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平成30年 2月定例会本会議-02月22日-02号

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  1. 長野県議会 2018-02-22
    平成30年 2月定例会本会議-02月22日-02号


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    平成30年 2月定例会本会議-02月22日-02号平成30年 2月定例会本会議 平成30年2月22日(木曜日)  出席議員(56名)   1 番 花岡賢一      28 番 備前光正   2 番 今井愛郎      29 番 吉川彰一   3 番 寺沢功希      30 番 小池久長   4 番 山口典久      32 番 諏訪光昭   5 番 百瀬智之      33 番 髙橋岑俊   6 番 小山仁志      34 番 今井 敦   7 番 小川修一      35 番 丸山栄一   8 番 丸山大輔      36 番 竹内久幸   9 番 酒井 茂      37 番 小林伸陽   10 番 荒井武志      38 番 高村京子   11 番 堀場秀孝      39 番 今井正子   12 番 依田明善      40 番 村上 淳   13 番 石和 大      41 番 小池 清   14 番 埋橋茂人      42 番 宮本衡司   15 番 両角友成      43 番 清沢英男   16 番 藤岡義英      44 番 垣内基良   17 番 髙島陽子      45 番 鈴木 清
      18 番 浜 章吉      46 番 西沢正隆   19 番 中川宏昌      47 番 風間辰一   20 番 清水純子      48 番 佐々木祥二   21 番 堀内孝人      49 番 向山公人   22 番 小島康晴      50 番 高橋 宏   23 番 小林東一郎     51 番 宮澤敏文   24 番 下沢順一郎     52 番 平野成基   25 番 山岸喜昭      53 番 本郷一彦   27 番 和田明子      54 番 村石正郎   55 番 萩原 清      57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      山﨑 明   副知事       太田 寛    建設部長      油井 均   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     池田秀幸    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       清水 深   総務部長      小林 透    公営企業管理者   短期大学事務局           企業局長事務取扱  小林利弘   長兼県立大学設   玉井裕司    財政課長      岡地俊季   立担当部長             教育長       原山隆一   県民文化部長    青木 弘    教育次長      角田道夫   健康福祉部長    山本英紀    教育次長      菅沼 尚   環境部長      関昇一郎    警察本部長     内藤浩文   産業政策監兼産           警務部長      横田直幸   業労働部長     土屋智則    監査委員      田口敏子   観光部長      熊谷 晃   農政部長      北原富裕         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課担当係長   倉石博之   議事課長      村松敏伸    議事課担当係長   鈴木晋一   企画幹兼議事課           総務課担当係長   小澤利彦   課長補佐      小松健一         ───────────────────  平成30年2月22日(木曜日)議事日程    午前10時開議    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    知事提出議案    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(垣内基良 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(垣内基良 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案の報告 ○議長(垣内基良 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                平成30年2月22日   長野県議会議長 垣 内 基 良 様                           長野県知事 阿 部 守 一         平成30年2月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 67 号 平成29年度長野県一般会計補正予算(第6号)案 第 68 号 平成29年度長野県市町村振興資金貸付金特別会計補正予算(第1号)案 第 69 号 平成29年度長野県公債費特別会計補正予算(第1号)案 第 70 号 平成29年度長野県流域下水道事業費特別会計補正予算(第2号)案 第 71 号 平成29年度長野県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第1号)案 第 72 号 平成29年度長野県県営林経営費特別会計補正予算(第2号)案 第 73 号 平成29年度長野県林業改善資金特別会計補正予算(第1号)案 第 74 号 平成29年度長野県高等学校等奨学資金貸付金特別会計補正予算(第1号)案 第 75 号 平成29年度長野県電気事業会計補正予算(第1号)案 第 76 号 平成29年度長野県水道事業会計補正予算(第1号)案 第 77 号 教育委員会教育長の選任について       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(垣内基良 君)以上であります。  次に、お手元に配付いたしましたとおり、地方自治法第122条及び地方公営企業法第25条の規定に基づき知事から予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案 ○議長(垣内基良 君)ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。  本案を一括して議題といたします。  提出議案の説明を求めます。  阿部守一知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ただいま提出いたしました追加議案につきまして御説明を申し上げます。  提出いたしました議案は、平成29年度一般会計補正予算案など予算案10件、事件案1件であります。  一般会計の補正予算案は、398億9,086万円の減額であります。増額する主なものは、道路除雪費や後期高齢者医療給付費県費負担金などの社会保障関係費文化振興基金の積み立てに要する経費などであります。減額となりますのは、国庫支出金の決定及び事業の確定などに伴うものであります。  歳入につきましては、県債21億3,400万円、地方交付税19億1,138万2,000円を増額する一方、諸収入281億5,564万2,000円、国庫支出金87億7,052万7,000円、繰入金57億2,977万7,000円を減額するなど、所要額を計上しております。  財政調整のための基金につきましては、歳入の確保や予算の効率的な執行などに努めた結果、取り崩し額を42億円減額して55億円といたしました。  本年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと8,521億3,598万6,000円となります。  特別会計補正予算案市町村振興資金貸付金特別会計など7会計、企業特別会計補正予算案電気事業会計など2会計であり、事業計画の変更などに伴う補正であります。  事件案は、教育委員会教育長の選任についてであります。  以上、追加提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○議長(垣内基良 君)以上であります。  これらの議案は、本日から行う質疑の対象に供します。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━各党派代表質問及び知事提出議案 ○議長(垣内基良 君)次に、各党派代表質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。
     自由民主党県議団代表本郷一彦議員。       〔53番本郷一彦君登壇〕 ◆53番(本郷一彦 君)自由民主党県議団を代表して、順次質問をいたします。  最初に、平昌冬季オリンピックについて、長野県生まれの1人の少女がいちずに練習を重ね、オリンピックにおいてついに世界の頂点に立ちました。その少女、小平奈緒さんは茅野市出身で、伊那西高校、信州大学を卒業された現在、松本市相澤病院に所属。地道に自己研さんを重ね、スピードスケート500メートルで金メダル、1,000メートルで銀メダルを獲得するという快挙を達成されたわけです。女子スピードスケート競技の金メダルは日本女子史上初であり、しかもオリンピックレコード、500メーター36秒94の五輪新記録という歴史を塗りかえる偉業であります。そのひたむきな姿に、県民、とりわけ未来を担う子供たちに大きな夢と希望を与えてくれたものと確信します。  こうしたすばらしい成績をおさめ、多くの県民に勇気と感動を与えてくれた小平奈緒さんに対して、我が県最大の栄誉である県民栄誉賞を授与することを提案しますが、知事のお考えをお伺いいたします。  次に、質問に入ります。  現代社会における国際経済全体を俯瞰すれば、1970年代後半からITと金融が結びついた国際金融資本による市場経済とグローバリゼーションが世界を動かしてきた結果、労働分配率、格差問題を引き起こすなど、資本主義とグローバリゼーションの調整を初め、経済システムのパラダイムシフトが起きつつあります。  日本経済は、2012年11月を底に、5年に及ぶアベノミクスの取り組みのもと、いざなぎ景気を超え、戦後2番目の長さとなる緩やかな回復基調が続いております。2016年後半からは、海外経済や緩やかな回復を背景として輸出や生産が持ち直し、企業を起点として経済の好循環が着実に回り始めております。しかしながら、個人消費や民間設備投資は、その回復の兆しが見えるものの、力強さに欠けております。労働市場では需給が引き締まり、人手不足はバブル期並みとなる一方で、賃金は伸び悩み、デフレ脱却までには至っておりません。  以上のような時代認識の上に立ち、次期総合5カ年計画について質問いたします。  阿部知事におかれましては、平成22年の県知事初当選以来、現在2期目の任期が3年半を経過するところでありますが、この間、県政の諸課題に精力的に対応され、今日に至る長野県を新しい発想力とリーダーシップ、柔軟なバランス感覚により牽引してこられました。  長野県の人口は、平成22年当時の215万人余から210万人を割り込み、現在では207万人余と減少の一途をたどっております。少子化による自然減も大きいところですが、東京圏への一極集中などによる社会減もその大きな要因となっています。  さらに、第4次産業革命とも言われるAIやロボットなどの急激な技術革新やグローバル化の進展、貧困格差の拡大、平均寿命の延伸による人生100年時代の到来問題など、長野県としても真正面から対応する必要があります。  こうした状況の中、県では、2018年度スタートする次期総合5カ年計画の案を策定され、今議会に議案として提出されているところです。阿部知事による2回目となるこの次期総合5カ年計画は、ますます混迷の度を深める社会情勢にあって、長野県の将来像を展望する長期ビジョンとして県の計画の最上位に位置する最も重要な計画であり、県政の両輪の一方を担う私ども議会としても、研究会において8回にわたる議論を重ね、さまざまな提言をさせていただいたところです。  そこで、長野県の将来にとって最も重要なこの計画の策定に当たり、県政のかじ取りを担う知事として、長野県を今後どのような方向へ持っていこうと考えておられるのか、まずはお伺いします。  また、知事は、常々、長野県の固有のすばらしさを維持するだけでなく、さらに発展させたいとおっしゃっておりますが、それを実現するためにどのような取り組みを行っていくのか、あわせてお伺いをいたします。  次に、計画策定の意義についてお伺いします。  次期総合5カ年計画では、計画名を「しあわせ信州創造プラン2.0」とし、現行の計画を継承しているところでありますが、その意図するところは何なのか、知事にお伺いします。  また、今後5年間の計画を策定した初年度となる平成30年度当初予算をどのように位置づけているのか。知事の2期目、任期残りの思いとあわせてお伺いします。  知事は、常々、政策の進め方として、県民の意見をよく聞いてとおっしゃっておられますが、県民の声をどのように酌み取り、計画の中でそれをどのように反映させているのかお伺いします。  次に、先ほども申し上げました人口減少への対応として、県では、一昨年度、県議会とともに長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略を策定し、人口減少への歯どめと人口減少を踏まえた地域社会の維持、活性化に向け、取り組みをさらに進化、展開させているところです。人口減少対策は、次期計画でも大きな課題として捉えるべきであり、次期計画は、この信州創生戦略を統合、継承することとしておりますが、この戦略が次期計画に具体的にどのように反映されているのか、知事にお伺いをします。  次に、次期計画の政策推進の基本方針についてお伺いします。  六つの基本方針のいずれも重要であると思いますが、その中でも、私は、とりわけ産業の生産性が高い県づくりが重要と考えます。ものづくり産業のみならず、県内にはさまざまな企業や産業が活躍しておりますが、必ずしも生産性は高くありません。信州創生戦略における政策評価においても、実績値を把握できる五つの数値目標のうち、労働生産性だけがわずかながらではありますが進捗の目安値に達していない状況であります。また、好景気を背景として、有効求人倍率が高い値を示しているものの、深刻な人手不足が生じております。  そこで、さきに述べたとおり、次期総合5カ年計画では「産業の生産性が高い県づくり」を基本方針としておられますが、今後の長野県産業を牽引するものづくり産業の成長に向けた産業戦略や産業人材育成確保について知事にお伺いします。  この計画の初年度となる平成30年度当初予算案は、計画の具体化に向けて着実なスタートを切ることが期待されております。こうした中で、計画推進に向けて確かな一歩を踏み出すことができるよう、予算案及び組織についてお伺いします。  1、予算編成の効率化について、厳しい財政状況の中、予算編成の進め方で工夫した点は何か。  2、大規模建設事業中期財政試算について、長野県立大学に続いて平成30年度から県立武道館の建設が本格化、さらに東山魁夷館の改修を含む信濃美術館の整備が続きますが、財政運営に与える影響をどう見ているのか。中期財政試算では基金の取り崩しが続く状況ですが、どのように財政運営をしていくのか。  3、持続可能な税財政構造の構築について、今後さらに少子・高齢化が進展する中で、地域の実情に応じたきめ細かな行政サービスを安定的に提供していくための基盤として安定的な地方税体系を構築することが必要であると考えます。昨年12月、与党がまとめた税制改革大綱においても地方法人課税における税源の偏在について触れられていますが、持続可能な税財政構造構築に向けて知事の御所見をお伺いします。  4、予算規模と産業支援について、予算規模の減少理由は制度融資枠の適正規模化などが理由と聞いておりますが、その分を差し引いても、地域経済を支える産業雇用分野への予算が縮小されることについては大いに心配しております。目指す姿を掲げた「産業の生産性が高い県づくり」のスタートアップに当たり、知事として配慮した点等についてお聞かせください。  5、予算案のポイントについて、当初予算案では、次期総合5カ年計画の六つの政策推進の基本方針に沿って、直面する課題に的確に対応し、未来を切り開く施策を構築したとしておりますが、どのようなところに重点を置いて編成したかお伺いします。  6、地域振興局長からの事業提案、予算要望について、局長には、横断的課題に関して現地機関を統括、調整する権限を付与するとともに、現地機関からの予算要求の仕組みも構築していくとしておりますが、要求から予算計上までの仕組み、予算への反映結果等を具体的にお聞かせください。  7、県の組織運営の理念について、計画には、「「学ぶ県組織」への転換」を掲げておりますが、知事が目指す学ぶ県組織とは具体的にどのようなものなのか。また、どこに力点を置いてマネジメントされていくのかお聞かせください。  8、部局縦割りにとらわれない組織運営について、一例として、観光振興を推進するためには顧客満足度を高めることが何よりも重要です。そのために、観光地にふさわしいまちづくりや景観形成はもとより、公共交通機関の利便性、地域ならではの食、山岳レジャーや自然体験などのメニューづくりなど、部局を超えた横断的取り組みが求められます。また、5カ年計画の施策推進の基本方針には「産業の生産性が高い県づくり」を掲げていますが、生産性の向上にはさまざまな分野の連携が必要です。産業労働部に観光部や情報、ブランド、マーケティング部門などを加えるなど、県組織を見直す必要も出てくると思われますが、具体的に見直し等を検討しているのかお伺いします。さらに、次期総合5カ年計画には六つの横断的なプロジェクトを掲げていますが、どのように対処していくのか、具体的な組織再編を行うお考えがあるのかお伺いします。  9、地域課題を解決する組織のあり方について、県土が広く、各地域で地形、気象が異なり、固有の文化を持つ本県においては、それぞれの地域の魅力が余すところなく発揮され、元気になることが、ひいては県、長野県全体の発展につながると考えます。  さて、さきの知事選での知事の公約が実現され、今年度、10の地域振興局が新たに設置されました。そこで、地域振興局が設置された以降のこの1年間の成果をどのように受けとめておられるのか。また、次期計画では、これまで以上に地域計画を充実させるとのことですが、これを実行する組織として地域振興局の機能、役割を今後どのように充実させていくのか。局長の権限は今のままで十分なのか。例えば、地域課題の解決のために予算要求の権限を拡大させていくのか等をお聞かせください。  10、組織の職員の人材育成について、次代を担う職員の人材育成についてどのように進めていくのか。重視する点は何か、知事のお考えをお聞かせください。  次に、自治のあり方について御質問いたします。  我が国においては、本当の意味での地方自治がスタートしたのは今から70年前、昭和22年5月3日に日本国憲法が施行され、それと時を同じくして地方自治法が施行されてからとなります。そして、地方自治が産声を上げた70年前に施行された現在の日本国憲法で、地方自治について記載されている箇所は、第8章の92条から95条までのたった4条にすぎません。加えて、憲法上の地方自治を考えるに当たって注目すべきは、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。」と規定されている92条の「地方自治の本旨」という言葉です。この言葉が示すところについてはこれまでもさまざまな議論がありましたが、通説としては、住民自治、つまり地域住民が主体的に地方自治体をコントロールすること、団体自治、つまり地方自治体が国から独立して意思決定ができることという二つの自治を満たすことが地方自治の本旨とされているところであります。  しかしながら、住民自治、団体自治という概念は憲法の解釈から生み出されてきた学問上のものであり、憲法に具体的に書かれていないということは、地方自治の本旨に基づいているか否かの最終的な判断の権限は国が留保していることを意味しています。確かに、かつては、地方自治は民主主義の学校と言われた時代がありましたが、現在、国と地方は対等であり、地方の力なくしては我が国は立ち行きません。そうした中、全国知事会の憲法における地方自治の在り方検討ワーキングチームにおいて憲法改正草案を提示されたことは、高く評価されることと考えます。  知事は、このたびの全国知事会のワーキングチームによる憲法改正草案をどのように評価されているのか。あわせて、憲法における地方自治の本旨の明確化、補完性の原理、それと表裏一体の関係となる徴税権限や財源保障といった点を含め、これからの地方自治、都道府県というもののあり方について知事の御所見をお聞かせいただきます。  次に、知事の政治姿勢についてお伺いします。  阿部知事は、2014年、2期目を目指して立候補した長野県知事選挙において、自民、公明、民主、社民を初めとする各政党や連合長野等の推薦を受けて当選され、はや3年半が過ぎようとしております。  長野県世論調査協会の調査では、阿部知事の支持率は当選から今日まで8割を超える高い支持を受けております。そこで、阿部知事の公約に対する現状認識と、総仕上げである本年をどのように取り組まれるのか。そして、次期、3期目に向けていかなる決意でおられるのか、お伺いをいたします。  次に、信州まつもと空港の国際化についてお伺いします。  広い県土全体へ交通網をつなげていくためには、大都市圏と直結する新国土軸に、東北中南信を結ぶ県内の動脈、高速交通網を着実に融合させるとともに、遠く、広く、空からのアプローチを強化して、三次元的なネットワーク網を構築することが重要であります。殊に、県内経済を牽引する製造業や農業分野等における輸出拡大、インバウンドの誘致など、グローバル展開をしっかりサポートするためには、ゲートウエーである空港の機能の強化が欠かせません。  