長野県議会 2015-02-27
平成27年 2月定例会本会議-02月27日-05号
平成27年 2月定例会本会議-02月27日-05号平成27年 2月定例会本会議
平成27年2月27日(金曜日)
出席議員(55名)
1 番 中川博司 28 番 和田明子
2 番 依田明善 29 番 今井正子
3 番 石和 大 30 番 永井一雄
4 番 藤岡義英 31 番 諏訪光昭
5 番 中川宏昌 32 番 小松 稔
6 番 清水純子 33 番 小池 清
7 番 小池久長 34 番 清沢英男
8 番 桃井 進 35 番 垣内基良
9 番 髙橋岑俊 36 番 竹内久幸
10 番 甕 裕一 37 番 佐々木祥二
12 番 山岸喜昭 38 番 向山公人
13 番 荒井武志 39 番 高村京子
14 番 堀場秀孝 40 番 小林伸陽
15 番 続木幹夫 41 番 村上 淳
16 番 両角友成 42 番 小松千万蔵
17 番 小林東一郎 43 番 西沢正隆
18 番 清水秀三郎 44 番 風間辰一
19 番 太田昌孝 45 番 平野成基
20 番 今井 敦 46 番 本郷一彦
21 番 丸山栄一 47 番 倉田竜彦
22 番 野澤徹司 49 番 石坂千穂
23 番 小島康晴 50 番 宮澤敏文
24 番 下沢順一郎 51 番 村石正郎
25 番 鈴木 清 52 番 木下茂人
26 番 宮本衡司 53 番 萩原 清
27 番 金子ゆかり 54 番 服部宏昭
55 番 望月雄内 57 番 下﨑 保
56 番 古田芙士
欠席議員(2名)
11 番 吉川彰一 48 番 高橋 宏
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説明のため出席した者
知事 阿部守一 林務部長 塩原 豊
副知事 建設部長 奥村康博
総務部長事務取扱 太田 寛 会計管理者兼会
副知事 加藤さゆり 計局長 石田訓教
危機管理監兼危 公営企業管理者
機管理部長 青柳郁生
企業局長事務取扱 小林利弘
企画振興部長 原山隆一 財政課長 平木万也
県立大学設立担 教育委員会委員
当部長 髙田幸生 長 櫻井久江
県民文化部長 藤森靖夫 教育長 伊藤学司
健康福祉部長 小林 透 教育次長 青木 弘
環境部長 山本浩司 教育次長 菅沼 尚
産業政策監兼産 警察本部長 山崎晃義
業労働部長 石原秀樹 警務部長 岡本 努
観光部長 野池明登 監査委員 吉澤直亮
農政部長 中村倫一
───────────────────
職務のため出席した事務局職員
事務局長 北原政彦
議事課担当係長 若林憲彦
議事課長 小山 聡
総務課担当係長 小山雅史
企画幹兼議事課 議事課主査 穐澤礼子
課長補佐 坪井俊文
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平成27年2月27日(金曜日)議事日程
午前10時開議
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
─────────────────────────
本日の会議に付した事件等
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑
午前10時1分開議
○議長(風間辰一 君)これより本日の会議を開きます。
本日の会議は、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑であります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
△
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案
○議長(風間辰一 君)次に、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案を議題といたします。
順次発言を許します。
最初に、高村京子議員。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)視覚障がい者に対する支援の充実についてまず伺います。
中途失明者は、子供や親がいて家庭の生活の中心にいる方が多く、失明の原因になる基礎疾患を抱え、仕事につけないことで家に閉じこもりがちになるなど、生活面や移動で多くの不安を抱えておられます。
これらの方々に対する相談体制と障がい
福祉サービスの現状はどうなっているでしょうか。
小林健康福祉部長にお伺いいたします。
〔
健康福祉部長小林透君登壇〕
◎
健康福祉部長(小林透 君)お答えをいたします。
中途での視覚障害をお持ちの方に対する相談体制及び
福祉サービスについてでございますが、県では、市町村と連携いたしまして、障害のある方の誰もが地域で安心して暮らせるよう、県内10圏域に
障害者総合支援センターを設置し、
障害福祉サービスの利用や就労などさまざまな相談にワンストップで対応しているところでございます。この中で、御質問の中途での視覚障害のある方からの相談にも対応する体制をとっております。
また、視覚障害のある方への
福祉サービスといたしましては、法に基づく自立支援給付として、外出時の
同行援護サービス、あるいは居宅において代筆、代読などを行う
居宅介護サービス、また矯正眼鏡などの補装具費支給などのサービス提供がございます。
それに加えまして、県の事業としては
中途視覚障害者指導員派遣事業や
盲導犬給付事業などを行っているところでございます。
以上であります。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)中途失明者の自立訓練には
県リハビリセンターが行う訓練がありますが、約半年の入所または通所が必要であり、入所は家庭生活もあり簡単ではありません。光を失った中で通所も困難です。なかなか訓練が受けにくいと思いますが、現状はどうでしょうか。
県が委託し
県視覚障害者福祉協会が行っている中途視覚障がい者指導員の派遣の現状と課題はどうなっているでしょうか。
小林健康福祉部長にお伺いいたします。
〔
健康福祉部長小林透君登壇〕
◎
健康福祉部長(小林透 君)お答えをいたします。
総合リハビリテーションセンターにおける訓練についてでございますが、
総合リハビリテーションセンターでは、平成7年から中途での視覚障害のある方に対する訓練を実施しておりまして、これまでに55名が訓練を受けているところでございます。
昨年度は、東北信地区にお住まいの方5名が、入所または通所などによりまして、平均で6カ月程度の間、つえを用いた歩行訓練や音声パソコンなどを利用した日常生活訓練などを行いまして家庭での自立した生活へとつなげているところでございます。
同センターの訓練は国の専門研修を受講した3名の職員が
マンツーマン対応で行っておりますが、本年度新たに2名を国の専門研修に派遣をいたしまして、さらなる体制の強化を図っているところでございます。
次に、
中途視覚障害者指導員、この派遣状況と課題ということでございます。
県では、そうした障害のある方が自宅で訓練が行えるよう、長野
県視覚障害者福祉協会への委託事業として
中途視覚障害者指導員の派遣事業を実施してございます。平成25年度は、10名の方からの要請に応じまして指導員を派遣して、歩行指導や点字指導、
パソコン操作訓練などを実施したところでございます。
この事業は、中途での視覚障害のある方が身近で必要な訓練が受けられるということで有効な取り組みと考えておりますが、サービスの提供地域が指導員の住居地付近に偏っていることや指導員の高齢化などの課題もあるというふうに考えております。
以上でございます。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)県が委託し、松本にあります
県視覚障害者福祉協会が行っている中途視覚障がい者指導員の派遣の現状ですけれども、県下全域に中途失明した人への在宅派遣による歩行や生活訓練に当たっていただいておりますけれども、この協会の視覚障がい者指導員は身分が不安定でボランティアのような状態に置かれています。専門性を身につけた方々です。県は専門職として位置づけ、身分を保障し、全県下への派遣が安定、充実するようにすべきと求めます。
健康福祉部長に再度お伺いいたします。
私は、昨年の11月県議会で、全盲の方が65歳になると
介護保険サービスを優先して受けられるよう指導され、今までの専門的で安定した生活援助の内容も時間もかなり削減される一方、利用料金の負担は重くなり、むしろ生活不安が大きくなる問題を指摘し、改善を求めました。
障がい者全般に対する65歳からの
福祉サービスの対応について最近国から事務連絡が来ていると思いますが、その内容と県の対応について
健康福祉部長にお伺いいたします。
〔
健康福祉部長小林透君登壇〕
◎
健康福祉部長(小林透 君)
中途視覚障害者指導員の身分保障についての御質問にお答えいたします。
現在、
中途視覚障害者指導員は、
県視覚障害者福祉協会におきまして
日本盲人会連合などが行います研修を受講された方7名が任命されておるところでございます。
県といたしましては、先ほど申し上げた課題もありますので、そうしたことへの対応も含めまして、支援を必要とする方が必要なサービスをより利用しやすくするためにはどうしたらよいかという視点から、改めて、市町村や
県視覚障害者福祉協会などと情報交換を行いまして、訓練実施のあり方や体制について研究してまいりたいと思います。
次に、65歳以上の障害者にかかわります
介護保険サービスへの移行についてでございます。
今月18日付で、厚生労働省から、
障害福祉サービスと
介護保険サービスの適用に係る留意事項についての通知が都道府県宛てに出されたところでございまして、議員御指摘の通知はこれに当たるものと考えております。
その内容といたしましては、利用者の意向を聞き取りにより把握した上で
介護保険サービスにより適切な支援を受けることが可能か判断すること、あるいは、介護保険の支給量では十分なサービスが受けられない場合には
障害福祉サービスを支給するなど適切な運用に努めること、また、
障害福祉サービス利用者に介護保険制度の案内を早目に行うこと、さらに、介護保険と
障害福祉サービスをあわせて利用できる場合があることを利用者に適切に案内することなどにつきまして市町村に周知徹底を求める内容でございました。
県では、この通知を受けまして、直ちに今月23日付で市町村に通知したところでございますが、来月開催する
市町村担当者会議におきましても制度の適切な運用につきましてさらに周知徹底を図ってまいります。
以上でございます。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)障がいをお持ちの方が、障がい
福祉サービス、それから65歳から受けられる
介護保険サービスの両方で障がいをお持ちの皆さんの生活が一層豊かになりますように、そういう観点でぜひ市町村と力を合わせていただきたいと思います。
次に、
上田点字図書館の運営と今後の方向に関係者の皆さんは希望が見えない中に今置かれています。私は、平成22年6月県議会で県に検討を求めましたが、その後、どのように対応していただいたでしょうか。
今日果たしている
上田点字図書館の役割や課題を整理し、県として委託をしている
県身体障害者福祉協会、実際に運営している上田市、そして日常的に利用されている当事者の上田市
視覚障害者福祉協会の皆さんやボランティアなど、関係者との協議の場を持って、全国にも誇れる
上田点字図書館の今後のあり方や発展の方向を改めて検討していただくよう求めますが、いかがでしょうか。
健康福祉部長に伺います。
次に、安心のお産ができる長野県にするために伺います。
大町市立総合病院の産婦人科が3月末で閉鎖し、2次医療圏の大北地域でお産ができない事態となってしまいました。全国的にもお産ができる病院や施設が全体として減っております。大変危機的な事態です。ここ10年間に、何と県内では病院は43から26施設、約4割も減っています。診療所や助産所などを含めても、この3月末では59施設となってしまいます。
県は、お産ができる施設の減少の実態をどのように受けとめ、対処されてきたのか。
健康福祉部長にお伺いいたします。
〔
健康福祉部長小林透君登壇〕
◎
健康福祉部長(小林透 君)お答えいたします。
まず、長野県
上田点字図書館についてでございます。
長野県
上田点字図書館は、議員御指摘のとおり、
県身体障害者福祉協会が設置し、上田市に運営が委託されているところでございますが、平成23年5月に上田市が開催した交流会において、上田市、利用者の方々及び上田市
視覚障害者福祉協会との間で意見交換が行われ、運営を今後も上田市が受託していく方向性が確認されたというふうに聞いてございます。
また、平成25年12月には、県に対して、
県視覚障害者福祉協会が運営したい旨の要望が出されましたが、県からは
県身体障害者福祉協会や上田市との協議の場を持つことを提案いたしましたところ、その後、そうした要望は寄せられていないという状況でございます。
長野県
上田点字図書館は、本県唯一の点字図書館として視覚障害のある方の福祉向上に大きな役割を果たしておると考えておりまして、その安定した運営に資するため県は国庫補助金を活用いたしまして運営費を助成するとともに、特に本年度は老朽化したボイラーの修繕工事につきまして助成をしたところでございます。
今後、
県身体障害者福祉協会や上田市から御相談があれば、点字図書館の発展の方向性などにつきましてともに検討してまいりたいと思っておるところでございます。
次に、
分娩取り扱い施設の状況についてでございます。
県内の分娩を取り扱う医療機関は、平成17年には55施設でございましたが、産科医確保が困難になる中で平成20年には46施設まで減少いたしまして、以降ほぼ横ばいで推移してございます。平成26年9月現在でございますが44施設でございまして、これに助産所を含めますと分娩を取り扱うのは60施設となってございます。
本県では、
分娩取り扱い施設が減少し続けてきた状況を踏まえまして、平成19年、県産科・
小児科医療対策検討会の提言を受けまして、
県地域医療対策協議会において緊急避難的に産科医療の集約化、重点化を進めることはやむを得ないという方向性を決定したところでございます。この方針のもと、今日まで、
信州大学医学部の御協力を得ながら、各医療圏において
産科医療機関の機能分担と連携により県内の産科医療体制を維持したところでございます。
同時に、
地域医療再生基金によりまして分娩施設の整備を推進するとともに、平成23年には
信州医師確保総合支援センターを設置しまして、
ドクターバンク事業などによりましてこれまでに産科医16名を確保してきたところでございます。
このほか、信州大学や県内医療機関などの御努力もありまして、県内の産科医は最少であった平成18年の158名から平成24年には191名まで増加してきたところでございます。
以上であります。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)上小地域でも、ここ10年の間はお産の施設存続が危機的事態となった経過があります。閉鎖の危機にあった全国で唯一の行政立上田市産院、ユニセフに登録された赤ちゃんに優しい自然で豊かなお産を守るために上田市民は力を合わせて存続、さらに
信州上田医療センターの隣接地に
上田市立産婦人科病院として発展、充実しています。
東御市立病院の敷地内に助産所が開設され、助産師が丁寧なお産、子育ての支援をしています。さらに、昨年春には5年間休止となっていた
信州上田医療センターの産婦人科が再開され、リスクを伴うお産ができるようになりました。
この間を支えていただいた二つの民間施設の御奮闘もあり、安心のお産へ連携が一層強化されました。里帰り出産ができる上小地域と今なっています。
党県議団では、10年ほど前から県内外のお産事情について聞き取りを重ね、2007年に「安全・安心のお産を信州で」とのパンフレットを作成し、助産師活動への支援、
産婦人科医師の過酷な勤務実態の解消、女性医師や助産師等の働きやすい環境の整備、医療事故の原因究明と再発防止に第三者機関の設置と無過失補償制度の確立を提言してきました。
提言に沿って伺います。
一つ、お産は病気ではありません。お母さんに自然に与えられた力があります。そこを援助する助産師の活動を支援し、助産所の開設や、病院の中に助産師外来を設置し、健診や産後ケアなど行える体制の整備など、助産師の専門性を生かし、その力を最大限に発揮してもらうことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
大町総合病院でも、助産師さん11名いらっしゃると伺っております。この活動を応援してください。これからの取り組みはどうでしょうか。
2点目、2014年に策定された県の地域医療計画の文章に、産婦人科の医師不足の要因の一つに過酷な勤務実態があり、男性医師でなければ勤務は勤まらない、
男性産婦人科医師の確保が求められる等の記載があります。現在、医師国家試験では女性がふえております。産婦人科でも女性医師の活躍の場を応援することこそ大切ではないでしょうか。
産婦人科に限る問題ではなく、昼間目いっぱい激務された医師は、夕方から深夜、早朝までは当直扱いとされる場合が多くあります。特に産婦人科では、夜間のお産、帝王切開など緊急事態の対応があり、大変過酷であります。医師不足の中で集約されたお産の施設では断るわけにはいかず、幾重にも過酷な現実があります。事故が起きるリスクが常にあります。
命を託される医師を大幅にふやし、休養も休みもとれない現状を改善し、男性医師も女性医師も、昼間8時間、夜は当直制でなくしっかりと交代勤務となるよう県として取り組むべきではないでしょうか。
3点目、女性医師の働きやすい環境を後押ししてください。女性医師がふえている現実を見れば、院内保育所、夜間保育の実施支援が求められます。これは子育て中の女性医師だけではなく、助産師や看護師の労働環境の充実ともなります。病院任せにするのではなく、県と市町村も一緒になって支援すべきと考えます。
以上3点について
健康福祉部長にお伺いいたします。
〔
健康福祉部長小林透君登壇〕
◎
健康福祉部長(小林透 君)お答えいたします。
助産師の専門性を生かした体制の確立についてでございますが、分娩を取り扱う医療機関が減少する中、県民の皆様が安心してお産のできる体制を維持するためには、助産師の皆様がその専門性を発揮し、産科医と協力して力を発揮してもらうことが一層重要になると考えているところでございます。
県では、院内助産所や助産師外来の開設、整備に対する補助の実施や、産科医が助産師に最新の技術を伝える研修会を開催するなどによりまして、助産師が活躍できる環境の整備や人材の育成に力を入れているところでございます。
次に、産科医師の人員の充実と勤務環境の改善についてでございます。
現在の医師不足を解消するためには、新たに医師を確保すること及び離職を防止することの二つの観点から対策を講ずることが重要と考えております。
そこで、産科医師の新たな確保については、県の
ドクターバンク事業や
医師研究資金を活用いたしまして、これまでに、
ドクターバンクで10名、
医師研究資金で6名、それぞれ県外から県内に来ていただき活躍をされているところでございます。
また、離職を防止するということでは、産科医の処遇を改善し、定着を図るため、県といたしましては、従来から実施している分娩手当への補助に加え、来年度から新たに帝王切開の手当への補助も始める予定でございます。
このほか、県といたしましては、産科も含め全診療科の医師を対象として、病院勤務医が働きやすい
環境整備推進事業によりまして、これまで育児中の女性医師の当直の軽減を行う15病院を支援してまいりました。さらに、県では、平成27年度、医療従事者の離職防止等を目的とする
医療勤務環境改善支援センターを設置いたしまして、医療機関が実施する勤務環境改善の取り組みに対して支援を充実していくなどにより産科の医師の確保と勤務環境の整備に取り組んでまいります。
次に、女性医師の働きやすい
環境整備支援についてでございます。
県では、院内保育所の施設整備と運営費の助成を行ってきてまいりまして、平成25年度の運営費の補助は民間10病院を含む29病院に対して支援しているところでございます。また、出産や育児等で医療現場を離れた女性医師の復職を支援する研修事業を行いまして、事業を開始した平成20年度からこれまでに14名の復職を支援したところでございます。
今後も、結婚、出産を迎える女性医師の増加が見込まれる中、県といたしましては、院内保育所の整備、運営に対する支援や医療現場への復職支援に取り組むことによりまして、女性医師が結婚、出産を経ても働き続けられるような働きやすい環境整備に努めてまいる所存でございます。
以上であります。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)キーワードは、助産師さんへのバックアップ、応援をするということ、それから特に激務である産婦人科の勤務環境を改善して、そして女性医師の力を後押しする、この三つがキーワードではないかと思います。それぞれ引き続きの御努力をお願いしたいと思います。
知事にお伺いいたします。
2次医療圏の一つで初めてお産ができない事態となった現実を踏まえ、大北地域のお産の施設再開に向けてどのように取り組まれますか。県内どこでも安心、安全のお産ができる長野県とするため、知事の御決意を伺いたいと思います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)大北地域でのお産の再開支援、そして安心、安全のお産ができる長野県づくりについての御質問でございます。
県としても、今回の
市立大町総合病院における分娩取り扱いの休止という事態、大変重く受けとめております。一刻も早く事態を改善しなければいけないというふうに思っています。
そういう観点で、県の
ドクターバンク事業を活用いたしまして県外の産科医師1名何とか確保させていただいて、
