております。このため、今後の中央東線を考える上では、特に松本、諏訪地域全体の誘客力をアップするための取り組みが一層重要になってくるものと考えております。その上で、中央東線の利用者確保という目標をこれまで以上に共有することとなるJR東日本とは、単に要望元と要望先というだけではなく、利用者をふやすための取り組み、例えば旅行商品の開発やイベントの開催などをともに行うパートナーとしての関係性を強化していくことが重要と考えております。  今後も、同盟会を通じ、中央東線の高速化や利便性向上に向けて要望していくことに加えまして、県としても沿線地域の魅力アップ、情報発信等につきましてJR東日本や沿線地域と連携し、取り組んでまいります。  以上でございます。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)リニア中央新幹線の開業まで既に10年を切りました。同時に、アフターリニアのスタートまでも既に10年を切ってしまいました。これまでさまざまな活動を展開し、高速化も複線化もままならなかっただけに、今後の沿線の人口減少、利用者減を考えると、今のうちにその存続に向けて多面的な対策と改善策の検討を始めなくてはならないというふうに思います。  在来線は、明治以来、国民の血税によって構築されてきた重要な交通網であります。鉄路であれ、道路であれ、ネットワークが完成してその効果を最大限発揮するものであり、新幹線はいまだネットワーク化されておらず、その途上にあり、何といっても貨物輸送がありません。  2年ほど前になりますが、国は、リニアに対し財政投融資を行うこととしましたが、私は、リニアではなく、在来線こそ財政投融資を行ってほしい、そんなふうに思っているわけであります。JR北海道は、経営的に苦しく、在来線の維持管理や線形改良などの整備を行う余力がなく、安全性にも問題が出てきているところであります。このような箇所は全国各地にあり、国は、在来線の鉄道網をしっかりと維持することにこそ支援を行うべきであり、こういった考え方が国のほうからぜひ出てきてもらいたいと思っているところであります。そうしたことは、地方経済の活性化にもつながり、まさに地方創生に資するものだというふうにも思うわけであります。  先ほど御説明をいただきましたが、いずれにいたしましても、県には、中長期的な予測も含め、沿線自治体に寄り添って、しっかりとリードをしていただき、早期に有効なアクションを起こしていただきたいと要望し、次の質問に移ります。  平昌オリンピックにおける県関係選手の活躍と県民栄誉賞についてであります。  過日、私は、平昌オリンピック女子スピードスケート500メートル決勝の応援に茅野市民の皆さんとともに行ってまいりました。皆さん御承知のとおり、小平奈緒選手がオリンピックレコードで金メダルを獲得し、レース後、韓国の銀メダリストで小平選手のライバルでもある李相花選手とともにトラックを回ったあの感動のシーンに立ち会うことができました。  今回のオリンピックは、小平選手が言ったとおり、百花繚乱、選手たちがそれぞれにすばらしいきれいな花を咲かせた大会でありました。県関係選手も、メダル云々ではなく、それぞれにドラマがあり、県民に勇気と感動を与えてくれました。  そこで、知事にお伺いをいたします。  一つ目、県関係選手の活躍についての感想と今後の県内スポーツ振興についての知事の思いをお伺いいたします。  次に、あわせて県関係選手への表彰についてはどのようにお考えでしょうか。特に、女子スケート陣の活躍は目覚ましく、金メダリストである小平奈緒選手、高木菜那選手、菊池彩花選手には県民栄誉賞を授与すべきと私は考えておりますし、また、多くの議員の皆様からもそうした意見が出ているところでありますが、改めて知事のお考えをお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)平昌オリンピックに関連して2点御質問を頂戴しました。  まず、県関係選手の活躍と今後のスポーツ振興についてでございます。  今回、県関係選手は、過去最多となる5種目でメダルを獲得するなど大変すばらしい活躍を見せていただきました。私たち県民に大きな感動、勇気、元気、そうしたものをもたらせていただけたものというふうに思っております。  スポーツで長野県を元気にしたいというふうにいつも申し上げておりますけれども、今回の平昌オリンピックの感動的なシーンを見る中で、改めてスポーツの力の大きさというものを実感しているところでございます。  また、今回のオリンピックは、20年前の長野オリンピックで日本選手の活躍を観戦し、そのときの思いを大事にして、そして、今回選手として活躍されているという方たちも大勢いらっしゃるわけであります。見事に志を実現され、そして、今回の平昌オリンピックの感動的なシーン、選手の活躍を見た次の世代の子供たちがまた新しい夢を抱いて、次の選手、アスリートになっていくことが期待されるところであります。  長野県は、2027年の国体、そして全国障害者スポーツ大会の開催を予定しているわけであります。こうしたスポーツの力を長野県の振興発展に一層活用していきたいというふうに思っておりますし、また、とりわけアスリートの皆さんは本当に大変な努力をされてオリンピックに出場されていらっしゃいます。アスリートに対する支援については、意欲、能力のある人たちを、企業の皆さん、関係の皆様方とも協力して支援するということについてもしっかり考えていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。いずれにしても、改めてスポーツを通じた元気な長野県づくりに全力で取り組んでいきたいと考えています。  また、金メダリストへの県民栄誉賞の授与についてという御質問でございます。  これまでの御質問にもお答えをしてきたわけでありますが、今回、平昌冬季オリンピックでは本当に多くの選手が大活躍されているわけであります。特に、御質問にありました小平奈緒選手、高木菜那選手、菊池彩花選手は金メダル獲得と、これは世界一ということで大変すばらしい結果を出されたというふうに思っております。  