阿部県政2期目のスタートとなった平成26年9月議会における代表質問で、私は、ジェット化開港20周年を迎えた空港は次のステージを目指す時期だと国際線の必要性を申し上げたところ、知事は、国内の国際空港、東アジアまでを視野に就航路線の拡充を考えねばならないと応じられ、それをきっかけに県庁内で国際化の検討が開始され、一昨年6月に「信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針」が策定され、松本空港利活用国際化推進室が県庁に設置されました。  こうした背景や経過を踏まえ、以下、4点の質問をいたします。  1、向こう10年を見据えた取り組み方針の策定からはや1年8カ月が経過しました。この間、国際チャーター便が2年ぶりに就航するなど、それなりの成果が見えてきているように思われますが、空港の利用状況はいかがでしょうか。取り組み方針策定からこれまでの成果とその評価をどのように捉えているか、お聞きいたします。  2、日本を訪れる外国人の旅行者は、平成23年は622万人でありましたが、平成28年には2,404万人へと急増しており、平成32年には4,000万人、平成42年には6,000万人と右肩上がりの数字を掲げております。この目標達成のために、国ではさまざまな施策を講じておりますが、支援策の一つである訪日誘客支援空港の認定制度について、関係者の御努力により、昨年7月に松本空港が対象となりました。国の力強い支援を受けて空港が強化されることを期待しているところでありますが、国の支援は具体的にどのようなものなのか、また、支援によっていかなる成果が上がったのか、お伺いします。  3、近い将来、信州まつもと空港の国際化が進み、取り組み方針に掲げた目標、国際定期便2路線、週4便の就航が実現し、毎便70名の外国人旅行者が搭乗したと想定すると、年間で1万4,560人と算定されます。多くの経済効果をもたらす国際定期便就航に向けた現在の状況と、具体的に信州まつもと空港国際化をいつまでに実現させる予定なのか、知事にお伺いします。  4、信州まつもと空港では、施設機能の強化充実も欠かせない課題であり、取り組み方針でも課題の柱の一つとなっております。中でも、国際線ターミナルの設置は国際定期便の運航に欠かせない施設であり、定期便が決まったときに受け入れの施設がないのでは、せっかくの商談が御破算になるとも限らず、国際化を標榜する以上、一刻も早い設置が必須であると考えます。  ILSにかわるGPSを利用したRNP-ARと言われる新しい進入方式が導入されれば、海外の航空会社が難点とする就航上の問題が解決されるのではないかと思われます。  そこで、国際線ターミナルについて、建設時期、規模等、基本的な構想をどのように考えているのか。また、RNP-ARの導入に対する現在の状況と今後の見通しをお聞きします。加えて、現在約300台の駐車場は、現状では連休時には満車状態であり、空港施設の機能強化の一つとして駐車場の増設も指摘されており、駐車場の確保は国際空港化に向けた極めて重要な環境整備となる中、知事の明確なお考えをお伺いいたします。  次に、有料道路の一般道路化についてお伺いします。  現在、長野県道路公社では、6路線7区間の有料道路を管理運営しているところでありますが、県はこれまでどのような考えで有料道路制度を活用し、道路整備を行ってきたのか。また、有料道路の整備により県内にどのような効果がもたらされたと考えているのか。知事にお伺いします。  県内のいろいろな有料道路の中でも、三才山トンネル有料道路は、県下第2の都市、松本市と、第3の都市、上田市を結び、これまで、経済、産業、文化、観光など多様な面からその交流を支えてきたところであります。  一方、建設から約40年が経過し、近年は、生活圏の拡大に伴い、通勤や通学、通院など日常的に有料道路を利用する者が多く、両地域を結ぶ生活道路としての役割も高くなっており、地域住民からもこの道路の1日も早い一般道路化を望む声は非常に高いものがあります。  知事は、昨年9月の各会派代表者懇談会において、有料道路の一般道路化についてそろそろ具体的な検討に入っていく時期になっていると考えております。これまで、一般的な対応にとどまっていたが、具体的な検討に入っていくようにしたいと表明いたしました。具体的にどのような視点で検討を進めてきたのか、その検討結果について知事にお伺いします。  そして、その検討結果を踏まえた上で、まずは三才山トンネル有料道路の一般道路化を初めとする有料道路の一般道路化をどのような方針で進めていくのか、知事にお伺いをいたします。  次に、2027年の国体及び全国障害者スポーツ大会についてお伺いします。  1、大会後を見据えたレガシーについて、49年ぶりとなる本県での両大会の開催は、全ての県民がスポーツに親しむ契機となるのみならず、次代を担う子供たちに夢や希望を与えるとともに、観光や経済活動への波及効果も期待できるなど大変意義深いものであり、本県の歴史に新たな1ページを加える大きな転換期になるものであります。  そこで、知事に伺います。  知事は、準備委員会の会長として、委員約300人で構成するオール信州体制を牽引していくことになりますが、大会後も見据え、どのような方針で大会を開催していくのか、考えを伺います。  2、競技会場地等の選定スケジュールについて、国体の開催は、単に一つの大会を開催するということではなく、大会後の地域スポーツの振興にも大きな影響を与えるものであり、ついては、総合開閉会式会場を含め競技会場地の選定は今後どのようなスケジュールで取り組んでいくのか、知事にお伺いします。  3、競技力の向上対策について、これまで、競技力の向上については本県議会においてもたびたび議論がされ、要望もされてきたところでありますが、こうした本県の現状を直視する中で、2027年の国体で天皇杯と皇后杯を獲得するためには並々ならぬ覚悟と努力が必要であることは明らかであります。9年後の国体に向けた選手の競技力向上についての決意と方針をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)順次本郷先生の代表質問にお答えを申し上げたいと思います。  まず初めに、平昌冬季オリンピック、小平奈緒選手への県民栄誉賞授与についてという御質問でございます。  今月9日から開催されております平昌冬季オリンピック、私も、連日テレビや報道等にかじりついて、日本選手、長野県関係選手の活躍に目を凝らすと同時に、大変うれしい思いを持ちながら活躍を見守らせていただいているところであります。とりわけ、メダルを獲得された小平奈緒選手、渡部暁斗選手、菊池彩花選手、高木菜那選手など、本当にすばらしい活躍だというふうに思っておりますし、多くの長野県の皆さん、関係の皆様方も大変喜ばれているというふうに思います。心から関係の皆様方にお祝い申し上げたいというふうに思います。  特に、小平選手は日本選手団の主将を務められているということ、そして、1,000メートルでの銀メダルに続いて、500メートルにおいてはオリンピック新記録での女子スピードスケート日本人初となる金メダルを獲得され、私たち長野県民に大きな勇気、希望、そして誇りをもたらしてくれました。また、未来を担う子供たちに大変な夢と希望を与えていただけたというふうに思っています。  平昌オリンピックでの御活躍以外にも、ワールドカップ500メートルで2度にわたり総合優勝をされているとともに15連勝中であること、また、昨年12月には1,000メートルで世界新記録を樹立されるなど、まさにスピードスケートのトップ選手として世界を牽引され、顕彰するにふさわしい活躍をされているというふうに思っております。私どもとしては、県民栄誉賞やスポーツ特別栄誉賞を含め賞の贈呈について検討していきたいと考えております。  それから、長野県を今後どのような方向へ持っていこうと考えているのか。そのため、どのような取り組みを行っていくのかという御質問でございます。  急速な人口減少と少子・高齢化、そして東京圏への人口一極集中が進んでいく中、右肩上がりの経済成長、人口増加を前提とした旧来の社会のあり方というものはもはや通用しなくなってきているというふうに思っております。  また、他方、連日報道でAI、IoTというような言葉を聞かない日がないように、世界規模で急速な技術革新が進んでおります。こうした変化が激しい時代にあって、私どもはやはり県民の皆様方の暮らしをしっかりと維持していく、確かな暮らしを守っていくということが大変重要だというふうに思っております。  県民の皆様方が明日への希望を持って暮らすことができる社会、そして、万が一の場合には温かな支援を受けることができる安心感のある社会、こうしたものを引き続き目指していきたいというふうに思っておりますし、また、あわせて、大きく時代が変化する中で、長寿県である長野県がやはり人生100年時代における新しい価値観や生き方、暮らし方、こうしたものを積極的に創造していくことができる地域でありたいというふうに考えております。  こうした時代の転換期では、もとより、一人一人の県民の皆様方、あるいは私ども県組織も含めて常に学び続けるということが大変重要だというふうに思っております。また、価値観が多様化する社会にあって、それぞれの地域の中、あるいは長野県という大きな自治体の中で多くの皆様方の思いを実現していくという観点での自治の充実ということが極めて重要だというふうに思っております。  こうした考え方から、しあわせ信州創造プラン2.0案をつくらせていただきました。基本目標については、「確かな暮らしが営まれる美しい信州」ということで、「学びと自治の力で拓く新時代」をサブタイトルで付させていただきました。  基本目標を実現していくに当たりましては、「学びの県づくり」と「自治の力みなぎる県づくり」、この大きな二つの要素を政策推進のエンジンにしてまいります。また、未来思考でクリエーティブな社会をつくっていくという観点で、「産業の生産性が高い県づくり」、そして「人をひきつける快適な県づくり」、さらには、県民の皆様方の思いに寄り添いながら安心で希望あふれる社会をつくっていくという観点での「いのちを守り育む県づくり」、「誰にでも居場所と出番がある県づくり」、こうした大きな六つの政策推進の基本方針を掲げさせていただきました。  今後、長野県として政策を進めるに当たりましては、こうした基本方針に即した政策を具体化していきたいというふうに思っております。あわせて、私ども県組織自体も学ぶ県組織への転換を図っていきたいというふうに考えております。  現行総合計画の名称、「しあわせ信州創造プラン」を引き継いで2.0というふうにしている意図についての御質問でございます。  今申し上げましたように、今後も県民の皆様方の確かな暮らしを守り抜くということが県の最も重要な役割だというふうに思っております。こうした観点で、新しい総合計画の案におきましても、現行計画の基本理念を引き継がせていただきたいというふうに思っております。  そうしたことから、しあわせ信州創造プランという名称は維持させていただきながらも、今日的な課題に対応すべく内容を充実したということを示すために計画の名称を2.0とし、バージョンアップをさせたということを認知させていただいたところでございます。  それから、30年度当初予算案の位置づけ、そして2期目の任期残りの思いについてという御質問でございます。  今回の当初予算案は、しあわせ信州創造プラン2.0の案の策定と並行して行わせていただきました。そういう観点で、やはり「学びと自治の力で拓く新時代」ということを強く意識して取り組ませていただきました。また、新しい総合計画のスタートにふさわしい内容となるように、計画で掲げた事項の第一歩をしるすことができる予算となるよう努めたところでございます。そういう観点で六つの政策推進の基本方針に基づいた編成を行わせていただきましたし、また、特に部局横断で推進していくべき重要な政策については、14の政策パッケージとして取りまとめて県民の皆様方にもわかりやすくお示しさせていただいたところでございます。  私の2期目の任期もあと約半年という形になってまいりました。これまで、多くの皆様方の御支援、御協力のもとで県政を進めてきたわけでありますけれども、今回の予算案は、新しい計画とセットで策定させていただいたということもあり、大きな転換をさせていくということを意識させていただいたと同時に、信州創生戦略を含めて、これまで私どもが取り組んできたものを、引き継ぐべきものについてはしっかりと引き継ぎ、具現化するという観点で今回当初予算を編成させていただきました。  そういう意味で、私の任期の最後の予算編成になるわけでありますけれども、これまで私が取り組み、そして県議会あるいは県民の皆様方からさまざま御意見をいただいたことも十分踏まえて今回の予算編成をさせていただいたところでございます。  それから、計画策定に当たって、県民の声をどう酌み取って反映させたかという御質問でございます。  県民の皆様方の夢、希望、こうしたものをできるだけ酌み取った計画にしていきたいということで、私、あるいは現地機関の職員を含めた全庁の職員がさまざまな団体、県民の皆様方と丁寧な意見交換をさせていただきながら計画策定を行ってきました。全庁合計すると、数え方にもよりますけれども400回を超える対話を行った上で取りまとめさせていただいたところでございます。  こうした御意見はさまざまあるわけでありますけれども、私としては、今回、特に若い世代との意見交換を重視させていただきました。若い世代は、やはり長野県のことを愛している若者が多いなというのが私の率直な思いでありますが、ただ、長野県はもう少し若い人たちにとって魅力があったほうがいいんじゃないかということが多くの若者の共通感覚だというふうに受けとめました。  そういう観点で、今回、「人をひきつける快適な県づくり」を掲げて、そして、その中でも、快適な生活空間の創造ということで、若い世代も引きつけられる、若い世代も定住したくなるようなまちづくりを目指して取り組んでいこうということも盛り込ませていただきました。  また、若い世代は、就職あるいは結婚、こうしたことに切実な悩み、課題を持っておりますので、こうした若い世代の就職、結婚支援の充実、こうしたことについても今回の計画に盛り込ませていただきました。  これ以外にも、例えば、市町村長の皆様方からは、地域交通の充実であったり安心できる医療体制の構築であったり、さまざま御意見をいただいておりますので、それぞれの部局においても、こうした関係の皆様方の御意見を十分意識し、また、最終的な取りまとめに当たりましてもさまざまな意見交換をさせていただいた成果、結果、こうしたものを踏まえて今回の計画を取りまとめさせていただいたところでございます。  それから、しあわせ信州創造プラン2.0への信州創生戦略の反映についてという御質問でございます。  今回、地方創生戦略をしあわせ信州創造プラン2.0に引き継ぎ、吸収させるという形の計画にさせていただいております。そうした中で、例えば、具体的には、共通の政策構築実行の視点として、人口減少に立ち向かうということを明記をさせていただきました。また、結婚、出産、子育てへの支援、あるいは郷学郷就の視点での人材育成確保、一人多役や人生二毛作、移住政策の推進など、信州創生戦略で重点的に取り組んできております政策については今回のしあわせ信州創造プラン2.0の案の中にも確実に引き継がせていただいているところでございます。また、数値目標、KPIについても、重点目標、関連目標として引き継いだところでありまして、信州創生戦略と連続性が保たれた案になっているというふうに考えております。  次に、ものづくり産業の成長戦略についての御質問でございます。  現在、次期総合5カ年計画に掲げた「産業の生産性が高い県づくり」の実現をものづくり産業振興の面から支えるものとして、長野県ものづくり産業振興戦略プランを策定しているところでございます。このプランは、研究開発から販路開拓に至るまでの企業の基盤力強化、そして、大学や企業のシーズをもとにした産業集積を図っていくことによりまして、絶え間なくイノベーションが創出されていく産業イノベーション・エコシステムの形成を図っていきたいというふうに考えております。  具体的には、基盤力の強化におきましては、新たな事業分野や市場開拓に当たりまして、企業の皆様方が課題と感じていらっしゃる市場ニーズの把握であったりビジネス化の見きわめ、こうしたことにつきまして専門家の皆様方の力も活用しながら支援をしていきたいというふうに思っております。  また、産業集積の形成につきましては、これまで成長期待分野として位置づけてきました健康・医療、環境・エネルギー、次世代交通、こうした大きな枠組みは踏襲しつつも、航空機システムあるいは機能性食品など、地域の強みを生かした新しいチャレンジを積極的に後押ししていこうという考え方に立っております。  また、こうした取り組みを加速化していくためにさまざまな産業支援機関がございますが、いま一度産業支援のあり方について検討し、支援体制の強化を図っていきたいというふうに考えております。  また、産業人材の育成確保につきましては、御案内のとおり、有効求人倍率が平成4年以来25年ぶりに1.7倍を超える等、人手不足が顕著な状況にございます。産業振興を図っていく上でこの人材確保育成は大変重要な課題になっているというふうに思っております。  そうしたことから、多様な人材の労働参加の促進、そして専門人材の確保、さらには若い世代がみずからの就業にしっかりとビジョンを描けるようにキャリア教育の推進を行う、こうしたことを進めていきたいと考えております。
     特に、喫緊の課題に対応していかなければいけないということで、県内さまざまな皆様方の力を結集しようということで、経済団体、労働団体の皆様方とも連携して、長野県就業促進・働き方改革戦略会議(仮称)を早期に設置して、具体的、効果的な人材確保策を構築していきたいというふうに思っております。  また、企業のインターンシップ、これは、働きたい人としっかりマッチングすることによる若者の県内就職の促進であったり、あるいは小中高校生を対象としたものづくり未来塾の開校であったり、さらには県の教育機関であります工科短大、技術専門校、こうしたところにおける今のニーズに合った教育訓練の実施、こうしたことによる産業人材の育成確保を進めてまいります。  また、子育て中の女性の再就職支援を初めとする女性の就業率の向上を図っていくほか、高齢者、障害者、外国人等、こうした潜在的な労働力となり得る皆様方が企業と出会う機会を積極的につくっていきたいというふうに考えております。こうしたことを通じて、喫緊の課題である人材不足対策に県としても積極的に取り組んでいきたいと考えております。  それから、予算編成において工夫した点についてという御質問でございます。  変化の激しい時代にあっては、ボトムアップで粛々と予算編成をするということだけではなくて、トップマネジメント層、具体的には、部局長レベルでしっかりとした方向性を示して大きなかじを切っていくということが重要だと思っております。  そうした観点で、今回、予算編成方針の中でも、各部局長に強いリーダーシップを発揮してもらうということを明記させていただき、その上で、これまでの政策の取り組みの成果、課題を検証した上でゼロベースで政策を見直して優先順位をつけた要求を行うこと、また、限られた予算でありますので、成果が確実に上がる事業を厳選して要求すること、こうしたことを指示してきたところでございます。新しい計画策定と並行しての予算編成作業ではありましたが、各部局長には、それぞれ工夫をして、県民のニーズに合った、そして新しい時代を切り開くにふさわしい予算をつくり上げていくことができたというふうに考えております。  次に、大規模建設事業が財政運営に与える影響等についてという御質問でございます。  県立大学、県立武道館、信濃美術館の整備改築、こうしたものを進めていこうとしているわけでありますが、財政的影響につきましては二つの観点があると思います。一つは、投資的経費、建設事業費の観点であります。これにつきましては、こうした大規模な事業を盛り込んだ上で将来の見通しを出しておりますが、こうした事業を折り込んだ上でも、県債通常債残高は引き続き減少していく見込みというふうに考えております。したがって、このこと自体、財政に特段の影響を与えるものではないというふうに思っております。  また、運営費でありますが、それ自体、必ずしも少なくない金額ではございますが、例えば、平成30年度当初予算案、昨年の当初予算案と比べましても、さまざまな行革努力によりまして、例えば公債費でマイナス43億円削減しておりますし、人件費もマイナス24億円の削減という形にしております。また、これまで、既存施設の縮減、廃止ということでファシリティーマネジメントに取り組んでおりまして、県財政全体の中で十分対応し得るものというふうに考えております。  これまでいろいろな努力をしてきておりますが、基金残高も、私が知事になる前の残高は約270億円程度でありましたが、ここしばらくは500億円以上をキープすることができております。引き続き財政の健全性ということに配慮しながら、他方で県民のニーズにしっかり応えることができるめり張りのある予算編成を心がけていきたいというふうに考えております。  それから、持続可能な税財政構造の構築に向けた所見という御質問でございます。  このことについては、何よりも我々が県民の皆様方の暮らしを支えていく上で重要な要素だというふうに思っております。そうした観点で、まずは国においてしっかりとした安定的な地方税財政制度を構築してもらうことが必要だと思いますし、具体的な提案を我々もしていくことが重要だというふうに思っております。  特に、法人課税を見ますと、都市部に税収が極めて集中しているという状況であります。法人県民税、事業税を合算した人口1人当たり税収を見ますと、都道府県間で約6倍の格差があるということで、極めて偏在性が大きい形になっております。このことについては、今後、私どもも大きな問題意識を持って国に対してしっかりとした具体的な提案を考えていかなければいけないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、行政サービスの充実強化と持続可能な税財政構造の構築は一体でございますので、引き続きこの税財政構造の安定化、そして県財政の健全化、こうした点についてしっかり配慮しながら政策を進めていきたいと考えております。  