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平成29年 2月定例会本会議-02月16日-01号
平成29年 2月定例会本会議-02月16日-目次

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  1. 長野県議会 2017-02-16
    平成29年 2月定例会本会議-02月16日-01号


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    平成29年 2月定例会本会議-02月16日-01号平成29年 2月定例会本会議 平成29年2月16日(木曜日)  応招議員の席次及び氏名   1 番 佐久市      花岡賢一   2 番 諏訪市      今井愛郎   3 番 安曇野市     寺沢功希   4 番 長野市      山口典久   5 番 松本市      百瀬智之   6 番 佐久市      小山仁志   7 番 千曲市      小川修一   8 番 塩尻市      丸山大輔   9 番 伊那市      酒井 茂   10 番 下伊那郡高森町  吉川彰一   11 番 上田市      堀場秀孝   12 番 南佐久郡小海町  依田明善   13 番 東御市      石和 大   14 番 長野市      埋橋茂人   15 番 松本市      両角友成   16 番 佐久市      藤岡義英   17 番 長野市      髙島陽子
      18 番 諏訪郡下諏訪町  浜 章吉   19 番 松本市      中川宏昌   20 番 上田市      清水純子   21 番 須坂市      堀内孝人   22 番 飯田市      小島康晴   23 番 中野市      小林東一郎   24 番 松本市      下沢順一郎   25 番 小諸市      山岸喜昭   26 番 千曲市      荒井武志   27 番 岡谷市      毛利栄子   28 番 長野市      和田明子   29 番 塩尻市      備前光正   30 番 諏訪郡富士見町  小池久長   31 番 長野市      太田昌孝   32 番 大町市      諏訪光昭   33 番 下伊那郡松川町  髙橋岑俊   34 番 茅野市      今井 敦   35 番 中野市      丸山栄一   36 番 長野市      竹内久幸   37 番 上伊那郡箕輪町  小林伸陽   38 番 上田市      高村京子   39 番 北佐久郡立科町  今井正子   40 番 木曽郡上松町   村上 淳   41 番 飯田市      小池 清   42 番 飯山市      宮本衡司   43 番 東筑摩郡朝日町  清沢英男   44 番 上伊那郡辰野町  垣内基良   45 番 長野市      鈴木 清   46 番 長野市      西沢正隆   47 番 長野市      風間辰一   48 番 駒ヶ根市     佐々木祥二   49 番 伊那市      向山公人   50 番 長野市      高橋 宏   51 番 北安曇郡池田町  宮澤敏文   52 番 上田市      平野成基   53 番 松本市      本郷一彦   54 番 須坂市      村石正郎   55 番 松本市      萩原 清   56 番 上水内郡信濃町  服部宏昭   57 番 安曇野市     望月雄内   58 番 飯田市      古田芙士         ───────────────────  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 毛利栄子   2 番 今井愛郎      28 番 和田明子   3 番 寺沢功希      29 番 備前光正   4 番 山口典久      30 番 小池久長   5 番 百瀬智之      31 番 太田昌孝   6 番 小山仁志      32 番 諏訪光昭   7 番 小川修一      33 番 髙橋岑俊   8 番 丸山大輔      34 番 今井 敦   9 番 酒井 茂      35 番 丸山栄一   10 番 吉川彰一      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 両角友成      41 番 小池 清   16 番 藤岡義英      42 番 宮本衡司   17 番 髙島陽子      43 番 清沢英男   18 番 浜 章吉      44 番 垣内基良   19 番 中川宏昌      45 番 鈴木 清   20 番 清水純子      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 荒井武志      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   54 番 村石正郎      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      池田秀幸   副知事       太田 寛    建設部長      奥村康博   副知事       中島恵理    建設部リニア整   危機管理監兼危           備推進局長     水間武樹   機管理部長     野池明登    会計管理者兼会   企画振興部長    小岩正貴    計局長       清水 深   総務部長      小林 透    公営企業管理者   県立大学設立担           企業局長事務取扱  小林利弘   当部長       髙田幸生    財政課長      岡地俊季   県民文化部長    青木 弘    教育長       原山隆一   健康福祉部長    山本英紀    教育次長      小林資典   環境部長      関昇一郎    教育次長      菅沼 尚   産業政策監兼産           警察本部長     尾﨑 徹   業労働部長     石原秀樹    警務部長      西口 学   観光部長      吉澤 猛    監査委員      田口敏子   農政部長      北原富裕         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      大日方正明   議事課担当係長   倉石博之   議事課長      鈴木英昭    総務課担当係長   小澤利彦   企画幹兼議事課   課長補佐      坪井俊文         ───────────────────         午後1時開会 ○議長(向山公人 君)ただいまから第400回県議会を開会いたします。  知事から招集の挨拶があります。
     阿部知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)本日ここに2月県議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位の御出席を賜り、まことにありがとうございます。  提出議案につきましては後刻御説明を申し上げますが、何とぞよろしく御審議の上、御議決を賜りますようお願い申し上げまして、挨拶といたします。  平成29年2月16日(木曜日)議事日程    会議録署名議員決定の件    会期決定の件    知事提出議案      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    会議録署名議員決定の件    諸般の報告    会期決定の件    知事提出議案         午後1時1分開議 ○議長(向山公人 君)これより本日の会議を開きます。  本日の日程は、会議録署名議員決定の件、会期決定の件及び知事提出議案であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━会議録署名議員決定の件 ○議長(向山公人 君)次に、会議録署名議員決定の件を議題といたします。  お諮りいたします。会議録署名議員は議長指名により決定いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向山公人 君)御異議ありませんので、荒井武志議員毛利栄子議員和田明子議員を指名いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━新任理事者の紹介 ○議長(向山公人 君)次に、新任の県理事者を紹介いたします。  永井順裕選挙管理委員会委員長。       〔選挙管理委員会委員長永井順裕君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(永井順裕 君)御指名をいただきました。  私は、昨年12月9日、当議会において選挙いただきました選挙管理委員会の委員4名の互選によりまして委員長に就任いたしました永井順裕でございます。  選挙いただきました委員を代表いたしまして御挨拶と御礼を申し上げたいと存じます。  私たち4名は、最善の努力をもって、選挙にかかわる事務の適正な管理執行と明るい選挙の推進等、選挙管理委員会の職責を果たしてまいります。どうぞよろしく御指導と御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げまして、選任の御礼と御挨拶とさせていただきます。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(向山公人 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △会期決定の件 ○議長(向山公人 君)次に、会期決定の件を議題といたします。  お諮りいたします。本定例会の会期は、議会運営委員会の意見を徴した結果、本日から3月16日までの29日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向山公人 君)御異議なしと認めます。よって、会期は29日間と決定いたしました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案の報告 ○議長(向山公人 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                平成29年2月16日   長野県議会議長 向 山 公 人 様                           長野県知事 阿 部 守 一         平成29年2月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 1 号 平成29年度長野県一般会計予算案 第 2 号 平成29年度長野県市町村振興資金貸付金特別会計予算案 第 3 号 平成29年度長野県公債費特別会計予算案 第 4 号 平成29年度長野県母子父子寡婦福祉資金貸付金特別会計予算案 第 5 号 平成29年度長野県心身障害者扶養共済事業費特別会計予算案 第 6 号 平成29年度地方独立行政法人長野県立病院機構施設整備等資金貸付金特別会計予算案 第 7 号 平成29年度長野県流域下水道事業費特別会計予算案 第 8 号 平成29年度長野県小規模企業者等設備導入資金特別会計予算案 第 9 号 平成29年度長野県農業改良資金特別会計予算案 第 10 号 平成29年度長野県漁業改善資金特別会計予算案 第 11 号 平成29年度長野県県営林経営費特別会計予算案 第 12 号 平成29年度長野県林業改善資金特別会計予算案 第 13 号 平成29年度長野県高等学校等奨学資金貸付金特別会計予算案 第 14 号 平成29年度長野県電気事業会計予算案 第 15 号 平成29年度長野県水道事業会計予算案 第 16 号 長野県松本空港条例の一部を改正する条例案 第 17 号 知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案 第 18 号 住民基本台帳法に基づく本人確認情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例案 第 19 号 長野県営林道事業費分担金徴収条例等の一部を改正する条例案 第 20 号 長野県職員退職手当条例の一部を改正する条例案 第 21 号 職員の配偶者同行休業に関する条例の一部を改正する条例案 第 22 号 長野県県税条例等の一部を改正する条例案 第 23 号 長野県個人情報保護条例及び長野県情報公開条例の一部を改正する条例案 第 24 号 長野県地方警察職員定数条例の一部を改正する条例案 第 25 号 特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例案 第 26 号 児童福祉施設条例の一部を改正する条例案 第 27 号 児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例案 第 28 号 長野県保健所使用料等徴収条例の一部を改正する条例案 第 29 号 長野県手数料徴収条例の一部を改正する条例案 第 30 号 資金積立基金条例の一部を改正する条例案 第 31 号 長野県精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例案 第 32 号 長野県立総合リハビリテーションセンター条例の一部を改正する条例案 第 33 号 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の従業者、設備及び運営の基準に関する条例及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例案 第 34 号 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業の従業者、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例案 第 35 号 長野県環境保全研究所試験検査手数料条例の一部を改正する条例案 第 36 号 公害の防止に関する条例の一部を改正する条例案 第 37 号 長野県水環境保全条例の一部を改正する条例案 第 38 号 長野県工業技術総合センター試験等手数料徴収条例の一部を改正する条例案 第 39 号 長野県家畜保健衛生所手数料徴収条例の一部を改正する条例案 第 40 号 長野県農林水産業関係試験研究機関分析等手数料徴収条例の一部を改正する条例案 第 41 号 屋外広告物条例の一部を改正する条例案 第 42 号 県営住宅等に関する条例の一部を改正する条例案 第 43 号 長野県短期大学条例の一部を改正する条例案 第 44 号 高等学校設置条例の一部を改正する条例案 第 45 号 長野県青年の家条例を廃止する条例案 第 46 号 長野県少年自然の家条例の一部を改正する条例案 第 47 号 新県立大学三輪キャンパス建築工事変更請負契約の締結について
