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平成27年 2月定例会本会議-03月02日-06号

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  1. 長野県議会 2015-03-02
    平成27年 2月定例会本会議-03月02日-06号


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    平成27年 2月定例会本会議-03月02日-06号平成27年 2月定例会本会議 平成27年3月2日(月曜日)  出席議員(54名)   1 番 中川博司      28 番 和田明子   2 番 依田明善      29 番 今井正子   3 番 石和 大      30 番 永井一雄   4 番 藤岡義英      31 番 諏訪光昭   5 番 中川宏昌      32 番 小松 稔   6 番 清水純子      33 番 小池 清   7 番 小池久長      34 番 清沢英男   8 番 桃井 進      35 番 垣内基良   9 番 髙橋岑俊      36 番 竹内久幸   10 番 甕 裕一      37 番 佐々木祥二   12 番 山岸喜昭      38 番 向山公人   13 番 荒井武志      39 番 高村京子   14 番 堀場秀孝      40 番 小林伸陽   15 番 続木幹夫      41 番 村上 淳   16 番 両角友成      42 番 小松千万蔵   17 番 小林東一郎     43 番 西沢正隆   18 番 清水秀三郎     44 番 風間辰一
      19 番 太田昌孝      45 番 平野成基   20 番 今井 敦      46 番 本郷一彦   21 番 丸山栄一      47 番 倉田竜彦   22 番 野澤徹司      49 番 石坂千穂   23 番 小島康晴      50 番 宮澤敏文   24 番 下沢順一郎     51 番 村石正郎   25 番 鈴木 清      52 番 木下茂人   26 番 宮本衡司      53 番 萩原 清   27 番 金子ゆかり     54 番 服部宏昭   55 番 望月雄内      56 番 古田芙士 欠席議員(3名)   11 番 吉川彰一      48 番 高橋 宏   57 番 下﨑 保         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      塩原 豊   副知事               建設部長      奥村康博   総務部長事務取扱  太田 寛    会計管理者兼会   副知事       加藤さゆり   計局長       石田訓教   危機管理監兼危           公営企業管理者   機管理部長     青柳郁生    企業局長事務取扱  小林利弘   企画振興部長    原山隆一    財政課長      平木万也   県立大学設立担           教育委員会委員   当部長       髙田幸生    長         櫻井久江   県民文化部長    藤森靖夫    教育長       伊藤学司   健康福祉部長    小林 透    教育次長      青木 弘   環境部長      山本浩司    教育次長      菅沼 尚   産業政策監兼産           警察本部長     山崎晃義   業労働部長     石原秀樹    警務部長      岡本 努   観光部長      野池明登    監査委員      吉澤直亮   農政部長      中村倫一         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      北原政彦    議事課担当係長   若林憲彦   議事課長      小山 聡    総務課担当係長   小山雅史   企画幹兼議事課           議事課担当係長   吉沢秀義   課長補佐      坪井俊文         ───────────────────  平成27年3月2日(月曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時1分開議 ○議長(風間辰一 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。  次に、下﨑保議員から本日欠席する旨の届け出がありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(風間辰一 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、中川博司議員。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)おはようございます。けさ方は停電により各所で信号機がつかない状況の中で交通渋滞が発生をしておりましたが、こうした緊急時の交通管制がどうなっているのか検証が必要ではないかなと思ったところでございます。  それでは質問に入りたいと思います。最初に、伝統的構法の職人を育てる政策についてお伺いいたします。  私は、この間、建設労働者の賃金、労働条件の改善に向け、公契約条例の制定などについて提言をしてまいりましたが、建設技能労働者の高齢化による技能の継承は依然として危険水域にあります。  依田明善議員の受け売りですが、日本家屋の大半は木造軸組構法で建てられており、ほぞ、溝の伝統技術がふんだんに使われております。今後、空き家の改修や維持管理など地域の家守りのためにも、この伝統技術の衰退は絶対に食いとめなければなりません。  全国の大工の数は、国勢調査によると、平成7年約76万人いたものが平成22年には39万人に半減、30歳未満は8%、60歳以上が28%です。建設経済研究所は、何も対策を打たなければ2025年にはさらに半減すると推測しています。  長野県内も例外に漏れず、減少率は9番目に高く、建設労連の数字ですが、年齢構成が30歳未満はわずか3.1%、60歳以上が54.3%と全国の中でも平均年齢が5番目に高い状況で、建設技能労働者の確保育成を、農業や林業の担い手育成と同様に、産業政策として総合的に取り組む必要があるのではないでしょうか。  総合的な政策の第1の視点は、建設現場の労働環境の改善です。  これまでに設計労務単価の見直しなどが行われてきましたが、これが直ちに現場の労働賃金改善になっていません。したがって、県としての政策誘導が必要であり、長野県の契約に関する取組方針の中でも、失格基準価格の見直しとともに、適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式を試行することとしています。  適正な労働賃金を評価するためには、労働賃金の支払い状況、実態を正確に調査しなければなりませんが、どのような仕組みを考えているでしょうか。  第2は、いかに若手の職人を育てるのかです。  これまで、県が支援して、伝統建築技能の次世代への継承、建築技能に対する社会的評価の向上、伝統的技能を生かした家づくりの推進を目的とした信州伝統建築技能継承事業に取り組み、信州職人学校伝統大工コースを行ってきました。しかし、基金が底をつき、今年度いっぱいで事業がなくなると聞いています。  そこで、ベテランの棟梁のもとで若手職人を育てることを支援する例えば和の里親制度など、改めて伝統的建築構法の職人を育てる仕組みをつくるべきと思いますが、いかがでしょうか。  第3は、家を建てる側の問題です。  家を建てることは一生のうちで最大の買い物となっていますが、一般的には住宅に関する専門的な知識を持つ人は多くありません。また、単に安いだけで選んでは伝統的建築構法も廃れてしまいます。若い職人を育てるためにも、県民に対する住宅教育、いわば住育が必要と考えますが、いかがでしょうか。  以上、3点、建設部長にお伺いいたします。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)いただきました御質問に順次お答え申し上げます。  まず、労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式の仕組みについてのお尋ねでございます。  建設業の役割が重要性を増している中、労働賃金が適正な水準にあることはその担い手の確保にも重要なことと認識しております。労働賃金の支払いを評価する入札制度の試行を現在検討しているところでございます。  この制度の構築に当たりましては労働賃金の支払い状況が正確に確認できる仕組みづくりが重要と考えており、制度構築の基礎資料とするためまずは労働賃金支払い実態調査を行うことといたしました。  実態調査は、あらかじめ選定した工事に携わる元請、下請企業の中から主要な職種に該当する労働者を対象として行うこととし、国土交通省が公共工事労務費調査に用いている基本賃金、手当、社会保険料等の内訳が記載された賃金台帳の提示、御説明をいただくことと考えております。この実態調査の結果を踏まえ制度設計を行いまして、より実効性のある入札制度としてまいりたいと考えております。  次に、伝統的建築構法での職人を育てる仕組みづくりについてのお尋ねでございます。  木造住宅供給の担い手である県内の大工技能者数は、国勢調査によりますと、平成7年に約1万7,000人であったものが平成22年は1万450人と約6割に減少しております。また、大工技能者の高齢化も顕著となっておりまして、建築技能の継承は重要な課題と捉えております。  大工職人の人材育成として、国土交通省が支援する大工育成塾、また、県内では建設労連が運営する信州職人学校などで伝統的な木造建築の担い手の育成に向けた取り組みが行われてきました。また、県では、ふるさと信州・環の住まい助成金など、県産材の利用拡大、地域住宅産業の活性化に向けた取り組みを行っているところでございますが、職人育成への支援につきましては県下の建設関係団体等との意見交換を行うなど効果的な取り組みについて研究してまいりたいと考えております。  次に、住宅教育についてのお尋ねでございます。  平成26年の新設住宅着工戸数を見ますと、本県における持ち家に占める在来木造住宅の比率は約75%で、県民の木造住宅志向は高いものとなっております。一方、機械プレカットを初めとする低コスト化や作業効率化が進むことにより短期間で完成する住宅が多くなったこともあり、工事現場を間近で目にする機会は減ってきております。そのため、広く県民の皆様に伝統的な技術を用いた木造住宅を知っていただく機会を設け、そのよさを認識いただくことは職人の育成にも重要なことと認識しております。  県では、住宅関連事業者団体との協働によりまして、ホームページでの住宅紹介や現場見学など、効果的な周知、取り組みについて検討してまいります。  以上でございます。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)ぜひ、総合的な政策として展開していただけるように改めて申し上げておきたいと思います。  次に、男女共同参画の推進と女性の活躍の場の拡大についてお伺いします。  内閣府男女共同参画局が1月に作成したデータによると、長野県議会の女性議員は57人中6人で全国13番目ですが、47都道府県の地方公務員の管理職に占める女性の割合は長野県は3.4%で45番目、会社役員や管理的公務員に占める割合も11.4%で46番目です。  また、厚生労働省の調査によれば、日本の女性の年齢別就業率はいわゆるM字カーブとなっていて、出産、育児で仕事をやめる割合が高く、出産前後に仕事をやめた割合は54.1%と依然として高い状況にあります。  一旦、育児、介護で職場を離れると復帰するときになかなか仕事についていけない、結果として仕事をやめざるを得ない、あるいは昇進できない理由になっていきます。もう一つ、女性の年齢別就業率でM字とならない国のほうが出生率が高いという傾向もうかがえます。  そこで、この間、男女共同参画の推進などに御尽力をいただいてきた加藤副知事に、男女共同参画の推進と女性が活躍する場を拡大していくための長野県の課題について所感をお聞きします。       〔副知事加藤さゆり君登壇〕 ◎副知事(加藤さゆり 君)男女共同参画と女性の活躍拡大のための課題についてというお尋ねでございます。  長野県における課題の中から何点か申し上げますと、議員御指摘のとおり、公務員や民間企業の管理職に占める女性の割合が低く、政策や方針決定過程への女性の参画が進んでいないこと、それから、長野県の女性の就業率49.5%で全国3番目の水準にございますが、非正規の就業者割合が50%を超えておりますことや起業者に占める女性の割合が低いこと、また、男性の子育てへの参画について、育児休業取得率は1.8%と低い水準にとどまっておりますこと、それから、男女共同参画計画を策定をしていらっしゃる市町村、6割程度であり、地域におきましても自治会長やPTA会長などに占める女性の割合が全国に比べ低い水準となっておりますこと、それから、昨年もさまざまな災害がございましたけれども、防災に関して、避難所の運営や女性消防団員の加入などにつきましてさらに女性の参画を進めていく必要があると存じます。  本格的な人口減少社会を迎えまして、長野県の活力をさらに高めていく上で、元気な長野県をつくっていく上であらゆる施策に女性の視点を反映させて女性の活躍を促進することは、経済活動を初めさまざまな分野を活性化させる力になると存じます。  男女共同参画社会はまた男性にとりましても暮らしやすい社会でございます。長時間労働の抑制など働き方の見直しや高齢化の進展によりまして直面しております介護の問題など、男性にもかかわる課題に対応するためにも男女共同参画に対する理解と取り組みをさらに促進することが必要であると存じます。  女性も、男性と同様に、その個性と能力を十分に発揮させ、生き生きと活躍できる長野県を実現するためには、市町村初め、県民の皆様、事業者の皆様と一丸となって取り組んでいくことが重要と存じます。  この間、さまざまな取り組みを進めさせていただきましたが、女性が輝く長野県、そして男女共同参画社会の実現は道半ばでございます。引き続き議員の皆様方の御理解、御支援をお願いを申し上げます。  以上でございます。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)次に、11月定例会で問題提起させていただきました子供の貧困対策についてお伺いします。
     子供の貧困の実態はなかなか見えにくいものですが、国民生活基礎調査による相対的貧困率、17歳以下の子供の貧困率は16.3%、このうち離婚などを原因として母子家庭になった途端にパート収入だけになってしまうといった、大人が1人の世帯では実に54.6%が相対的貧困となっていることは前回も御紹介いたしました。県民文化部の調べによると、県内のひとり親世帯は、平成26年度現在、2万7,148世帯です。  このほか、県教育委員会の資料によれば、県内の就学援助を受けている子供の割合は10年前の2004年度の7.5%から2013年度に10.8%へとふえ続けています。全国は15.6%です。県内でも、市町村によってここ数年で増加していたり、逆に減っている自治体もあり、一律ではありませんが、全体的に都市部では10%を超えている自治体が多い傾向がうかがえます。町村で最も高いところでは23.8%という自治体もありますが、ゼロという自治体もあります。  また、就学前の子供の貧困状態を確認するために、保育園の入園料を決定するため世帯の所得階層を把握している市町村の協力が必要であることを提言させていただきましたが、ある自治体では、生活保護世帯、非課税世帯、市税の均等割のみ世帯で合計14.7%という数字もあります。私は極めて憂慮すべき事態が進行中であると思います。  そこで、お聞きしますが、今年度内に策定するとした子供の貧困対策はどうなっているのか。多子世帯の保育料無料化とともに、非課税、均等割世帯の無料化など子供の貧困対策の具体化を急ぐべきではないか。子供の総合的な支援策の重点の一つは貧困対策にすべきではないか。  以上、知事にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)子供の貧困対策についての御質問でございます。  私も、機会の公正性であったり、あるいは格差の固定化を排除していく、さまざまな観点で子供の貧困対策、しっかりと取り組むべき課題だというふうに思っています。庁内にこども・若者担当部長を座長とするワーキンググループを設置して計画策定に向けて検討を行ってきております。  中川議員の御質問にもお答えしてまいりましたが、今年度中に計画を策定するという旨答弁してきておりますが、3月中に改定予定のながの子ども・子育て応援計画の中で貧困対策について施策の方向性を示していくという考えでございます。  ただ、他方で、これは先般もここで御答弁いたしましたけれども、さらに具体的な実態もしっかりと踏まえたものを考えていく必要があるということで、実効性のある施策をつくっていく上ではさらに実態の把握をしっかり行って議論を深めていきたいと思っております。  今後、ひとり親家庭等の低所得世帯に対するアンケート調査等、実態調査を十分に行った上で、来年度において、さらに子供の貧困対策の充実を検討して、貧困対策に特化したより詳細な県としての計画を策定していきたいと思っております。  また、早急に具体化すべきではないかという御指摘、ごもっともだというふうに思います。来年度におきましても、貧困対策という観点でも施策を先行的に行っていきたいと思っています。例えば、第3子以降の保育料軽減を行っていくということで打ち出しておりますけれども、これは、住民税非課税世帯につきましては3歳以上児の保育料が無料となるというような観点で、低所得世帯についてもより大きな効果をもたらす施策だというふうに考えております。  また、保育料以外につきましても、児童養護施設入所児童等の大学等への進学を支援する給付型奨学金制度を初めとして各種の支援策を盛り込んでおります。今後とも、さらに対策の充実に向けて検討を進めていきたいと考えております。  また、総合的な支援策の重点の一つは子供の貧困対策にすべきではないかという指摘でございます。  子供の支援あるいは子育て家庭への支援という観点の中でこの貧困の問題、しっかり私も焦点を当てていくべきだというふうに思っております。  昨年末に子育て支援戦略を取りまとめました。私、選挙のときには、経済的負担の軽減、そして仕事と子育ての両立支援、さらには孤立化の防止、この3点を重点的に訴えておりましたが、今回の戦略の中では、新たに1項目、「様々な困難を抱える子どもや家庭への支援」ということを入れさせていただいて、貧困を初め、障害、いじめ、こうしたことに悩んでいる、苦しんでいる子供たちや御家庭を支援しようという方向を出しております。  今後とも、こうした視点をしっかりと持ちながら子供の貧困対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)ぜひとも、より積極的な政策を打ち出していただくように心よりお願いを申し上げます。  次に、地域包括ケアシステムの構築についてお伺いいたします。  私の地元で在宅医療をしている医師の講演会があり、参加者から、親が自宅で最後まで生きていたいと思っていても本当に家族が支え切れるだろうか、アルツハイマー型の認知症になれば徘回もあるし人に迷惑をかけるから施設に入れたほうがいいのではないかといった質問が出されました。その医師からは、何もしないのも医療、患者と家族と医師が同じ方向で考えることが大事ではないかという提起もありました。これは在宅医療を進める際の大きな課題だなと感じたところです。  そこで、何点かお伺いします。  一つは、年度内の発表を目指すとしてきた健康寿命の市町村別の指標は発表できるのでしょうか。どこの自治体が健康寿命が長いか短いかということよりも、どのような施策で健康寿命が長くなるのかという政策的な指標とすることが大切だと思いますが、その活用方法はどのように考えていますか。  地域包括ケアシステムを進めるに当たって在宅医療の推進が大きな課題であり、診療報酬も在宅医療に誘導する方向で改定がされ1年がたとうとしています。在宅医療を行う医師や在宅でのみとり数はふえたのでしょうか。在宅医療の現状と課題をどのように考えているのでしょうか。  地域ケア会議は、地域包括センター、診療医、薬剤師、ケアマネジャー健康づくり推進員食生活改善推進員、町会長、民生委員などが一堂に会して地域の医療と介護の課題について研究する場として、私も地元で出席させていただきました。地域ケア会議が医療と介護に対する理解を深めるとともに、個別課題についても気軽に地域包括センターや診療医に相談できる状況がつくられるものと感じました。地域ケア会議が医療と介護を結びつける土台となると思います。  新年度予算にも全ての市町村で地域ケア会議が行われるよう支援することとなっていますが、将来的には小学校区あるいは自治会単位にケア会議が持たれ、支え合い、お互いさまの地域づくりにつながっていくことが求められています。  そこで、全ての医療機関、薬局、介護関係施設などを網羅した地域包括ケア医療介護資源マップの作成への支援など、県のより一層きめ細かな支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。  以上、健康福祉部長にお伺いします。  さらに、健康長寿に向けた長野県の取り組みや、地域包括ケアシステムの中に栄養士、管理栄養士を活用することを9月定例議会でも提案させていただきましたが、具体的に県としての検討は行われたのでしょうか。あわせて、栄養士の職場の拡大、活用について知事の所見をお伺いします。       〔健康福祉部長小林透君登壇〕 ◎健康福祉部長(小林透 君)お答えをいたします。  市町村別健康寿命についてでございます。  健康寿命につきましては、国が市町村別の算定をしていないため、県では平成25年度からその算定方法について独自に検討を進めているところでございます。これについては、本県には小規模自治体が多いことからその精度を高めるためにはどのような手法が適切なのか、保健統計学の観点から専門家にも御協力をいただいて研究に取り組んでおり、現在、この3月中の公表を目指して作業を進めているところでございます。  これを公表することにより、住民の皆様にそれぞれお住まいの市町村の状況を知っていただくことはもとより、健康づくりを担っている市町村や関係団体にもその成果を確認していただき、政策的な部分も含めましてさらなる取り組みの推進に役立てていただきたいと考えているところでございます。  次に、在宅医療の現状と課題についてでございます。  県内において在宅患者の訪問診療を担う医療機関は、平成20年10月の時点では498施設、平成23年10月現在では496施設となっており、また、県内の在宅死亡件数については、平成24年は5,269件、翌25年には5,210件で、いずれもほぼ横ばいで推移しているところでございます。  こうした中にあって、今後の急速な高齢化の進展を見据えると、入院医療から円滑に在宅移行が進むよう一層その提供体制を充実させることが急務でございます。そのためには、病院において在宅移行に向けた退院支援を行う体制を確立することや、切れ目のない訪問診療、訪問看護などによりまして患者、家族を日常的に支援する体制を確保すること、また、病状急変時には円滑に再入院できるよう診療所と病院との連携体制を確立すること、さらには、24時間体制で患者が望む自宅などでみとりができる体制を構築することが必要でございます。  