次に、産業の生産性が高い県づくりのスタートアップに当たり配慮した点は何かという御質問でございます。  今回の予算編成に当たりましては、全体を通じて新しい時代への対応ということを重視しました。とりわけ、AI、IoT時代に対応するということで、先端技術の活用ということについて意を用いたところであります。  この産業の生産性の部分につきましても、二つの観点、一つは、長野県のものづくり産業の中で、このAI、IoT時代にふさわしい先端技術を開発していくということ、それからもう一つは、AI、IoT時代の新しい技術をさまざまな産業分野の生産性向上のために利活用していくこと、この二つの観点を意識して計画をつくっております。  例えば、先端技術の開発の観点では、IoTデバイス事業化・開発センターを松本の工業技術総合センター環境・情報技術部門に新設いたしたいと思っております。プロフェッショナル人材を招聘することで世界水準のIoTデバイスを創出していく拠点にしていきたいというふうに思っております。  また、利活用の観点では、ものづくり産業はもとより、農林業、建設業、介護福祉産業など幅広い分野で利活用を進めることが重要であります。そうした観点で、専門家の皆様方の御意見もいただきながら、AI、IoT利活用戦略を策定していきたいというふうに思っております。こうした新しい時代に対応した取り組みを通じて、長野県の産業の生産性をさらに高めていきたいと考えております。  次に、平成30年度当初予算案で重点を置いた点という御質問でございます。  今回、とりわけ部局横断で推進していこうということで14の政策パッケージを取りまとめさせていただきました。それぞれ重要でありますが、その中でも、とりわけ私としては、学びの県づくり、さらには今申し上げた先端技術の活用、こうしたことに力点を置いて編成をさせていただいたところでございます。  例えば、学びの県づくりにおきましては、2020年度までに県立高校全てでICT機器を整備していきたいというふうに思います。こうした機器を活用してクリエーティブな教育をしっかり行っていきたいと思っております。  また、信州・タウンキャンパス(仮称)、この構想をスタートさせていきたいというふうに思っております。どこでも、誰でも、いつでも主体的に学ぶことができる環境整備に踏み込んでいきたいというふうに思っております。  また、先端技術の活用におきましては、先ほど申し上げましたが、AI、IoTのほか、例えば農林業の分野においてもICTあるいはドローンといった技術を積極的に取り入れていこうということで予算計上させていただいております。引き続き新しい時代に向き合って、そうした新しい技術を積極的に取り入れながら長野県の発展を目指していきたいと思っております。  地域振興局長からの事業提案、予算要望の仕組みと結果についての御質問でございます。  今回、地域振興局長からの事業提案、予算要望を受け付ける仕組みを講じさせていただきました。試行的に今回行わせていただきましたが、複数の事業を地域の目線から一体的に実施する事業提案、そして、部局が実施しています現行事業の予算に対する改善意見・要望、この二つを地域振興局長から出してもらったところでございます。諏訪湖の環境改善対策や御嶽山の安全対策等10項目の事業提案、そして11項目の改善意見・要望がありました。こうした提案、要望については、できる限り尊重した上で今回の予算案に反映させていただいたところでございます。  それから、学ぶ県組織への転換とは具体的にどのようなものか、どこに力点を置いてマネジメントするかということでございます。  社会環境の変化が非常に急速になっておりますので、こうした変化を敏感に感じ取り、スピード感を持って県民社会の要請に応えていく組織にしていく、そのことを通じて、最高品質の行政サービスを提供していく組織にしていくということが重要だというふうに考えております。  学ぶ県組織への転換の方向性としては、例えば目的達成力の高い機能的組織構造の実現であったり、あるいは県民起点を徹底する組織風土の形成だったり、幾つかの観点を今回総合計画で掲げさせていただいているところでございます。  私としては、特に、新しい知識や技術を職員一人一人が主体的に学び続けていただく、そうした環境をつくっていくことの重要性、そして、職員の能力を最大限に組織として発揮できる環境をつくっていくと、こうした点がこれからの我々のマネジメントの留意すべき点だというふうに思っております。  今、働き方改革を県組織内でも行わせていただいておりますけれども、やはり職員一人一人がしっかりとモチベーションを保ちながら県民のための仕事をしていくことができる環境づくりにこれからも全力を挙げていきたいと思っております。  それから、計画の推進と組織改正についての御質問でございます。  5カ年計画案にも記載させていただきましたとおり、複雑化、多様化する県民ニーズに迅速かつ的確に対応するためには、組織の総合調整機能を強化するとともに、従来の型にとらわれない柔軟な組織へと変革していくということが重要だと思っております。今後、こうした観点での具体的な検討を行っていきたいというふうに思っております。  また、チャレンジプロジェクトを六つ掲げてございます。このチャレンジプロジェクトも、私としては、この県組織の仕事の仕方を変えていく一つの大きな契機にしていきたいというふうに思っております。  こうした観点で、今回のプロジェクトを部局や職位の垣根を越えたプロジェクトチームにしていきたいというふうに思っておりますし、また、若手の幹部職員をこのチャレンジプロジェクトの推進を担うポジションとして配置するなど、これからの長野県の組織の動き方を変えていくべく工夫をしながらこのプロジェクトの編成を行っていきたいというふうに思っております。今回の総合計画の策定を契機に、今までの前例踏襲的な仕事の仕方をできる限り今の時代に合った仕事の仕方あるいは組織の動き方に変えていきたいと思っております。  また、地域課題を解決する組織のあり方、地域振興局の成果と機能、役割を今後どうするかという御質問でございます。  これまでの1年間、各局長は、地域戦略会議やタウンミーティング等、地域の皆様方、市町村長の皆様方と多くの機会をつくってきたというふうに思っております。そうした観点で、地域の声はこれまで以上に組織の中に入ってきつつあると感じておりますし、また、そうした局長が捉えてきた地域の思い、考えを、部局長会議や地域振興局長会議を通じて、我々本庁職員との間での共有もこれまで以上に円滑に行われてきているというふうに思っております。  こうした声については、今回の新しい5カ年計画案の地域計画あるいは全体の中にも的確に反映されてきているというふうに考えております。今回の新しい計画案におきましては、これまで以上に地域計画の充実を図っているところでありまして、今後とも地域重視、現場重視で県政を進めていきたいというふうに思っておりますので、地域振興局の果たす役割は大変大きいというふうに思っております。今後とも、その機能、役割の充実に引き続き努めていきたいと考えています。  続きまして、職員の人材育成についての御質問でございます。  職員の人材育成につきましては、外部環境の変化を敏感に感じ取り、みずから分析し、自立的に行動できる職員を育成していくということを主眼として、共感力、政策力、発信力のさらなる強化を図るため、現在、人材育成の基本的方向性を定めた新たな人材育成基本方針の策定を進めているところでございます。  人材育成に当たりましては、中長期的な視点に立って職員の意欲と能力を最大限引き出すということを基本として、採用から育成、評価、任用まで一体となった取り組み、そして働きやすい職場環境づくりなどを総合的に進めていきたいと考えております。  次に、地方自治、都道府県のあり方についてでございます。  全国知事会で憲法における地方自治のあり方について議論をしてきているわけでありまして、これから地方自治のあり方を充実させていくことを考えたときには、知事会からも一定の発信をしていくということが必要だというふうには思っております。  他方で、この憲法の問題というのは、やはり国民の皆様方一人一人の思い、考えということが尊重されなければいけないわけでありますので、そういう意味で、この地方自治のあり方も含めて国民的な議論、あるいは国会の場での十分な検討ということが求められているというふうに考えています。  地方自治全般については、地方分権ということが長年叫ばれ続けながらも、先ほどの税財源の問題も含めてまだまだ道半ばというふうに感じているのが私の率直な思いでございます。引き続き、全国知事会等を通じて、さらなる自治の充実、特に、今回「学びと自治の力で拓く新時代」ということを総合計画でも打ち出しておりますので、地方分権が進むように県としても具体的に取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  また、都道府県のあり方、これは広域的な自治体としての役割を責任を持って果たしていくということが重要だと思っております。長野県の場合は、特に小規模な自治体が多いということもあります。これからも市町村の皆様方との問題意識の共有、積極的な対話、こうしたことに努めながら、ぜひ市町村、とりわけ小規模な市町村の皆様方の思いにしっかりと寄り添って県政を進めていきたいというふうに考えております。  次に、私の公約に対する現状認識と3期目に向けての決意はいかがなものかということでございます。  公約の実現につきましては、私の信条の中で、県民の皆様方とのお約束を守るということを掲げておりますが、この観点から誠実に実現に向けて取り組んできたところでございます。2期目に掲げた公約につきましても自己評価をさせていただいておりますけれども、やや厳し目に捉えているところ、あるいは、もしかしたら県民の皆様方からするとやや甘目かなというふうに思われるところもあるかもしれませんが、私としては、おおむね8割方は実行してきたのではないかというふうに感じております。子供・若者支援、高等教育の振興、産業振興、自然エネルギーの促進、こうしたことについては着実に進めてくることができたと思っておりますが、まだまだ充実強化を図らなければいけない分野というものもあるというふうに思っております。  今回の新しい総合5カ年計画の策定の中でも、こうしたことについては意識をしながら取りまとめさせていただいております。この確かな暮らしが営める美しい信州の実現に向け、ぜひ県議会にも御理解、御協力をいただきながら、県全体で積極的な取り組みを進めていきたいと思っております。  また、私も知事就任から7年半が経過したわけでありますが、この間、多くの皆様方の支援と県議会の皆様方の御協力、そして県職員の頑張りによって県政を進めてくることができたというふうに思っております。  今は重要な県議会中でもございますし、まだ任期が約半年残っているという状況でございます。まずは県民の皆様方から今与えていただいている任期をしっかりと責任を持ってやり遂げるということに全力を尽くしていきたいというふうに考えております。その後の話につきましては、県民の皆様方の声に真摯に耳を傾けつつ、責任を持って決断をしていきたいというふうに考えております。  次に、松本空港の関係での幾つかの御質問でございます。まず、国際化の成果と評価という御質問でございます。  松本空港の発展、国際化に向けましては、昨年度と今年度を集中具現化期間という位置づけで取り組みを行ってきております。私や副知事も海外等に出かけた際にはトップセールスに努めているところでございます。  こうした結果、昨年4月、約2年ぶりに国際チャーター便が実現いたしました。その後もチャーター便を就航していただき、今年度は14便の就航までこぎつけることができました。また、国内線におきましても、昨年度、9年ぶりに利用者が12万人を突破いたしました。今年度、さらに上回る見通しとなっております。FDAに伺いますと、国内定期便への外国人利用客もふえつつあるというふうに聞いております。松本市を初めとする関係自治体、県議会、経済団体、さまざまな皆様方の御協力のもと、一定の成果が出つつあるというふうに考えております。  次に、訪日誘客支援空港認定に伴う国の支援と成果という御質問でございます。  信州まつもと空港が育成支援型という形で認定されたことを受けまして、早速国土交通省内に松本空港訪日誘客促進戦略会議が設置されたところでございます。この戦略会議におきましては、本県と国土交通省航空局のほか、観光庁、日本政府観光局など航空観光分野の国の責任者と、松本空港の国際化に向け、国際線就航や訪日誘客促進に係る課題の検証をともに行わせていただいているところでありまして、国の関係機関と一緒に松本空港の将来像を考える場ができたということ自体、大変大きな前進だというふうに考えております。こうした国の伴走型の支援も積極的に活用させていただきながら、今後さらに国際チャーター便の誘致あるいは定期便の就航につなげていきたいと考えております。  次に、国際定期便の就航見込みについての御質問でございます。  本年度、先ほど申し上げましたように、計14便の国際チャーター便が就航見込みでございます。来年度は30便以上を目標に取り組んでいきたいというふうに思っております。今後も、実績をさらに積み上げた上で、取り組み方針のロードマップに示しております平成31年度から33年度の上昇期間中に国際定期便の就航を実現すべく最大限努力をしていきたいと考えております。  加えて、空港の国際化には、単に国際定期便の就航のみならず、国内外の方々に松本空港が本州中央部の空の玄関口であるというふうに認識をされ、海外との移動方法の選択肢としても定着していくことが重要だというふうに思っております。このため、国内線の充実、あるいは国際線との乗り継ぎ便などについても引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。  次に、国際ターミナル建設についてでございます。  国際線を受け入れるに当たりましては、CIQ、税関、出入国管理、検疫などが必要になってまいります。空港内における搭乗者の動線を国内線とは明確に分けるということが必要でございます。国際便の便数がまだ現時点では少ない状況でありますので、その都度、臨時的に施設内に仕切りを設けて対応させていただいているわけでありますが、今後、本格的に国際線を受け入れていくためには、しっかりと動線を分けた空港施設の整備が不可欠というふうに考えております。平成31年度から33年度までの上昇期間中に国際定期便を実現させるため、来年度は必要な施設の規模、あるいは設備等の基本的な構想の検討を進めてまいりたいと考えております。  また、RNP-AR方式についてでございますが、これは、国土交通省での理解と決断があって実現するものでございます。県としては、国土交通省に対しまして、訪日誘客促進戦略会議の場でも導入を要請しているところでございます。また、FDAに対しては、私から直接会長、社長に導入のお願いをさせていただいているところでございます。今後とも引き続き早期の導入に向けて働きかけを行っていきたいと考えております。  空港駐車場についてでございます。  現在も、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始、あるいは連続休暇等、満車となる日がふえているというふうに承知をしております。今後、国際定期便の就航に向けた誘致あるいは空港活性化の観点で来訪者をふやしていくことを考えますと、駐車場のキャパシティー不足は大きな課題であり、増設等の対策が必要だというふうに考えております。検討に当たりましては、平成31年度の信州花フェスタ開催に向けた周辺の公園整備も踏まえて考えていきたいと思っております。  次に、有料道路についての質問でございます。まず、有料道路の活用と県内への効果についてでございます。  本県は、主要な都市が急峻な山岳地形で隔てられているということから、各地を結ぶ幹線道路の整備には大規模な投資が必要になっております。限りある予算の中、峠を貫く大規模なトンネル等を短期間で完成させ、早期に効果を発揮させるためには、受益者負担の考え方のもと、有料道路制度を県内各地域で活用してきたところでございます。特に、東信、中信、南信を結ぶ道路網については、それまで脆弱でありましたが、三才山トンネルや新和田トンネル有料道路の整備によりまして県土の一体化が図られてきたというふうに考えています。また、北信地域の有料道路については、長野オリンピックの成功を輸送面で支えたほか、現在でも渋滞緩和あるいは交通の円滑化に寄与していると考えています。  有料道路の一般道路化検討の視点と結果及び今後の方針についてでございます。  有料道路の一般道路化につきましては、包括外部監査での指摘を踏まえまして、各路線の収支状況や一般道路化により利用者が負担していた通行料金が経済活動に回ることによる経済波及効果、出資金の未返還額や維持改良費など県の財政負担の増加など、さまざまな視点で検討を進めてきたところでございます。検討の結果、県としては、松本トンネルを含む三才山トンネル有料道路については平成32年夏ごろまでに、また、新和田トンネル有料道路は平成33年夏ごろまでに一般道路化することが可能と考えております。  これによりまして、三才山トンネル有料道路は当初予定していた事業期間の約1年以上の短縮、新和田トンネル有料道路は約3年半以上の短縮となる見込みでございます。また、白馬長野、志賀中野、五輪大橋有料道路の3路線については、当初より予定している事業期間後の一般道路化を基本に考えていきたいと考えております。  次に、国民体育大会、全国障害者スポーツ大会について御質問いただきました。  まず、開催方針についてでございます。  2027年の両大会の開催に向けましては、昨年12月に設置いたしました各界各層の関係団体で構成いたします準備委員会におきまして、大会開催と大会後を見据えた開催基本方針を決定いたしたところでございます。この中で、両大会は、県民の元気と力を結集して、スポーツの持つ限りない力と本県の多彩な魅力を発信する大会として開催することを定めますとともに、大会後を見据えては、スポーツを通じた元気な長野県の実現を目指すことを基本に五つの自主目標を定めたところでございます。今後、準備委員会の会長として、オール信州で県民全体の力を結集して、この開催基本方針で定めた目標の実現に向かって全力で取り組んでまいりたいと考えております。  競技会場地等の選定スケジュールについての御質問でございます。  総合開閉会式会場及び各競技会場地はそれぞれ準備委員会で選定していくことになりますが、まずは具体的な選定方法やスケジュールを検討する専門委員会を来月立ち上げ、本格的な選定作業に着手をしてまいります。現時点で予定しております手順としては、総合開閉会式会場につきましては、求められる施設の基準、先催県の例を参考にしまして、最もふさわしい会場を準備委員会で選定をしていきたいと考えております。  また、競技会場地につきましては、事前に市町村と競技団体に向けた説明会を開催した後、それぞれから希望を調査し、現地調査やヒアリングなどを行いながら順次選定をしていく予定でございます。競技会場地の選定は、遅くとも中央競技団体の視察が行われます2021年までに完了する必要がありますので、市町村等における準備期間も考慮して、できるだけ早期に選定できるよう取り組んでまいります。  国民体育大会に向けた競技力向上についてでございます。  9年後の国体開催県としてふさわしい成績を目指していきたいというふうに思っております。競技力向上のためには、競技団体の組織強化、選手の発掘育成、指導者の養成確保、選手等を支える環境づくり、この四つの視点が重要であります。そのため、来年度、新たに関係者、スポーツ医科学の専門家等で競技力向上対策本部を設置する予定でございます。関係者一丸となった新しい取り組みによりまして本県の競技力の向上に全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔53番本郷一彦君登壇〕 ◆53番(本郷一彦 君)それぞれ御質問に対して明晰なる御答弁をいただきました。  最初に、ちょっと御要望を申し上げます。  平昌オリンピック女子スピードスケート競技金メダルの小平奈緒さんに対する県民栄誉賞授与について大変前向きな御答弁と受けとめました。県民としても議論の余地がないと思いますので、可及的速やかな県民栄誉賞の授与となるよう強くお願いと御要望を申し上げます。  京都大学大学院、内閣官房参与、藤井聡教授の「経済成長とインフラの整備水準の関係性に関する国際比較研究」によると、欧米の多くの先進資本主義国では、道路や高速道路の整備が国内総生産の成長に寄与していることが指摘をされております。しかしながら、我が国においては、バブル崩壊後、経済の低迷に苦しみ、全世界の名目GDPの我が国の占める割合は平成8年の15.2%から平成27年度には5.9%まで低下し、国民1人当たりの名目GDPについてはOECDの加盟国の順位も3位から20位へと低下し、国際競争力の低下という厳しい現実にさらされている状況にあるにもかかわらず、こうしたインフラへの投資が停滞していることは、将来にわたる我が国の国土形成のあり方を鑑みると、いささかゆゆしき状況にあると言っても過言ではありません。  平成29年2月までに全体の9割が開通した圏央道、首都圏中央連絡自動車道の沿線では、大型物流施設の立地が増加し、それに伴い、従業員数や関係する県の税収入も大幅に増加しており、また、広域的な観光ルートが形成され、観光客も増加していると伺っております。  このような道路整備による具体的なストック効果を国民や県民にわかりやすく示していくことが重要であると思われますが、高規格幹線道路のネットワークの整備により、県内にどのような整備効果がもたらされているのか、また、どのように認識しているのか、建設部長にお伺いいたします。  現在進められている中部縦貫自動車道、中部横断自動車道及び三遠南信自動車道は、既存の高規格幹線道路とあわせ、長野県と東海北陸方面あるいは東海道方面を結び、長野県がそのハブとなる場所に位置し、今後、本州中央部の広域交流の要衝としての役割を果たしていく上で極めて重要な道路と認識しております。  