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  1. 長野県議会 2017-07-03
    平成29年 6月定例会農政林務委員会-07月03日-01号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成29年 6月定例会農政林務委員会-07月03日-01号平成29年 6月定例会農政林務委員会 農政林務委員会会議録(その2) ●招集年月日時刻及び場所   平成29年7月3日(月)午前10時30分、議事堂第4委員会室に招集した。 ●出席した委員の氏名   委  員  長       鈴 木   清   副 委 員 長       小 川 修 一   委     員       丸 山 栄 一      同          今 井   敦      同          髙 島 陽 子      同          和 田 明 子      同          高 村 京 子      同          竹 内 久 幸      同          高 橋   宏 ●欠席した委員の氏名    な し ●説明のため出席した者の氏名 (農 政 部)
       農政部長         北 原 富 裕    農業政策課長       中 村 正 人    農産物マーケティング室長 中 山 武 幸    農業技術課長       伊 藤 洋 人    園芸畜産課長       丸 山 秀 樹    農地整備課長       所   弘 志    農村振興課長       小 林 安 男 ●付託事件   別紙のとおり ●会議に付した事件   付託事件のうち1~2、3、6、7、13及び農政部関係所管事務一般について ●開議時刻 午前10時27分 ●鈴木委員長 開会を宣した。  ▲ 審査日程の決定    農政部関係 7月3日(月)、7月4日(火)の前半    林務部関係 7月4日(火)の後半、7月5日(水)  ▲ 日程宣告    農政部関係の審査  ▲ 審査順序の決定   1 付託議案等について理事者の説明   2 質疑等   3 付託議案等の採決   4 陳情の審査  ▲ 農政林務委員会付託事件の報告   予算案1件、事件案1件、専決処分報告1件、陳情11件  ▲ 農政部関係付託事件等の報告    予算案1件、事件案1件、専決処分報告1件、陳情3件  ▲ 議題宣告農政部関係)    付託事件及び所管事務一般を一括して議題とし、議題に関連して理事者の説明を求めた。 ◎北原富裕 農政部長 別添、部長説明要旨に基づいて説明した。 ○鈴木清 委員長 第1号「平成29年度長野県一般会計補正予算(第1号)案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中、歳出 第7款 農林水産業費中の農政部関係について、理事者の説明を求めた。 ◎中村正人 農業政策課長 議案、予算説明書及び別添資料1により説明した。 ○鈴木清 委員長 第13号「交通事故に係る損害賠償について」、理事者の説明を求めた。 ◎中村正人 農業政策課長 議案により説明した。 ○鈴木清 委員長 報第1号「平成28年度長野県一般会計補正予算(第5号)の専決処分報告」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中、歳出 第7款 農林水産業費中の農政部関係について、理事者の説明を求めた。 ◎所弘志 農地整備課長 議案及び予算説明書により説明した。 ○鈴木清 委員長 報第14号「平成28年度長野県一般会計予算の繰越しについて報告」中、第7款 農林水産業費 第12款 災害復旧費中の農政部関係について、理事者の説明を求めた。 ◎中村正人 農業政策課長 議案により説明した。 ○鈴木清 委員長 理事者から発言を求められていたので、これを許可した。なお、理事者の説明中、プロジェクターを用いたい旨の申し出があったので了承願った。 ◎中村正人 農業政策課長 別添資料2「地方分権改革に関する提案(農振除外の要件緩和)について」により説明した。 ◎中山武幸 農産物マーケティング室長 別添資料3「農産物直売所の現状と活性化について」により説明した。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 別添資料4「農作物の生育状況等について」、資料5「東山皮糯109号(ホワイトファイバー)について」及び資料6「平成28年度に開発した新技術について」により説明した。 ◎丸山秀樹 園芸畜産課長 別添資料7「生食ぶどう生産振興について」及び資料8「信州プレミアム牛肉生産拡大について」により説明した。 ◎小林安男 農村振興課長 別添資料9「新規就農者の確保・育成について」、資料10「中山間地農業ルネッサンス事業について」及び資料11「海外からの農業人材受入に係る規制の特例措置の提案について」により説明した。 ○鈴木清 委員長 午後1時30分まで休憩を宣した。 ●休憩時刻 午前11時31分 ●再開時刻 午後1時29分 ○鈴木清 委員長 再開を宣し、引き続き理事者から発言を求められていたので、これを許可した。 ◎所弘志 農地整備課長 別添資料12「農業農村整備事業による新たな産地づくりについて」及び資料13「飯山市井出川山腹崩落災害に係る農政部の対応状況について」により説明した。 ○鈴木清 委員長 委員の質疑等発言を許可した。なお、議論を深めるため、委員の発言に対し、ほかの委員から御意見等がある場合についても、あわせて発言願った。 ◆丸山栄一 委員 何点か質問させていただきたいと思います。先ほど説明がありましたとおり、飯山市の井出川の山腹崩落の災害につきましては、ちょうど代かきの時期で、農家の皆さんも田植えができないのではないかと大変心配されていたところですが、北原農政部長、また所課長におかれましては、早急に現地に駆けつけていただき、取水不能となっている水田の用水確保をしっかりやっていただきながら応急対策もやっていただき、田植えも無事できたということで、最初に御礼を申し上げておきたいと思います。  生産性の高い農業を展開するためには、農地であったり水路であったり、農道などの農業生産基盤を整備していくことが重要だと思うわけでございます。ここのところ、大変雨が多い状況になっていましたが、つい最近は、梅雨に入っても雨が降らない状況が続いており、長野市の雨量は44ミリで、平均降雨量109ミリと比べて40%少雨だとお聞きしております。農産物は、水がないと品質・収量に大変影響があるわけでございまして、現在は全ての水田に農業用水が行き届いており、果樹・野菜の主要産地においても、畑地かんがいの施設がされており、雨が降らなくてもいい状況になっているわけであります。農地は、品質のよい農産物が栽培されているところであります。これは、過去をひもときながら、何百年前から先人の皆さんが整備していただいた偉業であり水の恵みに本当に感謝しているところであります。しかしながら、用水の取水口や門扉、水路トンネル、水路橋、あるいは畑地かんがいポンプ等は建設から数十年たっており傷みが大変激しい状況で、その機能も大分落ちてきている。これを整備するには、大変なお金がかかるということでございます。資料12にございますように、二つの事例で説明されているところですが、いずれも土地改良事業を契機とした産地づくりの典型的な例で、東御市のワインブドウの造成は、6次産業化や観光にも結びつく例でございます。これらの例のように、機械を導入するとか圃場や農道の整備といった取り組みが広がることが望ましいところですし、農作業の省力化が課題でもあるわけです。  また、平成30年の米政策の転換も控えており新たな基盤整備の要望もあると聞いているところですがこのような状況の中、今後、土地改良事業をどう進めていくのかお伺いしたいと思います。 ◎所弘志 農地整備課長 土地改良事業の今後の進め方についてお答え申し上げます。土地改良事業は、大きく四つの視点で取り組んでおります。一つ目は、先ほど説明申し上げました産地づくり、営農の効率化、省力化などのための農地の条件の改良と整備。二つ目に、農業水利施設等の老朽化に対して長寿命化を図っていくこと。三つ目は、湛水防除地すべり等防災事業に関すること。四つ目が、小水力発電多面的機能支払など、農地や農業用水の持つ多面的機能の発揮という大きな4点で進めているところでございます。これらの具体的な目標につきましては、長野県食と農業農村振興計画実施計画として位置づけて策定します土地改良長期計画の中で目標を定め、計画的に実施しているところです。委員御指摘の農業用水利施設長寿命化に関しても、一旦事故が起こるとその復旧に長期間を要する取水施設水路トンネル、水路橋などの重要構造物を優先的に機能診断を行いながら、必要な箇所については、計画的に補修、更新を行ってまいりたいと考えております。 ◆丸山栄一 委員 土地改良事業は、大変お金がかかる状況でありますし、農家にとっては基盤になるものだと思っているところですが、着実に進めていくためには、安定した予算が必要なわけでございます。国は、昨年の補正予算と今年度の当初予算を合わせて、事業の実施に見合った予算確保をしているとお聞きしているところでありますが、地元からは十分な予算がつけられていないのではないかという御意見もあるわけでございます。そういう中にあって予算の状況はどうなっているかお聞きしたいと思います。 ◎所弘志 農地整備課長 農業農村整備事業の予算の状況について御説明申し上げます。農政公共の予算につきましては、地域からの御要望を踏まえながら、県の予算を積み上げましてお認めいただいておるところでございます。しかしながら、国からの内示は、地域からの要望を十分に満足する状況ではございません。過日、5月22日には、この状況を踏まえ、知事が農林水産省等へ要請を行っております。県内の農業の取り組みの具体例や将来を担う若い農業者や女性農業者の声などを国へ説明し、引き続き要望してまいりたいと思います。 ◆丸山栄一 委員 国の農業農村整備事業の予算は、大幅に削減されたわけですが、現在、その7割ぐらいまで回復してきて、補正を入れると5,772億円の予算を国は確保されたとお聞きしております。県内においても、農地整備について所要の予算をしっかり確保していただいて、対応していただきたいと要望を申し上げておきたいと思います。  次に、以前も委員会等で質問させていただいているのですが、農業遺産のPRについてであります。県内には、日本の棚田百選に姨捨が選ばれており、疏水百選に拾ケ堰、ため池百選には塩田平のため池が選ばれているわけでございます。歴史ある農業遺産が多くあるわけですが、その歴史的価値を広くPRしていく必要があると考えており、今回もいろいろなPRされておりますが、その状況をお聞かせください。 ◎所弘志 農地整備課長 農業遺産のPR等につきまして、お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、県内各地にはため池や農業用水など、歴史ある美しい施設が多数ございます。例えば戸隠の鏡池や茅野市の御射鹿池、安曇野市の拾ケ堰など多数ございます。これらの施設を本来の機能を維持しつつ観光資源としても活用できるよう施設管理者と連携して観光資源としてどう使っていくかということについて、観光資源を扱う業者さんと契約し、冬場にある観光商談会に向けての資料づくりをしております。