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平成27年11月定例会本会議-12月02日-03号

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  1. 長野県議会 2015-12-02
    平成27年11月定例会本会議-12月02日-03号


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    平成27年11月定例会本会議-12月02日-03号平成27年11月定例会本会議 平成27年12月2日(水曜日)  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 毛利栄子   2 番 今井愛郎      28 番 和田明子   3 番 寺沢功希      29 番 備前光正   4 番 山口典久      30 番 小池久長   5 番 百瀬智之      31 番 太田昌孝   6 番 小山仁志      32 番 諏訪光昭   7 番 小川修一      33 番 髙橋岑俊   8 番 丸山大輔      34 番 今井 敦   9 番 酒井 茂      35 番 丸山栄一   10 番 吉川彰一      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 両角友成      41 番 小池 清   16 番 藤岡義英      42 番 宮本衡司   17 番 髙島陽子      43 番 清沢英男
      18 番 浜 章吉      44 番 垣内基良   19 番 中川宏昌      45 番 鈴木 清   20 番 清水純子      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 荒井武志      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   54 番 村石正郎      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      塩原 豊   副知事       太田 寛    建設部長      奥村康博   副知事       中島恵理    会計管理者兼会   危機管理監兼危           計局長       石田訓教   機管理部長     野池明登    公営企業管理者   企画振興部長    小岩正貴    企業局長事務取扱  小林利弘   総務部長      原山隆一    財政課長      岡地俊季   県立大学設立担           教育委員会委員   当部長       髙田幸生    長         伊藤学司   県民文化部長    青木 弘    教育次長      小林資典   健康福祉部長    小林 透    教育次長      菅沼 尚   環境部長      青柳郁生    警察本部長     尾﨑 徹   産業政策監兼産           警務部長      西口 学   業労働部長     石原秀樹    監査委員      田口敏子   観光部長      吉澤 猛    選挙管理委員会   農政部長      北原富裕    委員長       深沢賢一郎         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      大日方正明   議事課担当係長   倉石博之   議事課長      小山 聡    総務課担当係長   小山雅史   企画幹兼議事課           議事課担当係長   吉沢秀義   課長補佐      坪井俊文         ───────────────────  平成27年12月2日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(西沢正隆 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(西沢正隆 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、宮本衡司議員。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)おはようございます。最初に、地域医療体制について伺います。  9月定例会において私は地域医療構想の策定について質問をいたしました。その際、市立大町総合病院の産科医の確保に関し御尽力をいただいた知事初め関係各位に敬意を表し、今後とも一層の医師不足対策にお取り組みいただくよう要望をしたところであります。  ところが、昨日の新聞報道にもございましたが、私の地元の飯山赤十字病院において来年4月から分娩の取り扱いを休止せざるを得ない状況になり、受診中の方々は転院を余儀なくされている旨、子育て世代の皆様方から不安の声が寄せられています。  県内の病院での産科医不足は深刻で、医師の疲弊による離職という最悪の事態にならぬように、将来的には数名ずつ各病院に集約せざるを得ないのではないかと危惧をしております。  長野県の地域医療構想は、前回の答弁では平成28年度中の策定を目指すとのことですが、地域医療構想を踏まえ、現在も維持が難しい県内の分娩体制を将来的に県としてどのように臨むお考えでしょうか。健康福祉部長にお伺いをいたします。  2次医療圏の中で分娩を扱う病院が一つしかない市立大町病院の事例と圏域内の中野市内に分娩を取り扱う病院のある飯山赤十字病院の場合、地域住民に与える影響に差異があることは事実であります。  また、少子化の進行に伴い飯山赤十字病院での分娩件数は減少し、平成24年度からは年間100件を割り込むようになっており、かつ、このうち約4割が里帰り出産と思われる地元市町村以外の方の出産件数であります。  このような現実を見たときには、それほどの影響はないのではないかという御意見が出そうでありますが、それは違います。飯山市、木島平村、野沢温泉村、そして栄村とも、名立たる豪雪地であり、過疎の地域であります。人口減少に歯どめをかけるためにさまざまな努力を重ねておりますが、そのやさき、出鼻をくじかれそうな分娩の取り扱い休止という事態になってしまいました。  県におかれましては、飯山赤十字病院、地元自治体と連携の上、産科医確保のためにぜひお力添えをいただきたいものと考えますが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお伺いをいたします。       〔健康福祉部長小林透君登壇〕 ◎健康福祉部長(小林透 君)地域医療体制についての御質問に順次お答えをいたします。  まず、地域医療構想を踏まえた将来的な分娩体制の県の考え方についてでございますが、県では、現在、第6次保健医療計画において地域の医療提供体制の構築を図っているところでございます。  分娩を含む周産期医療についてもその中で重要な分野の一つとして位置づけ、正常分娩を行う医療機関から帝王切開などを行う地域周産期医療機能を持つ医療機関へ、さらには、ハイリスク分娩を行うなどの総合周産期医療機能を持つ信州大学医学部附属病院県立こども病院へと状況に応じた搬送や情報提供が行われるよう、連携体制の維持、構築について取り組んでいるところでございます。  こうした周産期医療については、現在、目指すべき方向として、正常分娩などに対し安全な医療を提供するための医療機関の連携や、周産期の救急対応が24時間可能な体制を維持することなどを掲げているところでございます。  さらに、将来的な県内の医療提供体制につきましては、現在策定中の地域医療構想も踏まえ、平成30年度からの第7次保健医療計画の策定に向け、地域の広範な関係者のお考えを十分お伺いしながら改めて検討してまいる所存でございます。  次に、産科医確保の取り組みについてですが、全国的に産科医不足が深刻化している中で、長野県では、平成23年度に設置した信州医師確保総合支援センターにおいて、即戦力医師の確保のため、県内医療機関への就業あっせんを行うドクターバンク事業や、県内医療機関で一定期間従事することを貸与条件とする医師研究資金貸与事業などを実施してございます。  これに加え、10月に公表した長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略では、出産、子育ての安心向上のため、県内医療機関で研修を行う産科医志望の研修医に研修資金を貸与し、研修終了後の県内医療機関への定着を促進するとともに、院内保育所の活用など勤務医の働く環境の整備による産科医確保への包括的支援を行うことや、産科の体制を充実するため産後ケアや院内助産所など助産師や保健師の専門性を生かした取り組みの支援を行うことなどを盛り込んだところでございます。  今後、信州大学を初め医療関係者などと協力し、幅広い観点から県内への産科医の確保策を充実するとともに、喫緊の課題といたしまして、飯山赤十字病院や地元市町村と連携を密にし、さきに申し上げましたドクターバンク事業医師研究資金貸与事業なども活用して産科医の確保に向けて力を注いでまいる所存でございます。  以上であります。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)分娩の取り扱い休止とともに心配なことは、小児科です。赤ちゃんがこの世の中に生を受けた途端に、産科医から小児科医にバトンタッチとなります。もちろん、小児科医の仕事はこれだけにとどまりません。地元のかかりつけ医と協力して、地域の子供たちの医療にも携わっていただいております。  さらに、この地域は、近隣の市町村と連携し、信越自然郷として観光の振興にも取り組んでおります。従来から多くの都会の子供たちの受け入れを行っておりますが、そこで、宿泊予約の際に先方から緊急時の医療体制について尋ねられ、それが不安な場合、成約に至らないことがあるとのことです。つまり、医師不足が地域の観光産業にまで影響を及ぼしておるのです。  このような実情を御理解いただき、飯山赤十字病院の医師確保のための御努力を再度強く要望して、次に参ります。  千曲川におけるサケの遡上対策について伺います。  カムバックサーモン、千曲川のサケの遡上に取り組まれた方々には懐かしい言葉ではないかと思います。このキャンペーンは、名称を千曲川サケ遡上作戦として、長野県が、昭和55年から21年間、1億6,000万円余をかけ稚魚899万匹の放流を行った事業です。この結果は、まことに残念ながら、飯山の西大滝ダムで累計49匹のサケが確認されただけでありました。  11月6日付の新潟県津南町にある妻有新聞1面に、ついに1,200匹超え、水量決め手と宮中ダム魚道での遡上調査についての記事がありました。しかし、残念ながら、同じ紙面で、西大滝ダム、ようやく9匹、昨年上回る、水量わずか増加とのことであります。  直近では、宮中ダムで1,514匹、西大滝ダムでは11匹、さらにこの1週間で上田市でも3匹確認されました。  長野県が主導して行われたカムバックサーモンのキャンペーンをどのように評価されておられるのか。まず農政部長に伺います。  調べてみますると、平成9年に河川法が改正され、河川環境の維持が重要な方針の一つに挙げられたことから、千曲川を含む信濃川においても本格的な河川環境の回復が図られるようになりました。  そして、平成13年7月に、信濃川中流域水環境改善検討協議会において、断流、減水区間の根本的解消を図るため、東京電力とJR東日本の協力を得て、西大滝ダムと十日町市にある宮中ダムからの河川維持放流を始めました。この放流は減水期である夏から秋にかけて毎年実施され、現在、西大滝ダムでは放流開始前に比べ75倍という大量の放流を継続的に行っているとのことです。この結果、サケの遡上数は次第に増加してまいりました。  宮中ダムまでは間違いなく遡上しているサケが、なぜ西大滝ダムまで到達しないのか。まことに残念なことであり、まずはこの理由を早急に解明してほしいものと強く願うものであります。  長野県においては、これまで国が中心となって行ってきたモニタリング調査に追加して、ことしの10月から11月に西大滝ダム下流域のサケの遡上調査を実施したとお聞きしていますが、この調査の概要と結果及び今後の見通しについて河川管理者として建設部長にお伺いをいたします。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)カムバックサーモンキャンペーンの評価についてでございますが、県では、昭和54年度から平成11年度までの21年間、サケの稚魚のふ化、放流や、千曲川の西大滝ダム魚道の改修、また遡上サケの確認調査などの千曲川のサケ復活対策事業を実施いたしました。  このうちサケの稚魚の放流につきましては、昭和56年に発足いたしました千曲川サケの会の協力のもと、北信地域の小学校で行われたサケ学習での稚魚放流を含め、事業期間中に899万5,000尾の稚魚を放流し、西大滝ダムの魚道で49尾のサケの遡上を確認をしております。  この事業は、児童たちに対しては小さな命を通じた情操教育の一端を担うとともに、県民の皆様に対しては河川環境保全意識の高揚にも一定の役割を果たしたものと認識しております。  また、この事業を一つのきっかけとして、平成7年3月に当時の建設省が策定しました信濃川水系水環境管理計画において、減水区域に対しての河川水量をふやす数値目標が盛り込まれるなど、その後の水環境改善への取り組みの契機となった事業でもあったと考えております。  以上でございます。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)西大滝ダム下流域で実施しましたサケの追加調査に関するお尋ねでございます。  これまでのモニタリング調査では、3年前の遡上数と比べると宮中ダムでは5倍にふえまして今年度1,514匹、一方、西大滝ダムでは10匹前後にとどまっております。  こうした状況を踏まえまして、県では、宮中ダムまで遡上したサケがどこへ行っているのかという視点で、目視や投網による捕獲調査と、宮中ダムで捕獲したサケに発信器をつけてその後の行動を追跡する調査を実施いたしました。その結果、県境で千曲川に合流する志久見川や、新潟県内で信濃川に合流する中津川などの支川への遡上を確認しております。  今後は、今年度の調査結果を踏まえ、国、県、学識経験者などが構成メンバーとなっております信濃川中流域水環境改善検討協議会の中で千曲川へのサケの遡上数が少ない原因の究明とその対策の検討に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)カムバックサーモンキャンペーンが所期の効果を得られなかった理由の一つに、河川でのサケ捕獲が海洋でのサケ資源を維持、増殖するために原則禁止されており、釣りを含めた漁業資源としての活用ができないことも背景にあると言われております。
     とはいえ、当時とは時代が変わっております。水産漁業としての位置づけもさることながら、観光資源としての活用も考えられます。サケの遡上は10月から12月と言われており、この時期に信州においでいただくお客様に、これを活用したサケの観察会などのアウトドア観光商品を提供することもその一つではないかと考えます。  その昔、千曲川には多くのサケが遡上してきました。父祖の見た風景を私たちの子や孫が見ることができるというロマン、遡上を通じての河川環境のさらなる改善など、考えただけで夢が広がります。このように可能性を秘めているサケの遡上への取り組みについて、ぜひ県として進めていただきたいと要望し、次に参ります。  文化振興元年の取り組みについて伺います。  本年3月14日、新幹線が金沢まで延伸し、東京―北陸間の時間的距離は格段と近くなり、人的・文化的交流も期待されるところです。  こうした中、飯山市の芸術文化活動の拠点として長年親しまれた市民会館が老朽化に伴い年内で閉館し、飯山駅前に建設中の文化交流館がその機能を引き継ぎます。地域住民の文化活動はもとより、北陸新幹線開業を機に県内外との広域的な文化の交流や信州文化の発信につながることを期待しております。  さて、知事は、本年2月定例会において、心の豊かさを実感できる社会を実現するため、平成27年度を文化振興元年と位置づけ、新たに造成する文化振興基金を活用して文化芸術の継承、創造に力を注いでいく、このため、基金を活用した新たな文化振興のための事業の充実や、セイジ・オザワ松本フェスティバルなど既存の文化事業の拡充などを通じ本県の文化芸術を次のステージに引き上げるべく、積極的に取り組みを進めていくとされたところであります。  そこで、スタートから8カ月が経過し、初年度も進展する中、改めて文化振興元年にかける知事の思いについてお聞きし、あわせて、今年度のこれまでの取り組みについて知事にお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)文化振興元年にかける思いと、これまでの取り組みについてという御質問でございます。  宮本議員の御質問の中にも引用いただきましたが、私は、物の豊かさが一定程度達成され、これから物の豊かさとあわせて心の豊かさが重視される、求められる世の中になってきているというふうに考えています。こういう中で、文化芸術が果たしていく役割は大変重要なものがあると考えております。  平成27年度を文化振興元年というふうに位置づけて、さまざまな取り組みを進めてきております。そのため、文化振興基金、さまざまな事業を積極的に展開、推進するという観点で創設をし、文化会館ネットワーク事業でありますとか、アーティスト・イン・レジデンス・イン信州モデル事業など、新たな試みにも着手をしています。  また、教育委員会においても文化財の活用による地域活力創出事業、あるいは伝統行事継承モデル事業、こうしたことに取り組んでいただいているところでございます。  また、ことしから、セイジ・オザワ松本フェスティバル、サイトウ・キネン・フェスティバルが改称されておりますけれども、文化の信州ブランドを世界に発信していく観点、そしてまたスクリーンコンサートの開催地の拡充等を踏まえて、県の負担金を増額をさせていただいているところでございます。  また、10月31日にはオーストリアのウィーン楽友協会を訪問させていただいて、同協会と県民文化会館、長年の姉妹提携を踏まえて、さらなる友好、交流を促進するという観点で覚書を締結したところでございます。  こうしたさまざまな取り組みを通じて、本年度、長野県の文化振興にとって大きな節目の年となったというふうに考えております。文化芸術の新しいステージに向けて大きな一歩を踏み出すことができたものというふうに考えております。  県民文化部が創設して文化政策課を置いているわけであります。県民文化部、文化政策課、職員頑張ってもらっていますので、これからも引き続き文化芸術の振興、県としてもしっかりと力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)次に、文化振興基金の活用状況について県民文化部長及び教育長にそれぞれ伺います。  文化振興基金を創設した際、基金を活用した新たな取り組みとして、文化施設の連携・強化、文化芸術の担い手育成、伝統文化の継承・活用、信州文化の発信・文化交流の促進の四つの枠組みによりこの基金を活用していくとの説明がありました。  かつて、文化財保護事業補助金制度も、補助率の上限の引き上げなど見直しを図っていただきました。国の重要文化的景観に選定された千曲市の姨捨の棚田や飯山市の小菅集落などにとっても大いに期待されるものであり、これらの枠組みの中で、新たな文化の創造と伝統文化の継承などの両面から、バランスよく文化振興に力を注いでいただきたいと思います。  そこで、今年度におけるこの基金の活用について、それぞれの枠組みの中、どのような事業を展開され、またどのような事業効果を期待されているのか。あわせてお伺いをいたします。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)文化振興基金の活用についてお尋ねをいただきました。  文化振興基金は、新たな文化振興事業を安定的、計画的に実施していくために創設したものでございます。今お話にございましたように、四つの枠組みを設けているところでございますが、このうち伝統文化の継承・活用につきましては教育委員会のほうで所管しておりますので、残ります関係につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  まず、文化施設の連携・強化でございますけれども、これは、県立の文化施設を核といたしまして、地域の文化施設が連携をし、音楽イベントなど地域ニーズに即した文化事業を展開する信州文化会館ネットワーク事業という形で進めてございまして、これらの事業につきまして地域のネットワーク強化を狙いとしているものでございます。  また、文化芸術の担い手育成では、国内外から芸術家を招聘し、地域に滞在して地域住民と交流しながら創作活動をしていただくアーティスト・イン・レジデンス・イン信州モデル事業を大町市と共同で進めているところでございます。若手芸術家の創作、発表の場づくりや地域の活性化など、文化芸術による地方創生に努めてまいりたいと考えてございます。  また、信州文化の発信・文化交流の促進につきましては、信州の山岳文化創生事業としまして、山と渓谷社等と包括連携協定を締結し、10月に富山県と共催で東京で文化シンポジウムを開催するなど、山岳文化による信州の魅力発信に努めてきたところでございます。  今後も、来年2月には県民文化会館と姉妹提携しておりますウィーン楽友協会合唱団の長野公演なども予定しているところでございます。  これらの事業によりまして、教育委員会所管の事業も含めまして、文化振興元年の初年度でございます今年度につきましては、文化振興基金に計上させていただいた4,500万円のほぼ全額を活用させていただく見込みとなってございます。  以上でございます。       〔教育委員会教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊藤学司 君)文化振興基金を活用いたしました教育委員会関係の事業について御答弁を申し上げます。  県教育委員会では、今年度、文化振興基金を活用し二つの新規事業を実施し、伝統文化の継承と活用を進めているところでございます。  一つ目の文化財の活用による地域活力創出事業は、これまで実施してきている文化財の保存、修理等への補助金に加えて、情報発信、活用の取り組みに対する補助金を新設し、文化財所有者等による文化財の公開、活用を促進しているところでございます。  二つ目の地域で守る伝統行事(芸能)継承モデル事業は、国、県指定の無形民俗文化財の宝庫である下伊那地域をモデルとし、民俗芸能の保存団体と行政が協働で担い手、人材確保などの取り組みを7月から始めたところであり、今後、銀座NAGANOでの民俗芸能の体感、学習会や南信州民俗芸能応援団の立ち上げを予定してございます。  これらの取り組みによりまして、地域の誇りである有形、無形の文化財を後世に継承するとともに、保護だけではなく、活用にも力を入れ、文化財を核とした地域振興につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)文化芸術にかかわる取り組みは、観光事業などと連携、連動させることにより、本県の魅力をより効果的に発信し、交流人口の増加などにつながることが期待されます。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、インバウンド観光の一層の推進が期待される中、グローバルな観点から地域の文化芸術を捉えていく必要があるように思われます。  文化芸術活動の裾野を広げ、県民が文化芸術を身近に感じ触れる機会をふやすこと、地域で育まれ受け継がれてきた伝統文化などを守り伝えていくことは、県民の心豊かな暮らしの実現に大いに資するものであります。  物心両面で地域の活性化につながる文化事業、文化活動は、ある程度長期間にわたって安定的、継続的に展開し、地域に根差し、地域の文化ブランドとして発信できるものとなるよう育んでいくことが望まれます。  11月19日付の新聞に、2018年夏に県内で初めて開催される全国高校総合文化祭の記事が載っていました。全国の高校生が長野県に集う大会の愛称は「2018信州総文祭」とし、大会テーマは県内の高校生と中学生から作品を募集し、「みすずかる信濃に若木は競い森を深める 山脈渡る風に種子を拡げて」に決まる。  信濃の枕言葉「みすずかる」を冒頭に使い、参加する高校生を木々に、文化を森林に、文化の継承を風に、新たな文化の発信を種子にそれぞれ例えたとのことであります。まさに、ただいま、新たな取り組みとして答弁いただいた四つの枠組みにある、担い手育成、伝統文化の継承、信州文化の発信・文化交流の促進などとつながるテーマであり、次世代を担う高校生の思いを私は大変心強く感じたところです。  過疎と高齢化が急速に進む地方の活性化のために文化芸術の果たす役割は大きく、地方を元気にするのは文化の力だとも言われております。地方創生に果たす文化芸術の役割の重要性をしっかり認識し、長野県全体の文化レベルの底上げを図り、文化振興の一層の推進に向け、基金の活用は大変有効と考えます。このために、今後、基金の拡充も視野に入れ検討すべきと思いますが、知事の御所見をお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)宮本議員御指摘のとおり、私も地方創生において文化芸術が果たす役割、極めて大きなものがあるというふうに考えております。  まずは、県民の皆様方が文化芸術を身近に親しみ、また地域に代々伝えられてきている伝統文化を誇りに思い、継承していく、こうした社会をつくっていくということが、これからの長野県の活力を維持し、そして品格のある地域をつくっていく上では大変重要だというふうに考えます。  また、御指摘がありましたように、インバウンドのお客様、総合戦略では宿泊者数倍増という目標を立てているわけであります。