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  1. 長野県議会 2017-06-27
    平成29年 6月定例会本会議-06月27日-02号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成29年 6月定例会本会議-06月27日-02号平成29年 6月定例会本会議 平成29年6月27日(火曜日)  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 和田明子   2 番 今井愛郎      28 番 備前光正   3 番 寺沢功希      29 番 吉川彰一   4 番 山口典久      30 番 小池久長   5 番 百瀬智之      31 番 太田昌孝   6 番 小山仁志      32 番 諏訪光昭   7 番 小川修一      33 番 髙橋岑俊   8 番 丸山大輔      34 番 今井 敦   9 番 酒井 茂      35 番 丸山栄一   10 番 荒井武志      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 両角友成      41 番 小池 清   16 番 藤岡義英      42 番 宮本衡司   17 番 髙島陽子      43 番 清沢英男
      18 番 浜 章吉      44 番 垣内基良   19 番 中川宏昌      45 番 鈴木 清   20 番 清水純子      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 毛利栄子      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   54 番 村石正郎      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      山﨑 明   副知事       中島恵理    建設部長      油井 均   危機管理監兼危           建設部リニア整   機管理部長     池田秀幸    備推進局長     水間武樹   企画振興部長    小岩正貴    会計管理者兼会   総務部長      小林 透    計局長       清水 深   短期大学事務局           財政課長      岡地俊季   長兼県立大学設   玉井裕司    教育長       原山隆一   立担当部長             教育次長      角田道夫   県民文化部長    青木 弘    教育次長      菅沼 尚   健康福祉部長    山本英紀    警察本部長     尾﨑 徹   環境部長      関昇一郎    警務部長      西口 学   産業政策監兼産           監査委員      田口敏子   業労働部長     土屋智則    公営企業管理者   観光部長      熊谷 晃    職務執行者・   農政部長      北原富裕    企業参事兼経営   波羅雅文                     推進課長         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      吉沢 久    議事課担当係長   鈴木晋一   議事課長      村松敏伸    議事課主査     山崎紀子   企画幹兼議事課           総務課担当係長   小澤利彦   課長補佐      小松健一         ───────────────────  平成29年6月27日(火曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    知事提出議案    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(垣内基良 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(垣内基良 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ────────────────── ○議長(垣内基良 君)次に、太田寛副知事、小林利弘公営企業管理者から本日より6月30日まで欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案の報告 ○議長(垣内基良 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                平成29年6月27日   長野県議会議長 垣 内 基 良 様                           長野県知事 阿 部 守 一         平成29年6月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 16 号 収用委員会委員及び収用委員会予備委員の選任について       〔議案等の部「1議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(垣内基良 君)以上であります。  ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案 ○議長(垣内基良 君)本件を議題といたします。  お諮りいたします。本件については、会議規則第44条の規定により提出者の説明を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本件は提出者の説明を省略することに決定いたしました。  本議案は、本日から行う質疑の対象に供します。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(垣内基良 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、藤岡義英議員。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)おはようございます。まず最初に、6月25日に木曽地方を中心に発生いたしました地震により被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。  日本共産党県議団、藤岡義英です。まず、共謀罪法について質問いたします。  共謀罪を盛り込んだテロ等準備罪を新設する改正組織犯罪処罰法が、15日、自民党、公明党、日本維新の会などの賛成で強行成立されました。共謀罪は、思想、信条の自由、内心の自由など基本的人権を侵害する違憲立法です。説明が不十分だとの国民の不安や批判の声が圧倒的であったにもかかわらず、委員会審議を一方的に打ち切り、委員会採決を抜きにした中間報告という卑劣な国会ルール無視の禁じ手を行使し、強行成立させました。議会制民主主義を踏みにじる暴挙であり、断じて許されません。  共謀罪は、犯罪が実際に起こっていない段階でも、2人以上で計画し、そのうち1人が実行準備行為をしたと捜査機関がみなせば全員を処罰できるものです。既遂処罰が大原則の日本の刑法体系が大きく変わることとなります。実行されていない犯罪を処罰するとなると、国民の心の中に踏み込んだ捜査は避けられません。市民活動や市民の話し合いも監視の対象にされ、盗聴捜査などの拡大が懸念されています。  衆議院と参議院での政府の説明が大きく変わりました。安倍首相は、一般人は対象外、組織的犯罪集団に限定しているなどと説明していましたが、参議院では、環境保護団体や人権保護団体でも隠れみのとみなされることや、組織的犯罪集団の構成員でない人も、周辺者と判断すれば逮捕、処罰の対象となる。つまり、一般人は誰かを決めるのは、自分たちではなく捜査機関であることが明らかになりました。  テロ対策とか国際組織犯罪防止条約の締結のためという口実も完全に崩れました。法律の内容も憲法違反、成立のさせ方も究極の強行採決という共謀罪法についての知事の御所見をお聞きいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)テロ等準備罪を内容とする組織犯罪処罰法の一部改正についての所見という御質問でございます。  国会運営のあり方については、これは国会の場でしっかり検討いただくものというふうに考えておりますので、県知事としてコメントすべき立場にはないというふうに思っております。  この組織犯罪処罰法の成立を受けての新聞各紙の世論調査を見ると、国民の賛否は分かれているなというふうに思っております。昨今、毎日のように海外でのテロのニュースが報じられている中で、やはり国民の中には、こうした日本の平和、安定というものをどう維持していくべきかというふうに思いを至らせている人たちも多いと思いますし、また、その反面、思想、良心の自由、あるいは表現の自由、こうしたものをこれからも守り続けなければいけないという強い思いを持っている方も大勢いらっしゃるわけであります。  まさにグローバル化の中で世界が大きく変わろうとしている中で、日本がどういう道を選択するのかと、これは主権者としての国民一人一人に突きつけられている大きな課題だというふうに受けとめております。  以上です。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)知事におかれましては、県民の基本的人権を守る立場に立って御発言されることを期待し、次に進みたいと思います。  佐久市樋橋地区の開発計画について質問いたします。  佐久市では、佐久平駅の南に位置する樋橋地区約22ヘクタールについて、地権者による準備組合と連携し、イオンモールやホテル、企業の本社機能等を誘致することにより、雇用創出や市の魅力向上を図るとしています。
     しかし、もともと、この地域を初めとする岩村田地域の水田について、県は、農業農村整備計画で良食味米生産を支援するとして基幹的農業水利施設の補修更新を行い、農業用水の確保のための対応を行っていました。樋橋地区は、平成23年から28年度に事業が行われた千ケ滝湯川地区県営かんがい排水事業の受益地であったわけですが、平成28年度中に離脱し、農振除外の手続を行っております。  同じく、イオンモールが大型商業施設の進出を検討している千曲市屋代の用地を含む一帯は、昨年度まで土地改良事業を行っており、8年間は農振法に基づき除外に制限がかかります。一方、樋橋地区は制限がかかりません。県営かんがい事業の工事が完了する前に離脱したからよいと言うのです。これは県民理解が得られるはずがないと思います。  そもそも、農振法第13条第2項に定める農振除外の5要件の5では、土地基盤整備事業が完了した年度の翌年度から起算して8年が経過していることとありますが、ここに整備事業中に離脱して農振除外を受けられるという項目は書いてありません。つまり、受益地だった樋橋地区は、29年度から8年間は農振の除外に制限がかかると解釈できます。よって、県は農地転用の許可をすべきではないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。農政部長にお聞きいたします。  この樋橋地区に来る予定のイオンモールは、既に佐久市にあるイオンモールの約3倍の規模の施設と言われています。佐久市も例外でなく人口が減少しております。市議会では否決されましたが、佐久市病院組合や佐久市ホテル旅館組合から樋橋地区の開発について慎重な対応を求める陳情が寄せられております。この開発計画は、地元商店街が衰退し、周辺地域との格差を広げてしまうと考えておりますが、県の認識と対策を産業労働部長にお伺いいたします。  農振除外の手続のほかに、用途地域への編入、土地区画整理事業の決定の手続も同時に進められています。6月4日に佐久市都市計画公聴会が行われ、この事業の決定に対しての意見陳述が行われました。賛成意見は1名、反対意見は2名でした。今後、知事への協議が必要となるかと思いますが、時期はいつになるでしょうか。決定権限は佐久市であっても、県として佐久地域全体の均衡ある発展を考えた都市計画となるよう必要な助言を行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。これは建設部長にお聞きいたします。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)佐久市樋橋地区の開発計画における農地転用についてのお尋ねですが、樋橋地区の開発計画地18.5ヘクタールを含む343ヘクタールを受益とする千ケ滝湯川地区県営かんがい事業を、地元土地改良区からの申請により平成23年度から実施しております。平成27年6月に、開発計画地の受益者全員から地元土地改良区に対し事業受益地から除外を求める申し出がされ、地元土地改良区から県に協議がなされております。県としましては、当該事業の計画実施に影響を及ぼさないものであり、受益地からの除外はやむを得ないものと判断し、事業計画の変更を公告縦覧するなどの手続を行い、平成28年9月に変更計画を確定し、除外しております。  計画地は、佐久平駅の南に位置し、市街化が見込まれる農地転用許可が可能な農地であり、佐久市においては農振除外にかかわる農業振興地域整備計画の変更案の公告を本年4月に行い、異議申し出なく縦覧が終了しております。県といたしましては、農業振興地域整備計画の変更協議、また、農地転用許可に当たっては、法令に従って適正に審査を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長土屋智則君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(土屋智則 君)佐久市樋橋地区への大型店出店と地元商店街への影響についてのお尋ねでございます。  地域における大型店の出店に当たりましては、地域経済の活性化や住民の利便性の向上が期待されます一方で、地域コミュニティーや高齢者の買い物の場といった役割を持つ地元商店街の振興といかに両立させていくかということが課題でございます。この点につきましては、大店立地法等の法規制により対応できるものではございませんで、大型店と地元商店街が連携したまちづくりを進めていくことが解決への道であるというふうに考えているところでございます。  当該地区では、平成11年にイオンモール佐久平が開店した際に地元商店街と共同で電子マネーカードを発行したといった実績もあり、また、今回の計画の中でも、岩村田本町商店街への交通アクセスを改善するなど、地元佐久市による取り組みも予定されているところでございます。  県といたしましては、地域住民にとってよりよいまちづくりとなるよう、地元の動向を注視いたしますとともに、商店街に対する必要な支援策について地域の皆様と一緒になって考えてまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。       〔建設部長油井均君登壇〕 ◎建設部長(油井均 君)佐久市樋橋地区における都市計画の用途地域及び土地区画整理事業施行区域の決定についてのお尋ねでございます。  都市計画区域、都市計画決定に係る法定の県知事への協議は本年秋ごろに行う予定と佐久市より聞いております。県としましては、これまで、佐久市との事前協議の中で、近隣市町村への情報提供や既存商店街を含めた関係団体からの意見聴取を促す等、広域的な見地から適宜助言を行ってまいりました。また、佐久市では、平成28年7月に佐久市都市計画マスタープランの見直しを行うとともに、人口減少社会を見据えた立地適正化計画を平成29年3月に公表しておりますが、これら計画との整合も確認してまいりました。  今後も、佐久市との打ち合わせや県知事への協議において、住民の合意形成がされた市の目指すべき都市像の実現に向けて、法令に定められた広域の見地からの調整を図る観点、または県が定める都市計画との適合を図る観点から、適時的確に助言を行ってまいります。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)これ以上の大型商業施設の進出に手を貸すことが地方創生につながるのか、甚だ疑問です。県には、開発計画を引き続き注視していただきたいと強く要望しておきます。  農政部長に再質問いたします。  農地転用の許可、不許可について今後のスケジュールはどのように考えておられますか。お聞きいたします。  続いての質問に移ります。望月高校への対応について質問いたします。  第1次高校再編の対象になってしまった望月高校は、地域高校としての役割を発揮し、さまざまな活動に取り組んできました。同じく再編の対象となった白馬高校は例外中の例外とのことでありましたが、同じように取り扱うべきではないでしょうか。白馬高校で対応したように望月高校でも対応してほしいと思いますが、いかがでしょうか。教育長に見解をお聞きいたします。  学びの改革基本構想についても質問いたします。  3月30日に学びの改革基本構想が決定されました。生徒、教職員を含め県民からの意見の聞き取りが不十分だとして決定を急ぐべきではないとの声もあったわけですが、大変残念であります。実際、この学びの改革について知っていますかと地元の方々に尋ねても、再編の問題など中身を知らないのが現状であります。  今後、基本構想から実施方針を策定すべく、旧通学区12地区で行われる地域懇談会や各種団体から意見聴取を行うとされていますが、各地区1回2時間となっており、これでは地域の意見を酌み取ることはできないと思います。回数も時間もふやすべきと考えますが、いかがでしょうか。また、地域懇談会とは別に、学校関係者や高校生自身の意見を聞く場を設けるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。いずれも教育長にお聞きいたします。  都市部存立校と中山間地存立校の考え方について質問いたします。  地歴公民科や理科の分野で、都市部校では専門性を有する教員の配置は可能ですが、中山間地校は専門性を有する教員による授業が受けられない科目が出てくる場合があるのではないかと感じました。さきの2月県議会で、教育長は、全ての県立高校で基本的には同じ学びの内容が保障されると答弁されていましたが、いかがでしょうか。教育長にお聞きいたします。  基本構想を読んでみて、都市部存立校と中山間地存立校の学びの差がさらに目立つ印象を受けました。学校を立地によって差別し、教員配置、設備の面など教育条件の上でも差がついてしまうのではと危惧しています。市内に住む子供たちの学力が町村に住む子供たちと比較してもほとんど変わらないという学力の地域格差の分析結果もあるようです。ですから、交通の便の悪い長野県において、都市部の学校に上級学校を目指す生徒を集中的に集めることは効率的ではありません。居住する近くの学校で上級学校を目指すのか、地元の企業に就職し地域の担い手となるのか、生徒が入学後選択できるように学べる環境を整えることこそが必要ではないでしょうか。教育長にお聞きいたします。  少子化が進む情勢は少人数学級の実現の好機であるとの意見は多数寄せられたと思います。しかし、基本構想は逆に高校統廃合のチャンスだと捉えていると感じられます。国の標準法に基づいて40人学級を前提としており、少人数学級を導入すると県独自の負担が生じることを理由に最初からこの考えを除外しているのではないでしょうか。少人数学級に対する県民の意見をスタートからシャットアウトするものであり、基本構想で結論づけなくてもよいのではないかと思いますが、いかがですか。教育長にお聞きいたします。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)農地転用手続のスケジュールについてお答えをいたします。  佐久市による農振農用地区域からの除外及び都市計画法上の用途地域への編入が終了した後において、農地転用許可の申請を受け付け、審査いたします。転用申請面積は約18.5ヘクタールの見込みと聞いておりますので、審査に当たっては、関東農政局との協議が必要となる案件と考えております。これらの手続を経まして県として適正に判断してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)望月高校への対応と学びの改革基本構想についてのお尋ねでございます。  まず、白馬高校と同様の対応を求めるということに関してでございますが、望月高校は、創立90周年を迎え、近年では先進的な学びを導入する試みや生徒へのきめ細やかな支援、地域の祭りへの参加やボランティア清掃等、地域の高校として教育活動の充実に努めてきておりますし、また、県教育委員会でもこれまで教員の加配に努める等支援をしてきたところでございます。しかしながら、平成29年5月1日の在籍生徒数をもって第1期高等学校再編計画の基準に該当したことから再編対象ということになったわけでございます。  一方、白馬高校は、その将来像が世界水準の山岳高原観光地づくりを目指す県の観光施策に合致するとともに、少子化を見据え、白馬、小谷両村が再編基準に該当する以前から存続に向けた検討を始め、そして基準該当時には寮や公営塾の設置等の具体的な支援策の提案がなされたところでありまして、そういう意味では白馬高校と同列に論じることはできないのではないかというふうに考えているところでございます。  次に、学びの改革に係る地域懇談会についてであります。  学びの改革基本構想は、県議会での御議論を初めとして、パブリックコメント、各種団体との意見交換等により幅広い県民の皆様から多くの御意見をいただき、3月に策定したものでございます。その中で、高校生、若手教員等とも有意義な意見交換ができたというふうに考えております。そして、3月以来、県内の小中高等学校、市町村、産業界や大学関係者等への周知にも努めてきたところでございます。  今年度は、7月から8月にかけて旧12通学区ごとに地域懇談会を開催し、学びの改革基本構想をもとに新たな教育の推進や新たな学校づくりについて広く意見交換を行う予定であります。さらに、2回目の地域懇談会についても開催する予定としているところでございます。  地域懇談会はどなたでも参加可能としておりまして、学校関係者や生徒についても積極的な参加を促しており、幅広い参加を得て活発な議論を期待しているところであります。さらに、地域懇談会とは別に、8月には中学生及びその保護者との意見交換会を県内6会場で開催する予定としております。学びの改革実施方針策定に向けまして、学校関係者や生徒も含め県民の皆様との幅広い丁寧な議論を重ねてまいります。  次に、中山間地存立校での専門性を有する教育についてでありますが、全ての県立高校には各教科に専門性を有する教員を配置しておりまして、どの学校においても学習指導要領にのっとった教育課程を展開しておりまして、その意味では同じ学びの内容を保障しているというところでございます。  今後も、各校の課題に応じた教員の配置や学校間の連携、ICTの活用、専門性を有する地域の人的資源の活用等によりまして、中山間地存立校のさらなる教育の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に、居住地近くでの学校での進路保障についてでありますが、まさに中山間地が多く県土が広い本県の地理的特性を踏まえて、都市部にも中山間地にも高校が存立し、立地の特性やそれぞれの高校の特徴を生かした高校づくりを進めることが望ましいというふうに考えて今回の学びの改革基本構想を策定したところであります。これからも、都市部存立校、中山間地存立校のいずれにおいても生徒の多様な進路が可能になるよう環境を整えていきたいというふうに考えております。  