大町総合病院に紹介をさせていただいたところであります。この結果、妊婦健診は継続ということにはなりましたが、しかしながら分娩の取り扱い再開にはまだ至らないという状況であります。
今後も、分娩の再開に向けて、地域の市町村、
大町総合病院関係者の皆様方と一緒になってしっかり取り組んで、本当に安心してお産ができる環境に一日も早く戻るように努めていきたいと思います。
それから、県全体の話でありますが、先ほど
健康福祉部長からも御答弁申し上げましたが、産科医療の維持充実のためさまざまな取り組みをさせてきていただいております。
医師確保総合支援センターの設置を行って、
ドクターバンク事業あるいは
医師研究資金の貸与ということで産科医の確保にも取り組んでまいりました。助産師の皆様方の力もこれからますます発揮をしていただく環境づくりが重要だというふうに私も思います。
先般、上伊那での移動知事室の際に助産所を訪問させていただいて、助産師の皆さん、あるいは助産所で出産されたお母さん方とも懇談をさせていただきました。家庭的な環境の中で出産をして、そして出産前後も助産師の皆様方が丁寧に対応していただいているということで、お母様方も非常に安心した環境だというふうな印象を強く受けました。こうした皆様方の力がもっと発揮できるように県も応援をしていかなければいけないだろうというふうに思います。
また、昨年12月に、地域医療介護総合確保基金、設置をいたしましたが、この基金を活用いたしまして、
信州大学医学部との連携、あるいは地域における病院、診療所、助産所相互の連携、こうしたものを強化しながら、県全体として安全で安定した周産期医療体制の維持、そして充実、知恵を出しながら関係の皆様方の力もいただきながら取り組んでいきたいというふうに思います。
以上です。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)医師が少ないので集約集約ということをやってきました。そして、集約された大町病院でいよいよ出産ができない、こういう事態が発生しているわけです。
ですから、助産師さんにもっと日常的な自然分娩を頑張っていただいて、そして病院にはリスクのある方を受け入れる体制、分散型の、そういうことを長野県から取り組んでいただきたいと思います。党県議団の提言についても、ぜひ受けとめて取り組んでいただきたいと思います。
お産の施設関係者、市町村も御一緒になって、安心、安全の豊かなお産ができる長野県へ県民の皆さんとともに力を合わせてまいりたいと思います。
次に、県有料道路の料金徴収について伺います。
昨年4月から、三才山、新和田、平井寺トンネルの朝夕の通勤時間帯の半額割引を市町村との共同事業として実施されたことは通勤、通学等での利用者の負担軽減となったところですが、各市町村の実施内容と利用状況はどうなっていますか。県として現状をどのように受けとめますか。奥村建設部長にお伺いいたします。
〔建設部長奥村康博君登壇〕
◎建設部長(奥村康博 君)県有料道路の料金徴収についてのお尋ねでございます。
まず、利用者負担軽減事業の実施状況についてでございます。
今年度から実施しております本事業につきまして、取り組み市町村は、年度当初は6市町村でございましたが、現在、松本市や上田市など13市町村で取り組みをいただいております。
また、12月末現在で取りまとめた割引回数券の販売状況は約41万枚となっております。
まずは、1年間を通した結果を踏まえ、市町村の御意見を伺いながら、さらに利用拡大が図れるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)ここにパネルを作成しました。道路公社管理の有料道路の各トンネルの建設費、青です。料金収入の総額は赤です。償還率、緑の線で示しました。建設費に対する料金収入の総額の比率は、三才山では10倍、新和田では5倍、平井寺トンネル1.6倍であり、通行料金総額は明らかに建設費を大幅に上回っています。一方、松本など後で建設したトンネルでは建設費に見合う料金収入はありません。
しかし、償還率は、三才山が70%、新和田55%、平井寺が75%であり、全額償還がなされていることになっていません。一方、岡谷延伸トンネルは全く収入がないのに55%、中野、白馬、五輪も60%を超える償還がなされています。
このグラフからわかることは、既に建設費の償還が終わっているはずの三才山、新和田、平井寺トンネルからの通行料金が後から建設した道路の償還に充てられているのです。どこから見ても、この3トンネルを利用せざるを得ない上小、佐久、松本地域県民の負担は余りに重く、不公平であります。この3トンネルより後で建設したトンネルの料金を大幅に軽減し利用者の利便性を図っているのですから、この3トンネル、基幹の路線であります、この早期無料化を強く求めます。建設部長、どうでしょうか。
それから、3トンネルの後に建設された有料道路ですけれども、社会実験として昼間100円、夜間無料となっています。昨年、消費税増税に伴う通行料金の改定で、三才山は500円から510円、新和田は600円から620円、平井寺は200円から210円、片道です、増額されました。一方、松本と志賀、中野は310円となりますが、実際には昼間100円ですので、そのまま負担の増減はありません。
上小、佐久地域から信州大学病院や県立こども病院に通う患者さんや御家族、たくさんおられます。逆に、松本地域から鹿教湯リハビリセンター病院への利用で通う方、また病院や介護施設から松本地域への医療、介護の訪問活動は昼間であります。軽減策の恩恵は受けられていません。県はこのことをどのように受けとめますか。建設部長にあわせてお伺いいたします。
〔建設部長奥村康博君登壇〕
◎建設部長(奥村康博 君)無料化または料金軽減についてのお尋ねでございます。
有料道路事業は、路線ごとに、建設時の政府貸付金、出資金及び金融機構等の借入金の償還金、借入金利子、維持管理費などを通行料金収入で賄う制度でございます。
また、借入金等の償還は、建設時に国の認可を得た計画に基づき償還しておりまして、その年の料金収入額の状況で決まるものではございません。
また、社会実験の費用でございますが、これは県が補填しているものでございまして、三才山、新和田、平井寺の有料道路の通行料金で賄っているものではございません。
有料道路は、路線ごと認可を受け、独立しているものでございまして、お話の3路線を直ちに無料化あるいは料金低減をすることは困難でございます。
次に、事業によります利用者負担額についてのお尋ねでございます。
障害者割引は、路線、車種、時間に応じた通行料金を半額としているものでございます。したがいまして、社会実験により100円としている場合は、その半額としております。
有料道路の通行料金は、その利用により得られる時間短縮などの受益を金額に換算し、その範囲内で設定しております。一方で、消費税率が上がった後も全車種100円とする社会実験の通行料金は、支払いやすさ等を考慮して決めているものでございます。昨年4月の消費税率の引き上げは、有料道路の料金のみでなく、あらゆる物、サービスに適用されたものでございます。
道路公社の有料道路につきまして、本年度から通院を含めた日常的利用者の負担軽減を実施したところでございまして、今後とも実施市町村の拡大に向けて取り組んでまいります。
以上でございます。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)このグラフでもわかりますように、三才山、新和田、平井寺トンネルはもう償還額以上に料金収入があります。やはり全体の県民の公平性と利便性ということを考えていただきたいと思います。
有料道路の料金は建設費の償還に充てるために徴収するのではないでしょうか。県は、道路管理者として当然に負担しなければならない維持管理費にもこの3トンネルの料金収入で全体の維持管理費に充てていますが、おかしいと思います。現在、道路公社の道路維持管理費に年間15億3,000万円が充てられていますが、無料化の際には一般財源から拠出することになります。
将来を見据え、料金収入に頼らない維持管理を求め、3トンネルの無料化を改めて強く求めます。再度奥村建設部長、いかがでしょうか。
〔建設部長奥村康博君登壇〕
◎建設部長(奥村康博 君)有料道路の維持管理費についてのお尋ねでございます。
道路整備特別措置法施行令第7条第2項によりまして、有料道路の維持及び修繕に関する費用、これは通行料金で賄うこととなっておりまして、長野県道路公社の有料道路についても国の認可を受けているようなところでございます。
また、将来、県が有料道路を引き継いだ後も適切な維持管理に努めてまいりたいと考えております。
ということでございまして、直ちに無料化あるいは料金の低減というところはなかなか困難であるというふうに考えております。
以上でございます。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)鹿教湯三才山リハビリセンターには県が指定する療養介護施設があり、筋ジスなど重度身体障がいを抱えた方々が利用されています。この方々が通行する際、事前の登録者のみに半額割引が適用されますが、消費税増税改定額の半額であり、社会実験をしている料金所では50円です。不公平ではないでしょうか。
雪となり、道路が危険でタクシーなど他の車両を利用すると半額割引はされずに全額負担となります。こんな冷たい対応は県として改め、県の有料道路ですので障がい者認定を受けた方々の通行はすぐにでも無料にすべきと思います。
知事に伺います。
このように多くの疑問を抱えている有料道路料金についてどうお受けとめでしょうか。償還が済んでいるはずの3トンネルの無料化をぜひ決断していただきたいと思います。御答弁をお願いいたします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)有料道路についての御質問でございます。
私ども、行政でありますので、基本的に、法律、あるいは国から認可を受けているようなものについては認可事項に即して事業を執行していくということが基本であります。
高村議員の御説明にあるような御指摘というのは、やや少し独自の理論ではないかなと。今の有料道路制度の、先ほど部長からも答弁申し上げましたけれども、法律であるとか、認可された内容であるとか、それをまず十分共有をしていただいた上で、その上でどうすべきかということを一緒に考えていただきたいというふうに思います。
私ども、この有料道路、お話がありましたが、障害者の皆様方の御利用、これは割引制度については全国一律の制度という形になっています。私とすれば、独自の工夫ができるのか、必要性があるのか、余地があるのか、そうしたものについては研究をしてみたいというふうに思います。
また、有料道路事業、今後でありますけれども、先ほど申し上げましたように、これは国等からの借入金で建設して、通行料金収入で建設費の償還と維持管理も行う、これはそういう制度になっております。そうしないほうがいいということもあるかもしれませんけれども、制度上そうだということをまず共有していただいた上で議論を進めさせていただくといいのではないかというふうに思いますが、また、料金徴収期間についても、これも国の認可を受けています。三才山トンネルが平成33年、新和田トンネルが平成37年、平井寺トンネルが平成30年までというのが今の認可の内容になっております。
有料道路につきましては、県議会初め住民の皆様方からも、無料化あるいは負担軽減という声があるというのは私も十分承知はしております。そういう意味で、日常的な利用者の負担軽減を目的として、市町村の協力も得て、割引制度、今年度から新しく開始をしているところでありますし、また、こうした割引の実施市町村の拡大に向けても取り組んでいきたいというふうに思っています。
有料道路という形で建設をしたわけでありますので、基本的には当初の設計の趣旨を前提にしながら、できるだけ負担軽減につながるようにということでこれまでも社会実験等で取り組んできているわけであります。我々、財源が無限にあれば、全て無料、何でもサービスしますということを言えば私としては非常に楽な立場でありますけれども、今後の収支の状況等もしっかりにらみながら県財政全体の中で考えていかなければいけないということはぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
以上です。
〔39番高村京子君登壇〕
◆39番(高村京子 君)この3トンネルは命の道路であります。幹線道路であります。そこに日常的に大変負担がかかる。これを解消していただきたいことを強く求めて、私の質問を全て終わります。ありがとうございました。○議長(風間辰一 君)次に、諏訪光昭議員。
〔31番諏訪光昭君登壇〕
◆31番(諏訪光昭 君)
市立大町総合病院の
産婦人科医師不足への対応についてお伺いいたします。
市立大町総合病院の産婦人科は、これまで信州大学から常勤の医師2人の派遣を受けておりましたが、1人が2月に病気療養、もう1人は3月末で退職することとなりました。産婦人科の医師の不足のため、大町病院は3月で妊婦健診や分娩を休止せざるを得なくなりました。
市立大町総合病院の
産婦人科医師不足に伴う妊婦健診や分娩の休止の問題は、一市立病院の問題にとどまらず、大北2次医療圏にとっても深刻な問題であると考えております。
2次医療圏は、特殊な医療を除く一般的な医療サービスを提供する医療圏で、医療法では、地理的条件等の自然的条件及び日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮して、一体の区域として病院における入院に係る医療を提供する体制の確保を図ることが相当であると認められるものを単位として設定することと規定されている医療圏であります。
これまで大北2次医療圏において唯一の分娩可能な産婦人科が休止になることは、大北2次医療圏に住む県民に極めて深刻な不安をもたらすこととなります。また、大町病院で分娩ができなくなることは妊婦の方々は隣接した松本2次医療圏の産婦人科を利用することとなります。このことは、松本2次医療圏も含めた産婦人科にもさらなる負担をもたらすこととなり、松本2次医療圏における周産期医療にも影響を及ぼすおそれのある問題であると考えます。
しかし、こうした問題が発生した後、2月21日の新聞報道によりますと一筋の光明が生まれたことを知りました。それは、3月12日から非常勤の産婦人科医1人が新たに大町病院に着任することが決まり、医師不足で休止する予定でありました妊婦健診を継続することができるようになったからであります。ただし、分娩に必要な常勤の
産婦人科医師2人体制は4月以降も整わないため、分娩は予定どおり3月上旬で休止するということであります。
この新たに着任する
産婦人科医師は県外の50代の男性医師で、県内への着任を希望する医師と医療機関を結びつける県の
ドクターバンク事業を通じて着任が決まったそうであります。
また、新聞報道によりますと、大町病院の産婦人科が休止することに対して、県の医師確保対策室が県外で働く医師らに着任を要請し、男性医師が要請を受け入れられたのだそうであります。県の医師確保対策室がこのように迅速に対応していただいたことに対し、私は深く感謝の気持ちをあらわしたいと思います。本当にありがとうございました。
そこで、
健康福祉部長に以下お尋ねいたします。
今回の県外の50代の
男性産婦人科医師が大町病院に着任するまでの経過につきまして御説明いただきたいと思います。
今後の
市立大町総合病院の
産婦人科医師不足への対応を考える上で、現在の全国及び長野県の
産婦人科医師不足の状況に関して質問をいたします。
全国的に見ると、平成16年に必修化された新医師臨床研修制度の実施に伴い
産婦人科医師の不足が顕在化いたしました。
産婦人科医師の不足の原因は、産婦人科を選択する医学部生、研修医が少ない、経験を積んだ産婦人科医が産科の現場から立ち去ってしまう、女性医師が著しく増加しているにもかかわらず、その就労環境が整っていないため十分活躍できないの3点であると言われております。
また、産婦人科を選択する医学部生が少ない理由として、周産期医療は当直や拘束の回数が多く、激務であること、また、平成18年に福島県で起きた県立大野病院事件が象徴するように訴訟のリスクが高いこと、この激務と医療訴訟の二つの要因が大きいのではないかということが指摘されております。
全国的な産婦人科の医師不足の理由についてはこうしたことが指摘されておりますが、県としては全国的な
産婦人科医師の不足の理由や原因をどのように認識されているのか。お尋ねをいたします。
また、長野県内では
産婦人科医師がどの程度不足していると判断されているのか。そして、長野県内の
産婦人科医師の不足の理由や原因について、全国的な
産婦人科医師の不足の理由や原因のほかに、長野県独自のものがあると考えられているのであれば、その点についてもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
長野県内においても、あるいは全国的にも
産婦人科医師が不足している状況下において、
市立大町総合病院が分娩を再開するために必要な
産婦人科医師を確保することは大変厳しい状況であると考えます。もとより、本来は
市立大町総合病院が主体的に
産婦人科医師を確保しなければならないことではありますが、大町病院だけでは限界があると考えます。したがって、県として、今後、
ドクターバンク事業を中心に産婦人科の医師確保に向け引き続き御尽力をお願い申し上げます。
阿部知事は、昨年の県知事選挙の際の基本政策集2014において、人口定着県づくりの施策の一つとして子育て支援策の充実を掲げました。また、大町市の牛越市長も、昨年の市長選挙の際の公約において、定住促進の施策の一つとして未来を託す子供たちの健やかな成長を応援する子育て支援策の拡充を掲げておりました。
母親が安心して妊娠、出産できる環境づくりは、子育て支援策の充実を図る上で必要不可欠なものであると考えます。そして、
市立大町総合病院の
産婦人科医師不足に伴う分娩休止の問題は、安心できる子育て環境の面から、また定住や移住促進にも悪影響を与えかねない問題でもあります。したがって、母親が安心して妊娠、出産できるような環境づくりを進める上で、この問題にしっかりと対応していくことが極めて重要であると考えます。
長野県内の子育て支援対策の観点からの質問を予定しておりましたが、先ほど高村議員からの質問に対しまして知事並びに
健康福祉部長から決意のほどを聞かせていただきました。加えて、会派小松千万蔵会長の代表質問に対しても、知事から医師確保に向けての力強い、また協力していただく答弁も聞いておりますが、大北医療圏での分娩の扱いができなくなるという深刻な事態は、地域住民の皆様はもとより、とりわけ若い世代の皆様に与える不安ははかり知れません。
重ねて、今回の
市立大町総合病院の
産婦人科医師確保のための決意を知事にお伺いをいたします。
〔
健康福祉部長小林透君登壇〕
◎
健康福祉部長(小林透 君)お答えいたします。
大町総合病院での産科医確保に至る経過についてでございます。
県といたしましては、本年1月に、
大町総合病院から産科診療を休止する方向で検討されているとの一報を受けまして、直ちに
大町総合病院と打ち合わせを行いましたが、その場において産科診療の再開に向けて産科の医師を確保したいという病院の意向を確認したところでございます。
そこで、私どもの持ちますさまざまなルートを通じまして産科医師の確保に取り組んだ結果、2月上旬に、県の担当職員が県外に在住する今回の医師とお会いすることができました。そこで、今回の医師のお考えを確認した上で、
大町総合病院に御紹介を申し上げました。その後は、今回の医師が病院に来訪いたしまして、病院事業管理者や院長との面談、あるいは病院見学を経まして、今回の病院の発表のとおり、2月20日の成約に至ったというふうにお伺いをしております。
次に、
産婦人科医師の不足理由、原因と本県
産婦人科医師の不足状況についてでございます。
まず、
産婦人科医師の不足の理由や原因は、議員御指摘のとおり、激務であることや、医療訴訟が起こされるリスクが他の診療科目に比べて高いとされていることなどが考えられます。本県についても基本的には全国と同様の理由や原因があるというふうに考えているところでございます。
次に、県内の
産婦人科医師の不足状況として把握されているものでございますが、平成22年6月実施の国の必要医師数実態調査では24人の不足とされており、平成24年6月に実施した県の調査では37人の不足とされているところでございまして、あるいは、現在、県の
ドクターバンク事業への求人登録者数は19人であるということでございます。
これら必要とされる医師の数は、医療機関の機能分化や連携内容、医療の高度化、患者数の動向などによって変わるものと考えられておりますが、現状の医療体制を前提とすれば、それらのものは若干時点などは異なるものの、そうした数が一つの目安というふうに考えております。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)
大町総合病院の
産婦人科医師の確保に向けた決意という御質問でございます。
この点については、先日、大町市長を初め大北地域の皆様方がお越しになられて切実な声を直接お伺いをしておりますし、要請書、要望書も頂戴をいたしているところであります。
先ほど諏訪議員の御質問の中にもありましたように、私も、地方創生の中で、少子化対策、子育てしやすい環境づくり、最も重要なテーマの一つだと思っております。その中で、出産の環境整備というのは最も基本となるべきものだというふうに考えています。
特に大北地域、豊かな自然に恵まれた地域で、そうした環境にひかれて県外からお越しになるという方も大勢いらっしゃる地域でありますので、そういう意味で、この地域における医療体制の充実、とりわけ分娩ができるような体制づくりというのは、医療という狭い問題にとどまらず、地域全体にとって大変大きな問題だというふうに考えています。そういう意味で、私も、今の状況、何とか一刻も早く改善をしていきたいというふうに考えております。
今回、
