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平成29年 9月定例会本会議-09月27日-03号

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  1. 長野県議会 2017-09-27
    平成29年 9月定例会本会議-09月27日-03号


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    平成29年 9月定例会本会議-09月27日-03号平成29年 9月定例会本会議 平成29年9月27日(水曜日)  出席議員(56名)   1 番 花岡賢一      28 番 備前光正   2 番 今井愛郎      29 番 吉川彰一   3 番 寺沢功希      30 番 小池久長   4 番 山口典久      32 番 諏訪光昭   5 番 百瀬智之      33 番 髙橋岑俊   6 番 小山仁志      34 番 今井 敦   7 番 小川修一      35 番 丸山栄一   8 番 丸山大輔      36 番 竹内久幸   9 番 酒井 茂      37 番 小林伸陽   10 番 荒井武志      38 番 高村京子   11 番 堀場秀孝      39 番 今井正子   12 番 依田明善      40 番 村上 淳   13 番 石和 大      41 番 小池 清   14 番 埋橋茂人      42 番 宮本衡司   15 番 両角友成      43 番 清沢英男   16 番 藤岡義英      44 番 垣内基良   17 番 髙島陽子      45 番 鈴木 清
      18 番 浜 章吉      46 番 西沢正隆   19 番 中川宏昌      47 番 風間辰一   20 番 清水純子      48 番 佐々木祥二   21 番 堀内孝人      49 番 向山公人   22 番 小島康晴      50 番 高橋 宏   23 番 小林東一郎     51 番 宮澤敏文   24 番 下沢順一郎     52 番 平野成基   25 番 山岸喜昭      53 番 本郷一彦   27 番 和田明子      54 番 村石正郎   55 番 萩原 清      57 番 望月雄内   56 番 服部宏昭      58 番 古田芙士 欠員(2名)         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      山﨑 明   副知事       太田 寛    建設部長      油井 均   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     池田秀幸    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       清水 深   総務部長      小林 透    公営企業管理者   短期大学事務局           企業局長事務取扱  小林利弘   長兼県立大学設   玉井裕司    財政課長      岡地俊季   立担当部長             教育長       原山隆一   県民文化部長    青木 弘    教育次長      角田道夫   健康福祉部長    山本英紀    教育次長      菅沼 尚   環境部長      関昇一郎    警察本部長     内藤浩文   産業政策監兼産           警務部長      横田直幸   業労働部長     土屋智則    監査委員      田口敏子   観光部長      熊谷 晃       農政部長      北原富裕             ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課主査     山﨑紀子   議事課長      村松敏伸    総務課担当係長   小澤利彦   企画幹兼議事課           総務課担当係長   矢沢美由紀   課長補佐      小松健一   議事課担当係長   倉石博之         ───────────────────  平成29年9月27日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(垣内基良 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(垣内基良 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(垣内基良 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、清沢英男議員。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)おはようございます。初めに、高齢者ドライバーの安全対策について伺います。  便宜上、世代を子供世代、働く世代、シニア世代とした場合、今後、シニア世代の増加は明らかで、人生100年時代が言われるようになった今、社会の価値観をその人口構図に順応させていく必要を思います。  殊に感じますことは、ことし3月の道交法改正でシニアの皆さんが認知症で運転からの撤退を余儀なくされ、また、運転免許証の自主返納が推進されるに至れば、膨張するシニア世代の元気が減退していくことを懸念いたします。背景に、高齢者の事故や高速道路の逆走が大きく報道され、シニア世代は安全運転がおぼつかないという先入観が育ちつつあるのだと思います。その一方で、実際はシニア世代が意欲的に活動しないとこれからの日本は活力を失ってしまうことも確実であります。  さて、報道によると、警察庁は、高齢ドライバーを対象に自動ブレーキ機能等を備えた安全運転サポート車限定運転免許導入に向けて検討を始めたといいます。また、同時に、地域や時間を限定した免許制度を目指して道交法改正も視野に入れるとしています。  警察本部長にお聞きします。  まず、長野県の75歳以上の高齢者による自動車交通事故の実態について、経年的な変化も含め概略をお聞かせいただきます。  また、検討が始められた安全運転サポート車の機能やコンセプトについて御説明願います。  次に、警察庁から各県の警察本部長宛てに発せられたサポート車の普及啓発に向けた関係機関、団体との連携についての通達内容をお聞かせいただき、それに向けて県警察本部としての対応状況についてお話し願います。  限定免許についてですが、長野県は、申すまでもなく、地勢的に過疎中山間地域の多い県であります。また、かかる地域ほど高齢化率が高いのですが、そこに暮らすシニア世代の皆さんにとっては車は生活の必需品であります。よって、地域的限定でも、時間的限定でも、免許証があることがどんなにありがたいことかは想像にかたくありません。  自宅周辺など生活に必要な範囲に限定される免許証は欧米でも一部制度化されているといいます。また、時間的にも、日の出から日の入りまでという限定の方法もあるのかもしれません。いずれにしても、研究を進めていただき、シニア世代が生涯現役の生活を送れるように、限定免許証の実現とその環境づくりに長野県警察として推し進めていただきたいと考えますが、御所見を伺います。       〔警察本部長内藤浩文君登壇〕 ◎警察本部長(内藤浩文 君)高齢運転者の安全対策に関する質問について順次お答えいたします。  まず、長野県の75歳以上の高齢者による自動車交通事故の実態について、経年的な変化を含めその概略についてお答えいたします。  県内で発生した75歳以上の高齢運転者が第一当事者となる交通事故は、本年8月末現在、発生件数は487件であり前年同期とほぼ同数、マイナス2件であるものの、死者は3人で前年同期に比べマイナス8人と大きく減少しております。他方、負傷者は619人で前年同期に比べ32人増加しております。  交通事故の特徴といたしましては、出会い頭事故が最も多く162件発生し、次いで追突事故が128件で、この二つの事故形態で全体の約6割を占めております。要因別では、他の年代層に比べ75歳以上の高齢運転者による事故は安全不確認と操作上の誤りが多い傾向にあります。  次に、経年的な変化につきましては、75歳以上の運転者による事故の件数は、10年前の平成19年には735件であったところ昨年は794件発生し、10年前と比較して8.0%増加しております。他方、全体の事故の件数は10年前と比較して33.5%減少していることから、75歳以上の高齢運転免許保有者の増加などを背景として、事故の件数全体に占める75歳以上の高齢者が第一当事者となる事故の件数の割合が増加していることが認められます。  次に、安全運転サポート車の機能やコンセプトについてお答えいたします。  安全運転サポート車は、高齢運転者の交通事故防止対策の一環として平成29年1月から設置されている安全運転サポート車の普及啓発に関する関係省庁副大臣会議の中間取りまとめにおいて、高齢運転者による事故の発生状況を踏まえ、少なくとも前方の車両や歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合には運転者に対して警報するとともに、衝突の可能性が高い場合には自動でブレーキが作動する自動ブレーキと、ペダル踏み間違えによる事故を防止するペダル踏み間違え時加速抑制装置を搭載した自動車を安全運転サポート車バージョン1.0と定義しており、今年度から官民を挙げた普及啓発を推進することとされております。  次に、警察庁から発せられたサポート車の普及啓発に向けた関係機関、団体との連携についての通達内容、それに向けた警察本部としての対応状況についてお答えいたします。  本年4月、警察庁から、安全運転サポート車等の普及啓発に向けた関係機関、団体等との連携について通達されたところであり、その内容は、試乗会等のイベント開催に際して警察施設を実施場所として提供するなど、普及啓発に係る各種イベントが円滑に行われるよう可能な範囲で協力すること、安全運転サポート車を用いた参加体験型の交通安全教育の実施など、関係機関、団体と連携した普及啓発に努めること、安全運転サポート車は正しく運転すれば安全性が高いが、条件によっては装置が作動しない場合があることから、先進安全技術の限界や注意点を正しく理解し、その技術を過信せずに運転しなければならない旨の周知についての取り組みを推進するというものであります。  県警察といたしましては、この通達を踏まえ、県下各警察署に対して安全運転サポート車の普及啓発等について通達し、既に小諸警察署で安全運転サポート車の体験講習会を開催するなど、取り組みを始めているところであります。引き続き自動車メーカーや関係機関、団体と連携しながら、地域の実情に応じ、あらゆる機会を利用した安全運転サポート車の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。  最後に、限定免許証の実現と環境づくりに関する県警察の所見についてお答えいたします。  清沢議員から御説明のとおり、警察庁において、本年1月以降、高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議が開催されており、本年6月には、運転可能な車両を自動ブレーキ等先進安全技術が搭載された自動車に限定するなどの限定免許について、その導入の可否を含めて検討すべきなどの内容が盛り込まれた提言が取りまとめられたところであります。  これを踏まえ、政府の交通対策本部のもとに設置された高齢運転者交通事故防止対策ワーキングチームにおいて、高齢運転者による交通事故の防止に向けた総合的な対策が取りまとめられ、安全運転サポート車限定免許の導入といった運転免許制度のさらなる見直しについて速やかに検討を開始することとされております。  これらの提言等を受け、警察庁では、今後こうした限定免許の導入の可否も含め、さまざまな観点から、運転免許制度のあり方について、高齢運転者対策を重点とした本年3月の改正道路交通法施行後1年間の状況等を踏まえつつ検討を進めていくところと承知しております。  県警察といたしましては、国の動向を注視しながら、引き続き高齢運転者による交通事故防止対策を推進してまいりたいと考えております。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)社会的な価値観の変遷ということですが、例えばお年寄りの自動車事故を報道するニュースでも、若い人が報道すると今のようなことですが、これが80歳のディレクターが報道すると、しっかりとまる車をつくれよと、こういう話になってくるんだと思います。今、本部長にお話をしていただきましたが、そういう時代の実現に向けてぜひお願いをしたいというふうに思います。  次に、家庭養育が困難な障害者への支援体制拡充について伺います。  過日の県民文化健康福祉委員会現地調査の折に、強度行動障害を伴う重度自閉症という障害者への対策につき陳情がされました。時に激しいパニック状態になり、制止が困難でとどまることのない様子が説明され、陳情者としても、障害者の居場所確保や家族の負担軽減のために、放課後や長期休みに日中一時支援という形で数年間一時預かりをしてきたようですが、年々要求を通そうとする行動が強くなり、支援員のけがや施設の破損が後を絶たなくなって受け入れが困難になっており、ほかに使えるサービスも限られたものしかない状況とのことであります。  周囲も心配して、医療関係者、保健福祉事務所障害者サービス関係者など20人ほどの支援会議がつくられ、月に1回会合を持つなど対策に当たっていただいていますが、明確な解決策を見出すことが難しい状況です。  少し前ですが、県庁へ直結する県民ホットラインに、支援会議のメンバーで精神科医の方がメールを送り、現況のほか次のような問題点を指摘しました。  一つに、契約中心の自立支援法制度を全部使っても在宅での生活は困難。家族の頑張りに相当頼っており、行政による措置は虐待事例が発生するまでなく、自閉症向きハードを備えた施設やマンツーマンに近い支援制度は、質、量ともに全く足りていないこと。  二つに、政策的に今後は大規模な施設はつくらない方針のようで、重度の方が地域で困った際には入院という形態をとらざるを得ないが、精神科医療機関が必ずしも強度行動障害を伴う自閉症者にとって向いているとは言えず、受け入れ困難で、公立病院も受け入れ能力に限界があり、断られてしまうこと。  三つに、特別支援学校を出てからの支援が圧倒的に乏しいことも課題。  このメールに対する対応を含め、陳情された項目に沿って山本健康福祉部長にお尋ねいたします。  一つに、医療及び福祉行政機関とのスムーズな連携体制を構築してほしいと思いますが、いかがでしょうか。  二つに、県内医療機関での受診、入院体制の確保と充実を図っていただきたいのですが、県の真剣な取り組みをお聞かせいただきます。  三つに、かかるケース等に対応できる相談や支援の専門的な人材の育成を図ってほしいのですが、現状と対策、また、それが十分かどうかも含めお聞かせいただきます。
     四つに、特別支援学校を卒業した後の受け入れ先の拡充を図ってほしいと考えますが、計画等あればお聞かせいただきます。  最後に、このようなケース全体の対応策について次期総合5カ年計画や障害者プラン等に明確に位置づける必要があると考えますが、御所見を伺います。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)家庭療育が困難な障害者への支援体制の拡充についてのお尋ねに順次回答させていただきます。  強度行動障害では、かみつき、頭突きなどの直接的他害、多動、器物損壊などの間接的他害、自傷行為などが非常に高い頻度で出現します。このため、強度行動障害への対応は家族だけでは難しい場合がほとんどであり、医療、福祉、教育、地域などの連携協力が重要になると考えており、現在も各地域において個別ケースに応じた支援会議等が開催されているところであります。  県におきましては、支援会議等に参加し、対象者の受け入れについて県内の医療機関と広域的な調整を行っているところであり、対応困難事例も含め、引き続き状況に応じたきめ細やかな対応に努めてまいります  強度行動障害は通常の環境下では対応が困難な特性を持っており、場合によっては緊急時の医療や一時的な保護などが必要になると認識しております。県におきましては、自傷、他害のおそれがある者などに対する医療を確保するため、県下四つの精神医療圏における輪番制による精神科救急医療体制を整備しております。次期信州保健医療総合計画の策定に当たり、有識者会議におきまして多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築について御議論いただいているところであり、その審議結果を踏まえ、医療体制の充実について検討してまいりたいと考えております。  強度行動障害に対応できる人材の育成については、強度行動障害のある方に適切な支援を行うことができるよう、県において平成26年度から障害福祉施設の職員を対象とした強度行動障害支援者養成研修を実施しております。この研修は、強度行動障害に関する基本的な知識や支援技術を学ぶ基礎研修と具体的な支援方法等を学ぶ実践研修で構成されており、昨年度までに367人が実践研修まで受講しております。しかしながら、個別のケースにおいて希望するサービスが受けられていない事例もあると聞いておりますので、県としては引き続き強度行動障害に関する専門的な知識を持った人材の育成に努めてまいります。  強度行動障害を伴う重度自閉症の障害者の特別支援学校卒業後の主な受け入れ先として、入所施設が考えられます。入所施設における強度行動障害のある方の実態調査を実施したところ、平成28年9月1日時点で25施設において260人を受け入れているという回答をいただいております。  受け入れ先の拡充を図るための施策として、先ほど申し上げた研修を修了した職員を配置し、強度行動障害のある方を受け入れ、支援を行った場合、施設に支払われる給付金が加算される制度がありますが、加算の対象となるのが入所施設に限られているほか、必要な人員配置を行うためには十分な加算額とは言えない状況であります。  また、強度行動障害のある方を受け入れるためには、障害特性に対応した強化ガラスや割れにくい材料を使用した施設整備が必要となるなど課題があるため、財政支援の拡充について国に対し要望してきたところであります。引き続き専門人材の育成や国への必要な制度改正の提案を行うなど、強度行動障害のある方の受け入れに必要な体制の整備に努めてまいります。  強度行動障害への対応策の計画への反映についてのお尋ねがございました。  強度行動障害のある方が地域で安心して暮らしていくための支援は県としても重要であると認識しております。障害者を取り巻く現状と課題や環境の変化を踏まえた具体的な障害者への支援に関する推進方策を定めております障害者プランを現在策定中であり、強度行動障害のある方への支援策についても次期プランに位置づけてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)部長、一つだけ再質問させてください。  四つの県内の医療機関を今おっしゃいましたけれども、そこで全て拒否された場合、現実に拒否されていますが、その場合はどうしたらいいか。その点だけ教えてください。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)精神障害を有する方の医療機関への受け入れについて、医療機関への拒否が行われた場合についての御質問だと考えております。  これは、精神障害に限らず、さまざまな救急医療への受け入れについても起こり得ることだと考えておりますけれども、それにつきましては、さまざまな医療機関に何度も当たる中で、受け入れ、もしくは医療機関以外への対応も含めてケースに応じて対応していくことになると考えております。その場、その事案に応じて、その都度適切な対応を現場で考えていくことが必要であるというふうに考えておりますし、また、そうしたことが起こらないような事前の体制整備についても検討を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)要するに、これだという方策はないということですよね。でありますから、今、この質問をしているわけであります。  特別支援学校を卒業した後、障害者本人の受け入れ先が乏しいということも大きな課題になっています。西駒郷や県立駒ヶ根病院ではハード面や地域外を理由に受け入れを断られるというわけであります。今の中期計画は、しあわせ信州の創造をスローガンにしています。本人や家族が言葉どおりの環境になれるように心から願うものであります。  次に、大北森林組合問題をめぐる加算金の賠償等について知事に伺います。  知事は、法的課題検討委員会、以下法的委員会と言います、が算出した県職員に対する賠償額1億5,300万円につき、財務会計職員は260万円ほど減額、非財務会計職員は約半額に減額して合計で上限を8,100万円とする賠償額を発表いたしました。この減額分は、組合と元専務理事に9,000万円を別途の賠償請求額約1億円に上乗せして請求をするとしています。これは、係争の争点になる可能性がありますが、法的委員会報告書にはこの案分を求める記述はありません。よって、法的委員会の算出した賠償額を、県が信義則にのっとったと言明すれば自由に変更してもよいのでしょうか。案分の根拠を御説明いただきます。  仮に、その根拠が、相手にも責任が半分程度あるというような薄弱なものであれば、職員の賠償額は2億円でも100万円でも県の考え方次第でどんな数字でも上限額とすることが可能ではないのかという思いを持ちますが、いかがでしょうか。  さて、上限額とされた職員への賠償額を1人当たりの単純計算をしてみます。現地機関の元林務課長、元係長4人の財務会計職員は合計1,100万円で1人平均275万円、また、非財務会計職員、元調査員で、平たく言うと平職員7人の合計額は7,200万円で1人平均1,000万円強がおおむねの数字です。もちろん、各自には過失責任や寄与度に濃淡があり、それを第三者である監査委員が見きわめて個々の賠償額を決定するという地方自治法に規定された困難な作業に入っていただきますから、あくまでも単純計算の話です。  少し違和感を持つのは、財務職員と非財務職員間での圧倒的な賠償額の差異についてであります。扱った非違件数とその金額の積み上げによるものでしょうが、判別した賠償金額は役職にかかわらず冷徹なものであります。非財務の元調査職員は平均でほぼ年収2年分の賠償額です。  世論調査で県職員に賠償を求める県民の皆さんが70%という厳しい意見がある一方で、大北方式という慣習の中での仕事が不法行為であり、巨額の賠償という結果責任を負わねばならない現実があります。国からの加算金は、ほかに、これら賠償額の残額約1億8,000万円があり、これは県民負担となります。  そこで、1点確認しておきたいことは、県職員が今後賠償を行うに際し、何らかの保険制度等補償される手段があるのかどうか。殊に県が関与した制度があるのか。その点をお聞きしておきます。  知事は、この賠償額決定に際し、最高責任者としての責めを負う意味で給与を10%、3カ月減額する条例案を今議会に提案されました。金額にして40万円程度、副知事はその半額ですが、思うことは、刑事事件では起訴猶予、また県の停職減給処分も既に受けている職員に対して、監査委員がこれから決める莫大な賠償責任を県として改めて請求することになります。よって、知事、副知事の給与減額条例案は、職員個々に賠償請求を行うそのときに、それらの結果に鑑みて改めて提出いただくことが時期的にふさわしいと考えますが、いかがでしょうか。  さらに、知事は、しごと改革を実行して人件費削減に取り組み、加算金以上の成果を来年度までに上げる旨表明されていますが、不要不急の外国訪問を節減するなど、できることはほかにもあると考えますが、いかがでしょうか。  また、時計の針を戻すようですが、思うことは、監査委員から職員賠償の検討を勧告された時点で、法的委員会に諮問することなく、県知事裁定でできなかったのかということであります。知事が全体を総合的に見据えた上で裁定を下す、それが仮に県民批判を仰ぐことになろうとも、今後、県職員が今般の一連の措置を想起して仕事に消極的になり、結果県民サービスの低下を招く、そういった心配を払拭できると思うのです。  さらに、知事は、法的委員会の報告助言に従って監査委員に個別の責任や賠償額決定を地方自治法243条を根拠に請求しましたが、この請求は、過去の県や全国の例を見ると、公金の詐取、横領、着服など刑法上明らかな犯罪行為についてであり、今般の処置が妥当なのか疑問であります。非財務職員への199条適用請求は、監査委員の一般的職務規定に沿うもので、金額の大きさからもさらに疑問であります。信義則を踏まえて、仮に監査委員が上限の8,100万円から減額して決定すれば、残額は県民負担になり、その批判が監査委員に向けられるといった事態も予想され、さようなことは尋常とは言えず、回避すべきであります。  よって、法的委員会からの報告は真摯に参考にしていただくにとどめ、今からでも知事裁定は遅くないと考えますが、御所見をお聞かせください。  最後に、賠償問題について県民の皆さんや県職員全体に語る言葉があれば知事からお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大北森林組合に関連して、加算金に係る損害賠償請求について何点か御質問をちょうだいしました。  まず、県職員に対する賠償を検討すべき額についての御質問でございます。  これはいささかちょっとわかりづらい形になっているかもしれませんけれども、法的課題検討委員会、これは法律の専門家の皆様が御検討されたわけであります。報告の中にも記載されておりますけれども、検討委員会の中でも、権利主体としての県の立場、それから行政組織としての県の立場、この二つは必ずしも同じではないと、別の視点が必要だということで整理をされています。  そういう意味で、今回の法的課題検討委員会の報告書は、権利主体、要は賠償請求をする権利を持っている県として最大限損害賠償請求の対象とすることが可能な範囲を検討したものというふうにされております。他方、報告書におきましても、行政組織としての立場から必要な考慮を加え、具体的な方針を検討し採用することを妨げるものではないということで、その最大限の賠償請求の可能性と県としての最終的な方針が必ずしも一致するわけではないということは前提になっております。  今回、この法的課題検討委員会の報告書を私どもはしっかり踏まえまして、その上で、行政として慎重な判断、熟慮を加えた上で対応方針を取りまとめさせていただいたところでございます。この方針は、冒頭のところに書かせていただいておりますけれども、関係者相互間で求償関係を生じないようにということを基本とさせていただいております。これは、自治法の監査委員が職員の賠償請求を決定する際にも、これは一人一人の賠償額を確定するという形になっております。私ども行政の立場として、関係者相互間が、県が賠償請求をしたことによってさらにお互い改めて請求し直すというような事態ができる限り生じないようにしなければいけないということでこのような考え方をとらせていただいたところでございます。  なお、地方自治法に基づきます職員の賠償額の決定などにつきましては、これは私ではなくて監査委員の権限ということになっております。したがいまして、方針におきましては、損害賠償請求を検討すべきというふうにされた損害額から事業主体等への請求分を除いた場合にはこうなるという形での金額をお示しをしているということでございます。  私のほうからは、今回、何点か監査委員に要請をさせていただいております。そうしたことを踏まえて、監査委員においては十分な御検討をいただきたいというものでございます。  それから、職員が賠償を行う際の保険についての御質問でございます。  職員が業務遂行に当たりまして損害賠償責任を負った場合にその損害を補償するという保険制度はございます。しかしながら、これは直接県がかかわっているというものではございません。  それから、特別職の給料減額についてでございます。  