長野県議会 > 2014-02-25 >
平成26年 2月定例会本会議-02月25日-02号

  • "理念実現"(1/1)
ツイート シェア
  1. 長野県議会 2014-02-25
    平成26年 2月定例会本会議-02月25日-02号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成26年 2月定例会本会議-02月25日-02号平成26年 2月定例会本会議 平成26年2月25日(火曜日)  出席議員(57名)   1 番 中川博司      27 番 金子ゆかり   2 番 依田明善      28 番 和田明子   3 番 石和 大      29 番 今井正子   4 番 藤岡義英      30 番 永井一雄   5 番 中川宏昌      31 番 諏訪光昭   6 番 清水純子      32 番 小池 清   7 番 小池久長      33 番 清沢英男   8 番 桃井 進      34 番 垣内基良   9 番 髙橋岑俊      35 番 竹内久幸   10 番 甕 裕一      36 番 佐々木祥二   11 番 吉川彰一      37 番 向山公人   12 番 山岸喜昭      38 番 高村京子   13 番 荒井武志      39 番 小林伸陽   14 番 堀場秀孝      40 番 村上 淳   15 番 続木幹夫      41 番 小松千万蔵   16 番 両角友成      42 番 西沢正隆   17 番 小林東一郎     43 番 風間辰一
      18 番 太田昌孝      44 番 平野成基   19 番 今井 敦      45 番 本郷一彦   20 番 丸山栄一      46 番 倉田竜彦   21 番 小松 稔      48 番 高橋 宏   22 番 野澤徹司      49 番 石坂千穂   23 番 小島康晴      50 番 宮澤敏文   24 番 下沢順一郎     51 番 村石正郎   25 番 鈴木 清      52 番 木下茂人   26 番 宮本衡司      53 番 萩原 清   54 番 服部宏昭      57 番 下﨑 保   55 番 望月雄内      58 番 石田治一郎   56 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    会計管理者     長澤一男   副知事       和田恭良    公営企業管理者   副知事       加藤さゆり   職務執行者・企   岩嶋敏男   危機管理監兼危           業局長   機管理部長     久保田篤    財政課長      平木万也   企画部長      原山隆一    教育委員会委員   総務部長      岩﨑 弘    長         櫻井久江   総務参事      髙田幸生    教育長       伊藤学司   健康福祉部長    眞鍋 馨    教育次長      青木 弘   環境部長      山本浩司    教育次長      笠原千俊   商工労働部長    太田 寛    警察本部長     山崎晃義   観光部長      野池明登    警務部長      岡本 努   農政部長      中村倫一    監査委員      吉澤直亮   林務部長      塩入 茂   建設部長      北村 勉         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      北原政彦    議事課担当係長   若林憲彦   議事課長      大日方正明   総務課担当係長   坂家智浩   企画幹兼議事課           議事課担当係長   三井 実   課長補佐      浅岡龍光         ───────────────────  平成26年2月25日(火曜日)議事日程    午前10時開議    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    知事提出議案    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(本郷一彦 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(本郷一彦 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案の報告 ○議長(本郷一彦 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                平成26年2月25日   長野県議会議長 本 郷 一 彦 様                           長野県知事 阿 部 守 一         平成26年2月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 73 号 平成25年度長野県一般会計補正予算(第6号)案 第 74 号 平成25年度長野県公債費特別会計補正予算(第2号)案 第 75 号 平成25年度長野県流域下水道事業費特別会計補正予算(第5号)案 第 76 号 平成25年度長野県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第1号)案 第 77 号 平成25年度長野県農業改良資金特別会計補正予算(第2号)案 第 78 号 平成25年度長野県県営林経営費特別会計補正予算(第3号)案 第 79 号 平成25年度長野県林業改善資金特別会計補正予算(第1号)案 第 80 号 平成25年度長野県高等学校等奨学資金貸付金特別会計補正予算(第1号)案 第 81 号 平成25年度長野県電気事業会計補正予算(第3号)案 第 82 号 平成25年度長野県水道事業会計補正予算(第3号)案       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(本郷一彦 君)以上であります。  次に、お手元に配付いたしましたとおり、地方自治法第122条及び地方公営企業法第25条の規定に基づき知事から予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします          ━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案 ○議長(本郷一彦 君)ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。  本案を一括して議題といたします。  提出議案の説明を求めます。  阿部守一知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ただいま提出いたしました追加議案につきまして御説明を申し上げます。  提出いたしました議案は、平成25年度一般会計補正予算案など10件です。  一般会計の補正予算案は、365億1,091万7,000円の減額であります。増額する主なものは、道路除雪費、後期高齢者医療給付費県費負担金などの社会保障関係費、地域経済活性化・雇用創出臨時基金等の積み立てに要する経費などであります。減額となりますのは、国庫支出金の決定及び事業の確定などに伴うものであります。  歳入につきましては、地方交付税40億3,272万5,000円、県税32億1,081万5,000円を増額する一方、諸収入190億6,141万5,000円、県債148億2,100万円、繰入金97億2,120万3,000円を減額するなど、所要額を計上しております。  財政調整のための基金につきましては、歳入の確保や予算の効率的な執行などに努めた結果、取り崩し額を61億円減額して27億円といたしました。  本年度の一般会計予算は、今回の補正を加えますと8,396億4,712万5,000円となります。  特別会計補正予算案公債費特別会計など7会計、企業特別会計補正予算案は電気事業会計など2会計であり、事業計画の変更などに伴う補正であります。  以上、追加提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○議長(本郷一彦 君)以上であります。  これらの議案は、本日から行う質疑の対象に供します。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━ △各党派代表質問及び知事提出議案 ○議長(本郷一彦 君)次に、各党派代表質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  自由民主党県議団代表村石正郎議員。       〔51番村石正郎君登壇〕 ◆51番(村石正郎 君)おはようございます。自由民主党県議団を代表して質問をいたします。
     まずもって、このたびの記録的な大雪の災害でお亡くなりになられた方と御遺族に対しお悔やみの言葉を申し上げますとともに、被害を受けられた皆様に対しお見舞いを申し上げます。  また、これらの災害における県の対応については、的確な情報を早期に把握し、県民生活の安心、安全の確保を図るため、より迅速かつ適切な対応を引き続きとられるようお願いする次第であります。  さて、阿部県政が誕生したのは平成22年の8月でありました。そして、就任以来、本年8月末には4年を経過いたします。その最後の年度に当たる予算編成については、最高品質の行政サービスを提供し、ふるさと長野県の発展と県民の幸せの実現に貢献するため、行政経営理念を常に念頭に置いて、県政課題の解決、行政・財政改革に取り組む基本姿勢のもとに、しあわせ信州創造プラン、総合5カ年計画の基本目標である「確かな暮らしが営まれる美しい信州」の実現に向け施策を推進する方針のもとに実行されました。  一方、国においては、安倍首相が、施政方針の中で、アベノミクスの3本の矢によって日本経済が長く続いたデフレで失われた自信を取り戻しつつある状況下において、株高、円安等で得た企業収益を雇用拡大や所得の上昇につなげるとともに、その反映となる消費の増加を通じて景気回復を図り、デフレ脱却につなげることを申しております。  このような国の動向に影響され、本県の経済にも明るい兆しが見え、春闘の賃上げの動き、雇用面における求人倍率が1倍を超えるなどの現象が出ておりますが、地方への経済波及効果について県民から聞こえてくる声はまだまだ厳しいものがあり、今後、県政において一層の知恵と努力を傾注する必要があると考えるところであります。  それでは県政課題について順次質問いたします。質問は37項目に及びます。答弁は簡潔にお願いいたします。  最初に、知事選についてであります。  知事は、本年1月6日仕事始め式で、県政、世界のありようを長期的スパンで振り返って未来を見据える年にしたいと述べ、8月末に任期が満了するのに伴う知事選への再出馬に意欲的とも受け取れる発言があり、その後の記者会見で、知事選への対応は、しかるべき時期に判断すると述べておられます。  一方、このたび平成26年度当初予算が提案され、一般会計8,491億余円で前年度対比102.3%と積極的なものとなっております。継続した経済対策予算を初め、知事が公約とした条例制定などが盛り込まれ、8月の任期末を迎えるに当たっての骨格的なものではなく、当然、次期を見据えての対応であるとしか思えられません。  前回の知事選において私ども自民党県議団が支援した候補と5,000票差で勝利し、阿部県政が発足いたしました。そして、3年半余りが経過いたしました。この間を顧みますと、知事初当選後の取り組みとして真っ先に取り組む課題として事業仕分けを掲げ、女性登用を念頭に置く副知事人事やドクターヘリの中南信地区への配備、また、教育再生のための組織再編などを明示いたしました。これらは知事の選挙公約である「あべ守一基本政策集2010」に掲げられている一部でもあります。  私ども県議団は、阿部知事の県政姿勢に対しまして是々非々の立場で議会としてのチェック機能を十分に発揮して対応してまいりました。知事が最も力を注いだとする事業仕分けにおいては、既存の政策評価等の関係を含め意見、提言を行い、見直しの議論を進めてまいりました。一方、経済対策などの予算や中期総合計画策定については私どもとしての考えを積極的に示し、知事もそれらの意見を反映してくれました。  このような状況下において、私どもは、前回知事選の総括をし、そして、現在の阿部知事の政治姿勢や県民各層の意見等を集約する中で8月の知事選における今後の方向性を出してまいりたいと思っております。  そこで、知事が申された、しかるべき時期とは、この2月議会の議場を描いたのでしょうか。この場で表明されるのも賢明であろうかと考えられますが、知事の決意を伺います。  また、阿部知事は、当時、副知事の立場で、平成16年6月議会において、当時の田中知事に対して、知事におかれましては、先入観念を持たず、さまざまな立場の意見に耳を傾けてほしい、そして、生きた人の使い方をしていただきたい、真の改革とは理念を言うことではありません、理念を実現することが本当の改革だと思いますと述べておられます。  そこで、知事になられて、さまざまな県民の声を聞く姿勢は評価いたしますが、生きた人の使い方は十分にできているとお考えでしょうか。また、知事の理念とするものがどこまで実現できたと思っておられるのか。答弁をいただきたいと存じます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)村石議員の代表質問、知事選に関連しての御質問にまずはお答えを申し上げます。  私、知事に就任いたしてから約3年半経過をしたわけであります。この間、本当に県民の皆様方の大きな支え、そして県議会の皆様の御協力、そして県職員の踏ん張り、頑張りに支えていただき、県政を進めていくことができたというふうに考えております。  私とすれば、県民から負託された知事としての任期、まだ半年、4年の任期の8分の1残っているというのが率直な感覚であります。4年間の任期をしっかり全うするということを第一に考えております。  しかしながら、村石議員の御質問にもありましたように、9月以降の長野県政、私自身、決断をしなければならない時期が近づいているということも事実でございます。  しあわせ信州創造プランについて、県議会の皆様方の御賛同もいただいて、今年度から新たにスタートしたわけであります。これは、私自身の強い考え、思いということも注いで策定をさせていただいたわけでありますけれども、スタートしてまだ1年目ということで私としてその具現化に対する責務というものもあるというふうに考えております。加えて、新しい県立4年制大学の設立準備、あるいはブランド戦略の柱としてのしあわせ信州シェアスペース(仮称)の設置、信州教育の再生、産業イノベーションのさらなる推進、こうした継続して取り組むべき課題も数多くあるわけでありまして、こうした事業、施策の成功実現に向けて全力を傾注していかなければならない局面であるというふうに考えております。  次期知事選で再選を目指すことにつきましては、こうした状況認識の中で県民の皆様の声に真摯に耳を傾け、耳を澄ませて、その上で最終的な決断をしてまいりたいと考えております。  次に、よりよい県政、知事の理念がどこまで実現できたか、人の使い方は十分できているのかということでございます。  よりよい県政を実現するためには、県組織あるいは職員一人一人の力をどう生かしていくかということが大変重要だというふうに考えております。当時、副知事のときにこの議場で村石議員引用していただいた趣旨の発言をしたことについては私もしっかり頭の中に残っておりますし、その思いは今も胸に刻んでいるところでございます。  私は、組織としてしっかりと理念を共有していきたいという思いから、平成24年の3月に長野県行政経営理念を作成いたしました。「最高品質の行政サービスを提供し、ふるさと長野県の発展と県民の幸福の実現に貢献します。」、これを県のミッションということで掲げて、ビジョン、あるいは行動の指針、こうしたものについても県職員と共有をして県政を進めていこうということで取り組んでまいりました。  また、長野県の人材育成基本方針を改定いたしまして、職員に県民に対する共感力、そして具体的な政策を進めていく政策力、さらには県民の皆様方を初め県庁外に対する発信力、こうしたものの強化を掲げて県職員の取り組んでもらう方向性を明確にしてきたところでございます。  さまざま県政モニターの皆様方の評価、あるいは県の職員が行政経営理念に掲げたことがどの程度できているかというような調査等も行ってきておりますけれども、そうした結果を見ると一定の前進はしておりますけれども、まだまだ理想とするべき状況に向けては私自身も含めて努力が必要だというふうに考えております。  この間、今年度からは職員による政策研究を実施して、できるだけ県職員のそれぞれのアイデア、能力を引き出そうということで、33のテーマに193人の職員が参加をしてさまざまな行政課題の研究等も行ってきております。そういう中から、若い職員が自主的に、自分たちが地域に飛び込んでさまざまな取り組みを県民と一緒になって行おうというグループも出てきたところでありまして、私としては大変心強く思っておりますし、私の思い描く方向性に一歩一歩長野県政も近づいているなというふうに感じているところでございます。  こうした考え方、理念、実現していくためには私自身も不断の努力をしていかなければいけないというふうに考えておりますし、県職員とのしっかりとした対話を心がけていく必要があるというふうに思っております。これからも、県組織、そして県の職員が持つ力を最大限に発揮することができるように取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔51番村石正郎君登壇〕 ◆51番(村石正郎 君)知事は再出馬を明確には表明されませんでしたが、再出馬は確実なものと受けとめました。私どもは、ことし8月の知事選に向けての対応については、前回知事選の総括のもとに、県政推進の立場から賢明な判断をしていく考えであります。  次に、経済対策について伺います。  アベノミクスのもとで、長期にわたるデフレと円高、株安に沈滞していた我が国経済は、企業部門でも収益が回復し、輸出関連製造業を中心に企業の景況感や投資意欲が前向きになるなど、足元でようやく自律回復に向けた動きが始まってまいりました。しかしながら、景気は回復しつつあるものの、民間部門の活力がまだ十分に回復していない現状にあります。特に、地方においては、中小企業、零細企業には景気回復とは実感の伴わない状況であります。  このように企業部門のプラス効果が設備投資や所得の増加といった自律回復メカニズムを作動させるには、残念ながらその勢いは力強いとは言いがたい実情にあります。企業の設備稼働率は依然として低水準にあり、新規投資が設備投資全体を牽引するにはまだ時間を要するものと見られます。同様に、持続的な雇用情勢の改善もまだこれからという状況にあります。加えて、4月からの消費税アップがどう我が国経済に影響するのか不透明な部分もあります。  そのため、景気回復の動きを確かなものとするため、国の経済対策を積極的に活用し、平成25年2月補正予算と26年度当初予算を一体的にした経済・雇用対策予算を編成したとしております。特に、県内経済の活性化を下支えするための社会資本整備事業には、公共事業を中心に、補正と当初予算を合わせ1,531億余円が計上されております。  そこで、公共事業の発注についてですが、過去の経緯から技術者不足が出ており、労務賃金も従来と比較して1.5倍あるいは2倍という実態が発生しております。そのため入札の不落が随所に出ており、工期も必然的におくれることになっております。2月の補正予算であればなおさら緊急を要する問題でありますが、その点は大丈夫なのでしょうか。  また、人口減少下で成長を維持していくために、アベノミクスでは大都市や大企業が先行しているとの指摘の中で、いかに地方、中小企業までプラス効果を波及させて県民所得の向上につなげていくためには、県としていかなる施策を講ずるべきか。高い付加価値を生み出す人材を育成するための施策も必要と考えますが、知事の見解を伺います。  商工労働部長には、このような中で、非正規雇用の待遇改善や雇用のミスマッチ解消などに向けて労働市場のさらなる改革に踏み込んでいく必要があると考えますが、見解を伺います。  次に、長野県は、子どもを性被害から守る専門委員会を設置し、淫行犯罪条例の制定の是非について検討を始め、また、報道によると同条例の制定に積極的な発言が相次いだとされております。  警察本部長も、今までの一般質問答弁で、淫行犯罪を含む青少年健全育成条例の必要性を答弁されております。そして、条例に反対する県弁護士会は、個人の性や恋愛に権力が踏み込みかねない、処罰の対象にするみだらな性行為の内容が曖昧で本質的な曖昧さが解消されていないと条例制定に反対しておりますが、どのような性行為が条例の処罰対象となるか。福岡県条例の淫行処罰規定を合憲とした1985年の最高裁の判例を根拠に、一定の共通認識としての整理はされていると考えられます。  私の近くの県道長野須坂インター線沿いの2カ所に有害図書の自動販売機が30年くらい前から設置されております。地元では、高甫地区有害環境を排除する会を20年以上前から設置し、関係6区の区長、PTA、学校関係者ほか各種団体の長で構成し、毎年パトロールを実施、県及び市、行政機関への撤去の要望を繰り返すとともに、また、業者へも直接撤去をたびたび要請したり、不買運動を進めたり、考えられるあらゆる活動を続けてまいりましたが、一向に解決のめどが立たないのが現状であります。  各県の青少年健全育成条例を見ると、有害図書やインターネット利用環境の整備等、制限または撤去できるなどの規定が盛り込まれております。  これまで条例が制定されていない状況下で県民の努力は多とするものですが、このことについて知事と警察本部長の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)経済対策に関連しての御質問にまずお答え申し上げます。  まず、公共工事の発注についてでございます。  応札なし、不調、こうしたことの発生は工期のおくれにもつながることでもありますし、発生しないようしっかりと対策を講じていくことが私どもも重要だというふうに認識をしております。  こうしたことから、今後の発注に当たりましては、1人の技術者が複数の現場を持てるような緩和でありますとか、受注者みずからが工事着手時期を選択することができるフレックス工期契約制度の積極的な活用、さらには発注規模を地域の実情に応じて設定するといったようなことで対応してまいりたいと考えております。さらには、技術者や技能者の不足に対応するため、この2月1日に設計労務単価の改定も行い、市場の実勢価格を適切、迅速に予定価格に反映させるところであります。  こうした取り組みによりまして公共工事の着実な施行を図ってまいりたいと考えております。  次に、県民所得向上のための施策についてでございます。  県内中小企業が景気回復の勢いを確実に取り込み、継続的な収益向上につなげ、本県経済の元気を取り戻すためには、安定的な成長が見込まれる次世代産業の創出、そしてその産業を支える人材の育成が重要だと考えております。  次世代産業創出への支援策といたしましては、産業イノベーション推進本部を中心に、本県の強みを生かした成長期待分野への展開を支援してまいります。例えば、具体的には、健康・医療分野への事業展開を促進するため、本県の強みであります中小企業が持つ微細加工技術や小型化技術を生かした医療・福祉機器の試作開発に係る新たな助成制度を創設いたします。また、本県が参加に向けた準備を進めておりますアジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区内における企業立地や設備投資を促進するためものづくり産業応援助成金の助成率を引き上げるなど、中小企業の航空機産業への参入を支援していくところでございます。  また、人材育成への支援策でございますが、県立4年制大学を整備し、地域や産業にイノベーションを創出していくことができる人材を育成しますとともに、産業界の急速な技術革新に柔軟に対応できる高度な技能、技術を持った人材を県内全域に輩出するため、長野県南信工科短期大学校の平成28年4月開校に向けた準備を進めているところでございます。  また、地域社会の発展に貢献できる人材の育成につきましては、県内大学、産業界、行政が協働で取り組みます長野県産学官協働人財育成円卓会議を開催しております。この成果、アクションプランとして具体的に取りまとめて実行に移してまいりたいと考えております。  こうした取り組みを進めることにより県内企業の成長期待分野への挑戦を支援するとともに、世界に飛躍するグローバル人材の育成を推進し、世界に貢献する、経済変動に強い自立した経済構造への転換を進めてまいります。  次に、青少年の健全育成についてでございます。  有害図書、有害図書自動販売機の規制についてでございます。  これまで、県民の皆様方の長年にわたる熱心な取り組みで青少年の健全育成に取り組んでまいりました。知事として、そして育成県民会議の会長として、関係の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。  青少年の健全育成を阻害する有害図書自動販売機への対応につきましては、私ども知事部局、県警本部も一緒になりながら県民運動として取り組んでまいりました。  有害図書につきましては、有害図書取り扱い店舗において、区分陳列、18歳未満の方には販売しない旨の表示、こうしたことを行ってもらってきております。こうしたことを行っていただいている配慮率は平成25年で98%ということで、有害図書の販売規制等を盛り込んだ青少年保護育成条例がある他の都道府県より高い状況だというふうに考えております。  有害図書自動販売機については、市町村によってはなかなか撤去が進まず、先ほど村石議員のお話の中にも、なかなか困っている、御苦労されている地域もあるというふうに承知しておりますが、全県的に見ますと、設置台数、ピーク時の平成18年407台が平成25年には126台ということで7割減と、県民運動の成果、かなり出てきているというふうに考えております。  有害図書の規制あるいは有害図書自動販売機の規制につきましては、こうしたことから、県民運動の取り組み、有効に機能していると考えておりますが、条例での対応ということにつきましては、現在、子どもを性被害等から守る専門委員会で検討中でございますので、その報告を受けまして適切に判断してまいりたいと考えております。  以上です。       〔商工労働部長太田寛君登壇〕 ◎商工労働部長(太田寛 君)非正規雇用の待遇改善や雇用のミスマッチ解消などについての御質問でございます。  まず、現状を申し上げますと、県内雇用者の35%が非正規雇用でございまして、その賃金水準は正社員の6割程度にとどまっております。また、学生に県内中小企業の魅力や情報が十分に浸透していないこと、あるいは専門技術を持つ人材の不足などによりまして県内企業の人材確保にミスマッチが生じているなど課題があると認識しております。  このため、これらの改善に向けましては、まず安定した雇用を創出するために、長野県産業イノベーション推進本部によりまして信州産業の再生や次世代産業創出を推進しているところでございます。また、企業が求める人材の育成確保のため、今ほど知事が申し上げましたように、高度な技術、技能を持つ人材を育成するための教育機関の充実を図ってまいりたいと考えております。  このほか、就業希望者に対しまして県内中小企業の魅力を発信するために、求人情報やトップインタビューを紹介するウエブサイトを今月から開設しておりまして、積極的な情報発信に取り組んでまいります。  安心して働き続けられる労働環境づくりに向けましては、育児や介護と仕事を両立できる短時間正社員制度などを普及するために今年度から県内企業3,000社への訪問を始めておりまして、この働きを引き続き進めまして制度設計を支援してまいりたいと考えております。  さらに、今回、国の経済対策の一環として導入されました新たな緊急雇用創出基金を活用いたしまして、就業するために必要な知識、技術を習得できる取り組みや、在職者の賃金引き上げや正社員転換などを図る取り組みを民間事業者と協働して実施してまいります。  このような取り組みを部局横断で進めていくことによりまして、次世代産業の創出や、女性、若者を初め、高齢者、障害者も含めた雇用の促進を図り、働くことを望む人が希望する雇用形態で職につくことができ、その能力を発揮することができる労働・雇用環境づくりに努めてまいりたいと考えております。       〔警察本部長山崎晃義君登壇〕 ◎警察本部長(山崎晃義 君)お答え申し上げます。  有害図書等の自動販売機撤去につきましては、これまで少年の健全育成を阻害する有害環境の浄化対策を推進しているところ、県を初め関係機関・団体、地域住民の皆様と連携し撤去運動に取り組んでいるところであります。  全国の有害図書等自動販売機に係る規制についてですが、自動販売機を直接撤去できる規定はなく、自動販売機に有害図書等を収納することを禁止しているものであります。その検挙件数は年々減少傾向にあり、昨年は1件であります。しかしながら、現在、知事部局では子どもを性被害等から守る専門委員会において条例制定の是非を含めた子供の性被害等の防止対策を検討しているところであります。  警察といたしましては、同委員会に最近の少年を取り巻く環境の現状や変化について情報提供を行っております。  以上でございます。       〔51番村石正郎君登壇〕 ◆51番(村石正郎 君)次に、教育県長野として信州教育が全国に知られてきたところですが、これは、江戸時代から明治の初期にかけて寺子屋の数が全国で最も多く、そして明治5年の学制公布、このとき全国統一の教育制度が始まりましたが、江戸時代から続く教育への熱意が背景となり、住民が費用を負担して県内各地に学校が建設されました。明治9年には既に県内就学率は63.2%で、この数値は全国第1位でありました。それで、明治30年代から全国から教育県と呼ばれ、県外から多くの視察が相次ぎ、教育者の意気ますます盛んで、すぐれた教育者が数多く輩出されました。  そして、昭和の戦争の時代に入るわけでありますが、国策に積極的に協力して純真な青少年を勧誘して、もとより生還を期せず、敗戦直前まで前途有為な学徒を多く死地に送り出しました。これはざんきにたえない反省点であります。20世紀における日本のこれは国民的な悲劇であり、世界史的な悲劇の経験の中から新しい教育が始まりました。  これからの日本は、日本人はどうすべきか、教育は子供にみずから考えるゆとりを与えなければならない。人間をどう考えるか、そのために学校はどういう場にするか。教育は人間の全体を相手にしている。そして、戦後69年、今、長野県教育は胸を張って教育県と言えるのか。いじめ、不登校は一向になくならない。相次ぐ教師による考えられない不祥事。そしてまた体罰の問題。根底には教師と子供の相互不信、家庭と社会と学校、この相互不信があると思います。  教師の人間の厚み、人間力が求められております。この信州教育の久しく教育県と言われた地下水脈は私は必ずあると思っております。長野県の教員には底力があると信じます。一切の不祥事を根絶し、再び教育県長野を取り戻す。そして、教育県再興に向けてこれからどうするか、どう取り組んでいくのか。教育委員長に決意を含めて見解を伺います。  また、実務のトップである教育長には具体的な方策について見解を伺います。  次に、部活動の朝練習禁止について伺います。  中学での運動部活動のあり方について検討していた長野県中学生期のスポーツ活動検討委員会が、昨年11月、朝の部活動は睡眠不足や授業への影響も懸念されるとして原則やめるべきだとする報告書を提言されました。本県では、30年以上にわたり、ほとんどの中学生で朝練が行われてきておりますが、報告書を受けて、県教委は、パブリックコメント等を経て、去る2月13日の教育委員会定例会で長野県中学生期のスポーツ活動指針を策定いたしました。  朝練禁止は妥当なのか、部活動はどうあるべきか、さまざまな意見が寄せられております。特に、日本教育再生機構副理事長の石井昌浩氏は、朝練原則禁止をどう評価するかについて、疑問だ、学校生活全体を見ないで専ら医学的見地から朝練の弊害が指摘されているが、朝練のマイナス面のみが強調されている、こうした指針が必要なら市町村教委が示すのが筋であり、これを飛び越えて県教委が指示するのはいかがなものか、朝練はやめるべきではない、確かに早起きは眠くてつらいかもしれないが、それを乗り越えれば達成感が得られ、忍耐力が身につくのは何にもかえがたいプラス面だ、そのときはつらくても後で経験が生きてくる、中学生の時期に何かに全力を尽くすということは必要なことで、心と体を鍛えるまたとない機会が朝練だと言えるとし、基本的には学校の判断に任せるべきだ、長野県でも地域差があり、学校の通学圏によっても部活ができる時間は異なってくる、子供の生活実態をつかんでいるのは学校であり、校長が指示を出せばいいことだと述べております。  この市町村教委及び校長の裁量に任せるべきということに対して教育長はどういう見解を持っておられるのか。答弁を求めます。  また、中学生期のスポーツ活動指針では、「運動部活動の活動基準」として、「各中学校での放課後の活動時間の確保に努め、朝の運動部活動は、原則として行わない。」のほか、「疲労の蓄積を抑えて練習の効果を高めるため、平日に1日、土日に1日の休養日を設定する。」や、「平日の総活動時間は、2時間程度までとし、長くても3時間以内にする。」など示しておりますが、地域の社会体育活動について、地域のスポーツ活動においても指針は大きな影響を与えるものと考えますが、地域の社会体育活動に対してどういう見解を持っているか。教育長の答弁を求めます。  また、本県の運動部加入率は、特に中学生女子において、平成20年度以降、50%に満たない状況で推移しており、平成25年度は47.2%であり、教科の体育の時間以外には全くスポーツをしない子が増加しており、スポーツをする子としない子の二極化が進んでいると考えられます。  今回の問題提起が果たして中学生女子の運動部加入率の向上につながっていくのかどうか。教育長の見解を求めます。  次に、学力向上について伺います。  私たち自民党県議団では、昨年10月16日、秋田県と1、2位を占め、特に中学校の数学A、数学Bは全国1位の福井県の教育について視察、研究をしてまいりました。特に注目したのは、コアティーチャーの養成事業と授業名人の活用事業であります。  校内研究の中核となる先生をコアティーチャーに指名し、コアティーチャーを中心に読解力、活用力の育成を目指した授業研究を行う。県のセンター指導主事が原則月1回学校を訪問し、コアティーチャーを支援する。そして、研究の積み上げを狙う。  授業名人の活用事業では、各教科等においてわかりやすい授業によりすぐれた実績を上げている教師を授業名人に任命し、公開授業を通じて授業力の向上を目指す。そして、授業名人の技継承事業として、授業名人を中心としたグループで研究を補助し、次代の授業名人づくりを目指すというものであります。  本県でも全国学力・学習状況調査分析委員会を発足させましたが、本県の学力向上への取り組みは、結果の分析、学力向上策にどう取り組むのか。教育長の答弁を求めます。  次に、匿名性を担保した授業評価、学校評価について伺います。  教員の資質向上・教育制度あり方検討会議において、教育の質を上げ、たび重なる教職員不祥事防止のため、児童生徒や保護者の評価を取り入れるべきだとする提案がありました。  教育長は、授業評価の質を高める上で大きな可能性を秘めていると応じておりますが、一方では、小中学生に客観的な評価ができるのか疑問である。保護者も毎日学校へ行って授業を見ているわけでなく、公正な評価ができるのか。数字がひとり歩きして、評価が低かった教員の意欲が下がるのではないか。教育には一種の強制を含む厳しさも必要であり、生徒、保護者に迎合したりして人気取りに走る教師は出ないのか。  また、匿名ゆえ、誰がどう評価したかわからず、教員側が疑心暗鬼になり、信頼関係が崩れるのではないか。信頼関係において先生と生徒、保護者と先生は絶対の信頼関係でなければならない。深い尊敬の念と固い信頼関係の中でよい教育が成り立ち、これは教育の原点であり、この原点が崩れてしまえば教育は成り立たない。