ドクターバンク事業によりまして県外の産婦人科の医師1名の着任が決まったわけで、まずは妊婦健診の継続というところまでは至ったわけであります。今後、分娩の取り扱いが再開できるように、関係の皆様方としっかり力を合わせて県としても全力で取り組んでいきたいというふうに思いますし、医療体制、そして出産が安心してできるような体制づくりに向けて県全体でもしっかりと頑張っていきたいというふうに思っております。
以上でございます。
〔31番諏訪光昭君登壇〕
◆31番(諏訪光昭 君)先日24日、大北地域医療推進会議と大北5市町村長、5市町村議会議長の皆さんで、風間辰一議長、村上淳副議長に対し、
市立大町総合病院産科診療休止を受け、地域で安心して産み育てることのできる体制の維持充実の取り組み強化についての意見書を国に提出してほしい旨の陳情を行わさせていただきました。
その折、風間議長からは、県議会も全会一致で取り組み、国への対応を求めていくとの温かく力強い言葉をいただきました。国への意見書提出については現在準備を進めております。議員各位の御賛同をいただき、国への働きかけのお力添えを賜りますようお願いを申し上げます。
次に、山岳環境整備パイロット事業についてお伺いいたします。
県では、平成27年度から、八ヶ岳、中央アルプス、北アルプス北部など県内5山域の一部ルートについて、山域の山小屋や山岳観光関係者らと目指す将来像、山域デザインを議論し、その姿に沿った登山道整備を目指す山岳環境整備パイロット事業に取り組むことを明らかにいたしました。
そこで、この山岳環境整備パイロット事業に関して幾つかの質問を行います。
平成17年から平成18年にかけて、県生活環境部自然保護課は信州山岳環境保全のあり方の検討を進めてまいりました。その報告では、登山道整備に関する基本的な考え方を、「登山行為は自己責任のもと困難を克服する行為といった考え方を基本認識としつつ、山岳県長野として、貴重な山岳環境を保全し次世代に引き継いでいくため、また全国から訪れる多くの登山者を今後とも迎え入れていくため、最低限の継続的な登山道の維持・管理は必要である。」としております。
また、「安全性確保のための必要以上の整備は、自然環境に多くの負荷を与え維持・管理についても多額の経費を必要とするばかりか、自らの能力で困難を克服するという登山の醍醐味そのものまで失わせるものとなるため、登山道整備については、山岳環境の保全のための整備を基本とし、安全性のための整備は原則必要最小限に留めるべきである。」としております。
この報告にある登山道整備に関する基本的考え方は現在でも通用する考え方であり、現実的かつ実践的な内容となっております。
一方、この報告以降、県では、山小屋関係者とともに登山道の整備に取り組んできたわけでありますが、山ガールや中高年者など最近の登山者層の多様化を踏まえて、平成25年には山岳環境緊急総点検事業を実施し、全国に先駆けて県下の登山道の損傷状況等について一斉調査を実施いたしました。
さらには、この結果を踏まえ、平成26年からは、国、県、市町村、山小屋関係者などによる山岳環境連絡会という関係者の議論の場をつくり、登山道のあり方を含めて、山岳環境保全、適正利用について検討してきたものと伺っております。
連絡会では、2年をかけて山岳環境の保全と適正利用に係る方針を策定し、この方針に基づき今後の登山道整備を進めていくと伺っておりますが、今般提案いただいた平成27年度予算においてはまず山岳環境整備パイロット事業として実施していくということでございますので大変注目をしております。
そこで、以下、環境部長にお伺いをいたします。
今回の山岳環境整備パイロット事業は、これまでの県の登山道整備の施策の成果や課題を踏まえて新たに取り組まれる事業であると考えますが、この新事業が創設された背景と考え方について初めにお伺いをいたします。
次に、山岳環境整備パイロット事業の具体的な内容に関して質問をいたします。
この新事業は、何年程度、どれくらいの事業費で実施し、整備箇所数等どの程度の成果を期待しているのか。お尋ねいたします。
また、登山道の整備に関しては、過去の検討の中でも、例えば白馬岳の長野県側の登山道では、過去、整備を行っては崩れ、また整備を行っては崩れを繰り返してきたとの山小屋関係者の発言もございます。したがって、登山道は一度整備すればそれで終わりというのではなく、極端にいえば、ある場所は整備しても毎年のように崩れてしまうようなところもあるというのが登山道の大きな課題であると考えております。
このため、登山道整備は短期間で整備を終了しただけで終わるものでなく、継続的に取り組んでいくことが必要な事業であると考えますが、このことについて県としてはどのように対応していこうとお考えになっているのか。お尋ねをいたします。
いよいよ来年から山の日が祝日化されます。一足早く信州山の日を制定して、さらには信州山の月間を定めて、山からの恩恵を考え、山に親しむ機会を設けるなどの取り組みもスタートした本県であります。
国も、祝日化に向け、全国山の日フォーラムを来月初めて開催するなど動き出しました。フォーラムのメーンテーマは、「山の日と地方創生」、「山の日と山と自然の安全」が設定されております。山の日から地域の活力が生まれる、新しい森林創生が見える、安全のための地域整備を考えよう、安全のための知識と方法を考えようなど、さまざまな角度からの議論が重ねられる内容であります。
新年度以降、このような国の取り組みと県の取り組みを一体化して取り組み、山岳県長野の魅力を発信し、地域の活力に結びつけていくべきと考えます。
加えて、各市町村で取り組む事業については、県としての支援策、対応を行うよう林務部を初め関係部局に要望をさせていただきたいと思います。
さて、この山岳環境整備パイロット事業では、これまでの民間からの寄附を財源とした登山道整備から一歩踏み込んで新たな補助制度を創設して、全県を対象に整備を進めるということで、まさに世界水準の山岳高原観光地づくりを目指す本県にふさわしい、全国にも誇れる取り組みであると感じているところであります。
しかしながら、登山道にあっては、例えば大町市側からの宮田新道を活用した槍ヶ岳登山ルート及びカモシカ新道を活用した周遊ルートなど、さまざまな理由から現在廃道となっているものの、再整備により山を生かした、地方創生にも貢献できるルートがございます。
今後に向けてはこうしたルートの再整備も課題と考えますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
〔環境部長山本浩司君登壇〕
◎環境部長(山本浩司 君)山岳環境整備パイロット事業につきまして4点順次お答えをいたします。
初めに、この事業が創設された背景と考え方についてのお尋ねでございます。
最近の登山をめぐる情勢としましては、登山者層の多様化に伴い自己責任に対する認識が希薄化してきていること、山岳遭難の多発の要因の一つが登山者と山岳レベルのミスマッチであることが挙げられます。
また、登山道の整備上の課題としても、国、県、市町村、山小屋関係者等の山域関係者間で将来ビジョンが共有されていないこと、平成25年度の登山道一斉調査により300の危険箇所が判明いたしましたが、青森県の奥入瀬渓谷における事故を契機に管理者責任問題が表面化し、行政機関が登山道整備にかかわりづらくなっていることなどが挙げられます。
これらの課題を踏まえる中で、世界水準の山岳高原観光地づくりを目指すため、まずは登山道を今後整備するに当たっての基本方針を策定することとし、昨年、国、県、市町村、山小屋関係者により長野県山岳環境連絡会を発足させ、検討を進めてまいりました。
今回、この検討経過を踏まえ事業案につながったわけですが、事業の基本的な考え方としましてはまずは基本方針を策定をしてまいります。基本方針は、一つとして、山域関係者による山域の将来像、山域デザインの検討、共有、二つとしまして、山域デザイン、また想定される登山者にふさわしい整備、三つとしまして、山域の関係者による協働での維持管理体制の構築などを内容とし、これによりそれぞれの山域にふさわしい山岳環境の保全と適正利用を図り、世界水準の山岳高原観光地づくりを目指そうとするものでございます。
次に、事業の具体的内容についてのお尋ねでございます。
この事業は、5年間で全ての危険箇所を解消することを目指し、まず来年度は山岳環境整備パイロット事業としまして3,000万円余の予算によりまして5山域において山岳デザインの共有や協働管理体制の構築について実証的に取り組みつつ、その上で登山道の修繕等を進め、そこで得た知見を踏まえ基本方針を策定してまいります。
その後、その方針に基づき、残る危険箇所の解消を進めながら、山の将来像や山の雰囲気にふさわしい必要最低限の整備手法等を定着させつつ、県下10山域における山域ごとの協働管理体制の構築を進めていくこととしております。想定します事業費は全体で2億4,000万円を見込んでおります。
次に、継続的な登山道整備についてのお尋ねでございます。
平成25年度の登山道一斉調査によりまして、山小屋関係者等による日ごろの継続的な維持管理が行われている山域では施設の数に比べ荒廃箇所が少ないことが判明し、議員御指摘のとおり、継続的な維持管理が大切であると考えております。このため、山域関係者の協働管理体制を構築することにより、最小化された経費による持続可能な登山道へと移行させていきたいと考えております。
最後に、廃道となった登山道の再整備についてのお尋ねでございます。
山域デザインを検討していく中では議員御指摘のようなケースも今後想定される課題であると認識をしております。当面、既設登山道の整備を進めることが優先課題と考えておりますが、まずは山域デザインを議論していく中で十分検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔31番諏訪光昭君登壇〕
◆31番(諏訪光昭 君)国も、実は、かつての槍ヶ岳へのメーンルートだった大町市側からのルート整備には関心を寄せております。今後、国、関係する地元を初めとする関係者との検討を進めてほしいと考えますが、環境部長の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
〔環境部長山本浩司君登壇〕
◎環境部長(山本浩司 君)大町市側から槍ヶ岳へのルートの整備についてのお尋ねでございます。
議員御指摘のルートにつきましては中部山岳国立公園の核心地域であることから公園計画上の位置づけ等の課題がございますけれども、今後、国、市町村、地元の皆さんと山域デザインを協議する中で検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔31番諏訪光昭君登壇〕
◆31番(諏訪光昭 君)登山道の整備に関しては、これまで、山小屋、そしてまた登山案内人組合等関係者の皆さんの協力と支援によって成り立ってきたといって過言ではございません。今回のパイロット事業のスタートを契機といたしまして、国、県、そして関係する皆さんと一体となって山の安全管理のためにぜひお取り組みをいただくようお願いを申し上げる次第でございます。
以上で質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(風間辰一 君)次に、甕裕一議員。
〔10番甕裕一君登壇〕
◆10番(甕裕一 君)地方創生の戦略づくりについて質問いたします。
今定例会開会日の知事の議案説明の際の地方創生の戦略づくりの部分では、今後の人口減少の見通しについて言及し、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略で結んでいます。また、昨年10月と本年1月に国に提出された地方創生に係る提案書では、前書きの部分で地方の人口流出と少子・高齢化について強調され、地方に仕事をつくる、地方への人の流れをつくるなど地方が直面している幅広い課題に及んで国に提案しています。
そこで、まず基本的な認識としてお尋ねしますが、県として、地方創生とは、さまざまな課題はありますが、人口減少問題が基本という認識でよいのでしょうか。企画振興部長にお尋ねいたします。
地方創生に係る提案書は、昨年10月22日に知事名で石破地方創生担当大臣宛てに、本年1月8日に、知事、県市長会会長、県町村会会長の連名で担当大臣と県選出国会議員宛てに提出されたと聞いております。この二つの提案書は内容的にはほぼ同じであり、10月に提出した提案書を1月のものが踏襲している形でありますが、1月の提案書では地方分権に関する項目が2項目追加されており、また、提案書とともに、地方創生に係る県の事業例、地方創生に係る市町村の想定事業例が添付資料として提出されたと聞いております。
この事業例は、クラウドファンディングの活用や芸術家の育成など、一見、地方の人口減少問題と無関係なものも含まれているように思えますが、クラウドファンディングは仕事をつくり、芸術家の育成はクリエーティブな人材を育て地方への人の流れをつくるもので、広い意味での人口減少対策であると私は理解しました。
このほか、県の各部局や市町村からさまざまな要望が上がったようでありますが、事業例を国に対して提案書にまとめる過程で、地方税財源の充実強化や権限移譲、規制緩和等の地方分権に関する議論、また市町村からの要望の位置づけなどはどのように議論が行われてきたのでしょうか。その経緯について企画振興部長にお尋ねいたします。
総合戦略の策定に当たっては若い世代の意見を反映させたいと議案説明の際に知事はおっしゃいました。若い世代とは、具体的に、どの年代に対して、またどの職層に対してどのような方法で意見募集を行うお考えでしょうか。
また、今回に限らず、さまざまな計画や戦略等をつくったとしても県民に余り知られていないのが県政運営の実情であります。もちろん、我々議員の情報発信の努力不足もあるかとは思いますが、戦略の策定から実施に至るまで県民にどのように周知を図っていくお考えなのか。企画振興部長にお尋ねいたします。
長野県人口定着・確かな暮らし実現会議の構成団体は、県、市長会、町村会を初め、産業関係、農業団体、労働団体の体制で組まれていますが、医療、福祉、教育関係や建設関係の団体が入っていません。医療・福祉関係者や建設業界の要望はどのように反映されているのでしょうか。企画振興部長にお尋ねいたします。
長野県人口定着・確かな暮らし実現会議の第1回の会議の中で参考資料として使われた「長野県の人口の現状」という資料の中で、毎月人口移動調査の長野県の人口増減のグラフが示されています。そのグラフを見ますと、中央道が駒ヶ根から中津川まで開通した昭和50年、中央道の岡谷ジャンクションから岡谷インターまでが開通した昭和61年、上信越道が小諸から更埴まで開通した平成8年、そして、長野五輪開催の平成10年には、いずれも長野県の人口は大きく減少しており、一方で、東日本大震災が発生した平成23年は被災者の受け入れ等で若干ふえています。もちろん、人口増減の理由はそれだけではないと思いますが、過去の傾向を見ますとインフラ整備や自然災害が人口増減に大きく影響を受けているように思われます。
本年は、北陸新幹線が金沢まで延伸され、また前年に県内各地で多くの自然災害が発生しており、過去の傾向からしますと急激な人口の落ち込みが懸念されるということも想定されるのではないかと思います。
人口減少対策にはなかなか特効薬はありませんが、何らかの対策を早急に講じる必要があるかと思われますが、現状はいかがでしょうか。企画振興部長に伺います。
また、ことしは5年に一度の国勢調査の年でもあります。東日本大震災発生後の初めての国勢調査であり、人と物の流れがどう変化しているのか注目されていると思います。予測と異なる結果が出た場合、総合戦略に与える影響はあるのでしょうか。
以上、企画振興部長にお尋ねいたします。
地方創生のフロントランナーとなるべく全庁を挙げて取り組むと今定例会の議案説明で知事が御決意を表明されたことにつきましては、先日の代表質問から数日来議論が重ねられてきており、長野県の特徴を生かして五つの基本的視点に取り組むものと理解しております。
ただ、先日の日経新聞の記事にもありましたが、全国の自治体の約9割が地方創生を背景に予算を増額していると言われています。全国のほとんどの自治体が地方創生関連の予算を増額しているという中で、本県があえてフロントランナーとなるためにはどのような努力をしているのでしょうか。その点は知事にお尋ねいたします。
〔企画振興部長原山隆一君登壇〕
◎企画振興部長(原山隆一 君)地方創生の戦略づくりにつきまして質問をいただきました。
まず、地方創生は人口減少問題への対応を基本認識とするのかというお尋ねでございます。
地方創生は、我が国が直面する人口減少問題を真正面から捉えて、人口の減少に歯どめをかけ、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保する取り組みというふうに認識しております。
このため、さきに公表いたしました「人口定着・確かな暮らしの実現に向けた施策展開の方向性(中間取りまとめ)」では、まず、人口の自然減を抑制する「みんなで支える子育て安心戦略」、人口を社会増に転換させる「未来を担う人材定着戦略」、そして、本県で子供を産み育て住み続けるための仕事と収入を確保する「経済自立戦略」、最後に、人口減少下においても活力ある地域社会を維持するための「確かな暮らし実現戦略」、この四つに取り組んでいくこととしているところでございます。
続いて、国への提案に関する経緯についてのお尋ねでございました。
国がまち・ひと・しごと創生本部を9月に立ち上げたことから、本県としてはいち早く考えを国に示すことが大事だというふうに考えまして、10月22日に知事が石破地方創生担当大臣と直接お会いして提案をさせていただきました。その後、11月に開催いたしました県と市町村との協議の場におきまして、国への提案を含め、県と市町村が力を合わせて地方創生に取り組むという確認をしたことを受けまして、1月8日に県と市長会、町村会で共同提案を行ったところであります。
協議の場におきまして、地方創生を考える上では地方分権の推進が不可欠だという御意見を頂戴いたしましたことから、1月の提案では地方分権に関する項目を追加したところであります。また、その際、地方創生に係る事業例をあわせて説明させていただきましたけれども、これは、県、市町村ともに独自の取り組みを始めていることを具体的に御理解いただくという趣旨で行ったものでございます。
三つ目でございますけれども、総合戦略の策定における県民意見の反映についてでございます。
地方創生の取り組みは10年、20年先の地域の姿にかかわることでありますので、若者の意見を反映させていくことが特に重要だというふうに考えております。このため、2月12日には、「若者とともに進める信州創生」をテーマに県政タウンミーティングを開催しまして、20歳代、30歳代の若者と知事が議論を行いました。今後、中高生や大学生にも対象を広げて意見交換を行うとともに、テーマによっては女性に絞った意見交換も行ってまいりたいと思っております。
また、今後、総合戦略の策定を本格化させていく中で、施策を固める前に将来展望やそれに向けた施策展開をわかりやすくホームページやパンフレットでお示ししながら、各種会議での意見交換やパブリックコメントを実施し幅広く県民から意見をお聞きする予定にしております。
総合戦略の策定段階から実施までわかりやすい情報発信に努めるとともに、県民の皆様と目標を共有できるような双方向での意見交換の機会を設けてまいりたいというふうに考えております。
次に、医療、福祉、教育、あるいは建設分野の要望反映についてのお尋ねでございます。
地方創生の取り組みは、医療、福祉、教育、あるいは建設に限らず、さまざまな分野に及びます。全ての関係団体に長野県人口定着・確かな暮らし実現会議に参画していただくことは困難でございますことから、産官学労の代表的な団体に参画していただいております。
このため、お尋ねにありました医療、福祉等々の分野なども含めまして、部局長などが中心となって関係団体と意見交換を行いながら、意見を的確に把握し、施策構築に反映させてまいります。
また、住民に最も身近な基礎的自治体であります市町村におきましても、そういった分野におきましてさまざまな御意見を把握しているということでございますので、県と市町村との協議の場や地域戦略会議等で市町村との意見交換も十分に行いまして総合戦略に反映させてまいりたいと思っております。
それから、北陸新幹線延伸あるいは自然災害、そういった事象にあわせた人口減少対策についてというお尋ねでございます。
人口の社会減につきましては、御指摘の高速交通網整備によって大都市圏と結ばれた影響、あるいは自然災害といった点もあろうかと思いますが、その時々の景気動向、長期的な東京圏への人口集中傾向などが複雑に絡み合ったものであろうというふうに考えております。
北陸新幹線の延伸につきましては、これを好機として生かすべく、市町村や経済界と連携した観光誘客や企業交流の促進、首都圏等での集中的な観光プロモーションなどに取り組んでいきますし、また、防災対策につきましても重点的に取り組んでいくこととしております。さらに、総合戦略の策定に先駆けまして、当面の対策を平成27年度予算案に計上したところであります。
こうした取り組みを着実に実施するとともに、さらに本格的な総合戦略を策定し、人口定着と確かな暮らしの実現に向けて腰を据えて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
それから、最後に、国勢調査結果の人口推計への影響についてでございますが、総合戦略では、人口の将来展望を明らかにして、これを前提として施策を構築することとしておりますが、人口の将来展望は、直近の人口動向をもとに、今後の出生、移動等の前提を置いて推計を行うということとしておりますので、平成27年の国勢調査の結果によって中長期的な見通しが大きく変動することはないんではないかというふうに考えております。このため、現時点では、平成27年国勢調査人口の結果によって「施策展開の方向性」を見直すことは現時点では想定をしていないということでございます。
以上です。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)地方創生のフロントランナーとなるための努力、どんなことをしているのかという御質問でございます。