こうした選手の方たちにどのような祝意や敬意を表するのがふさわしいか、今、具体的に検討させていただいているところでありまして、できるだけ早期に方向性をお示しできるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)今回のオリンピックで咲いた美しい花たち、それを次にどう生かしていくかということが大変重要なテーマになってくるんだろうというふうに思います。施設面を含めて、選手たちのさまざまな環境の整備というものを今後より一層しっかりとやっていっていただきたいというふうに思います。  既に御承知と思いますけれども、小平選手の場合は、茅野市内で生まれ、高校は伊那のほうに行き、そしてまた大学は長野市の信州大学へ行き、そして今は松本で働いておられるということで、長野県中の皆様方に応援をしていただいて、今回、大きく花が咲いたという形になっております。やはりそうしたさまざまな支援というものが必要であり、そうした環境整備というものも重要だろうなというふうに思うところであります。  いずれにいたしましても、表彰につきましては、それぞれいろんな御意見もありますし、また過去の経緯等もあるというふうに思います。大変悩ましいこととは思いますけれども、先ほど知事に申し上げたとおり、県民の皆様方の大きな期待もありますので、ぜひともみんなに喜んでもらえるように早急に結論を出していただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ○副議長(諏訪光昭 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時36分休憩          ──────────────────         午後2時52分開議 ○議長(垣内基良 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  堀内孝人議員。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)自民党県議団の堀内孝人です。  初めに、けさの新聞にも報道されておりましたが、国体スキー競技会が3年ぶりの男女総合優勝、1月にはスケート競技会も3連覇で男女総合優勝、日々また日ごろの練習の成果を発揮されまして、冬季国体は長野県が1位であります。まことにおめでとうございました。また、平昌五輪において、飯山市のスワロースキー製のツマブランドのスキー板を履いたカナダのハーフパイプの女子選手、キャシー・シャープさんが初出場で初優勝し、金メダルを獲得して、幸運の板、金の板と言われまして同モデルの注文が入るなど大変反響が大きく、スキーの拡大や地域活性化に向け発展するよう願っております。  順次質問します。初めに、女子アスリートの強化策について伺います。  平昌冬季五輪の日本勢の活躍がまことにすばらしかったことは枚挙にいとまがなく、我々に大きな喜びをもたらしました。すがすがしい勝利者のレガシーは、県民、国民にとどまらず、世界の視聴者の誰の目にも鮮明に焼きつけられたはずで、我が国の誇りとなって高まり、大きな夢、勇気と感謝を与えてくれました。  殊に、女子選手においては、その獲得したメダルの数ばかりでなく、とりわけ氷上で闘志を爆発させたのには魅了されました。個人でも、団体の競技においても、力を出し切った最高の技術力と躍動感あふれる姿に、さらにとりこになったファンも多いと思います。一見、諸外国に比べて明らかに小さな体にもかかわらず、科学的なトレーニングと強い精神力、目標に向かってさまざまな力をかり、テクノロジーを駆使しながら大切なその一瞬に合わせて頂点に立つパフォーマンスを発揮し、勝利をもぎ取ったのは、同じ日本人としてこの上なく晴れがましい気持ちでいます。揺るぎない意志でやり遂げたことに大いに敬意を表します。改めて日本の女性アスリートの確かな歩みが明らかになり、可能性はますます広がっていきそうです。  スポーツ庁が今月13日に発表した平成29年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査、全国体力テストの結果によれば、体力合計点は、小中学校で女子が過去最高値を記録したということで、ここ数年のグラフからは経年で上昇しており、我が県も確かな伸びを示しております。この背景について、専門的で詳細な分析が待たれるところですが、女性のスポーツ環境が飛躍的に広がっていることもあり、成長段階に応じた育成強化策を講じることでスポーツ界における女性活躍もさらに目覚ましく発展し、向上するのではないかと思われます。  かつては男性のみの参加しか認められなかった種目や競技も、男女間で見ると、一方だけにしかできない競技や種目にはだんだんと垣根がなくなりつつあり、既に男女共同参画時代なのです。女性のライフステージにおいては、これまでの20歳代後半まで競技や選手生活を続けるのは相当の覚悟で臨まなければというような固定概念も、既に打ち破られつつあると感じます。31歳の小平選手が証明してくれました。選手としてのハイパフォーマンスを持続した彼女の偉業を信州長野モデルとして、女子の強化策を大胆に考案、提示するべきではないかと考えます。長野には女子プロサッカーチームもあります。年代を超えた挑戦の資源をふやして高めていくことにもつながります。  そこで、小平選手や菊池選手、高木選手の大活躍に触発され、未来のトップ女子アスリートを目指そう、あんなふうに強くなりたいというスポーツ好きの女子を、5年、10年というスパンで育てるための強化プログラムを初めに、女性アスリートの強化策を今後どのように進めていくのか、教育長の御所見をお聞きします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)女性アスリートの強化策についてのお尋ねでございます。  平昌オリンピックでの小平奈緒選手、高木菜那選手、菊池彩花選手を初め、リオデジャネイロオリンピックでの奥原希望選手、箱山愛香選手など、近年、本県関係の女性アスリートの国際舞台での活躍はすばらしく、特にジュニアの女子選手には大きな憧れと励みになるものというふうに思っております。  