     また、満足度を数値で伝えられても資質向上につながるのか疑問である。満足度評価の目的は何か。妥当性、客観性、公平性のある評価となり得るのか。満足度評価を教職員評価のデータとして活用することの是非や、満足度評価は教育現場に混乱をもたらすものである等のさまざまな意見がございます。  これらの疑問に対して教育長の明快な答弁を求めます。  続いて、県立武道館の設置について伺います。  武道は我が国の固有の伝統と文化であって、今や国内はもとより広く世界に普及し、競技としてだけでなく、心・技・体を鍛え、青少年の健全育成や体力の向上などに大いに寄与するものであります。  平成24年度からは中学校1、2年生の体育において武道が必修となり、今後、武道の競技人口の増加も見込まれる中、さらなる武道の優秀な指導者による適切な指導と、その指導者の確保と養成が急がれるところであります。  また、県では、総合5カ年計画においてスポーツ合宿の積極的な誘致などによる国内外から誘客、交流の促進を図ることを掲げておりますが、ラグビーやサッカーなどの合宿に武道も加えることにより幅広い合宿の誘致が可能となるものと考えるところであります。  このように、武道は、競技や心身の鍛錬に加え、稽古や試合を通じた国内外のさまざまな人との交流の促進、青少年の健全なる育成の推進など多様な面で寄与しており、今後も期待されるところでありますが、残念ながら本県には武道の振興や武道指導者の人材育成などを図るための拠点となる武道館がいまだ設置されておらないのであります。  我々自民党県議団でも他県の武道館を実際に視察してまいりましたが、施設利用状況等から改めてその必要性を強く感じたところであります。全国でも県立武道館が設置されていないのはわずか5府県のみとなっている状況にあります。  県では、総合5カ年計画で武道を振興するための施設のあり方を検討するとしておりますが、県下の武道団体からも設置を求める強い要望がある中、武道の一層の振興、青少年の健全育成の一層の推進、そして国内外から誘客、交流の促進を図るためにも一日も早い県立武道館の建設を目指すべきと考えますが、知事に伺います。       〔教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕 ◎教育委員会委員長(櫻井久江 君)議員御指摘のとおり、長野県はさまざまな教育課題を抱えておりますが、一方で、地域が学校を支えてきたという教育を大切にする風土や県民性など多くの特色があります。  また、一部の教員の不祥事によって教育への信頼が失われつつあることはまことに残念なことであり、本当に申しわけなく思っておりますが、また一方で、意欲あるすぐれた教員が多数おり、地域で日々頑張っていただいております。  このため、喫緊の課題である教員の不祥事根絶にしっかり取り組むことはもとより、信州の豊かな自然や信州教育の伝統である家庭や地域の方々の教育に対する熱い思いなど本県が持っている強みを改めて見詰め直し、本県教育の再興に役立てていくことが重要であると認識しております。  その上で、児童生徒を中心にした教育、すなわち子供たちを第一に考えるという原点に立ち返って、子供たちが本来持っている力を伸ばす教育、地域に開かれた学校づくり、地域とともに歩む学校づくりを積極的に進め、教育県長野の再興に全力で取り組んでまいります。  以上でございます。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)教育県再興に向けた具体的な方策についてのお尋ねでございます。  昨年3月に策定をいたしました第2次長野県教育振興基本計画の基本理念として掲げている「一人ひとりの学びが生きる教育立県信州の創造」の実現が本県教育の再興につながるものと認識をしております。  来年度は、具体的には、中学生の学力を確実に定着させるための新たな家庭学習モデルの創出など学力の向上、現在策定に取り組んでおるいじめ防止等のための基本方針に基づく対策や特別支援教育の充実など全ての子供の学びの保障、また、幼児期を対象とした運動プログラムの開発など体力向上の3点に重点的に取り組んでいくこととしてございます。  また、こうした取り組みを着実に推進するための基盤づくりとし、新たな教員研修体系に基づく研修実施など信州教育の信頼回復に向けた行動計画の推進、県立学校の施設設備の整備など教育環境の維持、改善、さらには信州型コミュニティスクール創造事業による地域に開かれた学校づくりなど学校運営体制の整備、充実を進め、地域や家庭と一体となって教育県長野の再興に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、中学生の運動部活動に関しまして3点御質問を頂戴をいたしました。  まず、中学生期のスポーツ活動指針の性格、強制力についてでございます。  このたび策定をいたしました長野県中学生期のスポーツ活動指針は、年々減少する運動部加入率や全国平均と比べて低い水準にある体力、運動能力、またスポーツ障害の予防や健康への影響など、本県中学生のスポーツ活動を取り巻く課題に対応するため、スポーツ医科学の専門的な知見なども踏まえ検討し策定をしたものでございます。  運動部活動は学校教育の一環として学習指導要領に定められた活動であり、各学校においては校長の責任のもと実施されるものでございますので、この指針が校長の権限を制約するという性格のものではございませんが、心身の成長過程にある中学生期の運動部活動が適切で効果的なものとなるよう、本指針の趣旨を踏まえ、各学校において活動の見直しに向け検討を進めていただくことを期待しているところでございます。  次に、地域の社会体育活動に対する見解についてでございます。  今回の指針は運動部活動と運動部活動の延長として行われている社会体育活動について示したものであり、地域において実施されている社会体育活動については直接規定しているものではございません。地域で実施されている社会体育活動は、しあわせ信州創造プランにおいて、総合型地域スポーツクラブの活動への支援などにより県民が気軽にスポーツに親しむことができる環境づくりを進めると示しているとおり、その役割は大きく、県としてその振興を図っていくことは極めて重要と考えてございます。  なお、本指針においては、中学生が地域の社会体育活動に参加する場合には、中学生にとってバランスのとれた心身の成長、学校生活が送れるよう、地域の指導者と運動部活動の顧問が連携協力しながら適切で効果的な活動へと結びつけていくことを求めているところでございまして、各中学校区に設置されるスポーツ活動運営委員会等を活用し積極的な連携が図れることを期待しております。  次に、中学生女子の運動部加入率の向上についてでございます。  本県の中学生女子の運動部加入率は全国平均と比べて極めて低く、また、体育の授業を除き、1週間の運動時間がゼロの割合も全国平均をかなり上回るなど、中学生女子の運動離れは大きな課題でございます。  中学生女子が運動部に入らない理由といたしましては、運動やスポーツが苦手、嫌い、練習の指導が厳しい、時間や費用の負担が大きいなどさまざまなことが挙げられてございます。  このため、本指針では、適切な活動基準に加え、生徒の多様なニーズに対応するための工夫や勝利至上主義の見直しなども求めているところでございます。こうした運動部活動の見直しに加え、体育授業におきます工夫改善や、長野県版運動プログラムの普及による幼児期から運動好きな子供をふやしていく、こういうような取り組みなどを通じまして女子も含めた中学生期のスポーツ活動がさらに活発に行われるよう努めてまいりたいと考えてございます。  次に、学力向上対策についてのお尋ねでございます。  本年度、外部の有識者、学校関係者、保護者を委員とする全国学力・学習状況調査分析委員会を設置し、本県の児童生徒の学力実態及びその向上策について提言をいただいたところでございます。提言では、学習内容を確実に定着させるための授業の改善や補充指導の充実、家庭学習の見直しが必要という指摘をいただいたところでございます。  来年度、県教育委員会では、この提言を踏まえ、学力の実態をさらに詳しく把握し、学習内容をより確実に定着させるために学力スパイラルアップ事業に取り組むこととしております。この事業では、4月に学力の実態を把握するための調査を実施し、理解の不十分な点を把握し、補充指導や授業改善を行う、そして、11月にはその成果を確認するための調査を行い、さらに授業改善の方向を修正をしていく、さらに、年度末でございます2月に確認問題により学習内容の定着状況を見届けるというサイクルを回すことによって各学校における学力向上に関しPDCAのサイクルをしっかり充実をさせていくこととしてございます。  また、授業との関連が十分でない家庭学習を改善するために、中学校にモデル校を設け、家庭学習のあり方を研究してまいりたいと考えてございます。その成果を県下に普及させながら、学校と家庭とが一体となって本県の児童生徒の学力向上を図ってまいる所存でございます。  次に、匿名性を担保した授業評価、学校評価についてのお尋ねでございます。  教員の資質向上・教育制度あり方検討会議の提言を受け、今年度、評価制度改善のための有識者会議を立ち上げ、委員から5回にわたり意見聴取を終えたところであり、現在、教育委員会とし、これらの意見を踏まえ、どのように具体化をしていくか検討しているところでございます。  教員の評価につきましては、現在でも評価権者である校長が教員の自己評価や授業観察等のさまざまな視点から総合的に行っているところでございますが、その参考資料の一つとして匿名性を担保した授業評価を活用することを考えてございます。  現在でも多くの学校では生徒による授業アンケートや保護者による学校評価のアンケートを実施し、児童生徒や保護者の声を聞いているところでございますが、匿名性を担保した評価を導入することにより記名では伝えにくい率直な意見も拾い出し、さらなる授業改善や学校改善に役立てていただくことを目指しているところでございます。  なお、授業評価につきましては、評価者の発達段階を考慮し、小学校においては児童のみによる評価を行わず、学校評価の中で保護者と一緒に評価を行う方向で検討してございます。また、中学校につきましては、生徒による授業評価を試行的に実施をし、適切な評価が可能かどうかを検討することを考えてございます。  いずれにいたしましても、さまざまな意見をもとに現在検討しているところでございまして、導入に当たっては、その趣旨を丁寧に説明し、学校教育の質の改善充実につながるようにしてまいりたいと考えてございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)県立武道館の設置についての御質問でございます。  しあわせ信州創造プランにおきましては、武道を振興するための施設のあり方を検討するという方向性を示したところでございます。  来年度、教育委員会におきまして、有識者による検討会議を設置して、県立の武道振興施設のあり方の検討に着手をする予定でございます。  検討会議では、県内の武道を取り巻く現状と課題を整理するほか、関係競技団体からのヒアリング等を行った上で、年度内を目途に施設のあり方に関する報告を取りまとめていただく予定としております。  県立武道館の設置につきましては、今後、検討会議の議論を踏まえ、県としての方向性を定めてまいりたいと考えております。  以上です。       〔51番村石正郎君登壇〕 ◆51番(村石正郎 君)次に、森林・林務行政について伺います。  森林整備事業の拡充について、国の補助制度が搬出間伐を中心とする制度に改正され、国の制度だけでは十分な森林整備が行われにくい状況となっております。そのため、里山から奥山まで広がる長野県の特性に応じた森林整備を進めるために、地域森林計画対象森林以外の森林の整備についても長野県森林づくり県民税が有効活用できますよう拡充を求めますが、林務部長の見解を伺います。  森林において、枝打ち等の手おくれ林にトビグサレ被害が大発生しておりますが、トビグサレ被害は、杉の枯れ枝からスギノアカネトラカミキリの幼虫が侵入して発生する病気であります。予防するためには枯れ枝がつかないように早期に枝打ち作業をする必要があります。この被害は、長野地域の千曲川の東側で、松代から飯山市間で多く見受けられます。大事に育てた杉、ヒノキが伐期になって切ってみるとトビグサレがひどく用材になりません。枝打ち作業に対する補助制度の拡充等、この対策について林務部長に伺います。  次に、ナラ枯れ予防について伺います。  カシノナガキクイムシについて、北信地方からだんだん広がってまいりまして、25年秋には小布施町に、続いて高山村にも発生いたしました。これを放置しておきますとナラ類の根が腐れ、土砂災害の原因となりますが、この対策について林務部長に伺います。  次に、県産材の需要拡大対策について伺います。  公共建築物等における木材利用の促進に関する法律の活用により公共建築物への地域材の利用が引き続き進められておりますが、林務部長には、林務部の治山工事、林道、作業道に間伐材の利用促進について、農政部長には、農政部の土地改良事業、農道、仮設工事等に県産材の利用拡大について、また、建設部長には、異常気象による集中豪雨等から地域を守るための山腹工事、河川工事等の土木用材の利用を一層促進してほしい観点から、それぞれ県政の中で県産材の使用に対する機運が一段と高まるための答弁を求めます。  次に、長野県民の安全、安心の確保について伺います。  皆様御存じのとおり、昨年12月に日本の安全、安心確保の指針となる国土強靱化基本法が成立いたしました。この法律は、未曾有の被害となった東日本大震災や全国的、社会的な課題とされる社会資本の老朽化等を背景としたものであり、必要な事前防災及び減災、その他迅速な復旧、復興に資する施策を総合的かつ計画的に実施すること、さらに、既存社会資本の有効活用、効率的かつ効果的な維持管理の実施等がその基本方針や施策方針としてうたわれているわけであります。  また、本県においても、長野県総合5カ年計画において、災害による被害を最小限に抑え、県民の生命と財産を守るため地域防災力の向上に取り組むことを施策目標として掲げております。  昨年の台風18号などの被害の状況を鑑みると、県民の安全、安心を確保する上でまずは必要な予算を十分に確保し、そして防災、減災に資する各種の施策や対策を積極的に展開していくことが県政最重要課題の一つであると考えております。  そこで、県民の安全、安心を確保する観点からお伺いします。  まず、効率的、効果的な維持管理についてであります。  先ほども触れましたように、国土強靱化基本法においても、今後一層顕在化していくことが明らかな各種社会基盤の老朽化に対し効率的かつ効果的な維持管理の重要性がうたわれているわけであります。長野県は全国に先駆けて橋梁の長寿命化修繕計画を策定するなど、この分野においては先進県の一つであると認識しているところでありますが、道路以外の施設も含め長寿命化修繕計画の策定状況はどうなっているのか。また、それをどう生かしていくのか。さらに、平成26年度当初予算において維持修繕系予算はどのような状況にあるのか。建設部長に伺います。  次に、平成25年度発生災害の復旧の見通しと今後の防災・減災対策に対する県の取り組みについてであります。  全国的に大きな被害が発生した台風18号の災害に関連してお聞きします。  この台風は四国から北海道までの広範囲にわたり多くの被害が発生し、特に特別警報が発令された福井、滋賀、京都では記録的な大雨となったと聞いております。  本県では、この台風が県の東側を縦断し、県の南部、東部を中心に大きな被害が発生しております。下伊那郡阿智村浪合では時間最大73.5ミリメートル、降り始めからの連続雨量が293ミリメートルに達し、床上浸水や床下浸水、生活道路やライフラインの寸断が発生し、住民生活に大きな影響を及ぼしました。  また、そのほかにも、諏訪湖の花火大会が開催された8月15日には諏訪の観測所において観測史上最大となる時間74.5ミリメートルの局地的な豪雨に見舞われ、花火大会が中止となり、岡谷市の塚間川や大川の中流域で大きな浸水被害が発生したところであります。  これらの災害被害の見通しとともに、県内全体の防災・減災対策の取り組みをどのように行っていくつもりなのか。あわせて建設部長に伺います。  次に、浅川治水対策の見通しについて伺います。  近年、全国的にこれまで経験したことのないような降雨やゲリラ豪雨と呼ばれる局地的かつ集中的な豪雨により洪水や土砂災害が頻発している状況を踏まえ、私の地元である小布施町で千曲川と合流する浅川でも現在河川改修やダム建設の治水対策が進められております。  浅川は扇状地を流下する河川であり、中流域では、かつて著しい天井川となっていたことから、ひとたび氾濫したときの被害は甚大であります。このため、昭和52年度より河川改修が進められているところでありますが、その沿川は都市化や高度な土地利用が進んできており、浅川流域住民の生命、財産を守るための治水対策はさらに重要度が増していると考えているところであります。  浅川の治水対策は事業のスタート時から河川改修とダム建設とのセットで進められてきておりましたが、一時、両事業が休止され再検討されるという紆余曲折を経ながらも、現在では工事も順調に進められ、その完了も間近であると聞いております。  さらに、河川改修とダム建設のほかに、浅川の内水対策についても、排水機場の増設を来年度新規事業として着手すべく予算が計上されております。  また、浅川ダム本体工事についても、本定例会の事件案として増額変更の議案が提出されるわけですが、この増額による変更が工事の完成時期に影響があるのかどうかも含め、浅川の治水対策について、河川改修、内水対策、ダム建設のそれぞれについての現在の状況と今後の見通しをあわせて建設部長に伺います。  東日本大震災や長野県北部地震などの地震災害、さらには伊豆大島での土石流災害、県内でも多くの被害が発生した昨年の台風災害など、昨今の頻発する災害情報を踏まえれば、私は、県民の安全、安心を確保するため、決して立ちどまることなく、必要な対策を講じていく必要があると思っております。防災・減災対策に対する知事の取り組み姿勢について伺います。  さて、ここまで長野県民の安全、安心の確保について県としてのお考えを伺ってまいりましたが、近年、大型化する台風や集中豪雨などによる災害時の対応や日常の維持管理、さらに老朽化するインフラの更新などに対応していただいているのは、地域を支えている地元の建設業者の皆さんであります。  県民の安全、安心の確保するためには、地域の安全、安心な暮らしを支えるこうした地元の建設業者や、そこで働く若手技術者などの担い手を育成することが必要であり、このためには、県の入札制度においてもこうした観点を持って制度設計に取り組むべきであると考えます。  そこで、本定例会に提案された長野県の契約に関する条例案について伺います。  長野県の契約に関する条例案には、これまでの透明性、公平性の確保や品質の確保に加え、契約の内容を総合的にすぐれたものにすることにより県民に長期的に安全かつ良質なサービスを確保すること、県内中小企業者の受注機会の確保、労働者の賃金水準の適正化、障害者雇用の促進などの内容が含まれており、幅広い内容となっておりますが、この条例によって何を目指そうとしているのか。知事に伺います。       〔林務部長塩入茂君登壇〕 ◎林務部長(塩入茂 君)森林・林務行政について3点御質問をいただきました。  まず、長野県森林づくり県民税の活用についてのお尋ねですが、森林づくり県民税、いわゆる森林税は、県民の皆様の御理解を得て税収の7割に当たる約4億4,000万円を集落周辺の里山等の間伐に活用しています。  お話のありました地域森林計画対象森林以外の森林は主に耕作放棄地が森林化したところで、里山に多く混在しているのが現状です。これらの森林につきましては、森林税活用事業の限られた予算の範囲内で国庫補助事業の対象となる地域森林計画対象森林と一体的に整備することで地域の要望にお応えしているところです。  今後も、本県の多様な森林の整備を推進するため、平成26年度は森林整備事業の予算全体で36億7,000万円余を計上し、森林税に加え国庫補助を有効に活用しながらより地域の特性に応じた事業の執行に取り組んでまいります。  次に、トビグサレ被害対策についてのお尋ねでございますが、被害の判断は外見では困難で、間伐等の伐採により確認されているのが現状です。被害は主に県北部の多雪地帯で確認され、被害市町村も増加しており、被害箇所を特定するための調査等状況の把握に努めているところです。  予防対策としては枝打ちが有効であり、平成24年度は6市町村で約38ヘクタールの枝打ちに対し造林事業による支援を行っております。  今後は、調査により作成した被害地域マップに基づき予防対策が必要な地域を特定し、未被害林分や特に枯れ枝のない幼齢林については枝打ちを奨励するとともに、森林組合と連携し、森林所有者等に対する補助制度や防除技術の普及啓発に積極的に取り組んでまいります。  枝打ち作業に対する補助制度の拡充につきましては、市町村と連携し、森林づくり県民税の森林づくり推進支援金の活用を進めるとともに、国に対しても、公共造林事業においてトビグサレ対策としての枝打ち作業を補助制度に位置づけていただくなど、補助制度の拡充を要請してまいります。  次に、ナラ枯れ予防についてのお尋ねでございますが、ナラ枯れ被害は今年度は10月末現在で22市町村、約1,200本であり、被害量が最高であった平成22年度と比較すると被害量は10分の1程度に減少しているものの被害区域は拡大をしております。  被害防除対策として特に人家や道路周辺等は防災上重要であると認識をしており、被害木の伐倒処理のほか、薬剤の塗布によるカシノナガキクイムシの侵入防止やナラ枯れ予防薬剤の樹幹注入により対策を進めております。  本年度は、林業総合センターと薬剤メーカーが共同で、全国に先駆け、効率性の高い樹幹注入剤を開発し、平成26年度より実用化することとしております。また、合成フェロモンを利用しておびき寄せ駆除を行う手法の実証にも取り組んでいるところです。  今後も、防災上重要な箇所におけるこのような予防対策を進めるとともに、周辺の森林においても、被害木の除去や天然林の改良、更新等による健全な森林づくりに取り組んでまいります。  県産材の需要拡大対策についてでございますが、間伐材の治山・林道工事への利用促進についてのお尋ねでございます。  平成24年度の治山・林道工事における間伐材の利用量は約2,400立方メートルであり、治山・林道事業の予算額1,000万円に占める間伐材利用材積で比較すると、平成22年度は4立方メートルであったものが平成24年度においては6立方メートルと着実に増加をしております。  今後、これまでの取り組みに加え、県産材の利用をより一層進めるため、県産材合板型枠の実証試験を中部森林管理局と共同して取り組むなど新たな工法の実用化を進めること、丸太基礎ぐいについては、木材関係団体と連携して設計マニュアルを作成し、幅広い場面で県産材の利用を進めること、平成22年度から木材利用工法の優良工事事例コンテストを開催しており、県産材を活用した優良工事を表彰するとともに、その工法の普及啓発に努めること、このような取り組みを通じ、治山・林道工事を含む公共土木工事に県産材の利用がより一層進むよう努めてまいります。  以上でございます。       〔農政部長中村倫一君登壇〕 ◎農政部長(中村倫一 君)農政部の土地改良事業、農道等への県産材の利用拡大についてのお尋ねでございます。
     農政部の公共事業におきましては、農業用水路やため池工事の防護柵、農道工事の土どめ材などに県産材を使用しておりますが、近年は事業の内容が新設や更新から補修に移行していることもございまして利用できる工事は少なくなってきているところでございます。  このような状況ではございますけれども、平成25年度は頭首工の河床を安定させるための工事や水路トンネルの地山を支える工事での利用に努めており、利用量は過去5カ年の平均180立方メートルに比較いたしまして約2倍の375立方メートルにふえる見込みとなっております。  また、工事の発注時には仕様書等に県産材の優先利用を明記いたしまして、受注者の皆様にも御協力をお願いをしているところでございます。  今後も、環境への配慮やコスト、維持管理などを総合的に検討いたしまして県産材の利用拡大に努めてまいります。  以上でございます。       〔建設部長北村勉君登壇〕 ◎建設部長(北村勉 君)まず、土木工事等において利用する県産材の需要拡大に関するお尋ねでございます。  建設部の公共土木工事におきましては、構造物を支えるくい、河川の堤防や護岸を守る木工沈床、仮設の防護柵などに県産材を利用しております。また、建築物においても、高等学校校舎の内装材での活用や県産材を活用した住宅に助成する信州型エコ住宅推進事業など、県産材の利用促進を図っているところでございます。  平成24年度の利用量は、土木工事で約400立方メートル、建築工事で約3,900立方メートル、合わせて4,300立方メートルとなっております。  建設部といたしましては、今後も、木材の特性や耐久性などを検証しながら、新たな利用方法も含め、県産材の利用促進に努めてまいります。  続きまして、県民の安全、安心の確保について順次お答えをいたします。  まず、各種社会基盤の維持管理に関するお尋ねでございます。  まず、長寿命化修繕計画等の策定状況についてですが、これまでに計画策定済みの施設としては、橋梁、トンネルなどの道路施設、また、河川施設である諏訪湖釜口水門がございます。また、これ以外の各施設の計画策定も鋭意進めており、この3月末には都市公園施設の長寿命化計画を、さらに、平成26年度には横断歩道橋などの道路施設、樋門、樋管などの河川施設や砂防施設に関する計画も公表を予定しております。  この計画に基づき優先度の高いものから順次維持修繕を実施するとともに、道路であればおおむね5年サイクルを目安に施設の状況を点検し、その結果に基づく計画の確認、見直しを行いながら、維持修繕費の平準化、コスト縮減を念頭に置きつつ、その機能の保持に努めてまいります。  平成26年度当初予算においても、維持修繕系予算につきましては、道路や公園施設などの策定済みの計画に基づく修繕や河川の断面確保のための河床掘削など、状況に応じて各施設の機能を維持するための費用を計上しており、予算額といたしましては建設部の公共事業費の約30%に当たる177億円余りを計上しております。10年前と比較いたしますと、予算に占める割合で10%、金額にいたしますと約30億円程度増加している状況でございます。  今後も、点検と評価、修繕を繰り返す継続的なマネジメントサイクルを確立し、計画的な維持管理を推進する中で県民の皆様の安全、安心の確保に努めてまいります。  次に、平成25年発生災害の復旧の見通しと今後の防災・減災対策に対する県民の取り組みについてのお尋ねでございます。  平成25年の公共土木施設災害の発生状況は、県、市町村合わせまして発生箇所は490カ所、その額は60億6,000万円余りでございます。このうち台風18号によるものが額にして全体の約84%を占めております。現在、県、市町村合わせて490カ所のうち279カ所については工事が発注済みであり、残りの211カ所につきましても今年度中に工事発注を行い、平成26年度中には全箇所がおおむね工事完了する見通しとなっております。  また、岡谷市の塚間川や大川の浸水対策につきましては、これまでも河川の流下断面を拡大する工事を進めてまいりましたが、さらに、国の災害対策等緊急事業推進費を活用するとともに、この2月補正予算も加え、平成26年度中には再び同様の災害が起こらないよう対策を完了することとしております。  次に、防災・減災対策の取り組みといたしましては、近年、台風やゲリラ豪雨等による異常出水が各地で多発している中で、浸水被害を軽減する河川改修や流域からの流出抑制対策といったハード対策を着実に進めていくことが重要と考えております。  また、ソフト対策といたしましては、県ホームページや地上デジタル放送を用いた雨量、河川水位、土砂災害に関する情報提供を迅速に行うとともに、市町村と連携して洪水や土砂災害のハザードマップを活用した住民参加による避難訓練などを充実させ、県民の安全、安心の確保に努めてまいります。  次に、浅川の河川改修、ダム建設、内水対策の現状と今後の見通しについてお答えをいたします。  まず、河川改修につきましては、現在までに天井川の解消や築堤を終え、進捗率は約98%となっております。今後、千曲川合流付近の河床掘削工事と主要地方道長野信濃線浅川橋の約0.2キロメーターの護岸工事及び市道橋のかけかえ工事を実施し、平成27年度に完了する見込みでございます。  次に、ダム本体工事につきましては、ダムコンクリートの打設が平成26年度に完了する予定であり、現在、進捗率は約70%となっております。  本定例会にお諮りしておりますダム本体工事の変更請負契約の締結につきましては、物価の変動に伴う増額のほか、工事着手後の試験結果による岩盤清掃等の変更や地すべりの押さえ盛り土材料の変更などに対応するためのものでございます。  なお、基礎岩盤の状況は事前の調査とほぼ一致し、十分な強度を有していることから工程に影響はなく、予定どおり平成28年度完了に向け工事を進めてまいります。  次に、内水対策につきましては、既往最大被害となった昭和58年9月台風10号と同規模の洪水に対し床上浸水被害を防止することを目標に、昨年5月に浅川総合内水対策計画を策定したところでございます。この計画に基づき、まずは毎秒14立方メーターの排水機場の増設に着手し、河川改修、ダム建設とあわせて、平成28年度までの完了を目指してまいります。  今後も、引き続き、国や長野市、小布施町などの関係機関と連携し、住民の安全、安心の確保のため浅川流域の総合的な治水対策を進めてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)防災・減災対策に対する取り組み姿勢についてお答え申し上げます。  昨今の非常に異常な気象にも起因すると思われるようなさまざまな災害を目にしておりますと、防災・減災対策、県民の生命、財産を守るという観点で一層強化をしていかなければいけないという認識を持っております。  防災・減災対策としては、河川、砂防といった施設整備、災害発生時の県民生活を確保するための緊急輸送路の強化、建築物の耐震化、また、長寿命化修繕計画等に基づく計画的な維持管理等ハード整備を着実に進めてまいります。  また、加えて、市町村や関係機関と連携した迅速でわかりやすい防災情報の提供、共有、あるいは広域や地域ごとで取り組んでおります避難訓練等を通じた県民の防災意識の向上、平常時、非常時を通じたこうしたソフト面での対策ということにも力を入れてまいります。  今回の豪雪についてもそうでありますが、災害への備え、発災時の対応を検証しつつ、適宜見直しを行いながら、広い県土を有し多様性のある長野県の特性を踏まえた総合的な防災・減災対策を推進し、県民の安全、安心の確保に努めてまいります。  次に、契約に関する条例の目指すものという御質問でございます。  先ほど地元の建設業者のお話もありましたが、今回の記録的な大雪に当たっても、大変厳しい現場状況の中で昼夜を分かたず除雪作業等を行っていただきました。私どもとしては関係する業者の皆様方には大変深く感謝をしているところでございます。  県の契約に対しましては、これまで透明性あるいは公平性と品質の確保といったようなことが求められてまいりましたが、こうしたことに加えて、近年は、地域の安全、安心を支える事業者であるとか担い手の育成、また労働環境の整備、さらには環境への配慮等が求められるなど、社会的要請が多様化をしてきております。  こうした中で、県の契約のあり方、さまざまな場面で社会に影響を与えるものであることでありますことから、契約を通じてよりよい社会をつくる方向に役立てていこう、こうした考え方のもとで契約に関する条例の検討を進めてまいりました。  この条例は、県の契約に関し基本理念や取り組みの基本事項を定めるものでございます。この条例によりまして契約制度の公正かつ適切な運用を図るとともに、県の行政目的を実現するために契約を活用し、県民福祉の増進を図ることで豊かさが実感できる暮らしの実現を目指してまいります。  