日本の文化、そして長野県の文化を求めて多くのお客さんにお越しいただく環境をつくるということも大変重要だというふうに考えております。  こうした観点で、平成28年度予算編成、今検討を始めているところでございますけれども、長野県全体の文化芸術のさらなる振興のため、文化振興元年初年度の今年度の取り組みも検証しながら、文化振興基金を活用した事業の拡充も視野に入れて検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)子どもを性被害から守るための条例の制定について伺います。  最近のインターネットを取り巻く環境の進化は著しく、ガラケーさえ十分に使いこなせない私にはスマートフォンに乗りかえるなどは夢のまた夢、そんな私がこれからの質問をするということにいささか気が引けますが、事が次代を担う子供たちの健全育成に強くかかわることでありますので御理解をください。  11月5日に、心の支援課から「平成27年度インターネットについてのアンケート調査結果について」という資料が発表されました。この調査は、児童生徒の学校の授業以外におけるインターネットの利用実態と保護者の意識を把握し、児童生徒への指導や保護者への啓発活動推進の参考に資するために実施したとのことです。調査対象機器は、携帯電話、スマートフォン、メディアプレーヤー、ゲーム機、タブレットを含むパソコンとのことです。  調査結果の一部を申し上げますと、インターネットを利用できる機器の使用を開始した時期は小学校4年から6年生の割合が最も多い、機器の自宅以外の使用場所については子供の実態と保護者の認識に大きな差がある、多くの機能において子供たちは保護者の認識以上にインターネットの機能を利用しているなど、問題点がアンケートから浮かび上がっております。  このアンケートの結果をどのように考え、今後の対策にどのように利用していくお考えか。県民文化部長にお伺いをいたします。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)インターネットについてのアンケート結果についてのお尋ねでございます。  県教育委員会のアンケート調査結果からは、議員からもお話がございましたが、保護者の認識以上に子供たちがスマホ等の情報通信機器を長時間使用していることや、保護者との約束事について約束事はないと回答したのは子供が保護者を大きく上回るなど、子供たちの実態と保護者の認識に大きな差がございます。また、保護者の7割以上の方が保護者向けの学習会が必要だと思うというような回答も寄せられているところでございます。  こうした調査結果を受けまして、県PTA連合会、県高等学校PTA連合会と県教育委員会では、去る11月26日に、大人が子供のインターネット利用の実態や子供への指導方法を知るとともに、学校、PTA、地域等が連携しまして、子供と話し合いながらインターネットを利用できる機器の使用にかかわるルールづくりの推進を呼びかける共同メッセージを発出したというふうに承知をしているところでございます。  また、これまでも、保護者向けの学習会という面では、長野県青少年育成県民会議では保護者等を対象にインターネットの適正利用を学ぶセイフネット講座を開催してきてございますが、平成26年度におきましては1万5,000人の方、今年度は11月末現在で7,000人を超える方々が受講していただいている状況でございます。  さらに、子供たちが危険を察知し回避する力の育成も非常に重要でございますので、県教育委員会におきましては子どもの性被害防止教育キャラバン隊を高校等へ10月末までに75校に派遣している、そのような取り組みをしていただいているところでございます。  これらに加えまして、ことし10月には、学校、PTA、携帯電話事業者、販売店等、官民協働によりまして青少年インターネット適正利用推進協議会を設置をさせていただいたところでございます。  こうした課題につきましては常に時代に適応した見直しが必要でございます。今後もこれらの皆様方とともに取り組みを検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)飯山市においても、平成25年度に児童・生徒の情報通信機器の使用に関するアンケートが校長会により行われました。その傾向と課題として、ゲーム機、携帯音楽プレーヤーは小中学生の90%以上が持っている、それを通じて知らない相手とのやりとりも日常的に行われている、インターネットを通じてLINE、ツイッター、フェイスブックなどへのアクセスを行い、チャット、メールなどを不特定多数の人と行っている例も少なくない、携帯電話からよりも、ゲーム機、携帯音楽プレーヤーからのLINE、ツイッター、フェイスブックなどへのアクセスが多い、このことは親が知らない状況にあると思われるといった事例があるとされています。  そして、「保護者のみなさまへのお願い」として、「子どもたちの携帯電話、インターネット、ゲーム機、携帯音楽プレーヤーの使用がこのような状況になっていることを、十分に認識してください。インターネットで知り合った相手に呼び出され小・中学生が痛ましい犯罪にまきこまれる事件が全国で多発しています。」などのお願いを記載し、子供とのコミュニケーションを深め、インターネットの危険から守るよう呼びかけております。  この結果は青少年育成補導センターだよりとして飯山市内の全戸に配布をされておりますが、このような取り組みは決して飯山市独自のものではなく、県内の多くの自治体でも実施されていることと思います。このように、地域の取り組みが県民運動として子供たちを危険から守ってきた、これは長野県が全国に誇れるすばらしい活動であったのではないかと考えております。  従来から長野県において行ってきた青少年健全育成の県民ぐるみの運動をどのように評価し、しかし、どのように問題があり、これからどのように進めていくのか。県民文化部長に伺います。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)青少年健全育成県民運動についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、本県の青少年健全育成の取り組みにつきましては地域ぐるみの県民運動として取り組んでまいりまして、有害図書類の自動販売機の撤去など大きな成果を上げてきたものと認識してございまして、このことは全国に誇り得るべきものと認識をしているところでございます。  しかしながら、大人のモラル低下でございますとか、インターネット、携帯電話等の情報通信機器等の飛躍的な発展、普及など青少年を取り巻く環境は大きく変化をしてきてございまして、これまでの県民運動は青少年の有害環境排除の観点での取り組みがどちらかといえば主体でございまして、こうした社会環境の変化により的確に対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。  こうしたことから、先ほど申し上げましたように、インターネットの適正利用を保護者等が学ぶセイフネット講座や、大人の皆さん方が地域で子供たちを見守るという意味では、信州あいさつ運動の全県的な展開、さらには青少年育成県民会議の組織体制の強化でございますとか、地域で青少年健全育成の実動部隊となっていただきます青少年サポーターの募集等に努めてきたところでございます。  今後も本県の青少年健全育成は県民運動が基本だというふうに認識してございます。関係団体の皆さんとしっかりと連携を図りながら、県民運動のさらなる充実に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔42番宮本衡司君登壇〕 ◆42番(宮本衡司 君)被害に遭わないようにこういうことに気をつけようね、それだけで済むのなら問題への対応は比較的容易なのかもしれません。  ことしの3月に開催された第2回子どもを性被害から守るための条例のモデル検討会に警察本部から提出された「平成25年・26年中における17事例説明資料」によりますと、児童の相手は20歳代から40歳代まで、県外、住居不詳が3名で、残りの14名が県内となっています。  説明資料を1件ずつ見た私は、思わず考え込んでしまいました。LINEやチャットで知り合った相手に軽い気持ちで送信し、その結果、性交の求めを断り切れなくなったとか、相手が暴力団関係者であり応じてしまったなどということだそうです。  みずからの意に沿わない性交渉は断固拒否するという教育を子供たちにすることは重要ですが、果たしてどこまで現実的なことでしょうか。子供や保護者に理解を求めるという予防的行為だけでなく、大人の側にも一定の規制を求めることが必要と考えます。  知事は、提案説明の中で、さらに県民と対話を行い、来年2月定例会までに条例に関する基本的な方針を取りまとめた上で、県議会で十分な議論ができるよう取り組むと表明をされました。期限を定めることは大変ではありますが必要なことと考えます。  幾ら地域での活動や県民運動を活発化したとしても、特に悪意を持った人たちには届きにくいという限界があります。しかも、子供たちは未知の領域に対しては興味と好奇心を持って積極的に踏み込んでいきます。これは若者の特権であり、妨げることは慎重に行うべきでありますが、事今回の件については、保護者を初めとする周囲の人たちの認識以上にインターネットの機能を探り当て、利用してしまうという現実があり、それが性被害に遭う引き金となっております。  私は、信州の子供たちを性被害から守るために条例を制定するという方向で取り組んでいただきたいと願う者の一人であります。知事の決意を改めて伺い、全ての質問を終わります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)子供を性被害から守るための取り組み、私の条例に関する決意という御質問でございます。  まず、基本は、性被害を受けることによって現実に精神的、肉体的に大きな痛手を負っている子供たち、あるいは子供のころのそうした性被害で大人になってからも悩んでいる方々がいらっしゃる、こういう現実に私たちはまず正面から向き合わなければいけないだろうというふうに思っております。  専門委員会での御議論をさまざましていただく中で、報告を受けて、できることはまずしっかりやっていこうということで取り組みをスタートさせていただいております。子供を性被害から守るための予防教育、あるいは被害者支援、そして県民運動の活性化、こうしたことをしっかりと取り組んでいくということが重要だというふうに思っております。  他方で、条例については、長野県、いわゆる青少年保護育成条例を持たずに青少年の育成に取り組んできた県であります。これまで、こうした検討の場で、条例、検討の俎上にのせてこなかった部分があるわけでありますが、私としては、今日的な状況を考えれば、条例についても排除することなく検討する必要があるだろうということで、これまで、専門委員会の中の御意見、あるいは県民会議の皆様方の御意見の中にも条例ということが出されてきている状況であります。  今後、私としては、これまでも県民の皆様方と対話を行ってきましたが、さらに若者も含めて対話を行っていきたいというふうに思っております。今回の条例のモデルをベースとしつつ、どのような内容の条例であれば幅広い県民の皆様の御理解をいただくことができるのか見きわめていきたいと考えております。その上で、2月県議会定例会までには条例に関する基本的な方針を取りまとめてまいる考えでございます。  以上でございます。 ○議長(西沢正隆 君)次に、寺沢功希議員。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)松本市から新潟県糸魚川市に至る延長約100キロメートルの地域高規格道路松本糸魚川連絡道路、広域的な交流、連携、また、北アルプスの雄大な山々や日本海の海洋リゾートなど観光資源の豊かな地域を結ぶ広域観光ルートとして期待されており、さらには、緊急時、災害時の利用の点から命の道路と表現される方もおられます。  そこで、建設部長にお聞きします。  平成6年に候補路線指定がされ、その後、起点及び計画ルートの変更等紆余曲折があり、平成23年、仮称安曇野北インターチェンジを起点とし、高瀬川右岸道路に接続する安曇野地域の概略ルート案が公表され、安曇野地域の住民説明会の開催と同時にパブリックコメントが実施されました。  その後、公の発表がありませんが、計画の進捗状況をお答えください。       〔建設部長奥村康博君登壇〕
    ◎建設部長(奥村康博 君)松本糸魚川連絡道路の計画の進捗状況についてのお尋ねでございます。  昨年度来、長野道から大町市街地南の間において、起点部は犀川下流寄りのBルートを基本としつつ、20年と23年にお示しした案とそれに対する御意見を踏まえた検討を実施してきております。  具体的には、設計速度が時速60キロメートルと80キロメートル、ルートも高瀬川の右岸と左岸という各ケースについて再検証し、地域高規格道路としての事業化が可能となり得る道路計画案を作成してきたところでございます。  現在、この計画案に関しまして国土交通省及び東日本高速道路株式会社等との協議を実施中であり、一定の理解が得られ次第、関係する市町村にお示しする予定としております。  以上でございます。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)本年6月、松本市で開催された松本糸魚川連絡道路建設促進期成同盟会の総会において、県側から、現在検討中である安曇野地域の概略ルート案、Aルート、Bルートのうちどちらかをことしじゅうに決定し公表するという趣旨の発言がありました。  そこで、建設部長にお聞きします。  12月に入り、ことしも残すところ1カ月を切りましたが、県としての方針はお決まりになったのでしょうか。もしお決まりでしたらこの場で発表していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)次に、公表しようとする方針の内容についてのお尋ねでございます。  道路計画の案につきましては、先ほど申し上げましたとおり、現在、国等と協議中でございます。今後、関係する市町村に計画案をお示しするとともに、公表内容についても御相談し、その上で地域の皆様に御説明してまいりたいと考えております。  したがいまして、現段階でその内容をお示しすることはできませんが、早期の公表を目指してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)早期の公表を目標にとおっしゃられましたが、残すところ平日で数えてあと17日程度しかありません。再度、細かいスケジュール、市町村への連絡はいつになるのか、また県民への発表はいつになるのか。改めて再度建設部長にお聞きします。  続いて、現道の整備状況を考慮し、現在の計画ルートを見たとき、優先順位としては、起点の決定及び付近の整備というより、まずは大町以北の整備に早急に取り組むべきだと考えます。  そこで、建設部長にお聞きします。  今後の計画の進め方についてはどのようにお考えでしょうか。また、スケジュールについてもあわせてお答えください。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)公表時期についての再度のお尋ねでございます。  先ほど申し上げましたとおり、現在、国等と協議を行っているところでございますので、協議が調いました後、関係する市町村に対して公表方法についても御相談し、その上で地域の皆様に御説明してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、県としては早期の公表を目指して努力してまいりたいと考えております。  次に、県内ルート全体の整備の進め方についてのお尋ねでございます。  本年10月、沿線の市町村、市町村議会並びに商工会で構成される本路線の期成同盟会から、仮称安曇野北インターから大町市街地南間、糸魚川市内の西中地区及び小谷村雨中地区を優先的に取り組むことという御要望をいただいております。  もとより、松本糸魚川連絡道路は高規格幹線道路網を補完する地域高規格道路でございますので、整備効果を発現させるためには高速道路との接続が不可欠でございます。この点からも起点部の整備を最優先と捉え、地域の合意をいただいた上で早期の事業化を目指してまいります。  一方で、大町市以北の整備も重要と認識しております。昨年度、権限代行によりまして小谷道路が完了したほか、平成23年度から小谷村雨中バイパス、また本年度から白馬村通の改築事業に取り組んでおりまして、国道148号の機能強化という観点からも整備を進めてまいります。  以上でございます。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)計画のさらに細かい点についてお聞きしたいこともございますが、それにつきましては後日委員会におきまして再度質問させていただくことにいたしまして、次の質問に移らさせていただきます。  続いて、去る10月1日に来年度の公立学校教員採用選考の2次選考合格者が発表され、教員の異動についての検討が本格化する時期になりました。  教育委員会では、平成28年度採用教員から、自宅など生活基盤がある本拠地やその周辺地域での勤務をふやす方針を決定するなど改革が行われております。  そこで、教育長にお聞きします。  現在、教員の異動、特に中学校においてはどのような要件が考慮され赴任先が決定されているのでしょうか。お答えください。       〔教育委員会教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊藤学司 君)教員の人事異動方針についてのお尋ねでございます。  教員の人事異動につきましては、全県的な教育水準の向上を期すとともに、各学校の課題解決に資するよう、校長の希望を踏まえ、適材を適所に配置することを基本に人事異動方針にのっとって行っているところでございます。  具体的には、中学校においては、教科担任制をとっていることから、各教科の担当教員を確実に配置することを最優先としつつ、異動対象となる教員の資質、能力や、当該校の在職年数、担任や学年主任などの経験業務、居住地やこれまでの赴任地、学校全体の年齢構成等さまざまな事情を考慮し、適切な学校運営ができるように決定しているところでございます。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)部活動の成績のよしあしは、指導者、顧問によるところが非常に大きいわけであります。中学校の現状をお聞きする中で、その種目の経験がないにもかかわらず顧問についている例が多々あるようです。これは運動部に限らず、経験がないのに音楽の教師という理由で合唱部の顧問についたり、楽器の経験がないのに吹奏楽の顧問についている例もあるようです。  子供たちは、この中学時代のわずか3年間の部活動に自分の夢、可能性をかけています。それを当たり外れの一言で片づけてしまうのは余りにもかわいそうです。また、将来のダイヤモンドの原石を見過ごしてしまっている可能性もあるのです。さらに、運動部においては、未経験者の顧問のもとでは事故が起きる可能性が非常に高くなると思われます。  そこで、教育長にお聞きします。  中学校の教員の異動、赴任先の決定に際して、部活動の顧問に関する経験も考慮する条件に加えていただけないでしょうか。また、顧問につく経験者、適任者がいない場合に、外部講師を起用できるような予算を含めた環境整備をお願いできないでしょうか。お答えをお願いいたします。       〔教育委員会教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊藤学司 君)教員の人事異動における部活動顧問の経験についてのお尋ねでございますが、まず、先ほど申し上げましたとおり、教員の人事については校長の学校運営上の課題に即した人事構想に基づく希望を踏まえて行っているものであり、部活動の指導者につきましても、学校運営上の諸課題の一つとし、当該校における部活動をめぐる課題や学校としての運営方針等に基づきまして、その学校が求める教員の資質や能力、全体を踏まえながら、県全体の中で適材を適所に配置しているところでございます。  次に、部活動における外部指導者の起用についてのお尋ねでございますが、少子化に伴い学校の小規模化が進む中で、教員のみでは十分な指導ができる顧問の確保が難しくなってきてございます。こうした中、学校では、教員のみならず、地域のスポーツ指導者や保護者など地域の皆様の協力を得ながら部活動の指導を行う取り組みが始まってきているところでございます。  また、県教育委員会といたしましても外部指導者の活用を推進しており、運動部活動におけるトップアスリートやアスレチックトレーナーの派遣事業のほか、外部指導者に対する研修会を開催し支援してきているところでございます。  こうした取り組みにより、例えば運動部活動では188校中158校の中学校において何らかの形で外部指導者を活用しているところでございますが、今後とも、外部指導者活用の支援や信州型コミュニティスクールの推進による地域人材の協力体制の構築によって中学校における外部指導者の活用が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)部活動のあり方について昨今さまざまな議論がなされております。県の施策の中にも将来の有力選手を育てる事業も幾つかあるわけであります。子供たちのあらゆる可能性を潰すことのないよう、10代というわずかな期間を有意義に、また格差のないように県として対応していただくことをお願いいたしまして、次の質問に移らさせていただきます。  朝の通勤時間帯、信じられないスピードで住宅街、通学中の子供たちの横を通り抜ける車を目にすることがあります。通学中の子供の列に車が突っ込んだといった悲しいニュースも、残念ながら珍しくないことです。  そこで、教育長にお聞きします。  県内の分校1校を含めた公立小学校全368校の中には、最も子供たちが集中する校門に接する道路に歩道が設置されていない学校もあります。学校周辺における子供たちの通学を取り巻く環境について、市町村の管轄範囲かと思いますが、県としてはどの程度把握され、またどのように対応されておられるのでしょうか。  また、警察本部長にお聞きします。  同じく県内の公立小学校のうち、周辺道路に自動車の進入禁止が設定されている学校はどのぐらいあるのでしょうか。お答えください。       〔教育委員会教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊藤学司 君)県内の子供たちの通学環境についてのお尋ねにお答えを申し上げます。  平成24年4月に、京都府において、通学中の児童等の列に車が突っ込んで10人が死傷するという痛ましい事故が連続して発生したことを受け、小学校の通学路について、全国一斉に、市町村教育委員会、警察、道路管理者等による緊急合同点検が実施をされました。  この調査において本県では2,091カ所について何らかの安全対策が必要であることが確認され、この結果を踏まえ、歩道や信号の新設、ゾーン30による速度規制、また地域住民による登下校の見守りなど、所管する機関がそれぞれ計画的に安全対策を推進しているところでございます。  小学校の通学路の安全確保につきましては、市町村教育委員会に対し、通学路の交通安全の確保に向けた取り組みの基本的方針を策定するとともに、学校、PTA、警察、道路管理者などを含む関係機関が定期的に協議するなど、継続して取り組みを求めているところでございます。  通学路における児童生徒の悲惨な交通事故をなくすため、市町村教育委員会や関係部局等と緊密に連携を図るほか、学校における指導力の向上にも努め、通学路の安全確保を推進してまいる所存でございます。       〔警察本部長尾﨑徹君登壇〕 ◎警察本部長(尾﨑徹 君)御質問の県内の小学校の校門に接する道路における交通規制の実施状況についてお答えいたします。  通学路の交通規制につきましては、一般的に、通学時間帯等に車両の通行を禁止する歩行者用道路や車両通行どめ等の交通規制により車両の進入を禁止しているところでございまして、平成27年11月末現在で、校門に接する道路についてこれらの交通規制が行われている小学校は40校ございます。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)通学路の安全対策として歩道の設置は必要不可欠です。しかし、平成25年9月の京都府八幡市での事故など、歩道を登校中の子供たちが犠牲になることも多く、決して歩道イコール安全ということが言えない時代になってきています。歩道があるがゆえに、運転者は安心し、よりスピードを出してしまうと指摘する専門家もおられます。  そこで、警察本部長にお聞きします。  子供たちにとって、車が通らないこと以上の安全はありません。それは現実的に不可能なことではありますが、せめて子供たちが最も集中する校門に接する道路だけでも、登校時間帯に限り、時間帯別自動車進入禁止の規制がかけられれば安全性は向上します。  しかし、この規制をかけるためには、交差点から交差点の区間、沿線住民の同意、沿線に不特定多数の方が利用する施設がある場合は全利用者の同意ほかさまざまな条件があり、また非常にハードルが高いものであると聞いております。  そこで、学校に接する道路に限ってこの条件の緩和はできないものでしょうか。お答えをお願いいたします。       〔警察本部長尾﨑徹君登壇〕 ◎警察本部長(尾﨑徹 君)小学校の校門に接する道路における交通規制の条件についてお答えいたします。  小学校の通学路における通行禁止等の交通規制に関しましては、個別に道路環境等の交通実態を把握した上で、学校関係者や沿線住民の意見、要望を踏まえ、規制を実施して車両の通行を禁止しているところでございます。これは一般的な交通規制と同様で、小学校の通学路における交通規制に特別な条件を設定しているわけではございません。  