今回、本県職員が地方自治法243条の2第3項における県に損害を与えたものと認められるということを私の段階で判断をさせていただいた上で、監査委員の皆様方に対して賠償責任の有無、賠償額の決定等を求めることとさせていただいたところでございます。県組織全体を統括する立場としての責任に鑑み、これは自治法上損害を与えたものと認められるということは現時点で私として判断をさせていただいたわけでありますので、したがって、この時点におきまして私及び副知事の給料を減額する条例案を提案をさせていただいたところでございます。今後のプロセスは監査委員の御判断という形になります。今回の対応につきましてはぜひ御理解をいただければというふうに思っております。  次に、しごと改革と不要不急の経費、外国等に行くのも削減したらどうかという御質問でございます。  県といたしましては、昨年6月に、国庫補助金返還等への対応についてということで、補助金の返還請求の考え方、あるいは県としての経費の節減の方針を示させていただいたところでございます。それを踏まえて、時間外勤務の縮減、あるいは採用の抑制、そうしたことを取り組んできているところでございます。  県民の皆様方からお預かりしている税金を使って事業をしている立場として、今回のような多額の補助金の不適正受給が行われたということは極めて遺憾であり、私ども組織全体でしっかり反省しなければいけないというふうに思っております。そういう観点で、さらなるしごと改革、あるいは事務事業の見直しにしっかりと取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  また、海外出張等については、随行者はできる限り少数に絞るよう私からも指示をさせていただいておりますし、できる限りいろんな工夫をしながら、経費の抑制を図りながら取り組んでいきたいというふうに考えております。  それから、法的課題検討委員会の設置の必要性、知事が自分で判断すればよかったのではないかという御質問かと思います。  もとより、この法的課題検討委員会は、私の判断をサポートしてもらうという立場の組織だというふうに思います。したがって、責任をとるべきは私だということは言えるわけであります。しかしながら、この問題は、率直に申し上げて極めて複雑でございます。関係者も非常に多数存在しているという状況の中で、しかも、これは、感覚ではなくて法的な検討を求められているということでございます。そういう意味で、専門家の皆様方から専門的な見地で御検討いただくことが必要であるというふうに私としては判断をさせていただき、法的課題検討委員会を設置して御検討いただいたわけでございます。  それから、県民の皆様方、また職員に対する言葉ということでございます。  今回の大北森林組合の不適正受給問題は、当初、職員の処分から始まり、補助金の返還、あるいは刑事告発等々、それぞれの局面の記者会見の場で県民の皆様方に私の考え、思いというものはお伝えをさせていただきました。  また、今回、とりわけ県職員に対しての損害賠償請求について、ある意味厳しい決断をさせていただいたということもあり、県の職員に対しても、私が方針を発表する前の段階で、部局長に対しては、私の思いとなぜこういう判断をしたかということについてお伝えさせていただいた上で、職員一丸となってモチベーションを保ちながら県民のための仕事に邁進してほしいという旨を伝えさせていただいたところでございます。  これは、私ども行政として、今回の大北森林組合の問題は、本当に誠実に一つ一つしっかりと責任を持って対応していかなければいけないというふうに思っておりますけれども、何よりも県民の皆様方の理解と信頼を林務行政あるいは県組織が得られるものとなるかどうか極めて重要な取り組みだというふうに思っております。  そういう意味で、これまでも丁寧な説明を心がけてきたわけでありますし、今回の対応はある意味極めて異例で、通常定められたとおりのルール、プロセスで仕事をしていればこうしたことにはなり得ていないというふうに私は思っております。そういう意味で、県職員は県民のための仕事をしている。県民の皆様からお預かりしている貴重な税金を執行しているという責任感を持って仕事をしていくということが大変重要だというふうに思っております。  これからも県民の皆様方の期待に応えることができる県政を進めるべく、県職員一丸となって取り組んでいくよう努力していきたいというふうに考えております。  私に対しては以上でございます。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)今の答弁に対する感想だけ申し上げますと、求償する権利主体が一方である。そして、県政をつかさどる立場がある。これを総合的に包含できるのはやはり知事しかいないわけでありまして、そういう意味で、私は知事が裁定をしたらどうかということを申し上げた。そうすると、その後の各職員間での求償関係は多分生じないだろうというふうに思うのです。  監査委員にお願いをしたというところについてですが、私、監査委員経験者として言うならば、これは投げられても困ると。今の方々はそんなことはないと思いますけれども、そんなことを思います。  それから、外国訪問のことを言ったのはちょっとせこいかもしれませんが、ただ、私はこういうことを申し上げたいんです。いろんな改革をやっていますと言っても、県民からは目に見えない。そういうのを取りやめたという話ならばまさに県民に見えるわけです。ああ、県も節約しているんだなという話が伝わってまいりますのでそういう話を申し上げたんですが、そんなことも御考慮いただけたらというふうに思う次第であります。  次に、森林税について伺います。  知事から意見を求められた地方税制研究会、以下研究会と言います、が、7回に及ぶ森林税関連の会合を重ね、9月初め、報告書の発表がありました。研究会は、結果として必須情報の開示がない中で継続を唱えることは県民への背任行為だが、かといって森林の重要性や県民の愛着からいって継続が適当でないと言い切ることにもちゅうちょせざるを得ない。すなわち、是非の判断はできないとしました。  議事録を散見すると、純粋な税理論と現場の税の使い方にミスマッチがあり結論に至らなかった。そんな一感想を持ちました。  例えば、県の超過課税をなぜ自由度を持たせて市町村に配分するのか。市町村が必要なら、市町村が超過課税をすべきではないかという理論です。正論かもしれませんが、実力のある市ならまだしも、長野県に特徴的に残っている小さな町村は、多くが守るべき山を抱え、住民への課税税源だけでは事業効果に乏しいことは明白であり、県の森林税からの財源を必須なものとせざるを得ないことは研究会の理論からでは導き出せないと考えます。  税の担当として研究会に出席しておられた総務部長に伺います。  一つに、森林税課税の是非につき判断ができないという研究会の結論にもかかわらず県が課税継続を判断したことは、研究会の軽視にならないでしょうか。  また、結果として研究会での議論はそもそも必要があったのでしょうか。  また、課税是非の判断を避けた研究会が、もしも継続とするならばとして6項目の注意点を挙げたのは、継続前提に立ってのことと思われ、研究会への諮問前から県の森林税継続の意思はかたかったのではないでしょうか。以上をお聞きします。  次に、林務部長に伺います。  これからの森林税基本方針案では、税制研究会の注意事項に従い、森林づくり推進支援金として市町村に年1億3,000万円配分してきたものを4,000万円減額するとしました。市町村からは評価の高かった事業ですが、事業内容、実施成果が曖昧とされたゆえの減額でしょうか。林務部、また現地機関はそれを把握しておらず、市町村へのばらまきだったのかどうかお聞かせいただきます。  この支援金につき、ある村は松くい虫対策に機動的に使えたという話や、ある村は村外からの移住人口が増加する中、山への親しみやかかわりを楽しみにここに移ってきたという人たちの希望をかなえるためにもこの支援金を有効に使いたかったという話。また、水源林の公有化がいまだ半ばなのに残念という話等々を聞かされました。いずれも、減額はしないでほしいという強い要望があります。地域の森林を真剣に考えているからこその願いであり、ゆえに支援金予算を減額することなく復活してほしいと考えますが、部長の御所見をお聞かせいただきます。  次に、新たに森林税を投入したいという事業につき伺います。  河畔林の整備は、飯山市の春の災害などを見ても必要な事業ですが、森林税ではなく建設部予算で対応できないのでしょうか。  また、観光地の公共サイン木質化は観光部、児童センターの木質化ややまほいく認定園フィールド整備は県民文化部、学校林整備は教育委員会、景観上の街路樹整備は建設部というように、本来は各部局の予算で対応すべきで、約10億円という森林税を投入することに違和感を覚えます。  これらの整備を森林税投入の新メニューに固定化せずに、個々の市町村が事業化を要望するならば、森林づくり推進支援金を減額することなく、むしろ需要を見きわめて増額し、市町村の自由な選択事業交付金とするなどの措置をとるべきと考えますが、部長のお考えをお聞かせいただきます。       〔総務部長小林透君登壇) ◎総務部長(小林透 君)森林税についての御質問に順次お答えをいたします。  まず、地方税制研究会についてでございますが、地方税制研究会は、県における地方税のあり方等を検討するため、平成23年7月に設置したものでございます。森林税は県民の皆様に超過課税として御負担いただくものであるため、県といたしましては、そのあり方について慎重に判断する必要があると考えていることから、平成25年度から始まりました第2期への継続時においても四つの制度改善等の御意見をいただいたところでございます。  今回も、第2期の検証とともに、森林税のあり方について税制面からさまざまな角度で有識者の皆様により議論をいただきました。今回の税制研究会におきましては、3期目に向けて具体的な事業内容や財源規模が示されなかったため判断できる状況にないとしたものの、3期目への継続につきましては税制研究会として継続する場合の前提条件を付して知事へ報告書の提出があったものでございます。  県といたしましては、こうした税制研究会における議論や報告書を踏まえまして、森林づくり県民税に関する基本方針案を策定し、このたび公表したところでございまして、税制研究会の議論は必要であったものと考えております。  次に、森林税継続の意思についてでございます。  森林税のあり方につきましては、ただいま申し上げました税制研究会において平成29年1月から専門部会を含めて議論を重ねてきたものでございますが、それに加えて、この間、平成29年1月以降、税制研究会と並行して7回にわたり開催されたみんなで支える森林づくり県民会議における議論や、平成29年5月に市長会及び町村会から提出された要望書、また、平成29年6月から8月にかけて実施した県民の皆様へのアンケート結果などもございまして、県といたしましては、それらのお考えなどについて重く受けとめるとともに、研究会にも逐次報告いたしましてゼロベースで森林税の必要性について検討し、このたび基本方針案をまとめたものでございまして、その前から何らかの意思を固めていたということはございません。  今後、この基本方針案について県民説明会やパブリックコメントを行い、県民の皆様の御意見をいただいた上で県としての最終的な判断をしてまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。       〔林務部長山﨑明君登壇) ◎林務部長(山﨑明 君)森林税につきまして3点御質問をいただきました。  初めに、森林づくり推進支援金の成果等に関するお尋ねでございます。  森林づくり推進支援金は、地域の実情や課題に精通している市町村が独自性と創意工夫を凝らして事業展開できるようきめ細やかな森林づくりの取り組みを支援してきたものでございまして、これまで、地域の課題に対応した取り組みが進められ、成果を上げてきております。また、こうした取り組みの内容や成果については、地域会議や地域振興局でしっかり把握した上で県のホームページにも掲載するなど成果の公表を行ってきたところでございます。  一方で、税制研究会からの御指摘を踏まえると、森林税は県民税として賦課するものであるため、今後は、その使途に関して、県としての目標や成果をこれまで以上に明確化する必要があるという御指摘をいただき、その観点で見直し案をお示ししたものでございます。  次に、森林づくり推進支援金の減額についてのお尋ねでございます。  広い県土を有する本県では、各地域のさまざまな課題に応じた森林整備等の取り組みが重要ですが、森林を多く抱える山間部の町村は、総じて人口が少なく、財政規模も小さいことから、森林面積等に応じた配分を行う財政調整的な性格を有する支援は不可欠と考えております。  そこで、森林づくり推進支援金は、税制研究会からの御指摘も踏まえ、財政調整を図るための制度として役割を明確化し、活用し得る事業としては、松くい虫被害対策ですとか野生鳥獣被害対策としての緩衝帯整備等の地域固有の重要課題への対応がなされるよう、第2期の森林づくり推進支援金の活用実績を参考に算出した額としております。また、その事業内容や実施成果につきましては市町村において説明責任を果たしていただくことが必要となると考えております。  続きまして、森林税の推進支援金についての新たな対応案については各部局の予算で対応すべきだというお尋ねでございます。  地方税制研究会からは、財政調整とは別に使途を限定する特定補助金という御提案もいただきました。県としての説明責任を明確にする選択肢として御指摘をいただいたと理解しております。
     今回、長野県森林づくり県民税の基本方針案の活用事業としてお示ししたものの中には、河畔林の整備ですとか観光地の景観整備など、市町村の皆さんに対して補助事業として実施するものがございます。これらは、市町村の皆さんからの強い御要望を踏まえた上で検討したものでございまして、また、地域でそれぞれ困った実情がありながらも既存の制度で手当てするものがないという実態を踏まえた上で検討した結果でございます。  いずれにしましても、森林税は県が行う超過課税であることに鑑みて、あくまでも県としての政策目的を達成するためのものでありますし、それゆえに県が目標を設定して説明責任をしっかり果たしていく必要があると考えているところでございます。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)林務部には、税制研究会のお話よりも市町村からのお話をしっかり聞いてこれからもやっていただきたいというふうに思います。  以上、質問を終わります。 ○議長(垣内基良 君)次に、髙島陽子議員。       〔17番髙島陽子君登壇〕 ◆17番(髙島陽子 君)9月7日、8日に長野市の信州大学工学部を会場に開かれた地域再生可能エネルギー国際会議は、地方都市としてのコンベンション開催という点で有意義であり、かつ貴重な体験だったと思います。私も全日程プログラムに参加し、発表や報告を見聞きして、持続可能な社会を描くために現実味を帯びた方法論にとどまらず、経験や実践、実績の数々に触れ、新たな視点からも刺激を受け、勇気づけられたところです。  議会から垣内議長も御出席されたレセプションは大盛況で、華やかな会場は意を同じくする人たちで熱気あふれ、言語も複数飛び交い、国内外の情報交換や懇親、交流の場としてエネルギーに満ちていました。この場を整えていただいた関係の皆様の御苦労に敬意を表し、今後、国際会議の成功体験の一つとして大いに生かしていただきたいと思っています。  長野県としては、この国際会議の開催をどのように捉えているのか、まず中島副知事に伺います。       〔副知事中島恵理君登壇〕 ◎副知事(中島恵理 君)地域再生可能エネルギー国際会議の意義についての御質問をいただきました。  今回開催した地域再生可能エネルギー国際会議は、これまで、ICLEI、持続可能性をめざす自治体協議会が欧州の都市で開催してきたもので、今回、環境省、ICLEI、そして日独の自治体の御協力でアジア初の会議として長野県で開催することができ、大変誇りに思っております。  今回の会議は、国際的に見て先導的な取り組みを牽引している国内外の関係者が登壇し、2日間延べ765人の参加者のもと、先進事例等について情報を共有するとともに長野県の環境エネルギー政策についても発表し、国内外の関係者からも長野県の取り組みを高く評価いただきました。  また、日本とドイツの自治体の首長によるサミットも開催しまして、参加者皆様の御賛同により、再生可能エネルギーの100%地域を目指して新たな取り組みと連携を開始する長野宣言も取りまとめることができました。  会議の中では、再生可能エネルギーによる電気を小売販売をして、その利益を地域の社会福祉の実現に還元する地域エネルギー会社の取り組み、また、屋根置きの太陽光発電の普及加速を促すソーラーマッピングといったまだ長野県では普及していないような新しい手法についても、県内の事業者、自治体とともに学ぶことができました。この学びを契機に、本県の新たな再生可能エネルギーの事業の発展にもつなげていきたいというふうに考えています。  また、この会議が契機となりまして、早速12月に京都で開催される民間主催の全国シンポジウムにも長野県は招待されておりますけれども、再生可能エネルギーの先進県として、国内外の地域の関係者とのネットワーク、連携を強化し、国際的な自治体レベルの環境エネルギー政策のレベルアップを牽引してまいりたいというふうに考えています。  以上でございます。       〔17番髙島陽子君登壇〕 ◆17番(髙島陽子 君)それでは、国際会議で取り上げられた報告や発表に関して順次お聞きしていきます。  会議では、太陽光、ソーラーに関しては、公共投資として実際に応用できる施策が何点かあると感じました。公共施設の屋根貸しを積極的、弾力的に行い、県立高校や特別支援学校、県有の体育・文化施設に率先して発電と電力供給を行うことが一層望まれるところです。  そこで、施設管理者に再生可能エネルギーのインセンティブを与えるような計画の検討はいかがでしょうか。  次に、初日のパラレルセッション3-A「地域の取組を加速するネットワークのちから」では、気候都市サービスセンターのステファニー・シェフターさんがクライメート・アクション・マネジャーのシステムを紹介され、興味深い報告で、今回の発表では優良事例の一つと感じました。これを我が国信州にいち早く取り入れて、気候変動を定点観測し、気象や天候の変化を報告して、これをネットワーク化するような人的体制として、専門的な知識を持ち研究した学生、インターンを自然環境保全に寄与する人材として確保するのはいかがでしょうか。  また、本年2月定例会本会議でも質問いたしました民家のソーラーマッピングの仕組みについて詳細な事例報告がありました。改めて、県内で導入する場合、どう生かすことができるのか伺います。  ところで、この会議に県外から参加されていた方から、阿寺渓谷付近に景観や災害への影響が危惧されるような太陽光パネルの設置事例があるようだが、県として認知されていたのかと御指摘を受けました。この事実について、私もソーシャル・ネットワーク・サービスなどで拡散された情報や現場の画像などを確認し、衝撃を受けました。  信州のみならず、我が国の有数の自然環境が時間をかけてつくり上げたこの事例に関し、改善の余地がまだまだあると痛感します。県として景勝地などに配慮した設置を促すような方策を考えるのはいかがでしょうか。  以上4点について、関環境部長にお聞きします。  続いて、山﨑林務部長にお聞きします。  最終日、首長サミットと称し、「再生可能エネルギー100%地域を目指して」とのテーマで、県外からは徳島県副知事、小田原市長、生駒市長、そして長野県から飯田市長、伊那市長、塩尻市長、また宮城県東松島市からも担当者が出席、ドイツの先進地としてディーター・ザロモンフライブルク市長とザーベック市長、ライン・フンスリュック郡長の豪華メンバーが一堂に会するシーンは大変多様性があり、比較検討する好機でもありました。  持ち時間の中でそれぞれに自治体の先行研究や事例の発表があり、小口塩尻市長は地域内循環としてのバイオマスについて行いましたが、きのうの依田議員からの質問と答弁からも明らかなように、まだ道半ばで、規模や出力への期待が大きいだけに残念に感じたところです。そのシステムの原動力となるのは本体のF・POWERであるのは間違いなく、F・POWERプロジェクトが円滑に推進すべきであると思いますが、現状はいかがでしょうか。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)地域再生可能エネルギーの国際会議に関連しまして、私に4点御質問いただきました。  1点目の県有施設の屋根貸しによる太陽光発電についてのお尋ねであります。  県では、おひさまBUN・SUNメガソーラープロジェクトとして、県有施設の屋根貸しによる太陽光発電を推進しております。このプロジェクトでは、公募の際に、屋根貸しの賃料に加えて屋根の塗装など施設にメリットとなる貢献策を提案してもらうプロポーザル方式により事業者を選定し、これまで6施設での屋根貸し事業を創出してまいりました。  県有施設の屋根貸しによる太陽光発電をさらに拡大していくためには、実際の事務手続を担っている県立高校や文化施設などそれぞれの施設管理者がより主体的に取り組むようになることが必要であると考えております。このため、入札手続の簡素化や施設管理者にとってもよりメリットが感じられる仕組みを検討してまいりたいと考えております。  2点目の気候変動状況を迅速に把握する人的体制についてのお尋ねであります。  県では、気候変動により生じる影響に適切に対応していくため、県内の気候変動の現状を把握し、将来の気候変動を的確に予測するための気象情報のネットワーク化に取り組んでいるところであります。平成26年11月に県内の気象データや影響データを保有する国や県、大学等の50の機関で構成をいたします信州・気候変動モニタリングネットワークを立ち上げるとともに、文部科学省のモデル自治体の指定を受け、データの共有等を行っております。  また、このため、その中核となる環境保全研究所では、平成27年度から気象に関する研究員を増員するとともに、28年度からは気候変動モニタリングに関する専門職員も配置をし、データの一元的な収集分析を行い、既に起こりつつある温暖化の影響に適切に対応していくための基礎資料として自治体や研究機関へ提供をしております。  3点目のソーラーマッピングの活用についてのお尋ねであります。  ソーラーマッピングは、航空写真を活用し、個々の建物の屋根で太陽光により想定される発電量などを見える化したものであります。屋根置き太陽光発電を普及する際に効果が期待されるものであります。  さきの国際会議におきましても、太陽光発電をテーマとする分科会において、ドイツのオスナブリュック市や東京都などからそれぞれソーラーマッピングの事例発表があり、情報を共有したところであります。  ソーラーマッピングの活用例としては、建物の所有者がみずから導入効果をあらかじめ想定することができたり、自然エネルギー導入検討制度において、建築事業者が建築主に情報を提供することなどが考えられますが、これに加えて、その地域全体の導入効果をもとに、太陽光発電に関連した新たなビジネスモデルを事業者が提案することなどが期待されると考えております。  4点目の景勝地などに配慮をした太陽光発電の促進についてのお尋ねでございます。  県におきましては、地域主導型の自然エネルギー利用の普及拡大を進めているところでありますが、自然エネルギーでありましても、景観面や防災上の懸念を生じさせるものであってはならないと考えております。このため、県としては、これまで、環境影響評価制度や林地開発許可、景観育成基準による審査など県全体での対応が可能なものについて条例の改正等により対応を強化してまいりました。  一方、地域の実情を踏まえた対応が必要なものについては市町村において対応することが望ましいと考え、市町村対応マニュアルを作成し、支援を行っているところであります。これに加えまして、御指摘の事例のように、計画地の状況から地域で課題となっている事例も実際に見受けられることから、地域振興局が中心となりまして県の関係部署や市町村が情報を共有して、制度を駆使しながら、地域と調和した自然エネルギー事業が適正に導入されるよう体制を整備してまいりたいと考えております。  以上であります。       〔林務部長山﨑明君登壇) ◎林務部長(山﨑明 君)信州F・POWERプロジェクトの現状についてのお尋ねでございます。  国産材を活用した大型の木材加工施設の整備の事例は最近国内で多く見受けられるようになっております。全国的に見ますと、県外大手資本による事例がほとんどといった実態でございます。そうした中で、信州F・POWERプロジェクトは、県内メーカーが中心となって取り組むいわばメード・イン・信州の事業でございまして、林業県を目指す本県にとって重要な取り組みでございます。  このプロジェクトでは、これまで利用の進まなかったアカマツ及び広葉樹などを多段階で利活用していく国内でも例の少ない新たな分野への挑戦でありまして、現状は、販路の拡大や原木の安定供給等のさまざまな課題に対し試行錯誤しながら取り組んでいるという実態でございます。  こうした課題に対しまして、昨日の依田議員からの御質問にもお答えいたしましたとおり、関係者間での情報共有や原木の安定供給に向けた調整などを積極的に行うなど、このプロジェクト全体を軌道に乗せるべく、県としても役割を果たしてまいります。       〔17番髙島陽子君登壇〕 ◆17番(髙島陽子 君)この国際会議は、「低炭素社会に向けたエネルギー自立地域の創出とネットワーク」というのをサブタイトルにしていたわけですけれども、一つ一つお答えをいただきましたが、環境部長の御答弁に関しましては、私も2月議会のところで確認をさせていただきましたので、積極的な推進をお願いしたいと思いますし、県民の力を引き出すような取り組みをお願いしたいところなんですが、F・POWERの関係は、私の聞き方が悪かったのかもしれないですけれども、そこがちゃんとしないと熱を出せない状況にあるということで、非常に危機感を持って見ていかなければいけないというふうに感じています。  残念ながら、塩尻市長の発表は非常に恥ずかしい事例ではないかというふうに私も感じまして、非常に厳しい指摘をさせていただきたいと思います。また委員会のほうで続きをさせていただきます。  地域経済効果のセッションで衝撃を受けたのは、現在は交通事故よりもヒートショックで亡くなる方の数のほうが大きいというふうに言及した報告もありまして、温暖化が社会や人々に与える負荷を痛感させられたところです。  フライブルクの市長さんが先進都市としての発信を絶えずしているわけですけれども、再生可能エネルギー100%と言っても、それは、現状のままではなく、今の50%をセーブしないと実現できないと話していたのが私にとってとても印象的でした。環境政策については、長野県はますます弾みをつけて推進していただきたいと思います。  次の質問に移ります。県有スポーツ施設の現状と環境改善について、原山教育長と油井建設部長にお聞きします。  この夏の活動の中で、利用者として、また当事者の視点や立場から、老朽化、経年劣化、更新期を迎えている施設整備について伺いたいと思います。  一つは、県営球場のトイレを初めとする選手や大会運営者のための設備の維持管理の方法。これは、大会参加者として直接使用して知ったことです。  もう1件は、この10日に県障がい者スポーツ大会の卓球会場となった体育館の状態について、特別支援学校の生徒さん、選手と一緒に動いてみて、施設改良の余地を感じたことです。  お尋ねします。現状を把握されているのか、また、利用者目線で快適さへの配慮や障害者の方々が利用する際の配慮が不可欠だと思いますが、早期に一斉点検し、環境整備の優先順位を決めたほうがいいと考えますが、いかがでしょうか。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)県有スポーツ施設の現状把握についてのお尋ねでございます。  県教育委員会では、長野運動公園野球場、県営上田野球場、白馬ジャンプ競技場を所管しておりまして、それぞれの指定管理者である長野市、上田市、白馬村と定期的に情報交換を行い、修繕、改修が必要な箇所や緊急度等の把握に努めているところでございます。  