    第 48 号 包括外部監査契約の締結について 第 49 号 地方独立行政法人長野県立病院機構定款の変更について 第 50 号 地方独立行政法人長野県立病院機構第2期中期目標の変更について 第 51 号 地方独立行政法人長野県立病院機構第2期中期計画に係る変更の認可について 第 52 号 指定管理者の指定について 第 53 号 流域下水道建設事業施行に伴う市町村の負担について 第 54 号 権利の放棄について 第 55 号 権利の放棄について 第 56 号 県営土地改良事業施行に伴う市町村の負担について 第 57 号 県営林道事業施行に伴う市町村の負担について 第 58 号 長野県防災行政無線設備更新事業施行に伴う市町村の負担について 第 59 号 道路上の事故に係る損害賠償について 第 60 号 道路上の事故に係る損害賠償について 第 61 号 一般県道上松南木曽線道路改築工事(和村トンネル)請負契約の締結について 第 62 号 一般県道村山綿内停車場線道路改築工事(福島)委託契約の締結について 第 63 号 一級河川浅川総合内水対策工事浅川排水機場排水ポンプ設備変更請負契約の締結について 第 64 号 都市計画道路内環状南線街路工事(中条工区)変更委託契約の締結について 第 65 号 道路事業施行に伴う市町村の負担について 第 66 号 北陸新幹線建設事業の県負担金に対する市の負担について 第 67 号 急傾斜地崩壊対策事業施行に伴う市町村の負担について 第 68 号 都市計画事業施行に伴う市町村の負担について 報第1号 交通事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第2号 遺失物保管中の事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第3号 盗品登録解除手続に係る損害賠償の専決処分報告 報第4号 交通事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第5号 交通事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第6号 交通事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第7号 交通事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第8号 交通事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第9号 道路上の事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第10号 道路上の事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第11号 道路上の事故に係る損害賠償の専決処分報告 報第12号 訴えの提起の専決処分報告 報第13号 訴えの提起の専決処分報告 報第14号 和解の専決処分報告       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(向山公人 君)以上であります。  次に、お手元に配付いたしましたとおり、地方自治法第122条及び地方公営企業法第25条の規定に基づき知事から予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案 ○議長(向山公人 君)ただいま報告いたしました知事提出議案を一括して議題といたします。  提出議案の説明を求めます。  最初に、阿部守一知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ただいま提出いたしました平成29年度当初予算案を初めとする議案の説明に先立ち、新年度の県政運営に向けての所信などについて申し述べさせていただきます。  初めに、先月開幕したながの銀嶺国体について御報告します。  1月27日から5日間、長野市、岡谷市、軽井沢町の各会場で開催されたスケート競技会アイスホッケー競技会において、本県選手団は県民の皆様の熱い声援に見事に応え、スケート競技では男女総合、女子総合とも優勝を果たすことができました。男女総合優勝は2年連続5回目、女子総合優勝は2年連続16回目でありますが、2年連続でのダブル優勝は県勢初の快挙です。一昨日から始まった白馬村のスキー競技会でも、連日、本県選手の活躍が伝えられており、素晴らしい成績を上げてもらえることを期待しております。  国体以外でも、最近のスポーツ界における本県関係選手の活躍には目覚ましいものがあります。昨年のリオデジャネイロオリンピックでの3選手の銅メダル獲得は記憶に新しいところですが、昨年11月の第32回東日本女子駅伝では、本県代表チームが7年ぶり2回目の優勝を飾り、先月開催された第22回全国都道府県対抗男子駅伝では、全国最多となる通算7回目の優勝を果たしました。スピードスケートでの小平奈緒選手、ノルディックコンバインドでの渡部暁斗選手、大相撲での御嶽海関もそれぞれの舞台で大活躍されています。  こうした本県関係選手の活躍は、多くの県民の皆様に夢と希望をもたらし、信州に元気を与えてくれています。これこそがスポーツの力です。  こうした折、県体育協会及び県障がい者スポーツ協会から、国内スポーツ最大の祭典である国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会の招致についての御要望をいただいております。また、市長会及び町村会、さらには経済4団体からも相次いで同様の御要望をいただきました。  国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会の開催は、全ての県民がスポーツに親しむ契機となるのみならず、次代を担う子供たちに夢や希望を与えるとともに、本県が目指す健康長寿世界一に向けた健康増進や地域の魅力向上にもつながり、さらには、本県の魅力を全国へ発信することによる観光や経済活動への波及も期待できるなど、大変意義深いものであります。  こうした大会の意義や多くの皆様の御意見を踏まえて熟慮した結果、私は、国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会を平成39年に本県に招致するべく取り組むことを決意いたしました。1978年にやまびこ国体を、1998年に長野冬季オリンピック・パラリンピックを開催した県として、そのレガシーを継承しつつ、新たな価値を加えることにより、スポーツの力による元気な長野県づくりにつなげていきたいと考えております。県議会を初め、県民の皆様の御理解と御協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。  さて、来る平成29年度においては、しあわせ信州創造プランの総仕上げ、行政経営改革の徹底、地域振興局を核とした地域重視の取り組み、次期総合5カ年計画の策定の4点に全力を傾注してまいります。  現行総合5カ年計画・しあわせ信州創造プランでは、「確かな暮らしが営まれる美しい信州」を基本目標に掲げ、「貢献」と「自立」の経済構造への転換など三つの政策推進の基本方針のもと、次世代産業の創出を初めとする九つのプロジェクトを中心に、総合的に政策を進めてまいりました。  県議会を初め多くの県民の皆様の御理解と御協力により、プロジェクトの達成目標43項目のうち25項目についてはおおむね目標を達成できる見通しであるほか、さまざまな政策の具体化により長野県を発展させてくることができたものと考えております。  この間、総人口は減少基調にあるものの、合計特殊出生率はやや改善し、行政サポートによる移住者の増加等により、人口の社会減にも一定の歯どめがかかる方向で人口動態は推移しています。  また、産業面を例にとりますと、日本一創業しやすい県づくりや積極的な企業誘致の促進により、開業率も向上し、企業立地も着実に進展しています。昨年12月に1.56となった有効求人倍率は、4年間で0.73ポイントも上昇しました。県内の高校生、大学生の就職内定率及び障害者就職率はいずれも改善し、高齢者就業率も引き続き全国1位を維持しております。また、観光消費額も目標とした3,300億円を超えたほか、農業農村総生産額も3,000億円以上で堅調に推移しています。さらに、開設から3年目を迎えた銀座NAGANOは、延べ約180万人もの方に御来場いただき、本県のブランド力の向上に大きく貢献しています。  もとより、順調に進展している政策の一方で、目標達成に向けてさらに努力を要するものもございます。新年度予算案では、こうした政策が一層進むよう特に留意いたしました。例えば、ジョブカフェ信州のサテライトを上田や銀座に開設して就業率全国順位の向上を目指すとともに、特別支援学校への就労コーディネーターの配置や技能検定の導入により障害者就職率の一層の向上を図ります。また、芸術監督団の活動の本格化や文化振興事業団スタッフの強化により文化芸術活動参加者の増加を図るとともに、スクールソーシャルワーカーの増員による学校満足度の向上にも取り組みます。  このように、平成29年度はしあわせ信州創造プランの総仕上げの年であることから、計画の目標達成が難しいと考えられるものも含め、成果を上げることにこだわりをもって施策を進め、でき得る限りの進捗を図ってまいります。  次に、行政経営改革について申し上げます。  平成24年3月にとりまとめた行政・財政改革方針に基づき、これまでの約5年間、職員、組織の持つ力を最大限発揮しつつ、県民の皆様に質の高い行政サービスを提供し続けられるよう県政改革を進めるとともに、大北森林組合等の補助金不適正受給事案を契機として、コンプライアンスの推進にも努めてまいりました。  県民の皆様に信頼され、期待に応えることができる県政を実現していくためには、こうした改革の歩みを決して緩めることなく、全庁挙げて徹底した行政経営改革に取り組むことが必要です。  そこで、このたび、行政経営理念の一部を改定するとともに、コンプライアンスの推進を根幹に据えた新たな行政経営方針を策定することといたしました。  理念の改定に当たっては、行動やルールのあり方などを職員同士で話し合うとともに、私や副知事も参加してワークショップを行うなど、広く職員の思いが反映するよう配慮いたしました。  そうした中で、「漫然と仕事に取り組むのではなく挑戦することが大切。それがみずからの満足感にもつながる。」、「担当者の対応や言葉は、県の対応であり、言葉である。」など、職員みずからの経験を通じた率直で頼もしい意見が数多く出されたところです。こうした職員からの声を踏まえ、行政経営理念のうち、職員の価値観・行動の指針、バリューについては、挑戦、迅速、責任のシンプルな単語に見直したいと考えています。  行政経営方針は、行政経営理念の掲げるミッション、使命・目的とビジョン、目指す姿を実現するための組織としての取り組み方針と位置づけ、「県民の信頼と期待に応える組織づくり」、「共感と対話の県政の推進」、「行政サービスを支える基盤づくり」の三つの柱により、これまで以上に効果的、効率的な行政経営を実現してまいります。  なお、行政経営理念案及び行政経営方針案については、今後、今定例会における御議論や県民の皆様からの御意見を踏まえ、最終的に決定してまいります。  また、こうした取り組みを一元的に担う組織として、新年度から新たにコンプライアンス・行政経営課を設置し、これまで取り組んできたコンプライアンスのさらなる推進を図るとともに、全職員一丸となって徹底した行政経営改革に取り組んでまいります。  次に、地域振興局を核とした地域を重視した取り組みについて申し上げます。  地域振興局長のリーダーシップのもと、各現地機関が連携して、これまで以上に主体的、積極的に地域課題の解決に当たることができるよう、地域振興局長には、横断的課題に関して現地機関を統括、調整する権限を付与するとともに、局長みずから考え執行できる予算として総額1億円の地域振興推進費を新設します。  これは、総合的で横断的な取り組みはこれから一層の強化が必要、地域課題を解決するためには、現地機関に一定の権限や予算が必要、現地機関には広域圏での連携、調整の役割や小規模町村への一層の支援を期待するといった市町村の御意見にも沿うものであり、地域重視の県政を具現化するものです。  