折しも、来年度から、2027年の国体開催を見据えまして、小学生から高校生までの成長段階に応じたジュニア選手の発掘、育成に取り組むこととしておりますが、思春期からの身体的特徴にも配慮しながら、個々に応じた中長期的な育成方針を関係者が共有して一貫指導していくことが大切であろうというふうに考えております。  特に、女性アスリートの特有の課題とされます摂食障害や骨粗鬆症などにつきまして、来年度新たに設置する競技力向上対策本部に産婦人科医や臨床心理士にも参画いただきまして、身体や心理面からのサポート体制のあり方についても検討してまいりたいというふうに考えております。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)今後女子アスリートが長野県からたくさん輩出されるようにぜひとも御努力をお願いしたいと思います。  次に、観戦、応援で参加するスポーツについてお伺いします。  日本選手の活躍する姿に認められたのは、身体能力や科学に裏打ちされた練習により生み出される動きに人間の体や精神の可能性を感じ、誰もが勇気をもらったものと思います。これもスポーツがもたらす効果の一つであり、見る者もまたそのスポーツに参加することの証明となりました。そこで、スポーツそのものだけでなく、観戦や応援を含めた広い意味でのスポーツ振興を推進すべきと考えますが、教育長の御見解をお聞きいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)観戦や応援によるスポーツ振興についてのお尋ねでございます。  スポーツを観戦、応援することは、見る人に楽しみや喜びを与えるだけでなく、見ることをきっかけにみずからスポーツを始めたり、サポーターやボランティアとしてスポーツ活動を支える側となるなど、スポーツ環境の発展にもつながるものでございます。特に、トップアスリートの試合など本物を見ることは、未来を担う子供たちに大きな夢や希望を与えるものでもございます。  本県には、県内に本拠地を置く地域密着型のプロスポーツチームも多く、各地で競技レベルの高い試合を観戦できる機会も増加しております。これまでも、プロスポーツの試合日程を地元の学校に周知したり、競技団体が主催する大会情報をホームページに掲載するなどスポーツ観戦者の増加を図ってまいりましたが、2027年の国体や全国障害者スポーツ大会の開催に向けましてさらに関心や機運を高めて、スポーツを見るあるいは応援するという観点も含めて本県のスポーツ振興に取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)続きまして、健康づくりのための人材確保と女性の健康増進についてお伺いします。  国が発表した本県の平均寿命は、女性が87.675歳で1位、男性が81.75歳で2位となりました。女性の首位は維持され、男性の次点はまことに残念でありますが、依然として屈指の水準で、これを持続して健康で長生きしたいという願いをかなえるためには、健康づくりの県民運動、信州ACEプロジェクトをさらに強力に推し進める必要があると考えます。  個人個人の健康づくりの取り組みを進める上で、運動の支援をしてくれる人の存在は大変重要です。それを担う健康運動指導士、県内に約520人ほどおりますが、この皆さんに一層活躍してもらうことが大切だと思っております。健康づくりを進める上で、知識と経験が豊かな指導者というべき身近な人材としてもっと活用すべきではないでしょうか。健康福祉部長にお聞きします。  また、平成30年度の信州ACEプロジェクト関連予算を見ると、健診データ等の分析によって健康課題を見える化し、保険者等関係機関と連携しながらターゲットを明確にした健康づくりの取り組みを強化するとしています。  長野県が平成28年度に実施した県民健康・栄養調査の結果を見ますと、働き盛り世代では身体活動、運動が不足していることや県民の9割以上の人が食塩をとり過ぎていることなど、生活習慣の課題があります。その中でも、特に女性は、ライフステージに応じて異なる課題があらわれております。例えば、若い女性は、特に運動習慣がある人の割合が低く、30歳代男性の運動習慣がある人の割合は約3割であるのに対し、女性は7.1%にとどまっております。また、シニア世代においては、低栄養傾向にある人の割合が男性10.3%であるのに対し女性は23.6%と、男性の倍以上であり、その割合は平成22年から平成28年にかけて大きく増加している状況にあります。  県民の健康づくりを考える上で、ライフステージによる特徴が大きく変化する女性をターゲットとし、ライフステージを意識した信州ACEプロジェクトの取り組みが必要と思われますが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお聞きします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)健康づくりに関連して2点御質問をいただきました。
     1点目が、健康運動指導士の活用についてであります。  運動、体を動かすことは、生活習慣病を予防する上で重要な要素であります。信州ACEプロジェクトでは、これまで、日常生活の中でできるだけ多く体を動かすための指針、長野県版身体活動ガイドライン(ずくだすガイド)を作成、普及するほか、市町村の運動支援ボランティア養成テキストの作成、市町村の指導者や運動支援ボランティアに効果的な運動習慣の手法を学んでいただく研修会の開催などに取り組んでまいりました。これらの取り組みにおいては、県内の健康運動指導士の皆さんにも参画いただいているところであります。  健康づくりを浸透させていくためには、効果的かつ安全な運動の実践を支援する健康運動指導士のような指導者が果たす役割は大きいものと考えておりますので、市町村における健康運動指導士の配置状況等を把握しつつ、働き盛り世代対象のウオーキングイベントなど、ACEプロジェクトの取り組みの中でさらなる活用を進めてまいりたいと考えております。  