その環境整備についてでございますが、これまで、施設の安全性や施設運営への影響度等を総合的に勘案しながら計画的な修繕、改修に努めてまいりましたが、一部には改善が進んでいない現状もあることも認識しております。これにつきましては、本年3月に策定された長野県ファシリティマネジメント基本計画に基づき、平成32年度末までに施設ごとの中長期修繕・改修計画を定めることとされておりますので、今後、この計画の策定に向けて改めて施設ごとに必要な点検を行い、修繕、改修の優先順位を定めてまいりたいというふうに思っております。       〔建設部長油井均君登壇〕 ◎建設部長(油井均 君)県有スポーツ施設の現状把握についてのお尋ねでございます。  建設部では、松本平広域公園及び飯田運動公園に六つの主なスポーツ施設を管理しております。これら施設については、平成25年度に、国の指針に基づき長野県公園施設長寿命化計画を策定するため施設ごとに調査を実施し、劣化の度合い等について現状把握をしております。調査の結果では、建設から40年ほど経過する施設があり、老朽化への対策や利便性向上の面から対策が必要な施設もあることを認識しているところでございます。  次に、スポーツ施設の環境整備の優先順位についての御質問でございますが、建設部が管理するスポーツ施設については、長野県公園施設長寿命化計画に基づき、劣化の状況など緊急度に応じて計画的に改修、更新を行っているところでございます。計画に基づき、施設を健全な状態に保つことにより利用環境の向上を図るとともに、ライフサイクルコストの縮減にもつなげております。  今後におきましても、定期的に点検を実施するとともに、必要に応じて計画の見直しを実施し、適切な施設管理と利用者の利便性の向上に努めてまいります。       〔17番髙島陽子君登壇〕 ◆17番(髙島陽子 君)最後に、小岩企画振興部長にお聞きします。  空の安全確保のために最善な環境整備は欠かせないと感じています。専門的な役割を果たす整備士が不在であるため、利用者の不便となることもあります。常駐を求めます。  以上で私の質問を終わります。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)松本空港への航空整備士の常駐についての御質問でございます。  航空整備士は、運航している航空会社とそのグループの整備会社が配置を決めているところでございます。FDAに確認いたしましたところ、航空整備士が常駐していますのは、現在発着している全国15カ所の空港のうち、静岡、小牧、福岡の3空港とのことでございました。FDAでは、この3空港以外においても整備作業に対応できるよう、現在、運航する飛行機に整備士が搭乗する形での人員配置を進めているとのことでございました。  県といたしましては、FDAに対し、こうした必要な対策を進めていただくよう引き続き要望してまいります。  以上でございます。 ○議長(垣内基良 君)次に、宮澤敏文議員。       〔51番宮澤敏文君登壇〕 ◆51番(宮澤敏文 君)現在の日本国、そして長野県の最大の政治課題である人口減少をどうとめ、既に始まっている縮小社会を乗り切っていくのか。また、20年後の長野県の輝きのために策定された2013年から2017年までのしあわせ信州創造プランが半分を過ぎ、長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略を策定されました。現在の達成状況と成果について質問をいたします。  本県の人口構造の中で、全国に比べとりわけ20歳から40歳の人口が少なく、将来の人口に大きく影響を与えると危惧しております。この層の人口減少をいかに食いとめ、そのために何を実行していくか、知事にお伺いいたします。  20代の年収は300万円以下が増加しています。この層へのアンケートでは、45%が3人は子供を持ちたいと回答しています。しかし、経済的な不安やさまざまな理由から出生率は低いままであります。戦略では、子育て支援税の導入の検討、県民挙げての子育て支援体制の構築を上げていますが、よく姿が見えません。対策はどう進んでいるのか、知事にお伺いします。  戦略では、子供の急病時の保育体制や病に苦しむ子供の保育を全ての広域で対応できる体制の構築と、取り組む市町村を広域圏で支援していくとされていますが、どう成果を上げているのか、知事にお伺いいたします。  戦略では、出生率の上昇には、若者世代の所得、子育ての費用、働き方の改善の必要性を指摘しています。まさにそのとおりだと思いますが、非正規のひとり親の処遇改善をいかに進め、社会の宝物である子供たちをしっかり支援していく体制をどうとっていこうとするのか、知事にお伺いをいたします。  首都圏への人口集中が問題になっています。知事が策定したふるさとで学びふるさとで就職する郷学郷就は、私はベストの政策だと賞賛いたします。男女とも、高校卒業後の進路の決定の中で、県立大学や看護大学、工科短大を含め、家計の状況も考慮し、10広域で家から通えるところに専門知識や企業と連携したクリエーティブな技能を学ぶ場の創造が必要だと考えますが、知事にお伺いします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)人口減少対策について順次御質問にお答えしたいと思います。  まず、若い世代、20歳から40歳の人口減少を食いとめるための取り組みということであります。  私も若者たちと意見交換を相当してきておりますけれども、やはり魅力ある地域にしていくと同時に働く場を確保していく、就職につなげていくということも重要だと思っております。そういう意味で、今、さまざまな取り組みを行ってきております。教育委員会においては、全ての県立高校で信州学、地元の企業のこと、地元のことをしっかり学んでもらうというような取り組みを進めてきておりますし、また、高等教育の振興ということで、県立大学の設立や県内大学の支援ということも、学びの場をつくって県外に出ていかなくても済む環境をできるだけ整えるという観点で取り組んできております。  また、県外の大学とも協定を結んでさまざまなUターンの支援も行ってきておりますし、また、Iターン登録制度による求人情報の提供、あるいは銀座NAGANOにおけるハローワーク、ジョブカフェ信州での就業相談、こうした取り組みを進めてきております。  これが成果を上げていくには、しっかりと着実な取り組みを進めていくということが重要だと思っておりますので、これからも若者に対するアピールをしっかり行っていくと同時に、この就労あるいは学びの場の整備、こうしたものについて取り組んでいきたいと思っております。  それから、子育て支援税の導入検討、あるいは子育て支援体制の構築はどうなっているのかという御質問でございます。  子育て支援税についてはまだ本格的な検討はしていない状況でありますが、今般、国において、子供に対するさまざまな施策の議論が総選挙に向けて行われるのではないかというふうに思っております。こうした国の動向も注視しながら長野県として子育て支援策にこれまでもさまざまに取り組んできておりますが、そのさらなる充実と財源のあり方について検討していきたいというふうに思っております。  また、支援体制でございますけれども、本年6月、既存の二つの県民会議を発展的に統合して長野県将来世代応援県民会議を設立しました。御指摘のとおり、設立したてで、まだ十分活動が見えないというところもあろうかというふうに思いますが、今年度から11月19日を「いい育児の日」と定めて、社会全体で子供、子育てを応援する機運をつくっていきたいというふうに思っております。そういう中で、多くの県民の皆様方を巻き込んだ取り組みにしていきたいと思っております。  それから、病児・病後児保育でございます。  病院、保育所、あるいはファミリー・サポート・センターにおける病児、病後児の預かりができる場をふやしていこうということで取り組んできております。近隣市町村との利用協定も含めて、現在59の市町村で利用可能なところまで来ております。身近な場所で病児・病後児保育が提供できるということは、お子様をお持ちの保護者の皆様にとっては大変大きな期待がある部分だというふうにも思います。引き続き市町村に対する整備費、運営費の補助を行うとともに、この病児・病後児保育を広めていく上でのネックとなっておりますのが看護師等の人材確保であります。こうしたことも含めて市町村とともにしっかり取り組んでいきたいと考えております。  子供をしっかり支援していく体制をどうとっていこうとしているのかということでございます。  人口減少、自然減をできるだけ緩やかにしていく上では、結婚したい若者が結婚できる環境をつくる、あるいは出産したい家庭の出産をできるだけ支援していくということが重要だと思っております。これまでも、第3子以降の保育料の負担軽減に踏み込ませていただきましたし、また、子育て家庭優待パスポート、あるいは多子世帯向けプレミアムパスポートなどによる子育て世帯への支援を行ってきました。また、国に先駆けて大学等への進学の際の給付型奨学金も、対象は限られておりますけれども実行させてきていただいているところでございます。
     現在、次の5カ年計画に向けて、子供・若者支援に関する総合的な計画をあわせて検討しているところでございます。その中では、中学生までの医療費の現物給付化でありますとか、あるいは初等教育から高等教育までの教育費の負担軽減の方策であったり、若者、ひとり親家庭の就労支援、こうしたことについて市町村あるいは県民会議の皆様方と議論を深めてきているところでございます。  雇用の問題も含めて、この子育てに伴う経済的負担の軽減、あるいは子育て世帯の生活基盤の安定は、長野県の未来にとって極めて重要だというふうに考えておりますので、しっかりと方向づけができるように取り組んでいきたいと考えております。  それから、専門知識や企業と連携した技能を学ぶ場の創設という御質問でございます。  郷学郷就県づくり、郷土に学んで郷土で働こうと、こうしたことは、信州創生が叫ばれている中で県としてもしっかり進めていきたいというふうに考えております。本県の大学収容力は全国45位ということで非常に低い水準にある中で、この収容力の向上は大きな課題だというふうに考えております。県立大学の設立のみならず各大学の支援もしっかりと行っていきたいというふうに思っております。  他方で、県内には52校専門学校があります。さまざまな専門教育を実践していただいているわけでありますけれども、定員割れをしている学校も多く存在しているわけでありまして、魅力の向上が課題だというふうに思っております。企業等と密接な連携を図ることによって最新の実務知識を習得できる職業実践専門課程の設置など、県として奨励をしていきたいというふうに思っております。高い応用力を持った産業人材を育成して、地域への人材定着につなぐことができるように、県としてもさまざまな施策を構築していきたいというふうに思っております。  以上でございます。       〔51番宮澤敏文君登壇〕 ◆51番(宮澤敏文 君)知事の答弁はまだこれからだと、こういうお話でございます。  今年度から地域の問題は振興局で解決すると、こういううたい文句で始められた機構改革、今の知事の発想の中に振興局が出てこない。振興局というのは、それだけノルマをかぶせてそれなりきの体制をつくっていかなければならないと、私はそのように考えてこれをスタートしたと、こんなふうに思っております。郷学郷就、今言われている子育ての問題も含めて、振興局にこれからどう行動を指示していくのか。また、具体的な動きが現在あればお伺いをいたします。  子育て対策ですが、私は、2年前の質問で、若いお父さん、お母さんを助けるためにも、できることなら3世代が一緒に住むことを県として力を入れたらどうだと3世代政策を実行する福井県の例をとりながら提案をいたしました。  今から30年前、全国の3世代家庭は全体の44.8%だったものが、昨年は11%と驚くぐらい落ち込み、単独世帯が13%から27%に、夫婦のみの世帯は18%から31%に、親と未婚の子のみの世帯は11%から21%になり、世帯構成がここ30年で大きく変わっています。  今の答弁をお聞きしましても、3世代の研究や3人以上の子供を育てる環境をつくるための本気度が伝わってまいりません。長野県では、子育て応援体制について県政最大の課題と位置づけ、体制づくりにもっと力を入れる必要があると考えますが、知事の決意をお伺いします。  私は、財政的には大変かもしれませんが、3人以上の子育て世帯に対し、月1人5万円程度の支援金を18歳まで給付することを提案します。あわせて知事の所見をお伺いをいたします。  第2次高校改革の再編に入っています。プランでは、多様な教育、人づくりの実現を掲げ、県内教育の充実をさせ、知の拠点を教育目標としています。  教育長は、企画振興部長当時、長野県の人口減少をベースに20年後の長野県の姿を踏まえた上で、しあわせ信州創造プランの各部の実行案をまとめられました。高く評価しています。立場が変わり、教育長として教育再編にかかわって、郷土に誇りと愛情を持ち、若者が地域に住みつく人づくりの体制を確立するために高校改革をどう進めていくのか、お伺いします。  残念なことでありますが、再編基準になった伝統ある佐久市の望月高校が新たな選択を迫られています。関係者の苦渋は大変なものでしょう。なぜこのようになる前にもっと望月高校の魅力をつける検討を学校と地元関係者がなかったのか、残念であります。  そこでお伺いします。  白馬高校では、定員割れが心配される6年も前から、行政関係者、地元小中学校、商工関係者が魅力ある白馬高校を検討し、両村住民大会まで開き、白馬高校関係への年間2,000万の支援を検討し、新たな国際観光科や地域でも生徒を育てる公営塾の開設等の提案をいたしました。金銭を含め、小さな村にとって大変な決意であります。  このように、地域の行政や産業界、そして学校を支える人たちが中心になって多様な学び方を検討し、かかる費用の自己負担も考え、魅力ある高校にと要望する姿は民主主義そのものだと思いますが、教育長はどう受けとめ、このような動きを改革の中にどう反映していくのかお伺いいたします。  第2次高校改革が行われておりますが、学びの改革の中で何を生徒に学ばせるのか、また、知事が盛んに推し進められる郷学郷就を高校レベルでどう位置づけて今後の高校改革に入っていくのか、教育長にお伺いいたします。  県立池田工業高校の地元池田町、松川村、安曇野市、生坂村、大町市では、高校3年の上に企業と連携して現場で学ぶ専攻科の設置を要望する署名が展開され、2万5,000人を超える署名が集まり、知事、教育委員会に要望しました。並行して、みずから研究費を拠出し、5年間にわたって学校の現場を含め専攻科の研究をしております。  地元企業は、クリエーティブな人材育成に全面的な協力を約束し、既に14年間にわたって、週に一度、生徒が企業で学ぶ池工版デュアルシステムを実行、文部科学省から高い評価をいただいております。14年という長きにわたって、企業の協力のもとに、雇用のミスマッチを起こさないように郷学郷就の立場でクリエーティブな人材教育を高校と企業とが連携して進める、この取り組みをどう評価するか。また、2万5,000人という大変な数を超える署名要請にどう応えていくのか、教育長に決意をお伺いいたします。  県下の小中学校の教職員の給与は県財政から支払われています。毎年の県歳出の24%は教育費で、もちろん第1位であります。大北地区では、今年中学を卒業する生徒564名に対し昨年誕生した子供たちは316名と、250名も減っています。あと6年でこの子たちは小学校の門をくぐります。このように、急激な人口減少の影響を最初に受ける小学校などは待ったなしの再構築が迫られています。深刻な児童減少を踏まえ、将来の小学校や中学校の改革ビジョンを市町村教育委員会と中山間地が多い長野県のルールを検討し、適正配置を実現していくべきだと思いますが、教育長にお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)子育てに関連して再度ご質問いただきました。  まず、郷学郷就を進める観点での地域振興局の役割ということであります。  地域振興局には、地域の皆さんと一緒になってしっかりと地域が発展するサポート役、あるいはコーディネーター役を果たしてもらいたいというふうに思っております。ただ、限られた人員や予算でありますので、何でも全て地域振興局で頑張れと言ってもなかなか難しいところも現実にあるわけであります。  ただ、例えばこの郷学郷就の観点で申し上げれば、高等教育振興は基本的には県民文化部が行っておりますが、現在、諏訪の地域振興局が諏訪東京理科大学将来構想研究会に参画をさせていただいて、諏訪地域の産業界の皆さんと一緒に多くの学生が魅力を感じる大学とするための方向性を研究をしているところでございます。このように、その地域と特にかかわり深い課題については地域振興局も一緒に取り組ませていただいているところでございます。  それから、子育て応援体制づくりということでございます。  子育て支援は県政の重要課題ということで、これまでもさまざまな取り組みを進めてまいりました。この人口減少社会を乗り切っていく、直面する課題に立ち向かっていく、そういう観点でこの子育て支援については引き続きしっかり取り組んでいきたいと思っております。  1人月5万円程度の支援金ということでございますが、非常に大きな財源が必要となるということが大きな課題だというふうに思っております。先ほど申し上げましたように、子育てに伴う経済的負担の軽減につきましては、新しい子供・若者支援に関する計画策定の中でしっかりと検討した上で方向づけをしていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)高校再編等について御質問いただきました。  まず、地域に住みつく人づくりに向けた高校改革についてでございます。  学びの改革基本構想では、中山間地存立校及び中山間地存立特定校という形で、中山間地の学びを保障し地域を担う人材を育成するために、都市部とは異なる再編基準を設定したところでございます。  現代は、どこの地域においてもグローバルな社会経済構造の中に組み込まれておりまして、このような時代にふさわしい資質、能力を育成することが求められておりますが、同時に、その資質、能力を誰のために何のために役立てるのかという志を育むことも極めて重要であるというふうに思っております。  高校生も、地域社会を構成する大事な一員であり、地域社会の未来をつくる権利と責任を有しているというふうに思います。そのため、信州学の推進を含めて、地域との連携協力のもと、社会に開かれた学びを全ての高校で推進する体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。  続いて、白馬高校のような地元自治体の高校への支援等についてでございます。  白馬高校では、地元自治体を初め関係の皆様の格別な御支援により、国際観光科の全国募集や公営塾の設置等、地域と協働した新たな学校づくりが開始されております。地域の学校への強い思いが地元自治体からのさまざまな支援という形であらわれているというふうに認識しております。学校側としても、それに応え、真に地域に貢献する学びを展開する責務があると考えております。地域と学校が支援と貢献の関係の中でともに発展していくことが重要であるというふうに思っておりまして、県教育委員会としては、それぞれの学校の特色づくりや魅力づくりをさらに進めてまいりたいというふうに思っております。  学びの改革の中で何を生徒に学ばせるか、郷学郷就をどう位置づけるかについてであります。  先ほどお答えしたとおり、グローバル化した時代における資質、能力と地域社会の一員たる自覚の両方を育むことが重要だと思います。したがって、従来のような知識重視の学びから課題解決型の学びへの転換を図り、思考力、判断力、表現力とともに、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ、そういう態度を育むことも必要だというふうに思います。  同時に、信州学で、地域を知り、信州の未来を創造する学びも不可欠であり、地域と連携協力し、社会の変化に適合するだけではなく、新たな社会を創造する学びを推進することによって郷学郷就を実現してまいりたいというふうに思っております。  池田工業高校と地域の取り組みについてであります。  池田工業高校と地域及び地元企業の取り組みは、地域とともに歩む高校の一つの姿と考え、高く評価をしているところであります。また、専攻科設置に対する要望も、高校に対する地域の強い思いのあらわれというふうに認識しております。  一方、現在、18歳以降の学びの場として、大学、短大、専門学校、職業開発訓練機関等があり、国においては、質の高い専門職業人育成のため、実践的な職業教育を行う専門職大学の制度設計も進んでいるところであります。専攻科の設置については、高校教育の枠を超えて検討するものでありますが、本県の産業人材をどう育成していくかという観点から、既存のさまざまな教育訓練機関との役割分担や他県の事例等を研究しながら全県的視野で知事部局とも連携し、学びの改革の中で引き続き研究してまいりたいというふうに思っております。  小中学校の人口減少における対応でございます。  人口減少社会の進行は、議員御指摘のとおり、小中学校でも大きな影響を受けるものであり、県教育委員会では、平成26年4月に、少子・人口減少社会に対応した活力ある学校環境のあり方及び支援方策を策定し、市町村に対し方向性及び具体的なモデルをお示ししたところであります。  この中では、集団で学び合える環境、ここだから学べる特色ある教育課程の2点を柱に、児童生徒にとって望ましい学校のあり方を市町村ごとに検討することとしております。そのために、学校統合も一つの方策として示し、統合を契機に新しい学校づくりに取り組む市町村への支援策として中核となる教員を加配しているところでございます。  地理的条件等学校が置かれている環境が市町村ごとに異なることから、それらの状況を踏まえつつ、小中学校を所管する市町村教育委員会に対して引き続き支援、助言してまいりたいというふうに考えております。       〔51番宮澤敏文君登壇〕 ◆51番(宮澤敏文 君)先ほど清沢議員からもお話がございましたが、教育の現場、過疎の進行、そういうようなものは市町村ごとに本当に大きく違っています。やっぱり県教委として一つのルールをつくらなければならない。そういうルールをつくらず任せてしまえば、勝手勝手でまさしく教育はばらばらになってしまう。そういう一つのルールをつくるために、12ブロックでも結構ですけれども、細かい範囲で検討委員会をつくる。そういうテーブルをまずつくること、これが一番大事だと私は思いますが、そのことについて再度お伺いいたします。  総合戦略では、長野県らしい産業の突破策の第1に価格決定力のある製造業への転換を掲げ、オンリーワンの製品づくりへの支援と活性化のため障害となっている規制の改革を挙げていますが、具体的にはどう進んでいるのかお伺いします。  あわせて、県内のものづくりの産業の中心である変化しようとしている自動車産業界が希望する水素スタンドの県内設置をどう進めていくのかお伺いをいたします。  また、戦略では、先ほど知事がお話しになりましたように、起業率が全国で45位と最下位に近いわけであります。現実を抜け出すために、何と日本一就業しやすい県づくりを目指すと掲げられました。日本一を掲げた以上は相当な決意があると思いますが、具体的にどういった取り組みを用意し、どう成果を上げていって日本一になろうとしているのかお伺いをいたします。  製造企業では、高校生の人材が欲しいと希望しています。工業高校と企業との連携をどう指導していくのか。  岩手県では、北上川流域の企業と黒沢尻工業高校の専攻科の連携に振興局の商工課専門の職員が当たっています。この事例をどう考えておられるのか、知事にお伺いします。  ものづくり王国長野県の企業が求めるクリエーティブな人材育成を郷学郷就の立場からどう進めていこうとしているのか、知事の所見をお伺いいたします。  創業するためには、人と財源が何より必要であります。創業人が創業する知識を得るためには教育分野の協力体制が必要と考えます。  富山中央農業高校は、今後の農業はしっかりとした経営が必要と、高校の上に専攻科を設置し、週に1回登校し、経営実務を学んでおりました。長野県高等教育の中で、新たな学び方、これは専攻科も含めてでありますが、制度の検討とものづくりやIT、農業家、起業家を育てるための意識が現場の教師に徹底されているか、この点について教育長にお伺いします。  また、企業現場から生きた技術を持つ講師の招聘など、変化する新技術への対応が急務と思いますが、あわせて教育長にお伺いします。  また、戦略では、サービス産業、農林業の高付加価値化、生産性の向上をうたい、そのために、ブランド力を高め輸出を支援すること、クリエーティブな人材定着のために住宅やオフィスの提言を掲げています。具体的にどう展開していくのか、知事にお伺いいたします。  社会福祉の現場や農業、ものづくりの現場、建設業の若い働き手がいないことが県政の大きな課題になっています。現在、国は、外国人労働者を取り込む政策を矢継ぎ早に発表していますが、昨年、60人もの長野県の経済界の皆さんを伴ってベトナムと交流を持たれましたが、外国人雇用をどのように位置づけるのかお伺いいたします。  宮城県や茨城県では、ベトナム国に姉妹県をつくり、総合的な面の交流を進めようとしています。今年もタイにお伺いするようでありますが、例えばベトナム国とは今後どのような交流を深めていく手段をとるのかお伺いいたします。  人口減少に悩む町村では、命のもとである水を供給する水道事業も財政を圧迫しております。維持するために残された住民の負担は大きくなるばかりであります。小規模市町村が担えなくなってきている水道事業を、市町村に偏ることなく、全県的にどのように対応していこうとしているのかの方針をそれぞれ知事にお伺いをいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)再質問いただいた部分と、それから起業家教育についてお答えを申し上げたいと思います。  先ほど申しましたが、「少子・人口減少社会に対応した活力ある学校環境のあり方及び支援方策」という形で平成26年に示させていただきました。その中で、望ましい学校規模、学級規模という形で示しているものでございます。小学校では専科教員が配置できる規模でありますとか、中学校では全ての教科で専任の教員がそろえられる規模でありますとか、少なくともこういう学校の規模、学級の規模が望ましいという形を示した上で、それぞれの市町村が主体的に考え、それに対して私どもはきちっと支援していくということを示したものでございますので、それぞれの市町村が自分の教育環境をどう整えていくかという観点で主体的に考えていくことが望ましいというふうに私は考えております。  それから、起業家教育に対する教員の意識や新技術への対応方法などについてでございます。  社会が大きく変わる中で、従来のように、学校を卒業して企業に就職し、組織の中で生きていくコースだけでなく、若いころから起業する選択肢も当たり前になっているのが今の状況だと思っております。信州の未来を創造する高校生にも、みずから起業を目指すような意識やスキルを身につけていくことが大切であり、それにふさわしい学び方を用意したり、教員自身の意識やスキルを高めていったりする必要性を強く認識しております。  現在、県教育委員会では、産業労働部と協力し、信州アントレプレナー育成事業を通してモデル校での起業家教育を行っているところでありますが、こういった取り組みをもっと進めていかなければならないというふうにも考えております。テクノロジーも含めて、変化が極めて激しい時代でありますので、議員御指摘のとおり、企業現場など変化の渦中にいる人から学んでいく体制を整えていくことが肝要であると思っております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)人口減少対策について引き続きの御質問にお答えします。まず、産業分野での規制改革ということでございます。  