地域振興局長には、地域の重要な横断的課題について指導力を発揮し、現地機関を統括してもらうとともに、企業・民間、非営利組織・市民、行政・公共という三つのセクターの垣根を越えて協働を進めるいわゆるトライセクターリーダーたる心構えを持って、積極的に地域、現場に出向き、県民の皆様と交流し、その声に耳を傾け、共感と対話、県民参加と協働の県政を主体的に担ってもらいたいと考えています。  また、部局長会議に地域振興局長を参画させることにより、地域の実情をこれまで以上に組織全体が共有し、県政推進に生かしてまいります。こうした地域を重視した取り組みを強化、定着させていくため、現地機関を重視した職員配置や市町村との人事交流の管理監督職員への拡大もあわせて行ってまいります。  組織には、これが最終形という到達点はありません。市町村との役割分担や試験研究機関のあり方についての見直しも引き続き行い、より一層地域を重視した県政運営に努めてまいります。  さて、来年度は、今後の県政の道しるべとなる次期総合5カ年計画策定に本格的に取り組む一年になります。  There is nothing like a dream to create the future―夢、これ以外に未来をつくり出すものはない。これは、ミュージカルにもなったヴィクトル・ユーゴーの作品、「レ・ミゼラブル」の一節です。  まさに長野県の未来を創造していくための次期総合5カ年計画は、県民一人一人の夢を結集して大いなる夢を描き、その実現に取り組む計画にしたいと考えています。そのため、まずは個人や企業、団体の皆様との間で、当面の課題のみならず、将来への夢や希望に関する対話を積極的かつ丁寧に行ってまいります。  今、世界では、大きな変化が加速度的に進行しています。70億人を超えた地球上の人口は、毎年数千万人単位で急速に増加し続けている一方で、我が国の人口は、2008年に約1億2,800万人のピークとなった後減少に転じ、2050年前後には1億人を下回る見通しであり、歴史上類を見ない急激な人口変動期を迎えています。また、IoT、物のインターネット、AI、人工知能、ビッグデータといった情報通信技術やナノテクノロジー、バイオテクノロジー、ロボット産業などにおける急速な技術革新は、産業や社会に急激な変革をもたらしています。さらに、市場経済が世界中に拡大し、人、物、資本、情報が国境を越えて容易に移動していくグローバル化も急速に進展しています。  他方、国内、県内に目を転じると、平均寿命の延伸、価値観の多様化や高速交通網の充実など、時代は大きく変わろうとしています。1960年に65歳であった男性の平均寿命が2013年に80歳を超え、女性の平均寿命は2050年頃に90歳を超えるとの推計が出されるなど、人生100年時代の到来も夢物語ではなくなりました。物質的な豊かさよりも心の豊かさを重視する人が多くなり、都会から地方への移住者や2地域居住者が増加するなど、人々の生き方に対する考え方やライフスタイルも多様化してきています。一方、今後予定されている2023年の北陸新幹線敦賀延伸や2027年のリニア中央新幹線開業、信州まつもと空港の国際化に向けた取り組みや中部横断自動車道、中部縦貫自動車道、三遠南信自動車道などの整備は、本県の産業や暮らしの基盤である交通体系を大きく変えていきます。  以上のような急激で大きな時代の変化を踏まえながら次期計画の検討を行ってまいります。  また、地域振興局がそれぞれ管轄する地域はもとより、県境を挟んで隣接する地域などとの交流、連携をも視野に入れた地域編を策定することとし、地域重視の観点を徹底してまいります。2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に盛り込まれた17の持続可能な開発目標や、日本総合研究所による「都道府県幸福度ランキング」の指標なども意識して、達成目標の設定等を行います。  こうした考えのもと、今後、総合計画審議会での御審議や長野県議会総合5か年計画研究会の御議論、さらには県民の皆様との対話を踏まえつつ、長野県の新たな夢を実現させるための骨太の政策をつくり上げてまいります。  昨年の我が国経済を顧みますと、個人消費や設備投資は横ばいにとどまるものの、全体としては緩やかな回復基調が続きました。  先月の政府月例経済報告によれば、我が国の景気は、一部に改善のおくれも見られるが、緩やかな回復基調が続いているとの判断がなされています。県内経済も、昨年は一部に弱めの動きが見られたものの、全国と同様、緩やかな回復基調が継続し、最近の県内経済は緩やかな回復基調にあるとされています。  国の平成29年度予算案は、一億総活躍社会の実現や経済再生などに重点を置き、編成されました。保育士や介護人材の処遇改善の実施や給付型奨学金の創設、観光庁予算の増額や国立公園の活用推進、1,000億円の地方創生推進交付金など、本県の取り組み方向に合致した予算も多く計上されています。  また、地方財政計画については、廃止を強く求めてきた臨時財政対策債は増加しているものの、一般財源総額が確保されたこと、緊急防災・減災事業債の期限が延長されたことなど、一定の評価ができる内容となっています。引き続き、地方財政基盤の確立に向け、地方交付税の法定率の引上げなど制度の抜本的な見直しを国に求めてまいります。  今定例会に提出いたしました平成29年度当初予算案及びその他の案件について御説明申し上げます。  平成29年度当初予算案は、最終年度を迎えるしあわせ信州創造プランの総仕上げと信州創生のさらなる飛躍に向けて、人口減少対策、地域経済の活性化、多様な働き方・暮らし方の創造、個性豊かな地域づくり、安全安心な社会の実現を重点テーマとして編成しました。この五つの柱をあらかじめ予算編成方針で明記することにより、部局横断的な政策検討を促すとともに、予算調整プロセスの簡素化を図り、効果的、効率的な予算編成に努めました。  予算総額は、一般会計8,625億9,848万5,000円、特別会計2,704億3,247万4,000円、企業特別会計138億9,608万円であります。特別会計は公債費特別会計など12会計、企業特別会計は電気事業及び水道事業の2会計であります。  高齢者人口の増加等により社会保障関係費が約25億円増加する一方で、公債費、人件費など義務的経費の縮減、災害復旧費の減などにより、予算総額は前年度比約131億円の減少となりました。  歳入面では、法人関係税を中心に県税収入は増加するものの、地方交付税が減少し、臨時財政対策債等を含めた主要一般財源全体では約19億円の減少を見込んでいます。  県債については、次の世代に過大なツケを回すことのないよう、引き続き発行抑制に努めました。その結果、元金ベースのプライマリーバランスは約271億円の黒字となっています。また、平成29年度末の残高見通しは、通常債で約309億円、臨時財政対策債を含む県債全体で約119億円、それぞれ対前年度比で減少する見通しであり、健全化判断比率である実質公債費比率及び将来負担比率も引き続き改善する見込みです。  以下、五つの重点テーマに沿って、具体的な施策について主なものを順次御説明申し上げます。  まず、人口減少対策について申し上げます。  急激な人口減少に歯どめをかけ、地域や産業の活力を維持していくことは、長野県のみならず日本全体の重要政策課題です。そのため、長野県の未来を担う子供たちが郷学郷就できる環境づくり、若者の結婚や子育ての希望を実現できる社会づくり、そして、移住や2地域居住の推進に引き続き積極的に取り組みます。  県内高等教育の魅力向上等による県内への人材定着を図るため、高等教育支援センターにおいて、県内大学の公立化などの大学改革、高等教育機関の魅力発信、大学生海外インターンシップなどに対し、積極的な支援を行ってまいります。  長野県立大学については、この秋の完成を目途に、鋭意、三輪キャンパス、後町キャンパスの建設工事を進めているところですが、文部科学省からの設置認可が得られ次第、速やかに平成30年度の入学者選抜要項を公表し、第一期生の募集を開始できるよう開学準備を進めます。また、地域での創業支援などを行うソーシャル・イノベーション創出センターの具体化などにより、地域や企業等の期待にも応えられる大学にしてまいります。  昨年度、全国で初めて認定制度を創設した「信州やまほいく」については、公的支援を受けていない認定団体に対する運営費助成を新たに開始します。  障害の重度・重複化や多様化、発達障害のある児童生徒の増加などに対応するため、特別支援学校の自立活動担当教員をさらに20人増員するとともに、小中学校における通級指導教室の担当教員を11人増員します。  また、次期学習指導要領に対応するため、県立高校に電子黒板やタブレット端末等のICT機器を整備するほか、取り組み成果を発表する「信州学サミット」の開催等を通じて信州学を一層推進します。
     さらに、インターンシップ支援や企業との出会いの場創出等を通じて学生の県内就職を促進するとともに、モデル高校において取り組んでいるデュアルシステムを農業高校にも広げて実施します。  武道振興の中核的拠点としての県立武道館については、現在、基本設計を実施しているところであり、引き続き平成30年度の着工に向けた準備を進めてまいります。  若者の結婚や子育ての希望を実現できる社会づくりに向けて、市町村や企業、団体等との協働、連携により、結婚、妊娠、出産、子育てを切れ目なく支援する体制の構築を目指します。  まず、結婚支援の拠点となる婚活支援センターに結婚・ライフプラン支援員を新たに配置することにより、市町村や企業と連携した結婚支援に積極的に取り組み、婚姻件数の増大を図ります。  信州母子保健推進センターの母子保健推進員を増員し、市町村の保健師に対する技術支援体制を充実します。  子育て支援としては、待機児童を生じさせることのないよう、保育士人材バンクを設置して保育士確保を図るとともに、児童虐待等に対する法的対応機能を強化するため、児童相談所広域支援センターに弁護士を配置します。  さらに、すべての子供、若者が夢と希望を持って成長できるよう、行政、経済団体、子供支援団体などで構成するオール信州の官民協働組織、長野県将来世代応援県民会議(仮称)を新たに立ち上げ、青少年サポーターの拡大、見守り活動の推進、子供の貧困対策の充実などに取り組んでまいります。  性暴力被害者支援センター「りんどうハートながの」については、さらなる周知と支援員の資質向上を図るとともに、中学校や特別支援学校高等部への性被害防止教育キャラバン隊の派遣拡充、スクールサポーターによる性被害防止教育の実施などにより、子どもを性被害から守るための条例を踏まえた取り組みの充実に努めます。  移住希望者が多い本県の強みを最大限に生かし、移住者や2地域居住者のさらなる増加を目指し、田舎暮らし「楽園信州」推進協議会加入団体との連携による大都市圏での情報発信や相談体制の充実などに取り組みます。  首都圏からの移住希望者を対象として、仕事の情報をワンストップで提供する「信州で働くフェア」を開催し、働くことと暮らすことを一緒に考えていただく機会を提供するとともに、銀座NAGANOやふるさと回帰支援センター、名古屋及び大阪観光情報センターにおいても、引き続き移住の促進に積極的に取り組んでまいります。  他方、県内では、広域単位での移住相談窓口を4カ所に拡大し、住まい、仕事、生活環境など多岐にわたる相談にきめ細かに対応するとともに、楽園信州移住応援企業の一層の拡充により、移住前後の支援を充実してまいります。  住まいに関しては、県営住宅の入居要件を緩和して、Uターン、Iターンなど県外からの転入者の入居を促進するとともに、市町村が行う2地域居住者向けコンパクト住宅の整備を支援します。  次に、地域経済の活性化について申し上げます。  経済の活性化は、県民の皆様の暮らしを支える基礎であり、経済のグローバル化や国内市場の縮小に対応しつつ、強靱な地域経済を構築していかなければなりません。そのため、企業等の技術革新や新分野展開を支援する産業イノベーションの推進、県産品の輸出拡大やインバウンドの推進などグローバル経済への対応、足腰の強い地域経済をつくるための地消地産の推進に取り組んでまいります。  航空機産業においては、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区の上伊那、諏訪地域への拡大を契機に、航空機システム産業の技術開発や産業集積を一層強化します。日本で唯一となる航空機システム拠点の形成を目指し、旧飯田工業高校跡地において信州大学が設置する航空機システム共同研究講座へ支援し、専門人材の育成を進めるほか、南信州・飯田産業センターが導入する国内初の防爆試験機の取得に助成するなど、実証試験機能の強化を図ります。また、工業技術総合センターの航空機産業担当を新たに拠点に配置し、国の研究機関等と連携した研究開発を促進してまいります。  ヘルスケア産業の振興を図るため、次世代ヘルスケア産業協議会を中心に、信州ACEプロジェクトとも連携して、企業や大学が行う調査研究や実証事業に対する助成を行い、ビジネス化を推進します。  しあわせ信州食品開発センターにおいては、県産食品の高付加価値化とブランド化のため、おいしさ指標の見える化に取り組みます。  本県とゆかりのある企業へのアプローチや立地セミナー等におけるトップセールス、ビジネス展示会への出展など、戦略的な企業誘致を進めます。  また、アメリカ合衆国デンバーにある起業家育成・支援機関ガルバナイズなどの先進的な取り組みを参考にして、県内の創業者、金融機関、企業、大学等関係者によるプラットフォームを立ち上げ、イノベーティブな創業を支援する体制を強化します。  産業の生産性向上にも取り組みます。東京大学と連携した「カイゼン」活動の指導者養成や企業のプロフェッショナル人材確保を支援します。農林業においても、大規模稲作法人へのトヨタ式カイゼン手法や、林業事業体への低コスト造林一貫作業システムの導入を促進するとともに、産学官の連携でスマート林業技術の開発などを進めます。  