少人数学級についてでありますが、高校は学級単位の授業を基本とする義務教育とは異なり、卒業後の自立を見据えた学びも必要でありますので、少人数学級の必要性については義務教育とは異なるものだというふうに考えているものであります。高校では、これまでも習熟度別学習や選択講座、専門学科の実習の少人数実施等、学級とは別の学習集団を形成し、多様な生徒に対応してきたところであります。各校の少人数学習集団編成への支援のほか、特別支援教育、生徒指導等、課題に応じた教員を配置できるように努めてきているところでありまして、今後もこうした取り組みにより学習環境の充実を図ってまいりたいというふうに考えており、学びの改革基本構想もこうした考えのもとに策定したところであります。  以上でございます。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)望月高校は、地域とともに育ち、地域に愛される学校づくりを目指して90年歩んでこられました。長野県は、信州型コミュニティスクールを構築し、学校と地域住民の協働による地域に開かれた信頼される学校づくりを進めてきたと認識しております。望月高校はその信州型コミュニティスクールの先駆けで取り組んできた模範校ではないでしょうか。教育長の答弁は大変冷たいと感じました。  この地域で役割を存分に発揮している望月高校を、数人分基準を下回ったからといって機械的に再編対象にされることに強い疑問を感じております。地域住民も同窓会の皆様も納得されておりません。特に高校生たちはどう思っているのでしょうか。  偶然ですが、ことしの3月、望月高校の卒業式に出席する機会がございました。卒業生代表の方が答辞を読まれたときに、望月高校がなくなるかもしれないということをいつも心配しながら学校生活を送ってきましたと語られたのです。いろんな思い出を振り返られながらスピーチされていましたが、その部分で胸を詰まらせ、涙ながらに語られていたことに、高校再編の問題が生徒さんたちを苦しめていることを知り、大変衝撃を受けました。  長野県として望月高校の地域での役割はどう評価しているのでしょうか。第1期高校再編計画の基準の適用について慎重に対応を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。再度教育長にお聞きいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)望月高校の地域での役割についての評価についてのお尋ねでございます。  先ほどお答えしたとおり、これまで望月高校が地域の中で果たしてきた役割については十分に評価をしているところでございます。県教育委員会でも、これまで教員の加配に努める等支援してきたところでございます。一方、第1次再編計画の中で基準に該当した地域においては、各地域において真剣に議論がなされ、それぞれの対応をとってきたところでございます。今回、生徒数の減少によって第1期高校再編計画の基準に該当しているところでありますので、今後のあり方については基準にのっとって検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)ぜひ教育長には地元の意見にしっかり耳を傾けて対応していただきたい、慎重に対応していただきたいと重ねて申し上げます。  続いて、大北森林組合補助金不正問題について質問いたします。  3月28日に大北森林組合の補助金不正受給事件の裁判の判決が出されました。注目されたのは、県の関与を認めたことでありました。判決では、県に重大な落ち度があったと言うべきであると厳しく県の関与を指摘しています。県は、これまで、組合が主体的、能動的に不正をしたと主張しており、見解が食い違っています。知事は議会開会日の議案説明で刑事裁判について言及されていましたが、司法が県の不正要因を認定したことについては全く触れられていませんでした。司法の認定をどう受けとめておられますか。知事にお聞きいたします。  職員への処分は既に行われております。これは検証委員会の検証結果を受けてなされたものでありますが、判決を受けて、処分は妥当であったと考えられますでしょうか。これは総務部長にお聞きいたします。  県は、大北森林組合等補助金不正問題の関係者に対する損害賠償請求等について検証、検討するため、法的課題検討委員会を設置しました。この委員会は非公開で行われています。既に裁判でも関係者は実名での証言がなされております。もちろん、報道などでの配慮は必要だと思いますが、どのような議論が行われているのかほとんど明らかにされていないことには違和感を感じております。県民に報告できる範囲で検討委員会での議論内容を説明すべきではないでしょうか。総務部長にお聞きいたします。  昨年11月に初めて開催されたこの問題の県民説明会について、今後再び開催される可能性も示しておられましたが、その後、一切開催されておりません。前回の説明会では、知事が出席されていなかったことが批判の一つになっていました。本来、判決後にすぐに開催しなければならなかったと考えますが、知事も出席する説明会を直ちに開催すべきではありませんか。知事にお聞きいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大北森林組合の補助金不適正受給について2点私に御質問いただきました。  まず、刑事事件の判決が出たことについての内容の受けとめであります。  今回、まさに刑事事件としての裁判であります。まず思い起こしていただきたいのは、私ども長野県として今回刑事告発させていただいたということを端緒にして今回の裁判に至っているということであります。私としては、今回の事案の真相究明ということに全力で取り組む必要があるということで、あえて行政としても刑事告発をさせていただき、その判決が出たわけであります。  その争われた内容というのは、これは刑事事件でありますから、大北森林組合と同組合の元専務理事の補助金等適正化法違反、そして元専務理事の組合に対する詐欺が問われた事件であります。これが裁判の本質部分でございます。確かに県側の問題についても厳しく御指摘をいただいております。これも私どもしっかり受けとめなければいけないと思っておりますが、藤岡議員の御質問にもありましたように、県としては県職員にも厳正な処分をこれまで行わせていただいてきております。  今回の判決の本質であります補助金適正化法違反、そして詐欺の部分でありますけれども、まず補助金適正化法違反については、元専務理事が主導的役割を果たしたものという認定がなされたところであり、組合職員らと共謀の上、森林作業道整備を実施した事実はないのに実施したかのように偽って補助金の交付を申請し、交付を受けたものであるというふうに判示されております。  また、詐欺につきましても、工事請負代金の水増し請求を行い、犯行に至る経緯に酌むべきものはなく、利欲的な動機で強い非難に値し、その犯行は常習的でまことに悪質との指摘もなされているところでございます。こうしたことは、昨年11月に改革推進委員会から事案の全体像として発表させていただいた内容と合致するものというふうに受けとめているところでございます。  それから、県民への説明についてでございます。  先ほど申し上げたように、今回、極めて多額の不正受給が長期間にわたって行われた案件でありますので、事あるごとにできるだけ丁寧に県としての考え方、あるいは私、知事としての考え方をこの議場でも再三にわたってお話をさせていただきましたし、会見でも、途中で質問を打ち切るというようなことは全く行わずに、質問がある限り丁寧に対応させてきていただいております。  また、これは第三者の観点での検証も必要だということで検証委員会も立ち上げ、第三者の皆様方にもこの事実関係の解明に取り組んでいただいてきたわけでありますけれども、昨年の11月には、私が出席しなくて批判されていると御質問の中にありましたけれども、改革推進委員会の委員の方からむしろ第三者の視点で御説明いただく必要があるということを基本にして実施をさせていただきました。当日、御記憶と思いますけれども、当初の予定時間を大幅に上回る4時間にわたって全ての御質問にお答えをさせていただき、できるだけ丁寧にわかりやすくお伝えするよう、私どもとしては最大限努力をさせてきていただいております。  今回の事案については、補助金の返還請求あるいは国庫補助金の国への返還、先ほど申し上げた刑事事件への対応、さらには県職員の処分、さまざまな局面で、その都度その都度、厳正かつ適正な対応を心がけ、また、県民の皆様方にも対応をし、丁寧に御説明をさせてきていただいております。  残された課題は、関係者に対する損害賠償請求だというふうに考えております。これにつきましては、現在、法的課題検討委員会において御検討いただいております。今後、委員会での検討結果を踏まえて、県としての方向性が定まった時点で改めて考え方をお伝えしてまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔総務部長小林透君登壇〕 ◎総務部長(小林透 君)御質問に順次お答えをいたします。  まず、職員の処分の妥当性についてでございますが、県といたしましては、今回の判決において県職員の落ち度として指摘された部分については、処分時に大きな問題と認識してございまして、処分に当たっては、関係書類の精査や職員からの徹底的な聞き取りなど詳細な調査に基づき厳正に行ったものでございます。また、公判における県職員の証言もこうした聞き取り調査に反するものではなかったというふうに考えてございます。したがいまして、平成27年12月25日に実施いたしました御指摘の処分につきましては、現在も妥当なものと考えております。  次に、大北森林組合補助金不適正受給事案に係る法的課題検討委員会の公開についてでございます。  この委員会は、県から関係者への損害賠償請求等について検討するものでございまして、第1回の委員会におきまして、審議会等の設置及び運営に関する指針、これは、会議を原則公開とし、非公開の決定が行うことのできる場合を定めているものでございますが、この指針によりまして、県の訴訟に関する事務であること、あるいは関係する個人や法人その他の団体について議論するものであること、また、公正かつ円滑な審議を行うために会議そのものは非公開とすることとされたものでございます。  しかしながら、会議の議事要旨及び資料のうち、公開可能なものを公開するとともに、委員会終了後に委員長が報道関係者からの取材に対応することなどによりまして県民への説明に努めているところでございます。  以上であります。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)司法の認定をどう受けとめるのか、ここが大事でありまして、知事はその点について一切答弁されてなかったなと感じております。残念であります。  判決文では、組合を信頼していたなどとする県職員らの証言が信用できないことは明らか、降雪期で補助金の対象となる工事や作業が不可能であるのに、県林務部から執行未了の予算の消化を割り当てられ、本来は補助金の交付が許されない工事や作業が完了していない事業について補助金を交付する闇繰り越しなどとも呼んでいた違法な手段を使っても予算消化をするよう迫られていた。地方事務所職員が予算消化を迫られていたこともあり、不正な補助金申請を始めるきっかけを与え、その後も容認し続けていたことは明らかで、県側に重要な落ち度があったとなっております。  これを読めば、全く工事がされていない架空申請を容認していないとしてきた県の主張が信用できないと司法が厳しく指摘していると私は解釈しております。そして、本庁林務部に対しても、闇繰り越しを前提に地方事務所職員に予算消化を押しつけてきたとも認定しております。明らかにこれまでの県の説明と食い違っております。県世論調査協会が4月11日に行った世論調査でも、判決を受け、県が職員の再調査をすべきかとの質問に、71%が必要と答えています。県は真摯に司法の結果を受けとめるべきであります。  法的課題検討委員会についてですが、当時現地にいた地方事務所職員だけに責任が押しつけられてしまうのではないかと懸念しております。7年間も不正問題が続いていたことは、組織的に問題があったからであり、私たちは真相究明を行ってから責任の所在を明確にして対応すべきと考えます。  再質問いたします。  知事も、検証委員会の結果を受けてみずから報酬の1割カット3カ月という責任をとられました。裁判を受けて、知事自身の責任のとり方についても妥当であったとお考えですか。知事にお聞きいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大北森林組合の問題については、先ほど申し上げたように、私としては厳正かつしっかりとした対応を行うということを当初から心がけてきて取り組んでおります。裁判については、ちょっと私の説明が理解いただけなかったのかもしれませんが、これは刑事事件であります。県は当事者性がないわけでありますので、県の意見とか考え方というのを直接聴取する機会があるわけではなくて、先ほど申し上げた組合とそれから専務理事、これが犯罪に該当する行為を行ったのかということが争われた裁判でありますので、その裁判の内容だけをもって私どもの対応についておかしいのではないかというふうに御指摘されるのは、私どもの考え方もぜひ丁寧に御説明しておりますので、それも受けとめていただいた上で行っていただきたいというふうに思っております。  真相究明については、私も先ほどから申し上げておりますように、県としても第三者委員会を設けたり、あるいは職員についても再三にわたる聞き取り調査を行って、この県議会の場でもそうした説明を行わせてきていただいております。裁判の証言と県での確認内容についてもそごがあり得るのではないかというふうに感じた点について改めて県職員に対して確認をしているという旨は、この場でも既に御説明をさせていただいているというふうに思っております。相当丁寧な対応に努めさせてきていただいております。  ただ、判決文でさまざま県の問題点も御指摘をいただいておりますし、私ども県側にも大変大きな問題があったということについては、これも再三この場でも御説明をさせてきていただいているわけであります。私は、個々の職員の責任は懲戒処分で対応させていただいておりますけれども、それのみならず、やはり県の組織、長野県庁、そして林務部の風土自体を変えなければいけないということで、コンプライアンスの推進ということを高く掲げて取り組みを始めているところでございます。県議会の皆様方には、こうした状況について十分御理解いただいた上で、私は、今回の問題は県側に問題がなかったということは申し上げているわけではありません。県側に問題があったからこそコンプライアンスの推進が県として重要だということを申し上げてきているわけであります。  そういう中で、私の責任についても言及いただきましたけれども、これは、県職員を処分するに当たって、私自身も県議会に給与減額に関する条例案を提案させていただき、県議会の皆様方の御同意をいただき、減給させていただいたところでございます。  これからの県民の皆様からの信頼回復に向けては、組織風土の改革を県職員全体でしっかりと取り組んでいくということが重要だと思っておりますので、藤岡議員におかれましても、こうした観点での私どもの取り組みをぜひ監視していただくと同時に応援いただければありがたいなというふうに思っております。  以上でございます。       〔16番藤岡義英君登壇〕 ◆16番(藤岡義英 君)司法の認定を無視するのかと私は感じました。大変残念であります。
     今、都議会議員選挙が行われている東京都の小池都知事は、豊洲問題で、豊洲新市場建設決定時の直接的な責任はないのですが、この問題で都民へ謝罪をし、みずから報酬の2割カット3カ月という責任をとられました。参考にしていただければと思います。  知事は、議会開会日の議案説明で、森林税について継続を視野にと言及されました。大北森林組合の問題で県と司法との間で見解が食い違っている中、県民は納得しておりません。このような状態で森林税だけ継続を前提にされるのはコンプライアンス的にいかがなものかと御指摘させていただきます。  これまで、県議会は、調査に強制力を持つ100条委員会の設置について、裁判が継続していることを理由にして判断を先送りにしてきました。判決は出ました。いよいよ100条委員会の設置は待ったなしであることを申し上げ、質問を終わります。 ○議長(垣内基良 君)次に、宮本衡司議員。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)おはようございます。  初めに、一昨日、県南部を震源とする震度5強の地震が発生をいたしました。木曽地域では、土砂崩れ、家屋の損壊、けがをなされた方もおりますが、現状と今後の対策等について知事にお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)去る6月25日に発生した地震への対応についての御質問にお答えを申し上げたいと思います。  一昨日の早朝、木曽町、王滝村で最大震度5強を観測した地震により被災された皆様方にまず心よりお見舞いを申し上げます。  県としては、地震発生と同時に警戒対策本部を県庁並びに木曽地方部に設置をさせていただきますとともに、木曽町及び王滝村に職員を派遣させていただくなど、関係町村とも十分協力をしながら迅速な災害対応に取り組んできております。  現時点での被害状況は、負傷者が2名、住家の一部損壊22棟などの状況でございますが、加えて一部の道路では通行どめが続いている状況もございます。今後とも関係機関の皆様方と十分連携を図りながら、余震への対応、あるいは復旧、復興に全力で当たってまいりたいと考えております。  以上です。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、被害がこれ以上拡大しないよう願っております。  飯山市井出川における山腹崩落災害について伺います。  5月19日早朝、飯山市照岡の井出川流域で発生した山腹崩落により避難生活を送られている皆様に心よりお見舞いを申し上げます。以前の生活に一日も早く戻れるよう願うものであります。  また、物心両面にわたる御支援をいただきました関係各位にこの場をおかりして心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。そして、いち早く現地に駆けつけ、的確な対応をしていただきました北信地域振興局、建設事務所、保健福祉事務所、飯山警察署等々県関係出先機関初め本庁知事部局、国土交通省、林野庁に心より感謝申し上げるとともに、知事におかれましては、22日に国土交通省の大野政務官への要望、25日には現地を視察していただき、重ねて御礼を申し上げます。  山腹崩落が発生してから、早いもので1カ月が過ぎました。当時の新聞を見ますと、「避難長期化の恐れ」とか、「稲作断念も 用水濁り取水不十分」といった見出しが大きく躍っておりました。しかし、最近は、5月末に「飯山に新砂防ダム検討」、6月中旬には「飯山の山腹崩落で流木食い止める柵」、「飯山砂防ダムに5億円」、そして、18日には「流木止める柵設置完了」と、物すごいスピードで対応がわかる見出しになっております。おかげさまで、6月23日16時をもって避難指示が避難勧告に切りかえられ、JR飯山線不通区間も再開され、ひとまず安堵したところです。  今回の補正予算案にも、恒久対策として砂防堰堤設置費が計上されており、県の対応の早さに驚き、感謝をしているというのが正直なところであります。県では、早々に土石流センサーの設置等による警戒避難体制の整備のほか、土のう積み、流木の流出防止等の応急対策をいただいたところでありますが、山腹崩落地から桑名川集落までの渓流内にはまだ多くの土砂堆積物が、桑名川砂防堰堤には多量の流木がたまっており、避難指示は解除されたものの、引き続き勧告が出ている状況であり、地元の皆さんからは早急な対策が求められています。  ところで、今回の山腹崩落の規模はどの程度であったのか。このうち、土石流として流れ出した量はどのくらいであったと承知されているのでしょうか。建設部長に伺います。  5月23日に、飯山市長が、今回の崩落からの復旧について阿部知事に要望に伺いました。私も同席をいたしましたが、知事におかれては、お忙しい中にもかかわらず要望をお聞きいただき、その中に、発生源である山腹崩落の対策が急務であり速やかな対応をお願いしたい旨のことが要望されております。梅雨末期の大雨、台風、山腹崩落の原因となる雨はこれからも何度も降ります。住民の皆さんが、その都度、不安な思いをしたり避難をしたりすることなく過ごせるようにするためには、今回の災害の源であります山腹崩落が今後とも起こらない対策を講じることこそ必要不可欠であります。  崩落の原因等については、国土交通省派遣の専門家の見解では、崩落は融雪水が原因であり、融雪水の減少に伴って崩落はおさまるとのことであり、現実に、その後崩落は発生しておりませんが、恒久対策が完成するまでの間、どのような手が施されるのでしょうか。今回の補正予算に砂防堰堤新設の予算が計上されたことは迅速な対応と評価いたしますが、応急対策の経過と今後の恒久的な土石流や流木への対策について建設部長に、また、発生源である崩壊地の対策について林務部長に伺います。  県内には、整備を必要とする土石流危険渓流は4,027ありますが、整備済みの箇所は2割程度であります。土石流災害は、一たび起こりますと生死にかかわります。危険渓流への砂防堰堤整備が最も直接的で効果的な対策であることは、今回の井出川の例で広く県民の皆様に理解されたと考えております。整備が必要な渓流への積極的な対策費用の投資は真に必要な公共事業と考えますが、あわせて土石流対策について建設部長に伺います。  今回の山腹崩落、土石流による被害は、4月より北信地方事務所から北信地域振興局へ組織体制が変わって間もなく発生いたしましたが、関係部局、出先機関の初動体制や連携はいかがであったのか。また、地域振興局の防災機能は十分に果たせたのか。危機管理部長に伺います。  発生時はちょうど田植えの時期と重なり、泥流となった出川からの農業用水の取水が不能となりました。市では急遽延長400メートルの管を仮設配管ししのぎましたが、その際、北原農政部長には現地にて仮設配管や営農の指導をしていただき、おかげさまで無事に通水できました。ぜひ来期に向けた農業用水の確保にもお力添えを賜りたく、お願いを申し上げます。  現地では、早い時期より多くの飯山警察署員に交通規制や警備に当たっていただき、大変助かりました。その経過と状況等について警察本部長に伺います。  避難勧告とはなりましたが、該当する4世帯14人が市教員住宅やトレーラーハウスに仮住まいをしています。避難所での生活に比べると、家族ごとの生活となり、多少なりとも気持ちが休まるのではないかと思っておりますが、避難生活はこれから先もしばらくは続くものと考えられます。また、帰宅できたとしても、大雨等の際の精神的な不安は大きなものがあろうと思います。  飯山市議会においても、避難されている方々への精神面での支援についてしっかりと行ってほしい旨の話がありました。このあたりは一義的には市で対応すべき課題でありますが、長期化が予想される中、仮設生活をされている方々への精神面での支援について、県として保健師の派遣を初めメンタルヘルスについてどのようにお考えか、健康福祉部長に伺います。  この地区には、平成25年に結成された桑名川区自主防災隊があり、県の地域発元気づくり支援金を活用し、防災に関する知識の普及に努めたり、有事の際には情報収集・伝達、避難誘導、救出・救護、応急給食・給水に当たり、訓練や防災資機材の備蓄をしています。