産業振興を図っていく上では、時代に合わない規制を乗り越えていく、あるいは県としても検討して見直しをしていくということが重要だと思っております。これまでも国に対する特区提案等を行ってきておりますが、例えば薬事法の規制改革等はなかなか国においては認められていないというような現状もございます。  ことしの2月、産業イノベーション推進本部の中に規制改革推進会議を新しく設置をいたしました。全庁的に規制改革をしっかり進めていこうということで立ち上げたわけでありますが、まずは規制改革提案ボックスを設置をいたしまして、企業、あるいは市町村、多くの皆様方からの提案を受け付けて、そこを端緒に改革に取り組んでいきたいというふうに思っております。  また、新しく地域未来投資促進法が施行されたわけでありますが、この法律に基づく基本計画、同意が得られた場合には、農地転用許可あるいは市街化調整区域の開発許可、こうしたものの特例措置が講じられるという形になっております。全国でも先頭を切って、第1陣の同意に向けて県内の2広域、それから1市において、市町村と共同して基本計画の申請を行わせていただいたところであります。  これからも、さまざまな規制に対して、時代のニーズに合っているかどうかということを見きわめながら、国に対してもしっかり提案をし、産業の振興に努めていきたいというふうに思っております。  それから、日本一創業しやすい県づくりの具体的政策と成果ということでございます。  まだ道半ばではありますが、着実に成果は上がってきているというふうに思っております。創業に関する制度融資は貸付利率1.1%ということで、日本一自己負担が少ない融資にさせていただいております。このこともあって、平成28年度の創業関連保証件数、利率改定前の平成25年度に比べますと約倍の1,103件という利用件数になっております。また、創業等応援減税の期間延長をさせていただき、また創業支援センターも積極的に利用いただくことなどによりまして、開業率も27年度3.97%ということで統計開始以来最高の開業率という形にもなっています。  ただ、まだもっと上を目指さなければいけないというふうに思っております。そういう観点で、まずスタートアップ企業がしっかりと生まれてくるような環境をつくっていかなければいけないというふうに思っております。そういう観点で、県内の大学、金融機関、商工団体、コワーキングスペース等、65機関が参加する信州創業応援プラットフォームを創設させていただきました。  また、コロラドでガルバナイズという組織を経済界の皆さんと一緒に見学をしてまいりましたが、そうした拠点をどうするかということについても今検討しているところでございます。さらに、御承知のとおり、県立大学には企(起)業家コースを設けさせていただきましたし、ソーシャル・イノベーション創出センターを設置したところであります。イノベーティブな社会をつくっていく、イノベーティブな地域をつくっていく上では、やはり大学、あるいは金融機関、あるいはコワーキングスペース、さまざまな機関と連携していくということが重要でありますので、こうした制度融資等の県の施策として取り組むことに加えて、新しい県立大学等も含めたエコシステム、起業、創業を促進するエコシステムをしっかり構築すべく取り組んでいきたいというふうに思っております。  それから、工業高校と企業の連携の指導と企業が求める人材育成ということで、岩手県における取り組みについてですが、私はかつて岩手県におりましたが、北上川流域は非常に産業振興の熱心な地域であります。黒沢尻工業高校は、そういう中で人材育成の拠点として頑張っている高校でありますが、関係機関と連携した非常にすぐれた取り組みだというふうに思っております。  本県も負けているわけにはいきませんので、教育委員会と連携のもと、昨年の6月補正で、地方創生交付金を活用して、学校の学び、そして地域での実践的な働き、これが相乗的に営まれるデュアルシステムを構築していこうということで取り組みをスタートしたところであります。企業と高校をつなぐために、企業OBとコーディネーターという形で地域振興局等に配置をさせていただき、実践に即した実技講習、資格取得に向けた講習会等を行ってきております。  この産業人材の育成という観点で、やはり学校の教育部門だけではなくて、企業側のニーズということをしっかり受けとめていくことが重要だというふうに思っておりますので、これからも企業と連携した取り組み、また、我々産業労働部等は企業のニーズをよくわかっているわけでありますから、そうした観点で、教育委員会ともしっかり連携を図りながら、学生にとっても望ましい、そして地域の企業にとっても期待に応えられる人材育成に努めていきたいというふうに思っております。  それから、ブランド力を高めた輸出支援ということであります。  農産物につきましては、今、シャインマスカットあるいはシナノスイートなど、高級果実を中心として輸出拡大を図っているところでございます。平成26年に輸出事業者等で構成します農産物等輸出事業者協議会を設立させていただきました。加えて、輸出支援員をシンガポールと香港に設置して有望バイヤーの開拓等に努めているところでございます。こうした取り組みを通じて、信州の高品質な農産物のさらなる輸出拡大を図っていきたいというふうに思っております。  また、クリエーティブ人材の定着であります。  これから産業を振興していく上でも地域を元気にしていく上でも、IT、映像デザイン、そうしたクリエーティブな人材が集積する地域にしていかなければいけないというふうに思っております。そうした観点で、県の職員宿舎等の住居の提供、そしてオフィス利用料や交通費等の補助をセットで実施するおためしナガノという事業を平成27年度から実施をしてきております。また、ICT企業の誘致には助成金を出すという形にさせていただいております。  こうした取り組みを通じて幾つかいろんな動きが出てきております。海野宿では、町屋をリノベーションしてコワーキングスペースやカフェを設置運営するといった事例、あるいは、飯山市に拠点を構えて信州ベンチャーコンテストで準グランプリを受賞した旅行アプリの商品化を計画している方、こうした方たちがこのおためしナガノを活用して移住をしてきておりますので、さらにこうした施策のPRをしっかり行っていきたいというふうに思っております。  それから、外国人雇用であります。  経済界、産業界での今の大きな課題は、やはり人材の確保であるというふうに思っております。そういう意味で、県としても、労働力不足にどう対応するかということについてはさまざまな角度から考えていかなければいけないというふうに思っております。潜在的に労働希望がある女性がさらに活躍できるような環境であったり、あるいは高齢者、障害者、働きたい方々が働ける環境をつくっていくということも重要だと思っておりますが、あわせて、海外の人材の活用ということについても県としてしっかり向き合っていかなければいけないというふうに考えております。  そういう意味で、信州大学、金沢大学、金融機関等と共同で、外国人留学生を県内で就職をさせようと、県内就職を2倍にふやすプログラムにことしから着手いたしました。また、農業分野におきましても、御承知のとおり国家戦略特区の提案をさせていただいているところでございます。外国人雇用は、無秩序な受け入れということではなくて、やはりしっかりルールを定めて、来ていただく企業や地域も喜ぶし、そしてお越しになられた外国人人材もしっかりと活躍できると、そういう環境をつくっていくということが重要だと考えております。現在、次期総合5カ年計画に向けてグローバル人材をどう活用するかということについてプロジェクトチームを立ち上げて検討しているところでございますので、その検討結果を踏まえてしっかり方向づけしていきたいというふうに思っております。  それから、ベトナムとの交流についてでございます。  ベトナムとの関係では、ベトナム政府と締結した覚書、あるいはホーチミン市との覚書に基づいて、製造業、観光、農業、この3分野を中心に交流を進めていきたいというふうに考えております。  製造業分野では、産業労働部内に情報サポート窓口を設置しております。県内企業のベトナム等への販路開拓支援をしっかり行っていきたいと思っております。  また、観光分野におきましては、今月、観光部長がホーチミン市政府を訪問させていただいております。インバウンドに関して、旅行事業者の招聘等具体的な取り組みを行っていきたいというふうに考えております。  また、農業分野では、農政部とベトナムの農業農村開発省双方によるワーキンググループをことしの1月に設置をしております。農業関係試験場における研修受け入れを提案させていただくとともに、農産物の輸出促進あるいは具体的な技術支援を行うための意見交換を行っているところでございます。こうした分野において、ベトナムとの経済交流をしっかりと戦略的に進めてまいりたいと考えております。  次に、水道事業についてでございます。  小規模町村の水道事業の課題への対応ということでございます。  長野県は、小規模な市町村が多いということもあり、この水道事業の持続可能性を担保していくということは重要なテーマだというふうに思っております。ことしの3月に水道ビジョンを策定させていただきましたが、人口減少社会の中で、安心、安全な水道水を届けるということを基本理念とさせていただき、計画的な施設更新、水道施設の耐震化の推進など、水道事業者の取り組みの方向性や目標を定めましたほか、広域連携を推進していくということにしております。
     特に、小規模水道に関しましては、技術的業務の共同化や企業局が行っております事務の代替執行など、市町村の枠を超えた広域連携が有効な手法の一つだというふうに考えております。今年度、地域振興局ごとに県と市町村等によります検討の場を設置し、広域連携の検討を始めているところでございます。小規模町村においても水道事業が維持されますように、県としてこの広域連携の議論の牽引役を担っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔51番宮澤敏文君登壇〕 ◆51番(宮澤敏文 君)外国人労働者の問題でありますけれども、ことし3年だったものが5年にと、韓国では10年でありますけれども、そのように伸びてきたり、やっぱり5Sから始まる日本のものづくりとかさまざまな雇用体制の文化、これをしっかり教え込んでまじってもらうということが大事だと、こんなふうに思います。改めて知事にそんな点についての施策をお願い申し上げたいところであります。  事業のスピード化についてであります。  平成7年7月11日に長野県北部を襲った豪雨災害以来、何度も本会議で中信地区と日本海を結ぶ国道148号線、月岡雨中地区の道路改良を訴えてきました。地域高規格道路の松本糸魚川連絡道路を棚上げにしようとした田中知事に、深夜大型トラックがひっきりなしに通り、睡眠障害など沿道に住む者のつらさを訴えた御婦人の涙の陳情を忘れることができません。  建設部の頑張りで地域高規格の走行道路が着工、9月5日、建設事務所の現地説明会が行われました。説明によると、二つあるトンネルの第2トンネルを掘って、そこを使って第1トンネルの残土を運び出すため、1年余分にかかるとの説明。なぜ二つのトンネルを同時に仕上げないのか。深夜大型トラックが何百台も通るこの道、振動騒音で苦しむ皆さんからは、工程を変更して一日でも早く完成してほしいと意見が出ておりました。  知事は、事業の集中化を図り、効果的なスピード感ある事業の取り組みを掲げています。知事も視察していただいたこの地域の住民の苦しみをどう受けとめ、工事手順の見直しを検討するか、知事にお伺いします。  昨年度の本会議で、望月県議が、仮称、安曇野北インターの周辺の道路について質問されました。当時の建設部長はできるところから始めると答弁し、県道原木戸安曇追分線の交差点の改良を挙げられました。この交差点の今後の進捗計画について建設部長にお伺いいたします。  県立病院の経営の改善についてであります。  27年度から毎年54億8,000万円が県から県立病院機構に支払われています。先日、がん対策議員連盟でこども病院にお伺いすると、初代勝山理事長のときの51億円時代よりも1億円も交付金が減らされたとのことでした。ふえた4億円はどこに使われているのか、率直な疑問であります。  私は昨年も申し上げましたが、病院経営は実に厳しい。病院経営の専門家を置いて見直す点を明確にし、収入の向上と見合った支出のバランスある経営体制をしくことが何より大切だと思います。さもなければ、急激な人口減少の中で生き残ってはいけません。健康福祉部長にお伺いいたします。  農業問題であります。  米の直接支払交付金、10アール当たり7,500円が今年度でなくなり、とりわけ大規模農家からは将来に対する不安の声が強く出されています。また、同時に、政府は最高レベルの協同組合活動の組織となった日本国の農協の改革を断行しようとしています。  本県において、農協経営の柱である経済事業を担当するのが全農長野であります。仮に政府が強行する全農の株式化をした場合、県として県農協組織を県農政の中でどう位置づけるのか、株式化した全農とどう向き合うのか、知事にお伺いします。  ここに来て、市町村が独自で取り組む事例を含め、都道府県ごとに農産物の海外戦略が注目されています。しかし、物の流れを新たに構築することはそうたやすいものではありません。今回、商社マンを雇用し、いかに長野県の産物を海外に流すか、マーケティングの強化を図ろうとしていますが、ライバルだらけであります。どのようなチームを組むのか、まさかもうけることのできない県職員のみとは思いませんが、実際に物を動かす全農長野など流通から県マーケティング室に人を入れ、プロのプロジェクトチームを発足させる、そんなことが必要だと思いますが、知事はどのような手法でどのような成果を期待しているのかお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)先ほど1点答弁漏れをいたしましたので答弁させていただきたいと思います。水素ステーションの県内設置についてでございます。  国におきましては、水素・燃料電池戦略ロードマップによりまして取り組みを進めているところであります。水素ステーションに係る規制緩和においても検討が開始されたところでございます。しかしながら、県内には燃料電池自動車の保有台数及び水素ステーション設置ゼロという状況でございます。県内企業においては、この商用水素ステーションでのトップシェアを目指す動き等もある中で、この水素エネルギーについては私どももしっかり関心を持っていかなければいけないというふうに思っております。  燃料電池車に限らず、石油燃料にかわる次世代エネルギーとして今後のあり方についてしっかり注目すると同時に、県としてもどうアプローチしていくかということについて研究していきたいと考えております。  それから、事業のスピード化ということで、雨中バイパスの工事手順の見直しについてでございます。  一般国道雨中バイパス、これは地域の皆様方にとって極めて重要な事業だというふうに受けとめております。人家が密集する地域を通過し、また車道と住宅が近接しているという状況の中で、大型車両の通行量も多く、事故が多発し死亡事故も発生しているなど、安全な生活環境に支障を来しているということについては私もしっかりと認識をさせていただいているところでございます。こうした状況をぜひともしっかり改善していきたいというふうに考えております。  平成23年度に事業着手をして、現在、計画する2本のトンネルのうち北側の2号トンネルについて工事着工準備を進めているところでございます。当該地域は地すべり防止区域に指定されている状況でありまして、また、破砕帯も存在しておりますことから、複雑な地形、地質の状況への対応等を考慮し、まずは2号トンネルの掘削状況を確認しながら慎重に進めていきたいと考えております。  その上で、橋梁等他の構造物を同時施工するなど、工事工程の工夫により全体の工期短縮に努めていきたいと考えております。また、事業進捗を確実に図るため、予算の確保もしっかりと行っていきたいと考えております。  それから、農業の関係でございます。全農が株式会社化した場合の農協組織の位置づけという御質問でございます。  農協法の改正によりまして、全農は選択をすれば株式会社に組織変更ができるというふうにされております。他方で、現在全農が進めている自己改革の取り組みにおきましては、地域農業や組合員活動を維持していくためには協同組合という組織形態が必要であり、株式会社化を選択することについては検討していないというふうに伺っております。こうしたことから、全農長野におきましても株式会社化の検討はなされていないというふうに認識しておりますが、引き続き全農及び全農長野の動向を注視していきたいと考えております。  農産物の海外へのマーケティングの強化という御質問でございます。  新しく信州マーケティング戦略担当参与を設置していきたいというふうに考えておりますが、農産物の輸出については、平成26年度に、全農長野にも参画をいただいて農産物の輸出事業者協議会を設立して、農業者、流通事業者などと一緒に推進をしているところでございます。新しい戦略担当参与には、農政部はもとより、全農長野を初めとしたこの協議会のメンバーの皆様方とぜひ一緒になって取り組んで農産物輸出の拡大に努めてもらいたいというふうに考えております。  プロジェクトチームの設置といった具体的な御提案をいただいたわけでありますけれども、具体的な体制については今後全農長野など関係の皆様方と御相談していきたいと考えております。  以上です。       〔建設部長油井均君登壇〕 ◎建設部長(油井均 君)松本糸魚川連絡道路の取り組み状況と進捗に関する御質問でございます。  松本糸魚川連絡道路は、中信地域と糸魚川市を結ぶ道路であり、広域的な観点から、その整備効果をできるだけ早く実現させる必要がございます。このため、安曇野市の新設区間とあわせ、高瀬川右岸道路との接続部から大町市街地南までの現道活用区間について検討を進めるとしたところでございます。  本年度は、議員からお話のありました高瀬橋西交差点における交通量や交差道路、沿道の土地利用状況などを確認し、課題を整理した上で概略の設計を行う予定でございます。現在、既存のデータ整理を行うとともに調査業務の準備を進めているところでございます。引き続きスピード感を持って検討を進めてまいります。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)県立病院の経営改善についてのお尋ねをいただきました。  平成28年度の県立病院機構の決算は、経常損益で2億6,000万円を超える損失となり、大変厳しい結果となっております。今後、地域人口の減少が見込まれるなど、県立病院機構を取り巻く経営環境はさらに厳しくなっていくと考えており、そのような中では病院経営の専門家の確保は重要であると認識をしております。  県立病院機構においても、人材の育成や確保にこれまでも取り組んでいるところでありますが、公立病院としての役割を果たしながら経営改善を行うという高度な専門性を求められるため、短い期間で成果を上げることは難しい取り組みでもありますので、病院運営に取り組む中で病院経営に精通した職員の育成が図られていくことが重要であると考えております。  経営改善に向けた当面の対応としては、現在、評価委員会の評価を受け、県立病院機構において、理事長、各病院長を先頭に、全職員が経営状況を共有しながら経営改善に向けた具体的な取り組みの検討を行っております。来年1月に評価委員会を開催し取り組み状況を確認することとしておりますので、評価委員会の先生方の協力をいただきながら、県も一体となって必要な医療の確保と経営改善に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔51番宮澤敏文君登壇〕 ◆51番(宮澤敏文 君)それぞれ答弁をいただきました。  教育長、人口減少というのは、一番その影響を受けるのは小学校からだと思っておりまして、その分大変だと思います。しかし、高校にしてもそうですが、地域の人たちがつくった学校を県で引き受けた以上、その地域高校をどうやって守っていくかということは、やはり地域に対する責任であると私は思います。  そして、同時に、人口が少なくなれば私学の皆さん方の経営がやっていけないから、当然県立高校の数も減らさなければならなくなる。そういうときに、どこの学校を減らしていくかということは、これはとても大事な難しい問題です。そういうことを含めて十二分に検討して、開かれた論議をしていただいて、署名を集めたり実際に準備してきている住民の皆さんの状況にしっかりと対応すべきだと、こんなふうに思っております。  それから、知事のやる気は私どもに非常に伝わってまいります。職員の皆さんもやる気があるわけでありますけれども、その間に若干行き違いといいますか、段差があるような気がしてなりません。どうかそういうところを踏まえて、大きなうねりになりますことを念じまして、質問を終わります。 ○議長(垣内基良 君)この際、午後1時20分まで休憩いたします。         午後0時15分休憩          ──────────────────         午後1時20分開議 ○副議長(諏訪光昭 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  荒井武志議員。       〔10番荒井武志君登壇〕 ◆10番(荒井武志 君)初めに、次期総合5カ年計画についてであります。  このことについて、知事は既に設置済みの総合計画審議会を通じ、昨年の11月から延べ5回にわたり会議を開催し、県を取り巻く現状や課題、県内で活躍されておられる方々との意見交換などを踏まえ、重点政策の方向性、基本目標などについて議論されてこられました。県議会でも研究会を立ち上げ、並行して検討を重ねているところです。  そして、それらの検討を踏まえ、このほど、政策評価案構成素案が提示されました。過日の議案説明では、現行計画の「確かな暮らしが営まれる美しい信州」という基本目標をベースに、創造的な学びの推進以下五つの大きな政策の方向性が示され、県民一人一人の主体的で創造的な学びと、みずから考え行動していくための基盤となる実力こそが必要欠くべからざるものであるとされました。いずれも重要であり、自己をしっかり律しながら取り組んでいきたいものだと思ったところであります。加えて、構成素案では、政策を推進するために、検討例ではありますが、重点プロジェクトが示されました。  そこで、知事にお伺いします。  一つに、働く場所の確保や移住・定住策などの社会増を目指すもの、出産から子育てを充実させ自然増につなげようとすることなどが人口や働き手の急激な減少への対応策であるのだろうと思います。着実に進むと目される人口減少に対し、その抑制策の柱として社会増を目指すことも大事でありますが、自然増の最たる取り組み、出生率をどう引き上げるのかに重点を置くべきと考えますが、いかがでしょうか。  二つに、将来像は現行計画を基本として構築するとしていますが、基本目標「確かな暮らしが営まれる美しい信州」は、信州という地域名だけ変えればどこの自治体でも通用してしまうのではないかとして、現行計画の策定段階においていかがなものかと指摘してきた経過も踏まえ、いっそこの際再考すべきと考えるが、いかがでしょうか。  続いて、企画振興部長に伺います。  現行計画のしあわせ信州には目標人口の設定がされていなかったと承知していますが、たとえマイナス人口になろうとも、計画最終年度における目標人口はしっかり示していくべきと考えますが、いかがでしょうか。  二つに、県内各市町村にはそれぞれ総合計画があり、加えて創生戦略があるわけですが、とりわけ目標人口や人口減少抑制策などについて、これらの計画との整合性をどのように考えておられるかお聞かせください。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)次期総合5カ年計画について2点御質問を頂戴しました。  まず、出生率の引き上げに重点を置くべきではないかということでございます。  現在、次期総合5カ年計画を策定途中でありますので、まだめり張りのつけ方が明確にはなっていないところもあろうかと思います。また、今回、信州創生戦略と5カ年計画を合体させるということで、御指摘のとおり、今の信州創生戦略に掲げている内容もしっかり引き継ぎながらめり張りのあるものにしていかなければいけないというふうに思っております。  そういう中で、この自然減の歯どめというのは、現行信州創生戦略の中の大きな柱になっているところでありまして、結婚支援、子育て支援などさまざまに取り組む中で、本県の出生率は何とか1.59まで上昇してきたということであります。これから引き続き上昇に向けた施策を講じていかなければいけないというふうに考えておりますので、今後の検討の中で、この出生率についてどう記載して取り組んでいくかということについては、御指摘も踏まえてしっかり検討していきたいというふうに思います。  それから、基本目標をこの際再考すべきではないかということでございます。  これについては、現在、総合計画審議会で御審議いただいているところでございます。私は、個人的には、確かな暮らし、あるいは美しいというのは、余りほかの県では使われていない。いきいきとか、元気とか、輝くとか、ほかの県の計画を見るとそういうのは大体使われておりますけれども、本県が使っているこの「確かな暮らし」であるとか「美しい」というのは余り使われてないわけでありまして、どこの自治体にも通用するというようなことでは必ずしもないんじゃないかというふうに思っています。  ただ、総合計画審議会の御議論の中でも、もう少し前向き感というか、ポジティブな感覚が出ていたほうがいいんじゃないかというようなさまざま御意見もいただいているところであります。この基本目標につきましては、現行のものをベースとしながらも、学び、自治力、提案説明でも申し上げているように、こうしたものをしっかり加味することによって、より長野県らしいものにしていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)人口目標の設定についてお答え申し上げます。  次期総合5カ年計画の最終年度となります2020年の人口につきまして、さきに策定しました信州創生戦略の人口見通しに基づいて申し上げますと、約200万人となる見込みでございます。次期計画は、信州創生戦略を統合するものとしております。平成27年の国勢調査の結果も織り込みまして人口見通しを掲げた上で、創生戦略に掲げております合計特殊出生率や社会増減数など人口に関する数値を目標として設定することを検討してまいりたいと考えております。  次に、県と市町村の計画の整合性についてでございます。  人口減少対策に限らず、多くの政策は、県行政のみならず市町村を初めさまざまな主体との協働なしでは実行できないものでございます。このため、信州創生戦略の策定に当たりましては、地域戦略会議において知事が出席して市町村長と意見交換を行い、子育て支援や移住促進、観光振興など、県と市町村が連携して実行する施策を構築したところでございます。  次期総合5カ年計画の策定におきましても、この地域戦略会議を初め市町村との協議や意見交換を重ねながら、10の広域ごとの地域重点政策などについても検討しているところでございます。こうしたプロセスを通じまして、県と市町村との間で大きな目標と方向性を共有していただけるような政策を構築し、計画に盛り込んでいきたいと考えております。  以上でございます。       〔10番荒井武志君登壇〕 ◆10番(荒井武志 君)将来像の基本目標でありますが、ぜひ多くの声を大事にしてつくっていただきたいと、こういうふうに思っております。  次に、2027年国民体育大会・全国障害者スポーツ大会への取り組みについてであります。  国民体育大会と言うからには、まさに77市町村、200万県民がもろ手を挙げて歓迎し、万全な体制で取り組んでいかなければならないものと考えます。前回のやまびこ国体と違うのは、時の違い、経済状況の違いだけではありません。そこに全国障害者スポーツ大会が国民体育大会の直後に開催されるということであります。  国民体育大会については、長野県が内々定となった7月18日、知事は、全ての県民がスポーツに親しむ契機となるのみならず、健康増進や観光、経済への波及効果など、本県が目指すスポーツを通じた元気な長野県づくりに大きな力を与えてくれる。今後、両大会の成功に向け、市町村や関係団体等の皆様と力を合わせて準備に取り組んでまいりますとコメントされました。  補正予算案にも計上されたとおり、まずは準備委員会を立ち上げ、大会の基本方針や競技会場の選定方法、当面の進め方等が検討され、順次取り組みを進めながら、ある時点からは準備委員会から実行委員会へと移行し、大会開催に向かうと思っているところであります。  そこで、教育長に伺います。  一つに、設置予定の準備委員会は国民体育大会と障害者スポーツ大会を包含した組織と理解してよいのでしょうか。  二つに、準備委員会の事務局はどこにどのように設置されるのか。競技種目の決定時期、会場地の選定時期、実行委員会への移行時期など、時系列的な流れをどのように取り組もうとしているのか、お答えください。  次に、教育長並びに健康福祉部長に伺います。  次期総合5か年計画の構成素案の重点プロジェクト例にも掲げられている両大会の競技力向上について、大会競技種目への選手強化策をどのように取り組んでいこうとお考えでしょうか。  続いて、知事にお伺いします。  会場地となる市町村への支援は極めて重要と考えます。市町村や関係団体等の皆様と力を合わせて準備に取り組んでいくとの知事コメントを踏まえ、77の全ての市町村が参画できる体制づくりや会場整備などへの支援策について、知事の力強い決意をお聞かせください。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)お答えいたします。  まず、2027年国体と全国障害者スポーツ大会への準備委員会の組織についてであります。  国体直後に開催されます全国障害者スポーツ大会は、特に会場地の選定や広報活動のほか、大会運営要員の養成計画など、国体と共通して検討を要する内容も多いことから、準備委員会には障害者スポーツの関係団体にも加わっていただきながら、両大会を対象とした準備を進めていく予定でございます。  準備委員会の事務局や会場地選定等のスケジュールでございますが、現在、準備委員会の設置に向けた事務は、健康福祉部との連携のもとで教育委員会で担当しておりますが、将来的には、今後策定する大会基本方針や全国障害者スポーツ大会との関連のほか、健康増進、地域振興といった観点も踏まえ、必要な体制について検討してまいりたいと思っております。  なお、準備委員会は、中央競技団体や日本体育協会の視察などを経て、順調にいけば3年前の2024年に開催が正式決定されるので、その後、実行委員会に移行していく予定でございます。  次に、会場選定等のスケジュールについてでありますが、まずは準備委員会の中に専門の委員会を設置して、会場地の選定の考え方や基準などを検討した上で、できれば来年度初めには市町村や関係競技団体に対し希望調査を実施してまいりたいというふうに考えてます。  また、国体の実施競技でありますが、日本体育協会が4年ごとに見直すとされておりまして、本県が開催する2027年の大会では、7年前になります2020年に最終決定される予定でありますので、会場地の正式決定はそれ以降となる見込みでございます。  選手強化策でありますが、本県の競技力向上に関しましては、ジュニア選手の発掘育成体制や練習環境、有望選手の県外への流失でありますとか特定種目への競技者の集中のほか、指導者の高齢化や女性指導者の不足などの課題がございます。他の国体の開催県を見ますと、準備委員会とは別に知事等を本部長とする競技力向上対策本部を設置して、医科学分野の専門家等による競技力の現状分析を行った上で、ジュニア選手の強化策や一貫指導体制の構築等のほか、若手指導者の資質向上策など、長期的な競技力向上基本計画というものを策定し、毎年評価検証を加えながら選手強化に取り組んでいる状況でもございます。