次に、女性の健康増進についてのお尋ねがございました。  来年度の信州ACEプロジェクトの展開におきましては、ターゲットを明確にした上で、運動、健診、食に係る取り組みを進めることとしております。議員御指摘のとおり、特に女性についてはライフステージごとにさまざまな課題がございます。そこで、若い世代については痩せ傾向にあることなどから、バランスのとれた食生活を普及していく必要があるため、県内大学生が食生活に関する課題について学び、栄養士、食生活改善推進員と交流する場を創出するとともに、学生のイベントに出向き、運動習慣定着の体験講座を開催するなど取り組みを進めてまいります。  また、子育て世代の女性については、子育てサークルに出向き、食事づくり体験を通じてバランスのとれた食生活を普及するとともに、シニア世代の女性については、筋肉量の測定などの低栄養チェックを行う中で低栄養予防のための情報を提供するなど、それぞれの課題に応じた取り組みを進めてまいります。  以上であります。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)とにかく、男性も女性も塩分のとり過ぎには十分注意していただきたいと思います。たまたま小平奈緒選手は須坂のみそを持参していったそうです。また、須坂には五つのみそ蔵がありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、中学校の部活の将来像についてお伺いします。  自民党のスポーツ立国調査会が地域スポーツの在り方に関する緊急提言の骨子案をまとめ、運動部活の現状について、少子化の影響で部員を確保できず単独校での活動が困難、教員の多忙化で若い顧問のなり手が不足している。競技経験のない顧問が多く、専門的指導ができないなどの問題に直面していると分析しております。  スポーツ庁も、先ごろ、中学校運動部の活動時間について、平日は2時間、土日は3時間以内とし、週2日以上の休養日を設ける指針案を公表したところで、短時間で効率的な練習を促すことで生徒のけがを予防し、勉学など部活以外の機会を確保し、顧問教員の負担を減らすという。さらに、スポーツ庁の有識者会議では、23日、中学校での活動時間や休養日の基準を高校生にも適用することが了承されたばかりです。3月には正式な指針がまとめられる見通しだと聞いております。  本県も、同様の状況になり、今後の中学校部活動を維持、活性化していくためには何らかの対策が必要と考えます。そこで、中学校の部活動活性化について、これまでの取り組みと今後どのように取り組んでいくのかを教育長にお伺いします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)中学校の部活動の活性化への取り組みというお尋ねでございます。  本県では、平成25年度に、全国に先駆けて、中学生のスポーツ活動が適切で効果的なものとなるよう中学生期のスポーツ活動指針を策定し、活動の基準を定めたほか、市町村単位にスポーツ活動運営委員会を設置して、各学校の目標や方針に応じた適正な運営を行う体制づくりを進めてきたところでございます。  現在、運動部活動をめぐっては、少子化の影響により部の存続が困難になったり、教員の負担増加のほか、運動する生徒としない生徒の二極化などの課題がございます。これらの課題のうち、少子化への対応といたしましては、大会の参加規定の緩和を検討するとともに、複数校による合同部活や地域のスポーツクラブの参加など、学校の枠を超えた活動形態の検討を進めていきたいというふうに思っております。  また、教員の負担軽減や運動の二極化改善のためには、新たに部活動の顧問ができる部活動指導員の任用を推進するほか、地域のスポーツクラブ等と連携して、ダンスパフォーマンスやスポーツヨガなど勝敗にこだわらず気軽に楽しく運動できる、いわゆるゆる部活といったものも推進することなどに取り組んでまいりたいというふうに思っております。こうしたさまざまな取り組みによりまして持続可能な生徒のスポーツ機会の確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)中学生の部活動は、卒業式を見てみると、思い出に部活動の話がたくさん出てきておりますので、ぜひいい形でできるようにしていっていただきたいと思います。  最後に、山岳高原を活用しました観光振興についてお聞きします。  平昌冬季オリンピックメダリストを紹介するテレビ番組で、夏期に信州の美しい自然を背景に菅平でトレーニングをする選手たちの映像が放映されるなど、選手強化や育成シーン、エピソードに、ロケーションが想像以上に取り込まれております。長野県のイメージアップに寄与、貢献し、観光誘致にも今後つながると思っております。また、毎年箱根駅伝に出ます青山学院を初めとする駅伝チームの11校ぐらいが菅平峰の原高原に来て、毎年合宿していただいておりまして、すばらしい成績をおさめております。このように、スポーツ合宿の誘致は、長野県の山岳高原資源を有効利用、有効活用して観光戦略につながると思いますが、熊谷観光部長にお聞きしたいと思います。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)スポーツ合宿等の誘致によります観光誘客についてのお尋ねでございます。  現在、長野県スポーツコミッションを中心に市町村と連携しながらスポーツ合宿誘致に取り組んでいるところでございますが、山岳高原である本県には、幸いにも観光地の中にアスリートの持久力を高める高地のほか、ランニングやサイクリングに適した環境、スキー場や河川、湖沼など多様な練習環境が多数存在するという特性がございます。  海外のトップアスリートに合宿地として選んでいただくことによりまして、選手や観客の来訪によります直接の誘客効果だけでなく、本県の自然環境やロケーションが国内外に報道されることは、本県の知名度の向上やイメージアップが図られ、大きな宣伝効果があるものと認識をしております。  