今回、初期の段階から本部長である区長を先頭にこの組織が活躍し、大いにその成果を上げております。また、交代で24時間警戒に当たっていただいた消防団員の活動にはただただ敬服するのみであります。  県内各地の自主防災組織に対するより一層の支援が今後も不可欠と考えますが、危機管理部長にお伺いをいたします。       〔建設部長油井均君登壇〕 ◎建設部長(油井均 君)3点お尋ねをいただきました。  まず、山腹崩落の規模についてのお尋ねでございます。  山腹崩壊した規模につきましては、幅約150メートル、長さ約500メートルで、崩壊土量約60万立米でございます。このうち、土石流として流れ出た量につきましては、既設砂防堰堤の捕捉状況から約4万立米を超える大量の土砂が流下したと推測をしております。今後、緊急に対応すべき渓流内に堆積している土砂量は約9万立米と算定をしております。  次に、飯山市井出川山腹崩壊災害への応急対策及び恒久対策についてのお尋ねでございます。  まず初めに、応急対策についてでございます。  建設部では、災害発生後、早々に、下流住民の皆様の警戒避難体制づくりのため、渓床内に土石流センサー2基及び監視カメラ4基を設置し、林務部設置の機器との連動により関係機関や住民の皆様等への迅速な土石流発生等の情報を提供しております。また、人家への土砂流入を防止するために土のうとコンクリートブロックを災害発生の翌日から設置したほか、流木除去等の河床整理を行い、6月23日までに完了しております。さらに、流木が下流に流れ出るのを防ぐために、捕捉用の鋼製柵4基を6月19日までに設置をいたしました。今後、既設堰堤に多量に捕捉されている流木及び土砂の除去をしてまいります。  次に、恒久的な対策として、今回お願いをしております補正予算を活用し、災害関連緊急砂防事業により既設砂防堰堤の下流に砂防堰堤を新たに1基建設するとともに、被災した護岸の復旧工事を早急に行うこととしております。住民の皆様が一日でも早く安心して生活できますよう、飯山市、林務部、危機管理部、国等と連携し、対策を進めてまいります。  次に、土石流対策についてのお尋ねでございます。  今回の災害では、平成9年に完成した桑名川砂防堰堤により約4万立米に及ぶ土砂と多量の流木を捕捉し、下流での災害を防いだものと考えておりまして、砂防堰堤の整備は土石流の対策として有効な手段であると考えております。堰堤の整備に当たっては、限られる財源の中で効果的に進めるため重点化を図ることとしており、人的被害の可能性が高い老人福祉施設や保育園などの要配慮者利用施設や避難場所を保全する箇所を優先して鋭意整備を進めてまいります。  また、あわせて警戒避難体制づくりのソフト対策を実施しており、危機管理部、健康福祉部とも連携し、住民みずからの参画による地区防災マップの作成などの取り組みへの支援も行っております。今後とも、ソフト対策も重視しつつ、ハード対策を着実に進め、土石流災害から県民の安全、安心を確保してまいります。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)飯山市井出川山腹崩壊災害への林務部の対応につきましてのお尋ねでございます。  林務部といたしましては、治山事業において不安定な土砂が堆積し土石流の発生源となっている上流域の対策を行う計画です。災害発生直後に、飯山市、建設部、林野庁と連携し、地上あるいはヘリコプターによる上空からの調査を行い、その結果を踏まえて、土石流の再発生に備え、監視カメラ、土石流センサー、傾斜計等を設置し、建設部で設置した監視機器と連動した警戒体制を構築いたしました。  また、恒久対策といたしましては、上流域の堆積土砂の流出を防ぐための谷どめ工と土石流の原因と考えられる湧水を減らすための山腹の排水工、事業費約3億2,000万円について、当初予算の災害関連緊急治山事業で行うことといたしまして、先般、国から採択され、昨日公表したところでございます。引き続き、飯山市、建設部、危機管理部、国等との関係機関と緊密に連携し、住民の皆様の安全、安心の確保に向け全力で取り組んでまいります。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)私に対しましては2点御質問をいただきました。  最初に、現地機関の初動体制や連携体制についての御質問でございます。  今回の災害では、飯山市が災害対策本部を設置したのと同時に県及び北信地域振興局に情報収集連絡本部を立ち上げ、市の災害対策本部に県の情報連絡委員を派遣しております。また、避難指示が発令された際には、警戒・対策連絡本部に切りかえ、各部局や現地機関と連携を図り、被害や避難された方々の状況を把握し、災害対応を行ってまいりました。  北信地域振興局におきましては、局長みずからが現場に足を運び、北信建設事務所、北信保健福祉事務所等の現地機関とも連携し、先ほど建設部長、林務部長が申し上げた応急対策でありますとか農業用水が一時確保できなかった農家への営農指導などを迅速に対応してきたところでございます。  県といたしましては、早期復旧に向けて、現地機関のかなめである北信地域振興局及び各部局がしっかり連携を図り、引き続き災害対応に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、自主防災組織に対する支援についての御質問でございます。  今回、桑名川区におきましては、自主防災組織が発災直後から地域住民への情報伝達、避難の呼びかけを行い、役員の皆様が24時間体制で警戒に当たり、住民への情報伝達や市、県との情報共有など行政と住民との円滑な橋渡し、区民の安全確保の役割を果たしていただきました。  このような自主防災組織による地域の助け合い、共助の取り組みは、県民の生命、財産を守る上で非常に重要であると考えております。そのため、県内各地の自主防災組織に対する支援といたしまして、実践的、体験的な県政出前講座の実施や自主防災アドバイザーの設置などによる自主防災組織の体制整備でありますとか、土砂災害ハザードマップ作成のための基礎データ等の提供、そして地域発元気づくり支援金等の各種財政的な支援を行ってきているところでございます。  今後も、長野県強靱化計画における重点項目でもあり長野県の強みでもあります地域のきずなを生かした地域防災力のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔警察本部長尾﨑徹君登壇〕 ◎警察本部長(尾﨑徹 君)今回の災害についての警察の対応についてのお尋ねにお答えいたします。  県警察では、5月19日に飯山市から連絡を受けて現状を認知したことから、警察本部及び飯山警察署に災害警備連絡室を設置するとともに、飯山市の災害対策本部と現地対策本部に警察官を派遣し、関係機関と連携して警戒体制を確立いたしました。22日の土石流の発生による住民避難指示の際には、住民の避難誘導と安否確認、現場付近の交通規制等を実施いたしました。また、その後も引き続き飯山署員や本部自動車警ら隊等による避難地域のパトロール、避難所の立ち寄り警戒、県警ヘリコプターからの状況確認等を行っており、延べ600名余りの職員が活動に従事しております。  県警察では、今後も引き続き県や飯山市等と連携し、住民の安全、安心確保のために必要な対策を講じていきたいと考えております。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)避難者に対するメンタルヘルス面の支援についてお尋ねをいただきました。  今回の飯山市における山腹崩落災害に際しては、発生直後から飯山市役所の保健師が避難施設等を訪問し、精神面を含む健康相談を行ってきたところであります。この間、初期の段階におきましては、北信保健福祉事務所の保健師が飯山市の保健師に同行して健康相談や状況確認を実施しております。  避難生活が長期化すると、不眠や気持ちの落ち込みなど心と体に変化が生じやすいことから、今後とも飯山市との連携を密にしながら県の保健師の派遣など避難生活者の健康管理に必要な支援を行ってまいります。  以上であります。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)それぞれ御答弁をいただきました。  名立たる豪雪地飯山は、雪害はもちろん、水害、地震等々さまざまな自然災害を過去幾度となく経験してまいりましたが、このような規模の土石流は初めてです。今後、長期化することが予想されますが、県におかれましてはより一層の復旧・復興対策に御尽力をいただきますよう重ねてお願いをする次第であります。  私は、6年前の栄村で発生した震度6強の震災を目の当たりにし、痛感したことは、平素から有事を想定した備えが必要であり、今は無駄と思われても将来必ず役に立つことがある。ふだんは気にもかけない、あるいは目につかない物や人々によって生活の安全が確保されているということを身にしみて感じました。  国土の67%、県土の78%を占める森林から、私たちははかり知れないほどの恩恵を受けています。山地災害の防止は言うに及ばず、水源の涵養、二酸化炭素の吸収、木材の供給、自然環境の保全、癒しの場の提供等々、その公益的機能の評価額は、平成13年、日本学術会議が試算したところによると、国全体で年間70兆2,638億円、国民1人当たり1日1,600円です。長野県は3兆681億円、県民1人当たり3,800円となります。年1杯のコーヒー代を森林整備に回すことにより、私たちは結果としてそれ以上の金額を毎日森林から享受していることになります。  辰野町にお住まいの元信州大学教授、山寺喜成先生は、山地防災に関する課題と提言の中で、土石流発生のエネルギー源は、通常、山腹崩壊、森林崩壊であると書かれています。そして、提言では、森林自体の強靱化対策をベースとする山地防災対策を推進することと述べられております。  また、美しい里山づくりの提言においては、災害に強い森林を創造するには、災害発生の本体である森林を強化することが最も重要なこと、戦後、国を挙げて一斉に植栽された杉、ヒノキ、カラマツなどの人工植栽林が、植栽後に間伐などの管理が行われずに放置され、ふえていることも、崩れやすい森林が形成されている原因の一つです。間伐などを行わず過密状態で放置すると、根茎の発達が悪く、生育範囲も狭くなり、早期に衰退が生じ、容易に倒木しますとあり、そして、有効で合理的な防災対策を行うには、災害発生源の抽出が最も重要であり、不可欠な要件です。これを欠いた場合、当然、有効な予防対策、適正な防災対策の実施は困難になります。たとえ膨大な経費を投じても、災害の発生源が不明では、災害発生を抑制したり、予防することはできません。結局、これまでのように事後処理的対策に終始し、予防対策が軽視され、災害の繰り返しが続くとの懸念に至ります。つまり、予防対策を重視した防災対策の実施が望まれるのですとおっしゃっています。  人口減少時代を迎え、県内の中山間地域は過疎化、高齢化が進み、地域を維持するためにも、そこに住む人々の暮らしと安全を守っていくためにも、持続的に森林を整備していく必要があると考えます。構造物による防災対策とともに、事ほどさように森林整備は極めて重要であります。有効で合理的な防災対策を行うには、集落周辺における土石流の発生源となる山腹崩壊危険箇所の抽出は極めて重要であると考えます。聞くところによると、辰野町小野地区でこれを実施しているとのことですが、その内容について林務部長に伺います。  森林税の評価と森林整備の基本的な考え方について知事にお伺いを申し上げます。  現在の長野県民有林の状況は、平均の林齢が60年近くとお聞きしています。これは、最後の仕上げをしてやることで、山村の資源としてようやく活用できる状況となり、地域に雇用と活力を生む一歩手前にあるのだと私は考えます。  岐阜県恵那市などでは、地域住民やさまざまな立場の方々が参画し、木の駅プロジェクトとして、森林整備と地域通貨を組み合わせ、地域活性化につなげている事例があるとお聞きしています。なかなか御苦労も多いようでありますが、彼らの活動が所有者の意識を変え、地域通貨を通じ、商店街が活性化し、地域で地域のことを考えることにつながったとのことです。森林の整備はもとより、その適切な管理を所有者に任せきりにするのではなく、地域ぐるみで、地域の森林がどのような状況にあり、そしてどうするかを、特に身近な森林である里山にあっては考えるべき時期に来ていると私は考えます。  長野県町村会では、去る5月16日に、森林税の継続と地域の実態や町村固有の実態に即した事業、森林整備が実施できるよう知事要望を行っています。また、市長会では、5月31日に、市町村における森林づくりが促進され、柔軟かつ効果的な活用を検討するとともに、継続することを知事要望されています。さらには、森林づくり県民会議にあっては、6月2日に、森林の果たす役割や取り組み状況に鑑み、森林税は継続すべきとした上で、使い勝手に対する工夫等を含め、次回以降、具体的な検討に入るとされているところです。  一方で、大北森林組合の補助金不適正受給事案にあっては、森林税の一部が充てられてしまったということはまことに残念で痛恨のきわみであります。既に再発防止や返還に向けた取り組みが進んでいるところですが、この事案を未曾有の事案として大いに反省し、再発防止に向けた取り組みを進めることは当然のことです。  しかしながら、今申し上げてまいりましたように、長野県の森林は、間断なく対策を講じなければ災害の危険にさらされ、管理の放棄による二度と手が入らない状態となる危険をはらんでおります。また、地方創生が喫緊の課題である中で、身近な里山こそ木材利用を初めさまざまな観点から活用が期待できる財産であると私は考えます。さらに言えば、県民のさまざまな場所で森林が生き生きと輝き、生活に生かされていることが、観光を含め長野県の強みになるのではないでしょうか。  森林税につきましては、県民にさまざまな意見があることは承知をしております。しかし、先ほど来申し上げていますように、こうしたときに立ちどまるのではなく、使途の拡大や市町村にとって使い勝手のよい柔軟な制度に変え、その上で、迷うことなく知事におかれましては継続を決断していただくよう強く要望し、今までの森林税の使い方に対する評価と森林整備の基本的な考え方について、御所見を知事にお伺いをいたします。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)山腹崩壊危険箇所の抽出等についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、土石流等の山地災害を未然に防ぐためには、その発生源となる山腹崩壊が発生しやすい箇所を把握し、計画的に森林整備や施設整備を行う災害に強い森林づくりを進めることが重要と考えております。このため、県では、平成25年度より、全国に先駆け、県内民有林全域を対象にした航空レーザー測量を実施し、地形や森林の込みぐあいなどをもとに山腹崩壊等の危険箇所を効率的に把握する取り組みを進め、本年度から運用を開始いたしました。  議員お尋ねの辰野町小野地区におきましては、こうした取り組みに先駆けて、地域の防災活動として、信州大学元教授の山寺先生の御指導のもと、独自の航空レーザー測量データをもとに、地形や地質条件から土石流の発生源となる山腹崩壊の危険箇所を抽出し、防災マップを作成されています。  県といたしましては、今後、航空レーザー測量の成果を積極的に市町村や地域に提供し、辰野町小野地区での取り組みなどを参考に、地域ぐるみで山腹崩壊等の危険箇所を共有する取り組みを建設部等とも連携しながら進めるとともに、森林整備や計画的な治山事業等を行うことにより、県民の皆様の安全、安心の確保に努めてまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)これまでの森林税の使い方に対する評価と、そして森林整備の基本的な考え方について御質問いただきました。  宮本議員の御質問の中にもありましたように、森林は多面的な機能を有している貴重な財産だというふうに思っております。また、私ども今の時代を生きる人間だけではなくて、これは前の世代の皆さんから引き継ぎ、そして将来世代へとしっかりと引き継ぐべき財産でもあるというふうに思っております。加えて、山崩れ等山地災害を防止する機能も有しているわけでありまして、県土の8割が森林という長野県においては、適切な森林の手入れを通じた防災、減災の推進、そして多面的な機能の維持向上ということが大変重要だというふうに思っております。  森林づくり県民税を活用した森林整備につきましては、10年間の目標とした3万8,400ヘクタールに対しまして3万2,210ヘクタールの里山の間伐が実施される見込みとなっておりまして、従前の施策では取り残されがちであった県民の皆様方に最も身近な森林としての里山の間伐が一定程度進展するなど、おおむね当初目的としてきた成果が得られつつあるというふうに考えております。  県民の皆様方の安全、安心な暮らしを確保するという観点からも、森林整備は引き続き重要な政策であるというふうに考えておりますし、また、これからの時代においては、例えば、学びの場であったり、県民あるいは長野県を訪れる皆様方の憩いの場としての森林であったり、総合的に森林を活用していくといった取り組みも重要だというふうに考えております。  とはいえ、森林づくり県民税そのもののあり方については、県民の皆様方から超過課税という形で通常の標準税率を上回って御負担をいただくというものであるわけでありますので、税制研究会、あるいは県民会議における御審議、あるいは現在県民の皆様方へのアンケート調査を行わせていただいておりますので、こうしたものも十分踏まえ、今後の方針を定めていきたいと考えております。  以上です。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)建設産業の振興について伺います。  被災地において、交通規制や夜間警備に当たる警察官、火災が発生すればいち早く現場に駆けつけ消火活動をする消防士、本業がありながら、24時間パトロールをものともせず任務を遂行する地元の消防団員、応急工事に昼夜を分かたず休みもなく、地域を守るために黙々と仕事をする地元建設業者、また、有事の際に身を挺して国家、国民の財産、生命を守る自衛隊員、さまざまな方々のおかげで我々の日常生活は成り立っているのであります。本当に大事なもの、必要なものは、ふだんは目には見えませんが、実はそれが一番重要なものです。  今回、人的被害、建物の損壊もなかったことは奇跡的であったと専門家もおっしゃっています。それは、20年前に井出川に設置された一つの砂防堰堤が地域を守ってくれたからにほかなりません。これがなかったら、被害はさらに拡大し、JR飯山線、県道箕作飯山線への直撃は避けられなかったことは誰の目にも明らかです。奥深い山中にあり、その存在すら知られていなかった堰堤は、数十年に一度あるかどうかわからない災害に備え、先人たちが将来を予測し、およそ5年の歳月をかけ建設されたものです。今回、その役割を見事に果たしてくれました。  ダムは無駄、コンクリートから人へなどなど、建設業が正当に評価されない不幸な時代がかつてありました。今回、堰堤が人々の暮らしを守ったことが、建設業者、とりわけ若手技術者、技能者たちの励みとなり、誇りと自信を持って今後も仕事をしていただけるよう願うものであります。  さかのぼってみますと、平成24年、経済センサス調査によりますと、長野県内の建設事業者数は1万2,953事業所で全産業の11.9%、従業者数は7万1,768人で7.7%と大きな業界でありました。平成27年3月末現在、長野県における知事・大臣許可登録数は7,985社で、前年7,981社と、平成12年をピークに減少傾向が続いていましたが、わずかながら前年から増加したとあります。  県内建設業者の17.6%は個人事業者が占め、個人事業者と資本金1,000万円未満の事業者を合わせると61.5%に上り、小規模零細業者が多い裾野の広い業界構造となっております。平成26年度の県内建設投資額は官民合わせて7,665億円で、長野冬季オリンピック関連工事が盛んであった平成7年の1兆9,979億円と比較し、61.3%減と大きな落ち込みとなっていますが、平成24年と比較すると、わずかながらここ2年は増加しています。
     公共工事は、平成15年2月、談合防止などを狙いにした競争入札を取り入れ、本格的な制度改革に踏み切ったものの、落札率の低下に加えて受注確保も不確実なものとなり、仕事量の減少と受注単価の下落といったダブルパンチを受けました。それにより、地元建設業者の体力は著しく低下し、健全な経営もままならず、地域を災害から守る能力を喪失してしまったのであります。  長野県は、脆弱な地盤が多く、自然環境の厳しい山間地を多く抱えています。そのような中で、技術力の高いと言われる大手建設業者だけでは地域を守ることは困難です。地域を知り、地域に根差した災害時に即応できる優秀な地元業者の存在が不可欠です。これなくして地域の安心、安全は守れません。  これは全国建設業協会のデータでありますが、少子高齢化が進む中、特に建設業においては、就業者数のうち約3割が55歳以上である一方、29歳以下は約1割で、全産業を大幅に上回るペースで高齢化が進展しているとのことです。このため、将来にわたる担い手不足が強く懸念される状況にあり、処遇改善や教育訓練の充実強化等、その対応が急務となっています。  特に、北信地域においては、除雪作業のオペレーターなどは、地元の道路状況を熟知し、経験に基づいた作業になりますので、資格があるからといって一朝一夕にできるものではありません。地域において必要な社会基盤を長期に使用できる良質なストックとしてつくり、着実に維持管理していくことが求められている昨今、地域の建設産業はまさに人材投資成長産業であり、人材育成を重視した長期的な施策の展開が今求められているのではないでしょうか。  また、地方創生という大きな命題に対し、必要な事業量の確保は、建設業者が将来にわたって社会的使命を果たしていくためにもなくてはならないものです。おかげさまで、平成29年度当初予算において、補助公共、県単独公共、直轄事業負担金を合わせた公共事業費は997億円と前年度並みの額が確保されました。地域を支える建設業は、地域の基幹産業として経済の発展と雇用維持に大きく貢献しておりますが、その中で、建設業が適正な利潤を得て経営基盤を強化、安定させ、それを社会に還元できるような好循環をつくるためにも、将来的な見通しを持って積極的に労働環境の改善や人材育成に取り組まなければなりません。そのことを県民にも理解していただきたいと思います。  人材育成、工事量の確保はもちろん、失格基準価格の引き上げを初めとする入札制度改革、週休2日に伴う経費増への対応等々、具体的な建設産業振興策、また、公共工事に対する基本的な考え方を知事にお伺いをし、全ての質問を終わります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)入札制度を含む建設産業の振興策と公共工事についての考え方について御質問をいただきました。  今回の飯山市における井出川の山腹崩壊災害、あるいは一昨日の木曽の地震災害におきましても、地元建設企業の皆様方には迅速な対応を行っていただいております。改めて関係企業の皆様方に感謝を申し上げますとともに、改めて地域の安全、安心の守り手としての建設産業、建設企業の存在は大変重要だというふうに考えております。  入札制度におきましては、競争性を確保しつつ、入札の参加要件あるいは総合評価落札方式の加点項目におきまして、既に地元企業の受注機会の確保に配慮をいたしているところでございますが、今後とも長野県の契約に関する取り組み方針に基づきまして地元企業の発展にも配慮しつつ入札制度のあり方を検討してまいりたいと考えております。  