     本県におきましても、こうした開催県の例を参考にしながら、県体育協会、学校体育団体、医科学分野の専門家等と連携しまして、2027年の国体に向けた選手強化策を検討してまいりたいというふうに考えております。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)全国障害者スポーツ大会の成功に向けては、まず多くの本県選手に参加いただけるよう、障害者スポーツの裾野を広げることが必要であるため、障害者スポーツの普及に取り組むとともに、障害のある方が地域の身近な場所でスポーツを行うことができる環境づくりを進めてまいります。  その上で、競技力の向上に向け、障害のある選手が障害に理解のある指導者のもと、競技を行うことができるよう、障害者スポーツ指導員の養成を行うとともに、一般スポーツ指導者の皆様にも障害への理解を深めていただくよう取り組んでまいります。2027年の本大会で多くの本県選手が活躍できるよう、障害者スポーツ関係団体のみならず、一般スポーツ関係団体とも連携して競技力の向上に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)国体、そして全国障害者スポーツ大会に向けた市町村との連携あるいは支援についての御質問でございます。  この両大会は、極めて大規模な大会、催しであり、スポーツの振興のみならず、障害者の社会参加の促進であったり、あるいは県民の健康づくりであったり、大変大きな意義を持ったものだというふうに考えております。そのため、全ての県民の皆様方に一丸となっていただき、オール信州で取り組んでいくということが重要だと考えております。  年内に設置を予定しております準備委員会におきましては、全ての市町村長の皆様方にぜひ委員として参画をしていただきたいというふうに考えております。その上で、できる限り多くの市町村で競技を実施していただく機運を高め、また、会場整備のあり方等の課題についても共有をさせていただきながら、市町村のみならず多くの関係団体の皆様方の協力をいただきながら準備に万全を期していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔10番荒井武志君登壇〕 ◆10番(荒井武志 君)競技を県内全ての市町村で行っていくことには難しさがあると認識しておりますけれども、宿泊とか歓迎交流事業など、そういう面でも参画できるんではないかと、こういうふうに思います。そういうことを含めまして検討が深まることを強く期待して、次の質問に移ります。  次に、緊急情報伝達手段のあり方についてであります。  去る8月29日午前6時過ぎ、北朝鮮からミサイルが発射された模様。頑丈な建物や地下に避難してくださいと全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートが長野県を含む12道県で避難を呼びかけました。外にいた私は、携帯電話と屋外スピーカーから情報をキャッチ。でも、周りに頑丈な建物や地下はなく、右往左往でございました。  そこで、以下、危機管理部長に伺います。  北朝鮮による弾道ミサイル発射に伴い伝えられた全国瞬時警報システム、Jアラートに関し、8月29日の際は頑丈な建物や地下に避難をとする文章や、結果として広範囲に周知し過ぎたのではないかなどについて、実態に合わないとの苦情等があったようでありますが、これらについて再考すべきなどとの要望を県から国に対して行ったのか伺います。  二つには、9月15日にミサイルが発射された際に、国ではJアラートの文章を見直して避難指示を出したとのことでありますが、どのように見直しをしたのか。今後の国の対応についてもあわせてお聞きします。  三つに、今回のような重大事態にかかわる県民への周知は、200万県民に確実に届かなければならないと考えます。Jアラートの情報は県の防災行政無線で仲介し、市町村の防災行政無線に伝達される仕組みと伺っていますが、市町村の防災行政無線の整備状況はいかがでしょうか。また、これらへの整備に対する国や県の支援策はどのようになっておりますか。  四つに、市町村では戸別受信機や屋外スピーカー等を活用し、住民への周知を高めようとしていますが、それらの整備状況と支援策についてはいかがか、伺います。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)緊急情報伝達手段のあり方についての御質問をいただきました。順次お答え申し上げたいと思います。  最初に、全国瞬時警報システム、Jアラートの情報伝達に関する要望についての御質問でございます。  議員御指摘のとおり、8月29日、Jアラートによる情報伝達が行われた際には、避難の呼びかけ内容がわかりにくい、周知範囲が実態に合っていないのではないかなどの県民の皆様の御意見を直接または市町村を通じてお聞きをしております。  これらの意見を踏まえまして、9月14日に国が開催いたしました国民保護に関する会議におきまして、当県から3点の要望を行いました。  1点目は、頑丈な建物や地下に避難という呼びかけは、中山間地などの頑丈な建物や地下が周囲にない地域では、避難先が不明確で適切な避難行動につながりにくいおそれがあることから、文言を検討されたい。  2点目は、この地域の上空をミサイルが通過した模様という呼びかけをもって避難解除としてよいのかわかりにくいことから、避難解除を判断できる呼びかけを検討されたい。  3点目は、Jアラートによる情報伝達の範囲が広過ぎるといった意見もあることから、送信の対象となる範囲について検討されたい。  以上の3点の要望を行いまして、国に対し検討を求めたところでございます。  次に、Jアラートの情報伝達についての国の対応についての御質問でございますが、国では、都道府県等から寄せられた意見などを踏まえまして、呼びかけの文章としていました「頑丈な建物や地下に避難」を「建物の中または地下に避難」と変更いたしました。ミサイルが近くに着弾した場合、爆風や飛散物から身を守るため、できればコンクリートづくりの建物など頑丈な建物がよいわけでございますが、近くにそういった建物がない場合は、まずは屋内への避難を呼びかけるものというものでございました。  また、「この地域の上空をミサイルが通過」としていた文章を、9月15日の際には「ミサイルは北海道地方から太平洋へ通過」とこれまでよりもわかりやすく見直しを行いました。  なお、国では、Jアラートで情報を伝達した12道県の617市町村に対しまして、北朝鮮によるミサイル発射に関する住民アンケート調査を行っておりまして、今後の国民保護施策の参考としていくこととされております。  県といたしましては、これらの国の動きを注視していくとともに、必要な意見につきましては今後も国に対して伝えてまいりたいと考えております。  次に、市町村の防災行政無線の整備状況と支援策に関する質問でございます。  Jアラートによりまして自動的に起動する市町村防災行政無線は、平成29年3月末現在、県内では68市町村、88.3%で整備をされておりまして、全国平均は81.2%となっております。  なお、防災行政無線を有しない市町村では、自動的に起動する有線屋外スピーカーでありますとか、コミュニティーFMなどにより住民への情報伝達を行っているところでございます。  防災行政無線の整備に対する支援策でございますが、国が進めておりますデジタル方式で整備する場合、元利償還金の7割が交付税措置されます緊急防災減災事業債等の活用が可能となっております。  次に、戸別受信機と屋外スピーカーの設置状況でございますが、平成29年3月末現在、屋外スピーカーを設置している県内市町村は67となっております。戸別受信機を一部または全戸に配備している市町村は、平成27年3月末時点の統計でございますが63となっておりまして、戸別受信機を配備する市町村の割合は81.8%でございまして、全国平均69.4%を上回っている状況でございます。  また、戸別受信機や屋外スピーカーの整備に対する支援策でございますが、屋外スピーカーや先ほど申し上げました防災行政無線と一体で整備する戸別受信機につきましては、緊急防災減災事業債等の活用が可能でありまして、また、戸別受信機のみを整備する場合は特別交付税措置の対象となっております。  災害時において、住民の皆様の生命を守るためには、市町村から住民などに対しまして避難情報等の災害関連情報が迅速かつ確実に伝達されなければなりません。県といたしましても、市町村の要望をしっかり踏まえながら、関係部局と連携をいたしまして、支援制度の周知など住民の皆様への情報伝達手段の充実について努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔10番荒井武志君登壇〕 ◆10番(荒井武志 君)答弁をいただきました。  これからまだまだ自然災害、予期せぬ地震等も当然あると思われますので、うまく機能しますように願いまして、一切の質問を終わります。 ○副議長(諏訪光昭 君)次に、寺沢功希議員。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)先日、県の名古屋事務所、大阪事務所に伺ってまいりました。私がおりました2時間弱の間に何人もの一般の方がまさにふらっと立ち寄り、県内各地域のチラシやパンフレットを手にされておられ、長野県の情報発信の場として活用されている姿を見ることができました。また、名古屋事務所内で運営されております信州名産ショップでは、県内各地域の特産品や県内各地域から届いた野菜や果物などを求めるお客さんがひっきりなしに訪れている光景に、驚きと同時に大変うれしく思いました。  そこで、産業労働部長にお聞きします。  現在、名古屋事務所が入居しておりますビルは建てかえ工事が予定されており、それに伴い、平成31年2月に退去が決定されているようですが、今後の予定はどのようになっておりますでしょうか。  また、聞くところによりますと、この退去に際し、現在のビルに入居中の他県と一緒に近くのビルに移るという計画もあるようです。現在入居中のビルは、駅から地下道でつながっている環境から、誰でも自由に立ち寄ることができますが、その移転検討されているビルは、独立した、形態が完全なオフィスビルのため、ショップの運営ができないのはもちろん、一般の方がふらっと移住相談や観光の問い合わせに立ち寄っていただくことができなくなります。現在の利用状況から考えると、そのような利用形態の事務所に移行するべきではないと考えますが、いかがでしょうか。  続いて、知事にお聞きします。  長野県には、東京、名古屋、大阪に事務所がありますが、どうしても東京に、銀座NAGANOに重きを置いているという印象を持ってしまうのは私だけではないはずです。名古屋、大阪はスキーや修学旅行等で長野県とはなじみも深く、特に南信地域と名古屋は生活圏であると言っても過言ではありません。リニア開通も踏まえ、名古屋、大阪事務所の運営に対してももっと力を注ぐべきだと思いますが、御所見をお聞かせください。       〔産業政策監兼産業労働部長土屋智則君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(土屋智則 君)名古屋事務所の移転に関する御質問でございます。  まず、今後の予定についてですが、現在、賃借により入居しております中日ビルの建てかえ工事に伴いまして、ビルの管理運営をしている中部日本ビルディング株式会社から平成31年2月末までの退去を求められております。本県と中京地域をつなぐ組織としての名古屋事務所の必要性から、今後も継続して事業を実施していくため、現在、移転先について検討しているところでございます。  次に、その移転先についてでございますが、中日ビル側からは、建てかえ期間中、現在の中日ビルから南へ100メートルほどの場所にある久屋中日ビルへの仮移転を提案されているところでございます。現在、中日ビルに県外事務所を構えております他の18道県の動向や、久屋中日ビルに移転するとした場合の事務所面積、賃料等の条件の確認を行っているところでございます。  現在の名古屋事務所の利用者につきましては、同じビル内にございます中日文化センターへの来訪者、他県事務所との顧客の共有による効果というものも大きいと考えられますことから、移転先につきましては、立地条件やコストに加え、こういった利用状況といったものも踏まえつつ、事務所の機能を十分に発揮できるように検討してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)県外にあります事務所について、大阪事務所、名古屋事務所にもっと力を注ぐべきであるという御指摘でございます。  基本的に私も全く同じ思いであります。長野県は発信力が弱いということを長らく言われていて、そういう中で、まずは東京でほとんど存在感がないと、何とかしなければいけないということで銀座NAGANOをつくったわけであります。おかげさまで多くの皆様方にお越しをいただき、また、県内市町村を初めいろんな皆様方にも活用いただいているわけでありまして、ある意味一つの成功モデルになってきているんじゃないかなというふうに思っております。  他方で、御指摘のとおり、名古屋、大阪が今の状況でいいのかということについては、我々もしっかり御指摘を踏まえて考えなければいけないだろうというふうに思っております。特に、南信州であったり、木曽に伺った際に感じるのは、やはり長野市目線で考えているのとは全く違う地域とのつながりがあるわけでありまして、そうしたことを我々はもっともっと意識をしなければいけないだろうというふうに思っております。  また、大阪との関係は、夏だけJALが飛んでいるという状況でありますけれども、しかしながら、関西の皆様方は、信州に対して比較的いいイメージをお持ちの方々も多いわけですし、また、北陸新幹線も金沢からさらに延伸すべく我々は取り組んでいるわけでありますので、そういう意味では、名古屋あるいは関西との関係性の構築ということについては、実は未来を見据えて力を入れていかなければいけないものだというふうに思っております。  名古屋事務所については、御質問にありましたように、移転先をどうするかという検討を行っているところでもありますので、そのあり方については早急に検討していきたいというふうに思っております。  以上です。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)知事から前向きな答弁をいただきました。リニアが開通してからでは遅いと思いますので、ぜひとも取り組みのほうをよろしくお願いいたします。  続いて、歩行者の安全確保のため設置しております横断歩道橋ですが、平成26年7月の法改正に伴い、5年に一度の点検が義務づけられ、県の長寿命化計画の対象にもなっております。しかし、設置当時とは大きく環境が変わり、中にはほとんど利用されていない箇所も見受けられます。  そこで、建設部長にお聞きします。  横断歩道橋に対しては、点検はもちろんですが、利用状況の調査は行っておられるのでしょうか。  また、極端に利用者が少ない箇所については、横断歩道橋の撤去を検討されるのでしょうか。  また、松本市内にある国道と国道が交わる大きな交差点には横断歩道橋が設置されていますが、横断歩道が設置されておりません。先日、この交差点で信号待ちをしている際、高齢者が横断歩道橋の上りおりが困難なため横断歩道がないところを横断し、自動車と接触しそうになる大変危険な場面を目撃しました。  こうした箇所に対しては早急に安全対策が必要だと思いますが、交通規制基準の中では、横断歩道は、信号機が設置されている交差点においては横断歩道橋等の立体横断施設のある場所の直近部については原則として設置しないものとすると規定されております。しかし、これはあくまでも原則であり、例えば、長野市内の下氷鉋の交差点には横断歩道橋と横断歩道が併設されております。また、一方で、横断歩道を設置することにより新たな渋滞を生んでしまうという懸念もあります。  このような状況を踏まえ、横断歩道の設置や横断歩道橋へのエレベーター設置などあらゆる可能性を考慮した上で、県警と協議、連携した早急な対応が必要と考えますが、現状をどのように考えており、また、今後どのように対応されるお考えか、お聞かせください。  また、道路整備が進めばもちろんですが、公共施設や商業施設が新たにオープンするだけで車の流れは大きく変わります。平成24年度に通学路の合同一斉点検が行われましたが、5年がたった今、状況はかなり変わっております。平成27年11月議会の建設部長答弁では当面行わないということでしたが、現在の環境変化、また、次期総合5カ年計画の策定も踏まえ、再度の実施を要望いたしますが、御見解をお聞かせください。       〔建設部長油井均君登壇〕 ◎建設部長(油井均 君)横断歩道橋についてのお尋ねでございます。  現在、県では130橋の横断歩道橋を管理していますが、平成27年12月に横断歩道橋長寿命化計画を策定し、計画的に修繕を実施しているところでございます。また、本年度、道路法改正により義務づけられた近接目視による点検を全ての横断歩道橋について実施し、健全度の診断を行う予定です。  歩行者等の交通量調査は行っておりませんが、小学校の統廃合により児童の利用がなくなるなどして不要となった横断歩道橋を、地域の御意見をお伺いして撤去した事例があります。一方で、利用者が少ない横断歩道橋でも、地域の交通安全上必要な歩道橋もございますので、今後も、地域の皆様の声をお伺いしながら、修繕時に合わせて撤去等の対応を検討してまいります。  次に、横断歩道橋や横断歩道などの道路横断施設の現状と今後の対応についてのお尋ねでございます。  横断歩道橋につきましては、地域の御意見をお伺いし、通学路など特に歩行者の安全に配慮すべき箇所に設置しております。そのうち、エレベーターが設置されているのは、遮断時間の長い踏切をまたいで社会福祉施設に通じている箇所などの2カ所のみとなっているところでございますが、設置と維持管理に多額の費用を要することから、新たな設置については困難と考えています。  また、横断歩道につきましては、警察庁が制定した交通規制基準において、先ほど議員がおっしゃったとおりと承知しております。しかし、近年、高齢化が進む中で、地域の御要望もあり、横断歩道を併設している事例もございます。道路横断施設については、歩行者の安全と交通の円滑化の両面から、利用者の状況等を考慮の上、箇所に応じた適切な設置を努めているところであり、今後とも引き続き警察と連携し、地域の皆様と十分協議を行った上で、横断歩道の設置の可能性などについて検討してまいります。  次に、通学路の合同点検に関するお尋ねでございます。  平成24年度に、通学中の児童の交通事故を受け、小学校の通学路について全国一斉に警察、道路管理者、学校関係者等合同による緊急合同点検が実施されました。その点検を踏まえ、取り組みを継続して推進するため、市町村において地域ごとの通学路の安全確保に向けた取り組みの基本方針である通学路交通安全プログラムを作成しております。このプログラムに基づき、関係者と連携の上、対策を行うとともに、必要に応じて新たな箇所の追加を行うなど、通学路ごとの道路環境の変化にも個別に対応してきているところであります。一斉に行う合同点検につきましては、プログラムの進捗状況を見ながら関係機関と協議してまいります。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)交通弱者に対する十分な安全対策をよろしくお願いいたします。  次に、全国中学校体育大会、インターハイも終わり、中学校、高校の部活動は3年生が引退し、新体制で秋の新人戦に向け頑張っております。  そこで、教育長にお聞きします。  現在、部活動において県代表になった場合、県では旅費に対して補助を出していると思いますが、大会の規模や補助割合など、その規定はどのようになっておりますでしょうか。  また、現在、中学校の部活動への旅費の補助は、県が中体連に補助を出し、中体連から学校へ、そして家庭へという流れのようでありますが、そのためか、一旦各家庭が旅費を全額支払った後、補助分が返ってくるという形になっているようであります。ちなみに、ことしの全日本中学校陸上競技選手権大会は熊本県で行われましたが、このように開催地が遠方の場合は家庭への負担が非常に大きくなりますが、補助分を先払いしなくてもよい仕組みにはならないでしょうか。  加えて、部活動の大会において全国優勝するなど好成績を残した場合、知事や教育長のもとへ表敬訪問をしますが、この場合、その学校から申請しなければならないようであります。中には謙遜して申請しない学校もあるようですが、主役は学校でも顧問でもなく、生徒、子供たちであります。表敬訪問を受ける、受けないは、知事あるいは教育長サイドの判断でありますので、成績の基準を設けた上で、学校からの申請だけでなく、保護者や地域からの申請も認めていただけないでしょうか。御見解をお聞かせください。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)順次お答え申し上げます。  まず、全国大会等へ派遣する生徒の旅費の補助でございます。  県教育委員会では、県中学校体育連盟、県高等学校体育連盟が行う全国大会や北信越大会への派遣事業及び県高等学校文化連盟が行う全国大会やブロック大会への派遣事業に係る生徒の旅費につきまして、対象経費の3分の2を限度に補助金を交付をしているところでございます。  全国大会等の旅費に係る補助金支払いの仕組みについてのお尋ねでございます。  現在、派遣事業の主体である県中学校体育連盟では、全ての大会が終了した年度末に旅費額が確定した段階でまとめて補助金を出しております。補助金という仕組みの中で議員の御提案を実現するということになりますと概算で前払いということが考えられますが、これに関しては、出場決定から大会までの期間が2週間しかない場合も多い中で、全国大会では400名、北信越大会では900名の対象者がおり、日程的に困難であること、また、大会の勝敗により滞在日数が減少した場合戻入の手続が必要となりまして、かえって保護者の負担になるということも考えられます。  そういった点を考慮すると難しい点が多々あろうかと思っておりますが、御指摘の趣旨を踏まえる中で、今後、年度末の一括支払いの方式を年度途中で支払いができるように検討していくなど、家庭の御負担が少しでも軽減できるような方法を中学校体育連盟とともに研究してまいりたいというふうに思っております。  それから、知事や教育長への表敬訪問であります。  公立学校の児童生徒の諸大会等に係る表敬訪問については、知事が対応していただく案件も含め教育委員会が窓口になっておりますので私から答弁させていただきますが、国際大会への出場や全国大会で好成績をおさめた場合など、表敬訪問の希望をお申し出いただいたときは、学校教育の一環である部活動に係るものについては学校を通して申請いただくことが原則でありますが、そうでない場合には、申請者が学校であるか否かにかかわらず、知事または私が日程に配慮し、可能な限り対応させていただいております。表敬訪問が子供たちの励みや頑張りにつながることは私たちにとっても大きな喜びでありますので、今後もできる限り御希望に沿うよう努めてまいりたいというふうに考えております。       〔3番寺沢功希君登壇〕