中でも、医療機関での診療に訪問診療が加わることで医師や看護師の負担が重くなることから、新たに訪問診療に取り組もうとする医療機関の数が十分に確保できないおそれがあることが当面の課題であると認識してございます。  こうした課題を踏まえまして、県としては、地域医療介護総合確保基金を活用し在宅医療を担う医療機関の増加を図るため、その運営を支援するなど取り組みを進めてまいります。  次に、医療と介護を結びつける役割としての地域ケア会議についてでございます。  議員御指摘のとおり、地域ケア会議は地域包括ケア体制の中核をなすものでございまして、平成27年度においては地域ケア会議未設置の19市町村に対して立ち上げ支援を集中的に行い、その設置を進めてまいるというふうに考えております。  これに加えまして、おおむね日常生活圏域ごとに設置されている地域包括支援センターがその中心的役割を果たすことから、次に日常生活圏域を単位として平成29年度までに全155日常生活圏域において地域ケア会議の設置を目指すことといたしたいと思います。  その上で、お互いに顔の見える身近な地域において医療や介護の関係者が一堂に会し地域包括ケア体制が構築されることは将来的には理想の一つであると考えているところでございますので、地域の実情などもお伺いしながら、身近な地区レベルでの地域ケア会議の設置についても中長期的に研究してまいりたいと思います。  議員御指摘のマップの作成あるいは地域ケア会議、いかに進めるか、見える存在とするということについてもその中で研究してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)健康長寿、地域包括ケア体制における栄養士等の活用についての御質問でございます。  健康長寿の長野県をこれからさらに発展させていく上では、栄養士、そして管理栄養士の皆様方が活躍していただくということは大変重要だというふうに考えております。  そういう観点で、県の取り組みにいろんな形で栄養士の皆様が御協力いただく形をつくってきております。例えば、信州ACEプロジェクトのイート、食事の取り組みの一環として、県栄養士会と連携して、銀座NAGANOにおいて長野県の長寿を支えてきた食の発信、体験会、実施をさせていただいております。また、県と事業者が食を通じた健康長寿の推進に関する協定にあわせまして、県の栄養士会がメニューを企画して栄養士が店舗でアドバイスを行う食堂が3月中に長野市内にオープンする予定になっております。  また、今後、地域包括ケア体制を構築していく上でも、施設、そして在宅の高齢者の栄養ケア、非常に重要だというふうに考えております。現在、県におきまして、地域ケア会議の整備状況の見える化を進めているわけでありますが、まず、その中で栄養士が地域ケア会議の構成員として有益だ、有効だということを県として示してまいります。それによりまして、現状では一部圏域に限られている参画が広がるよう市町村に対して働きかけて、在宅での栄養指導の充実強化につながるよう検討していきたいと思っております。  また、これまで小中学校における栄養教諭の配置を増員をしてきているわけでありますが、そうした中で管理栄養士についても増員となっているところでございます。こうしたことによりまして管理栄養士、栄養士の皆様方の活躍の場が一層拡大するよう、県としても前向きに取り組みを進めていきたいと考えております。  以上です。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)地域包括ケアシステムが結果として施設医療や施設介護からの追い出しということにならないように、これまでの高齢者医療のあり方、あるいは死ということをどう考えてきたのかという総括が必要ではないのかなということを私は最初に問題意識として申し上げたつもりであります。ぜひ、そんな点も御考慮いただいて進めていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。  次に、中信と東信を結ぶ交通の強化についてお伺いいたします。  来年のNHKの大河ドラマに待望の真田幸村が取り上げられ、観光面でも大きな期待が寄せられています。私は、この間、木曽義仲、巴のNHK大河ドラマ化を訴えてまいりました。義仲が信濃源氏一党を寄せ集めながら京都へ攻め上がるルートが北陸新幹線のルートと重なることから、北陸新幹線が開通するこれからが可能性が大きくなるのかなと期待をしています。また、真田家は、木曽義仲の呼びかけに応じた東信の武将、海野一族でもあります。  さて、本題に入りますが、木曽義仲が平家討伐のため中信地区から東信地区へ信濃源氏を呼び集め、白鳥河原に結集したとされています。11月議会で提起した製糸産業の歴史もまた東北信と中南信を結ぶ物語となるでしょう。もちろん、現実の物流や人の移動においても中信と東信を結ぶ国道254号線は交流、交通のかなめであることは言をまたないところであります。  特に三才山トンネルの無料化はこれまで多くの方が訴えてきました。中信と東信を結ぶ交通の強化という観点から、新たに道路を建設する費用を考えれば、償還を早めることは県民全体にとっての利益でもあり、理解されることだと思います。  有料道路で計画期間前に無料開放された例を見ると、予想より収入が多く早く償還した千葉県流山有料道路、愛知県音羽蒲郡道路などがあります。一方、通行量が少なく、負債返還のめどが立たずに一括償還した東京都ひよどり山有料道路などがあります。さらに、地域活性化や住民要望で無料化された例としては県内の茅野有料道路、岡山県岡南大橋などがあります。  償還を早める手だてはないのか。また、償還を早める条件をどう考えているのか。知事にお伺いします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)三才山トンネルの早期無料化についての御質問でございます。  有料道路事業、建設費を国、銀行等からの借入金で調達して短期間で道路建設を行い、通行料金収入で建設費の償還、そして維持管理を行っていくという制度になっております。  三才山トンネル有料道路につきましては、平成33年6月までを料金徴収期間として国の認可を受けています。これを前倒しできないかという御質問でございますが、これを前倒すためには、議員の御質問にもありましたように、通行料金収入が計画を上回って早く償還できるか、あるいは未償還分を自治体が負担していくか、あるいはほかから調達するか、いずれかの方法であります。  仮に自治体が負担をしていくということ、これは県が負担するという形になろうかと思いますけれども、負担と受益のあり方、あるいは県財政に与える影響、こうしたことについて多角的に慎重かつ十分な検討を行っていくということが必要だというふうに考えております。  以上です。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)改めてお伺いしますが、東信地区と中信地区の交流、そして運輸などさまざまな課題において連携を強化していく、そういう観点から三才山トンネルの無料化ということが極めて大事な視点ではないかということについては知事はどのようにお考えになっているのか。お聞かせください。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答えします。  東信地域と中信地域、連結をしていくということは、長野県全体にとって非常に重要な視点だというふうに思っております。  本州中央部広域交流圏構想、あるいは結節点の交通体系をどうするかということを今検討しているわけでありますけれども、この三才山トンネルの果たしている役割というのは非常に大きいものがあるというふうに私は思います。  若干個人的な話になりますけれども、昨年夏の選挙のとき県内全市町村を回らせていただきましたが、最も同じルートを通った回数は、三才山トンネル、一番多かったんじゃないかなというふうに思います。そういう意味で、県内全域を回ろうとするときにはかなりあそこのルートが有効、高速道路経由であればまた違いますけれども、選挙のときはどちらかというと高速道路以外の道を行くルートを検討しますが、そうすると、三才山トンネル、相当往復させていただいた記憶があります。  そういう意味で、私自身、長野県の全体の交通体系における三才山トンネルの重要性ということについては十分認識をさせていただいているところでございます。  以上です。       〔1番中川博司君登壇〕 ◆1番(中川博司 君)重要な道路だという認識があれば、いち早く無料化に向けた手だてを打つ、あるいはどういう方策があるかということを考えるという具体的な政策があって当然だというふうに思います。  再度質問はいたしませんが、ぜひ、前向きな議論、そしてつくることをお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(風間辰一 君)次に、小林伸陽議員。       〔40番小林伸陽君登壇〕 ◆40番(小林伸陽 君)それでは、林業の振興についてお尋ねをいたします。  地方の再生には、地方の資源を活用して、地域にお金も仕事も循環する産業の構築が最も大切です。森林資源は長野県の最大の資源です。知事も、森林県から林業県に脱皮させたいとしています。この資源を生かした産業の構築は地域再生のかなめとなります。林業の再生のために森林づくり指針を定めていますが、その取り組みの成果が見えてきていません。  住宅建設は景気の指標になるほど地域経済に及ぼす影響が大きいものであります。平成25年の県内新築住宅着工戸数は1万2,398戸、そのうち木造住宅が80%、木造志向は大きく広がっていますが、しかし県産材の利用は少なく、外国産材が大半を占めているのが現状です。  県産材の利用率についてお尋ねをいたします。  県産材住宅の数値目標を定め、その実現のために山主、森林組合や製材業者、工務店に必要な支援を行うべきと思いますが、林務部の方針をお尋ねいたします。  次に、県産材住宅の普及の最大のネックはコスト高と建築資材の調達が困難にあります。供給体制をどのように構築するかが大きな課題です。公共施設の県産材利用は若干のコスト高でも補助金により推進できますが、民間住宅は低コスト化、資源の供給体制の構築なくして利用は進みません。低コスト化の建築工法の開発や製材業者の近代化の対策についてお尋ねします。  次に、岩手県住田町では、町が主体となり、製材所、プレカット工場の整備と同時に、工務店の協力など体制を整え、町営住宅は全て地元の木造住宅、宮崎県の木脇産業では、簡単な平面図を持ち込めば設計から棟上げまでわずか3日間のスピード、年間1,000戸以上の受注、大阪などからも注文が広がっています。  こうしたことができる背景には低コスト化と資材の供給体制の確立です。釜石森林組合では、震災被害者の、どんなバラックでも自分の家が欲しいとの願いに応えて、安価で快適な住宅の供給が森林組合の使命と位置づけ、新しい建築工法を開発し、販売を始めています。  我が県が林業県になるための対策を林務部長にお尋ねいたします。  普及の進んでいない現時点では、県産材の利用促進のための補助制度は極めて重要です。岩手県では県産材の利用量に応じて補助金を出す仕組み。我が県は一律50%以上の使用が条件と極めて使いにくい制度。使いやすい補助制度は利用促進のかなめをなすもの。  県としての補助制度の抜本的な改善を行うべきと思いますが、建設部長の見解をお尋ねいたします。       〔林務部長塩原豊君登壇〕 ◎林務部長(塩原豊 君)林業振興につきまして県産材利用の観点からお尋ねをいただきましたので順次お答えをいたします。  現在、原木の供給先でございますが、建築用として約7割、チップ、バイオマスに約2割、土木用に約1割となっている状況でございまして、県産材の利用、方向性などを定める長野県森林づくり指針では、住宅建築から木質バイオマス利用まで、さまざまな用途で需要を拡大していく推進方策と数値目標を掲げて、その実現に取り組んでいるところでございます。  その結果、保育園や福祉施設等での県産材の利用が広がるなど着実に成果が出てきておりまして、原木の生産量は平成21年の31万立方メートルから平成25年には44万立方メートルへと約1.4倍増加しているような状況でございます。  今後とも、これまでの供給先に加えまして、信州F・POWERプロジェクトなど新たな需要を創出することによりまして県産材の利用が一層促進するように取り組んでまいりたいと考えております。  また、県産材の利用別では以上でございますが、県産材を使用する住宅の目標についてでございますけれども、数値目標の設定というものには、住宅の規模、工法が多様で、木材の使い方も住宅によって大きく異なりますこと、また、県内外の住宅メーカー、工務店などさまざまな業態により施工されておりまして、県産材使用の有無、木材使用量の実態を把握することが極めて困難なことなどの課題がございますけれども、林務部では、県内の製材工場の建築用製材品出荷量を指標として、具体的には平成32年の出荷量を平成21年の2倍以上に当たる13万3,000立方メートルまで引き上げる目標を掲げて取り組んでおります。この実現に向けて県産材製品の供給体制の整備等を進めて、住宅への県産材の利用を促進してまいりたいと考えております。  次に、低コストについてのお尋ねでございますが、国土交通省への審査に必要な製品開発については多額な費用を要するといった状況がございます。このため、林野庁の補助事業も活用しまして、これまでにも、事業主体の申請に基づいてさまざまなサイズの木材を組み合わせた接着重ね梁など、こうした製品開発に支援を行ってきております。今後とも、事業者からの具体的な相談に対しまして、県の林業総合センターの知見も活用しながら検討してまいりたいと考えております。  次に、県産材製品の供給体制を整備して林業県になるためのお尋ねでございますが、価格競争力のある県産材の製品を供給するためには、生産から流通、加工に至るまで、全ての過程でコストの縮減を図る必要がございます。
     県では、素材生産においては事業地の集約化や高性能林業機械の導入、流通においては大型輸送車両の導入、ストックヤードの整備、木材加工においては性能の高い製材機やプレカット施設の整備を支援することによってコストの縮減に取り組んでいるところでございますが、こうした取り組みによって、例えば1人当たりの木材の生産性でございますが、平成15年は2立方メートルであったものが平成25年には2.8立方メートルに向上しておりまして、コスト縮減の成果の一つと考えております。  今後とも、こうしたコスト縮減の取り組みを継続する中で、信州F・POWERプロジェクトによる大型木材加工施設の整備や、中小規模の木材加工事業者におきましてはそれぞれの得意分野を生かした企業間の連携を進め、県産材製品の低コスト化、供給体制の整備を進める中で林業県になるための取り組みをさらに進めてまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)県産木材の利用促進に向けた要件の見直しについてのお尋ねでございます。  信州型エコ住宅推進事業は、県産材の利用拡大、地域住宅産業の活性化を目的の一つとして取り組んでいるところでございます。  本事業が対象となりました住宅での木材使用量は1戸当たり平均使用量26.6立方メートルでございまして、このうち県産木材は20.7立方メートルと約8割となっております。事業が要件としている5割を大きく超えておりまして、県産材の利用拡大には一定の効果があるものと考えております。  本年度でこの事業がスタートして5年が経過いたします。今後、利用された方や事業者などさまざまな方面から御意見をお聞きし、助成のあり方も含めて研究してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔40番小林伸陽君登壇〕 ◆40番(小林伸陽 君)とりわけ低コスト化ということは長野県の林業を振興していく上で大変大きな課題だと思いますが、私は、県として低コスト化の建築工法などに積極的に取り組む、業者の支援をしていくことも大事でありますが、県の塩尻の林業センターなども利用した、新しい長野県発のそういう工法を開発することにもっともっと本気で取り組まなければならないと思いますし、また、補助制度も、どんなに大きくても県民が利用しやすい制度に抜本的な改善を求めているわけであります。  知事は、長野県を森林県から林業県に脱皮させたいとされたことは私も極めて共感できるものであります。それには、長野県の最大の資源である農業と林業を基幹産業に位置づけ、農産物の価格保証制度や林業としての基盤整備を本格的に推進すべきです。  大北森林組合の補助金不正受給は倫理の欠如であり、到底許されるものではありません。しかし、補助金だけに頼る事業体質の改善も強く求められています。林業の先進地に学び、抜本的な対策を立て、林業県長野県の実現を目指す知事の決意をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)林業県に向けての決意という御質問でございます。  私も、小林議員御指摘のとおり、長野県、山林資源を豊富に有している県でありますが、なかなかまだ使い切れていないなというふうに思っております。そういう意味で、さまざまな施策をしっかり進めていかなければいけないと思いますし、しあわせ信州創造プランの中でも、農山村産業クラスター形成プロジェクトの主要施策として林業の高付加価値化を位置づけて取り組んでいるところでございます。  ぜひ、これは議会の皆様方とも成果の共有をさせていただきたいと思いますが、長野県の素材生産量、近年着実に増加をしてきております。平成25年、44万立方メートルということで対前年比では120%、そして、私が知事に就任した平成22年から比べますと約149%、5割増という形であります。この伸び、ほかの県と比べますと全国4番目の伸びであります。  ただ、4番目でありますが、1位が香川県、2位が沖縄県、3位が東京都ということで、いずれもいわゆる森林県、林業県ではありません。もともとの分母の素材生産量が長野県よりも著しく少ない県が上位に来ておりますので、そういう意味で、いわゆる林業を業として中核的に扱っている県の中では、長野県、実質的にはトップの伸び率といっても過言ではないのではないかというふうに思っています。  平成29年61万立方メートルという目標を掲げておりますので、この目標に向けてさらにしっかりと取り組んでいきたいと思っております。  また、県内、例えば根羽村の森林組合では木材生産から住宅建築まで連携した取り組みを進めていただいております。また、北信州森林組合では地理情報システムを用いた境界確定による施業の集約化等、積極的な取り組みで成果を上げていらっしゃるところもございます。  今後は、林業立国でありますオーストリアとの交流をさらに深めることによりまして、先進的な林業、あるいはバイオマスエネルギー利用の技術導入を図って林業県へと脱皮する取り組みをさらに加速化していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔40番小林伸陽君登壇〕 ◆40番(小林伸陽 君)残念ながら、長野県の林業、業としての姿がまだ見えてきませんので、全力を挙げて林業再生に取り組んでいただきたいことを強く要望しておきます。  次に、リニア新幹線について質問をいたします。  昨年の質問では前向きな答弁はいただけませんでしたので、改めて原山企画振興部長にお尋ねします。  県の基本構想の中に、将来の旅客輸送のあり方を踏まえて経営専任職員は配置しない、コンパクトな駅を目指すとありますが、無人駅で6,800人の乗降客の安全性が担保されるのか。お尋ねします。  次に、山田JR前社長は、一昨年の9月の記者会見で建設費は絶対ペイできないと表明されていますが、県の見解をお尋ねいたします。  次に、乗降客数の6,800人はコンサルタントの報告とのことですが、コンサルの示された根拠をお聞かせください。  次に、基本構想の中で、「リニアの車窓から富士山を望み、」とありますが、ほとんどトンネルの中、どこで富士山を望めるのか。お尋ねします。  次に、山梨県駅で下車し、信州の山岳観光を楽しみながら長野県駅、これが未来のゴールデンルートとあるが、どんなルートを考えているのか。お尋ねします。  次に、環境アセスとともに、住民の生活、経済影響などの社会的アセスを求めることは正当の要望であります。JRがやらないなら実施する自治体への支援をするのか。県が実施すべきと思いますが、見解をお尋ねします。  次に、リニアの開通による観光客の増加を見込んでいますが、下伊那の最大の観光地昼神温泉では、工事車両の大量の通過により営業が成り立たなくなるのではないかと大変心配していますが、県の見解をお尋ねします。  トンネル排出土の置き場が決まるまで着工すべきではないという要望がありますが、県の対応をお尋ねします。  JRの投資を除き、県や市町村のリニア関連事業の投資額はどのくらい想定しているのか。リニア開通に伴う経済効果はどのように考えておるのか。企画振興部長にお尋ねをいたします。       〔企画振興部長原山隆一君登壇〕 ◎企画振興部長(原山隆一 君)リニア中央新幹線につきまして10問いただきましたので順次お答えを申し上げます。  まず、リニアの乗客の安全性は確保されるのかという御質問でございます。  JR東海は平成25年の5月にリニア中間駅のイメージを公表いたしました。その中で、営業専任職員を配置しない駅を目指すというふうにしているところでございます。これは、将来的にはインターネットによる乗車券販売が広く普及し、窓口での切符販売が不要になるということを前提に切符販売担当の駅員を置かないとしたものであり、乗客の安全性確保につきましては、駅には保守、管理のための職員を配置し、乗客の安全性を確保するというようにJR東海から聞いているところでございます。  続いて、建設費は絶対ペイできないというJR東海の社長の発言に対する見解でございます。  JR東海社長のその発言につきまして、同社からは、リニア建設の最大の目的は東海道新幹線の将来の経年劣化と大規模災害に対するリスクに備えることで、金銭的な採算性の追求ではない、東海道新幹線との一元経営のもと健全経営を堅持して計画を完遂するというふうに聞いております。  リニア建設計画につきましては、国の交通政策審議会は、東海道新幹線の安定的な収益力を踏まえれば、経営の安定性を維持しながら事業を遂行することが可能であるとして、JR東海がリニア中央新幹線の建設、営業主体になることが適当だというふうに判断しているところでございます。  三つ目でございますが、リニア駅乗降客数の算出の根拠でございます。  国土交通省による全国幹線旅客純流動調査を活用したところでございますけれども、これは、我が国の幹線交通機関における旅客流動の実態を定量的かつ網羅的に把握することを目的に5年に1回実施されているものでございます。  この調査は、旅行客がどこからどこへ何の目的で旅行するかなど全国的なレベルで旅行客の動きを捉えていることから、例えば新潟県、富山県、石川県におきまして北陸新幹線の開業効果を検討するケースでありますとか、山梨県、岐阜県のリニア駅の旅客予測など、広く用いられているところでございます。そこで、リニア長野県駅の乗降客数の予測にも活用したものでございます。  それから、リニアの車窓から富士山の眺めという御質問でございます。  リニア活用基本構想では、そのコラムの中で、リニアの車窓から富士山を望み、長野県へ向かう旅というのを提案しておりますが、これは、JR東海及び山梨県リニア交通局に確認したところ、防音対策用のフードの設置が不要な山梨県都留市内、中央市内、南アルプス市内の3カ所におきましてリニアの車窓から富士山を眺めることができるということから、このような記述をしたものでございます。  なお、JR東海の環境影響評価書にも、南アルプス市内の釜無川橋梁におきまして走行するリニアから富士山が見えるイメージ写真を掲載しているところでございます。  