また、県では、建設業の経営安定と労働環境の整備を一体的に進める取り組みといたしまして、予定価格の適正な設定、発注時期の平準化、週休2日のモデル工事などを実施しているところでございます。公共工事は、良質で強靱な社会基盤を将来に向けて提供していくための重要な事業でありますことから、引き続き必要な予算の確保に努めますとともに、公共工事を支える建設産業につきましては、重要な県内産業の一つとして担い手の確保育成等その振興に取り組んでいきたいと考えております。  以上です。 ○議長(垣内基良 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時30分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(諏訪光昭 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  小山仁志議員。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)一昨日、25日、木曽地域で震度5強を観測した県南部を震源とする地震に伴い、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。  消防防災ヘリについてお伺いいたします。  長野県消防防災ヘリコプター「アルプス」墜落事故の犠牲になられました県消防防災航空隊員9名皆様の御功績に心から感謝を申し上げますとともに、殉職を悼み、改めて謹んで御冥福をお祈り申し上げます。  墜落事故に伴い、長野県所有の山岳遭難救助ヘリは、3機から県警の2機となりました。世界に誇る山岳県を目指す本県におきまして、事故原因の究明とともに、再発防止策、消防防災航空体制の再構築は急務と考えます。  「アルプス」の機体は、先月25日に回収作業が完了、現在は県有施設に保管、県警松本署の捜査本部及び国土交通省運輸安全委員会による機体検証等の調査が進められているということです。機体から事故原因につながる情報を得られる可能性もあり、原因の究明には欠かせない機体の検証と調査ですが、国土交通省運輸安全委員会による機体調査の進捗状況とともに、また、その期間にはどの程度を要すると理解したらよいのか、まず危機管理部長にお伺いいたします。  近年、県消防防災ヘリコプター「アルプス」への危険を伴う山岳救助への比重が拡大傾向にありました。全国では55団体、75機の消防防災ヘリが運航されていますが、平成21年には岐阜県のヘリが北アルプスの山中で救助中に墜落、3名の乗員が死亡、平成22年7月には埼玉県のヘリが秩父市の山中で救助中に墜落、5人の乗員が死亡され、山岳救助における消防防災ヘリの安全運航管理は全国的な課題となっていました。  こうした2件の墜落事故を受け、総務省消防庁では、消防防災ヘリコプターによる山岳救助のあり方に関する検討会が設置され、事故の再発防止のため、消防防災ヘリコプターの運航体制のあり方等について検討を行い、平成24年3月にはその報告書がまとめられています。同報告書におきましては、操縦士2名での運航体制の整備や機長のみの判断に委ねることのない航空隊スタッフ等からの助言に基づく出動決定の客観的判断、警察航空隊など他機関との事前の役割分担や協力体制の構築の必要性、さらには訓練時から安全な活動要領の徹底についてなど、さまざまな角度からの再発防止のための提言や考察がまとめられています。  今日に至るまでの長野県の事故防止への取り組みも改めて厳しく問い直す必要があると考えますが、本県の消防防災ヘリコプターの運用に当たり、同庁のこうした提言や山岳遭難救助に対する防災ヘリの事故を調査した国土交通省運輸安全委員会の報告書等による指摘や教訓を県は具体的にどのように生かされてきたのか、対応してきたのか、危機管理部長にお伺いいたします。  本年4月29日から5月7日、大型連休中に県内で発生した山岳遭難は23件、統計をとり始めた1954年以降、過去3番目の多さとなりました。登山スタイルの多様化とともに、年間70万人を超える方が県内で登山をお楽しみいただく一方で、山岳遭難事故が多発をしています。昨年、全国で発生した山岳遭難は2,495件、うち1割を超える272件が長野県での発生となっておりまして、遭難発生は高どまり傾向という状況です。  県におきましては、従来からの隣県との応援協定に加え、消防防災ヘリコプターの墜落事故を受け、埼玉県、愛知県等との応援協定を締結されていますが、夏山シーズン、山岳遭難の救助活動への影響が憂慮される中で、登山者自身の安全登山による遭難防止、未然防止の徹底が急務です。  長野県登山安全条例の本来の趣旨でもある自己責任の原則を踏まえた登山を楽しむための登山者自身が守るべきルール等の意識づけのため、その広報啓発活動については、一層の強化とともにインパクトのある対応が求められると考えますが、県では、夏山シーズンを控え、どのように対応していく方針なのか、観光部長にお伺いいたします。  近年、公共性の高いドクターヘリ、消防防災ヘリなど、ヘリコプターへの需要が大幅に高まる一方で、操縦士の養成確保については全国的な課題となっています。ヘリコプターの操縦士は過去15年間約1,000人で推移し、ほぼ横ばい、年齢構成においても、40代以上が約8割ということで、高齢化への傾向も顕著となっています。また、資格取得に至るまでに高額な費用も要し、長時間の飛行経歴も求められるなど、複合的な要因の中で、今後必要な技量、経験のある操縦士の確保や将来のドクターヘリ、消防防災ヘリ操縦士を含む若手ヘリコプター操縦士の養成確保は喫緊の課題となっています。  本県の消防防災ヘリ「アルプス」の操縦士につきましては、複数の操縦士が確保できない状況が課題となっていました。県では、県内消防士から操縦士を養成することを決定、男性消防士を平成27年度より県職員として採用、操縦士免許取得のための専門養成機関に派遣をされていました。また、民間からの操縦士募集により、平成27年1月にも新たに採用、平成27年度予算では「アルプス」の機種限定免許取得のために3,000万円ほどの予算がかけられてきました。  県は、中期的な展望の中で、腰を据えた人材育成に取り組まれてきました。操縦士1名の体制を解消し、ヘリの通年運用を目指した人材育成に向け、今日まで大きな予算を投じられてこられましたが、今後の操縦士育成についてはどのような方針をお考えなのか、危機管理部長にお伺いいたします。  関連して、ドクターヘリの運用についてです。  ここ10年ほどで全国的にドクターヘリの配備が進展をしまして、基地病院数、運航件数ともに急増している状況があります。本県におきましても、2機体制で長野県全域をカバーいただき、迅速な救急医療の提供をいただいています。過去3年の出動件数を見ますと、平成26年度は945件、平成27年度は1,007件、平成28年度は868件となっています。昨年は2年ぶりに減少したものの、中期的に見ますと上昇傾向にあり、また、全国的にもドクターヘリの需要が大幅に高まっており、年間約2万5,000件の出動数となっています。  一方で、必要な技量、経験のある操縦士の高齢化が進み、安定的な確保が困難な状況にあることはさきに触れたとおりです。ドクターヘリの運航に関しましては、基地病院より航空事業を担う民間への委託契約によって行われています。操縦士の高齢化や若手操縦士の確保が全国的な課題となっている中で、今後も必要とされる需要に対し、長期的に安定的な対応が可能なのか不安を抱くわけですが、ドクターヘリ運航体制の状況についてはどのように認識し、今後の対応をお考えなのか、健康福祉部長にお伺いいたします。       〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)消防防災体制について3点御質問いただきました。  最初に、国土交通省の運輸安全委員会による調査状況に関する御質問でございます。  消防防災ヘリコプター「アルプス」の機体は、5月25日に回収が完了して以降、運輸安全委員会や県警松本警察署の捜査本部による機体の調査及び捜査が行われたところでございます。 運輸安全委員会の事故調査報告書がまとめられる時期につきましては、運輸安全委員会事務局に照会をしたところ、過去の事故では平均1年半程度かかっているけれども、できるだけ早く報告できるよう努力しているという説明を受けているところでございます。  次に、国における検討会の提言等の対応状況についての御質問でございます。  国土交通省運輸安全委員会の事故報告書を受けて検討されました消防庁の検討会の提言によりまして、消防防災航空センターでは、運航マニュアル等の再点検や運航時の安全確認の徹底を図ってきたところでございます。例えば、操縦士2名での運航体制の整備につきましては、実際の救助や救急活動など緊急運航を行える操縦士が平成25年4月より1人となったことから、平成27年には操縦士2名を採用いたしまして、慣熟飛行訓練や資格取得のための訓練を行いまして運航体制の充実を目指していたところでございます。  機長のみの判断に委ねることのない航空隊スタッフ等からの助言につきましては、運航責任者でございます消防防災航空センター所長を交えましたブリーフィングを毎朝行い、当日の活動手順の徹底でありますとか、天候情報を消防防災航空隊全体で共有するなど、安全運航に努めてまいりました。  警察航空隊などとの事前の役割分担や協力体制の構築につきましては、毎年開催いたしております警察航空隊・消防防災航空隊連絡調整会議で機体の点検日等の調整によります運航日に空白が生じないための協議でありますとか、双方の機体を使用いたしました連携訓練を行うなど、県内の消防防災航空体制が万全に機能するように取り組んできたところでございます。  最後に、今後の操縦士育成方針についての御質問でございます。  事故発生後の対応について、県、市町村、そして消防本部が一体となって検討する場として、消防防災航空体制のあり方検討会を設置をいたしまして、6月20日に第1回目の会議を開催したところでございます。検討会では、今後の運航体制や組織のあり方のほか、議員御質問にありました操縦士の育成方針につきましても検討を行い、総務省消防庁が設置する検討会の動向も踏まえながら、県民の皆様の安心、安全のため、一日でも早い運航体制の再構築を目指してまいる所存でございます。  以上でございます。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)夏山シーズンに向けた遭難防止対策についてのお尋ねでございます。  本県の山岳遭難の状況につきましては、県警の統計によりますと、平成21年以降の登山ブームの高まりとともに急激に増加しまして、平成25年の300件をピークに、その後は昨年まで270件台で高どまりしている状況でございます。加えて、県の消防防災ヘリコプターが配備されていない本年度におきましては、さらなる未然防止のための啓発の強化が必要となってきております。  県におきましては、これまで、登山安全条例に従い、登山計画書の届け出の呼びかけやガイドラインの普及啓発を行ってきたところでありますが、さらに今定例会においては、これからの夏山、秋山に向けて、事前啓発としての全国への情報発信の強化と山際での指導等の充実を2本の柱といたします補正予算案を、県警による地上からの救助力の強化を図る補正予算案と連携してお願いを申し上げたところでございます。  具体的には、まず事前啓発といたしまして、安全登山の啓発を行うポスター等の県外の主要な登山用品店や県内の公共交通機関の駅や登山口等での掲示、遭難が多発する危険箇所を記載いたしましたリスク表示マップの同様に県内外での配布、また、山際対策といたしましては、山岳遭難の多い地点へのリスク表示看板の設置、秋山特別パトロール隊の活動期間の延長など、それぞれインパクトのある発信方法も検討しながら複合的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長山本英紀君登壇〕 ◎健康福祉部長(山本英紀 君)ドクターヘリの運航体制と今後の対応方針についてのお尋ねであります。  本県のドクターヘリは、平成23年10月より厚生連佐久医療センターと信州大学医学部附属病院が運航しており、両病院とも民間のヘリコプター運航会社に運航を委託しております。ドクターヘリは、その性格上、365日運航しなければならないことから、操縦士や整備士のシフト管理などを考慮し、民間への運航委託を前提に制度が構築されており、全国で導入されている全てのドクターヘリが民間で運航されている状況であります。  また、運航会社に確認したところでは、現時点では操縦士の確保に問題はないが、議員御指摘のように、将来においては操縦士の不足も心配されるとお聞きしております。このため、現在、国においてドクターヘリ及び消防防災ヘリ操縦士の確保に向けた検討が行われており、今年度は操縦士の訓練プログラムの開発やヘリコプターの乗務要件の見直しについて検討されているところであります。  県といたしましては、国の検討状況や基地病院の御意見もお聞きしながら、ドクターヘリの安定的な運航に努めてまいりたいと考えております。  以上であります。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)事故原因の究明につきましては、県警の捜査、あるいは運輸安全委員会の調査結果も待たなければなりませんが、さまざまな角度からの検証が必要と考えます。原因の明確な特定というものは困難さが伴いますが、航空隊員9名の皆様が果たしてきた使命、志の継承には物的、人的、環境的、あるいは組織的な要因等、あらゆる可能性一つ一つを排除していくこと、ケアをしていく徹底した姿勢が不可欠です。  一刻を争う緊急性、困難性を伴う救助活動は、二次災害を防止する安全管理体制が担保されていなければなりません。消防防災航空体制、安全管理体制の再構築に当たりましては、組織間の協調関係もなお一層重要になってきます。縦割りや業務、任務、担務などのしがらみを脱却した共通の意識と基盤を固め、その教育訓練の徹底等により、対応力、応用力を備えた組織力につなげていただく体制構築を求めたいと考えます。  また、あわせて安全登山のために登山者自身ができることも徹底していただかなければなりません。山岳遭難件数は、10年前と比較し、全国では約1,000件増加ということで、幅広い世代の皆様が登山を楽しむようになりまして、それに伴い遭難件数も増加をしています。世界に誇る信州の山岳を安全に楽しんでいただくため、登山安全条例が単なるアクセサリーにならないよう、確かに生かし切っていただく創意工夫の徹底を継続してお願いしたいと考えます。  ドクターヘリについてですが、消防防災ヘリとともに、全国的な課題の潮流として捉えなければなりませんのは、ヘリコプター操縦士の将来に向けた養成確保についてでございます。現状においては、高い技量が求められるヘリコプター操縦士の将来的な不足は明らかです。国土交通省では、こうした状況を打開するために、ドクターヘリの飛行経験要件を、2,000時間以上から、安全運航に必要な訓練の実施を要件にして1,000時間以上とする新基準を来年からも適用する予定ということです。単純に現状では間に合っているという意識、感覚以上に、ドクターヘリを運航する航空事業を担う民間の業界においては、どういうことが将来に向けて課題となっているのかも常に認識をしながら、安定的な運航に方向性を見出していただくことを要請をさせていただきたいと考えます。  次に移ります。特別支援教育についてでございます。  子供の個々の障害に応じた特殊教育により複合的、総合的な支援を目的とし、特別支援教育を行うことが明確に位置づけられた改正学校教育法が施行され、10年が経過をいたしました。この間、文部科学省が実施する学校基本調査によりますと、学校数、全児童数、生徒数が減少する一方、特別支援学級数や特別支援学級在籍児童生徒数は増加を続けており、子供の教育ニーズの多様化の傾向が年々顕著になっています。また、通常の学級において支援を必要とする児童生徒も増加をしており、全ての教員が支援を必要とする児童生徒への理解を深め、特別支援教育の視点を取り入れた専門性の向上が求められています。  こうした状況の中で、近年、同様に急速なニーズの高まりを見せるのが市町村が配置する特別支援教育支援員です。特別支援教育支援員は、発達障害等による特別な支援を必要とする児童生徒に対し、日常生活動作の介助を行ったり、学習上のサポートを行うとされており、障害に応じた適切な教育を実施する上で一層重要となっています。  各市町村で配置される特別支援教育支援員は近年増加傾向にあります。教育委員会より事前にいただきました配置状況の推移を見ますと、平成29年5月1日現在、69の市町村において特別支援教育支援員による支援が行われており、県下小学校には823名、中学校には216名の支援員が配置され、合計1,039名、前年比61名の増となっています。配置校数、配置人数ともに詳細は割愛いたしますが、年々急速な上昇傾向にあることが見てとれます。  まず、こうした特別支援教育支援員の著しい増加傾向に対する県教育委員会の受けとめ、認識を教育長にお伺いいたします。  発達障害のある児童生徒への正しい理解と支援やインクルーシブ教育システムの推進に向け、支援員の専門性や資質向上のための取り組みが欠かせないと考えます。今年度を最終年度とする長野県特別支援教育推進計画では、市町村が行う特別支援教育支援員の研修への講師派遣、支援員の活用方法に関する情報提供等を通じた支援員の支援力向上や有効な活用促進に努めることが明記されています。県はどのように特別支援教育支援員の研修や支援力向上のための取り組みを行ってきたのか。また、今後さらに強化していくことが求められると考えますが、どのように対応していくのか。県教育委員会の方針を教育長にお伺いいたします。  また、各市町村の特別支援教育支援員の配置に関する費用につきましては、普通交付税の基準財政需要額の中で財政措置が講じられておりますが、こうした地方交付税の財源措置を上回る人員配置が必要とされている現状、現実があります。したがって、実質的に市町村単独の予算措置の負担が重くなってきていると捉えるべき状況となっています。  特別な支援が必要な児童生徒への適切な対応とともに、各市町村、各学校が教育的ニーズに応じた教育展開を図る体制構築のため、欠かせない存在となっており、ますます必要性が高まる特別支援教育支援員の配置について、県もその配置等に対してはしっかりと市町村への支援を行っていくべき時期にあると考えますが、教育委員会のお考えを教育長にお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)特別支援教育支援員についてのお尋ねでございます。  まず、急増している支援員についての現状認識についてでございますけれども、発達障害等の支援の必要な児童生徒が年々増加し続けております。こうした子供たちの学習や生活を支えるためのきめ細かな対応が求められているところでございます。特別支援教育支援員は、教員等と連携して、こうした支援の必要な児童生徒の学習や生活を支える大きな役割を担っているというふうに考えております。  続いて、支援員の専門性、資質向上への取り組みについてでございますが、特別支援教育支援員の専門性や資質向上は大変重要でありまして、県としては市町村が行う研修に指導主事や特別支援学校教員を講師として派遣し、支援しているところでございます。一方、この特別支援教育がスタートして10年を経過する中で、重要な課題として見えてきたことは、この支援を必要とする児童生徒の急激な増加に対応するためには、特別支援教育支援員の個々の対応力の強化に加えて、学校長のリーダーシップのもと、特別支援教育支援員を含む学校全体の支援体制づくりが重要な課題だということであります。  そこで、校長研修会において事例を持ち寄りまして、よりよい方策について協議を重ねるとともに、市町村教育委員会や各校特別支援教育担当教員を対象とした研修の中で、特別支援教育支援員の効果的な活用事例を紹介するなどに取り組んでいるところでございますけれども、今後さらに学校全体がチームとして最大限力を発揮できるような研修の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。  最後に、支援員の配置に関する財政支援でございますが、市町村における特別支援教育支援員の配置については、その財源について交付税措置がなされており、各市町村において実情を踏まえた配置を行っているところであります。国においても、昨今の配置状況や必要性等を勘案し、必要な経費を増額しているというふうにも聞いておるところでありますけれども、県教育委員会としても、市町村教育委員会が今後とも必要な配置が行えるよう、引き続き国に対して財政措置の拡充を要望してまいりたいというふうに考えております。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)ただいま教育長からは、学校全体でチームとして理解をしていくというお話がありました。おっしゃるとおりだというふうに思います。支援員の皆さんが単なる担任の先生の補助という感覚ではなく、いかにしてその人材を有効活用していくのかということ、学校全体で共通認識を持っていただくことがまず大前提だというふうに考えます。  特別な支援が必要な児童生徒に対する丁寧な適切な対応がされなければ、学習上、生活上の困難が増大し、場合によっては二次的な障害を引き起し、悪循環に陥ってしまう例もあるそうでございます。特別支援教育支援員の皆様にも適切な対応のための専門性がより必要とされています。  一方で、市町村によって異なりますが、特別支援教育支援員のほとんどが非常勤、臨時職員の皆様によって配置をされています。支援員皆様の必要性や責任が高まってきており、また、より専門性が必要とされる中で、その資質やスキルにはばらつきが生じかねない状態であるということを私は懸念をいたします。  非常勤という雇用体系の中で、限られた予算内、つまりは時間をしっかりと区切られた上での勤務を迫られ、また、児童生徒への適切な対応をしてあげたいという思いの一方で、専門職ではないことから、御自身のスキルや専門性に対し、これでいいのかと不安を抱えながら児童生徒と向き合われる方が多くいらっしゃいます。その不安をカバーしているのは、支援員それぞれの皆さんのモチベーションや意欲、個々の努力が防波堤となっている状況です。しっかりと自信を持って支援員としてお取り組みいただけるような研修体制のさらなる充実や横のつながりもつくっていただくことに県も主体的な役割を果たしていただきたいと考えます。  そして、支援員皆様が学校にとって欠かせない役割を果たしていただいている中で、また、その必要性に対する潜在性はまだ高いものがあると認識をしています。特別支援教育支援員の配置が財政上可能か否かで、市町村間、あるいは学校間の学習環境の差に影響が出てはなりません。そうした格差を生まないための市町村への財政支援等については、しっかりと現場の実情を把握をしながら検討いただきたいと考えます。  子供一人一人の持ち味、特性がより多様になっている実態に対応していく、違いを生かしていく学級経営、学習形態が求められています。特別支援教育支援員という人材が効果的に活用され、児童生徒に適切な対応が届く体制づくりに向けた県教育委員会のなお一層のお力添えを強くお願いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(諏訪光昭 君)次に、石和大議員。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)まず、5月31日に発生したひょう害についてお聞きします。  この日、夜8時半過ぎだったと記憶していますが、雷雨となり激しく雨が降ってまいりました。そのうちにバラバラバラとかたい音がしてまいりました。ひょうが降ってきたなとすぐにわかりました。表を見ると数ミリのひょうが落ちていました。被害が少ないことを祈りましたが、夜が明けてみるとひょうが積もっているところがあるほどで、大きな被害となりました。気温が低いこの時期にひょうが降るのは珍しく、意表をつかれた農家も少なからずあったと思います。  今回、東御市、上田市等で被害が大きかったと思いますが、被害をどのように把握、分析し、市やJAと連携して救済措置等どんな対応をするのか、農政部長にお聞きします。  東御市のひょうの被害状況を見ると、毎回同じ地域が被害に見舞われているという感があります。ひょうの通り道とも言われているほどです。これだけ同じ地域が被害を受けると、予防対策を確実に実行する必要があります。一番有効なのは防ひょうネットの設置です。今回もネットが張られたところは被害が少なかったり、免れたりしています。しかし、防ひょうネット設置には多額の費用がかかります。単に農家の負担と言うには、商品単価が毎年それほど変化がない状況の中で、負担が大きい。投資分を回収するには時間がかかる。ましてや、同じ市内でも、3キロ、4キロずれれば設置の必要性は高くなくなるのです。市が10分の1、JAが10分の2という補助制度もあるようですが、県も幾らかでも補助できれば被害防止は進むと思いますが、考えはいかがか。農政部長にお聞きをいたします。  次に、山岳遭難防止対策と観光施策についてお聞きをいたします。  山岳遭難発生については、件数はおおむね横ばいという感じですが、遭難者の年齢は、60代、70代以上が全体の45%を占めています。時間があって入山する人が多いということもありますが、体力や経験などを冷静に自己分析できていないことに起因するとも思われますが、高齢者の山岳遭難が多いことについてどのように原因を分析し、未然に防ぐ対策をしているか、観光部長にお聞きをいたします。  遭難事故については、報道等の情報によると、遭難直後は携帯端末による連絡がついたが、その後連絡がつかなくなったという例が少なくありません。もちろん意識がなくなったということになれば仕方がないわけでありますが、それでもGPSによる検索などはできる可能性はあるわけです。  登山者に対しては、携帯端末の性能、充電の充足、位置情報の発信などを入山前にチェックする等の指導はどのように行っているのか。観光部長にお聞きします。  また、事業者とは通信エリアの拡大などを要請するなど連携を行っているのか、企画振興部長にお聞きをいたします。  次に、このごろはバックカントリースキーというゲレンデ外滑走をして遭難するという例があります。特に外国人によることが少なくないわけですが、禁止であると呼びかけるなど対策はどうか。外国語による注意喚起など対策はなされているのか、また、遭難したときの捜索や救助に対する費用の自己負担などを事前に知らせて注意喚起しているのか、観光部長にお聞きをいたします。  次に、新幹線車内でのWi-Fi等の通信インフラ整備についてお聞きをいたします。  北陸新幹線の車内では、インターネットに接続できないトンネルの区間など少なからずあります。今どきは、スマートフォンやパソコンで通信しながら、または仕事を移動中にする人は少なくありません。信州へ向かう新幹線では通信不能というのは誘客にも不利ですが、これらを解消する対策を講じているのか、企画振興部長にお聞きをいたします。