地方創生、御指摘のとおり、各都道府県、市町村、用意ドンで取り組みを始めているわけでありますけれども、ただ、この視点は別に全く新しいわけでは必ずしもないわけでありまして、私どもが今進めております、しあわせ信州創造プランの中でも、活動人口増加プロジェクトであるとか、さまざま地方創生の動きに関連したことを既に着手して実行してきております。
今後、他の地域と競っていく上では、これまで我々が取り組んできたものをもう一回点検してしっかりと徹底的に実行していくということがまず重要だと思いますし、それとあわせて、新しい視点に立ってさまざまな知恵を出し、県内全体の英知を結集して、そして関係する皆さんと力を合わせていくということが重要だというふうに思っています。
そういう観点で、私ども、人口定着・確かな暮らし実現会議、昨年9月の段階で、極めて早い段階で立ち上げさせていただいておりますが、他の県は庁内組織にとどまっているというところも多い中で、産業界、労働界、市町村、関係の皆様方の参画を得てスタートしています。
私は、この実現会議、単なる県の審議会とか委員会とは違うわけでありまして、ぜひ皆さんからどんどん御意見いただきたい、そして、一緒になって実現に向けて行動していただきたいというお話をさせていただいております。そういう意味で、県内の英知を結集して力を合わせていくという努力をスタートさせています。
また、市町村との関係は、同じ地方公共団体ということでパートナーであり、同じ方向を向いて取り組んでいく必要があるわけであります。そういう意味で、昨年12月25日の段階で子育て支援戦略を取りまとめたわけでありますけれども、これは市町村と共同して取り組んでいく一つの大きなモデルになり得るものというふうに思っています。今後も市町村と力を合わせていきたいと思いますし、既にその具体的な取り組みを本県では行ってきているところであります。
それから、もう1点、国との関係も極めて重要であります。交付金事業の活用を含めて、国との関係の中で地方創生の取り組みを進めていかなければいけない部分がさまざまあります。そういう観点で、まち・ひと・しごと創生本部、国が設置して間もなく、石破茂地方創生担当大臣、直接お伺いして大臣のお考えを直接把握をすると同時に、私ども長野県の考え方ということもお話をさせていただいて、政府の考え方にも地方の声というものも取り入れていただくようにしているところであります。
今後とも、今申し上げましたような県内のさまざまな組織、団体、そして市町村、さらには国としっかり連携を図りながら、全ての英知を結集して徹底的な実行を行っていく、そういうことで、地方創生のほかの県に負けない政策づくり、そして具体的な成果というものにつなげていきたいというふうに考えています。
以上です。
〔10番甕裕一君登壇〕
◆10番(甕裕一 君)それぞれ御答弁いただきました。先日公表されました「人口定着・確かな暮らしの実現に向けた施策展開の方向性(中間取りまとめ)」、この中で、「多様な主体と協働した策定・実行」というふうにありますので、今後は数値目標を設定してPDCAサイクルで回すということですので、県民全体で共有できるようにぜひともわかりやすくお示しいただきたいというふうに思います。
次に、相続税の基礎控除額の引き下げについて質問いたします。
相続税は国税でありますが、納税者にとっては国税、地方税に関係なく税負担がふえることは切実な問題であります。
本年1月より相続税の基礎控除額が引き下げられました。昨年までは5,000万円プラス法定相続人1人当たり1,000万円だった基礎控除額が、3,000万円プラス法定相続人1人当たり600万円に引き下げられて、首都圏の一部では課税対象世帯が倍増するとも言われています。
首都圏とは評価額の違い等もありますが、課税対象世帯は一定程度ふえ、持ち家の比率も高く農地も多い本県においては、空き家や耕作放棄地の相続や事業承継等で負担のふえる県民も一定程度発生するものと思われます。また、長寿県の本県ならではの課題も見えてくるのではないかと思います。
相続財産は不動産に限らず人それぞれであり、個人の金融資産等はプライバシーの問題等もありますのでなかなか情報を把握することも困難だとは思いますが、今回の基礎控除額の引き下げがどのような影響を及ぼすとお考えでしょうか。
生前贈与や相続時精算課税、子や孫への教育資金の一括贈与などの情報は一般に余り知られていないため、相続、贈与対策のメリット、デメリットを県民に広く周知する必要があると思われますが、いかがでしょうか。太田副知事にお尋ねいたします。
〔副知事太田寛君登壇〕
◎副知事(太田寛 君)相続税基礎控除額の引き下げによる影響、あるいはそれらの県民への周知についてのお尋ねでございます。
格差の固定化を防止する等の観点ということで、ことしの1月1日から国税であります相続税の基礎控除額の引き下げ等がなされたところでございます。これによりまして、相続税の課税対象者は全国レベルの予測では現行の4.2%程度から6%程度に増加するのではないかとの試算が行われております。これにつきましては、特に地価の高い都市部ほどその影響は大きいとされているところでございます。
本県においてどの程度例えば課税対象世帯がふえるのか定量的に試算することは困難ではございますけれども、格差是正に資する一定の効果があるものとは思われます。
一方で、個人の居住や事業の継続に影響する面があること、これも事実でございまして、国税であります相続税、贈与税のさまざまな制度につきましても、県税、国税、市町村税の3税協力という立場で、例えば地方事務所の窓口に国税庁のパンフレットを配置する等、可能な範囲で周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〔10番甕裕一君登壇〕
◆10番(甕裕一 君)3税協力ということであります。私は、個人的に、基礎控除が下がった分、相続時精算課税を選択しても110万円の非課税の贈与等の組み合わせができるようにとか、そんな改正があってもいいんではないかと思いますが、国税といえども県民の生活に影響を及ぼすようなものには提言していっていただきたいということをお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(風間辰一 君)この際、午後1時まで休憩いたします。
午前11時38分休憩
──────────────────
午後1時開議
○副議長(村上淳 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
木下茂人議員。
〔52番木下茂人君登壇〕
◆52番(木下茂人 君)まず最初に、農業振興に関する県の取り組みについて伺います。
我が国の農業の始まりは約3,000年前の縄文時代末期に大陸から稲作が伝来したことに始まるとも言われておりますが、それ以降の悠久の歴史の中で、山が多く平野が少ない国土や世界でも有数の雨の多い気候などの条件を上手に活用しながら狭い国土の中で耕作を営み、特徴ある国土づくりを行ってまいりました。
瑞穂の国と呼ばれた我が国の国土、風土、環境は、水と土に育まれ、先人のひたむきな努力で築かれた農業と農村の歴史によりつくり上げられてきたものと言っても過言ではないと考えているところであります。
国民の命を支える安全、安心な食をつくり出すために欠くことのできない農地や、農業者が暮らす豊かな自然や文化があふれる農村あるいは中山間地は、我が国の原風景ともいうべき国民の大切な財産であり、まさに国の礎であります。
このように、農業や農村は、我が国の国民生活のみならず、文化や景観や国土の保全など多面的な機能を果たしてきているところでありますが、国の農業関係の政策の動き、あるいは少子・高齢化などの社会情勢の変化もあって大きな転換点にあると思います。
国の農業関係の政策の動向としては、安倍政権が平成25年の6月に閣議決定した日本再興戦略において農林水産業の成長産業化を掲げ、輸出額の増加、6次産業化の拡大、農地の集約・集積化の推進などを実行するための政策を進めております。
さらに、政府は、同年の12月に農林水産政策の基本構想である農林水産業・地域の活力創造プランを公表し、強い農林水産業と美しく活力のある農山漁村を実現するため農業・農村政策を大きく転換し、輸出の促進や日本型直接支払制度の創設などの施策を昨年4月からスタートさせたところであります。
一方、農業を取り巻く社会情勢の変化につきましては、昨年5月に、民間団体ではありますが、日本創成会議の人口減少問題検討分科会が推計した消滅可能性都市は社会に大きな衝撃を与えたところであります。20歳から39歳の女性が2040年に2010年の半分になる自治体は県内の34市町村を含む896市区町村が挙げられておりますが、人口が1万人を割る自治体は消滅する可能性が高い自治体と位置づけられております。
さらに、昨年7月には、国土交通省が、2050年を見据え、未来を切り開いていくための国土づくりの理念や考え方を示した国土のグランドデザイン2050を策定しましたが、2050年には現在の居住地域の6割以上の地点で人口が半分以下に減少し、うち2割が人の住まない地域となることが予想され、まさに農村や中山間の地域が消滅する危機にあるという状況であります。
国においては、このような地方の状況を踏まえ、地域の活力を維持し、東京への一極集中に歯どめをかけ、少子化と人口減少を克服することを目指すため、まち・ひと・しごと創生本部を設置し、地方創生関連法も制定したところであり、農業や農村、中山間地の抱える課題への次元の異なる大胆な政策が求められているところであり、県や市町村からの画期的な提言を行うことが重要と考えるところであります。
農業や農村を取り巻く厳しい状況につきましては県議会としましても以前より危機感を抱いているところであり、本県の食と農業及び農村の振興を図ることが肝要と考え、私も委員として検討を行った長野県食と農業農村振興の県民条例を平成18年に議員提案により制定したところであります。
県においては、条例に基づく食と農業農村振興計画を策定し計画的に施策の展開を行っているものであり、平成20年度から24年度までを実施期間とする第1期計画に続き、平成25年度から29年度までの第2期計画を実施しているところであります。
このような状況を踏まえた上で、農業振興に関する県の取り組みについて以下質問をいたします。
一つとして、国の農業・農村政策の大転換を踏まえ、県は食と農業農村振興計画の第2期計画について取り組みの強化や目標数値の変更を行うものと聞いておりますが、その変更内容について農政部長にお伺いをいたします。
続いて、政府においては、食料・農業・農村基本法に基づく食料・農業・農村基本計画について、農林水産業・地域の活力創造プランを踏まえ、審議会で基本計画の見直しを行っており、本年の3月に新たな基本計画案を答申し、閣議決定を行うこととしております。
国の新たな基本計画を踏まえた上で本県の食と農業農村振興計画の変更は実施されるものと考えておりますが、どのように反映されたのか。農政部長にお伺いをいたします。
また、本県の農業・農村の多面的機能を将来にわたって維持していくことは大変な困難と努力が必要であり、そのためにも本県の食と農業農村振興計画が計画的に実施され、目標以上の大きな成果を上げることを期待するところであります。
ただし、さきに述べましたように、本県を初めとした農業・農村を取り巻く環境は厳しいものがあり、地方創生という国を挙げての次元の異なる大胆な取り組みが必要と考えます。今般の食と農業農村振興計画の第2期計画の変更におきましても地方創生の取り組みとの整合を図るとされておりますが、具体的にどのような点について整合を図っているのか。農政部長にお伺いをいたします。
次に、企業局のあるべき姿についてお伺いをいたします。
まず、長野県企業局の将来的な事業展開について伺います。
地方公営企業は、料金収入により経営を行う独立採算制を基本としており、住民生活に身近な社会資本を整備し、住民に必要なサービスを提供しております。
しかし、我が国全体のトレンドではありますが、人口減少という課題があり、全国的には、人口減少に伴う料金収入の減少や、高度成長期に多くが建設された施設等の老朽化に伴う更新投資の増加などの経営上の問題があります。
地方公営企業は、この厳しい経営状況を踏まえた上で住民サービスを継続的に提供していかなければなりませんが、昨年8月に総務省は地方公営企業に対して経営戦略を策定するよう要請したところであります。
長野県企業局においても、本年度、国からの要請を踏まえた新経営戦略を策定する予定と聞いていますが、県企業局の将来の経営ビジョンは、どのような視点で、どのような事業等を展開していく考えなのか。
公営企業管理者にお伺いをいたします。
次に、企業局PFI構想について伺います。
長野県内には77市町村がありますが、小規模な自治体が多く、役場の職員も限られることから、専門的な知識や経験が必要な水道事業の維持管理あるいは設備の更新については苦慮している自治体も多いものと考えられます。
既に報道されておりますが、県企業局が新経営戦略を策定する中で検討していくであろう企業局版PFI構想は、実現すれば県内の小規模自治体が経営する水道事業にとって大きな福音となるのではないかと期待するところであります。
しかし、新たな取り組みを実施するにはさまざまな課題や問題が生ずるものと考えておりますが、企業局版PFI構想を実現するに当たって具体的にどのような課題があるのか、またその課題にどのように取り組むのか。
公営企業管理者にお伺いをいたします。
次に、地方創生に資する県企業局のあり方について伺います。
さきに申し上げましたように、地方公営企業は独立採算制により人件費や費用を賄っておりますので、財源的に見れば一般的な行政機関とは異なる部分がありますが、県機関の一つとして地域に貢献していくという姿勢や取り組みは重要であろうと思います。
既に、県企業局では、平成26年度から、小水力発電のFIT(固定価格買い取り制度)で得られた利益を原資として自然エネルギー地域基金に拠出を行うなど、地域に対する一定の貢献を行っております。
企業局版PFI構想にあるような過疎自治体の水道事業への支援や土地改良区と連携した小規模発電モデル事業は地域社会の形成や地域資源の活用につながるものであり、場合によっては仕事の創出にもつながるのではないかと考えるところであります。
このように、県企業局の施策が地方創生に資するものとなるようにしていくことも地方創生の大きな果実を得るためには重要ではないかと考えますが、企業局版PFI構想を実現する場合のさまざまな課題、問題の解決に当たっては県機関全体が協力しなければならない部分もあると思います。
地方創生に資する県企業局のあり方について知事としてのお考えをお伺いいたします。
次に、しあわせ信州移動知事室について質問をいたします。
1月13日から17日にかけて、しあわせ信州移動知事室が各地に先駆けて伊那市で開催をされました。この取り組みは、阿部知事が2期目の県政を担当するに当たる最初の9月県会の所信の中で、広く県民と問題意識を共有し、ともに考え、行動することが重要であり、これまで以上に県民とのコミュニケーションを重視して県政運営を行う旨を述べておりますが、その一環のものと推察をいたします。
そして、知事が一定期間に一つの地域に腰を落ちつけて執務をすることで知事と県民のコミュニケーションの機会を新たに創出し、県民にとって身近な県政となり、対話による県政、知事による現場主義の実践、知事と現地機関職員との交流等を目的に実施されたものであります。
その伊那市での移動知事室では、現地機関の長や若手職員との対話を初め、小学校での信州あいさつ運動や、医療・農業関係者との意見交換、ものづくり企業訪問、JR飯田線に乗車しての登庁や、農家民宿に泊まり中山間地域の住民との対話等、盛りだくさんの日程をこなし、上伊那地域の印象をしっかりと把握していただいたことと思います。
私自身も、知事と市町村長との意見交換会に参加をさせていただきました。その中で、人口問題対策として国が進める地方創生に対する県や市町村の取り組みがテーマとして意見が出されました。広域で課題に取り組むには、県と市町村が将来像を共有した上で連携した取り組みが必要であると思いました。
また、県政タウンミーティングでの平成28年4月開校予定の南信工科短期大学校について、地域社会との連携のもと、地域にしっかり根づいた工科短大になるよう期待の大きいことを痛感をいたしました。
多くの要望があり、全部を直ちに実現することは大変でしょうが、何か一つでも二つでも地域の声が実現できれば県政に対する信頼も高まることと思います。
阿部知事も、伊那市で行われた移動知事室についての期待がいかに大きなものであったか実感されたことと思います。
伊那市民は、県が身近に感じられた、知事と直接話ができてよかったという一方で、知事に対する地方の先々で陳情・要望合戦になってしまうことには工夫の必要があるのではないかと思いました。過去の知事時代においても同じような試みが実施されましたが、その成果について私から申し上げれば、一定の評価はあったにせよ、十分な結果が出なかったように思われます。
この移動知事室は、最初でも申し上げましたが、阿部知事2期目の公約の一つで、知事が掲げる共感と対話の県政を進めるために行われたものでしたが、最初の移動知事室を終えられ、その率直な感想と、今後の県政の運営の中でどのようにつなげていく考えなのか。お伺いをいたします。
次に、長野県における自殺者が増加した問題について伺います。
先般、某新聞に昨年の自殺者数についての記事がありました。それによりますと、昨年の全国自殺者は前年に比べて1,909人(7%)少ない2万5,374人で5年連続の減少となり、これは、平成9年の2万4,000人台以降、17年ぶりの低水準とのことであります。国の自殺対策が地域でも浸透し、医療の苦痛緩和ケアが進んだことなどが要因ではないかと分析されています。
しかし、その一方、長野県の増加率が全国最高9.3%であったという事実には驚きました。昨年、県内で発見された自殺者は480人で前年比41人増と、増加幅も全国で最大ということでありました。2008年から減少を続けてきましたが、6年ぶりに増加に転じてしまったということであります。
自殺には、健康問題や経済、人間関係、虚無感によるものなどさまざまな要因が絡んでいると思われ、自殺防止には周囲の支援や理解が不可欠だと言われておりますが、大変難しい問題であると思います。
長野県は、第3回日本一住みたい田舎ベストランキング、移住したい都道府県別ランキングで9年連続1位、また、年代別でも、20代から70代まで、移住したい県として全年代トップは長野県とのことであります。全国からすばらしい評価をされている長野県でありますので、自殺増加率トップというのは大変ショックなことでありました。
長野県においては、自殺対策緊急強化事業を実施する中で基金を積み立て、その基金を活用して自殺者の減少に向けた電話相談や人材養成、普及啓発などの事業を進めておりますが、それらの事業が浸透していないのか。また、一方では、平成29年までに自殺者数430人以下の目標設定をしておりますが、達成できるのか心配になります。
他県においては、自殺対策条例を制定し、自殺者を減らすための対策強化を図る考えもあるようであります。
この自殺増加の原因をどのように捉えているのか。また、今後の取り組みについて知事のお考えをお聞かせ願います。
〔農政部長中村倫一君登壇〕
◎農政部長(中村倫一 君)農業振興に関します3点の御質問に順次お答えをいたします。
最初に、第2期食と農業農村振興計画の改定内容についてでございます。
今回の改定は、国が農林水産業・地域の活力創造プランを公表いたしまして我が国の農業・農村政策が大きく転換されることになりましたことから、国の新たな施策を最大限に活用いたしまして本県農業の構造改革を加速していくことを目的に行ったものでございます。
主な改定内容は4点でございまして、一つは、担い手への農地集積につきまして、農地中間管理機構の活用により集積率を当初目標から2ポイント引き上げまして53%とし、集積を加速することとしたものでございます。
また、二つ目は、水田農業の構造改革につきまして、経営規模拡大や県オリジナル品種でございます「風さやか」の作付拡大、情報通信技術を活用したコスト削減などの取り組みを進めまして稲作農家の経営力の強化を図ること。
さらに、三つ目は、多面的機能の維持、発揮につきまして、日本型直接支払制度の推進により水路や農道等を維持管理する共同活動の取り組み面積を当初目標の2倍の5万ヘクタールに拡大をすること。
加えて、4点目の農産物等の輸出促進につきまして、継続的な商業ベースの輸出を推進することによりまして輸出額を現状の4倍の5億円とする目標を新たに設定することなどを改定したところでございます。
2点目の、国の食料・農業・農村基本計画の見直しを踏まえた本計画の見直しについてでございます。
国の新たな基本計画につきましては、現在、食料・農業・農村政策審議会におきまして、農林水産業・地域の活力創造プランで示された基本方向に基づきまして見直し作業が進められているところでございます。
今回の本県の第2期計画の改定は、ただいま申し上げました活力創造プランを踏まえて行ったものでございまして、今月、国から示されました基本計画骨子案とも整合しているというふうに認識をいたしております。国の基本計画はこの3月に公表されるというふうに聞いておりますので、その内容を精査の上、必要に応じて対応を検討をしてまいります。
3点目の、第2期計画の改定と地方創生の取り組みとの整合についてでございます。
県では、国の地方創生の動きを踏まえまして、昨年9月に設置をいたしました人口定着・確かな暮らし実現会議等において議論を深めますとともに、県民、そしてまた市町村等との意見交換を経て、平成27年度に総合戦略を作成をすることといたしております。
今回の第2期計画の改定では、地方創生につきまして、今後策定される総合戦略に沿って活力ある農村の創造に向けた施策を実施していく旨を追記をいたしたところでございまして、具体的な施策につきましては今後総合戦略と整合を図りながら検討をし、食と農業農村の振興、ひいては地方創生にしっかりと取り組んでまいることといたしております。