次に、リニアを活用した観光ルートでありますが、リニアによる劇的な時間短縮は交流人口を拡大する新たな観光ルート構築のチャンスであることから、中間駅が設置される山梨県や岐阜県とも連携しながら取り組んでいくことは大変重要なことだというふうに考えております。  このため、リニア活用基本構想では、未来の観光ゴールデンルートを目指す一例として、リニア3駅の活用を念頭に、山梨県駅で下車して信州の山岳高原観光を楽しみながら長野県駅へと向かう自然満喫型の観光ルートの構築をどうかというふうに掲げているところでございます。  それから、社会環境アセスの実施を県に求める要望への受けとめであります。  リニアの沿線地域では、建設工事が住民生活などにさまざまな影響を及ぼすのではないかと心配する声がございます。県は、このような懸念、不安を地元の市町村からしっかりと伺い、これをJR東海に伝え、影響の最大限の回避、低減を実現させていく立場にあるということでございます。  そして、藤岡議員の代表質問でも御答弁申しましたように、阿智村での社会環境アセスメントの実施など市町村独自の取り組みに対しましては相談に応じるなど、県として必要な対応についてはしっかり行ってまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、リニア整備に対する知事意見にありますとおり、建設工事に伴う住民生活への影響の低減策について、地元自治体との十分な協議を通じて合意形成を図り、住民の不安を払拭することを引き続き強くJR東海に求めてまいります。  観光への影響であります。  リニア建設工事に伴う観光への影響に対する取り組みでございますが、JR東海では、今後、工事用車両の運行ルート、車両台数、運行時間などの車両運行計画を作成する予定でございます。例えば、観光シーズンのそうしたものの台数を抑制する、あるいは休日には運行しないなど、観光地に配慮し、極力影響を及ぼさない計画となるようJR東海に求めてまいります。  さらには、観光客に対して正確な情報を提供し、風評被害が発生しない取り組みも重要でございますので、地元の市町村や観光協会等と連携しながら情報発信に取り組んでまいります。  発生土の置き場が決まるまでは着工すべきではないという見解でございますけれども、トンネル工事から発生する土の置き場に関しては現在JR東海が候補地の絞り込みを行っているところでございます。  トンネルの掘削と排出土の搬出は一体のものでございますので、土の置き場が決まる前にトンネルの掘削工事に着手することはないというふうに考えております。  それから、リニア関連の投資額についての御質問でございます。  県としては、昨年10月、リニア開業までに効果発現を目指すリニア関連道路の整備箇所を公表したところでございますけれども、整備主体等今後確定していかなければならないものもございますし、市町村も含めた、ハード、ソフトを含めた全体の関連事業につきましては、内容、箇所、実施主体、規模等につきまして今後検討を要するものでございますので、現時点では具体的な投資額は算出してございません。  それから、最後に、リニア開業による経済波及効果についての御質問でございますが、リニア整備に伴う経済波及効果は、建設工事に伴うものや、リニア利用者の消費活動、定住人口の増加でありますとか、企業の生産活動の拡大など、さまざまございます。  このうち2月3日に開催しました伊那谷自治体会議では、工事費用の推定が可能なリニア建設工事の投資及び長野県新総合交通ビジョンの乗降客数に関するデータを活用できますリニア利用者による県内消費に伴う経済波及効果を公表したところでございます。  その中で、建設工事の投資による経済波及効果は平成39年に予定されている開業までの合計で9,991億円、リニア利用者による県内消費による効果は開業年において336億円と算定したところでございます。  以上でございます。       〔40番小林伸陽君登壇〕 ◆40番(小林伸陽 君)JRは、当初、駅は要らない、欲しければ地元でつくれ、こういう方針でありました。しかし、地元の住民の声によって駅をつくることになったわけでありますし、建設費はペイできない、赤字でもやると。なぜやるかといったら東海道新幹線の言ってみれば代替路線として確保する。そういう中で、大変、伊那谷のリニアによる夢が多く語られているわけでありますが、先ほど言いましたように、リニアの車窓から富士山を眺めながら、これはとんでもない話で、わずか数秒ですよ、見られるところは。これを大前提にして夢を追う。また、ゴールデンルート、山梨県駅から長野県駅にゴールデンルートなんて、どういうルートを考えているのか全くその見通しもないと。また、経済波及効果も、また投資もわからないと。  こういう中で、私は、リニアをもう一回真剣に見直すべき時期に来ているのではないか。本気でこのリニアの問題を白紙にしながら考え直す機会をつくるべきと思いますが、知事にお尋ねします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答えします。  リニアの計画、これは御承知のとおりJR東海の事業で、それを国が認可したというわけでありまして、私どもが積極的に発議して計画をつくっているわけではないということであります。  ただ、この場でも御答弁申し上げておりますけれども、私どもとすれば、自然環境への影響、最大限少なくなるように、そして住民の皆様方の生活への影響ということもしっかり勘案してもらった上で、住民の皆様方、地域の皆様方の理解と協力を得ながら事業を進めてもらうということが必要であります。  そういう観点で、これからもJR東海にはしっかりと県として言うべきことは言っていきたいというふうに考えております。  以上です。 ○議長(風間辰一 君)次に、清沢英男議員。       〔34番清沢英男君登壇〕 ◆34番(清沢英男 君)初めに、地方創生について伺います。  地方創生は、この国の形を、大都市圏への一極集中ではなく、地方を持続可能な形にする施策を中長期にわたって展開し、もって我が国の未来を確固たるものにしていこうとするもので、長野県とすれば、この機会を有効に生かして活力を整え、将来像をきちんと描くチャンスの到来だと思うのであります。  知事に伺います。  仮称長野県地方創生本部の組織化をどうなさるのか。  国の戦略では5年後までに東京圏と地方の転出入の均衡を図るとしています。全国での現行の転出入は、転入超過、入ってくるほうが多いところが、宮城、東京圏4都県、愛知、福岡であり、他は大阪を含め転出超過、出て行くほうが多いということであります。  一方、長野県人口の昨年の転出入を見ると3,700人の転出超過で、この数は全国道府県でも多いほうから13番目であります。転出超過の上位県を見ると、兵庫、静岡、茨城といった大都市に近いところというのも特徴の一つですが、長野県も人口問題に関し危機感を抱くべき上位にあると思います。  そこで、国の戦略に呼応した創生本部を設け、本部長を置いて、少なくも県の転出入が均衡するように対策をすること、その必要性についてのお考えをお聞かせいただきます。  さて、太田副知事は、知事を補佐すると同時に各部局をまとめる立場でもあられます。今般の地方創生戦略にも持てる才覚を大いに発揮していただきたいと願う意味で、幾つか副知事に伺います。  1点目、人口定着等の戦略モデル事業コンテストに5,000万円が盛られました。人口減少克服のために画期的事業を全国からコンテストで募集するというものです。甚だ疑問に思うことは、なぜ県の行政マンが自分たちの県の人口定着戦略をみずからの知恵と努力で見出せないのか。例えばおやきを商品化したように、人口定着につながる知恵を信州人の活動になぜ発見しようとしないのか。  6次産業の多さでは高位にある信州、その中に多くの人を定着させ呼び込むことができる成長可能産業があるのではないか。中小の産業界にだってもう少しのインパクトで世界に発信できる会社があるかもしれない。なぜ、磨けばダイヤになる石探しに足を冷やし、国で言う産学官と金労言をリードすることに汗をかかないのか。机上でのコンテストをやって、人様の知恵で人口定着策を練ろうとするのはやや安易な姿勢と感じざるを得ないのですが、そうではないという御説明をいただきたい。  他方、行政マンだけではありません、地方創生には地方議会もともに知恵を出すべくうたわれています。地方創生は、県政や市町村行政にかかわるマンパワーから始めて、県民の皆さんのまさに協働に期待すべきと考えますが、いかがでしょうか。その場合、5,000万円の予算も県民の皆さんに向けたものにすべく一考できないでしょうか。御所見を伺います。  2点目、自分が生まれ育った地域に誇りと愛情を育む信州学を推進する地方創生予算が盛られました。しかし、児童生徒は学を修めるカリキュラムに興味を引かれるでしょうか。学の目的は、成長しても故郷を大切に思い、そこで人生を営んでいく人材を育むことにあると思いますが、それを導くのは、学問ではなく、友達であり、家族であり、先生であり、地域の人や風景、風土、少年少女時代の記憶という感性であると思います。机に向かい信州学を修めることでふるさとへの感性が磨かれるのでしょうか。信州学と地方創生の関係を明確に御説明いただきたいと思います。  3点目、子ども支援センターについてですが、これは昨年成立した子ども支援条例で県が設置するとしたものであります。仮に地方創生交付金がなくても、設置義務が条例上で県に生じています。今後の運営についても、交付金が途切れても続けていかなければなりません。かかる恒常的予算は今後地方創生事業に入れるべき性質のものではないと考えますが、いかがでしょうか。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)地方創生についての御質問でございます。  私には、創生本部を設けて、そして人口の社会増対策にもっと危機感を持って取り組むべきではないかという御質問でございます。  私も、庁内体制、どういう形がいいのかということを昨年の段階でも考えました。人口定着・確かな暮らし実現会議ということで、庁内だけではなくて、外部の方にも加わっていただいて、まさに先ほど清沢議員の御質問にもありましたけれども、県民全体との協働で進めていこうという形で体制をつくったわけであります。  ただ、庁内でもしっかり取り組んでいくということはもとより重要だというふうに思っております。現在、企画振興部を中心に取り組んでおりますが、まず各部が地方創生を自分のことということで認識をしてもらう必要があるというふうに思っております。  そういう意味で、今後、部局長会議あるいは政策会議、こうした全庁的な組織でこれまでも地方創生をテーマとして扱っておりますけれども、継続的に取り組んでいきたいというふうに思っております。  また、若手の意見を出させるということで、企画チームを設けて部局横断的に機動的な検討を行ってきておりますけれども、しかしながら、大胆な施策をつくるという意味ではボトムアップだけでは必ずしも十分ではないだろうというふうに思っております。そういう意味で、私を初め各部局長がみずからのテーマとしてトップダウンでの検討も行っていきたいというふうに思っております。  加えて、部局をまたがる案件につきましては太田副知事が積極的に調整役を担うことによりまして県全体の政策形成、私とすれば地方創生を契機に政策形成のあり方を変えていきたいというふうに思っています。そういう意味で、地方創生、この機会を有効に生かすべきという清沢議員の御指摘、まさにそのとおりだと思っておりますし、その視点を意思決定のプロセスにもぜひ生かしていきたいと考えております。  そして、社会増については、これは、私、就任後、移住・交流課をつくったわけでありますけれども、今は地域振興課に引き継いでおりますけれども、長野県、人口の自然減、これは、出産適齢の女性の数が減っている中で直ちに食いとめるというところまではなかなかいきにくい部分でありますけれども、しかしながら、社会増については、今まさに多様な価値観の中で地方に対して若者たちの目も向きつつあります。そういう中で、社会全体の動向をしっかりと長野県が生かしていくことが極めて重要だと思っています。  来年度予算の中にも、信州移住相談センターの設置を初めとして、社会増のためのさまざまな施策、盛り込ませていただいております。こうしたものをしっかりと着実に実現することによって、長野県に大勢の皆様方が集まっていただけるような県づくりを進めていきたいと考えております。  以上です。
          〔副知事太田寛君登壇〕 ◎副知事(太田寛 君)地方創生に関しまして3点の御質問をいただいております。  まず、人口定着・確かな暮らし実現戦略モデル事業コンテストにつきましてでございます。  人口の定着・確かな暮らしの実現に向けましては、議員御指摘のとおり、県職員が足を使いまして、また知恵を働かせて施策立案をつくることはこれは当然のことでございまして、地方創生の大前提であろうというぐあいに思っております。現在も総合戦略の策定に向けて鋭意努力しているところでございます。  その上で、行政、民間それぞれの知恵を総動員いたしまして官民挙げて的確な政策を展開する必要があると考えておりまして、人口定着・確かな暮らし実現戦略モデル事業コンテストを実施するというふうに考えているところでございます。  この目指すところは、各種団体、NPO、民間企業等による地方創生、なかんずく人口増加に向けた取り組みを県も一緒になって具体化することにございまして、募集に当たりましては、ただ座して待つのではなく、県職員が積極的に民間企業などへアプローチを行いまして、多くのすぐれた提案につなげていきたいと考えているところでございます。  また、提案事業を実施するに当たっては必要に応じて市町村や金融機関、大学などと連絡調整の場を設けまして、地方創生のフロントランナーにふさわしい事業となるよう県も一緒に汗をかいていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、2点目、信州学についてでございます。  地方創生を進めるためには、信州の風土、文化を知りまして、子供のころから地域に愛着を持ち、地域づくりに参画する人材を育む必要があると考えております。ここで言う信州学は決して座学のみではございませんで、児童生徒が自分の地域や信州の歴史、産業、文化、あるいは郷土の先人などをそれぞれテーマを持って調査研究する探究型の学習を行うということをひとつ考えております。このような学習を通じまして、子供たちが生活している地域、そして信州の風土、文化に親しみまして、そのよさを大切にする心情や地域づくりに参画する態度を育むことを目的とするものでございます。  小中高校を通じまして信州について学び、みずからが生まれ育った地域や長野県を大切に思う心、誇りを持って成長する、これによりまして将来長野県の発展のために活躍し、地方創生に大いに貢献する人材となるものというぐあいに考えているところでございます。  それから、3点目、子ども支援センターの設置運営事業につきましてでございます。  地方創生のための交付金は、地方版の総合戦略に盛り込まれる予定の積極的な取り組みを支援するために交付するものでございます。このため、本県の総合戦略でございます人口定着・確かな暮らし実現総合戦略に盛り込む予定の事業に充当しているところでございます。  子ども支援センター、御指摘のとおり子ども支援条例でも位置づけておりますし、昨年末に市町村と協力して策定いたしました子育て支援戦略にも主要な事業として位置づけたところでございます。子育て支援はまさに地方創生の大きなテーマであることから、この交付金を活用することが適切と考えております。  また、この交付金は国のまち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして平成28年度からの本格実施が検討されておりますし、今後も継続していく事業に活用することも差し支えないものと認識しておるところでございます。       〔34番清沢英男君登壇〕 ◆34番(清沢英男 君)地方創生の具体的な活動というのがこれからということになるので様子を見ていきたいと思いますが、信州学というのは、今副知事がお答えになったのは毎日の社会の勉強の中でやっていることじゃないかなと私は思うんですが、まあ頑張ってください。  続いて、地方創生という観点で担当部長にお答えいただきたいと存じます。  県民文化部長に伺います。  国の総合戦略施策にも掲げられた子育て支援等についてですが、県では、子育ての直接的支援として、補正予算で、第3子以降の保育料軽減措置の市町村にその半額を支援するという事業に3億円ほど、また、来年度予算では、乳幼児医療費助成として、入院費につき、これまでの小3から中3に拡大する等の事業に8,000万円増の予算が盛られました。  第3子以降の保育料軽減策についてですが、多くの自治体は、何番目の子供と問うのでなく、また兄弟の同時期在園の有無にかかわらず軽減措置を行っています。第1子でも2子でも公的支援に支えられているという安心感が、第3子以降への出産にいざなうのではないでしょうか。県が保育料支援をするのであれば全ての子供たちを対象に行い、小さな自治体が人口対策等で保育料減免に苦労している実態を直視してほしいと思います。  同様のことは医療費助成についても言えます。入院費負担年齢の拡大というのでなく、医療費全般についての助成についても考えてほしいという意見が、それを自治体負担で実施しているところからあります。  この二つの案件は地方創生の重要部分と考えます。子育て支援を細い財政の中でやりくりする自治体の支援、これを県として今後どのように考えていくのでしょうか。  県の支援分を他の子育て支援に回せると喜ぶ市があるとのことですが、今回の県の施策で予算的にボリュームのある自治体はそうでも、わずかにとどまる自治体は喜びも中くらいなりというところでしょう。町村の関係において当該問題がどうあるべきか。創生事業として将来的な見通しも含めお聞かせいただきたいと考えます。  続いて、健康福祉部長に伺います。  子育てママのケアについてであります。  子育て中のママさんたちが抱える心身上の悩みを軽減すべく定期的にこれに取り組む市町村の中には、対応すべきお母さんたちの案件増加に伴う保育士や保健師等の人的経費がふえつつある実態があります。  創生交付金で設置される信州母子保健推進センターは当該問題につき市町村をどのように応援できるのか。また、自治体の増加する負担軽減策につき県の姿勢をお聞かせいただきます。  次に、農政部長に伺います。  移住、定住に伴う農地の扱いについてであります。  例えば、空き家対策の条例を市町村で設置した場合、空き家の処理を自治体に任すと同時に、附帯する農地も自治体へ寄附したいとの意向を所有者が示すケースがあるといいます。しかし、簡単に希望どおりにはいきません。その一方で、都市部から村に定住する方が農地を欲しいと希望しても、農地法等での制限で、たとえ農地が付随する不動産でも一定面積以上は希望がかないません。今後、農地をめぐって、寄附したい人、欲しい人、両者の思いが一致できるように、人口対策としての規制緩和が必要になってくると考えます。  そこで、農地取得の規制について県内の現状はどうなのか。また、規制緩和等で例に挙げた両者の希望がかなう方法があるのかどうか。また、当該問題に関しての特区の設定等が可能かどうか。それらお聞きします。       〔県民文化部長藤森靖夫君登壇〕 ◎県民文化部長(藤森靖夫 君)子育て支援について市町村の支援を県として今後どのように考えていくのかという御質問でございます。  子育て支援は市町村との協働による取り組みが重要でございます。限られた財源で県民の皆さんが求める支援の充実となるよう子育て世代に対するアンケートも行い、市町村とともに支援策の強化を検討させていただき、それが昨年12月25日に発表いたしました子育て支援戦略に結びついております。  アンケート結果では理想の子供の数は3人とのお答えが多い一方で実際に持つ予定は2人とのお答えが多かったことから、理想の数の子供を持てるようにすることがまず第一ということで、第3子以降の子の保育料支援を県がその2分の1を市町村に助成する形で実施することといたしました。  市町村では、保育料の軽減や子供の医療費の対象者拡大といった県からの助成が財源補填に終わらず、その財源も生かして支援策を充実し、子育て世代のサービス向上につなげていただいているところでございまして、予算案が決定しております19市を見ましても、子育ての総合相談窓口のこども家庭応援センターの設置でありますとかファミリーサポート利用助成などの施策を新規に、あるいは拡充して実施されることとなっておりますし、また、町村分につきましては、まだ予算が決定されていないところがございますけれども、多くの町村で同様に新規あるいは施策の拡充を行っていただけるというようにお聞きをしているところでございます。  子育て支援施策の多くは市町村が実施主体でございます。県では、今回の保育料軽減、福祉医療費助成のほか、ファミリー・サポート・センター事業でありますとか放課後児童クラブなど多くの事業について助成をしているところでございます。  今後も、県民の皆さんが必要とする支援策について市町村とともに検討させていただき、子育て支援の充実に一緒に取り組み、また必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長小林透君登壇〕 ◎健康福祉部長(小林透 君)信州母子保健推進センターにおきます市町村負担の軽減につきましてお答えをいたします。  市町村における母子保健サービスにつきましては、議員御指摘のとおり、産後の孤立化を防ぐためのケアの充実を初め、発達障害ですとか、虐待予防、低体重児のフォローなどニーズが多様化、高度化しておりますが、これらに対応するための技術の取得は個別の市町村だけではなかなか困難な状況がございまして、現在活躍する保健師や保育士などの負担感が増大してございます。  このことから、信州母子保健推進センターでは、統一した保健指導マニュアルとそれに基づく技術研修会などを通じて全ての市町村が高い水準のサービスを提供することができるようにすることや、市町村における対応困難ケースについて家庭訪問の際にセンターの職員が同行し助言すること、また、市町村の新任職員を対象とした基礎的な研修を実施しレベルアップを図ることなどに取り組むことで、市町村の保健師などをサポートしつつ、妊娠から出産、子育てまで一貫してきめ細かに相談、支援が受けられる体制づくりを推進してまいりたいと思います。  以上でございます。       〔農政部長中村倫一君登壇〕 ◎農政部長(中村倫一 君)移住、定住に係ります農地取得の規制についてのお尋ねでございますが、農地法では農地の細分化の防止の観点から農地を売買する場合には取得面積の制限が設けられておりまして、その値は原則50アールというふうにされているところでございます。  この規制につきましては、平成21年の法の改正によりまして、地域の実情に即して市町村の農業委員会の判断で取得面積の下限を地区ごとに引き下げて設定することが可能となっております。  本県におきましては、平成26年4月現在でございますけれども、64の市町村の273の地区で既に引き下げが行われておりまして、最小面積は10アールというふうになっております。また、農地の遊休化が深刻で新規就農を促進する場合がある場合などさらに引き下げることが可能となっておりまして、全国の例では1アールまで下げている例が複数ございます。  したがいまして、特区などによります規制緩和によりませんでも、現行制度のもとで、市町村の農業委員会の判断によって農地の取得面積の緩和は可能というふうになっております。  