    ◆3番(寺沢功希 君)御答弁をいただきました。  表敬訪問についても前向きな答弁をいただいたと思っておりますが、とはいえ、何でも受け付けるというわけにはいかないと思います。先ほども申しましたが、やはり原則的な成績や大会規模等の基準を設けることはもちろん、そもそも、県民の皆様の中には、どうすれば表敬訪問ができるのか、よい成績を残した場合待っていれば知事や教育長のほうから声をかけてもらえるのではないかという、システムを知らない方が多くいらっしゃいます。ホームページで申請方法の掲載、また、申請書のダウンロードを可能にするなど、環境整備も必要だと思いますが、再度御所見をお聞きいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)表敬訪問の申請の仕方等というお話でございました。申請というものではないというふうに思っております。基準というお話もありましたが、スポーツや文化の各種大会では、その目的や運営方法によりましてさまざまな形態があり、例えば、一口に全国大会と言っても、大会の規模、競争性の高い低い、地区予選会の有無などが異なって一律に基準をつくるのは難しいと思っております。  私としては、ルールをつくって何かしらの制限を課すというのではなく、これからも時間の許す限り子供たちの訪問はお受けしたいという気持ちでおりますので、そうした希望がある場合は、ぜひ教育委員会の担当課に御相談をいただきたいと思いますし、私としても改めて教育委員会の職員にも周知していきたいというふうに思っております。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)せっかく勝ち取った上位大会の出場が、金銭的負担が大きくなり、子供たちや保護者の不安や障壁となってはいけませんし、また、頑張った子供たちに対して手放しで賞賛してほしいものです。子供たちが不安を抱くことなく、日々切磋琢磨し、高みを目指し、練習に打ち込むことができる環境整備を再度お願いいたしまして、私からの一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(諏訪光昭 君)次に、今井敦議員。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)それでは、通告どおり順次質問をさせていただきます。  まずは下水熱の有効利用についてであります。  昨年11月にパリ協定が発効され、世界各国で地球温暖化対策の実行が急務となる中で、温室効果ガスの削減に向けてさまざまな再生可能エネルギーの活用が求められています。そうした中、先般、地域再生可能エネルギー国際会議2017が長野市内でも行われたところであります。  一方で、緩やかな景気回復が進んでいると言われていてもそれがなかなか実感できない経済状況の中では、なるべく生活の質を落とさずに冷暖房費を削減するなど徹底したコストの削減が求められております。  そうした環境、経済という二つの観点から私が注目をしているのは、県が6月に打ち出した流域下水道の管路に内在する下水熱という未利用エネルギーを民間事業者が利用する仕組みの創設であります。  下水熱利用とは、下水道管を流れる下水の温度が年間を通じて20度前後で安定をしており、地下水のように、冬は温かく夏は冷たいという特徴に注目をして、外気との温度差を冷暖房や給湯に利用する取り組みであります。  今回、諏訪赤十字病院で、近くの地下を通る県の諏訪湖流域下水道の下水管に樹脂製の採熱管を設置して、不凍液を循環をさせ、ヒートポンプと呼ばれる装置で熱を取り込み利用することを計画しています。事業者にすれば、下水熱と地中熱の利用でエネルギー使用が50%以上削減できるとされています。まさに下水熱利用によりエネルギー使用量を削減して、光熱水費の抑制とCO2の削減を同時に達成することが期待されています。  国では、平成27年に下水道法を改正し、民間事業者が下水道管に熱交換器などを設置することを可能にして利用促進を図っています。これを受けて、県では、諏訪湖のほか、犀川、安曇野、千曲川上流、下流の各流域下水道で民間事業者が下水熱を利用する際の手続を定めた要領を作成したところです。これを県が公表したところ、全国的にも先駆けた取り組みとして新聞等でも大きく取り上げられたところです。  そこで、以下2点について環境部長にお伺いをいたします。  1点目として、諏訪赤十字病院で冷暖房等の空調や給湯へのエネルギー源の一つとして諏訪湖流域下水道の下水管の下水熱を利用するということでありますが、現在の進捗状況についてお知らせをください。  2として、県では自然エネルギーや再生可能エネルギーの普及拡大を推進しており、未利用エネルギーである下水熱の利用価値は相当に高いというふうに考えられますが、今後どのようにこれを普及促進させるのか、県の取り組みについてお伺いをいたします。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)下水熱の有効利用について2点質問をいただきました。  1点目の諏訪赤十字病院の下水熱利用に向けた進捗状況についてのお尋ねでございます。  県では、流域下水道の熱利用を促進するために、6月に流域下水道下水熱利用手続要領を定めました。これを受けまして、7月末には、諏訪赤十字病院へエネルギーを供給する事業者から許可申請が提出され、9月1日に行政財産使用許可を出しております。  今後、下水道管路内へ設置をされる設備の維持管理や下水道管路内の点検の方法等について協定を締結する必要がございますので、11月中には協定を締結できるよう、現在協議を進めているところであります。その後、下水道管路内へ下水熱を取り出す採熱管など熱交換器の設置工事が行われることとなります。諏訪赤十字病院での下水熱を含む再生可能エネルギーの利用開始につきましては、平成30年の4月と伺っております。  2点目の下水熱利用の今後の取り組み方針についてのお尋ねであります。  県では、環境エネルギー戦略を策定をし、地球温暖化対策と環境エネルギー政策を統合し、省エネルギーの徹底や地域主導による自然エネルギーの活用などを推進しております。下水道分野では、ただいまの下水熱やバイオマスなどの未利用エネルギーの創出や省エネルギー設備の導入などが可能であることから、今年度、流域下水道スマートエネルギープランを策定をすることとし、流域下水道のエネルギー最適化の戦略方針と工程表を作成しております。  下水熱の利用促進につきましては、流域下水道管路がある沿線の皆様に下水熱の利用について具体的に検討していただくために、次年度以降、下水熱の潜在量を調査し、その結果を地図上に示したエネルギーポテンシャルマップを作成し、利用を促進していきたいと考えております。これによりまして、流域下水道管が実際にどこにあるのか、また、利用可能な熱エネルギー量はどの程度あるのか、その経済性はどうかなど、容易に確認できることとなります。  下水熱につきましては、特にエネルギーを大量に消費している事業者にとって、エネルギーコストを大幅に削減できる可能性がありますので、市町村の公共下水道とも連携をして、未利用エネルギーであります下水熱の普及拡大に努めてまいりたいと思っております。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)再生可能エネルギーというのはいろんな取り組みの仕方があるわけでありますけれども、この下水熱の利用というのも非常に有用だというふうに思うところであります。ぜひともまずは成功事例をつくっていただいて、県内各地域にこの下水熱の利用というものを普及していただければと、そんなふうに思っているところでございます。  次に移らせていただきます。教育についてお伺いをさせていただきます。  学校教育の信頼回復に向けた取り組みなどを含めて、長野県教育の望ましい姿について共通の理解を深めるため、県内全ての小中学校の校長と懇談をする教育長の学校訪問が5月からスタートしております。  学校訪問では、さまざまな学年の授業や特別支援学級の授業を見るとともに、学校長と膝を交えて現場の抱える課題などについて意見交換を行い、これまで、全校長536人のうち約8割の432人の校長と懇談が終了し、現在終盤に差しかかっていると聞いているところであります。  そこで、これまで多くの校長と懇談を行い、あるいは学校現場をじかに見て、長野県教育の一番の課題と必要な取り組みは何だとお考えでしょうか。教育長にお伺いをいたします。  また、本年度は第2次長野県教育振興基本計画の最終年度であり、これまでの取り組みの総仕上げの年となるため、計画に掲げる目標達成に向けて全力で取り組む必要があると考えます。そうした中、文部科学省は、9月4日に中央教育審議会初等中等教育分科会と学校における働き方改革特別部会が発表した「学校における働き方改革に係る緊急提言」を公開いたしました。そこでは、教員の退勤時刻管理について、ICTやタイムカードなどを導入し、勤務時間を客観的に把握、集計できる体制の構築が求められています。教職員の長時間勤務という看過できない状況は、第2次長野県教育振興基本計画の目標の達成と、さらには現在策定中の第3次長野県教育振興基本計画に大きな障害となっているというふうに思われます。  そこで、現在教員の働き方改革がなかなか進まない中で、教育長はどのような取り組みをすべきと考え、具体的に進めていくのか。教育長の御所見をお伺いいたします。  ところで、第2次長野県教育振興基本計画では、考慮した社会情勢の変化や教育課題として、グローバル化、情報化等社会変革への対応を掲げ、計画の基本目標の中で、学ぶ意欲と変革に対応する能力の育成を「重視する視点」として取り上げております。  先般、文教企業委員会が富士見高校を現地調査をした際に私も同行させていただきましたが、富士見高校では、今年度より水耕ミニトマトのグローバルGAP認証へ向けた取り組みを始めており、グローバルGAP取得の県内第1号を目指しているとのことでありました。  その教育的目的は、農業を取り巻く環境の国際化が進み、食の安心、安全への関心が高まっている中、農業の次代を担う生徒を対象に、教育実習の場である圃場において農業生産工程管理、GAPを導入することで、実践的かつ客観的に学べるICT教育を展開をして、農産物流通のグローバル化に対応し得る人材育成を目指すとしています。生徒たちの意欲も旺盛で、大変頼もしく思ったところであります。  ただ、一つ残念であったのは、GAP取得に係る財政的支援は富士見高校教育振興会が負担をしているということでありました。  そこで、教育長にお伺いをいたします。  青森県では、五所川原農林高校等にGAP取得の教員指導スキル向上の部分に関して財政的支援をしていると聞いているところでありますが、長野県も特色ある高校づくりの中で支援することはできないでしょうか。  加えてお伺いいたしますが、富士見高校以外の県内農業高等学校におけるGAP取得への取り組み状況はいかがでしょうか。  また、県内農業高校のGAP取得への取り組みを進めるべきだというふうにも思いますが、教育長の御所見をお伺いをいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)順次お答え申し上げます。  まず、長野県教育の一番の課題が何で、必要な取り組みは何かというお尋ねでございます。  学校長との懇談等を重ねる中で、不登校、学力問題、保護者対応、教員の多忙化など、現象的にはさまざまな問題がございますが、それらを引き起こす構造を考えてみると、根本的には授業をもっとよいものにしなければならないということが最も大事だと思っております。  授業はつまらなかったけれども部活や行事は楽しかったではなく、部活も楽しかったけれども授業が一番おもしろかったとならなければいけないと思ってます。まさに学校の生命線は授業であり、子供たちが互いの好奇心を存分に刺激し合いながら、能動的、創造的に学んでいく、そういう授業に転換しなければならないし、学びの改革にもあるように今がその絶好のチャンスでもあるというふうに思っております。  その際に、私が大きな課題だと考えておりますのが、長野県の教員文化の中にある、授業は担任など授業を行う者が1人でつくらなければならないというこだわりから、授業づくりについて学び合おうという意識や体制が弱いという点であります。これによって自分の持ち味を発揮して授業力に磨きをかけている教員がいる一方で、授業づくりに悩み孤立している教員も多いのではないかというふうに思っております。  知は、囲い込むものではなくてみんなで共有するものだと思います。みんなの知恵を共有化し、それを全員で徹底的に実践し発展させていくプロセスを確立できれば、長野県の教育は間違いなく格段によくなり、子供たちも先生も幸せになると確信しております。まずは共通化できるものは共通化し、誰もが安心して授業を受けられる信州型のユニバーサルデザイン授業をみんなで知恵を出し合ってつくっていく取り組みを考えているところであります。  教員の働き方改革に関してでありますが、学校訪問を行う中で、コミュニティスクールの活動が大変活発な学校の学校支援コーディネーターの方とお話をする機会がございました。私たちの活動は、全て先生にいい授業をしてもらうためのものですということをおっしゃってまして、大変印象に残りました。  教員の働き方改革もまさに先生にいい授業をしてもらうためのものだというふうに考えております。現在、学校現場における業務改善加速事業に取り組んでおりまして、この中では、部活指導のあり方、ICTを活用した業務の効率化等の具体的な研究を進めているところでありますが、教員の働き方改革は次期の長野県教育振興基本計画の中の重要な柱の一つになるというふうにも認識しております。  国においても、教員の担うべき業務を整理するなど検討を始めておりまして、そのような観点も踏まえ、教員がしっかり授業改革に取り組めるように着実に働き方改革に取り組んでまいりたいというふうに思っております。  続いて、GAPに関してであります。  GAPに関する教員の指導スキルを向上するための支援についてでありますが、議員御指摘のとおり、これからの農業教育におきまして、生徒がGAPを学ぶことは、ITを活用した農業生産技術に加えて経営感覚や国際感覚を備えた農業経営者となる上で重要であり、高校においてGAPに関する学習を推進し、GAP取得を促進するためには、教員の指導スキルの向上が欠かせないというふうに思っております。  富士見高校では、現在、意欲のある生徒有志が、教員の指導のもとに、水耕ミニトマト、フルティカのグローバルギャップ認証の取得に向けて積極的に取り組んでいるところでありますが、県教育委員会としては、来年度、総合教育センターでGAPに関する研修講座を新たに開設したり農政部と連携して学校の研修会へ指導者を派遣するなどして、GAPに関する教員の指導スキルの向上を支援してまいりたいというふうに考えております。  それから、県内農業高校におけるGAP取得への取り組み状況でありますが、現在のところ、富士見高校以外にはGAP認証の取得に向けて取り組んでいる高校はございませんが、議員御指摘のとおり、高校生がGAPについて学ぶことは大変意義あることであり、富士見高校にとどまらず、県内の多くの農業科でGAPに関する学習の充実を図っていくことが重要だと思っております。  まずは各校でGAPを農業科目の年間指導計画に明確に位置づけるところから始めてまいりたいと思います。また、総合教育センターで行う産業教育未来フェアにおいて富士見高校の生徒が実践発表する機会を設けたいと思っておりますし、さらには農業大学校との連携も進め、GAPへの取り組みを推進してまいりたいというふうに考えております。       〔34番今井敦君登壇〕 ◆34番(今井敦 君)御答弁をいただきましたが、授業をもっとよくすることが第一ということでございます。全くそのとおりかなと思います。  その授業づくりの共通化、そしてある意味システム化ということだというふうにも思いますけれども、長野県中の子供たちが、先生が誰だということに左右されずに等しく授業を受けられる、そういった機会をつくる方向性でやっていただければというふうに思いますし、先ほど申し上げましたけれども、教員の働き方改革ということはやはり大変重要な視点だというふうに思います。国のほうも力を入れているということであります。今、本当に忙し過ぎてしまっていろんなところに目が届かないというようなことも起きております。何とぞこれをしっかりとやっていただきたいと思います。  それから、GAPについてでありますけれども、指導的なことを充実をさせていただき大変ありがたいというふうに思うわけでありますが、もう一つ、やはり財政的なところも気になるところでございます。これは、農業高校のみならず、この件に限らず、長野県の高校の施設の充実ぐあいというのが他県と比べてやや貧弱に感じることもございます。現在、高校再編という大きなテーマの中でさまざまな議論をされているわけでありますけれども、再編の中に施設整備の充実という視点をしっかりと加えてやっていただきたいというふうに思いますので、お願いをさせていただきたいというふうに思います。  それでは、次に移らせていただきます。  地方創生に求められる県職員のあり方、組織のあり方についてお伺いをいたします。  平成26年12月の発覚以降、県民の関心と注目を集めている大北森林組合等補助金不適正受給事件につきましては、検証委員会による不適正事案の検証、大北森林組合等に対する刑事告発と補助金返還請求、関係した県職員25名への懲戒処分、元職員に対する退職手当の一部返納命令、そして昨年は国庫補助金の返還と、第三者機関による検証を加えながら、その原因究明と後処理が進められてまいりました。  去る9月12日には、県は大北森林組合等補助金不適正受給事案に係る法的課題検討委員会の報告を受けて、大北森林組合等補助金不適正受給事案に係る損害賠償請求についての対応方針を定め、地方自治法の規定に基づく県職員に対する損害賠償に関する監査について監査委員に請求を行ったところであります。  刑事告発、懲戒処分、そして職員への損害賠償請求と次々と打ち出された対応に驚きが隠せないところですが、今回の県職員に対する損害賠償請求につきましては、その額が大きいことから、多くの方々が驚きが隠せないのではないかというふうに思います。  そもそも、損害賠償請求とは、厳格に、法律に基づき、正確な事実関係の確認のもと、その行為者に故意または重大な過失があったのかが厳正に判断された上で賠償すべき人と金額が確定されるものであり、事実関係を正確に知り得ない者が安易にその正否を論ずるのはなかなか難しいことであるなというふうに思うわけでありますけれども、それはそれとして、今回そうした状況の中で私が心配をしているのは、この3年の長きにわたり原因究明、責任の追及、コンプライアンスの徹底と過去を振り返り反省を重ねる一方で、県職員の皆さんが仕事の中で勇気を持って前に進む、そうしたことを失ってしまうんではないか、あるいは萎縮をしてしまうのではないかと、そんなことを心配するわけであります。実際、そんなことを感じる場面にも遭遇をしたわけであります。  不適切な事案が発生した場合は、二度とそのようなことが起こらぬように、原因を究明して再発防止策を講じ、次に生かしていくことは当たり前のことでありますが、一方で、県民の生活や県内の経済、あるいは社会活動は一日たりとも怠ることなく進み続けるわけです。加えて、地方創生への取り組みが待ったなしの今日において、それをサポートして、あるいはリードをすることを期待されている県行政は、一歩たりとも歩みをとめてはならないというふうに考えています。  今回、大北森林組合等補助金不正受給事案に関して、職員への損害賠償責任等について監査委員に監査を求めたわけでありますが、このようなときにこそ職員のモチベーションを上げていく、そして自由闊達な組織風土の形成が必要ではないかと、そんなふうに思うわけでありますけれども、その現状は今どうなっているのか、総務部長にお伺いをいたします。  大北森林組合等補助金不正受給事案をめぐるこの重苦しい議論が続く中、県は、本年4月に新たな長野県行政経営方針を策定し、7月には行政経営理念の改定が行われました。この中で、県は、県組織の使命を「県民のしあわせの実現に貢献」、目指す姿を「県民に信頼され、期待に応えられる県行政」、「職員が高い志と仕事への情熱を持って活躍する県組織」とし、職員の行動指針に「責任」、「協力」、「挑戦」の三つを掲げております。こうした状況であるがゆえに、職員の行動指針に責任、協力とともに挑戦が盛り込まれたことは、私自身何となくほっとする思いがするわけであります。  そこで、行政経営理念には、前例踏襲に陥ることなく改善・改革に取り組むとあります。地方創生へ向けた具体的な行動が待ったなしの現状において、県職員には、恐れることなく地域の活性化をリードしていってもらいたいというふうに思うわけでありますが、具体的にどのような行動を期待しているものなのか、総務部長の見解をお伺いいたします。  知事にお伺いをいたします。  今回新たに策定した行政経営方針のほか、先般改定をした行政経営理念のバリュー、すなわち職員の価値観、行動の指針の責任、協力、挑戦を踏まえた取り組み、先ほど申し上げましたが、その辺のところの知事の御所見をお聞かせください。  最後に、地方創生の先駆けとして期待をされ、本年からスタートした組織である地域振興局についてもお伺いいたします。  そもそも、地域振興局の狙いは、地域で生じている課題や県民ニーズを的確に把握をし、スピード感を持って主体的、積極的に課題解決に当たるということでありますから、いわば、先ほどの行政経営理念に示す「挑戦」を、県民に近い現地でさまざまな思いを実現する県の組織と言いかえてもいいんではないかというふうに思います。この地域振興局が元気に活発に活動すればするほど県内の各地域は光り輝いてくるのではないか、そんなふうに私は期待をしているわけでありますが、知事にお伺いをいたします。  現地機関の見直しから半年が経過をして、大きな期待とともにスタートした地域振興局のこれまでの評価はいかがでしょうか。また、具体的にどのような成果や課題が見えてきたのか、御所見をお聞かせいただきたいというふうに思います。       〔総務部長小林透君登壇) ◎総務部長(小林透 君)地方創生に求められる職員・組織像に関する御質問に順次お答えをいたします。  まず、職員のモチベーション、自由闊達な組織風土の形成の現状についてでございますが、議員御指摘の自由闊達な組織風土の形成は、これまでも県として常に意識し、それぞれの職場において取り組むよう各種会議などにおいて周知してきたところでございますが、本年4月に策定いたしました行政経営方針においても、その冒頭に、県民起点の意識改革、しごと改革とともに、風通しのよい対話にあふれた組織づくりを掲げているところでございます。  具体的な取り組みといたしましては、相談しやすい風土を醸成するため、相談内容に応じて身近な同僚から外部の有識者まで段階的で多様な職員相談窓口を設けたシグナルフラッグ制度を4月に創設するとともに、職場などでの職員の対話を補完するものとして、3行程度の短い文章で相談や業務報告をやりとりする3行報告、これは仮称でございますが、9月から試行しているところでございます。  これらに加えまして、各部局等のコンプライアンス委員会を通じて、行政経営理念のバリューの改定に関する職場討議を実施するなどの取り組みを行ってきたところでございまして、風通しのよい対話する組織づくりが着実に前進するように引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  次に、バリューの挑戦に関するアクションについてでございますが、職員の価値観、行動の指針であるバリューに位置づけた挑戦については、県民起点を基本に、まず常に一歩先の未来を見詰め、内外の社会情勢や環境変化に関心を抱き、さまざまなアイデアを持って地域に飛び込んでいく。また、組織の閉鎖的、前例踏襲的なところは、それを打ち破る気概を持って自主的、主体的に行動するなどを具体的な職員の姿として期待してございます。  この挑戦に向けた取り組みの具体的な例といたしましては、平成25年度から実施している職員の政策研究におきまして、若手職員のグループがみずから研究テーマを選定し、民間企業や市町村など多様な主体と連携、協働しながら、既存施策にとらわれない施策の立案を目指しているところでございまして、こうした若手職員の取り組みが県の施策、事業に生かされ、広く職員全体の行動にもつながるよう努めてまいりたいと思います。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私たち県組織が本当に真に県民の皆様方の期待に応える仕事をしていく上では、組織がその理念を共有してしっかりと一丸となって県民のための仕事を進めていくということが大変重要だというふうに思っております。  かつて私が副知事で長野県に来たときに言われたのは、長野県組織はえらい組織だと。市町村から見たときに遠い、県民からも遠いと、そういうことを変えていかなければいけないという思いを持っておりました。また、かつて田中県政のもとで、職員はある意味知事に大いに振り回されたわけでもありますし、また、職員間でも相互に疑心暗鬼を生むという非常に大変な状況を長野県職員は数々経験してきたわけであります。  こういう中で、やはり職員の目指す方向性を共有して協力し合って仕事を進めていきたいという思いで行政経営理念を定め、そして、御指摘がありましたように、今般、バリューにつきましてはよりわかりやすく簡潔なものとして定めさせていただいたところであります。責任、協力、挑戦、この三つは、県民のために仕事をする上で重要なことでありますので、職員がしっかり共有していけるように取り組んでいかなければいけないというふうに思います。  責任については、やはり全体の奉仕者ということをしっかり意識しなければいけないわけでありますし、仕事をしていく上では一人ではできません。庁内間の協力、あるいは市町村、あるいは各種団体との協議と、こうしたものも重要でありますし、また、時代が大きく変化する中で、この挑戦ということもしっかり掲げてチャレンジをしていかなければいけないというふうに思っております。  私は、人間の能力というものには大きな差はもともとないというふうに思っております。ただ、置かれている環境であったり、あるいは学ぶ意欲によって相当差がつくということも事実だというふうに思っております。そういう意味で、この組織運営に当たっては、私ももちろんでありますけれども、管理監督職員が仕事のみならず職員のマネジメントをしっかりとしていくということが重要だと思いますし、そうした観点での人事ということもこれまで以上にしっかり配慮しながら考えていかなければいけないと思います。  また、みずからわかる、みずから体験するということが重要だと思います。先般、政策研究を御指導いただいている先生から、長野県職員は真面目で優秀だ、しかし、世の中の変化にやや疎いのではないかという御指摘もいただいたところであります。市町村との交流であったり国や民間との交流であったり、こうしたことを通じて、職員一人一人がさまざまな経験をする機会をもっともっとつくっていく必要があるというふうに思いますし、また、半面、仕事を進めていく上で職員の声がいろんなところに反映していけるということも重要だと思っております。しごと改革では、公募で若手職員を募って、今、検討してもらっておりますけれども、こうした若い職員も含めて県職員が自分の考えていることをしっかりと口にできる、そして行動できる、そうした環境をつくっていきたいというふうに思っております。  まだ取り組むべき課題はさまざまありますけれども、県民の期待に応える、県民のための仕事をしているという責任と誇りを持って組織全体で取り組んでいきたいというふうに考えております。  現地機関の見直しから半年経過したけれども、地域振興局の評価はいかがかということでございます。  地域振興局発足に当たりまして、各局長に対しまして、私からは、企業あるいは市民セクター、行政セクターを結びつけるトライセクターリーダーとして地域全体を引っ張っていってほしいというお話をさせていただきました。こうしたことも踏まえて、各局長は、地域戦略会議あるいは局長タウンミーティングということで、これまで地域の多くの皆様方と交流の場を設けて、かなり積極的な意見交換をしていただいてきているというふうに考えておりますし、また、地域振興局長会議や部局長会議を通じて、私を含めた本庁職員との間での課題や情報の共有もこれまで以上によりきめ細かくなされてきているというふうに考えています。地域あっての長野県でございますので、少しずつではありますけれどもいい方向で変化が出てきているのではないかというふうに感じているところであります。  ただ、先ほど申し上げましたように、各職員が声を出して行動できるというような観点からすると、本庁と現地機関との関係もこれまで以上に改善すべき部分がまだまだあるんじゃないかなというふうに思っております。県庁、本庁、そして現地機関含めて、一体となってスピード感を持って主体的、積極的な仕事ができるようにさらなる改善に努めていきたいというふうに思っております。  以上です。       〔34番今井敦君登壇〕