以上でございます。
〔
公営企業管理者小林利弘君登壇〕
◎
公営企業管理者(小林利弘 君)お答え申し上げます。
最初に、新年度策定予定の経営戦略に関するお尋ねでございます。
地方公営企業を取り巻く情勢は議員御指摘のとおり大変厳しいものがございますが、それだけに、企業局には、サービスの安定的提供に向けた不断の努力と、将来にわたり公共の福祉を増進し、地域に貢献していくため、経営環境の変化に的確に対応していくことが求められているものと認識しております。
そこで、こうした認識を踏まえ、経営戦略に当たりましては、まず今後10年間の投資と収益のバランスの確保を図る経営の安定という視点を位置づけたいと考えております。
具体的には、電気事業にあっては、老朽化している施設の建設順位の検討に加え、先日もお答えさせていただきましたが、PFIの活用研究の推進など、また、水道事業にあってはアセットマネジメント(長期的な収支見通しを踏まえた資産管理手法)に基づく更新計画に加えまして、優先度も考慮した耐震化の推進などを検討するとともに、資金の運用方法についても改めて検討してまいります。
また、企業局の新たな役割として、地域を支える新たな取り組みの位置づけを検討し、地域への貢献を果たすべく取り組んでいきたいと考えております。さらに、電気事業者として、また水道事業者として住民生活の安全、安心の確保という責任を確実に果たすため、リスクマネジメントの視点も位置づけたいと考えております。このことにつきましては、既に企業局全職員の参加により、自然災害以外にも対応した危機管理事象につきまして約200項目の洗い出しを進めてきております。今後、これらへの対策について、優先順位も含め、具体的に検討してまいります。
いずれにいたしましても、職員一丸となって新しい企業局の将来像をしっかり描いてまいりたいと考えております。
次に、小規模自治体が経営する水道施設の整備等への支援についてのお尋ねでございます。
地域貢献の視点からいわゆる企業局版PFI構想として考えている仕組みは、企業局の人的資源を生かし、過疎町村の老朽化した水道設備の更新に向けた計画づくりから、資金調達、設計発注、施工管理まで一括して支援を行えないかというものでございます。
しかし、現行制度におきましては、企業局が直接資金調達をする場合、市町村のように過疎債等の有利な活用が難しいこと、また、市町村からの返済期間を例えば水道管の耐用年数である40年に延長できないことなど、主に資金面に課題が見受けられるところでございます。
そのため、国に対し、企業局の取り組みを総合的にバックアップしてもらえるよう、財政面及びスキームづくりへの支援を強く要請してまいりました。
その後、国からは、昨年秋に改正された地方自治法の規定に基づき、市町村と企業局が規約を締結し、双方の議会の議決を経て企業局が一括して事業を担うという事務の代替執行制度を活用できるのではないかという御示唆をいただくとともに、水道事業の企業債償還期間を30年から40年に延長するとの方針が示されたところでございます。
いずれにしましても、事務の代替執行制度は、まだ先例もなく、具体的な進め方も不明確な面もありますことから、今後とも、国と密接に連携し、具体化に向けてなお一層努力してまいります。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)御質問に順次お答えしてまいります。
まず、地方創生に資する企業局のあり方についてという御質問でございます。
木下議員におかれましては、昭和36年から約10年間、企業局の草創期の礎づくりに御尽力されたというふうに伺っております。そうした思いを込めての御質問というふうに受けとめております。
美しい信州にいつまでも安心して住み続けていただくため、そして県外からも多くの皆様方にお越しいただいて暮らしていただくためには、暮らしの根幹であります水道あるいはエネルギーがしっかりと確保されているということが必要であります。こうしたものの確保、まさに人口定着、地方創生につながるものというふうに考えております。
その上で、今回、企業局が、経営戦略策定に向け、企業局の持つ技術力、信用力等を活用して地域貢献という新たな役割を担うべく過疎町村への支援に一歩踏み出そうとしていることは、これまでの枠にとらわれない新たな発想として大変意義深いというふうに受けとめています。
県が策定を進めております人口定着・確かな暮らし実現総合戦略は全庁挙げてつくり上げていくものでありますし、企業局の取り組みにも大いに期待をしているところでございます。
私としても、企業局の取り組みに対して必要な協力を行っていく考えでありますし、企業局では、引き続き、社会情勢の変化を的確に捉えた上で、地方創生の視点でさらに挑戦を繰り返していっていただきたいというふうに考えています。
次に、しあわせ信州移動知事室についての感想という御質問でございます。
まず、上伊那の皆様方には、大変、今回の移動知事室、お世話になりました。改めて感謝を申し上げます。
木下議員の御質問にもありましたが、さまざまな皆様方と対話をさせていただき、そして飯田線での通勤、あるいは小学校での挨拶運動ということで、日常の暮らしにもかかわらせていただき、また、24時間滞在する中で、朝の風景、夕刻の風景、さまざまな伊那谷の景色の移り変わりということも実感をさせていただきました。そういう中で、上伊那地域の可能性、将来性ということについて改めて実感すると同時に、さまざまな課題についての理解も深めることができたというふうに考えております。
県庁におりますと、ともすると視点がどうしても長野市を起点とした視点ということになりがちでありますけれども、継続的に上伊那に滞在して仕事をさせていただいたことで私自身も県全体を新しい視点で見るということができましたし、多くの気づきがございました。地元の首長の皆さんなどからは、県が身近に感じられた、また、県との関係も一層強まったという御評価もいただいております。
今後とも、県民の皆様方と県庁、県政との距離を近づけて、身近に県行政を感じていただくために、移動知事室、実施をしていきたいと考えております。
地域の皆様方と対話をする中で、しかしながら十分私ども県の取り組みが伝わっていないなというふうに感じることもございました。県民の皆様方から見た場合には県としての発信あるいは情報伝達が弱いというふうに感じられている部分もあろうかと思いますので、そうした点についてはさらに改善をしていきたいというふうに思いますし、また、移動知事室を通じていろいろな御意見等も伺っております。そうしたものを組織の中で共有をさせていただいて今後にしっかりと生かしていきたいと考えております。
それから、自殺についてでございます。
自殺の増加の要因、どう捉えているのか、また、今後の取り組みについてどうかという御質問でございます。
本県における自殺者の動向、県警察本部の統計によりますと、平成20年598名から5年連続で減少してきたわけでありますが、平成25年には439名ということで減少しました。しかしながら、平成26年の速報値で480人ということで、全国的には減少している中で本県においては前年を上回ってしまったということで、私も木下議員同様大変ショックを覚えたところでありますし、極めて憂慮すべき事態だというふうに認識をしております。
県警察本部で発表した概要資料によりますと、年齢別では20歳代、30歳代、50歳代、職業別では非雇用者、勤め人、原因・動機別では勤務問題など、こうした方々が前年に比べて増加をしてきているということはわかっております。
県としては、こうした事態を重く受けとめまして、より詳細な分析を行っていくことが必要だというふうに考えております。そのため、現在、精神保健福祉センターにおきまして、県警察本部から、平成25年、そして平成26年における職業あるいは原因・動機別の個別のデータの提供を受けて分析を進めているところでございます。
現在わかっている状況から見た場合、平成27年度、まずは働き盛りの世代への取り組みを強化することが必要だというふうに考えております。このため、これまで余り実施してきておりませんでした個別の企業の皆様方に向けた、身近な人の悩みへの気づきや見守りを担っていただくゲートキーパー養成研修、これについて県から講師を派遣をさせていただいて集中的に取り組んでいきたいと思います。これによりまして、これまでは年間5,000人程度ゲートキーパーを養成してまいりましたが、企業において新たに2,000人養成をすることによって、あわせて7,000人以上養成するということを目標にして取り組んでまいります。
また、先ほど申し上げましたように、現在、詳細な分析中でございます。年度途中におきましても、この結果を踏まえて必要があれば対策をさらに強化をしていきたいと考えております。
自殺につきましては、さまざまな要因が複雑に関係して心理的に追い込まれた結果というふうに言われております。これを防ぐ上では社会全体の支援が必要でございます。
県としても、部局横断的に取り組むとともに、国や市町村、企業、その他関係団体などともしっかりと連携協力をしながら、自殺に追い込まれる方がない社会を目指して取り組んでまいります。
以上でございます。
〔52番木下茂人君登壇〕
◆52番(木下茂人 君)ただいま答弁をいただきました。
阿部知事におかれては、ぜひ、県民の幸せのため、県政推進のため全力で対応していただくことを切に願う次第であります。
さて、私も、これまで5期20年の県議活動を続けてまいりましたが、このたび引退することを決断したところであります。この間、知事を初め行政機関の皆さん、また、先輩議員、同僚議員を初め、地域の皆さん、そして多くの人たちに支えていただいたことに感謝を申し上げるところでございます。この場をおかりいたしまして改めて心から御礼を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
以上で私の質問を終わらせていただきます。
○副議長(村上淳 君)次に、山岸喜昭議員。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)順次質問に入ります。最初に、地方創生について伺います。
昨年11月、まち・ひと・しごと創生法と地域再生法の一部を改正する法律の地方創生関連2法案が成立し、これを受けて、国は長期ビジョン、総合戦略を閣議決定をしたところでございます。
人口減少とそれに伴う地方経済の縮小を克服していくことはどの地方にとっても喫緊の課題であり、県においても、また県内の市町村においても地域特性に応じた地方版総合戦略の策定が必要であると思うところであります。
知事にお聞きします。
県においては既に人口定着・確かな暮らし実現会議を設置して議論が進められており、また市町村においても取り組みが始まっておりますが、地方創生に対する考え方と今後の進め方についてお聞きします。
平成27年度中に策定することとなる地方版総合戦略について、現在、県の総合5カ年計画、しあわせ信州創造プランがスタートして2年経過したところであります。当然、このプランにおいても人口減少への対策は考えられているが、このしあわせ信州創造プランと地方版総合戦略との関係はどうなるのか。お聞かせください。
続いて、企画振興部長にお聞きします。
地域の特性を踏まえた地方版総合戦略の策定は、県内に多い小規模町村にはかなりの重荷になると思うところであります。県内77市町村全部で地方版総合戦略を策定することが努力義務になっており、既に地方版総合戦略の策定に向けて動き出している市町村もあります。
今後、県の戦略と市町村の戦略とが並行して検討されていくことになると思うが、地方の戦略は国の戦略と比べより具体的な取り組みを迫られるが、77市町村がばらばらでなく、互いに連携し、相乗効果を上げるような調整を県として行っていくべきと考えるが、いかがでしょうか。
また、整合を図る過程では、より住民に近く、その声を反映しやすい市町村側の考え方に軸足を置くべきと思うが、現在、県の人口定着・確かな暮らし実現会議における議論が先行して行われているが、特に本県においては地域ごとに環境や特性が大きく異なっており、県の会議で方向性を決めていくことに難しさがあるように思われます。
地方創生における県と市町村の役割、またそれぞれの戦略の守備範囲についてのお考えをお聞かせください。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)しあわせ信州創造プランと人口定着・確かな暮らし実現総合戦略との関係についてという御質問でございます。
しあわせ信州創造プランは県政運営の基本となります総合計画でございます。人口減少社会の到来を見据えて、誇りある暮らし実現プロジェクトあるいは活動人口増加プロジェクト、こうしたプロジェクトを推進しているところでありますが、国が地方創生として取り組もうとしている考え方、方向性、先取りしている部分があるというふうに考えています。
人口定着・確かな暮らし実現総合戦略におきましては、しあわせ信州創造プランの取り組みを着実に進めていくことはもとより、人口減少の抑制と人口減少を踏まえた地域社会の維持、活性化の施策分野について、新しい視点も加えて、基本的方向性や具体的施策を取りまとめて実行してまいります。
また、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略は平成27年度から31年度までの5カ年間を対象としております。しあわせ信州創造プランの計画期間は29年度までになっておりますが、その以後も見通したものという形で取りまとめていきたいと考えております。
以上です。
〔企画振興部長原山隆一君登壇〕
◎企画振興部長(原山隆一 君)まず、地方版総合戦略策定における連携についての御質問でございます。
県の総合戦略と各市町村の総合戦略がばらばらでなく、目標設定や施策の方向性について整合性をとりながら策定していくことが重要であるというふうに考えております。
既に、地方創生の主要な分野であります少子化対策については、昨年12月に長野県子育て支援戦略を県と市町村との協働のもとで取りまとめておりますが、今後、他の分野におきましても県と市町村との協議の場などを活用して進めてまいりたいというふうに考えております。
同時に、市町村同士がさまざまな分野におきまして広域的な視点で連携して取り組んでいくこと、これも重要な視点でございます。これにつきましては、広域圏ごとに県と市町村とで設置しております地域戦略会議におきまして一つの市町村だけで完結しない広域的課題とその進むべき方向性について議論を行いまして、問題意識の共有を図りながら、県、そして各市町村の総合戦略の策定に反映していくこととしております。
次に、地方創生における県と市町村の役割と戦略の守備範囲についてでございます。
県は、市町村を包括する広域の地方公共団体といたしまして、広域にわたる施策や基盤的な施策を中心として総合戦略に盛り込むとともに、市町村間の取り組みに関する連絡調整や市町村への支援を行います。
また、市町村は、基礎的な地方公共団体として、地域の特色や地域資源を生かした、住民に身近な施策を総合戦略に盛り込むとともに、市町村の連携に関する施策に取り組むという役割分担、守備範囲というふうに考えておりますが、県と市町村が整合をとって総合戦略を策定していくために人口定着・確かな暮らし実現会議に市長会、町村会に参画いただいて議論いただいておりますほか、県と市町村との協議の場や地域戦略会議等で意見交換を行ってまいりたいと思っているところでございます。
以上です。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)次に、本県におけるインバウンドツーリズムの拡大についてお伺いします。
少子・高齢化による人口減少が懸念されている我が国において地域社会の活性化と雇用機会の拡大を図るためには、訪日外国人の旅行者の誘致を強化し、世界の観光需要を取り込むことが重要であります。
将来的に訪日観光旅行者が3,000万人に達すると、国内旅行消費額は2010年の1兆3,000億円に対して4兆7,000億円に上がり、雇用効果は25万人から83万人に拡大すると見込まれております。
インバウンドツーリズムの振興は国の成長戦略の柱の一つと捉え、次のさらなる経済成長の起爆剤となり得る重要な産業であります。これを契機に、インバウンドツーリズムの振興は、観光庁とともに、関係省庁、各地方自治体、観光関係企業を初め、我が国の最重要課題の一つに位置づけられており、外客誘致に取り組む関係者との連携を図っていかなければなりません。
観光部長にお聞きします。
これからの海外における事業企画は、外国人目線でのプロモーションを展開し、市場動向の変化に迅速に、また臨機応変に対応していくことが重要であります。これからの国内観光地との競争に打ち勝ち、さらに長野ブランドを海外に発信するにはどのようなプロモーション活動を展開していくのか。また、受け入れ態勢整備、魅力ある観光地づくりはどのように取り組むのか。お聞きします。
続きまして、免税店やクレジット対応の促進についてであります。
春節での中国、台湾から訪日される観光客が激増しています。メード・イン・ジャパンを求めて、個人消費平均23万円という爆買いをしている姿には、ただただ驚くばかりであります。
インバウンド消費とは訪日外国人が国内で行う消費のことをいいますが、それほどちまたにあふれているわけではないこの言葉に注目を集める理由は、今、訪日外国人の増加の著しさとその消費意欲の旺盛さによります。
日本全体の人口が減少して消費が伸び悩む中で、2014年の訪日外国人の旅行者数は昨年より約30%ふえて1,341万人となり、過去最高を記録しました。また、消費額でいえば、訪日外国人消費動向は総額が2兆305億円、1人当たりの単純計算では15万円余りに達し、買い物と観光で55%を超えると言われています。
外国人が日本を訪れる目的は、安心、安全な国をつくる日本人と触れ合いたい、よいものを追求する日本の製品を買いたい、日本の四季折々の日本の生活を体験したいということであり、まだまだ拡大の余地があります。日本全国どこでもインバウンド消費を拡大するチャンスでもあります。
また、訪日外国人が増加した要因としては、円安の進行、東南アジアの訪日ビザの緩和、昨年10月に外国人旅行者向け消費税免税制度が改正され、免税販売の対象となっていなかった消耗品や酒類、化粧品を含め全ての商品に消費税免税の適用が拡大されたことが挙げられており、国内において他の県、他の地域と競い合うためには消費税の免税店となってそれを表示することが重要であります。改正をきっかけに免税店をさらに拡大し、増加する訪日外国人旅行者の潜在的な需要を喚起することで経済の活性が見込まれます。
地元国内最大級の軽井沢アウトレットモールは、26万平方メートルの敷地内に239店を有し、外国人観光客を乗せたツアーバスの来訪実績が昨年度より7割増加しております。年間売り上げ400億円、来場者800万人を目指しているところでございます。こうした外国人観光客のニーズが高い無料Wi-Fiサービスを導入し、快適なインターネット環境を提供しプラザ内の利便性を図り、フロアガイドや現在55店舗の免税店がサービスに努めているところであります。
訪日外国人旅行者や海外に対する免税制度の周知、長野県どこでも免税でのショッピングを楽しんでいただくための免税店拡大に向けた小売事業者への情報発信が必要であります。
そこで、免税店になることは個々の店舗や施設が考えて決定することでありますが、今回の制度改正を契機として長野県内の免税店を拡大することで海外に県内特産品をアピールしたり観光客を誘致したりする手段となり、免税制度の周知や免税店の拡大のための取り組みが必要であると考えます。
観光部長にお聞きします。
県内の免税店登録数はふえていますが、平成26年4月現在51店舗であり、観光立県長野としては余りにも受け入れ窓口が少な過ぎるように思われます。免税店の拡大に向け、県内の事業者向けに制度の相談窓口を開設したり、免税店であることを示すステッカーや標識などを設置し、どこにあるのかという情報発信をすることが必要であるわけでございます。
これから免税店拡大についての取り組みはどうされるのか。外国人旅行者の認知度を高めるため県内の免税店に関する情報発信はどのように取り組まれているのか。お聞きします。
また、外国人が不便と感じていることとして、外国人が持っているキャッシュカードが使えるATMがセブン銀行、ゆうちょ銀行に限られていること、クレジットカードが使える店舗や施設が限られていることがあります。最近では、スマートフォンに取りつけるだけでカード決済ができる機器が比較的安く手に入るので、訪日外国人だけでなく日本人の観光客にも喜ばれると思います。
クレジットカードが使える旨の表示は、免税店である旨の表示とともに、訪日外国人に対する招き猫のようなものであると考えますが、クレジットカード対応の推進についてお聞きいたします。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)順次お答えを申し上げます。
まず、インバウンドツーリズムの拡大についてでございます。
長野ブランドを海外に発信するため、どのようなプロモーション活動を展開をしていくのかという点でございます。
海外へのプロモーション、エリアを絞った誘客とインパクトのある情報発信に重点を置いて展開をしてまいりたいと考えております。エリアを絞った誘客ですけれども、訪日旅行者が急増するタイをターゲットに、昨年11月に現地コーディネーターを設置をいたしましたので、この方を活用いたしまして、メディア、現地旅行会社、ブロガーなどとのネットワークを構築をいたしまして積極的に営業を展開することで長野の認知度が飛躍的に向上するように取り組みを行ってまいるところでございます。
また、東南アジアにも積極的に展開をしていくこととしております。その際、PRの場で使う、アジア、欧米などそれぞれの地域で興味を引くプロモーションビデオ、こちらのほうを現在作成をしておりますので、市場の特性に合った情報発信を行ってまいりたいと考えているところでございます。