県といたしましては、移住者の受け入れ環境の整備を進め、人口の社会増をふやす観点からも、地域の実情に応じた取得面積の緩和を進めることは重要であるというふうに考えておりますので、市町村や農業委員会に対する制度の周知を積極的に行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔34番清沢英男君登壇〕 ◆34番(清沢英男 君)子育て支援についてですが、今やっている政策で満足である、これでいいんだという姿勢でなくて、もっともっとやるべきことがあるんではないかという姿勢での御答弁を期待したのでありますが、よろしくお願いします。  地方創生事業の成否に長野県の将来がかかっていると言っても過言ではないというふうに思います。廃校を利用して若者を呼び込んだ隠岐の島の例、人口減に悩む小さな村の焼酎メーカーが韓国への輸出をきっかけに人が戻ってきた鹿児島県の例など、出る人より入る人が多くなる結果が県政に求められています。  今回の戦略の案を練るに当たって、これまで県は元気づくり支援金等で助走をしてきたと思えば、県内にはすごい数の元気があるはずであります。さらに、農林商工の分野でも、世界に発信する、あるいはその可能性を秘めたすごわざもあります。  松本市和田に、ラナンキュラスという花をつくっている人たちがいます。農政委員会でも現地調査をしておられますが、それは、世界の花のメッカと言われるオランダで花の世界博覧会で1等賞あるいは3等賞をとる優秀な成績をおさめています。それも複数年にわたってであります。そういうすごわざもあるわけでありますので、県の現地機関はそれらに必ず触れているはずであります。県の全精力と全英知を結集し、後世に誇れる地方創生にしていきたい、そう申し上げて、次の質問に移ります。  学校給食について教育長に伺います。  10年前に制定された食育基本法は、食の大切さと楽しさをあらゆる機会を通じて認識し、生涯にわたって間断なく食育を推進する社会を構築することを目指しています。子供たちに対する食育の重要性は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と体を培い、豊かな人間性を育んでいく基礎となるものとうたわれています。家庭での朝食の欠食や家族の会話なしに一人で食事をする孤食をなくし、学校では給食を通じて食の大切さを教えていこうとしています。  子供たちの3割が味の見きわめができないとの調査もあり、子供たちの舌を守ろうとする学校給食関係者は現場からの改革に余念がなく、その結果として食べ残しが目に見えて減ったとの報告もなされています。  また、全国学校給食甲子園という大会では、地元食材や有機野菜などを駆使した栄養や調理技術が競われてもいます。  子供たちに対する食育の取り組みの真剣さは大いに評価されるべきですが、一方で、楽しいはずの学校給食を嫌がっている、嫌いな時間帯だとする子供たちがいます。それは、さる中信地区の小学校でのことですが、ある親御さん、子供が朝御飯を食べたがらないことに異変を感じます。学校では早寝、早起き、朝御飯という生活を奨励しているのに、どうして朝御飯をとらないのか、そう子供にただします。  子供が重い口を開いて言うことに、先生が給食は残さないようにと言う。朝御飯を食べると給食が食べ切れない。量が多い人は隣の子に食べてもらいなさいと先生。隣の子だってそうすれば完食できないから嫌がる。先生はといえば、今ダイエット中として自分の食べる分を少ししか盛らせない。それを横目に目の前の給食を我慢して食べ続けていると片づけ掃除の時間が始まる。でも、自分は食べ切るまで動けない。毎日そんなことを続けていると、いじめの対象になりそうだ。実際いじめられている子もいる。だから、給食を完食するために朝御飯は食べたくないと気持ちを小さな声で話す子供。  親御さんは学校の担任に相談、らちが明きません。その後、子供は担任に廊下に呼び出され、なぜ家の人に話したのかと問い詰められ、このことは先生にも親にも言えないことなんだ、そう理解します。  子供の立場やいじめのことを心配すれば持って行き場がない、子供は学校に行きたくないと言う。そう悩む親御さんがおられる現実を知りました。  自分たちの学校時代、給食は実に楽しい時間だったと追憶する一方で、給食を食べ切れずに困っていた子がいたな。でも、先生は、コッペパンの間におかずを詰めて持ち帰りなさい、そう言っていたっけ。その子といえば、給食の時間を嫌がらずににこにこしていたよな。そんな風景を今さらながら思い出しました。  今の時代、前述したような給食に対する先生の姿勢は、すなわち、食育全体から来る食の重要度が給食の重要度になって、そのプレッシャーが子供たちに向けられているのではないか、そんな危惧を持ってしまいます。人が食べることのできる量は十人十色でしょう。給食をつくる人たちも、給食を食育とする教室の先生も、子供たちの完食を満足とするのはわかりますが、給食の時間が恐怖と感じる子供も少数ながらいることに気づいてほしいと思います。当然、一人一人の食べられる量に配慮する学校もあるのですが、全部ではないこともこの話で確かであります。  そこで、教育長にお尋ねいたしますが、県教委は、学校での食育、実際には給食についてのかかる実態があることを認識されておられますか。給食の質を追求する光の部分の陰に、量的に煩悶する子供たちがいることの指導をどのようにされておられますか。お聞かせいただきます。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)学校給食についてのお尋ねでございます。  学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資するだけでなく、食に関する正しい理解と判断力を養う上で重要な役割を果たしているものと考えてございます。  給食の量が多くて食べ切れないという保護者の声は県教育委員会にも寄せられてございまして、県教育委員会が昨年度実施をいたしました児童生徒の食に関する実態調査でも、量が多いから給食が楽しみでないと回答した児童生徒は約5%いるところでございます。  県教育委員会といたしましては、給食の時間について、学校教育活動全体の中で適切な時間を確保するとともに、学級担任による給食の時間の指導は、児童生徒一人一人の体格や健康状態等を考慮し、保護者の理解と協力を得ながら、食事の量について個別に把握し適切に対応するなど、その指導が画一的なものとならないよう指導しているところでございます。  今後も、引き続き、給食にかかわる教職員に対する研修会等を通じまして、こうした点を指導、周知してまいりたいと考えております。       〔34番清沢英男君登壇〕 ◆34番(清沢英男 君)給食にかかわる先生というのは全部の先生ですよね。そういう方々への指導をぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。  フードイノベーションについて伺います。  1月の新聞報道で、日清食品が御当地ラーメンとしてカップ麺の「信州味噌ラーメン」を発売したことを知りました。鎌倉時代、みそのルーツは信州にあり、今でも長野県はみその国内における生産量シェアは60%を超して断トツ、消費量も1位で、全国平均の1.6倍というみそ王国ですからラーメンへの期待も大きいのですが、その後、三重県でもカップ麺「牛骨味噌 亀山ラーメン」をサッポロ一番から発売中という情報を三重県のホームページで知りました。その担当係は農林水産部フードイノベーション課です。  そこで、過日、課の名前自体に興味を感じつつ、三重に調査を行いました。行ってみて驚かされたことは、ラーメンはほんの一角で、さまざまな新商品の開発をその課では手がけていることでした。うたい文句は、「県産食材の新しいカタチを生み出す みえフードイノベーション」。行政、大学、1次産業従事者、各種メーカー、観光業、スーパー、飲食業等々の皆さんがネットワークを形成、情報提供、相談、連携、支援を通して新商品やサービスを開発し、販売まで行う。県はこの過程に中心的にかかわって情報発信をしています。  新商品を流れに乗せるまで県の組織は横断的にタイムリーに機能します。こうしてできた商品、例えば、キノコやジビエをキャンディーにして大阪のおばちゃんのかばんに忍ばせる、地元産のお茶と老舗の和三盆糖をコラボした餅菓子、森林組合と鉄道がコラボした3Dパズル貯金箱、県とコーヒー店で開発したスイーツ、県と製薬会社で地元産のお茶や米、小豆エキスを使用した乳液を開発、御当地ラーメンではなかった亀山ラーメンをカップ麺化するなど15商品を完成させています。長野県でも困っている鹿肉は、ジビエのほかに、ソース、味つけ肉、革製品、ペットフードなど多用途に開発され販売されています。これら全て県職員がかかわっています。  産業労働部長に伺います。  県は、地方創生事業の一環で、補正予算にNAGANOの食イノベーション事業として300万円弱を計上し、食品開発センターを拠点として新たな高付加価値食品をつくり出すとしています。  まず、地元産品を使っての食品開発は農政部の知見を総動員すべきと考えますが、産業労働部が事業主体になる理由をお聞かせいただきます。  次に、開発すべき新商品は食品だけに限るような姿勢に見えます。ものづくり振興課が手がけるならば開発はもっとダイナミックに、食品だけでなく、地元産にかかわるもの全てに視野を広げて取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、拠点とする食品開発センターは、県内大学のインテリジェンス、農林商工業の経験値、製造業のノウハウなど、あらゆる分野のネットワークを構築して商品開発に当たると思いますが、既に体制ができているのでしょうか。仮に体制があるとして、コーディネートは誰が担うのでしょうか。県の役割を具体的に示していただきたい。また、成果目標は開発商品数25品目と理解していいのかどうか。さらに、かかる300万円という予算で県の食イノベーションが本当にできるのかどうか。  以上、御所見をお聞かせいただきます。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)3点順次お答えします。  まず、NAGANOの食イノベーション事業の事業主体についての御質問です。  地元の農産物などを利用して新しい高付加価値の商品をつくるためには、産業労働部だけではなく、農政部や健康福祉部を初め、市町村、県内の食品関係の企業の方々、さらには市場を熟知している専門家の御協力が必要でございます。また、高付加価値、高機能の商品であるというためには規格に沿った成分分析や高度な加工技術も必要と考えております。  この事業は、長野県産業イノベーション推進本部の一つのタスクフォースとして、部局間連携により重点的に進めているものでございます。食品加工技術や成分分析機能を有する工業技術総合センターの食品技術部門を所管する産業労働部が中心となって進めております。  なお、この事業の推進に当たっては、農政部の農業改良普及センターや農業関係試験場、さらには健康福祉部の進めるACEプロジェクトなどとも密接に連携して取り組んでいくことになっております。  次に、開発支援の対象についての御質問でございます。  これまでも、県内各地におきまして、規格外の農産物などを活用した6次産業化の取り組みによりまして付加価値をつけた商品を市場に送り出してまいりました。  この事業は、今まで以上に高い付加価値や機能性を持たせた魅力ある商品づくりを部局横断、産学官連携で行うことになっております。この春オープンするしあわせ信州食品開発センターの機能を最大限活用いたしまして、これまで活用されなかった地元の農産物やジビエなどにも光を当てながら積極的に事業展開をしてまいりたいと考えております。  しかし、施設規模やマンパワーの面で今すぐ全ての取り組みに対応することはできませんが、食品加工業者のみならず、農業生産者の要望にも最大限沿う形で進めてまいりたいと考えております。  最後に、しあわせ信州食品開発センターの体制についての御質問でございます。  センターの体制につきましては、工業技術総合センターの食品技術部門長をトップに据えまして、その支援体制の強化を図る方向で準備を進めております。また、コーディネーター役には経験豊かな研究員を充てまして、施設利用者からの相談に対応するとともに、事業推進に必要な部局間、さらには民間企業との連携などにも幅広く対応することになっております。  食品開発における県の役割でございますけれども、食品加工を行う方々のサポートと考えております。具体的には、企画段階での助言、試作品やその機能の評価、地域資源製品開発支援センターと連携したデザインやテストマーケティングなど、センターの専門的機能を活用した支援を行ってまいります。これによりまして、企業との共同による新しい食品開発の目標件数は年間50件と設定しております。  御心配いただいております予算額は県の支出分でございまして、各プロジェクトでは参加企業から応分の負担をいただきながら進めてまいることになっております。  いずれにしましても、長野県ならではの具体的な高付加価値食品の開発に向けて関係機関と一体となって取り組んでまいります。
     以上でございます。       〔34番清沢英男君登壇〕 ◆34番(清沢英男 君)地方創生にしても、新商品の開発にしても、要は県職員の皆さんの熱意、真剣度、そういったものがやっぱり問われるというふうに思います。今後、ぜひその点よろしくお願いをしたいというふうに思います。  最後に、中部縦貫道について伺います。  国道158号線に沿って、松本、福井を結ぶ高規格道路、中部縦貫道について。  この道路は、28年前、松本を起点に福井までの160キロを結ぶ高規格幹線道路として閣議決定されました。うち長野県内は35キロで、今は安房トンネルだけが供用されています。現在は松本波田道路5.3キロメートルが整備に向け鋭意進行されています。  整備効果としては、一つに、東海地震等による災害発生時の東名、中央高速道の広域的代替性、二つに、松本市内、殊に国道158号の交通渋滞緩和などが見込まれています。  中部縦貫は、平成9年の安房トンネル開通以来、大型公共投資への疑問と予算の削減、難工事、政権交代など、時代の波にさらされ、事業は遅々として進むことなく、ようやく松本波田道路が整備計画決定されてから14年後に動き出した現状です。  その間、上高地へ向かう158号は、波田バイパスの足踏みを初め、奈川渡付近の大白川、入山隧道などのトンネル狭小が大型観光バスから嫌われ、他方、東海北陸道から飛騨清見、高山へと高速道整備が進む岐阜県側からの進入が容易になった上高地は、白川郷世界遺産とのセット観光となって長野県の観光資源から離れていきつつあります。  これを長野県側に引き戻し、松本、安曇野とのセットにすべく、国の権限代行事業で158号の最難所である奈川渡付近2.2キロメートルの改良が動き出し、トンネル掘削が始まろうとしています。  そんな中、本来の中部縦貫道はどうなっているのでしょうか。一時、158号との重複使用という話もありましたが、稲核や島々などの集落を考慮すれば、158号は生活道路でもあり、高規格道路との重複ということはあり得ないと考えるのであります。  そこで、建設部長にお聞きします。  中部縦貫道の位置づけを県としてどう考えておられるのでしょうか。いまだに158号線との重複使用もあり得るとの見解をお持ちでしょうか。それとも、奈川渡改良が完成するまではいまだ保留としているのでしょうか。国との協議状況を含め、現在の中部縦貫道に対する県としての明確な御見解をお聞きしたいと思います。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)中部縦貫自動車道に対する県の見解についてのお尋ねでございます。  中部縦貫自動車道は、松本と福井を結ぶ高規格幹線道路で、長野自動車道などとともに広域ネットワークを形成し、観光振興や物流、災害時の代替性の確保などに寄与する大変重要な自動車専用道路と認識しております。  県内においては、現在、松本波田道路の整備と波田―中ノ湯間の調査が国により行われております。一方、現在の国道158号は一般道路でございまして、特に狭隘な奈川渡ダム下流付近で平成23年度から国の権限代行による改良が進められているという状況でございます。  県としまして、中部縦貫自動車道は福井までの全線が自動車専用道路として整備されるべきだと考えております。ただ、それには多くの費用と時間を要しますので、その整備の過程では奈川渡改良のような整備を行った区間を活用するということで時間短縮などの効果を早期に発現させるべきと考えております。  次に、国からの協議状況についてでございますが、国土交通省、松本市、長野県の3者で構成されます中部縦貫自動車道連絡調整会議を平成19年度から実施しております。この調整会議では、自動車専用道路である中部縦貫自動車道、そのアクセス道路や交差する道路、並行する国道158号について総合的な連絡調整を行っているところでございます。  県としましても、今後とも、国、松本市と連携しながら、中部縦貫自動車道の建設促進に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔34番清沢英男君登壇〕 ◆34番(清沢英男 君)どの路線をとるかを別にして、158号と別に中部縦貫道は建設する、いつか、将来ということだというふうに思います。  道路行政でも優先順位ということがよく言われます。中信地区にとっての優先順位は、新幹線、リニアの高速鉄道も縁が薄い中、中部縦貫道、松本佐久連絡道、上信越道、北関東道と日本列島に横串を刺して道路の利便性を強化し、もってその中央に位置する中信地域への産業誘致、観光誘客、文化交流等の活性化を図り、地方創生の一翼をなすようにしていくこと、そのための第一歩を進めることが優先順位でありまして、中信地区における中部縦貫道への期待はその意味で大きいというふうに申し上げて、質問を終わります。 ○議長(風間辰一 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時58分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(村上淳 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  小池清議員。       〔33番小池清君登壇〕 ◆33番(小池清 君)初めに、地方版総合戦略の策定について伺います。  安倍内閣が掲げる地方創生に向け、総合戦略の推進関連経費を計上した国の27年度予算案が提出されております。これは、地方交付税の減少を最小限にとどめ、地方の一般財源総額に関して前年度を大幅に上回る額を確保したものであり、全国知事会など地方6団体からの評価は高い内容となっております。  また、平成26年度補正予算案として、地域消費喚起・生活支援型交付金と地方創生先行型交付金が総額4,200億円計上されております。これらの財源をもとにした地方創生の取り組みについて、国は、施策の例示は行っているものの、個々の自治体が行う施策の制度設計、内容などは独自性を発揮し地域の実情に合ったものにするよう求めております。  そこで、人口減少を食いとめ、地域を元気にしていくという大変困難かつ重大な責任を果たすために、来年度、地方版総合戦略を策定するに当たっての現時点での考えと基本方針を伺います。  国の地方創生に関連する一連の予算措置や地方一般財源の増額についてはどのように評価しているのか。  以上2点につきまして知事に伺います。  地域消費喚起・生活支援型交付金事業については、本県の場合、どの程度の消費喚起の効果や経済波及効果を見込んでいるのか。同時に、各市町村が行う予定の地域消費喚起・生活支援型交付金事業との役割分担、また相乗効果はどうなっているのか。伺います。  地方創生先行型交付金の地方版総合戦略策定経費相当分約1,700万円につきましては、長野県の特性や課題をしっかりと見きわめ、分析した上で、独自性や独創性のある戦略を立てるために活用、充当すべきと思いますが、本県の施策内容を伺います。以上の点につきまして企画振興部長に伺います。  さて、この地方創生においては県と市町村の役割分担や連携が非常に重要になってくると考えます。国が示した地方版総合戦略策定の手引においても、都道府県は市町村との連携調整の役割が期待されております。同じようなスケジュールで県と市町村がそれぞれの総合戦略を策定していく中で、実効性を高め、無駄のないものにするためには緊密な連携が不可欠であります。  そこで、総合戦略策定に関して、県内市町村と内容の整合性や事業の役割分担など十分な話し合いや情報共有などが重要と考えます。これに関しましての具体的な取り組みを伺います。  また、周辺地域一体で取り組むと効果的な事業については複数の市町村による取り組みを推進し、県版総合戦略への掲載をしてはどうかと考えます。この点について伺います。  さらに、各市町村が策定する総合戦略のスケジュールや基本理念、施策の柱など、現時点での施策の方向性や内容について県は把握しているのかどうかも伺いたいと思います。  また、市町村と合同の専門組織の立ち上げ、あるいは県職員の人事派遣、もしくは相互の職員交流などについて県内市町村に働きかけてはどうかと考えますが、以上の点につきまして企画振興部長に伺います。  このたびの補正予算で計上された交付金のうち地方創生先行型につきましては、各自治体独自の総合戦略の早期策定と、成果を出すための前提となる客観的な調査、分析の実施を促すものとなっております。また、国は、総合戦略の策定段階や効果検証の段階において外部有識者の意見を聞くことや議会での十分な審議を行うことを求めており、策定業務の全てをコンサルタントに丸投げしないようにということまで言及をしておるようであります。  総合戦略の理念や基本方針などの起草作業を職員みずからが知恵を絞って行うことは当然ですし、現場を知る職員にしかできない仕事だと考えております。さらに、人口減少社会に対する認識や危機感、課題については県民の皆さんに対しても丁寧に説明して理解を求めていかなくてはならないと考えます。みずから解決に向かう主体的な動きにつながらなくてはならないと考えるところであります。  そこで、従来どおりの審議会やパブリックコメントといった手法だけではなく、広く各地域の県民の皆さん方や子育て世帯などの若い世代、中高生など将来を担う子供たち、あるいは企業や各種団体など、幅広い層や立場の方とともに本県の現状や課題を共有し、今後どうしていくべきかについて考える場を設け、意見を聞くべきと考えますが、この点について所見を伺います。  また、特に学生、地域の将来を担う若者とともにワークショップを開催し、これらによって当事者意識の向上を図るとともに斬新な施策やアイデアなども求め、一緒に取り組んでいく、こういったことも大事だと思いますが、この点についてお考えを伺います。  より多くの県民が人口減少問題や地方創生に関する理解を深められるよう、各地域での説明会の開催やホームページなどを活用した情報発信などに積極的に取り組んでいくべきだと思います。  以上、県民とともに地方創生を行っていく取り組みの考えを企画振興部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)地方創生についての御質問に2点お答え申し上げます。  まず、地方創生の総合戦略策定の考え方、基本方針についてという御質問でございます。  地方創生は、我が国が直面する人口減少問題を真正面から捉え、急激な人口減少に歯どめをかけ、地域や経済の活力を維持向上させていく取り組みであり、後世にどういう長野県を引き継いでいくか、構想力、実行力が問われてくるというふうに思います。  今回の地方創生の動きを長野県のさらなる発展への大きな契機とし、人口定着・確かな暮らしの実現に向けて、大胆な政策の企画立案、そして実行を行っていきたいというふうに考えています。  総合戦略の策定に当たりましては、さきに公表いたしました「人口定着・確かな暮らしの実現に向けた施策展開の方向性(中間取りまとめ)」でお示しをいたしました五つの施策構築の基本的視点、人生を楽しむことができる県づくり、多様な人材が活躍できる県づくり等でありますが、これに沿いまして、長野県の強みを生かして、これまでの発想の枠にとどまらない特色ある施策を打ち出して実行していきたいと考えています。  