このような施設を観光資源として活用し、多くの皆様に機能やその重要性を知っていただく取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆丸山栄一 委員 今、世界農業遺産日本農業遺産がつくられて、全国で申請されているところでございます。長野県においても、日本農業遺産等の認定に向けて取り組みをしてほしいと思っておりますし、以前、知事も前向きな形で進めたいと一般質問の中での答弁もあったかと思いますが、日本農業遺産に向けての取り組みについてお聞かせ願いたいと思います。 ◎所弘志 農地整備課長 世界農業遺産等につきまして、遺産に登録したいという市町村が幾つかございますので、それらの市町村の御意見を聞きながら一緒に準備を進められたらいいということで、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆丸山栄一 委員 ありがとうございます。積極的な取り組みを期待させていただきたいと思います。次に生食ブドウ生産振興についてであります。ブドウの栽培面積はあまり変わっておりませんが、このところシャインマスカットの面積がふえてきており、売上単価も伸びてきているところでございまして農家の皆さんも潤っている状況です。そういう中、産地パワーアップ事業で、JA中野市も冷蔵庫や棚を使わせていただいて、生産者の皆さんも大変ありがたく思っているところです。去年、シャインマスカットについては、劣化があったりしたのですが、ナガノパープルも冷蔵庫をつくることによって今まで収穫しながら荷づくりしている中で、どうしても後半になってくると雨に当たって劣化したりという状況があったのですが、劣化防止という観点の中では、ある程度冷蔵庫に収穫して冷蔵庫の中から出して出荷するという流れも今、できてきております。そうなると、劣化しないメリットも出てきておりシャインマスカットは日もちがするということで、12月に、一部は1月にも販売されています。さらに、輸出に向いた品種だと思いますし、そういった意味で冷蔵庫を各農家が設置することにより、2月、3月とある程度出荷時期はあけながら初出荷という形になるわけでありますが、期間をあけるという観点の中で、輸出に向けていく量もふえてくると予想されます。そういった流れの中で、産地パワーアップ事業の今後についてお聞かせ願いたいと思います。 ◎丸山秀樹 園芸畜産課長 シャインマスカットにつきましては、皮ごと食べられて種がないことのほかに、歯ごたえがとても特徴的でお客さんがふえている印象のある品目だと思っております。県の果樹農業振興計画の中でも、面積については大幅にふやすということになっており、出荷のピークの分散や、輸出対応も含めての話になってくると思います。現在でもシャインマスカットについては、ハウス物から海外への引きが非常に強い状況で、春先の最初の出荷や暮れにかけての出荷の対応も海外市場から引かれていく形になります。これから冷蔵庫の強化について、産地パワーアップの活用を可能な限りしていただきますけれども、導入の事業には少し条件がありますので、中野市や長野農協の大きな産地はまとまって入れ、中山間地についても5戸以上という要件でも導入できる場合がありますので、中山間地で冷蔵庫を入れることが可能になってまいります。そういったものを踏まえて、冷蔵庫は計画的に導入し、出荷調整を行い、それから輸出に向けて対処していくということで、5月から12月、1月に向けての生産力の強化、販売力の強化を進めてまいりたいと思います。 ◆丸山栄一 委員 今、JAも大変広域化してきており、なかなか小回りがきかない状況でやりたくてもなかなかできない状況もございます。これはJAの問題かもしれませんが、そういったことも含めながら指導していただき、拡大に向けてお願いしたいと思います。  次に、農政部長からも説明があったのですが、今、EPAの交渉が重要な時点になってきているわけであります。米国のTPP離脱が決まり、発効がなかなか見通せない状況にあるわけです。つい最近もJAの中央会で国内農業を守る特別決議がなされたところです。そういう状況の中で、今焦点となるのは、チーズなどの農産物と乗用車の関税交渉が難航しているとお聞きしており、EUが求めている豚肉やワイン、そして日本の求めている自動車の部品などの交渉については、一定の進展があるとお聞きしているところでございます。チーズについては、ナチュラルチーズ関税撤廃を強く求められているということですが、一番影響があるのは北海道だろうと思います。しかし北海道が影響を受けると生乳に移行していき、今度は長野県の生乳の部分が圧迫されて、農家が影響を受けるのではないかということも感じるわけです。またワインも対象になっている状況の中で、ボトルで約94円安くなると言われております。チリ産のワインも2019年には関税がゼロになるということです。ワインについて、即時撤廃ということも言われているわけです。日本ワインと外国産ワインというすみ分けができているという感覚もあるのですが、長野県産ワインについて関税が撤廃された場合には、影響が出てくるのかお聞かせ願いたいと思います。 ◎丸山秀樹 園芸畜産課長 EPAの関係で関税が撤廃されたときの長野県産ワインの競争とその影響でございます。御指摘のように、ワインの関税については、現状では1リッター当たり125円ということで、ボトルに換算して93、94円くらいになります。金額の高いワインと安いワインを輸入するときに、安いワインが輸入されると93、94円という形になりますが、高いワインの場合はそれがパーセンテージの関税になってまいります。価格の15%もしくは125円の安いほうという形になりますので、高いワインについての税率を見ていくと、徐々に税率そのものは少なくなる形になります。長野県で主に新しいワイナリーがターゲットとして生産する3,000円くらいのワインとの競争という形になります。まだ現在は、日本のワインのよさについて、評価していただいている形になりますので、日本のワインのお客さんと輸入のワインのお客さんとすみ分けがある程度できていると思いますので、いい品質の長野県産のワインをつくってお客様に供給し、ファンをつくっていく流れをこれからも維持していくことがこれからの姿勢だと考えております。 ◆丸山栄一 委員 牛乳のほうは。 ◎丸山秀樹 園芸畜産課長 牛乳については、特にナチュラルチーズについては、現在の関税は、特にソフト系の中で29.8%ということで関税が維持されており、TPP合意の中では、フレッシュのやわらかいもので関税をなくしていくということもありますが、国産の主流のカマンベールとかモッツァレラは、TPPでも29.8%は維持になります。チーズの関税を外してくれという話になるわけですが、チーズにおける全体の使用されている生乳の中では、全国的には約4%ほどです。長野県の生乳量の中でチーズ向けになっているのは0.4%くらいで、直接的には北海道の生乳が半分くらいは乳製品向けに回ることになりますので、そちらについての影響が、これからは予測されるところです。それについて、チーズ向けとか、加工向けのところが輸入されて置きかわってきますと、今度は生乳に北海道が少し入っていく可能性がありますので、そうなっていった場合は、少し生乳の価格が低下する可能性があるということで、予測としても影響はあり得ると考えております。それから豚肉の関係でございます。豚肉については、現在の関税は、高い部分については、従価税4.3%の関税で、分岐点で524円・キログラムですが、それより低いときは、従量税で、現在、482円という関税がかかっております。輸入は、通常、このバランスをとる形で最小の課税価格が524円くらいになりますので、バランスをとって輸入する形になります。TPP合意の中では、16年かけて高いほうの従価税を無税にする。それから安いほうの従量税482円を16年かけて50円まで下げてくることが水準になっております。EUもこういう方向になっていきますと、特に安い部分の輸入が入ってくる可能性があると考えております。 ◆丸山栄一 委員 最後にしたいと思いますが、種子法が廃止されました。都道府県が種子生産の予算を確保する際の根拠がなくなるという心配をされているわけであります。また民間、特に外資が種子生産に参入し独占されかねないという懸念の声もあるわけでございます。そういった中で、長野県への影響及び新品種の開発に対しての影響についてお聞きし、質問を終わりたいと思います。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 種子法の関係について、長野県への影響と新品種の開発についての影響についてのお尋ねでございます。種子法は、県に対して原々種、原種の生産、種子生産圃場の指定、圃場審査、それからそれにかかる助言、届けによる奨励品種の決定を義務づけている法律でございます。今回、種子法の見直しが行われ、廃止になったわけですが、基本的には、米・麦・大豆といった作物につきましては、本県の基幹品目であるという認識であり、国の通達が6月以降出てくると聞いておりますけれども、そういったものを見ながらということになってくるかと思います。生産者の皆さんに優良な種子がきちんと供給できる体制を県として確保していく方針で進めてまいりたいと考えております。  また、種子法の改正により、県の品種開発がどうなるかということでございます。一部では外国の種子がどんどん入ってきてやられてしまうのではないかという報道もあるわけでございます。基本的に現在でも、新品種の開発は、種子法では義務づけとはなっておりません。ただ一方で、県としては競争力のある品種の確保、そして農家の方々がつくりやすい、あるいはもうかる品種という観点で、品種を育成することは重要な業務であると思っております。今後とも県試験場の主要な業務として米の育種を実施していくことが必要と考えているところでございます。 ◆今井敦 委員 説明資料から順にお聞きしたいと思います。資料2の農振除外の要件緩和について、最後の参考というところを読むと、今後国で年末までに閣議決定され、所要の改正と書いてあります。今後のタイムスケジュールについてもう少し詳細に教えていただければと思います。 ◎中村正人 農業政策課長 今後のスケジュールでございます。6月の初旬に提案したわけでございますが、年1回の提案という形の中で、県でまとめて提案していく中に農政部関係のこの2件も含めてやる状況でございます。提案した後、下にある参考の部分にございますとおり、国で順次受け付けをして、こういった段階でということです。まず説明、ヒアリングみたいな形をとり、それから関係省庁と国の内閣府が、順次、説明を聞いたりやりとりをしていくということですが、そこら辺のスケジュールについては、国から詳細にはお聞きしてない状況でございます。 ◆今井敦 委員 農地は非常に大事ですし、守っていかなければいけないと思います。一方で、さまざまなまちづくりをしていく中で、どうしても個別のケースを見ていくと、ここは何とかしてあげたいという場所がどうしても出てくるわけでありますし、柔軟な形でやっていただけばありがたいと思いますが、何とか進めていただければありがたいと思いますのでよろしくお願いいたします。次に、シンプルな質問で申しわけないのですが、山恵錦は、山田錦よりいいんでしょうか。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 大変難しい質問をいただきました。酒蔵さん等の評価の中では、山田錦、五百万石といった主要品種に対する思いは、非常に強い状況でして、山田錦は酒米のチャンピオンという位置づけでございます。正直なところ山恵錦は、これにまさるものではございません。