    ◆34番(今井敦 君)さまざまな取り組みをしていただいているということでございます。何とぞそうした取り組みが県民益に資する、本当の意味でそういった形になるようにしていただきたいというふうに思います。  最後に一言だけ申し上げさせていただきますけれども、知に働けば角が立つ、情にさおさせば流されると人間のさがを夏目漱石は草枕の中で記しているわけでありますけれども、全体の奉仕者であるべき公務員が情にばかり流されていては社会の秩序は保てませんが、その一方で、裁量の余地もない厳格なマニュアル主義やしゃくし定規な仕事の進め方では県民の心や信頼は遠のいてしまうんだというふうに思います。  地方創生が求められる今こそ、常に県民に寄り添い、正しいことは自信を持って進め、そしてまた間違ったことは毅然とした態度で立ち向かう、そんな職員像、組織像が求められているのではないか、そんなふうに思うところであります。  そんなことを申し上げまして、私の質問を終わります。 ○副議長(諏訪光昭 君)次に、浜章吉議員。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)最初に、学びの改革基本構想についてお伺いいたします。  県立高校の第2期再編や高校教育のあり方を含めた学びの改革実施方針の策定に向けて、本年7月中旬から8月末にかけて、旧12通学区ごと県内一巡する地域懇談会が開催されました。私自身、出席者から寄せられる御意見を伺いたく、地元の諏訪会場並びに最終日の飯田会場にも出向いてまいりました。  両会場で、参加者からの声は、少子化への対応や新たな教育の推進についての考え方に一定の理解を示す一方で、都市部存立校と中山間地存立校とに大きく二つに分けた考え方、再編基準の規模等について、現段階では県民の理解を十分に得ていないのではないかと。実感でございます。  地域懇談会では、特定の高校の存続を望む声や新しい高校将来像などさまざまな意見が寄せられたわけでありますが、そこから見えてきた課題について教育長にお伺いをいたします。  2点目、今後の高校教育の具体像と進め方についてお伺いをいたします。  今回の計画では、先進的な取り組みとして、探究的な学びを全高校で進めること、分類による都市部存立普通高校は1学級40人で1学年6学級以上が望ましいこと、また、2年連続で在籍生徒数が520人以下となった場合、これらを下回った場合には再編対象とし、他校との統合、または募集停止となるものであります。これらの再編基準を単純に当てはめると、当然該当する高校が生じてまいります。このことにより、在校生はもとより中学生への進路指導の影響も生じることから、教職員、同窓会、教育関係者、該当校の高校生、保護者、それに地域関係者からも不安と熱い視線が注がれております。  私は、まず1学級40人を基準とすることが果たしてベストなのか、疑問を持っております。むしろ、主体的に共同的な課題解決力を高めた社会を創造する学習のあり方の探求、学びの改革こそ、小中学生同様に少人数学級、30人規模こそ望ましいものと考えるものであります。  そこで、高校の学びの内容、学び方がどう変わるのか、特色や魅力ある学校づくりに向けた高校教育の将来像をより明確に示し、自治体や教育関係者とも広く意見を徴し、現状や計画内容の理解を深める必要があると思いますが、今後の県教委の進め方について教育長に伺います。  続きまして、学びの改革実施方針の策定についてお伺いをいたします。  現在、岡谷市は、普通高校2校、工業高校1校の3校を初め、下諏訪町に普通高校1校が、そして諏訪圏域には県立高校が計9校あります。県教委は、これからの新たな高校づくりについて、市町村よりもさらに広く、旧通学区全体で考えていきたい。そのために地域協議会のようなものが立ち上がることを期待するとも触れております。  それでは、これらのことを誰がどのように取りまとめて進めていくことを考えていらっしゃるのか、この点も教育長にお伺いをいたします。  次に、新たな産業学科、科目の設置を提言いたしたくお伺いします。  諏訪地域は、精密微細加工技術を基盤とする工業集積地でもあります。県立岡谷工業高校はその人材育成の核となる学校であり、計画では、都市部存立専門校として示されました。県内の土木建築学科の存立分布を見ますと、諏訪上伊那地域にはその設置がなく、空白地帯となっております。これだけ広い地域に土木建築学科がないのはいささか問題ではないでしょうか。  技術者不足、人材不足が顕著で、産業界でも大きな課題を背負っておりますが、女性の学びと働く場を確保するためにも、地域経済を牽引する土木建築学科を新たに設置すること、産業人材を育成する専門教育のあり方を考える中で、理系学を学ぶ総合産業校としてなお一層学力向上を図る必要があると思います。設置の意向はいかがでしょうか。  以上4点、1回目の質問を教育長にお伺いをいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)高校改革についての御質問でございます。  まず、地域懇談会から見えてきた課題でありますが、地域懇談会には2,500名を超える県民の皆様に参加していただきました。そうした地域懇談会等での質問、意見から、おおむね県民の皆様のコンセンサスを得られたと考える点を総括整理いたしますと、一つは、やはり生徒の絶対数が確実に減少する中で高校再編が必要であること。二つ目、その場合に、都市部と中山間地で同じ基準をそのまま適用することは難しいのではないかということ。そうしたときに、中山間地についての再編基準、中山間地存立校についての再編基準でありますとか、中山間地存立校の中に中山間地存立の特定校という考え方を設けること。さらには、どの学校を都市部存立校とし、どの学校を中山間地存立校とするかという考え方には、おおむねコンセンサスが得られているのではないかというふうに考えておりますが、一方、都市部存立普通校の再編基準については今後さらなる理解を得ていく必要があるというふうに思っております。  都市部存立校の再編基準をもう少し小さな規模としたらどうかという御意見もありますが、仮にそうしたとしても、少子化が確実に進行する中、時期がおくれるだけでいずれ判断が必要になるということも考えられます。  県教育委員会としては、できるだけ早く新しい時代にふさわしい新しい学校をつくっていくことが将来の子供たちの学びの環境を整える上でも重要だというふうに考えているところでございます。  次に、今後の進め方、検討のスケジュールについてでありますが、地域懇談会等での課題と総括を踏まえて今後のスケジュールを変更したところであります。  まず、本年11月に公表を予定しております「「学びの改革実施方針」策定に向けて」という文書の中で、高校の学びの内容、学び方等がどう変わるのか、どのような高校をどのようにするのが望ましいのか、今後の進め方、スケジュールといった点について地域懇談会等での議論を踏まえた県教育委員会の考え方を示してまいりたいと思っております。  その後、2回目の地域懇談会等でさらに議論を深め、平成30年3月には学びの改革実施方針案を公表し、パブリックコメント等を経て、9月には学びの改革実施方針を策定してまいりたいというふうに思っております。  また、御指摘にありました少人数学級についてでございますが、高校はクラス編制と授業編成が必ずしも一致するものではないといったことを踏まえて、授業における少人数学習の進め方をさらに検討していきたいというふうに思っております。  次に、地域協議会の構成や進め方についてであります。  県議会6月定例会でお示ししたとおり、例えば各市町村の首長や市町村教育委員会、学校関係者、保護者、産業界代表等で組織される地域協議会のようなものが自主的に立ち上がり、旧通学区全体の高校教育の将来像を考えるため議論が広く展開されるということを期待するものであります。そういう意味では、地域ごとの自発的な組織の立ち上げを想定しておりますけれども、全県の動きを見ながら県教育委員会としても一定の役割を果たしていくことを考えていきたいと思っております。  それから、岡谷工業高校への土木建築学科の設置についてであります。  AIやロボット技術の急速な進展が工業や地域経済を大きく変化させ、従来の工業とか商業といった枠組みで今後の産業を捉えることが難しくなってきている状況でもあります。こうした中、これからの専門高校は、複数の学科を横断的に学習できるなど、産業を幅広く学び、社会の変化に柔軟に対応できる生徒を育てるという視点が大切かと思っております。  急激に少子化が進む中で、岡谷地区のみならず、諏訪圏全体で専門学科をどのように構成しどのように配置していくかを将来の子供たちのために考えていくことが重要だと思っております。特に、土木建築系の学科等の県内でも設置数が少ない学科につきましては、産業動向を踏まえつつ県全体で考えていくことが必要であるというふうに認識しております。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)御答弁をいただきました。  今の質問でも懸念した点でありますが、40人学級を理想とするというお話でございましたが、少人数学級のあり方というのもこれから検討していくというお話でございます。期待をしてまいりたいと思います。  先日の報道でありますが、学びの改革実施方針の策定の時期を当初計画より半年おくらせ、平成30年9月まで延長するということでございます。かつて平成21年3月に示されました第1期長野県高等学校再編計画で性急な再編の進め方に反発を招いて曲折をたどった経緯の記憶は新しいところでございます。基本構想においては、第1期再編計画よりも高いハードルが設定されたものであり、今回の第1回の地区懇談会により、県民の皆様方は高校の将来のあるべき姿を考える議論のスタートの場に立ったわけであります。拙速に進めることなく、新たな高校将来像についてよりよい方向を目指してしっかりとした議論をし合う中で進めていただきたいと思います。  それでは、次に、大きな項目二つ目、消防防災航空体制の再構築についてお伺いをいたします。  最初に、本年3月の長野県消防防災ヘリ「アルプス」の墜落事故から半年が経過し、改めて殉職された9名の隊員の皆様方の御冥福をお祈りしたいと思います。  申し上げるまでもなく、「アルプス」が担ってきた緊急出動要請への役割は大きく、事故後、今日に至るまで、県内各地で人命救助や山林火災等、緊急要請が相当数あったことと推察いたしますが、県警を初め隣接県への応援要請等、事故後の対応状況について危機管理部長にお伺いをいたします。  次に、阿部知事にお伺いをいたします。  県では、6月に消防防災航空体制のあり方検討会を発足させ、作業部会も含めると6回にわたる会合を開いて検討を重ねてきたと伺っておりますが、その進展状況が県民に大変わかりづらいとの声も寄せられておるところでございます。  今月20日に開催された会議では、当面の課題への対応として、ダブルパイロット制を初めとする安全対策をさらに充実することや、来年春には林野火災の消火活動を再開できるようヘリの借り上げと操縦士等の派遣を民間航空会社に求めることなどを内容とする検討結果が取りまとめられたとお伺いをしております。殉職された隊員の御遺志に報いるため、また、県民の安心、安全を確保するため、私も消防防災ヘリの一刻も早い運航再開を願うものであります。そこで、あり方検討会での検討結果を受け、今後、長野県としてどのような考えで運航再開に臨み、どのようなスケジュールで取り組んでいくのか。  以上2点をお伺いいたします。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)消防防災ヘリコプターの事故後の緊急出動への対応状況についての御質問をいただきました。お答え申し上げたいと思います。  消防防災航空体制につきましては、今までの隣接する6県との相互応援協定に基づきます応援でありますとか警察本部の応援に加えまして、埼玉県及び愛知県と新たに協定を締結し、対応しているところでございます。また、大規模な火災等が発生した場合につきましては、消防組織法に基づきます広域航空消防応援や自衛隊への災害派遣の要請を行うなど、迅速な体制を確保してまいりました。  ことし5月に発生いたしました飯田市の林野火災におきましては、現場が急峻な山間地にあり、消火活動は難航いたしましたが、東京消防庁ほか5県のヘリコプターと自衛隊のヘリコプターによります空中消火活動や地元消防の懸命の活動によりまして鎮火に至ったところでございます。  この飯田市の林野火災を含めまして、事故以降の受援状況につきましては、9月26日現在、火災が6件、救助が18件、救急が1件の合計25件となっております。今後も隣接県等との連携や応援を得ながら緊急出動要請に対して万全を期してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)消防防災ヘリの運航再開に向けた決意とスケジュールという御質問でございます。  消防防災ヘリコプターの運航再開に向けまして何より重要なことは、安全第一ということであります。県として絶対に事故を起こさないという決意のもとで取り組んでいきたいと考えております。このため、運航を再開するためには、まずあり方検討会がまとめた安全対策としてのダブルパイロット制や安全運航に関する専門職の設置など、さまざまな対策をしっかりと具体化していくということが重要だと考えております。  今後、検討会が示されました来年春からの林野火災消火活動を目指しまして、民間ヘリコプターの借り上げ等に係る予算化や隊員の十分な訓練など、運航再開のために必要な取り組みを着実に進めていきたいと考えております。  以上です。       〔18番浜章吉君登壇〕 ◆18番(浜章吉 君)本年も、飯田市を初め約25件の出動要請があったということでございます。いつまでも隣接県の応援体制等を続けるわけにはまいりません。再開については十分検討されているとのお話でございますが、要は、その進みぐあい、検討していただいている状況を、心配している県民に的確に示していただくということ。新聞報道だけではなくて、検討状況を積極的に県民の皆様方にお知らせいただくこともお願いしながら、一切の質問を閉じさせていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(諏訪光昭 君)この際、15分間休憩いたします。         午後3時6分休憩          ──────────────────         午後3時22分開議 ○議長(垣内基良 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  山口典久議員。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)最初に、公共交通について伺います。  平成25年策定の長野県新総合交通ビジョンでは、公共交通から自家用車への利用の転換、高校生以下の若年人口の減少、さらに運転免許を保有する高齢者の増加等により公共交通の利用者数は減少を続け、交通事業者の採算性の悪化、公費負担の増加など、このままでは必要とされる公共交通が存在しなくなることが強く懸念されるとしてきました。  このビジョンの策定から5年たちました。県もさまざまな取り組みや努力をされていると思いますが、現在の県内の公共交通はどうなっているでしょうか。  中山間地の地域交通について伺います。  新総合交通ビジョンでは、県内の高齢者を中心に14万人が最寄りの店から遠いが自動車を持たない、いわゆる買い物弱者に該当するとされています。通院も、家を出てからバスを2回乗りかえなければならないとか、通学は定期代が1カ月3万円以上に上るなど、経済的な負担も大変です。  地域交通の現状が県民の暮らしにどのような影響を及ぼしているでしょうか。  高齢化が進んでいる中山間地域や過疎地域では、生活交通の廃止がさらなる人口減少を招き、コミュニティーの維持にも影響を及ぼしており、地域社会を存続させるためには生活の足を確保する必要があります。  こうした中、公共交通が空白の地域では、自家用有償運送制度、いわゆる白ナンバーを望む声を特にお聞きします。また、地域における移動手段の確保のために役立ちたいという元気な高齢者もいらっしゃいます。この自家用有償運送制度は、今後県内において需要が高まっていくと思われますが、いかがでしょうか。  この8月の県モビリティ・マネジメント検討チームの報告書では、コミュニティーバスやデマンド型交通、乗り合いタクシー、有償運送など、中山間地の公共交通の利用を促進するために、地域交通の専門家を交えた検討や、路線を新設する前に世帯を訪問し路線の需要などについて面談を行い調査する。そして、住民が本当に路線を利用するにはどのような条件が必要か見きわめて運行内容に活用する。運行内容が決まったら、利用方法や時刻表などをまとめてチラシを持参し、運行情報の提供を行い、利用を促す。また、自治会の会合や高齢者教室に出向くなど、いわゆる地域に細かく足を運び、丁寧に実情を踏まえた働きかけが効果的だとしています。  9月19日に行われた第3回地域における移動手段の確保・補完に関する検討会、生活交通部会では、松本市の西部地域コミュニティーバスの経験が紹介されました。3年間、毎年評価、検証を行いながらルート等を見直して実証運行を実施し、そして本格運行に移行したそうですが、毎年右肩上がりに利用者がふえています。地域に入り、きめ細かく住民の皆さんの要望、声をつかみ、それを地域とともにまとめて具体化していったこと、また、こうした取り組みを担う専門家や人材のかかわりが重要だと思われます。  こうしたモデル、そして成功例だけでなく、さまざまな模索もあると思いますが、長野県として市町村や業界、そして住民とともに各地の実践例の研究や交流を行う場を広げていくことが求められているのではないでしょうか。  以上、企画振興部長に伺います。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)公共交通についての御質問に順次お答えを申し上げます。  まず、県内の公共交通の状況についてでございます。  代表的な公共交通機関であります乗り合いバス事業の利用者数は、ここ数年ほぼ横ばいでございまして、この傾向は、県内公共交通全体でも同様のものとなっております。他方で、自家用車登録台数や運転免許保有者数は右肩上がりで増加しており、利用者の減により廃止を余儀なくされるバス路線も出ている状況でございます。加えて、公共交通を確保するための自治体の負担は年々増加していますことや、高齢による運転免許の返納者がふえつつあること、こうしたことを踏まえますと、公共交通を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあると認識をしております。  続いて、中山間地の交通についての御質問でございます。  まず、県民の暮らしへの影響という点でございますが、中山間地における公共交通は、自家用車を運転できない住民にとりまして日常生活に欠かせないものでございます。県民の暮らしを確保するため、県では、広域的、幹線的なバス路線に対しまして、赤字分に対する補助や県有民営方式といった形での支援を行っております。また、市町村では、コミュニティーバスやデマンド交通の運行などにより、地域の実情に応じた地域住民の買い物や病院への足を確保しているところでございます。このように、現在は地域住民への影響が極力出ないように取り組んでおりますけれども、これらの対策が継続できなくなった場合の影響ははかり知れないものと思っております。  次に、自家用有償運送についてでございます。  自家用有償運送は、市町村、NPO等が自家用車を用いて有償で行うものでございます。バス、タクシー等により公共交通が提供されないエリアにおいて、知事への登録を行い実施するものとなっております。県内では、現在、本年8月末現在で133団体が登録されておりまして、市町村やNPO、社会福祉法人がその担い手となっております。自家用有償運送は、地域の交通手段の一つとして、交通事業者による交通網を補完する重要な役割を果たしております。  地域の公共交通は、バス、タクシーを中心としつつ、こうした自家用有償運送等の補完も用いたいわゆるベストミックスによる展開が必要でございます。今後とも、関係者と連携し、地域の実情に合った公共交通の実現に県としても積極的にかかわってまいりたいと考えております。  最後に、モビリティ・マネジメントについてでございます。  公共交通を維持していくためには、利用者の確保が必須であり、そのためには、住民に対する利用促進活動が極めて重要でございます。公共交通の利用促進につきましては、これまで、交通事業者や行政機関が住民に対し時刻表やパンフレットを配布するなど、主に広報活動を行ってまいりました。今後は、学生や高齢者などターゲットごとに戦略を立て、地域に入り込んで公共交通の利用に向けた意識の転換を図っていく取り組みが必要と考えております。  現在行っている検討会の中では、ターゲットごとの動機づけとして、例えば、買い物であれば商店街、学習であれば図書館や公民館といった形で、交通利用の目的地と連携した利用促進の取り組みが効果的ではないかと話題になったところでございます。こうした取り組みは、県だけでなく、市町村初め関係者が力を合わせて取り組む必要がありますことから、市町村や関係者が情報交換したり取り組みを調整する場を広域単位で設置することも検討したいと考えております。  以上でございます。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)地域交通の確保は、地域づくりの取り組みとしても非常に重要だと考えます。県として、部局横断的に、また地域振興局などで地域の横断的な課題として位置づけて、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  次に、学校のクーラーの設置について伺います。  地球の温暖化が問題になっておりますが、気象台のデータを調べたところ、最高気温が30度を超えた真夏日は、長野市がこの10年間の平均で年間50日ありました。20年前の平均をとると39日ですので、10日以上真夏日がふえていることになります。同様に、松本市は、真夏日がこの10年間の平均が53日、20年前の平均が42日ですので、やはり10日以上ふえています。上田市はこの10年間の平均が51日、20年前が42日です。  そこで、学校の教室について伺います。  文部科学省の学校衛生基準によれば、夏の教室の温度は30度以下が望ましいとされておりますが、県内の高校、特別支援学校の教室はどうでしょうか。  長野県内の学校のクーラーの設置状況は、文部科学省の平成29年度調査で、小中学校は全教室の8.6%、全国平均が41.7%、高等学校は13.7%、全国平均が49.6%、特別支援学校は33.3%、全国平均74.5%です。  県は、この間、県立高校において、交通騒音や砂じん対策、またコンピューター室、プレハブ教室にクーラーを設置し、平成24年度から取り組んできた保健室への設置も今年度終了したということです。しかし、現状から見ますと、クーラーの設置は児童生徒の健康と学習環境の改善のために急がれる課題だと思いますが、いかがでしょうか。
     特に、特別支援学校においては、体温調整が困難で気温の変化に対応しづらい子供たちがいる中で、健康にかかわりかねません。クーラーの設置は待ったなしであり、とりわけ特別支援学校は優先しても設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。  クーラーの整備計画について伺います。  現在建設中の高校でもクーラーが設置されていないところがあります。完成後、将来的にクーラーを設置するなら、新設時に設置したほうが無駄がないと考えます。県内の高校のクーラーについて、県としてどのような整備計画を持っているのでしょうか。  国の交付金について伺います。  現在、高校のクーラー設置の施設整備の交付金の制度はないということです。しかし、全国的にもまだ半分以上の教室が設置されていないわけですから、交付金制度の創設を国に要望していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  小中学校は、文部科学省の学校施設整備に関する関係交付金を活用して、市町村が保健室や特別教室へのクーラーなどの設置を進めていますが、要望が国の予算を上回り、採択されていない学校もあるとお聞きします。交付金の確保、事業の採択について国へ強く働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  以上、教育長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)学校のクーラーの設置に関する御質問でございます。  県内の学校における夏の教室温度の実態についてでございますが、統一的に教室の温度を調査したデータはございませんが、クーラーが設置されております特別支援学校を見てみますと、夏季の休業期間を除きまして、7月の第1・2週から9月の第1・2週にかけてほぼ毎日クーラーが稼働している状況でございます。クーラーは室温がおおむね28℃以上の場合に稼働することになっておりますが、この稼働状況から見ますと、教室が高温になっているということが推察できると思いますし、また、高等学校の教室においても同じような状況だろうというふうには思っております。  次に、特別支援学校のクーラーの設置についてでございますが、特別支援学校においては、保健室及び重度重複学級については全校設置済みでございます。それから、児童生徒が長く過ごす寄宿舎室への設置もほぼ完了しているほか、これまでも個別の実態に応じて体温調節が困難な児童生徒が在籍する教室には優先的にクーラーの設置を進めてきたところでございます。今後も、各学校からの要望や実態等を適切に把握しながら、児童生徒が安心して学習に取り組めるよう、引き続き必要な教育環境の整備に努めてまいりたいと思っております。  また、高校のクーラーの整備計画というお話でございます。  御質問の中にありましたとおり、高校については、まず交通騒音により窓を開放することができない場合でありますとか、校庭等の砂じんにより窓を開放することができない場合など特別な事情を抱える教室等への設置をまず基本的な考え方としております。平成24年度から6か年計画で保健室への設置には取り組みまして、今年度で全ての県立高校への設置が完了したところでございます。  今後も、必要性の高い教室からということでありますが、高校の環境改善に関しましては、例えばトイレの洋式化の要望でございますとか、そのほかにもさまざまな御要望がございます。そういう意味では、早く将来の安定的な教育投資が可能となるような環境を整えていきたいというふうに思っております。  それから、施設整備に関する交付金制度の創設の要望についてでありますが、高校の施設整備を対象とした交付金の財政措置の拡充については、全国の都道府県、教育委員会とともに国へ要望しているところでございまして、今後も引き続き要望してまいりたいと思っております。  また、小中学校の施設整備交付金の要望につきましては、ここ数年、国の交付金が、全国からの要望額に対し当初予算額が下回る状況となっておりまして、交付が見送られるケースが生じているところであります。国では、補正予算も活用して事業採択の努力をしていただいておりますけれども、計画的な施設整備を進めるためには年度当初に予算が確保されることが必要だというふうに認識しておりますので、このことについては、他の都道府県教育委員会とともに国へ要望しているということでありますが、県教育委員会としても直接国へ要望しているところでございます。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)特別支援学校につきましては、積極的に細かく温度をはかるなど、ぜひきめ細かい対応をしていただきたいというふうに思うところです。  さらに、クーラーの整備計画ですが、先ほど教育長もおっしゃいましたけれども、トイレを初め老朽化した校舎の改築などは確かに懸案の課題だと思います。学校施設の老朽化が進む中でその手当ても必要になっているわけですが、ここはやはり児童生徒のためにクーラーも含めてしっかり予算を確保していただきたい。安定的な教育投資を確保するということとともに、次期5カ年計画などにも積極的に位置づけていただいて、県の教育委員会もクーラーの整備計画をきちんと持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。再度教育長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)再質問をいただきました。