以上でございます。       〔51番村石正郎君登壇〕 ◆51番(村石正郎 君)次に、生活排水対策について伺います。  豊かな森林と清らかな水に恵まれた本県は、健全で恵み豊かな環境を保全し、安心や豊かさ、快適で暮らしやすい地域をつくり上げ、次の世代に継承できる社会を目指していくことが必要と考えます。特に、本県が誇る良好な水環境を、県民のため、また近隣の皆様のために守り続けていくことが重要であります。そのためには、千曲川を初めとする多くの河川の上流県としての責務と自然環境に対する高い県民意識により、全国に誇れる生活排水対策を実施していかなければならないと考えます。  本年9月末に、平成24年度末における長野県の汚水処理人口普及率がまとまり、公表されています。これは、農林水産省、国土交通省、環境省の3省での汚水処理施設、下水道、農業集落排水施設、浄化槽等の普及状況を統一的にあらわしたものです。これによりますと、汚水処理人口普及率は96.6%で昨年度より0.7ポイント上昇し、全国順位では第5位となり、23年度の第7位から2ランク上昇したと公表されています。  東京都や神奈川県などの都市部でない長野県にあってこれほどの成果を達成できたことは、どのような取り組みがあったのか。環境部長に伺います。  また、これら汚水処理施設の整備を見ると、下水道及び農業集落排水施設は各自治体が設備を実施しているところですが、浄化槽の整備については主に個人が対象であり、普及率に占める割合も小さく、普及率向上に苦慮しているとの声も聞こえてきているところであります。また、これら整備地域は中山間地に位置しているものも多く、市街地から離れていること、高齢者の世帯等も多い地域であることをお聞きしております。  そこで、このような地域での浄化槽の普及は大変かと思われますが、浄化槽普及率は計画に対してどのくらいの実績になっているのか。伺います。  この浄化槽ですが、し尿と生活排水をあわせて処理する合併処理浄化槽と、現在では設置が認められていない、し尿のみを処理する単独処理浄化槽があります。単独処理浄化槽の場合、し尿は処理していますが、生活排水については未処理で側溝等に放流されます。その先は河川などの公共用水域であり、環境への負荷は大きいと考えられます。住宅新築等の場合は合併処理浄化槽での整備となりますが、従来より単独処理浄化槽が設置されている家庭においては新たに合併処理浄化槽を整備することへの抵抗もあると思われます。  このような状況から、水環境保全への一層の取り組みとして、県では、生活排水もあわせて処理する合併処理浄化槽への転換についてどのように考えているのか、そして、どのように推進すべきかを伺います。  また、合併処理浄化槽の整備を進めることも重要ですが、良好な処理水質を保つためには維持管理も同様に重要であると考えます。浄化槽法では、保守点検、清掃に加えて、浄化槽が適正に維持管理されているか確認するための法定検査が義務づけられております。長野県の法定検査の実施状況を見るとほぼ全国平均並みになってきておりますが、さらに検査率を向上させる必要があります。  浄化槽の適正な維持管理の推進と法定検査受検率を向上させるための取り組みを伺います。  続きまして、山小屋のし尿処理対策について伺います。  長野県は山岳県であり、登山者を迎えるために多くの山小屋があります。どこの山小屋も、し尿の処理には長年苦労して取り組んできましたが、し尿処理対策の進捗状況等現状はどのようになっているか。また、県として今後どのように指導していく考えなのか。伺います。  そして、美しい山岳環境を保全するため、し尿処理対策を行った山小屋においてもその後の施設の維持管理費の捻出に苦労されていると聞いておりますが、県としてどのような対応を考えているのか。  以上、環境部長の答弁を求めます。       〔環境部長山本浩司君登壇〕 ◎環境部長(山本浩司 君)生活排水対策等につきまして6点順次お答えをさせていただきます。  まず、汚水処理人口普及率の向上についてのお尋ねでございます。  県では、豊かで美しい自然環境と水を清らかに保とうとする県民意識の高さから全国に先駆けて策定されました長野県水環境保全条例に基づく水環境保全総合計画のもと、良好な水環境保全のため生活排水対策を推進してまいりました。  特に、全国的にも早い段階から下水道等整備構想エリアマップを策定し、下水道、農業集落排水、浄化槽等の各汚水処理施設の適正な役割分担のもと、効率的、効果的な整備を県民の皆様の御理解と関係する皆様の御努力で推進してまいりましたが、これらの取り組みにより、大都市を持たず、小規模の集落が点在する長野県が全国に誇れる高普及率を達成できたものと考えております。今後も、さらなる普及率の向上、生活排水施設の持続的な運営に、市町村と連携をし、取り組んでまいりたいと考えております。  次に、浄化槽の普及率についてのお尋ねでございます。  中山間地の多い本県において、下水道や農業集落排水等の集合処理に適さない戸別処理地域の生活排水対策を進めるためには浄化槽の普及促進が重要と考え、整備を進めてきたところでございます。  平成24年度末で浄化槽による整備が計画されている地域における普及率は約81%となっておりますが、下水道や農業集落排水等の集合処理地域の普及率98%と比べますと、まだ低い状況にあります。今後、さらに浄化槽普及率を向上させるため、設置費用への助成制度の継続、所要額の確保に努めながら、市町村とともに未普及地域の皆様への普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、合併処理浄化槽への転換についてのお尋ねでございます。  公共用水域の水質保全のため、し尿のみを処理する単独処理浄化槽を生活排水とし尿を合わせて処理する合併処理浄化槽へ転換することは大変重要な課題であると認識をしております。  現在、県内における浄化槽の設置基数は約8万3,000基で、そのうち合併処理浄化槽の占める割合は8割を超え、全国平均の4割を大きく上回り、全国でも第2位となっております。しかしながら、単独処理浄化槽の占める割合は低いものの、放流される汚れは合併処理浄化槽の数倍と、水環境保全の観点から合併処理浄化槽への一層の転換が必要であると認識をしております。  県としましては、今後とも、市町村に対しまして、合併処理浄化槽の設置費に対し助成を行うとともに、単独処理浄化槽の撤去費に対する国の助成制度が活用できること等の周知や水環境保全の重要性についての啓発など、市町村と連携をして合併処理浄化槽への転換を推進してまいりたいと考えております。  次に、浄化槽の適正な維持管理の推進についてのお尋ねでございます。  浄化槽が本来持っている性能を発揮させるためには、保守点検、清掃、法定点検で構成される維持管理を適切に実施することが必要と考えます。法定検査には設置後の水質検査と年1回実施する定期検査があり、保守点検及び清掃が適正に実施されているか確認されるためのもので、維持管理状況を把握する上で大変重要であると考えております。  設置後の水質検査については高い受検率となっていますが、定期検査の受検率については全国平均を上回ってはいるもののまだまだ低い状況であり、適正な維持管理を進める上での課題と認識をしております。  県においては長野県浄化槽協会と連携した検査の必要性の啓発や浄化槽台帳の整備、活用、また、市町村においては維持管理費や法定検査費用への助成を行うなど受検率の向上に取り組んでおりますが、今後、さらに市町村、長野県浄化槽協会との連携を密にし、法定検査が安定的かつ継続的に行える検査体制の強化を図り、より適正な維持管理で浄化槽の機能が発揮できるよう努めてまいります。  次に、山小屋におけるし尿処理対策等についてのお尋ねでございます。  山岳県であります長野県には数多くの山小屋があり、そのし尿処理対策として、浄化槽やヘリコプターによる搬出など、厳しい現場条件に応じた処理方法によるトイレの改修に取り組まれております。この進捗状況につきましては、平成25年度末で160カ所中123カ所、全体の77%が改修済みとなっております。  今後の取り組みとしましては、国の補助事業等の積極的な導入により改修を促進してまいりたいと考えております。  次に、し尿処理施設の維持管理費についてのお尋ねでございますが、し尿処理に要する経費は処理の方法により幅はありますが、最も簡単なバキュームカーでの搬出が年間50万円、最も費用がかかるヘリコプターによる搬出が年間約300万円と大変な経費を要します。従前からこの経費を利用者からチップにより補っている山小屋もありますが、近年、国の補助事業を導入した北アルプス南部や御嶽山、中央アルプスの山域で有料トイレであることを明示し、維持管理に充てている取り組みが始まっております。  今後、それらの取り組みを参考にしながら、来年度設置いたします関係機関や山岳関係者で組織いたします山岳環境連絡会等で議論を深めながら、維持管理の仕組みづくりを検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔51番村石正郎君登壇〕 ◆51番(村石正郎 君)次に、平成23年度より検討され条例制定を進めている子ども支援条例について伺います。  1989年11月20日、国連総会において採択された子どもの権利条約の理念は、戦争などの悲惨な環境の中で生きる権利すら保障されず、病気になっても医療も受けられない、また、就学年齢になっても教育も受けられないなどの無権利状態に置かれている子供の救済にありました。これが主たる目的で、現在の日本の状況とは異なると思われます。  1994年に日本もこの条約を批准しておりますが、文部省事務次官通知に、児童の人権に配慮することは重要、学校では児童生徒に権利と義務をともに正しく理解させる、学校は、教育目的を達成させるために必要な合理的範囲内で指導や指示し、校則を定めることができる、表明された意見が必ず反映されるということまで求めているものではない、そして、この条約は、そもそも発展途上国における子供たちの人権環境を改善することを主なる目的としている、この条約は決して国内体系のバランスを崩してまで子供の権利を突出させることを締約国に要求するものではないと解説しております。  先般示された長野県の子ども支援条例要綱案は支援という言葉を多用しておりますが、内容はまさに権利条例であります。保護の対象から権利の主体へという基本理念が根底にあります。  かつて広島市が、秋葉忠利市長のもとで子どもの権利条例を制定しようとしていましたが、広島県教育委員会がこの条例に強い警戒感を示し、民間からも家庭教育やしつけを困難にする等の反対意見が多数寄せられ、平成22年9月に条例制定を市が断念いたしました。  また、浜松市でも、子どもの権利条例制定を取りやめて子ども育成条例を制定いたしました。高知県においては、こどもの権利条例を平成16年制定しましたが、問題があると判明し、平成24年4月に高知県子ども条例として内容を全面改定いたしました。  他の県等ではこのような動きがありましたが、示された条例要綱案の内容についてお聞きしてまいります。  まず、先ほども申し上げましたように、条例の名称などに支援という言葉が多用されております。子供の健やかな成長のためには県などが支援を行うことも必要ですが、家庭において親が子供をしっかり育てることや、学校における教育の力量を上げていくなど、未来を担う子供たちを健全に育成していくことも必須な要素ではないかと考えております。  このため、子供の育成という観点も重要でありますので、長野県子ども支援条例の名称に「育成」を加えるとともに、条例案の制定の趣旨や目的、基本理念等にも子供を育成していくという趣旨を盛り込む必要があるのではないかと考えますが、知事の見解を伺います。  次に、条例要綱案の「3 基本理念」を見ますと、「子どもが不当な差別、虐待、体罰、いじめなどに悩み、又は苦しむことなく安心して生きていくことができるよう、」とされておりますが、条例要綱案の各項目の記載によれば、既に起こってしまった事態に対する相談や対応がメーンのように受けとめているところであります。  このため、各般の問題の予防や防止に資するような規定が欠けていると思いますので、子供を育成する上での環境づくりに関する指針的な規定が必要ではないかと考えますが、知事の見解を伺います。  続いて、保護者に対する支援についてであります。  条例要綱案の「4 子ども支援に関係する者の役割」の「(2) 保護者」の項目では、「保護者は、子どもの育ちについて第一義的責任を有することを認識しなければならない。」としております。しかし、「第3 基本的施策」の「5 保護者に対する支援」の項目を見ますと、保護者が子供の発達段階に応じて大切にしていきたい家庭教育に対する支援の規定は見当たりません。このため、「基本的施策」の中に家庭教育への支援に関する施策を規定することが必要と考えますが、知事の見解を伺います。  次に、子供たちを健全に育成していくためには、子供の権利を尊重していくことだけではなく、社会における基本的な規範や自制心を持って生きていくことを身につけてもらうことも必要だと思います。この場合、権利には義務が伴うこと、また、ならぬものはならぬという抑止について親を初めとした大人が子供に教えていくことを規定することが必要であると考えますが、知事の見解を伺います。  そして、この条例要綱案の柱ともなっております第三者機関の設置であります。子ども支援委員会となっておりますが、子どもの育ちを支えるしくみを考える委員会における最終まとめでは子どもの権利擁護委員であり、これを子ども支援委員と変更したものであります。通常、このような第三者機関というのは大津市の事件のような重大な事案が発生した場合に設けられるもので、県レベルにおいて常設されているのは埼玉県だけで、それ以外にはありません。  この委員は、知事部局、県教育委員会、市町村教育委員会、小中学校、公私立高校等に調査権を有し、子供の人権侵害に関する事項について調査、審議し、関係機関に対し意見、勧告をすることができ、そして是正改善を求めることができる等の強い権限が条例案にうたわれております。果たして、このような機関を常設する必要があるのでしょうか。この根拠について知事の説明を求めます。  また、総合窓口の設置について伺います。  現在、虐待については児童相談所が法律に基づいて強い権限を持ち、全面的に対応しております。一方では、県立須坂病院に病院内子ども虐待対応組織、CPTが設置されました。これを拡充し、虐待予防を徹底して進めるべきであります。  このCPTを県内全産科を持つ病院に広めるべきと考えますが、健康福祉部長の答弁を求めます。  また、いじめ、体罰に対しましては、県教育委員会心の支援室、こどもの権利支援センターがあります。これを強化し、いじめ、体罰が発生しないように予防対策に徹底して力を注ぐべきであり、いじめ体罰防止対策推進条例等の個別条例で対応すべきと考えます。  いじめ問題に対しては24時間いじめ相談電話も設置されております。ゆすり、たかり等犯罪に絡む相談は警察の窓口があります。なぜ総合窓口が必要なのでしょうか。専門的、細分化されていると言われますが、専門的、細分化こそがきめ細かい対応ができるものと考えます。この種の条例によらずとも、今ある組織を強化し、徹底して虐待、いじめ、体罰の未然防止にこそ取り組むべきと考えます。
     総合窓口は屋上屋を重ねることにならないのか。知事の見解を伺います。  そもそも、本条例案は、いじめ、体罰、虐待があることを前提にして相談、救済することが主なる目的とされております。我々は、いじめ、体罰、虐待は絶対にあってはならないものと考えております。これの防止・予防対策にこそ県及び市町村の全ての機関と家庭を含めて全力で取り組むべきであり、これらの防止対策推進条例なら全面的に賛同するものであります。  いじめ・体罰・虐待防止対策推進条例について知事の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)子ども支援条例についての御質問に順次お答えを申し上げたいと思います。  子ども支援条例、今回、要綱案を県議会にお示しをさせていただいておりますが、「第1 制定の趣旨」を書かせていただいておりますが、私の基本的な考え、盛り込ませていただいているところであります。  人間関係が希薄になり、経済格差が広がる等社会環境が変化する中で、いじめの問題、虐待の増加、子供たちを取り巻く環境は厳しさが増してきているというふうに思っております。問題を抱えて我慢している子供たち、あるいは誰にも相談できず悩んでいる子供たち、こうした子供たちをしっかり支援していこうという趣旨が今回の条例でございます。  条例の内容、名称、「育成」を加えるということについての御質問がございました。  子供たちが健やかに育つということは県民皆の願いでありますし、社会全体で子供の成長をしっかりと見守り支えていくということは大切だと考えております。  今回の条例、いじめ、体罰、虐待等困難な状況で悩み苦しむ子供たちが存在するという状況を踏まえ、こうした子供たちを支え、相談に応じ、救済を図っていくということを主眼にして制定を目指しているものであります。  他の都道府県では条例名に「育成」という文言を入れている条例がありますが、これはいわゆる青少年健全育成条例でありまして、今回の条例の内容とは大きく異なるところであります。そうした観点で、条例名に「育成」ということを付加することには慎重に考えざるを得ないというふうに考えております。  他方で、例えば社会全体で子供を守り育てるといったような趣旨については今回の条例に加えていくということも可能でありますので、今後検討してまいりたいと考えております。  それから、環境づくりについてでございます。  御指摘のとおり、子供たちがいじめ、体罰、虐待等の困難な状況に陥らないよう、予防、防止、県民全体で取り組んでいくことは重要だと考えております。  今回の条例、基本理念、関係者の役割、具体的な子供支援の仕組み等を定めるものではございますが、例えば高知県の子ども条例のように基本理念の中でも子供の環境づくりを規定しているようなものもございますので、こうした条例等も参考に、こうした趣旨を入れることができるか条文案について検討していきたいと考えております。  次に、家庭教育への支援ということでございます。  家庭教育への支援につきましては、本県では、これまでも、生涯学習推進センターにおける家庭教育講座でありますとか、市町村と連携した公民館での家庭支援に関する講座の充実に取り組んでまいってきております。そういう観点で、私どもも家庭教育は重要だというふうに考えております。  条例の中で、家庭教育への支援のための学習機会の提供などにつきましては規定をする方向で考えたいと思っております。  権利には義務が伴うことなど、大人が子供に教えていくという規定についてでございます。  今回、「基本理念」の中で子供が規範意識を身につけることの重要性をうたわせていただいております。私は、子供たちがお互いの人権を尊重できるようにしていくということが大変重要だというふうに思っておりますが、そういう中で子供たちがルールを身につけ守っていくということも、また重要だというふうに考えております。  こうした観点で、今の要綱案、「基本理念」は条例全体にかかっている考え方でございますが、個別の条文の中にも言及する必要があるかどうかということについては、今、先生の御指摘がございましたので、その必要性についてさらに検討していきたいと考えております。  それから、子ども支援委員会の常設の必要性でございますが、子ども支援委員会、これは、相談窓口における相談や助言だけでは解決ができない困難な事案に対して、公平、中立な第三者的な立場で対応して子供たちを救済していこうというものでございます。  位置づけとしては、地方自治法に基づく附属機関という形で設置を考えております。  当該委員につきましては、非常勤の委員ではございますけれども、案件の発生等、必要に応じて迅速に対応していくということが重要だと考えておりますので、こうした観点から常時設置をしておくことが必要だと考えております。  次に、相談窓口についてでございます。  子供たちからの各種の相談に対応するには、相談窓口はさまざまなものがあり、そして重層的であったほうがよいというふうに考えております。  児童相談所等県の相談窓口の充実は必要だというふうに考えておりますが、一方で、児童相談所、児童福祉法に位置づけられた機関として、相談、一時保護、入所措置等法定業務を行う組織でございます。  また、こどもの権利支援センターは教育委員会のもとに設置をされておりまして、相談内容、学校内のことに限られる傾向にございます。児童相談所に相談するほどでもないが、もっと気軽に相談をしたい、また、学校とは違う場面で学校のつらさを相談したい、こうした既存の相談窓口では必ずしも十分に対応し切れない相談を総合的に受け付けていく窓口は必要だというふうに考えております。  次に、いじめ・体罰・虐待防止対策推進条例の制定についてということでございます。  いじめ、体罰、虐待の防止、予防対策について、これは、私どもも、起こってからの対応だけではなくて、未然の対応ということも大変重要だというふうに思っております。いじめ防止対策推進法、あるいは教育基本法、虐待防止法等に基づきまして、こうした取り組みをしっかり進めていきたいと考えております。  例えば、いじめにつきましては、現在、教育委員会とともに、いじめ防止基本方針、策定をしているところでございます。この基本方針を策定し、それに基づく対策、確実に進めていきたいと考えております。  いじめ、体罰、虐待に対して具体的な取り組みを進める中で、必要性が出てくればその時点で検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長眞鍋馨君登壇〕 ◎健康福祉部長(眞鍋馨 君)私には虐待予防のための病院内子ども虐待対応組織、CPTの拡充についてのお尋ねでございます。  このCPTでございますが、チャイルドプロテクションチームの略だということでございますけれども、病院内の主治医、助産師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどが虐待事例または虐待を疑われる事例に対しまして組織的に対応しようとするものでありまして、虐待の発生予防ですとか早期発見、早期対応につながるものと認識をしております。  県内の周産期医療センターであります10の病院がございますが、その中心であります県立こども病院のほか五つの病院でCPTに類似する組織が設置をされているところでございます。  これらは産科の医療機関での周知、そしてまた普及が必要だということも我々そのとおりだと思っておりますけれども、それに加えまして、このような取り組み自体は、小児専門病院ですとか、あるいは救急告示医療機関、こういったところでも広く行われることが重要というふうに考えておりますので、関係機関とも連携を図りながら積極的にその普及に取り組んでまいりたいというふうに思っております。       〔51番村石正郎君登壇〕 ◆51番(村石正郎 君)子ども支援委員会、いわゆる条例による第三者機関ですね。文部科学省の示したいじめ防止等のための基本的な方針のもとに県教育委員会が作成を進めているいじめ防止等のための基本的な方針(原案)では、重大事態発生時には学校または教育委員会による調査を実施し、その報告を受けて知事による再調査機関、弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家等による第三者機関を設置して、公平性、中立性を確保して事実関係を明確にすると明記されております。この第三者機関で十分に対応できると考えます。本条例による子ども支援委員会を重ねてつくる意味はないと考えますが、この問題は後の論議に委ねたいと思います。  子供の幸せを願わない人はおりません。また、子供の未来は長野県の未来であり、日本の未来であります。そして、子供たちには健やかに育ってほしい、これはみんなの願いであります。  私は、この種の条例を制定する場合には全員の賛同を得られる内容のものでありたいと考えております。ところが、子ども支援条例案には骨子案の段階から数多くの反対意見がパブリックコメント等に寄せられました。これは、この条例に問題があると県民が受けとめている証左であると考えます。  県の条例としては全国のモデルとなるものであり、また、全国からも注目されております。いじめ虐待防止対策推進条例、あるいは子ども育成条例、家庭教育支援条例のような全員の賛同が得られる条例制定となるよう強く希望いたしまして、代表質問を終わります。 ○議長(本郷一彦 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時59分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(小松千万蔵 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  改革・新風代表小島康晴議員。       〔23番小島康晴君登壇〕 ◆23番(小島康晴 君)改革・新風を代表いたしまして質問をいたします。よろしくお願いいたします。  先日の大雪のため亡くなられました皆様の御冥福をお祈りし、被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。また、不眠不休の復旧に当たられている皆様にも敬意を表し、感謝を申し上げたいと存じます。  さて、あの東日本大震災からはや3年がたとうとしております。あのとき、想定外の津波だとか想定外の原発の事故だとか、想定外ということが言われました。しかし、やはり行政とかあるいは政治としては想定外ということがあってはならない、そういうことで防災や減災の取り組みの見直し等を行ってまいったところであります。  しかし、私自身、先日14日の日には大渋滞に巻き込まれまして、ふだんは2時間半くらいで帰れるところが10時間近くかかって長野から飯田に帰り着きました。その後、丸2日間雪かきに追われるというようなかつてない経験もいたしまして、まさに想定外であったということで反省をしておるところでございます。  振り返りますと、今年度平成25年度は、春先の凍霜害、そして夏には台風の襲来、そしてこのたびの大雪等々自然災害に苦しめられた1年でございました。改めて、自然の大きさ、強さ、そして、人間がその自然の中にあり、その自然と折り合いをつけながら数万年生き長らえてきたということに思いを新たにいたしたところでございます。  そこで、まず今回の大雪への対応について伺います。  今回の大雪による現在把握しておられる被害状況の概要はどのようでしょうか。そしてまた、この大雪に対する県の対応、あるいは県として他の機関との連携についてどうだったのでしょうか。15日に連絡本部の設置、16日に対策本部の設置、そして17日に本部員会議の開催と、こういった時間的経過はどうであったのか。  また、改めて私も地域防災計画を見返させていただきましたが、最後のほうに20ページほど「雪害対策編」というのがありまして、これが今回生きていたのか、見直しの必要があるかどうか。まだ経過の途中でありますけれど、その辺の状況について久保田危機管理部長にお尋ねいたします。  そしてまた、今回の雪害につきましては国のほうでも迅速な支援策等を出されておりますが、やはり県としても大胆で素早い対応をする必要があると思いますが、そのことはまた被害状況がさらに明らかになる中でしっかり取り組んでいただきたいということでこの場ではお願いにとどめておきますが、先ほど申しましたとおり、私としても60年近い人生の中で本当に生まれて初めての大雪でございました。  知事におかれましてもこのような経験は初めてかと思いますが、今回のような全県的な大雪について知事としてどのように受けとめておられるか。所感を伺いたいと思います。  さて、2月県議会は予算議会とも言われておりますので、当初予算案につきまして幾つかお尋ねしたいと思います。  初めに、「確かな暮らしが営まれる美しい信州」を基本目標に、新たな総合5カ年計画、しあわせ信州創造プランが本年度から始まっておりますが、この1年目のスタートダッシュはどうであったのでしょうか。その評価、手応えはどうでしょうか。また、それを踏まえて、2年目である新年度平成26年度の予算編成で意を用いられたことは何か。知事に伺います。  そしてまた、知事が当選されて以来3年半経過いたしました。知事のその際の選挙の公約として掲げた信州底力宣言、確かな暮らしを守り、県民主権を確立するための基本政策の実現状況はどう捉えておられますでしょうか。  その中で、各種条例制定については後ほどまとめてお尋ねしますので、条例以外の関係の諸施策につきましてどのようなふうに捉えておられるのか。また、任期最後の1年の予算案として、公約の実現あるいは仕上げのために重点的に予算配分されたようなことはあるのでしょうか。知事にお尋ねします。  さて、昨年10月、予算編成前に、私ども会派としまして、基本施策24項目を初め各般にわたり予算編成と当面の課題に関する提案を行わさせていただきました。いわゆる老舗企業の表彰、顕彰など受けとめていただいたものが見受けられますが、どのようにこのような私どもの要望、提言を新年度予算案に反映いただいたか。知事にお尋ねいたします。  さて、昨年の6月県議会で、総務省において職員給与費にかかわる交付税を削減するという地方自治の本旨に反する暴挙がなされまして、これに抵抗するように私どもは求めたところでありますけれど、結果としてはいわば総務省のおどしに屈して職員給与の削減、一般職3.8%等を行ったところでございます。  その際、私は反対ですけれど、しかし、やるにしても少なくとも7月に交付税額が確定してから、その結果を見てからでも遅くはないのではないかということを申し上げたところでございますが、実際に6月に給与削減を決定し、その後、7月以降に交付税がどのような額で配分されたのでしょうか。そしてまた、この件にかかわって他の道府県がどのように対応したか把握しておられるか。そしてまた、そのとき、知事は、二度とこういう暴挙を許さないように国に働きかけていくんだ、今回はやむを得ないけど今後はさせないんだというような答弁をされましたけれど、26年度の交付税の見通し額はどのようになっていますでしょうか。数字にもかかわりますので岩﨑総務部長にお尋ねいたします。  それから、今回、本庁組織の改正についてお示しありました。予算執行にもかかわりますのでここでお尋ねいたしますが、若干の課や室の統廃合があって行政改革の面では若干の努力の跡を認めることはできるわけですが、予算執行とか、あるいは総合計画の推進というのにふさわしい体制になったのでしょうか。5カ年計画の九つのプロジェクトを初めとした計画をあと4年間で遂行してまいるという中で十分な組織改正となっているか。お尋ねしたいと思います。  例えば山岳高原観光課というふうに名称を変えるそうですが、これはかえって私は県民にわかりにくいかもしれないと思います。そのものずばりのようですけれど、観光は山だけかという話にもなりかねませんし、観光課の中におもてなし推進係というような多少奇をてらったような気がしないでもない係もあるようでありまして、さっき言いましたようにプロジェクトの推進という大きな命題に向かっていく、名前や形よりも中身が大事というふうに考えますが、本庁組織の改正にかかわって岩﨑総務部長にお尋ねいたします。  続きまして、先議案件となっております補正予算案についてお尋ねいたします。  259億円余りの補正となっておりますけれど、知事が消費税の引き上げについてはやむを得ないというお立場であるということはこれまでの議論で承知はいたしておりますけれど、国の財政が厳しくて税収確保するために消費税を8%、10%に上げなければならないと決定する一方で、5兆円ですか、その影響を減らすために追加財政支出をするというのは私は本末転倒ではないかと思います。  3%から5%にアップした97年、その後、長期の不況になった、景気低迷になった、そういった反省は生かされているのでしょうか。今回の国の補正予算をどのように受けとめておられるか。また、これを受けて、今回の県のこの二百五十何億の補正予算によって県内経済は消費税増税の影響を避けていくことができるのか。知事にお考えを伺います。  それから、新年度予算案を見ますと、いわゆる通年予算となっておられて2期目に向けた県民へのメッセージと受けとめたいと考えておりましたが、午前中、村石議員への御答弁ではまだその時期ではないというようなことでございました。  私たちといたしましては、あと任期半年でありますし、わかりやすい県政運営というお気持ちがあるならば、今の時点ではっきり示されることがよいのではないかと考えまして、既に答弁はされていますので御答弁は結構ですが、私たちとしてはそのように判断していることを申し添えたいと思います。  以上、1回目の質問といたします。       〔危機管理監兼危機管理部長久保田篤君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(久保田篤 君)答弁に先立ちまして、今回の大雪の災害により被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  御質問は、大雪の被害状況、県の対応であります。  まず、今回の大雪による県内の主な被害状況ですけれども、本日の午前8時現在で人的被害は、除雪作業による事故などで亡くなられた方が4名、負傷者は46名であります。  住宅の被害は、一部損壊が8棟、床上の浸水が2棟、床下の浸水が15棟であります。  それから、孤立集落は佐久地域と飯伊地域の6市町村14地区で発生いたしましたが、県消防防災ヘリによる救助や除雪作業によりまして2月20日までに全てが解消しております。  また、県内の道路については、高速道路の通行どめは2月19日朝までに解除され、国道18号、19号、20号の通行どめは2月18日の朝までに解消いたしました。依然として10の国県道で通行どめが継続している状況であります。  鉄道の運行休止につきましては、2月21日までに解消しております。  農業施設被害などの被害状況については、まだ全体像を把握しているところであります。  次に、県の対応についてであります。初動の対応を中心にいたしまして、その経過と関係機関との連携を説明させていただきます。  まず、2月14日には県庁内の大雪情報伝達の会議、大雪警報が発表された地域の地方事務所長への注意喚起を行い、危機管理部では14日の夜から通常2名の宿直体制を5名体制に強化いたしまして情報収集を実施いたしました。その後、積雪が長時間となり、滞留車両の発生、交通障害が見込まれましたので、15日の朝に県大雪警戒対策連絡本部を設置し、危機管理部職員と各部局担当職員を参集させ、体制を強化して、15日には会議を3回行いました。また、大雪警報発表地域の地方事務所においても、職員を配置し、市町村への派遣等により市町村の被害状況の収集に当たりました。  積雪のため高速道路や主要国道での通行どめ規制を実施したことにより、県内では道路上での大規模な滞留が複数発生いたしました。さらに、車両の滞留の長期化により車にとどまることを余儀なくされた者の安全確保を中心に、自衛隊や長野国道事務所から派遣された情報連絡員と情報共有を図り、対応いたしました。特に、国道18号軽井沢地域での交通渋滞の長期化の事態が車両の乗員の人命の危険に影響をもたらしていると考えられたため、食料や水などの県の備蓄物資の配布、軽井沢町と佐久市への自衛隊の災害派遣要請を行い、避難所を設置した軽井沢町、御代田町に災害救助法を適用いたしました。また、国道20号関係の茅野市、富士見町へも災害救助法の適用を行ったところであります。  この間、知事は、15日、16日に登庁いたしまして、先頭に立って自衛隊、長野国道事務所、関係市町村長等と連絡をとりながら災害対応に当たりました。このほか、飯田国道事務所、NEXCO東日本、NEXCO中日本等とも電話連絡により情報収集や対応協議を行ったところであります。  16日夜には県の体制を県大雪災害対策本部に格上げして県の対応体制を強化し、翌17日には本部員会議を2回開催いたしまして災害対応、情報共有と災害対応方針の確認を行ったところであります。  以上でありますが、最後に県の防災計画についての御質問であります。  県の地域防災計画の「雪害対策編」におきましては、豪雪に伴う被害として、交通機能の阻害による都市機能の麻痺、交通の途絶による集落の孤立、雪崩災害等を想定しているわけであります。  今回の災害対応については、検証を行いまして、課題を整理した上で、今後、県地域防災計画の修正が必要であれば見直しを行ってまいりたいと、このように考えております。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)今回の大雪への受けとめという御質問でございます。  まず、答弁に当たりまして、今回の災害により被災された皆様方に心からお見舞い申し上げます。また、今回は道路上で長時間滞留を余儀なくされた方々が大勢いらっしゃいました。そうした皆様方にもお見舞いを申し上げたいと思います。  今回の降雪、軽井沢あるいは飯田など4地点の積雪深観測点で観測史上最大を記録するという形で、県全域にわたる記録的な大雪であったというふうに考えております。  今回、通常の除雪体制を上回る積雪量があったということで、高速道路、主要国道が通行どめとなりましたし、また、時間の経過とともに一般道で車両が滞留するという事態が生じてしまったわけであります。この点が、これまでの雪による被害と大きく異なる点だというふうに考えております。  先ほど危機管理部長から御答弁申し上げたように、私も、15日、16日、危機管理部に出かけて、自衛隊等の関係機関、あるいは、先般、県と市町村との協議の場でお互いの携帯電話の番号をしっかり共有しましょうということをしておりましたので、それを活用させていただいて関係の市町村長とも連絡を取り合う中で対応に努めたところでございます。