日本酒の酒蔵数全国2位を誇る本県として、信州日本酒の一層のブランド化を推進するとともに、醸造指導体制を強化することにより全国新酒鑑評会金賞獲得数ナンバーワンの地位奪還を目指します。  ワイン振興については、喫緊の課題であるワイン用ブドウの苗木増産を図るとともに、地域の気候風土に適した品種の選定や病害虫防除などのさまざまな課題の解決に向け、関係者によるプラットフォームを構築します。また、現在ほとんどが輸入に頼っている醸造関連機器の内製化を図ります。  輸出拡大については、昨年策定したグローバルNAGANO戦略プランに基づき、海外バイヤー等との連携強化、国際的なブランド価値の向上などに取り組んでまいります。  製造業に関しては、優れた技術力を有する県内中小企業のグローバル展開を促進するため、本年度設置した情報サポート窓口においてきめ細かな相談、支援に取り組むとともに、海外展示会や商談会への出展支援、グローバル展開推進員による販路開拓のサポートなどを強力に進めてまいります。  平成29年度の輸出額目標を25年度の4倍の5億円としている農産物については、有望な市場である香港に新たに輸出支援員を配置し、果物を中心に現地の有望バイヤーへのアプローチを強化するとともに、マレーシアを新たな輸出対象国として、バイヤーの招聘や商談会、展示会の開催を行います。また、ナガノワインの国際的なコンクールへの出品を支援し、世界におけるブランドの確立を目指します。  昨年初めて100万人を突破した外国人延べ宿泊者数をさらに増加させるべく、台湾、香港のリピーター層に対する特別な体験プログラムの提供、スキー人気が高まりつつある韓国、中国からのスキー誘客等、各市場の特性に応じた効果的なプロモーションを展開します。外国人観光客が快適に観光を楽しめるよう、旅館や観光案内所等での電話通訳サービスの提供や交番等への通訳アプリ内蔵タブレットの配備などを行い、2019年の200万人突破を目指して、インバウンドの取り組みを強化してまいります。  また、これまで行ってきたオーストリアとの林業技術交流やシナノゴールドの海外展開などを引き続き進めるほか、グローバルNAGANO戦略プランで経済的提携国と位置づけた中国、香港、タイを訪問してトップセールスを行います。中国、香港においては、産業交流を初めチャーター便の就航促進、北京オリンピックへの支援などに関し協議を行い、タイにおいては、観光セミナー等の開催を行いたいと考えています。  昨年12月9日に、本県は、3市2町と共同で、中国を相手国とするホストタウンとして国に登録されました。来年度は、オリンピック・パラリンピック選手を招いた講演会、国際交流員の派遣などを通じた学校間交流、全国最多の公民館を活用した文化交流などを予定しているほか、8月には集中的にイベントを開催するチャイナウィークを設定するなど、機運の醸成を図ってまいります。  地消地産の意義を広く普及するととともに、県産品を積極的に購入、活用していただく機運を醸成するなど、循環型地域経済の確立を目指した取り組みを推進してまいります。  まず、長野県産業イノベーション推進本部の地消地産推進タスクフォースにおいて、県産品利用状況調査や消費者へのテストマーケティングを行うなど、しあわせバイ信州運動を本格的に推進してまいります。  食については、宿泊施設や飲食店等における県産食材の利用実態調査を実施し、より効果的な流通の仕組みづくりなどにつなげます。また、加工食品の原材料等を県内農産物へ置きかえるための実証実験や、学校給食における県産食材利用拡大のためのマッチングなどを行います。信州ジビエに関しては、首都圏へのアクセスのよさを生かして、新鮮でおいしい肉の供給モデルの構築とさらなるブランド化を図ります。  木材については、信州の木自給圏の構築を目指し、県全域及び千曲川上・下流、伊那谷流域の現状把握と分析を行い、課題解決に向けた取り組みを進めることにより、地域の特徴を生かした木材資源の循環利用と地消地産の仕組みづくりを推進します。  エネルギーについては、地域主導型の熱利用事業への助成等により、自然エネルギーの普及拡大を一層推進するとともに、環境エネルギー分野における技術等の産業化に向けた研究会を設置し、企業等のビジネス創出を支援します。県みずからも県有施設の照明を順次LED化していくほか、県管理の横川ダム、箕輪ダム、片桐ダムを活用して新たな水力発電所を建設します。さらに、環境エネルギー政策を国際的にも先導するべく、環境省及び持続可能性を目指す国際的な自治体ネットワーク、ICLEIと連携し、環境エネルギーに係る国際会議を本県で開催します。  第三の柱として、多様な働き方・暮らし方の創造について申し上げます。  県民の皆様が人生を楽しみ、自分らしい生き方をしていくことができる社会を実現するため、一人一人の希望にあった多様な働き方、暮らし方を創造していくことが求められています。そのため、働き方改革の推進、女性や高齢者、障害者の活躍推進、生活を豊かにする文化芸術の振興に取り組みます。  短時間正社員制度など多様な勤務制度の導入促進を図るため、職場環境改善アドバイザーによる企業への積極的な働きかけを行い、職場いきいきアドバンスカンパニーの認証取得を促します。また、ジョブカフェ信州における若者対象の就業セミナーや非正規職員の若者等を対象とした研修等により、正規雇用の拡大を図ります。  さらに、一人多役型の働き方等を実現するための研究会の開催や、時間や場所にとらわれない働き方を普及するためのテレワーカー育成講座の実施等により、新しい働き方も提示してまいります。  長野県内の女性が、みずからの自発性に基づき、多様なライフスタイルが実現できるよう、あらゆる分野における女性の取り組みや活躍を応援します。  昨年5月に設置した経済団体や労働団体等から構成される女性活躍推進会議と連携しながら、新たに、次世代の女性リーダーなどを育成する「長野県ウィメンズカレッジ」を立ち上げます。  子育て期の女性の希望に応じた就職をかなえるため、地域での就業相談、託児つきインターンシップを拡大するとともに、新たに女性従業員向けの業務スキル向上のためのセミナー等を開催します。また、イクボス・温かボス宣言の推進など女性が活躍しやすい職場環境づくりを促進するため、中小企業を対象としたセミナーを実施します。  さまざまな分野で活躍する女性への支援としては、「長野のみらいを創るキラッと女性プラットフォーム」への参加者を拡充し、異分野、多世代の女性の地域交流会やネットワークづくりを進め、女性の視点を県の施策にも反映させてまいります。また、県内の農業女子による交流会に加え、新たに県外の女性を対象とした就農相談会を開催します。  年齢や障害の有無に関わらず一人一人が持てる能力を最大限に発揮して職場や地域で活躍できる、誰にでも居場所と出番がある社会の実現を目指し、高齢者、障害者の活躍を引き続き支援します。  高齢者がその培ってきた知識と経験を生かし、元気に活躍できる人生二毛作社会づくりを推進するため、県長寿社会開発センターのシニア活動推進コーディネーターが中心となって地域、企業、行政等のニーズと高齢者の希望とを結びつけることにより、地域企業への就労や子供支援などの社会的活動への参画を進めます。  障害者が地域社会で誇りを持って自立した生活を送ることができるよう、障害者に適した求人の開拓や合同企業説明会の開催などにより、雇用のさらなる促進に努めます。一般就労が困難な方については、引き続き障害者就労施設における受注機会の拡大と工賃のアップに取り組むとともに、農業就労に向けた指導を行う農業就労チャレンジサポーターの活動を強化します。また、特別支援学校高等部において、新たに技能検定制度をモデル的に導入し、就労のための意欲やスキルの向上を図ります。  さらに、2020年の東京パラリンピックに向けて、県障がい者スポーツ協会に地域コーディネーターを配置し、障害者スポーツの推進体制を強化します。  文化芸術の振興については、文化振興基金を活用し、文化施設の連携強化や担い手の育成、伝統文化の継承、活用などの取り組みを進めています。  来年度は、芸術監督団の企画による先駆的、魅力的な音楽・演劇公演や、若手作家による美術展の開催を通じ、芸術家、学芸員等の人づくりや文化芸術に親しむ人々の拡大に取り組みます。また、アーティスト・イン・レジデンスの普及に向けたモデル事業として、大町市で開かれる北アルプス国際芸術祭を支援します。  障害者の芸術文化活動への支援については、文化の祭典でもある2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、昨年スタートした障がい者芸術作品展を引き続き開催し、障害者の活躍の場を広げてまいります。  信濃美術館については、先月、信濃美術館整備室を設置し、松本透館長予定者を整備担当参与に任命いたしました。今後は、信濃美術館整備委員会での検討に加え、学生や地域住民、美術関係者などさまざまな方とのワークショップを開催するなど、設計段階から開かれた形での検討を行い、信濃美術館整備基本構想の具体化を進めてまいります。  また、新たに長野県文化芸術振興ビジョン(仮称)を策定し、今後の文化芸術振興施策の方向性を明確にいたします。  次に、第四の柱である個性豊かな地域づくりについて申し上げます。  グローバル化の進展とともに、地域の個性や多様性がますます重視され、尊重される時代になっています。県内各地域の強みや個性を最大限に生かした地域づくりを進めるため、地域振興局を核とした地域の振興を進めるとともに、交通ネットワークの充実強化、「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくり等に積極的に取り組んでまいります。  新たに設置する地域振興局長を初めとする県職員一人一人が、市町村や地域住民の皆様の思いにしっかりと寄り添い、これまで以上に地域、現場を重視した県政を進めてまいります。  個性豊かな地域づくりを進めるためには、その原動力となる人材の育成確保が重要です。地域おこし協力隊に対するサポート体制の構築や隊員同士のネットワークの強化により、その活躍や地域への定着を支援するとともに、地域づくりの現場で活躍されているキーパーソンの指導により地域づくりリーダーの育成を行ってまいります。  地域経済の活性化を図る上では、足元にある地域の資源を掘り起こし、地域の強みを最大限生かした取り組みが必要です。地域が主体となった滞在型観光プログラムの創出支援、地域のNPOや中小企業等が行う固定価格買取制度を活用した自然エネルギー発電事業への助成、農業の6次産業化に向けた研修会の開催や商談会への出展支援などにより、地域資源を生かした産業の活性化を進めてまいります。  また、地方自治法の事務の代替執行制度を活用し、天龍村の簡易水道事業を支援します。  さらに、中山間地域の振興に向け、地域課題をビジネス手法で解決するソーシャルイノベーションを促進するための研究を行います。  人の交流や物流を活発にし、快適な暮らしを実現していくため、高速交通及び県内交通の両面から交通ネットワークの充実強化を進めてまいります。  信州まつもと空港については、信州と全国各地、東アジアを結ぶ空の玄関口として、国内路線の利用促進に向けたプロモーションを強化するとともに、国際チャーター便の就航に向け、航空会社及び旅行会社に対する支援を行います。  リニア中央新幹線の整備効果を広域的な地域の振興、発展に生かしていくため、関係市町村等ととりまとめたリニアバレー構想の実現を目指し、「リニア時代のまちづくり」、「定住・交流人口の増加」、「リニアを活かした産業振興」の三つのプロジェクトの具体化を図るとともに、座光寺上郷道路や松川インター大鹿線など関連道路の整備を着実に進めてまいります。  高規格幹線道路については、中部横断自動車道、中部縦貫自動車道、三遠南信自動車道の整備促進を図り、太平洋と日本海とを結ぶ多重的ネットワークの構築に取り組みます。  また、松本糸魚川連絡道路や国道143号青木峠バイパスの調査を行うなど、県内主要都市を結ぶ道路の整備を進めてまいります。  高齢者の人口がますます増加し、海外からの個人旅行者など自家用車によらない観光客の増加も見込まれる中、地域における移動手段の確保は大変切実な問題となっています。そのため、生活交通と県内観光の二つの部会からなる検討会を設置し、福祉や地域づくりなど幅広い視点も取り入れながら具体的な取り組みを検討してまいります。  あわせて、県がバス車両を保有する県有民営の手法等により地域間の幹線バス路線の確保に努めるとともに、コミュニティバスやデマンド交通などの多様な手段を組み合わせた交通体系の構築等にも引き続き取り組んでまいります。  本年7月1日から、JRグループと連携した大型観光キャンペーン「信州デスティネーションキャンペーン(信州DC)」がいよいよスタートします。  キャッチフレーズは、「世界級リゾートへ、ようこそ。山の信州」。大自然がもたらす「癒し」を中心に、「アウトドア」、「歴史・文化」、「食」の四つをテーマとして、長期滞在型山岳高原リゾートへの転換を目指した取り組みを行ってまいります。  信州DCでは、宇宙に最も近い本県ならではの満天の星空や、日帰り施設数日本一の温泉、全国最多の数を誇る森林セラピー基地等の地域資源を生かし、信州の大自然がもたらす癒しを体感できる旅や、日常とは異なるゆったりとした過ごし方を提案してまいります。また、3,000メートル級の山々を間近に望みつつ多彩なコースを体験できるサイクリングや、日本随一の山岳環境を楽しめる登山、釣りなどのアウトドア、最古の国宝「縄文のビーナス」などに代表される縄文時代の貴重な遺産、いにしえの息吹を感じる街道などの歴史・文化、大地から与えられた恵みであるおいしい信州ふーど(風土)やジビエ、日本酒、ワインなどの食を重点的にPRしてまいります。  