ただ、一方では個性のあるお酒がほしいという中で、現在の美山錦では出せない味が出されるのではないかという部分の期待にはお応えできると思っております。また、現在、酒米につきましては、蔵元の皆さんと協議会をつくり、山田錦越えの品種育成も視野に入れ継続して推進しております。まだ時間はかかりますけれども一生懸命進めてまいりたいと考えております。 ◆今井敦 委員 ありがとうございます。期待しておりますし、山田錦越えも頑張っていただければと思います。これからの県内農業を考えたときに、酒米も大事なポイントになってくるのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。次に資料11です。海外からの農業人材受入に係る規制の特例措置の提案についてということで、7月2日に内閣府に提案したということであります。今回の定例会の一般質問でもこれを推進するべきだという立場の質問と慎重に考えていくべきだという質問と両方あったかと思います。そうした中で、お聞きしたいのは、受け入れ体制です。JA長野県グループと連携し責任ある派遣事業者の確保となっておりますが、これはJAがやるのか、それともJAがどこからか事業者を見つけてくるのか、その辺を詳しくお知らせいただきたいと思います。 ◎小林安男 農村振興課長 派遣事業者の関係の御質問かと思います。今回、国が示したスキームの中では、外国人の人材を受け入れて農業者に派遣する中間を取りまとめる派遣事業者の位置づけというものを考えておると。この部分について、長野県においては、JA長野県グループの中で受け持っていただきたいと考えており、その詳細についてはこれからJAグループと詰めていく中で、JAグループに派遣事業者の役割を担っていただきたいと考えているところでございます。 ◆今井敦 委員 そうすると、今、現状ある製造業に派遣社員を送っている事業者がやるということは、想定してないということでよろしいでしょうか。 ◎小林安男 農村振興課長 民間の事業者を想定ということではなく、JAで派遣事業者を受け持ってもらうということで想定しております。 ◆今井敦 委員 わかりました。農業の実情をよく知るJAグループにやっていただくことは、よいかなと思います。一方で、こうした形になっていきますと、今、現状で、県内の実習生受け入れ人数が1,905名です。農業の現場に行くとニーズは非常に高いと思いますが、今後、ふえていく可能性があると考えてよいかどうか確認したいと思います。 ◎小林安男 農村振興課長 技能実習生の人材の関係の今後の見通しでございます。現在、1,905名入っております。そのうち1,400人ほどが、佐久地域に入っており、今、主要なものは南佐久地域において受け入れをしている形になっています。ここ数年の状況を見てみますと、数字に若干ですが増減がありますが、現在の受け入れ数は最低必要だろうと考えているところです。 ◆今井敦 委員 実習生の場合はそうですが、提案Ⅱでは、就労解禁という方向が示されています。これもあわせていくと、実習生と就労者、いわゆる外国人労働者がふえる方向に動くということでよろしいでしょうか。 ◎小林安男 農村振興課長 将来的な大きな展望で申し上げますと、小さな農業者がこれから減少していく中で、現在の長野県の農業生産の規模を維持していくことを考えますと、担い手となる中核的な農業者、経営体が規模拡大し、現状の農業生産力を維持していくことになろうと思います。そういった際には、その方たちが必要とする労働力は、当然、必要となるわけです。今後、そこの部分を多様な担い手が支えていく形を想定するということです。その一部を外国人技能実習生並びに外国人の就労解禁で来られた皆様で担っていきたいと考えておりますので、増加すると思っています。 ◆今井敦 委員 丸山委員の質問の中にもあったと思うのですが、当然安い労働力が確保できるわけです。そうすると、国内の労働者の賃金が上がりにくくなるということが発生してまいります。一方で、県は、新規就農者を何とかしようということで育てる支援策をやっているわけです。そこのバランスをとっていこうということなんでしょうけれども、農家という視点ではなく企業と見たら企業側は安い労働力をできるだけ受け入れたいと思うのは、道理なわけですが、そこの辺をどうコントロールできるか。なかなか難しいですけれども、そこら辺をどううまくやっていくか、何かお考えがあれば、お示しいただければと思います。 ◎小林安男 農村振興課長 詳細については今後になろうかと思います。ただ、国も今回の法案の成立に向けまして、外国人技能実習生が入ってくる際には、日本人と同程度の賃金の確保や、労働時間の休日の設定についても日本人と同程度という部分を附帯決議として求めており、それもあわせて決定しているところでございます。そういう部分は、暗に外国人を受け入れるということではなくて、対応すべき部分はきちんと対応していくことは必要だと、私どもも考えております。 ◆今井敦 委員 今話題になっていますが、韓国にイチゴの苗が渡り、それを少し改良してこれは韓国の物だみたいな話になっている。そうしたことを防ぐ事前の予防策的なことはどのようにお考えでしょうか。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 海外における知的財産の保護の御質問かと思います。基本的には、日本で育成されて種苗登録した品種についてもそれぞれの国の法律に基づいて種苗登録をしなければ、権利が保護されない状況になってしまいます。実際には、種苗や果樹の苗木は、小さい物ですので勝手に持ち出されてしまって現地で生産される事象も発生しているところです。これについては、シャインマスカットの例も中国で生産されているということが情報としてあり、危機感を持っており、現在、国としても新しい品種について、海外で品種登録する際には、その支援制度も設けているところでございます。県におきましても、基本的には登録されてから4年以内にやらなければいけないという期限があるものですから、過去の品種はもう今から対応ということは難しいんですけれども。現在、これからつくられる品種につきましては、それぞれ海外での生産の可能性や海外に種苗登録を申請した場合には、それを維持するための経費やそれが不法につくられていないかを見回るための経費も必要になってまいります。こういうものをあわせた費用対効果等も見込みまして、海外での権利保護が必要かどうかという検討も品種を新しく出していく際には行っていく方向で、今、考えているところでございます。 ◎小林安男 農村振興課長 今の伊藤課長の回答のとおりでございます。 ◆今井敦 委員 万全の体制を整えていただければと思います。先ほども丸山委員から話が出ていましたが、種子法が廃止になりさまざまな不安要素があるわけです。今まで県がやってきたことは、当面やっていきますよということで聞いております。ただ、国から予算的なバックボーンが当面来るのかもしれないけれども、将来的にもしかしたらなくなっていくかもしれない。そうしたときに、県は、どう考えていかれるのか。そして、県が今まで持ち得たさまざまなデータを開示しなければならないということになっているわけです。そのデータをもとにちょこちょこと変えて、これは新しい品種ですよという形にして人気のある品種とちょっとだけ違って、なおかつ、この農薬を使えば完璧ですと、楽につくれますという物が出てきたら、これはやばいぞということが、今、言われているわけです。そうした方向性に行くかもしれない今の状況について、県としては、今現在、どう考えていて、今後、何かしら対応策をお考えになっているかどうかお聞きします。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 まず一つは、予算の関係でございます。今回の法律の廃止に伴って、各都道府県とも財源の確保については不安に思っているということが、国の会議でも発言がございました。これに対して、農林水産省については、現在、総務省の地方交付税のセクションと交渉しておりまして、現在も種子法にかかわる国の予算は、交付税措置がされているということでございます。これについて、今、農林水産省で財務省とも折衝を行って、最終的にそれを継続する方向にしたいというのが現在の農林水産省の考えでございます。そういったことになってまいりますと、基本的には従来来ている財源がそのまま継続して払われている形になりますので、県においても予算の確保は、国の財源もついているという裏づけがありますので、やりやすい形になってくると理解しているところでございます。  それからもう1点の今後の戦略的な部分の考え方です。種子法が廃止された場合においても、県においては、戦略的に品種の育成を進めていく考えは、しっかりやっていく考えでございます。国からも、今回、農業競争力強化支援法の中に、先ほど委員御指摘のありました、都道府県が有する種子生産に関する知見の民間利用者への提供を促進するという記載がございますけれども、これも、私ども、農林水産省に確認いたしましたが、これは義務ではないということで任意のものであるということです。私どもといたしましても、県が蓄積している知的財産を長野県の利益にならない形で民間あるいはその他の者に供与する考えは全く持っていないわけでございます。ただ、今後、長野県の利益になるウィンウィンの形で民間の皆さんと組める形ももしかすると出てくるかもしれないと思いますので、長野県の利益になるという判断のもとで検討ができると思っております。県の主体性をしっかり持ちながら県のためになる品種育成、種の生産を行ってまいりたいと考えております。 ◆今井敦 委員 もう一回確認しますけど、情報の開示は、義務ではなくあくまでも拒むことができるということでよろしいですかね。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 そのとおりでございます。 ◆今井敦 委員 短期的には、大きな変化が起こらないのだろうと思うわけですが、長期的に考えたときに、非常に危険性もあるなと。非常に人気のある品種を少し改良して、それが中国だとか、米国だとかで大量につくられて、それが日本に来てとか。あるいは、これから農業生産者も非常に特化して頑張る農家と、私も含めてなんですけれども、ちょこちょこっと田んぼをつくっている人たちというのは、楽なほうがいいわけです。そうするとこれだと楽につくれますよという品種が出てくれば、それに飛びつく可能性も当然あるわけです。そういったところをどうやって見きわめていいのか、私自身も悩むところです。そうはいってもそれぞれの県の特性を生かした品種があって、同じ物でもさまざまな味があるという今の現状は、しっかりと守っていっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次にGAPの話を少しお聞きしたいと思います。オリンピックがあり、GAPの取得をしなければいけないということで、私も、この間、少し質問させてもらいましたし、今回もその手の質問が出ていたところであります。今、長野県農政部は、JGAPアドバンスか何かなんですかね。その辺で一生懸命やっていこうということだと思うのですが。なぜそこなのかをお聞きしたいと思います。グローバルGAPの取得がこれから先を見たときに、国内でもラグビーのワールドカップが開催されたり大阪では万博をこれからやろうとしていたりといろいろ国際的なイベントが行われるわけですよね。そうしたときに、GAPは必ず出てくると思います。