     今回、自衛隊の出動も要請をさせていただきました。浅間サンライン、そして国道18号線の対応については自衛隊の皆さんの活躍は大変大きかったというふうに思っております。また、国道事務所も県庁に来ていただいて、情報を共有する中で対応させていただきました。関係機関の皆様方の対応にも、私としては心から御礼を申し上げたいと思っております。  自衛隊、警察、あるいは道路を初めとする公共施設の管理機関、そして市町村、こうした関係機関が相互に連携することはこれは当然重要なわけでありますが、今回再確認したのは、平時から顔の見える関係をつくっていくということが迅速な情報共有、対応に当たっては極めて重要だというふうに考えたところでございます。  今回の災害応急対策における対応につきましては、しっかりと検証を行った上で今後の対応に生かしていきたいと考えております。  また、今回の災害による被害は農業被害を中心にまだ引き続いている状況でありますし、応急対策ではなくて、復旧であるとか、あるいは農家の経営支援、あるいは観光地も大きな打撃を受けておりますのでさまざまな影響があります。こうした事態を私どもしっかり把握した上で適切な支援を行っていく必要があるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今回の大雪で幾つかの教訓が得られたというふうに思っておりますので、そうした点についてしっかりと今後に生かしてまいりたいと考えております。  それから、予算の関連でございます。  まず、しあわせ信州創造プラン1年目の手応えと新年度予算編成についてという御質問でございます。  確かな暮らしが営まれる美しい信州の実現に向けて、政策推進の基本方針に基づき、平成25年度、積極的に取り組んできているところであります。具体的には、例えば経済構造の転換のところで申し上げれば、ナノカーボン技術を活用した世界の水問題の解決に貢献するアクア・イノベーション拠点の形成、これは、信州大学を中心に日本を代表する企業が参画して世界の水問題に対応していこうというプロジェクト、国において認めていただいて進めていく形になりました。  また、山岳高原を生かした世界水準の滞在型観光地形成のための構想策定、26年度以降具現化に向けた取り組みの第一歩を記すことができました。  また、医療の関係では、信州型総合医養成のためのプログラム認定でありますとか、あるいは発達障害者支援、年代に切れ目なく支援をしていけるようにということでサポーターを全国に先駆けて養成し、また、発達障害サポートマネジャーを設置するといったような取り組みを進めることができました。  さらには、少子化対策ということでながの出会い応援プロジェクトでありますとか、教育については開かれた学校づくりを進める上で信州型コミュニティスクール、こうしたものについて進めていくことができました。  また、ブランド戦略、信州の価値向上と発信におきましては首都圏総合活動拠点の整備の着手ということで、いずれも確かな一歩、大きな一歩を踏み出すことができたというふうに考えております。  新年度の予算編成に当たりましては、こうしたプランの方針に沿った施策をさらに加速するという観点で編成をさせていただきました。各プロジェクト、総括マネジャーがおりますので、マネジャーと問題意識を共有するべく議論を行った上で、プロジェクトの中核となる事業についてはシーリングの対象外として、政策推進の基本方針に沿って財源を重点的に配分することに努めさせていただきました。また、従来の枠組みにとらわれず、部局横断的な施策の構築ということにも意を用いたところでございます。  その結果、プロジェクト関連予算につきましては、前年度比45億円余の増ということで255億円余を計上して重点化を図ったところでございます。  次に、私の公約の実現状況という御質問でございます。  まさに、私、県政を進めるに当たって、一つの大きな課題として県民の皆様との約束を守るということを意識して取り組んでまいりました。公約に掲げさせていただいたものについては、かなりの部分、全部で96項目ございますが、実施済み、または実施中、あるいは、さらに私としてはもっとレベル感を上げなければいけないとは思いますが実施をしているというもの、合わせて約9割近くは着手をすることができたというふうに考えております。  しかしながら、教育・子育て先進県の実現でありますとか、産業力、地域力の強化、こうしたものは個々の政策に着手すればよいというものではなくて、まだまだ相対的な取り組みについては力を入れていかなければいけないというふうに考えております。確かな暮らしが営まれる美しい信州の実現を目指して、さらに施策の充実を図っていかなければいけないと思っております。  予算の重点配分についてでございますが、しあわせ信州創造プランの推進ということと、私自身が掲げた県民とのお約束を実現するということも意識をして編成をさせていただきました。例えば、中小企業の受注開拓支援、商談会の開催といったようなことにつきましては一般財源ベースでは対前年をかなり上回る、総額は国の基金等が減った関係で必ずしも増額できない状況でありますが、一般財源ベースではかなり増額をさせていただきました。また、パーソナル・サポート・センターの設置でありますとか、あるいは発達障害者を支援する取り組みでありますとか、こうした部分についてもかなり予算的には充実をさせていただいております。さらに、地域を活性化させるという意味での地域づくりのリーダー養成、それから学校校舎の耐震化の推進、公約で掲げさせていただいたものについても予算を重点的に配分するべく取り組ませていただいたところでございます。  次に、改革・新風からの提案の予算案への反映ということでございます。  県議会各会派からいただいております御提案につきましては、その趣旨、内容を最大限尊重させていただいて予算案の編成に努めてきているところでございます。  改革・新風からは、10月の15日に、県政全般について24項目、各部局別政策について209項目、大変多岐にわたる御提案を頂戴をしております。そのうち県政全般に対する御提案につきましては、その御趣旨を踏まえて、かなりの部分施策に反映することができたというふうに考えております。  地方交付税制度の堅持等の国への働きかけでありますとか、あるいは予算については経済対策予算とすることでありますとか、さらには中小企業の振興に関する条例の早急な具体化等々、県政全般にわたって御提案いただいている部分については相当程度実現することができたというふうに考えております。  また、各部局別施策に対する御提案につきましても、各部局において十分検討した上で可能な限り施策化を進めたところでございます。  それから、国補正予算の受けとめについてでございます。  消費税率の引き上げにつきましては、私としては、社会保障の充実、安定化の財源確保、そして財政健全化といった観点で必要な取り組みだというふうに考えております。しかしながら、あわせて、税率引き上げに伴う反動減を緩和するとともに、経済を確実に成長軌道に戻していくための施策も重要だと考えております。  今回、国の補正予算の編成に当たりましては、私から、直接、少子化については森担当大臣に少子化対策の充実について要請をさせていただきまして、これに関連する交付金も国の補正予算に盛り込んでいただいているところでございます。  こうした観点から、国の補正予算、全体として見れば時宜にかなったものでありますので、私としては一定の評価をいたしております。  本県では、国の補正予算を最大限に活用して、2月補正予算案、経済対策分を編成いたしました。来年度前半に需要が発現する事業を重点的に計上しているところでございます。また、当初予算案におきましても、経済・雇用対策、重点的に取り組むことにいたしております。  県議会の御議決をいただければ、消費税率引き上げの影響を最小限に抑えることができるように、国、地方挙げた取り組みとして、この経済対策予算、迅速かつ着実に執行してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔総務部長岩﨑弘君登壇〕 ◎総務部長(岩﨑弘 君)当初予算に関しまして2点お尋ねをいただきました。  1点目でございますけれども、職員給与の減額の交付税への影響についてという点でございます。  本年度の普通交付税の算定におきましては、平成25年7月から国家公務員と同様の給与削減を実施することを前提として基準財政需要額が減額をされるよう算定をされたところでございます。  本県の普通交付税への影響額についてでございますが、普通交付税の計算が単位費用の減額のほかに補正係数等を用いますことから厳密に算定することはなかなか難しいというふうに考えておりますが、単位費用面については減額をされているということでございます。  他の都道府県の対応状況でございます。7月から減額をいたしましたところが本県を含めて39道府県、9月または10月から減額をいたしましたところが3県、新たな減額は実施しないとしたところが5都府県でございます。なお、新たな減額を実施しない都府県は、従前からの減額を継続しているなどの理由によるものでございます。  次に、国への働きかけと新年度交付税の見通しという点でございます。  今回のような国の対応が再び行われることのないよう全国知事会を通じて要望を行いましたほか、本県独自でも総務省宛てに地方交付税法に基づく意見の申し出を行ったところでございます。これらの取り組みの結果などによりまして、平成26年度の地方財政計画におきましては地方公務員給与の削減が復元をされた上で交付税の総額が決定されたところでございます。  続きまして、本庁課室の再編についてのお尋ねでございます。  今回の本庁課室の改正でございますけれども、中長期的な視点からしあわせ信州創造プランを着実に推進するとともに、県民の期待に応えまして、時代の要請に柔軟に対応できる効果的な組織体制を構築するといった基本的な考え方に沿いまして、11月定例会において議決をいただきました組織条例を踏まえて決定をいたしたものでございます。  今回の改正におきましては、3点ほど申し上げますけれども、1点目は、企画調整機能の強化あるいは地域振興施策の効果的な展開を図るために、総合政策課、あるいは地域振興課といった課を再編をしたところでございます。  二つ目といたしましては、文化施策を効果的に展開するとともに、県民生活に関連する施策を一体的に推進するために県民文化部を新設をいたしまして、文化政策課、あるいは私学・高等教育課といった課を設置をしたところでございます。  3点目でございますが、地域経済活性化に向けた産業施策の調整機能を確立するという目的で商工労働部を産業労働部に再編をいたしますとともに、サービス産業の振興を図るサービス産業振興室を設置をしたところでございます。  以上、主なものを申し上げましたけれども、しあわせ信州創造プランを効果的に推進するためにふさわしい組織体制が整備されたというふうに考えております。  また、施策の方向性をわかりやすく示して効果的に展開する観点から、課室の名称を含めた見直しも行っております。  御質問いただきました山岳高原観光課についてでございますが、山岳あるいは高原といった本県の観光地の特性を生かしまして対外的なPRだとか職員を含めた関係者の意識の醸成、こういったことを図ることによって、山岳高原観光地あるいは本県の観光振興を一層効果的に展開するという考え方に基づきまして業務の見直しを含めて今回の再編を行ったものでございます。  以上でございます。       〔23番小島康晴君登壇〕 ◆23番(小島康晴 君)御答弁いただきました。大雪の関係につきましては、まだこれから被害が明らかになるということでございまして、申し上げましたとおり、ぜひ最大限の対応、対策をとっていただくようにお願いしたいと思います。  また、消費税が4月から上がるということにつきまして、会派の要望にもありますし、知事としても努力いただくということですが、いわゆる97年の反省、繰り返しにならないように対応をとっていただくようにお願いしておきたいと思います。  大きな3番目としましてお尋ねするんですが、日本を取り戻すという大きな看板があっちこっちに立っております。そして、日本を取り戻すと標榜された皆さんが政権につかれました。日本を取り戻すというのはどういうことかな、取り戻すべき日本とは何だろうかなどと考えますし、これを地域に置きかえれば、信州を取り戻すとか、あるいはふるさとを取り戻すということになるんでしょうか。そんなことを念頭に置きながら、以下、取り戻すということをキーワードに何点か理事者にお尋ねしてまいりたいと考えております。  まず、農業・農村等にかかわる問題であります。  人間とそれ以外の動物とを分けるのは農耕にあるとも言われております。道具を使うとか足で立って歩くとかさまざまありますけれど、自然に働きかけて作物をつくるということがやはり動物と人間の大きな違いだということだと思いますが、また、最近の研究によりますると、私ども子供のころは、縄文時代は狩猟採集移動社会で、弥生時代になると農耕定住社会だというふうに習ってきたわけですけれど、最近の研究では特に西日本では弥生時代は数百年もさかのぼるのではないかとも言われておりまして、いずれにいたしましても、二千数百年以上、この日本では特に稲作、米づくりが中心になって、瑞穂の国と言われるように進められてきました。  しかし、残念ながら、休耕地とか耕作放棄地とかいうように、先祖の皆さんが2,000年かけてつくってきた田んぼや畑が荒れつつあるということです。そしてまた、さらにTPPへの参加や減反見直し等の新しい農政によって危機的な状況も生まれるのではないかと心配しております。  TPP推進の皆さんの論調を伺いますと、TPPへの参加をきっかけに日本農業の国際競争力を高めて国内経済効率を高めようということのようでありますが、都市近郊の平たん地、広大な農地ならいざ知らず、本県のような中山間地を多く抱える地域ではなかなかそのようなことは難しいことであります。同じようにはいかないと思いますし、違った取り組みが必要であると考えます。長野県の中においてもさまざまな地形、風土がありまして、一律の対策ということは不向きであるというふうに考えております。  そして、私は、農業・農村の復興という中ではやっぱり家族経営というのが基本ではないかというふうに考えております。そして、その家族経営をつなぎ合わせて集落で助け合って、結いとか言いますけれど、そういった集落営農、これなしには中山間地農業は続いていかないというふうに考えております。  私の家では、先祖何代かわかりませんけど、農業から離れておりますので立派なことは申し上げられませんが、そうじゃないかというふうに思うわけであります。  そして、この場でも何度もお願いしてまいりましたけれど、新規就農支援ということでIターンの方あるいは定年帰農の皆さんを支援することも当然大事だと思いますけど、私は、やっぱり、家族経営が基本という中では、その家族を引き継ぐいわゆる後継者の皆さんの支援こそ手厚くすべきではないか。また、農業関係者の皆さんからもそういう強い要望をいただいておりまして、ぜひ農業復活の基本姿勢としていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  また、昨年末に、伊那市で、ふるさと風景育成の集いというのが開かれました。そのパネルディスカッションの中で、諏訪の出身の画家である原田泰治さんは、子供のころ、伊賀良村、現在の飯田市伊賀良地区に何年か住まわれておりまして、その農村風景、農村での暮らしの中で、高いところから遠くを見る鳥の目と草むらに寝転んで小さなものを見る虫の目、その両方を養ってもらった、それが現在の作品のもとになっているんだというお話をいただきました。どなたもがほのぼのとした憧憬を覚える原田さんの作品、そのもとには伊那谷の風景あるいは信州の農村があったということだと思います。  そしてまた、それは単に自然そのものということではなくて、長年の時間をかけて人が自然と折り合いをつけていた農村の姿ではないかと思います。そして、これをこれ以上壊すことのないように宝物として残していく、そして、それを観光や地域づくり、産業興しとして図っていく、そういった信州の農村の原点を守るような取り組み、決意を知事から伺いたいと思います。  そしてまた、かつて里山の恵みと地域の生活は一体のものであり、自然と鳥獣とのすみ分けができてきたのではないかと思います。経済成長や都市化の中で農業や農村が軽視され、結果として鳥獣被害という形となってもあらわれているのではないか。そして、さまざまな鳥獣対策の取り組みが行われておりまして、それは引き続きお願いするところですが、やはりそれはある意味では対症療法ではないか。やはり、根本的に改めてかつての鳥獣とのすみ分けを取り戻すような、そういった観点からも農業・農村の復興を目指す施策をとるべきではないかと考えます。そしてまた、農地、農業、農村を国民共有の財産として守っていく、そのためには、言葉は悪いですが、なりふり構わず施策を打つくらいの覚悟が必要と感じておりますが、知事の御所見をお尋ねしたいと思います。  さらに、農業の延長の中に日本食があると思います。ユネスコでも遺産として認められた和食、日本食、そして、本県では、例えばさまざまな漬け物とか、私どもの地域では干し柿と言われるように、信州ならではの食、そしてその中心にある米を中心とした食文化、こういったものをどう取り戻し、振興し直していくのか。  例えば、象徴としてあります姨捨の棚田のようなものを、全国で既に数カ所となっていると思いますが、世界農業遺産に登録するような取り組みをするとか、そんなことも含めて、本県の食文化も含めた農村文化の価値の再発見とその伝承について前向きな取り組みを始めたらいかがかと考えますが、知事の御見解を伺いたいと思います。  そして、米といえば日本酒でございます。和食、日本食に合うのも一番は日本酒だというふうに考えておりまして、本県は新潟県に次いで全国2位の酒蔵を擁している。そして、重要な地場産業、地域産業と考えております。  我が県議会におきましても、昨年、日本酒で乾杯議員連盟というのを立ち上げたところでございます。一部では盛り返しているというお話も聞きますが、全体としては日本酒の需要は長期的には低減しておるということであります。その原因をどのように県としては捉えておられるのか。  また、日本酒は、本来、水と米と米こうじでつくるものでありますが、昨今は必要以上に添加物を加えるものもあると聞いており、心配しているところです。ぜひ、信州の日本酒は本物ということで日本酒の復権、復興を取り組んだらいかがかと考えます。特に、阿部知事は日本酒がお好きだし、お強いように拝察しておりますので、前向きな取り組みを御期待申し上げ、お尋ねしたいと思います。  4点目としまして、地域公共交通に関してお尋ねいたします。  昨年末、国において交通政策基本法が成立いたしました。私どもが求めてまいりましたいわゆる移動権とか交通権というように言われるものは明文化はされなかったものの、第1条の法律の目的として「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展」ということが目的として掲げられ、第8条では、交通施策の理念と実現のために国などの責務を明らかにするということで、国その他の責務が明らかにされたわけでございます。  この交通政策基本法につきまして知事はどのように受けとめておられるのでしょうか。  また、この法律よりある意味では先駆けて長野県の新総合交通ビジョンを昨年度策定し、今年度から出発しておるわけですが、1年早くつくってしまったということもありますので、この法律制定を受けまして新たな枠組みや方策を検討すべきかどうか。その辺を知事にお尋ねしたいと思います。  先ほど農業・農村のお話をしましたけれど、農業・農村の衰退と地域公共交通の衰退は悪循環のようになっておると思います。人が減ってしまったのでバスの本数が減る、バスの本数が減って不便なことで人がまた出ていくというような悪循環じゃないかというふうに思いますが、改めまして、自治体内の公共バス路線や自治体間を結ぶバス運行について県はどのように支援、補助を行っているのか、あるいは行おうとしているのか。  そしてまた、今回、新規事業で、広域間運行バスネットワーク形成事業補助金というものが提案されております。2,000万円ほど盛られておりますが、広域間運行バスというふうにありますと、振り返って高速バスの松本飯田線が廃止されたことが思い出されます。このとき県にはどのような思いがあったでしょうか。  そしてまた、広域間ということで新たに予算を盛っていくということであるならば、例えば松本地区と上田、佐久地区を結ぶような広域間交通を考えておられるのかどうか。この点は原山企画部長にお尋ねいたします。  地域公共交通という中で、やっぱりバスとか鉄道が中心ではありますけれど、地域にあってはやはり自家用車も欠かすことができません。両方大切にしなければならないと思うんですが、そうしますとやはり交通安全対策というものも大変重要になってくると考えております。交通運転マナーの向上といったソフト面、同時にまた、交差点改良、飯田のラウンドアバウトも評判になっておりますけど、交差点改良や歩車分離式信号などのハード、ソフト両面で取り組みが必要かと思います。県警察本部の重点課題の一つに挙げていただいておりますけれど、特に、新年度、どのようなことに重点を置いて交通安全対策をされるのか。山崎警察本部長にお尋ねいたします。  大きな5番目として、リニア中央新幹線に関連してお尋ねをいたします。  現在お示しいただいておりますリニア活用基本構想案がございますが、この構想案では、飯田市に設置されます予定の長野県駅を起点に、小さな範囲の伊那谷交流圏、一回り大きなリニア3駅活用交流圏、そしてまた長野県全体を含む本州中央部広域交流圏、この三つの交流圏を想定して、それぞれに課題が整理されてわかりやすいものになっていると感じておりますが、これから策定が確定するということでありますけれど、この構想案につきまして知事はどのように受けとめておられるのでしょうか。  内容をどう受けとめているかということをまずお伺いし、同時に、この構想案は事務方のほうでまとめたと。いろんな方に意見を聞いたり調査したけれど、基本的には事務局で取りまとめたというふうに聞いております。若干耳の痛い言い方かもしれませんが、阿部知事におかれてはさまざまな施策決定をする際にいわゆる審議会とか検討会云々といったものが若干多過ぎるのじゃないかという御意見もあるところでありますが、今回、職員といいますか、事務局主導でこのように構想案を取りまとめるという手法も私はいいんじゃないかと思いますが、その手法についてもどのような評価をされておられるか。阿部知事にお尋ねをいたします。  私どもの地域には伊那谷まるごと博物館構想というのがございまして、大まかに言いますと、博物館、美術館というような箱物だけにこだわらずに、地域全体のいろんな文物を、言ってみれば博物の代表として谷全体を博物館構想というふうに言うということだと思いますけれど、それを参考にしてみますと、昭和22年の飯田市の大火からの復興、その中から生まれまして60周年を迎えました飯田のまちづくりのシンボルであるリンゴ並木、さらには民間主導で運営しております夏の祭典人形劇フェスタ、さらには先ほど申しましたような交差点改良、ラウンドアバウト、さらには諏訪の御柱と同じ時期に行われます7年に一度の飯田お練りまつり等々、いろんな対象物がございまして、こういったことを観光客の皆さんの包括的な受け入れ態勢をつくっていく、そのために大切にしていくということを考えておりまして、リニアの駅に向けてのアクセス道路ということで建設部長を中心に取り組んでいただいておりますけれど、そういったハードの面と同様に、リニアの時代を迎えて、この地域のさまざまな文化が維持発展、継承されますようにソフト面での広域的な行政体としての県の支援をいただきたいと考えますが、知事の御所見を伺いたいと思います。  また、リニア中央新幹線につきましては、いわゆる東山道の1,000年ぶりの復活だという識者もございますけれど、いずれにいたしましても、南アルプスを貫くなどの大変な大工事でございまして、大量の土砂搬出や環境の負荷などに対する住民の皆さんの不安も多くあるわけでございます。  私どもの飯田地域には、国、県、市、そして中電が力を合わせて、若干規模は違うものの、天竜川治水対策事業というのを10年ほどかけてやってきた経験もございます。県も加わっていただいておりました。こういったことも踏まえて、県が指導性を発揮されまして、住民の皆さんの不安払拭を図りながら、リニアの早期開業に向けて知事には大いにリーダーシップを発揮していただきたいと考えますが、御所見を伺いたいと思います。  大きな6番目として、県境を超えた交流や観光振興についてお尋ねいたします。  東京の銀座に設置される予定のシェアスペースの現場を私も先日拝見いたしまして、大きな期待感を持ったところでございます。しかし、同時に、あの立派なビル、あの地域を見ますと、費用対効果を考えてなかなかこれは大変だ、よほどの覚悟を持ってやっていかなきゃいけないなというふうに感じたところでございます。  知事の御挨拶の中でも首都圏と信州のつながりをより強固にということを言っておられて、その点は理解できますけれど、2,000万、3,000万いる首都圏という大きな海の中にぽつんと一つの島のようにシェアスペースが浮かぶわけでございまして、これをどのように活用していくのかということ。そしてまた、私は大変残念に思っておりますけれど、名古屋の駅前の一等地のアンテナショップ、それを見直して廃止した経過、これらも踏まえて東京でのシェアスペースの効果をどのように発揮していくのか。お伺いしたいと思います。  また、東京にそういった拠点を置くことは結構でありますけれど、長野県の産業やブランドの外への発信は極めて重要でありますし、昔から、本県は多くの県と県境を接しておりまして、産業や文化の交流によって繁栄してきた面があると思います。そういう意味では、東京だけに限らず、全体の政策としてはあれかこれかの時代と言われていますけれど、外への発信についてはあれもこれもという発想でぜひとも各部を挙げて発信していただきたい、全力をもって取り組んでいただきたいということでございまして、首都圏以外への情報発信の考え方についても伺いたいと思います。  さて、いよいよ北陸新幹線、長野新幹線が金沢まで延伸すると、間近になってまいりました。長野県としては、北陸方面との交流、協調が期待されるところでございますが、県の基本的な取り組みのスタンスはどのようなものでしょうか。  長野が通過点とならないようにという消極的なものではなくて、例えば大阪から金沢に日帰りしていたような人々に足を伸ばして長野まで回ってきてもらい、泊まって、そして帰りは例えば中央線に乗って安曇野や松本、木曽を通るというような周遊ルート、その逆でもいいんですけれど、そういった周遊観光ルートを打ち出すなど、関西方面に視野を強く持って、長野が関西方面の目的地になろうというような気概を持った観光の取り組みがよろしいんじゃないかと思いますけれど、知事の御所見を伺いたいと思います。  さて、私どもの地域には三遠南信交流ということがございまして、南信州、飯田、下伊那地域と東三河、遠州ですね、都市でいうと浜松、豊橋、飯田ということになりますが、この三遠南信交流の中心であるサミットというのが7巡いたしまして、21年やってまいりました。最初は行政や経済団体の年1回の顔合わせというようなものでありましたが、だんだん脱皮してまいりまして、いよいよ広域連合を展望するような事態になってまいりましたし、特に住民の皆さんの自主的な三遠南信の交流という輪が広まり、定着してきております。  県にも御尽力いただいて、いよいよ三遠南信自動車道青崩トンネル工事が始まってまいりました。こういったハードがそれなりに着々と進んでおります。ぜひ、それを支えるソフトの面でも、住民交流のようなソフトの面に対しても県の積極的な物心両面の支援をいただきたいというふうに思います。例えば元気づくり支援金を県を超える取り組みでも対象とするようなことも含めて、交流支援に対する基本的な考えがどのようか。知事に伺いたいと思います。  観光は光を観ると言われています。その土地の衣食住を満喫し、誇りを持って生きている人たちが醸し出す光こそが最高の観光資源であるという御意見がございます。  あの「千と千尋」の映画の舞台にもなった遠山郷では神様王国遠山郷といった取り組みをしておりますし、そういった取り組みは長野県のあっちこっちにある。それが小さくてもあっちこっちの光だというふうに思います。こういった各地のきらりと輝く、小さくてもその光をつなげることによって、そして大切にすることによって、シェアスペースとか大きなものもいいですし、いろんなイベント、パフォーマンスもいいですけれど、こういった地道に観光振興と地域振興を図っていく、そんな取り組みも大切と考えておりますが、具体的にどのようなことをお考えか。この点は野池観光部長に伺いたいと思います。  さて、新年度、信州山の日の制定ということで、初年度として、知事のお言葉をかりれば全庁挙げて信州山の日を展開するということで大変結構なことと思います。聞くところによりますと、1年間、山、山、山でいくというふうなお話でございますけれど、少し事前の御説明等を聞いておりますと、県庁の中では全庁挙げてというお話のようですが、例えば森林の里親というような制度で積極的に山づくりにかかわっていただいているような企業の皆さんとか、あるいはさまざまな個人とか団体の皆さん、そういった皆さんがこの山の日の取り組み、関連事業に積極的に巻き込むというか、取り組んでいただけるような仕組みができているのでしょうか。その点、御説明をいただきたいと思います。  続いて、知事の公約に関連して各種条例について伺います。  知事の公約集の中では、「新しい信州を築くための条例の制定」といたしまして、中小企業振興条例、子どもの権利条例、障がいのある人も、ない人もともに安心して暮らせる条例、市民活動支援条例が掲げられまして、さらに、「雇用対策の推進」の項の中でいわゆる公契約条例の制定を研究するなどが掲げられております。  今回の議会開会の冒頭説明で触れられました三つの条例に関連してここではお尋ねしたいと思います。  まず、中小企業振興条例でございます。  地域の皆さんの声を聞きますと、大学とかを出てきても地元に帰る職場がない、ぜひ産業振興をしてほしいというのが、どなたからも聞く声でございます。  長野県産業の大部分は多くの中小企業の皆さんによって担われておりまして、その発展こそが雇用の創出にもつながる。その意味でも、今回、中小企業振興条例が提案されたことは大いに歓迎するものでございまして、この条例の目指すところ、特に産業振興の知事の基本戦略はどういうことか。お尋ねしたいと思います。  それから、御用達経済という提言がございます。私も一つの信州産業の生き残りの道と考えておりますが、知事の御説明の中でもお金に依存しないサブシステムというような表現がありますけれど、もしかしたら共通の発想かと思いますが、グローバル化が叫ばれる中で企業の空洞化とか工場が海外移転されてしまっていますが、一方、よく見ますと、輸出入の重要性を否定するものではありませんが、国民総生産の6割以上はいわゆる内需というふうになっておりまして、地域の循環が大切だと考えるわけであります。  いわゆる農産物の地産地消ということに限らず、さまざまな生産、製造物について地産地消あるいは域産域消で地域内で循環させることを目指して、ぜひ、大量生産、大量消費、大量廃棄の20世紀型経済から御用達で必要なものを必要なだけつくって、さらにその地域ならではの最高のものをつくっていく、循環させていく、そういった新しい地域循環経済の姿をこの長野県から発信したらどうかと考えますが、知事の御所見を伺いたいと思います。  次に、子ども支援条例でございます。