国の地方創生に関連する予算措置等への評価ということでございます。  国の予算、地方創生の交付金を初めとして、地方創生、地域経済の活性化に取り組むものとして編成をされております。また、地方財政計画におきましても地方創生の推進に向けたまち・ひと・しごと創生事業費が創設されて、本年度を上回る地方の一般財源総額が確保されたという現状にあります。  本県が進めているしあわせ信州創造プランの実現、あるいは人口定着・確かな暮らしの実現、こうした本県の取り組みと軌を一にする、方向性を同じくするものというふうに考えておりまして、地方の立場からは評価できる内容だというふうに考えております。  以上です。       〔企画振興部長原山隆一君登壇〕 ◎企画振興部長(原山隆一 君)総合戦略策定に関しまして御質問をいただきました。  まず、総合戦略策定経費の内容についての御質問でございますが、今回、早期議決をいただきました策定経費の内容は大きく3点ございます。  1点目は、人口動向の分析業務でございます。結婚、出産、子育てやU・I・Jターン就職の状況に関する調査等を実施いたしまして効果的な施策構築に活用したいと考えております。  2点目は、有識者からの意見聴取のための経費でございます。人口定着・確かな暮らし実現会議などの場でさまざまな角度からの御意見をいただきまして総合戦略に反映させてまいります。  3点目は、パンフレットの印刷経費等でございまして、総合戦略策定段階や戦略策定後の周知で活用してまいりたいというふうに考えております。  次に、総合戦略策定のための市町村との連携についてでございます。  議員御指摘のように、県と市町村の総合戦略を、互いに問題意識を共有し、目標の実現に向けて整合性をとりながら同じ方向性で策定していくことは極めて重要でございます。人口定着・確かな暮らし実現会議では市長会、町村会に参画いただきまして議論を進めていますほか、11月に開催した県と市町村との協議の場におきましても、地方創生をテーマにした意見交換を行い、県と市町村が力を合わせて長野県における地方創生に取り組む方針を確認したところでございます。  そして、地方創生の主要分野であります少子化対策につきましては、昨年末に県と市町村が共同して子育て支援戦略を取りまとめ、県と市町村が一丸となって施策を実施するモデルを提示したところでございます。  さらに、広域圏ごとに県と市町村とで設置しております地域戦略会議におきまして、一市町村で完結しない広域的課題と進むべき方向性や自治体間の連携につきまして知事や私も参画しながら議論を行っているところでございまして、こうした議論を県及び市町村の総合戦略に反映させてまいりたいというふうに考えております。  市町村総合戦略の策定状況についてでございますけれども、市町村では、昨年末に策定された国の総合戦略を受けまして、体制の整備や施策の方向性など策定に向けた具体的な検討を始めているものと承知してございます。  一方、県では、昨年9月に立ち上げました人口定着・確かな暮らし実現会議で議論を進めておりまして、2月6日に県の総合戦略の方向性、中間取りまとめを公表いたしまして、県の策定スケジュールとともに市町村に対し説明し、情報共有を図っているところでございます。  総合戦略の策定に当たりましては市町村との連携は極めて重要ですので、市町村の策定状況を把握するとともに、先ほど申し上げましたように地域戦略会議等さまざまな場面で意見交換、情報共有を行い、策定作業を本格化してまいります。  次に、市町村と合同の専門組織の立ち上げや職員交流についてのお尋ねでございます。  市町村総合戦略の策定を支援するために企画振興部職員で構成する策定支援チームを編成し、市町村、地方事務所とともに総合戦略策定研究会を地方事務所ごとに立ち上げる予定にしております。  また、県と市町村との人事交流につきましては、来年度は特に小規模な町村を中心として、市町村の総合戦略の策定に係る業務への県職員の派遣要望や、県の総合戦略策定部局への市町村職員の配置希望もございますので、こうした市町村の要望を踏まえながら進めてまいりたいと考えております。  それから、県民に主体的に取り組んでもらうための幅広い層との意見交換や、若者とのワークショップ、情報発信についてのお尋ねでございます。  地方創生は多岐にわたる取り組みでございまして、10年、20年後の地域の姿にかかわることから、若い世代を初め、県内各界各層との認識を共有し、その意見を反映させることが重要だというふうに考えております。  このため、地方創生をテーマとしたタウンミーティングや地方創生に関連する団体との意見交換を行いまして、人口定着・確かな暮らしの実現に向けた施策構築に反映させてまいりたいと考えております。  また、先日は、ワールドカフェ方式という、創造性に富んだ議論が引き出せる、そういった方式による県政タウンミーティングを行いまして、知事が20歳代、30歳代の若者と議論をしたところでありまして、今後とも中高生や大学生にも対象を広げて意見交換を行ってまいりたいというふうに考えております。  そして、これから、施策を固める前の段階からも将来展望やそれに向けた施策展開をわかりやすくホームページやパンフレットでお示しし、各種会議の場などでも活用して、県民の皆様に広く地方創生に関して御理解いただけるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)2点お答えいたします。  まず、地域消費喚起・生活支援型交付金を活用した事業の消費喚起効果と経済波及効果についての御質問でございます。  県では、この交付金を活用いたしまして補正予算で21億6,500万円を計上し、ふるさと名物商品・旅行券事業と、生活支援策といたしまして児童養護施設入所児童等生活支援事業の二つの事業の準備を進めておるところでございます。  御質問の消費喚起に関する効果につきましては、ふるさと名物商品・旅行券事業では、消費者が商品や旅行券を割引価格で購入する場合の割引率を国が示す割合を前提として計算し、おおむね40億円以上の消費額を見込んでおります。  また、児童養護施設入所児童等生活支援事業では、施設が実施する物品の購入や体験旅行などに10分の10の補助を行うものでして、予算額と同じ8,000万円の消費額を見込んでいるところでございます。  次に、経済波及効果につきましては、直近の長野県産業連関表を用いまして推計しましたところ、先ほど申し上げました二つの事業合わせて約42億円という試算結果となっております。  次に、市町村との役割分担と相乗効果についての御質問です。  この交付金に関しまして、国では、市町村と都道府県との基本的な役割分担につきまして、市町村には地域内の消費を喚起するプレミアムつき商品券事業を、都道府県には地域外の消費を喚起するふるさと名物商品・旅行券事業の実施を推奨しております。  多くの市町村がプレミアムつき商品券事業を実施する見込みであることを踏まえ、現段階におきまして、県では、県内の消費喚起のみならず広く県外からの消費を呼び込むことを目的としてふるさと名物商品・旅行券の事業の準備を進めているところでございます。  また、県で実施する低所得者等への生活支援策といたしましては、県が入所措置をとっている児童養護施設などの生活環境の状況を踏まえ、施設の物品購入や社会体験の充実のための事業を行うことを基本として現在その準備を行っております。  県といたしましては、市町村事業とこれらの県事業をあわせて実施することにより県外から積極的に外貨、外需を獲得するとともに、地域内における経済的循環を活発化させるという相乗効果が期待できると考えております。  いずれにしましても、関係者と相談をしながら、県内経済に対する効果が最大限となるよう工夫して事業を推進してまいります。  以上でございます。       〔33番小池清君登壇〕 ◆33番(小池清 君)次に、地域経済の将来像と人口ビジョンについて伺いたいと思います。  日本は既に人口減少時代に突入をしております。人口減少は静かなる危機と呼ばれるように、私たちの日常生活においては実感しづらいものでありますが、このままほっておきますと、人口は急速に減少し、その結果として経済規模の縮小や生活水準の低下を招き、究極的には国としての持続性すら危うくなると言われます。  そういった中、国は、中山間地域において住民の生活に必要な医療、介護、福祉、教育、買い物、公共交通、燃料供給といった生活サービス機能を基幹となる集落に集約化し、周辺集落とのネットワークを持たせるコミュニティー、小さな拠点の形成を掲げております。
     そこで、長野県においても小さな拠点の形成を念頭に置いてセミナー開催を計画をしておりますが、本県が考える小さな拠点とはどのようなものなのでしょうか。また、セミナーの内容について伺いたいと思います。  次に、長野県のモデル地域づくりなど具体的な検討が必要であると考えますが、いかがでしょうか。この点について御所見を伺いたいと思います。  また一方で、国は、一定の要件を満たす地方都市、これは人口20万人以上ということでありますが、これが中心になり、近隣市町村と連携する連携中枢都市圏の形成を進めており、中心市や近隣市町村に対し交付税の上乗せ措置も行う方針であります。大都市への人口流出を食いとめるための人口のダムをつくるイメージとされておりますが、長野県としての考えを伺いたいと思いますが、以上3点について知事に伺います。  こうした危機的な人口減少から目を背けずに、厳しい現実を真正面から受けとめ、断固たる姿勢で立ち向かうために本県が掲げるべき一番大きな目標が将来の人口の姿であります。それを地方人口ビジョンという形で示すことが求められておりますが、昨年12月末に閣議決定をした国の長期ビジョンによりますと、2060年に1億人程度の人口を確保することや、若い世代の希望が実現した場合の合計特殊出生率は1.8程度に向上するということなどが国全体の目指すべき将来の方向として掲げられております。  長野県においても平成27年度中に地方人口ビジョンを策定することとなると思いますが、現状のトレンドで推計した場合の本県の将来人口はどのようなものか。伺いたいと思います。  また、現時点で将来あるべき人口はどのぐらいと本県では考えているのか。伺います。  さらに、策定に当たっての現時点での基本的な考え方やスケジュール。  以上の3点につきまして企画振興部長に伺います。  また、将来人口を推計する上では、現状の傾向のままで人口が推移した場合の将来の地域住民の生活や地域経済に与える影響についても十分に分析し考察する必要があります。こういったことを踏まえ、国は、地方に対する情報支援の一環として、企業間取引や観光地における人の動き、現在及び将来の人口構成など地域経済に関するさまざまなビッグデータを活用し、地域の特性を分析できる地域経済分析システムを開発、整備し、各自治体に配布して平成27年度からの活用を呼びかけております。  今後、本県が経済面での強みや弱み、また、地域課題等を踏まえた上で有効な経済政策を行う上で非常に重要なツールと考えますし、人口減少問題を克服していくために若い人の働く場をつくっていくためにも役立つものと考えます。  そこで、観光面の活用方策として、他の自治体と連携した観光ルートの設定、広域観光ルートということになると思いますが、より有効な観光パンフレットの作成、ターゲットを絞ったPR活動などでの活用につきまして観光部長に伺います。  また、県が実施する施策や事業の地域経済への波及効果の測定や費用対効果についての意識づけを行うために、職員研修の実施や使い方、見方の活用についての取り扱いについて伺いたいと思います。  県内の地域単位の経済分析を行うことによって、より効果的な施策の展開や、市町村間の連携や役割分担を図ることにも使えるのではないかと思います。この点についても伺いたいと思います。  今後、この地域経済分析システムをどのように活用していくのか。本県の今後のスケジュールを含め、お考えを企画振興部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答えします。  まず、長野県が考える小さな拠点とはどのようなものかという御質問でございます。  小さな拠点、単に集約するというだけではなく、コンパクトプラスネットワークによりまして、住みたいところに住み続けられるようにしていくための有効な手段にしていきたいと考えています。  県内では既にこうした考え方に基づく動きも出てきています。喬木村では、村の農村交流センター、JAの支所やAコープ、薬局の集まるエリアを小さな拠点として位置づけ、現在、県の地域交通システム再構築促進モデル事業を活用して周辺地域を結ぶ交通システムの構築を行っています。  また、伊那市の長谷では、物産販売所、パン工房、レストランと会議室などの活動拠点施設を有する道の駅を中心として、診療所、健康増進センター、特別養護老人ホーム等を意図的に集約してきております。現在、日常的な買い物などの生活サービス機能の再構築や集落間の連携について検討が行われているところでございます。  こうした取り組みも踏まえ、小さな拠点を単なる日常生活の守りのとりでとするのではなく、新たな雇用を生み出す攻めのとりでとして整備を促進し、住民の皆様方のよりどころとすることにより地域のきずなの再構築にも生かしていきたいと考えています。  小さな拠点形成のためのセミナーについてという御質問でございます。  小さな拠点の整備を進める上では、長期的な視点に立って、地域の実情を踏まえ、どのようなサービスや機能を集約していくのか、市町村あるいは地域住民の皆様方が主体的に考えていただくことが何よりも重要であります。  こうした観点から、セミナーにおきましては、小さな拠点という施策が考え出された経緯や必要性、取り組み事例等を施策形成にもかかわった島根県立大学の藤山教授に御説明をしていただき、市町村と住民とが一緒になって検討する契機とすることで次のステップに進んでいただきたいというふうに考えています。  次に、モデル地域づくりなど具体的な検討が必要ではないかという御質問でございます。  住民と市町村が一体となって集落の活性化に取り組む集落再熱実施モデル地区支援事業、この事業におきましては小さな拠点の形成に向けた取り組みも支援をしてまいります。来年度の地区選定に当たりましては小さな拠点形成を目指す提案を優先的に採択する考えであります。  現在、モデル地区に選定されております筑北村坂井地区におきましては、公民館を活用してカフェや親子料理教室等を開催し、住民の交流拠点づくりに取り組んでいます。地方事務所とともに組織する支援チームを通じて、小さな拠点づくりのモデルケースとなるようサポートしているところでございます。  県内には、このほかにも農家レストランなどを活用して地域振興に取り組んでいる事例もございます。こうした地区が小さな拠点の長野県モデルとなるよう、市町村や住民の皆さんとともに連携しながら支援をしてまいりたいと考えております。  3点目、連携中枢都市圏に関する考え方でございます。  人口減少社会におきまして地方創生を進める上では、それぞれの単独の市町村だけでは対応し切れない課題もございます。地域の多様性を生かしながら相互に連携していくということも重要だと考えております。  連携中枢都市圏、従来の定住自立圏が取り組んでおります生活関連機能サービスの向上に加えまして、経済成長の牽引、あるいは高次の都市機能の集積、強化、こうしたことを行うことによって一定の圏域人口を有し、活力ある社会経済を維持するための拠点を形成するものでございます。  連携中枢都市圏や定住自立圏という広域連携の仕組み、いずれも地方の人口流出を食いとめるためのいわゆるダム機能を確保する一つの手法であるというふうに考えております。  しかしながら、農山村を含む多様な地域から成ります本県におきましては、こうした都市を中核とした圏域の形成の仕組みだけでは対応できない地域もございます。したがって、地域の実情を踏まえた具体的な検討を行っていく必要があるというふうに考えております。  広域ごとの地域戦略会議におきましては自治体間連携の方向性についても検討することとしており、こうした地域の議論を踏まえ、県の総合戦略に反映をしていきたいと考えております。  以上です。       〔企画振興部長原山隆一君登壇〕 ◎企画振興部長(原山隆一 君)まず、人口ビジョンにつきまして、現状のトレンドでの推計人口についてのお尋ねでございますが、2010年の本県人口は215万2,000人、国立社会保障・人口問題研究所の推計では2040年には166万8,000人、30年間で48万人が減少する見込みとなっております。  あるべき人口についてというお話でございますが、今後、総合戦略を策定する中で市町村や県民の皆様の御意見を踏まえて検討してまいりますので、現時点では具体的な数値をお示しすることはできませんが、直近の人口動向や出生の希望の実現、社会増への転換など、目指す姿を勘案してお示ししてまいりたいと考えております。  そして、人口ビジョン策定の基本的な考え方とスケジュールについてでありますが、人口ビジョンにつきましては、人口の現状分析を踏まえて、県民の出生に関する希望の実現と社会増への転換を基本として人口の将来展望を取りまとめ、10月ごろには総合戦略の全体像と一体としてお示しし、県議会を初め県民の皆様の御意見を頂戴した上で、平成27年度中に人口定着・確かな暮らし実現総合戦略として策定してまいりたいと考えております。  次に、地域経済分析システムの活用についてのお尋ねでございます。  地域経済分析システムは国の情報面からの地方支援ということで構築されております。地域経済にかかわる企業間取引や人口動態といったさまざまなビッグデータを収集し、わかりやすく見える化することができるものというふうに聞いております。  このシステムを使いこなすことで、地方では、総合戦略の立案、実行、検証時のみならず、産業政策や観光政策、少子・高齢化対策、過疎化対策等の施策立案にも有効に活用できるものと期待しております。  国では、近いうちにシステムの開発を終了し、4月以降に地方自治体向けの研修会をブロックごとに開催するということとしております。この研修を受けた後に、本県でも職員がこのシステムを使いこなせるよう研修を行ってまいりたいと考えております。  また、国では、システムの活用に向けまして各県を担当する地方創生コンシェルジュを配置するとともに、地元経済に精通した民間専門人材を確保して支援体制を組んだり、あるいは自治体のニーズに応じて各分野の有識者を派遣する体制を構築するということとしておりますので、こうした支援も受けましてさまざまな活用方法を模索してまいりたいと考えております。  このシステムで可能となる分析内容の詳細はまだ示されておりませんけれども、各自治体の強みの把握や、お尋ねにありました地域単位での経済分析などが可能となるというふうに聞いておりますので、県の戦略策定、実行への活用はもちろんのこと、県内市町村の広域的課題の検討に当たってもしっかりと活用してまいりたいというふうに考えております。       〔観光部長野池明登君登壇〕 ◎観光部長(野池明登 君)地域経済システムの観光面での活用についてでございます。  観光に関するビッグデータから、観光客の流れ、例えば長野県にどの都道府県から来て、どこを訪問し、どこに宿泊したか、また、その流れの平日・休日別、月別、季節別などの客観的なデータが得られ、今まで見えなかった部分が見えてくることに期待をしているところでございます。  これらのデータは地域の観光戦略や施策立案の際の重要な基礎数値でございまして、広域周遊ルートの設定、ターゲットを絞った効果的な誘客プロモーションの実施、地域のウイークポイントの改善などに生かすことができると考えているところでございます。  なお、膨大なデータをどう整理し、どういう視点で切り取るか、利用する側の使いこなすノウハウが必要でございまして、システムの供用開始、4月ということですので、ノウハウを蓄積しながら、ただいま御質問をいただきましたような活用方策を研究してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。       〔33番小池清君登壇〕 ◆33番(小池清 君)特に、現在、バス事業の規制による県内観光事業への影響が非常に大きなわけでございますので、県、また観光部におきましては、こういったツールをしっかりと使いまして、新しい商品開発、また長野県の将来の発展に向かってしっかりと早急に取り組んでいただくことをお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、生きる力を身につけさせる教育について伺いたいと思います。  地方創生は言うまでもなく人が中心であり、長期的には地方で人をつくり、そして人が仕事をつくり、町をつくるという流れをつくり出し、それを持続的に循環させなければなりません。  そこで、今後、地方創生を進めるためには、これらの人材の育成に加え、地域の魅力等を理解し、愛着を持つ人材や地域活性化に貢献する人材の育成なども必要と考えますが、地方創生を担っていくための人材育成の必要性について、課題を含め、基本的な県の考え方を教育長に伺いたいと思います。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)地方創生を担う人材の育成についてのお尋ねでございます。  地方創生を担っていくための人材を育成することは、将来にわたって活力ある長野県を維持、また発展させていくために極めて重要であると認識をしてございます。  そのためには、各学校段階において、子供たちが地域についての学習を通してふるさとに愛着と誇りを持てるようにしていくとともに、地域の将来を担う地域社会の形成者であるという意識を醸成し、地域づくりに主体的に参画する態度を育んでいくことが必要だと考えております。  地域についての学習は小中学校では大変熱心に行われている一方で、高等学校においては、一部の学校では地域の方の御協力をいただきながら地域活性化に資する学習も実施をしてございますが、全体としては小中学校と比べますと地域に関する学習が十分でないということが課題として捉えているところでございます。  そこで、小中学校における地域についての学習をさらに充実させるとともに、新たに、高等学校において、長野県の歴史や文化、産業等を理解し、地域に参画する態度を育む信州学を推進することによって、みずからが生まれ育った地域を大切にする心情を育み、地域創生、地方創生を担っていく人材を育成していきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔33番小池清君登壇〕 ◆33番(小池清 君)地方創生を担う人材の育成ということで、地元を愛するお子さんたちをしっかりと育てていくことが大事だと思います。  そこで、伺うわけでありますけれども、現在、飯田、下伊那では、飯田、下伊那地域に大学入試センター試験の会場を加えるよう、県内のセンター試験事務を総括している信州大学へ要望することを決めております。  例年、飯田、下伊那の現役受験生数は500人を超えますが、信州大学農学部か県看護大学で受験をしております。要望内容は、地域公共交通機関の利便性に制約がある中、試験会場までの遠距離移動や降積雪などによる交通障害の心配を挙げ、受験生や保護者にとって心身ともに大きな負担、受験結果にまで影響を及ぼしかねないなどの指摘があり、他地域の受験生との公平性を確保するためにも飯伊地域への会場の開設を訴えております。  これまでも下伊那校長会などが要望してきたところでございますけれども、実現に至っておりません。  信大農学部と飯田市の距離は約52キロ、下伊那の西南部からは90キロ以上もあります。最初の試験科目の開始は例年午前9時半でありますので、早朝移動の煩雑さや不安などを避け、前日に自宅外で宿泊をしている受験生もおります。