警察といたしましては、子供の通学路の安全を確保することは極めて重要であると認識しているところでございますけれども、その一方で、通行禁止を行うことによって不利益が生じる沿線住民の方々の意見、要望も十分に考慮して交通規制を実施することも必要であると考えております。  実際に通学路における交通規制を行う場合は、通学児童の安全確保の観点から比較的沿線住民の賛同が得られやすい傾向でございます。  今後も必要な場所に交通規制を実施し、通学路における児童の安全を確保してまいりたいと考えております。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)先ほどの教育長の答弁の中にもありましたが、ここ数年、通学路にゾーン30を設定する地域がふえております。また、このゾーン30を設定する際は、設定エリアへの進入路全てに区域規制標識の設置、道路面への表示、グリーンベルトの設置など、かなりの費用がかかるようです。  そこで、警察本部長にお聞きします。  このゾーン30を設定した地域においては実際効果が出ているのでしょうか。また、エリア内においては時速30キロメートルの速度規制が適用されるわけですが、そもそも、設定される区域が住宅街であり、生活道路のため、広い場所が確保できないという理由から速度違反の取り締まりが行われていないというのが実情のようです。  抜け道として通行する行為の抑制を図ることが目的でありますが、実際取り締まりが行われない状況で、エリアを設定し、標識の設置、路面への表示をすることが運転者に対して抑止力となるのでしょうか。取り締まりが行えないのであれば、せめて、エリア内に立ち、監視する等の対応が必要ではないかと思いますが、お考えをお聞かせください。       〔警察本部長尾﨑徹君登壇〕 ◎警察本部長(尾﨑徹 君)ゾーン30に関連して2点お答えいたします。  最初に、ゾーン30の整備効果でございますけれども、ゾーン30の整備につきましては、生活道路等における歩行者保護、被害軽減の観点から、原則、最高速度30キロ規制を基準とした面的なゾーン30規制を整備しているところでございます。  ゾーン30の整備効果でありますけれども、平成24年度に県下で整備した区域において整備前6カ月間と整備後6カ月間において人身交通事故の発生件数が約66%減少しており、平成25年度中に整備した箇所においても50%の減少でございまして、著しい速度超過に起因する交通事故の発生はなく、速度抑制による一定の効果が図られているものと判断しております。  こうしたことから、県下におきましては平成27年3月末現在で県下45区域において導入しております。  また、本年度も新たに15区域において整備する予定でございます。  続きまして、ゾーン30区域内の取り締まりの関係でございますけれども、ゾーン30の設定は、議員御指摘のとおり、生活道路等の歩行者優先や通過交通の抑制を基本的な目的として、その対策は区域内の速度規制と道路管理者による狭窄や植栽などの物理的デバイスによって速度抑制を図るものでございます。  ゾーン30に指定されている区域は小中学校等の周辺または生活道路を含む区域を優先的に設定しておりますことから、警察としましては、区域内での通行禁止、横断歩行者妨害、一時停止違反等の交通指導取り締まりを実施しているほか、毎月複数回の県下一斉の通学路取り締まり強化日を設けて取り締まりを実施しているところでございます。  今後も、引き続き、通学児童生徒の安全確保を図るため、通学路における街頭活動を強化してまいります。  以上でございます。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)平成24年度に、教育委員会、学校、PTA、警察、道路管理者等により通学路の緊急合同点検が実施されました。  そこで、建設部長にお聞きします。  しあわせ信州創造プランでは、平成24年に46%であった通学路の安全対策着手率を平成29年に100%にすると記載されておりますが、現在までの状況をお聞かせください。  また、現在の完了率と、完了率100%達成はいつごろになると見込まれておりますでしょうか。さらに、道路環境が日々変化する中、今後、再度合同点検を行う予定はありますでしょうか。お答えをお願いいたします。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)通学路の安全対策についてのお尋ねでございます。  しあわせ信州創造プランに位置づけております要対策箇所に対する通学路安全対策着手率につきましては、平成27年度中には目標の約9割に当たる485カ所の対策に着手し、約7割に当たる401カ所の対策が完了する予定となっております。  平成29年度には目標の546カ所全ての箇所について着手し、着手率は100%になる予定です。
     全箇所の完了につきましては、用地取得等時間を要する箇所もあり、平成33年度末となる見込みでございます。  一斉の合同点検につきましては当面実施する予定はございませんが、通学路ごとの道路環境の変化に対しましては、地域の実情にあわせ個別に点検、対策を行うなど、今後とも柔軟に対応してまいります。  引き続き、警察や学校関係者、地元の皆様と連携し、通学路の安全対策を重点的に進めてまいります。  以上でございます。       〔3番寺沢功希君登壇〕 ◆3番(寺沢功希 君)車を運転していると子供たちがいて危ないから歩道をつくってほしいといった、まるで子供たちを邪魔者扱い、邪魔者を横に追いやるような考えの方もおられるのも現実であります。  誰を主として考えるのか、誰が弱者なのかということを改めて考え、何か事故が起きたときに、もっと早く対応しておけばなどと決して後悔しない環境整備をお願いいたしまして、私からの全ての質問を終わらせていただきます。 ○議長(西沢正隆 君)次に、小池久長議員。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)貧困に苦しむひとり親家庭を地方で受け入れて支援する試みに長野県が乗り出すこととなりました。都道府県では初の取り組みで、対象は収入が少ない母子家庭が中心になると見られ、移住や就職、育児、教育の支援を行う。貧困の連鎖解消に加え、地方側も子供世代の定住を含め人口の社会増が期待できるわけです。  報道によれば、地方の移住支援はどちらかというと若者や定年後のふるさとへのUターンなどが主軸で、観光振興による雇用の創出など稼げる自治体の側面が強調されがちでありますが、本県では、社会増への転換、未来を担う人材の定着の施策としてひとり親家庭の移住支援を盛り込むとしております。  具体的には、移住セミナーの開催、住居などの支援、就職支援、育児環境の整備、ICT活用などによる良好な教育環境の提供などを実施。さらに、安定した家庭構築による貧困からの脱出を促す観点から再婚支援も検討する。  県内では王滝村が総合戦略に盛り込むべく検討しており、県はこれらの市町村や関係団体などと連携していくとしております。  総合戦略の「具体的な施策展開」として、「市町村や関係団体と連携し、ひとり親家庭への支援サービスに関する移住セミナーの開催や円滑な定住の支援等により、ひとり親家庭の移住を支援します。」という項目がありますが、なぜこの施策を総合戦略に位置づけたのか。その目的を伺います。  先日、速報が公表となりましたひとり親家庭実態調査においてひとり親家庭の実態が明らかになりましたが、移住推進の前提としてまずはひとり親家庭への支援が重要と考えます。県としてひとり親家庭への支援をどのように進めていくのか。重ねて県民文化部長にお尋ねをいたします。  本県の高校生の県外大学への流出率は82.6%で全国6番目に多く、県内大学の収容力は16.3%で全国45位、県外大学への進学による仕送りなどの長野県の経済的損失は年間約501億円、総額で全国で3番目、県民所得比で0.83%と全国2番目に損失が多い県となっております。  日本学生支援機構の調査によると、大学生で下宿、アパートに居住した場合の支出額は全国平均で年間約216万円となっています。所得が低迷する中、家計にとって極めて大きな負担であるわけです。  また、長野県経済研究所の調査でも、仮に大学生を持つ親がこうした費用を全て仕送りにより負担したと仮定して簡略に計算しても、県全体の流出額だけをとると年間で約700億円という大変大きな金額になるわけです。これは、長野県の名目GDP(2007年度)に換算すれば全体の0.8%にも及ぶとしています。GDP成長率が1%を維持できるかどうかといった現状の厳しい景気の環境下で、GDPの0.8%を生み出すことは至難のわざといえます。長野県は毎年こうした多くの所得が県外へ流出しているわけでございます。  また、日本政策金融公庫調べでは、世帯年収に占める在学費用の割合は平均17%となっており、年収が低い世帯ほど負担は重くなり、200万円以上400万円未満の層では何と年収の約4割を教育費が占めている現実は重い。  ただ、教育への投資は広い意味で将来への長期投資と捉えることもできます。高度な教育を受けた学生が一人でも多く長野県に戻り、将来的には地域を支える人材となることも忘れてはならないことも事実ではありますが、県内の高校卒業者が県内大学に進学することは県内産業を支える人材の確保や人口定着につながり、全国大学生協協同組合連合会の試算にも示されたとおり、保護者や学生の経済負担の面からも、年間約72万円、自宅から通学できるメリットは大きいわけです。  知の拠点としての大学の存在は産業や地域振興にとって不可欠であるし、県内大学にはまだまだ潜在的な収容能力や多様な学びを構築する伸び代もあり、県内にある九つの大学が発展していくことは大変重要であると考えますし、そのために県内外から多くの学生に県内大学に進学してもらい、教育県長野の牽引や一翼を担ってもらうことは、本県の重要施策でもあります。  そこで、県民文化部長にお尋ねします。  県外への流出率が高い要因はどこにあると考えていますか。また、県内外から本県の大学への進学者を増加させるための情報発信として県はどのような取り組みを行っているのか。あわせてお聞きします。  阿部知事にお尋ねをいたします。  県内高校生の進学に当たって魅力ある選択肢として県内大学が存在し、また県外学生に選ばれる大学として発展していくために、特に私立大学に対し県はどのような支援をしていくのか。お尋ねをいたします。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)まず、ひとり親家庭の移住施策についての総合戦略への位置づけについてのお尋ねでございます。  お話にございましたように、10月に策定いたしました総合戦略におきましては、社会増への転換の施策の一つといたしましてひとり親家庭の移住支援を記載したところでございます。  ひとり親家庭が有する課題というものは全国共通の課題ではございます。これに向けてしっかりと向き合っていくことが大変大事でございますし、その上でも長野県の強みを生かしてこの課題解決に向き合っていくということが必要であるというふうに認識をしているところでございます。  そうした観点に立ちまして、ひとり親家庭の移住そのものにつきましては、受け入れ側の地域にとりましては、いわゆる生産年齢世代とそれから子供世代の両世代の人口が増加をし、学校の児童生徒の確保でございますとか、その地域で不足している人材の確保、担い手の確保につながるなど、地域の活性化が期待できるという側面があろうというふうに考えてございます。  御質問にもございましたように、実際の移住促進に当たりましては市町村の取り組みとの連携が大変重要になってくるわけでございますが、例えば王滝村におきましては、子育て環境を生かして、ひとり親家庭を初め子育て世代の誘致を村の総合戦略に位置づけるよう検討中とお聞きしているところでございます。  先ほど長野県の強みと申し上げましたけれども、豊かな自然環境の中での子育てを望みますひとり親家庭にとりましては、地域のつながりも比較的強く、生活コストも相対的に安い長野県への移住はある意味優位性を持つというふうに考えているところでございます。  それから、ひとり親家庭への支援の進め方というお尋ねでございますけれども、ひとり親家庭は生計の維持と子供の養育という二つの役割を1人で担うことから経済的、精神的に不安定な状態に置かれがちでございまして、行政としてもニーズに即した各種支援に努めてきたところでございます。  子育てとの両立のための制約が大きい就業につきましては、就業支援員による相談等の支援を初め、資格取得に向けました講習会の開催や給付金事業などを実施をしてまいります。そのほか、母子・父子自立支援員による相談業務、保育料軽減を初めとした子育て支援策などにより、ひとり親家庭支援を行っているところでございます。  議員から御指摘のありましたひとり親家庭実態調査は、一定の所得以下のひとり親家庭に支給となります児童扶養手当受給資格者に対しまして無記名アンケート方式で調査を行ったものでございますが、こうした調査結果も参考にしながら、母子・父子自立支援員を初めとしました相談機能のワンストップ化でございますとか、学習支援、居場所づくり事業の充実の検討を進めてまいりたいというふうに考えてございますが、一方、国に対しましても、児童扶養手当や給付型の奨学金の拡充について働きかけを行うなど、ひとり親家庭に対する子育てや就業支援、子供支援等の充実を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  続きまして、魅力ある長野県の高等教育の関係で県外への流出率が高い要因というお尋ねでございます。  本県では、平成22年度でございますが、県内の高校生と県民約4,000人を対象といたしました長野県の大学教育に関するアンケートを実施してございますが、その結果によりますと、大学進学を希望する高校生の進学希望地域は、県内が25.6%に対しまして県外が73.4%となってございます。  高校生が県外への進学を希望する理由といたしましては、県内に進学したい大学や希望する学部・学科がないことが上位を占めております。また、次に多かった回答としましては、親元を離れて暮らしてみたい、都会で暮らしてみたいというものでございました。  長野県におきましては、18歳人口に対する県内大学の入学者数の割合でございます大学の収容力、これが16.3%で全国第45位という最低水準でございます。県内に進学先となる大学の選択肢が少ないことが大きな要因と考えているところでございます。  加えまして、本県は多くの大学が集中いたします東京圏や中京圏に距離的にも近いことから、アンケート結果に見られるような高校生の意識を反映しまして県外への進学者が多いものと考えているところでございます。  県内大学の情報の発信についてでございます。  県内大学への進学者を増加させるためには、その魅力を県内外に発信していくことが大変重要でございます。県では、昨年度から、「信州で学ぼう!大学発信事業」としまして、県内9大学の連携組織でございます高等教育コンソーシアム信州が行います、例えばウエブコンテンツによる広報でございますとか小冊子の作成でございますとか、県内高校生の関心を高める取り組みを支援してまいりました。  また、昨年度後半からは信州で学ぶ魅力大発見事業を実施してございまして、関東地方や北陸地方を中心としまして県外への魅力発信にも取り組んできているところでございます。  さらに、今月から大都市圏から信州の学び舎へ進学者拡大事業を開始する予定でございまして、この事業では、山手線の車体広告でございますとか、北陸新幹線、「あずさ」、「しなの」における車内広告を行いますほか、LINEなどのSNSを活用した情報発信、それから、東京、名古屋、大阪におけるイベント開催などを行いまして、県内大学、短期大学、専門学校など高等教育機関の魅力発信はもちろんのこと、県内で特色ある学びの場を提供しております高校でございますとか、山村留学、信州型自然保育など長野県の魅力ある学びの場を東京、名古屋、大阪に向けて発信していく予定でございます。  今後もさまざまな切り口で県内での学びの魅力を周知いたしまして県内大学への進学者の増加を図ってまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私立大学に対する支援についての御質問でございます。  私も、地方創生を進める上でも高等教育の振興が極めて重要だというふうに考え、今回の総合戦略の中でもしっかり位置づけさせていただいているところでございます。  県内の私立大学に対する支援としては、先ほど県民文化部長から御答弁したような、まず県内外に対しての情報発信で入学者を拡大していこうというふうに取り組んでおりますが、加えて、昨年度からこれはスタートしていますけれども、大学・地域連携事業補助金によりまして地域と大学が連携する支援を県が行っているところでございます。また、信州産学官ひとづくりコンソーシアム、ことしの7月設置したわけでありますけれども、インターンシップの充実による学生の県内就職促進のための取り組みを実施するということで、インターンシップ受け入れ企業の発掘等の取り組みを本年度中に開始をしてまいります。  また、こうしたことに加えて、私立大学、それぞれ個性と特徴があるわけであります。その魅力をさらに向上、発展させていただく支援ということも必要だと考えております。例えば諏訪東京理科大学、公立大学法人化の検討が行われているところでございますが、県としても、茅野市あるいは学校法人東京理科大学と諏訪地域の市町村で行われております協議に積極的に参加して、大学のあり方、支援内容についてともに検討するという状況でございます。  今後とも、それぞれの私立大学の個性や特色を生かしながらさらに発展していただくことができますよう、県としても一緒になって取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)先ほどの県民文化部長の答弁の中で、アンケートの中で県内に進学したい大学なのか学部なのか、そういったものがないということが一番の要因でありました。このことが今後の長野県の高等教育を支える意味で重要なことなんだろうというふうに私は理解しますが、もう一度、阿部知事のほうから、県内に進学したい大学なり学部がないということに県はどのように支援をして手だてをしていくのか、どういうふうに現実に向き合っていくのか、答弁をお願いをしたいと思います。  消防団は、平成25年12月に制定されました、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律の中で「将来にわたり地域防災力の中核として欠くことのできない代替性のない存在」と規定されているように、地域の安全、安心を確保するためになくてはならないものであります。一方で、10年前には全県で4万人いた消防団員が現在は3万5,000人余りとなっており、団員が減少する傾向になかなか歯どめがかからないのが現状であります。  東京消防庁は、特別区学生消防団活動認証制度を導入し、1年以上真面目に活動した学生は継続的に活動し地域社会に多大な貢献をしたと書かれた消防総監名の証明書がもらえる。それをエントリーシートに添付したり採用面接に持参したり、自己PRに使う仕組みであります。学生からは、実際の効果はわからないけれども、ないよりはあったほうがいい、学生が消防団に入りやすい制度は大切だけど、採用する側にも制度を認知してもらい、実効性のあるものにしてほしいと話しているわけです。  秋田県大館市消防本部は、秋田看護福祉大学に協力を求め、13年度から、応急手当てや避難所運営といった後方支援に業務を限って学生に入団をしてもらっています。その効果もあり、13年4月1日時点の団員数は前年同期を3人上回り、14年も8人ふえ1,103人となりました。  消防庁の通達でも認証制度導入による就職支援の要請があり、市町村内の企業に対し本制度の周知や、特に自治体職員への採用を希望する者に対して採用時に能力及び適性を判断する際に参考として活用することを検討することとしています。  このような取り組みが進む中、本県においても、県内の大学や専門校に通う学生が今後地域の担い手として長野県の発展のために活動する存在となることを期待する中で、地域の安全、安心を守る消防団活動への参加は、地域の愛着を深め、社会への関心を深める上で大変意義深いものと考えます。  また、男女共同参画社会の中で、女性が消防団活動に積極的にかかわっていただくことは災害対応や日ごろの消防団活動の多様性につながるものであり、大変重要なことだと認識しています。  そこで、危機管理部長にお尋ねします。  学生が消防団で活動することを促進するために県としてどのように取り組むと考えているのか。また、女性消防団員は年々増加していると聞いておりますが、県として女性の入団促進に向けてどのように取り組んでいるのか。お尋ねをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)高等教育に関連して、先ほど県民文化部長の答弁の中で、県外進学を希望するというか、やむを得ず選択される高校生もいると思いますけれども、県内に進学したい大学や希望する学部・学科がないということが上位にあるという御答弁を申し上げました。それに関連して、どう取り組むのかという御質問でございます。  まず、長野県、今県立大学4年制化ということで取り組んでいるわけでありまして、まさに今、安藤理事長予定者、金田一学長予定者、いろいろ工夫を凝らす中で県内の高校生に志望してもらえるような大学ということで大学づくりを進めているわけであります。  加えまして、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略の中でも、「知の集積と教育の充実」という中で魅力ある高等教育の充実ということを大変大きなテーマとして位置づけているところでございます。  幾つか申し上げれば、まず信州高等教育支援センター、これは仮称でございますけれども、高等教育の担当の部局、明確化させていただきましたけれども、さらに進んで高等教育全体をしっかり支援していくようなセンターを検討していきたいというふうに思っています。  そうした中で、学部・学科の再編等の改革に対する支援でありますとか、あるいは既存の県内大学にない学部・学科、あるいは実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関などの設置を支援しますということをこの総合戦略の中で位置づけているわけであります。  KPI(重要業績評価指標)としても、県内大学の収容力を高め、そして県内私立大学の定員充足率も上げていこうという方向を定めているわけでありますので、今後、総合戦略に基づいてしっかりと高等教育の振興支援、県として取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔危機管理監兼危機管理部長野池明登君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登 君)学生や女性の消防団活動への参加促進についてのお尋ねでございます。  消防団活動はみずからの地域はみずからで守るという住民自治の原点ともいうべきものでございまして、県の人口定着・確かな暮らし実現総合戦略でも、地域の活力確保を進める上で、消防団、重要な主体の一つと位置づけているところでございます。その活動を活性化するためには、特に将来の地域防災の担い手となる学生や多様な場面で活躍をする女性の参加が大変重要であると考えているところでございます。  まず、県内消防団における大学生等の団員でございますが、本年4月現在44人となっております。地域との関係を深め、多くの人々と交流をするという大変貴重な経験を得られることから、積極的に入団をしていただきたいと考えているところでございます。そのため、大学等が所在する市町村でも入団を呼びかけていただいておりますけれども、県でも、ことし1月に、県内各地の大学を訪問をして、消防団への入団促進の協力を要請をさせていただいたところでございます。  また、御質問にもございましたけれども、消防庁では消防団活動を実施した学生に対する就職活動支援の一環として、昨年、学生消防団活動認証制度を創設をいたしました。これは、学生団員が1年以上消防団活動したことを市町村長が認証いたしまして、就職活動時にそれが積極的に評価されることを目的とするものでございまして、県内では本年9月現在で3市町村が導入済み、2市町村が導入予定となっているところでございます。  今後、大学等が所在する市町村、隣接する市町村を中心に制度の導入を呼びかけるとともに、企業等の採用で認証を受けた学生に配慮をしていただけるよう経済団体にも要請をするなど、実効性を高めてまいりたいと考えているところでございます。  次に、県内の女性団員数を見ると、平成17年538人でございましたが、本年は986人と10年間で1.8倍となっておりまして、その活動も、火災予防や啓発、音楽隊にとどまらず、ポンプ操法や災害時要支援者の情報収集への協力など、大変幅広い活動を担っていただいております。  県や県消防協会では、女性消防団員意見発表会を開催するなど、女性団員の士気高揚や地域を超えた広域的な交流の活性化を支援しているところでございます。  今後も、市町村、県消防協会と連携をいたしまして、学生や女性に入団を呼びかけ、その活動に光を当て、活動しやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)TPPにつきまして、これまで県は農業者の不安払拭に向けてどのような取り組みを進めてきたのか。  また、国が大綱をまとめるに当たり、生産者からはどんな声があり、県としてどのような対応をとってきたのか。  また、マイナスの影響を受ける農業分野に対して県として今後どのような考え方で対策を進めていくのか。あわせて、これからは攻めの農業が必要だと思うが、例えば農産物の輸出などどのような対応を考えているのか。  農政部長にお聞きをいたしまして、一切の質問を終わりといたします。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)TPP交渉の大筋合意について4点の御質問、順次お答えいたします。  初めに、県内農業者の不安の払拭に向けた取り組みについてですけれども、10月5日のTPP大筋合意後、県では、10月15日に、知事を本部長として、関係部局長によります長野県TPP農業分野等対策本部を設置し、翌16日には、内閣府、農林水産省に対し、農業者の不安の払拭と情報の開示等について緊急要請を行いました。  また、TPPに関する県ホームページを開設し、国からの情報を県民に提供するとともに、10月30日には米、麦、園芸、畜産等四つの相談窓口を設置し、農業者などからの相談に対応しております。  さらに、農業者を初め、市町村、農業団体などからの要請を踏まえ、11月19日に農林水産省の職員を招聘しTPP協定交渉の大筋合意に関する農業分野説明会を開催するなど、不安の払拭に努めているところでございます。  次に、生産者、生産者団体からの意見や要望とそれを踏まえた対応でございますが、これまでに県内の農業者、農業団体の皆様と21回にわたる意見交換をさせていただきました。  この中で、米につきましては、輸入量の増加による米価下落が生じないよう備蓄制度の充実強化、畜産につきましては、価格下落が懸念されることから、盤石なセーフネットの法制化や経営維持やコスト削減を図るための施設整備や補修への助成、園芸作物については、総じて短期的な不安は少ないものの、長期的な影響が懸念されることから生産性向上や高品質化への取り組みに対します支援の充実などの声をいただいたところです。  これらの意見、要望を踏まえ、11月17日に、知事から、農林水産省に対し、農畜産物の生産体制強化に向けた支援の拡充や再生産可能な価格水準の確保など10項目にわたる要望、提案をしたところでございます。これらの要望、提案の多くは、11月25日に政府が決定した総合的なTPP関連政策大綱に反映されていると認識をしております。  次に、影響を受ける農業分野への対策でございますが、総合的なTPP関連政策大綱を踏まえ、まずは今後国から出されるであろう補正予算などを活用した対策を進めてまいります。  中長期の影響を見据えたとき、園芸、畜産、米について体質強化のための担い手の育成確保と生産基盤の整備が特に重要と考えておりまして、市町村や農業団体等と連携を密にしながら対策を検討し、本県の農業の担い手の皆様が将来に希望と意欲を持って取り組んでいただけるよう対応をしてまいります。  次に、農産物輸出の対応についてでございます。  平成29年には農産物の輸出額を平成25年の4倍となる5億円を目標に、シンガポール、香港、台湾、タイなど東南アジアを中心として輸出拡大を図っております。今回のTPPの大筋合意によりまして農産物の関税が撤廃され、日本との距離も近く、今後さらなる経済発展が見込めるマレーシア、ベトナムは将来有望なマーケットと考えられます。  一方、これらの国は、輸出ルートが確立されていないこと、またハラールや植物検疫制度への対応などが課題でありますので、県産業イノベーション推進本部に新たなタスクフォースを設置し輸出拡大に向けての調査研究を進めることとしております。  以上でございます。