JGAPは、グローバルGAPの入り口的なものだと聞いており、それを取っておくとグローバルGAPが取りやすいのだけれどもグローバルGAPとは違いますよと。世界が認めるのはグローバルGAPという中で、JGAPで果たしていいのかということを思うのですが、その辺はどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 GAPについての御質問でございます。まず県の基本的な考え方でございますが、GAPについては、先ほど委員おっしゃいましたように、著名なものとしては、JGAPのベーシック、それから去年できましたJGAPのアドバンス、そしてグローバルGAPの三つが国内では著名なものと考えているところでございます。この中で、先ほど委員からもお話がありましたように、JGAPが国内では普及している状況にございます。全国では、JGAPのベーシックが639件、それからJGAPのアドバンスは18件ということで、約700件弱のJGAPが取られております。グローバルGAPは、420件という状況になっているところでございます。なぜこのような形になっているかという大きな理由は、一つは、GAPにつきましては、GAPを取るときのコンサルタント料、それから取った後更新する毎年の更新料の二つがかなり大きな負担として農業者の中である状況がございます。一番わかりやすい例では、GAPの場合、グローバルGAPを取得するには、個人の場合、20万円から50万円ぐらいの経費がかかります。JGAPアドバンスの場合には、6万円から12万円でございます。基本的には、取得したときにかかったお金と同じぐらいのものが毎年かかっていくことになりますので、グローバルGAPですと、50万円の場合には5年間で250万円と、JGAPアドバンスの場合には、12万円掛ける5年で60万円という形になってまいります。そういった中から、現状ではJGAPを取っている方が多い状況になっていると思います。一方でグローバルGAPの一番の売り、特性は、今、委員からおっしゃられたように、GFSI世界食品安全イニシアチブという国際的な基準を考えている団体がございますが、ここの中にグローバルGAPが、今、入っているわけで、国際基準という中でグローバルGAPは取り扱われております。それからヨーロッパにおきましては、グローバルGAPがほぼ独占に近い状態になっているということで、ヨーロッパに輸出しようというときには、JGAPを持っていても相手にしていただけない実態がございます。そうしたことの中から、取引として、グローバルGAPのメリットを大きく使いたいという方がグローバルGAPを取っているのが一つポイントになっていると思います。
     県としては、どちらのGAPも悪いというわけではないと。ただ、とりあえず国内で生産して国内で売っていく形であれば、JGAPであっても問題はないと思っております。ただ一方で、海外を視野に入れ、特にヨーロッパ等の幅広い地域に輸出したいと考えていらっしゃる、あるいはグローバルGAPを要求する実需者と取引がしたい場合にはグローバルGAPしかないと考えているところでございます。どちらもそれぞれGAPという取り組み自体は同じでして、あとは認証をどこの団体がやるかということと、それにかかる経費がどうなのかという違いかと考えているところですので、農業者の状況に合わせてそれぞれのものを取っていく形があると考えているところでございます。それからもう一つ、JGAPのアドバンスでございますけれども、国は、今、先ほど申しましたGFSIに、JGAPアドバンスを国際水準のGAPとして認めてもらうということで、手続しようという形の取り組みを進めております。そういった形になった場合には、とりあえずグローバル基準としてのJGAPが位置づけられる可能性も一つございます。それから農林水産省の現状の考え方としては、JGAPアドバンスを特に東南アジア圏におけるGAPのスタンダードにしたい考えも持っていると聞いております。東南アジアは、現在のところ、GAPの意識はあまりなく、グローバルGAPがなくてもJGAPがなくても輸出ができるわけです。今後、ニーズが高まってくる中で、そういったことをしたいと言っております。現状の中では、長野県の輸出のターゲットの主なものは東南アジアですので、JGAPアドバンスも一つあるかなと。  ただ、県として、JGAPアドバンスでなければいけないとかグローバルGAPでなければいけないというところについては、使い分けをしながら進めていきたいと考えているところでございます。 ◆今井敦 委員 わかりました。とりあえず入門編からいこうということかなと思います。グローバル経済がどんどん広がって、農業の分野もその荒波の中にどんどん組み込まれていく中で、GAPもあらわれておりますし、先ほどの就業者の受け入れということもあらわれてきていると思います。日本だけ独自の形でやっていて、いつしか日本が世界から取り残されていたと、携帯電話がそうですけれども。世界からいつの間にか取り残されていて、遅れてしまう事態に気づいたときにそうなっているということもあるわけです。ですから、グローバルGAPが国際標準だということは、どうしてもヨーロッパ、ドイツあたりがやることですから、その辺は抜かりがないと思うんですね。ですから、その辺はしっかりと頭に置きながら、でも日本の中ではまだ生産工程の管理や透明化になれてないですから、そこら辺をしっかり入門させていくということのJGAPという考え方だろうと理解させていただきました。  グローバル経済、新自由主義経済という荒波の中に農業がどんどん入れられて、今回の種子法の廃止にしてもそうですし、強化支援法ですとか関連のさまざまな法案ができました。恐らく、ほとんどが規制改革推進会議あたりから出てきて、そういう方向性にどんどん流れていっているんですけれども。一方では、JAさんは、TPPやEPAになると、日本の農業を守れと反対だとなるのだけれども安い外国人労働者みたいなものはいいぞとなって整合性がとれなくなってくるんですよね。これはいいけれども、これは嫌だという。でも世界の標準からいくと、あなただめでしょうという話になってしまい、世界経済の潮流は、ヒト・モノ・カネが自由に行き来する方向に、今、行っていたんだけれども、ちょっと待てよということでアメリカでトランプ大統領が生まれたり英国がEUから離脱したりという方向性が出てきている。その中で日本が、積極的にヒト・モノ・カネが自由に動き回る新自由主義経済の中に突っ込んでいくことをよしとするのか、それとも、このところはできるだけ守っていくという考えでやるのかを、今、真剣に日本の農業は考えなければならない局面に来ている。今回、海外からの農業人材の受け入れは、積極的にやると、そこから、では農産物ももっと安い農産物を入れないというのはどういうことだという話になってきて、私はすごく危機感を感じているんです。その辺のところを戦略的に、長野県の農政の将来は、国の動きが絡むものですからなかなか難しいですが、何とかしたたかにやっていく方法はないのかなと思うわけですよ。特に県としてこうではなくて結構ですので、部長さんの見解があればお聞かせ願いたいと思います。 ◎北原富裕 農政部長 大変難しい御質問をいただきまして、ありがとうございます。確かに世界経済の中でグローバル化が進めば、ヒト・モノ・カネが自由に行き来する形になろうかと思います。農業は、その土地を使って生産しなければいけないということで、そこは生産手段が自由自在に動くものではないという基本的な農業という産業のベースがあると思います。そこをベースにしながら、グローバル化の中でどうこれからの農業に対応していくのかという考え方が一つ大事ではないかと個人的には考えております。  そういう中で考えますと、長野県で農産物をつくることは、動かないことだと思います。その農産物を食べていただく方が、地域の方であるのか、国内の消費者であるのか、さらには海外の人であるのかと。そこがグローバル化になってくるだろうと思っております。ただ、海外へ出て自分は農産物をつくるんだという方は別でございますけれども。  そういう中で、では長野県の土地できちんと農業生産をしていく方が、これから目指すところは何かと言えば、農業で生活できる、それから農業で自分の思いが遂げられる。そういう農業生産をしていくことになりますと、一方では規模拡大やある程度の経営者としてのマネジメント能力もありそれから経営規模もありという必要性が出てくる。そのときに、人口減少社会の中で、長野県として、これから頑張る農業者に対して、どう雇用労働を確保していくのかということも必要になってくると思っております。  それからEPAとの関係でいきますと、ただむやみに恐れるだけで反対することは、これからの中では通用しないだろうと思います。規模が小さい農業者も数多くいる農業構造の中で、どういうふうにソフトランディングさせていくのかということは、大きな政策課題として必要だろうということの中でのTPPであり、日・EUのEPAであり、そういう中で個別農産物について影響をどれだけ緩和させていくのかということは重要でありますし、グローバル化の中で、一つを考えればほかが全てということではなく、全体の中でのバランスも見ながら進めていく問題だと思っております。  私ども長野県の農政を考えるときに、昔のように1ヘクタールの水田で生活ができ、子供を大学に送れる時代とは違う農業基盤ベースの中で、どういう農業者を育てていくのが一番ふさわしいのか、そのための経営規模、それから農地の集積、さらにはそのための施策をきちんと考える必要があると認識して仕事をさせていただいております。 ◆今井敦 委員 ありがとうございます。非常に厳しい時代の中で、一つ一つ、局面局面での判断がなかなか難しいと私どもも思っております。そうした中で、長野県の農家の皆さんやそして長野県の農業という産業そのものが、しっかりとこの国の中で、そしてまた世界の中でやっていける、そんなことを皆様方がしっかりと判断して、間違った方向に進まないようにしていただきたいとお願いして質問を終わりたいと思います。 ◆髙島陽子 委員 お願いします。今、今井委員から御質問がありましたことで、繰り返しになってしまいますが、海外からの農業人材の受け入れに関して、私も一般質問を聞いていて、可能性の面と懸念の面の両論があり、それぞれ御心配な面があるということを改めて認識したところです。今井委員から非常に深く御指摘もいろいろありました。定住外国人の受け入れに関しては、農業分野の労働力としての期待だけではなく、さまざまな外国人がいらっしゃるので、これと決められないですが、省庁間で利害が対立しているところで、いつもどこで着地点を見出しているのかということが、さまざまな社会現象となってあらわれているのではないかと思っています。そういう中で、国はあえて規制を緩和するという方向にかじを切ったわけです。国としては、それぞれの障壁を調整して特区については、それぞれ入念な準備をされて切り込んだと思います。現在の技能実習生のレベルでも、さまざまな生活をしている外国人の問題はあると思います。医療や雇用についていろいろな言語のコミュニケーションがうまくいかないことによって、賃金のこととか支払われる報酬に関してのいろいろな不満をどう吸収しているとか。そういうことを、相当準備されて、研究なり検討されてきたと思います。改めて、自治体のレベルでそれぞれ懸念されることを、関係各機関にヒアリングされたかどうかお聞きしたいと思います。 ○鈴木清 委員長 定住外国人ではなくて技能実習生のことでいいですね。 ◆髙島陽子 委員 直接は、資料11にある特例措置の提案についてお願いしたいと思います。 ◎小林安男 農村振興課長 技能実習生制度自体が、今、現行の中で動いているということなので、その制度がどういう形で進めていられるかという部分については、JA等の関係機関や管理団体の皆さん方、また受け入れの多い市町村、南佐久を中心とした市町村の皆様方の御意見等についてもお伺いをしているところでございます。 ◆髙島陽子 委員 直接的ですけれども警察機関に対して治安のレベルでとか、医療の関係については健康福祉部だと思いますが、そういうところからの聞き取りは、県のレベルとしてはどのようにしていらっしゃるのでしょうか。 ◎小林安男 農村振興課長 私どもも外国人技能実習生をきちんと受け入れることは、非常に大切なことだと考えています。今回、11月に制度が改正されることもあり、ことしの3月にも外国人技能実習生を実際に受け入れる際に、今後、受け入れする農業者の皆様方や関係する市町村の皆さん、またJAの皆さん等を対象に、佐久合同庁舎で全国の中で技能実習生を実際に先進的に受け入れている機関があるんですけれども、そこの方をお呼びして研修会を開催したり、啓発活動もあわせながらいろいろな意見聴取もさせていただいているところでございます。 ◆髙島陽子 委員 わかりました。先ほど部長さんからお話がありましたが、農業の生産基盤は揺るぎないものということで、しかし一方で、グローバルに動いている現状については、しっかりとそのリスクや懸念される課題については向き合っていただいて、導入していっていただきたいと思います。  では次の質問に移ります。エコファーマーという制度がありますが、長野県の取り組みは、全国的に見ても先進的に採用されている取り組みだと認識しております。持続可能な農業を目指して法律ができたことから、これに基づいてこの制度で認証していると思いますが、現状について、お聞かせいただけますでしょうか。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 エコファーマーについての御質問でございます。直近で平成28年の状況ですが、認定者の累計が3,834名です。認定者が取り組んでいる品目は、一番多いのが果樹で、全体が4,100というベースで考えますと、2,400ぐらいありますので半数でございます。それから野菜が約1,000、そして水稲が500で、主に果樹・野菜・水稲で取り組まれている状況でございます。 ◆髙島陽子 委員 これに関して、根拠になっている法律が施行されてから何年かたっていると思うのですが、エコファーマーに取り組んだことによって目に見えて上がっている効果や講習で主にどんなことに取り組んでいるかについて、お聞きしたいと思います。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 ただいま委員御指摘のように、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律ということで、平成11年の7月に制定されたものでございますが、これに基づいて実施しているところです。効果としては、それぞれ個人の方として、環境に負荷の少ない農業に取り組むきっかけになったという点が一番大きいと思います。それから農協の部会や集団で取り組んでいただいているところについては、組織的に一つの称号を取る取り組みを行うことによって産地全体がレベルアップし、そういう取り組みが地域全体でできるようになったというメリットがございます。  それから取り組みをする中での県の仕掛けでございますが、研修会・講習会はもちろ進めています。それ以外に環境にやさしい農業を進めるための実施要綱を各普及センター単位につくっております。これは、環境にやさしい農業は、農薬を減らしたり肥料を減らしたりという取り組みになりますので、農業者にとっては非常に不安な部分があるということです。農薬をまかないと病気になってしまうのではないか、肥料を減らすとちゃんととれないのではないかということを解消するために、県普及センターが中心となって意欲あるグループの皆さんに実証圃をつくり、普及センターの職員が濃密な指導をする中で、実際に大丈夫だということを感じていただくと。このような取り組みを進めながら、より実感できる取り組みとして進めている状況でございます。 ◆髙島陽子 委員 10年以上法制度が整えられてから導入されて取り組んでいらっしゃるということで、少しずつ農薬や肥料に関しての理解も進んでいるという成果について、今、お聞きしました。6月1日から農薬危険防止運動の期間ということで、毎年、農林水産省で出しているところですが、長野県としては、今年は特段何か取り組まれているのでしょうか。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 これにつきましては、毎年取り組んでいるものでございます。一つは講習会を開催し、農薬の安全使用についての啓発等を中心に行っている状況です。 ◆髙島陽子 委員 農薬危害防止運動ですよね。私、きょう、それをお聞きしたかったのは、実は、所管が違うと言われればそれまでですけれども、林務部だと思いますが、直接的にネオニコチノイドという名前をそのまま挙げていいかどうかわからないですけれども、農薬や肥料について、それを使っている農業者・事業者・従事者ではない人たちがとてもそれについて怖がる。恐怖感を持ったり、リスクについて非常にセンシティブになっている状況が、今、あるのです。農業に関しては、長野県内は地域の中でいろいろ合意形成が難しいという課題や問題はあるのでしょうか。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 どういうケースを想定しての御質問かわからないですが、一般的に農薬を使っている農業地帯、それから農業者という中で、あるいは一般の農作物をつくるための通常の散布について、一般の方の不安があるとか合意形成ができないという話は、私どもでは直接は聞いておりません。ただ、よくあるケースとしては、農地の隣に住宅が建って、そこで隣でまいている農薬がうちのところまで入ってきてしまうと、これをどうにかしてほしいという話はございます。こういった場合には、私ども、市町村とともに出かけていき、そういったところにかからない距離で散布を行ってくださいというお願いをしており、そのようなお願いの中で解決している状況でございます。 ◆髙島陽子 委員 例えば高齢者農業のために、除草剤は少し使わないと人手がないから仕方ないという考えで、推奨じゃないですけど、国が認めている範囲で農薬を使わなければいけない状況がある一方で、そのリスクに関してのコミュニケーションというのが、今、さまざまなレベルで必要になっているわけです。私も、イメージが大き過ぎたかもしれませんけれども、念のためお聞きしておきました。これについては、私も粘り強く見守っていきたいと思っております。  地域の中で、いろいろな合意形成をしていかなければいけないということに関して言うと、去年も農政委員会に所属させていただいていて、去年の質問の続きになるのですが、南佐久では、淡水魚の事業者の方たちとレタスや野菜の生産者の人たちの利害の対立ということになると思うんですけれども、川にグリーンベルトから土が流出するということで、その後、どのような形で推移しているのかお聞かせいただけますでしょうか。完全に解決するということではないと思うのですが、いろいろ歩み寄ったり調整を見出そうとしていらっしゃると思うのですけれども。 ◎丸山秀樹 園芸畜産課長 特に千曲川においての濁り、川の水の濁りと漁業に対する影響、それから上流域での営農という関係の中で、どうしても最近はゲリラ豪雨的な雨が多い形になりますので、一定量の雨が集中的に降ると、通常、下流の河川は濁るという形になります。特に千曲川の上流については、高原野菜の大産地になりますので、そちらの全面マルチ栽培が主力で、技術が安定化して供給できておりますので、一時的に大きな雨が降ると、その上から雨が流れて、全面マルチに乗せてある押さえる土が流れることがあり得るわけであります。グリーンベルトということで、圃場の端に緑の緩衝帯をつくってやることも徐々にではありますが取り組みがあることを聞いております。あとトラクターのブームが特に両サイドのブームで防除するものですから、そのトラクターのところは土の通り道になります。そこに板を敷くなりして、少し抑制を考える取り組みも始まっております。  これからの考え方は、下流と上流の対立ではなく、下流にとってもそれから上流にとっても必要な対策が必要になると考えております。特に上流については、土が流れるということは、肥沃な土が流れるということですので、そうならないためにもできるだけ表土が流れない努力をしていくという観点で、下流域もそうですが自分たちの農業の安定生産のためにも可能な取り組みをしていきましょうということであります。一朝一夕に解決できるわけではないと思いますが、グリーンベルトや通路の緑化、それから水持ちのいい圃場といったことを総合的に進めていくことが必要と考えております。 ◆髙島陽子 委員 今、課長さんがお話しいただいたのは、問題の現象の発生のメカニズムということと、去年お聞きした範囲でというか、きのう、きょう、おとといの大雨の後に川が濁ったりする。たびたび繰り返されていることですけれども、そこまでは私も一応確認はできていいます。ことし、観光で、「釣ーリズム」を打ち出していますよね。だから、どっちかだけに配慮するとか、そういうことではないのですが、水産資源は、長野県は、海がないですし、守っていかなければいけないわけで、水産業の方たちのいろいろな御心配とか具体的な相談があれば、丁寧に応じていただいて、できるだけ目に見える形で解消する。お互いにとっての利益とおっしゃったのですが、その辺については、両者の合意、どこで線をつくっていくかというところで、できるだけ努力していただきたいと思いますが、再度、お願いできますか。 ◎丸山秀樹 園芸畜産課長 説明が不足していたと思いますが、濁りイコール上の営農の部分だけということでは必ずしもないと思いますが、全体として土が流れている現状がありますので、丁寧に説明していくということと、それから今年度から「釣ーリズム」という地元の内水面と観光に来ていただける釣りのお客さんを含めて、新しい事業に取り組みましたので、そうした方にも来てもらい、できるだけ釣れる期間が長いですとか、たくさん釣れるといった点についても放流の仕方も踏まえ、いろいろな情報を交換しながら、よりよい方向に努力していくことは必要と考えております。 ◆髙島陽子 委員 これは要望ですが、改めて淡水魚の生産の振興については、特段の御配慮をいただきたいと願いまして、私の質問を終わります。 ○鈴木清 委員長 午後3時15分まで、休憩を宣した。 ●休憩時刻 午後2時58分 ●再開時刻 午後3時14分 ○鈴木清 委員長 再開を宣し、委員の質疑等発言を許可した。 ◆和田明子 委員 最初に資料7です。生食用ブドウの生産振興についてのところで1点お伺いします。ブドウの品種別振興方針の表の右側にある基本方針のところで、短梢剪定栽培も推奨されている一つです。ことしの1月半ばの北信地域の湿り気の多い雪によって、ブドウ棚でも被害が出ました。栽培の仕方によって短梢栽培したブドウは比較的被害が少なかったこともあり、今までの栽培方法と比べて収益とも兼ねていい方法なのかどうかについてお伺いしたいと思います。 ◎丸山秀樹 園芸畜産課長 平行整枝短梢剪定栽培のメリットということだと思います。