2点目の、外国人旅行者の受け入れ態勢の整備や魅力ある観光地づくりへの取り組みでございます。
海外からの誘客を図る上で外国人が快適に旅行できる受け入れ環境の整備、大変重要でございます。中でも、無料公衆無線LAN整備に対する要望が最も多い状況にございます。これに対応するために、来年度は、特に要望の強い宿泊施設と駅やバス停等の交通の要所におきまして無料公衆無線LAN環境を集中的に整備をし、県全体の受け入れ環境の底上げを図ってまいりたいと考えております。
また、魅力ある観光地づくりということで、県内3カ所程度で、外国人やインバウンドの専門家の視点を生かして、何気ない日常に埋もれている地域の新たな魅力の発掘と発信に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
2点目の、免税店やクレジット対応の促進についてでございます。
まず、免税店の拡大、その情報発信でございます。
県では、県内の免税店登録数をふやすため、県内の土産物店など観光事業者を対象に昨年は諏訪市と白馬村で説明会を開催をいたしまして、このほか千曲市などでも観光事業者の主催の説明会が開催をされ、大勢の方の参加をいただきました。
このような取り組みによりまして、県内の免税店登録数、昨年4月の51軒から半年で88軒へ1.7倍に増加をしておりまして、効果があらわれていると考えているところでございます。
今後も、こういった説明会を重ねるとともに、県のホームページでも制度がわかり申請書もダウンロードできるようにするなど、登録数の拡大に努めてまいりたいと考えております。
免税店に関する情報発信につきましては、免税店であることを示す国の統一のデザインの普及に努めますとともに、免税店リストを公開している日本政府観光局、JNTOのホームページと県観光外国語サイトをリンクをさせましてより身近に免税店情報を取得できるように改善をしてまいりたいと考えております。
次に、商店のクレジットカード対応の推進についてでございます。
観光庁が行った外国人の旅行中に困ったことというアンケート調査で、両替やクレジットカードが16%で5位となっておりまして、この利便性の向上を図り消費を喚起するためにはクレジットカードの導入促進は極めて有効な手段であるというふうに考えております。しかしながら、クレジットカードの導入につきましては、議員の御指摘にもございました、機器の導入費、維持費、決済手数料等がかかることなどで中小企業者は導入に消極的にならざるを得ない事情もございました。
しかしながら、近年、初期費用や維持費がほぼかからずに手数料も安い方法として、スマートフォンやタブレットを利用しクレジットカード決済を行うモバイル決済という新しい技術が開発をされ、中小事業者でも比較的手軽にクレジットカード決済を導入することが可能となってまいりました。
県といたしましては、経済団体等と協力をいたしましてこのモバイル決済についてのセミナーを開催するなど、中小事業者の皆様向けに新しい技術の周知を図ることでクレジットカード対応を促進してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)ぜひ免税店のほうを進めていただきたいと思っているところでございます。
続きまして、「ずく出し!知恵出し!おもてなしプロジェクト」についてお聞きします。
日本一のおもてなし県を目指すとした「ずく出し!知恵出し!おもてなしプロジェクト」は、2年を迎える中、観光客に対してだけでなく、地域や職場など身近な立場からあらゆる場面でのおもてなしを想定しているというが、県民の認知度を上げる取り組みや、おもてなし宣言の登録状況、おもてなし信州しぐさ、フェイスブックなどの具体的な取り組みの実績や、日本一のおもてなし県に向けた成果はどのようなものか。観光部長にお聞きします。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)おもてなしプロジェクトの取り組みの実績と日本一のおもてなし県に向けた成果ということでございます。
このプロジェクト、県民の認知度を高めることがまず重要ということで、テレビ、ラジオによるPR、新聞広告などを実施をしているところでございます。
また、県民みんなで取り組むことを狙いとしたおもてなし宣言のほうですけれども、観光事業者だけではなく、企業、団体、学校など約4万5,000人の皆様に登録、そして実践をいただき、宣言内容のほうはホームページで御紹介をさせていただいているところでございます。
気配り、思いやりなどの信州らしいおもてなししぐさ、公募をしているところですけれども、現在200件以上の取り組みが寄せられておりまして、フェイスブックでは企業、団体等が行っているさまざまな取り組み事例などを掲載し、機運の醸成を図っているところでございます。
日本一のおもてなし県を目指すということで取り組んでいるわけですけれども、まず足元の取り組みが重要ということで、挨拶や声がけなど、おもてなしの基本となる行動を県民誰もができるようになることが重要と考えております。
今年度新たに開講いたしましたおもてなし未来塾では37名の塾生が修了をいたしました。これらの皆様、今後、県内10広域の企業や地域に戻りまして、おもてなしのリーダーとして一人一人の県民に浸透するように積極的に取り組んでいくこととしているところでございます。
以上でございます。
〔12番山岸喜昭君登壇〕
◆12番(山岸喜昭 君)それぞれお答えをいただきました。
インバウンドプロジェクトは大変重要な施策であるわけでございます。長野県の山岳や高原、美しい景観、伝統文化など常に新しい情報発信をしていくことが大事であります。
北陸新幹線延伸により、さらに多くの交流が予想されます。善光寺の御開帳も間近に迫り、海外からの参拝客も大いに期待をしているところであります。また、軽井沢サミット開催が決まりますと、さらに注目される長野になってまいります。
今がチャンスと捉え、さらなる飛躍を期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(村上淳 君)この際、15分間休憩いたします。
午後2時10分休憩
──────────────────
午後2時25分開議
○議長(風間辰一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
中川宏昌議員。
〔5番中川宏昌君登壇〕
◆5番(中川宏昌 君)初めに、交通対策について2点お伺いします。
まず、松本山雅J1進出に伴う、ホームグラウンド、アルウィン周辺の交通安全対策についてお伺いいたします。
松本山雅がJ1昇格という快挙をなし遂げ、スポーツ振興を中心とした地域活性化に向けて希望が湧いてくるものです。J2リーグのホームゲーム平均入場者数が6,589人に対し松本山雅の平均入場者数は1万2,733人で、J2ではトップの入場者数であり、地域のサポーターがいかに支えているかがうかがい知ることができます。今後さらに県内外から多くの観戦客がアルウィンに訪れることが予想され、課題となっている施設整備に加え、渋滞緩和、事故の防止など交通安全対策も早急に着手していく必要があります。
特にアルウィン周辺の交差点における事故は都度発生しており、観戦客増加により頻発することが危惧され、周辺地域からも心配の声があります。今後のアルウィン周辺の信号機等の交通安全施設整備、ラウンドアバウトの導入の検討や道路改良の社会資本整備など、総体的な交通安全対策の御見解を県警本部長にお伺いいたします。
2点目に、高速道路逆走対策及び高齢者対策についてお伺いいたします。
高齢者が運転する車が高速道路を逆走し事故となったケースが相次いでおります。一昨年の8月には県内でも長野自動車道で高齢者の逆走による死亡事故が発生しており、県警本部からお聞きしたところでは、平成23年から26年までの高速道路での逆走による死亡事故は2件、人身事故1件、物損事故6件、安全確保19件で、うち高齢者の割合は全体の4分の3と伺っております。
発生した中には認知症またはその疑いがあるケースも見られ、認知症のドライバーが逆走して死亡事故を引き起こすという深刻なケースも実際に起きております。高齢社会が進む中、より深刻化する認知症またはその疑いがある問題とどう向き合っていくのか。ハードとソフトの面から対策が急がれるところであります。
逆走を防止する対策として、案内看板等、県内高速道路のハード対策の現在と今後の取り組みについて県警本部長にお伺いいたします。
また、現在、国では免許制度の法改正に向けた議論が進められております。75歳以上の高齢者が免許更新時の検査で認知症の疑いがあると認められた場合、医師の診断を義務づけ、認知症と判断されれば免許の停止、取り消し、認知機能検査を受けなかった場合、一時更新をとめるというものです。
このような動きがある中、県内での現在の対応状況について県警本部長にお伺いいたします。
また、免許を自主返納されている御高齢者もふえているとお聞きしており、中山間地の多い長野県においては移動する足がなくなることは生活の面においても大変に御苦労を感じるところであります。
県内24市町村等では自主返納の方に対してデマンドバス利用券の拡充も図られているようでありますが、自分の周りにバスが通らなく利用券が使えないという現状もあり、高齢化を迎えている長野県の大きな課題であります。このような状況への御見解を企画振興部長にお伺いいたします。
〔警察本部長山崎晃義君登壇〕
◎警察本部長(山崎晃義 君)御質問にお答えさせていただきます。
まず、アルウィン周辺の交通対策についてですが、平成25年まで会場周辺の駐車場は無料でシャトルバスを有料ということとしておりましたけれども、平成26年からは、松本山雅さんと協議し、会場直近の駐車場は有料、シャトルバスは無料となったことでシャトルバスの利用が促進され、渋滞、違法駐車解消に一定の効果は見ております。
また、過去3年間のホームゲーム開催日に人身事故が6件、物件事故11件の交通事故が発生していることなどから、適宜、周辺の交通安全施設整備を行ってまいりました。
ただ、議員から御指摘いただいたとおり、本年は松本山雅のJ1昇格に伴い一層の集客が期待されているというところでございます。そこで、警察としましては、交通実態に合った信号秒数の調整や一時的な交通規制の実施を行うとともに、必要に応じて周辺交差点の信号機の新設、信号機の高度化改良など交通安全施設整備を進めてまいる所存でございます。
また、ラウンドアバウトの導入につきましても、選択肢の一つとして、地元の皆様の意見などを踏まえながら、現地の状況を把握しつつ、道路管理者等の関係機関と協議を進めてまいりたいと思っております。
さらに、交通情報の収集と効果的な情報発信にも配意しながら、主催者などの関係機関と連携を図りながら渋滞緩和や交通事故防止に努めてまいりたいと思っております。
次に、高速道路における逆走防止対策につきましてお答えさせていただきます。
本県の高速道路におきましては、先ほど議員から御指摘いただいたとおり、主に高齢者による逆走事案が発生しております。こうした逆走事案は重大事故につながる危険性が極めて高いということから、警察といたしましては、道路管理者であります各高速道路会社に依頼して、逆走防止対策として、昨年末までですが、高速道路インターチェンジ、サービスエリア、パーキングエリアの出入り口に大型路面標示を187カ所整備したほか、進入禁止看板24カ所、逆走警報装置21カ所をそれぞれ設置するなどハード面での対策を講じてきております。
また、ソフト面での対策といたしまして、サービスエリア等で開設する交通指導所においてドライバー等に逆走防止の注意喚起を行うほか、安全教育の機会を捉えて高齢者の方々に対して高速道路における安全な走行方法につきまして指導啓発しているところでございます。
今後とも、引き続き、道路管理者と連携しながら、高速道路の逆走防止対策を講じてまいりたいと思っております。
最後に、運転免許証を所持する認知症の疑いのある方への対応状況等につきましてお答えさせていただきます。
現在、運転免許証の更新を行おうとする75歳以上の方に対しては、講習予備検査の実施結果を踏まえ高齢者講習を行っておりますが、その後、認知症が疑われる場合には運転の支障の有無を総合的に判断して運転免許の取り消し等の行政処分を行っております。昨年の認知症を理由とする行政処分の件数は33件でありまして、処分件数は年々増加しているところでございます。
また、こうした中で、みずからの身体機能の低下等を自覚されて運転免許証を自主返納される方、これも年々増加しております。昨年は2,981人の自主返納者のうち高齢者の方が96.4%を占めているという状況にございます。
このほか、当県におきましては、全国に先駆けて、交通事故を起こした高齢者を対象に、交通違反歴等を踏まえて指導が必要と認められる高齢運転者に対しては、体験型講習の受講を促す、我々、Sドックプログラムと呼んでいますが、Sドックプログラムを独自に実施しておりまして、その後の自主返納につながるなど一定の効果を上げていると思っております。
ただ、一方で、昨年、長野市内の老人クラブ連合会で行ったアンケート結果を見ますと、自主返納により生活の足がなくなると困るといったような理由で約3割の方が自主返納しないという意見もございます。自治体などに対して引き続き自主返納者の支援について働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。
今後も、認知症検査の実施に向けた法改正の動向を注視しながら、講習予備検査の結果を踏まえた指導助言を一層強化するなど、高齢運転者の事故防止対策を講じてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔企画振興部長原山隆一君登壇〕
◎企画振興部長(原山隆一 君)免許自主返納と地域交通の現況についてのお尋ねでございます。
長野県内におきましては、運転免許の自主返納者に対しまして、県のタクシー協会加盟会社のタクシー料金が1割引とされるほか、御指摘のとおり、市町村でもコミュニティーバスやデマンド交通の利用券を交付するなどの支援策が講じられているところでございます。
本年度から、新たに飯田市、阿智村、喬木村などでも、運転免許の自主返納者に対して乗り合いバス路線等の回数券を交付する取り組みが始められたところでございます。
このうち喬木村では、議員御指摘のように、乗り合いバス路線に接続する村民バスの運行が住民の移動ニーズに十分応えられていないという状況から、本年度から2年間かけ、県の地域交通システム再構築促進モデル事業を活用しまして、よりきめ細やかな村民バス路線の構築に向けて取り組んでいるところでございます。
県としては、こうした地域交通システム再構築促進モデル事業による取り組みを全県に波及させることによりまして、住みなれた地域で安心して暮らしていける交通環境の整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
〔5番中川宏昌君登壇〕
◆5番(中川宏昌 君)次に、貸し切りバス制度改正と観光行動分析について観光部長にお伺いいたします。
貸し切りバス制度改正への県内観光の影響については一昨日宮澤敏文議員が質疑いたしましたが、改めて質問をさせていただきます。
平成24年4月に発生した関越自動車道における高速ツアーバス事故の発生によりバス事業のあり方が再検討され、国土交通省は平成25年4月に「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」が策定され、従来の高速ツアーバスを新高速乗り合いバス、貸し切りバスへ移行、一本化されました。また、貸し切りバスの安全性の向上として、長距離運転による運転者の過労運転の防止をするためワンマン運行に係る上限距離等が定められたほか、安全コストが運賃、料金に反映される新たな制度とともに、時間・キロ併用運賃への移行による運賃料金制度が改正されたところであります。
この改正により安全確保がされた反面、県内にはこの改正により観光への影響が出ております。従来規定では交代運転者の配置基準の距離は670キロメートルだったのに対し、改正後の基準は500キロメートルで、これを超える場合には交代運転者の配置が義務づけをされております。
交代運転者の配置によるコスト増を回避するため目的地が変更され、長野県が周遊対象地から除外、滞在時間の減少により貸し切りバスの入り込み台数が減少しております。
平成26年10月から1カ月間、山岳高原観光課で行った制度改正における県内市町村への影響についてのアンケートの結果では、77市町村のうち44%の34市町村が貸し切りバスの来訪に変化があったとしており、入り込み台数減少においては約7割減の事業者もあると報告されており、この影響について県として抜本的な対策が急務であると思料されます。
まず、この影響を回避させていくために県としてはどのような対策をしていくのか。お伺いいたします。
次に、この改正により、バスの出庫前、帰庫後点検に各1時間を時間制運賃にプラスされたため、旅行料金の値上がりによるものも観光客の減少要因となっております。
例えば、県外から立山黒部アルペンルートへの1泊の貸し切りバス旅行は、改正前と改正後では同じ旅行内容で約6,000円旅行料金が値上がり、伊那の高遠城址公園の日帰りの花見のバスツアーは約2,000円値上がりとなっております。
旅行業者、貸し切りバス事業者としては適正価格、適正運行に向かわれると思われる一方で、入り込み増加を図っていくため県内消費喚起のための旅行券発行の施策をしっかりと取り組んでいく必要があります。
他県の例で、宮城県は県内を訪れる観光客の宿泊代や交通費を半額程度助成する事業を2月議会に提案しております。関連経費は約10億円で、長野県と同規模と思われます。補助対象は、インターネットサイトや旅行会社の窓口で販売される宿泊施設と鉄道や飛行機のパッケージ商品などであり、一部は4月から5月の大型連休前の利用を目指しているとのことであります。
この旅行券発行については、これらの課題に対応するためにどのように企画していくのか。1泊、日帰り、それぞれの設定をどのようにしていくのか。お伺いいたします。
さて、来年度は県内でも観光客を呼び込むさまざまなイベントがあり、増加は間違いないと考える一方で、増加の要因を短絡的、一律的に見ることはあってはならないと考えます。
これまでも、観光動向の把握は、定期的に実施される統計調査や、交通機関、観光事業者等の利用実績に基づく統計を取りまとめるなどの手法で行ってきておりますが、現在の旅行形態は、個人旅行者の増大を初め、旅行パターンが変化する中、移動手段もマイカー、電車、バス等多岐にわたっており、より詳細な行動分析を行っていれば観光バス改正への取り組みも早期に対応できたのではないかと感じるところです。
これまで限定的にしかわからなかった観光の現象や行動原理等を統合的に解析し把握することが期待されているものとしてビッグデータがあります。観光振興に利活用され、個々の観光行動を反映するデータとしては携帯電話の位置情報、ETC利用記録などであります。過去においては佐久地域でGPSを活用した調査も行われていると思いますが、その検証も踏まえ、今後のビッグデータの観光対策への利活用の考え方、取り組み方針について以上をお伺いいたします。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)貸し切りバス制度改正と観光行動分析につきまして3点お答えをさせていただきます。
まず、貸し切りバス制度改正の影響に対する対策についてでございます。
この点につきましては宮澤議員の御質問に知事からお答えをしたところでもございますけれども、県外のバスツアー商品の造成・販売事業者に対しまして、国の交付金を使って、観光バス利用者のニーズに適合した新たな出発地の開拓や、鉄道とバスを組み合わせた新たな周遊型旅行商品の開発など、県外からのバスによる送客を促進する新商品の造成を支援してまいりたいと考えております。
また、現在、県外の事業者や消費者の実態を把握するため、大都市圏を中心に、長野県向けのバスツアーを企画、実施している旅行会社ですとかバス事業者に対するヒアリング調査、また、観光バス利用者のニーズ調査を実施しているところでございます。
これらの調査結果を踏まえまして、県内の市町村や観光関連事業者に対して、地域ごとの課題や今後の対応策を提案をする説明会を5月に県下4地区で開催をする計画でおりまして、地域や事業者の皆さんとともに有効な対応策を検討してまいりたいと考えているところでございます。
2点目の、貸し切りバス制度の改正に対応した旅行券の企画についてでございます。
いわゆるふるさと旅行券ですけれども、県内の宿泊施設等で使用できる旅行券の割引販売や、県内外の消費者が本来の価格から割り引かれた価格で旅行商品を購入できるように旅行会社等に助成を行うものでございます。
ただいまお話ありました、1泊、日帰りの設定ですとか実施時期等につきましては、今後、市町村、そして旅行会社の意見も十分にお聞きをしながら、何よりも観光需要の喚起につながるよう、一過性に終わらないよう取り組みを工夫してまいりたいというふうに考えているところでございます。
3点目の、観光へのビッグデータの利活用についてでございます。
情報通信技術の進展によりいわゆるビッグデータを容易に得ることができるようになり、従来の統計調査では得ることができなかった来訪者のニーズや地域の課題を把握することが可能になってまいりました。
佐久地域では、軽井沢エリアを訪れる観光客個人の動きをGPS機能を使って調査をし、実際の人の流れと観光客の興味のギャップを把握をいたしまして、それに対応した旅行商品の開発やパンフレットの設置場所の工夫に結びつけたとお聞きをしてございます。
また、観光庁においても、新年度、ICTを活用し、訪日外国人旅行者の旅行動態や潜在的なニーズを把握し、広域観光周遊ルートの検討に生かす動態調査を実施する予定でおります。
ビッグデータは、観光の面では緒についたばかりでございますけれども、基礎データに基づく施策の立案に有効なものと認識をしておりますので、国の調査等も参考にして、その利活用について研究をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