    ○議長(西沢正隆 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時43分休憩          ──────────────────         午後1時1分開議 ○副議長(小島康晴 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  荒井武志議員。       〔26番荒井武志君登壇〕 ◆26番(荒井武志 君)通告に従いまして順次質問をいたします。初めに、現地機関のあり方についてであります。  本年6月8日、知事は、現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について行政機構審議会に諮問し、意見を求めました。そこでは、県の現地機関には、しあわせ信州創造プランや地方創生を推進するに当たり、地域が抱えるさまざまな課題への主体的かつ総合的な取り組みや、県土が広く市町村数や小規模町村が多いという本県の特徴を踏まえた効果的な市町村支援や、住民の利便性への配慮などがこれまで以上に求められていること、一方で、時代の変化に対応した現地機関の組織の効率化も図っていくことなどを重要な課題に挙げております。  また、第1回目の審議会における挨拶で、知事は、一番重要なのは、県民の皆様方が何を考え、どんな行動をされ、どういうことを県に期待しているか、そういうことをしっかり把握して動いていくことができなければならない、この現地機関については、私県知事としての目であり、耳であり、口であり、いろいろな役割を担ってもらっている、総合的に県民の思いを把握して対応していくという総合力あるいは横断的な対応ということが極めて重要だと思っているなどと発言されておられます。  私は、組織体制の検討に当たっての重要な視点は、県民にとってわかりやすいこと、そして県民と直接的に接することが多い組織はできる限り県民に近いところにあるべきであると思っておりますし、より一層大切にしていただきたいことは、仕事の範囲やその量がまず先で、結果として人がどのくらい必要なんだということだと思います。  そこで、知事にお伺いいたします。  そもそも知事の目指す現地機関のあり方とはどのようなものを描いておられるのでしょうか。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)現地機関のあり方の検討についての考え方、視点ということでございます。  今回の現地機関の検討に当たりましては、大きく3点、課題として目指す方向性を掲げています。みずからの地域の課題をしっかり取り組むことができるような課題解決型の組織をつくっていこう、それから、長野県、他の都道府県と比べますと市町村数が多くて、特に小規模な町村が多いという県でございますので、市町村支援を効果的に行うことができ、住民の利便性にも配慮された組織体制、それから、行政、限られた予算の中で運営しているわけでありますが、時代の変化に対応し、必要な機能が発揮できる効率的な組織体制、こうしたことを目指して検討を行っていく必要があるというふうに思っています。  特に、長野県、それぞれの地域が独自の風土、歴史、強み、こうしたものを持っているわけでありますので、こうしたものをしっかり生かしていく上では、本庁で多くのことを解決するということではなくて、できる限り現場で物事が判断できる組織にしていくということが大変重要だというふうに考えています。  こうしたことを総合的に勘案して、組織のあり方というのは唯一絶対これが100点満点の回で、あとはゼロ点というものではなくて、さまざまな要素を勘案しながら総体的に考えていかなければいけない部分でありますので、これまでも職員とも意見交換してきておりますけれども、私としては、今申し上げたような観点をしっかり踏まえて、より望ましい、より適切な組織のあり方というものをしっかり追求していきたいと考えております。  以上です。       〔26番荒井武志君登壇〕 ◆26番(荒井武志 君)答弁では、住民への対応とか、市町村に対して近いもの、そしてまた現場で対応できるものというようなことをお聞きいたしました。  次に、検討中の審議会も既に4回開催され、議論も大分高まっていると推測されますけれども、この間、関係市町村からの意見にはどのようなものがあったのでしょうか。二つに、現地機関内部における課題や考え方にはどのようなものが上がっておるでしょうか。三つ目に、一般県民からはどのような意見や要望が出てきておるのでしょうか。  以上3点について総務部長にお伺いをいたします。       〔総務部長原山隆一君登壇〕 ◎総務部長(原山隆一 君)3点御質問をいただきました。  まず、現地機関に対する関係市町村からの意見についてでございます。  県では、ことし8月に、県の現地機関の機能・役割等のあり方に関する市町村アンケートを実施をいたしました。設問の中で、地域課題を解決する上で必要な機能を果たしているか、市町村支援は十分か、災害時の対応は十分かという点につきましては、十分できている、あるいはできていると回答した市町村が比較的多かった。ただ、一方、横断的、総合的に地域課題に取り組んでいるかという設問につきましては、こうした回答が少なく、この点をやや低く評価する傾向が見られたところでございます。  個別の主な御意見では、地域課題を解決するためには現地機関に権限や予算が必要である、現地機関における総合的で横断的な取り組みはこれから一層強化していくことが必要である、また、現地機関には広域圏での連携調整の役割や小規模町村への支援をさらにお願いしたいといったところが寄せられたところでございます。  また、アンケートとは別に、須坂、千曲、安曇野建設事務所につきまして、地域に密着した現地機関として存続すべきという請願、要望などを須坂市、千曲市、安曇野市からいただいているところでございます。  次に、現地機関内部における課題ということでございます。  今回の検討に当たっては、ことしの5月にそれぞれの所属に文書で照会して、現地機関の抱える課題や今後の方向性について把握をしたところでございます。現地機関からの意見は幅広く多岐にわたっておりますけれども、今回の主な論点、「現地機関の機能・役割等の検討にあたっての主な論点」として掲げた項目に関する指摘が多くございました。  例えば、地方創生に係る市町村支援の強化や、それぞれの地域が抱える課題への対応に当たって現地機関の企画・総合調整機能を強化するべきだ、また、6次産業化の推進などにおける農業分野と商工業分野のさらなる連携、また、観光に関する業務については、広域的な取り組みが求められているので地方事務所単位よりもさらに広域的な連携が必要といった意見が寄せられたところでございます。  さらに、組織体制に係るものだけではなく、庁舎、施設の老朽化、あるいはマンパワー不足に関する課題なども寄せられたところでございます。  三つ目の現地機関に関する県民からの御意見でございますが、これまで行政機構審議会を4回開催し、その都度、県のホームページに提出資料や審議内容の議事録などを公開して県民の皆様にお伝えしているところでございますけれども、県民の皆様からは県民ホットラインで集約化の御意見が寄せられておりますけれども、現在のところ現地機関のあり方に関して多くの御意見をいただいているという状況にはございません。  今後、審議会において一定の見直しの方向性が整理されたところでパブリックコメントの実施など幅広く県民の皆様の御意見を伺う場面を設け、さらに検討を進めたいというふうに考えております。       〔26番荒井武志君登壇〕 ◆26番(荒井武志 君)今の答弁では、総じて、横断的な取り組みとか、あるいは総合調整機能をどうしたら発揮できるのか、そんな点が多くの意見かなというふうにお聞きをいたしました。  続いて、県内10広域ごとに開催する現地機関との若手職員を中心とした職員討議が始まったと伺っておりますが、この会議では、地方事務所、保健福祉事務所、建設事務所の3所の組織体制を、A案、現行組織型、B案、地方事務所改組型、C案、3所集約型の3案に絞り、たたき台として提示し検討されたようですけれども、これがひとり歩きしていってしまうのではと危惧する声をお聞きもしているところでございます。  意見を聞き始めている段階でこのような手法をとられた根拠や理由はどの辺にあるのでしょうか。知事にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)現地機関のあり方を職員と討議する実施の理由、あるいは検討例としてA、B、Cを示された考え方ということであります。  職員との意見交換、現地で働く県の職員がどういう問題意識を持っているのか、あるいは持っていないのか、そういうことをしっかり把握していく上で必要だろうということで実施をしています。  議員御指摘がありました職員討議の資料、検討例としてA案、B案、C案というふうに書かれていますが、具体的な議論をするためのあくまでも例ということでお示ししているわけでありまして、この中からどれかを必ず選べというものでもなければ、県として必ずこの三つのうちどれかにしますよということでもありません。  私も一緒に長野地域で検討したときには、なるべく自由に発想してくれということを県職員にも伝えたところであります。余り初めから固定された枠の中で意見を言ってもらうというよりは、職員が実際どういう問題意識を持っているかということがより私としては重要だというふうに思っております。  これからさらに職員討議を行っていくわけでありますが、現場の職員の問題意識、そして仕事をしていく上でのさまざまな課題や悩み、そういうものが幅広く出されるように工夫をして実施していきたいというふうに思っております。  以上でございます。       〔26番荒井武志君登壇〕 ◆26番(荒井武志 君)御答弁をいただきましたが、今答弁の中でありましたように、固定された枠の中でではなく意見を求めるということに今後も意を尽くしてお願いをしたいと思います。  そして、県民の皆様からは県政は遠いとの思いをとかく耳にすることがありますので、まさに県民に寄り添える組織づくり、機構のありようを強く期待させていただきまして、次の質問に移ります。  平成28年度予算編成についてであります。  知事は、さきに行われた議案説明の中で平成28年度の当初予算編成について触れられ、現時点では67億円の財源不足が生じるものと試算しているとのことでした。来年度の予算編成に向けましては、既に去る10月22日に編成方針を示され、各部課等に予算見積書の作成を指示されています。  とりわけ共感と対話を常に念頭に置き、県民や市町村、関係団体等の要望や意見を把握するとともに、現地機関や職員からの意見等を反映し、現場の視点で事業構築すること、加えて、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略の具体化に当たっては、オール信州で取り組むべく、市町村や関係団体等と取り組みの方向性を共有して施策を構築するよう求めており、県民や現場サイドに立った取り組みを目指す方向性は共有できるところでございます。  また、予算措置による対応だけでなく、規制改革や税制などさまざまな政策手法を検討するよう求めておられます。  こうした取り組みや財政状況を踏まえ、しあわせ信州創造プランの施策推進に加え、人口減少への歯どめと人口減少を踏まえた地域社会の維持・活性化に向けた施策に重点的に財源を配分していくとのことであります。  そこで、お伺いいたします。  予算編成方針の「県財政の現状と見通し」では仮試算で67億円の財源不足とのことですけれども、今後取りまとまるであろう総要望額は歳入試算額を上回ると思われます。また、地方事務所長からの施策提案や職員による政策研究などの出先や現地職員からの施策提案も行われていると聞いております。こうしたものを含めて、査定事務や公表をどのような手順で進めていくのでしょうか。  二つに、財政調整のための基金、財政調整基金と減債基金になるでしょうか、これらの本年度末の取り崩し後の残高見込みと新年度における取り崩し見込み額をどのくらいと想定しておられますか。  三つに、ふるさと信州寄付金など歳入の確保策の充実を含め、新たな収入財源の検討状況についてはいかがでしょうか。  以上3点について総務部長にお伺いいたします。       〔総務部長原山隆一君登壇〕 ◎総務部長(原山隆一 君)平成28年度の予算編成につきまして3点質問がございました。  まず、当初予算編成の今後の進め方についてでございます。  現在、各部局において予算要求の調整を行っているところでございます。12月中旬に要求を取りまとめ、各部局からの要求総額や主要事業を公表し、県民意見の募集を開始する予定でございます。  また、この要求概要の公表にあわせて、地方事務所長からの施策提案や職員による政策研究への対応も取りまとめ、それぞれの提案につきまして各部局がどのように要求内容に反映したかを公表する予定となっています。  今後の予算編成につきましては、まず財政課で各部局の要求内容を聞き取り、必要な調整を行った上で、要求概要等に対する県民意見も踏まえ、1月下旬の知事査定で予算案の内容を決めることとしております。知事査定終了後、部局ごとに主要事業の内容や金額を速報として公表し、2月上旬には全体を取りまとめ、部局長会議で決定し発表する予定となっております。  次に、財政調整のための基金の残高と取り崩しについてでございます。  財政調整のための基金の平成27年度末残高は、財政調整基金301億円、減債基金207億円、合わせて計508億円と見込んでおります。  来年度の財源不足額につきましては、予算編成方針策定時に一定の条件に基づく機械的な試算によりまして67億円としておりますけれども、国の予算、地方財政対策によって大きく変動するものでありますので、現時点で確定しているものではございません。財政健全化の観点から予算編成の中で事業見直しや歳入確保に取り組み、基金取り崩し額の縮減に努めてまいりたいと思っております。  最後に、歳入の確保策の充実、新たな収入財源の検討状況についてでございます。  歳入確保の取り組みにつきましては、長野県行政・財政改革方針に基づきまして、新たな歳入確保を初め、これまでも積極的に取り組みを進めてまいりました。その中でも、ふるさと信州寄付金につきましては平成26年度に8,800万円と過去最高額を更新したところですが、今年度は、既に、その金額、それから寄附件数も上回っているところであります。今後、さらなる寄附金額の増加につながる取り組みの充実を検討してまいりたいと考えております。  このほか、ネーミングライツ、使用料、手数料の見直し、広告収入の確保、県有財産の有効活用など各部局において取り組みの充実について検討しておりますので、12月中旬の要求概要とあわせて、主な見直し事業案として歳入確保の取り組みについても公表する予定でございます。  持続可能な財政構造の構築に向けては新たな財源による自主財源の確保は重要な課題でありますので、引き続き、さまざまな工夫の積み重ねにより、さらなる歳入確保に取り組んでいきたいと考えております。       〔26番荒井武志君登壇〕 ◆26番(荒井武志 君)行政・財政改革方針の中で想定している県債残高でありますが、通常債を平成26年度末に1兆543億円と見込んでおりましたけれども、決算では1兆268億円であり、想定を275億円下回りました。このことは評価をするところでございます。  その減少要因をどう見ておられますか。また、このことによって普通建設事業への投資が窮屈になり、閉塞感等が生じていることはないのでしょうか。  次に、本年は、健康長寿を進めるためのACEプロジェクトや文化振興元年、国際関係再構築年など目玉的事業に取り組んでいますが、新年度にはどのようなことを新たに目指そうとしておりますか。  以上2点について知事にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)財政について2点御質問いただきました。  まず、普通建設事業とそれから県債残高の状況の関係についてでございます。  財政の健全化、これは県としても取り組むべき重要な課題ではありますが、しかしながら、財政の健全化は、あくまで目的ではなく、質の高い県民サービスを提供し続けるための手段だというふうに考えております。そういう意味では、両方しっかり見ながら、財政運営、予算編成していくということが重要だと思っています。  普通建設事業費についてまず申し上げれば、行政・財政改革方針策定後、平成24年度以降におきましても、普通建設事業については、必要な事業はしっかりやっていこうということで、防災・減災対策の推進でありますとか、道路、橋梁等の計画的な維持補修、あるいは高等学校の施設整備等、こうした投資を行ってきております。そういう意味で、改革方針で予定していた額を上回って普通建設事業を行ってきているという現状であります。  他方で、お話ありましたように、通常債の残高についても行政・財政改革方針の推計値を下回って実績数値になっている。要は、より縮減を図ることができたという状況でございます。  普通建設事業費を伸ばしながら財政の健全化も行ったということで、二兎を追って両方一定程度進めることができたと思っておりますけれども、こちらの通常債残高が推計値と実績で275億円下回った要因ということでございます。  これは、毎年毎年、財政、予算、やりくりしながらいろいろ努力をしてきたわけであります。例えば、国の経済対策の交付金を積極的に活用して通常債の発行を抑制をいたしました。また、過去に発行しております金利の高い県債、繰り上げ償還してきております。こうしたことで、可能な限り将来世代に過度な負担を残さないよう財政健全化に努めた財政運営をしているところでありまして、引き続き、今後とも必要な事業についてはしっかり取り組みながらも、財政の健全化が損なわれないように取り組んでいきたいというふうに思っております。  それから、新年度予算、何を目指すのかということでございます。  来年度予算、これは、しあわせ信州創造プラン、着実にまずは進めなければいけないというふうに思っておりますし、あわせまして、10月に策定いたしました人口定着・確かな暮らし実現総合戦略に掲げた施策の具体化、これも必要になってまいります。  現在、こうした点を中心に、来年度重点を置くテーマ、施策等について内部で検討を行っているところでございます。検討に当たりましては、昨今の社会経済情勢あるいは県政が直面する課題をしっかり踏まえた上で、部局横断的なテーマが非常にふえてきていますので、事業のパッケージ化ということも視野に置いて考えていきたいというふうに思っています。  引き続き、国の予算編成等も踏まえて、当初予算編成の中でしっかりと重点化するテーマについて検討し、予算として取りまとめていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔26番荒井武志君登壇〕 ◆26番(荒井武志 君)ただいま答弁をいただきましたが、知事は、さきに、人口減少への歯どめと人口減少を踏まえた地域社会の維持・活性化に向けた施策をさらに深化、展開させるとして、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略を策定されました。その第一歩がしっかり踏み出せるような予算編成を要望させていただき、次の質問に移ります。  高齢者施策の推進についてであります。  将来人口の推計によれば、平成22年に県民の4人に1人が65歳以上の高齢者であったのが、20年後の平成42年には3人に1人が高齢者になってしまうと予想されており、長野県の高齢化は全国平均を上回りながらハイペースで進行していく状況にあります。  そのような中、現行の医療・介護サービスの提供体制では75歳以上の人口がピークを迎えるであろう平成42年時点において十分な対応ができなくなるおそれがあることから、これよりも前に医療・介護サービスの一体的な提供体制を構築しておかなければならないとして、既に、この間、高齢者が住みなれた地域で生活を継続できるようにするため、介護、医療、生活支援、介護予防などを充実していくための地域包括ケア体制の構築を県が市町村に対して支援してきたことは周知のとおりであります。  そして、本年3月には老人福祉法及び介護保険法の規定に基づく第6期長野県高齢者プランを策定し、具体的な施策の展開を設定する中で市町村の取り組みがさらに進むよう支援をしていこうとしていることについて評価をするところであります。とりわけ、市町村の体制づくりは急を要していると思っております。  そこで、お伺いいたします。  一つに、地域包括ケア体制、国では地域包括ケアシステムといっておりますけれども、この構築に向けて各市町村は地域ケア会議を立ち上げてきていますが、いまだ未設置の自治体に対する支援の状況はいかがでしょうか。  また、運営のアドバイス等を行う広域支援員、弁護士、リハビリテーション専門職等の人材派遣の取り組みはどのようになっているのでしょうか。