     私どもの子供のころにもいじめや虐待がなかったわけではないと思いますが、今日では一つの社会問題となっております。  知事の公約の中では、子供を取り巻く環境は厳しくなっており、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利を守り、未来を担う子供たちが将来に夢と希望を持ち、伸び伸びと健全に育つ環境を提供するため条例制定したいというふうにされております。  権利という言葉が出てまいりますと、権利の主体か、保護の対象かという議論になるようでございますけれど、私は両方だというふうに考えております。大事なことは、今の子供たちの状況をしっかり把握をして、子供たちのために今大人が何をしなければならないか、できるのかということだと思います。  そこで、この条例制定で知事が一番目指したいことは何か、この条例の制定で本当に子供が救われるのか。午前中の御答弁もありましたけれど、この辺に突っ込んだお気持ちをお答えいただきたいと思います。  それと、手続論的な話でございますが、午前中の議論を聞いておりますと、まだ少しこなれていないかなというふうな気がした面もございますけれど、二元代表制のもとで議論を深めてよりよい条例をつくるという考え方もあると思います。要綱案を示して、様子を見て、だんだんに踏んでいくという手順もあろうかと思いますけれど、これだという条例であって、しかもあと半年という任期の中では、継続審査とか否決というようなことを恐れずに、必要な条例でならば堂々と出して議会の議論を求めるという姿勢もあっていいのではないかと思いますけれど、その点について知事のお考えを伺いたいと思います。  次に、長野県の契約に関する条例でございます。  平成24年度の包括外部監査報告の中で特に印刷の場合を取り上げて、県にとっては経済的な調達ができることになるが、事業者、印刷業者にとっては無理のある金額での受注となっているおそれがあるという指摘がされています。  また一方、日本建設業連合会の皆さんの資料によりますと、厚生労働省の資料がもとのようですが、平成24年度を見ますと、全産業の男性労働者の賃金の年総額が530万円ぐらい、建設業の男性の皆さんが約390万円ということで26%も低いという統計も出ております。  こういった中で、地域の建設業を初めとした、あるいは印刷業を含めてさまざまな業種を守っていく、育てていく。そういう意味で、いわゆる公の契約の結果、官製ワーキングプアなんていうものができてはならない、そういうことも含めて、今回の条例制定によってこういうことが改善されることを期待するのですが、改めて知事の一番目指すところ、期待するところをお聞かせいただきたいと思います。  それと同時に、こういった契約条例ができていく中で、いわゆるハードルが高くなって参加しにくい、あるいは経営が圧迫されるといった懸念を持つ皆さんもおられるということでございます。特に、建設業では平均落札率が92%ぐらいにも上がってきたという数字もございますけれど、本来、設計額というものを出して、標準的な材料費、標準的な人件費、そして適正な利潤、それでこそ100%で企業が継続していくという中にあって、90%とか八十何%とかということで本当にいいんでしょうか。  どこかの県にもありますけれど、知事が先頭になって、例えばとりあえず95%を目指すというような姿勢を示すことによってこの条例推進の理解もされるんじゃないかというふうに考えまして、しかも、そうしないと、午前中、村石議員もおっしゃいましたけれど、あの大雪を見て、真夜中に重機を動かしている業者の皆さん、こういう皆さんがなくなってしまいかねない、地域から大事な産業がなくなりかねないということで、ぜひともこの条例を制定して生かしていっていただきたい、そういう立場で知事の御所見を伺いたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、農業・農村に関連する御質問にお答え申し上げます。  農業・農村、農村風景、その原点を守る決意ということであります。  私は、長野県全体を見渡したときに、長野県の価値というものは、美しい景観であったり、清らかな水であったり、そうしたさまざまな農村が培ってきたもの、守ってきたもの、そうしたものが長野県としての大きな財産だというふうに考えております。  また、さまざまな経済対策等取り組んできておりますけれども、長野県が元気であるためには、農業・農村が元気でなければ長野県全体の活力は相対的には損なわれていくだろうというふうに考えております。  そうした観点で、農業・農村、しっかり守り、そして引き継いでいくということが県として大きな役割だと考えております。  農業を発展させていく上では、先ほどもお話ございましたけれども、若手の農業経営者の皆さんの役割、非常に重要だというふうに思っておりますし、また、農業者の皆さんとお話すると、私も家族経営のよさというものを非常に感じさせていただく機会が多くあります。  これから農業を発展させていく上では、企業的に農業を展開できる農業後継者、新規就農者の育成と法人経営、集落営農、そして家族経営を含めた多様な形態の育成が重要だと思っております。こうした形態が中心となって、地域資源を有効に活用して農産物の高品質化、加工品等の開発や観光との連携など付加価値の高い農業を展開していくことが、農業・農村の活性化、そして新たな雇用の創出にもつながっていくと考えております。  しあわせ信州創造プランに基づいて、高い技術、そして経営力を持つ地域農業の主体となる担い手の育成を進めると同時に、農産物のブランド化、高付加価値化、そして農山村の活性化、これからも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、米文化の継承、そして棚田の世界農業遺産への取り組みという御質問でございます。  御質問にもありましたが、いろんな意味で食は大変重要だというふうに私は考えております。健康長寿の長野県を育んできたのも食でありますし、食の役割が大きいわけでありますし、また、農業・農村を守っていく上でも食に対するアプローチということは大変重要だというふうに考えております。  信州の豊かな風土が育んだ伝統野菜、おいしい信州ふーど(風土)に位置づけて、これまで引き継がれてきた地域の宝をさらに活用していく取り組み等も行っております。また、学校給食における地元のお米を使った米飯給食でありますとか個性豊かな地場農産物の活用等、長野県が培ってきた食あるいは食文化を次代につなげる取り組みは大変重要だというふうに思っております。  日本の食の中心にある米文化の象徴として、御質問にもありました棚田の保全もしっかり行っていかなければいけないと思います。  世界農業遺産については、次世代に受け継がれるべき伝統的農法や生物多様性、農村景観の保全等に取り組んでいる地域を認定するというものであります。  今、千曲市において26年度に認定に向けた事前調査を予定しているというふうにお伺いをしております。地域住民の皆さんとの話し合いを通じて、さらに検討が進められるというふうに考えております。  認定に向けた動きは緒についたばかりということでありますが、こうした動きが長野県の誇る美しい自然や景観、そして信州ならではの食を維持し、米文化の継承につながっていくことを期待しております。  日本酒の復権への取り組みであります。  私もそこそこお酒を飲まさせていただく中で、やはり地域の自然環境あるいは文化と密接に関連している日本酒の重要性というものは大変強く感じております。しかしながら、日本酒の消費量、最も消費が多かった昭和48年度に比べると3分の1程度にまで落ち込んでいるという状況があります。この原因は、消費者ニーズの多様化によって、日本酒と競合する焼酎、あるいはウイスキー、ワイン、発泡酒等が好まれるようになったことに加えて、消費者のアルコール離れということも原因の一つだと指摘をされております。  信州の食文化、地域と密接な関係を持つ日本酒については、農業あるいは地域振興との関連からも振興していくことが大変重要だというふうに考えております。  近年、醸造アルコールを添加していない純米酒の需要が高まってきておりますし、長野県では、原産地呼称管理制度の中で、長野県産の米と県内の水を用いて県内で醸造された純米酒について厳しい官能審査を行った上で認定を行ってきております。こうしたものをどんどん発信をしていく必要があると思っております。  また、工業技術総合センターの食品技術部門におきましては、県内の全ての酒蔵を巡回して製造技術の指導を行っておりますし、品評会、研修会の開催によって品質の向上に努めております。さらには、農業試験場、工業技術総合センター、そして県内蔵元の皆さん一緒になって長野県酒米研究会を立ち上げました。栽培しやすく醸造特性にすぐれた新たな酒米の研究にも取り組んでまいります。  県議会におかれましても、信州日本酒で乾杯議員連盟、11月29日に設立をしていただきました。県としても、信州の日本酒の品質の向上に努めながら、長野県酒造組合とも連携して、毎年行われてきております長野の酒メッセイン東京、私も参加をさせていただきましたが、こうした取り組みに加えて、ことしから新たに長野の酒メッセイン大阪が開催予定であります。こうした場において原産地呼称管理制度によって認定された信州の日本酒を含め、広く長野県の酒文化、そして日本酒の品質のよさ、PRをしていきたいというふうに考えております。  次に、地域公共交通の関係の御質問でございます。  交通政策基本法の受けとめと県の交通ビジョンについてでございますが、我が国におきましてはこれまで交通分野に関する国としての基本方針が明確ではなかった状況でありました。総合的な交通政策の展開が十分ではなく、結果として地域公共交通の衰退等を招いた面もあるのではないかというふうに考えております。  昨年の12月4日に施行されました交通政策基本法は、人口減少、少子・高齢化等交通を取り巻く経済社会情勢が大きく変化する中にあって、国として初めて交通政策に関する基本方針を示したものでありまして、その意義は大きいというふうに考えております。殊に、通勤、通学、通院などの日常生活に不可欠な交通手段の確保に必要な施策を国の施策として明確に位置づけたことについては高く評価をするものであります。  県としては、既に長野県新総合交通ビジョンにおきまして交通政策の方向性を明確にした上で具体的な取り組みを進めてきているところでありますが、今後、交通政策基本法に基づきまして国において策定される予定の交通政策基本計画の内容を踏まえて、必要があれば交通ビジョンに掲げた施策の方向性についても見直しを行い、地域公共交通の充実に向け取り組んでまいります。  次に、リニア新幹線の関連の御質問でございます。  まず、リニア活用基本構想案に対する受けとめでございます。  リニア中央新幹線、経済の活性化、交流人口の拡大等地域に大きなメリットをもたらすわけでありますが、その整備効果、できる限り広く県内に波及させていくということが県としての役割だと考えております。  リニア活用基本構想は、リニアの整備効果を地域振興に生かすための大きな道筋を示したものでございます。構想の策定自体は今後の取り組みの第一歩にすぎません。構想に掲げた内容をどのように具体化していくかが重要でございます。その実現に向けて、市町村、関係機関とともに取り組んでまいりたいと思います。  職員主導による手法についての評価ということでございますが、今回、リニアを見据えた地域の将来像を描くという観点で、私としては、委員会の中で限られた方々の意見を聞くという形ではなく、むしろ、できる限り多くの皆様方から、伊那谷地域の将来期待している姿であるとか、あるいはリニアを活用した地域振興の方向性、そうしたものをお聞きするということが適切だということで今回のような手法をとらさせていただいたところであります。  リニア沿線地域の自治体関係者、リニア中央新幹線建設促進長野県協議会の構成団体の皆さん、さらには県内外で活躍されている有識者の皆様方から幅広く御意見を伺って、この構想策定の作業を進めてまいりました。  検討テーマによりましては例えば法律、条例等で設置されている審議会に諮る必要があるものもあり、また、専門的な知見が必要な場合には専門家を含んだ検討会議の必要もあります。職員主導という言い方が適切かどうかはあれですけれども、行政の内部だけで検討していったほうがいいのか、あるいは今回のように多くの関係者の声を幅広く聞いた形がいいのか、あるいは一定の専門家の皆様方に集まっていただいて方針を議論していただくのがいいのか、さまざまやり方があると思います。特定の形にこだわることなく、テーマに応じて、目的に応じて適切な手法を活用してまいりたいと考えております。  それから、まちづくりのソフト面での県の支援についてということでございます。  リニア活用基本構想におきましては、リニアの整備効果を地域振興に生かすためのさまざまな取り組みをお示しをしております。リニアを生かしたまちづくりを実現していく上では、御指摘のとおり、ハード面も重要でありますが、あわせてソフト面での取り組みの具体化ということも大変重要だというふうに考えております。  県と地元自治体で伊那谷自治体会議を設置しておりますが、この中に専門的な協議を行う部会を設ける等をして観光客の受け入れ態勢等必要な検討を行い、具体化を進めていきたいと考えております。  次に、住民の不安払拭、早期開業のためのリーダーシップの発揮という御質問でございます。  リニア建設工事に関連して、さまざま住民の皆様方の不安、懸念というものがございます。リニア建設工事から発生する残土につきましては、県が窓口となってJR東海、市町村との調整を行っているところでありますが、この残土以外にも、水資源への影響、騒音、振動、あるいは日照の阻害等住民生活への影響が心配される部分もございます。こうしたことに関連いたしましては、環境影響評価準備書に対して関係市町村長からも多くの御意見をいただいているところでございます。  私としては、環境への負荷ができる限り低減されるように、この準備書に対する知事意見を取りまとめていきたいというふうに考えております。  また、住民の不安を払拭するためには環境保全という狭い観点だけでは必ずしも十分ではないというふうに思っておりますので、環境保全にとどまらない、さまざまな地元の皆様方からの御意見についても十分受けとめた上で、JR東海に対して適切な対応を求めていきたいと考えております。  新しい年度にはリニア推進担当部長の配置、そしてリニア中央新幹線地域振興推進本部の設置等を考えております。こうした中でリニア整備に向けた体制を一層強化し、県と地域が方向性を共有してリニア中央新幹線の整備に努めていきたいと考えております。  次に、県境を超えた交流と観光振興についての御質問でございます。  まず、しあわせ信州シェアスペースの活用策と首都圏以外への情報発信でございます。  シェアスペースにつきましては、しあわせ信州創造プランの一つの柱でございます信州の価値向上と発信を推進する上で重要な事業だと考えております。この拠点、単なる物産館ではなく、全館を通じて信州の美しさ、そして健康を発信し、信州の魅力を首都圏の皆さんと共有することによって、信州をかけがえのない地域だというふうに思っていただくことができるコアなファンをふやしていきたいと考えております。  昨年度までの名古屋のコンビニ内の一角を借りて設置したミニアンテナショップ、物産のテスト販売を県単独で行う場でございましたが、今回は、市町村、企業、各種団体の皆さんとまさにオール信州で信州の「ヒト コト モノ」をトータルで発信をして、本県に経済活性化と交流人口の増加等の経済的な効果をもたらすように取り組んでまいります。  東京銀座は、全国、さらには世界に開かれた窓でございます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定によりその機能はますます高まるものと期待をしておりますので、この拠点を十分生かしてまいりたいと思います。  しかしながら、他方で、首都圏以外への対応も御指摘のとおり私は重要だというふうに考えております。とりわけ、飯田、下伊那、あるいは木曽といった地域は中京圏との関連も強いわけでございますし、また、新幹線金沢延伸に伴いまして、これまで以上に関西圏を意識した取り組みということも重要になってきていると考えております。  こうした観点から、新年度、例えば農政部と商工労働部が共同開催いたします県産農産物や物産の商談会については、首都圏のほか中京圏においても開催いたします。また、観光部におきます新幹線金沢延伸を生かした本県観光のメディア発信や旅フェスタへの出展につきましては、首都圏のほか中京圏、関西圏、北陸圏で行ってまいります。また、企画振興部における信州田舎暮らしセミナーは、首都圏のほか中京圏、関西圏において行ってまいります。こうしたことによりまして、首都圏総合活動拠点とも連携を図りながら、広い地域における効果的な情報発信に努めてまいります。  次に、新幹線金沢延伸に係る北陸、関西からの誘客についてでございます。  新幹線の金沢延伸、これまでアクセスが悪かった北陸地域と短時間で結ばれることになりますので、まさに新しいマーケットが誕生するものと考えております。御指摘のとおり、受け身ではなくて、積極的にこの機会を生かしていくことが重要だというふうに考えております。沿線市町村とも話した結果、平成27年度における各駅の新幹線利用者数の増加目標を定め、総体としての増客目標を年間80万人増加させようという目標を設定しているところでございます。  首都圏あるいは関西圏から見た場合に、山岳高原の魅力を持つ長野県、そして海の魅力を持つ北陸という二つの地域、融合した付加価値の高い旅行が可能になるというふうに考えております。北陸と長野では地域特性が異なっておりますので、相互にお客様を送り合う相互送客という観点でも連携できると考えております。  関西圏からは、新幹線、大量輸送が可能でございますので、学習旅行等の団体旅行でありますとか、JR西日本による乗車券と宿泊をセットにした商品化等が考えられることでございますし、モデルコースも北陸と一緒につくってきているところでございます。  このように、石川、富山県を初めとする北陸各県と協力しての誘客の活動、そしてJR西日本と連携した具体的な商品設計、さらには経済界と協力し合う中で物産の販路拡大等を推進することによりまして、新幹線の延伸開業という大きなチャンスを県内経済のために生かしてまいりたいと考えております。  次に、県境をまたいだ交流支援への基本的な考え方についてでございます。  広域交通網の整備や県民生活、経済活動の広域化に伴いまして、県境を超えての連携、交流、ますます重要性が高まっていると考えております。これまでも、観光振興あるいは野生鳥獣対策等広域的な課題に対応するため、近隣県と連携を図ってきております。  三遠南信地域のお話ございましたが、三遠南信道の要請に国に私も一緒にお伺いする際に、沿線の市町村長の皆さん大勢お越しになって、三遠南信地域の一体感、連帯感の強さというものを私も肌で感じてきているところでございます。  今年度21回目となるサミットを迎えた三遠南信地域におきましては、地域づくり活動に取り組む住民団体が平成24年に三遠南信住民ネットワーク協議会を立ち上げてサミットにあわせて活動報告会を開催するなど、交流が広がっているところであります。  県としては、こうした交流に対しまして、元気づくり支援金によりまして、平成24年度、25年度ともに7件の事業を採択しております。例えば、三遠南信地域住民によります伝統文化発信のための取り組みでありますとか、災害ボランティアの交流学習会とネットワーク化等を支援をしております。引き続き、各地域における住民による広域的な取り組みを支援すると同時に、県としてもみずから広域連携に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、山の日制定に関する県民参加等についての御質問でございます。  平成26年度を信州の山新世紀元年として、1年を通じて、五感で感じる山、世界水準の山岳高原観光地、美しく安全な山、こうしたことをテーマに信州の山を盛り上げてまいります。こうした県を挙げての機運を醸成するに当たっては、さまざまな取り組みを検討する中で、市町村、企業、関係団体の皆さんと連携していくことが大変重要だと思っております。  具体的には、信州山の日の制定を記念して、今後、市町村、関係団体、企業と一緒になって県下各地で住民参加型の行事を検討してまいりたいと思います。  御指摘ありましたように、県だけがやっていてもしようがないわけでありまして、幅広く大勢の皆様方が御参加いただけるような機会を多くの団体、関係者の皆様方の力でつくっていっていただけるように働きかけていきたいと思っております。  また、日本ジオパーク南アルプス大会の開催、あるいはユネスコエコパーク全国サミットの開催が予定されておりますので、こうした場を通じて長野県の山の魅力を全国に発信をしてまいります。加えて、次世代を担う子供たちが山に直接親しむ機会をつくろうということで、親子登山の開催でありますとか学校登山の促進に努めてまいります。  また、今呼びかけ中でございますが、山岳の保全と活用をテーマにして、隣接する他の県知事との懇談も行っていきたいというふうに思っております。  こうした中で、県民の皆さんに広く協力、参加をいただく中で、長野県の山、しっかり盛り上げる年にしていきたいと考えております。  次に、条例についての御質問でございます。  まず、中小企業振興条例について目的と産業振興の基本戦略についてでございます。  中小企業、県内の総企業数の99%を占めております。時代のニーズに対応して基幹産業をしなやかに転換してきたように、本県産業発展の原動力でございます。地域社会を担う重要な存在でもございます。  こうした観点で、中小企業振興条例案におきましては、中小企業の挑戦を県、関係団体、金融機関等が連携して応援することにより地域経済の活性化と地域社会の持続的な発展につなげる、このことを目的としております。  県では、産業振興の基本戦略として、しあわせ信州創造プランの中で「貢献と自立の経済構造への転換」を掲げており、その推進に当たりまして、中小企業にはこれまでの経験とチャレンジ精神を生かした活躍を期待をしております。  今後とも、市場ニーズを取り込んだ成長期待分野での製品開発あるいは有望市場への展開など、中小企業の挑戦的な取り組みを産学官連携により一体的に支援し、次世代産業の創出を促し、地域経済の活性化と雇用の創出につなげてまいります。  次に、新しい地域経済の姿についてということでございます。  しあわせ信州創造プランでも「環境・エネルギー自立地域の創造」ということを掲げております。地域内でさまざまなものを循環させていく取り組みということは大変重要な視点だというふうに考えております。  長野県の経済循環構造に関しましては、民間のシンクタンクの試算によりますと、県内産業が製品等を県外に出荷したことにより県外から獲得した資金は6.9兆円、これは2005年の産業連関表ベースであります。そして、一方、県外から製品等を調達したことにより県外に支払った資金が6.1兆円であります。その結果、トータルではお金の流入が流出を0.8兆円上回っていると。長野県はお金が入ってきている側の県であります。  中小企業振興条例案は、その基本理念において、地域の経済循環の創出が中小企業の発展に重要であることを規定しており、県はもとより中小企業者や県民に対しても県産品の積極的な購入に努めることを提案しているところでございます。  県としては、この条例制定を一つの契機として県産品の利用等地産地消を進め、そして県内の地域内循環を促進することによりまして中小企業の振興と地域社会の持続的な発展を図ってまいります。  次に、子ども支援条例の目指すものについてという御質問でございます。  子ども支援条例の目指すもの、要綱案の「制定の趣旨」にも記載をさせていただいているところでありますが、一つは、人間関係が希薄になり経済格差が広がる等、社会環境が変化する中で子供たちを取り巻く環境が厳しさを増している。そうした中で子供たちをしっかり支えていく必要があるだろうというふうに思っております。  また、みずからを大切に思う気持ちを持って自分らしく成長していくことができるよう支えていくということで、最近、自己肯定感が少なくなっているという指摘もされています。みずからのことを大切に思って成長していく子供たちを積極的に応援をしていきたいというふうに思っております。  子供を支援するという観点で、今回、基本理念を定めているところでありますが、子供への支援、そして子供を支える側への支援に関しての基本的な方向性を定めることによりまして、例えば子供たちが安心できる居場所の整備であるとか、相談・救済機関の設置等を通じて子供たちが将来に希望を持ち、みずから成長する力を十分に発揮して育つことができるよう、施策や取り組みを展開してまいりたいと考えております。さまざまな困難に悩み苦しむ子供たちが少しでも少なくなるように取り組んでまいりたいと考えております。  子ども支援条例の提案についてでございます。  子ども支援条例に関しましては、先ほど申し上げました中小企業振興条例、それから契約に関する条例と異なりまして、パブリックコメントの結果についてこれまで県議会にお示しした上での議論をしていただいておりません。また、議会内で研究会のような場面で検討されてきたという経過もないわけであります。こうしたことから、今回、よりよい条例とするためにはさらに御議論いただくことが必要だろうというふうに考えました。したがって、今定例会には条例案という成案の形では提出せずに、要綱案ということで御議論いただく材料をお示しをしたところでございます。今後、多くの皆様方の御理解を得て条例案を提出してまいりたいと考えております。今定例会におきましては、幅広い観点から御意見を賜るようお願いを申し上げたいと思います。  次に、契約に関する条例についてでございます。  長野県の契約に関する条例の目指すもの、期待するものという御質問でございます。  長野県の契約に関する条例案は、契約制度の公正かつ適切な運用を図りつつ多様化する社会的要請に応え、県の一定の行政目的の実現のため契約の活用を図ろうというものであります。  この条例は、契約の締結及び履行の確保を通じてよい社会をつくることにつなげるため、例えば事業者の視点に立った県内中小企業の受注機会の確保あるいは専門的な技術の継承、あるいは、労働者の視点に立った雇用の確保や労働環境の整備、さらには、県民の視点に立った県民の安全、安心のために活動する事業者の育成等を基本理念に位置づけております。県民全体の福祉の増進を図ることによって豊かさが実感できる暮らしの実現を図ってまいります。  こうした基本理念を踏まえ、県民の皆様に安全かつ良質なサービスを提供することができるようにするとともに、長期的かつ統一的に取り組むことにより、よりよい社会づくりに貢献することができる内容であると考えております。  落札率に関連しての御質問でございます。  この契約に関する条例は、企業の健全な発展もあわせて目指しております。県としては、過度な価格競争により企業の健全な経営が損なわれるようなことがあってはならないというふうに考えております。
     入札制度におきましては、これまでも、失格基準の見直しでありますとか、契約後、確認調査等を行い、ダンピング対策を実施してまいりました。この条例では、ダンピング対策として、適正な履行が通常見込まれない金額による契約を防止するということを基本理念にうたい、総合的にすぐれた契約の締結となるように公正で適正な応札環境を整備していくこととしております。  また、それに加えまして、社会貢献を果たす事業者など地域に精通する事業者による入札など多様な入札方式の活用を図ることにより、将来にわたり事業者が地域の支えとして活躍できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。  私に対する質問は以上でございます。       〔企画部長原山隆一君登壇〕 ◎企画部長(原山隆一 君)バス路線の運行確保に係る県の支援についてのお尋ねでございます。  長野県におきましては、現在、国と協調して運行経費や購入車両の減価償却費に対して補助することで、複数の市町村をまたいで運行される幹線的なバス路線の確保を図っております。  なお、市町村内を運行し、これら幹線的な路線に接続するバス路線につきましては、国と市町村の補助により維持されているところでございます。  一方で、これら生活バス路線の運行範囲を超えて広域的に運行される、いわゆる高速、急行、特急などと呼ばれるバス路線についても、本県におきましては主要都市間を結ぶ移動手段として重要な機能を担っております。  新総合交通ビジョンにおきましても、鉄道とともに広域移動に欠かすことのできない交通手段と位置づけまして、路線の確保充実を図ることとしたところでございます。  そこで、来年度、新たに広域間運行バスネットワーク形成事業を立ち上げまして、広域移動に不可欠なバス路線を運行する車両の導入への支援を予定しているところであります。  お尋ねにありました高速バス松本飯田線の廃止についてでございますけれども、当該路線の利用者が著しく減少した中で、一定の代替措置、具体的には路線としては長野飯田線を活用し、また、松本インターチェンジ停留所へのアクセスには長野松本線を活用するといった代替措置のもとに、運行事業者において路線休止の判断に至ったものというふうに認識をしております。  また、松本地域と上田、佐久地域との移動の確保につきましては、現在、松本商工会議所と上田商工会議所が中心となって直通バスの運行について研究されているというふうにお聞きをしております。円滑な広域移動には、こうしたバス路線も有効な手段の一つであるというふうに考えております。  今後、北陸新幹線の延伸やリニア中央新幹線の開業などを見据えまして、新幹線との円滑なアクセスを確保するためにも、県内の主要都市を結び、広域的に運行されるバス路線の確保充実は不可欠であり、県としてもこれまで以上に積極的に関与してまいりたいと考えております。       〔警察本部長山崎晃義君登壇〕 ◎警察本部長(山崎晃義 君)交通事故防止対策について御質問をいただきました。  議員からの御指摘いただきましたとおり、交通事故を防止するためには、県民の皆様一人一人の交通安全意識の高揚を図るための交通安全教育や交通指導取り締まりなどソフト面での対策と、安全、安心で快適な交通環境整備等ハード面での対策、これを両輪として取り組んでいくことが何より大切であるというふうに考えております。  まず、ソフト面における交通事故防止対策につきましては、参加体験型の交通安全教室を実施するなど、あらゆる機会を捉えての広報・啓発活動を積極的に実施してまいりたいと思っております。  なお、ことしの3月末で終了いたします交通弱者総合安全対策事業にかわる施策として、緊急雇用創出基金地域人づくり事業を活用した、いきいき高齢者交通安全教育支援事業といたしまして、交通安全体験車、いわゆるチャレンジ号に加え、新たに導入した自転車運転シミュレーターを活用した高齢者交通安全教育事業を本定例会に予算計上させていただいておりまして、予算がお認めいただければ6月から導入する予定でございます。  また、これらの対策を着実に推進するため、来年度には警察本部の交通企画課内に交通安全対策室を設置いたしまして、体制を強化して交通死亡事故抑止対策に取り組むこととしております。  もう一方のハード面につきましてですが、来年度の主な交通安全施設として、新設信号機31基、歩車分離式信号11カ所、ゾーン30、13カ所、ラウンドアバウト2カ所等を整備する内容を予算計上させていただいております。  なお、御指摘いただきましたラウンドアバウトにつきましては、信号機数の削減等省エネ対策、大規模震災等に強い安全施設ということで大変有効なものだというふうに考えております。飯田市が全国に先駆けて導入したほか、軽井沢町でも運用しており、来年度には須坂市、安曇野市においても導入が計画されております。今後も、道路管理者や自治体、地元の住民の方々と緊密な連携を図りながら、導入に向けたさらなる取り組みを進めていこうと考えております。  また、歩車分離式信号の整備につきましてですが、これは平成14年度から通学路を最重点として継続的な整備を推進しているところでありますが、平成25年3月末までに298カ所を整備いたしました。この整備率は信号機全体の8.63%となりまして、これは全国第1位の整備率というふうになっております。さらに、平成25年度中には62カ所の整備が完了する予定であり、総数は360カ所となり、その整備率は10%を超える見込みでございます。  御指摘いただきました歩車分離式信号、これは、歩行者事故防止対策として効果も大きく、小学校を初め地域の皆様からも大変好評を得ておりますので、さらなる整備を要望する声が多く、今後も計画的な継続整備をしていこうというふうに考えております。       〔観光部長野池明登君登壇〕 ◎観光部長(野池明登 君)観光振興と地域振興、その土地の資源を生かした地道な取り組みの大切さという御指摘でございます。  昨年3月に県のほうでも観光振興基本計画を策定いたしましたけれども、そこでも、長野県観光の目指す姿といたしまして「信州暮らしが憧れと感動を生む観光立県」を掲げまして、暮らしですとか日常に光を当てることを提案したところでございます。  観光地の望ましい姿として、よく、住んでよし、訪れてよしの観光地というふうに言われますけれども、お話にもございましたとおり、住民が誇りを持てる地域に人は集まり、その意味で観光は地域づくりそのものであると言えるというふうに考えております。  