     さらには、外国人旅行者はフリーWi-Fiでスマートフォンで通信して情報を得ています。これがつながらないと、どこにいるのかわからなくなる可能性もあります。先般、函館から北海道新幹線に乗る機会がありました。停車駅や乗りかえ案内のアナウンスは、新幹線では日本語、英語の2言語、特急列車では日本語、英語、中国語の3言語でした。これではわからない人々もいるだろうと感じましたが、もう二つも言語をふやしたらアナウンスばかりになってしまうと、そういうふうにも感じました。  そこで、新幹線車内でWi-Fiがつながり、通信アプリで、位置情報により、その人に必要な言語で、文字または音声で乗りかえ等の必要な情報を適宜、的確に伝えることはそれほどに難しいことではないのではないかというふうに感じますが、研究等があるのか、企画振興部長にお聞きをいたします。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)降ひょうによる農作物被害への対応についてお答えをいたします。  5月31日の降ひょうにより、上田、松本地域を中心に6市2村で果樹や野菜などの農作物に約7,400万円余の被害が発生しております。被害に遭われた農業者の皆様には改めてお見舞いを申し上げます。  上田市及び東御市の被害状況についてですが、市、農業改良普及センター、JAが連携して現地調査を行い、リンゴ、ブドウなどの果樹、レタス、ブロッコリーなどの野菜で計144ヘクタール、4,800万円余の被害となっております。今回のひょう害は、局地的に被害が甚大な地区が見られるとともに、リンゴでは打ち傷などにより今後の品質低下が懸念されているところでございます。  農業改良普及センターでは、JAなどと連携し、災害発生直後から被害軽減のための緊急防除などを指導してきており、今後とも農業者の相談に応じるなどきめ細かな対応をしてまいります。  なお、県の農作物等災害緊急対策事業につきましては、市町村が実施する事業に対する助成措置となっておりまして、市町村と協議しつつ、要綱、要領の基準に照らし検討してまいりたいと考えております。  次に、防ひょうネット設置への支援についてですが、防ひょうネットは予防対策として非常に有効ですけれども、10アール当たり約20万円の資材費がかかり、なかなか導入が進まない現状にあります。市町村や生産者団体からの具体的な支援の要望をお聞きしつつ、防ひょうネットが国庫補助事業の事業対象となるよう国へ要請していくとともに、県といたしましても、支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔観光部長熊谷晃君登壇〕 ◎観光部長(熊谷晃 君)3点御質問をいただきました。順次お答えしてまいります。  まず、高齢者による山岳遭難の原因分析とその対策についてでございます。  県警の山岳遭難統計によりますと、60歳以上の遭難者数は、平成15年には67人であったものが、平成28年には138人と実に倍、遭難者全体に占める60歳以上の割合も、平成15年は33%だったものが平成28年は45.5%と増加の傾向にございます。  遭難の状況を見ますと、30代以下の若者世代では道迷いや滑落など準備不足や技術不足に起因するものが多い一方、60歳以上の高齢者につきましては、転倒・滑落、発病・疲労が主な原因となっております。平成25年に設置いたしました山岳遭難防止対策検討会の報告書においても、中高年の遭難の主な原因として、自分の体力や健康の衰えを認識していないという点が指摘されております。  このため、高齢登山者に対する未然防止の対策といたしましては、登山者に自分の力量に合った山選びをしていただくため、信州山のグレーディングの首都圏などでの普及啓発、また、高齢登山者に自身の体力を客観的に確認していただくセルフチェック登山の実施、発病や疲労の誘因と考えられます脱水症状を予防するための登山口での経口補水液の配布による啓発活動を実施しているところでございます。加えて、今回お願いしております補正予算案におきましては、新たに登山相談員の研修会を予定しておりまして、この研修において、各登山口で高齢者への無理のない登山の呼びかけなど指導を徹底し、対策につなげてまいりたいと考えております。  次に、登山者に対する入山前の指導についてでございます。  県警によりますと、昨年の遭難発生時の届け出方法としては、携帯電話によるものが219件で全体の約8割を占めており、遭難時の第一報を伝える上でも携帯電話の携行が有効であると認識をしております。これまで、県においては、県遭対協で季節ごとに作成する啓発冊子「山岳情報」の中で、特に山菜とりに出かける皆さんの遭難防止策として、携帯電話を携行して入山するように呼びかけてきたところではございますが、登山を楽しまれる皆さんの携帯電話の携行につきましては、登山安全条例に基づくガイドラインの策定に係る議論の中でも検討はされましたが、山岳地帯では不感地域がまだ残っていることなどから、同ガイドラインに盛り込むまでの対応はまだ行われていない状況でございます。  今後につきましては、通信エリアの拡大を確認しながら、遭難時の通報や捜索救助に有効な手段の一つとして、携帯電話の携行と充電の充足や位置情報の発信について登山者に呼びかけてまいりたいと考えております。  最後に、バックカントリースキーの外国人に対する対策についてでございます。  県警によりますと、バックカントリースキーの遭難者につきましては、平成26年以前は全遭難者の5%程度で推移していたものが、平成27年以降は全体の10%を上回る状況で増加傾向となっており、その主な発生地域は野沢温泉村と白馬村に集中している状況でございます。御存じのとおり、野沢温泉村では、平成22年に策定したスキー場安全条例で、スキー場区域外の遭難に係る捜索救助費用の自己負担を、また、白馬村では、平成20年に定めた白馬ルールにおきまして、立ち入り禁止区域での遭難救助費用の自己負担をそれぞれ明記しております。  昨シーズン中に両地域の七つのスキー場を対象にヒアリング調査を実施しましたが、五つのスキー場においては、安全対策として、滑走禁止区域など多言語表記での注意喚起を実施しておりました。県といたしましては、昨シーズンから、県の観光外国語サイト「Go!Nagano」におきまして、滑走禁止場所などスキー場の利用規則の厳守やゲレンデ外滑走の危険性など、英語によります注意喚起を始めたところでございます。今シーズンに向けては、今回お願いしております補正予算案にもバックカントリー対策を盛り込ませていただきまして、日本語と英語の2カ国語表記による注意喚起ポスター等を作成し、インバウンドを受け入れる宿泊施設やスキー場を中心に配布するとともに、各スキー場に対しましては、多言語による注意喚起を行うよう呼びかけてまいる所存でございます。  以上でございます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)3点順次お答え申し上げます。  まず、山岳地帯における通信エリアの拡大についてでございます。  山岳地帯の携帯電話利用環境につきましては、その地形的特性等から、必要な通信回線や電源設備の敷設に困難を伴うことが多く、整備が進みにくいのが実情でございます。県では、これまでも市町村と連携し、携帯電話事業者に対して山岳地帯における利用環境の改善に向けた要望等の取り組みを行ってきております。特に、火山周辺における不感地帯の解消につきましては、火山防災対策の一環として重点的に取り組んでおります。昨年度は、浅間山での対策について、国の補助対象外となる電源設備の整備に対し、県独自の補助制度を設け、支援を行ったところでございます。今年度につきましては、御嶽山の具体的な対策方法につきまして、地元町村や携帯電話事業者等と現在協議を進めているところでございます。  次に、北陸新幹線における通信環境の改善についてでございます。  新幹線車内における通信環境につきましては、長大なトンネルが続く区間が多いことや、工事の時間帯が列車の運行しない夜間に限られることなどから、整備に一定の期間を要すると聞いております。一方で、これまで、JR東日本及び携帯電話事業者により順次対策が進められてきました結果、今年度中に安中榛名駅から上田駅付近の間で携帯電話の不感地域が解消されるとともに、さらに飯山駅までの間で対策事業が開始されると承知をしております。これによりまして、飯山駅以南の県内全ての区間におきまして対策が講じられるめどが立ったことになります。残る飯山駅から上越妙高駅にかけましても、現在計画中と伺っているところでございます。  最後に、新幹線車内での外国人への情報発信についてでございます。  現在、JR東日本管内では、北陸新幹線を含め新幹線車内での無料Wi-Fiは導入されておりません。JR東日本からは、まずは携帯電話の不感地域の早期解消を優先して取り組んでいるというふうに伺っているところでございます。一方、JR東日本管内の駅におきましては、外国人旅行者に向けた無料Wi-Fiが順次整備をされておりまして、県内では、長野駅、軽井沢駅などでサービスが提供されているところでございます。  県といたしましては、4月に、県内の観光情報とあわせて、鉄道やバスのルート、所要時間等の情報を検索できる信州ナビのアプリの提供を始めたところでございます。このアプリは、日本語のほか、英語、中国語、韓国語など六つの言語に対応しておりまして、議員御指摘の外国人への情報発信のための有力なツールであるというふうに考えております。現在、駅でのパンフレット配布や外国人向けのフェイスブックなどを活用し、このアプリの積極的なPRに努めているところでございます。今後とも、交通事業者や市町村等とも連携しながら、この信州ナビの普及促進に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)次に、林業振興についてお聞きします。  森林県から林業県へという県のスローガンがあります。しかし、何せ山の中での仕事なので、県民の皆様には見えにくいし、知らない人も多いのではないかと感じます。  そこで、お聞きします。現在の県内の林業の主な形態はどのようなものか。そして、どのように変化してきているのか。山の中のきつい仕事というイメージがありますが、従事者の皆さんの年齢層や人数等はどのように変化しているのか、林務部長にお聞きをいたします。  先般、長和町で開催された県植樹祭に参加し、カラマツなどを植樹しました。80年後には立派な県産材に育つということでした。そこで、初めて信州プレミアムカラマツというものを知りました。これは、県産の80年生以上の高齢級カラマツ人工林から径級30センチ以上の良質な大径材丸太を厳選して信州プレミアムカラマツと称して供給、販売するというものですが、現状と見通し、さらには信州のカラマツの可能性について林務部長にお聞きします。  次に、森林税について知事にお聞きします。  里山の整備推進のために導入された森林税ですが、その活用が十分でなかった部分があるという感があります。どこまでが里山でここからはそうではないという明確な区別があるわけではないと思うのです。林業県への進化のために森林税を活用していくことはできないのか。若者のやりがいがある仕事としての林業振興のためにも、森林県長野の強みを発揮するためにも、未来へ美しい森林を伝えるためにも、よりよい森林税の活用についてのお考えを知事にお聞きをいたします。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)林業の振興につきまして2点お尋ねをいただきました。  初めに、県内林業の動向についてのお尋ねでございます。  本県の森林は、戦後造林された人工林を中心に本格的な利用期を迎えつつあります。これに伴い、林業上の手入れ作業についても、植栽や下刈り等手作業となる保育作業から、機械化による搬出間伐等素材生産作業を中心に移行してきております。  林業従事者数に関しましても、最近1,789人とやや減少傾向にありますが、これは、これまでの保育作業のパートタイム的な従事者が減少した影響を受けてのもので、素材生産作業の従事者数は増加傾向でございます。  雇用形態におきましては、通年雇用の割合が平成17年度の約4割から平成27年度の約7割へと増加し通年雇用化が進むとともに、機械化等による労働条件の改善が進みつつあり、高性能林業機械のオペレーター等として若い女性の進出も見られます。また、林業従事者の平均年齢につきましても、平成17年度の50歳から平成27年度の47歳へと若返りが着実に進んでいる状況でございます。林業につきましては、今後、本格的な主伐、再造林が進んでいけば、雇用吸収力のある分野と考えております。  次に、信州プレミアムカラマツの現状と見通し等についてのお尋ねでございます。  かつてカラマツは、やにやねじれ、割れなどの欠点から木材としての評価が低位にとどまっておりましたが、今日では欠点を少なくするための乾燥技術が開発されるとともに、合板メーカーの国産材利用の過程でその強度が高く評価され積極的に利用されることになったことから、価格は杉よりも高く取引される状況になっております。  また、本県には全国の80年生以上の高齢級カラマツの45%が生育しており、これらのカラマツは、割れ、狂いが少なく、高い強度や独特のあめ色で美しい木目を有するなどすばらしい個性を持っており、さまざまな用途が期待できることから、全国に先駆けてブランド化を図るため、去る5月25日、中部森林管理局等と民国連携で信州プレミアムカラマツの名称、企画等を発表いたしました。良質な大径のカラマツ丸太を差別化し、全国の高級材を求める木材需要者に対し積極的にPRすることで、より高い価値で取引することが期待できるものであり、今後伐採が本格化する秋口から県内の原木市場におきまして販売する計画です。  また、あわせて、現在、県林業総合センターの木材試験研究施設の整備を進めており、今後、大径材の加工や試験ができるようになることから、住宅のはり、桁や化粧板などの高性能、高品質で全国の消費者に選択していただける製品も開発いたしまして、信州カラマツの可能性がさらに広がるよう取り組んでまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)森林づくり県民税の活用がさまざまな観点から必要ではないかという御意見に対する見解という御質問をいただきました。  長野県は、森林県から林業県へということでいろいろな取り組みを進めている中で、林業振興については、例えば林業のスマート化を推進すること等によって、これまで以上に生産性を高めていく努力をしていくことが重要だというふうに思っています。  また、昨年、全国植樹祭で、長野県として幾世代にもわたって大切に伝承されてきております木と森の文化の発信をさせていただきましたが、今後とも伝統的なものをしっかり継承すると同時に、新しい視点も加えて文化の創造にもこの森林というものを役立てていく必要があるというふうに思っています。  また、森林づくり県民税のあり方を御議論いただいておりますが、県民会議からは、NPO等多様な団体の森林整備への参入促進であったり、あるいは地域がさまざまな森林に関する課題を抱えている中で、そうしたものに対応できるようにしていく必要があるんではないかといったような御意見も出されているところであります。  他方、税制研究会でも、こちらは税制というもののあり方から検討、御議論をいただいているわけでありますけれども、我が国の地方行政制度上、標準税率の課税によって標準的な行政は理論上は行えるということになっているわけでありますので、県が独自に超過課税を行うに当たっては必要性を明確に示すことが重要だといったような点等の御指摘もいただいているところであり、この税制研究会の今後の審議にもしっかり注目して対応していかなければいけないだろうというふうに思っております。  現在、県民アンケートも行っているところでございますので、こうした結果等も十分踏まえる中で今後の方針を定めていきたいと考えております。  以上です。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)次に、匿名性を担保した授業評価、学校評価についてお聞きします。この制度はどんなもので、導入した理由、背景はどんなものか、また、評価を活用して何を目指すのか、教育長にお聞きをいたします。  学級規模、つまり1クラスの人数や学校規模により匿名性の担保は難しいのではないか。それを含めて評価対象である先生や学校に対してどのくらい正直な気持ちが表現されていると考えているのか、教育長にお聞きをいたします。  特に大事なのは、誰にでもわかる授業という県教委の目的の達成です。子供に対して、授業ごとにその時限の目標を示し、終わりはそれについてどうだったのか、次に向けてどうなのかということを示す。現状、そのような授業が行われているのか、教育長にお聞きをいたします。  高校の再編についてお聞きします。  今回、学びの改革基本構想が示されて、将来の高校再編への考え方が示されましたが、関連してお聞きをいたします。  この問題になると、やはり卒業生や同窓会、後援会の意見というものが大きなウエートを占めてきます。気持ちはよくわかります。自分の出身校がなくなる。地域に高校がなくなる。寂しい。よくわかります。しかし、ピーク時に3万人以上いた中学卒業生が平成28年度には2万人強、約15年間で4分の3程度に減少しています。1万人近く減っているのです。あと約15年でさらに4,300人の減少が予想されます。全県で1万6,300人程度と予想されます。  最優先すべきは子供の利益です。現在を生きている子供にいかに最善の学習環境、学校環境を提供するかです。県内高校は設備の老朽化の改善などはおくれているとも感じます。全ての改善には時間も予算もかかります。地域の合意は前提になりますが、再編も効果的に進め、子供たちにとって最善の策でよりよい環境を整備すべきで、地域や同窓会へもそんなグランドデザインを示すべきとも考えます。高校再編に向けて地域や同窓会への合意をどのように図っていくお考えか、教育長にお聞きをいたします。  次に、言語障害通級指導教室、ことばの教室設置、機能充実についてお聞きします。  言葉や聞こえについて障害があり、適切な指導を求める児童にとって、当該通級指導教室は頼りにしたいものです。しかし、東御市には、県内19市中1市だけ設置がありません。お聞きすれば、東御市も基準人数は満たしているとのことであります。昨年4月には、障害を理由とする差別解消の推進に関する法律が施行され、互いに尊重しながら共生する社会の実現に向かっているわけであります。  そんな中で、東御市の児童の中には、隣の上田市の小学校に設置されている通級指導学級に通うのが困難で断念したという例もあるそうであります。県内の設置基準はどうなっているのか。充足していると言えるのか。教育長にお聞きをいたします。  単独での設置が難しいとしたら、他市の教室に配置されている教員が兼務して、未設置の市の学校にサテライトの教室を設置するというのはどうか。月に数回の教室であればできないことはないと考えます。このような形が柔軟にできれば、より細やかな指導が可能になるとも考えますが、教育長にお考えをお聞きをいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)大きく3点質問をいただきました。順次お答え申し上げます。  まず、匿名性を担保した授業評価、学校評価についてであります。  制度の概要等の御質問でありますが、匿名性を担保した授業評価は、生徒が授業者を5段階で評価し、その結果を授業改善に生かすものであります。また、匿名性を担保した学校評価は、生徒及び保護者が校長の学校運営及び学級担任の学級運営等をやはり5段階で評価して学校運営の改善に生かすものであります。いずれも匿名性を担保し、意見や要望を記述できる自由記述欄を設けているところであります。  この制度は、平成24年度の教員の資質向上・教育制度あり方検討会議の提言に基づきまして、評価制度改善のための有識者会議において平成26年度からの導入を決定したものでありまして、生徒や保護者が学校づくりにより一層参画し、開かれた学校への取り組みを目指すものでございます。  正直な気持ちの表現についてという御質問でありますけれども、この制度はそもそもは学校教育法で定められた学校評価制度の改善として、率直な意見を学校運営等に反映できるように本県独自に導入したものであります。