     二つに、医療職が参画していない地域ケア会議への参画要請はどのように進めておりますか。  三つに、地域包括ケア推進のための研修事業の開催状況はどのようになっておるでしょうか。  四つには、認知症高齢者が現時点で10万人前後、平成37年には13万人前後と高齢者の2割近くになると推計されており、認知症対策の着実な推進は非常に重要であります。市町村が設置する認知症初期集中支援チームの発足や、助言、指導する医師の養成について、未設置市町村に対しどのような働きかけをしてきたのでしょうか。  五つに、認知症対策ではかかりつけ医が重要な役目を担うと思っておりますけれども、医師の不足する小規模町村や山間地域への支援をどのようにしていこうとお考えでしょうか。  以上5点について健康福祉部長にお伺いいたします。       〔健康福祉部長小林透君登壇〕 ◎健康福祉部長(小林透 君)高齢者施策の推進の御質問につきまして順次お答えをいたします。  まず、地域ケア会議の支援でございますが、県といたしましても地域ケア会議は地域包括ケア体制を構築するために必要なものと考えており、昨年度末現在で77市町村のうち58市町村で設置されてきてございます。  本年度、全市町村を対象に、地域ケア会議の設置及び機能強化のための研修会を開催いたしまして、5月の研修会には41市町村から77人、10月の研修会には69市町村から141人が参加してございます。  こうした結果、未設置であった19市町村のうち15市町村で本年度新たに地域ケア会議が設置され、3村が本年度内に設置予定としてございます。残る一つにつきましても、今後、訪問するなどにより状況を把握し、設置に向けて助言してまいりたいと思います。  また、人材派遣につきましては、地域課題の解決に向けて、弁護士、作業療法士、理学療法士、広域支援員などを市町村に派遣してまいりましたが、その実績といたしましては、昨年度、8名を7市町村に16回、本年度は現時点で9名を5市町村に12回派遣してございます。  次に、地域ケア会議への医療職の参加ですが、地域包括ケア体制の構築を着実に進めるためには、行政や福祉、介護関係者とともに、医師、看護師、リハビリ専門職などの医療職が地域ケア会議に参加することが重要と考えております。  平成26年度に県内全市町村を対象に地域包括ケア体制構築状況調査を実施したところ、地域ケア会議への医師等の医療職の参加割合は78.6%でございました。  県といたしましては、市町村に対して地域ケア会議への医療職の参画を要請してきたところでございますが、とりわけ医師の参加につきまして、市町村においてこれまで医師や医師会等の医療関係団体とのつながりが余りないところもございまして、県に対して医師会等への協力要請をしてもらいたい旨の要望もございます。  そこで、本年5月に、県から長野県医師会に対して協力依頼を行うとともに、11月からは個別に郡市医師会に協力をお願いしているところであり、今後とも、医療関係団体への依頼などにより市町村を支援しつつ、医療関係者の地域ケア会議への参画を進めてまいります。  次に、地域包括ケア推進のための研修会ですが、地域包括ケア体制の構築に向けて中核的な役割を担う地域包括支援センターを初め、市町村、介護支援専門員、事業者などさまざまな関係者がそれぞれの専門性や立場に応じて、主体的に、あるいは相互に連携協力していくことが必要であると考えております。  そのため、個々の関係者が地域課題の把握、解決を図っていく資質を高めることが重要であると考え、県において研修を実施しているところでございます。  具体的には、地域包括支援センターにおける地域課題解決力の向上のための地域ケア会議推進研修会を市町村や地域包括支援センター等の職員を対象として本年度2回開催したほか、介護予防の充実に向けて適切な介護予防ケアプランの作成のための予防給付ケアマネジメント新規事業所研修会を介護支援専門員を対象として本年6月に開催するとともに、効果的な介護予防事業を展開するための実践研修会を市町村職員などを対象として本年10月に開催したところでございます。  今後とも、こうした研修を必要に応じて開催することにより、地域包括ケア体制の構築を担う人材の資質向上に取り組んでまいります。  次に、認知症初期集中支援チームについてでございます。  認知症初期集中支援チームは、市町村が地域包括支援センターなどに設置し、認知症が疑われる人などへの初期の支援を包括的、集中的に行うことで自立生活のサポートを行うもので、国は、いわゆる新オレンジプランにおいて、平成30年度には全ての市町村に設置することを目標としてございます。  しかしながら、国が7月に調査したところによると、本年度中に設置予定としている市町村は全国では17.6%、県内では7.8%の6市町にとどまってございます。  このため、県といたしましては、市町村の担当者に対する研修に加え、本年度から新たに保健師、看護師、社会福祉士などのチーム員に対する研修を開催いたしました。  さらに、チームへの配置が義務づけられている国の認知症サポート医研修を修了した専門医の不足が指摘されていることから、これまで71人を養成してきたサポート医について、平成29年度までの3年間でさらに75人を養成することとし、本年度は33人が受講を予定してございます。  また、この人選に際しましては、現時点でサポート医を確保できていない市町村の要望を優先し、不足する地域への重点的な配置を進めてまいります。  こうした取り組みによっても市町村内にサポート医を得られない場合には、近隣市町村のサポート医を委嘱し、テレビ電話等を利用してチーム員会議を行うことや、小規模市町村が合同でチームを設置することが可能とされていることから、地域の実情を踏まえつつ、できるだけ早く県下全域にチームが設置されるよう市町村とともに取り組んでまいります。  次に、小規模町村等への支援についてですが、認知症の治療には早期診断、早期対応が有効とされていることから、身近なかかりつけ医の認知症に対する対応力を高め、必要に応じて認知症の専門診療科に円滑につなぐとともに、日常的な治療や家族への支援等を適切に行うことができるようにする、これが必要でございまして、そうしたことからかかりつけ医に対する研修を実施してきたところでございます。  これまでに受講いたしました554人を認知症相談医として登録いたしまして、県のホームページで公表してございます。  引き続き、認知症相談医の養成を進めるとともに、先ほどお答えいたしました認知症初期集中支援チームの設置を推進することで、かかりつけ医が不足する小規模町村等においても支援チームを中核として医療と介護が連携した支援体制の整備を進め、県内どの市町村においても認知症の人が住みなれた環境の中で自分らしく暮らし続けられる地域づくりに向けて取り組んでまいります。  以上でございます。       〔26番荒井武志君登壇〕 ◆26番(荒井武志 君)答弁をいただきました。  認知症対策を含め、地域包括ケアの推進につきましては、介護保険事業の取り組みを通じ、主体は市町村になるわけですけれども、県の力強い後方支援があってこそその成果が得られるものと思います。今後も積極的な市町村支援を要望いたしまして、一切の質問を終わります。 ○副議長(小島康晴 君)次は小池清議員でありますが、同議員の質問事項中、選挙管理委員会の所管に属する事項が通告されておりますので、これに対する答弁のため深沢賢一郎選挙管理委員会委員長の出席を求めましたので、報告いたします。  小池清議員。       〔41番小池清君登壇〕 ◆41番(小池清 君)まず最初に、地方創生と南信地域の戦略的振興策について伺いたいと思います。  10月27日、内閣府は、先進的な地域活性化事業に取り組む自治体に配分する地方創生先行型交付金の先駆的事業分(タイプⅠ)にかかわる交付先の公表を行いました。また、同時に公表された各自治体の特徴的な取り組み事例は今後各自治体が取り組んでいく地方創生事業の参考ともなり、今後の動きや成果を十分注視していく必要があると考えます。  そこで、申請した事業の内容と今回の内示の結果の詳細を伺います。あわせて、今回の内示について所見を伺います。  さらに、今後、採択された事業を今年度内にどのようなスケジュールで、どういう内容の取り組みを実施していくのか。伺います。  また、長野県の総合戦略で計画している事業の実施予定を伺います。  次に、特徴的な取り組み事例で挙げられた事業を含み、今回交付決定された他団体の先駆的事業のうち本長野県の参考にすべきものがあったのか。  以上4点につきまして企画振興部長に伺います。  10月末までに各自治体の人口減少対策のマスタープランとなる地方版総合戦略を作成した自治体には1団体当たり1,000万円が交付されましたが、長野県の総合戦略は他の自治体の総合戦略と比べてどのような特徴があるのか。この点につきましては知事に伺いたいと思います。  上乗せ交付された国の交付金1,000万円についてはどのような事業の財源に充当していくのか。また、その事業については平成28年度以降も継続的に実施していく事業なのか、その予定を伺いたいと思います。  地方版総合戦略の策定段階で、規制緩和や権限移譲など改めて顕在化した課題などはなかったか。国に対する要望の必要性とあわせ所見を伺いたいと思います。  10月までに策定できなかった市町村では、具体的にどういう理由で10月までに地方版総合戦略の策定が間に合わなかったと捉えておられるのか。また、長野県としての市町村への今後の対応を伺いたいと思います。  国は、地方創生を、今年度は総合戦略の策定段階、平成28年度以降は具体的な事業を本格化させていく事業推進段階と位置づけ、地方が行う主体的な取り組みに対して多様な支援を行うとしております。今後、国からの具体的な支援としてどのようなものを想定しているのか。  以上の4点につきましては企画振興部長に伺います。  新型交付金につきましては、総額や補助率についての所見を知事に伺いたいと思います。  長野県では、現時点で、新型交付金の対象事業としてどういったものを考えているのか。企画振興部長に伺います。  国土形成計画が8月14日に閣議決定され、平成20年策定の現計画が改定をされました。計画期間は2015年から2025年ということで、国土にかかわる幅広い分野の政策について長期を見通して統一性を持った方向づけがなされ、対流促進型国土形成を基本コンセプトに、コンパクト化とネットワーク、個性と連携による対流の促進、ローカルに輝き、グローバルに羽ばたく国土により各地域の独自の個性を生かした、これからの時代にふさわしい国土の発展が実現されるとされています。  国土のグランドデザイン2050では、東京圏、名古屋圏、大阪圏から成るメガリージョンがリニア中央新幹線等の交通体系整備により一体的に機能し、他国に負けない経済成長が期待され、長野県では飯田市を中心にその圏域を担うことが期待をされております。  また、直下型の地震や南海トラフ巨大地震が近い将来高い確率で起こることが予想され、リスク分散型の国土利用のもと、東京一極集中を解消し、まち・ひと・しごと創生により地方が一定の役割を果たすことが急務となっております。  そこで、三遠南信自動車道とリニア中央新幹線整備により、静岡圏域約250万人との交流による新たな観光ゴールデンルートの開発、DMOの創設による観光事業の振興、国際的なコンベンション施設の設置によるMICEの誘致による交流人口の促進が実現されることが必要と考えられます。そのために、飯田地域を国土のグランドデザインに対応できる連携中枢都市を目指す地域としての位置づけ、リニアバレー構想を推進することが必要と考えます。  国土強靱化地域計画や地方創生総合戦略との戦略的連携を図ることが期待をされるわけでありますが、この取り組みについての知事の考えを伺います。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)小池清議員から地方創生の取り組みに関しまして私に9点御質問をいただきました。順次御答弁申し上げます。  まず、地方創生先行型交付金の先駆的事業分、いわゆるタイプⅠについてでございます。  長野県分の事業といたしましては、九つの事業について計画を提出をいたしました。これに対し、信州テレワークの誘致促進、北陸新幹線沿線の地域間連携による新たな広域周遊観光ルートの形成、将来世代応援知事同盟の12県が連携する地方移住フェアなど六つの事業につきまして内示を受けました。採択されました6事業はいずれも他県、市町村と連携をする事業でございますので、国といたしましては自治体間連携を重視したものと、このように捉えているところでございます。  次に、採択事業の今後のスケジュール等についてでございます。  11月10日に交付決定を受け、各事業は既に実施段階に入ってございます。例えば、信州テレワークにつきましては、市町村が共同利用できるクラウドシステムを2月に構築する予定でございます。現在、12月中にシステム開発に着手できるよう、契約締結の準備を行っているところでございます。また、地方移住フェアにつきましては、来年2月の開催に向け、現在、幹事県といたしまして関係県と実施内容を調整しているところでございます。  三つ目、総合戦略の事業の実施予定についてでございます。  地方創生先行型交付金を活用する事業以外のものも含め、総合戦略には平成31年度までの5カ年間の取り組みを盛り込んでいるところでございます。今年度既に着手しているものもありますが、その他のものにつきましては毎年度の予算編成等で具体化をしてまいりたいと考えております。  次に、参考とすべき他団体の先駆的な事業についてでございます。  交付金の内示とともに示されました特徴的な取り組み事例には42の事業が掲載されております。このうち、本県関係として四つの事業が掲載されてございます。自治体間や政策分野間の連携を図る取り組みが多いといった印象を受けているところでございます。  こういったことを踏まえまして、本県の総合戦略に盛り込んだ施策の実施に当たりましては、例えば地方版DMOの立ち上げや小さな拠点の形成といった新しい取り組みを中心に、他団体の好事例の手法を参考にしてまいりたいと考えております。  総合戦略先行策定分、いわゆるタイプⅡの交付金の充当先についてでございます。  今回、交付されました交付金、タイプⅡにつきましては、9月補正予算で計上いたしました二つの事業に充当いたします。  一つ目は、移住相談機能の強化と情報発信の充実でございます。具体的には、大阪と名古屋の移住・交流サポートデスクへの相談員の配置などを実施をいたします。二つ目は、白馬高校国際観光科の開科準備でございます。平成28年4月に開科します国際観光科の全国募集パンフレットの作成などを実施する予定でございます。  これらの事業は、いずれも平成28年度以降も継続する必要があるものと考えております。  次に、規制緩和、権限移譲についてでございます。  総合戦略策定の過程におきまして国の規制緩和や権限移譲などが必要と考えられるものにつきましては、国に対し積極的に提案を行ったところでございます。具体的には、病児・病後児保育施設への国庫補助要件の緩和、外国人スキーインストラクターの在留資格要件の緩和、介護福祉士国家資格の受験資格取得の柔軟化、下水道施設におけるし尿の受け入れなどでございます。  今後も、地方創生を進めていくために必要となる規制緩和等につきましては、国に対して要望、提案を行ってまいりたいと考えております。  市町村の総合戦略策定時期についてでございます。  地方版の総合戦略につきましては、国からは平成27年度中の策定を求められているところでございます。また、その際には産官学金労言など広く関係者の意見を聞くことが求められております。各市町村におきましては、そのやり方や策定時期についてそれぞれの実情に応じて御判断されているものと理解をしております。  県内では10月までに38の市町村が総合戦略を策定されました。その他の市町村におきましては、現在、住民や地元産業界等の意見を聞きながら、本年度中の策定に向け取り組まれているものと理解をしております。  国からの具体的支援についてでございます。  総合戦略の策定や実行に当たりましては、地方創生先行型交付金や地方財政措置などの財政支援、また、地域経済分析システム、通称RESASと申しますが、こちらのデータを活用する情報支援、また、各府省庁の地方創生コンシェルジュや地方創生人材支援制度などの人的支援といった国の支援を活用してまいりました。  今後も、新たに導入される予定のいわゆる企業版ふるさと納税の活用や地域経済情報システムを活用した効果的な事業手法の検討、また、地方創生コンシェルジュを通じた国情報の収集や国への施策提案など、国の施策を有効に活用してまいりたいと考えております。  最後に、新型交付金の対象事業についてでございます。  新型交付金の制度設計は未確定でございますが、8月の概算要求の段階では、先駆性のある取り組み、政策間の連携、先駆的・優良事例の横展開等を支援するとされているところでございます。  地方創生先行型交付金の平成27年度事業では、先駆性の評価基準として政策間連携や地域間連携、官民協働等の観点が示されたところでございます。新型交付金でも同様の方針が踏襲されると想定されるところでございますので、こうした観点を踏まえて事業を構築し、国の交付金を積極的に活用してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)地方創生に関連しまして私にも3点御質問をいただきました。  まず、本県総合戦略の特徴についてという御質問でございます。  国は、今回の総合戦略、5年という計画期間を示してきたわけでありますけれども、どうしても人口減少に向き合うということで、5年という短期間の対応策のみではなかなか地域の強みを打ち出しづらいんじゃないかというふうに思っております。  そういう観点で、今回、私どもの総合戦略におきましては、短期的な対応だけでは描き切れない中長期の視点を持って、信州創生の姿、そして信州らしさを伸ばす突破策、こうしたものを六つの信州創生の基本方針というふうに明確にしております。これは、ほかの県にはない、本県の総合戦略の最大の特徴だというふうに考えております。  また、それぞれの方針の中でも、特徴あるキーワードを埋め込みまして長野県の独自の強みを生かす方向性を打ち出しております。例えば、「人生を楽しむことができる多様な働き方・暮らし方の創造」という部分におきましては、一人多役などの多様な働き方、あるいは人生二毛作社会の確立、また、「活力と循環の信州経済の創出」におきましては、価格決定力のある製造業への転換、あるいは地消地産の推進、また、「大都市・海外との未来志向の連携」では、週末信州人等の2地域居住の推進、さらには日ごろの交流、有事のきずな、こうした方向性を打ち出すことによって長野県の特色をしっかり出していこうということで努めたわけであります。こうした特徴ある施策、着実に推進をしていきたいと考えております。  それから、新型交付金に関する所見でございます。  総合戦略、これは、国がつくって取り組んでということを受けて、各都道府県、市町村、つくっているわけでありますから、それを後押しするための財源措置、これは国においてしっかり確保していただくということが重要だというふうに思っております。  交付金につきましては、平成28年度予算に加えまして、平成27年度補正予算での検討が政府部内で行われているものというふうに承知をしております。補正、当初合わせて、ぜひ十分な規模を確保してもらいたいというふうに思っています。  また、補助率については、平成28年度の概算要求段階で2分の1という形になっております。2分の1ということであれば、事業執行に支障が生じないよう地方の負担については十分な地方財政措置を行っていただくことが重要だと思っております。  また、平成27年度の補正予算で検討中の交付金については、これは年度途中の補正対応ということでありますので、やはり全額国費で対応していただくということが基本だというふうに考えております。  また、制度設計におきましては、地方が自主性、主体性を発揮できるように、客観的基準に基づき配分される基礎交付分をぜひ確保してもらいたいと思っております。特に、長野県、小さな町や村があるわけでありますので、余り先駆的な取り組みということばかり強調されて交付金の対象になるとなかなか長野県の町村部には目が向きにくい環境になりかねないというふうに思っておりますので、そういう意味ではやはりそうした町村にもしっかり配慮をしていただきたいというふうに思っておりますし、また、あわせて、これはあくまでも交付金でありますから、対象分野、対象経費、極力制約をなくして自由度の高いものにしていただくということが重要だというふうに考えております。こうした点については引き続き政府に対して要望を行ってまいります。  それから、3点目として、リニアバレー構想の推進による飯田、下伊那地域の戦略的振興についてでございます。  飯田、下伊那地域、首都圏と中京圏の中間に位置している地域であり、かつ豊かな自然環境、さらにはさまざまな文化資源に恵まれた地域でございます。非常に高いポテンシャルを有しているというふうに考えております。  こうした利点を生かしつつ、リニア中央新幹線を生かした地域振興を図るため、ことしの2月に伊那谷自治体会議においてリニアバレー構想骨子を取りまとめたところでございます。  リニアバレー構想、目指す姿を大きく4点掲げているわけであります。グローバル活動拠点、あるいは災害時のバックアップとしての食料、エネルギーの新しい供給拠点、さらには都市空間と大自然が近接した対流促進圏域、そして世界から人を呼び込む感動フィールド、こうした構想をしっかり具体化をして着実に実現していくということが、飯田、下伊那のみならず、伊那谷、さらには県全体の活性化につながっていくというふうに考えております。
     また、こうした方向性は、国土強靱化地域計画あるいは県の総合戦略とも目指す方向は一致しているというふうに考えております。  リニア駅の開業を見据え、県としても伊那谷自治体会議をさらに活性化をさせ、リニアで身近になります大都市、さらには世界の活力を引き寄せて、豊かな自然環境の中で、地域も、そしてそこに暮らす人々も輝くリニアバレーの実現に向けて積極的に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔41番小池清君登壇〕 ◆41番(小池清 君)リニアバレー構想の推進には、特に県の強力なかかわり、取り組みが重要な時期となると思います。今後の御努力に期待を申し上げたいと思いますし、地域としても地域挙げてしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、18歳選挙権に向けた主権者教育について伺います。  選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正が、去る6月17日、全会一致で国会で成立いたしました。施行後初めて行われる国政選挙が最初の適用対象となるため、来夏予定される参議院選挙への適用が想定されております。  この改正により新たに選挙権を得る18歳から19歳の方は約240万人で、有権者の約2%となるわけであります。  そこで、伺いますが、公職選挙法等の改正による選挙年齢の18歳への引き下げについて評価も含めて所見を伺います。  また、政治に対する関心が低いと言われますが、長野県における10歳代から20歳代の政治や選挙、社会参加などに関する意識はどのようであるのか。全国や他自治体に比べて特徴などがあれば、あわせて選挙管理委員会委員長に伺います。  今後は、若者や子供たちに対し、社会の一員としての自覚を促し、政治への参加意識を高めるための主権者教育の充実が重要となると考えます。文部科学省も、総務省と連携して、高校生向けの副教材とその指導資料を作成し、9月に公開をしました。全国的に、選挙管理委員会が選挙の意義や仕組みを伝える出前講座の開催、あるいは本物の投票箱や記載台を使った模擬投票や生徒会選挙の実施など、広く行われているようであります。  長野県でも、法改正の成立を受け、6月に、選挙管理委員会と教育委員会が若者の主権者教育に向けた連携協定を締結をいたしました。義務教育段階から政治参加に関する学習に連携して取り組むこととしており、モデル校の指定や副教材の作成、配布などが進められております。  国政選挙だけではなく、首長や自治体議員の選挙への投票もあることから、長野県の課題や、市、県政の状況などについて知ってもらう機会をつくる必要があると考えますが、この点についての所見を伺います。  また、長野県では主権者教育の推進をどのようにしていくのか。あわせて伺いたいと思います。  今後、主権者教育を進めていく上では幾つかの課題があると考えられます。従来の社会科、公民科では、国会や内閣、裁判所などの政治機構や選挙制度などの仕組みについては一通り教えていますが、現実の問題を取り上げて生徒、児童に考えさせたり、将来実際に選挙を行うことを想定して実践的な取り組みを行う面は進んでおりません。  そこで、学校においては、自分の意見を主張するだけではなく、異なる意見にも耳を傾け、合意形成を図ったり、自分たちで調べて意見をまとめ発表したりできる能力の育成と、政治的中立性を守りながら、社会の中にはさまざまな意見があることを知る環境整備が重要ではないかと考えますが、御所見を伺いたいと思います。  また、議会の傍聴や自治体でのインターンシップ、投票所での選挙事務への従事などを積極的に行い、体験を通じて学ぶ機会を提供してはどうかと考えます。  以上3点につきまして教育長に所見を伺います。       〔選挙管理委員会委員長深沢賢一郎君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(深沢賢一郎 君)選挙権年齢等の引き下げに対する所見と若者の政治意識についてのお尋ねでございます。  選挙権年齢については、昭和20年に満25歳以上から満20歳以上に引き下げられて以来、実に70年ぶりの変更となります。  選挙権年齢を18歳に引き下げることで多くの若者が政治に参加することとなり、民主主義そのものの価値を高めることにつながると思います。また、若者の声が政治に届きやすくなることで政党や政治家が若者の生活に資するような政策により目を向けることにもつながるなど、さまざまな効果が期待されます。  海外の92%の国々では既に18歳までに選挙権が付与されておりまして、我が国でも18歳選挙権が実現したことは非常に意義深いものであると感じております。  次に、若者の政治意識についてでございます。  全国的な傾向として、若者は、他の世代と比べて政治に対する関心や投票に対する義務感が低いから選挙に行かないと言われています。本県の20代の投票率を見ましても、昨年12月の衆議院選挙、本年4月の県議会議員選挙のいずれにおいても全体の投票率よりも20ポイント程度低くなっておりまして、全国的な傾向と同様であります。  しかしながら、私どもが実施している選挙出前授業に参加した生徒からは、若者の投票率が下がっている今、私たちは、みずから選挙、政治について調べ、意味のある投票をしたいなど、政治参加に前向きな声も聞かれております。  今回の選挙権年齢の引き下げを契機としまして、学校教育と連携しながら主権者教育を進めていくことで、さらなる政治意識と、実質的に社会を担う責任意識の高まりが期待できるところでございます。  以上であります。       〔教育委員会教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊藤学司 君)主権者教育に関しますお尋ねに順次お答えを申し上げます。  まず、県の課題や市、県政の状況を知る機会をつくることについての所見とのお尋ねでございますが、議員御指摘のとおり、主権者教育において、生徒が身近な地域の課題について調べたり、まちづくりの参画方法について学んだりしていくことは大変重要だというふうに思ってございます。  国が作成、配布した副教材の中にも地域課題の見つけ方について実践例が示されており、行政発行広報誌や自治体の長期計画などを利用し地域の政治や行政に対する理解を深める取り組みが紹介されているところであり、各学校においても地域の課題に対し理解を深める学習をしていくことが必要と考えてございます。  次に、本県におきます主権者教育の推進方策についてのお尋ねでございます。  