このような考え方を各地に広げるために、人材育成という面でも平成24年度から信州・観光地域づくりマネジメント塾を実施しておりまして、県下各地から推薦された塾生23名がこの3月に1期2年の修了を迎えまして、出身地域での実践に移り、来年度からは2期生を迎える段取りとなっております。  御質問の中でも小島議員の思いが語られておりましたけれども、ありのままの美しい農村、長い間守られてきた伝統文化、風土に育まれた郷土食などを大切にした裾野の広い観光振興を、関係部局と連携をして、市町村、地域とともに着実に進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔23番小島康晴君登壇〕 ◆23番(小島康晴 君)御答弁いただきました。農村風景については建設部が主管しておるということでございまして、ぜひ部局横断の取り組みのかがみとなるようにしっかり取り組んでいただきたいなと思います。  それから、なぜ日本酒かということなんですけれど、醸造業全部そうだと思うんですけど、田んぼや畑でつくって、そして醸造、工業ですね、それを売っていくということで、まさに農工商、6次産業の草分けではないかと思って、日本酒にも限りませんが、みそとかしょうゆもいいんですけれど、そういった醸造業も大切な地域の産業として支援していただきたいなということでございます。  それから、リニアにつきましては、お答えいただきましたけれど、ぜひ、この構想が絵に描いた餅にならないように、知事はみずから本部長になっていただくということでございますので、しっかりお願いしたいと思います。  続きまして、大きな8番目、新県立大学と高等教育について伺います。  新年度の予算にいよいよ1.6億円ほどの設計額とか、あるいは全体として初期投資が97億円、あるいは運営費が毎年15から18億というような数字も示されてまいりました。しかし、まだまだ県民の皆さんの中には不安とか懸念の声等もあるように感じられます。かじ取りが問われる大事な県政の課題と思いますので、幅広い意見を踏まえてどのように集約していくのか。改めて知事の決意を伺いたいと思います。  それから、新県立大学が順調にいったとしても、やはり私立の大学等が県内の高等教育に果たす役割は大きいわけでございまして、その維持発展が期待されるところでございます。  総合計画の中でも、アクション5といたしまして、「地域社会の発展に貢献できる有為な人材を育成するため、県内の高等教育全体を振興するとともに、県立4年制大学を設置します。」とされておりまして、その主な取り組みとしまして、「大学間の連携の強化や産学が協働して人材育成について対話する場づくりなど、長野県の高等教育全体を振興します。」とされております。  そこで、大学・地域連携事業補助金と称しまして、今回、2,900万円とか新たな奨学金制度とか盛られておりますが、こういった新規事業が今申しましたような高等教育全般の振興という中の一環としてふさわしいものでありましょうか。その位置づけについて伺っておきたいと思います。  次に、信州教育の再生と教師像について伺います。  教育委員長さんの冒頭の提案説明をお聞きしておりました。教員の資質向上とか学力向上等々、もっともであるというふうに思いましたけれど、率直に申し上げまして信州教育再生の熱い思いが余り感じられなかったというのが感想でございます。  信州教育の再生は、多少暴論かもしれませんが、学校教育の再生だと思います。そして、その柱は現場の教師の皆さんであるというふうに私は思いますが、教育委員長の目指される教師像、信州教育を支える教師の姿はどのようなものか。櫻井教育委員長に伺いたいと思います。  さて、私自身も信州教育に育てられました。さまざまな思い出がございます。小中高それぞれの恩師に育てられて今日があるなというふうに深く感謝しておるわけであります。  そして、わけても「三つ子の魂百まで」といいますけれど、やはり学校生活の入り口であります小学校低学年というのが大変重要であるというふうに考えております。  私の小学校低学年の恩師に、「教師十戒」というものがございます。恥ずかしながら最近知ったわけでございますけれど、この十戒に基づいて本当にそのとおり接して育てていただいたというふうに感じておりまして、先生御自身も信州教育の骨であると言っておられますので改めて御紹介したいと思います。   一、子供をこばかにするな。教師は無意識のうちに子供を目下のものと見てしまう。子供は、一個の人格として対等である。   二、規則や権威で、子供を四方から塞いでしまうな。必ず一方を開けてやれ。さもないと、子供の心が窒息し、枯渇する。   三、近くに来て、自分を取り巻く子たちの、その輪の外にいる子に目を向けてやれ。   四、ほめることばも、叱ることばも真の「愛語」であれ。愛語は、必ず子供の心にしみる。   五、暇をつくって、子どもと遊んでやれ。そこに、本当の子供が見えてくる。   六、成果を急ぐな。裏切られても、なお信じて待て。教育は根くらべである。   七、教師の力以上には、子供は伸びない。精進を怠るな。   八、教師は「清明」の心を失うな。ときには、ほっとする笑いと、安堵の気持ちをおこさせる心やりを忘れるな。不機嫌、無愛想は、子供の心を暗くする。   九、子供に素直にあやまれる教師であれ。過ちはこちらにもある。   十、外傷は赤チンで治る。教師の与えた心の傷は、どうやって治すつもりか。  これが十戒でございまして、例えば5番、「子どもと遊んでやれ。」とあります。本当によく遊んでもらったという覚えがありますし、先生みずからが手づくりの紙芝居などを見せてくれて心に残っておるところでございます。  さて、現在の先生方には、子供と遊んだり、向き合って根比べするような時間があるのでしょうか。会議だ、調査だ、資料だ、あるいは保護者の皆さんへの対応だと追われているようにお聞きしております。現状、どのようになっているんでしょうか。  また、私はこの「教師十戒」に触れまして、はっといたしました。ここの教師というところを自分たち親に当てはめてみたらどうだろうかということです。我が子に対してこばかにすることはなかったのか、我が子に対して心に傷をつけるような言動をしてしまったことはなかったのか、こんな反省をするわけでございます。  そしてまた、教師と子供、生徒というところを、上司と部下とか、保護者と学校とか、地域と学校とかに置きかえて考えてみたらどうかなというふうに思うわけでございます。  この「教師十戒」、10の戒めをもとに、改めて、先生、教師像をつくり上げ、子供を主役にしながら、現場で清明の心を持って頑張っておられる先生方、教師の皆さんを信頼して、家庭や地域でもこの十戒のような精神で学校を広い気持ちで支えていくということが本当に開かれた学校で肝心なことではないかというふうに考えますけれど、伊藤教育長の御所見を伺いたいと思います。  次に、午前中もお話ありました、長野県が教育県と言われる中に寺子屋の数が日本一だったということがございます。寺子屋といいますれば読み書きそろばんでございます。  そこで、思い出されるのが、「国家の品格」の藤原正彦さんが随所で国語教育の強化を訴えておられることでございます。小学校から英語に触れるような教育も進められておりますけれど、まずは国語だということでございます。ずばり「祖国とは国語」という著書もあることでございまして、母国語を大事にすることは祖国愛にもつながる、祖国の文化伝統、情緒などは文学に最もよくあらわれている、国語を大事にするということを教育の中軸に据えなければならないと訴えておられます。  私はまさに同感でございまして、その上で、祖国愛の次は郷土愛でございまして、例えば方言なども教えるか、自然に地域で身につくかということもございますが、こういったことも大切にして地域地域で受け継がれていくようなお取り組みはいかがかと思いますが、教育長の御所見を伺いたいと思います。  最後に、県政運営の基本姿勢について3点伺いたいと思います。  昨年4月に開館いたしました満蒙開拓平和記念館におきましては、おかげさまで1年を待たずして先ごろ2万7,000人の来訪をいただいたと聞いております。改めて、尽力いただいた知事初め理事者の皆さん、そして議員連盟に参画して御支援いただいた議員各位に心から感謝を申し上げたいと思います。  本当につくってよかったなというふうに思っておりまして、中学生や高校生の学びの場ともなっておりますし、全国各地から訪れる皆さんとともに新たな交流の物語も生まれているという状況でございます。あの満蒙開拓のようなことを二度と繰り返しちゃならないと改めて思うところでございます。  皇太子殿下におかれましては、先ごろのお誕生日のときに、今日の日本は、戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、現在、我が国は平和と繁栄を享受しております、今後とも憲法を遵守する立場に立って、必要な助言を得ながら事に当たっていくことが大切だと考えておりますとおっしゃっておられます。  さて、国政におきましては、安倍首相でございますが、憲法改正とか集団的自衛権とか、あるいは先ほど申し上げましたような地方分権にかかっては地方交付税の制度をゆがめるような動きも一部見られまして、日本を取り戻す、その取り戻す方向がもしかして時計の針を逆戻りさせてしまうのではないかと危惧しておるところでございます。  これまで述べてきた農村の維持とかいうように戦後60年余りの間に失われてきたものを取り戻したい、そういうものが多々ある一方、国民主権とか議会制民主主義、あるいは地方分権、そして平和主義、そういったものは後戻りしてはならないというふうに考えております。  知事におかれましては、こうした国政の動きも横に見ながら、知事といたしまして、取り戻したいもの、あるいは取り戻しちゃいけないもの、そういうものをどのように考えておられるか。御所見を伺いたいと思います。  次に、知事は、公約の中で、政策を進める基本姿勢という中で県民の皆様との情報共有ということを掲げておられます。これは開かれた県政を目指すということで当然かと思いますけれど、実は、先ごろ会派で三重県議会にお邪魔いたしました。お聞きしますと、三重県は人口が約180万人、県会議員の定数が51名ですから、本県より一回り小さいかなという感じでございますが、議会だけの広報費が1億4,000万円ということでございます。私どもの議会の広報費は約2,000万円ということでございまして、大分違うなというふうに思うわけであります。  そのことはさておきましても、開かれた県政を進めていくために、八千何億円の予算の中で県の広報費の占める割合、ほかの同規模の県等と比べまして十分であるか、開かれた県政にふさわしい広報費あるいは広報の体制となっているかどうか。知事の御所見を伺いたいと思います。  最後に、昨年、知事はお気の毒にも左手をけがをされまして、それを踏まえて、あっちこっちの新年会で、知事室に「孤掌難鳴」という額があるということで、そのことを引いてお話をされていました。  さて、知事の仮に右手を手のひらとしますと、もう片方、左手は何でしょうか。私は、二元代表制なら県議会、そして幅広く県民の皆さんであると思うし、やはり大事なのは職員集団の皆さんだと思います。右手と左手が打ち合わさって拍手ができる、音が出るということにおいて職員との信頼関係が大切だと思うわけですけれど、さきの11月定例会の答弁の中で、県の職員の皆さんに対しては高目のボールを投げさせていただいているというお話を繰り返し答弁されました。私はこれは少し違うんじゃないかなと。上から目線、他人行儀であって、これで本当に職員の皆さんとの信頼関係がもっていけるのかなというふうに心配しておるわけでございます。  改めて、数万の職員のトップとして職員の皆さんとの信頼関係構築にどのような意を用いておられるのか。県政運営の基本という立場でお尋ねしたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、県立大学についての御質問にお答え申し上げたいと思います。  大学に向けての決意ということであります。  新県立大学に関しましては、基本構想策定以来、県内4カ所での意見交換会の開催であるとか、あるいは関係団体からの意見聴取を行ってきております。さまざま貴重な御意見をいただいておりますが、高校生の期待に応える大学にしてほしい、あるいは地域を牽引していく人材を輩出する質の高い大学をつくってほしいと全体としては御賛同いただいている意見が多かったというふうに考えております。他方、私立大学、あるいはその所在地域の市町村等からは影響を懸念する意見もあるということも事実であります。  こうしたことから、私、長野県の発展に大きな役割を果たすのはやはり教育の充実だというふうに思っております。そういう意味で、高等教育のあり方がある意味で長野県の将来を規定してしまう部分もあるというふうに考えております。  そういう中で、新しい時代に求められる人材像は何かということを議論した結果として、グローバルな視野を持って、そして地域においてイノベーションを起こすことができる人材、こういう方向性が出たわけでありますので、その実現に向けては、さまざま御意見はありますけれども、でき得る限り多くの皆さんの理解を得る中で、しっかりと当初の志を維持して大学づくりに邁進していきたいと考えております。  私立大学の皆様方とも、今、学長のところにお伺いしてお話をいろいろさせてきていただいております。そういう中で、高等教育の振興の観点というのはおおむね同じ方向の意見であるかなと。  今回、予算の中で、二つ目の御質問にありましたけれども、今回の私立大支援の施策は高等教育の振興にふさわしいものなのかということでありますが、今回、奨学金の給付でありますとか、あるいは大学・地域連携事業補助金でありますとか、あるいは大学発信事業補助金ということを計上させていただいております。  今、大学を取り巻く状況は決して楽観できるような状況ではありません。ただ、これは各大学がそれぞれ対応するということではなくて、やはり県も一緒に加わって、各私大と力を合わせてさまざまな取り組みをしていくということが長野県の高等教育振興、ひいては長野県の発展にとって極めて重要だと私は思っております。その一歩がこの大学発信事業の補助金等であるわけでありますけれども、今後、さらに新しく私学・高等教育課、新しい組織を設置をいたしますので、そこの組織で、大学とも十分連携をとりながら、将来を見据えた高等教育の振興についてさらに議論を深めて、大学の皆様方とは同じ問題意識を共有しながら取り組みを進めていきたいというふうに考えております。  それから、県政運営の基本姿勢についてということでございます。  御質問の中に取り戻す、取り戻さないというお話ございましたが、余り私の頭の中に取り戻す、取り戻さないという発想がなくて、少し考えたんですが余りぱっと正直思いつかないと。むしろ、私は、先人から引き継ぎ、受け継ぎ、そして次世代に受け渡していくもの、あるいは変えてはいけないものと変わっていくべきもの、そうした観点でいろいろ物事を考えてきております。  しあわせ信州創造プランの中でもそうした方向性を出しているところでありますけれども、例えば先人から受け継いだすばらしい環境でありますとか、そして長野県が他の地域に比べてまだまだ強固に残しております地域の支え合いやきずな、こうした長野県の貴重な財産についてはしっかりと引き継いで後世に伝えていくということが県としての役割でもあると考えております。  それから、開かれた県政を目指すための広報費についてという御質問でございます。  平成26年度一般会計予算案に計上しております広報費は対前年度比3.7%増の1億7,000万円余でございます。本県の広報費を他の都道府県と比較いたしますと、平成24年度当初予算ベースで比較すると32番目という状況であります。人口規模等が同程度の幾つかの県を見ますと、栃木県が3位、群馬県が11位、他方、新潟県が40位、岡山県が46位ということで、一律に予算額をもって広報が充実しているかどうかというのを比較するのはなかなか難しい部分があるというふうに思います。  しかしながら、県政の理解を深め、県民参加を進めていくという取り組みは私としても大変重要だと考えております。広報誌の全戸配布も再開いたしましたし、県のホームページも使いやすくリニューアルを行いました。こうした部分については一定の予算をかけさせていただいているところであります。  また、最近は情報通信技術が発達しておりますので、費用をかけずにできる取り組みもさまざまございます。県政タウンミーティング、これはフェース・ツー・フェースの取り組みでありますけれども、知事就任以来37回、延べ3,500人の皆さんに御参加をいただいておりますし、また、ツイッター、フェイスブックといったSNSの活用も始めています。こうした取り組みはまだまだ充実させていく余地があるというふうに思っておりますので、さらに創意工夫に努めた発信を心がけていきたいと思います。  また、県職員に対しても発信力の向上ということを求めてきております。今年度から統一広報テーマを設定したり、あるいは各部局に発信役を設置して県組織を挙げての情報発信に取り組んでいます。十分な発信がし切れているかと問われればまだまだ改善の余地はあるというふうに思っておりますが、引き続き、効果的な広報・広聴活動に努めて、県民の皆様方との情報の共有化、協働による県づくりを進めてまいりたいと考えております。  最後に、県政運営の基本姿勢、「孤掌難鳴」に関連しての御質問でございます。  常日ごろから職員に対しては成果にこだわり仕事に取り組んでほしいと。これは行政経営理念にも掲げているところでございます。そのためには、庁内においても積極的な議論を行って、よりよい施策づくりを進めていくということが大切だというふうに思っております。  職員の業績評価における目標設定におきましても、成長を支援するという観点から、それぞれもうひと伸び、もうちょっと背伸びをすれば届くようなストレッチングな目標設定をお願いしているところでありまして、高目のボールという表現、適切ではなかったかどうかというところは議論あるかもしれませんけれども、私としては、やはり県民の期待に応えるべく職員が一層努力してもらって、最高品質の行政サービスということを行政経営理念にも掲げておりますので、そうした努力は不断に行っていってもらいたいというふうに思っております。  ただ、他方で、トップとして職員に求めるべきことは求めつつも、しかしながら、安心して仕事のできる環境であったり、あるいはモチベーションを高めて仕事ができる環境づくりということは、これは私の責任として重要な課題であるというふうに思っておりますので、そうした点についても十分意を用いて県政運営を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔教育委員会委員長櫻井久江君登壇〕 ◎教育委員会委員長(櫻井久江 君)目指す教師像についてのお尋ねでございます。  私が考える目指す教師像は、子供一人一人を慈しむ心を持ち、学び続け、子供とともに成長していこうとする人間味あふれる教師であります。
     信州教育は毛涯章平先生を初め多くの立派な先生方によって築かれてきたものであると承知をしております。今後、先達の教えをもとに、一人一人の教師の資質、能力を向上させ、信州教育の再生のために教育委員長として全力で取り組んでまいる所存でございます。  以上でございます。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)まず、「教師十戒」についてのお尋ねでございます。  県教育委員会では、本年度、新たに長野県教員研修体系を作成をいたしましたが、その中で、教員が不断の研究と修養を通し専門性と人間力を高めるべきとの「教師十戒」の精神を初め、本県の多くの先達が積み重ねてきた教師のあるべき姿を踏まえ、専門性を磨き、人間力を高めるために学び続けるなど、教員に求められる使命、任務を定めたところでございます。  この「教師十戒」の精神につきましては、教員のあるべき姿の一例として初任者研修で扱ったり、また、学校で行われてございます校内研修の資料として活用をされたりしているところというふうに承知をしてございます。  教員が資質を高めていくとともに、学校や家庭、地域と一体となって、子供のことを第一に考え、深い愛情をもって子供を育てていくことが何よりも重要であると考えてございます。  次に、母国語と方言の重要性についてのお尋ねでございます。  まさに国語は全ての教科の基盤でございます。国語を適切に表現し、正確に理解する能力を育成するとともに、国語に対する関心を深め、尊重する態度を育てることは極めて重要であり、国語はもとより教育活動全体を通じてこうした力を高めていくことが重要と考えてございます。  また、郷土を学び、郷土を愛する態度を育む上で、昔話や短歌、古典、方言などの学習は大変重要でございます。議員御指摘の方言につきましても、国語の時間で学ぶだけでなく、総合的な学習の時間などにおいて地域のお年寄りから方言や民話を学ぶ活動等が行われているところでございまして、今後も、それぞれの地域の実情に応じ、方言を初め地域の文化を地域の方々の御協力をいただきながら受け継いでいくことが重要だと考えてございます。  以上です。       〔23番小島康晴君登壇〕 ◆23番(小島康晴 君)日本を取り戻すというすばらしいスローガンのもとではぜひ国語というお話です。美しい日本語を取り戻すということ、ぜひ大切にしていただきたいなというふうに思います。  同時に、失礼ながら、ぜひ、知事におかれましては、県政運営の気持ちの一つにこの「教師十戒」をお読み取りいただきまして参考にしていただきたいと存じます。  卒業式で「仰げば尊し」の歌を歌わなくなったという話題が以前ございました。私にとりましては、本当に「仰げば尊し 我が師の恩」ということでございます。きょうもこの議場に恩師の一人が足を運んでいただいておりますし、先ほど紹介しました十戒につきまして、毛涯先生に、この場で取り上げるので御了解賜りたいというふうに申し上げましたところ、どんどん使ってくれと。さらに、この十戒の解説の資料をきのう送っていただいた次第でございまして、本当に恩師、先生というのはありがたい、いつまでたっても先生は先生だなというふうに思うのでございます。  この資料の締めくくりの中に、十戒の補足ということもありましょうか、こんなフレーズがございます。教え子とは偶然の出会いであるし、必ず学年が過ぎれば別れが来る、その子供たちに対して、教師は親ではない、兄弟でもない、友達でもない、餓鬼大将でもない、だが、その全てでありたい。これが切なる思いとされております。  私は、子供や孫はぜひこういう先生に見てもらいたいものだなというふうに思うところでございますし、さらに、その最後に、森信三先生の言葉としまして、教育とは流水に文字を書くような果てない業である、だが、それを岩盤に刻むような真剣さで取り組まねばならないということが紹介されております。ぜひ、私は教育委員会の皆さんに奮起をお願いしたいと思うところでございます。  本日は、人間と動物を分けるものは農業である、農耕である。そして、農は国の基である。そしてまた、人が人たる道を指し示す教育。農業と教育は本当に失ってはならない大切なものと信じまして、いろいろと質問させていただきました。  人間が動物と違って人間であること、そしてまた人の心を持って人間らしく生きていくこと、そのことを子や孫の世代にもしっかりつないでいきたい。そういう決意を申し上げまして、全ての質問を終了いたします。 ○副議長(小松千万蔵 君)この際、15分間休憩いたします。         午後3時8分休憩          ──────────────────         午後3時23分開議 ○議長(本郷一彦 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  県民クラブ・公明代表太田昌孝議員。       〔18番太田昌孝君登壇〕 ◆18番(太田昌孝 君)県民クラブ・公明を代表して質問をさせていただきます。明快な答弁を求めます。  まず初めに、今月14日からの豪雪災害により3名の方のとうとい生命が犠牲になりました。心から哀悼の意を表したいと思います。また、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。さらに、復旧に御尽力をいただいております皆様に対しましても敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  さて、我々県民クラブ・公明では、19日に、知事宛て、激甚災害指定を国に求めることや孤立集落への早急な対応、さらに、今回の教訓を検証し今後の対策を推進するよう、具体的提案10件を含め雪害対策緊急要請を行いました。知事におかれましては、早速、翌日の20日には関係各省に対し要請を行っていただいたとお聞きしております。早期の対応に感謝申し上げる次第でございます。  そこで、何点か知事にお伺いをいたします。  今回の豪雪では、除雪とともに排雪が大きな課題であったと思います。幹線道路の除雪、排雪の対応はどうであったか。また、今回の豪雪を踏まえて今後の課題は何か。伺います。  次に、市町村の管理する生活道路の除雪、排雪についても大きな課題でありました。特に、今回の豪雪は、降雪量の多さから市町村は排雪場所に苦慮しておりました。県としての対応はどうであったのか。伺います。  なお、自助、共助で除雪を行っている道路に関しましては、いまだに道路上に厚い圧雪が残っている箇所が多く、これは、降雪時に除雪が追いつかなかったり、あるいは排雪する場所が確保できなかったためと思われます。こうした自助、共助の活動についての支援策につきましては今後の課題して御検討をいただきますよう、これは要望とさせていただきます。  また、農作物の被害状況を今後早急に把握し、緊急対策事業について検討していただくと伺っております。被害農家が再生産可能となるよう早期の支援体制をとっていただきたいと思いますが、今後の見込みについて伺います。  また、通行どめ等の影響により、県内旅館、ホテルのキャンセル等についてどのように現状を把握しておられるか。また、その対応策について伺います。  さて、いよいよ阿部知事の任期中最後の予算案が提案をなされました。さきの提案説明をお聞きしても、最終年度ということからか、総花的な印象を受けております。知事となって1期目の集大成となる予算であります。その意味で、知事が当初に掲げられた基本政策集2010、「信州底力全開宣言」に対し、その取り組み状況及び自己評価について8月30日に開催された部局長会議資料で拝見をいたしました。  これによれば、96項目中未着手のものはなく、実施済みまたは実施中のものが44項目、実施中でさらに充実改善が必要なものが38項目、一部実施が4項目、達成に向けて検討に着手したものが10項目となっております。全ての項目について実施中または着手しているということになっております。  ただ、先ほど知事も回答の中でおっしゃいました、こうした取り組みにつきましては実施してそれで終わりということではなくて、絶えざる評価、検証が必要であると考えます。もとより知事の思いも同様と考えますが、この事業を行うことは手段でありまして、確かな暮らしを守り、県民主権を確立することが目的であると思うからであります。  その意味で、先ほど申し上げた取り組み状況は一定の指標ではあるものの、個別政策で、「医・職・住を充実し、暮らしを支えます」、「健康・環境をキーワードに、産業力・地域力を強化します」、「教育・子育て先進県を目指します」、「県政を刷新し、県民主権を実現します」の四つの観点を掲げていらっしゃいますが、1期目の知事としての集大成として思いが実現できたのか、さらに、やり残したことがあるのか、あるいは、今後見直して推進しなければならないことがあるのか。知事の自己評価をお聞かせください。  さて、長野県は、県土も広く、それぞれの地域ごとに自然環境、歴史などの特色を有しております。また、地域ごとの個性的な地域づくりを支援し活性化することで県全体が元気になるという「信州底力全開宣言」の基本姿勢の中の考え方には賛成であります。しかし、この問題は具体的な推進が肝要であります。取り組み状況の中でも、信州独自の自治のあり方を検討しますの項目については着手のみとなっております。  昨年11月に飯山市で開催されたやまびこフォーラム2013イン飯山に出席をされ、長野県の集落を考えるとの対談を知事は行っておられます。その中で、例えば商店街の活性化も課題ですし、集落、どんどん高齢化が進んで人口が減っているのにどうやって対応するか、あるいは、遊休荒廃地がふえて農業後継者が少ないことも課題とされ、ともすると行政はこれらを別々の課題として受けとめてしまうとして部局の再編に触れられ、地域の皆さん、あるいは市町村と一緒になって地域振興に取り組めるよう横断的に県の組織的な対応の仕方を考えていきたいと強い思いを語られています。  今回、知事は、企画振興部に地域振興課を設置し、土地対策、地域振興、地域再生、移住・交流の機能を集約することとされております。新年度にはどのような地域振興策を図っていくのか。具体的な推進策を知事にお聞きいたします。  国においては、安倍内閣発足から1年余りが経過をし、政治の安定と機敏かつ的確な政策対応により経済を初め状況は大きく動き出しました。政権交代前まで日本の政治、経済、そして社会全体を覆っていた閉塞感を打ち破り、未来へ向かっての展望を開いた、そんな2013年であったと思います。  また、なかなか地域経済に対して波及効果は及んでいないというものの、過日、県民クラブ・公明において中小企業団体中央会の皆さんと意見交換をした折、示されました景況感把握のためのアンケートを見ますと、中小企業の皆様方の思いの中で、昨年末の景況感は1年前と比較してよいとした企業が29.6%、前年同期と比べて倍増しておりました。一方で、悪いは22.2%で前年同期と比べたら半減しております。また、雇用の見通しも、ふやすが7%ふえて18%となり、現状維持も含めると96.2%と確実に景気回復の方向性が示されております。ただし、小売業を初めとして業種によってはいまだ回復の動きが見えず、また、4月の消費税増税後の見通しについては大変に厳しい見通しとなっており、まだまだ予断を許さない状況が続いておると考えます。  そこで、現在の最優先課題でもあります経済対策について3点質問をいたします。  1点目は、商工団体支援の方向性についてであります。  地域のさまざまな元気づくりの中核を担ってまいりました商工会や商工会議所でありますが、今般の経済状況の変化により会員の減少や支援内容の高度化など、さまざまな対応を迫られております。このような状況に対応すべく、商工団体の皆様は、経営支援体制の強化を図るなど、団体の魅力を向上させるためみずから改革に取り組まれていると伺っております。  一例を挙げるならば、県内の商工会におかれましては、激しく変化する経済状況に対して、指導員の資質向上など商工会の内部改革を含め今後10年の商工会のあり方を見据えた中期マスタープランを策定されて、複数商工会の提携による広域的な指導体制の導入など、さまざまな分野で改革を進めつつあると聞いております。  中小企業振興条例案においても小規模事業者の事業の振興に対して必要な措置を講ずることとしており、具体的な支援の実施主体として商工会議所、商工会等の商工団体の存在は必要欠くべからざるものであると考えられます。  さきの11月議会においても、我が会派、宮澤敏文議員から商工会と商工会議所の小規模事業者支援について質問をさせていただいた際に、知事からは商工団体の活動が一層拡充されるよう積極的に支援してまいりたいと前向きな御答弁をいただいております。今後の商工団体支援の方向性に対して県ではどのような支援策を検討されているのか。知事にお伺いいたします。  次に、緊急経済対策についてです。  国においては、4月からの消費税8%への引き上げを見据え、切れ間ない経済対策、15カ月予算として5兆5,000億円規模の緊急経済対策を盛り込んだ2013年度補正予算が成立をいたしました。  県におきましても、国と連動をして259億円余りの補正予算を組まれたわけですが、そのうちの200億円余りは補助公共事業、直轄事業負担金であります。  そこで、伺います。  9月以降、数カ月、建設工事の入札の状況を見ますと、応札なし、入札不調が毎月40件前後発生をしております。また、入札参加者も、24年度が平均11.0者だったものが本年度は8.2者、さらに9月以降に限れば5.5者と激減をしております。経済対策としての公共事業の必要性を認めるものの、このような状況下で有効な対策になるものか危惧をしております。  県では、昨年4月から、主任技術者が2件までかけ持ちできるよう制度の見直しを行ったが、実際の適用事例は極めて少ないと伺っております。現状の適用数と適用事例がふえない理由の考察及び今後の対応について建設部長に伺います。  政府では建設現場の外国人雇用拡大を検討しているようですが、一方で労務単価の下落を招くのではないかとの懸念もあります。また、一時的な労働力の確保ではなく、若い労働者を雇用すべきという声も聞こえてまいります。今後、東北の復興が本格化し、さらに東京オリンピック・パラリンピックの開催決定により東京での開発が本格的に動き出したとき県内の建設業の人材不足が生じることに対する懸念も含め、今回の経済対策をどのように有効なものとしていくのか。県としての対応について知事に伺います。  次に、今議会に提案されております長野県の契約に関する条例についてであります。  既に村石議員、小島議員からも取り上げられておりますが、本条例案の実効性を担保するためにも落札率の向上が欠かせません。その上で2月1日付で改定された労務単価や高騰する資材の単価なども適切に反映させなければ、落札率が上がっても結果として経営の逼迫を招くことになってしまいます。先ほど申し上げましたとおり、人材不足の懸念がある今日、優秀な人材の確保と健全な経営に資する条例となりますよう、この条例に基づく契約の実効性に向けての取り組みについて知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、豪雪への対応についてお答え申し上げます。  今回の豪雪、軽井沢町で99センチメートル、飯田市で81センチメートルと観測史上最大を記録した地点があるわけでありまして、県内各地で記録的な降雪となりました。高速道路県内全域、そして国が管理する国道18号、19号、20号、また県管理道路においても延べ41路線で通行どめになりました。