2001年度には、到着がおくれ、試験時間の繰り下げ措置がとられたところでもあります。  飯伊8校の受験生たちは、上伊那郡内の2会場で受験することについて、会場までの遠距離受験は大きな負担で公平性を欠く、飯伊の受験生にとって大きなハンデとして改善を求めております。  県としても、飯田、下伊那地域の地方創生、人づくりに影響している教育環境の課題解決の取り組みとして信州大学への要望に対応をすべきと考えますが、この点につきまして教育長にお考えを伺います。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)大学入試センター試験の会場についてのお尋ねでございます。  長野県内の大学入試センター試験の会場につきましては、議員御指摘のとおり、信州大学が県内の状況を勘案しながら決定をしているものと認識をしてございます。  現在、飯田、下伊那地区の大学入試センター試験受験者は、上伊那地域の信州大学農学部、または長野県看護大学で受験をしてございまして、試験会場までの移動等に大変時間がかかる状況にあると聞いてございます。  御指摘のように、こうしたことを踏まえて、南信州広域連合と下伊那高等学校長会が信州大学に対し新たな試験会場の設置を要望するというふうに伺っているところでございます。  県教育委員会といたしましては、これまでも、信州大学に対し、地元の校長会等の御意見を踏まえながら要望という形でお伝えをしてきているところでございまして、信州大学における検討を注視をしつつ、今後も地域の声をよく聞いて必要な支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。       〔33番小池清君登壇〕 ◆33番(小池清 君)地方創生を通しまして、長野県がそれぞれの県内各地域で新しい時代、新しい発展ができることを県民の皆様方とともに願うばかりでございます。  県におきましては、ぜひとも、これらがしっかりとした結果が出るお取り組みをしていただくことを申し添えまして、一切の質問を終わりとさせていただきます。 ○副議長(村上淳 君)次に、佐々木祥二議員。       〔37番佐々木祥二君登壇〕 ◆37番(佐々木祥二 君)県政ながのの佐々木祥二でございます。通告に従いまして順次質問をさせていただきます。  まず初めに、知事は一定地域で仕事をする初のしあわせ信州移動知事室を上伊那で行いました。私の聞いた範囲では、おおむね良好と感じました。これからも、地方重視の県政と、県と市町村との協働、そして役割分担と現地機関への権限移譲、県民との対話、そして県民の利便性向上のために尽くしていただくことをまず初めに要望をしておきます。  2月23日まで熱戦を繰り広げてまいりました第70回国民体育大会冬季大会、2015群馬冬国体スキー競技会では、男女総合の天皇杯7年ぶり、女子総合の皇后杯は14年ぶりと聞いております。また、天皇杯及び皇后杯ダブル獲得は飯山国体以来14年ぶり、そしてスキー競技会において本県開催以外の地で両賜杯を獲得したのは全国初めてとお聞きいたしました。まことにおめでとうございます。この調子で次回と第72回長野県白馬国体まで3連覇目指して頑張っていただきたいと御期待を申し上げる次第でございます。  そこで、本県のスポーツ振興につきましてお伺いをいたします。  去る2月17日、第72回冬季国体の開催について、阿部知事に対しまして、文部科学省と日本体育協会から開催が決定したことを示す通知が手渡されました。いよいよ本県におきまして冬季国体の開催が実現することになりました。冬季国体を本県で開催することは県議会といたしましても去る11月議会におきまして全会一致で要望したものであり、特に今回は災害後の長野県の元気な姿を全国に示すことができる格好の舞台となるものであり、全国から大勢訪れる冬季大会が成功するよう、これからの準備に万全を期していただきたいと思います。  さて、そこで、スポーツ振興の観点から、冬季の国体以上に、特に秋に行われますいわゆる本国体の開催は、競技力の向上はもとより、開催に伴う施設の整備や選手、役員の移動に伴う経済効果など果たす役割は大変大きなものがあると考えます。  振り返りますと、本県におきまして本国体が開催されましたのは昭和53年のやまびこ国体であります。あれから40年約前であり、多くの県民の期待を担い、晴れの舞台で全力を出し切った本県選手団により天皇杯・皇后杯両杯を獲得した感動はいまだ多くの県民の心の中に刻まれているのではないでしょうか。  改めて申し上げるまでもなく、開催に向けた準備の期間も冬季国体以上に長くなることも事実であります。本国体の開催を全国の都道府県が交代で行う現状を見ますと、そろそろ長野県におきましても本国体を開催することを念頭に置いた対応が必要な時期に来ていると思います。  そこで、本県において2回目となる本国体の開催についてどのように考えているのか。教育長の御所見をまずはお伺いをいたします。  次に、本国体の開催には競技団体における機運の盛り上がりは大切だと思いますが、そのためには、中長期的な視点を持った選手の育成、競技と必要となる施設の整備が大変重要だと考えます。  私は、地方創生の鍵の一つはスポーツ振興からと思っております。スポーツは地域活性化の推進につながりますし、オリジナル商品の開発、そして販売、スポーツを通じて健康増進、医療費削減効果などなど多種多様であります。また、プロでは、信濃グランセローズ、松本山雅、長野パルセイロ、千曲の信州ブレイブウォリアーズなどなど大活躍しておりますし、また地域リーグで活躍しているチームも長野県にはたくさんあります。  例えば、上伊那郡南箕輪を拠点としておりますVC長野トライデンツ、ここも日夜長野県をバレー王国にを目標に今Vチャレンジリーグを目指して全国地域リーグで戦っております。2月の28日、そして3月の1日、東部決戦があり、決勝リーグがありまして全勝で優勝をいたしました。また、駒ヶ根市に拠点がありますホッケー長野クラブは、関東社会人ホッケーリーグ1部で活躍をしております。  このように、選手たちは、さまざまな企業に勤務をして仕事とスポーツを両立させ、長野県の名を高めるためにも頑張っております。また、選手のスカウト活動は長野県の人口増加にも大変貢献いたしますし、スポーツは社会の活力源にもなっております。  地域で活動しているチームにはそれぞれ悩みもあります。それは、大学リーグが12月まであるために就職活動ができず、あえて留年をする選手、人が増加していることと専用の競技施設がないことであります。  専用の競技施設は、競技の普及と推進、そして地域住民のスポーツ活動や憩いの場、集いの場所にもなり、施設の充実は地域のスポーツ活動を推進し、活発な活動、競技力の向上や青少年の体力づくりの健康増進の場にもなり、多くの人々が活用できます。また、何よりも、北信越大会を初め各種大会の開催や、試合、合宿等の誘致には地域の競技の普及や強化が図れるだけでなく、地場産業、温泉施設、宿泊施設、観光資源など、地方創生、地域活性化に大いに期待される施設であります。  県内の施設につきましては、やまびこ国体から40年近く時を経て施設の老朽化といった課題もあります。てこ入れが必要な時期に来ていると思います。  また、本県の競技力は、最近の状況を見ますと北信越国体では10年連続最下位といった状況でございますし、本国体の成績自体も決して誇れるものではないと思います。  そこで、伺いますが、国体誘致の好機を生かした信州の元気増進のためにも、スポーツ振興の新たな扉を開くためにも、県内における競技に必要となる施設整備や選手育成を市町村とも協力をし、今から検討する必要があると思いますが、教育長の御所見をまずはお伺いをいたします。
          〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)スポーツの振興についてのお尋ねにお答えを申し上げます。  まず、2巡目となる本国体の開催についてのお尋ねでございます。  昭和53年に開催をされた本県初の本国体となるやまびこ国体から既に40年近くが経過し、半数を超える都道府県において2回目となる本国体を開催している状況でございます。  やまびこ国体の開催は、本県の競技力の向上と体育施設の整備に大きな役割を果たすとともに、活力ある地域づくりにも大きく寄与したことから、本国体を開催する意義は十分に認識をしているところでございます。  まずは、先ごろ決定をいたしました、平成29年に本県で開催いたします冬季国体の成功に向けてしっかりと取り組むとともに、2回目の本国体開催誘致について知事や関係団体と連携を図り検討してまいりたいと考えてございます。  次に、中長期的な選手育成と競技施設の整備についてのお尋ねでございます。  選手の育成につきましては、本県では、既に、ジュニア層を対象として冬季アスリートの発掘、育成を目指したSWANプロジェクトを初め、ジュニア競技力向上事業やオリンピアン育成支援事業などによって次世代のトップアスリートの育成に取り組んでいるところであり、今後の国体誘致の動きも踏まえながら、中長期的な視点に立った上で戦略的な取り組みによって育成強化に努めてまいる所存でございます。  また、競技施設の整備につきましても、平成29年に本県で行われる冬季国体や今後予定をしてございます全国的な大会の開催も視野に入れながら、県営体育施設の計画的な整備に努めてまいりたいというふうに考えてございます。また、あわせて、市町村からもよく要望を伺いながら、市町村とも連携をとって計画的な施設整備に努めていければというふうに思ってございます。  以上でございます。       〔37番佐々木祥二君登壇〕 ◆37番(佐々木祥二 君)ありがとうございました。教育長、よろしくお願いをいたします。  次に、東京オリンピックの開催を活用した国際交流についてお伺いをいたします。  1998年、本県で開催されました長野冬季オリンピックには世界各国から多くの人々が集まり、競技の観戦にとどまらず、本県が有する美しい豊かな環境や県民のおもてなしの心など、長野県の魅力を世界中に発信するきっかけになりました。以来、長野県のスキー場に多くの外国人が訪れるようになったことは国際交流の観点におきましても長野冬季オリンピックが果たした大きな成果の一つであると思うと同時に、本県が経験をした冬季オリンピックは国際交流を進める上で大きな役割を果たすことが可能な財産であると思います。  現在、東アジアには2018年の冬季オリンピックの開催を予定をしております韓国の平昌があり、2020年の東京オリンピック、さらに2022年の冬季オリンピックには中国の北京が開催地として立候補しております。特に中国では、雪上競技は長野県と30年にわたる友好提携都市でもあります河北省の張家口市で実施する構想があると伺っております。  次に、先般、本県と中国河北省との間で友好協力を一層強化させる観光交流を強化する覚書を締結をし、そこには両県省の冬季スポーツ分野における交流と協力を積極的に推進することが共通の資源でありますスキーを活用した観光の促進が盛り込まれました。  そこで、伺いますが、中国でスキー人気が高まる中での河北省との協力は、本県の観光振興の観点から世界に通じる魅力あるブランド化につながる有益な取り組みと私は思います。そこで、本県が経験をした冬季オリンピックを生かし、またこれをきっかけにし、東アジアはもちろん、幅広くスノーリゾートを素材にした国際交流と海外誘客に取り組む国際観光振興をすべきと考えますが、ここは知事の御所見をお伺いをいたします。  次に、本県のスポーツを振興するための組織についてお伺いをいたします。  現在、国におきましては、スポーツ、武道に関する施策を総合的に推進するため、今国会におきましてスポーツ庁を設置するための議論がなされております。  昨今のスポーツが果たす役割を考えてみますと、学校体育や武道の振興、あるいは競技力の向上といった分野にとどまらず、スポーツを通じた観光振興やプロスポーツの発展による地域の活性化など、スポーツ、武道は多様な分野に関連をしており、スポーツをめぐる状況は大きく変化をしております。  そこで、本県のスポーツをさらに発展させるためには、スポーツに関する事務を現在の教育委員会から知事部局に移すことも必要ではないかなと思います。  他県におきましてはスポーツに関する事務を知事部局において所管している県もありますし、今後、本県で開催される冬季国体を初め、2020年の東京オリンピックまたパラリンピックへの対応、さらには本県の健康長寿をさらに強固なものにする観点などからスポーツ、武道が担う役割がますます重要になることを考えますと、予算の面からも制約の多い教育委員会での対応ではなく、知事部局にて部局横断的に連携を密にとり取り組むことが好ましいのではないかと考えますが、教育長の御所見をお伺いをいたします。  次に、リニアバレー構想実現に必要な基盤整備につきまして建設部長にお伺いをいたします。  伊那谷の3市と2広域連合、それに県の関係現地機関で構成されますリニア中央新幹線整備を地域振興に活かす伊那谷自治体会議は、2月の3日、平成39年(2027年)に開業予定のリニア中央新幹線を活用をし、伊那谷地域の活性化を目指すリニアバレー構想の骨子を決定をいたしました。  この骨子では、リニアを最大限に活用し、地域発展の原動力とすることで、リニアで身近になる大都市や世界の活力を引き寄せ、豊かな自然環境の中で地域も人々も輝くリニアバレーを実現することとし、目指す姿として、1番、国際空港へ1時間でアクセスできるグローバル活動拠点、2として、巨大災害時のバックアップと食料、エネルギーの新しい供給拠点、3として、高度な都市空間と大自然とが近接した対流促進圏域、4番目として、世界から人を呼び込む感動フィールド、この四つを挙げております。  リニア長野県駅は、リニア駅では唯一の谷、バレーに設置される駅でございますが、このリニアバレーという名称はアメリカのシリコンバレーを連想され、リニアにより東京まで1時間で結ばれる伊那谷が世界とつながり発展をしていくという姿と方向性も明快にあらわしていると私は思います。  そこで、伺いますが、伊那谷と東京が1時間で結ばれるというリニアの効果を広く及ぼすためには、何といいましても伊那谷を初めとする各地域がリニア長野県駅と短時間で結ばれることが必要であり、その実現のために国、県の力が必要であります。リニア開業に向け、今後、国道153号生駒アルプスロード等リニア長野県駅へのアクセス道路の整備を強力に進める必要があると考えますが、その見通しにつきまして建設部長の御所見をお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)冬季オリンピックを生かしてスノーリゾートを素材にした海外誘客に取り組むべきという御質問でございます。  過日、河北省との友好提携30周年に当たりまして、河北省の張慶偉省長との間で覚書を締結いたしました。これは、中国においても冬季スポーツの関心が高まっている中、長野県、河北省双方に共通する冬季スポーツを核とした交流を強化しようという共通の認識に立ってのものでございます。  また、1月28日には、野池観光部長と河北省の栗旅游局長との間でスキーを活用した観光交流を強化する覚書、締結いたしました。  こうした覚書に基づく取り組みは、さまざま具体的な取り組みにつながってきております。例えば、2月28日には志賀高原の索道事業者と中国河北省の雲頂スキー場が業務提携を結びました。また、今週末には、中国スキー協会や中国国営テレビなどが本県を訪れて、長野市、白馬村、山ノ内町などのオリンピック開催地の視察を行うということになっております。  こうした取り組みができるのは、やはり1998年冬季オリンピック・パラリンピックを開催したということが長野県の強みであるということでございます。引き続き、こうした活動を通じて、世界第一級のパウダースノーを生かし、雄大な山岳景観を生かし、世界から大勢の皆様方がお越しいただけるような環境づくりに努めていきたいと思います。  また、今、特に東南アジアからのファミリー層の誘客でありますとか、あるいは訪日教育旅行の拡大、あるいは、スキー客も、オーストラリア等からだけではなくて、北欧も含めて新市場の開拓、こうしたものを進めてまいります。  長野オリンピックの財産も生かして、韓国の平昌、そして中国の北京などとの連携も視野に入れながら、長野県が世界のスノーリゾートと言われるよう、アジアを向け、世界に向けた発信に努力していきたいと考えております。  以上です。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)スポーツ振興のための組織についてのお尋ねにお答え申し上げます。  スポーツが果たす役割は、学校体育や競技力の向上にとどまらず、健康増進や観光振興、国際交流や、さらには地域の活性化など、知事部局が所管するさまざまな分野とも密接に関連があることから、スポーツを振興する組織については必ずしも教育委員会に置かなければならないものではないというふうに私も考えているところでございます。  しかしながら、本県におきますスポーツ振興の実情からいたしますと、競技力の向上を中心としたスポーツ振興において学校の教員が大きな役割を果たしていることや、ほとんどの市町村では教育委員会がスポーツ振興を担当していることなどから、昨年度行われました長野県行政機構審議会の答申を踏まえた組織の見直しにおいてもスポーツの振興は教育委員会の所管とされたところでございます。  スポーツ振興の核となる分野は引き続き教育委員会が担っているところでございますが、スポーツが果たす多面的な役割を念頭に置いて、今後とも、知事部局と連携を図りながら、スポーツによる元気な信州づくりに取り組んでまいりたいと考えております。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)リニア開業に向けた国道153号生駒アルプスロードなどの道路整備についてのお尋ねでございます。  リニア駅と仮称座光寺スマートインターチェンジを連絡する道路などを整備するため、新年度予算にリニアを活かした交流圏拡大道路整備事業費を計上し、ルートの調査あるいは事業の着手を行うこととしております。  このうち国道153号生駒アルプスロードにつきましては、これまで学識経験者を含む検討委員会や天竜川右岸地区の住民代表による検討会を開催し御意見や御提案をいただいてまいりました。これらの御意見、御提案を受け、環境調査やルート帯の検討を進めてきており、その内容につきましては、あす、3日でございますが、それぞれの検討会に御説明いたします。その後、今月中に駒ヶ根市、宮田村、伊那市において合わせて6回の地元説明会を開催し、その上で環境アセスメントの手続を進め、都市計画決定、事業化へとつなげてまいりたいと考えております。  伊那谷自治体会議で打ち出されたリニアバレー構想の実現に向けまして、地域の御理解を得ながら、国や関係市町村と連携して道路整備に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔37番佐々木祥二君登壇〕 ◆37番(佐々木祥二 君)今、スポーツ行政につきまして教育長にお伺いいたしましたが、ここは知事にお伺いをいたします。  政府は、スポーツ、武道行政を一元的に担うスポーツ庁の設置法案を決定をいたしました。また、10月ころスポーツ担当大臣の配置も決めるとも聞いております。下村文科大臣は、今までばらばらな感のあったスポーツ関連施策を一本化し、スポーツ立国に向け加速させたいと強調されております。  長野県でも一体的なスポーツ行政を推進するためには総合調整が必要ではないかという発想から、部局横断的な企画、調整、人事、そして何よりも関連予算などをつかさどる部署が必要ではないかと私は思います。  先ほども申しましたが、スポーツ行政は、学校体育はもちろん、武道の振興、生涯スポーツ、プロスポーツ、障害者スポーツからスポーツツーリズム、そしてヘルスプロモーション等々、健康管理、また国際交流、スポーツ外交、スポーツ産業、そして公園整備から競技場建設など、ソフト行政からハード行政までさまざまな分野があります。県の部局で申しますと、教育委員会、企画振興部、健康福祉部、観光部、産業労働部、県民文化部、そして建設部などでしょうか。  そこで、知事にお伺いいたしますが、スポーツ立県長野の戦略と地方創生を実現するには、スポーツ行政を知事が先頭に立って総合調整機能を発揮し、部局横断的に連携協力をし、市町村と民間力をも生かし、スポーツ施設の充実、競技力の向上を図らなければなりません。  知事のスポーツ行政振興策と組織のあり方について御所見をお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)スポーツ行政振興策とその組織のあり方という御質問でございます。  佐々木議員の御質問の趣旨は私もよく理解できるところでありますし、御指摘のような視点、大変重要な論点だというふうに思います。  しかしながら、先ほど教育長も御答弁申し上げましたけれども、スポーツ振興、組織のあり方については、昨年度の行政機構審議会におきましてさまざまな御意見をいただいた結果、先ほど教育長が答弁したような理由から教育委員会が引き続き担うという形に整理をしたばかりであります。  国におけるスポーツ庁設置の動き等も出てきたわけでありますが、本県のスポーツを取り巻く環境あるいは競技団体の御意向等も勘案して総合的に判断していくことが必要であるというふうに考えております。  組織的な対応がどういう形であれ、私はスポーツで長野県を元気にしていきたいというふうにいろいろなところで申し上げてきておりますので、引き続き全庁挙げてスポーツの振興に努めていきたいと考えております。  以上です。       〔37番佐々木祥二君登壇〕 ◆37番(佐々木祥二 君)それぞれ答弁、ありがとうございました。  建設部長、昭和50年、恵那山を越えて初めて高速道路が駒ヶ根インターチェンジまでできて、あれから40年であります。そこから長野県の高速新時代に入り、今日の隆盛と発展を遂げてきたことと私は思っております。  文字どおり、道は、未知とのかけ橋であり、未知との遭遇でもあります。このリニアバレー構想の鍵も、この道路であると思います。生駒アルプス道路など、国、県、市町村と連携を密にとっていただき、リニア開通時までに強力に推進していただくことを、ここは要望をしておきます。  知事、国際交流につきましては、冬季オリンピックの兄貴分として積極的外交をまたお願いをいたします。組織につきましては、他県の状況、国のスポーツ庁など研究をしていただいて、スポーツ立県長野、地方創生、地域活性化につながる最善策を要望をしておきます。  教育長、どうも、リニア開通記念時ころ長野県に本国体が来そうだと私は推測をいたします。  論語の中に、政治とは何かと問われた孔子は、近くの人喜べば遠くの人集まると答えました。私が思うに、県民が、スポーツ、武道を通じ、明るく楽しく元気で健康に喜んで生活をすれば、県外からさまざまな人たちがどんどん移住をし、長野県が活性化をし富むと私は理解をいたします。  こんなスポーツ・武道立県になることを御期待し、ちょうど時間となりました。全ての質問を終了させていただきます。御清聴、ありがとうございました。 ○副議長(村上淳 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時16分休憩          ──────────────────         午後2時32分開議 ○議長(風間辰一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  丸山栄一議員。       〔21番丸山栄一君登壇〕 ◆21番(丸山栄一 君)順次質問をいたします。最初に、農産物の輸出促進についてお伺いをいたします。  我が国の農林水産業の現場を取り巻く状況は厳しさを増しております。農業生産額が大きく減少する中で、基幹的な農業従事者の平均年齢は現在66歳となっております。