児童生徒や保護者が自由に意見を言えるものとしてそもそも実施したものでありますので、ほかの方法に比べれば正直な気持ちが表現されているというふうに考えております。  それから、わかりやすい授業の実践についてでありますが、議員御指摘のとおり、授業の初めに目標を示して、終わりにその達成状況を確認したり、学んだことを次の時間にどのようにつなげていくか、これを子供と教師が共有することは授業評価をする上でも大切なことであります。県教育委員会では、誰にでもわかる授業の実現を目指して、授業がもっとよくなる3観点というものを示して、子供にとって狙いが明確で、追求にめり張りがあり、授業の終わりでは学んだことを振り返ることができる、そういう授業づくりを推進しております。  この結果でありますけれども、全国学力・学習状況調査によりますと、授業で目標が示されていたと答えた子供の割合は、小学校で85.6%、中学校では82.6%、それから、授業で振り返りの活動をよく行っていたと答えた割合は、小学校では74%、中学校64.5%でありますが、どちらの項目も年々向上しているところであります。さらに一層定着するよう取り組みを推進してまいりたいと思っております。  次に、高校再編に向けて、地域や同窓会との合意形成であります。  社会が激しく変化して少子化が進む中で、最善の学習環境を整え、将来にわたって高校教育の学びの質を保障していくことは、次世代に対する私たち世代の責任であり、最優先すべきは子供の利益ということに関しては全く同感でございます。  高校再編の検討に当たっては、地域全体の高校教育のあり方を議論することによって地域や同窓会の御理解も得てまいりたいと思ってます。そのためには、今年度、旧12通学区ごとの地域懇談会やパブリックコメント等を実施しまして、地域の方々の御意見を聞きながら、通学区ごとの再編の基本理念、方針を盛り込んだ学びの改革実施方針を策定する予定ですが、地域の方々と丁寧に懇談を重ねて合意形成を図ってまいりたいというふうに思っております。  それから、最後に、言語障害通級指導教室の御質問でございます。  まず、設置基準及び充足状況でありますけれども、この言語障害通級指導教室については、言語障害があって支援が必要な子供たちが、おおむね通常の学級の授業に参加しながら、週に一、二回程度通って指導を受けるという場でありまして、指導形態としては、在籍校に設置されている教室に通う自校通級の形と、それから在籍校以外の学校に設置されている教室に通う他校通級というのがあります。  この設置は、国から配分されている定数の枠の中で、児童の実態や指導の継続性、地域のバランス等を考慮して行っているところでありまして、現在、県内全域で38カ所設置しているところでありますが、充足状況ということでありますけれども、さらに一層学びやすい環境づくりには努めてまいりたいというふうに思っております。  そして、東御市における対応についてでございますけれども、東御市においては設置校がなく、上田市の設置校に他校通級している児童がおって、負担の軽減が大きな課題となっているというふうに考えております。今後、隣接地の通級指導教室の担当教員が東御市の拠点校において指導を行うサテライトや、東御市の学校を訪問する巡回指導などの方法を含めて、子供たちの実態に応じた、より効果的な通級指導のあり方を検討してまいりたいというふうに考えております。       〔13番石和大君登壇〕 ◆13番(石和大 君)冒頭申し上げましたひょう害については、東御市、上田市、そして松本市等、被害を受けられた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。  ひょうは火災と同じです。5分間の間に全て一瞬のうちにそれを奪ってしまうわけであります。ぜひ県も、国に対しての働きかけも含めて柔軟な対応で救済措置等を講じていただければというふうに思います。  気候の変化や人口の減少など、さまざまな変化への対応や工夫が現在求められています。答弁をいただきましたけれども、またより一層熱意ある、より真摯な取り組みに期待をして、質問を終わります。 ○副議長(諏訪光昭 君)次に、百瀬智之議員。       〔5番百瀬智之君登壇〕 ◆5番(百瀬智之 君)国土交通省は、ことし3月、大規模商業施設の新規出店に必要な事業者の渋滞対策を厳格化する方向で検討に入りました。郊外型の大型ショッピングモールなどが道路渋滞の一因になっているためで、国交省のモデル調査では、施設開業後に渋滞が2割以上ふえ、周辺の事故件数も約2倍に膨らんでいたと言います。全国の主要な渋滞地点約9,000カ所のうち、大規模小売店が原因と見られる渋滞地点は1割強の約1,200カ所に上り、幹線道路沿いの大規模小売店は、平成22年以降、5年間で1.5倍にふえており、渋滞悪化への懸念が高まっています。  国民1人当たり年間100時間程度の道路移動時間のうち、約4割は渋滞に費やされ、それは年間50億人時間、約280万人分の労働力に匹敵すると言われます。国交省道路局は、渋滞が減れば他の経済活動に充てられる時間がふえ、生産性向上が図れるとして、昨年から渋滞対策を本格化しており、これらに鑑みると、渋滞対策は、経済的観点からも、また県民の安全性確保のためにも喫緊の課題と言うことができます。  さて、松本市では、今でも朝晩や土日を中心に慢性的な交通渋滞が発生しているところ、この秋には市街地でイオンモールがオープンします。敷地面積約6万2,500平米、毎日平均3万人以上の集客を目指す施設ですから、渋滞悪化に拍車がかかることは確実視されます。松本市実施の交通シミュレーションによれば、その影響はイオンモール松本周辺にとどまらず、市街地全域に大きく及ぶとのことで、関係機関は、一過性のものである、局所的な問題であるとうがった見方をすることなく、当事者意識を持って万全の対策を講じてほしいと思います。  そこで、今回は、この秋以降を見越しての松本市街地全域に対してどのような交通対策メニューがあるか、信号運用の見直し、エリア対策、交通の分散、重点箇所対策の大きく四つの観点から県警にお尋ねします。  まず、信号運用の見直しについてです。  交通の流れが刻々と変化する中、現在の信号運用が適応できなくなる箇所や新たに渋滞ポイントとなる箇所には信号秒数等の調整が求められます。また、速度低下箇所が連続するところなどは、オフセットの調整など路線としての見直しが必要であり、信号秒数及び連動オフセット等の調整を行う予定はあるか、お尋ねします。  また、通常、信号機は路線単位で複数の信号機をまとめて同じサイクルで運用するなど、系統がとれるような制御を行っているとお聞きします。市街地への流出入ルートを十分に把握して信号制御グループを交通の流れに適合したものに見直す必要について御所見を伺うとともに、矢印制御による方向別の信号処理等を適宜導入して、交差点での処理がより最適化されるよう、信号現示の見直しについてのお考えを伺います。  二つ目に、管制エリアの状況についてです。  市街地等で定常的に速度低下が発生しているエリアのうち、交通管制が未整備となっているエリアがあれば、管制エリアを拡充せねばなりません。また、管制エリアと既になっていても、近年供用された新設道などは、交通の実態に応じて機器の増設などの対策を講じる必要があります。これらのエリアに集中制御器や車両感知器、交通監視カメラを整備することにより、交通量に応じた信号制御を実現し、渋滞情報をより的確に収集、提供することが可能になり、ドライバーの自律的な渋滞回避行動を促せます。
     そこで、管制エリアの現状について伺った上で、集中制御器及び車両感知器、交通監視カメラを増設する予定はあるか、御教示願います。  三つ目は、交通の分散についてです。  ドライバーに提供する情報の量や質、方法については、効率的で機能的なものを随時検討していただきたいと思います。具体的には、ドライバーがルート選択の判断を行いやすいよう、混雑状況のリアルタイム提供を促進するため、車道における情報板の増設が有効と考えますが、いかがでしょうか。  また、情報板への表示も、複数経路の混雑情報を同時に表示するなど情報提供の高度化を望みますが、いかがか。お尋ねします。  四つ目に、重点箇所対策、とりわけイオンモール松本に関する交通対策について伺います。  全国でイオンモール開店に伴う渋滞悪化が課題とされていたのが、約2年半前に開店したイオンモール岡山とことし4月に開店したイオンモール徳島で、それぞれ県警が積極的に交通対策に乗り出していたようです。  例えば、松本市が開いている交通対策会議について、岡山県では県警が事務局となり、オープン1年前から会議を実施したようで、交通に関するアンケート調査や公共交通利用に関する呼びかけも積極的に行ったとのことでした。また、ことし4月開業のイオンモール徳島では、緊急車両の通行への影響等を考慮して、県警がイオンモール内に警察官立ち寄り所を設置したり、リアルタイムで信号調整をしたり、開業してすぐのゴールデンウイークには、ヘリコプターを出動させて渋滞情報を収集したともお聞きします。  翻って松本市ですが、岡山で37基増設された車両感知器を2基増設する予定で、あとは信号調整とスクランブル交差点化による案が公表されていますが、全体像はどうなっているのか。イオンモール出店に伴う県警の交通対策を網羅的にお尋ねします。  最後に、一般的に渋滞対策は、道路管理者に対しては道路の拡張などを、開発事業者に対しては十分な駐車場の確保などを望むことが多く、実際、郊外においてはそれでよいと思いますが、市街地においては、本来的に別の原則が適用されるべきだと考えます。それは、車のために道路を拡張し、駐車場を整備することが想定以上のマイカーを市街地に呼び寄せることになりかねず、それが次の渋滞、騒音、事故などの問題を引き起こすからです。とりわけ、都市空間の浪費と消失は深刻で、商業施設が集積する中心市街地でマイカーの過度な空間占拠により移動人口密度の極端な低下が惹起されることは、にぎわいの創出という観点から大きな問題だとも思うわけですが、そのような考えに立脚した場合には、道路管理者や開発事業者にも増して、交通規制に係る県警の責任が総体的に大きくなってきます。  そこで、県警には主体的かつ積極的な対策を望むとともに、松本市街地及びイオンモール周辺の交通渋滞についてどのような認識を持っているのか伺います。  以上、全ての項目を県警本部長に質問して、今回の一般質問を終わります。ありがとうございました。       〔警察本部長尾﨑徹君登壇〕 ◎警察本部長(尾﨑徹 君)松本市街地全域の交通渋滞について、大きく4点御質問がございましたので、順次お答えいたします。  最初に、信号機の運用の見直しなどについてお答えいたします。  まず、一般に、都市部では道路交通が複雑、過密化し、交通渋滞などの一因となっていることから、警察では、交通管制システムにより車両感知器などで収集した交通量や走行速度などのデータを分析し、その分析結果に基づき信号の制御や交通情報の提供を行うことにより交通の流れの正常化に努めているところでございます。  交通管制センターでは、このシステムを運用しており、同センターで制御している地域を管制エリアと称しております。松本市の場合、管制エリアは、市街地から郊外の幹線道路まで既に整備されており、交通量の最適化が図られていますので、現状では信号秒数や連動オフセットなどの調整や信号制御グループの見直しについては必要ないと考えております。  なお、著しく交通量が増加し、通常のシステムの運用では対応できない場合が生じた際には、交通管制センターにおいて信号機の秒数調整を行い、最適化を図っております。  次に、管制エリアについてお答えいたします。  管制エリアにつきましては、ただいま御説明いたしましたとおり、既に松本市街地及び郊外の幹線道路まで整備しておりますので、御理解いただきたいと存じます。また、現在、今回のイオンモール松本出店予定地周辺の信号機への車両感知器の増設を進めているところでございます。松本市街地における集中制御器及び交通監視用カメラにつきましては、既に相当数が設置されており、これらの活用を図りたいと考えております。  続きまして、交通の分散についてお答えいたします。  道路交通情報提供の手段としては、ラジオによる放送、情報板のほか、道路交通情報通信システム、いわゆるVICSを活用しております。VICSは、光ビーコンなどを通じてカーナビゲーション装置に交通情報を提供するシステムで、時々刻々変動する道路交通の状況をリアルタイムで地図図面上に表示することができるほか、音声、図形、文字でもわかりやすく表示することができるものであります。  混雑状況を提供する情報板の増設につきましては、出店に伴う交通渋滞の状況などを確認し、必要が認められれば設置にかかわる費用対効果及び既存の交通安全施設を活用した場合との比較検証などを総合的に行い、最善の施策を選定した上で情報の提供を行ってまいりたいと考えております。  次に、イオンモール松本に関する交通対策についてお答えいたします。  出店に伴う県警の交通対策につきましては、ただいま申し上げましたイオンモール松本出店予定地周辺の信号機への車両感知器の増設のほか、灯器のLED化などの信号機改良、周辺に既に設置されている交通監視用カメラによる交通流の把握と信号機の秒数調整などにより渋滞対策を図ってまいります。また、開店直後を初め、休日の交通量がふえる時間帯に現地調査を実施し、必要により交通実態に応じた信号機の秒数調整を実施する予定でございます。  なお、イオンモール松本の出店計画に伴い、警察からイオンモール松本設置者に対し、駐車場の出入り口の数、位置、駐車待ちスペースの確保など交通管理上必要な指導、助言を行ってきたところでございます。  松本市街地につきましては、道路環境に比べ交通量が多く、交通渋滞が発生する状況が見られることから、道路管理者を初め関係機関などとの協議、働きかけをさらに推進し、渋滞解消に向け取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○副議長(諏訪光昭 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時18分休憩          ──────────────────         午後2時34分開議 ○議長(垣内基良 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  下沢順一郎議員。       〔24番下沢順一郎君登壇〕 ◆24番(下沢順一郎 君)松本空港活性化策についてお聞きしてまいります。国際チャーター便についてお聞きします。  県は、昨年11月1日に松本空港利活用・国際化推進室を設置、松本市の職員も4月1日には派遣され、松本空港の国際化に向けて各方面との連携も一層密となり、今後への期待がますます高まるばかりです。  さて、そのような中、4月19日に2年ぶりの国際チャーター便が韓国から、5月11日には台湾高雄市チャーター便が就航しました。7月にはロシアとのチャーター便の就航も予定されています。松本市長は、今後も、270万人の高雄市を交流都市として位置づけ、健康、教育、観光も含めて経済交流もできれば図っていきたいと希望されていました。  マスコミによると、阿部知事も、台湾台東県の代表団との会談で、長野県の大きな課題の一つは松本空港の国際化だと述べられた上で、残念ながら国際定期便がまだ就航していない。まずは国際チャーター便を就航させ、将来的には国際定期便が就航できる空港にしたいと強調されたと書かれています。今後の松本空港のあり方は、国際チャーター便の定期便化がその行方を大きく左右するであろうことを考えると、知事のトップセールスの重要性と、近隣の国々への、また、それらを結ぶ各航空会社への働きかけが一層必要であると考えるものです。そこで、知事としての国際チャーター便への思いのたけをお聞きしたいと思います。  空港の課題と対策についてお聞きします。  平成29年度の航空局予算の基本方針の中で、観光ビジョンの実現と地方創生のための空港ネットワークの拡大がうたわれています。政府の明日の日本を支える観光ビジョンでは、訪日外国人旅行者の目標を、2020年、4,000万人、2030年、6,000万人とし、3大都市圏以外における宿泊者数も、2020年、7,000万人泊、2030年、1億3,000万人泊としていることからしても、今後さらなる航空需要が拡大すると予想されます。  そこで、政府は、外国人受け入れ態勢強化のため、また、観光ビジョンの実現と地方創生に向けた国内外航空網の強化策としてさらなる地方空港の活用が必要となり、国土交通省は、3月15日、国際線の格安航空会社の誘致など、訪日外国人旅行者の呼び込みに向け、着陸料の軽減などを支援する訪日誘客支援空港の募集を行う国際線就航加速パッケージを予算化しました。そして、この6月に全国の地方空港から15空港程度を選考することになっています。そこで、この訪日誘客支援空港の認定に長野県としてどのように対応されたのか、また、見通しについて企画振興部長にお聞きします。  さらに、明日の日本を支える観光ビジョンに対して、松本空港をどのように利活用される計画なのか、知事にお聞きします。  さて、長野県にとっても、観光立県としての確立、また、訪日誘客支援のため、今後松本空港の果たすべき役割は非常に大きいものがあり、そのためには空港の機能強化も必須です。  そこで、駐車場問題についてお聞きします。  現在、空港の駐車場の収容台数は約300台で、混雑時には駐車場周辺道路やビル周辺などに約80台収容しています。つまり、合計で約380台のスペースしかありません。平成27年3月末から福岡便の複線化もあり、利用者の増加に伴い駐車場が満車になることが多くなりました。しかも、チャーター便の運航される日はほとんど満車になり、8月の大阪便運航期間、お盆、年末年始などは空港の駐車場だけでは対応できず、スカイパーク駐車場も開放したわけですが、年始にはその駐車場もいっぱいという盛況ぶりでした。  そもそも、松本空港駐車場は無料というのが売りなわけですから、車で来たお客さんには全て対応できる状況をつくっておくことが必要ではないでしょうか。さらに、今後の国際化も踏まえると、第2駐車場の整備も必要となり、トータルで1,000台は必要との試算もあります。今後の駐車場対策についての考え方を企画振興部長にお聞きいたします。  国際線ターミナルビルについてお聞きします。  国際線の出入国管理には、防犯のため、防疫のため、経済保護のため、CIQと呼ばれる体制が必要なのは御存じのとおりです。また、国際線旅客ターミナルは、空港旅客の乗降、搭乗手続、手荷物の受託、出入国に必要な法令に基づく審査や検査手続等を行う場であり、これらの行為が確実かつ円滑に進められなければならないとされています。その体制を担保するためにも、専用のビルが必要なのは言うまでもありません。  現在の松本空港においては、海外チャーター便に応じて国内線ターミナルを一時閉鎖し、そのターミナルを融通して使うことによってCIQ体制を維持しています。さらに、海外からのチャーター便の到着のたびにそのチェック体制に時間を要し、観光客の不満を聞くことになります。また、今後、国際線の申請に際しても、専用ターミナルの存在が必要であります。そこで、国際線専用ターミナルについての考え方を企画振興部長にお聞きいたします。  進入方式についてお聞きします。  進入方式には、滑走路へ着陸する際、視界が悪い状況でも着陸ができるILSなど、これまでも正確なコントロールを用いた方式がありましたが、さらに新方式、RNP-AR方式の運用が始まり、一部の空港で運用されています。この新方式の利点は、最終進入経路を曲線にできるという点です。設定された航路から0.3マイル、約500メートル以上離れるとコンピューターが警告するという高精度の航法により、空港へ近づく際、管制官による誘導を必要としません。また、最終進入経路も長い直線が必要なくなり、曲線を描いて滑走路へ進入することができます。従来の経路に比べて着陸時の飛行ルートが短くなり、時間の短縮と燃料の節約につながるわけです。また、正確に空港におりられることとなり、ILSの導入より費用も安く、決心高度もさらに低くなります。  松本空港への導入には、FDAが機材調達をし、パイロットが訓練を受けた後の2年後には可能となります。先日、FDA本社にお伺いした折も、長野県側の協力を期待しておりました。そこで、県も積極的にFDAと準備を進める必要があると思われますが、いかがお考えか、企画振興部長にお聞きします。  行政、産業界との連携についてお聞きします。  北九州市の空港企画部を視察する機会があり、利活用状況についてお聞きしてまいりました。北九州空港では、北九州空港利用促進協議会が中心となり、企業サポーターズクラブを結成し、利用促進キャンペーンとして、北九州―名古屋小牧線の利用に際してキャッシュバック方式の出張応援助成をしていました。しかも、この対象企業は北九州にとどまらず、名古屋周辺企業も対象に入れるという、対象を広範囲に広げることにより、積極的な展開姿勢が見えました。  例えば、北九州市には自動車関連産業が多いため、名古屋周辺の自動車企業に売り込むことによって関連企業の社員に北九州市に出張してもらおうと考えています。長野県としても産業界との連携をさらに深めていく方策としてこのような体制づくりが必要ではないかと思いますが、知事にお聞きします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)松本空港の活性化に関連して、3問御質問をちょうだいいたしました。  まず、国際チャーター便への私の思いについてという御質問でございます。  県内唯一の空の玄関口であります信州まつもと空港、ここに国際定期便が就航してもらうということは、海外との交流拡大、あるいは世界水準の山岳高原観光地づくりを目指している本県として極めて重要であるというふうに考えております。  そういう観点から、昨年6月に策定した「信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針」では、国際定期便2路線就航という極めて高めの目標を掲げさせていただいております。国際定期便就航に向けた第一歩は、御質問にありますように、国際チャーター便の就航数をふやし、これを定着していくということであります。県としては、平成28年度、平成29年度を集中具現化期間という形で位置づけておりまして、国際チャーター便の誘致に積極的に取り組んでいるところでございます。  特に、重要なターゲットとなります東アジア地域、私も、御質問の中にもありましたように、この東アジアの要人の方とお話をする際には、ほぼ必ずと言っていいほどこの松本空港を話題にさせていただいておりますし、また、私自身も、航空会社あるいは旅行会社に対するトップセールスに努めてきたところでございます。  特に、東アジア地域は人的なつながりを重んじる地域でもございますので、これまで本県が培ってきたさまざまな交流を基礎として多元的なチャネルで働きかけを行っていく必要もあるというふうに思っています。引き続きこの国際チャーター便の就航拡大に向けた取り組みを積極的に進めていきたいというふうに考えております。  それから、信州まつもと空港の活用についてでございます。観光の観点での活用についてでございます。  昨年3月、明日の日本を支える観光ビジョンが策定されたわけでありますが、本県でも、信州創生戦略の中で、平成31年の外国人延べ宿泊者数200万人という目標を掲げて取り組んでおります。官公庁の統計によりますと、平成25年の54万人から昨年は約110万人ということで、着実に増加をしてきておりますが、200万人に向けてはさらに努力をしていくということも重要だというふうに思っています。  そうした中で、信州まつもと空港は、国内有数の観光地のアクセスの利便性の高い空港だというふうに考えておりますし、この松本空港に外国からインバウンド客をお迎えすることが長野県の外国人観光客をさらに増加させる上では極めて重要だというふうに考えております。  