1月の雪については私も現場を回りましたが、短梢栽培でも剪定していないと弱いです。粗剪定を通常12月にやり、12月から3月の頭にかけて仕上げ剪定していくのが短梢栽培の普通のやり方ですので、そのようにやっていると、あのタイミングの雪では、粗剪定は一応済んでいるので、大体大丈夫で、雪を落とすにも非常に楽です。通常、巨峰の主力品種については、中梢や長梢で、短梢の大きなHとかWHではなく普通のXの開心形の形をとりますので、非常に枝が混み合い、複雑に出ている形になります。1月の雪のときには、剪定の間に合っていなかった園地が非常にダメージを受けていたというのが私の印象です。中梢でも、粗剪定はしっかりやった上で年内にやっていく形で守っていくことが基本になりますし、今、湿った雪だと考えれば、そのタイミングで雪を落とすことが必要です。通常、重い雪は3月に降りますので、普通、1月、2月は軽い雪で、普通に落ちるのですが、今回は落ちなかったということがあります。そういった意味で、短梢栽培だからといって、油断して短梢でもぎりぎり3月上旬まで枝を伸ばしている園地も実際ありますので、そういったところでも、一部折っているところがありますので、油断せずに重い雪だったら特に夜中をかけても落としていただくのが基本だと思います。ただ、管理の仕方として、短梢剪定は、非常にマニュアル化されており、新規で始める方もやりやすい特徴があります。特に種なしの品種については、短梢栽培を勧めていきたいと考えております。 ◆和田明子 委員 夜中でも雪を落とせれば落としてほしかったという話で、確かに必死になって頑張ったところはあるのですが、シャインマスカットやナガノパープルを優先したいという思いがあり、巨峰が遅れてダメージが大きかったというお話もありました。そういう農家さんに対しての技術支援を引き続きしていただいて、災害の対応についても防げるものは防いでいこうということで、技術指導をしていただくようお願いしたいと思います。  次に新規就農者のことでお聞きしたいと思います。平成15年から28年に511人研修をされて367人が就農されたという資料を見せていただきました。この中で、就農に必要な農地・機械・住宅等の確保を市町村・JA、中間管理機構と連携して支援していくとあります。新規就農された方の中で、一つは高額な農業用機械をどのよう入手するか。効率化していく上ではどうしても必要な機械であるがとても高額で手に入れられないと。ではお金を借りて買うかということになるとその資金繰りもつかないという中で、どうしたらいいのかということで相談される方もあります。そういうことについては、どうなっているのでしょうか。 ◎小林安男 農村振興課長 新規就農者への支援策ですが、具体的な機械等の導入に際しては、新規就農者が借り入れできる就農支援資金、無利子の資金等も用意してありまして、こういった資金の活用を進めるとともに、ほかの国の補助事業等もございますので、そういった部分も活用しながら新規就農者の機械の導入について支援していきたいと考えているところです。 ◆和田明子 委員 JAの皆さんが営農指導したりして新規就農の人がしっかりひとり立ちできるようにという中で、今、言ったように高額な農業用機械を購入するに当たっては、経営のめどが立たないうちに多額の借り入れはしないほうがいいということで相談には行くけれども、なかなかお金も貸してもらえないというところで、大変苦労している話も聞きます。そういうことに対して、借入額が抑えられ機械も何らか使用することができる。中には、農地もそうだけれども自分のところで使っていたものを中古でくたびれているが何とか使って頑張ってみないかと貸していただける方もあるようですが、間に入って取り持っていただくことについてはいかがでしょうか。 ◎小林安男 農村振興課長 長野県で独自の新規就農者を支援する制度として、新規就農里親支援事業を従前から活用して支援を行っているところです。里親さんの支援自体は、技術習得のみならず先ほど委員からもお話もありましたけれども農家を見つけていただくだとか、農地を探していただくといった部分のところへの支援に加え、やめられる方の中古の農機具を使ったらどうかというあっせんも含めて取り組みを進めていただいているところです。現に、実際に安く農機具を手に入れて、その農機具を活用しながら一定の規模まで拡大できたところで、新たに新規に機械を購入する形の取り組みをしている方もいらっしゃいますので、そういう部分のところで、里親によるあっせんという部分の支援策を講じているところでございます。 ◆和田明子 委員 里親さんとのつなぐやり方や就農していただけるまでのきめ細かい援助、寄り添ってやっていただけることもお願いしたいと思います。JAさんでも現地に赴いていろいろ知恵を貸していただいているという話もありますけれども、使われなくなった中古の農業用機械についても、民間でもやっていますけれども支援していただけることも少し研究していただければと思います。  次、お聞きしたいと思います。獣医師の養成をめぐって、今、いろいろと取り沙汰されているところでありますが、獣医師は、不足していないとか、偏在しているといろいろ言われています。犬・猫・ペットの小型の関係の方は、一定程度いるのではないかと。ただ、大型の家畜に対応する獣医師の方、あと行政の場面で、家畜保健衛生所などでいろいろな指導に当たられるような獣医師、また農政部の中でも必要な資格のある方については、本当に人材が確保されているのか、そしてその確保に当たってはどういうことが必要なのか、お伺いしたいと思います。 ◎中村正人 農業政策課長 獣医師の確保についてのお尋ねでございます。行政の場合には、危機管理の部分が多くございまして、口蹄疫の対応や冬の鳥インフルエンザ関係の対応の部分が大きいことのほかに、日常的に牛の放射性の検査といった大型のものに対する検査をやっている状況でございます。現在、県の採用の関係は、健康福祉部と一緒になってやっておるところです。採用予定者に対しての応募者や受験者等は、充足している状況です。ただ、辞退者もある状況でございますので、農政部としては、今年度については獣医学部がある大学のうち8大学を個別に訪問させていただき、学生を確保する努力はさせていただいております。 ◆和田明子 委員 決定的に不足している状況ではないと受けとめていいのでしょうか。 ◎中村正人 農業政策課長 決定的ということではないですけれども、不足している傾向にはあるということです。ただ、現在、県では、きちんと足りているということでございます。 ◆和田明子 委員 いろいろな話の中で、突然、獣医学部の新設、全国展開という話になってきましたが、これに対しては、医師の質の低下を招くのではないかなどという議論もあります。そういう点では、農業サイドからも必要な意見は上げていっていただくことだと思います。行政職として獣医師を確保するということになると、公務員という扱いの中では、ほかの仕事についたほうが獣医師の資格を生かせるとか、もう少し収益を上げられるとかということで、この仕事につく人が少ないということになってくると大変問題だと思いますが、そういうことは、今のところはないということでよろしいでしょうか。 ◎中村正人 農業政策課長 公務員系の給与は、同じ水準ということでございます。ただ大学に、お聞きしますと、辞退者が出たりする場合は、その地方の御自宅から近いとか、いろいろなことがあるようでございます。ただ、民間の動物病院と比べるとまだまだ給与水準は低いということで、その辺は人事課等とも話し合いをしながら進めていきたいと思います。 ◆和田明子 委員 引き続き必要な獣医師の確保には努めていただきたいということで、このことは以上にさせていただきます。  次に、農業再生協議会で、今までついていた予算が突然ゼロになり困ったという話をお聞きしたのですが、畑作の直接支払交付金が、今年度はゼロになってしまい対象の農家にとっては大打撃だというお話も聞いているのですが、どういう状況になっているのでしょうか。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 国の交付金の関係かと思います。本年度の国の交付金につきましては、一部見直しが行われ、従来出ていたものが助成の対象から外れたもの、例えば麦等を二期作した場合にそれに助成するというものがあるのですが、国の制度から外れたものが1種類ございます。それから、例えば産地交付金といった米の減反で使われている助成金につきましては、従来、国が別枠で措置していたものが、その地域に割り振られた中で使ってもらいたいと国が見直したものがございますので、そういったものは、地域によっては、見直しをしたときに、そのものが入らないで従来のものを優先する考え方もあるかと思います。使途については、地域で自由に決められないものについては国の制度ということになっておりますので、その見直しによるものではないかと思われます。 ◆和田明子 委員 どういう交付金が、今年度は見直されて減らされる、あるいはなくなるということが事前にあまりわかっていない中で、突然、交付金がゼロになったと受けとめておられるところがあるようです。制度や交付金の見直し、減額ということは、複雑な制度であったり、ほかにつけかえたりしてまた受けられるものがあったりということになっているのではないかと思うのです。去年まではあったのにことしは影響が来て困ったと立ち至ることにならない丁寧な説明や、その内容についてはどういうことが県からそれぞれ市町村や携わっている農業委員の皆さんに説明されているのかについてはいかがでしょうか。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 制度の見直し等につきましては、国からの情報を得まして、それを市町村、あるいはJAの皆さんを集めた担当者会議を開いております。その中には、農業共済の方や関係機関の方もいらっしゃいます。そういった中で、一義的には、まずこういう制度になりましたという説明をさせていただいているところです。また、各地域には再生協という組織がございますので、その再生協の会議、あるいは説明会を開催しまして、その中でも市町村の皆さんやJAの皆さん、農業委員の皆さん等、地元の関係の皆様にも説明する機会を設けております。  ただ、最終的に農業者が知らなかったケースかと思いますので、いろいろな形で集落懇談会の中で、助成体系がこういうふうにかわりましたという説明をしたり、あるいは農家に対してJAから部会の中で説明をしたりとかいろいろな機会で説明しているわけでございます。そういった情報が伝わらなかったというケースということでございますので、よりきめ細かな丁寧な説明ができる形で、私どもとしても資料を改めてつくったり、実務を行う皆様がより農家に説明しやすいツール等も用意して制度改正が事前に多くの方にしっかりわかる形で努めてまいりたいと思います。 ◆和田明子 委員 急変すると受けとめられて、安定的に農業をやっていきたいということになると、はしごを外されたどころか去年まで受け取っていた交付金がゼロになったと。これは相当痛手だったと思いますので、そのあたりはきちんと変化が起こる部分については、特に丁寧に伝わるようにしていただきたいと思います。  それから、ひょうの被害について、御報告いただいたところです。東信・中信方面で大きな被害があったとお聞きしております。北信、長野地域も一部ひょうの被害は限定的になりますがありました。ひょうの被害については、5月の末ですから、特にリンゴも一定程度の摘果作業が終わり、粒も少し大きくなってきたところでの被害ということです。