そのため、各地の受け入れ態勢を一層高めながら、今回の平昌オリンピックの成果も踏まえまして、メダル獲得につながった練習の地として積極的にPRすることによりまして、本県がスポーツ合宿に最適な地であることを強力に発信し、継続的にスポーツ合宿誘致に取り組んでまいりたいと考えております。       〔21番堀内孝人君登壇〕 ◆21番(堀内孝人 君)大変有名な選手が長野県内の高原に合宿や練習にたくさん来ておりますので、PRをよろしくお願いしたいと思います。  これで質問を終わります。 ○議長(垣内基良 君)次に、山口典久議員。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)最初に、平成の大合併と、合併した旧町村地域の人口減少の対策についてお伺いをいたします。  国により平成の大合併が推奨されて以来、全国の市町村数は約3,200から1,700に、長野県は120あった市町村が77市町村になりました。その合併が一段落してから10年、合併した旧町村地域は大きく変わってまいりました。  報道によれば、長野県内で市と合併した旧町村地域において、この10年間の人口減少率が10.4%に達しています。県全体の減少率4.8%の倍以上です。また、合併せず自立の道を選んだ58町村の同じ時期の減少率は8.5%、これも大きく上回っています。  飯田市では、旧町村地域の減少率が31%、塩尻市は22%、伊那市、大町市が18%、長野市が17%と続きますが、こうした地域では、集落の崩壊など深刻な事態も生じているところです。合併した旧町村地域における人口の減少や集落の崩壊が合併しなかった町村に比べて急速に進行している、その実態をどのように認識しているのでしょうか。企画振興部長に伺います。  次に、こうした旧町村の人口減少などの要因についてです。  総務省自治行政局は、「平成の合併について」という総括を取りまとめています。これは、合併がほぼ終結した平成22年3月のものですが、この中で次のように書かれています。多くの合併市町村において、合併の評価は大きく分かれている。特に、行政側の評価と住民側の評価が必ずしも同じものとはならず、各種アンケート等によれば、住民の反応としては、合併して悪くなった、合併しても住民サービスがよくなったと思わない。よいとも、悪いとも言えないといった声が多く、合併してよかったという評価もあるが、総体的には合併に否定的評価がなされているというものです。  さらに、この総務省自治行政局の取りまとめでは、合併による問題点として、役場が遠くなり不便になる。中心部と周辺部の格差が拡大する。住民の声が届きにくくなる。こういったものが挙げられています。つまり、公共機関や学校の統廃合、病院や福祉施設等の廃業や縮小、公共交通の利便低下等による住民サービスの後退があります。しあわせ信州創造プラン2.0案は、全ての住民が快適に、また、創造的に暮らせる生活基盤を整備するとしています。本格的な人口減少社会において、今後、住民サービスを維持、確保していくために具体的にどのような対策を講じようとしているのでしょうか。企画振興部長に伺います。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)2点、お答え申し上げます。  まず、合併市町村の実態についてでございます。  県内市町村の平成17年から27年までの10年間の人口を見ますと、町村全体の人口減少は7.4%、このうち市と合併をした旧町村地域の人口減少は10.0%でございました。一方で、市全体の人口減少は3.5%、このうち町村と合併した旧市地域の人口減少は1.9%でございました。個々の実態はございますけれども、大きな傾向として捉えますと、本県におきましても、いわゆる地域の中心部への人口集中が進んでいると、このように捉えているところでございます。  続きまして、人口減少下におきます住民生活の維持、確保についてでございます。  人口減少下におきまして、住民生活を維持、確保していくための大きなポイントとしましては、大きく三つ考えているところでございます。  一つ目は、いわゆる地域の中心部と周辺部を結ぶネットワークの維持、整備でございます。そのためには、地域交通ネットワークの維持、確保、構築に取り組むとともに、情報通信ネットワークの確保にも取り組んでまいります。  二つ目は、特に周辺部におきます地域コミュニティーの維持、活性化でございます。こうした観点からは、地域の担い手となります人材の確保育成や住民主体での取り組みを支援してまいりたいと考えております。  三つ目は、市町村の行財政基盤の安定化でございます。そのためには、広域的対応によるスケールメリットを出していくことが重要でございます。かつての市町村合併も一つの方策ではございましたが、昨今取り組まれております定住自立圏などの市町村間連携も一つの方策であり、県としましては、そうした取り組みを支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)平成の大合併は、地方分権の推進、少子・高齢化の進展、広域的な行政需要の増大や行政改革の推進を背景として進められたわけですが、住民からすれば、こんなはずではなかったというのも正直なところではないでしょうか。もちろん、地域の維持が困難になる中で、地域の個性や特色、伝統や文化を生かしたさまざまな地域おこしの取り組みも行われています。しかし、今後の長野県の生活基盤の整備にとっても、今、平成の大合併の検証や総括をきちんと行うことが重要だと考えますが、いかがでしょうか。企画振興部長に伺います。  次に、がん患者の働き方対策について伺います。  今日、2人に1人ががんにかかると言われる時代であり、がん対策のあり方がますます重要になっています。がんの患者はさまざまな痛みにさいなまれます。身体的苦痛はもとより、いら立ちや鬱状態などの精神的な苦痛、再発や死への恐怖、そして自責の念などの苦痛、さらに経済的な問題や仕事、家庭の問題など、いわゆる社会的な苦痛に多くの患者が苦しみます。  こうした中、患者の仕事、雇用の問題の解決が、今、クローズアップされています。