主権者教育を通して、生徒一人一人の政治的教養を高め、社会に主体的に参画し、みずから考え、みずから判断する主権者を育てていくことが重要であり、各学校において副教材や指導資料などを用いて生徒の実態や学校の実情に応じて主権者教育を着実に推進していくことが肝要と考えてございます。  県教育委員会においては、6月に連携協定を結んだ県選挙管理委員会の協力を得ながら模擬投票などの体験的な学習を行っているところであり、また、現在、指導のポイントをまとめた教師用のリーフレットを作成しているところでもございます。言及いただきましたモデル校の実践事例とあわせて各学校に周知し、各学校における主権者教育が充実するよう支援をしてまいりたいと考えてございます。  次に、さまざまな意見があることを知ることなどの環境整備についてのお尋ねでございます。  御指摘のとおり、現実の社会問題に対してはさまざまな見方があり、異なる見解や考え方を比較、関連づけて考察する学習を行うことは生徒の政治的教養を高めるために大変有効であると考えてございます。  このような学習の具体例とし、主権者教育のモデル校において、さまざまな意見がある時事問題に対し見解の異なる複数の新聞記事を比較、関連づけて考察し、社会を形成する主体的な判断力を養う実践に取り組んでいるところでございます。  県教育委員会では、こうした取り組みを実践事例にまとめ、各学校に紹介してまいりたいと考えております。  次に、政治参加について体験を通して学ぶ機会の提供についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のような活動は地域に関する政治への関心を高める有効な手段であり、既に幾つかの自治体でも取り組まれていると承知をしてございます。  例えば、飯田市や中野市などでは市選挙管理委員会と地域の高等学校が連携し高校生の選挙事務体験を行っており、参加した生徒からは、選挙が身近に感じられた、親と政治について話をする機会が持てたなどの感想が寄せられていると聞いてございます。  県教育委員会としても、各学校が、選挙管理委員会などの関係機関と連携し、体験を通した主権者教育を進めていくことを支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔41番小池清君登壇〕 ◆41番(小池清 君)次に、マイナンバーの導入に向けた対応について伺います。  来年1月から利用が始まる共通番号(マイナンバー)制度に便乗した不審な電話や戸別訪問などが10月以降急増し、各地の警察や消費生活センターに計200件を超す通報や相談が寄せられているとのことであります。  高齢者をだまして現金や個人情報を得ようとする手口が大半で、通知カードの配達おくれへの不安につけ込んだケースも出ていることから詐欺被害の拡大への警戒が求められております。  また一方、国民生活センターによりますと、ことし4月以降、マイナンバー制度に便乗した不審な電話や訪問に関する相談が124件寄せられました。9月までは数件から12件で推移していましたが、10月は84件に急増し、相談は6割以上が60歳以上の方であります。  そこで、伺いますが、県庁庁内各課の事務作業への影響や事務処理手順などの確認、さらには庁内職員に対する研修はどのような状況か。伺います。  制度の円滑な運用のためには、住民に対して、制度の内容を十分に理解してもらうための積極的な啓発や周知活動が必要と考えますが、住民への周知については必ずしも十分とは言えない状況であるようであります。  詐欺被害の状況を踏まえ、啓発・広報活動に早急に力を入れる必要があると考えます。長野県ではこれまでどのような啓発・広報活動を実施してきたのか。伺いたいと思います。  また、住民からの問い合わせに対応するための専用の窓口の設置やコールセンターの開設等の検討、また状況を伺いたいと思います。  また、民間事業者についても、従業員などの健康保険や厚生年金、源泉所得税などの手続で個人のマイナンバーを記載する必要が出てきています。各企業や団体などは従業員やその家族に対してマイナンバーの個人番号を提出させることとなることから、個人情報の漏えい防止の観点でマイナンバーの厳正な管理は非常に重要な問題と言えます。  こういった想定される課題を踏まえ、民間事業者向けの説明会はどのようであるのか。伺います。  また、商工会や商工会議所、市や国との連携した形での啓発活動はどのような状況であるのか。伺いたいと思います。  個人情報の管理につきましては、先般の日本年金機構のサイバー攻撃による個人情報の流出問題の影響もあり、住民の関心も高い状況となっております。  自治体が預かっている個人情報は極めて重要度が高く、慎重に取り扱う必要があります。個人情報を管理しているシステムや端末がインターネットに接続されていると、年金情報の流出のケースと同様に、情報が漏れる危険性があります。  そこで、マイナンバーの本格運用を控え、他の情報漏えい対策なども参考にしつつ、基幹システムのインターネットの接続の有無、ウイルス対策やシステムの改修、不正プログラムの検知システムの導入など万全の対策を講じるべきと考えますが、どのような状況となっているでしょうか。  また、個人情報を扱う職員の明確化や情報の操作権限の強化、違反行為に対する措置などの規程が設けられておられるのか。  以上の4点につきまして企画振興部長に伺います。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)マイナンバー制度の導入に向けた対応につきまして御質問いただきました。順次御答弁申し上げます。  まず、事務作業への影響や庁内職員への研修についてでございます。  マイナンバー制度の導入に伴い、庁内関係課では、マイナンバー利用事務の洗い出し、事務処理フローの確認や見直し、事務処理要綱の改正や様式の変更などの作業が発生をいたします。こうしたことから、昨年9月以降、事務担当者会議の中で、庁内各課の作業手順や進捗状況の確認など、情報共有を図りながら進めてきたところでございます。  さらに、円滑な制度導入に向けた準備を進めるため、本年9月には利用事務担当課長で構成する連絡調整会議を設置し、対応にすき間の出ることのないよう、関係課の連携を密にして取り組んでいるところでございます。  また、庁内全職員を対象にパソコンを活用したeラーニング研修の実施、広報冊子の配布、また導入スケジュールに応じた対応の通知など、職員への研修、周知にも努めているところでございます。  次に、県の啓発・広報活動についてでございます。  マイナンバー制度の啓発、広報は、一義的には制度設計をした国が責任を持って行っていただくものと考えております。一方、県といたしましても、国の啓発・広報活動を補完するため、県のホームページへのマイナンバー制度のページの作成、県内コンビニへのリーフレットの配置、消費生活センターを通じた詐欺被害防止の注意喚起などを実施しているところでございます。今後とも、引き続き、効果的な広報、啓発に取り組んでまいりたいと考えております。  また、専用の窓口、コールセンターについてでございますが、マイナンバー制度に対する問い合わせにつきましては、現在、国が無料のコールセンターを開設し、対応しているところでございます。国では、問い合わせ件数の急増に対応するため、コールセンターの回線数を近々ふやす予定と聞いてございます。  県への問い合わせにつきましては、国のコールセンターにつながらないため県に寄せられるケースが多く、また、内容も、通知カードや個人番号カードの交付など市町村の業務に関するものが大半でございます。  こうした状況も踏まえつつ、今後も県へ寄せられる問い合わせの内容や件数の推移を見て適切に対応してまいりたいと考えております。  民間事業者向け説明会や他団体と連携した啓発活動についてでございます。  ことし6月に、県内経済4団体との共催で長野及び松本の2会場で事業者向け説明会を開催し、257名の参加をいただいたところでございます。また、事業者団体等からの依頼により出前講座も実施しておりまして、これまで、計6回、109名の参加をいただいております。  このほかにも、税を考える週間の街頭広報にあわせて、長野税務署と共同して長野駅前にてチラシを配布する、また、長野県商工会連合会からの依頼に応じた国の講師の紹介など事業者への周知促進を図っております。  引き続き、国や市町村、その他関係団体とも連携を図りながら制度の周知に努めてまいりたいと考えております。  最後に、情報セキュリティー対策の状況についてでございます。  税や住基などのいわゆる基幹系システムをインターネットから分離することや、ウイルス対策、侵入検知システムの導入など、こういった対策につきましては従前より実施をしてきております。  今後は、さらに、標的型攻撃など高度化するインターネットからのリスクに対応するため、県と市町村とでインターネットの接続口を集約し、高度なセキュリティー対策を行うことを現在検討しております。  また、こうした技術的対策だけではなく、組織的、人的な対策も重要でございます。そのため、マイナンバーを含む個人情報を扱う職員の明確化や情報の操作権限の強化などを定める要綱と取り扱い規程を年内目途に策定する予定でございます。  マイナンバーを含む個人情報の適正な取り扱いに関しましては、国の特定個人情報保護委員会からガイドラインが示されております。県では、このガイドラインを遵守し、マイナンバーの取り扱いに万全の対策を講じていきたいと考えております。  以上でございます。 ○副議長(小島康晴 君)次に、丸山栄一議員。       〔35番丸山栄一君登壇〕 ◆35番(丸山栄一 君)順次質問をさせていただきます。最初に、人口減少対策についてお伺いをいたします。  我が国全体が人口減少社会を迎える中、県内においても人口減少や少子・高齢化が進行しており、このままの状態が進めば2060年には129万人に減少し、地域コミュニティー機能の喪失による防災機能の低下を初め、ひとり暮らしの高齢者や耕作放棄地の増加などさまざまな問題が懸念をされているところであります。  人口減少問題は、病気に例えれば慢性疾患のようなものである、効果が出てくるまでには長い時間を要する、しかし、早く取り組めば取り組むほど効果がある、事態への対応を先延ばししないことこそが基本姿勢として求められると日本創成会議の報告書にございます。  内閣府は、人口、経済社会等の日本の将来像に関する世論調査を実施した結果、都市に住む人に地方に移住してもよいと思うか聞いたところ、思う、どちらかといえば思うと答えた合計は20代、40代ではそれぞれ半数を超えており、教育、医療、福祉などの利便性が高いなど前向きな意向となっており、このような実態を生かし、安定して暮らせるかどうかの不安を解消し、定住や永住につなげられるかが課題であります。  行政が就業相談や起業への融資など、移住者が望む生活の実現に向けた支援が重要であると考えますが、本県の移住、定住の取り組みについて企画振興部長にお伺いをいたします。  また、都市部から地方へ移住し、地域ブランドや地場産品の開発やPRにかかわる地域おこし協力隊は北海道に次ぐ人数を受け入れていると聞いておりますが、現状と受け入れ、定住に向けた取り組みについても企画振興部長にお伺いをいたします。  国では、仕事と人の好循環を確立するため、まずは地方における仕事づくりから着手するとしております。県においても、大規模な拠点確保などが必要な製造業などの産業に対し、ソフトウエアの開発など比較的移動の自由度が高いIT人材や企業を首都圏などから誘致する狙いで移住までの試行期間中の住宅やオフィスを提供する、まちなか・おためしラボについての現状について産業労働部長にお伺いをいたします。  本県にとっても重要な産業である農業の基幹的農業従事者はこの20年間で36%減少し、年齢別では65歳以上の占める割合は5年間で5.1%増加し、高齢化が進行しております。  中山間地域を中心に地域コミュニティーの弱体化が進み、子供や高齢者を見守る地域支え合いの仕組みや自主防犯ボランティアなど共助社会が失われ、コミュニティーの存続が危ぶまれております。  中山間地における地方創生を進める上で農業の振興は欠かせないと思いますが、若者の都市への流出や農業者の高齢化の進行など担い手不足が深刻化する中、若者が就業し、その地域に定住するには魅力ある農業を実現しなければなりません。今後どのように農業の魅力づくりを進めていかれるのか。知事にお伺いをいたします。  農地中間管理事業についてお伺いをいたします。  国の農政対策を踏まえ、攻めの農林水産業への転換が始まり、昨年、農林水産業・地域の活力創造プランで、強い農林水産業に向けて、生産現場の強化や多面的機能の維持など、産業政策と地域政策を両輪として攻めの農林水産業を展開をするとともに所得の倍増を目指しておりますが、農業基盤整備のおくれや農業所得の向上も望めぬ中、農業者には攻めの農業としての実感がございません。特に、中山間地での農地集約などが進まず、生産基盤も脆弱であります。  こうした中で、生産現場の強化策として進められている農地中間管理事業は、当初の目標は達成されませんでしたが、推進する上でどのような問題点があったと捉えているのか。農政部長にお伺いをいたします。  国は、農地中間管理機構を軌道に乗せるため抜本的な意識改革と体制整備の方策を示し、役員体制の再構築や農地集積のコーディネートを担う担当の配置など方策を示しておりますが、県の対応を農政部長にお伺いいたします。  また、基盤整備のおくれている中山間地においての事業推進には、点在する農地によって条件不利地域が多く存在するなどの問題とともに、農地の受け手となる担い手がいない地域では集落営農が難しいなどの課題もございます。今後、事業を推進する上で重点的に進めるべき課題と対応について農政部長にお伺いをいたします。  農地の取得についてお伺いします。
     農地法では、農地の細分化の防止の観点から農地を売買する場合には取得面積の下限面積が設けられており、地域の実情において市町村の農業委員会の判断で取得面積の下限が地区ごとに定められているところであります。  一方、都市部から長野県に定住を希望され、農地を取得希望されても、農地法の制限で農地が付随する不動産は条件がクリアされなければ希望がかなわない状況にあります。移住者の受け入れ態勢の整備を進め、人口の社会増の観点から、地域の実情に応じた規制緩和が必要と考えますが、農政部長の御所見をお伺いをいたします。  日本版CCRCについてお伺いします。  日本創成会議は、増田氏による東京圏高齢化危機回避戦略が発表されました。今後10年間で急速な高齢化が進み、東京圏の高齢化が急増し、医療、介護や住まいの問題が深刻化すると指摘をされております。しかし、これは元気なシニアの生活を支えるための新たなビジネスが生まれる可能性を秘めております。  最近、CCRCという言葉がよく聞かれますが、アメリカでは既に2,000カ所存在し、高齢者が移り住み、健康時から介護、医療が必要となる時期まで継続的なケアや生活支援サービスを受けながら、生涯学習や社会活動に参加する共同体でございます。  また、日本においても日本版CCRCの取り組みが実施をされ、東京圏を初めとする高齢者が希望に応じて地方に移り住み、地域社会全体において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療、介護が必要なときには継続的なケアを受けることができるような地域づくりを目指すものとされているところであります。  国は、まち・ひと・しごと創生基本方針の骨格案には日本版CCRC構想の推進を明記、都市部の高齢者が健康なうちに地方に移住することを促す政策を進めており、支援として先駆的な事業を行う地方自治体への自由度の高い新型交付金を交付し、高齢者の移住を受け入れた地方自治体への財源支援が柱となっております。  特に、高齢者の移住がふえる自治体では、介護保険料の負担が重くなることから、介護保険制度の見直し、負担の軽減を求める考えとしております。  このような状況を踏まえ、日本版CCRC構想についての評価と課題について企画振興部長にお伺いをいたします。  また、高齢者の地方移住となると、高齢者ばかりふやし、地方の財政に影響があるとの指摘があり、法改正により住所地特例が拡大されましたが、保険財政の影響について健康福祉部長にお伺いをいたします。  高齢者であっても地域に人口がふえれば、それだけで市場に需要が生まれることとなり、医療、介護以外でも食事や娯楽など地域経済と雇用の下支えになると思いますが、本県のシニア世代の移住・定住対策の取り組みについて企画振興部長にお伺いをいたします。  また、日本版CCRC構想有識者会議では、基本構想の中間報告を取りまとめ、正式名称を生涯活躍のまちとしたほか、高齢者の移住受け入れに積極的な地方自治体が制度設計の中心的な役割を負うべきとの考えを示し、政策的支援内容をさらに検討し、年末までに最終報告を取りまとめるとしております。  また、国が政策的に支援する地方自治体の条件として、平成28年3月までに地方自治体が策定する地方版総合戦略にCCRC構想を盛り込むことを提示しており、策定する基本計画には入居者の安心、安全確保のため守るべき項目や地域の特徴、強みを打ち出すことを求めております。  長野県は移住したい都道府県で平成18年から9年間連続1位であり、長野県への移住相談件数も年間6,000件を超えると聞いております。移住への潜在能力が高いことから長野県も多世代まちなか・むらなか居住構想の推進に取り組まれておりますが、県内においても日本版CCRCに関心を持っている自治体が多いと聞いておりますが、県としての対応と県の取り組みについて知事にお伺いをいたします。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)丸山栄一議員から人口減少対策につきまして私には大きく4点御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。  まず、移住者への就業・創業支援についてでございます。  移住する上での不安、また懸念する点として、働き口が見つからない、移住に関する情報が十分でないといったことを挙げる方が多く、こうした不安を解消していくことが重要であると認識をしております。  就業支援に関しましては、銀座NAGANOにおきましてハローワークと連携して相談窓口を設け職業あっせんを行うとともに、転職専門事業者による職業紹介を実施をしております。また、農林業や医療・福祉分野への就業につきましては、職種別の相談窓口を設けるほか、銀座NAGANOでは先輩移住者と交流する職種別セミナーを開催し、長野県の仕事と暮らしを紹介しているところでございます。  さらに、起業、創業に関しましては、創業支援資金の自己負担額を全国一低くなるよう金利を引き下げるなど、日本一創業しやすい環境づくりに取り組んでいるところでございます。  また、地域おこし協力隊の現状と受け入れ、定住に向けた取り組みについてでございます。  県内の地域おこし協力隊の導入状況は、制度開始の平成21年度には生坂村の1村2名のみでございましたが、その後、年々増加し、本年10月現在では52市町村189名となっております。  隊員の活動は特産品の開発や農林業の支援が中心でございますが、最近では、営業を休止していた旅館を特産品販売施設として、また、空き家をカフェに改修するといった取り組みも行われております。  地域おこし協力隊の最終目的は活動している市町村に定住していただくことでございます。任期終了後、活動した県内の市町村に定住した隊員は53%でございまして、これは全国の47%を上回る水準でございます。県では、より多くの隊員に定住してもらうよう創業・起業研修などを開催しており、今月11日、12日の2日間にわたって2年から3年目の隊員を対象に研修会を開催する予定でございます。  今後とも、隊員の一層の導入を市町村に働きかけるとともに、隊員個々人の能力が十分発揮できるよう研修会や交流会を通じて支援してまいりたいと考えております。  次に、生涯活躍のまち、いわゆる日本版CCRC構想の評価と課題についてでございます。  生涯活躍のまち構想については、首都圏から地方への新しい人の流れをつくる方策の一つになり得ると期待しております。また、健康でアクティブな生活を望む高齢者が地域に溶け込み、住民との交流が進むこととなれば、地域コミュニティーの維持などさまざまな面で好ましい影響がもたらされると考えております。  一方で、構想の実現に向けては、高齢者への生涯学習の機会をどう提供していくのか、自立した生活ができるような居住環境をどう提供していくのか、介護や医療などに従事する人材をどう育成確保していくのかなど、ハード、ソフト両面での対応が課題となってきているものと考えております。  最後に、シニア世代の移住・定住対策についてでございます。  長野県は各世代から移住先として注目されており、平成26年の人口動態を見ると60歳以上のいわゆるシニア世代では729人の転入超過となっております。  県では、移住された方を含め、シニア世代が知識や経験を生かし、県内で生きがいを持って暮らすことができる人生二毛作社会づくりに向け、例えば農ある暮らしを楽しむための研修の開催、再就職を支援するための県内企業との交流会の開催、コーディネーターによる社会参加へのマッチング支援などの事業を展開しているところでございます。  今後とも、誰もが生涯現役として活躍できる社会の実現を目指しながら、シニア世代の移住支援に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)お答えいたします。  まちなか・おためしラボの現状についての御質問でございます。  人口減少社会を迎えるに当たり、創造的な人材を県外から呼び込み、県内に新しい仕事をつくり、地域経済を活性化させることは、大変有効なことと考えております。  そこで、ことし3月に策定いたしました長野県サービス産業振興戦略に基づきまして、さまざまな産業に刺激を与え、生産性の向上や新たな付加価値を生み出すIT人材を県外から誘致するまちなか・おためしラボ事業を現在進めております。  この事業の特徴は、すぐに長野県への移住は困難だと考えている方々に対しまして、半年間試行的に長野県内に住んでいただき、仕事をしながら将来の定住を考えていただくところにございます。具体的には、一時的な住まいやオフィスとして、使われていない住宅やコワーキングスペースを提供しております。  初年度の今年度は、5組の募集に対し3倍以上の応募がございました。最終的には8組14名の方々を参加者として決定したところでございます。参加者は、現在、長野市、上田市、飯山市におきましてお試し移住を実施しており、既に事業終了後も長野県に残りたいという希望をお持ちの方々もいらっしゃいます。  県といたしましては、引き続き、参加者に対するきめ細かな支援を行うとともに、関係する市町村ともしっかり連携を図り、確実にIT人材の県内定着を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)人口減少対策に関連しまして私に対して二つ御質問を頂戴しました。  まず、農業の魅力づくりということでございます。  若者に農業を魅力ある産業として選んでいただく上では、稼ぐ力を高めて、安定的な所得が確保できる経営を目指していくということが重要でありますし、あわせまして、自信と誇りを持って農業という職業、産業を発信していただける環境をつくっていくということが重要だと思っております。  まず、稼ぐ力を高めるという観点で、農業大学校実践経営者コース等によりまして経営感覚にすぐれた農業者の育成に努めているところでございます。  また、生産面におきましては、シナノスイートであったりナガノパープルであったり、こうした付加価値の高い長野県のオリジナル品種の栽培拡大を図っております。また、ICTを活用した水稲の生産コストの削減でありますとか、また、農業者みずからが加工、販売等を行う6次産業化の取り組み、こうしたことを通じて生産性の向上、農業所得の向上を図ってまいります。  また、自信、誇り、こうしたものを農業従事者の皆様方に抱いていただくという観点で、例えば農業女子が銀座NAGANOあるいはフェイスブックでみずからの農業経営の魅力を発信する事業を進めております。また、若手農業者が高校生に対して夢あるいはやりがいを伝えるということも取り組みを始めています。このようなことによって、同世代の若い世代同士が交流し共感できる場面をもっともっとふやしてまいりたいというふうに考えております。  信州の農業にはすばらしい可能性があるというふうに若い皆さんに確信していただけるような取り組みを進めてまいります。  それから、生涯活躍のまち、日本版CCRC構想についての県としての対応、取り組みということでございます。  県内におきましては、15の市町村で生涯活躍のまち構想を推進する御意向があるというふうに伺っております。既に佐久市においては基本構想を策定されたところと伺っております。  県におきましては、総合戦略におきまして生涯活躍のまち構想を多世代まちなか・むらなか居住構想という形で位置づけまして、こうした意欲ある市町村あるいは民間事業者と連携して進めていくということに位置づけております。  既に、内閣府まち・ひと・しごと創生本部の職員、あるいはサービスつき高齢者向け住宅を運営される事業者の方を招いて勉強会を設けるなどしており、生涯活躍のまち構想の推進については市町村と一緒に取り組みを行っていきたいと考えております。  また、生涯活躍のまち構想の推進に当たりましては、先ほどの御質問にありましたが、高齢者の移住に伴う受け入れ自治体の財政負担の問題でありますとか、あるいは福祉・介護人材の安定的な確保定着といった問題が考えられますので、国に対してはこうした課題の解決について要望をしていきたいと考えております。  以上でございます。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)3点の御質問に対しまして順次お答えをいたします。  初めに、農地中間管理事業についてのお尋ねですが、事業の初年度でありました平成26年度は、担い手への貸し付け目標500ヘクタールに対しまして210ヘクタールの実績にとどまっております。  