今回、2月の14日夕方から全県下549の工区で除雪体制に入り、昼夜にわたり除雪を継続いたしました。しかし、予想以上の降雪のため除雪が追いつかない状況もありましたので、東信地域等へ除雪機械を派遣するなど、事務所間の応援体制をとったところでございます。  現在、圧雪処理、拡幅除雪により除去した雪を市町村と連携して確保した排雪場所に運搬し、より円滑な通行ができるよう取り組んでいるところでございます。  今後は、通行規制に対する国の動向を踏まえまして、市町村や警察と連携した円滑な除雪のための事前の通行規制のあり方でありますとか、ラジオ、ケーブルテレビ、ホームページ等による通行どめや除雪状況等きめ細かな県民への情報提供、さらには降雪や除雪状況に応じた応援体制の構築等、県民生活への影響が最小限となるよう、県として緊急時の体制を検討してまいりたいと考えております。  次に、排雪場所でございますが、今回のような豪雪におきましては、特に住宅が密集している生活道路において除雪に加えて排雪が課題だと考えております。平年ベースで降雪の少ない市町村においては、工場跡地あるいは市町村が管理する広場等を急遽排雪場所と指定するなど、大変苦労されたと承知しております。降雪量の多い市町村は既に事前に指定しておりますが、そうでない地域もございましたので、今回、急遽の対応になっております。  県としては、市町村からの要望を受け、治水上支障のない1級河川を排雪場所として活用できるよう建設事務所に指示したところでございます。各建設事務所や国の河川事務所及び市町村が調整し、松本市の奈良井川や薄川、佐久市の千曲川など1級河川内に54カ所の排雪場所を確保いたしました。  今回の教訓として、豪雪地帯以外の平年降雪が少ない市町村においても、豪雪に備え、あらかじめ排雪場所を確保し、迅速に排雪ができるよう市町村と調整していきたいと考えております。  次に、農業被害への対応についてでございます。  今回の大雪によりまして、2月の21日現在、5,000棟を超える農業用パイプハウス等の倒壊、損壊に加え、果樹、野菜、花などの農作物や畜産にも被害が発生しております。積雪のため被害調査がおくれている地域もございますが、現在、市町村と連携して調査継続しております。被害の早期全容把握に努めてまいります。  農家の皆様方が営農継続の意欲をなくすことがないように最大限支援策を講じて取り組んでいく必要があるというふうに思っております。そうした観点で、今回の農業被害に対しましては、農作物、農業生産施設の災害緊急対策、そして被害農業者の経営安定対策、そして残雪対策、この三つの柱で被害農家の支援を行っていく方針でございます。  現在、市町村等と連携した農作物等災害緊急対策事業の実施を検討しておりまして、2月の24日には農林水産省に対しましても被災農業者向け経営体育成支援事業の実施など7項目の緊急要請を行いまして、具体的な対応方針や前向きな回答をいただいたところでございます。  また、野菜や水稲などの育苗ハウスにも大きな被害が発生していることに配慮しながら、市町村や農業団体と連携して、本県の農業生産への影響が最小限となるよう、緊急に必要な苗の確保や施設の早期復旧など総合的に支援してまいります。  次に、観光でございます。豪雪による宿泊施設への影響とその対応策についてでございます。  今回の大雪によります交通障害によりまして、スキー場、宿泊施設等、観光面においても大きな影響が出ております。2月の17日に県から宿泊施設等へ聞き取りを行いました。その結果、予約の約5割から7割がキャンセルというところが多い状況でございます。また、長野県旅館ホテル組合会の調査によりますと、2回の大雪によりまして2月8日から16日の間で5万泊を超えるキャンセルが生じるなど大きな影響が出ております。  先週末までには観光地への交通はほぼ回復いたしましたので、交通、気象、スキー場情報等について正確な情報を伝えることにより誘客につなげようということで、2月の20日から県のホームページで情報発信しているところでございます。また、ツイッターやフェイスブックの活用も非常に有効でございますので、観光関係者にも積極的な情報発信を呼びかけ、各地域から発信をしてもらっております。  天候の回復とこうした取り組みによりまして、22、23の土日の入り込みについては、お客様の数が戻ってきている状況にございます。  また、この大雪によりまして、今季のスキーシーズン、遅くまで楽しむことができるだろうというふうに考えておりますので、まだまだ滑れる長野県ということで官民一体となって発信をして今後の誘客に全力を挙げてまいりたいと考えております。  また、2週連続の大雪の影響によりまして運転資金の確保が難しくなってきている宿泊施設に対しましては、各地方事務所、長野県信用保証協会等で相談に応じているところでございます。県の中小企業融資制度資金等を活用して支援をしてまいります。  次に、私の公約についてでございます。  やり残したことはあるのか、あるいは今後見直して推進しなければならないことがあるのか、自己評価ということでございます。  先ほども御答弁申し上げましたが、公約で掲げたものについては数値的にはほとんど着手をさせてきていただいております。一部まだ未達成のものがございますが、例えば中小企業振興条例とかあるいは契約に関する条例は今議会に御提案しているところでございますので、県議会の御理解を得る中で実現をしていきたいというふうに考えております。  しかしながら、先ほど申し上げたように、レベル感として、着手しただけでいいのか、もっと充実すべきじゃないかというふうに私自身感じているものも多々ございます。例えば、障害者あるいは発達障害の子供たちへの支援でありますとか、あるいは産業の活性化、地域の活性化、こうしたものはこれで十分というものではまだまだないわけでありまして、こうしたものも含めてしあわせ信州創造プランに盛り込んで引き続き県として実施をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。しあわせ信州創造プランの中で私自身の考え方も盛り込んでいろんな施策を構築しておりますので、今後とも、引き続き、確かな暮らしが営まれる美しい信州をつくるべく、県職員一体となって取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。  それから、独自の自治のあり方に関連しまして、この点、私自身もまだ踏み込みが必ずしも十分ではないというふうに感じているところでありますが、企画振興部に地域振興課を設置して新年度どういう施策を推進するのかという御質問でございます。  今回の組織改正におきましては、個性的で魅力にあふれ、元気で自立的な地域をつくっていくという観点から、現在、地域振興策、各部局がそれぞれ取り組んでいる部分がございます。こうしたものを地域振興に関連する施策の総合窓口として地域振興課を設置して地域づくりの支援体制を強化していこうと考えております。  来年度は二つの柱で重点的に取り組んでまいります。一つは、人の力というものが何よりも地域活力の維持には重要でございますので、移住者や交流人口の増加を図っていくということとあわせて地域の核となる人材を育成してまいります。また、もう1点、それぞれの地域で住民や市町村の皆さんが個性を生かして主体的に行う地域づくり活動を応援するという観点で、元気づくり支援金の活用であるとか、あるいは集落再熱実施モデル地区支援事業、こうしたものも具体的な成果を出していくようにしていきたいと考えております。  いずれにしても、この地域振興課、私としては、市町村あるいは地域の皆様方の声を第一に受けとめて、しっかりと地域の立場に立って行動する課となるように取り組んでいきたいと考えております。  それから、経済対策についての御質問でございます。  まず、商工団体への支援についてでございます。  商工会、商工会議所、商工業の総合的な振興を図り、とりわけ小規模事業者の経営改善を支援していただいているという観点で地域経済発展のためには不可欠な存在でございます。  県では、小規模事業者の支援の重要性を考慮しまして、商工団体が行う経営改善普及事業に対して助成を実施しておりますし、また、今議会に上程いたしました中小企業振興条例案におきましても小規模事業者への重点支援と商工団体への加入促進を明記しているところでございます。一方、地域間、企業間の競争激化や後継者不在などにより小規模事業者が減少する中で、事業承継や創業など支援内容が専門化、高度化してきております。  こうした状況に対応するために、県の商工会連合会では、昨年3月、商工会中期マスタープランを策定されました。広域的な連携により課題解決を図るため、新しく県下4支所にシニア専門指導員を配置する等支援体制を強化することとされております。  県としては、来年度、喫緊の課題である事業承継問題に対応するため、シニア専門指導員の配置に対して支援を行うということにしております。所要額につきまして今議会で御議論いただくべく予算の中に盛り込ませていただいております。  今後も、商工団体の中長期的な考え方に沿う形で専門的な経営指導等の取り組みに対する助成を行うことによりまして、地域経済の発展、地域振興に向けた商工団体の活動が一層拡充されますよう取り組んでまいります。  次に、経済対策の効果発現についてでございます。  今回の補正予算に関連いたしましては、早期執行が可能な箇所について計上いたしたところであります。平成26年度の第1四半期、6月末を目途にできる限りの契約を行っていく方針で取り組んでまいります。  この補正予算の円滑な執行に関しては、地域の建設企業の受注状況を踏まえた適切な発注規模の検討でありますとか技術者の兼務要件の緩和あるいはフレックス工期契約制度の積極的な活用等、あらゆる方策を講じてまいります。補正予算によります経済効果が早期に、また確実に県内各地に波及することができるよう最大限努力してまいります。  そして、契約に関する条例の実効性に向けた取り組みという御質問でございます。  地域における雇用や専門的な技術の継承等の人材確保、そして受注機会の確保や、適正な執行が通常見込まれない契約金額による契約の締結の防止等、健全な経営に資するということも今回の条例で目指すところでございます。  まずは市場を反映させた適切な価格での発注やダンピング対策等を引き続き実施をして、各企業の工事の採算性を確保することが重要だと考えております。また、社会貢献を果たす事業者等地域に精通する事業者による入札など多様な入札方式の活用を図ることによりまして、将来にわたって事業者が地域の支えとして活躍できる環境の整備によりこの条例の実効性を確保していきたいと考えております。
     私への質問は以上でございます。       〔建設部長北村勉君登壇〕 ◎建設部長(北村勉 君)建設工事における主任技術者の要件緩和に関するお尋ねでございます。  建設工事では主任技術者の配置が必要となっており、うち契約金額が2,500万円以上の土木工事においてはその工事現場の職務に専念する専任の主任技術者の配置が必要となっております。  平成25年の4月から、専任が必要な建設工事を同一の主任技術者が2件まで兼務できるように要件の緩和を行ったところでございます。  兼務の適用数でございますけれども、制度を見直した4月からこの1月末までの間に契約した建設部の契約金額2,500万円以上の土木工事約700件のうち、その3%に当たる19件で制度が活用されました。  適用事例数の現状を見ますと、兼務できる工事の条件が、相互に調整を要し、現場相互の間隔が5キロメートル程度など適用対象が限定されることに課題もあると考えております。この点につきましては、現場相互の間隔について5キロ程度から2倍の10キロ程度の範囲までを適用範囲とするよう、この2月からさらに要件の緩和を行ったところでございます。  また、工事現場には主任技術者のほか現場代理人の配置も必要となりますが、この現場代理人は主任技術者の専任が不要な契約金額2,500万円未満の工事においても現場に常駐する義務がございます。応札なし、不調の多くがこうした比較的規模の小さな工事においても発生している実態がございますので、現場代理人についても兼務が可能な工事件数を現在の2件から3件までとし、応札機会を確保できるようにするとともに、発注に当たり地域の実情に応じた規模を設定することにより建設工事が着実に施行されるよう対応してまいります。  以上でございます。       〔18番太田昌孝君登壇〕 ◆18番(太田昌孝 君)2点申し上げます。  とりわけ豪雪の対策、早期に手だてを打たなきゃいけないことというのも幾つかございまして、例えば東京市場なんかでも長野県の春野菜についての懸念なんていうことも聞こえてくるというふうにも聞いております。育苗対策、早期復旧というような形もお話いただきました。国のほうの助成の支援策なども次々と発表されておるところでございます。そういう中で、できますれば今議会の中で再度追加の補正予算の編成なども考えていただければというふうに思いますが、この点、知事にもう一回答弁をお願いをしたいというふうに思います。  それから、北村建設部長に対しましては、主任技術者、あるいは現場監督、代理監督、そんな話ありましたけれども、私ども県民クラブ・公明で国土交通省に予算の勉強等行った場合においても、こうした小さな工事だけでなく、複数工事の一括発注等々、そんな話もさせていただいたところでございます。国としても、地方自治体に対しまして複数年契約、複数工事の一括発注などを採用するようなことを促す、そんな報道があったばかりでございますけれども、建設部長の御所見を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)お答えします。  豪雪被害に対応しては、早期の対応、できる限りの対応をしていくということが大変重要だというふうに私も考えております。現在、被害の全容把握に努めているところでございますが、今調査がおくれている市町村もある中で、多くの市町村、具体的な対策事業費まだ算定できていないような状況でございます。  国は基本的な対策の枠組みを昨日公表して、そして近日中に補助率あるいは補助の範囲等の詳細は明らかになってくるだろうというふうに考えております。  私どもとしては、こうした国の取り組みも最大限活用しながら、先ほど申し上げたように、農業者が営農意欲を失わないように最大限支援していくということが重要だというふうに考えております。  育苗施設の復旧等特に緊急性の高い対策について、市町村と十分連絡をとりながら、事業量等の全容把握に努め、2月補正予算での対応も含めて鋭意調整をしていきたいと考えております。  以上です。       〔建設部長北村勉君登壇〕 ◎建設部長(北村勉 君)国が進める公共工事品質確保促進法の中で、事業の性格や地域の特性に応じて選択できる多様な入札・契約方式の導入あるいは活用についても検討されております。  議員御質問の報道にあった複数年度契約や複数工種の一括発注等もその一つであるということは承知をしております。現段階では国から詳細な考え方が示されていないために、これに対する県のスタンスを御説明できる段階にはございませんけれども、今後、長野県の実情を踏まえ検討していくことになるというふうに考えております。  今回の補正予算の執行、応札なしあるいは不調案件の対応を含めた円滑な執行につきましては、技術者の兼務要件の緩和でありますとか、それからフレックス工期の契約制度でありますとか、また地域の実情を踏まえました適切な発注規模の検討等の方策を講ずることで対応をしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔18番太田昌孝君登壇〕 ◆18番(太田昌孝 君)2月の補正も含めての検討ということでございますので御期待を申し上げております。よろしくお願いをいたします。  また、知事の公約につきましても、レベルの問題、まだまだこれからということも、具体的なお話、障害者支援あるいは産業の活性化などというお話もいただきました。まだまだ知事2期目の表明ということで具体的に言われておらないわけでございますけれども、早期に新たな長野県に対しての道筋、こんなものも示されることを御期待を申し上げる次第でございます。  次に、健康福祉施策の充実について何点か知事に伺います。  初めに、生活困窮者自立支援法が成立をして、新年度から始まる信州パーソナル・サポート・モデル事業について伺います。  この事業は、平成27年4月に施行となる生活困窮者自立支援法の制度に円滑に移行するため、県と市が共同して困窮者等に対する広域的な相談・支援体制を構築するものとされております。  この事業のうち自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給については福祉事務所設置自治体が必ず実施しなければならない必須事業とされており、一方で、就労に必要な訓練を日常生活自立、社会生活自立段階から有期で実施する就労準備支援事業、住居のない生活困窮者に対して一定期間宿泊場所や衣食の提供等を行う一時生活支援事業、家計に関する相談、家計管理に関する指導、貸し付けのあっせん等を行う家計相談支援事業、生活困窮家庭の子供への学習支援事業、その他生活困窮者の自立の促進に必要な事業などは任意事業となっています。  そこで、伺います。  まず、必須事業については福祉事務所設置自治体で対応することとされていますが、県の計画ではパーソナル・サポート・センターを現在の4カ所から6カ所に拡充をして対応することとされております。また、本年度のモデル事業から27年度生活困窮者自立支援制度に移行する際には、相談支援拠点を10カ所とする計画になっております。  今回の支援の対象となる生活困窮者に対し、早期に相談を受け、支援を行うことにより生活困窮状態からの早期の自立を図ることができるというのが本制度の目的であり、その意味でも、また法の定めからも、自立相談支援事業に応対する相談窓口は福祉事務所ごとの住民に近接した場所にあることが望ましく、この意味でも、もっと細かく、できれば19市プラス木曽郡の福祉事務所対応とし、さらに町村でもサテライト的に相談窓口が完備していることが望ましいと思うが、いかがでしょうか。  また一方で、各市の福祉事務所には、任意事業に関して、特に就労支援については経験や実績に乏しいこと、対応件数の増加に対しケースワーカーの負担もふえており、広域的な支援が必要と考えます。これら任意事業について、事業実施の見通し及び県のサポートなど取り組みについて伺います。  次に、ユニバーサルデザインのまちづくりについて伺います。  現在、福祉のまちづくり会議を設置し、福祉のまちづくり条例の改正について検討されております。昨年末に開催された第5回の会議でも、物理的バリア、情報のバリア、心のバリアなどが検討されており、従来のバリアフリー法との整合性を図るにとどまらず、幅広い観点から検討されていると伺い、その方向性について意を強くしているところであります。  我が会派において、ユニバーサルデザインのまちづくりの先進地であります浜松市を視察してまいりました。そこでは、ユニバーサルデザイン条例を定め、ソフト(情報、サービス、仕組み)、ハート(思いやり、きずな、助け合い)、ハード(交通、道路、施設、物)、それぞれの取り組みを通してU・優プランというユニバーサルデザイン計画を全庁的な取り組みとして行い、さらに、条例制定後もユニバーサルデザインのまちづくりについて常に検証、確認を行っております。感心いたしましたのは、ユニバーサルデザインのまちづくりに取り組んでから12年、ユニバーサルデザインについての市民の認知度が38%から76%へと倍増していることです。  ユニバーサルデザインのまちづくりとは、単にハード整備のバリアフリー化にとどまらず、お互いを支え合い補い合う心のユニバーサルデザインであると御教示をいただきました。そして、ユニバーサルデザインとは、何か規定をつくったらそこで終わりではなく、常に継続したPDCAサイクルの中でスパイラルアップしていくことが求められていると考えます。  そこで、伺います。  現在検討されております福祉のまちづくり条例の改正を含めて、福祉のまちづくりに向けた知事の基本的な考え方についてお聞かせください。  障害者団体の皆様などから要望のあるパーキングパーミット制度については条例改正にあわせて導入すべきと思いますが、いかがでしょうか。  福祉のまちづくりを推進するためには、施策を評価、検証する場を設けるとともに、当事者団体からの意見聴取の機会を常に設け、全庁的、総合的に推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、保健所の共同化について伺います。  現在、長野市には県の運営する長野保健所と長野市が運営する長野市保健所があります。長野保健所が管内人口約17万人に対し、長野市保健所は約38万人、また、職員数も、長野保健所が44人に対し長野市保健所が68人であります。  地方自治法第252条では機関等の共同設置が認められており、全国の事例でも介護認定審査や公平委員会などについて400余りの共同設置がなされていると伺っております。この制度を活用し、両保健所を共同設置とすることで行政効率がアップするとともに、1カ所に集中することにより保健所を利用する県民にとって専門的な機能のレベルアップ、高度・多様化する住民ニーズにも応えることができると考えますが、いかがでしょうか。  以上、知事の御所見を伺います。  次に、観光政策について伺います。  いよいよ1年後に北陸新幹線が金沢まで延伸開業となります。県としては、この延伸効果をどのように観光面で活用し、観光振興に結びつけようとしているのか。以下の点について伺います。  観光振興に向けてさまざまなプロモーションを仕掛けていく必要があると思うが、どのような戦略を考えているのか。伺います。  また、観光客に駅でおりていただき、県内を周遊してもらうためには2次交通の充実が必要と考えますが、各駅ごとにどのように進めているのか。伺います。  新しくなる長野駅ビルには長野県のゲートウエーとしての機能が高まるものと思います。ここをさらに有効活用していく必要があると考えますが、どのような対応を考えているか。伺います。  また、長野県の最大のマーケットである東京に首都圏総合活動拠点ができます。この拠点での観光プロモーションはどのように行うのか。伺います。  さらに、JR東日本ではいち早く金沢に営業所を設けたと伺っております。JR西日本との連携をどのように推進していくのか。  以上、5点、知事に伺います。  次に、これまでも何度か取り上げましたが、高速乗り合いバス、貸し切りバスの交代運転手の配置基準が昨年8月から強化されたことに伴い、ドライブイン等の事業者からバスによる観光客が激減し経営環境が悪化していること、とりわけ、首都圏、中京圏からの距離の関係から長野県の観光への影響が大きいことをこれまで指摘してまいりました。9月議会ではこの影響について調査を行うべきと要請をし、以後、調査を行ったと聞いておりますが、その状況と今後の対応について観光部長に伺います。  次に、農業政策について知事に伺います。  国の平成26年度農政関係予算の目指す方向は、農業・農村の所得を今後10年間で倍増させ、海外輸出1兆円を目標として、強い農業、攻めの農業を展開することとしております。  現在、我が国農業における担い手の農地利用は全農地の約5割を占めていますが、農業従事者の高齢化、耕作放棄地の拡大など課題が生じており、構造改革をさらに加速化させていくために今般農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、農業を足腰の強い産業としていくための産業政策と農業・農村の有する多面的機能の維持、発揮を図るための地域政策を車の両輪として推進することにしております。  そして、この目標を具体化するため農政の4大改革を掲げております。  一つは、農地の有効利用の継続や農業経営の効率化を進めるため、担い手への農地の集積、集約化を加速させるため農地中間管理機構を制度化、創設をいたしました。  二つ目は、従来の経営所得安定対策は、一律の支払いなど構造改革にそぐわない面があったため、米の直接支払交付金や米価変動補填交付金については工程を明らかにした上で廃止し、畑作物の直接支払交付金や米、畑作物の収入影響緩和対策は一律の規模要件を外し、認定農業者や集落営農等に対し交付するよう改定をされております。  3点目は、主食用米に偏らず、麦、大豆、飼料用米など需要のある作物の生産を振興し、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、みずからの経営判断で需要に応じた主食用米生産が行われるよう水田フル活用と米政策を見直すことにしております。  4点目は、農業・農村の持つ多面的機能が十分に発揮されるよう、集落コミュニティーの共同管理により農地が農地として維持され、規模拡大に取り組む担い手の負担を軽減する構造改革として日本型直接支払いを創設するというものであります。  以上、4大農政改革は全国一律的に実施され、条件不利地での営農や家族農業等の配慮はされていないわけであります。  こうした中で、長野県は、中山間地が多く、耕作放棄地率も全国の約2倍であり、全国一の農家数は平均耕作面積もまた少ないわけであります。また、就業農家の平均年齢は68歳を超えているなど、本県農業の厳しい実態があります。  このような長野県の生産基盤を踏まえ、国の目指す強い農業、攻めの農業をどのように構築されるか。そのプロセスについて伺います。  また、平成26年度予算からは、個々の政策については理解できますが、長野県が目指す平たん地、中山間地等の農業の方向が見えてこないわけであります。  そこで、本県農業の地帯別に目指す農業・農村の将来像について伺います。  また、本県が総合的に目指している園芸王国日本一とするためには、野菜、果樹、畜産が本県の気候と風土を生かしたバランスある生産体系でなくてはなりません。平成26年度予算にどのように工夫をされ、生産振興されるか。伺います。  次に、国が掲げている4大農政改革のうち農地中間管理機構について伺います。  先ほども申し上げましたが、この制度は担い手への農地の集積、集約化を加速するものでありますが、本県の遊休農地は中山間地に多く、さらに耕作するのに条件不利地と言われる水田や畑地が多いことから、中間管理機構に対し出し手はあるが借り手が少なく、中間管理機構が大面積を抱え込む心配があります。  このような状況を踏まえ、農地中間管理機構の年間計画はどのように設定され、どのように運用されるか。伺います。  次に、文化芸術の振興策について知事に伺います。  今回の機構改革で新たに県民文化部を設置し、また、県文化振興事業団の新理事長には前文化庁長官の近藤誠一氏が選出されるなど、文化芸術の振興が期待をされます。  県下では、新長野市民会館の芸術監督に作曲家の久石譲氏が就任するなど、文化会館を拠点として地域に文化を発信する動きがあり、こうした市との連携は大変に有効と考えます。  そこで、伺います。  県立の文化会館においても、貸し館業務だけでなく、文化会館が主導権を持って積極的に企画を考え、提供すべきではないかと考えるが、いかがでしょうか。  また、3館共同のプログラムや、長野市を初め市民文化会館との連携も必要と考えますが、今後の連携体制について伺います。  文化芸術の鑑賞のためにはハード対策も重要であります。ホクト文化ホールでは駐車場が不足しているため恒常的に周辺が渋滞しております。また、文化芸術に触れた後の余韻を楽しむ施設も欲しいとの御要望もしばしば寄せられます。このような施設の充実についての方針についてあわせて伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、福祉施策の充実についての関連で生活困窮者に対する自立相談支援事業の実施体制についてお答えします。  生活困窮者自立支援法におきましては、平成27年度以降、福祉事務所設置自治体が相談支援拠点を設置するということにされております。これまで、パーソナル・サポート・センターは長野県として他県に先駆けて先駆的に取り組みを進めてきているというふうに考えておりますが、この制度改正にしっかり対応していくことが重要だというふうに考えております。  平成26年度は、相談支援拠点を現在の4カ所から6カ所に拡大して信州パーソナル・サポート・モデル事業を実施していく計画でございます。この点、市と調整を行ってきているところであります。  さらに、法が施行されます平成27年度からでございますが、県と市が共同で10広域ごとに相談支援拠点を設置するという方向で市に提案をしているところでございますが、太田先生御指摘の福祉事務所本来の権能との整理をどうするかという点は重要な課題だろうというふうに思います。モデル事業を行っていく中で広域設置のメリットとデメリットを検証するとともに、市とも十分調整しながら、生活困窮者にとってよりよい支援体制をどうするかという観点で検討してまいりたいと考えております。  また、御指摘のとおり、相談窓口は住民の身近にあることが望ましいというふうに私も考えます。市町村と協議する中で、例えばサテライト的な相談窓口の設置とか巡回相談の実施等、きめ細かな対応が可能となる方策についてもあわせて検討していきたいと考えております。  次に、任意事業の関連でございます。  生活困窮者自立支援法に基づく就労準備支援等の任意事業につきましては福祉事務所設置自治体が実施することとされておりますが、都道府県が市区域分も含めて広域的に実施することも可能となっております。  任意事業の実施、その内容については今後の検討ではございますけれども、生活困窮者にとってより効果的な支援となるよう、広域的な実施も含めて市と十分相談しながら検討していきたいと考えております。  次に、福祉のまちづくりの関係でございます。  福祉のまちづくりに関連しては、これは、しあわせ信州創造プランの目指す姿としての「誰にでも居場所と出番がある信州」を実現していく上で大変重要な政策だと考えております。そのため、福祉のまちづくり条例の見直しや施策の推進方策について、平成24年6月に長野県福祉のまちづくり会議を設けて検討を進めてきているところでございます。  この検討や障害者団体等からの意見聴取の結果、課題として、障害の特性や配慮すべき点への理解の不足、案内標示、駐車場、公衆トイレ等の整備の必要性、施設のバリアフリー情報等の発信不足といったことが挙げられております。こうした課題を踏まえ、すべての方々が気持ちよく外出あるいは社会参加をしていただける居心地が誰にとってもよい長野県を目指していきたいと考えております。  基本的な方向性としては、助け合い、支え合う機運の醸成、身近な施設のバリアフリー化の推進、障害者等が必要とする情報の適切な提供等を進めるという考え方のもと、施策の具体化を進めてまいります。  なお、福祉のまちづくり条例改正案につきましては、来年度前半の県議会への提出に向けて取り組んでいるところでございます。  次に、パーキングパーミット制度の導入についてでございます。  パーキングパーミット制度、県が対象者に利用証を交付して、障害者等駐車スペースの適正利用を推進して誰もが外出しやすい環境をつくろうというものでございます。導入について、福祉のまちづくり会議での議論あるいは近県の効果の検証等を行い、検討してまいってきております。  制度導入県では適正利用が進んだ一方、幾つか課題もございますが、県としては、必要な駐車スペースの確保策の検討やあいサポート運動による機運の醸成等によりこの制度がより実効性を高めることができるように配慮しながら、なるべく早期の導入を検討してまいりたいと考えております。  次に、福祉のまちづくりに関連して、施策の評価、検証と推進体制についてでございます。  福祉のまちづくりを進めていく上では、特に当事者の声を聞くということが重要だと考えております。施策の定期的な評価、検証を行い、その結果を施策にフィードバックさせる仕組みをつくっていくということが重要だと考えております。このため、多くの当事者団体の皆様方から意見を聞く機会を積極的、継続的に設けていきたいと考えております。