厚生労働省のがん治療と就労の両立に関するアンケート調査によると、がんと診断された後、約半数の方が収入が減ったと答えています。また、体力の低下や勤務調整が困難なことなどを理由に依願退職、また解雇された者は34.6%に上ります。がんのさまざまな痛みと闘いながら仕事まで失うことは、みずからの存在感を喪失したり、社会とのつながりも断たれるような絶望感に襲われます。仕事を続けられたとしても、悩みは少なくありません。  静岡がんセンターの調査では、患者の悩みとして、勤務調整や時間休の確保、仕事復帰の時期、経済的な問題が上位に挙げられています。たとえがんになっても希望を失わず、必要な治療を続けながら前向きに生活をしていくためには、仕事と治療の両立を支援する環境づくりが不可欠と考えますが、いかがでしょうか、健康福祉部長に伺います。  仕事と治療の両立のためには、企業の理解、勤務制度の整備が必要になります。2016年12月に成立した改正がん対策基本法は、がん対策の一層の充実を図るために基本理念を定め、国、地方公共団体、医療保険者、国民、医師等及び事業主の責務を明らかにしています。そして、特に、改正がん対策基本法の中心点の一つが、新たに位置づけられた第8条です。この第8条は、「事業主は、がん患者の雇用の継続等に配慮するよう努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずるがん対策に協力するよう努めるものとする。」と定めたことです。これまでは、仕事と雇用の問題は、言ってみれば個人の問題とされてきました。しかし、今回、企業、事業主の問題としても明確に位置づけられました。  こうして企業側に雇用継続への配慮を求める努力義務が課せられたわけですが、県内企業における現在の取り組み状況はどのようになっているでしょうか。また、育児や介護等で制度化されている短時間勤務のような制度も雇用継続のためには有効な対策と考えますが、いかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。  改正がん対策基本法では、企業側に雇用継続への努力義務を課すとともに、第20条で、「国及び地方公共団体は、がん患者の雇用の継続又は円滑な就職に資するよう、事業主に対するがん患者の就労に関する啓発及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする。」としています。事業主任せではなくて、国や地方公共団体の役割、施策についても明確に位置づけているのが第20条です。長野県として、啓発や知識の普及を初め、どのような施策を講じているのでしょうか。健康福祉部長に伺います。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)合併に関します再度の御質問、平成の大合併を総括すべきではないかという御質問でございます。  合併をされた市町村におきましては、それぞれ合併後の町づくりに取り組まれているところでございますが、その合併を踏まえた町づくり等々につきまして、それぞれの市町村で細かな検証が行われているということは承知をしているところでございます。一方、県におきましては、平成の大合併の時期を経まして、長野県内には、小規模な市町村も含めて、多様な市町村が存在するという状況になっておりますので、県といたしましては、そうした個々の市町村の声に耳を傾けながら寄り添った支援をしていくという対応が必要であるというふうに考えるところでございます。  以上でございます。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)がん患者の働き方対策についてのお尋ねに順次お答えをいたします。  まず初めに、仕事と治療の両立を支援する環境づくりについてお尋ねがありました。  平成27年の厚生労働省による調査では、がんと診断され、退職した患者のうち、最初の治療が開始されるまでに退職した者が4割を超えている状況であります。  退職に至った主な理由としては、仕事を続ける自信の喪失や職場に迷惑がかかることへの抵抗感が挙がっているため、企業側への取り組みに加え、患者に対する就労を維持するための正しい情報提供や相談支援を受けることができる環境が重要と認識しております。  県では、全国に先駆けて、平成26年度から各医療圏のがん診療連携拠点病院等に設置されたがん相談支援センターに社会保険労務士を派遣し、がん患者の就労相談に対して対応しており、引き続き仕事と治療の両立支援に取り組んでまいります。  県内企業の雇用継続の取り組み状況と有効な対策についてお尋ねがありました。  日本の労働者の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いているものの、治療を続けながら就労するための制度や雇用主の理解が十分でないことから、厚生労働省は、平成28年2月に両立支援のためのガイドラインを示し、意識啓発、相談窓口の明確化、休暇・勤務制度の整備などを企業側に求めております。  県内には、がんに罹患した従業者に対して産業医や保健師との個別面談を行う取り組みや、がん診療連携拠点病院等のがん専門看護師と連携して再発防止のための生活習慣指導や治療状況の確認を行っている例があります。がん患者の場合、その病状により、就労力低下の程度や必要な支援の内容に個別性が大きいため、それらに応えるきめ細やかな取り組みが必要であると考えております。  事業主に対して行う啓発等の施策についてお尋ねがございました。現在、県民や企業の従業員とその家族に対してがんに関する正しい知識の普及啓発、がん検診の受診促進を図るため、31の県内企業、団体等と長野県がん対策推進企業連携協定を締結しており、がん対策推進計画では、協定締結数の大幅な増加を目標に掲げております。さらに、新たな取り組みとして、来年度、企業の人事担当者、雇用関係団体等を主な対象に、がん患者の仕事と治療の両立をテーマとしたセミナーの開催を計画しているところであり、がん患者の就労に関する啓発や知識の普及に取り組んでまいります。  以上であります。