打撲被害によって品質低下が見込まれるところは、被害額でどうカウントされていくんでしょうか。 ◎中村正人 農業政策課長 被害額のカウントでございますけれども、市町村が降ひょうがあった地区を見回りまして、これはどのくらいの額の低下があるかという部分を、面積と単価と掛け合わせて出していく段取りで考えております。 ◆和田明子 委員 降ひょうがあったときに、どの範囲までひょう害が及んだかということをきちんと現場でまず把握しておくということが第一段階として必要ということですよね。 ◎中村正人 農業政策課長 管内の市町村方が、現地機関の地域振興局の農政課なりの者と一緒に、もしくは単独で見て回ってその部分の被害を把握していくことが第一段階でございます。 ◆和田明子 委員 実際に、果樹が大きくなってくるにつれて、それが被害と減収につながった場合には共済で補填されていくことになるのでしょうか。 ◎中村正人 農業政策課長 果樹の場合は、果樹共済等に御加入になっていれば、その部分は補填される形になります。 ◆和田明子 委員 実際、果樹共済に加入する加入率も低かったり、特にひょうについては、狭いところに集中的にということで、共済制度にも乗らない被害になってしまうということで、最終的には被害があっても残念ということになってしまうケースが比較的多い場面があると思います。農業者の皆さんに対して、技術指導もするけれどもひょう害に遭った皆さんには、応援していますという見舞金のような何らかの気持ちを寄せていただくことができないかとも言われているのですが、いかがでしょうか。 ◎中村正人 農業政策課長 果樹共済の関係は、確かに加入率が低い状況でございまして、県全体では大体22%といった数字でございます。ひょうの被害は、局地的に来る関係もございますが、今、委員おっしゃられる見舞金という形は、市町村がやる話かと思いますが、県で被害の対策事業を持っているものではございません。 ◆和田明子 委員 市町村が見舞金を出した場合には、県も若干一緒に見舞金を出していただくということも御検討いただければということで要望しておきたいと思います。  次に資料11の農業人材の受け入れについて、特例で措置していこうという話で、長野県としても全国の5つの自治体に追いつくようにといいますか、本日、提案なされたお話がありました。そこで、まず最初にお聞きしておきたいと思いますが、今まで受け入れていた農業実習生の中で、どんな課題があったのか。そして、実習生の方の今後についても日本人の雇用が奪われないかという先ほどのお話もありました。労働の条件については、日本人の労働者と同じ条件にしていくと。労賃が安いから外国人を雇うということにはならないということで、位置づけしていくとうたわれているんですが、今まで技能実習生の雇用の条件や賃金などはどのような状態だったのでしょうか。 ○鈴木清 委員長 確認するけれど、農政部所管の受け入れに対する課題ということでいいですよね。他の、企業関係はなじまないからね。 ◎小林安男 農村振興課長 外国人技能実習生受け入れについての課題等についてかと思います。技能実習生受け入れに当たっての課題につきましては、当然、言葉が確実に通じない部分のところによるコミュニケーション不足から作業がうまくいかないという問題が出ていることもあろうかと思います。一方で、受け入れ側の農家でも体制の整備について、きちんと受け入れ体制を整えてあるかという部分で、一部不十分だという御指摘もあったという課題があるかと認識しております。ほかに受け入れの労賃等については、基本的には労働基準法の適用になっているかと思っていますので、それに準じたものが支払われているということで、私どもは理解しております。 ◆和田明子 委員 今、労働基準法に沿って払われていると思われるということですけれども、どこかでチェックされているのでしょうか、されてきたのでしょうか。 ◎小林安男 農村振興課長 該当する部署や労働基準監督署等々で調査する中で、これまでにも一部不適切な事例ということでチェックがされてきたこともあります。 ◆和田明子 委員 今までも問題があるということで指摘されることもあったと。長野県内にはそういうところはなかったと思いたいわけでありますし、そうして受け入れていただくように、県としても、こういうことを提案していくからには、担保していただきたいと思うところです。今回、特定の機関に認定された派遣会社が外国人労働者を雇用し、農業経営体に派遣するということで、派遣元と雇用契約についての定めは、今回の提案された法案にはないということで、本当に担保されるのかという不安が広がっている点が1点あります。  そして今回は、長期間、国内にとどまらなくても、一旦、国へ帰って、また必要なときに来て、また働いていただくこともできるようにするとなっており、ていのいい調整弁になるのではないかとも言われているところもあります。そういう点についてはどのように考えているんでしょうか。 ◎小林安男 農村振興課長 まず受け入れに際しての受け入れの体制の整備になろうかと思いますが、先ほども御説明させていただきましたが、今回の提案については、長野県は他県と比べて違うということで、JAとの共同提案にさせていただきました。JAグループとも連携する中で、派遣事業者の部分を責任ある派遣事業者を確保していきたいと考えているということで、体制を整備していきたいと。さらに長野県、関係する市町村、また国の機関も加えて、適正受入協議会という中で、その取り組みをきちんと監視する制度も構築していきたいと考えているところです。そういったことによって、今回の外国人人材の受け入れという部分の運営が適正に進むように考えているところでございます。 ◆和田明子 委員 外国人労働者を単純労働で受け入れてはいけないという大前提がありまして、しっかり技術のある人に来ていただいてさらに技術を習得してもらうことで受け入れている制度だということになっています。そういうことをしっかり担保できるように、窓口がJAと共同でということでありますけれども、その先の派遣会社が実はそうではないところだったということになるのかどうか、そういうことについてはどうなんでしょうか。 ◎小林安男 農村振興課長 そういうことのないようにということで、JAと共同提案しているということでございます。 ◆和田明子 委員 わかりました。県としても提案しているわけですから、制度が県の思っているようにきちんと長野県内の農業者、生産を一定程度拡大して頑張っている農業者を応援しながら労働力という面でそういう皆さんを受け入れながらもきちんと技術が身につくようにして、国際的にも日本の農業については大変勉強させてもらったという制度になっていかなければ、ただ、安上がりの労働者を受け入れたと、そして激しく使ったとしてアジアの国々から批判されることになってはいけませんのでよろしくお願いしたいと思います。  そして先ほどもイチゴの話がありました。韓国ではそういう物を持ち帰って、韓国の物だと言って売っているという話で、なかなか聞き捨てならない話であります。品種登録制度に日本の品種登録が間に合わなかったと、向こうはイチゴは対象になっていなかったという話で、それは本当に莫大な損失になるわけでございます。イチゴの話のほかにも、今、まさに長野県が売りに出しているシャインマスカットが中国で無断で増殖されているのではないかと指摘する人があります。そういうことについても、どう受けとめておられるのかお聞きしたいと思います。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 先ほども今井議員の御質問のときにお答え申し上げましたけれども、知的財産の保護は、しっかり行っていかなければいけないと考えております。シャインマスカットにつきましては、中国で生産されているらしいとの情報もあり、国も非常に危機感を持っているところでございます。長野県もリンゴの品種等、いろいろな品種を育成しておりますけれども、今後、そういった物が海外で不当に生産されない体制をしっかりつくっていくことが重要だと考えております。 ◆和田明子 委員 いい面と悪い面と両方あると思います。日本の農業が、きちんと技術を高めていくことで一層頑張っていただきたいと思いますし、労働者を受け入れたことによって、日本の工業技術も大分盗まれたではないかと言われている面もありますので、技術の流出に歯どめがかからないことになってしまっては本末転倒ですので、行き過ぎた規制緩和にならないよう心配していますので、その点を発言させていただいて私の質問は終わります。 ◆高村京子 委員 上田地域振興局で出された農政課の資料を見させていただいて、改めてショックを受けております。上小管内の農業就業人口ですが、65歳未満が29.9%、65歳以上が70.1%ということで、専業農家が13.8%、兼業農家が25.9%、そして自給的農家が60.3%という状況で、弱体化と言いますか、これで本当に農業の多面的な機能・役割、景観を守っていただきながら、食料確保、地域の農村文化を守っていくという多面的な機能の中でのこの状況は、本当に危機的状況にあると思います。長野県の資料もいただいてはおりますけど、高齢者人口について、65歳以上人口、未満人口、それから専業、兼業、自給的農家、北原部長さんからは御説明ありますけれども、改めて長野県農業の現状ということについて、所見を伺いたいと思います。 ○鈴木清 委員長 上田地域振興局の管内のことじゃなくて、全県的なことですか。 ◆高村京子 委員 全体のことをお願いします。 ◎北原富裕 農政部長 65歳以上は、全県で71.7%です。それから自給的農家が50.6%、専業農家と言われる方が16.4%、これが平成27年、2015年の数字です。上田地域振興局管内と長野県全体の傾向としては、基本的には同じです。こういう状況の中で、昔から言われています農家戸数とか農業経営体数は、5年後、10年後、確実に減ることは、想定しながら施策を進めさせていただいております。そういう中で、私どもの振興計画の中でも捉えておる農業の部分と農村の部分の両方の施策の中ですけれども、一つには、農家戸数そのものが減るということは、私どもが進めている稼げる農業をしていくんだという方向性の中でいくと、問題はありますが、過剰に危機感を持つ必要はないといいますか、農家戸数が減っていく中で、どうやって残る、また育てていく農業者の方々に、どういう農業をしていただいて、経営体として自立してもらい、長野県の農業生産額を担っていただくかという方向性をきちんと持っていきたいと思っています。一方、高村委員御指摘のとおり、農村地域ということを考えた場合には、水田のあぜ草刈りや水管理の中での集落機能について、人の確保というのは必要であると考えております。  そこのところの問題意識は非常に持っておりますが、一方では、農地を維持するための中山間直接支払事業や水田等を中心にしての多面的機能支払事業を地域全体でどうやってこの農地や農業施設を維持していくのかという発想の施策もさせていただいております。その中では、農業者だけではなく、そこに住む住民の方々やさらには、都市部の方々も一緒に農業の価値や必要性を御理解いただきながら一緒に参画していただく仕組みもこれからは必要であろうと考えているところでございます。 ◆高村京子 委員 そこで、大変心配なんですが、平成28年の水稲ですけれども、価格が下落したまま農家経営は非常に厳しい状況が続いているのが、上小の概要の中で述べられているのです。米価の最近の状況について御説明いただきたいのですが。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 米価の関係のお尋ねでございます。