また、信州DCの実施や地域振興局のスタートを観光地域づくりへのターニングポイントとしてとらえ、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年も視野に入れた取り組みの指針として、「観光地域づくり」推進方針2017をとりまとめました。日本一の観光大県を目指し、まずは推進体制の強化などの五つの方針に基づき観光地域づくりを進めてまいります。  推進体制の強化として、県観光機構の本格的なDMO化を促進するとともに、県観光機構に新たに配置する専門人材と地域振興局職員とが連携し、地域の観光資源のさらなる利活用と稼ぐ仕組みづくりを支援していきます。  発信力の強化としては、市場を意識したマーケティングを行い、戦略的な情報発信やプロモーションを展開いたします。特に、外国人旅行者の誘致に向けては、メディアや旅行会社などのキーエージェントとの連携を強化し、各国の特性に合わせたプロモーションを行います。  また、「疏水百選」や「ため池百選」などの農業資産や信州の釣りの魅力の発信、手話や字幕つきの障害者向け観光PR動画の作成など、県庁全体で観光振興に結びつく情報発信に努めてまいります。  観光投資の促進については、新設した県の規制改革推進会議において、観光地域づくりに関する規制改革の提案を国内外から募集するとともに、市町村と協調して観光関連施設の誘致促進を図るなど、民間活力による観光投資を促進してまいります。  人材の育成確保については、市町村観光協会の職員を対象にリーダー養成研修を実施し、地域でのDMO構築を推進するともに、観光地域づくりを牽引する中核人材を養成するため、信州・観光地域づくりマネジメント塾でOJTによる知識、経験の習得を支援します。  インフラ・受入環境の整備については、地域戦略推進型公共事業として、県内主要観光地の歩道や千曲川サイクリングロード等の自転車道整備などを進めるほか、外国人旅行者への対応として、ピクトグラムや多言語表示など案内サインの標準化の検討、クレジットカード利用可能店舗の拡大などを進めてまいります。  また、自然公園の利用促進に向けて、このたび取りまとめた自然公園グレードアップ構想を具体化するため、登山道整備に加え、新たに環境配慮型の山小屋トイレ等の施設整備に対しても支援を行ってまいります。  最後に、安全安心な社会の実現について申し上げます。  私たち行政の最も重要な責務は、県民の皆様の確かな暮らしを守るための安全安心の確保です。地震や火山等の災害に対して強靱な県土づくり、全国トップレベルの健康長寿の継承、発展、誰もが自殺に追い込まれることなく夢と希望を持って経済的、社会的に自立できる社会づくりに取り組みます。  長野県強靱化計画に基づき、災害が発生しても、犠牲者を出さず、被害を最小化することにより迅速に復旧・復興できる社会の実現を目指します。  東日本大震災や熊本地震の教訓を踏まえ、大規模災害の発生時における県内の広域防災拠点や人的・物的支援の受入手順を定める長野県広域受援計画の策定に着手します。また、災害時住民支え合いマップの作成と住民による実践的訓練に対して支援を行い、地域防災力の向上に努めます。  建築物の耐震化については、戸建て住宅の耐震改修に係る補助上限額を60万円から100万円に引き上げるとともに、防災上重要な県有施設の耐震性能の強化やつり天井の落下防止対策等を進めます。  火山防災対策については、御嶽山噴火災害の教訓を生かし、火山活動の観測、研究、地域における人材育成や防災教育などを進めるため、名古屋大学御嶽山火山防災学寄附講座に対する助成など、木曽町に設置される御嶽山研究施設の活動を支援します。また、地元町村と連携しながら「御嶽山マイスター(仮称)」の制度設計等を進め、火山のリスクや恵みについて、登山者、住民等に普及啓発することができる人材を育成します。  また、水防法に基づき指定した河川における洪水浸水想定区域図の計画的な作成に着手するほか、要配慮者が利用する施設等の避難の円滑化を図るため、建設事務所等の職員が土砂災害・水害防止支援アドバイザーとして地区防災マップの作成支援等を行います。  県民の健康づくりと健康寿命の延伸を目指し、信州ACEプロジェクトの推進に一層力を入れてまいります。特定健診データの市町村別分析により、地域の健康状態を見える化して公表し、市町村の健康づくり活動を支援するとともに、運動、健診、食事の各分野における県民の皆様の取り組みが着実に進むよう、SNSを活用した情報発信を行います。また、健康経営に取り組む企業を増加させるため、モデル企業における健康づくりの取り組みについて、従業員の健康データの変化や効果を数値で見える化し、その成果を県内の事業者に普及してまいります。  医療・介護人材の確保も喫緊の課題です。各地域で安心して出産していただける環境をつくるため、産科医等に対する手当の支給に引き続き助成するとともに、産科医不足の医療圏への産科医派遣費用を新たに助成します。  介護職員のキャリアパス構築等が一定水準以上の福祉事業所に対する認証評価や、研修受講時や介護休業取得時の代替職員確保に要する費用に対する助成を新たに行うことにより、介護人材確保に対する支援を充実します。  地域包括ケア体制の整備構築については、特別養護老人ホームなどの介護施設の整備を引き続き進めるとともに、中山間地域における訪問看護・介護サービスなどの提供体制確保に向け、割高となっている移動コスト等を支援する事業や、既存の事業所が連携協力して24時間在宅ケアの仕組みを推進する事業をモデル的に実施します。さらに、坂城町と連携して、水道メーターを活用して一人暮らし高齢者を見守る「高齢者元気応援システム」の実証実験にも着手します。  長野県内の自殺者数は、平成15年の576人をピークに減少傾向にあるものの、平成27年の自殺者数は378人となっており、毎日平均一人の方がみずから命を絶っているという看過しがたい状況にあります。  昨年4月に自殺対策基本法の一部を改正する法律が施行され、都道府県及び市町村に自殺対策計画の策定が義務づけられたことを受け、公益財団法人日本財団との間で自殺対策に関する協定を結び、現在、生きることの包括的な支援の実践と地域モデルの構築を目指して取り組んでおります。  平成30年度から始まる次期自殺対策推進計画を全国の模範とするべく策定を進め、市町村の自殺対策計画の策定に対しても技術的な支援を行うとともに、自殺未遂者に対して必要な支援を行う救急告示医療機関の拡大や若年層を中心とした啓発活動の強化などに取り組みます。  生活困窮者の経済的、社会的な自立を促すため、全国に先駆けて生活困窮者の自立支援に取り組んでまいりました。現在、県内19市と協力し、23カ所の生活就労支援センター「まいさぽ」において、さまざまな困難を抱えた方からの相談に応じ、地域の支援機関等と連携して、相談者に寄り添いながら社会参加や就労を総合的に支援しています。  来年度は、生活困窮家庭の子供に対する家庭訪問による学習支援をモデル的に実施するとともに、地域振興局ごとに子供の成長を地域全体で支えるプラットフォームを構築することにより、信州こどもカフェなど子供の居場所づくりを促進します。また、低所得世帯の児童生徒が私立の小中学校で安心して教育を受けることができるよう、新たに授業料を助成するとともに、高校生等に対する奨学給付金を拡充します。  次に、交通安全対策、環境の保全など、重点テーマ以外の主な施策について申し上げます。  平成28年の交通事故の発生状況は、交通事故発生件数及び負傷者数は前年を下回ったものの、残念ながら死者数は前年の69人から121人へと大幅に増加してしまいました。このため、警察本部とも連携し、喫緊の課題である高齢者の交通事故防止対策や交通事故被害者への相談対応、自転車の安全利用を含めた啓発活動の推進等に力を入れて取り組んでまいります。  また、特殊詐欺や悪質商法等の手口の巧妙化などにより、消費者被害も後を絶たず、複雑、深刻化していることから、被害を未然に防止するための啓発活動を強化してまいります。  今を生きる私たちの世代の責任として、本県の美しく豊かな自然環境を確実に未来に引き継いでいくための取り組みを進めます。  近年、自然公園の生態系を脅かしている外来種対策に新たに着手するとともに、ごみ減量のための専用のポータルサイトを立ち上げるなど、全国最少となった一人1日当たりの一般廃棄物排出量の継続的な抑制に努めてまいります。  また、諏訪湖の環境改善については、引き続き、湖底や沿岸域の貧酸素化、ヒシの大量繁茂などの課題があるものの、シジミの生息が確認されるなど効果も見え始めています。地域振興局が中心となって、新たに諏訪湖創生ビジョンを策定するとともに、信州大学と連携した貧酸素対策の調査研究、水辺の再生やヒシの除去などの水環境保全対策を実施してまいります。  森林づくり県民税を活用し、里山の森林を中心とした間伐や、地域が主体的に里山管理を行うための人材育成、松くい虫被害材などの間伐材を利活用したモデル事業等を進めてまいります。  なお、課税期間が平成29年度までとなっている森林づくり県民税を活用した里山整備については、制度創設以来約9年間で一定の成果を上げてきたと考えています。森林づくり県民税の今後のあり方については、整備が進みにくい里山が残っているなどの課題も明らかとなってきており、これまでの取り組みをただ単純に続けるということでは県民の皆様の御理解はなかなか得られないものと考えております。森林づくり県民会議や税制研究会での議論も見据えながら、里山整備の方向性についても改めて考える中で、しかるべき時期までに今後のあり方を判断してまいりたいと考えています。  県立長野図書館では、「情報の改革」、「人の変革」、「場の革新」をテーマとした図書館改革を2年間進めてまいりました。昨年は、全国初の開催となる都道府県立図書館サミットを開催し、その成果が出版物として発行されるなど、県立長野図書館の改革は全国的にも注目を集めつつあります。これからの県立図書館が担うべき役割は、知識基盤社会における県民の情報リテラシー、情報利活用能力の向上と、学び合いの中から新たな価値を創造する共知・共創の学びの場づくりです。来年度は、県内の公共図書館と連携した図書館フォーラムや課題解決型ワークショップの開催などを通じ、新しい図書館づくりを一層推進してまいります。
     また、県立歴史館を来館型から地域貢献型に転換するため、歴史を学ぶことから未来を考える地域活動の支援や、地域活性化に生きる情報発信、地域課題を捉えた調査研究等に取り組みます。具体的には、県内どこでも歴史を体感できる「おでかけ歴史館」の実施や、「縄文王国長野県」を発信する縄文土器展の開催、最古の信州ブランドである黒曜石の調査研究等を行います。  社会資本の整備については、防災・減災対策の推進や高速交通ネットワークの強化に係る事業のほか、施設整備では、県営住宅の建てかえ促進や中信地区特別支援学校の再編、優先度評価に基づく県有施設の計画的修繕などの生活に身近な社会資本整備、県立高校や特別支援学校の修繕などを進めます。  公共事業については、地域戦略推進型公共事業による主要観光地の歩道や自転車道整備のほか、安全快適な空間を確保するための無電柱化の推進、アルウィンの芝生全面張りかえや、平成31年に開催される第36回全国都市緑化信州フェアに向けた都市公園施設の充実、農林業生産基盤の着実な整備などに取り組んでまいります。  なお、全国都市緑化信州フェアについては、4月から全国都市緑化信州フェア推進室を新設し、実行委員会設立に向けて準備を本格化させてまいります。  次に、リニア中央新幹線建設工事への対応、大北森林組合等補助金不適正受給事案について申し上げます。  リニア中央新幹線工事に伴う地域住民の皆様の不安や懸念に対しては、県としても正面から向き合い、丁寧な対応を行ってまいります。  これまで、リニア工事に関する地域の課題を共有するため、大鹿村の皆様との意見交換や下伊那郡の沿線町村長との意見交換など、機会を捉えて地域の切実な声をお聞きするよう努めてまいりました。  こうしたことを踏まえ、先月23日、私は、JR東海の柘植康英社長とお会いし、発生土置き場についてはJR東海が管理責任を負うこと、地域要望等に迅速かつ丁寧に対応し得るよう現地体制を強化すること、上伊那や木曽も含めた関連地域の産業、観光振興に積極的に協力することの3点について要請をいたしました。柘植社長からは、信州デスティネーションキャンペーンへの協力や、JR飯田線の活性化について前向きな御回答をいただいたほか、発生土置き場の管理についても 埋め立て完了後の管理責任は地権者にあるという従来の方針を転換する旨の表明をいただきました。  これを受け、先日、豊丘村の発生土処分候補地については、埋め立て後の植林で森林機能が回復するまでの約20年から30年の間、同社が管理するとの考え方が初めて示されたところです。  今後も、関係市町村との連携を一層密にするとともに、地域の皆様の思いにも寄り添いながら、リニア中央新幹線の工事が円滑に進むよう取り組んでまいります。  大北森林組合においては、昨年5月、事業経営計画及び返還期間を50年とする補助金等返還計画を策定しましたが、県としては、これらの計画をその実現性、確実性等の観点から精査が必要としてこれを認めず、役員の責任の明確化、新たな発想による事業展開、徹底した管理費の削減、増資等による経営基盤の安定の四つの観点から、抜本的な経営改善と計画の見直しを求めておりました。  これを受け、大北森林組合においては、7月に抜本的経営改善方針を策定した上で、有識者からの意見も踏まえてこれらの計画の見直しに取り組み、このたび、1月31日付けで新たな事業経営計画と補助金等返還計画が提出されました。現在、新たな事業展開の実現可能性や管理費削減措置の妥当性などの観点からその詳細について精査しているところです。今後、林務部改革推進委員会の御意見も踏まえながら、3月末までにその妥当性を判断していきたいと考えています。  なお、関係者に対する損害賠償請求については、本事案が長期間に渡り膨大な件数の補助金交付がなされている案件であるため、弁護士とも相談しながら、一件一件の案件について事実関係の確認等を行ってきているところです。