     また、ユニバーサルデザインのまちづくりに向けましては、福祉、教育、住宅、建設、交通、観光等、健康福祉部以外の取り組みが重要だというふうに考えておりますので、現在、29課室で構成する福祉のまちづくり庁内連絡会議ございますが、この組織を充実させること等によりまして部局間のより一層の連携強化、そして、それぞれの部局がみずからのこととしてこのテーマに向けて取り組んでもらうように私からは働きかけていきたいというふうに考えております。  それから、県の保健所と長野市の保健所の共同設置についてでございます。  これは、今年度、職員の政策研究におきまして長野県と長野市の職員の合同で研究が行われてまいりました。実務担当者による研究チームの設置等が提案されているところでございます。  この共同設置に関しては、例えば県においては保健福祉事務所として福祉事務所と保健所の業務を今あわせて行っておりますので、仮に保健所共同設置となると整理が必要になっていくといったような課題もございますが、太田議員御指摘のとおり、例えば行政の効率化であるとか専門性の向上といった視点から有効な部分もあるというふうに考えておりますので、まずはよりよい保健福祉サービスの提供を目指して庁内でしっかり議論を深めて方向性を見出していきたいと考えております。  次に、観光政策でございます。  新幹線の金沢延伸に係るプロモーション戦略についてでございます。  新幹線延伸のチャンスを最大限生かす上では、地域ごとの特質に応じた戦略も重要だと考えております。最大のマーケットでございます首都圏に対しましては、北陸地域は積極的な取り組みを進めておりますが、長野県としての特徴を際立たせる上でも山岳高原等の長野県の強みを生かしたプロモーションを展開してまいります。首都圏総合活動拠点を活用した情報発信も工夫をして行ってまいります。  また、北陸地域に対しましてでございますが、長野県のイメージは軽井沢、善光寺といったやや限定的なイメージを持たれているところがございますので、ラジオ、テレビ等を活用したメディアプロモーションあるいはイベントへの出展等によりまして幅広く県内のさまざまな観光地の認知度向上を図ってまいります。  また、北陸と長野で競争し合うだけではなくて、相互にお客様を送る相互送客という観点で北陸各県とも連携をしてまいります。  また、関西圏でございますが、金沢を中心に北陸への観光客が多い地域でございます。延伸後には長野県まで足を伸ばしていただくことができるように、海と山の魅力を合わせた2泊3日以上の旅行への誘導でありますとか、あるいはスキー、農村体験等長野県の特色を生かした学習旅行等の誘致を進めてまいります。  次に、2次交通の関係の御質問でございます。  新幹線停車駅からの2次交通の充実、そして新しい長野駅ビルでの対応についてでございます。  観光客が長野県内の駅でおりていただいて観光していただくためには、2次交通の整備、重要だというふうに考えております。現在、駅ごとにチームをつくって、県、観光協会、そして市町村、観光関係者と一緒になって、観光地の魅力向上の取り組みに加えて、2次交通の検討、企画を行ってきております。  それぞれの駅ごとに申し上げますと、例えば軽井沢におきましては、しなの鉄道と軽井沢町内の路線バスがセットになった周遊切符、軽井沢フリーパスを発売をしているところでございます。上田に関しましては、300円または500円という上限額で別所温泉あるいは菅平等の観光地へも通じる運賃低減路線バス、これを運行してきております。長野におきましては、タクシー会社が駅から小布施などの周辺観光地を定額料金で利用できるプランをつくって販売中でございます。また、長野駅東口には、今年度内に観光バスや貸し切りバスの乗降、待機スペースが整備される予定となっております。  新しくできる飯山駅でございますが、駅にバスプールを設置して、そこから各観光地を結ぶシャトルバスの運行について、信越9市町村広域連携会議に私ども長野県も加わって検討しております。  しなの鉄道におきましては、この夏から、沿線の景観、歴史、文化、食などを満喫できる観光列車「ろくもん」の運行を開始する予定でございます。  こうした各地域の2次交通の情報を集約して、駅でおりても便利な長野県を利用者目線に立ってわかりやすくアピールをしてまいります。  また、長野駅の新駅ビルに関連しては、今ビル工事進められておりますが、本年秋に一部オープン、来年度末に全面オープンの予定でございます。この駅ビルには、全県の名品、特産品をそろえていただくよう要請をしておりますほか、再整備されます長野市の観光情報センターには県観光協会の職員を常駐をさせて県内全域の観光案内をすることによりまして、観光客の県内全域を視野に入れた観光を促進してまいりたいと考えております。  次に、首都圏総合活動拠点における観光プロモーションについてでございます。  ことしの夏、東京銀座に活動拠点がオープン予定でございますが、この活動拠点、新幹線金沢延伸による首都圏マーケットが広がってまいりますので、この可能性を県内に呼び込む拠点としても活用していきたいと考えております。  これまで有楽町の観光情報センターではできなかった例えば県単独のメディア対象の記者会見や懇談会を実施できますし、また、現地のライブ中継であるとかタブレット端末を使った観光案内等をこの拠点で行っていく予定でございます。また、2階のキッチンつきイベントスペースにおきましては、県内の食の魅力を活用した料理教室あるいは試飲食を交えたPRイベントを行うことが可能となりますし、1階、2階、4階の3フロア連携させて長野県の観光をトータルでPRをしてまいりたいと考えております。  また、秋には、東京の活動拠点の近くで、アウトドア専門誌とコラボレーションして長野県の山の魅力を実感してもらえるような楽しいイベントを開催する予定でございます。  新しく設置される拠点におきましては石川県、富山県等沿線県のアンテナショップとも連携した取り組みを検討して、相乗効果を上げていきたいと考えております。  次に、農業政策についての御質問でございます。  強い農業、攻めの農業の構築についてでございます。  長野県において強い農業を実現していくためには、経営感覚にすぐれ、理念と目標を持って農業経営を展開する多様な企業的農業経営体が数多く確保され、地域農業の主力となっていただくことが重要だと考えております。  県としては、農業後継者の皆さんを初め就農意欲の高い新規就農者等を対象として、経営マネジメント力向上のための研修の実施やあるいは農業大学校への実践経営者コースの新設等により、こうした人材育成に取り組んでまいります。  また、こうした経営体が地域資源を有効に活用し、農産物の高品質化、加工品等の開発や観光との連携等、付加価値が高い農業を展開していただくことで農家の所得を確保するとともに、農業・農村の活性化や新たな雇用の創出につながる、そうした観点での強い農業、攻めの農業を構築していきたいと考えております。  次に、地帯別、地域別の農業・農村の将来像についてでございます。  まず、水稲などの土地利用型作物につきましては、担い手が比較的多く、土地条件のいい平たん地域等を中心に、農地の集積による規模拡大や生産・流通コストの低減等を基本として、競争力の高い農業を目指してまいります。また、果樹や施設野菜、花卉等が生産されております中山間地域等におきましては、手間をかけ、より高い品質を生み出し、さらには観光や食品産業とも連携して、長野県ならではの農産物に高い付加価値をつける農業を目指してまいります。  このためには、国の新たな施策を積極的に活用すると同時に、しあわせ信州創造プランに基づいて、農業の生産性向上や高付加価値化等についてきめ細かな施策を展開してまいりたいと考えております。  次に、園芸等生産振興に向けた新年度予算の工夫についてという御質問でございます。  本県の農業の主力でございます園芸作物あるいは畜産の生産振興を図るためには、実需者ニーズに対応したマーケットインの生産、あるいは本県ならではの個性と競争力のある産地づくりが重要だと考えております。このため、野菜の契約取引の推進、あるいは春需要の高いアスパラガスや梨の新品種、サザンスイートの新産地育成等を支援することによってマーケットインの生産を加速してまいります。  また、長野県オリジナル新品種の育成や広域的な自給飼料の生産拡大に取り組むほか、地球温暖化を見据えた試験研究を進めることによりまして個性と競争力のある産地づくりを支援してまいります。  こうした平成26年度施策に加えまして、国あるいは全国的な団体の支援施策を積極的に活用し、本県農業の主力であります果樹や野菜、畜産、こうした総合的な振興を図ってまいります。  農地中間管理機構の年間計画の設定と運用についてでございます。  担い手への農地の集積、集約化は大変重要なテーマだと考えております。本県におきましても、農地中間管理機構を積極的に活用してまいりたいと考えております。  初年度となります平成26年度におきましては、市町村、JA等関係機関との体制づくりや制度の周知を重点的に実施してまいります。秋以降に農地の貸し付け希望の受け付けや借り手の募集を行って、年間で500ヘクタール集積する計画でございます。中山間地域等におきましては、地域内の担い手のほか、新規就農者や複数の市町村において生産を行う農業法人など、合理的に農地を利用できる経営体への集積を進めていく考えであります。  なお、農地中間管理事業推進法におきましては、機構は利用が著しく困難な農地は借り受けないこととされておりますほか、借り受け後の相当の期間貸し付けが見込めない場合は賃貸借契約を解除できるということになっておりまして、御指摘のように農地の滞留が起こらないよう十分配慮して、適切に運営するよう指導してまいります。  次に、文化芸術の振興についてでございます。  県立文化会館の自主事業の充実と文化会館の連携についてでございます。  県立文化会館、自主事業によります公演のほか、貸し館による公演を実施することで多彩な文化芸術の鑑賞の機会を県民に御提供しております。  現在、今後の県立文化会館の自主企画や3館共同プログラムの具体的な方策を、県立文化会館の指定管理者であります長野県文化振興事業団の近藤誠一理事長を初め文化会館の館長あるいは外部有識者等とともに検討しているところでございます。この検討結果を踏まえ、県と文化振興事業団が一体となり、より魅力的なプログラムを企画し、県民の皆様に御提供していきたいと考えております。  また、市町村立を含む県内文化会館との連携、これは私は大変重要だというふうに考えております。単独の会館ではなかなか招聘困難な公演の実現であるとか、あるいは他の文化会館のすぐれた自主企画の巡回公演等メリットも考えられるところでございます。市町村あるいは長野県文化振興事業団等の関係機関と共同して、それぞれの文化会館の特色を尊重しつつ、緩やかな県内文化会館ネットワークの構築に向け取り組んでいきたいと考えております。  次に、ホクト文化ホールの施設の充実についてでございます。  ホクト文化ホールの駐車可能台数、大型車20台、普通車223台ということで、大規模イベントによりましては駐車スペースが不足している状況でございます。  ホクト文化ホール、市街地に位置する施設であることに加えて、長野駅東口周辺の整備が進む中で長野駅から徒歩10分程度ということで駅からのアクセス大変改善をされてきております。こうした観点から、今後、ホクト文化ホール単体で考えるのではなくて、長野駅周辺の街と一体的なエリアとして考えていくことが重要だと考えております。  もとより、ホール内にありますレストランやカフェのサービス内容の充実等については、これは、指定管理者、あるいはレストラン、カフェの事業者と検討していきたいというふうに思いますが、そうしたことに加えて、徒歩での来館を誘導するとともに、長野駅東口商店街の皆様方とも協働して、街全体を文化芸術を楽しめるような形でホクト文化ホールのあり方も検討していきたいと考えております。  観光政策について1問答弁漏らしておりました。JR西日本との連携についての御質問でございます。  JR西日本とこれまで協議を進めてきているところでございます。JR西日本としては、新幹線が金沢に延伸することによりまして、これまで関西からはやや遠い感があって旅行先としてなかなか捉えにくかった長野県が魅力的な目的地として生かせるようになることにメリットを感じていただいているところでございます。  本県としても、現在、関西から北陸を訪れていらっしゃる多くの乗客を、新幹線を使って長野県も含めて周遊していただく新たなルートができるというふうに考えております。こうした観点でJR西日本とは強く連携していく必要があると考えております。  関西におきましては長野県の魅力がまだまだイメージとして定着し切れていない部分もございますので、JR西日本の力をかりて交通広告やイベントを初めとするプロモーションを行ってまいりたいと考えております。  また、本年6月には、全国から旅行会社、JR関係者、マスコミ等を招いて、新幹線延伸に向けた全国販売促進会議を開催する予定でございます。JR西日本や関西の旅行会社にも実際の県内の観光地を見ていただき、旅行商品の造成につなげてまいります。  さらに、JR西日本、東日本との連携によりまして、大きな輸送力を生かした旅行商品を企画されるということを目指しております。長野県、その旅行目的先として、二つのJR会社と県内観光地を結びつけるべく役割を果たしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔観光部長野池明登君登壇〕 ◎観光部長(野池明登 君)観光政策につきまして、バスの交代運転者の配置基準の改正に伴います観光地への影響と今後の対応についてでございます。  平成24年4月に起きました関越自動車道での高速バスの事故を受けまして、昨年8月から高速乗り合いバスや貸し切りバスの交代運転者の配置基準が改正をされました。例えば、従来は走行距離が一運行670キロを超える場合に交代運転者を配置をしておりましたけれども、改正後は、原則、昼間は一運行500キロメートル、夜間は400キロメートルを超える場合に交代運転者の配置が必要となったところであります。  この改正に伴う影響につきまして、昨年11月から本年1月にかけて、ドライブインや土産物店など貸し切りバスが多く立ち寄っている観光施設60カ所と貸し切りバス会社、旅行業者7社を対象に聞き取り調査を実施をいたしました。その結果、今回の改正に伴いまして、旅行の周遊箇所から外れたという回答が35%、21施設、施設での滞在時間が減少したとの回答が21%、13施設ございまして、前年同期と比較し貸し切りバスの立ち寄り台数ですとか売上高が減少するなどの影響が出ていることが判明したところでございます。  安全の確保、これは最優先であることはもちろんでございますけれども、国に対しまして、今回の改正によります地域経済に及ぼしている影響につきましてもまず実態を伝えるということが必要であるというふうに思っておりますし、今できることといたしまして、貸し切りバス事業者や旅行業者の皆さんには、旅行行程の一部に鉄道を組み入れることで走行距離の上限を超過しない旅行コースの工夫、これは既に事業者の皆さん行っていただいているところありますけれども、こういった具体的な提案をいたしまして影響が少しでも緩和されるように県としても努力をしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔18番太田昌孝君登壇〕 ◆18番(太田昌孝 君)生活困窮者事業、これにつきましては、いわゆる利用者目線でぜひとも検討していただきたいというふうに思っております。  また一方で、市の福祉事務所の皆様方の懸念というのは、一方で任意事業である就労支援等の経験、実績、こんなものがないわけですから、そこは広域で支援をしてもらいたい。その上で、それを支援するのか、それとも就労につなげるのか、こういう判断も現場に近いところで、また、その就労も含めての相談にきちんと乗れないと、やはり出口がないと就労支援という形になりませんので、生活困窮者の事業につきましては、今後、市としっかりと相談をしていただきたいということ、それと、さらに一般質問などで取り上げていただき、また議論を深めていただければと、こんなふうに思っております。よろしくお願いをいたします。  また、長野保健所、長野市保健所の共同設置につきましては、制度上の障害はないわけでございまして、そういう意味では、市と県との職員が今具体的な方向性を模索していただいているということでございますので、早期に方向をしっかりと示していただきますようによろしくお願いをいたします。  また、先ほどお話ございましたJR西日本、ぜひとも連携をとっていただいて、小島議員の質疑の中でもございましたけれども、関西からどれだけ誘客できるかということ大事なことでございます。そういう意味では一番力のある企業でもあります。連携をしっかりとっていただきますようによろしくお願いをいたします。  なお、新たな長野駅ビルのゲートウエーとしての機能、今の長野駅には、そこからのバス周遊であったりというような案内がなかなか見受けられないというような状況もあります。あるいは、長野駅に来ても長野県内の他地域の雰囲気が感じていただけないということもございます。  27年には御開帳もある。ほとんどバスで来る人が多いんですけれども、そういう方々ができれば新幹線で来ていただいて、そして周遊をしながら、あるいは次にはこういう観光商品があるということを見せて帰す。こんなことが何よりも大事であろうというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  文化の振興につきましては、地域と一体となったまちづくりも含めまして、芸術のまちづくり、よろしくお願いをいたします。  次に、教育関係について伊藤教育長に伺いたいと思います。  1点目にスーパーグローバルハイスクール事業について伺います。  初等中等教育段階におけるグローバル人材の育成を目指して、小中高等学校を通じた英語教育の抜本強化を図ることとして文部科学省の事業として行われるものとなりました。  高校段階から国際競争力を身につけた人材を育成するために、社会課題に対する関心と深い教養に加え、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際素養を身につけたグローバルリーダーを育成する高等学校を支援するとともに、国、県、学校、企業等が連携をして、社会総がかりで高校生留学を促進するとされております。  そこで、何点か伺います。  この事業を推進するに当たり、企業を含めた協力体制の構築をどのように行うのか。海外研修生、長中期の留学生に対して経済的支援をどのように行うのか。また、この事業で得た成果を全県に普及するとされております。指定校以外の高等学校に対する語学教育の振興策はどのように図っていくのか。  以上、伊藤教育長に伺います。  次に、中高校生のインターネット依存について伺います。  文部科学省は、2014年度から、若者のインターネット依存症対策の新規事業として、青少年教育施設を活用したネット依存対策研究事業を創設するとのことです。  新聞報道によると、中高生によるインターネット依存に関する調査が全国の中高生を対象に2012年10月から2013年3月まで実施をされ、中学生約3万9,000人、高校生約6万2,000人からの回答を受け、2013年8月にその調査結果が公表をされました。この調査では、問題や不安から逃げるためネットを使うかなど8問中5問以上に当てはまると依存の疑いが強いと分類、その割合は中学生の6%、高校生の9%で、中高生全体では8%となり、全国の中高生数で計算すると約52万人と推計をしております。また、男女別では、女子10%、男子6%で、女子の高い理由はチャットやメールを多く使うためとしております。  情報リテラシー教育も含め、学習や日常生活に悪影響が及ぼされるインターネット依存について、保護者や教師への啓発、子供たちにネット依存の怖さを認識させる必要があると考えますが、県の取り組みについて伺います。  次に、女性の社会参画について伺います。  第3次長野県男女共同参画計画の目標に対する現状を拝見しますと、県活動指標については順調に推移し、また目標も大きく掲げていると思いますが、一方で、県民指標になりますとむしろ後退しているものもあります。このことは、県行政の意気込みとは裏腹に、県民意識の中に男女共同参画についての意識の共有がまだまだ必要なことを示しております。  国においては、第3次男女共同参画基本計画で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%とする目標が示されており、ここから考えれば地域活動についてさらなる意識の啓発が必要と思うが、いかがでしょうか。  私たち会派では、過日、国の本年度補正予算及び新年度予算について勉強してまいりましたが、本年度補正予算では好循環実現のための経済対策関係のうち女性、若者、高齢者、障害者向け施策を大きな柱に位置づけて、女性の活躍促進、子育て支援、少子化対策に1,685億円の予算をつけ、女性の活躍を促しております。  こうした中で、地域における女性活躍の加速化事業では、行政とNPO、経済団体や金融機関などが連携をして、地域の女性が活躍するための組織の連携体制の構築や計画の策定、実践などを支援することとしております。  このような事業を有効に活用し、さらなる女性の活躍の支援をお願いしたいと思いますが、知事の御所見を伺います。  次に、東京オリンピック・パラリンピック開催決定に対する対応について伺います。  昨日閉会となりましたソチオリンピックでは、連日、日本選手の活躍が報道され、国民に与える希望や勇気、そういった波及効果を目にするにつけ、スポーツの持つポテンシャルには大いに期待を感じております。  また、3月7日から開幕いたしますパラリンピックにつきましても我が国選手の活躍を願ってやみません。  さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定は、さらなるスポーツの振興や国際相互理解の促進のみならず、日本全体が活力を取り戻し、地域経済や地域社会の活性化につながる好機としても期待をされております。  また、1998年長野冬季オリンピックから始まった一校一国運動も東京オリンピックに引き継がれていると伺いました。この東京オリンピックを契機として、長野市でも現在まで継続している交流の輪がさらに広がることを期待するものであります。  本県は、これまでにもスポーツ合宿などの実績を有する地域が数多く存在し、また、東京からも比較的近い地域であることなど、各国代表選手の事前合宿の誘致について優位性があると考えますが、この機会にさらなる取り組みを願うものですが、いかがでしょうか。  教育委員会の事業として競技力向上事業費が計上されています。東京オリンピックを視野に入れた選手の育成を支援することとなっていますが、一方で、パラリンピック選手の国際競争力向上を図るための支援も必要と考えるが、いかがでしょうか。今後の取り組みを知事に伺います。  次に、消防団支援法の成立による消防団員の処遇改善と加入促進について伺います。  近年、局地的な豪雨や台風などの自然災害が頻発をしております。地域防災力の強化が喫緊の課題となる中、消防団の重要性が改めて注目を集めております。  消防団は、消防署とともに、火災や災害への対応などを行う消防組織法に基づいた組織であり、団員は非常勤特別職の地方公務員として条例により年額報酬や出動手当などが支給されております。  火災や災害の発生時には、いち早く自宅や職場から現場に駆けつけ対応に当たる地域防災のかなめでもあります。しかし、その実態は厳しく、全国的に団員数の減少が顕著になっており、1965年に130万人以上いた団員は2012年には約87万人に落ち込んでいるとのこと、その背景には、高齢化に加えて、サラリーマンが多くなり、緊急時や訓練の際に駆けつけにくい事情も団員減の要因とされております。  幸い、本県においては団員の充足率は95.67%、また平均年齢も33.5歳と全国一若く、まことに心強く感じております。  さて、こうした消防団の活動を支援するものとして、昨年12月に消防団を支援する地域防災力充実強化法(消防団支援法)が成立、施行されました。同法は、消防団を将来にわたり地域防災力の中核として欠くことのできない代替性のない存在と定義し、消防団の抜本的な強化を国や自治体に求め、団員の処遇改善や装備品、訓練の充実に向けた予算が確保されました。  具体的には、階級や在籍年数に応じて設けられている退職報償金は全階級で一律5万円を上乗せするほか、報酬、出勤手当の引き上げについて各自治体に条例改正を強く求めているのが特徴であります。
     しかし、各市町村の条例では交付税単価まで確保されていない自治体も多いとお聞きします。本県の現状と今後県としてどのように指導していくのか。伺います。  さらに、自治体職員の入団は、これまで自治体の裁量に委ねられてきましたが、職務に支障がない限り認めるよう義務づけられました。消防団に所属する県職員は62人と全職員の1%前後の割合で推移しているとのこと。長野市の職員では246人と全体の7.1%であります。団員の確保状況は市町村によってさまざまですが、例えば飯田市などでは慣例的に市職員は32歳まで団員とのこと、新人職員が消防団員になるというわけであります。  本県においても、職員に対し積極的に入団呼びかけを行うと伺っております。このことについては、先ごろ異例に総務大臣からの通達もあったと伺っております。県職員は広域にわたる人事異動があるため加入しづらい事情はわかりますが、とりわけ新規採用職員については地域活動の一環として入団することも考えられると思いますが、いかがでしょうか。久保田危機管理部長に伺います。       〔教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育長(伊藤学司 君)スーパーグローバルハイスクール事業に関しまして3点御質問を頂戴いたしました。  まず、企業を含めた協力体制の構築についてでございますが、スーパーグローバルハイスクール事業につきましては、現在、文部科学省において、全国から申請がございました246校の中から50校を選定するという選定審査が行われているところでございますが、本県の県立高校が選定された場合には、県教育委員会としても、本事業を推進するために、国際的な経験が豊富な企業経営者や研究者等の有識者によって組織する運営指導委員会を設置し、企業や大学等に対する働きかけを行い、指定校における事業の運営を全面的に支援することとしております。  次に、海外研修生や留学生に対する経済支援についてでございます。  スーパーグローバルハイスクールにおきます生徒の海外研修は、まさにこの事業によって支援をしていくこととしているところでございます。また、他の学校も含めた中長期の留学生に対しましては、長期の留学については平成24年度から文部科学省の事業による支援を実施をしてございますし、また、中期の留学につきましては来年度から新たに文部科学省の事業で始まるというふうに承知してございまして、こうした事業を活用しながら支援を行っていきたいと考えてございます。  次に、スーパーグローバルハイスクール事業の成果の普及と他の高等学校における語学教育の振興策についてでございますが、本事業の成果につきましては、指定校による研究成果発表に加えて、県教委主催の研修等において指定校が開発したグローバルリーダー育成の手法を普及していきたいと考えてございます。  また、県内の高等学校において英語教育を充実するために、英語の指導力向上に取り組む拠点校を設置して研究開発を行い、英語の授業改善を進め、ALTの有効な活用を図り、指定校以外の高校においても語学教育の振興に努めていきたいと考えてございます。  次に、児童生徒のネット依存対策についてのお尋ねでございます。  スマートフォンを初めインターネットに接続可能なさまざま情報通信機器が普及する中、議員御指摘のとおり、インターネット依存について、児童生徒への教育、また保護者への啓発、教員の指導力の向上が必要であると認識しております。  学校におきましては情報モラル教育の中でネット依存の危険性について指導しているところでございますが、県教育委員会としても、各学校にインターネットやゲームの依存度セルフチェックシートを作成、配布いたしまして児童生徒に自分の利用状況の問題点を考えさせるなど、指導の強化をしているところでございます。  また、保護者に対しましては、昨年12月、県PTA連合会、県高等学校PTA連合会とともにインターネットの安全な利用に関する共同メッセージを発表し、ネット依存の問題も含め、児童生徒のインターネット利用の現状と注意点について注意喚起をしたところでございます。  さらに、教員の指導力を高めるために、指導資料を作成し、最新の情報を提供するとともに、各地区において教員研修の実施、充実を図っているところでございます。  今後とも、児童生徒がインターネットに依存することなく、安全かつ適正に利用できるよう、この問題に対する取り組みをさらに進めてまいる所存であります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、女性の社会参加についてお答え申し上げたいと思います。  経済、社会を活性化させていく上でも女性の活躍、これからの日本にとっても長野県にとっても不可欠だというふうに考えております。  御指摘にありましたように、地域における指導的地位に占める女性の活躍の度合いを見ますと、例えば自治会長に占める割合は低下をしてきている状況でありまして、こうした分野に女性が参加をしていくことができる環境づくりを進めていくということは大変重要だと思っております。  地域における女性の社会参加促進につきましては、市町村の取り組みを促すという観点で、女性の参画状況マップの作成であるとか公表を行っておりますし、また、女性の参画の重要性をテーマにした地域フォーラムや地域づくり講座の開催、地域住民の方々を対象にした講演会の実施、こうしたことで女性自身の積極的な参画を推進するための啓発活動も行ってきております。  現在、県内を見ますと、男女共同参画計画を策定している市町村、6割に達していない状況にございます。今後、こうした市町村にも働きかけを行い、地域にかかわる活動においても女性の参画を拡大し、女性がさらに活躍できるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、地域における女性活躍の加速化事業についてでございます。  この事業、企業の女性登用や女性による創業拡大に向けた地域の取り組みを支援するために、この2月に成立した国の補正予算に盛り込まれたものでございます。本県でもこの事業の有効活用について検討してまいったところでございます。  この事業の活用に当たりましては幅広い主体の連携のもと取り組むことが有効だというふうに考えておりますので、長野県男女共同参画推進県民会議を実施主体として事業の実施を申請したところでございます。  具体的な事業の内容としては、企業の女性登用等の実態と先進的な取り組み事例を広く紹介し、企業の取り組みを促す女性の雇用環境調査、働く女性の能力やスキルアップを図るキャリアアップセミナー、起業や創業を目指す女性を支援する信州女性起業・創業サミットの3事業を盛り込んだところでございます。申請した事業につきましては、国では3月を目途に選定を行う予定と聞いておりますが、今後も国の交付金等を有効に活用するなど、関係機関と十分に連携を図り、女性が活躍できる長野県を目指して施策を推進してまいります。  次に、オリンピック・パラリンピックの関連で事前合宿の誘致についてでございます。  東京オリンピックの事前合宿につきましては、世界トップ選手のプレーに触れることで県内の競技者あるいは子供たちに大きな夢をもたらすといったスポーツ振興への効果に加えて、異文化交流、地域の活性化等さまざまな分野への好影響が期待されるものでございまして、市町村や競技団体等と連携し誘致に向けた取り組みを進めていくことが重要だと考えております。  県では、昨年11月に関係部局から成る庁内連絡調整会議を設置して国や競技団体等からの情報収集に努めております。また、先ごろ市町村に対しアンケートを実施いたしました。県内22の市町村が誘致を希望する意向を示しております。来月中旬、全市町村を対象にした連絡会議を開催して、国や競技団体から得た情報の提供や意見交換を行う予定にしております。  夏場の冷涼な気候や高地トレーニングができる高原を有し、また東京から近い地理的条件など本県の持つ優位性が最大限発揮できるように、関係市町村、競技団体との連携を一層強化し、県内への事前合宿の誘致の実現に向けて努力をしてまいります。  次に、パラリンピック選手の競技力強化でございます。  障害があっても誰もがスポーツを楽しむことができる環境づくりを進めるため、従来から各種障害者スポーツ大会を開催する等、障害者スポーツの振興を図ってきております。開催予定のソチパラリンピックにおきましても、長野県関係選手7名、出場の予定となっております。  パラリンピックに関しましても、新年度から、オリンピックに関する教育委員会の取り組みと同様、国内外の主要な大会への派遣等を通じて国際レベルで通用する県内選手の育成を支援してまいりたいと考えております。  以上です。       〔危機管理監兼危機管理部長久保田篤君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(久保田篤 君)消防団に関する二つの質問をいただきました。  まず1番目は、消防団の処遇改善であります。  消防団員の報酬、手当は地方交付税の算定項目になっておりまして、その階級ごとに単価が定められております。一般団員の報酬を例にいたしますと、年額で3万6,500円、本県の状況ですけれども、県内市町村の一般団員の報酬の支給状況を見ますと、最も支給額が高いところで3万3,500円、低いところで7,000円、平均で1万7,000円弱であります。  交付税単価はあくまで標準的な額でありますけれども、多くの県内市町村がこれを下回っており、全国的にも同様な状況であります。  こうしたことから、地域防災力充実強化法では、国及び地方公共団体は適切な報酬及び費用弁償の支給がなされるよう必要な措置を講ずると規定されたところであります。  現在の報酬、手当の額は、それぞれ市町村が地域の実情を勘案して定められているものでありますけれども、今回の法律の趣旨を踏まえて、処遇改善の取り組みをさらに進めていただくことが消防団員確保のため重要と認識しております。  それに対する県の対応でありますけれども、法の施行を受けまして、県内市町村に対して、市町村ごとの支給単価について情報提供しながら、処遇の改善に取り組むよう通知を出して呼びかけているところであります。  また、今後も市長会や町村会の場で直接市町村長に説明するなどして報酬、手当の引き上げを強く働きかけてまいります。  次に、県職員の消防団加入促進であります。  消防団の活動は、自分の地域は自分で守るという精神のもと、地域への貢献度が高い代表的な活動の一つであり、県職員として仕事をする上でも得がたい財産になると考えております。  新規採用職員の入団については、出身地を離れて生活する職員や自宅から離れた地域に通勤している職員も多く、一律に入団を原則とするのは困難と考えておりますけれども、県職員の加入促進として、所属長から特に加入が期待できる若手職員に対して個別に呼びかけるよう依頼をしたところであります。  今後の対応ですけれども、まず職員が消防団やその活動について理解を深めることから始める必要がありますので、職員研修の場で消防団に関する情報を伝え、加入を呼びかける、あるいは現職の消防団員の話を聞く機会を設けるといった取り組みを行ってまいります。  また、消防団活動を地域貢献活動の一つとして評価する仕組みを検討するなど、加入しやすい環境づくりに取り組んでまいります。  以上です。       〔18番太田昌孝君登壇〕 ◆18番(太田昌孝 君)パラリンピックの支援につきましては、オリンピックと同様の制度があるということでございます。手厚い支援を心からお願いを申し上げます。  今回の質問、女性、若者、高齢者、障害者、そんな皆さんが輝く長野県になればいいな、そんな思いの中で質問をさせていただきました。  私ども県民クラブ・公明、引き続き県政の課題について取り組んでまいりますということをお誓いを申し上げまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(本郷一彦 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明26日午前10時に再開して、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後5時2分延会...