平成27年度に県が実施した空港需要予測調査によりますと、中国、韓国、台湾からのインバウンド利用として年間約10万人の潜在的需要があるというふうにも言われております。こうしたことから、このインバウンド誘致のため、海外航空会社の支店へのエアポートセールス、あるいは海外での観光プロモーション等、さまざまな場面において信州まつもと空港を玄関口とした周遊ルート、あるいは旅行商品造成の提案をこれまでも行ってきておりますし、これから一層積極的に行っていきたいというふうに思っております。  それから、産業界との連携についてでございます。  信州まつもと空港を活性化していく上では、産業界の皆様方の御協力あるいは協働が必要不可欠だというふうに考えております。経済4団体の皆様方にも信州まつもと空港利用促進協議会の会員として、私どもと連携して空港の利活用に取り組んでいただいているところでございます。また、地元の松本商工会議所におきましては、信州まつもと空港特別委員会が設置されております。松本空港の活用に対して強い熱意を持って取り組んでいただいているところでございます。  これから、福岡便の3便化であるとか、あるいは札幌便の夏季増便等を目指していく上では、これまでの利用促進の柱としてきた観光需要だけではなくて、ビジネスユースの利用拡大も欠かせないものというふうに考えております。そういう意味で、今後、空港のユーザーとしての企業の皆様方に積極的かつ継続的に御利用いただくということが大変重要だと考えておりまして、こうした仕組みについても、今後、産業界あるいはFDAの皆様方と一緒に検討を進めていきたいと考えております。  以上でございます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)私には4点御質問をいただきました。  まず、訪日誘客支援空港の認定への対応及び見通しについてでございます。  この制度は、訪日外国人の受け入れ拡大のために海外のLCC等を積極的に誘致しようとする地方空港を国が認定し、支援するものでございます。これは、県が策定した取り組み方針の目指す方向に合致するものでございます。信州まつもと空港の国際化を加速化させるためにも、県といたしましてはぜひともこの認定を得たいと考えまして、国の募集に応じて本年4月18日に申請を行ったところでございます。  去る6月6日に認定する空港を選定するための国の審査委員によるヒアリングがございまして、太田副知事、また松本商工会議所の井上会頭を筆頭に、松本空港の持つポテンシャルや県及び地元の取り組み方針を御説明したところでございます。現在、委員において審査が引き続き行われておりまして、7月上旬には結果が判明すると聞いているところでございます。  次に、駐車場対策についてでございます。  空港の利用者の利便性を高め空港の活性化を進める上では、この空港を基点とした2次交通の整備が大きな課題の一つと認識をしております。県では、今年度、地域における移動手段の確保・補完に関する検討会を設置し、県内の観光の足の確保のための具体策についてもこの検討会の中で検討を行っております。また、松本地域振興局におきましても、観光振興策調査を計画しているところでございます。  こうした検討を進めていく中で、エアポートシャトルなど空港からの2次交通の充実と利用促進も図りながら、一方で議員御指摘の必要な駐車スペースの確保に向けたハード面の整備につきましてもあわせて検討を進めてまいりたいと考えております。  続いて、国際線ターミナルビルについてでございます。  現在、国際チャーター便の運航時には、その都度、国の関係機関の出張対応により、税関、出入国管理、検疫のCIQを実施していただいております。国際定期便就航の実現、定着に当たりましては、CIQ体制を常設するターミナルビルの設備といった空港施設の機能拡充が不可欠となってまいります。取り組み方針の策定以降、国際チャーター便の誘致に向けて積極的に取り組んできた結果、具体的な成果が少しずつ上がってきているものと認識をしております。引き続き国際チャーター便の就航数をふやすため、全力で誘致に取り組みますとともに、これと並行して必要な空港施設の機能確保についても対応してまいりたいと考えております。  最後に、RNP-ARの導入についてでございます。  RNP-ARはGPSを利用した新しい進入システムでございまして、地上のインフラ整備が不要という利点のほか、経路短縮、就航率の向上、安全性の向上などの導入効果が期待されているところでございます。  導入に際しましては、国が航空機の管制業務を担当する立場において行うものでございますが、その前提といたしまして、就航する航空会社において、機材の改修、パイロットの訓練を行い、国の承認を得ることが必要でございます。これまでも、FDAとの情報交換を進めつつ、国に対しても導入を希望する旨の県の意向は説明をしてきたところでございます。県といたしましては、引き続きFDAと協力をいたしながら、国に対し早期導入に向けた働きかけを行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔24番下沢順一郎君登壇〕 ◆24番(下沢順一郎 君)最後に、本年秋に開店が予定されているイオンモール松本についてお聞きします。  平成25年11月の私の質問に対して、知事は、県として地域にふさわしいまちづくりのあり方についてどういう支援が可能であるか、地域の皆様と一緒になって考えてまいりたいと回答されています。その後、28年11月7日にイオンモールが大規模小売店舗立地法に基づく届け出を県に提出しております。また、3月17日までには松本市など5者から総量抑制等交通対策、駐車場台数の確保などが出されております。県として今度どのように対処される方針か、知事にお聞きしまして、私の一切の質問を終わります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)イオンモール松本に関連して、今後どう対処するかという御質問でございます。  イオンモールにつきましては、平成25年に旧カタクラモール跡地への出店が公表されて以来、地域にふさわしいまちづくりのあり方を検討しようということで、県も地元の協議会に参加をいたして、継続して協議を行ってきているところでございます。昨年11月、大店立地法に基づく届け出書の提出以降の審査手続の中で、松本市、松本商工会議所など5名の皆様から、主に交通渋滞の緩和について御意見をちょうだいしているところでございます。  こうした意見を設置者側にもお伝えしたところ、設置者からは、敷地を活用したバス停や右左折レーンの設置に加えまして、公共交通利用客への優遇措置等、来店する自動車の総量抑制に配慮した対応を行うなど、松本市が取り組む交通対策に積極的に協力する旨の回答があったところでございます。  現在、提出された意見あるいは設置者側の回答などを踏まえて、庁内関係課で検討中、審査中でございます。今議会における御議論も踏まえつつ、期限であります7月7日までに県としての対応を決定していく考えでございます。  今回は、中心市街地への出店であり、交通渋滞が最も懸念される点でございます。県としては、既に近隣の県道の拡幅工事でありますとか右折レーンの設置など、交通渋滞の緩和につながる道路整備も進めてきております。先ほど、百瀬議員の御質問に対して県警本部長からもお答えをいたしましたとおり、周辺信号機への車両感知器の増設あるいは信号機の改良等による渋滞対策も行っていく考えであります。こうした対策を講じた上で、なお予想される交通渋滞に対しては、モニタリング、あるいは中心市街地の交通対策に関する協議の継続等、関係者が一体となって取り組むよう要請をしてまいりたいと考えております。  以上です。 ○議長(垣内基良 君)次に、村石正郎議員。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)大北森林組合補助金不正受給事件について伺います。  2017年3月28日、長野地裁において判決がありました。県職員の関与について、不正な補助金受給を始めるきっかけを中村年計被告に与え、その後も容認し続けたことは明らかと認定しました。伊東裁判長は、判決理由で、県が現地調査をすれば直ちに虚偽が明らかになる中で、中村被告が県職員の了解がないままで虚偽の申請をすることは想定できないと指摘。県職員の証言について信用できないことは明らかと事実上退けた上で、県に重大な落ち度があったと指弾しました。
     組合の不正受給は総額14億5,200万円余に上ります。公判において中村被告は、不正受給のあった森林作業道の中には、そもそも補助金の交付が認められない町道などもあり、これについては、現地調査をしなくても書類上でも見抜けたはずであることや、担当者が雪解け後も現地を訪れたり工事完了を口頭でも確認したりしていなかったことを指摘。これを踏まえると、同地方事務所は、予算消化を目的に工事が架空と認識しつつ申請を認めていたのではないかと考えるが、林務部長の答弁を求めます。  判決は、中村被告が2007年ごろ、県北安曇地方事務所の林務課に、間伐した木材の搬出のための作業道を開設するのは経済的負担が大きいと訴えた際、当時の林務課長から、既設道を新規に開設したと偽り、補助金をその費用に充てればよいと持ちかけられたことが不正の契機につながったと認定し、2008年2月ごろから中村被告の主導で偽りの補助金申請を行うようになったとし、その背景として、地方事務所林務課は、未実施の工事に対して補助金申請を行う闇繰り越しと呼ばれる違法な手段を使ってでも予算を消化するように迫られていたとし、予算に見合う行政サービスの提供より数値上の予算消化が重視されていたと指摘しているが、これは事実かどうか。  以上、林務部長の答弁を求めます。  県は、これまで、聞き取り調査などをもとに、森林作業道整備などで全くの架空申請を容認した県職員はいないと主張。証人喚問に立った県職員も、組合を信頼していたとしたが、判決は、証言が信用できないのは明らかとし、県側にも重大な落ち度があったと言うべきとしております。知事は、判決の事実認定について、私どもが考えてきた状況と同じか、必ずしもそうではないのか、しっかり確認したいと説明。仮に、判決内容が我々の認識と違い異なる対応が必要になるのであれば対応を考えると会見で述べております。  県は、これまで、県職員に全くの違法な架空申請との認識はなかったと説明、事件への県側の積極的な関与を否定してまいりました。これに対し、3月28日の判決は、現地調査をしていれば組合からの補助金申請が虚偽であることは直ちに明らかになるのだから、組合を信用し、信頼していたとする証言は信用できないとして、県側に重大な落ち度があったことに言及しております。この判決内容と今までの県の認識との違いについて林務部長の説明を求めます。  林業の成長産業化について伺います。  林務部長は、5月5日の新建新聞紙上で、「今年度は県内林業の大転換点。育林・間伐から主伐・再造林への転換」と述べ、「「戦前・戦後に山の木が伐り尽くされ、この半世紀はいわば木を育てるだけの時代だった。いまようやく60年生の森が成長。いよいよ伐って利用し、持続的な資源循環のサイクルをまわしていく時代になる。」林齢構成は成熟のピーク。県内の民有林は50年生以上の森林面積が全体の約6割を占め、反面25年生以下は数%しかない。「無秩序に伐れば育てるまでまた長い年月がかかる。やっと収穫の時代が来たのだから、森林所有者にお金が戻るかたちで伐採し、再造林へ投資できるシステムをつくらなければならない。」」と述べております。  主伐を前提とした木材生産と森林施業の効率化、具体的には、木の伐採、搬出から地ごしらえ、植栽までを一体で行う伐採造林一貫システムの構築が必要であります。高性能林業機械を使い、その場で地ごしらえをする。機械が山に入る際は、コンテナ苗を運び込み、一気に植栽も行ってしまう形であります。国有林では、今年度ほぼ全ての箇所で同システムを導入するそうですが、県内各地に広がる民有林にこのシステムを導入するにはさまざまな課題があります。  主伐箇所がふえると山から出される木の量がふえ、質も多様化する。それぞれに見合った価格で売り切っていくことができるように、需要把握とそれに合わせた計画的な生産、供給が必要となります。また、木材価格の低迷が続き森林所有者の山林への意識が低下している中、森林造成への投資は期待できないと思われる。この現状から、再造林後の育林に不安を感じますが、そこで、この機能の強化にどう取り組んでいくのか、林務部長の答弁を求めます。  林務部長は、長野県の森林、林業、木材産業の新しい価値の創造に向けてとして、「長野の林業」紙上で次のように方向性を示しております。1、県産材の販路開拓、2、林業をリードする人材の育成、3、森林を持続的に管理、利用する「森林社会」の実現、4、次世代型林業の実現、この4点について、この方向性を実現するために具体的にどのように取り組んでいくのか、林務部長の答弁を求めます。  平成30年度税制改正において、森林環境税(仮称)の創設について結論を得ることとなっております。5月17日、自民党は、森林環境税を財源として、所有者の高齢化などで管理されない荒廃した私有林をまとめて市町村などの公的機関が管理を受託し、意欲のある林業事業体に仲介する仕組みを導入等の政策方針をまとめました。森林法の一部改正による施策の集約化などを円滑に進めるための林地台帳の整備とあわせ、早期実現を期待するところでありますが、この森林環境税について、林務部長の見解を伺います。       〔林務部長山﨑明君登壇〕 ◎林務部長(山﨑明 君)6点お尋ねをいただきました。順次お答え申し上げます。  まず、北安曇地方事務所での架空申請の認識に関するお尋ねでございます。  県職員の認識については、事案の検証等に当たって、県だけではなく、検証委員会の委員からも関係職員に対してたび重なるヒアリングを実施してまいりました。また、刑事裁判での県職員等の証言については、再度確認を行い、その結果について第三者である検証委員会の委員の先生方にも御確認をいただいた上で御説明申し上げたところでございます。  こうした中で、当時の北安曇地方事務所では、申請時には完了していない未完了事業の申請を容認するという不適正な対応を行っていたものの、各職員の認識は、時期がおくれても事業が実施されることを前提としたものであると考えており、その後も全く工事を実施しない全くの架空申請を容認していたという事実は確認されておりません。  次に、予算に見合う行政サービスの提供より予算消化が重視されていたのかどうかについてのお尋ねでございます。  当時の林務部では、造林補助事業について、地方事務所に対し可能な限り当年度内の執行を依頼する対応が行われていました。こうした依頼は、北安曇地方事務所では予算消化のプレッシャーとして受けとめられており、時期がおくれても事業が実施されることを前提としていたものの未完了事業の申請を容認するという不適正な対応が行われる背景となっておりました。本庁林務部がこうした北安曇地方事務所の実情の把握を怠っていたことは大きな反省点であると考えております。しかし、検証委員会での検証結果や裁判で関係職員が行った証言の再確認等を行ったところでは、予算消化のために本庁職員が不適正な事務処理を迫っていた事実は確認されておりません。  続きまして、大北森林組合等の刑事事件判決の内容と県の認識の違いについてのお尋ねでございます。  今回の判決において、関係した県職員に重大な落ち度があったと指摘されたことについては、県としてもこれまでも大きな問題があったと認識しており、平成27年12月に厳正な懲戒処分等を行ったところでございます。判決の内容は、大筋においてはこれまでの県の認識と共通するものと考えております。  しかし、議員御指摘のとおり、一部においては職員の証言が信用できないと述べるなど厳しい認識が示されている部分がございます。これについては、未完了事業等の容認や事後的にも検査を実施していないなど、当時の職員の事務処理上問題がある行為が裁判官の心証につながったものと思われ、改めて重く受けとめているところでございます。  しかし、今回の刑事事件の判決では、補助金適正化法違反については元専務理事が主導的役割を果たしたと認定され、組合職員と共謀し、偽って補助金の交付を受けたものであると判示されたところであり、また、詐欺についても、工事費用の水増し請求など犯行に至る経緯に酌むべきものはなく、利欲的な動機で強い非難に値し、その犯行は常習的でまことに悪質と指摘されているところであります。このことは、昨年11月に林務部改革推進委員会から事案の全体像として発表いたしましたように、元専務理事が着服し私的利益を得ていたところであり、県の認識と合致するものと受けとめております。  続きまして、林業の成長産業化につきまして3点いただいております。  まず、一貫作業システムの構築についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、伐採と造林の一貫作業システムは、地ごしらえから植栽までの工程を機械作業や連続作業により省力化することができ、全体として再造林コストを縮減することが可能であることから、今後、森林資源の利活用と確実な再造林を進める上で有効な方法と考えております。  このため、県では、今年度から新たに県下5カ所でモデル地区を設定し、普及に必要なデータ収集等に取り組んでまいります。また、こうした事業の成果を先行して取り組みを進めている国有林とも連携し、森林所有者や林業事業体に普及させることによりまして、所有者にお金が戻る形での主伐、再造林の仕組みづくりを進めてまいりたいと考えております。  次に、長野県の林業の方向性についてのお尋ねでございます。  人口減少社会にあっては、戦略的な県産材の販路開拓が喫緊の課題であると考えております。本県の強みである信州カラマツは、近年、強度が強化され、価格も杉より高い状況となっております。この強みを生かせる分野は、外材や代替品が多くを占めている現状でして、これからの伸びしろは十分あると考えております。  また、県内には伝統的な木工芸品等がさまざまございます。そこにデザイン性を付与するだけで海外でも競争力を持てる技術が県内には多くあります。そうした強みを生かした販路開拓方法等について、現在進めている自給圏プロジェクト等で方向性を定め、その方向に沿った対策を構築してまいります。  人材育成につきましては、県内には、林業大学校を初め、全国屈指の林業系の高校や訓練施設等があります。しかしながら、森が活用できない時代が長く続いたこともあり、現状はその役割を十分発揮できていない面もございます。このため、各機関の連携機能を強化し、林業を志す者は長野を目指すような形になるように取り組みを進めてまいりたいと考えております。  また、森林管理の空洞化は深刻な状況でございます。これからは、地域ぐるみで所有の壁を乗り越えて管理、利用する仕組みが必要です。その上で、長野県の最大の資源である森林をさまざまな視点から生かす森林社会とでも言える地域づくりを進めてまいりたいと考えております。  ICTの導入やドローンの活用など全国を先導できる次世代型林業の取り組みは、既に県内で始まっております。この取り組みを加速化させるとともに、県内他地域への普及を図ることにより、林業の成長産業化に向けた取り組みを確実に進めてまいりたいと考えております。  最後に、国が進めようとしている森林環境税についてのお尋ねでございます。  国の森林環境税につきましては、議員御指摘のように、去る6月9日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2017におきまして、税の創設に向けて、地方公共団体の意見も踏まえながら具体的な仕組み等について総合的に検討し、平成30年度税制改正において結論を得るとされているところでございます。  現在の国の検討状況といたしましては、既に37府県で実施している超過課税制度との併存を前提に、所有者等による自発的な間伐等が見込めない森林について市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てる方向で検討されていると承知しています。  森林環境税の創設により、所有関係が不明あるいは複雑などによりこれまで整備が進められなかった森林の整備がさらに進むことを期待しており、国の制度設計を注視するとともに、市町村主体の森林整備を進めるための環境づくりを検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)ただいま林務部長から、森林林業の活性化再生について、森林県から林業県へ飛躍するために、長く低迷していた本県の林業について林業が業として成り立つように明るい展望が開ける答弁をいただきました。林業をリードする人材の育成にしても、一人前の林業技術者を育てるには10年の歳月が必要と言われます。ただいま示された構想が必ず実現できますよう、庁内だけじゃなく、広く県民の理解を求め、本県が今後それぞれの地域に適した森林林業が展開され、持続的な資源循環サイクルのモデルになるよう強く望みまして、次の質問へ進みます。  学びの改革基本構想について伺います。  アメリカのニューヨーク市立大学大学院センターのキャシー・デビットソン教授は、2011年に米国の小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業後、今は存在していない職業につくだろうと予想しております。これは、我が日本国にもあてはまります。急速な経済社会の変化に応じて職業のあり方がさま変わりしております。教育のあり方や発想を抜本的に変えなければ我が国は取り残され、やがて衰退してしまうおそれがあります。今がそのための改革を行う最後のチャンスと捉えるべきと考えます。AI、人工知能が進歩すると、機械化、自動化が難しいと考えられてきた専門的な職業でも多くの仕事が機械にとってかわられることになります。 仕事を取り巻く環境の変化は早くなり、学校で身につけた専門的な知識や技術も急速に陳腐化してしまう可能性があります。  こうした中で、必要とされる高度な専門性を維持するためには、常に新しい知識や技術を学び続ける努力が必要と考えます。学校教育に求められるものは何か。第4次産業革命と言われる中で、学びの改革基本構想の中の「探究的な学び」とは具体的にどのように進めるのか、教育長の答弁を求めます。  次に、卒業証書授与式のあり方について伺います。  平成28年度の卒業式は、小学校では、ひな壇方式、フロア方式の卒業式は前年度より3校増の149校、41.4%。中学校では1校減の21校、11.4%で余り変化はなかったと受けとめております。  また、卒業式の形式に関する全国的な傾向としては、近隣の県を含め全国に問い合わせたところ、回答のあったうちのほとんどの県で卒業式の形式を把握していない状況であったということであります。把握している県として、大分県から得た回答では、平成27年度の卒業式においてフロア形式で実施しているのは小学校で34%、中学校で17%ということであります。この傾向から、フロア形式、ひな壇形式の卒業式が全国的にかなり広がっているものと考えられます。  文部科学省の見解では、学校、社会、国家などへの所属感を深めるとともに、厳かな機会を通して集団の場における規律、気品のある態度を育て、公共の精神を養うと学習指導要領解説で述べております。そして、入学式、卒業式においては、国旗を掲揚し、国歌を斉唱するとあります。その国歌斉唱において、ひな壇方式では国旗を背中にしております。どんな儀式の場合でも、国歌を斉唱するときは国旗に対して正対して国歌を斉唱することがふさわしい態度であると考えますが、このことについて教育長はいかに考えるか、見解を伺います。  