中でも、中部縦貫自動車道は、松本市と北陸の福井市を結ぶ延長約160キロの道路であり、広域観光や物流、災害時の代替性を確保するために早急な整備が必要であり、福井県内においては、永平寺大野道路が平成29年7月に全線開通し、大野油坂道路でも積極的に事業が進められるなど、その進捗は目を見張るものがあります。また、岐阜県においても、高山清見道路などの事業が進められております。  一方、長野県内では、松本波田道路の事業が進められているものの、波田から中ノ湯間についてはルート未定であり、事業化の見通しも立っておらず、県内区間の整備状況は他県に比較しておくれをとっていると言わざるを得ません。このように、県内高速道路のネットワークはまだまだ十分な状況になく、いわゆるミッシングリンクが存在する中で、長野県としては、これからの高速道路やそれらを補完する主要な幹線道路のネットワークはどうあるべきと考えているのか。また、それを達成していくための課題についてどのように認識をしているのか、建設部長にお伺いします。  さらに、長野県が新たな総合5カ年計画を進め、長野県が新たな時代を切り開いていくためのベースとして、また、県内全体の生産性向上につながるインフラとして、高速道路を中心としたネットワークの構築は欠くことのできないものであると考えますが、そのために県としてどのような取り組みをしていくのか、その決意と取り組み内容について建設部長にお伺いします。  次に、農業農村をめぐる情勢や国の農業施策が大きな転換期を迎える中、本県農業は、南北に長く、標高差が大きく、変化に富んだ地形や昼夜の寒暖差も大きい気象条件や大都市に近い立地条件を生かし、果樹、野菜、花卉、キノコなどの園芸作物が牽引し、米や畜産などを加えた農畜産物の総合供給産地として全国に冠たる地位を占める農業県であると認識しております。これは、本県農業者の先進性と勤勉性による高い技術力に加え、県試験場による新品種、新技術の開発や、農業改良普及センター、JAなどの生産者団体とが連携した指導などにより、地域ごとに特色ある品目の産地化が図られ、農業が地域の基幹産業として発展してきたことによるものと考えております。  さらに、近年は地域で消費するものを地域で生産する地消地産への取り組みが飲食店やホテル、旅館、学校給食等に広まっており、これら県内実需者の県産農産物の利用へ向けた関心や消費者の食の安全、安心に対する意識は以前にも増して高まってきていると感じております。  一方で、農業者の減少と高齢化の進行に伴う担い手不足、条件の悪い農地の遊休化、農村地域における住民の減少や高齢化などによる地域コミュニティー活動や多面的機能の低下、農業用水利施設の老朽化など多くの課題を抱えていると承知しております。このように、農業農村や食をめぐる情勢が大きく変化している中、長野県農業が置かれている現状や課題を踏まえ、今後10年先を見据えた長期展望に立ち、本県農業の持つ特徴やポテンシャルを生かした未来志向の施策を展開していくことが重要と考えます。  県では、次期長野県総合5カ年計画及び長野県食と農業農村振興計画の策定を進めておりますが、これらの計画を策定する上で、社会情勢、農業情勢が大きく変わる中、この5年間の農業施策の取り組みをどう総括しているのか。また、今後、本県の農業農村をどのように方向づけしていくのか。農政部長の御所見をお伺いします。  本県農業は、引き続き地域の基幹産業として重要であり、そのためには、まずは担い手を確保育成し、収益性の高い稼げる成長産業としていくことが必要と考えますが、本県の農業構造をどのように変えていくのか。また、そのための施策をどのように考えているのか。農政部長にお伺いします。  昨年3月に新たな観光立国推進基本計画が閣議決定されました。観光は我が国の成長戦略の柱、地方創生の切り札との認識のもと、平成32年までに、1、国内旅行消費額を21兆円とする。2、訪日外国人旅行者数を4,000万人とする。3、訪日外国人旅行消費額を8兆円とする等の意欲的な目標が掲げられているところであります。  そこで、観光部長に伺います。  これからますますグローバル化が進む社会経済情勢の中、本県の観光地域づくりに向けてどのような方針で臨まれようとしているのか、御所見をお伺いします。また、観光地域づくりを進めていく上で、具体的に何を行っていくつもりか、お伺いします。  昨年11月に観光庁から日本版DMOの第1号として正式に登録されました県的DMOである長野県観光機構も、観光部との役割分担を整理した上で、各地域のDMOの構築支援にも積極的にかかわっていくことと聞いており、私も大きな期待をしているところであります。  そこで、観光部長がこれから生まれてくる県内のDMOに期待するものは何か。また、今後の観光地域づくりに関して観光部と観光機構はどのような役割分担のもとにその機能を強化して活動していくのか、お伺いします。  次に、住宅宿泊事業、いわゆる民泊についてお伺いします。
     民泊は、昨年6月に公布された住宅宿泊事業法により本年6月15日から解禁されることが決定しているところであります。しかし、民泊をめぐっては、不動産賃貸業者のように、現在3割にも及ぶと言われている空き家等の有効活用を期待する声がある一方、全国の中でも客室稼働率が低い状況にある本県の宿泊事業者の中には民泊との競争の激化を不安に思っている方も多く、市町村の中にも、静穏な生活環境の保全等のため、厳しい規制を要望しているところもあります。  こうした中、今定例会に民泊の実施を制限すること等を定めた長野県住宅宿泊事業の適正な実施に関する条例案が提案されたところですが、本県の観光産業の中でいかに既存の宿泊施設とのバランスをとりながら観光振興を図っていくのか、観光部長にお伺いします。  次に、企業局の取り組みについてお伺いします。  今さら申すまでもなく、エネルギーは、産業活動を支え、経済成長に不可欠なものでありますが、我が国はエネルギー源の多くを海外に依存しており、エネルギーの安全保障や国富の流出が課題となっております。このため、再生エネルギーの導入加速化が進められておりますが、中でも水素は国のエネルギー基本計画においてエネルギー効率が高く、温室効果ガスの排出がないなどすぐれた特徴を有することから、戦略に取り組むこととされております。  自由民主党県議団では、こうした情勢を踏まえ、昨年12月、平成30年度当初予算編成等に当たり、企業局において新たな再生エネルギーの利用拡大に取り組むことを要望したところであります。昨年12月26日には、国の関係閣僚会議において水素基本戦略が策定され、水素ステーションや燃料電池車の戦略的整備に向けた官民挙げての新たな推進体制の構築や2030年ごろの本格導入に向けたシナリオを盛り込むなど、世界の脱炭素化をリードすることを目指しております。  企業局では、新年度予算案において、将来の企業局事業の可能性を見据え、新たに県内初となる水素ステーションや燃料電池車を整備して水素エネルギーの実証モデル事業に着手するとされていますが、企業局として、水素エネルギーの普及に向けた基本的な考え方、また、どのような役割を果たしていこうとしているのか、公営企業管理者にお伺いします。  社会保障制度改革国民会議において、平成25年度に報告書がまとめられ、この報告書に沿って医療と介護という社会保障制度改革が進められていることは御承知のとおりでありますが、これによりますと、治す医療から治し支える医療への転換、病院完結型医療から地域完結型医療への転換、医療と介護の一体改革という三つの点が柱となっています。地域医療構想を踏まえた第7次保健医療計画、第7期の介護保険事業計画、診療報酬と介護報酬の同時改定、さらには国民健康保険の都道府県による財政運営が始まり、平成30年は大きな改革が目に見える形であらわれます。この改革が県民にとって生活の安全、安心を保障するように県が中心となって積極的にマネジメントしていく必要があると思いますが、まず健康福祉部長に、今後の医療介護政策に対する基本的な考えをお尋ねいたします。  さて、医療の担い手である医師の偏在についての認識と対策について順次伺ってまいります。  昨年9月、全国自治体病院協議会などは、医師の地域偏在対策に関する提言書を厚労省に出されたそうです。医学部の定員増や地域枠の創設などの対策が地域偏在の解消につながっておらず、住民が公平に医療サービスを受ける機会が奪われないためにも、病院または診療所の管理者となるためには、一定期間、医師不足地域での勤務実績を条件とするとし、各都道府県や医師不足地域における受け入れ人数、診療科、期間などをもとに、国や都道府県で組織する協議会で募集や調整を行うことを内容としています。このような提言がなされた背景、さらには働き方改革で5年の猶予がされている医師の残業規制への対応等、県が先見性を持ち、直ちに対応していかなければ県内の医療が危機的な事態になりかねないということを深刻に受けとめております。  そこで、健康福祉部長に伺いますが、県内の医師の充足状況についてどのように受けとめておられるのでしょうか。  地域枠の創設や修学資金の支給、それ以前からの自治医科大学での医師養成など、各県が医師不足を何とかしようと取り組んで、医師偏在、これには地域的な偏在や診療科の偏在も含めますが、これを何とかしようとしてきた経過があります。長野県の疾病動態や地域医療構想で示された病床などを参考にすれば、地域が望む医療養成の道筋は見えてくると思います。そして、それを実現すべく、奨学金での誘導等、県として対応できることに積極的に取り組んでいただき、地域で必要とされる診療科の医師をふやすといった工夫はぜひともとっていただきたいと考えます。この点について健康福祉部長にお伺いします。  最後に、大規模自然災害の歴史を振り返りますと、これまでさまざまな対策を講じてきたものの、甚大な被害からの復興にはどうしても長い年月が必要とされます。近年、ゲリラ豪雨などの従来の想定を超えた災害が頻発をしている上、来るべき巨大地震などにも備えておかなければなりません。来年度は、次期総合5カ年計画、そして、第2期強靱化計画もスタートいたしますが、県として第2期強靱化計画の策定に当たりどのような姿勢で臨まれるのか、危機管理部長にお伺いします。  加えて、大規模災害発生時に自助、共助の力をどのように引き出して活用するおつもりか、危機管理に関する基本的なお考えを伺います。  全国でも発生確率が高いと言われる糸魚川―静岡構造線断層帯地震が発生すれば、県内が広い範囲にわたって甚大な被害を受ける可能性があり、そうしたケースに対応するためにも、県内の被害の少なかった地域や他県、自衛隊など防災関係機関からの応援をいかに効率的に受けられるかが復旧・復興の鍵になると思います。  県では、今年度、まさに長野県広域受援計画基本構想を策定し、来年度、具体的な受援計画を策定するとお聞きしております。いざ広域災害が発生した場合に、他県等からの支援の受け入れについて県としてどのように対応するつもりか、ビジョンを危機管理部長にお伺いします。  次に、最後でございますが、火山対策についてお伺いします。  先般の草津白根山の噴火は記憶に新しいところでありますが、平成26年の御嶽山噴火災害から3年半が経過しようとしております。この間、活動火山対策特別措置法が改正され、火山ごとに必置となりました火山防災協議会においてさまざまな防災対策が議論されていると聞いております。私は、ハザードマップや避難計画の策定などの対策はもちろん必要だと思いますが、災害を風化させず、再び被災しないためにも、また、県に関係する火山が七つもあるという火山県として、火山防災に関する教育や火山とともに生きるという意識を絶やさないことが大切だと考えます。  一方で、平成26年の文科省の調査によりますと、国内の火山観測研究者は81名、このうち大学の在籍者は47名にとどまっているとのことで、国も、今後5年間で研究者を160名にする目標を掲げております。御嶽山噴火という戦後最悪の噴火災害を経験した県として、こうした国の動きに対してどのように協力していくおつもりなのか、危機管理部長にお伺いします。       〔建設部長油井均君登壇〕 ◎建設部長(油井均 君)高規格幹線道路の整備効果についてのお尋ねでございます。  本県は広大な県土を有し、かねてより県土の一体化が県民の悲願であり、加えて、県外との交流が重要であったことから、高規格幹線道路の整備促進に努めてまいりました。  県内では、中央自動車道、長野自動車道、上信越自動車道が順次開通し、高規格幹線道路ネットワークの整備が進んでまいりました。これにより、沿線に工場などの立地が進み、県内総生産が伸びるなど、県内経済を牽引してきたと考えております。また、医療面では緊急搬送時間の短縮が図られ、さらに、防災面では災害時に一つの道路が遮断されてもほかに選択肢があるというリダンダンシーが確保されるなど、大きな効果を発揮しているものと認識しております。  次に、高規格幹線道路のネットワークのあり方と課題についてのお尋ねでございます。  道路ネットワークの構築においては、高規格幹線道路などにより広域ネットワークの骨格を形成するとともに、その効果を県内に広く波及させるため、高規格幹線道路へのアクセス機能を強化することが重要と認識をしております。しかしながら、県内では、中部横断自動車道、中部縦貫自動車道、三遠南信自動車道において、未整備区間、いわゆるミッシングリンクが存在する状況です。また、高規格幹線道路のネットワークを補完する地域高規格道路やアクセス機能を強化する国県道の整備推進も課題であると認識をしております。  最後に、今後の県の取り組みについてのお尋ねでございます。  中部横断自動車道、中部縦貫自動車道、三遠南信自動車道のミッシングリンク解消に向けて、地域の声を国に直接伝えるなど国への働きかけをより積極的に行ってまいります。特に、他県と比較して整備がおくれている中部縦貫自動車道については、松本波田道路の用地取得事務を国から受託するなど、引き続き国とともに推進をしてまいります。  また、関連する国道158号では、国による奈川渡改良や県による狸平工区のトンネルなどの整備に積極的に取り組んでまいります。  また、高規格幹線道路のネットワークを補完し、アクセス機能の強化も担う松本糸魚川連絡道路や国道143号仮称青木峠トンネルの整備に取り組んでまいります。  高規格幹線道路の整備促進に当たっては、地権者を初め地域の協力が不可欠であり、国や地元市町村と連携し、地域の合意形成に向けた取り組みを一層強化してまいります。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)農業政策についてのお尋ねに順次お答えいたします。  初めに、5年間の農業政策に対する総括と今後の方向づけについてですが、第2期長野県食と農業農村振興計画に基づく5年間の取り組みでは、担い手の育成、生産基盤の強化、マーケットインに基づく生産流通の拡大に重点的に取り組んでまいりました。  担い手の育成では、新規就農者を毎年250名程度確保するとともに、農業法人数を3割増の958経営体までふやしております。また、果樹オリジナル品種の栽培面積を6割増の1,860ヘクタールに拡大するなど、園芸を中心に収益力の高い作物の生産振興を図ってまいりました。これらの取り組みによりまして、農業農村総生産額は、達成目標としていた3,050億円を、平成27年が3,118億円、28年が県推計値で3,117億円と2年連続で上回る結果となり、振興計画に基づく施策の取り組みの成果があらわれてきたものと認識をしております。  今後の農業振興においては、生産性が高く、稼げる産業への転換を図ることが重要であり、低コスト化、高品質化に向けたICT等を活用した最先端技術の生産現場への導入普及、オリジナル新品種の生産拡大や輸出促進などの戦略的なマーケティング、企業的手法を取り入れた経営改善など、生産、マーケティング、経営における農業のイノベーションを進めてまいりたいと考えております。  一方、農村振興においては、農業者の高齢化や人口の減少が急激に進む中で、農村コミュニティーの維持が課題であります。兼業農家や小規模農家、地域住民など多様な方々との協働と参画による農地や農村環境の保全、都市住民との交流、多彩な地域資源の活用などにより、営農の場、暮らしの場としての農村の活性化を進めてまいります。  次期長野県食と農業農村振興計画では、これらの施策の推進により、稼げる産業への転換を図り次の世代につながる農業と、営農の場、暮らしの場として人と人がつながる農村を目指してまいります。  また、施策を進める上では、農産物を消費していただく方々の理解と支持を得る取り組みが重要となることから、新たに消費者とつながる食を柱に加え、これら3本の柱により総合的かつ計画的に施策を進めてまいりたいと考えております。  次に、本県農業の構造改革とその施策についてですが、今後も農家数や耕地面積が減少する状況の中、農産物産出額を増加させ、収益性の高い農業構造に転換していきたいというふうに考えております。そのためには、地域の農業を牽引する中核的経営体を今後5年間で約8,700から1万経営体まで伸ばし、その経営体が耕地面積の5割以上、農産物産出額の8割以上を担う構造に転換していくことが必要と考えております。  このため、企業マインドを持ち、みずから経営改善や最先端技術の導入により稼ぐ農業を実践する先駆的な農業トップランナーの育成、また、ICTやAI、IoTを活用した省力化技術や機械の開発と普及、さらには法人経営体等における人材管理、育成のためのマネジメント力の向上などを進めてまいりたいと考えております。  また、本県の強みである果樹、野菜などの園芸品目については、高収益が望める新品種の生産拡大や高単収、高品質栽培技術の導入など、稼ぐ力を一層高める施策を展開してまいります。これらの取り組みによりまして、5年後の2022年には農産物産出額3,000億円、農業関連産出額300億円、合わせて農業農村総生産額3,300億円を達成してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)観光振興について4点お尋ねをいただきました。  まず、観光地域づくりに向けた方針と具体的な取り組みについてでございます。  昨年9月に観光部で実施しました県内宿泊施設へのアンケート調査によりますと、施設設備の老朽化、従業員の確保という経営課題をそれぞれ約4割の施設が抱えていること。また、外国人観光客の受け入れに当たりまして、約3割の施設が不安を抱えていることなど、本県観光の構造的な課題が明らかとなりました。  このような構造的な課題にも対処すべく、次期総合5カ年計画の策定に合わせまして、現在、長野県観光戦略2018の策定を進めているところでございます。戦略では、「そこに暮らす人も訪れる人も「しあわせ」を感じられる世界水準の山岳高原リゾート」を目指す姿として掲げまして、観光の担い手としての経営体づくり、観光地域としての基盤づくり、世界から観光客を呼び込むインバウンド戦略、この三つの戦略のもと、持続可能な観光地域づくりを進めていく方針でございます。  特に、市町村域を超えた広域的な地域のストーリーに沿って多様な主体を結束し、稼ぐ観光地域づくりを推進する経営体づくりが急がれているところでございます。そのため、来年度は、県観光機構に専門人材からなるDMO形成支援センターやインバウンド支援センターを設置するとともに、県観光戦略推進本部においては、一定の基準を満たす重点支援広域型DMO・DMCを指定いたしまして、必要な基盤整備やソフト事業などを多面的に支援してまいることとしております。  次に、県内の地域DMOへの期待についてでございます。  観光客の滞在時間の延長と、それに伴う観光消費額の増大を生み出し、稼ぐ力を高めていくためには、地域DMOの広域化や広域連携の枠組みづくりを進めていくことが不可欠でございます。そのために、さまざまな主体の参画を求め、マーケティング能力を向上させ、地域の価値を広域的な魅力あるストーリーとして発信することによりまして国内外での競争力を高め、その地域が稼げるという状況をつくっていくことが重要であります。県内の地域DMOには、このような広域的な観光地経営の視点に立った地域づくりやまちづくりのかじ取り役として先導的な役割を果たしていくことを期待するところでございます。  次に、観光部、観光機構の役割分担についてでございます。  観光機構には、先ほど申し上げました地域DMO形成支援センターやインバウンド支援センターを設置するなど、高い専門性と柔軟性を生かし、各地域に寄り添いながら、県内のDMOや観光事業者の稼ぐ力を引き出す観光施策の実行部隊としての役割を期待しているところでございます。  一方、それを支える観光部は、全庁横断的に観光施策を担う観光戦略推進本部の取りまとめ役といたしまして、国や市町村などとも連携しながら観光地域づくりの基盤整備を進めるとともに、他県に先んじ、一歩先を見た観光施策の企画立案などのシンクタンク的機能も担ってまいります。このような役割分担のもと、観光部と観光機構がそれぞれの機能を強化しながら互いが連携し、観光地域づくりを推進してまいりたいと考えております。  最後に、民泊業と既存宿泊施設とのバランスをいかに図るかとのお尋ねでございます。  本県においては、大都市圏と事情が異なりまして、宿泊需給が逼迫している状況にはないため、民泊の実施により既存の宿泊施設の経営が圧迫されるのではないかとの懸念の声を一部の市町村や関係団体などからもお聞きをしているところでございます。しかしながら、今回の条例で民泊の実施を制限できるのは生活環境の悪化を防止する点に限られているため、民泊と既存施設との共存は本県にとって極めて重要になってくると認識をしているところでございます。  民泊は、宿泊施設が少ない市町村などにおいては、宿泊の可能性やバリエーションを広げるツールとなることが期待でき、例えば、本県においては、サマースクールやアウトドアアクティビティーなど体験を伴う滞在型観光の推進に寄与できるものと考えております。  一方、稼働率が低い本県の旅館、ペンションなどの宿泊施設は、見方を変えれば、今後さらに増加が予想される外国人観光客を受け入れる余地が十分にあるということでございます。  加えて、日本文化や地域の魅力、この地域でしか食べられない食の提供など、旅館やペンションであるがゆえのさまざまな魅力が発揮できる可能性も秘めているのでありまして、これらが十分に機能していくよう県としても十分振興してまいりたいと考えております。  