その原因といたしましては、農家に対し制度が十分に浸透していなかったこと、また、そのために貸し付け後の耕作者が特定されないことへの不安ですとか、貸し付け期間が10年以上の長期にわたることへの抵抗感、こういうものがあったということ、さらには、従来から担い手への農地集積を進めてまいりました農地利用集積円滑化事業からの切りかえに時間がかかることなどがあると認識をしております。  農地中間管理機構を軌道に乗せるための対応につきましては、まず、機構においては、本年4月に経営感覚にすぐれた農業法人経営者2名を新たに理事に任命するとともに、業務委託先でありますJAや市町村の農地集積コーディネーターを増員する、また、地域の農地や農業者などの実情を熟知した120名余りの方を事業推進協力員として新たに設置するなど、事業推進体制を強化したところでございます。  さらに、機構と県がキャラバン隊を組みまして全市町村を訪問し、市町村長さんたちと率直に意見交換を行う中で農家への制度周知と事業の活用を強力に要請をしているところでございます。  次に、中山間地域などで重点的に進めるべき課題と対応についてでございますが、中山間地域においては高齢化に伴い経営規模の縮小やリタイアが急速に進んでおりまして、耕作が困難となった農地を活用する担い手の確保が喫緊の課題というふうに承知をしております。  このため、小区画、不整形な農地を使いやすくするための基盤整備を進めるとともに、担い手の参入を促進してまいります。  また、農家子弟や移住者を含めた幅広い世代の就農を促進するために、市町村等と連携しまして、新規就農者や定年帰農者を誘致するための相談会や研修会を開催しております。  また、担い手を確保できない地域におきましては、地域との協調を前提として、企業や企業出資の農業法人の参入につきましてもこれが進むよう支援をしているところでございます。  次に、農地取得に関する規制緩和についてでございますが、総合戦略に掲げる「人生を楽しむことができる多様な働き方・暮らし方の創造」を進める上で、規制緩和は必要と考えております。  農業を始めたい移住者が円滑に就農できますよう、農地法3条許可にかかわる下限面積の引き下げにつきましては、市町村農業委員会に対し文書によりまして依頼するとともに説明会も開催し、それぞれの市町村農業委員会での前向きな検討を現在お願いしているところでございます。  また、住宅の敷地内で家庭菜園などの農ある暮らしを楽しみたいという要望にも応えられるように、農地を住宅に転用する際の基準面積につきましては、原則、一般住宅500平米、農家住宅1,000平米以内としておりました今までの運用につきまして、平成28年4月より撤廃する方向で現在準備を進めているところでございます。  以上でございます。       〔健康福祉部長小林透君登壇〕 ◎健康福祉部長(小林透 君)人口減少対策についての御質問にお答えをいたします。  保険財政への影響についてでございますが、議員御指摘のとおり、本年4月、介護保険の住所地特例が拡大され、有料老人ホームに該当するサービスつき高齢者向け住宅も特例の対象となったことから移住先市町村の財政負担軽減に一定の効果があるものと考えております。  しかしながら、改正後においても引き続き住所地特例は現住所から直接他の市町村の施設に入所した場合に適用されるものであることから、一般住宅に一旦移住し、その後に施設に入所することとなった高齢者は住所地特例の対象とはならず、移住先市町村の財政負担がふえる要因となります。  こうしたことから、現在、国の日本版CCRC構想有識者会議では、移住によって後期高齢者の割合が高くなった市町村への調整交付金を手厚くするなど、介護保険制度における財政調整の見直しを含め、最終報告に向け検討が行われると聞いてございます。  県といたしましては、この有識者会議の検討結果や、それを踏まえて来年度以降始まる次期介護保険制度改正に関する議論の動向などについての情報収集に努め、地方財政への影響について見きわめたいと思っております。  以上でございます。       〔35番丸山栄一君登壇〕 ◆35番(丸山栄一 君)それぞれ答弁をいただきました。日本創成会議の座長増田氏は、人口減少社会は避けて通れない、しかし、人口急減社会だけは英知を集めて避け、成熟社会に移行させる必要がある、こういうふうに言っておられました。  県もそれぞれ事業展開をされているところでありますが、移住、定住を希望される方はさまざまな年代の方がおられ、その家族構成もそれぞれ異なるわけであります。御答弁がありましたように、それぞれのニーズにどれだけ寄り添うかが大きな課題だというふうに思いますので、今後ともよろしく推進のほどお願いを申し上げます。  次に、空き家対策についてお伺いいたします。  空家対策特別措置法が全面施行され、高齢化や人口減の影響で増加を続け、全国の住宅の13.5%に当たる820万戸に上っております。管理が行き届かずに老朽化した有害な空き家は地震などで倒壊する危険があり、ごみの放置や不審者の立ち入りによる治安悪化などで社会問題となっております。  こうした住宅を自治体が特定空き家に指定し、所有者に解体や修繕などを勧告、命令できるようにし、命令に応じられないときは自治体が所有者にかわって取り壊し、費用を所有者に請求することも可能となりました。  さらに、特措法では、特定空き家の所有者が勧告に従わない場合、住宅が建っていても固定資産税の軽減措置を打ち切ることができるようになりました。  価値総合研究所が実施した空き家利用意向アンケートによれば、空き家のうち売却や賃貸などを検討している人は24%であり、71%の人は特段の活用は考えていないようであります。  法律の施行により、空き家の所有者や空き家を抱える地域からの有効活用が多くなることも予想されます。  こうしたことから、空き家の有効活用及び利活用を地域づくりに生かす政策が必要となると思いますが、空き家の利活用の促進について御所見を知事にお伺いいたします。  また、この特措法では、市町村による空き家等対策計画の策定と協議会の設置、空き家の所有者の調査、データベースの整備などを行うことを示唆しています。  県は、市町村に対して技術的な助言と市町村相互間の連絡調整など必要な援助をするよう示されておりますが、小規模自治体が多い県内では建設技術職員が少ない市町村もあり、空き家対策の対応にばらつきがあると聞いておりますが、実際に空き家対策を進めていく上での難しさや課題についてどのように認識されているのかお伺いするとともに、空き家対策における県の役割についてどのように認識され、市町村との役割分担について県と市町村でどのように共有されていくのか。建設部長にお伺いをいたします。  次に、特殊詐欺の抑止対策についてお伺いいたします。  おれおれ詐欺を初めとする特殊詐欺は、新聞を見ると毎日のように被害が発生しており、地域住民を脅かすものとして大きな社会問題となっております。  警察庁の発表によりますと、本年9月までの被害件数は1万165件に上り、昨年同時期と比べ720件増加しており、被害額は約351億6,000万円と前年同期と比べ約54億8,000万円の減少となったものの、依然として被害が後を絶たない状況となっております。  本県でも、昨年は被害件数は190件、被害額は約10億2,900万円と、前年に比べますと件数で5件、被害額は5,900万円減少いたしました。これは、昨年、知事による特殊詐欺非常事態宣言による広報、啓発や県警の単独高齢者世帯の訪問による注意喚起、金融機関や宅配事業者などの協力による水際防止対策による成果だというふうに思います。  しかしながら、ことし10月までの被害は231件、被害額は6億5,200万円で、前年同期と比べますと全国の状況と同様に被害件数は1.5倍に増加し、被害金額は75%と減少はしているものの被害の多発傾向は依然として続いており、さらなる被害拡大が危惧をされているところであります。  本県の10月末の状況を見ますと、依然としておれおれ詐欺が106件とトップを占めており、私が住む中野市でも、昨年6月、7月に、いずれも80歳代の女性が、孫やおいの親戚を装い、病院やコンビニにかばんを忘れてしまったので現金を用意してほしいとの電話を受け、現金を手渡してしまったという被害がございました。  おれおれ詐欺を初めとする特殊詐欺は特に高齢者が標的にされており、老後の大切な蓄えをだまし取るという犯罪は決して許すことはできません。  県警では、本年度、特殊詐欺抑止対策室を新設し、これまで実施した対策の効果を検証し、金融機関等関係機関との連携強化によるさらなる水際防止対策を図っていただいているほか、本年3月、特殊詐欺撲滅のための先制・予防コールセンターが設置されましたが、同センターでは、狙われやすい県民に対する先制予防的な注意喚起の電話や犯人の使用する電話に対する警告電話を行っています。  特殊詐欺事件の被害者の多くを占める高齢者は、振り込め詐欺は知っていてもだまされてしまうことが多くあると言われております。特殊詐欺防止には繰り返し粘り強く広報、啓発を行っていくことが必要であり、県民に直接注意を促す手段としてコールセンター事業は大変重要だというふうに思います。  そこで、コールセンター事業では、具体的にどのように県民への注意喚起を行っているのか。また、県警では事業の実績とその効果をどのように総括しているのか。県警本部長にお伺いします。  また、本年は、今のところ被害額は減少しているものの件数は増加している状況の中、今後、多種多様な特殊詐欺を撲滅しゼロにすべく、どのような対策に取り組んでいかれるのか。県警本部長にお伺いをいたします。
          〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)空き家の利活用の促進についての所見についてという御質問でございます。  年々増加している空き家対策、これは喫緊の課題だというふうに認識をしています。  空き家情報を集約して積極的に生かしていこうということで、楽園信州空き家バンク、開設いたしました。移住や2地域居住を希望される方へ空き家の活用による住まいの提供、県と市町村が連携して取り組んでいきます。  また、市町村においても、空き家を公共賃貸住宅あるいは地域交流施設に活用されるといった積極的な取り組みも行われてきているところでございます。  空き家、さまざまな課題があります。景観を害する、あるいは防災上の課題がある、いろいろな課題がありますけれども、県としては極力積極的に生かす方向、地域づくりを進める上で空き家の活用ということをしっかり視野に入れて取り組んでいきたいと考えております。  人口定着・確かな暮らし実現総合戦略におきましても、空き家、空き店舗などを活用した町、村づくりを進めていくということを位置づけております。これは関係部局がまたがってくる施策でありますので、関係部局、しっかり連携をした上で空き家の問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)空き家対策を進めていく上での課題と市町村との役割分担についてのお尋ねでございます。  最初に、役割分担でございますが、空き家対策は、住民に身近で空き家の状況を把握することができる市町村が主体となり、県の役割は、市町村への助言、情報提供、連絡調整など必要な支援を行うことと認識しております。  次に、課題としては、建築技術職員の確保が困難な小規模な町村におきまして、住民から空き家相談等への対応に苦慮されております。また、適切な管理が行われていない特定空き家の対応においては、所有者等への指導助言、さらには勧告、命令等の新たな業務により市町村に係る負担も大きくなると考えられます。  そこで、県では、5月の特別措置法の全面施行を機に、県と市町村が課題を共有し連携して取り組むため、長野県空き家対策市町村連絡会を設置いたしました。連絡会では、空き家対策に関するセミナーの開催や県民への啓発パンフレットを作成、配布を行うとともに、それぞれの役割や連携して取り組む対策などについて共有しているところでございます。  さらに、空き家所有者等からの相談に対応するため、県、市町村と建築、不動産などの専門的知見をお持ちの団体で構成する空き家対策支援協議会を設立し、11月から県下12カ所において相談窓口を開設したところでございます。  今後とも、県と市町村がそれぞれの役割のもと、一層連携を深め、空き家対策に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔警察本部長尾﨑徹君登壇〕 ◎警察本部長(尾﨑徹 君)特殊詐欺被害防止対策として行っているコールセンター事業の具体的内容と実績及び効果などに関する御質問にお答えさせていただきます。  コールセンター事業は、犯人に狙われやすい県民に直接注意喚起するもので、本年3月から民間への業務委託により実施しております。  その内容といたしましては、標的となりやすい都市部の電話帳登載世帯や、過去に犯人グループが犯行に利用した名簿登載者に電話をかけ、県下で発生している特殊詐欺の手口や対処要領などについて説明して被害防止を図っているものでありまして、最近ではマイナンバー制度を悪用した特殊詐欺に関する注意喚起も行っております。  また、特殊詐欺の前兆電話が特定地域に多発した際には、対象地域の住民や金融機関などへ集中的に注意喚起を実施しております。  このほかにも、前兆電話で判明した犯人が使用する携帯電話に対して繰り返し電話による警告を行い、その携帯電話による被害対象への通話を困難にする活動を行っております。  次に、コールセンター事業の実績と効果ですが、10月末で県下16万4,000件余の注意喚起を実施しており、注意喚起されたことですぐに詐欺の前兆電話とわかったなどの被害の未然防止が22件ございました。  また、電話により感謝されたのは1,067件ございまして、注意喚起の電話をいただけるのは大変ありがたいとか、特殊詐欺の手口や警察の連絡先などの資料も送ってほしいなどの言葉を寄せられており、本事業が特殊詐欺被害防止対策の一つとして有効な施策と認識しております。  次に、今後の対策でございますけれども、特殊詐欺撲滅のためには抑止と検挙の両面での対策が必要であると考えますが、抑止対策としては、警察はもとより、県を含む自治体と地域が一体となった取り組みをさらに充実させ、県民の抵抗力の強化を図るとともに、最後のとりでである金融機関等関係事業者との一層の連携強化による水際対策を進めてまいりたいと思っております。  また、検挙対策といたしましては、犯人検挙による犯行グループの実態解明と突き上げ捜査などにより組織の壊滅に力を注いでいく所存でございます。  以上でございます。       〔35番丸山栄一君登壇〕 ◆35番(丸山栄一 君)空き家を新たな地域の交流の場、住まいの場として再生させていくことは地域活性化につながる方策ともなり、必要なケアが届けられる仕組みが構築できれば見守りが必要な高齢者などが安心して生活できる可能性があると思います。  空き家の既存ストックは貴重な資源であり、空き家の適切な管理を主とするのみでなく、イノベーションを行うことなどにより活用ができるものにしていけば最高だというふうに思いますので、空き家対策の推進にお願いをしたいと思います。  また、特殊詐欺の犯行方法も巧みに変化しており、県民総ぐるみの特殊詐欺対策を一層推進し、県民の予防力を高めていくことを期待を申し上げ、質問といたします。ありがとうございました。 ○副議長(小島康晴 君)この際、15分間休憩いたします。         午後3時7分休憩          ──────────────────         午後3時23分開議 ○議長(西沢正隆 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  髙橋岑俊議員。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)それでは、順次通告に従いまして質問させていただくわけでございますが、平成26年3月、長野県リニア活用基本構想が策定されまして、その構想の意図するところ、あるいはその実現に向けた考えを、一部私の提言を含めた中で、昨年の11月以降の定例議会でそれぞれ一般質問を通して伺ってきたところでございます。  ところで、私ども地域におきましては、平成27年3月、南信州広域連合が第4次広域計画の中の基本構想、基本計画、こういうものを策定いたしまして、この中でリニアに関係いたしました新幹線開業に向けて望まれるインフラというものを掲げておるわけでございます。  その内容は、研究開発機能の拠点施設、あるいは高等教育機関、コンベンションセンター、スポーツ施設、この四つを掲げておるわけでございますが、この四つは直接リニア駅周辺に関係するものではなくて、あくまでもこれは地域づくりの推進役のためのものでございまして、駅周辺整備とは関係のない一つの構想でございます。  一方、飯田市はリニア駅周辺整備検討会議をことし立ち上げました。あわせて、リニア駅周辺整備の交通施設に関係した発表の中で、それに必要とする面積は7.8ヘクタールという発表があったわけでございます。その中には、長野県が検討対象としているような施設の計画やあるいはその用地取得についての構想は含まれていない状況でございます。  長野県リニア活用基本構想では、商業関係、これはサービス機能の関係でございますが、この商業施設について、運営形態を初め詳細は今後時期を捉えて関係機関と別途検討すると、こういうことがうたわれておるわけでございます。  また、人の交流といたしまして、これは交流機能の中の一つでございますが、この中に、コンベンション施設、あるいは屋外イベントスペース、ビジネス、集会用会議室、あるいはコワーキングスペースなどについて、これら機能を施設として実現する場合、そのあり方について検討が必要、こういうふうに記されておるわけでございます。  しかし、その多くの構想の検討経過やあるいは施策の展開、これらについての情報の伝達が我々の地域のほうにはなくて、地元の関心と期待は大きいんでございますが、そこら辺の情報がなかなかうまく伝わってこないというところで非常に困惑している、こういう状況でございますが、迅速な計画の策定あるいは用地確保を願うところであります。  そこで、奥村建設部長に御質問いたします。  リニア駅は当然飯田市地籍になるわけでございますが、駅周辺整備は都市計画法その他の法令に基づき計画を立てることになると思われるわけでございますが、広域連合の中の、飯田市は当然ではありますが、それ以外の13町村長さんたちは今回のこの大事業の主体者がどこがなっているのかということがよくおわかりになっていないようでございます。したがって、いろいろの要望があってもどこへそれを出せばいいかという困惑、情報の伝達がうまくいっていないというところが、こんなお話をしなければならないということでございます。  また、経済団体の商工会なんかについても、本来は検討会議にぜひ入っていただきたいというような団体もなかなか入っていないということが、今後、地域の発展に向けたときに心配だなというふうに思うわけでございます。  つまり、いろいろな面で要望や提案をしたいけれども、その窓口が定かでない、地元なのか県なのかということが非常に戸惑いがあることは事実でございます。  そこで、私は、きょうの質問で、主体者がどこがなるかということを明確にさせていただきたいということでまず質問させていただくわけでございます。仮に県が主体者とならない場合であって、リニア駅周辺整備に県としてはどういうかかわり方をするか。教えていただけたらと思うわけでございます。  次に、企画振興部長にお伺いいたしますが、当然これらの駅周辺整備は土地あるいはその施設に大別されるわけでございますが、土地整備にはどういうものを想定されているのか、また施設整備はどういうものを想定しておられるか。当然、土地は空間確保とともに計画する施設に必要な用地がついて回るわけでございますが、その中で、駅の構内あるいは駅の構外でございますが、駅にくっついて、あるいはそこから若干離れたところ、それぞれに必要な施設というものが生じてくるわけでございますが、それはどのようなものを想定されているのか。  また、それにつきましては、これから具体化しなければならない面もあるかと思いますが、どの程度の用地面積が必要になってくるというふうに見込んでおられるか。この辺をお聞きしたいわけでございます。  また、先ほど冒頭に申し上げましたけれども、県の施設としてコンベンションセンターだとか展示場、あるいはスポーツ施設、県産品の販売施設、また、民間施設としてのホテルや会議場、それから免税販売店、こういうようなものが必要になると考えられますが、これらの土地の中で、県の施設に必要な土地、あるいは民間施設に必要な土地、あるいは周辺連合自治体の施設に必要な土地、それぞれを確保するようなことになるかと思いますが、開発計画の中で、県と地元飯田市、あるいは町村自治体、また民間企業とどう取り組まれるのか。お伺いするところでございます。  次に、民間施設に必要な土地の確保は、今御質問したわけでございますが、どこが行うのか。ちなみに、北陸新幹線では、飯山駅周辺整備においては飯山市さんがホテル用地を確保して、その後民間がホテルを建てるというふうに聞いておるわけでございます。  リニア駅という国家的プロジェクトにふさわしい施設の要請からすれば県がタッチすべきと考えるが、いかがでありましょうか。  また、施設計画とともに土地が当然付随して確保の必要が生じますが、現在、飯田市さんが発表されました駅施設整備、それに要る7.8ヘクタールの土地面積に拘束されることなく、これからきちんとした計画に基づいて必要とされる面積を確保するということでよろしいのかどうか。この7.8で拘束されてしまうのかという不安が一つあるものでございますから、御質問させていただきます。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)リニア中央新幹線長野県駅周辺の整備の主体者についてのお尋ねでございます。  駅周辺整備のうち広域交通拠点として必要な駅前広場や駐車場等の整備については、地域とのかかわりが大きいことから飯田市が主体となってリニア駅周辺整備検討会議において検討を進めており、会議には学識経験者、地域の代表者などとともに県も参画しております。  また、県は、伊那谷自治体会議を開催し、リニア中央新幹線を上伊那地域及び飯伊地域の広域的な地域振興につなげ、伊那谷全体の発展に生かすべく連絡調整などを行っておりますが、先ほど申し上げましたリニア駅周辺整備検討会議での検討内容についても報告、協議を行うなど、連携して取り組んでいるところでございます。  このほか、県では、リニア中央新幹線の整備効果を広く県内に波及させるため、長野県駅への広域的なアクセス道路の整備について計画を進めているところでございます。  以上でございます。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)リニア駅周辺整備についての御質問でございます。  まず、駅構内、構外、また駅連結のそれぞれに必要な施設という御質問でございます。  リニア中央新幹線開通を見据えた地域づくりの指針といたしまして県が平成26年3月に取りまとめました長野県リニア活用基本構想におきましては、今ある地域資源を生かして人々を引きつける、人口減少社会を交流人口の拡大で活性化する、日本の将来に貢献することを目指すとしております。  その上で、基本構想では、リニア駅周辺に求められる施設として、従来の駅に見られる商業施設、イベント施設などに加え、リニア駅を拠点とした観光ルートづくりのため屈指の眺望を活用したリニアを眺望できる施設、長野県の南の玄関口として広域交通、地域振興の拠点となるべきさまざまな情報をワンストップで提供できる総合案内所や地域の特産物を販売するにぎわい施設などの設置を検討するものとしております。ただ、現時点では、こうした施設の規模や整備主体などの詳細までは決定に至っておりません。  リニア中央新幹線の整備効果を広く県内に波及させる役割は県が果たしていく必要があり、伊那谷自治体会議など地元自治体を交えた検討をさらに進めてまいりたいと考えております。  次に、用地確保の役割分担について、こちらは2問いただきましたが一括して御答弁をさせていただきます。  長野県リニア活用基本構想におきましては、伊那谷に広がる豊かな自然環境を生かし、リゾート型のいわゆるMICE、すなわち、企業等の会議、研修旅行、国際会議、イベントなどでございますが、こうしたMICEの誘致に取り組むこととしております。その上で、そのための施設や来訪者の受け入れ態勢の整備について民間活力の利用なども含め適切な手法について検討するとしているところでございます。  そのために必要な土地の確保につきましては、御質問にありましたような民間事業者をどう絡ませるのかという視点も含め、県と飯田市を含む地元市町村とよくすり合わせをしながら検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)御回答いただきましたが、伊那谷自治体会議による現在の会議が一番重要であるという認識でございます。これにつきましては、後ほどの質問もありますが、あわせて質問させていただきますが、大変これは意見集約するには重要であるということでございますが、将来発展をさらなるものにするには民間の柔軟かつ大胆な発想を取り入れることもこれから大事ではないかな、そして最大限の英知の結集を図ることがよりよい結果を生むのではないかなというふうに考えておりまして、伊那谷自治体会議、これは、自治体だけでなくて、もっと民間の人たちを多く入れて、すばらしい計画が立てられるようにお願いしたいと、こういうふうに思うわけでございます。  それから、駅周辺の施設等については、計画どおりの話を今部長さんからお話がありましたけれども、これは、私、もう昨年の11月から具体的にこういうものがあるがどうする、ああいうものがあるがどうする、それから県の基本構想の中にも入っておりましたようなものが1年たって必要であるかないかもまだ見えていない、検討されていない、大変残念に思うわけでございまして、来年になればリニアの開通まで11年、じきに11年は来てしまう、そこまで来ている、この時間を考えますと当然私ども乗る人間といたしましてはすばらしい結果を見たいと、こういうふうに思うわけでございます。