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)健康福祉部長に再度伺います。  改正がん対策基本法に基づいた取り組みを長野県でも本格的に推進していくために、企業の雇用継続への取り組み状況などについてアンケートなど必要な調査研究を行って、長野県の実態を把握していただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。  次に、住宅宿泊事業法について質問します。  この間、既存の宿泊施設の皆さんから、この住宅宿泊事業法や県の条例案についての意見や御要望をお聞きしてまいりました。既存の宿泊業者の皆さんの間では、民泊施設による生活環境の悪化はもちろんのこと、営業への不安や安全問題での不安が非常に根強くありました。  昨年11月定例会でも住宅宿泊事業法について取り上げましたが、今回質問したいのは、民泊施設の宿泊者や周辺地域の安全にかかわる問題です。  先日、大阪の民泊施設で兵庫県の女性が殺害される痛ましい事件がありましたが、家主もいない、管理人もいない、周辺の住民もその部屋が民泊で使われていることを知らなかった、こうした民泊施設の危険性を改めて示したものだと思います。  安全性の問題では、既存の宿泊施設には、旅館業法、建築基準法、消防法、食品衛生法等によりさまざまな安全上の規制があります。しかし、民泊施設に対する法の適用は限定的です。ある宿泊施設の経営者は、食品衛生協会、防火安全協会、交通安全協会、さらに観光協会など、それぞれ会費を初めとした経済的な負担もしながら、みんなでこうした組織を運営し、よりよい安全な地域にしていこうと努力を重ねてきた。しかし、民泊で業者は届け出制になれば、こうした組合加入も必要なくなってしまうと語っておられました。一人一人、一軒一軒の努力だけではなくて、地域の長年の協力と取り組みで築いてきた宿泊者、地域や周辺住民の安全が失われかねません。  民泊施設の宿泊者並びに周辺住民等の安全をどのように確保するのでしょうか。安全面への配慮をどのように条例に反映するのでしょうか。健康福祉部長にお伺いをいたします。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)2点御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  まず、がん患者の働き方対策として、企業に対するアンケート調査の実施などについてのお尋ねでございます。  地域における治療と仕事の両立支援の取り組みを効果的に推進するため、国や県のみならず、使用者団体、労働組合、医師会、社会保険労務士会、産業保健総合センター等から構成される地域両立支援推進チームが昨年8月に長野労働局に設置されております。このチームでは、参集者は取り組み状況を意見交換をするということとされております。したがいまして、こうした取り組みの中で、このチームの中で企業に関する取り組み状況も含めてがん患者の働き方の支援を行う取り組みを推進していきたいと思っております。  続きまして、住宅宿泊事業法に関連して、民泊施設に関する安全性の確保についてお尋ねがありました。民泊を実施する上で安全を脅かすものとして懸念されるものの一つは火災でありますが、住宅事業法では、事業者に対し、火災等が発生した場合における宿泊者の安全の確保が義務づけられており、宿泊の用に供する面積が50平方メートルを超える物件にあっては、現行の旅館やホテルと同様に誘導灯や自動火災報知設備等の設置が求められるなど、消防法上の規制がかかることとなっております。  また、条例案におきましても、宿泊者に対する災害等の発生時における避難場所、避難経路等の必要な事項に関する情報提供を事業者の責務とし、宿泊者の安全の確保に配慮するとともに、違法行為を未然に防ぐため、宿泊者全員の本人確認や鍵の受け渡しを原則として対面により行うことを義務づけております。  このほか、住宅の安全性の基準や食品衛生の確保につきましても、それぞれの法令に基づいて対応することとなっており、宿泊者や周辺住民の方の安全確保に関し、県としても必要な取り組みを行ってまいります。  以上であります。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)先ほど、消防法の規制について、50平米以上というお答えでした。逆に言えば、50平米以下は消防法の規制が適用にならないわけであります。また、鍵の受け渡しも、原則として対面ということであります。やはりあくまでも、これは原則であります。安全性がきっちり確保できるような具体的な対応を要望したいと思います。  住宅宿泊事業法について、兵庫県は、学校や保育所など子育て施設や教育施設周辺100メートル以内、住宅専用地域での営業を全面禁止する条例案を発表したとお聞きしています。この厳しい姿勢について、知事は、旅館業法でだめだといっているのに、管理運営面から見て民泊のほうが甘いわけなので、旅館業法とのバランスで決めましたと記者会見で述べておられました。また、兵庫県の条例案は、城崎温泉のような景観形成地区や国民保養温泉地区、また国立公園や県立自然公園などは夏期と冬期以外の月曜日から木曜日に限定して営業を許可するというものです。こうした厳しい規制を持つ条例はほかにも広がり始めているとお聞きしています。  自治を掲げるこの長野県ですから、安全な観光地、そして長い間長野県の観光を支えてきた既存の宿泊施設が安心して営業が続けられるよう、自治の理念がしっかり発揮される条例にしていただきたい、そのことを強く要望いたします。  次に、県立病院機構の公的な役割の重要性について質問いたします。  昨年12月に県立病院機構職員への一時金等の削減が行われました。十数万円減額された職員もあります。一時金等削減の理由は、病院運営の赤字が見込まれ、債務超過に陥る可能性があるということです。  しかし、こうした大幅な一時金等の削減は、職員の生活や意識にかかわる問題であり、他の公的病院や周囲の民間病院にも影響を及ぼしかねない重大な問題だと考えます。