昨年6月の議会において、私の質問に対し、教育長は、どういうあり方が望ましいのかについて研究をしてまいりたいと答弁しております。その後どういう研究をされたのか。どういうあり方が卒業証書授与式として望ましいと思われるのか。何らかの方向づけができたのか。  以上、その後の取り組みについて教育長の答弁を求めます。  俳優の森繁久彌氏は、ヨーロッパではどこの国も自国を誇り、国旗を大事にしている。40日間のヨーロッパ旅行で私がこの目でじかに見、そして皮膚で感じたのは、この一言に尽きるのだ。顧みて、私の心の中には悲しみと憤りが渦を巻いている。日本は、愛国という言葉すらインテリの間ではタブーとなっているようだ。自分の生まれた国を愛し、それを誇りと思うという人間の自然な感情を誰かに売り渡すほど日本人は卑屈になったのだろうかと述べております。  アメリカの小学校の教室には、正面に星条旗が掲揚されており、子供たちは、毎朝授業が始まる前に起立して星条旗に敬礼し、忠誠宣誓を行います。私は、アメリカ合衆国の国旗に対して、並びにそれが代表する共和国、すなわち、神のもとにあり不可分にして万人のための自由と正義を有する一つの国家に対して忠誠を誓います。右手を胸に当てながらこう誓うのであります。  愛国教育は世界中の学校教育に共通のものであります。日本は義務教育において最も重要なことを教えていない。それは、日本とは何か。日本人とは何か。つまり、日本人として誇りを持たせるための教育であります。  世界には200カ国に及ぶ国家があると思いますが、一体どこに自国の国旗に対し儀式の場において後ろを向けて国歌を斉唱する国があるだろうか。あったら教えていただきたいと存じます。  いまだに長野県の県立高校の入学式、卒業式において式場に国旗を掲揚していない学校がほとんどであります。県教委主催の開校式や閉校式では国旗を中心に校旗と県旗が掲揚されているのに、なぜ入学式、卒業式には式場に国旗が掲揚されないのか、理解に苦しむところであります。ひな壇形式の国歌斉唱のあり方と式場への国旗掲揚について知事の見解を伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、学びの改革基本構想に関連して、高度な専門性を維持するために学校教育に求められるものは何か、探究的な学びを具体的にどのように進めるのかという御質問でございます。  急激に技術革新が進む社会にあって、これからの学校教育に求められるものは、個別の知識、技能の確実な習得に加え、それらを複合的に活用して正解のない現実の課題に向き合い、解決につなげていくための汎用的な力や生涯にわたって学び続ける力を伸ばしていくことが重要であるというふうに考えております。こうした力を身につけるために有効であるのが、学びの改革基本構想で掲げた「探究的な学び」であります。探究的な学びとは、日常生活や社会に目を向け、みずから発見した課題に対して知識、技能を活用して仲間と共同しながら解決していく学習のプロセスであり、現在、県内のSGH、SSH、SPH指定校や理数科設置校等で先進的に実践しているところでございます。  例えば、SGH指定校の上田高校では、命、健康をテーマに地域や世界が抱える課題に着目し、フィールドワークを行ってその結果を考察し、研究成果を発表するといった取り組みを実践しているところでございます。  県教育委員会としては、今後、探究的な学びを県内高校に普及させるためのプラットフォームを大学生等と連携して立ち上げたり、教員のスキル向上のための研修プログラムを開発したりすることにより、探究的な学びの場を高校生により多く提供できるよう取り組んでいく所存でございます。  次に、卒業証書授与式のあり方についてであります。  儀式における国旗及び国歌についてでありますが、一般的に、儀式において国歌を斉唱する際には、国旗に正対するなどして国旗及び国家を尊重する態度をあらわすことは大切であるというふうに考えております。  一方で、学校における儀式的行事については、学習指導要領において特別活動の一環として教育課程に位置づけられているものであり、さらに、教育課程の編成権が学校にあることから、各学校が主体性を発揮し、形式も含め創意工夫を生かして適切にとり行うものであるというように考えるところであります。  ひな壇形式で卒業式を行っている学校の中には、例えば、式の冒頭、卒業生がひな壇につく前に国旗に正対して国歌を斉唱したり、フロアに特設ステージを設置し、その上に国旗を掲揚したりするなどの工夫をしているところもございます。このように、各校において学習指導要領の趣旨に添うよう、ふさわしいあり方について工夫をしていくことが大切であるというふうに考えております。  卒業式のあり方の研究についてでありますが、県教育委員会では、卒業式のあり方について学習指導要領上の位置づけを再確認し、また、全国の状況を調査したり文部科学省の見解を確かめたりしたところであります。  学習指導要領では、特別活動として教育課程に位置づけられている儀式的行事について、「学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。」としているところであります。県教育委員会としては、各校の卒業式が、学習指導要領に基づき厳粛な式としてふさわしい内容となり、児童生徒が新しい生活への希望や決意を持てるものとなることが望ましいと考えております。学習指導要領において教育課程の編成権は学校にあることから、各学校において望ましい卒業式のあり方について、地域や保護者の声も聞きながら絶えず検討していくことが重要であるというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)県立高校の入学式、卒業式における国歌、国旗のあり方についての見解という御質問でございます。  私も、海外からのお客様をお迎えするときには、小さなものではありますが、テーブルに日の丸と相手国の国旗を掲げますし、また、海外を訪れる際には、どこの国においても非常に国旗を大切に尊重して扱っているというふうに受けとめているところであります。我が国におきましても、子供たちも含めて、国旗・国歌を尊重する姿勢を持つということは大変重要だというふうに思っております。  入学式、卒業式のあり方については、ただいま教育長からも御答弁申し上げましたように、学習指導要領上、特別活動に位置づけられているということから、教育課程の編成権は学校にあるというふうにされております。したがいまして、各学校がそのあり方について責任を持って判断をしていただくことが重要だというふうに考えております。  以上です。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)県内各地で教育長は校長との直接対話を行っておられますけれども、この卒業証書授与式のあり方について話題にされたことはありますか。あったとすればその内容についてお聞かせいただきたいと思います。  そして、話題にしたことがなければ、なぜこの教育の根幹にかかわる問題について話題にしないのか、その理由をお聞かせください。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)私は、現在、教育長による学校訪問ということで県下の市町村の学校長と懇談を重ねておりますが、その目的は、まず信頼回復を一丸となって進めるということ、そしてもう一つは、次期教育振興基本計画の策定に向けまして、学校現場が抱える課題でありますとか望ましい方向性について率直な意見交換をするということが目的でございます。  卒業式のあり方については、先ほど御答弁申し上げましたとおり、学習指導要領にのっとって各学校が主体的に判断するのだというのが基本的な考え方でございますので、今回の教育長の学校訪問に関しましては、その目的から考えたときに特段の話題にしておりません。  以上です。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)教育には易、不易があります。私は、卒業証書授与式は不易なるものと考えます。ひな壇方式は、先人が育んできた伝統や文化の否定につながります。人生のけじめとしてそれにふさわしい型というものがあります。教えを受ける児童生徒が上段にいていいはずはありません。教えてくれた教師に対し深い尊敬のまなざしと、慈しみ育ててくれた親や家族に対しても心からの感謝の気持ちが伝わるものでなければなりません。それがこれから生きていく上ではかり知れない力となっていくことは間違いありません。  親を愛する人は郷土を愛する人になります。郷土を愛する人は国家を愛する人になります。国家を愛する人は全ての国々を愛する人になります。愛国心、祖国愛には右も左もありません。人間が本来持つ礼儀であり、倫理であります。  祖国愛を否定すれば郷土を否定することになります。郷土を否定すれば親兄弟も否定することになります。さらには、これは自己否定にまでつながっていきます。誤った子供中心主義を改め、本来の壇上で卒業証書を授与する卒業証書授与式を挙行するよう、全県下の小中学校に強く訴え、次の質問へ移ります。  生活排水対策について伺います。  安倍内閣が掲げる地方創生を実現するためには、地方への移住を促進することが鍵となります。認定NPO法人ふるさと回帰支援センターがまとめる移住希望地域ランキングで長野県は常に首位の座を争っており、移住先として定着しております。  移住の条件となる暮らしやすさの中には、当然下水道の普及も含まれております。平成27年度末における長野県の汚水処理人口普及率は97.4%と、全国平均の89.9%を大きく上回り、全国第6位の高い普及率を誇っております。これは、長野県「水環境・資源循環のみち2015」構想に基づいて着実に生活排水対策を進めてきたたまものと言えます。しかしながら、市町村別の普及率を見ると、高くない町村もあり、市町村間のばらつきの解消も踏まえながら県全体の普及率を着実に上げていくことが肝要と考えます。そこで、まず、このような市町村間のばらつきを解消しながら今後どのように汚水処理人口普及率の向上を図る計画なのか、環境部長に伺います。  次に、汚水処理人口普及率向上を図るためには、下水道、農業集落排水及び浄化槽による計画的な整備が必要となりますが、浄化槽の整備には課題があります。浄化槽のうち、単独処理浄化槽は、し尿を処理するのみで生活雑排水が垂れ流しにされることから、汚水処理人口普及率にはカウントされません。この単独処理浄化槽を合併処理浄化槽へ転換していくことが環境保全や普及率向上のために必要であります。そこで、単独処理浄化槽の現状と解消に向けてどのように取り組んでいくのか、環境部長に伺います。  また、合併処理浄化槽においても、個別処理であるため、適正な維持管理がされて所定の能力を発揮するものであります。浄化槽法第11条では、浄化槽の設置者に対して、指定検査機関である公益社団法人長野県浄化槽協会による1年に1回の法定検査を義務づけております。この検査を受けることにより、浄化槽から排水が適正な状況にあるか確認され、生活環境の保全や公衆衛生の確保が図られることになります。しかしながら、検査率は平成28年度末速報値で42.5%であり、必ずしも高い状況にはありません。そこで、法定検査率を向上させることが肝要と考えますが、今後どのように取り組むのか、環境部長に伺います。  設置者の中には、立法趣旨は理解できるが、法定検査を受けることによって水域の水質が保全されるメリットを享受するのは主として第三者であるにもかかわらず検査費用を浄化槽設置者が負担するのは不合理だとして、検査拒否をしたり、法定検査料を払わない設置者もあります。法定検査料を市町村が補助しているところは高い検査率を上げております。このことから、公共下水道に比較して格段に低い公費負担の浄化槽について、県及び市町村はもっと助成してもよいはずであります。  例を挙げれば、小諸市では、合併浄化槽の良好な維持管理を推進するため、個人の浄化槽維持管理費に対する補助を行っております。個人の住宅に設置する10人槽以下の浄化槽を対象にして、11条法定検査料5,000円、汚泥引き抜き費用1万円、保守点検料1万5,000円を補助する「こもろ・いきいき個人下水道整備促進事業」を実施しております。  このように、維持管理費に公的補助がされているところと全く補助制度のないところとかなりばらつきがございます。これを県の指導のもとにできる限り補助対象となるような施策ができないものか、我が長野県の良好な水環境を維持し、次の世代へ伝えていくために、浄化槽の維持管理費に対する公的助成について環境部長の見解を伺います。       〔環境部長関昇一郎君登壇〕 ◎環境部長(関昇一郎 君)生活排水対策につきまして4点質問をいただきました。  1点目の汚水処理人口普及率の向上についてのお尋ねでございます。  県内の生活排水事業につきましては、平成21年度に農業集落排水の整備が全て完了しておりますが、公共下水道については現在約3万人分の地域が、また浄化槽につきましては約3万9,000人分の住居がそれぞれ未整備の状況にあります。また、汚水処理人口普及率が8割に満たない市町村は県内に5町村あり、家屋が点在する地域において合併処理浄化槽の整備がおくれていることがその主な要因となっております。  今後、公共下水道の整備を全て完成させるとともに、合併処理浄化槽の整備が進んでいない市町村に対して強く働きかけを行い、普及率の低い市町村のかさ上げを行うことにより、平成37年度末の汚水処理人口普及率を県全体で99.3%に向上させることとしております。  2点目の単独処理浄化槽の解消策についてのお尋ねでございます。  現在、県内の浄化槽総数約8万3,000基のうち、単独処理浄化槽は1万4,000基、合併処理浄化槽は6万9,000基となっており、単独処理浄化槽が16.8%を占め、全国平均の54.1%を大きく下回り、全国でも2番目に低い水準にあります。このように、単独処理浄化槽の占める割合は低くなっておりますが、議員御指摘のとおり、公共用水域への汚濁負荷が大きい単独処理浄化槽につきましては、合併処理浄化槽への一層の転換が必要であると認識をしております。  県といたしましては、今後とも、市町村に対して、合併処理浄化槽の設置費に対して必要な助成を行うとともに、単独処理浄化槽の撤去に対して国の助成制度が活用できることなどの周知を行い、市町村と連携をして合併処理浄化槽の普及促進に努めてまいります。  3点目の法定検査の検査率向上についてのお尋ねでございます。  法定検査の検査率が低い理由は、検査項目が多岐にわたり、浄化槽協会が1日に検査できる基数が限られていることにあります。そこで、現在、設置や維持管理の状況を総合的に示す指標となるBOD検査の導入による検査項目の見直しやタブレットの活用など効率的な検査方法についての検討を進めております。浄化槽協会や市町村の協力を得ながら、平成30年度からは全ての浄化槽を対象に毎年法定検査が実施できる体制を構築し、検査率の向上を目指してまいります。  最後に、浄化槽の維持管理費に対する公的助成についてのお尋ねであります。
     浄化槽法では、浄化槽管理者に保守点検、清掃、法定検査の受検が義務づけられており、維持管理は浄化槽管理者が行うことが原則であります。議員御指摘のとおり、法定検査費用や維持管理費に対して独自に助成を行っているところが県内で32市町村ございます。これは、市町村内の公共下水道等の利用者との公平性の確保や浄化槽の適正な維持管理推進が主な理由とされています。公共下水道等においても、本来は受益者負担で維持管理を行うことが基本でありますが、市町村が一部負担をしている例もあり、地域の状況に応じておのおのの市町村が浄化槽に対しても助成の判断をしているものと考えております。  県といたしましては、法定検査による水環境保全の重要性について普及啓発に取り組むとともに、市町村と協力をしながら管理者への指導を強化するなど、より実効性の上がる仕組みを検討してまいりたいと考えております。  以上であります。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)21世紀は環境の世紀、そして水の世紀と言われます。長野県は、3,000メートル級の山々を有し、豊かな大自然に恵まれたまさに源流県、最上流県であります。清らかな水環境を守るための持続可能な循環型社会の構築を目指さなければなりません。  阿部知事も御自宅で合併処理浄化槽をお使いになり、適正な管理に心がけておられると伺っております。単独処理浄化槽については、例えば5年ぐらいの期限を切って、全て合併処理浄化槽へ転換するべきと考えます。また、維持管理費に対する公的助成については、県も助成するから市町村も一定の基準を設けて支援し、1年に1回の法定検査を必ず受検するように働きかけるべきと考えます。  以上を強く要望申し上げ、次の質問へ進みます。  企業局の電気、水道両事業の将来展望と今後の果たす役割について伺います。  去る5月31日に平成28年度企業局事業の決算が公表されました。電気事業では、平成28年4月から、電力の小売自由化に伴う総括原価方式の廃止により、中部電力との交渉の結果から売電価格が上昇したことに加え、修繕費等の減少などにより、4年連続で過去最高益を更新する12億5,700万円余りの純利益が計上されております。  また、水道事業においても、末端給水において給水戸数が約600戸増加したことなどにより9億1,000万円余りの純利益が計上されております。水道事業では、平成26年度決算において、会計年度の変更による特別損益を計上したという特殊事情を除けば、実質的に過去最高益となるものであります。  また、決算にあわせて国に先行して独自に公表された経営比較分析表においても、例えば経営の健全性を示す経常収支比率を見ても、電気事業では、類似団体平均129.4%に対し143.6%、水道事業では、末端給水が類似団体平均114.1%に対し117.1%、用水供給が、類似団体平均113.3%に対し131.3%となっており、いずれも引き続き安定した経営が確保されているものと受けとめております。  さらに、電気事業の利益処分については、企業債償還のための減債積立金に5億5,800万円、発電量の大幅な減少に備えるための利益積立金については1年前倒しで3億円を確保するとし、その上で、一般会計に対して、省エネルギー推進支援積立金及びこども未来支援積立金に引き続きそれぞれ5,000万円を拠出するとともに、さらに、大きな県政課題である地方創生の実現に向け、新たに4億円を地方創生積立金として拠出する方針が示されております。  私は、これまで、13年にわたり文教企業委員として企業局の経営を見守ってまいりましたが、企業局の電気事業につきましては、従来、中部電力との電力需給基本契約に基づき、いわゆる総括原価方式により売電価格が決定されていたため、純利益を翌年度の企業債償還金程度しか見込むことができず自由度が低いものであったことを思えば、今回の決算は隔世の感を禁じ得ないところであります。今回のこの方針は、企業局がまさに県政を補完する立場から、県民福祉の向上と地域の発展に寄与すべく新たな役割を果たしていこうとする思いをうかがうことができるのであります。  また、水道事業につきましては、昨年2月に企業局が全国に先駆けて策定した長野県公営企業経営戦略に基づき、老朽化した施設設備の更新や耐震化の推進に加え、平成29年度予算では、災害時における応急給水拠点である安心の蛇口の前倒し整備や産学官一体となった水道メーターを活用したひとり暮らし高齢者の見守りシステムの実証実験など、新たな取り組みも始まっております。  私は、今回の決算により、企業局経営の安定が確保されていることをうれしく思う一方、これからの企業局経営を取り巻く情勢は決して平坦なものではないと考えます。  電気事業では、電力システム改革が進む一方で、国では固定価格買い取り制度に基づく設定価格の見直しや平成32年度から実施予定の送配電分離に向け、いわゆる託送料金のあり方の議論が始まっております。さらに、国のエネルギー基本計画の見直しに着手し、今年度中の閣議決定を目指すとの新聞報道もされております。  また、水道事業においては、人口減少等に伴う料金収入への影響はもとより、一昨日には、本県の南部に震度5強の地震が発生いたしました。被害に遭われた皆様には心よりお見舞いを申し上げます。また、経営区内を通る糸魚川―静岡構造線断層帯による、いつ発生してもおかしくないと言える災害発生に備えた早期かつ確実な対応が必要不可欠であります。さらに、さきの国会において、水道事業の統合、広域化の推進等による経営基盤強化のための水道法改正案が審議されるなど、まさに企業局経営を取り巻く情勢は大きな変革時期を迎えているものと考えます。  そこで、こうした公営企業を取り巻く状況や時代の要請を踏まえ、電気、水道両事業の将来に向けた展望を見据え、企業局としての役割を今後どのように果たしていこうとしているのか、公営企業管理者職務執行者に伺います。       〔公営企業管理者職務執行者・企業参事兼経営推進課長波羅雅文君登壇〕 ◎公営企業管理者職務執行者・企業参事兼経営推進課長(波羅雅文 君)企業局の電気、水道事業の将来展望と今後の果たす役割についてお尋ねいただきました。  企業局を取り巻く情勢は、議員御指摘のとおり大きな変革期にありますことから、今まで以上に繊細かつ迅速な情報収集、分析に努めていく必要がございます。一方、社会情勢の変化に恐れることなく、長野県の持つ恵まれた水資源をより一層有効活用するとともに、地域住民や社会のニーズに的確に応えていく必要もございます。  その第一歩といたしまして、電気事業におきましては、ことし4月から本格稼働いたしました新規発電所の電気を信州発自然エネルギーとして東京都世田谷区の41の保育園や大阪、名古屋の民間企業など大都市の需要家へ売電することにより、本県と大都市との新たな交流という、電気が地方創生に貢献する全国初の取り組みを開始したところでございます。  今回の取り組みを踏まえ、今後につきましては、単に発電した電気を売るだけではなく、電気の付加価値を一層高め、県勢発展に寄与する新たな仕組みを検討してまいりたいと考えております。  また、水道事業におきましては、国が求めております経営安定のための広域化の推進につきまして企業局としても率先して取り組んでいく必要があるものと認識しており、関係市町村と業務の協働化、連携等について検討を進めているところでございますが、その第1弾として、優先的に取り組む必要性が高い災害時における情報共有のあり方や役割分担の明確化等につきまして、早期に関係する市町村と基本協定を締結することとしております。  いずれにいたしましても、企業局はその潜在能力をさらに生かしまして、県民福祉向上の一翼を担う公営企業といたしまして、職員一丸となってなお一層努力してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔54番村石正郎君登壇〕 ◆54番(村石正郎 君)ただいま公営企業管理者職務執行者から答弁をいただきましたが、公営企業の経営は、国のエネルギー政策、海外の不透明な情勢、さらには温暖化による異常気象などにより先を見通すことが容易ではないかと思いますが、企業局におきましては、経営戦略に基づき、県民福祉のさらなる向上に向け、全国における公営企業のフロントランナーとして、地方創生並びに県土の強靱化のために必要な役割を果たし、長野県の恵まれた自然エネルギーと水資源をさらに有効活用し、県内市町村の先導的な役割を積極的かつ継続的に担っていただけるよう、今後の一層の経営努力に御期待を申し上げ、質問を終わります。 ○議長(垣内基良 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明28日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時52分延会...