魅力ある観光地域づくりを推進していくためには、健全な民泊の育成と既存の宿泊施設の振興をバランスよく行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔公営企業管理者小林利弘君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林利弘 君)お答え申し上げます。私には、水素エネルギー実証モデル事業に取り組むに当たっての基本的な考え方及び今後の役割についてお尋ねをいただきました。  私は、我が国のエネルギー情勢を踏まえたとき、脱炭素社会を目指し、再生可能エネルギーへの移行が強く求められている中、いわゆる全く新しい再生可能エネルギーである水素エネルギーは、発電、蓄電、両方の面から将来に向けて大きな可能性を秘めているものと受けとめております。  その上で、私は、水素の生成に必要な電気、しかも水力発電から得られた自然エネルギーを有し、また、水道事業者として優良な水を有する企業局として、将来の事業の可能性があるならば果敢に挑戦し、今から必要な技術や経営ノウハウの蓄積を行っていくときではないかと考えております。  また、現在、全国では101カ所の水素ステーション並びに約2,000台の燃料電池車が稼働している中、県内ではいずれもゼロという状況にあり、国の水素基本戦略に基づき、関係部局はもとより、市町村、民間企業等とともに連携し、水素エネルギーの利活用や事業参入のための技術開発にともに取り組んでいくときであると考えております。  さらに、市町村も含めた水道事業にあっては、人口減少とともに供給量が減少することで生ずる、いわば余力となる水道水を水素エネルギーに活用することで水道事業の経営安定にも寄与することが可能ではないかと考えております。  いずれにいたしましても、企業局の将来の経営の安定に加え、県勢発展のための補完的役割を担う企業局として、100%再生可能エネルギー由来となる信州発の新たな再生可能エネルギーの創出に向け、ただいま申し上げました先導的役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)医療介護政策についてのお尋ねに順次お答えをさせていただきます。  まず初めに、医療介護政策の基本的な考え方についてでありますが、医療、介護は地域にとって欠くことのできない重要な社会基盤であり、県では、10の圏域を設定して、救急医療を初めとする医療提供体制の整備を行うとともに、介護需要を踏まえて特別養護老人ホーム等の整備を行ってきたところです。今後、人口減少、高齢化の進展に伴い社会保障費の負担の増大が見込まれる中、住民のニーズに対応し、良質かつ適切な医療・介護サービスを効率的に提供する体制を確保していくことが重要と認識しております。そのため、認知症や発達障害など近年特に問題となってきている課題に対応する体制の充実を図るとともに、医療機関の機能分化、連携の推進、在宅医療・介護サービスの充実、医療従事者や介護人材の確保養成などに取り組んでまいります。  また、県民が健康で生きがいを持って地域で暮らしていくためには、働き盛り世代の生活習慣病の発症や重症化予防、高齢者の虚弱、いわゆるフレイル対策等が重要であり、国民健康保険の保険者となることを契機として、市町村、関係機関とより一層連携して取り組んでまいります。  県内の医師の充足状況と対応についてのお尋ねがありました。  厚生労働省の調査によると、平成28年末の長野県の人口10万人当たりの医師数は約226人で、平成18年末と比較して約36人増加しており、調査以来、過去最多となっております。これは、県の取り組みに加え、各医療機関や信州大学医学部等の取り組みが一定の成果を上げてきていることによるものと考えております。しかしながら、県全体の人口当たりの医師数は全国平均以下であり、また、2次医療圏別、診療科別で見ますと、平成26年末の前回調査の数値を下回る医療圏や診療科が一部にあるため、引き続き医師確保の取り組みを進めていく必要があると考えております。  医師不足や偏在対策としては、これまで、医師研究資金の貸与などにより産科等の医師不足が著しい診療科の医師を確保するための取り組みを進めるとともに、信州大学医学部の地域枠などで入学した医学生に対し、医師不足病院に勤務することを条件に修学資金を貸与する取り組みを行ってきたところです。  また、来年度から新たに地域の基幹的な役割を担っている病院を拠点化し、地域医療において特に必要とされている幅広い診療能力を有する医師の育成や小規模病院等に対する医師派遣による診療支援を行うネットワークづくりに取り組むこととしています。県としましては、こうした取り組みにより、地域や診療科における医師の偏在解消に向けて引き続き効果的、効率的な医師確保に努めてまいります。  以上でございます。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)災害対策についての御質問をいただきました。順次お答えを申し上げたいと思います。  最初に、第2期強靱化計画策定についての御質問でございます。  国の国土強靱化基本計画を受けまして、県では、平成28年3月に第1期長野県強靱化計画を策定いたしまして、「多くの災害から学び、生命・財産・暮らしを守りぬく」という総合目標のもとに計画を鋭意推進してまいりました。しかしながら、第1期計画期間中の2年の間にも、議員御指摘のような、これまでの想定を超える災害が全国各地で発生いたしております。これらの災害の対応に当たりましては、熊本地震では救援物資をいかに円滑に受け入れるかが、また、頻発しております集中豪雨では災害弱者の方にいかに迅速に避難していただくかが新たな教訓として得られているところでございます。  こうした災害の教訓を生かし、多様化する災害に的確に対応することが重要であることから、第2期計画の策定に当たりましては、他の自治体などからの人的、物的応援を円滑に受けるための方策や要配慮者施設における避難体制の整備など、新たな項目を計画に反映させることとしております。  あわせまして、市町村などの関係機関や防災専門家の御意見もお聞きしながら第1期計画の検証を行い、その結果を反映させるとともに、今議会で御議論いただいておりますしあわせ信州創造プラン2.0における「学びと自治の力」の観点を盛り込んだ計画としてまいりたいと考えております。  次に、大規模災害発生の際に、自助、共助の力をどう活用するのかという御質問でございます。  災害に強い県土づくりには、自助、共助の担い手であります地域住民お一人お一人が日ごろから防災意識をお持ちいただくと同時に、地域において防災をリードする人材を育成することが肝要であると考えております。  神城断層地震におきまして、住民の皆様による救助活動により亡くなられた方がいらっしゃらなかったということは、日ごろから自助、共助を育んでこられたたまものでありますし、県内には自主防災組織の運営に熱心な自治会が数多く存在をしております。また、地域を災害から守る消防団員の数は全国で3位でありまして、こうしたことは長野県のまさに強みであると考えております。  県といたしましては、この強みをさらに磨くため、従来から行っております消防団や自主防災組織の支援に加えまして、新たに消防学校を核とした自主防災組織のリーダーを養成するカリキュラムの拡大でありますとか、活躍の場が広がっておられる女性消防団員を支援するための交流会の開催支援、そして、子育て世代に対する防災体験プログラムの提供といった施策を通じまして、地域における防災力の強化や裾野の拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、長野県における広域的な支援の受け入れについての御質問でございます。  糸魚川―静岡構造線断層帯による地震など大規模な災害時には、被災直後から国及び他県などから広域的な人的、物的応援がありまして、その応援を円滑に受け入れ、被災市町村に迅速に届けることが重要となってまいります。長野県は、面積が広く、地形的にも県内の交通網が分断されやすい地形となっておりまして、複数のルートや手段などを想定した受援体制の整備が急務と考えております。  また、国におきましても、東日本大震災や熊本地震の発生を受け、平成29年3月に地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドラインを策定いたしまして、都道府県における受援体制の構築を推進しているところであります。長野県におきましても、本年度から2カ年をかけて広域受援計画を策定しているところでございます。本年度は、広域受援計画基本構想を策定することとしておりまして、後方支援を行う広域防災拠点の計画と業務別の活動計画を二つの柱としております。広域防災拠点につきましては、既に松本空港及びその周辺を指定しているところでございますが、さらに複数の拠点を指定することによりまして、想定される地震や水害などさまざまな大規模災害に対応できるようにしていくことが必要と考えまして、県内に五つの広域防災拠点の配置ゾーンを設けることしております。  また、業務別の活動計画につきましては、救助活動や交通の確保、人的支援などの16の項目を選定いたしまして、その項目ごとに具体的な活動内容や役割分担を示し、円滑に応援を受けられるようにしていきたいと考えております。  この基本構想をもとに、平成30年度に長野県広域受援計画を策定いたしまして、実際の災害時に十分機能するものとなるよう、学識経験者や関係機関、市町村等の意見を踏まえながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  最後に、国の火山研究者の育成に対する県の協力についての御質問でございます。  御嶽山噴火災害や草津白根山の噴火災害を踏まえまして、火山監視や火山防災対策を担う火山専門家の育成は大変重要な課題であると認識をしております。  文部科学省におきましては、平成28年度から次世代を担う火山研究者を育成するための次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトを開始しておりまして、東北大学が代表となって、東京大学、名古屋大学などが参加をし、信州大学も協力いたしまして、活火山でのフィールド実習や観測調査技術を育成する機会を学生などに提供しているところでございます。  長野県では、このプロジェクトを推進するための火山専門家等からなる総合協議会の委員に、全国自治体で唯一、当県の火山防災幹を参加させております。また、学生などに火山防災を学ぶ機会を提供するために火山防災訓練へのインターンの受け入れなどを行う仕組みづくりを東北大学と行い、この事業への協力をしているところでございます。  いずれにいたしましても、多くの火山を有する長野県といたしましては、御嶽山噴火災害の経験を生かし、次世代を担う火山研究者の育成のため、可能な限り事業に協力するとともに、引き続き関係機関と連携をいたしまして火山防災力の向上に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔53番本郷一彦君登壇〕 ◆53番(本郷一彦 君)知事初め各部長より極めて明晰なる御答弁をいただきました。激動する21世紀、世界構造は一段と多極化し、まさに世界史の本質的な大転換の中にあると言っても過言ではないでしょう。2045年には人工知能が人間の能力を上回ると予測される今日です。その上、加速化するグローバリゼーション、資本主義のシステムが著しく変化するなど、私たちは、新しい文明史観の上に立ちながらも、冷静に足元を見詰めれば、真の人間復権の視点からも地方自治における都道府県の責務は一層高まりつつあります。  いずれにしても、政治は、地方主権の基本理念のもと、真に県民のための社会的現実の諸課題の峠を乗り越えなければなりません。したがって、中間行政である県の重要性は今後ますます県民生活にとって価値あるものと認識をいたします。
     未来志向の上に立ち、戦略性に富んだ異次元の発想力と実効性ある県行政を阿部知事の清新な指導力と公正な使命感のもと、総合5カ年計画のスタートの年に当たり、長野県発展のため一層御努力いただくことを心から祈念いたしまして、自由民主党県議団を代表しての質問を終わります。  御静聴ありがとうございました。 ○議長(垣内基良 君)この際、午後1時10分まで休憩いたします。         午後0時休憩          ──────────────────         午後1時10分開議 ○副議長(諏訪光昭 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  信州・新風・みらい代表、石和大議員。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)信州・新風・みらいを代表して順次質問をいたします。  長野県総合5カ年計画の基本目標「確かな暮らしが営まれる美しい信州」は、山紫水明の山や里の神々しささえ感じさせる風景をあらわし、確かな暮らしの営みは、まさに信州の自治を端的にあらわしていると感じています。  5年前につくられたこの目標は、今、もう一段階進化しようとしています。人生100年時代における未来に向けた県づくりに挑戦できることに大きな喜びと誇りを感じています。そして、光が当たりにくいところに光を当てるという知事の考えに私も共感をいたします。  豊かな自然と人のつながりが強いという長野県の特性を生かし、多様性を享受することが求められる現代における個性ある地域の力の持続、それを求めるための政策立案、そして行政には県民の皆様の共感と参加、協働が不可欠です。そんな視点をあらわしたのがサブタイトルの「学びと自治の力で拓く新時代」だと理解しています。  人はなぜ学ぶのか。人の役に立つ、社会で役に立つ人材に成長するために学ぶのだ。そのように教えられました。子供のころにはぴんとこないところがありましたけれども、年を重ねるうちにだんだんと実感してきます。現在の長野県の教育では、何のために学ぶのか、どう教えているのでしょうか。  生産性の追求から、世の中を合理的に回すことに重きが置かれ、それにより戦後の発展から始まる経済成長がありました。もちろん、そこには人口が急激にふえた人口ボーナスがありました。しかし、現在は、少子・高齢化、人口減少という状況になっています。これまでに経験のない状況に大きな不安を抱えています。長寿は着実に進展し、人生の終局までの生き方を考える必要のある時代、人生100年時代の到来が迫りつつあります。自然科学の進展とともに、幸せや生きがい、そして終局までをどう生きるかという哲学が必要なのではないかと感じます。人生100年時代、人生80年とはまた違う人生設計を信州で立てる、それを一人一人が主体的に考えることが学びだと考えます。  現在の自治の単位をいつまで維持できるのか、超高齢社会について細かい分析が必要だと感じます。自治組織の統合や集約化、市町村の合併まで視野に入れる必要も感じます。文化や伝統の維持も、全部が持続可能な地域ではなくなる可能性があります。誰も取り残さないということをどう具現化するのか考えなければなりません。  我々の会派は、県内各地域に出向き、県政対話集会を開催し、県民の皆様から直接御意見をお聞きしたり、中山間地の住民の皆様の自治活動の実例を学び、意見交換をしたり、現場に赴いてということにも力を入れています。もちろん、個々の議員もふだんの活動を通じて県民の皆様の声を県政に反映できるように活動をしています。  そのような中で感じるのは、価値観もそうですが、生き方、働き方、暮らし方の多様性であります。多様性を享受する社会を形成できる長野県の構築には、県民一人一人の学びと自治の力が必要です。そして、そのための政策も、長野モデルと言われるような独自性も求められます。急激に変革できることは少ないでしょう。しかし、誰ひとり取り残さないという国連のアジェンダにあるSDGsの理念を遂行するには、長野県としての県民総ぐるみの取り組みが必要です。そんな取り組みのスタートに当たり、会派を代表して質問をいたします。  まず初めに、平成30年度当初予算案についてお尋ねをいたします。  一般会計の総額は8,463億9,563万3,000円で、平成29年度当初予算と比べると、中小企業融資制度資金や県立大学建設費などの減少により、約162億円、1.9%の減となっています。しかしながら、国の補正予算を最大限活用して当初予算案と一体的に編成した平成29年度2月補正予算案の額を加えると8,674億7,383万4,000円で、平成29年度当初予算と比べると、約49億円、0.6%の増となっており、実質的には本年度を上回る予算額が確保されているところです。  他方、当初予算での基金の取り崩し額や県債の発行額は減少し、県債残高も引き続き減少する見通しとなっており、実質公債費比率、将来負担比率といった健全化判断比率も健全な水準を維持する見込みで、財政の健全性の確保といった点についても一定の配慮がなされており、高く評価するところであります。  予算案の内容については、当初予算案、補正予算案とも次期総合5カ年計画・しあわせ信州創造プラン2.0の実現に向けて編成されたとのことであり、とりわけ、当初予算案の発表資料には、「学びと自治の力で拓く新時代に向けて」という文言が付されております。これは、次期総合5カ年計画・しあわせ信州創造プラン2.0の基本目標にサブタイトルとして加えた「学びと自治の力で拓く新時代」からとったものであるということであります。  平成30年度はプランの初年度に当たることから、プランの実現に向けて確かな一歩を踏み出していきたいという知事の強い思いのあらわれであるというふうに推察するところであります。発表資料を拝見すると、随所に学びと自治の力を意識した記載が見受けられ、次期5カ年計画に対する知事の並々ならぬ意欲を感じているところです。  平成30年度当初予算案は「学びと自治の力で拓く新時代に向けて」として取りまとめられましたが、この言葉に込めた思いはどんなものか。あわせて、平成30年度当初予算案ではしあわせ信州創造プラン2.0の内容をどの程度具体化することができたと評価しているのか、知事にお伺いをいたします。  また、今後、しあわせ信州創造プラン2.0の内容をさらに具体化していくためには、さらなる財源の確保が必要になると思われます。高齢化の進展により、医療、介護など社会保障関係費が年々増加する中で、しあわせ信州創造プラン2.0の具体化に向けてどのようにして必要な財源を確保し、財政運営を行っていくのか。知事にお伺いいたします。  さらに、重要な財源に当たる県債については、県債残高は引き続き減少するとの見通しですが、県債残高全体では、平成30年度末においても1兆5,574億円になると試算されており、県債残高が依然として1兆5,000億円を超える高い水準にあります。これは、臨時財政対策債の残高の増加が影響しているものとも思われますが、去る12月に、地方6団体からも、今後も臨時財政対策債の残高の増加が見込まれることから、地方交付税法の法定率の引き上げや臨時財政対策債の廃止など、特例措置に依存しない持続可能な制度の確立を目指していただきたいとの共同声明が出されております。  そこで、最初の選挙の公約時から臨時財政対策債の廃止を含めた抜本的な見直しを国に求めていくというふうに発言をされていることについて、知事は具体的にどうやっていくのか、御所見を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)平成30年度当初予算案等についての御質問に順次お答えを申し上げたいと思います。  まず、「学びと自治の力で拓く新時代に向けて」というこの予算に名づけたネーミングについての思いという御質問でございます。  石和議員の御質問の中にもありましたように、私とすれば、まずはこのしあわせ信州創造プラン2.0の第一歩をしっかりと踏み出す、そうした予算だということを明確にしていきたいという思いがございます。  そうしたことに加えて、今回の予算から、学びと自治というものをさまざまな政策を進めていく上での基本に据えていくということを県組織内外含めて明らかにしていきたいと。もちろん、政策の中には、そもそもそれ自体が学びという政策もありますけれども、しかしながら、ありとあらゆる政策を進めるに当たっても、やはりこの学びの観点、それから自治という観点、これは大切にしていきたいと思いますし、そういう観点を持ちながら政策を進めていきたいと、そういう思いを込めてこのタイトルをつけさせていただいているところでございます。  次に、当初予算でのプランの具体化についてということでございます。  今回、新しい総合計画と予算編成を並行して行ってきましたので、必ずしも新しい総合計画の考え方で打ち出しているものを全て今回の予算に盛り込めたわけではございません。ただ、新しい方向性を予算の中でもかなり明確にすることができたのではないかというふうに思っております。  例えば、学びの県づくりあるいは産業の生産性が高い県づくりの分野では、ICT教育の充実とかAI、IoTの活用といったような新機軸を打ち出させていただいておりますので、そういう意味では、新しいプランとこの予算を一定程度連動させることができたというふうに思っています。  他方で、今回の予算案の中には、検討のための予算にとどまっているものもございます。例えば、幼児教育支援センターの設置の検討であったり、信州地域デザインセンターの設置の検討であったり、総合計画の考え方を踏まえて具現化していくための予算というものもかなり計上させていただいておりますので、今後、さらに具体的な検討を行った上で政策の具体化を図っていきたいというふうに思っております。  次に、プランの具体化のための財源確保ということでございます。  これは、大きく申し上げて、地方税財源の充実、それから長野県としての税収の確保、そして事務事業見直しを初めとする県としての財政、財源確保の取り組みと、大きく三つの観点があると思います。  特に、地方税財源の充実については、これは全国知事会等も通じて県としても折に触れて強く求めてきているわけであります。先ほども少し御答弁申し上げましたが、法人関係税の偏在是正等、さらに地方税財政の充実に向けて国として取り組んでいただかなければいけないことがあるというふうに思っています。  また、特に、御指摘がございました社会保障関係費はこれから増加が見込まれるわけでありますが、この社会保障関係経費については、御承知のとおり、国が法令で我々地方公共団体に義務づけているというものがほとんどでございますので、そうした観点からは、地方公共団体の財源保障の仕組みも含めてしっかりと国が財源を確保してもらうことが大前提だというふうに思っています。