大北森林組合の補助金等返還計画が提出されたことや刑事裁判の判決が3月下旬に出される予定であることを踏まえ、これまで明らかとなってきた法的に複雑なさまざまな論点に対して複数の専門家の視点で方向づけを行っていただくため、今後、弁護士等からなる委員会を設置して、検討を加速させてまいりたいと考えております。  条例案は、一部改正条例案30件、廃止条例案1件の合わせて31件であります。  一部改正条例案のうち屋外広告物条例の一部を改正する条例案は、他県における屋外広告物の落下による人身事故の発生を契機として、国の動向や長野県景観審議会での意見を踏まえ、屋外広告物の落下等による危害を防止するため、設置者及び管理者による定期的な安全点検の実施と点検結果の知事への報告を義務づけるほか、所要の改正を行うものであります。  このほか、条例の規定内容を今日的視点から検証し、時代に適合させ、県民ニーズに即したものとするため、平成23年度に引き続き、第2回条例の一斉点検を実施し、現状に合わない条例について規定の整理を行いました。  事件案は、包括外部監査契約の締結についてなど22件であります。  専決処分の報告は、交通事故に係る損害賠償の専決処分報告など14件であります。  以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○議長(向山公人 君)次に、原山隆一教育長。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)平成29年度の教育委員会関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  最初に、最近の教育をめぐる状況を踏まえ、教育長としての所信の一端を申し述べさせていただきます。  初めに、信州教育の信頼回復に向けた取り組みについて申し上げます。  今年度、教職員のわいせつ事案が続発し、また、飲酒運転による逮捕事案が発生するなど、信州教育に対する県民の皆様の信頼を大きく損なうこととなってしまいました。  平成25年7月に策定した信州教育の信頼回復に向けた行動計画に基づきさまざまな取り組みを進めてきている中でこのような事態が起こったことにかんがみ、コンプライアンスアドバイザーの皆さんとともに検証を重ねました。その結果、行動計画は広範な関係者による十分な検討により策定された網羅的な対策であり、引き続き粘り強く取り組む必要があるとともに、わいせつ事案特有の傾向に対する対応の強化や危機意識の経年劣化に対する取り組みを行う必要があると指摘されたところであります。  これを受け、昨年10月に策定したわいせつな行為根絶のための特別対策を行動計画の中に位置づけ、その取り組みを着実に進めるとともに、行動計画策定当初の真摯な思いを学校現場や市町村教育委員会と改めて共有し、教職員一人一人が二度と子供たちに悲しい思いをさせないという強い決意のもと、非違行為の根絶に向け、一丸となって取り組んでまいります。  県教育委員会では、平成25年3月に策定した第2次長野県教育振興基本計画に基づき、児童生徒の学力の向上を初め、キャリア教育の推進、地域に開かれた学校づくり、教員の資質能力の向上、いじめ・不登校対策、特別支援教育の充実、スポーツの振興などさまざまな施策を講じてまいりました。  その結果、授業改善の取り組みが浸透し、授業がよくわかると答える児童生徒の割合が高まり、また、地域とともに学校づくりを行う信州型コミュニティスクールの実施割合が約8割となるなど、一定の成果があらわれてきております。  その一方、全国学力・学習状況調査の結果を見ると、計画に掲げる目標達成に向け努力を要する状況にあるなど、さらなる取り組みが必要な施策もございます。平成29年度は、現計画の最終年度であり、これまでの取り組みの総仕上げの年であります。計画に掲げる目標の達成に向け全力で取り組んでまいります。  また、昨今の教育を取り巻く環境を見ますと、デジタル技術の進化やグローバル化の進展など急激な社会的変化の中、子供たちが未来のつくり手となるために必要な知識や力を確実に備えることのできる学校教育が求められております。新たな学習指導要領では、従来の知識、技能の習得に軸足を置いた教育から、学んだ知識、技能を生かし、みずから課題を設定し解決していく探求的な学びを中心とした教育へと転換を図る方向で改訂が進められております。  来年度は、こうした背景を踏まえ、次期長野県教育振興基本計画の策定にも取り組んでまいります。  このような重要な節目の年となる来年度において、県民の皆様の信頼のもとで関係者一丸となっての取り組みを加速させるため、市町村教育委員会の御理解と御協力のもと、私自身が直接県内各地の教育現場に出向き、市町村教育委員会を交え、全ての公立小中学校の校長と対話を行ってまいります。  学校現場のリーダーであるとともに教職員一人一人の代弁者でもある学校長と直接膝を交え、また、地域の教育課題に直面している市町村教育委員会と率直な意見交換を行うことにより、十分な意思疎通を図り、さまざまな課題への対応策や不祥事根絶に向けた取り組みなどを含め、長野県教育の望ましい姿について共通の理解を深め、県民の皆様の期待に応える教育の実現に向け全力を傾けてまいります。  信州の未来を担う子供たちがその個性や能力を最大限伸ばせるよう、質の高い教育を提供していくため、平成29年度においては、学力の向上、すべての子どもの学びの保障、体力の向上とスポーツの振興の三つの観点と、それを支える学びの基盤を着実に整備することを基本として、重点的に施策を展開してまいります。  子供たちの確かな学力の定着を図るため、小中学校においては、全国学力・学習状況調査の結果を、学識経験者、市町村教育委員会、PTA、教員等で構成する学力向上外部検証委員会により考察し、施策の改善を図っているところですが、来年度においても、PDCAサイクルによる授業改善や家庭学習の充実などに引き続き取り組み、児童生徒が基礎的、基本的な知識、技能や活用する力を身につけられるよう、各学校を支援してまいります。  高校生の理数系学力の伸長を図るため、理数科などの生徒が集い学習合宿を行う信州サイエンスキャンプや、医学部を志望する生徒が切磋琢磨する信州赤ひげ塾などの事業を実施してまいります。  また、学びと働きを連携させた新たな人材育成のモデルとして、工業高校や農業高校等において、いわゆるデュアルシステムにより、地域企業と学校が連携して最先端の技術を体験実習しながら、地域産業を支える人材の育成に取り組みます。  信州に根差し世界に通じる人材の育成につきましては、スーパーグローバルハイスクール指定校の運営や、県独自で行う高校生の海外留学プログラムの実施を継続するほか、海外から大学生等を招き、県内外の高校生が異文化交流できる体験的なプログラムを実施することにより、語学力を身につけると同時に、多様な文化や考えに直接触れることによって多面的な考察力を身につけ、課題解決力を育成してまいります。  また、新たな取り組みとして、高校生が学校内の学びから一歩踏み出し、大学生などが地域社会で行っている多様な学びへ参加しやすくなるよう、県内各地でさまざまなセミナーを主催する大学生等の団体と各高校をつなぐプラットフォームの設立に向けた検討を開始します。  学校が地域とつながり、地域とともに学びを深めていく取り組みも推進してまいります。現在、全県立高校において取り組んでいる信州学を深化させるため、推進母体として、有識者や教育関係者などで構成する信州学推進委員会を県教育委員会に設置し、各学校と図書館や博物館、自治体などの関係機関との連携を推進してまいります。また、生徒の表現力等の向上を図り、各学校における学びの成果を広く発信するため、信州学サミットを開催します。  将来を見据えた取り組みとしては、平成34年度から年次進行で実施される予定の次期高等学校学習指導要領や今後の高大接続システム改革などに対応するため、電子黒板等のICT機器や遠隔通信システムなどを県立高校に順次導入し、時代に即した学習環境を整備し、ICTを活用した効果的な教科学習や探求的な学習に先駆的に取り組んでまいります。  平成30年以降の県立高校のあり方を見据え、今年度、高校における探求的な学習などの新たな学びの推進と、その学びを育む新たな高校づくりの方向性を示した学びの改革基本構想(案)を策定し、広く県民の皆様から御意見をいただいてまいりました。今年度末には、いただいた御意見を踏まえ、基本構想を決定する予定ですが、来年度は、地域懇談会の開催や、産業界、教育関係者等との意見交換を実施しながら旧通学区ごとの方向性を示す学びの改革実施方針を策定する予定です。学びの質の向上や教育方法の改善を推進するとともに、少子化に伴う高校の規模と配置の最適化に一体的に取り組み、高校生の新たな社会を創造する力を育む「学びの改革」を進めてまいります。  将来の長野県を担う科学技術人材の育成を図るため、引き続き、中学生、高校生を対象として、科学オリンピックなどの科学分野の大会出場者の実力養成講座の実施や、大学、企業等と連携した学習活動への支援を行うほか、中学生の宇宙科学分野への関心を高めるため、宇宙航空研究開発機構、JAXAを訪問し、宇宙飛行士体験などの機会の提供に取り組みます。  困難や悩みを抱える子供たちの支援につきましては、いじめ、不登校、暴力行為などの背景にある貧困などの家庭的な課題に対応するため、社会福祉や精神保健福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーの配置を現行の18人分から24人分へと拡大し、地域や専門機関等と連携協力して、困難を抱える児童生徒を取り巻く環境の改善を図ります。  また、児童生徒が安心して学校生活を送り学習に取り組めるよう、児童生徒の悩みに適切かつ迅速に対応できる臨床心理士等のスクールカウンセラーによる充実した相談体制を維持してまいります。  いじめ防止に向け、長野県いじめ防止対策推進条例に基づき、児童生徒がいじめの問題をみずからの問題として捉え、未然防止等に取り組むさまざまな施策を講じてまいります。24時間体制の学校生活相談センターによる相談体制や、いじめ防止啓発リーフレットを活用した啓発を引き続き行ってまいります。  経済的な困難を抱える生徒への支援としましては、県内の大学、短期大学へ進学するための県独自の入学金等の給付を継続するほか、高校在学中の教育費負担の軽減を図る奨学給付金を拡充します。  また、地域の方の協力を得て放課後等に市町村が開設する放課後子ども教室や中学生の学習支援を行う地域未来塾への助成を継続し、子供の居場所づくりに努めてまいります。  子供を性被害から守る取り組みを拡充します。情報通信や情報モラル教育の専門家などで編成する性被害防止教育キャラバン隊の派遣先を、従来の高校等から、新たに拠点中学校や特別支援学校へと拡大するとともに、指導研修の充実により、専門的に対応する教員のみならず、教員全体の指導力を向上させ、授業を含め、学校における性に関する指導の充実を図ってまいります。  特別支援教育につきましては、現在小学校に28人配置している学習障害などに対応する通級指導教室の担当教員を初めて中学校に配置するなど、11人増員して39人とし、小中学校における障害の特性に応じた専門的な教育の充実を図ります。  また、特別支援学校においては、平成26年度から計画的に増員を進めている自立活動担当教員を引き続き20人増やし、4年間で80人増員するとともに、理学療法士等の専門的な人材を活用した教員への実践指導を継続し、学習面と生活場面における児童生徒の自立活動に関する指導の充実を図ってまいります。さらに、高等部生徒の自立と社会参加を促進するため、新たに技能検定をモデル的に導入し、生徒の自信と就労意欲を高め、基礎的、基本的なスキルの向上を図るとともに、就労コーディネーターを引き続き配置し、学校と地域企業との連携を一層強化し、就労を支援してまいります。  子供たちの体力の向上につきましては、これまで取り組んできた体育授業や運動部活動指導の改善などにより一定の成果があらわれてきたものと考えておりますが、今後も一層の授業改善や長野県版運動プログラムの普及を図り、運動好きな児童生徒をふやす取り組みを推進してまいります。  スポーツを通じた元気な信州づくりを目指して、長野冬季オリンピック・パラリンピックから20年が経過することを契機として来シーズンに開催を予定しているノルディックコンバインドワールドカップとFISサマーグランプリジャンプ白馬大会を支援します。また、本県の武道振興の中核的な拠点となる県立武道館の建設に向けて、設計等に取り組みます。  このほか、県民誰もがスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現に向け、総合型地域スポーツクラブへ指導者を派遣するほか、公民館などの地域の拠点でスポーツ活動に取り組む市町村への支援を継続します。さらに、地域スポーツの振興を図るため、アスリートと県内企業とを結び双方向で就職を支援する長野県版「アスナビ」を引き続き実施し、アスリートの県内就職を促進してまいります。  次代を担う子供たちが安心して学べる教育環境の実現に向け、来年度においても、しっかりとした学びの基盤づくりを推進してまいります。  学校における教育環境の整備につきましては、県立高校と特別支援学校で安全確保のために実施している体育館等のつり天井落下防止対策が今年度内に完了する見込みです。今後は、渡り廊下などについて、全県的な耐震化プログラムに基づき着実に耐震化を進めてまいります。  老朽化した校舎等の修繕を今年度から3年間で集中的、計画的に進めており、特に、特別支援学校においては、修繕に加え、障害種に対応したトイレ等の改修や教室へのエアコン設置など、バリアフリー化や学習環境の改善を強化しているところですが、今後は、高校におけるトイレの洋式化にも計画的に取り組み、生徒が長時間過ごす生活の場でもある学校の生活環境の改善を図ってまいります。  