耕作放棄地はこの20年間で2倍にふえ、今や滋賀県全体と同じ規模になっており、これを克服し、本来の活力を取り戻すことは待ったなしの課題であります。  近年、少子・高齢化等の背景から農産物や食料品の国内市場は縮小傾向が続いております。その一方で、世界の食市場は新興国の経済発展などもあり急成長が見込まれております。農林水産省の資料によりますと、平成21年、日本を除く世界の食市場の規模は340兆円で、平成32年には2倍の680兆円に達するとされております。特に、中国、インドを含むアジア地域では82兆円から229兆円と大幅な伸びが予想をされております。  安倍首相も、経済の再生を目指す成長戦略の一環として、平成32年までに農林水産物や食品の輸出額を現状から倍の1兆円にふやすことを目指し、輸出拡大を強化するとしております。  一方、円安の影響や、和食がユネスコの無形文化遺産に登録され海外での和食ブームなど輸出拡大の追い風となり、日本産の食品への実需が高まっております。  現在、農林水産物の輸出額、速報値でありますが、前年比11.1%増の6,117億円となり、過去最高だった2013年の5,505億円を上回り初めて6,000億円台に達しました。国内のマーケットが縮小する中で、経済発展が著しいアジアを中心に安全で高品質な日本の農産物が高価な価格で取引をされております。  しかし、最近は韓国産等の高級果実が進出をしてきており、日本産であれば売れるという甘い状況ではないようであります。行政、生産現場、流通業者がタッグを組み、消費者ニーズに合った商品の開発や販売ルートの確立など、戦略的に輸出を拡大していくことが必要と考えます。農政部長の御所見をお伺いいたします。  本県においても、長野フェアを開催するなど、農産物や観光などの魅力発信を実施をしていただいております。また、輸出を農業者の収益向上に向けた取り組みとして、輸出に意欲を持つ事業者による長野県農産物等輸出事業者協議会を設立し輸出促進に取り組まれておりますが、取り組みの状況と課題についてお伺いをいたします。  また、県の計画では2017年度に県内の農産物輸出額を2013年度比約4倍の5億円に伸ばす方向と聞いておりますが、具体的な取り組みについてお伺いをいたします。  農業の6次産業化に向けては、国においても輸出産業等のマッチングを行っていくとのことでありますが、これからは農業者も経営感覚と高付加価値化へ向けた戦略、才覚が求められる時代になってまいりました。しかし、実態とすれば、農家がこのような取り組みを進める上でさまざまな課題があり、農業者や農業者グループでは生産するのが精いっぱいで、やる気はあってもノウハウがないためなかなか6次産業化までは難しいといった声が多く聞かれます。  県においても夢をかなえる信州農業6次産業化推進事業を実施されておりますが、このような地域状況を踏まえ、農業・農村の活性化に向けて輸出に係る取り組みと6次産業化の推進状況について農政部長にお伺いいたします。  また、イスラム教徒の食事はハラルと呼ばれるルールに従わなければならず、イスラム諸国向けに食品を輸出するにはハラル対応が非常に重要だというふうに思うわけであります。成長産業である食品加工業の発展の芽を伸ばし、本県の産業振興につなげていくためには、今後、ハラル対応企業の育成に向けて県として支援をしていく必要があるというふうに思います。  企業のハラル対応が進むことでイスラム諸国から本県を訪れる観光客への対応に生かせることはもちろんのこと、平成32年に開催をされます東京オリンピック・パラリンピックに訪れる多くのイスラム教徒の本県への誘客にもつながることとなります。  そこで、ハラル対応企業の育成について今後どのような支援をお考えか。御所見を産業政策監にお伺いをいたします。  次に、家庭教育の充実についてお伺いいたします。  都市化、核家族化、少子化、さらには地域における地縁的なかかわりの希薄化により家庭の教育力が低下していると言われておりますが、近年、その状況は一層深刻になっているのではないかというふうに感じております。  子育ての環境も大きく変わり、親が祖父母などから子育てに関し相談、協力できる人が家族としていないことから、子育てに関し学ぶ機会が少なくなるなど、核家族の増加に伴う問題も深刻化しております。  また、少子化の影響もあり、過干渉や過保護など、子育てや教育について豊富な情報や選択肢がある環境の中で子育てに悩んでいる状況もあり、このような親の不安は一部に起きている特別な状況ではありません。家庭でのしつけを学校や社会がフォローしているような状況も見受けられます。このような子育てに自信が持てない若い親がふえ、依然として家庭の教育力低下が懸念をされているところであります。  子供は親の背中を見て育つと言われます。親を見て、まねて、学んで、いろんなことを身につけるものであります。だからこそ親は変わっていかなければなりません。子育てと親育ては同意語であり、今こそその実践が求められるところであります。昔から三つ子の魂百までもと申します。改正された教育基本法にも、「幼児期の教育は、生涯にわたる人間形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。」という条文が新たに制定をされております。  このように、特に幼児期の子育ての重要性はもちろんのことでありますが、子供を持つ親が安心して子育てに取り組むことができるような支援を講じるべきと考えますが、そこで、県として今後家庭教育への支援をどのようにしていかれるのか。教育長にお伺いをいたします。  次に、保育園、小学校等の園庭、校庭の芝生化についてお伺いをいたします。  芝生化を行うメリットとして、土ぼこりの飛散防止やヒートアイランドの軽減や温暖化の抑制、けがの軽減、体力の向上、癒やしなど、教育上の効果や景観の向上、地域コミュニティーの創出などといった効果が挙げられており、近年は芝生化が幼少期の子供の運動能力に大きな役割を果たすとの調査結果もあり、埼玉県、静岡県、東京都、横浜市など多くの自治体が園庭の芝生化に積極的に取り組んでおります。  私も、以前、校庭の芝生化について質問をさせていただきましたが、改めて芝生化について質問をさせていただきます。
     本県においても、松本市が、2012年度、市立保育園4園で試験的に芝生化を導入いたしました。このうち2園で芝生化前の2012年度の4歳児と芝生化後の翌年度の同じ園児たちの歩数調査をしたところ平均歩数が30%増であったとの結果が得られ、同様の調査で芝生化していない園での伸び率が6%であったことから、松本市では、芝生化で園児の活動量がふえる傾向が認められた、こう判断し、2014年度に19園の芝生化を実施、2015年度には予定園の残り16園の芝生化の整備が計画をされております。  その他の市町村におきましても、東御市では全園で芝生化が導入されておりますし、大町市、岡谷市等では一部の園で試行導入をしております。今後の生育状況、管理方法など検討した上で全園への拡大を検討していくとのことでございます。そのほかにも幾つかの自治体で、外遊びの環境整備として芝生化に取り組む計画や検討されていると聞いております。また、本年度、小学校の校庭で芝生化をされた事例といたしまして、松本市、そして山形村の小学校で実施をされたと伺っております。  今、子供たちの体力の低下や運動不足が深刻化しておりますが、子供たちに意識的にどう外遊びをさせるか考えなければなりませんが、幼少期の子供たちが芝の上で活動する、遊ぶということが子供たちに外遊びの増加をもたらし、ひとり遊びから集団遊びへの変化を促進させるものと思います。  また、子供たちが伸び伸びと体を動かし、時に素足で思い切り芝生の上を駆け回るということは、幼少期の基礎的な動作の経験を生かして運動能力を身につけることはもとより、心身の発達の面においても重要な意味があると思います。さらには、子供の身体的発達においても土踏まずの形成に顕著にあらわれているという効果も報告をされております。  実際に芝生化した園の保育関係者に話を伺ってみますと、子供たちが生き生きとして動き回る光景が多く聞かれ、おおむね芝生化の導入は好評との印象を受けております。また、私立の保育園の経営者からは、助成金の制度があれば芝生化を考えたいといった声も聞かれるそうであります。  長野県としての緑化の指針を示した居住地の緑化ガイドラインには校庭などの芝生化の項目も紹介されておりますが、このように、長野県においても園庭、校庭の芝生化への機運が高まり始めておりますが、子育て、次世代を担う子供たちのことを考えましたときには、子供たちの心身の健全な成長という持続可能な未来のための環境づくりが必要でございます。  第2次長野県教育振興基本計画の推進、信州教育スタンダードの実現したい教育目標として長野県オリジナル運動プログラムの普及とありますが、これは、外遊びが少なくなった子供たちが室内で行うさまざまな全身運動メニューが用意されており、その効果も体力測定の結果にも顕著にあらわれていると認識をしております。  しかし、子供たちにとって幼少期から自然と触れ合い、外遊びをする機会をふやすことは重要であり、芝生化を通しての外遊びの運動プログラムといったものがあってもおもしろいのではないかというふうに思います。  そこで、これらの視点を踏まえ、幼少期における体力向上のためにも園庭、校庭の芝生化は必要と考えますが、県として芝生化の推進に向けた方針や考え方について知事の所見をお伺いします。  また、芝生化は設置者である市町村の判断によるものでありますが、芝生化に関する補助制度や県内での今までの取り組み状況についてもお伺いをいたします。       〔農政部長中村倫一君登壇〕 ◎農政部長(中村倫一 君)農産物の輸出促進につきまして順次お答えをいたします。  最初に、県産農産物の輸出戦略についてでございます。  農産物などの輸出を促進するため、国のほうは全国協議会を立ち上げましてオールジャパンでの輸出を拡大するとしておりまして、県といたしましてもこの協議会に参加しているところでございます。今後、この体制を活用しながら、中央卸売市場や商社と連携をいたしまして県産農産物の輸出を拡大していきたいというふうに考えております。  また、御指摘のオリジナル性の高いリンゴなどを長野県のブランドとして積極的に輸出していくために、輸出に意欲的な生産者や卸売業者、商社などに参画をいただきまして、先ごろ輸出事業者協議会を立ち上げたところでございます。  輸出先といたしましては、経済発展が著しく、日本食の人気がかなり高まっている香港、シンガポール、台湾などを重点国・地域といたしますとともに、日本企業の進出によりまして在留邦人が増加しておりますASEAN諸国についても日本食への関心が高まっておりますので、こうした状況を踏まえて輸出対象国の拡大にも取り組んでまいります。  また、こうした国・地域では、安全、安心、健康、こうしたものが大きなニーズとなっておりますことから、長野県の強みでございます健康長寿を前面に出して、県産農産物等のブランド化と輸出の拡大に取り組むことといたしております。  次に、輸出事業者協議会の取り組み状況と課題についてでございます。  今年度は、有望な輸出先でございますシンガポール、香港、台湾の高級スーパーなどにおきまして、ナガノパープルやシナノスイート、米などの県産農産物のほか、そばやおやきなどのプロモーション活動を実施してまいったところでございます。また、新たにシンガポールにおきましては、生産者が直接交渉をする商談会を協議会が主催をいたしまして、新たに4事業者がリンゴや農産加工品などの商業ベースの輸出を開始をいたしたところでございます。  さらに、この協議会の会員でございます商社との連携によりまして、輸出コストの縮減に向けまして新たな鮮度保持技術を使った巨峰の船舶輸送試験を行いましたり、国際宅急便を活用したネット通販による香港への果物のテスト輸出にも取り組んだところでございまして、今後の効率的な輸出に向けた成果を得たところでございます。  今後の輸出拡大につきましては、輸出対象国における情報収集や支援体制を強化すること、富裕層に加えまして人口の大多数を占めます中間層を対象とした輸出の拡大、さらには、輸出対象国が求めております農薬基準に沿った農産物の国内生産、そして、新たな輸出対象国の開拓、これなどが課題であるというふうに考えているところでございます。  3点目の、輸出拡大のための今後の具体的な取り組みでございます。  輸出を拡大するためには、対象国における食習慣や食嗜好、食品の流通構造や商習慣を踏まえた取り組みが必要でございます。このために、平成27年度は、重点国・地域としておりますシンガポールと香港の現地に輸出支援員を設置いたしまして現地の生の情報を収集するとともに、商談会やプロモーションに係る事前調整、取引開始後のフォローを強化をしてまいります。  また、健康や安全性、こうしたものなどのニーズに対応するため、輸出対象国が求めます輸入基準に沿った農産物等の生産体制づくりを進めてまいります。さらに、販売ターゲットを中間層にまで拡大するため、現地の消費者の皆さんが気軽に利用しております飲食店やスーパーなどへの売り込みを強化をいたしますとともに、輸出用リンゴの省力化、低コスト栽培によりまして価格競争力の強化を図ってまいります。  また、協議会の会員企業などのネットワークを活用し、平成27年度は、フィリピンに進出をいたしますほか、タイの市場調査も実施することといたしております。  4点目の、農業の6次産業化で開発された商品、いわゆる6次化産品の輸出についてでございます。  県内における総合化事業計画の認定件数は88件でございまして、このうち輸出を計画しているものは8件となっております。リンゴジュースなどを商業ベースで輸出している事例がこのうち2件ございます。  海外におきましては日本産の食品が安全、安心で高品質であるという評価が定着いたしておりますので、健康長寿県、長寿日本一の長野県のイメージを十分に活用いたしまして6次化産品の海外販路を拡大することが重要というふうに考えております。  県といたしましては、商品開発ですとか販売開拓などに高度な知識を有する民間の専門家を輸出を行おうとする事業者に派遣をいたしまして現地ニーズに合った商品開発を支援をいたしますとともに、輸出対象国が求めている栄養成分や食品添加物の表示方法などに関する研修会を開催することによりまして6次化産品の輸出拡大も推進してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)ハラールについての御質問でございます。  現在、インドネシアを含むイスラム圏の人口は16億人を超え、全世界の4分の1を占めており、将来の大きな市場として期待されております。そのため、長野県産の食材や加工食品の海外への輸出、外国人旅行者の誘客などの面からも、イスラム教徒の食事のルール、ハラールへの対応が必要となってきております。  まず、農産物の加工品につきましては、イスラム諸国への輸出に関心のある事業者に対しましてハラール管理者の資格を有する専門家による相談対応を行うことにしております。また、観光面では、旅館、ホテルや飲食店を対象にしましてハラールの専門家を講師に研修会を開催するほか、ハラールに対応しました宿泊施設に関するパンフレットを作成し、情報提供を行っていくことにしております。  また、この4月にはしあわせ信州食品開発センターがオープンしますので、このセンターの試作機能や加工機能を十分に活用して食品加工業者によるハラール対応食品の開発を支援するなど、この面におきましても関係部局が連携して取り組んでまいる所存でございます。  以上でございます。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)家庭教育への支援についてのお尋ねにお答え申し上げます。  子供の教育については第一義的には家庭が責任を有するものでございますが、議員御指摘のとおり、幼児を初め子供を持つ親に対する教育や子育てへの支援が求められており、学校や地域、県や市町村などの行政等が連携、協働し、社会全体で取り組んでいくことが重要であると認識をしてございます。  家庭教育の支援につきましては、本県では、これまでも、PTA役員に対する家庭教育に関する研修の実施、市町村と連携した公民館での家庭支援に関する講座の充実に取り組んできているところでございます。  加えて、来年度は、家庭教育を実施する市町村への支援策として、親として身につけるべき心構えや知識、技能などの親の学習プログラムの作成に向け調査研究を行う予定でございます。  今後も、県として、第2次長野県教育振興基本計画に基づき、次代を担う子供の未来づくりを推進するために家庭教育の支援に取り組んでまいりたいと考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)園庭等の芝生化の状況と推進に向けた考え方についての御質問でございます。  芝生化に係る助成制度につきましては、まず、文部科学省におきまして公立幼稚園や公立学校の運動広場の整備を対象とした交付金があります。また、私立の幼稚園の造園工事を対象にした補助金がございます。いずれも、下限額等条件はありますけれども3分の1以内の補助となっているところでございます。他方で、保育所については助成制度はありません。  平成26年度までの取り組み、県内の状況、私どもが把握している範囲でお答え申し上げれば、保育所については公立30園と私立4園、幼稚園については公立3園と私立6園、小学校については公立26校と私立1校で芝生化に取り組まれております。  子供たちの体力向上あるいは健康づくり、これは県としても追求しなければいけない重要なテーマだというふうに思います。県としては、芝生化の取り組みを推進しようとする市町村等に対しまして、引き続き、こうした補助制度、あるいは他の取り組み事例等について情報提供に努めていきたいというふうに思います。  また、実際に芝生化を行っていらっしゃる市町村等から、子供の心身の成長に係る効果でありますとか、あるいは課題などについてお伺いをした上で、県としての対応のあり方について研究していきたいと考えております。  以上です。       〔21番丸山栄一君登壇〕 ◆21番(丸山栄一 君)それぞれ答弁をいただきました。  農産物の輸出促進につきましては、長野県は多くの果物や野菜など全国トップの生産量を誇る農業県であります。輸出については他県に比べてちょっとおくれているかなというような心配をしておったんですが、積極的な対応をいただいているところであります。  いずれにしても、人口減少で今後国内消費の拡大が望めない中、新たな可能性を秘めた海外市場の掘り起こしは大変急務だというふうに思います。私の近くでも、若い農業者でありますが、海外に輸出をしている方もいらっしゃいます。そんなことも含めながら積極的な取り組みを期待をしておきたいと思います。  また、家庭教育の充実でありますが、前山口教育長が、親年齢は子年齢と一緒だ、こういうふうによくおっしゃっておりました。教育の原点は家庭にあると言われておりますが、子供にとって親は人生最初の教師であります。親は、子供とのコミュニケーションをとりながら、子供を健やかに成長させるために力を注ぐ必要があります。子供とともに学び合い、すばらしい親子関係を築かれるよう今後とも御支援賜りますようにお願い申し上げます。  また、芝生化につきましても、本当に教育的ないろんな効果がもう実証されているわけでありまして、そういった中、今後とも調査研究されながら積極的に市町村も含め御指導いただきながら取り組みをいただきたいと、こんなふうに要望しておきたいと存じます。  次に、道徳教育についてお伺いします。  社会はよく人の文字に例えられますが、人と人とが支え合ってこそよき社会が形成されるものと思います。社会の中ではあらゆる場面に競争があり、お互いが切磋琢磨することで人間性も社会も成長するものでありますが、この競争において、競争相手の人格をないがしろにし、ただ自分さえよければよいと考えておっては、よき社会は形成されるはずがありません。成長の過程では、相手を理解し、思いやる心を持ちながら切磋琢磨していくことが必要であります。知・徳・体の調和のとれた子供の育成は、よき社会を形成する基盤と言えます。この点で、学校における道徳教育の果たす役割は重要であります。  しかし、近年、子供たちの道徳性の低下がさまざまな方面から指摘をされているところであります。道徳教育は、子供たちがこれからの人生を歩むに当たって人格の基盤となる道徳性を育成するものであります。教育は子供たちの人格の形成を目指すものであり、道徳教育は学校教育の基本であると思います。道徳教育は家庭のしつけから始まることは言うまでもありません。そして、地域社会との連携も必要でありますが、教育施策として行うには教材集が学校現場で的確に活用されることが必要であります。  全国の小中学生向けの道徳教育用教材として「私たちの道徳」という本が配布されておりますが、具体的な授業の進め方と学習効果についてどのようにお考えか。お伺いします。  また、授業に際しましては、教員が教材の目的や内容を理解しておくことが必要でありますが、教員に対してどのような指導、研修を行っているのか。お伺いをいたします。  下村文科大臣は、記者会見で、「私たちの道徳」は、学校だけでなく、家庭や地域においても広く活用していただくことを狙っており、教育委員会等に対し通知を出し、その効果的な活用を呼びかけておりますが、これまでのところ、学校によっては本教材を学校に据え置いて家庭に持ち帰らないとしているところがあるなど十分な活用がまだなされていないという状況があると発言をされておりました。  また、特に夏休みなどの長期休暇には本教材を児童生徒一人一人が持ち帰り、家庭や地域でも活用できるよう計らうことと文科省から事務連絡が出されたというふうにお聞きをしております。教育委員会としてどのような対応をされたのか、実態はどうなのか。教育長にお伺いをいたします。  次に、ロコモティブシンドロームについてお伺いをいたします。  日本整形外科学会が、骨や関節、筋肉などの運動器の障害のために移動機能の低下を来した状態で、進行すると要介護のリスクが高くなることをロコモティブシンドローム、運動器症候群と定義をいたしました。  以下、ロコモと省略しますが、ロコモ人口は50代から急増しており、ロコモは推定4,700万人で、高血圧症の4,000万人、メタボの2,000万人より多く、人口の30%がロコモに悩んでいる状況であります。  2010年の厚労省の発表によれば、要介護になる原因は脳卒中を抜いて1位がロコモとなり、今や要介護となる3大要因の一つともなっているほどであります。しかし、ロコモの認知度は日本整形外科学会によると36.1%で、認知度90%のメタボの3分の1という低い状況であります。  健康増進法に基づいた厚労省の健康日本21の2次計画でロコモが予防の課題の一つとして取り上げられ、10年後に認知度80%以上にする目標が設定されております。まずは県民の方々にロコモに対する理解を深めてもらうことが重要と考えます。積極的な啓発をすべきと思いますが、所見をお伺いをいたします。  日本は世界一の長寿国でありますが、多くの方は運動器の低下によって歩行ができなくなる、寝たきりになるなどの症状になり、介護が必要になる現実があります。最後まで自分の足を使って歩き、介護を必要としない体を維持するためには、なるべく早い時期からしっかりと筋肉を鍛え、その能力を維持していくことが重要であります。  日本整形外科学会が自分で気づくためのツールとして、ロコモーションチェック、ロコモ対策としての運動、ロコモーショントレーニングのパンフレットを作成いたしました。これには七つのチェック項目があり、その一つでも当てはまればロコモの心配があるとしております。  健康長寿日本一の本県だからこそ、このロコトレを県内に普及することにより健康寿命の延伸を図り、健康寿命社会を目指すべきと考えますが、健康福祉部長の御所見をお伺いをいたします。