そういう観点での国への働きかけということをやらなければいけません。  そして、「産業の生産性が高い県づくり」を掲げておりますように、今後とも、長野県の産業、企業が元気な状況を維持してもらって、そして税収が結果的に上がってくるというような状況を維持していきたいというふうに思っています。加えて、事務事業の見直しとスクラップ・アンド・ビルドを徹底する中で財源確保に努めていきたいというふうに思っております。  それから、臨時財政対策債についての御質問でございます。  本来、地方の財源不足は地方交付税の法定率の引き上げで解消すべきものという問題意識を強く持っております。平成13年度に臨時財政対策債が創設され、臨時という名のもとに今日に至るまで継続されている、本来の制度が私はかなりゆがめられてきているんじゃないかというふうに思っています。  現に、長野県の県債残高の約4割をこの臨時財政対策債が占めているという状況で、本来であれば交付税で交付を受けるべきものが借金に置きかわってしまっているということは、これはある意味異常な状況だというふうに思っております。  これまでも知事会等を通じて要請をしてきましたし、また、県独自にも臨時財政対策債の廃止を含めた抜本的な見直しを国に求めてきております。これからも関係する他の都道府県、あるいは市町村、こうした皆さんとも連携をしながら、引き続き国に対して強くこの見直しを求めていきたいというふうに思っております。  以上でございます。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)次に、次期総合5カ年計画についてお聞きをいたします。  人口減少、少子・高齢化が急速に進み、平成26年度から国、地方を挙げて地方創生に取り組んでいるところです。本県においても、一昨年度、人口減少に真正面から対応するため、県当局と議会が一緒に信州創生戦略を策定し、精力的に取り組まれております。  本県の人口は依然減少傾向にはありますが、合計特殊出生率は増加しており、また、社会増減も減少幅が縮小してきております。豊かな自然環境と首都圏へのアクセスのよさという立地条件に恵まれていることが、積極的な移住施策の取り組みと相まって、移住したい都道府県ランキングで本県が12年連続で1位となっていることは大変喜ばしいところであります。  しかしながら、人口の東京への一極集中はとどまるところを知りません。また、地域間の格差も生じております。地方が元気でなければ日本の発展はありません。人口減少対策に特効薬はないかもしれませんが、政府においては、持続可能な国づくりのために、ぜひ場当たり的なものではなくて、将来を見据え、一貫性のある効果的な対策を講じることを望むところであります。  一方、技術革新も急速に進んでいます。今日、新聞などでIoTという言葉を頻繁に目にするようになってきました。仮想通貨などが世間を騒がせ、また、AIがプロ棋士を凌駕するなど、バーチャルとリアル、仮想と現実が混然一体となって、時代は複雑性を増しながら目まぐるしく変化をしています。  こうした状況の中で、県民に対し、県づくりの方向性や道しるべを明確に示し、未来に向けてともに歩んで強いメッセージを発していくことがリーダーには必要であるというふうに考えます。  知事は、一昨年の11月議会において、県政に切れ目を生じさせないよう、次期総合5カ年計画の策定に取りかかる旨を表明されました。以来、1年3カ月にわたって作業を進めてこられ、このたび計画案公表の運びとなったわけであります。次期計画は、阿部知事がつくる実質2回目の総合5カ年計画です。現行計画の基本目標「確かな暮らしが営まれる美しい信州」、これを継承しつつ、未来志向の計画とするためバージョンアップを図ったことから2.0としたということであります。どのような時代にあっても確かな暮らしが保障され、安心して生活ができることは極めて重要なことであり、阿部知事の政治信条の基本であると推察いたします。  しあわせ信州創造プラン2.0の特色は大きく六つあるとお聞きしています。学びと自治の力を政策全体の推進エンジンとすること、中長期的な視点でのチャレンジプロジェクトを掲げたこと、地域計画を充実したこと、国際的な目標であるSDGsを意識したものであること、信州創生戦略を引き継ぐこと、そして学ぶ県組織へ転換することです。これらは、いずれも重要であり、また、現行計画との違いも鮮明となっており、評価するものであります。  私なりに解釈すると、これらに共通する概念は、協働、コラボレーションではないかと考えます。しあわせ信州創造プラン2.0は県政の最上位計画でありますが、これは県のみで実現できるものではないというふうに思っています。長野県がいつまでも幸せな県であり続けるためには、市町村はもとより、企業や団体、大学、そして県民が協力しながら、それぞれが持つ力を最大限に発揮していくことが重要であると考えます。そういった意味で、「学びと自治の力」を計画の中心に据えたことは大変意義深いものと考えます。ぜひこれが県民の皆様に浸透し、計画が着実に推進されることを心より願っています。  とかく計画は、つくることに精力を使い果たし、実行は二の次になりがちです。今回、つくって終わりの計画にしないためということもあり、構想レベルではありながらも六つのチャレンジプロジェクトが掲げられました。このプロジェクトに取り組むことによって、次の時代につなげていく、未来に向けてのメッセージとも受け取れました。現在、現行計画も九つのプロジェクトが掲げられていますが、これとどういうふうに違うのかもあわせて、チャレンジプロジェクトの概念及びこれをどのように進めていこうと考えておられるのか、知事の御所見を伺います。  次に、次期総合5カ年計画では、学びと自治の力を全ての政策の推進エンジンとして位置づけ、技術革新や人口減少、少子・高齢化など、本県を取り巻く環境の急速な変化に的確に対応していく決意を述べられたものと理解をしています。  中でも、先ほども申し上げたとおり、中長期的視点であえて難しい課題に取り組んでいく政策の方向性を示されたチャレンジプロジェクトについては、具体的な施策など突っ込んだ記述には至っていませんが、時代の変化を先取りし、意欲的に長野県行政を前進させていこうという意気込みが強く感じられたところです。  私としては、計画そのものについては前向きに捉えておりますが、本当の意味でこの計画の真価が問われるのはこれからであることは言うまでもありません。先ほども申し上げたとおり、計画を絵に描いた餅にしないためには、県民の皆様や市町村、各種団体など多様な主体を巻き込みながら、県組織一丸となってさまざまな課題にチャレンジしていくことが求められます。  本計画では、職員一人一人が学びと自治の実践者として主体的に学び続けるとともに、そうした職員の能力を最大限に生かす機能的な組織を学ぶ県組織と定義し、いわば七つ目のチャレンジプロジェクトとして、学ぶ県組織への転換に取り組むというふうにしております。計画の成否を左右すると言っても過言ではない県組織の変革が真に県民のための変革につながるのではあれば歓迎すべきことだと考えますが、どのようにして学ぶ県組織へ転換を図ろうとしておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、次期総合5カ年計画においては、政策推進の基本方針の一つに学びの県づくりを掲げるとともに、政策推進エンジンの一つとして学びを位置づけています。学びという視点は、私も大いに共感するところであり、私にとっても大切なものであり、私の原点だとも考えております。そこで、なぜ学びの県づくりを政策推進の基本方針に掲げ、政策推進エンジンの一つとして学びを位置づけたのか、その理由について知事の思いを改めてお聞きいたします。また、この学びの県づくりの趣旨を県民にどのように浸透させていくのかもあわせてお伺いをいたします。  この計画では、2030年を見据え、チャレンジプロジェクトの一つに、「人生を豊かにする創造的な「学び」の基盤づくりプロジェクト」を掲げています。この中で、いつでもどこでも誰もが主体的に取り組む「学び」への転換を進め、県全体を学び、学び合い、学び続けられる環境がある学びのフィールドにすると述べられていました。そのためにどのように政策を展開していくのか、知事の御所見を伺います。  しあわせ信州創造プラン2.0の学びの分野の個別計画として、第3次教育振興基本計画案が示されています。基本理念として、「「学び」の力で未来を拓き、夢を実現する人づくり」を掲げています。これまで、信州人は、厳しく過酷な自然環境の中、学びの力で未来を切り開いており、現在、これからも学びの力で未来を切り開いてほしいとの願いが込められているとのことです。  そこで、教育長にお伺いをいたします。  学びの力で未来を開く人材とは具体的にどのような人材を想定し、そのような人材育成のために子供たちへの教育ではどのような方法で対応していくのでしょうか。日本中、どの地域でも実施されているような教育だけでは信州教育の優位性は示せないと考えます。信州ならではのオリジナリティー、独創性にあふれた教育、学びをぜひ実現していただきたいと考えるが、いかがでしょうか。  働き方改革の推進についてお聞きいたします。  昨年3月28日、政府は働き方改革実行計画を決定しました。主な内容は、同一労働同一賃金を導入し、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すとしております。また、長時間労働の是正として、時間外労働の限度は原則として月45時間かつ年360時間とし、違反には罰則を科すとしました。特例として、臨時的な特別の事情がある場合、労使協定を結ぶ場合の上限を年720時間としております。その後、労働政策審議会の審議を経て、現在開会中の通常国会に関連法案が提出される予定であります。法案は、今国会の最重要法案の位置づけというふうに聞いておりますが、国会での慎重な審議を期待いたします。  働き方改革は、生き方改革、暮らし方改革にもつながり、県民にとっても大きな関心事であります。そこで、県としての働き方改革に対する考え方及び県内における今後の進め方について知事にお伺いをいたします。  現下の雇用情勢は、長野労働局発表の最近の雇用情勢によれば、県内の有効求人倍率は、昨年11月、1.72倍、12月、1.74倍と2カ月連続で1.7倍台の高水準になっております。県内の多くの企業は、人手不足で苦労しているにもかかわらず人材を確保できないと聞き及んでおります。  我が国においては、今後も、人口減少に伴って労働力人口はさらなる減少が見込まれます。人手不足により、企業の事業継続が困難な事態に陥ることも懸念されます。県内産業の活力を維持していくためには、多様な人材の労働参加を促し、意欲ある全ての人が能力を発揮して働くことが可能となるような支援、環境整備をしていくことが必要と考えます。  そこで、県としての多様な人材の労働参加を促すための新年度の取り組みについて知事にお伺いをいたします。  労働力のさらなる不足が見込まれる中、専門人材や高度人材の不足による企業の競争力の低下など、県経済への影響が懸念されます。職業別では、特に福祉、介護、観光業、建設業などの分野で人手不足が顕著となっています。また、AIやIoTなどの新技術によって経済環境は急激に変化し、先端技術を活用した新たな商品、サービスが生まれてきています。国においても、こうした技術を生かしたSociety5.0、超スマート社会の実現を目指す取り組みも始めております。AI、IoTなどの技術の導入は、人手不足を補い、各分野の生産性の向上に大きな効果をもたらすと期待される反面、こうした技術を活用できる人材の不足は、特に県内の中小企業にとっては大きな課題となっているところであります。  そこで、技術革新の進展に対応し、県経済の活力を向上していく上で、AI、IoTなどの新技術を活用できる人材の育成確保に関しどのような取り組みをされていくのか、産業労働部長にお伺いをいたします。  脱炭素社会の構築についてお聞きをいたします。  現在策定している次期総合5カ年計画及び第4次環境基本計画において、脱炭素社会の構築に向けた県の取り組みについて伺います。  2015年12月に採択され、翌2016年に発効したパリ協定は、2018年2月現在、174カ国・地域が参加し、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べ2度Cより十分低く保つとともに1.5度Cに抑える努力を追求するなど、これまでにない地球規模の気候変動対策であり、世界が一致して取り組む画期的なものです。また、同年9月、国連サミットでは、先進国と開発途上国がともに取り組むべき国際社会全体の普遍的な目標として、持続可能な開発目標、SDGsが採択されました。地球規模で人や物、資本が移動するグローバル経済のもとでは、一国の経済危機が瞬時に他国に連鎖するのと同様、気候変動、自然災害、感染症といった地球規模の課題もグローバルに連鎖して発生し、経済成長や社会問題にも波及して深刻な影響を及ぼします。SDGsは、こうした状況を踏まえ、途上国の開発に関する課題にとどまらず、世界全体の経済、社会及び環境の3側面を不可分のものとして調和させる統合的な取り組みであり、これまでとは異なる決意を持って取り組むべき課題とされています。  一方、世界の投資家の間では、ESG投資に関心が高まっています。これは、今日、企業が長期的に成長していくためには、環境、社会、企業統治の三つの観点が必要だという考え方で、ESGの観点が薄い企業は、大きなリスクを抱えた企業であり、長期的な成長ができない企業だということを意味しております。  また、2014年には、事業に使う電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するRE100イニシアチブが創設されました。2018年2月現在で約122社が加盟しており、日本でも3社、リコー、積水ハウス、アスクルが加盟をしていると聞いております。自動車のEV化もあわせ、世界的に再生可能エネルギーの利用拡大が加速化しております。  こうした中、日本政府は、2016年5月に地球温暖化対策計画を閣議決定し、温室効果ガスを2030年度に2013年度比26%削減させるほか、2050年までに80%削減を目指すこととしました。同時に、SDGs推進本部を設置し、実施指針のビジョンとして「持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す。」を掲げ、積極的に推進することといたしましたが、我が国が優先的に取り組まねばならない分野の一つとして、省・再生可能エネルギー、気候変動対策を掲げております。この中で、温室効果ガスの大幅な削減は従来の取り組みの延長では実現が困難であるとし、長期低炭素ビジョンでは、経済社会システムやライフスタイルのイノベーションの重要性や気候変動対策は、経済成長、地方創生、少子・高齢化社会対策など、我が国が抱える課題の同時解決に資するものであることが提言され、現在、2014年に策定したエネルギー基本計画においてもその見直し作業が開始されておりますが、気候変動対策で我が国が国際的に先導的な役割を果たす情報発信には至っていません。  一方、自治体では、省エネルギーの促進ばかりではなく、地域エネルギー会社を設立し、域内のエネルギー自立と少子・高齢化社会対策を同時に解決しようという取り組みが開始されるなど、省エネルギーと再生可能エネルギーの普及と拡大を目指す再生可能エネルギー100%地域の実現を目指す動きも見られ、昨年秋に県が開催した地域再生可能エネルギー国際会議の首長サミットでも、その実現に向け、長野宣言が採択をされました。  こうした中で、県は、現在、第4次長野県環境基本計画を策定中でありますが、長期的に再生可能エネルギー100%地域に向け、その実現のため、省エネや創エネに具体的にどう取り組んでいくつもりか、環境部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、チャレンジプロジェクトの概念や進め方、そして現行計画のプロジェクトとの違いについてという御質問でございます。  現在のしあわせ信州創造プランのプロジェクトは、これはいわば一般的なプロジェクトでありまして、実行の段階において部局横断的に施策を推進しようという観点で設定をしているものでございます。  他方で、今回のチャレンジプロジェクトは、これまでのものとは相当発想が違っております。まず、政策立案に重点を置いていこうというものでございます。人生100年時代、持続可能でイノベーティブな社会をつくろうといったような大局観を持ちながら、大きな枠組みで構想をつくっていくということにチャレンジをしていきたいというふうに思っております。  総合計画は5カ年の計画ということでありますが、こうした大きな構想というのは、5カ年の視点ではなかなか難しいということもありますので、中長期的な時間軸を持って、かつ、バックキャスティング的に政策をつくっていきたいというふうに思っておりますし、また、社会の変化が非常に激しい状況でありますので、この時点で政策固定ということではなくて、このチャレンジプロジェクトの部分については、今後実行しながら考え、考えながら実行していくと、そういうような形で進めていきたいというふうに思っております。  また、県組織の中だけではなくて、組織内外のさまざまな皆様方の力を結集して、いわば共創、協働ということを重視して取り組んでいきたいというふうに思っております。こうしたことを通じて、ぜひ将来の長野県づくりに向けた先駆的な政策を構築していきたいと考えております。  次に、どのように学ぶ県組織へ転換を図ろうとしているのかということでございます。  組織構造から運営システムの組織風土まで広範な検討、見直しに取り組んでいきたいというふうに思っております。職員の学びの奨励、あるいはしごと改革の推進、こうしたことに対して各部局連携して取り組んでいきたいというふうに思っております。  特に、私としては、机の上に座って何か構想を書くというだけではなくて、むしろ問題意識を多くの職員が持っていますので、中堅職員、若手職員も含めて多くの職員に参画してもらって先ほどのチャレンジプロジェクトを進める中で、ぜひ予算編成過程の見直しも行っていきたいと思っておりますが、そうした具体的な行政運営、行政のシステムの見直しを行う中で職員の行動が変化していくように促していきたいというふうに思っております。  次に、学びの位置づけと県民への浸透という御質問でございます。  私は、県知事としていつも考え続けているのは、長野県の強みは一体何なのか、長野県の個性は一体何なのか、長野県とは一体何なのかということを常に考えているところであります。そういう意味で、幸せな社会をつくっていく上で何が必要なのかということを考えたときには、この学びと自治ということがこれまでも重要でありましたし、これからますます重要になるというふうに思っています。特に、この二つの概念は、本県がこれまでも大切にしてきた価値だというふうに思っております。  また、特に学びについては、個人の生きがいや幸せの実現にもつながっていく。これは、社会的なテーマであると同時に、個人の幸せの実現にもつながるものでありますし、また、提案説明で申し上げましたように、大きな時代の転換点にあっては、やはり一人一人の学びというものが大きく社会を動かしていく原動力にもなり得るものというふうに考えております。  そうした観点で、より豊かで安心な社会をつくっていく上で、改めてこの学びに焦点を当てることが重要だというふうに考えたところでございます。  この学び、子供から大人まで一人一人の学びを大切にする県であり、また、受動的ではなくて能動的な学びの環境がある県であり、さらには、あらゆる政策の基本に学びを位置づける県でありたい、こうしたことを願意にしているわけでありますけれども、石和議員御指摘のとおり、こうしたことを県民の皆様方とぜひ共有していかなければいけないというふうに思っております。  県議会で御議決をいただければ、まず、この計画の考え方について、広く県民、関係者の皆様方にお伝えをして、協働して進める基盤をつくっていきたいというふうに思っておりますが、特に、この学びについては、例えばタウンミーティング等でテーマに扱っていきたいと思っております。  3月21日には、教育評論家の尾木直樹先生、脳科学者の茂木健一郎先生と私とで鼎談を行っていきたいと、この学びの県づくりに向けたキックオフイベントとして多くの県民の皆様方と一緒にその学びの県を考えていきたいというふうに思っております。  また、シニア大学、ウィメンズカレッジ、あるいは環境カレッジ等さまざまな学びの場を県としても設置をいたします。こうした実際の学びの場を通じて、県民の皆様方にこの学びの県づくりということも広げていきたいと思いますし、さらには、信州ウエブカレッジの構築に向けては、さまざまな県民の皆様方がこれまで主体的に取り組んでおられる学びの場とも連携、ネットワークをつくっていかなければいけないというふうに思っておりますが、こうした県民の皆様方の主体的な活動の場においても、この学びの県という概念を共有していただきたいというふうに思っています。さまざまなプロセスを通じて、この学びの県づくりについて皆様方としっかり共有できるように取り組んでいきたいと思っております。