平成26年に過剰作付による在庫がふえたということで、大きく価格は低落しました。その後、適正在庫になるべく、農家と国、関係市町村一丸となった取り組みをしてまいりまして、近年は、全国的には目標を達成する状況の中で、民間在庫が200万トン程度で安定している状況でございます。こうした中、米価につきましては、上昇傾向にございまして、直近の相対取引価格の5月の価格におきましても長野産コシヒカリは、前年比較では900円程度上昇しているということです。米価については、回復基調にあるという考え方でよろしいかと思います。 ◆高村京子 委員 そうは言っても在庫の関係と生産の関係で、非常に価格に変動があるわけなんですけれども、直接所得補償支払制度がことし半分で来年中止という状況です。これに対して、私は心配しているのですが、危惧される点や対策、検討はされているのかどうか、伺いたいです。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 米の直接支払交付金のお尋ねと思います。この交付金につきましては、民主党政権の際に、個別所得補償制度として設立されたもので、当初10アール当たり1万5,000円で水稲作付の面積に対して交付されていましたが、7,500円に減額されて今に至っているものです。これについて、国は、平成29年産をもって廃止することを既に決定しているところでございます。影響ですけれども、現在、この助成金をもらっている方は、民主党政権以前はもらっていなかったわけですけれども、その後、もらっていて所得として入ってきている状況です。一方で、これが減ってくると、当然、収入減ということが出てくると思います。特に集落営農や大規模な経営体でこれをもらっているところについては、その影響が大きいと考えているところです。この対応、対策ですが、これは、必ずしも直接支払交付金に限ったことではございませんが30年産からは米政策の方向が大きく転換されるということでございます。需給に見合った生産をしっかりしていくことが、第一の柱になると思います。それによって、全国的な米の販売環境を悪くしないようにすることが重要でございます。二つ目は、稼げる水田農業ということで、主食用米だけでなくほかの品目への取り組みも重要になってくると思います。園芸作物ではあづみ農協管内ではタマネギをターゲットにして産地ぐるみで増産する方向で向かっているところです。そうした新しい品目に取り組むことで所得を確保する方法が一つあると思います。それから、米の販売方法等につきましても県オリジナル米の風さやかもございますので、ほかの産地との違いを見せながらより有利に販売する方向もあると考えております。長野県は、米の品質については全国でトップクラスということでございます。そういった中で、これからの米の取引の中では、買っていただける方との結びつきをより強化していくことは、非常に重要だと考えております。そういう面では、長野米の品質をより高めていく取り組みを組織的にしっかり行っていくことが、一つの大きな柱になってくるのではないかと考えております。いずれにしましても、米価の水準を下げない、あるいは米以外の品目でも稼げるという体制をつくっていくのが、30年以降に向けて急務だと考えておりまして、現在、JAグループや関係の皆さんと相談しながら具体的なアクションを起こしたらいいのではないかということを、9月めどに皆さんに提案できるよう市町村や生産者団体の皆さんへ御提案ができる形で検討を進めているところでございます。 ◆高村京子 委員 小さい家族的な経営体としては、今後、高齢化が進んで大変ですけれども、稼げる農業ということで頑張っているところを応援していくこともこれからの農業の方向として切り開いていきたいということで、部長さんもおっしゃったんですけど、これについては、大規模農家ほど所得減の影響が大きいと御説明いただきました。9月には検討会で長野県としての方向性を出していきたいということですけれども、希望が持てる方向性を長野県として長野県ブランドのお米を守っていく立場と、すばらしい長野県の農村景観を守るということからもお米を守っていくことは大切だと思いますので、いい方向を切り開いていただきたいのと、国に対しても何か御意見、御要望、御提案などしていただいているのかどうか、伺いたいです。 ◎伊藤洋人 農業技術課長 国に対しては、5月に知事からも、農林水産省に対して要望しております。大きな柱としては、米の需給調整がしっかり機能できるように、今、国から交付されております助成金の7,500円は廃止されてしまうのですけれども、それ以外の助成金につきましては、国は継続すると申しておりますので、必要な予算をしっかり確保するように要請しております。また、その交付金を使っていく上での使い道については、現在、国からこういうふうに使いなさいという歯どめがあるわけですけれども、それを地域の実情に応じてより柔軟に使えるように要請もしているところでございます。主にその2点をしっかりと要請したところでございます。 ◆高村京子 委員 よろしくお願いしたいと思います。さらに不安ですけれども、日本とEUの経済連携協定です。国内農業を守るという点は、しっかり据えていかなければいけないと思います。丸山委員さん、今井委員さんからも御指摘、御不安も出されたわけですが、私もそういう思いを持っております。JA長野中央会さんでも6月29日に通常総会での特別決議や全国からもさまざまなJAさんの県レベルの中央会さんからの御要望も次々、国会に出されております。大枠合意に向かっていることに大きな不安を感じているということで、どの中央会さんもおっしゃっております。また、衆参の農林水産委員会でも、去年の12月3日に決議がされておりますが、再生産、持続可能となるよう必要な国境措置をしっかり確保するということでやっているんですけれども、そういう方向で進められるのかどうか6日が山場になるのでしょうか。まだこれからかと思いますが、TPPと同じように情報公開が十分されておりませんが知り得る限りの部分で御報告をいただければと思います。 ◎中村正人 農業政策課長 日本とEUのEPA交渉の関係は、御存じのとおり、6月30日から7月1日まで閣僚級の会合ということで開催され、断続的にニュース報道もされていました。最終的に閣僚会合の中では対立点が解消できないということで、大枠の合意にはなっていないということです。今週の6日に、首相は、首脳の会談があり、その中でという方向であろうかということだと思います。対立点の解消ができてない部分は、先ほど豚肉の関係ではほぼ合意ということのようですけれども、ナチュラルチーズ、ワインの関係の隔たりが大きいということで一般報道がされているところと承知しております。 ◆高村京子 委員 ワインが心配です。もちろん豚肉も心配で、養豚農家も毎年のように経営体も縮小していますし、経営が大変だと飼料代も大変高いということで、豚肉の関税を引き下げていくということは、非常に心配しているんですけれども。御説明もいただきましたように、上小でも資料をいただいたんですけど、ワイン用ブドウの栽培面積が、すごい急上昇なんですよね。ほかのところが右肩下がりの中で、長野県の御指導、御援助もありまして、管内では、今、67.2ヘクタールの124%と。長野県では256ヘクタールで126.1%、前年比ということで、非常に頑張っていただいて、長野県ワインが、品質も優良で世界に通用するワインだということはわかっているのですけれども。フランスやイタリア、ドイツ等のヨーロッパの有名なワインが入ってくることになりますと、影響が大変大きいと思って心配なのですが、長野県のワイン用ブドウ栽培、ワイン産業についてどのような御所見をお持ちでしょうか。 ◎北原富裕 農政部長 ワインの関税率が、TPP合意は8年かけて撤廃ということですけれども、現行の関税率が先ほど園芸畜産課長が御説明しましたように、15%、またはリッター125円ということですので、一つには、フランスやイタリアのある程度価格帯の高いワインにつきましては、フルボトルで94円程度の、これは関税ですので、港着でございます。そこで94円引かれると。そこから国内流通の中でのさまざまな価格変動があって幾ら下がるのかという話になろうかと思いますけれども。高級ワインとは100円の違いですので、今、3,000円で売られているワインが末端価格でどうなるのかといったときに、その価格帯と国産ワインとの比較論の中で、消費者の方々がどちらをとられるのかという話になろうかと思います。そういうことで考えますと、長野県のワインバレー構想で進めています県内のワインについては、地域でしっかり飲んでいただく。それからインバウンドの対応もする。さらには国内の東京等も含めて知名度を上げていく取り組みの中で、他国のワインとの違いを出していくことが一番大事であり、不安材料はないと言えばうそになりますが、フルボトル94円の部分の中で一喜一憂するのではなく、きちんと長野県の地の利でつくられた長野県産のワインの生産振興、販売戦略をきちんと持っていくことが将来的な部分の中で大きく伸びるであろうし、ヨーロッパへの輸出関税もバーターで関税がなくなってくると思います。そういう点の中で、長野県のワインのヨーロッパへの輸出についての将来的な可能性も見えるということも場合によっては出てくるわけです。県内のワインでもフランスで非常に評価の高いワインも現実にはあるわけですので、さまざまな考え方をしていきたいと思っております。 ◆高村京子 委員 今と関連するんですけれども、EPAでのEUとの経済連携協定の枠組みを広げていく中で、ヨーロッパと日本の農業政策と農業の基礎ベースの違いがあって、EUでは、日本の20倍の耕作地があると、日本は平均2.45ヘクタール、ドイツは55、フランスは54ですね。農業政策についても地方交付税措置があると言われておりますけれども、農業所得に占める補助金の割合は、今現状で日本は4割弱でこれからまだ少なくなってくる。ドイツは7割、フランスは9割以上で、中山間地やそれぞれの農家の持続可能な経営を応援していると、手厚い農業保護があることの中で、EUとは正反対のさまざまな支援をむしろ減らしていくと、自立してくださいと、大規模化してくださいという中で、大変心配する次第であります。
     国の農業政策がどうしても長野県にも大きな影響があり、そこの部分は、いたし方ないということがありますけれども、私は、今、大きな転換点で農協さんは、これからは包摂の社会、摂生の「摂」ですけど、みんなで助け合って地域で暮らし合っていく。支え合い、地域資源を活用しながら持続可能に暮らし合っていくことが非常にすばらしいということを認められているんですね。ことしは、国際協同組合デーということもあって、そんな記事を読んだんですけれども、昨年ですけれども、ユネスコで協同組合を無形文化遺産に登録したという状況がありまして、そういう地域社会をつくっていくことも常にベースに置きながら、農業を持続可能な基幹産業としてきちんと土台を据えながら御苦労いただいているわけですけれども、農家の皆さんが、将来に展望を持って誇りを持ってやっていかれることを常に土台に置いていただいて、農業施策を進めていただきたいと思います。 ○鈴木清 委員長 本日の審査はこの程度とし、明4日は午前10時30分から委員会を開会し、農政部及び林務部関係の審査を日程といたします。  なお、今定例会中の委員会の開議通知は、書面通知を省略し、放送または口頭連絡により行いますので御了承を願います。  散会を宣した。 ●散会時刻 午後4時13分...