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)道徳教育についてのお尋ねに順次お答えを申し上げます。  「私たちの道徳」を用いた授業の進め方と学習効果についてでございますが、文部科学省が昨年度作成をし全小中学生に配布をいたしました「私たちの道徳」は、偉人や著名人の生き方を多く取り上げていること、情報モラル等今日的な課題に関する内容の充実が図られていること、読み物部分と書き込み部分とで構成され、児童生徒が主体的に学べるよう工夫されていることなどに特徴がございます。  このような特徴を生かした授業の進め方としては、偉人や著名人の生き方について話し合ったり、家族や地域の方から聞き取ってきたことをもとに自分の考えを深めたりするなど、多様な方法が考えられるところでございます。このような学習は、児童生徒が道徳的価値についてみずから考え、道徳性を育み、行動していくきっかけとなる学習効果が期待できるものと考えてございます。  次に、教員に対する指導、研修についてでございます。  道徳の授業を行うに当たっての教材の目的や内容については、指導主事の学校訪問や道徳教育にかかわる研修会において指導してきているところでございます。  さらに、今年度、新たに、県内の全小中学校の道徳教育推進教師を集め、各教育事務所において道徳教育に関する研修会を実施をいたしました。その中で、「私たちの道徳」などの具体な教材を活用した模擬授業を実施し、具体的に道徳の授業の進め方について研修を行ったところでございます。  最後に、「私たちの道徳」の家庭への持ち帰りについてでございます。  県教育委員会では、市町村教育委員会を通じて、各学校に対して、「私たちの道徳」は家庭や地域等でも活用することが期待されるものであることから、児童生徒に対し家庭に持ち帰るための必要な指導をするよう通知をしたところでございます。  実態につきましては、県内のほとんどの児童生徒は長期休業前に「私たちの道徳」を家庭に持ち帰っているものと認識をしてございます。  以上でございます。       〔健康福祉部長小林透君登壇〕 ◎健康福祉部長(小林透 君)御質問に順次お答えいたします。  ロコモティブシンドロームに関する啓発活動についてでございます。  県といたしましては、ロコモティブシンドロームを認知している方の割合を平成25年調査の28.6%から増加させる目標を設定し、その向上に取り組んでいるところでございます。  具体的には、日本整形外科学会の専門医による協議会が作成した啓発用パンフレット6,000部を県関係機関のほか医療、運動指導関係など13の団体に配布し、予防啓発について協力依頼を行いました。  さらに、平成25年度、ロコモティブシンドロームの予防も内容に含めた長野県版の身体活動ガイドライン、「ずくだすガイド」を5,000部作成いたしまして市町村や関係団体に配布するとともに、研修会やラジオ番組などを通じ幅広く普及啓発に取り組んでいるところであり、こうした取り組みをさらに進めてまいります。  次に、ロコモーショントレーニングの普及についてでございます。  議員御指摘のとおり、健康寿命の延伸を図る上でもロコモティブシンドロームの予防を含めた運動習慣の定着を図ることが極めて重要であると考えております。そこで、県においては、信州ACEプロジェクトのアクション、運動におきまして、長野県発のインターバル速歩など効果的な運動手法を普及することや、市町村のウオーキングイベント、オリジナル体操の普及を支援することなどによりまして進めることとしてございます。  これらの普及のため、具体的には運動手法に係る講習会や専用サイトでの体操などの情報発信も予定していますが、これにあわせ、片足立ちやスクワットなどのロコモーショントレーニングについても紹介し、普及に努めてまいります。  以上でございます。       〔21番丸山栄一君登壇〕 ◆21番(丸山栄一 君)それぞれ答弁いただきました。  道徳教育につきましては、教育に特効薬はありませんけれども、継続的にそういった取り組みをしていただくことによって道徳の心が生まれると、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いします。  ロコモティブシンドロームにつきましては、ロコモを理解していただいて、その予防に努めることは、社会の介護負担を減らすことのみならず、人生最後まで自立と尊厳を持つことにつながるんだというふうに思います。年を重ねても元気でいたいというのは誰しもの思いでございます。早い時期からロコモ対策を通じ健康寿命を延ばし、高齢化社会でも自立した生活ができる元気なおじいちゃん、おばあちゃんばかりの社会を目指し積極的な取り組みを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(風間辰一 君)次に、依田明善議員。       〔2番依田明善君登壇〕 ◆2番(依田明善 君)南佐久郡選出の依田明善です。まず初めに、中部横断自動車道について御質問いたします。  佐久小諸ジャンクションから仮称八千穂インターチェンジまでの区間については、整備計画に格上げされてから供用開始になるまで実に18年という歳月を要しております。そんな中、早期の整備計画格上げが切望されている八千穂―長坂間につきましては実際に供用開始がいつになるのか、地域住民ともども大変憂慮しております。  しかも、この区間は、国道141号を見てもわかるように、標高も高く、冬の気候は厳しく、さらには狭隘で急峻な地形も多く存在しております。野辺山高原などは冬期間は零下25度以下になることもあり、北海道並み、あるいはそれ以上の寒さを記録することも珍しくありません。また、日本有数の高原野菜の産地でもありますので優良農地も多く、耕作放棄地などはほとんどありません。したがいまして、地域住民との意見交換、ルート選定、用地取得など、事前の準備にも手間がかかることは明白であります。
     そこで、県としても、南佐久6カ町村を積極的にリードし、機運上昇のための旗振り役になっていただければと思いますが、建設部長のお考えをお聞かせください。  地方創生の観点で申し上げますと、地方創生のかなめは人であると盛んに言われております。特に、田舎のすばらしさを知り、田舎を生かすことのできるプロフェッショナルの必要性が言われております。つまり、自然とともに住まい続ける中山間地の人々を切り捨てるのではなく、いかに生かしていくのかが地方創生のポイントの一つだと思うわけであります。  東京一極集中あるいは人口の偏在を解消する施策は大変重要だと思いますが、そのためには中山間地の道路整備は欠かせませんので、どうかよろしくお願いいたします。  また、現在、長野県、山梨県、静岡県、新潟県の4県の知事が力を結集して中部横断道の早期実現を国に求めておられますが、その進展状況はいかがか。今後どのような活動を予定しておられるのか。さらには国に対してどのようなアプローチをされていくのか。あわせてお答えいただければと思います。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)中部横断自動車道の八千穂―長坂間の早期事業化に向けた県の役割についてのお尋ねでございます。  県では、長野県・山梨県中部横断自動車道建設促進連合会や中部横断建設促進期成同盟会などの活動を通じ、南佐久6町村を含む沿線市町村の皆様とともに、国や国会議員への要望活動や国との事業連絡調整会議を通じた協議、調整を行っておりまして、早期事業化に向けての機運の醸成に努めてまいったところでございます。  県といたしましては、引き続き、八千穂―長坂間の事業化に向けた手続が円滑に進むように取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)中部横断自動車道の早期実現についての御質問にお答えいたします。  私も、中部横断自動車道の整備、早期実現、県としても大変重要な課題だというふうに考えております。そうした観点で、各県との連携も強めながら取り組みを進めてきております。  特に、今年度、5月に山梨、静岡、新潟と私の4県知事で中央日本4県サミットを初めて開催をいたしました。協力して中部横断自動車道の早期整備を求めていくということで一致をしたところでございます。7月には、私自身が山梨県知事とともに国への要望に行かせていただいております。さらに、10月には4県と関係市町村で構成する同盟会による要望活動を行っているところでございます。  こうした中で、7月の国の審議会におきまして八千穂から長坂間のルート案を含む整備方針案が承認されました。次いで12月には環境影響評価手続が着手されて、計画段階から事業化に向けて大きな進展があったというふうに考えております。  今後とも、各県の知事あるいは地元の市町村の皆様方との連携を強めて、八千穂以南の早期事業化、早期開通を国に対して積極的に働きかけていきたいと考えております。  以上です。       〔2番依田明善君登壇〕 ◆2番(依田明善 君)御答弁いただきました。  八千穂―長坂間がつながればミッシングリンクの問題は解決し、中央自動車道、長野自動車道、上信越自動車道など高速道によって県内の主要箇所や中山間地を短時間で周回することが可能となります。地方創生、地方再生という時代の流れに本県がおくれをとらないためにも、そして、悲惨な交通事故の軽減や緊急避難路の確保等を長年の悲願としている地元住民のためにも、さらに御尽力いただきますことを切にお願いをいたします。  次に、山岳観光戦略についてお伺いいたします。  県では、現在、山岳、高原を生かした世界水準の滞在型観光地づくりを推進しており、指定した3地域を重点的に支援しております。3地域というのは、御嶽山を中心にした木曽町エリア、北アルプスを中心とした大町市、白馬村、小谷村エリア、そして、信越自然郷を中心とした信越9市町村エリアであります。これらの指定理由につきましては、他地域のモデルとなり得る地域であり、5年程度で成果が期待できるエリアを選定したとのことですが、他地域においてはその期待度は低いということなのでしょうか。  私は、我が長野県は全ての地域において高水準の山岳観光が期待できる大変恵まれた地域だと思っております。ぜひとも、そんな視点に立ってこの構想を進めていただければと思います。  山岳、高原の魅力は、何も3,000メートル級の山々がそびえ立っているからだけではありません。そこに住まう人々の生活エリアが山岳、高原そのものであるか否か、その点も重要ではないかと思います。  例えば、日本で一番標高の高い場所にある役場庁舎はどこでしょうか。議員手帳にも載っておりますが、答えは、千曲川の源流、川上村でありまして、標高1,185メートルです。2位は群馬県草津町で1,180メートル、3位は野辺山高原のある南牧村で1,030メートル、4位が原村で1,000メートル、5位が南相木村で990メートル、6位が北相木村で970メートル、7位は福島県檜枝岐村ですが、8位に木祖村が食い込んでおり、全国928ある町村の中で長野県が上位ベスト8をほぼ独占しております。  市の場合は茅野市が801メートルで文句なしの日本一、また、長野県の平均標高は1,132メートルであり、これも日本一であります。  この標高の高さや澄んだ空気というのは山岳観光においては実に大きな財産であります。例えば、19世紀、スイスのダボスにおいて、肺病等を患った患者に対して高冷地の澄んだ空気が治療に効果ありということで、扁桃腺や結核患者の長期療養施設が盛んにつくられました。  かつて、ダボスといえば、大した産業もない寒村であり、牛の放牧などによって生計が立てられていた地域です。しかし、その後、順調に山岳観光は発展し、一般観光客のみならず、今や著名な政治家、経済人、学者などが盛んに訪れるようになりました。特に有名なのは毎年開催されるダボス会議ですが、世界有数の山岳観光保養地として名をはせております。ダボスの人口はわずか1万人、面積は諏訪郡と同じ254平方キロメートル、標高は1,560メートルであり、上田市の姉妹提携都市でもあります。  歴史的背景、国民性、自然環境など本県と似たような地域でありますので大いに参考になるのではないかと思いますが、県として、この山岳観光、どこか目標にされている地域等がおありでしょうか。観光部長にお伺いいたします。  山岳観光振興において重要になるのは、山岳はもちろんのこと、川、滝、湖、高原、温泉、道路、交通機関、文化、歴史等であろうかと思います。そういう点においては、八ヶ岳エリアや浅間山、菅平、志賀高原などは山岳観光における最適地だと思うわけですが、あわせて観光部長のお考えをお聞かせください。  また、日本で一番高い場所にある普通駅はJR小海線の野辺山駅であり、標高は1,346メートル、スイスのダボス駅は1,540メートルなので200メートルほど低いですが、山岳観光を言うのであれば高原列車の存在は重要です。  日本の高原列車といえば小海線がその代表格であります。ことしは小諸から小淵沢までの全線開通80周年ということで歴史的な価値もございます。かつてはC56という蒸気機関車が「高原のポニー」という愛称で愛され、今でも鉄道模型の世界では「C56 小海線」という商品がマニアの間では高い人気を誇っております。インターネットで「鉄道模型 小海線」と検索すればその人気のほどがわかるわけですが、しかしながら実際の小海線は利用客の減少に悩んでいるという残念な実態があります。プラモデルでさえこんなに人気があるわけですから、姿、形だけでも蒸気機関車風にリフォームすればとも思いますが、もったいない話だと思います。  このように、県全体を注意深く見渡せば山岳観光資源は至るところにあると思います。ぜひとも、各地においてそれらを掘り起こし、ダボスに対抗すべく、山岳高原観光といえば信州であると世界中の人々から認知されるような戦略を強力に推進していただきたいと思うわけですが、知事の御所見をお聞かせください。  次に、地方創生についてお伺いいたします。  先ほど少し触れましたが、地方創生のかなめは人であるということであります。そういった観点から、田舎のプロを育成せよといったことを学者の皆さんなどは盛んに提言しております。ただし、田舎のプロとはいっても、外部からやってきたコンサルタント会社がその役目を担えるわけでもなく、結局は、その地域に住む人々が知恵を絞り、時間と労力をかけて地域を盛り上げていくしかないわけであります。  今までも地域を活性化させようと多くの住民がさまざまな場面で頑張ってきたわけですが、その大きな原動力の一つになってきたのが、商工会、観光協会、商工会議所、青年会議所などの会員さん、あるいは公民館役員、農林業従事者、農産加工研究会といった人々ではないかと思います。各地においてお祭りやイベントには必ずといってよいほどこれらの皆さんが活躍しておりますが、これぞまさしく田舎のプロと言えるのではないでしょうか。  この皆さんは、その時々の気分で参加しているわけではありません。訪れたお客さんを何とか喜ばせよう、自分の住む地域を何とか活性化させようという高い使命感のもと、忙しい本業の傍らボランティアで参加しているわけであります。しかも、何年も何十年もその姿勢は変わらず、時には、もう疲れたよとか、たまには客として楽しみたいなどと愚痴を言いながらも、通知が届けば集合場所に集まり、草刈り、道路のごみ拾い、のぼり旗の設置、テント張り、食材の仕込みなどに取りかかるわけであります。  確かに若いうちは気力、体力も充実しておりますが、その時期は消防団、PTA、区の役員、安全協会などの役目も回ってくるために本業ともども多忙をきわめます。また、年を重ねるごとに体調も崩しやすくなり、高齢者にはきつい作業もふえてきます。それでも律儀に参加する方が多く、結局、病に伏せるか、お亡くなりになるといった人生の最終局面を迎えるまで愛する郷土に協力する気持ちを失わずにいる皆さん、そんな人々を今まで数多く見てまいりましたが、これぞ田舎のプロだと私は改めて思うわけであります。  ところが、そういった人々のマンパワーに注目し、そのありがたみや裏方としての苦労を理解している方はどれだけいらっしゃるでしょうか。  先日、野辺山高原にてアイスキャンドルフェスティバルというイベントがございました。氷の筒の中に埋め込んだキャンドルに火をともし、満天の星空の中で無数のキャンドルが輝きを放つわけですが、そこに訪れた人々が約1,500人、都会の皆さんもうわさを聞きつけてお越しいただきました。最後は花火を打ち上げ、多くの人々が荘厳かつ華やかなイベントを楽しんだわけであります。この地域は毎年のように零下25度前後の寒さを記録する場所でありますが、そんな極寒の地だからこそ開催可能なイベントであるわけであります。  しかしながら、事前の準備や当日の運営が大変であることは容易に想像できます。結局、地方創生の主役になるのは、こういった皆さんのマンパワーに頼る部分が大きくなるわけです。地方創生のためにはまさに人材力が重要であることから、地域づくりに携わる人材を養成していくためにどのように取り組むのか。企画振興部長にお伺いいたします。       〔観光部長野池明登君登壇〕 ◎観光部長(野池明登 君)山岳観光戦略につきまして順次お答え申し上げます。  まず、山岳観光の目標としている地域等についてというお尋ねでございます。  本県が有する雄大な山岳や美しい景観などの素材は、世界を代表する欧米の山岳、高原と比べても遜色がないと認識をしているところでございます。  この世界にも比肩し得る素材を生かし、世界水準の山岳高原観光地づくりをどのように進めるか、有識者と希望のあった市町村で構成をする山岳高原研究会で検討をいたしました。その際には、スイスのツェルマットやフランスのシャモニー、カナダのウィスラーなどの事例を参考に検討いたしまして、検討結果を山岳高原を活かした世界水準の滞在型観光地づくり構想としてまとめたところでございます。  その中では、世界的なリゾート地のコピーを目指すということではなく、その地域の独自の価値にこだわることこそが世界水準につながるとされたところでございます。また、参考とした世界的リゾート地の事例から学ぶべきものとして、官民連携したマネジメント体制という仕組み、また、世界の観光市場での高い認知度を獲得している取り組み、これを吸収し、目指すこととしたところでございます。  2点目の、重点支援地域三つ以外にも山岳観光の適地があるのではないかという御指摘でございます。  御質問に具体的にございました例えば八ヶ岳、浅間山は大変登りやすい山として県内外から多くの登山者が訪れておりますし、八ヶ岳の南山麓の町村では、八ヶ岳観光圏として、通年の誘客や食のブランド化、海外での認知度向上など観光地域づくりに積極的に取り組んでおられるところでございます。また、志賀高原、菅平高原は、日本を代表するスノーリゾートとして、また、ハイキングやトレッキングのほかスポーツ合宿や学習旅行のメッカとして、新しい方向としてはユネスコエコパークの活用ですとか海外新市場の開拓などに積極的に取り組んでいるところでございます。  このように、県内には、立候補のあった重点支援3地域、これはその中から有識者の皆さんで選定をされたところでございますけれども、ただいま御質問にありました自然的条件に加えて、風土、暮らし、人の営み、こういった観点からも世界に誇れる山岳観光地、観光資源が豊富にあると認識をしているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)山岳高原観光戦略の強力な推進についてという御質問でございます。  基本的に私も依田議員の御質問の中でるる触れられていたような視点、しっかり受けとめて県として対応しなければいけないというふうに思って伺っておりました。  山岳高原観光地づくりというふうに言い始めましたのは、私は、長野県、観光県だけど、単に観光県と言っていても何の特色も発信できないと。いろいろ考えると、長野県、山の日も制定をしたわけでありますが、山と、そして県全体が先ほど依田議員の御質問にもありましたように高地、高原であります。そういう意味で、長野県全体、山岳高原観光地だということでこの取り組みを進めているわけであります。  もとより、重点支援地域3地域指定しておりますけれども、ここだけが山岳高原観光地であるという認識では全くありません。県全体を視野に入れて取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  特に、先ほどもお話ありましたけれども、例えば高原列車といえば、やはり全国鉄道ファンみんな小海線だというふうに思っていると思いますし、一番高い野辺山駅へ一度は行ってみたいねというふうに思っている人たちも大勢いると思います。私もかつてそういうふうに思っておりました。  そういうことを考えると、山岳高原観光地づくりという中で、単に重点3地域の支援だけ一生懸命やるということだけではなくて、長野県の観光の発信を山岳あるいは観光という観点でどういう発信ができるのか、あるいはどういう素材の磨き上げができるのかということをやはり真剣に考えていかなければいけないというふうに考えています。  まだまだ、その点、私も、県として取り組むべきこと、取り組めること、たくさんあるのではないかというふうに思っておりますので、いただきました御指摘もしっかり踏まえて、本当に世界の皆様方に山岳高原観光地だということを胸を張って言える長野県に、そして大勢の皆様方をお迎えして御満足いただける山岳高原観光地づくりを引き続き全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔企画振興部長原山隆一君登壇〕 ◎企画振興部長(原山隆一 君)地域づくり人材の養成についてでございます。  地方創生の鍵を握るのは人材であるという点は議員御指摘のとおりでございます。今年度から、「地域に飛び出せ!信州元気づくり実践塾」、これを開講いたしまして、志があってもきっかけやノウハウがなくて地域づくり活動に至らない人材を、フィールドワークを通じてノウハウを身につけてもらい地域づくり活動につなげていく取り組みを実施しているところでございます。  今年度の卒業生の中には、早速、仲間を募って地域づくり団体を立ち上げ活動を開始した者や地域づくりイベントを計画している者もいらっしゃいます。また、地域内で人材確保が難しい農山村地域では地域おこし協力隊に地域づくりの一翼を担ってもらう例も多く見られます。  県としても地域おこし協力隊の導入促進を図っておりますが、隊員のスキルアップ研修を実施いたしまして地域で活躍できる環境整備を行っております。さらに、県職員が地域に飛び出して地域活動を通じて共感力の向上を図ることを目的に、地域に飛び出す職員支援研修を今年度から実施しているところでございます。  引き続き、市町村や各種団体、NPO、地域住民と一体となって地域課題に取り組む風土を育てながら、地域づくりの原動力となる人材の育成確保に取り組んでまいりたいと考えております。       〔2番依田明善君登壇〕 ◆2番(依田明善 君)御答弁いただきました。  ぜひとも、行政サイドとして、ボランティアで頑張っている地元の皆さんに対ししっかりと理解し支援していただけることをお願い申し上げたいと思います。  民間のボランティア団体等にみずから飛び込み、一緒に汗を流す行政マンも時々いらっしゃいますが、当然民間人からの評価は高くなります。逆に、無関心、無理解の態度や言動がかいま見える行政マンには批判が集まりやすくなります。  自分の仕事だけしていればよいのか。地方創生に向けて、民間人、公務員、政治家、全ての人々に突きつけられている課題だと思います。そんなことを申し上げまして、一切の質問を終わります。 ○議長(風間辰一 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(風間辰一 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明3日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時35分延会...