     それから、人生を豊かにする創造的な学びの基盤づくりプロジェクトの政策をどう具体的に展開していくのかという御質問でございます。  このプロジェクトは、県全体を時間や場所にとらわれない学びのフィールドに展開していくということにチャレンジをしていきたいというふうに思っております。  特に、子供たちの学びを支援する上で、地域と学校が一体化していく方向性、あるいは大人も含めてリアルな学びとバーチャルな学びのベストミックスを追求していきたいというふうに思っております。  本年度、このプロジェクトの第一歩といたしまして、ウエブ上のバーチャル講義とリアルな学びを融合させて双方の特徴を生かしていく信州・タウンキャンパス(仮称)の具体化に向けた検討に着手していきたいと思っておりますし、また、信州・学び創造ラボを県立図書館の中に整備をして、市町村立の図書館や公民館等とも連携して共同でワークショップを開催するなど、人、地域、情報が直接つながり合う学びの場づくりを進めていきたいというふうに思っております。これは、いずれも組織あるいは既存の行政分野の枠を超えて実施していくべきものというふうに考えております。先ほどの御質問の中にもありましたように、さまざまな組織の皆様方と協働して政策を展開していきたいと考えております。  次に、働き方改革に対する考え方、そして今後の進め方についての御質問でございます。  働き方改革とは、労働生産性を向上して柔軟な働き方を選択可能とすることで、若者も高齢者も、女性も男性も、障害のある方も、皆さんが活躍できる社会を創出するというものであります。特に、しあわせ信州を標榜している私ども長野県としては、この働き方改革を通じてお一人お一人の県民の皆様方がより充実した人生を送れるようにしていくということが重要だというふうに思っております。  県としては、これまでも社員の子育て応援宣言の登録あるいは仕事と家庭の両立ができる企業を認証する職場いきいきアドバンスカンパニー制度等の普及で働き方改革を進めてきております。今後は、こうした取り組みをさらに徹底していくということとあわせまして、社員や従業員にとって働きやすい環境をつくっていくということが、働く皆さんにとっても、そして企業の側にとってもこれからは重要であるという考え方をぜひ経営者の皆様方としっかり共有をしていきたいというふうに思いますし、また、働き方改革を進めていく上での具体的な取り組み手法、先進事例、こうしたものを幅広い皆様方と共有してこの働き方改革を進めていきたいというふうに思っております。  長野県就業促進・働き方改革戦略会議(仮称)を新年度早々設置していきたいというふうに思っておりますので、この働き方改革にオール長野県で取り組んでいきたいというふうに思っております。  次に、多様な人材の労働参加を促すための新年度の取り組みについてという御質問でございます。  平成30年度、学生、若者、子育て中の女性、高齢者、障害者、外国人、それぞれの観点で施策を進めていきたいというふうに思っております。  県外へ進学した学生のUターン就職をしっかり促進しなければいけません。そのため、県内企業へのインターンシップのマッチング等の強化をしていきたいというふうに思いますし、また、ジョブカフェ信州の相談を充実することによりまして、県内の未就労の若者の労働参加を促進していきたいと思っております。また、企業内保育所の設置や短時間正社員制度の導入等を支援することによって子育て中の女性の再就職支援を行っていきたいと思っておりますし、また、シルバー人材センターでの派遣業種の職域拡大、あるいは定年制の延長などを進めることによって、高齢者の活躍できる社会をつくってまいります。また、信州大学とも連携をして、外国人留学生と県内企業のマッチングも進めてまいります。  さまざまな方たちがその能力を十分に発揮していただくことができるように、このさまざまな支援策を通じて、県内各企業とも連携をしながら、多様な人材の労働参加をさらに促進していきたいというふうに思っております。  私に対しては以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、教育振興基本計画の基本理念に基づく人材育成についてのお尋ねでございます。  変化の激しい予測困難な時代、言葉をかえれば答えのない時代を迎えておりますけれども、次世代の子供たちの時代にはもっとその傾向が強まると思いますし、ましてやAI等の進化により、ありきたりの答えなら機械のほうが早く正確に出せる時代となることは間違いないと思います。もはや答えを大量に覚えて正確に再現する、言われたことを右から左に迅速に正確にこなすということではやっていけない時代だと思います。  そして、答えがないのは生き方についても同じであります。何が幸せかということは誰も決めてくれない時代に突入したということだと思っています。何も考えなくていいからとにかくこれを覚えて実行しなさいという受け身的なあり方から、自分はどう考えるか、自分はどうしたいのか、いろいろな人とかかわって、相談して、自分が本当にいいと思うものをやっていこうという主体的、能動的な学びに転換しなくてはならないと思っております。  そもそも、自分で考え、創造していくことは、人間が本来持っているイノベーティブな力であります。一人一人が、自分の暮らしや仕事、仲間とのかかわりの中で、そのイノベーティブな力が存分に発揮できるようにすること、こういう人づくりを幼保、小、中、高、全ての段階で一貫して目指してまいりたいというふうに思っております。  このためには、学びの質の転換と、そのための環境整備が必要でございます。  まず、幼児教育の段階では、関係機関を巻き込んだ包括的な幼児教育の質向上システムの構築が必要でありまして、幼児教育支援センター(仮称)の設置を検討してまいります。また、義務教育では、さまざまな発達特性やバックグラウンドを持つ、そうした子供の多様性を前提として、主体的、対話的で深い学びに転換すべく、現場の知恵を総動員して授業デザインの変革を行ってまいります。そのための環境整備として教員の働き方改革を着実に進めてまいります。さらに、高校教育では、新たな学びの推進と再編整備計画を一体的に取り組む高校改革を推進してまいる所存でございます。  次に、信州ならではの教育、学びについてであります。  ただいま申しました学びの質を転換していくことは日本共通の課題でありますが、学ぶ主体である子供たちを見ますと、デジタル化社会の中で、バーチャルな人工的な体験に偏るということが懸念されます。そういう意味で、今後重要性を増してくるのが、実体験を通して頭を働かせ、感性を磨き、体を鍛えていく学びであり、ここに信州ならではの強みがあるというふうに認識しております。信州で学ぶことの強みは、豊かな自然を生かした体験的な学びや、地域と深くかかわる学びができることでありまして、これらの強みを生かした教育の充実を一層図っていくということが大切だと思っております。  一方、その強みをさらに生かすためには、子供たちが信州の強みそのものを自覚することが必要であり、県外の人々とかかわったり、海外から信州を眺めたりするなど、自分が生まれ育ったふるさとや自分が体験した学びを外から見る機会をつくることで自分自身を見詰めるもう一人の自分を育てていくことも重要だと思っております。こうしたことを踏まえ、信州が持つ強みを最大限に生かした信州ならではの新たな学びを実現してまいりたいというふうに思っております。       〔産業政策監兼産業労働部長土屋智則君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(土屋智則 君)AIやIoTなど新技術を活用できる人材の育成確保についてのお尋ねでございます。  さきに中小企業庁が行ったアンケート調査によりますと、AI、IoT等の導入に当たって、そのための人材がいないため投資に踏み切れないとする企業が4割を超えておりまして、これら技術を活用できる人材の育成確保というものが急務になっていると認識しているところでございます。  そこで、来年度は、工科短期大学校において、ICTに関する知識、技術の教育訓練を実施いたしますほか、工業技術総合センター等で行うIoTに関する講座や、民間教育訓練機関に委託するICT関連の高度人材育成講座の開催など、人材育成のための事業を展開してまいります。また、工業技術総合センターが、関係機関や専門家の協力を得ながら実際に企業のAI、IoT等の導入を支援する中で、企業の中堅技術者の知識、技術の取得につなげていくと、そういった取り組みも展開してまいる予定でございます。  さらに、こうした県内における育成にとどまらず、ICT関連の人材や企業を首都圏等から誘致をしてくるといったことによりまして県内への確保、集積を図ってまいります。来年度、有識者の知見を得まして新たに策定いたしますAI・IoT利活用戦略におきましてもさらなる取り組みについて検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)再生可能エネルギー100%地域に向けた具体的な取り組みについてのお尋ねでございます。  パリ協定の発効を踏まえ、現在策定中の第4次の環境基本計画では、低炭素から一歩進め、脱炭素社会の構築を目標に掲げ、将来的に再生可能エネルギー100%地域を目指すこととしております。このためには、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの普及拡大を一段と加速することが必要と考えております。  省エネ対策といたしましては、新たに中小規模事業者向けに省エネ診断を実施するほか、既存建築物の省エネ性能についての簡易診断ツールを作成し、関係業界と連携した無料診断を実施してまいります。また、県有施設につきましては、ESCOの導入を拡大するとともに、照明のLED化をさらに進めることとしております。  再エネの普及拡大につきましては、新たに太陽光発電や太陽熱利用のポテンシャルを見える化するソーラーマッピングを構築し、住宅、電気自動車、金融等の業界と連携をしながら、環境への負荷が少ない屋根置き太陽光の普及拡大に取り組んでまいります。  また、開発期間の長い小水力発電やバイオマスの利活用についても、事業化しやすい場所での事業の促進や再エネの普及につながる製品やサービスの産業化に取り組む企業を支援することにより加速化を図ってまいりたいと考えております。  以上であります。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)次に、信州F・POWERプロジェクト及び林業施策についてお伺いいたします。  本県の森林は、県土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止、木材の生産等の多面的な機能を有しており、県民はもとより都市部の人々にも生活や経済面でさまざまな恩恵をもたらしています。この豊かな森林の多くは、戦後復興期や高度経済成長期の需要に応える木材を供給するため、先人の努力により植栽、保育されてきた中で、今日、本格的な利用期を迎えており、この豊富な森林資源を循環利用することが現在重要な課題となっていると認識しているところです。  この貴重な財産としての森林資源を健全な姿で次の世代に引き継いでいくためには、利用期にある木材資源を無駄なく活用し、その利益を山側に還元し、再び森林所有者が意欲を持って山づくりを行えるようにしていくことが大切であります。このため、林業再生における先駆的なモデルとして、産、官、学、金が連携して取り組んでいる信州F・POWERプロジェクトの推進が重要だというふうに考えています。  そこで、まずプロジェクトの進捗についてお聞きいたします。  昨年の9月定例会一般質問におきまして我が会派の依田議員、11月定例会一般質問におきましては寺沢議員が質問いたしましたが、その後の状況について伺います。  製材事業の安定化を図る上で、県の役割としてどのように取り組んでいるのでしょうか。発電事業については、発電施設の発注に向けた調整が行われているとのことでしたが、現時点で県が把握している今後のスケジュールについて、あわせて林務部長にお聞きをいたします。  また、このプロジェクトの成功は、本県の林業を大きく発展させていく上で欠かせない取り組みとして県は積極的に推進されておりますが、このプロジェクトを含め、今後の林業施策の展開について、次期総合5カ年計画での位置づけと平成30年度の施策の中でどのように取り組んでいくのか、知事に方針をお伺いいたします。  次に、農業生産を支える農地や農業用水等の基盤整備についてお聞きいたします。  私の地元である東御市の祢津御堂地区では、県営土地改良事業により荒廃桑園をワイン用ブドウ団地として再整備しており、担い手の新規参入や規模拡大による所得向上、また、ワイン振興を図る上でも大きな期待が持たれているところです。  一方で、佐久、上田地域において約1,500ヘクタールの農地に用水を供給する立科幹線水路は、造成から約50年が経過する中で、管路の破損や漏水が発生し、その維持管理に多大な労力を要しています。また、塩田平や御牧原台地、八重原台地に代表される農業用ため池については耐震化が喫緊の課題となっています。農業者の減少やTPP11協定等の国際化の進展に伴う競争力強化等への対応が必要となる中で、信州の豊かな自然環境や景観を支えている農村地域の暮らしを維持し、長野県の農業を持続的に発展させるためには、農地の条件整備や農業用水を安定的に確保するための施設の長寿命化や防災・減災対策など、担い手が目指す経営展開を支える基盤整備が重要だと考えますが、今後の農業生産基盤の整備や農村地域の防災・減災対策についてどのような方針で取り組んでいくのか、農政部長に伺います。  山岳遭難防止対策について質問をいたします。  県警察では、日本一安全・安心な長野県を掲げ、さまざま取り組んでいることは評価しています。そんな中、他県警に比べ突出しているのが山岳遭難救助への対応であり、県警察は高い救助技術を有していることは承知しています。  昨年3月5日、長野県消防防災ヘリコプターが墜落し、9名の方がお亡くなりになるという痛ましい事故が発生しました。あれから1年を迎えます。改めて亡くなられた9名の御冥福をお祈りいたします。  県消防防災ヘリコプターを失った後、県警察では、県警ヘリコプターによる上空からの救助、山岳遭難救助隊による地上からの救助により活動に当たっているとのことです。県の消防防災体制は、今春から機体をリースし、民間航空会社から派遣されるパイロット、整備士により再開するとのことですが、当面警察主体とならざるを得ないのではないかと考えます。  県消防防災ヘリコプターを失った後の長野県における山岳遭難発生状況について伺うとともに、救助活動の現状と救助体制の強化及び装備の充実、人材の育成等を踏まえた今後の方針について警察本部長に伺います。  「世界級のリゾートへ、ようこそ。山の信州」、昨年の信州デスティネーションキャンペーンのキャッチコピーです。我が長野県は、豊かな自然に恵まれ、訪日外国人を初め多くの観光客が年間を通じて来県しています。中でも、日本で有数の山岳地帯である本県は、山岳観光を主たる産業の一つとしています。これからも大いに振興することを願っていますが、山岳遭難等の事故が年間通じて多発しており、憂慮しております。  特に、外国人によるバックカントリースキー遭難は近年多発しているともお聞きしています。山岳遭難に関しては、自己責任という言葉もありますが、今後、多くの観光客を受け入れる中では、受け入れ側である県や市町村、観光業者がしっかりと遭難防止対策を講じていかなければならないと考えます。  そこで、現状として、山岳遭難、特に、バックカントリースキー遭難が多発する中、県としてはいかなる遭難防止対策を講じていくのか、観光部長にお聞きをいたします。  21世紀は人権の世紀と言われて久しいところでありますが、テレビ、新聞等の報道を見ておりましても、世界各国における差別や人権侵害の事案は枚挙にいとまがありません。我が国に目を転じても、同和問題、障害者、外国人などを初めさまざまな人権課題が存在しており、とりわけ、我が国固有の人権問題である同和問題については、依然として結婚差別などの事象が後を絶たない状況にあるものと承知をしています。  このような中、平成28年12月には部落差別の解消の推進に関する法律が施行されましたが、同法の第1条におきましても、現在もなお部落差別が存在するとともに、部落差別は許されないものであるとの認識のもとに、これを解消することが重要な課題であることが明記されているところであります。もとより、部落差別は決して許してはならないものであり、この法律の基本理念を踏まえつつ、差別を次世代に引き継ぐことがないよう、その解消に向けた取り組みを着実に進めていくことが必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  続いて、児童生徒に対する人権教育を充実させることも必要だと考えます。平成23年4月に閣議決定された人権教育・啓発に関する基本計画では、女性に対する差別、障害者に対する差別など13の課題が示されているところであります。その中でも、同和問題については、平成28年12月に部落差別の解消の推進に関する法律が公布され、部落差別の解消のため必要な教育及び啓発を行うよう規定されました。同和教育の解決には、学校において十分に人権教育を行っていく必要があります。  一方で、県内の地域によって教員の同和問題に関する理解に差があるとの声も聞いております。そうした教員が人権教育の中で同和問題を取り扱った場合、子供たちに正しい知識を教えることができないのではないかとの懸念があります。県において、人権教育、特に同和問題についての教員に対する研修の状況と充実の必要性について、教育長にお伺いをいたします。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)信州F・POWERプロジェクトについてのお尋ねでございます。  初めに、製材事業の安定化を図るための取り組みについてでございます。  まず、原木の安定供給体制の構築については、林業関係4団体で構成するサプライチェーンセンターと製材事業の需給調整会議を毎月開催し、原木の量、質、規格等のマッチングを図っております。原木量については、おおむね現在の需要を満たしている状況ですが、樹種や規格、納材時期のさらなるマッチングが必要なことから、製品販売や出材状況等に対応した3カ月間の需給計画を作成し、10日ごとに詳細な双方向の情報交換を図るなど、取り組みを強化しているところでございます。  加えて、今後の原木需要増大を見据え、来年度には木材の生産性向上に資する高性能林業機械14台の導入支援や森林作業道の開設支援を図るなどにより、林業経営基盤の強化に取り組んでまいる計画でございます。  また、販路開拓に向けては、無垢フローリングの付加価値向上のために、製品のよさの科学的な実証調査や展示会への出展などの支援を行っており、今後とも製材事業の安定化が図られるよう取り組んでまいります。  次に、木質バイオマス発電のスケジュールについてのお尋ねです。  木質バイオマス発電施設につきましては、現在、出資及び融資等に関する最終の契約手続を本年3月末を目途に進めており、詳細につきましては出資者間で正式決定した上で公表される予定でございます。  なお、建設工事につきましては、建設後に速やかに事業着手し、資材調達等を経て11月には現場での着工を予定しております。  また、商業運転につきましては、平成32年度を目途にしておりますが、できる限り早期の稼働となるよう建設工程の調整等を行っていくこととされております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)今後の林業政策の展開について、次期5カ年計画での位置づけ、そして新年度予算の中でどう取り組んでいくかという御質問でございます。  次期総合5カ年計画の中におきましては、時代や環境の変化に柔軟に対応する足腰の強い産業が持続的に発展し、地域の活力を生み出し、県民の生活を支えている産業の生産性が高い県づくりということを目指して取り組んでいきたいというふうに思っております。  信州F・POWERプロジェクトを含めた林業の分野におきましては、この生産性が高い県づくりに位置づけ、技術革新や経済社会のグローバル化の進展などによる産業変化を捉えて、収益性と創造性が高く、森林を持続的に管理できる林業を構築していきたいと考えています。  平成30年度、具体的には、ICT等を活用して、林業政策の効率化、省力化や需要に応じた木材生産等を可能にするためのスマート林業の推進でありますとか、また、経営感覚を持って現場管理ができる林業人材を育成できるよう、林業大学校のあり方を検討していくということ。さらには、オーストリア等林業先進国からの技術導入、あるいは高性能林業機械の導入等を進めていきたいというふうに考えています。  こうした取り組みを通じて、林業の稼ぐ力を高めて、地域に雇用と所得を生み出し、持続的に発展する林業を実現していきたいと考えています。  次に、部落差別の解消に向けた県の取り組みについてでございます。  お一人お一人の人権が尊重される社会を目指した取り組みということは私ども行政の責務だというふうに考えております。県としては、かねてから人権啓発センターに専門性の高い人材を配置して、相談・啓発体制の強化等に努めてきたところでございます。  一昨年の12月、部落差別の解消の推進に関する法律の施行を受けまして、私どもも、差別の解消に向け、人権啓発センターの広報紙にこの法律の特集を掲載し、また、印刷部数もふやすなどして周知、啓発を積極的に行ってきたところでございます。  しあわせ信州創造プラン2.0におきましては、人権を尊重する社会づくりを目指して部落差別の解消を位置づけているところでございます。今後も、法の趣旨を十分踏まえつつ、国、市町村など関係機関等と密接な連携を行う中で、差別のない社会を目指した取り組みを進めていきたいと考えています。  以上です。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)農業生産基盤の整備についてのお尋ねにお答えいたします。  本県農業が持続的に発展していくためには、企業マインドを持った農業者が、集積、集約化された農地で効率的で収益性の高い農業を展開することが求められており、このような農業を支える生産基盤の整備と防災・減災対策を推進することがまずもって肝要と考えております。  このため、区画が小さく営農効率が低い農地の区画拡大、またICTを活用した水田の水管理の自動化や用排水路の地中化など、担い手が使いやすい農地整備、さらには老朽化により機能が低下している農業水利施設の長寿命化を図るための補修や更新整備などを進めてまいります。また、大規模地震や頻発する豪雨等に備えたため池の耐震化、地すべり防止施設の長寿命化、排水機場のポンプ設備等の更新整備など、防災・減災対策を進めてまいります。  これら事業の推進に当たりましては、地域の要望と事業効果、また緊急性を精査し、実施してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔警察本部長内藤浩文君登壇〕 ◎警察本部長(内藤浩文 君)初めに、県消防防災ヘリコプターを失った後の山岳遭難の発生状況についてお答えいたします。  