中信地区特別支援学校の再編整備につきましては、引き続き、松本盲学校、寿台養護学校及び松本ろう学校の改修等を進め、松本養護学校の過密化解消と中信地区特別支援学校の教育環境の向上を図ってまいります。  また、学校と県民の協働による地域に開かれた信頼される学校づくりを推進するため、信州型コミュニティスクールの全県への拡大に引き続き取り組んでまいります。  地域における世代を超えた学びを充実させるため、県立長野図書館と県立歴史館のそれぞれを学びの拠点として位置づけ、県内各地で行われているさまざまな学びを緩やかにつなげ、新たな学びの創造に取り組んでまいります。  県立長野図書館におきましては、県内の大学や市町村の図書館とも連携し、「これからの図書館フォーラム」や課題解決型ワークショップを開催するなど、新たな時代にふさわしい学びをリードする場となるよう取り組んでまいります。  県立歴史館においては、新たに県内各地の学校や公民館などで出前講座を行う「お出かけ歴史館」の実施や、長野県の歴史や風土、暮らしなどを分かりやすく解説する冊子の作成に取り組み、学校や地域における学びを支援します。  文化財の保存と活用につきましては、県立歴史館において縄文文化にスポットを当てた縄文土器展の開催や黒曜石産地の調査研究など、「縄文王国長野県」の情報発信や調査研究を強化するほか、文化財の保存修理に対する助成を継続してまいります。  以上、教育委員会の施策の概要について申し上げました。これらの施策を推進するため、一般会計1,896億6,055万9,000円、高等学校等奨学資金貸付金特別会計1億4,109万3,000円の予算案を提出しております。  条例案は、長野県短期大学条例の一部を改正する条例案、高等学校設置条例の一部を改正する条例案、長野県少年自然の家条例の一部を改正する条例案及び長野県青年の家条例を廃止する条例案の4件であります。  以上、今回提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 ○議長(向山公人 君)次に、尾﨑徹警察本部長。       〔警察本部長尾﨑徹君登壇〕 ◎警察本部長(尾﨑徹 君)本定例会で御審議をいただく警察本部関係の議案につきまして、その概要を御説明させていただきます。  議案説明に先立ちまして、県下の治安情勢と県警察の運営重点などにつきまして御説明させていただきます。  平成28年中の刑法犯認知件数は1万664件で、前年と比較して838件、7.3%減少し、平成14年以降続いている減少傾向を維持しております。検挙率は40.8%で、前年より2.0ポイント上昇しております。殺人や強盗等の重要犯罪の認知件数は125件で、前年と比較して11件減少し、検挙率は81.6%で、前年より11.0ポイントと大幅に上昇しております。ストーカー事案やDV事案等の人身安全関連事案の認知件数は、前年と比較して増加しており、依然として高水準で推移しております。  また、特殊詐欺は、認知件数が215件、被害額が約4億8,952万円で、前年と比較して、件数で82件、金額で3億1,000万円余の減少となりました。これは、県を初めとする関係機関・団体と連携した広報啓発活動の推進により、県全体の特殊詐欺被害抑止の機運が醸成されたことや、金融機関等における水際対策が浸透してきたことなどによるものと考えております。  しかしながら、オレオレ詐欺や電子マネーを悪用した架空請求詐欺、市町村職員をかたる還付金等詐欺の被害が多発するなど、依然として深刻な状況が続いていることから、引き続き各種抑止対策を強力に推進していく必要があるものと認識しております。  次に、平成28年中の交通事故の発生件数は8,301件と平成17年から12年連続で減少し、2年連続で9,000件を下回り、負傷者数も1万326人と前年と比較して628人減少しており、交通事故の減少傾向を維持することができました。これは、各種抑止対策を強力に推進するとともに、県を初めとする関係機関・団体の皆様方から多大なる御協力をいただいたことによるものと考えております。  しかしながら、減少傾向にあった交通事故による死者数は121人で、前年を52人上回る大幅な増加となっており、中でも、高齢者が69人と全体の事故死者数の約6割を占めております。  また、高齢運転者が第一当事者となる交通事故の死者数は50人で、前年と比較してプラス19人と増加傾向にあり、運転者を含めた高齢者の交通事故防止が喫緊の課題であると認識しております。  このように大きく変化する治安情勢に的確に対応して、県民の皆様の安全安心を一層向上させるため、県警察では、運営指針を「県民とともにある力強い警察」と定め、県民の皆様に寄り添いながら常に県民目線でそのニーズに応える活動を推進するという警察のあり方の原点を再確認し、職員一人一人が足元を固めた上で仕事を進めてまいります。  以下、本年の運営重点に従って6点申し上げます。  第1は、総合的な犯罪抑止対策の推進であります。  刑法犯認知件数は15年連続して減少したものの、特に被害が依然として深刻な特殊詐欺への対策は、全部門が一丸となって取り組むべき最重要課題の一つであります。  特殊詐欺に対する県民の抵抗力のさらなる向上を図るとともに、前兆事案認知時の迅速な先制・予防的活動や金融機関等と連携した水際対策など総合的な対策を進め、被害の大幅な減少を実現してまいります。  また、重大・凶悪事件に発展するおそれがある人身安全関連事案には、予断を排し、被害者等の安全確保を最優先としつつ、行為者の検挙措置等、迅速かつ組織的な対応の徹底を図ってまいります。  さらに、深刻化するサイバー犯罪に的確に対処するため、サイバー犯罪捜査能力の底上げや違法行為の取り締まりの徹底など、サイバー空間の脅威への総合的な対策を推進してまいります。  第2は、検挙力の強化であります。  県民生活の大きな脅威となっている犯罪が発生した際には、迅速な初動捜査を徹底するとともに、捜査支援分析等を一層深化させることにより被疑者を早期に検挙して、県民生活の安全と安心の確保を図ってまいります。  また、依然として予断を許さない状況が続いている六代目山口組と神戸山口組の対立抗争については、万が一にも県民の皆様が巻き込まれることがないよう警戒を徹底するとともに、検挙に向けた捜査を徹底してまいります。  第3は、交通事故抑止対策の推進であります。  交通事故全体の発生実態を多角的に分析し、それに基づいた交通安全教育、交通指導取り締まり、交通環境の整備及び運転免許行政等の諸対策を総合的に推進し、交通事故総量抑制対策を行うことで、交通死亡事故抑止を図ってまいります。そのために、関係機関・団体とより緊密に連携しながら、前例に捉われない新たな施策を効果的に推進してまいります。  第4は、テロ・大規模災害等危機管理対策の推進であります。  昨年開催された全国植樹祭、G7交通大臣会合等の大規模警備では、総合的な警備諸対策を推進し、テロ等の防圧を期したところでありますが、海外では国際テロの発生が相次ぎ、我が国に対するテロの脅威がまさに現実のものとなっています。  2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の開催に向け、関係機関との連携を図り、各種警備対策を途切れさせることなく確実に推進し、テロ対策の強化に万全を期してまいります。  また、大規模地震の発生や大雨による土砂災害、浸水災害等、県民生活にとって自然災害の脅威はより身近なものとなっています。警察では、必要な体制を構築していますが、発災時には迅速的確な初動対応がとれるよう、随時警備計画等の見直しや訓練を行うとともに、関係機関と緊密に連携して危機管理体制の強化に努めるなど、事態対処能力を向上させてまいります。  第5は、地域社会の安全力を高める地域警察活動の推進であります。  交番、駐在所を中心として、事件・事故の多発する時間帯や場所に重点を置いた効果的な街頭活動による犯罪の予防と検挙、管内の実情や犯罪発生状況を踏まえた被害防止のための情報発信活動、問題解決活動及び110番通報受理時の迅速な初動警察活動を展開するなど、県民の皆様の目に見える形で地域の安全力を高めてまいります。  第6は、県民の立場に立った積極的な対応と警察基盤の強化であります。  安全で安心な長野県を確立するため、すぐれた人材の育成、治安維持の核となる警察施設の整備、さらに、職員一人一人がみずから考え、常に進化し続ける精強な組織の構築に努め、県民の皆様の立場に立った業務を推進し、複雑多様化する警察事象に的確に対応してまいります。  以上、県警察の本年の運営重点について御説明させていただきましたが、ただいま申し上げました重点に基づき、県警の総力を挙げ、県民の皆様の安全、安心の確保に全力で取り組んでまいります。  それでは、本県議会に御審議いただきます警察本部関係の議案につきまして御説明させていただきます。  県警察では、日本一安全、安心な長野県を目指し、運営重点として掲げた各種施策の推進に必要な基盤整備等を推進するため、平成29年度当初予算として436億5,800万円余を計上いたしました。
     警察管理費には、職員給与費のほか、最終年度となります佐久警察署の建設及び交番、駐在所の建設経費など計398億6,300万円余を計上いたしました。  また、警察活動費には、高齢者交通事故抑止対策、各種犯罪の抑止対策及び捜査資機材の整備に要する経費として計37億9,500万円余を計上いたしました。  次に、条例案につきましては、長野県地方警察職員定数条例の一部を改正する条例案を提出しております。これは、警察法施行令の一部改正により、警察官の定数の基準となる定員が増加することに伴い警察官の定数を改定するものでございます。  最後に、専決処分報告につきましては、交通事故に係る損害賠償等3件の専決処分について報告するものでございます。  以上、本定例会に提出いたしました警察本部関係の議案につきまして御説明させていただきました。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○議長(向山公人 君)次に、小林利弘公営企業管理者。       〔公営企業管理者小林利弘君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林利弘 君)企業局関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  初めに、企業局事業を取り巻く状況等について御説明申し上げます。  企業局では、昨年2月に、経営の安定と発展の礎づくりを基本方針とする今後10年間の投資計画等を定めた長野県公営企業経営戦略を策定し、県民の皆様の暮らしに最も身近なライフラインである電気及び水道事業を着実にかつ安定的に経営するため、今年度、確かな一歩を踏み出しました。  今さら申し上げるまでもなく、この経営戦略は、いわば県民の皆様、そして県議会との約束であり、誓いでもありますことから、2年目となります新年度におきましても着実な推進を図り、経営の安定と公共の福祉の増進に努めてまいります。  一方、電気、水道両事業を取り巻く環境は大きな変換期を迎えようとしております。  電気事業にあっては、昨年4月から電力システム改革の第2弾となる電力の小売り自由化が全面スタートいたしましたが、新電力の相次ぐ参入の一方で、昨年4月には大手新電力の1社が倒産し、全国の複数の公営企業の経営に大きな影響が生じますとともに、本年1月にも同様の事案が発生をいたしました。  こうした事態に加え、国においては、固定価格買取制度に基づく設定価格の見直しや、ベースロード電源として位置づけられている中小水力発電につきましても施設規模の細分化による価格の見直しが行われるなど、企業局経営への影響を常に見きわめていく必要が生じております。  さらに、平成32年4月から行われる電力システム改革の第3弾となる送配電分離に向け、いわゆる託送料金のあり方の議論が始まっており、加えて、大手電力会社の統合再編の必要性も提言されるなど、今まで以上に細心の注意が求められているものと考えております。  また、水道事業にあっては、昨年4月に発生いたしました熊本地震では、最大震度7及び6強の揺れが繰り返し発生するなどにより水道が長期間にわたり断水し、住民生活にも大きな影響を及ぼしました。長野県内におきましても、昨年6月、政府の地震調査研究推進本部が公表いたしました主要断層帯の長期評価において、糸魚川―静岡構造線断層帯の地震発生確率は極めて高くなっておりますことから、この地域内に経営区域を有する水道事業者としてしっかりとした対応が求められております。  さらに、国では、水道施設の老朽化、人口減少に伴う水需要の大幅な減少を踏まえ、広域連携の推進や民間活力の活用に向けた法改正の検討が進められておりますことから、長野県公営企業として広域連携に向けた積極的な役割を果たすとともに、水道事業の新たな役割を見据えた先導的な取り組みもまた求められているものと考えております。  このほか、今後の経済情勢、とりわけ海外情勢の不確実性も懸念される中、県内においても、人手不足による人件費の増加や原材料費の上昇が心配されるとともに、急速に進む情報科学技術の革新など、企業局経営に与える影響もさまざま考えられますことから、社会の変化を的確に、そして敏感に捉え、民間の発想も取り入れながら、柔軟かつスピード感を持って対応していかなければならないものと考えております。  こうした情勢を踏まえたとき、私は、経営戦略の達成に向けては、職員の取り組みの姿勢が強く求められているものと考えております。業務遂行に当たっての基本姿勢として位置づけました顧客第一、活力、創造、スピード、そしてやり抜くという五つの姿勢の徹底を全職員に求め、組織一丸となった取り組みを進めてまいります。  