その辺についてはまた御答弁いただきたいと思います。  それから、2次交通の協議会の早期立ち上げについてでございますが、これは、北陸新幹線の飯山駅、あそこの開発関係では早くから2次交通の協議会が立ち上げられた。しかも、これは、長野県だけでなくて、新潟県の県外の市町村さんまで参加しているという非常に時宜を得たといいますか、この地域、それぞれの町村の活性化のために御熱心に取り組んでいる姿ではないかと思いまして、これらにつきましてはもう既に協議会のようなものは発足しても問題ないんではないかと思いまして、これにつきましては県として事前に各関連すると思われる市町村にどう対処するのか。お伺いしたいところでございます。  また、周辺自治体あるいは周辺広域連合等、広範な地域の自治体が直接リニアを活用するような施設、こういうようなものがもしありましたら県として御助言をいただきたい。これも部長にお伺いいたします。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)伊那谷自治体会議へ民間の方々の発想、意見を取り入れるということについての御質問でございます。  リニア中央新幹線の開業は、県内と首都圏、中京圏、近畿圏との行き来が便利になるだけではなく、産業の振興による地域の活性化など長野県の発展に大きく寄与するものと考えております。  リニア開業の効果を長野県全体の発展につなげるためには、議員御指摘のとおり、行政だけではなく民間の発想も取り入れていく必要があると考えております。このため、今後、伊那谷自治体会議におきましては、有識者や上下伊那の経済界などからも幅広く御意見をいただき、検討を進めていきたいと考えているところでございます。  2次交通についての御質問でございます。  平成25年3月に策定した長野県新総合交通ビジョンでは、リニア中央新幹線の整備効果を広く県内に波及させるためリニア中央新幹線を基軸とした交通ネットワークの構築に取り組むとしているところでございます。  リニア駅を起点とした2次交通の検討は、その具体策の中心でございます。検討に当たりましては、高速バス路線など県内外を結ぶ広域交通ネットワークをどう整備するのかという視点と、上下伊那地域における広域観光のためにどういった交通ネットワークが必要かという二つの大きな視点が必要と考えております。  こうした視点に立ちまして、まずは飯田市がリニア駅周辺整備検討会議に設置いたしますトランジットハブ・道路ネットワーク部会、こちらには地元の事業者も入っているというふうに伺っておりますが、この部会と伊那谷自治体会議との間でしっかりとすり合わせをしながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。  最後に、周辺自治体が恩恵を受けられる施設についての御質問でございます。  リニア駅の恩恵を直接受けられる施設というものの範囲につきましては、さまざまな受けとめ方があるとは思います。先ほど御答弁申し上げましたとおり、基本構想におきましては駅に必要な施設といたしまして総合案内施設や物産販売施設などを整備することとしております。それ以上の機能を持つどのような施設が必要かにつきましては、伊那谷自治体会議などで地元の御意見をしっかりと伺いながら検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)伊那谷全体の発展ということが今度のリニアの開通に伴い要請されるところでございますので、この開業をぜひ有効なものにしていただきたいというふうに思うわけでございます。  また、いろいろの計画につきましては、現在一番トップにあるところが伊那谷自治体会議かなとは思うわけでございますが、地域によりましてはいろいろの研究機関や検討機関がございますので、最終的にこのリニア周辺整備構想というものは、これらを集約して最終決定する機関、つまり、ばらばらの機関が知らないところで、あるいは思い思いの決定で中途半端にならないように、最終決定する機関を持つことが必要と考えますが、どう考えておられるか。お伺いいたします。       〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕 ◎企画振興部長(小岩正貴 君)最終決定についての機関ということでございますが、さまざまな主体、それぞれの役割に基づいて事業をする内容等々決まってくると思いますので、まずは伊那谷自治体会議の中でその構成員がしっかりと意見交換をして同じ方向を向くことが大事だと考えておりますので、その方向で進めたいと考えております。  以上でございます。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)この検討結果が実現に向けていくときに漏れのないように、全てを拾えるようにお願いするところでございます。ぜひ企画振興部長には頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、法人事業税の収入割課税、やや専門的なところがあるかと思いますが、皆様御存じのように法人事業税は本来法人所得に税率を掛けて計算する事業税でございまして、極めて県税の中のウエートを占める重要な税であることは皆様方御承知かと思います。  法人事業税と一口にいいましても、法人の所得、言ってみれば法人の利益、もうけに対する税金が基本計算でございますが、別の課税方法、つまり付加価値割、いわゆる外形標準課税、現在、政府のほうでは、赤字の企業が非常に多いものですから事業税の収入が少ないということから外形標準課税をもう少し見直していくというような方向もありますし、また、資本金等一定の金額以上大きい会社につきましては別途課税されるということでございます。  加えまして、これから問題になるという言い方はいささか語弊があるかと思いますが、議論の対象になってまいりますのが発電でございます。電気を売る。従来は大手の電力会社が売電収入金額に対して税率を掛けるという収入割の事業税というものがあったわけでございます。
     ここで私が何を申し上げたいかといいますと、今一般の企業の皆さんたちが盛んにソーラー発電やいろいろやってまいりました。当然、ここに売電というものが発生しておるわけでございます。  ところで、所得とはまた別に売電の金額に対して率を掛けて課税するというときに、では、10万円売った会社はそれに率を掛けるのか、100万円を売ったら掛けるのかという問題でなくて、実は今のところ兼業でやっている、中部電力とか東京電力という電力会社は基本的には発電が中心でございますが、一般のこの辺の会社は本業がある中で最近のいろいろな考え方から太陽光発電等を始めてきたわけでございます。  そこで、今、事業税はどういうふうに課税をしているかというと、その収入金の中に1割以上売電収入がある場合にはそれに対して課税しますよという規定になっているわけです。そこで矛盾がちょっと出てくるのではないかなと私が考えるところが、仮に兼業している会社が本業を含めた中で100億円売り上げがある。それで、その中に売電が例えば8億円あったとすると10%にならないんです。売り上げの中に占める売電金額がおおむね10%にならないと普通の事業所得の計算の事業税で終わりですよと、こういう形です。  ところで、この辺の小さな企業で年間の売り上げが例えば5,000万しかない企業が売電収入で例えば600万あったとすると、1割を超えますから600万の売電収入という収入金に率を掛けた税金がかかるということになるわけでございます。  それで、今、経済団体では、先日も私ども自民党に要望がありましたけれども、いわゆる赤字企業が八十数%ある中で、法人所得に対して事業税がかかることは当然でございますが、いわゆる外形標準課税のような拡大はぜひしないでいただきたいという要望がある中で、今のこの売電も言ってみれば本則課税から見ると例外的な課税方法でございまして、今の問題からいきますと、零細の人たちはそんなことを考えなくて、パネルをたくさん買って、償却もできるからというようなことからクリーンエネルギーの政策に対しては大きな寄与をしておるわけでございますが、一面、今申し上げたようなことで、売電金額が1割を占めていなければいい、占めておれば課税だよというようなことになりますと、今申し上げた具体的な金額から見て不公平を感じていただけると思うんです。  したがいまして、私は、金額で判断するんでなくて、発電能力が幾らある、そういう設備を持ったところは売電収入金額課税が必要だと、こういう適用基準が必要ではないかなと思っておるわけでございます。  これは、全国47都道府県、一般の民間の人たちが発電をする、売電をするということになりましたので、まだまだ地方税における事業税のこの分野における法改正というものがそこまでいっておりませんで、恐らく通達に基づいて処理されていると、こんな状況というふうに受けとめております。  したがいまして、収入金課税から、今のようないわゆる発電能力基準で、いわゆる規模の基準を捉えるということが大事ではないかなということで、その御所見を原山総務部長にお伺いする次第でございます。       〔総務部長原山隆一君登壇〕 ◎総務部長(原山隆一 君)電気供給業を行う企業に対する法人事業税の課税についての御質問でございます。  電気供給業を行う企業に対する法人事業税は、所得に対する課税ではなくて、売り上げを課税標準とする収入金課税の制度が採用されております。  所得課税の事業と収入金課税の事業をあわせて行う法人の場合どうなるかと申し上げますと、各事業部門ごとに税額を算出することが原則になっております。  ただ、例外的に、一方の事業が軽微である場合は主たる事業に対する課税方式によって差し支えないものというふうにされているところでございます。これは、一方の事業が軽微である場合は、独立した事業というよりも、むしろ主たる事業の附帯事業と判断すべきだとの考えによるところでございます。そして、軽微に該当するかどうかという判断基準は、主に売り上げに占める割合が1割以下であるということとされているところでございます。御質問のとおりでございます。  軽微かどうかの判断に当たって電気供給能力を基準に追加するという御提案でございますが、果たしてそれが主たる事業の附帯事業に当たるか否かの基準として適当かどうかと。この点については総務省の見解も確認させていただきましたけれども、難しいという回答を得ているところでございます。  しかしながら、小規模な発電事業者が増加しているという従来にない状況の中では、税の分野においてどのような影響が生じるかにつきましては私どもとしてもしっかり問題意識を持って臨んでいくことが必要だというふうに考えております。       〔33番髙橋岑俊君登壇〕 ◆33番(髙橋岑俊 君)今、御回答いただきました。いわゆる事業の規模として捉えるという観点からでございますので、それはそれで一理あるわけでございますが、一方、担税力、税金を負担する力という場合でございますが、八十数%が赤字の企業の中で別途に税金をまた負担するというのは担税力に不公平が生ずると、こういう観点からも是正の余地はあるんではないかというふうに考えるわけでございまして、今後、私どもも頑張ってまいりますが、ぜひ皆様方も御理解をいただきまして税制が適正に執行されるように頑張っていただきたい。よろしくお願いいたします。  以上で質問を終わりとします。 ○議長(西沢正隆 君)次に、百瀬智之議員。       〔5番百瀬智之君登壇〕 ◆5番(百瀬智之 君)長野県農業の主要部門である園芸農業について、まずは先端技術の導入状況からお尋ねします。  温度管理等の栽培工程をIT管理して生産体制を安定化し、高付加価値の作物をつくる施設園芸農業が近年広がってきました。農業法人や大規模農家がビニールハウスならぬガラスハウスで園芸作物を大々的につくる例もあれば、遊休施設を活用して1人で園芸栽培を始める例もあるようです。  技術開発については、信州農業を革新する技術開発推進事業が今年度から始まっています。民間企業や大学などが持つアイデアと技術シーズを活用しての異業種連携、それに伴う農業経営の効率化が期待され、もとより農業に転用できる技術を日本の企業はたくさん持っています。  ガラスハウスを見れば、通信メーカーとの連携によるコンピューターを駆使した環境制御や品質管理、養液メーカーとの連携による農家への先端技術指導、家電メーカーとの連携によるエアコンや光源などの技術革新など、連携に期待できる点は多々あります。  これらを踏まえ、技術開発、特に県内の温室栽培への技術導入とハイテク化にいかなる取り組みを進めているか。まずは農政部長に見解を求めます。  さて、小さな国土面積で大きな農業成績を上げ、園芸作物において一日の長がある国といえばオランダです。日本のほうがおよそ農地面積は24倍、農業就業人口は20倍、農業経営体数は30倍以上上回っているにもかかわらず、1人当たりの農地面積を比べるとオランダは日本の約8倍、農業就業人口1人当たりの生産額は日本の約14倍、そして、農産物の輸出額はアメリカに次いで世界第2位を保持し、特に野菜や果物、花卉類の輸出は世界一となっています。  この背景にあるのが、フードバレーと呼ばれる食の科学とビジネスに関する一大集積拠点たるワーヘニンゲン大学リサーチセンターです。  1997年に、顧客志向で商品やサービスを創造する世界規模の食品研究開発拠点を築くべく、産学官が一体となってワーヘニンゲンに集積したのが始まりで、フードバレーには食品関連企業約1,400社、科学関連企業約70社、そして約20の食品関連の研究機関が集結、約1万人の研究者によって多様な研究・事業化プロジェクトが行われているとのことであります。多くの雇用が生まれていることは言うまでもありません。同国が抱える課題や、環境、規模、条件の違いを考慮に入れても、なお本県の参考になる点は多いと考えます。  以上を前提に質問いたします。  長野県内においては、農業、果樹、林業などの各試験研究機関、新技術の普及や産地づくりを支援する高度技術支援機関、その他農業大学校や専門教育機関が広い県土に分散しています。情報連携や相互協力の緊密化には一層努めてもらいたいところですが、将来的には、農業に関連する総合的な研究専門機関として、また農業や食品関連企業が集まり得る場として、メッセージ性の強い拠点形成に向けて関連施設を計画的に集約化していくべきと考えます。  ときに、現地機関の再編に関して先月開催された長野県行政機構審議会では、このことについて、北欧諸国では、近年、農業部門の競争力強化の観点から、大型の植物工場や栽培型漁業などIT技術を駆使した先端的な取り組みが官民を挙げて行われている、農業が基幹産業の一つである長野県においても、試験場がこうした役割をリードできるよう思い切った体制の強化を検討すべきであるとする意見を初め、組織体制の見直しや強化を求める意見がよく出たとお聞きしています。  他県にも先進事例があり、また、知事の公約でも試験研究機関の機能強化が掲げられているのは皆様御承知のとおりであります。  そこで、かかる組織再編と拠点形成を実現した場合に、県内農業にどのようなメリットや波及効果があると分析しているか。農政部長に見解を求めます。  次に、知事にお聞きします。  オランダの施設園芸農業は、以下のとおり明瞭かつ大胆であります。施設野菜はトマト、パプリカ、キュウリ、イチゴで栽培面積のほぼ4分の3を占める。これらの4品目に集中的に投資。特に主要農作物であるトマトの自給率は310%に及び、国内消費を大幅に上回る生産量。大規模な土地利用が必要な小麦などをほとんど生産せず、かわりに施設や設備を充実させて輸出に適した品目を徹底してつくるという戦略。また、ネットを活用してトマトやパプリカの色、大きさ、甘さなど世界各地の需要を徹底的にリサーチする。そして、一番高く売れるタイミングを予想し、それに合わせた生産体制をしく。収穫や栽培にもロボットを大幅に導入し、流通や施設園芸のエネルギーについても研究開発を怠らない。カラフルでかわいらしいパッケージで消費者を引きつけ、代替エネルギーや使用エネルギーの再利用も農業に導入し、施設園芸の的であるエネルギーコストも大幅に下げているというぐあいです。  オランダが国土の面積などのハンデを克服し、世界一強い農業を実現しているのは、これら選択と集中に特化しているからと言って過言ではありません。科学的なマーケットリサーチに裏づけされた品種生産と、さきに質問いたしました技術革新と研究開発は重点的に投資をしたからこそ大きく実を結んだことであります。本県においても特に力を入れていただきたいことであります。  そこで、ここからが一番今回申し上げたいところでありますが、確かにTPP対策も大事でありますし、農地の中間管理機構の話も大事、また、よく議題となりますけれども、農ある暮らしなど地域振興策的な観点からの議論も確かに大事でありますが、しかし、20年後、30年後を見据えて、長野県の農業、これを成長産業化させて若い人たちが入ってくる、こういった方針をとることは大いにやっていかなければならないし、一丁目一番地であるというふうに思っております。  特に、若い人たちは、新しい世界に向かっていく産業、また成長する産業に魅力を感じるところであります。そういった観点からしますと、先ほど丸山議員の御指摘にもありましたとおり、知事も答えていただきました、稼げる農業を目指すんだ、こう指摘していただいたことは大変よかったというふうに思いますが、しかし、一方で、農業大学校の活用、あるいはシナノスイートに始まる高付加価値の生産、これをどういうふうに位置づけているかということはもう少し立ち入った説明が必要ではないかというふうに思っております。  私の中ではまだこれは点でしかないというふうに思っておりますし、周辺の施策なのか、それを突破口に、何か幹、向かっていくものがあるのか、これをどう考えているかということでありますが、たまたま、今回、私はオランダを引き合いに出させていただきましたけれども、やはり長野県農業の主要部門であります園芸農業について成長産業化に向けてめり張りのきいた施策を展開する必要があるし、予算づけにおいてもそのようにしていくべきではないかということで、改めて知事にその点をお伺いしたいというふうに思います。  最後に、つい先日、中信地区のあるガラスハウスを御案内いただきました。温度、湿度、電照時間などがコンピューターでコントロールされ、この時期でも1日約4トンのトマトを収穫し、地元や東京、大阪などに出荷、経営の観点からは補助金なく黒字化し、地元で約130名の雇用をつくっておられました。  このガラスハウスでは、現在、野菜栽培用エネルギーの供給を目的に、地域木質バイオマスを活用するコージェネレーション設備を導入したエネルギーセンターを建設中です。施設への温水供給を行うことで栽培におけるエネルギーコストの削減を図るとともに、燃焼過程で排出される二酸化炭素を施設内のトマトの光合成のために利用することが検討されています。  また、木質バイオマスを活用することで、県内の森林資源の有効活用を通じた地域振興を図っています。林業と農業の相乗効果が県内に新たな可能性を生むことを願うものであります。  そこで、さきのオーストリア、スイス訪問について、林業と文化、観光の諸成果を昨日御披露いただきましたが、この過程で農業と異業種との連携促進に関してお感じになられたことはあったでしょうか。この点についての考察を知事に開陳していただきまして、私の一切の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)私からは2点の御質問にお答えをいたします。  初めに、技術開発の取り組みと導入状況についてでございますが、今年度から取り組んでおります信州農業を革新する技術開発において畦畔除草管理機の開発では、諏訪地域における精密工業系の企業や信州大学工学部など農業分野以外の企業、大学と連携し共同開発を進めており、今後、現地において実用性評価を行い、改良を加えていく予定としております。  また、施設園芸におきましては、これまでに、県の野菜花き試験場が民間企業と共同でLEDの光を使った害虫防除技術を開発し、花や野菜のトマトなどで活用をされております。現在は、ハウス内の二酸化炭素濃度をコントロールすることによる増収技術や紫外線を利用した病害虫防除技術などの実用化に向け、民間企業との共同開発を進めているところです。  今後も、農業分野以外の企業や研究機関が持つ技術シーズを取り入れ、共同で研究開発に取り組み、農業分野の技術開発が加速できるよう進めるとともに、それを生産現場に速やかに導入、普及を図ってまいりたいというふうに考えております。  次に、農業試験研究機関等の集約化についてでございますが、本県の農業につきましては、県内各地で多様な農産物が露地生産を主体として生産されております。その中で、米麦、野菜、果樹、畜産、水産のそれぞれの主産地に六つの試験場が配置されているというのが現状でございます。  これら試験場では分野ごとに新品種や新技術の開発に向けた研究開発を行っておりますが、作物ごとの試験場であることから試験場の機能や役割が農業者を初めとした関係者にとってわかりやすいものになっているという現状がございます。  また、研究に当たりましては、他の試験場や大学、民間企業等他分野との共同研究などを通じまして進めるとともに、研究成果につきましては県下10カ所の普及センターを通じて農業者への速やかな普及を図っているところでございます。  御質問の試験研究機関を集約化した場合の県内農業へのメリットや波及効果でございますが、異なる分野の研究員が相互に知見や情報を交換し合うことで従来の手法と異なる斬新な発想による研究開発が進み、新たな農業技術の開発につながる可能性が期待をされます。  一方で、先ほど申しましたように、作物ごとに栽培環境の適地が異なることや、試験研究の今まで培ってきましたものの継続性への影響、さらには整備にかかる経費などの課題もあるものと認識をしております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)信州農業の成長産業化ということで非常に大きなテーマで御質問いただいたというふうに思っておりますし、このことについては、御指摘いただいたような点、しっかり受けとめなければいけないというふうに思っています。  長野県の農産物、非常に品質がいい農産物をこれまでつくってきましたが、恐らくこれから世界的な競争の中で打ち勝っていく上ではこれまでの延長線上の取り組みでは十分ではない、そういうふうに感じています。御指摘ありましたように、戦略的に農産物を選択して生産していくという観点も重要だと思っております。  第2期長野県食と農業農村振興計画、これに基づいてマーケットインの考え方を基本とした品目全体での振興策を展開してきておりますし、また、リンゴであればシナノゴールドやシナノスイート、水稲であれば「風さやか」、こうした品種を販売ターゲットを明確にした上で生産、販売するという取り組みも進めています。  また、リンゴの新矮化栽培の導入等によります収量と品質の向上、あるいは稲作経営にICTの導入をすることによる生産コストの低減、こうしたことを取り組んできているわけであります。  ただ、百瀬議員の御質問を伺っていて、私もこの答弁だけで十分かということを実はずっと考えておりまして、恐らく、この方向、必ずしも間違っているわけではないというふうに思いますが、しかしながら、次元が違う取り組み、言うならばこれまでフォアキャスティング的な、今までの取り組みを前提にどう発展させるかという観点で取り組んできましたが、これからは少しバックキャスティング的にかくあるべきと、長野県の農業をこうしなければいけないというところから逆に取り組むべき施策を構築していくということが重要ではないかというふうに考えております。  今、私ども取り組んでいる中で、信州ワインバレー構想、これは、人材育成拠点あるいは試験研究、こうしたものとあわせて、農地の集約であるとか、さまざまワイン関係の皆様方から具体的な御提言をいただいています。これは、まさに点の政策から線あるいは面の政策にしていかなければいけないという観点が非常に強く出されております。  そういう意味では、ワインだけではなくて、その他の農業分野においてもこういうような視点で、先ほど試験研究機関のお話もありましたけれども、トータルであるべき姿を構築して、それに向けて官民一体で取り組んでいく、そういう方向性をぜひしっかり出すように取り組んでいきたいというふうに思います。  それから、もう1点御質問いただきました。  オーストリア、スイスの訪問と農業と異業種との連携促進に関して何を思ったかということでございます。  今回、オーストリア、スイス、いずれも、林業、それから文化、観光という観点での訪問でございましたけれども、農業についてもいささか考えるところがございました。特にオーストリアでは木質バイオマスの活用という観点を学んでまいりましたので、これから熱利用ということで農業との連携が十分可能ではないかというふうに感じています。  今、長野県としても、園芸ハウスの暖房に木質バイオマスを活用するため、県内の工業・林業分野の民間企業とコンソーシアムを組んで、化石燃料と木質バイオマスのハイブリッドで、低価格、そして温度制御を可能とするボイラーの開発に着手をしております。ぜひこれは実用化していきたいと考えております。  また、スイスにおきましては、この場でも御答弁申し上げましたが、地消地産、こうした観点が非常に強く徹底されているということを感じております。長野県の農産物、地元の旅館、ホテルを含めてしっかりと活用できるような方向性を、これは、農政部だけではなくて、関係部局挙げてしっかりと考えていきたいというふうに思っております。  以上でございます。 ○議長(西沢正隆 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明3日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時10分延会...