〔5番中川宏昌君登壇〕
◆5番(中川宏昌 君)ただいま観光部長から御答弁いただいたんですけれども、宮城県の例によりますと4月から5月に効果が出るようにこの件に当たられているということを私は言いたかったところでありまして、早急な対応が必要だと思います。ですので、ぜひともそれをお含みいただきまして対応していただきたい、このように要望させていただきたいと思います。
次に、来年度当初予算の大きなポイントである防災・減災対策の推進に関連し、災害医療についてお伺いいたします。
東日本大震災以来、長野県では、2011年3月栄村、6月松本市、2014年10月木曽御嶽山噴火、11月白馬村などで災害が相次いでおります。
今後も災害は県内どこでも起こり得ますが、特に糸魚川―静岡構造線断層帯地震が発災すれば、松本地域から、大北、長野、上田、諏訪、伊那まで人的被害想定は死者3,500人弱、重傷者4,500人強、軽傷者8万7,000人強、避難者41万人強となっております。
また、南海トラフ地震に対する警戒も必要であり、これまでの大地震、災害の経験を決して風化させることなく、官民挙げて防災対策を継続的に行う必要があります。
災害時の医療は、指揮命令、安全、情報伝達、評価、トリアージ、応急処理、病院搬送の原理原則に基づき、救護活動では、救急救命士、DMATが真っ先に被災地に出動して重症度判定であるトリアージを行い、赤タグ傷病者の域外搬送、黄色タグ傷病者は地域病院へ入院、緑タグ傷病者は市町村が設置する医療救護所でトリアージと応急処置を受け避難所へ向かうのが大きな流れであります。
災害医療の要諦は助かる命をできるだけ多く助けることであり、特に24時間が勝負であり、この状況に対応できる組織化がされていなければ機能はしません。
この観点から質問をいたします。
県は23年2月に長野県災害医療活動指針を策定、現在は災害時に欠かせない医薬品と衛生材料の見直しと搬送システムに関する指針を策定中と伺っておりますが、災害で最も重要なのは情報伝達であります。
このことから、医薬品、衛生材料の搬送においては、委託業者、県災害医療本部、現地災害対策本部医務班と、災害時に有効とされている衛星携帯電話等による情報伝達システムは確立されているのか。
健康福祉部長にお伺いいたします。
昨年11月に発災した神城断層地震の災害医療の活動状況についてお伺いいたします。
発災翌日に被災地に伺い感じたことは、災害の詳細な情報はまず市町村に入ってくること、災害時の指揮権は、県は知事、市町村は首長であったこと、保健福祉事務所で実際にできた活動は医師確認の極めて限定的な活動であったと認識をしております。
と申し上げるのは、長野県災害医療活動指針に基づき大北地域においては災害医療マニュアルが整備されているわけでありますが、例示してある活動イメージにおいて長野県災害医療本部と市町村災害本部とが直結した体制ではなく、この間に県災害対策本部地域部、いわゆる保健福祉事務所が入っており、指揮権が市町村と保健福祉事務所と二重の指揮権が存在していると私は考えますが、実際の発災時の活動状況とマニュアルの活動イメージとは相違があると思うのであります。
こういった状況から保健福祉事務所は後方支援に徹することが最も自然であると思われることから、このたびの災害の検証を踏まえマニュアルの見直しが必要であると思いますが、見解を
健康福祉部長にお伺いいたします。
〔
健康福祉部長小林透君登壇〕
◎
健康福祉部長(小林透 君)お答えをいたします。
災害時の情報伝達システムについてでございます。
県では、災害時に市町村長などからの要請に応じまして指定場所に医薬品等を供給するため、災害用医薬品等備蓄事業によりまして、県医薬品卸協同組合及び県医療機器販売業協会の協力を得まして、医薬品は13カ所、衛生材料は6カ所に備蓄をしております。
これらの備蓄先の事業所においては、通常の連絡手段として携帯電話等としているほか、衛星携帯電話等につきましては一部の事業所においてそれぞれ自主的に保有するなど対応をしていただいているところでございます。
議員御指摘のとおり、災害時の情報伝達については医薬品等の搬送につなげる重要な要素と認識してございます。本年度、県では、関係団体に参加いただき災害時医薬品等供給体制検討会を開催し、備蓄する医薬品等の品目の見直しを進めるとともに、医薬品等の供給体制について一定のマニュアルを作成するため協議を重ねているところでございます。このマニュアル作成に当たり、通信方法も含めて検討してまいります。
次に、大北地域の災害医療マニュアルの見直しについてでございます。
大北地域の災害医療マニュアルでは、県の災害対策本部北安曇地方部が設置されている大町合同庁舎内に、大北医師会長を本部長、大町保健福祉事務所を事務局とする大北災害医療本部が設置され、情報収集を初め、市町村や県本部との連絡調整、医療救護班の配置調整などを担うこととされております。
昨年11月の地震発生時には、大北災害医療本部は、白馬村、小谷村からの要請により、県本部への医療救護班の派遣依頼や救護班の避難所等への配置調整、あるいは、避難所等への保健師の派遣、さらには、大北医師会との休日・夜間診療の調整など、主に亜急性期以降の医療提供の調整を担ったところでございます。
このように、大北災害医療本部は、大町保健福祉事務所と情報共有しつつ、被災市町村と県本部との間で医療提供のコーディネート機能を果たしたものであり、市町村長の指揮権と整合したものと考えております。
なお、大北災害医療本部が迅速、的確に対応できたかどうか、あるいはコーディネート機能を十分に発揮できたかどうかにつきましては現在検証作業を進めており、その結果、必要があればマニュアルを見直すべきものと考えているところでございます。
以上であります。
〔5番中川宏昌君登壇〕
◆5番(中川宏昌 君)今の
健康福祉部長の答弁で、私、再質問をさせていただきたいと思います。
前段にあった情報伝達システムでありますけれども、搬送業者が行くのは災害の現地であります。通常の形式的なマニュアルでは動かないわけであります。携帯電話ももしかしたら使えないかもしれない。ほかの災害対策本部は全て衛星携帯電話が準備できているという状況の中で、ただいま、
健康福祉部長は、搬送業者、自主的に衛星携帯電話を持っていると、こういった答弁でありました。
実は、静岡県では医薬品等を搬送する卸売業者の各営業所全てに衛星携帯電話を貸与している状況でありますが、今の答弁では、長野県ではそうではない、自主的に用意しているということでありまして、これでは搬送業者の方に丸投げという感が否めないというふうに思います。
実際、長野県の状況を見たときに、先ほども
健康福祉部長の答弁がありましたけれども、自社で衛星携帯を購入していると。これは一部であります。実際、県として委託業者に委託料を年間約4万円ぐらいだと思いますがお支払いしていると思いますけれども、これは維持するのもいかないような金額でありまして、これでいいのかというふうに私は思うんでありますが、その辺を再度質問させていただきます。
健康福祉部長、お願いいたします。
〔
健康福祉部長小林透君登壇〕
◎
健康福祉部長(小林透 君)災害時の情報伝達システムについての再度の御質問でございます。
医薬品等の供給体制について関係団体と協議する中で、例えば衛生材料につきましては全ての業者で非常用通信手段を保持しているという等の状況もわかってきてございます。
そうした中で、御質問の趣旨も含めまして、災害時の情報伝達のあり方について十分検討してまいりたいと思います。
以上であります。
〔5番中川宏昌君登壇〕
◆5番(中川宏昌 君)今、十分検討していくということでありますので、今後の状況を見守っていきたいというふうに思っております。
実際の発災時にどのような体制、行動で対応できたかが大変重要であるというふうに思っております。特に長野県は全国の中でも災害に見舞われた県でありまして、災害の教訓から絶えず実態と照らし合わせながら見直しを図っていくというのが本当のマニュアルであるというふうに思います。そのことを強く訴えさせていただきまして、一切の質問を終了いたします。
○議長(風間辰一 君)次に、荒井武志議員。
〔13番荒井武志君登壇〕
◆13番(荒井武志 君)改革・新風の荒井武志です。通告に従いまして順次質問をいたします。
初めに、人口定着・確かな暮らしの実現についてであります。
長野県の人口は今後30年間で48万人減少すると見込まれ、このうち15歳から64歳の生産年齢人口は43万人減少するとされています。このような中、急激な人口減少に歯どめをかけ、地域や経済の活力をいかに維持向上させていくのかが喫緊の課題であることは言うまでもありません。
これらを踏まえれば、人口定着・確かな暮らしの実現には、働く場を確保すること、若者が転入、定住できること、子育てがしやすいこと、安全、安心な地域社会であることなどの充実が不可欠であると考えます。
新年度では、日本一創業しやすい長野県を目指す取り組みとして、若者や女性の創業に向けた支援や離職した女性の再就職を支援していくこと、子育てについては第3子以降の子の保育料の軽減や入院費用の助成を中学校卒業までに拡大、子育てを応援するための企業の認証制度の創設などを予定しており、評価するところでありますが、そこでお伺いいたします。
一つに、27年度から創業支援資金の利率を利用者の自己負担額が全国一低くなるよう1.3%に設定することは評価しますが、さらなる創業を促進するため税制面の優遇措置等も必要ではないかと考えます。既に、県では、日本一創業しやすい長野県を目指し、他県に先駆け、創業応援減税として法人事業税の課税免除を行っていますが、個人による創業も相当数あると思われます。そこで、個人事業主等に対する税制上の優遇措置を導入し、小さく産んで大きく育てるといった観点からの創業の誘発を考えたらいかがでしょうか。産業労働部長にお伺いいたします。
二つに、長野県子育て支援戦略では、社員の子育て支援に取り組む企業を認証し、子育てと仕事の両立を企業と一緒に推進することとしていますが、この運用に当たって、企業名を公表するなど、いかにその実効性を高めていくのかが重要であると思います。産業労働部長に伺います。
また、東京有楽町にある、全国の移住情報を提供しているNPO法人ふるさと回帰支援センターへの相談者の傾向は、リーマンショック以降、20代から30代の若者世代が増加しているとお聞きしています。このようなトレンドを踏まえ、若者に信州に興味を持ってもらい、移住につなげていくために、どのような取り組みをお考えでしょうか。企画振興部長にお伺いいたします。
〔
産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕
◎
産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)2点順次お答えいたします。
まず、創業応援減税についての御質問です。
創業を応援する税の優遇策といたしまして、長野県は、平成15年度から中小法人を対象に他県にはない法人事業税の減税措置を導入し、創業間もない企業の経営基盤の強化と雇用の促進を支援しております。これまでに、1,342件、4億2,800万円余りの減税によりまして県内の創業を応援し、約4,400人の雇用の創出につなげてまいりました。
議員御提案の個人の事業税の減税でございますが、法人は登記簿などから創業時期の把握が容易にできますが、個人の場合は実務上極めて困難でございます。また、所得の少ない個人の創業者に対しましては290万円の事業主控除という優遇制度がございます。これらのことから、現在、減税の対象とはなっておりません。
しかし、創業を支援する上で税の優遇措置は重要な柱の一つと考えておりますので、今後も、どのような方法があるのか研究をするとともに、国の創業促進の補助金などの活用も考えながら、日本一創業しやすい環境づくり、これを目指してまいりたいと考えております。
次に、子育て応援企業の認証制度についての御質問です。
この制度は、子育て支援にすぐれた実績のある企業を県が認証することで他の企業にも広く広めるとともに、その取り組みを県民の皆様にも御理解いただき応援していただくことを目指したものでございます。
まず、すぐれた取り組みの要件といたしましては、働く方の希望に基づき短時間正社員の雇用や非正規社員から正社員への転換を行ったこと、残業の削減や休暇の取得が目に見える形で改善したことなどを考えており、これらによりまして子育てと仕事が両立できる環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
また、多くの企業に広く広めるためには、これまで訪問した企業の中で認証要件を満たすと思われる企業を中心に来年度2,000社を目標に訪問いたしまして、優良企業事例集を活用しながら、経営者の理解を図りつつ粘り強く掘り起こしを行ってまいります。
また、県独自のわかりやすい親しみやすい認証マークと愛称を作成し、県内企業に使用していただくことによりましてその企業のイメージアップや優秀な人材の確保につなげてまいりたいと考えております。
さらに、前向きな企業の取り組みを県民の皆様に応援していただくため認証企業名やその具体的な取り組みを専用サイトで発信するほか、テレビコマーシャルや広報誌、労働教育講座などを通じまして広く周知を図ってまいる予定でございます。
いずれにいたしましても、実施に当たりましては、経済団体とも連携し、実効性のある取り組みとしてまいります。
以上でございます。
〔企画振興部長原山隆一君登壇〕
◎企画振興部長(原山隆一 君)若者を対象にした移住促進策についてのお尋ねでございます。
リーマンショック、あるいは東日本大震災以降、地方へ移住しようとする若者の傾向を見ますと二つの志向がうかがえるわけでございます。一つは、安全、安心な地域を求めるファミリー層に代表される田舎暮らしを志向する若者、もう一つは、地方に可能性を求め、起業、創業を志向する若者でございます。
田舎暮らしを志向する若者は、自然の中で暮らし、子育てしたいという希望を持っていることから、来年度では、20代から30代の子育て世代の女性を対象に、信州型自然保育や先輩移住者の体験談を紹介するセミナーでありますとか県内の女性農業者と交流するツアーなどを新たに実施しまして、県内のすぐれた子育て環境や農業・農村の魅力をアピールしてまいりたいと考えております。
一方、地域に可能性を求める若者向けには、銀座NAGANOでの創業向け移住セミナーの開催、IT産業人材の移住を促進するためにお試し創業や地元企業家との交流を支援するほか、地域おこし協力隊の募集を県のホームページで発信するなど、多様な人材の誘致、定着を目指してまいりたいと考えております。
身近に自然を感じながら豊かな暮らしを満喫できる信州暮らしのすばらしさが若者の心に響くようさまざまな機会を通じてPRすることで、本県への移住につなげてまいりたいと考えております。
〔13番荒井武志君登壇〕
◆13番(荒井武志 君)若者や女性が定住し、子供を産み育てられるしっかりとした環境づくりに向けまして果敢に取り組まれるよう要望し、次の質問に移ります。
次に、福祉のまちづくり条例の改正についてであります。
県は、現在、県民や関係機関・団体等と連携し、福祉のまちづくりを計画的、総合的に推進するため、平成24年度に長野県福祉のまちづくり会議を設置し、5回の会議を開催する中で、平成24年11月議会における知事の答弁を引用させていただくならば、全ての人が気持ちよく外出あるいは社会参加をしていただける、居心地が誰にとってもよい長野県の実現に資するものに仕上げるべく検討をされてこられたものと敬意を表する次第であります。
その後、9カ月ほど経た平成25年9月議会での私の質問に対する答弁では、時の
健康福祉部長は、現在、これまでの福祉のまちづくり会議における議論や課題等を踏まえ庁内で検討を鋭意進めている、今後、年度内に2回程度福祉のまちづくり会議での検討を行い条例改正案を作成してまいりたい、パブリックコメントは平成26年春ごろ、条例案は来年度前半の議会提出に向けて丁寧に議論を重ねて取り組んでまいりたいとのことでありました。
加えて、平成26年2月議会では、県民クラブ・公明の太田昌孝議員への答弁で、知事は、福祉のまちづくり条例改正案は来年度前半の県議会への提出に向けて取り組んでいると答弁されました。
私は、本年度、健康福祉委員会に所属したものですから、平成26年度前半の条例改正を大いに期待し、委員会質疑の中で状況を伺ってまいりましたが、どうもいまだに着地点が見出せないようであります。
そこで、以下3点にわたり
健康福祉部長にお伺いいたします。
一つは、そもそも福祉のまちづくり条例を改正する意図は何であったのでしょうか。
二つに、改正がおくれている理由は何か。どこに課題あるいは解決しなければならない事項があるのでしょうか。
三つに、長野県福祉のまちづくり会議の委員の任期は平成26年6月12日まででしたが、この会議は現在どのような状況にあるのでしょうか。
また、知事には、パブリックコメントを含め、条例改正案の作成手順をどのように組み立て直すのか、加えて条例案の議会提出はいつごろとお考えか、お伺いいたします。
〔
健康福祉部長小林透君登壇〕
◎
健康福祉部長(小林透 君)順次お答えをいたします。
福祉のまちづくり条例改正の意図についてでございます。
長野県福祉のまちづくり条例は、平成6年に施行されたハートビル法に準拠いたしまして、平成7年に制定し、障害のある皆様や高齢の皆様が安全かつ容易に利用できる施設の整備について必要な事項を定め、条例に基づく届け出とそれに対する指導助言を通じましてバリアフリー化を推進してきたものでございます。
今回の条例改正は、平成18年のいわゆるバリアフリー法の制定を契機といたしまして、条例と同法との整合を図るとともに、社会状況の変化や県民の皆様から寄せられた多くの御要望、お考えを条例に反映するため、整備基準の追加などによりまして障害のある皆様が安全かつ容易に利用できる施設の整備を推進し、より実効性のある条例とするよう見直すものでございます。
次に、この条例改正がおくれている理由と課題でございます。
今回の条例改正では県独自に法の規定を上回る施設の整備基準を盛り込むことも視野に入れていることから、事業者の皆様への負担という点で何らかの影響を及ぼすことも考えられるということでございまして、慎重に検討を進めております。
また、条例改正に向けて関係団体や県民の皆様から多数の、あるいはさまざまな御意見が寄せられておりまして、それらに対応するため細部にわたる検討とより丁寧な意見の集約が必要なことから、本年度も関係団体の皆様などと意見交換を重ねてきたところでございます。
条例案とあわせまして、整備基準の詳細を決める規則の改正についても一体的にお示ししないと制度の全容がつかめないので、その全体像を県民の皆様にわかりやすい形でお示しし進めると考えてございます。そうした規則の改正に向けても、関係団体の皆様との意見交換と並行いたしまして、関係部局と連携いたしまして関係法令との整合性などの確認を一つ一つ行っているところでございます。
以上のことにより、条例をよりよいもの、より実効性のあるものとしたいという思いを持ちつつ細部にわたる制度の構築が必要となっているということで、当初想定したものよりもより時間を費やしているということを御理解をいただきたいと思います。
課題といたしましては、前述のとおり独自の整備基準の導入を視野に入れていることから、その施設の範囲や規模をどのように設定し、施設をより利用しやすいものとするという面と規制という面で広範な県民の理解を得ながら、条例の実効性をいかに確保するかが課題であると思っております。
次に、長野県福祉のまちづくり会議の状況でございます。
議員御指摘のとおり、会議におきましては条例改正や福祉のまちづくりの推進方策について検討を行いまして、平成25年12月に、公共的施設の環境整備や、高齢者、障害者等が利用する施設への配慮、あるいは障害者用等駐車場の適正利用の観点について基本的な考え方を取りまとめていただいたところでございます。
それにより所期の目的を果たし、昨年6月で任期満了となっておりまして、御尽力いただいた委員の方々に対しましては改めて御礼を申し上げます。
現在、会議において取りまとめられた基本的な考え方や改正骨子等についての御意見をもとに改正作業を進めているところでございます。
また、この会議に関連して、これまで計上していた福祉のまちづくり推進事業の予算につきましてはこの会議の開催にかかわる経費を計上してきたものでございまして、申し上げましたとおり会議の開催が終了したことなどにより今回は計上してございません。今後のこの事業費など必要な予算は条例改正とあわせて検討してまいりたいと思います。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)福祉のまちづくり条例、改正の手順、条例案の提出時期という御質問でございます。
この点については、荒井議員を初めとして県議会からも何度も御質問いただく中で、予定していたスケジュールどおりに必ずしもなっていないというところは私も大変申しわけなく思っております。
ただ、先ほど部長が答弁申し上げましたとおり、この条例、単なる努力しましょうというレベルで取りまとめるのであればそれは簡単な話になりますけれども、一定の義務づけ等も行っていくということを考えると、これはやはり丁寧な手続を踏んで条例化していかなければいけないというふうに考えています。
そういう意味で、また再度県議会で答弁するからには私も責任持ってしっかり進めていかなければいけないわけでありますが、本年6月までには、改正内容の骨子案、まずはしっかりとつくっていきたいというふうに思います。その上で、整備基準の詳細等も含めた全体像を県民の皆様方にお示しをさせていただいてパブリックコメントを行っていきたいと思います。
義務づけというところに踏み込んでいく部分がありますので、関係の皆様方とは丁寧な意見交換を行っていきたいというふうに思います。その上で県民の皆様方からの御意見等も踏まえて条例案を策定をして、27年度中には県議会に御提案をしていくように努力をしていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔13番荒井武志君登壇〕