それでは、平成29年度企業局予算案の概要につきまして御説明申し上げます。  平成29年度予算案の編成に当たりましては、ただいま申し上げましたとおり、経営戦略の2年目を迎え、引き続き「経営の安定」、「地域への貢献、地域との共存・共栄」、そして「リスクマネジメント」という三つの基本的視点に立ち、計画の着実な推進を図るとともに、社会情勢の変化にスピード感のある対応、さらに、県政を補完する立場から、企業局といたしましても、平成29年度が総仕上げの年となりますしあわせ信州創造プラン及び信州創生戦略へ積極的に参画し、県勢発展のために貢献していくことを目指し、予算案を編成いたしました。  初めに、電気事業の予算案につきまして御説明申し上げます。  業務量につきましては、美和発電所以下14の既設発電所に加え、新たに高遠及び奥裾花第2発電所の二つの発電所が本格稼働する一方、西天竜発電所が大規模改修に伴い休止することから、年間販売電力量は今年度より約460万キロワットアワー多い3億6,400万キロワットアワー余を予定し、電力収入は今年度より1億5,700万円余多い39億6,200万円余を計上いたしました。なお、高遠及び奥裾花第2発電所の売電先につきましては、経営の安定に加え、信州発自然エネルギーとして大都市への売電を通して大都市との未来志向の連携という役割を新たに果たし、地方創生に貢献していくため、昨年12月に全国で初めてプロポーザル方式により売電先を決定いたしました。  なお、純利益につきましては、今年度より4億7,400万円余多い12億500万円余を予定し、4期連続で過去最高益を更新する見込みでございます。  また、資本的支出のうち建設改良費につきましては、高遠及び奥裾花第2の新規発電所建設が完了することなどから予算額が大きく減少する一方で、西天竜発電所の大規模改修並びに県管理ダムを活用した新規発電所建設など複数年にわたる事業に取り組むこと等により、5億7,200万円余を計上するとともに、債務負担行為として、今年度の倍以上となる35億4,500万円余を設定いたしました。  次に、電気事業の主な取り組みについて申し上げます。  まず、経営の安定につきましては、現在、発電を行っていない県管理ダムのうち、採算が確実に見込める横川ダム、箕輪ダム及び片桐ダムの三つのダムについて、昨年1月から、地元の町及び地域住民の皆様に対し建設部と協力して説明を行ってまいりましたが、このたび、全ての町において御理解をいただきましたことから、建設に着手することといたしました。いずれも、可能な限り早期の稼働を目指してまいりますが、3施設の整備により、約1,270世帯分の電力量を見込んでおり、企業局としても、しあわせ信州創造プランに基づく環境・エネルギー自立地域の創造に向け、取り組んでまいります。  建設から50年以上が経過し老朽化が進んでおります西天竜発電所の大規模改修につきましては、より効率的な発電機を整備することで約1,250世帯分の電力量増加を図ることとし、平成31年度の完成を目指し、新年度は発電機本体の製作等を進めてまいります。  また、企業局の既設発電所のうち最も基幹となる春近発電所の大規模改修に向け、全国初となるPFI導入の可能性について、これまで、内閣府の全面的支援により可能性調査を実施していただき、その結果、PFI手法の活用可能性が高く、今後、最大の効果が得られるよう、事業手法についてさらに検討を深めることが必要との見解が出されております。そのため、新年度におきましては、改修の範囲や投資見込額を明らかにすることで、民間事業者の参入の確実性を明らかにするとともに、地域経済への波及効果や雇用効果など、PFI事業の効果を確実に見きわめるため、新たに基本構想を策定することといたしました。この構想につきましては、PFI導入の最終判断に資することはもとより、県民の皆様初め参加を希望する事業者への説明にも活用可能な、足腰の強い構想となるよう取り組んでまいります。  地域への貢献、地域との共存・共栄につきましては、電気事業の利益剰余金を活用し、将来の科学技術を担う子供達への支援のため、今年度に続き長野県こども未来支援基金に5,000万円を繰り出すほか、県内エネルギーの地消地産の確保に向け、これまでの自然エネルギーをつくる支援からエネルギーを使わない取り組み、いわゆる省エネルギー対策に県が率先して行う先導的な取り組みを支援するため、新たに5,000万円を繰り出すことといたしました。  リスクマネジメントにつきましては、菅平及び奥裾花発電所建屋の耐震化に取り組むことといたしました。なお、これにより、耐震化が必要な建屋8施設全てが完了することになります。このほか、集落に近い水圧鉄管の耐震化とともに、災害時の対応を見据えた設備整備も進めてまいります。また、発電施設の運転管理、巡視点検業務につきましては、これまで、南信発電管理事務所所管の12発電所について平成26年度から業務委託を実施してまいりましたが、最新技術の導入や専門的知識を有する人材の細かなチェック体制等により、減収を伴う故障停止件数が半減し、減収額の低減効果に加え、経費の縮減効果も認められますことから、新年度の契約更新時期に合わせ、北信発電管理事務所所管の4発電所も一括委託することとし、より安全な運転管理体制の確保に取り組んでまいります。  電気事業における人材の確保育成についてでございますが、電気事業においては、民営化協議が行われていたため、平成16年度から25年度まで新規採用を控えてきたことから、職員の年齢構成に偏りが生じております。その後、計画的な採用により欠員解消に努めておりますが、若い職員への技術継承や意欲ある職員の採用が引き続き課題となっております。そのため、今年度初めて実施いたしました工業高校生を対象とした職場体験を引き続き実施するとともに、学校や生徒の要望に応え、新たにインターンシップを実施することといたしました。  また、若手技術者育成のため、体系的な研修マニュアルの整備を進めており、新年度から継続した取り組みを進めてまいります。  次に、水道事業の予算案につきまして御説明申し上げます。  業務量につきましては、末端給水事業では長野市など3市1町の約7万7,000戸に対し年間給水量1,900万立方メートル余を予定しております。料金収入につきましては、戸当たり水量が減少傾向にある一方、給水戸数の約600戸の増が見込まれること等から、今年度を6,500万円余上回る35億4,200万円余を計上いたしました。  また、用水供給事業では、松本市など2市1村に対し年間給水量2,900万立方メートル余を予定し、料金収入は今年度とほぼ同額の14億1,300万円余を計上いたしました。  なお、純利益につきましては、耐震化工事等の本格的推進による減価償却費の増等により、今年度を4,500万円余下回る4億9,000万円余を見込んでおります。  また、資本的支出のうち建設改良費につきましては、老朽化施設設備の更新並びに基幹施設、基幹管路の耐震化を計画的に推進するため、末端給水事業では、今年度を1億1,400万円余上回る20億800万円余を、用水供給事業では、今年度を6,900万円余上回る7億9,100万円余を計上いたしました。  なお、これら建設改良費の財源につきましては、企業債の借入額16億5,700万円を予定しておりますが、このうち末端給水事業につきましては、企業債の借入額を償還額の範囲内に抑制することにより、引き続き健全経営の確保に取り組んでまいります。  次に、水道事業の主な取り組みについて申し上げます。  経営の安定につきましては、老朽化施設設備の計画的な更新とともに、市町が行う道路改良工事や下水道工事等と同時に実施することにより経費の縮減に努めてまいります。また、災害時において住民生活に影響が大きい基幹施設、基幹管路の耐震化についても積極的に取り組むこととし、特に末端給水に係る基幹施設については、新年度新たに諏訪形浄水場初め5カ所で着工することとし、これにより、対象16施設のうち15施設において完了または着工済となり、経営戦略における目標である平成31年度完了は確かなものと考えております。  また、経営に直接影響する有収率の向上につきましては、人間の耳で漏水箇所を探知する路面音聴調査・戸別音聴調査という従来の対症療法的な調査に加え、今年度、高感度音圧センサー搭載の機器を活用した面的な調査を委託により試行した結果、広い範囲において速やかな修繕に結びつくという効果が認められましたことから、新年度はこの機器を整備することとし、効率的かつ迅速な漏水監視を行ってまいります。さらに、有収率は、地域ごとに、また季節ごとに大きな差が見受けられますことから、技術職員によるワーキンググループを設置し、外部の専門家も交え、戦略的な対応策を検討してまいります。  地域への貢献、地域との共存・共栄につきましては、天龍村の簡易水道に係る事務の代替執行につき、昨年12月に県議会並びに村議会の議決をいただき、その後、村と正式に合意調印をいたしましたので、所要の経費を計上するとともに、新年度、南信発電管理事務所に土木職員1名を増員配置するなど万全の体制を整え、4月から着実に実施してまいります。この取り組みを通して、企業局としても、新たに設置される地域振興局と連携し、地域の課題解決の一助を担ってまいりたいと考えております。また、水道メーターを活用したひとり暮らし高齢者の見守り、いわゆる高齢者元気応援システムの実証実験に向け、坂城町をモデル地区として、町、システム開発業者、そして学識経験者とともに産学官が一体となって取り組むこととし、企業局が行う電子式水道メーター設置のための経費を計上いたしました。  ただいま申し上げました天龍村の簡易水道に係る事務の代替執行並びに水道メーターを活用したひとり暮らし高齢者の見守り、いずれも全国初の取り組みとなりますことから、村、町と連携し、「長野モデル」として取り組みの経過等についてしっかり情報発信してまいりたいと考えております。  また、末端給水事業につきましては、昨年2月、経営戦略の策定にあわせ、関係市町とは、将来の広域化を見据え、業務の共同化、連携を進めていくことで合意が得られましたことから、これまで事務レベルによる水道事業運営研究会において各市町の意見を踏まえ、具体的な方向性を研究してまいりました。このうち、特に優先的に取り組む必要性が高い災害時における情報共有のあり方や役割分担の明確化等について、おおむね合意が得られる状況となっております。そのため、業務の共同化、連携のあり方の第1弾となる災害時応援協定(仮称)を、新年度、できる限り早期に締結を行いますとともに、より実践的な合同防災訓練を実施してまいります。  なお、用水供給事業につきましても、同様に協定の締結及び合同訓練を実施してまいります。  リスクマネジメントにつきましては、施設等の耐震化の着実な推進に加え、平成27年度から整備を進めている避難所等の応急給水拠点となる「安心の蛇口」について、経営戦略では11カ所の整備を目標としておりましたが、昨年4月に発生した熊本地震の状況等を踏まえ、管路の整備計画並びに市町との調整を行い、20カ所に倍増することとし、これに伴い、新年度は3カ所を整備することといたしました。この整備により、経営区域内3市1町全てにまず各1カ所が設置できますことから、住民参加による給水訓練の実施とあわせ、各地域における防災拠点として、地域住民の皆様の防災意識の向上にも資することを期待しております。  さて企業局は、今さら申し上げるまでもなく、電気、水道というライフラインを担う事業者として、自然災害のみならず事件事故や漏水、機械故障など様々な危機管理事象に対し、的確にかつ迅速に対応し、地域住民の皆様の安全、安心の確保を第一に果たしていくという責任を担っております。しかしながら、私は、情報連絡体制の不備による共通認識に立った対応のおくれなど、まだまだ改善すべき点が多々あるものと考えております。  そこで、企業局の危機管理体制の強化を図るため、本庁に警察官OBを危機管理対策推進員として配置し、考えられるリスクに対し、ソフト、ハードの両面から全ての対応を一から見直すとともに、職員研修を実施し、意識の向上を図ってまいります。また、あわせて、全ての現地機関に技術職員の危機管理担当次長を配置し、危機管理時におけるマネジメント力の強化を図ってまいります。  以上、電気事業会計と水道事業会計を合わせた企業局全体の予算額は、収益的収入と資本的収入の合計額118億188万5,000円、また、収益的支出と資本的支出の合計額138億9,608万円で、収支ともに今年度より約11パーセント減少しておりますが、債務負担行為として、今年度より約73パーセント増となる48億2,125万7,000円を設定しており、支出との合計額で、今年度より1.7パーセント増となる187億1,700万円余を計上いたしました。  以上、企業局関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 ○議長(向山公人 君)以上をもって知事提出議案の口頭説明は終了いたしました。  ただいま説明がありました以外の部長の説明につきましては、議会運営委員会の意見を徴した結果、口頭説明を省略することとし、お手元に配付いたしましたとおりでありますので、御了承願います。       〔議案等の部「3 口頭説明を省略した部長の議案説明要旨」参照〕          ────────────────── ○議長(向山公人 君)これらの議案は、来る2月22日から行う質疑の対象に供します。          ────────────────── ○議長(向山公人 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(向山公人 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、来る2月22日午前10時に再開して、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時7分延会...