県消防防災ヘリコプターの事故があった昨年3月5日から昨年末までの山岳遭難の発生状況でありますが、発生件数は261件で、前年同期間比プラス13件、遭難者数は286人で、前年同期間比プラス14人と、発生件数、遭難者数ともに増加しております。そして、救助活動の内訳につきましては、発生件数261件のうち、県警ヘリによる救助が161件、地上部隊による救助は88件、他県からの応援ヘリによる救助が12件となっており、前年の同期間と比較して、県警ヘリによる救助はプラス22件、地上部隊による救助はプラス26件、他県からの応援ヘリによる救助はプラス11件と、いずれも大幅に増加している現状にあります。  次に、救助体制の強化についてでありますが、県警察では、平成27年3月に山岳安全対策課を新設し、航空隊、機動隊のほか、主要山岳地域を管轄している五つの警察署に合計35名の県警山岳遭難救助隊員を配置し、多発する山岳遭難に対応しております。また、里山や山菜とりに伴う遭難防止対策と迅速な救助活動を行うため、昨年までに県内の全警察署において合計110名の山岳高原パトロール隊の運用を開始いたしました。さらに、来年度は、山岳遭難の発生が多い山岳地域を管轄する警察署の体制強化を図ってまいりたいと考えております。  次に、装備の充実についてでありますが、昨年は、岩場で宙づりとなっているような遭難現場で迅速な救助活動を行うため、新たに自動式ザイルウインチを配備するとともに、増加するバックカントリー遭難に備えて山岳用スキーセットを増強するなど、山岳遭難救助装備の充実を図ってまいりました。このほか、来年度は、県警ヘリが救助活動に出動する際、松本空港が天候不良で有視界飛行が困難な場合でも、機体の姿勢、高度、位置、針路等を計器で確認しながら飛行ができる計器飛行証明の取得をさせたいと考えております。  続いて、人材の育成についてであります。  山岳遭難の現場は、登山道から外れた急斜面の現場が多い上、常に落石や雪崩等の危険にさらされながら救助活動を行わなければならないことから、実際の遭難を想定し、ヘリコプターの使用も含め、実践的な救助訓練を繰り返し実施して練度を高めるとともに、救助技術の伝承を図っております。  また、地上での救助活動に必要不可欠である山岳遭難防止対策協会の救助隊員や消防隊員との訓練を実施するなど、関係機関との合同訓練も積極的に実施しているところであります。今後も、引き続き遭難現場で有効に活用できる装備の充実を図るとともに、実践的な訓練を継続的に実施するなど二次遭難の防止に最大限の配慮をしつつ、より安全で迅速な救助活動が行えるよう努めてまいります。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)山岳遭難の防止対策についてのお尋ねでございます。  昨年の山岳遭難発生件数は前年に比べ20件増の292件となっており、そのうち、バックカントリースキーによるものが30件で全体の約1割を占め、前年比でも23件増加している状況にございます。このバックカントリースキーを初めとする冬山の遭難対策については、地区遭対協が県下25カ所の山岳地帯で開設する登山相談所に対しまして支援していることに加え、今年度は、バックカントリースキー対策として、その危険性を英語と日本語で併記した啓発用ポスターとチラシを初めて作成いたしまして、現在、県内主要スキー場やその周辺の宿泊施設等で注意喚起を行っているところでございます。  加えて、新年度は、登山者やバックカントリースキーヤーがみずから学びながら安全に関する知識と技術の向上が図れる信州山岳アカデミーを、上高地涸沢の山小屋のほか、首都圏やウエブ上においても開設をいたしまして、日ごろから遭難防止の意識を高められるよう普及啓発活動を強化してまいる所存でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕
    ◎教育長(原山隆一 君)学校人権教育に係る教員の研修についてのお尋ねでございます。  学校人権教育につきましては、人権教育推進プランによりまして各学校における取り組みの活性化を図っているところでありますが、研修につきましては、小、中、高、特別支援学校の教員を対象に、学校人権教育研修会及び学校人権教育ファシリテーター研修会を実施して、県内全ての学校で同和問題を含めた人権教育が適切に実施されるよう、各学校における人権教育推進のリーダーを育成しているところでございます。  今後、平成28年12月に施行された部落差別の解消の推進に関する法律の趣旨を踏まえまして、学校人権教育研修会の場で地域に根差した人権課題をテーマに教員間での議論を深めるなど、研修内容の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)ことし1月、長野県子どもと子育て家庭の生活実態調査の結果の中間まとめが発表されました。この調査は、長野県の今後の子供・子育て支援と次世代育成支援施策の参考にするため昨年8月に実施され、県内の小中高校生とその保護者、約6,000人から回答を集計したものでありますが、保護者の所得や家計状況から見える生活困難さと子供の意識や家庭及び学校での日常生活の状態などとの関係に着目した点が大変興味深いものであります。  例えば、生活に困難を来している困窮層では、過去1年間に子供を医療機関に受診させなかったことがあると回答した割合が36%を超え、子育てに困ったり悩んだりしたときに相談相手がいないと回答した割合が一般家庭の6割を超えるなど、家庭の経済的困窮が子供の健全な成長を如実に阻害しているものであると理解できます。この調査報告の最終まとめは今年度末に発表されるとのことですが、その結果に基づき、本県の子供を取り巻く諸課題の解決に向けた具体的かつ効果的な施策を推進することはもちろんでありますが、それ以前に、調査で明らかになった本県の子供の実情を県民に広く周知し、自分事として意識を高められるよう啓発していくことが重要であると考えますが、県民文化部長に御所見をお伺いいたします。  また、知事は、これまで、しあわせ信州を掲げ、子供支援や教育の充実に強い意欲を持って取り組んできましたが、この調査結果を踏まえ、子供の貧困状態を改善していくことへの強い決意をお聞かせください。  先月、我が会派の視察において京都府にお伺いをしました。京都府内でも中小企業では人材不足が顕著であることから、京都府では、中小企業等が人材確保とその定着を目的として従業員の奨学金返済負担の軽減支援制度を設けた場合、当該中小企業等の負担額の一部に対して補助する事業を今年度から始めております。支援対象となるのは、京都府内の中小企業等に勤務する就職後6年以内の正社員で、受給した奨学金を返済中の従業員です。また、京都府の支援対象者1人当たりの補助額は企業負担額の2分の1以内であり、上限は、就職後3年目までは年9万円、就職後6年目までは年6万円となっております。京都府の担当者からは、求人の際のPR、福利厚生の充実及び従業員のモチベーションアップなど制度導入のメリットを伺い、私も中小企業の人材確保定着のために有効な事業だと考えます。長野県でも同様な事業を導入することを提案いたしますので、産業労働部長の考えを伺います。  平成27年度からスタートした信州型自然保育、通称信州やまほいく認定制度は、3年目にして、県内27市町村、152園まで認定が広がっており、子供の幼児期の豊かな育ちと学びの充実と移住促進による地域活性化などの効果の点からさらなる充実が期待されるところであります。次期総合5カ年計画案では「学びと自治の力で拓く新時代」を掲げ、その柱である学びの県づくりにおいて自然保育のさらなる普及と充実が明記されており、方向性を評価するところであります。  同時に、国の新幼稚園教育要領等でも、幼児期の学びが一生涯続く学びの基盤であるとし、身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で、さまざまな事象に興味や関心を持つことを幼児教育の狙いとして位置づけられたように、自然保育の理念や実践は全国的にも評価を高めています。信州やまほいくの今後の展望を考えると、幼児教育におけるすぐれた実践をその後の初等教育にしっかりつなげることが極めて重要だと思っています。  第3次長野県教育振興基本計画案でも、幼児教育・保育の充実のための一つの柱として信州やまほいくの推進が明記され、また、信州の特性を生かした信州ならではの教育の推進として、学校教育における自然教育、野外教育の推進がうたわれており、初等教育でも信州やまほいくのよさを生かそうとする姿勢が感じられます  二つの計画上では、本県の豊かな自然環境を生かした学びという視点で、幼児教育と学校教育が同じ方向性で推進されるわけでありますが、初等教育は市町村の所管であることから、自然教育、野外教育に対する市町村教育委員会の理解を広げ、県と市町村の教育委員会がしっかり連携して、自然教育、野外教育を全国に先駆けて推進していくことに大いに期待しているところであります。  このように、長野県の総合計画や教育振興基本計画においては豊かな自然を生かした教育が大きな柱となっている一方、信州型自然保育認定制度は長野県独自の制度であります。近年、長野県の制度を参考に、鳥取県や広島県でも自然保育の推進を目的とする県独自の制度が創設されていると聞いていますが、こうした地方自治体の独自の動きを国に対してもっと積極的にアピールし、将来的に国としても自然保育、自然教育をさらに積極的に推進するよう、長野県が率先してその道筋をつけるべきと考えますが、知事の見解をお伺いをいたします。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)子どもと子育て家庭の生活実態調査結果についてのお尋ねでございます。  議員さんから御指摘がございましたように、今回の調査によりまして、生活困窮家庭では、例えば健康状態が悪いと感じる子供の割合が高いことに加えまして、経済的な理由で医療機関を受診できなかった経験がある家庭があることなどの課題が明らかになってきたところでございます。こうした子供や家庭の実態を県民の皆様に知っていただくことは大変重要であると認識しております。  来月公表予定の最終結果につきましては、県のホームページで公表し、広く県民に周知をさせていただきますほか、官民協働組織でございます将来世代応援県民会議を通じ、子育て支援に取り組むNPOや信州こどもカフェの地域プラットフォーム等へお知らせする予定でございます。さらに、市町村、学校、大学の研究者、子供の貧困問題に取り組む民間支援者等とも調査結果を共有させていただきまして、子供の実態に対する県民の意識が高まりますように取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、子供の貧困状態を改善する決意についての御質問をいただきました。  私は、子供たちにとっても、社会にとっても、この子供の貧困という問題は、我々行政として正面から向き合わなければいけない課題だというふうに思っております。  これまでも、子供の居場所づくりであったり、子ども支援センターの設置であったり、さまざまな施策に取り組んでまいりましたが、今般、しあわせ信州創造プラン2.0案の中、あるいはその個別計画としての子ども・若者支援総合計画案の中に、福祉、教育等幅広い視点で総合的に子供の貧困対策に取り組んでいく施策を盛り込ませていただいているところであります。  例えば、子供の医療費の現物給付方式の導入、あるいは低所得世帯の子供や児童養護施設入所者等に対する給付型奨学金の拡充、低所得世帯の方々に対する県立大学の授業料の減免、生活困窮家庭の子供に対する学習支援の拡充、信州こどもサポートの構築、スクールソーシャルワーカーの拡充などなどであります。  私どもは、こうした施策をしっかりと着実に進めていきたいというふうに思っておりますし、また、これは国も含めた社会全体がこの子供たちが夢や希望を持って暮らせる社会に向けて取り組みをしていかなければいけないというふうに思っております。  県としては、責任を持って今申し上げたような施策を進めると同時に、国に対しても必要な提案を行う中で、子供たちが未来に向けて前向きに進んでいくことができる県づくりに取り組んでいきたいというふうに思っております。  それから、信州やまほいくの今後の展望についてでございます。  本県では、全国に先駆けて信州型自然保育認定制度を創設して、現時点で152園の認定をさせていただき、着実に広がってきているところであります。ことしの1月には、少子化対策担当の松山政司内閣府特命担当大臣に本県へ御訪問いただき、信州やまほいく認定園の御視察もいただいております。子供たちの生き生きとした様子にじかに接していただき、大臣からは、大変すばらしい取り組みであり、今後の参考とするとともに全国にも発信していきたいという御趣旨で感想をいただいたところでございます。  これまでも、国に対しては、信州やまほいく等自然保育の促進につながる新制度の創設を要望してきておりますし、また、先般、「いいね!地方の暮らしフェア」を将来世代応援知事同盟13県の知事と一緒に東京で開催しましたが、その際、この自然保育に取り組んでいる鳥取、広島の知事と私で、自然保育のアピールを一緒に行わせていただいているところでございます。  また、その際に、お二人の知事とは、この自然保育を全国に広げていく運動、あるいは国の制度の中にも積極的に位置づけてもらえるような運動をぜひ連携して取り組めないかという相談もさせていただいているところでございます。この自然保育の先駆けであります本県がリーダーシップを持って、今後、国へのアピールや他県との連携を強化して、この信州やまほいく、自然保育が日本全国に広がるように取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔産業政策監兼産業労働部長土屋智則君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(土屋智則 君)奨学金の返還に対する支援についてのお尋ねでございます。  全国では、御紹介のございました京都府の取り組みを含め、27府県が奨学金返還支援制度を設けてございます。このうち20県は、人口減少対策等を目的とした国の地方創生・奨学金返還支援制度を活用したもので、これは、道府県等と地元産業界等が連携して基金を造成し、この基金を財源として地方の企業へ就職した若者等の奨学金の返還を支援する制度でございます。本県においても、この制度につきまして産業界などと検討した経緯がございます。その際には、費用対効果に疑問を呈する御意見もございました。また、この制度につきましては、県の出捐金に対して特別交付税措置があるものの、対象となるのが基金への出捐総額の50%までというふうにされておりますことから、国に対し支援の拡充について要望を行っているところでございます。  一方、京都府を初めとした残りの7府県につきましては、個人ではなくて企業に対して助成をするといった、国の制度とは別に独自の制度を設けてございます。いずれの制度も、ここ一、二年に創設されたものでございまして、今後、こういった他県の制度内容やその実施効果といったものを調査、検証いたしまして、県内企業の皆様の御意見もお聞きしながら研究をしてまいりたいというふうに考えてございます。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)今回、会派を代表して、次期総合5カ年計画を念頭に置いた質問を行ってまいりましたが、最後に、総合計画と今後の県政運営について知事にお伺いいたします。  信州大学人文学部の三谷尚澄准教授の著書に、「哲学しててもいいですか?」というものがあります。副題は、「文系学部不要論へのささやかな反論」というものです。これは、2015年6月8日に、通知で、「人文社会科学系学部・大学院については、18歳人口の減少や人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする。」ということに反論したものです。哲学を専門とする著者は、著書の中で、過度の悲観的な余談を持ち込みたいわけではない。しかし、当たり前を支えてきた社会制度やシステムにひびが入り、きしみやがたつきが生じ始めたことは控え目に言っても間違いがないだろう。考えたくない問題を真剣に考え始めざるを得ない時代に足を踏み入れつつあるとしています。  少子・高齢化する日本、消滅する地方、環境破壊の現状、AI時代の到来に伴う大失業時代の予測、この国がテロリストたちの攻撃の対象になる日がやがて来ること、その他、悲観的な未来を予想させる問題の具体的なリストを挙げることは余りにもたやすいとした上で、こんなときに、困ったことになったけれどもどこかに道はあるはずだ。何とかしてみよう。一言そう言い残しては立ち上がることのできる強靱な生活習慣を、柔軟な生き延びの戦略をみずから探し求めるたくましさを備えた思考の様式を、これからの30年の社会を下支えする重要なる力量、哲学的には市民的器量を身につけた人間を育成することが求められるとしています。まさに、今、世代を問わず、さまざまな課題を解決できるような力をみずから身につける学びの重要性が高まっている時代であると言えるのではないでしょうか。  信州学や郷学郷就に始まり、学びと自治の力で拓く新時代、そこには、信州で生きる哲学が必要です。オール信州で信州を守り抜く、力強い、たくましい考え方、住民自治、県行政を初め県組織においても、困難でも何とかしてみようという器量が求められていると思います。  こうした観点を踏まえ、5カ年計画を取りまとめる中で知事が念頭に置いた理念についてお聞かせください。また、この計画をもとに、今後の県政運営にどのような覚悟で臨まれるのか、お伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答え申し上げます。  5カ年計画を取りまとめる中で念頭に置いた理念、そして、今後どういう覚悟で県政運営に取り組むのかということであります。  今回、学びと自治という概念を前面に出しているわけでありますが、冒頭申し上げたように、確かな暮らし、希望が持てる社会、安心感がある社会、こうした社会を長野県でしっかり形づくっていくということが極めて重要だというふうに思っておりますし、そのことをこれまで県知事として常に目標として持ちながら県政運営に努めてきたところであります。  そうした中で、今お話がありましたように、例えば、先ほどの格差、貧困の問題、これはある意味資本主義経済のひずみが弱い人たちのところにあらわれているというふうに思っておりますし、また、AI、IoT時代を迎える中で、近い将来の確実な姿すら見通すことが難しい不確実な社会に我々は差しかかってきているというふうに思っております。  そういう中で、私は、個人もそうですし、社会もそうですが、やはり未来の姿というものを描くことができなければそうした社会は実現できませんし、逆に、明確に描くことができれば人々が力を合わせて実現していくことは可能だというふうに考えています。ある意味、今のような不確実な時代、そして資本主義、経済システムのゆがみ、ひずみというものが出てきているような社会にあっては、やはり、いわゆる民主的な社会をつくっていくということが重要だと思います。  もとより、我が国は、制度上は民主的な社会であることはこれは論をまたないわけでありますけれども、運用や実態、こうしたことも含めて、やはり一人一人の国民、長野県にとってはお一人お一人の県民の皆様方の意思が尊重され、そして実現していく社会をつくっていくということが大変重要だというふうに思っています。また、そうした社会をつくっていく主体となるのが、石和議員から御指摘がありましたいわゆる真の市民という存在だというふうに思っております。  こうした社会をつくっていく上では、私は、学びと自治という価値、これは長野県が長い間大事にしてきた価値でありますし、そして未来に向けてますます重要になる価値だというふうに思っています。ぜひ、この学びと自治という概念をしっかり持ちながら、県民の皆様方お一人お一人の意思を明確に我々が受けとめさせていただき、ともに明るい未来に前進をしていく、そうした県にしていきたいというふうに思います。  こうしたことは、SDGs、持続可能な開発目標の精神にも合致するものというふうに思っております。経済、社会、環境、さまざまな分野の課題を統合的に解決していく、そして、誰ひとり取り残さない社会をつくっていく、こうした世界的な目標も私どもはしっかりと共有しながら新しい時代に向けて着実な歩みを進めていきたいというふうに思っております。  私としては、県民の皆様方とこれからもともに歩む、共創、協働の姿勢をしっかりと堅持しながら県民の皆様方の確かな暮らしの実現に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。  以上です。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)これまでの質問で、知事の、来年度に向けて、さらには新総合5カ年計画への思い、決意をお伺いいたしました。心強く感じるところであります。ここからは実践、実行であります。そこに向けて、総合5カ年計画についてさらに深堀りした突っ込んだ議論が必要であります。我々の会派においても、県民起点の議論を重ねています。来週の一般質問には、会派から12名の議員が質問をいたします。議論が深まり、よりよい計画に磨きがかかるように期待をしているところであります。  本日は、私の地元から大勢の皆様が傍聴に来てくださいました。感謝を申し上げます。しかし、ふだんの傍聴席は閑散としていることも少なくありません。もっと県政を身近に、身近な声を県政にと心がけ、実践し、県民の皆様と協働できる県政を目指してまいります。光が当たりにくいところに光を当てる、そんな政治を目指し、新年度に向けて決意を新たにすることを期して、一切の質問を終わります。御静聴ありがとうございました。 ○副議長(諏訪光昭 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(諏訪光昭 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明23日午前10時に再開して、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後2時53分延会...