この間、県として、県立病院機構の経営実態をどのように捉え、どのような対策を講じてきたのでしょうか。健康福祉部長に伺います。  この問題は、労使間の問題だけではなく、独立行政法人という組織のあり方にもかかわる問題だと思います。現在、県立病院機構は、第2期中期計画(平成27年から31年)に取り組んでいる最中です。「地域の明日を医療で支える」をキャッチフレーズに、県民の視点に立ったより安心で質の高い医療サービスを安定的に提供するとして、人口減少や少子・高齢化を見据えた医療の提供、地域全体の医療機能の向上、医療従事者の確保・育成機能の充実と看護人材の安定的かつ継続的な育成など、五つの柱を基本とした取り組みを進め、県立病院としての公的使命を積極的に果たしていくとしています。  機構のホームページに掲載されている久保惠嗣病院機構理事長の挨拶でも、信州医療センターは県立病院の中核的な病院で、内視鏡センターや健診センターなどの充実が図られ、こころの医療センター駒ヶ根は、信州大学医学部精神医学教室との連携大学院が開設されました。阿南病院は、訪問診療、看護などに実績があり、南信州下伊那南部地域の地域包括システムの構築に取り組んでいるとのことです。木曽病院は、広大な木曽地域唯一の総合病院、また地域がん診療病院です。そして、こども病院は、小児集中治療室が8床から12床になり、長野県はもとより長野県周辺の県にとっても小児医療の最後のとりでと紹介されています。  どの病院もかけがえのない役割を果たしており、独立行政法人化により採算性が重視される余り、医療体制が影響を受け、こうした公的な役割が後退することがあってはならないと考えますが、いかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。
          〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)県立病院機構の経営実態の認識と県としての対策、また公的な役割の確保についてのお尋ねをいただきました。  県立病院機構の経営状況については、毎年、地方独立行政法人法に基づき、長野県立病院機構評価委員会が評価を行い、知事に評価結果を報告することとなっており、本年度は、経常損益で約2億6,000万円の損失となった平成28年度の業務実績について評価を行っております。  財務状況に関しては、収益と費用の動向について各病院と機構本部から聞き取り調査を行ったところであります。その結果、収益が減少した要因として、診療報酬改定の影響や地域人口の減少、医師の非常勤化などが、また、費用が増加した要因として、給与改定や共済制度の変更などがあることが確認されました。  委員からは、病院経営では給与費の増加と収益の増加が必ずしも連動しないことから、経営分析能力を高め、職員配置の最適化を図ることや、経営状況を踏まえた給与制度のあり方、個人の努力、成果が反映される人事制度のあり方など、法人としてより一層の工夫改善を図り、自立した経営に向けての取り組みを求める意見が出されたところであり、現在、病院機構において経営改善の具体的な取り組みを進めております。  公的役割の確保につきましては、県が策定いたしました中期目標に、本県の医療政策を担う病院として、県民への医療サービスの向上を通じ、県立病院として求められる公的使命を積極的に果たしていくことを位置づけており、そのために、県の政策医療や不採算医療に要する経費に対して、県から病院機構に対して運営費負担金として、第1期から約3億円増額した54億8,000万円を毎年度財政措置しているところであります。こうした取り組みにつきましては、評価委員会において取り組み状況を確認の上、評価を行っております。  以上であります。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)病院経営をめぐっては、例えば、消費税増税、国の診療報酬のカット、さらに人事委員会勧告などによる人件費増加など、経営環境の厳しさ、困難も確かにあると思います。しかし、その責任を病院職員に負わせるのは筋違いで、経営上の問題と位置づけるべきだと考えます。こうしたことからも、そして独立行政法人の公的な役割を積極的に果たしていくためにも、県として機構への運営費負担金、先ほど54億8,000万とありましたが、この運営費負担金の増額等を検討すべきときではないでしょうか。改めて健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)県立病院機構に対する運営費負担金の増額の検討についてのお尋ねをいただきました。  先ほど申し上げました評価委員会では、病院機構に対して、経営改善に向けた具体的な取り組みを速やかに着手するよう要望しており、先月開催いたしました評価委員会において、各病院、機構本部から取り組みの状況について聞き取り調査を実施しております。聞き取り調査の中で、病院ごとにさまざまな収益確保、費用削減の取り組みについて説明があり、それらの取り組みを踏まえた今後の経営の見通しとして、平成30年度以降、経常損益で黒字に転換するとの見込みが示されたところであります。  県といたしましては、診療報酬改定や地域人口の減少といった県立病院が置かれているさまざまな経営環境の変化、動向についても注視しながら、病院機構の経営改善の取り組みが着実な成果につながることを今後確認してまいります。  以上であります。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)経営環境が大きく変化することも当然予想されるわけであります。運営費負担金の増額だけでなく、貸し付け等緊急時の柔軟な対応や負担金の改定のサイクルの見直しなどを柔軟に検討していただくことも提案をさせていただいて、私の質問を終わります。 ○議長(垣内基良 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明3月1日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時50分延会...