◆13番(荒井武志 君)答弁をいただきました。
義務づけをするというようなことも含め、また、規制がかかわってくるということでございますので慎重にやっておられるということはよくわかります。
いずれにしましても、今回の改正を強く待ち望んでおられる関係皆様の思いもあると思います。改めて認識をされまして取り組んでいただきたいと思うところでございます。
次に、観光振興についてであります。
初めに、信州首都圏総合活動拠点、銀座NAGANO・しあわせ信州シェアスペースについて伺います。
昨年10月26日に開設・オープンして以降、来場者数も30万人を突破し、イベントスペースでは約140団体に積極的な御参加をいただくなど好調に推移しておりますと知事は議案説明をされました。まさに市町村や企業の多くの皆様の取り組みのおかげと思うところでございます。加えて、お客様などからの多くの声や評価に応えていくとの決意もお聞きいたしました。
また、観光部長の議案説明によれば、1階のショップスペース、2階のイベントスペース、4階のコワーキングスペース、いずれもしっかり活用されており、今後とも単なる物産館ではなく、信州の「ヒト コト モノ」をトータルに発信し、信州の美しさと健康な暮らしを、首都圏を初め多くの方々と共有、シェアしていくとのことでありました。
私は、以前から申し上げてまいりましたが、この銀座NAGANOはあくまでも手段の一つであって、結果として、長野県に、そして長野県の人たちに経済的にも心理的にも波及効果が出てこなければ、この施設を設置した意味合いは極めて薄いものになってしまうと思っております。
そこで、お伺いいたします。
一つに、銀座NAGANOを利用した団体等の利用後の受けとめ、感想や意見などはどうだったのでしょうか。
二つに、来訪者の声やニーズの把握をどのように取り組んできたのでしょうか。
三つに、4階は移住交流センター、コワーキングスペースとなっていますが、現在の利用状況はそれぞれどのようになっているでしょうか。また、企業のさらなる利活用を含めての今後の活用策についてどうお考えですか。
以上3点について観光部長にお聞きいたします。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)観光振興につきまして、銀座NAGANOについて3点お答え申し上げます。
まず、銀座NAGANOを利用した団体等の感想や意見などについてでございます。
イベントで利用した皆様から終了後に報告をいただくという形で感想や意見の把握に努めているところでございます。
主な感想、意見でございますけれども、立地のよさに加えまして、施設や設備の面では、キッチンや大型スクリーンを活用して地域の魅力を五感に訴えることができた、また、広報面では、市町村単独では首都圏でなかなか参加者を募集する手段がないということで、銀座NAGANOのホームページで告知とともに直接受け付けができ多くの参加者に来ていただけた、また、幅広い活用という点で高校生による食のイベントもございましたけれども、大きな注目を浴びて生徒の自信が深まった、こういったものがございます。
一方、改善が必要な意見として、主催者やゲストの控室、荷物を置いておく場所に苦慮した、イベントの定員を余り多くせず、お客様との交流を優先する工夫が大切である、1階の物産販売と2階のイベントとの連動、相互誘導が必要であるなどの声が寄せられており、これらは既に対応したものもございますが、きちんと改善につなげてまいりたいと考えております。
2点目の、来訪者の声やニーズの把握に取り組んできたかという御指摘でございます。
来訪者の声、これからも多くのお客様においでいただくための基本であるというふうに考えております。現在、スタッフ全員がメモを持ちまして、日々お客様の御指摘や意見を書きとめる取り組みをしております。また、1階正面カウンターにお客様の声ボックスというものを設置をいたしまして、取り扱い商品の要望などを御記入をいただいているところでございます。また、昨年11月と今月、販売商品の品ぞろえ、陳列、そして1階カウンターの試食メニューなどにつきまして聞き取りアンケートを行う等、さまざまな手段で把握に努めているところでございます。
お客さんからいただいた御要望、御意見は類型化をして整理をいたしまして改善につなげるとともに、いただいた声を、朝礼ですとか全体ミーティングの場、こういったものがございますので、スタッフ全員で共有をしてサービス向上に努めているところでございます。
3点目の、4階の利用状況と今後の活用策についてでございます。
移住交流センターにつきましては、商品購入やイベント参加、1階、2階に訪れた皆さんが移住相談に訪れることも多く、相談件数で見ますと2月20日現在で前年比約1.3倍となるなど多くの方に相談に訪れていただいております。
コワーキングスペースにつきましては、利用を希望する皆さんがまず利用者番号を取得をしていただきまして予約を行う仕組みとしておりますけれども、登録者数、個人、団体合わせて現在166団体となっております。
利用者数は現在までで321人で、活用方法は、販路開拓などの県のコーディネーターによるビジネスマッチングの場、県内事業者と首都圏事業者との商談スペースなどに利用されており、次第にふえる傾向となっております。
今後、移住交流センターやコワーキングスペースを多くの皆様に活用いただくために、ここが幅広い用途に利用できるということの一層のPRをしていきたいと思っておりますし、事業報告研修会をやっておりますけれども、コワーキングスペースの利用者に実際の利用方法、効果を事例発表していただく、このようなことによりましてさらに多くの利活用いただけるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
〔13番荒井武志君登壇〕
◆13番(荒井武志 君)御答弁をいただきましたが、私は、銀座NAGANOのにぎわいを、信州のいいものを、信州人の心の大きさを多くの来訪された皆様に体感、感じ取っていただくことは無論でありますが、結果、長野県内にお出かけをいただき直接県民に接していただくとともに、宿泊を含めた各種施設の利用や県産品をお買い求めいただくことがとても必要であり重要ではないかと思っております。
そこで、県内への波及効果についてどのように捉えておられるのか。知事に御所見をお伺いいたします。
観光振興の二つ目は、外国人旅行者の誘致対策についてであります。
近年は観光や旅行形態が大きくさま変わりしてきています。単なる名所・旧跡めぐり、温泉・湯めぐりだけではなく、体験し、おいしいものを食す、人に接し人情を感じる、自然を肌で感じる、海外旅行に出かけるとともに海外からも来訪されるなど、多様になっています。加えて、日本の総人口が減少し、グローバル社会へと変容しつつあります。
そのような中、平成25年の観光庁宿泊旅行統計によれば、長野県の外国人宿泊者数は、前年に比べ88.4%ふえ全国第3位の伸び率で、過去最高の36万人を記録したとのことであります。
県は、この外国人宿泊者数を平成29年までに50万人とする目標達成に向けて、平成27年度に、東南アジアへの外国人観光情報発信員の配置や観光外国語ホームページの充実、公共施設や駅、宿泊施設への無料公衆無線LAN整備に対する助成をするなどとしており、大いに期待をするところであります。
そこで、観光部長にお伺いいたします。
外国人旅行者受入環境整備事業により新たに公衆無線LAN環境の整備促進を図っていくこととしておりますけれども、この整備について具体的にはどのように取り組んでいくのでしょうか。その仕組みや整備の見通しについてお聞かせください。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)銀座NAGANOの県内への波及効果という御質問でございます。
私も、銀座NAGANOのいろんな効果を県内にしっかりつないでいくということが極めて重要だろうと思っています。
そういう意味で、節目の時期にしっかりと銀座NAGANOのさまざまな影響、効果というものを整理していく必要があるというふうに思っておりますが、現時点での運営実績とか利用者の声等から、その一部、今我々が把握しているものを申し上げると、まず商品販売、オープンから4カ月で約7,600万円余の販売があります。そして、そうしたことを契機として商品の取り扱い事業者と首都圏大手バイヤーとの商談が具体的に始まっているものも出てきております。
また、銀座NAGANO発着で、星空の聖地モニターツアーでありますとか、あるいは移住体験ツアーが行われておりますので、これは銀座NAGANOを起点として直接的に人がお越しいただいています。
また、やや間接的にはなりますけれども、全国あるいは首都圏のテレビ番組で取り上げられたり、あるいは新聞、雑誌等での取材もあります。1月末までの間に銀座NAGANOが取り上げられた件数、これは県内版というものは除いてでありますけれども約57件ということになっております。
そういう意味で、さまざまな経済効果、そして具体的な動きにつながってきているというふうに考えております。
今後とも、長野県への観光誘客、そして移住へ結びつけていくということとあわせて、県内企業と首都圏企業等による新たなビジネスの創出等、人と人、企業と企業が出会いつながる場として一層有効に活用していきたいというふうに考えています。
以上です。
〔観光部長野池明登君登壇〕
◎観光部長(野池明登 君)公衆無線LAN環境の整備促進事業の具体的仕組みと整備の見通しについてのお尋ねでございます。
来年度、宿泊施設や駅等における無料公衆無線LANの集中的な整備を行う予算をお願いをしているところでございます。対象は、市町村が策定する整備計画に基づきまして、民間宿泊事業者または民間交通事業者が無料公衆無線LANを整備する場合、県がその整備に要する経費の2分の1の範囲で市町村を経由して間接的に補助をするものでございます。
宿泊事業者が行う場合は無線LAN機器の購入費用と機器設置工事費を対象といたしまして、20室程度の宿泊施設をモデルにいたしますと、事業費ベースで60万円、補助金額として30万円を上限とする制度としたいと考えております。
市町村の補助につきましては、市町村の判断で県の補助に上乗せをすることも可能としたいと考えております。
事業の実施によりまして、宿泊施設は約300カ所、駅、バスターミナル等は約20カ所に無料公衆無線LANの整備を予定しているところでございます。
以上でございます。
〔13番荒井武志君登壇〕
◆13番(荒井武志 君)銀座シェアスペースにつきましては、まだ始まって間もないところでありますが、多くのことが大変有効に機能し始めているんではないかなというふうに思っているところでございます。どうぞ、これがいい結果にまた結びつきますように心から期待をしております。
次に、観光地の空き家・廃屋対策についてであります。
このことにつきましては、私は平成24年6月議会で質問をいたしました。その際の知事答弁では、これは個々の地域の実態に応じて同じ廃屋でも対応の仕方というのはかなり違ってくる場合があると思いますので、やはり市町村の思いとか声というのをしっかりまず伺わなければいけない、そうした上でほかの県あるいは市町村での取り組みを十分参考にしながらその効果的な枠組みについて考えておかなければいけないとのことでした。
一方、昨年12月には、いわゆる空家対策特別措置法が国会解散直前に成立しました。これは、空き家の適切な管理を強く促し、倒壊のおそれがある空き家を撤去することなどを地方自治体が行いやすくするために法的な根拠を提示して支援していくというものであります。
そこで、伺います。
さきに成立した国の空家対策特別措置法は主に一般住宅における空き家について規定されていると思料しておりますけれども、旅館、ホテルや工場等の非住家施設の取り扱いはどのようになっておるでしょうか。建設部長にお伺いいたします。
次に、さきに述べたように以前の質疑から2年半余りが経過しましたが、その後、市町村の実態把握をどのように行い、その状況はどのようなものだったのでしょうか。
もう一つは、他の都道府県や市町村の取り組みを踏まえてどのように検討してこられたのでしょうか。また、今後の方向性や対策はどのようにお考えでしょうか。
以上2点について知事にお伺いいたします。
〔建設部長奥村康博君登壇〕
◎建設部長(奥村康博 君)空家対策特別措置法における非住家施設の取り扱いについてのお尋ねでございます。
この法律は、適切な管理が行われていない空き家等が、防災、衛生、景観等の住民生活の生活環境に深刻な影響を及ぼしている状況への対応を目的とし、「空家等」は、住宅だけではなく、観光地における旅館、ホテル等全ての建築物の空き家、廃屋について対象としているものでございます。
また、この「空家等」のうち、特に倒壊等の危険があるものや景観を損ねているものなどを「特定空家等」と定義し、市町村長が使用者への必要な措置の助言や指導、勧告、さらには危険な建築物の除却命令などを行えることとされております。
県では市町村が講ずる措置について情報提供や技術的助言などの必要な援助を行い、空き家対策を推進してまいります。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)観光地の空き家に係る市町村の実態把握とその状況という御質問でございます。
昨年までに、大規模廃屋のある3市村にお伺いをさせていただいて、八つの具体的な廃屋の実態を市村と共同で調査をさせていただいております。その上で今後の方針等について協議をしてきているわけでありますが、廃屋はいずれも相当年数経過をしたものであります。長いものは事業が停止してから約10年経過しているというようなものもあります。所有者の所在不明、複雑な権利関係、多額な撤去費用、こうしたことから解決がなかなか難しくなっているという現状にあります。
市町村の対応としては、専門の部署を設けて地元と協議しているところもございますが、他方で現時点では特別な対応をしていないところもあり、自治体によりさまざま温度差があるという現状があります。
これまでの検討と今後の方向性や対策という御質問でございますが、廃屋対策につきましては、昨年11月に空家等対策の推進に関する特別措置法、私ども長野県としても国に対して要望をして成立したわけでありますが、基本的には市町村が主体的に取り組んでいただくということが重要であります。法律上も、市町村が空き家等対策計画の策定等さまざまな役割を担うというスキームになっているところでございます。
こうした中、例えば茅野市におきましては、専門の部署を設置して、また、地元では再生に向けた検討組織をつくって、廃ホテルの複雑な権利関係を整理するなど積極的に大規模廃屋対策に取り組んでいらっしゃいます。県としても、地域の活性化ビジョンの策定でありますとか廃屋撤去に係る国庫補助制度の活用について御相談を受け、ビジョン策定には県も参加をしていく方向でございます。
大規模廃屋は観光地の著しいイメージダウンにつながりますことから、県としても、廃屋問題の解決に向け積極的に取り組まれている市町村に対して、今回の空家等対策の推進に関する特別措置法を踏まえて、できる限りの支援をしていきたいと考えております。
以上です。
〔13番荒井武志君登壇〕
◆13番(荒井武志 君)廃屋対策につきましては県もしっかり把握をしながら取り組んでいるということでございますので、市町村との連携をさらに密にしていただきまして、ぜひお願いをしたいと思います。
次に、信州山の日についてであります。
信州の山に感謝し、守り、育て、生かすとする信州山の日の制定趣旨の理解と、具体的に山にかかわることで信州の山のよさや魅力をより高めていくことが、信州山の日の制定であったと思います。
県政モニターアンケート調査結果によれば、信州山の日の認知度は8割あるが、制定趣旨まで知っている人は4割にとどまっているとのことであります。
私は、地元で、地域の歴史や文化を大切に後世につないでいこうとする保存会にかかわり、登山道整備を中心に活動していますが、昨年7月26日には、草刈り作業の中で、あえて山に親しむイベントと銘打って信州山の日を会員にアピールし取り組んでまいりました。
そこで、以下2点について林務部長にお伺いいたします。
一つに、市町村や地域、団体、企業等の山の日に関連する取り組み状況はいかがだったでしょうか。
二つに、市町村や民間企業等との連携については今後具体的にどのように取り組んでいくのでしょうか。
次に、信州山の日について小中学校及び高等学校ではどのような取り組みが行われてきたでしょうか。また、新年度の取り組みをどのようにお考えでしょうか。教育長にお伺いいたします。
一方、平成28年春には全国植樹祭が開催されますが、信州山の日の制定趣旨からすれば、この二つを関連づけ、一体のものとして取り組むべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〔林務部長塩原豊君登壇〕
◎林務部長(塩原豊 君)信州山の日について2点お尋ねをいただきました。
初めに、市町村等の取り組み状況についてですが、県では本年度を信州の山新世紀元年と位置づけまして、市町村、団体、メディア等の皆様の御協力を得て、県民の皆様が山に親しむ取り組みを展開してきたところでございます。
特に、信州山の月間であります昨年の7月15日から8月14日には、議員から御紹介のありました、地元保存会が行っております登山道整備を山に親しむイベントに位置づける取り組みなど、県内各地で市民登山や記念イベントなど90を超える多彩な行事が開催され、約4万人が参加されております。
また、新聞社やテレビ局においても、山の日の制定を記念した市民講座や、山の写真を募集する企画なども行われたところです。
こうしたさまざまな取り組みを通じて信州山の日を周知し、山に親しむ取り組みに多くの県民の皆様の参加が得られたと考えております。
次に、市町村や企業と連携した取り組みについてですが、2年目を迎えます信州山の日の定着には議員御指摘のとおり市町村や企業の皆様との一層の連携が必要と考えております。このため、市民登山やアウトドアスポーツなど市町村、企業等が実施するイベント情報の積極的な発信や、銀座NAGANOを活用した信州山の魅力発信などに引き続き取り組んでまいります。
また、本年の信州山の日、7月第4日曜日の7月26日には山の日フォーラムの開催を計画するほか、信州山の月間中には県内4地域で山の日学校を市町村と共催で開校いたしまして、県民の皆様に山の安全対策や地域の山の魅力を学んでいただくことを計画しております。
さらに、関係部局との連携のもとに、企業、団体の皆様の御協力を得まして、来年度は、新たに山岳写真展や山岳映画の上映など、信州の山岳文化を全国に発信する取り組みも展開してまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔教育長伊藤学司君登壇〕
◎教育長(伊藤学司 君)信州山の日の学校における取り組みについてのお尋ねでございますが、県教育委員会では、本年度、信州山の日の制定に当たりまして、各市町村教育委員会や各学校に制定の趣旨などについて周知をしてきたところでございます。
あわせて、信州の山のすばらしさを子供たちに再確認をしてもらうために、中学校、高等学校を対象に学校登山のすすめ
ホームページコンテストを実施をしたところでございます。
参加校のホームページは、自校の学校登山の歴史を調べたり、郷土の山の魅力をまとめたりしており、こうした活動の中で信州の山を守り育てていこうとする意識が高まったものと承知をしてございます。
来年度は、本年度の
ホームページコンテストの入賞校の取り組み状況や、県及び各市町村が行っている学校登山を支援する取り組みなど、各学校が信州の山により親しむ学習を行うための参考となる情報を提供し、各学校における信州の山のすばらしさに触れるための支援に努めてまいりたいと考えてございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)全国植樹祭と信州山の日との連携についてという御質問でございます。
平成28年春に本県で開催予定の全国植樹祭、さまざまな恵みを与えてくれる森林を県民が協働して守り育て、未来に引き継いでいく姿を全国に発信するものであります。これは、荒井議員御指摘のとおり、山に感謝し、守り、育て、生かす、信州山の日の制定趣旨にも合致するものというふうに考えております。
そうしたことから、全国植樹祭の開催に向け、これからカウントダウンイベント等行ってまいります。そうした際に信州山の日を紹介をしていきたいと思います。また、山の日の関連行事におきましても全国植樹祭を積極的にPRをするなど、相乗効果を高める取り組みに努めていきたいと考えています。
県民が山とともに生き、山の恵みを生かしてきた本県の木と森の文化を、市町村や企業、団体、県民の皆様と一緒になって全国に発信をしていきたいと考えております。
以上です。
〔13番荒井武志君登壇〕
◆13番(荒井武志 君)答弁をいただきました。
取り組みが90を超える団体、また4万人というお話がございました。長野県内には77の市町村があるわけであります。一つの市町村で1件強ということだと思うんですね。ですから、まだまだこれからの取り組みが必要なんではないかと、こういうふうに思うところでございます。
いずれにしましても、県民皆様が、清らかな水や、みずみずしい山の緑に心から感謝し、私たちみずからが育てていくという気風づくりがしっかり定着していきますように強く期待をさせていただいて、一切の質問を終わります。
○議長(風間辰一 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(風間辰一 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。
次会は、来る3月2日午前10時に再開して、
行政事務一般に関する質問及び
知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって延会いたします。
午後3時53分延会...