しっかりとした整備計画を持ってもらいたいという御要望でございます。  私どもとしても、先ほども申し上げましたとおり、トイレの洋式化を初めさまざまな施設整備を必要としておりますので、それらが全体としてうまく進めるような形で進めていきたいというふうに思っております。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)次に、学びの改革についてお伺いをいたします。  学びの改革基本構想は、社会が大きく変わる中で、新たな高校づくりとして、高校の再編整備を行うこと、また、探究的な学びに転換する新たな教育の推進がうたわれております。  7月14日から8月31日まで、県下12カ所で地域懇談会が開催されました。この地域懇談会では、県民からどのような意見が出されたのでしょうか。また、発言だけではなく、参加者のアンケートの集約と公表なども含めて、今後の対応や進め方についてどう考えていらっしゃるのでしょうか。教育長に伺います。  地域懇談会では、探究的な学びに関することから、望ましいとされるクラス数を初め基本構想そのものにかかわる部分でさまざまな意見が出されたと思います。学びの改革の実施方針の発表、策定は半年間先延ばしにされるということですが、実施方針だけではなくて、基本構想の再検討が必要だと考えますが、いかがでしょうか。  次に、その基本構想の柱の一つである高校の再編整備について伺います。  私は、8月9日、長野市で開かれた地域懇談会に参加しましたが、高校の再編整備として、都市部の普通校は6クラス、中山間地は3クラス以上が望ましいとし、生徒数がその基準を割り込んだ場合は、他校との統合や募集停止、地域キャンパス化などの対象とすることにさまざまな質問や意見が出されました。  クラス数については、そもそも県が2015年に行った県民アンケートでも、3クラス、4クラスが適正と答えた回答が4割に上りました。地域懇談会でも、高校生の父母から、クラス数の少ない学校が地域との結びつきや自然体験、部活動などでも生徒も生き生きと活動している様子が語られておりました。  例えば、小さな学校は部活動など活力が低下するという議論もあります。しかし、中学校などでも、全員参加の部活動や少人数でもできる部活動、他の学校との連合チームなど、いろんな工夫や努力が行われており、小さな学校は活力が低下するというのは議論の余地のあるところだと思います。  1クラスの人数は40人が基準になっています。しかし、中学の特別支援教室から高校へ入ってくる生徒もふえており、こうした中で少人数のクラスこそ一人一人に寄り添った丁寧な指導ができるという報告も懇談会で出されておりました。授業編成、つまり授業のための少人数クラスだけではなくて、クラス編制、生活の場としての少人数クラスの有効性を指摘する声だと思います。4クラス、5クラス、そして少人数のクラス編制こそ、教師も生徒も人間的な触れ合いが可能になり、落ちついた授業や学校全体の一体感が得られるのではないでしょうか。  先日、地域懇談会に参加した地域の区長さんの投稿が新聞に掲載されておりました。村では、保育園、小中学校が一つずつ、どんなに人数が減ろうと再編などできないし、しないで頑張っている。高校でも考え方は同じではないか。減らす条件を提示するのではなくて、逆にどう残すのか考えて地元を励ますのが県教委の務めのはずだ。そう述べて、この区長さんは、1学級40人の定員を大幅に下げ、地域の実情を踏まえ存続すべきだ、そのためには地域全体で努力していきたいと発言されたそうです。さまざまな魅力やかけがえのない役割を果たしているのが小さな学校や少人数のクラスです。それを応援する地元を励ますのが県教委の役割だという意見には同感です。  先ほども、教育長は、御答弁の中で、望ましいクラスなど理解を得ることが重要とおっしゃいましたけれども、私は、理解を得ることよりも、今再検討を行う、その姿勢を県教委が明確にすることこそ重要だと考えます。それは、県教委が言っている地域の高校のあり方を考える大切な意見だと思います。教育長の考えを伺います。  今回、教育長は、実施方針の発表と策定を半年延長すると明らかにされましたが、これは、期間を区切って進めるのではなくて、拙速にならないように時間をかけた十分な論議を、各地の懇談会でも出されましたし、私自身も求めたいと思います。拙速にならない丁寧な論議、ここにこそ本当の意味での学びの改革、今長野県が求められている教育の改革の姿であるのではないでしょうか。  以上、教育長にお伺いをいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)学びの改革についての御質問でございます。  まず、地域懇談会でさまざまな意見が出たが、その分析と今後の進め方という御質問でございます。  どういう高校をという意味の再編の部分に関しましては、先ほど浜章吉議員にお答えしたとおりでございますが、さらに、学びに関しては、探究的な学びを進めていくことに期待する声が多く寄せられたところでございます。一方、その探究的な学びを進めるに当たっては、少人数で学習できる環境を整えるべきだという意見も寄せられたところでございます。今後、これらの課題等を総括しながら、本年11月に「「学びの改革実施方針」策定に向けて」として県教育委員会の考え方を公表して、その後開催する予定の2回目の地域懇談会等で議論を深めてまいりたいというふうに思っております。  次に、基本構想そのものを再検討すべきではないかというお話でございます。  まず、先ほど浜章吉議員にお答えしたとおり、地域懇談会等で出された御意見、質問から、おおむね県民の皆さんのコンセンサスを得られたと考える点を整理いたしますと、一つは、やはり生徒の絶対数が確実に減少する中では高校再編が必要ではないか。その場合に、都市部と中山間地で同じ基準では難しいのではないか。中山間地については、中山間地存立校の再編基準の考え方でありますとか中山間地存立校の中に中山間地存立特定校を設けるということで中山間地の高校の学びをしっかり支えるという点。それから、どの学校を都市部存立校として、どの学校を中山間地存立校とするのかという考え方もお示ししたところであります。こういった点についてはおおむねコンセンサスが得られているのではないかと考えておりますが、一方で、都市部存立普通校の再編基準については今後さらなる理解を得ていく必要があると思っております。  先ほども申し上げましたけれども、都市部存立校の再編基準をもう少し小さな規模としたらどうかという御意見もありますが、仮にそうしたとしても、少子化が確実に進行する中では、時期がおくれるだけでいずれ判断が必要となってくるわけで、県教育委員会としては、できるだけ早く新しい時代にふさわしい新しい学校をつくっていくことが将来の子供たちの学びの環境を整える上でも重要だというふうに考えております。  また、少人数学級については、高校はやはり小中学校と違うという面があることは御理解いただけると思います。その中で、クラス編制と授業編成が高校の場合には必ずしも一致しない、そして、それを踏まえて授業における少人数での学習の進め方をさらに検討していくこととしたいと思っております。もちろん、授業を成立するための学級経営としてどういうものが適切なのかということも当然あるかと思いますので、そんな点も含めて検討していきたいと思ってます。  学びの改革基本構想は、将来にわたって高校教育の学びの質を保障するという思いのもとで策定しておりますので、この基本構想にのっとって着実に学びの改革を進めてまいりたいというふうに思っております。そういう意味で、先ほどの再編基準とか40人学級に対する再検討のお話については、今御答弁したところでございます。  それから、実施方針の策定スケジュールについてもう少し時間をかけてというお話でありますが、少子化が確実に進行し生徒の絶対数が減少する中では、次代の子供たちの学びの環境をできるだけ早く整えることは次世代に対する私たち世代の責任であるというふうに思っております。学びの改革の実施方針策定に向けて地域の皆さんとも丁寧に協議を重ねてまいりたいというふうに考えております。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)教育長は、先ほど望ましいとするクラス数のことをおっしゃいましたけれども、私は、この望ましいとするクラス数そのものにはコンセンサスは得られていないというふうに考えているところです。  少人数学級について、昨日から、教育長は御答弁の中で、クラス編制と授業編成が高校は必ずしも一致しない、こう述べられております。私は、それならば、基本構想の望ましいとされるクラス数ももっと柔軟であってしかるべきではないかと思うところであります。  高校での少人数学級は、さまざまな団体や組織が求めてまいりました。2010年の文部科学省の聞き取りにおいて、全国高等学校PTA連合会は、学力の向上やいじめの発見の対処のためにも1学級36人程度がよいとしています。  この長野県では、さまざまな苦労や困難もあったと思いますが、義務教育において、まさに全国に先駆けて少人数学級を実施してまいりました。第2期長野県教育振興計画では、充実、維持したい教育活動、つまり施策の推進の成果として、長野県の特徴となっている教育活動に、国に先駆け、小中学校30人規模学級編制が実現している。今後も全国トップクラスの学習環境を維持していくと記しています。まさに誇るべき長野県の取り組みの一つだと思います。これをぜひ高校でも実現していただくことを要望して、終わります。 ○議長(垣内基良 君)次に、髙橋岑俊議員。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)それでは、早速質問に入らせていただきます。森林税の活用につきまして林務部長にお伺いしたいと思います。  森林税は、導入以来10年を迎えようとする中、大北森林組合不正受給問題に端を発し、その制度の継続、あるいは使途等が盛んに議論されているところでございます。  そんな中、基金残高の是正についてお伺いいたしますが、森林税の収入約6億5,000万の中で4億9,000万という多額の基金残高があるわけでございまして、その要因として、制度見直しの怠り、あるいは予算執行抑制というものを理由に挙げておられますが、実はその不執行額は年度税収の4分の3、75%に相当し、財源は目的税であることから、事業執行そのものに問題があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  私は、そういう意味で事業執行に疑問があるわけでございますが、清沢議員の質問もございましたけれども、市町村への森林づくり推進支援金の配分を、現行1億3,000万円を9,000万円と4,000万円減額するという予定でございますが、果たしてその根拠がはっきりしているのか、それをお伺いしたいと思うわけでございます。  次に、長野県南部には竹林が大変多く存在し、真竹だとか孟宗竹、あるいはハチコ等たくさんの種類があるわけでございまして、食用としてのタケノコはもとより、かつてはかごやざる、あるいは竹ひご等の細工品、物干しざお、釣りざお、あるいはいろりの自在かぎの調整具、また竹の皮はおにぎりの包装具として大変幅広く竹林が利用されてきたところでございます。  竹の生命力は大変強く、1年間で丈も非常に伸びますが、その生育域を大きく広げるとともに密集化してまいります。皆様も、熊本県へおいでになったときには、山林の中で、竹林に森林の木が押しやられて遠慮がちに樹木が散在する風景をごらんになったことがあるのではないかなというふうに思うわけでございます。それほど竹林の勢いというものは強いわけでございます。  生活様式の変化によりまして、竹の資源活用というものは非常に減ってまいりまして、あわせて、南信地域におきましては、管理する人の高齢化、あるいは不在地主化によりまして、竹林は冬には雪の重さから道路に竹が垂れ下がり交通の妨げになったり、あるいは河川の流木ならぬ流竹となって災害の原因を引き起こしたり、あるいは地域の荒廃、こういうようなことを引き起こしてくるわけでございまして、竹林の整備も早急に対策をしなければならない課題だというふうに考えるわけでございます。  ところで、森林とは、森林法第2条におきまして、木と竹、木竹が集団して生育しているその土地、またその上に存在する立木竹と定義されております。したがいまして、竹も森林に入りますので、森林整備の対象になってくるわけでございます。  そこで、里山整備において竹林対策の位置づけをどうされているか。また、竹林面積がどのぐらいあるのか。それから、28年度でこの事業費をどのぐらい計上、実行されているか。もし数字がありましたら教えていただきたいと思います。  それから、竹林の放置は、今申しましたけれども、森林の荒廃にもつながるわけでございまして、その対策をどのようにお考えになっているか伺いたいと思います。  また、竹は、先ほど申しましたように、いろいろの資源として利用できるわけでございます。これは、紙の原料にもなるということで、大変幅広い利用価値があるわけでございまして、これらの竹林の整備と、またその資源活用と、合わせて五つほどでございますけれども、質問いたします。       〔林務部長山﨑明君登壇) ◎林務部長(山﨑明 君)森林税につきまして4点御質問をいただきました。  初めに、4億9,000万円の基金残高に対するお尋ねでございます。  森林税事業の遂行に当たっては、計画的に取り組むことが基本ではありますが、自然を相手にする森林整備という性格上、必ずしも計画どおりに事業の進捗を図ることが難しいなどの理由から、森林税につきましては、一旦基金に積み立て、事業の進捗に応じて年度間の調整を行いながら森林整備等に活用する仕組みとしております。  現在の基金残高につきましては、ただいま議員御指摘のとおり、国の制度改正等に対応した制度見直しを行わなかったことや、事業のより確実な執行を図るため実施予定箇所を精査し、予算を一時抑制したことなどによりまして、約4.9億円の基金残高が生じている状況でございます。こうした点を踏まえ、先般公表いたしました基本方針案では、森林税の運用についての検証機能を強化し、必要な制度、事業の見直し等が行えるように改善を図る必要があるとしたところでございます。  次に、市町村への配分額についてのお尋ねでございます。推進支援金の関係でございます。  森林づくり推進支援金につきましては、税制研究会からの御指摘を踏まえまして、財政調整を図るための制度として役割を明確化し、活用し得る事業は、松くい虫被害対策や野生鳥獣被害対策としての緩衝帯整備等の地域固有の重要な課題への対応が行われるよう、第2期の森林づくり推進支援金の活用実績を参考に額を算出しております。  それから、竹林対策を里山整備の中でどのように位置づけるのかというお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、竹林は森林法上で森林の一部でありまして、特に県南部では、繁茂により森林を覆い尽くした竹林が景観や生活環境の悪化を招く問題が指摘されております。こうしたことから、基本方針案においては、竹林につきましても景観等の観点で整備が必要であるとしているところでございます。  また、竹林の県下の面積につきましては、約1,600ヘクタールと見込んでいるところでございます。  次に、竹の資源としての活用についてのお尋ねでございます。  竹資源につきましては、議員御指摘の工芸品などのほかにも、タケノコなどの食材利用や竹炭の原材料、竹ボイラー用の燃料などさまざまな活用ができる資源であると認識しております。地域住民の皆様がこうした資源の活用を前提に里山を利活用する場合にあっては、長野県ふるさとの森林づくり条例の里山整備利用地域において多様な資源利活用のための支援を検討しているところでございます。また、必要な場合には振興局を通じた情報提供を地域に行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)竹林整備につきましては、今、里山整備、森林整備、こういう中に位置づけられているというお話を伺いまして、また、1,600ヘクタールという非常に広大な面積を有するものでございまして、あえてお聞きしませんでしたけれども、清沢議員の質問にございました4,000万円減額するというのも、税制研究会からの一つの考え方があったということからでございますが、やはり事業執行するのは各市町村でございますので、その人たちの政策の中で支障がないように、この4,000万円というものにこだわることなく、もう一度事業計画を立てていっていただく、こんなことをお願いする次第でございます。  次に、県有財産のあり方について御質問いたします。  県有財産のうち、いわゆる箱物と言われるものの敷地は77市町村にどのように存在するのかという質問をいたしましたが、これは資料をいただいてありますので、私のほうで見ましたが、この県有財産の物件を譲渡する形態はどのような形態があるのか。  また、譲渡の基本原則は何に基づいているのか。  また、この譲渡あるいは譲与、無償で渡すことが恐らく譲与という定義づけになっていると思いますが、これらの譲渡あるいは移管に関しまして、透明性を高めるために適正額を検討する機関が必要ではないかというふうに感じております。  総務部長にお伺いいたします。       〔総務部長小林透君登壇) ◎総務部長(小林透 君)県有財産のあり方についての御質問に順次お答えをいたします。  県有財産の譲渡の形態についてでございますが、県有財産の譲渡につきましては、財務規則によりまして適正な時価によるとされているため、原則として有償により譲渡してございます。ただし、財産に関する条例第5条によりまして、市町村等が公共用などに供するために譲渡するときは時価よりも低い価額で譲渡することができるとされていることから、普通財産譲与譲渡取扱基準を定め、相手方及び用途などにより例外として減額譲渡または無償譲渡をしているところでございます。  例えば、市町村等が公共用などに使用する場合におきましては3割を上限として減額しておりますが、それとともに、県が行っている事業等を市町村が引き継いで行う場合につきましては、その後における運営費、維持管理費などの負担が当該市町村に生じることなどを考慮いたしまして無償譲渡としている例もございます。  次に、譲渡価額の決定についてでございます。  適正な時価につきましては、普通財産譲与譲渡取扱基準により、原則として不動産鑑定士による鑑定評価額を参考に決定するとされているところでございます。譲渡価額につきましては、土地の規模等に応じ、各部局の職員から成るファシリティマネジメントプロジェクトチーム会議及び部局長によるファシリティマネジメント推進会議におきまして、こうした鑑定評価額を示しつつ、協議の上、譲渡価額を決定しているところでございます。  今後とも、県有財産の処分等に当たりましては、これらの会議において幅広い視点から慎重に検討を加え、適正を期してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)譲与の中で非常に多いのが、道路敷だとか水路敷ということで、道路の改良やバイパスができたというようなことで不要になった公有土地が町村へ移管されると、これは一般的であろうかなと思うのですが、実は警察の駐在施設や防災施設等を含める中でも、いただいた資料で見ると、県有財産が全くないのが二つの町と22の村に及ぶわけでございます。これは、今の警察の駐在施設も入れてでございますから、実際それを除いたところの町や村の数は圧倒的に多いと。これは、逆にいえば、存在しない町村はそれらの物件を利用する機会も非常に少ないだろうし、また、何かの機会に取得するという機会もないわけでございまして、時として自治体間の公平性を欠くことにもつながりかねませんので、先ほど慎重に検討されていくというお話を伺いましたので、さらに慎重にお願いしたいと思うわけでございます。  次に、インフラ整備のさらなる促進についてということでございますが、実は国土交通省の予算、いわゆる補助公共と言われるこの予算に対して考察してみたわけでございますが、平成13年度のこの補助公共予算を見ますと、このときの国土交通省全体の金額が8兆6,789億円、この年の長野県の補助公共予算は887億円でございました。これを基準にその推移を見てみますと、平成18年度、国は6兆6,718億円、長野県の補助公共予算は443億円ということで、国交省の予算の減少率、この今の平成13年度を基準にした減少率23.1%に対しまして、長野県は驚くなかれ50%の減少であったということでございます。これを国交省と同じような予算編成をしていたとするならば、金額にして238億円年額で補助公共予算をもらいそこなった、逸失したというような計算でございます。  この年が田中知事の最終年度でございましたが、その直前からわずか4年間で、合計いたしますと665億円、事業縮小あるいは廃止というようなことから665億円相当の補助の逸失があったということでございます。現在、平成28年度は国交省の予算が5兆1,747億円、長野県の補助公共予算が480億円ということで、13年に比べますと国交省予算は40.4%減少しておりますが長野県の減少率は45.9%ということで、5.5%まだ上回っておりまして、28年度におきましても、今申し上げた逸失額でいえば4.9億円、約5億円ということでございます。  もちろん、この田中県政当時に膨らんだ665億円、しかもこの平成18年度が238億円も減った中から、これを回復するために、村井知事、阿部知事初め、建設部長、あるいは関係者の皆さんが懸命に国交省のほうに復活要求をしてきておることは大変認めておりますし、敬意を表するわけでございますが、それでもなおかつ5億円というものが復活してこないと、こういうことでございまして、本来国交省と同じ割合で予算を組んでおれば国土交通省からもらえたであろうという補助金は、金額にして累計で1,334億円相当になります。これが、長野県がもらわなかったからよその県へ回っていただろうということになるわけです。しかし、それの回復は非常に難しいということで、その分やはり長野県のインフラ整備事業がおくれているということにつながるのではないかなと思います。  また、当然、それに関連いたします建設関連事業者も工事の受注機会を失ったということにもなりかねないのではないかなというふうに考えておるわけでございます。前年度がまだ逸失額5億円、これが早くプラマイゼロになることを望むわけでございます。逸失額が非常に少なくなってきたわけでございますが、この逸失額も結局行政執行上から出てきたものでございますので、ぜひ財源確保をしていただいて、最低5億円程度の予算措置をしていただければ当然関連事業者の工事発注がふえます。積極的にインフラ整備の充実を図っていただきたいと、こう考えますが、阿部知事にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)インフラ整備に係る予算の確保についての御質問でございます。
     安全、安心で快適な県土をつくる上では、社会資本整備総合交付金を初めとする国からの補助金等を私どもとしてもしっかり確保していくということが重要だというふうに思います。国、国土交通省の予算と長野県の建設部の予算との関係、国の場合は大震災の復興関係であったり、あるいは国家的プロジェクトであったり、さまざまな取り組みがあるわけでありますので一概に比較するのは難しい部分もありますし、発射台をどこに置くかによって大分上がったり下がったりというところは出てくると思います。  しかしながら、冒頭申し上げたように、長野県の場合はまだまだ社会資本整備に対する県民ニーズは高い状況でありますので、予算確保をしっかりと行っていかなければいけないと思っています。これまでも、国土交通大臣を初め政務三役、あるいは事務方の皆さんにも、私を初めとしてしっかりと要請をさせていただき、必要な予算の確保に努めてきているわけであります。  今後とも、長野県の実情を十分国にも伝えながら必要な予算が確保できるように取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上です。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)平成18年度で単年度で238億円と、一概に100%の比較にならないかもしれませんが、この238億円の差がついたものを現在5億円まで戻してきたということは、国あるいは国交省に働きかけた結果であると、そのことは本当に大いに評価する次第でございます。  そんな中で、プラマイゼロ、あと5億円がまず一つでございます。願わくば、将来、よその府県の分を少しでも長野県が奪って長野県の予算の減少率が少なくなることを御期待する次第でございます。  最後に、建設事務所の予算確保についてでございます。これも知事に伺いますが、昨日も、服部議員から、大型プロジェクト、特にリニア関連事業については別枠でと、また、過去の定例会におきまして古田議員も同じような御発言をされておりますが、県内現地機関の建設事務所としては、日ごろ県民の生活に必要不可欠なインフラ整備事業を本当に真摯に毎年実施していただいておるところでございますが、リニア関連事業のような大型プロジェクト事業が開始されますと、特段の措置をとらない限り、県内各建設事務所の必要な予算を圧迫する危惧があるわけでございます。これが圧迫されるとなれば金額的に非常に大きいことでございまして、期待されるインフラ整備がやはり遅延するもとになると考えるわけでございます。  大型プロジェクト事業が実施される場合でありましても建設事務所が一定規模の安定的な予算を確保する必要があることは申すまでもないと思うわけでございます。そういう意味におきましては、私も大型プロジェクト事業には特段の措置が必要と考えるわけでございます。  ちなみに、皆様方にも御理解いただきたいということであえて申しますが、現在進められているリニア関連事業費は500億円から700億円と予想されております。変化はあるにしても、工事期間が仮に10年といたしまして、低く見ても年間50億、高く見れば70億が1年間に費やされるわけでございまして、これを別枠にしなかった場合は、1建設事務所当たり予算が約5億から7億の削減につながるのではないかということで、期待されるインフラ整備がますます遅延となるのではないかという危惧につながるわけでございます。  昨日の服部議員よりの質問を踏まえた中で、建設事務所の一定規模の継続的あるいは安定的な予算確保と大型プロジェクト事業予算確保をどのように措置すると考えているか、阿部知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)インフラ整備のための安定的な予算の確保についての御質問でございます。  生活に必要なインフラ整備につきましては、選択と集中の考え方のもと、地域の御要望、あるいは緊急性の高い事業のほか、ストック効果が大きく地域活性化に資する事業を優先的に進めてきております。リニア中央新幹線の関連プロジェクト、これは私どもも国家的見地でしっかり進めてもらいたいし、国による取り組みも極めて重要だということで、これまでも、リニア中央新幹線に係る基盤整備につきましては国による整備、あるいは地方負担に対する財政支援について強く要望をさせてきていただいているところでございます。  今後とも、引き続きこの点については国土交通省に対してしっかりと働きかけをしていきたいというふうに思っております。そうした上で、地域に必要とされるインフラ整備につきましては長期的な視点に立った計画的な事業執行を図れるよう、安定的な予算措置を行っていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)このような大型プロジェクト事業というものは、地域の産業の振興、あるいは経済発展に多大に貢献する事業であると考えるわけでございまして、ぜひ国、特に国土交通省等からの予算獲得にさらなる御尽力を賜りたいことをお願いいたしまして、一切の質問を終わりにいたします。御清聴ありがとうございました。 ○議長(垣内基良 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明28日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時22分延会 101...